約 632,046 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/458.html
ティガれみりゃ その3 ======================== ≪はじめに≫ 『ティガれみりゃ』の続きになります。 時系列は、ティガれみりゃ1→ティガれみりゃ2→本作、となります。 他の作者様の設定や名称を一部使わせていただいております。 パロディネタおよび、自分設定有りです。 今回のエピソードには、本家東方のキャラが出演予定です。 口調やキャラなど、壊れ気味かもですが、ご容赦あれ。 すみません、まだ続きます。 また、今回のエピソードは長くなってしまったので、前編後編に分割しました。 以上、何卒ご理解・ご容赦ください。 少しでも楽しんでいただければ幸いです。 ======================== 3、誇りをかけた試練(前編) 「ゆぐぅ……もっと…ゆっくりじだがっだ、よ……」 とある山の、とある森。 一匹のゆっくりれいむが、今まさに力尽きようとしていた。 あちこち皮が破け、その傷と口から大量のあんこを吐き出している。 しかし、この森に充満する甘い匂いは、このれいむだけが原因ではなかった。 「みんな……れいむもゆっくり……そっちへいくよ……」 れいむが語りかけた先、 れいむの眼前、左右、背後、 そこには膨大な量のあんこが飛び散り、地面や木に染みを塗りたくっていた。 所々にリボンや帽子の残骸が垣間見えるそれは、大量のゆっくり達の死骸であった。 赤ちゃんから、大人まで、原型をとどめないその数は200を越えていた。 「ゆぅ……くやじぃ、ょ……」 視界がぼやけ、意識が朦朧としていく。 そんな状態でなお、この惨状を生み出した元凶の影が、目に焼き付いて離れない。 耳をすませば、今なおアノ恐ろしい鳴き声と歌が聞こえてくるようだ。 その歌い手の主、たった一体のゆっくりによって、 れいむの家族も、友達も、喧嘩相手も、同じ森に住むまだ見ぬ同胞達も、 みんなみんな殺されてしまったのだ。 圧倒的な力で、抗いようの無い絶望を撒き散らしたそのゆっくりを、れいむは決して許さない。 その憎悪の炎だけが、れいむの命を辛うじてつなぎ止めていた。 ……もっとも、許すも許さないも、どうせ自分はこのまま死んでしまうのだろう。 ゆっくりのあんこ脳であっても、その事実だけはハッキリ認識できた。 「むっきゅーっ! まだ生きてるのね!」 「……ゆ、ぅ?」 聞いたことの無い声だった。 ゆっくりと目を開き、最後の力を振り絞り、声の主を見上げるれいむ。 そこには人間の少女に似たゆっくりが立っていた。 「大丈夫!? しっかりしてね!」 れいむを心配する少女。 よく見れば、少女もまたゆっくりであるようだった。 『ぱちゅりー、どうしたの?』 「むきゅ! まだ生きているれいむがいたのよ、まりさ!」 ぱちゅりーと呼ばれたゆっくり、 即ち胴体付きのゆっくりぱちゅりーの背後から、重たそうに跳ねて近づく巨大なゆっくり。 れいむはそれを知っていた。とっても強くて大きくて優しいゆっくり、ドスまりさだ。 それも一匹ではない。 二匹、三匹、四匹……次々とやってくる。 さらには普通のサイズのまりさやアリス、ちぇんにみょん、 何十匹ものゆっくりが、木々の隙間を跳ねてきた。 「ゆゆゆ?」 わけがわからなくなる、れいむ。 疑問と困惑があんこ脳を支配し、一時的に痛みも恐怖も忘れさせていた。 「むきゅー。もう大丈夫よ、れいむ」 ボロボロのれいむを優しく抱え上げる、ゆっくりぱちゅりー。 「ゆぅ……おねぇさんたち……だれ?」 「むきゅ! よくぞ聞いてくれたわ!」 ゆっくりぱちゅりーは、れいむを抱えたままドスまりさら仲間へ向き直る。 「わたしたちは、ゆっくりフォース!」 「ゆっ!?」 「ティガれみりゃを倒すために集まった、ゆっくりなれじすたんすよ!」 高らかに宣言する、ゆっくりぱちゅりー。 れいむは、力を振り絞って、ゆっくりぱちゅりーに懇願する。 「おねぇーさん、れいむをみんなの仲間にしてね! れいむもティガれみりゃを許せないんだよ!」 口からあんこを吐き出しながら、されど目には炎を宿して叫ぶれいむ。 ティガれみりゃと戦う上で、この傷だらけのれいむがどれほど役に立つかはわからない。 けれど、その気高いゆっくりマインドだけは、ぱちゅりーやドスまりさ達にも痛いほど伝わった。 なぜなら、その場に集まる殆どのゆっくり達が、ティガれみりゃの犠牲者だったから。 故に、そのれいむの申し出を断るゆっくりはいなかった。 ぱちゅりーを筆頭に、数多のゆっくり達が、れいむに歓迎の言葉をかける。 「「「「「ようこそれいむ! ゆっくりしていってね!!」」」」」 * * * 「うっめっ! むっちゃうめぇっ!」 「まんまぁぁぁーーっ!たしゅげでぇぇぇぇっ!!」 「やめでぇぇぇぇっ! れみりゃのあがぢゃんたべないでぇぇぇぇぇっ!!」 通称・ゆっくりフォースが、そのメンバーを増やしていた頃。 とある湖畔で、胴体付きれみりゃの親子が、複数のゆっくり達に襲われていた。 親だと思われるれみりゃが一匹、その子供が4匹。 親れみりゃは四肢をもがれ、地面にころがされている。 四肢の切り口は、強引に食いちぎられ、断面から肉汁があふれている。 その親れみりゃの前で、4匹の子供達はリンチされ、食い散らかされていく。 「むーしゃむーしゃ♪」 「なにこのにくまん!むっちゃうめぇ!」 「すっごくゆっくりできる味だぜ!」 れみりゃ達を襲っているのは、3匹のまりさ種だった。 それも、もっとも性悪といわれ、専門家達からがゲスまりさと分類される種だ。 「うわぁぁぁぁぁん! しゃくやぁぁぁ! はやぐぎでれみりゃとあぢゃんをたすけるんだどぉぉぉぉ!!」 泣きわめく親れみりゃ。 そんな親れみりゃを、見下すゲスまりさ達。 「おお、おろかおろか」 「うるさいにくまんだぜ!」 「よわいれみりゃは、ゆっくりたべられるんだぜ!」 そう言って、一匹の子れみりゃを丸呑みにして、咀嚼していくゲスまりさ。 「うぎゃぁぁぁ!!」 「うわぁぁぁぁぁっっ!!」 子れみりゃの断末魔と、親れみりゃの悲痛な叫びが湖畔の森に響き渡る。 「ぎゃおぉぉぉーーーーっ! ぎゃおぉぉぉぉーーーーっ!!」 怒りと悲しみで、ゲスまりさを倒そうと体をジタバタよじる親れみりゃ。 だが、四肢の千切られたその体では、文字通り手も足もでない。 「ったく、うるさいにくまんだぜ!」 ゲスまりさがピョンと跳ね上がり、親れみりゃの顔に体当たりをくらわす。 「ぷぎゃぁぁーーーっ! いたいぃぃぃぃーーーっ!!」 苦痛の叫びを上げ、ボロボロと大泣きする親れみりゃ。 「まんまぁぁぁ! がんばてぇぇぇぇ! こいちゅらやっちけてぇぇぇぇ!」 いじめられる親を見て、これまた泣き出す子れみりゃ。 なんとか助けて貰おうと、親れみりゃを応援する。 「ブサイクなにくまんのぶんざいで、なまいきだぜ!」 「うっぎゃっ!」 気分を害したゲスまりさが、跳ね上がり、子れみりゃを押しつぶす。 「どうだぜ! まいったかだぜ!」 「「「うぎゃ! ぷぎゃ! いだっ! ゆぎぃ!」」」 何度も何度も、子れみりゃ達をプレスしていくゲスまりさ。 間もなく、子れみりゃ達は物言わぬ肉まんの残骸と化してしまった。 「ああああああっ! れみりゃのあがじゃんんんんんっ!!! 目の前で全ての子供を失い、白目を向きながら泣き叫ぶ親れみりゃ。 その脳裏に、子供達と過ごした日々が浮かぶ。 森の中でアリスに襲われ、妊娠した日の戸惑い。 自分の体内で新たな命が育まれていくのを感じた感動。 とっても痛かった出産と、それ以上に可愛い赤ちゃんとの対面。 はじめて「まんまぁ~」と呼んでもらえた時の嬉しさ。 一緒に顔中を汚して食べた、さくやとくせい・ぷっでぃんの甘さ。。 立てるようになった子供達に、れでぃーのたしなみとして歌とダンスを教えた日々。 いままでも、そしてこれからも、自分と赤ちゃんたちには楽しくて素敵な毎日が待っている。 だって、れみりゃたちは、とってもえらくてかわいくてつよい、こーまかんのおぜうさまなのだから! だから、今日だって、メイドの言いつけをやぶってでも、 一緒に遠くまでお散歩に来たのに。 それなのに。 あかちゃん。 なんで。 「……あかちゃーん、あかちゃーん♪ ……とぉーってもかわいいどぉー♪」 親れみりゃは、放心状態となり、空想の中で子供達と遊びだした。 一方、ゲスまりさ達は、そんな親れみりゃの様子を見て、ふざけだす。 「おいおい、せっかくのにくまんをつぶしてどうするんだぜ♪」 「おっと、ついやっちまったんだぜ♪」 「そうだぜ、でも心配はいらないんだぜ♪」 ニヤニヤと笑みをこぼしあうゲスまりさ達。 「……う、う~~~~?」 そのゲスまりさ達の言動に、現実に引き戻され、 不安な気持ちでいっぱいになる親れみりゃ。 「「「だって、にくまんはまだこんなにあるんだぜ!」」」 そう言って、いっせいに親れみりゃに噛みつくゲスまりさ。 「うぎゃぁぁぁ! やめてぇぇぇ! れみりゃはにくまんじゃないどぉぉぉ!!」 「なに言ってるんだぜ! どうみたってお前はにくまんだぜ!」 「そうだぜ! 肉汁だってこんなにアツアツウマウマなんだぜ!」 「かんねんするんだぜ! このぶさいくなにくまんが!」 「ちがうのぉぉー! れみりゃはぷりてぃーなこーまがんのおぜうさまなのぉっ! にくまんでもぶさいくでもないのぉぉぉ!!!」 「なにいってやがるんだぜ!」 「そうだぜ! このにくまん!」 「おぜうさまにこんな尻尾なんかあるわけないんだぜ!」 そう言って、尻尾にかぶりつくゲスまりさ。 尻尾。 そう、この親れみりゃは、胴体つきは胴体つきでも、 希少種であるゆっくりゃザウルスであった。 しかも、元々ゆっくりゃザウルスであったわけではない。 ついこの間まで、紅魔館に住み着き、メイド達に甘やかされて育った、 ごくごく普通の胴体付きれみりゃであった。 だが、子供を産み、子育てを経ていく間に、れみりゃの体に異変が起こった。 ある朝、起きたらゆっくりゃザウルスになっていたのだ。 ゆっくりゃザウルスとなった親れみりゃを見て、 普通の胴体つきれみりゃである子れみりゃ達は、たいそう感激し、 「まんま、かぁっこいいどぉ~~♪」と、ことあるごとに褒め称えた。 ただでさえ子供達と優しいメイドに囲まれ幸せだったのに、 さらにこんなにも素敵な体になって、いいんだろうか!? しばらくの間、親れみりゃは幸福感でいっぱいになった。 だが、いくつかの誤算が、親れみりゃの幸福に水を差す。 メイド達が、館の外へ出してくれなくなったのだ。 いつもは定期的にお散歩に行けたのに、 今ではどこかへお出かけしようとするたび、 名前を忘れた門番に呼び止められ、連れ戻されてしまうようになった。 自分は、こーまかんのあるじなのに! こんなにかっこよくなった自分を、いろんな人に見せてあげたいのに! そしたらきっと、みんな喜んで、褒め称えて、自分と赤ちゃんにぷっでぃーんをくれるのに! 腹をたてたれみりゃ親子は、たまに館にやってくる、箒にのった少女に頼み込み、 こっそり館の外へ連れ出してもらったのだ。 けれど、そこで二つの誤算があった。 一つは、遠くへ来すぎて、館へ帰れなくなってしまったこと。 そして、もう一つは、このゲスまりさ達にからまれたことだ。 たしかにゲスまりさ達は、いつもれみりゃ親子がエサとして与えられるゆっくりより大きかった。 その体長は、帽子を抜かしても50cm前後はあるだろう。 だが、そこはくさっても捕食種・れみりゃ。 殆どが子供とはいえ、れみりゃ5匹に対して、 少しばかり大きいエサが3匹いたところでものの数ではないと思っていた。 しかし、それが大間違い。 親れみりゃは、ぎゃぉ~~とゲスまりさに襲いかかったが、あっさりよけられ、 逆に3匹のゲスまりさのコンビネーションの前に、なすすべもなく体当たりされ続け、 あっという間に泣き出してしまった。 すると、あんなにも強くて格好良いと思っていた親れみりゃがやられたことで、子れみりゃ達もすっかり意気消沈。 子供達だけで狩りをしたことが無いこともあり、パニック状態に陥ってしまう。 その隙を突かれ、子れみりゃ達も、さして抵抗するでもなくゲスまりさ達のオモチャとなってしまった。 これこそが、館のメイド達がゆっくりゃザウルスを外へ出したがらないかった理由だった。 当のれみりゃ達は、何故か"最高に強そうで格好良い"と感じるのだが、 ゆっくりゃザウルスへの変化はパワーアップでも何でもないのだ。 むしろ、全ての面において弱体化しており、 その戦闘力は、れみりゃ種の中でも最弱と言っても過言ではない。 しかし、なまじ物珍しく、また肉まんとしてもより肉厚が増えて美味しくなっているため、 ゆっくりを愛好する人間達や、れみりゃの味を知っているゆっくり達から、しばしば狙われ命を落としてしまう。 それを知らず、勘違いしたが故に、このれみりゃ親子の悲劇は起きた。 「おねがいやべでぇぇぇぇ! れみりゃをたべぢゃだべぇぇぇぇぇっっ!」 「「「むーしゃむーしゃだぜぇ~♪」」」 泣き叫び哀願する親れみりゃと、構わずれみりゃの尻尾を食べ続けるゲスまりさ達。 親れみりゃにとって、永遠に続くかと思われた生き地獄は、 断続的な地響きと、その後に続く鳴き声……"とってもエレガントでイケている"と 親れみりゃが苦痛を忘れて聴き惚れた歌によって、遮られた。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』 「だれだぜ! じめんをゆらすのをやめるんだぜ!」 「なんだぜ? だれがうたってるんだぜ?」 「だれだぜ? まりさたちのしょくじをじゃまするのは!」 きょろきょろ左右を見回すゲスまりさ達。 しかし、見えるのは、湖と木と緑と潰れた肉まんと今たべているにくまんと……。 「ゆっ? だれもいないんだぜ?」 「おかしいんだぜ!」 「もういちどかくにんするんだぜ!」 ゲスまりさは警戒を怠らず、3匹がそれぞれ背中を合わせて、死角を無くす。 ゆっくりらしからぬコンビネーションは、この3匹が長年をともにし、 いくつかの修羅場を乗り越えてきたことを示していた。 「……うぅ?」 一方、一時的にとはいえ、解放された親れみりゃもまた、 "エレガントでかっこよくて綺麗な声の"歌の主を、目だけを動かして探す。 『ティ~ガティ~ガティガ♪』 「「「姿をあわらせだぜ!」」」 いらつくゲスまりさ達。 何度みても、そこには異常は確認できない。 見えるのは、湖と木と緑と潰れた肉まんと今たべているにくまんと……。 ……緑? この緑は葉っぱじゃない。 それによく見ると動いている。 『ティ~ガティガティガ♪ ティガれみりゃ~~♪』 ゲスまりさ達は、その視界に入っている緑を追って、徐々に顔を上げていく。 同じく、その緑色の存在に気付いた親れみりゃも、つられて瞳を上へ向ける。 そして。 「「「うぶっぼげぇぇぇ!!!」」」 「うーーーーーーっ!!!」 声にならない驚愕の叫びと、まるで神にでも出会ったかの如く感嘆に染まった叫びが、湖畔に重なる。 ゲスまりさと、親れみりゃが見上げた先、 そこには、超巨大ゆっくり・ティガれみりゃの満面のしもぶくれスマイルが広がっていた。 ゲスまりさの視界に入っていた緑色は、ティガれみりゃの足先だったのだ。 『ティガ☆れみ☆りゃ☆う~~~~♪』 「げぇぇぇぇぇぇぇっっっ!」 「う~~~~~~~~♪」 ゲスまりさと親れみりゃを見つけ、お得意のダンスを披露するティガれみりゃ。 ゲス達は恐怖で青ざめさせ、親れみりゃは興奮で顔を紅潮させている。 「か、か、か、か……かっこいいどぉーーー!!!」 目をキラキラと輝かせる親れみりゃ。 自分がゆっくりゃザウルスになった時も、鏡を見ては惚れ惚れしたものだが、 いま目の前に立っているれみりゃは、そんな自分から見ても格が違う! 「ま、まさに、かりしゅまだどぉ~~~♪」 ゲスまりさ達に虐められ、子供を目の前で失い、絶望のさなかにあった親れみりゃにとって、 このティガれみりゃの存在は鮮烈だった。 これこそ、自分達れみりゃが目指すべき姿! れみりゃ達の救世主! れみりゃの完成系! れみりゃの最終兵器! れみりゃを終わらせたれみりゃ! 「れみりゃが歩いたばしょなど、このれみりゃはすでに2000年前につうかしてるんだどぉ~~♪」 ……と、錯乱するほどに、親れみりゃは感動を覚えていた。 一方、ゲスまりさ達といえば、 口をパクパクさせたまま動けずにいた。 あまりにも違いすぎる大きさは、それだけで相手の戦意と思考を喪失させる。 まして、こざかしくもこれまで何度かの修羅場を切り抜けてきたゲスまりさ達だったからこそ、 いま目の前にいる巨大なゆっくりが、いかに絶望的な存在かを本能的に察してしまっていた。 本能的な恐怖が体を萎縮させ、ゲスまりさの体を、こおりつかせて動けない状態にさせていた。 『うっ~う~♪ れみりゃとおんなじれみりゃがいるどぉ~♪』 「うーうー♪」 ティガれみりゃに呼ばれたことが嬉しくて、うれしそうに反応する親れみりゃ。 立ち上がり、一緒に踊ろうとして…… 「うっぎゃぁぁっ!」 体の無い部分を動かそうとして痛みがよみがえり、 四肢と尻尾を食べられてしまっていたことを、嫌でも思い出す。 『う~~~?』 そんな親れみりゃの様子を不思議そうに眺めるティガれみりゃ。 やがて、肉餡の脳が、的はずれな答えを導き出す。 『わかったどぉ~♪ おなかがすいてうごけないんだどぉ~♪』 ティガれみりゃは言うや否や、 足下でかたまっているまんじゅうを一つつまみ上げる。 「た、たすけるんだぜ!」 「し、しらないんだぜ、まりさは無関係なんだぜ…」 「そうだぜ、それにきっとそのまりさが一番おいしいんだぜ…」 「ど、どぉじでぞんなごどぉいうんだぜぇぇぇぇっ!!!??」 ゲスまりさは、いかにもゲスらしく、自分のためだけに仲間を売り払おうとする。 『うーー、うるちゃいおまんじゅうだどぉーー』 ティガれみりゃは、つまみ上げたゲスまりさに、少しだけ力を込める。 『うるちゃいと、つかれたれみりゃがたべられないんだどぉー! しずかにしないとたーべちゃうぞー♪』 「ぷぎょげっ!」 ティガれみりゃの指に込められた力に耐えきれず、瞬時にパァーンと弾けるゲスまりさ。 ちょっとしかるだけのつもりでも、ティガれみりゃの力は、普通のゆっくりにとっては致命的な威力となってしまう。 『う~~~♪ れみりゃしっぱいしちゃったどぉ~~♪』 てへっ♪と舌を出しておどけるティガれみりゃ。 「や、やめるんだぜ~~~~!」 二匹目のゲスまりさをつまみあげるティガれみりゃ。 『しぃぃ~~~~だどぉ♪』 ティガれみりゃは、おとなしくするよう告げるが、 生命の危機にさらされた生物が、それでおとなしくなるわけもなく。 「はんすんだぜ! このでかにくまん! まりさよりあっちのまりさの方がおいしいんだぜ!」 「やぁべろぉぉぉ! ぞんなごどいうなぁぁぁぁ!」 『う~、おまんじゅうのくせにれみりゃのいうこときかないなんて、なまいきだどぉ』 いつまでたっても静かにならないゲスまりさ達に、 ティガれみりゃは、ぷくぅ~と頬を膨らませる。 「ぎょえぇ!」 無意識的につい力がこもってしまったのか、ゲスまりさがパァーンと弾け飛ぶ。 『うーーーっ! どぉーしてうまくいかないんだどぉー!』 いらつき、3匹目のゲスまりさをつまみあげるティガれみりゃ。 「や、やめてほしいでございますだぜ…」 卑屈に下手に出るゲスまりさ。 一方、ティガれみりゃはゲスまりさの言葉など聞かず、 ポケットに手を入れガサゴソと動かした後、そのまま空の手を取りだした。 『うっう~~~! すぴあ☆ざ☆ぐんぐにるを、忘れてきちゃったどぉ~~♪』 "れみりゃのおっちょこちょいさん♪"とでも言いたげに、 自分の頭を軽く叩き、頬を赤く染めるティガれみりゃ。 ちなみに、"すぴあざぐんぐにる"とは、 ティガれみりゃがポケットの中にしまって持ち歩き、 ゆっくりを狩る時に愛用する、立ち枯れた木のことだ。 ティガれみりゃは、その木の枝にゆっくり達を突き刺して、 "とくせいゆっくりだんご"を作って食べる習性があった。 「ま、まりさにひどいことすると、ドゲスたちがだまってないんだぜ、わかったらさっさと……」 ゲスまりさは、相変わらずティガれみりゃに自分を見逃すよう説得を続けていた。 しかし、ティガれみりゃ相手にそんな交渉は意味も無く、 「ゆべしっ!」 次の瞬間、押しつぶされて体を四散させていた。 『う? またやっちゃったどぉ♪』 しかたない、それじゃ次のおまんじゅうで……。 ティガれみりゃは足下をみるが、そこには既にゲスまりさはいない。 それはそうだ。 3匹のゲスまりさは、他ならぬティガれみりゃによって殺されたのだから。 『う~~~! これじゃ、れみりゃにごはんをあげられないどぉ~~~!』 鼻の上のあたりを真っ赤にしてジタバタするティガれみりゃ。 『しゃくやーー! はやくれみりゃたちにぷっでぃんもってきてぇーー!』 と、お決まりに、いもしない従者の名前を呼ぶが、当然誰かがくるはずもない。 『うー……』 しかたなく、短い手と膝をつき、顔をよせて、 小さな親れみりゃに話しかけるティガれみりゃ。 『うー、ごめんだどぉ。おまんじゅうなくなっちゃたんだどぉー』 ティガれみりゃは詫びるが、 それに対して親れみりゃの方は全く気にする素振りもない。 それどころか、自分達をいじめたあの3匹のゲスまりさを、 まったく寄せ付けず倒してしまった強さに、ただただ感動していた。 「うーうー♪ れみりゃは気にしないどぉー♪ それより助けてくれてありがとうだどぉー♪」 『う~~? いいのぉー?』 ティガれみりゃからすれば、別に助けたつもりもなかったので、 ただただ自分のミスを許してくれて、おまけに何故か御礼を言われたことに気分を良くする。 『うー♪ ちっちゃなれみりゃは優しい良い子だどぉ♪ れみりゃは、れみりゃにごほうびをあげたいどぉー♪』 「うっ? ごほーび?」 『そうだどぉ♪ なんでも言ってねぇ~♪』 うっふんとウィンクし、 うんしょ、うんしょと立ち上がるティガれみりゃ。 「……うぅー」 親れみりゃは考える。 そして、自分の置かれた立場を思い出した。 迷子になってしまったこと、子供を失ってしまったこと。 次々に悲しみがよみがえってきて、自然と涙が流れてくる。 『うーっ! どぉーしたんだどぉ?』 「うーーー! うーーー! うーーー!」 『う~~、れみりゃに泣かれると、なんだかれみりゃもかなしくなるどぉ~~』 困ったような笑顔のまま、ティガれみりゃは目尻にうっすら涙を浮かべる。 「……う~、れみりゃ、おうちにかえりだいどぉ」 嗚咽をすすりながら、親れみりゃは口を開く。 そう、おうちへ帰ろう。 そして、ぷっでぃんを食べて、さくやに慰めてもらって、ふかふかのベッドで眠ろう。 親れみりゃは、それだけを強く願い始める。 『う~~♪ わかったどぉ~~♪』 「うっ?」 『れみりゃがいっしょにおうちを探してあげるどぉ♪』 ティガれみりゃは、潰さないよう、優しく手の平の上に親れみりゃを乗せ、 自分の顔の前へ持ってくる。 至近距離で互いの顔をじっと見つめ合う、ティガれみりゃと親れみりゃ。 『う~~♪ ちっちゃいれみりゃだどぉ~~♪』 「う~~♪ おっきぃれみりゃだどぉ~~♪」 自然と笑顔になる、ティガれみりゃと親れみりゃ。 『うっうー♪ ちっちゃいれみりゃもかわいいどぉー♪』 「うっうー♪ おっきぃれみりゃもかっこいいどぉー♪」 互いを褒め合い、たたえ合う2人(?) ティガれみりゃは、親れみりゃを自分の頭の上に乗せる。 「う~! すっごい高いどぉー! 風がきもちいいどぉー♪」 痛みも忘れ、喜ぶ親れみりゃ。 実際、既に手足はだいぶ再生しており、 ふりおとされないようティガれみりゃの頭にしがみつくくらいのことはできるようになっていた。 最弱といえど捕食種れみりゃ。ゆっくりゃザウルスとなっても再生力は健在である。 『うー、それじゃいっくどぉー♪』 「うーっ♪」 よったよったのしのし。 よったよったどったどった。 頭の上にゆっくりゃザウルスを乗せて、 ティガれみりゃは湖に背を向けて、森を進んでいく。 ……紅魔館は、湖の対岸にあるのだが、 そんなことはティガれみりゃも親れみりゃも知らなかった。 2人はそろって楽しげに、うぁうぁダンスのリズムを取り始める。 『「うーうーうぁうぁ♪ うーうーうぁうぁ♪」』 楽しげに歌って踊るうち、親れみりゃは、 自分の中に芽生えつつあった嫌な疑問を払拭しはじめていた。 疑問。 それは、あのゲスまりさ達がたびたび口にした内容。 "れみりゃ達はおぜうさまではなく、たべられちゃうにくまんなの?"という不安。 けれど、そんなのは気のせいだ。 あのいじわるなゆっくり達がウソをついたに決まっている。 (だって、こんなにも可愛くて強いティガれみりゃが、にくまんなわけないもん!) 親れみりゃは、強く確信し、ティガれみりゃにあわせて快心のリズムを刻んでいく。 『ティガ☆』 「れみ☆」 『りゃ☆』 「うー♪」 『「にぱぁ~~~♪」』 にぱぁ~のタイミングでティガれみりゃと親れみりゃは、 その下ぶくれスマイルを最高に輝かせた。 あまりにも歌も踊りも素敵だったから、気持ちよくて楽しかったから、 だから2人は気付かなかった。 ティガれみりゃの進む先、空中を浮遊する1人の少女の姿を。 人とも妖怪とも違う、もっと強くもっと恐ろしい、幻想郷からは本来姿を消した存在。 甘ったるい桃ばかりに飽きて、塩からいツマミを探していたその"鬼"の存在に。 to be continued 次回予告 『ティガれみりゃ4・誇りをかけた試練(後編)』 ============================ (あとがき) どうも、ティガれみりゃ第三回です。 すみません、ちょっと長くなってしまったので前編後編わけました。 ……というか、風邪をこじらせてしまいまして、 そろそろ意識が朦朧としてきたので、とりあえずここで区切らせていただきます。 (ほんとはこの先が書きたくて、このエピソード作ったのにorz) それと、本当にどうでも良いことではあるんですが、 そろそろモンハンが元ネタのタイトルが尽きてきました……。 byティガれみりゃの人 ============================ 続 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/426.html
※「ゆっくり研究者のある1日」の続きです。1部設定がぶっ飛んでいるので、前作を知らない人はご注意を ※1部虐待されないゆっくりを含みます。 ※勧善懲悪もの(?)です 俺はゆっくり種の研究をしている。 一応個人的な研究になるのだろうが、「ゆっくり加工場」という施設で研究結果を高値で買い取ってくれるために最近では設備も整ってきた。 今日は、その加工所からの召喚を受けている。 "ゆっくり加工所商品研究課"という部門での定期発表会議に参加してほしいというものだ。 商品の発表に俺のような総合的研究者の意見など必要か?という疑問があるが・・・ しかし、その後"ゆっくり捕獲研究科"を見せてもらえることになっているため期待は大きい。 ゆっくりをうまく調教し、ほかのゆっくりたちを誘導させ、労せず捕獲する方法を確立したらしく、見せてもらうのがとても楽しみだ。 うちの助手は今回あまり役には立ちそうもないので、久しぶりに休暇をやることにする。 外出させるに当たり、研究所のマークがついた腕章を両腕に止め、守るべき事項を1つ1つ伝える。 「・・・・・後は、夕方までに必ず戻ること。理解できたか?」 こくりと頷く。 まぁ6割程度は理解できたはずだ。 各部屋を回り、異常がないことを確かめて俺は加工場へと向かった。 久しぶりに一人で外に出る。 はかせは加工場に1日中いるらしいから、今日はあそび放題だ。 どこにいこうかな。 何を食べようかな。 そんなことを考えながら庭から外へ飛ぼうとしたとき、視界の隅に動くものが目に入った。 「ゆ?おねーさんどこいくの?」 1匹のプチゆっくりがこっちに向かってはねてくる。 どこから出てきたんだろう? 食べようかな そう思いながら摘み上げてみると、見かけよりずいぶん重い。 あ、これ、いっぱいしゃべるゆっくりだ。 研究所内では知能向上の研究をするとき増量剤を注入してあんこ密度を上げるため、見た目よりずいぶんと重いゆっくりが出来上がる。 ゆっくりフランはそのことをすべて理解しているわけではないが、重い=語彙が豊富だということは分かっている。 このプチゆっくりにとっては幸いなことに、フランは朝ごはんを食べた直後だった。 今はおなかいっぱい。 おなかがすいたら食べよう そう決定し、摘んだプチを腕章にくくりつけておく。(普通なら尖ったものに刺しておくのだが、近くに無かった。羽に刺すと飛びづらくなる) 庭の真ん中でくつろいでいたゆっくりゆゆこを踏み台にし、颯爽と飛び上がるフラン。 「ゆー!!」いきなり踏みつけられたゆゆこが怒っているが、知ったことではない。 「たかーい!おねえさんすごーい!!」 腕にくくりつけられているにもかかわらず、空を飛んでいることに感動しているだけのプチ。 知能向上の実験体のはずなのだが、やはりプチはプチということなのだろうか。 山道 しばらくわさわさと飛んでいると、眼下に複数のゆっくりを発見した。 おもしろそう もちろん見逃すはずも無く、獲物を虐殺するために急降下していく。 ゆっくりまりさは耐えていた。 こすり付けられるゆっくりアリスの振動に。 「とかいはのありすのあいがすこしはわかったようね!!」 「ッ!・・ッ!う゛う゛う゛ぅッ!」 勝手なことを言いながら交尾を続けるゆっくりアリス。 「おわったらはやくかわってね!!」 そして眼前にもう1匹、自分のかわいい赤ちゃんたちを押さえつけているゆっくりアリス。 自分達の絶対的優位を確信し、勝ち誇った顔をしている 「まりさがいやなら、このあかちゃんまりさでもいいんだからね!」 この母まりさにとって不幸だったのは、赤ちゃんたちから少しだけ目を離したこと。 そしてゆっくりアリスが連携を覚えていたことだった。 一瞬の隙を突き、赤ちゃん達を人質に取り、交尾を強要して来るゆっくりアリス。 姉まりさ達は助けに行こうとしたところを一喝し、逃がしてある。 「んほおおおおおおぉぉぉっ!!」 「うぐううう゛ぅっ!」 母まりさは耐えるしかない。 かわいい赤ちゃんのため。 このままでは自分が死ぬだろう事を、うすうす感付いていたとしても。 特に必要の無い解説だが、ゆっくりフランには人間のような偽善心は無い。 このときターゲットにした2匹は、(発情していたため)普通よりつやつやしていてはりがあり、元気そうにうごめいていたもの。 対する残りの1匹は、色がくすんで萎れ気味、いかにもマズそうかつ反応も鈍そうであったため、捕食にも遊戯にも向かないと判断し、視界から早々に排除していたのだ。 思惑はどうあれ、そこには然るべき結果が残る。 フッと自分にのしかかっていた重みが消えるのを感じる母まりさ。 まだ絶頂していないはずなのにどいたアリスに疑問を覚え周りを見回し、違和感を覚える。 今まで自分と交尾をしていたアリスは、どこへ行った? ふと見ると、赤ちゃん達を抑えているアリスが驚愕の表情で固まっている。 ? ・・・!? (ゆっくりにとっては)目にも止まらぬ速さで空中につかみ上げられるアリス。 一番の優先順位である赤ちゃん達を見ると、ぐったりはしているが何とか生きているようだ。 「なにするの!?もうすこしでい・・・!!!!」 上方で、さっきまで自分と交尾をしていた方が抗議の声を上げかけ、なぜか途中で言葉を止める。 母まりさは、つかみ上げられる=人間という思考結果にたどり着き、上を見上げお礼を言おうとした。 そこには、自分達の最も恐ろしい天敵であるゆっくりフランがいた。 しかも体つきで、さらに普通よりもずいぶん大きい。 驚愕の表情で固まるまりさ。 いきなりすぐ隣まで来た"死"に、声も出せずに固まり続けるまりさ。 結果として、それがまりさの命を救った。 フランは捕まえた2匹をどうするか考えるのに夢中で、まりさ親子の存在など視界からも記憶からも完全に排除していたのだ。 最後までまりさ親子の存在に気づかないまま、獲物を両手にわしづかみにしたフランは意気揚々と歩いていった。 いきのいいのが2匹もとれた どうやって遊ぼうかな 上機嫌で両手の獲物を振り回しながら歩き続けるゆっくりフラン。 すぐに殺されなかったため、このゆっくりフランが自分を殺す気は無いと(何故か)判断し、信じられないことにフランに迫ってくるゆっくリアリス 「ふ、ふ、フラン!フランでもいいよ!ゆっくりしよ!」 発情した顔でフランの顔の方に向かってこようとするゆっくりアリス。 あきれて声も出なかったが、こんなのに貼り付かれたくは無いので掴む力を強めるフラン。 ビリッ! 結果、頬の少し後ろあたりが破れ、クリームがはみ出してきた。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!い゛だい゛い゛い゛い゛ぃぃぃぃ!!」 ああ、もったいない いっぱい遊ぶつもりだったのに 「・・・ゆっくり死ね」 仕方ないので破れたところに牙を立て、中身を吸い出す。 「い゛い゛い゛ぎい゛い゛い゛ぃぃぃ!!な゛ん゛でえ゛でえ゛え゛え゛ぇぇぇえ゛ぇ!!」 チューペットのように口に咥えながら、ふと思いつきもう1匹の頭の皮を力任せにひっぺがす。 「ぎい゛い゛ぃあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!な゛に゛ずる゛の゛お゛お゛お゛ぉぉぉ!!」 暴れまわるのを押さえつけ、腕にくくり付けてあったプチゆっくりを破れた頭からのぞくクリームの上に置く。 プチは少しの間悩んでいたが、食べろという仕草に気づき、少しづつクリームをなめていく。(同族喰いにはあまり抵抗がないようだ) 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁ!!だべな゛い゛でえ゛え゛え゛ぇぇぇ!!!」 やはり中身は敏感らしい。 少しずつ舐め取られていく感覚に元の形が分からないほど歪むアリスの表情。 うん。やっぱりこっちのほうがおもしろい。 つぶすとすぐ終わっちゃってつまんない しばらく2匹の奇妙な食事が続いていたが、ふと思い出したようにプチが話しかけてくる。 「おねえさんまりさをたすけてあげたんだね!えらいんだね!」 ・・・まりさ? そんなのいたの? それも持って来ればよかったかなぁ。 2匹とももう終わっちゃいそうなんだもん 次からは見たものをその場で知らせてもらえるように、プチを肩に乗っけるフラン。 「ゆー!たかいね!いろんなものがみえるね!」 もちろんプチはそんな意図など気付くはずも無く、ただはしゃぐだけだったが。 ちなみに、プチの食べ残した方のアリスは頭の皮を縁って餅巾着のようにし、そこらにあった木の枝に刺してぶら下げておいた。 「お゛ろ゛じでえ゛え゛え゛ぇぇえ゛!!あ゛り゛ずはどがい゛はな゛の゛に゛い゛い゛い゛ぃぃいい!!」 あ゛り゛ず=アリス、どがい゛は=とかいは=理解不能 ・・・どうでもいいや ゆっくりアリスに興味が失せたゆっくりフランは、プチゆっくりを乗せ、また目的の無いままわさわさと飛び始めた。 人里 ゆっくり達は人々の生活に浸透し、もはや当たり前のような存在になっている。 ゆっくりをつれて歩いている人。 道端で固まってしゃべっているゆっくり達。 店にちょっかいをかけ叩き潰されているゆっくり・・・ ゆっくりフランはよくお使いに来る店の前に降り立った。 「お、助手さん!今日もなんか買ってってくれんのかい?」 最近は顔も覚えられ、"ゆっくり"ではなく"助手さん"で通っている。 首を横に振るフランに、店主のおじさんは 「遊びに来てくれたのかい? 待ってな。今お菓子を・・・」 そこに聞こえてくる騒音と怒号。 「チッ・・・またかよ・・・!」 心底うんざりといった表情で騒音の方へ向かっていく店主のおじさん。 騒ぎの中心は魚屋だった。 1匹のゆっくりれみりゃが魚を片っ端から投げ捨てているのだ。 「う~♪これはくしゃいからぽーい♪ これもぽーい♪」 にこにこしながらさも当然といわんばかりに投げ捨てていく。 「う~♪いっぱいぽーいしたからおなかすいたどぅ~♪ぷでぃんもってきて~♪ぷっでぃ~ん♪」 ふらふらと意味不明な踊りを踊りながらとんでもない要求をするゆっくりゃ。 菓子屋の主人がものすごい青筋を浮かべながら、精一杯の愛想笑いでプリンを持ってくる。 「ほーら、プリンだよー。あっちで食べようねー」 しかし、れみりゃはそのプリンを弾き飛ばす。 「これじゃないの!しゃくやのぷでぃんたべうの!しゃくやのぷっでぃんもってきて~!!」 群衆の中の一人がとっさに機転を利かせて 「さ、咲夜さんのプリンなら村の外れまで咲夜さんが持ってきてくれてるよ!村の外れまで一緒に行こうか!」 しかし、 「や~!ここでたべうの!しゃくやのぷっでぃ~んもってきで~!!はやくしないとしゃくやにいいつけちゃうぞ~!!」 そこかしこからため息が聞こえる中、フランの肩に乗っているプチがおじさんに声をかける。 「ゆっ! なんでみんなみてるの!? おこらないとだめだよ! おさかなさんがゆっくりできないよ!」 「あいつは紅魔館で飼われてるやつなんだ。そんなことして紅魔館のやつらに告げ口されたら今度はこんなもんじゃすまなくなるんだよ・・・」 おじさんは諦め半分でいう。 しかし、その答えはプチゆっくりには納得のできないものだったらしい。 「ゆーっ!ひとのものをかってになげたらだめなんだよ!ひとにめいわくかけたらだめなんだよ!」 あろうことかゆっくりれみりゃ本人(?)に直接文句を言ったのである。 「う~?」 その大声にこっちを向くゆっくりれみりゃ。 しかし、肩の上のプチには気付かなかったらしく、それを乗せているフランに突っかかってきた。 「ぎゃお~!たーべちゃうぞ~♪」 いつもこれをすればみんなこうさんする。 これをしたじぶんはさいきょうなんだ! 絶対の自信を胸に、偉い自分に向かって大声を上げたやつをやっつけようとよたよた向かっていく。 一方、フランはこの騒ぎにはあまり関心が無く、そろそろどこかに移動しようかと思い始めていた。 しかし、自分に向かってくるゆっくりれみりゃをみてふと思い出す。 そういえば、にくまんは食べたことあるけど、生きてるゆっくりれみりゃは食べたことないな どんな味なんだろう。 おいしいかな。 まずいかな。 ・・・食べてみよっと 「ゆっくり死ね♪」 ゆっくりれみりゃが前に突き出していた腕を掴んで引き寄せ、そのまま露出の多い顔にかじりつく。 「うっぎゃーーーー!!!!い゛だい゛い゛い゛ぃーー!!ざぐやあ゛ぁーーー~!!」 あ・・・おいしい ふつうの肉まんよりずっとおいしい 「い゛ぎゃあ゛あ゛ぁぁぁ!!れ゛み゛り゛ゃはだべも゛の゛じゃな゛い゛い゛い゛ぃぃ!!!」 「ざぐや゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ!!わ゛る゛い゛びどがい゛どぅう゛う゛う゛ぅぅ!!ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛!!!」 「うぎゃあああぁぁぁ!!いだいいいいぃぃぃ!!うっぎゃああああーーー!!!」 生まれて初めての反撃と激痛に、混乱して泣き喚くしかないゆっくりれみりゃ。 一方、想像以上の美味に、夢中でそこかしこを齧っていくフラン。 弄って楽しむことも忘れている。 そしてちゃっかりご相伴に預かっているプチゆっくり。 「お、おい!だめだ!そんなことしたら・・・」 「も、もう遅いんじゃ・・・?こんなこと紅魔館に知れたら・・・」 「助手さんよ!なんて事してくれたんだあんた!」 「所詮こいつもゆっくりかよ!」 そう言いながらこっちに敵意を向けてくる群集。 しかし、フランだって今までの会話を全く理解していなかったわけではない。 ちゃんと考えての行動なのだ。 (前提)告げ口されたら駄目 齧ってそのまま帰す→告げ口される=駄目 全部食べつくす→告げ口できない=良し(結論) 「うー・・・ぜんぶ食べる」 自分の少ない語彙から、何とか自分の意思を伝えようとする。 「ゆ? そうだよ! ぜんぶたべちゃえばわからなくなるよ!しにんにくちなしだよ!」 なんとプチがフランの言いたいことを代弁してくれた。さすがは知能強化型! 「あ・・・そ、そうだよな・・・完全に殺しちまえば分かんねぇんだよな・・・」 「見なかったって事にしときゃいいんだもんな・・・」 「あ、あれ? ここにゆっくりゃなんているか?」 「そ、そういえばいねぇな。そんなん見た事もねぇ」 「そうだよな・・・いねぇんだから何やったっていいんだよな・・・」 日ごろの鬱憤が爆発し、さらに群集効果でみんなトランス状態に陥っている。 いったん堰が切れれば後はもう流れるままだった。 「うらああああぁあぁ!!何もいねええええ!!」 一人が、ゆっくりゃの再生しかかっていた顔を思い切り殴りつける。 「おらああああ!いねえもんに何やったってかまやしねえええぇ!!」 一人が、大きく跳び上がり、ゆっくりゃの右腹部からおしりあたりを踏み潰す。 「うりゃっ!うりゃっ!うりゃぁっ!日ごろの恨み、晴らさせてもらうぜえええぁぁ!!!」 一人が、何かの串をゆっくりゃの体中に突き刺していく。 「ぶぎゅあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁあ゛あ゛!!いだいいだいいだい゛い゛い゛ぃぃぃ!!うっぎゃあ゛あ゛ぁぁぁーーーー!!!」 「ごべん゛な゛ざい゛い゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!!ゆ゛る゛じでぐだざい゛い゛い゛い゛ぃぃい゛い゛!!」 「ざぐやーーーーー!!!ざぐぼふぁああああぁぁぁぁ!!あーーー!!あ゛ーーーーー!!!!」 日常で少しずつ溜まっていくストレスを、この場で一気に発散させる人々。 おそらく本人達も何をやっているのか自分自身で把握しきれていないだろう。 これが群集効果の恐ろしさである。 一方暴動の最初の方ではじき出された2匹。 人々の様子とゆっくりれみりゃの状態から、もうここにはいないほうがいいと判断する。 ちぎれて飛んできたゆっくりれみりゃの腕を齧りつつ、フランはまたあてどなくわさわさと飛び立った。 時刻は正午を少し過ぎていた。 帰路 日が強いので、そろそろ家に帰ろうかとわさわさ飛んでいると、とある畑にゆっくりが群がっているのが見えた。 「ここのひとはいつもおひるはいないんだよ!」 「ゆっくりできるよ!ゆっくりたべてね!」 「むーしゃ♪ むーしゃ♪ しあわせー!」 「むっちゃ♪ むっちゃ♪ おいちー♪」 どうやら家族連ればかりらしい。 子供達に、いい餌場を紹介しているところだろうか。 畑は・・・ 普通に掘れず、あたりに土を撒き散らす上に、少し食べてはほかの物に移るためものすごい惨状となっている。 「これはまんなかいがいはおいしくないからほかのをたべようね!」 「こっちはあきたからそっちのをたべるよ!」 もちろん、こんな都合のいい獲物をゆっくりフランが見逃すはずも無い。 赤ちゃんゆっくりは身がやわらかくていっとう美味しいのだから。 「ゆー?おねえさんはゆっくりできるひと?」 「ゆっくりできないならさっさとでていってね!ここはれいむたちのおしょくじばだよ!」 パニックに陥らないところを見ると、捕食種の存在を知らないらしい。 ゆっくり達の言葉など耳にも入れず、近くにいたちびゆっくりをつまみ上げる。 ・・・一回やってみたかった 「ゆー?」 いきなりつまみ上げられ、疑問の声を上げるちびゆっくり。 「ゆっ! おねーさんなにするの? れいむのあかちゃんをかえしてね!」 母ゆっくりは抗議の声を上げている。 つまんでいるちびゆっくりに牙で小さな穴を開け、そこから中身を吸い出していく。 「!! ゆ゛ぅーー・・・」 当然皮だけのぺらぺらになるちびゆっくり。 「れいむのあがぢゃんになにずるのおおおぉぉ!!」 ここで、皮だけになったちびゆっくりに息を吹き込んで元の大きさくらいまで膨らませ、皮を縁って潰して穴をふさぐ。 一見元通りになったちびゆっくり(の皮風船)を母ゆっくりの元へ戻してやる。 「ゆ? なんともないよ? おねーさんうたがってごめんね!」 ちょっとした違和感はあるものの、ちゃんと赤ちゃんが戻ってきたことに安心し、謝罪までしてくる母ゆっくり。 すでにフランは次のを摘み上げ、同じことをしているのだが、実害が無いと判断したゆっくり達はあまり反応しない。 「たかーい!おねえさんたか・・・ゆ゛ぅーー・・・」 ぷぅーっ・・・ 「キャッキャッ♪ おね・・・ゆ゛ぅー・・・」 ぷぅーっ・・・・・・・ 母れいむの子供、5匹全員を風船にして次へ向かうゆっくりフラン。 「ゆ。こっちのおやさいもおいしいよ!みんなたべてね!」 当然子供達からの反応は無い。 半笑いのような表情で、ただゆらゆらと転がっているだけである。 「ゆー? はやくこっちにきてね! ぜんぶたべちゃうよ!」 それでも反応しない子供達に業を煮やし、手近な子供の1匹にのしかかってみる母れいむ。 ぷしゅん 間の抜けた音を立ててぺらぺらになる自分のかわいい赤ちゃん。 「・・・・・・ゆ?」 あまりに理解不能な事態に反応もできず、とりあえずほかの赤ちゃんを起こそうとする母れいむ。 ぷしゅん ・・・ぷしゅん ・・・ぷしゅん ・・・ぷしゅん 「あ・・・ああああ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあ゛あ゛ぁぁ!!!れ゛い゛む゛の゛あ゛がぢゃん゛があ゛あ゛あ゛ぁぁああ!!!!」 なんで!? ついさっきまで普通に飛び跳ねていたのに! ついさっきまで自分にかわいい笑顔を見せてくれていたのに!!! 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛!!あ゛がぢゃん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!」 自分の子供のむごたらしい死骸を前に、ただ泣き喚くしかない母れいむ。 友人のれいむの叫び声を聞きつけ、何事かともう1匹の母れいむと母まりさがそちらを向いた瞬間、フランは両方の子供達を両手に握りこんでいた。 そして先に後ろの気配に気付いて振り向いた母まりさの口に、れいむの子供達を1匹を残して全て放り込み、口が開かないように足で踏みつける。 「ん!?んーーーっ!!んーーーーっ!!!!」 続いて振り向いた母れいむの口にも同じようにまりさの子供達を放り込み、2匹の親ゆっくりが向かい合うように踏みつける。 「ゆー!くらくてせまいよ!ここからだちて!」 「くらいよー!こわいよー!」 「ゆー!ゆー!」 子供達の不安げな声を堪能した後、2匹の頭を上から強めに殴りつける。 「ゆっ!」ゴクッ、「ゆぐっ!」ごっくん、 反射的に口の中のものを飲み込んでしまう2匹の親。 程なくしてそれが何を意味するかを理解し、混乱に陥る2匹。 「ゆげええぇえぇっ!ま、まりざ!はやくれいむのあかちゃんはきだしてね!!」 「ゆぐうううぅぅっ!そっちこそ、はやくまりさのあかちゃんをはきだしてね!!」 何とかして相手の子供を吐き出そうとしながら、相手に吐き出させようととっ組み合う2匹。 その2匹を掴み、獣用の柵に向かい合うように突き通す。 「ゆぎゅうううぅぅうっ! いだいいいいいぃぃいぃい!!」 「ゆぎゃああああぁああぁっ!! やめでえええぇええぇ!!」 もだえ苦しむ2匹にさらに追い討ちをかけるように、残った子供1匹ずつを自分の子供が見えるように上から突き通す。 「ゆぐっ!」 「ゆぶっ!」 小さい体には太すぎる柵に貫かれ、親と違い即死するちびゆっくり2匹。 「あ・・・あああ゛ああ゛あ゛ぁぁぁあ゛あ゛ぁ!!」 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああ゛ぁぁあぁあぁ!!!」 自分の子供の死骸と、自分の子供を食べた相手を見せ付けられ、もう言葉を発することも無く、血走った目と口を限界まで開いて叫び続ける2匹。 以前食べた串団子を思い出し、野菜保管庫で震えていた中ゆっくり達をごぼうに刺して団子3姉妹を作っていくフラン。 「ゆ゛い゛い゛い゛ぃぃっ!!」「いあだあ゛ああ゛ぁぁっ!」「いだいい゛いい゛いぃぃ!!」「や゛め゛でええ゛ぇぇえ!!」「あっ・・・これはこれで・・・ッ!!」 それぞれの悲鳴を楽しみながら、全て地面に立て、1本だけ持って飛び上がる。 ふと肩が静かなのを疑問に思い目を向けると、なんとプチゆっくりはこの騒ぎの中でグースカと熟睡していた。 「ゅー・・!!」 「ゅぁー・・・!!」 「ゆぅー・・・!!」 畑から聞こえてくるかすかな叫び声に満足しながら、かなり大きめの串団子を手に、ゆっくりフランは家への道をわさわさと飛んで行った。 程なくして帰ってきた畑の持ち主であるおじさんは、畑が荒らされているのを見て、またゆっくりかと思い憤慨しながら畑に入り絶句した。 そこには、畑の真ん中で何か野菜くずのようなものを前に叫び続けているゆっくり1匹。 柵の方に顔を向ければ、柵に貫かれ向かい合って相手の方を見ながら叫び合っているゆっくり2匹。 野菜保管所の前には、何の儀式なのかゆっくりを3匹ずつ通したごぼうが規則的に並んでいて、ゆっくりたちが見事なハ-モニーを奏でていた。 「なんっ・・・だ・・!?・・・こりゃあ・・・」 わけが分からないままに、とりあえず加工所の職員を呼び、その奇妙かつ不気味なゆっくりたちを引き取ってもらう。 何がどうなってあんなことになったのか、おじさんはこのあと1週間ほど考え続けることになるのだった。 加工所の新製品は面白いものが多かった。 商品化されたら助手にも1度体験させてやりたいものだ。 ゆっくりの捕獲方法は、手持ちの知能向上実験の実験体で十分できる内容だったから、今度いくつか出して試してみよう。 そんなことを考えながら家に帰り着く。 「ただいま。」 リビングでは、うちの助手がなにやら美味そうに食べている。 テーブルの上では、どこから抜け出したのかプチゆっくりが1匹、あんこをなめている。 助手には研究所内のゆっくりは食べないように言ってあるが、ほかのゆっくりに自分の食べ物まで分けているという行動に少し驚く。 「今日はどこに行った?楽しかったか?」 ほぼ食べ終わったそれを舐めながらうなずく。 ・・・しかしなんだありゃ? 長めのごぼうにみえるが・・・ と、 「おねーさんはいいひとだよ!ひとだすけもしたんだよ!」 プチゆっくりがいきなり喋り出した。 何だ、こいつも一緒に行ったのか・・・ん? それはどういう状況だ? こいつが自主的にゆっくりをお供に連れて行く姿なんぞ想像もできんが・・・ 「そ・・・そうか。それはいいことをしたな。偉いぞ」 とにかく人助けをしたことを褒めておく。 何をしたかは後でゆっくり聞かせてもらいたいものだが。 「んー・・・ゆ。」 舐め終わったものをこっちに差し出す助手。 ああ、やっぱりごぼうだ・・・人助けとやらのお礼にでももらったのか? これにゆっくりを突き刺して食べていたのか・・・何で? 「あ・・・ああ、ありがとうな」 何をしていたか全く分からないが、とりあえず礼を言ってごぼうをしまう。 まぁ洗えば食えないことも無いだろう。 さて・・・ 「俺は少し疲れたから部屋に戻る。見回りをしておいてくれ。」 そういって自室に戻る。 しかしやはり自由な時間は楽しかったのだろう、とても充足した顔をしていた。 定期的に何かで発散させてやれば、作業効率も上がるかも知れんな・・・ しかしどうやって暴れさせれば・・・・・・あ。 俺はゴミ箱から"Y-1グランプリ"の出場依頼を探し出し、内容を読む。 うん、これならかなり発散できるんじゃないか? まぁ死にそうになったら退場覚悟で引き摺り下ろせばいいんだしな。 俺は"出場"の項目に丸をつけ、送信物専用箱に入れてから研究冊子をつけ始めた。 終わり 自重できませんでしたOTL 最初はゆっくりの視点&心情でゆっくりを虐待していくという話だったんですが、難しいですね。1回寝てから書き直し始めたらストーリーも設定もひん曲がりました 前作の感想をくれた方、ありがとうございました。 少し前に議論されていたようですが、個人的には批評批判はためになるのでどんどん書いてほしい方です。 またいろいろな人の設定を無断拝借しました。 申し訳ありません 精神的な虐待や、ゆっくりの心情がよく出ている作品を書いてる人をとても尊敬していて、自分もいつかこういうのを書きたいなぁと思っています。 次に自重できない虫が湧いたら、精神的虐待か↑のゆっくりフランの調教などを書こうかなぁと・・・やっぱり自重します このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/635.html
れみりゃ独自設定、胴つきになるか不確定 人間は直接虐待しません。駆除メイン 害獣扱い等のゆっくりヘイトがあります。ヘイト・アンチが嫌いな方は戻る事をおススメしマス 変な特撮ネタあり 農家にとって、ゆっくりは深刻な問題だった。 ゆっくりは本来草や虫などを食べて生活する。彼女らの認識では土から生えてくるもの、 木になっているもの、それらの見つけたものは全て自分の獲物である。 ゆっくりにとって人間の農作物は飛びぬけて美味であるという事を除き、 そこらの雑草と変わらない認識なのだ。 人間の住んでいる近くには沢山のおいしい食べ物が山ほど並んでいる。 そう認識しているゆっくりが人間の田畑を荒らすのは避けられない事実と言えた。 他の野生動物もまた、畑を荒らす事がある。 しかしゆっくりが厄介なのは命知らずの無鉄砲さにある。 野生動物は人間が危険だという事を知っている。畑が人間の領域である以上、無闇には近寄らない。 しかしゆっくりは欲求に非常に忠実で、そして命知らずである。 人間が恐ろしいものだと知ろうが知るまいが、農作物の味に魅せられて田畑にやって来る。 駆除こそ簡単だが、その後何度も他の個体が間断なく畑を荒らしに来る。 運良く作物の味にありついた個体はさらに味を占め、仲間を教唆して再びやって来る。 まさに悪循環を作り出す終わりの無い戦いであった。 そこで、この村はこのイタチごっこを終わらせる為にある方法を取り入れる事となった。 「ゆっくり!ゆっくり!」 「にんげんさんがひとりじめしてるおやさいさんをとりかえしにいくよ!!」 「いっぱいたべてみんなでゆっくりしようね!!」 スタンダードなれいむ、まりさの番が村外れの畑へと跳ねていく。 畑には人参、大根、きゅうりなど様々な種類の野菜が栽培されていた。 れいむ・まりさは目を輝かせながら畑へと向かっていく。 「ゆ…あああーーーー!!!おやさいさんがいっぱいだよぉぉ!!!」 「すごいんだぜ!!ぜんぶいただくんだぜ!!!」 「いっぱいたべてかわいいあかちゃんつくろうね!!!」 ああ、どれからたべよう。あのやさいさんはとってもゆっくりしてる。 かんだらあまそう。どんなしあわせー!がおとずれるんだろう。 こんなゆっくりしたおやさいさんをむーしゃむーしゃできるれいむはきっととくべつなゆっくりなんだね。 そんな夢のような事を考えながら、一歩一歩と野菜へと歩んでいく。 あとほんの少しで野菜へとかぶりつけるその瞬間、野菜の影から姿を現したものがあった。 「うー!うー!」 「「れみりゃだあああぁぁあぁあああ!!!!!」」 目の前に現れたのは胴無しのれみりゃ。言わずと知れたゆっくりの捕食種である。 「どぼじでおひさまがでてるのにいるのぉおおぉ!?!?!?」 「うー!」 れみりゃはれいむの頭へとかじりつく。 「ゆぎゃああああ!!!!!でいぶのあんごさんずわないでねええ!!!!」 自分の血、内臓が吸い上げられるおぞましい感触。自分の中が空虚な器になっていく喪失感。 全身を襲う激痛と無力感。もはや叫ぶ声すら弱々しくなっていく。 「もっど…ゆ”っぐりじだがっだ…」 体内の大半の餡子を吸い尽くされ、ペラペラになった番を目の前にしてまりさは踵を返した。 「まりさはにげるんだぜ!!くいいじのはったれいむにほいほいついていったまりさがばかだったんだぜ!!」 まりさが畑から逃げ出そうとしたその瞬間。またも野菜の影から何かが飛び出した。 「うー!うー!」 「あまあまー!うー!」 「なんでにひきもいるんだぜぇええぇええ!!?!?!?」 右から、左から同時に噛みつかれるまりさ。 「ゆぎゃあああ!!!!はなせ!!はなすんだぜ!!!」 ジタバタと暴れまわるまりさを弱らせるためか、片方のれみりゃがまりさの底部を噛みちぎる。 「ばりさの”!!ばりさのあぢがぁあ”あ”あーーーー!!!」 その瞬間を逃がさず上から押し潰すようにのしかかり、牙を深く突き立てるもう片方のれみりゃ。 息の合った連携プレーだ。そしてここからは彼女らのランチタイムだ。 上から、下からと同時に餡子を吸い始める。 「まりざの!!あんござんが!!なくなるぅぅうう!!!やめて!!やめてねぇえええ!!!!?」 「うー♪うー♪」 「うー!うまー!」 至福の表情でまりさの餡子を吸い尽くすれみりゃ。 対照的にまりさの表情は地獄の表情と変わっていく。 その表情には後悔と絶望しか映っていない。 「ゆ”っぐりしだ…げっか…」 断末魔を言い終えるよりも先にまりさはあの世に旅立った。 焦がれるほどに夢見た野菜の数々に囲まれながら一片も口にする事無く死ぬとはなんという皮肉か。 至上のご馳走を思い切り食べるつもりで、夢見心地で訪れたれいむとまりさ。 結果、自分自身がご馳走として平らげられるとは夢にも思わなかっただろう。 まるで注文の多い料理店である。 「上出来だな」 人間の声がする。この畑の持ち主である。満腹になって至福のれみりゃを撫でながらつぶやいた。 畑の上には苦悶の表情を浮かべて息絶えたれいむとまりさのデスマスクが転がっていた。 「あまり長く日に当たると良くない、巣箱に戻るんだ」 「うー!うー!」 「うー!うー!」 フワフワと浮きながら大きな鳥の巣箱の様な、木の箱の中へと3匹のれみりゃは入っていく。 そう、このれみりゃは男が飼っているゆっくりであった。 アイガモ農法と言うのを御存知であろうか。 水鳥のアイガモを水田に放ち、雑草や害虫を食べさせる事で稲を育てるという、 農薬を使わないクリーンな農業法である。 それをゆっくりの捕食種であるれみりゃに置き換えたのがれみりゃ農法である。 れみりゃは通常のゆっくりが餌とするような草や野菜等には興味を示さない。 食べるのは甘味か野生の甘味といえるゆっくりの中身である。 そのゆっくりを襲う食性と野菜に無関心な習性を活かし、 れみりゃを飼う事で畑に侵入するゆっくり達を駆除させるのである。 ゆっくりは野菜を目当てに際限なく畑に侵入してくる。 その為れみりゃもエサに困る事は無いし、住む巣も用意してもらえる。 ゆっくりを襲うというれみりゃの本能を利用しているため、特別躾等で苦労する事は無い。 また、れみりゃ達が食べ残したゆっくりの皮は作物の肥料になる。 無駄の無いエコロジーな農法なのだ。 この農法において、課題であったのはれみりゃが日光に弱いという点だった。 その点は加工場の研究による品種改良によって解決した。 特に苦労も無くお手軽にゆっくりの駆除ができるこの方法は、 ゆっくり害に悩んでいたこの村に強く歓迎された。 この男の畑のみならず、多くの農家がこのれみりゃ農法を採用している。 耳を澄ましてみれば、今日もあちらこちらの畑でゆっくりの断末魔が木霊している。 「むぎゅううぅう”う”うぅ!!!れみりゃがひるまからいるなんてありえないわーーー!!!!」 「ばちゅりーのばかぁああぁあ!!じねぇえええぇーーー!!!!」 「みんなここでたべられちゃうんだねー、わかるよー」 知能が高いはずのぱちゅりー種が畑荒らしにやってくるとは。 自分の知識に相当思い上がった個体だったのだろう。 ゆっくり達の断末魔を背に、男は家の中へと戻っていった。 れみりゃもゆっくりがやって来ればその役目を果たしに出るのであろう。 この村はゆっくりの悲鳴が日々聞こえる以外は平和になったと言えた。 だが、この農法にも問題はあった。 意外な事に、原型となったアイガモ農法同様の問題点なのである。 まず第一に生物という性質上、不安定である事。 いくらゆっくりが懲りずに畑にやって来ると言っても、その数が多い日や少ない日がある。 侵入してきたゆっくりが一匹もいない日もあるのだ。 そのため腹をすかせたれみりゃ達に補助のエサを与えなくてはならない事もある。 逆に侵入したゆっくりが多すぎる日は満腹で狩りを行わない場合がある。 そういった場合は結局人間が駆けつけるしかなくなってしまうのだ。 また、捕食種とは言っても脆弱なゆっくり。 他の野生動物に襲われて数を減らしてしまう事もある。 雨天時に巣箱に退避するのが遅れて死んだれみりゃもいる。 そしてさらに大きな問題があった。それが、この男が今迎えようとしている問題である。 「ふむ…今日もしっかり働いたようだな。れみりゃ、いるか?」 餡子を吸い尽くされたゆっくりのデスマスクを尻目に、れみりゃの状態の確認に訪れる男。 「うっう~♪きょうもおぜうさまはぜっこうちょうなんだどぉ~♪」 「ナンダ!オマエハ!」 「れみりゃはほんとうのかりすまおぜうさまになったんだどぉ~♪じゅうしゃはせいだいにいわうんだどぉ~♪」 そう、れみりゃの突然の胴付き化である。 栄養を充分に得て成長したれみりゃは突然胴付きに変異する事がある。 こうなると基本的に「うー!うー!」としか鳴かない胴無しれみりゃと違い、言葉を話すようになる。 「こうまかんのかりすまおぜうさま」を自称し、妙なダンスを踊ったり、飼い主を従者呼ばわりしたりする。 喋りもしない気軽な家畜から、精神も知能も幼児並の煩わしい存在になってしまうのである。 こうなってしまうと、もはやゆっくりを駆除するには適さない存在になってしまう。 手足が生えた事から、「おやさいはぽ~い、だどぉ~♪」と 野菜を引っこ抜いてしまったり、デザートにプリンを要求したりと 農家にとってむしろ有害な存在となってしまうのだ。 その為に食用として出荷したり、あるいは自分で食べたり、 はたまたその尊大な態度が飼い主の逆鱗に触れて殺されてしまう事もある。 「このこうまかんはせまいんだどぉ~、さくやははやくりふぉーむするんだどぉ~♪」 「俺がさくやだと?でたらめを言うな!」 強烈な平手が胴付きれみりゃを打ち据える。 「うあ”ああ”あ”ああ”ん!!!!!あるじになにをするんだどぉー!!!」 「人をおちょくってるとぶっ飛ばすぞ!」 拳の制裁が胴付きれみりゃを直撃する。 涙と涎にまみれながらのた打ち回るれみりゃを見て、男はある事を決意した。 「ゆぎゃああああぁぁあああ!!!!たべないでぇええぇえ!!!」 「う~♪おぜうさまはかりのうでもかりすまなんだどぉ~♪」 「うー!うー!」 「ゆ”っゆ”っゆ”っ」 「でいぶのおぢびじゃんだべじゃだめええぇえぇー!!!」 「おぎゃーじゃん!!」 そこには侵入したれいむ親子をむさぼる胴無しれみりゃと一緒に、胴付きれみりゃがいた。 胴無しは子ゆっくりの味を堪能しながら餡子を吸い上げる。 親れいむはと言うと、胴付きにしっかりと手で押さえつけられて動けない。 身動きできない状態で可愛い我が子が苦しみながら捕食されていく様を見せつけられる。 かわいい我が子に栄養のあるゆっくりしたおやさいさんを食べさせてあげたい。 その為に子を連れてこの畑にやってきた親れいむであったが、 我が子に与える事ができたのはとびきりの苦痛と絶望の味と、逃れようの無い死だった。 「れいみゅはゆ”っぐぢしだいだけだったのにぃぃぃ!!!」 「ゆ”…ゆ”っ…」 「うごきぇないよぉ!!おぎゃーじゃんだぢげてぇ!!!」 全ての子ゆっくりは底部や体を潰されかかっていた。胴付きが腕で叩いたからである。 ゆっくりは苦痛を味あわせる事で味が高まる。 それを知っているれみりゃはあえて半殺しにしておく事でおいしく食べる事ができるのである。 こういった器用な事ができるのも手足のある胴付きの利点である。 「ゆべぇええぇえええ!!!ゆぼおおぉぉおっっ!!!!」 そうこうしている内にも胴付きは親れいむの体に手を突っ込み、中身をこねくり回している。 餡子が血であり内臓であり脳であるゆっくりにとって、 それはまさしく内蔵を鷲づかみにされてかき混ぜられているに等しい行為だろう。 精神的に、肉体的に追い詰める事でこの親れいむも子ゆっくりに負けない味になる。 男はそんな光景を眺めていた。 結局男は胴付きを殺さず、徹底的に体罰を交えて躾けた。 野菜に被害を及ぼす事無く、今まで通りの事ができるように。 根気良く続けた甲斐があって、胴付きれみりゃは今日もしっかりと仕事をこなしている。 「よし、がんばれ!!」 底抜けに明るい男の声が屠殺場と化した畑に響き渡った。 (終わり) イライラするゆっくりを虐待したいからキーボードを叩いたのだッッ 俺はヘイト・バスターなんだ!! 念の為に言っておきたいのですが自分はゆっくりのいる生活の作者ではありません。 ただの他人の空似です。ふたばとか一体どういう事なんだ…? しかし内容が不快だったのは反省すべき点として受け止めようと思います 今までに書いたもの、ヘイト多数につき注意 ゆっくりイマジン ゆっくり考察体験 ゆっくり考察体験・続 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/192.html
むーしゃむーしゃしあわせーしてるれいむを見てみたい。 一生懸命たいやきを食べようとして、尻尾の部分だけ取っちゃうと 「ゆゆーん!それはれーむのだよぉ!ゆっくり食べれないよん!」 とぷりぷりして怒るれいむも可愛い。 同様にうーうー言ってる生首ゆっくりれみりゃを飼いたい。 「うー!うー!がおー☆」 とパタパタ必死に羽ばたきながらこっちに寄ってくるゆっくりゃ。 目の前で止まって「がおー☆たーべちゃーうぞー♪」 と可愛く微笑んでいるのでキスしてあげて始めはびっくりした表情してたけど 「うー☆たべられちゃったぞ☆うーうー♪」 と以前よりまとわり付いてきたらいいのにな。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1067.html
かりすま☆ふぁいたー 19KB 制裁 自業自得 同族殺し ゲス 捕食種 現代 人間なし 独自設定 初SS 「かりすま☆ふぁいたー」 ・独自設定のれみりゃが出てきます ・れみりゃのみです ・中の餡以外の設定(髪、歯等)はゆっくりと同一という事にして補完おります 冬ももうすぐと言う秋の終わり。街のゆっくり達はこぞって越冬用の食料の貯め込みに精を出し、それも終わりを迎えようとしていた時期の事だった。 晴れたのどかな昼下がり、少し遠くでガシャン!と音がした。 暫くすると中から3つのシルエットがヌッと現れる。 「う~☆なかなかいいところなんだど~!ここをおぜうさまのこーまかんにするんだど~☆」 「う~☆う~☆」 「まんまぁ~おなかがすいたど~☆ぷっでぃ~んがたべたいど~☆」 とてとてと走ってくる体つきのれみりゃが二匹とパタパタと羽根をせわしく動かして飛ぶ通常のゆっくりれみりゃが一匹づつ、笑顔のままで家屋に入ってくきた。 体つきれみりゃの片方は体がふた回りほど小さい、恐らく二匹とも一番大きいれみりゃの子れみりゃなのだろう。 親れみりゃの両手にはこぶし大の石があった。これで侵入したのだ。 そう、これは世にも珍しい「れみりゃのおうち宣言」である。 このれみりゃ達は周辺のゆっくりを襲っていた中で、ゆっくり達が「おうち」と称して大きな建物の中に入っていく様を何度も目撃した。越冬場所どころか明日の寝床すらもふらんに奪われて見つからない状況であるれみりゃ達は、ゆっくりに習ってここを自らの根城にして越冬するという腹積もりなのだ。 早速中に入ったれみりゃ一家は辺りを見回して何か食べ物はないか探す。そして遥か上のテーブルの上に果物が置かれているのを見つけると、羽をパタパタと動かして飛び始めた。 「ぷっでぃ~んじゃないけどなかなかおいしそうなんだど~☆」 「う~☆おなかすいたどぉ~!もうがまんできないど~!」 「う~!」 テーブルの上に置いてあった他の物をなぎ倒してバナナとみかんが置いてある皿の上に飛び乗ると、皮を口で噛みちぎりながら顔を直接つけて果物を食べ始めた。 「おいじいど~☆ぷっでぃ~んじゃないけどかりすまなおぜうさまにぴったりのでなーなんだど~☆」 「あまあまなんだど~☆おいじいど~☆」 「う~う~!」 テーブルの上に置いてあるバナナやみかんなどの果物類をグッチャグッチャと咀嚼しながら貪り食い、あたりに食べかすや皮等の生ゴミをばらまき、挙句の果てには 「れみりゃにふさわしいような「こーでねーと」するんだど~☆」 と言いながら辺りの丁度類をなぎ倒し、座布団をひっくり返しては部屋を荒らしていった。 時間にして約3分、ある意味凄まじい速さである。 そして全ての事をやり終えたのか、雑多に色々な物が積み上げられた場所に陣取ってゴロゴロと転がり始める。野良生活のお陰で服はススが付いた様に汚く、帽子もくにゃくにゃで変な汁の様な物がついて非常に汚い。 足の裏など黒いどころかぬるぬるとした何かに覆われて、歩く度に見事な足跡が付く始末だ。 「う~☆おなかいっぱいなんだど~☆おちびちゃんたち、しょくごのだんすをおどるど~☆」 「わかったんだど~☆」 「う~☆」 れみりゃ特有のコミュニケーション「だんす」は食後の運動と言う側面もある。様は体を動かしてさっさとうんうんとしーしーを出して身を軽くし、いつでも飛べるようにすると言う習性だ。 「「れみ☆りゃ☆う~☆」」 「う~☆」 体をくねくねと動かしながら踊りと称した奇妙な動きを始めるれみりゃ一家。家主が帰ってくれば即刻加工所行きだろう。 しかし家主がタイミングよく戻ってくるはずもなく、辺りはまるで台風が過ぎ去ったあとの様に散らかっており、れみりゃたちの足跡や汚れ、泥やほこりなどが部屋中にベタベタとくっついて部屋が非常に汚れてしまっていた。 まさに暴挙としか言いようのない行為だ。だが、れみりゃ達のおうち宣言はここで止まる事となる。 ドンっと音がしてれみりゃ達の目の前に一匹のれみりゃが降ってきた。 帽子には金に輝くバッジが付いており、見た目も小奇麗にしている。いわゆる飼いゆっくりと言う奴だ。 れみりゃは少々珍しいが飼いゆっくりとしても確固たる地位を確立しており、まりさ種やありす種の様に言う事を聞かずに暴れ回ったり、勝手にすっきりをしたりしないのでなかなか人気がある。しかしこのれみりゃはそんじょそこらのれみりゃとはわけが違う事は、この後明らかとなる。 「う~?なかなかいいれみりゃなんだど~☆おぜうさまのけらいにしてやるんだど~☆」 「わかったらさっさとぷっでぃ~ん☆をもってくるんだど~☆」 「う~!」 全くたじろがずに口々に勝手な事をのたまうれみりゃ達、ゆっくりれみりゃの方は脅しの様にパタパタと羽根を動かし脅すかのように周りを飛び始める。ある意味勇気があるのかもしれない。 ゆっくりと片膝をついた状態かられみりゃが立ちあがった。今、目の前で勝手な事を言っている大れみりゃと大きさは変わらないが、一味違うオーラを醸し出している。 れみりゃはじろっとれみりゃ一家を一瞥するとその重い口を開きはじめる。 「うるさいど、かってにれみりゃのかいぬしのこーまかんにはいってきておいてなまいきなくちきくんじゃないど」 何とも素っ気のない言い草だ。おぜうさまを自称するれみりゃ一家が穏便に済ますはずもなく。辺りは一触即発のムードとなった。 「そのたいどなんだど~!けらいのくせになまいきだど~!」 「が~お~!た~べ~ちゃ~う~ぞ~!」 いつ家来になったのかは全く持って不明だが、自分より格下が無礼な物言いをするのが許せないのだろうか。大れみりゃが声を荒げて怒り出した。それと同時に子れみりゃの方は手を大きく広げてとてとてと走りだす。 両手をあげるポーズは脅しと捕食の意味があると言われている。どちらが上かを知らしめようとしているのだろう。 しかし野生のれみりゃや街ゆっくりには通用しても、このれみりゃには通用しない。ゆっくりと歩き出し、子れみりゃと距離が近くなったと思うと大きく手を上げて構え、足をすっと前に出した。 「くちでいってもわからないれみりゃはこうだど!」 「た~べ~ぶぎゃああああああ!!」 れみりゃから繰り出された鋭いローキックが子れみりゃの右足に突き刺さる。 子れみりゃの右足はあり得ない方向へくの字に曲がって、同時に子れみりゃもそのまま崩れ落ちた。ホカホカとしたジューシーな肉マンの中身が少量飛び出しており完全に足が折れたようだ。 「いだいどおおおおおおおお!!れびりゃのぶりじーなあじがああああああ!!」 大げさに泣き喚いているが実はさほど深い傷ではない。れみりゃは中枢餡が破壊されない限りは例え腕や足が無くなっても時間がたてば物とに戻るほどの再生能力を有しているためだ。 「れびりゃのおぢびぢゃんがあああああ!?なにずるんだどおおおおおお!?」 「うるさいど!こぎたないてでれみりゃにさわるんじゃないど!」 大れみりゃの方がれみりゃに飛びかかって体をがっちりと掴んだ。ちょうど四つ組みの様な形になる。 カリスマあふれるおぜうさまのおちびちゃんに手を出しておいて許せるはずがない。このまま噛みついてどちらが強いかを思い知らしめさせてやる。と考えていた大れみりゃだがその行動は起こす前に頓挫してしまう。 大れみりゃは突如体が浮遊感に包まれるのを感じた。 視界が上を向いていると思った途端に叩き連れられたような衝撃が大れみりゃを襲う。 「ぶぐっ!」と声を出した。衝撃の後に襲ってくるのは凄まじい激痛。 「い、い、いだいどおおおおおお!!」 親子そろって仲良くゴロゴロとのたうち回る大れみりゃと子れみりゃ。傍から見れば実にシュールな光景だ。 何をされたのか大れみりゃの思考では全く理解できなかった。 何のことはない。れみりゃがしたのは簡単な投げ技で、がっちり組んだ状態から足をすくって投げた、ただそれだけのことだ。 頭を押さえて転がる大れみりゃに対し、間髪入れずにれみりゃは大きく足を上げてそのまま大れみりゃの顔に足を踏み降ろす。 「ぶぎゅっうぼらぁっ!?」 れみりゃの凄まじいストンピングを食らい、大れみりゃの肉まんの皮でできた顔がまるでトランポリンのように一瞬潰れた。 足をどけると顔が少しへこんだ大れみりゃが口から肉汁と少量の餡を吐き出して苦しんでいる。れみりゃはゆっくりと大れみりゃの上に馬乗りになると、腕を交互に振り下ろした、一回、二回、三回と 「ぶぎゃあ!ぶぎゅっ!いだ、いだいどおおおおおおお!ざぐやああああ…あぶ!?」 一回目で砂糖細工の歯が数本へし折れ、二回目、三回目で中の餡が不規則に移動したのか痣の様に腫れだした。 れみりゃが四回目に腕を振り上げた時、右手に鋭い痛みが走った。思わず右腕の方へ視界を向ける。 「う~!?なんだど!?」 「う~っ!う~っ!」 胴なしのれみりゃ、ゆっくりれみりゃがれみりゃの腕に噛みついたのだ。 ゆっくりを主食にするだけの事はあってれみりゃと言うのはかなり噛む力が強い。まずゆっくりを捕まえてから引っ掻いたり、地面に落としたりして弱らせてから噛みつくために人間に対して噛みつくことは殆どないのでゆっくりと同じぐらいの力だとよく勘違いされている。そもそも掴んだ瞬間に叩き潰されるので結局脅威というわけでもなんでもないわけだが 結構丈夫なゆっくりの小麦粉の皮すらも一撃で噛み千切るれみりゃの噛みつきを、まだ生まれたてのゆっくりれみりゃとはいえ食らったのだ。痛くないはずがないがれみりゃはすぐに大れみりゃの上からいったん離れると空いた手でゆっくりれみりゃの片翼を掴んで引っ張り始めた。 「う~っ!う”!?」 「さっきからぱたぱたうるさいのはおまえかど~!みみざわりなおとをたてるんじゃないど~!」 ミチミチと音を立てて肉まんの皮でできた翼が破れていく。三分の一ほどになった時に一気に力をこめてひっぱるとバリっと音がして翼が完全にもぎ取られた。 「そのきたないくちをはなすんだど!うー!」 「う”う”う”~~~~ッッッ!!」 翼をもぎ取られたショックから苦悶の表情を浮かべ手を口から離すゆっくりれみりゃ。その機会を逃さずれみりゃはゆっくりれみりゃの頭に手を添えると一気に片膝を立てて叩き降ろした。 「う”ぼ!?」 グシャっと言う音が鳴り響く。片羽のゆっくりれみりゃは地面に底部を叩きつけられ潰れたトマトの様に底部がグシャグシャに潰れた。底部にはかなり大きい亀裂が入った様で、ジューシーな肉マンの餡が湯気を立てて飛び出ている。 ゆっくりは中の餡子やクリーム、具入りの肉餡が三分の一以上流れ出るとゆっくりとしての活動を終えると言われている。つまりどれほどの裂傷を負っても動かない限りは中の餡が抜ける事はないので大事には至らないと言う事だ。 怪我の功名と言う奴だろうか、底部も潰れて羽も片方無くなったゆっくりれみりゃはその場で肉汁の脂汗をかきながら残った羽をパタパタと動かしてクネクネと体を揺らしているだけでその場にとどまっている。 「おぢびぢゃん!うごいぢゃだめだどおおお!じっどじでるんだどおおおおお!」 大れみりゃの方が這いつくばりながら叫ぶ。聞いていたのか聞こえていないのかはたまた動けないのかは知らないが、ゆっくりれみりゃはただ羽を動かして苦しそうに体をくねらせるばかりでその場から張り付いたように動かない。 大れみりゃの声を遮る様にれみりゃが宙を舞った。 「うーっ!れみりゃすたんぷだどー!」 「う”~!う”う”う”べぇ!!」 れみりゃが渾身のフットスタンプでゆっくりれみりゃの上に飛び降りた。 一瞬にしてゆっくりれみりゃは肉マンの餡を辺りにまき散らして肉マンの皮と肉マンの餡がグズグズに混ざった何かになり果ててしまった。いかに再生能力の高いれみりゃ種でもここまでされれば再生不可能だ。 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!?おぢびぢゃんんんんんん!!??」 「さっきからぎゃーぎゃーうるさいんだど!しずかにするんだど!」 「ぶぎぇえええ!!」 更にれみりゃは返す刀で穴と言う穴からジューシーな肉汁を撒き散らして喚く大れみりゃを蹴りあげた。下膨れの顔にめり込み、もんどり打って後ろに倒れて叫びながらドタドタと手足を投げだして苦しんでいる。 大れみりゃが転がりまわっているのを見て一息つこうとするれみりゃ。しかしまだ一匹残っていると言う事を失念していた様だ。後ろから足音がするのを察知して一気に身を翻す。 「う~!!ざっきはよぐもやってくれたんだど~!もうゆるさないど~!」 そこには先ほどの子れみりゃが立ち上がって声をあげていた。まだ実力差を理解していないのか、完全に治った体で両手をあげてやる気があるのかと言いたいぐらいの速度で走りかかってくる子れみりゃ 子れみりゃにとっては全速力なのだろうがそんな物はれみりゃにとってはスローモーションだ。れみりゃは懐に一気に飛び込むと目にもとまらぬ三連コンビネーションを子れみりゃに叩き込む。 「う~!しゅっしゅしゅ!だど!」 「が~お~!た~ぶべ!ばばばぁ!?」 右ストレート、左ボディ、右ストレートと叩きこまれた子れみりゃは膝から崩れ落ちて顔を抑えて足をドタドタと動かして転がりまわった。あまりに強い打撃を一気に食らったのでそのショックもあってか立ち上がる事が出来ないのだ 「いだいどおおおおおお!!ざぐやああああ!!」 倒れて転がる子れみりゃに近づき、れみりゃは子れみりゃの帽子をはぎ取った。所々泥の様な汚れが付いており、変な臭いがして持っていて気持ちのいいものではない。 「う~…へんなにおいがするんだど~…それにヌラヌラすててきもちわるいんだど~…」 気づいた子れみりゃは再び立ち上がり手を伸ばしてれみりゃに飛びつく。れみりゃにとって帽子とは「おぜうさま」の象徴、それを奪われると言う事はゆっくりの飾りが奪われるのと同じで、同じ捕食種からの苛烈な暴力にさらされると言う事だ。 その為痛む体に鞭打って必死に立ち上がって前のめりに突っ込んでくる。 「れびりゃのぶりじーなおぼうじがああああああ!!がえずどおおおおお!!」 「うるさいんだど!」 れみりゃはバックステップで距離を取ると子れみりゃの頭に手を添えてヒザを突き上げて当てた。強烈なヒザ蹴りが子れみりゃの下膨れの顔に突き刺さる。 「がえずんだどばぁああああ!!ぶぎゅうう!!ぶごぶ!ぶぶううう!?いだいどおおお!!ま”ん”ま”ぼぉお!?」 ヒザ蹴りの嵐を受けて子れみりゃが力なく前のめりに崩れ落ちた。れみりゃは帽子を両手に握ると力をこめて破り出す。 バリバリと音を立てて破れていく子れみりゃの帽子。 全身が小汚いれみりゃ達だが、帽子だけは比較的手入れしておいたのだろうか、それでも前述したように汚い事には変わりいが、ボサボサの砂糖細工の髪や異臭を放つ体に比べればよっぽど綺麗だ。 当然子れみりゃも見上げてれみりゃに向かって叫び始める。 「やべるんだどおおおお!!れびりゃのおぼうじやぶらないでぼじんだどおおおお!!」 「かってにおうちをあらしておいてかってなこというなどー!おうちをうばうときはうばわれるかくごでむかうのはゆっくりでもれみりゃでもじょうしきだど!」 子れみりゃの叫びも空しく一気にバリっと音がした後真っ二つに破れてしまう帽子、れみりゃは帽子だった布きれを子れみりゃの目の前に放り投げた。 「あ”あ”あ”あ”あ”…!!れびりゃのおぼうじがあああ…!もとにもどるんだどおおお!う~!うううう~!」 這いつくばって二つに分かれた帽子をグイグイとくっつけ頭に載せてはまた別れて落ちるを繰り返して穴と言う穴から涙とも涎ともつかないような肉汁を垂れ流す子れみりゃ。 それはれみりゃ達の良く口にする「かりすま」など微塵も感じられない光景だった。 れみりゃは一気に倒れている子れみりゃの足がわに回り込んで両手で子れみりゃの両足を掴むとグルグルと体を回し始める。 「うー!れみりゃすいんぐだどおおおおお!!」 最初は地面にゴンゴンと当たっていたが、しだいに勢いがついて凄まじい速度で振り回される子れみりゃ。 ただのジャイアントスイングではない。辺りにはれみりゃ一家が「こーでねーと」と称した丁度類が大量に置かれているのだ。 障害物がある場所で振り回されればどうなるかはおのずと分かるだろう。子れみりゃもそれを悟ってかかなり狼狽していた。 「ごわいどおおおおお!!ざぐやあああああがっ!ぶぎょ!まわざないでぼじいいどぼぇ!ぶぎ!ぶぶ!?ぶぼぶ!ぶぎゅああああ!!」 「うううううううう~~~~~!!」 観葉植物の鉢植えや倒した壺、陶器の置物などに容赦なくブチ当たり、その度に餡を吐き出す子れみりゃ。既に両腕がおかしな方向に曲がっている。最初にぶつかった時点で折れたのだ。 どんどん餡を吐き出す子れみりゃ。このままではいかにれみりゃと言えども餡を吐き出して死んでしまうだろう。 しかしれみりゃは手を止めない。止めとばかりに手を離してブン投げる。 「ぽ~い!だどーッ!」 「ま”ん”ま”あ”あ”あ”ばぎゅ!」 勢いよく頭から突っ込んだ子れみりゃは壁にブチ当たり壁前面に肉まんの餡が広がる。そのままずるずると落ちると手足をピクピクとさせていたが、やがて動かなくなった。 「つぎはおまえだど~!」 手をポキポキと鳴らして大れみりゃに近付くれみりゃ。 大れみりゃは青ざめた顔でずるずると後ずさりをする。 先ほどまでの威勢はどうしたのかしーしーを垂れ流しながらガタガタと震えて後ずさりを続けている。 「ぐるなどおおおお!!おでがいだどおおおお!!ざぐやあああああ!ざぐやあああああ!!」 「わかってないんだど~「さくや」はほんとうのかり☆すまじゃなきゃあらわれないんだど~、おまえのようなかってにおうちをあらすようなやつはかりすまでもおぜうさまでもないただのこぎたないれみりゃなんだど~」 「ぢがうどおおおおおお!!れびりゃはがりずまあぶれるおぜうざまだどおおおおおおお!!こぎだなぐなんがないどおおおおおおおお!!」 自らの根幹にかかわる部分を突かれて反乱狂になって叫ぶ大れみりゃ れみりゃは左アッパーを大れみりゃに打ち込む。肉まんの皮でできた下膨れの下顎がメリっとへこんで拳がめり込む。 「ぶぎゃ!いだいどおおおお!!」 「さいごにいってやるど、おまえは「おぜうさま」でもなければ「かりすま」でもないんだど~、じぶんのからだをみるんだど!ふくはぼろぼろ、ぼうしもくたくた、かみもぼさぼさ、それになんかくさいど!ばっじもついてないしおぜうさまとなるべききひんもれいぎもないど!」 そう言いきった後にさらに右フックを大れみりゃに叩きこむ。 「ぶぎぇ!ぢがうどおおおおおおお!!ぢがうどぢがうどぢがうどおおおおおお!!れびりゃはかりずまでおぜうざまなんだどおおおおおおお!!ぎだなぐなんがないどおおおお!!ばっじだってぞのぎになればどれるんだどおおおおおおおお!」 「だまるど!だったらいますぐ「さくや」とやらをつれてくるんだど!かいゆっくりになってばっじをとってくるんだど!」 れみりゃの右フックを貰いふらふらとよろめきながらも声をあげて辺りを見渡す。 「ざぐやあああああああ!!ざぐやあああああああ!!ぐるんだどおおおおおお!!おぜうざまにばっじをもっでぐるんだどおおおお!!」 必死に声を上げる大れみりゃ。荒唐無稽な話だが当の大れみりゃは真剣だ。当然の如く響くのは風の音と大れみりゃの声だけであった。 「どうじでごないんだどおおおおおおおお!!ざぐやあああああぶんぎゃっ!」 れみりゃは身を翻して大れみりゃを一本背負いで投げ倒す。背中から地面に叩きつけられ、腕を取られて抑えられている子れみりゃにれみりゃはこう言い放った 「いくらよんでもこないど!うそつきはおぜうさまでもかりすまでもないど!さいしょからおまえみたいなきひんもなければぷらいどもないれみりゃにおぜうさまたるしかくなんてないんだど!」 そう言いきると腕を離して距離を取るれみりゃ。 れみりゃの言葉を聞いて、遂に観念したのか大れみりゃは地面を額にヘコヘコと擦りつけて肉汁の涎と涙を流しながら許しを請い始めた。 「あ”あ”あ”あ”!ごべんなざいどおおおおおおおお!!ゆるじでぼじいんだどおおおおおおお!!れびりゃがわるがっだんだどおおおおおおお!!」 さっきまでしーしーで辺りを汚し、挙句の果てに耳をつんざくような騒音を出していた大れみりゃを許すはずもなく、れみりゃは大れみりゃの頭を踏みつけるとグリグリと踏みにじってこう言った。 「かってなこというのもたいがいにするどー!かってにおうちせんげんしたあげくにおうちをあらしてゆるしてくださいなんて、そんなつごうのいいことがとおるとおもってるのかど!」 「ぞんなあああああああ!!おでがいだどおおおおお!!だずげでぐだざいどおおおおおおお!!」 「だまるど!だれがかたづけるとおもってるんだど!」 れみりゃは帽子をはぎ取ると細かくビリビリと破き始めた。それを見た大れみりゃは足にすがりつき、ゆっくりで言う所の「すーりすーり」をしながら叫ぶ。 「おでがいでずだどおおおおおお!!おぼうじざんがないどれびりゃはいぎでいげないどおおおおおおお!!」 「うるさいど!おぜうさまとしてのきひんをすててなさけなくどげざをしてたすけをこうなんてもうおまえにこんなのはひつようないど!」 子れみりゃの時より細かく裂かれた帽子はそのままひらひらと風に吹かれて飛散する。 大れみりゃは立ち上がって両手をあげて四方八方に飛んでいく帽子のきれを拾い集めようとしていた。 しかしあっちにいけば別の所に切れがとび、こっちにいけばまたどこかで切れが飛ぶというまさに暖簾に腕押しという状況で集まる筈もなく。バタバタとあっちへ行ったりこっちへ行ったりを繰り返しているだけだった。 「ごっぢにもどっでぐるんだどおおおおお!!あ”あ”あ”あ”!ぞっぢにいっぢゃだめなんだどおおおお!!」 這いつくばって切れを集める大れみりゃに突如すさまじい衝撃が襲った。きりもみ状に吹っ飛んで頭から地面に落下する。れみりゃが大れみりゃの肉まんの頭を蹴りあげたのだ。 「ぶぎゃああああ!!いだいどおおおお!!」 餡を吐き出しながら歪に曲がった腕で頭を押さえて転がりまわる大れみりゃ、れみりゃ特有の凄まじい回復能力は厄介だ。ゆっくりに言える事だが、ドスだろうとれみりゃだろうと頭の中枢餡を潰すのが手っ取り早い方法である。 それを悟ったれみりゃは大れみりゃの足に肩をかけて持ち上げて、腰辺りをがっちりと掴んで捕まえる、丁度大れみりゃの頭が地面に着くような格好となると、れみりゃは羽を動かしてフワフワと飛びあった。成体のゆっくりを抱えて巣まで飛ぶことが出来るほどに強靭な体を持つれみりゃだからこそできる芸当だ。 「ごわいどおおおおおお!!ばなずんだどおおおおおお!!」 「う~!れみりゃどらいばーだどおおおおおお!!」 れみりゃがそう叫ぶと一気に頭から大れみりゃを落とす。一匹が落ちれば餡が飛び出すぐらいで済むが、同じ重さのれみりゃが上に乗っかっているとなると別だ。 「あ”あ”あ”あ”!!!ざぐやあああああああ…ぶぎゅっ!!」 頭から一気に落とされて肉マンの皮がはじけて餡が飛び散る。 いかにれみりゃであろうと完全に中枢餡を潰されては再生する事は出来ない。あっという間に物言わぬ饅頭となってしまった。 「さっさとかたずけないとおこられるんだど~…こまったど~…」 先ほどの勇猛な振る舞いはどうしたのか困ったように頭を抱えて散らかった物をかたし始めるれみりゃ、金バッジらしい行動だ。 そう、このれみりゃこそ加工所の新商品となるべく対ゆっくり格闘術を叩き込まれたれみりゃ。 人呼んで「ファイターれみりゃ」である。 因みにコストが高いと理由で採用されないと売り出しに出かけていた飼い主が言いつけられたのはついさっきの出来事であった。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ローリング・サンダーにJ・アッパーで さらにキンニクドライバーってwwwww 加工所の職員もう趣味で教えてるだろwwww -- 2012-08-11 17 07 32 なるほど 金の肉マン なのか -- 2011-10-26 20 38 45 できあいでろ -- 2011-06-24 22 01 24 ↓↓溺愛でろってどう読むんだよ…。つーか何故命令口調? 自己中で思考力に乏しい愛で厨は日本語力もまともに備わってないようだな。 -- 2011-02-13 00 34 17 「ぷっでぃ~んだど~☆」とか行ってるれみりゃはれいむやまりさよりもむかつく -- 2010-11-22 16 51 54 れみりゃ虐めはゆっくり出来ないよ!! 加害するのもれみりゃだからいいってもんじゃねえぞ!! れみりゃは愛でろ!!れみりゃは溺愛でろ!!れみりゃは激愛でろ!! あんなに可愛くカリスマダンスを踊ってたれみりゃによくもこんなに酷い事ができたもんだ!! -- 2010-11-21 17 56 32 れみりゃ、強い!おうち宣言してくるゆっくり相手には最高のお留守番になりそうだ。 -- 2010-10-13 14 05 40 わりとわかりやすかったと思うんだけど・・・ 面白くてスカッとしました。 -- 2010-09-16 07 09 38 れみりゃしか登場しないのでわかりにくい。 せめて飼いれみりゃには「金れみりゃ」とか「飼れみりゃ」とか記号をつけてほしかった。 ただ、話はとても面白く、かり☆すま溢れるカッコイイ「ファイターれみりゃ」がとくに良かった。 次は、ファイターれみりゃが「ふらん」や「ドスまりさ」を倒す話が読みたいです。 -- 2010-06-24 11 52 22
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/205.html
「「ゆ゛っ!」」 私はいつものように、ゆっくりまりさとゆっくりありすの頬を引きちぎる。 何度やっても肉体が引きちぎられる痛みに慣れることはないのだろう。ゆっくり達は思わず声を出し涙目になる。しかしこのゆっくり達は、それ以上泣きわめく事は無い。 その後、私は2人のゆっくりに豪華な食事を出してやる。そんな少し奇妙な関係が2年ほど続いていた。 私はゆっくり加工場の研究室に勤務している。 2年前、ゆっくり加工場の新商品開発に向けての研究素材として、加工場からいただいてきたのが、このゆっくりまりさとゆっくりありすだ。 ゆっくりまりさとゆっくりありすは、他の野生のゆっくり達と同様、山にいる所を職員に捕まって加工場まで連れられてきたそうだ。 捕まったゆっくり達の中から数匹を研究用素材として拝借して良いという話になった。そこで、あえて私は研究や実験に協力する意思があるゆっくりを募ることにしてみた。その際、研究と実験に伴って様々な危害を加える事も、はっきりと明言した上で、である。 とはいっても、自分勝手なゆっくり達である。 わざわざ立候補する者はでないであろうと私は考えていた。 ゆっくり達を加工する前に、恐怖を与えると餡子の甘みが増すという話を実際に試してみるためのハッタリだったのである。 立候補者がいなかろうが、強引に2匹のゆっくりを引っ張りあげるだけの話なのである。 しかし、私の予想は裏切られた。 「俺がいくんだぜ!」 少し震えながら独特の口調で、ゆっくりまりさが名乗り出た。 「……わたしもいってあげる」 かなり震えながら、大人しそうなゆっくりありすも名乗り出た。 私は意外な展開に首を傾げながらも、このゆっくり達を私の研究素材として我が家に迎え入れることになったわけだ。 このゆっくり達はいずれにせよ加工場に捕まった時点で死を覚悟したのであろう。少しでも長く生きる可能性に賭けたのかな、程度に私は考えていた。しかし、実際のところ、理由は他にあった。 この2人のゆっくりは加工場の檻の中で、他のゆっくり達に囲まれた中でさえも、孤独だったのである。 ゆっくりまりさはいわゆる、俺まりさと言われる種別のようだ。一人称が「俺」。語尾には「だぜ」。この口調が原因で、出会うゆっくり達すべてに偽者の烙印を押され、弾劾を受けながら生きてきたそうだ。 ゆっくりありすに至っては、ゆっくりありすであるというだけでまわりのゆっくり達から蔑まれてきたという。特に近くに住んでいたゆっくりれいむ一家からの扱いはひどかったそうだ。恐らくその家族は過去に他のゆっくりありすによって、大変な被害を被ったのだと察するが、それにしても残酷な話である。 そんな2人が加工場で研究素材に立候補した理由は共通していた。 自分のことはどうでもいいから、他のゆっくり達は最後まで仲良く一緒にいさせてあげたい、というのだ。 長年、孤独に生きてきたからこその、悲しい発想である。 ちなみに私の研究の内容は、主に食事と餡子(およびクリーム)の関係性についてである。手順は基本的に以下の流れで行った。 1:1週間同じ食物を与え続ける。 2:1週間後、両頬をちぎって、味を確かめ、成分を分析する。 3:だいたい2~3日で頬が完全に回復する。 以下、再度1~繰り返す。 この研究から、様々な味の餡子の商品化に着手しようというわけだ。 1年ほどすると2人のゆっくり達は良い仲になっていた。朝になると頭から子ゆっくりのついた蔦を生やすこともあった。残念ながら、これも研究に活用させていただくのではあるが。 それなりに太い蔦を根っこから折り、赤ちゃんゆっくり達の味と成分を調べる。 「な゛んでぞんな゛ごどずるのお゛お゛お゛お゛」 「あ゛り゛ずのあ゛がぢゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛」 最初の頃は相当抵抗された。当然といえば当然の反応ではある。そこで私はゆっくり達に言い聞かせた。この研究が進めば、もしかしたら他のゆっくり達を無駄に捕まえる必要がなくなり、ゆっくりさせられるかもしれないと。 それが効いたのか、最近では「「ゆ゛っ!」」と一言だけ声を漏らし、目に涙をためてなんとか堪えている。私が心情的に搾取しやすいようにという配慮のようだ。あいにくと私はそんな感情を持ち合わせてないつもりだが、それでもこのゆっくり達の配慮は少しうれしい。せめてもの情けで、先にも記したように頬を搾取したり、子を搾取した後には、いつもより豪華な食事を出すようにした。 そんな生活が2年ほど続いた。 2人のゆっくりも慣れたようで、搾取の事を踏まえた上でも、2人なりにゆっくりできているようだった。時には2人を連れて山に散歩にいったり、川で遊んだりもした。 その中で気づいたことがある。 本当にゆっくりできているゆっくりの餡子は甘さこそ控えめなのだが、深みのある味わいを持つのである。特に年配の方に好まれる味で、この事は早速研究所に報告した。3人による研究成果の1つである。 とある夏の日。 得意先の古物商から花火という物を頂いた。私は早速花火を家に持ち替えり、その晩に3人で楽しむことにした。ゆっくり達が特に気に入ったのが線香花火とねずみ花火という物だった。 2本の線香花火に火をつける。 左手に持つのがまりさの分、右手に持つのがありすの分。 どちらの花火が最後まで残るか競争のはじまりである。 「ゆっくり落ちないでね!!」 まりさは騒がしく跳ねながら、自分の線香花火を応援する。 「……ゆー……」 ありすは祈るようにじっと線香花火を見つめている。 結果、まりさの線香花火が先に落ちた。まりさは実力勝負で負けたわけでも無いのに、異常に悔しがっていた。それほど勝負事に真剣なのであろう。 一方のありすは今までに無いような無邪気で晴れやかな表情を見せていた。 ねずみ花火に火をつけて地面に放す。ねずみ花火はもの凄い勢いで庭中を駆け巡った。 まりさは目を輝かせ、わざわざ花火に向かっていっては、跳ねて飛び越えるなんていう遊びをしている。 一方のありすは怖がって隅っこでじっとしている。そこにねずみ花火が迫ってくると、途端にらしくないほどの大声できゃーきゃーと叫びながら、全速力で逃げていった。 他の花火も綺麗な物ばかりで、3人の楽しい時間を過ごすことができた。 一通り花火を楽しんで、後片付けをしていると、2人のゆっくりは庭に出て体を寄せ合っていた。どうやら花火で楽しんだこともあり、良い雰囲気になったようだ。独身男の私にはやや目の毒である。2人のことは放っておいて、風呂に入ることにした。今度子供が生まれたら、育てさせて良いかな、などと考えながら私は湯船に浸かってゆっくりとしていた。 風呂から上がった私は庭の異変に気がついた。2人のゆっくりの声が聞こえてこないのだ。 庭の方にでてみると、2人の姿は無かった。 ただ1匹のコウモリのような羽をつけた豚まんが浮かんでいるだけであった。 ……地面にはまりさの帽子とありすのヘアバンドが落ちていた。 「うー♪ うー♪ もっち、もっち」 私は絶句した。 なぜ? なぜここに、ゆっくりれみりゃがいるのか。 私はその時になって、初めて自身の認識違いに気づかされた。 あの2人は私にとって、もはやただの研究素材や家畜ではなかったのだ。 しかし、家族とも少し違う。言うなれば、戦友だったのである。 それを失ってしまった事実に、私は一瞬へたれこんだ。 考えてみれば私だって、あのゆっくり達と同じ孤独の身ではないか。 早くに両親を無くし、職場でも必要最低限の会話しかしない。 だからこそ、2人に共感を覚えたのだろう。 だからこそ、2人をなるべくゆっくりさせたい気持ちがあったのだろう。 家畜であるはずのゆっくりにそんな感情を抱くのは研究者失格ということか。 それをゆっくりれみりゃは私に教えてくれたというのか。 たしかに……たしかに少しゆっくりに流されすぎていたのかもしれない。 私が家畜を家畜として扱っていれば、こんな虚脱感に襲われることも無かったのであろう。間違っていたのは私なのかもしれない。 そう、家畜は家畜として扱わなければいけなかったのだ。 そんな事が頭をぐるぐると回っている中でもなお、我が家の庭ではコウモリ豚まんが食後の余韻に浸っていた。 ゆっくりれみりゃには希少種と呼ばれる胴つきの種類がいるのだが、私の目の前にいるのは頭と羽のみのそれであった。胴つきのそれであったら、街外れの豪邸に住んでいる変態爺に高値で売りつけてやったのだが…… しかし胴つきは紅魔館に保護されているという噂も聞く。胴つきのゆっくりれみりゃにひどい事をした人間は、紅魔館のメイド長によって、凄惨な最期を迎えるという噂も聞く。そういう意味では胴つきでないことは不幸中の幸いである。 心置きなく、このゆっくりれみりゃを新たな家畜にできるのだから。 私は食事に満足しきっているゆっくりれみりゃの背後から近づき、両方の羽に手をかけ、左右に一気に引っ張った。羽を失った豚まんが、庭に下りるための小さな石段の上に落下し、顎にあたる部分を思いっきり強打した。 ……すぐには反応はない。鈍感なのであろうか。 3秒ほどしてからようやく羽を失った豚まんが泣き出した。 「う”あ”あ”あ”あ”あ”」 叫び声が煩わしい。近所迷惑にならないように、手際よくゆっくりれみりゃの口を紐で縫い付け、風呂敷に包んだ。翌日から加工場で、家畜とはなんたるかを、このゆっくりれみりゃとともに実践していこうと、私は考えたのだ。 その後、自宅の庭にゆっくりまりさとゆっくりありすの墓を仲良く並べて作ることにした。遺品は帽子とヘアバンドのみだが、一緒に小銭を入れてやった。小銭に気を良くした三途の渡しの死神が、川を渡る間だけでも、一緒にゆっくりしてくれるかもしれないではないか。 ゆっくりれみりゃという研究素材は、それまでの研究素材と戦友を同時に失った私の心を埋めてくれた。というより、私が無理やり埋めさせてもらったと言った方が正しいのだが。 私が注目したのは、ゆっくりれみりゃの羽である。 肉体をちぎると再生に時間がかかるのだが、羽だけであれば、ものの10分程度で生え変わるのだ。これを利用しない手は無いであろう。私は以前のゆっくり達と同様に、食事と羽の味わいの関連性について研究することにした。 研究所に運んだばかりのゆっくりれみりゃは、食事に対する好き嫌いがとにかくひどかった。基本的に甘い物しか食べず、それ以外の食べ物は吐き捨てるのである。仕方がないので、ひとまず飴やクッキーなどのお菓子を中心にした餌を与える事にした。甘い物を与えた時の変化もいずれ研究するつもりだったのだし、順番が変わっただけであろう。 「うー♪ うー♪ むしゃむしゃ♪」 ゆっくりれみりゃは、これ以上ない幸福の表情でお菓子を食べる。 そして食べ終わった直後、余韻に浸ろうかというところで…… ゆっくりれみりゃから羽をもぎ取る。 幸福の瞬間を掻き消す痛みが豚まんボディにかけめぐり、ゆっくりれみりゃは泣き出すのだが、私はそれどころではない。迅速に羽の成分を調べる必要があるのだから。その後も10分毎に羽を採取して、これを調査した。 その度に「う”あ”あ”あ”あ”あ”」「う”あ”あ”あ”あ”あ”」と泣き叫ぶのがうるさいが、家畜に鳴き声は付き物である。 しかし、ゆっくりれみりゃの10分毎の鳴き声に近隣の部署から苦情がきた。私は仕方なく、食事時以外はゆっくりれみりゃの口を紐で縫い付けることにした。 食事の際には紐をはずしてやるのだが、採取のスケジュールもあるためあわてて多少強引にはずすことになる。そんな時はゆっくりれみりゃの唇がひどいことになってしまうのだが、食事を与えればすぐに鳴きやむため、さほど問題は無かった。 お目当ての研究結果はというと……甘い物を与えれば甘い羽になる。 なんともお粗末だが、わかりやすい結果となった。 さらに残念ながら、甘い羽は商品としては成り立たないのである。 この羽にはそれなりの硬度があり、そのまま食すには適さない。 そこで主な用途にと考えていたのが、スルメとダシである。 スルメ同様に加工すれば、独特の歯ごたえがあり、酒のつまみにもってこいの食材となる。また、水につけて30分ほど置けばエキスが抽出されて汁物のダシの役割を期待できるのである。 そして、そのどちらの用途も、お菓子のような甘みが求められるような物ではないのである。このため、私はゆっくりれみりゃの餌にお菓子を出すことをその日限りで打ち切った。このゆっくりれみりゃが甘い物を口にすることは未来永劫無いであろう。 翌日から、唐辛子などの辛い物を与えるようにした。 もちろん、ゆっくりれみりゃは嫌がって吐き出すのだが、諦めずに口に餌をぶちこんでやり、強引に口を縫い付けることにした。こうして10分も経てば、ゆっくりれみりゃがのたうちまわる拍子に飲み込んでくれるのだ。 口を縫いつけた紐をはずす際に失敗して、ゆっくりれみりゃの唇を引き裂いてしまったときは、さすがに食事がつらそうだった。が、餌をやらずに死なれてしまっては元も子も無い。私は泣く泣く唐辛子スープを口に流し込んでやり、その後再び口を縫い付けてやった。 その翌日はゆっくりれみりゃの唇がひどいことになっていた。 避けた唇を再生する際に、縫いつけていた紐を中にいれたまま再生してしまったらしく、皮の向こうに紐が入ってしまっている。私は仕方なく、包丁を持ってきて、強引に口を作ってやった。以前より多少下方に移動してしまった感もあるが、問題無いであろう。餌をやらずに死なれてしまっては元も子も無いのだから。 辛い物ばかりを与えて取れるようになった辛い羽は、これ以上無いほど酒のつまみに最適であった。これは商品化すべきである。ダシとしても悪い素材では無いが、用途が限られそうであった。 翌日からはゆっくりれみりゃがもっとも嫌がっていた、野菜を餌に出す事にした。ゆっくりれみりゃは口を閉じて抵抗するのだが、餌をやらずに死なれてしまっては元も子も無い。 私は仕方なく、口は縫い付けたまま、包丁で頬を切り開き、餌のくず野菜をぶち込んで頬を縫い付けてやることにした。やはり10分もすれば、何かの拍子に飲み込んでくれる。その瞬間の顔のしかめっぷりは、なかなか見ものでもあった。 一応、ゆっくりれみりゃが自ら食してくれるように工夫は凝らした。 ゆっくりれみりゃの好物である、プリンという物に似せて作った野菜汁たっぷりの寒天である。アクもとっていないので苦味やシブ味、エグ味も強烈であろうが、どっちにしろ野菜味は嫌われるのであるから同じであろう。これを出した時のゆっくりれみりゃの顔が、期待から絶望に変わる瞬間は、なかなか見ものであった。無理やり口に突っ込んだら案の定吐き出しそうになったが、いつもどおり、口を紐で縫い付けてやった。餌をやらずに死なれてしまっては元も子も無いのだ。 こうしてできた野菜成分たっぷりの羽は、体に良いつまみとして、また栄養満点なダシとして、商品化が見込める物であった。 ここまでの研究で、ゆっくりれみりゃの羽を商品化するめどはついた。 後はいかにして量産するかである。 1匹のゆっくりれみりゃから、10分毎に2枚。これだけではさすがに量産性に問題があると言わざるを得まい。用途が用途だけに、安価にして数を多く出荷したいのだ。 となると、必然的に次にやることは決まっていた。 繁殖である。 幸いなことに、このゆっくりれみりゃは研究期間を経て充分な栄養を得て育ち、繁殖に耐えうる程度には成体していた。 その日からゆっくりれみりゃは10分毎に断続的に羽をもがれる地獄から開放された。変わりに、毎日毎日、発情した繁殖用ゆっくりの大群を相手にすることになったのだ。普通のゆっくりでは強引な繁殖はその身を滅ぼすだけだが、ゆっくりれみりゃには再生機能があるから大丈夫であろう。 これからは1時間毎にすっきりできるのだから、天国のようなものだ。 人間であれば、見知らぬ他人、しかも複数に襲われるなど、おぞましいことこの上無いのであるが、相手は家畜である。 「うあ”っ! うあ”っ! うあ”っ!」 行為中、ゆっくりれみりゃは泣き叫んでいたが、それが産みの苦しみというやつだろう。 その後誕生した子ゆっくりれみりゃと他種の子の割合は大体半々だった。 他種の子ゆっくりは隣の部署に差し上げることにした。 1ヵ月もすると、生まれた子供達も大きくなっていた。丁度、私があの時に自宅の庭で見たあのゆっくりれみりゃと同じ位の大きさになっている。 すなわち、羽のもぎ取り時である。 これらのゆっくりれみりゃ達には2通りの運命がある。 野菜味担当となるか。唐辛子味担当となるか。 この日から新たに10数匹のゆっくりれみりゃ達の、10分毎に羽をもがれる生活が始まるのである。 いずれ成体したら、今度はこの子供達が新たなゆっくりれみりゃを生み出す機械となるのだ。相手はおそらく、生き別れの他種ゆっくり達となる。 なぜなら、私が他種の子ゆっくり達をあずけた隣の部署は、繁殖用ゆっくりの育成機関だからである。他種の子ゆっくり達はそこでエリート性教育を受けるのだ。 最初のゆっくりれみりゃは、今日も元気に子作りに励んでいる。 いや、励んでいるのは相手のゆっくり達だけのようにも見えなくもないが。 しかし、心配はいらない。もうしばらくすれば、子供達もそこに行くのだから。 もし不測の事態により子供が生めなくなっても行き先はある。 加工場内で育成している、ゆっくりふらんの遊び相手となるのだ。 こうして、あの日私の庭に迷い込んだゆっくりれみりゃは、加工場の中で大家族を形成し、その全てを加工場のために捧げている。 このゆっくりれみりゃこそ、まさに家畜の鑑であると言えよう。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1466.html
おれ設定込みです。 以前スレに出ていたネタ、絵を元ネタにしています。 「いいかめーりん、頼んだぞ」 「じゃおおおおん!!」 勢いよく答えたのはゆっくりめーりん 丈夫な肉体と「何かを守る」習性をもつゆっくり 「気をつけるんだぞ、腹が減ったら野菜を食べていいぞ」 「じゃおおおおん!!」 そう言って主人は人里へと出かけて行った。 小料理屋を営む弟の婚礼のため今日は夜まで戻らない。 その間この畑を戻るのがめーりんの仕事 「じゃおおおん!!」 柵の切れ間の門に立ち畑番の任務が始まった。 数時間後 「ZZZ…ZZzzz…」 堂々と午睡を取るゆっくりめーりん これさぼっているのではない。計画的休息である。 畑番という集中力と根気を要する任務をこなすためには この「しえすた」が必要なのだ。少なくともめーりんはそう考えている。 「う~!たーべちゃーうぞ~!!」 そこに飛来したのは「こーまかんのおぜうさま」ことゆっくりれみりゃ そのお目当ては 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~♪」 「おいちいね!!」 御食事中のまりさの親子 少し前に「しえすた」中のめーりんに 「ゆっくりしていくね!!」と元気よく挨拶して入ってきた。 なおこの畑はゆっくり達に「めーりんのところ」という名で知られる 有名なゆっくりスポットであることを記しておく。 「た~べちゃ~うぞ~!!」 「ゆゆ!!ゆっくりにげてね!!」 「まりさはおいちくないよおお!!」 れみりゃから逃れるべく畑中を駆け回るまりさ親子 小石を蹴とばし畝に突っ込み猛烈な勢いで逃げていった。 「ZZZzzz…ZZzzz…」 この状況においても「しえすた」を続ける胆力の持主ゆっくりめーりん 畑番を任されるゆっくりは一味ちがうのだ。 「うっうー!!おーいしかったどぉー♪」 まりさ親子を平らげたらしく畑に戻ってくるゆっくりれみりゃ 次なるお目当ては 「ZZZzzz…zzz…」 皮の厚さに定評のあるゆっくりめーりん 計画的休息はいまだ続行中である。 「うあうあ♪あかあか♪」 めーりんをひょいっと持ち上げるれみりゃ 「じゃおっ!?」 この状況でついに覚醒したゆっくりめーりん 「じゃおおおおおおおおおおお ついにその実力が発揮 「う~!」 されなかった。平然とめーりんにかぶりついたれみりゃ だが様子がおかしい。 「んガ・が・がgがgg…」 肉まんフェイスを真っ赤に染めて悶えだす 「ghががdcgガg…」 「じゃお・・・??」 「がらいどおおぉおおおぉ!!じだがびりびりずるどぉおお!!」 めーりんの中身はぴりりと辛いピザまん、れみりゃには少々きつい 「ざぐやああぁ~!!ざぐやああぁ~!!」 そのまま飛び去っていくれみりゃ 「じゃおおおおん!!」 ゆっくりめーりん、勝利の瞬間である。 振り返れば自分以外が齧った痕のある野菜がいくつか目につくはずであるが 常に前を見続けるめーりんが気づくはずもない。 あるいは見てもわからないかもしれない。 ゆっくりめーりんが加工場で扱われないのは「皮が厚い分餡が少ないから」 丈夫な肉体に対しておつむのほうはさっぱりなのだ。 「皮の商品化に漕ぎ着ければあるいは…」というのがある加工場研究部員の談 「じゃおおおおおん!!」 悪辣なるれみりゃを撃退し意気軒昂なゆっくりめーりん たっぷりとった「しえすた」のおかげで疲れもない。 まさに気炎万丈といった様子 と、そこに近寄ってくる一匹のゆっくりまりさ 何やらにやついた笑みを浮かべている。 「めーりん!」 「じゃおおおん!!」 勢いよく返事をするめーりん 「きょうからここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!!」 「じゃおっ!?」 「だからめーりんはでていってね!!」 いきなりやってきてとんでもないことを言うゆっくりまりさ 「じゃおおおおおん!!」 当然臨戦態勢にはいる激烈なるな闘争心の持主ゆっくりめーりん。 「とられるのがいやならこのまりさをたおしてね!!」 と叫んだまりさは 猛烈な勢いで逃げ始めた。 「じゃおっ?」 理解できない行動に困惑するめーりん たたかうはずなのになんでにげるの?うしろむきでたたかうの? この不測の事態に直面しためーりんは 「じゃおおおおおん!!!」 逃げるまりさを追いかけ始めた。攻撃は最大の防御である。 何か重要なことを忘れているような気もしたがめーりんには関係なかった。 まりさとめーりん 二匹の姿が見えなくなったころ 「むきゅ、うまくいったわね」 物陰から出てきたのはゆっくりぱちゅりーとその子供達 先ほどのまりさの家族である。 噂に名高い「めーりんのところ」に来てみたところ 「簡単に入れる」「邪魔するめーりんはいっつも寝てる」という噂に反して れみりゃを撃退するほどの実力者が番をしていた。 ここでぱちゅりーは一計を案じた。 その結果がこれである。 「むきゅ、みんなゆっくりしていくわよ。」 「「「ゆっくりちていくよ!!」」」 一方まりさを追跡するめーりんは岩だらけの川辺に来ていた。 追っていたまりさは先ほど見失った。 いったいどこへ…と辺りを見まわしためーりんは途轍もないものを目にした。 まりさが泳いでいる!! 「じゃ、じゃお!!??」 あの特徴的な帽子がすいーっと水面を流れていくのである。 帽子に乗って下っているのではないことにめーりんは驚愕した。 まさかまりさが泳ぐなんて!! 「じゃおお~ん!! 激烈なるな闘争心の持主ゆっくりめーりんは猛烈な勢いで追い始めた。 「ほんとうにあのめーりんはばかだね!!」 「むきゅ、かんたんにひっかかったわね」 しばらくのちの畑の会話 逃げたはずのまりさもそこにいる。 「あのぼうしのもちぬしのおかげだわ」 ゆっくりめーりんを撒くために使ったのは ここに来る途中で拾った帽子に小石を詰めたもの うまくやれば沈むことも転覆することもないいいおもちゃになる。 ゆっくりはお互いを帽子で識別する。 動く帽子の中に誰もいないことに気づくのはいつになるやら 「ばかはあつかいやすくてたすか…」 「むきゅ?どうしたの」 固まったまりさの視線の先に目を向けるぱちゅりー そこにいたのは 「う~!しかえしにきたどぉ~!」 「やられたままじゃこーまかんのめんつにかかわるどぉ~!」 数匹のゆっくりれみりゃ どうやら先ほどのれみりゃが姉妹を連れてきたらしい。 れみりゃには珍しい仲間意識の持ち主のようだ。 「う~!でもあかいのがいないど~」 「でもまんじゅうはいるど~」 「「「でなーだど~!!」」」 夕刻の迫る畑にゆっくり一家の断末魔が響いた。 その日の夜遅く すでに高く上った月の下 主人は人里から帰ってきた。 「いや、すまないなめーりん。遅くなっちまった」 だが畑にはいくつかのゆっくりの帽子が転がるのみ めーりんの姿はない。 「まさかやられちまったのか?」 だが畑の被害はあまりない。ではめーりんはいったいどこへ? 「じゃおおおおおおおおおおおん!!!!」 「めーりん!」 盛大な叫び声をあげて泥まみれになりながら駆けてくるのは 大いなる忠誠心の持主ゆっくりめーりん その口にはしっかりとゆっくりまりさの帽子が咥えられていた。 「そうか入ってきたやつを追ってたのか。」 「じゃおん!!」 「よくやったぞめーりん。今度も頼むな。」 「じゃお~ん!!」 ゆっくりめーりんは今日も畑に立ち続ける。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/155.html
人里から遠く離れた小さな山に、多くのゆっくりが暮らす森がある。 日当たりの良い広場があり、きれいな川が流れ、木の実を付ける広葉樹で構成されており、 小鳥は囀り、げっ歯類以上の大きさの哺乳類はおらず、妖怪も人間も足を踏み入れないというそこは、ゆっくり達の理想郷であった。 そんな美しい森に、とても生存本能の強いゆっくりぱちゅりーが居た。 他のゆっくりぱちゅりーは自らの運命…先天的に病弱で、長生きする事は叶わない自らの体質を受け入れている。 だが流石にこのゆっちゅりーは格が違った。自らの運命を自らの手で(ゆっくりなので手は無いが)変えようと強く思っていた。 ある日ゆちゅりーが短時間の散歩を楽しんでいると、木の洞に詰まって身動きが取れなくなっているゆっくりまりさがいた。 ふと、ゆちゅりーの拙い思考回路があるアイデアを生み出した。 まりさ種はゆっくり達の中でも殊に活動的だ。その点では、ゆちゅりーの理想と言ってもいい。 そのゆまりさの健康で活動的な肉体を得れば、自分もああなれるのではないか。 無論、肉体を手に入れると言っても脳を移植する訳ではない。元よりゆっくりにそのような知識は無い。 あるのは本能だけ。故に、他者の肉体を得る方法はただ一つ。―――食べる事だけだ。 ゆちゅりーは虚ろな表情で、ゆっくりとゆまりさににじり寄る。 「ゆっ!たすけてくれるの!!?ゆっくりひっぱってね!!!」 「…………」 ゆちゅりーは答えない。というか、聞こえていない。今のゆちゅりーにあるのは強烈なまでの食欲だけだ。 「ど、どうしたの!!?さっさとたすけてね!!!」 「…………」 偶然にも周囲にゆっくりの姿は無い。まるでゆっくりの神があるいは悪魔がセッティングしたかのような状況である。 もうゆまりさの体温すら感じられる程に肉薄している。耳障りな雑音も聞こえない。 ぶよぶよと震える皮は美味そうとしか考えられない。 普段は友愛を喚起させられる体臭も今では食欲をそそる香りだ。 肌身離さずかぶっている帽子や、美しい金色の髪に至るまでが御馳走に見える。 そして、 「ゆ゛う゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!や゛め゛で!!!や゛め゛でよ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 思い切り良く頬に食らいついた。その瞬間、口の中をかつて無いほどの至福が駆け抜けた。 ―――すごい。こんなにまりさがおいしいなんて。ゆめみたい。 全身が四散しそうな程衝撃的な味は、ゆちゅりーを虜にした。 一心不乱にゆまりさを喰らう。否、このゆちゅりーはゆまりさをただ食っているのではない。愛しているのだ。 今のゆちゅりーの最大限の愛情表現こそがこの共食いという最も恐るべき行為だった。 「う゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!どうじで!どうじでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 一口齧る毎に、一声絶叫される毎に、ゆちゅりーは心身共に活力に満ちて行くのを実感していた。 このような感覚は生まれて初めてだった。母の蔓に生まれ、目を覚ました時ですらここまでの爽快感は無かった。 「ぐがが……お゛ぼぉ゛……ゆ゛……ゆ゛ぐぐ……ゆ゛っぐり゛ざぜでね゛!!!!!」 それがこのゆまりさの最期の叫びだった。後はただゆまりさの残骸を余さず食う音だけが響いていた。 「むきゅぅーん……」 ゆちゅりーは涙した。一時の激欲に身を任せて友を食べてしまった自責の念で。 もう二度と自分の知らない場所にまで連れて行ってくれた相手と会えない悲しみで。 そして、身も心もかつてない程のゆっくりに満ち溢れている喜びで。 もっと。もっとこのエネルギーが欲しい。友を喪うのは悲しいけれど、それを遥かに上回る喜びが得られるのなら。 「だから……!(福山潤の声で)」 翌日の朝、ゆちゅりーは森の中を全速力で駆け回っていた。恐らくゆっくりまりさと同等の速度だろう。 ゆちゅりーは感動している。速く走れるとはこんなに素晴らしいことなのか。それもこれもまりさと一つになったお陰だ。 もっとだ。もっと食べれば、もっと生きていられる。もっとゆっくりできる。そう、食えば食う程―――強くなる。 ……新たな餌を、発見した。 数年後、そこにはかつての貧弱さなど微塵も感じさせない力強いゆっちゅりーが居た。 体躯は通常のゆっくりより一回りも二回りも大きく、その眼力に他のゆっくりはただ畏れるしかなかった。 今やゆっくりれみりゃさえもゆっちゅりーには近付かない。 ぱちゅりー種でありながら餌を横取りされたゆっくりれみりゃの群れ十匹を返り討ちにするような怪物に逆らう程、ゆっくりも馬鹿ではないのだ。 そう。今やこのゆっちゅりーはこの森に住まうゆっくり達の王なのである。 好きな時に好きなゆっくりと共にゆっくりし、好きな時に好きなゆっくりを食べる。それが王の在り方だった。 だが、王はこの生活にも飽きてきた。以前とは比較にならない位強大な生命力を得た王にとって、通常のゆっくりでは物足りないのだ。 もっと。もっと大きくて栄養のある餌が欲しい。際限無い欲望を持つという点では、人間の王とゆっくりの王は大差無かった。 決意するのに、そう時間はかからなかった。王はこの楽園を捨て、新天地へ向かう事を決意した。 大丈夫。今の自分は強い。ゆっくりれみりゃやゆっくりフランでさえ自分を恐れて近付かない程に。 どんな敵が現れようと打ち倒し、食べるだけだ。 そうして王は向かった。幻想郷の中心部にある人間の里へ。 森を出て三時間、里の外れの外れにある小さな集落を発見した。 地面にしゃがみ込み何かをしている人間が居る。第一村人発見である。王はこいつが記念すべき最初の人間だと決定した。 射程距離まで音を立てず慎重に移動する。まだだ。あと十ym(ゆっくりメートル)。あと八ym、六ym、よし今だ―――! その瞬間、人間がこちらに気付いた。だが構うものか。後は飛び掛り、組み伏せ、食い尽くすだけなのだから。だが…… 王は知らなかった。ゆっくりと人間など、同じような物だと慢心しきっていた。 世界で最も強かったのはゆっくりフランで、自分はそれ以上の生物なのだと勘違いしきっていたのだ。 そう、つまり―――ゆっくり内での序列がどうあれ、ゆっくりである限り人間の食料に過ぎない事をまるでワカっていなかった。 「ごらー!おらの畑で何しとるだァー!!」 食い物である筈の人間はそう叫ぶと、手に持った棒切れを振りかざし、王の頭に振り下ろした。 ぐしゃり。 決定的な音を、王は確かに聞いた。懐かしい感覚。自分の意識から立ち昇る死の匂い。 嫌だ。せっかく生きられるようになったんだ。こんな絶望から逃げる為に同胞まで食ったんだ。 助けて、助けて、助けてまりさ。れいむ。ありす。にとり。うどんげ。にいと。あやや。てんこ。ちぇん。さくぽ。れみりゃ。フラン。 助けろ!私は、私はお前らの王なんだぞ……!! と、ありえない光景を見た。森に居た多くの仲間達が自分を見ている。ああ、やっぱり助けに来てくれた……皆! 「たすけろ、だってさ」 「おお、いやだいやだ」 大勢の仲間が、嫌な笑顔でこちらを見ていた。 どうしてこんな顔を向けられるんだろう。 どうしてこんな事になってしまったんだろう。 わたしはただ、みんなとゆっくりしたかっただけなのに…… 「おーい母ちゃん。こんなもんが畑を荒らしとったぞー」 「あんらーお前さんそりゃ『ゆっくり』だよぉ。それを里に持っていくと高く売れるんだわー」 「へぇそうかい。そいじゃちょっくら売ってくらぁ。おぅ、種蒔きは代わりにやっといてくれよ」 「そんな事言ってまた遊んでくるんじゃないんだろうね!いやだよこの間みたいに土産とか言ってエロ同人誌五十冊も買って来るのは」 「へっへっへ、もうあんな事はしねえよぉ。んじゃ行って来る」 「全く。気を付けて行って来てなあ!最近は妖怪が出るとか言うけんねー!」 「おおう!妖怪なんざ俺のコブラツイストでボッコボコにしちゃるけん!」 「調子いい事言うんだから。妖怪になんて勝てる訳……おや、何だいこりゃあ」 彼女の足元には文字が刻まれていた。そこはかつての王が息絶えた場所だ。そこにはこう書かれていた。 「ゆっくりしていってね!!!」 DEAD END 選択肢 投票 しあわせー! (3) それなりー (4) つぎにきたいするよ! (18) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3057.html
「ゆっくりしてないで、さっさとごはんもってきてね!」 尊大な態度で、さも当然であるかのように食事を要求しているのは、幻想郷ではちょっと名の知れた普通の魔法使い---霧雨魔理沙 ……によく似た帽子を身につけた、しゃべる饅頭---ゆっくりまりさ である。 しかし、ただの ゆっくりまりさ ではない。 体長6尺、重量30貫はあろうかという、巨大な ゆっくりまりさ なのである。 「わかったから、そこでゆっくりしていってね!」 こう応えるのは、狂気を操る赤い瞳の兎---鈴仙・優曇華院・イナバである。 ゆっくり種の琴線に触れるキーワード「ゆっくりしていってね!」を使うことで、少しでも巨大まりさを黙らせようと発した言葉なのだが、肝心の巨大まりさはこのキーワードに全く呼応せず、ただ「フフン」とだけ口に出しながら、鈴仙のことを見て……いや、見下していた。 巨大まりさと接触するようになってから、鈴仙の苛立ちは急速かつ確実に膨らんでいた。 他の仕事もこなしながら、必死に食事を用意する鈴仙。 全く仕事もせずに、ただただ それを食らう巨大まりさ。 巨大まりさの認識としては、間違いなく鈴仙は格下も格下なのである。 あまつさえ、鈴仙の師匠である永遠亭の頭脳---八意永琳に対しても、対等か自分が格上だと思っていた節まであった。 その認識は、あからさまと言って良いほどに、巨大まりさの態度から見てとれた。 鈴仙が巨大まりさの世話をしてやっているのは、永琳の指示があったためである そうでなければ、このような相手は今すぐにでも狂気の闇に堕としているのだが、実験のため、師匠のため、そして自分のために、鈴仙はギリギリのところで正気を保っていたのである。 巨大まりさはこの地下室にやってきた時よりも、さらに尊大な態度をとるようになっていた。それはおそらく、数日前にあった巨大まりさの異変に起因する。 その日、永琳が研究室で前回の研究結果の記録をつけていると、突然研究室の扉をけたたましく叩く音が聞こえた。 「煩いわね、いつでも落ち着いて行動しろと言っているでしょうに。」 軽くお説教を交えつつ扉を開く永琳。 「も、申し訳ありません。ですがお師匠さま、あのサンプルの様子が……」 畏まりながらも、用件を話す鈴仙。 「む!? そう、それはいけないわね。」 永琳はそう言うと、すぐに巨大まりさのいる地下室へと向かった。 永琳はそこにいた巨大まりさの様子を見て、驚きを隠せなかった。 体長が2倍以上になっている。 この巨大まりさが永遠亭に迷い込んできた頃は、3尺程度の体長だった。 確かに大きいが、それでも普通の成体ゆっくりよりも少しだけ、いや、そこそこ大きいかな? という程度の大きさだったのだ。 それが突然2倍以上の大きさになっている……巨大まりさも、自身の身体の変調には気づき、これには強く不安を感じていた。 早速診察を始める永琳。 一頻り巨大まりさの身体を調べ終えると、ため息をつきながら口を開いた。 「これは俗に言うおめでた……にんっしんっね。」 「え?」 一瞬呆然とする鈴仙。 「ゆゆっ!?」 巨大まりさは戸惑いながらも、少し喜びの混じった表情を見せていた。 巨大まりさは、身に覚えがあった。 それは数日前の、巨大ゆっくりれいむとの一夜。 食事のため、あるゆっくりの巣を襲いに行った際に、たまたま居合わせた人間に殺されそうになった。その窮地を救ってくれたのが、この巨大れいむであった。 巨大まりさは、自分を救ってくれた巨大れいむに一目ぼれし、出会ったその夜に愛し合ったのである。 「にんっしんっ れいむとのこども……」 噛み締めるように言葉に出して、その事実を確認し、喜びの笑みを浮かべる巨大まりさ。 「ふふっ、おめでと。」 微笑みながら優しくそう言う永琳。 何かに納得がいかず、無言でいる鈴仙。 そしてその時から永琳の指示により、鈴仙が巨大まりさの世話をする日々が始まったのである。 巨大まりさは、最初のうちはノロケながらも、その発言は控えめだった。 「ごめんね、まりさはうごけないから、たべものとってきてね。」 これには鈴仙も快く返す。「大丈夫ですよ、ゆっくりしていってね!」 しかし巨大まりさの態度はすぐに体躯に比例するように大きくなっていき、いつしか食事も選り好みするようになっていった。 元々、他のゆっくり種を食べて生きているような存在であるため、傲慢な性格だったのであろう。 鈴仙が持ってくる食事を目ざとく確認し、ちょっと形の悪い野菜などが混ざっていたりすると、食する事を拒否した。 「にんっしんっしてるまりさに、なんてものをたべさせようとするの!? ふざけないでよ!」 そう言いながら、体当たりをして、わざと食事を落とさせる事もあった。 鈴仙は苛立ちを抑えながらも、仕方なく新たな食事を用意することになった。 要求は食事に留まらなかった。 「みずあびしたい!みずもってきて!」 バケツ10杯ほどの水を輸送する。 その上、身体を洗うのも鈴仙の仕事となるのだ。 「ねごこちわるいよ! わらをたくさんもってきてね!」 牛を3ヶ月以上は養えるのではないかという量の藁を、巨大まりさの寝床へ輸送させられた。 あげくのはてには…… 「すっきりさせていってね!」 なにが悲しくて巨大まりさの自慰を手伝ってやらなければならないのか。 鈴仙は顔を真っ赤にし、怒りに震えながら、巨大まりさの頬をもみしだいて性欲を処理させられるハメになった。 「すっきりー!」 その声も、もはや鈴仙にとっては憎しみの対象となっていた。 我慢の限界にきた鈴仙は、永琳にその不満を直訴したのだが、当然のように却下された。むしろ永琳も、屈辱にまみれる鈴仙を見て楽しんでいる節もあった。 お世話になっている師匠のやること、それにこういう性格であることもわかっている。だから、それ自体は仕方ないと鈴仙もわかっていた。 わかっているからこそ、巨大まりさに対する苛立ちは、雪だるま式に募る一方なのであった。 その様子を見かねてか、永琳はフォローするようにこう言った。 「まあ、もうちょっとだけ我慢しなさいな。面白いものが見られるから。」 永琳は何かを企んでいるような、不敵な笑みを見せた。 それでも鈴仙は納得がいかない。 その原因は、巨大まりさが永遠亭に辿り着いた時点まで遡る。 そもそも、この巨大まりさがどうやって迷いの結界がかけてある竹林を抜けて、なぜ永遠亭にたどりつけたのか、という疑問もある。しかしそれはおそらく、同僚の いたずら兎の仕業なのであろう。だからそれは問題ない。いや、問題はあるのだが、いつものことだ。 しかしよりによって、この巨大まりさ達は永遠亭の家庭菜園(というには規模が大きいのだが)を食い荒らしたのだ。 そこには永琳と鈴仙が20年以上かけて品種改良を行った野菜があったのだが、その残骸すらも残っていなかった。中には鈴仙が個人的に楽しみにしていた、美味しさだけを追求したにんじんもあったのに…… そのような蛮行を働いた巨大まりさを、師匠である永琳は許した。 心が広い。広すぎる。不自然なくらいの広さだ。 確かに20年という期間は、永遠亭に住む者にとっては些細な時間であるが、 よりによって、こんな生物に研究をぶち壊されるなど、鈴仙には許せない事であるのに。 翌日、巨大まりさはいよいよ出産の時を迎えた。 あこがれの巨大れいむとの子供をいよいよ授かるとあって、陣痛の痛みにも関わらず、その表情はどこかにこやかであった。 身重で動けず、退屈な日も我慢してあげた。 うだつのあがらない兎が持ってくる、冷めた食事にも我慢してあげた。 それも全てはあの巨大れいむとの愛の結晶のため。 私ってなんて健気なの! などと軽く自己陶酔するうちに、いよいよ産道が開かれる。 「はやぐ、はやぐうまれでねえええええ!」 巨大まりさの痛みもピークに達した。もう出産は目前である。子供が産道から顔を出し始めた。 「え?」 鈴仙は思わず目を疑う。 「ふふ♪」 永琳は不敵にそして魅力的に微笑む。 竹筒の蓋を開けるような大きな音とともに、巨大まりさの子供がこの世に生を受けた。 途端に苦痛から開放された巨大まりさ。 これで苦労は報われた。これからは楽しい育児の時間だ。 娘と一緒にお父さんれいむが勇敢だったという話をしたり、外食を楽しんだり、楽しい子育て人生が待っている! 娘の結婚相手はやっぱりイケメンのれいむかな。でも知的なぱちゅりーでもいいな。 ここを出たら巨大れいむと運命の再会をして、娘婿や孫ゆっくり達に囲まれて幸せに暮らしていくんだろうな。 そんな自分に都合の良い、バラ色のゆっくり人生を思い描きながら、巨大まりさは生まれてきた赤ちゃんに初めて声をかけた。 「ゆっくりしていってね!」 …… 「うー♪ うー♪」 生まれてきた赤ちゃんは、コウモリのような醜悪な羽の生えた、憎たらしい顔つきの肉まんだった。 「……え?」 瞬間、巨大まりさの表情は凍りつく。 「どうしたの? あなたの赤ちゃんよ?」 いたずらっぽい笑みを浮かべながら永琳が巨大まりさの耳元で囁く。 鈴仙は目の前の事態について把握するために頭を巡らせていた。 「さて、そろそろ次かしら。」そう言った永琳は、巨大まりさの後頭部辺りに指を差し込んだ。出産しやすくなるツボである。 出産を終えたはずの巨大まりさの胎内に、新たな生命が息吹き始めた。 みるみるうちに、それは大きくなり、そして再び出産の時を迎えた。 「いだいいいい、はやぐうまれでえええええ」 巨大まりさはその痛みに意表をつかれた。そして再び竹筒の蓋を開けるような音。誕生したのは、またもゆっくりれみりゃの子だった。 巨大まりさは驚きを隠せるわけもない。 「なななな、な゛んでえええええええ?」 絶叫する。 なぜ れいむ や まりさ じゃない子供が生まれるのか。 捕食種の ゆっくりれみりゃ と交尾するわけがない。 突然変異で生まれてしまったのか。しかしそんな話は聞いたことがない。 それ以上考えが進まなくなった巨大まりさの後頭部には、再び永琳の指がつきつけられていた。 「それそれそれそれ!」楽しそうに巨大まりさの後頭部に連続して指を差し込む永琳。 一方、鈴仙は巨大まりさが妊娠したとき、何かに納得できていなかった事を思い出していた。 ゆっくりが交尾してから妊娠するまでの期間はそう長くないはず。 それは胎内で育てるタイプの出産に関しても同様であるはずだ。 なのに、巨大まりさがこの地下室につれられてきてから妊娠するまでには、3日ほどの期間を置いている。 これはもしや…… 「うどんげ、そろそろ気づいたかしら?」 鈴仙の考えを見通すかのように話す永琳。やはりこれは巨大まりさが永遠亭にくる前に身篭った子供ではない。 間違いなく、永琳がなんらかの方法で種付けしてできた子供なのである。 鈴仙はこの時になり、ようやくその確信に至った。 「それならそうと言ってくださいよ。 びっくりしますよ。」少し不満げに話す鈴仙。 「ふふ、驚かせてあげようと思ったのよ。」悪びれることもなく、笑顔で話す永琳。こんなに活き活きとしたお師匠さまを見るのは鈴仙にとっても久しぶりだった。 とはいえ一番驚いたのはやはり、出産した当人である巨大まりさであろう。 しかし、その原因を究明しているような時間は、巨大まりさには与えられない。 先ほどの永琳のツボ連打によって、再び体躯が膨れ上がっているのだ。 2度の出産を経て、産道がある程度慣れたのか、そこからの出産はほぼ連続で行われた。 スポッ、スポッ、スポッ、スポッ、スポッ、スポッ、スポッ、スポッ 次々と出産される赤ちゃんゆっくり。その姿はすべてゆっくりれみりゃのそれであった。 「いやあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 その事実を受け入れられない巨大まりさ。しかし、なおも出産は続いていく。 「「「「うー♪ うー♪」」」」 生まれたてのゆっくりれみりゃ達が、自らの妹達の誕生を祝福するかのように、楽しそうに鳴いている。 永琳がいよいよ種明かしをする。 「すごいでしょ。これがゆっくり出産促進薬 ”ゆっくりんZ” の効果よ」 「名前はどうでもいいですよ……」やたらノリノリな永琳に、少し呆れた鈴仙が、さらに続ける。 「いつのまにゆっくりれみりゃの子供を孕ませたんですか?」 孕ませるなどという言葉が、ごく自然に出てきた自分に対し、少し照れを感じながらもそう聞いた。 「そりゃあなた、妊娠の前日よ。ゆっくりみたいな単純な生物は体内に何かを蓄えておく、なんてできないんだから。」永琳はさも当然のごとく応える。 「あの前日の夕食に幻覚剤を混ぜて置いたのよ。」 なるほど。 その後に発情したゆっくりれみりゃを巨大まりさの隣に置くことで、あとは自然に事に至ったわけだ。 鈴仙が納得した頃には、巨大まりさの出産は終了していた。 その体躯は1尺以下にまで縮んでいる。”ゆっくりんZ”とやらの影響なのであろうか。 「あら? こんなに縮んじゃうの? これじゃ使えないかしらねえ……」 まるで実験が失敗したかのように言う永琳。 しかし鈴仙にはわかっていた。これは故意だ。間違いなく故意だ。 「「「「「うー♪ うー♪ まーまー、ごあんまだー?」」」」」 母親である巨大まりさに餌を求めている。 生まれたゆっくりれみりゃは、20匹にまで到達していた。 胎内で育てるタイプの出産としては異例の数字である。 それ故に母体への影響も尋常ではないようだが。 巨大だったまりさは出産を無事に終えて、考えを巡らせていた。 あんな羽の生えた子達は私の子供じゃない。 早くれいむに会いたい。 助けて、れいむ。夢ならはやく覚めて。 そんなことを考えているうちに、連続出産の疲労からか、巨大まりさはゆっくりと眠りについていった。 翌朝、巨大だったまりさが目覚めると、再び胎内に違和感を感じた。 「「「「「うー♪ うー♪ ぱーぱー!ぱーぱー!」」」」」 まわりでは目障りなゆっくりれみりゃの赤ちゃんが飛びまわっている。 巨大だったまりさは、ハッと痛みに目覚める。胎内で何か蠢いている。 「がおー♪ たーべちゃーうぞー♪」 胴体つきのゆっくりれみりゃが、産道から顔をだしていた。 巨大だったまりさは、恐怖のあまり、白目を向いて気絶した。 「あらあら、だめねえ。せっかくお父さんとの感動の再会なのに。」 永琳が部屋に入ってくるなりそう言い、巨大だったまりさを起こしてやる。 「はい、これがあなたの夫よ。」 起こした上で追い討ちをかける。 さすがお師匠さま。そんなことを考えながら、鈴仙は身震いしていた。 おそらく永琳の恐ろしさではなく、この状況にゾクゾクしていたのだろう。 心なしか、赤い瞳がキラキラと輝きを漏らしている。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」と泣き叫ぶ巨大だったまりさ。 その身体は急激な縮小により、極度に皮が余った状態である。 そこに目をつけた永琳が、交尾の際に使用したゆっくりれみりゃに、着ぐるみ感覚で着せたのである。 お気に入りの怪獣着ぐるみを着ている時と同様に、ゆっくりれみりゃは太陽のように輝いた笑顔で、ぶんぶんと手足を動かしている。 巨大だったまりさは、とてつもない痛みと、現実のつらさに身をよじる。 「れみりゃも、うまれるのー♪」 そういって出産ごっこを開始する、お父さんれみりゃ。 「いぎぎぎっいぎっぎ」 痛みに堪える巨大だったまりさ。 「「「「「うー♪ うー♪」」」」」それを見て楽しそうな赤ちゃんゆっくりれみりゃ。 「幸せそうな家庭を持てて、何よりね。」永琳が優しく微笑む。 この人だけは敵にするまい、と新たに誓いを立てる鈴仙であった。 それから3日間、巨大だったまりさは育児を完全に放棄していた。 ゆっくりれみりゃが、赤ちゃん達と巨大だったまりさのために、健気に餌を持ってくる(といっても隣の部屋で鈴仙に渡されたものだが)。 巨大だったまりさは、その餌をを赤ちゃん達と共に、ただ貪り食うだけの存在となっていた。 見るに見かねた永琳は、巨大だったまりさを外に出してやることにした。 巨大だったまりさの目は、途端に輝きを取り戻した。 鈴仙は巨大だったまりさの案内を元に、以前に巨大だったまりさが住んでいた場所まで同行し、そこで別れをつげた。 巨大だったまりさは、過去の事は忘れることにして、ゆっくり人生の再起を誓っていた。 そんな矢先、巨大だったまりさが待ち望んでいた運命の再会が訪れた。 巣穴近くの川で昼食を探している際に、あの時の巨大れいむに出会ったのだ。 会いたかった、愛しのれいむ! 再び頭の中でバラ色のゆっくり人生を頭に描き、駆け寄っていく巨大だったまりさ。 「ゆっ!?」 巨大れいむの方もこちらに気づいたようだ。 舌まで出して待っている。本当に大胆なゆっくりなんだから~♪ 次の瞬間、巨大だったまりさは巨大れいむの昼食となった。 身体が極端に縮小された上に、皮あまり状態になったワンタンのようなゆっくりなど、巨大れいむからすれば”変な餌”でしかなかったのである。 「だべちゃだめだってばばば……」 巨大だったまりさの声は、巨大れいむの中に消えていった。 一方、永遠亭。 今回の実験の考察が一頻り終わり、永琳と鈴仙は居間で実験の副産物の肉まんを味わっていた。 「ところでお師匠さま。」 鈴仙が師匠に質問を切り出す。 「あの巨大まりさ、ここに来た時点で結構体が大きかったですよね? もしかして、あの時すでに、れいむの子供が……」 何かを思い出すように、「ふふ♪」 とだけ応える永琳。 その身が発する狂気の波動が心地よい。 とはいえ、やはりこの人だけは敵にするまい、と再び肝に命じる鈴仙であった。 「あー……いいです。聞かなかったことにします。その変わりと言っては、なんですけれど……」 察する鈴仙は次の実験に対し、要望を述べた。 「妊娠のツボを押す役、今度は私にやらせてくださいね♪」 この師匠にしてこの弟子あり、である。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/505.html
鬼意山はれみりゃを使ったビジネスを行っていた。 所有しているれみりゃ専用繁殖施設『れみりゃ牧場』では毎日500を超えるれみりゃが産声を上げていた。 鬼意山はれみりゃの様々な使い道を考え、大小胴有り胴無し構わずに売り払って金を儲けたのだ。 今回女子大生である私はそんなれみりゃ牧場を見学することになった。 理由は大学の課題で『どこでもいいので施設を見学してレポートを書け』と言われたからだ。 近いし面白そうだと思い、試しに電話してみたら喜んで見学を許可してくれた。 「今日は無理を言ってすいません。よろしくお願いします。」 「こちらこそ。我がれみりゃ牧場をじっくり見てくれると嬉しいです。」 話してみたがかなりの好青年であった。 この年齢でここまで大きな企業をつくり出すとは末恐ろしい方である。 「見学の前に軽く説明しますね。ここのれみりゃは様々な使われ方をするのです。 それによって飼育方法も変わるんですよ。」 「なるほど~。使われ方って言うと食用とかですか?」 「まぁ色々ですね。れみりゃはかなり多くの活用法が隠されているんです。 では順を追って案内しながら説明していきますね。」 鬼意山が最初に案内してくれたのは胴有りれみりゃの出産部屋であった。 れみりゃは基本単体生殖で子孫を増やす。 ある程度ゆっくりできる、つまり十分な栄養を取れていれば勝手に子供ができるのだ。 植物型も動物型もあるが、胴無しから胴有りが産まれることは無いという。逆も同じだ。 だがこの施設ではれみりゃ1匹1匹をそんなゆっくりさせたりはしない。 どうして、と私が聞いてみるとこう返ってきた。 「何故って?非効率的だからですよ。どんどん増やして出荷しないといけませんから。 わざわざ自然に子供ができる時を待つようなことはしません。 第一、れみりゃはとてもワガママなんです。ゆっくりさせたら調子に乗って手に負えません。」 「じゃあどうやって子供をつくらせるんですか?」 「この部屋を見れば分かるはずです。とりあえず回ってみましょうか。」 私は鬼意山の案内されるがままに室内を見学した。 そして私は驚いてしまった。 部屋の中央には大きなベルトコンベアーが存在しており、 それを挟むように左右にれみりゃが首だけ出して固定されている。 れみりゃたちは前のめりの態勢で首だけロックされていたのだ。 そして、その内約半数のれみりゃたちの頭には茎が生えており、小さい赤れみりゃがぶら下がっていた。 茎が無いれみりゃもいたが、それは動物型出産のタイプらしい。 「れみりゃにはオレンジジュースや繁殖薬などを混ぜた栄養剤をチューブで直に体内に送っています。 その中には子供に影響が出ない特殊な幻覚剤が含まれているのです。 ほら、れみりゃたちの顔を見てください。とても幸せそうでしょう?」 私はれみりゃの顔を見てみた。確かにどのれみりゃもとてもゆっくりした表情をしている。 なるほど、これで子供が発生する条件を無理やり満たしている訳だ。 「おっそろそろ第14班の子供が産まれる時間ですね。コンベアーを見ててください。」 「あの~、14班って…?」 「1~20班にれみりゃを分けていて、時間差で子供が産まれるようにしているんです。 一斉にポンポン産まれると今後の処理に支障をきたしますからね。」 しばらくコンベアーを見ていると、何かが流れてきた…。 「うぁうぁう~!みゃんみゃぁぁぁぁ!!!」 「どきょだどぉ!しゃびしいどぉ~!!」 「うぁうぁう~♪うみゃれちゃどぉ♪」 「なぎゃしゃれるどぉ♪たのちいどぉ~♪」 流れてきたのは赤れみりゃだった。沢山の赤れみりゃがコンベアーで流れていた。 反応は様々だが、まだ産まれたばかりの赤れみりゃはただ流されるしかなかった。 「産まれた赤れみりゃはああやってコンベアーで次のステップに運ばれます。 ここでは1日500匹近くの赤れみりゃが産まれています。」 「500!?すごいですね~!!」 「こっちに来てください。流された赤れみりゃは次の部屋でランク付けされます。」 次の部屋に案内されると、そこでは様々な機械が流れている赤れみりゃを検査していた。 そして検査が終わった赤れみりゃはいくつものアームでひょいひょい運ばれていた。 「ここで赤れみりゃの質の検査をして格付けし、用途別に分配します。 肌、中身、服に見える外皮部分、帽子などを検査し優秀な個体などを判断します。」 「へぇ~…。そう言えばアームが色んな箱に赤れみりゃを入れてますねぇ…。」 赤れみりゃたちは親のことなどそっちのけでコンベアーを楽しんでいた。 「うぁ~♪おもしりょいどぉ♪うぃんうぃんだどぉ♪」 「うぁうぁっう~!」 「おぜうしゃまはおにゃかしゅいたどぉ!」 「しゃくやぁ~!おにゃかしゅいだんだどぉ!」 ヒョイヒョイヒョイッ 「う~♪たきゃいたきゃいだどぉ♪」 「おしょらちょんで…うべしっ!」 「いぢゃいどぉぉぉぉ!じゃぎゅやぁぁぁ!!!」 そして終着地点でアームに掴まれ箱に放り込まれた。 箱には『ペット用』『ストレス解消用』『食用』『餌用』と書かれていた。 鬼意山は丁寧に説明してくれた。 「ペット用は最も質が高く将来有望な赤れみりゃが選ばれます。 全体の1割にも満たない数ですが…。 この赤れみりゃたちは人間のペットとしてのノウハウを徹底的に教えられます。 ワガママな性格や飼う上で邪魔な本能を排斥し人間と共に生きるための 知識を叩き込むのです。」 「ストレス解消用はペット用から外れた質の悪い赤れみりゃが選ばれます。 赤れみりゃのまま冷凍保存して出荷したり、ある程度成長させてから 出荷したりします。名前の通り虐待目的の方に人気がありますね。 後ボクシングジムでもよく注文を受けます。 基本飼育は大部屋で家畜のように適当に育てますね。 一応食べられますが食用と比べると味は劣ります。」 「食用は質がそこそこで人間が食べても支障の無い赤れみりゃが選ばれます。 完全に家畜の牛や豚と同じ扱いですね。ある程度育ったらレストランなどに 出荷されます。もちろん個人で買う方もいますね。 わざとすぐ食べずに、育てて子供を食べるといった用途にも使えます。 あと加工して食品にしたりもします。」 「餌用は最も質が低くどうにもならない駄れみりゃが選ばれます。 育てる価値も無いのですぐにミンチにされて加工され、 他のれみりゃの餌にこっそりと混ぜられます。」 「ほほう…。まさに格差社会ですね…。」 「では順番に分けられたれみりゃたちを見てみましょうか。」 1、ペット用 まずはペット用の部屋に入った。 透明なガラスで仕切られた部屋には子れみりゃたちがおり、 教員と思われる人間の発言を真剣に聞いていた。 「分かりますか?好き嫌いはいけません。出されたものはしっかり食べましょう。」 「わかったどぉ~!!」 「それと、飼い主の許可無しでダンスを踊ってはいけません。不快に思う方もいますからね。」 「き…きをつけるどぉ…。」 「へぇ…。れみりゃとは思えないほど真面目ですねぇ。」 「あれは相当訓練を積んだれみりゃたちですよ。 最初に人間の強さを教え込み、自分たちが人間より下の立場だとれみりゃたちに認識させます。 れみりゃは再生力が高いので死なない程度に傷めつければすぐに屈服します。 後は親切丁寧に世話や躾を行い人間に対しての恐怖心を忘れさせ、 人間に従うことこそがおぜうさまの使命だと刷り込めばああなります。」 「なるほど…。手間がかかってる分優良な個体ができるんですね。」 「ちなみにあの中でも金バッジに届くれみりゃはほんの一握りしか出ません。 ここは金バッジの最高級品以外は販売しない方針なので、金に満たなかった れみりゃたちは残念ながらストレス解消用に回されます。」 2、ストレス解消用 次に案内された部屋はストレス解消用、つまりサンドバックれみりゃを養殖する部屋だ。 部屋ではサンドバック目的で育てられているとは思えないほどれみりゃたちがゆっくりしていた。 広い部屋でれみりゃたちがダンスを踊り、餌箱の中身を食い荒らし、さくやさくやと喚き散らしている。 「ず…ずいぶん好き勝手やってるんですね…。」 「ストレス解消用は特に躾をする必要がありませんからね。 それにワガママな方が殴った時すっきりするでしょう?」 「あっそれもそうですね…。いい子だったら殴りにくいですよね…。」 れみりゃたちはマジックミラーの仕切りで私たちの存在に気付いていなかった。 ここでは人間は極力関わらず、機械で餌の追加や掃除などを行う。 人間に慣れてしまわないようにだ。それと関わるとウザいからでもある。 「痛みとは無縁の環境で育てた方が暴力を受けた時の反応がいいんですよ。 それに再生力が高いので多少ボコボコにしたってすぐに再利用できますしね。」 「再生力が仇になる訳ですね。ちょっとボコボコになった光景を見てみたいかも…。」 「お見せしますよ。何匹かはサンプルとして実験しますから。」 移動した場所ではサンプルに選ばれたれみりゃが従業員に殴られていた。 両手を縛られ天井に吊り下げられた状態だ。まさにサンドバックである。 「おらおらおらおらっ!!!!」 バギッドゴッガスッガスッ!!!! 「いだいどぉぉぉぉぉぉ!!!!ざぐやにいいづげでやるぅぅぅぅぅっ!!!!」 「言えるもんなら言ってみろやぁぁぁ!!!このやろっおらおらおらっ!!!!」 ドスッバキッゲシッボキッガスッ!!!! 「う゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁっ!!!ごべんだざい゛い゛い゛ぃぃぃぃぃぃっ!!!」 従業員は何かあったのか必要以上にれみりゃをぶん殴り、蹴り上げていた。 確かにストレス解消の他、ボクシングでも使えそうである。 「ふぅっ!さっぱりー♪」 「うぁっうぁっうぁっ…!!!」 「痙攣してやんの。オレンジジュースを少量かけて再生の具合を見ないとな…。」 れみりゃは殴られた場所と口から、肉まんの具的物体を噴き出し痙攣していた。 あんな状態でも再生してしまうと聞き私は驚いた。何だか不憫に思えてしまった。 「うぁ…う~…。」 「まだ10分しか経ってないのにもう治りかかってるぜ…。」 「う…?う゛ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!やべでっぐるなどぉぉっ!!!!」 「次は死ぬ一歩手前からの再生時間を計るぞ…おらおらおらおらぁっ!!!!」 「キリが無いので次の食用の説明に入りますね。」 「…お願いします…。」 3、食用 次に訪れた場所はまさに地獄絵図な場所だった。 家畜の牧場みたいな所にブクブクと太ったれみりゃが大量にいるのだ。 皆うーうーと鳴きながら餌を貪り食らっていた。 「人間の食卓に上がるれみりゃたちです。当然れみりゃたちは知りませんが…。 ここでは太りやすく栄養満点な餌を好きなだけ食べさせています。 そして適度な大きさ、脂、肉質になったれみりゃは次々と巨大クレーンで運ばれ、 加工部屋に送られて加工されます。 ここは成体の部屋ですが、産まれたばかりの赤れみりゃをすぐに加工する場所もあります。」 「味は違うんですか?」 「ええ、成体は熟成した濃厚な旨みのある肉となります。ハムやウインナーにも最適です。 逆に赤れみりゃはあっさりとした味わいで肉本来の味わいを楽しめます。」 鬼意山に連れられ今度は加工部屋にやって来た。 「言っておきますけどれみりゃとは言え結構凄惨な光景が広がってますよ。 耐性の無い方が見ると気分を害する可能性がありますが…。」 「大丈夫です!私は牛の目の前でステーキが食べられるぐらいですから!」 「…良く分かりませんが了解しました。来てください。」 …やっぱり見なきゃ良かった。私は袋に顔を突っ込みそう思った。 そこではれみりゃたちが次々と解体され、中身を搾り取られていた。 中には丸ごとスモークされているれみりゃもいた。 「や゛べでぇぇえ゛え゛え゛え゛っ!!!!あづいのやだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 「うぅぅわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!いぢゃいぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」 「ざぐやにいいづげ…うぎょえぇぇぇぇぇぇ…うげひっ!!!!」 「ぐ…ぐりゅじぃどぉぉぉぉ…ちゅぶ…れ…うぎゃげぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」 響き渡る断末魔の悲鳴、絶望と恐怖と激痛が支配する恐るべき部屋であった。 だが悔しいことに匂いだけは良かった。いい匂いなのだから仕方がない。 「こっちは赤れみりゃですよ。赤れみりゃは小さいので丸ごと加工してしまいます。」 「こちらも何とまぁ…。子供が見たら泣きますね…。」 上のフックに大量の赤れみりゃがぶら下がっており、もうじき訪れる死を前に泣き叫び暴れていた。 「だじゅげでぢゃどぉぉぉぉぉ!!!!」 「みゃんみゃぁぁぁぁぁぁっ!!!!じゃぎゅやぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 フックにぶら下がった赤れみりゃの下から炎が噴き出し、赤れみりゃたちを包み込む。 こうやって程よく表面だけ焼き上げて生きたまま真空パックで出荷するのだ。 ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ… 「あじゅいっあじゅいどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」 「うぁっうぁっうぁっうぁっ…。」 痙攣し始めた頃が火あぶりを止めるタイミングだ。すぐに赤れみりゃたちは アームに掴まれ真空パックで仮死状態のまま保存される。 「こうすることで日持ちさせるようにします。 生きた赤れみりゃを食べて反応を楽しみたい方の要望に答えて生まれた加工法です。」 あぶられた赤れみりゃたちはブラブラと不気味にぶら下がっており動かなかった。 「餌用はもっとすごいですよ。楽しみにしててください。」 「ははは…。そうですか…。」 4、餌用 「餌用の赤れみりゃは即座にミンチにして他のれみりゃの餌になります。 ここからでも赤れみりゃの愉快な声が聞こえてくるでしょう?」 耳を澄ましてみると、奥から食用以上の叫び声が聞こえてきた。 「うわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!!!」 「やぢゃどぉぉぉぉぉぉっぅぶっ……ごボぉお゛っ……!!」 奥に行くとさっきより更に恐ろしい光景が目に飛び込んできた。 餌用に認定された赤れみりゃが巨大な箱から一気に巨大ミキサーに放り込まれていたのだ。 ミキサーは刃を光速回転させ、中に入れられた赤れみりゃを次々とバラバラのミンチにしていった。 箱にしがみ付き助けを求める赤れみりゃや、未発達な羽で必死に飛ぼうとしている赤れみりゃもいたが、 最後には等しくミキサーに落ちグチャグチャにされミンチとなった。 「私はここでよくコーヒーを飲んで赤れみりゃで作ったハンバーグを食べてますよ。 ミキサーでミンチにされる音と赤れみりゃの悲鳴が最高に食欲を増幅させてくれるのです。」 私は思わず引いてしまった。やっぱりこの人普通じゃない…!少し彼に恐怖を覚えた。 「…ははは…(見た目だけなら格好良くてタイプだったのになぁ…。」 私は少しがっかりしながらミキサーから目を背けていた。夢に出そうで怖い…。 「まぁ一通り説明と案内を終えましたが、何か質問はありますか?」 「あっはい。今回胴有りの見学をしましたが、胴無しはどんな感じなんですか?」 「胴無しはつまらないですよ。しゃべりませんし鳴くだけですし…。 多分普通の豚や鶏の加工と変わらないと思いますよ。 でも見たいのなら案内しますが、どうしますか?」 「止めておきます…。ちょっと気持ち悪くなっちゃって…。」 「そうですか…。今日はご見学、ありがとうございました。」 お土産に赤れみりゃの一口肉まんも貰ったが、とても食べる気がしなかった。 そしてレポートをこれから書くことを考えると、ちゃんと書けるか不安だった…。 帰り道…自転車で家まで走っているとたまたま野原を歩き回るれみりゃの家族を発見した。 「う~♪あかちゃんかわいいどぉ~♪」 「うぁうぁ♪みゃんみゃぁ~♪」 「…ゆっくりしてるね!」 私は何となく話しかけてみた。れみりゃは警戒心など微塵も無く自ら近づいてきた。 「う~♪おぜうさまのかわいいあかちゃんだどぉ!あかちゃんにあまあまあげるどぉ!」 「う~ん。あまあまは無いけどこれならあげる!2人で食べてね!」 私はお土産でもらった肉まんをこともあろうにれみりゃにプレゼントしてしまったのだ。 だがれみりゃ家族は大喜びだった…。 「う~!おいしいどぉ!なかなかはなしのわかるにんげんだどぉ~!!」 「みゃんみゃぁ~おいちいどぉ~♪」 「じゃ、私はこれで…。」 私は何だかれみりゃに同情していた。せめてあの家族には幸せになって欲しいと願った。 私が自転車でそこから離れてすぐ、あの場所から声が聞こえた…。 「う~!おぜうさまにもっとたべものをよこすどぉ~!!!」 「うるせぇ!!さっきチンチロで負けてイライラしてんだよっ!!!」 「うべぎゃ…みゃん…みゃ…っ。」 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あっ!!!!あがぢゃぁぁぁぁぁん!!!!」 …私は何も聞いてない…何も見ていない… 私は黙ってその場を立ち去った。 そして、ゆっくりに安息の場所など無いことを再確認させられた。 人は常に他の生き物を犠牲にした上で今の生活をしているのです。 好き嫌いして食べ物を残さないようにしよう!!! by七連星の人? このSSに感想をつける