約 632,056 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3655.html
「これなら治る」 ゆっくりれみりゃは本来なら再生能力が高く。足の傷程度ならいくらか酷くても治らないと言う事はなかった。 しかし、これは傷で切れた部分からどんどん皮が破れていき、中身が止めどなく漏れ出してくる。 「栄養状態があまり良くないわね」 水飴で傷口を小さくしながら、中身を戻していく。 「野菜を与えなさい。グズるかもしれないけど、調理すれば平気だと思うわ」 八意永琳はそう言うとタオルットを敷き詰めたバスケットを用意し、ゆっくりれみりゃをそこに寝かせる。 兎は一礼すると、それを持って研究室を去る。 「それにしても弱すぎませんか?」 因幡てゐが永琳に問いかける。 「れいむ種を使った代理出産なの、安っぽい急造品だから、次はどこに問題が起こるか分からないわ」 「うっわー、生まれながらに不幸しかない人生なんて」 「興味がある?それならラボに来なさい」 永琳は何枚かの資料をてゐに渡し、地下の研究室へ案内する。 「優しいお母さんの部屋」と可愛らしい文字で書かれた部屋の前にてゐはやってきた。 ここはゆっくりを『出産』させるのではなく『生産』する事に特化した実験を行う部屋で、 数々の出産に耐えられる年齢に成長したゆっくりが連れてこられていた。 妊娠したゆっくりれいむが三体、テーブルの上に並ぶ。どのれいむも嬉しそうに自分の子を自慢したり、子どもに語りかけたりしている。 それを防音のマジックミラーの向こうから二人は覗いている。 「それぞれのゆっくりには糖分を取らせ、胎児を急速に成長させているの」 マイクがゆっくりれいむ達の会話を拾う。 「れいむのあかちゃんはとってもゆっくりしてるよ」 「ゆふふ、れいむのあかちゃんもゆっくりしてるよー」 「ゆー、もうすぐみんなおかあさんだねー」 興味深そうに資料とれいむ達の様子を見比べる。 「急速な胎児の成長は母体に負担をかける。するとどうしても早産になるのよ」 「声を聞く限りじゃ、そんな違和感を持ってなさそうですけど」 「そこまで知能はれいむ種にはないよ。現実をただ自分の都合のいいように肯定していく事しかできないから」 さらにマイクはれいむ達の声を拾う。 「ゆ?あかちゃんがうごいたよ。うまれそうだよ!」 「れいむも、れいむもだよ。うまれるよ!」 「ゆー、かわいいあかちゃん、ゆっくりうまれてきてね!!」 れいむ達の腹部の膨らみがより大きくなり、産道が開いていき、中からピンクの帽子が見えてくる。 「師匠、これって・・・」 「中に入れたのはれみりゃの胚よ、さっきのれみりゃよりももっと状態は悪いけど」 「うわー、えっぐいー 半身まで生まれ出た辺りから、れいむ達がその異常に気づく。 「ゆ?れ、れみりゃだぁ!!!」 「あかちゃんは?れいむのあかちゃんは?」 「なにごれぇ!!うまれないでぇー!!」 しかし、れみりゃの様子もおかしい。弱々しく鳴き、右腕のない物や目の開いていない物もいた。 産道から元気に飛び出すのでなく、ぬるりとテーブルの上に生まれ落ちる。 落ちた衝撃で足はぐにゃりとへしゃぎ、自立すら困難な状態になる。 うーうーと呻き声をあげながら必死に翼を羽ばたかせるが、胴をかすかに宙に持ち上げる程度で、飛ぶと言うにはあまりに弱々しい。 「れいむのあがちゃん!!だいじょうぶ?ゆっくりできる?!」 「れいむ、これはれみりゃだよ!れみりゃはゆっくりせずにしんでね!」 「あがぢゃんになんでごどいうのぉお!!」 狼狽する母れいむ達。生まれたばかりとはいえれみりゃ達は赤ちゃんよりも大きく、成体のれいむ達にとって十分驚異的な存在だ。 「移植から2時間で産ませるとこんなものね」 じわりじわり、れみりゃ達は不完全な身体を補うべく食料を求め、れいむ達に近づく。 無論、再生能力がこの不完全なれみりゃに強く作用するはずがない。例え成体のれいむを3匹食らったとしても、 奇形の部分が直るわけではない。再生はもとある状態に戻るだけで決して今の状態よりいいものになる事はない。 「あ、あかちゃんこないで、おがあざんをゆっぐりざぜで、ごないでね!!」 「うわぁー!!れみりゃ、こないでぇ!しね、はやくしんでぇえー!!」 「あがぢゃん・・・お、おいで、れれれいむがまま・・・だよ」 「れいむ種は母性が強いですね」 てゐは関心しながら、その様子を見る。永琳は相槌を打ちながら資料に経過を書き込んでいく。 「れいむ種は他の種に比べ、母性が強いのよ」 「母性だけが強いんでしょ」 そう言葉を交わしている間にも1匹のれみりゃがれいむに辿り着く。 3匹の中でもっとも強くれみりゃを拒絶していたれいむに。れみりゃは口を開き、手でれいむを掴む。 「ややや、やめでぇー!!」 れいむは大きく身体を震わせる。れみりゃの握力は大した事なく簡単に振りほどかれてしまう。 そして一か八か、れいむはれみりゃに噛みつく。 「うー!うあー!!」 れみりゃは嫌がり、身体をじたばたされる。捕食種でないれいむに皮を食い破るには若干力が足りない。 何度も咀嚼して、皮を食い破らねばれみりゃには止めがさせない、しかし。 「どうじであがぢゃんたべぢゃうの!!」 同族からの避難、そして侮蔑の眼差し。 母性の強いれいむにとって子を殺すと言う事は最もゆっくりできない行動の一つと言って良い。 「ゆ・・・でも、れみりゃだよ。ゆっくりできないよ!」 「でも、このこはれいむのあかちゃんでしょ!!」 そう言うと母性の強いれいむが自分の産んだれみりゃの傍による。 「れ、れいむのあかちゃん。ゆっくりしようね!!」 「二時間しか妊娠を経験していないのに凄い母性だな」 永琳は手元のパネルを操作し、れいむ達のいる部屋の気温を変更する。 「れみりゃ種は日光が苦手だ。さらに幼いゆっくりにとって寒さは命取りになる」 気温を下げ、ライトの出力を上げ、光を強くする。 「うー・・・ざむいどぉ・・・」 「まぁまぁ、だずげでぇ」 「ざむい・・・どぉ、まーまー・・・」 それぞれの産まれた母れいむに助けを求める。先ほどまでれいむに噛みつかれていたれみりゃまでも。 かすかに手を動かし、れいむ達に向けて伸ばす。れいむ達は。 「あがぢゃーん、だいじょうぶ?ゆっくりしようね!」 「このこはれいむのあがぢゃんだよ」 「あがちゃん、ままといっじょにゆっぐりしようね!!」 れいむ達はそれぞれの産んだれみりゃに駆け寄る。永琳はさらに室内の温度を下げる。 「この代理出産、もっと精度上げられないんですか?」 「ええ、もっとじっくり育てていけばね。そこは加工工場が利益を判断していけばいいわ」 次第にれみりゃの動きは緩慢になり、鳴き声も弱く小さくなっていく。 れいむ達はれみりゃ達を囲み、暖める。そして、優しく声をかける。 「あかちゃん、ゆっくりしようね」 「まま、ゆっくりできるようがんばるからね」 「ゆっくりしてね、あかちゃん」 「うー、まま・・・あったかいどぉ」 「まま、だいすきだどぉ・・・」 「とって・・・もゆっくりできるどぉ」 そこに捕食種、通常種などという区別はない。ただの親子、ただの親子の情愛だった。 「これ以上はれいむの方にも影響が出るわね、光で・・・」 今まで消えていた他のライトも点灯し、ケージ内はその明るさを増す。 れいむ達の優しさなど無意味と言わんばかりにれみりゃは弱り、死んでいく。 「だめぇえ!あがぢゃんゆっぐりじでぇー!!」 「ゆっぐりじでよ!!ままどゆっぐりじでよ!!」 「どうじであがぢゃんゆっぐりでぎないのぉ!!」 動かなくなったれみりゃに頬ずりするれいむ達。 「あがぢゃん・・・ゆっぐりざぜであげられないままでごめんね」 「ごめん・・・ごめんなざい!!ごめんなざいぃい!!」 「ままは、ままはだめなおがあざんだっだよぉ!!」 れいむ達はまた別の胚を植え付けられる。 その母性が壊れ、妊娠を拒絶するまでれいむ達は子を生産し続ける。 by118
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4519.html
れみりゃは俺が一番最初に飼い始めたゆっくりである。 今思えば、れみりゃは俺にいろんな切っ掛けをくれた。 そう、今の自分を形作っている中には、確実にれみりゃの影響があるのだ…… ◇ ◇ ◇ 「うっうー♪ぷっでぃんもってきてー」 「ほら、何バカなこと言ってるんだ。ちゃんと給仕ができなかったんだから、約束通り指結びだな」 俺はそう言いつつれみりゃの手を掴むと、ぶよぶよした指を本来曲がらない方向に曲げながら片結びをした。 親指結びではない。その柔らかすぎる指を利用して、同じ手の人差し指と中指を結んでいるのだ。 「うわぁぁぁ!!! ざぐやぁぁぁ!?!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり。それじゃ、次こそ溢さずに運んでこいよ?」 「いだいど!! いだいどぉぉぉ!!!」 「…………」 「ぼういや!!! ぼういやだぁぁぁ!!! ごーまがんにがえるぅぅぅ!!!」 床を転がりながら子供のようにだだをこねつづけるれみりゃを静かに見るが、特にこれといった感情は湧き上がってこない。 こんなの、ここ数日では当然の光景だからだ。 でも駄々をこねられて不満であることをれみりゃに伝えるため、とりあえず形だけでも大きな溜息を吐いておく。 「……はぁ、次は頭に針でも埋め込んでみるか。少しは頭が良くなるだろ」 「――――ッ! わ、わがりまじだぁ……。ゆっぐりはごんでくるどぉ……」 急に泣きわめくのをやめたかと思うと、青い顔をしながら台所へゆっくりと移動していった。 れみりゃの記憶力でも、一応は昨日の出来事を覚えているらしい。 片手の指を結んだらそれだけコップが運びにくくなることは、どうやらまだ理解して無いようだったが。 このれみりゃは、俺が見つけた初めてのれみりゃだった。 もちろん胴無しはそこそこ見かけていたけれど、この前運良くこの胴つきを捕まえたのだ。 れみりゃは自己再生能力が強い。 腕をもぎ取っても一晩経てば生えてくるし、栄養状態が良ければ毎日もぎ取っても死ぬことはない。 しかしれみりゃは、腕が生えてくるごとに腕をもぎ取ったことを忘れてしまう。それを覚えさせたければ、相当に長い期間が必要だろう。 そこで俺はこうして羽や指を結んだり、異物を埋め込んで痛みを持続させる方が向いていると思ったのだが、どうやら正解だったようだ。 今ではそこそこ素直に言うことを聞いてくれる。 俺はある計画を始めていた。 同士ならば、先ほどれみりゃに給仕をさせようとしたことで解るだろう。 ―――『れみりゃはメイド長計画』である。 元々は『普段さくやとか言ってるれみりゃなんだから、メイドにされるのは屈辱なんじゃないか?』というのが始まりだ。 だが、思いのほかそれは良いことに気が付いた。気がついてしまった。 ……新たなるジャスティスの誕生である。 無謀かと思うかもしれない。 しかし、俺はやり遂げてみせるっ! 幸いにも他に趣味は持ってないし、今は大学の夏休みだ。時間もたっぷりある。 え? メイドならさくやを探せって? ドジっ子アホメイドの良さがわからんとは哀れな奴め。 ◇ ◇ ◇ れみりゃはこの日、新しくこの家にやって来たゆっくりを見て驚いた。 こうしてゆっくりをおにーさんが連れてくることは何度もあったが、今回はゆっくりできないことをするためのゆっくりじゃない。 あたらしい家族なのだ。 「会社から帰ってくる時に山を通っていたら、偶然見つけたんだ。ほら、挨拶しろ」 おにーさんにそう言われても、れみりゃはじっとして動かないままだった。 だってそこにいたのは――― 「ぎゃおー!!! たーべちゃうぞぉー♪」 ―――れみりゃ、それもれみりゃザウルスである。 れみりゃザウルスはゆっくりしている。 そこにあるのは、飼いゆっくりとか野生のゆっくりとか、そんなのとは別次元のゆっくりだ。 「うー!? あそこにれみりゃがいるどぉー!?」 「ああ、あれは我が家のメイド長だ。何か困ったらあのれみりゃに訊け」 「うぅ~♪ ゆっくりりかいしたどぉー♪」 そう言いつつ、よちよちとこっちにやってきた。 緑色のその姿は凛凛しく、かっこよく、とても強そう。 "たーべちゃうぞー!" がこれほど似合うゆっくりは、他には存在しない。 ふりふりしている尻尾のゆっくりしている様子も、 "かりしゅま☆" すぎてとても言葉にできないほど。 つまるところ、れみりゃザウルスはとっても "えれがんと" で "ごーじゃす" で―――ゆっくりできるゆっくりだった。 「すごいどー!? すごくゆっくりしたおぜうさまなんだどぉー!」 「う~♪ れみりゃもすごくゆっくりしたザウルスなんだどぉ~♪ ゆっくりしていってねぇ~!!!」 そう言いながら、れみりゃはこのれみりゃがゆっくり家族に馴染んでくれることを願った。 野生だから最初は時間がかかるけれど、一度家族になれればとてもゆっくりできる。 だからせめて、死ぬまでに一度は馴染んで欲しかった。 「れみりゃはうれしいんだどぉ~♪ はじめてのおともだちだどぉ~♪」 「うっうー☆ てれるどぉ~♪」 れみりゃはこれまで、何度もゆっくりが殺されるのを見てきた。 この前はえーきさまが殺された気がする。 とにかく、飼いゆっくりになっても安全ではない。 おにーさんは怖いにんげんさん。 でも、それと同時にやさしいにんげんさんなのだ。 ゆっくりできないことをしなければ、やさしいのだ。 だから友達になったこのれみりゃには、何も悪いことをしてほしくなかった。 「おい、れみりゃ。明日は当然だが仕事がある。だから明日『しつけ』をするまでの間、ゆっくりがんばってくれ」 何も悪いことを、してほしくなかった。 ◇ ◇ ◇ 「ごじゅじんざま、こーびーをもっできまじだ……」 「いや、コーヒーじゃなくてジュースなんだが……まあいいか。ちゃんと運べているし」 『れみりゃはメイド長計画』を始めてから二週間後。 てっきり夏休みいっぱいかかるかと思ったのだが、たったそれだけの期間でれみりゃは給仕の仕方を覚えてくれた。 もうジュースをこぼして指結びをすることはほとんどない。 ただプライドだけは無駄に頑固なのか、屈辱の涙を溢しながらの給仕だが。 「れみりゃ、もう行っていいぞ」 「わがりまじた。しづれいじまじた」 ちゃんと一礼をしてから出ていくれみりゃ。 服装もメイドの格好ではないし、主人に忠誠も誓ってないのだが、その姿はメイドといえないこともなかった。 あとは俺に懐いてくれてたら最高なのにな…… もっとも、さすがにそれは望みすぎだと思う。 「……しかし、どうしたものか」 俺は今現在、ゆっくり虐待の大きな岐路に立たされていた。 今までのような肉体的なものではなく、ちょっとしたぬるいじめも好きになってきたのだ。 もちろん、その原因はあのれみりゃである。 決まった時刻に給仕で来るように言っているのだが、その時にからかうだけでも俺の心は満ち足りてしまう。 これは―――恋!? いや、違うか。ゆっくりに恋するほど落ちぶれてはいない。 「そういやあいつ、この時間の後はどこかに遊びに行ってるが……友達でもいるのかね?」 一応あのれみりゃには、シルバーバッチをつけている。もしかしたら同じ飼いれみりゃの友達でもいるのかもしれない。 ちなみに最初は外に出すたびに逃げないの疑っていたが、何度も家に帰ってくるうちに信用することにしたのだ。 甘いかもしれない。だが、こういうのも悪くない気がする。 「うわぁぁぁーーー!!!」 そのとき、突然外かられみりゃの叫び声が響いた。 犬にでも襲われたのだろうか? だったらちょっと眺めた後に助けよう。 「おい、うるさいぞっ……って、なんだそのぱちゅりー?」 ◇ ◇ ◇ 「むきゅ、ぱちゅりぃはぱちゅりぃよ。ゆっくりしていってね!!!」 「うー! ゆっくりしていくどぉー!!!」 次の日、おにーさんがお仕事に出かけてしばらくしたころ。 メイド長のれみりゃは、れみりゃザウルスに親友であるぱちゅりぃを紹介していた ぱちゅりぃはこの家で、二番目の古参である。 れみりゃよりも頭がいい "まじょ" なので、その知識はれみりゃとは比べ物にならない。 実質、この家のゆっくり全ての司令塔だった。 「いい、れみりゃ? おにーさんのいうことをよくきいておきなさい。そうすればゆっくりできるから」 「うぅ~♪ れみりゃはザウルスだから、いつもゆっくりしているどぉ~☆」 「…………」 「うっうーうぁうぁ☆」 ぱちゅりぃがじっとこっちを見つめている。なんか、すごい目だ。 もちろんれみりゃもわかってる。このれみりゃは何もわかってないって、わかってる。 それを教えるのが自分の役目だ。 「れみりゃ、よくきくんだど。このいえでは、おにーさんがおぜうさまなんだどぉ!」 「うぅ? おぜうさまは、れみりゃだど? おにーさんはさくやだどぉー♪」 「う~~! ちがうの! おにーさんがおぜうさまで、れみりゃはさくやなんだどぉー!!!」 「うぅ~???」 れみりゃは目の前のれみりゃがどうして不思議がっているのか、ゆっくりりかいしていた。 れみりゃも初めてここに来た時は、ここは "こーまかん" でおにーさんは "さくや" だと思っていたのだから。 だけど、おにーさんは強かった。 強くてかりしゅまを持っている、本当のおぜうさまだったのだ。 ちなみにそれはおにーさんがれみりゃをメイド化しようとした時に、れみりゃの立場をわかりやすく説明したものである。 命令できる人=おぜうさま。 命令される人=さくや。 これほどれみりゃにわかりやすい説明もないとおにーさんは思っているが、実は受け入れにくさはまったく変わっていない。 むしろ突然『おまえ、こんどから俺の専属メイドな』と言われてるのに等しいのだ。人間だって理解できない。 「れみりゃはゆっくりした "ぼでぃー" をもってるど。でも、おにーさんはもっとゆっくりしたおぜうさまなんだどぉー!」 「うー! ぢがうもん!! でみりゃばおぜうざまだもん!!」 「むきゅっ! そんなことをいってはだめよ! おにーさんにきかれたらたいへんじゃない!」 「ばぢゅりぃばでぇぇぇ!?!」 「うー……ゆっくりりかいしてほしいんだどぉ……」 れみりゃはゆっくりと説明したが、このれみりゃザウルスはわがままだった。 いや、もしかしたらこのれみりゃの反応が普通で、れみりゃはここでの生活が長くてそう思ってるだけかもしれない。 「……うー? そうだど! れみりゃは "めーどちょう" っていわれてたどぉー! だかられみりゃはさくやだどぉー!!!」 「う、うぅ~!?」 そう言われて、れみりゃは困る。 れみりゃはさくやだ。それは間違いない。 でも、友達のれみりゃの命令を聞く必要はないはずだ。 だから、れみりゃはさくやだけど、さくやじゃない……? でもれみりゃはさくやで、さくやで、さくやじゃなくて……??? れみりゃの頭が熱くなってきた。 さくやだけどさくやじゃないなんて、本来れみりゃは考えることもない疑問だったであろう。 だが、このれみりゃもだてに長生きしているわけではない。 その疑問をゆっくり十分間考え続けた結果―――正しい答えを導き出すことができた。 「れみりゃはさくやだどぉ! でも、れみりゃはれみりゃのさくやじゃないどぉ!!!」 しかし、その十分間にれみりゃザウルスは開き直っていた。 「さくやははやくぷっでぃ~んをもってくるんだど☆」 「うーー!! ちがうどぉ! だかられみりゃはさくやだけど、れみりゃのさくやじゃないどぉ!!」 「ニパー☆ そういえばれみぃ、おぜうさまだったど♪ れみりゃのめいれいをきくなんて、おかしいとおもってたんだどぉ~♪」 「あぁー!? それはだめだどぉ! おにーさんに『おしおき』されるんだどぉ!?!」 「さっそくこーまかんを "ぽぉーい♪" しておそうじするどぉ♪」 「―――ッ! そこまでよ! れみりゃ、やめなさい!」 「ぼうやべてほじいどぉ! やべるんだどぉ!!」 「ぎゃおー! たーべちゃうぞぉー♪」 「ううぅぅぅ……うわぁぁぁ!!! ざぐやぁぁぁ!!!」 「あなたがさくやをよんでどうするのよ……むきゅん……」 ◇ ◇ ◇ 数日後、そこには俺とれみりゃと一緒にゆっくりするぱちゅりーの姿があった。 「むきゅー! すっかりげんきになったわ!!!」 あの時、れみりゃはボロボロになってた野生のぱちゅりーを抱えて泣いていた。 なんでも、このあたりに俺が連れてきたときから唯一の友達だったらしい。 それを聞いて俺は最初に『どうして友達なんだ? あまあまじゃないか』と言うと、 『あまあまだけどおどもだぢなの!!!』と返された。 ぱちゅりー種とれみりゃ種がたまに仲良くなるということは知っていたが、喰う喰われるの関係なのによくわからん。 とりあえず俺は気まぐれで助けてやることにした。 「れみりゃはぱちゅりーのおんじんよ! ゆっくりかんしゃしているわ!!!」 「うー♪ それほどでもないどぉ~☆」 後でこのぱちゅりーに聞いたところ、元いた群れでれみりゃと仲良く話しているところを見られたらしい。 それだけなら問題はなかったのだが、この前れみりゃが襲ってきたことで状況が変わった。 内通者としてリンチにあい、群れを追い出されたそうだ。 ゆっくりの世間も世知辛いものである。 「れみりゃのくせに謙虚にも『それほどでもない』と言うとはな……。よし、今度ケーキを買うか!」 「うぅー! やったどぉー!!!」 「……なんでれみりゃが喜んでんだ? ぱちゅりーの全快祝いだぞ?」 「うううー!?」 まあでも、一応買ってやらないこともないかな、と俺は心の中でこっそり思う。 ここ最近、俺は本当に丸くなった。まるで子供ができた時みたいだ。 ……あ、俺には子供はいないからな? あくまでもたとえ話だ、たとえ話。 「むきゅっ! あんしんしてれみぃ。ぱちゅりーのケーキさんを分けてあげるわ」 「うぅ~☆ ぱちゅりーはやさしーんだどぉー♪ おれいに、いっしょにかりしゅま☆ダンスをおどるんだどー♪」 「いいわよ。いっしょにおどりましょう」 「うっうーうぁうぁ♪」 「むっきゅーむきゅむきゅ♪」 部屋の中で不思議な踊りを踊る饅頭二匹。 れみりゃを始めて捕まえた時は殺意がわきあがったその踊りも、なんだか微笑ましく見える。 ……うざく思えないなんて、れみりゃいじめはできないな、こりゃ。 「でもMPが吸い取られてるから、優しくなんてしてやんない。してやらないんだからねっ!」 「むきゅ? おにーさんがとつぜんなにかいいだしたわね」 「いまはじゆうじかんだからむししていいんだどぉ☆ うっうーうぁうぁ♪」 さすがにそんな風に言われるのは……と思ったが、これが信頼かなと自然に思えた。 つまりそれは、今はその程度のことで『おしおき』しないと、信用してもらっているということ。 そう思った時に俺は何かを感じたが、まあそんなに悪い気分じゃなかった。 信用されるというのは悪くない。……悪くない、のだ。 結局この時はそれがなんだかよく解らないまま、俺は本当に楽しそうに踊りを続ける二匹を見続けた。 ―――うっうーうぁうぁ♪ ―――むっきゅーむきゅむきゅ♪ ◇ ◇ ◇ 「あぁ……ああぁぁぁ……」 「う~♪ み~んな "ぽぉーい♪" してすっきりしたどぉー☆」 「……あきらめましょう、れみぃ」 れみりゃザウルスが完全に開き直ってからどれくらいたったのか。 れみりゃとぱちゅりぃはその "ぽぉーい♪" されたものを必死に片付けて行ったのだが、 それを見かけたれみりゃザウルスがまた放り投げることの繰り返し。 おかげで部屋はすさまじい状況になっていた。 ……なんというか、もう収拾がつかないくらいに。 「……ぱちゅりぃ、おにーさんがかえってくるまでどれくらいだどぉ?」 「……あとながいはりがふたつぶんね。おやつをたべるじかんよりみじかいわ」 絶望的だった。 このれみりゃはこのままだと、確実に『おしおき』される。 それどころか、れみりゃも『おしおき』されるかもしれない。 悪いことをやったのだ、仕方ないだろう。 だが、それでもれみりゃは考えた。 どうすればいいか、一生懸命考えた。 だってれみりゃはさくやなのだ。 かんぜんでしょーしゃなめいどなのだ。 友達ぐらい、救えるはずだ。 さくやならなんでもできる。 なぜなら、自分がおぜうさまだった時からそう信じているから。 今は、自分が―――れみりゃが、さくやなのだ。 しかし根本的に、れみりゃに良い案が思いつけるわけがない。 「ただいまー……って、おかしいな? いつもならここでれみりゃが『う~♪ おかえりだどぉ~☆』とか言ってくるはずなのに」 玄関からそんな声が聞こえてくる。それはつまり……時間切れ。 「う~? さくやがかえってきたどぉ~☆」 「だ、だめだどぉ! おにーさんをさくやってよんだらだめなんだどぉ!! もっと『おしおき』されるんだどぉ!」 「うぅ? なられみりゃの "かりしゅま☆ぼでぃー" でぎったんぎったんにしてやるんだど♪」 「……おにーさんがかえってきたら、すぐにゆうしょく。もうむりよ」 「……こんやはゆっくりできない "でぃなー" になるんだどぉ……おにーさん、おこりそうだどぉ……」 「おーい、夕食の時間だぞー! れみりゃー! どこだー?」 おにーさんがくれる食事は、基本的にゆっくりフードである。 いつも同じ味というわけではなく毎回違う味のゆっくりフードなので、食事はとてもゆっくりとしていた。 台所にはすでに何匹かのゆっくりがいて、自分の皿にゆっくりフードが配られるのを今か今かと待っている。 「おっ、ぱちゅりぃといっしょか。れみりゃザウルスの様子はどうだ?」 「うー……それは……」 「むきゅー……」 れみりゃは何か言わなければいけないが、何も言えなくなってしまった。 ぱちゅりぃもフォローにしようがないのか、同じように黙っている。 だが、件のゆっくりはそんな空気などお構いなしだ。 「うぅ~☆ さくやすごいどぉ~♪ ゆっくりとした "でぃなー" なんだどぉ~♪」 それを聞いて周りのゆっくりたちはぎょっとし、いっせいにれみりゃ達の方を向く。 ゆっくりだけではない。今ではおにーさんも無言になってれみりゃザウルスを見ている。 先ほどまでうるさかった台所は、気味が悪いくらいに静まり返ってしまった。 「うぅっ……」 たくさんの視線と無言の圧力に押されたのか、能天気なれみりゃザウルスもたじろいでしまう。 しかし、みんなは別にれみりゃを怖がらせるために黙ったわけではなかった。 その目には各々が『やめてね!』とか『それいじょういっちゃだめだよ!!』という警告を含ませていた。 だけども、れみりゃとしてのプライドがそれを許さない。 「……ぶっ、ぶれぇーだどぉ! さくや……さくやははやくれみりゃをたすけるんだどぉー!!!」 「いや、助けるって言われても……どうやって?」 「う、うー!?」 「いや、だってみんな何もしてないし、助けようがないって。――ところで、さくやって俺のことだよね?」 「うっう~☆ さくやはさくやなんだどぉ♪ そんなこともわからないのかだどぉ~♪」 おにーさんは一瞬だけこっちを……メイド長のれみりゃを見た。 でも、本当にそれだけだった。それが何を意味するのか、れみりゃには解らない。 「いいかい、れみりゃ。ここでは俺が "おぜうさま" だ。少なくとも俺のことを "さくや" と言ってはいけない」 「そんなのしらないんだどぉ♪ おぜうさまはうまれたときからおぜうさまで、れみりゃはザウルスなんだどぉ♪」 「……お前、この家のルールは聞いてたか?」 「う~?」 「……連れてくる時によく言っておいたはずなんだけれどな。まあ、こうなるか」 このとき、れみりゃは予感に近いものを感じ取った。 おにーさんの顔は笑顔だったけれど、怖かった。 このままあのれみりゃは殺される。 「いいかい、俺を "さくや" と言ってはいけない。これは命令だ」 「それよりはやくぷっでぃ~んをたべるどぉ♪ まったく、さくやはだ―――」 その瞬間、れみりゃザウルスは頭部の中枢餡を棒によって貫かれた。 結果、断末魔を上げるより早く死んだ。 誰に? おにーさんではない。 「うー! ゆっくりしね!!!」 ふらんだった。 この家で一番強い、れみりゃの大先輩であるふらんだった。 ◇ ◇ ◇ ある日のこと、ぱちゅりーはちょっとした事件を起こしてしまった。 "ごほん" と称して読んでいた広辞苑の一部を破ってしまったのだ。 「むきゅー……ごめんなさい、おにーさん」 「れみりゃもあやまるんだどぉ! ごめんなざいだどぉ!!」 目の前で土下座(?)みたいなことをする二匹。 特にれみりゃは俺の怖さを知っているためか、ものすごい勢いで謝っている。 「ほらほら、そんなに謝らなくてもいいって。ぱちゅりーもわざとじゃないんだろ?」 「……でも、ぱちゅりーがごほんをやぶったのには、かわりないわ」 「そうだな、だから簡単な『おしおき』しようかと思う。ぱちゅりーはそれでいいね?」 『おしおき』と聞いて、れみりゃはびくりと震える。 それはそうだろう、前にも実際に何回か受けたことがあるはずだしな。 まあ、今回のお仕置きは本当に、まったく時間をかけない簡単な奴だ。 「むきゅっ! わるいのはぱちゅりーだもの、あたりまえよ!」 「そうだな、聞くまでもなかったか」 俺はぱちゅりーを一撃で潰した。 その時のれみりゃの顔は、一生忘れられないだろう。 そして、その表情こそ……俺が求めていたものだと確信する。 「うわあああぁぁぁぁぁ!?!?!」 少し時間をおいて、れみりゃは今まで聞いたこともないような大声で叫び出した。 そのまま俺に掴みかかってきたため、簡単に足払いで転がしてから背中を踏みつける。 「どうじで!!! どうじでばぢゅりーが!?! どうじでぇぇぇ!!!」 「おいおい、聞いてなかったのか? 俺は『おしおき』をしただけさ」 「『おじおぎ』は……! 『おじおぎ』はゆっぐりでぎないげど! あどでまだゆっぐりでぎだもん!!!」 「―――何を勘違いしてるんだ? これはれみりゃの『おしおき』だよ」 そう、これはぱちゅりーの『おしおき』ではない。 れみりゃが拾って来たぱちゅりーだから、れみりゃへの『おしおき』だ。 大切な友達を殺せば、さぞかし苦しむだろうと思ったからこその『おしおき』だ。 一瞬の静寂の後、れみりゃは顔をぐちゃぐちゃにしながら叫び出す。 「ぶざげるな!!! ばがぁぁぁ!!! うらぎりぼの! じねっ!! じねぇぇぇ!!!」 「おいおい、これは『おしおき』なんだ。……後でゆっくりできるんだろ?」 「ぐがぁぁぁ!!! じねぇぇぇ!!! じねっ! じねっ! じぬんだぁぁぁ!!!」 れみりゃは呪いの言葉を叫び続けるだけの肉まんになった。 もうこのれみりゃは、俺の言うことなど聞かないだろう。 「裏切り……ねぇ」 『信じている』ものを裏返す、最低の行為。 それこそが、俺の求めていた虐待だったのかもしれない。 信用してた相手に裏切られるというのは、とても苦しいのだろう。 友達を失うというのは、とても悲しいのだろう。 指を結んだ時よりも、 羽を結んだ時よりも、 頭に針を刺した時よりも、 今のれみりゃの顔はそれらを軽く凌駕していた。 「じねぇぇぇ!!! ばじゅりーをごろじだにんげんはじねぇぇぇ!!!!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり。……ちょっとうるさいな」 「じねぇっ―――ぐげっ! ぐげげっ! ぐげげげげっ!」 俺は背中を踏んでいた足を後頭部に移動させたが、まだ怨嗟の言葉を吐き足りないらしい。 満足な音になってないのに、それでも口を動かしているのがわかる。 「さて、俺をゆっくりさせてくれたお礼だ。このまま一撃で頭を潰し、殺してやる。―――これからやることも、決まったしな」 ◇ ◇ ◇ 「おいおい、そんなにあっさり殺しちゃダメだろう? 『おしおき』ができないじゃないか」 「うぅー……ごめんなさい」 「まあいいか、緊急時だったしな。そんなに落ち込むんじゃない」 みんなはおにーさんとふらんのやり取りから、ずっと目をそらしている。 殺さなくてもいいと思っていた。 ゆっくり反省すれば、みんなのように生活できると思っていた。 だってここにいるみんなは、ほとんどが野生で生きていたことがある。 みんながすぐに家族として馴染めるわけじゃない。誰でも一度はおにーさんに刃向かったことがある。 それで生きていられるのは、その時は『おしおき』だけで済んだからだ。 おにーさんは優しい。 ゆっくりできないことをされることはあっても、殺されることはない。 悪いことをしなければとてもゆっくりできる。 少なくとも、みんなそう『信じている』。 でもこの家にいる限り、とあるルールがあった。 ルールを守らないとゆっくりできないから、ルールは存在する。 そして、れみりゃはそのルールを犯してしまった。 1、おにーさんの命令は絶対 2、家にいるゆっくりを殺してはいけない 3、どちらかを破ったらふらんに殺される さっきのれみりゃザウルスは1番のルールをやぶってしまった。 だからふらんに殺された。 ―――この家で最古参の、ふらんに殺された。 「れみりゃ、その死体を冷凍庫に運んでくれ」 「……れみぃ? おにーさんが呼んでいるわよ?」 「……! わ、わかったど!! ゆっくりりかいしたどぉー!!!」 「ひぐっ……ひぐっ……」 こうしてれみりゃは、友達になったばかりのゆっくりの死体を運んでいた。 たった一日だけだったけれど、友達だった。助けたかった。 死体は的確に横から頭を貫かれただけだったから、目を閉じさせてやれば眠っているようにも見える。 手を使って表情を整えれば、とてもゆっくりとした寝顔の出来上がり。 もう目を覚ますことはないのだろうけれど、少しでもゆっくりしてほしかった。 そういえば、おにーさんの顔はずっと笑顔のままだった。 新しい家族になったばかりのれみりゃが死んだのに、笑顔だった。 もしかしたらおにーさんは、最初からあきらめていたのかもしれない。 ……最初からご飯として、れみりゃザウルスを連れて来たのかもしれない。 家族になってくれるチャンスがあっただけ、ましだったのだろうか。 "れいとうこ" ということは、明日の夕食になるのだろう。 ゆっくりフード以外の夕食は、みんな同じものなのがお約束。 大丈夫、れみぃならできる。がんばれる。 泣いてなんかいない。このゆっくりは、悪いゆっくりだったんだ。 だから、明日の夕食に出ても食べてやる。れいむやまりさのように、おいしく食べてやる。 だってれみりゃが駄々をこねれば、おにーさんは笑顔で命令して――― そう、れみりゃはメイド長。 どんな仕事もこなす、かんぜんでしょーしゃなめいど。 今日もおにーさんのどんな命令にも従っていく。 そうすればゆっくりできると、おにーさんを『信じている』から。 ―――だから殺されるとも知らないで。 あとがき れみりゃもおだてりゃ木に登る。 前回はゆっくりできなかったようですみません…… というか、やっぱり数日ぐらい修行してから書いたほうがいいのだろうか…… ゆっくりパートが苦手すぎる……なんというか、微妙に賢い。 このお話は今飼っているれみりゃと一番最初に飼っていたれみりゃの話を、時系列を交互にして出しています。 解りにくかったでしょうか? 解りにくければごめんなさい。 れみりゃザウルスの設定をうまく生かせなかった…… でも、友達になりそうな希少種って、これしか思いつかなかったんです。 この後にお部屋が散らかってることに対しての『おしおき』でれみりゃが殺されるかどうかは、 皆さんのご想像にお任せします。 今までの作品を読まなくても楽しめ……るかな? とりあえず大量にゆっくりを飼っている家だと理解してくれれば、楽しめるはずです。 ついでに、家にいるゆっくり全員に死亡フラグが立ちました。 あと黙ってましたが、自分はれみりゃが好きです。こんなの書きましたが嫌いではありません。 前に書いたもの ゆっくりいじめ系2744 B級ホラーとひと夏の恋 ゆっくりいじめ系2754 ゆっくりできないおみずさん ゆっくりいじめ系2756 ゆっくり障害物競走? ゆっくりいじめ小ネタ517 見えない恐怖 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2157.html
※東方原作キャラの一人称小説です。 ※勿論独自設定です。 よろしければどうぞ。 射命丸文の独占レポート!ゆゆかれみりゃの謎に迫る! 皆さんこんにちは、清く正しい射命丸で御座います。 突然ですが、皆さんは『ゆゆかれみりゃ』というゆっくりをご存知でしょうか。 『ゆっくりゆゆこ』と『ゆっくりれみりゃ』を合体させたような外見である幻の超レアゆっくりと名高いゆっくりです。 その超レアゆっくりが!なんと!私の目の前にいるのです! ではその優雅な姿をご覧あれ! _,. -──-- 、_ ,. '" /\ `ヽ、 ,' ゝ / @ \ ノ ヽ, r'y、/⌒y'へ-'⌒i' ̄ヽ_,.へ_ ', とヘ_,.'-─'´ ̄`ー-^ー-、_i `ヽ! ィ . ゝイ,.イノヽ! レ ヽ,_`ヽ7ヽ___ r'´ ィ"レ´ ⌒ ,___, ⌒ `! i ハ ヽ/ ! /// ヽ_ ノ /// i ハ ', .ノ /l ハノ i ヽ. 〈,.ヘ ヽ、 〈 i ハ i 〉 ノ レ^ゝi>.、.,_____,,...ィ´//レ'ヽハヘノ i , i /,. '"´ストーンガ ; レ' ヽ. ! ', ) レ'ノ k' / } く{ } く{ Y i ,ハ } く{^ヽ,7ーi /ムヽ 〈〉 〉 レ' ' , ノi ,ノ/r'7ー--r‐ァTアゝr-‐ヘ!-‐ァ'iく{ i 〈ノ / /ヽ/へ/ヽ、ハ/ヽ. `'く、!,__ノ /ゝrイ´ / ! '; ヽ、_、_! ` // Y、 / ! '; ヽ; イ」ヽ┘ , '/ /,∠ヽ7>、 ;____|______ ';___;; イン´ ,/_,,.. -''" `'ーr'ー‐ァヘ、__ハ二、_,ン‐r'(ン´ i`'ー/ ヽー'"i …う~ん、外見は幽々子さんの服を着たれみりゃにしか見えませんねえ…。 って、違う違う! この子は間違いなく幻のゆゆかれみりゃなのです! では、それを証明するために…ゆゆかれみりゃの声をどうぞお聞きください! 「うふふ~♪」 なんと! れみりゃが「うふふ~♪」と言い出しましたよ! どこぞの普通の魔法使いの黒歴史の真似をさせた訳では決してありません! 間違いなく!絶対に!ゆゆかれみりゃが自発的に「うふふ~♪」と言い出したのです。 勿論、この違いだけではありません! 今からそれをお見せしましょう! 「ゆゆかれみりゃさ~ん、貴方の優雅な舞をご披露していただけませんか~?」 「うふふ~♪おねえさんよくわかっているのねぇ~ん♪」 と、笑いながらどこからか扇子を取り出してきました。 どうですか! 普通のれみりゃは扇子なんか持ちませんよ! あ、踊り始めました! 「うふふ~♪うぁうぁ♪ゆゆ☆れみ☆う~♪」 な、なんと! 「ゆゆ☆れみ☆う~♪」ですよ! 「れみ☆りゃ☆う~♪」ではありません! どうですか!驚いたでしょう! …え? れみりゃのマイナーチェンジにしか見えない? そ、そうくると思って実験をしてみようと思っておりました!! さて、ここに取り出しますのはアシスタントが捕まえてきた眠っている『ゆっくりさくや』と『ゆっくりようむ』です! 『ゆっくりゆゆこ』の従者である『ゆっくりようむ』、同じく『ゆっくりれみりゃ』の従者である『ゆっくりさくや』をこの『ゆゆかれみりゃ』に対面させたらどのような反応を示すのか!! …椛、ようむとさくやを起こしなさい。 … … あ、少々お待ちください! 椛! 早く起こしなさいって! … … し、失礼いたしました! では、ようむとさくやが起きたところでその様子を観察してみましょう。 あ、ようむとさくやがゆゆかれみりゃの方を見てますね。 「…ゆゆこ…さま?」 「お、おぜうさま?」 あ~、やっぱり従者も戸惑ってますねえ。 服はゆゆこの物なのですが、中身はれみりゃにしか見えませんもんねえ。 ん?ゆゆかれみりゃが2匹の方を見ましたよ? 「ようむ~♪さくや~♪ゆゆかれみりゃ、おなかすいちゃったぁ~♪」 従者の名前を同時に呼びました! しかも甘えた声で御飯の催促! これはやはりれみりゃではなく、ゆゆかれみりゃと言っても「ゆゆこさま!しょうしょうおまちください!!」「おぜうさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」…うわぁ。 従者の2匹も目の前にいるゆゆかれみりゃを自分の主人と認めたようですね。 さくやに至っては鼻血まで出しています。 …え~と、ようむの中身はホワイトチョコレートで、さくやの中身はプリンでしたっけ。 ようむとさくやの2匹は、それぞれ主人の為に自身の中身を口から出し、献上することが出来ると言う特技を持っております。 恐らく、それを始めると思うのですが…。 おお、おお…ようむとさくやが共同作業を始めましたね。 さくやの出したプリンにようむのホワイトチョコレートをトッピングしております。 ホワイトチョコレートプリンでしょうか。 美味しそうですねえ。 「ゆゆこさま、おまたせいたしました!」 「おぜうさま、どうぞおめしあがりください!」 「いっただっきま~す♪」 ゆゆかれみりゃがホワイトチョコレートプリンを食べ始めました。 …う~ん、さすが凄い勢いで食べますねえ。 確かれみりゃは基本的に小食のはず! うん、これは間違いなくゆゆかれみ「おなかすいたぁ~♪ようむぅ~♪さくやぁ~♪」…さ、さすがですねぇ。 …え~、ゆゆかれみりゃはまだ食べたりない様で、まだ従者に催促をしています。 … …一旦、CMで~す。 …いつも、貴方の傍に… ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓┃ w ______ w w w w.. ┃┃ `ヽ i^ヽry/`ヽ、 w. ┃┃ _,.'-=[><]=., , '` ⌒ ゙`ヽ' .. ..`. .` , w ┃┃..ヽi レノ。ノ)レ〉' L(ノ八 。ノLi〉 w ..` "´` ` ` ` ..┃┃ ノレ§ 々゚ノiゝ .il、゚々 [i.llイ.. ,. ' 、、 ;; ..┃┃ / っ /っ / っ /っ ; , `; .;`. ,... 、_,..┃┃/ / / / ,`.;'. ;..;`ヽ . , r=;ァ';`',┃┃.,∪^∪. w ∪^∪ ; ;、; rr=- .. ;` ┃┃w w . ` ., ‐' ー=‐' ` . ┃┃ w w w , ' ; ... ┃┃ //\ ´;.. ‐ ; ;. .┃┃ w w w _,,/^´i,´ ̄ヽ,....‐.` ‐ ._ . . - .┃┃ ,. '"´ ` ̄  ̄ ̄´ `' .、 w ┃┃..w w w ./ `ヽ., w ┃┃.. ノ ヽ、 ト. ', i. .. ┃┃ i i i´ ト、 ;ハ ;ハ ;ハ; ! l iヽ w. ┃┃ i ヽ ハ | ;ハ _i_ノレ' ソ 、__i ! /i i.. / ー、...┃┃, --一i i-、 i l;/ ( ヒ_] ヒ_ン) ,レ'ノ l ノ ! / _..).┃┃ ヽ! イ ! "" 'ー=-' "";'´ ノ i/ / ┃┃`ー─ '\ \ |',. ! ;ハ-'、 / ┃┃ \ ヽiヽ、 ..ノレ \' ┃┃ ! !_ _) `i ー---─ '../ ,ノ ┃┃ ヽ_.. \`7ーi´ノ ヽ/ ┃┃ \, 〈_,ハ, ´ / ┃┃ ヽ. ムヽ ./ ┃┃ 〉.、 ioi /.. ┃┃ 、 lo! .., i ┃┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 文々丸新聞 「う~♪おなかいっぱぁ~~い♪」 ゆゆかれみりゃの食事がようやく終わったようです。 5食も食べましたからねえ…。 「ゆ、ゆゆこさま…」「お、おぜうさま…」 従者2匹はげっそりしています。 ゆっくりの中身はゆっくりの生命力の源ですからねえ。 主人の為に働くことが従者の喜びと言っても、これ以上中身は出せないでしょう。 消耗した従者2匹には退場してもらいます。 こんなところでゆっくり出来なくなっても後味悪いだけですし。 …椛、こいつらに御飯やっておいて。 「ゆゆ☆れみ☆う~♪」 さてさて、満足げに扇子を出して踊っているゆゆかれみりゃ。 このゆっくりが本物だということがわかっていただけたでしょうか!? …では、最後に…。 ゆゆかれみりゃの中身を拝見させていただいて今回は締めと致しましょう!! 「ゆゆかれみりゃさ~ん?」 「う~?なぁ~に?」 ん?何て聞けばいいんでしょう? 貴方の中身を見せてください…ですかね? なんか相手がゆっくりとはいえHENTAIっぽい響きですねえ…。 「え~、踊っているところ申し訳ないのですが、ゆゆかれみりゃさんにお聞きしたいことがあるのですが…」 「う~?ゆゆかれみりゃはぁ♪いまおなかいっぱいだからぁ♪とくべつにきいてあげてもいいわよぉ~♪」 …う~ん、まだその話し方に違和感を感じますねえ。 ま、まあとにかく… 「あ、貴方の中身を見せてもらえないでしょうか…?」 へ、HENTAI臭い!口に出すとますますHENTAI臭い! 「うふふ~♪おねえさん、ゆゆかれみりゃにきょうみあるのぉ~?」 「あ、はい、はい!貴方に興味があるのですよ!是非見せてもらえないでしょうか!」 おかしな意味ではないはずなのですが、なんだか変な感じですねえ。 「しかたないわねぇ~♪」 ん? ゆゆかれみりゃが自分の頬を指で指していますが…何でしょうか。 「ゆゆかれみりゃのぉ♪ここをぉ♪おねえさんにぃ♪と~くべつにあげるぅ♪」 「…そこをいただいても良いのでしょうか?」 「ちょっとだけよぉ~♪」 どこかのバーコードハゲ親父のようなことを言いますね。 …では、お言葉に甘えまして…むにゅ、っと。 「うぅ~ん♪」 …気持ちよさそう声出しますね…。 痛覚はないのでしょうか? …って、あれ? 今、ゆゆかれみりゃの頬を一つまみさせていただいたはずですが…もうその傷口がなくなっています! ゆゆこもれみりゃも驚異的な再生力を持つと言われているゆっくりですが…さらに再生力が強化されているのでしょうか。 ここまで凄いなら確かに痛覚は必要ないのかもしれませんねえ。 …え~っと、では気を取り直して… ゆっくりゆゆこは中身がピンク色の餅米と餡子という桜餅饅頭、ゆっくりれみりゃの中身は肉まんだと言われていますね。 では、ゆゆかれみりゃの中身は一体何でしょうか!? …え~と… …見ただけではよくわかりませんねえ。 肉、なのは間違いないようですが…。 …。 …え~、ちょっといただいてみましょう。 パクッと…。 「うふふ~♪ゆゆかれみりゃがおねえさんにたべられちゃったぞぉ~♪」 ゆゆかれみりゃの言うことはとりあえず無視します。 …。 …。 …。 …これは…馬肉? …え、どうして馬肉? ゆゆかれみりゃは…馬じゃないですよねえ…。 …え~っと…。 ゆゆこの中身が桜餅で…れみりゃの中身が肉まんだから…。 …。 …。 う~ん…。 あ、わかった! 馬肉って桜肉って言いますもんね! あ~あ~…そういうことですか…。 …。 …。 …え、これただのダジャレ? 「うふふ~♪」 こ、これは確かに大スクープのはずなのですが…。 「うぁうぁ♪」 これを文々丸新聞に載せてしまうと…。 「ゆゆ☆れみ☆う~♪」 とんでもない失笑を買ってしまう気が…。 後日 ゆゆかれみりゃの記事を載せた文々丸新聞を発行したところ… 誰にも信じてもらえないばかりかオヤジギャグ新聞という有り難くない名称を皆さんからいただきましたとさ…。 な、泣いてなんかいませんからね! これは心の汗なんですからね! …ううっ…。 後書き 新年明けましておめでとうございます。 初っ端からくだらないネタですみません。 ゆゆかれみりゃのAAがあまりにも可愛くてつい書きたくなりました。 これは面白い。 新年早々いいものを読ませてもらいました。 -- 名無しさん (2011-01-01 10 45 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3461.html
『べじたりあん』 里山の茂みの中を進む、生きる大福。 金髪に黒いトンガリ帽子がトレードマークのゆっくり、ゆっくりまりさだ。 「そろ~り、そろ~り」 まりさは外敵に見つからないように、細心の注意を払って茂みを這っていく。 このあたりには人間や獣も多いことを、まりさは知っていた。 だが、それは裏を返せば、生き物にとってすごしやすい土地だということだ。 故にまりさは、多少の危険を冒してでも、この地に住んで、今日も狩りを行っていた。 「ゆゆっ! おやさいさんだよ! とってもゆっくりしているね!」 茂みの切れ目まで来たまりさの眼前には、 整地された柔らかい土と、そこからはえる青々とした野菜が広がっていた。 まりさは目を輝かせ、その青い葉の前へピョンピョン跳ねていく。 「ゆぅ~ん、すこしちいさいけど、とってもゆっくりできそうだよ」 野菜は、まだまだ小ぶりで、成長途中であることが見てとれたが、 お腹をすかせたまりさにとって、そんなこと関係ない。 「おやさいさん、かってにはえてきてくれてありがとうね!」 まりさは目を輝かせて、あ~んと大きな口を開いく。 そして、パクと口を閉じるまりさ。 けれど、むーしゃむーしゃしようにも、まりさの口の中には何も入っていない。 それを不思議に思って、下ぶくれた顎を傾けるまりさ。 「ゆぅ~? おやさいさん、どこいくの?」 目の前の野菜が、まりさから離れていく。 いや、正しくは、まりさが野菜から遠ざかっていたのだが、まりさはそれに気付かない。 「ゆゆゆ? おやさいさん、ゆっくりまりさにたべられてね!」 じたばた暴れて野菜を食べようとするまりさ。 しかし、野菜に飛びつこうにも、まりさの体は何者かに持ち上げられて動くことが出来ないでいた。 その時になって、まりさは初めて気付いた。 自分が、何者かに持ち上げられていることに。 「ゆ、ゆゆ?」 おそるおそる、後ろに視線を送るまりさ。 そこには、ぬぼぉーっと大きな下ぶくれ顔に、満面の笑みを浮かべる存在がいた。 「ぎゃおー♪ たーべちゃうぞぉー♪」 「れ、れ、れ、れみりゃだぁーー!」 まりさを掴んでいた者、それは胴体有りのゆっくりれみりゃだった。 ゆっくりを捕食する天敵の登場に、まりさは顔面蒼白になって、暴れ回る。 「やめてね、こっちこないでね! れみりゃはゆっくりできないよ!」 「うー!」 暴れた甲斐あってか、れみりゃの手が離れ、まりさの体はそのままポヨンポヨンと地面に着地する。 何とか自由を得たまりさだったが、その危機は変わらない。 ゆっくりれみりゃを見上げたまま、ガタガタ震えるしかなかった。 一方、れみりゃはといえば、最初こそ「ぎゃおー♪」とお馴染みの声を上げたが、 それ以降、まりさを捕まえようとも、食べようともしなかった。 それどころか、まりさにとって実に以外な声をあげるのだった。 「うーうー♪ いっしょにゆっぐりー♪ ゆっぐりしよぉー♪」 「ゆ、ゆぅ? ゆっくり、していってね?」 「うーうー♪ ゆっぐりゆっぐりー♪」 "ゆっくりしていってね"と言われ、"ゆっくりしていってね"と返すのは、 ゆっくりにとて本能に近いものであり、同時にそれは親愛の情を示すものでもある。 れみりゃからの思わぬ"ゆっくりしていってね"コールに、まりさは混乱した。 そんなまりさとれみりゃの前に、1匹のゆっくりれいむが現れた。 「れみりゃ、どうしたの?」 「うー♪ れーむー♪」 まりさは驚いた。 れいむ自体は珍しくなかったが、このれいむは目の前でれみりゃと仲良く話をしているではないか。 「れーむ♪ れみりゃのはたけにおきゃくさーん♪」 「ゆ? れみりゃのはたけさん?」 まりさは、れみりゃの言葉にピクと体を揺らした。 「うっうー♪ れみりゃってば、おやさいさんそだてるのもおじょーずなのー♪」 どうやられみりゃは、目の前の野菜は全て自分のものであり、ここは自分の畑だと言っているようだった。 畑、それは人間が"勝手にはえてくれるお野菜さんを独り占めしている場所"それがまりさにとっての認識だった。 まりさにとって、人間の言う「畑」は何ともゆっくり出来ず、理不尽に感じられるものだった。 それを、捕食種とはいえ同じゆっくりであるれみりゃが主張しているのは、我慢ならなかった。 「ち、ちがうよ! このおやさいさんは、まりさがみつけたんだよ!」 「う~?」 れみりゃに向かって、唾を吐くまりさ。 恐怖よりも、今は目の前の野菜への情念が勝っていた。 「おやさいさんは、まりさにむーしゃむーしゃされるために、ゆっくりかってにはえてきてくれたんだよ! おばかなれみりゃは、ゆっくりりかいしてね!」 まりさは、れみりゃへ背を向け、野菜へ跳ねる。 そして、今度こそそれを口に入れようとして……。 「う~~! だめぇ~~!」 「ゆべぇ!」 まりさが口を閉じるより早く、どたどただばだばれみりゃがやってきて、まりさを蹴り飛ばした。 ゴロゴロ転がり、もちもちした肌を擦り傷だらけにするまりさ。 自慢の金髪も帽子も、畑の柔らかい土で、すっかり汚れてしまう。 れみりゃは、そんなまりさに向かって立ち、短くふくよかな手を広げて、野菜を守ろうと立ちはだかった。 「うー! ここはれみりゃのはたけなのぉー!」 よろよろ起きあがる、まりさ。 そのまりさの前で、べそをかきながらも野菜を守ろうとするれみりゃ。 まりさは、何とかれみりゃを倒して野菜を手に入れたかったが、力の差は今の攻防で既に明らかだった。 どうすることも出来ぬまま、やがてまりさは頬をふくらませ、そのままわんわん泣き出してしまう。 「ゆぁ~~ん! まりさはおやさいさんたべたいだけなのにぃ~~! どうしてまりさにひどいことするのぉ~~!?」 「う~~~~~っ」 にらみあったまま、膠着するまりさとれみりゃ。 すると、れいむがぴょんぴょん跳ねてきて、まりさの土と涙でぐちゃぐちゃになった頬を舐めてあげた。 「ぺろ~り、ぺろ~り」 「れ、れいむ?」 れいむはまりさを泣きやませて落ち着かせると、笑顔で提案する。 「だったら、まりさもいっしょにれみりゃのおてつだいしようよ?」 「……ゆぅ?」 目を丸くする、まりさ。 一方でれみりゃは、れいむの提案にご満悦で、"うぁうぁ"喜びのリズムを体で刻みだす。 「う~♪ れーむ、あたまいい~♪」 「で、でもれみりゃといっしょなんて……」 チラリとれみりゃに視線を送る、まりさ。 れみりゃは、満面の下ぶくれスマイルでまりさに応えた。 「れみりゃは"べじたりあん"さんだから、おまんじゅうなんてたべないもぉーん♪」 「そうだよ、れみりゃは"おしゃまなおぜうさま"なんだって!」 れみりゃとれいむの言葉に、まりさは考え込んだ。 よくよく聞くと、元々この場所でれみりゃが畑を作っており、 れいむも以前野菜を食べようとした際に、れみりゃから一緒に野菜を作ろうと誘われたのだという。 「ゆぅ~~」 畑の概念は気にくわなかったまりさだが、そんな細かいことを抜きにしても、野菜はやはり魅力だった。 それにとってもゆっくりしているれいむとは仲良くなりたかったし、強いれみりゃと一緒にいれば安全だろうとも考えた。 「ゆっくりきめたよ! まりさも、れーむとれみりゃとゆっくりするよ!」 まりさの決意を聞いて、れみりゃとれいむはパァーと顔を光らせた。 れみりゃは、腕をぐるぐる振り回し、大きな尻を左右にぷりぷり揺らす。 れみりゃ特有の感情表現、のうさつ☆だんすだ。 「うっうー☆うぁうぁー♪ れみ☆りゃ☆うー♪」 この時、れみりゃは思った。 お野菜を作って良かった。 お野菜を作っていたから、こんなにもゆっくりできるお友達が出来たんだと。 これならきっと、ゆっくりできるに違いない。お野菜、大好きと。 * * * 里の外れ、独り身で農業を営む男の下を、 大きな下ぶくれ顔と小さな羽を持った幼児体型のゆっくりが訪れていた。 「う~~♪ ゆっぐり~~♪」 「ん? なんだおまえか、久しぶりだな」 男の下を訪れたのは、ゆっくりれみりゃだった。 男は鍬を地面に置き、れみりゃを招いて縁側へ腰かける。 男は、熱い緑茶を煎れ、お茶請けに羊羹を用意する。 れみりゃは羊羹を頬張り、両手で頬をおさえて咀嚼する。 口の中いっぱいに広がる甘みに、れみりゃは顔をほころばせた。 「う~~♪ ぷっでぃ~~ん♪」 「はいはい……それで、今日はどうしたんだ?」 男とれみりゃは、顔見知りであった。 数ヶ月前、男は道で倒れていたこのれみりゃを拾い、介抱した。 その折に、男はその奇妙な嗜好に気付いた。 男は、ゆっくりれみりゃは野菜を嫌うと聞いていたが、このれみりゃは違っていた。 それどころか、農作業をする男に興味を持ち、 体力が回復してからは積極的に男を手伝い、野菜の作り方を学ぼうとしだしたのだ。 そして、とうとうれみりゃは独り立ちし、野菜畑を作ると言いだした。 男は、それをおもしろく思い、一定の収穫量を代価に、 自分の土地の一部と、れみりゃが特に気に入った野菜の種をわけて与えた。 それから数ヶ月。 音沙汰も無く、男が忘れかけた頃に、そのれみりゃがこうしてやってきたのだった。 「れみりゃのはたけー♪ とってもゆっぐりしてるのぉー♪ みてみてぇ~♪」 羊羹を食べ終わったれみりゃは、男を自分の畑へと導いた。 そこで青々と生い茂った野菜を見て、男は素直に感心する。 「へぇ、こりゃたいしたもんだ……」 「うっうー☆れみりゃゆっぐりがんばりましたぁー♪」 嬉しそうに胸を張る、れみりゃ。 よく見れば、あちこちに擦り傷ができており、服も体も土だらけである。 その様子から、男はれみりゃが真面目に農作業に取り込み、ここまでの成果を得たのだと思いを馳せた。 「たいしたもんだ。流石はお嬢様だな」 「う~☆なでなでぇ~♪ いいこいいこ~だいしゅきぃ~♪」 男に頭を撫でてもらい、れみりゃはご満悦だ。 そうして、笑顔を浮かべたまま紅い瞳を開いて、男に問いかける。 「う~♪ れみりゃいいこにしてたら、しゃくやおむかえにきてくれるぅ~?」 「ああ、きっとな」 れみりゃの問に、曖昧に応えて微笑む男。 男は、農作業に関する質問には真摯に答えてきたが、 れみりゃが時折口にする"しゃくや"に関する質問だけはよく意味がわからずにいた。 「じゃあ、俺は後で収穫に来るから。これからも頑張れよ、お嬢様?」 「おっまかせぇー♪ こーまかんのおぜうさまには、ゆっぐりしてるおともだちがたくさんいるのぉー♪」 とんと胸を叩いて、自慢するれみりゃ。 男はそんなれみりゃに一瞥をくれてから、収穫の準備をすべく畑を後にした。 れみりゃは、男を見送った後、どすんと座り込み、青空を流れる雲を眺めた。 ゆったりと流れる雲と、心地よいそよ風がれみりゃの心を落ち着かせていく。 「ゆっぐり~ゆっぐり~♪」 れみりゃは、とてもゆっくりしていた。 そこへ、わいわいがやがやとゆっくり達がやって来た。 れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありす、ちぇん、さらにはふらんまで。 そこに集まったゆっくり達は、みなれみりゃの畑で働くゆっくり達だ。 「ゆ? れみりゃどーしたの? いまにんげんさんがいたみたいだけど……」 「ゆっくりりかいしたよ! きっとまりさたちのはたけをよこどりしようとしたんだね!」 「むっきゅーん! それをれみりゃがおいかえしたのね!」 「さすが、れみりゃね! とってもとかいてきこういだわ!」 「わかるよぉー! れみりゃはつよいゆっくりなんだよぉー」 「うー☆おねーさますごい☆」 みな一様に笑顔でれみりゃを称えるゆっくり達。 れみりゃは、立ち上がり、ゆっくり達を出迎える。 今日は、いよいよ育てた野菜を収穫する日だ。 「うっうー♪」 れみりゃは笑顔で野菜を収穫していく。 育てていた野菜は2種類。一つは緑色の葉を元気に伸ばし、一つは地面に大きな実をつけている。 れみりゃはその2つの野菜を引き抜き、両手に持って喜びを爆発させる。 「う~う~♪ れみりゃのおやさぁ~い♪」 「ゆ、ゆゆ、すごいよ! おやさいさん、とってもたくさんゆっくりしてるよ!」 ゆっくり達も、れみりゃの姿を見て感激の声をあげる。 それは、苦労の末に豊穣を得られる、農における収穫の喜びでもあった。 小さいとはいえ、畑の野菜は多い。 ゆっくり達は、とりあえず今食べるぶんだけを引き抜き、それぞれに分配した。 ゆっくり達は野菜を目の前にして、ゴクリと生唾を飲み込んだ。 今か今かとソワソワする、ゆっくり達。 そして、ついに。 れみりゃの声を合図に、野菜の味と喜びを噛みしめる時がやって来た。 「ぎゃおー♪ たーべちゃうぞぉー♪」 「「「「「いっただっきまぁ~~す!!!」」」」」 もしゃもしゃ。 ばくばく、むしゃむしゃ。 「うぁーうぁー♪」 れみりゃは、むしゃぶりつくように野菜を食べていく。 その野菜は、れみりゃが農業を教わった人間の家で食べて、やみつきになったものだった。 だが、自分で苦労して育てたぶん、愛情を注いで育てたぶん、今日の方が何倍にも美味しく感じられた。 「うっうー♪ とってもでりしゃすぅ~♪ しゃくやにもたべさせてあげよぉ~っと♪」 れみりゃは、止まらない。 むーしゃむーしゃと野菜を食べ続けていく。 これならきっとみんなもゆっくりしてくれているはず。 これからもみんなと一緒にゆっくり野菜を育てて、ゆっくりしよう。 れみりゃはそう思いを新たにしながら、 今日まで苦労をともにしてきた、れいむやまりさの様子を窺った。 「……うー? みんなどぉーしたのぉー?」 野菜を食べる手を止め、れみりゃは首を傾げた。 見ると、ゆっくり達は少ししか野菜に口をつけておらず、みなプルプルと体を揺らしていた。 「……れみりゃ、なに、これ?」 「うー? れーむー♪ むーしゃむーしゃゆっぐりー♪」 れみりゃは、ゆっくり達が初めて見る野菜の食べ方を知らないで困っているのだと思った。 故に、ゆっくり達の前で、美味しそうに野菜を食べる様を見せたのだが……。 「こんなの、ゆっくりできるわけないよ!」 「う、うー?」 れいむ達から、れみりゃの期待した"ゆっくり"は返って来なかった。 それどころか、せっかく育てた野菜を憎々しげに踏みつぶし、れみりゃに敵意を向けている。 「ひどいよ、れみりゃ! れみりゃはれいむたちをだましたんだね!」 「うぇ~~ん! まりさのおやさい~~! こんなのおやさいさんじゃない~~!」 「むっきゅー! これはくささんやおはなさんいかよ! きっとどくそうなのよ!」 「こんなのちっともとかいはじゃないわ! れみりゃのうそつき!」 「わかるよぉー! きっとれみりゃはちぇんたちをつかれさせてたべちゃうつもりなんだよ!」 「うー、おねーさま、やっぱりだめりゃだった……」 れみりゃは、わけがわからなかった。 れみりゃに、ゆっくり達を騙すような意図は無かった。 確かに、他のゆっくり達に、農業を教えてくれた人間との取り決めは言っていない。 そもそも"何故自分が畑をやろうと思ったのか"の理由を話したこともない。 だが、目の前のゆっくり達の不満は、明らかにそれとは別種のものだ。 "野菜がまずい""こんなものは野菜じゃない""こんなものじゃゆっくりできない" 言い回しは違っても、ゆっくり達の罵りはそういったものだ。 けれど、それがれみりゃには理解できない。 こんなに美味しい野菜なのに、どうしてゆっくりできないというのか。 「う~~! ゆっぐり~~! ゆっぐりじだいよぉ~~~!」 大好きな友達からの非難と罵詈雑言に、れみりゃの胸の中では、どんどん悲しい気持ちが溢れていく。 あんなに美味しいと思った野菜も、もはや何の味もしなかった。 れみりゃは、思いも寄らなかっただろう。 その野菜は、れみりゃだからこそ、中身が「肉まん」のゆっくりだったからこそ、美味しいと感じたのだということを。 中身が甘いもので出来ているゆっくり達にとって、その野菜の味や風味や臭いは、実にゆっくり出来ないものだということを。 その野菜、「ニラ」と「ニンニク」という野菜の特性を。 「ゆぅ~! れみりゃだけゆっくりしようなんてひどいよ!」 「さいしょっからまりさたちをゆっくりさせないつもりだったの!?」 ゆっくり達の敵意は、やがて実力行使へと移っていく。 怒りはうねりとなり、もはやれみりゃの言葉はゆっくり達に届くことはない。 「う、うー! ちがうー! ちがうのぉー! れみりゃは……」 「「「「ゆっくりできないれみりゃは、ゆっくりしね!」」」」 ゆっくり達は、一斉にれみりゃとれみりゃの畑へと襲いかかっていく。 れみりゃには、ただ叫ぶことしかできなかった。 「う、うぁぁぁーーー! しゃぐやぁぁーーーたすげでぇぇーーーー!!」 * * * れみりゃは、泣いていた。 全身を傷だらけ、泥だらけにしながら、泣いていた。 自慢の柔肌も、だいじだいじなおべべも、もうボロボロだった。 「うっぐ、ひっぐ……」 泣いて、泣いて、泣き続けて。 やがて泣き疲れたれみりゃは、ぐずりながらも顔を上げ、その惨状を見てまた泣き出すのだった。 「う、うあーー! れみりゃのはたげがぁーーー!!」 れみりゃの前には、かつて畑だった光景があった。 だが、ゆっくり達が怒りに任せて暴れたおかげで、畑は見るも無惨なものになっていた。 何ヶ月も苦労した結果が、目の前の光景などと、到底受け入れられるものではなかった。 「……おいおい、どうしたんだよこれ」 「うぁ?」 れみりゃが振り向くと、そこには収穫用の道具を取りに戻った、男が立っていた。 「おにぃーさーん! はたげがぁー! れみりゃのゆっぐりぶれいずがぁーー!」 れみりゃは、男の足にすがりつき、泣きわめく。 男は、れみりゃの涙と体についた泥で汚れるのに嫌悪を感じつつ、呟いた。 「ったく、やっぱりだめだったか。野菜好きの捕食種なんて珍しいから、躾けりゃ役に立つかと思ったのに……」 「おにぃーさーん! しゃぐやぁーー! しゃぐやぁをよんでぎでぇーー!!」 なまじ期待してしまったが故に、すっかり脱力する男と、 ただ永延と"しゃぐや"の名前を連呼するれみりゃ。 「まぁ、しょーがないか」 男は、風が冷たくなってきているのを感じ、ぐしぐしとれみりゃの頭を撫でてやった。 結果的に失敗だたとはいえ、あと一歩のところまでは出来たのだ。 むしろ農業初心者のゆっくりれみりゃがここまで出来ただけでも褒められるべき奇跡。 目の前で泣くれみりゃを家に連れ帰って、ゆっくりさせてやろうと、男は考えた。 「ほらほら、うちで甘いものやるから泣きやめよ」 「やだぁー! ぷっでぃーんだけじゃやだぁー! ごーまがんで、しゃぐやのおさらだたべるのぉーー!!」 普通のれみりゃなら飛びつく"あまあま"の一言でさえ、今のれみりゃには効果が薄かった。 「……あのな、誰かは知らないけど、そんな人は」 「しゃぐやー! れみりゃおやざいだいしゅきになったのぉー! もぉーぽいしないのぉー!!」 れみりゃは泣いた。 泣いて反省して、その場にいない"しゃぐや"に許しを求めていた。 そして、また一緒にゆっくりしたいと、必死に"しゃぐや"を探し求めた。 かつて自分に無償の愛を注いでゆっくりさせてくれた者の名を。 かつて自分がワガママを言って傷つけてしまっただろう者の名を。 「れみりゃはしゃぐやにゆるしてもらうのぉー! れみりゃのおやざいさんいっじょにたべでゆっぐりずるのぉーー!!」 れみりゃの"しゃぐや"を呼ぶ声は、いつまでも続いた。 そして次の日、毎日朝早くかられみりゃが水をまいていた場所には、土地の主である男の姿だけがあった。 * * * 数日後。 野菜の無人販売を前に一人のメイドが立っていた。 「……あら?」 素性のわからぬ野菜など、主人やその賓客達に食べさせるわけにはいかないが、 野菜に添えられた一文が、そのメイドの興味をひいた。 誰かが捨てただろうぐしゃぐしゃの紙に、クレヨンで描かれた汚い平仮名。 そこにはこう書かれていた……。 "れみりゃががんばっでつぐっだおやざいざんでず。どっでもおいじいからたべでぐだざい" ぼろぼろのニラとニンニクに添えられた一文を見て、メイドは溜息をついた。 その脳裏には、かつて愛情の限りを注いだ下ぶくれ顔がよぎって、消えた。 「……変わったれみりゃ様もいるのね。……もし本当にそんなれみりゃ様がいるなら、会ってみたいわ」 おしまい。 ============================ ……風邪ひきました。 最後の台詞をどう解釈されるかはお任せします。 ただ、私自身は(この場所で言うのも変なのですが)ハッピーエンド至上主義者だったりします。 by ティガれみりゃの人 ============================
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3029.html
『おはなしのくに』 紅魔館の瀟洒なメイド長・十六夜咲夜は、 その日、博麗神社を訪れていた。 ふわりと境内に降りて、神社の建物の中へ向かう咲夜。 すると、中から聞き知った叫び声が響いてきた。 "うぁぁーーん! しゃぐやぁーー! ごあいひとがぁーーー!" 泣きながら自分に助けを求める幼い声。 その声に、咲夜はハッとして駆け出し、部屋に上がる。 「れ、れみりゃ様? どうなさったんですか?」 障子を開け放ち、幼き声の主を確認する咲夜。 赤白の巫女がお茶をすすったまま咲夜を見て唖然とするさらに奥、 そこにピンク色のスカートを着た太ましく可愛らしいお尻が見えた。 「うぁ!? しゃくやぁ~~♪」 咲夜の声に、踞って震えていた大きなお尻がくるりと回って、泣きじゃくった顔を向ける。 その尻の主・ゆっくりれみりゃは、咲夜を見るや否や、トテトテだばだば咲夜へ駆け寄っていった。 「う~~! おねぇーしゃんが、れみぃーにいじわるするのぉーー!」 ばふっと抱きつくれみりゃを、優しく受け止める咲夜。 咲夜は畳の上に座り、その膝の上にれみりゃを座らせてあげる。 咲夜に優しく抱かれて、れみりゃは"うー♪"と涙を忘れて微笑んだ。 「ずいぶんな言われようね……」 お茶請けの乗った卓袱台の前に座りながら、霊夢が暢気な溜息をついた。 一方、咲夜はれみりゃの頭を撫でながら、鋭い視線を霊夢へ向けて突き刺した。 「……どういうつもりかしら?」 「どうもこうも、こいつに頼まれて本を読んであげただけよ?」 霊夢が指差す先へ視線を移す咲夜。 そこには、畳の上に何冊もの絵本が散らばっていた。 「これ、外の世界の絵本よね?」 「早苗がゆっくり達に……って持ってきたのよ。よくわかんない奴よね」 守矢の風祝の話題が出ると、以前会ったことがあるれみりゃが、ニコニコ笑みをこぼした。 「うー♪ あのおねぇーしゃんは、とってもゆっくりできるひとだったどぉー♪」 「へぇー、わたしはゆっくりできないわけ?」 「う、うぁ!」 霊夢に意地悪げな笑みを向けられて、 れみりゃは怒られると思って反射的に頭を押さえる。 俯き両手で頭を抱えて、"う~~! う~~!"と怯えた声を漏らすれみりゃ。 咲夜が良し良しとなだめると、れみりゃは咲夜の腕にギューと抱きついた。 こんなに怯えるということは、やはり何かされたのか? 咲夜はそう考えて、霊夢を問い詰める。 「……本当に本を読んだだけなの?」 「本当よ! まずはこれを読んであげたわ……そしたらこいつ」 霊夢が手を伸ばし1冊の本を手にとって、咲夜に見せる。 その本の表紙には、『シンデレラ』というタイトルが描かれていた。 * * * 「……というわけで、めでたしめでたし」 パタンと絵本を閉じる霊夢。 だが、霊夢に絵本を読むようせがんだ"こーまかんのおぜうさま"は、 霊夢の傍らで両足を前に投げ出して座ったまま、ぷくぅーと両頬をふくらませていた。 「どうしたのよ?」 「うーー! あねよりすぐれたいもうとなんていないんだどぉーー!」 れみりゃは畳の上で、どんどんだばだば、両足と両手を上下させる。 どうやら、姉が悪役で妹が主役のシンデラレを読み聞かされて、姉として納得いかないところがあったらしい。 頭の中で、意地悪な姉を自分に、シンデレラをゆっくりれみりゃの妹・ゆっくりフランに置きかえているのだろう。 そこで霊夢は、れみりゃへ向かって常々思っていたことを聞いてみた。 「でも、あんたより、ゆっくりフランの方が強いじゃない?」 「そんなことないどぉー! れみぃーはかりしゅまなんだどぉー! だんここうぎするどぉー!」 霊夢は、紅魔館を訪れた際に、 目の前のれみりゃが妹のフランに虐められているところを、何度と無く目にしていた。 その度に、れみりゃは泣き叫び、咲夜に助けを求めていたのだが……。 しかし、それはそれ。 妹のフランの方が強かったり、賢かったりする部分があるのは、 やはり姉たるれみりゃにとって決して認めたくない痛い部分だった。 だどだど! だばだば! うーうー! れみりゃは怒りながら、目にうっすら涙を浮かべて悔しがる。 そんなれみりゃの様子を眺めながら、霊夢はふと意地悪を口にしてみたくなった。 「……妹の方が紅魔館の主になったりしてね」 「うぁぁーー!! なんでそんなごどいうんだどぉーーー!?」 ぎゃー!と目と口を大きく見開いて、れみりゃは絶叫した。 * * * 「うーー! しゃぐやぁー! ほんとにふらんがおぜうさまになっちゃうどぉー?」 咲夜の腕の中、うっぐえっぐと嗚咽まじりになりがら、不安げな表情を浮かべるれみりゃ。 ぬぅーと咲夜を見上げる曇った下膨れ顔に、咲夜は太陽のような笑顔を輝かせた。 「大丈夫ですよ。れみりゃ様も妹様も、私の大事なお嬢様です」 そう言って、咲夜は指でれみりゃの涙を拭う。 「う~~♪ しゃくやぁ~~だいしゅきぃ~~♪」 れみりゃの顔が、徐々にぐずり顔からいつものニコニコ顔へ戻っていく。 "うーうー♪"と御機嫌になるまでに、さして時間はかからなかった。 「……あんたも、微妙に明言避けてるじゃない」 「……なにか言った?」 霊夢の冷淡な突っ込みを、それ以上の氷の微少で受け流す咲夜。 "おお、こわいこわい"と肩をすくめて視線をそらす霊夢。 かわりに霊夢は、別の絵本をとって咲夜へ説明を続けることにする。 「……で、そいつが不機嫌になっちゃったから、今度はそっちの本を読んであげたの」 霊夢が持つ本にはこう描かれていた。 『アリとキリギリス』と。 * * * 「……というわけで、めでたしめでたし」 「うーーっ! なっどぐいかないどぉーー!」 パタンと絵本を閉じる霊夢に、 れみりゃはまたしても食ってかかった。 やれやれと溜息をつく霊夢の肩を、 立ち上がったれみりゃがゆっさゆっさと揺すろうとする。 信じられないくらい柔らかくて、力の無い揺さぶりに逆に驚きつつ、 霊夢は何が気に食わないのかとれみりゃに聞いてみる。 すると、れみりゃは実にゆっくりらしい抗議を始めた。 「きりぎりすさんは、ゆっくりしてただけだどぉー! なんでゆっくりしちゃいけないんだどぉー!」 なるほど、そう考えるわけか。 ポンと心の中で膝を叩く霊夢。 この寓話の教訓は、確かに"ゆっくりすること"を否定しているともいえる。 ゆっくりからすれば、ゆっくりしていたキリギスが死に、ゆっくりしていないアリ達が生き残るのは到底認められないだろう。 それを認めてしまえば、ゆっくりという存在自体を否定しかねない。 ……ゆっくりれみりゃがそこまで考えてだだをこねているとは思えなかったが、 少なくともそれに近い何かを本能的に察したのだと霊夢は考えた。 「ゆっぐりすると、ゆっぐりできないんで、ひどいどぉー! あんまりだどぉー!」 れみりゃは泣き出しながら、霊夢の肩を全く痛くない掌でバシバシ叩き出す。 ぶつけようのない気持ちに、れみりゃは涙が止まらなくなっていた。 「ゆっぐりするどぉー! ゆっぐりしたいどぉーー! うぁぁーーゆっぐりぃーーー!!」 * * * 「しゃくやぁ~~! れみぃーはゆっくりしたいどぉーー!! さむいおそといやぁーー!!」 咲夜の膝の上で、いやいやとかぶりを振る、れみりゃ。 そんなれみりゃを、咲夜は温かくギュッと抱きしめる。 「大丈夫ですよ。れみりゃ様は、ゆっくりするのがお勤めですから」 咲夜の言葉に、れみりゃはホッと胸を撫で下ろす。 安心したれみりゃは、咲夜の顔に親愛の"すりすり"をする。 「う~しゅりしゅり~♪ しゃくやもいっしょにゆっくりするがいいどぉ~~♪」 互いにほっぺたを"すりすり"しあう、れみりゃと咲夜。 その様子に呆れながら、霊夢は一応話を続けることにする。 「……で、そいつがぐずりだしたから、この本を読んであげたの」 霊夢の声に、顔を上げる咲夜。 霊夢が持っている本の表紙には、お菓子で出来た家が描かれていた。 「ほら、表紙からしてそいつの好きそうなものばっかりだし」 その本の名前は、『ヘンゼルとグレーテル』といった。 * * * 「うぁーうぁー♪ しゅってきだどぉー♪ れみぃーもおかしのこーまかんほしいどぉー♪」 満面の笑顔で、下膨れた頬をこぼれ落ちそうにさせる、れみりゃ。 先ほどまでの涙はどこへやら、畳のに座って、口角にヨダレをためている。 仲の良い兄妹が、森の奥でお菓子で出来た家を発見する物語……。 どうやらこの本は正解だったらしいと、霊夢は肩で息を吐く。 れみりゃはと言えば、両手で頬を支えながら、"うーうー♪"と楽しげに頭を左右に揺らしている。 その頭の中では、(自分を虐めることもない)可愛いフランと一緒にお菓子の家を食べているのだろう。 泣いたり笑ったりコロコロ表情を変えるれみりゃに、 霊夢は面倒くさいと思いながらも、興味を覚えだしていた。 今はこんなに御機嫌でも、きっとまたすぐぐずるんだろうなぁ……と。 そんな霊夢の予感が的中するのに、そう時間はかからなかった。 物語の中盤、お菓子の家が実は子供を食べようとする魔女の罠だと判明した瞬間、 見ている方がおもしろいほど、れみりゃの表情は見る見る顔面蒼白に染まっていった。 「ぷっぎゃぁー! まじょさんごぁいーー!!」 れみりゃは泣き出し、絵本の挿絵の魔女から逃げるように、畳部屋の隅へ駆けだしていく。 前を見る余裕も無いれみりゃは、部屋の隅で壁にゴツンと頭をぶつけて、そのまま倒れ込んでしまう。 "う~~~!"とヒリヒリ痛む頭をさすりながらも、れみりゃの恐怖はおさまらない。 ずりずり這うように部屋の奥へ奥へと逃げていき、そこで霊夢と絵本の魔女に背を向けるようにして、 頭を抱えこんでガタガタ震えだす。 「れみぃーはおかしのいえなんてしらないどぉー! ぷっでぃーんこぁいどぉーー!!」 大好きなはずのお菓子まで、魔女を連想させるものとして怯えだすれみりゃ。 そんなれみりゃを見ているうちに、霊夢の中でフツフツとイタズラ心が湧き出てきた。 「ほらほら、あんたも我が侭言ってプリンばっかり食べてると……」 霊夢は、魔女の挿絵が描かれたページを開いたまま、れみりゃへ近づいていく。 「やだぁーー! れみぃーたべちゃだめぇーー!!」 れみりゃは帽子をずらして顔を覆い、丸々大きな尻を両手で隠そうとする。 ニヤニヤと笑みがこぼれてしまうのを、霊夢は止められない。 霊夢は、普段我が侭に振り回されているぶん、もう少し怖がらせてやろうと思った。 「あ、あそこに魔女が」 「うぁぁーーん! しゃぐやぁーー! ごあいひとがぁーーー!」 * * * 「……ってわけよ」 咲夜の視線に時折殺気がこもるのを感じながら、手早く事の顛末を説明しきる霊夢。 幸い、咲夜が直接霊夢に手を上げることは無かった。 咲夜は霊夢に構う暇など無いとばかりに、れみりゃにベッタリだった。 「しゃくやぁ~~、れみぃーぷっでぃ~んたべてもいいどぉー?」 「もちろんですよ。魔女だろうが巫女だろうが、私がナマス斬りにしちゃいますから」 自分を無償の愛で包み込む存在の温かさと力強さに、 れみりゃは難しい考えなど抜きにして胸の中がホカホカするのを感じた。 その嬉しいホカホカに促されて、れみりゃはバンサーイと両手を大きく広げるのだった。 「うっうー♪ しゃくやはおつよいどぉー♪ れみぃーをこあがらせたまじょさんはしゃくやにいぢめてもらうどぉー♪」 万華鏡のように変わるれみりゃの喜怒哀楽に、霊夢はお茶を一口流し込んで溜息をついた。 「……ったく、早苗も余計なものよこすんじゃないわよ」 「あら? それは読む人の問題じゃないですか?」 咲夜のものとも違う声に、反射的に顔を向ける一同。 見ると、咲夜が来て以降空いたままになっていた障子の向こう、 年季の入った板張りの縁側に、バスケットを持った緑色の髪の少女が佇んでいた。 「さ、早苗?」 「う~☆ゆっくりできるおねぇーしゃんだどぉー♪」 霊夢に社交辞令の一礼をした後、その巫女の少女は部屋に入って来て畳に座る。 そして、霊夢に向けたのとは全く違う、心のこもった微笑みをれみりゃと咲夜に向け、 はしゃぐれみりゃへ向かって手を振った。 「うっうー♪ れみぃーもおててふるどぉー♪ おひめちゃまみたいだどぉー♪」 れみりゃは、まるで王族や皇族が庶民にするように、ゆっくり手を振り返す。 想像の中で、れみりゃは咲夜や早苗に良くしてもらっているお姫様になっていた。 「……うぁ?」 ふと何かに気づいて、ぴたっと手を振るのを止める、れみりゃ。 「……う~~くんくん」 れみりゃは咲夜の膝の上から立ち上がると、 くんかくんかと鼻を鳴らしながら早苗の下まではいはいして近づいていく。 やがて、早苗が横に置いたバスケットへ、ぬうーと下膨れスマイルを寄せる、れみりゃ。 「ああ、これ? 食べるかなーと思って作ってみたの」 その様子を見て、早苗はバスケットを開いて中身をれみりゃに見せる。 そこには、美味しそうなクッキーが詰まっていた。 「オーブントースターが使えなかったからちょっと手間取っちゃたけど……」 「うぁーうぁー☆しゅっごいどぉー♪ こ、これたべていいどぉー?」 クッキーにくっつくほど寄せられたれみりゃの顔は、期待に満ちたヨダレで溢れている。 早苗が頷くや否や、目の中に星を輝かせたれみりゃは、がつがつむしゃむしゃクッキーを頬ぼっていく。 「うっうー♪ あまあま☆でりしゃすぅー♪」 口の周りや畳の上をクッキーの欠片まみれにしながら、れみりゃは幸せを全身で表現する。 その屈託の無い様に、早苗の顔も自然とほころんだ。 「ふふ、よかった♪ 隠し味にミラクルフルーツを使ってみたの」 引き続きクッキーを漁っていくれみりゃ。 それを、ニコニコ眺める早苗。 そんな2人をよそに、咲夜は目で合図をして霊夢と部屋の外に出るのだった。 その時の、少し寂しそうな咲夜の顔を、れみりゃが見ることはなかった……。 「う~~♪ おなかいっぱい☆ゆめいっぱぁーい♪」 バスケットの中のクッキーを全てたいらげて、れみりゃはポンポンと腹鼓みを打った。 「しゃくやぁ~♪ こんどこーまかんでもこれつくってねぇ~~ん♪」 くるりと振り向く、れみりゃ。 だが、そこには咲夜も霊夢の姿も無い。 「う~~? しゃくやぁ~~?」 キョトンと頭上に大きな「?」マークを浮かべる、れみりゃ。 早苗は、れみりゃの注意を自分に向けようと、畳の上に散らかっていた1冊の絵本をたぐりよせる。 「そ、そうだ、それよりこの本読んであげるね?」 「う、うびぃ!?」 絵本を見せられて、れみりゃはビクッと体をすくませる。 「……うぅ~~それこぁくないどぉ~~?」 「だいじょぶよ、とってもゆっくりした人のお話だから」 早苗が手に取った本、それは『三年寝太郎』という物語だった。 最初は訝しんでいたれみりゃだったが、 ゆっくり寝続けた人間が成功する話に、パタパタ羽を動かして御機嫌になっていく。 「うぁーい♪ やっぱりゆっくりするのはいいことなんだどぉーー♪」 めでたしめでたしと早苗が本を閉じると同時に、 れみりゃは立ち上がり、早苗に背を向けて"のうさつ☆だんす"を踊り出した。 「れみぃーのかぁ〜わいい〜おしりにゆっくりするがいいどぉ~♪ う~う~☆ふ~りふりぃ~♪」 その踊りは、ゆっくりした気持を表現する手段であると同時に、 自分をゆっくりさせてくれた早苗への、れみりゃなりの精一杯の感謝だった。 "今日はとっても御機嫌だから、優しい自分は特別サービスをしてあげよう" れみりゃはそう心の中で呟いて、早苗の眼前に太ましいお尻を突き出して、小刻みにふりふり揺らしだす。 「うっふ~ん☆おさわりしてもいいのよぉ~ん♪」 「え、えと……」 微笑みながらも、流石に戸惑う早苗。 「えんりょすることないどぉ♪ れみぃーからのぷれぜんとだど……」 そこまで言って、れみりゃは"うっうー♪"と畳の上でとび跳ねた。 そして、くるりと振り向いて、早苗の手を握って興奮を露わにする。 「うぁ♪ おあたま☆ぴっかーんだどぉ♪ そういえば、もうすぐかっりすますぅだどぉー♪ いっしょにこーまかんでぱーてぇーするどぉ♪ ぷっでぃ~んいっぱいで、とぉ~ってもゆっくりできるんだどぉ~♪」 クリスマス。 御馳走を食べて、サンタさんからプレゼントを貰う、とってもゆっくりできる日。 去年の冬を紅魔館で過ごしたれみりゃは、楽しかった思い出を反芻しては、幸せを噛み締めた。 今年もゆっくりしよう。 咲夜とフランと、それにこのお姉さんと、それにちょっと恐いけどあの赤白のお姉さんも呼んで、みんなでゆっくりしよう。 れみりゃはその楽しい夜を想像しては、踊り出さずにはいられなかった。 「うっうー☆うぁうぁー♪ くっりすますぅーはーかっりすますぅー♪」 うーうー☆だどだど♪ うぁうぁ☆ぷっでぃーん♪ 幸せそうに踊るれみりゃを見て、早苗は思った。 このれみりゃの天真爛漫な笑顔をいつまでも見ていたいなと……。 * * * 一方、その頃。 寒風吹く境内で向き合う、霊夢と咲夜。 咲夜は、手に持った包みを霊夢に渡した。 「……はい、これ今月のぶん」 それを受け取り、中身を一瞥する霊夢。 中には、"れみりゃの養育費"という名目のものが入っている。 「ったく、あんたも面倒なことするわね」 「仕方ないじゃない……」 今、神社の中で早苗が相手をしているれみりゃ、 彼女に戻るべき紅魔館は既になかった。 あまりにもゆっくりした日々を謳歌してしまったがために、 れみりゃは館の真の主を怒らせ、追い出されてしまったのだ。 しかし、れみりゃを溺愛する咲夜は、森へ放り出すことも出来ず、 こうして博麗神社へ預けることを選んだ。……いつか、館の主が許してくれることを願って。 もっとも、当のれみりゃはそんな事情など知らず、 少し長いバカンス旅行をしているつもりらしいが……。 「ま、居候は他にもいるし、あいつが1匹増えたところで構わないけどね」 「悪いわね……。ここなら妖怪に襲われることもないだろうし……れみりゃ様のことよろしく頼んだわよ」 "はいはい"と生返事を返す霊夢。 守矢神社の周辺に妖怪がいなければ、押し付けてやれるのに……。 そんなことを呟いて、霊夢は咲夜を見送ってから、神社の中へ戻っていく。 ゆっくりれみりゃも楽じゃない。 せめて、おはなしの国の中だけでも、もう少しゆっくりさせてやるかと思いながら……。 おしまい。 サンタクロースに、ゆっくりれみりゃをプレゼントしてもらいたい。 そんな二十何回目かのクリスマス(/Д`)・゜・。 by ティガれみりゃの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2203.html
ゆっくりゆうぎ ある日、俺はゆっくりを放し飼いにしている庭で奇妙なゆっくりを見つけた。 「ゆっくりちからくらべしようね!そぉーれゆっくり!ゆっくり!」 そのゆっくりは額に角が生えていた。他のゆっくりを追いかけまわしている。 「ゆゆ!もっとゆっくりしてね!それじゃゆっくりできないよ!」 「なにいってるの!ちからくらべ!ちからくらべしよう!」 逃げ回るれいむに素早い動きで追いつき、激しくすーりすーりしようとする。 すりすりというよりはずりずりという感じだ。 「ゆぶっ!もっと……ゆっくり……」 「れいむはよわいね!ほらもっとゆっくりがんばってね!!」 「もうやめでええええ!!!」 「それそれ!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!!」 何この新種。 「ゆぎゅぎゅぎゅぎゅぅぅぅぅ!!!」 「はーい、そこまでー」 俺は阿鼻叫喚のるつぼと化した庭へと踏み入った。 新種は今まで絡んでいたれいむを放り出しこちらを振り向く。 「ゆっ!ほねのありそうなにんげんがきたよ!ゆうぎとちからくらべしようね!」 新種は俺の足元へ跳ねてくると、足に対して攻撃してきた。 「ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!!」 「………」 やはり所詮はゆっくり。口で言うほどの力はないのだった。 「ていっ」 足を軽く振っただけで「ゆべふっ!!」と吹き飛ぶ新種。 「なかなかやるね!おもしろくなってきたよ!ゆっくりぃぃぃ!!!」 再度飛び掛ってくる。 「なんつうか……暑苦しい奴だな……」 * * * * 「ゆうぎのなまえはゆうぎだよ!ゆっくりちからくらべするよ!」 さっきからずっとこれだ…庭のゆっくり達はおびえて物陰に隠れてしまっている。 「おにいさん!そいつをゆっくりおいだしてね!」 「ゆっくりできないよ!」 「ゆっくりひとのはなしをきいてね!!」 それはお前らもだけどな。 「まあまあ、そんな事いわずに仲良くしてあげなさいよ」 俺は飛び掛ってきたゆうぎを手で掴むと、物陰で口を尖らせるゆっくりどもの方へ投げる。 「しょうぶ!しょうぶ!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!」 「ゆあああんん!!!」 半刻ほども暴れた後、ようやくゆうぎは沈静化した。 「ゆゆゆゆゆ……」 「どぼちてゆっくりざぜてくれないのぉぉぉ……」 あたりは死屍累々たる有様だ。 「いいしょうぶして、すっきりー!!」 そりゃあお前はそうだろうがね。 「まずは、ゆうぎの鼻っ柱を折ってやることが第一と考えました」 誰に説明してるんだ?俺… ともかく、ゆっくりれみりゃを檻から出し、ゆうぎと対面させてみた。 「うー☆めずらしいゆっくりだどぅ~♪たっべちゃうどぅ~♪」 ぎゃお~☆と威嚇するれみりゃ。しかし、相手の反応はいつもと違うのだった。 「ゆゆ!あいてにとってふそくはないよ!わくわくしてきたよ!! ゆっくりぃぃぃぃ!!!!」 天敵であるはずの、自分より何倍も大きい体付きのれみりゃへ突進するゆうぎ。 「あう~?おちびちゃんのぶんざいでぐれいとなおぜうさまにたてつくなんておろかだっどぅぅ~☆ おもいしらせて……うぁ?」 あ、角が刺さった。 「う゛あ゛~!!いだいどぅ~!!」 「そぉれゆっくり!ゆっくり!ゆっくりゆっくりゆっくりぃぃぃ!!」 れみりゃはじたばたと逃げ惑う。 「い゛だい゛の゛やぁだどぅぅーー!!」 実際の痛みはそれほどでもないのだろうが、想定外の反攻に恐慌を起こし、 まるでふらんにいじめられている時のように縮こまってしまうれみりゃ。逆にゆうぎの方は気迫充分だ。 「おっきいくせにだらしないよ!もっとゆっくりちからくらべしようね!!」 「や゛へ゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛~!!」 勝負はあっけなく決した。 「う゛う゛う゛…」 「ゆうぎのかちだね!!」 「つ゛の゛つ゛の゛こ゛あ゛い゛どぅ゛……」 通常種に続いてれみりゃまでも心的外傷を負ってしまったらしい。 知り合いにはゆふらん持ちもいるが、この調子ではうっかり勝ちかねない。対面させるのはやめておこう。 「うーむ、与えられた特権的地位に安住するだけではいかんということさなぁ…」 憐れを誘うれみりゃの姿を見て、俺は無意味にそう思ったのだった。 それからどうなったのかというと。 「しょうぶ!しょうぶ!」 ゆうぎはそのまま家に定着した。 「やめてね!!ゆっくりできないよ!!」 大抵は一方的に勝負を持ちかけては周囲のゆっくりを困らせているが、 俺が相手をしてやって程よく勝負欲を発散したあとでなら、他のゆっくりとゆっくりすることもある。 俺は今まで隔離していたれみりゃも庭に放つことにした。 ゆうぎは俺に次ぐ実力者としてれみりゃを認識しているため、好んで勝負をもちかける。 そのため他のゆっくりの被害軽減に役立つのだ。 「ゆゆっ!れみりゃだ!!れみりゃしょうぶだよ!!」 「おぜうさまはいないいないだどぅぅぅ~!!」 頭をかかえて丸まり、いないふりをするれみりゃだがそんなことをしても無駄だ。 「ゆっくり!ゆっくり!」 なすすべもなくゆうぎの猛攻にさらされるれみりゃ。 「あ゛う゛ぅ゛~!!!」 「れ゛い゛む゛!!ま゛り゛さ゛ぁ゛!!た゛す゛け゛て゛ほ゛し゛い゛ん゛だどぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 通常種とれみりゃの間には、反ゆうぎ同盟とでも呼ぶべき協調体制が生まれていた。 「れいむのかわりにゆっくりあいてしてあげてね!!」 「まりさよりつよくておおきいれみりゃならだいじょうぶなのぜ!! めいしょうぶをきたいしてるのぜ!!」 この程度のものだが。っていうかまりさ煽ってんじゃねえ。 「そうだどぅ!とんでにげるっどぅ~!!れみりゃあたまいいどぅ~♪」 おお、よく気づいたぞれみりゃ。かれこれ三日も前から気づくのに期待してたんだが。 「ゆゆっ!!にげるとはひきょうだよ!!ゆっくりおりてきてね!!」 しかし心配はいらない。れみりゃを放すにあたり、敷地を覆うように網を張ってある。 いつまでも逃げ続けることはかなわないのだ。 いくらもしないうちに滞空能力の限界を迎えるれみりゃ。 「う゛ぁぁ~!う゛ぁぁ~!つかれたどぅぅぅぅ~!!」 「はやくおりてきてしょうぶしようね!!ゆっくりまってるよ!!」 泣き叫びながら懸命に翼を動かすれみりゃ。ヒャァ!たまんねぇ!これが見たくて三日も仕事休んだ甲斐があったぜ! 「や゛だどぅ!や゛た゛どぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!」 だんだん高度が落ちてくる…あ、落ちた。すかさず突進するゆうぎ。 「もうやだどぅぅぅぅーーー!!!たずげでじゃぐやぁぁ~!!!!!」 「ゆっくりぃぃぃぃぃ!!!!!」 ゆうぎの勝ち鬨が、庭に響いたのだった。 おしまい。 □ ■ □ ■ このお兄さんは虐待にも飽きてしまった”観察”お兄さんです。 あまり自分では手を下さず、勝手に面白行動を取るゆっくりを眺めて楽しむ的な。 俺も庭にゆっくり飼って隠棲したいよ… 読了ありがとうございました。 今までに書いたSSです。よかったらどうぞ 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 無尽庭園 ゆっくりできない夜 ゆっくりぴこぴこ 何かがいる 踊り師とれみりゃ 小ネタ-瓶ゆっくり このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3297.html
前 あれから3週間後。 少し生暖かい風が吹く真夜中。 庭に二匹のゆっくりが居た。 一匹はバレーボールぐらいの大きさのれみりゃである。パタパタと地面から数cm上を飛んでいた。 そして、数m移動するたびに後ろを振り向いている。 振り向いた先に居るのは、野球ボールぐらいの大きさのれみりゃである。 このれみりゃは普通と違い、右側の羽が無い。 羽の生えるべき場所はハンダで潰されていた。 それゆえに、この子れみりゃは飛ぶ事もできずに、地面を普通のゆっくりのように跳ねながら移動していた。 しかし慣れていないのか、どこかたどたどしい動きである。 どこに行くのかが気になったので追いかけることにした。 れみりゃと違って夜目の効かない俺は追跡に結構苦労したが しばらくすれば目も馴れるものである。 二匹がついた場所は、近くの野原。そこに草や石が不自然に多く固まっている場所があった。 おそらくはゆっくりの巣なのだろう。すると今日は狩りの練習にでも来たのだろうか? 「うーうー!」 「う・・・うー!」 親れみりゃは歩き疲れている子れみりゃにすりすりとほっぺを擦りつけながら何かを言っている。 子の方はそれに嬉しそうに反応していた。 何を喋っているのか全くわからないのが結構悔しかったりする。 親れみりゃは草や石を退かし始めた。 一通り退かし終えると、そこにはポッカリと大きめの穴が現れた。 「うー♪」 親れみりゃはそこへ遠慮なく入っていく。 同時に穴の中から声が聞こえてくる。 「ゆゆ〜♪・・・ゆげぇ! どう゛じででびりゃがいるのおおおおおお!!!!」 「ゆっぐりじないでででいっでねえええええええ!!!!」 「うー♪うー♪あまあまー♪」 「ゆがあああああああああああ!!!」 「でいぶううううううううううう!!!」 「おぎゃーじゃああああああんんん!!!」 声だけで何が起きているのかよくわかるのも珍しい。 想像どうり、穴から出てきたれみりゃは、中身の無くなったれいむとまりさはを口で掴んで現れた。 そしてそのペラペラの皮をポイっと捨てると、子供にせかすように唸った。 「うー!うー!うー!」 「ううー!」 子供の方も、ポンポンと跳ねて気合十分なのをアピールしている。 それを見た親は、もう一度巣穴に入ると、口に何かを加えて戻ってきた。 「ゆゆ・・・ゆっきゅちはなちちぇええええええ!!!」 「まりちゃおいちくにゃいよおおおおお!!!」 子供である。3匹ほど居るだろうか。 親は子供を口から離すと、子供たちはすぐさま逃走した。 「ゆっきゅちちないでにげりゅよ!」 「おきゃーしゃんたちのびゅんまでゆっきゅちちゅるよ!」 「みんにゃでにげりゅよ!」 しかし悲しきかな。ナメクジと同じレベルのスピードでは到底逃げられまい。 大きさから考えるに恐らく生まれて一週間も立っていないのだろう。 「うっうー!」 親れみりゃがまずは見本を見せるようだ。 さっと飛び立つと、そのまま低空飛行で一匹のれいむに狙いを定める。 「ゆゆ! きょっちにきょないでね! きょないでね! きょないでね!」 何度も何度も拒否の言葉を口にするが、それが通じる訳もなく、親れみりゃはあっさりと子供の頭に牙を突きたてた。 「ゆびぃ!」 突然の、そして生まれて始めての痛みに表現しずらい顔で喚く赤れいむ。 親の方は容赦なく牙で中の餡子をチューチューと吸い上げる。 「ゆべべえべえええげええげえええぎゃあがいあsfにlkげあgyhゆdjgkk・・・・・」 餡子を吸われた影響か徐々に言語が狂っていっている。 他の二匹はその惨事を見ないように必死で走っていた。 「ごみぇんねれーみゅ! まりちゃはいみょうととれーみゅとおきゃーしゃんたちのびゅんまでゆっきゅりちゅるよ!」 「ちゅるよ!」 涙を流しながらの逃走である。 その後ろから子れみりゃが追いかけていることには気づいていないようだ。 子れみりゃは馴れない動きながらも必死に追いかけ、ついに赤まりさの帽子にまだ小さい牙を突きたてた。 「ゆぎゃん!」 しかし移動中だったためか、はたまた浅かったのか。 牙はまりさの皮を抉りながら、帽子をもぎ取っただけだった。 「ばりちゃのおびょうしぃいいいいいい!!!」 「だめだよまりちゃおねーしゃん! ひゃやくにげよー!」 「きゃわいいおびょうしいいいいいい!!!」 子まりさは泣きじゃくりながら子れみりゃに突進してきた。子れみりゃにとっては運がよかったのだが、 肝心の子れみりゃの方は、牙に引っ掛かった帽子が中々取れないらしく、どうするべきかオタオタしていた。 「うー?うー?」 「ゆっきゅちちねえええええええ!!!!」 まりさの渾身の体当たりが子れみりゃへと・・・・届かなかった。 その前に親れみりゃに阻止されたのだ。 後ろからがっしりと体を押さえつけられた子まりさは、何が起きたのかわからない。 「ゆ? どうちてぇうぎょけないの?」 黒く染まった牙が頭を狙っていることになど気付かなかった。 結局二匹は帰路に付くようだ。二匹仲良く夜道を歩いている。 しかしつまらない。本当につまらない。 なんだかんだでこのれみりゃは片羽という状況に順応してしまっているのだ。 ほらこう・・・なんというか・・・そう! 飛ぶことによるメリットを失った感じがしないのだ! しかしこちらから手を出すのは俺ルール違反である。 そんな事を考えていると、二匹の後ろから何かが現れた。 「まりさとれいむのかたきだねえええええええええええええ!!! わぁかるよおおおおおおおおおお!!!!」 「ちぇええええええええええんんんん!!!」 「チーーーーーーーーンポ!!!!」 やたら気合いの入ったちぇんとみょんとらんが奇襲を仕掛けてきた。 「う! うー!」 気づいた親れみりゃはとっさに空中に逃げる。 「うー!うー!」 しかし空中に逃げられない子れみりゃはそのまま捕まってしまった。 「このれみりゃはかたほうしかはねがないんだねー。わかるよー。」 「うううううううううううう!!!!」 子を助けようと地面へ向かうれみりゃ。と、目の前に何かが現れた。 「よふけにゆっくりをおそうなんてとんだいなかものね!」 「むきゅん! さいていね!」 「そんなれみりゃ! ゆっくりしゅうせいしてやるんだぜ!」 「もこたんいんしたお!」 「ぱるすぃぱるすぃ!」 「おお、きめえきめえ。胴がないきめえ丸です。」 「オン!バシ!ラー!」 「うつしくざんこくに、このゆっかりプレイスからいね!!」 ワラワラと大量のゆっくりが現れたのだ。その数実に100近くである。 この状況とセリフから推察するに、どうやらこいつらはあの家族の仇討ちに来たらしい。 群れに属していたのかあいつら。 親れみりゃはこの光景を見て動きを止めた。 流石の捕食種も、この状況を見ればどちらが有利かぐらいはわかるら。 そして子供を取り返そうにも既に捕まっている。 この状況で取る選択肢は・・・ 「うわあああああああああああああああああああああああ!!!さくやあああああああああああああ!!!」 泣きながら逃げて行った。ていうか胴なしも「さくや」って言うんだ。 「うううううううううう!!!!!」 子の方も子で、親の突然の裏切り行為にただただ泣き叫んでいるだけだった。 これが他のゆっくりなら怒りをぶつけるなり泣きながら助けを求めるのだろうが 言葉の壁は厚いものである。 「ゆっくりしんでね!」 「じゃおおおおおおおお!!!」 「う!!!」 周りをゆっくりに囲まれた子れみりゃはリンチを受けていた。 簡単に死なないように手加減された体当たりで全身が土だらけになっている。 「うう・・・う!」 立ちあがろうとしてもすぐさま吹っ飛ばされる。そんな事をさっきから1時間以上続けていた。 「れみりゃにはゆっくりするしかくなんてないよ! ゆっくりりかいしてね!」 「このれみりゃはかたはねしかないね! だからおやにみすてられたんだね!」 「おお、おろかおろか。」 「むにょーなれみりゃはゆっきゅちちんでね!」 全員が嘲笑いながられみりゃをいたぶる。 れみりゃには反撃するすべなどなく、ただ涙を流しながら耐えるしかなかった。 「うううう・・・・」 涙が溢れているその目には何が映っているのだろうか。親との楽しかった日々だろうか。 まあ姉妹を食べたこいつにそんな日々が与えられただけ幸運だったのだ。仕方ないね。 れみりゃはついにピクピクとしか動かなくなった。 そこへ群れの中から一匹のゆっくりが現れた。 「みんにゃのきゃたきだよ! ゆっきゅちちんでにぇ!」 あの赤れいむである。その目には怒りの炎があった。 「ちね!」 そのままれみりゃの頬へ齧り付く。 「うわああああああああああ!!!!」 「ちね! ちね! ちねええええええ!!!」 れいむはひたすら噛みちぎり続けた。羽根以外の全てが無くなるまで。 俺は家に帰ると、庭のれみりゃの巣を設置してあるカメラで覗いてみた。 そこにはすやすやと寝ているれみりゃがいた。 俺はカメラを回収すると、その中へホースで十分ほど水を入れた。 その後、今日の事をデータとしてパソコンに入力する作業に取り掛かった。 別にゆっくりの研究をしている訳でもない。ただの趣味である。 『それから』 とある野原。そこにはゆっくりの群れがあった。 その中の一つ。群れの長のゆかりん一家の壁に、奇妙なものが飾ってあった。 それはれみりゃの羽だった。 「れいむ! ゆっかりおきてね!」 「ゆゆ! れーみゅおきるよ! ちぇんもおきちぇね!」 【あとがき】 空を飛べるのは逃げるのに便利ですよね by バスケの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2470.html
ゆっくりいじめ系115 ゆっくり研究者のある1日制無 ゆっくりいじめ系148 ゆっくりフランのある休暇虐制家捕 ゆっくりいじめ系193 ゆっくり魔理沙の憂鬱虐制家性共捕 ゆっくりれみりゃ系いじめ27 ゆっくりれみりゃの調教(基盤)?そ薬捕無 ゆっくりれみりゃ系いじめ28 ゆっくりれみりゃの調教(応用)?そ捕家性無 ゆっくりれみりゃ系いじめ29 ゆっくりれみりゃの調教(試験)?そ捕家無 ゆっくりいじめ系350 ゆっくりアリスの撃退記録制性家 ゆっくりいじめ系1073 ゆっくり視点 ゆっくりいじめ系1753 制裁的繁殖 ゆっくりいじめ系2139 未熟児 ゆっくりいじめ系2414 あるゆっくりふらんの調教記(前編) ゆっくりいじめ系2415 あるゆっくりふらんの調教記(後編) ゆっくりいじめ系2532 やかんほいくじょ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/290.html
『その1 ホームラン』 「ゆっくりしていってね!!!」 「うわ、なにコイツ!?」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ちょっと、掃除の邪魔だからあっちに行きなさい」 「ゆっくりしていってね!!!」 「だから、邪魔だってば」 「ゆっくりしていってね!!!」 「だからぁ……はぁ……人の話は聞かないのね」 「ゆっくりしていってね!!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 「む゛っ!」 「……なによ」 「ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!」 「はいはい、おもしろいおもしろい」 「ちゃんとゆっくりしていってよー!!! もっとゆっくりしていってよー!!!」 「ああもう、いい加減鬱陶しいわよ」 「もっとゆっくりしてね!!! しっかりゆっくり゛ゆ゛ぶっ!??」 「たーまやー、と。あら、よく飛ぶわ」 『その2 ファイナルマスパ』 本日の幻想卿は晴天なり。 カランカラン……。 少々古臭い印象のある、古道具屋――香霖堂の扉が開く。 「香霖、じゃまするぞー」 言って店の敷居を跨ぐのは、白黒のエプロンドレスに魔女帽子という衣装をした魔法使いの少女だった。 活発そうな雰囲気を放つ彼女は何時もの如く勝手知ったるなんとやら、とばかりに店内に足を踏み入れたのだが、しかし、出迎えた声は彼女が聞きなれた店主の声ではなかった。 「ゆっくりしていってね!!!」 「うを!?」 突然上がった大声に一瞬身体を硬直させる。 思わず少女の顔に怪訝な表情が浮かび、声の発生源は何処だとおもむろに辺りを見回すと、店の奥に店主の姿が見て取れた。 いつもの定位置にて、彼女の来訪に気付いた店主は、苦笑を浮べながら少女に挨拶を寄こした。 「はは、魔理沙、良く来たね」 先ほどの大声があった為か、少しばかり構えた態度で魔理沙と呼ばれた少女は店主に視線を向けた。 見ると、その傍らになにやら奇妙な物体があるのが目に映る。 「ゆっくりしていってね!!!」 大きな、一抱えほどもある丸い物体。 「……………………」 魔理沙はおもむろにそれに近付き、ずっしりと重みを感じるソレを持ち上げる。 「ゆっくりしていってね!!!」 「……なんだこりゃ。新手のまんじゅう妖怪か?」 じろじろと観察してみる。 一言で言えば、巨大な饅頭に顔がついているような印象だった。 金の頭髪に、黒の魔女帽子。 ――鏡を見れば視界に映りそうな見てくれだった。 両手で持ち上げられたソレは、輝くような笑顔を浮かべ口を開く。 「ゆっくりしていってね!!!」 思わず溜息を吐き、店主に視線を移した。 「いつから香霖堂はこんな珍妙すぎる妖怪を飼うようになったんだ?」 「飼うようになったというか、気が付いたら居たのさ」 今朝早く、倉庫の品物の整理をしている内に、いつのまにか店内に居座っていたらしい。 それなりの大きさで、外に出すにも一苦労をし、追い出そうとしても勝手に戻ってくるので放置していたそうだ。 「あまり実害は無いみたいだしね」 「ゆっくりしていってね!!!」 妙な生き物だ、と魔理沙は微妙な表情を作り、再び溜息を吐いた。 「はいはい、勝手にゆっくりしていくさ」 同じ言葉を只管に連呼する物体を床に下ろし、戸棚に歩み寄る。 なぜか足元に纏わり着く物体が少々煩わしかったが、それ以上気にする事も無く戸に手を伸ばし、横に滑らせる。 その棚自体は古い物のように見受けられたが、店主の手入れが良くされている為か、戸はすんなりと溝を滑っていった。 中を確認する。 「ん?」 何も見当たらない。 次いでその奥へと手を伸ばしてみるが、望んだ感触は得られなかったらしく首をかしげて店主を振り向いた。 「香霖、茶筒が無いぞ」 「あー魔理沙、お茶かな?」 「それと煎餅だ」 私のお気に入りだったのにと、憮然とした表情を浮べる魔理沙に対して、香霖と呼ばれた店主はどうしたものかと視線を彷徨わせる。 次いで頬を人差し指で掻く仕草をし、おもむろに脇でにこにこと妙な笑顔を振りまく物体に視線を落とした。 その意味が分からず、仕方ないとばかりに今度は別の引き戸を開けて湯飲みをとりだそうとする魔理沙。 茶葉も煎餅も、別に切らしているわけではない。 魔理沙が自分用にと取っておいた分が無くなっていただけで、この古道具屋にはまだあった筈だった。 そう思って魔理沙は愛用の湯飲みを取ろうと引き戸を開けるが、 「あれ?」 開けた戸の中は、またも空だった。 これには益々表情を険しくし、少々拗ねたような口調で店主へと口を開いた。 「湯飲みも無いぞ」 その台詞を受けて、店主は再び傍らの物体へと視線を向けた。 「魔理沙、すまないんだが実は――」 と、店主が口を開いたのと被せるようなタイミングで、 「おいしかったー!!」 物体はにっこりと笑顔で、事実を口にした。 「……………………」 「……………………」 「とってもおいしかったよ! また食べたいな!」 妙な沈黙に包まれる二人、対して物体は上機嫌で笑顔を飛ばしている。 「……湯飲みもか?」 「……………………」 「ごめーん! ゆるして!」 無言で傍らの物体を指差す店主。 物体は特に悪びれた様子も無く、笑顔を魔理沙に向けている。 自分の行動に悪意を感じていないのか、責任があると思っていないのか、魔理沙の心情を慮ることもせずに物体は彼女に擦り寄ってくる。 魔理沙は本日何度目かになる溜息を吐いた。 「ちゃんと喋るんだな、こいつ――って違う。実害、あるじゃないか……私に対して」 実害が無いのは香霖、お前に対してか。と胡乱な瞳を向けられ、しかし店主は苦笑を返しただけだった。 「少し見ていると気付くと思うけど、その妖怪は見た目どおりに魔理沙の真似をしたがるんだよ」 店主は呆れたような表情で説明をする。 その妖怪は、魔理沙の使用品に興味を示し、なんでもかんでも使って見せようとしていたらしい。 見れば、店主の隣にあったのは魔理沙がいつも敷いている座布団だ。 そこにあったということは、先ほどまで目の前の物体がそこに座っていたという事だった。 その他にも、その座布団の周囲には色々と見覚えのある物品が散らかっていた。 思わず、魔理沙の額に青筋が浮かぶ。 「――湯飲みを割ったのは、お茶を飲もうとしてだろうね。ただ、手が無いからどうにかこうにか湯飲みを取り出した後に、小突いて割ってしまったんだ」 手が無いから湯のみが持てず、工夫しようとしているうちに体当たりで砕いてしまったそうだ。 煎餅はそのまま食べて、茶葉もそのまま食べたらしい。 どうやら雑食のようだ、と、店主は語った。 「あー、あー、あー……と。じゃあ、何か。このままこいつを放置しておけば、引き続き似たような目に私が遭うってことか」 魔理沙は妙な気迫の篭もった胡乱げな瞳を店主から物体へと移した。 対する物体は、やはり魔理沙に邪気のない瞳を向けている。 じっと物体を見つめた後、まあ害意が無いのは見れば判るがな、と口にして魔理沙は物体に背中を向けた。 「香霖、少し外で運動してくる。まんじゅう、お前もついて来い。遊んでやるぞ」 言って魔理沙は歩き出す。 言われた物体は嬉々として魔理沙の後を追って飛び跳ねていった。 「ゆっくりあそんでね! いっぱいあそんでね!」 「ああ、いってらっしゃい」 店主はぱたぱたと手を振って二者を見送る。 分かりきっている結果を予想して特に止めようとしないあたり、彼も少しは迷惑だと思っていた様子が見て取れた。 カランカラン……。 一人と一匹は店の扉を開けて外へと出て行った。 ………… 「じゃあ、遊んでやるから、そこにいろ。いいか、動くなよ」 「なにしてあそぶの? はやくあそぼうよ!」 「ああ、分かった分かった。だから動くな」 「うん! ゆっくりあそぼうね! いっぱいあそぼうね!」 「ん? なんだあれ」 「どうしたの? なにかあったの?」 「なんだろうな? ほらアレを見てみろ」 「どこ? どこどこ? なにがあるの?」 「後ろだ。お前の後ろ。ほら、後ろ向いてみろ」 「んー? なんなのー? なにがあるのー?」 「魔砲――」 「みえなーい! どこにあるのー?」 「――ファイナルマスタースパーク!!!」 ――じゅっ ………… カランカラン……。 「やっぱり妖怪は退治するに限るぜ」 肩を回して店内へと足を踏み入れるのは魔理沙一人。 本日の幻想卿は晴天なり。 『その3 見てみろ妹紅』 「ほら、見てみろ妹紅」 「ゆっくりしていってね!!!」 「なんだそれは」 「うむ。最近人里で悪さをしているという妖怪らしい何かだ」 「何かか」 「ああ、実のところ妖怪か如何かすら分からん」 「そうか」 「中身は餡子だ」 「そうか」 「つぶあんだ」 「どうでもいいな」 「そうだろうか」 「それで、こいつを如何するんだ」 「燃やしてくれ」 「分かった」 「あつーい!!!」 「ほら、こっちも見てみろ」 「ゆっくりしていってね!!!」 「おまえに似てるな」 「ほら」 「しゃきーん!!!」 「角が生えたな」 「ほら」 「しゅーん!!!」 「角が引っ込んだな」 「どう思う」 「むかつく笑顔だ」 「そうだろうか」 「ああ」 「どうする?」 「燃やす」 「あつーい!!!」 『その4 たぶんおそらく兎の話』 先ず喰い荒らされたのは、竹林に青く芽吹く竹の子だった。 次に喰い散らかされたのは、兎達が丹精込めて育てた人参畑だった。 更に喰い潰されたのは、薬師が手間隙を掛けて管理していた薬草畑だった。 果てに喰い捨てられたのは、姫が趣味で植えていた盆栽だった。 永遠亭、被害甚大。 「あー居ますね、また」 そう言って目の前の進む先を指差すのは、兎の少女。 竹篭を背負い包みを両手で抱えた彼女は、傍らに並んで歩く薬師へと声を掛ける。 「なんか、物凄い笑顔で竹の子食べてますね」 「生のまま食べて美味しいのかしら」 首を傾げながら薬師は呟いた。 ………… 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 巨大な饅頭のような体躯に、どこぞの紅白巫女や黒い魔法使いの格好をした物体が数匹、採り頃まで育った竹の子へと群がっていた。 「一、二、三、四……と、五匹ですか」 指で差して数を数えながら、二人は物体達へと近付いていく。 と、物体達も自らへと向かってくる人影に気付いたのか、その内の一匹が竹の子から口を離し、二人の方へと向き直る。 「おねいさんたちだれ! これはわたしたちがみつけたんだよ!」 言って、齧りかけの竹の子を庇うように前へと進み出る物体。 二人がこの竹の子を狙ってやってきたと思ったのだろう。 顔に警戒を浮べて威嚇を試みる物体。 そんな様子を眺め、薬師はくすくすと笑みを漏らしながら口を開く。 「あら、そんなものよりもっと美味しいものがここにあるわよ」 薬師が物体に差し出されたのは、丸い餡子玉。 つい先ほど、此処に来る前に作った代物だった。 一瞬、差し出された餡子玉をじっと見つめていた物体だったが、薬師がそれを置いて一歩下がると、釣られるように餡子玉へと近付き、それを口に含む。 「むぐむぐ」 浮かんだ表情は、喜色。 「しあわせー!」 至福の色を瞳に宿し、声高らかに幸福を叫ぶ。 竹の子よりも甘いそれは、目の前の物体達の嗜好に大変合う様子で、恍惚の表情を浮べた物体を見て、周りの物体達もそれを羨ましがる。 先ほどまで齧りついていた竹の子を放り出し、薬師へと向かって飛び跳ねて向かってくる。 「あ! わたしもたべたい!」 「おねいさん! ちょうだい!」 「ゆっくりたべさせてね!」 「いっぱいたべるよ!」 「はいはい、それじゃあこっち来て下さいねー」 手を打ち鳴らしながら言って、兎の少女は両手で抱えていた包みを物体達の前へと下ろす。 その包みの結び目を解き圧布を広げると、中からは一抱えほどもある餡子の塊が姿を現した。 物体達の瞳が輝く。 「わあい!」 「おねいさんありがとう!」 「おいしくたべるよ! ゆっくりたべるよ!」 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「あまあまー!」 目の前に餡子が現れた瞬間に飛び掛り、一心不乱にそれを頬張り口を動かす物体達。 頬を餡子で汚しながら、ただ只管に貪り食らう。 そんな様子を、どこか呆れた表情で眺め続ける二人。 やがて、場に盛られた大量の餡子が無くなった頃、物体達は薬師と兎の少女に向かって口々にお礼を述べ始めた。 「げふー!」 「おいしかったね!」 「とってもおいしかったね!」 「ありがとうおねいさん!」 「ごちそうさま!」 心底満足したという物体達の様子に、どのような意味でか薬師の表情に笑みが浮かぶ。 一回りほどその身を膨らませ、色艶も良くなった物体達を前にして、さらに魅惑の言葉を投げかける。 「ねえ、貴方達、もっと沢山食べたいと思わないかしら」 その言葉に物体達は益々表情を明るくし、喜びを全身で表現するべく上下に飛び跳ね始める。 「もっとたべるよ!」 「おいしくたべるよ!」 「いっぱいたべさせてね!」 「たくさんたべてあげるよ!」 「ゆっくりたべてあげるね!」 と肯定の言葉を聞き、浮べていた笑みを深くする薬師。 兎の少女が背負っていた竹篭を指差し、言葉を続ける。 「それじゃあ、あの籠の中に入って頂戴ね」 薬師がそう言うと、兎の少女が物体達にとって入りやすいようにと竹篭を降ろして横に倒す。 覗き込めば、妙に奥へと深い竹篭だった。 「はいはいどうぞどうぞー」 「うん! ゆっくりはいるね!」 そんな竹篭の様子を疑問に思う事も無く、兎の少女に案内されるまま、先ずは一匹が返事を返し竹篭の中へと飛び込んでいく。 そのまま二匹目、三匹目と物体達が続き、やがて全員が竹篭の中へと収まった。 兎の少女は五匹目が中へと入っていくのを見届けると、その竹篭に手を掛け、縦に引き起こす。 竹篭の中で物体達がごろごろと転がる振動を兎の少女は感じていたが、特に気にする様子も無くその縁に手を置き、頷く。 「はい、捕獲完了です、と」 ………… 「それにしても手間が掛かって面倒ですね」 兎の少女は先ほど物体を収めたばかりの竹篭に両手を入れ、その中から一匹の物体を取り出す。 「ゆ?」 物体は、入ったばかりですぐさま取り出されるという状況に、首を傾げるように身を傾けて疑問符を浮べている。 それを両手で抱え、薬師へと差し渡す。 「逃げ出そうとするのを捕まえる事だって、それなりに手間はかかるのよ」 だからこうやって自分から捕まりに来るように仕向けないと、と薬師は言う。 そのまま、兎の少女から手渡された物体を、餡子が無くなったままに広げられていた圧布の上へ据え置いた。 「ゆ?」 依然その頭の上には疑問符が浮かんでいる。 「うー、他の皆も協力してくれると助かるんですけどねー」 傍らに置いた竹篭を眺めながら、どこか疲れた様子で呟く兎の少女。 「てゐが嫌うのよ、こういうのを」 「あー」 会話を続けながら、薬師は何処に持っていたのか鋭く磨かれた円刃刀を取り出し、物体へと宛がって見せた。 「ゆ?」 「あの兎は、他の兎がこういう事に加担させられるのを快く思わないから」 相手は、その自らに突きつけられた刃の意味も分からずに、身体を斜めに傾げながら刃と薬師とを見比べている。 「なにをしてるのおねいさん? おいしいものはどこ?」 身に添えられた刃の感触を疑問に思うことも無く、ただ沢山の餡子を待ち望み薬師へと瞳を向ける。 次いで、先の甘くて美味しい食べ物はどこにあるのだろう、と周囲に向けて視線を動かし、期待に胸踊るといった印象で瞳を輝かせていた。 薬師はにっこりと微笑みながら、言葉を返す。 「ええ、すぐに取り出してあげるから、少し待ってなさいね」 「うん!」 薬師は笑顔をそのままに、相手へと宛がった刃を深く沈み込ませる。 「ゆ゛……!!??」 瞬間、苦悶の表情を浮かぶまもなく身体を二つに断たれ、先ずは顔面が着いた方へと薬師は手を伸ばす。 黒く湿った中身を指を使ってごっそりと掻き出し、広げられた圧布の上へと手際よく盛り付けていく。 「!!? い゛だ――――――――」 叫び声を上げようとするも既に時遅く、中身を抜かれた後の瞳はすぐに力を失い、苦悶に歪んだままの表情が残される。 それを傍らに置き、次いでもう片方へと手を掛ける。 「あの嘘吐き兎が好きなのは、飽くまでも悪戯までなのよ」 後頭部の中身を片割れと同じように掻き出しながら、先の言葉の続きを言う。 「兎達を使ってコレを追い払ったり捕まえたりするのは良いみたいだけど、こういう光景を見せるのは駄目だ、って」 目を見開き、歯茎を剥き出し、泣き叫ぶ寸前で固まったままの表情は、見るものに不快感を与えるような気持ち悪さを漂わせていた。 饅頭の生地を肉厚にしたような肌触りのそれを手に取り、兎の少女へとぷらぷらと振って見せる。 「うわぁ……私も凄い駄目ですよ」 目の前で揺れる死に面を眺めながら、微妙そうな表情で言ってみせる兎の少女。 対して、くすくすと笑みを浮べる薬師。 「ウドンゲ、あなたは私の弟子でしょう?」 「そうでしたね、師匠」 どこか苦笑いの表情で兎の少女は答えた。 薬師は手に持ったソレを適当に後ろへと放り捨てる。 これは見せしめのようなものだ。 竹林へと足を踏み入れればこのような姿になるという警告。 これがどの程度の効果を上げるのかは分からないが、まあ、この次は捕まえた相手で色々と実験を試してみようかなどと薬師は考えていた。 「はい、それじゃあ次を寄こして頂戴」 そう薬師は手を差し出して、二人は暫し作業を続けた。 『その5 ビビる⑨』 「ここは、わたしがみつけたおうちだよ! はやくでていってね!」 「うわ、な、なによあんた」 「でていってね! さっさとでていってね!」 「え、あ、なに? まんじゅう?」 「ちがうよ! ぜんぜんちがうよ! だからでていってね!」 「なにさ、別にいいじゃないのよ」 「ゆっくりしていってね! あっちでゆっくりしていってね!」 「むむむ、ここはあたいがいつも遊んでる場所なのよー!」 「そんなのしらなーい! むこうでゆっくりしていってね!」 「邪魔なのはそっち! ほら、さっさとあっち行って!」 「そんなのしらなーい! ここはわたしのおうちなの!」 「だーかーらー出て行けー!」 「これからおひるねするの! うるさいからでていってね!」 「むかちん!」 「おお、こわいこわい」 「むっかー!」 「おお、こわいこわい」 「きー!!」 「おお、こわいこわい」 「しゃー!!!」 「おお、こわいこわい」 「チルノ、どうしたの?」 「あ、レティ」 「なにかしら、これ。大福妖怪?」 「はなしてね! ゆっくりおろしてね!」 「レティ、貸して」 「はい」 「なにするの!? やめようね! ゆっくりおろそうね!」 「てりゃっ!」 「あら投げた」 「たかーい! おそらをとんでるみたい!!」 「よく飛ぶのね。なんなのかしら、あれ」 「むかつくやつ」 「そうなの?」 「うん、そう」 「って、あら」 「あ」 「わあい! たかいたか――――つぶっ!?」 「池に落ちたわ」 「ふふん!」 「ゆっくりたすけてね! はやくたすけてね!」 「あらあら」 「ざまみろー!」 「すぐにたすけてね! さっさとたすけてね!」 「? なんだか段々と膨らんできてないかしら」 「ばーか! ばーか!」 「ゆっくりのびるよ! だんだんのびるよ!」 「すごくぶよぶよしてるわ、よ……」 「ばーか! ばーか! ばーか、ぁ……うわー」 「ゆ゛ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ」 「……き、気持ち悪いわね、チルノ」 「……う、うん」 「……あっちで遊びましょうか」 「……うん」 「ぶくぶくぶくぶくぶく…………」 『その6 投げっぱなし唐突百合エンド』 がしゃがしゃと鉄籠を揺らすのは、先日捕獲したよくわからない物体達だった。 紅魔館の門番長である紅美鈴が館の門前でウロウロとしている物体たちを捕獲してきたらしい。 「だってパチュリー様、こいつら追い払っても追い払っても近付いてくるんですよ。だったら昇天させるか捕まえるかぐらいしかないじゃないですか」 と言って門番は捕獲の方をえらんだ様子だった。 「それで、なんでそれがここにあるのでしょうか?」 傍らに控えた小悪魔が問う。 「そんなの、面白そうだからに決まっているでしょ」 見なさい、と差し出された二匹の生き物。 一方は大きな赤いリボン。 もう一方は黒い魔女帽子。 「何処かで見たことの在る格好ですね」 「でしょう?」 視線を合わせ、パチュリーはその物体へと声を掛けてみた。 「ねえあなた達、名前はあるのかしら?」 少女の問いには間髪いれずに答えが返ってきた。 「わたしのなまえはゆっくりれいむ!」 「わたしのなまえはゆっくりまりさ!」 「ゆっくりさせてあげるよ!!!」 「ゆっくりかわいがってね!!!」 「うわー」 と子悪魔。 「な、なんだかむかつくわね」 とパチュリー。 しかし直に気を取り直し、興味深げに二匹へと視線を這わせた。 「なんで紅白と黒いのの格好なのかしら?」 「いっぱいいますしね」 後ろを振り向く小悪魔。 紅魔館にある巨大図書館の一室であるこの部屋の隅には鉄の下りがいくつか積み重なっており、その中身はこの二匹。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさがみっちりと収められていた。 ゆっくり達は各々に口を開く。 「だしてー! ねぇだして!」 「ゆっくりしようね! ここからだしてね!」 「おなかすいたよー! おうちかえしてー!」 「……中国もたくさん捕まえたものね」 呆れた様子のパチュリー。 ふと思いついた様子で小悪魔は問いかける。 「出してみましょうか」 「酷い事になるわよ」 溜息を吐いて止めておきなさい、と主に言われ特に落胆した様子も見せずに子悪魔は引き下がる。 「まあ、最近暇だったし、色々と観察してみましょうか」 ゆっくりまりさを持ち上げ、パチュリーは言う。 「たかーい! いいけしきー!!」 「わたしも! わたしも!」 ゆっくりれいむもその様子をみてパチュリーへと擦り寄っていく。 「あーはいはい」 言ってパチュリーは気だるそうに子悪魔へと視線を向けた。 その意を汲んだのか、小悪魔はゆっくりれいむを手に取り、高々と持ち上げて見せた。 「すごーい! いいけしきー!」 「こんなので喜ぶなんて、お手軽な脳味噌してるのね」 呆れたように呟くパチュリーに対して、ゆっくり二匹は笑顔を振りまいて楽しげな表情を見せていた。 ………… 「すっぱーい!」 「酢は大丈夫、と」 「からーい!」 「唐辛子も大丈夫」 「しょっぱーい!」 「醤油も平気ね」 「あまーい! おいしーい!」 「砂糖も食べる、と」 「もっとたべたい! ちょうだい! ねえちょうだい!」 「はいはい」 パチュリーの指示を受けて小悪魔がざらざらと砂糖袋から砂糖を皿へと盛る。 それを二匹のゆっくりは二人並んでぺろぺろと舐め始める。 なぜか色艶がよくなっている気がする。 やはり醤油や酢などよりも、砂糖の方が食えた物であるためか。 「ゆっくりー!」 「ゆっくりー!」 二匹は二人そろって仲良く叫んでいた。 「まずーい!」 「一応、草とかも食べるのね」 「おいしくなーい!」 「カブトムシも、有り」 「むぐむぐ、んぐんぐ」 「生肉も平気、と」 「おいしーい! すごくおいしいー!」 「お菓子は良く食べる、と」 「もっとちょうだい! もっとたべたい!」 「もう無いわよ、後は私たちの分」 目の前に紅茶と共にあるのは、紅魔館のメイド長が手掛けた焼き菓子が数枚。 持ってきた分の半分をゆっくり達へと与えたから、残りはパチュリーとその傍らに控える小悪魔の分だった。 「むーっ!」 「むーっ!」 なんでもっとくれないの、と足元でむくれる二匹のゆっくりを見て、やれやれとシュガーポットへと手を伸ばす。 蓋を開け角砂糖を二つほど取り出すと、ゆっくりの頭上へ向けて落として見せた。 「?」 「?」 頭の上の弾んだ感触に上を向き、目の前に転がってきた白い立方体をしげしげと眺め、やがて口に含む。 そして、その表情に喜色が浮かんだ。 「あまーい!」 「ありがとーパチュリー!」 「安い自尊心ね」 くすくすとパチュリーが苦笑を浮べるすぐ下で、二匹のゆっくりはパチュリーに擦り寄るように笑顔で騒いでいた。 ………… 今日一日観察してみて、分かったことを口にしてみる二人。 「雑食ね」 「雑食すぎますね」 あの後も様々な食べ物を与えてみて、生魚や芋虫、ついでに血液や人肉ケーキなども与えてみたが、美味い不味いの反応はあったものの、二匹のゆっくり生物はすべからく胃袋に収めてしまっていた。 食の観察をしてみれば、雑食この上ないという結果だった。 次は何をしようかしら、とパチュリー。 ああそういえば、と思い付きを口にする子悪魔。 「共食いとか、するんでしょうか?」 ちらりとパチュリーの足元に視線を向ける。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさがそれぞれ寝息を立てて横に転がっていた。 それは、この雑食すぎる二匹のゆっくり生物に対して沸いた只の疑問であって、特に本心から思ったものでは無かった。 しかしパチュリーはどことなく冷やかな視線を足元に向け、口を開いた。 「試してみる?」 「え、宜しいのですか」 「宜しいのですかって何がかしら」 「万一にも共食いをしたら、どちらかが居なくなってしまいますよ」 「別に、私はペットを飼う心算は無いわよ。ティータイムのクッキーが減るのも、嫌」 咲夜の作ったお菓子は美味しいもの、と特にどうでもよさそうな事を呟いてパチュリーは指を振って何言かを唱えた。 二匹のゆっくりはふわふわと揺れるように浮かび上がり、パチュリーが着いている丸テーブルの上へと案内された。 未だ夢見心地の二匹を眺め、口を開く。 「まぁこの程度で情なんてモノが沸いていたら、百年も魔女なんてやっていないわよ」 つん、と指先でゆっくりの頬を優しくつつき、冷淡な微笑みを湛えて見せた。 ………… 1日目 「せまいよ! もっとひろいところがいい!」 「おなかすいたよ! あまいのたべたい!」 「えーと、特に異常無しですね」 2日目 「ゆっくりしようよ!!」 「なんでゆっくりさせてくれないの!?」 「ゆっくりしてますよー、私はー」 3日目 「おねいさん! だしてよ!」 「もっとゆっくりしようよ! ねえ!」 「それにしてもこの時間は暇ですねー、パチュリー様に習って本でも借りてきましょうか」 4日目 「だして! ここからだして!」 「ひどいやつ! パチュリーにいいつけてやる!」 「そうですねー、パチュリー様はお優しいですからー、知ったらきっと出してくださると思いますよー」 5日目 「パチュリー! たすけて!」 「わるいやつがここにいるの!」 「んー、しぶといと言うべきでしょうか、本日も異常無し」 6日目 「だずげでえええ! バヂュリ゛ー!」 「お゛な゛がずい゛だよ゛おおおお」 「さて、次はどの本を読みましょうか」 7日目 「い゛や゛だあああ! ゆ゛っぐり、じだいいいい」 「も゛う゛い゛や゛あああ! ゆ゛っぐりざぜでえええ」 「異常無しですか。んー、これはもしかすると――」 ………… 「すっきりー!」 「すっきりー!」 「すっきりー!」 「……………………なにしてるんですか、パチュリー様」 「あら、戻ってたのね」 なにやら高速で振動している三匹のゆっくり。 良く見なくても、パチュリーの魔法の仕業であることが分かる。 妙に頬を高潮させているゆっくり。 そして何故かその周囲には飛沫が舞っていた。 「ほら、こうすると発情するのよ」 高速で振動していたそれが、さらにその運動を激しくさせる。 「ゆっ……! ゆっ……! ゆっ……! ゆーー!!」 がくがくと震え初め、その丸い物体の下部から液体が飛び散り始める。 「す、すっきりー!」 「ほらね、これで、えーと……八回目かしら?」 うわぁ……と微妙そうな表情を見せる小悪魔にたいして、その主は笑顔を浮べ、言う。 「面白いでしょう?」 「……………………」 「……冗談よ。それで、今日の様子も変わり無いのかしら」 そう拗ねた様子で言って見せたパチュリーに対して、小悪魔は別室に隔離したゆっくりれいむとゆっくりまりさの様子を伝える。 といっても、七日目である今日の様子はといえば、ただ只管に泣き叫ぶだけだった。 「まあ、共食いといっても別に期待していたわけではないから、そういう生き物だったってだけよね」 そろそろ出してあげるのも良いかしら、と口にするパチュリー。 傍らで振動を続ける三匹のゆっくり達は、二人の会話中もそのままだった為か、白目を剥いて泡を吹き始めていた。 「これを掃除するのは、私なんでしょうか」 小悪魔の目の前には、色々な液体で水浸しになった一面の床と、その上で失神中の三匹のゆっくり達。 思わず溜息が零れた。 ………… がちゃり、と扉が開かれ、その奥から気だるげな印象を備えた少女が姿を表した。 「バヂュリ゛イイイイ!!!」 「バヂュリ゛イイイイ!!!」 「ひさしぶりね、貴方達。随分と痩せてしまったみたいだけど、大丈夫だったかしら?」 パチュリーの姿を目にした途端、跳ね起きるようにして鉄の格子に身体を押し付け、泣き叫ぶようにして助けを求めるゆっくり。 「だずげでバヂュリ゛ー!!!」 「わ゛る゛い゛や゛づがい゛る゛の゛おおお!!!」 「あらあら、まだまだ元気いっぱいね」 困ったような笑顔を浮べたパチュリーは二匹のゆっくりが収められている鉄籠に近付き、その扉に掛けられた錠前を魔法で切断してみせた。 籠の扉はその上部についており、そこから中を覗き込むとゆっくりが笑顔を浮べて此方を見上げているのが見て取れた。 「ゆっ! ゆっ!」 「ゆ……っ! ゆ……っ!」 二匹のゆっくりが、真上に開かれた出口から飛び出そうと一生懸命飛び跳ねて見せるが、あと少しという所で届かない。 「ほら、そんなに慌てなくても、手伝ってあげるわよ」 言うが早いか、ゆっくりれいむの体がふわりと浮き上がり、出口を潜ってパチェリーの胸元へと導かれる。 やさしく抱きとめられるゆくりれいむ。 「バ、バヂュリ゛ー!」 涙と鼻水でずるずるになったその表情をパチュリーの胸板へと押し付け、ゆっくりれいむは嗚咽を我慢せずに泣き始める。 思わず溜息を零し、パチュリーはその視線を期待に溢れた表情を浮べているゆっくりまりさへと向けた。 「はぁ……まりさは少しまっててね。れいむを置いてくるから」 「うん! まりさまってるよ! いいこだから! でも、はやくもどってきてね!」 「ええ、すくに戻ってくるわよ」 笑顔を浮べてゆっくりまりさに答えると、パチュリーはゆっくりれいむを抱えて部屋の入口へと向かっていった。 入ってくる際に開け放しのままにしておいた引き戸を潜り、廊下へと足を進める。 こつこつこつ、と暫し進む。 と、パチュリーの直傍らに佇む影が現れる。 「どうでしたか?」 「あっ!!」 小悪魔が声を掛けるのと、ゆっくりれいむがその姿に気付くのは同時だった。 パチュリーが小悪魔に言葉を返そうと口を開こうとするが、それを遮ってゆっくりれいむが大声で叫ぶ。 「パチュリー! こいつだよ! わるいやつ! やっつけて!」 敵意を剥きだしにして子悪魔を威嚇するゆっくりだったが、その様子を気にも留めずに小悪魔はパチュリーの衣装を気遣う。 「ああ、パチュリー様の御召し物をこんなに汚してしまって、駄目ですよ」 「パチュリー! はやく! こいつがれいむをいじめたの!」 「ほら、そのまま持っていてはさらに汚れてしまいます」 そう言ってパチュリーに向かって両手を差し出してみせる小悪魔。 ゆっくりれいむはその動作に一瞬身体を震わせ、その身をさらにパチュリーへと押し付けた。 口を開き、叫びを吐く。 「なにしてるの!? たすけてパチュリー!! こいつをやっつけて! はやく!!!」 一生懸命にパチュリーに懇願するゆっくりと、その様子をどうとも思っていない子悪魔。 やれやれ、とパチュリーは首を振り、至極あっさりとゆっくりれいむを手渡した。 「はい」 「――ゆ?」 何が起こったのか、はて? と首を傾げるゆっくりれいむ。 「……?? ……????」 辺りを見回し、パチュリーの顔を眺め、上を向いて子悪魔の顔を視界に納める。 「パチュリー様、御着替えでしたらあちらに咲夜様が居られますので」 「わかったわ」 パチュリーが小悪魔とすれ違い、離れていく。 「????」 何が起こったのか、全く理解できていないのだろう。 疑問符を浮べたまま、去っていくパチュリーの後姿を眺め続けるゆっくりれいむ。 「さて、台所を借りましょうか」 小悪魔は、直傍を通り過ぎたメイドの一人へと声を掛け、その足を厨房へと進めた。 ………… 「ごはんですよー」 「あっ! わるいやつ!」 パチュリーがゆっくりれいむを抱えて去っていった室内。 静かにパチュリーが戻ってくるのを待っていたゆっくりまりさの前に姿を現したのは、望んだパチュリーではなく悪い奴である子悪魔だった。 「パチュリー! はやくきて! わるいやつがここにいるよ!」 パチュリーに知らせる為であろうか、大きく音を立てるようにと鉄籠を揺らすべく上下に運動を繰り返すゆっくりまりさに対して、小悪魔は片手に持ったトレイから一枚の大皿を取り上げて見せる。 「そんな事は無いですよ、ほら」 言ってゆっくりまりさに差し出された大皿の上に載せられていたのは、輪になった生地に大量の餡子が詰められた、しいて言えば巨大な饅頭を輪切りにしたような何かだった。 「むっ」 ゆっくりまりさは格子を挟んだ向かい側、小悪魔が置いた食べ物らしき物体を凝視する。 空腹の為か、暫しソレを見つめ続け、次いで小悪魔へとその視線を移す。 これは何なのか? どのような意味なのか? といった視線だった。 「これはパチュリー様からですよ」 まるで花が咲いた様に笑いかける小悪魔。 「パチュリーから!?」 「私もあなたに意地悪したことを怒られてしまいましたし」 「おこられたの!?」 「ええ、はい。それはもう」 「パチュリー! ありがとー!」 思わず飛び跳ね、勝ち誇った笑みを小悪魔に向けるゆっくりまりさ。 「おもいしったか!!」 あらあら、と小悪魔はその笑みを益々深くする。 「それじゃあ出しますよ」 小悪魔の両手にて持ち上げられるゆっくりまりさ。 大皿の直傍に降ろされ、差し出された輪切り饅頭に齧り付く。 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 その表情に喜色が宿る。 「どうですか?」 「あまーい! おいしーい!」 ゆっくりまりさの胴回りと同じくらいのそれは食べ物としては巨大だったが、ゆっくりまりさにとっては久しぶりの甘味である為か瞬く間にその量が減っていく。 「まだまだありますよ」 巨大な何かを食べきった際に、さらに差し出される同じ形のソレ。 「ぜんぶまりさのー! むーしゃ♪ むーしゃ♪」 笑顔を浮べ、その量をさらに消化していく。 三つ、四つと食べきっていき、やがて差し出された大皿の中には最後のひとつが残されていた。 輪切りにされた何かの端。 げふー、と喉を鳴らしてそれに齧りつこうとするゆっくりまりさに向かって、小悪魔は口を開く。 「おいしかったですか?」 どこか、確認を求めるような声色だった。 「おいしかったー!」 「ソレも食べますか?」 「たべるの! ぜんぶまりさの!」 「そうですかー」 言って相変わらずの笑顔を貼り付けたままの小悪魔。 「でも、これ、裏返しですね」 「?」 「ほら、こちらが表です」 最後の一切れを、裏返す。 「……………………え?」 そこに何を見たのか、ゆっくりまりさの動作が止まる。 「……? ……??」 首を傾げ、首を振り、目を瞑り、目を開き、今まで食べたものを思い起こす。 「……??? ……????」 次いでカタカタと小刻みに震え始め、言葉にならない音がその口から漏れ始めた。 「れ……れ?」 「れ――なんですか」 「れ、れれ、れい、れい、む?」 「はい。正解です」 そこには、まるでこの世の全てに絶望しきったような愕然とした表情を貼り付けた、ゆっくりれいむの顔面部分があった。 薄く切り取られたその表情は、どこか虚空を見つめたまま、動くことは無い。 「……!? ……!?」 たまらず魚の如く口を開閉させるゆっくりまりさの様子を気にも留めず、小悪魔は大皿にのせられたゆっくりれいむ表情を相手へと進めてみせる。 「どうしましたか? これもあなたのものですよ? ほら、食べないと」 「……!! ……!!」 「これで最後ですよ、ほら、あーん」 「っ……!! ……パ」 「パ?」 「パチュリイイイ!!! わるいやつが!!! わるいやつが!!! れいむを!!! れいむがああああ!!!」 目を剥いて子悪魔を威嚇し、ゆっくりれいむの切れ端の直傍にて上下に飛び跳ねるゆっくりまりさ。 そんな突然の態度の豹変を受けても、小悪魔はにこやかな姿勢を崩さない。 にこにこと笑顔を浮べ、しかしその手段は強行だった。 「はやくきて!!! パチュリイイイ!!! はやくきて!!! こいつをやっつけて!!! パチュムグッ!??」 「はい、どうぞ♪」 小悪魔は片手をゆっくりまりさの口内に突っ込みこじ開け、もう片方の手でゆっくりれいむの切れ端を掴み、丸め、その開いた口内へと無理矢理押し込んだ。 「んぐ……っ!? むぐ……っ!! むー……っ!!!」 ゆっくりまりさは押し込まれるソレを舌で押し返そうと一生懸命抵抗するが、それも虚しく、小悪魔は強引にソレを押し込んでいく。 やがて口いっぱいに押し込まれていったソレは、ごくり、と嚥下されていった。 小悪魔が唾液の滴った手をゆっくりまりさの口から引き抜く。 「ごちそうさまでした♪」 両手を合わせ、首を傾げてゆっくりまりさに微笑みかける小悪魔。 ゆっくりまりさは目の前の空になった大皿を呆然と眺め続け、動かない。 さてそれでは、と子悪魔がゆっくりまりさを抱えあげるも反応はなく、そのまま室内を出ようとした所でようやくゆっくりまりさが呼び続けた人物が現れた。 「あら、パチュリー様、どうかなさいましたか?」 「……パチュリー?」 子悪魔に呼ばれたその名前に反応し、顔を上げるゆっくり。 はたしてそこには、ゆっくりまりさが待ち望んだ人影があった。 「パチュリー!!!」 「あっ」 予想外の勢いで小悪魔の懐から抜け出したゆっくりまりさは、一目散にとパチュリーへと飛び跳ねていった。 「パチュリー! たすけてパチュリー! わるいやつが! ひどいやつが! もうぜんぜんゆっくりできなーい!!!」 扉を抜けてパチュリーへと縋りつくべく精一杯の速度で飛び跳ねるゆっくりまりさ。 目の前のパチュリーまであと少し。 傍らに見知らぬ人影が二人分あったが、そんなのは思考の外であった。 しかし、次に聞こえてきた声にその身は震わされた。 「うー! うー!」 ゆっくり生物の共食い種。 ゆっくりれみりゃの登場である。 何処に居るのか、とゆっくりまりさが冷や汗を流しながら辺りを見回すと、パチュリーの直傍。 見知らぬ人影の内、片方、桃色の衣装を纏った少女の足元に、ゆっくりれみりゃは存在していた。 「レミリア様も御一緒だったんですね」 「ええ、私も、おもしろいものを見つけて、ね」 小悪魔の問いに対してレミリアと呼ばれた少女は、今現在ゆっくりまりさをおいかけまわしている何かに向かって視線を向けていた。 「うー! うー!」 「だずげでバヂュリ゛ー!!」 上機嫌に追い掛け回すゆっくりれみりゃと、パチュリーに助けを求めるべく当人に飛びつこうとするゆっくりまりさ。 「あら貧血」 パチュリーの胸板へと飛び込んできたゆっくりまりさを、ふらりとよろめく姿勢でパチュリーは回避する。 パチュリーはレミリアの傍らに控えていた銀髪のメイドに抱きとめられ、迎えられることの無かったゆっくりまりさの身体は空中を浮かぶ。 「ゆ゛!?」 べしょ、と床に顔面から墜落するゆっくりまりさ。 思わずレミリアから失笑が零れる。 「ふふふ、やっぱり、あの白黒とは似ても似つかないわね」 「うー! うー!」 追いついてきたゆっくりれみりゃに食いつかれ、悶絶し、暴れだすゆっくりまりさ。 「い゛、いだい!! やめ゙てやめでね゙…!!!」 「うー! うー!」 「…や゙め゙…!!……ばな゙じ…!!…ゆ゙…ゆ゙…ゆ゙!!!」 「うー! うー!」 「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛……!!!」 ぶちっ、と身体を引き千切ってその身の安全と確保するゆっくりまりさ。 おもわず前のめりに躓くゆっくりれみりゃを放置して、そのままの勢いで駆け出していく。 「あら、やるものね」 「でも、そろそろ飽きたわ」 指を伸ばし、言霊を紡ぐパチュリー。 皆に背を見せてゆっくりれみりゃから一目散に逃げ出そうとしているゆっくりまりさの身体がふわりと持ち上がる。 「な゛、な゛に゛!?」 空を切った感触に一瞬思考に隙間が出来るが、くるりとその身体を反転させられ、目の前に現れたその姿にゆっくりまりさの心に希望の火が灯った。 「パ、パチュリー!! たすけてね! ゆっくりたすけてね!」 ゆらゆらと波間を漂うように揺れながら、ゆっくりまりさとパチュリーの距離が縮まり、もう少しで届くかという所で、その真下から一人と一匹の触れ合いを妨害する声が上がった。 「うー! うー!」 思わず冷や汗を垂らして強張った表情を貼り付けたゆっくりまりさが、恐る恐る自らの下へと視線を向ける。 ゆっくりまりさの傷口から溢れ出た餡子を直下で待ち構え、零れ落ちて来たそれを頬張っているゆっくりれみりゃ。 慌ててパチュリーに向き直り、唾を飛ばしながら必死な形相で懇願をし始めるパチュリー。 「た、たすけてパチュリー! あいつがまりさをいじめるの!! あいつをやっつけて!!!」 そう言ってパチュリーに助けを求めるが、パチュリーは笑みを浮べたまま動こうとはしない。 そればかりか、先ほどからゆっくりまりさとパチュリーとの距離は縮んでいない様に感じられた。 「なにしてるの!? はやく!! はやくたすけてパチュリー!!」 既に完全に恐慌状態に陥っているゆっくりまりさに対して、パチュリーはようやく口を引く。 笑顔から一転、呆れたような表情を見せて、一言。 「あなたの相手をするのは凄く疲れるわ」 向けられた視線は冷やかだった。 「パ、パチュリー? ……?」 「自分勝手で我侭なのは別に構わないわ。食いしん坊な所も馬鹿な所も、ね。でも、一々人に頼るのは止めて頂戴。凄く疲れるから」 「……? ……?? ……??? ……????」 ぱくぱくと声にならない音を漏らし、その表情に何を浮べるべきか定まらないゆっくりまりさ。 何を言っているのか、何を言われたのか。 理解できない、理解したくない。 愕然とした表情のまま、ゆっくりまりさの精神が停滞する。 「あなたは興味深い生き物だったけど、もうおしまい。ほら、あの子に食べられれば寂しくないわよ」 あなた以外の子は、みんなあの子が食べちゃったんだから、と。 「うー! うー!」 ゆっくりれみりゃの声が聞こえる。 くるりとパチュリーが指先一つでゆっくりまりさを反転させると、その三寸先に、ゆっくりれみりゃの顔が浮かんでいた。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ……!??」 「うー! うー!」 ぱたぱたとその背中の羽を動かして、ゆっくりまりさと同じ高さに浮かんだゆっくりれみりゃは邪気の無い表情を相手へと向けている。 おいしい食べ物を目の前にして、その機嫌は上々の様子だった。 何を思ってか、ゆっくりまりさのその表情が酷く歪む。 「ゆ゛っ゛ぐり゛……!!」 ゆっくりれみりゃが大きく口を開く。 何か、黒い塊を吐き出すように、まるで原型を留めていない表情でゆっくりまりさは吼えた。 「ゆ゛っ゛ぐり゛ざぜでえええええええ――――づぶ」 暗転。 「さすがにこれは酷いですねー」 「お嬢様……」 「な、何よ二人共、散らかしたのはこの子よ」 「うー?」 そういってゆっくりれみりゃを抱えあげるレミリア。 ここは紅魔館の一室。 パチュリーが捕まえられたゆっくり達を観察していた、ゆっくり観察部屋だった。 部屋の彼方此方に散乱しているのは中身の無い鉄籠。 中身は空である。 しかし、注目すべきは其処では無い。 部屋の全体に向かってぶちまけられる様に散乱した、大量の餡子。 見れば、赤いリボンや黒い魔女帽子の残骸も部屋の彼方此方に見て取れた。 このような有様になったのはつい先ほど。 パチュリーがゆっくりれいむの涙と涎でずるずるになった衣服を着替え、この部屋へとやってきた際、レミリアが一匹のゆっくりを連れてこの部屋を訪れた。 そのゆっくりがゆっくりれみりゃである。 どうやらパチュリーがゆっくり達を構っているのを見て、自分でも一匹ほど飼ってみたくなったらしい。 中国にお願いして一匹捕獲してもらい、それがゆっくりれみりゃであったそうだ。 「――それで、ほかのゆっくり達と遊ばせようと思って籠を開けたら、片っ端から食べられてしまった、と」 まさに、阿鼻叫喚の地獄絵図だったらしい。 逃げるゆっくり達。 追いかけるゆっくりれみりゃ。 種類の差だろうか、立ち向かうという思考すら浮かばないらしく、パチュリーやレミリアの陰に隠れ必死に懇願を繰り返すゆっくり達。 もりもりと上機嫌でゆっくり達を喰い散らかしていくゆっくりれみりゃ。 泣き叫ぶゆっくり。 逃げ惑うゆっくり。 飛び散るゆっくり。 喰いまくるゆっくりれみりゃ。 物凄い光景だったらしい。 「――ああ、それではあの部屋の前を通りかかったのは」 「咲夜を呼びに言った帰りね」 部屋の掃除のために、と主人。 「はぁ……」 とは従者の呆れである。 「それにしても、紅白巫女や白黒魔法使いの他に、レミィのゆっくりも居るなんてね」 「うー?」 わたしに似たゆっくりも居るのかしら? と言ってレミリアの腕の中に納まっているゆっくりれみりゃへと腕を伸ばすパチュリー。 と、 「うまうま!」 むーしゃ♪ むーしゃ♪ とゆっくりれみりゃ。 「あ」 と子悪魔。 「あら」 とは腕を丸齧りされているパチュリー。 「パチェ!!」 ばん、と大きな破裂音を残して、ゆっくりれみりゃの姿が掻き消える。 部屋の壁一面に盛大な染みが生まれ、飛び散る肉汁。 腕を振りぬいた姿勢のレミリア。 その顔は青い。 「あ、あぁ、なんて事……だ、大丈夫? ねえパチェ」 「このくらい何とも無いわよ、レミィ」 「こんなに血が出て、なんて痛ましいのかしら」 「やさしいのね、レミィ」 「あぁ、パチェ……」 「レミィ……」 見詰め合う二人。 触れ合う両手。 近付く唇。 ………… 「……さっさと片付けましょうか」 「……そうですねー」 紅魔館は今日も平和だ。 『その7 一人芸』 「シャンハーイ」 「え、何? この生き物は何かって」 「ホラーイ」 「うん。今朝魔法の森で見つけたのよ」 「シャンハーイ」 「何で黒焦げなのかって? さあ、拾った時にはそうだったから、そこまでは私にも判らないわ」 「ホラーイ」 「如何するのかって? ふふふ、ねえ見て、この生き物、何かに似てると思わない?」 「シャンハーイ」 「うーん、判らないかしら」 「ホラーイ」 「あら、正解よ」 「シャンハーイ」 「ふふふふ、ね? ほら、魔理沙に似ていると思わない?」 「ホラーイ」 「くすくすくすくすくす……さあ? どうしてくれようかしら」 「……………………ゆ…………ゆゆ」 「ん? あら」 「ゆっ……ゆっ……」 「目が覚めるのかしら」 「ゆっ……?」 「あら、おはよう」 「ゆっくりー……?」 「ゆっくり?」 「こ……」 「こ?」 「ここ……」 「ここ?」 「ここはどこなの? おねいさんはだれ? おうちかえして!」 「そんな一遍に言われても答えられないわよ」 「…………」 「?」 「おねいさんのばーか!」 「うわ」 「おなかすいた! おうちかえる!」 「ふーん」 「ゆっくりしたいの! おうちかえる!」 「へぇ」 「ゆっくりするからね! おうちかえる!」 「あら、こんな所にショートケーキが」 「ゆっ!? それちょうだいね! おいしくたべるよ!」 「シャンハーイ」 「あー、人形に持っていかれちゃったわ」 「む゛っ!」 「あら、あんな所にモンブランケーキが」 「ちょうだい! それちょうだい! おねいさんあれとって!」 「ホラーイ」 「あー、人形が取って行っちゃったわ」 「む゛ーっ!」 「あら、そんな所にシュークリームが」 「ゆっくりー!!!」 「味はまあまあね」 「あー!!!」 「ん? どうしたの? 何をそんなに騒いでいるの?」 「わたしの! それわたしのシュークリーム!! なんでかってにたべちゃうの!!!」 「…………は?」 「ひどーい! おねいさんひどい!!」 「うーん……始めて見た時から予想してたけど、想像以上の自分勝手ぶりね。さすがは魔理沙モドキといった所かしら」 「む゛む゛む゛!」 「やれやれ……」 「シャンハーイ」 「ゆ?」 「ホラーイ」 「ゆゆ!!」 「まあ、お人形さんがあなたにケーキをあげるって。よかったわねぇ」 「わーい!」 「シャンハーイ」 「ホラーイ」 「ふふん! おねいさんにはあげない! これはわたしの! いいでしょ!!」 「そうね、羨ましいわ」 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「酷い食べっぷりね」 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「なんて不細工なのかしら」 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「まるで人面饅頭ね」 「むーしゃ♪ むーしゃぶぶっ……!?」 「……? どうしたの?」 「か、かかかか」 「かかか?」 「からーい!!! おみず!! おみずはどこ!!」 「あらまあ」 「おみず!! おみず!! はやくしてね!! さっさとしてね!!」 「水、ね。何処にあったかしら」 「くちのなかがひりひりするの!! はやく! おねいさんはやく!」 「ごめんなさい。お姉さんちょっと物忘れが激しくて」 「どこ!!? おみずはどこ!! はやくおもいだしてね!! すぐにおもいだしてね!!」 「はぁ……全然思い出せないわ」 「ばーか!! おねいさんのばーか!!! ばかばかばーか!!!!」 「…………」 「シャンハーイ」 「ホラーイ」 「へえ、お人形さんがトマトジュースでよければあるよって。よかったわねぇ」 「わあい!」 「シャンハーイ」 「ホラーイ」 「ふふん! おねいさんのばーか!!」 「はいはい。さっさと飲みなさい」 「ゆっくりのむよ! おいしくのむよ! ありがとうおにんぎょさんたち!!」 「シャンハーイ」 「ホラーイ」 「ゆっくりー! …………ごくごくごくごくごぶぶぶっ!!!??」 「ふふふっ、どうしたのかしら? ねえ?」 「~~~~~~~!????」 「シャンハーイ」 「ホラーイ」 「あら、お人形さんがごめんなさいって。トマトジュースじゃなくてタバスコだったって」 「……!!! ……!!?? ……!????」 「うーん、何言ってるのか全然分からないわ」 「∂∫∬¥$¢£Å‰ξ……!!!」 「うわ、瞳孔開いてるわよ」 「シャンハーイ」 「よっぽど辛いものが苦手なのかしらね」 「ホラーイ」 「泡まで吹き始めたわ……って、流石にこれは気持ち悪いわ。どうしようかしら」 「シャンハーイ」 「え? 何処かに捨ててきましょうかって? ……そうね、このままガタガタゴトゴト五月蝿いのも煩わしい事だし――」 「ホラーイ」 「――折角だから、使わなかった辛子団子と山葵饅頭も押し込んで放り出しましょうか」 「シャンハーイ」 「はい、ありがとう。ほら、そこの魔理沙モドキ口を開きなさい」 「……ゆ゛? ……ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛????」 「はい、そこで捻じ込んで」 「ホラーイ」 「……!!!??? ……!!!!!!!」 「ごちそうさま、と。じゃあ口を開かない様にぐるぐる巻きにして、そこら辺の藪の中にでも転がしておこうかしら」 「シャンハーイ」 「ホラーイ」 「ぐるぐるぐる、と」 「シャンハーイ」 「ホラーイ」 「行ってらっしゃい、なるべく物騒そうな所に捨ててくるのよー」 「シャンハーイ」 「ホラーイ」 「…………ふー。んー、なんだか久しぶりにすっきりした気がするわー!」 『おわれ』 駄文製作者:ななな
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/49.html
ゆっくりいじめ系43 ゆっくり家族の引っ越し 虐制家共 ゆっくりいじめ系49 ゆっくりとのワンダフルライフ 虐無外 ゆっくりいじめ系105 加工所職員のストレス解消法虐無 ゆっくりいじめ系116 懐かし玩具とゆっくり制無 ゆっくりいじめ系119 ギロチンとゆっくり虐家 ゆっくりいじめ系120 マッサージチェアとゆっくり虐性道無 ゆっくりいじめ系169 Ten little Yukkuri虐家 ゆっくりいじめ系173 Ten little Yukkuri後日談虐家性道 ゆっくりいじめ系186 犯人は子れいむ制家無 萃香×ゆっくり系1 子鬼とゆっくり 制 衣玖×ゆっくり系1 衣玖さんとゆっくり 虐 そ その他 ゆっくり草原観察 そ性 その他 ごみ箱ゆっくりそ道 ゆっくりいじめ系217 整地ゆっくり虐家無 ゆっくりれみりゃ系いじめ19 れみりゃと亀さん虐性無 ゆっくりいじめ系267 愛の劇場 -背徳の饅頭-そ性無 ゆっくりいじめ系275 妖怪とゆっくり虐そ家 ゆっくりいじめ系313 ゆっくり家族とエターナルフォースブリザード制家無 ゆっくりいじめ系329 都会派と甘い罠虐性無 衣玖×ゆっくり系2 ゆっくりてんこ大虐殺虐家捕 ゆっくりいじめ系374 親の心子知らず、子の心親知らずそ性家無 ゆっくりいじめ系380 公衆便所ゆっくり※年齢制限内容を含むため、本文は外部ページ ゆっくりいじめ系418 大乱交!ゆっくりファミリー虐性無 ゆっくりいじめ系424 ゆっくりの歌虐家無 ゆっくりいじめ系459 色つきゆっくりの結末虐無 ゆっくりいじめ系493 ゆっくりペットショップ制無 ゆっくりいじめ系515 強姦まりさの敗北制性無 ゆっくりいじめ系542 赤ちゃんゆっくりの冒険-前-そ環家性捕 ゆっくりいじめ系543 赤ちゃんゆっくりの冒険-後-そ環家性捕 ゆっくりいじめ系618 ゆっくり家族のある夏の日虐環家 ゆっくりいじめ系729 灰色の檻の中で虐環家 ゆっくりいじめ系794 野生のれみりゃ家族 そ 家 捕 ゆっくりいじめ系929 甘やかした結果 ゆっくりいじめ系974 0歳の母 ゆっくりいじめ系975 0歳の母2 ゆっくりいじめ系1030 ドキッ☆ゆっくりだらけの運動会 ゆっくりいじめ系1031 ドキッ☆ゆっくりだらけの運動会2 ゆっくりいじめ系1072 ドキッ☆ゆっくりだらけの運動会3 ゆっくりいじめ系1126 れいむの転落人生 ゆっくりいじめ系1195 ゆっくり釣っていってね!!! ゆっくりいじめ系1196 ゆっくり釣らないでね!!! ゆっくりいじめ系1277 生き別れのれいむ姉妹 ゆっくりいじめ系1299 幻想と現実の境界 ゆっくりいじめ系1361 駅前ベンチ上のれいむ ゆっくりいじめ系1440 伝わらない声 ゆっくりいじめ系1792 子育て物語 前編 ゆっくりいじめ系1793 子育て物語 後編 ゆっくりいじめ系1936 敏感まりさの失敗 -やめて赤ちゃんすっきりだけは- ゆっくりいじめ系1945 元気な家畜 ゆっくりいじめ系1955 鉄の檻 ゆっくりいじめ系2020 一緒にゆっくり遊ぼうね ゆっくりいじめ系2203 れいむだって生きてるんだよ。 ゆっくりいじめ系2356 偽りの愛情 ゆっくりいじめ系2449 ゆっくりお花見しようよ ゆっくりいじめ系2648 運が悪かったんだよ ゆっくりいじめ系2806 ゆっくりに花を咲かせましょう虐制改無