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別れの魔法陣 稼働中のプログラム体であるリインフォースを完全停止させるために用意された魔法陣。 痛みや破壊を伴わない静かな終焉を迎えるため、なのはやフェイト、 レイジングハートやバルディッシュらが細心の心遣いを持って作り出した、別れと旅立ちの場所である。 リインフォースII はやての手によって生み出された、初代リインフォースの名と魂を受け継ぐ新たな「祝福の風」。 はやてと融合して魔法を扱うユニゾンデバイスであり、新たな本型ストレージ「蒼天の書」を手にはやてに付き従う。 自身と同じ名を持つ、会うことの叶わなかった初代リインフォースに憧れと敬意を持ち、 自らの名…「祝福の風・リインフォース」に強い誇りを持っている。 いまだ生まれて間もないが、共に暮らす騎士たちに学び、なのはやフェイトらに世界を教わり、主はやてに優しく見守られ、健やかに成長中。
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「ボーンクラッシャーが管理局の魔導師と本格的に戦闘を始めたそうです」 スタースクリームの報告を、メガトロンは大聖堂のてっぺんで腕を組み、目を閉じながら聞いていた。 「デモリッシャーもチビ三匹に手こずっている様ですし、戦車部隊に紛れて動いているブロウルでも増援に送りますか?」 その提案に対し、メガトロンは目を開いて答える。 「いや、手こずってはいるが倒される心配はあるまい。それより、サンダークラッカーとスカイワープを呼べ」 それからしばらくして、青を下地に何箇所か赤いラインが走る、単座型で翼がないずんぐりした機体の戦闘機と、黒と紫の ストライプに色分けされた、Y字型の戦闘機二機が飛んできて、メガトロンの眼下でロボットに変形して降り立つ。と 「お呼びでございますか、メガトロン様」 青色のデストロン航空兵“サンダークラッカー”が尋ねると、メガトロンは彼らに指示を下す。 「ドレッドウイング共を率いて空より攻撃をかけろ、奴らの航空戦力がどれ程のものか見極めるのだ」 黒と紫の航空兵“スカイワープ”がそれに答える。 「仰せのままに、メガトロン様」 二人は恭しく頭を下げると、すぐに戦闘機に変形して再び空へと舞い上がって行った。 本局ビルNMCCで空の動きを監視していた、レーダーを担当している二つの巨大な眼に鯰のような口をしている昆虫型 生物の士官たちは、クラナガン市街周辺の未開発区画から、突如として未確認の航空機を示す赤の輝点が大量に表れた のを見て驚愕の表情を浮かべた。 「市街近郊の遺跡区域より、大量の未確認飛行物体が出現!」 大急ぎで報告すると、黒い瘤らだけの肌に骸骨顔の、翼竜の羽を持った将官が文字通り飛んでくる。 「数は?」 士官たちはレーダー上に映る赤色の塊の数を見極めようと、必死で目を凝らす。 「推定一千と見られます!」 それを聞いた将官は絶句するが、すぐに気を取り直して奥にいる長官以下の幕僚達へ報告の為の準備を始めた。 将官からの報告に、幕僚たちは将官と同じように愕然となった。 只でさえ地上は大変な状況だというのに、今度は空からの脅威に対応しなければならないのだ。 「今動ける航空隊は?」 グーダとは別種の、髭と髪が肩下まで伸びた、三白眼に巨大な口と黒緑色の皺だらけな肌の半魚人生物の幕僚が、気を 取り直して尋ねると、事前に部隊のチェックを行っていた将官は即座に答える。 「クラナガン市内の航空隊ならば、どこの部隊でもすぐに。 一番近いのは機動一課第19師団256航空隊と五課第978師団24航空隊です」 少し離れた場所にいたシグナムとアギトが、互いに顔を見合わせて頷く。 「ただちに出動させろ。それと他の部隊もすぐに増援に出せるようにしておけ」 将官が敬礼して立ち去るのと入れ替わりに、シグナムとアギトが幕僚の前に進み出る。 「256航空隊は私の指揮する部隊ですので、復帰の許可を頂きたいのですが」 「分かった、急ぎ戻ってくれ」 幕僚に敬礼して踵を返した二人に、ゲラー長官が声をかけてきた。 「君達、ちょっと待ってくれ」 シグナムとアギトがこちらに来ると、長官はモニターを開いて連絡を始める。 「ギーズ一佐、シグナム三佐の援護を頼めるかな?」 「了解致しました。本局ビル屋上で落ち合う…という事でよろしいでしょうか?」 長官は考え込むように顎に手を当てる。 「…うむ、そうした方がいいだろう」 話を終えてモニターを切った長官に、シグナムが尋ねる。 「本局ビル内での魔力使用は厳禁されているでは?」 「今は非常事態だ、一々下に降りてる暇はあるまい?」 シグナムはそれを聞くと、長官に敬礼しながら改めて言った。 「かしこまりました。シグナム三等空佐、本局ビル屋上でギーズ一佐に合流の後、本隊に戻ります」 シグナムは本局ビルの屋上に上がると、既に到着していたギーズ一佐に敬礼する。 「援護にご協力、感謝いたします」 ギーズが返礼を返しながら言う。 「急ごう、敵はすぐそこまで迫っている」 「はい!」 シグナムは頷くと、首に吊下げている剣のアクセサリーみたいなデバイスを取り出し、ギーズも制服の内ポケットから龍が 彫られたコイン型のデバイスを出す。 「レヴァンティン!」 「羅龍盤!」 それぞれデバイスの名を呼んで上に掲げると、デバイスから強烈な光が溢れ出、光の球となって周囲を覆う。 最初に掲げられたデバイスは宙へ浮き上がると変形を始め、レヴァンティンは大剣へ、羅龍盤はサーベルへと変形する。 二人がそれを取ると同時に制服が光の粒子となって四散し、シグナムの適度に鍛えられた均整の取れている奇麗な、 ギーズの細身ながら筋肉質な裸身が露となる。 拡散した光の粒子は、再び二人の体を覆い、シグナムは白いジャケットにミディアムヴァイオレットの騎士甲冑へ、ギーズは 足元まである長いマントにダークシーグリーン色の軍服風バリアジャケットとなる。 光球が弾けると同時に二人は空高く舞い上がり、既に戦闘が始まっている方へと飛び去って行った。 “ドレッドウィング”という名を持つドローンは、六枚翼の戦闘機から一つ目の人型ロボットに変形すると、こちらに向かって 来る三人の空戦魔導師目掛けて機銃を撃ちまくる。 魔導師たちはシールドを展開して弾を防ぎながら散開する。 身長五十センチほどの、口から牙が生えた黒人魔導師がドローンの周囲を旋回飛行し、アクセルシューターを撃ち込みながら 大声で挑発する。 「おい、どうした! その程度か!?」 挑発が効いたのか、ドレッドウィングは数発ミサイルを発射する。 最初の二~三発は避けたものの、次のミサイルが魔導師を直撃し、文字通り木っ端微塵に吹き飛ばされる。 続いて、白色の鱗で全身を覆う両生類型生物の魔導師がスピア型デバイスを突き出して真上から突っ込んで来るが、右腕 でそれを殴り落とす。 と、いきなりドレッドウィングの腹部を、ディバインシューターが突き抜ける。 ドローンは痙攣し、火花と炎と吹きながら墜落する。 人間と類人猿の合いの子のような顔立ちをした、身長一メートル弱の猿人魔導師が煙の中から突き抜けた次の瞬間、別の ドレッドウィングによるビームを数発喰らって後を追うように落ちて行った。 「フェニックス47がやられた! もう持ち堪えられない!!」 モニターから上がる悲鳴に近い救援要請に、後方で部隊の管制を行っている、白い肌に三つの突き出た目が特徴的な魔導師 が脂汗をかきながら必死に処理している。 「フェニックス16は47のバックアップに回れ! フェニックス23と98は一旦後退しろ!」 そこへ、シグナムとギーズがやってくると、魔導師はホッとした表情になった。 互いに敬礼を省略(戦闘中の敬礼は敵の格好の標的になるので厳禁されている)し、早速シグナムが魔導師に質問する。 「状況は?」 魔導師は戦闘の概略図を表示させながら答える。 「芳しくありません。敵GD一体に対して魔導師三名で戦っていますが、攻撃力に差がある上に数が多すぎて…」 「ヴィータ達が増援に駆け付けるまで、まだしばらく時間が掛かるな…」 手を顎に当てて考え込むシグナムに、ギーズが言う。 「ならば、到着まで我々が直接抑えるしかあるまい」 シグナムは頷くと、肩に乗っているアギトに言った。 「聞いての通りだ。アギト、ユニゾンで行くぞ」 それを聞いたアギトは、飛び上がって指を鳴らす。 「待ってました! 一丁派手に大暴れしてやるぜ!!」 シグナムとアギトは眼を閉じて呼吸を整えると、互いの意識をリンクさせる。 “ユニゾン―――” 唱和を始めるのと同時に二人の周囲に光の粒子が溢れ出し、それが繋がって一つの流れとなる。 “―――イン!” 唱え終わった途端、強烈な光の奔流が二人を覆う。 それが収まった時、インディゴカラーの騎士甲冑と背に四枚の炎の翼を持つ、ピーチパフカラーの髪に変わったシグナムが 居た。 ドレッドウィングに背後を付かれた、シアン色の肌をした翼竜型生物の空戦魔導師は、左右にジグザグ運動する事で追撃 を必死にかわそうとしていた。 しかし、ドローンの速度は魔導師よりも遥かに上で、とても振り切ることが出来ない。 「駄目だ、逃げ切れない! 誰か助けてくれ!」 悲鳴に近い叫びを上げながら逃げ惑う魔導師を、ビームを撃ちかけながら追い詰めていたドレッドウィングが、突然爆発を 起こしてバラバラの破片になった。 「!?」 いきなりの事に唖然としていると、魔導師の眼前にギーズとシグナムが現れる。 「大丈夫か?」 シグナムに問い掛けられると、魔導師は気を取り直して頷く。 「よし、直ちに部隊へ戻れ」 魔導師が原隊に復帰するのを見届けてから、シグナムは念話で部隊へ呼び掛ける。 “こちらはフェニックス1、シグナムだ。敵GDの主力は私とギーズ一佐が引き受ける。全部隊員は、こちらのフォローと周辺 の敵を頼む” 念話で部隊に呼び掛てるところを狙って、一機のドレッドウィングがシグナムを撃ち落とさんと迫ってくる。 と、その前にギーズが現れ、羅龍盤で機体を縦一文字に斬る。 「淑女の話の邪魔をするとは、紳士の風上にも置けぬ愚か者め」 シグナムはギーズの言葉に首を捻りながら、レヴァンティンを構える。 「私は単なる夜天の書のプログラムです、それにこんな機械人形に性別などありますまい」 そう言いながら人型に変形してビームを撃ってくるドレッドウィングを、横への一閃で斬って捨てる。 「何であれ礼儀を失した者には、相応に指導をせねばならん。ただそれだけの事」 カートリッジを装填し直しながら、シグナムはニヤリと笑みを浮かべる。 「確かに…人の話が分からぬ者には、鞭が必要ですからな」 まるで、その言葉を合図としたかのように、レヴァンティンを青白い炎が包む。 「では、これからやって来る愚か者共に、一つ教育的指導と行くか?」 そう言ってギーズが顔を向けた先には、迫り来るドレッドウィングの大群が見えた。 「喜んで」 牙をむき出しにした虎のような凄みのある笑みを浮かべて、シグナムは答える。 ユニゾン中のアギトは、引きつったような笑いを浮かべながら呟いた。 “二人とも怖えぇ…” 高級ブティックが建ち並ぶ第18区アナベア通りは、ドローン軍団対EW-TTと陸戦魔導師の混成部隊による攻防戦の舞台 となっていた。 人だろうが物だろうが片っ端から砲弾を撃ち込んで来るドローンに対して、部隊はEW-TTが展開する強力なシールドと装甲 を盾に、ディバインシューターや魔導師によるアクセルシューターの連射で対抗する、。 激しい戦闘によって崩れた建物の瓦礫の中から、人の指先が一つ現れると周囲を見回すようにクルクル回る。 “セイン、状況はどう?” アクアブルーの色にセミロングの髪が特徴的な、見た目はハイティーンの少女との“セイン・オケアノス”は、指先に取り付け られたペリスコープアイで周囲を見回しながら、ティアナの質問に答える。 “状況は互角ですね、特に私達の助けが必要な感じはないです” “スバルやチンク達が遭遇したような、自己意識を持った指揮官タイプは?” “ええと…” 少しの間、セインは指を回して周囲の状況を再度確認する。 “それらしいのは見当たらないです、全部かつてのGDみたいにプログラミングされた動きしかしてません” しばらくの沈黙の後、ティアナは再び話を始める。 “そちらは部隊任せで大丈夫そうね。セインは引き続き指揮官クラスのGDを探索―――。” 突然、セインはティアナの言葉を遮った。 “ちょっと待って下さい!” 突然、後方にいたEW-TTの一両が大爆発を起こして擱座した。 「な、何だ?」 部隊長を務める、頭頂部以外に毛のない真っ白な猿みたいな容姿に四本の腕を持つ魔導師が、面食らいながら後方へ モニターを切り替えると、一台のEW-TTがこちらへ砲口を向けている映像が映し出される。 「最後尾は何をやっとる!? 味方を誤射してるぞ!」 部隊長が怒鳴り付けるが、車両からは何の返事もない。 それどころか、EW-TTは再び砲口を別の車両に向けて、もう一発砲弾を発射する。 「砲弾!?」 ニ台目が炎上して倒れた時に部隊長は気が付いた。 あの車両が撃ち出しているのは質量弾であって攻撃魔法ではない、という事は―――。 「全部隊、最後尾の車両は敵だ!」 部隊長が血相を変えて怒鳴るのと同時にEW-TTが変形を始める。 砲身が引っ込み、最前の脚と車体前部が腕に、後部開いてが足に変形し、中から機械の頭と胴体が出現し、分かれた車体 は手と足に変わる。 砲塔部分は後退しながら回転し、中から顔と胴体が出現する。 それはEWーTTから“デストロン軍団 狙撃兵ブロウル”となって立ち上がった。 「前方のGDは放っておけ! 後方が本命だ!!」 部隊長はそう怒鳴ってEW-TTの砲搭を回転させると、全車がそれに倣ってブロウルに狙いを定める。 ディバインシューターが一斉に撃ち出されるのと同時に、ブロウルも両肩に搭載されたミサイルや両手の機銃などを一斉に 発射する。 砲撃魔法と質量弾は、丁度両者の中間辺りでかち合って爆発し、辺り一面煙と埃に覆われる。 その中からブロウルがゆっくりと歩きながら姿を現す、ボディには傷一つ見当たらない。 ブロウルは肩のポッドからミサイルを発射し、三両目のEW-TTを血祭りに上げる。 「くそっ!」 部隊長が毒づいた時、いきなりブロウルの背後で爆発が起こり、俯せに倒れ込む。 「!?」 訝しむ部隊長の眼前に、空間モニターが開いてティアナの顔が現れる。 「こちらは次元部局第三艦隊、第783機動部隊1348強襲揚陸隊所属、ティアナ・ランスター執務官補佐です。 こちらの敵は私の方で対応します」 話を受けた部隊長は一瞬“若造め”という苦い表情になるが、それを声に出す事なく、努めて平静を装いながら返答する。 「了解しました、後はお願いします」 モニターを消すと、部隊長は小さく舌打ちする。 「全部隊、後方の敵は執務官補が引き受ける。我々は前方のGDを掃討しながら前進するぞ!」 不機嫌な部隊長の声に対して、車内の乗員達は皆一様にホッと安堵の表情を浮かべた。 起き上ったブロウルは振り向くと、機銃が装備された腕をティアナに向ける。 銃弾が身体を引き裂くよりも前にティアナはバイクを急発進させると、自身のデバイス“クロスミラージュ”をブロウルに向ける。 立て続けに撃ち出されたディバインシューターは全弾ブロウルに命中し、二・三歩後退させる。 「さあ来なさい、あなたの相手は私よ!」 態勢を立て直したブロウルに、ティアナは大声で挑発した。 前へ 目次へ 次へ
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autolink NA/W12-G10 カード名:砲撃魔導師 なのは カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:3 コスト:2 トリガー:1 パワー:10000 ソウル:2 特徴:《魔法》?・《武器》? 【永】このカードの正面のキャラのソウルを-1。 【自】[③]このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、あなたは相手のレベル1以下のキャラを1枚選び、控え室に置く。 プログラムカートリッジ、 「ネーベルベルシファー」、ロードッ! ドライブ・イグニッション!! レアリティ:TD illust. 11/10/14 今日のカード。 “揺るぎ無い意志”なのはに続く、2枚目のレベル3「なのは」?。 能力はソウル-1と除去と非常に簡素。 コストは重く除去範囲は狭いが、後列も対象に取れるため有用性はある。 同作品で同じく赤でソウル-1を持つ聖王ヴィヴィオと比較すると、こちらはネームシナジーが多く生き残りに長けている。 弱くもないが強くもないというプロモの如きデザインであるため、キャラ単になるとお呼びがかかるかもしれない。
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勇次郎の娘。現在19歳らしい。 レンジャーの局長でもある。 名前は頻繁に出てくるが、まだ会ったことは無い。 __ __ .ィ彡ニゝ r彡ァ"7ゥ'´ ̄`ゞ¨`ヽ ´/. ,ィ'.{ . .;' . . . .ヾ 、. . \ /. . / レト、 ';. . . イぅVヘ. . .ヽ /. / ゙iY`"1ィ/´ ヾ . ヽ / / _,.斗≠ド、__ ヾ. ’、 /. / r‐''´{! /〃,ニヾァ ヾ. ハ イ. , ′ }`ーヾ A {!ゞ‐' } !. . i i. . { ヾ‐-ム/__ヽ!__ヽニ=く i. . .! l. .i { j`ーt――ァ=ゞ ヽ , . . i ;イ. ! rv゙`"7 .イニ==ニ彡'ミ=ニ=Y∨. . イ ヾ .ヽ、._ |ヾ=彡/ ` ̄´ ヾ 、斗'. .〃ノ `´ ̄ i`¨¨1L -=彡'フ/イ `TIi厂 ゞ=ニ≦" , イ´ ゞ叨 / \ ,イ ゞ r’ ヽ、 , ヘ\ ヽ、 ` - 、 ∧ _ -‐ ´ ノ ` 、 ', ;イ ! _.. -‐ ¨ / `丶、 i j ノ l / __.. -" .辷ツ レ’ ___ ..-'´ r延ヲ  ̄ヽ j ゞ__イ r圭ぇ `¨´ ゝ、_ノ≧= 、 辷_三彡'
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都築編 ■いよいよ第二部のスタートです■ 4巻です!Record17の時点でトーマが無事スゥちゃん達のもとに帰還&第一部完、ということで、 Record18から第二部のスタートです。 トーマやリリィ、アイシス達は特務六課でなのはさんやスゥちゃん達との日々を過ごしていく事になって フッケバイン一同はカレンお姉ちゃんの目的に沿った「でっかいこと」をやるために頑張っていきます。 ここからしばらくは登場メンバー数人くらいの「短めエピソード」をちょっとずつやっていく事になるので シリアスばかりではなく、束の間の平穏や、主要キャラ達の明るい笑顔が見られるお話もお届けできるかなと。 という訳で、次回もよろしくお願いします!
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N1/W32-120 カード名:運命の戦い なのは カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:2 コスト:1 トリガー:1 ● パワー:2500 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《武器》? 【起】● 助太刀3000 レベル2 [① 手札のこのカードを控え室に置く] (あなたは自分のフロントアタックされているキャラを1枚選び、そのターン中、パワーを+3000) フェイトちゃんは立ち止まれないし…… わたしはフェイトちゃんを止めたい レアリティ:PR ブースターパック 「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st 2nd A s」 BOX封入特典
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高町なのは LV5 効果モンスター 星5/光属性/魔法使い族/攻1900/守1500 自分または相手が魔法カードを発動する度に、 このカードに魔力カウンターを1個乗せる(最大10個まで)。 このカードに乗っている魔力カウンター1個につき、 このカードの攻撃力・守備力は100ポイントアップする。 相手が魔法カードの効果を発動する度に以下の効果から1つを選択して発動する。 ●相手ライフに200ポイントダメージを与える。 ●このカードを生け贄に捧げ、「高町なのは LV7」1体を手札またはデッキから特殊召喚する。 Part13-706 名前 コメント
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N1/W32-104 カード名:水着のなのは カテゴリ:キャラクター 色:赤 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:2500 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《武器》? 【自】 この能力は1ターンにつき1回まで発動する。あなたは【起】を使った時、そのターン中、このカードのパワーを+2000。 うん…!きっとまた……! レアリティ:C 14/09/25 今日のカード
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――夢を見ていた。 夢の中で、〝彼女〟は傷ついた宝石の身体を仄暗い水の底に横たえ、まどろみの中を揺蕩いながら傷を癒していた。 ガラスの壁の向こうで、「主」が険しい顔で〝彼女〟を見下ろしている。 咄嗟に口を開こうとした〝彼女〟は、しかし自分が何を言いたいのかが解らないことに気付いた。 AIへの過負荷が余程激しかったのか、思考の言語化機能にバグが生じている。 それでも何かを口にしようとしたが、肝心の声が出て来ないことに愕然とした。 尋常でないダメージだった、一体どれだけ乱暴な運用をされればこれ程の傷を負うのか思いつきもしない。 一体何があったのか、なぜ自分は今ここにいるのか、それさえも〝彼女〟は思い出せなかった……損傷が記憶野にまで及んでいるのかもしれない。 中枢システムのシャットダウンし、再び闇の中に堕ちていく〝彼女〟の意識の最後の一欠片が、小さくなっていく「主」の背中を認識した。 置いて往かないで……遠ざかる影に必死に呼びかける〝彼女〟の声無き叫びが、「主」に届くことは無かった。 ――そして、闇が全てを塗り潰す。 闇よりもなお黒々とした影が、夜天を蠢き這い回る。 その数、まさに無量大数。 双子月の表面にはまるで人の顔のような不気味な陰が浮き上がり、その「口」から掌に顔を張りつけた手首が、踵や足の裏に顔を埋め込んだ足首が、際限なく吐き出される。 敵は多元進化確率生命体反螺旋艦載機、パダ級とハスタグライ級――かつて大グレン団の漢達を苦しめた、アンチスパイラルの無人兵器。 ガンメンサイズに縮小されたその怨敵が今、時を越え次元を超えて再び地球人類の前に姿を現したのだ。 人類殲滅システム――かつて銀河を制圧したアンチスパイラルが、螺旋生命体を根絶やしにするべく星々に配備した破滅の玉手箱。 ミッドチルダ滅亡により日の目を見ることなく眠り続け、この無人の惑星ごと忘れ去られていた負の遺産。 それが超銀河ダイグレンという螺旋力の塊の出現により、永い眠りから解き放たれた。 探索艇の地上降下直後を狙った敵の襲撃にグラパール隊の指揮系統は混乱、無限とも言える敵の物量もあり危機的状況に陥っていた。 減らない敵、散っていく僚機……新兵達は未知の強敵に恐怖し、十年前の最終決戦を生き抜いた歴戦の豪傑達は記憶の奥に刻まれたトラウマに苦しめられる。 探索艇との通信は途絶え、ヴィラル達の護衛として地上に降りたグレンラガンとも連絡が取れない。 アークグレンラガン級スペースガンメンも積んでいない、また新規に造るような時間も無い。 まるで出口の無い迷宮に迷い込んだかのような救いの無い絶対的絶望が、伝染病のように刃金の軍勢を侵し蝕んでいく。 だが……恐怖に屈しない強く真っ直ぐな心を持った者も、胸に一本芯を通した者も、確かに存在した。 『あぁーっ、もう! うじゃうじゃゾロゾロとひっきりなしに……こいつら台所裏の黒いゴキかい!?』 通信ウィンドウの向こうで憤慨する少女、超銀河ダイグレンの管制として今回の旅について来た幼馴染のふくれっ面に、少年は不謹慎とは解っていながらも苦笑を隠せなかった。 『む……ナキム、今ウチのこと笑ったやろ? 馬鹿な奴やなー思いながら嘲笑に嗤ったやろ?』 「いや、マオシャ……「嘲笑」と「嗤う」は意味が重複してると思うんだけど?」 『重箱の隅つつく前にまず謝罪か否定しろや、この馬鹿ナキム!!』 スピーカーを壊さんばかりの勢いでがなり立てる幼馴染に、ナキムと呼ばれた少年は思わず両手で耳を押さえる。 その時、動きを止めた少年の機体――超電導ライフルを背負ったグラパールに、敵の群れが殺到した。 ハスタグライ級の五本指から放たれる光線が、パダ級の踵の発射口から吐き出されるミサイルが、グラパールに迫る。 『ナキム!?』 「大丈夫」 青ざめた顔で悲鳴を上げるマオシャに穏やかに笑い返し、ナキムは全方位から迫り来る敵の攻撃を真っ直ぐに見据えた。 授業のおさらいをしようか……左右の操縦桿を握り直すナキムの、まだ幼さの残る横顔には、相変わらず笑みが浮かんでいる。 だがその笑顔は幼馴染に向けたそれとは全く真逆の、獣のように獰猛で、刃物のように鋭く研ぎ澄まされた戦士の顔だった。 バックパックに背負った超伝導ライフルを引き抜き、少年のグラパールが宇宙を翔ける。 「一つ、大勢で人を虐めない」 雨のように降り注ぐ光線とミサイルの隙間を掻い潜り、すれ違いざまに螺旋弾を敵の鼻面に零距離から撃ち込む。 「二つ、人に銃を向けない」 スラスターを全開に噴かして敵に肉薄、逆手に翻した超伝導ライフルの銃床を槍のように敵の装甲に突き立てる。 「三つ、友達は大切に。無暗やたらと喧嘩しない」 超電導ライフルを再び正面に構え直し、ナキムはスコープを覗き込んだ。 二時の方向に孤立した味方がいる……ナキムは小さく息を吸い込み、吐息と共にトリガーを連続で引く。 金属の軋み擦れる音がコクピットに響き渡る、その数……三回。 超電導ライフルの銃口が三度光を放ち、撃ち出された螺旋弾が味方を襲う敵機の背中に吸い込まれ……そして撃ち抜いた。 「――ただし、」 射撃モードを「自動掃射」に切り替え、グラパールは超電導ライフルの弾倉を交換した。 身の丈を超える長銃を全身で支え、自動照準は解除……目視で十分、味方に当たりさえしなければそれで良し。 「一度決めたからには徹底的に、己の意地を貫き通す!」 怒号と共にナキムはトリガーを引き絞り――瞬間、身を揺るがす程の激しい震動と衝撃がグラパールを襲った。 フルオートで怒涛の如く吐き出される無数の螺旋弾が次々と敵を打ち砕き、喰い破り、容赦なく蹂躙する。 グラパールの腕の中で獣のように暴れ回る超伝導ライフルを、ナキムは必死に抑え込んでいた。 再装填した螺旋弾を全弾撃ち尽くすまで僅か数秒、しかし少年にとっては無限に等しい時間だった。 「――復習、終わり」 全弾撃ち尽くし、沈黙する超伝導ライフルをだらりと下ろし、ナキムは荒い息を吐きながらひとりごちた。 モニタースクリーンを見渡してみれば、一面に広がる星の海……だが、どれが地球であるのかは分からない。 随分と遠くまで来てしまった……モニタースクリーンから視線を落とし、ナキムは淋しそうに小さく笑った。 「今度のテストは満点確実かな……ヨマコ先生」 この満天の光のどれかにある故郷、そこで今も教鞭を執る恩師に、ナキムは独り思いを馳せる。 少年の呟きは、天に満ちる無限の光の中に溶けて消えた。 「はぁ!? またブラスタービット壊したんか?」 素頓狂な声を上げて背後を振り返る栗色の髪の女性に、車椅子を押す少女がばつの悪そうな顔で視線を逸らした。 「うん、今度は本体ごと……こう、中から何か生まれるみたいな勢いで、バキって――」 後半は開き直ったように身振りを交えながら状況を説明する少女に、車椅子の女性――八神はやては呆れたように嘆息を漏らす。 「……毎回術者より先にデバイスが音を上げるやなんて、一体どんだけ馬鹿魔力してんねん」 「やー、それ程でも……」 「褒めてへん、褒めてへん」 そんな馬鹿なやりとりを続けながら、少女ははやての車椅子を押して、管理局本局の広々とした廊下をゆっくりと進んでいく。 穏やかな時間だった。 ここ十数ヶ月は味わった記憶のない――そして最近はその感覚すらも忘れかけていた――のどかで平和な時間だった。 少女のデバイスは現在メンテナンスルームで修理中、ガンメンも格納庫で解体整備中である。 愛機を駆り敵陣に斬り込むか、愛杖を片手に砲撃を連発するしか能のないと豪語する少女は、その両方を取り上げられた今、久々に与えられた休暇を持て余していた。 自慢出来るようなことではないが、これまでの短い人生の大半を戦いに傾けていた少女は、一般的な余暇の過ごし方――正しい暇の潰し方というものを全く知らない。 途方に暮れる少女を見かねたはやては、自身の息抜きも兼ねて彼女を散歩に連れ出した。 そして、今に至る。 「グリフィスくんな、今度XV級新造艦の艦長やることになったんや。 名前はアースラⅡ、伝説の不沈艦アースラに肖って名付けたんやて。何や照れるわぁ。 エリオ達ライトニング隊も、クラウディアからそっちに移ることになっとる」 「へぇ」 「今年の公開陳述会、質量兵器の一部解禁とB級以上の管理外世界の管理世界への昇格が焦点になりそうや。 前者はガンメン、ちゅー限りなくグレーゾーンな兵器を主力にしてる時点で今更な気もするけどな。 当日の会場や街の警備はスターズ隊に頼もうか思うてる。ラゼンガンにも出張って貰うことになるかも知れへん」 「考えとく」 「来月頭には第97管理外世界のお偉いさん方との秘密会談、こっちの全権はクロノくんで、ウチも参加することになっとる。 議題は螺旋力関連の技術提供と地球の管理世界昇格、それを見返りに連合軍への参加と次元星戦参戦の要請。 こっちの都合で地球を巻き込むのはちと辛いけど、割り切らなあかんよね。地球出身者として、今回の悪巧みは絶対に成功させるで」 「頑張って」 一方的に喋るはやてに生返事を返しながら、少女は数ヶ月前の病室での会話を思い返していた。 XV級次元戦艦アースラの撃墜から数ヶ月が経過した。 重傷を負ったアースラクルーの殆どが職場復帰を果たし、新たな配属先で日々奮闘しているらしい。 しかし中には、その時に負った傷が元で退役や内勤への転属を余儀なくされたものも少なからず存在した。 目の前の女性――元アースラ艦長、八神はやてもその一人である。 アースラ最期の闘いとなったあの日、不沈艦が沈む最後のあの時、はやては敵の攻撃を生身で受け止め、クルーが脱出する時間を稼いだ。 艦全体を覆う巨大な防御陣を展開し、全方位から降り注ぐ敵の猛攻を耐え抜いた。 しかしその無茶によりはやての守護騎士の一人、融合騎リインフォースⅡは消滅、はやて自身も二度と空を飛べない身体になった。 わがままを押し通し、余りにも重い代償を背負わされる……世の中とは本当に、〝こんな筈じゃなかった〟現実に満ち溢れている。 退院後、管理局に復帰したはやては現場を引退、内勤職員として現場の仲間達をサポートする道を選んだ。 それが彼女にとって幸せであるか否かは少女には解らない、しかし過酷な運命に屈することなく今の己の持つ全力全開で戦い続ける道を選んだはやてを、少女は尊敬している。 だがら自分ははやての代わりに、はやてから翼と大切な家族を奪った奴等を徹底的に殺し尽くす……左右で色の違う少女の瞳の奥で、暗い炎が燃えていた。 エンキの光線が虚空を斬り裂き、グレンラガンのドリルが蒼穹を貫く。 その度に破壊された敵が爆破四散し、紅蓮の炎が空を鮮やかに染め上げた。 しかし空を覆う敵の軍勢は、一向に数を減らす様子を見せない。 「くっ、次から次へと……こうも数が多いと流石に面倒だな」 (回答。ガジェット・ドローンは〝ゆりかご〟内部の製造プラントで随時製造・補充される仕組み) 疲れの滲んだ声で呟くヴィラルの〝中〟で、ユニゾンしたリインフォースⅢが口を開く。 「聖王のゆりかご……あの顔無しのデカブツか」 リインフォースⅢの応答に、ヴィラルはクラナガン跡の中央に横たわる黄金色の巨大な方舟――次元戦艦〝聖王のゆりかご〟を見下ろした。 どこにも顔の見当たらない奇妙な艦から次々と吐き出される、楕円や球体をモチーフとした艦載兵器、ガジェット・ドローン。 火力自体は大した脅威ではないが、スピンバリアー弾を無効化するバリアは並大抵の攻撃では刀の切っ先もドリルの先端すらも通らぬ鉄壁。 必殺技の連発にエンキとグレンラガンは疲弊し、劣勢とまではいかないが厳しい戦いを強いられていた。 ミッドチルダの衛星軌道上に超転移した超銀河ダイグレンを待っていたものは、地球によく似た美しい惑星と、天上を廻る二つの月。 そして螺旋反応を察知し偽装解除した人類殲滅システムと、テリトリーへの侵入者を認め再起動した〝ゆりかご〟の自動迎撃システムによる二重の歓迎だった。 〝ゆりかご〟の苛烈な対空砲撃によりヴィラル達の降下に誤差が生じ、グレンラガンとは合流出来たが探索艇の消息は未だ不明。 敵襲を警戒し、ガンメンを出撃させた状態で大気圏突入したのが逆に仇となったのだ。 ミッドチルダ螺旋族とアンチスパイラル、敵対していた二つの勢力の遺した置き土産が、今はまるで共闘するかのように宇宙から地上から調査隊を追い詰める。 グラパール隊が軌道上でアンチスパイラルの残党を相手に奮戦するその頃、地上に降りたヴィラル達もまた孤独な戦いを続けていた。 「あのデカブツを何とかするのが先決か……グレンラガン、あのデカブツと合体して艦体の制御を掌握しろ。アレが止まればガジェットも止まる」 『了解』 ヴィラルの指示に通信ウィンドウに映る赤い髪の青年――ギミーが首肯し、グレンラガンが右腕のギガドリルを構える。 だが、その時、 『光速螺旋転移反応を感知! 二人とも気をつけて、何かがここに超転移して来る。大きさは……ダイグレン級!!』 薄桃色の髪の女性、ダリーの警告に、ヴィラルとギミーの顔に緊張が走った。 次の瞬間、ガラスが割れるような音と共に空間が歪み、まるで山岳のように巨大な影が姿を現す。 『うそ、だろ……?』 『あれは、まさか……!』 ギミーとダリーの愕然とした声が、通信機から流れ出る。 二人の動揺は当然のものだろう……かく言うヴィラル自身も、あまりの衝撃に声すらも出ない有様なのだから。 髑髏を思わせる不気味な顔、まるでハンマーのような左腕、そして大地を穿ちその巨体を支えるドリル状の両脚。 それはまるで――否、大きさこそ〝あれ〟に比べて遥かに小さいものの、その姿はまさに、 「テッペリン、だと……!?」 ヴィラル達獣人のかつての根城にして生まれ故郷、螺旋王ロージェノムの居城。 人間達はデカブツと呼び、獣人達は王都と讃えるアークグレンラガン級超巨大ガンメン、テッペリンそのものだった。 (警告。あれは墓守、〝ゆりかご〟を守護する独立支援ユニット) 「あれもあの顔無しの防御システムだと言うのか」 リインフォースⅢの報告に、ヴィラルは苦々しそうに舌打ちした。 たとえよく似た別物だと理性では解っていても、本能がこの巨大ガンメンに刃を向けることを拒絶している。 だがヴィラルを余所に、重厚な駆動音を轟かせながらテッペリンもどきが動き出した。 長い戦いになりそうだな……腹を括るヴィラルの〝中〟で、リインフォースⅢも表情を引き締める。 第二ラウンドの火蓋が、切って落とされた。 思い出すのは無限の大空、どこまでも続き広がる風と雲と光の世界。 魔力色の絵具を持ち寄り、三人で挑んだ蒼穹のキャンパス……だけど完成した「絵」は、いつの間にか涙で滲んでいた。 大空を舞い踊る四基の刃金の鳥――ブラスタービットを周囲に従え、少女は手の中の愛杖をくるくると回す……その左右にはもう一つずつ、別の誰かの影があった。 右手に漆黒の戦斧を携える黄金色の髪の女性と、騎士杖を右手に握り左手に魔導書を抱えた白金色の髪の女性。 どちらも少女にとって掛け替えの無い大切な存在であり、右手に握られる魔杖の〝かつての主〟も、親友として絶対の信頼を置いていた者達。 「スターズ1、中距離火砲支援……とゆーか一番槍、いきまーす!!」 緊張感に欠ける名乗りと共に少女が虚空を踏み締め、まるで長銃でも扱うかのように杖を水平に構えた。 足元に虹色の魔法陣が展開され、光の粒子が杖の先端に集束する。 「エクセリオンバスター」 まるで龍が火炎を噴くかのように魔杖の先端から光の奔流が撃ち放たれ、雲の壁を突き破りながら真っ直ぐに蒼穹を貫いた。 空を突き進む少女の砲撃を追うように、続いて黄金色の髪の女性が動いた。 砲撃の軌跡をなぞるように高速で敵陣に突入し、掌から雷撃の槍が無数に撃ち出す。 「行って、ブラスタービット」 少女の指示を受けた魔杖の分身――ブラスタービットが敵陣に突入し、変則的な軌道でバラバラに飛びながら確実に敵を撃ち落としていく。 更に四基のブラスタービットを制御しながら、少女は魔杖本体からも魔力弾を撃ち続ける。 「おー、大したもんやなぁー」 黄金色の女性の動きを妨げることなく、五つの砲台を駆使して巧みな援護を行う少女の技量に、傍らで呪文構築中の白金色の髪の女性が感嘆したように声を上げる。 「砲撃魔法は高町家のお家芸だから。これ位出来なきゃ、ママに顔向け出来ないよ」 「でもなのはちゃん家て確か剣道家やったよね、鉄砲は専門外ちゅーか寧ろ御法度ちゃうんか?」 無関心を装うように素っ気なく、しかし照れたように頬を緩ませながら応える少女に、白金色の女性は悪戯っぽい笑みを浮かべてツッコミを入れる。 ぴしりという擬音でも聞こえてきそうな程に見事に固まる少女に小さく笑みを零し、白金色の女性は呪文の最終段階に入った。 「詠唱完了……二人とも準備はええかぁ?」 白金色の女性の音頭を受けて黄金色の女性が飛び退くように敵群から距離を開け、少女もまた気を引き締めるように杖を握り直した。 「響け終焉の笛、ラグナロク……」 白金色の女性の前面に正三角形の、足元に円形の魔法陣が展開され、魔力の粒子を集束させながらゆっくりと回転を始める。 「雷光一閃、プラズマザンバー……」 黄金色の女性の周囲に金色の光の球体が顕現し、戦斧から変形した大剣の刀身に電光が迸る。 「スターライト・エクセリオン……」 呼び戻した四基のブラスタービット、そして手元の杖それぞれの前面に一枚ずつ、合計五枚の魔法陣を展開し、少女が魔力を充填する。 ビシリ……許容量を遥かに超える過剰な魔力供給に、魔杖の表面に亀裂が入った。 泣き叫ぶ愛杖の悲鳴を全身で聴きながら、それでも少女は力を籠め続ける。 そして――、 限界を超えた魔力負荷に耐えきれなくなったブラスタービットが、音を立てて爆ぜ砕け散り、 「「「トリプルブレイカー!!!」」」 怒号と共に撃ち出された三色の破壊の光が、敵の群れを跡形も無く消し飛ばした。 「……何や、懐かしいなぁ」 敵を一掃し、静寂を取り戻した空を見渡しながら、感慨深そうに呟く白金色の女性に、少女は「え?」と顔を上げた。 「うん……昔を思い出す」 懐かしそうな声で同意する黄金色の女性に、少女は困惑の色を強める。 「ウチとフェイトちゃんと、そしてなのはちゃんと……三人一緒の空なんて、きっともう無理やって諦めてた」 「ずっと三人一緒だと思ってた子供の頃、三人揃えば何でも出来るって信じてたあの頃……ちょっとだけ、思い出しちゃった」 少しだけ淋しそうに、しかしどこか嬉しそうに笑う二人に、少女に心境は複雑だった。 この二人の眼は自分を反射しているが、決して自分を〝見て〟はいない、 自分を通して、他の誰かを見ている。 その〝誰か〟は、少女にとっても大切な人で、大好きだった人で、ずっと胸の中で生きている強い人。 魂の半分を分かち合う、大切で大好きな憧れの人……だけどそれは決して自分では、少女その人ではない。 「ヴィヴィオはなのはによく似てるよ」 金色の女性、少女にとっては第二の母親とも言える優しい人の、何気ない一言。 決定的な科白だった。 ずっと追い掛けている背中と重ねられる、そのこと自体は悪い気分ではない。 だけど自分の中の、喪ってしまった人の面影だけに目を奪われ、肝心の自分自身を見てくれないのは淋しかった。 手をのばせば誰かの温もりを感じられる場所にいながら、それでも少女は孤独だった。 零れた涙は、晴天を滑り落ちるたった一粒の雨となり、無限の蒼穹の中に消えていった。 それは涙の味のするセピア色の思い出、三人で飛んだ最初で最後の空の記憶だった。 テッペリンもどきの戦艦級巨大ガンメン――墓守の機械仕掛けの双眸に光が灯り、圧倒的な熱量を孕む光の奔流がエンキとグレンラガンへと撃ち放たれる。 迫り来る敵の光線にエンキは鋼鉄の楯を、グレンラガンはドリルの傘をそれぞれ広げ……次の瞬間、二体の背中をガジェットの光線やミサイルが突如襲った。 テッペリンもどき参戦のインパクトで押され、その存在をすっかり忘れていた本来の敵の不意打ちに体勢を崩したエンキ達を、墓守の光線が正面から直撃する。 「がぁっ!?」 『うわっ!!』『きゃあ!!』 苦悶の悲鳴を上げながら吹き飛ばされる二体に追い討ちを掛けるように墓守がハンマー状の左腕を持ち上げ、そして勢い良く振り下ろした。 速度を増しながら迫り来る墓守のハンマー、視界一面を覆い隠すその巨大な「天井」を見上げ、エンキが頭頂部のリングに光を灯し、グレンラガンが右腕のギガドリルを構える。 エンキのリングが光る、煌めく、照り輝く。 グレンラガンのドリルが回る、周る、廻る。 身の丈の何倍にも膨張巨大化したグレンラガンのドリルが唸りを上げ、激烈な輝きを宿したエンキのリングの中心で光が弾ける。 そして――、 「エンキ・サン・アタック!!」 『『ギガドリルブレイク!!』』 気合いと共に同時に撃ち放たれたエンキの砲撃とグレンラガンの突撃が、ハンマーの天井を粉砕した。 「『俺達を誰だと――』」 爆発する墓守の左腕を背景に決め台詞を口にするヴィラルとギミー、だが二人の言葉は、横合いから鳴り響く風切り音によって掻き消された。 黒煙を突き破り、鋼鉄の三本指が二体のガンメンに迫る……あれは、墓守の右腕! 咄嗟に回避行動に移るエンキとグレンラガンだが、二体を取り囲むように隙間なく密集したガジェット達が壁のように逃げ場を塞ぐ。 横薙ぎに振り抜かれる墓守の巨大な右手が三本指を大きく広げ、進路上のガジェットを無慈悲に巻き込みながら二体に肉薄し――、 (報告。光速螺旋転移反応を確認、探索艇とパターン一致) 冷静に告げられるリインフォースⅢの報告と共に、ガジェットの壁をこじ開けながら二体の傍から突き出された〝もう一本の巨大な右腕〟が、墓守の右手を掴み引き千切った。 『おまたせ! ダイグレン、定刻通りにただ今到着よ!!』 「完全無欠の大遅刻だ!!」 通信ウィンドウに表示された厚化粧の男――リーロンの上げた名乗りに、ヴィラルは反射的に怒鳴り返した。 モニタースクリーンの側面を占領する、艦に手足を取り付けたような姿の巨大ガンメン――ダイグレン級戦艦ガンメン〝ダイグレン〟、二体と共に地上に降下し、そして消息を絶っていた探索艇である。 敵の増援を感知し、墓守が新たな動きを見せた。 髑髏を彷彿とさせる胴体部の顔が大口を開け、舌のように口内から突き出したカタパルトから艦載機が弾丸のように撃ち出される。 次々と発進するガンメン達、それらもまたヴィラル達にとって見覚えのある機体ばかりだった。 まるで毬栗のように鋭い突起に覆われたガンメン、キングキタン。 猿を模した顔に飛蝗のような脚のガンメン、キッドナックル。 バズーカ砲を背負った飛蝗型ガンメン、アインザー。 隣り合わせに繋がる双つの顔それぞれの口の中から腕を生やしたガンメン、ツインボークン。 頭頂部に髷型の飾りのある、ずんぐりとした体躯のガンメン、モーショーグン。 まるで兎の耳のような長い両腕をだらりと下ろした、ほっそりとした体躯のガンメン、ソーゾーシン。 かつて救世主シモンの駆るグレンラガンと共に地上を奪還し、十年前の最終決戦で隔絶宇宙に散った大グレン団のガンメン達が勢揃いしていた。 刃のように鋭利な手足を持つガンメン、ビャコウ。 目玉のような紋様の描かれた翼を両肩から生やしたガンメン、セイルーン。 まるで甲羅のように巨大な顔を逆さに背負ったガンメン、ゲンバー。 両足の爪で球形のバーニアユニットを握った飛行用ガンメン、シュザック。 十七年前、地上奪還のために戦う大グレン団を苦しめ、そしてグレンラガンのドリルに倒された人類掃討軍幹部のガンメン達が集結していた。 『あらあら、まるで同窓会ね』 「……いや、寧ろ夢か冥府の棺の中にでも迷い込んだような気分だな」 リーロンの皮肉に、ヴィラルはどこか開き直ったような面持ちで鼻を鳴らす。 墓守の口の奥から最後の艦載機、八重歯の鋭い真紅のガンメンが撃ち出された。 ギャンザ――かつて、それがあの機体の名前だった。 まだヴィラルが人類掃討軍として部隊を率いていた頃、小隊長機として螺旋王から賜ったカスタムガンメン。 しかし地上に出た人間達に鹵獲され、ギャンザは新しい名前と姿を得て生まれ変わった。 獣人からガンメンを奪った漢の率いる軍団の名を冠した真紅のガンメン、地上奪還の旗印。 その名は――、 「――なぁ、グレン」 ヴィラルの眼光が、モニタースクリーンに映る宿敵を射抜いた。 もしも、今この世界が夢であるならば……それは飛びきりの悪夢だろう。 「――ィオ? ……ヴィオ!」 「……へ?」 はやての声に、少女はふと我に返った。 手前の車椅子に視線を落としてみれば、はやてが心配そうな顔で自分を見上げていた。 「何や怖い顔しとるけど、どっか調子悪いんか?」 「え!? い、いや……別にそんなことないよ?」 慌てて取り繕う少女にそれ以上の追及をすることなく、はやては目の前の自動扉に視線を移した。 鋲で打たれた金属製の表札にはメンテナンスルームと書かれている、いつの間にかフロアを一周していたようだ。 「ちょーど良かった、ちぃとここに用事があったんや」 そう言って自力で車椅子の車輪を回しながら自動扉を潜り、メンテナンスルームの中に消えていくはやての背中を、少女は慌てて追いかけた。 少女のデバイスの完全修復には、もう少しだけ時間が必要らしかった。 修復ポッドに入れられた赤い宝玉を一瞥し、少女は先行するはやてを追って薄暗い部屋の中を足早に進んでいく。 メンテナンスルーム最奥部に設けられた小さな部屋、管理局の擁する一人の天才に宛がわれた個人的な工房が、はやての目的地だった。 「おや?」 客人の来訪に部屋の奥で機材を弄る白衣を着た黒髪の少年――この工房の若き支配者が、作業する手を止めて二人を振り返った。 眼鏡の奥から覗く金色の双眸が、電灯の光を受けて煌めく。 「これはこれは……ようこそ、はやて部隊長殿。そしてごきげんよう、愛しい聖王陛下――いや、今は螺旋王と呼ぶべきかな?」 仰々しい仕草で一礼する白衣の少年に、少女は聖王という単語に一瞬不愉快そうに表情を歪め、はやては苦笑しながら口を開く。 「こんにちは、スカリエッティ。首尾の方はどうや?」 「上々だ、君の案件は実に素晴らしかった……」 早速話の本題に入るはやてに、スカリエッティと呼ばれた少年はそう言って氷のような笑みを浮かべる。 「融合騎を一から創り上げるというのは、この身に刷り込まれたオリジナルの記憶を含めても初めての経験でね、中々楽しい工作の時間だったよ。 ちょうど今し方最終調整が済んだところだ、そういう意味でも君達は実にタイミング良くやって来た。完成した品はほら……あそこだ」 スカリエッティが指差した先――工房の中央に設置された作業机の上には、見覚えのある剣十字型のペンダントと、見慣れない大冊が置かれていた。 人工皮製の表紙に四本の角を生やした目玉のような趣味の悪い装飾の施された真新しい大冊は、恐らく魔導書型デバイスだろう。 そしてその傍らに置かれたペンダント、細い鎖に繋がれたあの金色の剣十字は――、 「はやてちゃん、それって……」 驚愕に目を見開きながら剣十字を指差す少女の言葉を黙殺し、はやては机上のペンダントを拾い上げた。 「待望のご対面やで……リイン」 はやての呟きに応えるように掌の中の剣十字が淡い光を放ち、まるで御伽噺の中の妖精のように小さな少女が顕現する。 これは、何かの夢だろうか……はやての掌の上に浮かぶ妖精の少女を映す己の双眸を、彼女を認識する己の脳神経を、少女は本気で疑った。 腰まで届く銀色の髪、横顔から見える大空のように澄んだ蒼い左眼――リインフォースⅡだ、リインフォースⅡがそこにいる。 容姿は死んだ筈の少女の友人、消えた筈のはやての家族が、しかし目に前で元気に動いて、飛んで、そしてはやてと喋っている! 今、ここに生きている……。 「リイン……」 呆然と呟く少女の声に反応したように、リインフォースⅡらしき少女が顔を向ける。 まるで鏡合わせのように喪った友人と瓜二つの顔に、しかし一つだけリインフォースⅡと違うところを少女は見つけた。 右眼だ――リインフォースⅡの右眼は左眼と同じ空色だったが、この少女の右眼は夕焼けのように紅い。 オッドアイ、自分と同じ……大好きな人の面影に混ざる自分との意外な共通項に驚きながら、少女は目の前の妖精が、消えた友人とは似て非なる存在であることを思い知った。 その時、リインフォースⅡによく似た少女が口を開いた。 少女の二色の瞳を真っ直ぐに見上げ、 「おはようございます、マイスターヴィヴィオ。私はリインフォースⅢ、貴方の楯」 はっきりと、そう口にした。 鳴り響く銃声が大気を振るわせ、轟く砲哮が大地を揺らす。 『うぅぅぅおおおおおおおおおおおおぉっ!!』 ギミーの気合いを共にグレンラガンの全身から無数のドリルが突出し、鼠花火のように不規則な軌道を描きながら四方八方に撃ち出される。 降り注ぐドリルの豪雨を掻い潜ったガンメン達の前に、白い影が立ち塞がる……エンキだ。 『死人は死人らしく土の中で眠っていろ!!』 ヴィラルの怒号と共に大口を開けたエンキの体内から幾つもの銃器が迫り出し、撃ち放たれた無数のミサイルが無人機の軍勢を呑み込んだ。 荒涼とした死と静寂の世界は、すでにその面影すらも消え失せていた。 吹き抜ける風は硝煙の香りに侵され、砂の海は鉄屑と鉛玉の山に埋もれている。 絶え間無く飛び交う銃弾の大群はまるで異常発生した蟲のように蒼穹を覆い隠し、ミサイルが雲のように空を流れ、光線が雨のように地上に降り注ぐ。 それはまるで宴だった。 埃塗れのおもちゃ箱から掘り起こされた絡操仕掛けのホスト共と、聖域に土足で踏み込んだ招かれざるゲスト達が全力全開でぶつかり合う、破壊と殺戮の宴だった。 襲い来る凶弾の猛威を耐え抜き、ガンメン軍団がガジェットを従えエンキ達に襲い掛かった。 数えきれない程の銃弾が、ミサイルが、光線が、たった二体の脅威を墜とす為だけに惜しみなく撃ち込まれる。 だが過剰苛烈とも言える敵の攻撃は、しかし一発とてエンキ達に届きはしなかった。 まるで天地が逆転したかのように地上から空へと降り注ぐ鋼の雨――ダイグレンの対空砲火による弾幕のカーテンが、撃ち込まれる敵の砲撃を相殺していた。 ダイグレン前面に搭載された九門の主砲、更に両肩と腰回りに設置された副砲が合計三十四門、その全てが一斉に火を噴き、空を覆うガジェットの軍勢を薙ぎ払う。 ずん……ダイグレンが一歩足を踏み出す度に、その圧倒的な質量に大地が震える。 周期的に地を揺るがすその律動は次第にその頻度を上げていき、止まぬ地鳴りに呑まれるように廃墟が次々と崩れ落ちていく。 ダイグレンは走っていた。 全身の砲門から休みなく砲弾を吐き出しながら、山岳を思わせるその巨体からは想像もつかぬ俊敏さで地を駆けていた。 『ホウチョウアンカー!!』 怒号と共に突き出されたダイグレンの舳先、まるで包丁のように鋭く幅広い衝角が、凶刃の如く墓守に迫る。 十七年前、四天王シトマンドラの駆るカスタムガンメンをその母艦ごと両断し、テッペリンの左腕を砕いてみせたダイグレンの包丁が、墓守の巨体を串刺しにした――否! 「……やるわね」 ダイグレンの艦橋がどよめきに包まれる中、リーロンが戦慄にも似た笑みと共に賞賛の言葉を呟く。 山をも切り裂くダイグレンの包丁を、墓守は食らいつくように上下の顎門で挟み受け止めていた。 包丁の表面に細かな亀裂が広がり、音を立てて砕け散る。 噛み砕かれた……物理的な意味でも精神的にもブリッジが衝撃に揺れる中、リーロンの双眸が不敵に光った。 「ミニサイズになっても、流石はあのテッペリンと言ったところかしら……でもね!」 コンソールを操作するリーロンの指先が流れるようにパネルを這い回り、入力された信号が光の速さで中枢システムに到達する。 瞬間、巨塔のようなダイグレンの両脚が大地を踏み締め、腰の捻りと共に振り出された鋼の拳が風切り音を轟かせながら墓守の左頬に突き刺さる。 体重の乗った見事な右ストレートだった。 だが墓守も負けてはいない……仰け反る身体を立て直し、途中から千切れた右腕をロケットのように垂直に打ち上げる。 カウンターで繰り出された墓守のアッパーカットがダイグレンの鼻面を抉り、真紅の巨体が破片を撒き散らしながら斜めに傾く。 踏鞴を踏み、倒れそうになる艦体を立て直したダイグレンが、両腕を矛のように墓守へと突き出した。 ダイグレンの貫手に正面から応じるように、墓守もまた壊れた両腕を正面に振り出す。 まるで力比べでもするかのように互いの手と手を正面から組み合う二体の戦艦級巨大ガンメン、そのパワーは拮抗し、互いに押しも引きも出来ぬ膠着状態に陥っていた。 だが、それで良い……リーロンの唇が薄く吊り上がる。 邪魔な墓守の動きは止めた、これで本命の〝ゆりかご〟に近付ける。 「オッケーよ、二人共! 遠慮なく征っちゃいなさい!!」 リーロンの発破に応えるように紅蓮色の閃光が空を貫き、墓守の脇を抜いて〝ゆりかご〟へと一直線に迫る。 『『グレンラガンインパクト!!』』 ギミーとダリーの怒号と共にグレンラガンの下半身がドリルに変わり、唸りを上げて高速回転しながら〝ゆりかご〟の巨大な艦体に深々と突き刺さった。 ドリルを通じて二人の気合いの力、螺旋力が〝ゆりかご〟の中に流し込まれる。 グレンラガン――正確にはその中枢であるラガン――には、合体したメカを支配する特殊機能が搭載されている。 その力は搭乗者の螺旋力に比例し、理論上では如何なる巨大なマシンであっても支配することが可能と言える。 保護プログラムの壁を次々と突破し、ラガンは順調に〝ゆりかご〟の制御システムを制圧していく。 猛毒のように〝ゆりかご〟を侵食する螺旋力が、遂に制御中枢に辿り着き――瞬間、まるで拒絶されるかのようにグレンラガンの機体が〝ゆりかご〟から弾き出された。 「そんな、ラガンの支配に打ち勝った……!?」 「こんなこと、初めてだよ……」 グレンラガンの二つのコクピットそれぞれの中で、ギミーとダリーが愕然と呟く。 ラガンの支配を撥ね退ける程の強力な〝ゆりかご〟の自己防衛プログラム……一瞬の接触ではあったが、そこには〝意思〟のようなものさえ感じられた。 もう一度だ……再びドリルを構えるグレンラガンの周囲を、墓守のガンメン軍団が取り囲む。 エンキ達の一斉射撃やダイグレンの集中砲火をまともに受け、ボロボロになりながらも未だに動き続ける鋼の巨人達は、まさに黄泉から迷い出た亡者と呼ぶに相応しい。 「こいつら……!」 邪魔な障害を纏めて薙ぎ払うべく、ギミーは操縦桿を握る両手に力を籠めた。 迸る螺旋力が血流のようにグレンラガンの全身を回り巡り、右腕のギガドリルに集束する。 「ギガドリル――」 ギガドリルを構え、必殺の一撃を放とうとするグレンラガンの前に、その時一体のガンメンが立ち塞がった。 他のカスタムガンメン達よりも一回り大きな体躯に、隣り合う双頭の口内から一本ずつ腕を生やした異形のガンメン――ツインボークン。 「あ……」 操縦桿を握る両手から――否、ギミーの全身から力が抜けていく。 記憶の蓋がこじ開けられ、溢れ出す思い出の濁流に意識が流され呑み込まれていく。 思い出すのは十年前、隔絶宇宙での敵艦隊との戦い……圧倒的な戦力差に母艦に逃げ帰ることしか出来なかった仲間達、絶望的な戦いを挑み笑いながら死んでいった先輩達。 そして傷ついた自分達二人を最後まで護り抜き、敵の砲撃の中に散っていった双子のガンメン乗り。 思い出してしまう、蘇ってしまう……彼らの最期の言葉が、自分達に託された彼らの遺志が。 ――ギミー、ダリーを守れ。 ――生きろよ、俺達の分も。 今でも耳の奥ではっきりと響く彼らの遺言、その科白の何と重いことか。 「ジョーガン、バリンボォ……」 両手が操縦桿から滑り落ち、コンソールの螺旋力ゲージが急速に落ちていく。 駄目だ……モニタースクリーンに映るツインボークンから視線を逸らし、ギミーは掌で顔を覆った。 たとえ偽物と解っていても、自分はジョーガン達と、大グレン団の皆と戦うことは出来ない。 完全に戦意を喪失し、ラガンのコクピットで力無く項垂れるギミー、その思いはグレンのパイロットシートに座るダリーも同じだった。 まるで電池の切れた玩具のように沈黙するグレンラガンを、ガンメン達の砲撃の光が呑み込んだ。 天元突破リリカルなのはSpiral 外伝「そんな、優しい夢を見ていた」(続) 前へ 目次へ
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コメント欄です 感想や応援メッセージなどをお気軽にどうぞ(無名コメントも可能です) more than meets the eye! コメントを作るのが流行っているようですので、私も作成してみました。 何でもご自由にどうぞ。 デストロン圧倒的にTUEEEEE!!!ブラックアウトやメガザラックでこれ程のものとなると、一体メガ様はどれだけ強いのか・・・ -- 名無しさん (2008-11-27 12 41 58) 毎回楽しみに読ませて頂いてます。映画版第二弾の予告編も公開されたことですし、これからの展開にも期待しています(なのは達とサイバトロンの共闘は早く見てみたい!!)。 -- 名無しさん (2009-02-03 16 16 23) 管理外世界に基地作ってしかも現地人が出入りしてるってどうなの? -- 名無しさん (2009-07-27 19 35 11) 更新ありがとうございます!ゆっくりでいいので続きを待ってます! -- 名無しさん (2009-08-04 01 14 43) オートボットvsディセプティコンの戦いが早く気になる -- 松本真 (2009-08-16 18 04 38) 超科学VS魔法!強いのはどちらか非常に気になります。 そしてこの物語面白すぎです! -- ナナシ (2009-08-25 22 28 02) 更新待ってましたよ!完結するまで頑張ってください! メガ様が暴れる姿を早くみたいです。 -- 名無しさん (2009-11-27 23 02 46) オートボット軍団無しかw 万年人員不足の管理局じゃどうしようもないですね、 驚いたのが異性人が居るのは書きにくいのでは?と思いました。 -- YUU (2010-01-18 02 26 20) バンブルビーはアリサの愛車になってるっぽいけど、どーやってミッドに行くんだろーか? -- 名無しさん (2010-01-22 06 08 12) メガ様の復活思ったよりずいぶん早いんですね。これからも楽しみにしています! -- 名無しさん (2010-01-24 16 22 33) 毎回変わったオリキャラが出て来るんですね、 元ネタは知らないのも多いですが、独特のこだわりが感じられます。続きも楽しみにしてます。 -- 名無しさん (2010-04-03 15 25 49) メガトロン様復活で突然テンションあがって来た。 映画版はともかく、声は脳内アニメ版吹き替え余裕だぜ。 -- 名無しさん (2010-04-30 10 08 03) 魔法少女スバル無双、始まってます -- 衝動物 (2010-05-01 00 16 40) アニメも始まったことですしこれからも楽しみにしています! -- 名無しさん (2010-05-12 01 59 21) ボンクラやダブルフェイス等、映画ではチョイ役に終わったキャラがしっかり救済されていてとても嬉しいですね。自分が大好きなジェットファイア(本作の呼び方ではスカイファイヤー)爺さんもこの調子で大活躍させてほしいですww -- 名無しさん (2010-06-25 21 14 58) 数か月間ずっと更新まってました!オートボット速く来てー! -- 名無しさん (2010-08-10 21 49 42) 思ったんだけど、管理局が掲げてる「質量兵器の排除」って、 デストロンから見たら自分達を皆殺しにするって言われてるのと同じなんだよな。 オートボッツが来ても、管理局は質量兵器がどうとか言って、彼らにも攻撃しかけそうだけど…。 -- 名無しさん (2010-08-24 00 56 42) ↑デストロンじゃなくてディセプティコンの間違いだった -- 名無しさん (2010-09-06 17 39 58) 映画版TFとなのはのファンである俺には最高のクロス作品です!! とりあえずスバルがボーンクラッシャーと張り合ってるってのが驚き・・・ まぁ、そうでもしないと管理局側の負けは決定だもんな、この戦力差(--;) アリサのバンブルビーがいつ活躍するのか楽しみです!! -- 名無しさん (2010-10-03 17 27 52) スタースクリームが次回大活躍しそうな予感。魔導士だけで何処まで頑張れるか、またオートボットは助けに来てくれるのか。個人的には来なくてもいいけど。 -- なに和 (2011-03-22 00 34 57) 更新をはやく(^-^)/ 続きをみたい -- か (2011-06-12 21 39 25) バンブルビーの活躍を今か今かと待ち続けております〜 -- 名無しさん (2011-08-23 03 41 56) 「オプティマスプライム見参!!」と思いきや「コンボイ」だった… 次回はオートボット(サイバトロン)軍団が「トランスフォーム!ロールアウトッ!!」するんですね? 果たして『オールスパーク』は何処に? -- 名無しさん (2011-11-02 08 40 27) 劇場版最終作「TFダークサイドムーン」のBD買いました。 シリーズを見て思うのは、「劇場版TFは皆脆過ぎる」でしょうか 何はともあれこちらの作品も応援しております -- 名無しさん (2012-01-06 21 41 26) コンボーイ!! -- 名無しさん (2012-01-30 12 20 39) 続きが気になります!! 更新何時頃? 最後に一言、 コンボーーイ!!! -- 名無しさん (2012-04-26 23 28 25) メガトロンに栄光あれ。 グロリアスメガトロン!!! -- ナス (2012-04-27 20 09 50) 更新されてたのに今きずき読みました。 ショックウェーブとかは出ますよね? 更新待ってますよ! -- 名無しさん (2013-03-19 03 34 24) 面白そうな小説発見!全部みた結果 面白い よく見れば更新が止まってるみたいだが しかし続きをお待ちしてまする! -- アカサタナの助 (2018-09-21 06 37 42) 気持ち悪すぎる 文章いきが中学イキって書いたみたいな恥ずかしさがある オタクがキモイと言うより、オタクに属してる人間って気持ち悪いんだなと思わせる作品 ほんと気持ち悪いし下手くそ こういうやつってつかいもしないのにあやたらと難しい単語だけ知ってるのがより気持ち悪い -- 名無しさん (2022-08-08 04 23 32) 名前 コメント ページに戻る