約 738,045 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/988.html
※現代社会に当然のようにゆっくりがいます。 ※オリ設定満載です。 ※ぬる虐めです。そして割と愛で気味です。 ※fuku2278.txtの続きですが、読まなくても問題はありません。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そんなご時勢ゆえ、こんなものが出現するのも時間の問題だったといえる。 ゆっくりと遊べるアトラクションパーク“ゆー園地”はこの夏オープン!ゆっくり好きのみんなは絶対に来てね! そんな馬鹿馬鹿しいキャッチフレーズに騙される物好きというのは意外と多いもので、ゆー園地はゆっくり連れの人々でごった返していた。 「おにーさん、たのしみだね!」 右を向けばやや小柄な青年の肩に乗ったまりさが瞳を輝かせ・・・ 「れいむゆっくりあそぶよ!」 左を向けば父親と並んで歩く12歳前後の少年に抱きかかえられたれいむが腕の中で飛び跳ねている。 「「ゆっきゅりー!!」」 どうやら私の前の女性は本来同伴不可の赤ちゃんゆっくりを連れてきているようだ。 「たのしいところなんだねー、わかるよー!」 後ろのほうからはちょっと珍しい種の・・・確かゆっくりちぇんの期待に満ちた声が聞こえてくる。 あたり一面ゆっくり馬鹿だらけ。 かく言う私もその一人・・・とは言いがたいところなんだけど、傍から見れば十分にゆっくり馬鹿に見えるんだろう。実に心外だ。 今私たちが目指している場所、『ゆー園地』はその名の通りゆっくりと飼い主が一緒に楽しめる遊園地。 最高時速25kmのジェットコースターや最高到達点15mの観覧車、顔饅頭だらけのお化け屋敷などの素敵なアトラクションが盛りだくさん。 しかもこれで入場料は大人1人3000円のゆっくり1匹につき500円。フリーパスだとその2倍。 ・・・・・・・・・・ちょっと責任者出て来なさい。 「れいむー、たのしみだねー!」 そう言いながら私の右肩で緩みきった間抜け面をさらしているのはゆっくりまりさ。 「ゆっくりしようねー」 まりさに返事をしたのは左肩に乗っているゆっくりれいむ。ちなみに、まりさのつがいで子どもが6匹いたりするが子どもはサイズの関係で入場禁止なので友人宅に預けている。 こっちは入場料や、恐らく中に入ったらこいつらが欲しがるであろう食べ物なんかの出費を考えるだけで頭が痛いのに、なんとも気楽な連中だ。 「おねーさん、ゆっくりあるいてね!」 そして、抱きかかえられたまま私のお腹に顔をうずめて怯えているのはもう1匹のゆっくりまりさ。 こいつは非ゆっくり過敏症なる珍妙な症状を持っていて、時速3km以上の速度で移動するものを見ると気絶してしまう。 しかも、ふざけた事に自分自身の落下速度が3kmを超えると気絶してしまうので這って移動することしか出来ない。 そんな有様だから私が普通に歩くだけでも気絶してしまう。そのため、仕方なくこうやって視界を塞いで連れ歩いているのだ。 何で私がゆっくりなんかのためにここまでせにゃならんのか・・・。 「はぁ・・・」 何度目になるかもわからないため息をついた時、ようやくゆー園地に到着した。 入場した私たちはまず手近にあったメリーゴーラウンドに乗った。 ここのメリーゴーラウンドは四つん這いになったメイド服の妖精少女が木馬代わりという実にシュールな代物だ。 木馬の台数は15台程度。ゆっくりが乗ることを前提に作られているので全体的に小ぢんまりとした造りで、ゆっくり用の台座がメイドの頭に設置されている。 そして、回転速度も非常に遅い。時速2kmくらいしか出てないんじゃないか、これ? 「おーい、まりさ。これならあんたでも大丈夫だろ?」 せっかく連れてきたんだから楽しんでもらおうと思って過敏症まりさに声をかける。 「ゆゆっ!ほ、ほんとうに?!」 そして、その言葉を信じたまりさは恐る恐る外へ目を向ける。 エレエレエレエレエレ・・・ すると、視界に飛び込んできた普通に歩いているお兄さんを見て嘔吐、気絶してしまった。 ・・・だめだこりゃ。 念のため用意しておいた透明のビニール袋で過敏症まりさの嘔吐を受け止め、まりさ自身もそこに放り込んでおく。 「はぁ・・・仕方ないか。アンタらだけでも楽しみな?」 「いわれなくても~」 「ゆっくりたのしんでるよ~!」 流石と言うか何と言うか、言われるまでもなく2匹はゆっくりしていた。 「ゆ~ゆ~ゆ~、ゆ~ゆ~♪」 「ゆゆっ~ゆゆ~♪」 こっちはどうしようもないほど退屈だというのにむかつくほど楽しそうだ。 その姿を見ていると、何故か頬をつねりたくなってくる。いや、そう思ったときには既にれいむの頬をつねっていた。 「ああ、くそっ!うっとうしい!」 「はひふふほ、ほへーひゃん!」 「ゆゆっ!おねーさんゆっくりやめてあげてね!」 「うるさーい!私も少しは楽しませろ~!」 周囲の人たちが騒いでいる私たちの様子をチラチラと伺っているような気がしたが、メリーゴーラウンドが止まるまでずっとつねり続けてやった。 「あっはっは・・・ごめんごめん。ちょっと調子に乗りすぎた」 酷くふてくされて頬を膨らませているれいむに苦笑しながら右手を自分の顔の前にかざして謝る。 「ぷんっ!れいむ、やめてっていったのに!やめてくれなかったおねーさんなんてきらいだよ!」 「まりさもやめてっていったのにどうしてやめてくれなかったの!?おねーさんひどいよ!ぷんっぷんっ!」 ついでにパートナーのまりさもふて腐れている。 「う~ん・・・おわびにお菓子買ってあげるから、それで許してくれ」 「お菓子」という単語に反応したれいむとまりさはちらりと私のほうに目を向ける。 が、すぐにそっぽ向いてしまった。 「おかしなんかにつられないよ!」 「れいむほんとうにおこってるんだからね!」 しかし、そう言いつつもこちらの様子をちらちらと伺う2匹。やっぱりお菓子が気になるらしい。 その様子を見て、私はある作戦を思いついた。 「ねえ、まりさぁ、許してよぉ~。許してくれたら美味しいお菓子を買ってあげるからさぁ~」 「ゆ、ゆぅぅぅうう・・・」 作戦名『各個撃破』。2匹をいっぺんに懐柔しようと双方が双方の気持ちを汲んで、自分も良からなく茶という意識を芽生えさせるためなかなか上手い行かない。 しかし、1匹ずつならどうだろうか?それも直接つねられた訳ではないから比較的怒りの軽いまりさを重点的に攻める。 「ね、まりさ、お願い?」 と、許しを請いつつまりさの抱きつく。 饅頭に詫びながら胸を押し付ける女ってのは傍から見たらどういう風に見えるのだろうか? 「ゆぅ・・・しかたないね!あやまるんならゆるしてあげるよ!」 「おお~!ありがと~、まりさぁ~!」 自分でも気色の悪いとしか思えないような猫なで声でまりさに感謝の意を伝えつつ、今度は頬ずりをした。 「ゆぅ~!おねーさん、おかしわすれないでね!」 「もちろん忘れないよ♪やっぱりまりさは優しいなぁ」 「ま、まりさのばかあああああああ!どほぢででいぶをみずでるのおおおお!!」 「ゆゆっ!?みすててないよ!おねーさんをゆるしてあげただけだよ!」 「でいぶがゆるぢでないのどどぼぢでがっでにゆるずのおおお!まぢざなんでぎらいだよ!」 「ゆぅ!?どぼぢでぞんなごどいうのおおおおお!」 気がつけば私そっちのけで痴話げんかを始めてしまった。 「まりさ~、だいすきだよ~♪」 「まりさもだよ~♪」 痴話げんかを始めてからものの42秒ほどで仲直りした馬鹿2匹は、不快指数を高める何かを撒き散らしていた。 「あ~、暑苦しい暑苦しい・・・」 腕の中で鬱陶しいくらいいちゃいちゃしている2匹から目をそらしつつ、私は適当に何か食べられそうな場所を探していた。 「何かないかなぁ?」 しかしこのゆー園地って施設は、ゆっくりも入場可の癖に無駄に広い。 そのくせアトラクションの数はそれなりに多いのだが一つ一つが小さめだし、休憩所になりそうなところも少ない。 更に敷地内がほとんど舗装されていなくて、結構大きな石ころなんかがごろごろ転がっていたりする。 「はっはっは、れいむは鈍臭いな~♪」 「おにいざああああん!まっでえええええええ!!」 そんなわけで、飼い主に運んでもらえず、自力で移動せざる得ないゆっくり達はみんな痛みを堪えて涙目になっている。 「・・・もしかして、私甘すぎる?」 そんな風にぼやいたとき、運よく園内の地図を見つけた。 「適当に何か食べれそうなところは・・・お、あったあった」 「ゆ?おねーさん、なにがあったの?」 「まりさたちにもゆっくりおしえてね!」 いつの間にかいちゃいちゃタイムを終えていた2匹は首をかしげながら上目遣いで私に質問をする。 「ん、ゆーくりーむだってさ。どんなものかは知らんけど、多分シュークリーム的な何かだ」 「「ゆゆっ!しゅーくり-むってなに!?ゆっくりできるもの?」」 「ハモるな、鬱陶しい。ん~、まあ、そうだな・・・アンタらの基準で言えばゆっくり出来るものだな」 「「ゆ~っ!おねーさん!ゆっくりいそいでゆっくりできるものをたべにいこうね!」」 ゆっくりできる、と聞くや否や、2匹は満面の笑みを浮かべていまだ見たことの無いゆーくりーむなるものを催促し始める。 「はいはい、わかったわかった」 そう言って私がゆーくりーむ販売店目指して歩き出したとき、どこかでゆっくりの悲鳴が聞こえた。 「ゆぎぃいいいいいいい!?おにーざん、でいぶのあんよがあああああ!!」 「ん、どうしたんだい?・・・おや、ガラス片が落ちてたみたいだね。それにこんな深手を負ったんじゃ歩けそうに無いね」 「おにいざあああああん、あのおねえざんびだいにでいぶをだっごぢでええええ!」 「やだよ。重いし暑苦しいし」 「ゆぎいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」 やっぱり私は甘すぎるようだ。それにしてもガラス片が落ちていたというのは笑えないな・・・。 「こ、これが・・・ゆーくりーむ・・・」 私は思わず喉を鳴らしてしまった。しかし、美味しそうだからではない。 「ご、ごんあのだべでないよおおおおおおおおおお!!」 「どぼぢでごんなごどずるのおおおおおお!!」 2匹にいたっては泣き出してしまった。ちなみに、過敏症まりさは歩いている途中に目を覚ましたが、また気絶してしまったのでリアクションは皆無。 私達の前に差し出されたそれは、こんがりと底部を焼かれたテニスボールサイズの子ゆっくりまりさだった。 子ゆっくりの口の中にはスライスされた美味しそうなイチゴが並んでいる。それもあまおう2つ分くらいの量だ。しかし、それをこの子ゆっくりが食べることは無い。 なぜならその子の口には歯が一本も無く、口の両端にキノコの山のビスケット部分のようなものがつっかえ棒としてはめ込まれているから。 れいむ達を怯えさせているのはそれだけではない。この子は・・・目も失ってしまっていた。そして、その空洞には右目に生クリームが、左目にはカスタードクリームがねじ込まれている。 「あ・・・ぁああぁ・・・」 しかし、このような悲惨な姿にされてもなお、この子ゆっくりは死んでおらず、時々うめき声のようなものが漏れ出してきた。 「・・・・・・いくらなんでも、これは引くわ」 確かにゆっくりのテーマパークの名物らしい代物ではあるが、どう見ても悪趣味すぎる。 「・・・・・・って言っても1つ600円もしたんだし、捨てるわけにもいかないか」 「ゆっ!?おねーさん、このこをだべぢゃうの!?」 「だめだよ、おねーさん!このごをゆっぐぢだづげでね!!」 当然といえば当然だが、2匹は私がその子ゆっくりを食べることにさえも強い抵抗感を示していた。 「って、言われてもなぁ・・・この子どう見てももう助からないよ?歯も目も無いし、足も使い物にならないし・・・」 目が無い、歯が無い、足が動かないのうちのどれか一つくらいならまだしも、3つセットでは流石にどうしようもない。 それに、よしんば助かったとしてもこれ以上ゆっくりを養う経済力を私は持ち合わせていないのだ。 「こんなんでも飼ってくれる物好きはそうそういないだろうしなぁ・・・」 やはり、さっさと楽にしてやるのが一番だろう。 そう結論付けた私はその子ゆっくりにかじりついた。 「「ゆぎゃ!?おねええざあああん!!なにぢでるのおおおおお!!」」 「む~しゃむ~しゃ・・・う、美味い!?」 ゆーくりーむは想像を絶する美味さだった。あまり甘いものが好きでない私でも普通に食べられる。 不味くない、決して不味くないぞ。見た目はかなりアレだけど。帽子があるので手が汚れないのもポイント高いな。 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「うっめ、これめっちゃうめぇ!」 私に散々文句を言っていた2匹は「供養だと思って食べてやれ」といったらしぶしぶ食べ始めた。 ただし、しぶしぶだったのは最初だけ。一度口に入れてからはもうノリノリだ。 「ははっ、そんなに美味しかったんならまた買うかい?」 「ゆゆっ!もういらないよ!」 とはいえ、流石に生きた同属を食うのはもう勘弁願いたいらしい。 「そうか。じゃあ、気を取り直して・・・次はアレに乗ろうか?」 私は最高時速25kmというジェットとは程遠いジェットコースターを指差した。 「うおあああああああああああああ!!」 最高時速25kmとか言った奴出て来い!どう見ても普通のジェットコースター並みの時速に達してるじゃないか! 位置エネルギーを得るために高く高く昇りつめたゆっくりれみりゃと呼ばれる種の形をしたマシンが落下を始めた瞬間、頭の中はゆー遊地の公式ホームページのゆっくりコースターの解説への怒りでいっぱいになった。 「ゆぎゃああああああああああああああ!!」 「ゆぎぃぃいいいいいいいいい!!」 ジェットコースター恒例の悲鳴の中にゆっくりの叫び声も混じる。 少し落下が落ち着いたところで隣のゆっくり用の座席にくくりつけられているれいむ達を見ると、今にも吹き飛ばされそうな格好のまま見たことも無いような壮絶な形相で悲鳴を上げていた。 ちなみに帽子やリボンはどう考えても落下しそうだったので私が持っている。 「「「「ゆぎゅううううううううう!?」」」」 「「「「ゆげええええええええ!?」」」」 加速したマシンが右へ左へ振られるたびにゆっくり達が悲鳴を上げる。 「おにいざあああああああああん!だしゅげでええええええええええ!!」 落下し手からしばらく走行し、ある程度速度が落ちたところで前の席のお兄さんのれいむが泣き言を口にした。 2つ目の山を登り始めたころに聞こえてきたそのれいむの言葉を皮切りに、ほかのゆっくり達も泣き声を上げる。 「おねえざあああああああああん・・・!」 それはうちのれいむとまりさも例外じゃなかった。過敏症まりさは言うまでもなく気絶中。 「ははっ、大丈夫だって。私がついてるんだから安心しな」 「ゆぅ・・・まりさがんばるよ!」 「よしよし、いい子だ」 しかし、そうは言いながらも私はある不安を隠せないでいた。 最初のキャメルバックが一番高く、そこで得た位置エネルギーを運動エネルギーに変えてマシンを走らせるのが一般的なジェットコースターの仕組みだ。 摩擦でエネルギーを消耗してしまうので、大抵の場合1つ目のがいちばん高いのだが・・・このジェットコースターは2つ目の山が一番高い。 そんな構造は最初の位置エネルギーのみ走行しているならば不可能。だが、最近はリニア式の加速を用いることで、途中でも加速することが出来るらしい。 何が言いたいかというとだ・・・このマシンはさっきより高いところから落ちる、つまりさっきより加速がつくってこと。 「れいむ、まりさ、来るぞ!」 その言葉と同時に身構える2匹、というかマシン上の全ゆっくり。 「ひゃあああああああああああああああ♪」 「きゃあああああああああああああああ!」 「ゆぐええええええええええええええ!?」 「ゆぎょおおおおおおおおおおおお!?」 「うぎゃあああああああああああああああ!?」 「ゆべええええええええええええええ!?」 「ゆうううううううううううううう!?」 搭乗者の悲鳴が園内に一斉に轟く。人間のほうは案外余裕がある。私だって速いとわかっていればさほど怖くはない。 が、ゆっくりのほうはそうも言ってられないらしい。 あるゆっくりはエレエレと中身を撒き散らし、また帽子を被ったままだったあるまりさは帽子を失ってしまっていたが目先の恐怖でそのことに気づけないでいた。 またある小柄なゆっくりぱちゅりーは完全に意識を失ってしまっていた。 初めて見る胴体付きのゆっくりゃと呼ばれるゆっくりもぼろぼろ涙を零しながら悲鳴を上げていた。 しかし、各々恐慌状態に陥ったゆっくり達を乗せたマシンはゆっくり達の都合なんてお構い無しにメインのループに差し掛かっていく。 そして、あっという間に転地が逆転していた。 「「「きゃああああああああああああああ!!」」」 ジェットコースターとはこういうものだと理解している人間は余裕綽々。悲鳴を上げているがみんな妙に楽しそうだ。 「ぢぬううううううううううううううう!!」 「おぢるうううううううううううう!!」 「ゆっぐぢでぎないいいいいいいいいい!!」 「もっどゆっぐぢぢだがっだよおおおおおお!!」 が、ゆっくりはそうは行かない。高速で駆け抜けた直後の天地が逆転したその光景に死さえも覚悟していた。 悲鳴を上げていないのは気絶してしまっているゆっくりぱちゅりーとうちの過敏症まりさくらいだろう。白目をむいてぶくぶくと泡を吹いている。 ループから抜け出し、直線に差し掛かったところでようやくゆっくり達は安堵のため息をつく者も居たがマシンの軌道はそこに追い討ちをかけた。 前触れのない3度目の急降下。と言っても前の2回のキャメルバックの際に残しておいた位置エネルギーを使っているだけだから、ちゃんとコースを確認しておけば予想できることだけど。 だが、もちろんそんな器用なことをゆっくりに出来るはずもなく、予期せぬ加速に恐怖した全てのゆっくりが内容物を吐き出した。 エレエレエレエレエレエレ・・・・・・ エレエレエレエレエレエレ・・・・・・ エレエレエレエレエレエレ・・・・・・ エレエレエレエレエレエレ・・・・・・ エレエレエレエレエレエレ・・・・・・ 吐き出されたそれらが酷く手抜きな舗装しかされていない敷地内の地面に落下した時には、ジェットコースターは余剰エネルギーを熱にして発散し、搭乗口へと到着していた。 「おかえりだど~♪」 そう言ってジェットコースターから降りた母親に飛びついたのは胴体付きゆっくりれみりゃの子どもだった。 「うぅ~・・・ま~まはきぼぢわどぅいんだど~・・・」 しかし、ジェットコースター酔いで足元のおぼつかない母れみりゃは子どもの体当たりを受け止めることが出来ず、転んだ拍子に階段から転げ落ちていった。 「うぎゃああああああああああああああ!!」 「いだいーーーーー!!いだいどおおおおおおお!!」 その隣ではさっき帽子を落としてしまったまりさが泣き叫んでいる。 「おにいざあああああああああん!まりざのぼうぢがないよおおおおおお!!」 「あっはっは!新しいのを買えばいいじゃないか!」 「ぞれじゃゆっぐぢでぎないよおおおおおお!!」 帽子は固体識別のために必要なのだが、このお兄さんはそのことを知らないのだろうか? まあ、他人の家のゆっくり事情に首を突っ込むのも野暮なので放っておこう。 「おにーざぁん・・・でいぶをはやぐおろぢでええええ!?」 声のしたほうに視線をやると、怪我しているらしく足に当たる部分に包帯を巻いているれいむが自力で降りられないため、飼い主に助けを求めている。 が、飼い主は次の乗客と思しき女性と話をしていた。 「おや、ゆっくりを連れて来ていらっしゃらないんで?」 「いえ、連れてきてたんですけど・・・ちょっと倒れてしまって・・・」 「でしたらうちのれいむと一緒に乗ってあげてください」 「良いんですか?」 「まだ乗るって聞かないんですよ。でも俺は十分堪能したんで・・・」 「だったら、喜んで借りさせていただきますね。ありがとうございます」 哀れ。ゆっくりれいむはナンパのだしにされた挙句、もう一度乗ることが決定してしまった。 「む・・・むぎゅううううう・・・」 そんなお兄さんの足元を飼い主の女性に連れられておぼつかない足取りで通り過ぎていくのは気を失っていたゆっくりぱちゅりー。 げっそりとやつれたその表情にはどこか同情を誘うものがある。 「さ~って!ぱちゅりー!次はフリーフォール行くよ!!」 が、絶叫ものが好きらしく、テンションが上がりすぎた主人はぱちゅりーのコンディションなどお構い無しに次のアトラクションへと向かっていった。 「・・・・・・あんたら、優しい飼い主でよかったね」 いまだにジェットコースターの恐怖で震えている腕の中の2匹にそう呟き、さっきれみりゃが転げ落ちた階段を下りて行った。 「むきゅ!そこのかわいいゆっくりさん、ぱちゅりぃといっしょにすっきりするのよ!」 今私の腰掛けているベンチは高さ的は70cm程度でどう見てもゆっくりの跳躍力で乗ることは不可能。形状的は骨組みの金属製のパイプそのままで、座ると言うよりも少し腰を預ける程度の用途のものだ。 そのゆっくりではまともに座ることも出来ない皆ベンチに腰掛け、膝の上にまりさとれいむを乗っけてゆっくりしていると、目の前に胴体つきのぱちゅりー種が現れた。 「いきなりすっきりを要求するってのはどうよ?」 などと突っ込みつつも、れいむとまりさを膝から降ろして、そのぱちゅりぃの前へとつかつかと歩いて行く。 後ろからゆっくりにとってはそこに置かれること自体が既に苦行に等しいベンチの上にいるれいむとまりさの「おねーざぁん、れいぶおぢぢゃうううう!」とか「ゆっぐぢでぎないよおおお!」という悲鳴が聞こえてくるが無視無視。 それから、身をかがめて目の高さを合わせてぱちゅりぃの表情をしげしげと眺める。 「むきゅ!口では抵抗してても体は素直ね!」 すると、何を勘違いしたのかぱちゅりぃは私の胸に猛然とパンチを繰り出し始めた。 どうやら、このぱちゅりぃは私の胸とゆっくりの区別がつかないらしい。相当おつむが残念なようだ。 もちろん、ゆっくりの中でも虚弱なぱちゅりぃの攻撃なんて痛くもかゆくもないけど、何となく鬱陶しい。 というか、見ず知らずのゆっくりにいきなり胸をしごかれて嬉しいのはごく一部の変態お姉さんくらいだろう。 「むきゅ・・・むきゅ!むきゅ・・・!ぱちゅりぃのろんりてきなてくにっくはすごいでしょ?」 などと抜かしながら1匹で勝手によがって、頬を紅潮させていくぱちゅりぃ。 私の冷めた視線にはまったく気づいていない。 「いまにもすっきりしそうでしょ?ぱちゅりぃのてくすごいでしょ?」 どこまでも自分の技巧を信じて疑わず延々と私の胸にパンチ(愛撫のつもりだろうか?)を繰り返す。 「すごいほっぺよ!こんないやらしいほっぺしてるゆっくりはじめてよ!」 なるほど、ゆっくりにとって頬の柔らかさは人間の胸に通じる何かがあるらしい。 「はあぁはぁ・・・」 そんな感じで自分だけ勝手に盛り上がっているぱちゅりぃの表情はどんどん奇天烈なものになっていく。 きっとゆっくり同士なら欲望を刺激するいやらしい表情なのかもしれないが、残念ながら人間の私には「うわぁ・・・きもい」と言う感想しか浮かんでこなかった。 「鬱陶しい!」 胸を殴打し続けるぱちゅりぃに突っ込みのでこピンをお見舞いしてから、首根っこを掴んでれいむ達が座っているベンチへ連れて行く。 れいむ達は落ちまいと必死にプルプルしているが、まだ助けなくても大丈夫そうなのでぱちゅりぃをベンチに無理やり座らせて説教の一つでもたれようとしたその時・・・ 「お姉さん、ちょい待ちぃ!うちの子苛めたらあかん!」 垢抜けない感じのおさげ眼鏡の少女が飛んできた。 「ん、飼い主?」 「せや、飼い主や!その子はうちのペットやさかい、苛めたらあかんよ!」 「そうかそうか、飼い主か。じゃ・・・」 その偉く賑やかな飼い主にぱちゅりぃが私の胸に対して働いた狼藉を虚実交えて説明してあげた。 「このドアホを好きなようにしてください!」 物分りのよいお嬢さんだ。事情を理解したらすぐにぱちゅりぃを差し出してくれた。 「むきゅ!?どほぢえええ!!でばぢゅでぃーなにぼぢではないわよーーー!!」 「やかましいわっ!訴えられたらどないするつもりやってん!?」 「ははっ、ちょっと叱ってやろうと思っただけだから」 私に代わってぱちゅりぃにお仕置きのコブラツイストをかけている彼女をなだめてから、ある提案をした。 「それでも気が済まないんなら・・・荷物持ちにでもなってもらおうかな?」 と言っても、持たせられるものはれいむとまりさと過敏症まりさの入った袋くらいなのだけど。 「かしこまりました、お姉さま!不肖の女子高生、由栗 珠緒とそのペット・・・全力で荷物持ちをさせていただきます!」 そんなわけで妙な連れができた。 「くぉら、ぱちゅりぃ!何ちんたら歩いとんねん!」 「むぎゅううううううう!おもいいいいいいいい・・・!」 れいむとまりさを抱きかかえて今にも死にそうな表情でふらふらと歩いているぱちゅりぃに容赦ない叱責が飛ぶ。 「お姉さまを待たせたらうちが容赦せえへんからなぁ!」 いつの間にかお姉さまになってるよ、私。そっちの気は基本的に持ち合わせていないんだけどなぁ。 「ん~・・・ちょっとお腹すいたから何か食べてかない?どうせ観覧車までもうすぐなんだし、急ぐこともないだろ?」 「・・・お姉さま、気ぃ使ってへん?」 「使ってない使ってない。本当にお腹がすいただけだから」 厳密には半分が気遣い、もう半分が本当にお腹がすいただけといったところだけど。 ぱちゅりぃが力尽きて転んだら、れいむ達も怪我しかねないし。 「そうですかぁ~・・・せやったらあっこのゆっくりゃの肉まんが美味しいですよ~!」 と言われ、彼女の指差すほうを見てみると、親と思しき大きめの胴体付きれみりゃが子どもれみりゃの四肢をもいではそれを肉まんに加工していた。 どうやらそれらの子どもはみんなれみりゃの子どもらしい。 その子どもの数総勢121匹。とにかく機械的に出産を繰り返させられたことは火を見るより明らかだった。 「でびりゃのあがぢゃんでづぐったおいぢいにぐまんはいりまぜんがあああああああ!!」 「「「「「「ままぁー!!いだいいいーーー!いだいーーーー!!」」」」」」 その子ども達も我が子を捌く母れみりゃもみんなずっと涙を流し続けている。なんとも悪趣味な。 しかし、ほかの客からはなかなか好評なようで・・・ 「こどもをうるなんて。おお、おろかおろか」 「あのれみりゃはなにしてるんだど~?」 「あのれみりゃはね、悪いことをしたお馬鹿さんだからお仕置きをされているんだよ」 「まぬけなんだど~♪」 「ひっどいかおね!まったくとかいはじゃないわ!」 などなど、口々に目の前の捕食種の不遇を馬鹿にして楽しんでいた。 「おねーさん!あのれみりゃかわいそうだよ!」 そんなことを口にするのはようやく追いついたぱちゅりぃに抱きかかえられている我が家のれいむ。 なんていい子なんだろうか。おねーさんは感動した! 「よっしゃ!それでは珠緒、行きますっ!」 ぱちゅりぃが追いついたことを確認した珠緒は早速肉まんを買いに行った。 「肉まん5つお願いします!」 「はいよ、5つね。れみりゃ!!」 「いやだああああ!でびりゃのあがぢゃん、うぎゃ!」 やはり、我が子の四肢を引きちぎるのが苦痛なのだろう。売店の床にぺたんと座り込んでじたばたと手足をばたつかせる。 が、そんな抵抗をしたところで何の意味もなく、ただ蹴り飛ばされただけだった。 「お客さんを待たせたらダメだろ?」 「いだいーーーーーー!!」 「もっとお仕置きして欲しいか?」 「いやでずうう!やりまずううううう!!」 泣き叫びながらも、手を床について起き上がったれみりゃは近くの子どもの右足を引きちぎる。 「うぎゃああああああああああああああああ!!」 それと同時に子どもの悲鳴がこだました。 「床に手をついたら手を洗え!!」 ごもっとも、といって良いのかいけないのか? またしてもれみりゃは店主に殴られた。そして、泣く泣く引きちぎった四肢は汚い手で触ったために破棄されてしまった。 そんな調子で5分後には製作工程を知らなければ美味しそうな肉まんが私達の手元に届けられた。 ゆーくりーむの時と同じようなやり取りの後で、肉まんを食べ終えた私達は早速観覧車に飛び乗った。 15mどころかどう見ても50mはありそうな気がしたが、公式ホームページの情報が当てにならないのは先刻承知済みなので気にしないことにする。 「ゆうううう!おねーさん、たかいよ!」 「ゆぅぅぅうううう!おねーさん、こわいよ!」 「むきゅうううううう!ぱちゅりーはこわぐないわよ゛!」 どう見ても怖がっています。が、その気持ちもわからなくはない。 この観覧車は恐ろしいことに足元や座席部分が透明の板で出来ているのだ。 人間の私や珠緒でも床があるとわかっていても怖いのだからあ、ゆっくりたちにとってその恐怖は計り知れないものだろう。 しかし、しかしだ。観覧車と言う乗り物。これはゆっくりと上っていく優雅さを楽しむ人もいるのだろうが、残念ながら私はそういうタイプではない。 たまに居るだろ?意味も無く揺らしてみたり、落ちたらどうなるだろうとか呟く奴が。 実は私はそういうタイプなのだ。 「なぁ、れいむ?いきなり止まって動かなくなったらどうしようか?」 「ゆぎゅ!?ゆっぐりやべでね、おねーざん!ごわいごどいわないでね!」 既に涙目。高所はあらゆる生き物が本能的に怖がると言うが、どうやらゆっくりもその例に漏れないらしい。 「でもさ、風が吹いたりしたら・・・こんな風に」 言いながら体を揺らしてゴンドラを左右に振る。 「やべでええええ!おねえざあああん!」 「ははっ、大丈夫だって」 どうやら私はゆっくりより馬鹿らしい。高いところに来てテンションが上がっていたため自重しない。 「ゆ~ら、ゆ~ら・・・」 「ゆううううううううううううううう!!」 「ゆぎいいいいいいいいいいいいいいい!!」 「むぎゅうううううううううううう!!」 ゆっくり達は私や珠緒にへばりついて泣きじゃくる。しかし私は自重しない。 この恐怖のひと時は観覧車から降りるまで、つまり15分いっぱい続いた。 「おねーさん、ひどいよ!ぷんぷんっ!」 「まりさたちすごくこわかったんだからねっ!」 そういって2匹は頬を膨らませる。しかし、文句を言いながらも私のひざの上に居るのはご愛嬌。 その隣ではぱちゅりぃも2匹に倣って頬を膨らませていたが、珠緒に「お姉さまに失礼や!」などとぶん殴られていた。 「いやぁ、悪い悪い。帰りにスルメ買ってあげるからそれで勘弁してくれ」 あまり悪びれた様子もなく頭を掻きながら謝る私を見た2匹は苦笑を浮かべ「まあ、それでこそおねーさんだししかたないか」と言って許してくれた。 ゆっくりに理解されるのは地味にむかつくものがあるが、今は気にしないでおこう。 「ありがとう」 頭をなでると2匹ともうれしそうに目を細める。その様子を伺いながら近くの時計を見ると18時をさしていた。 「お姉さま、もうすぐパレードや!」 そう言いながら立ち上がった珠緒はさっさとパレードのコースへと行ってしまう。 「こらこらぁ~、先に行くなよ~」 苦笑しながら2匹を肩に乗せ、過敏症まりさの入った袋を持ち、ぱちゅりぃの手を握って彼女を追いかける。 「・・・なんだ、これ?」 珠緒に追いついた私の目の前で繰り広げられる光景は私の想像を絶するものだった。 まず、先頭に必死に逃げ回るゆっくり達。 「これじゃゆっぐぢでぎないよ!!」 「わからないよー!!」 「ゆぎゃあああああああああ!!」 などなど、思い思いの悲鳴を上げながら阿鼻叫喚の一部として頑張っている。 「待つんだど~♪」 「うっう~♪」 「まぁま~、もっとゆっくりあるくんだど~」 などなどのん気な様子で先頭集団を追いかけるのはゆっくりれみりゃの群れ。 「うーっ!美味しいんだど~♪」 この子達に捕まった先頭集団のゆっくりは食べられてしまう運命にあった。 「「「「「ゆっくりしね!」」」」」 更にその後ろを追いかけるのはゆっくりふらんと呼ばれるはじめてみる種族。 この種族はれみりゃを捕食するほか、捕らえたゆっくりをいたぶる習性があるらしい。 「やべでえええええええ!」 「でいぶのあがぢゃんだべないでえええええ!」 あるふらんはれみりゃに馬乗りになってただひたすら殴り続けている。 またあるふらんは母れいむを足で押さえつけて子どもを一匹一匹食い殺して居る。 そして、またあるふらんは・・・竹やりを持った男性に虐待されていた。 その男性はパレード最後の集団『虐待お兄さんズ』の一人だ。 「ゆっくりしろモーニング!」 「ひゃあ!我慢できねぇ!虐待だぁ!」 などなど、各々の虐待愛を口にしながら目に付いたゆっくりを片っ端から嬲って行く。 更にエキサイトしたギャラリーが自分の手にしたゆっくりたちを投げ込んだり、パレードに乱入してゆっくりを虐待し始める。 「おねーざん、どぼぢでえええええええええええ!」 「やべでええええ!でいぶなにもぢでないよおおおおお!!」 「わがらない!わがらないよー!!」 「はっはっは!家や街中だと人目があるし、森や山の中でも後始末が面倒だけど・・・ここなら思いっきり虐待できるぜぇ!!」 「ごめんね、まりさ・・・私本当は・・・ずっと貴方のことを嬲り殺したいと思っていたのよぉぉぉぉおおおお!!」 園内の各所で繰り広げられる虐待祭り。 物の数分もしたころには園内が餡子臭で満たされ、餡子に汚されていた。 「・・・・・・ゆがががが・・・が・・・」 「ゆげぇ・・・ゆ゛ゆ゛・・・」 あまりに衝撃的な後継を目の当たりにして気を失ってしまった2匹をさっきよりきつく抱きしめながら、隣にいる珠緒の表情を伺う。 「ああぁ・・・すごいわぁ・・・」 頬に手を当てた格好のままぱちゅりぃにチョークスリーパーをかけている彼女は恍惚の笑みを浮かべていた。 「・・・ねぇ、珠緒?」 「なんですか、お姉さま?」 「ここって・・・ゆー遊地だよね?」 「ちゃいますよ。ここは虐待家と捕食種のパラダイス『うー園地』ですよ」 おわり ---あとがき?--- ゆっくりが現代社会にいたところで世間体のせいで虐待できないだろうな、と思ってこんなものを書いてみました。 とにかく話の展開にぶつ切り感あふれるのが気になるところ。 急に登場したオリキャラ「由栗 珠緒」は某所での悪乗りの産物・・・っ!! byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2072.html
U・k・k・u・r・i 「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」 ゆっくり! 「ゆっくりしていってね!!!」 U・k・k・u・r・i 「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」 ゆっくり! 「ゆっくりしていってね!!!」 3・2・1・・・ 「さん」「にぃ」「いち」 ファイアー! 「ゆっくりしていってね!!!」 中の 餡子が れいむ「ゆっくりしていってね!!!」 マットを汚す まりさ「ゆっくりしね!!!」 れいむ「ゆべっ」 今日の勝負は れいむ「どぼじでごんな゛ごどずる゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」 並じゃないぜ まりさ「それはれいむがばかだからだぜ!!!」 ゲスの パワーに まりさ「ゆっへっへ、かくごするんだぜ」 負けたら最後 れいむ「だずげでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛」 おうちが 派手に まりさ「きょうからここはまりさのいえなんだぜ!!!」 荒らされる れいむ「も゛っどゆ゛っぐりじだがっだ・・・」 愛する ちぇん「わかるよー」 友の みょん「ちーんぽ」 まなざしが ありす「とかいはね!」 倒れるたび れいむ「ゆがっ」 傷つくたび れいむ「ゆべっ」 俺を強くする れいむ「ゆっくりおこったよ!!!」 Dive! れいむ「ゆっくりたいあたりをくらってね!!!」 ルール破りの まりさ「あたらないぜ」 れいむ「ゆぐっ」 Jump! れいむ「ゆっくりしたじきになってね!!!」 ゲスなゆっくり まりさ「おそすぎるぜ!ばかなの?しぬの?」 れいむ「ゆぎゃっ」 さぁ お遊びは れいむ「ゆっくりしたけっかがこれだよ・・・」 ここまでだ もこ 「もこたんインしたお!!!」 Attack! もこ 「これでもくらうお!!!」 ラスト5秒の まりさ「ゆぎゃっ!?」 fire! もこ 「もえるがいいお!!!」 ゆっくりファイター まりさ「も゛や゛ざな゛い゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!」 俺は炎の れいむ「な゛ん゛ででい゛ぶま゛でも゛や゛ずの゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」 もこたんだ もこ 「ゆっくりインしたよ!!!」 U・k・k・u・r・i 「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」 ゆっくり! 「ゆっくりしていってね!!!」 M・O・K・T・A・N 「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」「ゆっ」 もこたん! もこ 「もっこもこ!!!」 3・2・1・・・ ちぇん「わからないよー」みょん「きょせいー!?」ありす「どがい゛はじゃな゛ぃ゛ぃ゛」 ファイアー! もこ 「ゆっくりもやしたよ!!!」れいむ「み゛ん゛な゛も゛え゛ぢゃっだよ゛ぉ゛!!!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あとがき 筋肉マンのOPと饅頭タイプゆっくりのコラボ。 何故か頭の中に浮かんできました。 後から見直して何でこんな考えになったのかさっぱり分かりません… そのまんまつなげても「うっくり」「もくたん」になっているのは仕様です、多分。 過去に投下したもの 博麗神社にて。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/597.html
今晩の夕食は魚にしよう。 男はそう思い、釣竿と魚を入れるたもと網を持って川に来ていた。 まだ夏になったばかりだが気温は高く、また魚は人を見つけると隠れてしまうので、木陰に隠れて糸を垂らす。 いっぱい釣れたら里で売ってもいいなと気楽に釣りを始めた。 釣りを始めてしばらくが経った。太陽もだいぶ移動している。 釣果は0。まったくと言って釣れていなかった。 餌が悪いんだろうか、と男はいろいろな餌を試してみたがどれにも魚は食いついてこなかった。 もはやあきらめたように木陰に横になる。川を見ながら時間を潰していると近くの草むらがガサゴソと音をたて、ゆっくりが現れた。 ゆっくりはゆっくりまりさと呼ばれる種類で、大きいのが1匹、中くらいのが2匹、小さいのが1匹。 おそらく家族だろう。男はそう思い暇つぶしもかねて様子を見ていた。 やがて川に到着したゆっくりたちは思い思いに水を飲みだした。 「ゆ~、つめたくておいしいー!」 「ゆっくりのむよ!ゆっくりまってね!」 「ゆっ!ゆっ!」 「みずにおちないようにね!あとあまりのみすぎないでね!」 勢いよく水を飲む子供達に親ゆっくりはやさしく注意をしていく。 親ゆっくりは真っ先に水を飲み、その後は子供達の後ろに回っていた。 子供を置いて先に飲むとは酷い親だと思ったが、どうやら水が安全か確かめたらしい。 今も、後ろに回っているのは子供達が水に落ちないように掴んでいるためだった。 やはりゆっくりと言えども子供は守るんだな。 男は知り合いに平気で見捨てる親ゆっくりの話を聞いていたので親まりさの行動に若干驚いたが、 子供を守る親が普通だと思い直し、ゆっくりの話に耳を傾けた。 「みんなそろそろあつまってね!」 「ゆっくりあつまるよ!みんなおねーちゃんについてきてね!」 「おねーちゃんまってー!」「ゆー!」 親の声に真っ先に反応した一番早く生まれたであろう姉ゆっくりがまだ水を飲んでいる妹ゆっくりと、赤ちゃんゆっくりを連れて親の前に集まる。 「ゆ!おねーちゃんはさすがだね!おかーさんうれしいよ!」 「まりさはおねーちゃんだからね!いもうとたちをたすけるよ!」 「おねーちゃんかっこいー!」「ゆゆー!」 「じゃあかわをわたるほうほうをおしえるからゆっくりきいてね!」 「「ゆっくりきくよ!」」「ゆっ!」 今なんと言った。川を渡るだと!? ゆっくりは泳げない。だから潰す以外にも池や用水路に落として殺す。 水の中に入ったゆっくりは必死に出ようとするが泳げないのでどんどん沈んでいく。 やがて体力のなくなったゆっくりは苦しみながら死に、死体は溶けて飾りだけが浮いてくる。 里で捕まえたゆっくりを一匹一匹潰すのは面倒なので最近はゆっくり用に作った池に放り込んで殺すのが里の人の常識となっていた。 男も今まで捕まえたゆっくりを池に捨てたことがあるのでゆっくりが水に浮かないことも知っていた。 そのゆっくりが川を渡ると言うではないか。 釣りに来ていた川は流れがほとんどないような場所で流れに流されるようなことはないだろう。 しかし深さは1mはあるので一度落ちるとゆっくりでは助からないだろう、池のように沈む前に魚の餌になって消える運命が待っている。 男は親ゆっくりの話を詳しく聞くため、ゆっくり親子に近づいた。まりさ種は警戒心が強いと聞いていたので慎重に物陰に隠れて聞き耳をたてる。 「まずはおかーさんがやってみるからね!しっかりみているんだよ!」 「ゆっくりみてるよ!おかーさんがんばってね!」 親ゆっくりがまず手本を見せるようだ。子供たちは飛び跳ねながら応援している。 すると親ゆっくりは自分の帽子を外した。すると帽子の中から木の棒が出てくる。 「みんなすでつくったきはわすれてないよね?!」 「うん!わすれてないよ!ちゃんともってきたよ!」 そういって子供達も親に習い帽子を外し、中から木の棒を取り出す。 木の棒は片端は細く、葉型が付いているので細い方を咥えて使うのだろう。もう片方は平たくなっておりまるでボートのオールのようであった。 ゆっくりが道具を使うことに驚いたが里で見つけたゆっくりたちは石を投げつけたり穴を畑に張り巡らしたロープを引っ張ったり外したりしていた。 ゆっくりの中で頭のよい方のまりさなら使ってもおかしくないだろう。 男はそう納得し、観察を続ける。 「まずはぼうしをみずにうかべるよ!なかにみずがはいらなようにきをつけてね!」 そう言って帽子の天井部分が底になるように水にいれた。帽子は防水加工しているらしく、水がしみこまずにぷかぷかと浮く。 親は帽子が流れないように木の棒で抑えながら、 「ぼうしがながれちゃうとたいへんだからね!きでしっかりおさえてね!」 「ゆ!わかったよ!ぜったいぼうしをながさないよ!」 「ならみんなもやってみてね!あかちゃんはこっちにきてやってね!」 親ゆっくりの注意を聞いて子供達も帽子を浮かべ始める。赤ちゃんゆっくりはまだ不安と判断したのか親ゆっくりがいっしょに抑えてあげていた。 「うかんだらぼうしにゆっくりのってね!ぴったりとはいるようにのるんだよ!」 「ゆっくりがんばるよー!」「「ゆー!」」 「すきまがあるとみずがはいってあぶないしにおうからね!」 慎重に帽子に乗る親ゆっくり、すっぽり入るとゆっくりの重みで帽子の鍔の部分が浮き上がり、水が入らないようになる。 器用に浮いた親ゆっくりは浮いた生首のようで気持ち悪かった。 「ゆ!ゆゆっ!」 「みずこわいよおおお!」 「おかーさんがささえてあげるからがんばってね!」 「ゆー!できたよ!ゆっくりできた!」 「まりさもできたー!」 水がやはり怖いのかなかなか乗れなかった子供達だが、親ゆっくりの手助けで無事乗れたようだ。 一番手間取った赤ちゃんゆっくりは親が咥えて子供達が押さえる帽子に載せることで浮かぶことができた。 「すごいよ!みずのなかがみえるよ!」 「あ、おさかなさんだー!」 「ゆっゆっゆ~」 「きをつかえばゆっくりいどうできるからね!こうやるんだよ!」 「おかーさんすごーい!」 「まりさもやってみるよ!」 「ゆー!!」 親に教えてもらいながらやがて木のオールで起用に動くゆっくり達 水に浮かんだ状態はゆっくりにはゆっくりしやすい条件のようだった。 男ははしゃぎまわるゆっくりたちを見て、面白いおもちゃだと思った。これはしばらく退屈しないですむなぁと。 急いで寝ていた場所にもどり釣り糸と針を用意する。もどるとゆっくり家族は向こう岸に行っておいしいものを食べようということを話していた。 ゆっくり達が向こう岸に行こうと男に背中を向け漕ぎ出す。その速さは名に違わず非常にゆっくりで追いつくのは簡単だった。 男はゆっくりの後ろから帽子に針を引っ掛けていく。4匹すべてに引っ掛けるとまた岩陰に隠れた。 針には釣り糸が付いており、ゆっくりが向こう岸に進むごとに流れていく糸を男は注意深く持ってゆっくりと遊びだした。 「ゆっくりすすんでいこうね!」 「ゆっくりすすむよー!」「ゆー!」 「むこうにはなにがあるの?」 「おいしいものがいっぱいあるよ!れーむやぱちゅりーはわたれないからわたしたちのものだよ!」 「ありすは?ありすはいないの?」 「ありすもいないよ!だからこわがらなくてもだいじょうぶだよ!」 「ありすいないのならだいじょうぶだね!」「ゆっ!」 「もしありすにおそわれたらこうやってにげるといいよ!ありすはかわをわたれないからね!」 「きははだみはなさずもっていてね!なくしたらいってくれたらまたつくるよ!」 「おかーさんありがと!でもこんどはじぶんでつくりたいな!」 「まりさも、まりさもつくる!」「ゆゆゆ!」 「じゃあこんどはきのつくりかたおしえてあげるよ!」 「「おかーさんありがとー!」」「ゆぅ~!」 「おかーさんなにかへんだよ!むこうまでいけないよ!」 「もうちょっとだよ!がんばってね!」 「もうつかれたー!ゆっくりしたいよ!」「ゆぅぅぅぅ」 「がんばってこげばすぐにつくよ!がんばってね!」 「ぜんぜんすすまないよー!」 親まりさは子供達が口を使い上手く漕げているのでとてもうれしかった。赤ちゃんにはまだ早かったがおねーちゃんが助けてあげているので大丈夫だろう。 早く向こう岸についてみんなでおいしいものを食べよう。向こうにはありすもいないから子供達も元気に跳ね回ることが出来る。 木の棒の作り方も教えないといけない。向こう岸にはいい木がいっぱいあるからもって帰ろう。 親まりさの頭はもう向こう岸について楽しむことでいっぱいだった。しかし、漕げども漕げども向こう岸に着かない。 何回もわたったことがある親まりさはおかしいと思いながらも、子供達と一緒だからと思い、子供達を励ましながら懸命にこいだ。 ゆっくりは水に弱い。 帽子に乗っているうちは安全だけども、帽子から落ちたら助からない。もし波がきたら親も子供もまとめて沈んでしまうだろう。 早く向こう岸に渡りたいと思いながら懸命に漕ぐ。しかしがんばってもがんばっても向こうに着かない。 「どゔじでえ゙え゙え゙え゙え゙え゙!」 「お゙がーじゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!」 とうとう疲れたのか漕ぐのを止めて休憩をしだした。早く陸に上がりたいがもう体力がない。子供達も限界だ。 水の上は怖いが、今はありすもいないのでゆっくり出来るだろう。 ゆっくりたちは離れないように木の棒で支えあいながら眠った。 男はそんな様子を岩に座ってみていた。手には4匹につないだ糸がある。 ゆっくりたちがなかなか向こう岸に付けなかったのはこの男が糸を引っ張っていたせいだ。 男はゆっくりが進む力より少しだけ弱く糸を引いた。引きすぎては気づかれる可能性があるからだ。 男がゆっくりが進む力よりすこし弱い力で引くのでゆっくりは自分が上手く漕げてないから遅く見えるだろうという考えだった。 近すぎると戻られたり、気づかれるかもしれないと思ったので引き始めたのは川の真ん中。 男のおかげでゆっくりたちは川の真ん中の辺りで動きがゆっくりになった。 懸命に漕ぐゆっくりの姿や、なぜ向こう岸につかないのかと騒ぐ子供にそれをなだめる親、一つ一つの行動が面白く時間がたつのを忘れてしまった。 男はまだまだ物足りなく、動かなくなったゆっくりが動き出すのを待つ。 それからしばらく経ったがゆっくりが動き出す気配がない。 気になった男はゆっくりに近い岩に移動する。するとゆっくりたちは寝ているではないか。 これでは楽しめない。俺はまだまだ楽しみたいのに。 男は糸の一つを引き始めた。 「ゆっ?ゆゆゆっ!」 「うるさいよ、ゆっくりできないよ」 「ゆ゙ゔゔゔゔゔ!!」 疲れて寝ていると赤ちゃんゆっくりが騒ぎ出した。姉ゆっくりはまだ寝たりないのか赤ちゃんゆっくりに注意する。 親まりさはその悲鳴に何か危険なものを感じたのか目を覚まし、赤ちゃんを探す。そして、 「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!ま゙り゙ざのあ゙がぢゃん゙ん゙ん゙ん゙!!」 赤ちゃんゆっくりは先ほどまで一番近くにいたのに今はだいぶ離れてしまっていた。いまだ少しずつ離れていく。 親まりさはすぐに理解した。赤ちゃんが流されている。 「まっててね!すぐおいつくからね!」 「「ゆっくりまっててね!」」 先ほどの悲鳴に気づいたのか子供達も後ろから追いかけてきていた。 しかし、つい先ほど覚えたばかりの子供と熟練した親のオール捌きには明確な差があり、子供達はどんどん放されていく。 親ゆっくりは置いていかれる子供達のことも心配だったが、待っていると赤ちゃんが流されてしまう。 赤ちゃんを優先するべきと判断した親まりさは先ほどまでの疲れを見せないオール捌きで赤ちゃんに追いついていった。 親まりさは赤ちゃんゆっくりを追いかけ上流に上っていった。 男は上流に向かって歩いていく。手には糸。赤ちゃんゆっくりが上流に流れていくのはもちろんこの男の仕業である。 赤ちゃんゆっくりの糸と親と子供達の糸を操りながら男は上流に向かっていった。 赤ちゃんゆっくりに親ゆっくりが追いつこうとすると引く力を強める。離れると親ゆっくりは追いつこうとがんばる。 まだ気づかないのか。いい加減上流に行っていることか赤ちゃんが引っ張られていることに気づかないのかと、親ゆっくりを見るがどうやら気づいていない。 子供達などもう口では助けるよなどと話しているが引っ張っているのは男である。 親ゆっくりに声援を送っているが自分達はのんびりと休んでいるのを見て、置いていこうかとも思ったが後々取りに帰るのが面倒なのでしょうがなく引っ張っていた。 子供達の声援によって一時的に早くなる親ゆっくりのこっけいな姿を見ながら、岩に糸を引っ掛けないように注意して山を登っていった。 「「おかーさん!!」」 子ゆっくりの叫び声でところどころにある岩に注意がいっていた男が親ゆっくりをみる。 親ゆっくりは餡子をはきながら息も絶え絶えに「ゆ、ゆっぐりしでいって、ね・・・」といいながら赤ちゃんを追いかけていた。 そんな状態で赤ちゃんを追いかけ続けるのは母親の愛か。とにかくもう潮時だろう。 男はそう思い赤ちゃんゆっくりを引くのを止めた。赤ちゃんゆっくりの動きが止まる。 「あ゙い゙だがっだよ゙お゙お゙お゙お゙お゜お゜!!」 「おがーじゃああん!」 「ゆっ!しゃべれるようになったんだね!おかーさんうれしいよおおお!」 どうやら追いかける親を見て喋れるようになったらしい、よたよたと姉と親ゆっくりに近づく赤ちゃん。 それを子供達と親は幸せそうな顔で見ていた。赤ちゃんが親に擦り寄ろうと少し身を乗り出した。 「よっと」 「ゆっ?」 ぽちゃん。 男が糸を思い切り引っ張ると帽子が親ゆっくりから離れるように動いた。 乗り出していた子供はバランスを取れず川に投げ出される。 その場にいた者には赤ちゃんゆっくりが水に落ちるさまがスローで写った。 「い゙や゜あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 がこぼこと水の中で暴れる赤ちゃんゆっくり。しかしゆっくりは水に浮かない。暴れても沈んでいくのは避けれなかった。 そこに近づく小さな影。どうやら魚達が水に落ちた餌を食べに行ったのだろう。ここからじゃ見えないが親ゆっくりのすごい顔でどうなっているかは想像できる。 子供達も赤ちゃんを見ようと親と同じように乗り出したところで残りの三本の糸を引いた。 ざっぱーん! 三匹が川に落ちたことを確認すると、男は川岸に歩いていった。 「おじさん、だずげでえ゙え゙え゙え゙え゙!!」 親ゆっくりが自分の帽子に捕まりながら叫んでいた、掴んでいる場所から水が入ってすぐに沈むだろう。 自分の未来を想像して絶望していた矢先に男が長い棒を持ってやってきたのだ。まさに天の助けと思ったのだろう。 せめて自分だけでも助かる気なのか、男はそう思いながら釣竿を川に向けた。 男は魚で満たされた籠を持って里に戻った。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1466.html
「ゆっくり水難事故」 「ゆっくりー♪ゆっくりー♪」 「きょうもみんなでゆっくりしようね!!」 「「「ゆっくりしていってね!!」」」 草原を縦断する、饅頭の列。 先頭に立っているのは、母親のゆっくりれいむ。 後ろの子供たちがちゃんとついて来られるように、ゆっくりと前進していく。 「ゆっくちー♪」「きょうはどこでゆっくりするんだろうね!!」「ゆっくりたのちみだね!!」 にこやかな笑顔を浮かべて、母親についていく5匹の赤ちゃんゆっくり。 生後2週間になる赤ちゃんゆっくりたちは、外に出るのは今回で3回目である。 最近になってやっと巣の外に出してもらえるようになったので、お出かけが楽しみでしかたないのだ。 「おちびちゃん!!ゆっくりついてきてね!!ゆっくりでいいからね!!」 「ゆっきゅりついていくよ!!」「ゆっくちいこうね!!」 母れいむは、赤ん坊を連れて外に出るのが不安ではあったが、同時に嬉しくもあった。 子供の成長を喜ぶのは、人間だろうとゆっくりだろうと親なら当然のことなのだろう。 「ゆっ!!きょうはここでゆっくりしようね!!」 到着したのは、巣からそれほど遠くない小川の畔。母れいむは、水の流れがよく見える場所に子供たちを整列させる。 赤ちゃんゆっくりたちは初めて目にする水の流れに興奮気味だが、母の言いつけを守ってその場に並んだ。 「ゆ!!きれいだね!!」 「とてもゆっくちできそうだよ!!」 太陽の光を反射して煌きながら、穏やかに流れる川。 綺麗に透き通っているそれは、ゆっくりでなくても目を奪われるほどの美しさだ。 「ゆんっ!これは“おみず”というものだよ!!とてもゆっくりできるものだよ!!」 母れいむが、赤ちゃんゆっくりに向かって説明する。 今日ここへやってきた目的は、赤ちゃん達に水について教えてあげるためだったのだ。 「ゆゆ~!!ゆっくちできりゅの!?」 「しゅごい!!おみずさん!!れいむたちをゆっきゅりさせてね!!」 「はやくゆっくちしたいよ!!おかーさんいいでしょ!?」 ゆっくりできるものだと聞いて、赤ちゃん達は興奮を抑えるのがやっとだ。 中には、もう小川に飛び込もうとしているゆっくりもいる。 「まだせつめいがおわってないよ!!ゆっくりおはなしをきいてね!!」 「ゆん……」 今すぐにでも小川でゆっくりしたかったのだが、母れいむに咎められてしゅんとする赤ちゃん達。 しかたなく、母れいむの説明を聞くことにした。 「おみずはとてもゆっくりできるけど、ずっとさわってるとゆっくりできなくなっちゃうんだよ!!」 「ゆゆ~!?いやだよ!!ゆっくちしたいよ!!」「おみずさんどうしてゆっくちさしぇてくれないの~!?」 水は、冷たくて気持ちいいし汚れも洗い流してくれる。 しかし、ずっと水の中にいると水分を吸収して膨張したり溶けたりしてしまい、最終的には皮が破れて中身が漏れてしまう。 母れいむはこれを子供の頃に自分の母親から聞き、そして実際に水遊びしすぎて溶けてしまったゆっくりも見た。 水はとてもゆっくりできる。しかし、同時にゆっくりにとって危険なものでもあるのだ。 「ゆ!でもだいじょうぶだよ!!ながいあいださわらなければ、とてもゆっくりできるよ!!」 「ゆ~?ほんとう?」「ゆっきゅりできるの?」「ゆっくりできなくならない?」 心配そうに母れいむに問いかける子供たち。 母れいむは、無用な心配を取り払うべく笑顔で子供たちに呼びかけた。 「だいじょうぶだよ!!おちびちゃんたちはしんぱいしないで、おみずでゆっくりしていってね!! おかーさんがおわりっていうまでは、ゆっくりできるからね!!そのときは、おみずからゆっくりはなれてね!!」 子供たちは、いつまで水に触れていられるのかを自力で判断できない。 だから母れいむは、ゆっくりできなくなる前に自分が子供たちに合図を送ることにしたのだ。 そうすれば、子供たちは何も恐れることなくゆっくりすることができる。 母れいむが水から離れるよう呼びかけたときに、その声に従えばいいのだから。 「おちびちゃん!!ゆっくりあそんでいってね!!」 「ゆっきゅり~♪」「ゆっくちあそぶよ!!」「みんなでゆっくりしようね!!」 母れいむの許可が下りたので、我先にと小川へ飛び込んでいく赤ちゃんゆっくりたち。 「ゆ~♪ちべたい~♪」 「おみずさんおいちいね♪」 「それー!!ゆっくりぴゅ~♪」 「ゆゆ!やったな!!ゆっくりー!!」 ころころ転がって、水の冷たさを味わう赤ちゃんれいむ。 好奇心から水を口に含み、その染み渡るような美味しさに感動する赤ちゃんまりさ。 水鉄砲のように、水を吹き出して遊んでいるものもいる。 「ゆー!!あまりとおくにいっちゃだめだよ!!ゆっくりできなくなっちゃうよー!!」 「「「ゆっくりりかいしたよ!!おかーしゃん!!」」」 元気に返事を返してくる赤ちゃんゆっくりたち。 とてもゆっくりしている姿を見て、母れいむはとても幸せな気持ちになった。 ゆっくりした子供を見ていると、自分もゆっくりとした気分になる。それこそが親ゆっくり共通の幸福なのだ。 「ゆぅ~!とてもゆっくりしてるね!!」 片親で5人の子供を養えるか、母れいむは不安に思ったこともあったが…何とかここまで育てる事が出来た。 きっとあっという間に大きくなって、おうちも狭くなってしまうだろう。 自分達で狩りに出かけるようになって、もっとたくさんご飯を食べるようになるに違いない。 そしたら子供たちは独立して、自分だけで生きていくようになる。 そのことを考えると少し寂しくなったが、それ以上に母れいむは子供たちの成長が楽しみだった。 思い描いた将来を現実のものにするためにも、子供たちは自分が守っていかなければ! 母れいむは、強く決意した。 「ゆゆっ!!みんな!!おわりだよ!!そろそろもどってきてね!!おみずからはなれてね!!」 「ゆゆ~!ゆっくちもどるよ!!」 「こんどはおかーしゃんとゆっくりするよ!!」 母れいむの呼びかけに応じて、赤ちゃんゆっくり5匹はみんな母の周りに集まった。 ぶるぶると犬のように身体を振って、水気を飛ばす赤ちゃん達。 若干の湿り気は残っているが、この程度なら大丈夫だと母れいむは判断した。 「ゆ~♪しゅっきりしたよ!!」「すっきりー!!」「もっとあそびたかったよ!!」 「ゆっ!!からだがかわいたら、またゆっくりしてもいいよ!!それまでゆっくりまっててね!!」 母れいむの言いつけどおり、水に触れない場所で身体が乾くのを待ち始める赤ちゃんゆっくりたち。 その時、対岸にひとりの青年が現れた。 短パンにTシャツという、とても涼しそうな格好をしている。 「ふぅ~涼しいなぁ~」 「ゆ!?おにーさんはゆっくりできるひとなの?」 飴細工が溶けたようなだらしない顔をして、水中に脚を投げ出して座っているお兄さん。最高に気持ちいいらしい。 真夏の家屋の中は、風通しがよくてもそれなりに暑い。人里で空調設備を持てるのは、村の重役か金持ちぐらいである。 だから、一般村人であるお兄さんは、夏はこうして小川で涼むのを日課としていた。 「おー、最高にゆっくりしてるぞー」 寝言ではないかと疑いたくなるぐらい、間延びした声で答えるお兄さん。 その様子を見て母れいむは目の前の人間が敵ではないと判断した。 「ゆぅ……ゆ!おにーさんもゆっくりしていってね!!」 「おにーしゃんもゆっきゅりできるんだね!!」「ゆっくちしちぇいってね!!」 本当は自分達だけのゆっくりプレイスにしたかった。 だが、子供たちの前で人間を追い出すのは教育上あまりよろしくない。 そういった理由で、母れいむは目の前のお兄さんを渋々受け入れることにした。 こちらから何もしなければ、向こうも危害を加えてこないだろうと判断したのだ。 何より、子供たちがお兄さんに懐きつつあるので、彼を排除する理由はなくなった。 「ゆゆん!そろそろかわいてきたね!おちびちゃん!!もういちどゆっくりしてきていいよ!!」 「ゆゆーい!!」「ゆっくりぃ~♪」「おみずでゆっくりするよ!!」 頃合を見て、再び赤ちゃんゆっくりに川で遊ぶよう呼びかける。 畔でうずうず我慢していた赤ちゃん達は、一斉に水の中へ飛び込んでいった。 「ゆゆーん♪」「ちべたいー♪」「ぴゅるる~♪」 「おぉ、みんな楽しそうだな!」 お兄さんも対岸から川の流れを横切って歩いてきて、赤ちゃんゆっくりの輪に混ざる。 「ゆー♪おにーさんもゆっくちしていっちぇね!!」 「おみずはとてもゆっくりできるものだよ!!おかーしゃんがいってたよ!!」 「おにーしゃんもいっしょにゆっくちしようね!!」 「そうかそうか。それじゃ、お兄さんも一緒にゆっくりしようかな」 もう赤ちゃんゆっくりたちは、完全にお兄さんに懐いている。 お兄さんもかわいいゆっくりと遊ぶ事が出来て、とても嬉しそうだ。 「ゆー…すごいゆっくりしてるよぉ…」 やっぱり、お兄さんをここから追い出さなくて正解だった。子供たちは、皆すごく楽しそうにゆっくりしている。 母れいむは、自分の判断が正しかったのだと確信した。 「それ!お兄さん負けないぞ!」 バシャァ!! 「ゆーゆっくちー♪」「おにーさんつよいね!!」「でもれいみゅたちもまけないよ!!」 お兄さんと水を掛け合って遊んでいる子供たち。 「ゆらゆらぁ~」「ゆらゆらゆっくりぃ~」 その傍らでは、水に漂ってゆっくりしている2匹の子供たち。 ここは流れがとてもゆっくりしているので、気づかないうちに遠くへ流されてしまう、という心配はない。 「……ゆゆ!」 母れいむの本能が、そろそろ頃合だと告げた。 「みんな!!そろそろこっちにあがってきてね!!ゆっくりできなくなっちゃうよ!!」 「ゆ~!」「みんなであがろうね!」「みんなでゆっきゅりしゅるよ!!」 「あ、皆待ってよ!」 お兄さんが、陸に上がろうとする赤ちゃん達を呼び止めた。 180度振り返って、赤ちゃん達はお兄さんを見上げる。 「どうして戻っちゃうんだい?皆でもっとゆっくりすればいいじゃないか」 お兄さんは、どうして赤ちゃんゆっくりが急いで陸に上がろうとしているのか、疑問に思っているようだ。 逃げるように陸へ跳ねていく赤ちゃんゆっくりの行動が、彼にはまったく理解できなかったのだ。 「ゆ!ずっとおみずにさわってるとゆっくちできなくなりゅんだよ!!」 「そうだよ!!おかーしゃんがいってたよ!!ゆっきゅりできないのいやだよ!!」 「え、そうなのか?……でも、お兄さんはずっと水に触ってても平気だったぞ?」 「「「ゆゆぅ~?」」」 5匹揃って、首を傾げる。 お母さんは確かに言っていた。お水にずっと触ってるとゆっくりできなくなる、って。 でも、お兄さんはずっとお水に触ってても、ゆっくりできている。 ………どうして? その疑問の答えを、赤ちゃん達は自分なりに考え…そして、結論を出した。自分の都合のいいように。 「おちびちゃん!!はやくこっちにもどってきてね!!ゆっくりしてたらだめだよ!!」 「ゆゆ!でもおにーさんはゆっくちできりゅっていってるよ!!」 「だったられいむたちもゆっくりできるはずだよね!!」 「ゆゆ!?おちびちゃん!!なにをいってるの!?」 赤ちゃん達がいきなり変なことを言い出したので、母れいむは驚いてしまった。 さっきあれほど言い聞かせたのに……どうしてそんなことを言うのだろうか? 「おちびちゃん!!いいかげんにしてね!!はやくもどってこないと、ゆっくりできなくなるよ!!」 「お母さんはあんなこと言ってるけど、気にしないで一緒にゆっくりしようよ。みんなももっとゆっくりしたいだろう?」 母れいむの再度の呼びかけをかき消すように、お兄さんは赤ちゃん達に呼びかける。 赤ちゃんゆっくりたちもまだまだ遊び足りないので、再び陸から離れて水の中へ飛び込んでいく。 「ゆ~♪もっとゆっきゅりするよ~♪」 「ゆん♪おにーしゃんもいっしょにゆっくいしようね!!」 「おちびちゃん!!おかーさんおこるよ!!さっさとこっちにもどってこないと、ほんとうにゆっくりできなくなるよ!! おにーさんもへんなこといわないでね!!おにーさんにもおきゅうをすえることになるよ!!」 母れいむは本気で怒っていた。言いつけを守らない赤ん坊は、きつく叱ってやらなければならない。 おかしなことを言うお兄さんもだ。これ以上子供たちのためにならないことを言うようであれば、ゆっくりできなくさせる必要がある。 これぐらいきつく怒鳴りつければ、赤ちゃん達は怖がって言うことを聞くだろう、と思っていたが… 返ってきた声は、母れいむがまったく想像していなかったものだった。 「ゆっ!!でもれいむたちはちゃんとゆっくりできてるよ!!」 「おかーさんはうそをついてるね!!うそつくおかーしゃんとはゆっくりできないよ!!」 「うそつきはむこうにいってね!!まりさたちはおにーさんとゆっきゅりするよ!!」 「おかーしゃんはばかだね!!れいむたちゆっくちできりゅもんね!!」 赤ちゃんゆっくりたちは、完全にお兄さんが言っていることを信じきっていた。 実際、赤ちゃん達の体にはまだ変化が現れていない。そのため赤ちゃん達は、水が100%安全だと勘違いしてしまったのだ。 「どぼじでぞんなごどいうのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!??」 こんな聞き分けのないことを言われるのは、赤ちゃんゆっくりが生まれてから初めてのことだった。 いつもはちゃんと言いつけを守ってゆっくりしていたのに…どうして今日は言うことを聞かないの? 母れいむは、子供に反抗された事がショックだった。 「ゆっきゅりぃ♪」「ゆっくちできるよ~♪」 「だろう?お兄さん、水に触っててゆっくりできなくなったことなんてないよ」 「ゆー、やっぱりおかーしゃんはうそをついてたんだにぇ!!」 「おにーさんがゆっくりただしいんだね!!」 「そうそう。大体水に触ってどうにかなっちゃう生き物なんていないって!」 「どうじでええ゛ええ゛え゛えええ!!!おがーざんはほんどうのごどをいっでるどにい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 母れいむは、子供たちの信頼を失っていた。 自分は正しいことを言っているのに、子供たちはそれを理解してくれない。 とてもゆっくりした賢い子供たちなのに、何故かこれだけは理解してくれない。 そればかりか、自分を嘘吐きだと罵倒してくる。どうして?どうして? 母れいむの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。 「ゆ゛!!しかたな゛い゛ね゛!!むりやりにでもゆっくりつれてもどる゛よ゛!!」 だが、いつまでもショックに打ちひしがれているわけにはいかない。 早く川から引き上げなければ、本当にゆっくりできなくなる。子供たちの命がかかっているのだ。 母れいむは自ら川に飛び込むと、ばしゃばしゃ水飛沫を飛ばしながら赤ちゃん達のところまで跳ね寄ってきた。 「ゆっ!?おかーしゃんもゆっくちするの!?」 「おかーしゃんはうそつきだけど、れいみゅはやさしいからゆるしてあげゆよ!!」 「ばかなこといわないでね!!ゆっくりしないでみずからはなれるんだよ!!」 子供たちの戯言にまったく耳を貸さず、母れいむは5匹の中で一番近くにいた赤ちゃんれいむをがっしりと咥えた。 言うことを聞かないのなら、無理やり陸の上に連れて戻る。子供に嫌われることを恐れている場合ではなかった。 「ゆーん!!ゆっくちはなして!!れいみゅはおみずのなかでゆっくちするー!!」 「おかーしゃん!!まりさたちのじゃまをしないでね!!」 「うそつきおかーさんとはやっぱりゆっくりできないよ!!いもうとをはなして、むこうでゆっくちしててにぇ!!」 赤ちゃんを無理やり連れて行こうとする母れいむに対し、残りの4匹は体当たりし始めた。 「ゆっくちはなしぇ!!」「ゆっくりはなせ!!」「うそつきはむこうにいってね!!」 ドン!ドン!ドン! バラバラの攻撃では殆ど効果がないが、4匹は息を合わせて同時に母親に体当たりしている。 皮を突き破るような致命傷には至らないが、母れいむのバランスを崩すには十分な攻撃だった。 「ゆゆ!!ゆっぐりやめでね!!ゆ!?…ゆぎゃんっ!?」 赤ちゃんゆっくりを咥えたままではまともな抵抗も出来ず…母れいむは勢いよく転んでしまった。 その衝撃で開放された赤ちゃんれいむは、姉妹の助けを借りて急いで母親から離れていく。 「ゆああああああああ!!!いうごどをぎいでね!!ほんどうにゆっぐりでぎなぐなるのお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 「こんなことするおかーしゃんとはゆっくちできないよ!!」 「うそつきおかーしゃんはむこうにいってね!!こっちにこないでね!!」 「れいみゅたちだけでゆっきゅちするからね!!うそつきはじゃまだよ!!」 もはや、母れいむの真実の叫びに耳を傾ける子供はいなかった。 誰もが母れいむの言葉を嘘だと決めつけ、罵り、排除する。その言動に躊躇いは無い。 赤ちゃんゆっくりにとっては、自分が“今”ゆっくりできればそれでいいのだ。 再びお兄さんとゆっくりし始める赤ちゃん達。母れいむに邪魔されないように、どんどん離れていく。 「いがないでええええええ!!!ゆっぐじじないでおみずがらはなれでねえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ええ゛え゛ええ゛!!!」 母れいむの直感が告げていた。今から追いかけても間に合わない、と。 可能な限りの大声で必死に呼びかける母れいむだが、赤ちゃんゆっくりたちは取り合わない。 「ゆんゆん♪」「ゆっくちー♪」「じゃぶじゃぶ~♪」 「みんなとてもゆっくりしてるね。水はとても気持ちいいもんなぁ」 「おみずはとてもゆっくちできゆよ!!」 「ずっとさわっててもゆっきゅりできるんだよ!!」 「れいみゅはずーっとおみずのなかでゆっくしするよ!!」 「がああ゛ああ゛あ゛ああ゛ああ゛あ゛あ!!!もうだめえ゛ええ゛え゛え゛え゛!!! はやぐおみずがらでてえ゛え゛え゛ええ゛ええ゛ええ゛え゛え゛!!!」 その時だった。一匹の赤ちゃんれいむが、自分の身体の異変に気づいたのは。 「………ゆ?」 なんだかムズムズする。最初はその程度だった。 だが……その感覚は、既に致命的な量の水分を皮が吸ってしまったことを意味している。 ドロォ…! 「ゆ!れいみゅのからだがどげでるう゛う゛う゛う゛!!!どぼぢでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!??」 ドロリと底部が溶け、身体の一部だったものが川の流れに乗って流れていく。 こんなのおかしい!信じられない!という表情の赤ちゃんれいむ。 母れいむの言っている事が嘘であると信じて疑わない赤ちゃんれいむにとって、今起こっている現象は“ありえない”のだ。 「ゆ゛ん゛!?まりじゃのがらだもおがじいよ!!なんだかうごきづらいよ゛!!」 真っ先に水分を吸うのは、ゆっくりの底部である。そこはゆっくりに言わせれば『足』にあたる部位だ。 そこが過剰な水分によってふやけ、溶けていくようなことがあれば……あとは言うまでもないだろう。 「ゆっ!!ゆっぐりおみずがらはなれるよ゛!!ゆゆ!?どぼじでうごげない゛の゛おおお゛お゛お゛お゛!!?? 「ゆがああああ゛あ゛あ゛!!!れいぶもうごげな゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 気づいたときには、5匹全員が移動不可能になるぐらい底部を水に侵されていた。 ゆっくりにとって水が大敵となりうる一番の理由は……底部(足)に自覚症状が出たときには、もう手遅れだからだ。 雨に濡れて、全身が少しずつ溶けるのとは違う。 川や池でこの状態に陥ると、もう自力では脱出できずに死に至るのだ。 「どぼじでえええええええ!!!おにーざんはだいじょうぶっでいっでだのにい゛いい゛い゛いいい゛!!!」 「やだあああああああ!!!じにだぐないよおおおおおお!!!おがーじゃんだじゅげでえ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 さっきまで罵倒していた母れいむに対して、助けを求める赤ちゃんゆっくりたち。 母れいむも、先の罵声にショックを受けたとはいえ、赤ちゃん達への愛情は失っていない。 自分の身を犠牲にしてでも赤ちゃんを助けようと、母れいむは大きく跳びはねた。 「ゆっぐりまっででね!!おがーざんがだずげにいぐがらね゛!!んぎゃあ゛!?」 川底の石を強く踏んでしまい、全身を走る激痛に身を震わす母れいむ。 底部に亀裂が入ってしまったのか、うっすらと餡子が漏れて川の下流へと流れていく。 「んぎゅうううううう!!!でもまけないよ゛!!あがぢゃんだちはれ゛い゛む゛がだずげるよ゛!!!」 身体はその激痛に悲鳴を上げている。涙がとめどなく溢れ、前が見えなくなる。 それでも母れいむは諦めなかった。苦労して産んで、苦労して育てた5人の赤ちゃん達。それを見捨てるわけにはいかない! 「おがーぎゃああん……れいみゅをだづげでねっぇ……!」 「までぃざは……もっど…ゆっぐじじだいのおおおぉぉ…………!!」 「まっででね!!もうずごじだがらね゛!!それまでゆ゛っぐり゛がんばるんだよ゛っ!!」 赤ちゃんゆっくりたちには、未来があるのだ。 これから成長して、すぐに母れいむと同じぐらいの大きさになるだろう。 そうすれば子供たちも自分で狩りをするようになる。 やがては皆巣立っていき、愛し合うパートナーと共にゆっくりとした家族を築くことになる。 母にとって、それはとても寂しいこと。でも、祝福すべきことだ。 だから母れいむは、やがて訪れるであろうその日まで…一生懸命子供たちをゆっくりさせてあげると決めた。 赤ちゃん達が成長して、やがて大人になって、その子供もちゃんとゆっくりできるように、と願って。 だから、母れいむは諦めなかった。 母れいむは、諦めなかった。 ……諦めなかった。 「………ゆゆ?」 母れいむがお兄さんのもとにたどり着いた時、目の前を流れる変なものを発見した。 スゥーっと川下へ流れていくのは、赤いリボン3つと黒い帽子が2つ。 よく見ると、周辺の水が茶色く汚れている。水面には黒い粒が浮かんでいるのを見つけた。 それらを見て、母れいむは目の前の現実をゆっくりと理解した。 「ゆ……ゆっぎゃあああぁぁぁあああ゛あ゛あああ゛あ゛ああ!!!れいぶのあがぢゃん゛がっ!! あぎゃぢゃんがああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああ゛あ゛あ゛ああ゛あ!!!」 気が狂ったように暴れだし、バシャバシャと水を跳ね飛ばす母れいむ。 その間、一部始終を目撃していたお兄さんは気だるそうに川岸から離れていく。 「あーあ、なんだか気持ち悪いもの見ちゃったな…」 「おまえのぜいだああああ!!!おまえがへんなごどいうがらあ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛ああ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 背後からお兄さんに飛び掛ろうとする母れいむだが、華麗に回避されて顔面から水に突っ込んでしまう。 母れいむはすぐさま起き上がり、再びお兄さんに向けて口が裂けるぐらいの大声で叫んだ。 「おまえがうぞをおじえるがら!!あがぢゃんだぢはじんだんだぞ!!ゆっぐりごろじでやるう゛う゛ぅぅ!!」 「え?別に僕は嘘なんてついてないよ?『水に触っても大丈夫』っていうのは、僕のことだし」 「……ゆ?」 確かにその通りだった。 お兄さんは、『ゆっくりが水に触れていても大丈夫』などとは一言も言っていなかった。 ただ自分の経験で、自分に関することだけを述べていたに過ぎない。それをゆっくり一家は取り違えたのだ。 「ゆっぐぐぐぐ……いいわげじだってゆるざないぞお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 子供を失ったショックと怒りに支配されている母れいむが、そんな理論的な説明を受け入れるはずがない。 いや、心の底では理解しているのだが、自分以外の誰かに責任を押し付けたいという無意識の願望が、その理解を阻害した。 再びお兄さんに噛み付こうとする母れいむ。あっさりと避けられ、蹴り飛ばされて川底に顔面ダイブする羽目になった。 「母親ならちゃんと教育しておけよなー。何も知らない赤ちゃん達はみんな、水に溶けて死んじゃったぞ?」 「ぢがぅ……れびぶは…ぢゃんどおぢえであげだも゛ん゛!れいぶのせいじゃない゛!!おばえがわるいんだぁ゛!!」 「いやいや、『ずっと水に触ってると死ぬ』って教えなきゃ、ちゃんと教えたことにはならないだろ」 「うるざいい゛い゛いい゛い゛い゛い゛いぃ……だまれえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛っぇえ゛ぇ!!!」 「だいたいさぁ、子供が死んだぐらいで怒らないで欲しいんだよね。死んだらまた作ればいいじゃん。 作るの簡単でしょ?すっきりー♪すればいいんだもんな。そこらへんのゆっくりとすっきりしてさっさと作っちゃえよ」 「ゆ!?ぶぎゅうぅぅ……ごろず…ごろじでやるぅ……ゆるざないぞお゛お゛お゛お゛お゛お゛っ……!」 ぶくぶくと泡を吹く母れいむを放置して、ばしゃばしゃと対岸へと渡っていくお兄さん。 ゆっくりすることも忘れ、自分が泳げないことも忘れ、川の深いところへ進んでお兄さんを追いかける。 家族の絆を踏み躙る心無い言葉に、母れいむの怒りは頂点に達していた。 「ゆっぐりにげるなァ!!ごっぢにごいィ!!あがぢゃんのがだぎい゛い゛い゛い゛ぃぃ!!!」 と同時に、母れいむの身体も限界に達した。 ブチャァ! 今まで無茶して跳ね回ったのが祟ったのか、耐久力の落ちていた皮は水分を吸ってあっさりと破れてしまった。 その傷口は大きく、一気に大量の餡子が川の下流へと流れていく。 「ゆっぐぢ…ごろず……おにーざん……ゆるじゃない!!」 もがけばもがくほど漏出する餡子。動かなくなる身体。遠のく思考。 「も……ゆるざ…ない……あがぢゃんを………ゆっぐりざぜ…………」 程なくして、母れいむの身体は完全に溶けきった。 驚くほどあっさりと。驚くほどきれいに。 そこに漂うのは、大きな赤いリボンのみ。 6匹いたゆっくり一家は、一匹残らず全滅した。 「あー涼しかった。さて、そろそろ晩飯の準備でもするか!」 お兄さんは、満足げな顔をしてその場から立ち去った。 (終) あとがき 赤ちゃんゆっくりが「ゆっくり~♪」とか言って遊んでる場面を書いてる時は、すごいイライラしました。 すぐストーリー変更して赤ちゃんをぶっ潰す話にしようかと思ったけど、鋼の理性で耐えました。 短くまとめようと思っていたら、いつの間にか20KB越え……ゆっくりしすぎちゃったよ!! ちなみにwikiを探したら『一家全員が水の恐ろしさを知らず、水の犠牲となる』作品がありましたね。 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5135.html
※以下、お食事中の人は注意して欲しい。好き嫌いが分かれるので、一般の食材と一緒にしないで欲しいことと、実物を見たことが無い人は、検索して実物を見るのを推奨。 やあ。俺は、普通の鬼意山の1人です。今日は、幻想境の外れでオープンした俺の屋台について話そうと思う。俺は、昔…外の世界で見たある食べ物が頭からこびりついて離れないんだ。おぞましい…つーーーんと鼻に付く臭い、屋台の前を通ろうものなら…100メートル先からでも確認できる…そんな食べ物だ。 形は普通は四角く、色は茶色かったり、黒かったり…様々だが、何個かを串に刺して揚げてから辛いソースや辛い味噌なんかの調味料を付けてとにかく味を誤魔化して食べる。 一般にはゲテモノ扱いされるところだが、とある…大陸では…老若男女問わず人気のあるファーストフードらしい。聞いたことあるだろうか?名を「臭豆腐」という。 名は体を表すと言うが、そりゃあもう…目の前で見ているだけでも肉の腐ったような臭いが辺りに充満して、口に含むなんて考えただけでおぞましい一品で、…揚げてあるのが幸いしてか…辛うじて味覚障害のある奴らに食われているだけのような気がする。 事実…俺は某所の屋台の10メートル先で鼻をつまみながら一目散に逃げたね。 おっと脱線してしまった。そんな臭い豆腐だが、いざ作るとなればコストが安くて儲かるとあって、俺も作り方を屋台のおっさんにいくつか伝授してもらったので、「臭豆腐屋」をはじめる事にしたんだ。 さて、1週間前から仕込みをした甲斐もあり、なかなか自分的には良くできたと思う。桶の中の臭豆腐が、黒々として良い具合に異臭を放ってるぞ?!そろそろ太陽も真上に上がって、ちょうどメシ時になったから屋台をオープンさせようかな……とと……、忘れてた。笛でも吹いて、呼び込みをするか…。 ぷおーーーーーーーぷおーーーーーー…臭豆腐…はいらんかね〜!! 案の定、あんまり人は来ないなあ…。俺は鼻栓をしているから無事だが、この臭いに惹かれてくるなんて、金バエならともかく普通の人間ではないだろうな。しかし…ここで俺の脳裏には閃くものがあった!!…もしや?あいつらなら……!仕方ない最後の手段だ ぷおーーーーーー…ゆっくり臭豆腐を食べていってね〜!!! 俺の期待通りの事は起こった。ガサガサッと茂みが動いたかと思うと、丸い玉のようなものがコロコロと転がって来たのだった。そこには、50cmはあるかという大きなゆっくり饅頭がゆっくりとした表情でいつもの言葉を返してきた。 「ゆっ☆ゆっくりたべるわよ☆…それをこっちによこしなさいよ…!」 涎をたらし、道を水浸しにしながら、紅魔館のサボり魔門番ことゆっくり美鈴が、小さなバットを頬にかかる三つ編みで振り回しながらゆっくりと近づいてくる!!!俺ぴーんち(?!) 「あああああああああ…たまんないいいい!☆」 左右に素振りしてるのが正直うざいと思う。俺は実のところ美鈴のバットなんて怖くもなんともないのだが、最大限の演技力を振り絞り怖がっているかのように振舞った。 「うわああ〜。こわいよ〜。…いくつ食うんだ?(棒)」 「ゆゆっ…そ…そうね。しゅーっ・どーっ・ふ!3こもらおうかしら☆…ゆぅ☆…ごまかしちゃだめよ…おおきいのにしてよ!☆」 ゆっくりは、頭が極端に悪い生き物なので、数も片手レベルしか数えられないと聞いた。3個も食うのかよ?この糞饅頭…と思いながらも、俺は平然と臭豆腐にかじりつく美鈴の馬鹿顔が見たくて、仕込み済みの臭豆腐に黒い謎の粉(笑)を振りかけ、黒いゲル状の臭豆腐液にたっぷりと浸してから、高温の油鍋にぶち込んだ。 じゅわあああああああああああ…… 擬音に騙された奴は残念です…美味しそう…な臭いなんてするわけなく、黒灰色の煙と弾ける泡が屋台を暗黒サウナのごとく覆っていった。やべ…これ、ゴーグルしてても眼に染みる(爆)。こんなの食う奴の気が知れない。まあ、目の前の饅頭は屋台の前で、精一杯ぴょんぴょんと跳ねて、油鍋を覗こうと一生懸命なんだが…。 「ゆ〜☆もうそろそろたべたいのよ〜☆おそい〜☆はやくしろ〜☆」 ゆっくり美鈴は緑色の人民帽を上下させながら、涎をあたりに振りまきつつ俺に命令してくる。ゆっくり饅頭はこれだから困る。数分なんだから、少しは我慢して見ていられないのか??俺の串を持つ手が無意識に怒りで震えてくる…串の悲鳴が聞こえてきそうだ…はっ…いかんいかん。今日は「普通の(笑)臭豆腐屋さん」になりきるんじゃなかったのか?俺、ガマンだ。もう少しで揚げあがるから。 「ちゃらりらん♪上手に揚げましたー!!!」 どこかで、音楽が鳴った気がする。見事!としか形容できない俺のスーパー臭豆腐! 第一号の客がゆっくり饅頭でなければ…それなりに嬉しいんだが、まあ良いとしよう。 さあ、食うが良い。俺は、満を持して串を美鈴の前に掲げた。 「ゆゆ☆おいしそうねーーーーいただきまーーーーっゆゆゆ????☆」 「おっと待った!」 「こらあ!☆なにするのよおおおお☆ぷんっ」 「はは…?何言ってるんだ。まさか、お前はこれをタダで食べようとしているのか?屋台で食べるのには、当然…お金がいるだろう?まさか…持ってないんじゃないだろうな?!」 ゆっくり美鈴は、ゆっくり食べようと思ってぽかーーんと大口を開けている状態のまま、俺の言ったことを反芻している。さっきまでの威勢はどうした?糞饅頭?? 「…ゆゆ☆たべさせないと…このばっとでほーむらんにしてやるわ☆」 「ええ??!何だって?…紅魔館の門番は、そんなに貧乏なのか?……メイド長に俺が言ってやろうか?美鈴が買い食いしたくても、『紅魔館は貧乏だから無理☆』だとぼやいてた…って!」 「ゆゆゆうっゆうう…めいどちょう!!!☆それはこまるんだわ…☆」 へへへ…焦ってる焦ってる…。俺は内心ほくそえんでいた。さっきからお預けをくらって、美鈴の涎の量が半端ない!それに脅しが効いて、目を白黒させながら、俺の前で右往左往しているのが面白くて仕方ないからだ。よし、そろそろ譲歩してやるか…? 「しかたないなあ…ソレで良いよ。ソレで!」 「ゆゆゆ?☆」 俺は、美鈴の小汚いバットを指差して、交渉に入った。相当大事にしているものらしく、最初は嫌がっていた美鈴だが、串を近づけられると肉の腐ったようなつーーんという臭いに負けて、ついには俺にバットを差し出した。おお!俺のゆっくりコレクションボックスがまた一つ埋まったな。美鈴は半分涙目になりながら、3本の臭豆腐串を受け取った。すると…とたんに満面の笑みに変わる。 「ゆゆううう☆うーーまい☆ばくばくばくばくばく☆」 美鈴は一気に3本を口に入れてあっという間に飲み込んでしまった。う…げろげろげろおげろおおお…改めて食ってる所を見ると吐き気が催す。俺は、ゆっくり饅頭が大嫌いだ。こいつらに嫌がらせをする意味で、この屋台をはじめたわけなんだが、コレほどまでに喜ばれるとは思わなかった。ある意味「こんな生ゴミのような臭いの食事は胃が受け付けない」…とか言ってくれるゆっくりの方が、食わせ甲斐があるのになあ…などと少し残念に思う。…しかし、まあ、いくら好きでも、そろそろ気づくかな? 「……おい…おまえ☆しゅーっ・どーっ・ふ!…のあじがおかしいわよ……??」 期待通りの美鈴の反応に、俺は平静を装って答えた。 「…え?そうかい…???」 「ゆゆゆう…あまくて……からくて…ふしぎなかんじ…?☆」 「でも、美味しいだろ?俺の自家製ブレンドなんだ!色々入ってるからそう感じるんじゃないかな?!」 「ゆゆうっ…☆したがやけるみたいにいいいい…あついぃのおおおおおおうぅ☆」 「ははは。何だろう?唐辛子とアンモニアかなあ??」 「へえんなのううううぅ…いぎゃああぅ…へへへへぇ…がらいがらいいいいぃ…いいつもたべてるのは…こんなああんじゃなああいいいいいいいいがらいいいい☆」 ゆっくり美鈴は涙を滝のように零しながら、地面を転げまわっている。そうか〜そんなに旨かったか?涙を流して喜んでくれるなんて嬉しいなあ。すると、美鈴の口から未消化の臭豆腐が甘い胃液とともに吐き出された。まだ固形の物も混ざっている。表面の油皮が剥げて、内面がむき出しになっているものもある。意地汚いゆっくり美鈴は吐き出したものをまた口に入れなおそうとして吐しゃ物を覗き込んで声を詰まらせた。 「ぎゅううううううううあああああああぁ☆おおおおおぜううううううさぁまあああああああぁぁぁ?????☆」 そこには、あの首だけの饅頭に羽が生えた醜悪な生き物ゆっくりれみりあ(頭)とゆっくりぱちゅりーの細切れの残骸が広がっていた。ぐちゃぐちゃになってるが、辛うじて肉まんとクリームと髪の毛やリボンと一緒に顔の皮膚が繋がって見えている。俺の考案した臭豆腐の隠し味が効いてるね。大変だったんだぜ?1週間の間にゆっくりれみりあ(頭)と引きこもりゆちゅりーを捕まえて、ミキサーにかけて潰した豆腐と一緒に固形になるまで蒸し上げるのは。 しかし、美鈴は他のゆっくりと違って偉いなあ。一応、主人の見分けはつくらしいしな。これがゆっくり霊夢や魔理沙なら、無視して食いまくるのがオチだもんな。 「ゆゆゆゆぎゅ☆うぎゅう☆…おみずちょーだいびょおううぅ☆」 こんどはお水が欲しいってか。 「ほい、お水」 俺は、近くにあった水を差し出した。 「ゆゆゆゆ”…うべえええええ…ごぼごぼおおおおお!!ゆっく”うぅりでぎなああああいじゃないいいいい☆」 美鈴は俺の渡した水を盛大に吐き出した…!黒い噴水が空に吹き上がる。 ん…?俺特性ブレンド水が何か??? 水を飲みたいって言ったから、せっかくサービスしてやったのに吐き出すとは失礼なゆっくりめ!!!ちょっと黒いかもしれないけど、本場のレシピどおり、貝の腐汁、唐辛子や屑野菜の腐汁、ウジの湧いた肉の腐汁、黒石灰粉、それと臭みが足りなければ、肥溜めの中の物を少々…いや沢山混ぜる…どっからどうみても正にパーーーーフェクトゥ!!!!な臭豆腐汁。※良い子の鬼意山諸君は真似しないように。 完成度の高い証拠に、ゆっくり美鈴は汁を吐いたまま…悶絶して白目を剥き、息も絶え絶え…口の周りにハエが沢山寄ってきている有様だ。旨さのあまり気絶とは…可愛いやつめ。このまま、こいつは怒り狂ったメイド長に処分してもらうとして…さて、他のゆっくりにも味あわせてやるとするか。 **************************** 次の日。俺は屋台ではなく首から紐をかけて、お腹の辺りに箱を固定した簡易売り子の格好で、目をつけていたゆっくりの沢山いる集落に入ってみた。 ぷおーーーーーー…ゆっくり臭豆腐を食べていってね〜!!! 昨日のとおり、掛け声をかける。今日は、昨日と違って寄ってくるかな?…お!あそこに見えるのは、ゆっくりれいむ一家だな!雑草と花が生い茂る原っぱのあたりに野良ゆっくりの家族がゆっくり食事に来ていたのだ。 「やあ!こんにちは!ゆっくり臭豆腐を食べていってね〜!!!」 「「「ゆゆゆ!ゆっくりしていって…ゆゆゆ?なんか…すこしくさい?」」」 「臭くなんかないよ」 このゆっくりれいむの一家は、昨日の美鈴よりも小ぶりのお母さんれいむと、野球ボール大の子れいむ3匹、子まりさ2匹、プチトマト大の赤れいむ2匹、赤まりさ1匹の計9匹だった。 「ゆゆっ…おにいさんはすごくくさいから…ゆっくりできないひとだね…」 「ほんとうだね」 「ゆうぅ…ほんちょーだあぁ…くしゃいよ…」 「おお…くさいくさい…」 「くさいおにいさんは…まりさがおっぱらってやるよ!」 これだけ集中的に「臭い臭い」いわれていると、予想以上にムカつくなこの糞饅頭どもめ!!…いや、俺が臭いわけじゃない。この豆腐が悪い……うん…饅頭憎んで豆腐憎まず…おっと…本音がでちまった。 「まあまあ、待ってくれよ?君たち。お腹は減っていないかい?」 「ゆゆ!?なに?れいむたちになにかくれるのぉ?」 「ゆーーー?おなかはすいてるけど…」 「おにいさん…たべものちょーだい」 「おにゃかすいちゃったよー」 「ゆっ!まちなさい。おちびちゃんたち…!!おかーさんがどくみしてからだよー?おにいさん、れいむにまずたべものをちょうだいね?ゆっくりしないではやくしてね?!」 いやしさでは他のどのゆっくりにも負けていない、ゆっくり母れいむが名乗りを上げた。これは好都合!とばかりに、俺は箱から揚げたての臭豆腐串を取り出した。 「そうだね。れいむが味見をしたほうがいいね。とっても美味しいから、ゆっくり沢山食べていってね?」 「ゆっくりたべるよーーむーーーしゃむしゃ…ゆゆゆゆ!!」 「「「ゆゆゆ????おかーしゃん?」」」 赤ゆっくりが心配そうに母れいむに駆け寄っていくと、母れいむはすごくすっきりした顔で、「うまうまー!」とか叫んでいる。 「ゆ!?おいちいの?おかーちゃん」 「ゆゆ!れいむもたべりゅう〜!」 「ゆ−!にゃにこれ??くりょくてへんにゃの!」 「はふはふはふ…!おいちいねーおねえちゃんもたべにゃよー」 黒い串に刺さった臭豆腐は見る間に無くなっていく。赤れいむたちが食べているのを見て、子れいむと子まりさも俺に豆腐をねだりだした。俺は箱にある串を何本か地面に置いてやり、れいむ一家が食い漁る様を見てニヤリと笑った。 「おい、しゅーっ・どーっ・ふ!は旨かったか?」 「ゆゆぅ!おいしかったよーおにーさん!」 「うまうまーー!しゅーっ・どーっ・ふ!ってゆーの?」 「ちょっとくさいけどーおいしかったよ」 「おにいさんーー!もっとちょーだいーー」 「そうだよーひとりじめはよくにゃいよーー?」 俺のかけた声に口々に言葉を返すゆっくり饅頭。 「じゃあ、ゆっくりできたんだね?」 「ゆゆゆ!ゆっくりできたよー」 「ゆっくりできてーしあわせーーー!」 「おにゃかいっぱい…ゆぅっ…おにいさんもゆっくりしていってね」 「ゆっ…ゆっきゅりしていってにぇー」 れいむ一家は満面の笑顔で、ゆっくりぷれいすを満喫しているようだった。 「うん。そうするよ。………………………そういえば………君たちのお父さんが見当たらないけど……何処にいったの?………狩りにでも行ったのかい?」 「「「「「ゆっ!!」」」」」 そう、このれいむ一家は明らかにまりさがつがいでいる家族構成なのだ。子供にまりさ種がいる以上、当然親はまりさでなくてはいけない。子供たちの顔が明らかに暗くなっていく。そんな子供を見回して、母れいむが心配そうにつぶやいた。 「ゆっ…まりさが1しゅうかんまえからかえってないの…おにいさん…」 「おかーさんといっしょにみんなでさがしたのにみつからないんだよーー!」 「どこいっちゃったんだろーー?おとーちゃん…」 「そーーか…居なくなっちゃったのかーー。それは残念だね。この臭豆腐、食べさせてあげたかったのに………もし帰ってきたらこれをまりさにあげると良いよ…」 俺は最後の1串を母れいむの前に置いて、れいむ一家に別れを告げてその場を後にした。母れいむ達は、父まりさのためにその1串を食べないで残しておこうと決め、巣穴に持ち帰った。しかし数日後、母れいむが餌取りで居ないときに子供達はすっかりお腹を減らし、臭豆腐を食べてしまおうと画策したのだった。 「ゆっ!…すこしならつまみぐいしてもへいきだよね?」 「おとーちゃんがかえってこにゃいのがわりゅいんだよー!」 「「「ゆゆゆゆ!いただきまーーーちゅ」」」 おもむろに、子供達は臭豆腐にいっせいに喰らい付いた。 「むちゃむちゃむちゃ…ぐげえええええええええええ!!!!」 「ゆゆゆゆ”う”う”う”ぎゅ”ゆゆ”びゅうううう”っぐりでぎゅにゃあいいいい”ぃ!」 「げろおおおおおおおおおぎゅううう”ぅ!」 口から腐液を撒き散らし、ショックでのたうち回る子れいむと子まりさ達。対照的にすっかり動かなくなっている、赤れいむと赤まりさ…。 「だいじょうぶ?あかちゃんたち”いいいい???」 「ちゃんとはきだすんだずえ?…げぼっぼうう」 「ゆ……!しんでりゅうううう!!あかちゃんがああ!しんでりゅよ?!まりざああああ!!!?」 赤れいむと赤まりさたちはショック死してしまったようだ。何にそんなに驚いたのかって…?小さいから顔を近づけて見すぎたんだな?きっと…。 表面の油皮を割ると、腐臭と共に中からドロリと腐った餡子汁まみれになって灰茶色の血走った目玉が出てきた。よく見ると、他にも腐餡子に混じり金色の髪の毛もちらほらと。 「ゆぎゅううう!!!ゆゆめだまあああああああ!!!」 「おおおおとおととお”!!ざんっ!のがみのげえええええ!!」 「おがーーーーーじゃんんは”やぐうううがえってきでえええええええ!!!!」 早く食わないから、美味しい時期を逃してしまうんだよ?臭豆腐なんて旨いと思ってる奴の気が知れないなあ…と、俺は漠然と考えながら、さっき捕まえた母れいむをどんな臭豆腐にしようかとミキサーにかけるのであった。 おしまい。書き人三 ※SS書きなれてないので読みづらくてすみません。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1823.html
里からそう離れていない森の中、人一人分くらいの高さの小さな崖の斜面に不自然な穴を発見した。 崖下の地面の高さに洞窟のように開いているが、穴の高さはひざよりも低い。 申し訳程度に葉っぱが詰まれた入り口の内側には、葉のついた枝が何本も立てかけてあり、 枝の下には結構な数の石が置かれ、枝がずれたり倒れたりしないように固定している。 土の見える斜面にそこだけ葉っぱが敷かれているので、入り口こそバレバレであるが 枝の数はそれなりに多く、日中でも中は暗い為奥の方を覗き見ることが出来ない。 この様な偽装を行うのはゆっくり位なもの、間違いなくゆっくりの巣だろう。 耳を済ませてみるが、中からゆっくりの声は聞こえてこない。 内側から枝が立てかけてあるので、少なくとも中に1匹もゆっくりが居ないと言う事は無いはずだが、 1匹しかいないのか、パートナーに留守を任せて餌集めにでも出かけているのだろうか。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ!ゆっくりしていってね!」 巣穴の中に呼びかけてみると返事が返ってきた。在宅のようだ。 巣の中からぽよんぽよんとゆっくりの跳ねる音が聞こえ、 少しするとゆっくりの舌が入り口の枝を内側から外し始めた。 見つかって餌をたかられても困るので、すぐ側にある木の陰に移動し様子を見ると、 枝を外し終えた1匹のまりさがぽよんぽよんと巣から飛び出して来た。 先ほどの返事も1匹分しか帰って来ていないので、巣にはこのまりさしか居ないのだろう。 まりさは辺りをきょろきょろと見回すが、声の主は見当たらない。 首をかしげるかのように体を傾け、眉をひそめて「ゆ~?」とつぶやくとまた巣に戻って行った。 体を使って、巣から出るときに踏み散らかした葉っぱを出来るだけ元に戻し、 外した枝も舌を使って器用に立てかけて行く。 その作業はお世辞にも速いとは言えず、枝が元通りになるまで数分は掛かっている。 まりさが入り口を塞ぎきり、奥に跳ねていった所で巣の前に戻る。 見つからない相手を探すまりさの様子は滑稽なものだった。 もう一度呼び出せばまた見られるだろうか、再度呼びかけてみる事にする。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆうっ?ゆっくりしていってね!」 すぐに木の陰に隠れると、再びまりさが跳ねてくる。ゆっくりにしては早く跳ねており 急いでいる事がわかるが、入り口の枝が多い為中々出て来れない。 しばらくして、少し息を切らしながら出てきたまりさはきょろきょろと声の主を探すが、 やはり木の陰に隠れている相手を見つける事が出来なかった。 「ゆーっ!なんなの?ゆっくりでてきてね!」 不機嫌そうに呼びかけるも一向に現れない相手に、まりさはぷくぅぅと頬を膨らませると巣に帰って行く。 何度も入り口を戻すのはゆっくりにとって楽な作業ではないが、それでも外敵に襲われるよりは良いのだろう、 もたもたとした動きではあるが、しっかりと入り口を封鎖して奥に戻って行った。 穴の中からは「ゆーっ!」と言う苛立ち気味な声と共に、ぽいんぽいんと饅頭が跳ねる音が聞こえて来る。 ストレスでも溜め込んでいるのだろうか、名前の割にゆっくりしていない生き物だ。 さすがに3度も同じセリフでは警戒されるかもしれないので、言葉を変えて呼びかける。 「ち────んぽっ!!」 「ゆうぅーっ!なんなの!?」 言うや否や、まりさは乱暴に跳ねながら入り口に向かい、枝を無理矢理引っこ抜いては投げ捨てて行く。 体を膨らませて威嚇状態のまま飛び出すが、またも姿を見せない声の主にまりさは声を張り上げた。 「かくれてないで、でてきてねっ!ゆっくりできないみょんはいたずらをやめてね!」 ちーんぽ、と言えばみょんなのだろう。居もしないみょんに対し威嚇を続けるが誰も現れない。 まりさは顔を真っ赤にして、「むぅぅーっ!」と地団駄を踏むように跳ね続けるが、 誰も出てこないとわかると再び巣に戻って行った。 入り口前の葉っぱには手をつける気も起こらず、乱暴に捨てた枝をおざなりに立てかけて奥に向かう。 未だに地団駄を踏んでいるのだろう、時折ぼいんぼいんと跳ねる音が聞こえる巣穴に4度声を掛けてみる。 「んほおーっ!まりじゃ!愛しいまりじゃ!二人で愛の金字塔を建立しましょうねーっ!!」 「ゆっくりじねっ!ありすとはゆっくりしないよ!」 さすがにありすでは無理か。しかも「ゆっくりできない」ではなく「ゆっくりしない」とまで言われた。 名乗らずともありすと断定されるあたり、ゆっくりの間でも変態キャラで通っているのかと関心するが、 今はありすよりまりさである。 鼻息荒く「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」と繰り返すまりさのプライドをくすぐってみる。 「まりさは全然ゆっくりしてないね!」 「ゆ…ゆがっ!?」 「ゆっくりしてないね!ゆっくりしてぬゎいねぇぇ~!」 「だまれぇぇっ!」 突然の指摘に頭に餡子が上ったまりさは、一刻も早く声の主を見つけようと入り口に突進し、 そのままの勢いで立てかけてあった枝に「ゆべっ!」と衝突してしまった。 反動で後ろにごろんと1回転するが、余計に怒りが高まったのか、八つ当たりするかのように 枝を固定する石を乱暴に蹴散らし、体当たりで枝を跳ね除けながら飛び出して来る。 「ゆふーっ、ゆふーっ!ゆっくりしないであやまってね!まりさはゆっくりしているよ!!」 息を切らし、全然ゆっくりしていない様子で、自分はゆっくりしていると主張するまりさ。 それでも現れない声の主に、じたばたと暴れながら泣き出してしまった。 「ゆぎいぃっ!なんでかくれ゛でるのお゛ぉぉぉ!?ゆっぐりさぜでよお゛ぉぉ! ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁん!」 わんわんと泣いて、その場から動こうとしないので、足元にあった石をまりさの向こう側に放り投げる。 人間の居る方向とは反対側に着地した石の音に、まりさは音の主がそちらに居ると確信し、 「ゆゆっ!そっちにいるんだね!もうあやまってもゆるさないからね!」 と音のする方に跳ねていったが、居るはずの無い相手を見つけられるはずも無く 数分もするととぼとぼと帰ってきた。そのまま巣の入り口に入るが、葉っぱも枝も元に戻さず 巣の外側に振り返ってじっと動かない。 「もうおこったよ!ぜったいにみつけてやるからね!」 入り口を塞ぐ枝が邪魔で、巣の外に出るのに時間が掛かると気がついたようだが、 自分が姿を見せている事でいたずらの犯人が現れなくなるとは考えていないのだろう。 どうしたものかと辺りを確認したところ、遠くの木々の間にゆっくりれいむの姿を見つけた。 まりさの視界に入らないようにれいむに近づき声を掛ける。 「やあ、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!にんげんさんはゆっくりできるひと?」 「ああ、ゆっくり出来るよ、とてもゆっくりできる方法を知ってるからね」 「ゆゆ?れいむにもおしえてね!れいむもゆっくりしたいよ!」 ゆっくり出来る方法に興味津々のれいむはぴょんぴょんと飛び跳ねて催促してくる。 そのれいむを空中でキャッチし、遠くの穴の入り口で頬を膨らませているまりさを指差して見せてやる。 「ほら、あそこにまりさが居るだろ?あのまりさに元気良く挨拶すると とてもとてもゆっくりした巣に招待してくれるんだ」 「ゆゆっ!れいむもしょうたいされたい!」 「ああ、ゆっくりしておいで」 とれいむを放してやると、一直線にまりさの元に向かって行く。 程なくしてまりさの前に到着すると、そのまりさの後ろに巣穴が続いているのが見えた。 これが人間の言っていたゆっくり出来る巣なのだろう。期待が膨らんだれいむは、 いつも以上に元気な挨拶をまりさに贈った。 「ゆっくりしていってね!!」 「お…お…」 「ゆ?」 突然ぶるぶると震えだしたまりさに、れいむは首をかしげる。なんで巣に案内してくれないのだろうか。 「ゆっくりしていってね!!!れいむをすにあんないしてね!」 「おまえかぁぁぁ!」 「ゆべえっ!」 目の前のれいむをいたずらの犯人と判断したまりさは、怒りに任せてれいむに突進した。 れいむの顔面の中央、鼻っ柱にあたる部分を突き上げるように自分の体をぶつけると、 後ろに突き飛ばされたれいむは痛みに顔を歪ませ、我慢できずに泣き出してしまう。 「ゆ゛うっ!?いだい゛い゛ぃ!な゛んでごんなごどずるの゛お゛ぉぉ!?」 「うるざい!ゆっくりできないれいむはゆっぐりじねぇぇ!」 相手がひるんだとみるや、まりさは大きく跳ねてれいむの頭上に飛び乗ると、 そのまま何度も跳ねてれいむを押しつぶし始めた。 「ゆ゛べっ!やめ゛っ!や゛め゛でっ!」 「ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!ゆっぐりじねっ!」 まりさが跳ねる度にれいむは口から餡子を吐き出し、やがて餡子が足りなくなったのか痙攣を始める。 このまま放っておけば死ぬだろう。もう十分と判断したまりさはれいむから飛び降り、 ゆひゅー、と満足げに息を吐いた。 「ゆっぐり…じだがっっだ…」 「まりさにいたずらしたけっかがこれだよ!れいむはあのよでゆっくりはんせいしてね!」 もう自分のゆっくりを邪魔する奴は居なくなったと、安心したまりさは意気揚々と巣に戻る。 荒れたままになっていた葉っぱを入り口の前に積みなおし、散らかした石を戻して 丁寧に枝を立てかけて行く。 これで安心と巣の奥に跳ねて行った所で、もう一度声を掛けてみた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆぅっ!?」 いたずらをするれいむは退治したはず。何が起こっているのかわからず混乱したまりさは、 またゆっくりと枝を外して飛び出したが、そこに居るのは先ほど踏み潰したれいむのみ。 れいむはもう、うめき声すら上げる事が出来ずにぷるぷると震えている。 「ゆ、ゆぅ…?」 自分が踏み潰した事で、れいむがもう死を待つだけの姿になっている。 さっきは夢中だったが、同族殺しを目撃されていたら自分も殺されてしまう。 「ま、まりさがわるいんじゃないよ、れいむがいたずらするからだよ!」 誰にともなく言い訳をしたまりさは、そそくさと巣に入って行く。 もたもたと枝を戻している間に、れいむの震えは止まり、まったく動かなくなった。 れいむの死体を掴み上げて、巣の入り口の枝の目の前に置いて声をかける。 「れいむを殺したまりさはゆっくり出来ないよ!」 「ゆ、ゆうっっ!?」 突然の指摘にまりさはパニックに陥る。誰かに目撃されていたのだろうか。 それでもれいむのいたずらを説明すれば許してもらえる、 そう判断したまりさは巣から出ずに説明を試みる。 「ま、まりさはわるくないよ!れいむが…」 「もうゆっくりさせないよ!れいむのお化けがまりさに会いに行くからね!」 「ゆひっ!?お、おばけはこないでね!おばけはあっちにいってね!」 化けて出ると聞いた途端、まりさはひどく怯えだした。 ゆっくりにも幽霊が出るって風習があるのだろうか。 「だめだよ、れいむはもうまりさの後ろまで来てるよ」 「ゆひいっ!!!」 まりさは顔面蒼白になって固まり、振り返る事が出来ない。 誰も居ないはずの後ろ側に気配を感じ、背筋に強烈な寒気が走る。 声が巣の外側から聞こえるのだがパニックになったまりさには正常な判断が出来ない。 「まりさぁー、れいむと一緒に地獄に行こうねぇぇ~っ」 「い゛やだぁぁぁぁっ!ゆっぐりざぜでぇぇー!」 れいむがお化けになって自分を殺しに来た。圧倒的な恐怖に支配され、 まりさは一刻も早く暗い巣穴から出ようと枝を外し始めるが、 恐怖で震えた舌ではうまく枝を掴む事が出来ない。 「ゆ゛っゆ゛ぅっ、だして!だしでっ!」 焦りながらもまりさは、枝を固定する石をどかして行く。 支えを失った多くの枝がばらばらと倒れると、目の前にれいむの死体が現れた。 「ゆぎゃぁぁぁ!なんでぇぇぇぇぇぇ!?」 自分の後ろに居ると言ったれいむが、いつの間にか巣の外へ先回りしていた。 逃げ場を失ったまりさは跳ねる事も出来ず、ずりずりと後ずさりする。 れいむの死体に目が釘付けになり、その後ろに居る人間には気付いていないようだ。 死体れいむの後頭部をわっしとつかみ、左右にがくがくと揺らしながら巣穴に押し込み、 ゆっくりとまりさに近づけて行く。 「ま゛~~~~り゛~~~~ざぁ~~~~!」 「………!!」 ゆっくりらしからぬ異常な動きで迫って来るれいむのお化けに、 恐怖が限界に達したまりさは白目を向いて気絶してしまった。 見ればあごにあたる部分から砂糖水を漏らしている。恐怖のあまり失禁までしたようだ。 死体のれいむを巣の中に残したまま、石を集めて巣穴の入り口を塞ぐように積み上げ 土や枝で石の隙間を埋めた。これをゆっくりが中からどかす事は出来ないだろう。 気絶から立ち直ったまりさが入り口を塞がれた真っ暗な巣穴で、 自分が殺したれいむと一緒だと知った時どんな顔をするだろうか。 これからのまりさの様子を確認する手段がないのが残念だが、 暫くしたら石をどかして中の様子を見る事にしようと、帰路についた。 おわり。 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶 (fuku2335.txt) ゆっくりいじめ系813 赤ちゃんのお帽子 (fuku2368.txt) ゆっくりいじめ系822 ドスの中身 (fuku2386.txt) ゆっくりいじめ系851 どちらかのお帽子 (fuku2437.txt) ゆっくりいじめ系873 べたべたのお肌 (fuku2467.txt) ゆっくりいじめ系940 三角の頭巾 (fuku2628.txt) ゆっくりいじめ小ネタ151 みょん語体 (fuku2670.txt) お帽子の人 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/410.html
ゆっくりのすくつ 「先輩! 見つけましたっ!」 ゆっくり殲滅用の最新機器を背負い、ゴーストバスターズのような出で立ちをした新人君が俺に呼びかける。 「でかした! 今そっちへ行く!」 反応の途絶えたレーダーの電源を切り、俺も重たい装備を背負い直して新人君のあとに続く。 鬱蒼とした森を抜けると、一気に視界が開ける。切り立った崖のふもとにそれはあった。 「まさかこんなところに……」 人間も容易に出入りできるほどの巨大な洞穴。ゆっくりたちの巣穴だ。 「なるほど。こんなところじゃレーダーの電波も途絶えるわけだ」 「行きましょう先輩――」 「ここはれいむたちのおうちだよ!! ゆっくりでていってね!!」 「ちちちちーんぽ!! ちちちちーんぽ!!」 「うわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!! あのおじざんだぢだあ゛あ゛あ゛!!」 「むきゅううーー!! ゆっくりできないひときらいーー!!」 「かえりみちでじこにあってゆっくりしね!!」 処理場の作業着姿の俺たちを見るなり、巣穴の数十匹のゆっくりたちは思い思いの反応を見せた。 ぷくーっと膨れて威嚇するもの。怯えて泣きわめくもの。口汚く罵るもの。 そのけたたましい声を聞いていると吐き気がしてくる。 「ゆ゛!? なんでおじさんたちがここにいるの!?」 騒ぎに気づいた一匹のれいむがやってきて、こちらの様子をうかがっている。 頭のリボンに小さな発信機が付けられていることを確認する。 いつだったか、俺が捕獲し、発信機をつけた上で開放してやったれいむだった。 捕獲した饅頭に発信機をつけて放し、レーダーで追跡する。無尽蔵に増え続けるこの害獣を根元から断つためには、 現在最も効果的な戦術だった。 と、その時、無謀にも一匹の赤ちゃんれいむが新人君に飛びかかり、その腕に噛み付いてきた。 「ゆっくちちねーー!!」 だが、饅頭共の噛みつき攻撃など痛くもかゆくもない。 「あん? バーカ」 グシャア!! 「ぴッ……!!!」 愚かな赤ちゃんれいむは一撃で叩き潰され、洞穴内に甘ったるい香りが広がった。 「うわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! れいむのあがぢゃんがあ゛あ゛あ゛!!!」 「なにするのおじさんたち!! いますぐしね!!」 「わからない!! わからないよーー!!」 「ここはれいむたちのおうちだっていってるでしょ!! さっさとでていt 『黙れぇッ!!!』 たまらず俺が大声で一喝すると、ゆっくりたちは恐れおののき、一瞬にして静まり返った。 「ひゃはは! さすがは先輩!」 「ふんっ……」 こんなゴミクズ共に対して声を荒げてしまった大人気ない自分を少々恥じる。 「しかしこれまた……見てくださいよ先輩。あれ」 洞穴の隅には、田畑を荒らし、民家を荒らし、商店を荒らし、人間たちから奪い取った大量の食料が備蓄してあった。 野菜、果物、その他加工品の山に加え、中でも目に付くのが大量のプリン……。 「一体どうやってこんなところまで食料を運び込むんですかねぇ」 「……おそらくあいつの尽力によるものだろう」 「うーうーうまうまっ☆ もっどぷっでぃんだべだいじょーー♪」 騒ぎには我関せずで、洞穴の奥でプリンを貪り食っているゆっくりれみりゃ。 その身体は丸々と太り、”お嬢様”などといった印象は微塵も感じさせない。 れみりゃ種は四肢があるものが多く存在しており、空を飛ぶこともできる。 こんなデブでも、一匹いるだけで作物被害は甚大なものとなるのだ。 「うげぇー……あれってれみりゃっすか……? きもちわるっ……」 「おい饅頭共! 今すぐそこの作物を人間に返して来い!」 「これはまりさたちがみつけたごはんだからあげないよ!!」 「おじさんたちはあせみずたらしてはたらいて、もっといっぱいごはんつくってね!!」 「どうしてもというならすこしだけわけてあげてもいいよ!! ゆっくりどげざしてね!!」 まったく、どこまでも生意気で憎たらしい饅頭共だ。 「やはり話にならんな。仕方ない、さっさと済ませてしまおう」 「へーい」 その場を新人君に任せ、俺は入り口側で待機する。 「はいはい饅頭共っ! ちゅうもーーーく!!」 敵意むき出しで、しかし若干恐る恐るといった様子で、新人君の言葉に耳を傾けるゆっくりたち。 「お兄さんたちは、ゆっくり処理場から君たちをぶっ殺しにやってきましたー!」 処理場という言葉にビクッと身を震わせるゆっくりたち。 ただの人間とは違う。処理場から来た人間だ。ゆっくりたちはよく知っている。 ありとあらゆる残虐な手段で自分たちを痛めつけ殺してきた恐ろしい人間たちだ。 小さなゆっくりでも親から教えられて知っている、決して捕まってはいけない地獄の使者だ。 そういえばこの人間たちもよくわからない機械を背負っている。 きっと火や水が出て、自分たちを一網打尽にしてしまう機械なんだ。 そうして殺されてきた家族や仲間を見てきたものもいる。 処理場の作業着を見たことがなかったゆっくりたちも、事態の重さを痛感する。 もうおしまいだ。戦慄が走り、吐き気が襲い、冷や汗が吹き出る。 と、いち早く大声で泣き始める一匹のまりさ。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! じに゛だぐな゛い゛い゛い゛!!!」 「黙れやこらぁ!!!」 グシャアァッ!! 「ぶヒゅッ……!!」 新人君に強烈な蹴りを入れられ、破けた皮から餡子をぶちまけながら吹っ飛んでいくまりさ。 そのまま洞穴の壁面にぶち当たって弾け、絶命する。 「お兄さんがしゃべってるのに余計な口を挟まないことー! いいですねー!?」 ふわりと舞い落ちるまりさの帽子。ゆっくりたちは言葉を失い、目に涙を浮かべ、立ちすくんだ。 「ただしっ! 今から君たちにも、生き残るチャンスがありまーす! はいっ!」 小さな子供へ手を差し伸べるかのごとく屈み、手のひらを差し出す新人君。 「この手に最初に乗っかったコは、逃がしてあげまーす!」 「ゆっ!」「ゆゆっ!!」「ゆー!」 目を血走らせ、今にも飛び出さんばかりのゆっくりたち。まったく単細胞な生き物である。 「それじゃあ始めるよー? いいー? はい! スタート!」 「「「「「「ゆーーー!!!!」」」」」」 一斉にピョンピョンと飛び跳ね、猛烈な勢いで新人君の手のひらへと向かっていく。 「どいてよおおおお!!! れいむがゆっくりするのおおおお!!!」 「いやああああああ!!! じゃまするれいむはゆっくりしねええええ!!!」 「おがあざんはいっぱいゆっぐちじだんだがらもういいでしょううう!!?」 「そんなこというあかちゃんはいらないよ!!! ゆっくりしね!!!」 押し合い、へし合い、噛みつきあい、潰しあい、仲間割れが始まる。 何匹かの赤ちゃんゆっくりは、自分より大きなゆっくりに踏み潰されて死に至った。 と、遂に一匹のまりさが新人君の手のひらに乗っかる。 「ゆっ!」 「はーーいおしまーーーい!!」 「「「「「ゆ゛ぐううううーーー!!!!」」」」」 ゲームオーバーを知らせる声に顔を歪ませ泣きじゃくる、満身創痍のゆっくりたち。 と、競争を避けて脱走の機会を窺っていた一匹のぱちゅりぃが、新人君の脇をすり抜け強行突破を図る。 「おおっと、君たちは逃がさないよー!」 ほかのゆっくりたちはもう新人君に遮られて逃げられない。 病弱な身体で必死に飛び跳ね、肩で息をしながら入り口へと向かうぱちゅりぃ。 遂に入り口で待機中の俺の元へたどりつく。 「むきゅ……むっきゅううーーーーー!!」 ドグシャアアア!! 「む゛ギゃ゛ア゛っ……!!」 強引に走り抜けようとしたところをすかさず踏み潰す。 跡形も残らないように何度も踏みつけ、地面にできあがった汚らしい染みをグリグリと踏みにじる。 本来は俺と新人君の役割は逆なのだが、彼がいつもあちらの役を務めたいと言うのでね。 まぁ将来有望というかなんというか……。 「よしよし、君は新しいゆっくりプレイスで存分にゆっくりしてね」 「うん!! ありがとうおにいさん!!」 手のひらに乗ったまりさを優しく撫でてやる新人君。 もちろんその帽子にこっそり新たな発信機を付ける作業は忘れない。 「ま゛っ゛でえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!! わ゛だじも゛づれ゛でっ゛でえ゛え゛え゛!!!」 「ま゛り゛ざだげずる゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 「のろまなみんなにはかまってられないよ!! そこでゆっくりしんでね!!」 まりさは仲間を見捨て、入り口側へピョンピョンと飛び跳ねていく。 「君が競争で勝ったんだね。おめでとう」 「ありがとうおじさん!! これでゆっくりできるよ!!」 先ほどのぱちゅりぃの亡骸を素通りし、まりさは森の中へと消えていった。 レーダーの電源を入れ、今のまりさの位置情報が問題なく受信できていることを確認する。 強い個体は生存競争で生き残りやすく、別の巣穴へ合流したり、新たな集団を形成して別の住処を開拓したりする。 あのまりさもいつか新しい巣穴へ案内してくれるだろう。そんな期待をしつつ、俺も洞穴の中ほどへと進んでいく。 「ごれからわだじだぢはどうな゛る゛の゛ぉ!? ゆっぐりにがじでね゛ぇ゛!!!」 涙ながらに許しを乞うバカ饅頭共。 「逃がして、だ? あははっ、なにを言ってるんだい? 君たちは一匹残らず皆殺しだよ!?」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「うるせぇっつってんだろ!!!」 グシュゥ!! 「ぶぇえ゛ッ……!!」 「ゆぐーーーーーっ!!」 「逃げられると思ってんのか!!」 ブチブチィ!! 「びゃ゛あ゛あ゛あ゛っ゛……!!」 「や゛め゛でえ゛え゛え゛え゛え゛!!! も゛うお゛うぢがえる゛うううう!!!」 やれやれ。あいつめ、また遊んでるな……? 「おい」 「せ、先輩っ?」 「なにやってんだ。早く片付けてしまえ」 「も、もう少し遊ばせてくださいよー」 奥の方を見やると、デブれみりゃはまだプリンをパクついていた。 そして驚くべきことに、あれだけたくさんあったプリンがもうなくなりかけていた。 と、新人君への懇願は効果が薄いと思ってか、一匹のまりさが俺の足にまとわりついてきた。 「おじざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛っ!!! だずげでよ゛お゛お゛お゛ンぶぅッ……!!!」 躊躇なく踏み潰す。 しかし、懲りずにまた一匹のれいむが擦り寄ってくる。 「おじさん!! あのときのおじさんでしょ!?」 リボンに発信機をつけ、逃がしてやったれいむだった。 「ああ、覚えているよ」 「あのときみたいにれいむをにがしてよ!! おねがいだよ!!」 「ゆっ!! れいむだけずるいよ!! わたしたちもにがしてね!!」 また押し合いへし合いとなる。そこへ薄ら笑いを浮かべた新人君が語りかける。 「バカだなぁ君は」 「ゆっ!? れいむはばかじゃないよ!! ゆっくりあやまってね!!」 「みんな見てごらーん。このれいむのリボンを。変なものがついてるだろーう?」 「ゆっ? ほんとうだ!! なぁにこれ!?」 「これは発信機さ。これが君たちの居場所を処理場の人に教えてくれてたんだ。実はこのコはおにいさんたちの友達なんだよ」 「ゆゆッ!? れいむそんなのしらないよ!? うそつきなおにいさんはゆっくりしね!!」 「君は今までよく頑張ってくれたね。お疲れ様。でも君はもう用済みなんだ。だからここでさよならだよ。ぷぷっ」 「れ゛い゛む゛の゛ばがあ゛あ゛あ゛!!」 「う゛ら゛ぎり゛も゛の゛はゆ゛っぐりじねえ゛え゛え゛!!」 「ゆ゛ぐぅぅぅ!!! み゛んなや゛め゛でえ゛え゛え゛え゛!!!」 洞穴内はもうパニック状態だ。 笑いを堪えきれない様子の新人君に問いかける。 「そろそろ満足したか?」 「くくっ……! は、はいっ……! じゃあ一気にやっちまいますか! ふっ……ふひゃひゃひゃひゃ!」 俺たちは、背負った機器から伸びたホースを構え、スイッチを入れる。 「放射ああああああ!!!! うっひゃひゃひゃひゃ!!!」 内部分裂して混乱状態の饅頭共に、霧状の薬品を吹きかける。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 霧を吹きかけられたゆっくりたちの身体は、見る見るうちに膨れ上がる。 「な゛、な゛に゛ごれ゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛!!!」 次第に皮が内側から破け始め、その激痛に涙がとめどなく溢れ出る。 「ゆ゛ぐうううううううううううううううううううううううウウウウウウぇ゛ア゛ッ……!!!」 限界まで肥大し、破裂していくゆっくりたち。 この薬品は、饅頭共の体内の餡子を膨張させ、そのまま破裂に至らしめる特殊な薬品なのだ。もちろん人間には無害。 これまでの火攻めや水攻めでかかっていたコストを大幅に減らす、処理場の画期的な新発明だ。 「ゆ……ゆ゛ぐう゛う゛う゛う゛う゛う゛ーーーーーーっ!!!」 死に物狂いで逃げ回る饅頭たち。しかし、広範囲にわたる薬品の噴射から逃れることなどできはしない。 「ウェーーハッハッハッハ!! イーーヒッヒッヒッヒ!!」 破裂する饅頭たちの返り餡子を全身に浴びながら、狂ったように薬品をばら撒き続ける新人君。 ここは彼に任せておこう。俺は薬品を噴霧しながら、奥にいるデブれみりゃの方へと向かった。 「おい」 「う?」 口の周りをカラメルソースでベトベトにした豚がこちらへ振り向く。 「うーーー♪ だーべぢゃーうぞぉーー♪」 豚が食い散らかしたプリンの容器を見る。消費期限も過ぎていない新品だった。 「貴様、どこからプリンを持ち出している」 「うー? れみりゃーはごーまがんのおぜうざまだっどー♪」 パーン! 豚の頬を平手打ちする。 「ぅ……うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!! はだじでえ゛え゛え゛え゛!!!」 パーン! 逃げ出そうとする豚の胸倉をふん掴み、また平手打ち。 「答えろ。このプリンはどこで手に入れた」 「う゛うぅっ……れみ、りゃ、うーーーっ☆」 パーン! 「さっさと答えろ!」 「わ゛ぅ゛ッ……!! ご、ごーじょーっ……!!」 「工場?」 はぁ、なるほど。ちょうどこの辺りにプリンの製造工場があることに思い至った。 「うー……ぷっでぃんもうなぐなっだ……。だがら、まだどりにいぐーー♪」 パーン! 「ヴぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! い゛だい゛い゛い゛い゛い゛っ!!!」 肥え太った手足をじたばたさせ、必死に抵抗する。 「貴様っ」 パーン! 「人様にっ」 パーン! 「どれだけっ」 パーン! 「迷惑をかければっ」 パーン! 「気が済むんだっ!」 パーン! 「や゛べでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!! い゛だい゛の゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 涙と鼻水とよだれで顔をグシャグシャにする豚。 すぐにでも殺してやりたいところだが、これだけは聞いておかなければいけない。 「おい、おまえの飼い主は誰だ」 「ぅーー……」 パーン! 「答えろっ!」 「う゛ぅぅぅぅ!!!! ざぐやにい゛い゛づげでや゛る゛ううううう!!!」 「ざぐや……か」 最近、ゆっくりを利用した飼い主の窃盗事件が相次いでいる。 特にれみりゃは扱いやすく、犯罪に活用されるケースが多くなっている。 こいつをいたぶり続けると、そのうち特定の名前や、お兄さん、おじさんといった誰かに助けを求めるのだが、 こうして遺伝子的に組み込まれている咲夜という人物の名前が出てくる場合は、野良ゆっくりであるということなのだ。 飼い主がいる場合は警察に届けなければならないのだが、野良ゆっくりのこいつを生かしておくべき理由はなくなった。 「おまえが与えた経済的損失、せめて死んで償ってもらうからな」 「ぅぅ……? うううぅぅわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!」 邪魔な翼をもぎ取ったあと、後頭部を鷲掴みにし、顔面を地面に叩きつける。 ガスッ!! 「う゛ぇ゛ア゛ア゛ア゛あ゛あ゛!!! ごべんだざい゛い゛い゛い゛!!!」 右目の眼球が破裂し、前歯がいくつか砕ける。 ガスッ!! 「ぅぶっ……ごボぉお゛っ……!!」 衝撃と共に身体全体を揺さぶられ、体内のプリンを嘔吐する。 ガスッ!! 「ぶゥッ……!!」 後頭部から握り潰さんばかりに突き立てた俺の爪が豚の頭にぐいぐいと食い込み、指先に生温かい肉まんの感触が伝わる。 気持ち悪い! 気持ち悪い! 気持ち悪い! 気持ち悪い! ガスッ!! ガスッ!! ガスッ!! 「あ゛ア゛ッ……!! あ゛がっ……!! ガあ゛ッッ……!!」 やがて顔面の皮が全て剥がれ落ち、肉まんの具から身体が生えている状態となる。 身体はヒクヒクと痙攣し、もはや声を上げようにもヒューヒューというおかしな音しか出ない。 「……気持ち悪い」 わき腹から思い切り蹴飛ばす。肉塊はぐるぐると回転し、頭部の肉を撒き散らしながら宙を舞う。 石ころを蹴飛ばしながら通学路を帰るように、頭部のなくなった豚の身体を何度も蹴飛ばしながら入り口の方へと向かう。 途中で豚の胴体と下半身が千切れてしまった。体内に残っていたプリンがどろりと溢れ出す。 俺はその胴体を踏み潰し、残った下半身を股裂きの要領で引き千切って放り投げてから、新人君へ声をかけた。 「おーい、そろそろ引き上げるぞー。……って、まだやってんのかー?」 新人君は、妊娠中のゆっくりだけを何匹か生かして縛り付け、 同じ妊婦ゆっくりに薬品を少しずつかけて、じわじわと膨れ上がる様を楽しんでいた。 「ゆ゛ぐう゛う゛い゛い゛い゛い゛……!!!」 「苦しいか? ん? おい饅頭、苦しいか? ふひゃひゃひゃ!」 「も゛う゛や゛め゛て゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「まりさちゃん、君、俺が指でちょっとでも触れたら破裂しちゃうけど、どうする? ねぇ、どうする?」 「ゆ゛ッ……!! ゆ゛ぅ゛ッッ……!!!」 破裂寸前のまりさは、この世のものとは思えないほど不細工な表情で、体中から変な汁を垂れ流し続けている。 ところどころ破けた皮から餡子が溢れ出し、耐え難い激痛に喘いでいる。その耳元で新人君が語りかける。 「これからかわいいかわいい赤ちゃんが産まれるって矢先に、残念だったねぇ♪ じゃ、バイバイ♪」 フッと息を吹きかけると、妊婦まりさはたちまちバシャッと破裂し、新人君の顔を餡子で染めた。 飛び散った餡子は、縛り付けられたほかの妊婦ゆっくりたちの顔にもふりかかる。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「ゆ゛っ゛ぐ゛り゛ざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 弾けた妊婦まりさから未成熟の赤ちゃんまりさがコロッとまろび出る。 口の周りについた餡子を舐め回しながら、新人君は今にも崩れ落ちてしまいそうな胎児まりさをそっと手に取り、 ほかの妊婦ゆっくりたちの眼前に掲げ、握りつぶす。そしてその餡子を妊婦ゆっくりたちの顔に塗りたくった。 「あ゛ッ……!!! あヒッ……!!」 壮絶な光景を見せられ、一匹の妊婦れいむは発狂してしまう。 もう一匹の妊婦まりさは流産してしまい、それを示す餡子が下部からどろりと流れ出た。 ショックのあまり、もう言葉を発することもできず、ただヒクヒクと痙攣する。 「おーい、もういいかー?」 腹を抱えて爆笑している新人君に再度声をかけ、区画殲滅用の使い捨て薬品発生器の封を切る。 「ふひゃひゃひゃひゃ!! あ、先輩、もう満足したっす! いやーやっぱ饅頭の断末魔はたまらんっすわー!」 新人君は、ゆっくりを痛めつけることを心底楽しんでいるようだった。 ”できるだけ凄惨なやり方で虐殺し、人間を畏怖させ野に帰す”という国の指針からしても、彼はこの仕事に適任だ。 俺はいつしか虐待することにも飽きてしまって、淡々と仕事をこなすようになってしまった。もう歳かな。 「発信機は回収したか? 盗まれた食料は?」 「え、ええっ。こちらに。飼い主はいないみたいですね。こいつらただの野良ゆっくりの集まりですわ」 「そうか。よし、それじゃあ引き上げるぞ」 「あっ、待って下さいよぉ先輩っ! あのれみりゃはどんな風にぶっ殺したんすかっ? 聞かせてくださいよぉ!」 設置した薬品発生器が辺りを煙で包み込む。 大量のリボンや帽子が散らばる洞穴内。 そこからはもう、物音一つ聞こえない。ただただ甘い香りが充満するのみだった――。 人と共存することを選択しなかったゆっくりたち。 人間界の衣食住を崩壊せしめ、食物連鎖の構造を根底から破壊してしまう害獣。 こいつらをペットに、などと考える人間ももういない。 最初はうるさかった動物愛護団体も、ゆっくりが環境にもたらす深刻な悪影響に口を閉ざさざるを得なくなった。 ゆっくりも、別の世界に生まれていたのなら、もっと幸せに暮らすことができたのかもしれない。 だが、爆発的に繁殖し続けるゆっくりは、この世界では害獣でしかない。狩られ続けるしかない存在なのだ。 俺はせめてもの慰めとして、仕事が終わるとやつらの魂にこう語りかけてやる。 あの世でゆっくりしていってね、と。 完 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/214.html
家に帰ると手のひらサイズのゆっくりれいむが転がり込んでいた。 「ゆっくりしていってね!!」 さて窓からお帰り願うか。つかんでサッシに持っていく。 「ゆ?!ゆっくりはなしてね!」 「はいはい、外に放してやるから」 「そとはあめだよ!れいむあめはいや!」 なるほどそのものまんじゅうだもんな、死活問題だな。でもなー。 「といわれても、役に立たない奴を置いておくほどうちも裕福じゃねーからなー」 「ゆうふく?ゆうふくってなに?」 「お金があること・・・というか、ゆっくりできることだな」 「おじさんゆっくりできないの?れいむがゆっくりさせてあげるよ!だからいれて!」 やかましいで、ゆっくりなんかできっこないと思うんだけどなぁ。 「だーから、お前みたいなゆっくりが家にいても邪魔なだけだって」 「ゆっ!れいむやくにたつよ!れいむがんばるもん!!なんでもやるよ!」 ・・・殊勝なことをいうゆっくりもいるもんだ。やっぱ必死なのかねぇ。 「へぇ。何でもやるっていったな?何でもやるんだな?文句言わないな?」 「ゆ!がんばるよ!」 「わかったわかった、中には入れてやる。梅雨の間だけな」 「わーい!おじさんゆっくりできるひとだね!!」 ま、こんくらいのサイズならそんなに邪魔でもないだろうし、ちょっとした暇つぶしにはなるだろ。 ・・・めんどくさくなったら、おやつにしちゃえばいいし。 ゆーゆーふ抜けた顔で、うれしそうにゆっくりれいむは上がりこんできた。 しかしまぁ実際接してみて分かるが、こいつ本当に何の役にも立たないなぁ。 そう思いつつ、ゆっくりをデコピンの要領で、机の上ではじく。 勢いよく転がるゆっくりは、立てていたえんぴつにジャストミート。ちょっと痛そうだ。 「ゆーっ!おじさんいたいよ!」 不機嫌なゆっくり。まぁそりゃそうだろうけど。 「だってお前何の役にも立たないんだもん。おはじきぐらいにしかなんねーよ」 「れいむやくにたつもん!」 「じゃぁ何できるか言ってくれよ」 「・・・ゆー・・・ゆー・・・えーっと・・・ゆっくりできるよ!」 「食うか」 「いやぁああああ!ゆっくりやめてね!!」 「冗談だよ、まだ食おうとか思わないよ、まだな」 「おじさんこわい・・・」 「でも新鮮なうちがいいかもなー?」 「ゆーっ?!」 「ヘヘヘ。ま、ふざけたことはすんじゃねーぞ」 結局思いつかなかったので、当面箸置きにすることにした。これくらいしか思いつかん。 ゆっくりは自分のエサと俺のメシを比較してスネたり、 いちいち箸を乗っけられるのに文句を言っていたが・・・ほとんどタダみたいなもんだろ?我慢しろって。 1週間後。 当初は超ミニサイズだったゆっくりも成長し、野球ボールよりちょっと大きい程度になった。 やっぱりなーとは思ったんだが、幼体だったのか。 しょっちゅう食うぞ食うぞと軽めに脅したせいか、 ゆっくりがとんでもない悪戯をすることはなかったが、騒がしさと食費についてはグレードアップだ。 何で気付かなかったかなー、めんどくさー。 と思いつつ、ゆっくりを壁に投げつける。ぽいん。 跳ね返って戻ってくるゆっくり。また投げる。跳ね返る。戻る。 意外と丈夫で弾力性があるのね、ゆっくりって。 時々「ゆ゛っ」とちょっと痛そうな声を漏らしてるけど、まぁいいや。 「ゆっくり、痛い?」 「いたいよ!ゆっくりやめてよね!!」 「ゆっくりやめるかー。じゃああと10回かけてゆっくりやめるかー」 「おじさんのばかー!」 ぽいんぽいんぽいん。 ラスト1回を投げた後、跳ね返ったゆっくりが、新体操の選手のごとく直立で着地を決めた。 「ゆ!」フフン、と得意げな顔のゆっくり。褒めて欲しいのか?・・・ちょっと生意気。 軽く上から押しつけてやる。 「ゆっ!!ゆっくりほめてよね!」 「やーなこった。てか押しつぶすと面白い顔だなお前」 「ゆー!!」 面白ついでに横につぶれたゆっくりをキーボードのリストレスト代わりにした。 なかなか面白い感触だけど、いまいちかなー。 「ゆっくりー、シリコンっぽい感触にならね?」 「わかんない!!ゆっくりうでをどけてね!」 相変わらず役立たずだなー。 数週間後。 ゆっくりはサッカーボールサイズになった。 しつけというか脅しのおかげで暴れまわることはないのでいいのだが、 野生のこんなのが跳ね回ったらさぞかし迷惑なことだろう。 そう思うとこいつは、割とできたゆっくりなのかね? 考えながらゆっくりリフティングに勤しむ。 ボンボン壁に投げつけていたせいで衝撃耐性をもったらしく、 蹴られているのに「ゆ♪ゆ♪」と楽しそうな声を上げてリズム取りに貢献すらしている。 ・・・とはいえ、目や口に足がジャストミートして大いに痛がっていたが、 かまわず蹴られているうちに、体に回転をかけて避けることを覚えたらしい。こういうことだけは器用なんだなー。 とか余計なことを考えていると、ボール・・・もといゆっくりが思わぬ方向に出た。 やばい、ベランダの外まで行っちまう! ゆっくりが呆然とした顔から悲鳴を上げそうになるその前、思うより先に腕がゆっくりに伸びていた。 あっぶね。ナイスキャッチ。 「・・・ふー」 大家の仕事を増やすところだった。 「お、おじさんありがとう!ゆっくりたすけてくれたね!」 ・・・予想外。ゆっくりからこんなセリフは出るとは。てか、ゆっくり助けてたら間にあわなかったっての。 「うっせー。大家のおっさんに迷惑かけるとうっせーんだよ」 「ゆっくりありがとう!!」 はいはい。よくわかんねーや。 器用になったゆっくりは多少弾力がかえられるようになったので、 これまた横に潰して枕やザブトン代わりにした。 ケツに敷かれているのは 「おじさんおもい!ゆっくりおりてね!!」と頻繁に文句を言うくらいなので結構辛いようだが、 枕にする分にはあまり文句をいわない。 「ゅー、ゅー」と寝息が横に聞こえるのが気になって枕としては使いにくいのだが、 ゆっくりはむしろ枕になりたいんだと。ゆっくりの好みはよくわからん。 数年後。 ころころまるまると成長したゆっくりは俺の腰の辺りまでの高さになった。 もうさすがに投げるとか蹴るとかは出来ない。 サンドバッグにしてもいいが・・・大分酷使して鍛えたもんだから、ふてぶてしさだけが増しそうだ。 そんなことでもてあまして構わずにいると、ゆっくりがへんなことを言った。 「おじさん、れいむであそばないの?」 ・・・なんか卑猥なフレーズな気もするが、そういう意味はないだろう。 「だってもうお前でかいし、持て余すって言うかなー」 するとゆっくりは真剣な顔で言った。 「れいむやくにたたない?もういらないの?!」 ・・・んー。まぁ、いらないといえばいらないけど。 「まぁ、いらないといえばいらないけど・・・」 ゆっくりの顔が曇る。 「かといって、外に放してもアレだし、もう食う食わないのサイズでもないし。いいよ、別に居ても」 「ほんと!?れいむいていい?」 「はいはい」 「ほんとにほんと!」 「ほんとほんと うっさいと燃やすぞ」 「うるさくしないよ!ゆっくりしようね!いっしょにゆっくりしようね!!」 「うるさい」 ・・・やれやれ。 結構いいサイズになってきたので、座椅子がわりにしてみた。 文句も言わなくなる従順ぶりだが、放屁すると白眼を向いたすごい顔になった。やっぱこれはキツイか。 しばらくして。 ゆっくりは寿命が迫っているようだった。…まぁ少々無理をさせたフシも無きにしも非ずなんだけど。 死期を悟ったらしいゆっくりは、デカイ図体に似合うように、 慌てるでもなく静か且つおだやかに最後の時を過ごしていた。 さすがにもうイス代わりとかするのも忍びないので部屋の隅っこに鎮座させていると、ゆっくりが声をかけてきた。 「ねえおじさん」 「なんだよ」 「れいむはもうすぐゆっくりするよ」 「今までもゆっくりしてんだろお前は」 「もうすぐずっとゆっくりするよ」 ・・・死ぬってことか。そうか。 「そっか。ゆっくりするか」 「おじさん、いやじゃない?」 「別に」 「・・・れいむはちょっとだけいやよ」 「そうかい。死ぬのは怖いか」 「しぬのもちょっとこわいけど、おじさんといっしょじゃないのがこわいよ」 「・・・そうかね。あんだけ苛めまわしといてこんなこというとは真性のマゾだな」 「まぞってよくわからないけど、けっこうおじさんとくらすのはゆっくりできたよ」 「ふーん」 餡子ペースト脳の考えてることはよく分からんが、悪い気はしねーかな。 「おじさん」 「なんだよ」 「おじさんありがとう」 ・・・ 「・・・どういたしまして」 「おじさんひとつおねがいをきいてね」 「なんだよ」 「れいむがゆっくりしたら、れいむをちょっとたべてね」 「・・・はぁ?」 「れいむはおまんじゅうだから、たべられるんだよ」 「いや知ってるけど、なぁ。なんかなぁ」 「れいむをたべたら、れいむはおじさんのおなかにはいるよ。そしたらまたいっしょになるよ」 「・・・うーん」 なんかゆっくりに乗っ取られそうなイメージも浮かんだけど、まぁそういう話は聞かないし。 「分かった、でも一口だけな。お前みたいなデカいの全部食ってたら、1年はかかるぜ」 「ふふふ。そうだねおじさん。ありがとう」 そっかぁ、もうお別れか。・・・一応言っとくか。 「おいゆっくり」 「なあにおじさん」 「・・・ありがとな」 「・・・うん」 ゆっくりは今までで一番穏やか且つムカついて最高な笑顔を見せた。 ほどなくして、ゆっくりはずっとゆっくりするようになった。 かなり微妙な心持ではあるが、約束どおりゆっくりをひとかけら頂くことにした。 ・・・んー。あいつには悪いが、あんまりおいしくはないな。 ゆっくりの餡子は恐怖や絶望でより甘くなるそうだが、 終始ゆっくりしまくったゆっくりの餡子は、まぁだらしのない甘さ。 経年劣化+しょっちゅういじくられたせいで表面も微妙にぱさぱさ。 まったく、誰がこんな風にしたんだ? いざとなったらおやつにしちゃえばいいとは言ったもんだが、いろんな意味で食えたもんじゃねぇや。 最後まで役にたたないというかなんというか。それもあいつらしいかねぇ。 全部食うわけにもいかないので、無粋だが残りの死骸は加工場に引き渡して、 ゆっくりは部屋からいなくなった。やかましい奴が居なくなって、静かな生活が戻ったわけだ。 ・・・ちょっと部屋が広くなったな。最終的にはちょっとした家具並みの図体だったもんなー。 ミニサイズだから大丈夫とか、どこのアホがいったんだか。 「なぁゆっくり?」 返事がない。 「・・・あ、いないんだっけ。・・・そっか」 そりゃそうだな。アホか俺は。まぁアホだな。 ゆっくりに見られたら、あの腑抜けた面でうるさく笑われそうだ。 ゆっくりなんか、役立たずなくせにうるさいことだけは一級品だもんな。 せいぜいあの世で待ってろゆっくり。 向こうでたっぷりいじめてやるから、今のうちに体鍛えとけよ。 おわり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2824.html
※タイトルと作中一部で使われている元ネタについてはスルーの方向でお願いします ※一行だけですがうんうんやしーしーネタが出てしまいます。ごめんなさい ※少々汚いです ある所にちょっとしたゆっくり一家をペットとして飼っている青年がいた。 親子合わせて五匹程の、平均のゆっくり一家よりはやや少ないがこれといった特徴のない一家だった。 れいむとまりさ種の五匹家族は飼いゆっくりのため、もちろん野生よりは良い生活を送っているのだが、納得いってない事があった。 それは青年がゆっくりの他に飼っているペットの猫だ。青年はゆっくり一家よりも遥かにこの猫を溺愛している。 夏場の涼風や冬場の暖房など、いわゆるゆっくり達の言う〝ゆっくりプレイス〟を青年は優先的に猫に与えている。 粗相をした時などは猫の場合は軽く叱るだけで丁寧に後始末をするというのに、ゆっくり一家がうんうんやしーしーの粗相をすれば死ぬ程殴られる。 それになによりも食事の格が違う。 ゆっくり一家が与えられているのは料理の際に出た野菜クズや残飯。その上自分で採って来いと軒下や庭に放り出される事もある。 それに比べて猫が与えられているのはニキロ三千六百円もするキャットフード。 月にニ、三は高級の猫缶までついてくる。 ゆっくり達に円の相場は分からなかったが、自分達のそれに比べて遥かに高級で美味しいということは理解できた。 同じ家に住んでいながらこの差は何だ。 親れいむと親まりさは憤怒し、子供たちもそれに倣う。 「ぷんぷん! まりさたちにおいしいごはんくれないで、ねこさんばっかりゆっくりさせるなんて!」 「れいむたちもゆっくりしたいよ!」 「「「ぴゅんぴゅん!!」」」 ゆっくり一家の怒りももっともだが、青年が猫の方を圧倒的に可愛がるのも無理もない事ではある。 その猫はもう十数年は生きている老猫であり、青年が子供の頃より一緒に暮らしてきたのである。 人生の半分以上を共に過ごして来た家族と、短命の新参饅頭を比べれば当然猫の方に情が傾くというものである。 ゆっくり一家が生まれる何年も前は元気に走り回っていた猫も、今や日がな一日寝ては食っての生活。 後はもう余生をゆっくりまったりと暮らすのみである。ゆっくりよりもこの猫の方が遥かにゆっくりしている。 青年としても、残り少ない余生を親愛なる家族に幸せに暮らしてもらいたいと思っている。当然の事だ。 だが、そんな事は知らないゆっくり一家の怒りが爆発するのも、時間の問題だった。 ある日の事。ゆっくり一家と老猫は同じ部屋でゆっくりしていた。 南側に面するその部屋には窓から陽気な日差しが降り注いでいる。猫はその陽を浴びながらゆっくりと寝ていた。 ゆっくり一家も日差しを直接浴びてはいないものの、ぽかぽかと暖かい部屋でソファでゆったりとくつろいでいた。 現在この部屋に青年はいない。つまり、止める者は誰もいない。 今こそ絶好のチャンスだと親れいむと親まりさは思い立った。 「ゆゆっ、れいむ、ねこさんゆっくりしてるよ」 「ゆっくりしてるね」 猫に聞こえないように小声で(本人達が思っているだけでちゃんと猫の耳には届いている)話し合う二匹。 子ゆっくり達も親達のたくらみに気付いたのか息を潜めて気配を殺そうと努めている。 ゆっくり一家の不満は募りに募っていた。 同じ家で暮らしている家族でありながら自分だけ美味しい物を食べてゆっくりしている。 野菜クズをほおばる自分たちに見せ付けるかのように美味しそうにご飯を食べる老猫。 本来その怒りは飼い主の青年に向けるべきであろうが、そんな考えはゆっくり一家にはなく、ただ自分達を差し置いてゆっくりしている猫が許せないという思いが先立っていた。 そうしてゆっくり一家は反乱を企てた。いや、ただの八つ当たりか。 「そろ~り、そろ~り」 ゆっくり一家は声をそろえて猫が寝ているところまで息を殺して這い始める。 もちろんバレバレだ。全然気配を殺せていない。 猫まで二十センチというところで、それまでゆっくり一家を無視していた猫が顔を起こしてゆっくり一家へとけだるそうな視線を向けた。 「ゆゆっ! きづかれちゃったよ!」 「いまさらきづいてもおそいよ!」 れいむは焦ったがまりさは怯まなかった。 猫が顔を起こしたのを確認するやいなや、猫に向かって一気に跳ねて体当たりを食らわせた。 ボヨン、とまりさの体が猫にぶつかる。 猫は慌てて跳ね起きた。ダメージこそないものの、バレーボール大の大きさの物がぶつかって来たらそりゃ驚く。 だが猫にとってそんな当たり前の行動も、ゆっくり一家にとっては親まりさの攻撃に恐れおののいたと思えた。 「ゆゆ~っ、まりさすご~い!」 「「「まりしゃおきゃぁしゃん、しゅごぉぉぉぉい!!」 「ゆゆ~、てれるよ~」 頬を若干赤く染めてくねくねと身を捩るまりさ。 一家の賞賛とそれに照れるまりさという茶番を尻目に、猫は少し離れて再び寝に入ろうとしていた。 だがそれを親まりさは許さなかった。 「ゆゆっ! ゆっくりしないでね、ねこさん!」 ボスン、と再び体当たり。猫は再び跳ね起きて後退する。今度は無視せず、親まりさの方へとその鋭い眼を向ける。 「ゆゆ~、に、にらんでもだめだよ! まりさたちよりゆっくりしているねこさんは、ゆっくりしないでね!」 親まりさは年季を感じさせる猫の眼光に一瞬怯むも、すぐに強気に出た。再び体当たりを敢行しようとする。 だが、それにクロスカウンターを決めるかのように猫も飛び掛った。 両前足でまりさの体を挟み込むと、その牙を親まりさに突き立てたのである。 「ゆ゛っ!? ゆびぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!! いぢゃいよ゛ぉぉ!!」 「まりざっ!?」 「おきゃあしゃん!?」 普段のんびり寝ている姿しか知らないゆっくり一家にとってこの猫の反撃は予想外だった。 実はゆっくり一家の知らない所ではあるが、この猫は若い頃近所の猫と毎日喧嘩に明け暮れる毎日を送っていた歴戦のつわものであった。 「ゆびびびびっ! ばりざをだべないでね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 両前足で動きを封じられ猫に牙をつきたてられた親まりさは、先ほどの威勢もどこへやら涙で顔をグシャグシャにしている。 ちなみに噛んでいるだけで食べている訳ではない。 「ゆ゛っぅぅぅ!!! まりしゃおきゃーしゃんをだべないでね゛っ!」 「ねござん、やべちぇね゛っ!」 「ゆわ゛ぁぁぁぁぁぁぁん!!」 「ゆゆっ! まりさ、いまたすけるよ!」 親のピンチに涙を撒き散らして泣く子を尻目に、親れいむは駆け出した。親まりさを助けるために。 正面から行ってもパワーもスピードも上回る猫からまりさは救い出せない。ならば弱点を突くのみ。 親れいむは親まりさを夢中で前足で弄んだり噛んだりしている猫の後ろ側に回り込むと、その尻尾に全力で噛み付いた。 「ぶにゃっ!?」 さしもの猫もこれには怯んだ。親まりさを解放するとすかさずその場から離脱しようとする。 だが、猫の尻尾に全力で噛み付いている親れいむがそれを許さない。 猫は自分の尻尾に噛み付いている親れいむに猫パンチを繰り出すが、親れいむは必死に踏ん張って離そうとしない。 親れいむはかつて、青年が猫の尻尾を踏む場面を見ており、猫の弱点が尻尾であると知ったのだった。 「ゆゆっ! れいむゆっくりありがとう! いまたすけるよ!」 必死に涙目で猫パンチを耐えている親れいむの加勢をするべく自由の身になった親まりさが体当たりをしかける。 子ゆっくり達はそんな親達の勇姿に声援を送る。 数の力だろうか。今やゆっくり一家は既に勝った気でいたのだった。 「ゆゆっ! ねこさんゆっくりしたかったら、まりさたちをゆっくりさせてね!」 まりさがそう大声で言って猫に噛み付くのと、青年がその部屋に入ってきたのは同時だった。 「ゆび……ごべっ、ごべんなざい……」 「ゆっぐぢざぜでぐだぢゃい゛ぃぃぃぃ……」 「ゆえ゛ぇぇぇぇぇぇん……」 あれからゆっくり一家の生活は激変した。もちろん、悪い方向に。 まず餌が与えられなくなった。一日の朝、親まりさを軒下か庭に放り出して自力で餌を集めさせる。 もちろん、庭の花を抜いたら死んだ方がましと思える折檻だ。 親れいむはというとゴミ箱になった。 大口を開けさせて器具で固定。もはや生ゴミ等の食べ物ですらない、ちり紙や木屑などが強引に口に入れられる有様だ。 「…………ゅぐっ、ぇっぐ……」 まだその生活を始めて三日ではあるが、既にれいむは枯れんばかりに泣いており、自分の行いを死ぬ程後悔した。 子まりさは雑巾になった。主に親れいむが零した涙や猫の粗相を拭く際に使われる。 「いぢゃい゛っ、いぢゃいよ゛っ! ゆっぐじやべでね゛っ! まりしゃはじょうきんじゃにゃ──ゆぶべっ!」 帽子や髪、底部を強引にこすり付けて痛みと共に役立たせるのだ。もちろん、最後は普通の雑巾で拭き取るが。 子れいむは固形の猫の粗相の処理を命じられた。 嫌がる子れいむの口に強引に黒いそれをねじりこませるのだ。 「ゆっぐりやべちぇね! くちゃいよっ! ゆっぐぢでぎな────ゆぶぼっ!」 そして無理矢理咀嚼させて餡子に変換させる。 ちなみに子ゆっくり二匹が働かない時は、透明の箱に監禁させそこにムカデを放り込む。 片時もゆっくりせずに立ち向かえば食べられない程度の大きさのムカデだ。 そして残りの子ゆっくりは見せしめになった。 最初は生きたまま土に埋めようかと思った青年だったが、あまりの青年の怖さに失禁した瞬間、見せしめに使うことにした。 ゆっくり一家の目の前で竹串で体を貫かせ、ゆっくりと火あぶりにして殺した。 次粗相をしたらこうなるとゆっくり一家に知らしめたのだ。 その生活も二ヶ月もすれば段々と改善されて行き、やがて以前と同じぐらいの生活になった。 その頃には既に家族は三匹にまで減っていたが。 もちろん家族にはもう逆らおうと、生活の改善を要求しようなどという気概はない。 だが、家族が減ったため親れいむと親まりさが新しく産んだ子ゆっくり二匹はそうではなかった。 目の前で自分達よりゆっくりしている猫を見ては日に日に不満を募らせていって、 「ねこしゃんゆっくりしたかったられいみゅたちをゆっくりさせてね!」 二度目のゆっくりの反乱、ゆっくりべりおんが起こった。 おわり ────────── あとがきのようなもの 最近ネタが出てこないです と、いうか以前ほどゆっくり虐待衝動が湧き上がってこないんです……冬だからか ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2~以下無限ループ~ 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) ゆっくりに育てられた子 ゆっくりに心囚われた男 晒し首 チャリンコ コシアンルーレット前編 コシアンルーレット後編 いろいろと小ネタ ごった煮 庇護 庇護─選択の結果─ 不幸なゆっくりまりさ 終わらないはねゆーん 前編 終わらないはねゆーん 中編 終わらないはねゆーん 後編 おデブゆっくりのダイエット計画 ノーマルに虐待 大家族とゆっくりプレイス 都会派ありすの憂鬱 都会派ありす、の飼い主の暴走 都会派ありすの溜息 都会派ありすの消失 まりさの浮気物! byキノコ馬 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4696.html
まりさの誕生 1~5 ドスまりさの誕生 番外編1~5 ゆっくり達が夢見た理想郷 と設定上に繋がりがあります。 人間とゆっくり。 数百年前にゆっくりが現れてからというもの、その関係は決して良いとはいえなかった。 多くのゆっくりは人間並みの知能をもち、感情豊かな生物だったのに決定的に認識力、注意力などが足りず、結局口うるさい害獣以外の何者にもならなかった。 ゆっくりは自らの習性に従い、ゆっくりできるところを目指して多くは人里付近に殺到する。そして人間の畑に入り込み、喰い散らかし、害獣としてまとめて処分される。 ゆっくりたちは人間に近づく事の危険を知らず、また知っていても詳しい知識の無い事による過剰な自信から人里のゆっくりプレイスを目指し、そしてつぶされていった。 さらにゆっくりにとって不幸な事に、あらゆる面で人間にとおくおよばないのに人間並みに感情や愛情を持つゆっくりは一部の虐待お兄さんと呼ばれる変人達に処分、虐待、虐殺のかっこうの的となり積極的に人里の外にまでゆっくりを探しに行く者も現れた。 それでも、多くの人間がゆっくりを害獣の一種と捕らえ、多くのゆっくりが人間の事なんて頭の中に無くても、ゆっくりと人間の共存を考えた者が居なかった訳ではない。 ドスまりさや一部のぱちゅりー種などは積極的に人間と条約を結び、友好関係を気づこうとしたし、人間が必要以上にゆっくりを狩る事を禁止する掟を作る事を訴えたゆっくり保護団体もいる。 しかし、それらの企みはことごとく失敗に終わり、ドスやぱちゅりーはちょっとしたすれ違いやミスから群れごと抹殺され、ゆっくり保護団体の人間も「変人、異端者」の烙印を押され肩身の狭い思いをした者も少なくなかった。 彼らの多くが失敗したのには理由がある。人間と条約を結ぼうとしたゆっくりは、ゆっくりのまま人間に近づきすぎたのだ。 元々価値観の違うゆっくりと人間を長期間、近くに置いた事により、どちらかが相手に不利益を与えてしまい、結局力の強い人間がゆっくりを駆逐した。 ゆっくりである事を維持したまま人間との関係を荒立てないためには人間から離れるほうが上策だったのである。 ゆっくりの保護を訴えた人間はもっと理由にまみれていた。彼らの多くはゆっくり保護の理由を精神論、感情論のみで語り、実際に被害に会う人の事を考えているとはいえなかった。 多くの保護団体には裏を流れる金に不透明な部分が多く、人々の支持を得られなかったこと、公衆の面前で虐待について声高に語る一部のマナー無視虐待お兄さんを野放しにするより、ゆっくりをスケープゴートにするほうが安全だと多くの人が判断したのも理由だろう。 だが、ゆっくりと人間が友好関係を維持し、共存する事が不可能なわけではない。 数年間人里と友好関係を結んでいたドスの群れの話は少なくないし、中には30年以上も人間と非常に良好な関係を気づいていたゆっくりの群れもある。 それが、ゆっくりふぉーとれすだ。 ふぉーとれすと、他のゆっくりの群れとの最大の違いはフォートレスのゆっくりの結束が他の群れより高かった事、暮らしがゆっくりよりは人間に近かった事が挙げられると思う。 ゆっくりも人間も、お互いの考え方を十分受け入れる事が出来たし、他の群れにありがちな群れの一部が積極的に条約違反をすると言うことも無かった。 結局ふぉーとれすは幻想郷に百年ぶりに降った大雨の経験が無かった事、自らの住居の真下に穴を掘り空洞だらけにしてしまった事、そのとき、人間が一人も「フォートレスのゆっくりは危ないんじゃないだろうか」と考えなかったこと 等の、偶然が重なり崩壊してしまった。 そうなのだ、感情や感覚は同じなのに価値観が決定的に違う人間とゆっくりの共存、そのためには両者の違う価値観を近づければよい。 つまり、野生のゆっくり全てがゆっくりふぉーとれすのゆっくりになり、友好的な関係を結べる相手になればゆっくりは害獣ではなくなり、処分される理由も無くなる。 「ゆっくりは世界のくずだから死んで当然、むしろつぶすべき」とか言っているゆっくりヘイトの虐厨共にこれ以上でかい顔をさせないですむしうまくいけば連中を社会から追い出す事ができる!イェヤッハァア!! そんな事を考えた人間が、有名な保護団体のリーダーだったことからこの物語は始まる。 彼も最初は他の保護団体員の口車に乗せられる形で精神論、感情論を真に受ける形で保護団体に入った人間だった。 直接ゆっくりの被害に会う立場に居なかった彼は「ゆっくりがかわいそう」「自然の中で頑張って生きているゆっくりを笑いながら殺すあいつらこそ殺されるべきだ」という主張を鵜呑みにしてしまった。 そんな彼が団体内で経験を積んだけっかがこのゆっくりヘイトヘイト思想だよ!! 野生のゆっくり全てをふぉーとれすのゆっくりにするのは並大抵の努力ではない。それこそ百年単位の一大事業になるだろう。 行動を起すだけの金はある。行動目的の一つにゆっくりによる被害の軽減があるため、他の保護団体に比べれば財政は豊かだ。 時間はある。百年単位の一大事業なのは覚悟の上、元々時間制限など無いから、自分が死んでも次の世代がきっとやってくれるだろう。 あとは動くだけだ。 どちらかというと友好関係にある団体、企業に連絡をつけ、「全ゆっくりふぉーとれす化プロジェクト」への参加、投資を要請する。 この団体のリーダーは知らなかったことかもしれないが、中には強引に協力させられた中小企業、詐欺まがいの方法で金を巻き上げられた個人もいたかもしれない。こういう保護団体はトップの知るところ、知らないところで裏社会と結びついているものだ。 こうして一人の男の壮大な夢は、男のゆっくりを守りたいと言う純粋な感情と虐待お兄さんを社会的に殺害したいという歪んだ感情。 各保護団体のゆっくりを守りたいと言う純粋な感情と虐待お兄さんを社会的に殺害したいという歪んだ感情。 友人の団体員に「俺を助けると思って、頼む!!」といわれ、大金を投資した人間の諦め。 そんなこんなの複雑な感情が混ざり合った状態で、動き始めた。 れいむとまりさは、数匹の子ゆっくりを連れて狩りに出ていた。 「このおはなはたべれるからゆっくりまりさのぼうしのなかにいれるんだぜ」 「わたったよ!おかーさん!!」 「おちびちゃん!あまりれいむやまりさからはなれたらだめだよ!ゆっくりりかいした?」 「ゆっくりりかいしたよ!おかーさん!!」 れいむとまりさが自分の子供達にいろんな事、生きていくうえで重要な事を教えながら仲良く食べ物を集めていく。 「ゆ・・・れいむ、おちびちゃんたち、静かにするんだぜ・・・」 今までニコニコだったまりさの顔が一瞬で真剣な表情になる。 「まりさ?」 「なにかがくるんだぜ、みんなあそこのしげみにかくれるんだぜ・・・」 「おかーさん・・・こわいよ・・・」 「だいじょうぶだよ、れいむとまりさがきっと、おちびちゃんたちをまもってあげるからね・・・」 そういうれいむも、真剣な顔、冷や汗が後頭部を流れている。 だが、まりさの表情が揺らいだ。 「ゆっ、おにーさんこんにちは、ゆっくりしていってね!!れいむ!こどもたち、でてくるんだぜ、このおにーさんはいいおにーさんだぜ!!」 まりさが合図をすると茂みの中かられいむを先頭にゆっくりの家族がぞろぞろと出てきた。 「ゆっ!おにーさん、ゆっくりしていってね!!」 「ゆっちゅりしていってね!!」 「ああ、ゆっくりしていってね!!」 ここはゆっくり保護団体がゆっくり保護区としている土地である。怪我をしたり、飼い主に捨てられたり、偶然団体員が拾ったり、虐待お兄さんに虐待されたのを団体員が保護したり、 そういったゆっくり達が外敵の入ってこない柵の中で、自力で狩をしながら生活しているゆっくりスポットの一つである。 過去に何度か虐待お兄さんが不法侵入した事があるため、ゆっくり達には団体員以外の人間には近づかないように注意されている。だからまりさは最初警戒し、団体員だとわかると元気に挨拶したのだ。 「実は明日から、まりさたちにやって欲しい事があるんだ。明日から毎日、朝ごはんを食べたら出入口の扉の前にきてもらえるかな?」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「でいりぐちだね!りかいしたんだぜ!!」 その後、彼は保護区中を歩き回り似たような会話をであった家族に片っ端からしていった。 翌日の朝 出入り口の前に団体員が10数人、待機している。彼らはみな、ゆっくりを入れて運ぶケージを持っている。 最初は団体員しかいなかったが、しばらくするとあちらこちらからゆっくりの家族がやってきた。 「おにいさん!やってほしいことってなにかしら?とかいはなこと?」 「あぁ、きっととかいはな事だと思うよ」 「はやくいってほしいんだね!わかってねー!!」 「とりあえず、他のゆっくりのみんなが来るまでまとうか、みんなでゆっくり、わかるよね?」 「わかるよー!!」 何かトラぶったのか、単純に忘れただけなのかわからないが、しばらく経ってもこなかったゆっくりの家族は放っておいて団体員たちはあつまったゆっくり家族に説明を始めた。 「実は、今日はみんなにお願いがあるんだ」 「おねがいー?」「なにー?」「ゆっちゅりできるのー?」 「みんなには今日から、ゆっくりふぉーとれすについて勉強して欲しいんだ」 「ふぉーとれす?」「ふぉーとれす!!」「なにそれ?ゆっくりできるの?」「ちんぽ!!」 「ふぉーとれすというのはとてもゆっくり出来たゆっくりプレイスなんだけど、遠い昔になくなってしまったんだ」 「でも、とてもゆっくり出来たところなんだ。だから僕たちは全部のゆっくりみんなにふぉーとれすを作って欲しいんだ」 「ゆ?」 「これから、みんなには僕達と一緒にふぉーとれすのお勉強をして欲しいんだ、それから、ここから外に出て沢山のゆっくりにふぉーとれすのことを伝えて、そのゆっくりたちと協力してふぉーとれすを作るんだ」 「つまり、わたしたちにあいのでんどうしになってほしいということなのね!!とてもとかいはなしごとだわ!!みんな、おにいさんにきょうりょくしましょう!!」 ありすが宣言した事により、周りのゆっくりたちはみんな「えい、えい、ゆー!!」と団結した。 みな、とてもゆっくりできるゆっくりプレイスに興味があったし、多くのゆっくりは悪い人間やれみりゃや悪い人間などが原因でゆっくりできて居ないという事を心の奥底に刻み込まれていた、 そのゆっくりたちを助けたいと言う気持ちも強かった。そして何より、自分の力でゆっくりプレイスを作るということにとても強い興味を抱いた。 「じゃあ、僕に協力してくれるゆっくりはこのケージの中に入ってくれ。」 ゆっくりの家族達がわいわいがやがや喋りながらケージの中に入っていく。その中の一匹であるぱちゅりーは不安げな表情をしていた。 (ここのそとにでるの?ここのそとにはれみりゃがいたんじゃなかったっけ?) (むきゅ、ここのそとのゆっくりたちにふぉーとれすのことをつたえてもしんじてもらえうのかしら・・・) 「どうしたんだぜぱちゅりー、はやくのるんだぜ!!」 「おかーちゃん、いしょいでにぇ!!」 「みきゅ~」 いちどマイナス思考に陥ると、次から次へと不安要素が思い浮かんだ、しかし、彼女の思考は家族の台詞により中断された。 あぁ、やっぱり何時見てもゆっくりはかぁいいなぁ・・・このゆっくりが、人間と共存するためなら、自分はこの事業に一生をささげてもいいよ・・・ ある団体員は素直に想った。 あぁ、やっぱりゆっくりはかわいいな・・・こんなに素直で、かわいい子達を虐待するなんて虐厨共は頭が湧いてるに違いない。 ある団体員は素直に想った。 この二人は目的も、やる事も一緒だった。だが、その奥底に眠る感情だけは、根底こそ同じでも、天と地ほどの違いがあった。 ゆっくり達がみんな、ケージに入ったのを確認すると団体員たちは扉を閉め、ケージを手に持って歩き始めた。 あとがき くそ眠くて、すぐ眠れる日と、まったく眠くなくて、寝付けない日があるのはなぜだろう。 睡眠障害で悩むゆっくりとか、いるのでしょうか? 7月2日 2221 セイン このSSに感想をつける