約 632,155 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3365.html
あねきィィさんからのお題「羽饅」から書きました。 俺設定満載 羽饅 「う~♪う~♪」 数匹の胴無しれみりゃがゆっくりの集落を襲っていた。 「れみりゃだあああああああ!!!!!!」 「むぎゅううううううううう!!!!」 「にげてえええええええ!!!!」 逃げ惑うゆっくり達、そんないつもの光景がそこにあった。 甘すぎる彼女達の餡子は他の野生動物の口に合わず餌にはなり辛い。 しかしそれを好んで食べる物達もいる。 それはゆっくり自身、特に捕食種と呼ばれる連中だ。 ゆっくりにとって甘いものは好物であり、それを恒久的に食べられるのは他のゆっくりに力という点で勝る捕食種達なのだ。 彼女達が一応の同属であるゆっくりを食べるのも無理のないことであった。 さて、ある日のこと。 「う~♪」 今日もごはんであるゆっくり達を探し機嫌よく森を徘徊する一匹の胴無しれみりゃ。 「ゆっゆっゆ~♪」 「まりさ!きょうもごはんあつめがんばろうね!」 まりさとれいむの番らしき二匹のゆっくりがいた。 どうやら今日の獲物を見つけたようだ。 「うー!うー!」 いつものように茂みから突然現れて間彼女達を脅かす。 食べる前に脅かし恐怖を与えることでゆっくり達の餡子はその旨みを増す。 捕食種が捕獲に手間取ることを知りながらわざわざゆっくり達を脅かすのはそのためである。 「ゆ?れみりあだよ!」 「まりさ!きょうはごちそうだね!」 「う~?」 しかしこの二匹のゆっくりは驚くどころか目を輝かせて空中を飛ぶれみりゃに襲い掛かってきたのだ。 バサァ! 背中の羽を広げて! 「う゛ー!?」 れみりゃは突如襲い掛かられ驚き戸惑い反応が遅れる。 その間に二匹はれみりゃに噛み付いたのだ。 「うー゛!う゛ー!」 すでに起きている事態がれみりゃの肉饅脳の限界を超えているため理解できないが今の事態がまずいことだけは分かる。 しかし逃げようとしたれみりゃの翼に左右それぞれから二匹が噛み付きついにれみりゃは地面に叩き落された。 「ゆっへっへ!うまそうなにくまんなんだぜ!」 「さっそくむーしゃむーしゃするよ!」 「うああああああああ!!!」 そして二匹はれみりゃを貪り食った 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 「うっめ!これめっちゃうめ!」 「う…あ…。」 瞬く間にれみりゃは二匹のゆっくり腹に収まった。 それは非日常的な光景だ。 この翼のある通常種のゆっくりがいったいどのような過程を経て生まれてきたのか定かではない。 しかしこの羽付ゆっくりが増えるにしたがって捕食種は捕らえる側から捕らえられる側となっていった。 「ゆっへっへ!のろまなれみりゃはさっさとたべられてね!」 「うああああああ!あがじゃあああああああん!」 「みゃみゃあああああ!!!」 こんな光景が森の各地で見受けられるようになり元捕食種のゆっくり達は日に日にその数を減らしていった。 しかし羽付ゆっくり達がれみりゃ達を食べて満足していたのはほんの短い時間だけだった。 肉饅であるれみりゃはゆっくり達の口には合わなかったのである。 必然的にゆっくり達のターゲットは彼女達の口の合う食べ物へとシフトする。 「ゆ!たたかいのときはきたよ!」 「「「「「「「「「「「ゆーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」」」 ここは羽付ゆっくり達ばかりの群れ。 彼女らは羽付が優れた種であることを自覚しており、そのことに慢心する者が非常に多かった。 そんな彼女らが集まったのがこの群れである。 その数は百を超えている。 「れいむたちはついにれみりゃたちをもこえ、どすすらもりょうがした!いまこそおいしいやさいをひとりじめするにんげんにせいぎのてっついをくだすときがきた!」 「「「「「「「「「「「ゆーーーーーーーー!!!!!!!」」」」」」」」」」」 言い方はご立派だがいつも通りの野菜目当ての人間の里襲撃である。 「いざゆかんにんげんのもとへ!えいえいゆー!」 「「「「「「「「「「「えいえいゆーーーーーーーーー!!!!!!!」」」」」」」」」」」 そうして羽付ゆっくり達は空を飛んで人間の畑へと到着した。 「ゆ!?にんげんさんがいるよ!」 「むきゅ、あれは『かかし』といってただのにんぎょうよ!だいじょうぶだわ!」 「あんなものでれいむをだませるとおもってるんだね!にんげんさんはつくづくばかだね!」 案山子はゆっくり用ではなく鳥用のトラップなのだがそんな事は知りもしないゆっくりたちはついに畑に降り立った。 そうして、 「ゆ!?」 ガチ!! 見事に対ゆっくり用のトラップであるトラバサミに引っかかった。 「ゆぐわあああああああ!!!!!いだいいいいいいいいい!!!!!」 「むぎゅうううううう!!!!」 「いやあああああ!!!!」 我先にと畑に飛び込んでいったゆっくり達は畑に仕掛けられたトラバサミに次々と引っかかる。 畑の中に仕掛けるには一見危なそうに見えるが、ここ最近羽を持つゆっくりの被害が激増しておりやむなく危険を顧みず設置したのだ。 その代わり人間にはそれほど危険でない構造になっている 「よし!今だ!ゆっくり共を捕らえろ!」 畑の脇から隠れていた人間達がまだ捕まっていないゆっくり達に網を放り投げる。 彼らは山から現れた羽付ゆっくりの集団を見つけ行き先を予測し事前に集まっていたのだ。 ゆっくりの飛ぶ速度など所詮はゆっくりが跳ねて走るより少し早い程度である。 ゆっくり同士であれば致命的なその差も相手が人間ともなれば無いに等しい。 後は空に逃がさないように気をつけながら捕らえればよいだけである。 猛威を振るうかに思われた羽付ゆっくり達は驚くほどあっさりと一網打尽となった。 翼というアドバンテージを慢心し、作戦一つ練らず襲撃したがゆえの結果である。 「やれやれ正面から堂々と盗みにくるとはな。これじゃあ羽が無いやつのほうが厄介だぜ。」 「さーてお仕置きの時間だな。」 そういうと次々とゆっくりたちの羽をもぎ取り始めた。 「ゆぎゃああああああああ!!!!まりざのはねさんがあああああああ!!!!」 「ありずのとがいでぎなはねがああああああああ!!!!!!」 「むぎゅうううううう!!!!もってかないでえええええええ!!!!」 すべての羽付ゆっくり達の羽をもぎ取ると次々に森に向かって放り投げる。 「おら!二度と来るんじゃねえぞ!最もその羽じゃ来れもしねえだろうがな。」 「むぎゅ!」 「ゆべ!」 「うぼ!」 羽付のゆっくりは翼という新しい武器を手に入れたため捕食種に勝る力を手に入れた。 だが同時に通常種のようには跳ねたりすることが苦手になっていた。 「はねがないとごはんとれないよおおおおおおおお!!!」 「ありずのはねがえじでええええええええ!!!!」 彼女達のゆん生はもはや閉ざされたも同然である。 この事件以外にもさまざまな原因で羽付のゆっくりは数を減らした。 羽付ゆっくりは非常に目立つためその子供は捕食種達の格好の獲物となってしまったのである。 さらに自分達が狩られることを覚えた捕食種達は集団で狩を行い始めたのだ。 こうなれば羽付ゆっくり達といえどもひとたまりもない。 もはや彼女らは見つけやすいだけの獲物に成り下がった。 「うっう~♪おいしそうなあまあまだどぉ~♪」 「やべでえええええええ!!!!!あんごずわないでえええええええ!!!!」 「はねはまずいからぽーい♪だどぉ~♪」 ブチブチィ! 「ゆぎゃあああああああ!!!!!!」 こうして羽付ゆっくり達の天下は早々に終わりを告げたのである。 そうして世界から羽付はいなくなりゆっくり達はあるべき姿へ戻ったのだ。 変わったのは人間の更に厳重になったゆっくり対策とさらに凶悪になった捕食種のみであった。 ──────────────────────────────── by デストラクション小杉
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/418.html
さんさくめ ちょっと ちょうしこきすぎた あいかわらず だぶん だよ by おれまりさ とか よばれたひと 「あ~楽しィ~!マジAQN最高だぜ」 今日もハッピーターンをつまみながらビールを飲んで、某ゆっくりスレを見て1日の疲れを癒す。 そんな私はゆっくり愛好家。壁紙はゆっくり、勿論デスクトップを飾るのはゆっくりデスクトップアクセサリー なぜならゆっくりは特別な存在だからです。 デスクトップ画面には50匹を超えるゆっくりが縦横無尽に飛び跳ねている。 この為にCPUをセレロンからクアッドに変えたのは言うまでもない。 「あ~かぁいいよ~ゆっくり~!俺の大根もおろせる頬でスリスリしたいよ~~!」 悲しいかなこいつらは与えられた画像とルーチンでしか動く事できない デスクトップを見てニヤニヤしてる俺。親が見たら泣くね絶対、まだAV見てる方が救いがあるよねウン しばし至福のゆっくりタイムを満喫してると、辺りが一瞬真っ白い光に包まれに遅れてゴロゴロと言う音が外から響いていた 「結構近いな。落雷で俺のゆっくり画像が消えちまったら困るな。可愛いゆっくりちゃん、少しの間会えないけど我慢しててね」 そう言ってスタートボタンにポインタを合わせた瞬間であった ガラガラガッシャーーン!! 眩い閃光と共に耳をつんざく爆音が俺の部屋を襲った 同時に激しい衝撃で俺の体は吹っ飛ばされ壁に叩きつけられた 「うぉ…いってて、本当に落ちるとは…はっ俺のゆっくり1号カスタムは!?」 自慢のゆっくり専用PCを見やると本体は白煙を上げモニタは真っ暗な画面だけを映していた 「なん…だとっ!?」 何という事だ...給料の3か月分を費やして組み上げたゆっくり専用PCが!? 1年掛けて関連サイトやアップローダを暇さえあれば業務中でも探して集めた画像がッ!? 通勤中に思いついてにやけてしまう程の思いのたけを綴ったゆっくりとの妄想ライフSSががっ!? おきのどくですが ぼうけんのしょは きえてしまいました 3行の文が俺の中を渦巻いていた。 ゆっくりが居なくて何の人生を楽しめようか 目の前が真っ暗になり俺の人生も真っ暗にあんりかけたときであった ビッ ピーー 聞きなれた起動のビープ音がPCから聞こえた 「良かったPCは生きてる!」 後はデータが生きてるの確認するだけ OSのロゴが消えるとと何時もの乱雑なデスクトップ画面が映った 相変わらず暢気にゆっくり達が跳ねまわっている。よし問題ない 後はマイゆっくりフォルダを確認するだけだ。ポインタを置くと目を瞑って祈る思いでクリックする 「…。」 うっすら目を開けると白い背景にいくつものアイコンがいくつも見えた。 良く見ると虫食いの如く所々有る筈のフォルダが消えてる 「ま…PCが生きてるなら儲けものだな、ハハ…」 とりあえず飲み物をとって気を落ちつける事にした。もう流れちまった画像の事を考えると飲まないと涙が零れそうだからだ 「さてと…他の方は…ん?」 可笑しい…さっきまで有った筈のフォルダや画像のアイコンまでが消えている 「ま…まさかウィルス!?」 だがウィルスソフト反応してない。じゃあ一体なぜ?Why? 「ん…なんだこりゃ?」 何故かデスクトップアクセサリーのゆっくりれいむが妙な行動している。 AAでよく見るむーしゃむーしゃと物を咀嚼するアクション。 こんな動きしたか?徐にポインタを近づけてクリック するとれいむが口からアイコンを吐き出した。こ…これは!?タイトル名を見ると私的神画像の1つ!? 「れいむのしょくじをじゃましないでね!」 スピーカーから聞こえる筈のない物が聞こえた。 それだけではない他のゆっくり達を見るとデータにない筈の動きをしている 「これは一体?おまえはだれなんだ!?」 「れいむはれいむだよ。ばかなの?」 いや待て落ち着け……これは夢だ。夢でないとしたら幻覚だ。頬をつねろう 「あだだだだっ!?」 本物だ。じっくり観察してみるとデスクトップ上ではゆっくり達が思い思いに動いていた 数匹で歌を歌ってる者・追いかけっこをする者・フォルダのアイコンに顔を突っ込む者、絵やSSをみて想像するしかなかった光景が今ここに存在している 「フ…フハハハハハ!見ろ全国の『お兄さんども』よ!!俺はゆっくり愛好家達が誰もが羨む夢『ゆっくりと暮らす』をこの手に手に入れた」 「うるさいよ!しょくじちゅうなんだからゆっくりしずかにしててね!それとごはんがたりないからすぐもってきてね!」 「ああ・・・ハイハイゴハンね。ゴハン?お前ら電子データの癖に物が食えるわけないだろ」 「なにいってるの?おっきいおさらのなかにあるのがれいむのごはんだよ!」 よく見たら開いているマイゆっくりフォルダの中に多くのゆっくりが集っている。そいつら一様に何かを咀嚼している。ま…まさか!? 「こいつらファイルを食ってる!?」 何と気づいたらマイゆっくりフォルダの画像やテキストファイルの殆どが消失してる。こいつは不味い! 「ば・・・ばかたれ!今すぐ辞めろ!!」 「これはれいむがみつけたごはんだよ!ゆっくりできないおにいさんはきえてね!」 叫ぼうが一向にゆっくりはやめる気配がない。止めようにも画面の向こうの存在に干渉することなどできやしない。 「そうだ?さっきれいむに…」 フォルダでファイルをむさぼってる一匹のゆっくりをクリックする 「ゆ!?いたいよ!まりさをはなしてね」 ビンゴ!やっぱりそうだ。こいつらはデータなのでPCから操作で干渉できる 「おにーさんまりさをはなしてね!」 そのままドラグしてゴミ箱へドロップ 「ゆ゛ーーー!」 仲間の叫び声に気付いた他のゆっくり達が一斉に振り向く 「ゆっ!おにいさんまりさをかえしてね!」 「ここはれいむたちのおうちだよ!かってにいじらないでね!」 口々に非難の声をあげるれいむたち。 余りの事にこいつらの本質を忘れていた。 自分勝手で頼みもしないのに居着いてまるでそこの主の様に振舞う そして俺はお兄さん ならば成すべき事は一つ… 「おにいさんれいむをむししないで…むっぐ!こんなにごはんいらな゛っ」」 手始めにバックアップ済みの大容量データを放り込んであげた。 3GBもする御馳走を貰ったれいむは歓喜のあまり白目を剥いて気絶してしまようだ 「て゛い゛ふ゛ぅぅぅぅぅ!!」 れいむのつがいらしきまりさの口にはどっかで拾ったゆっくり.zip .exeとかいう何か怪しい香りのするファイルを御馳走させてあげた 「や"めでっ!?むーしゃむーしゃしあわせー♪」 「アレ何ともないのか?」 「ゆ…ゆっくゆっくゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりっくりっくりっくりっくりっくりっくりりりりりり」 「あ…やっぱりヤバいファイルだったか」 まりさは壊れた録音機の如く奇声を発しながら画面上を狂ったように走りまわる 今度は呆気にとられて動けない3匹のゆっくりを範囲指定して圧縮ソフトのアイコンに放り込んであげた するとデスクトップに3匹のゆっくりがいびつに融合した真四角なアイコンがあらわれたではありませんか 「き゛ほ゛「い゛や゛あ゛ぁぁ「は゛な゛れ゛て゛ぇぇぇぇ」ぁぁぁ」ち゛わ゛る゛い゛ぃぃ」 ゾクっとする様な不気味な声を立ててガタガタ動いている しかし本当の悪夢はこれからだ。ゆっくりデスクトップアクセサリの設定画面を起動してRemilaと名の付いたファイルを起動させる。 「うー?」 他のゆっくり達の顔が凍りつく。まさかれみりゃまで出てくるとは思いもしなかったろう 突如出現させられて戸惑っているれみりゃ。だが周囲を見回すと事態を把握したのかにっこりと笑う 「たべちゃうぞー!れみりあ うー!」 ようやく危機を悟り逃げ回る残りのゆっくり達。 「れ゛み゛り゛ゃ゛た゛ぁぁぁぁぁあぁ!!」 「い゛や゛た゛あ゛ち゛に゛た゛く゛な゛い゛ぃぃぃぃ」 半狂乱になって画面を逃げまどうゆっくりの様子は滑稽なものだった。 「ハハハハ!見ろ、人が…じゃなくてゆっくりがゴミの様だ!」 れみりゃに中身を食われてデリートされる物 画面端に逃れようとして将棋倒しになり押しつぶされる物 やけくそになったのか他の仲間を押し倒して性行為に及ぶ者 とにかく隠れようと自分からゴミ箱につっこむ者 宴は空が白むまで続いた。騒動が収まった頃にはデスクトップには数匹のゆっくりがポインタから逃げるように画面端で縮こまっている。 まだ続けたいところだが今日は出勤日、眠い目を擦り身支度を整え朝飯を取る。 今まで起こった事が夢のようだった。だけど現実なんだよこれが 出かけるので電源を消そうとPCの前に行く 「お゛ね゛か゛い゛で゛す゛ゆ゛っく゛り゛さ゛せ゛て゛く゛た゛さ゛い゛…」 その言葉を聞いて電源を切る手を止めた 「そうか帰ったらあそんであげるからそれまでゆっくりしていってね!」 俺は軽い足取りで家から出てゆく。何か聞こえた気がするけど気のせいだろう このSSに出てくる固有名称・団体名・商品名・企業名は実在の物とは無関係です このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/961.html
「うー!ここからだすんだどぉーー!!さくやーー!!」 「うー!くそじじいここからだせぇぇぇ!!!」 「ええい、うるさい肉まん共が、人様の畑を滅茶苦茶にしておきながら よくそんな大きな口が叩けるなぁおい。ついでに俺はこないだ二十になったばかりだ。」 この体つきゆふらんは俺の畑でゆっくりゃを虐め、畑がそのとばっちりを食らった。 収穫間近であったその畑の様子には呆然としたが、すぐに二匹に制裁を与えることを考え、 二匹とも捕まえて家に持ち帰った。そして今どういった制裁を与えてやろうかと考えていた所だ。 「羽や四肢を引きちぎるのは…なんかつまらんな 少しひねったものは無いだろうか。」 そう考えていると、子供のころ遊んでいたおもちゃが目に入った。 パーツを組み替えて遊ぶコマのおもちゃだ。 「パーツの組み換えねぇ…よし、これでやってみよう。」 どういった制裁を与えるかを決めた俺はすぐに準備に取り掛かった。 そして、小麦粉と水、包丁を用いた制裁を始めた。 まずはゆふらんからいくとしようか、箱からゆふらんを取り出s 「じねーーー!!じねくそじじい!!!はやぐごごがらだぜぇーー!!!」 箱を開けたとたんに耳をつんざくこの大声、耳がキーンとなったが 泣き喚くゆふらんを取り出し、うるさい口を手でふさぎ 狙いを定めて… ザクン 「うー!!!!!」 「おし、上手くいった」 狙いを定めて振り下ろされた包丁は見事に頭と体が別れた。 「う゛ーー!!!い゛だい゛ーーーー!!!」 頭と体がサヨナラしたゆふらんは喚きちらしていたが まだゆっくりゃの作業もあるため、頭だけ箱に戻した。 次に、別の箱からゆっくりゃを取りd 「うーーー!!!さくやーーーー!!!だずげでーーーー!!!」 ゆふらんに劣らない大声を出し、また耳がキーンとなった。 ゆふらんと同じ要領で黙らせ、よ~く狙って… ザグン 「うーー!!?」 自分の身にいきなり襲ってきた痛みが何なのか、 理解できないゆっくりゃは白目をむいて泡を吹き気を失ってしまった。 「さて、こっからが本番だな」 俺は気絶しているゆっくりゃの頭と、先程頭とサヨウナラした ゆふらんの体を、小麦粉と水を練ったものでくっつけた。 くっつけてから、上手くいったのだろうかと考えていると ゆっくりゃが目を覚まし 「うー?おじさんだれだどぉー?ここはれみりゃおぜうさまのおやしきだどぉー♪」 目覚めて早速おうち宣言ですか、はぁ と呆れていると、ゆふらんの体を手に入れたこのゆっくりゃは 何事も無かったかのようにお得意ののうさつだんす(笑)を踊りだしたではないか!! 「れみ☆りゃ☆う~♪」 しかもいつも見る踊りよりもキレのある踊り…のような気がする!!! ゆっくりゃは普段からのろまで、飛んでものろまである。 ゆふらんは身体能力に優れ、飛ぶとゆっくりとは比べ物にならない速さである そんなゆふらんの体を手に入れたのだ、踊りにキレがあってもおかしくは無いだろう のうさつだんす(笑)を見ながらそういったことを考えていたが、 ゆっくりゃのだった体をみて、箱のゆふらんを思い出した。 箱から出したゆふらんは喚きつかれたのか寝ており、また起きて喚く前に さっさと頭とゆっくりゃのだった体をくっつけ、目を覚ますのを待った。 「…うー…!くそじじい!」 おお、起きた 「うー!!くそじじい!!しねーーー!!!」 手足をバタバタさせて喚くゆふらん、どうやら制裁は上手く与えることができたらしく 二匹の体を組み替ることができた。 「「!」」 と、ここで二匹の目が合い、ゆっくりゃは怯え、ゆふらんは笑みを浮かべ始めた。 するとゆふらんが飛び掛り、ここでいつもの虐めが始まるのかと思ったが それは違った。 「うーー!?なんでおいつけないのぉぉぉ!!?」 「うーー?なんだかはやいどぉー♪」 ゆっくりゃはスイスイ飛び回るのに対し、 ゆふらんはのろのろと低空飛行をしていた。おお、ぶざまぶざま。 「うーー!!うーー!!」 「うー♪はやいどぉー♪さすがはこーまかんのおぜうさまだどぉー♪」 昨日畑を荒らしていた時とは全く逆の光景だ、ゆふらんが泣き喚き、 ゆっくりゃが笑顔で飛び回っている。 「うーーー!!ゆっぐりじねぇぇぇ!!!!」 ぽこ 「うー?」 飛んで追いつくのをあきらめたゆふらんは、俺が鼻をかんで丸めたティッシュを 投げ、偶然にもゆっくりゃに当てた。 「うー!なにするんだどぉー!れみりゃはこーまかんのおぜうさまなんだどぉー!」 「うー!!うー!!ゆっぐりじねぇぇぇ!!」 俺の鼻水つきティッシュを投げつけられ怒ったゆっくりゃは、 昨日虐められたことを忘れたのか、ゆふらんに向かって突進した。おお、はやいはやい。 「うー!おぜうさまにひどいことをしたこと、おもいしるんだどぉー!」 ずぶにゅ 「!!?うー!!?」 普段自分がやってる突進を、己の身で知ったゆふらんはただ痛がるしかなかった (なんで?どうしてゆっくりとしかとべないの?どうしてあいつにやられるの? なんで?どうして?なんで?どうして?) 呆然としているゆふらんだが、ゆっくりゃは調子に乗り、二度目の突進をした。 「うー!はやくてきもちがいいんだどぉ~~♪」 「……うー…う!?」 またゆっくりゃが自分に向かってきているのに気づいたゆふらんは ギリギリの所で避け、俺が開けっ放しにしていた窓から飛び去ってしまった 「あ!しまった開けっ放しだったのかよ!」 ゆっくりゃだけは逃がさんと思っていたが、ゆっくりゃもゆふらんを追って 窓から飛び去ってしまった。 「う~♪まつんだどぉ~♪」 「/(^O^)\」 「うー…ゆっくり…しねぇ…」 その後、ゆふらんは森の中で上手くゆっくりゃを撒いたが それまでに何度か突進を食らっていたこともあり満身創痍となっていた。 さらに、昨日から何も食べておらず、このままだと死ぬのでは悟ったゆふらんは 食料となるゆっくりを探していた、すると運良く 「「「みゃみゃ、きょうもごむーちゃむーちゃちてゆっきゅりちようね!」」」 「「ゆっくりしようね!」」 「うん!ちびちゃんたちといっしょにむーしゃむーしゃしてゆっくりしようね!」 赤ゆ3匹子ゆ2匹親ゆ1匹のれいむ一家が巣から出てきた、これから食料を探すのだろうか。 これはチャンスと感じたゆふらんは、今の自分に出せる 精一杯の速さで赤ゆっくりを捕まえに行った。 「うー!」 「ゆ!ふらんだよ!みんなはおかあさんのうしろにかくれてね!!!」 精一杯とは言え、傷ついた、しかもまだそれほど馴染んでないゆっくりゃの体だ、 親ゆっくりが気づかないほどの速さで向かったとゆふらんは思っているだろうが、 実際その速さは、ゆっくりが普段跳ねて移動する程度の速さしか出てなく さらに「うー!」なんて声も出すものだから親ゆっくりはすぐに気づいた。 「うー!」 だが、遅いとはいえゆふらんはゆふらん、体のある相手に勝てるわけがないと 思った親ゆっくりは死を覚悟した。 ぶにゅ 「う?」 「ゆ?」 親ゆっくりが思っていたよりもゆふらんの突進は弱く、これなら勝てるのではないか と親ゆっくりは思い 「みんな!このばかなふらんをやっつけるよ!」 「「「「「ゆー!」」」」」 子供たちに一斉攻撃を指示し、ゆふらんを殺し始めた。 「うー!うー!うー!」 「そんなこうげきでれいむたちにかてるとおもったの?ばかなの?」 「「「「「おお、ぶざまぶざま」」」」」 ゆっくりゃの攻撃によってすでに満身創痍だったゆふらんが抵抗できるはずも無く、 ただただれいむ一家に叩きのめされるだけであった。 「ゆっきゅりちね!」 「ゆっくりしね!」 「ゆっきゅりちね!」 「ゆっくりしんでいってね!!!」 「ゆっきゅりちね!」 「ゆっくりしね!」 それから大分時間がたち、ゆっくり一家は肉まんのペーストを むーしゃむーしゃしながらゆっくりしていた。 「「「みゃみゃ!これとってもおいちいよ!」」」 「「すっごくゆっくりできるよ!」」 「みんなしっかりたべておおきくなってね!」 一家がゆっくりした時間を過ごしていると、一匹の赤ゆっくりが 少し離れた所でうんうんをし始めた。 「ゆー!ちゅこちちゃべちゅぎちゃったからうんうんするりょ!」 ~お食事中の方、大変失礼しました~ 「ゆー!ちゅっきりー!」 すっきりした赤ゆっくりは家族の所へ帰ろうとした、すると 「ゆ?」 いきなり何かにつかまれ、赤ゆっくりは空を飛んでいた。 「ゆ~!おちょらをとんでるみちゃい!」 そうやって赤ゆっくりが喜んでいると 「う~♪うまそうだどぉ~♪」 ゆっくりゃだ この赤ゆっくりはゆっくりゃを見たことは無いが、親から 『ちびちゃんたち!へんなぼうしをかぶったあかいゆっくりにはきをつけてね! そいつはとてもゆっくりできないゆっくりだよ!』 そう教えられていた…が、所詮小さな餡子脳、そんなことは忘れており 「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!!」 お決まりの台詞を言う。 「いただきますだどぉ~♪」 そして食われる。 「ごちそうさまだどぉ~♪」 完食。だが髪飾りは嫌いだったのか 「う~♪ぽいするどぉ~♪」 ポイ捨てした。捨てられた髪飾りは親ゆっくりに上手いこと当たり 「ゆ!?これはちびちゃんの!?」 赤ゆっくりが一匹足りないことに気づいた親ゆっくりは 叫んで赤ゆっくりを探し始めた。 「ちびちゃんどこなのぉー!?でてきてぇー!?」 その叫びがゆっくりゃの腹の中でペーストとなっている赤ゆっくりに 聞こえるわけが無く、代わりにゆっくりゃがご馳走の存在に気づいた。 ゆふらんの体を手に入れたゆっくりゃは、ゆっくりゃとは思えない速さで ご馳走に近づき、赤ゆっくりと子ゆっくりを一匹ずつ手にし、また空へ飛んでいった 「ゆゆ!?またちびちゃんがいないよ!?どうなってるの!?」 親ゆっくりはまた子供が減ったことには気づいたが、連れ去られたことには 気づいておらず、なんだか紅いものが横切ったことは覚えていた。 「いただくどぉ~♪」 そしてまた手につかんだ赤ゆっくりを食うゆっくりゃ、 それをもう一方の手につかまれ、間近で見ている子ゆっくりは 「ままー!!たすけてぇーーー!!!」 力いっぱいに叫ぶが、 「どこなのぉぉぉぉ!!!ちびちゃんでてきてぇぇぇぇ!!!」 あろうことか自分の親の叫びに自分の叫びがかき消されてしまっていた。 「ごちそうさまだどぉ~♪」 そんなことをしているうちに赤ゆっくりは腹の中に逝ってしまい、 ついに子ゆっくりも食われ始めた。 「ままぁぁぁ!!!いたいよぉぉぉぉ!!!たすけてぇぇぇ!!!」 子ゆっくりの必死の叫びも 「どおじてでてこないのぉぉぉぉぉぉ!!!」 親の叫びにかき消され、いつしか親の叫びしか聞こえなくなっていた。 「う~♪あとはおうちにもってかえるんだどぉ~♪」 おなかがいっぱいになったのか、ゆっくりゃは 残っているゆっくりを巣に持ち帰ることにした。 「ゆぅぅ…ちびちゃんたち…」 親ゆっくりはすっかり意気消沈し、残った子ゆっくりと赤ゆっくり一匹ずつと 巣へ帰ろうとしていた 「みゃみゃ、おねぇちゃんちゃちどこいっちゃの?」 「ゆぅぅ…」 子供の問いかけにも答えなくなっていた親ゆっくり、 するといきなり、体が上へ引っ張られてゆくのを感じ、 気が付くと空を飛んでいた。 「ゆうう!?!?ど、どうなってるのぉぉぉ!!?」 親ゆっくりが混乱していると、自分の上から 「まま、おそらをとんでるみたいだよ!」「みちゃいだよ!」 聞きなれた子供の声が聞こえ、上を見るとちゃんと自分の子がいた。 「ゆ!ちびちゃんたちだいじょうぶ!?」 「だいじょうぶだよまま!」「みゃみゃ!」 ホッとした親ゆっくりだが、その子達の上に大きなゆっくりがいるのに気づいた。 「ゆ?だれなの?」 そう問い、返ってきた返事は 「う~♪おいしそうだどぉ~♪」 「ゆううぅぅ!??どぼじてれみりゃがいるのぉぉぉ!!?」 ゆっくりゃがすぐ近くにいるのを知り、少しでも早く距離をとりたいと 思った親ゆっくりは暴れ始めた。 「ゆうぅぅぅ!!れみりゃはゆっくりいそいではなれてね!!!」 「うー!あばれるなどぉー!」 いきなり上へひっぱられ、空を飛んだことに、この親ゆっくりは ゆっくりゃにつかまれて自分が空を飛んでいること知らず、今はただゆっくりゃから 離れることだけを考え暴れていた、そして 「ゆ!やっとはなれたよ!これでゆっくりでき」 それが親ゆっくりの最後の言葉となった。 「ゆぅぅ!!たすけてぇぇぇ!」「たすけちぇぇぇぇ!」 親ゆっくりに鏡餅のように積まれていた子ゆっくり達も親と一緒に落ちていたが 「う~♪にがさないどぉ~♪」 ゆっくりとはいえぬ速さで子ゆっくり達に近づき、両手でそれぞれつかみ 「う~♪これでゆっくりできるどぉ~♪おうちにかえるどぉ~♪」 と、ノリノリで巣へ帰っていった。 両手にそれぞれつかまれた子ゆっくりと赤ゆっくりは 泡を吹いてとても大人しくしていた。 そして自分の巣が見えてくると、ゆっくりゃは窓に向かい勢いを増して飛んでいった。 「ああ…もったいなかったなぁ…あの二匹…」 せっかく手に入れた二匹をあっさりと逃がした農家のお兄さん(20)は 家で一人ベイブレードをしながら嘆いていた。 「まったく…なんでこんなこt」グワッシャーン「!!?」 いきなり窓が割れる音がして、その部屋へ急いでいくと、その部屋の壁には 頭が潰れて絶命したであろうゆふらんと、その両手には泡を吹いて死んでいたゆっくりれいむの 子と赤子がつかまれていた。 「なんじゃこりゃ?」 いきなり我が家に起こった出来事に呆然としていたが、 よくよく見ると、体はゆふらんなのにペーストに混じって見える帽子は ゆっくりゃの物であった。 「もしやこいつ…」 俺はあのゆっくりゃが、目が覚めていきなりおうち宣言をしたことを思い出した。 「/(^O^)\」 ~終~ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3544.html
巨大ゆっくりの饗宴(前編)の続き 『うぅ~?!』 「ん~・・・改めて見ると本当に不細工ねぇ?」 目を覚ました、というよりも彼女が去ったのを確認してから動いた私の目の前には巨大なれみりゃザウルス。 聞くところによればティガれみりゃというらしい、が私の結界を壊そうと必死に腕を振り回していた。 もちろん、この結界が饅頭風情の惰弱な攻撃でどうにかなるはずもない。 『う゛~~~~~!おぜうさまはぶざいぐじゃないど~!!』 「そうなの、それはごめんなさい。今度から醜悪な豚まんと呼ぶわ」 『でびりゃは・・・ぶだばんじゃないんだど~~~~~~~!!?』 どうしてこうも安い挑発に簡単に乗るのかしら? 涙目になりながらも執拗に右手に握られた扇の先に展開されている結界にパンチだか引っかきだかを繰り出している。 何度も何度も結界を殴り続けているうちに気がつけばティガれみりゃの手はボロボロになっていた。 『う゛、う゛~・・・でびりゃのえれがんとのおででがいだいどぉ~・・・』 「あら、本当にボロボロね?まるで野生の豚みたいだわ」 『ぶだっでいうな゛~~~~~~!?』 再び始まる猛攻。といっても、一撃たりとも結界を破って私に届くことはないのだけれど。 それでもボロボロになった両手から肉汁や中身を撒き散らしながら、延々と腕を振り回す。 ゆっくりにしては見上げた闘志かもしれない。 『う゛~!でびぃはもう゛ぶださんはいや゛なんだどぉ~!!?』 「・・・・・・“もう”?」 『どうぢであだらないんだどぉ~!?う゛~~~~~~!!』 なるほど。彼女を突き動かしているのは私に対する怒りでも、おぜう様としての矜持でもないらしい。 とめどなく双眸から溢れ出す涙と、本人は自覚さえしていないであろう、肉汁の混じった涎。 力みすぎたせいで口内を噛んでしまったにもかかわらず、そのことに気付いていない。 『う゛う゛う゛~~~~~~~~~~~~~っ!!?』 「れみりゃ、もうお止めなさい」 『うあ゛~~~~!いだい゛いだいはいや゛なんだどぉ~~~~!?』 恐怖のあまりにティガれみりゃは錯乱状態に陥ってしまっていた。 彼女の視界には私も、私の後ろで傷を癒しているドスまりさも映っていないのだろう。 今、彼女の見ているものは、脳裏に焼きついた恐怖。 「・・・仕方ないわね」 話を聞ける状態にないティガれみりゃにため息をつきつつ右手を下ろし、代わりに左手を突き出す。 しかし、れみりゃは私の動作に気付くことなく巨大な腕を私にめがけて振り下ろした。 警戒心がない、というよりも警戒する余裕すらないと言うべきだろうか。 守りの構えから反撃の構えに転じたことも知らずに、私めがけて渾身の一撃が放った。 『うあ゛ーーーーーーーっ!!』 「四重結界」 その一撃を受け止めるべく、再び結界を展開する。 さっきまでの結界とは比較にならない強度に加え、接触した相手に破壊をもたらす結界を。 高速で回転する4枚の薄い光の壁は思い切り良く突っ込んできたれみりゃの腕を瞬く間ずたずたに引き裂く。 そして、彼女が異常に気付いたころには右手をごっそりと失っていた。 『う゛・・・う゛あ゛・・・れ、れびりゃのおででがーーーーー!?』 「参ったわ、これはこれで話になりそうにない・・・」 仕方がない、そう心の中で呟いてかられみりゃの大きな顔の前まで飛んで行き、彼女に話しかける。 錯乱しているせいで全くと言っていいほど会話にならなかったが、スキマから取り出した標識で2,3発叩いたら落ち着いた。 『う゛ー・・・れみりゃはぶだざんななんがじゃ・・・』 「分かったわ。ごめんなさいね、豚なんて言って」 『うぅ?』 突然の態度の変化に少し戸惑うティガれみりゃ。 少しの間、不思議なものを見るような目で首をかしげながら私を見ていたかと思うと、急に満面の笑みを浮かべる。 何となく、にぱぁ~♪という効果音と後光が見えたような気がしなくもないが、多分気のせいだろう。 『わかればいいんだどぉ~♪』 「ところで、エレガントなおぜう様に訊きたいのだけれど・・・」 『なんだどぉ~?』 ようやく機嫌を直したれみりゃは重そうな顔に両手を添えてお尻を振りながら私を見つめている。 どうやら褒められたのが相当嬉しかったらしく、照れて顔が真っ赤になっている。 恐らく、育った場所で罵られ酷い目に遭うばかりで、褒められることに慣れていなかったのだろう。 「貴女達の主人について教えてもらえないかしら?」 『う~・・・おねえさんはいいひとだけど、それはむりなんだどぉ~・・・』 「どうして?」 出来るだけ警戒されないように笑顔を絶やさずに、そう尋ねた。 両手は腰の高さまで下ろされ、手のひらをれみりゃに向けて、ペットに対して「さあ、おいで」と言う時のような格好をしている。 もちろん、スキマを出すこともせずに霊力や妖力も抑えて、可能な限り無防備を装った。 『だって・・・そんなこといったら、ゆっくりできないんだどぉ~・・・』 「あら?そんなこと気にしなくてもいいのに」 『い、いやだどぉ・・・お、おぢおぎは、ずごぐごわいんだどぉ・・・』 目に見えて怯えるティガれみりゃの体はぶるぶると震えている。 いささか鬱陶しい顔立ちのナマモノとは言え、同情を誘うには十分すぎる仕草だろう、このサイズでなければ。 「大丈夫よ、私が守ってあげるわ」 『うぅ?・・・ほんとうに?』 「ええ、本当よ。それに、私の知り合いには私よりも強い人だっているわ」 だから、あなたは何も恐れなくて良いのよ? すっ、とれみりゃの額に手の届く距離まで近寄った私はそう囁くと、彼女の頬を撫でる。 泣きじゃくっていたせいで少し脂っこいが、弾力があってさわり心地は決して悪くなかった。 『うぅ・・・だっだら、おしえてあげるどぉ~♪』 「ふふ、ありがとう」 『へんなおにーさんたちだどぅ~♪』 「・・・・・・飛光虫ネスト」 それじゃ何の役にも立たないでしょうが。 そんなツッコミより早く、私は彼女の巨体めがけて無数の未確認飛行物体を射出していた。 まったく、何のためにこんな肉まんに優しくしたのかわかったものじゃない。 『うぎゃーーーー!?なにずるんだどーーー!?』 私の背後に連続して出現する無数のスキマから、何発も何発も謎の飛行物体が放たれ、ティガれみりゃの巨体を穿つ。 まずは動きを封じるために脚を。ついでに不可抗力で尾を穴だらけにしてゆく。 やがて、自重を支えられなくなった脚は崩れ、支えを失った胴体は地へと沈んだ。 『やべるんだどーーーー!でびりゃは、やざじいおねーざんがずぎだどぉおーーー!?』 もはや歩くことも敵わないほどにボロボロで、もはや健常な四肢は左手しか残っていない有様。 それでもティガれみりゃ身をよじり、両腕をばたつかせて飛行虫の大群から逃れようと必死にもがく。 しかし、その抵抗は何の意味もなさなかった。 『う゛ぅ・・・ほどぢで・・・』 やがて、その胴体すらも蜂の巣にされてしまったティガれみりゃは顔だけになっていた。 それでもここが本体のようなものである彼女は決して死なない。 しかし、今の彼女に自力でこの状況を打開する手段は残されておらず、もはやただ大きいだけの肉まん。 「ふぅ・・・まりさ?」 『なあに、お姉さん?』 一仕事終えた私は、私がティガれみりゃの相手をしている間に傷の大半を癒したドスまりさに声をかける。 その声に反応した彼女は急いで傍までぼいんぼいんと跳ねて来ると、場違いな気の抜けた笑みを浮かべた。 「れみりゃはもう大丈夫・・・ゆっかりん達を探しにいくわよ」 『ゆっくり理解したよ!』 私とドスまりさは木々を掻き分けながら、何か大きな気配のするほうへと急いだ。 「こ・・・これは?!」 ようやくゆっかりん達を発見した時、なんだか面白いことになっていた。 その場に居合わせたのはきめら丸に、ゆっかりん、気色の悪い巨大ありす。それと申し訳程度にれいむ。 その撃ち3匹が巨大種であり、ありすに至っては触手まで搭載したオリジナルに見せたら昏倒しそうな風体をしている。 しかし、驚くべきことに巨大な3匹を差し置いて場の主役になっていたのは無理矢理連れてきた例の娘だった。 『ゆゆっ!なんだか凄くゆっくり出来る感じがするよ!』 『なんというゆ力・・・おお、怖い怖い』 きめら丸と触手ありすが現在対峙しているのは妖怪でもなんでもない、間違いなく普通の人間。 ただ一点、何故か未知のオーラを放出していて、そのオーラが10mを超える超巨大ドスまりさの形になっていることを除けば。 そして、そのドスまりさがありすの触手による一撃をことごとく阻んでいることを除いては。 『ゆゆっ!どうして、ありすのぺにぺにがとどかないの!?』 『ゆっくり光線・・・いや、それ以上の力・・・!?』 「あえて名付けるなら“ゆっくり結界”ね」 名付ける必要は特にないのだけれど、名前があったほうが便利でしょう? とにかく、ゆっくり結界を纏った彼女の前に触手ありすは手も足もぺにぺにも出ない。 対する彼女はゆっくりとれいむをゆっかりんの傍に下ろすと、余裕の表情で触手ありすと向かい合う。 『ゆぅうぅぅ!はやぐごごがらででぎなざいよ、いながもの!?』 「いや、そう言われて出て行く馬鹿はいないでしょ?」 『でてきたらありすのぺにぺにでそっちのおおきのといっしょにすっきりさせてあげるわよ!』 おおきいの、は言うまでも無くゆっかりんのことだろう。 彼女とすっきりーするときのことを想像しているのか緩みきった見るに堪えない笑みを浮かべている。 “彼女”に見せたら本当に発狂してしまうんじゃないかと思えるほどに見苦しい表情だ。 「大きいの?ゆっかりんのことか・・・」 『そうよ!いなかもののおねーさんもとくべつにあり・・・』 「ゆっかりんのことかあああああああああああ!!」 どこぞの超野菜星人みたいなことを叫びながら、彼女は触手ありすを睨みつけた。 と同時に、触手ありすめがけて全力疾走。彼女にあわせて移動するゆっくり結界を利用して近くの樹木に触手ありすを叩きつけた。 彼女と一緒に中にいるゆっかりんとれいむも結界に移動に引きずられ、転げまわっている。 『ゆぎぃ!?』 「これは、ゆっかりんの触り心地抜群のほっぺたの分・・・!」 一瞬、バトル漫画チックにキャラが変わっていると思ったけどそんなことは無かった。 ゆっかりんの頬じゃなくて本人を心配してあげなさい。 と内心で突っ込んでいるうちに、今度は触手ありすに向かって右手を突き出す。 すると、ドスまりさの形をした結界が全身を使って柔らかそうな右頬を叩きつけた。 『ゆべしっ!?』 「これは・・・いきなりこんなところに連れてこられた私の分・・・!」 それ、ただの八つ当たり。 しかし、よっぽど根に持っていたらしい。更に問答無用で結界を叩きつけた。 右、左、右、左、右、左、右、左・・・と執拗に殴打を繰り返す。 「これは、脚の疲労感の分・・・!これは、さっき食べた茸が苦かった分・・・!」 『ゆびぃ!?ありずっ!?ぞんなのっ!?ぢらなっ!?』 気がつけば、もはや八つ当たりですらなくなっていた。 昨日目玉焼きが焦げた、節分の時にペットのゆっくりすいかが泣き叫んだせいで怒られた・・・ もはや腹いせ同然のやり場のない怒りを容赦なく触手ありすに叩きつける。 やや気の毒な気もするけど、面白そうだから放っておこう。 『ゆ゛っ・・・やべで、やべでぐだざいいいいいい!あやばりまず!あやばりまずうううううう!?』 「だが断る」 その言葉は相手の提案が自分にとって有利なものである時に使ってこそよ? それはさて置き、再開される理不尽な暴力。 結界ドスの頬でありすを叩き、跳躍して結界の顎で踏みつけ、体当たりをして弾き飛ばす。 『ゆびょ!?あ、ありずの・・・べにべにがぁ・・・!』 執拗な攻撃に耐えかねた触手ありすの触手、もといぺにぺにが1本もげた。 触手ありすは力なく地に落ちたぺにぺにへと這って行こうとするが、彼女の容赦ない攻撃のせいでそれすらも叶わない。 そうこうしている内に1本また1本と触手ありすのぺにぺにが引き千切られ、本体から離れてゆく。 『やべでええええええええ!?あ、あでぃずのどがいはなべにべにがあああああああ!?』 『おでがいでず!ぼうやべでぐだざいいいいいいいいい!?』 「やだ」 『ぞんなああああああああああ!?ごんなのどがいはじゃないわ゛あ゛あ゛ああああああ!?』 数分後、触手ありすのぺにぺにはもはや見る影も無くもがれ、今やただの大きいだけのありす種と化していた。 自分のアイデンティティを奪われた彼女は焦点の定まらない目であらぬ方向を見つめながら、『ゆひっ、ゆひぃ』と気味の悪い笑みを浮かべている。 これで、残るはきめら丸ただ一匹。 『ねえ、お姉さん?』 「なにかしら?」 『加勢しなくていいの?』 「危なくなってからで十分でしょ?」 『まりさはどうしたら良いの?』 「邪魔になるだけだから観戦してなさい」 『ゆっくり理解したよ!』 「でも、そうね・・・思いっきり戦えるようにはしてあげても良いかしら?」 ゆっくり結界の中にスキマを発生させ、ゆっかりんとゆっくりれいむをドスまりさの傍に呼び寄せた。 『まさかありすが敗れるとは・・・何者ですか、貴女は?』 「私は・・・やる気のないお姉さんが手前勝手な怒りによって目覚めた・・・・・・ん~、ドスお姉さんよ!!」 『今考えましたね?おお、適当適当』 ニヒルな笑みを浮かべつつ首を振るきめら丸。 一見するときめぇ丸種特有の人を馬鹿に仕切った態度にしか見えないが、彼女には全く油断がなかった。 四肢でがっちりと地を掴み、翼を広げ、僅かに身をかがめて角を突き出し、尾を持ち上げるその姿は間違いなく臨戦体勢。 対するドスお姉さん(仮)もゆっくり結界を展開したまま、じっときめら丸を睨みつけている。 「うりゃ!」 『おお、遅い遅い』 先に動いたのはドスお姉さん(仮)だった。 しかし、きめら丸は大きな翼を羽ばたかせて空へと飛び上がり、いとも容易くそれを凌いだ。 ゆっくり結界は10mを超える巨大なものだが、きめら丸はるか上空。 とてもじゃないがゆっくり結界による攻撃は届きそうにない。 『ここなら一応安全なようです・・・ね?』 一旦その場にとどまり、地に這いつくばっている私たちの様子を確認しようと下を向くきめら丸。 淡く輝く金色のオーラはいつの間にか消えていて、代わりに一点に収束された光がまばゆく輝いている。 その閃光の正体を知る彼女の瞳は驚愕によって見開かれた。 『こ、これは・・・!?』 『ゆゆっ!すごい!ドスパークだよ!』 ドスパーク。それは本来ドスまりさのみが使える必殺技。 あるキノコを食べる必要があったり、使用回数があったりとその性能には個体差があれど、いずれもゆっくりの希望。 襲い来る獣を焼き払い、時には人間さえも恫喝せしめるその力を人間が行使した。 それも、出力は10m超級のドスまりさが放つドスパークとほぼ同じ。 「発射口が小さい分射程と威力が随分増しているみたいだけど」 『しかしそれでは素早い標的には当たりませんよ?おお、無駄撃ち無駄撃ち』 そこにいたのは数瞬前まで上空にいたはずのきめら丸。 巨体を得てなお衰えることを知らない俊足を以って、一瞬にしてあの距離を詰めてきたらしい。 おお、速い速い。 などとやっている間にもきめら丸はドスお姉さん(仮)めがけて突進する。 「はい、隙あり」 『なん・・・ですと・・・?!』 2発目のドスパークが、それも今度は右手の掌から、ただ撃つのではなく薙ぎ払うように放たれた。 なるほど、これなら簡単にはかわせないだろう。少なくとも空を飛べる相手でなければ文字通り必殺の攻撃だ。 そう、空さえ飛べなければ。 『おお、怖い怖い』 手からドスパークを発射できたことも驚きだが、きめら丸の想像を絶する機動力は驚嘆に値する。 もっとも、流石にかわしきれなかったらしく、きめら丸の一部が転がっているが。 彼女の中身は黒糖饅頭のようで、その破片からは甘い匂いが立ち込めている。 『おや、前足を落としてしまったようですね?おお、痛い痛い』 「また空に逃げたか・・・もうそろそろ体力がもたないんだけどなぁ・・・」 『どうやらお互い限界のようなので、そろそろ逃げさせてもらいますよ』 そう言い残すと、翼を羽ばたかせて夜空の彼方へと飛び去っていった。 直後、ドスお姉さん(仮)は地面に突っ伏した。どうやらわりと真剣に体力の限界だったらしい。 『ゆゆっ!お姉さん、あのお姉さんを助けないと!』 「そうね・・・貴女に任せるわ」 そう言い終えるが早いか、私はスキマに潜り込んできめら丸の後を追った。 『まさか人間がドスパークを撃つとは…』 「おお、怖い怖い?」 声をかけられてようやく、背中の重みを認識したきめら丸は振り返った。 そして、彼女にしてみればいつの間にかそこに腰掛けている私を見て、驚愕する。 『・・・おお、いつの間に?!』 「知らなかったの?Phボスからは逃げられない」 実際はPhに限ったことではないけれど。 再びスキマに潜り込んできめら丸の尾による先制攻撃をかわし、今度は彼女の眼前に姿を現す。 空を歩く姿を目の当たりにして私が人外の何かであることを理解したらしく、『おお、怖い怖い』と激しく首を振った。 「今、貴女の前には逃げられない敵が立ちはだかっている」 『おお、大魔王大魔王・・・』 「もちろん、何の意味もなく立ちはだかっているわけじゃないわ」 『そう仰られても、私には貴女にお教えすることなどありませんよ』 シェイクを止め、先ほど見せた臨戦態勢(空中Ver.)になるきめら丸。 「だったら、私にも貴女を生かして帰す道理は・・・あら?」 しかし、きめら丸は私に突撃を仕掛けず、急降下して戦線離脱を図った。 どうやら自分の実力では絶対に勝てない相手であることも把握しているらしい。 本当に優秀な個体だ。 「もっとも・・・絶対に逃げられないことも把握しておくべきだったわね」 巨大ゆっくりの饗宴(後編)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/911.html
※「発狂」の続きです 迷い竹林の中、えーりん実験室の地下にはすっきりルームというものがあった そこにはゆっくりたちが集められていた 「決めれるお部屋」と可愛らしい文字で書かれた部屋に 八意永琳は入っていく ここはゆっくりたちの欲望に対する限度を見る施設 ゆっくりたちは地上の実験室で何かしら良い事をした事の褒美としてここに連れて来られる 「ちかのへやにはたべものがいっぱいもらえる」 ゆっくりたちの宿舎でそんな噂を少し流してやると 噂には尾が付き鰭が付き、ゆっくりたちにとって地下の部屋に連れて行かれる事は最大の喜びとなっていた 「はい、今日からあなたがここの王様よ」 永琳はゆっくりれいむをその部屋に通した 部屋は芝生が敷き詰められまるで天然の絨毯のよう 小さな小川が流れてはいるが、底は限りなく浅く水を飲むのにとても適している 天井は空を映し出し、どこからともなく風が吹く ゆっくりれいむは"部屋"だと聞いていたが、実は外に出たのではないかと思ったぐらいだった 「さ、何か望む物はあるかしら?あなたは決める事ができるのよ」 「ゆっ?ごはん」 ゆっくりれいむがにっこり微笑む 「分かったわ。じゃあ、取って来るからあなたを降ろしていいかしら?」 「ゆっくりおろしてね」 「ええ、いいわよ。あなたが決めるんですもの」 永琳はゆっくりれいむを芝生に置くと部屋から出て行ったと思うとすぐに戻ってくる お盆の上には細かく切られた野菜がたくさん、ふだんは硬くて食べられない芋なども蒸かしてあるので簡単に食べれる 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー」 「足りなかったら言ってね」 「うん、わかった、おねーさん」 永琳は部屋の隅に置かれたリクライニングチェアに座り、ゆっくりれいむを眺めている 「何か決めたい事があったら、言ってね」の言葉に 「うん」とゆっくりれいむは答える。答えたらすぐに目の前の食事に向かった ゆっくりとした時間が流れる 永琳はうどんげが作った書類に目を通す、除湿機やらの見積書を見ると頭が痛い 「おねーさん、あそぼ」 「あら、遊んで欲しいの?私でいい?ゆっくりまりさなんかも呼べるわよ」 「ゆっ?よんでよんで、まりさにあいたい」 ゆっくりまりさなら誰でもいいのかしら?と思いつつ永琳は無線で指示を出す すると妖怪兎がゆっくりまりさを抱えてやってくる 「一匹でいい?もっと?」 「もっともっと」 ゆっくりれいむが永琳の言葉に飛び跳ねて答える 「次もまりさがいい?」 「ゆー・・・、パチュリーがいい」 妖怪兎はゆっくりまりさを置くとすぐに部屋を出てゆっくりパチュリーを連れてきた 「これでいいかしら、もっと連れてきましょうか?あなたが決めていいのよ」 それからゆっくりれいむは快適に過ごしていた ボールが欲しいと言えばボールが用意され、眠いといえば毛布が用意され部屋が夜になった お歌を歌って欲しいといえば永琳は進んで歌を歌った ある日 「まりさとはゆっくりできなよ!!!」 珍しくゆっくりれいむとゆっくりまりさが喧嘩する声がした 原因はゆっくりれいむが取っておいたお菓子をゆっくりまりさが食べてしまったらしい 「れいむはもってきてもらえるじゃん。ゆっくりたのめばいいよ」 そう、ゆっくりまりさがいくらゆっくりれいむのようにお菓子を持ってくるよう永琳に頼んでも永琳は一切動かなかった 食事だけじゃない。玩具も、仲間も、天候も全てゆっくりれいむが決めていた 一時、ゆっくりちぇんがいたが、ゆっくりれいむのお気に入りにお皿をひっくり返すと ゆっくりれいむが怒って「ゆっくりでていってね」と言うと妖怪兎にすぐ外へ連れて行かれた ゆっくりまりさはゆっくりれいむに嫉妬していたのだ。何もかも思い通りにできるゆっくりれいむに 「まりさなんかゆっくりしね!!」 ゆっくりれいむがその言葉を放った瞬間、妖怪兎が部屋に飛び込んできた ゆっくりまりさを押さえつけて緑色の液体を注射器で注入する 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 壊れたようにゆっくりまりさが鳴きだす。妖怪兎は注射器をもって出て行ってしまった 「お、おねーさん、たいへんだよ。まりさがおかしくなっちゃったよ」 「ええ、その子はこれからゆっくり死ぬのよ」 「なんで?なんで?ゆっくりせつめいしてね」 あなたがさっき決めたじゃない。と永琳は笑うと、さきほど注射した薬の成分や効能を説明した もちろん、そんな事、ゆっくりれいむに理解できるはずがない 「簡単に説明するわね。その子はあなたに"ゆっくり死ね"と決められた」 ゆっくりれいむの顔が青ざめる 「ここはあなたが決める事のできる部屋、その子は決まったの。だから三日間かけてゆっくり死ぬわ」 「いやだ。まりさしなないで、まりさをたすけて」 「決めていいの?」 「ゆっくりきめたよ。はやくたすけてね」 すると永琳は黄色の液体を注射器でゆっくりまりさに注入する 「すっきりー」 ゆっくりまりさはそれまでの奇声が嘘の様に理性を取り戻す 「まりさー、ごめんね。ゆっくりゆるしてね」 ゆっくりれいむはゆっくりまりさに擦り寄ろうとする でも、ゆっくりまりさは一歩下がり、怯えるような目でゆっくりれいむを見ていた 「れいむ、ごめんね。まりさがわるかったよ。あやまるからゆっくりでいいからゆるしてね」 「ゆ?うん」 それ以来、ゆっくりまりさも傍で見ていたゆっくりパチュリーもゆっくりれいむを避けるようになった おいかけっこでも遠慮しがちに走り、今までゆっくりまりさに勝った事がなかったゆっくりれいむだったが その日以来、負ける事がなくなった ゆっくりパチュリーは知識を自慢する事がなくなり、前にゆっくりれいむが自分に教えてもらった事をあたかも自分の知識のように自慢されても すごいね。博学だね。と褒め称えた みんな、ゆっくりれいむを恐れていた ゆっくりれいむも自分が避けられている事を感じていた そして、ストレスが爆発した かろうじて理性が保たれていたのか、出て行けという命令しかしなかった ゆっくりまりさとゆっくりパチュリーは何のためらいもなく出て行った わざわざ妖怪兎が回収するまでもなく永琳がドアを開け出て行くように言うと喜んで出て行った それからゆっくりれいむはずっと一人で過ごしていた つまらない。そう考える事が多くなった だけど、ゆっくりれいむの頭では何かいい退屈しのぎを考えられる事ができなかった そこで、ゆっくりれいむは再びゆっくりまりさたちを呼び戻す事にした 「別の子たちも用意できるのよ?」という永琳の言葉にも 「ゆっくりなかなおりするよ!!」と笑顔で返した そして、嫌がる二匹を部屋まで連れてきた ゆっくりれいむはそれまでの横暴な振る舞いを謝罪し、恐れないで欲しいと願った 「う、うん、ゆっくりしようね・・・」 「むきゅん、ゆ、ゆっくりしましょう」 二匹は引きつった笑顔で答えた 結果は同じ、二匹は今までと同じようにゆっくりれいむと距離を置いて接している ゆっくりれいむは孤独の中にいた 「ゆっくりしんじゃえ」 再び緑色の液体を注射されるゆっくりまりさ、ゆっくりパチュリーも同じようにされる しかし、ゆっくりパチュリーはその日の夜に動かなくなり ゆっくりまりさは三山ゆっくりれいむに罵られながら餡子を吐いて死んだ 「ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!」 興奮が冷めないのか、死んでいるゆっくりまりさを何度も踏み潰す そして、ゆっくりれいむは最高の暇つぶしを思いついた 「あのね。ゆっくりをつれてきて」 「あら、いいわよ。どんな子がいいかしら?今度は仲良くできるといいわね」 「だれでもいいよ」 「誰でもいいの?じゃあ、手軽な所でゆっくりまりさでいいかしら?」 「いいよ。ゆっくりつれてきてね」 妖怪兎がゆっくりまりさを芝生の上に置く すると、ゆっくりれいむは間髪いれずに「しんで」と言う 妖怪兎は少し困惑したが、永琳に"やりなさい"と言われるとすぐにゆっくりまりさを踏み潰して見せた キャッキャ笑う、ゆっくりれいむ 「おねーさん」 「うん」 「なんでもきめれるってたのしいね」 「そう?」 「うん!!」 それからもゆっくりれいむはゆっくりたちの命を弄んだ 肢体を?がれたゆっくりれみりゃを流れる水の中に放置したり ゆっくりまりさの親子を共食いまで追い込んだり 今は木にゆっくりたちを吊り下げて餓死させるのに凝っている 「なんだか、あのゆっくりれいむ凄いですね」 「そう?」 「今まであんな結果出なかったですよ」 「ふぅん」 興奮気味の鈴仙に対して永琳はどこか冷めていた 「こういうのは長く続かないのよ」 そう言うと永琳は部屋に戻っていった 「つぎは・・・パチュリーをゆっくりつれてきてね」 妖怪兎がゆっくりパチュリーを連れてくる ゆっくりパチュリーは息苦しそうに咽こむ 「こほ、こほ、むきゅん、こんにちは、ゆっくりさせてね」 ゆっくりれいむは言葉を失う 他のゆっくりと違う頬は少し扱け、ほっそりといた身体に 初めて見るような澄んだ瞳、髪は風に揺れて花の香りがするようだった 「ゆっ、ゆっくりしていってね!!」 永琳はあとで妖怪兎を叱ろうと思った。いつもなるべく元気で寿命の長いのを連れてくるように言っていたが 今日に限って、連れてこられたのはあと一週間も持たない寿命が尽きかけているゆっくりパチュリーだったからだ 「こほ、こほ、むきゅー。これが草なのね」 「や、やわらかいよ。ゆっくりころがってみてね」 コロコロとゆっくりれいむは芝生を転がってみせる 「上手ね。こほこほ、私はちょっと疲れてるからゆっくり見させてもらうわね」 "見る"その言葉にハッとした 「パチュリー、ここにいてね。うごいっちゃだめだよ。あぶないからゆっくりそこにいてね」 幸い、ここからならよく見えない そう、この部屋の奥には最初のゆっくりまりさ、ゆっくりパチュリーを初めとした ゆっくりれいむが殺してきたゆっくりたちの死骸が積んである 「おねーさん、アレ片付けて」 「アレって?」 「うごかなくなったゆっくりまりさとか」 「良いの?お山を作るんだ!って言ってたじゃない。ゆっくり頑張ってきたのに」 「いいの、かたづけて!!」 妖怪兎たちが何匹も入ってきて一輪車で死骸を運び出す 「楽しくなくなったの?」 「パチュリーにはみせられないよ」 「そういう自覚はあったんだ」 永琳はニコニコしながらゆっくりれいむをゆっくりパチュリーの所に連れて行く 「大丈夫よ。すぐに終わるから、見られないように二人でパチュリーの相手をしましょう」 「うん、ゆっくりごまかすよ!!」 それから妖怪兎が永琳の所に作業終了の報告に来るまで永琳とゆっくりれいむは 歌を歌ってゆっくりパチュリーを楽しませた ゆっくりれいむとゆっくりパチュリーは仲良くなった ゆっくりれいむは風になびく髪を綺麗だ綺麗だと良く褒めていた 外の世界を良く知らないゆっくりパチュリーは芝生や小川、木々をゆっくりれいむから教わった 二匹は自分に足りないものを埋めあうように惹かれあった 「おねーさん、おねーさん」 「どうしたの?」 「パチュリーが、パチュリーがくるしそうなの。ゆっくりできるようにみてあげて」 ゆっくりれいむとゆっくりパチュリーはしばらく一緒に過ごしていたが 次第にゆっくりパチュリーは弱っていった ゆっくりれいむは必死に元気付けたり、顔を舐めてあげたり、食事を運んだが ゆっくりれいむが期待していたほどの効果は無かった 「むきゅ?おねーさん、ゆっくりみなくていいわよ」 聴診器を当てようとした、永琳にゆっくりパチュリーが答える 「私はもう長くゆっくりできないのは私が知ってるよ」 「なにいってるの?パチュリーゆっくりしようよ」 「れいむ、ゆっくりできる時間は決まってるの。私はそれがれいむより少し短いの」 「いやだ。いやだよ。ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「むきゅー・・・れいむ、れいむを一人にしないように私、少しでも長くゆっくりするね」 「うん、ゆっくりしよ!!ゆっくりしよ!!」 「れいむ、疲れたから少しゆっくり眠らせて、ちゃんと起きるから」 そう言ってゆっくりパチュリーは目を閉じた 「うん、ゆっくりまってるよ」 「無理よ」 「え?」 「死んだわ」 永琳は聴診器を当てて確認する 「ゆっ?!いきかえってね!!ゆっくりいきかえってね!!」 「決めていいの?」 「いきかえらせてね!!」 「いいわよ」 永琳はポケットから赤色の液体の入った注射器を取り出し、ゆっくりパチュリーに注射する ゆっくりパチュリーは目を覚ます。自分の周りをゆっくりれいむが飛び跳ねているのが分かる ああ、約束を守れてよかった。ゆっくりパチュリーはそう思った しかし、数回に及ぶ薬物での蘇生は確実にゆっくりパチュリーを蝕んでいた 皮はガサガサになり、目も良く見えない。真っ赤なリボンをやっと見つけられるぐらい 髪も風になびかなくなった。もちろん前のような花のような香りはしない 「あのね。れいむ、お願いがいいの」 「なに、パチュリー。なんでもいって」 「あのね。れいむ、死にたいの」 「ゆ・・・」 「見て、あなたが褒めてくれた髪ももうガサガサ」 「で、でも、れいむはパチュリーとゆっくりしたよ!」 「むきゅー・・・お願い」 それでもゆっくりれいむはゆっくりパチュリーとゆっくりする事に決めた 「むきゅーむきゅーみきゅー」 「パチュリー、きょうもいいおてんきだね。ゆっくりできるね」 「むきゅーむきゅーむきゅー」 ゆっくりパチュリーの頬は痩せこけ、皮は所々ひび割れを起こしていた 髪はバサバサになり、蒸れてすっぱい臭いがする 喋る言葉には知性の欠片も、それどころかまともな言語すら喋れなくなっていた 「パチュリー、なにかたべる?」 「むきゅー」 「パチュリー、ゆっくりでいいかられいむのことばにこたえてね」 「むきゅん?・・・・むきゅー」 「はぁ~・・・・」 永琳は大きくため息をつくと、ゆっくりれいむが殺してきたゆっくりたちの総計を見る 「こんな結果でこの出費とは・・・」 「おねーさん」 「はい?」 「パチュリーがおかしいよ。またあのおくすりでなおして」 「もう無理よ。たぶんあの子はあなたより長生きするわ。けど、あの状態から治る事はないわ」 「じ、じゃあ、パチュリーを・・・ゆっくりしなせてあげて」 「・・・あの薬をかなり使ったから、かなりゆっくり死ぬ事になるけどいい?」 「いたくしないであげてね」 「ええ、眠るように」 永琳はゆっくりパチュリーに少量の水を注射した 「じゃあ、この子はゆっくり死んでいくから、あなたが見守ってあげて」 そう言って、永琳は部屋を出た 「鈴仙、鈴仙」 「は、はい」 「煩わしいから、あの部屋にガスを注入して」 「よろしいんですか?」 「あの部屋はしばらく封鎖よ。出費ばかりでたいした結果が出ないのよ」 永琳はイライラしているようだった ゴオオオオオオオ 部屋の送風機の出力が上がる 「ゆっ、なんだかいきぐるしいよ」 「むきゅ?!むきゅー!!!!」 ゆっくりパチュリーが苦しみ出す、吐き出した生クリームは酸っぱい臭いがする。腐ってる 「いたいの?おねーさんやめて、パチュリーがいたがってるやめて!!」 目から口から生クリームがドロドロと流れる、髪も風に吹かれてドンドン抜ける 「おねーさんやめて、ごほっ!!」 自分も餡子を吐き出してしまう 「ゆ?ゆっくりできないよ!!おねーさんやめてゆっくりさせて!!」 「むきゅん、むきゅん」 「パチュリー、だいじょうぶ?おねがい、おねーさん、れいむきめるよ。やめてやめてね」 永琳はこの実験をやめる事にした このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2490.html
夢の跡 秋冬期の間、厳しい寒さに襲われる幻想郷。 「ざむいどぉぉぉぉ……うう~、おぜうさまはさむいのいやだどぅ~」 それは、他種から恐れられ、ゆっくり食物連鎖の頂点に位置するれみりゃ種とて例外ではない。 「あったかいべっどがほしいど~!さくやー!さくやー!」 この若いれみりゃは、今までたった一匹で気ままに暮らしてきた。家族や従者や仲間はいなかった。 れみりゃにとってこれが初めての冬となるのだが、その肉饅に刻まれた越冬に関する記憶はというと、 ”さむくなったらさくやにめいじてだんろにひをいれさせるんだっどぅ~” ”しろいのふってきたらこーまかんからでないでゆっくりすごすどぅ~” まったく役立たずの代物だった。 冬が近づき、困窮したれみりゃは森を出て人間の里を目指した。 「さくやがぐずぐずしてるからいけないんだっどぅー! しかたがないから、おぜうさまをうやまうにんげんにたすけさせてあげるどぅ!」 うっうーうあうあ☆とご機嫌で進むおぜうさま(自称)だった。 「うう?」 まだ人里からはかなり離れたところ、森の中にぽっかりと開けた広場で、 れみりゃはとても素晴らしい”こーまかん”を見つけた。 周囲に高い竹垣を巡らせ、その中心に立派なお屋敷が立っているのだ。 「すっごいどぅ~!!おぜうさまにふさわしいおやしきだっどぅ~!!」 れみりゃは喜び勇んでその建物に走り寄った。 「うっうー☆おぜうさまだっどぅー☆あけるどぅ~!!」 ちなみにこの時れみりゃの脳内では、 こーまかん→おぜうさま☆のおなり!→もんばんのおでむかえ→さくやのぷっでぃん!→えれがんとなひととき という、まったくありえない妄想が渦を巻いている。 「もんばんはなにしてるどー!おぜうさまをまたせるなんてふとどきだっどぅ~! たーべちゃーうどー!!」 吹き募る風の冷たさに震えながら、だみ声を張り上げるれみりゃ。 やがてその声を聞いて、竹垣の一部、格子戸になっている部分が開いた。 現れたのは人間だった。 「ちくしょう冷える……なんだ、ゆっくりか。わざわざ歩かせやがって」 「はやくあけるどー! こーまかんのもんばんは、さむくてもおそとでたいきだっどぅ~!! おぜうさまをうやうやしくでむかえるぎむがあるどぅ~☆」 もちろん人間は安易に格子戸を開けたりはしない。 「うるさい、帰れ」 「なんでだどーーー!!??おぜうさまをはやくおやしきにいれるどー!!」 * * * * ゆっくり飼育畜舎『紅魔館』。 それは要するに、ゆっくり達をゆっくりさせるための家畜小屋、 ゆっくりの言葉で言えばゆっくりぷれいすのことだ。 愛好家が自分の所有するゆっくりをゆっくりさせるための商品として、 他のゆっくり関連商品とともになかなかの人気を誇っている。 俺は今、その新商品の試用のためにここに住まわされて三日になる。 この”紅魔館”、外見はとても美しい。軽石を着色して模造した赤煉瓦としっかりとした建材で出来ていて、 今までの畜舎とは比べ物にならないほど立派だ。 しかし、 「うおお……寒い……寒い……」 所詮はゆっくり用の簡素な建築物である。飼い主の視線がきちんと通るように設計されているため、 風通しが良すぎて冬はとても寒い。野ざらしよりは遙かにましだが、人間の住む場所ではない。 「なんで俺がこんな思いをせにゃならんのだ…」 * * * * 締め出されたれみりゃは、全く的外れな怒りに燃えた。 「ううー!くーでたーだどー!? おぜうさまをはいせきするつもりだどー!?ゆるさないっどぅ!!」 怒りにまかせて、竹垣に突進するれみりゃ。 「うあうあ!!うー☆」 ざく。 「うぎゃあああああ!!!???」 竹垣に仕込まれた、斜切り竹がれみりゃの表皮を切り刻む。 「いだいどおおお!!!いだいどおおお!!!」 転げまわるれみりゃ。 それから三度ほど竹垣に撃退された後、飛行して竹垣を乗り越えればいいということにれみりゃは気づいた。 「うっうー☆おぜうさまはえれがんとにはばたくどぅー!! いっくどぅぅぅ☆」 しかし竹垣は高い。”紅魔館”を「何から」撃退するために作られたのか?それを考えれば当然だった。 「うー…うー…… もーだめだどぅぅぅぅ!!」 ぼてん。力を使い果たして、もといた地面に落ちるれみりゃ。 「うー!うー!」 ぼてん。 「うぅぅぅぅ!!!!!」 ぼてん。ごろごろごろ…… 「どーじてだめなんだどぅぅぅ!!!!」 これも何度挑戦しても駄目だったので、そのうちれみりゃは疲れて眠ってしまった。 * * * * 「あう……?」 太陽がまぶしくてれみりゃは目を醒ました。いつもそうだ。快適でない野外での睡眠はすぐに妨げられる。 「う……う……」 目の前には竹垣と立派な住居。自分が入ることの出来ない、自分の城。 「れみりゃの……こーまかん……」 身寄りがなく、家を持たないれみりゃはずっとみじめだった。 それが”みじめさ”と気づくことさえ無いまま、れみりゃはその感情にさいなまれてきた。 ”自分の紅魔館”と思えるその建物を目にした今では、その感情は今までよりもずっと強くれみりゃを傷付ける。 「うわああああああんんんんん!!!! ざくやーーーーー!!!ざくやーーーーーー!!!」 れみりゃは泣いた。泣いて、いつもと同じように手を差し伸べるものもないまま泣き止んだあと、 れみりゃの胸にはある決心が芽生えていた。 「ううう……このおぜうさまが、じきじきにこーまかんをとりもどしてやるどぅ……! おぜうさまは、つよいんだっどぅ……!!」 れみりゃは断腸の思いで紅魔館の敷地――森の広場から離れた。 向かった先は、ゆっくりの住む森の奥深くだった。腹が減っては戦はできぬ、というわけだ。 「ぎゃおー☆たーべちゃーうどぉー☆」 「やめてね!!ゆっぐりざぜてね!!」 「だめだどぅ♪おぜうさまのえいようになって、こーまかんふっこーのいしずえとなるんだどぅ♪」 逃げるゆっくりを捕らえ、むしゃむしゃと食べるれみりゃ。少しだけ元気が戻ってきた。 「むきゅん!!ぱちゅはしにたくないわ!なんでもするからゆっくりたすけてね!!」 「やっだどぅ~☆むらさきのはめずらし~んだどぅ☆でざーとにするどぅ♪」 他のゆっくりよりも緩慢な動作で跳ねるぱちゅりぃ種を、とどめをささずに追い回すれみりゃ。 「ぎゃお~♪ぎゃお~♪」 「むきゅん!むきゅん!」 その時ふと、名案がれみりゃの頭をよぎった。 「うあ☆いいことかんがえたどぅ☆ おぜうさまはぱっちぇをとくべつにゆるしてあげるどぅ!」 ぱちゅりぃをつまみあげる。 「む、むきゅ?」 「こーまかんをとりもどすのをてつだってほしいんだどぅ!」 れみりゃと、れみりゃの参謀となったぱちゅりぃはさらに森の奥へと進んだ。 善良そうなれいむやちぇんの群れを見つけては、れみりゃの力を後ろ盾に仲間に引き入れる。 ぱちゅりぃ曰く、「すてごまはいくらあってもこまらないのよ、むきゅ!」らしい。 三日のうちに、総勢十二体もの群れとなった。 「あのぶれいものに、めにものみせてくれるどぅ!!」 れみりゃの瞳には光が輝いていた。今までのように一人ではない、その暖かさも嬉しかった。 それからさらに一週間、ぱちゅりぃの要望どおりの軍勢を整えたれみりゃは、再びあの広場へと進路をとった。 「れみりゃのこーまかんはぁ、こーんなにひろくってぇ~、ほかのゆっくりのおうちより、 なんばいもなんばいもすてきなんだっどぅ~☆」 「むきゅ!それはたのしみね!」 「ゆっくりできるよ!」 「ごーじゃすなんだねわかるよー!」 れみりゃはゆっくり達にに請け合う。 「こーまかんをとりもどして、みんなでえれがんとにすごすんだっどぅ~!!」 「むっきゅん!」 「ゆゆー!」 「わかるよー!」 いつか一人で歩いた道を、今度はたくさんの仲間と歩く。 ぱちゅりぃの作戦と、充分な人員。そしてれみりゃのかりすま☆で紅魔館を奪回するという希望が、 れみりゃの足を速めた。もうすぐそこは森の広場だ。れみりゃは群れを率いて、一番にその場所へと到達した。 肉饅の記憶にも、いまだ鮮明に残るその場所。 「うあ?」 その場所には、なにもなかった。ただ、竹垣の残骸と思しき木や竹の屑がまばらに散らばり、 紅魔館のあった場所とおなじ広さの空き地が広がるばかりだった。 「お、お、お、おかしいどぅ………」 この数日のうちに、れみりゃが憧れ、また、自分の住居と勝手に思い込んだ紅魔館は、 実はすでに試用段階を終えて取り崩され、ばらばらの資材となって村の専門店へと送られていたのだ。 「こーまかんが、なくなっちゃったどぅ~!!!!」 れみりゃは混乱した。 「む、むきゅー!もっとくわしくせつめいして!!」 後からきたぱちゅりぃも、れみりゃの言う事を完全に理解することができず、途方に暮れる。 「どういうこと!?れいむにゆっくりせつめいしてね!?」 「わからないよー!?わからないよー!?」 「こーまかんがあったのに、なくなっちゃったんだどぅぅぅぅぅ!!!!」 まったく要領を得ないれみりゃの説明と、なにもない広場。 ゆっくり達も、ゆっくりなりに状況を覚り始める。 「れいむをだましたね!!ゆっくりできないれみりゃとはいっしょにいられないよ!!おうちかえる!!」 「うそつきなんだねわかるよー」 「ちがうんだどぅ!!ちがうんだどぅぅぅぅ!!! ほんとにあったんだどぅぅぅぅ!!??れみりゃのこーまかんんんんん!!!!!」 太陽の下、森の広場でれみりゃは眠る。 あるものは去り、あるものは激昂したれみりゃに叩き潰された、悲しい夢の跡は静寂に包まれている。 吹き抜ける冬の先触れはまた一段と厳しさを増したようだ。 ぱちゅりぃはれみりゃの寝顔を見守っていた。 「なにがなんだかわからないけど、とんだむだぼねだったわ、むきゅ」 その”なんだかわからないこと”のおかげで、れみりゃに食べられるはずのところを救われた自分がいて、 すべてを失ったれみりゃがいる。 それは自分にとっては大変な幸運であるはずなのに、なぜか、とても悲しかった。 ”なんだかわからないこと”。 それは、いつも空の上から自分たちを見ていて、好きなときに自分たちからすべてを奪っていくのだ。 「それじゃ、わたしもにげるわね。 たすけてくれてありがと、れみぃ。さよなら。げんきでね」 ぱちゅりぃはれみりゃを起こさないように小声で呟くと、冬を越すためのおうちを探して何処かへと跳ねていった。 おしまい。 書いた人:”ゆ虐の友”従業員 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1675.html
おやまのヒミツ 気楽 お手伝いするどぉ♪ 気楽 幻 東 うーちえん・上 鬱 激 野生 家 うーちえん・下 鬱 激 野生 家 『よいどれみりゃの世界』 気楽 ゆっくりゃ工場へ行く 気楽 こーまかんを釣ろう 気楽
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5167.html
ゆっくりとは謎の多い食べ物だ、跳ねて這い食べて飲んで繁殖してそして死ぬ。 食べ物がそれだけ多くの事をする不思議は、研究者の地道で熱心な研究や、偶然の発見によって少しずつ解明されていった。 しかし分からない事がある、何故ゆっくりはあれだけ脆弱なのにどの時代にも大量にいて、そして一種たりとも絶滅しないかだ。 ゆっくりの種類は多い、それだけ多いのにゆっくりの種類は増える事はあっても減ることは一切ないのだ。 そしてにんっしんっ!による繁殖以外ではゆっくりは何処からともなく現れる事が多い。 街にも山にも森にもゆっくりは存在し、どんな小さな島にも一匹や二匹はゆっくりが暮らしている。 巷ではゆっくりとは何処にでもいる、"そういう食べ物"だとされているが、この問題には一つの答えがある。 ゆっくりが何処にでも大量にいてそして一種たりとも絶えない理由、それは無限に続く並行世界をゆっくりが無意識に旅をしているからなんだよ!! えっ、頭おかしいんじゃないだって?このSSの中じゃそうなんだよ!ゆっくりわかってね! ゆっくりは容易に次元の壁を超越できるんだよ! とりあえず一つの例を見てみよう、ここは1169番目の並行世界だ。 一匹のゆっくりぱちゅりーがいる、生後378日体重は800グラムの絵に描いたような一般的なぱちゅりーだ。 「むきゅ~、ここらへんはゆっくりがいないのね」 予断だがぱちゅりーは一日前、69番目の並行世界から1169番目の並行世界にやって来たばかりだ。 そもそも69番目の並行世界で成体となったぱちゅりーは自分の群れから出て、新しい群れを探しに森を彷徨っていた。 ゆっくりのそれも病弱なぱちゅりー種だ、家族と涙の別れを済ました後、100メートル程進んで休むの2回だけ繰り返し。 群れから少し離れた場所にちょうどいい木の洞を見つけて眠ったのだった。 その時ぱちゅりーは新しい群れをゆっくり探すよ!と思いながら眠りについたため。 ぱちゅりーの寝た木の洞に酷似した木の洞がある1169番目の並行世界に、寝ている間にワープしたのだ。 そもそもこうしたゆっくりが意識していない、異世界へのワープ能力がなければこれほどゆっくりは増えなかっただろう。 ゆっくりは繁殖能力だけでなく、こうして異世界に渡る能力で生息範囲を広げているのだ。 もしもゲスの多い地域で純粋無垢なゆっくりや、単純な言葉しか喋らない超初期型ゆっくりを見つけたならば、それは別の世界からやって来たゆっくりかもしれない。 とは言っても、森から街のゆっくりプレイスに降りるまでは、それなりの運があればぱちゅりー種でも十分に可能だ。 勿論ゆっくりの中には野を超え山を越え時には海も越え、長い距離を旅する猛者もいる。 しかし大抵のどうやってここまで来たのかあやふやな記憶しかないゆっくりは、異世界へのワープで全く別の世界からやって来るのだ。 「むきゅきゅ!みたことないおはなさん!きゅ~♪ゆっくりおいしいわ!」 「むきゅ~……でもひとりはさびしいわ」 花を食べてご満悦なぱちゅりーだが、ゆっくりは寂しがり屋だ。 一匹で落ち込むぱちゅりー……。 「ゆゆっ!ゆっくりしていってね!」 「むきゅ!ゆっくりしていってね」 しかし、しょんぼりしたぱちゅりーに声をかけるゆっくりがいたまりさだ! 下膨れた顔のどこにでもいるまりさだが、ゆっくりの感性から言えばなかなかゆっくりしているイケメンなのだ。 「むきゅ~……ぱちゅりーよ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!ゆゆ~すてきなゆっくりプレイスだね!」 「きのうからすみはじめたの……まりさもゆっくりしていってね」 「ゆっ!まりさもここでゆっくりすることにきめたよ!よろしくね!ぱちゅりー!」 「むきゅ~、ぱちゅでいいわ///」 都合良すぎである、寂しいぱちゅりーがイケメンまりさと知り合い、一緒に住むことになった。 これにもゆっくり特有の並行世界を移動する能力が深くかかわって来る。 ぱちゅりーは花を食べている時に寂しいと思い、他のゆっくりを求めた。 そのゆっくりを求める感情は393番目の並行世界に届いた。 そして新しいゆっくりプレイスを目指し、住み慣れた森から出て行こうとするまりさがその感情を受信したのだ。 新しいゆっくりプレイスを求めるまりさ、友達を求めるぱりゅりーの思いが重なって、まりさはぱちゅりーのいる世界に呼びこまれたのだ。 ぱちゅりーとまりさが暮らす森には、事あるごとにゆっくりが増えていった。 何処からかやって来たれいむ、らんしゃまを探すちぇん、子供を連れてやって来たありす。 多くのゆっくりが森にやって来て、森が気に入り住み着く者も、しばらく足を休めてゆっくりしてから旅立つ者もいた。 そうしたゆっくり達の半分は異世界からやって来たゆっくりだった。 さて一月が過ぎ、まりさとぱちゅりーしかいなかった森は随分にぎやかになった。 成体のゆっくりが17匹、子ゆと赤ゆが6匹が一つの森で暮らしている、新しいゆっくりの群れが出来たのだ。 そしてこの23匹のゆっくりが住む群れに、新しいゆっくりが加わろうとしていた。 「ゆ~ふ……ゆ~ふ……ゆ~ん」 「がんばるのぜ!がんばるのぜ!れいむ!」 「あかちゃんゆっくりうまれてきてね!」 群れのれいむの一匹がにんっしんっ!をしたのだ。 一生懸命なれいむを夫のまりさと子れいむが励ます。 まりさの帽子は既にいつ赤ゆが生まれてもいいように、れいむのすぐ前に置かれている。 そしてここ数分間力んでいたれいむの顔が緩む、いよいよ出産の時間だ。 「ゆゆっ、ゆっ……!」 ぽん!と軽い音を立ててれいむのお腹から赤れいむが飛び出した。 「ゆっくりしていっちぇね!」 「ゆっ、ゆー!すてきなあかちゃんゆっくりしていくのぜ!!」 「れいむのいもうとゆっくりしていってね!」 「あかちゃんゆっくりしていってね!」 「みんなゆっくりしていっちぇね!」 巣の外で心配そうにしていた群れのゆっくり達が、中から聞こえるゆっくりした声に歓声を上げる。 「ゆゆ~!ゆっくりうまれたね!」 「ゆっくりよかったね!」 「きょうはおいわいだよ~わかるよ~」 騒ぐゆっくり達の前に、生まれたばかりの赤ゆが親まりさの帽子に乗って出てくる。 その後ろには赤ゆを生んだばかりの親れいむと子れいむがついてくる。 「ゆっくりうまれてよかったね!」 「とってもゆっくりしたこだよ!」 「れいむ!いもうとができてゆっくりだね!」 新しい赤ゆが生まれて群れ全体が喜びに包まれる。 どのゆっくりも幸せそうなゆっくりした表情をしている。 特に喜んでいるのは69番目の並行世界からやって来たぱちゅりーだ。 「ゆっくりしたこがうまれてとってもよかったわ!」 「おさ、ありがとう!れいむはゆっくりしあわせ~だよ!」 ぱちゅりーは他のゆっくりよりいくらか知恵があり、一番最初に森に住み始めたゆっくりだったので自然と群れの長となっていた。 そしてその傍らにはぱちゅりーが最初にあったイケメンまりさがいる、二匹は同じ巣で暮らしていた。 「むきゅきゅ♪かわいいあかちゃんゆっくりしていってね」 「ゆゆ~ん、ゆっくりしゅるよ!」 「とってもゆっくりしてるねぱちゅりー」 「きっとおさとまりさのあかちゃんもゆっくりしてるのぜ!」 「むきゅきゅ!そ、そんな、むきゅ~///」 「ゆっくりてれるよ///」 親まりさに赤ちゃんの事を言われてボンッ!と顔を真っ赤にするぱちゅりーとまりさ。 二匹は一緒に住み始めて一週間が過ぎていたが、いまだに寝る前のほっぺにチューとすりすりしかしていない。 ぱちゅりーもまりさも奥手で、二匹をこの手の話題でからかうのは親まりさの何よりの娯楽だった。 「ゆゆー!またおさをからかってゆっくりしてないよ!ぷく~!」 「してにゃいよ!ぷくく~!」 「ゆがーん!れいむもあかちゃんもひどいのぜ~!」 また群れのみんなが笑う、外敵もおらずゆっくりとしたこの森では、強い敵対の意思を表すぷく~でさえ、冗談の一つになっていた。 毎日ゆっくりして森の草や木の実花に虫を食べ、みんなで集まって仲良く遊ぶ、理想的なゆっくりプレイスがそこにはあった。 この森に来て、住み着かずに出て行ったゆっくり達も、元からこの世界にいたゆっくりも別の並行世界からやって来たゆっくりも、 とても素敵なゆっくりプレイスだと感心していた。 ぱちゅりーのゆっくりプレイスには元からこの並行世界にいたゆっくりも、別の世界から来たゆっくりもいたがみんなが仲良くゆっくりできていた。 この幸せなゆっくりプレイスにはこれからたくさんのゆっくりがやって来るのかもしれない。 可愛いちぇんを探すらんや、新しい巣を探すまりさとありすのカップル、もしかしたら優しくて賢いドスまりさだって来たかもしれない。 並行世界からやって来るものが常に恵みをもたらすとは限らないのだ……。 89398番目の並行世界のある森にゆっくりの一家がいた。 親ゆが一匹、その子ゆが二匹、つい先日生まれた赤ゆが三匹、そして従者のようにつき従うゆっくりが一匹。 「うー……おなかへったどぉ~」 「まんまぁ、あまあまたべたいどぉ~」 「ゆっくりできてないどぉ~」 「おじょうさま、やはりふきんのゆっくりはあらかたかりつくしてもういませんわ」 「う~、ざんねんだどぉ~、このこーまかんともそろそろおわかれだどぉ~」 ゆっくりを食べるゆっくりとして有名なれみりゃ種と、れみりゃ種に仕える事を至上の喜びとする希少種ゆっくりさくやだ。 れみりゃの一家がこうまかんと呼んでいる大きな巣穴。 ここは元々はこの森に大小12あった群れの長が集まり、餌の事や群れの事を相談する会議場だった場所だ。 ほんの一月前にはこの巣穴にはいろいろなゆっくりがいた。 勇気のあるまりさ、都会から持ち帰ったまどうしょ(スーパーの半額チラシ)を持っているぱちゅりー。 一番大きな群れの長だったれいむと、彼女の後継になるはずだった小さなまりさ、他にもいろいろな種類のゆっくりの群れ長達。 勇気のあるまりさは大きな巣穴に柔らかい綿入れを持ちこみ、ゆっくり達の椅子にした。 いつも薬草を集めているぱちゅりーからは薬草の香りが漂い、自然と巣穴にそれが残っていた。 そしてこの大きな巣穴を提供したのはれいむで、彼女の子ゆ達は常に巣穴を奇麗にしていた。 そんな大きな巣穴は主を変えて様変わりしていた。 群れ長達に大切に使われていた綿入れは遊び道具と化し、所々に噛み傷が出来て綿が飛び出ていた。 かつて巣穴を満たしていた薬草の香りとゆっくりのゆっくりした声は、餡子の甘い匂いとどこからか聞こえる少数の生き残りが発するうめき声となっていた。 そして何より、巣穴の中には切り裂かれ噛みちぎられたゆっくりの皮やおかざり、飛び散った餡子がそのままにされていた。 森にあるゆっくりの巣は半分くらいが、この大きな巣穴と同じような惨状を呈していた。 なぜなら大小合わせて12の群れ、452匹のゆっくりが暮らしていたこの森は一月前に5組のれみりゃの家族に襲われていたからだ。 元からこの世界にいたれみりゃの家族が2組、あとは自分の暮らす森のゆっくりが減り、新天地を求めていた3組が並行世界を移動して森にやって来た。 森のゆっくりは食われて食われて食われた、れいむもまりさも関係ない、れみりゃに捕まり裂かれ噛まれ真っ暗な口の中に押し込まれて死んでいった。 そして逃げのびたゆっくりの中には並行世界への移動で命を長らえたゆっくりは皆無だった。 ゆっくりは容易に並行世界へ移動することは出来るが、その事に気づいていない、そして気づけたとしても並行世界への移動はコントロールできない。 何よりれみりゃの"餌を求める"感情がれみりゃをこの並行世界に引きずり込んだのだ、れみりゃの近くにいる以上ゆっくりはその影響を受けてしまう。 万が一れみりゃに捕まり噛みつかれそうになったれいむが並行世界に移動したとしても、そこはれみりゃの巣であったり、あるいはふらんの巣であったりするだろう。 五組のれみりゃとその忠実にして優秀な従者であるさくやに、12の群れがどう立ち向かい敗れ、そして殺されていったかは悲惨の一語であったとだけ言っておこう。 さてそうして五組のれみりゃは森の中でゆっくりを見つけて食べ遊び、ゆっくりした時間を楽しんだが、何事にも終わりはある。 一組のれみりゃ家族がもっと素敵なこうまかんを探しに行くと去っていき、食糧となるゆっくりが少なくなった森から3組のれみりゃ家族が出て行った。 大きな巣穴で暮らしているれみりゃはこの森に最後に残ったれみりゃの家族だった。 「うっう~♪れみぃのおちびちゃんたちあたらしいこうまかんをさがしにいくどぉ~♪」 「う~まぁま!ひろいこうまかんでゆっくりしたいどぉ~!」 「うっう~!」 「う~……さくやぁたすけてどぉ~♪」 「かしこまりましたおじょうさま」 れみりゃは美味しいプディンが詰まった、しんのれでぃに仕えるに相応しい教養と知性を持つ小さな従者に全幅の信頼を置いていた。 さくやはどうやってこしらえたのか、大きな巣穴に秘密の食糧庫を掘っていた。 中には底部を切り裂かれた数匹の子ゆっくりがぷるぷると震えている、さっきから聞こえていたうめき声はこの子ゆ達が発するものだった。 さくやがれみりゃ達の面倒を見る合間を縫ってゆっくりを狩り、親れみりゃと子れみりゃが狩りに言っている間に連れ込んでいたのだ。 なお赤れみりゃには自身のぷでぃんに睡眠薬を混ぜたものを少量呑ませ、眠らせていた。 「ちっちゃいおじょうさまがた、おいしいあまあまがございますわ、これをたべてげんきをつけてからたびにでましょう」 「やめてね!こないでね!ゆっくりやめてよ!」 「う~♪さくやがいうならしかたないどぉ~♪」 「たしゅけてぇ!れいむをたしゅけてー!!」 「ゆふふ……おそらをとんでるみた~い」 「おねえちゃんしっかりしてね!おねえちゃん!おねえちゃん!」 「しかたないどぉ~♪」 「まぁま♪あまあまいっしょにたべるどぉ~☆」 「たべるどぉ~♪さくやありがとぉ~だどぉ~♪さすがれみりゃのさくやだどぉ~♪」 「ありがとうございます」 「やべでぇえええ!!たべないでぇええ!!!」 主であるれみりゃの賛辞に、言葉少なく応じるさくやの表情は恍惚として緩みきっている。 れみりゃの10の喜びはさくやにとって1000の喜び、れみりゃの10悲しみはさくやにとって1000の悲しみなのだ。 れみりゃが幸せであれば、子ゆの悲鳴はオーケストラの奏でる旋律に、顔にかかる餡子は神聖な何かに思えるのだった。 子ゆと赤ゆがお腹いっぱいになり、親れみりゃはさくやを抱きしめて大きな巣穴から這い出て空を飛んだ。 ふわふわとゆっくり漂うような飛び方で、お月さまの出ている方に向かって飛んでいく。 「うっう~♪まんまるおつきさまきれいだどぉ~☆」 「きれいなおつきさまゆっくりだどぉ~♪」 「うっう~♪ゆっくりだどぉ~♪」 れみりゃ達は賑やかに空を飛んでいく、さくやはれみりゃの手の中で真っ白に燃え尽きていた、れみりゃの抱擁はさくやにはあまりに刺激が強すぎた。 そしてれみりゃ達はその日のうちに森を抜け川を越え、お日様がそろそろ登って来る時間になったため地面を降りた。 そしてしばらく当たりを探索し長い事使われていない様子のゆっくりの巣穴を見つけ、そこで夕方までゆっくり眠る事にした。 そして眠るっているれみりゃ一家の、たくさんのゆっくりを食べられる森に行きたいという願望は並行世界の壁を突き破った。 そして89398番目の並行世界から、どの世界に行けばれみりゃの願いが叶うかが選ばれる。 普通な世界、まだ恐竜のいる世界、れいむが多い世界、まりさが多い世界いろいろな世界があった。 その無限大の並行世界の中から一つの世界が選ばれた、1169番目の並行世界だ。 れみりゃの願いは次元の壁を超えてそこに根付き、れみりゃ達家族をその世界に引きずり込んだ、勿論さくやも一緒に。 「ううう~♪……おっきいこーまかんだどぉ~☆~……むにゃむにゃ……」 「うっ~、さくやぷでぃん……おっきいぷでぃん~、う~……」 「ゆゆ……おじょうさま……それはぐんぐにるではなくきのぼうですわ……ぅ……」 れみりゃとさくやは次元の壁を越えた事には気付かず、2時間ほどゆっくりと眠りを貪った。 そして最初に目覚めた親れみりゃはゆっくりと伸びをし、人間ならば鼻のあるあたりをぴくぴく動かし、ゆっくりの臭いを探った。 近くに少なく見積もっても20はあまあまがいる、でぃなーの時間だ。 「うっう~☆れみぃのちびちゃんおきるど、あまあまでぃなーがちかくにあるどぉ~♪」 「うっ!あまあまがあるどぉ?たべにいくどぉ♪」 「いくどぉ~♪」 れみりゃは高い再生力を維持するため、必要とする栄養の量も他のゆっくりよりも多いのだ。 特に赤れみりゃや子れみりゃは常に腹ペコで小さな体に似合わず、際限なく食べる事ができる。 子れみりゃや赤れみりゃも、20匹も食べればしばらくはゆっくりできるだろう。 親れみりゃはさくやを抱え子供たちを連れて、ゆっくりの臭いをたどりながらのんびりとでぃなーの場に向かうのであった。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/836.html
※なにも悪さをしていないゆっくりが虐待、虐殺されます。苦手な方はご注意下さい。 ある日、草原をゆっくりれいむの親子が歩いていました。 子は一匹だけでしたが、親れいむは既に新しい赤ちゃんを体に宿しています。 つがいのまりさはゆっくりれみりゃから家族を守るために先日命を落しました。 するとある一人の人間の青年がゆっくり親子に近づいてきました。 「やぁ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりいていってね!」 「ゆっくちちていってね!」 青年とゆっくり霊夢の親子がそう挨拶を交わすと、 「この柿の種とれいむの赤ちゃんを交換しないかい?」 青年はそう親れいむに提案してきました。 「ゆっ! あかちゃんをあげるわけないよ! おじさんばかなの?」 「そうだよ、おじちゃんばかなの?」 当然ゆっくりれいむの親子はをそれを断ります。 ちなみに青年はまだ二日目に二十になったばかりです。 「でもれいむ、柿の種を植えて柿の木を生やせば、ずっと柿が食べられるよ。それに見たところ霊夢は新しい赤ちゃんがもうすぐ生まれそうじゃないか」 「ゆっ、ずっとかきが……?」 青年のその言葉に揺らぎかけた親れいむでしたが、すぐにその誘惑を振り切って返します。 「だめだよ! このこはなにものにもかえられないたいせつなれいむのあかちゃんなの!」 「おかあしゃん……」 親れいむの屹然とした態度に赤ちゃんれいむは感動しました。 しかし、青年はそんなもの意にも介しませんでした。 「交渉決裂だね。じゃあ実力行使だ」 青年はそう宣言するとしゃがみこみ、赤ちゃんれいむを問答無用に掴み上げました。 「お゛がぁ゛じゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん゛」 「ゆゆっ! れいむのあかちゃんかえしてぇぇぇぇ!!」 泣き叫ぶ赤ちゃんれいむを取り戻そうと立ち上がる青年に体当たりをしかける親れいむでしたが、青年の蹴りをその顔面にモロに受け、餡子を撒き散らしながら十メートルほど吹っ飛びました。 「ぶでゅ!」 「ありゃりゃ、手加減したんだけどなぁ」 餡子を撒き散らして地面に横たわる親れいむ。完全に気を失っていました。 「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! お゛がぁ゛じゃ゛ん゛がぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」 「まぁいいや。はい、約束の柿の種」 泣き喚く赤ちゃんれいむを片手に、青年はポケットから柿の種を取り出すと気絶している親れいむの傍らに置き、親れいむのリボンに何かをつけるとその場を去っていきました。 赤ちゃんれいむはその後、お兄さんのおやつのお汁粉になりました。 その後日が暮れてから親れいむは目を覚ましました。 「ゆっ! れいむのあかちゃん!」 起き上がってすぐに辺りを見渡しますが大切な赤ちゃんの姿はどこにもありません。 代わりに親れいむの側には柿の種がありました。 「ゆ゛ゆ゛っ……でいぶのあ゛がぢゃん゛がぁ゛ぁ゛ぁ゛……」 ぐずぐずと涙と鼻水とを垂らして悲しむ親れいむ。大切な大切な子供が奪われていったのだから無理もありません。 「ごめ゛ん゛ね゛……あ゛がぢゃんのぶんも、あだらじいあ゛がぢゃん゛とゆっくりするねぇ……」 親れいむはそう誓うと失った赤ちゃんれいむを忘れないように、側にあった柿の種を持ち帰り、巣の前に埋めました。 「ゆゆゆ~♪ ゆっくりはやくそだってね~♪ はやくめをださなきゃちょんぎっちゃうよ~♪」 翌日より一匹残された親れいむは、毎日毎日埋めた柿の種に耳障りな歌を歌い続けました。 するとどうでしょう、なんと一週間も経たないうちに柿は芽を出し、木になり、実をつけたではありませんか。 「ゆゆっ! れいむのおうたのおかげで、かきさんがおおきくなったよ!」 もちろんれいむの雑音のおかげではありません。 これはれいむの埋めた柿の種が河童が開発した『試作急成長植物種子・ver柿』だったからです。最終目標は胡瓜。 何故青年がそんなものを持っていたかの説明は割愛します。 「これでかきさんがいっぱいたべられるよっ」 これから生まれる赤ちゃんのためにもと思い、親れいむはその場で跳びはねて喜びを表します。 しかし、ゆっくりでは遥か木の上にある柿の実がとれません。 それに気づいて親れいむは困りました。 するとそこへ親れいむの赤ちゃんを奪った青年が現れました。そろそろ柿の木が生える頃だと思いやって来たのです。 何故れいむの巣の場所を知ってるかというと、親れいむのリボンに発信機がとりつけられていたからです。 「やぁ、お困りのようだね?」 「ゆっ、おじさん。かきさんがとれなくてこまってるの」 何の警戒もなく自分の子供を奪った人間に助けを求める親れいむ。ゆっくりの餡子脳では、会った直後に頭に衝撃を受けたこともあり、一週間前にちょこっと出あった人間の顔など覚えていられないのです。 「じゃあお兄さんが木に登って柿さんをとってきてあげよう」 「ゆっ、ほんとう? ありがとうおじさん。ゆっくりしていってね!」 「…………ああ、ゆっくりしていくよ」 度重なるおじさん発言にも青年は動じず、軽い身のこなしで柿の木を登るとあっという間に実のなっている場所まで辿り着きました。 「ゆ~、おじさんすごぉい」 きゃっきゃっとウザく跳ね回る親れいむを眼下に収めつつ、青年は枝に腰掛け、美味しそうに実っている柿をとり食べてみました。 「おぉ、これは美味い!」 ややオーバーリアクション気味にその美味しさを表現し、本当に美味しそうに柿を食べていると、木の下の親れいむがよだれを垂らして青年を見上げていました。 「おじさんおじさん! れいむにも、れいむにもかきちょうだい!」 「うぅん、これは美味い。もう一個! れいむはもうちょっと待っててなぁ」 「ゆ~! さっさとれいむのためにかきさんとってね! はやくしないとおこるよ!」 青年が二個目の柿に舌鼓をうっていると、親れいむは更に鬱陶しく喚き始めました。 「おじさん、それはれいむのかきさんだよ!」 「だれもたべていいなんていってないよ!」 「わかったらさっさとかきさんをよこしてね、ぐず!」 「いわれたこともできないなんておじさんはほんとうにくz───」 「うるせぇ!」 「ぶべびゅ!?」 あまりに五月蝿すぎたので、親れいむを黙らせようと青年はまだ実りきっていない青く硬い柿の実を親れいむに向かって全力投擲してしまい、親れいむはその青く硬い柿の直撃を受け衝撃で体の上半分を撒き散らして死んでしまいました。 しかしなんということでしょう。その衝撃により、親れいむの体の下半分から赤ちゃんれいむが生まれてきたではありませんか。 「ゆっ!」 すぽんっ、と小気味よく元気に飛び出した赤ちゃんれいむ。 「ゆっくちちていてね!」 元気よく生後の第一声を背後にいるであろう親に放ちます。 しかし、 「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!! お゛がぁ゛じゃ゛ん゛な゛ん゛でじん゛でるの゛ぉ゛ぉ゛!?」 見るも無残な親の死体を目の当たりにし滂沱の涙を流す新赤ちゃん霊夢。 「やっべ、やりすぎたか。計画が狂っちまったぜ」 柿を適度に少量与え、柿も子供も長期的に親れいむから搾取する予定だった青年は慌てて木から飛び降り、その場を去っていきました。 赤ちゃんれいむはその青年の姿をばっちり目に焼き付けていました。 そして、子供心ながら理解しました。あれが大切なお母さんを殺した犯人だと。 赤ちゃんれいむは復讐を決意しました。 その日の夜、それまで親れいむが暮らしていた巣にはこの日生まれた赤ちゃんれいむの他に、ゆっくりまりさ、ゆっくりありす、ゆっくりぱちゅりーが揃っていました。 皆親れいむの生前の友人でした。 「ゆるせないよそのにんげん!」 「そうよっ! そんないなかものはこらしめてやらなきゃ!」 「むきゅ!」 新しい赤ちゃんがそろそろ生まれてくる頃だと、友人揃って親れいむの巣に餌を持ち寄ってお祝いを兼ねて遊びに来てみれば、巣にいるのは一匹泣いている赤ちゃんゆっくりのみ。 どうしたことかと赤ちゃんれいむから話を聞くと三匹のゆっくりは我が事のように憤慨したのです。 赤ちゃんれいむを含む四匹が思うところはただ一つ。 人間に復讐を。 「むきゅ、わたしにいいあいであがあるわ!」 ゆっくりぱちゅりーがそう提案してきたので皆ぱちゅりーの言葉に耳を傾けます。 誰も盗み聞きする者など周りにいないのにごにょごにょと耳打ちをするゆっくり。 「それはいいあいであなんだぜ!」 「とかいはでかんぺきなさくせんね!」 「ゆっ! しょれならおかあしゃんのかたきをとれりゅね!」 ゆっくりぱちゅりーの提案した作戦に賛同の意を示す三匹。 こうしてゆっくりぱちゅりーの提案した作戦通り復讐を開始するゆっくり達。 決行は、三日後。 作戦決行日。赤ちゃんれいむは里の出入り口の側の草陰に隠れてずっとそこを見張っていました。 あの憎き人間の青年が通りかかるのを待っているのです。 生まれたての赤ちゃんれいむの拙い餡子脳ですが、ちらりと見ただけの青年の顔はしっかりと覚えていました。 いや、むしろ覚えていることのほとんどがその顔だけと言っても過言ではないでしょう。生まれたての赤ちゃんれいむの記憶には、本来覚えるべきことは一切無く、ただ親の仇の顔だけがありました。 「ゆゆっ、きちゃ!」 待つ事数刻。遂に里へと帰ってきた青年の姿を見つけた赤ちゃんれいむは、全力で隠れていた草陰から飛び出し、青年の足元へと駆け出しました。 「おにいしゃん、ゆっくりちていってね!」 「ん?……おぉ、ゆっくりじゃないか。ゆっくりしていってね」 特に嫌な顔もせずにゆっくり流の挨拶を交わす青年。赤ちゃんれいむは相手の顔を覚えていたようだが、どうやら青年のほうは覚えてなかったようである。 もっとも、ゆっくりんピースでもなければ人間にゆっくりの顔を見分けることは不可能に近いのだが。 挨拶を交わしながら赤ちゃんれいむは気づきました。青年が抱えている荷物に。 それは柿。赤ちゃんれいむはそれが自分の巣の前に生えている自分の柿の木からとってきたものだと思い、更に恨みを募らせました。 だが赤ちゃんにも関わらずそのような感情をおくびにも出さず、友好的な声で会話を続けます。 「ゆっ、おいししょうなかきしゃんだね!」 「あぁ、これか。どうだい? 一緒に食べるかい?」 「ほんと? ありがとうおにいしゃん!」 ピョンピョンと跳びはねて喜んでいると見せかけるゆっくりれいむ。実際にはその偽りの表情の下には般若のような形相が浮かんでいることでしょう。 きめぇ。 「じゃあお兄さんの家で一緒に食べよう。ゆっくりできるよ」 「ゆっ、ゆっくりしちゃいよ! おにいしゃんのいえでゆっくりちゃべよぅ!」 ────計画通り。 赤ちゃんれいむは青年に気づかれないように笑みを浮かべました。 (ゆゆっ、きたぜ!) (とかいはのありすたちがこらしめてあげるんだから!) (わたしのさくせんはかんぺきよ!) 家へと帰ってくる青年の姿と、抱えられる赤ちゃんれいむの存在を感知したまりさ達は今こそ決戦の時と気合を入れます。 ゆっくりぱちゅりーの作戦の全容はこうでした。 まず青年が家を留守にしている間にまりさ、ありす、ぱちゅりーが家に侵入。 ぱちゅりーは暖炉に隠れ、ありすは水桶の中に隠れ、まりさは屋根に隠れる。 そして帰ってきた青年が体を暖めようと暖炉に近づいたところでぱちゅりーが体当たりをしかけ火傷を負わせ、急いで水桶の水で冷やそうとしたところをありすが攻撃し、慌てて外に飛び出したところを屋根の上からまりさがトドメを刺す、という、本人達曰く『かんぺきなさくせん』でした。 青年が家を留守にする時間も、青年の家がどこにあるのかも、決行までの三日間の間に危険を顧みず調査した結果分かっていました。 「ただいまぁ、っと。誰もいないけどな」 「ゆっ、ゆっ、ゆっくりちゅるよ」 家の戸を開け、赤ちゃんれいむを抱えた青年が帰宅しました。 (ありす、ぱちゅりー、頼んだぜ!) 屋根の上から心のエールを送るまりさ。 しかし、本人達は気づいていなかった。 この作戦の致命的な欠陥に。 「ふ~、流石に寒くなってきたなぁ。暖まるか」 そう呟く声を聞いたまりさは(やっちまえぱちゅりー!)と心の裡で叫びます。 暖炉に近づいていく青年に、赤ちゃんれいむも内面でほくそえみます。 「ふ~、あったけ~」 柿と赤ちゃんれいむを脇に置き、暖炉で暖まる青年。 その様子に赤ちゃんれいみは(せいじぇいいまのうちにしあわせをかみしめちぇおくんだにぇ!)と罵倒しますが、いくら時間が経っても赤ちゃんれいむとまりさが思うような展開になりません。 「ゆっ?」 赤ちゃんれいむは不思議に思いました。 作戦通りならば既に暖炉に潜んでいたぱちゅりーが攻撃を仕掛けるはずだからだ。 しかしその疑問は、すぐに解消された。 「ん? なんだこれ」 青年がそう不思議そうな声を出すと、暖炉の方へとその手を伸ばし、ある物をつまみあげました。 「ゆぅ゛!? ぱちゅりー!?」 それはすっかり焼き饅頭と化したぱちゅりーでした。既に息絶えています。 「ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛! どぼぢでぇ゛ぇ゛ぇ゛!?」 「お? なんだ? お前の知り合いなのか? じゃあ生き返らせてやらないとな」 青年はそう言うと焼き饅頭と化したぱちゅりーを右手に、赤ちゃんれいむを左手に持つと水桶の方へと向かいました。 「水をかけてやれば生き返るからなぁ」 そう赤ちゃんれいむに言い聞かせながら水桶の側に立ち、水桶の中を覗ける位置に赤ちゃんれいむを置く青年。 赤ちゃんれいむは予想外のぱちゅりーの死に動揺しながらも、(ばかだねおじしゃん!)と内心で勝利を確信してもいました。 当初の予定とは違うがありすのいる水桶けと近づいた。これでお前の命運も終わりだ、と。 しかし、もちろんそんなことにはなりませんでした。 「ん? なんか浮いてるぞ?」 青年が水桶の中を覗きながら呟く声に反応し、中を覗き込む赤ちゃんれいむ。 「ゆぶっ! あ゛り゛ずぅ゛ぅ゛!?」 そこにあったのはすっかり皮が水にとけて、クリームを水桶の中にぶちまけているありすの死骸でした。 「なんだ、こいつもお前の知り合いだったのか」 青年は優しくそう赤ちゃんに話しかけますが、既に赤ちゃんれいむは混乱の極みにありました。 なんでぱちゅりーが死んでいたのか。なんでありすが死んでいたのか。 考えても考えても答えは出てこず、生まれてからわずか三日で連続して目の当たりにした仲間の死から、赤ちゃんれいむはその場を逃げ出しました。 「ゆ゛ぶぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛! ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!お゛う゛ぢがえ゛る゛ぅ゛ぅ゛!」 涙と鼻水を撒き散らし、一目散に開けっ放しの戸へと駆けて行く赤ちゃんれいむ。 屋根に待機していたまりさは突然逃げ出してきた赤ちゃんれいむに驚き、屋根から下りてきました。 「どうしたんだぜ? ありすとぱちゅりーは!?」 まりさは逃げようとする赤ちゃんれいむを必死になだめすかし事情を聞きだそうとしますが、赤ちゃんれいむは泣いてばかりで何も答えません。 「どうしたんだぜ? 言ってくれないと分からないんだぜ!」 「────じゃあ俺が教えてあげるよ」 「ゆっ?」 すっかり失念していた青年の声に振り向くまりさの顔に、べちゃっ、と何かがはりつきました。 慌ててそれをとり、それが何かを確認するまりさ。 「ゆっ、ゆぅぅぅぅぅぅ!?」 それはすっかりぶよぶよになったありすのデスマスク。そしてまりさの目の前には焼き饅頭となったぱちゅりーの死体が転がっていました。 「ありすと、ぱちゅりーはね~……死んじゃった♪」 その一言でまりさは逃げ出した。 泣き続ける赤ちゃんれいむも放って逃げ出した。 ゆっくりの中でも狡賢いまりさはすぐに理解した。作戦は失敗したのだと。 このままでは自分も殺されてしまうと。 だから逃げなくては────。 と、そこまで考えたところでまりさの思考は断ち切られた。 青年に踏み潰されて一撃で絶命したのである。 泣きじゃくる赤ちゃんれいむはその光景を目の当たりにしてしまった。 潰れる帽子。変形する皮。飛び散る餡子。響く足の音。 びちゃびちゃと顔にかかるまりさの餡子を受け、赤ちゃんれいむは絶望した。 しかしそれも長くは続かない。 そのすぐ後に赤ちゃんれいむも踏み潰されたからだ。 「バカな饅頭共だ。お前達の作戦(笑)なんか全部知ってたっての」 まりさと赤ちゃんれいむの死骸を踏みしだきながら青年はそうこぼす。 三日間に及ぶゆっくり達の調査。本人達は気づかれていないつもりだったが、バレバレだったのである。その上「むきゅ、あそこにぱちゅりーが隠れるんだね」だとか、もろに大声で作戦(笑)を口走っていたのである。 青年はそれを知り、外に出るのにわざと暖炉に火をつけたまま出て行ったし、里の者に「考えがあるので気づかないふりをしてやってください」と言っておいた。 全ては青年の掌の上だったのである。 「やっぱ復讐はよくないよね♪」 青年はゆっくり達の死骸をまとめて生ゴミと一緒にまとめると、あらためて暖炉に暖まりに行った。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3291.html
※特徴的な虐待お姉さんが出ます 「アハッ、意外にがんばるのね」 池には小さな舟が浮かべられており、そこには10匹ものゆっくりれいむが乗っていた。 いた。というのはそれが1ヶ月も前の話で今はそのれいむもわずか2匹にまで数を減らしている。 困惑して池に落ちたのはたった1匹。あとは全て共食いで死んだ。 生き残ったゆっくりれいむは2匹、舟の端と端におり、互いを睨み合っている。 「あらあら、ついこの間まで仲の良い姉妹だったのに」 池の岸では花柄の着物を着た少女と泣きじゃくるゆっくりれいむが一匹。 真冬というのに玉砂利の上に、革草履を履いている少女はともかく、ゆっくりれいむは寒くないのだろうか、 「お前の娘たちもそろそろ死ぬのかしら、楽しいわね。命の炎が消えるとでも言うのかしら、ふふっ」 舟の端にいる2匹のゆっくりれいむはどちらも痩せこけ、髪もボサボサになっており、内1匹はもうリボンがとれかかっている。 「おい」 少女は革草履を履いた足で傍にいるゆっくりれいむを小突く。 「しっかり見て。私を満たす為にお前は生きていられるのだから」 狂い花というのは少女の事でしたが、本名なわけがありません。 ただ、真冬に生まれた花のように愛らしい少女を周りが皮肉ってつけた愛称です。 名家の当主が入れ込んでいた白痴の女に産ませた娘で、正妻とその娘達には酷く疎まれておりました。 その子自身も当主から親子以上の男と女の関係を強制されておりましたが、 世間体にその事が漏れるのを嫌った正妻に別に屋敷を与えられ、そこでひっそりと暮らしておりました。 幼くして母親とも死別し、この境遇、この娘の奇怪な性格もそれが由縁なのだろうと、周りは少しばかり同情をいたしましたが、 長い髪をゆらゆら揺らし、少女は笑います。 「ああ、愉快愉快。早く死なぬかの?楽しみで仕方ない」 狂い花はその名の通り狂っている。ゆっくりをアレコレ工夫を凝らし殺す少女の姿に。 周りの同情はさっと掌を返したようになります。しかし、それはまたさっと表返りります。 正妻とその長女が相次いで病死なされたのです。残るは次女と三女、そして、この狂い花と呼ばれる少女だけです。 残念ながらこの家に今だ男の子は生まれておりませんし、体の弱い次女や生まれて間もない三女に比べれば、 側室の娘であってもこの少女の方がもしかすると、なんて事もありましたから、今の内に取り入ろうなんて輩も増えてきます。 正妻がお亡くなりになったのであれば、当主が少女を抱くのを誰も止めはできません。 しかし、世話をする者にとっては苦痛ばかり、ある侍女が少女の部屋を掃除に参った時など、 天井の梁に首吊りをさせられた胴付きのゆっくりれみりゃがずらりと並べられておりまして、 顔を赤黒くパンパンに腫らしているのにも関わらず、少女は笑いながら無造作に相手を選んでは大きな鋏で肢体をちょん切るのであります。 れみりゃはもう悲鳴もあげれないのか、うぐぅ、うぎぃなどと何か音は出すのですが、意味のある言葉は喋れません。 「お前もやるか?切り取った瞬間ビクンと動くのが面白いぞ、ほら」 そう言って侍女に見せ付けるようにれみりゃの腕を切り取ります。れみりゃは痛いのか赤黒く腫れた顔をもっとパンパンにして、 足をバタバタとさせます。それのどこがおかしいのか少女はケラケラと笑います。 少女の“遊び”はそれだけで済みません。 ある時は火薬でゆっくりの巣を吹き飛ばした事もありました。 火薬の量をわざと少量にして、そこが自分たちの住処だったと分かるようにして、 変わり果てた巣、吹き飛んで顔の半分がなくなってしまったお留守番をしていた赤ちゃんれいむ、 赤ちゃんれいむのもう半分を必死に探す母れいむを見ている様など、 壊れたかと思うほどの形相で。酷い悪口を言いながら笑っておられました。 「お前も私と出会わなければ仲良く森で暮らせただろうにね。ふふっ」 しゃがんだ少女はさっき小突いたゆっくりれいむの頭を優しく撫でる。 「お母様があの男と出会わなければ、幸せに暮らせたのにね。だから私、幸せな家族って大嫌い」 れいむには言われていることの意味が分からない。 れいむに分かるのは今、自分の娘たちが自分の手の届かない場所で憎しみあって今にも死にそうな事だけ、 「人間の都合なんて知らないわよね。私もよ。ゆっくりの都合なんて知らない」 しばらくすると、端にいた1匹が異変に気付く、自分が睨みつけていた相手が一向に動かない。 今まで大きな動きこそ無かったが、にじり寄ったり下がったり、そういう駆け引きはあった。 しかし、今は全く微動だにしないのだ。油断を誘っているのかと、れいむは少し相手に近づいてみる。 動かない。もう一歩進む。動かない。 もうれいむは言葉なんて失っているから間抜けに「そろーり」なんて言わない。 言った奴を殺して食ってきたからだ。そのためストレスが溜まっているのだろう。 相手がリボンが取れかけているのに対し、このれいむは見事な10円ハゲがある。 一歩、二歩とどんどんと間合いをつめていく。 母親である池の岸にいるゆっくりれいむはまた殺生が行われるのだと気付いて、大声で辞めるように呼びかける。 「やめてね、しまいであらそうのはやめてね、おかーさんとゆっくりしようね!!」 この声で戦意を喪失して殺された姉妹もいる。そんな声などここにいる限りは意味がない。 ここから飛びつけば、確実に相手の目を潰せる所まで来た。そして、れいむは動かない相手に一気に飛び掛る。 右目に噛み付き、噛み千切る。次は左目、そして少し距離を取る。視力を失って闇雲に暴れる姉妹もいたからだ。 それの体当たりで一度、命を落とし掛けたこともある。 動かないことを確認すると、次に攻撃の手段である口を食い千切っていく。 「やめでぇ!!しまいなんだよぉ!!」 岸にいる母れいむの事など気にもとめず一心不乱に食い続ける。 母れいむも自分の姉妹を食う娘に気を取られている。舟の上のれいむが1匹になった、その時。 「ゆぎゃぁ!!」 1本の矢がれいむの眉間を貫く。 「はい、お終い」 満足そうに、自慢げに。少女は母れいむに語りかける。 「どう?餓死もいいと思ったけど、すぐに死んで欲しかったの」 母れいむはもう抗議する気力すら湧いてこない。 「まだ好きなだけ、眺めていていいわ。ふふふっ」 「あんな事して、・・・」 侍女は言い難そうに少女に話す。 「おかしい?気晴らしよ。ふふふっ、あなたもする?命を弄るのって本当に楽しいわよ」 少女は意地悪そうにクスクス笑う。侍女はと言うと諦めたようにため息をつく。 侍女が庭の掃き掃除に出ると、母れいむはまだジッと池に浮かんでいる舟を見ていた。 そこには自分が頑張って生んだ娘のリボンやら食べかすになった皮や餡子、そして、最後まで生き残り矢で射られた子れいむ。 母れいむは目に一杯涙を溜めて、ジッと池に浮かんでいる舟を見ていた。 侍女はそれまで掃き掃除に使っていた箒を強く握る。そして、高く振り上げ、 「ゆぎゃああ!!」 ポチャン、池に母れいむは叩き込まれる。 「やめでぇ、おねえざんだずげ、だすげで!!」 「楽に、楽にしてあげるのよ。早く死になさい。お嬢様に見つかる前に!」 「いやぁあ、れいむはまだ、まだあがちゃんぞだでる。ぞだでるんだからっ!!」 まだ浮いている母れいむに箒を何度も振り下ろす。侍女は次第に無口になっていく、そこに。 「あら、ダメよ。勝手に救っちゃ」 侍女はふと我に返り、後ろを振り向く。そこには花柄の着物の少女がほくそ笑んでいる。 トボトボと、侍女の傍にやってきた。足もとに落ちていた小石を拾い。母れいむに投げる。 叩きつけるように、勢いよく、石は母れいむの右目に当たる。 「ゆぎぇえ!!」 「手伝ってあげる。アレを楽にさせてあげるんでしょ?」 また一つ、小石を投げる。今度は額に当たり球形のゆっくりはくるくる水上で回りだす。 何度も口に水が入り、溺れそうになる。足と呼ばれる地に接している部分と口しか動く部分が無いゆっくりにとって水の中で姿勢を維持するのは至難の業だ。 「やめでぇ・・・ごぼっ・・どめ・・・どべでぇ!!がぼっ・・・」 「よく見てなさい。ほら貸して」 少女は侍女から奪いように箒を受け取り、柄の方を母れいむに向けた。 「それ」 短い掛け声と共に、馬上から槍で敵の小兵を突き殺すように箒を突き出す。 ちょうど柄は母れいむの右目に突き刺さり、回転は止まる。 「どう?」 自慢げに母れいむに尋ねる。母れいむは回転が止まった事よりも目に異物が突き刺さっている事が注意を取られている。 「いだぁい!!なに、ゆっくりでぎな、いだいぃいい!!」 少女はそのまま母れいむを持ち上げ、箒を振ると、母れいむの右目から箒が抜け、母れいむは玉砂利の上を転がる。 「じゃあ、行こうかしら。・・・あなたも自分だけに優しくしていなさい」 ニコリと笑い少女は侍女に箒を返す、柄の先に餡子がべっとりとついた箒を。 くるりと屋敷の方にきび返す少女の手には母れいむの髪がギュっと握られていた。 母れいむは悲鳴を上げながら連れて行かれる。侍女はその場に座り込んで池に箒の柄を入れて餡子を落とした。 母れいむの右目は餡子が漏れ出ないよう瞼を縫い閉じられていたが、少女が酷く扱う度に痛みのあまり、 眼を見開いてしまい。何度も瞼が破れた。少女も最初は面白がって縫っていたが、最近はもう面白くなくなったのか、 眼帯をさせる事で餡子が漏れ出るのを防いでいる。 「お前、子をまだ育てたい?」 少女の問いかけに母れいむは答えない。前に一日中雪の中に放置したのが悪かったのか、 皮に何度も小刀で小さな傷を付けたのが悪かったのか、目の前で乱交した後に同族食いを始めるゆっくりありすの姿を見せたのが悪かったのか、 飲まず食わずでゆっくりぱちゅりーと一緒に放置し、同族食いをさせたのが悪かったのか、 何が原因か少女には思い当たる節が多く、わからなかったが、それで手が止まる理由にはならない。 「お前に夫を探してやったぞ」 母れいむの前に連れてこられたのは、1匹のゆっくりれいむ。眼は白目をむき、息は荒く、ガチガチと歯と歯を叩き合わせている。 何も知らぬ人が一見すると寒いのかと思うが、頬は紅潮しており、その予想は外れる事になる。 「で、でぇいぶぅ!!」 その声は粗暴で知性や情愛の欠片など一切感じられない。発言が上手くいっていないだけで異常だと十分理解できるが、 「・・・」 母れいむは怯えた目で身をよじり、少しでも距離を取ろうとする。 そして、相手を刺激しないようにそろりと逃げようとする。相手が飛びかかってくれば分かるように左目はそのれいむを見たまま。 そろりそろり、ある程度下がると、それ以上下がれなくなる。 「そんあに怯えずとも」 少女は優しく微笑む。 「お相手してさしあげて」 母れいむは蹴り飛ばされ、おかしなれいむの元に転がっていき、そして互いの頬が触れ合う。 獣のような荒々しい交尾を少女は嘲笑するかのように見下ろしていた。 無様だ、醜いだ、汚いだ、差別的な視線は母れいむの何よりの苦痛だ。 自分がいま、見ず知らずの同族に犯されている事よりも、この少女の思い通りになっている事が何よりも悔しい。 「ず、ずっぎぃ、ずっぎりぃいい!!」 やがて絶頂を迎え、おかしなれいむは挙動不審になる。 妊娠しなかった個体はすぐに快楽が消え失せ、行動ができるようになる。 本来は妊娠した個体を守る為の仕組みなのだが、行動のおかしいれいむはそれが上手く作用しない。 ずりずりと母れいむの周りを回るだけで、近づいてくる少女に威嚇すらしない有様だ。 少女は懐から小刀を取り出し、まずは母れいむの周りを回る鬱陶しいれいむに襲い掛かる。 小刀で薙ぐと、両目を一片に横に真っ二つにしてしまう。それから足の部分を何度も刺す。 「いぎぃいやぁあああ!!いがぁあ!!いがああぁああいぃい!!」 少女からふと力が抜け、ぽよんと先ほどまで悲鳴をあげていたれいむが床に落ちる。 れいむは目が機能してない故に、適当な方向にずりずりと這って逃げるが、痛めつけられた足が言う事を聞かないらしく、 右へ左へ行く先がブレて、なかなか少女との距離が伸びない。 「ゆぐっ、ゆっぐしぃ、ゆっぐしぃい!!」 悲鳴のような願望を叫び、れいむは逃げていく。その様子を母れいむは目で追いかける。 もちろん、あんな相手に期待などしていない。していないが、 少女は一歩、逃げているれいむに近づく。 しかし、れいむは自分自身の悲鳴と失明の不安からくる焦りとまともに歩む事ができない憤りから、 その事に気付いていない。少女はまた一歩近づく。 その様子を母れいむはじっと見ている。逃げているのは何も期待していない相手、何も期待できない相手。 「・・・」 逃げていたれいむが急に悲鳴をやめ、キョロキョロしだす。 絞り出すような声、掠れて今にも消えそうな声、でも、確かに聞こえる声。 「にげて、そのまま・・・まっすぐだよ」 逃げているれいむは声の通り進む。まだ多少ブレはあるが、慎重に進んでいるため確実に少女から離れていく。 悲鳴もやめ、母れいむの小さな声を一生懸命聞こうとする。まだ多少残っていた理性が恐怖に呼び起されて、冷静な判断を促す。 少女はというととても楽しそうにまた一歩、歩みを進める。 それが戯れである事は母れいむが一番よく知っている。この少女はその気になればすぐさま逃げているれいむに追いつき、殺せてしまう。 逃げていくれいむは部屋を出て、縁側を降り、庭に出る。 母れいむもそれに追いつきたいが、今、そんな激しく動けば、中にいる赤ちゃんが潰れてしまう。 庭の奥の方へ奥の方へ逃げていくれいむ。 期待などしていなかった。期待などしていなかった。 結局、逃げていくれいむは一度も母れいむの方を振り向かなかった。 声が聞こえてくる方向だ。目が見えなくても振り返ることはできるはずなのに。 「そこからさきはここからじゃみえないよ。がんばってにげてね!!」 そんな声に返事をする事なく。逃げて行った。 「ふふっ、私のお父様もそうだったわ。ああやって逃げていくの。お母様からね」 本当に楽しそうに少女が笑う。 「これからあなたは私のお母様です。さ、言葉は取り戻しましたね」 そこからポツリポツリと少女は母親の生涯の話をし始めた。 自分の他に母には数人の子がおり、どれも小さな戦争で死んでしまった事、 その後、気が触れた母を無理やり手篭めにした男がいた事、 男のおかげで母は言葉を取り戻したが、孕まされ手厚く世話をされた事、 「さ、お母様、冷たい風は御身体に触りますわ」 それまでと全く違う少女の態度、温かい部屋に母れいむをゆっくりと連れて行き、 毛布で作った寝床に置き、目の前にたくさんのお菓子を並べる。 「お父様はお母様にこう接したのよ。何でも望む物は全て。お母様、何か欲しい物はありませんか?」 少女は母れいむの頭を優しく撫でてやる。母れいむはこの豹変に思考が追い付いておらず、 しどろもどろなりながら、“まだすこしさむい”と答えるが、 母れいむはすぐにしまったと思う。前にも同じ事を言い、焼き殺されたゆっくりありすを見たからだ。 しかし、少女はニコリと笑い。 「まあまあ、それは気付きませんでした。少しお待ちください。炭櫃を用意しますので」 少女は火を起こし、黒い石のようなものに押し付けている。 母れいむは何をやっているのだろうと、興味深く見ていると、次第に空気の温度が上がった事に気がつく。 「ゆっ?あったかい・・・」 それからしばらく、子を産むまで母れいむは手厚く世話をされた。 母れいむはすっかり少女の事を見直し、何でも言う事を聞いてくれる少女を信頼しきっていた。 「ゆひぃ・・・うまれ、うまれるぅう!!」 「お母様、もう少しですよ。頑張ってください」 「ゆふぅ・・ゆぅうううううう!!!」 母れいむのお腹から1匹の赤ちゃんれいむが飛び出す。 その子は少女が用意してくれた柔らかい布団の上で少し転がり、大きな声であいさつした。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!!」 母れいむも痛みを我慢しながら笑顔で返事をする。 「れいむがおかーさんだよ。ゆっくりしようね!!」 赤ちゃんれいむは母れいむを見つけるとすぐに飛んで行き、頬擦りをする。 「おかーしゃん、れいみゅだよ。ゆっきゅりしようね」 そして、母れいむは信頼する少女に自慢の娘を見せる。 「おねーさん、れいむのかわわ、ゆぎぃ!!!」 少女は突然母れいむの頬を抓り上げる。何が起こったのか母れいむには分からない。 急に頬が痛くなったと思ったら、自分の体が高く持ち上げられたのだ。 「ご出産おめでとうございます、お母様。お父様は生まれたのが娘であった事に大層お怒りになっております」 そのまま母れいむを部屋の端に向かって投げ捨てる。 赤ちゃんれいむは目の前の事に呆然としている。自分の母親が絶大な信頼を寄せていた人が、 突然こんな暴挙に出るなんて、お腹にいた期間が長く胎教で何度も“ゆっくりできるおねーさんがいる”と教えてこられ、 始めてみた時、この少女がその人なのだろうと思い。声を聞いて確信したが、その声を聞いた時にはこの暴挙が始まっていた。 「お母様?もうお亡くなりになったの?本当のお母様はそんな程度ではありませんでしたよ」 母れいむに昔された酷い仕打ちの記憶が蘇る。少女は心を入れ替えたといったのに、どうしてなんだろう。 考えている内に少女は母れいむの所までやってくる。まだ窪みができているゆっくりの産道を小刀でズタズタに切り刻む。 一度傷ついた場所は硬化するが、この産道部分が硬化すると二度と腹部からの出産ができなくなる。 それどころか、運悪くそれでも腹部で妊娠してしまった場合、 子が出産されず体内で大きくなりすぎ最終的に親の身体を突き破って生まれてくることになる。 「お母様も子宮を焼き鏝で焼かれたの。それから口も聞けなくされたわ」 今度は口内を小刀で切り刻んでいく。前のようなショックからくる失声症ではない、口の機能を物理的に奪われる。 「髪も奪われたの、お父様から貰った大切な髪飾りも目の前で壊された」 母れいむのリボンを引き千切り、髪を掴んでは根元から小刀で切り落としていく。 頭皮が引っ張られる痛みと髪を奪われる悲しさから、何か悲鳴を上げようとするが、 口が痛くて、声が出ない。どうにか“ゆぎぎ”という音だけが出せたので大きくその音を出した。 「ゆぎぎぃいいい!!!」 「お母様もそうやって苦しんだのかしら?ねぇ、見える?」 唯一見える左目の前で千切ったリボンを揺らす。“かえして”の言葉も出ない。 部屋の真ん中においてあった。少女に初めて望んだ施しである炭櫃である。 今もあの時と同じように暖かく、その真ん中に少女はリボンを落とす。 火がつき、焼け、炭となっていくリボン。母れいむは左目に涙をためている。 今すぐに少女の手を振り払って、リボンの元に駆け寄りたかった。 その願いはすぐに叶う。 「ゆぎぎぎぃいいい!!ゆぎぃ!ゆぎぎぎぃいいいい!!!」 炭に何度も顔を押し付けられる母れいむ。 「お母様、最後はその美しいお顔を焼かれてしまったの」 執拗に何度も押し当てる。母れいむの顔面は炭化し、左目に溜めていた涙は蒸発してしまった。 「アハッ、お面みたい」 母れいむの炭化した顔面を少女は爪で引っ掻く。雪の様に白い肌を真っ黒くして、 ボロボロと炭化した皮が剥がれ落ち、中身の餡子が外気に触れ、もう顔面の感覚がなくなっていた母れいむに新しい苦痛が咥えられる。 中の餡子が痛いのかウニウニと動き、その度にボロボロと炭化した皮が剥がれる。 最後、母れいむは顔面の皮がなくなり、中身の餡子を露出していた。 もう機能していないだろうが左に白い球体があるので、かろうじてそこが目だったのだろうと分かるが、 それ以外は元々、そのゆっくりれいむがどういった顔だったのか探る術はない。 母れいむはまだ微弱ながらも足を動かし、逃げようとしている。生きているかどうか分かりやすいように足だけはこうやって残していたのだ。 「お母様、まだ生きていらっしゃるの?そうね。お母様は最後、足を切り落とされて死んだの」 そう言いながら、少女は露出している餡子の部分の淵、ちょうど足に当たる部分の端を掴む。 この部分を触れた者はみな、動く餡子の感触を気持ち悪がるが、少女は慣れているのだろう。何も思う所は無い。 「では、お母様、さようなら」 その言葉をかけた瞬間、足の皮を一気に剥ぎ取る。 顔面の餡子はもう熱で水分を失い硬化していたが、まだ水分を保っていた足の餡子は床にどんどんと流れ出す。 やがて頭頂部の餡子まで流れ出て、それまでくっ付いていた顔面の硬くなった餡子もゴトンとその塊ごと床に落ちて割れた。 少女は母れいむの残りの皮を捨て、生まれたばかりの赤ちゃんれいむにニコリと笑いかける。 「あなたは私、さあ、私になってください」 by118