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夕闇が迫っていた。 傾いた日差しがアリスの影を伸ばす。 影の先には、「ゆっくり魔理沙」が一匹。震えながらアリスに向かい合っている。 「日暮れ前に帰ると言っていたのに、こんな時間まで何をしていたのかしら?」 穏やかに問いかけるアリス。 逆光となり、その表情はうかがい知ることはできない。 ゆっくり魔理沙の頬に流れる動揺の汗。 「ゆっ、ゆっくりしていたよ!!!」 取り繕うようにピョンピョンと飛び跳ねて、精一杯の笑顔を浮かべてみせるも。 「へぇ」 ごく短い応答にその動きも凍りつく。 「私とあなたとの約束は、そんなことで破られたの」 呟きながら、歩み寄ってくるアリス。 「魔理沙って名前のつくものは皆そうね。今日だって一緒に過ごす約束だったのに、欲しい本を思い出したなんて 勝手な理由でパチュリーの所へ……!」 不満を吐き出しながら、うつむき加減に近づいてくる。 ぷるぷると魔理沙の丸い体が震える。 本当は逃げ出したい。 だが、逃げだした際の末路は、この少女に拾われてからの数ヶ月間で嫌というほど思い知らされていた。 ゆっくり魔理沙は口をゆがめ、いやいやと全身を震わせる。 「ゆっくりした魔理沙がわるかったです!!! ごめんなさいいいいいい!!!」 おいおいと嗚咽をこぼしながらの哀願に、アリスは屈みこんでゆっくり魔理沙と視線を合わせる。 「みっともなく泣かないで。別に怒ってないわよ」 涙でぼやかえた魔理沙の視界には、子供をなだめるようなアリスの笑顔。 頭を優しく撫でるアリスの手に、ゆっくり魔理沙の表情もとろんと落ち着く。 「ほんとう?」 「ええ、怒ってないわ、あなたに何かあったのかと心配しただけ。さあ、早く帰りましょう」 アリスの細い腕に抱き上げられるゆっくり魔理沙。 柔らかな膨らみと穏やかな心音。 少しだけ残っていた魔理沙の緊張も心地よさに解けていくのだった。 翌日、ゆっくり魔理沙は機嫌よく野へ遊びに行く。 昨日の埋め合わせでやってくる魔理沙を迎えるため、今日も外に放りだされたゆっくり魔理沙。 「ゆっくりー!!!」 いつもは家に押し込められているだけに、開放感に勢いよく体も弾む。 このまま、ずっとゆっくりできたらどんなに幸せなことだろう。 だが、どんなに逃げてもなぜか必ず捕まった。 そして、「おしおき」を受けることになる。 前回の脱走では、深い森の奥、枯れた木のウロに逃げ込んで眠っていた。だけど、目が覚めると窮屈で透明な箱の中。 「ゆー?」 境遇を理解できないまま、とりあえず抜け出そうとする。 だが、上下左右、みっちりと詰め込まれてどうすることもできない。 その強制的な「ゆっくり」が、アリスによるものだと気づくのに時間はかからなかった。 横を向くことも許されない固定された視界の端っこに、背を向けて紅茶を口にするアリスの姿。 「おねえさん!!!」 呼びかけてみるも、反応はない。 「おねえさん、ここからだして!!!」 重ねた呼びかけも無視される。 「苦しいよ!!! だして、お願い!!!」 口調に懇願がこもりはじめても、アリスは振り向きもしない。 空しい呼びかけも、応える声がないまま過ぎていく時間。 三時間、何の変化もなく過ぎた頃、席から立ち上がって食事の支度を始めるアリス。 いつも美味しい食べ物を用意してくれた記憶に、ゆっくり魔理沙は「もうそろそろ出してくれるかな」と淡い希望が 芽生え始める。 「おねえさん、おなかすいたよー!!!」 表情の変化すら困難な箱の中、かろうじて愛らしい笑顔を形作るゆっくり魔理沙。 しかし、アリスが作った料理は一人分。淡々と食事を済ませると、魔理沙の視界から消えて、そのまま戻ってくる ことはなかった。 ようやく、ゆっくり魔理沙はアリスの怒りの深さを思い知る。 「ごめんなさい!!! もう逃げたりじまぜんがらっ、だじでぐだざい!!!」 箱を震わしての必死の謝罪。 だが、許されるどころか、もはや省みられることもなかった。 しまい込んで忘れ去ったオモチャのように、ゆっくり魔理沙から完全に興味を失ったアリス。 アリスの家において、ゆっくり魔理沙はもはやオブジェ以外の何物でもない。 そのまま、一日、二日、三日……そして、一週間。 放置されたゆっくりの体は、声を上げる力も失い、少しずつ干乾びていく。 ゆっくり魔理沙は、全身がひび割れそうな、びりびりとした猛烈な痒みに悶えるものの、身動き一つできない。 癒されることのない痒みと痛み。あと、どれだけ苛み続けられれば許されるのか、あるいは死ねるのか、ひたすらに 残された時間が狂おしい。 それだけに、アリスが近づいてきたその時は、ゆっくり魔理沙の期待が燃え上がった。 「おねえさん、いい子になるから!!! だから、だしてください!!! おねがい!!!」 媚を売るように笑顔で呼びかけるも、アリスの手はその箱の近くに置いていた人形を手にとり、そっけなく引き上げていく。 「い゛がな゛い゛でええええ!!! だじでよおおおおおお!!!!」 追いすがる、絞り上げるような声がアリスに届くことはなかった。 放置は続く。 霞んでいく、ゆっくり魔理沙の表情。 一ヶ月後、ようやく箱から出されたゆっくり魔理沙。しかし、しばらくの間、虚ろに壁をながめるだけの生物と化す こととなる。 そういうわけで、「箱」以来、ゆっくり魔理沙は脱走を試みることすらしなくなっていた。 それに、最近はアリスも優しく接してくれるようになってもいるのだし。 昨日のアリスの抱擁を思い浮かべて、魔理沙は嬉しげに森の奥へと飛び跳ねていくのだった。 森の奥、うっそうとした木々の向こうに、陽光の差し込む野原が開けていた。 陽だまりを受けて鮮やかに輝く草むらに、ゆっくり魔理沙は身をおどらせた。 「ゆっくりしていってね!!!」 跳ねながらいつもの言葉を口にする。 すると、にわかに木立が揺れる騒々しい音。 「今日もゆっくりしようね!!!」 言葉とともに姿をあらわしたのは、二匹のゆっくりたち。 一匹はよく見かける「ゆっくり霊夢」で、丸い顔に気色を浮かべて勢いよく近づく。もう一匹は「ゆっくりパチュリー」で、 あまり外にでないことと、病弱ですぐ死ぬために希少種とされていた。 ゆっくりパチュリーは他の二匹に比べ、どこか青白い顔。それでも、ゆっくり魔理沙に向けて懸命ににじり寄っていく。 待ち受ける、ゆっくり魔理沙の表情に浮かぶ心配げな眼差し。 「ゆっくりきてね!!!」 「むきゅーん!!!」 魔理沙に応じるその鳴き声も、この種特有のものとされている。 ゆっくりパチュリーは飛び跳ねることができないのか、じりじりと這いよって、ゆっくり魔理沙の元へぴったりと寄り添った。 「みんなで、ゆっくりしようね!!!」 魔理沙の真上に飛び乗るゆっくり霊夢。 三匹、押し合いへし合い、頬をすりよせている。 アリスに捕まる前からの友達との邂逅に、ゆっくり魔理沙も満ち足りた笑顔だった。 そんな三匹の前を、白い蝶がふわふわと通り過ぎる。 「待って、ちょうちょさん! ゆっくりしていってね!!!」 風に吹かれるがまま漂う蝶々を、思い思いに追いかけていく三匹。 やがて、白い蝶々は蜜を求めて野の花に止まった。 戦闘を駆けるゆっくり霊夢が、勢いよく飛び込んでいく。 「ゆっくりいただきます!!!」 ぱっくり開いた口で、蝶々をまるごと飲み込んで、花ごともぐもぐと咀嚼する。 「霊夢だけ、ずるい!!!」 ゆっくり二名が飛び上がって抗議すると、ゆっくり霊夢は魔理沙の元へ。 いきなり、ぺったりと唇を合わせる。 そのまま、口の中のものを、ぺっ、と渡した。 獲物を受け取った魔理沙は、頷いて最後尾を息を切らしてついてきたゆっくりパチュリーに向き合う。 パチュリーは、荒い息のまま、そっと目を閉じた。 「魔理沙、ゆっくりシてね……」 そんな仕草に、なぜか戸惑った様子でゆっくり魔理沙が口付け。 「む、むきゅうー!!!」 「……!!!」 途端に吸い上げられ、身動きのとれなくなるゆっくり魔理沙。 やがて、ぴくぴくと震えて、色合いが若干紫がかってくる。 「ゆっくり離してね!!!」 ゆっくり霊夢が魔理沙の帽子を噛んで、懸命に引っ張る。 ちゅーっぽんっと、小気味いい音がしてばらばらに弾む二匹。 「……ぷはあ」 満足げなゆっくりパチュリーと、白目をむくゆっくり魔理沙。 ゆっくりたちの繰り広げる楽しげな一幕。 しかし騒動の最中のため、三匹とも聞き逃していた声がある。 無機質な響きを持つ、不思議な声。 「シャンハーイ」 それは、上空から見下ろす、一体の人形の呟きだった。 まだ、日暮れまでは時間があったが、アリスを怒らせないため、名残り惜しそうな友達に別れを告げるゆっくり魔理沙。 懸命に転がってかけていき、一息にアリスの家へ。 アリスは家の外、ゆっくり魔理沙に背を向けて立ち尽くしていた。 「ゆっくりしないできたよ!!!」 慌てて、する必要のない言い訳を口にするゆっくり魔理沙。 「おかえり」 簡潔なアリスの答えだが、返ってくるまで時間を要した。 やがて、アリスの肩がかすかに震え始める。 どうやら、声もなく笑っているらしい。 「ゆー?」 アリスの様子に小首……いや、全身を傾げて疑問を呈するゆっくり魔理沙。 「あのね……魔理沙がうちにきたんだけど、予定を取りやめて霊夢のところの宴会に参加しようぜって、言い出して」 うふふうふふふと、笑いはかすれた声になって、ひそやかにゆっくり魔理沙のもとへ届く。 「なんで、私と二人っきりでいる時に霊夢が出てくるのよ?」 そんなことを聞かれても、ゆっくりは答えられない。 ただ、異様な主の様子を見守るだけだった。 「なんで、私と話すよりもパチュリーの、あの喘息女の図書を漁る方を選ぶのかしら」 アリスの言葉は誰の返事を期待しない罵りと化す。 「そして! 何で、あなたはあの憎たらしい奴と同じ顔をしているのよ!」 「ゆ、ゆっくり、ゆっくりしていってね!!!」 ようやく振り向いたアリスの怒気こみ上げる表情に、ゆっくりはすくみあがっていた。 つかつかと歩み寄り、その顔面そのものを両手で掴まれても逃げる素振りもできない。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ! ゆっくりしてえええ!!!」 ぎゅうううううっと、細腕とは思えないアリスの力で締め上げられるゆっくり魔理沙。 変形して、もはや人の顔の面影もない。 「ねえ、魔理沙。こんな思い、私だけがするのは不公平だと思わない?」 頷かなければ、ぶちまけられる。 ゆっくり魔理沙は同意を涙目で訴えて、ようやくその万力から開放された。 「そう。なら、あなたにもしなければならないことがあるわ」 面白いことを考え付いちゃった。そんな素振りで手を組み合わせて、はにかんだようなアリスの微笑。 そっと、ゆっくり魔理沙の耳元に口をよせて、何事かささやく。 魔理沙の表情は、囁かれる度に火箸を押し当てられたかのように、苦痛の色合いの濃くなる表情。 反対に、囁き続けるアリスの表情は恍惚にとろけそう。 「ねえ、魔理沙。やらなければどうなるか、わかっているわね? あなたと、あなたのお友達が、ね」 いつにも増して可憐な笑顔で念を押す主を、ゆっくり魔理沙は心の奥底から恐怖した。 翌日、いつもの遊び場となる野原にゆっくり魔理沙がやってくると、茂みから顔を覗かせるゆっくり霊夢と パチュリーの二匹。 だが、二匹は魔理沙の後をついてきた人間に、不審げな視線を向ける。 「あの人も、ゆっくりできる人?」 ゆっくり霊夢の視線の先にいる人物とは、アリスだった。 上海人形を肩にのせ、無表情でゆっくりたちを眺めている。 だが、ゆっくり魔理沙は仲間たちの疑問に取り合わない。 「霊夢とパチュリー、よく聞いてね!!!」 強張った顔で告げるゆっくり魔理沙の言葉に、きょとんとして魔理沙を注視する二匹。 そのため、アリスが口の端をゆがめるように笑ったのを、二匹を見逃す。 「パチュリーは病弱で足手まといの癖に、べったりしてきて気持ち悪いよ!!!」 思いがけない魔理沙の言葉に、目を見開いて衝撃をありままに体現するパチュリー。 「目障りなので、家で永遠に寝こんでいればいいと思うよ!!!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ!!!」 「パチュリーはゆっくりしね!!!」 魔理沙の追撃に、ガクガク揺れながら、一歩、二歩、ゆっくりパチュリーが遠ざかっていく。 その様子を微笑みで見つめているのはアリス。 学芸会で主役となった子供を見守るように、ゆっくり魔理沙を見つめていた。 「そんなひどい魔理沙とはゆっくりできないよ!!! 謝って!!!」 一方、ゆっくり霊夢は体を激しく弾ませて魔理沙に詰め寄る。 ゆっくり魔理沙はしばらく詰め寄られるがままに後ろに転がっていく。 が、アリスが視界に入って踏みとどまり、叫んだ。 「霊夢なんかと、ゆっくりしたくない!!! 霊夢は餡子が腐ったみたいな匂いがするもん!!!」 「!!!」 今度は霊夢が白目をむく番だった。 「臭いのは大嫌いだよ!!! 大嫌いな霊夢とゆっくりしたくない!!! 目の前から消えてなくなってね!!!」 あれだけ躍動的に弾んでいたゆっくり霊夢の体が、もはや微動だにしない。 しかし、時間の経過と共に震えだす。凍りついた表情の双眸からは、ぽろぽろと零れ落ちる涙。 「ま゙り゙ざびどい゙! びどい゙! びどい゙いいいい!」 ぷるるると、全身を震わせる霊夢。 受け止める魔理沙は身じろぎ一つできな。 「魔理沙なんが、も゛う゛、じら゛な゛い゛!!!」 一際高く弾んで、枝をへし折りながら茂みの奥へと消えていくゆっくり霊夢。 よろよろと、その後に続くパチュリー。何度か振り向きつつ、森の奥へ。 後には無言のゆっくり魔理沙と、アリスだけが残された。 「よく、できました」 アリスが音を立てない拍手をゆっくり魔理沙にささげる。 その言葉に振り向く魔理沙。 「ゆっ、ゆっ、ひっく……!!!」 堪えていた涙が、友達が消えた後はとめどなく流れている。 「よしよし」 アリスは、アリスの教えたとおりの言葉を友達に伝えて一人ぼっちになった、ゆっくり魔理沙の頭を撫でてあげた。 至福の笑み。 「うふふふ、魔理沙も同じ目にあわせてられれば、私が慰めてあげられるのにね」 先ほどの光景に、どんな想いを重ねているのだろう。 アリスが一人ごちた、その時だった。 「おー、アリスじゃないかー!」 頭上から降り注ぐ、気楽な声。 アリスは弾かれたように虚空を見あげる。 「ま、魔理沙! なんでこんなところに!」 アリスの狼狽の向かう先は、箒に跨った本物の魔理沙の姿。 「いやな、茸狩りにいそしんでいたわけだが、ゆっくりどもが勢いよく走っているのを見かけて、興味本位でよってみた」 縁を感じる遭遇だが、アリスは喜びよりも背を伝う冷や汗を感じる。 もう少し遅れていれば、自分の醜い部分を魔理沙にさらけ出すはめになっていた。 胸を撫で下ろしながら、アリスは取り繕いをはじめる。 「ええ、この子がお友達と喧嘩したみたいで、慰めていたのよ」 言いながら、ゆっくり魔理沙の頭をごしごしと撫でつけ、押さえつけるアリス。 地に下りた魔理沙は、アリスの手の下で縮こまり、涙をこぼすゆっくり魔理沙に向けてかがみこんだ。 「この、ゆっくり私バージョンが、か? それは私としても気になるな。早く仲直りしろよ」 自分と同じような格好の生き物が相手なのだから気味悪がればいいのだが、魔理沙は気のいい笑顔でゆっくり魔理沙を 慰めに入る。 魔理沙の視界の外で、苛立ちを浮かべるアリス。 今だけは早く帰ってほしい。まずはそれが第一だが、同時になぜ魔理沙は自分以外にこんな優しさをほのめかす のだろうという不満にもつながる。 「ええと、魔理沙。この子のことは任せて、茸狩りを続けて……」 離れ欲しいと促すアリスの言葉だが、生憎、不意に目の前に現れた乱入者によって阻まれる。 「ゆっくり考えてきたよ!!!」 茂みから飛び出してきた、ゆっくり霊夢とゆっくりパチュリーだった。 よく見れば、二匹とも涙の跡が乾いていない。 それなのに、ゆっくり霊夢たちがゆっくり魔理沙を見つめる視線は、この上なく優しげだった。 「魔理沙の気持ちを知らなくて、ごめんなさい」 ぺこりと、沈み込むように霊夢のお辞儀。 「もう嫌な思いをさせないよう、遠くに引っ越すから、安心してね!!!」 その言葉に、ゆっくり魔理沙の眉が悲しみにゆがむ。 だが、頭の上にのせられたアリスの手の冷たさを思い出して、何とか堪えていた。 一方、霊夢とパチュリーの目は潤みだし、唇は嗚咽がこぼれないよう、真一文字に結ばれていた。 「……っ!!!」 けれど、想いを伝えるために霊夢は口を開かなくてはならない。 「……まりさ!!! もう……会えなくなるけどっ……!!!」 一度あふれた滂沱の涙を、霊夢もパチュリーも止めることができない。 涙声を絞り出す。 「これからも……わ、わだじだぢのぶんま゛で、ゆ゛っぐり゛じでい゛っでね゛!!!」 後には、二匹の押し殺した嗚咽が低く響き渡っていた。 ……アリスの手のひらを、ゆっくり魔理沙の深いあえぎが伝わってくる。 心を押さえつけるその限界に、もはや余裕はない。 「おい、このままでいいのか、ゆっくり私! 違うだろ、このままでいいわけがないぜ!」 なのに、人間魔理沙が一人、熱く語りだす。 いつもはそこが大好きな部分なのに、たまらなくウザく感じるアリス。 魔理沙の言葉と、アリスの刺すような視線。 そのベクトルの異なる力に押し出されて、ゆっくり魔理沙は前に踏み出す。 「霊夢、パチュリー、もう一度よく聞いてね!!!」 こいつ、ばらす気か!? 言葉の強さに、思わず息を呑むアリス。 一際、その手の圧力を強めて睨みつける。 ゆっくり魔理沙は、体を震わせて叫んだ。 「これで、新しい友達とゆっくりできるよ!!! さようなら、大嫌いな霊夢とパチュリー!!!」 勝った! 緩みそうになる口元を必死に抑えるアリス。 「お前!」 「魔理沙、仕方ないわよ。この子の意思ですもの」 声を荒げる魔理沙を、アリスは完璧に沈痛な面持ちで制止した。 寂しげな笑顔だけを残して、後ろを向く二匹のゆっくり。 静かに遠ざかるその背中に、アリスが気を緩めたそのときだった。 「でも゛!!!」 隙をついて、アリスの手から逃れたゆっくり魔理沙が二匹の下へ転がって走っていく。 その声に振り向きかけた霊夢とパチュリーに、呼びかけるゆっくり魔理沙の顔は、堪えに堪えた涙でくしゃくしゃだった。 「だいぎらいな二人でも、い゛っじょに、ゆっぐり゛じだいです! だがら、い゛がな゛い゛でええええ!!!」 「……ま゛り゛ざああああああ」 暖かい涙をこぼして、ゆっくり魔理沙を迎え入れる霊夢とパチュリー。 再び三匹となった一群は、そのまま森の奥へ走り出す。 「ま、待ちなさい!」 「行かせてやれ、アリス」 追いかけようとしたアリスの前を塞ぐ、魔理沙の腕。 「アリスは、あいつの仲直りの口上が気に食わないかもしれないが、あいつも私に似て素直になれない奴なんだぜ」 いや、そんなことじゃねーよと、張っ倒したいアリス。 だが、魔理沙の次の言葉に追う気が粉砕された。 「ところで、アリス。私たちは親友だよな」 「え、えええ!? なに、なんなの、突然!」 一瞬で、ゆっくりのことが吹き飛ぶアリス。 湯気が噴出しそうな顔を手のひら抑えながら、魔理沙を見つめた。 「そ、そうね、親友かもしれないわね。見る人によっては!」 一緒にお風呂に入る、同じ布団で寝る、後ろからそっと抱きしめる。親友としてできそうなこと、あれこれ 妄想するアリスだった。 一方、魔理沙はぽりぽりと頭をかきだす。 「それじゃあ、許してくれるよな」 「へ?」 アリスが間抜けに呟く。 なにやら雲行きが怪しくなってきた。 「いや、明日あたりアリスに丸一日付き合うつもりだったけど、フランの奴がどうしても弾幕遊びがしたいって、 紅魔館から呼ばれていてさ。ほら、あいつ手加減できないから、私も丸一日付き合わないといけなくなる。悪いが、 丸一日付き合うという話自体、なかったという方向で」 「え、えええ!?」 「そういうことで、じゃあなー」 驚愕に硬直するアリスを置いて、自分勝手に青空へと飛び出していく魔理沙。 一人佇むアリスの頬を、冷たい風が草むらを震わせて流れていく。 「……一人に、なっちゃった」 寂しげな呟きも、風の音にまぎれて消えていった。 三匹のゆっくりは、ゆっくり霊夢の寝床に身を寄せ合っていた。 うっそうとした藪の奥の、風の穏やかな洞。 すでに日は没し、暗がりに包まれてはいたが、アリスの家のように閉じ込められる寒々とした暗闇ではない。 傍にいる仲間の温もりが嬉しい、心地よい闇。 一息ついた三匹は目線を交わし、深く身を屈め、揃って一気に飛び上がる。 「ゆっくりしていってね!!!」 ゆっくり魔理沙の暴言も、仲睦まじい合唱に、しこりを残した気配もない。 これで完全に仲直り。 そして、あの魔女にさらわれる前の楽しかった日々に戻ったのだ。 こみ上げる幸福感に、ゆっくり魔理沙の頬を伝う幸せの涙。 「みんなと……ゆっぐりでぎで嬉じいい」 その涙は、ゆっくり霊夢とゆっくりパチュリーが舐めとった。 三匹は、かつてのように身を寄せ合い、そのまま眠りにつく。 夢に見たのは、野原を転げまわり、バッタを追っかけ、日向ぼっこでゆっくりと時を過ごす、幸せな明日の光景だろうか。 眠りこける三匹の元へ届くのは、月の光と梟の鳴き声。 だからだろうか、梟の鳴き声に似たその声を、聞きつけるものはいなかった。 それはどこかで聞いた、無機質な声。 「ホーラーイ」 夜陰に潜む、人形の呟き。 翌朝。 藁をしきつめた寝床で眠ったはずなのに、横たわるゆっくり魔理沙の体は、冷たさと固さを感じていた。 「ゆー?」 寝ぼけ眼が、次第に鮮明になっていく。 品の良い調度品、暖かな暖炉、そして棚を埋め尽くす人形の軍団。 「ゆっくり!?」 なぜ、アリスの家に。 飛び上がろうとする魔理沙。だが、天井を押さえつける透明なガラスの板に、飛び上がることもできない。 「ゆっ!」 悪夢がよみがえるゆっくり魔理沙。 ただ、依然と若干違うのは箱の構成。 横幅と高さはぴっちりとしているが、前後に細長くスペースがあって、少しだが動き回ることができた。 「あら、起きたの」 頭上からの声に見上げると、そこには穏やかな微笑を向けるアリスの姿。 ゆっくり魔理沙の体の色が、血の気を失って土気色。食欲をあまりそそらない色になる。 「ご、ごごごごごめんさい!!! もうしないから、ここから出してね!!!」 許されないことがわかっていながらも、必死に弁明を口にした。 だが、次のアリスの行動は予想外のものだった。 「出たいのね?」 アリスが蓋の留め金をいじると、苦もなく開くガラス箱。 箱の中に手が差し込まれて、ゆっくり魔理沙はアリスの手で引き上げられる。 「これは昨日、人間用につくったものなの。だからそれなりに余裕はあったでしょう」 こくんと頷くゆっくり魔理沙。誰のためにつくったのかは、怖くて聞けない。 そのまま、椅子に腰掛けるアリスの膝にのせられて、髪を櫛でとかされるゆっくり魔理沙。 昨日のことは夢だったのだろうかと思い始めた頃だった。 「あんな野原で寝るから、髪がぼさぼさになるのよ」 アリスの呟きに現実のことと知る。 そして、沸きあがる不安は、隣で眠っていた仲間たちのこと。 「ゆっくりしてたみんなは!!!」 「大丈夫よ」 アリスは親切に、ゆっくり魔理沙を抱えて窓辺へ。 そこには野外を元気に走り回るゆっくりパチュリーの姿が。 アリスの人形を一体頭にのせて、かつてない元気のよさで飛び跳ねていた。 それにしてもこのパチュリー、ノリノリである。 「霊夢はまだ眠っているみたいね」 アリスの言葉が示す通り、室内に向けられたゆっくり魔理沙の視界の端に、ソファーの影に隠れ気味にゆっくり霊夢の 頬が見える。 全員の姿を確認して一息つくゆっくり魔理沙を、アリスはくるりと向きを変えて真正面から見つめていた。 「それでお願いがあるのだけど、みんな、揃ってうちにきてもらえないかしら? その、私一人じゃ寂しいからね。 全員一緒にいたいなら、皆、面倒を見てあげるわ」 その提案に、魔理沙に広がる驚きの表情。 「もちろん、自由に遊びに行ったりしてもいいのよ」 それは、すごく嬉しいことかもしれない。 住人を除けば、暖かな寝床と美味しいご飯。素晴らしい環境なのだから。 それに、今のアリスはまるで憑き物が落ちたのかのよう。 微笑に陰りがなかった。 「うん!!! アリスも、みんなとゆっくりしようね!!!」 「まあ、嬉しい。ところで、昨日から何も食べてないからお腹が減ったでしょう。今、用意するわ」 言われて、ようやく空腹に気づくゆっくり魔理沙。 恐らく、緊張感が解けて感覚が戻ってきたのだろう。 「ゆっくり支度してね!!!」 「大丈夫よ、準備していたから」 魔理沙の気遣いに笑顔を返したアリスは、布をかけてあった皿を掴みあげる。 「私の知り合いに中国という方がいて、この前、料理を教えてもらったの」 魔理沙の前に差し出されるお皿。 「餃子っていう食べ物よ」 布が払いのけられて、アリスの言う餃子が姿をあらわした。 ふわりと漂う香ばしさと、こんがりと狐色の焦げ目が、ゆっくり魔理沙の食欲をそそる。 「わぁ、美味しそう!!! おねえさん、これ本当に食べていいの!!!」 「あなたに食べさせるためにつくったのよ」 アリスの笑顔に後押しされ、その餃子にむしゃぶりつく。 ほっくほくの皮。そして中の具から染み出す旨みにと甘さが、ゆっくり魔理沙の口に広がっていく。 「うっめ!!! メッチャうっめこれ!!!」 「ふふふ」 素直な反応が嬉しいのか、満足げに魔理沙の髪を撫でるアリス。 だが、皿をも嘗め尽くす勢いで餃子を貪っていた魔理沙が、ふと動きを止める。 「おねえさん……」 その声は震えていた。 「この餃子……なんかおかしいよ……シュっご……く……」 ぷるぷると身を震わして、半開きの口からだらしなく流れるよだれ。目じりにたまる涙。 「どうして? 慣れている味だと思うのだけど」 アリスは、その魔理沙をテーブルにのせて、静かに立ちあがる。 向かう先には、ソファー。そして、その影には未だ眠り続けていると聞くゆっくり霊夢の姿があった。 「だって、ほら」 ソファーの影から、けりだされるゆっくり霊夢。 いや、霊夢だろうか。 そのゆっくりは、額から上を切り取られていたため、アリスには見分けがつかない。 それでも、魔理沙にはわかったようだ。 「れ゛い゛む゛ううううう!!!」 ゆっくり魔理沙の声が聞こえたのか、ぶるんと震えるゆっくり霊夢の体。 「ゆっゆっゆっゆ」 しかし、目をひんむいた霊夢が壊れたうめきをあげるだけ。 アリスはその霊夢を、真上から覗き込んだ。 「大分減ったわね」 まるで、米びつを覗き込んで嘆息する主婦のよう。 少なくとも、生き物に向ける口調ではなかった。 「おねえさん、霊夢を、霊夢の中身をどうしたのおおお!!!」 「あらあら、知っているくせに」 わき上がる、ケラケラと抑えの利かないアリスの笑い。 「今は、あなたの口の中よ」 一瞬の沈黙。 「ぱぴぷぺぽっ!!! ぱぴぷぺぽおおおお!!!」 絶叫と共に、やみくもに壁にぶち当たろうとするゆっくり魔理沙。 「ゆっ!?」 だが、アリスが目配せすると、それまで棚を飾っていた人形たちが一斉に魔理沙に襲い掛かる。そのうち一匹の手には、 細く鋭い釘。 「ひぎい!」 ゆっくり魔理沙は床に縫いとめられていた。 「あらあら、お友達とお揃いになったわね」 アリスは視線を魔理沙から外し、窓の外で。 そこでは、相変わらずゆっくりパチュリーが走り回っていた。 青白い顔で、息も絶え絶え、涙とよだれを垂れ流しながら。激しく咳き込んでは、びくりと跳ね起きてなおも走り続ける。 そのゆっくりパチュリーの頭の上には、無表情の上海人形。手には五寸釘の根元を握る。その先は、ほとんどの部分が ゆっくりパチュリーに埋め込まれていた。 かろうじて走り続けていたパチュリー。だが、息を切らせてとうとうへたりこんだ。 「あああああ!!!」 途端に、ぐりぐりとひねりこまれる五寸釘。 のけぞって、いやいやと首をふるゆっくりパチュリー。 「や゛め゛で、や゛め゛で! 走りますう!!!」 のたうちながら、よたよたと動き出す。 べしょべしょの顔を濡らしながら感動のフル24時間マラソンはいつまでも続いて行くようだ。 けれども、パチュリーの体力と持病はそれを許さない。 「げほっ、がはっ……!!! ゆっぐり、じだいいいい!!!」 咳き込んで、のたうつパチュリー。 上海人形はアリスの指示通り、無表情のまま五寸釘でえぐる。 「む゛ぎゅーーーん!!! ゆっぐりでぎないよおお!!!」 パチュリーが泣き叫ぶ先には、窓辺に腰掛けるアリスの姿。 だが、アリスは背をむけていて、もはやその姿を見てもいない。 「……本を餌に魔理沙を釣る女と、同じ格好をしているのが悪いのよ」 死刑宣告に等しい言葉を吐き捨てながら、アリスは床に這うゆっくり魔理沙へと、かがみこむ。 「ところで魔理沙。あなたの一番好きな子を教えて。誰にも言ったりしないから」 なぜか、年頃の女の子のようなことを聞く。 だが、ゆっくり魔理沙にはわかっていた。 ここでアリスの名前以外を挙げれば、その相手は死ぬ。 「アリスが、アリスが一番大好きだよ……ぶぎゃっ!!!」 魔理沙の懸命な言葉は、口にねじ込まれたアリスの靴先に遮られた。 ゆっくりと靴を引き抜くアリス。 「だぜ、よ」 修正点を手短に伝えた。 「うん! 魔理沙は、アリスのことが誰よりも大好きだぜ!!!」 「……もう一度」 「アリスが大好きだぜ!!!」 その言葉にぷるぷると震えるアリス。 「ああもう、嬉しいわ!」 言うなり、渾身の力でゆっくり魔理沙を抱き上げるアリス。 締め上げられながら、魔理沙は一言も声をあげない。 ゆっくり魔理沙は、諦めていた。 ここにいることしか、もう自分は許されないのだと。 誰かに助けを求めると、その誰かが不幸になってしまう。 「アリス、ずっと一緒にいるぜ」 呟きながら、ゆっくり魔理沙は思う。 零れ落ちる涙も枯れてしまえばいいのに。 涙で滲んでぼやける視界。 その中で、幸福そうに微笑むアリスだった。 こうして、アリスとゆっくり魔理沙の幸せな毎日はまだまだ続いていく。 めでたし、めでたし。
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試験中だったので学校が早く終わり、家に帰る。 今日は父さんと母さんが遅くまで帰らない。 だから家の中でのんびりとゲームをして過ごそうと考えていた。 ところが家の中に入り、リビングに辿り着くと異変に気づいた。窓ガラスが割られている。 泥棒だろうかと思って身構えていたら、相手はそんなにたいそうなものではなかった。 「あ?なんだこの糞餓鬼?こっちは今飯を食うのに忙しいんだよ。ここはウチらのシマになったからさっさと出てけや」 「あら?人間じゃない。坊や、いい子だからオシッコちびっちゃう前に出ていきな。あたし達は優しいんだよ」 「あ~」 ゆっくりだ。それも三匹。ゆっくり霊夢、ゆっくり魔理沙。そして赤ゆっくり。スタンダードな組み合わせだ。 リビングを荒らして胸を張るその様子は、まさに自分達がその家の家主になったかのようだ。 おうち宣言。ゆっくり特有の人の家を乗っ取る行為。 「あ~、うめえ。おい糞餓鬼、なかなかいいもん食ってるじゃねぇか。この柏餅なんか最高だぜ」 ゆっくり魔理沙が母さんが僕へのおやつにおいてくれたであろう柏餅を食べてふんぞり返っている。 「よしよし、いい子ね~。ほら、こうやって私達のお家を作るのよ」 「あ~」 ゆっくり霊夢が赤ゆっくりをあやしている。まさに親馬鹿。馬鹿面をさらしている。 僕はそんなゆっくり達の横を通り過ぎて台所に向かう。 「おい!てめぇ何勝手に俺らの家に入ってるんだよ。ぶっ殺すぞ!」 「魔理沙、あの子頭が足りないからきっとわからないんだよ」 「っつってもよ~。いくらあのガキが馬鹿だからといってもちゃんとわからせないと駄目だろ。まったく親の顔が見てみたいもんだぜ」 「それもそうよね~。あんな間抜け面した坊や、どんな親から生まれたんだか」 ゲラゲラと笑うゆっくり霊夢と魔理沙。それに反応して赤ゆっくりがあうあうと声をあげる。 「あぁ、まったくウチのチビは俺達に似てよかったよ。あんな頭の足りないガキみたいにならなくってよかったな~」 「何言ってるのよ。私と魔理沙の子じゃん。そんなことあるわけないじゃん~」 またゲラゲラと笑う。僕はそれを無視して台所から包丁を持ってくる。 「あ? 何だそれ? ハッ、そんなもんでどうしようってんだ? まさかそんなチャチな道具で俺に刃向かおうってのか?」 魔理沙は馬鹿笑いをしながら僕に向かって飛び跳ねてくる。 「おい、俺は今機嫌がいいから見逃してやってもいいぜ。ほら、土下座して謝ったら許してやるよ」 「魔理沙優しい~」 またゲラゲラ笑う。 僕は無言で魔理沙の頭を掴む。 「上等だよ。鳴いて喚いても許してやらねぇからな。オラッ」 魔理沙が僕の体に体当たりを仕掛けてくる。当然きかない。 魔理沙は信じられないような顔をしている。 「おかしいな~。ちょっと調子が悪いのか?」 そんな調子で何回も体当たりを仕掛けてくる。僕にはまったくダメージが無い。 僕はめんどくさくなったので包丁で魔理沙の腹を切り裂いた。 「いでぇぇぇぇぇ!!」 餡子を流出しながら転がりまわる魔理沙。霊夢は狂ったように泣き叫んだ。 「腹が!腹がァ!!」 「魔理沙ぁ!!この糞坊主!こっちが優しくしてあげたら付け上がりやがって」 霊夢は僕に向かって突進してくる。さすがゆっくり。体当たりしか能が無い。 僕は霊夢の頭を掴んで台所に向かう。フライパンの上に乗せてガスコンロの火をつける。 「あづぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! お願いやめて! うぎゃあああああああああああああ!!」 五月蝿い悲鳴を上げて暴れるので、頭を押さえて無理矢理フライパンの上に乗せる。 一分もすればあっという間に霊夢の足が黒焦げになった。もう歩くことも出来ないだろう。 「私の足・・・・・。私の足がぁ・・・・・」 霊夢は呆然としている。それもそうだろう。ゆっくりにとって大事な足を黒焦げになるまで焼かれたのだ。もう一生歩くことは出来ない。 魔理沙はもうびくんびくんと痙攣している。腹の辺りをきられたあと餡子が流出しまくったせいだ。 こんなによわい生き物なのに人間に刃向かおうとは笑わせる。 死んでしまっては元も子もないので魔理沙に軽くオレンジジュースを被せてみた。 オレンジジュースはゆっくりの傷を回復させる効果がある。 僕は赤ゆっくりを掴んだ。 「おいお前達。お前達は自分達の命とこの赤ゆっくりどっちが大事だ?」 魔理沙と霊夢は顔を見合わせた。 「なに馬鹿なこと言ってんだよ。その汚い手を離せ!」 魔理沙はこの後に及んで減らず口を叩くので黙らせる。思いっきり蹴飛ばした。 魔理沙は歯を飛び散らせながら壁まで飛んでいった。もう物をかむことは出来ないだろう。 ムカついたので赤ゆっくりをガブリと囓った。 「てめええええええええええええ!!よくもおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 「もうやだあああああああああああ!!何するのよもうやめてよおおおおおおお!私達が何したって言うのよおおおおおおおお!!」 五月蝿い。僕は包丁で魔理沙の目を突き刺し、抉り、バラバラに切り刻む。 「ぎゃあああああああああああああ!!!」 どろりと餡子が流れ出る。気持ち悪い。 霊夢は魔理沙がやられるショックで気絶してしまったようだ。つまらない。 僕は足を上げて、霊夢を思いっきり踏み潰した。 ブチッ ようやく終わった。ゆっくり達はゴミ箱に入れておいた。 それよりも大変なのが家の中の片づけだ。ゆっくり達ときたら荒らすだけ荒らしやがった。 せっかくゲームをしようと思っていたのに無駄な時間を費やすのはうんざりだった。 あとがき 初ssです。ゆっくり虐待ssを読んでいるうちに、ゆっくりが普通の言葉を喋ってもいいんじゃないかと思って書いて見ました。 BY ゆっくり潰し このSSに感想をつける
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幻想郷に最近出来た娯楽施設が有る。 幻想総合電動遊戯場、所謂ゲームセンターである。 それまで娯楽といえば宴会くらいしかなかった人々にとって、まさに衝撃的だったその施設は、瞬く間に幻想郷に浸透していった。 その中でも、人気の高い筐体があった。 ~Story starts from the Forest~ ここは、大きな森の中。 大地に根を走らせた巨木の下に、あるゆっくり霊夢の巣があった。 大きな根とたまたま下にあった空洞が絡み合い、大きくてコケがふかふかの素敵な巣だった。 「ゆっくりおきてね!」 朝。 他のゆっくりを起こしたのはお母さんゆっくり、その声に反応して子供達も起き出した。 「ゆっくりねむってたよ!」 「きょうもゆっくりしようね!」 「おかあさん、おなかすいたよ!」 静かだった巣の中が、とたんに騒がしくなる。 総勢20人は居るだろうか? それだけ居ても、余りあるほどこのこの巣は広かった。 「ゆっくたべてね!!!」 「「ゆっくりいただきまーす!!!」」 子供達の大合唱をスタートサインに朝食が始まる。 「うめぇ!これめっちゃうめぇ!」 「ゆっくりたべていいからね」 「ゆっくりたべさせるよ」 「むしゃ、おねえちゃんありがとー」 「あまーい!!」 大きい霊夢が小さい霊夢にエサを与える。 上手く食べれない赤ちゃんには口移しで食べさせてあげる。 今日の朝ごはんは、柿だった。 昨日、みんなでお散歩した途中で見つけて一本分、丸ごともいできたのだ。 まだまだ数が十分にあるそれは、ただ眺めているだけでもうっとりとするものだった。 「きょうもいっぱいゆっくりしようね!!!」 子供達といっしょに巣の外に出る 今日も日課のお散歩だ。 「ゆっ♪ ゆっ♪」 「あんまりはなれないでね」 「いいてんきだね」 「ゆっくりできるね!」 仲良く固まって移動する。 木々の間を抜け、途中の沢で水を飲み、家族で蝶を追いかける。 気が付けば、人里まで足を伸ばしていた。 「ずいぶんとおくまできたね」 「きょうはゆっくりさんぽしようね!」 「ゆゆっ! あそこなんだろう?」 「すごい! 人が一杯居るよ!!!」 「みんなゆっくりしてるのかな?」 興味をそそられて、その場へ向かうゆっくり一家。 「! すごいおと!」 「すごい、絵が動いてるよ!!」 中はとても賑やかだった、人々は各々ゲームに熱中しており、迷い込んできたゆっくり達を気に止める者はいない。 「あっちに、もっとひとがいっぱいいるよ! 一匹のゆっくりが見つめる方向、そこには大きな箱の周りを沢山の人が埋め尽くしていた。 「なんだろう」 「なんだろう」 甘いものに吸い寄せられる蟻のように向かっていくゆっくり達。 箱の周りまで来たのだが、それ以上は人ごみのため近づくことが出来なかった。 ガラスで出来ているのだろうか? 透明な大きな壁をした大きな箱だった。 「はこのなか、みたいねー」 「ねー」 「お譲ちゃん達、どうしたのかな?」 声をかけたのは、ゲームセンターの店員だった。 何処でどう間違ったのか、このゲームセンターの店員は皆、タキシードを着ていた。 「おにいさんだれ? れいむたち、あのはこのなかみたいの」 お母さん霊夢が男に尋ねる、子供達霊夢も後に続く。 「みたいの」 「おにーさんだれ?」 「お兄さんは、ここの店員だよ。あの箱にはゆっくり達が入ってるんだよ」 ニッコリ、と微笑みながらゆっくり達に説明する。 おそらくマニュアルでもあるのだろうが、ゆっくりには随分と優しそうに映ったようだ。 「あのなかにゆっくりがいるの?」 「ゆっくりできるの?」 「うん、人はみんな、ゆっくり達と遊んでるんだよ」 「! おじさん、れいむたちもあそびたい! ゆっくりしたいよ!」 「ゆっくりさせてよ!」 お母さん霊夢とお姉さん霊夢が訴える、次第に赤ちゃん霊夢にまでそれは伝染する。 「いいよいいよ。けど、今はゆっくり魔理沙の家族が入ってるから後にしたほうがいいね。 最初に見つけたとき、ここは魔理沙達のお家だよって他のゆっくり魔理沙に乱暴していたから」 こっちで待ってるといいよ、そう言って店員は裏方に霊夢達を案内する。 沢山の景品が並んだ倉庫、中でも大きなダンボールが沢山並んでいた箇所にゆっくり達は連れて行かれた。 「もう直ぐ終わるから、ちょっと待っててね」 「「「うん! ゆっくりまってるよ!!!」」」 何処で教育されたのか、ホスト張りの笑顔を残して去っていく店員。 「やさしそうなひとだね!」 「かっこいいね」 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛、ゆ゛っく゛り゛ー」 「おかあさんどうしたの?」 「だいじょうぶ? ふるえてるよ!」 「うううううっ! すっきりー!!」 次に店員が戻ってきた時は、それから一時間ほど後だった。 「やあ、お待たせ。じゃあこれから案内するね」 その前にこれに入ってね。 そういわれて、一匹ずつ箱に入れられる。 底以外が、一部透明になった変わったデザインの箱だ。 「ゆ! なにこれ!」 「ちょっとせまいよ」 「ゆっくりだしてね!」 体の大きさごとに箱のサイズが多々あるが、総じてどれもゆっくりの体ギリギリに作られていた。 その所為で、箱に入れられると、文句を言い出すゆっくり達。 暫く文句を言っていたが、互いに箱詰めされた姿を見ると一転する。 「みんなかっこいいね!」 「すごいね!」 箱は全体の八割ほどが、星型、ハート型、四角丸、など様々な形にカットされている。 その周りは原色が惜しみなく使われた、とても華やかな箱。 「かっこいいだろ! そのままみんなに見せるんだよ!」 店員が話しながら、箱にお菓子を入れて蓋を閉じる。 初め不満を言っていたゆっくり達は、その頃にはもうご機嫌だ。 はやくつれていってね、の大コールまで起こっている。 「それじゃあ、運んでいって」 店員の指示で運び出されるゆっくり達、程なくして目的の大きな箱の前に到着する。 バッと道を開ける人々、ゆっくり達はなんだか偉くなった様な優越感に浸っていた。 「みんな、ゆっくりしていってね!!!」 ニコニコと人々に話しかける、対して人々もゆっくり達を見てニコニコしている。 箱の中に全員が入れられる。 数が多いので、一部は二段重ねになってしまっているが、箱の大部分が透明なおかげで、下のゆっくりも辺りを見渡すことができた。 「うっわー!」 「すごーい!」 そこから見る景色は、今まで見てきたものと大きく違っていた。 自分達が見ることの出来ない高さからの眺め、それを見ているゆっくり達。 全員、その光景に息を飲んでいた。 「ゆ?」 一人の男が、周囲の人ごみの中から自分たちに近づいてきた。 「おじさんもゆっくりするの?」 「「「ゆっくりしていってね」」」 十数匹の笑顔を一斉に浴びる男、対する男の表情は真剣そのものだ。 おかねを入れレバーを動かす、連動して動くクレーン部分。 ゆっくり達も、それに気が付いたようだ。 「ゆっ♪ すごい、すごい」 「おじさん、こっちにもうごかしてね♪」 突然、縦横無尽に動いていたそれが止まる。 気になったゆっくり達が再度男を見ると、違うボタンを押していた。 それによって、今度は下に下がってくる。 「ゆゆっ! よくみえるよ! おじさんありがとう♪」 「いいなーいいなー。おじさん!つぎはれいむにもよくみせてね♪」 「よくみえるよ! っゆ?」 パコン、と音がしてキャッチャー部分と箱がぶつかった。 「おじさん! ゆっごいよくみえるよ!!」 箱の横に迫ってくる二本のアームに気付かずに、興奮しているゆっくり霊夢。 「!?」 気付いた時には箱ごと宙に浮いていた。 「ゆ! すごい! ういてる」 「すごーい!」 「れいむもしてほしいよ!」 感激する一同を尻目に、クレーンは箱を落とすことなく始発地点まで戻っていく。 「わぁい! おそらをとんでるみたい♪」 無事、始発地点まで戻ってきた。 上手くいった様だ。 「ゆ!」 一瞬の間の後、底に空いた穴に落とされる。 緩やかなカーブを描き、二・三度の衝撃の後に静止した箱。 「ゆ? ゆ?」 突然、何もない場所に移ったゆっくり霊夢は、辺りを伺っていたが、直ぐに箱を持ち上げられる。 目の前には先ほどまで機械を操作していた男の姿。 「おじさん? ゆっくりしようね! いっしょにあそぼうね」 「……」 だが、男はそのまま箱を持ってその場を後にしようとする。 「おっおじさん! おかあさんたちはあっちだよ! あっちでゆっくりしようね!」 そのまま、騒いでいるゆっくり霊夢に耳を貸さずに出て行ってしまった。 ゆっくり達が居る台からも、その様子はよく見えた。 「今のはなかなか生きが良さそうだったなぁ」 「あぁ、上手そうだった」 周りの人の声。 そこまで聞いて、ようやくゆっくり達も理解したようだ。 微笑ましかった内部から、聞こえ始める叫び声。 「もどっできでよー!」 「ゆっぐりじでいっでよー!」 「だして! だしてよ!!」 「おうじがえるー!!」 既に他の人がクレーンを操作しているが、パニックになっているゆっくり達は一匹たりとも気付いていない。 そうこうしている内に、また一つの箱が宙に浮いた。 「ゆ゛っ! やだ! はなして! はなしでよ!」 その必死の懇願が効いたのか、途中で落下する箱。 「ゆっ! ゆっくりできるよ゛!」 「よがっだね! よがっだね!」 「ゆっくりしてね」 家族に安堵感が伝わった。 その直後。 「!? ……ゆっぐりじだけっががごれだよ!!!」 再び動き始めたクレーン、再度アームに捕らえられた箱。 「ゆ゙ーーー!!!」 今度は無事、落とさずに運ばれた。 景品物から取り出されたゆっくり霊夢。 狭い箱の中で無理矢理体の向きを変え、頬を押し付けられながら家族の方へ向き直る。 「もっど、みんなどゆっぐりじだかっだよ!」 そう言いながら段々と離れていく、家族の叫び声ももう聞こえなくない。 その後、七人がやって四人がゆっくりを取っていった。 スプリング自体は割と強力なので、箱にギュウギュウに詰まったゆっくり達が暴れても落ちることはない。 一方、既に六匹も取られていったゆっくり家族は大混乱だ。 絶叫をあげて泣き出す子供達。 だれかれかまわず助けてと懇願するお母さんゆっくり。 無理矢理にでも、箱から出ようとするモノもいた。 「ん! んしょ! あかない! どこもあがないよ゛ー!」 箱を閉める時に、プラスチックを溶かし完全に密封された箱。 空気穴はあいてはいたが、針の穴ほどの大きさでは食いちぎることも出来ない。 ケースの中は、阿鼻叫喚と化していた。 そんな中、とうとうお母さんゆっくりの箱が浮き出した。 「ゆゆゆっ!」 「「おがーざーん。う゛わ゛ーーーーん゛゛!!!」」 機械を操っているのは、長い髪の小柄な少女。 綺麗な青い髪が印象的な少女は、いとも簡単に大きなお母さんゆっくりの箱を取ってしまう。 おおー、言う周囲の人の声も気にせず、箱を抱え軽く会釈をして帰っていく少女。 残された子ゆっくり達に、一瞥の暗い冷たい視線を残して。 母親が居なくなってしまったゆっくり達。 支えが居なくなった家族は、ただ泣き叫ぶだけだ。 一匹、また一匹と取られる度に大きくなる声。 取られた方も、残った方も大声で叫びあう。 最後の一匹が取られるまで延々とその光景が繰り返された。 増えすぎ、畑・室内に勝手に出没して荒らしていく物体。 その物体、ゆっくりを使った、人気ゲームの一つ、『ゆっくりきゃっちゃー』。 今日も幻想郷のゲームセンターは賑やかだ。 ~In the Forest Again~ その頃。 「うっめぇ! これめっちゃうめぇ!」 あのゆっくり霊夢家族の巣の中で、蓄えていた柿を食べているゆっくり魔理沙一家。 「うめぇ! おかあさん、ここまりさたちのおうちにしよう」 「まえのおうちよりおおきいし」 「かきもいっぱいあるよ!!!」 「だれもいないのがいけないんだよ!!!」 「「「ねー!」」」 どうやら引越し先が決まったらしい。 「あれ、報告じゃ霊夢種だったんだが……。まぁいいか。おい!」 「「はーい!」」 引越し先はガラス張りの綺麗な箱になりそうだ。 To be next 選択肢 投票 しあわせー! (9) それなりー (1) つぎにきたいするよ! (0) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「あ”ー、暑い」 買い物行くなら夕方に行けばよかった。 真夏の昼間は日差しが強く、しかもまとわりつくような暑さだ。 (家に帰ってアイスでも食べよう) そんなことを考えながら家路に就く。 我が家はアパートの二階の一室なのだが、アパートの階段を上ろうとしたときに ゆっくり霊夢が階段の脇、影になっている所にいるのを見つけた。 ゆっくりは俺と目が合うと 「ゆっくりしていってね!」と小さく叫んだ。 この暑さのせいだろう。あまり元気がない。 「やあ、そんなところで何をしてるの?」 声をかける。 ゆっくりは話しかけられたことが嬉しかったのか、目を輝かせて答える。 「お日さまがあつくてゆっくりできないからここにいるんだよ!!」 さらにゆっくりは言葉を続ける。 「ここはれいむひとりでいっぱいだよ!!」 や、別に取ろうとしてないし。 まぁそんなことはどうでもいい。このゆっくりは家に持ち帰ろう。 自分でも変な感性かも思うが、ゆっくりって可愛いよな。 ぜひともペットに欲しかった。そして・・・いや語るまい。 ともかくだ。 ゆっくりを持ち帰るのは簡単だ。甘い言葉で釣ればいい。 「そんなところより涼しくてゆっくり出来る場所があるよ。俺の家だ。来る?」 ゆっくりはその言葉にすぐ食いつく。 「ゆっくりしたいよ! おにいさんのおうちに連れて行って!!」 嬉しいこと言ってくれるじゃないの。 こうしてゆっくり霊夢は我が家へ来ることとなった。 「さぁ、ここがゆっくり霊夢の部屋だよ」 「わーい、おにいさんありがとう! ゆっくりするね!!」 俺は物置と化していた一室を掃除して、ゆっくり専用の部屋を作った。 余っていた段ボールを床に敷き詰め、壁も段ボールを張り付けた。 ゆっくりが壁を傷つけないためと、食事が汚いこと・・・早い話掃除がしやすいからな。 ゆっくりの部屋も出来たことだし一緒にアイスを食べることにした。 「ちべたい!! でもとってもおいしいよ!!」 「それはよかった」 しかし汚いな。口のまわりも床もアイスでべったべただ。ダンボールを敷いて正解だった。 アイスを食べた後はお風呂でゆっくりを洗ってあげた。 「すっきりー!」 見てるこっちもすっきりするいい笑顔だ。 夕飯も一緒に食べる。といっても段ボールの柵越しだけど。 「うっめ! これめっちゃうっめ!!」 はふはふと肉野菜炒めと食パンを食べるゆっくりの顔は完全に緩んでいる。 野生ではこんな料理は食べられなかったのだろう。 ずっとうっめうっめと言いながら食べていた。 食事が終ってしばらくゆっくりしてると、ゆっくり霊夢は眠そうにしていたので寝させてあげた。 「明日もゆっくりしようね・・zzZ」 「ああ、おやすみ」 ゆっくりが寝たことを確認すると、俺はゆっくりと準備を始めた。 ~翌朝~ 「ゆっくりしていってね!!」 ゆっくりの声で目が覚める。 まだ6時だってのに早起きだなこいつは。 ゆっくりの部屋の襖を開けるとこっちをゆっくり霊夢が 「おにいさんゆっくりしていってね!! お腹がゆっくりすいたよ!!」 と、挨拶をくれる。 「おはようゆっくり。今朝食を用意するな」 「ゆっくりまってるね!!」 この完全にこっちを信頼している感じがたまらない。 本当はもっとゆっくり懐かせてからにしたかったが、ゆっくり出来ない俺はゆっくりを可愛がることにした。 可愛がるといっても抱っこしてなでなでしたり、高い高いする方じゃないぞ。 俺は昨日用意したたくさんの氷を風呂場の桶に移す。 そしてそれをゆっくりの元へと持っていく。 「おにいさん! そのとうめいなのはなに? ゆっくりできる??」 「ああ、ゆっくり出来るとも」 「ゆっ! ゆっくりしたい!! はやくゆっくりさせてね!!」 ぴょんぴょんと飛び跳ねるゆっくり。その顔は期待に満ちていた。 ああ・・・なんてかわいさだ。そんな顔されたらもう我慢で き な い。 「ゆ”っ!?」 俺はゆっくりを掴むと、用意しておいた空のバケツにゆっくりを突っ込む。 「こわかったよ!! ゆっくりしてね!!」 「ああ、ごめんごめん。これからたっぷりとゆっくりさせてやるよ」 「じゃあゆるしてあげるね!!」 俺はゆっくりの言葉を最後まで聞かずに桶の氷をゆっくりの入っているバケツへ流し込む。 「ゆっゆっゆっ」 コツコツと氷がぶつかるたびに小さく声を上げる。 そしてすぐにゆっくりは氷に埋もれた。 「つめたくて気持ちいいよ!!」 まあ最初はそうだろうな。 しかし一分もしないうちに 「つっつめたいよ!! さむいよおにいさん!! ゆっくりだしてね!!」 ゆっくりは氷の海から抜け出そうとぴょんぴょん跳ねようとするが、それはできなかった。 バケツの入口は透明なビニールシートで閉じていたのだから。 「そこならゆっくり涼めるだろ?」 「ゆ”っくりでぎないよ!! づめだいよ”!!」 知ってるとも。 しばらくは「早く出して」だとか「なんでこんなことするの」だとか訴えかけてきたが どんどんその声は小さくなっていく。 そろそろ限界かなと思いつつ、俺は何か物足りなかった。 正直氷にゆっくりを埋めていても楽しくはなかった。 やはり表情が見れないのは間違いだな。 なのでバケツを逆さにしてゆっくりを解放する。 顔は蒼白で、声も「ゆっ」とか「ぅ」とか言葉は出せないほど弱っていた。 俺は風呂場からお湯を持ってくる。しかしすぐにはかけてあげない。 ただただゆっくりをゆっくりと観察していた。 数分経つと徐々に元気を取り戻していくゆっくり。 動けるようになったゆっくりはおびえた表情で俺を見ながら俺とは逆方向の壁へと後ずさりした。 「どうした? ゆっくりできなかったか?」 「できるわけないよ!! おにいさんとはゆっくりできないよ!!」 おお、こわいこわい。 「そうか、ごめん俺が悪かったよ。ほら、暖めてあげるからこっちにゆっくりおいで」 手でおいでおいでする。 ゆっくりは最初はどうするか迷っていたが、俺のことをまだ信じているのかゆっくりと近づいてきた。 「ゆっ、ゆっくりしようね!」 控え目にお決まりの挨拶をするゆっくり。 「ああ、ゆっくり暖めてやるよ」 ゆっくりをお湯に浸からせてあげる。ゆっくりにはちょうどいいぬるま湯だ。 「ゆっくり気持ちいいよ!!」 「だろう? さっきのはこのための準備だったんだよ」 適当なことを言ったが、単純なゆっくりはそれで納得したらしい。 「うたがってごめんねおにいさん!! れいむはしんじてたよ!!」 嘘つけ。 まあ機嫌がすぐ戻ってよかった。 この先もゆっくりと色んな遊びをするつもりだからな。 嫌なことはすぐに忘れるゆっくりの特性はありがたかった。 さて、今回の氷で凍えさせるのはいまいちだったな。次はどうしようか。 次は生かさず殺さずの状態でのゆっくりを観察するためにご飯抜くかな。 しかしそれはやりすぎかな。 それとも釣り竿でゆっくりフィッシングでもやろうかな。 「おそらをとんでるみたい」って言葉を生で聞いてみたいし。 まあ、焦ることはない。 まだまだ俺とゆっくりのワンダフルライフは始まったばかりなのだ。 終 選択肢 投票 しあわせー! (1) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (5) 名前 コメント すべてのコメントを見る
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ある里の近くで、ゆっくり霊夢の一家が住んでいました。 一家は皆キチンとしており、人間の畑も荒らさずにゆっくりと暮らしていました。 「おかーさん、おそびにいええくるよ!!!」 「ゆっくりあそんできてね!! くらくなるまえにもどってきてね!!!」 「おねーしゃんいってらっちゃい!!!!」 「いってきます!! ゆっくりしてくるね!!!」 勢いよくお家から飛び出すゆっくり霊夢。 今日は魔理沙たちと遊ぶ約束を強いています。 こちらの魔理沙一家もキチンとしていて、他の魔理沙のように他人の家に上がりこむことはしません。 二人でくたくたになるまで遊んだ後、霊夢は暗くなる前に魔理沙とさよならして、お家に向かいました。 ……。 「ゆゆ!! おにーさん!! それなぁに?」 俺が近くの永遠亭から一本の竹を貰って帰る途中、一匹のゆっくり霊夢が飛び出してきた。 「これかい? これは七夕に使う竹だよ」 「ゆ? たなばた? それってゆっくりできるの?」 「あぁ、この笹に願い事を書いて吊るすと願いが叶うって言われてるんだ」 「ゆゆ!! おにーさん!! れいむもおねがいしたい!! れいむもおねがいしたい」 「ちょうどいいな、……よし一緒においで!!」 「ゆ♪」 ゆっくり霊夢と連れ立って家路を急ぐ、なんたって今日は七夕だからな。 「ほら、ここが俺の家だ」 「はいっていいの?」 「ああ。遠慮するなよ!」 「ゆ! ゆっくりおじゃまするね!!!」 まぁ、普通のゆっくりよりは礼儀正しいみたいだ。 「おじさんありがとうね!! れいむはゆっくりおねがいしたよ!!」 そうだった、こいつは何かお願いしたいことがあってここまで来たんだっけ。 「それじゃあ、今から飾りつけするから手伝ってくれるかい?」 「ゆゆ!! おてつだいするよ!! だかられいむもおねがいさせてね!!!」 「ああ。いいとも」 何て純粋なゆっくりなんだろうか。 これが並大抵のゆっくりだったら、早く飾り付けしてね!!、って叫ぶ所だと言うのに。 「それじゃあ、これを引っ掛けてくれるかな?」 渡したのは七夕飾り、器用に口にくわえ、俺に抱っこされて笹にかけていく。 「ゆゆ!! おにーさんかけおわったよ!!」 「よし、こっちもお願いね」 「うん♪」 暫く一人と一匹で仲良く飾り付けをしていった、一人でするより大分賑やかだ。 ……うん、なかなか良い出来だ。 「それじゃあ、短冊を書こうか」 「ゆ~? たんざくってなぁに?」 短冊が分からない霊夢に一枚の短冊を見せて説明する。 「これの事さ。ここにお願いを書いて竹に飾るんだよ。さて、文字は分からないだろうから代わりに書いてあげようか?」 筆を持ち直しゆっくりの方へ向き直る。 が、霊夢はなんだか不満そうだ。 「ゆゆ!!! おにーさん!! れいむもじぶんでかきたいよ!!」 「自分で書けるか?」 「うん!! おにーさんそれかしてちょーだい!!」 意気揚々と俺から筆を受け取ったゆっくり霊夢は口にくわえてブッ格好な丸を沢山書きだした。 「何だこの丸? まんじゅうか?」 「ちがうよーー!! れいむのかぞくだよ!! この大きいのがお母さんだよ!!」 別にどっちでも変わらん気がするが、見れば確かに目や口のようなものと髪の毛にリボンが書かれている。 「ふーん。で、これはどういうお願いなんだ?」 「ゆ? !! れーむとおかあさんと、おねーちゃんといもうとたちがずっとゆっくりできますようにっておねがいしたんだよ!!」 ほー家族ね。コイツラらしい。 「あっ! そうだ!! おにーさん!! たんざくもういちまいもらっていい?」 遠慮がちに聞いてくる、別にこんなもん何枚でもくれてやるが。 「良いけど、今度は何をお願いするんだ?」 「おともだちのまりさのかぞくもゆっくりできますようにってだよ!!」 くーー!! 泣かせるじゃねーか! 「家族や友達思いの良いゆっくりだな!! よし、後でおにーさんが食べ物を持って言ってやろう。両方のお家の場所は分かるか?」 「うん、ここから…………」 ほうほう、結構近くだな。 「よし! 分かった。それと、きちんとお願いが叶うようにおにーさんが文字でそのお願いを書いてやるよ」 「ゆゆ!! おにーさんありがとーー!! これでれいむたちはゆっくりできるね!!」 「そうだな、良い子にしてたらきっと叶うぞ」 「ゆゆ!! れーみたちもまりさたちもかってににんげんのおうちにははいらないよ!! はたけのおやさいだって、かってにたべないよ!!!」 どうやら、自分たちがそういう事をしてると思われたと思ったんだろうな。 それにしても、なかなか真面目なゆっくりだな。 「分かってるよ! ……っと、よしかけた。それじゃあ、飾りにいこうか」 「ゆゆ!!」 無邪気に笑う霊夢を抱えて再び庭へ。 霊夢に自分の短冊を下げさせた後、俺も自分の短冊を上の方へ下げた。 「ゆゆ!! おにーさんはどんなおねがいしたの?」 下げる前に、霊夢がそんな事を聞いてきたので短冊を見せてやったら喜んでた。 文字は読めないのにな。 「これでよし。全部終わりだ」 「ゆ! おじさんのおねがいもれーむのおねがいもちゃんとかなうといいね!!」 「そうだな。お前はこれからどうする? なんなら夕飯でも食っていくか?」 「んーん。おかーさんがしんぱいするといけないから、おうちにかえってゆっくりするよ!!!」 そうか。 それじゃあ俺も夕飯の準備に取り掛かろう。 「ゆ!! おにーさんどうしたの!!」 ゆっくり霊夢を抱きかかえる。 既に帰ろうと背を向けていた霊夢は少し驚いたようだ。 「んー? これから夕飯にしようと思ってな」 「? れーむはおうちにかえるよ? おにーさんのごはんのじゃまはしないからゆっくりたべてね!!」 「そぉい!!」 「ゆぶっちゃら!!!!」 真横に図太い荒縄を通して竹へ吊るす。 「ゆゆ!!! れーむのおながにぃ!! おにーざん!! はやぐどってぇーー!!!!」 このために、わざわざ永遠亭まで言って綺麗なウサギさんと一緒に丁度良い竹を探し回ったんだ。 あぁ、今度は怪我をして行ってみようかな……。 「ゆ!! いだいよ!!! おにーさん!! ゆっくりおろしてね!!! ゆっくりおろじてねーー!!!」 痛みに苦しみながら、こっちを見つめる霊夢。 残念だけど、俺はこれから夕食の準備をしないといけないんだ。 「それじゃあ、そこでゆっくりしていってね!!!」 「ゆっぐりーーー!!!!!!」 さてと、ビールビール!! ……。 「うっう~♪ あうあう♪」 暫くビール片手に家の中で待っていると、漸くゆっくりれみりゃがやって来た。 「う~? ぷっでぃ~んどごぉ~? ぷっでぃ~ん!!!」 もちろん唯のれみりゃじゃない、紅魔館にすんでいる最高級れみりゃだ。 「ゆ!! おにーさん!!! れみりゃだよ!! ゆっくりできないよ!!!」 そんなに大きな声で呼ばなくたって分かってるよ、コイツをおびき出すためにお前を吊るしてたんだから。 「うっう~た~べちゃうぞ~♪」 「ゆ!! ゆーーっぐりたすげでね!!! れーむはおいしくないよ!!!」 馬鹿かお前? 大馬鹿な紅魔館れみりゃにそんなこと分かるはずないだろ? 「う~♪ がぶっ♪ !!!……うー!! ぷっでぃ~んじゃないー!!!」 やっぱコイツ馬鹿だ。 「うーーー!! ぽいっ、するのぽい!!!」 勢いに任せて、霊夢をズタズタに千切っていくれみりゃ。 そろそろ頃合か? 「おい肉まん! こっちにぷっでぃ~んがあるぞ!!」 「う!! ぷっでぃ~んだべどぅ~♪」 「そうか、食べるか。ぷっでぃーんはこっちだよ!!」 「うーー!! ぷっでぃーんじゃないの!! ぷっでぃ~んなの!!」 テコテコと座敷に上がってくるれみりゃ。 ニコニコしながら俺の前に近づいて両手を差し出してきた。 「う~♪ はやぐぷっでぃ~んくれないと、さぐやにいいつげるどぉ~♪」 はいはい、ぷっでぃ~んね。 「こぁ!!」 「うー? !!! いだい!! いだいどぉーーーーー!!!!!」 そりゃ、柱に磔にされたら痛いわな。 「うーーー!!! ざぁぐやーー!!! ぷっでぃーんはどごーー!!!!」 ……、おい! 「ぷっでぃーんじゃなくて、ぷっでぃ~んだろ?」 まずは、この羽からいってみよう。 「!!! いだいどぉーー!!!! う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーー!!!!!!」 うん、これはビールに合うな! 「そればれみりゃのーー!!! れみりゃはだべものじゃないどぉーーー!!!!!」 そういえば黒ビールも有ったな、今度はそれで食べてみるか。 「うあーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」 ……。 ふー、食った食った。 そういえば、あの霊夢はまだ生きてるのかな? 「おーい霊夢! 生きてるか?」 「ゆー。 !! おにーさん!! れいむはゆっくりできるよ!! れみりゃをおいはらってくれてありがとうね!!!」 おお! 生きてた、すげーな!! 「でもこの縄を早く外してね!! そうしたら、こんなことしたのをゆるしてあげるよ!!!」 へいへい。 「ほら、外してやるよ。別に悪気があった訳じゃないんだ。ただ自分を吊るすと願いが叶い易くなるんだよ」 霊夢の縄を抜いて地面に降ろしてやる。 縄の抜けた体を満足そうに見た後、目を輝かせて俺に尋ねてきた。 「ゆゆ!! ほんとう!! だったられーむたちのかぞくとまりさのかぞくは、ぜったいにゆっくりできるね!!!」 「U☆SO☆DA☆YO☆ そぉい!!!」 「ふんじゃられったりーーー!!!!!!」 死なない程度に踏みつけて籠に入れておく、明日の朝には元気になってるだろう。 「じゃあな。明日は家族仲良く加工場に行こうな。願い通り、死ぬまでゆっくりできるぞ!!」 「!! かごうじょーーはやだーーー!! ゆっぐりできないよーーー!!!!」 ……。 「れいむ、きのかえってこなかったね」 「きっとまりさといっしょにゆっくりしてたんだよ!!」 「やぁ、君達が霊夢の家族かな?」 「!! おじさん!! れーむをしってるの?」 「れーむはどこにいるの!!」 「うん、霊夢は君の家族と魔理沙の家族がゆっくりできるようにってお祈りしてたんだよ。俺は、それに感動して君らもゆっくりさせてあげようと思ってね。魔理沙の家族は、今一緒にいるから君達もおにーさんのお家へおいでよ!!」 「れーむもおにーさんのおうちにおじゃましようよ!!!」 「!! うん、みんなでゆっくりできるね!! おにーさん!! どうもありがとーー!!」 「いいよいいよ! 俺も願いが叶って嬉しいから……」 翌日、親子共々籠に入れて、願いどおり加工場でゆっくりしてもらうことにした。 専用の安全な檻に入れられた両方の一家が、嬉しそうに涙を流して喜んでいたのが印象的だった。 俺の願い? 高級なゆっくりれみりゃを食べたい事と、纏まった金が欲しい事さ。 ……。 昨夜、紅魔館。 「れみりゃさまーー!! 食後のプディングをお持ちしましたよ!! ……またお出かけかしら?」 「あ、咲夜さん。れみりゃさんなら、さっきお散歩に行きましたよ♪」 「そう。 ……このプリン食べる?」 「良いんですか? 頂きます♪」 「涎垂らしながら見つめてたでしょ。それより、貴方も短冊に何か書いたの?」 「おいしーです♪ ……あっ、はい! 嫌いな食べ物を見なくて済みますようにって書きました♪」
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僕はゆっくりを二匹飼っている。ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙だ。 意味もなくいじめたり、愛でたりしている。 そんな僕に二匹はとても懐いていて、殴る蹴るなどの暴行を加えても、バカみたいな薄ら笑いをやめないで 「ゆっくりしていってね!」 などと言う。 二匹は数ある家具の中でも姿見にもっとも興味を示していた。 最初など、おきまりの文句を言って、頭突きをかまして泣いたくらいだ。 「かがみ?」 「かがみってなぁに?」 そういう二匹の後ろに屈んで、鏡のほうを向けさせる。 「あっ、おにーさん!」 「ちがうよれーむ。おにーさんのそっくりさんだよ!」 「そっか」 「そっくりさんもゆっくりしていってね!」 微笑ましくそう言う二匹の頭をぐりぐりとなでる。 「鏡っていうのは、自分の姿を反対に映すんだ」 「はんたいー?」 「うつす?」 「そう。だから、こっちのリボンをつけた醜い下膨れがれーむ」 「ゆっ!?」 「んで、こっちの帽子をかぶったつぶれあんぱんがまりさ」 「ゆ゛!」 二匹は異を唱えるように暴れた。 「れーむ、しもぶくれじゃないもん!」 「まりさだってあんぱんじゃなくてまんじゅーだもん!!」 え、そっち? 「で、右と左が逆になるの。やってみ」 「ゆ~~?」 「ゆゆっ!ぎゃくだ!はんたいだ!!」 僕の言葉に右頬を伸ばすと、鏡の中の二匹は左頬を伸ばす。 実際は左右だけが逆になってるわけではないらしいが、説明しても時間の無駄だから、一番わかりやすく言ってやった。 「ゆっゆっ!おもしろーい!かがみおもしろいおもしろい!!」 「ふしぎ!」 ぴょんぴょん跳ねて鏡がすっかりお気に入りになった二匹。 しばらくは毎日鏡の前でなにかしらの遊びをしていた。 そんなことを思い浮かべながら、二匹のほうに目をやる。 二匹は煮込まれている真っ最中だった。 囲炉裏にかけられた鍋の中で、ぐつぐつと音を立てる熱湯と一緒にあっぷあっぷともがいている。 「あづいよぉおぉおぉ!」 「ゆっぐりでぎないのぉおお!」 無言でそれをかき回す。 「うぶぶぶぶぶぶ」 「ゆぅううぅぅぅう」 二匹の顔はうつろになっていき、皮はぶよぶよだ。それを見てにんまりと笑う。 ほどなくして二匹は意識を失った。この程度では死なないと経験でわかっているから、あわてずに二匹を引き上げる。 熱くなっているそれを、氷水にひたして冷ましつつ、ゆっくり霊夢の顔を左右に引っ張る。 なんとなく、ゆで卵の殻をむくときに近いものを感じる。 音を立てずに背中側の皮がぴりりと裂けた。髪の毛で見えにくいが、餡子までは露出していない。 成功だ。 そのまま手を刺しこんでいき、ゆっくりと皮をはがしていく。 気絶していても痛みを感じるのか、ときおりびくりと痙攣し、激しくあぶくが浮かんでくる。 そんな反応を無視して、撫でるようにはがれた部分を広げていく。 苦労するのは目の部分をはがす時だ。下手をすると千切れてしまう。この部分が上手くいかずに今まで何匹無駄にしたことか。 しかし今回は上手くいった。思わずほくそ笑む。 じんわりと熱を持った中身を、炉辺に敷いてある「お化け笹」の大きな葉に乗せておく。朝には乾いているだろう。 同じ手順でゆっくり魔理沙の皮もはがした。 翌朝。 「ゆっぐぅぅううぅぅ……っ!?」 「ゆああああああっ!!!」 無様な泣き声で目を覚ました。声のほうに目をやるとそこには白い物体がふたつ。 饅頭の薄皮をはがしたことがあるだろうか? あのもそもそとした表面をさらしたゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙だ。 ものすごく身悶えしている。 無理もない。人間でいえば、皮膚を綺麗にはがされて、筋肉をむき出しにしている状態なのだ。痛いに決まっている。 「おにぃぃぃいいざぁあぁぁん!!いだいよぅいだいよぅ!!」 「だずげでぇ!おがぢい!ゆっぐりでぎない!」 「よーしよーし、だいじょーぶだ。すぐに良くなる。だから動かないでゆっくりしてろ。動くから痛いんだ」 嗚咽をあげながらがんばってゆっくりしはじめる二匹。 しゃくりあげながらも多少は落ち着いたのか、目の前にあるものに興味を示した。 長い板状のものに、暗幕をかけたものがおいてあった。 「おっ、にぃざん。これゎなにぃい?」 「ゆっゆっぐり」 「ああ、これか。鏡だよ」 「か、かがみ!」 「かがみッかがみ!!」 とたんに喜色ばむ二匹。 「見たい?」 「みたいみたい!」 「ゆっくりみしてね!」 「よし!」 思い切りよく暗幕を取り払った。 とたんに悲鳴が響き渡る。 「ゆ゛う゛ぅう゛っゆゆ゛ぅ゛う゛ううっ!?」 「なにごれぇどおいうごどおおおお!?」 二匹の目に映るのは、無残に皮をはがされた自身の姿。おもいきり涙を流しながら絶叫する。 「うあ゛っうあ゛っうお゛うっうお゛うっうぽうっ」 「う゛ひゅーいひゅーう゛びゅーいひゅー」 体中に走る痛みと目の前の現実。二匹はお互いの体を見合わせ、絶望に身を震わせ、再び鏡を見る。 そこには先ほどとなんら変わらぬ二匹の姿が。 「かっかわがーーーー!かわがーーーーーっ!!」 「おにーーーざーーーーんっ!!かわがなぐなっでるよぉーーーぅ!!」 「ほんとだ、どこに行っちゃったんだろうねぇ?不思議!」 「うあ゛ーーーどこ~~!れーむのだいじなかわ゛ーー!」 「がえじでーーーまりざのがわをがえじでよ゛ぉーーーっ」 「病気かなんかじゃないか?皮が溶けたとか」 「っちがうよ゛ぅちがうよ゛ぅ!れーむびょーきなんがじゃな゛いやぃっ」 「ままままりざだっでちがんもんっ!けんこーゆーりょーぢ、だ、もんっ!!」 「だれかがとっでい゛ったん゛だよぉ~!」 「だでかのばがぁあぁあぁあっっ!」 二匹はぐりんぐりんと体をゆする。 そこで鏡をどける。 「ゆ゛っ!」 「ゆ゛ぅ!」 二匹の目の前には、しっかりと皮のついたゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙がいた。 「「ゆ゛っぐり゛ぢでい゛っでね!」」 本能にでも刻まれているのか、条件反射のように絶叫する。しかし皮のついたほうはなにも言わない。 「ゆぅううー?ゆっぐりぢでいでっでね!」 「ゆっぎりじよーね!」 無反応だ。痛みと衝撃で涙をだくだくと流しながら首をかしげる二匹。 「おにーーざん!へん゛だよ、ごの、この゛ふだりぃ!」 「あいあいあい゛さづじでぐでなぃいぃい」 こちらを見てさけぶ二匹。たしかに正面のゆっくりたちは何の反応もしていない。 その目はまるで穴が開いてるかのように光がない。顔も無表情だ。 「ひょっとしたら、おまえらのこと餌だと思ってるのかもな。ほら、今のおまえらこんなだし」 そのまま鏡を引き倒して、二匹を映してやる。 皮のない自分の姿をまた見せられた二匹は、これ以上ないほど口を広げて震えていた。 「ぶん゛ま゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!」 「ゆ゛に゛ばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」 「な?どうみても仲間になんて見えないって。お前らだって、こんなのがあったら食うだろ?」 鏡をよそにやって、また皮のあるゆっくりたちを見せる。 「いやっいやっいやっ、れ゛ーむをだべないでぇえええっ!」 「まりざはおいじぐないよぅ!おいじぐないよぅ!!」 皮のある二匹を手で押していく。悲鳴はまた大きくなった。 もはや「ぴぎゃああ」としか聞こえない。 パンッ と破裂音がすると、叫んでいた二匹は思わず黙ってしまった。 そこには無残にもつぶれた皮のある二匹の姿がある。 ものすごく震えながら、それを見る皮のない二匹のゆっくり。 「うん。じつはこれおまえらの皮なんだ」 手でもちあげて広げてみせる。後頭部の裂け目からは割れた風船がはみ出していた。 「ほれ、びよ~~ん」 「ああああれーむのがわーーーっ!!」 「なんでー!まりざのがわがあああああ!!」 さて、本番はこれからだ。 「返して欲しい?」 「がえじでーーれーむのがわがえじでー」 「まりざのがわだよーはやぐがえぢでねッ!」 「いいよ」 「うわぁい」 「おにーざんだいづぎー」 にっこりと笑ってそういってやると、喜びをあらわにする二匹。 「んじゃまずまりさから」 「ゆ゛っ!」 「んまぁあぁあぁあっ!どぢでまりざがら!?れーむをざぎにじでよー!」 「いや、意味はない」 「れーむはそごでゆっぐりみででね!」 「痛いかもしれないけど、我慢しろよー」 「ゆっ!ゆっぐりなおじでね!」 「ゆっぐぐぐぐぅ」 嗚咽をあげるゆっくり霊夢を尻目に、にかわを引き寄せ「ゆっくり霊夢」の皮の内側に塗りたくる。 「ゆっ?そではれーむのがわだよ!まりざのは、あっぢ!あっぢのがまりざのっ!」 「れーむをざぎにぢでぐれるのー?」 そのままゆっくり魔理沙の表面にもにかわをぬりたくる。 「ゆっゆっゆっゆっ!?」 「はやくっ!はやく、れーむにかえして!」 混乱しながらもくすぐったそうにするゆっくり魔理沙と、必死に訴えるゆっくり霊夢。 そのまま「ゆっくり霊夢」の皮をゆっくり魔理沙にかぶした。 「!」 「!?」 ぺたぺたとそのまま貼り付ける僕。 「うばああああああっ!ぞれはっ!ぞれはれーむの!れーむのがわーーーー」 「ゆぅ?ゆっ!?ゆゆゆゆゆっ!?まりざのっ!まりざのがわは!!!」 「れーむのがわなのにっ!れーむのなのにぃいい!まりざっ!まりざのばがーーーー!!」 「ゆっ!?れーむのかわ!?まりざのは!?まりざのかわはっ!?」 「まりさのはれーむに被せるんだよ、何言ってるんだ」 「ゆっびゅぅう~~~~ん!?」 「やだーーーーまりざのがわ、やだーーーーー!!!」 ゆっくり魔理沙に空気が入ってないことを確かめてから竹籠に安置する。 それはゆっくりの大きさぴったりに編んだ竹籠だ。蓋を閉めると、みつしりと過不足なく満たされている。 ゆっくり魔理沙が暴れても開かないように、蔓で硬く結ぶ。これで皮が癒着するまでは出られない。 「れーむのがわーー!れ~むのがわぁあぁ~~~!」 「まっまっまっまりざのかわはーーー~~~!?」 「だからまりさの皮はれーむにかぶせるんだって」 「う゛~あ゛う゛あ゛う~~あ゛う゛あう゛ぅ~???」 「やべでっやべでっ!ゆっぐりざぜでっ!れーむはれーむのかわでゆっぐりぢだいのぉっ!!」 「まーいーじゃん。まりさとは友達だろ」 「どもだちじゃないっ!ともだぢじゃないがら、れーむのかわでゆっぐりちでいっでね!」 「ッッ!?ひどいぃいぃぃぃいい!れーむひどぃよぅぅううう!おどもだぢ!はぢめでのおどもだちッ!!」 いやいやと体をねじりながら泣きじゃくる二匹。 見かねた僕はもそもそしたゆっくり霊夢の顔にでこぴんをする。 「ゆ゛っ!」 「駄目だよ、友達にそんなこと言っちゃ、めっ!」 「ゆ゛う゛ぅう゛う゛ぅう゛う゛!がわー!れーぶのかわがーー!」 同じ手順でゆっくり霊夢に「ゆっくり魔理沙」の皮をかぶせて竹籠に入れてやった。 二匹が竹籠から開放されたのは三日後の夜だった。 完全に癒着したようで、思い切り投げつけても微塵もずれなかった。 これではゆっくりの力では絶対にとれないだろう。 それから一週間ほど経った。 二匹はあいも変わらずゆっくりしている。 れーむ!と呼ぶとまりさが来て、まりさ!と呼ぶとれーむが来るというのは、とても面白かったがすでに飽きた。 しかし、また皮をひっぺがして着せ替えるのも面倒くさいので、そのままでいさせようと思う。 実際、さして問題があるわけでもなし。 ただ、今までと同じようにゆっくりしている二匹が、時折ぴりぴりとした空気を発している事がある。 きっと相手が着ている自分の皮を取り替えそうと思っているに違いない。 しかし皮をはがそうとすれば、相手を傷つけることになる。そしてそのときに傷が付くのはお互いに自分の皮なのだ。 だから実行できない。 ぴりぴりとした後で、すぐに無力感に打ちひしがれて悶える様は見てて楽しい。 ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙では力の差がなく、無傷で皮をはがすことなど夢のまた夢。 だから、この二匹は今まで以上に僕になついている。いや、媚を売っているのに近い。 意味のない行動だが、夢を見るのはこいつらの勝手だ。僕は絶対に直してやらない。 くつくつと笑う。 この入れ替えた二匹を同種の群れに入れたらどうなるだろう?こうもりの御伽噺のようになるかもしれない。 また、ゆっくりアリスやゆっくりパチュリーをけしかけたらどうなるだろう?とても楽しそうだ。 僕は座りながら上を向き、右手で顔の皮をはがすように持ち上げながらつぶやいた。 「フェイス……オフ……」 終わり。 発想の流れ。 永江衣玖 → サタデー・ナイト・フィーバー → ジョン・トラボルタ → フェイス/オフ 著:Hey!胡乱
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ある昼下がり 幻想郷の深い森の奥にある、木々の開けた小さな草原 その草原にゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙が二匹で寄り添っている ゆっくり霊夢の下腹部は大きく膨れあがっており、出産間近であることが伺える 「ゆ~♪ ゆ~♪」 ゆっくりと体を左右に揺らしながらゆっくり霊夢は歌を歌う 「ゆ~ゆ~♪」 「すごいおじょうず!れいむはおうたのてんさいだね!」 隣の魔理沙はその歌に大喜びである 「おうたがじょうずなれいむは、きっといいおかあさんになるね!」 魔理沙のほめ言葉に思わず照れながら微笑むゆっくり霊夢 なんとも仲睦まじいやりとりである そのまま夕暮れまでゆっくりすると、やがて二匹は巣へと戻っていった 「ゆ゙ぎぎ…!!」 その晩のこと、ゆっくり霊夢の陣痛がはじまった 「い、いたいよ…!ゆっくりできないよ…!!」 涙で顔を皺くちゃにして痛みを訴える霊夢 「ゆっ! れ、れいむ!ゆっくりしていってねっ!」 その声にゆっくり魔理沙はおろおろとする しかしゆっくり魔理沙には声をかけてあげることしかできない ゆっくり霊夢が陣痛を訴えてしばらくすると… プシッ 巣に小さな水音が響いた するとゆっくり霊夢の底部にある小さな穴、いわゆる産道からぬらぬらした透明な粘液が水溜り状に広がっていく 破水である 出産が開始されるのだ ゆっくり霊夢は体を後ろに傾けて壁にもたれかかると、荒い呼吸で出産を開始した 「ゆぎっ! ゆぎっ!」 顔を真っ赤にしながら必死にいきむゆっくり霊夢、その顔は汗で湿っており額中にびっしりと血管が浮き出ている その姿からは痛みの凄惨さが見て取れる 「いぎぎ…!ま、まりさぁ…!!」 「れいむ!がんばってね!げんきなあかちゃんをうんでね!」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の傍で懸命に声援をかけつづける しばらくするとゆっくり霊夢の産道周辺がヒクヒクと痙攣しはじめる その痙攣にあわせて、普段は目に見えないゆっくりの膣孔が見えるようになる 膣孔からは、ゆっくり霊夢の呼吸にあわせて粘液が漏れ出している ゆっくり霊夢の膣孔が菊紋を描くのを確認すると、ゆっくり魔理沙はその小さな穴を舐めはじめる 舌で刺激することによって、出産を促すのである 溢れる粘液を舐め取るように、中の粘液を吸いだすように、ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の底部に舌を這わす 「ひぃ゙~ッ!!ひぃ゙~ッ!!」 「がんばってね!がんばってね!」 痛みのあまり泣きながらいきむゆっくり霊夢 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の為に懸命に底部を舐め続けた やがてゆっくり霊夢の下腹部の膨らみは産道のほうに偏りはじめる 胎児が移動しているのだ それにつれ産道周辺がこんもりと膨らみはじめる 「んぃ゙ぎッ!!んぃ゙ぎッ!!」 髪を振り乱しながらさらに強くいきむゆっくり霊夢 するとぴったりと閉じていた産道がミチミチと音を立てて開いていく 「ん゙お゙お゙っ!!」 開いた産道の奥にはゆっくりの赤ちゃんの顔が見える 「れいむ!もうすこしだよぉぉ!!あかぢゃんもはやぐでてきでねぇぇっ!!」 応援しているゆっくり魔理沙の顔ももう涙でぐしゃぐしゃである 「あ゙がちゃッ…!!あ゙がちゃッ…!!」 満身創痍のゆっくり霊夢 ゆっくり霊夢は白目寸前の目つきで口を大きく開け、荒く呼吸しながらうわ言のように赤ちゃんの名を叫ぶ …と、すぐゆっくり霊夢の動きが止まった 凄まじい形相のまま固まったと思うと、プルプルと体を震わせはじめる すると ズポッ と赤ちゃんが飛び出してきた 地面にぶつかってコロコロと転がると、 「ゆっきゅりしていっちぇねぇ!」 力強い声でそう言った 「……れ゙」 「れ゙、れ゙いむ゙ゔゔ!あがぢゃんゔまれたよおおっ!!よぐがんばっだねええっ!!」 「ゆ゙っぐりじでいっでね゙ぇぇぇっ!!」 「びぇぇぇぇぇっ!!」 これ以上の無い歓喜である 二匹は号泣しながら新たな命の誕生を喜んだ 生まれたのはゆっくり霊夢の赤ちゃん まだ母親の体液で体がぬらぬらと光っているが、その姿はとても可愛らしく健康的である 好奇心旺盛に巣の周りをキョロキョロと見渡し、両親の姿を見つけると 「みゃみゃ、ぴゃぴゃ、ゆっくちちようね!」 と言って満面の笑みを浮かべてその場でピョンと飛び跳ねた ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は赤ちゃんに寄り添ってほお擦りをする 赤ちゃんはそれをくすぐったそうにしながらも受け入れた だいすきなお父さんとお母さん、おいしいご飯に静かな森での幸せな生活… その目はきらきらと輝き、将来の希望に満ち溢れていた ──バキバキッ 「ゆ?」 「なんのおと?」 その時突然巣の中に大きな音が響いた ゆっくり一家は喜びの抱擁を中断し、部屋の周りを見回す すると… ──バキッ! ひときわ大きな音を立てたと思うと入り口の扉を突き破って何かが巣の中に飛び込んできた 人間の腕である ゆっくりの巣を見つけた人間が、ゆっくりを捕獲しようと巣の中に手を伸ばしてきたのだ 「ゆ゙!?ゆ゙ゔゔ!!?」 「な゙に゙ごれ゙ぇえッ!!?」 巣の中に突きこまれた腕はゆっくりを求めて巣の中を激しく動く 勿論突然の侵入者に動揺したゆっくり一家は、それが何なのか理解することができない 「み゙ゃみ゙ゃぁああああっ!!」 生まれたての赤ちゃん霊夢は突然の衝撃とあまりの恐怖に泣き叫びながら盛大に失禁する 幸い穴が深かったため寸手のところで人間の手がゆっくり一家に届くことは無かった それでも一杯に差し込まれた腕はゆっくりを探してバタバタと激しく動く ゆっくり一家は壁際に固まって、その腕から必死に遠ざかる ゆっくり霊夢もゆっくり魔理沙も何が起こっているのか理解できない ただ、我等の巣が何かに強襲されているということだけは理解できた 「ごわ゙い゙よ゙お゙お゙お゙っ!!!」 「あ、あかちゃんはかくれてねっ!」 「れいむもあかちゃんもまりさがまもるよ!」 ゆっくり魔理沙は家族を庇う様に前に出て、辺りの餌やら石やらをその腕に吹きつけはじめた 「びゃああッ!!ごわいよお!!ごわいよおおっ!!」 ゆっくり赤ちゃんは恐怖した ひたすら恐怖し続けた まともな思考など働く余地が無いほど震え上がり叫んだ 危機から身を守らねば 隠れるところを探さねば そうして赤ちゃん霊夢は隠れる場所を求め 先ほどまで自分が居た母親霊夢の産道にもぐりこんだ 「ゆ゙ゆ゙っ!?あかちゃん!なにしてるのっ!?」 今まで自分がずっと居た場所、一番信頼できる安全な場所 赤ちゃん霊夢が選んだのは母親の胎内だった 「ゆぐぐ!くるしいよ…!」 出産の影響もあり、ゆっくり霊夢の膣孔の皮は伸びきっていた為そこにもぐりこむのは難しく無かった それから間も無く、ゆっくり魔理沙の善戦あってか腕の主は捕獲を諦めて巣から去っていった しかし問題はそれで済まなかった 恐怖のあまり、赤ちゃん霊夢はゆっくり霊夢の産道にもぐりこんで出てこないのである 苦しむ母霊夢などお構いなしに、赤ちゃん霊夢は恐怖でガチガチと歯を鳴らしながら奥へ、さらに奥へと進んでいく 「ん゙ぃ゙ぃ゙!ん゙ぃ゙ぃ゙!」 「あかちゃん!もうだいじょうぶだからはやくでてきてね!」 ギリギリと歯軋りをしながら苦しさと痛みに耐えるゆっくり霊夢 ゆっくり魔理沙も必死に呼びかける 再び体積が増えた苦しさに、必死にひり出そうとしても赤ちゃん霊夢は抵抗して出てこない 再び赤ちゃんを包んだ膣孔は再度ぴったりとその口を閉じてしまっており その穴からはただただぬらぬらと透明な粘液を垂らすばかりである 「赤ちゃんでてきてぇーっ!!」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の膣孔に口をつけて必死に吸い出そうとする 巣にはただただ淫猥に粘液の水溜りが広がっていくばかりであった 戻るゆっくり ~END~ 自分で書き込みした話をSSにしてみた 満足している。 このSSに感想を付ける
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ここは、ゆっくり達が住む森の更に奥。 そんな森の中に、ゆっくり一家が住んでいた。 そして、森の奥深くに住んでいたので、人間については話に聞くだけだった。 「ゆ~っくりしようね!!」 「ゆっくりおさんぽするよ!! しっかりついてきてね!!!」 日課のお散歩。 今日は天気が良いので、少し遠くまで出かけるようだ。 「ゆっくり!!」 「ゆっゆ!!」 「ゆ~~♪」 この一家は特に仲良し。 それは、この母親がはじめての子育てだからだ。 交尾相手のゆっくり魔理沙は交尾が終わると干からびて死んでしまった。 残された魔理沙の子供と自分の子供、合わせて十数匹を育てる母親霊夢。 根が純粋なので、一家もどこかのほほんと育った。 「ゆっゆ♪」 お母さん霊夢の周りを、未だ飾りが生えていない赤ちゃんゆっくり達が踊るように飛び跳ねる。 珍しく、誰も離れないので、何時もより長い距離を散歩できた。 「ゆゆ!!!」 そしてたどり着いた人里。 大きな家々はこの一家には高い洞窟のように見えるかもしれない。 その中の一軒、新しく建てたのであろうその家に一家は心を奪われた。 「ゆ~!! すっご~~い!!」 「かっこいいど~くつ~♪」 「おか~さんはいってみようよ!!!!」 「「「「ゆっゆゆゆ~♪」」」」 家に目を奪われながら、ゾロゾロと庭まで入ってゆく一家。 しかし、厳重に施錠がしてある家に、進入手段を見つけられない。 「ゆ~……。ゆゆ!! ここからなかがみえる!!!!!」 「すごい!! ここからはいれるよ!!!」 一枚のガラス越しに、中を見ていた一匹の赤ちゃん霊夢が叫んだ。 即座に、ガラスに向かって体当たりするお母さん霊夢。 「ゆゆ!! まくがあるよ!! !!! ゆーーーーーくり!!!!!」 思い切り助走をつけ、ガラスに当ってゆく。 その衝撃に、ガラスはゆっくりが通れる程の穴を作った。 「ゆ~♪ ひろいどーくつ~♪」 「すご~~い!!!」 入った先はリビングだった。 物珍しそうに辺りを伺うゆっくり一家は、この後探検を始めた。 ―― 男が家に帰ると、リビングの明かりが点いている事に気付いた。 消し忘れか、と思い急いで玄関を開けると、中からは楽しそうな話し声が聞こえてくるではないか。 その言葉の中には、ゆっくり、という単語も含まれていた。 全てを悟った男は、勢いよくリビングのドアを開け放つ。 「ゆ~っくりくり♪ ゆっゆゆ~♪」 一番初めに目に付いたのは、壊されたテレビの近くて歌を歌っていたゆっくり霊夢の赤ちゃん。 次は、買い置きしていた瓶の中身を床にばら撒き美味しそうにのんでいる赤ちゃん魔理沙。 壊れた窓、中の綿が飛び出しているソファー。 そこで追いかけっこをしている沢山の赤ちゃんゆっくり。 「ゆっくりしていってね!!!!!」 声の下方向へ向き直ると、そこにはソファーの中身を集めている一匹のゆっくり霊夢。 どうやらこれが親らしい。 男は確信した。 「ゆっくりしていってね!!!!」 言葉に反応を示さなかったのが気になったのか、お母さん霊夢は今一度男に呼びかける。 「おにーさんもここをみつけたの? れーむたちもここをみつけたんだよ!!! いまね、あかちゃんたちにゆっくりできるべっどをつくってあげてるの!!」 今まで、話でしか人間を知らなかったお母さん霊夢が、ピュアな瞳で話を続ける。 「おにーさんもこのどうくつでゆっくりする? ここにはゆっくりできるものがいっぱいあるよ!!!」 「ゆゆ~~♪」 「ゆっくり~~♪」 赤ちゃんゆっくり達も、男の近くに集まり出してきた。 そのどれもが、ピュアな瞳を男に向けて言葉を発している。 「ここは、俺の家だよ」 その視線に呆気に取られていた男だが、何とかそれだけを口に出した。 「ゆゆ!! そうなの!!!!」 心底ビックリしたようにお母さん霊夢は呟いた。 もしも、これで引いてくれるなら、まだ考えてやっても良かっただろう。 「だったらおにーさんもいっしょにゆっくりしよう!!!」 ニパー、っと、満面の笑みを浮かべて男に提案するゆっくり霊夢。 更に、彼女の話は続く。 「みんなでゆっくりするのはたのしいよ!!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」」 最後は、子供達も声を合わせての大合唱。 それが終わると、この話は終わったようで、子供達は男の周りでキャッキャと飛び回る。 「おかーしゃん、おなかへっちゃ~!!」 そんな中、一匹のゆっくり魔理沙が母親に食事を催促する。 「ゆゆ!! そうだね!!!」 催促された母親は、男の方を向き、先ほどの笑顔で言い放つ。 「おにーさん!! はやくごはんたべようね!!! れーむはあかちゃんたちのめんどうをみてるから、おにーさんはごはんをじゅんびしてね!!!!」 夫に話しかけるように、フレンドリーに男に食事の用意を言い放ったお母さん霊夢。 男が怒りで震えている事は、気が付かないようだ。 しかし、男はこの場は一旦引いた。 そして、リビングのドアから奥へと消えていった。 ―― 「おい。ごはんを持って来たぞ。お母さん霊夢、は何処だ?」 暫くしてリビングへ戻ってきた男。 その手には、確かに何か持っている。 「ゆゆ!!! いまいくよ!!! ゆっゆゆゆ~♪ ゆっくり~していってね~♪」 一塊の、音痴な合唱をしていた集団から声が上がる。 呼び出された母親だ。 元気よく男の下へ駆け寄っていく。 瞬間。 ズボ! 「ゆ!! ゆゆゆ!!!!!!」 霊夢の頭に何かが刺さった。 「ゆーーー!!! いだいよーーーー!!!! ゆぐりさせでーーー!!!!!」 それは、筒の先に注ぎ口が付いた様なもの。 こちらの世界で例えるなら、ボトル容器のポンプ部分。 男はそれをお母さん霊夢の頭に突き刺したのだ。 「ゆーーーー!!!!! おうじがえらせでーーー!!!!」 「おかーーさーーーん!!!!」 「ゆっくりさせてあげてーーーー!!!!!」 やがて、お母さん霊夢の周りに子供達が駆け寄ってくる。 全員がそろった事を確認すると、男は数回ポンプを押した。 ベチョ! ベチョ! 母親の目の前に集まっていた赤ちゃんゆっくりの前に、餡子が次々に落ちてゆく。 「いだいよ!!! ゆっくりさせでーー!! おうじかえるーー!!!!」 「ゆっくりさせてあげてね!!!」 「ゆっくりさせてあげてね!!!」 半透明なチューブ部分、そこを黒い物体が移動するのを見て、何かが母親の体から抜けている事は分かるのだろう。 赤ちゃんゆっくり達は、必死に声をあげてゆっくりさせてあげて、と男に良い続ける。 「ほら、ごはんだよ。ゆっくりたべていってね!!」 「ゆーーーー!!!」 既に大粒の涙をこぼしている母親の前で、赤ちゃんゆっくり達を急かす。 赤ちゃん達も、それが母親の所から出た事はなんとなく理解しているが、何となくなので意識では理解していない。 「ゆ? ゆゆ?」 一匹の赤ちゃん霊夢が、ソロソロと餡子の山に近づいていく。 パク! 一口食べる。 「!!!!! おいちい!! あまくておいちい!!!!」 直ぐに、驚いた顔を浮かべ更に一口・二口と食べ進めてゆく。 「ゆゆ!! ほんとうだ!!!!」 「れーみゅもたべるーー!!!」 「まりしゃもーーー!!!!」 次々と、餡子の山に赤ちゃん達が群がってゆく。 「ゆっゆゆゆ~♪」 「ゆゆゆ~♪」 「ゆ~~~~~!!!! ゆ~~~~~~!!!!!」 その様子を見て、更に涙を流すお母さん霊夢。 それは自分から出たもの、それを美味しそうに食べる赤ちゃん達。 どうして良いのか分からずに泣いているのだ。 「おい!!! 自分の母親の餡子を食べるとは何て奴だ!!!」 「ゆぶ!!!」 ここに来て、漸く男がお母さん霊夢の心労を軽減させた。 餡子を食べるのはお仕置き、という手段で。 真上から殴られたゆっくり霊夢は、一番最初に駆け寄ってきたゆっくりだった。 今は、体から大量の餡子を流しながら、必死に他の赤ちゃんの元へ近づいてゆく。 「ゆ! ゆっぐり……しようね!……」 餡子の後を残し、その赤ちゃんは、他の赤ちゃんの目の前で命を落とした。 「ほら、お前もだ!」 「ゆぐひゃ!!!」 その近くに居た赤ちゃん魔理沙へも鉄槌を下す。 今度は、力が入りすぎたのか一瞬で絶命した。 「まだまだ終わってないぞ!!」 「ゆっくりしゃせてね!!」 「にげよーーね!!」 「おうちかえるね!!!」 「ゆ……!! ぐえ!!!」 騒然と逃げ惑う中の一匹に的を絞り、後ろからBBQ用の串を放つ。 見事、後ろから口に向かって貫通したそれを、カセットコンロにかけ焼き饅頭に仕上げていく。 「あじゅいよーー!!! たずけでーーーー!!!!」 「れーみゅをはなしてね!!!」 断末魔の叫びを上げながら焼かれている赤ちゃん霊夢の元へ、一匹の赤ちゃん魔理沙が駆け寄ってきた。 「あずいーー!! おかわにはいろーー!! おがーーさーーーん!!!」 無謀にも、男に攻撃しようとしているのだ。 「れー!! むびゃら!!!!」 スリッパで簡単に潰されてしまった魔理沙。 時を同じくして、喋らなくなった焼き饅頭も完成した。 「!! むひゃ!!!」 「あぎゃああ!!!!」 「こっこぁ!!!!」 「うぎゃーーーーー!!!!」 焼き饅頭片手に、男は次々とゆっくりを駆逐していく。 「やめてあげてね!!! あかちゃんがゆっくりできないよ!!!!」 「やめてあげてね!! れーむたちはもとのどーくつにかえるから、こどもたちをおこしてね!!!」 痛みは引いたが、頭にポンプを差し込まれ目の前の光景を見せられているお母さん霊夢は、ただただ男に語りかけるしかない。 「やめ!! ゆゆゆ!!!」 それも、終わりを迎えた。 全ての赤ちゃんゆっくりを処分した男は、煩いお母さん霊夢のポンプを更に数回押したのだ。 あれほど煩かったお母さんゆっくりは黙り、代わりに大量の涙を流す。 「それじゃあ行こうか?」 「ゆーー……。どごへ?」 男に抱きかかえられながら、何とかそれだけ言葉をひねり出す。 「加工場だよ。これが製品化されれば、一攫千金だからね!」 「いいいやだーーー!!! おうじ!! おうじにかえらせでーーーーー!!!!!!」 加工場の事を知っているのか、はたまた自分の運命を感じ取ったのか。 闇夜に浮かぶ加工場の看板を見ながら、男はそんな事を考えていた。 このSSに感想を付ける
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東方地霊殿の新キャラが登場します。 未プレイでネタバレがいやな人はゆっくりもどっていってね! ここは、広大なゆっくり平原。 あらゆるゆっくりが思い思いにゆっくりできる平原。 他にも虫や鳥、さらにリスなどの小さな哺乳類や蛇などの爬虫類も暮らしているとはいえ、ここ以上にゆっくりできる場所はこの世には無い。 今日はとあるゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙の話をしよう。 その二匹がいる場所は、池に並んでゆっくり名所とされている林だ。 かなりの年数を生きた木々が鬱蒼と茂っているので、適度に湿気ており、苔むした土は餌にもなる。 背の高い木が持つ多くの葉に選りすぐられて大地に降り注ぐ陽光はとても幻想的だ。 さらには死んだ木があれば、その洞に巣を作ることも出来る。 木の実もとれるので、餌に困ることは一年を通してほとんどない。 そんな場所で、二匹は今日も健やかに遊んでいた。 「あ、うさぎさんだ!」 「ほんとうだ!」 ゆっくり魔理沙の視線の先には一匹の兎がいた。 するとそれを追いかけだす二匹。 脱兎! 「う~さ~ぎ~おーいし」 「か~のーやーま~~~」 よくわからないことを言いながら追いかける。しかし兎は早い!ぐんぐん引き離されていく。 「まって!もっとゆっくりして!」 「ゆっくりしていこうよ!」 だが、兎はゆっくりしない。 そろそろつかれてきたから、ゆっくりしようかな。と二匹が思ったとたん、浮遊感が襲う。 落とし穴だ。 いや、意図して作られたものじゃない。ここに人間はいないのだ。 ただ単に穴ぼこがあるのを見つけられなかっただけ。 とはいえ、それは落ちた二匹にはなんの慰めにもならなかった。 うさぎをおいかけてあなにおちるなんて、アリスのやくめだよっ! と二匹が思ったかどうかは分からないが、二匹ともころころと穴を落ちていった。 「ぶぎゅっ!」「ぶげっ!」「いだいっ!」「いたいよ!やめてね!」「ゆっくりさせて!」「わかんないよー!!」 石や硬い土にぶつかりながらもころころと転がり落ちていく。 「めがまわるよー」「う、うげぇっ!」「ままままりさっ?」「えれえれえれえれっ」「きちゃないきちゃないきちゃない!」 阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されているようだが、暗いからよく見えない。 いったいどれほど転がり落ちただろうか、もはや二匹からは何の反応もない。 ただ物言わぬ塊となって穴を転がっている。その姿はまるで幼児の泥遊びでこしらえられる泥団子のようだ。 やがて、その転落劇も終わりに近づいてきたのか、明かりが差し込んできている。 だが、二匹は気を失っていて何の反応も無い。 そして── ゆっくり霊夢は体中をこすられている感触で目を覚ました。 夢から覚めるように目を開くと、しばし視界がぼやけていた。幾たびか瞬きをする。 「あら、目が覚めたの?」 「ゆぅ~~」 その金髪の少女は濡れた手ぬぐいでゆっくり霊夢の体を丁寧に拭いている。その美しさに思わず見惚れるゆっくり霊夢。 視線に気づいたのか、話しかける美少女。 「どうしたの?」 「ゆっ!ゆ~~、そうだっ!おねえさん、もうひとりみなかった?くろくてまぁるいれーむのおともだち!」 「黒くて丸い」で、少女は近くに住んでいる土蜘蛛の末裔を思い浮かべたが、ゆっくり霊夢の隣を指差す。 「まりさ!」 「まだ寝ているわ。起こさないように静かになさい」 隣にはゆっくり魔理沙がゆっくりと寝ていた。こちらもゆっくり霊夢と同様に綺麗にされている。じつにゆっくりと寝息をたてていた。 道中で中身を盛大に吐き出したので、若干頬がこけていたが、この程度ならば安静にしていればよくなる。 「おねいさんがたすけてくれたの?」 「ええ、貴方たちが突然穴から落ちてきたから驚いたわ」 「ゆ!ありがとう!まりさもたすけてくれてありがとう!」 「そう、随分と仲が良いのね。……嫉ましいわ」 彼女の緑色をした綺麗な瞳が昏く光った気がした。 「そうだ!れーむは、ゆっくりれいむ。れーむってよんでね!」 「れーむって言うの。私は水橋パルスィ」 その金髪の少女は「地殻の下の嫉妬心」とまで呼ばれる橋姫だった。 忌み嫌われた妖怪の一種で、地下に追いやられたと言うことはゆっくりたちは知る由もない。 ただ、自分たちを助けてくれた親切で綺麗なお姉さんとしか認識できなかった。 しばらく談笑するパルスィとゆっくり霊夢。 「それでねっ!きれいなちょうちょはすごいおいしいの!」 「そうなの。私は蝶々は食べないけど、知り合いの子が食べるだろうから教えておくわ」 「うん!それでねっ!れーむのおうちはすっごくゆっくりできてね!まりさとすんでるの!」 「……貴方たちは恋人なのかしら?」 「ゆ?こいびと?なに?」 「ああ、つがいなのか?ってことよ」 「ゆっゆゆゆゆっ!ゆっくりぃ~」 瞬時に顔を真っ赤に染め上げて体を揺するゆっくり霊夢。その反応だけで火を見るより明らかだ。 翡翠の瞳が妖しく煌く。 「ゆ。れいむ~?」 「ゆゆっ!まりさ!おきた?だいじょーぶ?」 「ここどこ?ゆっくりできる?」 「ゆっくりできるよ!」 ゆっくり魔理沙が目を覚ました。あたりを見回し、パルスィが目に入ると、やや警戒する。 「ゆ?おねえさんはだれ?ゆっくりできるおねえさん?」 「まりさ!おねえさんはれーむたちをたすけてくれたんだよ!ゆっくりできるひとだよ!」 「ゆゆゆ!おねいさんありがと!ゆっくりしていってね!」 朗らかに言うゆっくり魔理沙。だが、やはり消耗しているのか、いつもよりも精彩を欠いている。 「おねえさん!まりさになにかたべものをあげて!おねがい!」 「……いいけど、上に戻れなくてもいいの?」 「? そんなことよりもまりさをげんきにするのがさきだよ!ゆっくりしないで!」 「……もう一度聞くけど、食べ物を持ってきてもいいのね?」 「ゆっくりしないで、はやくもってきてよ!」 上に戻れないだなんて、何を言ってるのだろう?とにかく今はまりさを治さなければいけない。 ゆっくり霊夢はゆっくり魔理沙の、かさかさになっている肌を潤すようになめる。 やがてパルスィが戻ってくると、すぐさままりさに食べさせた。 噛むのがつらいと見るや、れいむが食べ物を噛み砕いて口移しで食べさせた。お互いの頬が赤いのはご愛嬌か。 パルスィはそんな一見心温まる様子を、痛ましげに見つめていた。 それから三日ほどゆっくりすると、ゆっくり魔理沙もすっかり元気になっていた。 その間、食料を持ってくるのはパルスィだった。 ゆっくり魔理沙は安静にしていなければならず、ゆっくり霊夢はその看病にかかりきり。 だが、パルスィは別にそんなことはどうという事でもないという風に食料を集めていた。 ゆっくり魔理沙のげっそりとこけていた頬も今ではみつしりとしており、ぷりぷりと中身が詰まっている様子がよくわかる。 「おねえさん!ありがとう!ゆっくりできたから、げんきになったよ!」 「たべものをくれてありがとうね!おねえさん!」 「別にお礼を言われることじゃないわ。それでどうするの?」 「ゆゆっ?」 「まりさたちはおうちにもどるよ!いままでありがとうね!」 「やっぱり知らなかったのね……」 困ったように目を閉じ、ため息をつくパルスィ。再び目を開いたとき、その緑には憐憫の色が混じっていた。 ゆっくりたちと目を合わせるように屈むと、噛んで含めるように言い聞かせた。 「いい?よく聞いて。この黄泉比良坂にある食べ物を食べた地上の生き物は、どう足掻いても二度と地上には戻れないの」 「うゆぅ?」 「なにいってるかわかんないよ!もっとゆっくりいってね!」 「ふぅ。つまり、おうちには帰れないってことよ」 「!」 「!?」 衝撃を受ける二匹。目を思い切り見開き、さらに徐々に口も大きく開いていく。 そのままわなわなと震えながら息を吸い込むと声と共に吐き出した。 「うそだっ!うそだよ!おうちでゆっくりできないなんて、どうしてひどいこというの?」 「ゆっくりできないよ!おねえさんはほんとはゆっくりできないひとだったの!?」 「私はきちんと言ったわ。戻れなくなるけどいいの?って」 「!」 「?」 二匹の文句を意に介さずに言うパルスィ。 ゆっくり霊夢はその時のやりとりを覚えていたのか、硬直した。 「どうしたの?れーむ。おなかいたいの?」 「れ、れーむのせい?れーむのせいなの?」 「?」 「まりさがしにそうだったがら、ごはんたべざぜだれーむのぜい!?ゆぅうぅうぅうぅぅぅ」 「なにいってるの?れーむ、ゆっくりして!ゆっくりしてよぉっぅ!!」 大粒の涙を撒き散らしながら泣き喚くゆっくり霊夢を、抑えつけようとするゆっくり魔理沙。 暴れるゆっくり霊夢に弾かれて、傷だらけになりつつもゆっくり霊夢を落ち着かせる。 「うぅうぅ、ごめんね!まりざぁ。ごべんねぇ!れーむが。れーむがぁあぁぁぁ」 「れーむのせいじゃないよ!ぐあいがわるくなったまりさがわるいんだよ!」 「うっ、ゆっ、ゆぅうぅえぇぇぇぇえぇぇぇぇぇっ!!」 「なかないで、れいむ。おうちにもどれなくても、ふたりでいればゆっくりできるよ!」 「うっうっうっ、おごってない?ひっぐえっぐ。ゆぅぇぇえぇぇ」 「おこらないよ!れーむはおともだちでしょ!」 「うぅうぅっ!ま、まりさぁ!まりさぁあぁぁあ!」 「れいむぅ!れいむぅ!」 二人で抱き合って泣いている。確かな友情がここにあった。 微笑みながらそれを見ているパルスィ。だがその笑みには剣呑なものが含まれていることに気づくのは誰もいない。 緑色の目はきらきらと輝いている。 「あらあら、仲が良いのね。ふふふ。ああ、嫉ましいわ」 しばらくすると、泣き止んだのか、二匹そろってパルスィの足元によってくる。 ゆっくり魔理沙がパルスィに向かって声をあげる。 「おねえさん!まりさたちはここでゆっくりすることにきめたよ!」 「そう。ただし気をつけて。ここは地上ほど優しくないわよ」 「だいじょーぶだよ!れいむといればどこでだってゆっくりできるもん!」 「……そう。じゃぁ私はもう行くわ」 「ゆっ?おねえさん、もうかえるの?」 「ええ。貴方たちもこれからが大変でしょうしね。がんばって」 「ゆ!ゆっくりがんばるよ!」 「うん!おねえさんも、ゆっくりあそびにきてね!」 パルスィが振り返ると、二匹は友愛の証である頬擦りをしていた。 四日後。 パルスィが二匹のもとを訪れるとそこには六匹の小さなゆっくりたちがいた。 地下に落ちてから一週間で友人からつがいへと発展したらしい。 「あ、おねえさん!いらっしゃい!ゆっくりしていってね!」 「ゆ?おかーさん、ゆっくりできるひと?」 「そうだよ!このおねえさんはゆっくりできるひとだよ!」 「ゆ!ゆっくりちていてね!」 「ゆっくり~」 小さなゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙が三匹ずついる。まだ幼いからか言葉遣いもたどたどしい。 あたりを見回してもゆっくり魔理沙の姿が見えない。 「まりさはどうしたのかしら?」 「ゆ!まりさはたべものをとりにいってるよ!れーむはおかーさんだから、こどもたちをみてるの!」 「そう。しっかりしてるのね」 「ちがうよ!ゆっくりしてるんだよ!」 その返答に思わずくすりと笑ってしまうパルスィ。和やかな空気で満たされている。 しばらく小さいゆっくりたちで遊んでいると、ゆっくり魔理沙が帰ってきた。 「ゆ!おねえさん!いらっしゃい、ゆっくりしていってね!」 「おかえりまりさ!」 「まりさおかーさん、おかえりー!」 「ゆっくりちていてね!」 「ごはんー!おながずいだよー」 「たくさんあるから、ゆっくりたべてね!」 なかなかどうして仲睦まじい家族愛を見せ付けてくれるじゃあないか。 ふつふつと湧き上がるどろどろとした感情。 宇治の橋姫は夫に裏切られたから、鬼と化したのだ。 和気藹々としたゆっくりたちの様子は、パルスィの翡翠の瞳を深く鮮やかに輝かせるのに十分過ぎるほどだった。 水橋パルスィは、嫉妬と言う名の緑色の目をした怪物。 これ以上ここにいてはいけない。 我慢できなくなる。 「ゆ?おねえさん、かえるの?もっとゆっくりしていってよ!」 「…………」 「? ゆっくりかえってね!」 その夜。 ゆっくり霊夢たちの巣だ。もう子供たちはぐっすりと眠っているのか、規則正しい寝息が聞こえてくる。 親である二匹は何をしているだろう? 二匹は子供たちからあまり離れていない場所にこしらえた自分たちの寝床で体中をこすり合わせていた。 顔が上気し、目は蕩けたように薄目になっていて、熱い息を荒くしている。 よく見ると熱を持っているのかじっとりと汗ばんでいるのがわかる。 「はぁ、れいむ。れいむぅ!」 「んっ。ふぅん、まりさっ!ああ、まりさぁっ」 お互いの名前を呼びながら口を啄ばみ、桃色の舌でお互いの顔中によだれを塗りたくっている。 それは汗と交じり合って、すぐにねとねとした粘液になった。さらにそのまま体中をこすり合わせ続ける。 しゅるしゅると音がたっていく。こすり合わせている音が早まっていくにつれて、二匹の声はだんだんと意味を成さなくなっていく。 「ゆっ!ゆふん!ふぅ~!っくり!ゆん!」 「ゆんゆんっ。ゆひゅっ!ゆぅうぅ~~ん!ぅん」 「ゆ~~~~ゆ~~~~」 「ゆゆゆゆゆ」 「ゆっ!?」 ぱっと離れるゆっくり霊夢。荒くなった息をゆっくりと整えていくにつれて、赤い頬もいつもの色に戻っていく。 たまらないのは中断されたゆっくり魔理沙だ。 いまにも泣きそうな顔で信じられないというように驚愕している。 「どうしたの?もっとゆっくりしようよ!」 「だめだよ!ゆっくりできない!」 「どうしてそんなこというの?まだまだいけるよ!もっとゆっくりしようよ!」 「だめだってば!こどもたちがいるし、もうゆっくりねようね!」 「ゆ、ゆっくりぃ……」 か細く鳴くゆっくり魔理沙はどこか寂しげだった。 次の日。子供たちの世話はゆっくり霊夢に任せて、ゆっくり魔理沙は餌をとりに出かけていた。 ここには地上のゆっくり平原では見られないものがたくさんあり、ゆっくり魔理沙は好奇心のままに飛び跳ねていた。 だがその跳躍はどこか心ここに在らずといった感じだ。 「あ、おねーさん!」 「あら。こんなところで奇遇ね、どうしたの?」 パルスィだ。手には籠のようなものを持っている。彼女も食料調達だろうか? 「まりさ、ごはんをあつめてるんだよ!」 「そう、家族のために偉いわね、ふふっ」 「……うん」 「元気がないのね。いったいどうしたのかしら?」 「…………」 ゆっくり魔理沙は意を決したようにパルスィに目をあわす。 そこには、出会ったときから変わらぬとても綺麗な緑色の宝石があった。 「あのね」 ゆっくり魔理沙は語った。 大好きなゆっくり霊夢と子供が出来たけど、子供にばかりかかずらって自分にあまりかまってくれなくなったこと。 昨晩の行為もこれからというところで、一方的に中断されたこと。 ほかにも以前とは変わってしまったことを口にした。 涙ぐみながら話す様子を、酷く艶っぽい微笑みで見守る緑色の目の怪物。 ゆっくり魔理沙は自覚していなかったが、パルスィには滲み出る感情がはっきりと理解できていた。 「嫉ましいのね?」 「ね、たましい?なに?わからないよ。ゆっくりおしえてね!」 「そのうちに捨てられてしまうかもしれないわね」 「ゆっ!?そんなことないよ!れーむはそんなことしないよ!」 「子供たちだけを見て、もう貴方のことなど見てもくれない」 「いやだよっ!まりさもみでほじぃよぉっ!!」 涙ぐむゆっくり魔理沙。パルスィはそれを見てか見ざるか続ける。 「やがて声をかけても返事をくれるどころか、振り返りもしなくなるわ」 「いやだぁっ!いやだよぅ!!れーむとおはなししたいよぅ!」 「貴方はただただ餌を運ぶだけの都合のいいものになるのね」 「ゆっぎゅりぃいぃっ!!!」 いやいやと体を左右に振り乱しているゆっくり魔理沙を両手ではさむと、パルスィは顔の高さまで持ち上げて目を合わせる。 ゆっくり魔理沙は、パルスィの目が見たこともないくらいに鮮やかな緑色になっていることに気づいた。 地下に落ちてからずっと、パルスィに会うたびにその綺麗な目を見ているが、その中でも極めつけに美しかった。 「……どうすればいいのか、貴方ならもうわかっているはずよ……」 「わ、わからないよ。ゆっくりおしえてね!」 「いいえ、分かっているわ。……貴方は、ただ、認めたくないだけ」 「ゆ、ゆっくり……」 「まぁいいわ。もうお帰りなさい。貴方の家族が帰りを待ってるわよ。ご飯を持っていってあげないといけないのでしょう?ご飯を、ね」 「ゆ、ゆぅ……。おねえさん。まりさはゆっくりかえるね。さよなら」 「ええ。御機嫌よう」 とぼとぼと去るゆっくり魔理沙を、パルスィはゆっくりと見送っていた。 夜。 ゆっくり魔理沙の集めてきた食べ物を食べて、毛繕いも終えた六匹の子ゆっくり達はすでに夢の花園へと入り込んだ。 その様子をゆっくりと慈愛に満ちた表情で見つめているゆっくり霊夢。 もはや母の貫禄を身につけつつある。 そんなゆっくり霊夢にもじもじとにじり寄るゆっくり魔理沙。 「れ、れいむ」 「なぁに?まりさ」 「ゆっくりしようね!」 「? ゆっくりしてるよ?」 そのまま頬擦りし始めるゆっくり魔理沙。 ゆっくり霊夢もとくに拒むことはしないで、同じように頬擦りをする。 すりすり。すりすり。 やがて二匹ともじっくりと体をこすり合わせるようになり、息も短く荒くなっていく。 お互いの体が汗ばむころにはゆっくり魔理沙は出来上がっていた。 「ゆっ!ゆっくりしちゃいけないよ!」 「ゆゆゆっ!?」 昨晩のように拒絶されるゆっくり魔理沙。何かを我慢するような顔のゆっくり霊夢。 対してゆっくり魔理沙は何かを悟ったような表情だ。その目に幽かな翡翠の閃きが垣間見えたのは気のせいだろうか? 「ま、まりさ。ごめんね。でも、こどもたちがおっきくなったらゆっくりできるよ!」 「きにしないでねっ!こどもたちががおっきくなるのがたのしみだね♪」 「そうだね!たのしみだね♪」 「ゆっくりおやすみなさい」 翌朝、ゆっくり魔理沙はいつもより早起きした。 眠る前に聞いた、ゆっくり霊夢の「子供達が大きくなれば」という言葉を思い出す。 うん。今自分がすることはたくさんの食べ物を集めること! ゆっくり魔理沙は自分のやるべきことをやるために動き出した。 しばらくしてゆっくり霊夢が目を覚ます。 隣を見ると、いつも自分が起こすまで眠っているゆっくり魔理沙の姿が見えない。 どこに行ったのだろうと思い、いつもより急いで外に出る。 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢にとってかけがえの無い存在だ。もしかすると一番大事かもしれない。 そんなゆっくり魔理沙が目を覚ますといなくなっていた。ゆっくり霊夢は不安を覚えた。 だから、いつもよりも少し急いで巣から出た。ゆっくり出ようとは思いもしなかった。 「まりさっ!?どこ?」 「ゆっ?おきた?おはよう、れーむ」 そこにはいつもと変わらぬゆっくり魔理沙の姿があった。一安心するゆっくり霊夢。 ゆっくりと近づいていくと、何か良い匂いが漂っていた。 「いなくなってたからびっくりしたよ!はやおきなんてめずらしいね♪」 「ごめんね。れーむにごはんをつくってあげようとおもったの」 「ゆっ、ごはん?ほんとに?ほんとにめずらしいよ」 「れーむのことだいすきだからねっ!がんばったよ」 「ゆっ、ほんと!うれしい!うれしいよ!れーむもまりさだいすき!!」 二匹で満面の笑み。お互いがどれだけ嬉しいのか、見ているだけでも伝わってくるような笑顔だ。 朝一番の太陽のような笑顔。 地下では太陽は見えないけれど、知らない人にはこの笑顔を見せれば想像できるかもしれない。 「そうだ!こどもたちは?いなかったよ?」 「みんなははやおきしてあそびにいったよ!」 「ゆっ!どうしておこしてくれなかったの?れーむもあそぶ!」 むくれるように言うゆっくり霊夢。ぷくぅっと膨れているのがとても可愛い。 「ごめんね。でもつかれてたみたいだから、ゆっくりしてほしかったの」 「ゆっくり!ならしかたないね♪」 「さ、たべて。れいむのためにつくったから、ゆっくりあじわってね!」 「ゆっくりいただきます♪」 ゆっくり霊夢は並べられた六つのごはんにむしゃぶりついた。白くて黒くてひらべったくて、見たことが無いけど美味しそうだった。 その様子を微笑ましそうに見つめるゆっくり魔理沙もすぐに自分の分を食べ始める。 「うわぁ、おいしい!あまいよっ!うんっ!うめぇ!!めちゃくちゃうんめぇ!はぐはぐっ」 「ほんと?うれしいよ♪てれりこてれりこ」 ゆっくり霊夢に褒められて照れたのか、頬を桜色に染めるゆっくり魔理沙。 そのままがつがつと食事を進める二匹。 「えふっえふっ!けぷっ」 あまりの美味しさに慌てたせいでむせるゆっくり霊夢。 咳き込むと餌がばらばらと散らばる。 「びっくりしちゃったよ!ゆっ!?」 「どうしたの?れいむ。たべないの?」 裏返しになったそれは、れいむとまりさの子供だった。 まりさが食べているのも、よく見ると自分達の子供だった。 その表情はいつもの顔と変わりない。だがそれがくるくると変化することはもう無いということは、ゆっくり霊夢にも瞬時に理解できた。 「ま、まりさ!それこどもだぢだよっ!!れいむとまりざのっ!」 「そうだね♪おいしいね!」 「なっ、まま、ま、まりさ!なにいっでるのぅ!!わだじだぢのがわっ、がわ゛いいごどもなんだよ!?」 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~♪」 「うっ、うわっ!うあッ!!」 ぺろりと平らげるゆっくり魔理沙。その口元は二匹の愛し子の血肉で汚れていた。にっこりと微笑む片親。 「う゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛ぁぁぁぁぁッ!!」 「これでふたりっきりだね!れいむ♪」 終わり。 O, beware, my lord, of jealousy ! It is the green-ey d monster which doth mock The meat it feeds on; お気をつけ下さい、将軍、嫉妬というものに。 それは緑色の目をした怪物で、ひとの心をなぶりものにして、餌食にするのです。 (『オセロ』第3幕第3場) 東方地霊殿では、作中で舞台が「根の国」であるとは言われていません。 ゆえに、パルスィがいた場所が黄泉比良坂というのは、この作品だけの設定です。あしからず。 食べ物を食べたから戻れないという展開のためにつけただけですね。 かわいいよ、パルスィ!かわいいよ! 水橋パルスィ:地殻の下の嫉妬心:嫉妬心を操る程度の能力 著:Hey!胡乱
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「ゆん、ゆん、ゆん、はちがとぶ~・・・ゆ?」 その日ゆっくり霊夢が小包抱えて歩いていると、橋の下でチンピラが男を囲んでいたそうな 「ようニーチャン、誰に断ってここに住んどるんか?」 「払うもんは払わんといかんじゃろが!」 「今なら5パー割引にしといたるで」 どうやらホームレスにみかじめ料をたかっているようだ 見るに見かねてゆっくり霊夢は人垣に割り込んだ 「やめてね!ゆっくりやめてあげてね!いぢめはダメ、ゼッタイ!」 「なんだこいつ?」 「いっしょにボコっちまうか?」 饅頭を追い払おうとする拳は寸前で避けられた 「・・・ほう、れいむとやるき?」 言うや否や小包を空高く放り投げる とあるガイジンから情報をせしめた鯛焼き屋で買ったのだが、 目当ての品自体は販売期間が終わってたので気が立っていたのだ 「きょうのれいむはまっちょでむ~ちょなきぶんなんだよ!」 ゆっくり霊夢の体が数十倍にも膨れ上がる 「あ~んぱ~んち!」 「倍倍筋ー!」 小包を再びキャッチする頃にはチンピラどもは影も形も見えなくなっていた 「ゆー、すっきりー!」 ゆっくり霊夢は爽やかな顔で振り向きホームレスに話を聞いた それによるとこの男はつい最近会社をリストラされマンションを追い出されたのだという 橋の下に辿り着きうたた寝していたところを先ほどの連中に絡まれたのだ 「ゆっ、なるほど。ぞくにいうはけんぎりだね!ゆっくりわかったよ!」 事情を察したつぶらな瞳の饅頭は包みからそっとタイ焼きを差し出した 「・・・というわけなんだよ!おしごとちょうだいね!」 「むう」 葉加瀬博士はゆっくり霊夢に懇願されて呻いた 「む~ちょな霊夢君か。見たかったのう」 「ウチで雇う余裕はありまセンねえ」 「何せワシらでさえお給金出るのか怪しいところじゃからのう」 「HAHAHA!」 「だめもとできいたけっかがこれだよ!」 ところ変わってゆっくり研究所 葉加瀬博士や助手のジョシュ君が勤めるおヒマな研究所だ 「とはいえ手がないわけではないぞい」 「れいむにはまだてがないよ!」 「いつか生えるんかい」 博士は後ろをガサゴソ探るといつぞや見たような鉄板を取り出した 「ゆう!それはあの!」 「この前勢い余って営業許可証を取ってしまってのう。ちょうど勿体無かった所じゃ」 「いきおいでとるなよ」 「まぁ鯛焼きで申請しておるから、これはこの前作ったアレとは違うちゃんとした鯛焼きの型じゃがの」 「こんどこそほんとうにたいやきやさんができるんだね!!」 「うむ」 その後行数にして1万を超えるほどのなんやかんやが多分あって、ついに研究所発の鯛焼き屋がオープンした! _,r‐!7´ー-v―-、 _..._ _,, r'「>-'、-─'-<こ`ヽ,_..,,ノ"///ヾ、 _,."彡i ,r'ア´ ´ `ヽ|/`y'、ソ、)、ソ、yY',, 彡",ヽ, く7 / / ,! ,! /! ノ`ノ Yy'サ ' )'y )ソ、),,彡'彡| 瀟洒 ヨコハマタイヤキ | ,' | /、ハ /レ'__,!イ , y'ヨ、ソ、)、ク、y、ヤ、)',, 彡",ヽ, ノイ ハ/─ ∨ ,riiニヽ/| \三)Yy'ソ ' )'y )、ソ、),,彡'彡| :コンゴトモヨロシク・・・ '´ | /! ,riiニヽ "" |/|` ヨ )/i y )、) 'y k彡,,"」 レ'│"" _,,.. -‐' !メ|),ハ/彡f ヽ ;Y 、、,-'" 八!ヘ. ノメハ/=ー"ニ=ー~"`^ 〈rヘメソゝ ー----- [ンく_]' 「な、なんだかゴムみたいに歯ごたえのある鯛焼きだぞい」 「ぷっでぃ~んあじだね!」 物珍しさも手伝って、お上品な味のソレはそこそこ繁盛したそうな 霊夢のやさしさに私が泣いたw 葉加瀬博士とジョシュ君シリーズはほのぼのしてて とてもゆっくりできます^^ -- ゆっくり好きな新参者 (2009-04-20 22 46 17) まさかのヨコハマサクヤwww -- 名無しさん (2009-04-21 16 49 12) オチがヨコハマサクヤとはwwwあんぱんちと言って十倍に膨らんで・・・で、どうやってパンチするんだ腕無いのに -- 名無しさん (2009-04-21 20 45 55) 名前 コメント