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前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ ◇ 草笛の音が、たどたどしく、しかしだからこそ素朴に墓場に響く。 鳴らしているのはシエスタだった。 泣き止んで落ち着いたムスタディオが、ばつの悪さをごまかすために聞いてみたのだ。草笛を吹けるか。吹ける様だったら、自分にも教えてくれないか。 墓の外は、見渡す限りの草原が広がっていた。黄昏はじめた陽光が、それを金色に染め上げ始めている。 そんな様を見ていたら、無性に自分でも草笛をやってみたくなったのだった。 ――思い出す。 こんな草原に野営する際は、いつもラムザが草笛を鳴らしていた。 一番の親友だった男と共に、父に習ったと言っていた。少しさびしげに。 彼らと過ごした日々。この世界にやってきてからたった数日で、距離も心も遠い、と感じたそれらが、再び身体に少しずつ染み渡ってくる気がする。 沈みゆく太陽を見つめる。 それは旅先で何度も見た夕暮れのように美しく、無常で。 それだけで、何かやっていけそうな気がした。 「ブレイブストーリー/ゼロ」-11 ◇ 教えてくれ、と言ってきたムスタディオは、しかしいざシエスタが草笛を鳴らし始めるとその真似すらしようとしなかった。 草の上に座り込み、ただ聴いている。 旋律も何もなくただ鳴らしているだけなのに、すごく安らいだ表情をしていた。 シエスタは草笛に何か思い入れがあるのかなと考える一方で、この人こんな顔もするんだ、と変な感心をしてしまっていた。 ずっと鳴らしていると、段々疲れて空気が吸えなくなって来る。何だかムスタディオの安らぎを壊したくないと思ってしまったシエスタは、無茶をして吹き続けてみたが、 その内どんどん顔が赤くなっていくのを気付かれ、止められてしまった。 「…………」 なんとなく、気まずい沈黙が降りる。 何か話しかけなきゃいけない気がしてあれこれ考えるシエスタだったが、思いつく話題、彼への質問はどれもこの状況では地雷な気がしてことごとく二の足を踏んでしまう。 頭をぐるぐるさせている内に、ムスタディオから質問が来てしまった。 「さっきの遺品の話なんだけど」 「はっ、はい! なんでしょうか!?」 思わず大声を出してしまったシエスタに、ムスタディオが怪訝な表情をする。 「? ……ええと、遺品の中に、何か宝石みたいなのはなかったかい?」 「ああ」 それなら覚えている。 「大きな原石みたいなのですよね。ありました」 そういった瞬間、学院の朝のように掴みかかられそうになった。 「本当か! どこにあ……っと、わ、悪かった」 いきなりのことに悲鳴も飲み込んでしまったシエスタに、しかし途中で我に帰ったムスタディオが頭を下げる。 「だ、大丈夫です。びっくりしましたけど……あれも探しているんですか?」 「ああ。どこにあるんだい?」 まっすぐにムスタディオが見つめてくる。シエスタは少し気まずさを感じ、目を逸らしてしまう。 ――それは祖母が、口紅と同じくらい大事にしていた品だ。調査隊の人間に持ち去られようとしたところを拒否し、隠し持っていたと聞いた。これもまた、シエスタにだけ見せてくれたのだ。 これは自分が墓の下に持っていかなければならない、と言っていた。 その言をシエスタは遺言とみなし、祖母の墓にたくさんの花束と共に埋めた。 ……しかし。 「ごめんなさい」 シエスタはムスタディオに、頭を下げ返した。 「この村にはもう、ないんです。盗まれてしまいました」 シエスタはムスタディオに説明する。 葬式が済んで間もなく、墓荒らしが出た事を。 祖母の墓を含めたいくつかが荒らされ、宝石はその際に持ち去られてしまっていた。 「……その石には、何かの文字が刻印されていたはずだ……いや、その宝石の色は、何色だった?」 「深い青色です」 「――ヴァルゴか、なんてこった……」 ムスタディオが両手で顔を覆う。 その声には、悲しみや苛立ちなんかを通り越した「疲れ」が滲み出ていた。 「ご……ごめんなさい」 「いや、仕方ないよ。シエスタは何も悪くない」 しばらくして手を外したムスタディオの顔は、今までになく精悍な面持ちをしていた。 そしてその口から出た言葉に、シエスタは驚かされることになる。 「シエスタはいつ学院に戻るつもりだい?」 早く学院に戻らせてくれ、と。 ムスタディオの表情と、口調が言外の意思を物語っている。 「学院に戻るつもりなんですか?」 思わず聞いてしまった。 ――だって、とシエスタは思う。村へ来る道中のムスタディオは、夜逃げしてきた人のような表情をしていた。 何を考えていたかは分からなかったが、鎖を千切った家畜のように、どこか遠くへと離れていく風にしか見えなかったのだ。 「……ミス・ヴァリエールともうまく行ってないんですよね」 「ゼロのルイズ」はしばしば使用人達の間でも話題になっている。というより、貴族を快く思わない人々の間で密かにこき下ろしの対象になっている。シエスタはそういった話に加わった事はないが。 決闘後は特にその話題でもちきりで、その中でムスタディオとルイズの仲のことも聞いていた。かなり険悪で、使い魔が主に虐待すらされている、と。 シエスタがムスタディオが逃げようとしていると思ったのも、その噂を知っていたからだった。 「そんなことまで知ってたのか」 「はい、かなり酷い扱いを受けているって。その現場を、使用人仲間が見たことがあるって」 言いながら、ルイズへのほのかな敵意が胸の中に灯る。 シエスタは、祖母のことを理解してくれ得る存在としてムスタディオに好感を抱きつつあった。それだけに納得し難いものがある。 「……うん、そうだな。あれは酷かった」 ムスタディオは色々な事を思い出したのか、弱った顔でため息をついた。墓標の一つと化した剣の柄を右手で握る。 すると、左手に刻まれていたルーンが光り始めた。鼓動を刻むように、光が強まっていく。何が起こっているのか自分でもわからないのか、ムスタディオ自身もその様子を眺めているが――その顔が、光に呼応するように引き締まっていくのをシエスタは見ていた。 「なあ、シエスタ、この剣を貰ってもいいかな? ……依頼主に、形見分けをさせてほしいんだ」 「あ、はい。家族にも聞いてみないと分からないですけど……事情を話せば、たぶん大丈夫だと思います」 ず、という音に少し驚く。シエスタがそう言った瞬間、ムスタディオが墓から剣を引き抜いたのだ。 錆びた剣を、ムスタディオが構える。正眼だ。祖母が教えてくれた。そしてその構えは、剣を持った祖母の立ち振る舞いと驚くほど似ていた。 まるで、祖母の戦う様子を見ていたかのように。 ルーンの輝きが増す。 「彼女なら、きっと逃げないと思うんだ」 その姿に半ば見とれていたシエスタは、え? と聞き返してしまう。 少しの間の後、何かの覚悟を決めたようにムスタディオが口を開いた。 「たぶんさ、オレはあそこから逃げてきたんだ」 懺悔をするように。一言一言ゆっくりと吐き出す。 「仲間の手がかりを探しに来ただなんて、もちろん本当だけど……言い訳さ。ここに来る途中で、何度もこのまま姿をくらますのもいいかななんて考えてた」 そこで、ふとムスタディオの表情が和らいだ。 「尊敬していたんだ、シエスタの祖母のこと。……彼女は、本当に高潔な人物だった。その、話に聞いた分ではさ。 うまく言えないけど、オレや依頼主は、彼女に恥じない生き方をしなきゃいけない。ここに来て、シエスタの話を聞いて、今、そう思ってる」 自分に言い聞かせるような様子だった。ムスタディオは、ええと、だから、学院に戻ろうと思う、と言葉を続ける。 「……オレはヴァリエール様の使い魔だ。それは押し付けられたものだけど、そうなっている以上、お互いが納得が行く方法で決着をつけなけりゃいけない。 こんな、逃げ出すなんて卑怯だ。君の祖母ならきっとそうするだろうし……うん、君の祖母ならそうする。ならオレは逃げるわけにはいかないよ。 他にも、とても重大な義務をほっぽり投げて来てしまった。……悪いね、変な話しちゃって。何のことかわからないだろう?」 「はい、よく分かりません」 シエスタは素直にそう言った。ムスタディオが苦笑する。 彼がこの場所に来て、何を思ったのか。それは自分には推し量れない。シエスタは先ほどの涙を見た際にそう悟っていた。 彼と祖母の間には、自分には見る事のできない絆があるように思える。 しかしその絆がいつ生まれたものなのか。彼と彼女の間にいかなる接点があったのか。よく分からない話だ。 ただ、一つ思うことがあった。 「ムスタディオさん、すごくまっすぐなんですね」 「へ?」 シエスタとしては素直な気持ちを口にしただけなのだが、ムスタディオは先ほどシエスタがしてしまったような気の抜けた声を出した。しかしその瞳は、今までストレスに苛まれていた様子からは想像がつかないくらい澄んでいる、ようにシエスタには見えた。 何の確信もないけど、きっとこれがこの人本来の姿であるように思えた。 「わたしも言えずにいたことがあるんですけど」 そのまっすぐさに応じようと思った。 それは決闘が終わってからというもの、ずっとシエスタの片隅で燻っていた後ろめたさだ。 「あの時、助けていただいてありがとうございました」 頭を深々と下げる。やっと言えた、と思った。 あの時。困り果てていた自分を助けてくれて、本当にありがとう。 草原に風が吹き、草が赤い海のように波打つ。 ムスタディオはぽかんとしていたが、自分が礼を言われる理由にようやく思い至ったのか、ぽつりと言った。 「シエスタの方こそ、素直だな。 ……オレもヴァリエール様も、そのくらいまっすぐにならなくちゃ」 ◇ ――タルブについてから数日経った。 その間、シエスタは馴染んだ自分の故郷だというのにたくさんの驚きに遭遇した。 それは主にムスタディオについてである。 シエスタ達が乗ってきた馬車は、数日に一度しか村へやってこない。だからムスタディオはシエスタの家に滞在することになった。 その間の彼は、魔法学院で使い魔をやっていた頃が嘘のように快活な青年だった。 よくおしゃべりをし、色々なことに旺盛に首を突っ込み、その意外なまでのひょうきんさですぐに馴染んでしまう。 また手先が器用で身が軽く、痛んだ家屋、農具等の修理を進んで手伝った。その手際は村に一つだけの大工の一家が「お前、俺らの代わりにこの村の大工おやってくれ」と言い出すほどだ。しかし彼の本業は大工ではなく、修理工のようなものだったらしい。 年頃の少女がいきなり連れてきた妙な青年を、シエスタの家族は最初怪訝がっていたが、やがてその様子に対応を柔らかいものに改めていき、ついにはシエスタに「お前、良い男を連れて帰ってきたな」と冗談交じりで言うようになっていった。 村人たちからの反応も同じであり、シエスタはその度に恥ずかしがって否定したが、……実は心のどこかではまんざらでもない気分だった。時たま妙なことを言うのは祖母も同じだったので、好感の色眼鏡で見るシエスタにはそう気にもならない。 その時間はあっという間に過ぎていく。 しかし、ムスタディオのまっすぐな双眸は、もう曇りを見せない。 その様子を、シエスタは見ていた。 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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トリステイン魔法学院、学院長の部屋にパイプの煙が舞った。 オールド・オスマンが窓から空を見上げつつ、水パイプを吸っている。 ぼんやりと暇を潰しているように見えるが、頭の中ではミス・ロングビルにどう接するべきか、シエスタとモンモランシーにシュヴァリエが下賜されるのをどう伝えようかと思い悩んでいた。 ウェールズ皇太子とアニエスの二人は、日が高いうちに帰っていった。 オールド・オスマンはそれから夕方になるまで一人で悩み続けていた。 「どうしたもんかの」 ぷかあ、と音を立てて煙が昇る。 ミス・ロングビル。本名はマチルダ・オブ・サウスゴータ。彼女は秘書として優秀なのは間違いない。 訳ありなのは解っていたが、家名を失った理由まで、深く知るつもりはなかった、むしろ知りたくなかった。 知った以上は、何かしらの便宜を図りたくなるのが、オールド・オスマンの性だからだ。 マチルダは涙ぐみながら、ウェールズ皇太子に大公反逆の真実を語り、その場にいる皆を驚かせた。 マチルダの話はこうだ。 アルビオンの大公は、ロバ・アル・カリイエからやってきた女性を妾にしていたが、その女性がエルフのスパイだと疑いをかけられた。 大公は妾とその娘をを庇ったが、妾が先住魔法の込められたマジックアイテムで怪我人を治療していたことがアダとなり、疑いは晴れるどころか深まってしまった。 結局、当時の王ジェームズ一世は大公に刺客を差し向け、大公と、大公を庇った者達を皆殺しにした。 話を聞いたウェールズは、マチルダに頭を下げ、名誉を回復すると約束した。 だがマチルダはそれを不要だと突っぱねた上、ウェールズを決して許さないと力強く叫んだ。 復讐はしない、しかし、決して協力もしない。それがマチルダの”ありかた”らしい。 オールド・オスマンは、ウェールズ皇太子の胆力は素晴らしいものだと、素直に思った。 二人が帰った後、オールド・オスマンはロングビルを気遣い、今日は休んで心を落ち着けなさい、と言った。 ロングビルは申し訳なさそうに礼を言うと、気が抜けたような表情で学院長室を出て行った。 「この様子では、パリーの奴も苦労が多かったようじゃなあ」 今は亡き、アルビオンの好敵手を思い出し、オールド・オスマンは静かに呟いた。 オールド・オスマンは偉大なメイジだと言われ、様々なコネクションを持ってはいるが、他国のお家騒動に詳しい程ではない。 だが、こういう時の勘は鋭い、長命に蓄えられた知識と経験に裏打ちされた”直感力”が、ロングビルの嘘を見抜いていた。 ロングビルの語る『真実』は、重要な部分がぼかされていると、見抜いていた。 「大公…東方から来た女性なんぞ、嘘じゃろう。東方から来た人間なんぞリサリサ先生しか知らん。もしや妾はエルフそのものか…」 杖を振り、水パイプを机の上から壁際の戸棚の上へ移動させる。 机の上に置かれた器を見ると、そこには針が浮いており、針は現在の時刻を示して少しずつ動いていた。 「そろそろ頃合いかの」 今日の授業はすべて終わり、夕食の時間が迫っていた。 オールド・オスマンは廊下に出ると、手近な教師に『夕食には出られない』と言づてを頼み、魔法学院の裏手にある倉庫へと歩いていった。 魔法学院の裏手にある石造りの倉庫は、元々は学院長専用のグリフォンや竜を繋ぎ止めておく厩舎であったが、現在は使われていない。 中は魔法学院学生寮の一室と同じ程度の広さがあり、使われなくなった藁束が詰め込まれている状態だ。 戸板にかけられた鍵をアンロックで外し、オールド・オスマンが扉を開ける。 すると中には、藁束の上で膝を抱えているシエスタと、腐乱の始まりかけた馬が転がっていた。 「シエスタや」 魔法学院の制服を泥で汚したシエスタは、オールド・オスマンの言葉にびくりと体を強ばらせた。 「丸一日、ここで過ごして、自分のしたことが解ったかね」 ちらりとシエスタの隣に転がった物を見る、シエスタがタルブ村に向かうのに使った馬だ。 「なぜ吸血鬼が我々の敵なのか、言ってみなさい」 「…人間を、食べるからです」 シエスタが細い声で答えると、オスマンはうんうんと頷き、更に質問した。 「吸血鬼はどうやって人間を食べるのかね」 「人間を食屍鬼に使役して、人間をだまし、血を吸います」 「そうじゃ、食屍鬼じゃ。いいかねシエスタや、吸血鬼と戦う者が吸血鬼に成り下がってはいかんのじゃよ」 オスマンはゆっくりと歩き、シエスタの隣に腰を下ろした。 「貴族の馬鹿息子どもが、平民をお遊びで殺すこともある。シエスタはそうなりたいのかね?」 「…いいえ」 「なら、なぜ馬を殺したんじゃ」 「それは、その、私、気が動転してて」 「ならシエスタに波紋の資格はない。その呼吸、ワシが封じてやろう」 「!!」 「気が動転したなどと言っている間は駄目じゃ、貴族も波紋戦士も、その力と立場を傲(おご)ってはならんのじゃ」 「………」 「もう一度聞く、なぜ馬を殺した」 「わ、私が……馬を、操って、殺したんです……早く、タルブ村に行きたくて」 シエスタの目から涙がこぼれた、それを見て、オスマンはふうとため息をついた。 どっこいしょと言いながら立ち上がると、シエスタに手をさしのべる。 「……ミス・シエスタとミス・モンモランシーに、シュヴァリエが下賜されることになった。今の反省を忘れてはならんぞ、これから正式に貴族の仲間入りをするんじゃからなあ」 「えっ」 呆気にとられたのか、シエスタは大きく目を開いてまばたきをした。 目は口ほどにものを言うと言われるが、まさに『信じられない』といった表情だった。 「貴族が、平民を奴隷にすることもあるじゃろう。シエスタがこの馬を殺したようにな。それを自覚し、反省せねばシュヴァリエなど無用の長物じゃ」 「…はい」 「波紋の力、決して間違った使い方をしてはならぬ。命を司る波紋戦士だからこそ命の尊さと、儚さを知らねばならんのじゃ。解ったかね」 「はい。」 「そうか、ならよい。久しぶりにマルトーのところに顔を出してやりなさい、まかないでも食べて、初心を思い出す事じゃ。それと…この馬も埋葬してやらねばなあ」 オールド・オスマンの言葉が、シエスタの心に重くのしかかった。 シエスタは部屋に戻ると、泥だらけになった服を脱いだ。 別の制服に着替えると、空の桶を持って井戸に行き、水をくむ。 制服を水に浸してからマルトー達のいる厨房へと向かった。 厨房は夕食の後かたづけをしている最中で、のぞき込んでみたはよいものの、声をかけづらい。 どうしようかと思っていると、包丁の手入れをしていたマルトーがシエスタに気づき、声をかけてきた。 「おお!シエスタ、どうしたんだ、腹減ったのか?」 「マルトーさん」 いつものように接してくれるマルトーの笑顔に、シエスタは心が癒されたのか、ほんの少しだけ笑顔が戻る。 ところが、その次に出てきた言葉が、シエスタの表情を深く曇らせてしまった。 「オールド・オスマンから聞いたぜ、今度シュヴァリエを賜るんだって?」 マルトーの何気ない言葉を聞き、厨房で働く者達から、おお、と声が上がった。 「あ……」 だが、シエスタにはその声が、どこか恨みの混じった声に聞こえてしまう。 いつも、厨房では食事を残す貴族、横柄な貴族への悪口を聞いていた。 だが、今度は自分もその貴族に加わるのだ、波紋を魔法として扱い、これから先は貴族として皆と接しなければ行けない。 そう思うと、マルトー達との間に深い溝が出来てしまった気がする。 『裏切り者』と、言われているような気がした。 「どうしたよ、そういえば夕食に顔を出してなかったみたいだが、食いそびれたのか?」 「あ、あの、マルトーさん、私」 シエスタの目からぼろぼろと涙がこぼれた。 「なんだ、ちょっ、どうしたんだよ」 マルトーは困惑しつつ、泣き崩れるシエスタの肩に手を置いた。 厨房内に振り向き、何人かのメイドを呼び、シエスタを食堂へと連れて行って貰う。 人気の亡くなった食堂の席にシエスタを座らせると、マルトーはその向かい側に座った。 「どうしたんだよ、沢山の人を治療したそうじゃないか、故郷の村の人たちも治してやったんだろ?何を泣いてるんだよ」 「うぐ…私、私、貴族になりたくない…私……自分が自分じゃなくなっちゃうみたいで……怖いんです…」 「なあ、シエスタ。こんな言い方して良いものかどうかわからねえけどさ。ええと……ミス・ヴァリエールがシエスタの足を治してくれたろ」 「え…は、はい」 ルイズと初めて言葉を交わした日。 あの日、シエスタは足をルイズに治して貰っていた。 子供の頃片足が折れ、歪んでくっついてしまったので、左右の足の長さがほんのわずかに違っていたのだ。 水のメイジに頼むようなお金もないので、シエスタは魔法学院で足を多用しない仕事に就いていた。 厨房で働けるようになったのも、外を全力で走ることが出来るのも、思えばルイズのおかげだった。 「シエスタはそれを受け継いだんだよ、平民の俺たちもよく気遣ってくれるいい貴族様だったじゃないか、それを忘れなきゃ大丈夫さ」 「…ルイズ様」 シエスタの記憶には、包帯を借りに来たルイズの姿と、火傷が治りあどけない笑顔を見せるルイズの姿が、はっきりと残っている。 シエスタにとって、ルイズは憧れだった。 憧れだからこそ、『土くれのフーケ』と、『石仮面』が許せない。 ルイズは何者かの手によって『石仮面』を被せられ、吸血鬼化していると、オールド・オスマンは言っていた。 にわかには信じられないが、曾祖父の残した大量の日記と、波紋の力を理解していくうちに、その説に信憑性が増していく気がするのだ。 ルイズが『石仮面』によって吸血鬼にされているのなら、自分に与えられた『波紋』はそれを打ち砕くための力だと信じて止まなかった。 タルブ村での戦争もそうだ、戦争をする貴族、人の血を吸う吸血鬼、立場こそ違えども人を犠牲にすることに違いはない。 波紋を人間同士の戦いではなく治癒のため、守るために使うべきなのだと、改めて思った。 「そう、ですね。私、ルイズ様に笑われないように、頑張らなきゃいけないんですよね……」 「あの、マルトーさん、ルイズ様が”ゼロ”って呼ばれていた理由、ご存じですか?」 「確か魔法が一切使えなかったから、魔法成功率ゼロ、だからゼロのルイズって呼ばれてたんじゃないか」 「ゼロ…なんですよね」 シエスタは顔を俯かせ、何かをぶつぶつと呟いた。 表情は至ってまじめであり、何かを考え込んでいるようだった。 「まあ、シエスタなら大丈夫さ、きっといい貴族になれるよ。まかないのシチューしかないがすぐに持ってくる。ちょっと待ってな」 そう言い残してマルトーが食堂を出る、後には、一人で何かを考え込むシエスタが残された。 「魔法が成功しないのなら、私の足を治したのは……まさか、ルイズ様、あのとき既に……」 強く頭を振り、考えることを止めようとしたが、次々に心の中にルイズの笑顔が浮かんでくる。 何度も何度も考え直しても、シエスタが思いつくのは、残酷な結論だけだった。 『ルイズ様が操られていなかったとしたら』 『ルイズ様が自分の意志で死を偽装したのだとしたら』 『私が殺すのは、憎き吸血鬼ではなく、尊敬するルイズ様』 恐ろしい想像にぶるりと体を震わせたシエスタは、手を自分の方に回し、自分で自分の肩を抱いた。 かたかたと歯が震えるのを、止めることは出来なかった。 To Be Continued→ 戻る 目次へ
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マダム さわやかな朝がやってきました 村の川辺に無残に引きちぎられたSEIRIOSさんの遺体が見つかったようです… マダム /chjoin 冥土 3 (冥土) パンダマット hi 3 (冥土) パンダマット あ マダム 村人の皆様、今日もがんばってください マダム 5日目スタートです 1 (マダム村) xこぅちゃx 【霊媒CO】いあんさん○ 1 (マダム村) ミクかわいい おはようございます、昨晩 いあん さんが夢枕に立ったのですが、特に尻尾が生えてる風でもなく○村人○のようでしたよ[ニコッ] 3 (冥土) パンダマット 狩人さん・・・ 1 (マダム村) ミクかわいい ○です・・・ 3 (冥土) Emula おっと 1 (マダム村) ケラヴノス おはようございます SEIRIOS 六月の花嫁になれなかっ・・・・ 1 (マダム村) xこぅちゃx んー・・・ 3 (冥土) Emula 狩人はもういない・・・ 1 (マダム村) ミクかわいい 村勢力で票を寄せたほうがいいと思います 1 (マダム村) xこぅちゃx 狩人居ないってことは分かった 1 (マダム村) ワルノス あれま 1 (マダム村) Cindlitta おはようございますー 1 (マダム村) ケラヴノス 占いが食われましたね・・・ 3 (冥土) BBL これはまずいですね 1 (マダム村) Cindlitta 狩人は死んでしまったようですね 3 (冥土) パンダマット 狩人も占い師もお亡くなりになりましたか・・・そして狼はまだ2ですか 3 (冥土) BBL 半PP 1 (マダム村) シエスタXX やばいね 3 (冥土) マダム おねぇが・・・ 1 (マダム村) ミクかわいい やばいです 3 (冥土) パンダマット ウゴゴゴゴゴ 1 (マダム村) Cindlitta とりあえず 3 (冥土) Emula 流石は狼回避が高い 3 (冥土) SEIRIOS ただいまー 3 (冥土) パンダマット いらっさいませ 3 (冥土) マダム おねぇ 元気出して! 3 (冥土) BBL お疲れ様でした 3 (冥土) おおかみん お疲れさまです 1 (マダム村) Cindlitta LDしてたってのもあって、昨日の推理をざっと教えて頂けると。 3 (冥土) マダム 花嫁になれるかもしれないよ! 3 (冥土) SEIRIOS 実はやっとこ●ひけたのに言えずにしにますた。 3 (冥土) Emula おつつー 1 (マダム村) シエスタXX グレーから吊るしか無いのかな 1 (マダム村) ミクかわいい ワルノスさんが私を疑っていて 3 (冥土) SEIRIOS どーなっちゃうかなー 1 (マダム村) ミクかわいい いあんさんが寡黙、だったかな?(うろおぼえ 3 (冥土) BBL Cindさんと誰だろう 1 (マダム村) ワルノス 残ったんでミスリードしていた可能性が高いです なので僕の話はあてにならないです・・・ 1 (マダム村) ワルノス ちなみに占い○もらっています 1 (マダム村) Cindlitta SEIさん真ならワルノスさんは確定白なので除外 1 (マダム村) ミクかわいい ここは村勢力で票をまとめないとまずいのですけれど 1 (マダム村) ケラヴノス ワルノスさんは確定白で 1 (マダム村) xこぅちゃx まぁ食われたからには真だろうね 1 (マダム村) ミクかわいい 誰が一番狼ぽいでしょう 1 (マダム村) シエスタXX ワルノスさんは白だしな 3 (冥土) パンダマット メタ推理になりそうですけどCidさんが狼だと 1 (マダム村) Cindlitta こぅちゃさんとミクかわさんが真狂なら吊っても白しか出ないので除外 1 (マダム村) ワルノス シエスタさん すみません教えてください 3 (冥土) パンダマット 相方さんが先ほどのLD完治されるのではないでしょうか・・? 3 (冥土) パンダマット 感知^p^ 1 (マダム村) ワルノス 昨日自分をつたら負けるといった理由と 3 (冥土) SEIRIOS 考察が無難なあたりが狼だとこわいね 1 (マダム村) シエスタXX 俺からだと 3 (冥土) BBL そうかも知れませんね 1 (マダム村) シエスタXX ケラさんorChiさんになるけど 3 (冥土) BBL ただ霊媒が結果を割らなかったことに疑問を抱いていたようなので 1 (マダム村) シエスタXX Chiさんのほうがとは思うけど 3 (冥土) BBL 狂人に結果を割って欲しかったのかなあと 3 (冥土) パンダマット なるほど 1 (マダム村) Cindlitta 素村ですってばー! 1 (マダム村) シエスタXX 俺つったら負けるってか 3 (冥土) BBL あくまでも個人の推理ですので 1 (マダム村) シエスタXX 俺はムラなので 1 (マダム村) ミクかわいい SEIさんはシエスタさんを強弁と仰っていましたね 3 (冥土) BBL 自分の推理を信じるのです! 1 (マダム村) シエスタXX 引き分け以下になっちゃう 3 (冥土) パンダマット hi! 1 (マダム村) シエスタXX んだな 1 (マダム村) xこぅちゃx うん、確かに言ってた 1 (マダム村) Cindlitta なるほど 1 (マダム村) ワルノス 8名の状態なので 1 (マダム村) ミクかわいい こうちゃさんがうなづいてくるってことはシエスタさん村なのかな・・・? 1 (マダム村) ワルノス 8>6>4> 1 (マダム村) ワルノス ああ 三本か 1 (マダム村) シエスタXX 狂人はいるでしょ 1 (マダム村) ミクかわいい でもそれだと霊に真狼だからそれはないか・・ 1 (マダム村) xこぅちゃx 俺が頷いて、何で村なの? 3 (冥土) パンダマット ぁいあんさんがLDされてますね・・・ 1 (マダム村) ミクかわいい 狼からすれば無実な村人を釣りたいでしょう 3 (冥土) BBL 首相が少ないのはケラさん 逆がシエスタさんか 3 (冥土) いあん Cindiさんは巣村ちっく 3 (冥土) いあん ん? 3 (冥土) SEIRIOS ありゃりゃ マダム 5分経過 1 (マダム村) ミクかわいい 私の対抗なのでこうちゃさんは私視点人外なのです 3 (冥土) SEIRIOS ん? 1 (マダム村) xこぅちゃx あー そういうことね 1 (マダム村) ミクかわいい はい。 3 (冥土) BBL ? 1 (マダム村) ミクかわいい でもいまはグレーかな 3 (冥土) れりか ? 3 (冥土) パンダマット ありゃ?LD表示が見えたのでsが・・どうもLDしてたのは僕の目のほうでした 3 (冥土) SEIRIOS してなかった 1 (マダム村) Cindlitta それだとしても 真狂である可能性が高いので 1 (マダム村) xこぅちゃx それなら、俺も言ったけど 1 (マダム村) ワルノス なのであそこで村なので否定する方針は正しいであり イアンさんがそのままつられるのは・・・うーん 3 (冥土) いあん www 1 (マダム村) Cindlitta 霊媒は吊っても意味はないかと思います 3 (冥土) おおかみん w 3 (冥土) Emula モルダー貴方疲れてるのよ 1 (マダム村) xこぅちゃx あの状況で自発的に出ない霊もどうかと思うけど、今はそういう場合じゃない 3 (冥土) SEIRIOS 自分がLDしかけてるとき回りがLDに見えることがある 1 (マダム村) Cindlitta この際、霊媒の真偽は置いておきませんか 3 (冥土) パンダマット ちょっとUFO探してくるよ・・ 1 (マダム村) ワルノス グレーからで マダム 残り1分 3 (冥土) シンクロ UFO・・・静岡ですか! 1 (マダム村) ミクかわいい そのことについては前日申し上げました 3 (冥土) SEIRIOS モルダーあなた憑かれてるのよ 1 (マダム村) ミクかわいい どうしましょう 1 (マダム村) ワルノス cindさんとケラブノスさんで 1 (マダム村) シエスタXX ならChiさんに入れるかな 3 (冥土) BBL なにそれ怖い 3 (冥土) Emula UFOエンドはもうええんや! 1 (マダム村) ミクかわいい Cindさん多めかな 1 (マダム村) ケラヴノス グレーのどちらか・・・ 1 (マダム村) Cindlitta 村アピは苦手ですが、遺言代わりに マダム 20秒前 3 (冥土) SEIRIOS なんか村負けそう 1 (マダム村) ワルノス しかないかなぁ・・・やばいです・・・ 1 (マダム村) Cindlitta シエスタさんが危ないと思います。 1 (マダム村) ワルノス はい 3 (冥土) Emula ですのぅ 1 (マダム村) ワルノス 同じです 1 (マダム村) マダム -------STOP-------- 1 (マダム村) マダム -------STOP-------- マダム 夜まで時間がありません 皆様今日の尊い犠牲をお選びください(会話はストップです) マダム 投票はsayにてお願いします 3 (冥土) パンダマット 村とは一体・・・・ウゴゴゴゴ 3 (冥土) BBL 恐らく村村霊狂狼狼ですもんね シエスタXX Chiさんで Cindlitta シエスタさんにお願いします 3 (冥土) SEIRIOS 狐を盾にできないってのは村には不利なんかなー ケラヴノス Cindlittaさんで Cindlitta あとワシの名前は…Cindlittaです…。 シエスタXX ずっと名前みすってたw 3 (冥土) Emula 狐一体誰だったんだ・・・ 3 (冥土) パンダマット 誰でしょうね・・・チラッチラッ ケラヴノス ドンマイですw シエスタXX Cinさんで 3 (冥土) れりか だれでしょうね(^^ 3 (冥土) SEIRIOS 誰だったんだろうねー(棒) 3 (冥土) シンクロ ズヴァリ ミーのことですね! 3 (冥土) SEIRIOS おまえは ミクかわいい シエスタさんでお願いします 1 (マダム村) ワルノス シエスタさんで・・・ 3 (冥土) SEIRIOS イカだ! 1 (マダム村) ワルノス こっちじゃないという・・・ 3 (冥土) れりか 狐騙りがいるぞー ワルノス シエスタさんで 3 (冥土) Emula げそーーー! 2 (晩餐) シエスタXX オワタくさいw 3 (冥土) BBL シエスタさんとChindさんかな xこぅちゃx シエスタさんで。 3 (冥土) シンクロ ゑーです (T) ミクかわいい ぎゃああああ結果割るつもりだったのに早まったああああああ 2 (晩餐) ケラヴノス ばれてましたね (T) ミクかわいい いやな予感すらしない 2 (晩餐) ケラヴノス やはり確定白を噛みに行きます? 3 (冥土) BBL 霊媒ローラーは危険って昨日言ってたのに今日はあんまり主張していないみたいですし 2 (晩餐) シエスタXX それしかないな 2 (晩餐) ケラヴノス ワルノスさんを噛みます 3 (冥土) SEIRIOS (’A` 2 (晩餐) シエスタXX 厳しい状態残してすまん 3 (冥土) パンダマット シエスタさんは怪しそうですねぇ・・・パンダなのに夜は狼だったなんて 吊り投票: シエスタXX 4票 Cindlitta 2票 マダム さよならシエスタXXさん…あなたの勇姿は忘れない 2 (晩餐) ケラヴノス いや、多分自分もミスしたので負けかもしれない・・・ マダム /chjoin 冥土 3 (冥土) BBL あーでも迷うなあ マダム 日が沈み始めました よい子も悪い子も寝る時間です シエスタXX すきやきなびこ! マダム 役職の方は私にTellお願いします (T) ミクかわいい あああああああ 3 (冥土) SEIRIOS パンダはいつでも紳士であるべき 3 (冥土) パンダマット ですよね (T) ミクかわいい 霊媒です、亡くなられた シエスタXX さんは生前どんな方だったでしょうか[ニコッ] (T) ケラヴノス ワルノスさんを喰らいます 3 (冥土) BBL シエスタさんはChiさん疑ってるしなあ (T) ミクかわいい ミクカワが吊ったシエスタxxさんは。。狼でした! 3 (冥土) BBL どっちかは狼だと思いたい (T) ミクかわいい !!!! 3 (冥土) シエスタXX シュタ! (T) ミクかわいい GJ!!!!!! 3 (冥土) シエスタXX おつおつ 3 (冥土) パンダマット いらっさいませー (T) ケラヴノス 捕食了解 (T) ミクかわいい (* ω )ウヘヘ 3 (冥土) BBL ということはケラさん狼なのかな? 3 (冥土) シンクロ ショタですと・・!? 3 (冥土) シンクロ で お疲れ様です 3 (冥土) Emula いらしゃい (T) ミクかわいい 首の皮一枚~ 3 (冥土) BBL お疲れ様でした 3 (冥土) シエスタXX ショタでもいい 3 (冥土) SEIRIOS おつかれさまー 3 (冥土) BBL にゅた! 3 (冥土) おおかみん おつです (T) ミクかわいい こうちゃさんも●出すだろうから霊媒放置は変わらずかな 3 (冥土) パンダマット シエスタさんのようなショタがいるか 3 (冥土) パンダマット って世紀末の人がおっしゃってました 3 (冥土) SEIRIOS ごっついショタだな 3 (冥土) シンクロ シンクロ=ショタ 3 (冥土) シンクロ という定義になれば! 2 (晩餐) ケラヴノス 投票のときに・・・やっちゃったよ(汗) 3 (冥土) SEIRIOS 無理 3 (冥土) シンクロ [ウワーン][ウワーン][ウワーン] 3 (冥土) BBL シンクロ=イカ 3 (冥土) パンダマット CHANGE 3 (冥土) SEIRIOS ドラゴンボールでも集めてでなおしてらっしゃい! 3 (冥土) シエスタXX さて 3 (冥土) シエスタXX 終わっちゃうのかな 3 (冥土) BBL シエスタさん視点だと明日どうなるのかわかるんですよね 3 (冥土) SEIRIOS 明日が来るのか・・・ゴクリ 3 (冥土) シエスタXX ほぼわかる 3 (冥土) シエスタXX はず? (T) ミクかわいい 明日ケラさん吊りでいいんじゃないの(余裕の表情) 3 (冥土) SEIRIOS ぇー 3 (冥土) BBL Chindさんとシエスタさんのラインがないならケラさんは狼でいいと思ったんですがどうなることやら 3 (冥土) いあん 遅くなったけどおつです~ 3 (冥土) パンダマット 村ッ村ッ 3 (冥土) シエスタXX 最初から狼なんていなかった 3 (冥土) シエスタXX コレが正解 3 (冥土) SEIRIOS 狼=なびこ だった 役職行動: 霊媒→シエスタXX● 捕食→ワルノス 4日目へ 6日目へ
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59 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 39 32 ID fatIanKa 星が夜空に瞬き、双月が優しくルイズの部屋を照らす、そんな夜。 既に大半の人は眠りの世界へと落ちている時間、この部屋の主たるルイズはむくりと起き上がった。 「……さむ」 寝ぼけ眼でポツリと呟く。どうやら体が冷えてしまったらしい。 そうはいっても既に浴場は閉まっているし、温かい飲み物を飲もうにも作る人がいない。更に彼女は四大系統魔法が使えないので今まで火を扱ったことすらほとんどなかった。 「ん」 寝ぼけた頭で暫く思案していた彼女であったが、何を思いついたのか、おもむろにカーディガンを羽織ると部屋を後にした。 おぼつかない足取りでルイズは裏庭を歩いてゆく。秋の夜風が寝起きの体には少々きつく、自分の体を抱くようにして目的地へと向かう。 時折強く吹く風に身体を震わせる。さすがにカーディガンだけじゃまずかったかな、と彼女は己の思慮の足りなさを悔やんだ。 「でも、もうすぐだし……」 部屋に戻るのも億劫だと彼女は考え、そのまま歩を進める。目的地も近いのか彼女の足取りも軽くなったようであった。 足早に建物の角を曲がり、ルイズは目的のものを発見した。 「あった…………あれ?」 ルイズの目的は、裏庭にあるサイト制作のお風呂。お風呂に入って体を温めようと思っていた彼女なのだが、何やら様子がおかしいようだ。 「火がついてる」 遠すぎてルイズには見えないが、どうやら先客がいるらしい。こんな時間にいったい誰が、とルイズは頭をひねる。 しかし考えたところで埒があかない。ルイズは闇夜に紛れるようにそっと、その先客の方へと近づいていった。 「……で、あんただったと」 「あら、ミス・ヴァリエール。起きていらしたんですか」 先にお風呂に入っていたのは、なんということはない、シエスタであった。 ルイズは寝ぼけていたので、彼女のいつもいるベッドの反対側まで気がまわらなかったのであろう。まったく気がつかなかった。 「むぅ」 「入りま……あ、お湯も取り替えましょうか?」 ここに来たということはお風呂に入りに来たのだろう、と考え、シエスタは聞いてみる。 貴族と平民が同じ風呂に入ることなど本来あり得ないし、ましてや一緒になどもってのほかである。 だがシエスタはルイズならば入るのかもしれない、と思っていた。 長く彼女のそばにいて、シエスタにとってルイズは友達と思えるほどに気さくな存在になっていたのである。 60 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 40 56 ID fatIanKa それでもさすがに一緒には入らないだろうとシエスタは風呂からあがろうとした。 「いい」 しかしルイズはそう言うと服を脱ぎはじめる。 「あの、ミス?」 「一緒に入る」 もう貴族と平民とで差別をしなくなったのか、シエスタだけ対等にみているのか、それともただ少し眠いだけなのか。 とにもかくにもルイズはどうやらシエスタと一緒に入るつもりらしい。 「そ、それなら少々薪を足していただけますか? ぬるくなってしまうので」 「ん」 慌て気味のシエスタに、ルイズは短く返事をすると脇に置いてある薪を全部放り込んだ。そして服を脱ぎおわるとシエスタがよけたスペースにスルリと入る。 「ふぁ……」 この世の極楽、と言わんばかりの表情でルイズは、ふぅ、とため息を漏らした。 いつもの貴族用の浴場と違い香りをつけているわけでもないが、寒いときに入るお風呂はやはり格別の心地よさがあったのだろう。 風呂に映し出された双月を眺めながら、暫しの間その心地よくさに浸っていた。 「……」 「あによ」 「い、いえ。べつに……」 一方、長いことシエスタはルイズを見ていたらしい、特に胸の辺りを。指摘されて初めてそれに気付いたシエスタは慌ててぷいとそっぽを向いた。 何気なく胸の辺りを腕で隠して。 「誰も取って食べたりなんかしないわよ」 「す、すいません」 今日のルイズはさりげなく鋭かった。彼女にはティファニアの胸を鷲掴みにしたという前科がある。 何かにかこつけて自分の胸も鷲掴みにされてしまうのではないか、というシエスタの本能的な反射をルイズは見破ったのである。 「さすがにそんなことしませんよね。はは……」 「食べたら私のも大きくなるかしら」 「ひっ―――!!」 「冗談よ」 眠そうな眼で言うルイズ、しかし見ようによれば眼が据わっているともいえる。そんな彼女の迫力に少々圧されぎみのシエスタであった。 「そうといえば……」 御返しです、とばかりにシエスタの反撃が始まる。特に胸の辺りの話で。 「おじいちゃんから聞いた話なんですが、女性の乳房って吸収されてしまうらしいんですよ」 「吸収?」 かかった、とシエスタは内心ニヤリとする。 61 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 44 14 ID fatIanKa 「はい。ある年頃になると女性は乳房、おっぱいが大きくなりはじめるんですが、その時に同年代の女の子と一緒にいることが多いと、 その女の子かどちらかの胸ばっかり大きくなって、もう片方の人が小さいままなんですって。なんだか性格まで両極端になるとか」 「そんな、ほんと?」 「ほんとです。私の村にとても仲良しなお姉さんが二人いたんです。ちょうど先日村で久しぶりにお二人に会ったんですが……」 「ま、まさか」 「そうなんです。一人はかなり大きかったんですが、もう一人は……」 絶句と共にルイズの動きが止まる。そして数秒の間、目を宙に泳がせていたかと思うと次第に震えだした。 「あの、ミス?」 内心、してやったり、と思っているシエスタであったが、ルイズの動揺っぷりには少し驚いた。 「ど、どどどどうしよう、シエスタ……?」 「どうしたんです?」 ルイズは急にザバッと立ち上がった。 「あの、ミス・ヴァルリエール、み……見えてますけど」 「ひ、ひ、ひひひひひひひ」 「落ち着いて下さい! ミス!」 いつぞやの虚無が使えなかった時に及ぶのではないかと思うほど、ルイズは傍目から見て明らかに泣きそうであった。 風呂に入っていたので涙か水滴かの見分けはつかないが、ルイズは目から溢れそうになるそれを堪えながら、必死に何かをシエスタに訴えかける。 ━━━そ、そんな眼で私を見ないで下さい ルイズの視線にシエスタは一瞬自分がしたことを悔やんだ。その眼には人を改心させることはおろか、同姓の保護欲をもかきたてるような可愛らしささえ備えていたのだ。 さすがは公爵家の末っ子といったところである。 「ひっ……ひぅっ……」 「ミ、ミス……?」 「ひっ、ひめさまにとられた〜〜〜〜〜〜〜!!」 そう言うなりルイズはシエスタに抱きついた。風呂に多少の波がたつ。最初はおろおろとしていたシエスタだったが、やがてルイズをしっかりと抱きとめる。 「ひっ……うぅ……」 「大丈夫ですよ、ミス。今からでも大きくなります」 「ホント?」 ルイズの声色が一瞬でかわる。どことなく目もキラキラしているようにシエスタには映った。 「えぇ、ホントです」 優しく応える。シエスタは何か当初の目的を見失ったような気がしたが、あえて気にしないことにした。 無邪気で可愛らしいルイズを見ているうちにどうでもよくなったのである。 「どうするの?」 62 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 46 24 ID fatIanKa ルイズの質問にシエスタの目がキッとしたものに変わる。それはですね……、と前置きした後に彼女は方法を語った。 「えっちぃことをします」 瞬間、ルイズがキラキラした表情のまま固まった。 「は?」 「えっちぃことをするんです」 聞き間違いかと思ったルイズだったがそうではないようだ。 「冗談よね?」 「真面目です。いやん、ばかぁんです」 言ってることは阿呆らしいが、彼女の目は真剣そのものである。 「でもそういうのって、好きな人同士が」 「ミス・ヴァリエールは私のことが嫌いなんですか?」 「そうじゃなくて、これは男女で」 「その準備なんですから!」 サイトのことに関してはいつも若干強気なところを見せるシエスタであったが、ルイズに対しては初めてであった。 思わずたじろいでしまうルイズ。 「その、やっぱり……」 「私はミス・ヴァリエールのことが好きです!」 シエスタの濡れた髪から水滴がひとつ、お湯へと落ちた。その音さえはっきり聞こえる程の静寂。 「わ、わたしも……きらいじゃ、ないわ」 以前、身投げしようとしたところを助け、励ましてくれた恩もあったが、何よりルイズにとってシエスタは、本音を打ち明けられる数少ない友人の一人であった。 好きか嫌いかでいえば、勿論“好き”である。 「それなら、いいじゃないですか」 シエスタはニコリと微笑む。 「目を閉じてください」 ルイズは何か釈然としなかったものの、あまり考えずに指示に従った。 ルイズが瞳を閉じたことを確認するとシエスタはゆっくりとルイズの方へと近づく。そのときに起きるちょっとした波で、ルイズにもシエスタが接近していることがなんとなくわかった。 少し体が強張る。 「ミス、力を抜いて下さい」 言われて抜ける力ならば最初から抜いているだろう。ルイズはガチガチに固まったままである。 シエスタはひとつ溜め息をつくと、彼女の脇を指先でなぞった。 「ひゃっ―――んむっ!」 思わぬ不意打ちにルイズが目を見開いたとき、すでにシエスタは彼女の唇をうばっていた。 二人の間に挟まれたシエスタの胸がルイズに押し付けられる形になる。 「んく……んっ」 ルイズは突然のことに呆気にとられて口が半開きになっていたので、シエスタは安々と彼女の口へと舌を侵入させることに成功する。 63 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 47 52 ID fatIanKa 彼女の舌はルイズのそれと幾度かの絡みを経て、頬の内側や歯の裏側など余すことなくその矛先を向けルイズの口内を味わう。 ルイズも最初は戸惑っていたものの、舌を交える口付けの甘美な心地よさに身を委ね、拙いながらも彼女自身の意思でシエスタの行為に応えた。 二人の口許から洩れるくちゅくちゅ、といった唾液の絡み合う淫靡な音と、 体勢をかえたりするときに起こる風呂の水音とのコントラストが絶妙なハーモニーを奏で、二人の脳へと染み込んでゆく。 最初のうちはシエスタがルイズを押し倒すような体勢だったが、いつの間にかルイズも彼女の背へと手をまわし抱き合うようなものへと変わっていた。 暫く二人は互いを味わっていたが、やがてどちらからともなくゆっくりと口を離す。 名残惜しむかのように二人の間には滑らかな曲線を描く銀色の橋がかかっていた。 「はぁ……はぁ……」 「どうでした? 初めての舌を交わすキスは?」 口付けの余韻に浸っていたルイズの頬が更に赤く染まる。 「ご馳走さまでした」 「なっ、な……」 茶目っ気たっぷりにそう言うシエスタに何も返せないルイズ。しかし態度からも彼女の感想は明らかであった。 「もう一回しますか?」 「え?」 「気持ちよくなかったなら、効果があんまりないので、もう終わりにしますけど」 今更のように今までの行為の理由を思い出すルイズ。口付けの気持ちよさに理由を忘れてしまっていたのだ。 ―――口付けだけでこんなに我を忘れちゃうのに、これ以上のなんて。 彼女は口付けの魔力に多少の恐怖を覚えた。しかし少しの恐怖は往々にして好奇心をそそるスパイスにもなる。 「そ、その、悪くは……なかったわ」 「ふふっ」 「なっ、なによ」 「いえいえ、なんでもありませんよ」 正直じゃないんですから、とシエスタは心の内で苦笑する。彼女にはルイズが気持ちいいと感じていることがバレバレであった。 ただ彼女の口からその言葉を聞きたくて悪戯をしただけ。 そして余りにも予想通りな反応に、思わず笑いが溢れたのである。 64 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 48 54 ID fatIanKa 「じゃあ、もう一度」 シエスタの言葉にルイズの表情が明るくなる。 ―――だ、だめです、ミス。か、顔が正直すぎます。 「どうかした?」 「い、いえ」 どうにか笑いを堪えようと顔に力を入れていたら、どうやら彼女が気付かぬうちに変な表情をしていたらしい。慌てて取り繕う。 シエスタは気を取り直し、ルイズの手を取ると今度はゆっくりと彼女を引き寄せ、優しくその唇を合わせた。 今回は不意打ちではないので、まずシエスタはルイズの上唇を舌でなぞる。それに応えるかのようにルイズも唇を開き舌を交える。 「ん……ちゅむ……んむ」 シエスタがルイズを抱きかかえる形となったので、ルイズの方が体勢は有利になる。馴れない彼女のたどたどしい舌が、シエスタの様子を伺うように優しく誘う。 シエスタはそのもどかしさに自分が一層高まっていくのを感じた。もちろんそんな状況に甘んじている彼女ではない。腕を無防備なルイズの背中へとまわすと、 中指を背骨に沿ってなぞりあげた。 「んぷはっ! ひああああああああ!」 効果は抜群だった。ルイズの背中を、暖かい湯の中にいるにもかかわらず、冷たい電流が走ったかのような感覚がした。 ━━━な、な、なにこれ!? 彼女はおもわずその刺激を弱めようと腰をくねらせる。 だがシエスタに抱かれているために逃げ道がなく、結果シエスタにより強く抱きつき秘処をすりつけるという、どうみても誘っているようにしか見えない行動をとってしまっていた。 「もう、ミス・ヴァリエールったら、そんなにシテほしいなら言ってくださればいいのに」 自分の行動を指摘され、彼女は顔が熱くなるのを感じる。 「ち、ちがっ━━━!」 「あら? 違うのですか。それは残念」 心底残念そうな顔をするシエスタ。 「あんたがやったんでしょうが!」 「なんの話ですか?」 彼女はとぼけながらルイズの臀部の方から手をまわし、ルイズが生まれてこの方触れたことのない未開の秘苑へと進めた。 「ひゃあっ!?」 それだけでルイズは、はしたない声をあげてしまう。 シエスタは途中まで指をすすめると、直接触ることはせずに周りの柔らかい部分を周回しはじめた。 まるでルイズに、自分はいつでも貴女の大事なトコロに触れられるんですよ、と言わんばかりに。 そして彼女の思惑通りに、ルイズは未だ自分でも直接は触れたことのない未知の領域を意識せざるを得なかった。 「だ、だめだめだめだめ……」 65 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 50 15 ID fatIanKa 小声で呟くルイズ。小声なのは彼女が本当は触れてほしいと思っているからなのかもしれない。 現に彼女はシエスタの手を払おうともしないで、ただ呟き続けるだけだった。 「本当に、ダメなんですか?」 未だシエスタの指は直接触れようとはせず、ルイズの肌の感触を楽しむ。 「っ――――――!!」 彼女の指は時折周回する半径を狭めて、あと少し、というところでまた離れてしまう。 「はぁ……」 既にルイズの足は力が入らずカクカクと震え、お湯の中でなければ座りこんでしまっていたであろう。 幸運にもシエスタの肩に添えた腕の助けもあってなんとか彼女は姿勢を保っていた。 「ひっ!」 「気持ちいいのになぁ」 シエスタはルイズの常時なら下着で隠れるギリギリのところに二本の指をあてると、ふにふにと力を入れたり抜いたりする。 それによってルイズの秘苑は間接的に開いたり閉じたりと、まるで何かを欲しているかのような動きになる。 そしてそこからはお湯とは違った液体が溢れてきていた。 「ん……んぁ」 ―――そろそろよさそうですね。 シエスタはそう結論づけると、ついにルイズの秘苑に指をあてた。最初はできるだけ優しく、その形をなぞる。 ―――初めての時はゆっくりと、優しく、焦らすぐらいで。 誰に教わったのか、ともかく敏感なルイズに過剰な刺激を与えないように、とシエスタは存分に触れたくなる自分の衝動をなんとか抑え、丁寧に愛撫する。 「いや、ふぅ、ん、くぅ」 ルイズはただ声を可能な限り我慢することしかできない。 今、彼女の頭の中ではシエスタに手を止めてほしいと思う理性と、どこか嫌いになれない刺激のその先を体験してみたいという欲望との葛藤が渦巻いていた。 「や、ら、め、だめ……」 最早ろれつも回らなくなってきたのだが、どうにか彼女に、拒否しているという体裁だけでもと理性が口を動かす。 だがそれは興奮を冗長させるスパイスの役割しかなしてはいなかった。 シエスタの指にルイズの興奮の証が絡み付く。 「あら、ミス・ヴァリエールのそこからなにか出てきてますね」 「し、知らない。知らないもん」 なにせ彼女にとって全てが初体験にあたるのだ。いままで知らなくても無理はない。 それでも出てくる理由には心当たりがあるらしく、必死に口を閉じて次々と襲ってくる悦楽を堪えていた。 66 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 51 39 ID fatIanKa 「ん……んむ……んっ」 一方シエスタの指は徐々にルイズの中に埋まっていく。 見るものさえいないが、彼女の指がルイズの秘処に隠れていく様は明らかに卑猥であった。 ―――は、入って……くるぅ。 埋まれて初めての異物が入ってくる感覚にルイズは身悶えする。 だがシエスタが念入りに愛撫をかさねたおかげか、初めてのわりに容易くそれをのみこんでいった。 「ふっ、ふぅ、ぅあ」 「さすがに初めてだけあって、締め付けがきついですね」 「や、あ、あぁぁぁ」 指でルイズの内側を一周なぞる。もう一周。さらにもう一回。 「は、あ、あぁ、ふぁん」 そして徐々にそのスピードをあげた。 「やぁぁ」 「淋しそうな此処にもキスしてあげましょうね」 「んんっ!!」 シエスタの唇がルイズの右胸に落ちる。 「あら? ミスったら体が冷えてしまっているじゃないですか」 実は二度目のキスのときの体勢のために、上半身が夜風にさらされ冷えてしまったのだ。 そして冷たさと快感の二つの意味で、ルイズの胸に慎ましくさえあった桃色がかった粒は、精一杯の自己主張をしている。 「暖めませんとね」 シエスタは舌全体を使ってルイズの胸を舐める。 「あ、あったかぁい……」 ルイズは冷えた体に突如訪れた温もりに光忽とした表情を浮かべた。 「片方だけじゃダメですよね」 シエスタの舌が、今度は左の胸へと降り、その頂きを犯す。 その感触のなかにルイズの胸のそれとおぼしきものを見つけたシエスタは入念に舌の中で転がす。 「ひゃっ……」 冷たく敏感になった体に優しく暖かい舌が絡む。それに秘処を堪能するかのような指の動きに、もうルイズは全く嫌悪感を示さなくなっていた。 「きもち、いぃ……」 するとその言葉を待っていたかのようにシエスタの指がスタッカートを刻むかのような動きに変わった。 「あっ、やっ、あ、あ、あ、ひゃっ、やぁ、あ」 意味を成さない声だけがこぼれる。そしてルイズのそこはその度にひくっ、とシエスタの指を締め付けた。 胸への、ルイズを包み込むような気持ちよさと、秘処への、彼女を高みへと押し上げる刺激的な快感が同時にせめる。 「や、あぁ、あっ、あ、あ、あっ」 また風呂の中であることがシエスタの秘処への愛撫が過度になるのを防ぎ、ルイズの初体験を甘美なものにする。 67 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 53 29 ID fatIanKa ―――もう逃げる心配をする必要はありませんね。 そう考えたシエスタはルイズの腰にまわしていた左手を離し、この時空いていたルイズの右胸へと置くとフルフルと震わせた。 「んんんっ!」 それはルイズのような、胸に描く曲線が少々流麗な女性にかなり効果的な方法であった。 ルイズにその典型をみるスレンダーな体型の女性には、揉むと刺激が強すぎる。それよりは振動を与える方がより快感を与えられた。 「ん……く……」 さらに胸をせめる舌の動きが荒々しいものに変わり、ルイズは最早限界に近かった。 「ら、だめ、なんか……くるぅ」シエスタの指を締め付ける頻度も増してきていた。 「それでは、とどめです。盛大にイッちゃってください」 「い……く……?」 言うや否や、シエスタは左手でルイズの胸の桃色の粒をギュッと挟み、口で他方の粒を吸いあげ、右手で今まで触れなかった淫蕾に触れた。 「ひっ! っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」 音にならぬ声に、ただ口をパクパクとさせ、ルイズは初めての絶頂を体験する。 凄まじい快感の奔流に、身体全体に力が入り手足が震える。 ―――な、なに、これぇ!! 体の奥を駆け巡る何か、頭の中に響くような衝撃にただただ驚く 「はふっ」 全てが終わった時、彼女の体の力が抜けた。 張っていた腕がふにゃりと折れて、ルイズはシエスタの、潤った白桃のような魅惑の果実へと沈む。 68 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 55 03 ID fatIanKa 「ふみゅ。んむふむぁ〜〜」 「ひぁっ?み、ミス、喋らないでくださいぃっ!」 シエスタにとっては誤算である。 突然支えを失ったルイズは、胸の中で窒息しそう、という世の男性の殆どが羨む状況の中に陥った。 今彼女たちが入っている風呂は元々それ用に作られたものではないため、ともすると滑りやすい構造である。 「もごもご……」 「あっ…あん…んっ、だめ……」 それ故にルイズの腕や足は風呂の面を捉えきれずに水音をたてるばかり。落ち着いていればなんということはない深さなのだが、彼女にはそれができなかった。 なぜなら現在ルイズの視界は病み付きになるような驚異のクッションに埋めつくされていたからである。 視界不良のなか彼女はたかだか風呂の中であるということを忘れ、無我夢中でもがいた。 「もごもご……」 「ひゃふっ!?」 だが、それがよくなかった。わけもわからず頭を動かしていると、それ自身の重みとお湯の浮力とで絶妙な刺激となってシエスタを襲う。 「ぶくぶくぶく」 「あ、や、んぁ、だ、だめぇ……」 「ぶぐぼっ!?」 更に、刺激を避けようとシエスタは胸を守ろうとしたことが、ルイズごと抱いてしまった。 ルイズは必死に手足をばたつかせてどうにか助けを求める。 ―――シエスタ、助けて!! しかしルイズの手足は水の抵抗を受け、絶妙な力加減となり本人の意思とは全く関係のないところでシエスタを蹂躪していた。 脇腹をなぞりあげ、 「ひゃふ!?」 臀部を揉みしだき、 「んぁん!」 鎖骨をなぞり、胸を荒々しく掴む。彼女としてはバタバタしてるだけなのだが、さすがは貴族、意識しなくてもメイドの相手ぐらい余裕、といったところか。 一方のシエスタも気が動転していた。ルイズが突然自分の双子の果実へと顔を埋めてきたのだ。 まさか自分が引き起こしたとは露知らず、ルイズの“無我の境地”が与える甘美な刺激に、じわりじわりと高みに誘われていく。 「きゃっ……ひっ…やんっ…」 「こぽ」 シエスタにヘッドロックされたルイズは、これまた思いと裏腹に、とどめとばかりにメイドの胸を思いきり鷲掴みにした。 「っ――――――!!」 69 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 56 17 ID fatIanKa シエスタは音にならない声をあげる。最初に感じたのは激痛。 当然である。ルイズの手に彼女を気持ちよくさせてあげようという意思などひとかけらもなく、ただ助かりたかっただけなのだから。 しかし揉みこまれたままの果実がもたらしたのは痛みだけではなかった。 「はふ……少しだけいっちゃいました」 体を刺すような痛みに隠れ、奥にじんわりと届く快楽が追い詰められていた彼女にとどめをさした。 ―――とんだ、伏兵ですね。 腕の力を抜いてルイズの方へ向く。 「あれ? ミス?」 浴槽には桃色がかったブロンドのワカメが浮いていた。 何気に命の危機である。 「し、しっかりしてください! 死んじゃいやですっ」 確かに死因が『胸の中で窒息死』では、死んでも死にきれないであろう。 「え、え、えっとこういうときは……」 まさかメイジ達を呼ぶわけにもいかず、シエスタは思案したあげく村に伝わる応急処置を施すことにした。 「心臓マッサージとっ、人口呼吸ですっ」 ちなみにこれより前に脈拍と呼吸の有無を確認しなければならないのだが。 「すぅー」 シエスタは思いきり息を吸い込み、 「んむ」 ルイズの唇を塞ぎ、 「ふぅーーーーーーー」 ルイズへと息を送りこもうとした。そしてルイズの鼻孔から抜けていった。 俗にいう、“失敗”である。 「えぇと、つぎは」 心臓マッサージをしようと思ったのだが、風呂の中にいるため習ったとおりにできそうもない。 「でも、要はマッサージできればいいんですよね」 彼女はルイズを抱えながら、なんとかマッサージをしようとした。 もみもみ、 「こんな感じでしたか?」 もみもみ、 「えぇと、もうすこし下だったかも」 もみもみ、 「あ、こうだったかな?」 もみもみ、とまったく心臓マッサージになっていない。 俗にいう、“おっぱい”である。 70 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 57 43 ID fatIanKa 「んぁ?……けほっけほっ」 「ミスっ、気づきましたか」 偶然にも、ルイズは意識を取り戻した。肺に入ってしまった水分にむせてしまう。 「よ、よかったぁ」 シエスタは胸をなでおろす。 一方ルイズは暫く現状の整理をしていた。 シエスタによって赤子のように抱き抱えられ、シエスタのどこか温かみのある顔が自分の目の前にある。 彼女は肩で息をしながら、体をシエスタへと完全に預けていた。心なしか胸の鼓動も速い。 ―――あれ?何か胸がドキドキして…… 「―――って、死ぬところよ!! 助けなさいっ」 当初こそ気づいていなかったものの、シエスタはルイズを助けようとしたことは明記しておくべきであろう。 「えぇと、萌死に?」 「溺死よっ!」 なんとも、噛み合わない会話である。 「ふんとに、もう」 のらりくらりとかわすシエスタに肩透かしをくらったルイズはむすっと膨れたままシエスタへ身を預ける。 ちゃぽん―――。 ルイズは指で水面を叩いた。 そしてシエスタの胸のなかで先ほどの絶頂について思いをはせる。 ―――あんなにすごいなんて。 「ふふ、お気に召して頂けましたか」 シエスタはルイズの背中に手を回しながら、今度は優しくルイズを抱きしめた。 ルイズは暫しの逡巡の後にポツリと答える。 「溺れるのはいやだわ」 「そ、そうですね」 シエスタは苦笑するしかない。 「でも」 と、ルイズは付け加える。 「もう一回ならやってもいいかな……」 シエスタの肩に頭を乗せる。彼女の胸の中の柔らかさと暖かさは、ルイズにどこか母親や姉を思い出させる。 貴族としての矜持から、できる限り人との肌と肌の触れ合いを避けてきた彼女だったが、どうやら考えを改める必要がありそうだった。 ―――たまにはこういうのも。 落ち着く友人の体に抱かれそんなことを思う。 ―――私には知らないことが多いわね。 若干の決意をにじませながら少女はその温もりに身を委ねる。 シエスタもただ暖かく、ルイズの少々冷えてしまった肩にお湯をかけてあげていた。 71 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 22 59 17 ID fatIanKa お湯の暖かさがじんわりと体に染み込んでいくのを感じながら、ただゆったりとする。それだけのことが、嬉しいと少女は思った。 思えばこの一年は少女にかなりの変化をもたらし、それだけに急ぎ足できていたのだろう。 このメイドと出会ったのも――それより前から何度か見ていたはずではあるが――そのころだった。 ―――ところで、私はシエスタを暖めることができるのかしら。 自分だけではずるい。そんな気がして少女はシエスタの背中へと腕をまわす。 「え……?」 ちょっとした驚きの声。だが何も言わずにそのままシエスタを抱きついた。 自分の顔が恥ずかしさに赤くなっているのがわかる。シエスタに見られないのに少し安心するルイズ。 抱きしめてより一層、彼女は気持ちいいな、と思う。そのまま寝てしまいたいとさえ思った。 そして抱きしめてみて初めて、ルイズは少女の肌の綺麗なことに気づく。 ―――いいなぁ。 貴族と比べても引けをとらない、キメの細かい肌。自分よりも綺麗かも、と素直に感嘆した。 ―――なんかどんどん自分が不利になっているような。 彼女のいいところを見つける度に比べてしまう。だからといって人のあら探しをするのは信条に反する。 ルイズは、自分がもっと頑張ればいいんだ、と心に念じた。 ―――サイトのためにも、シエスタのためにも。 余りの心地良さに瞼が重くなってきた。全身の力がほどよく抜けている状態で、長い時間いたからであろう。 時間帯もある。極上の布団もあった。 ―――黒髪か……。 眠気のために少しまどろみながら眼前に映るシエスタの髪を見てルイズはそんなことを思う。 ―――私は何かと黒髪に縁があるらしいわね。 「私、小さい頃この髪あまり好きじゃなかったんですよ」 「え……?」 知らないうちに声になっていたのか、シエスタはそんなことを語りだす。 「ほら、この世界にあまり黒髪の人いないじゃないですか。茶髪や金髪は多いですけど。 それで周りの人からいじられる種になっていたんです。周りの子は何となくやってたんでしょうけど、私には辛かった。」 遥か昔を思うかのようにシエスタは空を眺める。 72 名前: 星の都 [sage] 投稿日: 2007/12/20(木) 23 00 41 ID fatIanKa 「でもこの学院で友達もできて、何より同じ髪をもつ人が来てくれた」 シエスタは平民なのに貴族に立ち向かい、そして勝った。偶然にも同じ髪の色の少年を思い浮かべる。 「だから、今では結構好きなんですよ。この髪」 最後に好敵手たる彼女に、 「だって大好きな人とお揃いなんですから」 言って暫し待っていた。相手からの反論を。 「ミス……? ……寝ちゃいましたか」 ふと首を傾け彼女の顔をのぞく。いつもシエスタといる時には見せない、安らかな寝顔であった。 ―――こんな顔を、するんですね。 大切に育てられた末っ子らしい無邪気な甘えるような表情。恐らくは使い魔の前でも見せないのではないか。 双月に照らされたルイズの表情は見るものを和ませた。シエスタはそっと、ルイズが眠り易いように体勢を帰る。 そして満天の星空を見上げる。 ―――私にもこんな友達ができました。 誰にいうでもなく、心の内で呟く。まさか貴族の方と友達のように接するようになるとは、誰が想像できただろうか。 彼女は友人の細く頼りなげな体をしっかりと抱く。 ―――お人形さんみたい。 シエスタは微笑みを浮かべ、村に伝わる子守唄を歌い始めた。 ゆっくりと、優しく、夜空に吸い込まれる歌声は、ルイズに届いているのかはわからない。 だが少女もまた微笑んでいたのは確かだった。 〜fin〜
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ラハと理の魔法生 -the 2ndstory- ※シリーズの重大なネタバレを含みます。未プレイの方は注意 序章 魔法界一のエリート学校と呼ばれる「理のエクレール魔法学院」に、臨時留学する事になったB級魔法生シエスタ。 しかし彼女には欠点があり、「悲しみの感情」を抱くと、正常に魔法が撃てなくなるのだ。 シエスタの様に魔法医を志す者にとってそれは致命的な欠点で、いざという時に感情のせいで治療の魔法を失敗することなど、あってはならない世界だからだ。 光のルクシエメール魔法学院長であるルクシエは、留学の間にその弱点を克服する様に命じる。 そして留学中、心を支える存在として、ペットを連れていくことを提案。 シエスタが持たされたのは、「ラハ」という名の一匹のネズミだった。 彼女は想いを馳せる。 ラハといえば一年三ヶ月前、この学院にいた転入生の名前だ。かつては彼にときめいた事もあったが、記憶を取り戻してからは故郷に帰ってしまったらしい…。 目を覚ますとシエスタは列車に揺られていた。 これから向かうのが、留学先の「理のエクレール魔法学院」だった。 彼女は隣に居たはずのネズミのラハが居なくなっている事に気付き、前方車両へと向かう。 誰もいない車両に足を踏み入れた時、突如、列車が揺れ、魔物が出現する。 途中、助けに来たラハのおかげでどうにか魔物を退けることが出来たが、ホッとしたのも束の間、黒いローブを身に纏った何者かが目の前に現れる。 咄嗟にシエスタの前に出るラハ。と、その時……。 「下がっておるのじゃ、Miss.シエスタ」 聞き覚えのある声。 黒いローブの男が、魔法で吹き飛ばされる。 前方車両より姿を現したのは、ルクシエメール魔法学院の講師・ジャッラだった。 ジャッラの猛攻に遭い、黒ローブの男はどこかへと姿を消す。 シエスタとラハは安堵し、ジャッラに駆け寄る。 彼もこれからエクレール魔法学院の臨時講師として学院に向かう途中だったのだ。 二人と一匹が駅に降り立つと、オリアネスという名の風紀委員の女子魔法生が迎えに来ていた。 ジャッラは移動魔法で先に向かうと、オリアネスはシエスタに対して急に素っ気ない態度をとり始める。 そんな態度をまったく気にせず質問責めのシエスタに、オリアネスは苛立ちを隠せない。 学院前に到着した時、オリアネスは魔獣ティアマトを召喚する。 「これから留学試験を始める。使い魔と共に勝ってみせよ」 シエスタと、その使い魔と認識されてしまったラハは、予期せぬ試験を受ける事に呆然となった。 第一章 知の園 どうにかティアマトに勝利し、学院への留学を許されたシエスタを迎えたのは、エクレール魔法学院の治癒魔法講師エクスリス=マリアヴェールという女性だった。 彼女はシエスタを学校の各施設へと案内する。 学内の購買でアルバイトをしているB級魔法生ユキノや、図書室で図書委員を務めるA級魔法生ウィリアム、学院講師のクィンスキーらを紹介される。 最後に紹介されたのは、学院長エレン=エクレールだった。静かに佇んでいる学院長に疑問を感じるシエスタ。エレンは「喋れぬ病」を患っており、喋ることが出来ないのだとエクスリスから教えられる。 院長に別れを告げた時、時刻は消灯時間を迎えようとしていた。 寮の自室へと移動魔法で帰るシエスタを見送ったエクスリスは、誰もいなくなった廊下で一人、憎々しげな表情を向ける。 (この学院に教え子を寄越した事を後悔するといいわラクリス) (貴女の教え子は絶対に魔法医にはなれない。壊れて、ゴミの様に、散りゆくのよ……) 翌朝。 朝食の席でシエスタは、幼なじみのヴィッツと再会。 だがヴィッツは同級生ステファンと口論になり、朝食の場は険悪なムードと化してしまう。 授業の前に図書館に向かうとシエスタとラハ。 図書委員長ウィリアムから、風紀委員オリアネスがこの学院では「理の魔女」と恐れられていて、校則を破った者は消されるという噂を聞く。 エクレール学院での初授業は魔法史。 講師を務めるのは副院長のザックバーンという男だった。 午後の授業を終えたあと、隣の教室に向かうと、誰かがノートが置き忘れていた。シエスタはそれを拾い、食堂に向かおうとした時、風紀委員達から呼び止められる。 用も無く他教室に入ることは校則違反であり、ノートを持ち去ったことで盗っ人呼ばわりされてしまうシエスタ。彼女は弁明するも、違反を犯した罰として、どこかの洞窟に飛ばされてしまう。 そこはドミナルトの洞窟と呼ばれる、かつてB級試験会場として使われていた洞窟だった。 だがシエスタのポケットにはラハを忍ばせており、二人で力を合わせて洞窟から脱出することに成功する。 洞窟の奥にあったクリスタルから元の学院に戻ると、そこは学院の外庭だった。 そこでは講師や風紀委員たちが沢山集まっており、皆で上を見上げながら何やら騒いでいた。 その視線の先を追って、思わず悲鳴を上げるシエスタ。 時計台に力無く吊り下げられているステファンの姿。 エクスリスは諦めた様に呟く。 「死の魔法です。もう手の施し様がありません…」 第二章 消えた妖精 一夜明けて、ステファンが死亡したことで、学院内には静かな空気が漂っていた。 かけられていた「死の魔法」とは精神を殺す魔法であり、禁術である。 シエスタは、魔法医になりたい夢をエクスリスに打ち明け、事件解決のために少しでも自分にやれる事は無いかと考える。 その日も変わらず授業が行われる様で、クィンスキーによる戦闘魔法の授業が始まった。 事件の調査のために魔法教会が来ている様子は無く、事件は間違いなく学院内で隠蔽されている。 講師に対して不信感を抱くヴィッツは、授業をボイコットしてしまう。 休憩中、シエスタはヴィッツから図書館の地下書庫へと案内する。 そして彼は、以前この学院で自分を助けた「バーバラ」という名の妖精が行方不明となっていることを打ち明ける。そのために授業をサボって調べ回っていること、この地下書庫の本の一冊に、バーバラの羽根が挟まっていたことも。 学院に信頼できる者がいないヴィッツは、シエスタに協力して欲しいと頭を下げる。だがシエスタは簡単には頷けなかった。 午後の授業中、ユキノからヴィッツを助けてあげてと声をかけられるシエスタ。ユキノはヴィッツにフラれた経験があり、だから自分には相談出来なかったのだと話す。 シエスタは仮病を使って授業を抜け出し、ヴィッツが待つであろう地下書庫へと向かう。 だが地下書庫に彼の姿は無く、図書委員長ウィリアムに話を聞いても、彼が出て行った様子は無いという。 しかし居なくなる前、「闇で染めれば浮かび上がる」という言葉を残していたらしい。 シエスタは生活魔法講師レフトライトに、闇で視界を染める魔法「ラクレシオ」を教わると、地下書庫でそれを詠唱してみた。 闇に染まる視界の中、地下書庫の壁の一ヶ所を不思議な影が渦巻いていた。 シエスタが影に触れた途端、広い書庫へと転移する。 そこは「闇幻の書架」と呼ばれる、悪魔が築いたとされる不思議な書庫だった。 最深部でヴィッツの姿を見つけるが、ダンタリアという魔物と対峙中だった。そしてその奥には倒れているバーバラの姿が見え隠れする。 シエスタとラハ、そしてヴィッツは魔物を退け、バーバラに駆け寄る。 妖精も、死の魔法の犠牲になっていた。 図書館から出た途端、風紀委員達に取り囲まれる二人。 授業を抜け出した事がバレたのだ。 校則違反の処罰としてオリアネスがシエスタとヴィッツをどこかの場所へと転移させようとした時、「待ってください!」という声が飛んだ。 現れたのはエクスリスだった。 教育とは恐怖を与えて二度と違反を犯さないためにあるものだと考えを述べるオリアネスを、そんなものは教育とは認めないと怒るエクスリス。 二人は互いに魔法をぶつけ合うが、倒れたのはオリアネスの方だった。 風紀委員達は逃げる様に移動魔法で消えて行く。 助けられたシエスタとヴィッツはエクスリスに駆け寄るが、 「魔法医を志す者が、仮病を使うなどあってはならない」と叱られ、二人で反省文を書かされる事となった。 だがエクスリスがシエスタを救った思惑は別の所にあった様だった。 (邪魔はさせないわ) 第三章 恋する魔法生 妖精バーバラの死は講師達の間でも騒がれていた。 エレン院長に報告するエクスリス。 闇幻の書架は悪魔が取り憑いた本を封印するために七年前に作られた場所だったが、一年前、何者かが封印を解放し、あの場所にバーバラの死体を隠したのだ。 今日の授業はレフトライトの生活魔法。 空を飛ぶ魔法・バルバートの実習だった。 シエスタがバルバートを詠唱しようとした時、彼女は何者かに「悲しみの感情を与える魔法」をかけられてしまう。 そのまま詠唱を続けたため、シエスタの魔法が暴走。凄まじい勢いで空高くへと舞い上がってしまう。 懐から飛び出たラハは必死にシエスタを落ち着かせようとするが、その時、列車で遭遇した黒ローブの男が出現する。 黒ローブの男は、死の魔法と思われる魔法の詠唱を始める。 ラハは慌てて炎魔法で応戦しようとするが、黒ローブは炎のバリアを張っており、炎攻撃がまるで通用しない。 その時、シエスタの邪援魔法ブレイカブルが飛んだ。 彼女の魔法で黒ローブの男のバリアが解除され、その隙にラハの炎魔法が次々と放たれる。 黒ローブの男は慌てて移動魔法で消えていく。 シエスタはラハを守らなければという想いが芽生えたおかげで、弱点を克服することが出来たという。暴走したバルバートの魔法も少しずつ抑えられ、二人はゆっくりと地上に降りてゆく。 午後の授業は休みだが、C級魔法生のルルゥという男の子から、近日行われる「B級魔法生試験」に向けてアドバイスが欲しいと頼まれていたシエスタ。 ルルゥの片想い中の女子がB級魔法生らしく、肩を並べたいらしい。 二人は図書委員のウィリアムに相談すると、B級模擬試験を受けさせてもらえるという。 ルルゥの模擬試験はシエスタとラハにリードされ、無事終了。 別れ際、彼はシエスタに感謝を告げるとともに、好きだと告白する。 彼が片想いしていた女の子とはシエスタの事だったのだ。 彼の真摯な告白を受ける事にしたシエスタは上機嫌。 夕食の後、シエスタ自身もA級魔法生になるため試験の担当エクスリスの部屋へと向かう。 だがその途中、中庭で黒ローブの男が、一人の魔法生に「死の魔法」をかける姿を目の当たりにしてしまう。 黒ローブは目的を終えると移動魔法で逃げる。 シエスタは倒れた魔法生の元へと駆け寄った。 倒れていたのはルルゥだった。 シエスタは悲鳴を上げ、その場に失神する。 医務室に運ばれたシエスタが目を覚ますと、彼女は記憶を失っていた…。 第4章 再会 翌朝。風紀委員長のオリアネスの部屋にラハが訪れる。 シエスタが記憶を失ったという報告を聞くが、オリアネスは自分に出来る事は何も無いという。 彼女が魔法で記憶を消されたのでなければ、過去に強く思い入れのある人に出会えば記憶を取り戻せるかも知れないと助言すると、ラハは床に「変系薬」「作る」と書いてみせる。 変系薬を作ることがシエスタの記憶を取り戻すきっかけになるのかも知れない。 「私に作れというのか? 主に似て図々しい使い魔だな」 とは言え学院が休日であったため、暇を持て余したオリアネスは渋々立ち上がり、部屋を出た。 変系薬を作るには、いくつかの材料が必要だった。 その内の一つが医務室にある事を知り、オリアネスは渋々、学院魔法医であるエクスリスに声をかける。 エクスリスは「調合次第で猛毒にもなり得る薬なので渡せない」と断る。 諦めて移動魔法で去って行くオリアネスだったが、ラハだけはその場に残った。 その時、医務室に光のルクシエメール魔法学院より、治癒魔法士のラクリスが訪ねてくる。 彼女は記憶を失ったシエスタの様子を見に来たのだ。 記憶を失ったままの彼女の様子を見て、肩を落とすラクリスに、エクスリスは高らかに笑う。 「よくも私の前に顔を出せたものね、ラクリス」 ラクリスは、エクスリスが受けた魔法医試験の面接で、自分を落とした相手だったのだ。 憎々しげに復讐を訴えかけるエクスリスに対して、ベッドの上にいたシエスタが、優しさに満ちたこの医務室を見れば分かる。エクスリスは本当は優しい人間だと指摘する。 彼女の言葉に戸惑うエクスリスに、ラクリスは優しく微笑む。 自分は面接で貴方を落とす様な事はしていない。面接で言ったエクスリスの言葉にむしろ納得させられたからだと話すラクリス。 実はあの直後、魔法医試験に受かったはずだったエクスリスが、断りの連絡を入れてきたという話があったらしい。 そんな事はしていないと驚くエクスリスに、何者かがこの学院に彼女を引き入れるために、そんな事をしたのではないかとラクリスは推測する。 エクスリスの、ラクリスに対する恨みももう完全に消え去っていた。 オリアネスの部屋を訪れたエクスリスは、調合に必要な材料を彼女に渡す。 「どうか、シエスタさんを助けてください」 最後は調合した薬に対して、光魔法と闇魔法を同時に、同等の威力でかけなければならないらしい。 オリアネスは闇魔法を撃てるが、同等の威力の光魔法を撃つためには、彼女と同じぐらいの力を持った講師または魔法生が必要だった。 彼女は図書委員長ウィリアムに声をかける。 魔法を使うのは構わないが、引き換えに風紀委員長の座を要求するウィリアム。 自分が風紀委員になれば今よりも楽しい魔法生活を約束すると邪悪に微笑んだ。 オリアネスは断るが、調合した薬の瓶は彼の手に握られていた。 「断るという事は、この瓶が砕けるという事です」 調合材料はもう無い。薬を取り寄せても一ヶ月はかかり、シエスタの留学生活は終わってしまっている。 ウィリアムが瓶を落とす直前に、オリアネスは時間停止の魔法を詠唱し、瓶の破壊は免れた。 負けを認めたウィリアムは、変系薬の完成に協力。 ラハは、シエスタの居る医務室に駆け付けると、完成した変系薬を飲み干した。 「ラハ……君……?」 シエスタが、人間の姿になったラハの顔を見て呆然とする。 「また会えたね」 一年三ヶ月前に見たラハの顔、聞いたラハの声。 そのおかげでシエスタの記憶は、完全に戻った様だった。 ルクシエメール魔法学院に転入した時も、変系薬を使ってネズミから人間の姿になっていた事を打ち明けるラハ。 そしてネズミの姿であったおかげで、死の魔法に対抗出来る方法を見つけたという。 それはかつて図書館で見た、赤いヘイトヘクスの杖の話。 治癒の魔法が攻撃の魔法に変わる「逆転魔法の杖」と呼ばれているが、それを、シエスタがバルバートの暴走で空に舞い上がった時、現れた黒ローブが手に持っていたというのだ。 おそらく死の魔法に失敗した時のために持っていたものだと推測していたラハ。 だとすると。 「そのヘイトヘクスの杖で死の魔法を詠唱すれば、生き返りの魔法に変わる!?」 期待で歓喜するシエスタ。その一方で黒ローブの男は、新たな凶行に走ろうとしていた。 第五章 A級魔法生試験 A級魔法生試験が間近に迫った日、今度はジャッラの使い魔であるノルマンが死の魔法で殺害される。 「もう隠してはおけない、すべて魔法教会に話すべきだ」と言うエクスリスに対し、静かに否定する学院長エレン。 副院長のザックバーンやクィンスキーらも院長の意向に従う様だった。 それを見たジャッラが怒りで声を荒げるが、 「気持ちは分かるが、騒ぎを大きくしてこれから試験を受ける魔法生達を不安にさせたくない」 というザックバーンの言葉で、言葉に詰まってしまう。 エクスリスも渋々、院長の意向に従う他なかった。 A級試験は三人一組で、計二組がチームとなって塔を攻略し、最上階にあるクリスタルに一番最初に触れた者が合格という事だった。 同時に触れた場合は同着合格。同じチームの者でも先に触れてしまえば一人でA級称号を勝ち取る事も可能というルールだ。 シエスタ、ラハ、ヴィッツが組となり、塔を進んでゆく。 数々の魔物を撃破し、最上階に辿り着いた時、対抗するユキノ達の組も同じタイミングで最上階に辿り着いていた。 六人でクリスタルに触れようという提案をユキノは断り、戦闘での勝負を挑む。 長い戦いの末、勝利したのは、シエスタの組だった。 ユキノは自分達を倒したシエスタにおめでとうと声をかける。 一緒に合格したかったと呟くシエスタに、 「でも、私達三人までA級になってしまったら、ステファンが寂しがるから」 と微笑むユキノ。「また購買でね」 A級称号を手に入れたシエスタ、ラハ、ヴィッツの三人。 そしてエクスリスの誘いで、シエスタは死の魔法を解決するまで、エクレール魔法学院に残る事を決心するのだった。 最終章 理の魔法学院 シエスタが学院に来る前日、オリアネスの想い人であるB級魔法生ジルも死の魔法で殺害されていた。 早朝、オリアネスの部屋を訪ねたシエスタは、死の魔法を解く手掛かりを見つけたことを話し、お互い大切な人を救うために協力し合おうと願う。 学院の中に死の魔法を使う黒ローブの人間がいる。二人は、動いている事をその者に悟られない様、秘かに行動を開始した。 その日の授業が終わり、医務室にいるエクスリスに話を聞きに行くシエスタとヴィッツ。 そこで、死の魔法とは治癒魔法の一種であることを聞く。 つまり自在に扱えるのは治癒魔法士のため、戦闘魔法のクィンスキーらには扱えないという事だ。 死の魔法の使用条件にはもう一つあり、使えるのは一日に一度だけ。誰かに使ってしまうと、その日はもう使えなくなるという事だ。 その時、オリアネスがラハと共に医務室にやって来る。 誰が死の魔法を使ったのか、そして何故魔法生が狙われているのかが全て分かったらしい。 彼女は真実を話し始める。 喋れぬ病にかかっていたエレン院長の正体は、何者かの「使い魔」だった。 ラハの様に心の中でしか会話出来ない使い魔であったため、喋れぬ病という事にして人間のフリをしていたのだ。 理のエクレール魔法学院に所属する講師・魔法生たちには全員にある共通点があり、彼らはその「理」に沿って殺人を実行していたという。それは名前の頭文字。現在エクレール学院に居る者たちはすべてA〜Zまでのイニシャルが揃っていたのだ。 Jで始まるジルは、同じJで始まる講師ジャッラが学院に来る事になったため、重複を防ぐべく殺された。 Sで始まるシエスタが列車で狙われた理由は、学院に居るステファンと重複するため。 だが殺害に失敗したので、ステファンの方に狙いを変えた。 ルルゥが殺害されたのは、ラハの名前が彼と同じRから始まるため。殺害された妖精のバーバラや、ジャッラの使い魔のノルマンもこの状況に一致していた。 黒ローブの男にその日の死の魔法を使わせたうえで、正体を暴くための罠を張るというオリアネス。 それはTから始まる魔法生が転入してくると嘘をつき、シエスタに留学試験を行った時に召喚したティアマトを目立つ場所に立たせておくことだった。 狙い通りの行動をとる黒ローブの男を、シエスタ、ラハ、ヴィッツ、オリアネス、エクスリスの5人が取り囲む。 現れた黒ローブの男は、エクレール学院の副院長ザックバーンだった。 追い詰められたザックバーンは、移動魔法でどこかへと転移していく。 そこは時の止まった空間、バルディリウスの牢獄という場所だった。 これまで死の魔法をかけられた人々もその場所で安置されているという。 5人はエクスリスの魔法で牢獄に転移。 最奥の部屋には、これまで死の魔法を受けた者達が倒れており、その前にザックバーンと、その使い魔のエレンが立っていた。 最後の戦いが始まる……。 エピローグ 死の事件が解決してから半年が経過。 学院はエクスリスが院長、オリアネスが副院長となっていた。 死の魔法を受けた人々も元の生活に戻り、それぞれ平穏な日常を送っている。 そして事件解決に貢献し、弱点を克服してみせたシエスタには、ルクシエ院長からS級魔法士の称号授与を検討されていた。 一方、魔法教会の廊下。 その事を何者かに伝えようとしているのはレーシィという女だった。 ザックバーンが闇の魔法士アークギルドが遺した逆転魔法の杖「ヘイトヘクスの杖」を隠し持っている事は調べがついていたらしい。それらは闇の魔法士の遺産と呼ばれており、そのすべてを見つけることが彼女の目的の様だった。
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ドラノール ガートルード コーネリア・ガァプ・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 ドラノール・ガートルード・コーネリアの衣装 参照元:milky ange ドラノール ガートルード コーネリア・ガァプ・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 ガァプの衣装 参照元:Angelic Pretty ドラノール ガートルード コーネリア・ガァプ・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 ラムダデルタの衣装 参照元「ゴスロリバイブル27号」(2007年12月21日発売)掲載 ドラノール ガートルード コーネリア・ガァプ・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 マリア卿(魔女真里亞)の衣装 参照元:VISIBLE ドラノール ガートルード コーネリア・ガァプ・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 エヴァ・ベアトリーチェの帽子 参照元:CHOCOCHIP COOKIE「ゴシック・アンド・ロリータバイブル15号」(2004年12月22日発売)掲載 ドラノール ガートルード コーネリア・ガァプ・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 ゼパルとフルフルの衣装 参照元:MAM-MAXICIMAM ドラノール ガートルード コーネリア・ガァプ・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 理御の衣装 参照元:ATELIER BOZ「ケラマニアックススペシャル」(2007年1月13日発売)掲載 ドラノール ガートルード コーネリア・ガァプ・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 シエスタ姉妹の衣装 ドラノール ガートルード コーネリア・ガァプ・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹
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103 名前:鬼は外 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/01/28(日) 22 39 55 ID I/Lk+fBY 「あ〜寒ぃ、そろそろ日本だと二月ぐらいだなこの寒さじゃ」 建物の裏の広場でごそごそと動く一つの影があった。才人だ。 彼はいささかボロボロのパーカーを着ていて、手に洗濯籠を持っていた。 「・・・よっと、うわ・・・水凍ってら」 どうすっかなぁ・・・めんどくせえなぁ・・・でも怒られるしなぁ・・・ と水汲み場で才人がしゃがみこんでぶつくさ言っていると、後ろからゆっくりと近づいてくる影があった。 「サーイートーさんっ・・・え〜い鬼は〜外ぉ〜!!」 「あ、シエス・・・うわぁったっとぉっっぐぴゅ」 振り向いた才人はシエスタに思いっきり砂利のようなものを投げつけられて水汲み場の方へとすっころんだ。 見事に頭から。ご主人様の下着をぶちまけて。 ・・・・うわ、変な声した・・・・・・ 自分が原因の癖に、他人事のように笑顔を引きつらせながら後ずさるシエスタ。 少し・・・いや、かなり非道い。 「いちち・・・な、何なんだよいきなり!!びっくりするじゃないか!」 そうか、びっくりですむのか。 「ご、ごめんなさい・・・懐かしんでくれるかと思って・・・」 そこで才人はシエスタが持っている籠の中身と周りに散らばっているものに気付いた。 「ん、なんだこれ?大豆?嫌でもこの世界にこんなもんあるわけねぇし・・」 いぶかしんで手で弄んでいるそれは大豆よりも若干小さく、黒ずんでいた。 「あ、それ家の村の周りに生えてるんです。お父さんが、ひいおじいちゃんから 『この時期には豆をまいて鬼を追っ払うんだ』って聞いたって言ってたから、 もしかしたらサイトさん何か知っているんじゃないかと思って。 でも変ですよね、こんなので鬼が逃げるわけないのに」 104 名前:284 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/01/28(日) 22 41 03 ID I/Lk+fBY コロコロと可笑しそうに笑うシエスタを見ていて、才人は、あぁ、と頷いた。 「そうか節分かぁ、確かにここには鬼が実際に居るからな」 「セツブン?セツブンって言うんですかこれ?」 興味深そうに覗き込んでくるシエスタに、才人はようやく身体を起こして昔、親やおじいちゃんたち、 学校で聞いた知識をフル動員して噛み砕いて説明してやった。 「へぇ〜やっぱり楽しそうですね、サイトさんの世界って」 「まぁ行事なら年がら年中あるけどな・・・で、これ何の実なの?日本じゃ最後に豆を年の数だけ食べるんだけど・・・・」 そういって適当に実をひっつかんで口の中に放り込んだ。 「あぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 シエスタが普段は絶対に出さないような大声で叫んだ。 才人はその声に押されるように口に入れた物を飲み込んでしまった。 「んぐっ・・・んっ・・・な、何だよいきなり!」 「・・・た、食べちゃった・・・・・」 打って変わって青ざめたような赤らめたような顔で呆然とするシエスタ。 「なに、まずいの?毒があるとか?」 「い、いえ毒は無い、ん・・・ですけど・・・あの・・・その・・・」 今度は顔を真っ赤にしてしどろもどろになるシエスタ。 「それ・・・チダコンピの実って言って、害はないんですけど・・・」 「うん、何か身をもって理解した」 二人が一斉に視線を向けたそこは当社比1.5倍ほどにパワーアップしていた。 才人の息子さんだ。今にもズボンをはちきらんばかりに引き伸ばしている。 「これ、男の人専用の性欲増幅成分が入ってて、普通は大人の人が一日一粒で十分なんですけど・・・」 そんなもんを撒き散らすな。 105 名前:鬼は外 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/01/28(日) 22 41 59 ID I/Lk+fBY 誰かに見つかってはまずいということで、取りあえず人の来ないところに移動することにした。 「どのぐらいで収まるのこれ?」 「わかんないんです・・・使ったの見たことないですし・・・」 天を仰ぐ才人としょぼんと俯くシエスタ。 きっとシエスタが才人を見据えるとしゃがみこんで才人のズボンを一気に引き下ろした。 「わっ、シ、シエシエ?」 「こうなったのも私の責任ですし、それに豆で鬼は出て行くんですよね?」 豆?豆なんて・・・ってまさかぁぁぁぁっ そのまさかだった。シエスタはパンパンの怒張をあらわにさせるとおもむろに服を脱ぎ捨て、胸で挟み込んだ。 「サイトさんの、いつもより大っきくて・・・すごい熱い・・・」 先っぽを口に咥えて、双丘の先端にくっついている小さい豆をこすりつけながら柔らかなそれで包み込むようにこすりあげていく。 「シ、シエスタ、むねっ胸すごい気持ちいいっ」 シエスタが先端を舐め上げる度、先端で擦り上げる度に 才人は腰をガクガクと震わせながらそれでもシエスタの口に自らを押し付けていく 「いきなりだけど・・・ごめんっもう出るっ」 才人がシエスタの喉奥に怒張をねじ込むと、音が聞こえそうな勢いで濁った迸りを流し込んでいく。 んくっんくっとシエスタが喉を鳴らして飲み込んでいくが、常軌を逸した量に飲みきれずに顔をはなしてしまった。 「んっ・・・ぷはぁっ・・・あは、サイトさんすごい量・・・まだ出てる」 抑えを失った怒張がシエスタの顔、胸、身体を白く染め上げていく。 「はぁっはぁっ・・・ごめん、シエスタ大丈夫?」 「はい♪サイトさんのなら全然平気ですっ」 話しながらも身体についたネバネバを指で掬い取って飲み込んでいく。 「・・・あ、でもやっぱりこの程度じゃ収まんないですね・・・」 「う、うんそうみたい」 才人のそれは先っぽに先ほどの残り物を軽く這わせながらも不満げに波打っている。 「それじゃあ・・・」 そういってシエスタは身体を持ち上げ自分の花弁を広げてウインクして言った。 「こんどはこっちの豆で鬼退治ですっ♪」 やたらと楽しそうである・・・ 184 名前:鬼は外 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/02/02(金) 00 01 30 ID k4L6ycSp シエスタは才人のビンビンのマグナムに跨ると、削り上げるように自分のそこを擦り付ける。 「ッサイトさんのっ・・・すごい熱っ・・・」 擦り付けるごとにシエスタは除々に湿り気を帯びていき、数分もしないうちに怒張はシエスタのそれでべとべとになっていた。 「シエスタッ・・・すごっ・・・気持ちいい」 「私もっ・・・サイトさんので削られてっ頭・・・変になりそうですっ」 二人はより大きい快感を貪るために前後のストロークを合わせていく。 片方が下がるともう一人も腰を引き、すぐに互いに腰を打ちつける・・・といった様に。 互いに限界まで下がり、才人の傘がシエスタの豆をはじくたびに シエスタの腰が電気を当てられたように跳ね上がる。 「やぁあ・・・サイトさっ・・・だめぇ・・・お豆ぇ・・・とれっとれちゃうぅぅ!!」 「シエスタ・・・こっちも・・・すごいことになってるっ」 才人が目の前のつんと張った先端を咥えると、空いている方を手で摘み上げながら思いっきり吸い上げた。 「やああぁぁぁっっ・・・も、らめぇっお豆っお豆ぇ・・・気持ちいいのおおぉぉぉっ!」 上下の尖りを同時に擦り上げられて、シエスタは才人に身体を押し付けるようにのけぞって限界に達した。 シエスタが数回大きく痙攣して才人に力なくしだれかかると、才人は跨ったままのシエスタをしっかりと抱きしめた。 「まだ鬼退治は終わってないよ?」 そう囁くとシエスタを軽く浮く位に持ち上げて、いつもより数倍凶暴になった相棒を 一気にシエスタのまだひくついている裂け目に突き刺した。 186 名前:鬼は外 ◆yJjGBLHXE6 [sage] 投稿日:2007/02/02(金) 00 04 11 ID k4L6ycSp ・・・あは、サイトさんの・・・いっぱいでてるぅ・・・ シエスタはおなかの中を満たすものを感じながら、ゆっくりと意識を閉じていく。 繋がっている隙間から入りきらなかった白い迸りがこぼれ、床に水溜りを作っていった。 「セツブンってとっても楽しいですねっサイトさんっ」 「あ、ああ・・・そうだね」 二人は広場のベンチに寄り添って座っていた。 日もある程度のぼり、ポカポカとした陽気が広場を包んでいく。 「サイトさん・・・いつもよりすごかったですね!」 えへへ、と顔を赤らめながらシエスタは才人の腕に巻きついてくる シエスタの中の節分の認識は明らかに間違っている 「まぁ、戻ってよかったよ」 あの後なかなか収まらずに、二人がパイルダーオンした回数は二桁を越えていた。 ・・・・・・ナイスファイト シエスタの顔色がいつもよりつやつやしているのは気のせいだと思いたい。 「ま、たまにはこういうのも・・・・・・・」 「へぇ〜人が探しまわってる間にずいぶんとお楽しみだったようねぇ・・・犬?」 ゆったりとしていた空気が一瞬にして凍りついた。 ギギギ、と音がしそうなほどぎこちなく首を回すとそこには・・・ 「ご、ご主人さま?その手の中のものはいったい?」 「これ?もういちど犬の調教が必要だと思ってね」 腕を振り下ろして素振りをするたびに空気が切り裂かれる音が響いてくる。 ・・・お、鬼だ・・・鬼がいる・・・ 「・・・シ、シエスタ・・・豆って・・・」 「やだなぁサイトさん・・・あるわけないじゃないですか」 だよねぇ、と乾いた笑い声が数秒響いた後、才人の肩に手が置かれた。 「覚悟はいい?い・ぬ?」 「いや待てこれにはワケが・・・」 「 問 答 無 用 」 「すいません申しませんごめんなさいもうしないから助け・・・・・・・・」 (電波が遮断されました、受信を終了します) ・・・・・・どっとはらい?
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「ふむ、つまり何者かの妨害にあったと?」 「はい……」 学院長室では、オールド・オスマンがシエスタの報告に頭を悩ませていた。 昨晩、シエスタはマントに波紋を通し、ハングライダーのように空を飛んでいた。 だが滑空中に『エア・ハンマー』らしき魔法を受け、墜落死の危機に陥ったのだ。 「悪質じゃのう、こうなると生徒同士の問題は生徒同士で…という訳にもいかんし」 シエスタは元平民であり、波紋という得意な魔法を使うのを理由として、魔法学院では生徒と同じ扱いを受けている。 つまりは、貴族扱い。 しかし貴族至上主義者が少なくないトリステイン魔法学院の貴族子弟達にとって、元平民のシエスタが簡単に受け入れられるはずはなかった。 オールド・オスマンには一つの誤算があった。 シエスタが吸血鬼を退治したのを理由に、『シュヴァリエ』の称号を得られるよう便宜を図ろうとしていたが、それがフイになってしまったのだ。 領地を持つことで得られる爵位ではなく、実力と功績によって与えられるシュヴァリエの称号をシエスタが得ることで、少しでも立場を固めようと考えていたのだ。 だが王宮からは、「シュヴァリエを得るには従軍が必要だ」との返事が返ってきたのだ。 近年、シュヴァリエを得ようと功績をねつ造する事件も報告されているので、審査が厳しくなるのは当然だった。 オールド・オスマンは、「タイミングが悪いのう」、とため息をついた。 「オールド・オスマン、私、自分で解決してみたいと思います」 シエスタの力強い言葉に、オスマンが驚く。 「ほう? 勝算はあるのかね」 「…………」 シエスタは無言で頷く。 「ならワシは余計な手出しはせんよ、じゃが一つ忠告をさせてくれんかの」 「『勝者』でも『敗者』でもない、第三の立場を得るよう努力しなさい」 「第三の立場?」 「戦争に例えるとな、傷病兵を治癒する水のメイジのような立場じゃ。波紋は吸血鬼を打ち倒す……しかし、吸血鬼に先導された群衆は打ち倒せん。それを味方に付ける立ち回り方を学ぶんじゃ」 シエスタは少し考え込んだ後で、頷いた。 「……はい。」 シエスタは学院長室を出た後、キュルケとタバサの二人を探し、波紋の訓練をしている教室へと来て貰った。 「ミス・ツェルプストー、ミス・タバサ、お願いがあります。」 「私達に頼み? 何かしら」 「実は……」 シエスタが説明しようとしたところで、タバサが口を開いた。 「シルフィードから聞いている」 タバサは、シエスタが夜に波紋の訓練をして、その最中に魔法で邪魔された事など、シルフィードが見ていることを話した。 シエスタがそれに重ね、『エア・ハンマー』で突然襲われた話をする。 キュルケはその話を聞き、怒りが湧いてきたらしく、目つきが鋭くなった。 「悪戯にしちゃ度が過ぎてるわね」 このキュルケ、窓から男を焼き捨てたことなどすっかり忘れているらしい。 「で、その犯人を捜してほしいってところかしら?」 「いえ、違います」 シエスタの言葉にキュルケが驚く、タバサは無言のままだったが、シエスタをじっと見ている。 「これは私の問題です、危険もありますが、自分で解決しなければならないと思っています……お二人に頼みたいことは、それとは違うことです」 そして、シエスタが語ったのは、二人を驚かせるに十分な内容だった。 波紋は技術であり、平民とメイジの隔てなく、ある程度の習得が可能 水に波紋を流すことで、周囲の生物を探知できる メイジの索敵能力を高め、感覚を鋭敏にさせる効果 吸血鬼に対して絶大な攻撃能力を誇る ディティクト・マジックでも解らない吸血鬼や食屍鬼を、波紋で識別できる 人間を治癒する『水の秘薬』の効果を、劇的に高めることが可能であること 植物や水などを利用した精霊魔法に干渉し、ある程度なら無効化できること 波紋を利用して人間の思考を狂わせることも、治すこともでき、ディティクト・マジックに反応しない 波紋をメイジに供給することで、集中力、魔力のキャパシティが一時的に上昇する 生物の生命力を高めることで、毒や病の回復を促進する 食屍鬼になりかけの人間ならば波紋で元に戻すことが可能 若さを保ち、美容健康にとても良い 現時点でわかっている『波紋』の効能を、シエスタから説明され、キュルケは感心した。 タバサも表情こそ変わらないが、ほう、とため息をついて聞いていた。 「凄いじゃない……水の秘薬の効果が高まるなんて……具体的にはどのくらい?」 シエスタはマントを外すと、シャツのボタンを外し、肩を見せた。 そこには鋭利な刃物でつけられたような傷痕がついていたが、ほぼ治っている状態だった。 「この間、ギ……吸血鬼と戦ったんですが、その時に受けた傷です」 「あんた吸血鬼と戦ったの!?」 「はい、水の秘薬を使って、ここまで塞がりました」 「その傷を塞ぐのに秘薬を?」 キュルケが傷口をまじまじと見つめる。 「はい、100倍に希釈された水の秘薬を、一滴だけ分けて頂いたんです」 シエスタの言葉に驚く。 水の秘薬といえば、水の精霊の身体の一部であり、同じ量の黄金と同じかそれ以上に高額で取引されている。 シエスタの肩についた傷は、長さ12サント、深さはよく解らないが、浅くはないだろうと思えた。 それがごくごく少量の水の秘薬ですぐに塞がってしまうのなら、水の秘薬を取引している秘薬屋は、秘薬の暴落に嘆いてしまうだろう。 「水のメイジと協力すれば、より凄い効果があるかもしれないわね…ホント驚きだわ」 感心するキュルケの横で、タバサは何かを考えていた。 「……解毒効果は?」 「まだよく解らないんです、ただ、オールド・オスマンは波紋を習得されてから『眠りの雲』にかからなくなった……と言っていました」 「そう」 「それで、お二人にお願いしたいことなんですが、波紋の研究のために協力して頂きたいんです」 「面白そうじゃない、美容にも良いんでしょう?それなら断る理由なんかないわよ」 「私も協力する、そのかわり、解毒作用についてより詳細な効果を知りたい」 「ありがとう、ございます」 シエスタは頭を下げ、二人に感謝の意を表した。 「ところで、生物を探知するってどんな感じなの?」 「はい、それじゃあ……お二人とも私の手を握って下さいませんか?」 キュルケの質問に答えようと、シエスタが手を出す。 タバサが右手を、キュルケが左手を掴んだのを確認すると、シエスタは呼吸を整えて波紋を流し始めた。 「「「……!」」」 三人が同時に同じ方向を向く。 黒板の上、三人を見下ろすような位置から何かを感じた。 タバサが杖を取り出し、ディティクト・マジックを唱える。 光の粉が周囲を舞い、タバサの感覚にぼんやりと何かが写った。 シエスタが出て行った後、オールド・オスマンは水パイプを吸おうとし、ちらりと秘書の机を見た。 ミス・ロングビルは用事があるとかで、外出中だった。 「やっぱり美女に怒られつつ吸うパイプの方が美味いのぅ」 そんなことを呟きつつ、『遠見の鏡』を見ると、そこにはシエスタの姿が映されていた。 場所は、シエスタが訓練に使っている教室だった。 傍らには二人の生徒、確かツェルプストー家の娘と、ガリアから来ているタバサという少女がいて、何かを話している。 オールド・オスマンは、波紋の研究を発展させるつもりでシエスタの立場を良くしようと画策していた。 だが、それとは別に、生徒としてのシエスタ、恩人の子孫としてのシエスタが魔法学院で友達を見つけてくれたのが嬉しかった。 鏡に映るシエスタは、波紋について説明しているようだった。 ふと、シエスタがタバサとキュルケの手を握ると、三人がオールド・オスマンの方を『見た』。 鏡の中ではすかさずタバサが杖を抜き、何かを呟いている。 唇の動きから『ディティクト・マジック』の類だと予測し、慌てて『遠見の鏡』を停止させた。 「ふぅ~、生物探知だけでなく、鏡越しの視線まで感じるのかの…いやはや、波紋は恐ろしいわい」 ぷかぁ、と煙を舞わせて、呟く。 「……波紋の効果を教えるのはあの二人か、それにしても波紋を用いた者は、勘が鋭くなるのかのう?」 いずれにせよ、シエスタの監視は難しくなってしまった。 オールド・オスマンは水パイプを吹かしながら、机の上に置かれた一枚の報告書を手にした。 そこにはアルビオンで『鉄仮面』とも『石仮面』とも呼ばれる傭兵が、鬼神のような活躍で貴族派の包囲網を突破した、と記されていた。 「石仮面か……リサリサ先生の仰っていた『DIO』や『柱の男』のように、吸血鬼の王国を作られる前に殺さねばならん……」 オールド・オスマンは、再度、遠見の鏡に魔力を込めた。 鏡に映るシエスタ達は、既に手を離している、今度は視線には気づかれないだろう。 丁度鏡の向こうでは、シエスタが『石仮面』のことをキュルケとタバサに説明しているところだった。 キュルケとタバサの顔が、心なしか青ざめている気がする。 青ざめるのも無理はないだろう。 かつての級友は『勇敢に戦って死んだ』のではなく『操られて死んだ』のだと告げられたのだ。 波紋の研究を手伝ってほしいというのも、吸血鬼として人を襲うルイズを殺すため。 オールド・オスマンにも、石仮面への怒りがあった。 人間だったルイズのためにも、吸血鬼と化した『ルイズだった者』を、一刻も早く殺さなければならない。 そう決意していた。 だが一つ誤算があったとすれば、オスマンは、石仮面の恐ろしさ『だけ』に、心を奪われていた点だろうか。 ゼロと揶揄された生徒は、オスマンが考えている以上に、誇り高かった。 人間であり続けようとする程に。 現時点で波紋を『技術』だと知る者 オールド・オスマン、ミス・ロングビル、シエスタ、キュルケ、タバサ ルイズが吸血鬼だと知る者 オールド・オスマン、ミス・ロングビル、ウェールズ・テューダー、アンリエッタ 石仮面でルイズが吸血鬼化したと知っている者 オールド・オスマン、ミス・ロングビル 『石仮面』と名乗る吸血鬼に、ルイズの肉体が乗っ取られたと思いこんでいる者 シエスタ、キュルケ、タバサ ルイズが正気だと知っている者 ミス・ロングビル、ウェールズ・テューダー、アンリエッタ To be continued → 27< 目次
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ハルシエス ホルス(2)の別名。
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前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔 ウルトラマンゼロの使い魔 第百十九話「こいびとは怪獣」 酔っぱらい怪獣ベロン 登場 最近のルイズの才人に対する目に余るほどの仕打ちのひどさに思うところあり、才人の 一日使用権を発動したシエスタ。その中で才人に惚れ薬を盛ろうと邪な考えが芽生えたものの、 思い直して使用しないことにする。だが、学院に忍び込んできた怪獣ベロンに惚れ薬をワインごと 奪い取られてしまった! その上惚れ薬を飲んだベロンがシエスタに惚れてしまったものだから さぁ大変! シエスタがベロンにさらわれてしまったぞ! どうなる、シエスタ! 「……は……は……はぁ~くっしょぉんっ!」 すっかり日が暮れた頃、シエスタはくしゃみを盛大にぶちかました。何せ今の彼女は、 才人を誘惑していた際のエプロン一枚だけの姿。冬は過ぎたとはいえ、夜はまだまだ 冷え込む時期にこれはきつい。 「うぅ、さ、寒い……。どうしてこんなことにぃ……」 ブルブル震えて歯をカチカチ鳴らすシエスタ。出来ることなら今すぐ学院に帰りたいが、 それは出来ない。何故なら、今の彼女がいる場所は切り立った崖の中腹なのだから。おまけに すぐ側では、ベロンが見張っている。 学院からシエスタを誘拐して消えたベロンは、彼女を逃がさないようにと人気のない山奥にまで 連れてきた。魔法の力など欠片もないシエスタでは、崖から命を持って逃げ出す術などない。 仮に逃げられたとしても、すぐにベロンに捕まってしまうことだろう。 「お、お願いです……。せめて、何か暖を取れるものを下さい……」 とシエスタがベロンに頼み込んだら、ベロンは何を思ったか口からゴウッ! と火炎を吐いた。 「きゃあぁッ!? や、やめて下さい! やっぱりいいですッ!」 身の危険を感じて必死に断るシエスタ。確かに暖は取れるものかもしれないが、そういう意味で 言ったのではない。おまけにアルコール臭かった。 「うぅ……惚れ薬の効果が切れれば解放してくれるかもしれないけど……いつになったら 効果が終わるんだろう……」 シエスタは惚れ薬の効き目が切れるのを期待してベロンを見上げるが、 『好き~♪』 ベロンは未だに目をハートマークにしてシエスタを見つめているので、シエスタはがっくり 肩を落とした。 ジェシカから押しつけられた惚れ薬は粗悪品であり、本来の効果時間は一時間程度のものであった。 だがもう一時間以上経過しているのに、ベロンは元に戻らない。これはベロンが人間の限界をはるかに 上回る酒気を帯びており、大量のアルコールと惚れ薬が結びついてしまって、効果が引き延ばされて いるからだった。 要するに、悪酔いしているのだった。 「ひ~ん、助けて下さいサイトさ~ん……。今どこでどうしてますかぁ~……?」 シエスタはいよいよ半べそをかき、この場にはいない才人に助けを求めたのだった。 その当の才人は、ルイズとタバサとともに、シルフィードに跨ってシエスタの捕まっている 山奥まで駆けつけたところであった。 「ようやく見つけたぜ。何とかして、ベロンからシエスタを奪い返さないとな……」 「全く、あのメイドも手を焼かせるものね」 才人たちはベロンに見つからないように、山林に身を隠しながら崖のシエスタの様子を タバサの遠見の魔法で確かめていた。 シエスタの置いていったジャンボットの腕輪は、現在ルイズが嵌めている。 『大きい私では、怪獣に気づかれずに接近するのは無理だ。すまないが、君たちでシエスタを 助けてやってほしい。どうかよろしく頼む』 「任せてくれ。……って言いたいところだけど……」 才人は、シエスタの側にベロンがひっついていて離れようとしない状況を観察して渋面を作った。 「ああもべったりじゃ、俺たちも見つからずに近づくってのはちょっと無理そうだな……」 生憎、崖の周囲は身を隠せられるようなものが何もない。下手に近づこうものなら、シエスタを 奪われると逆上したベロンに叩き潰されることだろう。 『あんなにシエスタに近かったら、変身して取り押さえるってのも危険だしな……』 ゼロも意見する。 「どうしたものかなぁ……。シエスタの体調も心配だし、早く何とかしたいんだけど……」 「タバサ、あんた何かいい案ない?」 悩む才人。ルイズはタバサに意見を求め、タバサは短く答えた。 「注意を引きつける」 「注意を……? そうか、怪獣の目をシエスタからそらして、その間に救出するって訳ね!」 「ベロンの注意を引くもの……何かないかな……。お酒はここにはないし……」 タバサの意見で、才人は端末からベロンの情報を引き出した。 「あった、これだ! ベロンはお酒の他に、歌と踊りが大好きだって!」 「それってつまり?」 「こっちが歌とともに踊りを踊って、ベロンを夢中にさせてシエスタから引き離すんだ!」 自信満々に言う才人だが、ルイズが一つ問題点を挙げる。 「でも歌と言っても、誰が歌うのよ? わたし、踊りはともかく歌なんて大して知らないわよ」 タバサも同様。しかし才人には解決案が既にあった。 「大丈夫だ、この端末に歌をいくつか録音してある。それをベロンにも聞こえるように、 ボリューム目一杯に流すんだ」 「歌まで流せるのね、その機械」 「ベロンの好きそうなアップテンポな曲だ。ルイズはそれに合わせて、とにかく激しく踊ってくれ。 それでベロンは釣られるはずだ」 才人の提示する作戦にうなずき、端末を預かるルイズ。 「タバサ、ベロンがシエスタから離れたら俺たちの出番だ。シルフィード、ルイズがベロンの 注意を引きつけてる間にシエスタのところまで近づいてくれ」 タバサもシルフィードもうなずくと、いよいよシエスタ救出作戦が実行される。 「よしッ! それじゃあ作戦開始だ!」 まずはルイズが林の陰から飛び出し、わざとベロンに見つかる。 『ん~?』 「怪獣! この歌を聞きなさい!」 叫んだルイズが端末のスイッチを入れて、録音されている歌を流し始めた。 『ふぁ~すときす~からは~じまる~、ふ~たりのこいのひすとり~♪』 「……何かしらこの歌。初めて聞いたはずなのに、どっかで聞いたことあるような気がするわね……」 歌に合わせて、ルイズはベロンにアピールするように身体を大きく動かして踊り出す。 「!!」 すると早速ベロンの視線がルイズの方に釘づけになり、注意が完全に彼女に向いた。惚れ薬で 心を操られても、歌と踊りが好きという点に変わりはなかったようである。 『うお~!』 歌が進むにつれてだんだんと気分が乗ってきたベロンは、ルイズの動きを真似て踊り始める。 「よしよし、いい調子だわ!」 ベロンの反応を見てほくそ笑むルイズ。そして歌が変わるのと合わせて、踊りも別のものに変える。 『あいせいいえすずっと~、きみのそば~にい~る~よ~♪』 踊りながら、ベロンをシエスタの側から離れさせるように移動していくと、ベロンは見事に 引っ掛かってシエスタから離れていく。 「よし、今の内だ!」 ベロンが十分に距離を取ると、隠れていた才人たちが素早くシエスタの元まで飛んでいく。 「シエスタ! 助けに来たぞ!」 「サイトさんッ! あ、ありがとうございますぅ~! 心細かったですぅ~!」 感激したシエスタは思わず才人に飛びついて、ギュウッと彼を抱きしめる。 「お、落ち着いてシエスタ。怪獣がこっちに気がつくかもしれないからさ……」 抱きつかれた才人は、シエスタの色々と柔らかい部分の感触を味わってドギマギした。 ……それによりタバサが、ほんのかすかに眉を吊り上げた。 「と、とにかくその格好じゃ寒いだろ。ほら、これを上から羽織ってさ」 「ありがとうございます。サイトさんは本当にお優しいですね……」 自分のマントをシエスタに着せてあげた才人は、彼女をシルフィードの上に乗せるとすぐに この場から離れようとする。 しかし! その瞬間に、ベロンがこちらを一瞥したのだった! 『!! がおーッ!』 途端にベロンは憤怒。最早歌と踊りは通用しなくなり、シルフィードめがけドスドスと迫ってくる。 「しまった! 気づいちまった!」 焦る才人。しかしシエスタを奪還することは出来た。これならば、才人が変身してももう問題ない。 『才人! こうなりゃ俺たちの出番だぜ!』 「よっしゃ! タバサ、シエスタを頼んだぜ!」 シエスタのことをタバサに託し、才人はシルフィードの背から宙へ飛び降りた。 「デュワッ!」 同時にウルトラゼロアイを装着。光に包まれて変身、巨大化し、シルフィードに迫っていた ベロンの面前にウルトラマンゼロが仁王立ちして登場する。 『んあぁ~!?』 ベロンは己のすぐ前に突然現れたゼロの姿に一瞬たじろいだ。 「テヤッ!」 『ほげ~!』 その隙にゼロはベロンに空手チョップ。先制攻撃をもらったベロンが目を回してひっくり返る。 その光景をバックに、ルイズの元にシルフィードが急接近。彼女の元を回り込みながら タバサがルイズを拾い、シルフィードはこの場より飛び去って避難していく。 『ムキ~!』 シエスタを奪われ、強烈な一打をもらったベロンはカンカンになって、起き上がるとブシュー! と鼻息を蒸気のように吹き出した。 片足で地面をかくと、勢いをつけてゼロに突進していく! 「フッ!」 『おあ~!?』 だがゼロはベロンの突進を簡単にいなした。受け流されたベロンはつんのめりながら、 勢いを殺せずに崖に激突。顔が岩壁にめり込み、落下してきた岩石が脳天に落下する。 『う~ん……!』 岩壁から身体を引き剥がすベロン。今の衝撃で頭の上で星が回っているが、それでも戦うことは やめずに、口から火炎を吐き出した。 『うおッ! 酒くせぇッ!』 ゼロは熱よりアルコール臭いことに驚き、思わず飛びすさる。が、合わせた両手より 消火フォッグを発してベロンの火炎放射を消し止めた。 『おわっぷぅッ!』 フォッグはベロンの顔にもかかり、ベロンはむせて苦しんだ。だがそれでもめげずに、 跳躍してゼロにのしかかろうとする。 「セェアッ!」 しかしゼロはベロンの身体を両手で受け止めた上、勢いを利用して背後に投げ飛ばした。 『おわぁぁぁ~!!』 地面に叩きつけられ、ゴロンゴロン転がるベロンであった。 戦いはほぼ一方的。ベロンは怪獣といえども、戦闘に優れている訳ではないフラフラの 酔っぱらい。到底ゼロに敵うべくもない実力なのだった。 『うぅ~ん……!』 しかしベロンはどれだけやられて、グロッキーになろうともめげずに立ち上がってくる。 その様子に、才人は何だか申し訳ない気分になっていた。 『なぁ、ゼロ……あいつのことも助けられないか? 酒泥棒ではあるけれど、あんなにボロボロに なることはないはずだよ』 ベロンが傷だらけになっても何度も向かってくる理由を、才人は分かっていた。 『あいつがあそこまでするのは、惚れ薬を飲んでおかしくなっちまったからだ。薬の効果を 切らせば、こんな戦いをする必要もないよ』 『ああ、そうだな……』 ゼロはベロンを正気に戻す手段を考えた。まずは、ベロンが迷惑行動に走る最大の理由である、 泥酔状態をどうにかしなければならない。 『……よっし! 一丁やってみるぜ!』 再度ゼロにまっすぐ突っ込んでくるベロン。それに対し、ゼロはウルティメイトブレスレットに 右手を添える。 するとブレスレットが光り、そこから意外な「あるもの」が出現したのだ! その正体とは……。 『えぇぇッ!? ば……バケツぅッ!?』 でかいバケツだった。 『こいつを食らいなッ!』 ゼロはバケツを大きく振り、中身の水を飛ばしてベロンに頭から被せた。 『んあぁぁ~!?』 水を被ったことでベロンの酔いが醒めていき、どこか焦点の合っていなかった目つきも はっきりとしてくる。と同時に、今までに溜まった疲労のためか、すぐにその場にばったりと 倒れ込んで、ぐおーぐおーと高いびきをかき始めた。 これにより、ベロンは完全に無力化された。 『全く、散々暴れた挙句に眠りこけやがって……。幸せな野郎だな、こいつは』 ゼロは肩をすくめて、眠り込んだベロンの身体を頭上高くに抱え上げた。が、才人は別のことを 気に掛けて呆気にとられていた。 『ゼロ……そのブレスレットから、バケツも出てくるんだな……』 『みんなには内緒だぜッ!』 と告げたゼロが天高くに飛び上がり、ベロンを宇宙に送り帰してやったのだった。 「本当にごめんなさいッ!」 シエスタを無事に救出した後、ルイズたちは部屋で彼女から謝罪を受けていた。いつもの メイド服に着替え、大きく頭を下げたシエスタを見やりながら、ルイズはため息を吐く。 「一日使用権は許したけど、そんな手を使っていいとは言ってないわ」 『全くだ。今回のことは、君の邪な考えに対しての天罰だろう』 ジャンボットも咎めると、シエスタはポロポロと泣き出してしまった。 「ほんとにごめんなさい……。こんな風に迷惑がかかるなんて……。わたしに人を好きになる 資格なんてないわ」 『あッ、いや、何も泣かなくとも……』 ジャンボットが慰めようとしたところ、才人が口を挟んだ。 「シエスタ、別に悪くないよ。だって使ってないじゃん。だからワインには注いでなかったんだろ?」 『ああ。惚れ薬とワインが別々だったのは、俺が保証する』 シエスタをかばった才人とゼロだが、シエスタは力なく首を振った。 「いえ……ギリギリまで使うつもりだったから、あの場で手にしてたんです。そもそも薬に 頼ろうとしなかったら、こんな大事にはならなかったのに……」 シエスタが自責していると、ルイズがやれやれと肩をすくめた。 「もういいわ。……サイト、あんた一旦部屋を出てなさい」 「えッ、何で?」 「女の子同士の話があるの! それくらい察しなさいよ、もう!」 グイグイと才人を部屋から追い出すルイズ。 「いいって言うまで、入ってきちゃ駄目だからね」 「わ、分かったよ」 才人が扉を閉じると、ルイズはごそごそとポケットを探り、シエスタに何かを手渡した。 「これ……何ですか?」 それは一見すると、何の変哲もないノートだった。 「読んでごらんなさい」 ノートの表紙を開くシエスタ。中身には、ルイズが才人に対して思ったことが延々と したためられていた。ルイズの秘密日記である。 大半は、如何に才人に冷たくされたのか、どんな風にプライドを傷つけられたのか、何度 期待を裏切られたか……どれだけ才人が鈍感で、自分が思い悩んでいるかを表す内容だった。 「ミス・ヴァリエール……」 「分かる? サイトはね、そのぐらいの鈍感大王なの。だから、変な薬に頼りたくなる気持ちも 何となく分かるわ」 『確かにサイトは、変なところで思い上がって奇行に走ったり、落ち着きなくフラフラしたり するな。私としても、私生活からもう少ししっかりしてもらいたいところだ』 才人は戦いでは勇敢な戦士になっても、まだまだ未成熟なお年頃。その年代の男子というのは 往々にして馬鹿なものだ。おまけに才人は並外れて鈍感で、女心をちっとも理解しておらず、 自惚れやすいのですぐにルイズをやきもきさせるようなことばかりする。調子づきやすいという 点ではルイズに負けず劣らずであった。 「今回のことを反省して、もう惚れ薬になんて手を出さないと誓うのなら水に流すわ。だから 人を好きになる資格がない、だなんてこと言わないの」 寛容に許したルイズに、シエスタはひしっと抱きついた。 「ああ、ミス・ヴァリエール……。わたし、サイトさんがいなかったら、あなたに一生を 捧げてもいいと思いますわ」 「よく言うわよ。でも、わたしも、あんたに何か友情みたいなものを感じるわ」 「貴族のお方に、お友達なんて言ってもらえて……わたしはトリステイン一の幸せ者ですわ」 ルイズとシエスタが仲直りすると、才人は部屋の中に戻される。 「何話してたんだ?」 「それ言ったら、あんたを外に出した意味ないでしょうが」 「そりゃそうか。まぁ、仲直りしたのならそれでいいか」 ルイズとシエスタの様子から、才人はそう結論づけた。 そんな彼の腕に、シエスタががばっと抱きついた。 「サイトさんッ!」 「うわッ! シエスタ!?」 「今日はほんとにごめんなさいッ! このお詫びはまた致しますので!」 「お、お詫びなんていいよ」 「いいえ、それではわたしの気が済みません! それに……サイトさんがよろしいのでしたら、 新婚さんごっこの続きも改めて……」 「続きぃ!?」 シエスタの言動と、胸を押しつけられて顔が崩れる才人にルイズが思わずベッドから腰を浮かした。 「ちょっとぉ!? シエスタ、あんたねぇ、今さっき謝ったばっかりで何言ってくれてるのよ! 反省してないじゃない!」 「もちろん今度は惚れ薬なんて抜きです。正真正銘、わたし自身の魅力で勝負しますから。 それなら水に流してくれるとおっしゃったでしょう?」 「だからって、ちょっとは遠慮ってもんがあるでしょうがッ! サイトあんたも、鼻の下 伸ばしてるんじゃないわよッ! ほんと馬鹿犬ぅぅぅッ!」 「な、何で俺までー!!」 ルイズ、才人、シエスタが相変わらず進歩のない騒ぎを起こしている一方で、畳の隅で タバサが我関せずといった風に本を読み続けていた。 前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔