約 1,622,221 件
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1089.html
寝る仕度を済ませ、皆におやすみを言って自室に入りベッドにもぐる。 しん、と静まりかえる真っ暗闇の中にいるからだろうか。特に思い出そうとしたわけでもないのに、先程までの賑やかな時間が脳裏をかすめる。 温かいお料理に舌鼓を打つ家族の面々。笑い声の響き合うリビングルームの真ん中には、輝くクリスマスツリー。 何もかもが楽しかった。女3人でおしゃべりしながらする後片付けまでもが楽しかった。 思い出すだけで、自然に笑顔になっている。私の家族。この世にたったひとつの宝物。 せつなは神を信じない。けれど、今日もこの部屋で、この家で、この家族とともに過ごせたことを、何かに向かって感謝をせずにはいられない。 ありがとうと心の中でつぶやくせつなの耳に、ふいにコンコンとくぐもった音が聞こえた。ベランダに続く窓を控えめにノックする音だ。 鍵を外し、カラカラとサッシを開ける。冷たい夜の空気とともに、ラブが入ってきた。 「う〜〜、寒い寒い」 そう言いながら、せつなのベッドに当たり前のようにもぞもぞともぐり込む。 「またここで寝るの?」 半ば呆れながら言うのは、喜びを隠すため。 「……ダメ?」 「ダメじゃないけど、サンタクロースのお爺さんがびっくりするわよ」 冗談で言ったつもりだったのに、空気がピリッと変わるのに気づく。 暗闇に慣れた目が、ラブの真剣な表情を捉えた。 「要らないよ、プレゼントなんて」 「……ラブ?」 「あたしには、せつなが居れば何も要らない」 「……冷えるからわたしも入るわね」 照れをごまかすように、ベッドの空いたスペースにもぐると、ラブの身体にピッタリと身を寄せる。 いつもより息づかいが速くなっているラブの、熱く火照った手をそっと握りしめる。 夕べあんなに激しく愛されたのだから、また今夜も……と思うと、若干の疲労感がないと言えば嘘になる。 けれど、愛する人に身も心も満たされる喜びに比べたら、幾晩続こうとも平気だとも思えた。 「今夜は何もしないから、」 「どして?」 「いや……、やっぱりするかも」 「どっちよ」 「せつなが嫌がるなら我慢する」 「嫌がるだなんて……」 嫌がるそぶりを見せたとしても、それは羞恥心からくるもの。快楽に身を任せる自分が恥ずかしくて……。 けれど、ラブが与えてくれるものは、いつだってどんなことだって受け止めたい。 「せつな、ありがとう」 「急に、なあに?」 「そばにいてくれて。ホントはね、不安なんだ。抱きしめて寝ないと居なくなっちゃいそうで」 「ずいぶん信用ないのね」 「違うよ。せつなはどこにも行かない。わかってる。だけど……」 見つめてくるラブの視線に、溶かされそう。 まだ触れられてさえいないのに、夕べのラブの指を思い出して身体の奥が疼き始める。 「どうしよう……やっぱりしたい」 耳元で熱っぽく囁くラブの声に、身体中が反応する。 どんどん膨らむ欲望を脇に押しとどめながら、これだけは言っておかなくてはと、残った理性が声になって出た。 「明日に響かないようにしてね」 明日は美希とブッキーと合流し、四人でパジャマパーティーの予定があったから。 けれど、ラブは悪戯っ子のような顔ですかさず答える。 「ごめん、約束出来そうにない」 「ラブったら!」 「嘘だよ」 クスクスと笑いながら口づけられ、身体中にキスを落とされる。 我慢なんて出来るはずないの、わかってるくせに。そう思うせつなですら、もう我慢はできそうにない。 重なり合い混じり合うふたつの影。聖夜の長い夜は、たった今始まりを告げたばかりだった。
https://w.atwiki.jp/projectgaro/pages/82.html
次回予告 ぶつかり合う魂と魂!交わってしまった禁断の剣。 待てよ鋼牙。まさか掟を破るつもりか? 次回!「銀牙」。銀狼闇より立つ!
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1925.html
放課後、弱いながらもそこそこ心地良い日差しが照らす、 隙間風で冷えきった廊下を俺はSOS団アジトへと向けて歩いていた。 扉の前に着いたのでノックをする。 朝比奈さんが既に来ていて、衣装に着替え終えていれば返事があるはずだ。 が、返事が無いまま十秒が過ぎた。 「誰もいないのかー?」 扉を開く。 こう聞いておきながら、 まあ長門はいるだろうな、あいつはノックがあっても返事しないし、と他の誰よりも先に部室に来て、 文庫本を読んでいる唯一の文芸部員の存在を半ば当然のように考えていたのだが。 「あれ、マジで誰もいねえ…」 この状況での発言は独り言にしかならないのだが、無人の部室を見て俺は思わずそう呟いた。 おお、市内探索では毎回ビリ尻のこの俺が今日は部室一番乗りか。 と、妙な事に心動かせられていると、ああ、一番乗りじゃないのか、長門の特等席に鞄が置いてあった。 名前が書いてある訳でも、目印にキーホルダーが付いてある訳でも無い学校指定の鞄だが、 そこに置いてあるのなら長門の所有物で間違いは無いだろう。 だよな、長門より先に誰かがここの扉を開けることなんてあり得ないよな、 と俺はテーブルの下からパイプ椅子を引っ張り出そうとした。 すると、今まで長門の特等席にやっていた目が、 テーブルの上に置かれている、長門のとは別の学用鞄を捕らえた。 どうやら俺は二番乗りでもないらしい。 俺の向かいに置いてあると言うことは、これは多分古泉のなんだろう。 古泉の場合、教室に忘れ物をして取りに戻ったとか、生徒会室に顔を出しているとか、 それなりに理由を考えつくのだが、長門は…図書室にでも行ったのだろうか。 ゲームの対戦相手が来るまで何をして時間を潰そうか、 と考えていると、こんこん、と扉が廊下側からノックされた。 「開いてるぞ」 外に聞こえるように少し声を大きくして言うと、ドアノブが回される音がして扉が開いた。 「こんにちは」 微笑を浮かべた古泉である。 まあ、俺以外でノックをする必要があるのはこいつくらいなもんだから、大体予想はしてたさ。 だが、その後ろに長門を連れた登場だとは思わなかったぞ。 「よう。何してたんだ?」 用事を終わらせて、部室に再び向かっていたこの二人がたまたまそこの廊下で会ったのか、 それともまた何か奇怪な事件が起きて、二人掛かりでそれをこなしていたのか。 「買い物」 どうやらそのどちらでも無いらしい。答えたのは長門だった。 が、答えにしては些か言葉が足りないのではなかろうか。 しかし、長門はそれだけ言うと椅子に置いていた鞄を下ろし、席に座った。 古泉がその後を追い、長門の前にある机に、片手に提げていたコンビニのビニール袋を置く。 「どういう事だ?」 と俺が古泉の背中に聞くと、肩越しに俺を振り返ってから困り気味な笑顔を長門に向けた。 「古泉一樹を庇護して負傷したので、買い物に付き合って貰った」 「まあ、荷物持ち、パシリと言うやつです」 薄く笑って、古泉が付け足すと、それまでどこを見ていたのか解らない長門の目が、古泉を映した。 「私はあなたを使い走りとしたいのでは無い」 「……すみません…?」 ほんの少し咎めたような長門の声色に、古泉は、何か間違っただろうか、と困惑した表情で謝った。 うん、パシリなら欲しい物を言うだけ言って、後はそいつだけに買いに行かせるだろうから、 わざわざ長門も一緒に行く必要は無い。 確かに古泉は荷物持ちをしたようだが、付き合って貰ったと言う表現の方が正しいのだろう。 でさ、 「怪我してるのか?」 俺は注意して長門を見たが、どこにも絆創膏やガーゼや包帯は見当たらない。 服に隠れた所なのか? 「右手を骨折」 骨折…なんとも無さそうに見えるが… 「古泉を庇って?」 「そう」 ここで、さっきまで長門の隣にいて、いつもの席へと足を運んでいる古泉に目線を動かすと、 古泉は首と持ち上げた右手を左右にぶんぶん振った。 だろうなあ… 朝倉にあんな目に遭わされても、傷ひとつ残さずに直ぐに体を元通りにした長門である。 んで、何から古泉を庇ったんだ?サッカーボールか? 「植木鉢」 「は!?そりゃマジか?」 「ええ…今朝、僕目掛けて飛んで来まして」 飛んで来た?落ちて来たんじゃなくてか? 「と言うより、長門さんが飛ばした、とでも言いましょうか…」 と、古泉はひそひそ声で俺に言った。 飛ばした、ねえ… んー、長門は何か企んでいるのだろうか。 まあ、犠牲者が古泉だけだって言うんなら、そこまで大きな問題には発展しないだろう、多分。 右手と言えば、 「お前手え治ったんだな」 「ええ、お陰様で」 包帯が解かれた右手を握ったり広げたりしながら、古泉はやっと椅子に座った。 お陰様で、って俺は何もしてないけどな。 んで、入れ代わりみたいに、今度は長門が右手を負傷。 それも古泉を、長門が自ら作った危機から庇って… ん?と言うことは、 「お前、まさか長門にされたみたいに着替えさせ」「してませんっ!!」 パイプ椅子を後ろに蹴飛ばして、古泉は眉を思いっ切り寄せて、 勢い良く立ち上がりテーブルに両手を叩き付けた。 こら、治ったばっかなんだから、あんま痛めるような事すんな。 「二時間目と三時間目の間に挟まれる休み時間、古泉一樹は私の教室に来なかった」 長門が、特に何かをするでも無く、俺達に言葉を投げた。 「逃げた」 「違います。今日の理科は実験だったので、 実験室への移動と実験器具の準備のため、あなたのクラスに行く時間が無かったんです」 古泉が弁解しながら倒した椅子を起こし、そこに座り直す。 「で、結局着替えどうしたんだ?」 「やむを得ないので自分で着替えた」 「手伝い要らないじゃないですか!」 「体育前の授業のノートはどうしたんだ?」 「やむを得ないので左手で書いた」 「えええ!?僕の休み時間返して下さい!」 と言うことは、こいつは体育の授業前以外は、 休み時間になる度に長門のクラスに行って板書していたのか。 ご苦労なことだ。 長門は古泉の言葉を無視して、椅子から立ち上がり、奴の方に向かった。 対する古泉は、さっきの発言がまずかったか、と冷や汗でも流しそうな雰囲気である。 古泉だけでなく、誰も(ともすればハルヒさえも) が長門には敵わない 最近のこいつは特に長門の一挙一動におどおどおろおろしている。 長門に何かトラウマにでもなりそうな事でもされたか、弱味でも握られているのだろうか。 遂に長門は古泉の横に立ち、テーブルに置かれていた奴の片手を、長門は左手で持ち上げた。 「何を」 するんですか、と古泉は続けられなかった。 長門に掴まれた古泉の手が、更に指まで開けられて、長門は古泉にセーラーの赤いリボンの端を握らせた。 「!?」 火傷をしたかのように、古泉は自分の手の中のリボンを離し、そのまま手を上に振り上げた。 古泉の顔の真横を通り過ぎたそれは、片手だけで万歳をしたみたいに見えた。 が、如何せんその手を引っ込める勢いが良過ぎた。 振り上がった手が、逃げるべく下へ下へと行こうとするが、 当然その先にはテーブルがある。 古泉の肘が、ごん!とでかい音をさせてテーブルにぶつかった。 あちゃー。地味に痛いよな、そこ。 痛い、とすら言えず、突如襲って来たあの痺れに、 古泉はぞわぞわと髪を逆立たせて、眉を寄せて口を引き結んだ。 ダサいな。 俺と長門が生暖かい目で見守っているのに気付いた奴は、顔を隠すべく頭を垂れた。 「この調子じゃ、手伝わせても時間内に終わらないな」 「………」 長門も古泉も無言である。 まあ、かと言って、 「はい、では両手を上に、ばんざーいってして下さい」 「ばんざーい」 なんて、てきぱきと着替えが行われてもならない訳だが。むしろそっちの方が大問題だ。 体育時の着替えは回避したとして、 他に長門が古泉にやらかした事で大きく噂されていたものと言えば…ああ、あれがあったな、 「昼飯は?」 「教室では具合が悪いと古泉一樹が言ったので、この部屋で取った」 「古泉が箸係か?」 「そう」 「ふーん…」 長門から古泉に視線を動かす。 へー、そうか、 俺が谷口と国木田とで弁当を囲んでいた時、古泉くんは長門さんとランチタイムだったのか。 ふーん、そっか、 古泉くんは学食組だから、そこは長門さんのお弁当を分けっこしたんだろうなあ。 「………」 おいお前、顔赤いぞ。気色悪いから止めろ。 俺に反論する気力も無いのか、ゆるゆると首を振りつつ、 ますます深く俯く古泉から目を離した長門は、 コンビニのビニール袋が放置してある机の椅子に再び座った。 「開けて」 と、袋からスポーツ飲料のペットボトルを取り出した。 おまけとして袋に詰められた、ぱっちんどめふたつがくっついている。 のろのろと、古泉がらしくない擬態語と共に椅子から立ち上がり、 これまたとろい足の運びで長門の席に移動した。 ペットボトルを机の上から取り上げ、キャップを捻る。 「どうぞ」 長門なら例え片手が使えなくても、 あの栄養ドリンクのCMのようにキャップを弾き飛ばせると思うのだが… と言うか、あんな技が出来る奴は栄養ドリンクなんて飲まなくても大丈夫だろ、と思うのは俺だけか。 「そう言えば、涼宮さんと朝比奈さんはまだここにいらして無い様ですが、どうされました?」 古泉から受け取った飲み物をこくこくと飲んでいる長門を見ながら、奴は俺に聞いた。 「朝比奈さんは今日はまだ会ってないから知らんが、 ハルヒならクラスの女子に勉強教えてって頼まれて、今教室で教師もどきやってるぞ」 すると、さっきまでの怠慢な動きはどこへやら、古泉が素早く俺を振り返った。 「涼宮さんに御友人、ですか?」 と聞く古泉は、真顔だった。 「友達に分類していいのかは微妙だが、仲はいい方だな」 そうですか、と独り言レベルの声量で呟き、顎に手をやる。 んで、みるみる内に笑顔が広がって行く。 なんだなんだ。 「そうですか…クラスで涼宮さんに、あなた以外の御友人、ですか」 いいですね、と零す口元がさっきから緩みっぱなしだ。 お前は、クラスでの娘の友人関係を気に掛けるお父さんか。 でもまあ、こいつこそが、誰よりも中学時代のハルヒの孤独さを知っているからなんだろうが。 って言うか、 「俺がハルヒの友達?どう考えたって教室が同じな一団員のポジションだろ」 「本当にそれだけでしょうか?」 それまでの心底嬉しそうな笑顔が、俺が気に食わない要素を混ぜたものになった。 何が言いたい。 「まあ、今はそう思っていても、 あなたが涼宮さんにとって友人以上の存在になるのも時間の問題ですけれど」 「意味が解らん」 「はっきりと申しましょうか?」 「せんでいい」 またそういう話かよ。 なんで俺にはその手の話題に限り、 思春期真っ直中な弟をからかう兄みたいな態度を取るんだ。 ああウザったい。 「で、どなたなんですか?そのクラスメイトさんは」 「阪中」 「ああ、あの方…」 そうですか、お二人で勉強会ですか、とハルヒ以上にひとりでうきうきしている古泉に、 「取って」 と今までずっと黙っていた長門が、少しキツめな声を掛けた。 視線を長門に寄せると、いつの間にか長門は本棚の前に立ち、 高い段にある一冊の本を指差していた。 「はい、只今」 るんるん気分持続中の古泉が長門の真横に移動して、 指定された分厚い本を棚から引き抜いた。 「どうぞ」 「片手で持つには重い。運んで」 古泉が両手で差し出した本を受け取らず、長門は自分の席に直行した。 「はいはい」 と、しょうがないですねえ、とか言い出しそうな感じで古泉が長門の後に従う。 なんて言うかさ、 「お前ら最近仲いいよな」 そしたら、ぴたっ、と古泉が固まった。 長門が古泉を射抜くように見つめる。 「いえ…それは、あなたの気のせい、かと…」 鋭くなる長門の視線を、避けよう避けようと、古泉は目をあらぬ方向へと泳がせる。 「ほー、俺の気のせいか」 「…ええ。そう、です…」 長門の視線が痛いんだろう、古泉は口をへの字にして、 長門を視界に入れないように目線を巡らせた。 「まあ、そういう事にしといてやってもいいけどな」 さっきの仕返しとして少し性悪気味に言ってやると、古泉は聞こえなかったフリなのか、 暇ですしオセロでもしませんか、みたいな事をもごもご言ってゲーム盤を取りに行った。 「逃げた」 「逃げたな」 長門と俺とで背中を向けた古泉に追討ちをかける。 対する古泉はゲーム盤を手に振り返り、 いつものうさん臭さ全開の笑顔を貼り付けようと頑張っているが、 明らかに上手くいってない。 なんだこいつ。 いつぞや、俺とハルヒをアダムとイヴだ産めや増やせや等と散々言っていたくせに、 さて自分に降りかかるとなると、挙動不審な素振りの連発である。 しかも、俺は、最近仲いいよな、と言っただけだ。 アダムだのイヴだの、そういったあからさまな事は一っ言も口にしていない。 お前の感覚は良く解らん。解りたくも無いが。 先攻後攻どちらにしますか、 と古泉がまだ本調子になりきれていない声で言いながら席に着く。 俺は黒を選んだ。先攻である。 長門が机に本を置いて、左手だけでページを捲る音に被るように、 黒や白の駒が盤に置かれたりひっくり返されたりする固い音が部室内を占める。 時々、古泉は駒をどこに置こうかと思案するのだが、 その度に目の前にちらつく長い前髪を、指で額の端にやる。 が、当然額には何も障害物も無いから、また前髪が元の位置に垂れ下がる。 で、また隅にそれを追いやりながら、考えがまとまったのか白を置く。 その繰り返しだ。 「昨日床屋行ったんだろ、前髪もついでに切れば良かったじゃねえか」 黒を置いてそう言ってやると、また前髪に手をやりながら、 「これでも切ったんですよ。 涼宮さんが求める外観を維持しなくてはならないので、そこまで短くはできません」 面倒だな。髪型ひとつだけでもハルヒを意識しないとならんのか。 そう言えば、朝比奈さんもハルヒが結んだりしない限りは、 クソ暑い夏でもあまりあの長い髪をまとめようとはしないし、 ショートカットにしてみたい、なんて呟きを聞いたことがあるが、 それはハルヒがいない時のみだったような気がする。 それと、市内探索中にたまに化粧品を興味深そうに見るわりには、 朝比奈さんは一度もそれに手を伸ばしたことがない。 あれもハルヒが持つ朝比奈さんのイメージを壊さないためだったんだろうか。 長門については、髪を伸ばしてみたい、 と思ったことがあるのかどうか、何も言わないので解らないが、 (そもそも髪が伸びるのかすら不明である) 多分長門はハルヒのイメージに囚われず、 着たい服があれば制服からそれに着替えるだろうし、 髪型だって今のが気に入っているからずっと変わってないんだろう。と、俺は思う。 そもそも、 「そこまでハルヒが中身より見た目にこだわるとは思えないけどな」 「僕だって、涼宮さんが人格よりも外観を重視するような人だとは思っていませんよ。 しかし、それなりに外観にもこだわっていないと、 あのように様々な衣装を人に着せる筈がありません」 それもそうか。しかし、お前に納得させられるのは癪だな、 と俺はハンガーに掛かったままのメイド服を見る。 朝比奈さんは一体何の用があって遅れているのだろう。 白を上にした駒を置き、ぱたぱたと間に挟まれた黒をひっくり返した古泉は、 「邪魔、だなあ…」 と呟いて、また前髪をいじる。 どうやら本気でうっとおしがっているらしい。 「俺が切ってやろうか。って言うか、引っこ抜いてやるぞ」 「いえ、結構です」 にこやかに拒否した古泉の横に、長門が音も無く並んだ。 「これ」 長門が手の平に何かを乗せて古泉に差し出す。 「使って」 その手に乗っかっていたのは、 先程のペットボトルに付いていた、おまけの二つセットのぱっちんどめの内の一つだった。 かわいらしい四葉の飾りが、ワンポイントとして一つくっついている。 「…いえ、結構です」 台詞はさっき俺に言ったのと同じだが、そこにはにこやかな笑顔は無い。 あるのは戸惑いの表情のみだ。 おいこら、長門のせっかくの思いやりを無駄にするな。 俺は椅子から立ち上がり、テーブルに沿って二人の元に移動する。 「何を」 しかしやっぱり古泉は、するんですか、と続けられなかった。 俺が奴の背後を取り、耳より少し上辺りを両肘で強い力を込めて挟み固定したのだ。 「いた!痛い痛い痛い!!」 「長門、今だ」 「了解した」 ぱっちん、とその名に相応しい音を立て、長門は古泉の前髪を横に押しやり、 そこから落ちて来ないようにピンで止めた。 はい、完了。 古泉の頭を解放してやる。 奴は、しかめっ面で先ずは両手を力が加えられていた所にやり、それからピンにやった。 柔らかい髪とは違い、そこに固く冷たいピンがあるのを指先で確実した途端、 古泉はしかめっ面から転じて、一気に情けない表情になった。 眉が見事な八の字である。 男がそれ位で肩を落とすな。ハルヒにウサミミ付けろって命令された訳じゃないんだし。 ピンの一個や二個がなんだってんだ。 はあー、と溜息をつく古泉に、 「これで、あなたの視界を遮る障害物は無くなった」 と長門。 「それは、そうですけど…」 と古泉は落ち着かない様子で顔を赤らめる。 それを見て何を思ったのか、 長門はもう一方の手に握っていたピンを、自分の短い前髪の端に止めた。 「おそろい」 と、人差し指で自分の前髪にとどまった四葉と、同じ形をした古泉のを交互に指す。 んで、 「………」 古泉は何も言わず、ただオセロ盤に突っ伏した。 「古泉一樹の表面体温の上昇を確認」 「あ、ほんとだ。耳まで真っ赤」 奴を見下ろしての長門と俺の会話に、 顔はオセロ盤に伏せたまま、古泉は両腕で顔を囲んだ。 腕の動きに、駒がばらばらになって盤の上を滑る。 あーあ、せっかく俺が勝ってたのにさ。まあ、いつもの事だけど。 そのまま不貞寝してしまいそうな背中にそう言うと、 古泉は頭を動かしてますます深く腕に顔を押しつけた。 「古泉」 ふと呼び掛けると、顔を少し浮かして、まだ赤味を残した目元を腕から離し、俺達の方を向く。 「キモカワイイ」 「………」 古泉絶句。 「キモカワイイとは?」 「キモいとカワイイがごっちゃな奴に言うんだよ。ウザカワイイとか、他にもあるぞ」 俺自身も、キモいとカワイイの両立なんて不可能だろと思っているので、 いい加減な説明しか出来ないのだが、長門は、 「そう」 と言ったきり五秒程考えるようにして、 「古泉一樹、ダサカワイイ」 と古泉に向かって言った。 「そーそー、そんな感じだな。アホカワイイ」 「ヘタレカワイイ」 「キツカワイイ」 「ニヤケカワイイ」 「バカカワイイ。ん、バカワイイか?」 「ユニカワイイ」 「ウニ?」 「ユニ。ユニークカワイイの略」 「ああ、ユニークな」 俺達の言葉に、何も音を発せないまま、 さっきからずっと椅子の上で固まっている古泉が、やっと口を開いた。 「…あなた達は、僕を馬鹿にしているんですか……」 「当たり前だ」 カワイイに該当しているのは、ぱっちんどめそのものであって、 それを付けている古泉はただただキモいだけである。 「違う」 「…え?」 俺とは違う回答に、古泉が間の抜けた声を零す分だけ間を明けて、長門は続けた。 「私はあくまで、カワイイに重きを置いている」 きょとん、とか言う効果音がお似合いなくらい惚けた表情で、 数回瞬きを繰り返した古泉は、 あー、とか、えっと、とか唸るばかりで、二の句が告げないでいた。 長門よ、男は基本的に女に可愛いと言われても反応に困るんだが。 「こんなんが可愛いのか?」 こんなん、って…と古泉が呟く。 訂正。長門には悪いが、やっぱりこいつのキモさはピン一個くらいじゃ補えない。 「そう。ちょっとだけ」 「………」 古泉が口をぐっ、と引き結んで、長門と目が合わないようにと下を向いた。 顔を隠す筈の長い前髪が垂れてくる事は無く、古泉は未だ赤い、むき出しの額に手を当てた。 大きく息を吐きながら、頭が痛い、とでも言うように。 …お前さ、ほんとに古泉か?偽者だったりしないか? 今日は全く見えて来ない、あの滅多な事では崩れない、 常備の爽やかスマイルをどこへやったんだ? 「ふーん」 と、長門の意見に肯定もせず否定もせずの俺の背後で、 何の前触れも無しに、扉が凄まじいスピードで内側に押し開かれた。 びくっ!と、面白いくらいに古泉が肩を跳ね上げた。 「ごっめーん、遅れちゃった。ちょっと野暮用があったのよ!」 元気大爆発なハルヒ様のご登場である。 野暮用、って。 素直に、クラスメイトに頼まれて勉強教えてた、って言えばいいのに。 「こんにちはー。ごめんなさい、鶴屋さんとお話ししてたら遅れちゃって…」 控え目にそう言って、ハルヒの肩越しに朝比奈さんが顔を覗かせる。 お待ちしておりました。 今日は、長門が到底同意出来ない発言をするわ、古泉がらしくない行動を取るわで、 相手をするのに疲れていた所です。そんな俺の心のオアシスとなって下さい。 「みくるちゃん、早速お茶入れてちょーだい!」 「はあい」 ずかずかと部室内に入るハルヒに背を向け、 慌てた古泉は、殆ど前髪をむしる様にピンを外した。 なかなか似合っていたのに、長門まで奴に倣って外してしまった。 長門と古泉でお揃いだと判断し難いが、長門単体だと、 ハルヒが見たらきっと喜ぶだろうし、朝比奈さんだって和んでくれると思うんだがな。 忙しない手つきで、 さっきまで固定されていた前髪を指で梳くように、整える古泉をちらりと見て、 長門はポケットにピンを入れて読みかけの本が待つ机へと戻って行った。 完
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/648.html
…━━━━もうすぐクリスマスがやってくる…。 …街中が恋とプレゼントの話題で騒がしい。 ところで…「手編みのマフラーとかセーターとか…貰うと結構困るよね…」なんて言う輩を希に見掛ける昨今…… 実を言うと俺は、そういったプレゼントに僅かながらも、密かに憧れを抱いていたりするのだった━━━━━… 【凉宮ハルヒの編物@コーヒーふたつ】 吐息も凍る様な、寒空の朝… 俺は、相も変わらずいつもの公園でハルヒを待っていた。 つい先程まで、自転車を走らせる事により体温を気温と反比例させる事が出来ていた俺だが、公園に辿り着いてから暫くの間に指先は痺れる様な寒さを感じ始めていた。 (まったく…こんな日に限って待たせる…) 大体…ハルヒの奴はいつもそうだ。 来て欲しい時に来なくて、来て欲しくない時に限って現れる… 「まったく…俺に何か恨みでもあるのか…」 「ん?何か言ったかしら?」 「…………へ?……うおっ!?!」 気付かぬうちに側に居たハルヒに、俺は思わず驚きの声をあげる。 そして…その驚きの声を辛うじて挨拶に差し変えた。 「お…おおはよう!だな…」 「うん、おはよう。…何慌ててんのよ?…………まあ、良いわ。あのさ…これ、前のカゴに入れてって?」 「あ?ああ…」 ハルヒが差し出したのは、見覚えがあるデパートのロゴの入った紙製の手提げ袋だった。 その半開きになった口の中には、いくつかの青い毛糸と…編み針?…そして、編みかけの『何か』が見える…。 「ハルヒ?これ…」 「ああ、マフラー…もう少しで完成なのよ!だから、学校で仕上げちゃおうと思って…」 「ああ、そうか…」 気の無い返事をして見せたものの… 俺は今…… 猛烈に感動していたっ!! だって、そうだろ!? このハルヒに限って『手編み』など絶対に有り得ないと思っていたが、今まさに…その『手編み』のマフラーを制作中なのだ! しかも、この場合のプレゼントの相手は禍いなりにも『彼氏』であるこの俺だろう! この世に生を受けて十余年… 遂に俺の首に手編みのマフラーが巻かれようとしているっ! ところで…コレはクリスマスプレゼントなのか? だとしたら少し気が早い気もするが、セッカチなハルヒなら十分ありえる話だ…。 俺は逸る気持を押さえきれずに、自転車の後ろにハルヒを乗せると力一杯ペダルを踏み始めた。 「ち…ちょっとキョン!何、急いでんのよ?」 「ん?急いでなんかないさ!それより、いつもの販売機に寄るだろ…?」 「え?…まあ、寄るけど…」 「奢ってやるよ!」 「はあ?」 「だから、奢ってやるって!」 「…うん。…………(キョンが元気いっぱいだと、微妙な気分になるのは何故かしら)…」 「ん?何か言ったか?」 「べ…別に何も言ってないわよっ!」 やがて、いつもの販売機にハルヒを乗せて到着した俺は、自転車から降りる瞬間にハルヒに気付かれない様、そっとカゴの中の袋に目をやった。 先程の通りに半開きになった口から、編みかけのマフラーが見える。 俺は、思わずニヤケそうになるのを必死に堪えながら販売機に向かうと、コーヒーとカフェオレを買いカフェオレをハルヒに手渡した。 「ほら…飲めよ」 「あ、ありがと…」 「大変だったろ?」 「え?何がよ」 「編みモノ」 「…うん。まあね…」 「そうか…」 大変だったんだろうな……だが! だからこそ手編みは良いのだ! その『大変』な作業により編み込む想いの数々…これこそが手編みの醍醐味だ…! 俺はコーヒーを一気に飲み干すと、ハルヒを自転車に乗せ、再び全力でペダルを踏み始めた。 学校に着いて…授業が始まっても、俺の意識は黒板へと向く事は無かった。 (今、この時も…おそらくハルヒは俺の為に一生懸命にマフラーを編んでいる…) 考えただけで、顔の筋肉が弛緩む。 そして、振り返って様子を伺ってやりたくなる…が、今は止めておく。 楽しみは後回しにしたほうが喜びが大きいからな。 (さて、今のうちにマフラーを受け取った時に言う言葉でも考えておこうか…) 俺は、ハルヒがどんな顔をしてマフラーを俺に手渡すのか考えてみた。 そして…やっぱりハルヒの顔が少しだけ見たくなって、気付かれない様にそっと振り返えった。 伏し目がちに手元を見つめながら、忙しく編み針を動かすハルヒが見える… もうそれだけで俺は、胸の中にジンワリとこみあげて来るモノを感じていた。 様子から察するに、おそらく完成は放課後くらいだろうか…。 長い一日になりそうだ。 昼休みになっても、ハルヒの手は止まる事は無かった。 俺は何か労いの言葉でも…と考えながらも、(やっぱり、そういうのは後にとっておこう)と思い直して、ただ振り返ってハルヒを見つめるだけにする。 そんな俺の様子に気付いたハルヒが、手元と目線はそのままに俺に語りかけてきた。 「なあに、キョン…どうしたのよ…」 「えっ…ああ、いや…その…毛糸の色、良いな」 俺は上手い言葉が思い付かずに、適当に見つけた言葉を返した。 ハルヒは、そのまま話を続ける。 「そう。この毛糸を見付けた時ね?この色は絶対にアタシに似合うって思ったのよ。 丁度…良さそうなマフラーが売って無くて、がっかりしてた時だったから…すぐに自分で作る事を決めたわ!」 (何……と?) 「あら、キョン?どうしたの?固まっちゃって…」 「……………いや、何でも………無い」 …やっぱり…ハルヒはハルヒだった…。 俺は、今朝からの浮かれまくった自分を思いだし、激しく自己嫌悪に陥りながらも姿勢を元に正しながら冷静に考えてみる。 (そういえば、ハルヒの得意なセリフの一つに「無ければ自分で作ればいいのよっ!」ってのがあったな…) おそらく今回も…街へマフラーを買いに行ったものの、気に入ったものを見付けられずに結局自分で作る事を思い付いたんだろう。 (なんてことだ…まったく…俺ときたら…) やがて…授業が始まっても、俺の意識は黒板へと向く事は無かった。 今朝からの激しい期待感を失った事に因る倦怠感が全身を漂っている…。 ああ…長い一日になりそうだ…。 そして…放課後… 部室に行くと、既にそこには古泉と朝比奈さん…そして長門に…ハルヒも居た。 「あら…古泉君。素敵なマグカップですねぇ…」 朝比奈さんが、古泉の持ってきたと思われるマグカップを、何やら羨ましげに眺めている。 そして、毎度お馴染のニヤケ面で古泉がそれに応えている…。 (ふん、たいしたマグカップじゃ無いじゃないか…) 俺は意味もなく腹立たしくなり、二人の前を軽く挨拶をしてすり抜けると、ストーブの近くの椅子に腰を下ろした。 ハルヒは教室より引き続き、忙しく編み物に興じている。 そして俺の存在に気付くと、先程と同じく手元と視線はそのままに「見てなさい?もう少しで完成するわよっ」と得意気な口調で話しかけてきた。 俺は「ああ…そうか」とそっけない返事をしながら、ストーブに両手をかざす。 そんな俺とハルヒの様子に気が付いた古泉が、ハルヒの方に視線を送りながら「キョン君のですか?羨ましいですね?」とでも言わんばかりに俺に微笑みかけてきた。 俺は「違う違うっ」と手を鼻先で二三度振ると、古泉が「それは残念」と両掌を天井に向けるのを待って、ポケットから携帯を取り出して開いた。 とりあえず…授業中に来ていた分のメールを確認しようとディスプレイを見るが…なんだか面倒だ……そしてダルい…。 俺は何もしないまま、携帯を閉じると机に上体を伏せた。 ふと気が付くと、視界に本を読む長門が映る…。 (ああ…こいつは、こんなダルさとは生涯無縁なんだろうな…) やがて、俺は足元に当たるストーブの暖かな感触に眠気を覚え…そっと目を閉じた。 「…ョン…」 「ん…?」 「…キョン……」 「なん…だ…?」 「起きなさいよっ!バカキョンっ!」 ハルヒの怒鳴り声に慌てて体を起こすと、既に部室の中にはハルヒ以外に誰も居なくなっていた。 「あれ?みんなは…どうした?」 「とっくに帰ったわよ!……それより…ねえ、見て?遂に完成したわよ!素晴らしい出来栄えだと思わない?」 「ああ…まあな…」 「いっその事…もういくつか作って、アタシのブランドでも立ち上げてネットで売り捌いてやろうかしらっ?」 ハルヒは、出来上がったばかりのマフラーを俺に見せながら満面の笑みを浮かべていた。 (手編みは貰い損ねちまったが…まあ、いいか…) 俺は「良かったな」とハルヒに軽く微笑みかけると、立ち上がって帰り支度を始めた。 ハルヒは既に支度を終らせていた様子で、コートをはおり手袋も着けている。 そして…俺がコートを着終わるのを見計らって、出来上がったばかりのマフラーを首に巻き始めた。 (確かに…ハルヒに似合う色だ………あれっ?) ハルヒがマフラーを首に巻き始めたその時…俺は、ある事に気が着いた。 ハルヒの作り出したマフラーは………恐ろしく長い…! 戸惑う俺をよそに、ハルヒは手早くマフラーを巻くと、俺に余った長い部分を差し出した。 「…はい、キョン」 「ん?な、なんだっ?」 「アンタの分よ……」 そう言いながら、ハルヒの顔がみるみるうちに赤くなってゆく…… そして…とりあえず言う通りに、余った分を首に巻いた俺を見て「ふふっ、暖かい?」と照れた様に笑った。 「暖かいが……物凄く恥ずかしい……」 「ええっ?何よ!この場合『恥ずかしい』じゃなくて『嬉しい』じゃないのっ?」 俺達は暗くなり始めた部室棟の廊下を、二人三脚の様にぎこちなく歩く…。 しかし…全くハルヒの奴ときたら、とんでもない事を思い付くものだ。 こんなところを誰かに見られたらと思うと、恥ずかしくてしょうがない……… ただ…マフラーからハルヒの匂いがして、少し幸せだったりするが… 「こらっ!もっと嬉しそうにしなさいよっ!…えいっ!」 「ぐあっ!ひ…引っ張るなっ、首が締まるっ!」 「あははっ!面白~いっ!…えいっ!」 「ぐあっ!し…洒落にならん…」 「…えいっ!」 「グァ……」 「…いっ!」 「…ァ」 「……」 「…」 「」 「なあ、ハルヒ…」 「なあに?」 「ありがとう…な」 おしまい
https://w.atwiki.jp/pikuminbunko/pages/129.html
今から約5000年前――――――――――――――― この世界の存在をかけた神々の戦いがあった。 世界を消し去ろうとするのは魔神――――ブロームが率いる悪魔達。 世界を守ろうとするのが光神――――シャインが率いる神達。 悪魔は魔力で動き、魔法などで神々を攻撃する。 しかも魔力が尽きるか肉体を再生できないほどに破壊するかしないと死なぬという性質も持っていた。 非常に厄介な存在だった。 対して神達は、己の力全てを使い、応戦した。 ある者は雷を落とし、ある者は光で悪魔たちを焼き、ある者は獣を操り戦った。 戦いの最中(さなか)、一匹の悪魔が神々に加勢することもあった。 そして、長い戦いの末、悪魔達は敗北した。 シャインがその魂と共にブロームを封じ込めることに成功したのだ。 魔力の源のブロームが封印された悪魔達は、一気に弱体化し、神々に一匹残らず一掃された。 だが、シャインの封印はそう長くは続かなかった。 4000年もすると封印が弱くなり、ブロームの魔力が漏れ始めた。 それに気づいたシャインは封印を1000年後に解かれるようにし、そこで完全にブロームを消滅させることに決めた。 シャインは決戦に備えていっしょに戦う生物を探す。 混ざり合う光と闇~~~プロローグ~~~その二
https://w.atwiki.jp/devilchildren_w/pages/12.html
おはなし #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (story01.png)ラグナロクによって、魔界・天界それぞれが新しく生まれ変わろうとしている時代。しかし、この新たな世界を自分の思い通りに作り替えようとするふたつの勢力が、魔界と天界、それぞれの世界で暗躍していた。 そして、話は10年前にさかのぼる―――――。 ここは、東京・原宿病院。今まさに、ふたりの子供が同時に産声を上げようとしていた。ひとりはマサキ、ひとりはタカハルと後に名付けられる。この夜、ふたりをじっと狙うふたつの影があった。ひとつは魔界の使い・インプ、ひとつは天界の使い・キューピッド。#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (story02.png)インプはデビルチルドレンを作るために、キューピッドはエンゼルチルドレンを作るために…。マサキは悪魔の力を、そしてタカハルは天使の力を授かった。 そして10年、ふたりはお互いの友情を育みながら、同じ小学校に通っていた…。過酷な運命が、ふたりに待ち受けているのも知らず…。 【出典】 株式会社アトラス.「おはなし」.『真・女神転生 デビルチルドレン 白の書 取扱説明書』.株式会社アトラス.2001,p.5
https://w.atwiki.jp/nouryokukoukou3/pages/371.html
ニックス「大丈夫ですか!unahara!」 ニックスがヘルメスとぶつかっていた。 真剣と氷の剣のぶつかり合いにもかかわらず どちらの刃も欠けていなかった ヘルメス「おまえ・・・。いきなり入りやがって!何もんだ!」 当然のようにヘルメスは名前を聞く ニックス「二村弾」 ニックスにしては静かだっ・・・ え?血・・・? え!何で!何で俺の左肩に血が! ニックス「・・・あなただけは許せません…。」 …だからなのか。だからニックスは静かに答えたのか。 ヘルメス「勝手にしろ。」 剣と剣でぶつかり合う二人。 はっきり言って怖い・・・。 殺気が上っている。 ヘルメス「こうすれば・・・どうなる?」 ヘルメスは俺に襲い掛かる。 俺はなんとか寸でのところで杖を使い守った。 するとニックスが叫ぶ ニックス「やめろー!」 ニックスが・・・いやニックスから 魔王のオーラ ニックス?「・・・我が名は…」 ヘルメス「プルートか。分かってるよ。この野郎!」 ええ!どうして知っているん ニックス?「貴様・・・黒野雷気か?」 なんで・・・ ヘルメス「こう言っておく!聞いとけよ!海人!」 どうして・・・ ヘルメス「かつてはそう呼ばれていた。」 はぁ?何が・・・一体何が・・・ ヘルメス「続けようか。いくぞ!雷魔剛拳!」 ニックス?「くらえ!」 そして有り得ないほどの風圧に俺は飛ばされた 「ぐっ・・・」 そのまま俺は気を失ってしまった 続く
https://w.atwiki.jp/2chroyal/pages/195.html
意思が混ざり合う時、事件は起こる ◆i7XcZU0oTM 船着場を離れて、暫く経っただろうか。 あの後、"何か役に立つ物がありそう"と言う理由で、俺と加賀は近鉄百貨店を目指していた。 「ちょ、ちょっと待ってくれよ」 「休憩なら、さっき取ったじゃないですか……」 「歩くのが早いんだよ……。もう少し、警戒したらどうだ」 「大丈夫ですよ。この辺りには、人の気配はないので」 やはり、元が母艦だからそういうのには敏感なのか……? ……俺には、人の気配なんてさっぱりだ。 集中すれば出来なくもないのかもしれないが、そんな余裕はない。 「……」 「……」 沈黙。 こんな静かな場所で、沈黙が続くのも、気味が悪い。 とはいえ、話すことは今の所……。 「……そう言えば」 「ん?」 何か言おうか、と迷っていた時。 加賀の方から、話しかけられた。 「先程の光のような物……やらない夫さんは見えましたか」 「……何だそれ」 「船着場から離れて少しした時。かすかに西の方角に光が見えた気がしたんです……。 ……もしかしたら、私の勘違いかもしれませんが」 「光か……」 もしかしたら、誰かが目印にするためにやった可能性もあるな。 ここに来ている知り合いに、自分の居場所を知らせる為に。 だが、それはかなり危険が伴う行動のような気がする。 目印にするなら、やはり目立った方がいい。 だが、目当ての人物だけがそれに気づくとは限らない。 第一、それに気付いて貰えなければ、それはそれで意味が無い。 「勘違いにしろそうじゃないにしろ、気をつけた方がいいかもな」 「……ですね」 ◆ 「……見えてきましたよ」 「ああ……誰かが潜んでるかもしれねえからな。注意しろよ」 「言われなくても、分かってますよ」 いくら元が母艦とはいえ、今は女である加賀を前に立たせる訳にも行かなかった。 結果的に、少々恐ろしいが俺が先に立つ事に。 薙刀を構え、そろりそろりと内部に入る。 (誰もいなけりゃ楽だったんだが、どうやら……そうもいかないようだ) 「おい、あれ……」 「えっ? あ……」 ショーケースの並ぶ店内。 その中で異彩を放つ……筋肉モリモリの背中。 まさか、アレで隠れてるつもりなのか? だとしたら……相当、マヌケな野郎だ。 俺達の姿に気付いて隠れたのかもしれないが、あれじゃ意味がないな。 「……どうする? 話しかけるか?」 「……やらない夫さんに任せます」 さて、どうしたもんか。 流石に、無視して行く訳にも行かないしな。 とは言え、近づいて調べるのも……。 ……結局、少し距離を取って話しかけるしかなかった。 「おい、そこの人……」 「うわっ!? み、見つかっちゃいましたよ、ZUNさん!」 「壁殴りさんの体格じゃ、無理もないでしょうね…………話しかけて来たのは一体どなたなのか存じませんが、 ……殺し合う気はありますか?」 ZUNと呼ばれた男が、俺に問いかけてくる。 当然の事だが、俺は殺し合う気なんてない。 「殺し合いなんてやる訳ないだろ、常識的に考えて……」 「……なら、申し訳ありませんがそれを証明していただけませんか? 何でもいいので……」 ……どうやって証明すればいいんだ? やはり武器や荷物を手放すべきか。 相手はかなり慎重な奴のようで、姿を見せようとしない。 妙な動きをして疑われでもすれば面倒だ……。 結局、普通に持っていた物全てを手放し、床に置く事にした。 「……ほら、これでいいか?」 「…………どうも、ありがとうございます。……どうやら、殺し合いには乗っていないようですね……」 そう言うと、ようやく声の主は俺達の前に姿を現した。 ……痩せた体に眼鏡、そしてハンチング帽。 何か、傍目から見たら頼りなさそうだ……。 まあ、人を見た目だけで判断するのは良くない。 「それじゃあ立ち話も何なので、こちらへ」 ◆ 百貨店内の、小ぢんまりとした喫茶店。 そこで、俺達は情報交換を行う事にした。 「何と言うか、やっとまともな人に出会えたな」 「私がまともじゃないとでも言いたいんですか?」 「いや、そう言う意味じゃないだろ、常識的に考えて……」 とにかく、新たに人と出会えたのは有難い。 「……あんたらは何を持ってるんだ? 教えてくれないか」 「僕は……このオリーブオイルとプロ野球の優待券が2枚……優待券は、八頭身さんから貰った物ですが。 壁殴りさんは、この名簿に、これまた八頭身さんから貰った腕時計です」 「その八頭身ってのは、何者なんだ?」 「私にも、よく……。ただ、"1さん"と言う人を探しているようでしたが」 「ふーん……で、その名簿は? ちょっと借りるぜ」 そう言うと、俺はPDAを手に取り、名簿を表示する。 沢山の名前の中に、俺の名前があった。それと同様に――――やる夫の名前も、あった。 …………マジかよ。本当に、あいつも連れてこられてたのかよ。 そう考えると、かなりの衝撃だ。 ……ますます、あいつの事が心配になってきた。 「……知り合いの方がいましたか?」 「ああ……まさか、本当にいるとは思ってなかったが……」 「そうでしたか…………」 きっと大丈夫なはず。 いくらあいつでも、そうそう簡単に死ぬほどヤワじゃない……はずだ。 「失礼ですが、貴方がたに支給された物は……?」 「あ、俺たちのか? ……ああ俺達のは……」 俺と加賀、2人に支給された物を包み隠さず伝える。 薙刀や手榴弾、PS3辺りは説明しても特に反応は無かったが……。 「この"ZUNビール"とやらは……」 「おっ、ビールですか! 少々不躾ですみませんが…………それ、いただけませんか?」 「……まあ、構わねえけど……まさか、こんな状況だってのに飲むつもりなのか?」 「お酒は飲むためにあるんですから……飲まずに仕舞っておくのは勿体無いでしょう」 ……結局、普通に渡す事に。 ただし、"今は飲まないでおいてくれ"と釘を刺しておいた。 この人が酒に強いかも分からない以上、そう簡単に酒を飲ませられる訳がねえ。 何かあった時に酔っぱらってちゃ、話にならないからな。 それに、もし酒乱だったら面倒な事になるし。 最も、ZUN自身はこれについて心底残念そうな表情をしていたが。 こんな状況で酒なんか飲んでる場合じゃないだろ、常識的に考えて……。 「最後に、加賀の付けてる"擬人化アンカー"。……こいつ、元は母艦なんだが、このアンカーの力で 擬人化してるんだ」 「え……えぇっ!? そんな、どう見ても女性じゃないですか!?」 驚きの声を上げる壁殴り。……まあ、無理もないか。 そりゃあ、母艦が人間になるなんて信じられねえよな。 だが……事実なんだから仕方無い。 「流石にここで元の姿に戻る訳にはいかないから証明はできねえが、本当だ」 「……にわかには信じ難いですね」 訝しげな表情で、加賀を見るZUN。 まあ、普通は信じないよな。 「まあ、そのことは置いておいて。お二方はこれからどうするお積もりですか」 「そうだな……。とりあえずここを探って、何か役に立ちそうな物がないか探すつもりだぜ」 「そうですか……なら、私たちと同じですね」 そう言いつつ、ZUNはPDAのメモに何かを書いてこちらに見せて来た。 『この首輪には、盗聴機などの"何か"が仕込まれている可能性があります』 「!?」 『用心のため、声は出さないでください』 ……確かに、盗聴機が仕込まれているならば、この事を口に出すのはマズい。 俺も、PDAのメモを使うことにした。 『で、それは本当なのか?』 『本当にあるかは、まだはっきりしませんが、可能性としては高いです』 それが本当なら、今まで俺や加賀が何気無く発した言葉も、奴には筒抜けと言う事に……!? とすると、下手な行動が取れなくなるじゃないか。 ……この首輪がある以上、奴らは俺達の命をいつでも奪える。 それは……一番最初のあの3人が証明した。 「それにしても……ここに、役に立つ物があるだろうか?」 『どうにかして確かめたいが、その為にはどうすりゃいい?』 「見た所、ただの百貨店ですから、そこまでの物があるかどうか。あ、でもいくつかお酒はありましたよ」 『首輪の構造が分かれば、何とかなるかもしれません。首輪の解除にも、役に立つかも』 「本当に酒が好きなんだな……」 『問題は、それをどうやって入手するかだ。設計図とかは、流石に俺達の手には渡らないだろうな』 「"酒は百薬の長"ですよ」 『だとすると、首輪の実物を手に入れるくらいしか方法がないですね』 「まあ、そうとも言うが……こんな時ぐらい、我慢しろよ」 『でも、どうやって入手するんだ?』 「そうは言いますが、やめられないんですよこれが」 『残念ですが、まだ具体的な案は何も無い状態です。これから考えないと』 ……筆談も、結構疲れる。 その合間に、当たり障りのない会話もかわしているから、余計に。 まあ、とにかく重要な情報を得られたのは嬉しい。 ……俺達の会話は、奴らに筒抜けかもしれない。 それが分かっただけでも、儲け物だ。 まあ、その分問題や課題も増えたが。 「さて……ZUNさんに、壁殴りさん、でいいか? 俺達に、協力してくれないか」 「ンフフ……私は構いませんよ」 「ぼ、僕もオッケーです!」 ……やった。 2人とも、とても快く頷いてくれた。 「そうと決まれば……とっとと調べちまおうぜ」 ◆ あれからどれだけ経ったか。 放浪を重ね、気がつけば、こんなところにいた。 最初に、自分自身に向けて立てた誓いを果たすための放浪。 しかし、その思いとは裏腹に、誰にも出会えずにこんな時間になってしまった。 このままでは、誓いも果たせずに斃れるのではないか。その焦りが、俺の歩みを早める。 しかし、心のどこかでは何となく冷めた考えも芽生えはじめていた。 ――――こんな事に意味があるのか。全てを断る事に意味があるのか。 そんなこと、分かるはずもない。 答えは全ての先にある。 全てを断り、優勝したその先に。 だからこそ、俺は。 俺は、断る。全てを、断る。 「……」 そんな俺の前に、そびえ立つ建物。 ……何だってよかった。 俺の、この衝動を解き放てる相手が、いるのならば。 どこだって、いい。 ゆっくりと、中に入る。 ……暗いな。 だが、そんなことはどうだっていい。 どうとでもなる。 「…………!」 足音、か。 おそらく、階上に誰かがいる。 ならば、すぐに向かわなければ。 辺りを見回し、階段を探す……あった。 非常灯の、緑の明かりに照らされ、ぼんやりと道を示している。 ……何故だろう。笑みが浮かぶ。 走りながら、何故なのか考えてみた。 相手を傷つけるのが、殺すのが、楽しいからか。 相手を倒し、その骸を踏みこえるのが、嬉しいからか。 それとも……。 「……ないですね、ZUNさん」 「まあ、そう簡単には……」 声が聞こえた。 階段を登り切らず途中で停止し、耳だけを傾ける。 「困りましたね。ねぇ、やらない夫さん」 「俺に話を振るなよ……」 最低でも、3人。 何を持っているか知らないが、これくらいならば。 ……一網打尽だ。 「……!」 一気に階段を登り切り、フロアへ踊り出る。 奴らの姿を確認しつつ、ショーケースの影に隠れる。……男3人に、女が1人だった。 さて、誰から殺るか……。 「そうだな……」 ――――筋肉野郎。こいつから、殺る。 無防備な背に狙いを定め……矢を放った。 それは、まるで吸い込まれるように……。 「いっ……?」 後頭部に、突き刺さった。 ここまで綺麗に決まると、気持ちがいい物だ。 筋肉野郎の体がぐらりと揺れ、倒れる。 ――――仕留めたな。 「だ、大丈夫ですか!?」 「敵はどこにいるかわかりません! 気を付けて下さい!」 奴らは慌てているようだ。まあ当然のことだ。 突然矢が飛んで来て、一人殺られたとなれば、な。 「これは、矢……!?」 今、奴らの意識は見えない敵への警戒と、筋肉野郎に向いている。 ……こんな中途半端な状態が、狙い目だ。 ならば、この機を逃す手は無い。 鞄から鎌を取り出し、一気に飛び出す。 「……!」 「あっ、あいつ……!?」 ……薙刀野郎が俺に気づいた。だが、予定は変わらない。 「この野郎ッ!」 ブン、ブンと風を切る音が耳に入る。 だが、こんな攻撃当たる訳がない。頭に血が登っているなら、なおさらだ。 そして……隙を見つけることも、それを突くことも、容易だ。 「……ッ!」 大振りの攻撃を余裕で躱す。 ……が、多少バランスを崩してしまった。 首を狙って一文字に振り抜いたはずが、手元が狂った。 「痛ぇっ……!」 残念なことに、腕を軽く切り裂いただけで終わってしまった。 ……しかし、そのお陰で隙が新たに生まれた。 再度構え直し、襲い掛かっては来るものの……元々弱いのが、更に弱くなっている。 これまた軽く躱し、今度は腹を鎌の柄で殴打してやる。 「あぐっ……」 ポロリと薙刀を取り落とし、その場に蹲る。 ……矢張りこの程度か……つまらない。もう、こいつを始末してしまおうか。 そう思って、鎌を振り上げた時。 「――――動かないで下さい。もし、その人に危害を加える様ならば撃ちます」 今まで、終ぞ喋らなかった、唯一の女が声を上げた。 ……撃つぞと言ってはいるものの、銃なんか持ってないようだが? フン、こけおどしか。 「……銃も持ってないのに、どうやって撃つつもりだ?」 「銃ならありますよ……"攻撃体勢用意"!」 その掛け声と共に……何丁もの機銃が、唐突に現れた! ……一体、これは!? 流石の俺も、多少言葉を失った。 「……さて、どうします? 大人しく引き下がるか。それとも撃ち抜かれるか。どちらがいいですか?」 「…………」 ……まさか、こんな事がありえるとはな。 まるでゲームか、はたまた漫画か。 こんな事が、現実に有り得るとは。 「……俺はまだ死ぬ訳には行かない。だから、ここは一旦引かせて貰おうか」 足元に転がる薙刀を拾い上げ、鞄に仕舞う。 ……こいつは殺せなかったが、まあいい。 他にも参加者はいるはずだ。 ならば、代わりに殺せばいいだけのことだ。 「これは貰って行く…………さらばだ」 そう言い残し……俺はその場を後にした。 ◆ 「……どうですか、ZUNさん」 「駄目です……おそらく、即死だったのでは……」 「くっ……」 下腹部の痛み故、俺は未だ立ち上がれずにいた。 ……鈍い痛みだ。 そんな俺の傍に、誰かが歩いてくる。 ああ、この靴の音は……。 「……いつまで寝てるんですか」 「加賀、か……」 「しっかりしてくださいよ」 その声と共に、無理矢理肩を掴んで引き起こされる。 「そ、そうだ、壁殴りさんはどうなった!?」 「……」 黙ったまま、首を横に振る加賀。 と言う事は……。 「そんな……」 「…………」 重油のように重い沈黙が、辺りを支配する。 「……ZUNさん、申し訳ありませんでした」 唐突な、加賀の謝罪。 「いきなり、何を?」 「あの時私が、もっと早く気がついていれば……この姿になっても、私は母艦です。索敵は本業では無いですが、 全く出来ない訳じゃない。だから、あの時気付けなかった私のせいです」 「何を言うんですか。貴方は、あいつを追い払ったじゃないですか。第一、壁殴りさんを殺したのはあいつです。 攻めるなら、あの妙な生物です」 「ですが……」 「とにかく、貴方が気に病む必要はありません。全く気にするな……と言うのは流石に無理でしょうが、 せめて、自分を責めるのはやめてください」 長い、長い沈黙の後……。 加賀は、ようやく頷いた。 ……目に、涙を浮かべながら。 「……ならば、せめて壁殴りさんをまともな場所に移しましょう。ここに放置していては……良くないので」 「……私も協力しますよ」 「俺もだ……」 【壁殴り代行@ニュー速VIP 死亡】 【残り 52人】 【B-4・近鉄百貨店/1日目・早朝】 【やらない夫@ニュー速VIP】 [状態] 健康、常識的、右腕に切り傷、腹部に打撲(軽度)、悲しみ [装備] なし [道具] 基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、PS3@ゲームハード [思考・状況] 基本:殺し合う気なんてないだろ、常識的に考えて…… 1:……壁殴りさんをまともな場所へ 2:やる夫が心配 【加賀@軍事】 [状態] 擬人化、健康、深い悲しみ [装備] 20cm単射砲(0/1)×10、25mm連装機銃(0/15)×10、擬人化アンカー@安価スレ [道具] 基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=00】)、手榴弾(3/3)@軍事 [思考・状況] 基本 殺し合いに乗る気はないけれど…… 1:……壁殴りさんを、まともな場所へ 2:私がもっと警戒していれば、こんなことには…… 3:どこかで弾薬を補給できれば…… ※制限により、全ての弾薬と12.7cm連装高角砲が没収され、航行速度が低下しています。他にも制限があるかは不明です ※身長1.6m程の軍服少女へ擬人化しました。装甲がなくなりますが、陸上でも機動可能。 ※加賀の"攻撃体勢用意"の掛け声で、25mm連装機銃が現れるようです。 ただし20cm単射砲は現れないようです。 【ZUN@ゲームサロン】 [状態]:健康、悲しみ [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、PDA(忍法帖【LV=00】)、瓶入りオリーブオイル、プロ野球観戦の優待券×2@泣けるコピペ、 ZUNビール@現実、酒 [思考・状況] 基本:首輪を外してこの場から脱出する 1:……とにかく、壁殴りさんをまともな場所へ 2:細かい事は後から考える 3:酒は手に入ったけれど…… 4:『1さん』の実態が気になる。八頭身も心配 「……」 ……一人殺れた時点ではまだ良かった。だが、もう一人を殺りそこねたのはいただけない。 全てを断るはずじゃなかったのか。だってのに、たった1人殺しただけで引き下がってしまった。 (俺は、なんとしても……断る。いや……断らなきゃならない) 誓いは、やがて執念へと変わってゆく。 「……今度は全て仕留める。必ず……」 暗い決意を胸に、ただ一人裏路地を駆け抜けて行くお断りします。 果たして、これからどうなるのか。 それは、誰にも分からない。 【B-4・近鉄百貨店付近/1日目・早朝】 【お断りします@AA】 [状態] 健康 [装備] ボウガン(0/1)@現実 [道具] 基本支給品一式、PDA(忍法帖【Lv=02】)、ニニフと炒飯セット@AA、草刈り鎌@現実、予備の矢×7 薙刀@現実 [思考・状況] 基本:全てに「お断りします」。 1:他の参加者を探して、確実に殺す 2:今の武器よりいい物が他にあるなら、手に入れたい No.58 地面に寝そべる獅子を見た 時系列順 No.60:うーんこの球場微妙や! No.58 地面に寝そべる獅子を見た 投下順 No.60:うーんこの球場微妙や! No.14 モッピー知ってるよ。モッピー達がバトルロワイアルでも大暴れするって!! お断りします No. [[]] No.42 探し物はなんですか~? 壁殴り代行 死亡 No.42 探し物はなんですか~? ZUN No.81 迷える心 No.34 こんな加賀は嫌だ! ~安価でトランスフォームする~ やらない夫 No.81 迷える心 No.34 こんな加賀は嫌だ! ~安価でトランスフォームする~ 加賀 No.81 迷える心
https://w.atwiki.jp/pricone/pages/238.html
《桜組の仲間たち》 イベントカード コスト1/赤 ボーナスアイコン RANK+1 [メイン/自分]デッキの上のカード4枚を見て、 その中にある【制服】を持つキャラ1枚を抜き出し、表にしてから手札に加える。 その後、残りのカードを任意の順番でデッキの下に移す。 ふたりはプリキュア/ふたりはプリキュアMax Heartで登場した赤色のイベントカード。 自分メインフェイズ時、デッキトップ4枚から【制服】1枚をサーチするテキストを持つ。 現在ふたりはプリキュア/ふたりはプリキュアMax Heartには【制服】を持つキャラクターが22種類存在する。 主要キャラクターである美墨 なぎさ・雪城 ほのか・九条 ひかりにも【制服】を持つものが存在するため、事故防止に役立つ。 《気の合うふたり 美墨 なぎさ&メップル》・《気の合うふたり 雪城 ほのか&ミップル》を共にサーチできるため、序盤の盤面形成をし易い。 さらにコネクト追加登場持ちは《種の三者》を除き、全て【制服】を持っている。 そのため、中盤の展開や、終盤のコネクトアタック後押しなど万能に対応できる。 以上の様に有用であるにも関わらず、コスト1でありボーナスアイコンまでついているため、コモンのレアリティに似合わない破格の性能を持つ。 関連項目 【制服】 収録 ふたりはプリキュア/ふたりはプリキュアMax Heart 01-075 C
https://w.atwiki.jp/drrr/pages/86.html
アニメイト特典イラストシート 2010年1月に開催された「デュラララ!!アニメ化フェア」において、『デュラララ!!』文庫1冊につき1枚、成田良悟先生書き下ろし短編小説を掲載したイラストシートが貰えた。 2010年5月1日からは復刻フェアで「デュラララ!!アニメ2クール目突入記念成田良悟キャンペーン」として、成田良悟全作品を対象に文庫1冊につき1枚貰えた。 もともとは1つだけの予定だったのだが、イラストが4種類だということで4編書き下ろしとなった。 新羅&セルティ編 あらすじ:新羅のマンションで、今日のセルティの仕事について語り合うふたり。 登場人物:岸谷新羅、セルティ・ストゥルルソン 臨也&静雄編 あらすじ:相変わらずの喧嘩をするふたりと、それを眺めるワゴン組。 登場人物:折原臨也、平和島静雄、門田京平、狩沢絵理華、遊馬崎ウォーカー 杏里&正臣編 あらすじ:アニメイトで買い物する杏里と正臣と、ふたりに声をかける狩沢。 登場人物:園原杏里、紀田正臣、狩沢絵理華、平和島静雄 帝人&杏里編 あらすじ:アニメイトで買い物する帝人と杏里と、ふたりに声をかける遊馬崎。 登場人物:竜ヶ峰帝人、園原杏里、遊馬崎ウォーカー、セルティ・ストゥルルソン - 名前 コメント