約 2,106,977 件
https://w.atwiki.jp/supergirl121/pages/228.html
「今日は、何をやるんですか?」 『今日は、君の『強さ』を実験しようと思う』 博士とスーパーガールは、とある『演習場』に来ていた。 「どうして、博士はそんな離れたところに居るんですか?」 『ん、いや。今日は近くに居ると私自身に危害が及ぶ可能性があるのでね・・・』 博士は、広大な演習場が見渡せる管制塔の上に居た。声は、スーパーガールに着けたインコム越しだ。 「では、幕僚長。宜しいですね?」 「ああ、構わん。やってくれたまえ」 では、と博士がリモコンのスイッチを押した。 キュラキュラキュラ 「・・・何、あれ?」 遠くにあるハンガーから出て来たモノ、それは"戦車のようなモノ"だった。 キャラピラを装備した足回りは確かに戦車のそれだが、上半身にはアームが2本。 右アームには大きめのブレードが装着されていて、左アームにはガトリング砲が装備されていた。 「こ、こんなのと戦うんですか!?」 『ああ、これは新型戦車『ASG』の動作実験も兼ねていてね。重火器は封印されているから心配は要らない』 「・・・動作実験、か。モノは言い様だな」 「彼女はまだ未成年ですのでね、名目は必要なのですよ。それに、実験には違いありません。それがただ、"二者両得"というだけです」 そんな大人たちの思惑を知る由もなく、スーパーガールは目と鼻の先で『ASG』と対峙していた。 「何か、前に戦ったのより強そ・・・」 以前、博士が用意した二足歩行マシンとは比べものにならない重圧感。 「でも、何だろ。負ける気がしないかも・・・」 彼女は何故か、不思議なぐらいリラックス出来ていた。 キュラキュラキュラ、と『ASG』が間合いを詰めて来る。ぶつかる寸前で彼女がそれを"片手"で抑え込んだ。 ギュラギュラ・・・ギュラギュラ・・・と『ASG』のキャラピラが空転を始める。 「!? 凄いな・・・まさか、戦車の前進を片手で止めてしまうとは」 「彼女のパワーを考えればまあ、このぐらいは想定の範囲内です」 ギュン、と唸りを上げ、いきなり彼女目掛けてブレードが振り下ろる。だが、それもいとも簡単に空いた左手で彼女は受け止めてしまった。 しかし。 ドガガガガッ!! 「きゃっ!?」 何と、『ASG』は無防備な彼女の土手っ腹に左アームのガトリング砲を放ったのだ。 彼女はいきなりの自体に、もんどり打って後ろに倒れ込んだ。 『おい、大丈夫か!? おい! 無事なら返事をしろ!!』 通信越しに博士の怒号が飛ぶ。 「・・・痛っつー。・・・って、え? あれ、痛くない・・・」 彼女は地面にへたり込んだまま、撃たれた自分のお腹を見た。 服はボロボロだが、素肌には傷一つ付いていない。手で摩ってみても、やはりどこも傷付いていない。 「博士、何か無事みたいです」 『そうか、良かった』 「でも、銃は動かないんじゃ・・・」 『すまない。どうやら、制御系に異常があるらしく、こちらからの命令が受け付けなくなってしまったようだ』 「え、ええーーっ!?」 『何とか、無力化出来ないか? 無論、こちらからも手は尽くしてみるが・・・』 「・・・わかりました。やってみます」 『・・・? えらく、決断が早いな』 「だって・・・」 『・・・だって?』 「銃を撃たれた時はビックリしたけど、何か撃たれても大丈夫みたいだし・・・。それにこの戦車、パワーは大したことないですよね」 『・・・・・』 そこからは一方的で、圧倒的な展開だった。 「服が破けちゃうのは嫌だし、先ずは銃から潰そうかな?」 銃弾をモロに受けながらもそれを物ともせず、回転している銃身を抱え込むようにして止めてしまった。 「えいっ」 バキィッ!!とガトリング砲をアームの根元から引き千切ると、粘土を捏ね回すように鉄の塊に固めてしまう。 右アームのブレードも、同じようにボディから引き千切り、粉々に砕いてしまった。 キャラピラも同様に引き剥がし、『ASG』は見るも無残な案山子のような状態に成り果てていた。 ギャリギャリ・・・ギャリギャリ・・・ とキャラピラを剥がされた車輪が空転している。彼女が"仕上げ"をしようと、『ASG』を持ち上げているのだ。 「それっ」 彼女はそのまま『ASG』を自分の真上に"軽く"放り投げた。 ギュンッと凄まじいスピードで、『ASG』は宙空高く放り上げられる。 数秒して、やっとゴウッという轟音と共に、『ASG』の巨体が彼女目掛けて落ちて来た。 「とうっ」 ワザとらしく、彼女は落ちて来る『ASG』に向かって、右手を突き上げながら飛び上がった。 ドゴオンンンッ!!! 重力落下スピードプラス、彼女自身の音速を超す脚力によるジャンプ力。 『ASG』が粉々に砕け散るには充分過ぎる威力だった。 「馬鹿な・・・。3000馬力、100トンの『ASG』がたった一人の少女に・・・」 「私にとっては、この結果は充分、想定の範囲内です」 両者の表情が、実験の結果を物語っていた。 幕僚長にとっては、新兵器の性能実験。 博士にとっては、彼女の実戦兵器耐用実験。 アンチスーパーガール用戦車、通称『ASG』。 徐々に増えつつあるスーパーガールに対抗すべく、用意された新型兵器。 しかし、まだまだ改善の余地があるようだ。
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/725.html
視界は常に不定形を象り、ぐにゃぐにゃとした線が、シャボン玉の表面のように毒々しい色合いで混ざり続ける。 不快感で身体がくず折れそうなのに、私はそこに存在を固定されたまま、指一本動かせない。 浮いているのか、沈んでいるのか。確かなのは、地に足を付けていないということ。 『―――霧切さんの笑った顔って、すごく可愛いんだよ』 エコーのかかった声が、脳天から響く。 次いで、線が少しずつ寄れて、見慣れた笑顔を形作った。 よく見知った、少年の。 『……■■君のクセに、ナマイキね』 ザザー、と、テレビの砂嵐のような音に削り取られる。 彼が誰かを私は知っていて、けれどもその存在を思い出すことは出来ない。 酷く不思議な心地だ。彼の声も、表情も、何もかもに靄がかかっていて。 けれど、それがかけがえのない大切な存在ということだけは、覚えている。 (……、…やめて) 私は虚空に呟いた。 その悪夢の続きを、知っている。 その『私』が、自分でも知らないくらいに蕩けた笑顔で、彼の手を取った。 驚いたような少年の視線に、『私』がしたり顔で返すと、はにかみながらも指を絡めて、二人の視線も、絡まる。 『私』も、相手の男の子も、幸せそうに、そして気恥ずかしそうに、互いを見つめている。 ―――、どちゃ。 唐突だった。 幾度も見たはずなのに、脳がその情報の処理に追い付かなかった。 音。―――肉の、潰れる音。 匂い。―――人の脂と、血の匂い。 絡めていた手の、肘から先が、ぶらん、とだらしなく宙に揺れる。 『…………え、…?』 『私』が目を見開く。 先程まで少年の笑顔があった、その視線の先には、やはり見覚えのある無慈悲な鉄塊。 放射状に飛び散った『誰か』の血が、『私』の足まで汚していた。 『……■■、君…?』 失ったことを受け入れられずに、『私』の声が、縋るように名前を呼ぶ。 当然、返事は返ってくるはずも無い。 「あ、あっ、あぁ、…い、やぁあぁああ、―――――――……っ!!!」 不定形の世界に、慟哭が響き渡る。 私の声か、それとも『私』のか、区別はつけられない。 喪失の痛みには、慣れていたはずだった。 幾度も私は、自分の大切なものを取り零して来たのだ。 なのに、どうして、こんなに、辛い。 『…そりゃそうでしょ。君は、失ったんじゃなくて、自分から捨てたんだから』 しわがれて愛嬌のある、それ故におぞましい声が響く。 『■■君は、霧切さんを守るために、霧切さんが不利になる情報をずっと隠してたんだよねぇ』 「っ…」 『それで自分が不利になっちゃって…でも、霧切さんは■■君を助けなかった』 「…違、」 違う。そう、言い切りたかった。 私だって、彼を助けに向かった。 けっしてこの信頼関係は、一方通行じゃない。 けれど、 『■■君は、そう思ってるかなぁ?』 ぐるん、と、不自然な可動で、『私』の首が九十度周り、此方を向く。 『釣り合わないと思わない? 苗木君は文字通り、命を賭けたんだよ?』 『私』の顔が、―――目がドブのように濁っている以外は、だが―――語りかけてくる。 声はあの悪夢のような人形の声のまま。 『私』が、私を責める。 頭がおかしくなってしまいそうだった。 『君は、絶対に戻れる保障があったじゃないか。苗木君が助かったのなんて、文字通り幸運だったからだよ』 「私、だって…保障なんて、なくても、」 『そもそも君は自分可愛さに、自分が一番大切なものを捨てたんだもん。それで辛いだなんてお門違いじゃない?』 「う、ぅ……あ、」 肺が、痙攣するように呼吸をする。 違う、私は、彼を見捨てようなんて、そんな、 『ねえねえ、どんな気持ち? 自分を無償で、命を張ってまで助けてくれた男の子を見捨てて、今どんな気持ち?』 「あ、ぃや、ぁ、」 喉が震える。否定したくても、声なんて出せなかった。 逃げ出そうと必死で足を動かすけれど、その場からは一歩も動けない。 濁った瞳の『私』が、正面から近づいてくる。 『ねえねえ』『ねえねえ、どんな気『んな気持ち?』切さん『の子を見捨てて』霧切さ『ねえ、どんな気持』 「―――霧切さん!!!」 ビク、と、体が反射で大きく震えて、机が軋んだような音を出した。 じわりと現実の重さが返ってくる。 頭に鈍痛が奔る。固定されていた腕の関節が痺れている。 堪えるように、ゆっくりと目を瞬かせた。 「だ、大丈夫……?」 聞き慣れた声。 子犬が飼い主を気遣うような目が、此方を覗き込みに来る。 「……苗木、君?」 「霧切さん、疲れてるんじゃない? すごく苦しそうだったよ」 確かめるように、男の子の名前を呼ぶ。 締め付けられるような心地がして、此方を覗き込むその顔を直視できずに、目を逸らしてしまう。 「ごめんなさい、その……」 「気にしないで。少しくらい転寝ても罰は当たらないよ」 優しい言葉と共に、渡されたマグカップを手に取る。 気を利かせてくれたらしい、ミルク抜きのアイスコーヒー。 ふと額に手をやると、酷く汗を掻いていた。前髪が張りついている。襟元にも汗が滲んで、気持ちが悪い。 あの夢を見るときは、いつもこうだ。 チク、タク、と、壁掛けの時計がゆっくり秒針を刻む音。 事務所にはどうやら、私と苗木君しかいないらしい。 「……シャワーを浴びてきても良いかしら」 「えっ? あ、う、うん……その、どうぞ」 「いつかみたいに、覗いてみる?」 「は、はは……」 耳まで赤くなった男の子に微笑ましさを覚えながら、備え品のバスタオルを肩にかける。 どうせ自室に戻るまであと一時間、電話番以外にすることはない。 例の一件以来、世界は緩やかに、絶望から立ち直りつつある。 未来機関の黎明期は終わり、これからは少しずつ人も増え、復興に携わっていくことになるだろう。 今は、いわば次のステップに移るための準備期間。 仕事と呼べる仕事はほとんどなく、交代で事務所の番をするのが私たちのせいぜいの仕事になっていた。 ボイラーが上がりきる前に蛇口を捻り、温められる前の冷水を、そのまま頭から被る。 ゆるゆると、背を足を伝って水が流れていくのを感じながら、私はつい先ほどの悪夢を思い出していた。 あの男の子の像は他でもない、苗木君。 私の中で、彼がどれほど大切な存在になっているかは、自覚している。 そしてだからこそ、それを失ってしまう恐怖に、私は怯え続けてもいる。 あの学園で、『失ってしまったことへの恐怖』を、私は知ってしまったのだ。 絶望から再生していく世界で、私一人が恐怖に取り残されている。 身を絞めるような冷たい水は、いっそ心地よかった。 体が生理的に震えようとするのを、奥歯をかみしめてぐっと堪える。 夢の中の影は、滑稽な女だ、と私を笑った。 一度は我が身可愛さに見捨てた相手を、かけがえのない大切なものだと言い張り、そして失うことを恐れている。 違う、と幾度も自分に言い聞かせた。 自分が助かるためじゃない、とか、私だって彼の為なら、とか、言い訳なら何個でも浮かぶのに。 きっとあの影は、私の良心か、潜在意識か。 自分を納得させるための言い訳なんかじゃ耐えられないほどに、その潜在意識は根強い。 それはすなわち、苗木君への、――― 「苗木君への、何……?」 ぽつり、と自問した。 答えは出ないまま、沈黙だけがまだ温い湯とともに、排水溝に流れていく。 ――――― 奇しくもその翌日は、私の何度目かの誕生日。 もともと心待ちにしていたワケではなく、無感動に事務的に過ぎ去る、いつもどおりの平日。 そのはずだった。 寝床に就く前に、布団に沈み込むのがやけに心地よく感じたのを覚えている。 その日はいつもの悪夢を見ずに、ただただずっと深みに沈んでいく夢。 ずん、と、深く深く、腰が砕けそうになるほど、脳が蕩けそうになるほど、心地よく芯に染み込む深さ。 目を覚まして、それまで沈み込んでいた分なのだろうか、苦しさと紙一重の浮遊感を感じた。 天井が、ぐらぐらと揺れている。揺りかごの中にいるような。 軽い吐き気と、鈍い寒気。 薄ぼんやりと開けた目を強く閉じれば、頭の中で重い痛みが響いた。 熱がある、確信する。 当然だ、冷水を浴び続けて、ろくに身体も温めずに寝たのだった。 答えを紡げないことなど分かっていたのに、彼の存在とあの悪夢だけが、ぐるぐると頭を回っていて。 それどころじゃなかった、と言ってしまえばそれだけだけど。 自己管理の怠慢。思わず舌を打つ。 怨嗟の声でも上げようか、という体を無理矢理起こすと、ぱさ、と何かが胸元に落ちた。 重みのあるそれは、湿ったハンカチだった。見覚えのある柄模様。 「あ、起きた? ごめん、氷枕の場所分からなかったからさ」 「……洋服棚の下」 「分かった。霧切さん、食欲ある? 適当に果物とか買って来たんだけど」 「今はいらないわ。……それよりも」 とりあえず、隠すように布団の中の自分の姿を確認する。 よかった、悪い酒のあとのような、下着姿のまま眠るという馬鹿はやっていなかった。 「……部屋に不法侵入者がいるようなのだけれど、どうすればいいかしら」 きょとん、と流し台に立っていた少年が、こちらを振り返った。 どこから引っ張り出して来たのか、若草色のエプロンを首元から下げている。 「泥棒でも入ったの?」 「さあ、どうかしら。 あなた、何か盗んだ?」 「え、僕?」 心外だ、と言わんばかり、眉根を寄せる。 「霧切さんが昨日、電話してきたんじゃないか」 「…は?」 枕元に手を伸ばして、履歴を確認する。 発信欄に、『苗木誠』の表示が並んでいた。 午前一時から二時にかけて、三件も。 思わず頭に手をやった。記憶違いということではないらしい、悲しくも。 「……その、電話で私は、何を」 「うん? 分かんないけど、なんていうか、ずっと僕の事を名前で呼んで」 「……もういいわ、だいたい分かった」 思いだすことに危機感を覚えて、彼を止めた。 ぶわり、と熱とは別の浮遊感が、胸の奥から広がってきた。 とんでもなく恥ずかしいことをしてしまったのではないだろうか。 この発信履歴を削除したら、無かったことにはならないだろうか。 「ごめんなさいね、重い女で」 「うん?」 恥ずかし紛れに、茶化してみる。 が、すぐにこの手の策は彼には通じなかったことを思い出した。 「霧切さん、いつも頑張ってるから。たまには僕のことも頼ってよ。ね?」 眉根を下げて、ふわり、と子犬のような笑み。 見事なカウンターである。 頬が、爆ぜるように熱くなった。 熱が上がった気がする。 皮肉や嫌味は、どうも彼には通じない。 天然なのか、計算でやっているのか、どちらにせよタチの悪いことだ。 布団を手繰り寄せて、火照ってきた顔を隠す。 「一応、本部には連絡しといたから。とはいっても、僕も霧切さんも今日は非番だけど」 「……何と言って連絡したのかしら」 「うん? 昨日の夜から具合が悪いみたいなので、って」 「貴方ね、その言い方じゃ、」 まるで。 私が昨日の夜から、貴方と時間を共にしていたみたいじゃないか。 「えっと……不味かった、かな」 「……別に。困るのは、どうせ貴方の方だもの」 子犬が首を傾げる仕草。訂正させるのも馬鹿らしく感じたので、とりあえず背を向け、布団の中で楽な体勢を取る。 別にそれで誤解されたとしても、いや、気恥ずかしいのは確かだけど、困ることはない。 からかってくるような輩がいれば、言って聞かせれば済む話。 ふわり、と鼻孔に芳しい香りが届く。 ぐつぐつと、沸騰している音。ザク、ザク、とリズムよい拍子は、野菜か何かを切っているのだろう。 此処、すなわち未来機関の社宅は、どの部屋も大抵同じつくりをしている。 白塗りの壁に、備え付けのコンロとユニットバス。 苗木君にだけは、いざという時のために部屋の鍵番号を教えてあった。 私が体調を崩した時や、仕事が溜まっている日なんかは、こうしてご飯を作りに来てくれる。 ……彼が度を越した世話焼きなのか、それとも私が無精すぎるのだろうか。 「今はいらない、と言わなかったかしら」 「大丈夫だよ、冷めても美味しいから」 的外れな返答に、肺の底からため息が出てくる。 彼の料理が気に食わないわけじゃない。 そうやって気を遣わせてしまっている自分自身が嫌だ。 負担や重荷にはなりたくないのに。 ただでさえ、彼は引きずってしまう人なのに。 「……何を作ってるの?」 ベッドから身体を引っ張り起こす。反動で逆方向に沈んでいきそうになるのを、なんとか堪える。 冷蔵庫には、薬と飲み物しか入っていなかったはずだ。 玄関側の廊下に、大きなビニール袋が二つ。 「卵雑炊……の、ちょっとアレンジかな。鳥胸肉を塩茹でした残り汁で煮込むんだけど」 「相変わらず、手が込んでるわね」 鍋の様子を見ながら、片手間で卵を溶く。 彼の調理する姿を見ていると、不思議とお腹が空いてくる。 餌付けでもされているようだ。語感の割に、満更でもないのはどうしてだろう。 「本当はもうちょっと、豪勢なものを作りたかったんだけどね」 「え?」 「今日。霧切さん、誕生日でしょ」 言われて、はた、と思わず口に手を当てる。 誕生日を忘れていたわけではない。 同期の仲間、すなわちあの学園生活の卒業生同士で、簡単なパーティを催すと連絡があったのを思い出した。 なぜわざわざ本部にまで連絡を、と思ったけれど、そういうことか。 主役が病欠では、パーティも何もあったものじゃない。 きっとそれに備えて、計画も準備も進めていたのだろう。 私の看病のために、中止にして、来てくれたのだ。 「……ごめん、なさい」 自分の声に驚く。あまりにも弱々しかった。 無意識に、謝罪の言葉を口にしていた。 【続く】
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/227.html
山田「拙者…メイド喫茶というこの最良の選択…譲りませぬぞ?」 昼休みが終わり、暖かな陽気がより一層眠気を誘う頃希望ヶ峰学園第78期生達の教室では話合いが行われていた・・・ 山田「そう、そして看板娘は不二咲殿!不二咲殿のメイド姿に何人の男が魅了されることか!そして拙者、そんなものが見られたら死んでもいい!」 大和田「おい山田、不二咲が困ってるじゃねぇか…」ボキボキ 山田「ヒィィィイ!」 不二咲「待ってよ!大和田くん、暴力は駄目だよ!それに僕…かわいい服着るの…いいかなって…」 山田「キタコレ!」 石丸「そこの3人!落ち着きたまえ!とりあえず山田くんから『メイド喫茶』という意見が出た!意義のあるものはいるか!?」 間近に迫った希望ヶ峰学園祭 希望ヶ峰学園祭では各クラス一つずつ出し物を発表することになっていた。 美術品展示、ステージ発表、出店…テーマは何でもいい。 ルールは「クラス一丸となって頑張ること」だけだ。 セレス「そうですわねぇ…希望ヶ峰学園祭はその注目度の高さから有名人や大企業の社長なんかも来られる、と聞きましたわ。そんなメイド喫茶なんかでみなさんの評判が落ちないか心配ですわ。」ウフフ 山田「やすひ……セレス殿ぉ…拙者、セレス殿にもメイド服を着てほしくて…それが楽しみで…」 セレス「お断りしますわ」ウフフ 江ノ島「うぷぷwww」 石丸「メイド喫茶は却下か…それでは他に意見のあるものは!」 戦刃「あたし、射的をやりたいです。」 桑田「おっ!いいじゃねぇか!俺は射的得意だぜー!」 戦刃「そうだなぁ…的が葉隠くん、山田くん、桑田くん、十神くんでぇ…」 腐川「クズどもはどうでもいいとしてなんで百夜様まで入ってんのよ!」 桑田「どうでもよくねーよ!」 十神「くだらん…。だが面白いな、襲ってくる大神に当てたら大当たりというのはどうだ?」フッ 戦刃「私は外さないよ?」ニコニコ 大神「勝手に話を進めるな…」 朝比奈「そうだよ!そんなの絶対駄目!」 苗木「アハハ…(濃い人達ばかりじゃさすがにまとまらないなぁ)」 苗木「霧切さんは何か意見ないの?」 霧切「…そうね、私はみんなで話あって決まったのならなんでもいいわ。」 苗木「さっき出てたメイド喫茶でも?」 霧切「…苗木くんは賛成してたの?」 苗木「霧切さんのメイド姿は見てみたかったかなぁ…なんて。」 霧切「………そう。」 舞園「ハイ!委員長!」 石丸「元気がいいな!では、舞園くん!」 舞園「私、ダンスがいいかなって。ダンスならみんなで協力できるし、どうでしょう?」 朝比奈「賛成!さんせー!」大神「我もだ。」 不二咲「うん、いいね。」大和田「みんなでダンスやったろーじゃねぇか!」 苗木「僕も賛成」桑田「かったりぃ…だけど俺も体動かすのは嫌いじゃないしな!」 江ノ島「あたしも賛成だよっ。」戦刃「じゃあ私も」 十神「このあたりが妥協点か…」 腐川「百夜様が賛成ならあたしも…」 山田「拙者、動けない故に…」 セレス「私も運動は…」 舞園「じゃあ2人には衣装作りをお願いします!」 山田「ふっふっふ…コスプレ衣装製作も勉強中である拙者にお任せあれ…」 セレス「わかりましたわ。楽しみにしていてくださいませ」ウフフ 苗木「(セレスさんに衣装を任せるのはちょっと心配だ…)」 霧切「満場一致みたいだしあたしも賛成だわ。」 石丸「反対なしだな!では、わがクラスの出し物はダンスで決まりだ!」 葉隠「zzz…」
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/754.html
10月31日。 今日、ボクたちは江ノ島さんと朝日奈さんの提案で、ハロウィンのパーティをすることになっていた。 そのパーティのコンセプトは「とりあえず盛り上がろう」。 ボクは正直、ハロウィンが何をする行事なのかは知らなかったけど…コンセプトからして、そこを考えたら負けなんだろう。 だったら、たまにはこういうイベントがあっても悪くないかも。 それに、山田クンがパーティ用に、特製のコスプレ衣装を用意してくれるとか、なんとか。 そんな動機もあって、ボクは結構今日のパーティを楽しみにしていた。 なのに… 「………どうして、今日に限ってカゼなんか引いちゃうんだよ…」 ボクは一人悲しく、自分の部屋のベッドに寝そべっていた。 間違いなく、昨日までは元気だった。何か変なものを食べたわけでも、雨に降られたわけでもない。 なのにボクはカゼを引いて、ベッドでぐったりしている。 はぁ、と自嘲気味に溜息をつく。本当に、こんなボクのどこが幸運なんだろう? 人より少し前向きなのがボクの取り柄だけど…こうもツイてないと、さすがに、ちょっとヘコむ。 大体【超高校級の幸運】って才能(?)で希望ヶ峰学園に選ばれた割に、これといった幸運なんて今まで一つも… …いや、あった。ボクにとっての、最高の幸運が。 それは、ここに来たことで中学時代からの憧れの彼女―舞園さんに出会えたことだ。 ひょっとしたら、彼女がボクのことを覚えてくれていたことも、あの時校庭に鶴が迷い込んできたのも、ボクの【幸運】のおかげなのかな? そう考えると、ボクの幸運も案外捨てたもんじゃないのかもしれない。 でも… 「やっぱ、みんなとパーティ、行きたかったなぁ…」 ―ピンポーン… 不意に聞こえた音で、ボクは覚醒した。 どうやら、いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。 結構長いこと寝ていたんだろう。そのおかげか、体調は健康そのものだ。 そこで、時計を確認する……もう10時か。そろそろ、みんなも解散してる頃かな? ―ピンポーン… 再び、インターホンが鳴る。 こんな時間に…いったい誰が、何の用で? 少し疑問に思ったものの、待たせては悪いな、と思い直して、ボクは部屋のドアを開けた。 と同時にボクの視界は、見慣れた綺麗な黒髪で覆い尽くされた。 「苗木君!元気ですかー?」 「え?」 それが舞園さんのものであること、そしてその舞園さんがボクの胸に飛び込んできているということを理解するには、少し時間が必要だった。 「ま、舞園さん…!?」 「はい、舞園さんです」 彼女は人懐っこそうな笑顔でボクを見上げ、答えた。 相変わらず、彼女の笑顔を見ると、自然とボクまで笑顔になってしまう。さすがは超高校級のアイドル、ってことかな? そんなことより… 「……舞園さん、その服は?」 「あ、これですか?これは、山田君お手製の魔女の衣装です!どうですか?似合ってますか?」 ボクの胸から離れて、舞園さんはくる、っと一回転してみせた。 黒い三角帽子に、同色のローブ。2つとも、ちょっとだけサイズが大きめなのは、製作者の趣味なんだろう。 スラっとしていてスタイルのいい舞園さんの、袖余りの服…そのギャップの破壊力は、想像を絶していた。 「うん!すっごく似合ってる…可愛いよ!」 「ふふっ、そうですか?苗木君にそう言ってもらえると嬉しいです……」 そう言って、舞園さんは照れくさそうに頬を赤らめた。 面と向かってそんなことを言われると、何だか小恥ずかしくなってしまう。なのでボクは、慌てて話題を振り直した。 「えっと…それより、何かボクに用事でもあったの?」 「用事、ですか?」 きょとんとした表情で、舞園さんは小首を傾げる。 まさか、衣装のお披露目に来ただけ?まぁ、ボクとしてはそれでもありがたいけど… 「いいえ、違いますよ…そう、苗木君のお見舞いに来たんです。すっかり元気そうだったので、忘れちゃってましたけど」 あぁ、なるほど。今さらっと心を読まれたけど…いつものことか。 その後は、今日のパーティの話題で談笑した。 セレスさんの仮装がいつものゴスロリから殆ど変わってなかったり 案の定、不二咲クンの女装が似合ってたり 大神さんのコスプレから王者の貫禄を感じたり…と、それぞれに楽しんでいたようだ。 女性陣お手製のお菓子も、大好評だったらしい。 手作りのお菓子、か…みんなが羨ましい…。 「舞園さんの手作りのお菓子、ボクも食べてみたかったなぁ…」 思わず漏らしたボクの独り言を、舞園さんは見逃さなかった。 「じゃあ今度、二人で一緒に作りませんか?苗木君と一緒なら、大歓迎です!」 「え、いいの?じゃあ、舞園さんの仕事がお休みのときにやろうよ」 「はい!…よーし、苗木君のために私、特別に腕をふるっちゃいますよ!」 舞園さんはそう言って、この上ない笑顔でボクに微笑みかけてくる。 希望ヶ峰学園に来るまで、あんなに離れて見えていた、あの笑顔で。 でもその笑顔は今、ボクの一番近くにある。 まるで魔法にかけられてるみたいだ…あの舞園さんと、こんな風に笑い合い、話せる日がくるなんて。 「魔法じゃ、ありませんよ」 ボクの心を見透かしたように、舞園さんは真面目な声で言う。 「うん、それは分かってるんだけど…」 そこから更に言葉を繋ごうとした瞬間、ボクの頬を舞園さんがキュッ、とつねった。 「舞園さん?!何を…」 「これで、魔法じゃない、って分かりましたか?」 そういうことか…でも普通はコレって、夢かどうかの判断に使うものなんじゃ… 舞園さんの天然に少し戸惑うボクを尻目に、彼女は続けた。 「魔法といえば……苗木君、トリック・オア・トリートです!」 どのへんが『魔法といえば』なんだろう… その疑問はひとまず置いといて、『トリック・オア・トリート』か。確か「お菓子をくれなきゃいたずらしちゃうぞ」だったっけ? そんなこと言ったって、お菓子なんて持ってないんだけど… 「む、苗木君…さては、お菓子持ってないんですか?なら、いたずらしちゃいますよ?」 狼狽えるボクの様子を見て、ケタケタと笑いながら、舞園さんは言う。 弱ったな…お菓子も持ってないし、覚悟して受け入れるか… そのとき、ボクの脳裏に電流が走った。 …ん?『いたずら』? 舞園さんがボクに…『いたずら』…? なんだか、良からぬ想像が膨らんで… 「…苗木君?もしかして今、ちょっとエッチなことを考えてませんか?」 笑顔で、しかし強い声で、舞園さんは妄想に耽るボクを撃ちぬいた。 しまった…舞園さんはエスパーなんだった… 「あっ…ごめん!つい…」 あぁぁ…ボクのバカ。『つい』って何だよ…もうちょっと上手な言い訳はなかったのか? しまったな、コレはちょっとマズいぞ… 「……で、でも…私も…別に、イヤってわけでも……」 目を伏せながらそう呟いている舞園さんは顔を真っ赤に染めていて、なんとなく満更でもなさそうな… あれ?意外と好評価? そんな風に舞園さんのリアクションを捉えていると、急に舞園さんが伏せていた目を上げ、強めの口調でボクに言い放った。 「…び、病気の人は、早めに寝ましょう!体に障りますよ!」 その露骨、かつ唐突すぎる話題転換に、ボクの頭はついていけなかった。 寝かしつけようとしてくる舞園さんに抵抗するものの、体力量がまるで違うからか、全く歯がたたない。 「あの…もうカゼは治ったんだって…」 「いいから、電気消しますよ!おやすみなさい!」 ―カチッ 有無を言わさず、舞園さんの手によってライトのスイッチが押され、ボクの部屋は暗闇に包まれた。 ボクはその暗闇の中で、ぼんやりと考えた。 …なんで、舞園さんはいきなり『早く寝て』なんて言ったんだろう? もしかして、変なコト考えたから、怒らせちゃってたのかな?それ以外に、原因なんて見当たらないし… 明日会ったら、謝っておこう…そう考えが纏まったときだった。 ボクの頬に、何か柔らかいモノが触れる感触がしたのは。 「…え?」 「これが、私からの…『いたずら』です」 息が吹きかかりそうなくらいの耳元で、舞園さんの声がする。 ってことはもしかして、今の感触は…?! 「で、電気がついてたら恥ずかしかったので……ちょっと強引でしたよね、ごめんなさい」 そう言い残すと舞園さんは足早に駆けていき、ドアを開け、去っていってしまった。 舞園さんが去った後も、ボクはしばらく、さっきの余韻を引きずっていた。 舞園さんが……ボクに……キスを……? 頭の中は、舞園さんのことでいっぱいで、寝ようにも寝付けなかった。 今度こそ、魔法にかけられているみたいだった。 …いや、『みたい』じゃないか。 今のキスで、ボクは本当に舞園さんに…あの可愛い魔女に、魔法をかけられてしまったんだ。 ボクの心を、虜にしてしまう魔法を。 【END】
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/8220.html
ここを編集 ■劇場版メタルファイト ベイブレードVS太陽 灼熱の侵略者ソルブレイズ 制作進行 ■いちばんうしろの大魔王 演出 3 ■咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A 演出 10 ■恋と選挙とチョコレート 演出 11 ■薄桜鬼 黎明録 演出 9 ■PSYCHO-PASS サイコパス 演出 17 ■獣旋バトル モンスーノ 演出 8 14(日) 23(日) 演出協力 16 ■やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 演出 5 ■ダンガンロンパ The Animation アニメーションオシオキムービー アニメーション演出(猛多亜~は松本剛彦と共同) 演出 12 ■宇宙戦艦ヤマト2199 演出 25(大) ■機巧少女は傷つかない 演出 2 ■革命機ヴァルヴレイヴ <2nd SEASON> 演出 20 ■ウィザード・バリスターズ~弁魔士セシル 演出 9 ■棺姫のチャイカ 演出 5 ■ベイビーステップ 演出 13 ■精霊使いの剣舞 演出 5 ■棺姫のチャイカ AVENGING BATTLE 演出 1 ■クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 演出 4 11(福) ■暗殺教室 演出 5 ■忍たま乱太郎 (23期) 演出 1 6 14 29 30 32 44 45 49 ■SHOW BY ROCK!! 演出 11 ■モンスター娘のいる日常 演出 3 10 ■ノラガミ ARAGOTO 演出 7 ■俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」としてゲッツされた件 演出 7 ■最弱無敗の神装機竜 演出 5(成) 9 ■暗殺教室 (第2期) 演出 7 ■忍たま乱太郎 (24期) 演出 6 7 55 ■ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園 絶望編 助監督 演出 OP ED ■ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園 絶望編 絵コンテ 4(宮・福) 演出 4 8 11 ■ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園 希望編 助監督(木野目優と共同) ■劇場版 暗殺教室 365日の時間 演出補佐(木野目優と共同) ■フリップフラッパーズ 演出 2 ■SHOW BY ROCK!!# 演出 10 ■殺せんせーQ! 演出 5 6 8(笹) 演出補佐 11 ■スーパーダンガンロンパ2.5 狛枝凪斗と世界の破壊者 監督 演出 ■クズの本懐 演出協力 8 ■銀の墓守り 演出 7 8 ■プリプリちぃちゃん!! 演出 10 18(山・中) 31 ■潔癖男子!青山くん 演出 9 ■魔法使いの嫁 演出 2 ■キノの旅 the Beautiful World the Animated Series 演出 6 12 ■ハクメイとミコチ 演出 6 11 ■ひそねとまそたん 演出 11 ■七星のスバル 演出協力 4(大) ■ラディアン 演出 3 14 ■爆丸バトルプラネット 演出 4 ■キャロル&チューズデイ 演出 5 11 13(高・宮) 17 23 ■ケンガンアシュラ 演出 3(別・間) ■SK∞ エスケーエイト 演出 3 ■IDOLY PRIDE 絵コンテ・演出 6 ■ゴジラS.P シンギュラポイント 演出 1(鈴) 3(鈴) 8(鈴・宮) 12(三・鈴) ■ヴァニタスの手記 演出 4 10 ■東京リベンジャーズ 演出 19 ■ヴァニタスの手記 (ジェヴォーダン編) 演出 14 19 23 ■リーマンズクラブ 演出 8 ■HIGH CARD 演出 4 ■ワールドダイスター 演出 3 8 ■青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない 演出(高橋英俊、清水奏太郎、伊福覚志と共同) ■ザ・ファブル 演出 4 ■T・Pぼん 演出 12(安) ■関連タイトル ダンガンロンパ10th Anniversary Complete Blu-ray BOX rakuten_design= slide ;rakuten_affiliateId= 053df7e0.7c451bd1.0c852203.190c5695 ;rakuten_items= ctsmatch ;rakuten_genreId=0;rakuten_size= 468x160 ;rakuten_target= _blank ;rakuten_theme= gray ;rakuten_border= on ;rakuten_auto_mode= on ;rakuten_genre_title= off ;rakuten_recommend= on ; 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Switch ゼルダの伝説 Tears of the Kingdom Switch 世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER Switch ピクミン 4 大友克洋 Animation AKIRA Layouts Key Frames 2 小説 機動戦士ガンダム 水星の魔女 1 ONE PIECE FILM REDデラックス・リミテッド・エディション 4K ULTRA HD Blu-ray Blu-ray 劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ 完全生産限定版 Blu-ray 映画『ゆるキャン△』 Blu-ray 【コレクターズ版】 Blu-ray ウマ娘 プリティーダービー 4th EVENT SPECIAL DREAMERS!! Blu-ray 天地無用!GXP パラダイス始動編 Blu-ray第1巻 特装版 天地無用!魎皇鬼 第伍期 Blu-ray SET 「GS美神」全話いっき見ブルーレイ Blu-ray ソードアート・オンライン -フルダイブ- メーカー特典:「イベントビジュアル使用A3クリアポスター」付 ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5th Live! 虹が咲く場所 Blu-ray Memorial BOX 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち Blu-ray BOX 特装限定版 地球へ… Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 神風怪盗ジャンヌ Complete Blu-ray BOX HUNTER×HUNTER ハンター試験編・ゾルディック家編Blu-ray BOX BLEACH Blu-ray Disc BOX 破面篇セレクション1+過去篇 完全生産限定版 MAZINGER THE MOVIE 1973-1976 4Kリマスター版 アニメ・ゲームのロゴデザイン シン・仮面ライダー 音楽集 テレビマガジン特別編集 仮面ライダー 完全版 EPISODE No.1~No.98 MOVIE リスアニ!Vol.50.5 ぼっち・ざ・ろっく!号デラックスエディション ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ アニメ「魔入りました!入間くん」オフィシャルファンブック 『超時空要塞マクロス』パッケージアート集 CLAMP PREMIUM COLLECTION X 1 トーマの心臓 プレミアムエディション パズル ドラゴンズ 10th Anniversary Art Works はんざわかおり こみっくがーるず画集 ~あばばーさりー!~ あすぱら画集 すいみゃ Art Works trim polka-トリムポルカ- つぐもも裏 超!限界突破イラスト&激!すじ供養漫画集 開田裕治ウルトラマンシリーズ画集 井澤詩織1st写真集 mascotte 鬼頭明里写真集 my pace 内田真礼 1st photobook 「まあやドキ」 進藤あまね1st写真集 翠~Midori~ 声優 宮村優子 対談集 アスカライソジ 三石琴乃 ことのは 亀田祥倫アートワークス 100% 庵野秀明責任編集 仮面ライダー 資料写真集 1971-1973 金子雄司アニメーション背景美術画集 タローマン・クロニクル ラブライブ!サンシャイン!! Find Our 沼津~Aqoursのいる風景~ 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] 梅津泰臣 KISS AND CRY 資料集 安彦良和 マイ・バック・ページズ 『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』編 氷川竜介 日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析 Blu-ray THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th Anniversary Celebration Animation ETERNITY MEMORIES Blu-ray おいら宇宙の探鉱夫 ブルーレイ版 Blu-ray 映画 バクテン!! 完全生産限定版 アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~ Blu-ray BOX 初回生産限定版 はたらく細胞 Blu-ray Disc BOX 完全生産限定版 Blu-ray 長靴をはいた猫 3作品収録 Blu-ray わんぱく王子の大蛇退治 Blu-ray 魔道祖師 完結編 完全生産限定版 魔道祖師Q Blu-ray Disc BOX 完全生産限定盤 にじよん あにめーしょん Blu-ray BOX 【特装限定版】 Blu-ray 鋼の錬金術師 完結編 プレミアム・エディション Blu-ray付き やはりゲームでも俺の青春ラブコメはまちがっている。完 限定版【同梱物】オリジナルアニメ Blu-ray「だから、思春期は終わらずに、青春は続いていく。」
https://w.atwiki.jp/supergirl121/pages/225.html
「これを持ってみたまえ」 「・・・何ですか、これ? ゴムボール?」 スーパーガールの目の前のテーブルに置かれた物。それは、黄色の丸いボールだった。 「まあ、何でも良いから」 「・・・? じゃあ・・・」 彼女は言われた通りに、それを手に取った。 「軽く、握ってみるんだ」 「・・・軽く? えっと・・・」 グニュリ、とボールは一瞬で圧縮されて彼女の手の中にスッポリと収まってしまった。 「・・・あれ?」 しかし、彼女は直ぐに"異変"に気付いた。ボールが、"元に戻らない"のだ。 もし、これがゴムボールなら、圧縮されても直ぐに元に戻るはずなのだ。しかし、一向にその気配はなかった。 「"それ"は黄色に塗装しただけの、『鉄球』だ」 「・・・えっ? 嘘・・・これ、鉄球?」 彼女の手には確かに、ゴムを軽く握って潰した感触しかなかった。 「スーパーガールの君にとっては、鉄球もゴムボールも大差ない。そういういうことだ」 彼女の目の前には、ピンポン玉サイズまで圧縮された"鉄球だったモノ"が転がっている。 「・・・ちなみに。その鉄球、中に高性能の圧力計が内臓されていたんだが・・・一瞬でオシャカだ」 「さ、最初から言ってくれれば・・・」 博士の目の前のモニタには、『10トン』の数値が表示されていた。勿論、これは機器が破壊される寸前に刻んだ数値だ。 「軽く握って『10トン』か・・・。逆にいえば、これだけのパワーがあって、今までまともに日常生活が送れていたことが不思議だ」 日常生活において果たして、『10トン』の圧力に耐えられるモノが一体どれだけあるだろうか? ドアノブを握った瞬間、ドアノブは潰れ、ドアは蝶番ごと外れてしまうだろう。 缶ジュースなんかは握った瞬間、ジュースのシャワーだろう。 「ある程度は意識的にセーブ出来ているんだろうが・・・まさに、歩く人間兵器だな」 「ひどーい・・・」 「さっきも、"ノック"をしようとしてドアごと破壊したのは誰かね?」 「・・・うぅ」 「しかも、身体も恐ろしく頑丈と来てる。血液を採取しようにも、注射針が皮膚を通らないんだからな」 スーパーガールの彼女は、体組織そのものも『ヒト』の数万倍の強度を誇る。 「君、最後に怪我をしたのはいつかね?」 「・・・怪我? あれ、そういえば・・・」 彼女には、ここ最近どころか、ここ数年でかすり傷一つ負った記憶がない。 「許可さえ下りるなら、銃弾に耐えられるかどうかも見てみたいのだがな・・・」 一応、"人道的"という見地から、常人であれば死傷する可能性があるような実験は許可されていない。 「そんな、銃弾なんて幾らなんでも耐え・・・。・・・・・耐えられないと思います」 「今、普通に銃弾ぐらいなら耐えられると思ったんじゃないのか?」 「う・・・いえ、そんなことは・・・あはは」 彼女はワザとらしく笑って誤魔化した。 「次は、これを持ってみてくれ」 「・・・これ、何?」 そういって、博士が何人もの他の職員に用意させたモノ、それは立方体型の"水槽"だった。 「何って、何の変哲もないただの水槽さ」 水槽といっても、5メートル四方はあろうかという業務用の大きな水槽だ。中は既に水が満載になっている。 「この水槽を・・・持てば良いの?」 見た目は普通の水槽で、パッと見、怪しいところは見当たらない。彼女は訝しんだものの、渋々、水槽に取り付いた。 「・・・ん」 彼女は恐る恐る、しゃがんで水槽の下辺に手を入れ、水槽を持ち上げようと腰を浮かす。 「あれ、軽い。この水槽、凄く軽い素材で出来てるんですね」 まるで、空のダンボール箱でも持っているかのような、彼女からはそんな気楽ささえ、感じられる。 「・・・凄いな」 「え?」 しかし、そんな彼女とは違い、博士は驚いた表情をしていた。 「・・・どうしたんですか?」 「いや、ね。私は、君のパワーの凄さと、頭の悪さに今、心底驚いている」 「・・・なっ、ちょっ!? 酷いじゃないですか! それ、どういうことですか!?」 「一つ聞きたいのだが、君はそれの重さをわかって持っているのかね? それとも、全く重さを感じないのかね?」 「・・・へっ? 重さ?」 「・・・両方、か。悪かった、訂正しよう。君は、頭が悪いのではなく、ただ天然なだけだったようだ」 「あー、また言った!」 「君も学生なら、水の重さぐらい計算出来るだろう」 正確には、6メートル四方の立方体。イコール、216立方メートル。そして、1立方メートルあたりの水の重さは1トン。 もっとわかり易くいえば、この水槽は重さ1トンのサイコロが216個、密集したものと同じ重さということになる。 「・・・・・あ」 「一般的な機器だと君のパワーは推し量れないと思ったからこそ、趣向を凝らしたのだが・・・」 彼女は、自分が持っているモノの重さにやっと気付いたものの、どうしていいかわからずあたふたしている。 それを見て、博士はふぅ、と溜め息を吐いた。 「スーパーガールのパワーを計測するのがこれほど難しいとは、な」 「え、えへへ・・・」 実は、博士は一般的な握力計や背筋力計も用意していたのだ。 しかし、そんなものは一瞬で鉄屑になるのは火を見るよりも明らかだった。 「・・・ちなみに、かの有名な自由の女神像の重さが、225トンだ」 「えええええ!?」 水槽自体の重さも加味すれば、水槽と自由の女神像はほぼ同じ重さということになる。 天井知らずのスーパーガールのパワー。博士は、その限界を突き止めてみたい、そう思うのだった。
https://w.atwiki.jp/supergirl121/pages/190.html
「う、うわぁ、感激だなぁ!スーパーガールが僕の部屋にいるなんて…!」 「喜んで貰えて、私も嬉しいよ?チェリー君は私のどういう所が好きなの?」 「えっ、だ、だって君はその…か、可愛いし…ス、スタイルもいいし…つ、強いからっ。」 「くすっ、強ぉい女の子が好きなんだぁ。」 「うっ、うんっ」 「そっかぁ、チェリー君貧弱だもんね。覚えといてね?私の力をもってすれば 君なんか一捻りなんだよ?小指一本だけでもコンマ1秒で君をミンチに出来るんだからっ。」 「は、はいィっ。」 「そんな世界最強の女の子が、今夜一晩は何でも君の望みを叶えてあげる。」 「えっ…な、何でもっ!?」 「くすっ、何でもだよ?童貞卒業したければ…望み通りにしてアゲル。」 「っで、でも…」 「あはっ、そうだよね?私のおまんこは超ヘビー級だもんね。万力みたいにみっちみちだよ? チェリー君みたいなへにゃっへにゃなオチンポじゃ挿れる前に間に潰れちゃうもんね。」 「じゃ、じゃあ…」 「なぁに?」 「き、君の力をみ、見せて欲しい…っ!」 「私の力?」 「君の怪力がど、どれくらい凄いのか見たいっ!」 「んふっ、マゾヒスティックぅ。自分より強い女の子に圧倒的な力差を見せ付けられてコーフンするんだ? ヘンタぁイ。あはっ、イイよ?してアゲル。」 「じ、じゃあ…これでっ。」 「あらぁ?ダンベル?チェリー君も一応鍛えてみようとか思うんだぁ。」 ギィィィッ…ググッベキッ 「あはっ、捻じ切れちゃった。こんなんじゃ指のトレーニングにもならないよ?」 ググググッ…ギュチッ 「見て見て、ちょっと握っただけなのにただの鉄団子になったよ?」 ゴトッ 「踏み潰してやるっ。えぇい!」 ギギッギーッ 「あはっ、どうしたのチェリー君、鉄の塊が私の足に踏み潰されてぺったんこになるの見て怖くなっちゃったかなぁ? それともコーフンした?自分も踏まれたいって思っちゃったんだぁ。」 「も、もっと…!」 「いいよぉ。それではこれよりスーパーガールによる怪力解体ショウの始まり始まり。」 「ちょ、ちょっと待って!椅子はちょっと…」 グギギギッガキンッバキッ 「えーっ?なぁに?」 「あぁっ…」 「あはっ、バルーンアートみたい。これじゃあ座れないね?でも大丈夫、椅子が無ければ床に座れば良いんだよ。 机もサイズ合わせてアゲル。」 「や、やめ…っ!」 ベキッグシャッ 「いっけなぁーい、やりすぎちゃったぁ!これじゃあただの木の板だね!」 「わ、わざとやったでしょ…」 「でもコーフンしたでしょぉ?ほら、もっとよく見て? 自分よりおっきな机も軽々と持ち上げて木屑に変えちゃう恐ろしい手だよぉ?」 「ひ、ひっ…!」 「続きましては…」 「さ、さすがにそれは…!!」 「チェリー君の心の友、PS3を指一本で貫通させてみせましょう。」 「やめてええええ!!!」 グリッバキバキッ…ググググッ…ガキンッ 「あれぇ?真っ二つになっちゃった…意外と脆いね、ソ○ー。」 「あああああっ…」 「どうしたの?別にいいじゃないゲームなんて。これから毎日、暇を持て余したら私の漲る怪力を思い出してオナニーでもしなよ? なんなら今ここでしてもいいんだよ?」 「うっ…」 「スーパーガールの凄まじいパワーを目の当たりにしながらシャセーできるんだよ?またと無いチャンスだよ?」 「ううっ、うっ…」 「きゃはは!本当にやるんだぁ!部屋の中の大事なものいっぱい壊されて声も出ないくらい恐れおののいてるのに、 その小汚いおちんぽコスる元気はあるんだぁ。」 「うっ、うっ…」 「じゃあもっとすごいことしてあげるね?すぅっ…ぷはぁっ」 ブオォォォォォオン!!ズガッバキッグシャアアアア!!! 「あははっ、ちょっと息を吐いただけで壁が吹き飛んだよ?手も触れてないのに、もう部屋じゃなくなっちゃたね?」 グッ 「よいしょっと。もうベッドも要らないよね?ほぅら、片手で持ち上げられるよ?」 ブォンッ 「あはっ、見えなくなっちゃった!今ごろきっと大気圏だよ?君も同じようにしてあげようかぁ。」 「ひっ…!」 ぶじゅるっ 「いやぁっ、チェリーボーイのおちんぽみるく…いっぱぁい…じゅるっ」 「あっ、ごっ、ごめっ…」 「スーパーガールにおちんぽみるくぶっかけた罪は重いよぉ?」 「ゆ、許して…あっ」 ずくんっ…ぶびゅるっ 「あははぁっ、また出てる!震えるほど怖がってるのにまたシャセーしちゃったねぇ。 キミ、よっぽど私が好きなんだぁ…じゃぁ…ハグしてあげる!」 「や、やめて…っし、死…」 「大丈夫、手加減するよぉ。」 「あああああ!!!」 「ちょっとぉ、女の子に片手で抱き上げられたからって暴れないでよ。手加減できなくなっちゃ…」 ベギンッグシャッメキッ 「ぎゃああああ!!!!う、腕があああああ!!!!」 「あぁあ、だから言ったのに…」 「ろ、ろっこつ…」 「そうだねぇ…肋骨も折れてるね。ばっきばきだね。」 「ひぃぃぃぃ…」 「はぁ、仕方無いなぁ。キミもうヒトの形で生きていくのはムリそうだね。」 「そ、そんな…」 「そんなキミにクエスチョン!このままぐちゃぐちゃのまま生きるか、それとも今私の役に立って死ぬか、どーっちだ?」 「あ、こ…こ…ころして…」 「くすっ、ドMだね。いいよ?その願い、叶えてあげるね…」 「あ…な…何を…」 「言ったでしょ?私のおまんこ、万力よりもすごいんだよ?だから普通の物じゃ挿らないの。でも…」 ぎゅっ 「人間の頭だったら…膣に入る間に頭蓋骨が砕ける感じがたまらないの!」 「あ…がっ…!」 メキッメコッ 「んんっ…」 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!!!!」 メキョッ 「あんっ♥」 END
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/412.html
「これプレゼント」 僕は彼女に小さな箱を渡した。 「…何?何かの記念日という記憶はないけど」 彼女は怪訝そうにしながら箱を開ける。 中にはペンダントが入っている。 彼女は指輪をしない。できない…と言った方が正しいのかもしれない。 だからあの日、2人で交換したのもペンダントだ。 僕たちの手におそろいの指輪はない。 代わりにその指輪を加工したおそろいのペンダントを首から下げている。 結婚指輪の代わりの…結婚ペンダントだ。 彼女と結婚したのは5年前になる。 高校の頃からよく協力を頼まれていた。 大学進学後も同様で、やがて恋仲になった。 その後、彼女は自分の事務所を開くことになった。 そして、一人では大変なので良ければ手伝ってほしいと誘われた。 正直進む道に困っていたのもあり僕は、ちょうどいいと思い了解して働き始めた。 そして間もなくめでたくゴールイン、というわけである。 よくある話である。 「…ありがたいけど…意味が分からないわ」 プレゼントの意味が分からないようだ。それはそうだろうなと僕は思った。 ここからが本題だ。 「結婚式あげない?」 僕は彼女に聞いた。 これがプロポーズなら僕はまともに言葉も発せないありさまだろう。実際あの時はそうだった。 でもこれにそんなドキドキなどはない。 僕たちはすでに夫婦であり、これは軽い提案だ。 「…え?何よ急に」 驚いたように聞き返された。当然の反応だろうか。 「…え?」 「だから…式はやらないわ」 「どうして?」 「挙げなければならない理由でもあるの?挙げてない夫婦はいくらでもいるわよ?」 「え…?いや…でも」 彼女は僕のプロポーズを笑って受け入れてくれたが、式は挙げないと言い張った。 「女の子って結婚式とか憧れるものでしょ?」 「…世間一般的であっても総意ではないわ。それに私は、挙げたくないと言ってる訳ではないわ」 「えぇ…?」 「挙げる必要が分からないと言っているの。今の状況で。 式は元より、その準備にもかなりの時間を費やさなければならない。 でも、依頼も結構来るようになって、仕事は当分立て込んでるわ。 これもちゃんとこなしていかないと。こういうのは最初の方こそ肝心よ。信用がすべてなんだから。 やっと持てた自分の事務所、自分の仕事、無駄にしたくないの」 言葉が返せない。 「そもそも事務所の立ち上げにたくさんの金を使ったわ。今は余分なお金なんてない。 私の貯蓄がそんなにあるわけではないし、あなただってそうでしょ? 結婚式のために普段の生活を潰すわけにはいかないでしょう?」 「それは…そう…だけど…」 「…もしかして…あなたが結婚式をやりたいだけなんじゃないの?」 「えっ?…それは…その…」 「…私のために挙げたいって言うなら、私は挙げなくていいって言ってるんだからそれでいいじゃない。 私はあなたと一緒にいられるなら他はどうだっていいんだから」 「響子さん…」 しれっと嬉しいことを言ってくれたが、それでも僕の心はそんなに晴れなかった。 僕たちは事務所の開設からさほど経たずして結婚した。 2人でやっていく事務所だし、身を固めた方が楽かもしれないという判断だった。 その点では適切なタイミングだったと言えるかもしれない。 しかし、結婚というもののイベント的側面からみれば、非常によろしくないタイミングであった。 結局僕たちは結婚式を挙げず、友人や親族に結婚の旨を報告するに留まった。 「なんでまた急に」 唐突に結婚式を挙げようと言われた。 確かに都合で式は挙げなかった。 私も挙げたくなかったというわけではない。 とはいえそんなものに現を抜かし、ようやく掴めたものを放すわけにはいかなかった。 「まぁ今言ったってことに特に意味はないんだけど。結局挙げなかったからさ、結婚式。 でもすぐできるものでもないし、言うなら早い方がいいかなって。 結婚記念日に式挙げられたら、なんかこう素敵じゃない?」 それは確かにいいかも、と心の中で思う。 彼は意外とロマンチストである。 「それでなんでこのタイミング?」 「それも特には。もう結構儲けもあるし、休み取れる余裕だってあるし。 やれる準備が整えられるなら何年目だろうと同じだよ」 確かに事務所に仕事は安定して入ってきて、金銭的余裕は出てきていた。 顧客からの信頼も十二分に得られており、少しくらい休んでも大丈夫だ。 かつて挙式を妨げた要因は解消されている。 とはいえ、私は結婚式のことなど忘れていた。 でも彼は、ずっと待っていたかのように提案してきた。 やっぱりそうなんじゃない。ふと思ったことを口に出してみた。 「あの時あなたの答えは無かったけれど、結局あなたが式を挙げたいだけなのね」 「覚えてたの!?まぁ…もう認めるよ」 思ったほどうろたえもせず彼はすんなり認めた。顔を赤くしている。 彼はその赤い顔のまま聞き返してきた。 「じゃあ…響子さんはどうなのさ?」 「嫌…ではないわよ。私だって一応挙げたい気持ちはあったから…。ありがとう」 嫌なはずはないので素直に答える。 でもなぜか恥ずかしさがあり、私も顔が赤くなった気がして顔をそらした。 彼はクスクスと笑っていた。 「ところで…だとして、このペンダントは?」 心を穏やかにした後、聞いてみた。 よくよく考えれば結婚式を挙げるからと言って、このペンダントは何なんだろう。 ペンダントが指輪をつけられない私への、指輪代わりのプレゼントだということは分かっている。 プロポーズのときにもペンダントをもらい、結婚したときも結婚指輪を加工したペンダントを交換した。 だとして、この通り指輪を伴うイベントはすべて体験している。 「何かこう、婚約指輪とかさ、何かそういう気分の…再現?…みたいな」 分かるようでよく分からない説明。でも感覚的に彼が言いたいことが分かった気がした。 初心、そんなような感じのことだろう。 「何となく分かったわ。ありがとう、誠」 11月22日 結婚式当日 ついに結婚式の日が来た。 5年前のこの日、入籍した。 "いい夫婦の日"だし縁起がいいよ、と彼がこの日に決めたのだ。 今日の式には、懐かしい昔のクラスメイトたちも呼んでいる。 新婚と言うわけではないのに、嬉しいことに勢ぞろいしてくれたようだ。 顔を合わせるのは久しぶりだ。5年前報告した時も、直接会ったのは数人だ。 思い出話とともにからかわれるのだろうなと、心の中で覚悟をしておいた。 多くの女性の憧れの的。 私は憧れたことがあっただろうか…と思い返してみても思い当たる記憶が無い。 そんな純白のウェディングドレスに、私は身を包んでいる。 「きれいだよ」 彼が後ろに立っていた。 「でもやっぱ、もっとフレッシュな気分の時に見たかったな」 わざとだろうか?無意識だろうか?いきなり気持ちの良くないことを言ってきた。 「…どういうこと?」 「新婚のときだったら、もっと素敵なものに見えていたと思うんだ」 ピキッ、と頭の中で音がした気がする。 「今の私は素敵ではないということなのね?」 「えっ…?いやいやいや違うよっ!ごめん語弊があった、撤回するから!!」 彼が凄い勢いで動揺して慌てている。悪気はなかったようだ。 彼が慌てているのは面白い。責める気はなくなった。 でも、悪気はないとはいえ気持ちよくないことを言ってくれたお礼に、思っていることいないこと色々言ってみる。 「いいえ、無理に言い訳しなくてもいいわよ。 今さら見ても感慨もなにも無いということでしょう? 私も歳をとったものね。おばさんのウェディングドレスには何も感じることが無いと」 「おばさんだなんて…。響子さんまだ20代じゃない!!」 「どうせすぐ三十路よ」 「…えと…。何歳だろうと響子さんは素敵だよ!!」 急に嬉しいことを言ってくれるので、言葉が止まってしまう。 「それに…それじゃあ僕はおじさんなの?」 私と同い年なのだから、私がおばさんなら彼はおじさんということになる。 聞いてきたということは、それが不服だということだ。 彼は自分がお兄さんであるという自負を持っているらしい。これからいじりのネタに使えそうだ。 「……」 「何か言ってよ!!」 「そろそろですよー」 あえて何も言わない私に彼がブーブー言い始めたところで、プランナーの人の声がかかる。 いよいよだ。 準備をし始めたころから思っていた。 この結婚式、新婚生活を始めようとしているカップルと比べれば、その心境はまるで違うものだろう、と。 私たちには、結婚式の後に新しい生活が待ち受けているわけではないからだ。 よくよく考えれば、結婚当初も結婚生活に思いを馳せるようなことはなかった。 プロポーズや入籍はもちろん嬉しくはあった。 しかし、事務所を始めたばかりで色々慌ただしく過ごし、実感する間もなかった。 そして、気付けばその生活に慣れ、当たり前のもになっていた。 私は女として人生最大の喜びを実感することなく流してきてしまっていたのだ。 しかもこの結婚式も形だけ、と言えばそうである。 当時やっていたとした場合と比べたら得られる感動は月とすっぽんだろう。 しかしこの結婚式は、私の心に確かに刻み込まれるはずだ。 どうあれ、今感じているもの、そして式中感じるであろうものは、確かに喜びに違いない。 この先何かが変わることはないだろう。今まで通りの生活が続くだけ。 それでも今は、この時だけの幸せに浸りきってやろうと決めた。 彼女の顔を見るといつも通りの顔だった。 いや、いつもよりは柔らかい顔をしているように感じる。 僕の言葉のチョイスミスで、最後にちょっと言い合ってしまったけど、気にしてはいないようだ。 本気ではなかったのかもしれない。 正直あの時やれていたらなぁ、とは今でも思う。 あの段階で行うことには絶対にかなわないと思うから。 新しいことずくめでウキウキしている中で迎える結婚式は最高のものだと思う。 僕はやってないから想像でしかないけれど…。 それでも、それを悔いても仕方はない。 彼女も喜んでくれている。やらないよりははるかにいいのだ。 この先何かが変わることはないと思う。今まで通りの生活が続くだけで。 でもだから今だけは、今の最高の幸せを感じ、今の最高の幸せを感じさせてあげたい。 そう思った。 「響子さん」 「ええ、誠」 僕の呼びかけに軽い返事をして、僕が伸ばした手に彼女は手を重ねた。 「じゃあ、行こうか」 僕は彼女の手を引いた。
https://w.atwiki.jp/dgrpss/pages/802.html
苗木君は時々、ひどく私を責める。 乱暴とも、強引とも違う、彼の人の良さからくる熾烈さだ。 けっして暴力をふるわれるとか、罵詈雑言を浴びせられるとかはない。 いつも通りに優しいまま、スイッチが入ったように厳しくなるのだ。 「無理はしないで、って言ったじゃないか」 力強く手を引かれ、押し倒すようにしてベッドに寝転がされる。 声音で、怒っているのが分かった。 感情任せに怒鳴り散らすことはないし、私のように冷たく無機質な声で責めることもない。 ほんの少し、いつもよりも声が低くなるだけ。 ただ、彼の怒り方には、そう――― 「……ごめんなさい」 「僕に謝っても仕方ないだろ、霧切さんの体なんだから」 「……、…」 「上着脱いで。薬と飲み物取ってくるから、その間にちゃんと熱測ってね」 手際良く私をベッドに抑えつけるようにして寝かせると、手元に体温計を置き、コートをハンガーにかける。 この世話焼きも、やはり生来のものだろうか。 或いは、妹がいたらしいから、それの延長線だろうか。 それとも、…… いや、それ以上を考えてしまうのは、なんというか。 別に、大病というわけじゃない。 ただ連日徹夜続きで、ちょうど気が抜けて意識が朦朧としていたところを、彼に見咎められてしまったのだ。 大袈裟すぎる、と体を起こし、職場に戻ろうとしたところで、 「霧切さん」 とても静かな、声。 此方を見ていたわけではなく、それ以上何かを言ってくることもないのに。 とても優しい人だから、情の深い人だから、その怒りの底が恐ろしいのだ。 ―――どうしてか、逆らえない。 大人しくベッドに戻りつつ、その背中に恨み事をぶつける。 「……束縛する男の人は嫌われるのよ、苗木君」 「嫌われたくはないけど……それよりも、霧切さんの体の方が大事だから」 「……、……あなたって、本当に」 その先の言葉は、言えず、顔を埋めた布団の中に呟いた。 誰にでも、きっと朝日奈さんや腐川さん、いや男同士でも同じことを言うのだろう、分かっている。 みんなに優しいというのは、美点であると同時に、欠点でもあるのだ。 (……、でも、誤解されるかもしれないけれど) 彼に怒られるのは、嫌いではない。
https://w.atwiki.jp/supergirl121/pages/230.html
「更科くんは…ずるい…」 学校からの帰り道、一緒に歩いていた綾門さんに、突然やんわりとなじられた。 「ええっと…急にそう言われても心当たりがないんだけど、どこがずるいのかな?」 僕には全く原因が分からない。 お互いまだまだ慣れなくてギクシャクしているところはあるけれど、一応恋人同士でいられていると思うし、今だって一緒に下校している。 さっきのお昼休みも、屋上で綾門さんが作ってきてくれたお弁当を一緒に食べたし。 それなのに突然ずるいと言われても、本当に心当たりがない。 とにかく、綾門さんが教えてくれないことには始まらない。 僕は並んでゆっくりと歩きながら、綾門さんからの返答を待った。 「…だって更科くんは…私の秘密を知ってる…」 少し俯き加減で、頬を赤く染めながら綾門さんが出してくれた答え。 これは、やっぱりあの事を言ってるのかな。 「秘密って…綾門さんがスーパーガールだっていうこと?」 コクンッと首を縦に振り、綾門さんは僕を見つめてくる。 確かにこれは、世界規模で重要な凄まじい秘密だ。 あの世界中で噂になっているスーパーガールが、普段は一見地味なただの女子高生として日本で生活していて、しかも僕みたいな冴えない彼氏がいるなんてことに、誰も思い当たらないだろう。 ではどうすればいいのだろう? 今から僕が、突然綾門さんがスーパーガールだということを忘れることなんてできないし… 「…だから…私にも更科くんの凄い秘密を知る権利がある…。好きなお弁当のおかずとか、好きな本とか、好きな歌手とか…今後の参考に…」 悩んでいる僕に、綾門さんは顔を赤らめ、こっちが驚くぐらい緊張した面持ちでお願いしてきた。 あれ?それってつまり… 「恋人同士なんだから、僕のこともっと良く知りたい、ってことでいいのかな?」 「………う、うん」 綾門さんは僕の答えを聞いて、恥ずかしそうに微笑んでくれた。 いつもの地味メガネを使用中なのに、それでも隠しきれないぐらい可愛い笑顔だ。 ちなみに最近、一昔前の文学少女風地味装備では綾門さんの魅力が隠しきれなくなり、クラスの男子の中でも綾門さんのことを話す人が増えてきている。 まぁ、元々の驚くような美少女である顔はメガネだけではとても隠しきれるものではない。 さらに無理矢理小さめなブラで抑え込んでいるという胸元はそれでも学校でトップクラスの膨らみをしているし(だからブラをしていないスーパーガール姿だと…なんていうか物凄い。間違いなく3桁超えている…)、 身長が高いこともありスーパーモデルのようなスタイルをしてしまっているのだから仕方がないか。 さて、とりあえずどうしよう? いきなりずるいと言われて喧嘩になるかと思いきや、気が付けば綾門さんが僕のことを好きでいてくれるていることを再確認するやり取りになってしまった。 べつに綾門さんが知りたがっていたことなら教えて問題ないんだけれど…そうか僕の秘密か… 確かにまだ知り会ったばかりだし、僕について知らないことたくさんあるはずだ。 そんなことを考えていると、ふと一つのことに気が付いた。 誰にも教えていない、最近できた自分の秘密。 自分でも、こんな癖というか好みがあったなんて、綾門さんに会うまでは気が付かなかった秘密。 「綾門さん、僕の秘密聞いてくれるかな。その、最近になって好きになったことがあるんだけど…」 「…聞きたい」 僕の声に興味深そうに反応すると、綾門さんはぐっと身体を近づけてきた。 「綾門さんを見て気が付いたんだけど…僕は強い女の子が好きみたいなんだ。この前屋上で鉄のベンチを鉄球にしちゃった綾門さんに、凄くドキドキしたんだ」 綾門さんが学校の屋上で見せてくれた、鉄のベンチを折り紙のように力を込めることなく折り畳んでいくスーパーガールの異常な怪力。 初めは恐怖でドキドキしていたと思ったんだけど、今思い返してみても気分が高揚してしまう。 「だから、綾門さんが一体どれだけ力が強いのかっていうのにも興味があって…ごめんね、こんな変な秘密で…」 僕の話を見下ろしながら黙って聞いてくれている綾門さんの姿に、段々と語尾が声が小さくなってしまった。 やっぱりちょっと変だったよね。急にこんなこと言われて綾門さんもきっと呆れて… っと、僕は後悔しだしていたが、綾門さんは違ったようだ。 「…つまり更科くんは…強ければ強いほど好きになるの?」 「え?…あ、うん、そうなるかな?」 「…よかった。私、世界で一番強いから…きっと更科くんに一番好きになってもらえる…」 僕の言葉が本当にうれしかったのか、心から喜んだような柔らかい笑みを綾門さんは浮かべた。 「世界で一番?」 「うん…スーパーガールより強い人なんて…どこにもいないよ…」 確かに、綾門さんより身体が大きかったりする人はいるかもしれないけど、彼女に勝てる人間はいないだろう。 80万トンを持ち上げられる怪力と、マッハ6000で飛べる飛行能力を持ち、おまけに目からレーザーも出せるし、スーパーブレスで物を凍らすこともできる女の子。 どんな格闘家でも、彼女にかかれば小指一本…いや、息一吹きで倒されてしまうだろう。 「更科くん…秘密を教えてくれてありがとう…」 「あ、うん、僕も喜んでもらえて嬉しかった」 まさか喜んでもらえるとは思っていなかったから、僕としても嬉しいというかほっとしている。 そんな僕に、本当に嬉しそうな綾門さんは、 「…更科くん…教えてくれたお礼したいから…これからつきあってもらえるかな?」 そう言って優しく僕の身体を抱きしめると、ゆっくりと身体を浮かび上がらせた。