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前編から 『う~?なんでそとにいるんだどぉ~?』 「あ・・・う・・れ、れーむをたべるの?」 『う~?そんなあたりまえのこときいてどうするんだどぉ~?』 「お、おねがいだからたべないでね!」 『う~?べつにおまえはたべないどぉ~?れみりゃにはちゃんとえさがあるんだどぉ~♪』 「えさ?ってその・・あしもとのゆっ・・くり?」 『そうだどぉ~♪でもこんなのはぽいだどぉ~♪』 「なんでなの?たべなきゃゆっくりできなくなるよ!!」 『こんなところでくらすならしんだほうがましだどぉ~!!!』 それかられみりゃとれーむはずっと語り合った、ほとんどれーむが喋っていただけだったがれみりゃはずっとソレを聞いていた 家族でゆっくりしていた事、家を失い家族がバラバラになった事、行くあても無く彷徨っていたら偶々ここに着いた事 久しぶりのおしゃべりが楽しくて夢中になって喋り続けた、相手が自分を捕食する立場のものという事も忘れて 『それはたいへんだったんだどぉ~、ゆっくりしていくんだどぉ~♪』 「ありがとう、れみりゃ!!!ゆっくりしていくね!!!」 『うー☆でも、とつぜんにんげんがくるときがあるからきをつけるんだどぉ~♪」 「ゆっ!!わかったよ!!!ゆっくりきをつけるね!!!」 そんな暮らしが始まってから一週間ほどたったある日の事 れーむは床に落ちている餌を食べすっかり回復し、またれみりゃも様々な事をれーむに教えていた ここは「加工所」と呼ばれている所で、下の階の床に餌が落ちているのは天井にゆっくり用の籠が吊るしてあるからだという事 そして自分がここに「なぜ居るのか?」という理由 『れみりゃは、たぶんどこかとおくのもりにすんでたんだどぉ~』 『みんなでおどったり、ちかくのおやしきでぷっでぃ~んもらったりしてたんだどぉ~』 『でも、たまたまおそとでおひるねしてて、おきたらここにいたんだどぉ~』 「ゆっ!?かえりたくならないの?」 『う~?ここからでられないし、そとがどんなところかわからないからできないんだどぉ~』 「じゃあゆっくりここからにげようよ!!!そのゆっくりぷれいすに!!!」 『う?それはできないどぉ~?にんげんにみつかっちゃうどぉ~』 「だいじょうぶ!!れーむがそのおりの[かぎ]をこわすよ!!!」 『これはそんなにかんたんにはこわれないどぉ~、どうするんだどぉ~?』 「ゆっくりかじってこわすよ!!!まかせてね!!!」 『うー☆それはおもしろそうだどぉ~♪うまくいきそうだどぉ~♪そうときまったらじゅんびをはじめるどぉ~♪』 「ゆゆ?じゅんび?」 『れーむをのせてとぶためにたいりょくをつけるどぉ~♪ごはんをたべるどぉ~♪』 「ゆゆっ!!!れーむはたべないでね!!!きっとおいしくないよ!!!」 『だからだいじょぶだどぉ~♪ごはんはにんげんがもってきてくれるどぉ~☆』 「ゆっくりふたりでがんばろうね!!!」『うー☆がんばるどぉ~♪』 それからさらに一週間後、作戦は決行された たった一夜の大作戦 朝、人間が来てから夕方もう一度来るまでの間に逃げる 到底無理と思える作戦は、二人にとって見れば希望の作戦だった 『うー、にんげんがいったどぉー』 「ゆっくりかじるよ!!!さっさとにげるよ!!!」 「がーじ、がーじ、かたいよ!!!」 『うー、がんばるんだどぉー、おうえんしてるどぉー』 「か、かたいよ!はがいたいよ!!でも、まけないよ!!!」 『うー☆がんばるんだどぉー☆ふぁいと~、だどぉ~♪』 「ふぁいとー!!!ゆっくりー!!!」 作戦開始から数刻後、檻の鍵は半分ほどまで削れいた しかし、れーむの口からは餡子が滲み出していた お互いに励ましあいながら作業は進んでいく 『うー、なかみがででるんだどぉー・・・いたそうだどぉー』 「だいじょうぶだよ!!もうすぐでれるからね!!!」 『むりしなくていいどぉー・・・しんじゃうどぉー・・・』 「がーじ、がーじ、ゆぐっ!?はがかけちゃったよ・・」 『もういいどぉー・・・かえれなくてもいいどぉー』 「ゆゆ?なんでそんこというの?」 『このままじゃれーむがしんじゃうどぉー・・・それはいやだどぉー』 「れみりゃ、ここでたらどこいく?」 『それはもうい「れーむはいやだよ!!!」』 「こんなゆっくりできないとこでしぬのはいやだよ!!!まだまだゆっくりしたいよ!!!」 『れーむ・・・』 「だからきかせてほしよ・・・れみりゃのゆっくりぷれいすのおはなし」 『うー・・・れみりゃのゆっくりぷれいすは”こーまかん”っていうんだどぉー』 『みんなやさしくていいひとたちなんだどぉー♪なかでも”さくや”はいちばんだどぉー♪』 『あいたいどぉー・・・さくやぁ・・・』 「あいにいけるよ!!!いまれーむがだしてあげるから!!!」 「もうすぐおわるよ!!!きっとにんげんはびっくりするよ!!!」 『びっくり?』 「でられるはずのないれみりゃがあさになったらいなくなってるんだよ!!!きっとびっくりだよ!!!」 『うー☆びっくりぃ~♪びっくり~♪』 カリカリカリ、ゴトン!!! れみりゃ!!!ゆっくりでてきてね!!! うっうー☆しっかりつかまるんだど~♪ その日幻想郷の空に一組のゆっくりたちが目撃された 二人とも笑顔でグングン加速して湖のほうに飛んでいった ゆっくりぷれいすを目指したものと、ゆっくりぷれいすに帰りたかった二匹の話はここで終わる さらに二日後、紅魔館に客人がやってきた 「『ゆっくりしていってね!!!』」 ~おわり~ 名前 コメント
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『ばっちぃ家ゆはれみりゃも食わぬ(修正版)』 22KB 愛で 制裁 自業自得 日常模様 駆除 飼いゆ ゲス 捕食種 現代 anko3377だったものを削除し、本編&あとがき修正とおまけを付けて再投稿させて頂きました。 「ばっちぃ家ゆはれみりゃも食わぬ」(修正版) 「今回も大量だったなれみりゃ」 「うーいっぱいあまあまもらえたど~!れみ☆りあ☆う~!!」 俺と飼いゆのれみりゃ(胴付き)は月一の野良ゆ駆除の手伝いを終えて家路を歩いていた。 れみりゃの右手には加工所の従業員の人から貰ったお菓子の詰め合わせが入ったビニール袋が しっかりと握られていた。 俺のれみりゃ以外れみりゃやふらん、ゆうか、ぬえなどバッヂ付きの捕食種ゆっくりが多数参加しており 参加者にはお菓子をプレゼントしてくれるのだ。 れみりゃにとってもこれが楽しみで張り切って駆除に励んでいる。 張り切りすぎて、過去に他人の飼いゆを手に掛けようとする事もあったので目が離せないのが困りものではあるが・・・ 「おにーさん、はやくかえってあまあまたべるど~!、れみりゃまちきれないど~!!!」 「はいはい、もうすぐ家だから落ち着けって。」 アパートの2階、1R8畳の家の前に着き、鍵を開けて、1人と1匹が玄関に入った。その時 「ゆ?」 「え?」 「う?」 「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」 「「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」」 「え!?うわ!!!」 「うううううううううううううううううううううううう!!! いえゆだどおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「にんげんさんがかえってきたあああああああああああああああああああ!!!」 ええと・・・状況を整理させて頂きます。 ドアを開けて、れみりゃが先に入って、俺も玄関に入り靴を脱ごうとした時、居間のど真ん中で 薄汚れた赤ゆサイズのまりさが小さな袋をくわえて跳ねていた。 暫くの沈黙の後、俺以外の2匹が絶叫した。 れみりゃは泣きながら俺に抱きついてきた。今でもお腹に顔をうずめて小刻みに震えている。 一方まりさ・・・れみりゃ曰く家ゆらしいがピョンピョンとタンスに向かって跳ねていた。 ていうか、未だ現在進行形で必死に跳ねている。 本当に家ゆであるならすぐに捕まえたいのだがれみりゃが抱きついているせいで動けない。 大いに困って考えた結果、れみりゃをお尻から抱え上げ、足だけで靴を脱ぎ、何とか家に上がる事が出来たが 時すでに遅し、すっかりタンスの隙間の中に入り込んだ後だった。 取り合えず、れみりゃには俺から離れて貰わんと・・・ 「おいれみりゃ、いい加減離れてくれ・・・。」 「いやあああああああああああいえゆいた いえゆいたあああああああああああああああああ!!!」 「もう居ないから!少なくとも視界に入らない所に行ったから!!ていうか・・・重い・・・・・。」 「う~~~れみりゃおもくないど~~~~~!!!」 いやいやあなた4~50キロはあるじゃないっすか・・・ 「取り合えず離れろ!!!退治するにもこれじゃ何も出来んだろ!!!」 それを聞いて羽を動かし空を飛び、ようやく俺から離れてくれた。ていうかなぜ飛ぶ? 「とにかく、逃げ込んだ家ゆを引きずり出さないと・・・1匹=10匹以上って言うからな・・・・・ ええっと、山盛りの砂糖を置いとけば自然と出て・・・あれ・・・?」 家ゆは近くにあまあまがあれば人間が居ようが何だろうが釣られて這い出てくるのだが 何の用意もしていないのに家ゆがタンスの隙間からゾロゾロと這い出てきた。 大きさはソフトボール大のものからピンポン球サイズのものまでその数20匹程・・・軽く泣けて来た・・・。 「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」 真後ろで物凄い叫び声、家のれみりゃだ。 「おま、静かにしろって!近所迷惑だろうが!!!」 「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」 全く聞き入れてくれない。するとその様子を見ていた20匹の家ゆの内1匹のまりさが口を開いた。 「おもったとおりなんだぜ!このれみりゃはまりささまをおそれてるんだぜ!」 その言葉を皮切りに周りの家ゆ達が「ゆーゆー」と騒ぎ始めた。 一方れみりゃは、飛びながらおかざりの帽子の端を両手で握りしめ深々とかぶり、端っこで縮こまっていた 今さっきまで野良ゆ駆除をしていたのが、家ゆ相手に怖がっている・・・何故だ? 「おい!くそじじぃ!!!」 「え?は?なに?」 れみりゃに夢中になってた俺は不意にまりさに声をかけられ慌ててそっちに向き直った て言うか、今ビキィと来るような事言われたような・・・ 「れみりゃのどれいのじじぃはまりささまにあまあまをもってくるのぜ!!!」 「な・・・はぁ!?」 「まりさたちはれみりゃもおそれるさいっきょうっいえゆぐんだんなのぜ!!!」 「ゆぷぷ、れいむたちをおこらせるといたいめにあうよ!それがいやならさっさとあまあまもってきてね!!!」 「「「「「しゃっしゃちょもっちぇこいくしょじじぃ」」」」」 どうやら家のれみりゃが自分たちに怯えているのを見て自分たちは捕食種よりも強い存在であると勘違いしたらしい。 しかも俺とれみりゃの生活を覗き見していて何故か俺がれみりゃの召使いだと思われていたようだ。 「まりさほんゆんもきがつかなかったのぜ・・・まさかれみりゃもおそれるそんざいだったなんて・・・」 「ほんと、いままでおびえてくらしてたのがばかみたいだったよ!」 「これでのびのびとゆっくりできるよ!」 「「「「「「「「「「ゆっきゅりできりゅにぇ!!!」」」」」」」」」」 なんとまぁ単純な奴ら・・・でも確かに今のれみりゃはおかしい。何故ここまで怯えているのか? 「おい、一体どうしたんだれみりゃ?さっきまで野良ゆの駆除に参加してただろ? 大きなゆっくりだって沢山殺して来ただろ?何でこんなちっちゃい家ゆを怖がるんだ?」 「いやあああああああああああああああ いえゆはいやあああああああああああ」 野良ゆ駆除をしてきたと聞いた瞬間、家ゆ共は一瞬ビクッとしたが、れみりゃの反応を見てまた得意げになった。 「ゆっへっへ、この様子だと外のゆっくりも大した事無さそうだよ!」 「こうなったられいむたちでせかいせいっふくっでもしてみようよ!」 「せかいじゅうのあまあまはすべてまりさのものなのぜ!!!」 「ゆ!ずるいよまりさ!れいむにもすこしちょうだいね!!!」 「せかいいちのびゆっくりはまりさがすっきりーしてやるのぜ!!!」 「「「「「せかいのあみゃあみゃ!せかいのあみゃあみゃ!」」」」」 後ろの勘違い軍団が超うるせぇんですけど・・・こいつら潰してから話聞こうかな・・・・・ 「だって・・・だっでえぇぇぇぇ・・・」 おっ?れみりゃが理由を話してくれそうだ。 「だってこいつら・・・ばっちぃんだど~!!!」 「え・・・?」 「ゆ・・・?」 「きたないし!くさいし!なんかぬめぬめしてそうだし!だにとかたべるし! ぜったいびょうげんきんとかもってそうだし!ていうかきんそのもの!? ばいきん!ゆっくりじゃなくてばいきん!そんなのてぶくろしてても さわりたくもない!ていうかおなじくうきもすいたくない! でもなんかおにーさんはだいじょうぶそうだからはやくころしてほしいんだど! ころして!ねぇころして!ころしてください!おねがいしますううううううう!」 「わーお・・・」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「・・・・・・」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 なんというか・・・ほんの少しだけ家ゆに同情しちゃったわ・・・。 て言うか喋り方的に自分がれみりゃだって事忘れてたよね?最後だけ取り戻したけど。 「「「「「「「「「「ゆううううううううううううううううう?なにいってるのおおおおおおおおおおおおおお? まりさ(れいむ)ばいきんじゃないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」」」」」」」」」」 「「「「「「「「「「まりちゃ(れいみゅ)ばっちきゅにゃいいいいいいいいいいいいいいいい」」」」」」」」」」 しばらく固まってた家ゆ共が封を切ったように叫びだした。 「うっさい!おまえらしね!いますぐしね!しねしねしね!このせかいでいきてるかちもないおぶつどもが!!! いましね!すぐしね!ほねまでくだけろ!!!」 それに対抗して飼い主の俺ですら聞いた事が無い暴言を吐き続ける、てかお前ふらんじゃね~だろ あと最後のセリフ!ゆっくりに骨無いから!!!それ教えたの俺だけどさ(笑) 「おにーさん!なにボーっとつったってるんだど!!!はやくこいつらころしてほしいんだどおおおおおおおおお!!!!!」 「あーはいはい・・・わかったからもう大声で叫ぶな、近所迷惑に・・・もう手遅れか・・・・・。」 俺は駆除作業に使っていたゴム手袋をはめてビニール袋を片手に家ゆに近づいた 「ゆううううううううううううううううう!!!もうおこったのぜ!!!まずはどれいをぼっこぼこにしてあのれみりゃも せいっさいっしてやるのぜえ!!!」 怒りを爆発したまりさ、多分一番最初に見た奴だろう、そいつが俺に向かって勢い良く飛び跳ねて来た しかし一飛びが大体2cm程で、まりさを待つより自分から向かった方が早かった。 (まぁしばらくは抵抗させてやるか・・・) と有情の心でまりさの前に手の甲を差し出した、案の上まりさは体当たりをし始めた。 「ゆっへっへ、まりささまのスーパーウルトラミラクルゴージャスダイナマイトアタックをくらうがいいのぜ!!!」 大層な技名の割にはやってる事はただの体当たり、体躯の差もあって痛くも痒くも無い。 10回程やった所で疲れたのか、ぜーはー言いながら一旦休憩を取り、また体当たりを再開した。 後ろの家ゆ達もまりさがぶつかる度に歓声が上がる。れみりゃからは怒号が聞こえるが、左手をヒラヒラさせてなだめる。 ぶつかって休憩してまたぶつかる工程を2~3分程寝そべりながら付き合うと「ゆひーゆひー」と言いながら倒れこんだ 「ゆひー・・・ゆひー・・・ど、どうなの・・・ぜ・・・?もぅ・・・うごくこと・・・も・・・できないの・・・ぜ・・・?」 セリフが丁度言い終わる頃に俺は生あくびを一回した。 「ゆ・・・ゆうううううううううううううううううう!?」 「「「「「「「「「なんでゆっくりしてるのおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」」」」」」」 「「「「「「「「「「しょにょリアクションはおきゃちいでちょおおおおおおおおおおお!?」」」」」」」」」」 「いやだって・・・退屈の極みでしか無いもん。」 「ゆへ・・・?」 「俺は、死に逝く運命にあるお前の最後のお遊びに付き合ってるだけ。」 「ゆ・・・ゆっ・・・・・ゆわああああああああああああああああああああああああ!!!!! なめるんじゃないのぜええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」 俺の挑発に触発されてまた体当たりを再開した、が、今までの疲労が溜まっているのだろう、 4~5回ぶつかった後倒れ込み動かなくなった。すぐさま起き上がったものの、飛び跳ねる気力はもう無く 「ゆぜぇーゆぜぇー」と言いながらただ体を押しつけるだけだった。 その姿に後ろの家ゆ達も「なにやってるの?さっさとやっつけてね!」「ゆっくりせずにはやくしてね!くずはきらいだよ!」 「「「「「しゃっしゃとしりょくじゅまりしゃ!!!」」」」」などと、歓声から罵倒に変わっていた。 れみりゃは、縮こまり体勢のままイライラした様子でこっちを見ていた 何故早く殺さないのか?・・・とでも思っているのだろう。 さて、俺もそろそろ動かないとな・・・ 「気は済んだか?」 「ぜぇー・・・ぜぇー・・・ゆ?」 体を押し付けて来るまりさを左手で持ち上げ、そのままビニール袋に放り投げた。 「おそらとんでるみたゆべぇ!!!」 「さ、お前らも入ろうね。」 俺は起き上がり、残りの19匹の元に向かった 「ゆぎゃあああああああああああああああ こっちこないでええええええええええええええええええ!!!」 「やめてね?ひどいことしないでね?やあああああああああああ ほうりこまないでええええええええええ!!!」 「れいむぷくぅするよ!ぷくううううううううう・・・なんでこわがらないのおおおおおおおお!?」 「「「「「「「「「「ゆっきゅりできにゃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」」」」」」」」」」 栗を拾うようにヒョイ、ヒョイと拾い上げ、袋の中に入れていく。そして残り1匹になった。 「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・・・もうじじぃとかどれいとかいいません・・・ なんでもいうことききますから・・・まりさだけはたすけてください・・・・・」 自分だけは助かろうと大粒の涙を流しながら命乞いをしていた。 「何でも言う事聞く?」 「なんでもいうことききます!でていけといえばでていきます!・・・ゆ!でていくまえにそうじもしますから!」 「じゃあ捕まれ」 「ゆ・・・(ガシッ!)ゆあああああああああああああああああ いやじゃあああああああああああああああああああああ!!!(ポイッ)」 「ハイ、これで全部と」 全ての家ゆを捕獲しタンスの前に立った。 「おいれみりゃ、今からこいつ等殺すぞ」 「ううううう・・・おにーさんおそすぎだど~・・・。」 「時間に余裕がある時は少し泳がせてから一気に絶望を味あわせるのが俺のやり方なんでな、お前も好きだろこういうの?」 「こんかいばっかしはそっこうでやってほしかったど~・・・。」 這い上がってくる事は無いだろうが一応袋の口を閉めておく・・・あんこが飛び出たら大変だからな。 「さ~てお前ら」 「ゆぐっゆぐっ」と袋の中で泣いている家ゆ共に話しかけた。 「ゆぐ・・・にんげんさん・・・ゆるしてください・・・こうげきしたの・・・あやまりますから・・・」 話しかけて来た声の主はおそらく、いや確実に、先程俺の手に体当たりをしてたまりさだろう。 「ああごめん、そういうの要らないから。」 「ゆ・・・?」 俺は懇願するまりさを冷たく突き放す。 「言っただろ?お前は死に逝く運命だって・・・」 「ゆ・・・ゆううううう・・・・・」 「あ~あ、どっかのまりさが、最初に見つかったのが運のツキだったよなぁ? だってそいつが見つかんなきゃ家ゆの存在も気付かなかったしさ。 しかもそのまりさの勘違いに釣られて、全匹出て来ちゃったんだもんなぁ? ま、こっちとしては?手間が省けて良かったんだがよぉ?」 「ゆ・・・ゆゆ・・・・・?」 「有難うよ、さいっきょうっいえゆぐんだんのまりささま(笑)」 「ゆがああああああああああああああああああああああああ このくそまりさああああああああああああああああああああああああ!!!」 「おまえがあのときぜいたくいってあめだまさんとりにいかなかったらこんなことにはああああああああ!!!」 あ、あのくわえてた小さな袋、飴だったんだ。 「おまえのせいだ!ぜんぶおまえのせいだああああああああああああああああああああああああああ!!!」 「おまえのせいでれいむたちはゆっくりできないんだあああああああああああああああああああああ!!!」 「おまえだけがしねばよかったんだ!!!」「おまえさえいなければ、まりさはああああああああ!!!」 「「「「「「「「「「おみゃえだきぇぎゃちねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」」」」」」」」」」 「ゆ・・・ゆあ・・・ああああああああああ・・・・・」 「じゃぁかましいわぁ糞饅頭共ぐああああああああああああああああ!!!」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ゆひぃ!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 「今から全員死ぬんだよぉ!どうせタンスの裏はてめぇ等の糞小便でいっぱいなんだろうが!!! 勝手に人ん家汚しやがって・・・許されると思うなよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」 俺は袋を持ったまま右腕を振りかぶって・・・ 「「「「「「「「「「いやああああああああああああああああああああああああああ」」」」」」」」」」 こいつ等の元住居であるタンスに・・・ 「「「「「「「「「「やめちぇええええええええええええええええええええええええ」」」」」」」」」」 叩きつける!!! ベチイイイイイイイイイイイイイイイイン!!! 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ゆびゅ・・・・・・・!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 「はぁ・・・・・」 翌日、俺は部屋の掃除をしていた。主にタンスがある周辺。 まずは家全体に掃除機をかけ、タンスの上の荷物を下ろし、 積もってた埃を取り払い、タンスを人一人分は入れるようにするまでずらしていく そして、あの忌々しい家ゆ共の住居跡を今、綺麗にしようとしている。 状況は・・・言うまでも無い・・・・・。全く遠慮と言うものを知らないらしい。 「まぁ、呼び名がどうあれゆっくりだしな・・・。」 カーペットに染み付いたうんしーの跡、砂糖水とあんこなので、乾いてガチガチに固まり なかなか落ち辛くなっている。しかも甘ったるい匂いがいちいち鼻を刺激する。 「臭いって言うのは嘘じゃなさそうだな・・・おい、れみりゃ?」 れみりゃは日傘を差しながら狭いベランダに出ていた。 「う~?おにーさん、おわった~?」 「まだ。ちょっとCDラックの近くにあるマスク取ってくんない?」 「う~!れみりゃまだなかにはいりたくないど~!!!」 こやつは・・・お前のせいで昨日どれだけ大変だったと思ってるんだ? 家ゆが這いまわってる最中叫びまくったれみりゃ。近隣の住人から苦情が来ないはずありません・・・。 家ゆを始末し、怒りが治まって冷静になった時、ふとブザー音が鳴っている事に気付いた。 まさかと思いおそるおそるドアを開けると・・・後は分かるな・・・・・? 何でも5分ほど前から鳴らしていたらしい、まあ不思議、全然気付かなかったあはは・・・ その後近隣一帯に土下座しながら理由を説明してひたすら謝ったのは言うまでも無い・・・。 まぁ野良ゆ駆除に積極的に参加しており近隣の評判が良かったから今回はお咎めは無かったが。 「頼むよれみりゃ、今日プリン2個食っていいから。」 「ううううう~・・・わかったど~。」 渋々ベランダから家の中に入り、マスクの入った箱ごと持って渡そうとした。 それを俺が受け取った後、すぐさまベランダに直行し日傘を差し、外を眺めていた。 れみりゃがあれ程までに家ゆを怖がっていた理由についてだが、以前、テレビで家ゆの特集をしていて、 それをれみりゃと観ていた事があった。いかに不潔で迷惑な生物かを報じていた内容だったが キッチンで屈んでいた女子アナの頭に油でギトギトのゆっくりが数匹降り掛かるアクシデントがあり 絶叫する女子アナを見てトラウマを抱えてしまったらしい。 飛んでまで遠ざかっていたのは、自分の頭や顔に乗っかられるのが嫌だったからだと言う。 まぁ普通に立ってても顔に来る事は無かったと思うが足に乗っかられてもパニックを起こしていただろう。 全てをやり終わるのに約半日かかった。うんしーがこびり付いたカーペット、壁、タンスの裏を濡れ拭きし、家ゆの再来を 防ぐ為、テレビや本棚の裏など隅々まで掃除機をかけ、家具を元に戻した。 一応キッチンや押入れ付近にも山盛りの砂糖を設置し生き残りが居ないか調べたが、どうやら始末した奴以外いないようだ。 これで完全に終了した。 「はあぁ・・・家ゆはもう懲り懲りだぜ・・・。」 「う~まったくだど~・・・。」 1人と1匹はテーブルに突っ伏していた。 れみりゃは掃除は全く手伝わなかったが、元々夜行性なので日光があまり得意ではないのと、一日中狭いベランダに居座るのが辛かったらしい。 駆除の時は、冬でも日差しが強いと唾の広い麦わら帽子をかぶり、日焼け止めクリームを全身に塗って参加している。 「おにーさーん・・・ぷっでぃ~ん・・・。」 「そういや、今日何も食って無かったっけ・・・」 とは言え本格的に作る気力もなく、本日最初の食事は、カップラーメンにプリンである。れみりゃには約束通りプリン2個 「う~♪ぷっでぃ~んだど~♪」 「プリンごときで元気出るなら世話ねぇよな・・・」 俺はお湯の入ったカップラーメンの容器を見つめ、出来上がるのを待っていた。 「これ食ったら寝るか・・・。」 「れみりゃもいっしょにねる~」 「はいはい、分かってるよ。」 とにかく、昨日今日で色々有り過ぎた・・・今日はもう休もう、明日も日曜で休みだ。れみりゃと遊んでやるのは明日でも良い。 定期的に掃除をやっていないあなたもこんな状況になる前に一度山盛りの砂糖を置いて、家ゆが居ないか調べてみてはいかがですか? (終) おまけ・後日談(虐待、制裁模写無し): 「ところでれみりゃさんや」 「う~?なんだどおにーさん?」 「前から気になってたんだが…大きさ以外で野良ゆと家ゆの違いって何?」 「う!?」 れみりゃは家ゆと言う言葉を聞いてビクッっとした。 「この前家に家ゆが居た時あったろ?」 「うぅ~…うん……。」 「あん時めっちゃ怖がってたなお前?あそこの天井の端っこで 帽子掴んだまま縮こまってガタガタと(笑)」 「う~~~!おにーさんはずかしいからやめるどぉ~!!!」 「恐怖の余り我を忘れて、喋りまで変わってたし、 挙句の果てにはゆふらん化するわ、バル〇トス化するわでもう」 「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ(泣)」 「ちょおま!?近所迷惑だから叫ぶのやめろっちゅうに!」 「ぐす…おにーさんが…いじわるするからぁ……」 「おぉよしよし、悪かった悪かった、お兄さんもう止めるからなぁ だからもう俺に近隣一帯の土下座周りさせるのだけはやめてくれなぁ…」 俺は慌ててれみりゃの身を引き寄せ、頭を帽子ごと撫で回した。 もうあんな精神にどっと疲れがくるアレだけは2度とやりたくない…。 確かにお咎めは無かったもののその後しばらくは 周囲の目の冷たい事ったらもう……軽く死にたくなる………。 ぐずっていたれみりゃを何とかなだめ、落ち着いて来た所でさっきの話の続きをする 「んで?話をもどすが、実際何が違うんだ?」 「あのときもいったけど、ばっちくてふけつでくさそうでぬめぬめしてていやなんだど~。」 「それを言ったら野良だってそうだろ?…いや実際野良の方がばっちぃかもしれない。 家ゆは埃や自分のうんしーの汚れとかなんだろうけど、野良ゆは排気ガスや 生ゴミの汁なんかが染みついてるから家ゆの方がまだマシなんじゃ…」 「そんなことないど~いえゆのほうがきたないど~!」 「野良ゆは平気で素手で掴めるじゃんか、家ゆは駄目なのか?」 「うぅ…のらゆはむかしからなれてるからきにならないというか… それにいえゆはぬめぬめしてるんだど~」 「いや、実際ぬめぬめはしてない」 「うそだど!だってこのまえのてれびのおねーさん、いえゆにのっかられてたとこ ぬめぬめしてたんだど!」 そういやそれが原因だって言ってたな…。 「あれはな、台所の流しの下の物置(?)に住み着いててな、台所のシンクの上に 登った時に、何かの拍子で油でも踏んだか、もしくは業と油を塗りたくったかなんだよ。」 それが合ってるのかどうかは定かでは無いが、女子アナに降りかかった家ゆは確かに油ぎっていた。 当時、女子アナ含め全スタッフが台所の下に注目していた余り、シンクの家ゆに気が付かなかったと言う。 今改めて聞くと情けない話では有るが… 後、どうやって小さい家ゆがシンクまで登って来れたのかは未だ解っていない。 「それでも…やっぱりいえゆはやだど~……それに、のらゆだってすででころしてるわけじゃないど! れみりゃじまんの【ぐんぐにる】があるんだど~♪」 そう言って、何処からともなく槍の形をした玩具をブンブン振り回した。 れみりゃが言うには【神槍・グングニル】と言うらしい。 「れみりゃ…人が近くに居る時は……」 「う!?ご、ごめんなさいだど~…」 「家の中で俺だけだからまだ良いけど、他人の前ではやめてくれよ?」 母親が幼稚園児に注意するように、人が近くに居る時は玩具を振り回さないようと教え込んでいる。 まぁ精神年齢の低いゆっくりれみりゃなので、調子に乗るとすぐ自慢げに振り回すのでその度に 怒られているのである。 「まぁ要するに、あの時のテレビ番組がトラウマで、野良ゆは触れても家ゆは触れないって事か…… って何か可笑しい様な…?」 「こまかいことはきにしちゃだめだど。それに、のらゆをさわったあとはちゃんとてはあらったり、 うぇっとてぃっしゅさんでふいたりしてるど~。」 「それは当たり前な事ですから。」 散歩の際も他の飼いゆや子供に悪さをする野良ゆを見かけたら懲らしめている。 しかし、ウッカリ【グングニル】を忘れた時は素手で殺る時があるが、 すぐさま手持ちのペットボトルの水で手を洗いタオルで拭いた後、ポケットサイズの アルコール除菌のウェットティッシュで拭いたりして綺麗にする。 手や返り血ならぬ返り餡子で顔が汚れる事はあっても、服が汚れた事が無いのが不思議だが… 「それで野良ゆがOKだったら家ゆもいk」 「ぜったいいや!!!」 「ですよねー、まぁ良いけどさ。」 もう家ゆに関わるのは御免だし、そんなに嫌なら無理に触らせる必要もないかと思い、 この話を切り上げ、何をする訳でも無くテレビ番組をぼーっと見て、休日を過ごした。 一人と一匹の日常は今日ものほほんと過ぎていくのでした。 (終) あとがき(修正版): 初投稿です。 無駄に長い&虐待分少ない&他の所で頑張り過ぎで、読み手の皆様のお目汚しになっているようであれば御免なさい。マジで。 半年どころか3年近くROMってた奴が急にSS書いた結果がこれだよ!!! もうチョット内容を短くまとめて虐待分を増やせるように日々精進したいと思います。 もし次回作を作る気力が湧いたら作って投稿したいと思いますので、その時見かけたらまた広い心で読んでやって下さい。 今後ともよろしくお願いします、でわでわ。 ※ちなみに自分は両刃・制裁派です。理不尽な虐待・虐殺はあまり書かないかもしれません。 また書くとしたら、また制裁系かぬるいじめ系辺りです。 (知ってる人の方が多いと思いますが、1度【anko3377】で投稿しました。 ssの内容自体はそれなりの評価を頂き、初投稿の身として幾ら感謝してもしきれない程だったのですが、 修正前のあとがきのある1文が読者の皆様から不評だった為、今回あとがきと本ssに数箇所手を加えて、 おまけとして本編の後日談を書き加えた修正版として再投稿させていただきました。 読者の皆様に不快な思いをさせてしまった事を大変申し訳なく思っています。 もし修正前の作品を保存して下さっている方は、外部に公開する以外なら削除するなり残して置くなり好きにして下さって結構です。 これからは、ss初心者として出過ぎた真似はせず、なるべく話の流れの良く読みやすい作品を作っていきたいと思います。 まだまだ未熟者では有りますが、これからも応援の程よろしくお願いいたします。 また修正版が初見の読者の皆様は、どうか修正前のあとがきについて触れないようにして下さいますようお願いいたします。) PS:例のもう一つの作品に関しては、次回作のssの時に書きたいと思います。
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『ゆっくり釣らないでね!!!』 「ゆっくりしていってね!!!」 美しい森の中、ゆっくり達の声が響き渡る。 人里から遠く離れてはいるこの森は外敵が少なくて食料が豊富なゆっくりプレイスだった。 そんな安らげる場所で育ったゆっくり達もまた、非常にゆっくりとしていた。 そんなゆっくりの群れの中にいる子供のれいむもまた日々を平和に過ごしていた。 子れいむの家族はお母さんれいむと姉のまりさとれいむ、後は二匹の妹れいむの六匹家族。 とてもゆっくりしている仲良し家族だ。 「おかーさん! きょうはどこにいくのぉ?」 「ゆゆ、みんなのところにいこうね」 「ゆっっくりいこうね!!」 「みんなとあそびにいこうね!!」 「ゆっくちー!」 子れいむ達はいつも群れの皆が集まる広場へと遊びに向かった。 途中で同じ場所に向かう他の家族と合流しつつ広場に着くとすでにこの群れの大半のゆっくりがそこでゆっくりしていた。 友達とカケッコするもの、草を使って綱引きするもの、身を寄せ合ってうとうとするもの、合唱するもの。 どのゆっくりも自分がしたいように、自由にゆっくりとしていた。 「ゅー! れいみゅこっちであしょぼうよ!!」 「ゅーん! いまいきゅよ!!」 「ゆっくちあしょぼーね!!」 妹れいむ達は他の家族の赤ちゃんに誘われて遊びに行ったようだ。 お母さんれいむもそれに付いていった。 「まりさはあっちにいくね!!」 「れいむはともだちにあってくるね!!」 姉まりさは恋人のれいむに会いに行った。近いうちに一緒に住むらしい。 姉れいむも姉れいむで友達のグループに向かったようだ。 残った子れいむは今日は何してゆっくりしようかな、と考える。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆ? ゆっくりしていってね!!!」 考えてた子れいむに話しかけたのはよく一緒に遊ぶ友達の子ゆっくり達だった。 今日は友達とゆっくり遊ぼうと決めた子れいむは友達の輪に混じり、きゃいきゃいと遊び始めた。 とてもゆっくりとした時間。 どのゆっくりも幸せそうな笑顔を見せている。 子れいむもまた、そんなゆっくり達に囲まれて幸せを感じていた。 そして、世界はゆっくり出来る事で溢れていると信じていた。 そんな時に子れいむは人間と出会った。 「おぉー、結構いますね」 「ああ、こんな奥地まで来た甲斐があるってもんだ」 「どれも元気なゆっくりだな」 「それだけここが平和な場所なんでしょ。ゆっくりにとって」 「………」 みんなの広場に5人の人間が姿を現した。 どの人間も大小の籠をいくつも持っている。 「にんげんさんだー! ゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆっ? にんげんさん?」 「ゆーん! はじめてみたよ!! ゆっくりしていってね!!!」 こんな森の奥では人間に会うことなどまず無い。 しかし代々受け継いだ知識ゆえにこの動物が人間だとゆっくり達には理解出来ていた。 それでも初めて見る人間達に興味津々のゆっくり達は人間の周りに集まっていく。 子れいむも同じで人間の足元でピョンピョンと跳ね回る。 「にんげんさん! ゆっくりしていってね!! ゆっくりしていってね!!!」 「ここはゆっくりできるばしょだよ!! いっしょにゆっくりしようね!!」 「おいしいおはなさんもあるよ! いっしょうにたべようよ!!」 「随分と人懐っこいな…」 「しかし里近くのゆっくりとはやっぱ違うねぇ」 そう言って男は近くにいた子れいむの頭を撫でる。 大きくて暖かい手に撫でられるのはとっても気持ちよくて思わず、 「ゆゆーん……!」 なんてちょっと恥ずかしい声を出してしまった。 それを見た他のゆっくり達は羨ましがる。 「れいむいいなぁ…」 「まりさもにんげんさんとゆっくりしたいよー!」 「れいみゅもなでなでされたいよ!」 そんなゆっくり達に人間は優しく話しかける。 「それじゃあこっちにおいで。遊んであげるよ」 その言葉にゆっくり達はパーッと顔を輝かせた。 そして人間さんとゆっくりしようと人間の下に駆け寄る。 「一匹ずつ遊んでやるからな」 「ゆっくりあそんでいってね!!!」 人間たちは一匹ずつゆっくりを掴むと撫でるわけでもなく、籠へと投げ入れていった。 大きい成体ゆっくり、それより少し小さい子供ゆっくり、後は赤ちゃんゆっくりの3つに分けて別の籠に入れていく。 最初は「ゆーっ」などと喜んだゆっくりだったが、次々と仲間が籠に入ってきて窮屈になるとさすがに不満を挙げ始めた。 「にんげんさん、ここじゃゆっくりできないよ!!」 「そとでゆっくりあそびたいよ!!」 子れいむも籠に入れられ、子れいむの下には友達のまりさが苦しそうにしている。 上からは友達のれいむが圧し掛かってきて苦しい。 背中からは友達が押してくるので身動きが取れなかった。 目の前にある籠の僅かな隙間から外の様子を見ることが出来る。 仲間が、友達が、お母さんもみんな捕まっていく。 (にんげんさんはへんなあそびをするんだね。でも…) 「にんげんさん、くるしいよぉ…」 仲間が捕まっていくのは人間のそういう遊びだと思っている子れいむにとっては窮屈で苦しいことだけが問題だった。 しかし顔が籠の内壁に押し付けられてるのでくぐもった声で人間に呼びかけるが人間にその声は届かない。 人間はさっきまでの笑顔はどこへやら、無表情にゆっくりを籠へと放っていた。 でも逃げようとするゆっくりはいない。 なぜならゆっくり達はこれを遊びだと信じ、 さらには籠に入った仲間の苦しそうな声など聞こえていないのだから。 そうしてゆっくりの詰められた籠には蓋代わりに布を被され、紐で縛って固定された。 それからどこかで待機していたまた別の人間が現れて籠を運んでいく。 人間がこの広場に現れてから一時間。 たったそれだけの時間でこのゆっくりプレイスに住むゆっくりの群れはいなくなってしまった。 子れいむの入った籠も運ばれていく。 目の前の僅かな隙間から外の見れるれいむには分かってしまった。 自分達がおうちから、そして生活圏から離れてしまっていることに気が付いたのだ。 「ゅ、にんげんさん どこへいくの?? おうちからはなれてるよ??」 その子れいむの言葉に周りのゆっくり達は驚いた。 外の様子が見れないゆっくりは籠の揺れを「ゆれてるね~」程度にしか考えてなかった。 むしろゆっくり揺られるのが楽しくなってきた者すらいた。 だがおうちから離れていくと知れば楽しんでる場合ではない。 「にんげんさんどこいくの!? ゆっくりおしえてね!」 しかし人間は答えない。 「おねがい、へんじしてよぉ」 「いっしょにゆっくりしたいよ!」 「にんげんさんといっしょにゆっくりさせてよー」 純粋に人間さんとゆっくりしたいだけなのにどうして返事してくれないんだろう。 ゆっくり達は寂しくて、悲しかった。 そして何よりもおうちから離れていくことに不安を感じていた。 しばらくするとゆっくりの入った籠が森の外で待機していた馬車の荷台に積まれた。 籠の中のゆっくり達は人間と遊ぶことは諦め、それよりも窮屈な籠から出ておうちに帰りたがっていた。 「ゆー、にんげんさーん。もうおうちにかえるー」 「このなかはせまくてゆっくりできないよ! おそとにだしてね!!」 「おかーしゃんにあいちゃいよ! ゆっくちしちゃいよー!!」 だがその言葉は聞き届けられることはなく、ゆっくり達の旅は続いた。 草原を越え、 大きな河を越え、 山を越えた。 山を越えたところで日は沈んで辺りは闇に包まれた。 籠の中でのオシクラ饅頭にも慣れ、周りの仲間とボソボソと話していたゆっくりも、 何も見えない夜になると一匹、また一匹と眠りについた。 明日は人間さんにおうちへ帰してもらってゆっくりしよう。 一生あのゆっくりプレイスには戻れないことを知らない子れいむはすやすやと眠りはじめた。 子れいむが目を覚ますとそこは見知らぬ場所で、一見洞窟のようだった。 実際は洞窟ではなく建物の一室なのだが、野生を生きるゆっくりに知る由もなかった。 子れいむが籠の隙間から外を覗くと、他の籠に詰められたゆっくり達が一匹ずつ外に出してもらっていた。 窮屈な籠から解放されたゆっくり達は背伸びしたり跳ね回ったりして開放感を味わっていた。 子れいむも程なくして外に出された。 「だしてくれてありがとう!! ゆっくりしていってね!!!」 もちろん出してくれた人間さんにお礼を言うのを忘れない。 床に降ろされた子れいむはまずお母さんを探す。 少し見回せばすぐにお母さんは見つかり、まだ赤ちゃんの妹たちが甘えてくるのに身を任せていた。 ちなみに姉の二匹はほぼ大人なので恋人や友達と一緒にゆっくりしていた。 「ゆっ、おかーさんゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 たった一晩でもお母さんと離れ離れだったのが寂しかった子れいむはいつもより長めに頬を擦り合わせた。 「ゆーん…おかーさんゆっくりー」 「おもうぞんぶんゆっくりしてね!」 「おねーちゃんれいみゅともゆっくちー!!」 「いっしょにゆっくちしようね!!」 甘えさせてくれるお母さんと甘えてくる妹たちの温かみはとても心地よかった。 ずっとこうしていたいぐらいだった。 しかしそんな安らげる時間も人間の声に妨げられた。 「はーい、ちゅうもーく!!」 パンパンと手を叩きながら現れたその人間に部屋の中のゆっくり達は注目する。 その人間は部屋をぐるりと見回してゆっくり達が話を聞こうとするのを確認すると話し始めた。 「今日からみんなはここで住むことになりまーす」 「ゆ"っ!?」 「ど、どういうことなの!?」 「ゆっくりせつめいしてね!!」 どのゆっくりも驚きを隠せない。 いくら暢気で素直なゆっくりだとしても突然知らない土地に住むように言われて、 「うん、ゆっくりくらすね」だなんて一つ返事で了承するほど馬鹿じゃない。 「どういうことも何も君たちはここで住むのは決定済みなんだよね。 まー、ゆっくりしていきなよ」 全く理解できなかった。 子れいむは人間の言っていることの意味が分からないのでお母さんに聞いたが、お母さんも良く分からなかった。 ざわめくゆっくり達だったが、やがて一匹のまりさが人間に質問する。 「ここはゆっくりできるの??」 本当にここに住むとした時、ゆっくり達にとって最も重要な条件。ゆっくりがその有無を聞くのは当然である。 その質問に人間はにっこりと笑顔を作って答えた。 「ゆっくり出来ないよ」 部屋の中の時間が数秒止まった 「なんでゆっくりできないの!?」 「ゆっくりできないならおうちかえるぅー!!」 「れいむたちはゆっくりしたいよ! にんげんさんゆっくりさせてよぉ!!」 「ゆっくりもとのおうちにかえしてね!!」 ようやく人間の言葉を理解したゆっくり達は一斉に騒ぎ始めた。 しかし人間はそんなゆっくり達を無視して次の言葉をつむぐ。 「まあ待て。 そんな君達にここでもゆっくり出来る方法を教えてあげよう」 「ゆ? ゆっくりできるの!?」 「ゆっくりしたいよ!! にんげんさん、ゆっくりおしえてね!!」 ゆっくり出来る、と聞いた途端にゆっくり達は目の色を変えた。 そして騒ぎ立てずに人間の次の言葉を待つ。 「これを見ろ」 人間は壁に立てかけてあった棒を持ち出した。 その棒には細い糸と、その糸の先に針が付いている。 「これは釣竿といってな。 まあ細かい説明はいいとしてこうやって使うものなんだ。ほれっ」 「ゆっ? ゆぎぃぃぃぃぃっ!??」 人間の持つ棒、釣竿の先から垂れる糸のさらに先にある針が近くに居たまりさの頬に刺さった。 そして人間が棒を持ち上げると、まりさも一緒に上がって宙ぶらりになる。 「いだひ、いだひよぉ!!」 「ゆっくりやめてあげてね! まりさいたがってるよ!!」 「もしかしてゆっくりできないにんげんさんなの!?」 「ゆっくりできないのはやだよ! いっしょにゆっくりしようよー!!」 仲間の痛がる様子を見て人間にやめてあげてと抗議する。 人間は釣り上げたまりさを胸元まで寄せると釣り針を抜き取り、床に戻してやった。 「ゆぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆっくりだいじょうぶだった??」 「いたいのゆっくりとんでいってね!!」 床に降ろされたまりさは泣きながら家族のところまで逃げていった。 「なんでこんなことするの!?」 「ゆっくりしようよ!!」 まりさを庇うように人間の前に立ったゆっくりは頬を膨らませて威嚇する。 「見てのとおりこの釣竿、というかこの釣り針に触るとゆっくり出来なくなるんだ。 この先の生活ではこういった釣り針なんかに気をつけなきゃいけない。 それを教えたかっただけだよ。分かったか?」 「ゆ、ゆう…でもまりさはいたがってたよ。ゆっくりあやまってあげてね!」 「ああ、悪かった。 だけど危ないものは覚えないとゆっくり出来なくなるからな?」 「ゆぅ、わかったよ。でもつぎはいたいのやめてね!」 「出来るだけ、な」 それから子れいむ達はゆっくりするために気を付けることをその人間から学んだ。 釣り針は危険ということ。 糸の付いた食べ物や仲間に似せた人形も危ないこと。 そしてそれらは自分達を追ってきて、捕まったらゆっくり出来なくなること。 色んな危ないものを実演込みで一通り教えてもらったところでゆっくり達は場所を移された。 移された場所は高い崖に囲まれたような場所で、崖の上には何人かの人間が釣竿を持って座っていた。 さっきまでアレの危険について教えられた子れいむは思わず身を強張らせた。 「ほら、まだ大丈夫だから入った入った!」 それでも人間が急かすので子れいむはその壁に囲まれた中をお母さんに身を寄せながら進んでいく。 「よし全員入ったな。それじゃあゆっくりしていってね」 人間は唯一の出入り口を閉めた。 この中に残されたのはゆっくり達だけになった。 そして同時にこの釣堀での釣りが解禁された。 四方から飛んでくる釣り針やルアー。 それはどれもゆっくり達を狙って飛んできていた。 「ゆべっ!?」 「い"、い"だぁい"い"ぃ"ぃ"ぃ"!!!」 「いや"あ"あ"あ"あ"!!!」 群れの仲間同士で集まっていたので狙われたゆっくりは動くことも出来ずに釣られてしまった。 そしてその中には子れいむの姉のれいむの姿もあった。 「れいむおねーちゃん!!!」 「ゆっくりのぼっていかないでね! そっちはゆっくりできないよぉぉ!!!」 釣られたらゆっくり出来ないこと、食べられてしまうことは教えられたので知っている。 なので子れいむは泣きながら釣り上げられていく姉れいむを追いかけた。 もちろん追いつけない。 「おかーさん!! まりさぁ!! れいむっ…!! おちびー!!!」 姉れいむは釣り上げられる中、家族のことをただ呼び続けた。 他の言葉なんて出てこなかった。愛する家族と離れたくない一心で家族のことを叫び続けたのだ。 だが… 「おお、天然物はやっぱ美味そうだな」 「おがーざー…っ! あぎゅびぇっ……」 釣り上げられた姉れいむは釣った人間によって釣り針から外され、即座に噛み付かれて顔の右半分を失った。 「ゆびっ、びゅぼっ、ぎょっ」 姉れいむの残った左半身は聞くに堪えない奇声を発するだけ。左目は白目を剥いてしまっている。 「あ"あ"あ"あ"あ"あ"……」 子れいむはそれ以上左だけになった姉を見てられずに目を逸らした。 しかしすぐに姉の残りもその人間に食われて姿を消した。 子れいむは姉れいむの元気だった姿を思い出して泣いていた。 だがそんな泣いてる暇すらこの場所では与えられなかった。 「れいむあぶないよ!! こっちににげようね!!」 「ゆ、ゆゆー…」 お母さんの声に子れいむはついていく。 子れいむが跳ねて移動したと同時にその背中を釣り針が通過した。 動くのが少しでも遅れれば自分も姉と同じ運命を辿ったことだろう。 子れいむは生きた心地がしなかった。 「ゆぇーん! きょわいよぉぉ!!」 「ゆっくちしちゃいよぉぉ!!!」 お母さんの頭に乗った妹れいむ達は泣き喚いていたが、今はあやす暇も気力もなかった。 釣堀の中でゆっくりの群れはバラバラに逃げ回る。 しかしいくつもの釣り針が右へ左へ揺れて次々と仲間を引っかける。 子れいむの友達も、その友達のお母さんもどんどん釣り上げられていく。 辺りは悲鳴で溢れていた。 昨日までのようなゆっくりとした楽しげな声は聞こえない。 自分を庇ったお母さんを目の前で食べられる子ゆっくり。 赤ちゃんの口から上を釣り針に攫われた母ゆっくり。 恋人を釣り上げられ、ゆっくりと食される様を見せ付けられたゆっくり。 そんな絶望と悲愴に満ちた声が子れいむの耳を犯す。 「いやだよやだよやだよやだよおぉぉぉぉ!!!」 子れいむはもう何も見たくないし何も聞きたくなかった。 しかし死にたくないという欲求は強く、子れいむの体を動かし続けた。 泣きながら走る子れいむの前にはまだ頼れるお母さんがいる。 お母さんの大きな背中が子れいむの心の支えになり、子れいむを幾分落ち着かせた。 それに妹だって姉である自分が守らないといけない。 守らないといけなかった。 「お、おかーさん…れいむは? おちびちゃんは…?」 「…ゆ?? あ、あたまのうえにいるでしょ? いるよね??」 妹れいむ達がいた筈のお母さんの頭の上には何もいなかった。 頭の軽さに気付いたお母さんはゆっくりとこちらに振り向いた。 そして何かを見つけたらしいお母さんは体を小刻みに震わせ、歯をガチガチと鳴らし、涙を流した。 子れいむは嫌な予感がしながらも振り向く。 振り向いた先には逃げ惑うゆっくり達。 そして妹のリボンが乗っかった餡子の飛沫が二つあった。 「れいむ! れいむー!!!」 「あ、ああ"、あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」 お母さんは妹達の名を叫んで駆け寄っていく。 子れいむは呆然とするだけだった。 いつの間にお母さんの頭から落ちていたのか。 お母さんの後ろにいた自分がすぐに気づかなきゃいけなかったのに…! それはほんの一分ほど前のことだった。 母れいむの頭の上で髪の毛を咥えていた妹れいむ達は周りの恐ろしい光景に悲鳴をあげ、その拍子に母から転げ落ちた。 その時子れいむは気が動転した状態だったので気付かなかったのだ。 そして転げ落ちた妹れいむ達は母のことを必死に叫んだ。 しかし悲鳴で満たされたこの釣堀の中で赤ちゃんの小さな声は誰にも届かず、間もなくして他のゆっくりによって潰されてしまった。 残されたのは潰れた妹の体とリボン。 もう舌足らずだけど元気な声で話しかけてくることも、甘えてくることもない。 「ごふぇ、ごめんなざいぃ!!」 「ごめんね! ごめんねぇぇぇ!!!」 子れいむもお母さんも妹れいむが死んだのは自分のせいだと思い、妹れいむの死骸に泣きながら謝った。 悠長に謝ってる状況でもないのだが、家族を立て続けに失った悲しみは二匹の正常な判断を失わせていた。 「おかーさん! れいむ! にげないとゆっくりできないよ!!」 そんな二匹を我に返らせたのが子れいむの姉であるまりさだった。 今まで恋人のれいむと共に行動していたまりさだったが、呆然としている二匹を見て近づいて来たのだった。 「ま、まりさ! ぶじだったんだね!!」 「まりさおねーちゃん! ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!! とまってたらあぶないからにげようね!!」 「ゆっくりわかったよ!!」 まりさの言葉に元気を取り戻した子れいむ達はまりさと一緒に駆けていく。 まりさの恋人れいむもすぐに合流して四匹一緒に逃げ回る。 だが他のゆっくり達がバラバラに逃げ回る中、固まって逃げる子れいむ達はどうしても人間の目を引いてしまう。 「ゆっ? ゆっくりねらわれてるよ!!」 最初に気付いたのは恋人れいむだった。 子れいむ達もそこで飛んでくる釣り針やルアーが増えていることに気が付いた。 普段使わない五感をフルに使って避け続けるゆっくり達。実際はただ走っているだけで人間が勝手に外しているだけだったりする。 しかしそれでもこのままではいずれ誰かが犠牲になるだろう。 それを感じ取ったまりさは恋人のれいむに自然と話しかけていた。 「れ、れいむ…」 「どうしたのまりさ?」 「おうちにかえったら、ゆっくりできるようになったら…いっしょにくらそうね!!」 「ゆ、ゆん! やくそくだよまりさ!!」 危機的状況だからこそ幸せな未来を思い浮かべ、一組のカップルは将来を約束した。 しかし、その約束は一瞬でかき消された。 「ゆ、ゆうううぅぅぅ!!!」 「まり…さ…?」 「おねーちゃん!!」 恋人れいむの返事で気を抜いたまりさの右頬にありす型ルアーの針が容赦なく突き刺さり、まりさを連れ去っていく。 「まりさぁー!!! ゆっくりまってよ! ゆっくりまっていってよー!!」 愛するまりさ、将来を約束したまりさを追いかける恋人れいむ。 「ゆっく"りどまっでね! れいぶぎぢゃだめ"ぇ!!」 「い"、いだいぃぃぃ!?」 恋人れいむはまりさを追うことだけを考え、目の前の釣り針が見えていなかった。 そしてまりさの忠告が届く前に恋人れいむの左目は長く太い針に貫かれていた。 二匹はもう決して言葉を交わすことも体を合わせることもない。 それでも二匹はお互いに離れていく恋人の姿をずっと見つめ合っていた。 それは最後の最後まで。 恋人が食べられて崩れていくのを自分も食べられながら見つめていた。 そして夕方。 ゆっくり達には分からないことだが、閉店時間になったおかげで人間の姿はいなくなっていた。 あれからも逃げ続けた子れいむ達は疲れ果てて床にへたり込んでいた。 「なんでゆっくりできないの…!」 「ゆっくりじだいよ! もうおうぢがえる…!!」 子れいむの家族で生き残ったのはお母さんと子れいむの二匹だけ。 周りのゆっくり達も同じように家族を奪われ、恋人を奪われ、親友を奪われていた。 最初は逃げ回るのには窮屈だったこの釣り堀の中も今は随分と広く感じられた。 「おー、二十匹ってとこか。思ったより残ったな」 人間が食べ物をばら撒くために釣り堀の上に姿を見せた。 その人間に対してゆっくり達は懇願する。 「にんげんさぁん! もうれいむたちをおうちにかえして!!」 「ここじゃゆっくりできないよ!!」 「だしてよー! ここからゆっくりだしてよー!」 「ほぉ。まだ元気に叫ぶ力があるのか。 ま、明日もがんばれよ」 ゆっくり達がどんなにお願いしてもその人間は聞いてくれなかった。 あくまで仕事として食べ物を撒いてくれるだけだった。 「むーしゃ、むーしゃ。ゆっくりおいしいね」 「うん、ゆっくりできるね」 人間のくれた食べ物はとても美味しかった。 でもどんなに美味しい食べ物もゆっくり達の悲しみを癒すことなんて出来ない。 なので「しあわせー!」なんて叫ぶゆっくりはこの中にいなかった。 やがて日が暮れて真っ暗になるとゆっくり達は就寝する。 少なくなった群れの仲間たちは一か所に集まって身を寄せ合うようにして眠りにつく。 寝る前に仲間たちと、 「おきたらおうちにもどってるかな」 「だったらゆっくりできるね!」 「きょうのはぜんぶゆめだったんだよ!!」 「それはゆっくりできるね!!!」 なんてゆっくり出来る妄想を語り合った。 しかしゆっくり達の妄想は妄想でしかなく、 翌日もその次の日も高い壁に囲まれた中で釣り針から逃げ回る日々を過ごすことになった。 日ごとに避ける技術や体力の温存方法を学んだ子れいむ達は五日経ってもまだ釣られずに済んでいた。 「きょうこそゆっくりしようね!!」 「ゆっくりしようね!!」 いつかはゆっくり出来る日が来ると、子れいむ達はまだ希望を捨てずにいた。 最近は壁の上の釣竿を持った人間が少なくなり、最初に比べてかなりゆっくり出来るようになった。 さらに母と並んで壁を背にする陣形。これが子れいむ達を生き長らえさせた。 壁を背にすれば気を付けるのはほとんど見える範囲だけで済む。 それでも足りない部分はお母さんと二匹でカバーしあえば問題は無かった。 子れいむが壁の上の人間達の様子を見ていると、一人の男が現れた。 釣竿の準備を始めたその男が最初に誰を狙うのか注視する。 準備の終わったらしい男はこちらを真っ直ぐに見て釣竿を構えていた。 狙っているのは間違いなく子れいむ、自分自身だ。 子れいむはすぐに動けるよう身構え、男の僅かな動きをも見逃さぬように男を凝視する。 そして男の腕が動く。 「ゆっ!? れいむあぶないよ!!」 「ゆっくりよけるよ!!」 お母さんも自分の娘が狙われていることに気付いていた。 男が釣竿を持つ手を動かすと同時に子れいむに危機を知らせた。 子れいむも警告を聞くまでも無く、すでに動き始めていた。 子れいむは一跳びで回避して振り返ると、赤ちゃんれいむが通り過ぎた。 いや、あれはルアーだ。赤ちゃんれいむに似せた命ない人形。 さすがのゆっくりでも一目で偽者と分かる。 そりゃそうだ。あんな大きな釣り針を二つも付けた赤ちゃんなんているわけが無いのだから。 そんなふざけたルアーだが、地面すれすれを低空飛行して子れいむに向かってきた。 「ゆっくりしてね! おいかけないでね!!」 子れいむは捕まらぬように右、左、右、左とジグザグに跳ねる。 こうすればたいていの人間は諦める。 だがあの男は諦めなかった。 10分経っても、20分経っても子れいむを追い続けた。 30分も追われながら動き続けた子れいむは疲れ、動きが鈍くなっていた。 「ゆ、ゆぅ…っ、ゆぅ…! どうじで、れいむばっかりねらうのぉ!?」 「にんげんさん! れいむをねらうなられいむをねらってね!!」 お母さんは子れいむを狙う人間に自分を狙えと頼むが、それでも子れいむを執拗に追い続ける。 そしてとうとう子れいむは床にへたり込んでしまった。 恐らくあの男は体力が尽きて動けなくなるこの時を待っていたのだろう。 『すりすりちようね!』 偽赤ちゃんれいむの体内からそんな声が聞こえた。 大きな釣り針が子れいむの目の前まで迫る。 子れいむはギュッと瞼を閉じる。 「ゆっくりごめんね!!」 「ゆ"っ!?」 だが、次の瞬間子れいむは吹き飛ばされた。 目を見開くとそこには子れいむを庇い、代わりに釣り上げられるお母さんの姿があった。 「ゆぅ"ぅ"ーん"っ!! おがーざん!!!」 子れいむは連れ去られるお母さんを追いかけたい。 追いかけたいのに疲れ果てた体は動いてくれなかった。 「れいむっ…れいむ…っ!! ゆっくりしてね!! ゆっくりしていってね!!!」 お母さんは釣り上げられながら子れいむのゆっくりを願ってそう叫び続けた。 子れいむは涙を流しながらお母さんの最後になるであろう言葉に耳を傾けていた。 それが動けない子れいむがしてあげられる唯一最後の親孝行だった。 「おがぁざん、ゆっぐい"じでい"っでね"ぇ"…ゆっぐりぃぃ……」 お母さんの姿が見えなくなると子れいむは途端に寂しくなって大泣きし始めた。 もう家族はいない。頼れる存在もいない。 そして群れの仲間たちは逃げるのに必死で、泣き喚く子れいむに構おうとするものはいなかった。 しかしそんな中、子れいむに声をかけるものがいた。 『すりすりちようね!!』 どこかで聞いた声だった。 赤ちゃんのような舌足らずな発音でどこか無機質に感じられる声。 子れいむが振り向いた先には、大きな針をぶら下げた作り物が笑顔を浮かべて甘えてきていた。 「ゆ"う"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"っ!?」 頬に大きな針が深く突き刺さる。 赤ちゃんゆっくり型ルアーの言うところのスリスリとはこういうことだ。 かえしの付いた釣り針は一度刺さると中々抜けるものではなく、いくら子れいむが力んでも悲鳴を上げても針は外れない。 どんどんと体は地面から離れ、恐ろしい人間の下へと引っ張られていく。 「やだよ! ゆっぐりでぎないよ"!! ゆっぐりざぜでぇ"っ!!」 子れいむは姉や仲間たちの無惨な死に様を思い出し、必死に人間の手から逃げようともがく。 だが手も足も無い生物がどう足掻いたところで体をくねらす程度にしかならなかった。 大した抵抗も出来ないまま子れいむは大きいバスケットに押し込まれて閉じ込められた。 「ゆぅーん"っ!! だじでー!! ゆっぐりじだいよ"ぉ"!!」 「れ、れいむ…?」 「……ゆ?」 バスケットにはもう一匹ゆっくりがいた。 産まれた時から何度も聞いたその声は間違えるはずも無い。 お母さんだった。 「お"、お"が…おがぁざん………!!」 「れいむ…っ!!」 死んだと思っていたお母さんとの再会に、子れいむは涙をボロボロ流しながら母に体を押し付けた。 二度と感じられないと思っていた母の温もりが子れいむの傷ついた心を癒した。 お母さんも子れいむと同じように泣きじゃくっていた。 「よし、そろそろ行くかぁ」 バスケットの外から人間の声が聞こえる。どこかに行くらしい。 子れいむはまた怖いところに行くのかと不安に思い、母に「どうしよう」と問いかけた。 すると母れいむはゆっくりとした笑顔でこう答えた。 「このにんげんさんはとってもゆっくりできるよ! これからにんげんさんのおうちにしょうたいしてもらえるんだよ!!」 「ゆゅっ! そうなの!?」 「ゆ、そうだよ! これからはゆっくりできるんだよ!!」 「ゆゅーっ!!」 子れいむは素直に喜んだ。 他の家族や群れの仲間をほとんど失ったが、その分もゆっくりしよう。 彼女の頭はゆっくり出来る方向に関しては切替が早かった。 「しんじゃったみんなのぶんもゆっくりしようね!!」 「うん! にんげんさんとさんにんでゆっくりしようね!!」 人間が運ぶバスケットの中、子れいむとその母は釣堀という地獄から開放された幸せに浸っていた。 幸せすぎて何度もヘブン状態と叫んでしまったほどだ。 「着いたぞ。今日からここがお前たちのゆっくりプレイスだ」 バスケットの中で揺られること約一時間。 心地よい揺れにウトウト眠りかけていたところでバスケットから出された。 横には壁、上は天井、下は絨毯。そして子れいむの興味をそそる多くの見たことが無い物が揃っている。 ここは人間のおうちの部屋だった。 そして部屋の中心には初めて見るゆっくりがいた。 水色の髪、淡い桃色の帽子、そして羽を生やしたゆっくりだった。 ニコニコと嬉しそうな笑顔を振りまくそのゆっくりは羽を使って宙を浮いていた。 「うー! うー!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「れいむとれいむはおやこだよ! ゆっくりしようね!!」 本当は親愛を示すために頬を擦り合わせたかったが、 そのゆっくりはれいむ達の上を飛んで旋回していたので届かなかった。 「ゆっ! おなまえはなんていうの?」 「ゆっくりおしえてね!!」 「れみりゃ、うー!!」 そのゆっくりはれみりゃと言うらしい。 子れいむはこの空を飛べるれみりゃが羨ましく、同時にお友達になりたいと思った。 お母さんもきっと同じ気持ちだろう。 「それじゃ、れみりゃの遊び相手になってくれ」 「ゆっくりわかったよ!!」 「ゆっ、でもおにーさんはどこにいくの? いっしょにゆっくりしたいよ!!」 「いっしょにゆっくりあそぼうよ!!」 「ま、食事の時にまた来るよ」 そう言うと人間は部屋を出て扉を閉めていった。 部屋に残されたのはれみりゃとれいむ親子の三匹だけになった。 子れいむはれみりゃと遊びたかったのですぐに声をかける。 「れみりゃ! いっしょにゆっくりしようよ!!」 「うー!!」 子れいむの言葉にれみりゃは嬉しそうに近づいてくる。 そんなれみりゃに親愛のスリスリをしようとする子れいむ。 だがスリスリしようとした子れいむの頬。 プニプニした頬にれみりゃの牙が突き立てられた。 「ゆぎぃっ!! い"だっ! い"だい"よ"…!! ゆっくりやめてね!! い"だい"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!」 「うー! うー!!」 外的の少ないゆっくりプレイスで生まれ育ったれいむ親子はれみりゃを知らなかった。 れみりゃはれいむ種やまりさ種を大好物とする捕食者。 そのれみりゃの中でも最も素早い体無しが目の前にいるのだ。 知識のあるゆっくりであればこの部屋に連れて来られた時点で間違えなく怯えて部屋の隅に逃げる。 れみりゃを知らない子れいむはそんな相手と友達になろうとしたのだ。 そしてその結果が今である。 「ゆ"う"ぅ"ぅ"!! ぐりゅじぃよ"!! がらだがおがじい"よ"……!!」 子れいむはれみりゃによって体の中身を吸い上げられていた。 言わば内蔵と脳の合わさったものを無理矢理引きずり出されるような感覚。 嘔吐しそうな苦しみと全身に響く痛み。 そして圧倒的な喪失感が子れいむを襲う。 お母さんは突然のことにしばらく固まっていた。 無害そうなあのれみりゃが娘を攻撃するだなんて夢にも思ってなかったのだ。 だからこそ目の前の光景が信じられなかった。 しかし娘の悲鳴が目の前の光景が真実だと教えてくれた。 娘がれみりゃに食べられようとしている…! 「やめてね! れいむからはなれてね!!」 お母さんはれみりゃに体当たりしようと身構えた。 が、それより前にれみりゃは子れいむから口を放していた。 「ゆ"、ゆ"、ゆ"ぐ…ゆ"ぐ、り"」 子れいむは死ぬほどではないが餡子を抜き取られた痛みに痙攣していた。 お母さんはすぐに娘の下へ駆け寄ろうとする。 「うー!」 「あ"あ"あ"あ"あ"!! やめでね! ゆっぐりじでね!!」 れみりゃはそんなお母さんれいむに噛み付いた。 そして子れいむと同じように中身を吸い上げていった。 母れいむはその苦しみに娘と同じように悶絶し、悲痛な叫びを上げた。 それからしばらくして、母れいむはれみりゃから解放された。 今は娘と仲良く並んで痙攣していた。 釣り針から逃げる生活から解放されたと思えば、今度は捕食者から逃げる生活だった。 前と違うのは捕まっても死ぬことはない、いや殺されないところだった。 れみりゃはれいむ達をあくまで玩具として扱っていた。 だから死ぬまでは中身を吸わない。 時には噛み付かずにれいむ達を追いかけて、必死に逃げて怯える姿を見て楽しんでいた。 釣り堀から助けてくれた人間はここでは常にれみりゃの味方だった。 れいむ達がれみりゃの玩具だから傷を治してくれるし食べ物もくれる。ただそれだけ。 子れいむは何で自分達がこうなったのか分からなかった。 平和な森の中で家族と、群れの仲間と仲良く暮らしていただけなのに。 あの森は悪意のない世界だった。 世界のすべては善意、つまりゆっくりで出来ているはずだった。 人間がそれを壊し、子れいむ達を悪意の世界へと連れ出した。 釣られた仲間は食べられ、目の前のれみりゃは自分たちを食べる。 子れいむが分かったのは自分たちが食べられる存在であるということだけ。 何故ゆっくり出来ないのか。 誰かのせいにすることなんて思い付かない子れいむのゆっくりした頭ではその理由が思い当たるわけもなかった。 そして今日もれみりゃの遊び相手にされる。 一緒にゆっくりすることはない。一方的に相手が子れいむとお母さんを傷つける。 この部屋でゆっくり出来るのはれみりゃだけ。 「いっじょに、ゆっぐりじようよ"…」 「うー!!」 返事は牙で返された。 子れいむは餡子を吸われながらお母さんを見る。 お母さんはここ数日は子れいむの言葉にもほとんど反応しなくなっていた。 たまに独り言をブツブツ言っている。起きながら夢をみているようでもあった。 もうお母さんは、そして自分も二度とゆっくり出来ないのかも知れない。 子れいむは餡子を吸われ、朦朧とする意識の中で漠然とそう感じ取っていた。 終 by 赤福(ゆっくりしたい人) このSSに感想を付ける
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・・・ほんの少しだけ『ゆっくりいじめ系2560 分からないだらけのゆん生』とリンクしていますが、読まなくても支障はありません。 ゆっくりの生態・・・現在最も注目されている割にゆっくりの生態は意外と知られていない。当然だ。 突如として出現したため資料も何も存在せず、研究者たちも頭を抱えているのだ。一般人が知っているはずが無い。 だが最近になってゆっくりは人間と深く関わるようになった。ペットとして売り始めた店が出現したり、ゆっくりに 関連した本が沢山発行されたり・・・。都市部に入り込んで生活するゆっくりが出てきたり、畑を荒らしたり家に侵入したり・・・。 第1印象が最悪なせいか、現在野良ゆっくりは害獣としての認識が強まっており、対ゆっくり用の防犯グッズも飛ぶように売れた。 多くの人がゆっくりは人間の敵だと唱えているが、ちょっと待って欲しい。この世に無意味なものなど存在しないのだ。 そう提唱したのは『研究鬼異惨』と呼ばれている1人の科学者だ。彼はゆっくりを人間のために役立てる方法を日夜研究している。 彼はゆっくりの研究に多大な功績を残しただけで無く、優秀なペット用ゆっくりを生みだす工場も複数所有している。 特にちぇん種が飛ぶように売れているらしく、そのおかげで研究資金に困らないという訳だ。彼は商売の才能もあったらしい。 鬼異惨はたまに中学校などに出向きゆっくりについて学生に語ったりする仕事もしている。鬼異惨は丁寧に説明した・・・。 「いいですか。ゆっくりを見ると即叩き潰したいと思う人間もいるようですが、それは非常に勿体無いのです。ゆっくりのことを、 私は神が人間に与えた最後のチャンス、地球で生きるための希望だと考えています。科学者が神を信じてるのはおかしいかも しれませんが、あんな饅頭がしゃべって動いているのですから神様ぐらい本当にいるかもしれません。」 生徒達は笑いに包まれる。中学生ぐらいの子供はどんな些細なことでも笑いたい年頃なのだ。 「実は近所の教会で神父さんに話を聞いたところ、神父さんはゆっくりは神が人間を戒めるために生んだものだと言っていました。 確かにゆっくりは欲望に忠実で自分さえ良ければそれでいいという精神を持っています。人間の悪い内面にそっくりじゃないですか。 私は神父さんの仮説に心を打たれましたね。神が関わっているかは別として、ゆっくりはやはり人間のために役立てるべきだと思いました。 ゆっくりは数々のやっかいな性質を持っていますが、上手く利用すれば必ず人間の利益に成り得るのです。 例えば食ったものを自らの中身と同じ物体に変化させる性質は、適当に生ゴミを食わせれば手軽に餡子などを量産できるということです。 他にも実に様々な・・・。」 鬼異惨の話に誰もが夢中になった。ゆっくりがこんなに役立つナマモノとは思っていなかったからだ。 実際鬼異惨の言う通り、人々は次第にゆっくりの活用法を見つけ、実践していった。例えば・・・ 例1・・・某公園にて・・・ 「ゆ!?おにーさんはゆっくりできるひと!?ゆっくりできるならあかちゃんをみせてあげてもいいよ!!」 「HAHAHA~!私はとてもゆっくりできるお兄さんさ!!何故ならホームレスだからなぁ~!!!」 「よくわからないけどゆっくりできるならあかちゃんをみせてあげるね!ついでにあかちゃんにあまあまをあげてね!!!」 「あかちゃん、でてくるんだぜ!このおにーさんがあまあまくれるんだぜ!!」 ポピュラーなれいむとまりさの家族に話しかけているのは派遣切りのせいでホームレスとなったお兄さんだ。 何の根拠も無くお兄さんを信用したまりさはあっさりと赤ちゃんを前に出した。 「ゆっきゅちしちぇいっちぇね!!!」 「ゆゆ~・・・。おにーしゃんはにんげんしゃん?ゆっきゅちしちぇいっちぇね!!!」 赤ゆたちは人間と話せたのが嬉しかったのだろう。ピョンピョン跳ねながらお兄さんに擦り寄って来る。 お兄さんはにっこり微笑むと赤ゆたちを手に乗せ持ち上げる。 「計2匹か・・・。まあ腹の足しにはなるかな・・・。」 「ゆゆ~♪おしょらをとんじぇるみちゃい!!」 「ゆっゆっゆっきゅちしちぇるよ~♪」 お兄さんは水道水で軽く赤ゆを洗い、きゃっきゃとはしゃぐ赤ゆたちを・・・! 「む~しゃむ~しゃ、幸せ~♪・・・なんつって、むしゃむしゃ・・・。」 「ぴっゆびゃびっ!」 「いじゃぷちゅっぴゃ・・・っ!」 食べた。もちろん良く噛んで味わいながら・・・。親ゆっくりは10秒ぐらい思考停止をしていたが、間も無く事態に気付き絶叫した。 「ばりざの・・・!ばりざとでいぶのあいのげっじょうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!!!」 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!!!?」 「いや、空腹でつい・・・ね。さ~て、成体は不味いし別の赤ゆを探そうっと!HAHAHAHA~!!!!」 このように明日の食事にも困る者たちにとってゆっくりはまさに救いの女神だった。手軽に甘味が手に入るのだから・・・。 ちなみに親のれいむとまりさはこの後1時間近く泣き叫び続け、騒音騒ぎで保健所の人に連行されてしまった・・・。 例2・・・雪山にて・・・ 「まさかこんな吹雪になるなんて・・・!」 今お兄さんは雪山で猛吹雪に襲われ洞窟に避難していた。もうずっとこんな調子だ。食料もだいぶ減ってきた・・・。 「これを持ってきていて正解だったな・・・。できれば控えたかったが・・・。背に腹は代えられん・・・。」 お兄さんはバッグから大きいケースを取り出し、そっと開いた・・・。中には子れみりゃ(胴付き)が入っていた。 「うぁ~!せまかったどぉ~!!おにいさんひどいどぉ~!!でもれみりゃはかんだいだからとくべつにぷっでぃんで・・・!」 「五月蝿いぞ非常食。バクッハフハフ・・・!!」 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?」 お兄さんはれみりゃの小さい体を掴み上げ、下半身を引き千切って口に運んだ。美味い・・・。ホカホカしてて寒さを軽減してくれる。 「うがっうげへぇ・・・っ!!」 「ごくろう非常食。また頼むな。」 お兄さんはれみりゃ治療用のオレンジジュース凝縮錠剤を飲ませ、再びケースを閉めた。防音なのでれみりゃの悲鳴は聞こえない。 今登山家たちの間でゆっくりが大人気だ。携帯食料や非常食としてだが・・・。 少し齧って治療してまた食べる・・・。こうして何度でも使いまわせるのが魅力だ。特に雪山に行く人にれみりゃは人気が高かった。 ちなみにこのお兄さんは5日間れみりゃを生かさず殺さずで上手く食べ続け、1週間後たまたま通りかかった人に発見され助かった。 余談だが・・・救助されたときれみりゃはそこにいなかった・・・。結局食欲に負けて6日目に全部食べてしまったらしい。 例3・・・外交にて・・・ ゆっくりは何故かこの国でしか発見されてない存在であったが、世界中がゆっくりに興味を抱き、求めていた。 発展途上国に輸出されたゆっくりは飢餓に苦しむ多くの人々を救った。何せ2匹いればあっという間に美味しい赤ゆを作れるのだがら・・・。 だが何故か同じ種族同士ではすっきりしてくれなかったらしい。れいむ種にれいむ種を近づけてもすっきりはせず、 発情させてもすっきりせず涎を撒き散らすだけだったという。学者は同種族がすっきりするということは、 人間で例えれば同じ性別の者と交わるのと同じ感覚なのでは仮説を立てた。ゆっくりには性別など基本ないが、 その説なら何となく納得はできる。極稀に同種族での家族がいるらしいが、そういうゆっくりは人間でいうガチホモなのだろう。 また、先進国でもゆっくりはブームになった。ヘルシーで適度な甘さの餡子を出してくれるれいむやまりさは特に歓迎された。 おそらく和風の甘味が手軽に手に入って嬉しいのだろう。ゆっくり牧場なんてのもできる始末だ。ゆっくりに同情せざるを得ない。 他にもストレス解消用ゆっくり、ゆっくりを改造して作ったおもちゃ、爆弾を埋め込んで敵陣に侵入させるボムゆっくりなど・・・。 ゆっくりは徹底的に利用された。生ゴミ処理用コンポスト専用のゆっくりも発売された。倫理的にやばそうだが何故か問題になってはいない。 研究鬼異惨もゆっくりの新しい活用法を見つけるため日夜努力している。その証拠に、研究鬼異惨の趣味で作った畑では・・・。 「ゆぎぃぃぃぃっ!もうおうちかえるぅぅぅぅぅっ!!!」 「ざっそうさんじゃなくてやさいさんがたべたいよ・・・。」 「ゆっ!?そんなこといっちゃだめだよ!もしおにいさんにバレたら・・・!!」 「バレたら・・・何だって言うんだ・・・?」 鬼異惨の畑は全てゆっくりに仕事させている。鬼異惨がやることと言えば、ゆっくりの監視、ルールを破ったりサボったりしたゆっくりの処刑ぐらいだ。 「今文句言った奴は・・・56番と71番か・・・。」 「ゆぎぃぃぃぃっ!やべでねっ!!もうもんぐいいばぜんがらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 「ゆるじでくだざいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!まじめにやりばずがらぁぁぁぁぁぁ!!!!」 畑のゆっくりには全て番号が付けられている。背中(?)に直接焼印でだ。鬼異惨はリモコンを取り出し、番号を入力する。 「スイッチオン!きひひひっ!!!!」 ちなみにこの笑い方は嬉しさがマックスになった時自然と出てしまう鬼異惨のクセだ。命乞いするゆっくりを見てつい笑ってしまった。 スイッチを押すと、ゆっくりの頭の上部分に着けられている装置が作動し、入力した番号のゆっくりだけ絶叫し始めた。 「ゆがががががががぁぁぁぁぁぁぁ!!!!いぢゃいっいぢゃいよぉぉぉぉぉぉぉっゆぎゃひっゆがぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「ぼうやべっゆべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!・・・ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛・・・。」 「皆分かったね!サボリ魔や文句を言うゆっくりはこうして苦しんで死ぬんだよ!しっかり仕事してね!!!」 「ぶるぶる・・・ゆぅぅぅ・・・。」 「ゆっくりりかいしたよ・・・。」 この装置、中に鋭く細い針が仕込まれており、スイッチを押すと針が伸びてゆっくりの脳天に突き刺さるようになっている。 じわじわと針は体内に侵入し、最終的にはゆっくりの命の源である中枢餡に刺さり、そのゆっくりを死に至らせる。 この装置のおかげで大半のゆっくりは真面目に働く。だが鬼異惨の場合畑などオマケに過ぎないのだが・・・。 「さて、ゆっくりの断末魔を聞いて疲れもすっ飛んだし・・・研究の続きしなくちゃ・・・。」 ゆっくりをどう活かすかはこれからの人間に掛かっている。ゆっくりが世界の問題を解決する日も遠くないかもしれない・・・。 過去作 2517 ちぇんマー投げ 2526 ゆンペルダウン 2550 痙攣鬼異惨の日曜日 2560 分からないだらけのゆん生 このSSに感想をつける
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「らんしゃまぁぁぁーーー!!!」 「ちぇぇぇーーーん!!!」 俺の横で二匹のゆっくりがじゃれあっている。 最近飼い始めたゆっくり橙とゆっくり藍だ。 トイレにいって戻って見るとじゃれるのをやめていた、いつもならもっとやってるのに。 そう思いながら見ていると、ちぇんはどこかに行くようで準備をしている。 「じゃあれいむたちのところにいってくるね、らんさま。」 「気をつけるんだぞ。」 ちぇんは野生のゆっくり達のところに遊びに行くようだ。 俺はちぇんを呼び止めると、家飼いゆっくりである証しのバッジをつけてやり、声をかけた。 「あんまり、遅れるんじゃないぞ。あと、たまにはお友達を家に呼びなさい。」 「わかる、わかるよー。じゃあ、おにいさんいってくるね。」 こうしてちぇんは出かけていった。 ちぇんがいなくなり、二人だけになったところでらんに話しかける。 「ところでらん、ちぇんのことはよく躾けているようだな。」 「はっ、はい。」 俺は、九本ある稲荷寿司でできたらんの尻尾を無造作になでながら続ける。 「ちぇんがゆっくりを連れて来たらゆっくり加工場に持っていくから、色々と手伝ってくれ。」 「しっしかしちぇんが悲しみ……、ひぎぃっ!!!」 俺はらんの尻尾を一つ引きちぎった。 「俺はいいんだぞ、お前らを追い出しても。お前は生きていけるだろうがちぇんはどうなるかな……。」 「わ、わかりました、従います。」 「それでいい、跡はいくらでも隠せる。ちぇんを悲しませる事にはならん。」 ちぇんのことになるとらんは弱い。 それに、今の安穏は俺のおかげだという事もよくわかっているようだ。 俺は、らんに掃除をしておく様に命令すると先ほどの尻尾を食べた。 「ただいまー。」 夕方になるとちぇんが帰って来た、いいつけどうりゆっくりを連れて来ている。 「おにいさん、みんなにおにいさんのことはなしたらみんなきたよ。」 れいむ種が四匹にまりさ種が五匹、ぱちゅりー種も一匹いた。 なかなかの収穫だ。 「そうかよくきたな、みんなゆっくりしていってね……。」 「「「「「「「「「ゆっくりさせてね!!!」」」」」」」」」 ゆっくり達は笑顔で答えた。 「ちぇん……。」 しかし、らんだけは曇った表情だった。 出迎えたあとはゆっくり達を庭先で遊ばせ、夕飯の準備に取り掛かった。 しかし、らんだけはこちらを手伝わせている。 伝達事項もあったし、言いたい事もあったので丁度よかった。 そして、準備を始めながら話しかけた。 「らん、ダメじゃないか笑っていなくちゃ。ゆっくりたちは気づいていなかったからいいものの。」 「すっ、すいません……、ひぎぃっ!!!」 俺はらんの尻尾を一つ引きちぎった。 そして、囁きかける。 「ちぇんが大事なんだろう、言う事を聞いていてくれれば悪いようにはしないから、ねっ♪。」 ねっ♪のところで笑いかけると、らんも笑ってくれた。 やはりちぇんが大事らしい、こうかはばつぐんだ。 自分が苦しくても、そしてちぇんを悲しませても、ちぇんを失うよりはいいらしいな。 俺はそれを改めて確認すると、らんに言った。 「らん、ちょっと頼まれ事を引き受けてくれないかな。」 頼まれ事とは、遊んでるゆっくりを何匹か連れて来ることだった。 しばらくするとらんは、れいむとまりさを一匹づつ連れて来た。 「ここがゆっくりすぽっと?」 「ゆっくりさせてね!!!」 きょろきょろしながら何か言うゆっくり達だったが、無視して作業を始めることにした。 俺は、れいむを先に処理する事にしてまりさはらんに任せた。 れいむを台に乗せてやると何か言い始めた。 「ゆっく……、ぴぺぱっ。」 答えるのが面倒だったので、全部言い終わる前に鉈で真っ二つにしてあげた。 そして、何かを言おうとする表情のままピクピクと痙攣するれいむの餡子をかきだした。 れいむの処理が終わって、らんの方を見るとまりさの頭頂部に太い杭が打ち込まれていた。 さらに、まりさが騒いだらしく舌が引きずりだされ五寸釘数本で固定されており、涎や涙、餡子など色々撒き散らせながら苦痛の声をあげていた。 「ふっふひへひはひほー。」 俺は、すこし驚いたが丁度いいと杭や五寸釘を外さずに餡子を取りだすことにした。 まず、まりさの頭頂部の髪を掴み、頭皮ごと頭から引きちぎった。 「ふっふぅぅぅーーーーー。」 もちろん、まりさは苦痛の声をあげたが、大声はあげられなかったので無視した。 らんも特に変わった様子は無く、涼しい表情を崩さない。 そして、剥き出しになった餡子をすべてかきだした。 ゆっくりの皮が残ったが、そのままではさすがにまずいので、 「じゃあらん、残りは食っとけよ。」 「はい。」 俺は残ったゆっくりの皮をらんに食べさせ、配膳に移った。 らんが逆らわなかったので、とっておいた尻尾を食べながら作業した。 そして、夕飯の時間となった。 俺は、居間でらんと食べることにした。 部屋を汚されるのがいやなので、ちぇんとゆっくり達には土間で食事させた。 俺とらんは普通の食事だったが、ゆっくり達にはさっきの餡子を与えた。 「ゆっくりたべるよ。」 「あんこうめぇ。」 「こんなものたべたことないよ、すっごくおいいしいよ。」 「あめっ、すっげあっめ。」 「うっめ、これすっげうっめ。」 「いくらでもいけるよ。」 「わかる、わかるよー。」 「むきゅーん。」 土間は賑やかだが、起こった異変には気づいてないらしい。 そして、何を食べているかも気づいていないようだ。 その様子を聞きながら、らんに話しかけた。 「ところで、頼まれ事はいったいどうやったんだい、他のゆっくり達は気づくそぶりもないじゃないか。」 「食べ物で釣りました、騒ぐとみんな来るからこっちでゆっくりあげるねと。」 「そうか、さすがだね。」 「お褒めいただき光栄です。」 どうやら、らんはちぇん以外どうでもいいらしいな。 さっきの事といい、らんはちぇん以外に容赦がないようだ。 いい傾向ですね。 夕食が終わると、ゆっくり達をゆっくりれみりゃの話しで脅しながら泊まっていくように促し、ゆっくりたちを土間に寝かせる事にさせた。 「みんな、ゆっくり眠ってね。」 「「「「「「「ゆっくりするよ!!!」」」」」」」 ちぇんはゆっくり達にお別れの挨拶をすると、自分の部屋に眠りにいった。 俺は、ちぇんが眠ったことを確認すると、行動を開始した。 「みんな、さっき食べた餡子のもとが残ってるんだけど食べないか。」 ゆっくりたちはまだ遊んでおり、すぐ食いついてきた。 「ほんと?」 「たべる、たべるよ、ゆっくりしないでたべさせてね。」 「いそいでね、はやくたべさせてね。」 「だしてね、とっととだしてね。」 「くれたら、いっしょにゆっくりしてあげるよ。」 「あんこ、あんこくれ。」 「くれなきゃゆっくりさせてあげないよ。」 「むきゅぅぅーーーーん。」 俺はあっちであげるよと、蔵に案内することにしたした。 俺は、食欲に駆られて先を急ぐゆっくり達をらんにまかせ、置いていかれたぱちゅりーについていた。 ぴょこぴょこ歩く姿は、万人がかわいいと思うだろう。 俺は、ゆっくりとぱちゅりーの後ろに回ると、 「むきゅっ?!!」 冷却スプレーで仮死状態にさせた。 この先の展開についていけないと判断したからだ。 希少なぱちゅりー種を死なせるわけにはいかない。 ぱちゅりーを抱えた俺が蔵の前に着くと、ゆっくりたちが騒ぎ出す。 「ゆっくりまちくたびれたよ。」 「ゆっくりしないでね。」 「早く、早く。」 「とっとと食べさせてね。」 「ぱちゅりーはほっといてね。」 「あんこあんこあんこ。」 「おいしいのはやく。」 俺は蔵の重い扉を開けると、まずぱちゅりーを保存ボックスに入れた。 扉が閉まってる事を確認してから、まりさの一匹に近づいた。 「残念だけど、君は餡子を食べられないよ。」 「ふざけないでね、まりさにもた……、たわばっ!!!」 たべさせてねといいたかったのだろうが、面倒くさいので鉈で切り付けた。 さらに、まりさを押さえつけながら二回切った。 手を離すと、まりさは6個のくし型まりさ6分の1になった。 まるで果物を切るかのようにくし型に切り分けられたまりさを見てれいむたちは、 「まりざぁぁぁーーーー。」 「なんでごんなごどずるのぉぉぉーーー。」 「やめでぇぇぇーーー。」 と恐怖でパニック陥っていた。 一方他のまりさは、 「おおおおにいさんとはゆゆゆゆっくりできないよとっととでてってね。」 「はははやくあんこたべさしししてね、でなきゃかえるよよよよ。」 「あああのまりさはぜんぶあげるからとっととこここここからだしてね。」 と表面上は冷静にしているが、動揺は隠せていない。 そこで、俺はこれから起こる事実を言った。 「君たちはああはならないよ、餡子も食べさせてあげるよ、だからゆっくりしていてね。」 ゆっくりたちは落ち着かないが、俺は無視してた。 そして、手短なれいむを拾い上げると、まりさ6分の1を口に押し込む。 「ゆーーーー?!!」 吐き出そうとしたが、その前に次の工程に移る。 れいむに特注の猿ぐつわをかませた。 「んーーーー?!!」 もう、まりさ6分の1を吐き出す事はできず、唸ることくらいしかできない。 最後に箱に入れて終了だ。 途中ゆっくりたちがまた騒ぎはじめたのが、一匹目の作業が終わってからさっきの餡子のことを教えると、さらにうるさくなった。 「うおえええぇぇぇぇーーー。」 「えろえろえろえろえろぉぉぉーーー。」 「だしてねだしてね、ごごがらだじでぇぇぇーーー。」 「おうぢがえでゅぅぅぅーーー。」 「あけてね、あげでおうえええぇぇぇーーー。」 もう吸収された餡子を吐き出そうと頑張ったり、動かない扉に何度も体当たりしていたがすべて無駄だった。 「お一人様ずつのご案内です。」 俺は、てきぱきと他のゆっくりもれいむと同じようにまりさ6分の1を食わせ猿ぐつわをかませ同じ箱に入れていく。 「「「「「「んんんーん・んーんん。」」」」」」 どいつもこいつも、恐怖に目を見開いて涙や涎をたらしながら唸っていた。 何匹かは、まりさを吐き出そうとはしたが猿ぐつわに邪魔され出来なかった。 腹が空いたら共食いするだろうから、それをさせないための猿ぐつわでもあった。 こうして、明日加工場に持っていくゆっくりが出来上がった。 一方らんには蔵の中の掃除をさせた。 らんは、「おお、こわいこわい」とでもいいそうな表情で助けを求めるゆっくり達を無視して作業していた。 箱の中から出ようと無駄に暴れるゆっくりを見てるときも同様だった。 そんならんを見た俺は、蔵を出るときに、 「ひぎぃっ!!!」 もう尻尾を抜く必要もなかったがなんとなく一つぬいた。 「箱を卸しにいって、森にも行くから留守は頼むぞ。」 「はい。」 翌朝、俺は早めに加工場に行く事にした。 留守をらんに任せる。 「おにいさんいってらっしゃーい。」 ちぇんも出迎える。 「ちぇんも留守を頼んだぞ。」 ちぇんに昨日の事を気取られぬように、家にいてもらったほうがいいと考えたのだが、 「えーやだよー、ところでみんなは?」 拒否された上に何かおかしいと感じたようだ。 「朝早くに出て行ってしまったよ。」 らんが誤魔化す。 「じゃあ、みんなのところにいくよ。」 ちぇんはなおも引き下がらなかったので俺は、 「らんも色々頑張ってくれてるから、ちぇんもたまには一緒にゆっくりしてやってくれ。」 といった。 「わかる、わかるよーおにいさん。らんしゃま、いっしょにゆっくりしようね。」 「ちぇぇぇーーーーん!!!」 「らんしゃまぁぁぁーーー!!!」 丸く収まったのを確認すると、俺は加工場に向かった。 おわり。 作 怪僧トンポ スレに色々出ていた新ゆっくりの案を見て書きました。 ゆっくり藍の設定は以下のようにしました。 顔だけの饅頭で中身も普通の餡子だが、九本の尻尾は稲荷寿司で出来ており再生可能。 ゆっくり橙を溺愛し、ゆっくり紫には逆らえない。 知能は他のゆっくりより高いが、自分の欲望を優先するところは変わらない。 そのためなら、他のゆっくりに害を与えるのにもためらいがない。 アクセス規制に巻き込まれたのぜ。(´Д`) fuku700に一回投下したものの規制でぐだぐだだったので引っ込めて今頃投下。 規制16日間は長かった。 最後になりましたが、お読みいただきありがとうございました。 このSSに感想を付ける
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※fuku2325の続きです 一旦部屋を出た隣人が戻ってきた時、その両手にはボウルが抱えられていた。 ボウルは水で満たされており、中央には正方形の小さな木の板が浮かんでいる。 そしてその各辺に向かい合う形で、数センチ離れて4枚の木の板がこれまた浮かんでいる。 そしてその中の3枚は、中央向きの辺に垂直になるように木の板の壁がある。 「これがレベルハード……クォータージャンプ…………!」 「さて、これからルールを説明するぞ」 「うー!うー!」 食事が運ばれてくると思ったら謎のボウルが運ばれてきて、いぶかしげに見る赤ゆっくり達に男と隣人が説明を始める。 「まず、この中央の板に1匹、他の4枚の板に1匹ずつ配置についてもらう。 中央の1匹は目隠しをしてこの4方向のうちのどれかに向かって飛ぶ。見ての通り、壁がないところに飛べればゲームクリアだ。 中央の板との差は数センチ、助走をつけなくても十分飛べる距離だ」 「クリア出来た者には豪勢な食事等、れみりゃと同じ扱いをしてやろう…………」 「ゆ!とべばごはんもらえるの!」 「ゆっくちとばせてね!」 食事と聞いて、赤まりさ達の目が輝き始める。当然だろう、もう丸3日も何も食べてないのだから。 しかし、親まりさと赤ぱちゅりーは不安げな表情だ。 「むきゅ…………でも、ほかのところにとんだら?」 「ああ、それは見ての通り、飛んでも虚しく板の壁にぶつかるだけだ。当然飛べば落下、水の中に落ちる」 「ゆゆ!そんなゆっくりできないこと、まりさのあかちゃんにやらせないでね!」 「心配はいらない。他の4枚の板にもそれぞれ赤ゆっくりがいる。そしてそいつらは、中央の赤ゆっくりに助言できる。 つまりセーフエリアにいる者が『こっちは大丈夫』、他の者達が『こっちは危険』と言えば平気さ。 ついでにサービスとして親まりさ、お前もセーフエリアの情報を教えていいぞ」 「そんなことしていいの!?それならかんたんだね!」 随分と有利な条件を出され、親まりさは完全に安堵の表情である。 赤まりさ達は、早く始めろと言いたげだ。赤ぱちゅりーは……まだ不安げである。 「ククク……それでは配置についてもらおう。では飛びたい者はいるか……?」 「むきゅ!ぱちゅりーがとぶわ!」 真っ先に立候補したのは、意外にも赤ぱちゅりーだった。 この賢いゆっくりは気付いていた。あまりに有利すぎる、何か罠があるに違いないと。 それなら、この危険な役目は自分が引き受けるべきだ。妹達には任せられない、そう思い立候補した。 だが、そんな心は赤まりさ達には知る由もない。 「おねーちゃん、ずりゅいよ!」 「まりさもとびたいよ!ごはんほしいよ!」 「むきゅー!だめよ、きけんだわ!」 赤まりさ達も条件を聞き、それなら楽勝だと我も我もと立候補し始めた。 赤ぱちゅりーが必死に説得するも、全く聞き入れられず、喧嘩を始めている。 このまま見ているのもそれはそれで面白いが、今回の目的はクォータージャンプだ。 男は適当な赤まりさをつまんだ。 「よし、じゃあ今回はお前に飛んでもらうか」 「やった!ゆっくちとぶね!」 「ゆゆ!?おねーちゃんだけずりゅいよ!」 「ごめんね!こんかいはおねーちゃんにまかせてね!」 「むきゅ!きをつけてね!なにがあるかわからないからね!」 つまんだ赤まりさに布の切れ端で作った目隠しをし、方向感覚を失わせるため何回かくるくる回し、中央の板に置く。 そして他の4匹を手に乗せ、ニヤリと笑ってゆっくり達に話しかけた。 「そうだ、一つ言い忘れた。もしセーフエリアに飛べたら豪勢な食事が出ると言ったよな。 あれはあの赤まりさを自分のところに飛ばすことができたゆっくりにも同じ条件を出してやるよ」 「ゆ?どういうこと?」 ゆっくりにとっては難しい言い方だったのだろう、皆きょとんとしている。 「つまり、お前らが『こっちが安全だよ』と言ってあの赤まりさを自分のところに飛ばすことができれば、 そいつにも豪勢な食事など、れみりゃと同じ扱いをしてやるってことだ。 セーフエリアにいなくても、自分のところに飛ばせればOKだ。まぁその場合、あの赤まりさは水の中だがな」 要は、姉妹を殺して自分が食事を得ることができるということである。 少しの静寂のあと、赤ぱちゅりーの顔が青ざめていった。一方、赤まりさ達は目の色が変わっている。 親まりさと、目隠しされた飛び役の赤まりさは少し慌てたが、相変わらず平静を保っているようだ。 この2匹は信じていた。いくら空腹でも、姉妹を殺してまで食べようとはしないだろうと。 赤ぱちゅりーも同様に信じていた…………いや、信じることにした。 「それでは……GO……!」 「うー!」 隣人とれみりゃの合図により、ついにゲームが開始される。 この時、飛び役まりさは安心しきっていた。姉妹が助けてくれると信じていたからだ。 その期待に応えるように、早くも声が聞こえてくる。 「むきゅー!こっちがせいかいよ!」 赤ぱちゅりーの声だ。 実はこの赤ぱちゅりーこそが、セーフエリアに割り当てられた赤ゆっくりである。 懸命に声を振り絞る。それは自分のところに飛ばせて食事を貰おうという気はなく、純粋に妹を助けようとした行為だ。 透明ケースの中で見ていた親まりさも、セーフエリアのぱちゅりーの声に安堵した。 早速飛び役まりさが赤ぱちゅりーの声の方へと慎重に歩いていくが、そこに予想外の声がかかる。 「だまされないでね!こっちがあんぜんだよ!」 「どっちもちがうよ!まりさのほうだよ!」 「おねーちゃん、だいじょうぶだからこっちにきてね!」 飛び役まりさ、赤ぱちゅりー、親れいむはびっくりした。 何せ全員が全員、自分の方こそセーフエリアだと主張しているのだ。 しかし、セーフエリアはただ一つ。必然的に3匹は嘘をついていることになる。 「むきゅー!しまいよりもごはんのほうがだいじなの!?」 「ぱちゅりーおねーちゃんはうそちゅきだよ!きをちゅけてね!」 「まりさのほうだっていっちぇるでちょおおお!!!」 「みんなだまそうとちてるよ!しゃいてーだね!でもこっちはだいじょうぶだよ!」 飛び役まりさはパニックに陥った。 皆でセーフエリアを教えて簡単に食事にありつけるはずが、全く逆の展開だ。 一体誰を信じればいいというのだろうか。 「おいおい、困っているみたいだぞ。お前の出番じゃないのか?」 男が親まりさに耳打ちする。 赤まりさ達の裏切りに呆然としていた親まりさだが、その声で我に返ったようだ。 自分が飛び役まりさにセーフエリアを教えれば、助けることができるのだ。 「せいかいはぱちゅりーのところだよ!おかーさんをしんじてね!」 皆が一斉に親まりさの方を向く。 餡子を分けた自分の子供達、最後には自分を信じてくれると思っていた。 3日前のゲームで姉まりさを助けられず、今まで一人だけ食事を摂っていた親まりさは、飛び役まりさにはもはや信頼を得られなかった。 「おかーしゃんはだまっちぇね!」 「ひとりだけごはんをたべるおかーしゃんは、ゆっくちできないよ!」 「おかーしゃんのいうこちょはむちちてね!」 「むきゅん!ひどいわよみんな!」 「どぼちてえええええ!!!!!!」 愛する我が子に自分の意見が全く信用されないのはどんな気持ちだろうか。 親まりさは必死に泣き叫んでいるが、もはや赤ゆっくり達には雑音でしかないようだ。 飛び役まりさは誰の言うことも信じられず、右往左往するばかりであった。 5分ほど経っただろうか。ついに飛び役まりさは、意を決した。 向かう先は、末っ子の赤まりさ。姉妹の中で最も可愛がっていた最愛の妹である。 きっと自分を騙すことはないだろう。そう思い込み、声の方へと向かっていく。 「そうだよ!おねーちゃん、こっちだよ!」 「まっててね、今行くよ!」 「むきゅううう!!!そっちはだめよ!」 「やめてええええええ!」 赤ぱちゅりーと親まりさ、そして他の姉妹達の警告を無視し、ついに板の縁へとたどり着く。 この先こそが安全に違いない。そう信じ、飛んだ。 そしてその直後、跳ね返された赤まりさは絶望を抱えたままボウルの中へ落ちていった。 「どぼちて…………こんなことに…………」 「やっちゃね!これでおいちいごはんをくれりゅんだね!」 悲痛な表情の赤ぱちゅりーと親まりさ、沈んでいった赤まりさや口汚く罵る赤まりさ達には目もくれず、末っ子まりさは大喜びだ。 「ククク……見事だ、では……」 「ああ、分かってる。それじゃあ仲良くな」 男は末っ子まりさを摘むと、隣人の側にいるれみりゃのすぐ近くに置いた。 れみりゃは末っ子まりさを目の前にし、うーうー楽しそうに唸っている。 「ゆ!れみりゃはこわいよ!ゆっくちできないよ!はやくたちゅけてね」 「いやいや、わしは言ったぞ……れみりゃと同じ扱いにしてやる、と……」 「まずは今まであんな狭い箱に閉じ込めていたから、れみりゃと同じ広い所に出してやらないとな。 喧嘩はほどほどに、な。喰われるかもしれんが、まぁそれも喧嘩の範疇だ」 しばらく末っ子まりさはポカンとしていたが、自分が喰われそうだ、ということは理解できたようだ。 一転、大声で泣き叫び始める。 「ゆううううう!!!!なにちょれえええええ!!!!」 「んじゃー俺らは食事を持ってくるから、それまで仲良くな」 「ククク……もちろん、それまで生きていたらだがな……」 「うー!うー!」 男と隣人が部屋を出て行き、れみりゃが舌なめずりをする。 十分後、二人が戻ってきた時に部屋にいたのは満足そうなれみりゃと泣いている赤ぱちゅりーに親まりさ、そして大笑いしている二匹の赤ゆっくりだけで、末っ子まりさの姿はなかった。 「おやおや……せっかく食事を持ってきたというのに、どこへ行ったものだか……」 「しょうがないな。んじゃれみりゃ、喰うか?」 「うー!」 食事を食べるれみりゃとそれを眺める二人へ、ケースの中の親まりさがか細い声で聞いた。 「おにいさんたち……どうしてこんなことするの……」 「んー……、まぁ、楽しいからかな」 「え……たのしいから、まりさのあかちゃんたちをころしたの……」 隣人がニヤリと親まりさに笑いかける。 「ククク……ゆっくり崩壊のパターンはいろいろあってじつに興味深い…… わしはその様を現場、あるいはTVで眺めながられみりゃと遊ぶのを人生最高の愉悦と感じておる…… ゆっくりが崩壊していく様は、楽しい…………」 パートナーのぱちゅりーを失って悲しみにくれる自分を支えてくれた赤ゆっくり達。 幸せだったあの時は、この二人の人間によって壊された。 それも、自分達が楽しいからなどという勝手な理由で、赤ゆっくり達を殺した。 7匹もいた自分の家族。2匹はこの飼いれみりゃに喰われ、その命を落とした。 1匹はノミで打たれ真っ二つに。1匹は水の底へと沈んでいった。 そして2匹は姉妹の命より自分の食事を優先するようになり、まともなのは1匹の赤ぱちゅりーのみ。 自分達の家族は、たった3日で崩壊したのだ。 「むきゅー……おかあさん、しっかりして……」 赤ぱちゅりーが慰めてくれても、親まりさはただ涙することしかできなかった。 翌日の昼。 隣人は男を招き、最後の仕上げに入った。 「ゆっくち……したいよ……」 「ごはん……まだ……」 「むきゅ……」 再び箱に入れられた赤ゆっくり達には昨日も全く餌を与えず、もう餓死寸前である。 おそらくあと何時間ももたないだろう。 「おにーさんたち……まりさはいいから、あかちゃんにごはんをあげてね」 「ククク、喜べ……今日でお前達は解放してやろう……」 予想外の申し出に、親まりさは目の色を変えた。 それはもちろん、瀕死の赤ゆっくり達も同様である。 「ゆ!ほんとうに!?はやくおうちにかえしてね!」 「いいだろう……それでは、助けたい赤ゆっくりを一匹選ぶがいい…‥」 意味が分かっているのか分からないのか、親まりさは固まっている。 男が補足をした。 「この3匹の中で1匹だけ、お前と一緒に逃がしているからそいつを選べってことだ。 残り2匹はどうなるかっつーと」 「うー!うー!」 「我がれみりゃのランチだ……ククク……」 「そんなのえらべないよお゛お゛お゛おお!!!!!!」 「んじゃ全員殺すか」 「それもだめえ゛え゛え゛ええ!!!!!」 一方、2匹の赤まりさ達は先ほどの瀕死の様子はどこ吹く風。 我先にと親まりさにアピールを始める。 「おかーしゃん、まりさをたちゅけてね!」 「そんなやちゅほっちょいて、まりさにちてね!」 先日まで散々罵倒していたというのに、この変わり身の速さ。 幼いながらもまりさ種といったところだろう。 「おかーしゃん、はやくまりさにちてね!」 「うるちゃいよ!まりさにきまってるでちょ!」 親まりさは大騒ぎする赤まりさ達を困りながら眺めていると、ふとその横の赤ぱちゅりーが目が合った。 赤ぱちゅりーは弱々しい、しかし強い意志を感じる声で言った。 「むきゅ……ぱちゅりーはいいから……いもうとをたすけて……」 その瞬間、親まりさにはパートナーだったぱちゅりーの姿が脳裏をよぎった。 すっきりする直前、親まりさに向けたぱちゅりーの最後の言葉。 「もしぱちゅりーがしんでも、あかちゃんたちをまもってね……」 親まりさは常に自分より他人を優先した、心優しいぱちゅりーを愛していた。 そして今ここに、同じく自分の身より妹を優先する赤ぱちゅりーがいる。もう迷うことはなかった。 「ぱちゅりーを……たすけてください……」 「さいちぇーなおやだね!ふじゃけないでね!」 「ちねえええ!ゆっくちちねええええ!」 もはや死を逃れられない2匹の赤まりさは、最後まで親への罵倒を続けていた。 玄関へ置かれた親まりさと瀕死の赤ぱちゅりーに隣人が問う。 「ククク……あいつらはいいのか……」 「まりさは、ぱちゅりーをがんばってそだてるよ……」 親としての愛情は全く無くなったわけではない。 それでも、最後まで自分を責めることのなかった赤ぱちゅりーとは比べものにならなかった。 「んじゃ、達者でな」 「うー!うー!」 「ごめんね……あかちゃんたち……」 親まりさは歩く体力も残っていない赤ぱちゅりーを口の中に入れ、森の巣へと急いで駆け出した。 あそこなら保存してある食料がある。赤ぱちゅりーを助けられる。 親まりさが出て行った後、隣人の家では。 「「ちね!ちね!ちね!ちねえええええ!!!!!」」 数分後れみりゃに喰われる運命となった赤まりさ2匹が、ひたすら出て行った親を罵倒し続けている。 「それにしてもいいのか?あの親まりさと赤ぱちゅりーを逃がしちまって」 「いいんですよ。今回の目的はあのノミで突くゲームとクォータージャンプですから。 1匹だけ逃がすなんてのは最後のちょっとした思い付きです。目的は果たしました」 ゆっくりへの虐待が一段落し、隣人は平常モードへ戻っていた。 「それもそうだな。あの赤ぱちゅりーも巣まではもたないだろうし」 「あの家族には随分楽しませてもらいました。また何か面白いゲームを考えたら招待しますよ」 「ああ、俺も考えとくさ」 笑いあう二人の周りを、れみりゃが楽しそうにうーうー飛び回っていた。 (もうすぐだよ……がんばってね……) 親まりさは巣への道を必死の形相で走っている。 ただ一人残った、最愛の子。この赤ぱちゅりーだけは命に代えてもゆっくりさせてあげたかった。 口に含んでいるため喋れないが、心の中で強く呼びかけたその時。 (おかあさん……いままでありがとう……) その言葉を本当に口の中の赤ぱちゅりーが発したかは分からなかった。 ただでさえ体が弱い赤ぱちゅりー、喋れる元気があるかも分からない。だが、親まりさには聞こえた気がした。 自然と足が速くなる。この子だけは助けたい、と強く思いながら。 「ついたよ!しっかりしてね、ぱちゅりー!」 口からそっとぱちゅりーを巣の中の地面に置く。 目は閉じられており、安らかに眠っているようにも見えた。 「ほら、ごはんだよ!これをたべてげんきになってね!」 ぱちゅりーの好物だった、でも妹達に優先させて食べさせていた木の実を口元に近づける。 しかし、赤ぱちゅりーが目を覚ますことはなかった。 「ほら、ぱちゅりーのだいすきなものだよ……いっしょにゆっくりしよう……」 赤ぱちゅりーはやはり目を覚まさなかった。 「ぱちゅりー……そろそろおきようね……」 やはり目を覚まさない。 「ぱちゅ……りー……」 何度も何度も、親まりさは赤ぱちゅりーに呼びかける。 しかし、赤ぱちゅりーが目を覚ますことはなかった。 終 あとがき 多分次からは普通の作品で行きます。 福本ネタを続けるとしたら欠損ルーレットあたりか。 過去作 ゆっくり鉄骨渡り ゆっくりアトラクション(前).txt このSSに感想を付ける
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さて、ぱちゅりーの群れはというと、24匹目の群れの一員を賑やかに祝っていた。 群れのみんなが持ち寄った草花や虫に木の実をみんなで食べて、歌を歌ったりお話したりしていた。 長であるぱちゅりーもまりさも、楽しいお祭りは大好きだった。 「まりさがむかしいたむれでは、えっとうがおわるとみんなであつまってゆっくりのうたをうたってゆっくりしたよ」 「ぱちゅのむれはあまったごはんをもちよっていっしょにたべたわ」 長のぱちゅりーとまりさは少し離れたところで、とてもゆっくりした群れの様子を見てゆっくりしていた。 「まりさとれいむのあかちゃん、ゆっくりうまれてよかったね」 「むきゅ、またあかちゃんがうまれたらおいわいしましょうね、むきゅきゅ、あかちゃんがうまれるたびにおいわいよ!」 「たくさんおいわいできるね、ゆっくりできるね!」 お互いの顔を見合ってゆっくりと笑うぱちゅりーとまりさ。 ぱちゅりーは群れのゆっくりみんなが好きだった、だからもっとみんなとゆっくりしたかった、特に目の前のまりさとは。 お祭りの陽気に当てられたのか、ぱちゅりーは少し積極的になっていた。 横目で群れのゆっくり達が見ていないのを確認すると、ちゅっとまりさの唇に自分の唇を軽く当て、そして離した。 「ゆっ!ぱぱぱちゅりー……」 「む、むきゅ~」 顔をりんごのように真っ赤にするまりさ、ぱちゅりーの顔も同じくらい赤くなっていた。 ただぱちゅりーもまりさも、ずっとこのゆっくりした時間が続けばいいと思っていた、ずっとずっと。 「う~♪とりゃ~♪」 上空から聞こえた間の抜けた声と一緒に、ゆっくり達のとてもゆっくりした時間は唐突に終わった。 一個の白い塊が回転しながら群れに落ちていく、れみりゃが投げたゆっくりさくやだ。 「む~しゃむ~しゃしあわゆ゛びゅ!!!えれ゛れ゛ぇぇぇ!!!!」 ブチャァ!さくやはその分厚い底部で、木の実を食べていたまりさの上に勢いよく着地した。 まりさの口から食べていた木の実と大量の餡子が勢いよく吐きだされ、葉っぱの上に盛られていた木の実にかかった。 白目を向いて口から餡を吐き続けるまりさの上から、さくやが瀟洒に降り立つ。 「さくやでございます、そして」 「うっう~☆あまあまだどぉ~♪」 「ゆっ!おそらをとんでるみた~い」 「ゆっくりしてるどぉ~♪」 「いだいぃ!!ひっぱらないでねぇええええええええ!!!!ゆびぃ!!!!!」 「わたくしのつかえる、おじょうさまたちにございますわ」 呆然としているぱちゅりーの群れのゆっくりに餡子がかかる、子れみりゃに空中に持ち上げられ引っ張られ引きちぎられたれいむの物だ。 「れみりゃだぁああ!!!」 群れの一匹のゆっくりが叫ぶ、それと同時に楽しかったお祭りは地獄と化した。 空かられみりゃが襲いかかってくる、れみりゃとゆっくりでは闘いようが無い、どのゆっくりも一目散に逃げ出す。 「むきゅ~!みんなにげて!」 「ぱちゅりーこっちだよ!みんなもばらばらににげてね!」 「だずげでぇえええ!!!!」 「れいむ!!!」 一匹のれいむが子れみりゃに捕まった、子れみりゃは思い切りれいむの顔に齧りつく。 凄まじい悲鳴が上がる、そのまりさと仲良くしていたれいむは涙を流しながら食べられるまりさを見ている。 「ゆぐっ!」 「せなかがおるすにございますわ」 そのれいむの背中にさくやの咥えた木の枝が突き刺さり、そのまま力任せに薙ぎ払われた。 そして一度、ニ度、三度、さくやはれいむの背中を突き刺す、二度目の突きでれいむの中枢餡は傷つき、体が完璧に麻痺し動けなくなった。 「さぁちっちゃいおじょうさま、さくやのあまあまでぃなーにございます」 「うっう~♪」 「しゅごいどぉ~♪」 「たべるどぉ~♪」 そして動けないれいむに小さな赤れみりゃが襲いかかる。 体を齧られるも痛みにも身じろぎ一つ出来ず、声も出せないれいむの瞳から大粒の涙が流れる。 「うっうー!」 「ゆげっげ!!!!げっ!!げっ……」 そして親れみりゃは手に持った木の棒で捕まえたれいむの口に突きいれていた。 24匹のゆっくりが暮らす、ぱちゅりーのゆっくりした群れは既に五匹がゆっくりできなくなっていた。 「うっう~♪このあまあまをたべたらにげたのもつかまえるどぉ~♪」 「う~♪あまあま☆うまうま♪」 「うっ♪うっ♪う~♪」 れみりゃ特有の貪欲さから来る豪快な食べっぷりを隠れて見ているゆっくりがいた、みょんである。 その口には木の枝が咥えられており、その目は真っ直ぐにゆっくりさくやのことを見つめていた。 みょんは死ぬ気でさくやへの襲撃を計画していた、まだ小さい赤ゆ達はちぇんに任せた、ちぇんと子供達がゆっくりできればそれ以上は望まない。 群れ長の巣に避難するように言っておいたので、ほとぼりが冷めたら長と一緒にこの危険な森から逃げてくれるだろう。 みょんはかなり長い間、いろいろな土地を旅をしてきたゆっくりで、れみりゃの話も多く聞いていた。 その皮の厚さや怪力、空を飛ぶ速さ地を走る速さ、子れみりゃでも平均してみょん十匹分の力を持つ、そう一時師事を受けた老みょんはしみじみ語った。 みょんはれみりゃの恐ろしさに震えあがり、どうすれば勝てるのかと老みょんに聞くと老みょんはこう答えた、 れみりゃを見たら一目散に逃げろ、しかし、さくやを連れているれみりゃは勝てないまでも追い払う事は出来ると。 『さくやはれみりゃをたいせつにするが、れみりゃもさくやをだいじにする、さくやをきずつければさくやをたすけることをゆせんするみょん』 さくやに酷い手傷を負わせれば、みょんはその場で殺されても、れみりゃはさくやの治療のためにこの場を去るかもしれない。 そしたら群れのみんなが逃げる時間を稼げる、勿論逆上したれみりゃに殺されるかもしれない、それでも。 「みょんはむれのみんなをまもりたいんだみょん」 これ以上群れのゆっくりに餡子が流させない、ここじゃなくてもみんなが新しいゆっくりプレイスでゆっくりできればいい。 さくやまでの距離は三跳ね分、れみりゃを見るのに夢中なあの様子なら、間違いなく殺れる! みょんが隠れていた茂みから飛び出す、一回跳ねる、二回目一回目よりも長く高く高く!その跳躍はみょんの限界をはるかに超えている! 「うっう~☆つかまえたどぉ~♪」 「マラッ!!!!」 驚愕のあまりあんぐりと開いた口から木の枝が落ちていく、さくやに気を取られすぎて子れみりゃに上空から狙われていた事に気付かなかったのだ。 れみりゃにがっしちと掴まれ身動き一つできないみょん、れみりゃはにこにこと笑いながら大きな口を開ける。 「あまあまたべるどぉ~☆」 あぁ、せめて木の枝を咥えたままなられみりゃを刺せたのに、大きく開いた口が絶望したみょんに迫って来る。 ちぇん、おちびちゃんたち、みんな、とおくににげてね……。 激痛にもだえ苦しみながら死んでいくみょんの最後の思考だった、しかし現実は残酷である。 れみりゃから逃げるために森を出たのは、群れで唯一スィーを持っていたまりさと相乗りさせてもらったぱちゅりーだけだった。 尚、這って逃げようとしたぱちゅりーがいたが、ゆっくりの死を見たショックとれみりゃの恐怖でクリームを吐いて死んでしまったものが一匹いた。 他のゆっくりの殆んどは自分の巣に隠れる事でれみりゃの危機は去ったと確信していた。 平和でゆっくりした日々が続いたこの群れにはたくさんの知識があった。 美味しい草花、食べてはいけない毒草、薬に使える薬草の知識。 特に越冬に関して言えば、長ぱちゅりーの恋人まりさはその知識に長けており、普段から保存食の作り方を群れのゆっくり達に口伝していた。 そう、生活を豊かにゆっくり過ごす知識がこの群れでは最も尊ばれ、蛇の一匹もおらず子ゆっくりが遊び回っても安全な森のため危険に対する知識は必要とされていなかった。 ゆっくりを切に願ったゆっくりが次元の壁を越えて集ったのがこの森だ、それも当然だったのかもしれない。 しかし危機に対してまるで知恵を持たないゆっくりは、捕食種にとって理想的な食事であり、れみりゃを呼び込む要因にもなった。 「うっう~♪あっちにもこっちにもあまあまのにおいがするどぉ~♪」 「おそらくすにかくれたのですわ」 「うっう~♪みんなまぁまについてくるどぉ~♪あまあまをつかまえにいくどぉ~☆」 まるでちょっと散歩に行くかのような気楽さでれみりゃ達は群れの巣を荒らしまわった。 最初に犠牲になったのはありすの巣だった。 「やめなさいよ!とかいはじゃないわ!!」 ありすが子供達と一緒に時間をかけてコーディネイトした巣が荒らされていく、親れみりゃが巣穴から差し入れた腕が暴れ狂い木の枝や木の葉を目茶苦茶にしているのだ。 「あっちにいくのぜぇ!」 子まりさが木の枝を咥えて突撃した子まりさに運悪くれみりゃの腕が直撃する。 「ゆびゃっっ!!!!」 子まりさの顔が大きく凹み右目が潰れた、れみりゃは子まりさを掴むと巣の外に腕を引っ込めた。 「ありすのおちびちゃん!!おちびちゃん!!」 ありすの体は考えるよりも先に衝動で動いた、奪われた子まりさを助けに巣から飛び出てしまい。 「おかあさんまって!」 最悪な事に子ありすもそれに続いてしまった。 巣から飛び出たありすの頭上から真っ直ぐに子れみりゃ二匹が襲いかかる。 「ゆ!びべ!!べべぇゅ!!!!!」 ありすを掴んだまま飛ぼうとした子れみりゃだったが運悪くバランスを崩し、ありすの顔面を地面につけて一メートルも引っ張ってしまう。 あたりはカスタードまみれになり、顔をこそぎ落されたありすはビクン……ビクン……と痙攣して息絶えた。 「いだぃいいい!!やめでぇえとがいはじゃないぃいい!!」 さて子ありすはというと、赤れみりゃ達に四方八方から襲いかかられカスタードを吸うついでに髪を引きぬかれていた。 そんな惨劇の中、さくやはうっとりとした表情で木の陰に隠れて震えていたまりさを捕まえ尋問していた。 ここに何匹のゆっくりがいるかその巣はどこか、あのお祭りの場にいなかったゆっくりはいるか? さくやに体を刺される痛みから逃れるために、まりさは全てを喋った。 そして聞きたいことは全て聞き、さくやはふと疑問に思った事をまりさに聞いた。 「おじょうさまがたがいてあぶないのにどうしてそとにいたの」 「ありすとこどもたちがしんぱいで……ようすをみにきたんだよ……」 そう言ったまりさの両目から涙が流れ落ちる、ずっと好きだったありすもそのおちびちゃんも死んだ。 まりさもこの場から逃れることはできない、ゆっくりできないおわりがくる。 震えるまりさにれみりゃ達が襲いかかり、その皮を餡を残らず食らい、残ったのは引き裂かれた帽子だけだった。 「ゆぐっひっぐ、みんなしんじゃたよぉお!ゆっぐりできないぃい!!」 「おちびちゃんげんきをだしてね、ぺ~ろぺ~ろ」 嘆き悲しむ子れいむを親れいむが優しく慰める。 無論親れいむも親しいゆっくりが無残に殺された悲しみを感じていた、しかしそれ以上にあの場から子れいむを連れて逃げおおせた奇跡に感謝していた。 (ゆっくりあぶなかったよ……もうすこしでれいむは……れいむは……) 二匹の子れいむに捕まり空中で引き裂かれたれいむがいた、この親れいむはれいむのすぐ傍でゆっくりくつろいでいたのだ。 あの二匹の子れみりゃに引き裂かれていたのは自分だったかもしれない、そのことに恐怖すると同時に助かったことこれからもゆっくりできることに感謝していた。 (れいむ……れいむはおちびちゃんときょうのみんなのぶんまでゆっくりするよ!) れいむの言うところの結界、巣穴を覆い隠した木の枝や木の葉には強い香りのするものが含まれていた。 そのためれみりゃ達は餡子の匂いを追えず、親れいむのいる巣を見つけるのに少し手間取った。 メキィ!バリィ! 「う~♪あまあまだどぉ~♪」 「うっう~♪」 「れみりゃだぁあああ!!!」 ほんの少しだけだったが……。 巣の中に入って来たのは三匹の赤れみりゃ、手に持った木の枝でれいむを滅多刺しにする。 「ゆびぃっ!いだぃいいい!!!!」 「ゆっ!ゆぅげぇええええ!!!!」 最もゆっくりできるおうちにれみりゃが入って来て親れいむを拷問し始めた。 恐怖と絶望のあまり子れいむは大量の餡子を吐き出し、静かにその生を終えるのであった。 「あそこであっていたみたいね……」 さくやはというと満足気な表情でゆっくりしていた。 まりさから聞き出したあの情報が無ければ、もしかしたら逃していたかもしれないれいむ達をおじょうさまに食べさせられたのだから。 それはつまりさくやのれみりゃへの忠誠の証、れみりゃ達をさくやがゆっくりさせたからに他ならなかった。 「うっう~♪れみぃのあかちゃんはすごいどぉ~♪」 「えぇおじょうさま、ちっちゃいおじょうさまがたはりっぱにかりができていますわ」 「おっきいちびちゃんたちもそうだどぉ~♪」 れみりゃのは二匹の子れみりゃを指さした。 子れみりゃ達は嬉しそうにダンスを踊ってゆっくりしている。 狩りの訓練のため、いつもは親れみりゃの鼻に頼っている二匹の子れみりゃに匂いを追わせてみたのだ。 結果、子れみりゃ達は自分の鼻で匂いを追い、ゆっくりの隠れ潜んでいる巣を探し当てたのだ。 踊りを終えた二匹の子ゆが巣穴の偽装を壊すのを微笑ましく見守るさくやとれみりゃだった。 「うっう~☆あまあまでてくるどぉ~♪」 「でてきてれみぃのおなかにはいるどぉ~☆うっう~うっ~♪」 「おまえたちこそもりからでてくのぜ!!」 巣穴から木の枝を咥えてまりさが飛び出してくる。 真っ直ぐ子れみりゃに向かって突進するが避けられ、顔から地面に突っ込む。 子れみりゃが手を伸ばすと底部で跳ね起き、目茶苦茶に木の枝を振り回す。 鬼気迫るそんな表情で暴れ回るまりさ、子れみりゃも怪我はしたくないため手を出せない。 「みんなのもりからでてくのぜぇええ!!!でてくのぜぇぇぇええ!!!」 ブン!ブン!まりさの振り回す木の枝は子れいむを牽制して近寄らせない。 まりさが一跳ねする毎に、子れみりゃは一歩下がる。 まりさの群れのゆっくりを殺された怒り、そして家族を守りたいという強い気持ちは捕食種と一対一で挑む恐怖に勝さった。 残念ながらまりさは自分が闘う捕食種れみりゃは眼前の一匹だけと、空を飛び後ろに回った子れみりゃの方を完全に失念していた。 ベチィ!といういい音とまりさの悲鳴が森に木霊する。 背後に回った子れみりゃが、かがんで平手でまりさを思い切り打ったのだ。 木の枝を口から落としたまりさに、前にいた子れみりゃの靴が叩きこまれる、渾身の蹴りだ。 まりさは後ろに飛ばされ、とばっちりを食らった背後の子れみりゃが倒れる。 「うっ!おね~ちゃんきをつけるどぉ~」 「う~ごめんだどぉ~」 「ゆっ……ゆっ……」 頬のあたりが大きく凹んだまりさはもはや底部を動かす元気もなく倒れている。 しかしその表情は笑っていた、まるでれみりゃ達に勝てたのかのように。 (まもったのぜ、まりさはおちびちゃんとれいむをまもったのぜ……) まりさの無謀な突撃は時間稼ぎのためだった。 元はウサギの住んでいたと思われるまりさの巣には入口は一つだが出口は二つあった。 ふだんは木の枝や葉っぱでしっかり偽装してあるそこは、いざという時の脱出路だった。 (なくてもだいじょうぶってれいむはいったけど、きちんとつかえるようにしておいてよかったのぜ) (れいむまりさがいなくてもゆっくりするのぜ、おちびちゃんたちおおきくなるのぜ……) まりさが稼いだ時間はほんの一分にも満たない僅かな時間だったが、れみりゃ達には完全な死角となる場所に隠された出口はある。 あの子れみりゃ達も巣の中を探して、見つからないと親れみりゃを呼んで、そうこうしているうちにれいむは何処かに隠れてくれるだろう。 逃げ切ったれいむはこの森を出て、何処かゆっくりした所で子供達をゆっくり育てるだろう、そして何年もたってからまりさの所にゆっくりやってくるだろう。 まりさは子れみりゃに牙を突き立てられ、皮を引き裂かれても笑っていた。 それはれみりゃの蹴りによって周りの餡子が中枢餡を押しつぶしたことと、大切な家族を逃す事の出来た満足、その両方から来たものだったのだろう。 「う~♪あまあまおいしいどぉ~♪」 「きっとあのすのなかにもいるどぉ~♪」 まりさを食べ終え、ゆっくりした足取りでもぬけの殻の巣を覗き込むれみりゃ、しかしれいむ達はいない。 「うっう~♪ほかのゆっくりはまぁまがつかまえたどぉ~♪」 「はなして!れいむたちをはなしてね!」 「おじょうさまがかくしとびらからにげようとするのをつかまえたのですわ」 「うっう~♪まぁますごいどぉ~♪」 「ゆぶぶ……」 「おね~ちゃん!ゆきゅちして!ゆっきゅち!ゆっきゅち!」 親れみりゃは親れいむと子れいむを腋に抱えて持ってきた、子れいむがあんこを吐いているのは腋と上腕で強く締めすぎているためだろう。 赤れいむはさくやが髪を咥えている、口が塞がっていても流暢な会話が出来るのはさくやが瀟洒だからなのか? まりさの尋常ではない戦いぶりに、これまでの経験上まりさは恋人か家族のゆっくりの囮になっていると気付いたさくやが親れみりゃに進言し。 親れみりゃは大人のれみりゃの発達した嗅覚で、逃げ出そうとしていたれいむ達を捕まえたのだ。 「さくやがおしえてくれたんだど☆さくやはすごいんだどぉ~♪」 「すごいどぉ~♪」 「さくやゆっくりしてるどぉ~☆うっう~♪」 「もったいなきおことばですわおじょうさま」 さくやにもしも尾が生えていたら千切れんばかりに振っていただろう。 親れみりゃとさくやは示し合わせたかのように、捕まえていたゆっくりを逃がす。 親れいむは泣きわめく赤れいむを頭に乗せると、底部が歪んでうまく生えない子れいむを引っ張って逃げようと懸命に努力する、 「さぁ、にげようとしたあまあまはつかまえたから、おちびちゃんたちがんばってつかまえるど♪」 「「うっう~りょーかいだどぉ~♪」」 親まりさは幸せだった番いのれいむと子供達の悲鳴を聞かずに、希望を持って死ねたのだから。 さて、れみりゃに恐怖しすぐに森を去った、臆病でありながら群れで最も賢明だったまりさとぱちゅりー。 その二匹を除いて、生きている群れのゆっくりは五匹。 群れ長のぱちゅりー、その恋人のまりさ、みょんの番いのちぇんに、みょんとちぇんの二匹の子ゆ。 五匹は群れ長であるぱちゅりーの巣で息をひそめてて隠れていた。 「むきゅきゅ、やっぱりしんぱいだわみんなのすをみにいきたいわ」 「おさ、いまはあぶないんだよ~ゆっくりわかってね~」 みょんは群れのみんなが心配で行ったり来たりしているぱちゅりーが、外に飛び出さないように何度も言い聞かせていた。 れみりゃも眠らないわけではない、おひさまが出ているうちに襲ってきたなら、夜はきっと何処かで眠るはずだ。 逃げ出すなら夜だと、ぱちゅりーは思っていた、だから暗くなったら群れの巣を回って生き残った皆で逃げ出そうと計画していた。 ぱちゅりーは群れの巣の場所を全て記憶していたが、ありすの巣が心配だった内装に凝った素敵な巣ではあったが、狭くれみりゃに襲われたら逃げようのない巣だった。 「おさしんぱいしないでね!いまごろおとーさんがれみりゃをやっつけてるみょん!」 「そうだよ~おとーさんはつよいんだよ~わかってね~」 「そうだよ~きっといきてかえってきてくれるよ、だからしずかにゆっくりまとうね」 無邪気にはしゃぐ子ゆっくり達をちぇんは優しく頬ずりをした。 しかしその二股の尻尾は力なく垂れている、ちぇんは番いのみょんがもう生きていないと諦観を抱いていた。 「ゆっ、しっかりすあなはふさいであるよ、これよるまでまとうねおさ」 「むきゅ~でもありすがしんぱいよ、こどももいるのにやっぱりあぶないわ」 「きっとありすはだいじょうぶだよ、ゆっくりしてるからぱちゅりーもゆっくりしようね」 ぱちゅりーが群れ長になってからは、みんなの前だと長と呼んでいたまりさも、ぱちゅりーを落ち着かせるため二人の時のように名前で呼んだ。 ぱちゅりーは群れ長としては非常事態を除いては有能だったが、情に人一倍厚いため群れのゆっくりが危険でそれをどうにもできない状態で落ち着かずにいた。 まりさは頬ずりして大丈夫だよとぱちゅりーを元気づけるが、その目は怯えと動揺で震えていた。 「ぱちゅりー、よるまでしんぼうだよ、でていったらたべられちゃうよ」 「でもありすがたべられたらありすのおちびちゃんもたべられていたら……ぱちゅはぱちゅは……」 「げんきをだしてねみんなゆっくりしてるよ、ゆっくりだいじょうぶだよ」 そう言うまりさの心中は穏やかではなかった、ぱちゅりーは危ないのは狭いありすの巣だけと思っているが。 はっきりいってれみりゃに襲いかかられたら、今いる巣を含めて殆んどのゆっくりは巣に籠る事も逃げる事も出来ず食べられてしまうだろう。 巣に籠っていても、親れみりゃはともかく子れみりゃ、赤れみりゃは容易に巣の中に入ってこれるはずだ、逃げるのは出口が一つの巣では無理だろう。 もしもれみりゃに巣を気付かれ、襲われて逃げ切れるとしたら、脱出路を備えた親まりさの巣くらいのものだろう。 それでも、その脱出路から逃げられたとしても、子ゆと生まれたばかりの赤ゆを連れて逃げ切れるかは疑問だ。 (おひさまははやくねむってね、おつきさんはやくでてねゆっくりおねがいするよ) 群れの仲間の安否を確認できず、巣の中でじっとしていては時間の流れはゆっくりが這うのよりなお遅い。 ボォン!そんな巣の中に木の葉が木の枝が舞った、それらは巣の入り口を隠していた物だった。 続いて一本の腕が入り込んでくる、バン!バン!地面を叩きながら手で巣の中を探っている。 「むぎゅ!!?うぇえ゛え゛」 「ぱ!ぱちゅりー!」 肉体的にも精神的にも、自分の巣へのれみりゃの襲撃はぱちゅりーの耐えられるものではなかった。 大きくえずいて泡立ったクリームを吐くぱちゅりー、死に瀕した恋人にまりさは何もできない。 「なんでれみりゃがくるのっ!!!わからにゃいぃいい!!!」 「おとーさんは?みょんのおとーさんがやっつけたんじゃないの!?」 二匹の子ゆの頭の中でれみりゃと死闘を演じていた、強いおとーさんみょんは何処に行ったのか混乱して聞く二匹。 「あわてないでね、おかーさんがまもるからおくちのなかにかくれようね!わかってね!」 ちぇんは子みょんと子ちぇんを口の中に入れる、子供達は何としても守ろうとちぇんは覚悟を決めた。 巣の中に腕を突っ込んだ親れみりゃはゆっくりが掴めなかった。 子れみりゃ達を突入させるのもいいが、お気に入りの狩りを試すのも悪くないと思った。 「うっう~☆ぐん☆グニル☆う~♪」 親れみりゃは勢いよく木の枝を巣の中に突きいれた。 一度目は外れ二度三度ど目茶苦茶に木の枝を突きいれる内に、やっと刺さった。 「む゛!む゛ぎゅ゛う゛う゛ぅぅぅ!」 「ぱちゅりー!!!」 ゆっくりを突く心地よい感触と共に、凄まじい悲鳴が上がった。 れみりゃはそのまま木の枝をゆっくりと引く。 さくやが作ってくれた『かえし』で引っ張ってもゆっくりは抜けない。 そのままゆっくりと引っ張っていると、少し木の枝が重く感じた、突き刺さったゆっくりが重くなったようだ。 「むゆっ、ぱちゅはまりざがまひょふよ」 「うっう~♪」 ご満悦になったれみりゃはゆっくりゆっくりと時間をかけて少しずつ木の枝を引っ張って行った。 「ゆっ、ゆっ」 「つれだどぉ~☆」 目を刺し貫かれ外に引きずり出されようとしているぱちゅりー、その髪を咥えたまりさが巣の外に引きずり出された。 外に引きずり出されるぱちゅりーをまりさはそうはさせまいと引っ張っていたのだろう。 もしも力を入れて引っ張っていたらまりさが堪え切れず髪を咥えるのをやめるか、ぱちゅりーの髪が千切れて体だけが巣の外に出ただろう。 しかし弱く、まりさでも勝てそうなゆっくりな力で引っ張る事でぱちゅりーを取り戻せると頑張り、まりさは一生懸命にぱちゅりーごと巣から引きずり出されたのだ。 「にぱ~☆」 「ゆゆっ!」 れみりゃはこのまりさの心の機微は全く理解しておらず、ゆっくり引っ張ると二匹釣れる時がある、それ位に捉えていた。 「ゆ゛ゆ゛-っ!!」 太陽を背に立つれみりゃに気付き、必死になっていたため巣から引きずり出された事に気づき。 まりさは最愛の恋人を捨て、少しは安全な巣に戻ろうとして、子れみりゃと赤れみりゃに襲われた。 子れみりゃの振り下ろした拳はまりさの頭を凹ませ、赤れみりゃが噛みついた場所は皮が裂けた。 激痛に絶叫するまりさを見ながら親れみりゃはぱちゅを食べる。 「う~、くむらさきのあまあまはしょうじきびみょうだどぉ~」 「おじょうさまはあんこがおすきですものね」 「たべようとおもったけどいらないどぉ~☆ぽいっ♪」 れみりゃはぱちゅりーのクリームが苦手だった、本人の言を借りると食感が悪いそうだ。 既に絶命したぱちゅりーの亡骸はれみりゃが振り回した木の枝から外れて飛んで行った。 べちゃと地面に落ちて周りにクリームを流したが誰も見もしない。 「うっう~♪なかにまだいるどぉ~♪」 「れみぃがたべるどぉ♪」 「あまあまたべるど~♪」 「う~☆それじゃあおちびちゃんたちがんばるんだどぉ~♪」 子れみりゃ二匹を先頭に赤れみりゃ三匹が続いて巣の中に入って行く。 巣の中に入った子れみりゃ二匹と赤れみりゃ三匹はちぇんを見つけた。 しかし攻撃をするのは躊躇われた、ちぇんは通常の二倍も膨らんでいたからだ それだけではない両頬は詰め物をしたように左右に膨らんで、それが蠢いているのだ。 流石に気持ち悪く思った子れみりゃは呆然と、異様なゆっくりの様子を見ていた。 無言で両頬を蠢かせるゆっくりは子れみりゃにとっては不気味で攻撃も躊躇われた。 親れみりゃが見れば、ちぇんの頬の動きに驚くものの、とりあえず木の枝で突いてみただろう。 さくやなら一目で哀れなちぇんの最後の抵抗を見抜き、存分に傷めつけて味をつけてかられみりゃ達にちぇんと子供達を捧げただろう。 しかし赤れみりゃ達は異様なちぇんを見ても、不気味には感じなかった。 「うっう~へんなのだどぉ~☆」 「う~☆」 むしろ新しい形の面白いあまあまだと飛び付いた。 好奇心で一杯の赤れみりゃは手を伸ばし一直線にちぇんに突進した。 赤れみりゃ二匹は尻尾を引っ張り出す、それでも必死に耐えるちぇん。 残りの一匹は時々蠢く左右の頬の左側に思い切り噛みついた。 すると膨らんでいた左側の頬は叫びをあげて、すぐに引っ込んだ。 中に何かいる!赤れみりゃは噛みついて出来た傷口を広げて体ごとちぇんの体に入って行く。 普通なら激痛に悶絶し体を激しく暴れさせるだろうが、子れみりゃ達が赤れみりゃの様子を見て大丈夫と思い。 赤れみりゃをたすけるためしっかりとちぇんを押さえつけていた。 「ゆぐぐぐぅぅ!!!ぐげぇぇえぇえええ!!!」 このままではお腹の中の子度が食べられてしまう、緊急避難という形でちぇんはチョコを吐いたのではない。 限界まで大きく膨らみ、口内の子ゆに頬の両端に寄せ動かせる事で異様なゆっくりとなり、れみりゃ達に帰ってもらおうとしたのだ。 しかしそうして無理して大きく膨らんで、二匹の子ゆに口の中で激しく膨らんだりした事でちぇんは大分気持ち悪くなっていた。 そこに頬を食い破って体内に赤れみりゃが入って来たのだ、そしてちぇんの体の事など気にせず手足をばたつかせ派手に暴れたのだ。 ちぇんが大量のチョコを吐き出すのも当然の事だった。 そして吐きだされた子ゆが、無残に食い殺されるのも当たり前だった。 「ゆやぁあああああ!!こないでぇえ!!!」 怯えて震えながら必死に逃げようとするみょんは子れみりゃに捕まった。 「いだいぃいいい!!!!」 その頭にちょっと噛みついて穴を開けると、子れみりゃは端の方から力を入れていきどんどん小さな穴からみょんの中身を吸っていった。 「ゆ゛っやめ〝で!!つゆ〝っゆ〝ユ〝!ユ〝!ゆっ!!ゆ゛っ……」 力尽きたみょんが捨てられる。 「わきゃらにゃいよ~わきゃらにゃいよ~」 赤れみりゃに尻尾を掴まれ、赤ちゃん言葉に戻ってしまったちぇん。 赤れみりゃは何の前触れもなく唐突にちぇんの小さな目に指を押し当てた。 何をされるかも分からず、恐怖で反射的に目をつぶったちぇんだがれみりゃの指から目を守れるほど、ちぇんのまぶたの皮は厚くない。 「いじゃいぁいぃいいぃい!!!!わぎゃらないぃいい!!!!!!!」 そんな風に苦しむちぇんを見て、れみりゃ達はニコニコと幸せそうに笑う。 その笑みには怒りとか憎しみとか嘲りと言った邪気は無く、ちぇんから見てもゆっくりとした笑みだった。 その笑みのまま子れみりゃ二匹と赤れみりゃ一匹がちぇんに寄って来る、その体を生きたまま食べるために。 (やめて!こないで!) ちぇんは大声で叫んだつもりだったが、子ゆ二匹と暴れる赤れみりゃ、大量の餡子を吐き出した体にそんな体力は残っていなかった。 口をパクパクと開け閉めする親ちぇんはわが子の断末魔を聞きながら永遠にゆっくりできなくなった。 「ふ~おなかいっぱいだどぉ~♪」 「ぽんぽんいっぱいだどぉ☆」 「うっう~☆う~☆」 一時間後、群れで一番大きかった巣で、れみりゃ一家はゆっくりしていた。 脱出路つきのこの巣だけは、何とか親れみりゃも無理して入れるだけの入り口の広さがあり、巣の中も十分に広かった。 親れみりゃも子れみりゃもたくさん食べてお腹はでっぷりと肥えていたが、赤れみりゃは特にその傾向が大きかった。 「ちっちゃいおちびちゃんたちよくたべたどぉ~☆りっぱだどぉ~☆」 「うっう~♪たくさんたべてまぁまみたいになるどぉ~☆」 「おねえちゃんみたいになるどぉ~☆」 「うっう~☆おねえちゃんみたいにりっぱなれでぃになるんだどぉ~♪」 「れみぃはさくやみたいになるどぉ~☆」 「もったいなきおことばですわ」 さくやはまたも真っ白に燃え尽きていた。 これからもれみりゃ一家はたくさんのゆっくりを食べ、たくさんゆっくりするだろう。 そしてその生涯を終えるまでに、何度次元の壁を突き破り、別の世界のゆっくりを食べるのか、それは誰にも分からない。
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※ハコマニア再び。しゃべらせます。 【観察キット】 「今回もまぁ、悪くない出来だ」 ここは川のほとりの一軒家、俺こと虐待お兄さんの家である。 「予想できる限りのアクシデントへの対策も、大丈夫」 川のほとりにあるのは、水車による《ハコ》の動力確保のため。 「この日のために、れみりゃもしつけた」 「うー☆」 「よーし、いい子だ」 ほかの家から離れているのは、ゆっくりの悲鳴が近所迷惑にならないように。 「それじゃ、趣味の仕事といきましょうか」 「まりさをここからだしてね!」 「いまならゆるしてあげるよ!あとおいしいおかしをもってきてね!」 「もってきてね!」 「ゆっくりしていってね!」 捕獲用《ハコ》には、成体のれいむとまりさ、子が…多いな。 数えるのもおっくうだ。ざっと20はいるかいないかだろう。 まぁ数が多いのは、今回の《ハコ》にはいいのかもしれない。 「おぅお前ら」 調子のいいゆっくりに、威圧するように話しかける。 「おじさん!ゆっくりさせてね!」 「ゆっくりできるひと?」 「れいむ!このおじさんはゆっくりできないひとだよ!」 こうも数が多いとうるさくてしょうがない。悲鳴はいいが喧騒は嫌いだ。 俺は物陰で居眠りしていたれみりゃを呼ぶ。 「れみりゃー、おいでー」 「うー…?うー!」 俺の声と分かるや否や、いい速度で飛んでくる。 虐待が専門の俺に、しつけはかなり大変だった。 「れみりゃだー!」 「ゆっくりできないよ!」 「だずげでー!」 しっかり怯えてくれている。まず条件として充分。 「こっから出たいんだろ?今出してやるよ」 れみりゃを捕獲《ハコ》の上で飛び回らせつつ、蓋に手を掛ける。 「いやああああぁぁぁぁ!!!」 「ごわいいいいいぃぃぃぃ!!!」 「おじさん!ゆっくりやめてね!」 俺は《ハコ》に手をかけ、ゆっくりと持ち上げる。 さすがに20匹前後となるとそこそこ重い。《ハコ》の重さもきつい。 その《ハコ》の周りを、終始れみりゃが飛び回る。 「ごわいっ!ごわいよおおおぉぉぉ!」 「おがあざあああぁぁぁん!」 しかしまぁ本題はそこじゃない。今回の《ハコ》へと、ゆっくりたちを移す。 れみりゃを離し、蓋を開け、ドサドサと《ハコ》の中へと落とす。 「ゆぶっ!」 「びゅっ!」 「いたいよ!ゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないばかなおにいさんはどっかいってね!」 全員入ったところで、《ハコ》の蓋を閉め、数歩下がる。 今回の《ハコ》は、いわば観察用の《ハコ》だ。 壁一面を改造し、幅ゆっくり1匹強、深さと幅が壁一面の《ハコ》である。 《ハコ》には8割ほど、少し固めの土が盛られている。 部屋側に向いている《ハコ》には半透膜、こっちからのみ見える膜を張ってある。 そして今回のためにわざわざ飼いならしたれいみりゃ。 身の危険がなければ、あいつらは巣を作ろうとすら思わないだろう。 そう、「巣を作らせるための《ハコ》」だ。 れみりゃを手元に呼び戻す。 今ゆっくりたちには、壁と土と仲間達しか見えていない。 「こんなとこじゃゆっくりできないよ!ゆっくりすをすくろうね!」 「ゆっくりりょうかいしたよ!」 「みんなでゆっくりできるすをつくるよ!」 なんだ、見せるだけでよかったのか。なら飼いならさなくてもよかったな。 だがまぁ、ゆっくり相手への恐怖、ってのは大事だ。 しつけの甲斐あって、れみりゃは大根をかじりながらおとなしくしている。 もちろんゆっくりも食うぞ。 ゆっくり達は、巣づくりを開始したようだ。 一体顔面だけでどう巣穴を掘るのか気になっていたんだが… 土に混ざった石を加え、ザリザリと削っている。おぉ、意外に賢い。 親れいむ、まりさが率先して穴を掘り、子れいむまりさ達が土を外に出す。 土を体全体で押し出すようにしていて、それと同時に巣穴を固めている。 始まってそんなに立たずして、大本っぽい1本の巣穴が完成していた。 …意外と、いい生態系してるじゃねぇか。 まずはちょっかい程度。 巣穴のまわりに積まれている土を、軽く巣の中に払ってやる。 といっても、巣が壊滅しない程度にだ。まだ本気虐待タイムには早い。 「れみりゃ、頼む」 「うっうー☆」 れみりゃの鳴き声を聞いて怯えるゆっくり達。巣を作る手(?)が早まる。 れみりゃは巣の入り口に立ち、足で周りの土を蹴落とした。 始めは、ぱらぱらとこぼれる程度。 「ゆー?」 「たぶんやわらかいんだよ!もっとしっかりさせようね!」 「ゆっくりできるすをつくろうね!」 子供達は気にせず、土を上へ上へと追いやる。 れみりゃがいることを知っているので、外に出すのではないようだ。 巣の上のほうにある、ちょっとした空間めがけて登っている。 こぼれる程度の土が、小さな土砂崩れのレベルに発展する。 「ゆ”ー!つちがおちてきたよ!」 「ゆっくりにげるよ!」 土を押していたれいむ、まりさ達はあわてて下へ駆け下りる。 だが土に追いつかれ、コロコロと転がったり、半分土に埋まったりしていった。 「ぃゆ”っ!」 「だいじょうぶ!?ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 土もたいした量じゃないので、半分埋まった子もすぐに自力で抜け出した。 どういう反応を見せるか気になっていたのだが、そんなに面白くない。 「よくあることだよ!しっかりつちをおさえていってね!」 「あぶないとおもったらもどってきてね!」 「ゆっくりわかったよ!」 「すのためにがんばるよ!ゆっくりしていってね!」 …なるほど、自然にはよくあることか。 「ゆー!ゆっくりー!」 「ゆぅー!」 さっきのプチ土砂崩れに、空洞で土をもっていたれいむ達が埋もれていた。 少し頭を出す程度で、身動きは取れないらしい。 顔が上を向いているのはラッキーだろうか。だがまぁ、もたないだろう。 むしろもたせない。れみりゃ、頼んだ。 「うー☆うー☆」 泥んこ遊びが楽しくなったのか、指示があるやいなや調子に乗り出すれみりゃ。 まぁ、この程度なら計画に支障は出ない。好きにやらせてやろう。 れみりゃに、ゆっくりが生き埋めになった空洞の場所を教える。 ちょうど他の巣穴と軸の被っていない、いい空間だ。 「いいぞ、跳ねろ」 「うーっ!うーっ!」 ドンッ、ドンッ、と巣全体に振動が伝わる。 れみりゃの声と未知の衝撃に困惑する巣の中のゆっくり達。 子供達は一目散に親の元へ駆け寄り、一家固まって無事を祈っている。 やがて、振動が止んだ。 安心安全を確認したのち、ゆっくり一家は巣作りを再開する。 先ほどの空洞は、潰れてなくなっていた。 そこからゆっくりの声もしない。 「よーしよくやった、戻っておいで」「うぁー!」 「足拭けよ」「うー☆」 いいれみりゃだ。まったく、これ以降も頑張ってもらおう。 れみりゃの声がすっかりしなくなったのをいいことに、巣作りは熱を上げる。 数が多いせいか、子供が2,3いなくなったことにも気づかないらしい。 親失格だな。まぁ人里を襲う時点でアウトだがな。 穴を掘り、土を運び、壁を固め、それを延々繰り返す。 …日が暮れる頃には、立派な巣が出来上がっていた。 始めに親が掘った一本の穴を元に、派生するように小さな部屋がいくつか。 幅のせいで1箇所にまとまれないのか、部屋の数はだいぶ多い。 穴掘りをやめたあたり、ここらで完成なのだろう。 「かんせいしたよ!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 巣穴に響き渡る完成コール。わざわざありがたいこった。 「すもできたし、ごはんをさがしにいくよ!」 「おっきなこどもたちもてつだってね!」 「ゆっくりりょうかいしたよ!」 「いっぱいえさをあつめるよ!」 「いってらっしゃい!きをつけてね!」 「きをつけてね!」 餌か。直接的な虐待《ハコ》ばかりで考えてもなかった。 まぁ適当に餡子でも与えておけばいいだろうよ。 「れみりゃ、おやつ《バコ》もってきてくれ」 「うぅー☆」 とてとてと歩いて《ハコ》を取りにいくれみりゃ。気分らしい。 持ってきてもらった《ハコ》には、すでに絶命した子ゆっくり達。 虐待前に絶望を与えるため、あとは自分の甘味のために用意してあるものだ。 「数も多いからな…、適当に潰して投げてくれ」 「うぁ!」 「終わったら2つまで食べていいぞ」 「うー☆」 れみりゃはハコからい匹ずつ取り出すと、両手で押しつぶしていった。 変形する饅頭。そこに悲鳴はない。 れみりゃは潰しては巣の《ハコ》に投げを繰り返していった。 子供も多いし、この程度で充分だろう。 「よくやった。ほれ」 「うぁ!うっぅー☆」餡子で口を汚しながら笑う。「口拭けよ」「うー☆」 巣穴から出たゆっくり達は、その餡子の山を見て歓喜した。 「ゆっ!あまいのがいっぱいあるよ!ゆっくりできるね!」 「みんなではこんでゆっくりしようね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 潰しただけだから皮とか飾りとかも多少残っているんだが、気にならないようだ。 なかなか殺生なものである。 「毒でも混ぜとけばよかったか…。次はそうしよう」 観察と発見こそ、新たな虐待へのステップである。 ゆっくり達は食べないように餡子をくわえ、頭に載せ、巣へ戻っていった。 巣の中では、きゃいきゃいと食事を楽しむ姿がうかがえる。 キセルをふかし一服。れみりゃは煙たがって逃げてしまった。 さて、一通り観察は済んだ。ここからがお楽しみ虐待タイムである。 「巣潰しは、威力こそあるものの虐待としてはつまらなさすぎる」 れみりゃが潰した巣穴は、あたかもそうであったかのようになくなっている。 それに家族のゆっくりが気づいていない。いろいろと虐待としてはぬるい。 「水牢…か。土に大丈夫かね」 水牢、単純に水に浸ける虐待である。 ゆっくりすることが許されず、皮もふやける、虐待としてはシンプルなものだ。 だが今回は《ハコ》そのものではなく、巣である。 水を吸って崩れたりしなければいいのだが。 まぁそれも一興か。そういや大雨と変わらんな。 せっかくの虐待だ。一握りの「悪意」を。 ゆっくり達は全員巣の中。おk。 入り口となっている穴に、目の細かい金網を張る。脱出防止だ。 しっかりと土とその他で固定。軽く引っ張ってみるがそう動きはしない。 かまどのほうでは湯も沸いたようだ。準備は万全。 湯のみに煎茶、ティーカップにさました紅茶を入れて、優雅なティータイム。 「うぁー☆」「待て待て、最後に一仕事だ」「うー☆」 れみりゃを鳴かせながら飛び回らせ、外にれみりゃがいるのを教えてやる。 「ゆっ!れみりゃのなきごえがするよ!」 「すのなかならだいじょうぶだよ!ゆっくりしていってね!」 その安心を打ち砕く。これぞ虐待道。 巣の入り口の金網から、残ったお湯をちろちろと流しいれる。 「ゆぅ?」 子ゆっくりが異変に気づいたようだ。水が流れてきている。 「おかーさん!おみずがはいってきてるよ!」 「ゆっ!たぶんあめがふってきたんだね!いりぐちをふさぎにいくよ!」 「ゆっくりわかったよ!」 「れみりゃにきをつけてね!」 この程度の量ではゆっくり達につく頃には土に吸われ、熱も奪われているようだ。 親れいむと数匹の子ゆっくり達が、巣穴の入り口めがけて上がってくる。 ほどよい高さまで上がったところで、少し勢いよくお湯を流す。 「あぢゅっ!このあめあついよおかーさん!」 「ゆっくりできないよ!」 「ゆっ、あめがあついなんておかしいよ!みんなはうしろにいてね!」 先頭が子ゆっくりから親れいむに代わる。 れいむは穴の真下にたどり着くと、なにごとかと上を見上げた。 ここぞとばかりにお湯を流す。 「ゅあ”じゅっ!」 顔面クリーンヒット。煮えたぎるお湯はさぞかし辛かろう。 「ぅあ”っ、あづっ!」 熱さに苦しみながらも、子供達を危険に晒すまいと必死に耐える。 非情かと思ってたがそうでもないじゃないか。 追撃をかける。少し多め、軽く押し流す程度だ。 「ゆ”う”う”う”う”ぅぅぅぅっ!!」 目と口を閉じて、必死に子供達に浴びせまいと頑張っている。 だが、お湯の量はそんなもんじゃない。れいむが全身に浴びつつ、後ろへ流れる。 「あ”ぢゅい!」 「ごのあめあぢゅいよ!ゆっぐりでぎないよ!」 危険と分かるや否や、親を放置して一目散に巣の底まで逃げ出す子ゆっくり。 親れいむは気づいてか気づかずか、必死にお湯を耐え続けている。 お湯を浴びた顔面は真っ赤になっていた。赤くなるのか。 次のステップだ。一旦お湯を止める。 「ゆうううぅぅぅ…」 親れいむは土に顔をうずめている。きっと土が冷たいのだろう。 子ゆっくり達は巣の上で起きたことを報告している。 「おそらからあついあめがふってきたんだよ!」 「あめはあつくないよ!うそをつかないでね!ゆっくりできないよ!」 「うそじゃないよ!おかあさんがたいへんなんだよ!」 「ゆっ!?れいむが!?」 それを聞いた親まりさが一目散に巣穴の入り口めがけて駆け上がる。 「れいむ!れいむっ!」 「ゆ”ぅぅ、まりざ?」 「だいじょうぶ!?ゆっくりしていってね!」 「ゆっ…くりしてい…ってね」 返答できるレベルのやけどらしい。まぁその程度のお湯だしな。 特に何かできるわけでもなく、れいむをいたわるまりさ。 …お次はちょっときっついぜ。 お湯を、半分ほど残して残りを注ぐ。 「ゆ”う”う”う”ぅぅぅっ!!」 「あじゃああああぁぁぁぁ!!!」 親ゆっくりにたたきつけられる熱い濁流。 今度は防ぐとかせき止めるとかそんなちゃちな量じゃない。 量にして巣の半分を浸水させる量のお湯を、一気に注ぎきる。 当然、ゆっくり2匹でこの流れをせき止めることも出来ない。 「あじゅっ、あぶっ、むぅううぅぅぅぅ!!」 「ゆぶぶっ、ゆっぶ、ゆぅー!」 耐え難い熱と共に、親ゆっくりが巣の底へ流される。 ってか溺れてないかこいつら?溺死しないんじゃなかったっけ? やがてお湯が巣の底、子ゆっくり達にまでたどり着く。 「ゆぅ?」 「なんかみずのおとがするよ!」 何かと思って巣の先を眺めていたら、突然泥水が流れ込んできた。 泥水の先頭には、親ゆっくりが2匹。 「おかーさん!おとーさん!」 「だいじょうぶ!?ゆっくりしていってね!」 「ゆ”っ、ここはあぶないよ!ゆっくりしないでにげてね!」 「ここじゃゆっくりであづっ!!!」 お湯が、親ゆっくりを飲み込み、子ゆっくりに襲い掛かる。 「あじゅううううぅぅぅぅ!!!」 「ゆ”っ!ゆ”ぅっ!」 「あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁ!!」 量の多いお湯はそう熱量を奪われない。 巣のそこまでアツアツをお届けってわけだ。 「あじゅいっ!あじゅいいいぃぃ!!」 「ゆっぐりでぎないいぃぃ!!」 悲鳴に包まれる巣。すでに動かないゆっくりも何匹かいるようだ。 子供じゃまだ弱い、ってか。虐待しがいがないな。 「みん…な!あわてないでゆっくりきいてね!」 お、親まりさ。れいむに比べれば軽症なだけあって、まだ動けるようだ。 「あついあめがこないところにすをつくるよ!ゆっくりてつだってね!」 「ゆゆっ!みんなでゆっくりしようね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!あっつっ!!!」」」 熱さに絶え絶えになりながら、熱い湯を踏みしめながら、巣の上を目指す。 動かなくなったゆっくりたちは置いていったようだ。 まず高い位置の横穴に避難して、それから横穴を掘り進めるらしい。 なるほどこれなら下に湯がたまり、ゆっくり達の方には流れてこない。 親まりさの指示に従って、比較的元気な子ゆっくりたちが掘り進める。 「れいむ、だいじょうぶ?ゆっくりしていってね!」 「ゆっくり…していってね…」 れいむの火傷跡を舐めるまりさ。土が付いていようがおかまいなしだ。 巣を作るだけあってか、仲間愛は強いのだろうか。 初めのやつといい、湯に巻き込まれたやつといい、一体どっちなんだ。 巣穴がガンガン掘られていく。 横穴も、完成時の巣の半分ほどにまで大きくなっていた。 「これでゆっくりできるね!」 「あついあめもこわくないよ!」 怖くない。だとさ。それで済ませるお兄さんじゃないさ。 お湯も、再び沸きあがったようだし。 「う”ぁ!あづい!」「…やっぱ熱い紅茶はダメか」「う”ー」 再び沸いたお湯でお茶を淹れなおす。れみりゃは熱いのはダメらしい。 煎茶にせんべい、紅茶にクッキー、なんて万全な準備だろうか。 「れみりゃ、それじゃ頼んだぞ」 「ぅー…」 熱い紅茶が不満だったのか、しぶしぶ動き出す。 両手でしっかり鍋の取っ手を持ち、巣穴めがけて飛んでいく。 最後に限って、俺の湯量調整は必要ない。 完膚なきまでに、苦しませるだけ。 「いいか?」「うー」「元気出せ、砂糖1つやるから」「うー☆」 れみりゃの調子も出たところで、最後の仕上げを開始する。 「それじゃ、全部流し込め」 「うぁー☆」 早く砂糖が欲しいのか、おもいっきりぶちまけるれみりゃ。 まぁ巣にも入ってるし、大丈夫だろう。 ゆっくり家族の目の前に、滝のように落ちていくお湯。 「ここならあついあめはこないよ!ゆっくりできるね!」 「みんなでゆっくりしようね!」 今は、まだ来ないだろうよ。どんどんとお湯が巣へ流れ込んでいく。 当然、行き場を失ったお湯は水位をあげる。壁越しに熱気が伝わる。 「ねんのためにあなをふさぐよ!みんなてつだってね!」 「ゆっくりりょうかいしたよ!」 「だいじなすのためにがんばるよ!」 なんと、それをされては湯が届かない。それだけは防がねば。 …と思ったが、その心配はないようだ。 水位は上がるところまであがり、横穴へお湯が流れ出す。 入り口に積まれ始めた土ごと、お湯が横穴を侵略する。 「ゆぅっ、あめがはいってきあじゃっ!?」 「これじゃゆっくりできないよ!いそいであなをふさごうね!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 だがもう遅い。餡子脳を悔やめ。 どんどんと、ゆっくりを押し流すほどにお湯が入ってくる。 「ゆー!?ゅあっづっ!!」 「あじゅいあじゅいあじゅいあじゅい!!」 湯はゆっくり達を半分浸けるほどまで侵食している。 お湯から逃げるように飛び跳ね、そのしぶきが仲間に飛び散る。 それを全員がやっているものだから、みんながみんな必死だった。 「あじゅーいー!?」 「ゆっぐりでぎないいぃぃ!!」 もうどうしていいのかわからず、ひたすら熱湯の餌食となるゆっくり達。 お湯はまだ流れている。そろそろ子ゆっくりが浸水するだろう。 「あぶっ、あじゅ、ばじゅい…!!」 「ゆっぐ、ゆぐ、ゆ”…ゆ”ぅ!」 「う”ぅ、ゆっぐぃじだがあづっ!!!」 やがて、巣全域が水没した。 キセルで一服。 「…終わったか」 れみりゃは物陰で角砂糖をかじっている。 ゆっくりの巣は、ものの見事に水没している。 あれだけ大量の湯を流し込んでも、巣が崩れることはない。 巣のあちこち、吹き溜まり的な場所に動かない子ゆっくりが転々としている。 みんなゆでだこのように真っ赤だ。表情も悪くない。 こういう景色を見ると、虐待した甲斐があるってもんだ。 せんべいを齧ろうとすると、わずかに巣の中で動きがあった。 「…お?」 見ると、子れいむが1匹、生きている。 必死に目を瞑り、体を真っ赤にしながらも、動いている。 するとそのゆっくり、なんとぷくーっと頬を膨らました。 「呼吸も出来ないのになぜ膨らませられる…」 つくづく理不尽な生き物だった。 その浮力に任せて、巣からの脱出を試みているようだ。 みるみるうちに子れいむは浮上していく。 壁に当たるたびに火傷が痛むらしく、口が開きそうになるのを耐えている。 そして子ゆっくりは、巣の入り口へとたどり着いた。 金網で封をした、その入り口に。 「ゅあ”ばっ!?」 当然、金網も湯を浴びているわけで、充分に熱い。 それに触れれば、普通に辛いだろう。 子れいむは金網に負け口を開き、巣の底へ沈んでいった。 「…これで、ほんとに終了かな」 観察《ハコ》での虐待は終了した。 成果としては…よくわからん生態系を見せ付けられた。 子を大事にしたと思いきや見捨て、 溺死したと思ったら浮いてきて、 正直、今回の観察結果をどう生かすべきか、まだ考え付かない。 とりあえず、今回の結果を他の村のお兄さん達に報告してみよう。 なにかいい案が浮かぶかもしれない。 片付けのことを考えながら、俺は一旦部屋を後にした。 【あとがき】 どもっす、タカアキです。 蟻の巣観察キット的なアレを思い浮かべてくれれば幸いです。 絵ヅラで思いついて、文に立ち上げたんだが、いまいち虐待がつまらない。 というわけでお兄さん方、なんか考えてくれ。
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※美鈴によるゆっくり虐待。 ※今回は18禁に相当するほどの性的描写は、たぶんありません。 ※例の如く、ある意味では美鈴虐めかも。キャラ性格の俺改変ひどいし。 ※また、メタな表現がところどころございますので、苦手な方はご注意下さい。 ※虐待開始までの前置きが長いです。虐待開始の少し前あたりから、以後の話の内容変え たら、「まったりゆるゆる美鈴の日常」ってタイトルつけて、しかるべき所に投下しても 違和感ないぐらいに。 ※そんなわけで……とりあえず前編のみのため、今回の虐待内容は微温いです。 ※当然のように俺設定満載な感じです。 ※特に、ゆっくりの設定は思い切り俺設定です。イメージと違う場合もございますので、 ご注意ください。 「美鈴と森のゆっくり ~前編~」 沈みつつある太陽が紅い光を投げかけ始めた、ある初夏の日の夕刻── 「美鈴さぁん、交代の時間ですぅ」 紅魔館の門前に、甲高い妖精の声がこだまする。 「あ? もうそんな時間。ご苦労様」 この悪魔の館の門番を務める紅美鈴は、勤務の交代にやって来た妖精メイド達に微笑ん だ。 「はぁい、美鈴さぁんお疲れ様ですぅ!」 赤髪の妖精は美鈴に微笑み返した。 「ミズ紅、オツカレーね!」 金髪の妖精は美鈴と握手を交わした。 「お疲れッス! 紅の姉貴!」 緑髪の妖精は美鈴に深々とお辞儀をした。 「紅殿、お疲れ様であります!」 黒髪の妖精は美鈴へ挙手の礼を捧げた。 「美鈴娘々お疲れアルよ!」 青髪の妖精は美鈴に拱手した。 「みんなもお疲れ様。じゃ、後はお願いね」 建威付けのため枯れ木も山の賑わいで無駄に多く雇われている妖精メイド軍団の中で、 優秀というか勤労精神があるというか、比較的戦闘能力が高く仕事もこなせるメイドたち に勤務を引き継ぎ、美鈴はその場を後にし家路につく。 「ふぅ~、今日も疲れたわー……っと」 大きく伸びをして、首をこきこき左右に傾けながら、美鈴は通用門から門内へと入る。 そのまま奥へ真っ直ぐ進めば紅魔館の本館だが、彼女は本館へは向かわず中庭をずんず ん歩んで行く。 自分が日頃から丹精している木々や花々を横目に見つつ、美鈴は中庭の一隅に設けられ た建造物を目指す。 「狭いながらも、楽しい我が家♪」 中庭の景観に配慮しているのか、外観は瀟洒な佇まいの木造家屋へ美鈴は入って行った。 「ただいまー!」 大声で帰宅の挨拶をする。 外観は瀟洒だが、内装は物置小屋よりは快適に見える程度の、羊頭狗肉と言う表現がふ さわしい自宅──通称・美鈴ハウスに彼女は帰宅した。 この家屋は二階建てプラス地下一階の三層構造で、一階部分は十二畳ほどの空間を衝立 で仕切って部屋としており、床は打ちっ放しの粗製コンクリートであった──要するに、 物置小屋をお義理程度に住居らしくしているだけの小屋である。 「お帰りなさい、美鈴!」 大声で返事を自演する。 傍から見ると非常に悲しく可哀想な光景だが、不遇さでは幻想郷でもトップクラスの美鈴 にとって、この虚しい行為は疎かに出来ない日課であった。 「さぁて、ディナーディナー♪ お夕飯♪ 晩ご飯♪」 こんな劣悪な住環境でも、美鈴はそれなりに楽しい日々をこれまで過ごしてきた。 「雨風しのげるんですよ! お布団で寝られるんですよ! ご飯支給して貰えてるんです よ! 充分じゃないですか!」 七輪と中華鍋、食器や調味料などを外へ運びながら、美鈴は地の文に対して抗議した。 メタな事をする──ちなみに、彼女の言うお布団とは、年季の入った木製簡易寝台と藁 布団である。 「藁布団だっていいじゃないですか! 中身が綿じゃなく藁でも外側は布なんですから!」 美鈴ハウスが陰になって中庭からも本館からも見えない場所に七輪を置き、火をおこし ながら彼女はまたも地の文に食って掛かる。 本当にメタな事をする──これだから中国は……。 「中国じゃありません! 美鈴です! 紅美鈴です! 我的名字紅美鈴! ちゃんと覚え てください!」 「知ってるわよ」 目の前にメイド長が立っていた。 「わわわっ! さ、咲夜さんっ!」 「はい、これ今夜と明朝の食材……ねぇ、美鈴。一人暮らしで独り言が多くなっちゃうの はわかるけど、ほどほどにしてね」 食材の入った籠を手渡しながら、瀟洒なメイドは言った。 不気味だから、キモいからといた理由は、美鈴の妙なところで繊細なハートに配慮して 言わず。 「は、はい! わ、わかりました! あ、ご飯ありがとうございます」 「私はただ運んでるだけよ。感謝はお嬢様にしなさい。それじゃ、またね」 消えるように素早く、咲夜は立ち去った。 別に美鈴と長々立ち話をしたくないからではなく、そろそろ主が起床する時間だから急 いでいるだけであって、他意はない。 「さぁて、今夜のご飯は~♪ お肉とお野菜の炒め物♪ みんな大好き♪ 私も大好きホ イコーロー♪」 楽しそうに歌いながら、中華鍋を火にかけ充分に熱してから油を引き、すでにカット済 みの肉をぶち込んで豪快に炒める。 ──肉がどのような動物の肉であるかは、あえて記さないでおく。 「両脚羊♪ 両脚羊♪ ヤンシャオロウのーホイコーロ♪ 肉ニク肉にくヒトの肉♪」 記さなかったのが台無しである。 「私も大好き♪ 妖怪みんな大好き♪ 両脚羊♪ でも巫女肉はハイリスク♪」 手際良く美鈴は調理を進行する。 肉を炒め終えたら、一旦それを鍋から取り出して、次に生姜や長ネギなど香味野菜を炒 め、各種の醤など調味料を入れる。 「油通しは♪ 面倒だから省略~♪ 中が半生でも♪ お野菜美味しい♪」 肉と同じくカットされている野菜をぶち込み、先ほど鍋から取り出した肉を再び入れ、 炒め合わせる。 「もうすぐ完成♪ みんな大好き♪ ルーミアも大好き♪ 私も大好き♪ ヤンシャオロ ーの~、ホーイーコーロー♪」 「呼んだのかー?」 上空から黒い塊が降下してきた。 黄昏よりも昏く、闇よりもなお昏い、夜よりもなお深き漆黒の塊が。 「私のご飯♪ 今日は分けてあげない♪ ごめんねルーミアちゃーん♪ えいっ!」 食器に料理を盛りつけながら、美鈴は弾幕を展開した。 「くれないのかー」 美鈴の放った弾幕に追い立てられ、黒い塊──すなわち暗闇をまとったルーミアは、そ の場から強制的に退場させられた。 「さぁ、出来た! いただきます!」 籠の中から銀絲巻──具無しの中華パンを取り出し、その場に座って食事を始めた。 大陽はその姿をほぼ地平線の下に隠し、宵の明星が西天に輝いていた。 美鈴が食事を終える頃には、もう周辺はすっかり暗くなっていた。 空には金星に遅れて輝き始めた星々が瞬いている。 「さて、ご飯の後には、お風呂♪ お風呂♪」 食休みを終え、食事の後片付けも終えた美鈴は、周辺を軽く箒で掃いて掃除すると、今 度は入浴の準備に取りかかった。 屋外からハウス内に戻った彼女は、入り口から奥への視界を遮る衝立の向こうへと回る。 そこが美鈴専用の浴室であった。 壁際には木製のバスタブが床の上に直置きされていて、洗い場用のスペースには簀の子 が敷かれている。 また、石鹸箱やシャンプーの瓶、手鏡とカミソリなどが置かれている棚や、全身を映せ る大きな姿見なども、そこには配置されていた。 簀の子の上には、輪切りにした丸木そのままなバスチェアーと、これまた木製の手桶が 乗せてある。 壁から突き出し、バスタブの上に延びた水道の蛇口を捻り、水を溜めながら美鈴は着替 えの準備をするため二階へ上がった。 家が木造、バスタブも木製なら、もちろん階段も木で作られている。軍艦のラッタル並 に急角度の階段を、危なげない足取りで美鈴は昇る。 二階は一階よりもやや狭い場所を、衝立や壁などの仕切りを用いず一部屋とすることで、 大きく広い空間を確保していた。 床板が敷かれているため、二階は一階よりも幾ばくかは文化的な室内に見える。 しかし、壁に掛かった青竜刀や丸盾などの武具類が、どちらかと言うと前近代的な蛮風 を感じさせる室内装飾となっているため、やはり非文化的なカテゴリーからは脱しきれて いない。 箪笥から着替え──古びた稽古着と、バスタオルと手ぬぐいを取り出し、美鈴は一階に 戻る。 バスタブには四分の一強ほどの水が溜まっていた。 美鈴は二階から持って来た着替えなどを衝立の上に掛けると、バスタブの傍らにしゃが み込んだ。 彼女はおもむろに片手を水の中に入れる。 「……はーっ、ほーっ、へーっ……むんっ……ホァチャーッ!!」 裂帛の気合いを込めて、充分に練った気を手から水へと解き放つ。 すると、たちまち水は沸騰する湯となった。 「あぁぁぁぁぁッ! アッチャーッ!」 あまりの熱さに、美鈴は叫んだ。 うっかりと文字通り気を緩めたため、沸騰する湯の熱さをダイレクトに感じてしまった のである。 盟神探湯を行わされた武内宿禰は潔白であったため無事だったが、門番の職務によって 国津罪の一つである生膚断を何度も犯している美鈴は、どう考えても潔白ではないと言う か、そもそもこれは盟神探湯ではなく単なる不注意の事故であるため、手に火傷を負った。 出しっぱなしにしている蛇口から迸る流水で、美鈴は赤く腫れた手を冷やした。 「うぅっ……い、痛い……」 美鈴は殴られる、蹴られる、弾にあたる、レーザーで吹き飛ばされる、ナイフで刺され る、魔法の火で焼かれる、などの痛みには慣れているが、熱湯に浸かると言う痛みには慣 れていないため、涙声で呻いた。 気を使いこなせる能力と、元から備わった身体能力のおかげで、妖怪の中でも再生・回 復能力がかなり高い美鈴だが、やっぱり痛いものは痛い。 「気を付けないとなぁ……ふーっ、はーっ……」 冷やして痛みをある程度鎮めてから、美鈴は再び気を練り始めた。 ──火傷治療のために。 気を使う程度の能力というものは、非常に便利である。攻撃、守備、回復、探索、掃除、 洗濯、炊事、移動、修繕、農作業、釣り、色事、賭博、宴会芸など様々な局面で使えるの だから。 そうこうしているうちに、バスタブの水位は8分目ぐらいまで上がっていた。 少量の沸騰水に大量の水が加わったことで、湯温は入浴に適する程度となっている。 「大量の水を温めるより、少量の湯を沸騰させた方が楽なのよ……美鈴ってば、天才ね!」 どこぞの氷精を彷彿とさせる頭の悪そうなセリフを吐き、彼女は自画自賛した。 「さぁて、お風呂♪ お風呂♪ ご入浴♪」 18禁ならば脱衣描写に行を割くべきであろうが、今回は18禁ではないため、美鈴は素早 く衣服を脱ぎ捨て全裸となった。 「んー、ちょっとお肉ついちゃったかな……」 一糸まとわぬ裸体を姿見に映し、腹部を摩りながら、悩める乙女の顔で美鈴は呟いた。 彼女の名誉のために記すが、食後30分も経過していないのだから、微妙に腹部が膨れる のは当たり前である。 「あぁ、またお尻大きくなっちゃったかな……緋想天に追加で登場する時は、萃夢想の時 に穿いていたズボンじゃ、ちょっと入りそうにないわ……」 上体を前に傾け、ぷりんっと突きだしたお尻を姿見に映し、その豊かな臀丘の美しい曲 線を撫で摩り、弾力のある盛り上がった尻肉を揉みながら、美鈴はため息をついた。 強く揉むと、健康的な肌の下にみっしりと肉が詰まったお尻のほっぺたが歪み、臀裂が 大きく開き、その奥にひっそりと息づく部位がちらりと顔を覗かせる。 「……ちょっと、18禁じゃないんでしょ?」 またしても美鈴は地の文に向かって言葉を放った……と言うか、尻描写優先のため流し たが、緋想天とか萃夢想などと極めつけなメタ発言を数行前で行っている。 「そんなこと言われても、萃夢想は過去だから"三日置きの百鬼夜行"って言えるけど、こ れから追加パッチで私が登場する緋想天は未来の出来事になるんだから、他に言いよう無 いじゃない!」 この地の文を書いている者も含めて、おそらく全世界で五〇〇人ぐらいは、美鈴の緋想 天追加出場を望んでいると思うが、メタ表現が多すぎるのは微妙である。 「はっ、ふぁっ……くしゅんっ!」 夏とは言え今は夜である。 なかなか入浴せず、全裸でぐだぐだしていたため、仕事と食事でたっぷりかいた汗が乾 く際に、身体から奪う気化熱で、美鈴は寒気を感じてくしゃみをした。 「うぁ、夏風邪ひいたらバカみたいね……早く入らなきゃ」 ぶるっと身体を震わせて美鈴は呟くと、 「だいたい旗袍の下にズボン穿くなんてナンセンスなんだから、入らないならいつも通り 穿かなくていいわよね!」 と言って、ぺちんと両手で自らのお尻を叩いてから、かけ湯もせずにバスタブへ入った。 「ふーっ……今日もいい湯だった……」 一日の疲れを癒すバスタイムを済ませた美鈴は、全裸のまま屋外に出て、気の力でよく 冷やした牛乳を飲んでいた。 こんな夜中に中庭をうろつく者は居ない、本館からここは遠すぎるから細部までは見え ない、敷地外からの万一の覗きは生け垣や木立が防いでくれる。 誰にも見られないのならば、屋外であっても個室内と同じこと。 全裸で満天の星空を仰ぎ見ると言う、とても心地良い開放感を味わえるこの一時は、美 鈴が好む事柄のベスト10に入っている。 戦闘時には邪魔に感じる時もある巨大なバスト、きゅっとくびれたウエスト、女性のエ ロスを充分に誇示するような大きいのに垂れていない盛り上がったヒップ、健康的な美し さを感じさせる太ももなど、美鈴が持つ外見的魅力の全てが惜しげもなく晒されている。 だが、それを観賞できるのは、空に瞬く星たちだけであった。 「んーっ……あぁー、夜風が気持ちいいわ」 強すぎず弱すぎない風に向かって、美鈴は大きく両手を広げた。 まだ水気を含む長い髪が風になびき、星の光を受けて魅惑的に輝いている。 「んっ……っと、そろそろ準備しないと」 あまり長時間この観る者の存在しない露出を行っていると、何故か下腹部の奥が疼いて きて、ついつい自らの手指を用いて、股間を玩弄したり、乳房や臀部を揉みしだいたり、 乳首を摘んだり、本来は排泄のために存在する消化器官の末端を、入り口から奥まで丹念 に指で擦ったりなどの行為を行い、再び入浴しなければならないような結果となる事がし ばしばあるので、早々に切り上げて美鈴は屋内へ戻った。 美鈴は入浴前に用意しておいた稽古着を身にまとう。 通気性の良い丈夫な麻布で作られたこの服は、手首まである長袖の中華風シャツと、足 首まである長ズボンで構成されている。 普段着ている旗袍の時と同様、この服を着る時も美鈴はパンツを穿かない。その代わり に、激しい動きをする際に邪魔になる巨乳には、しっかりときつくサラシを巻く。 そして同じく邪魔にならないように、頭髪は後頭部でひとまとめにくくり──いわゆる、 お団子ヘアーにした。 汗が目に入るのを防ぐため額にハチマキを締め、これでほぼ出発準備は整った。 ちなみにハチマキは全体を赤く染めた木綿製で、額に当たる部分には、中心に白抜きの 日輪を描いた青地の長方形がプリントされている。 早い話が、日の丸ハチマキならぬ、青天白日満地紅旗ハチマキである。 「やっぱり、これを締めると身が引き締まるわね……昔の気分に戻ったみたいに」 仕事中と比べると、どことなくワイルドと言うか、剣呑な眼光を美鈴は放ち始めた。 「……今日は、道具も使おうかしら」 二階に上がり、壁に掛けた青竜刀を手にして、二丈ほどの長さの荒縄をたすきがけに身 に付け、いくつかの小道具をポケットに入れてから、美鈴は自宅を後にした。 正門や正門脇の通用門は使わず、庭の外れのとある地点に隠された、一般の妖精メイド は知らない抜け穴を通り、美鈴は紅魔館の外へと出かけて行った。 「さぁ! 狩りの時間よ!」 近郊に広がる森へと向かって、美鈴は飛んだ。 「んっと……このあたりは、どうかな……?」 魔法の森のように異常な環境ではない、ごく普通の森の中を美鈴は歩いていた。 「この時間じゃ寝てるだろうから、偶然出会う可能性は低いし……面倒だから気を使って 探しちゃおうかしら」 そう決めると立ち止まり、念のため周辺を見渡してみた。 「……朽ち倒れた大木かぁ、あれが巣作りしそうな手頃なポイントだし……ちょっと、見 てみよう……」 朽木に近寄ると、その幹に横向きの大穴が空いているのがわかった。 「これは、大当たりみたいね……ふふふっ、いたいた!」 彼女は中を覗き込み、目当てのものを見つけた。 その目当てのものとは、無論ゆっくりのことである。 最早、長々と詳しい説明を要さないであろう、この珍妙な生命体を美鈴は探し求めてい たのであった。 「全部で八匹か……んっと、大きなまりさが一匹と小さなまりさが二匹に、大きなれいむ が一匹と小さいのが二匹……って、あら残りの二匹は大きなありすとゆっちゅりーだわ!」 穴の中を覗き込み、獲物の内容と数を確認した。 大きなまりさ、れいむ、ありす、ゆっちゅりーは全て直径40センチクラスの大物である。 小さなれいむとまりさは、それぞれ大きいのの子供であろう、こちらは直径10センチぐ らいで、やや手のひらに余る程度のサイズであった。 ぐっすりと無防備に眠っているゆっくりたちを起こさないように注意深く、巣の内部と、 この周辺の地勢を美鈴は確認する。 朽ちた倒木を掘り削って作ったと思われる巣は、かなりの広さであった。 仮に美鈴が潜り込んで横たわったとしても、まだまだ充分なスペースがあるぐらいに広 い。 大物のゆっくり四匹と子ゆっくり四匹の計八匹が、ゆっくり生活するのには、全く不自 由のない空間であろう。 「見たところ巣に他の出入り口は無しか……さて、どんな修行メニューにしようかしらね ……ふふふ」 しばらくその場で腕を組んで考えて、作戦を頭の中でまとめた美鈴は、ゆっくりせず迅 速に準備を開始する。 「ゆっくりした結果が、時間切れだったら無駄骨だからね」 その場を離れ、森の奥へと再び歩き出した。 自分たちが、どうやっても勝てないほど強大な存在に目を付けられたとも知らず、ゆっ くりたちはのんびりと夢の世界を旅していた。 「ゆ~、まりさぁ……れいむのこども、まりさのこどもがいじめてるよ! ゆっくりしな いで、はやくやめさせてね!」 この大きなれいむ──母れいむは、これから自分に降りかかる悲惨な運命を知らない。 「ゆゅゅ~っ……ゆーっ、おかぁさぁん、ちょうちょさんだよ~! おいしそーう!」 「ゆぐっ、ぐじゅっ……やめて、まりさぁ、それれいむのたからものだよ~……ぶじゅっ」 この双子のれいむは、もう蝶を見ることも、宝物を眺める事も出来なくなる運命を知ら ない。 「ゆごぉ~っ! ゆがぁ~っ! んーっ……まりさはわるくないぜ! わるいのはれいむ だぜ! だから、ゆっくりみのがしてほしいんだぜ!」 この母まりさは、好き放題自分勝手に生きてきたツケを払わされる事になるとは、夢に も思っていなかった。 「ゆへっへっへっ! どんくされいむー! ここまでおーいでー! ぶぴゅるるぅっ……」 「ゆ~っ……おかぁさん! ありすがまりさのことへんなめでみてるよ……こわいよー、 あのありすはやくおいだしてよ~」 母に良く似た肥溜めみたいな性格の、この双子のまりさには、その腐った性根に相応し い末路が待っている。 「ゆっぐ……ひぐっ……ごべんばざい゛! もう゛、やべでよ゛お゛ぉぉぉぉ~!」 「むきゅー、むきゅっ……やめてよぉ、まりさ……い゛や゛! お、お゛がざなびでぇぇ ぇ……むきゅ……」 夢の中でもあまり恵まれてない、このありすとゆっちゅりーがどうなるのかは、美鈴の 胸三寸である。 ──ここに居る八匹のゆっくりたちには、全員もう今後はお日様の光が見れなくなる運 命が待っている。 「殺しましょう♪ 殺しましょう♪ 老若男女の区別無く♪ 許容もなく慈悲もなく♪」 スキップして歌いながら、美鈴が戻ってきた。 これから行う行為への期待で非常に楽しげな面持ちだが、歌っている歌は物凄く物騒で ある。 「う゛~! うー、うー! かわいいれみぃをどごへづれでぐのぉ~?」 その美鈴の後ろを、ゆっくりれみりゃがぷよぷよと不器用に飛びながら尾いて来る。 周知の通りれみりゃは夜行性の捕食種で、非常に希少な種だと言われているが、様々な 事象が偶然この種にとってプラスに作用し、紅魔館近郊には野生の個体が多く生息してお り、夜の森の中でのエンカウント率は意外と高い。 このれみりゃは、森の中の開けたところで「うっうーうあうあ♪」と踊っていたのを、 たまたま見かけた美鈴が言葉巧みに連れてきたのである。 「もうすぐですよ。がんばってくれたら、ゆっくりできる快適なおうちで、楽しく遊ぶ退 屈しない毎日と、おいしいご飯を約束しますからね」 「う~♪ おうちー! れみぃのおうちー! ごはんー! う゛~、がんばるどぉ~!」 快適な住居、退屈しない日々、美味な食事──決して、詳しく具体的に「何がどうだか ら」とは言わず、良い印象を感じさせる修飾語だけで釣るのは、かなり初歩的で低次元な 騙しのテクニックなのだが、せいぜい人間で言うなら四歳児程度の知能しかないれみりゃ に対しては、抜群の効果である。 続く
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畑 ある日、俺が畑に出てみると、そこには一匹のゆっくりがいた。 「ゆっくりしていってね!!!」 近づいててみると、それはゆっくり霊夢の親子だった。 「うめぇ!これめっちゃうめえ!」 「おいしいね、ゆっくりたべようね!」 呆然としていた男、その男に気付いたのか子供霊夢が話しかける。 「おじさん! ここはれいむたちがさきにみつけたんだよ! おじさんはちがうところでたべものをさがしてね!」 「うめぇ!まじうめぇ」 「こっちもうめぇ」 「……」 「おじさんまだいたの。ゆっくいしないんだったら、ほかのところにいってね」 おそらくは母親霊夢、に体当たりを食らわされる、おかげで服は土だらけだ。 腰も強く打ってしまったので、ゆっくり達の楽しそうな笑い声を聞きながら、その場を後にした。 別の方が書いた続き 家 俺が、農作業から帰ってくると、そこには三匹のゆっくりがいた。 「おいじさんもゆっくりしにきたの?」 とゆっくり霊夢。 「ここはゆっくりたちのいえだよ!!!」 とゆっくり魔理沙。 「むきゅー!」 とゆっくりパチェリー。 「ここは俺の家なんだけど……」 「ちがうよ! ここはれいむたちがさきにみつけたんだよ!!!」 「そうだよ! ここはまりさたちのいえだよ!!!」 「むきゅー! ぱちぇりーたちでゆっくりするんだよ!!!」 「いやぁ、ここはもともとおれの……」 「ゆっくりできないんだったらでていってね!!!」 ゆっくり霊夢からタックルを食らわせられる。 「おじさん。かってにひとのいえをとっちゃだめだよ!!!」 こんどはゆっくり魔理沙からだ。 「むきゅ~! うそつききらい!!!」 最後にゆっくりパチェリーからの一撃。 農作業に疲れて帰ってきた俺は、反撃する体力もなく、その日は家の中から聞こえるゆっくり達の声を聞きながら、外で一晩過ごした。 別の方が書いた続き 屋台 今日は街まで屋台を出してきた。 売るのは、自慢の佃煮だ。 「いいにおい! おじさんこれなぁに?」 「なぁに?」 見ると家族なのだろうか、少し大きい霊夢が小さい霊夢を連れてこちらを覗いていた。 「お嬢ちゃんたちは姉妹かい?」 「うん! きょうはれいむたちがあかちゃんをつれてきたの! おじさんそれなぁに?」 なるほど、良く見るとようやく外を出歩けるようになったらしい、初めて見る光景に釘付けのようだ。 「これは佃煮だよ。ちょっと食べてみるかい?」 少量を皿に載せて、話していた霊夢に差し出す。 警戒するでもなく、いきなり食べ始める。 「ゆっ! おいしい! おじさんこれおいしいよ!!!」 随分喜んでいるゆっくり霊夢、くるっと後ろを向いて。 「みんな! これおいしいよ! おじさんがたべていいっていったから、みんなでゆっくりたべよう!!!」 「ほんと!!! いただきまーす」 「れいむのせなかにのってね! だいのうえまでのせてあげるよ!」 「ゆっくりのるよ」 「いいにおいー」 あっという間に、台の上に上がりこんでくるゆっくり姉妹。 「うめぇ!! めっちゃうめえぇ!!!」 「おいしいよ! はじめてたべたよ!」 「あかちゃんたちゆっくりたべてね!!!」 「「「ゆっくりたべるよ!!!」」」 みるみる丹精込めて作った佃煮が無くなっていく。 全て食べ終わるのに、5分もかからなかった。 「おいしかったね!!!」 「またたべたいね!!」 「ひがくれてきたから、早く帰ろうね!」 「「おうちでゆっくりしようね!!!」」 そのまま、こちらを振り向かないでゆっくり姉妹は帰っていった。 山菜 俺が山で山菜を取っていると、ゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢が近づいてきた。 「おじさんなにとってるの?」 「あぁ、これはさんs「あぁ、これおいしいたべものだ!!!」」 言うが早いか、俺の籠に迫り来る二匹、なす術もなく倒される俺。 「うめぇ、めちゃうめぇ」 「これ、なかなかとれにんだよね! おじさんまりさたちのためにとってくれてありがとう」 朝から苦労して取っていた山菜をどんどん食べられる。 こっちも苦労した身なので、唖然と居て座ったまま動けなかった。 「はぁ、おいしかった!!! おじさんありがとう! おかげでゆっくりできたよ!!!」 「また、まりさたちにごちそうしてね」 ゆっくりゆっくりと言いながら、二匹は山の中に消えていった。 家宝 久しぶりに家でのんびりしていると、庭にゆっくりがやってきた。 「ゆっくりしていってね!!!」 なんてことはない、よくいるゆっくり魔理沙だ。 「いらしゃい、ゆっくりしていってね」 「うん! ゆっくりするよ!!!」 ゆっくりできる人と思われたのか、ズカズカ家の中に入り込んでくるゆっくり魔理沙。 「すごい! ゆっくりできるよ!!!」 そういって棚に向かって跳ねていくゆっくり魔理沙。 棚に載っている花瓶やガラス細工をなぎ倒し、代わりに自分が棚に乗って行く。 「ゆ♪ ゆ♪」 ひとしきり飽きたのか、今度は台所の方に向かっていく。 「ゆ! おいしそうなのがいーぱい!!!」 手当たり次第に、粗食するゆっくり魔理沙。 その度に、米はぶちまけられ、野菜はバラバラに食べられ、肉や魚もかじられる。 おまけに涎まみれだ。 最初に、家宝の壷を破壊されてしまって放心状態だった俺は、その様子を見守る事しか出来なかった。 「おじさん! ゆっくりできたよ! またあそびにくるね!!!」 本当に遊びに来るのだろうか、事務的に片づけをしていた俺はそんな事を考えていた。 翌日、友達と称する二匹を連れて、本当に遊びに来た三匹を見て、あぁ本当に来たなぁとしか思わなかった。 牛肉 今日は奮発して高い牛肉を買ってきた。 これからなににして食べようかアレコレ考えながら家路を急ぐ。 「ゆっくりしていってね!!!」 道から突然ゆっくり霊夢が飛び出してきた。 驚いて尻餅をつく形になる。 「ゆ! おじさん、そのふくろからいいにおいがするよ!」 「あぁ、これはさっきかってきた牛肉の匂いだよ」 「ゆっ! おにく! れいむもたべたいたべたい。おじさんいっしょにゆっくりたべよう!!!」 転んだ拍子に袋を放していたのがいけなかった。 既に、袋の中に顔を突っ込んでいるゆっくり霊夢。 こちらは、腰を打って立ち上がれない。 「ゆっ! これうめぇ!めっちゃうめぇ!」 一緒に、という言葉を忘れ一心不乱にむしゃぶりつくゆっくり霊夢。 「うん。ごっくん! おじさんありがとう! またいっしょにゆっくりしようね!!!」 喰い散らかした時の粕だけ残して、ご機嫌にゆっくりは去っていった。 れみりゃ 今日は紅魔館の近くで果物を取っていた。 実りに実った果実が数多く実っている。 俺は興奮して、手当たり次第に籠に入れていく。 「う~! た~べちゃうぞ~!!!」 ゆっくりれみりゃだ。 紅魔館の中で大切に育てられているらしいそれが、何故ここに居るのかは分からなかったが、下手に泣かせてあのメイド長にナイフを刺されるのはごめんだ。 「う~♪ うまいうまい♪」 れみりゃはそんな事お構いなしだ、男の籠から果実を取り出し勝手に食べている。 「う~! まず!」 自分が不味いと思ったのは捨てる、踏みつける。 「う~! ぐ~るぐる♪」 おなかが膨れたれみりゃは、持っていた日傘をたたんで、籠の中かき回し始めた。 久しぶりに沢山取れた果実がグチャグチャになっていく、手を出さないのはれみりゃが怖いからではない、メイド長が怖いのだ。 「う~!うっう~!!」 さんざんかき回した後、大威張りでれみりゃはその場所を後にした。 後には、ぐちゃぐちゃになった果実と、使い物にならなくなった籠だけが残された。 捕獲 ある日、俺が一身蜂起してなんとかゆっくりを捕まえた。 といっても、家でゆっくりしようと、言って連れて帰っているだけだが。 さぁて、連れて帰ったらどうしてあげようか。 「う~!」 「ゆっくりしね!」 その声に後ろを向くと、ゆっくりれみりゃとゆっくりフランが後ろから迫っていた。 その勢いにびっくりして思わずゆっくりを抱いていた手を離す。 「ゆゅ? ゆ゛ーーー!!」 一瞬で空中高く運び去られるゆっくり霊夢。 「ゆっぐりじたいよ。たがいよ! ごわいよ! おじざんだずげでよ!」 「う~!」 「ゆっくりしね!」 互いに両頬から食べていく二匹、あっという間に食べつくしてしまった。 「うっう~♪ あうあう♪」 「ゆっくりしね♪」 遥か高空で行われた二匹の食事。 折角手に入れたゆっくりを数分で食べ終わった二匹は、新たな獲物を探して飛び立っていった。 ゆレミ&フラ 俺が露天で竹細工を売っていると、紅魔館でご寵愛を受けているゆっくりれみりゃとゆっくりフランがやってきた。 二人ともよたよたと日傘を差している。 先程、屋敷のメイド長が一緒だったところをみると、また一緒についてきて、メイド長が買い物をしている間自由行動をしているらしい。 「うっう~! た~べちゃうぞ~♪」 今日はきぐるみを着ているれみりゃがそういいながら、俺の竹細工を蹴散らしていく。 「う~ゆっくりしね♪」 それを真似して、ゆっくりふらんも同じ事をしだした。 俺は黙っているしかない、以前注意して泣かせた店主が、すぐさま駆けつけたメイド長に連れ去られて以来戻ってきていないからだ。 「う~♪ がぁお~♪」 「うっう~♪」 笑顔で全て壊しつくした二匹は、同じく買い物を済ませたメイド長に駆け寄っていった。 メイド長が買っておいたペロペロキャンディーを両手で掴んで、ご機嫌なまま二匹は帰っていった。 ピクニック 今日は一人でピクニックだ。 数時間かけて森を散策し、ちょっと開けた所でいざ昼食を、と思っていた時。 「ゆっ、「「ゆっくりしていってね」」」 珍しい、ゆっくりシャンハイとホーライを連れたゆっくりアリスに会った。 「今日は、ゆっくりしているよ」 そういってゆっくり達に笑顔を送る。 「ゆゆっ! そう。 ゆっくりできてよかったね」 「ヨッカタァネ」 「ヨカータネ」 返事を返してくれたようだ、この種類も他のゆっくり同様、人間に友好的な種類らしい。 「おじさん、ありすとゆっくりしてくれる?」 「うん、いいよゆっくりしよう」 今日はピクニック、のんびりしようと思ってここまで来たのだ。 「アリィス、ヨカッタネ」 「ヨカターネ」 「君も一緒にお昼食べる?」 「っ! おひる! ……うん。ありすもいっしょにたべてあげる!」 「そうかい、」 じゃあどうぞ、言おうとして差し出した弁当箱が地面に落ちる。 同時に飛び散る中身。 「これはいらないよ! ありすがおひるのじゅんびするから! おきゃくさんにしょくじをだされちゃ、とかいはとしてはじだもの! おじさんはゆっくりまってていいよ」 三匹で直ぐに駆け出す、程なくして戻ってきた三匹のゆっくりは。 大きな虫と、落ちてぐちゃぐちゃになった果実と、よく分からない葉っぱを運んできた。 それからのピクニックは、なにをしようにも、アリスが空回りして、心を休めることが出来なかった。 選択肢 投票 しあわせー! (0) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (3) 名前 コメント すべてのコメントを見る