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「お待たせしました」 猫を寝させないために鼻を塞いでいたところにシエスタがお盆を持って戻ってきた。 お盆の上にはティーポットとカップがのせられている。 「すまないな」 「いいえ。好きでやってますから」 シエスタは私の隣に座るとティーポットからカップにお茶を注ぐ。 そしてお茶が注がれたカップを私に差し出してくる。 「ありがとう」 猫から手を離しカップを受け取る。 お茶の色は少し緑色っぽい。もしかしたら緑茶かもしれない。 カップを口元に近づけ香りを嗅いでみる。 いい香りだ。なんとなく落ち着くような感じがする。 猫も鼻をヒクヒクさせティーポットの匂いを嗅いでいる。シエスタはそれを見て微笑んでいる。 香りを十分堪能し、今度はカップを口につけ、お茶を口に含む。 なんと言ったらいいだろうか。何というか独特の味だった。 しかしそれがいやなわけではない。むしろ自分の舌にあっていておいしく感じられる。 「懐かしい」 ふとそんな言葉が口から漏れた。 懐かしい?何を言っているんだ。お茶なんて初めて飲んだじゃないか。 どうしてそんな言葉が漏れるんだ? ……そうか。私は日本人だ。生前がそうだったからな。そしてお茶は生前よく飲んでいたはずだ。日本人だからな。 そのときの記憶がよみがえって懐かしいなんて言葉が漏れたのかもしれない。 「懐かしい?そっか、ヨシカゲさんは、東方のご出身なんですね」 私の呟きを聞いたのかシエスタがそう言ってきた。 その顔には嬉しそうな笑みが浮かんでいる。一体何が嬉しいんだ? 「そうだけど」 とりあえずシエスタの言葉を肯定しておく。否定する意味も無い。文化的に考えたら確かにここから東方だしな。同じ文化があるとは限らないが。 しかしこのお茶は東方のから運ばれてきたんだよな?たしかロバ・アル・カリイエとかいう場所から。 もしかしたらロバ・アル・カリイエは、西洋的な文化のこことは違い私の世界と同じく東洋的な文化かもしれないな。 「ねえ、ヨシカゲさんの国ってどんなところなんですか?」 私が考えに耽っているとシエスタが突然そんなことを切り出してきた。 「私の国?」 「うん、聞かせてくださいニャー」 シエスタは子猫を自分の顔の高さまで持ち上げ言ってくる。 その様子はまるで猫が話しているようだ。 「ほら、猫ちゃんも聞きたいって」 そういいながら子猫の前足を上に持ち上げ万歳させる。そのポーズに意味は有るのか? それにしても、 「私の国ねえ」 シエスタは異文化に興味でもあるのかね? いつか世界を見て回りたいとか。 まあ、話しても問題は無いだろう。月が1つしかないだとか矛盾したことを言わなければあやしまれないだろうし。 「私の国には、まず貴族がいない。そしてメイジもいない。こことは食生活が違うし宗教も沢山ある」 「いやだわ。貴族やメイジがいないだなんて。私が村娘だと思って、バカにしてるんですね」 ここは貴族やメイジがいて当たり前な文化だからな。信じなくて当然か。 「別に嘘だと思うなら信じなくてもいい。それだけ文化の違いがあるというわけだ」 「……ほんとにいないんですか?」 否定せずそう言った為かシエスタが半信半疑な顔をして聞いてくる。 「ああ。貴族は昔いたけど、今はいない。魔法使いは昔はからいなかった」 シエスタが信じられないといったような顔をする。 「他にも色々こことは違うことがあるさ」 それから私はこことは矛盾しないあたりでいろいろなことをシエスタに話した。 シエスタは私が話すたび驚いたり、笑ったり、悲しそうな顔をしたりと、色々な表情を私に見せた。 たまにはこういったことも面白いもんだな。 「お茶のおかわりもらえるか?」 「あ、わかりました」 カップを差し出すとシエスタがお茶を注いでくれる。 そしてカップを口元に持っていき、お茶を口に含む。やはりうまい。 ん?そういえばシエスタはお茶を飲んでいないな。 「シエスタはお茶を飲まないのか?」 「え?ああ。急いでいたものですから自分のカップを忘れちゃいまして」 お盆の上を見ると確かにカップが無い。どうやらカップは私が持っているカップだけのようだ。 一人で飲むのも別にいいんだが、これだと印象が悪くならないだろうか?シエスタの目はなんとなくお茶に注がれているような気がするし。 「飲むか?」 カップをシエスタのほうに向け聞いてみる。 まだ一口しか飲んでないしそんなに量は減ってないはずだ。足りなかったら注ぎ足せばいいし。 「ええ!?」 「なんでそんなに驚くんだ?」 「え!そ、その!い、いいんですか?」 「いいもなにも飲むかって聞いてるんだからいいに決まってるだろ。厨房でも飲めるかもしれないけど外で飲んだほうがおいしい時があるって言ったのはシエスタだろ」 「ヨシカゲさん……」 シエスタの手にカップを渡す。 シエスタは暫らく動かなかったがやがてカップを口元へ持っていった。 そしてお茶を口に含む。 「おいしいですね」 「だろ」 シエスタは静かにそう呟いた。 もしかしたらこっちに付き合ってそういっただけかもしれない。シエスタなら嘘をついて場の空気を壊さないようにするかもしれないしな。 初めてのものが口に合わないっていうのもよくあることだ。 「これがヨシカゲさんの故郷の味なんですね」 しかし、そう呟くシエスタの顔を嘘とは思えなかった。 「ありがとうございます。とても楽しかったです。お茶もおいしかったですし、ヨシカゲさんのお話も素敵でした」 お茶を二人でなくなるまで飲み、お茶会はお開きになった。 二人とも既に立ち上がっている。 「いや、こっちもなかなか楽しかった」 そう言うとシエスタは嬉しそうに笑う。 「また話を聞かせてくれますか?」 「ああ。その代わり字を教えてくれないか?こっちと私のいたところでは文字が違ってて読めないんだ」 「はい!任せてください!」 会話の流れによりさりげなく字を教えてくれるよう頼んだが、どうやらうまくいったようだ。 「それじゃあまたなシエスタ」 「はい。それじゃあまた。猫ちゃんもね」 シエスタがさりげなく私の足元の猫に言う。まだいたのかよ。 そして私たちはそれぞれの場所へ戻っていった。
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14 名前:220 サイト×シエスタ 1/5[sage] 投稿日:2006/10/15(日) 22 03 35 ID KjuIrP/V 貴族の相手は大変だ。身の回りの世話や部屋の掃除、帰郷の手配、手紙の配達… 夕食の準備なんてまるで戦争… 始祖は不平等だ! そう叫びたい… まあそれでも働くけどな… 異世界から、何が悲しくてこんなトコに来たのか、平賀才人は此処にいた。 ある日の夕方の事だ。いつもの様に交差点を曲がれば、自分の家が見えた筈。本を見ながら歩いていたので前は見ていなかった。 目の前に別世界への扉が開いているのにも気付かず、その中に入ってしまったのだ。 どうしてそんなモノがあったのかはわからない。が、次に視線を上げれば 自分の世界とは違う世界の建物が建っていた。昔、教科書で見た西洋の建築物に近い建物が。 異世界だと気づくのにそれ程の時間は掛からなかった。 その後は途方に暮れた。言葉は通じるが字は読めず、食事を摂るにも金が無い。 路上で恵んでもらおうかとも思ったが元は現代っ子。その勇気も無かった。 それから二日位だろうか。空腹で衰弱し、朦朧とする意識の中、最後に一際大きな建物を見て、体が倒れた。 消えゆく意識の中、近くに駆け寄って来た人物が、柔らかな腕を頭の後ろに回して抱き起こしてくれたのを覚えている。 16 名前:220 2/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/15(日) 22 05 48 ID KjuIrP/V 正に命の恩人。その相手とは… 「サイトさん!」 「はいぃっ!」 「忙しいんですから、早くお皿を並べて下さい!」 「ご、ごめんなさい!」 この子。名前をシエスタと言う。 次に目を覚ましたのは翌日の朝だった。ベッドに寝かせられた自分の頭を起こすと、傍らには椅子に座って、うたた寝をしていたシエスタが居た。 その彼女を起こし、ひとしきり自分の状況を説明すると、あっさりと言うことを信じ、 身の回りの世話や、貴族の世話人としての仕事まで都合してくれたのだ。 そんな生活に慣れて来た最近、だらけてしまうのも仕方ないとは思うのだが… 「私も自分のお仕事があるんですから、サイトさんも頑張って下さい!」 少しでもサボっている様に捉えると彼女は檄を飛ばす。 「は〜い…」 「貴族の方にそんな返事をすると起こられますよ!」 「はい!」 と、まあ命の恩人として、先輩として彼女には感謝している所である。 此処はトリステイン魔法学院。どうやら貴族専門の学校、要するにお坊ちゃまやお嬢様の学校らしい。 無礼があると大変らしいので、シエスタにはよく注意やお小言を言われるのだ。 テーブルに皿を並べ終え、また厨房に引き返す。 17 名前:220 3/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/15(日) 22 06 36 ID KjuIrP/V 「おう!サイト!又怒られてやがったな!」 フライパンを振りながら、気さくに話し掛けてきたのはマルトーと言う男。 どうやらメイドや給仕の親分格らしいのだが、その豪快な性格は皆の信頼を集め、サイトはおろかシエスタまで多々世話になったと言う。 「あんまりシエスタを怒らせるなよ!夜の相手もして貰えなくなるぜ!」 「そ、そんなんじゃないって!」 「「がっはっは!」」 地声が大きいせいで厨房の全てに会話が聞こえてしまい、皆の笑いを誘った。 「呼びました?」 タイミング悪くひょこりとシエスタが顔を出す。 「おう、シエスタ!お前とサイトの仲が気になってな!」 「「な、なんて事を言うんだ!(ですか!)」」 「なんだ、やっぱり仲がいいじゃねぇか」 焦ったように二人の声がハモったのを見て、皆は更に笑い出した。 サイトとシエスタは赤面し、次の皿を取り、逃げ出すように厨房を後にした。 「こ、困ったな…そんなんじゃないのに…」 「え…ええ…」 お互いの顔を見合わせた。 赤い。 「…」 「…」 「は、早く並べちゃいましょう!」 「そ、そうだな!」 駆け出して食堂へ向かう。 既に何人かの生徒はテーブルに着き、談話を始めていた。 18 名前:220 4/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/15(日) 22 07 32 ID KjuIrP/V 「あっ!」 焦っていたせいか、サイトは絨毯の歪みにつまづいて、転んでしまった。 皿の上の液体が宙を舞い、一人の貴族の服にかかる。 「きゃっ!」 「あっ!スミマセン!」 「何してるのよ!」 その貴族は虫の居所が悪いらしく、勢いよく席を立ってサイトを睨みつけた。 サイトよりかなり背は低いが、プライドの高そうな顔つきと鬼の形相にサイトはうろたえてしまう。 「あ、あの…」 「アンタ見ない顔ね!新入り?今まで何をして来たの!」 「そ…その…」 「どーすんのよコレ!」 その迫力で呼吸も出来なくなりそうになった、その時、 「どうも申し訳御座いません!」 サイトの前にメイド服の女性が、割って入って来た。 シエスタだ。 「アンタがコレの教育係?」 「はい…」 「どーすんのこの服?」 「…弁償させて頂きます…」 深々とシエスタは頭を下げたまま、誠実に伝えていく。 「その服もちゃんとお洗濯してお返し致しますので、どうか今日の所はお許し下さい…」 チラリとサイトに目をやった。サイトは意を汲んで、その傍らに立ち、 「すいません!もう二度と致しません!」 とシエスタに負けない程深く頭を下げた。 「ふん…」 一応怒りを収め、その貴族は席に着き直した。 19 名前:220 5/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/15(日) 22 08 33 ID KjuIrP/V サイトはその貴族の、桃色のブロンドが流れる後ろ姿にもう一度頭を下げ、シエスタと共に厨房に戻った。 「ごめん…」 「いいんですよ。次からは気をつけて下さい」 シエスタは大きな失敗をした時の方が、優しい言葉を掛けてくれる。 こういう時、もっと彼女を好きになるのをサイトは感じた。まだ夕食は始まったばかりである。 やっと貴族の夕食が終わり、その後に皿洗いを終えると、今度は使用人達の夕食の支度だ。 今日は二人が配膳当番では無いので、しばし二人きりで支度を待つことにした。 見れば、シエスタは手に薬瓶の中のクリームを塗っている。 「ソレなに?」 「ええ、手荒れが酷くならないように、手入れをしてるんです」 一種のハンドクリームだな。と、サイトは思い、興味深げにそれを見ていた。 「せっかくですから、サイトさんにも塗ってあげますよ」 「え、俺はいいよ?」 「ほら、遠慮なさらずに…」 シエスタはサイトの手を取り、そのクリームを手のひらにつけて、優しく塗り込んでいった。 柔らかい手だな… サイトはその手の感触に心奪われていく。 「俺も塗ってやるよ」 「ええ!?」 「ほら…お返し…」 サイトは手の中に余っているクリームを塗り返した。 その内、指を絡めてしまう様になり、沈黙してしまう。 「…」 「…」 夢中で手を絡めあって、何かしてしまいそうなその時、 「おーい!飯だー!」 と仲間の声がした。 慌てて指を離し、平静を装う。 俺…何してんだろ… 私ったら…いったい… 実は二人はまだ、何なかった。 281 名前:220 1/4 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/20(金) 23 06 49 ID Ny0/XuGv 19 夕食を終えて二人は部屋に戻った。魔法学院はその広い敷地に使用人用の寮も持っている。 当然、学院生用の部屋と比べれば粗末な部屋ではあるが、きちんと手入れをすればそこそこ快適に使えるのだ。 悪くても鏡台やベッド、日の射す窓や適当な机は用意されている。大概の部屋が多人数部屋だったりするのだが、シエスタは女の子と言う事もあり一人部屋だった。 ついこの前までは。 「ただいま〜」 「お帰りなさい…って私が言うのも変ですね?」 「いや、いいよ。なんか落ち着くし」 二人揃って部屋の扉を開けた。つまり今、シエスタの部屋には同居人がいるのだ。 勿論、サイト。 拾われて(?)以来、ずっと同じ部屋で暮らしている。当初はサイトも遠慮し、マルトー親父など大変な反対をしていたのだが、 「私が面倒を見るんです!」 と言う、彼女にしては珍しく強い主張により、結果二人は同室となったのだ。 因みにサイトの看病が行われたのもこの部屋である。 「今日も疲れたぁ〜」 サイトはベッドに腰掛け、そのまま上体を倒した。クスリ、とシエスタが笑う。 「どうもお疲れ様でした」 棚から実家より取り寄せた茶葉などを取り出し、シエスタはお茶の用意をした。 282 名前:220 2/4 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/20(金) 23 07 29 ID Ny0/XuGv 部屋には小さな釜程度は備えつけてあり、その上にシエスタは適当な鍋を乗せ、予め汲んで置いた井戸水を火にかけた。 サイトはベッドに横になったまま天井を見つめ、なんとなしにシエスタが何をしているかを感じていた。 「あ、サイトさん?」 「ん?」 「ちょっと向こう向いてて下さいね?」 「ん…ああ」 サイトは寝返りを打ち、シエスタから視線を逸らす。 警戒心が無いっていうか…俺も男なんだけどなぁ… 心の中でそうぼやきながら、衣擦れの音をサイトは背中で聞いていた。 シエスタはサイトが部屋に居るにも関わらず、平然と服を着替えている。 一応視線を逸らす様に言っているのだが、信頼しきっているのか部屋から追い出しもせず、寝間着や部屋着に着替えて見せるのだ。 視線を向けても気づかない時もある。時折誘っているのかとも思ってしまうが、彼女の優しさを知っているサイトはそうは思えず、出来るだけ覗くのも遠慮していた。 ガマンだ…ガマン… 私…いつでもいいんですよ… シエスタはいつも、そんな事を思いながら服を着替えていた。 283 名前:220 3/4 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/20(金) 23 08 14 ID Ny0/XuGv メイド服と胸の下着を下ろし寝間着を着る。 頭からすっぽり被る寝間着は母のおさがりのせいか少し大きめで、裾は床に着く程に長い。腕の袖にも充分な余裕があった。 「いいですよー」 サイトは体を起こす。 やっぱり可愛いな… 少し大きめの寝間着は、まだあどけない彼女を愛くるしく見せ、彼女のフワフワとした雰囲気と良く似合っていた。 この服では胸は強調されないが、いつも以上に母性が出ているな、とサイトは思う。無論メイド服も好きなのだが。 シエスタはカチャカチャと陶器の当たる音をさせて、机に二人分の茶器を並べていった。 「用意ができたから、座って下さい」 「ああ」 こうして一日の反省をした後、就寝である。 少々サイトは不眠気味だった。それもその筈、この部屋には壁際にベッドが一つしか存在しない。 二人の性格を考えれば当然、片方だけが床で寝る事など出来ないだろう。 ならば… 無防備すぎる… 腕の中に潜り込んで来た存在を、出来るだけ優しく抱き締めてサイトはそう思っていた。 一つのベッドに二人が寝ているのだ。 ベッドが足りなかったと言うのは方便だろう。 事実、シエスタの寝顔はサイトが見る限りいつも幸せそうである。 284 名前:220 4/4 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/20(金) 23 10 49 ID Ny0/XuGv 「サイトさん…」 寝言でいつも、シエスタはその名を呼ぶ。 その度に体をすり寄せて、甘える様にサイトの腕の中で丸くなった。 やっぱり…俺が好きなのかな… これだけ接近されていると、サイトはなかなか寝付けなかった。 握り締めたくなる白い手。 半開きの美しい唇。 年の割には発育の良い胸。 何故かする甘い香り。 聞こえてくる寝息は、サイトの理性を危うくしてしまう。 男である以上、下半身の暴走は止められない。定期的に「処理」しておかなければいつ「シエスタ」を食してしまうかわからないのだ。 まだ唇さえ奪っておらず、女性経験の無いサイトだからこそ、その場合の行動にサイト自身恐怖してしまう。 本能と理性が闘い、その疲れでやっとサイトは眠りに落ちる事が出来る。 完全にサイトが眠りに落ちた後、その隣で寝ていた筈のシエスタが上体を起こした。 横で寝ている彼を切なく見つめて、小さく呟く。 「ごめんなさい…」 暗闇に小さな水音がした。 「いつでもいいのに…」 少し残念そうに言って、寝間着の裾を口にくわえる。 声を出さない様にする為だ。 そのまま寝ているサイトに馬乗りになった。持ち上げられた裾からは下着が丸見えである。 332 名前:220 1/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 01 49 51 ID LFAwhiUB 284 シエスタの、「思い」を募らせていく時間が流れていった。 サイトは肌寒さを感じて、重い瞼を少しだけ開ける。 気づいているのかいないのか、シエスタは隣で上体を起こし、ベッドから床に脚を下ろした。 その体をもう少し抱いていたい思いをこらえ、扉に向かう彼女を見送った。 あ、朝風呂か… 昼夜を共にしているとサイトにも行動は読めてくる。 シエスタは大抵この時間、誰もが寝静まった時間を狙い、サウナ風呂に入るのだ。勿論、女性である為と、他の皆に気を使っての事である。 シャンプーなんか無いはずなのに…何であんないい匂いするんだろ… 寝ぼけた頭でサイトは、シエスタの心地よさを思い出していた。 女の子らしいし…可愛いし…いい匂いするし… シエスタは一度風呂に向かうと、数十分は帰って来ない。 この時、漸くサイトは「処理」に移る事が出来た。 「シエスタ…」 その時、周りに散ってしまう欲望に、サイトは気づいていない。 シエスタが戻って来る頃には、もう起床時間となっている。 起床自体は自由なのだが、仕事に加えて自分達の食事や洗濯、掃除などは昼間、貴族の相手で潰されてしまうのだ。 結局、早めに起床せざるを得ない。 333 名前:220 2/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 01 51 33 ID LFAwhiUB シエスタはサイトが寝ている事を確認し、新たなメイド服に着替えてから、シーツをはがして揺り起こした。 「サイトさーん?起きてくださーい」 「ん…」 「もう朝ですよー?」 「ん…もう?」 「はい。今日はシーツのお洗濯もしなきゃなりませんから、早く起きて下さい」 「はい…はい…」 つらそうに体を起こし、片手で頭の後ろを掻きながら、サイトはベッドから降りた。 「朝は寒い季節ですから、辛いでしょうけど、お洗濯はしますからね?」 まだ温もりのあるシーツを素早く畳み込んで、床に置く。 これで二度寝は出来ず、否が応でもサイトは目を覚まさなければならない。 「掃除とお洗濯、どうします?」 「ん?どっちでも…」 サイトは伸びをして、軽く窓に目をやった。朝とは言え、日は昇りきっている様には見えず、外は寒そうだ。 あんまり洗濯はしたくないな…でも… シエスタに目を戻す。 シエスタもしたくないだろうし… そんな気遣いを覚えて、サイトは返事をした。 「俺が洗濯するよ」 「いいんですか?お外はまだ寒いですよ?」 「うん…俺がやるから、シエスタは掃除を頼むよ」 「わかりました」 シエスタは頷いて、部屋の隅から洗濯カゴを取り出した。 334 名前:220 3/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 01 52 32 ID LFAwhiUB サイトはそれを抱え、次いでにシーツを放り込んで、扉を開けた。 暗闇の廊下はひんやりと冷たかったが、パーカーのおかげで、上半身は意外と温かかった。しかし下半身の冷えは否めない。 「寒っ…」 サイトは洗濯カゴを抱き込むようにして持ち、足早に廊下を駆け抜けていった。 シエスタはサイトが帰って来た時、冷えている事を予想して、暖炉の薪に火をつけた。 暑くなり過ぎないよう、暖炉の火を火箸で調整して薪も最小限にしておく。 それから少しの間窓を開け、換気をした。冷たい空気と、まだ成長しきらない日差しが入ってくる。 外には震えながら洗濯場に向かうサイトが見えた。 「寒そう…」 壁に立てかけてある箒を持ち、床を掃いていく。日差しによって埃の舞い散る様が見えた。 その間も気になって時折、窓から洗濯場にいるサイトの姿を覗く。 大丈夫かしら… 床を掃き終えた後、小さな金属の籠(バケツ)を取り出し、汲んで置いた井戸水をその中に流し込んだ。 雑巾をその中に浸すと、冷たさでみるみるうちに手は赤くなるのだが、その冷たさをこらえて窓を磨いていく。 「え?これって…」 何枚目かの窓を磨いた時、シエスタが「ソレ」に気づいた。 335 名前:220 4/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 01 53 18 ID LFAwhiUB 「さみぃ…」 サイトは井戸水のポンプの前で、両手を自分の体に回し、かがみ込んで全身でその寒さと戦っていた。 日差しはまだ明るいだけで、太陽光線はまだ温かみを与えてくれない。 透き通った空気は、冷たすぎて鼻が痛いほどだ。 備え付けてあるタライに水を溜め、洗濯板と洗剤を取り出し、まずはシーツを洗っていく。 「手が痛ぇ…」 寒さを耐え、木で出来た凹凸に布をこすりつけ、洗った物を片っ端からもう一つの籠に突っ込んだ。 次いでにパーカーを洗おうかとも思ったが、 「その服(パーカー)のお洗濯は私がします」 とシエスタが言っていたのを思い出し、やめておく。 勿論、カゴの中にシエスタの下着は入っていない。そういう物はちゃんとシエスタ自身が洗っていた。 干場に一通りの洗い物を干す頃、ようやく太陽ははっきりとした温もりを与え始めた。 空っぽになった洗濯カゴを抱え、サイトは部屋に戻った。 「お帰りなさい」 「ただいま…寒かったぁー」 「ふふ、お疲れ様です」 部屋の中はほどほどに温められ、サイトは自分が解凍されていく様に、体の力が抜けていくのを感じた。 シエスタは何やらお湯を沸かしている。 サイトは椅子に座り、伸びをした。 336 名前:220 5/5 サイト×シエスタ[sage] 投稿日:2006/10/22(日) 01 54 26 ID LFAwhiUB 「はい。どーぞ」 サイトの前に、湯気の立つコップが置かれた。 中を覗けば、白く濁った液体が入っている。鼻にかかるのは発酵した匂い。 「…コレなに?」 「ヤマジャケって言います?」 「ヤマジャケ?」 「はい。本当なら風邪を引いたときに飲むお薬みたいなんですけど、体が温まるからっておじいちゃんが良く飲ませてくれたんです」 サイトはそのコップをじっと眺め、片手で持って啜ってみた。 「…ふぅ…」 体が溶けるような暖かさと、柔らかな口当たり。 「お米から出来てるそうですよ。サイトさんはお米が嫌いですか?」 「いや、俺がいた世界じゃよく食べてた」 「そうなんですか?」 これは…甘酒だ… サイトは故郷の味を、不意に口の中に入れてしまった。 なんで…シエスタが? 「おじいちゃんが飲ませてくれた?」 「ええ」 「今、おじいちゃんはどうしてる?」 「随分前に…」 「あ…ゴメン」 ふるさとへの思いが沸いてきた。 シエスタは不思議そうにサイトの顔をのぞき込んでいる。 サイトはその視線に気づいた。 あまり帰りたい風に見せちゃいけないかな… 察されない様に、明るい表情で礼を言う。 「ありがとう。温まった」 「よかった…嫌いな味だったらどうしようかと…」 サイトはかぶりを振って、気分を変え、一日をやり遂げる気持ちを整えた。 頬を軽く叩き、シエスタに目をやる。 「じゃあ…今日も頑張るかな…」 「そうですね!」 シエスタの挨拶は気持ちがいい。こうして一日が始まっていく。 586 名前:220 サイト×シエスタ 1/5[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 21 45 06 ID sz6F31Qn サイト×シエスタの続きです。シエスタ分の不足を感じて。 …慣れない事はしない様にしましょう… 「もう!サイトさんったら!」 狭い部屋の中は慌ただしく動く二人と、シエスタの剣幕のせいで修羅場となっていた。 「えぇと!俺の下着、俺の下着…」 「そっちの引き出しにしまってあります!」 部屋の隅のタンスにサイトは飛びついて、片っ端から衣服を出していく。 時間は早朝とは言えない程日の登った朝だ。 「よし、後は…」 「後はなんですか?」 「無い!多分!」 「じゃあ早くまとめて…ってきゃああ!」 サイトの取り出した衣服の中には純白と薄い蒼色の、絹地の物が混ざっていた。 シエスタは急いで取り上げ、それを自らの鞄の中に押し込んだ。 「これは私のしょうぶ…」 「しょうぶ?」 「い、いいですから早く行きますよ!時間に遅れたく無いんです!」 よそ行きの帽子を片手でかぶり直し、白いブラウスの上に茶のコートを着込み、大きな荷物を片手にしたシエスタがドアの前に立つ。 「あ、ああ」 サイトの方も大きな荷物を片手で持って、急いで靴を履きなおした。 ドアを開けシエスタが駆け出すと、サイトが態勢を整えないままそれに続く。 587 名前:220 サイト×シエスタ 2/5[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 21 45 50 ID sz6F31Qn 「ふぅ…」 「ふぅ…」 「間に合いそうです…」 「そっか…」 帰郷用に、特別に手配された馬車に乗ってサイトとシエスタは並んで座り、背もたれに体を預けた。 足元には荷物をおいた。窓からは昼が近付いた事がわかる日差しが入り込み、その温もりはサイトの眠気を誘う。 整地されてない故の馬車の揺れと蹄の音は、心地よいほどだった。 その眠気に誘われながら、自分が今何故シエスタの帰省に付き合っているか、サイトは思いだしていた。 「今度のお休み、長いんですね」 「ああ」 日程表を見ているのは、シエスタとマルトー親父だった。並んだ二人の後ろから、文字のわからないサイトが話を聞く。 「そうなんですか?」 「ああ、珍しい話じゃねえんだ。季節毎に少し長い休みが貰えるのは」 「なんで?」 「とりあえず俺たちの仕事が結構大変だって、お上がわかってるからじゃねえか? 慣れれば貴族に仕えるなんて割の良いモンだ。休みは貰える、チップは貰える。ま、平民って分別はちゃんとつけなきゃなんねえがな」 余計な話も挟みつつ、さり気なくマルトー親父はサイトに注意を促した。 「貴族」には絶対逆らうな。と。 588 名前:220 サイト×シエスタ 3/5[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 21 46 52 ID sz6F31Qn さっとサイトに説明をすると今度は、シエスタの方へマルトー親父が向き直る。 「どうだ?そこそこ日にちがあるみてえだが?」 「ふぇ?」 いきなり話を振られ、シエスタが間の抜けた返事をした。 「そろそろ帰省の時期じゃないか?」 「あ、そうでした」 「「旦那」も紹介しなきゃならねぇだろう?」 「だ、旦那ぁ!」 やたら大げさな反応をしてしまったのはサイトだった。マルトー親父がそれを見てクックッと笑う。 「おっと、誰もお前とは言ってないぞ?サイト」 「サイトさん!誤解されちゃいますよ!」 「あ…ゴメン…」 今度はいきなりシュンとしてしまった。 どちらかと言えばシエスタの「誤解されちゃいますよ!」が効いている。 ああ、やっぱり誤解だったんだ… と。 尋常ではない落ち込み方をしたサイトを見てシエスタは、自分が何を言ってしまったか気が付いた。 「あ、違いますサイトさん…その、サイトさんじゃなくてマルトーさんが…」 「俺が悪者か」 「だから…サイトさんが嫌いって訳じゃなくて…むしろサイトさんの事はアレって言うか…」 「…お前ら」 言葉が耳に入らず、落ち込むサイトと慰めるシエスタ。 そんな二人を見てマルトーは二人用の馬車の手配を心に決めたのだった。 589 名前:220 サイト×シエスタ 4/5[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 21 47 51 ID sz6F31Qn 今考えるとマルトーさんのせいだなあ… ぼんやり、幌を眺めながらサイトは回想していた。 横ではシエスタが何かゴソゴソしている事が解るものの、そちらを向く気にはなれず、意識を溶かす事に集中する。 「サイトさん?」 「ん…」 「ほら、朝ご飯まだでしたよね?」 横からシエスタが顔を覗かせて来た。 「うん…」 何故か力が入らない。 「ダメですよ?ちゃんと朝ご飯は食べないと」 「う…ん…」 かろうじて返事をしたものの、夢の狭間まで来ていたせいか、はっきりとした返事は出来なかった。少しだけシエスタが困った表情をしている。 「もう…あ・さ・ご・は・ん!」 「ふぇ?」 「はやい内に食べてくれないと怒りますからね!それとも食べさせてほしいんですか?」 勝手に首が落ちた。それを「うん」と取ったのかシエスタが、驚いた風の表情を見せる。 「え?」 「…」 「サイトさんったら…仕方ないですね…」 「…」 「じゃあ…朝ご飯です」 その瞬間、一瞬サイトの記憶が消えた。ただし残った、唇の柔らかな感触。 「今日は…おいしかったですか?」 「うん…」 意識などないはずなのだが、勝手に返事をして、体が動く。 590 名前:220 サイト×シエスタ 5/5[sage] 投稿日:2006/11/18(土) 21 48 40 ID sz6F31Qn 「やだ…もう…」 気がつくとサイトの右手が、シエスタのふくよかな胸を掴んでいた。 柔らかで、夢にまでみた筈の膨らみ。 「これはゆうごはんですよ?」 手をはねのけるような事はしなかった。幾ら揉んでいても、シエスタは文句どころか、期待した瞳でサイトの手を受け入れている。 「あん…」 「…いい?」 「…いいですけど…ゆうごはんもちゃんと…」 「食べる」 「じゃあ…」 そのまま、シエスタがサイトを引き込む様に、二人は横になった。 「…サイトさん?」 「…ん?」 「サイトさん?サイトさん?」 馬車の動きは規則正しい。蹄の音がはっきり耳に入った。 「サイトさん?」 「…夢か」 「え?」 キョトンとした顔で、シエスタが袖を引っ張るのを止める。サイトは軽く伸びをして、周りを見渡した。 まだまだそれらしい村は見えていない。 「寝てたんですか?」 「うん…多分…」 ハッとしてサイトは、伸びを止めた。自分の体の異変に気づいて、体を縮こませる。 まずい… 「男」が反応していた。 サイトはその後、体の燃えと格闘するハメになった。 シエスタの唇と、自らの唇が濡れている事に気付かずに。 続く 多分こっちが本当の自分ですorz
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マダム すがすがしい朝がやってきました 村人は昨日のまま全員元気な姿で顔を合わせることができたようです 3 (冥土) ミクかわいい (*¬ω¬) 3 (冥土) ワルノス よし吊ろう 3 (冥土) ミクかわいい !!!! マダム 村人勝利 Fin マダムは拍手をした 3 (冥土) ワルノス はい 1 (マダム村) ミクかわいい おつかれさまでしたー! 3 (冥土) シエスタXX おわったw 1 (マダム村) Cindlitta おお。 1 (マダム村) SEIRIOS おつかれさまー 3 (冥土) おおかみん おおー 1 (マダム村) BBL お疲れ様でした 3 (冥土) ワルノス お疲れ様です 1 (マダム村) xこぅちゃx 勝負しすぎた てへぺろっ 3 (冥土) ミクかわいい SEIさんじゃなかったw 1 (マダム村) Cindlitta おつかれさまでしたー 1 (マダム村) れりか おつかれさまでしたー 3 (冥土) ワルノス 何これ最速 1 (マダム村) いあん おつ・・・ マダム では 配役です 1 (マダム村) シエスタXX おつつ~ マダム どーーん ミクかわいい ドーン マダム 人狼 xこうちゃx ワルノス マダム 占い師 いあん 霊媒師 シエスタXX 狩人 BBL 以上でした マダムは拍手をした ミクかわいい おつかれさまでしたー! 1 (マダム村) BBL 3日目 護衛先 いあんさん 理由 占いなので 1 (マダム村) BBL 4日目 護衛先 いあんさん 理由 占いなので 1 (マダム村) BBL 2日目 護衛先 いあんさん 理由 占いなので 1 (マダム村) BBL 狩人日記 初日 護衛先 松岡先生 ワルノス うがぁー 1 (マダム村) BBL 日記の意味がw 1 (マダム村) xこぅちゃx うわぁ狩人も間違ってた 勝てるわけにゃいw 1 (マダム村) ミクかわいい べったりだ!(* ω ) 1 (マダム村) ミクかわいい 狩人GJ~ 1 (マダム村) SEIRIOS ピトッ 1 (マダム村) BBL というか2連続とはw Cindlitta にゅたこが生き残ったぞ! 1 (マダム村) xこぅちゃx あぁわかってたよ・・・負けると思ってたよ・・・ 1 (マダム村) れりか 狩人さんGJです xこぅちゃx それならOKとする! 1 (マダム村) BBL ありがとうございます Cindlitta にゅたこばんざーい ワルノス あそこでCOはなしでしたかね? xこぅちゃx にゅたこを・・・食えるわけないじゃないか・・・(いあんさん食おうとしたけど) シエスタXX COはしなくてよかったかも ワルノス もう焦っちゃって・・・ SEIRIOS そのわりには食われ残ってるこぐおです・・・ xこぅちゃx 今日の全体的な戦犯は俺です。 ミクかわいい 村人の皆様には大変なご迷惑と進行に多大な影響を与えてしまい大変申し訳なく思っています・・・ ワルノス ばんさんの漢字も変換できずに トイレにったふりまでしたのに・・・ マダム イイノヨ ミクかわいい /dogeza ミクかわいい ギャー マダム 楽しければイイノヨ ミクかわいいは土下座をした BBL 誰に誤爆したのやら SEIRIOSはミクかわいいの頭をなでた ミクかわいい 泣きたい[ワーイ] BBL まあ問題なしですよ ミクかわいい よりにもよって占いさんに・・・ れりか わたしもわかってない(^^; xこぅちゃx 負ける時はあっさりと、勝つ時はシビアに・・・ Cindlittaはミクかわいいの天丼からとり天までもとってたべた。 ミクかわいいは〓■●_~□○0た ミクかわいい 村人の勝利です! Cindlitta じんr ミクかわいい クワッ SEIRIOS むりするなー jinjahime 安心のこぐねえ比率・・・ Akizuki おつです~ 1 (マダム村) いあん シエスタさんちょっと聞いていい? jinjahime パンダやコグオよりすくないとか 1 (マダム村) シエスタXX は、はひ! PEPPERMINT みくかわさん? PEPPERMINT ごばくりました? ミクかわいい え ワルノス 完敗ですorz 1 (マダム村) いあん スライド前に最初占いCOしましたよね? ミクかわいい なんでそのことをしttしてないですよ[ニコッ] ワルノス 狼難しい 1 (マダム村) シエスタXX したよ PEPPERMINT 同様してるw 1 (マダム村) いあん あれはどういうメリットがあって?? ミクかわいい 人狼心得ひとーつ! ミクかわいい 誤爆したらGMにTELLでお伺いをたてる!! 1 (マダム村) ワルノス そう かこちん 誤爆は心理 1 (マダム村) ワルノス それです ミクかわいい 泣きたい(切実) 1 (マダム村) xこぅちゃx あれはあんまりメリット無いと思った jinjahime 片翼取ってミルキーウェイ 1 (マダム村) ワルノス なんで先にシエスタさんなんですか 1 (マダム村) シエスタXX そんなんねーよ 1 (マダム村) BBL え!? 1 (マダム村) ワルノス え ミクかわいい 次回戦は見送ります・・・ 1 (マダム村) BBL 一生懸命メリット考えて私発言してたのにw 1 (マダム村) シエスタXX まあw 1 (マダム村) れりか 結果として、相談してない狼が焦りましたね 1 (マダム村) シエスタXX 少人数だったじゃん 1 (マダム村) BBL です 1 (マダム村) シエスタXX んで 1 (マダム村) ワルノス 行くしかなくなりました 1 (マダム村) xこぅちゃx 実はあそこまで確定しちゃったら 1 (マダム村) BBL 占いが確定したのが大きいです 1 (マダム村) xこぅちゃx 別段出なくてもいいと思ってたんだ 1 (マダム村) いあん うん 1 (マダム村) シエスタXX 占い2からスライドすると 1 (マダム村) ワルノス それ間違いましたよー 1 (マダム村) シエスタXX 占い確定になるよね 1 (マダム村) ワルノス 後で気づいたんですが 1 (マダム村) シエスタXX 狼なら 1 (マダム村) xこぅちゃx 占い確定になったらなったで 1 (マダム村) ワルノス あそこ行かないでよかったんですよね 1 (マダム村) シエスタXX そんな事しない 1 (マダム村) いあん 村の印象づけ?? 1 (マダム村) xこぅちゃx 狩人探して食えばいいかなぁと 1 (マダム村) ワルノス すみません 完全に失敗でした 1 (マダム村) シエスタXX おおかみが焦って出くればロラ 1 (マダム村) ミクかわいい 狩人との勝負だったのですね・・・ 1 (マダム村) いあん なるhど 1 (マダム村) xこぅちゃx いや、いいんよ 楽しかったからOKOK 1 (マダム村) BBL 所持気私の発言で狩人透けたのかと思いました 1 (マダム村) シエスタXX でてこなけりゃ 1 (マダム村) BBL 正直 1 (マダム村) シエスタXX 占い 霊ともに新確定 1 (マダム村) シエスタXX 真 1 (マダム村) ワルノス そう 確定するんでもういやだ状態です 1 (マダム村) BBL 占い先言ってとかの発言 1 (マダム村) シエスタXX だいたい 1 (マダム村) シエスタXX この少人数で 1 (マダム村) シエスタXX 狂人いないのに 1 (マダム村) シエスタXX 霊はほとんど無能です 1 (マダム村) ワルノス ええ 1 (マダム村) xこぅちゃx うん、だから霊が確定しても怖くない 1 (マダム村) シエスタXX なら 1 (マダム村) ワルノス それCoしたあと気づいたんですよね 1 (マダム村) xこぅちゃx 占いに出るべきだったんだろうね きっと 1 (マダム村) シエスタXX 心中してもいい 1 (マダム村) ミクかわいい 霊はボロ雑巾なのです・・・ 1 (マダム村) BBL なるほど 1 (マダム村) ワルノス ですねー 1 (マダム村) xこぅちゃx で、その後は 1 (マダム村) シエスタXX そんなことよりもだよ!!!! 1 (マダム村) xこぅちゃx うん? 1 (マダム村) ワルノス はい? 1 (マダム村) シエスタXX 先に釣られるこの悲しさ!! 1 (マダム村) ミクかわいい ww 村人勝利 配 役 人狼 xこうちゃx ワルノス 占い師 いあん 霊媒師 シエスタXX 狩人 BBL 4日目へ 2012年6月23日全ログへ
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647 名前:1/8[sage] 投稿日:2006/09/06(水) 01 13 43 ID Jui0qmhG サイトさんが、美味しそうにまかないを食べている。 サイトさんには言っていないけれど、最近のまかないは一部私が作らせてもらっている。 マルトーさんにお願いしたら、にっこり笑って。 「がんばれよ。」 って言ってくれた。 レパートリーもちょっとづつ増やしてる。 あ、 「おぉ、シエスタこれ美味い、おかわりある?」 私が作った料理を、サイトさんが美味しいって言ってくれるのが、最近の私の一番の幸せ。 「はいっ、まだまだありますよー。」 サイトさんは良く食べる。 作り甲斐がある、ってきっとこんな感じ。 「くはー、食った〜ご馳走様〜。」 お粗末さまでした。作ったのはまだ内緒、もっと自信がついたら教えるつもり。 「食器お下げしますね。」 サイトさんが私を見てる、どうしたんだろう? 「いつも悪いな、シエスタ、何かお礼しよっか?何が良い?」 「えぇぇぇえっ、お礼ですかっ、そんなっ、滅相も無い。」 食べてくれて嬉しいのに、この上お礼なんて、きっとばちが当たる。ばちって何か知らないけど。 「おぉ、そうかい、んじゃ、ちょっと頼まれてくれねぇか『我らの剣』。」 マルトーさんがのっそり出てきた。 「ん、いいよ、いつもご馳走になってるからね、出来ることならなんなりするよ。 でも、その呼び方はやめてくれよ…むずがゆい。」 サイトさんが答えてる。 マルトーさん何頼むつもりなんだろう?ちょっと羨ましいな、サイトさんにお願い。 「いや、『我らの剣』に時間が有るときでいいんだ、ちょっとばっかし、手間が掛かる。」 「明日でいいなら、ルイズ補習だし、一日動けると思うけど?明日でも?」 「おぉ、いいともさ、『我らの剣』。」 マルトーさんがこっちも見て、にやりって笑った……なんで? 「うちの若いのと一緒に、ちょっと町まで行って食事をしてきて欲しい。」 「は?なんで?」 「いや、若いコックにとっちゃ、いろんな料理を食べるのも勉強だろう?」 「なるほどねぇ、んで俺付き添い?」 「まぁそんなもんだ、女の子だからなぁ、一人で町にはやれねぇさ。」 えぇぇぇぇぇっ、ずるいっ、マルトーさん誰だか知らないけど、ずるいですっ。 「なるほどね、ボディーガード兼ねるのか、確かに俺、丁度良いね。」 サイトさんは確かに強いけど、ずるいですっ、うらやましいなぁ……。 「ま、そうゆうわけでシエスタ、明日は一日休みだ、『我らの剣』を独り占め、街の味をしっかり学んで来いよ。」 えっ…… 「え?シエスタなの?」 「おぅともよ、不服か?『我らの剣』。」 「いや、シエスタと一緒なら嬉しいくらいだけど。」 う、うれしいっっ、サイトさんが……嬉しいって……。 「さっき、『我らの剣』が食べたまかないだって、シエスタが作ったしな。」 あぁっ、マルトーさん、それ内緒っ。 「へー、凄いな、シエスタ。」 サイトさんがこっちを見てる。 「んじゃ、明日はよろしくな。」 私は大慌てで、待ち合わせを決める。 サイトさんが、厨房を出て行くとマルトーさんが言った。 「シエスタ、帰ってくるの明後日の朝でも一向に構わんからな。」 私は真っ赤になった。 「マっ、マルトーさんっっ。」 笑いながら立ち去るマルトーさん…… ちょっと強引だけど……ありがとうございます。 648 名前:2/8[sage] 投稿日:2006/09/06(水) 01 14 20 ID Jui0qmhG シエスタとの待ち合わせの時間はもう少ししてからだけど……。 学園正門前の乗合馬車、ぽつぽつ人が集まってる。 次か、次の次に乗れるかな? ちょっと緊張する、冷静に考えるとデートじゃんこれ。 ルイズには、ばれない様に細心の注意を払った。 かなり早めに部屋出たし、ギーシュと出かけるってアリバイも作成済み。 ギーシュは本当に街に出るらしいし、丁度良い。 「さいとさぁぁぁぁん。」 シエスタの声だ。 もう直ぐ角を曲がるみたいだな。 シエスタの姿が……見えてきた……歓喜のあまり、俺は硬直する。 「シ、シシシシエスタァァァ。」 「はい、サイトさんお待たせしました。」 「ウゥンイマキタトコロサ。」 ベタな返事をしてしまう、俺の頭は真っ白だ。 だって、シエスタ、セーラー服。 「えっと、ちょっと悩んだんですけど……サイトさんとお出かけだったら、これが良いかなって……変……ですか?」 シエスタがちょっと困った顔でこっちを見てる。 「いや、よく似合ってるよ、シエスタ。」 いやもう本当に良く似合ってる。 シエスタにセーラー服が似合うのは知っていたけど、こんなシュチュエーションだと…… 地球でデートしてるみたいだぁぁぁぁ。 しかも、俺、そんな美味しい思い出ねぇよぉぉぉ。 頭から湯気が出そうだ。 「サイトさん?」 シエスタが不思議そうにこっちを見てる。 「い、いこうかっ、シエスタ。」 ギクシャクと、馬車の方に向かおうとすると…… ふよんっっとしたものが、腕に当たる。 うおぉぉぉぉぉぉ、腕組んでますよ、セーラー服の美少女と。 「いっ、行きましょうっ、サイトさん。」 流石に、シエスタも緊張した面持ちだ。 あ、でも……ちょっと震えてる……。 「あの……。」 「なに?」 「迷惑なら……言って下さいね…私多分……調子乗ってます。」 肩の力がいっぺんに抜ける。 シエスタが緊張してないわけない…… お、俺がっ、しっかりリードしないとっ。 「迷惑なわけないじゃん、シエスタ。今日やゆっくり楽しもうね。」 「はいっ。」 腕をぎゅっと抱きしめながら、シエスタが笑う。 良い一日になりそうだ。 馬車に乗ろうと、シエスタの手を引く。 あれ……シエスタが妙に回り気にしてるなー…… あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ シエスタさん、セーラー服 ってことはぁっぁあ。 シエスタさん、ハイテナイッ。 サイトサン、はカタマッタ。 「サイトさん。どこに座りましょう?」 シエスタがくるり、と振り向く。 シエスタさんだめぇぇぇぇ、スカートがスカートがっ。 「あ、あぁっ、そこのあいてる所で……。」 ……手に汗握る一日になりそうだ… 649 名前:3/8[sage] 投稿日:2006/09/06(水) 01 14 51 ID Jui0qmhG 馬車の中で3時間、サイトさんとお喋り。 他愛もない話ばっかりだったけど、それでも新鮮。 ひいおじいちゃんの国の話は、周りに人がいるからしなかった。 でも、だからサイトさんの日頃のお話がたくさん聞けた。 乗合馬車は狭いし、サイトさんと隣の席だったので、ピッタリくっついた。 「シ、シエスタ、ちょ、ちょっとくっ付き過ぎじゃない?」 サイトさんが、私の胸を気にしてるのが分る。 ちょっと恥ずかしいけど…同室で同居みたいなハンデ背負ってるんですもの、押せる所は押さないとっ。 「すいません、サイトさん、馬車なんて乗りなれないもので…、怖くって。」 これは本当。お金かかるし、めったに乗らない。 「でも、サイトさんと一緒だったら安心ですよね。」 これも本当、言いながら、腕じゃなくて、サイトさんの胸に手を回す。 「ここだと、とっても安心できるの。」 ……これは嘘、凄く……ドキドキしてる。サイトさんにばれたらどうしよう。 「そ、そそそそそうかぃ、シエスタじゃあ……仕様がない……。」 あ、認めてくれた。 サイトさんの胸に、頭ごともたれ掛る。 「ごめんなさい、暫く………このままで……。」 「あっ、あぁっ。」 サイトさんの心臓の音が聞こえる…… サイトさんもドキドキしてるのが分る。うれしいなっ。 べったり甘えた姿勢のまま、馬車での時間はゆっくり過ぎた。 650 名前:4/8[sage] 投稿日:2006/09/06(水) 01 15 22 ID Jui0qmhG 馬車での、天国のような地獄の時間がやっと終わった。 シエスタの柔らかい感触が、あっちこっちに残ってる。 (柔らかかったなぁぁぁぁぁ。) が、時間とともに高まる、周りの野郎達の殺気は……恐怖だった…… 何回か死ぬかと思ったなー、 シエスタがキスしてきたときと、 馬車が揺れて、シエスタの胸に倒れこんだときと…… ………まぁ、総合的には天国だったな… シエスタが周りをきょろきょろ見てる。 「どうしたの?」 「いえーお使いでなく、ゆっくり来るのって、始めてかも……。」 おどおどしてる様子が可愛い。 「んじゃ、食事の前に街を一回りしますか?お嬢様?」 シエスタの手を取りながら、おどけて言った。 「あら、サイトさん、私杖を持ってサイトさん追いかけないといけないのかしら?」 それは勘弁。 「ごめん、ごめんシエスタ、まぁぶらっとうろついてみる?いいところ有ったらそこに入ろう。」 軍資金はたっぷりある。戦争の報奨金はそれなりにもらってるし ……賭場のルイズ並に無茶しなきゃ大丈夫だろう。 「はいっ、サイトさん。」 また腕を組む、馴染み始めてる自分が怖い……シエスタが居ないと腕が寂しい感じすらする。 自己主張とボリュームたっぷりのおっぱいの所為だね…… 大通りを歩きながら、ちょっとしたことに気がつく。 ……みんなこっち見てる…… 正確にはシエスタを…… ギーシュの反応でも分るように、 セーラー服はリビドーを直撃するようだ… シエスタ可愛いし……馬車のときのような視線が増えてくる…… あー、くそっ、シエスタにつりあってませんよっ、どうせっ、おれはっ。 周りに嫌がらせもかねて、シエスタをちょっと抱き寄せる。 「サ、サイトさん?」 「いや、道が狭いしね、もうちょっと側においで、シエスタ。」 「は、はいっ。」 真っ赤になってるシエスタ。 同時に、周りの殺気が膨れ上がる……知ったことか。 「シエスタ、どんな所に行きたい?」 「サイトさんは?どんな所がお勧めです?」 「いや、おれここの人間じゃないし、知ってる所あんまりないんだ。」 「あんまりって事は、ちょっとはあります?」 「………まぁ……ちょっとは。」 「じゃあ、最初はそこに行きましょう。」 「……ん〜いいのかなぁ……。」 女の子同伴で……魅惑の妖精…… ま、いっか。 あそこで、誰かにお勧めのレストランでも聞こう。 シエスタとピッタリくっつきながら、昔のバイト先に向かった。 651 名前:5/6[sage] 投稿日:2006/09/06(水) 01 15 59 ID Jui0qmhG 知り合いの店とはいえ……女の子だらけだった…… 「サ、サイトさん?」 「んー?」 「なんでここなんですか?」 「いや、ほら詳しそうだし、料理屋とか。」 「あら、サイトどうしたの?」 ジェシカがサイトさんに声をかける。 あ、なるほど……でも… 「よ、ジェシカちょっと聞きたいんだけど……。」 サイトさんがジェシカと話をしてる、ちょっと置いていかれた気分。 料理屋さんの話や世間話……話し込んでる…… 「……あんまりルイズちゃん、泣かしちゃ駄目よ、サイト。」 サイトさんに言ってから、こっそり私に 「頑張ってねっ、シエスタ」 って言っていった、たぶんサイトさんにも聞こえてたと思うけど。 「……知り合い……でしたっけ?」 「うん、ここのオーナーの娘さん。」 そういう意味ではないです……知ってますし。 「……綺麗な……人ですよね。」 あえて、黙り込む。 女の子と二人のときに、他の子を見るのは失礼だと思う。 サイトさんが困ってる、でも、もうちょっと困ってもらおう。 サイトさんが深呼吸してる。 「……シエスタの方が綺麗だよ。」 えっ…… 「シエスタ、可愛いよ。」 「えぇぇぇえっ、サイトさん何言ってるんですか?正気ですか?大丈夫ですか?」 サイトさんが、いきなり私を褒めるなんておかしいと思う。 サイトさんが笑ってる。 「いや、真面目にね。」 真っ直ぐに私を見る、真剣な目。 「地球に帰って、好きな子とデートしてるみたいだよ。」 「あ、えうぇぇぇぇぇ??」 「その服さ、俺と同年代の女の子が着る服なんだ……、まるで地球に帰ったみたいで嬉しい。」 「あぁの、あのあのあのっ………。」 「何?」 「好きな人……居たんですか?……故郷に。」 どうしても聞かないと……いけない気がした。サイトさんは、だから帰りたいのだろうか、私も、ミス・ヴァリエールも置いて。 「いや、居ないけどね……。」 笑ってる。 「本当に?」 「本当、もてないしね、俺。」 ……嘘だと思った。 「うそつき。」 「いや、ほんとーだって、ガンダールヴじゃなきゃ……強くなかったら、シエスタだって…。」 馬鹿にされている、そう思った。 「違いますよ、私がサイトさんを好きなのは、メイジに勝ったからじゃ有りません。」 「えっ、でもシエスタ……。」 「サイトさんボロボロに成っても、向かって行ったじゃないですか、 普通なら止めちゃう所で、剣を取って、前を向いたから、 私はサイトさんが好きなんですっ。」 言ってる間に段々興奮してきて、身体が熱くなる。 652 名前:6/6[sage] 投稿日:2006/09/06(水) 01 16 30 ID Jui0qmhG シエスタが、立ち上がって叫んでる。 シエスタの格好と相まって、店中の注目の的だ。 ジェシカが向こうで睨んでる……ごめんなさい。 でも、ついさっきちゃんと褒めろ、って煽ったのアンタじゃんか…… でも実はかなり嬉しい、こっちに来て、ある意味初めて『才人』って見られた気がする。 使い魔でも、ガンダールヴでも無い。 思い出す。ギーシュに勝つまで、まともな人間扱いしてくれたのは、この子だけだった。 「ごめん、シエスタ。」 シエスタを見ると、興奮しすぎて涙目に成ってる。 「ごめんね……落ち着いて…。」 息を静めて、ストンと椅子に座り込む。 俯いたまま……随分本気で怒らせてしまったようだ…… でも、気が付いた、ごめん、は相応しくない。 「違うな……ありがとう、シエスタ。」 シエスタがちょっとこっちを見てくれる。 「凄く嬉しい、強くない俺なんて、誰も興味持たないと思ってた。」 力を失ったら何の価値もないと、剣の修行をしていた俺……。 「でも、シエスタはずっと前から、俺がどう戦ったら良いのか、見ててくれたんだね……ありがとう。」 まだ俯いているシエスタの頭を、そっと撫でる。 ビクッと震えるシエスタが可愛い。 「……落ち着くまで……。」 「うん。」 シエスタの求めに応じて、そっと髪を指で梳く。 暫くしてやっと。こっちをちゃんと見てくれる。 「分ればいいんです。」 「ありがとう、ごめんね。」 ほっとする、でも、ちょっとやばい。泣かした女の子を泣き止むまで触り続けるって……あーやっぱ、向こうでジェシカが親指立ててる…… ちょっと、クールダウンしよう。 「でも、シエスタ、駄目だよ。」 「?」 「履いてないのに、いきなり立ち上がったら、見えちゃうかもよ?」 真っ赤になるシエスタ。 「ちちちちちち、違いますよぉぉ、今日は履いてます。」 ほっとするけど、ちょっと意外。 「出掛けに、ミス・ヴァリエールに借りました。」 えぇぇぇぇぇ、ルイズに? 「サイトさんと……デートするから、新しい下着貸してください、って言ったら快く……まぁ、貸してくれないと履くもの無いって言いましたけど。」 ガクガク震えだす俺の身体……占める感情は…恐怖っ!! 力の入らなくなった手が、シエスタの頬を伝う…… 「あ……。」 最近のルイズのお気に入りは、早口ヴァスラ、3分間……死ねる 「あの……サイトさん……私……今日……帰りたくない……。」 「オ、オレモデス、カエリタクナイ。」 周囲が急に盛り上がる、あれ?俺なんか言った? そういえば、注目の的だっけ? 拍手とともに、なぜかジェシカが向かってくる。 ジェシカに手を引かれて、俺とシエスタは何故か客用の泊り部屋に通された。 あれ? 73 名前:1/11[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 06 25 ID xXGBplNJ 「これなんかどう?」 ジェシカが薦めてくれたのは、水着に見えた…… 「ジェシカ……私、着替え借りたいだけなんだけど。」 折角だから、魅惑の妖精でスカロンさんに、いくつか料理を教わることにした。 その間……サイトさんは、へへへへへやで、待ってる。 ジェシカがにこやかに、一部屋用意してくれた。 今日はお泊り。 ……ミス・ヴァリエールは毎日サイトさんを独り占めしてるんですから、 ……一日位良いですよね。 本人が聞いていたら、絶対いいって言わないけど。 お料理するのに、サイトさんに貰ったお洋服が汚れると嫌だから、 着替えを借りようとジェシカの部屋に来た。 で、 「なんで、水着?」 「まぁまぁ、騙されたと思って…ねっ!」 ジェシカは押しが強い……結局着せられる。 「んで、はい。」 エプロン? 「油はねたりしたら危ないでしょ?」 「普通の服貸してくれれば良いのに……。」 「まぁまぁ、取り合えず着た着た、厨房に行くわよ。」 うん。 エプロンなんて付けるだけだから、直ぐに用意は終わるけど。 結局そのままの格好で、ズルズル厨房に行くことになった。 なんだかすれ違うお客さんたちが、 びっくりした様にこっちを見るのが、気になるんだけど…… 厨房にスカロンさんは居なかったけど、たくさん料理を教わった。 食堂の料理と、味付けのコンセプトや盛り付けが随分違って勉強になる。 一生懸命、勉強してると…… 何故かジェシカに叩かれた。 「いたっ、何するのっ?ジェシカ。」 「あ・ん・た・はっ、何真面目に料理してるのかなっ?」 「えっ、でも……街の味をって。」 「そんなの、口実でしょーがっ、もうっ、随分経つじゃないっ、ちゃっちゃっと部屋行って、一発決めてきなさいっ。」 「い、い、い………。」 思考が停止する。 「あぁ、もうっ、えっと、これとこれとこれと。」 私が作った料理や、魅惑の妖精のオリジナルメニューをいくつか選んでワゴンに載せてる。 「さってっと、行くわよーシエスタ。」 ジェシカに引っ張られる。 ……いっいっいっっぱ…… 転ばなかったのが、とっても不思議。 74 名前:2/11[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 06 55 ID xXGBplNJ バイトしてた頃は、掃除のときくらいしか入らなかったスイートルーム。 綺麗に整えられた部屋と、……大き目の一つのベット…… 見た瞬間体が硬直する。 コンコン ドアがノックされる…… 「は、っはいっっっ。」 声が裏返る。 ゆっくりとドアが開き…… 「はぁい、サイトくん。」 スカロン店長だった。 想像とのあまりの落差に、泣けてきた。 「な、なんすか?店長。」 「いやぁねぇ、今日はサイトくんお客さまよぉ、あらぁ、いやだわぁ、私ったらこぉんな口聞いちゃって、ミ・マドモワゼルしっぱぁい。」 い、いつもよりキツイ…… 「い、いつもどおりでいいです、店長。」 ジェシカに部屋代として、適当にお金を渡したらここに通された。 多すぎたみたいだ。 「まぁ、ベットメイクとお部屋のチェックは済んでいるけど、お風呂を沸かしにね。」 この部屋そんなものまで付いてるのか…… 学生寮とはいえ、貴族のルイズの部屋にも着いてないのに…… 幾ら位の部屋なんだろう……ここ。 スカロン店長がバスルームに入っていく。 よく見ると、鉄のバケツを提げている。 「めったに使わないんだけどねぇ、よいしょっと。」 浴槽の上で、バケツをひっくり返す。ジューっと言う音共に湯気が立ち始める。 焼いた石かな? 「お湯が温くなったり、沸かし直したいときは、私をよんでねぇ。」 「あ、すいません。」 「それでねぇ、サイトくん。」 「はい?」 スカロン店長が、バケツを抱えて、こっちを見てる。 「人の妹の娘を、寄りにも寄って、家で傷物にする気なら……。」 メキャメキャメキャメキャ…… バケツが……バケツだった物に変わった。 「男として、それなりの考えがある。覚悟しろよぉ?」 たまにしか聞けない、スカロン店長の漢バージョン…… こえー、泣きそうだ……今日俺、なんか怖がりすぎだろぉ。 「あー、でもねぇ。」 オカマ声に戻る。 「あ〜〜んなに可愛い、シエちゃんに、てぇ一つ出さないのは、失礼だって、ミ・マドモワゼルはおもうなぁ。」 どうしろっていうんですかっ、スカロン店長。 「あら、いやだ。」 とかいいつつ、バケツだった物を摘みながら、恐怖と混乱の権化は立ち去った。 ……逃げるべきだろうか…… コンコン 恐怖が蘇る、ノックの音。 「はっ、はぁぁぁぁい。」 われながら逃げ腰だ。 「失礼いたします。」 ジェシカだった。 ほっとする。食事を運んでくれたみたい。 「あ、ありがと。丁度お腹空いてたんだ、シエスタは?」 ニヤリと、ジェシカが笑う。 ……何たくらんでやがる。 ジェシカが、自分の身体でカバーしていたドアの影を見せた。 75 名前:3/11[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 07 26 ID xXGBplNJ 「ここでじっと、正面を見ときなさい、いいわね、シエスタ。」 って言われた地点で待つ。 「……シエスタは?」 サイトさんの声だ。 ジェシカが回る様に私の前からどいて、背中にがっしり張り付いた。 「ちょっと、ジェシカ。」 「ほら、シエスタ、正面、サイトくんみてっ。」 ひそひそと、囁くジェシカ。 不思議に思ってサイトさんを見ると……あれ? 「は、は、は、……。」 なんだか、赤くなって止まってる、慌てて駆け寄る。 「サ、サイトさん。」 「は、はだかっ…ぇ…………?」 「へ?」 後ろで、ジェシカが笑い転げてる……何が有ったの? 「いやー、サイトくん流石、妄想大爆発!、男の子だねっ。」 ジェシカにその場で回転させられた。 「なぁぁぁに、考えたのかなっ?」 「え、あうぁぁぁぁぁ。」 頭を抱えて、座り込んでしまう。 「サ、サイトさん大丈夫ですかっ?」 なんだか真っ赤になって、顔を上げてくれない。 その間にジェシカは、室内のテーブルに配膳していく。 「では、ごゆっくりお寛ぎ下さい、お客様。」 にっこりと営業スマイル。まって、ジェシカ…… 「お風呂の方は熱めにして在りますので、お好みのお加減でご使用下さい。」 ジェシカが部屋から出て行く。 「それでは失礼いたします、食器は後で下げに参りますね。」 ……この状態のサイトさんと二人にされてもっ……… 「あ、あのサイトさん、お食事ありますけど……。」 俯いたまま、サイトさんがテーブルに着いた。 「……いただきますね。」 サイトさんも、真っ赤なまま食事を始める。 ……どうやら、さっきのことには触れない方がいいみたい。 「あ、サイトさん、そちらの料理、味の方いかがです?私が作ったんです。」 「え、あ、そうなんだ………うん、美味いよ。」 「えへへー、ちょっと自信有ったんです。お口に合ってうれしいな。」 多分話がそれて、ホッとしたのか、やっと話し始めてくれた。 「今まで、厨房に居たんだ?」 「はい、色々教わったので、明日マルトーさんにも伝えます……多分ご存知でしょうけど。」 「いや、言って見ないと分らないって、ひょっとしたら、食堂に新しいメニュー増えるかもな。」 「えー、そんなこと無いですよ、きっと。」 他愛ない話が本当に嬉しい。 「さっき、スカロン店長が来たよ、お風呂沸かしていった。」 「ジェシカも言ってまし……た……ね……。」 気が付いた……お風呂、ここに泊まるんだ、サイトさんと二人で。 あぁぁっぁぁあ、ベット一つしかない……ジェシカちゃんGJ! 妙に意識して、赤くなってしまう。 サイトさんも同じみたいで、そわそわし始めた。 「あ、おれ、先風呂入ってくる、熱い風呂の方がこのみだしっ。」 サイトさんが行ってしまう、ちょっと残念。 落ち着いて部屋を見ると、凄い部屋だった。 小物とかもかわいー……スカロン伯父様趣味はいいのよね……趣味は。 サイトさんは気付かないだろうけど、調度品はどれも高級品だ。 ………ここで……今夜……ちょっと赤くなる、でも多分サイトさん何もしないと思うけど。 何か?までかは分らないけど、サイトさんが私達に手を出さない理由。 多分それを聞かないと、進展することは無いと思う…… まず、それを聞かないとね……がんばるっ。 決心と共に、ふと、ジェシカちゃんの着せてくれた、水着を見る。 あ、……ここまで分ってたのかな?ジェシカ。 76 名前:4/11[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 07 57 ID xXGBplNJ その場に有った手桶でお湯を浴びる。 まだ顔が赤い気がする……。 ジェシカに思いっきりからかわれた……。 確かに、そう見えたとはいえ…… シエスタの裸エプロンはありえない。 「ふいーーー。」 湯船につかる、かなり大きい湯船だ。 熱めだけど、あのままあの格好のシエスタの居たら…… 多分、理性が切れる。いや、絶対切れる。 「責任……とれねぇーしなぁ……。」 風呂場の天井に呟く。 「何が取れないんですか?」 「ん?いやね……っって、シエスタさん?」 風呂場のドアの向こうにシエスタが…… 「しつれーしまーす。」 居た、既に風呂場に居る。 「な、ななななんなぁぁぁぁぁ。」 まともに喋れない、前の暗い庭とは違う。 ここは一応明かりが入ってる、一緒に入ると、ばっちり見える。 「ご一緒してもいいですか?」 「ご、ごぉぉぉぉぉぉ?」 いや、だからシエスタさん、見えちゃいます、お互いに、冷静になりましょう。 シエスタがエプロンに手を掛けスルリとほどく。 「ゴクリ。」 喉が鳴る、目があっちこっちに釘付けになる。 「実はこの下のこれ、水着なんですよ。」 エプロンを脱衣所に投げながらの宣告。 ……体中の力ががっくり抜ける…… (そーだよなー、そーいやそーだよなー) シエスタが身体を流して、湯船に入ろうとしている。 あー……水着って面積下着と一緒。 うれしい事実に気が付く、凄く儲けた気分で、シエスタを見つめてしまう。 「サ、サイトさん?」 あ、ばれた。 「……前も言いましたけど。」 「ごめんなしゃい。」 「見たいんなら、そう言って下さい……私は隠しませんよ。」 反射的に謝ってから、シエスタを見る……。 にこやかに微笑んだまま、こっちを見てる。 「見たい……ですか?」 シエスタが、背中に手を回そうとしてる。 「ちょ、まって、シエスタ。」 見たいけど。 「……私……魅力ないですか?」 有りすぎです。ばっちりです。 「かっ、可愛いけどっ、こういうのはっ、なんかちがうっ。」 声を絞り出す、はっきり誘惑に負けたかったけど……だめだ。 「じゃあ、このままでいますねー。」 残念だけど、ホッとする。 「その代わりに、サイトさんがどうして何もしないか、教えてくれませんか?」 もう一度見たシエスタは、もう笑っていなかった。 77 名前:5/11[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 08 28 ID xXGBplNJ ……ちょっと卑怯かもしれない……でも…聞きたかった。 サイトさんもこっちを見てくれる。 目が真面目になって、私の目を見てる。 「……俺は……居なくなるかもしれないから。」 それだけ言って、目を逸らす。 「ここで誰かを好きになっても、付き合っちゃいけないと思う。」 「シエスタは可愛い、ルイズだって可愛い、正直手を出したくなる時だってあるし、出しかけたこともある……。」 ミス・ヴァリエールに……ですね。 「でも、駄目だよ、俺は男だから、責任とれないことはしない。」 サイトさん、優しいです。 でも、それじゃ 「わたしや、ミス・ヴァリエールは迷惑ですか?」 わたし達の気持ちは、どこに行けばいいのだろう? 「ちがうっ、二人とも、好きでいてくれるのはうれしい。……それに……俺は嫌われる度胸もないから、……冷たくも出来ない。」 貴方が嫌われたくない、って思ってくれてるって分って嬉しいです、サイトさん。 「サイトさん、我侭ですね。」 「………うん……ごめん……き…らいに…な…った?」 小さく聞いてくるサイトさんが、声の様に小さい子に見える。 かわいい……つい、そっと抱き寄せる。 「シ、シエスタっ、だからっ。」 もがくサイトさん……でも、嬉しそう。 「サイトさん、つらかったですか?」 サイトさんの頭を、そっと撫でながら聞く。 「帰れなくて、つらいですか?」 サイトさんが震える、多分、私が聞かないといけないことは、これ。 「帰れなくなるのが怖いですか?」 サイトさんが、横に頭を振る。 「違うんだ……シエスタ、俺は多分あっちでは……誰にも必要とされてない。」 びっくりした。 「多分ね……シエスタ、俺は、帰るのも、帰らないのも怖いんだ。」 「帰るって、言い訳して、女の子に手を出さないのも、帰ったときが余計怖くなるから。」 サイトさんが震えてる。 「帰らずにここで暮らせば、今までの俺はなんだったのか分らなくなる。それが怖い。」 「俺はどこにも居場所がない、故郷では必要ないし、ここでは異邦人だ……、それが……悲しいんだよ……。」 私は、そっとサイトさんを抱きしめる。 「私は、サイトさんが必要ですし、同郷ですよ……帰る場所も行く場所もないなら……ここに……。」 ゆっくり腕に力を込めて、サイトさんを強く抱きしめる。 「帰ってきてください、どこに行ってもいいです、きっと、ミス・ヴァリエールの所にもサイトさんは行きます。」 ミス・ヴァリエール可愛いし、サイトさんの周りは美人が多すぎる…でも。 「ここに……帰ってきてください。」 力を抜いて、サイトさんの目を正面から見る。 あ、潤んでる、かわいー。 「私はそれだけで満足ですよ。」 今度は私が、サイトさんの胸に飛び込んだ。 78 名前:6/11[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 09 14 ID xXGBplNJ シエスタの柔らかい身体が俺の腕の中に有る。 緊張してる……顔を見なくても分った。 多分、返事を待ってる。 困った……多分、俺は受け入れたいんだ……シエスタを、今まで張ってた虚勢はさっき破られた。 断る理由は一つだけ。俺の覚悟。 ここで暮らし、ここで死ぬ。たったそれだけの覚悟……。 でも、今まで出来なかった覚悟だけど…… (そういえば……地球にシエスタは居ないんだよな。) 腹が決まる、きっとこんな感じだ。 今まで生きてきて始めて、身体に芯が通ったような気がする。 親戚の叔父さんの言った、男は結婚して一人前という言葉の意味を知る。 (叔父さんは、破産して離婚したけど。) どうでも良いことまで思い出したが、取り合えず決めたことを言う。 「シエスタ。」 「はい。」 ずっと、返事待ってたんだ、それだけなのに、妙にうれしかった。 「質問に、質問で返すのは、失礼だけど……いいかな?」 俺は切り出す、でもここは譲れない。 「……はい。」 ちょっと、怖がってるのが分る。ごめんねシエスタ。 「俺と付き合ってもらえるかな?シエスタ、これからずっと。」 古風な考え方だろうけど、告白は男の方からしたかった。 シエスタだけに、勇気を振り絞らせるのは、卑怯だと、そう思った。 シエスタが、俺の質問を理解してくれるのを待つ。 ……真っ赤になったシエスタが、首をガクガク縦に振った。 「はっ、はいっ、あのあのあのあの………おねがぃ……します。」 うれしかった。もうこのままハルケギニアに骨を埋めてもいい。 シエスタのひいじいさん、アンタと今なら話が合う。 優しくシエスタを抱き寄せる。 風呂で火照ったシエスタの身体が、柔らかく俺の身体に当たる。 あ、やば。 身体の一部が過剰に元気になる。 シエスタに当たる……うぁ……はずー 「サ、サイトさん。」 いや、告白していきなりは、急すぎだろう。 「ご、ごめん。先上がるからっ、シエスタは暖まってから上がって。」 慌てて離れようとするけど、シエスタが俺の身体を離さなかった。 「わたし…隠さないって……。」 絞り出すような声、シエスタはずっと覚悟を決めていてくれたんだった。 「でもっ。そのっ、付き合って……いきなりはっ。」 「……私は……でも……いいですけどっ……サイトさん。」 ちょっと引いてくれて、一安心、さすがシエスタ。 「学園に帰ったら……ミス・ヴァリエール居ますよ……あんまり……その……チャンスが……。」 ……そうだった……女の子の方が、先のことを見てるなぁ…… 「あの……サイトさん……歯止め無くなって……ミス・ヴァリエール……同室で……その……ガマン……できま……す?」 うぁっ、俺信用ねぇっ。 「だから、その今……そのっ、満足してもらったらっ……。」 シエスタむちゃくちゃ赤い……風呂の所為だけじゃない。 スルリと水着全て脱ぐ、柔らかそうな胸が、晒されて……いきなり抱きついてくる。 「その……好きにして……いいんです……よ?」 耳元で囁かれる。理性が溶ける。 無意識に胸を弄る、柔らかい。 「あっ、……。」 シエスタが微笑む、うれしそうに。胸触られてその反応はズルイ。 歯止めが利かなくなる。 指に思ったより力が入る。 「きゃっ。」「あ、ごめん、つい……。」 ふるふると、シエスタが首を振る。 「好きにしてって、いいました。もう……サイトさんがどうしても良いんですよ、今……この身体は……サイトさんのモノだから。」 理性なんて、持ってたことすら忘れてしまった。 79 名前:7/11[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 09 45 ID xXGBplNJ サイトさんが、胸に吸い付いてくる。 ちょっと、というか、正直結構痛い。 けど……夢中で私を求めてくれているのが分る。 幸せ。 胸に吸い付いているサイトさんの、頭をそっと触る。 さっきまで怖いって泣いてた、初めて私だけに見せてくれた本当。 どんどん愛しくなって来る。 浴槽の脇に有った、台のような所に寝かされる。 サイトさんが、両手に私のおっぱいを持ってる。 楽しむように、揉み続けている。 今気付いた、私が痛くて悲鳴を上げるたびに、指の力がちょっとづつ抜ける。 一応気を使ってくれているんだ。 更に可愛く見える、夢中で……おっぱいに吸い付いて…… サイトさん、赤ちゃんみたい。 そんなことを思っていたら、いきなりキス。 いつかのように、舌を絡めて……サイトさんの舌が熱い。 多分私の身体も……。 「サイト……さん。」 無性に名前が呼びたくなる。そこに居ることを確認したくなる。 「シエスタ………。」 また、キス。 お互いに夢中で唇を吸う、サイトさんはその間もおっぱいを揉み続ける…… おっぱいが、ほんとーに好きなのねー。 うれしい、自分の身体がサイトさんを悦ばせることが出来るのが。 そして……段々加減を覚えてきたサイトさんが、痛くない様に揉める様になって…… 夢中で吸う唇が、段々敏感になって…… サイトさんの身体を感じる自分の身体が……本当にうれしい。 段々気持ちよくなってくる、幸せすぎてちょっと怖い。 サイトさんを抱き寄せる。 サイトさんも私の背中に手を回す。 ビクンっ身体がいきなり震えた。 えっ……サイトさんの手が、背中に触っただけなのに…… サイトさんも、私の手が触れるとビクビクしている…… うれしい。 そーっと、サイトさんの反応を見ながら、あちこち触ってみる。 サイトさんも同じことを思いついたみたい。 背中を、腕を、足を、そしてお互いの一番敏感な所を…… お互いに恐る恐る触ってみる。 二人とも無口になって、キモチイイコトだけに集中する。 目が合うだけでキスをして、暇があったら相手を弄った。 80 名前:8/11[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 10 15 ID xXGBplNJ 股間が痛い位だ。 熱で浮かされたような目のシエスタが目の前に居て、俺の手に、指に応える。 シエスタの指が、舌が、俺の身体を這い回る。 シエスタの指の感触が気持ち良い……同じ様に触り返すと、シエスタの反応が良くなる。たぶん最初の方、シエスタにかなり負担をかけていたんだろう。 詫びる様に、そっと触れる。 身体は興奮しているけど、頭のどこかが、シエスタに感じて欲しいと冷静さを繋ぎ止める。 このまま……とも思ったけど…… 「シエスタ……。」 とろんとした目のシエスタが、首を傾げる。 「ベット……行くよ。」 ビクッとしたシエスタだったけど、覚悟を決めたように頷く。 シエスタの身体の下に手を通して抱き上げる。いわゆる、お姫様抱っこ。 「きゃっ、サ、サイトさん。」 シエスタもちょっと冷静になったみたい。 人一人分にしては、軽い位の重量を抱き上げたまま、脱衣所に向かう。 でも、アルビオンで身体鍛えてて良かったかも、力尽きると格好付かない。 シエスタが恥ずかしがって、ピッタリ身体に抱きつく。 残念、見えていた絶景な谷間が隠れる。 「今更?」 「今更でも何でも、恥ずかしいんです。」 用意されていたバスタオルで、シエスタの身体を拭く。 シエスタは俺を拭いてくれる。 シエスタに身体を拭いてもらうと、子供に戻ったみたいで気持ち良い… お互いに肩を抱き合って部屋に戻る、テーブルが片付いている。 あ〜、ジェシカだか、スカロン店長に感づかれた公算が高い。 シエスタも気付いた…… 「あ、……どうしましょう?」 「どうもしない、隠すことでもないし……いっそ、自慢でもする?」 くすくすシエスタが笑い出す。 「ジェシカにそんな自慢すると、たぶん反撃が凄いです。」 ……確かに。 苦笑しながら、シエスタにキス。 目を瞑った所をもう一度抱き上げる。 そのままベットにそっと横たえる。 薄く目を開けたシエスタの身体をもう一度触る。 「サイトさん。」 「シエスタ……。」 ゆっくりと胸に顔を埋める、俺はどうやらこれが凄く好き。 シエスタは俺の頭から背中を、優しく撫でる。狂いそうに心地よい。 ……やばい、多分このまま寝たら、死ぬまで起きない。 今寝るのは、嫌だ。 本能が、俺を揺り動かす。 上半身を抱き上げ、舌を絡めながら、胸を触る。 風呂上りの身体はまだ熱い。 背中を触りながら、シエスタを俺に抱きつかせる。 「んっ、あっ、んんんんんっ。」 シエスタはキスが好きだ。一度キスするとなかなか離してくれない。 ピッタリと身体を密着させて、シエスタの胸の感触を身体で楽しむ。 空いた手を、そっと、シエスタの大事な所にしのばせる。 「ひぃぁっ、サイト……さんっ。」 そっと、形をなぞる様にゆっくり感触を楽しむ。 ひとしきり触った後、硬くなってくる所に集中する。 「あっ、あぁぁぁぁあっっっ。」 風呂で散々触った身体は、すぐに感じ始める。 手を休めずに、シエスタを抱きしめ、強くキスをする。 「んんんん、んっんっぅうぅぅぅうっ。」 シエスタの舌を吸い上げ、手をどんどん動かす。 「サイトさんっ……あのっ……。」 81 名前:9/11[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 10 49 ID xXGBplNJ 女の子から……こんな事言って……嫌われたくないから… ずっと耐えてたけど……きっとサイトさんはわざとだ…。 「あの……サイトさん……シテ……下さい。」 顔が真っ赤になってるのが、自分でも分る。 サイトさんが、私の耳に口を寄せる…… 「シエスタ……」 耳に息が掛かってゾクゾクする。 「一つだけ……言ってからにしたくて……我慢してたんだけど……。」 サイトさんも我慢してたみたい、なんだろう。 「これだけは言ってからじゃないと、……けじめだし。」 「?」 私をギュって抱きしめてからサイトさんは言った。 「愛してるよ、シエスタ。」 不意打ちだ、ズルイ、今こんなこと言われたら…… 涙がぽろぽろ出てきた。 「……サイトさん……私も……です。」 そっと口付ける。 何かを決心したような瞳で、サイトさんが私を見る。 あ、………入れるん…だ。 私は身構える。 82 名前:10/11[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 11 20 ID xXGBplNJ 少し手こずったけど、俺の分身が目的地に到着する。 後は……手を添えたまま、ゆっくりと突き込む。 暖かい何かが、俺をゆっくり包んでゆく。 シエスタの手が、背中に回される。 「痛い?」 聞いてみる。 シエスタは笑いながら答えた。 「女の子の秘密です、サイトさんそんなこと聞くなんて、えっちですよ。」 反論できない……黙って腰を進める。 一瞬あってるのか不安になる抵抗があったが、俺が全部埋まる。 背中に回されたシエスタの手が俺を抱きしめる。 不安になった俺はもう一度聞く。 「シエスタ、大丈夫?」 「サイトさん……質問に……質問で…返します。」 「?」 「気持ちいいですか?」 ……悩むまでも無い。 「凄く、熱くて、柔らかくて、ざらざらしてる。凄く……」 続けようとする俺の唇に、シエスタの人差し指が当たる。 「じゃあ、問題ないです。……この身体はサイトさんのモノです…… 好きなだけ使って……気持ちよくなって……。」 ゾクリと背中に何かが這い上がる、俺が伝えてくる快感だけじゃない。 シエスタが俺を愛してる、そのことに対する歓喜が身体の中を跳ね回る。 元々、ほとんど余裕なんか無かった。 俺はゆっくり動き出す、自分の動きがもどかしいけど、早く動くには伝わってくる快感が強すぎた。 シエスタにキスをする。 うれしそうに舌を絡めてくる。 しまった、気持ちいい。 更に限界が近づいてくる。 もったいない……もっと、もっと、シエスタを感じたい。 一瞬でも長く、シエスタの中に居たい。 でも、快感が限界をあっさり超える。 どくどくと、シエスタの中に精液が注ぎこまれる。 俺がイク瞬間、シエスタがうれしそうに微笑んだ。 83 名前:11/11[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 11 51 ID xXGBplNJ 目を開ける…… 朝になってる。 あのあと、サイトさんと何度も何度も…… まだ痛いけど…… サイトさんが気持ちよさそうだったので、満足。 胸の中にサイトさんが居る。 口がちょっと開いてる、キスしてみた。 あ、吸い返してきた。 サイトさんが起きるまで、悪戯してみる。 「ん…あぁ…シエスタ……おは……シエスタァ?」 「おはよう御座います、サイトさん。」 笑いがこみ上げてくる。 「夢じゃありませんよ、サイトさん。」 ……サイトさんひょっとしたら、後悔してるのかもしれない それが凄く怖かった。 「よかったー、夢だったらどうしようかと思った。」 ……その一言がどれだけうれしいか、たぶんサイトさんには分らない。 「朝ごはん貰ってきますね。」 私はベットから降りる。 あ、 「着替えないです……。」 水着着てこの部屋に来たし、水着は今お風呂のそこ……困った。 「俺が行って来るよ。」 サイトさんが、あっという間に服を着る。 「ごめんなさい、お願いします……あと、ジェシカに服を……。」 「了解っ、ゆっくりしててね、シエスタ。」 サイトさんが部屋を飛び出していくと、入れ違いにジェシカが入って来る。 「あ、あれ?」 「ふっふっふー、シエスタおめでとう。」 「え?」 「お風呂って声響くんだよ。」 ……え…… 「廊下まではまる聞こえだったね。」 ……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ 「まぁめったに使われないには理由があるのよー。」 …先に言ってぇぇぇぇぇぇ 「隣の客も燃えたみたいだし、良いよね?」 よくなぁぁぁぁい でも、顔が上げれない……恥ずかしくて何もいえない…… クスクス笑いながら、ジェシカが着替えをくれた。 「そうそう、早く行って上げないと、サイトくん大変かもだよー。」 「えっ?」 「バケツ潰しながら待ってる人がいるからねー。」 バケツ? サイトさんの悲鳴が聞こえる……なんだろう 慌てて部屋を飛び出しかけるけど…… 「ジェシカ。」 「なに?急ぎなよ。」 「ありがとっ。」 ジェシカが照れてる、 そして私はサイトさんの声の方に駆け出した。 84 名前:66[sage] 投稿日:2006/09/08(金) 01 18 50 ID xXGBplNJ 68さん まだ頑張るけど、一度頑張ってる……読んで欲しいなぁ… 69さん 謝らなくてもっ、 感想ありがとう御座います。シエスタってきっとそんな子だなーと 書いてて思ったけど、シエスタ・サイトは両方いい子ってか、絡めにくい、 回り動かさないと仲良く手をつないで帰宅しそう。 その所為もあって、中盤以降と締め方にちょっと難あり… 拙い文章ですが、出来れば読んでください。 ではっ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1582.html
ここはトリステイン魔法学院…ではなく、タバサの生家。 ガリアとトリステインの国境沿いには、水の精霊がいるとされるラグドリアン湖がある。 ラグドリアン湖の知覚には、大きな古ぼけた屋敷があり、そこにシエスタとタバサの二人がいた。 屋敷に入るときに見た門には、ガリア王家の紋が見えるが、シエスタがこれが王家の紋章だとは解らない。 もしここにキュルケがいたら、タバサが実は王族であると気づいていただろう。 この古ぼけた屋敷は、現在王族としての地位を剥奪されている、旧オルレアン家の屋敷だった。 今は、タバサの母がひっそりと暮らしている。 「まさかタバサがガリア王家の人間だったなんてねえ」 キュルケは、旧オルレアン邸の庭で、シルフィードに語りかけた。 シルフィードはきゅいきゅいと鳴いて、キュルケに肯定の意を表しているようだ。 ふと、屋敷の方を振り向く。 屋敷の中ではシエスタがタバサの母を治療している頃だろう。 「きゅい…」 シルフィードが心配そうに顔を寄せた。 「何?あんたも、タバサのお母さんを心配してるの?」 「きゅい」 自分の使い魔ならともかく、他人の使い魔であるシルフィードとは会話が通じないが、この時ばかりは言葉が通じている気がした。 「そうよね、心配よね…大丈夫よ、もう誰かを失うのはこりごりだもの、きっと上手くやるわ」 キュルケは空を見上げた。 ルイズが、どこかで笑っているような、そんな気がした。 「………」 コォォォォォォ…と、独特の呼吸音が響く。 シエスタは、ベッドに座るタバサの母へ、波紋を流そうとしていた。 タバサの母の背後から、両手の指先で頭を掴み、波紋で固定する。 そして少しずつ波紋を流していくと、シエスタの身体が少しずつ輝いていった。 「おお…」 老いた侍女、ベルスランが、神秘的な光景にため息を漏らす。 「………母様…」 タバサの呟きもまた、期待と恐れのまじったものだった。 十分ほどシエスタが波紋を流し続けた頃だろうか、シエスタの額に玉のような汗が浮かび、ぼろぼろと落ち始めた。 「深仙脈疾走…!」(ディーパスオーバードライブ!) バッ!とシエスタの身体が輝いた。 驚いたタバサがシエスタの側によると、シエスタは力なくタバサに倒れかかった。 「ッフゥゥ…げほっ、こほっ、はぁっ、はあっ…ごめんなさい、もう、限界です」 シエスタが全身から異常な量の汗を流して、タバサに謝った。 タバサの母は、うつろな目をしたまま、今までと変わらずぬいぐるみを抱きしめている。 「シャルロット…私の可愛いシャルロット…」 ぬいぐるみを娘だと思っている母の姿を横目に、タバサはシエスタにタオルを渡した。 「げほっ…あ、あの、解毒の糸口を掴むには、治癒を得意とする水のメイジがいらっしゃれば、もっと具体的に、解ると思います…すみません、私、お役に立てなくて」 「そんなことない」 タバサはシエスタの手を取る、シエスタの疲労があまりにも色濃いからだ。 全身の異常な発汗、朧気な目つき、これは魔法を使いすぎて気絶する時の症状によく似ているように思えた。 ふっ、とシエスタの身体から力が抜ける。 慌ててシエスタの身体に『レビテーション』をかける。どうやら気絶してしまったようだ。 「私のベッドに運ぶ」 タバサの言葉を聞き、ベルスランが「はい」と短く返事をした。 相変わらず、ぬいぐるみを抱きしめ、頬ずりをするタバサの母。 縫いぐるみに「シャルロット」と呼び続ける母を見て、タバサはシエスタをここに連れてくるまでの出来事を思い出していた。 はじめは、ちょっとした噂話だった。 「ねえ、ギーシュって二股してたそうよ」 「でも最近はモンモランシー一筋みたいよ」 「モンモランシーさんって、水系統の得意なあの方ですか?」 「そうよ、シエスタ知ってるの?」 「ええ、時々秘薬や薬草の用法を教えて貰うんです」 「モンモランシーは『香水』って言われてるのよ、シエスタも香水を作ってもらったら?」 「でもシエスタはオールド・オスマン預かりなのよね…香水なんかつけたらスケベジジイに悪いことされちゃうんじゃないの?」 「大丈夫ですよ、そんな事になったら私の『魔法』で一ヶ月ほど眠って貰いますから」 「………シエスタって」 「………結構怖いわね」 授業の合間、ほんの二十分ほどの休み時間を使って、年頃の娘達は噂話に興じる。 最近はシエスタもその輪に加わることが多い。 元平民、しかもラ・ロシェールより遠い村出身のシエスタは、時々質問攻めにされる。 田舎では都会とは違った風習があるのではないか、とか勘ぐられるのだ。 ハルケギニアでは、始祖ブリミルに永久の愛を誓うことで婚姻が成立する。 とは言っても現実には妾をもつ貴族も多く、正妻と愛妾を分けることが存在が暗黙の了解となっていた。 田舎ではそのような風習がないから近親相姦も当たり前だとか、夜這いの風習があるとか。 むちゃくちゃな質問をされるたび、シエスタは顔を真っ赤にしながら訂正していた。 シエスタはキュルケ、タバサといった実力者と仲が良い。 しかも、他の女生徒との交流を深めている現在では、シエスタを面と向かって馬鹿にする者も少ない。 何せ魔法が使えないという理由で、公爵家の娘であるルイズですら馬鹿にされる世界なのだ。 治癒の魔法を使えるシエスタに、面と向かって『成り上がり者』と言える者は少なくなっていた。 ある日の昼休み、シエスタはモンモランシーに呼ばれ、部屋を訪れていた。 「ごめんなさいね、急にこんなことを頼んじゃって」 モンモランシーが薬の調合をしながら、シエスタに話しかける。 「いえ、私も魔法薬の材料を直接見てみたかったので、丁度良かったです」 シエスタはコケ類の入った瓶を手に取り、波紋を少しずつ流していた。 このコケ類は魔法薬に使うものだが、いざ使おうとした時には既に茶色く変色していたそうだ。 所々緑色が残っているのを見ると、まだ完全には枯れていないのだろう。 シエスタが流した波紋と、少量の水分により、コケはみずみずしさを取り戻した。 「凄いわ、これが『純粋な生命力』なのね」 モンモランシーに褒められ、シエスタは嬉しそうな顔をした。 「えへへ…あ、他にお手伝いすることはありませんか?」 「そうね、じゃあこっちのカゴに入ってる薬草もお願いしちゃおうかな」 「はい!」 シエスタが頼まれたのは、魔法薬の材料に波紋を流すことだった。 生命力を高める波紋を流すことで、腐りかけの木の実でも、しなびた葉っぱでも、みずみずしさを取り戻せるのだ。 もっとも、完全に乾ききったものでは波紋も通用しないので、いくつかは無駄にしてしまったが。 「ありがと、これで最高の香水が作れそうだわ」 「いえ、私もいろんな魔法薬の材料を見せて貰えましたし、勉強になりました」 「貴方の魔法って『水』に似てるけど、ちょっと違うのね?他にはどんなことができるの?」 「うーん…」 ここでシエスタは少し考え込む。 キュルケ、タバサには波紋について話したが、これ以上波紋を知る人を増やしていいのだろうか? オールド・オスマンとは、特定の協力者だけに他人には波紋を教えないという約束をしている。 とりあえず、魔法っぽく見せかけておくことにした。 「そうですね、ええと…ちょっとこの水を頂きます」 「いいわよ」 シエスタは左手でダミーの杖を持ち、水差しの水を杖に流した。 水は杖を伝わって床に落ちる…かと思えば、杖の先端で水は止まり、不自然な大きさの水滴が出来上がった。 「私、『レビテーション』は使えませんが…」 そう言いながら杖を天井に向け、波紋を流す。 すると杖の先端に溜まった水が天井に伸び、張り付いた。 呼吸を整えつつ、吸い付くように波紋をコントロールすると、天井に伸びた水のロープがシエスタの身体を天井へと引き上げた。 「水で身体を引き上げてるの?凄いわね」 「はい、水や油を媒介にすれば、水のカーテンを作って弓矢を防ぐことも出来ます」 「ふーん、水のライン…って所かしらね」 モンモランシーが感心したように呟く。 そこで丁度、授業開始を告げる鐘が鳴った。 「あっ、いけない、午後の授業始まっちゃうじゃない」 モンモランシーが慌ててノートを手に取る、シエスタはそれを横目に、窓際へと移動した。 「私、午後は外の授業なので、これで失礼しますね」 シエスタはそう言うと、窓から飛び降りた。 「ちょっ、あんた飛べないって言ったじゃないの!」 それを見たモンモランシーは驚き、窓から身を乗り出して杖を構えた。 シエスタが空を飛べないと知っていたので、レビテーションをかけようと思ったのだ。 しかしその心配は杞憂に終わった。 杖の先端が寮の壁にひっつき、落下の勢いを殺していたのだ。 余裕を持って地面に着地すると、シエスタはものすごい勢いで走り去っていった。 「あれが田舎育ちのバイタリティかしら…」 モンモランシーは、別の意味でも感心していた。 その後、モンモランシーはいつものように授業を受け、午後の授業を終えた。 夕食を告げる鐘が鳴り、廊下を歩く生徒達は皆食堂へと向かっている。 だが、約二名ほどその流れに逆行する者がいた。 キュルケとタバサである。 「ちょっと、モンモランシー、あんたも来なさい」 「えっ!?何、ちょっと、何よ!」 モンモランシーは突然のことに何がなんだか解らなかったが、キュルケの迫力に押されて渋々後をついていった。 キュルケに引きずられていった先はヴェストリの広場だった。 既に夕方が近くなり、空は薄暗くなりかけている。 ヴェストリの広場は日陰になっており、普段は人気がない。 だが今日は違った、ヴェストリの広場では、シエスタとギーシュが対峙していたのだ。 「ギーシュ!?」 モンモランシーが驚いて声を上げる、それに気づいたギーシュが前髪をキザったらしくかき上げて、恭しくモンモランシーに頭を垂れた。 「モンモランシー、見届けに来てくれたんだね!嬉しいよ、嬉しくて卒倒しそうだ!」 「ちょっとギーシュ、何する気なのよ」 「ミス・シエスタは君の作った香水の瓶を踏みつけたんだ、これは君に対する侮辱と言って差し支えない、だから僕は彼女に決闘を申し込んだ!」 「差し支えあるわよ!」 「僕はこれから君の名誉のために戦う…見ていてくれモンモランシー!」 そう言うとギーシュは、薔薇の造花を振り、花びらを舞わせた。 すると花びらが鎧のような形になり、ギーシュの得意とする青銅のゴーレム『ワルキューレ』が練金された。 「ギーシュ!止めなさい!お願い、止めてよ!」 「大丈夫、僕は『青銅』のギーシュ、ミス・シエスタが例えスクエアでも勝ってみせるさ!」 「そうじゃないったら!ああもう!」 二人のやりとりを聞いていたキュルケが、モンモランシーの肩を掴んで自分に振り向かせた。 「ちょっとモンモランシー、ギーシュったらあんたに首っ丈じゃないの」 「え、ええ、でも、ちょっとやりすぎよ、香水の瓶ぐらいいくらでも作れるのに」 「そう言う問題じゃないわよ、あんたギーシュに何かしたでしょ?」 「………」 「なんで目を背けるのよ」 「………だって、仕方ないじゃない、ギーシュったらいつも浮気してばかりで、みんなギーシュが悪いのよ!」 「やっぱりアンタが何かやったのね?何か薬でも飲ませたの?」 「………」 モンモランシーがこくりと頷き、それを見ていたタバサが、一言呟く。 「惚れ薬」 その言葉で一同が凍り付いた。 「さあ、決闘の始まりだ、行くぞ!」 前言撤回、約一名がワルキューレを操ってシエスタへと向かわせた。 タバサが杖を向け、ワルキューレを打ち倒そうとするが、シエスタが手でそれを制した。「自分で、やります」 そう言って、向かってくるワルキューレを見据える。 ワルキューレはシエスタより一回り大きい、そして動きも驚くほど素早い。 モンモランシーはシエスタの身体めがけて振り下ろされた拳を見て、思わず悲鳴を上げた。 「やめてえええええええええええええっ!」 ぐしゃ、と音がした。 モンモランシーは顔を手で覆い、惨劇から目をそらしている。 キュルケは、目の前で起こった出来事に驚き、目をぱちくりさせている。 タバサは相変わらず表情を変えなかったが、シエスタの動きをじっくりと観察していた。 「なんだと!」 ギーシュが驚きのあまり声を上げた。 「……?」 モンモランシーが顔を覆っていた手を下ろし、シエスタの方を見た。 するとシエスタに殴りかかったワルキューレの顔面が陥没し、地面に倒れていいた。 よく見るとシエスタの手から蔓草が伸び、その先端には小さな重りが結びつけられている。 おそらく、釣り竿の要領で加速をつけて、重しをワルキューレの顔面に打ち込んだのだろう。 「ギーシュさん、瓶を誤って踏んでしまったことには謝罪します、ですから、決闘なんか止めて下さい」 シエスタが決闘を止めさせようと、ギーシュに語りかける。 しかしギーシュはなお興奮したような口調で叫んだ。 「僕に降参しろと言うのか!僕は、僕はモンモランシーの名誉のために戦っている」 ギーシュの様子は明らかにおかしい、ギーシュは普段から馬鹿だが、悪い奴ではない。 だが、モンモランシーを優先するあまり、貴重な治癒の使い手であるシエスタにまで決闘を挑み、ワルキューレを向かわせようとしているのだ。 「モンモランシー、ギーシュの奴どう見ても正気じゃないわよ」 キュルケがモンモランシーの襟首を捕まえ、まるで尋問するかのように話す。 「…そうよ、私、ギーシュに惚れ薬を飲ませたわ…まさかこんな事になるだなんて、思ってもみなかったもの!」 わんわんと泣くモンモランシー、だが、それを見たギーシュが今度はもう一枚花びらを飛ばし、キュルケの側にワルキューレを練金した。 「ツェルプストー!モンモランシーを泣かせるとは、許さないぞ!」 「あんたのせいじゃない」 「くっ、減らず口を…」 ギーシュが再度杖を構え、四体のワルキューレを作り出した。 動けるワルキューレは五体、シエスタが地面に押さえつけているワルキューレを含めれば六体が出現している。 ギーシュが作り出し、同時に使役できる限界の数だった。 「ミス・ツェルプストー!君の相手をするのは、ミス・シエスタを躾けてからだッ!行け!ワルキューレ!」 まるで指揮棒のように杖を振り、ギーシュがワルキューレを操る。 五体のワルキューレが横並びに隊列を組んでシエスタに向けて駆けだした。 だが、シエスタはその場から動かなかった。 「シエスタ!逃げなさいよ!」 キュルケが声を荒げる。 ギーシュを止めなければシエスタが大けがすると思ったのだろう。 シエスタは微動だにしない、代わりにキュルケに答えたのはタバサだった。 「大丈夫、彼女は『波紋』を試す気」 ワルキューレがシエスタに襲いかかろうとしたその瞬間、シエスタの身体が浮いた。 「杖も使わずに飛んだ!?」 ギーシュが驚いて声を上げた、シエスタは身体の筋肉をコントロールし、足首から下の力だけで驚くほど跳躍したのだ。 座った姿勢のまま五体のワルキューレを飛び越えると、シエスタは腕に巻き付けた蔓草に波紋を流した。 ピン、と張った蔓草でワルキューレを囲むと、今度は『くっつく波紋』を流して蔓草を巻きつけた。 人間よりも力の強いワルキューレ達だったが、腕力とは異なる波紋の『接着力』でお互いの身体を固定され、五体とも抱き合うようにしてその場に固まってしまった。 「ギーシュさん、もう止めて下さい、お願いします!」 「まだだ…まだ一体分はある!」 シエスタの声も虚しく、ギーシュは残された精神力でワルキューレを作り上げると、シエスタへ走らせた。 シエスタは腰のベルトに下げた棒を取り出す。 長さ12サント、直径1サントほどの棒で、そこには小さい穴が開けられている。 武器に詳しい者が見れば、それが吹き矢のようなものだと解っただろう。 確かにこれは吹き矢だ、だがシエスタが放つのは矢ではない。 決闘を申し込まれた時から、口の中で貯めていた唾液だった。 「パウッ!」 波紋で高い圧力のかけられた唾液が、吹き矢の先端から弾丸のように噴出し、ワルキューレの胴体にめり込んだ。 バッ、とマントを翻すような音が鳴り、次の瞬間、ワルキューレの身体が砕け、その破片がギーシュへと降り注ぐ。 「ぐわっ!」 「ギーシュさん!?」 破片を避けきれなかったギーシュは、うめき声を上げて倒れた。 シエスタが慌ててて駆け寄ると、いくつかの青銅の破片が身体に突き刺さっている。 モンモランシーがギーシュに駆け寄り、泣きついた。 「ギーシュ!ギーシュ…ごめんなさい、私のせいで…」 「モンモランシー…君が泣くことじゃない、僕は君の名誉を守りたくて、勝手にやったんだ」 「そうじゃないわ、違うの、貴方が私に尽くしてくれるのは薬のせいなの…ごめんなさい、ごめんなさいギーシュ…」 「何を言っているのさ…薬が効いていようと、効いていまいと、僕は君を一番深く愛しているよ」 シエスタは二人の熱々ぶりに驚いていたが、すぐに気を取り戻し、ギーシュの身体に刺さった青銅を引き抜き始めた。 「モンモランシーさん、波紋で水の魔法をサポートします、ギーシュさんの身体を治療しましょう」 「え、ええ、解ったわ」 「断る!モンモランシーの瓶を踏みつけた貴様に…むぎゅっ」 なおも抵抗しようとするギーシュの顔面を、キュルケが踏みつけた。 「あんたねえ、決闘相手の情けぐらいちゃんと受け取りなさい」 傷口は浅くはなかったが、命に関わるような傷ではなかった。 モンモランシーはルーンを詠唱してギーシュの身体に杖を向けた。 シエスタが傷口を覆うようにして手を当て、波紋を流し込む。 すると傷口がピクピクと動き、血が止まっていった。 「凄い、いつもより効率が良いわ」 モンモランシーが驚く。 「波紋は自然治癒力を高めます、あまり深い傷には対処できませんが…水のメイジ様と協力すれば相乗効果で深い傷にも対処できるんです」 シエスタの説明に、なるほどね、とモンモランシーも頷いた。 キュルケとタバサも、治癒の様子を見守っていたが、その効率の良さに驚かされていた。 一通り波紋を流し終え、怪我も九割方治療することが出来た。 シエスタは、治癒魔法との協力でどの程度の怪我を治せるのか、知りたかった。 成り行きとはいえギーシュを波紋の実験台にしたのだ、シエスタは心の中でギーシュに謝った。 その後ギーシュは、タバサの発案でモンモランシーの部屋に運び込まれていた。 中庭にはタバサが『サイレント』の魔法をかけていたらしく、この決闘騒ぎは誰にも気づかれていないようだった。 夕食の時間が終わらないうちに、一行はモンモランシーの部屋に移動した。 ギーシュをモンモランシーのベッドに寝かせると、キュルケがモンモランシーを椅子に座らせた。 「で、納得のいくように説明しなさいよ、ギーシュがこの調子で喧嘩を吹っかけて回ったら、あんた退学じゃ済まないかもしれないわよ」 「磔獄門」 モンモランシーの正面からキュルケが詰め寄る、タバサもそれに合わせて物騒な言葉を用いる。 「あ、あの、私には怪我がありませんし、そんなに怒らなくても」 シエスタが口を挟むが、キュルケが首を横に振った。 「もうシエスタだけの問題じゃないわよ、それに、タバサがね…すっごい不機嫌なの」 見るとタバサはじっとモンモランシーを見つめている。 その様子は普段と変わらない気がするが、キュルケにはその不機嫌さが解るのだろう。 これが『親友』なのかな、とシエスタは思った。 「…ごめんなさい、ちゃんと全部話すわ」 そう言ってモンモランシーが事の次第を話した。 ギーシュは自身を薔薇に例え、女性を喜ばせるのが自分の役目だと言い切るほどの女好きだが、手を出すことは無いらしい。 つまりギーシュにとって自分と親しい女性はすべてガールフレンドであって、恋人ではないのだ。 しかし、ギーシュが唯一恋人として接していたモンモランシーにとっては、それが辛くて仕方がなかった。 他の女性に『過剰に』優しく接するギーシュ、それが我慢できず、ついに禁断の『惚れ薬』を調合し、それをギーシュに飲ませてしまった。 惚れ薬の効果は覿面で、ギーシュは他の女性を見向きもしなくなった。 気をよくしたモンモランシーは香水をギーシュにプレゼントしたのだが、それがいけなかった。 ギーシュは授業が終わってから、モンモランシーのことばかりを考えて、『ああ、愛しのモンモランシー、ディナーの時間だよ!』とか呟きつつ廊下を歩いていた。 当然、廊下を横切ろうとするシエスタには気づくことなく、シエスタと衝突してお互いに尻餅をついてしまった。 その拍子にギーシュの胸ポケットから香水の瓶が落ちたようで、シエスタが立ち上がるとき、偶然それを踏みつけてしまったようなのだ。 ギーシュは割れた瓶を拾い集めつつ、小声でシエスタに決闘を申し込んだらしい。 あまり大騒ぎしてはモンモランシーに迷惑がかかるので、二人だけでこの決着を付けたいとのこと。 そして、シエスタとギーシュの決闘騒ぎになったのだ。 シエスタは念のためキュルケとタバサにだけ伝えておいたが、手伝ってくれとは言っていない。 「呆れた、男をつなぎ止められないからって、薬まで使うなんて…」 「しょうがないじゃない…浮気ばかりするギーシュが悪いのよ!」 「はいはい、それで、解毒薬はあるんでしょ?早くギーシュを元に戻してやりなさいよ、今回みたいな事、何度も起こされたらたまんないでしょ?」 「…………」 「あの、モンモランシーさん、早く解毒した方がいいと思います、今回は私が相手だったから良かったですけど、もし別のメイジ様に決闘なんか申し込んだら大変ですから…」 「………無いの」 「「は?」」 キュルケとシエスタの声が重なる。 「解毒薬、無いの、水の秘薬がないと作れないんだけど、ものすごく高価だし、秘薬屋にも在庫がないって…」 「………モンモランシー!あんたねえ、もうちょっと周りの迷惑を考えて薬を作りなさいよ」 タバサがキュルケを見た。 心なしか『どの口が言ってるんだ』と批難めいた視線にも見える。 「だ、大丈夫よ!どうせ薬なんだから、放っておけば治るわよ」 目を逸らしつつ答えるモンモランシーに、不審なものを感じたのか、今度はタバサが質問した。 「どのくらい?」 「い…一ヶ月か、一年か」 沈黙が流れる。 ずっと考え込むような仕草をしていたシエスタが、不意に立ち上がり、言った。 「もしかしたら、解毒、できるかもしれません」 シエスタはベッドで寝ているギーシュに近寄ると、頭を抱え上げた。 自身の膝の上に乗せると頭に波紋を流し込んでいく。 その様子を見たモンモランシーがあからさまに不機嫌な表情になったが、キュルケが『シエスタの魔法には解毒作用がある』と説明したので、渋々とギーシュを見守った。 波紋を流し始めて数分後、ギーシュの身体からどっと汗が噴き出してきた。 「ちょっと、大丈夫なの?」 「たぶん大丈夫です、汗が出ているのは薬の成分が体外に押し出されてるからだと思います…でも、念のため見ていただけませんか?」 モンモランシーが杖を手にし、ギーシュの身体をなぞっていく。 「水の流れが活性化されてる…他に害になりそうなところも見あたらないわ」 二人のやりとりを見ていたキュルケは、『水』系統がまったく解らない。 「ねえタバサ、わかる?」 「毒を押し出そうとしてるのは解る」 「ふうん」 タバサはシエスタの波紋をじっと見つめていた。 もし、ギーシュの身体から毒を押し出せるのなら、もしかしたら…と期待しているのだ。 そして数分後、目を覚ましたギーシュは、早速シエスタにアプローチをかけようとしてモンモランシーに殴られた。 シエスタの『波紋』には、強い解毒作用があると、ここで証明されたのだ。 そして翌日、タバサは半ば無理矢理シエスタをシルフィードに乗せて実家に帰って来た。 なぜかキュルケが同行することになったが、タバサは何も言わなかった。 オルレアン邸の紋章を見たキュルケは、タバサが王族の出だと知って驚いたが、シエスタはそのあたりはまだ無知だったのでよく解らなかった。 挨拶もそこそこに、タバサは急ぎ足でシエスタを母の部屋へと連れて行った。 さすがのキュルケも、いつもと違うタバサの雰囲気に気が付いたので、タバサの母には会おうとしなかった。 キュルケは、二人を待っている間、執事のベルスランからタバサの出自について色々と話を聞いていた。 タバサの本名、シャルロット・エレーヌ・オルレアン。 父親はガリアの弟王オルレアン公であり、現在ガリア国王の地位に就いているジョゼフによって暗殺された。 そして、タバサの母は、毒の盛られた料理をタバサの代わりに食べて、心を病んでしまった。 その毒は恐ろしいほど強力なもので、持続性が強く、水のスクエアでも治療できぬほど厄介なものだそうだ。 その話を聞いてキュルケは表情を険しくしたが、我慢が限界になりそうだったのは、次の話を聞いたからだ。 タバサは、『北花壇騎士』として、ジョゼフの娘イザベラに危険極まりない任務を与えられているという事だ。 タバサの強さ、冷静さ、そして他人とは距離を置く姿勢が、納得できてしまった。 できることなら、こんな形で納得したくはなかったが。 ここで自分が怒っても仕方がないが、キュルケの怒りは収まらなかった。 だが暴れても意味がない。 キュルケは庭に出て、タバサと共に戦ったであろうシルフィードに寄り添った。 タバサのもっとも身近な友人が、このシルフィードだと知っているからこそ、キュルケはタバサの代わりにシルフィードに寄り添ったのだ。 「シルフィード、あんた、タバサをちゃんと守ってあげなさいよ」 「きゅい!」 タバサはシエスタを隣の部屋で休ませると、母の居る部屋に戻ってきた。 シエスタの『波紋』でも、母の身体を蝕む毒を治療できなかった。 タバサの心は、落胆と、気絶するまで母のために波紋を流し続けてくれたシエスタに対する感謝が渦巻いている。 ふと、母の姿を見る。 いつものように縫いぐるみを抱きしめているかと思ったが…違った。 目が、合った。 「シャルロット…?」 「あ…」 「シャルロット、あなた、シャルロットでしょう?」 「母様!」 タバサは母に抱きついた。 母は縫いぐるみでなくタバサを抱きしめ、そして頭を撫でた。 左手でタバサを抱え、右の手で髪の毛をすく、まるで赤子を撫でるように。 「シャルロット…ああ、夢を見ていたみたい、貴方が傷だらけで帰ってきたときも、私は夢を見るように貴方の姿を見ていたわ、ごめんなさい、ごめんなさい、シャルロット」 「母様…」 タバサは、ぼろぼろと涙をこぼして母に寄り縋った。 「私を、母と呼んでくれるのね、私のせいで貴方を苦しませているのに…」 「違う、違う…母様がいてくれるから、私はがんばれるの」 「………ありがとう、シャルロット」 いつまでそうしていただろうか。 時間にして、数分の間だったが、タバサにはそれが無限にも感じられた。 「うっ…」 「母様?」 「ごめんなさい、シャルロット…また、私、夢が」 「母様、母様!」 「シャルロット、よく聞いて、お友達に無理をさせてはいけないわ、私のことを思ってくれるなら、お友達を大切になさい…」 「母様、やだ、行っちゃいや!」 「ま…た、夢を…見る…」 がくりとタバサの母が力を失い、タバサにもたれかかる。 そして、次に目を覚ましたときは… 「シャルロット…おお、私のシャルロットはどこ?」 タバサの母の目には、すでに娘の姿は映っていなかった。 さっきまでと同じように、縫いぐるみの娘を捜して、抱きしめる。 自分を抱きしめてくれた手が、今は縫いぐるみを抱きしめている、その事実がタバサにはとても悔しかった。 「…待ってて」 タバサは、そう呟いて部屋を出た。 シエスタのおかげで、解毒の糸口は見えた。 だからこそタバサは、待っていてほしいと、母に語りかけたのだ。 元通りになるまで、待っていてほしい。 笑顔で暮らせるようになるまで、待っていてほしいと。 廊下に出たタバサは、血相を変えたキュルケと鉢合わせした。 「タバサ!ちょっと来て!シエスタの様子が変よ!」 「!」 タバサは驚き、キュルケと共にシエスタの元へと駆ける。 シエスタはタバサの部屋で寝かされていたが、その様子は確かに異常だった。 発汗が止まらず、しかも身体のあちこちが水分を失ったかのように皺ができている。 頬はこけ、顔色は真っ青になっていた。 「ああ、お嬢様、シエスタ様の様子が…」 「私がやる、ベルスランは重湯を持ってきて」 「は、はい、ただいま」 タバサは杖を抜いてシエスタの身体に当て、水の流れを感じた。 シエスタの身体を流れる水が、まるで枯れかけの泉のように力を失い、よどんでいた。 「タバサ、どう?原因、わかる?」 「…生命力が低下してる、たぶん、波紋の使いすぎだと思う」 「まずいじゃない」 「何とかする」 そう言うとタバサはルーンを詠唱し始めた。 シエスタの『波紋』のような生命エネルギーとは違うが、身体の中を流れる水の流れを調節し、滞りをなくすことぐらいなら出来る。 「うっ…あ、タバサ…さん…」 「喋っちゃ駄目」 「大丈夫、です、波紋の呼吸を、再開、すれば、これぐらい…」 「……ごめんなさい、無理をさせた」 「いえ、いいんです、私こそ、役に立てませんでしたから」 こんな辛そうな状態になっても、なおも謝ろうとするシエスタに、タバサは胸を打たれた。 「そんなことない」 タバサの目には涙が浮かんでいた。 「そんなことない」 母に抱きしめられたことと、母の言った『友達』という存在が、押し殺していたタバサの感情を引き戻したのだろうか。 キュルケはそんな二人を見つめて呟いた。 「もう、これじゃ私がお邪魔虫じゃない…」 拗ねたようなその言葉に、シエスタとタバサが、思わず笑みをこぼした。 To Be Continued→ 戻る 目次へ
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前の回 一覧に戻る 次の回 ゼロの飼い犬12 水兵服とメイドの不安(前編) Soft-M ■1 「よしっ、出来上がり!」 仕事が終わった後の夜半。自室で裁縫仕事を終えると、わたしは丈を直した服を 目の前に掲げました。白いラインが入った大きな襟の、半袖の上着。 サイトさんに言われたとおりの丈にしたのですが、わたしが着るには短すぎる印象です。 さきほど丈を詰めたスカートに目をやると、そちらも今までわたしが穿いたことがないくらい 短い丈になっています。自分で直しておいていうもの何ですけど、本当にこれでいいのかな。 「変わった服ねぇ」 ベッドに寝っ転がって本など読みつつ、時おりわたしの作業を眺めていた子…… ルームメイトのローラが、出来上がった上着とスカートを見て言いました。 「それ、あのサイトっていう子からプレゼントされたんでしょ? 変わった服装してると思ってたけど、女の子に着せる服の趣味まで変わってるのかしら」 「さぁ、そこまでは」 「でも、彼の為なら着るわよね。何せ、あの”ひこうき”を飛ばしてあなたの村を救ってくれた 英雄なんだから。ホント、すごい子に目をつけてたものよね、シエスタも」 ローラはベッドから身を起こすと、シーツの上にあぐらをかいてわたしに笑いかける。 その言葉を聞いて、わたしの胸に熱いものが灯る。サイトさんの姿を思い出して、 心臓が高鳴ります。 サイトさんと一緒に宝探しに行って、その後の休暇でわたしがタルブの村に戻っていた時、 トリステインとアルビオンの間で戦争が始まりました。 その時、村が竜騎士によって焼かれて、アルビオンの兵士が攻め入ってきて、 ただ逃げ隠れるしかなかったわたしたちを救ってくれたのが、 サイトさんとミス・ヴァリエール……それに、あの『竜の羽衣』でした。 戦いの音がふいに途絶え、隠れていた森から恐る恐る出たわたしが空に舞う『竜の羽衣』の 姿を見たとき。草原に降りたその中から、サイトさんが降りてわたしに駆け寄ってくれたとき。 思わず飛びついてしまったわたしを抱き留めて、「無事だったのか、良かった」って ほっとした顔で笑いかけてくれたとき……。 わたしが、どんなに嬉しかったか。どんなに安心したか。どんなに感謝したか。 感激なんていう言葉じゃ済みません。言葉では収まらないくらいの感情が溢れました。 今でもちょっと信じられません。前にもサイトさんに言ったみたいに、夢かおとぎ話みたい。 でも、現実。あの時、勢いでキスしてしまったわたしを抱きしめ返してくれたのも現実。 わたしの実家で戦勝を祝っての宴会が開かれて、その時サイトさんが村の皆から勇者だ 英雄だと称えられたのも、本当にあったこと。酒の勢いのせいかわたしとサイトさんの仲が 家族や村の人たちの間では公認みたいになってしまったのも……。 「おーい、シエスタ? 聞いてる?」 「ふぇ?」 いつのまにかすぐ近くまで来ていたローラに目の前で手を振られて、わたしは我に返りました。 「またあんたトリップしてたわよ。見てて恥ずかしいくらいに恋する乙女の顔になってたわ」 溜息をつくローラ。慌てて頬に手を当てると、完全に緩んでる上に熱くなってます。 最近こんな風にサイトさんの事を思い出して惚けちゃう事が多いわ、気をつけないと。 「で、試着してみるんじゃないの? これ」 ローラはわたしが直した上着を取り上げて言ってくる。サイトさんがわたしに プレゼントしてくれたのは、船に乗る兵士の方が着る、水兵服というものです。 いくらサイズを直したといっても、女の子が着る服としてはどうなんでしょう。 「も、もちろんよ。サイトさんから頂いたものだもの」 わたしは部屋着を脱ぐと、ローラからその上着を受け取ります。改めて見てみると、 丈が短すぎてコルセットもつけられないし、下にシミーズも着られそうにありません。 仕方ないので、素肌の上にそのまま袖を通します。 「んー、いざ着てみるとそこまで不自然でもないわね。それで下は?」 ローラが次に持ち上げたのは、これまたサイズを直した、学院の女子制服のスカート。 勝手に弄ってしまっていいものなのか不安でしたが、サイトさんがどうしてもと言うので わたしが穿けるようにしてしまいました。けれど……。 ■2 「……その長さじゃ、ドロワースが思いっきり見えるわよねぇ」 ローラが眉をひそめて言う。そう、さっきから不安だったのはそこ。 このスカート、サイトさんの指示通りに太股が半分見えてしまうくらいの丈に詰めたので、 わたしの持っている下着と一緒に穿くことができません。 「一緒に小さな下着は貰ってないの?」 「うん……」 頷きながら、とりあえずドロワースをつけたままスカートを身につける。 それから下穿きだけ脱ぎました。一応、これがサイトさんの望んだ格好のはずなんだけど。 短いスカートの下でむき出しなお尻に落ち着かなさを感じながら、 ローラと共同で使っている姿見に格好を映してみます。 「わぁ……、な、なんだかいやらしい……」 鏡に映った自分の頬がかあっと赤くなる。袖が短い服はときどき着ますけど、それに加えて この格好だとお腹のあたりの肌もちらちら見え隠れして、何より足が太股の上まで見えてます。 メイド服でも普段着でも、こんなに足を見せる格好はしません。 「そうだけど、男好きのする格好かもね。結構シエスタには似合ってるし」 「それ、誉めてるの?」 複雑な気分でローラに聞く。 「誉めてるわよ。あなた、まだ自分の武器がわかってないみたいね」 「なに? わたしの武器って……わひゃ!?」 急に背筋をぞぞぞっとした感覚が駆け上りました。いつの間にかローラがすぐ側まで来て、 わたしの足を指先で撫で上げたのです。 「これよこれ、シエスタのアピールポイント」 「あ、足?」 「足もそうだけど、この肌! シエスタの肌って綺麗なだけじゃなくて、 なんかわたしたちとは違うのよね。普段は長袖とスカートとブーツで 隠しちゃってるんだから、ここぞというときは見せつけて武器にするべきよ」 「そ、そうかな……」 見せつけるっていうのはどうかと思うけど、誉められて悪い気はしません。 わたしは黒髪や黒い瞳が珍しいだけじゃなくて、肌の色や質感も回りの人とちょっと違うと 前々から言われていましたが、たぶんひいおじいちゃんの血のせいなんでしょう。 それは同時に、サイトさんやサイトさんの故郷の人と同じ血ということでもあります。 「それを計算した上でシエスタにこんな服着せようと思ったんだとしたら、サイトってば 実は意外と物が分かる男なのかもね。この肌、シエスタのモチモチ肌……ハァハァ……」 「ちょっと、いつまで触って……ひゃう!?」 「あ、下着つけてないんだっけ」 その手がお尻にまで直接触れて、わたしは慌てて振り向いてローラを睨みつけました。 「いやー、でもお尻の感触はひときわ良かったわ。まさしく兵器ね」 手をわきわき下品に動かしながら笑うローラ。わたしは呆れて溜息をつきます。 「でも、こんな短いスカートを下着無しで穿いてくなんて無理よ。風が吹いただけで 中が見えちゃう。サイトさん、わたしが小さな下着は持ってないって知らないのかな……」 何度か一緒にお洗濯をしたから、知ってると思うんですけど。ミス・ヴァリエールの下着を 見慣れてるから、当然みんな持ってるものだと考えてるんでしょうか。 わたしが悩んでると、ローラがいつになく真面目な顔になって口を開きました。 「シエスタ。その点なんだけど」 「なに?」 「サイトは、シエスタがドロワースしか持ってないってことを知った上で、 あえてスカートの丈を短く詰めろと言ってきたのかもしれないわ」 「へ?」 理屈が通っていないローラの言葉に、思わず気の抜けた返事をしてしまいました。 ■3 「どうしてそんな。だったら下着も一緒に貸して頂かないと」 「わかんない? つまり、サイトはその肌着もつけられない短い上着に短いスカートで、 下着もつけてない格好のあなたが見たいのよ」 ローラは名探偵みたいな顔をして、人差し指をピンと立てる。 その言葉の意味を理解するのに、しばらく時間がかかりました。 「な、なんでそんな意地悪を!? サイトさんはそんなことしたがる人じゃ……!」 あわあわと取り乱すわたしに、ローラはあくまで冷静に言います。 「自信を持ちなさい。彼はシエスタの身体が魅力的だと思ってるから、 そんな格好を見たがるのよ。それに、シエスタのことを好いてるからこそ、 意地悪してシエスタが困ったり恥ずかしがったりする姿を楽しみたいと思ってるのね」 ローラの台詞に、開いた口が塞がりません。 「そ、そんなの普通じゃないわ!」 「……シエスタ、もしあなたの好きなサイトがその”普通じゃない”人だったらどうするの? ついていけないからと諦めるわけ?」 その言葉にわたしははっとしました。 「人の嗜好はそれぞれだし、愛情の形もそれぞれ異なるわ。もし彼が多少歪んだ性癖を 持っているのだとしても、それを受け入れてみせるのが愛ではなくて?」 「そんな……」 体が勝手によろ、と後じさる。ローラの言葉とサイトさんの姿が頭の中でぐるぐる渦巻く。 サイトさんがそんなことを望む人だとは思えません。だっていつも優しくて、 わたしを大事にしてくれて。それに、いつか帰らなければいけないから、気持ちに整理が ついていないからと、わたしの身体は奪わない選択をするような人です。 「そういえばあなた、彼に手とか口で奉仕して喜んでもらえたとか言ってたわね。 なのに、最後までしてはもらっていない。あなたってば相当良いカラダしてるのに。 それって、彼はシエスタに対して普通とは異なった愛情を持ってるからとは言えないかしら?」 「う……!」 わたしの思考の逃げ道を塞ぐようなローラの意見に、足下がぐらつきました。 「シエスタ、前にあなたに貸して、読んだわよねこの本」 ローラは棚のところから本を一冊取り出して持ってきました。『メイドの午後』。 純朴で何も知らなかったメイドの少女が、旦那様の元で女として変えられてしまっていく…… 要するに、オトナ向けの小説です。 ローラはその本を開いてページをめくり、一点で止めました。 「この章が近いかしら。主人公の少女は旦那様の気まぐれによって 極端に露出の多い服を着ることを強要され、その格好で仕事をさせられてしまう。 少女は頬を染め、涙目で旦那様に助けを乞う視線を送るも、旦那様はいつも通りの態度で 静かに仕事を言いつけるだけ……」 その章はわたしも印象に残ってます。その後、旦那様の要求は次第にエスカレート していき、主人公の少女はその格好で旦那様と来客との会食の給仕をするのです。 そして、旦那様はわざと食器を落としたり、床を拭かせたり……。 「で、でもそれってあくまでお話でしょ? ホントにそんなことする人がいるわけじゃ……」 「まぁ誇張はあるかもしれないけど、いくらお話だっていっても現実にあり得ることを 参考にして作るものよね」 ローラは『メイドの午後』をパタンと閉じる。わたしは腰が抜けたようにベッドの上に 座り込みました。 「もちろん、可能性の話に過ぎないわ。サイトの趣味はいたって普通ってこともあり得る。 けど、もし普通じゃなかったら。短いスカートに下着無しの格好をシエスタにさせたいと 思ってるなら……あなた、その期待を裏切って『こんなの着られません』なんて言える?」 「サイトさんは、そんなことでわたしを嫌うような人じゃ……」 ローラの冷たい言葉に、わたしはぼそぼそと言い返します。 「そう思うなら、それでもいいんじゃない。でも、サイトが”シエスタに着てもらいたくて” その服をプレゼントして加工して欲しいと言ったのは確かでしょう?」 ■4 襟の下に巻いたスカーフをぎゅっと握りしめる。そして、また姿見に目を向けます。 露出は大きいけど、結構可愛いデザインで……よく見たら、ローラの言うとおり わたしに似合ってる気もする水兵服。 サイトさんはこれを目を輝かせた、興奮した様子でわたしにくれて。 この服は、わたしがプレゼントした手編みのマフラーのお返しだと言っていました。 これ以上ないほど嬉しそうに受け取ってくれた、あのマフラーのお礼。 「……サイトさん……」 不安でごちゃごちゃしていた胸に再び熱いものが膨らんでいくのを感じながら、 わたしは呟きました。 ∞ ∞ ∞ 消灯してわたしとシエスタはベッドの中に入った。結局、シエスタはサイトの要求通り、 明日あの服を着たところをサイトに見せるつもりみたい。 彼女はまた恋する女の子みたいな顔になりながら、大事そうに水兵服とスカートを畳んで 机の上に置いてた。 そんなシエスタの様子を思い出しながら……。 わたしことローラは、布団を引っ被って笑いを堪えるのに必死だった。 恋は盲目とはよく言ったもんだわ。面白くなりそ。 ∞ ∞ ∞ 「それはぼくの世界ではセーラー服と呼ばれてますッ! 生まれてすいましぇエエンッ!」 今まで見たことがないくらいに盛り上がって拳を握りしめているサイトさんに ちょっとおののきながら、わたしは自分の格好を改めて見直しました。 この服……今サイトさんが教えたくれた呼び名で言うなら、セーラー服を仕立て直した翌朝、 アウストリの広場。わたしは意を決してそれを着て、サイトさんに見てもらっています。 そこでようやく知ったのですが、この服装は、サイトさんの故郷ではサイトさんと同年代の 若い女性が学校の制服として着ているものなのだとか。それで、なぜこんな変わった服を わたしに着せたがったのかはわかりました。 やっぱり、サイトさんは、サイトさんと同じ血が入っているわたしに、故郷のことを 感じているんだわ。帰れない母国、否応なしに離されてしまった家族や友人のことを。 そのことで、故郷に帰れないサイトさんを慰めてあげられるなら、こんな格好くらい、 何度だってしてあげたいと思います。 ……それはそれで、いいんですけど。 ちらりとサイトさんの方を見ると、サイトさんは半泣きになりながらわたしの方を じっと見ています。体を震わせながら。ちょっと、喜びすぎじゃないのかな。 それに、サイトさんの国の女の子は本当にこんなに極端に肌を見せてる格好を してるんでしょうか。少なからずサイトさんの趣味が入ってるところもあるのでは……。 少なからず湧き出てしまった猜疑心を振り払って、頭を切り換えます。 ダメよシエスタ。だって昨日、サイトさんにどんな趣味があるのだとしても、 出来る限り受け入れるって覚悟したじゃない。それに、サイトさんにはどんなことをしても 釣り合わないくらいのご恩を感じているし、何より、わたし自身がサイトさんのこと……。 うん、とわたしは力強く頷いて、サイトさんの顔を見つめます。今のわたしは、 サイトさんのためにいるんです。サイトさんの望むことなら何だってしちゃいます。 「どうすれば、もっと喜んでもらえるんですか? 言って、サイトさん! どうすればわたし、もっとサイトさんの故郷に近づけるの!?」 半ば自棄になってそう言うと、サイトさんは一瞬、難しそうな顔をして。 「回ってくれ」 「え?」 「くるりと、回転してくれ。そしてそのあと、『お待たせっ!』って、元気よく俺に言ってくれ」 ■5 お待たせって何? 何を待たせたの? いくらどんな趣味にも付き合うと決意したとはいえ、わたしの理解の 範疇外になりつつあるサイトさんの要求に、体じゃなくて頭の中がぐるぐる回転します。 でも、サイトさんが望んでるんだから。わたしは混乱をぐっと堪えて、サイトさんに頷いて返す。 そして、言われたとおりくるっと回ろうとして……。 今、下着を穿いてないことを思い出しました。もし、スカートの裾が舞い上がったりしたら。 緊張に身がすくんで、回転するというより、ただ背中を見せてから前に向き直るみたいに なってしまいました。 「お、お待たせっ」 それでも要求されたとおりの台詞を呟くと。 「ちがーうッ!」 「ひっ」 「最後は指立てて、ネ。元気よく、もう一回」 言葉は柔らかいけど、鬼気迫る雰囲気を放ちながらダメ出しするサイトさん。 わたしはスカートの裾を抑えて、思わず少し後じさってしまいました。 元気良く回る、って。つまり、スカートをひるがえして、中が見えるようにしろってこと? 今まで忘れていた不安がよみがえります。サイトさんは、わたしに恥ずかしい格好を させたくてスカートを短くしろって言ってきたんじゃないかっていう不安。 昨日ローラに言われた、『メイドの午後』のワンシーンが脳裏に浮かびます。 あの話でメイドに露出の激しい格好をさせた旦那様は、直接的に恥ずかしいポーズを 要求するのではなく、わざと遠回しに……脚立を使って高い所の掃除をさせるとか、 物を拾うために屈ませるとか、そういうことをさせて虐めるのです。 今のサイトさんも、まさか。ぐらぐらと頭の中が沸騰してくる。 本当に何度も回転したみたいに、足下がおぼつかなくなってくる。 でも、サイトさんはわたしに期待でいっぱいの視線を注いでいます。 他でもない、このわたしにこんな格好をさせて……下着すら着けていない、 むき出しのスカートの下が見えてしまう”かもしれない”行為をを望んでいるのです。 サイトさんはわたしを、虐めたがっている……。 じわっ、と体の奥に熱いものが膨らみました。今にも倒れてしまいそうなのに、 サイトさんのお願いに応えなきゃいけないって気分だけがわたしの体を支配する。 わたしはごくりと生唾を飲み込むと、自分じゃない誰かの意思で操られてるみたいに、 ”元気よく”くるっと身を回転させました。 ふわりとスカートが舞い上がるのが嫌に鮮烈に感じられる。 ――見られた? ううん、真横からだったら見えるかもしれないけど、 サイトさんはわたしより背が高くて、すぐ近くにいるから……たぶんわからないはず。 「お待たせっ!」 声が裏返りそうになりつつ、言われたとおり指を立てて、サイトさんに笑いかけながら 言いました。とくん、小さく体が震える。腰が縮み上がる。 はっとして、足をとじ合わせました。今、わたし、濡れてしまった。 下着をつけてないから、もしこのままこんなこと続けたら……。 「きき、き、君の勇気にありがとう」 でも、サイトさんは喜んでる。熱のこもった視線でわたしを見てる。もしも足まで垂れて しまったら、それを見られてしまったらなんて考えて、背筋に寒い物が走ったのに。 早くいつもの服に着替えたいと理性では思うのに。なのに、次にわたしの口から出たのは、 「……次はどうするの?」 そんな、かすれた声。本当に、まるで自分の体が自分のものじゃないみたい。 「えっと、次は……」 サイトさんがそう言って腕を組んだとき。 ■6 「それは、なんだね? その服はなんだねッ!」 「けけ、けしからん! まったくもってけしからんッ! そうだなッ! ギーシュッ!」 脇から急に男性の声が聞こえてきて、わたしはびくっと身をすくめました。 見ると、ミスタ・グラモンとミスタ・グランドプレが鼻息を荒くして近付いてきます。 「ああ、こんなッ! こんなけしからん衣装は見たことがないぞッ! のののッ!」 「ののの脳髄をッ! 直撃するじゃないかッ!」 サイトさんに詰め寄りつつも、わたしの格好を横目でじっと見ているお二人。 わたしは愛想笑いを浮かべましたが……その視線に、サイトさんに見られたときとは 全く違う不安と恐怖を感じました。 このお二人、まさか、さっきまでわたしがサイトさんの前でしていたことを、 見ていたのでしょうか。サイトさんに言われて回転して、スカートが舞い上がった所を。 こちらから気付かないほど遠くにいたのなら、見えるはずない。わかるはずない。 でも、様子が尋常じゃない。わたしを舐めるような視線で見回してる。 やだ……こんな格好なのに。サイトさんにだから見せてもいいって、見られてもいいって 思ってこの服を着たのに。他の人に見られるのは、絶対に嫌です。 わたしは助けを乞うようにサイトさんに視線を送る。けど、サイトさんは満足そうに わたしを見ていました。まるで、わたしの格好をこのお二人に自慢するみたいに……。 顔から血の気が引くのがわかりました。サイトさんは、わたしがサイトさん以外の人に 見られても構わないと思っている……それどころか、誇らしげに見せつけようとさえ しているのです。わたしのこんな、異常な格好を。 「……じゃ、仕事に戻りますっ!」 ミスタ・グラモンとミスタ・グランドプレの視線が。それにサイトさんの様子が怖くなって。 わたしはとってつけたような言い訳をして、その場から走り去ってしまいました。 ∞ ∞ ∞ なんだかシエスタの様子がおかしい。 仕事が片づいた夜。シエスタは部屋のベッドの上で、自分で仕立て直した水兵服 ――サイト的にはセーラー服とかいうらしいけど――を持って、「はぁ」とか「ふぅ」とか 溜息をつきつつ、時にはそれをぎゅっと抱きしめたり物思いに耽ったりしている。 ある意味見てて面白いのでしばらく観察してたけど、こんな風になったのはわたしが おとといの晩に変なことを吹き込んだせいもあると思うので、話を聞いてあげることにする。 「どうしたのよ、シエスタ。その服、サイトに喜んでもらえたんじゃないの?」 「うん……」 シエスタは頷いて、思い詰めた顔をわたしの方に向けた。シエスタは昨日の朝、 サイトにそのセーラー服を着た姿を見てもらって、大層喜ばれたらしい。 わたしが「彼はシエスタにミニスカートでノーパン姿の格好をさせたいんじゃないの?」と 言ったのは、はっきり言って冗談だ。わたしだってサイトの性格に詳しいわけじゃないけど、 いくらなんでも学内で露出羞恥プレイを敢行したがる子には見えない。 見事に信じたシエスタが可愛いのでそのままにしておいたんだけど……サイトにセーラー服姿を 見てもらった翌日の、今日の夕方になってから急にシエスタが挙動不審になった。 「あのね、ローラ」 シエスタは悩める少女の視線をわたしに向ける。 う、ちょっとどきっとしてしまった。この子って天然にいぢめてオーラ出すのよね、時々。 「うん?」 「今晩、サイトさんに呼び出されてるの」 「おぉ」 ■7 素直に感心した。シエスタってばあれだけ色々アタックした上、 実家で家族に紹介までしたのに最後まではいってなかったらしいけど、 遂にオンナになる日が来たらしい。感慨深いような、少々寂しいような。 「良かったじゃん、頑張りなよ。それで、どうするの? またわたし別の部屋に移って、ここ空けてあげてもいいよ?」 以前にサイトを泊めるために、部屋を譲ってあげたことがある。 その時は一緒のベッドで寝たけど、キスとお触りまでだったとか言ってたっけ。 「それがね……火の塔の階段の踊り場に、このセーラー服で来てくれって……」 シエスタは顔を伏せ、おずおずとそう言った。わたしは一瞬ぽかんとしてしまった。 なにそれ、場所と服装指定? しかも、適度に人気がなさそうな場所? わたしの背中に嫌な汗が湧き出てきた。ちょっと待って、瓢箪から駒ってやつ? 「それ、間違いないの? 聞き違いとかじゃなくて?」 「たぶん……」 シエスタははふぅ、と深い息をついた。その返事にわたしまで頭を抱えたくなる。 サイトはミス・ヴァリエールの部屋に寝泊まりしているんだから、 シエスタと二人っきりになれるまともな場所はこの部屋くらいしかない。 そんな中で、火の塔の前なんていう夜には人気が無い場所に、 自分がプレゼントした服装で来ることをはっきり要求したってことは……。 「ホントにサイトって、マニアックな趣味があったのかしらねぇ。お外が好きとか」 「そんな、他人事みたいな……!」 「だって他人事だし」 ちょっと泣きそうになってるシエスタにそう返す。わたしだってびっくりだ。 シエスタが抱えている、セーラー服とやら。確かに冷静に考えたら、 こんな服、ちゃんと下着をつけていたとしても日常的に着られるものじゃない。 そんな格好のシエスタを夜の校舎前に呼び出して、一体どんなことを させるつもりなんだろうか。ちょっと想像してみる。 ロ 口 □ 「あの……サイトさん……」 夜のヴェストリ広場。小動物のように身を震わせながら、人目につかぬよう暗がりを通って 火の塔の階段までやってきたシエスタは、そこで待っているはずの人の名を呼ぶ。 「シエスタ。遅かったね」 踊り場の上に立っていた少年……サイトの声を聞いて、シエスタの表情がいくらか和らぐ。 けれど、その顔にはまだいくらか不安の色が残っている。 「あの、ごめんなさい。待たせてしまいましたか?」 「大丈夫、気にしないよ」 コツコツと階段を下りてくるサイト。月明かりの下の彼は、いつもシエスタを見るときと同じ 人懐っこい笑顔を浮かべている。けれど、それは今のシエスタには安心の材料にはならない。 「ちゃんと俺が送った服、着てきてくれたんだ」 「はい……」 サイトはシエスタのすぐ前まで来て笑いかける。いくらいつもと様子が違うとはいえ、 目の前にいるのは自分の想い人。シエスタの胸が熱く高鳴る。 「それじゃ、始めようか」 同じ調子でそう続けたサイトの言葉に、シエスタは息を飲む。 「え……、あの、ここでですか?」 「? ここじゃ、何か問題あるかな?」 意外そうに聞き返すサイト。その顔には悪びれた所など何もなく、 そのことがいっそうシエスタを混乱させる。 ■8 「あの、サイトさんが望むなら、いいんですけど……できたら、二人っきりになれる所……、 わたしのお部屋とか、そういう場所がいいかなって」 「変なこと言うね。部屋の中でできるわけないだろ?」 「へ?」 「だって、これから散歩をするんだから」 苦笑しながらサイトはそう言う。シエスタは唖然として目を見開いた。 「さ、散歩ですか……?」 「そうだよ? 何だと思ったの?」 シエスタの頬がかあっと茜に染まる。彼女はこの夜、サイトに奪われてしまうものと思って ここへやってきたのだ。だからこそわざわざこの場所とこの服装を指定したサイトに対して 色んな邪推をしてしまった。 それが全て自分の勘違いだと知り、シエスタの中に一気に羞恥が湧き上がってくる。 「な、何でもありませんっ! サイトさんとお散歩ですよね、そっかぁ……」 シエスタは誤魔化し笑いを浮かべて目の前で手をぶんぶん振る。ちょっとした失望も 感じてしまっている自分に気付きながら、でも散歩といっても、言い方を変えれば 夜の逢い引きだわ、と考え直す。 サイトさんからの逢い引きのお誘い。それは十二分にシエスタの心を満たす響きだった。 「ああ、じゃあ行こうか」 シエスタに笑いかけて、学院の裏手の方へ歩き始めるサイト。シエスタは小走りに その背中を追う。と、数歩歩かないうちに、サイトが振り向いてシエスタを見る。 「違うだろ、シエスタ」 「え……?」 急にそんなことを言われて、不思議そうな視線を返すシエスタ。 「両手、地面について」 サイトはシエスタの頭にそっと手を置き、優しく撫でながらそう言った。 「え、あの、手……って?」 言葉の意味がわからず、しどろもどろになるシエスタ。サイトは空いている手でシエスタの 手をとると、頭を撫でていた手でシエスタの頭を軽く押し下げる。 強要するような力の入れ方ではなく、促すだけのような力なのに、シエスタは操り人形にでも なってしまったかのように、ぺたんと地面に膝をついた。丈の短いスカートの外にある膝が 直接触れた草地の冷たさが、いやに生々しくシエスタの体に伝わる。 そのまま、一緒に屈んだサイトに誘われるように、両手のひらも同様に地面につけてしまう。 「うん、その格好。立っちゃだめだよ?」 サイトの方はあっさりと立ち上がり、シエスタを見下ろしながらそう言った。 「あの、サイトさん、なんでこんな……」 シエスタはその顔を見上げながら、震える声で聞いた。まったく理解できない状況。 なのに、立ち上がることはできなかった。サイトの要求が、心より先に体を縛っている。 「こら、喋るのも駄目。今のシエスタは、犬なんだから」 「え……!?」 「シエスタは俺の飼い犬、だろ? じゃ、”シエスタの散歩”始めようか」 サイトはにっこり笑ってシエスタの髪を撫で、再びシエスタに背を向けて歩き始めた。 その背中を、シエスタはしばし呆然と見つめる。何が起きてるのか把握できない。 犬と呼ばれて、こんな格好をさせられて……恥ずかしさや屈辱よりも、混乱が勝る。 「どうしたの? 散歩、嫌?」 シエスタがついてこない事に気付いたサイトは、また振り向いて言った。 その声に、表情に。シエスタの心臓が跳ねる。もし嫌だなんて言ったら。 ここで立ち上がって拒否したりしたら、それはサイトを失望させること。そして、 サイトとの繋がりを断ち切ることになるような気がしたから。 「い、嫌じゃありません! さ……散歩、してください……」 シエスタは散歩を”しましょう”ではなく、散歩を”して”と言った。自分でも意識せずに。 「ほら、また喋った。駄目だろ、犬の返事は?」 サイトの言葉に、シエスタははっとして考える。サイトの望むこと、言いたいこと。 ■9 「……わ、わん」 そして、何秒も迷わないうちに、シエスタは口を開いてそう言った……いや、鳴いた。 サイトは「よくできました」とでも言わんばかりの笑顔を見せる。その笑顔を向けられて、 シエスタの顔は自然に輝き、体の奥には今までに感じたことが無いものが膨らんだ。 学院の外壁の側を、サイトとシエスタは”散歩”する。サイトはごく普通に……、いや、 シエスタに合わせて普段よりもゆっくりと歩を進め、シエスタはその横を四つん這いになって ついていく。 シエスタが初めに考えた、逢い引きなどというものとはかけ離れている。 恋人同士のような会話などない。指や手を絡めて甘い雰囲気を作ることもない。 けれど、シエスタの意識は隣を歩く”飼い主”の事を常に意識しており、その頬は赤らみ、 胸の鼓動は早まっている。四つ足で歩くという、人間の体には負担のかかる行動のためも あるのだろうが、息も多少荒くなっている。時おり口を大きく開いて呼吸する姿は、 それこそ犬を連想させた。 どうしてこんなことに。疑問に思うのは、なぜサイトがシエスタにこんな行為を 要求するのかということと、なぜ自分は理由も問わずにその要求に従っているのかということ。 わからない。聞きたい。けれど、人間の言葉で喋るのは禁じられている。 まともに考えれば、喋るのは駄目というのもサイトの理不尽な要求のうちなのだから 無視してしまえばいいとわかるのだが、今のシエスタにはわかっていても不可能なことだった。 ただ……、シエスタ自身にも、後者の疑問の答えは薄々自覚できていた。 シエスタは、この状況を嫌がっていない。嫌がっていないどころか、 サイトの要求を黙って受け入れるということに、充足を得ているのだと。 「あぁ……」 シエスタの口から吐息とも声ともとれないものが漏れた。その中に含まれている 艶のような物に気付いて、シエスタは思わず身を縮こませて震えた。 「どうしたのシエスタ? 寒い? 疲れた?」 「わ、わん……」 シエスタはサイトの質問に鳴き声で応じた。意思が通じるかどうかは問題ではない。 ただ、彼女の心と体に、サイト……いや、”ご主人様”からの「喋るのも駄目」という 命令が鎖をかけていた。 「ひょっとして、おトイレかな?」 あまりにも自然に出てきたサイトの言葉に、シエスタはびくりと体を震わせて ご主人様を見上げる。今のシエスタには、彼の望んでいることが理解できてしまった。 あたかも飼い主の意思を察する忠犬のように。 今の言葉は質問ではなく、飼い犬であるシエスタへの要求なのだと。 シエスタは小さく腰を揺らした。本当は、少し前からその兆候があった。 今のシエスタの格好だと、四つん這いになったことで丈の短い上着とお腹との間に できた隙間に、夜の冷えた風が当たる。また、極めて短いスカートを穿き、 さらに腰を曲げているせいで、何もつけていない腰が外気に晒されている。 つまり、この衣装のせいでシエスタの体は冷たくなり、尿意に襲われつつあった。 「我慢は良くないよ。それじゃ、ここでしてしまおうか」 ご主人様は近くにあった塔の壁のすぐ側までシエスタを促した。 シエスタは熱に浮かされたような顔で、ふらふらとその足下へ歩いていく。 そこで、気付いた。その塔は学院の女子寮。見上げればまだ灯りの漏れている 窓がちらほらあった。 シエスタの頭の片隅に残った理性が、己の行動を批難する。 自分が何をするつもりなのか理解しているの? 正気の沙汰じゃないってこと、わかってる? シエスタは潤んだ瞳と微かな微笑みで、ご主人様を見上げた。 わかってる。わたしは、ご主人様の望むことをするだけ。 前に誓ったとおり、彼の望むことを全て受け入れるだけ……。 ■10 「ほら、シエスタ」 サイトは遠慮無く……本当に何の躊躇もなく、シエスタのスカートを捲り上げた。 ひっ、と小さく息を詰まらせるシエスタ。形の良いお尻が月明かりの下に、 一切の隠す物が無く露わになる。ルームメイトに武器だとまで誉められたところが、 こんな歪んだ形で初めてサイトの視線に晒される。 「片足、上げてもらおうかな。足にかかったら困るし」 サイトは続けてそんなことを言った。シエスタの頭にぼうっと霞がかかる。 わたしはご主人様にお尻を見られてしまったのに、こんなに恥ずかしいことなのに、 ご主人様は何も感じてない。飼い犬がすること、当然のこととして受け止めている。 ……だったら、これは何も恥ずかしいことじゃないんだ。そう、犬が主人にどこを 見られたって、どんな行為を見られたって、恥ずかしい事でも何でもない。 シエスタはサイトの言葉通り、片足……ご主人様の方に足の間を晒すことになる方の足を、 ゆっくりと持ち上げた。短いスカートは腰のところに捲られて、このままでも汚れることはない。 そうか、この格好で下着を穿かないのって、飼い犬のわたしが外で用を足すときに 邪魔にならないためだったのね。嬉しい、サイトさん、わたしのためを思ってこの服を 見立ててくれたんですね。ありがとうございます、少し疑ってしまってごめんなさい。 足が高く上がった。その間がご主人様に向かって開かれる。 サイトは、そこをじっと見ていた。月明かりに逆光になって、シエスタからその表情は よくわからない。わかるのは、自分が想い人に初めて、はっきりと見られてしまったことだけ。 その太股を、きらりと光る雫が伝って落ちた。それが尿ではないことに、 彼女は気付いている。 申し訳ありません、わたし、犬なのに。サイトさんの飼い犬なのに。 なのに、ご主人様に見られてしまっただけでこんな……。 今、わたしがするのは違いますよね。すぐに、すぐに済ませますから。 シエスタは目をぎゅっと瞑り、下半身に力を込めた。恥ずかしいことだとか、 異常なことだとか、そんな常識はもう表出しない。ただ、ご主人様の望むことだから。 高く上げた足がぶるりと震え、シエスタの足の間から、綺麗な放物線が溢れて零れた。 まるで永遠に感じられるほど、長く……そして、身を焦がす時間だった。 水音が響くたび、開放感が体に走るたび、そしてご主人様の視線を感じるたび。 シエスタの表情はどんどんとろけていく。僅かに残っていた人間の部分が 現在自分が排泄しているものと一緒に体から流れ出てしまうかのように、 彼女の纏う雰囲気が雌犬のそれになっていく。 放出はやがて弱々しくなっていき、最後には地につけた膝や太股の方まで垂れて、 ようやく終わった。けれど、シエスタはその体勢を崩さない。 「随分たくさん出たね。足の方まで汚しちゃって。拭いてあげるから、じっとしてて」 その言葉に、シエスタは瞳を輝かせた。期待していたことを、ご主人様が言ってくれたから。 腰を小さく揺すってシエスタはおねだりする。サイトはポケットからハンカチを取り出すと、 まず足の方に垂れた分から拭きはじめた。 シエスタの喉から、くぅん……、と犬そのものな声が漏れる。くすぐったさを我慢したのと、 ご主人様への甘えが混じった声。サイトのハンカチは太股を綺麗にした後、 上の方へ登っていき、ついに柔らかい丘に触れた。 ■11 シエスタの全身が痙攣する。地につけたれた手足にぎゅっと力が込められる。 体中を走り抜けるような甘い刺激に、シエスタの甘えるような鳴き声は一層大きくなる。 けれど、サイトはそんなシエスタの反応に気付きもしないかのように、ただ丁寧に その部分の湿り気を拭くだけの作業を続ける。優しく、静かに。敏感で大事な部分を 傷つけないように。飼い犬への愛情がたっぷり感じ取れる手つきで。 けれど、駄目だった。シエスタは、完全な”飼い犬”にはなりきれなかった。 サイトも違和感に気付く。いくら拭いても、その部分の水気は取りきれない。 それどころか、さらにシエスタのそこは潤んでいく。 「シエスタ、どうしたの? これ」 ご主人様の呆れた声。だが、その声には愉しむような色があった。 シエスタはとろとろになった顔でご主人様を見る。彼は、あくまでも優しい飼い主の 笑顔でシエスタを見返し、小さく首を傾げた。 シエスタは上げた足を下ろし、再び四つん這いになった。そして、肘までを地面に 下ろし、お尻を高くご主人様の方へ掲げる。――捲り上げたスカートはそのままに。 「くぅん……」 シエスタは首をめぐらせてご主人様を見つめ、存在しない尻尾を振るかのように そのお尻を揺らす。今度は、飼い主であるサイトの方がシエスタの望むことを理解し、 そのおねだりを受け入れる番だった。 サイトはくすりと笑った。その顔が、”飼い主”のものだったのか、 そうではないものだったのか……その時のシエスタには、わからなかった。 ロ 口 □ 「あぁ、なんてこと! なんとインモラルな、マニアックな、けどツボをついたことを……! おのれサイト、なんという羨まし……じゃなくて美味し……でもなくてイケナイことを!」 わたしは頭を抱えて膝をつく。シエスタの純潔がそんな形で奪われてしまうだなんて。 しかも、これはあくまでも始まりに過ぎない。これからサイトとシエスタの関係は さらに歪んだ、爛れた、しかし濃密な愛情の詰まったものになっていくのでした。 「はぁ、はぁ、止めないと。でもそんなになっちゃうシエスタもそれはそれで……」 「あの、どんなこと考えたのかは知らないけど、もういい?」 その言葉に我に返ると、シエスタがせつないものを見る目でわたしを見つめていた。 「あ、シエスタ。尻尾は? あと首輪は渡されてない?」 「ないわよ」 冷めた声のシエスタに、わたしも冷静になってコホンと咳払いをする。 妄想はこれくらいにしておいて、真面目にシエスタの相談に乗ってあげないと。 「ま、まぁ、サイトだっていくらなんでも初めてのシエスタにそんな無茶なことは しないと思うな。会って話せば何とかなると思うよ、うん」 とってつけたように楽観的な意見を言ってあげると、シエスタは俯いた。 「……本当は、昨日の朝から気になってたんだけど」 「うん?」 「サイトさん、その……わたしのあの格好を、他の人に見られてもいいみたいで。 むしろ、他の人に自慢するみたいな様子だったの」 シエスタは大きく息をついて、すがるような目をわたしに向けてきた。 「なるほど……、そりゃ、確かに不安かもね」 シエスタは好きになった相手にはとことん積極的になる性格のようだけど 基本的には落ち着いていて、男性全般に対して魅力を誇示するタイプじゃない。 好きでもない男の好奇の目に晒されることなんて嫌がるタイプだろう。 ■12 「それで、ローラから貸してもらった本の中に、あったでしょ? 他の人の衆目があるところで女の子にいやらしいことして見せつけるとか、 それどころか、わざと他の男性に、だ、抱かせるとか……」 「い、いや、そこまで通好みな趣味は無いと思うけど」 さすがに、今のシエスタの発言には引く。 わたしだって結構な妄想はしたけど、まぁあれはお遊び。 シエスタの所在なさげな、煮え切らない態度にちょっと疑問が生まれる。 この子はサイトの事を信頼して、理解しているはずなのだ。 まともに考えれば、彼女が好きになるような男性がそんな自分を傷つけるような要求を するわけないってことくらいわかるし、不安に感じることだって無いはず。 どうしてこんな、はっきり言っちゃえばくだらないことで悩んでいるんだろう。 「シエスタ、あなた、何か隠してることない?」 真面目な声と表情をつくって、シエスタに聞く。シエスタはわたしの目を見た後、 少し間を置いてから、小さく口を開いた。 「……わたし、サイトさんのことが好きなの」 小さく脱力する。肩ががくっと落ちた。 「知ってるよ、そんなこと」 やれやれと言い返すと、シエスタはかぶりを振った。 「違うの。前より……、つい数週間前も、サイトさんの事は大好きだったけど、 その時よりずっと好きになってるの。自分でも怖いくらい。どうしようもないくらい」 どうやらただののろけ話じゃないらしい。姿勢を正して、続きを促す。 「サイトさんは凄い力を持った人で、貴族の方より強くて、魔法使いでもできないくらいの 手柄を立てていて、なのに全然いばったところがなくて、気さくで、 わたしにも優しく接してくれて、わたしを大事だと言ってくれて……」 やっぱりただののろけな気がしてきた。 「大好きだし、憧れだったの。だからサイトさんに喜んで欲しかった。笑って欲しかった。 わたしのことを見て欲しかった。けど……」 シエスタは、まだ手に抱いたままのセーラー服をぎゅうっと握りしめた。 「……サイトさん、わたしの村を救ってくださったでしょう?」 話を急に切り替えると、シエスタはわたしに問いかける。わたしは頷いて返した。 「うん。あなたから聞いたんじゃない。あの子はまさしく勇者だ英雄だって」 そう言ってやると、シエスタは寂しそうに笑った。 「そう。勇者で英雄。『竜の羽衣』を使って、戦争の優劣まで変えてしまうほどの人。 だから、そんなすごい人……サイトさんには、わたしなんて釣り合わないんじゃないかって……」 シエスタの言葉に、わたしは唖然とした。今さらそんなことで悩んでいたんだろうか。 「何言ってるのよ、恋に釣り合う釣り合わないなんて関係ないでしょ。そんなので悩んでる 暇があったら、あなたのできる最大限の事でサイトにアタックするしかないのよ!」 はっきり言ってやると、シエスタはまた顔を伏せてしまった。 「そう、それなの」 「え?」 「サイトさんと釣り合うかどうかなんて、関係ないの。それくらいサイトさんが好き。 サイトさんのためなら、何でもしてあげたいくらい。何をされてもいいくらい。 サイトさんの望むこと、全部受け入れてあげたいと思うくらい。……本当に、全部。 有り得ないことだとわかってるけど、例え、わたしに酷い事をして楽しみたいっていう 要求だったとしても……」 そこまで聞いて、わたしはようやくシエスタの”不安”を理解した。 シエスタは、サイトが自分に無茶な要求をしてくるんじゃないかと不安だったわけじゃない。 むしろ逆。どんな無茶な要求をされても、それを受け入れてしまうであろう 自分の感情に対して、不安だったのだ。 ■13 「それって、媚びてるっていうことよね。なりふり構わないってこと。 そんな浅ましい女の子なんて、サイトさんが喜ぶわけない。好きになってくれるわけない。 それが怖くて……、でも、わたしに他にできることなんて無くて……」 シエスタの瞳から涙が零れた。頬をつたって顎から落ちた雫は、 胸に抱えたサイトからのプレゼントの服に落ちる。 その様を見て、胸が締め付けられる。かけてやれる言葉が見つからなくなる。 シエスタが抱えているのは……何のことはない、恋煩いだ。この世界にいくらでもある、 処方箋の無い病のひとつ。 けれど、シエスタの病は深い。今まで身近で見たことがないくらいの、重い恋。 今まで恋愛に関しては先輩面して助言なんかをしてきたわたしだけど、 このシエスタを助けてやれる明確な言葉なんて、わたしは持っていない。 「……シエスタ」 わたしは彼女の側に行って、その体を抱きしめてやった。抱きしめて、彼女が恋している 男の子と同じ、夜の闇のように黒い髪を撫でる。 「シエスタはいい子よ。その気持ちも、自分の気持ちに不安になって悩んでしまうのも…… いい子だから生まれてくるもの。だから、不安になることなんてないわ」 いい子、いい子と繰り返しながら、本当に子供をあやすみたいに頭と背中を撫でる。 「いい子だなんて……、そんなの、何にもならないわ」 「ううん、そんなことない。いい子だっていうのは、これ以上無いほどの武器よ。 それだけで男の人に選ばれることができるくらい。望んでも得られない最強の魅力。 何せ、燃え上がるような恋が冷めた後だって、”いい子”はまだ好かれるんだから」 顔を離して、ウインクして見せてやる。シエスタは泣き笑いみたいな表情を浮かべた。 「あんまり誉められた気がしないんだけど……」 「そう? 最後に笑えるのはあなたみたいなタイプって言いたかったんだけど」 シエスタは涙を拭くと、今度こそ素直に微笑んで身を離した。 「それで、どうするの? サイトに頼まれれば何でもしちゃいそうな自分が怖いから、 サイトのお誘いは断るのかしら?」 軽い口調で聞くと、シエスタは首を振った。 この子だって、自分が何をしたいのか、何をするべきなのかは最初からわかってる。 「ありがとう、ローラ。ごめんね、泣き言聞かせちゃって……」 ぺこりと頭を下げるシエスタ。 「何言ってんのよ、困ったときはお互い様。それに、あなたとわたしの仲じゃない」 わたしは目の前の親友と目を合わせて、笑い合った。 それから、シエスタは吹っ切れた顔をしてセーラー服を着込み、 サイトとの待ち合わせ場所に向かった。あの様子なら、悪いようにはされないだろう。 その時のわたしはそう満足して就寝したのだけど、シエスタはサイトとの密会を ミス・ヴァリエールに目撃され、さらにその後色々とややっこしい事態になったらしい。 まぁ、それはわたしとは関係ない話なんだけどね。 つづく 前の回 一覧に戻る 次の回
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637 名前:1/4[sage] 投稿日:2006/10/11(水) 02 09 35 ID RdWXqUQ/ シエスタが俺の手を胸に押し付ける、ルイズはゆっくりあちこちに口付けている。 開いてる手で、ルイズの胸を触る…… 3人とも目は閉じて、一言も喋らない。 熱い吐息が漏れているのは、皆そろって無視する。 これは遊び、虚無の曜日の午前中だけの。 638 名前:2/4[sage] 投稿日:2006/10/11(水) 02 10 09 ID RdWXqUQ/ 息苦しくて目が覚める……顔に何かが当たっている。 3人で寝るようになってから、たまにこういう事が起きた。 (今度は枕か?布団の束か?まだ早いのになぁ……) もっと素敵なものだった……シエスタの胸。 起き抜けで渇いた喉が、掠れた音を立てる。 目蓋を、閉じなおす。 (俺はまだ寝てる。寝てるったら寝てる) ルイズは俺の背中だ、まだ身体は起こしていなかった…… (起きてるのはバレて無いはずだ……Goサイト) 寝返りを打つふりをする…… 柔らかい感触が、顔に当たる……そっと呼吸するたびにシエスタの香りが胸を満たす。 カラカラに渇いた喉を自覚しながら、シエスタの胸の谷間で呼吸する。 (至、至福……) このまま死んでも良いかもしんね………そう思っていた瞬間、 自分がまだまだ甘かったことを思い知る。 シエスタが、俺の頭を抱きしめながら寝返りを打った。 (む、胸で……窒息するっ) 名残は惜しいが、頭を横に振って、酸素を補給。 しかし未だに顔の側面は柔らかい感触で覆われている…… さっきのシエスタの様に、寝返りを打つモーションで、シエスタの腰に手を回す。 頭に血が上って、ズキズキと痛みそうな気がする。 それでも俺は止まれない。腰に回した手で、シエスタの感触を確かめる。 『何も遠慮すこと無いんですよー』 シエスタがいつか言った台詞が蘇る……しません、遠慮しませんとも。 寝巻きがめくれ上がっていて、たやすくシエスタの素肌を見つける。 柔らかな感触、スベスベの手触り……足を伝ってじわじわと手を滑らせる。 「むーーーー」 妙な呻きと共に背後で何かが起き上がる気配がする。 最優先で、手を緊急停止。 不自然に見えるのを避けるため、急に動かずそのままの姿勢をキープ。 「………………」 ル、ルイズがじーーーっと見ている気配がする……。 ルイズの目には俺とシエスタが抱き合っているように…… いや、まあ、抱き合ってるけど…見えるはずだ。 むんずと俺の肩をルイズが掴む。 (起きてるのバレタ――――――) 死を覚悟する……が、大の字に俺をひっくり返しただけだった。 何かが隣に倒れる……薄目を開けると………ルイズが横で寝ている…… (ね、寝ぼけただけか……助かった……) が、ルイズがゴロゴロと寝返りを打つ……結構早い。 (いてっ) 勢いよく転がったルイズは俺の腕を枕に……起きてるだろ……ルイズ。 だが、ルイズはまだ止まらなかった。 俺にのしかかるように、寝返り(たぶん本人はそう主張する) を打って、俺の顔にのしかかって来る……唇が塞がれる…… 舌が進入してくる……静かに俺の唇を舌がなぞる…… 段々激しくなってくる…… (ルイズ……本気で寝てたら窒息してるぞ……これ) そう思いつつも、舌を送り返す。 一瞬驚いた気配がしたが、目を閉じたまま夢中でお互いの唇を貪る。 大の字になった俺の上に、何か柔らかいものがもうひとつ乗った…… 本人は眠ったふりをしていても、すっかり起きている息子に、何か柔らかい感触が当たる。 足に当たる感触から、ソレが何かを理解する……シエスタのおっぱい…… 頭の奥が熱くなる。 3人とも眠っているから仕方が無い。 そういう事にして、全身の感触を楽しんだ。 639 名前:3/4[sage] 投稿日:2006/10/11(水) 02 10 40 ID RdWXqUQ/ 夢見心地はしばらくしたら終了。 「あーーーーーっシエスタあんた何してんのよ。」 いきなりルイズが絶叫した……気づいてなかったのか…… ゆっくりとシエスタが起き上がって言った。 「おはようございます。ミス・ヴァリエール」 「な、なによっ、今の見てたんだからねっ」 「ミス・ヴァリエール!」 少し低めの声に押されて、ルイズが黙り込む……俺も怖い。 「3人とも眠ってたんですから、仕方ないと思いませんか?」 「なっ、あなたっおきてたでしょぉがぁぁぁ」 「だからっ、聞きなさい、ミス・ヴァリエール」 「なっ、なによっ」 「2人とも寝てたんだったら、仕方が無いですよね?」 「?」 ……俺はわかった…… 「おはよールイズ、シエスタ。」 「サイトっ、さてはあんたも起きてたわねっ」 ……あんなキスしてて寝てられるとでも……… 「いやー二人の声で目が覚めちゃったよ」 気をつけているが、声が上ずってしかも棒読みになる。 「ちょっと夢見がおかしくてさ、あちこち寝返り打ったかもしれないな」 にっこり笑ったシエスタが 「えぇ、サイトさんわたしもなんですよ。」 乗ってくる。 「な、なによ、二人そろってぇぇぇぇ」 鈍い……ルイズ、空気読もうな…… シエスタが部屋の端まで引っ張っていく…… しばらく何事かを話し込んでいたが……赤くなったルイズが駆け寄ってくる。 「お、おはよう、サイト。何も無い朝だったわね」 ……変だ、それは変だぞルイズ…… 「おはようルイズ、俺はいい夢見たぞ」 「きききききぐうねぇぇぇ、サイトわたしもよっ」 「まったく奇遇ですねぇ、わたしもなんですよ」 三人そろって乾いた笑い声を上げる。 そして、 次の日3人そろってそれぞれの用事に遅れたため、寝相が悪くなるのは虚無の曜日だけにしようということになった。 640 名前:4/4[sage] 投稿日:2006/10/11(水) 02 11 12 ID RdWXqUQ/ ルイズの唇を堪能していると、左手がいきなり固定される…… シエスタが、腕の上に寝返りを打ってきた、今はルイズで口が塞がっている。 二の腕に柔らかい感触が添えられて……手を包み込んでいるのはシエスタの太もも。 下着の上から柔らかい箇所を探る。 「……っ」 シエスタが息を呑む。喋ってしまったら、3人とも目が覚める。 そして、目覚めた原因は、ちょっとした罰を受ける。 いつの間にかそう決まっていた、罰は大したものじゃないけど…… ちょっと意地になる、シエスタが声を上げるポイントを探す…… 相手が痛い事は禁止。 あまり自由にならない左手を蠢かせながら、余った右手でルイズの首筋を撫でる。 キスの真っ最中だから、声は漏れないが、ビクビクと感じているのが分かる。 先々週はコレで声を上げたルイズが水汲みに行った。 ルイズに掛かりきりになっていると、シエスタが不満に思ったのか、と頭を寄せてくる。俺の腕は、太ももの間からお尻のほうに付きぬけ、固定されてシエスタを触れなくなる。 俺の身体が痙攣する。 ヤバイ、ルイズとキスしてなかったら叫んでた。 シエスタが俺の首筋を舐め上げる……ビクビクと勝手に反応する体を抑えるために、ルイズの舌を吸う。 呼吸が苦しくなったらしいルイズは、逃れようとするが、右手で抱き寄せ逃がさない。 ルイズが逃げようとした所為で開いたスペースに、シエスタの手が差し込まれ…… 俺の胸を愛撫する……耐えられない……ルイズを抱きつぶすように抱きしめ、夢中で耐える…… ルイズがやっとのことで離れた瞬間、シエスタの唇が、俺の耳を包み、耳朶を舌が這い回る。 声が出なかったのは、肺が空だったからに過ぎないけど……シエスタは意地になって責めかかる。 も、持たない……始めは同じくらいだったこのゲームの腕も、今や俺もルイズもシエスタにまったくかなわない…… (どこでなにを聞き込んでくるのやら……) 次々に覚えてくる豊富な技も、日ごろの気遣いから来るこっちのポイントを探す上手さも、一番上手な理由だ……最もシエスタの一人勝ちにならないのは…… 右手でゆっくりシエスタの胸を揉む、 「っっっっっ………」 この感じ易い身体と、 一瞬緩んだ太ももの左手を、丁度いい位置に調整爪で、下着の上からカリカリと擦る。 もう俺を責めれなくなる、必死で声を抑えて防戦一方だ。 こういう時すら、どこかそそっかしい性格と、 いつの間にかシエスタの背後に回ったるいずが背中を舐め上げて……… 「ひゃぁぁぁぁぁん」 あんまり上手いと、1対2になるって状況だけだった。 くすくすとルイズが喉の奥で笑いながら、 「あら、朝からはしたない声ね、シエスタおはよう」 「素敵な目覚ましだな、シエスタ」 真っ赤になって俯くシエスタは何も答えなかった。 「ず、ずるいです、二人ともっっ、最近いっつも……」 涙目だ…… 「わがまま言っていい?」 ルイズもシエスタも黙り込む。 「今日は皆で食事したいな、シエスタここに朝食運べる?」 ちょっと機嫌を直したシエスタが、笑い掛けてから立ち上がる。 「厨房、行って来ますね。」 メイド服に着替えるシエスタを見ていると、ルイズに目を塞がれた。 「……サーイートー、なーにみてるのかしら?」 何も見えないうちに、シエスタが立ち去る音が聞こえる。残念。 来週のこの時間を楽しみに思いながら、いつまでもこんな時間が続けばいいな、とそんな事を考えていた。 598 名前:1/4[sage] 投稿日:2006/12/05(火) 03 29 48 ID EDJ2FNmW 三人でふざけあう虚無の曜日、タイプの違う二人の柔らかさを堪能した日。 いつの間にかサイトには日課が出来ていた。 学生のルイズや、サイト付きとはいえ働いているシエスタより、サイトの時間は融通が利くさいとは、二人がいない時間を見計らって部屋に戻る。 いつも入りなれているはずの部屋なのに、朝の出来事のおかげで空気が甘い気がする。 乱れたシーツを見るだけで、朝の記憶が蘇る。 ズボンを緩めながら、ベットに倒れこむ。 サイトはじゃれ合う二人が、自分の股間を触らないように細心の注意を払っていた。 (……男だって意識されたら、もーこんな事しなくなるよなぁ) 自分自身の欲求も大事だったが、毎週のこの時間がとても好きだった。 硬くなった自分を握りしめる。 事前に洗濯物の中から、ルイズとシエスタの下着を一枚づつ抜き出してあった。 二人が毎日休むベットの上で、二人の下着を玩具に……自分の快感を高める。 (もし……触るだけじゃなくて……) 二人が嫌がらずに触ってくれることを想像する。 ルイズもシエスタも、頼めば…… いや、好きだと言えば、許してくれる。 そんな予感は有ったが、自分の欲望で彼女達の想いに答えるのは…… (卑怯だよなぁ……) 身体目当てだと、そう思われるのが怖かった。 とはいえ、毎週あんな事をしていながら、何もしないのは…… (無理、健全な高校生として、不可能) ルイズのオンナノコが当たっているはずの所に、ゆっくり擦り付ける。 本物に同じようにしたい欲求が、毎回狂おしいまでに高まる。 丸めた布団の上に置いたシエスタの下着に触れながら、シエスタの胸の感触を思い出す。 「シエスタ……ルイズ……シエスタ……」 サイトの心境のように、どっちつかずな声が漏れる。 朝の記憶を取り戻すために閉じられた目には、ドアが開くのは映らなかった。 「……サイト……さん」 冷水を浴びせられたように、正気に返る。 二人の下着の上を転げ回りながら、限界寸前まで硬くなったソレを握りしめる様を、シエスタに観察されていた。 (お、終わった……) シエスタもルイズも、本気で怒る。 そんな気がした。 二人が信頼してふざけあってくれたのに、その信頼を裏切った。 二度とあの時間が帰ってこない予感に、涙が出そうになる。 「ご、ごめんなさいっ」 あれ?俺……まだ謝ってないよな? 真っ赤になったシエスタが、深々と頭を下げていた。 「男の子って……そのっ……お話は知ってたんですけど……サイトさんは違うと思ってましたっ」 謝っているのはシエスタだった。 「こ、こっちこそごめん……その……下着とか……その……」 言い訳のしようも無いけど、謝るべきだと思ったことを、そのまま口にした。 「あの……それ、わたしのですよね?」 見れば分かるようなことを、あえて確認される。 「ご、ごめんなしゃい」 惨めな気分だった、これから何を言われるのか竦みあがった。 シエスタが一歩づつ近寄ってくる。 右手がゆっくり上がる。 ……あぁ……殴られるのか…… シエスタにとって当然の権利だ、怒っても良い…… でも、できれば嫌わないで欲しかった。 虫のいい願いだと分かっていたけれど。 それで許してくれるなら……と、覚悟して歯を食いしばる。 ……恐れていた衝撃はいつまで経っても来なくて、頬に触れたには優しい指先。 驚いて開かれた唇は、もう一つの唇で塞がれた。 599 名前:2/4[sage] 投稿日:2006/12/05(火) 03 30 21 ID EDJ2FNmW 怯えるサイトさんの頬を、そっと撫でる。 泣きそうな目がわたしを見た瞬間、我慢が出来なくなった。 (うれしい) ミス・ヴァリエールの下着も有ったけど…… (ちゃんと、わたしも女の子だって見てくれてたんですね) 毎日一緒に眠って、毎週触りっこして、数え切れないキスをして…… それでも何もしてこないサイトさんは、ミス・ヴァリエールの事しか見ていない。 そう思ってた。 下着が足りないのに気が付いて、戻った時に見たことは衝撃だったけど…… (サイトさんが、ちゃんと男の子で安心しました) 「お、怒らないのか?」 恐々とわたしを見上げるサイトさんが愛しい。 もう一度キスをしてから、サイトさんの隣に腰を掛ける。 「いつから?」 ひょっとして、わたしとミス・ヴァリエールは凄く残酷な事をしていたのかもしれない。 サイトさんに無理をさせていたとしたら……申し訳なかった。 「結構前……その……じゃれ合う様になって……2、3回目から……ごめん」 男の子は出さないとすっきりしないんだよって、聞いてたのに…… サイトさんが普通にしていたから、全然気が付かなかった。 これからどうすれば良いのか……どうしたいのかは決まっていた。 喉がからからに干上がる。 ミス・ヴァリエールを裏切る……そうなるのが分かった。 でも……止められなかった。 「サイトさんは……どうしたいんですか?」 わたしが何を言っているのか理解していない様子のサイトさんは、返答に困っていた。 シュル 小さな音を立てて、胸元を緩める。 「わたしに何が出来ますか?」 サイトさんの目が胸に集中する。 サイトさんの手が、ゆっくり上がる。 じゃれ合うときにはしないような強さで、胸を触る。 痛いけど……我慢。 無心に胸を弄るサイトさんは幸せそうだけど…… (これじゃ駄目なのよね?) サイトさんに気持ち良くなって貰わないといけないんだ。 サイトさんに胸を任せたまま、服を一枚一枚脱いでゆく。 途中で気が付いたサイトさんが、目をきらきらさせて見つめるのが、誇らしくて……恥ずかしい。 「したいようにして良いんですよ?」 サイトさんが見てる……それだけでわたしの身体が熱くなっていく。 「何かして欲しいこと有りますか?」 そう聞いた途端に、サイトさんの視線が、自分のオチンチンに向けられる。 (……き、聞いた事しかないけど……) そっと握ってみると、びくびくと震えていた。 「どうしたら良いんですか?」 柔らかく握るわたしの手に、擦り付ける様にサイトさんの腰が動き出した。 「もっと……強くっ……」 切羽詰ったサイトさんの声にもう少しだけ力を入れる。 「シ、シエスタァ……もっと……」 鳴きそうな声で、力を入れて欲しがるけれど。 (び、敏感な所なんですよね?) 始めての事に、わたしも加減が分からない。 泣きそうなサイトさんが、わたしを見ていた。 上手に出来ないことが悲しかった。 サイトさんに気持ちよくなって欲しかった。 「ご、ごめんなさいっ」 どうして良いかわからなくなったわたしは、その場で謝り始めた。 600 名前:3/4[sage] 投稿日:2006/12/05(火) 03 30 53 ID EDJ2FNmW シエスタが涙がこぼれるのにも構わず、頭を下げ続けていた。 わざとではないにしろ結果的に、俺は限界まで焦らされていた。 いつまでも逝けない事に、心のどこかがざらついていたが、 それでも……シエスタが泣いているのを見るのは悲しかった。 俺は気持ちよくなれないのが辛くて、 シエスタは俺を気持ちよく出来ないのが辛い。 俺の欲求の為にシエスタが悲しむのは納得できなかった。 綺麗な涙を下ですくう。 「え?」 驚いた顔で俺を見るシエスタの頬を、動物のように舐め続ける。 しょっぱい。 顔中ベタベタにしながら、シエスタが落ち着くのを待つ。 「落ち着いた?」 俺の問いかけに、コクリと頷くシエスタが可愛かった。 涙が止まっても、シエスタの顔を舐める。 唇を舐めていた時に、シエスタの瞳がはっと見開かれた。 思いつめて顔で、俺の分身を見つめる。 流石に恥ずかしくなってきた瞬間、衝撃が来た。 「なっ、ちょっ……シエスタっ」 シエスタが下から上に丹念に俺を舐め上げていた。 「こ、これなら……痛くないですよね?」 シエスタが始めてなのはよく分かった。 よっぽどデリケートなものだと思われているみたいだった。 下から始まったシエスタの愛撫が、先端に達した時に俺の身体が過度に反応した。 「ご、ごめんなさい」 シエスタが慌てて離れた。 ……また、寸止めですか…… 「ちがう……シエスタ……」 自分の気持ち良い所を説明するのは、ある意味裸を見せるより恥ずかしい。 「その……先の方気持ち良いんだ」 驚いた顔で、一番敏感な所を凝視する。 シエスタは試すように、人差し指でソコをなぞった。 ビクビクと反応する俺を見て、ほっとした様に呟く。 「気持ち良かったんですね……よかったぁ……」 納得してくれて良かった、そう思っている間に、シエスタはもう一度股間に顔を沈めた。 執拗に先だけ舐め始める。 「ちょっ、シエスタっっっ」 他の所には一切触らず、先だけ舐め続ける…… (気持ち良いけど、これはこれで辛いぃぃぃぃぃ) 快感は大きくなるが、この刺激だけで逝くのは大変そうだった。 「ちょ、ストップ、シエスタ、待って」 単語でしか喋れない俺だったが、シエスタは俺の声に従った。 「だ、駄目……でしたか?」 ……捨てられた子犬のような目でシエスタが俺を見つめる。 逆です……気持ち良いのは良いんです……恥ずかしくて言えない。 「ほら、その……そこ、汚いし」 そんな言葉でお茶を濁そうとするが、 「サイトさんなら、良いんです……どこだって……いいです」 かえって興奮してしまう。 「なんだってします……何されても良いんです……サイトさん」 シエスタが俺の手を胸に当てる。 柔らかい……そして……いつもより熱かった。 「ドキドキしてるんです……分かりますか?」 分からなかった、多分俺の心拍数も負けてないから。 「ここも……です……」 もう片方の手が濡れた感触に触れた瞬間、俺は理性を手放し始めた。 601 名前:4/4[sage] 投稿日:2006/12/05(火) 03 31 24 ID EDJ2FNmW サイトさんに触れているだけで、恥ずかしいくらいグッショリと濡れていた。 隠したかった……でも…… (知って欲しい) サイトさんにわたしの全てを見て欲しい、知って欲しい。 そして…… (身体も、心も……全部サイトさんのモノに成りたい) そう思った瞬間、サイトの手を誰にも見せた事の無い所に導いていた。 驚いた顔を見た瞬間、羞恥と後悔が押し寄せる。 (き、嫌われたらどうしよう? ……えっちな娘って思われたら……どうしよう? ) 今更だった。 胸の中が恐怖で一杯に成る前に、サイトの手が動き出した。 ゆっくりと上下に動き、何かを……探していた。 サイトが自分から触ってくる、その事だけでシエスタの理性は解けかけていた。 もどかしげにシエスタを弄るサイトの手が、何かを見つけて止まる。 (あ……) 見つけたのは入り口。 指で入念に場所を確認した後、シエスタはベットに引き倒された。 (……いよいよ……です……か? ) さっきまで舐めていたモノが、自分にあてがわれる。 それだけで気持ちよかった。 でも…… (サイトさんは……これから……なんですよね? ) 自分の味わった快感をサイトさんに返したかった。 もっと気持ちよくなって欲しかった。 入り口で手こずっていたサイトが、丁度良い角度を見つける。 ……何度も驚かされるように来た話を思い出す。 痛いって、幸せだって、色々な事を聞かされていた。 ちっと自分の肉が裂かれる感触と共に、痛みが……そして。 (サイトさんが……来てくれた……) サイトの感触が、シエスタの中を満たす。 痛みに耐えながら、サイトを抱きしめる。 「こ、これっ……」 奥まで差し込んだサイトが、苦しげに息を吐くのが怖い。 (ど、どこか……変ですか?気持ち悪いですか?痛いですか?) 痛みとは別に、涙が出そうになる。 「ご、ごめん、シエスタ……」 祈るように、サイトの言葉を待つ。 「気持ちよくて……止まらない……だめ……これ……おかしくなりそう」 胸の奥が安堵で満たされる。 サイトを迎えた幸せを、やっと心の底から感じる。 「……うれしい……サイトさん」 何かに耐えるサイトの唇を奪う。 「ちょ……だめっ、シエスタ……今なんかしたら……」 荒い息をついたサイトが苦しそうだった。 (どうなるんですか? 何もしない方が良いんですか? ) 「いっちまうっ、もっと……ゆっくり……」 サイトが動ける範囲で動こうとしていた……快感を感じるために。 (でも……) 「何度でも……いいんですから……サイトさんの好きにしてくださいね?」 そういった瞬間、サイトがもう一度奥まで押し入る。 痛かった。 (でも……幸せ) 自分の奥に熱い何かが広がる感触がして、サイトがゆっくりともたれ掛ってきた。 30 名前:1/11[sage] 投稿日:2006/12/08(金) 02 14 53 ID 7bzMhz3E 俺の目の前にはルイズの頭が覆いかぶさっていた。 柔らかい髪をそっと触りながら、俺の方に抱き寄せる。 キスすると見せかけて近づけた唇を、そのまま首筋に当てる。 自分の頭と反対の方に手を回し、ルイズの頭を固定する。 キスを期待していたルイズは、不満気に俺を抱きしめた。 (そろそろ……か……) サイトの期待通りズボンが引っ張られ、大きくなったモノが空気に晒される。 シエスタだ…… あれ以来じゃれ合うときには必ずシエスタに抜いてもらう。 もちろん、ルイズに気付かれない様に。 もうすぐ……そう考えた瞬間、暖かいものが……シエスタの口がサイトを包み込む。 声が漏れないように、ルイズの首を舐め上げる。 サイトを独り占めしている……そう思っているルイズがサイトに身を任せる。 自分は動かずに、サイトの愛撫のみを受ける……好都合な事に。 シエスタはサイトの先端のみを咥えたまま、舌先でカリまでを執拗に舐める。 快感のために荒くなる息を抑えながら、ルイズの胸を摘む。 一瞬ルイズが息を呑むが、これ位で声が出ないことは知り尽くしていた。 全身の神経が股間に集中するなか、シエスタは飲み込む位置をゆっくりと進める。 シエスタの与える快感から逃れようと、ルイズの愛撫に没頭する…… 没頭しようとしていた。 不可能だった。 何度もの練習の末、シエスタは俺を根元まで飲み込む事が出来るようになった。 うねる様な暖かい感触が、全体を包み込む。 シエスタの苦しげな息が、俺をさらに興奮させる。 喉の奥で俺を締め付けながら、舌全体で裏筋をなぞる。 (やばい……) 次に来る行動は分かっていた。 薄目を開けてルイズの唇を捜し、慌てて吸い付く。 うれしげにルイズが喉を鳴らす。 激しく情熱的に……サイトに求められた……その喜びの為に。 シエスタの口が、今度は俺を吐き出していく。 音を立てないために緩慢な動きで。 ただし……強く吸い上げながら。 一瞬でも長く楽しむために、ルイズの唇を貪る。 狂ったように吸い上げる俺に舌を任せる。 一番気持ちいいところでシエスタの口が止まる。 一息ついて、ルイズの唇を楽しむ。 またしばらく、口の中で舌におもちゃにされる。 その間も俺を高めるために、シエスタの手は俺の袋を撫で擦る。 いつ逝ってもおかしくないそんな状態のまま、限界点でシエスタに弄ばれる。 シエスタの頭を掴んで、無理やり動かしたい衝動に駆られる。 ルイズが居なければ……最近はそんなことすら考えてしまう。 シエスタがまた俺を責め始める、俺もまたルイズに逃れようとするが…… 俺が果てる場所を調整したらしいシエスタは、喉の奥で熱いモノを受け止める。 大量の精を嚥下する音が、自分の身体越しに聞こえる。 心地よい快感に脱力しながら、惰性でルイズを責める。 毎日シエスタを可愛がっている成果で、勢い良くルイズが登りつめる。 シエスタはその間、丁寧に俺を舌で清める。 ツボを知り尽くした動きに、俺はまた硬くするがあっさりとズボン仕舞い込まれる。 (後で……) こんなにあっさりと止めたことを、シエスタに詫びさせることに決定。 シエスタと二人きりになるのが、とても楽しみだ…… (さっさと終わらせるか……) シエスタに目で合図する、音もなくルイズの背後に回りこむと、俺の手助けを始める。 ルイズが……声を出すまで…… いや、声が枯れるまで絶叫するのに、そんなに時間は掛からなかった。 31 名前:2/11[sage] 投稿日:2006/12/08(金) 02 15 28 ID 7bzMhz3E ここしばらく、ルイズは毎日ご機嫌だった。 「もーサイトったら、急に情熱的になるし……最近上手よねっ?」 浮かれた様子のまま、唯一この話題で盛り上がれる相手シエスタに話しかける。 「……そうです……ね」 弱々しく微笑みながら答えるシエスタに、ルイズの胸は罪悪感で一杯になる。 サイトの愛撫が自分に集中していると言うことは……その答えがその表情だと、そう思った。 「ご、ごめん……シエスタ」 浮かれていた自分が恥ずかしくなって、しょんぼりと項垂れる。 慌てた様子のシエスタが、フォローに入るくらい落ち込んで見えたみたい。 「そんな、わたしも……そのっ、ちゃんと触ってもらいましたし……上手です……」 段々小さくなりながらも、わたしの問いに生真面目に答えたシエスタが何かに耐えるように、わたしを強く抱きしめる。 「ミス・ヴァリエール……可愛いから、つい集中しちゃうんですよ」 (シエスタの胸の中で聞いても……あんまり、説得力無いわねー) こんなに気持ちいいんだもん、サイトがおっぱい好きなのよく分かるな…… 自分の胸を見て切ない気持ちになる。 「ミス・ヴァリエール?」 自分の胸に手を当てながら、落ち込んでいるわたしに、シエスタが心配そうに声を掛ける。 「サイト……大きいほうが好きよね……わたし……そのうち、嫌われるかも……」 三人で眠るようになってから、ずっと感じていた不安。 だって、シエスタは可愛くて、優しくて……胸だって…… 「そ、そんなことありませんっ」 びっくりするほど強く、シエスタが反応した。 わたしを優しく抱きしめていた手に、痛い位力がこもった。 「サイトさんは……いつも、いつだってミス・ヴァリエールを大切に……」 わたしの頬が何かに濡れる……涙? 慌てて見上げると、シエスタは泣いていた。 「ご、ごめんなさい、シエスタ」 今度はわたしがシエスタを抱きしめる……胸はないけど。 「シエスタは素敵だから、サイト……きっとシエスタの事も……ね?」 ご主人様も大事にしてくれるし……ちょっと位シエスタに貸してあげる。 シエスタは何かに怯えるように、わたしの胸にすがりつく。 わたしがサイトに嫌われるのが怖いように、きっとシエスタもそれがとても怖い。 不安に成っている時は、考えがどんどん悪い方に行く。 わたしはとてもよく知っていて、死のうとまでした事があった。 それを止めて、またサイトに会わせてくれたのは…… あの時のお返しが、少しでも出来ればいいのに。 そう思ってシエスタが泣き止むまで、抱きしめてあげる。 随分時間が経って、やっと少し落ち着いたシエスタにお茶をいれてあげる。 ちょっと失敗気味だけど…… 「はい、シエスタ」 わたしが淹れたお茶を、驚いたように見つめる。 「失礼じゃないかしら?」 怒った様に詰め寄って、やっとシエスタが受け取ってくれる。 恐る恐る口をつけたシエスタが、やっと一言もらす。 「……美味しいです」 わたしも自分の分に口をつける……苦い。 「やっぱり、シエスタが淹れた方が美味しいわねー」 「でも……暖かいです」 「お湯で淹れたんだから、当たり前じゃない?」 変なシエスタ。 飲み終わったシエスタからカップを取り上げる。 「あ、わたしがっ」 慌てて立ち上がろうとするシエスタを押さえて、テーブルまで運ぶ。 「落ち込んでる時くらい……甘えてくれた方が嬉しいわよ?シエスタ」 そんな一言だけで、また泣きそうになるシエスタが可愛い。 「困ったことが有ったら、相談しなさいシエスタ……」 (その方が嬉しいじゃない) 声に成らなかったけど、伝わってるよね? 「あ、でもサイトのことは別よ?フェアに行きましょうね?」 32 名前:3/11[sage] 投稿日:2006/12/08(金) 02 15 59 ID 7bzMhz3E ミス・ヴァリエールに言えない。 『わたしサイトさんに、ほとんど毎日抱かれています』 優しいこの方を、毎日毎日笑顔で騙しながら…… あれ以来サイトさんは暇さえ有ればわたしを呼び出す。 ミス・ヴァリエールに悟られるないように、細心の注意で。 泣きながら、ずっとそう言いたかった。 慰めてくれる優しさが辛かった。 純粋な眼差しが痛かった。 優しい言葉がわたしを追い詰める。 この甘い地獄のような日々が、私を狂わせる。 毎日毎日身体を求められながら、サイトさんが一番優しく見つめる人を毎日見せ付けられた。 求められる身体は、毎日感度が増していくようで…… どれだけ自分を戒めようと、サイトさんに触れられるだけで容易く快感に溺れた。 多分サイトさんがわたしを求めているのは、身体だけ。 優しいサイトさん、大好きだったサイトさんの穏やかな目は、今私に向けられる事は無い。 「はい、シエスタ」 慣れない手つきでお茶を淹れてくれるこの方を見るとき…… その時だけ昔のサイトさんに戻る。 わたしと二人きりの時のサイトさんは…… 「……美味しいです」 そんな一言だけで、嬉しそうに微笑む。 それだけで周りが華やぐ。 綺麗な綺麗なミス・ヴァリエール。 絶望に凍った、わたしの心に暖かい何かが注がれる。 「……暖かいです」 サイトさんがこの方を好きな理由がとてもよく分かる。 意地っ張りだけど、優しくて。 素直になれないけれど、寂しがり屋で。 ずっと側に居て欲しい、そんな人。 デモワタシハ、 「困ったことが有ったら、相談しなさいシエスタ……」 コンナ、ヤサシイコトバヲカケテクレルヒトヲ。 「あ、でもサイトのことは別よ?フェアに行きましょうね?」 ズット、ダマシテイル。 照れながらミス・ヴァリエールが立ち去った部屋で、わたしは一人泣き続ける。 ……本当に一番辛いことは、こんなになっても、サイトさんが好きで。 ミス・ヴァリエールを、騙しても嫌われたくなくて。 いつか破滅すると分かっていても、何も手放したくない……卑怯なわたし。 こんな女じゃ……いつか……貴方に捨てられて当然ですよね……サイトさん。 その日を思うだけで、涙が止まらない。 いくら優しくても……許せる筈無いですよね……ミス・ヴァリエール。 その事を考えるだけで、心が切り裂かれる。 ……本当は、気持ち良い事して欲しいだけじゃないのかしら? ……シエスタ。 自分の身体すら、自分の精神を裏切って苛んだ。 33 名前:4/11[sage] 投稿日:2006/12/08(金) 02 16 35 ID 7bzMhz3E 毎朝起きて最初にルイズを見るのが好きだ。 一生懸命張られる虚勢が、強気の内側の弱気が、全ての仕草が愛らしい。 (あー俺って、ルイズが好きなんだよなぁ……) その事を疑ったことすらない。 でも…… 身体は毎日シエスタを求める。 その最中のサイトは、ルイズを邪魔に思うほど激しく。 シエスタの身体が気持ち良過ぎるのが、いけないんだよなぁ…… そんな勝手な事を思いながら、小さく溜息を吐く。 (最近、妙に抵抗するんだよなぁ……) 結局は抵抗し切れなくて、泣き叫ぶ様を見るのが楽しかった。 ルイズを好きなのは確かなのに、シエスタの身体に魅了されていた。 (俺って気が多いのかな?) 一度シエスタを抱いて以来、欲望に歯止めが効かなくなった。 廊下を歩いていたシエスタを、思わず空き部屋に引きずり込んだことすらあった。 抱くたびに違う反応がサイトを興奮させる。 回数を重ねるほどシエスタは自分に馴染んでいく、初めての時より気持ち良い程だ。 本当に嫌なのか? と、疑いたくなるほど必死に抵抗する時も、始めさえすれば思い通りになった。 (そういえば……今朝のお仕置き、何にするか考えてなかったな……) シエスタに何をするのか、それを考える時が最近何より楽しかった。 (いいよな……シエスタは俺が好きなんだし……) 大好きなルイズと一緒に暮らす。 美味しいシエスタを毎日貪る。 (この世界に来てよかったなぁ……ルイズに感謝だ) 周りの目を気にして、何も考えてないフリをしながら、 内心はシエスタをどう可愛がるか考える。 有るか無しかの笑みを浮かべながら、淫靡な思考に没頭する。 (我慢しなくて良いんだよな、昔そう言われたし) サイトの行動を止めるものは、一切無かった。 34 名前:5/11[sage] 投稿日:2006/12/08(金) 02 17 08 ID 7bzMhz3E シエスタがおかしい。 ルイズは居ても立っても居られなくなる。 (最近、食も細くて……悩み事でも有るみたいなのに……) 相談してくれない事を、恨みに思う。 (頼りないのかなぁ……) 初めての友達だった。 姫さまや、貴族の友達と違う。 最初は眼中に無かった。 その後は生意気な敵だった。 命を助けてくれて、励ましてくれた。 どれもこれも、今まで誰もしてくれなかった事。 サイトとは違う意味で大切だった。 (やつれて……妙に色っぽいけどっ) 憔悴するようになって、前より綺麗になった気すらした。 そういう美容方かとも思ったけど…… 怯えるような目が、眠りながら流す涙が、自分に助けを求めている。 そう思えた。 「さぁ、ちゃきちゃき、真相吐きなさいっ」 半日メイドやクラスメイトに話を聞いて、結局は…… シエスタにあれだけ影響力を持つのは、サイト絡みしかなかった。 「な、なにがだよ?」 部屋の隅に追い込んだサイトが、不思議そうにしていた。 「シエスタ……最近変じゃない?」 そう聞いただけで、サイトの目が反らされる。 ……あやしい (いくらサイトでも、シエスタ苛めるのなら、許さないからっ) 「知ってることが有ったら、素直に吐きなさいっ」 心当たりがありそうなサイトを締め上げる。 「し、しらねーよ」 (白々しい……) 自分が気がついていないシエスタのことを、サイトが気づいているのが悔しい。 そんな自分の内心も分からず、ただ苛立ちをサイトにぶつけた。 「本当に知らないのね?」 サイトは無言で頷いて……言う気がない事だけはよく分かった。 でも、目を合わせ様ともしないサイトが怪しいのは確かだった。 ……少し考えてから、部屋の隅まで退却。 「……何してるんだ?」 「観察よ」 とりあえずサイトから目を離さないことにした。 35 名前:6/11[sage] 投稿日:2006/12/08(金) 02 17 45 ID 7bzMhz3E あれから、ルイズがどこに行くのにも付いて来た。 (授業はどうした……) イライラとそんな事を思う。 ルイズが張り付いているお陰で、昨日はシエスタが抱けなかった。 一日しなかっただけで、欲求が募った。 (あーしてなかった頃が信じられないな……) 大人しくどこまでも着いてくるルイズを眺める…… (あーもう、押し倒しちまおーか……) 一瞬そんな事が頭をよぎる…… (……嫌がるだろうしなぁ……嫌われるの怖いし) 好きな子に無理やりなんて、無理か。 小さく溜息をつく。 (まぁ……嫌がらないシエスタと、どうにかして落ち合えば……) そう思いながらも、既に夕方だった。 (今日も抜けないかも……) 激しい焦燥に駆られ、必死で考える……思いついた。 手早く着替えを準備する。 「どこいくの?」 ちょこちょこ近づいてきて、俺の様子を伺うルイズは……可愛かった。 (あーやっぱり、ルイズ最高) そう思いながらも、シエスタを抱くための作戦を開始。 「風呂、一緒に入る気か?」 即座に固まったルイズが真っ赤になりながら逃げ出す。 「あ、それとも覗く気か?」 「まままま待ってるから、早く帰ってきなさいよねっ」 よし 「長風呂だけど、大人しく待ってたらあとで話でもしような」 シエスタのなんてことは一言も言ってないのに、ルイズの顔が輝く。 「うん、待ってるから……」 思い通りの展開に笑いをこらえながら、学園にある温室に向かう。 シエスタが俺付きになってから、部屋に花が絶えた事は無かった。 普段使わないようなものまで磨かれ、必要なものは一声で出てきた。 (いい子だよな、シエスタ) 感じやすいし、素直だし。 料理上手いし、なんでもしてくれるし。 ……歩いている最中にシエスタのことを考えすぎるのは危険だ…… ちょっと前かがみに成りながら、目的の場所に着く。 シエスタは予想通りの場所に居た。 幸せそうに一輪一輪吟味して、花篭に仕舞う。 周りには誰も居なかった……ここでも良いか? 足音を殺して、シエスタの背後に回りこむ。 後ろからいきなり口を塞ぐ、 「んんんっ〜〜〜〜〜〜」 シエスタの恐怖に染まった声を聞きながら、スカートを捲くり上げドロワーズの脱がせる。 長いスカートで俺の姿が見えないシエスタが、必死に暴れている。 夕日に晒されながら踊る、白いお尻に見惚れていると、指先に鋭い痛みが走った。 「やあっっ、サイトさんっ、助けて……」 泣きながら逃げ出そうとするシエスタを呼び止める。 「ん、なに?呼んだ?シエスタ」 振り向いたシエスタが息を呑む。 「ひ、酷いです……サイトさん……」 まー仕方ないか……けど…… 「ほら、シエスタ」 血の滴る指を見せる。 自分が何に噛み付いたか、シエスタは真っ青になった。 「ごめんなさいっ、サイトさんっ……こ、これで……」 綺麗に洗濯されたハンカチで指が丁寧に包まれる。 (面白いことになったな……) 俺の感想はそんなものだった 「それは、それとしてさ……おしおきなんだけど」 36 名前:7/11[sage] 投稿日:2006/12/08(金) 02 18 24 ID 7bzMhz3E (タオル……届けないと……) シエスタは階段の前で立ちつくしていた。 (今なら……大丈夫のはず……) 分かっていても、足が動かなかった。 すれ違う何人かは、動こうとしないシエスタを不審そうに見ていた。 目立つだけ、時間の無駄。 分かってはいても一歩踏み出すのには勇気が要った。 (サイトさんが……待ってる) 結局その事実に、シエスタは意を決する。 足を上げて階段を上がる。 それだけの行動なのに、頭に血が上り何も考えられなくなる。 しばらく上がった所で、階下の方から物音が聞こえる。 「……………っっっ」 慌てて走り出そうとしたが、翻るスカートを見て足早に歩く程度のスピードに切り替える。 緊張のしすぎで荒くなった息を整えながら、一歩一歩前に進む。 スカートに十分な長さがあるのは分かっていた。 たとえ……サイトに取り上げられたドロワーズが無くとも、誰かに見られる心配はない。理性はそう指摘する。 (サイトさん以外に……見られたくない……) 理屈ではなかった。 いつもある下着が無い。 それだけで、裸で廊下を歩かされている気分だった。 (サイトさんの……意地悪) 自分がどうなっても良いサイトに直接そう言われている気がして、涙まで出てきた。 それでも…… (サイトさんと……約束……しましたから……) (届けてくれるの……待ってるって……) 萎えかけた気力を振り絞る。 心をすり減らしながら、三人で暮らす部屋に転がり込む。 「シエスタ?ちょっと……大丈夫?顔赤いよ?」 幸せそうにまどろんでいたルイズが、真っ青になりながら駆け寄る。 (……わたし……心配してもらえる資格なんて……) うわの空でルイズと話す。 付いて来ようとするルイズを、必死に押しとどめる。 何度も何度も説得して、やっと部屋から出ない約束を取り付けた。 (やっと……半分) タオルを持って廊下に出たシエスタは、安堵のあまり廊下にへたりこむ。 (早く……サイトさんに……) そう思った瞬間に気づく。 (あ……この後……) サイトがこんな事をした後に、自分をどうするか……考えるまでも無かった。 身体の奥に火がつく。 (あ……) 自分の奥から溢れたモノが、足を濡らしていた。 (期待するだけで……もう、こんな風になるんだ……わたし) ゆらりと立ち上がったシエスタの頬に涙が伝う。 それでも身体はサイトの指示に従い、前に進む。 37 名前:8/11[sage] 投稿日:2006/12/08(金) 02 18 55 ID 7bzMhz3E 温めの風呂の浸かりながらシエスタを待った。 (すぐには無理だろうけど……) 真っ赤になって嫌がったシエスタも、指先を見せるだけで大人しくなった。 (は・や・く・こ・な・い・か・な・と) その瞬間を楽しみに、風呂の中でサイトは硬くなった分身をシエスタに差し込む事だけを考えていた。 (馴染んだっていうか……柔らかくなったよなぁ) 感じさせるほどに潤い、強い締め付けでサイトを狂わせる。 何度も味わったシエスタの味を思い出すだけで、いくらでも待てた。 (……シエスタが来れば……) ソレ、をゆっくり味わえる。 夕日が沈みきる寸前、シエスタがふらふらと現れた。 「お、おそくなって……ごめんなさい」 シエスタの謝罪も聞かずに、風呂から出る。 「きゃっ」 何度も見たはずなのに、大きくなったオレを見て恥ずかしそうに目をそらした。 「か、風邪……引きますよ……」 持ってきたタオルで、俺を包む。 拭き残しが無い様に、全身に触れるタオルがくすぐったかった。 (こういうのも良いけど……) 無言でスカートを捲り上げる。 弾かれたように目をそらしたシエスタの反応を楽しみながら、目的の場所に触れる。 「濡れてるね、シエスタ……誰かに見られると思った?」 フルフルと左右に首を振るシエスタを、さらに追い詰める。 「見られると思って、興奮したんだ?」 「ち、違いますっ」 シエスタが必死に俺に取りすがった。 「そんな事で興奮したりしませんっ……わたしは……わたしは……サイトさんしか……」(そんな事は知ってるさ) シエスタの反応を十分に楽しんだ後、シエスタを近くの木に掴まらせる。 これから何が起きるのか察したシエスタが黙り込んだ。 スカートを捲り暫くシエスタを鑑賞した後、メイド服を着たままのシエスタに後ろから突き入れる。 「ひっ……あ…………」 立っていられなくなったシエスタの上体を、服の上から胸を掴んで止める。 「いっ……いたいっ……だめ……ひっぱっちゃ……」 強すぎる刺激にシエスタがもがく。 「じゃ、自分でちゃんと立とうな」 俺の言葉を聞いたシエスタが、目の前の木にしがみ付いた。 (準備できたって事だよな?)……勢いよく腰を使う。 「だっ……サイトさんっっっ、つよっ……」 散々待たされた俺は、シエスタの身体に溺れ始めた。 流石に野外で初めてだ。 シエスタは必死に声を殺していた。 (意地でも声が聞きたくなるな) シエスタの一番奥まで差し込み、オレの先を押し付ける。 ビクビク身体は反応しているのに…… (しぶとい……) もう一度勢いよく動こうとした時、 「おや、サイトじゃないか?」 ギーシュ? 流石に焦った俺はシエスタを近くの茂みに突っ込んだ。 「ど、どうした?」 「散歩さ……君は……風呂の最中に催したのか?」 肝心な所を見ていなかったギーシュが、裸で茂みに向かっている俺を見て都合の良い勘違いをしてくれた。 「連れションでもするか?」 (本気にされたら困るけどな) ギーシュといえども、シエスタの身体を見せてやる気は無かった。が、 「ぐあぁぁ」 思わず声が漏れる。 緊張のためか、シエスタの締め付けが増していた。 (……面白い) 38 名前:9/11[sage] 投稿日:2006/12/08(金) 02 19 28 ID 7bzMhz3E サイトさんがミス・ヴァリエールを一番大事にしているのは知っていた……でも…… 「連れションでもするか?」 見られるかもしれない……わたしのこんな姿を……サイトさんは他の人に見られても平気なんだ…… 悲しみと、 イヤイヤイヤイヤ、わたしを見ていいのは……サイトさんだけぇぇぇぇ 恐怖で全身が震えた。 「ぐあぁぁ」 「ど、どうした?サイト?」 サイトさんが吠えていた。 「いや、なんでもないさ」 そう言いながら、ゆっくりとわたしの腰を動かした。 『んっ……んんっ…………あっ』 唇をかみ締めながら、声を殺す。 ここまでされているのに、サイトさんから離れられなかった。 「ギーシュもどうだ?」 (またっっっっ) 涙が溢れそうになった。 「いや、遠慮しておこう」 ミスタ・グラモンの返事を聞きながら、サイトさんがグリグリと円を描くように腰を押し付ける。 『っっっ……も……だ……』 口の中に血の味が広がる。 それでも声が止まりそうに無かった。 それどころか、唇の裂ける痛みさえ甘美に感じ始めた。 (あぁ……もうすぐ……限界ね……シエスタ) 自分の心の一部が、冷静にそんなことを指摘していた。 「そうそう、サイトお前最近騎士隊の訓練サボって何してるんだ?」 (え?) そういえば……最近のサイトさん……暇さえあれば…… 「いや……ちょっとヤル事が有ってな」 嫌な予感に快感が流される。 「副隊長なんだから、もう少し真面目にやりたまえ」 「はいはい、隊長、明日は行くさ」 サイトさんの声がどこか冷たくなる。 それを察したのか、ミスタ・グラモンが大げさに溜息をついた。 「明日だな?待っているからなサイト」 足音が遠ざかっていく…… 慌ててサイトさんに向き直って問い詰める。 「サイトさんっ、騎士隊サボリって……」 まさか…… 「ん〜ほら、ルイズが側に居て、シエスタ抱いてれば幸せなのに、無理しなくてもいいじゃん」 …………サイ……ト……さん? 「先生だって生きてたしさ、この方が楽しいし」 そう言いながらサイトさんが繋がったままの腰をひねる。 「ひっっっっ」 恐怖で凍り付いていた精神が、欲望にあっさり解かされる。 (だ……め……止めない……と……) 涙でぼやけた視界の中、サイトさんの唇が近づいてきて…… 血の味のキスで何も考えられなくなった。 39 名前:10/11[sage] 投稿日:2006/12/08(金) 02 20 00 ID 7bzMhz3E シエスタの中に注ぎ込む。 「はっ……あぁ……」 蕩ける様な瞳で俺を見るシエスタが色っぽい。 うねうねとオレを奥に引き込むように蠕動するシエスタの中が気持ちよくて、オレはまだ硬いままだった。 シエスタの締め付けに酔いながら、繋がったままオレの方を向かせる。 ぐったりと心地良さそうなシエスタは、好きなように動く人形のようだった。 今度は正面から抱き合う。 裂けた唇と血の味のキスに、流石にやり過ぎたかと少しの後悔。 お詫びに優しく胸を揉む。 「やっっ、だめっ……サイトさん……さっきので、わたしもイって……」 ……わがままだなぁ 強めに握りしめると、甘い声が漏れだす。 「なんだ……まだいけるんだ?」 「ひっ」 何かに怯えるようなシエスタの奥を掻き回す。 「やぁぁぁっ、だめっだめだめだめぇぇぇぇ」 おー元気元気。 俺が出したモノも潤滑液にして、さっきまでよりさらに勢い良く動き出す。 「ひぃっっっっ」 必死にもがくシエスタの逃げ場がないように、背中を木に押し付けた。 慌てて後ろを振り向いたシエスタの瞳に絶望が写る…… (これから可愛がるのに……失礼な) 腰を使って木に叩きつけるように、激しく挿入する。 しばらく叫んでいたシエスタが、いきなり脱力したが…… (この前後の中が……) シエスタの感触の中で俺が一番好きな瞬間。 もちろん止まらずに、動き続ける。 「……かっ……は……」 苦しげに開くシエスタの口に、舌を差し込む。 理性の消えたシエスタの目に、欲望が燃え上がる。 心地よい抱き心地のシエスタの身体を、満足するまで貪った…… 「俺……ルイズとシエスタが居れば……それだけで良いや……」 心地よい疲れに浸りながら、あぁ……俺ってなんて幸せなんだろう…… そんな思いで一杯だった。 40 名前:11/11[sage] 投稿日:2006/12/08(金) 02 20 37 ID 7bzMhz3E ぐったりと休むサイトに服を着せる。 身体が冷えすぎないように、多めに持ってきたタオルでサイトを包む。 くつろいだ寝顔が愛しかった。 「俺……ルイズとシエスタが居れば……それだけで良いや……」 嬉しかった……でも…… 『きみたちは、もっと世のため人のため、というものをだね、考えないといけないよ』 そう言ってわたし達を諭した人は…… (もう……いないの……ね?) 変わってしまった…… (いいえ……) 変えてしまった。 それでも…… (嫌いに……なれない) 心がサイトさんから離れようとしない。 身体がサイトさんに従ってしまう。 決して離れられないと、 二人に嫌われない限り何が有ろうとも自分から離れることはないと思っていたけれど。 (わたしが……サイトさんを歪めるのなら……) 自分のせいで好きな人が変わってしまうのなら。 (うん、サイトさんのためなら……) 大好きなサイトさんからも、 大好きなミス・ヴァリエールの側からも。 「さようなら」 小さく囁いて、立ち上がる。 (当てなんて無いけれど……) 声を殺して泣きながら、シエスタはその場を立ち去った。 150 名前:1/10[sage] 投稿日:2006/12/11(月) 02 53 36 ID NdtmND0T 一睡も出来なかった。 シエスタが帰ってこない。 「サイト、あんた本当に何も知らないの?」 「…………しらね」 何度も何度も聞いたから、サイトの返事も段々短く不機嫌に成ってくる。 (わたしが……ちゃんと話を聞いていたら……) 「ミス・ヴァリエール、サイトさんお風呂で寝ちゃいました」 やる事が有るからと、連れてくる事をわたしに頼んだシエスタ。 あの、シエスタがサイトのことをわたしに頼むなんて…… シエスタの顔が青ざめていたから、無理に寝かしつけてサイトを迎えに行って。 部屋に戻るとシエスタは居なかった。 体調崩したままどこかに向かっている途中に、どこかで倒れていたらどうしよう……。 学園の医務室には誰も運び込まれていない。 警備にも連絡した。 それでも…… (シエスタが……どこにも居ない) もうすぐ太陽が上がる。 いつもならルイズがまだ眠っている時間だ。 (あれ……?) 窓の外にメイド服? 「シエスタっっ!!」 慌てて窓に駆け寄るけど……ちがった…… 少し驚いた顔をして、見知らぬメイドは仕事を続けた。 (シエスタも……いつもこんな時間から起きていたの?) シエスタが来てから何時も部屋は綺麗で、隅々まで掃除が行き届いていた。 シエスタが片付けてくれた所は、必要なものがすぐに見つかった。 「どこ行くんだよ?」 立ち上がったわたしにサイトが声を掛ける。 「シエスタの事……知っている人が居ないか探しに行ってくる」 メイドや学園の従業員は、起き出したみたいだから。 「大丈夫だって、すぐに帰ってくるから」 「なんで、そんな事が分かるのよっ」 何か知っている様子なのに、何一つ私に教えないサイトに苛立っていた。 「なにかしってるんなら、教えなさいよっ」 ……わたしは……気づけなかった『何か』サイトが気づいたのなら…… 悔しいけど教えて欲しかった。 そして、できれば困っているシエスタに手を貸してあげたかった。 「……っっ、しらねーよっ、でも……シエスタが俺から離れられるわけないだろっ」 ……わたしでもシエスタが何か悩んでいるのは分かった。 「行ってくる」 ……サイトも最近おかしかったんだ…… 本当ならもっと心配する、だってサイトもシエスタが好きだから。 シエスタばかり見て、気付かなかった…… 最近サイトも変だった。 優しかったから、気にしなかった。 ううん、嬉しかったから何も考えなかった。 でも……サイトが優しかったのって……わたしだけじゃなかったかしら? 最近サイトのシエスタを見る目が変わっていたことに……やっと。 もう手遅れかもしれない今になって気付いた。 151 名前:2/10[sage] 投稿日:2006/12/11(月) 02 54 09 ID NdtmND0T 「なにか知っていることが有ったら……思い出したら知らせて欲しいの」 「ありがとう」 「わたしの部屋は……」 手当たり次第にメイド達に声を掛ける。 仕事の手を止めさせる事になったけど、シエスタの事って分かったら皆答えてくれた。 (好かれてるんだ……シエスタ) 胸の奥が少し暖かくなる。 でも……見つからない。 (誰か……しらないかしら) 食堂まで走る…… 「あら、おはよールイズ」 「早いわね、モンモランシー」 あちこち回ったとはいえ、まだ早い時間で人影はまばらだった。 「ちょっとね」 笑いながら答えるモンモランシーに問いかける。 「シエスタ、知らない?」 「……誰?」 「サイトのメイド……」 少し考え込んだモンモランシーだったけど…… 「黒髪の子よね?どうかしたの?」 ……しらないんだ…… 「居なくなったの……」 他の子に聞きに行くために、席を立つ私をモンモランシーが呼び止めた。 「なんで、ルイズが探してるの?」 「え?」 「ルイズにとって、その子は何?」 そんなの……考えるまでもない。 ライバルだけど……とても大切な……命の恩人そして、なにより…… 「大切な……お友達」 「そう……がんばんなさい」 ちょっと笑ったモンモランシーが手を振る。 「うん、ありがと」 「……ルイズっ」 急に呼び止められる。 「なあに、モンモランシー?」 「……顔色悪いわよ?」 そういえば……寝てないし、頭もちょっと重い。 でも…… 「平気……それより……探さなきゃ……」 「あー、その、ほら学園の外にでも出てない限り安全よ」 ……あ 「がががが、学園の外に出てたらどうしよう?」 敷地内なら大量に要る使い魔のせいで、動物寄ってこないけど…… 「あぁぁぁぁ、違うのルイズ、心配させようとしたんじゃなくって」 「熊とか、狼とか、猪とかっ」 「いや、あの、ほら……ねぇ?」 「ドラゴンとか、グリフォンとか、ヴァンパイアとかっ」 一刻の猶予も無かった。 「シエスタ―――無事でいて……」 「ちょ、ルイズっ」 慌てて駆け出すわたしにかけられた、 「学園の側にそんなの居るわけ無いでしょうっ」 なんて言葉にはまったく気付かなかった。 153 名前:3/10[sage] 投稿日:2006/12/11(月) 02 54 41 ID NdtmND0T 「さようなら……ミス・ヴァリエール」 サイトさんのところに走るミス・ヴァリエールを見て、どこか安心する。 無理やり寝かしつけられたベットから起き上がる。 「……わたしなんか……優しくしてもらう……資格……ない……のに」 『心配してるんじゃないからっ、こんな所で倒れられたら迷惑だからよっ』 わたしの顔色を見て、自分がどれだけ泣きそうな顔になったのか……きっと本人は知らない。 「さて……と」 もうここには居られない。 スカロンおじさまの所も、タルブも……サイトさんもミス・ヴァリエールも知っているし…… 学園の中だって……きっと……見つかる。 「あはは、いくとこ無くなっちゃいました」 サイトさんに会ったら…… 「わたし……逆らえないから……」 誰にも……見つからない所へ……行かないと…… ふらふらと部屋から出て、思いつくままに足を進める。 どこにも行くあてが無いのに、帰る訳にも行かなくて…… どこにも行けないのに、立ち止まれない。 居場所が無いのって……要らない人って言われてるみたい。 ちょっと違いますね…… 居たらいけないんだもの、それどころか……邪魔。 どこをどうやって歩いたのか分からなかった…… 気がついたら塔の上に居た。 「ここ……火の塔?」 サイトさんから逃げるようにして来たのは、ミス・ヴァリエールとの思い出の場所だった。 「……たぶん、ここで始めて分かり合えたから」 側に居るわけには行かないのに……弱った心がミス・ヴァリエールを求めていた。 「あはは、駄目ですねぇ、わたしって」 塔の石垣にもたれ掛って、景色を見る……月明かりで照らされた景色は綺麗だった。 世界はこんなに綺麗なのに……自分は…… 「ここから……落ちたら楽になるんでしょうか?」 魅力的な考え……でも。 「駄目ね……ミス・ヴァリエールが悲しむもの」 そういえば……ここで、神様も始祖も信じないって言ったんだっけ…… 「バチがあたったの……ね」 立っているのも辛くなって、膝を抱えてその場に座り込む。 ミス・ヴァリエールに気付かれるといけないから……届くはずも無いのに、声を殺して泣いた。 夜の風と冷たい石が体温を奪っていく…… (このまま……誰にも見つからないまま……冷たくなってしまえば良いのに) 154 名前:4/10[sage] 投稿日:2006/12/11(月) 02 55 16 ID NdtmND0T あれから2日……ルイズは一生懸命メイドを探している…… 授業にも出ず、ろくに眠ってもいないみたい。 「ただいま」 自分の部屋に入る。 本当は、誰も居ないはずの部屋に。 「お帰りなさいませ、ミス・モンモランシ」 泣き腫らした目をしたメイドが居た。 「ルイズがまだ探してるわよ」 「……そう……ですか……」 部屋は隅々まで掃除されていて、ずいぶん綺麗になっていた。 「寝てなさいって、言わなかったかしら?」 「このほうが落ち着くので……」 ちいさく口の中で『スイマセン』と謝っているけど…… 毎日毎日眠りもせず、無理に食べさせなければ食事も取らない。 死んだような目でピクリとも動かないか、 気が付いたら部屋の隅で声も立てずに泣いている、この少女が不憫だった。 「まだ何が有ったのか言う気に成らない?」 見つけることが出来たのは幸運だった。 塔の上は、たまに学院の生徒に無理やり手を出されたメイドや、 ホームシックの下級生なんかが泣きに……たまに飛び降りに。 来るから、まめに覗くようにしていた。 ルイズがあれほど心を許すこの子が、どうしてここまで傷ついたのか…… (わたしの周りに悲しみがあるのは許せないって……決めたのに) 無力なわたし。 「ごめんなさい……」 決して何が有ったのか話そうとしないこの子…… 無理に話を聞くのはこの子をさらに悲しませるだけだと思うから…… 「いいわよ、話したくなったら聞くから……ほら、とりあえず食べなさい」 見つけたときはすっかり冷たくなっていたのを魔法で部屋に運び込んで、 付きっ切りで看病した。 意識を取り戻したこの子が、最初に言ったのが…… 『サイトさんにも、ミス・ヴァリエールにも言わないで下さい、お願いですから』 必死にそう頼まれて約束してしまった。 ルイズには悪いけど、約束を優先させていた。 (それに……理由も分からず返したら、もっと傷つきそうで……) ルイズの所に帰ることを、まるで殺されるかのように怯えていた…… 「ねぇ、まさかルイズが貴方に酷い事したの?」 あの子がそんな事するとは思えないけど…… 「ち、違いますっ……」 「じゃ、もうかたっぽ?」 「……ちがいます……わたしが……いけないんです」 さっぱり事情が分からなかったけど…… 「まぁ……好きなだけ居なさい」 正直部屋片付いたり、色々助かるし。 ただし…… 「ちゃんと、食べて、寝て、元気になることっ」 「はい」 わたしの勢いに押されて返事をする……シエスタだっけ? 「ほら、口にした以上はちゃんと食べて、さもないとルイズ連れて来るわよ?」 「えと……たべます」 あら、効果抜群。 156 名前:5/10[sage] 投稿日:2006/12/11(月) 02 55 49 ID NdtmND0T シエスタが帰ってこねぇ…… なんでだ? 嫌って言ってたけど……いっつも悦んでたくせに…… 「くそっ」 本気で……ルイズとシエスタが居れば何もいらないのに。 「サイト、今日も来ないのか?」 ……ギーシュ 「……いや……行くよ……」 何人か剣で殴り倒したい気分だった。 「そうか……よかったなぁ、うん」 何も知らないギーシュが喜んでいた。 「そういえば、君は探さないのか?ルイズが探してる……メイドの」 「シエスタ」 「そうそう、そのシエスタ」 うるさい……お前にシエスタの事を語られたくねーよ。 「故郷にでも帰ったのかい?」 「いや……タルブには帰ってないみたいだ」 居なくなったその日に、ルイズが使いを走らせていたし…… ジェシカやスカロンに頭を下げて……あのルイズが頭を下げて、 見つけたら連絡が欲しいと、そう頼んでいた。 (どこに行ったんだよ……) そんなに……逃げ出すほど……俺が…… シエスタが居なくなってから、ルイズは俺に話しかけることもしなくなった。 そもそも部屋にもほとんど戻らない、シエスタを探し続けていた。 (いらつく……) ヴェストリの広場に出ると、騎士隊のメンバーが俺を見てざわめいた。 (そんなに珍しいかよ……) 訓練用の木剣を握る。 あれ?ま、いいか。 「誰か、相手してくれよ……」 一斉にみんな目をそらす……ちっ。 「何人かまとめてで良いから……鈍ってるだろうから、ちょっと動きたいんだ」 何人か乗ってきた奴らを見る……悪いが……憂さを晴らさせてもらう。 「では、僕が合図しよう……いいか?サイト」 「あぁ、任せる」 木剣を握りしめながら、合図を待ち…… 合図の有った瞬間……きり……かかる? 剣を握っているのに……なんだこの鈍さは? 数人に囲まれ、あっという間に一本取られる。 取った方も、俺も呆然としていた。 「駄目だね、相棒……」 俺の代わりに騎士隊の訓練を見ていたデルフが、悲しげに話しかけてきた。 「な……なんでだ?」 何か知っている様子のデルフに問いかける。 左手にはルーンが以前と変わらず刻まれているのに…… 「相棒……何が有ったのか知らねーが……心が凍っちまってる……」 (心……が?) 「相棒、おめーは心が震えねーと……」 (ガンダールヴの力が……消え……た?) 「サイト、大丈夫なのか?」 心配げなギーシュや騎士隊のメンバーの声も…… 今の俺には届かない。 157 名前:6/10[sage] 投稿日:2006/12/11(月) 02 56 20 ID NdtmND0T 「サイトが騎士隊の訓練に出てたわよ」 毎日そのことを必ず聞いてくるこの子に、やっと伝えられた。 「ほ、本当ですか?」 「嘘ついてどうするのよ」 この子の心の底からの笑顔を……始めてみたかもしれない。 「ちょっと、調子は悪かったみたいだけどね」 「……え?か、身体の調子でも?大丈夫なんですかっ?」 自分で見に行けば良いのに。 「体調は普段どおりみたいだったけどね」 それよりも…… 「ルイズが倒れたわよ」 喜びに輝いていた顔が、あっさり真っ青になった。 「ミ、ミス・ヴァリエールが?ご、ご無事なんですかっ?」 ぐ……この子……力強いわね。 肩をつかまれてガクガクと揺らされながら答える。 「医務室に運び込まれて、今は魔法薬で無理やり眠らされてるわ」 安心したように力を抜くけど…… 「魔法薬で無理に眠らせるのは、身体に良くないのよ?」 「だ、だったらっ」 「起きたらあの子すぐに、あなたを探しに行くのよっ!!」 ぼろぼろになっても、まだこの子を探すために動こうとしたから…… 先生が止むを得ず魔法薬を使った。 この子もルイズも忘れているみたいだけど。 「わたしだって、ルイズの友達よ、心配してる」 その場に崩れ落ちたシエスタに声を掛ける。 「話なさい、何が有ったのか。わたしも手伝うから」 今日はもう引かない、ルイズが倒れたと聞いたときそう決めた。 「……はい、お話します……でも……」 「えぇ、誰にも言わないわよ」 うそ、必要なら……憎まれても、嫌われても、悲しみを止めるためにソレを使う。 158 名前:7/10[sage] 投稿日:2006/12/11(月) 02 56 57 ID NdtmND0T 長い話が終わった…… 一言喋り始めると、歯止めが利かなくなったみたいに喋り続けた。 今はわたしの腕の中で、ただ泣き続けていた。 (あんの……使い魔ぁぁぁ) 『サイトさんは悪くないんです……わたしが……』 『ほ、本当に嫌なら……もっと抵抗すればよかったけどっ…… わたしが……わたしが、溺れちゃったからっ』 繰り返し繰り返し『サイトさん』を庇うこの子…… ぽんぽん頭を撫でてあげると、泣く勢いが増した気がした。 「おもいっきり泣きなさいね?」 ほんの数日だけど、一緒に暮らして……いつも何かに耐えるように泣いていたこの子が、わたしも少し大切になっていた。 なにより…… (わたしの目の前で悲しんでいる) 助けたかった。 『ミス・ヴァリエールを……裏切ってしまった』 『嘘をついて……優しいあの人はそれでも……』 わたしの友達のために泣く子を、放っておくつもりは無かった。 「今日はゆっくり休みなさい」 わたしのベットにシエスタを横たえる。 泣き疲れて眠るまで側に居る。 暫くして寝息を立て始めると、そっと机に向かって音を立てないように幾つかの品物を取り出す。 口の中で呪文を唱えて、気分の落ち着く香に火を付けて香炉に入れる。 昨日までよりは、少しマシになった寝顔を眺める。 さて…… 悲しみを癒すために、できる事を始めよう。 159 名前:8/10[sage] 投稿日:2006/12/11(月) 02 57 28 ID NdtmND0T ガンダールヴでも無くなって…… 部屋に帰ると、ルイズが倒れたって連絡が来て…… 「……あーあ、なーにやってんだかなぁ……俺」 「いいのか?相棒、嬢ちゃん所行かなくて」 デルフを鞘にも入れずに部屋まで引きずってきていた。 「いいんだよ……」 どうせ……行っても…… シエスタも、ルイズも居ないこの部屋は広くて…… 「なぁ、なんか喋ってくれよ」 デルフの声でも聞かないと、気が狂いそうだった。 寂しくて、寂しくて、寂しくて。 「なぁ、相棒……何が有ったんだ?」 やっと掛けられるデルフの声に安心する。 「ん〜そうだなぁ……お前になら……良いよな……話して」 「おれさ、シエスタと寝た」 ルイズが倒れている時に、最低の話題……でも多分最低の俺には相応しい。 「気持ちよくてさ、シエスタも悦んでくれて、毎日シテた」 デルフはピクリとも動かずに、声も出さずに、まるでただの剣みたいに聞いていてくれる。 話を聞いてくれて、口も堅くて、一緒に考えてくれる。 理想的な相談相手だ。 「シエスタ、最近いっつも嫌がったりもしたけど、最後には気持ち良くなってくれてたし」 「シエスタとルイズさえ……二人さえ居れば何もいらないのに……」 「なぁ、相棒おめー、どっちが好きなんだ?」 「……ルイズ」 ルイズが好きなのと、身体がシエスタを欲しがるのは別。 そう思っていた。 「んじゃ、いーじゃねーか、居なくても」 「っっっんっでだよっ」 シエスタが要らない、ふざけた事を言うデルフに真面目に腹が立った。 「どっち道いつか選ばないと駄目なんだろ?機会が来たと思って、嬢ちゃんと一緒になっちまえよ」 ……ルイズと? 「嬢ちゃんと寝ればいいんじゃねーの?メイドの事忘れて」 ……シエスタを、忘れる? ダメダ 「嫌だ、そんなのっ……ふざけるなよ、デルフ」 「ふざけてんのはそっちだろうがっっ!!相棒!!」 デルフが突然大声を上げた。 「どっちも大事?どっちも傷つけたくない?そりゃー結構なこって、んで?結果は? 一人行方不明、一人意識不明?なにやってんだよ!」 返す言葉も無かった。 「せめて、どっちかだけでも大切にしろよ、二人が居れば何も要らないって、 騎士隊までほっぽってたんだろ?残った方だけでも守れよ、相棒!!」 デルフが正しい……頭では分かっていた。 「いやだ……そんなのいやだっ」 「駄々っ子かよ、相棒」 調子のいい事を言っているのは分かっている。 でも、シエスタを居なかったことには出来ない。 忘れることも…… 「シエスタも……ルイズも……両方大事だ」 声に出してみると、妙に納得できた。 (あー二股男か……サイテー俺) 認めると何もかも楽になった。 160 名前:9/10[sage] 投稿日:2006/12/11(月) 02 58 00 ID NdtmND0T 相棒がやっと何かを決めたようだ。 なら、俺は手助けするだけだーね。 「メイドもそうだったんだろ」 不思議そうな顔をして俺を見る相棒に、考える事しか出来ない俺が、 今まで見る事しか出来なかったことを伝える。 「メイドも、相棒と嬢ちゃんが大事で」 思い出すだけで、涙目になるくらい大事なんだなぁ。 「嬢ちゃんも、相棒もメイドも大事なんだろ」 「じゃ、じゃあ三人でずっと一緒に居れば……」 本気で言ってやがるなぁ…… 虚無の嬢ちゃんと、ガンダールヴの相棒を世界が放っておくわけねーだろう。 まぁ、今回の問題はそれじゃねぇ。 「相棒……嬢ちゃんが友達要らないって言ったらどうする?」 「へ?」 「メイドが、相棒が居るだけで良いからって回りに挨拶もしなくなったら?」 「それって……何か関係有るのかよ?」 「生きているだけで、人同士は関わり続けるだろー、相棒だって……」 俺が騎士隊を見ている間、相棒の事を何人に聞かれた事か。 「本当にそうするわけにはいかねーよな?」 そうし始めていた自分を省みている相棒の顔が面白い。 (やっぱり今回の相棒は当たりだーね) 「……え?……じゃあ……シエスタ、俺の事を……」 相棒の顔が、サッと青ざめた。 「俺っ、居なくなる寸前、 『俺……ルイズとシエスタが居れば……それだけで良いや……』 って言った……」 おー、当たったか。 「相棒の事心配してたんだろ、メイドも」 「それになー、相棒」 男がぼろぼろ、泣くなよー 「嬢ちゃんたまに、騎士隊の練習に相棒が顔出してないか見に来てたぜ?」 「ル、ルイズが?」 「もてもてだーね色男、騎士隊の連中だって毎日相棒の話してたぜ」 世界がどれだけ自分を大切に思ってくれているのか…… 相棒は少しそれを知るべきだーねぇ 「でも……俺……二股……」 「どっちも諦められないなら、両方に相談してみろよ、相棒」 おりゃーあんまり、心配してねーんだけどな。 結構ちゃんとまとまりそーだぁね。 「それよりなぁ相棒、優しくしてくれた人たちに、ちったぁ恩返しとけよ?」 嬢ちゃんもメイドも……どれだけ相棒を想っているのか。 「愛想付かされる前になぁ」 暫く悩みぬいた相棒が立ち上がった。 「俺……まだ何やって良いのかわかんねーけど……さ」 俺を鞘に入れながら、悩んだ結果を伝えてくれる。 「ルイズのところに行って出来る事が無かったら、シエスタ探すよ。 ルイズの代わりに……シエスタ俺に会ってくれるかわかんないけど」 鞘の中で俺の意識が閉じる。 俺を使う戦いでなくとも、俺は相棒の武器であれたことを誇りに思う。 161 名前:10/10[sage] 投稿日:2006/12/11(月) 02 58 32 ID NdtmND0T ルイズの枕元に使い魔が居た。 「消えなさい」 睨みつける私を、不思議そうに見ながら遠ざかる。 「どうしたの?モンモランシー」 何もいわずに、使い魔が離れるのを確認する。 足音が十分な距離まで離れてから、ルイズの側に行く。 「体調は大丈夫?ルイズ」 「うん……あのね……サイトがシエスタ探してくれるって……ちょっと休めって……」 嬉しそうに話すルイズには悪いけど…… (当然よ……あのクズ) わたしの感想はそんなところ。 「シエスタの居場所、分かったわよ」 「ほんとっ?」 薬が抜け切っていないのに、立ち上がろうとするルイズを押さえながら聞いた。 「どうして姿を消したのか……分かってる?」 あの子はこれを裏切りって言うだろうけど……どう転んでもルイズは知るべきだった。 「多分……サイトのせい、直接の理由はわたしに気を使って」 この子…… 「分かってたの?」 「ちがうの……分かったの、シエスタがサイトから離れようとする理由なんで、そんなに無いもの」 ルイズも……シエスタも……優しい子達…… それだけにあの使い魔が許せない。 「シエスタ……見つけたときは火の塔の上で死に掛けていたわ」 青くなるルイズに構わず、あの男の事を話す。 193 名前:1/7[sage] 投稿日:2006/12/13(水) 02 47 37 ID Gf2rKI/H 「で……てって」 もう何も聞きたくない。 不思議と怒りはおきなかった。 ただ……悲しかった。 「シエスタはわたしの部屋に居るから」 モンモランシーはそれだけ言うと静かに部屋から出て行く。 ……モンモランシーもシエスタを隠してたんだ。 シエスタはサイトと…… サイトはずっとそれを黙ってた。 わたしは……どれにも気が付かなかった。 わたしのばか。 考えない事が、見ない事が、どれだけ楽なことだったのか、今更ながらに思い知る。 「ごめんね、シエスタ……」 ずっと……見て、考えて、悩んだに違いない貴方。 死に掛けるまで追い詰めたわたしとサイト…… 許してくれるか分からないけど…… シエスタに謝りたかった。 シエスタとお話がしたかった。 サイトの馬鹿って、一緒に盛り上がりたかった。 (……でも、まだ貴方に会うのが怖いよ……シエスタ) なんて勇気の無い惨めなわたし。 194 名前:2/7[sage] 投稿日:2006/12/13(水) 02 48 09 ID Gf2rKI/H 「すまん、今日も訓練休む」 いったん騎士隊の所に顔を出した俺を、ギーシュが呼び止めた。 「……見違えたな、サイト。どうしたんだ?」 驚いたように俺を見るギーシュの目に、嘘を言っている様子は無かった。 「?……どっか変か?」 「視線が定まってる、腹を決めたみたいだな」 流石だ……わが心の友よ。 「聞いてくれ、ギーシュ、決めたんだ……俺は……俺は」 『お、とうとう副隊長が……』 『おぉ、どっちが空くんだ?』 勝手なことを呟くギャラリーは無視っ 「二人とも好きだぁぁぁぁ、てか、選べるはずねぇだろぉがぁ」 うおぉぉぉぉぉぉと隊員がざわめく。 「二股と、節操無しと、ゆーじゅーふだんと、いわば言え!! 俺にはどっちも大事なんだよ。 騎士隊もルイズもシエスタも全部取る。 一個も中途半端にはしねぇ、全部に納得してもらう」 皆が勢いに押されて何もいえない中、ギーシュだけが俺を止める。 「えーと、ルイズがそんなの許すはずないだろ?サイト」 「ギーシュ、俺には故郷に伝わる『土下座』が有る、この奥義を使って許さないと、 許さなかった方が悪役に見えるという、究極奥義だ」 見えるだけ、という事実に誰も気付かない。 「お、俺にもそれを教えてくれ」 「すまない、これは誰にも見られるわけには行かないんだ(情けないから)」 悩みすぎたサイトはどこかの線が数本切れていた。 勢いに乗ったまま、シエスタの探索を始めようと…… 「二股」 ぐぁっ。 「節操なし」 ……ダ、ダイレクトに心に響く静かな声……こ、これは…… 「ゆーじゅーふだん」 ぐはぁっ、ひらがなで言うんじゃ無かった…… は、破壊力が……破壊力が…… 「タ、タバサさん……勘弁してください……」 地面に這いつくばったまま、無表情で俺の言葉を繰り返した少女に懇願。 「おぉ、あれが『土下座』確かに何て惨めな……許さざるをえない風格を……」 うるさい、お前ら黙れ。 無表情のまま小首を傾げたタバサの唇がまた動いた。 「二股?」 もー許してーーー 195 名前:3/7[sage] 投稿日:2006/12/13(水) 02 48 41 ID Gf2rKI/H わたしに何か出来ることないかしら…… ミス・ヴァリエールが倒れた…… わたしの所為だ。 わたしが逃げたから。 わたしが隠れたから。 倒れるまで探してくれたミス・ヴァリエールに申し訳が無かった。 自分が楽になるために、あの人から逃げて…… 楽になった分、ミス・ヴァリエールを苦しめた。 「ごめんなさい。ミス・ヴァリエール……」 あの人を傷付けたくなかったなんて、ただの言い訳。 きっと……わたしが三人で向き合う勇気が無かっただけ。 皆揃っている時がなんて幸せだったんだろう。 それが分かっているのなら、前を見据えるべきだったのに。 今からでも……間に合うのかな? ミス・ヴァリエール、許してくれるかな? そんなはず無いよと、囁くわたしの想像に、まだ自分の勇気では勝てなくて…… (あいたい……なぁ……) 幸せなひと時を思い出しても、そちらに向かう勇気は出なくて。 196 名前:4/7[sage] 投稿日:2006/12/13(水) 02 49 14 ID Gf2rKI/H 無表情なタバサの淡々とした精神攻撃に屈してしまった…… 「何が?」 そう聞かれただけなのに…… 全部話してしまった…… 隊員達の目が……目が……こえーよ。 『……ひでー』 『いや……それよりうらやましー』 『女の敵だけど、二人共って時点で男の敵だ』 『限りある資源を大切に』 いつのまにーか、皆杖握ってやがる…… 「サイト……質問があるんだが?」 「な、なんだギーシュ」 妙ににこやかなギーシュに違和感を覚えた。 「どうやって死にたい?」 「まてぇぇぇ」 一斉に動き出そうとした瞬間、騎士隊全員が地面に叩きつけられた。 「ま、真上からのエア・ハンマー……」 這いつくばった野郎共の中で一人立つ……タバサ。 「この命は、あなたに捧げた」 騎士隊の全員が見守る中、意味深な台詞と共にタバサの唇が…… 優しく触れるだけのキス。 (うわ……なんか、無性に恥ずかしい) うぉぉぉぉぉぉぉ 地面が揺れた? 「ひっ」 あまりの事に言葉が出なかった。 「血、血の涙?」 ゆらりゆらりと、一人一人立ち上がる男達の目から、赤く染まった涙が流れていた。 「サァァァァイトォォォォォ」 『おぉぉぉおぉぉっぉ』 『ルイズのみならず……タバサまでぇぇぇぇ』 『コロセッコロセッコロセッコロセッ』 (しゃ、洒落になってねぇ) 今にも始まろうとする聖戦を遮るように、タバサの手がサイトを背後から抱きしめる。 「きさまぁぁぁぁぁぁぁ」 一気に膨れ上がる殺意の波動に、辺りが黒く染まって見えた。 「ちょっ、待って……」 全員の手が伸びる寸前、俺とタバサはあっさりと逃れていた。空に。 『まてぇぇぇぇ』 『置いてけぇ、タバサ置いてけぇ』 亡者のような集団を尻目に、屋上に逃れる。 「タ、タバサ……何のまねだ?」 「釣り」 答えはシンプルだったが、意味が今ひとつ分からなかった。 197 名前:5/7[sage] 投稿日:2006/12/13(水) 02 50 12 ID Gf2rKI/H シエスタに会いに行こう…… その決心がやっと付く。 妙に騒がしい廊下を抜けて、モンモランシーの部屋に着く。 ミス・ヴァリエールに謝ろう。 次に会ったら、『ごめんなさい』をちゃんと言おう。 嫌われるのは怖いけど…… モンモランシーの部屋の前で深呼吸。 (行くわよ……) ドアに手を掛ける。 小さく軋むドアに向かって反射的に頭を下げる。 「お帰りなさいませ、ミス・モンモランシ」 って……あれ?足の位置が……あれ? 恐る恐る顔を上げると……ミス・ヴァリエール!! 「「ごめんなさいっ」」 二人同時に頭を下げる。 ? 「「どうして、あやまる……」」 完全に重なる声に、二人とも最後まで喋れなくなる。 どちらとも無く笑い出し、ぽつぽつとお互いの話を始めた。 「モンモランシーから、話を聞いたわ」 (……ミス・モンモランシのうそつき――――) 「あの……倒れたって……」 (か、かっこ悪いとこ知られてるしっ) 二人で乾いた笑いを交わす。 喋る言葉を捜しながら、 掛ける言葉を選びながら、 二人の胸にあふれるのは、 ((やっぱり、一緒に居ると楽しい)) そんな想いだった。 核心に踏み込まないように、丁寧に話を繋ぐ。 「無茶しちゃ駄目ですよ?」 「だ、だれのせいよっ」 赤くなったルイズをシエスタが抱きしめる。 「わたしのせいですね……ごめんなさい」 はっとしたルイズが慌てて言い募る。 「ちっ、違うのっ、シエスタのせいじゃないっ」 シエスタ一人に押し付けていた、それを反省した所なのに。 小さく唇を噛む。 「いいえ、わたしが悪いんです……もっと……早くに……」 あなたとこうやって、ゆっくり話すべきだった。 ……まだ手遅れじゃないですよね? 「わたしが……もっと、シエスタもサイトも見ればよかったの」 側に居てくれる優しい手を離さないように。 魔法が使えなくても、わたしを優しく包んでくれる。大切な世界。 お互いの想いを重ねながら、段々と踏み込んだ話へ進む。 薄氷を履む思いだったけど……楽しかった。 大切な相手を大切だって自覚して、相手を思いやりながら話すのが幸せだった。 お互いの大切さを確認し終わった頃、結論が出た。 『サイトさん次第だけど、一緒に居たい』 「サイト、探しに行こうか?」 「はい、ミス・ヴァリエール」 硬く繋がれた手が、お互いの距離を確認しているみたいで……くすぐったかった。 「サイトが見つかったぞぉぉぉぉ」 「タバサにまで手ぇ、出しやがって、あの獣!!」 ……へー、そうなの? 力の入りすぎで、お互いの手が痛かった。心の距離はさらに縮まったけれど。 198 名前:6/7[sage] 投稿日:2006/12/13(水) 02 50 48 ID Gf2rKI/H 屋上で血走った目の男達に…… 「って、数増えてるしぃぃぃぃ」 『ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズ!』 『メイド!メイド!メイド!メイド!メイド!』 『タバサ!タバサ!タバサ!タバサ!タバサ!』 屋上の入り口から、続々と増え続ける人に戦慄する。 腰が抜けた俺は恐怖のあまり、タバサの腰にしがみついた。 そんな俺の頭に、タバサの手が添えられて…… 「死ぬ時は一緒」 …………えっと 「し、死にたくねぇぇぇぇぇえ」 生徒のみならず、学院の従業員とか……学院長まで居るし。 (死ぬ……殺される、コロサレル) 死を覚悟した時に、聞きなれた声が響いた。 「まちなさいっ!!」 「ルイズっっ!」 地獄に仏……そう思った瞬間不思議なことに、いきなり人の海が割れる。 ……納得した。 ルイズの目が……目が…… 『邪魔したら殺す』 そう書いてあった。 「久しぶりですね、サイトさん」 ……シエスタの目も、優しげなのに…… ひ、光が一切反射してない……まるで闇そのもののような瞳。 「「すてきな、格好ですこと」」 二人の声が見事にハモる。 「へ?」 ……俺は……タバサの細い腰に手を回したままで。 「釣れた……帰る」 あっさりと俺の手が振り払われて…… そーいやタバサ……飛べるんだ……屋上に追い詰められてるのって…… 俺……だけ? 見たくない……見たくないけど…… ルイズに視線を向ける――その杖はなんですか? シエスタをの方を見る――フライパンは厨房で使うものでは? 「あの……コロサナイデ」 震える哀願にルイズはあっさり了解してくれた。 「あたりまえよサイト、そんな楽なことはしないわ、ね?シエスタ♪」 「もちろんです、死んだらそこで終わりですから……サイトさん頑丈ですよね♪」 ……いっそ殺してください。 助けを求めるように、周りを見ると……って 「なんで?いつの間に誰も居なくなってるんだぁぁぁぁぁ」 いつのまにやら屋上に居るのは……三人だけ。 「だぁれも、見てないわねぇ、サイト」 「何か有っても、分かりませんね、サイトさん」 「ひっ……」 鬼が……鬼が居る…… 響き渡るサイトの悲鳴を聞いた学院中の男は、一様に微笑んだという。 199 名前:7/7[sage] 投稿日:2006/12/13(水) 02 51 21 ID Gf2rKI/H 「浮気禁止」 「ひゃい」 ズタボロになったサイトが部屋の隅に転がされていた。 「イヤって言ったら、止めて下さいね?」 「ひゃい」 ハイ、以外の答えだと、傷が増えるこの問答は、部屋に戻ってから延々続けられた。 「騎士隊より、わたしたち優先よねー」 「ねー、サイトさん」 「えっと……それはっ」 言った瞬間に二人の目が細くなる。 「ひゃい」 こ、怖い…… ルーンが消える……消えてしまう……サイトはそんな恐怖を味わっていた。 「ほら、相棒何とかなるもんだーね」 「納得いかないわ……」 デルフとモンモンまで居るし……回復魔法は助かったけど。 「去勢しない?いい薬有るわよ?」 俺をジロリと睨みながら、モンモンが恐ろしいことを言う。 「そ……それは、駄目です」 「だめよっ、わたしまだっっ……」 シエスタとルイズが反対してくれて……って 「まだ?」 「うるさぁぁぁぁぁい」 「ぐはっ」 「もてもてだーね相棒、まだ何人かいけるんじゃねーか?」 デルフの声にルイズとシエスタが反応する。 「溶かすわよっ」 「……フライパンで曲がるまで叩きますよ?」 シエスタの声が聞こえた瞬間、デルフが黙り込んだ。 「あ、ミス・モンモランシ、そういえば嘘つきましたね?」 「あー、わたし部屋に帰るわね、またねー二人とも〜」 逃げた……シエスタ……つぇー 喋るのが二人だけになった途端に、ルイズがにじり寄ってきた。 「……シエスタに色々シタって?」 ……ヤバイ……ばれてる。 「む、無理やり何て駄目なんだからっ……だから……わわわわ」 わ? 「ちゃんと加減してくださいね?サイトさん……だったら……いくらでも……」 「たしっ……って、シエスタずるいっ」 へ? ……ひょっとして…… 「あの……いいの?」 赤くなったルイズが耳元で囁く。 「わたしにも……しなさい……サイト」 もう片方の耳にはシエスタが…… 「ミス・ヴァリエールと一緒なら……前みたいに苛められませんよ?」 「「ただし」」 へ? 息も付かせぬ早口言葉スタート! 浮気禁止抜け駆け禁止秘密禁止無理矢理禁止……エトセトラ (俺……の……自由……は?) ちょっと泣きそう。 二人が息を整えている……終わった? 「「なら……いつでも……」」 シエスタが俺の手を胸に導いて、それを見たルイズが暫く悩んだ後ぺったりと俺の脚にまたがる。 (あちこちやわらけ―――――) 「自由に」 「していいんですよ?」 頬に近づく二人の唇を感じながら、これから始まる幸せの予感に酔いしれた。
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675 名前:Z ◆5QXHO4/GJY [sage] 投稿日:2006/08/07(月) 01 19 03 ID 6GuwOEr+ やっと書き終わったーーーーー。 書き終わって一言。「原作と全然キャラ違うやん!!!」_| ̄|○||| ・・・・・・えっと、投下しますが同じ名前の別の人とか思ってもらったほうがいいかも知れません。 それでは「望郷・・・・それは恋にも似て(←全然意味分からんタイトルなのは仕様です。気にしないで下さい)」 676 名前:Z ◆5QXHO4/GJY [sage] 投稿日:2006/08/07(月) 01 19 53 ID 6GuwOEr+ 〜〜〜〜〜〜〜〜 「あ・・・この曲・・・・・・・・・・」 それはここ最近良く聞く、テファの奏でる望郷の曲だった。 夜空には、日本の都会ではまったく見られない満天の星が見られ、だが(ほとんど知識も無いが)知っている星座も無く、 あらためて今自分が立っている場所が異界なのだと思い知らされる。 「・・・・・・・・・・・・・・・・。」 自分の故郷は、まるで空に輝く月のようだ。 ふと、そんな風に思ってしまった。 まるで手が届きそうな、しかし歩いてでは決してたどり着けない月。 テファの曲を聴いていると、望郷の念と共に途方も無いほどの不安が押し寄せてきた。 ほんとうに自分は元の世界に帰ることができるのだろうか? 自分と同じようにこの世界に迷い込んでしまったシエスタのひいじいちゃんは、結局還る事ができずに「異界に眠る」と言う墓碑を残して亡くなったらしい。 自分も、同じ事にならない訳では決して無い。 「サイトさん・・・・・・・・・・」 驚いた。ちょうどシエスタに関して考えていたところだったのだ。 「綺麗な・・・・・・・曲ですね・・・・・・・・・」 彼女には、この曲には特別な感情を呼び起こされたりはしないのだろうか? シエスタには、この世界に故郷がある。帰ろうと思えば、いつでも帰れる場所が。 677 名前:望郷・・・・それは恋にも似て@L様の部下Z ◆5QXHO4/GJY [sage] 投稿日:2006/08/07(月) 01 21 13 ID 6GuwOEr+ 「え・・・?サイトさん・・・・・・・・・?」 シエスタが、こちらを向いて驚いた顔をする。 どうやらまた涙が出ていたらしい。かといって拭う事ができなかった。 まったく、いつから自分はこんなに涙もろくなってしまったんだろう。 気がつけば、こちらを向いたままだったシエスタを抱きしめていた。 「さ、サイトさん!?」 突然のことに驚いたシエスタが裏返った声を上げる、が。 「悪い・・・・・・・少しこのままにしててもいいか?」 片手でシエスタの肩を抱き、もう片手で髪を撫でていた。 そう。シエスタの、黒髪。 サイトの故郷である日本の血。 自分の故郷が、決して幻でないと言う証。 言葉が通じる以外は文化も社会構造もちがう異世界で、サイトが自分を、自分の故郷を見失わずにすんでるのはシエスタのおかげなのかもしれない。 シエスタが居なければ、今頃自分はどうなっていたか分からない。 もしかしたら、故郷の思い出はいつしか記憶の底に埋もれ、自分の妄想だったとでも思うようになっていたかも知れなかった。 今はまだ還れない。還る術も、そもそも本当に還れるのかも分からない。 だけど。この、故郷の記憶を持ち続ければ、大丈夫。自分はまだ、頑張れる。 と、思うが早いか、自分が何をやらかしたのかやっと理解したサイトは慌ててシエスタから離れた。 ついでにシエスタに背中を向け、袖で両目をゴシゴシとこする。 最後に両手で自分の頬を張った。それでもう、胸のうちにあった不安は、綺麗に希望へと昇華されていた。 そしてシエスタの方へと向き直り、 「わ、悪かった。その・・・・・・・・・・」 謝る言葉は途中で途切れた。途切れざるを得なかった。 自分の唇に、シエスタのそれが重ねられたのだから。 678 名前:望郷・・・・それは恋にも似て@L様の部下Z ◆5QXHO4/GJY [sage] 投稿日:2006/08/07(月) 01 21 54 ID 6GuwOEr+ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 あまりの事に思考も停止する。 いつのまにか、倒れた自分の上にシエスタが乗っているような状態になっていたが、その事にも気づかなかった。 何分、十何分そうしていたのか。いや、実際は何秒も経っていなかったのかもしれない。 シエスタは唇を離したが、今度はシエスタが潤んだ瞳でサイトを見つめていた。 「シエ」 「分かっています。」 サイトの言葉は、今度はシエスタの言葉で遮られた。 シエスタはそのままセリフを続ける。 「サイトさんが、いつか自分の世界に還ってしまうと言う事も、そちらの世界のほうがサイトさんの居るべき世界だと言うことも。」 それに、サイトさんが誰を見ているのかも。 言ってしまえばこのまま終わってしまうセリフは、だからこそ言わない。 そしてシエスタは、 「今だけでいいですから・・・・・・・私だけを見てください」 とても小さな声で、しかし反論を受け付けない迫力をもってサイトに告げた。 679 名前:望郷・・・・それは恋にも似て@L様の部下Z ◆5QXHO4/GJY [sage] 投稿日:2006/08/07(月) 01 22 42 ID 6GuwOEr+ 月光が降り注ぐなか、サイトの上に乗ったまま、シエスタの裸身が他ならぬシエスタ自身の手によってゆっくりとあらわにされていく。 いつも露出の少ないメイド服を着ているせいだろうか? テファには適わないとはいえ(あれは明らかに規格外だと思う) 同年代の女の子達の中ではかなり大きい部類に入ると思われる胸。 緊張のためか、汗が光るうなじ。 そしてスカートから覗く太もも。 それらのどれもが逆に病的さを持たない、いわば「健康的」な色白さと、そしてきめ細かさを持っていた。 そんな事を考えたサイトを、シエスタは「今は・・・・他の人の事は考えないでください」とたしなめる。 胸のことでテファの事を考えた事がばれたのだろうか? そしてシエスタは、 「あ、あはは・・・・・・情けないですよね。いざとなったら、怖くて・・・・・・・」 その手は、これ以上ないほど震えていた。 嗚呼、そんな彼女の、なんと健気な事か。 こんな据え膳を喰わずに、何が漢か。何がガンダールヴか!(←関係ない。むしろ駄目だろ) 理性のタガが外れたサイトはガバッっと起き上がり、逆にシエスタを押し倒そうとして、思いとどまった。(割と冷静?) さすがに地面に押し倒すのはまずいだろう。 すでにサイトの服の背中には泥がついていて、シエスタの服に同じように泥をつけることは避けたかった。 「シエスタ、ちょっと後ろ向いて」 そう言ってそのまま木の幹に手をつかせる。 「サ、サイトさ・・ひゃっ」 片手ですでに外気にさらされているシエスタの乳房を触る。 手を動かすごとに、その動きに合わせて形を変える、胸のマシュマロのような感触を楽しみつつ、 もう片手はスカートの中に潜り込み、太ももを這い上がっていく。 すぐに下着に守られた、まだ誰にも触られた事のないところにたどり着くが、そこはすでに湿り気をおび始めていた。 680 名前:望郷・・・・それは恋にも似て@L様の部下Z ◆5QXHO4/GJY [sage] 投稿日:2006/08/07(月) 01 23 27 ID 6GuwOEr+ 「んぅ・・・・・・・」 胸を揉み続けながら下着の上から割れ目をなぞるとシエスタは、小さく呻いて一瞬身体を強張らせるが、 されるがままになっている。・・・このまま続けてもいいのだろうとさらに弄っていく。 声を出さないのは羞恥か誰にも気付かれないためか。 それならと、シエスタの下着を脱がせ、口に詰めた。前に本で見た方法だ。 そのままシエスタの耳元で囁くように聞く。 「シエスタ・・・・・・・」 その先は聞かなくてもわかるだろ? と。 シエスタは身体は木に向けたまま、首と目の動きだけでサイトを見、小さく、しかしはっきりとうなずいた。 しかしいざサイトのモノが自分の秘所に押し当てられると、きつく目をつぶってしまい、 頼りなげに彷徨わせていた手を握ると、力をこめて握り返してきた。 「ぅぐっ・・・・」 モノが押し込まれると、口に入れられた下着のせいでくぐもった悲鳴が放たれる。 当たり前だがシエスタの中は狭く、そしてすぐに純潔の証によって行き止まりになっていて、だが 「っっぐぅぅぅぅ!!!!」 膜との一瞬の拮抗の後にあっさり膜が千切れ、サイトのモノはズルッとシエスタの中に滑り込んだ。 そしてモノの先端が今度こそ本当の行き止まりに当たる。その瞬間、膣内がざわめいた。 681 名前:望郷・・・・それは恋にも似て@L様の部下Z ◆5QXHO4/GJY [sage] 投稿日:2006/08/07(月) 01 24 42 ID 6GuwOEr+ それは、例えるなら無数の小さな舌に舐められるような感覚。 膣内の襞の一つ一つが複雑にそれでいて統率された動きをし、まるで脳髄に直接麻薬をぶち込まれたかのような快楽が 全身を駆け巡った。 「むぐっ!うぅっ!!ぐぅっ!」 破瓜を迎えたシエスタを気遣う余裕は無く、もはや勝手に腰が動く。 動いて、シエスタの最奥を突き上げるたびにシエスタの意思とは関係なくも、膣内がざわめいていく。 それは自分でするのとは天と地ほどの差があり、行為に夢中にさせるには十分過ぎるほどの快楽だった。 目の前が白くなり、弾ける。 気付けばシエスタの中に入れたまま彼女に寄りかかっていて、 結合部からは血と精液の混合物が溢れ出てきていた。 683 名前:ジゼルヅグドゥ ◆5QXHO4/GJY [sage] 投稿日:2006/08/07(月) 01 31 15 ID 6GuwOEr+ えっと、一応これで終了です。 一応であって、前回のような完結ではないんですが。 とりあえず以下の文章をもって続編を書ける仕様となっているのでその内書くかも。。。(ありえないと思うけど、好評なら。) 「ほんとに痛かったんですからね!」 「ご、ごめん・・・・・」 「もう、『今度』同じことしたら怒っちゃいます」 「え、ちょ、シエスタ・・・・・・・?」 そんな二人を見ている奴が居ようとは、二人は想像もしていなかった。 To be continued next "○○○狂想曲" 743 名前:ジゼル[sage] 投稿日:2006/08/09(水) 16 01 01 ID F7Z+xXxS ついにシエスタとヤっちまったサイト。 誰にもばれていないと思われていたその事実。 しかし。『彼女達』は気付いていた。 鞭を片手にシエスタに詰め寄るルイズ! その間に今度はテファがサイトに迫る! そして何故かテファ達の村を来訪するアリエッタ! 次回、「スク水狂想曲」 請うご期待
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6日目 あらぐむ 夜が明け、朝となりました。痛ましくも Jarekyさん の無残な死体が見つかったようです あらぐむ chjoin 天界部屋 へどうぞお入りください あらぐむ 6日目の朝です 1 (もぐら村) あらぐむ -----------スタート-------------- 2 (狼がぶがぶ) あらぐむ ------会話STOP------- Jareky 村人の方が格段に殺傷能力が高いのです! 3 (天界部屋) しょにちくん シエスタさん狼なら、Jareさんから○もらったので狼視点で中身透けてそうですけどね…… Jareky 私、気づいてしまったんです。実は殺傷能力は狼より村人の方が上だと。 Jareky 狼は狐を殺せない。なのに村人はどんな奴だろうと殺せるのです。 Jareky 噛みは失敗することあるのに、吊りは100%成功です。さらに呪殺まですることがあるんです。 1 (もぐら村) あまる みんなー!!レリックさんは●だよー! 1 (もぐら村) あかみさと あら 1 (もぐら村) ラスフィーノ ☆占い師CO☆ トガリさんは○村人でした! 1 (もぐら村) ラスフィーノ 占い理由:寡黙から、ここのこしたらまずい。 3 (天界部屋) BBL そうなるかあ 3 (天界部屋) xバーバラx ああ かまれたか 1 (もぐら村) あかみさと あー・・・ 3 (天界部屋) レリック おっと本当にJareさんか 1 (もぐら村) あかみさと じゃあラスさん吊りで 3 (天界部屋) みむっちゃ ま、当然か 1 (もぐら村) ラスフィーノ えー 1 (もぐら村) ケラヴノス おはようございます 1 (もぐら村) あまる よし、仕事終了 1 (もぐら村) ラスフィーノ なんで俺釣るの?! 1 (もぐら村) トガリ 占ってもらったのはうれしいけど・・・ 3 (天界部屋) しょにちくん 偶数だし、ラス吊りしてる場合じゃなくない? 1 (もぐら村) あまる ただ…狐ケアがね 3 (天界部屋) うんちや ラスさん吊るかどうか 1 (もぐら村) シエスタSS 今グレーって誰? 1 (もぐら村) あかみさと 狂人濃厚だけど吊っておいていいよね? 1 (もぐら村) トガリ 片方かまれたからなぁ 1 (もぐら村) おおかみん ラスさんは狂でいいのかな 3 (天界部屋) Jareky チラ(・∀|墓 1 (もぐら村) リゾルート おおかみんさんと私ですね<グレー 3 (天界部屋) Jareky チラチラ(・∀|墓 3 (天界部屋) うんちや おつどす 3 (天界部屋) BBL お疲れ様でした 1 (もぐら村) ケラヴノス 吊ってOKかと 3 (天界部屋) xバーバラx おつかれさまです 1 (もぐら村) あまる ラスさんが占った人もグレーに戻るのでは 3 (天界部屋) しょにちくん おつおつー 3 (天界部屋) デジュー オツカレサマー 1 (もぐら村) シエスタSS 狐ケアまずしたい 1 (もぐら村) あかみさと そうなるとかなり広いんよね 1 (もぐら村) ラスフィーノ まぁLWCOだよw 1 (もぐら村) トガリ つり回数あと何回? 1 (もぐら村) ラスフィーノ 先に言わせてもらおう、しかもだ 1 (もぐら村) ラスフィーノ まだ狐はいきてるよ 1 (もぐら村) あかみさと 言ってみ 3 (天界部屋) うんちや 終盤のラスさんのしぶとさときたら・・ 1 (もぐら村) ラスフィーノ 言うわけないし 1 (もぐら村) シエスタSS 生きてるだろうな 1 (もぐら村) あかみさと 誰かお兄さんに教えてみ 1 (もぐら村) あまる 話半分にきいておこう。ただ生きてるだろうねぇ 1 (もぐら村) ラスフィーノ なんなら明日かんでやってもいいくらいだ 3 (天界部屋) デジュー 確実に明日吊りでおk 3 (天界部屋) Jareky そこそこ仕事した。あとは村人でなんとか 1 (もぐら村) あかみさと んー 3 (天界部屋) しょにちくん シエスタさんは人外っぽい気がするんだよねー 3 (天界部屋) みむっちゃ 狂人だろう>ラスさん。狼が噛みできつねわかってるなら、レリックさんが吊られる時に告発してるはず 1 (もぐら村) ラスフィーノ ここまで言ってまだ私を吊るなら吊ればいい、そしてみんなであぶらあげだ 1 (もぐら村) おおかみん 狼CO? 1 (もぐら村) あかみさと まぁこのタイミングでの狼COとかほぼ偽だよね 1 (もぐら村) ラスフィーノ なんで? 1 (もぐら村) トガリ 狂人が引っ掻き回すためにいってるとしか思えないのとこれでラスさんの占いに狼いる可能性があると 1 (もぐら村) シエスタSS ラスさんは 3 (天界部屋) BBL レリックさんが告発しちゃうとラスさん偽もバレるからしなかったのかな? 1 (もぐら村) シエスタSS なんか狂人臭いな 3 (天界部屋) レリック それだとラスフィーさん狼って言ってるようなものなので、私だったら告発しないかな 1 (もぐら村) ラスフィーノ まぁそう思うのなら即つって負ければいい 3 (天界部屋) BBL まあ、それならあまるさん噛まないとおかしい気も 3 (天界部屋) デジュー 狐が死んでるとしたら僕かうんちや、バーバラ・・・可能性は薄いね 3 (天界部屋) みむっちゃ そか 1 (もぐら村) リゾルート ただ、そこで問題なのが狂人を釣る余裕があるかどうか、ですよね 1 (もぐら村) あまる 狂人だと思うが、逆に放置でもいいんじゃないかな 1 (もぐら村) ラスフィーノ 明日GJだしてやるさ 3 (天界部屋) BBL 信頼勝負で生き残らないといけないわけですし 1 (もぐら村) シエスタSS やっぱり先にグレー吊りたいな 3 (天界部屋) うんちや ラスさんならやりそう 1 (もぐら村) あかみさと Jareさん真だと残りグレー5か リゾさんを村認定するなら4 1 (もぐら村) あまる ラスさんの占った人を吊り対象にいれたい 3 (天界部屋) しょにちくん ラス狼なら、霊能噛むんじゃないかな。 1 (もぐら村) トガリ ラスさんの発言が狂人だったら狼に対していってるのかな? 3 (天界部屋) しょにちくん あまるさんナイス! 1 (もぐら村) あかみさと そっからならシエスタさんかな 1 (もぐら村) あかみさと 狐噛みあったのならそこなきがする 3 (天界部屋) デジュー 占い真狼、狐はシエスタorケラヴノスでFA 1 (もぐら村) おおかみん シエスタさんとケラさんかな 1 (もぐら村) シエスタSS 俺は違うぞおお 1 (もぐら村) あまる シエスタさんは最初寡黙だったね 1 (もぐら村) ラスフィーノ どういう視点でそうなるのかおしえてほしいが 1 (もぐら村) あまる 今頃しゃべりだした 3 (天界部屋) しょにちくん 狂人はデジューですね、わかります 1 (もぐら村) ラスフィーノ シエスタさん吊ればいいさ 1 (もぐら村) シエスタSS ふむー 3 (天界部屋) デジュー なんのことかな? 1 (もぐら村) トガリ 今頃は自分で言うのもなんだけど私も・・・^^; 1 (もぐら村) あまる でもシエスタさんLWだったら狐どうしようね 1 (もぐら村) シエスタSS 終盤だしなー 1 (もぐら村) ラスフィーノ 俺としては、狐にはもうちょっと盾してもらいたいな 1 (もぐら村) シエスタSS 狩人CO 1 (もぐら村) リゾルート 私はシエスタさんは結構白くみてます・・・グレー人数、占いローラーとか、狐にとっては不利な情報を提供しすぎだとおもいますし・・・ 1 (もぐら村) あかみさと まじで 1 (もぐら村) あまる トガリさんはそうやって申告してるぐらいだし、そうでもなかったりしてな あらぐむ 残り時間2分です 3 (天界部屋) しょにちくん wwwwwwwwwww 1 (もぐら村) あまる なんという 1 (もぐら村) シエスタSS 日記つけてないけど 1 (もぐら村) おおかみん ないない 1 (もぐら村) シエスタSS あまるさん鉄板でした 3 (天界部屋) しょにちくん Jareさん護衛しないし、日記つけてない狩人wwwwwwwwwww 3 (天界部屋) Jareky 狐候補 生存者 おおかみん、シエスタSS、ケラヴノス。穴で リゾルート、ラスフィーノ、大穴 あまる 1 (もぐら村) シエスタSS なので 1 (もぐら村) シエスタSS 狐ケアは 1 (もぐら村) あかみさと ならしょにちさんはなんじゃろな 狂かね? 1 (もぐら村) シエスタSS 俺以外がいいかな 1 (もぐら村) あかみさと 残り3吊りか 1 (もぐら村) ラスフィーノ グレーにすればいいさ、今日は 3 (天界部屋) BBL うーん 1 (もぐら村) シエスタSS 狂だと思ったから あらぐむ 残り時間あと1分です 1 (もぐら村) おおかみん 今日は狂濃厚なラスさんで 3 (天界部屋) BBL シエスタさん狐でラスさん狂人だとまずいかも 1 (もぐら村) ラスフィーノ やめとけ 1 (もぐら村) シエスタSS おれはしょにちさんに吊り推薦したぞ 3 (天界部屋) BBL PPされそう? 1 (もぐら村) ラスフィーノ それは負けるぞw 1 (もぐら村) あかみさと ん、そっちでもいいけど 1 (もぐら村) あまる んー狂吊ってる余裕あるのだろうか 1 (もぐら村) シエスタSS ラスさんは 1 (もぐら村) あかみさと シエスタさんかラスさんかな あらぐむ 残り時間あと30秒です 3 (天界部屋) デジュー シエスタ吊りで構わない 1 (もぐら村) ラスフィーノ 狂じゃないけどねw 3 (天界部屋) しょにちくん PPはないよ 1 (もぐら村) シエスタSS 狐まだいるし危険すぎる 1 (もぐら村) あかみさと あまるさん指定とかするかの 3 (天界部屋) しょにちくん 1W1Fだし 1 (もぐら村) ケラヴノス グレーの中からのほうがいいかと 1 (もぐら村) ラスフィーノ あまるさんでいいだろ仕事おわってるし 1 (もぐら村) あかみさと グレーってのは完グレ? 1 (もぐら村) トガリ あまるさんおねがいします 1 (もぐら村) ラスフィーノ 安全 1 (もぐら村) あかみさと いやいやそこ吊りはないww 3 (天界部屋) みむっちゃ ぜったいもう囲われてるはずって時に限って完グレに狼のこってたりする。おおかみんさんがLW、シエスタさんがキツネ、ラスさんが狂人とみる。 あらぐむ 日は落ちて、村人たちは今日の処刑者を決めなくてはいけません。 3 (天界部屋) デジュー あ、ケラヴノスさん狼見えた あらぐむ 各人は処刑する人の名をTELLでお願いします 1 (もぐら村) あらぐむ ------STOP----------STOP------ 2 (狼がぶがぶ) あらぐむ ----会話可能時間です---- 1 (もぐら村) あらぐむ ------STOP----------STOP------ (T) レリック > (独り言)ラスフィーさん完璧狂として生存してるし、すげぇっす (T) ラスフィーノ > あまるさんです 3 (天界部屋) Jareky 狼狂狐残り。 シエスタ狼/狐 ラス狂 あと一人? (T) リゾルート > 完全グレーを消します。おおかみんさんで 3 (天界部屋) しょにちくん ケラヴノス狐、ラス狂人、シエスタ-レリック狼、占Jare、霊能あまる 3 (天界部屋) BBL 例えば今日グレー吊って狐噛んで次の火狐吊ればPPできるかと 2 (狼がぶがぶ) ラスフィーノ 狩人COはまいるぜ。 (T) あまる > んーシエスタさんを吊りますね (T) トガリ > シエスタさんで (T) ケラヴノス > ラスフィノさんへ 3 (天界部屋) デジュー 完グレたちに人外はいないと見るなー 2 (狼がぶがぶ) ラスフィーノ 狂人かな、狐かな。明日まで生き残ってほしいもんだ (T) あかみさと > シエスタさんで 2 (狼がぶがぶ) ラスフィーノ 最終日3人にしたいから、その前は5人か 3 (天界部屋) しょにちくん あと3吊りだし、偶数進行だし 3 (天界部屋) Jareky 狼狐知ってるのかな (T) おおかみん > ラスフィーノさんに入れます 3 (天界部屋) レリック 内緒 (T) シエスタSS > こりゃあやばす とがりさんで あまる1 おおかみん1 シエスタSS3 ラスフィーノ2 トガリ1 3 (天界部屋) しょにちくん シエスタ狐で、死体ナシはシエスタ噛みだ! 3 (天界部屋) Jareky 狐しってたら奇数進行にも変えれるな 3 (天界部屋) デジュー 狐噛んだからしょにちくん噛めてるんでしょうよ 2 (狼がぶがぶ) ラスフィーノ あまるさんつれたらいいなぁ。。。 3 (天界部屋) しょにちくん で、占い真偽付いて、ボクの中身も狼視点から確定 3 (天界部屋) BBL よく考えたらシエスタさん偽かな あらぐむ 残り時間あと1分です 3 (天界部屋) BBL シエスタさん視点しょにちさんが狂人でほぼ確定したんだし占い真狼が見える 3 (天界部屋) Jareky シエスタさんは早い時期から人外認定してた 3 (天界部屋) しょにちくん シエスタ狐、ラス狂人、ケラヴノス-レリック狼、占Jare、霊能あまる 3 (天界部屋) しょにちくん こっちでしたね。反省します。 3 (天界部屋) デジュー 違うな 3 (天界部屋) しょにちくん 違うのか! あらぐむ 残り時間あと30秒です 3 (天界部屋) BBL その状況ならJareさん護衛の方がいいのかも 2 (狼がぶがぶ) ラスフィーノ シエスタさんは狐だな、、、残してくれれば1たーんまわせる 3 (天界部屋) デジュー シエスタ狐 ケラヴノスLW ラス狂人がしっくりくる 3 (天界部屋) Jareky デジュークン狩りじゃないの? 3 (天界部屋) しょにちくん 一緒じゃんwww 3 (天界部屋) デジュー どうでしょう? 2 (狼がぶがぶ) ラスフィーノ 狂人潜伏しそうなひと誰も残ってないのがつらいな。。。w あらぐむ 村人たちの話し合いにより シエスタSSさん は処刑されてしまいました あらぐむ /chjoin 天界部屋 へどうぞお入りください あらぐむ ---------夜のターンSTART--------- あらぐむ まもなく夜となり狼たちの時間です。各々狼に怯えつつも推理し、明日の昼へと備えましょう あらぐむ 役職の方はTELLをお願いします 3 (天界部屋) デジュー あ、ほんとだw シエスタSS すきすきなびこ! 3 (天界部屋) BBL すきやきじゃないだと 3 (天界部屋) デジュー さっきの自分の意見と比べて違うってことを言いたかった (T) あまる > シエスタさんはどうですかっ (T) リゾルート > うわーん、わからなくなってきたー! 3 (天界部屋) シエスタSS おつおつ 3 (天界部屋) BBL お疲れ様でした 3 (天界部屋) レリック おつかれー (T) > あまる 能力の結果、シエスタSSさんは村人だったようです 3 (天界部屋) みむっちゃ おっつー 3 (天界部屋) xバーバラx おつかれさまでした 3 (天界部屋) デジュー おつかれこんこん? 3 (天界部屋) うんちや おつです 2 (狼がぶがぶ) ラスフィーノ シエスタさん狂人だとなぁ、、どうkzんz (T) > リゾルート さあ、村長に身を捧げるのです。さすれば悪魔の能力が・・・ 3 (天界部屋) しょにちくん おつおつおー 3 (天界部屋) シエスタSS まさか狩人COして信じてもらえないとはな 3 (天界部屋) シエスタSS 0時超えちゃったからか! 3 (天界部屋) しょにちくん しかたないんや…… 1 (もぐら村) リゾルート ふえぇぇぇたすけて村長さーん!ベソベソ 1 (もぐら村) リゾルート ごば; 3 (天界部屋) PEPPERMINT おすおす 3 (天界部屋) レリック お 3 (天界部屋) PEPPERMINT どんな感じなのかね 2 (狼がぶがぶ) ラスフィーノ ふむふむw 3 (天界部屋) BBL こんばんは 3 (天界部屋) デジュー こばんわー 3 (天界部屋) みむっちゃ だってJareさん吊られたときはJareさん守るべきだったもの・・・。あのタイミングで〇倍の方が噛まれたら霊媒結果が黒だったって言ってるようなものだよ (T) ケラヴノス > 久しぶりすぎて見当がつかないorz 3 (天界部屋) BBL 残り狼1狐不明で残り6? 3 (天界部屋) PEPPERMINT ほー 3 (天界部屋) うんちや 5日目よる釣り残り2です (T) リゾルート > うわーもう誤爆しない日がない・・・(絶望) 3 (天界部屋) PEPPERMINT キツネゆくえふめい・・・ 3 (天界部屋) PEPPERMINT あのスク水が 3 (天界部屋) レリック 岩石上で宇宙人が小刻みに動いていて、直視できない 3 (天界部屋) PEPPERMINT あやしいんちゃうか? 3 (天界部屋) BBL w 3 (天界部屋) PEPPERMINT ここ普通にのぼれたのか 3 (天界部屋) みむっちゃ いまシエスタさんが吊られて、噛み先が次の朝に発表される。噛まれると残りが6人 1W狐不明 (T) ラスフィーノ > あ、ごめん 3 (天界部屋) しょにちくん 今だから言っておく!負けたらボク戦犯です^q^超ごめんなさい (T) ラスフィーノ > えっとね、あまるさんかんでGJ狙うよw 3 (天界部屋) PEPPERMINT なんかやらかしたのか! (T) > ラスフィーノ もぐもぐもぐもぐ あらぐむ あ あらぐむ しまった 3 (天界部屋) しょにちくん CO出来るけどCOしない!キリッ とか言っちゃった^q^ あらぐむ タイマーのボタン間違えてた あらぐむ 7分だよ あらぐむ ヤケに時間長いと思ったら 3 (天界部屋) PEPPERMINT どこのエルレイナですか、それは。 5日目へ 7日目へ
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前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ ◇ 草笛の音が、たどたどしく、しかしだからこそ素朴に墓場に響く。 鳴らしているのはシエスタだった。 泣き止んで落ち着いたムスタディオが、ばつの悪さをごまかすために聞いてみたのだ。草笛を吹けるか。吹ける様だったら、自分にも教えてくれないか。 墓の外は、見渡す限りの草原が広がっていた。黄昏はじめた陽光が、それを金色に染め上げ始めている。 そんな様を見ていたら、無性に自分でも草笛をやってみたくなったのだった。 ――思い出す。 こんな草原に野営する際は、いつもラムザが草笛を鳴らしていた。 一番の親友だった男と共に、父に習ったと言っていた。少しさびしげに。 彼らと過ごした日々。この世界にやってきてからたった数日で、距離も心も遠い、と感じたそれらが、再び身体に少しずつ染み渡ってくる気がする。 沈みゆく太陽を見つめる。 それは旅先で何度も見た夕暮れのように美しく、無常で。 それだけで、何かやっていけそうな気がした。 「ブレイブストーリー/ゼロ」-11 ◇ 教えてくれ、と言ってきたムスタディオは、しかしいざシエスタが草笛を鳴らし始めるとその真似すらしようとしなかった。 草の上に座り込み、ただ聴いている。 旋律も何もなくただ鳴らしているだけなのに、すごく安らいだ表情をしていた。 シエスタは草笛に何か思い入れがあるのかなと考える一方で、この人こんな顔もするんだ、と変な感心をしてしまっていた。 ずっと鳴らしていると、段々疲れて空気が吸えなくなって来る。何だかムスタディオの安らぎを壊したくないと思ってしまったシエスタは、無茶をして吹き続けてみたが、 その内どんどん顔が赤くなっていくのを気付かれ、止められてしまった。 「…………」 なんとなく、気まずい沈黙が降りる。 何か話しかけなきゃいけない気がしてあれこれ考えるシエスタだったが、思いつく話題、彼への質問はどれもこの状況では地雷な気がしてことごとく二の足を踏んでしまう。 頭をぐるぐるさせている内に、ムスタディオから質問が来てしまった。 「さっきの遺品の話なんだけど」 「はっ、はい! なんでしょうか!?」 思わず大声を出してしまったシエスタに、ムスタディオが怪訝な表情をする。 「? ……ええと、遺品の中に、何か宝石みたいなのはなかったかい?」 「ああ」 それなら覚えている。 「大きな原石みたいなのですよね。ありました」 そういった瞬間、学院の朝のように掴みかかられそうになった。 「本当か! どこにあ……っと、わ、悪かった」 いきなりのことに悲鳴も飲み込んでしまったシエスタに、しかし途中で我に帰ったムスタディオが頭を下げる。 「だ、大丈夫です。びっくりしましたけど……あれも探しているんですか?」 「ああ。どこにあるんだい?」 まっすぐにムスタディオが見つめてくる。シエスタは少し気まずさを感じ、目を逸らしてしまう。 ――それは祖母が、口紅と同じくらい大事にしていた品だ。調査隊の人間に持ち去られようとしたところを拒否し、隠し持っていたと聞いた。これもまた、シエスタにだけ見せてくれたのだ。 これは自分が墓の下に持っていかなければならない、と言っていた。 その言をシエスタは遺言とみなし、祖母の墓にたくさんの花束と共に埋めた。 ……しかし。 「ごめんなさい」 シエスタはムスタディオに、頭を下げ返した。 「この村にはもう、ないんです。盗まれてしまいました」 シエスタはムスタディオに説明する。 葬式が済んで間もなく、墓荒らしが出た事を。 祖母の墓を含めたいくつかが荒らされ、宝石はその際に持ち去られてしまっていた。 「……その石には、何かの文字が刻印されていたはずだ……いや、その宝石の色は、何色だった?」 「深い青色です」 「――ヴァルゴか、なんてこった……」 ムスタディオが両手で顔を覆う。 その声には、悲しみや苛立ちなんかを通り越した「疲れ」が滲み出ていた。 「ご……ごめんなさい」 「いや、仕方ないよ。シエスタは何も悪くない」 しばらくして手を外したムスタディオの顔は、今までになく精悍な面持ちをしていた。 そしてその口から出た言葉に、シエスタは驚かされることになる。 「シエスタはいつ学院に戻るつもりだい?」 早く学院に戻らせてくれ、と。 ムスタディオの表情と、口調が言外の意思を物語っている。 「学院に戻るつもりなんですか?」 思わず聞いてしまった。 ――だって、とシエスタは思う。村へ来る道中のムスタディオは、夜逃げしてきた人のような表情をしていた。 何を考えていたかは分からなかったが、鎖を千切った家畜のように、どこか遠くへと離れていく風にしか見えなかったのだ。 「……ミス・ヴァリエールともうまく行ってないんですよね」 「ゼロのルイズ」はしばしば使用人達の間でも話題になっている。というより、貴族を快く思わない人々の間で密かにこき下ろしの対象になっている。シエスタはそういった話に加わった事はないが。 決闘後は特にその話題でもちきりで、その中でムスタディオとルイズの仲のことも聞いていた。かなり険悪で、使い魔が主に虐待すらされている、と。 シエスタがムスタディオが逃げようとしていると思ったのも、その噂を知っていたからだった。 「そんなことまで知ってたのか」 「はい、かなり酷い扱いを受けているって。その現場を、使用人仲間が見たことがあるって」 言いながら、ルイズへのほのかな敵意が胸の中に灯る。 シエスタは、祖母のことを理解してくれ得る存在としてムスタディオに好感を抱きつつあった。それだけに納得し難いものがある。 「……うん、そうだな。あれは酷かった」 ムスタディオは色々な事を思い出したのか、弱った顔でため息をついた。墓標の一つと化した剣の柄を右手で握る。 すると、左手に刻まれていたルーンが光り始めた。鼓動を刻むように、光が強まっていく。何が起こっているのか自分でもわからないのか、ムスタディオ自身もその様子を眺めているが――その顔が、光に呼応するように引き締まっていくのをシエスタは見ていた。 「なあ、シエスタ、この剣を貰ってもいいかな? ……依頼主に、形見分けをさせてほしいんだ」 「あ、はい。家族にも聞いてみないと分からないですけど……事情を話せば、たぶん大丈夫だと思います」 ず、という音に少し驚く。シエスタがそう言った瞬間、ムスタディオが墓から剣を引き抜いたのだ。 錆びた剣を、ムスタディオが構える。正眼だ。祖母が教えてくれた。そしてその構えは、剣を持った祖母の立ち振る舞いと驚くほど似ていた。 まるで、祖母の戦う様子を見ていたかのように。 ルーンの輝きが増す。 「彼女なら、きっと逃げないと思うんだ」 その姿に半ば見とれていたシエスタは、え? と聞き返してしまう。 少しの間の後、何かの覚悟を決めたようにムスタディオが口を開いた。 「たぶんさ、オレはあそこから逃げてきたんだ」 懺悔をするように。一言一言ゆっくりと吐き出す。 「仲間の手がかりを探しに来ただなんて、もちろん本当だけど……言い訳さ。ここに来る途中で、何度もこのまま姿をくらますのもいいかななんて考えてた」 そこで、ふとムスタディオの表情が和らいだ。 「尊敬していたんだ、シエスタの祖母のこと。……彼女は、本当に高潔な人物だった。その、話に聞いた分ではさ。 うまく言えないけど、オレや依頼主は、彼女に恥じない生き方をしなきゃいけない。ここに来て、シエスタの話を聞いて、今、そう思ってる」 自分に言い聞かせるような様子だった。ムスタディオは、ええと、だから、学院に戻ろうと思う、と言葉を続ける。 「……オレはヴァリエール様の使い魔だ。それは押し付けられたものだけど、そうなっている以上、お互いが納得が行く方法で決着をつけなけりゃいけない。 こんな、逃げ出すなんて卑怯だ。君の祖母ならきっとそうするだろうし……うん、君の祖母ならそうする。ならオレは逃げるわけにはいかないよ。 他にも、とても重大な義務をほっぽり投げて来てしまった。……悪いね、変な話しちゃって。何のことかわからないだろう?」 「はい、よく分かりません」 シエスタは素直にそう言った。ムスタディオが苦笑する。 彼がこの場所に来て、何を思ったのか。それは自分には推し量れない。シエスタは先ほどの涙を見た際にそう悟っていた。 彼と祖母の間には、自分には見る事のできない絆があるように思える。 しかしその絆がいつ生まれたものなのか。彼と彼女の間にいかなる接点があったのか。よく分からない話だ。 ただ、一つ思うことがあった。 「ムスタディオさん、すごくまっすぐなんですね」 「へ?」 シエスタとしては素直な気持ちを口にしただけなのだが、ムスタディオは先ほどシエスタがしてしまったような気の抜けた声を出した。しかしその瞳は、今までストレスに苛まれていた様子からは想像がつかないくらい澄んでいる、ようにシエスタには見えた。 何の確信もないけど、きっとこれがこの人本来の姿であるように思えた。 「わたしも言えずにいたことがあるんですけど」 そのまっすぐさに応じようと思った。 それは決闘が終わってからというもの、ずっとシエスタの片隅で燻っていた後ろめたさだ。 「あの時、助けていただいてありがとうございました」 頭を深々と下げる。やっと言えた、と思った。 あの時。困り果てていた自分を助けてくれて、本当にありがとう。 草原に風が吹き、草が赤い海のように波打つ。 ムスタディオはぽかんとしていたが、自分が礼を言われる理由にようやく思い至ったのか、ぽつりと言った。 「シエスタの方こそ、素直だな。 ……オレもヴァリエール様も、そのくらいまっすぐにならなくちゃ」 ◇ ――タルブについてから数日経った。 その間、シエスタは馴染んだ自分の故郷だというのにたくさんの驚きに遭遇した。 それは主にムスタディオについてである。 シエスタ達が乗ってきた馬車は、数日に一度しか村へやってこない。だからムスタディオはシエスタの家に滞在することになった。 その間の彼は、魔法学院で使い魔をやっていた頃が嘘のように快活な青年だった。 よくおしゃべりをし、色々なことに旺盛に首を突っ込み、その意外なまでのひょうきんさですぐに馴染んでしまう。 また手先が器用で身が軽く、痛んだ家屋、農具等の修理を進んで手伝った。その手際は村に一つだけの大工の一家が「お前、俺らの代わりにこの村の大工おやってくれ」と言い出すほどだ。しかし彼の本業は大工ではなく、修理工のようなものだったらしい。 年頃の少女がいきなり連れてきた妙な青年を、シエスタの家族は最初怪訝がっていたが、やがてその様子に対応を柔らかいものに改めていき、ついにはシエスタに「お前、良い男を連れて帰ってきたな」と冗談交じりで言うようになっていった。 村人たちからの反応も同じであり、シエスタはその度に恥ずかしがって否定したが、……実は心のどこかではまんざらでもない気分だった。時たま妙なことを言うのは祖母も同じだったので、好感の色眼鏡で見るシエスタにはそう気にもならない。 その時間はあっという間に過ぎていく。 しかし、ムスタディオのまっすぐな双眸は、もう曇りを見せない。 その様子を、シエスタは見ていた。 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ