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『ゆっくり公民 ~カースト制~(後編)』 30KB いじめ 差別・格差 群れ 希少種 自然界 人間なし 3作目 後編 ゆっくり公民 ~カースト制~(中編)の続きになります 冬の間、大きく拡張したかなことさなえのおうちには、二匹以外のゆっくりの姿があった、らんとけーねである、かなこが頼み込んで一緒に冬篭りをしてもらう事にしたのだ。 これは次の春に向けて、かなこの群れを作るためにらんとけーねの知恵が必要だったからである、すでに成ゆっくりとなったさなえも話に加わり、四匹は群れの運営について話し合った。 かなこはこれまで群れに参加したことが無かったが、群れにいた経験のあるらんと「れきし」の知識のをもつけーねはそれをフォローできるゆん材であった。 最初に決めたのは、群れの階級制度である。かなこのはゆっくりの階級を3つに分けることを考えた。 頂点に希少種、次にこれまでに実証された能力の高い種であるまりさ種とみょん種、その下にそれ以外の種を置くことを決めた。それぞれの階級を「きしょうしゅ」・「せんし」・「へいみん」と呼び、上の階級のゆっくりが下のかいきゅうのゆっくりを指導し、下の階級のゆっくりは上の階級のゆっくりに服従する、これを掟とすることを決めた。 この話を聞いたけーねの発言により、この制度は「かーすと」と呼ばれることになる。 次に決めたのは群れの基本となる仕事についてである、これまでかなこのグループが成功させていたように、群れの中でゆっくりを種ごとのグループに分けて仕事を割り振り、群れの備蓄にする以外は公平に分ける、この方法を継続することになる。 その後、らんから普通の群れが掟としている、窃盗や暴力、殺ゆんなどに対する罰則が提案されるが、これについてはかなこに異存は無かった。 防衛についても現在のまりさ種とみょん種による訓練と見回りを継続し、再びの侵攻、最悪の場合ドスを含むものに対しては群れ全体を動員して迎撃に当ることにする。 最大の問題はゆん口問題だった、初期の襲撃ににより犠牲が少し出ているとはいえ、もともとこの辺りの森には居なかった数のゆっくりが集まっているのである、周囲に勢力を広げようとしても一方――山の見える方角――は襲撃者の群れが有ると思われる方角だし、反対側にもゆっくりの足でいける場所には限界がある。 このまま春になれば、群れのゆっくり達にも新しい番が生まれるし、春まで我慢していたすっきりーを行う番も出てくるだろう。 そうなれば待っているのは食糧不足からなる群れの崩壊である。 ならば、すっきりーを制限しようかと考えるかなこを止めたのはらんだった、 「すっきりーを制限すれば、群れのゆっくりの不満が爆発してしまわないか?」 「唯でさえ"かーすと"という一部の種によってはゆっくりできないものを認めさせるんだ」 これにはけーねも同意する、 「下のかーすとのゆっくり達もそうだが、まりさとみょんにも子供の居ない番が多い、すっきりー制限は危険だろう」 「あの、むれのみなさんに、おちびちゃんのかずをいっぴきにするようにおねがいするのはどうでしょうか……?」 冬の間の話し合いでも、結局この問題に対する対策は決まらず、さなえの提案くらいしか出てくるものは無かった。 これの解決法が出るには春まで待たなければならなかった。 そして多くのゆっくりが待ちわびた春、おうちの作った結界を取り外して外に出たかなこは、まだ少し肌寒い春の森を見回す。 周りの木からも声が聞こえ、越冬に成功したゆっくり達が外に出ようとしているようだ。 「おかあさま、いったいなにをしてらっしゃるんですか?」 背後からのさなえには笑みを返し、かなこは再び森を見回した、これからここに自分の群れを作るのだ、そう、とてもゆっくりしたゆっくりプレイスにしよう、かなこの決意は硬かった。 らんやけーね、さなえとも手分けをして、群れの中を見回るかなこ、今回の越冬の成功率は7割と言ったところで、決して大成功とはいえない、しかし野生においては決して低くない数字である。 なにより、かなこのグループにいたまりさ種とみょん種とその番はほとんど越冬を成功させていることから、さらにかなこの威光は高まった。 慌しく周囲のゆっくりを集めると、かなこは春の最初の狩りを行った、越冬で弱っているゆっくりも居る以上は、出来るだけ早く食料を集める必要があったのだ。 数日後、冬篭りの消耗から回復したゆっくり達が森の広場に集まり、その中心にはかなこの姿があった。 隣にらんとさなえを並ばせたかなこは、集まった群れのゆっくり達に宣言する。 「みんな、ゆっくりしていってね、これからこの群れの掟を発表するよ!」 そうして発表される「ゆっくり・かーすと」制度、ある程度は予想していたがその発表にどよめく群。 「まりささまのじつりょくなら、こんなものなのぜ!」 「みょんのぶゆうが、みとめられたみょん!」 納得し、ある意味当然という顔をしたゆっくり達、 「むきゅ、まりさたちのしたになるのね……」 「ありすは、とかいはよ、もっとうえにぐうしてしかるべきだわ!」 「わからないよー、ちぇんだってがんばっているんだよ!」 「なにいってるの、れいむは、とってもゆっくりしているんだよ!」 不満を漏らすゆっくり達、しかしそんなゆっくり達も、みょんとまりさという群れの二大勢力と希少種を従えたかなこには従わざるを得ない。 また比較的に頭の良いゆっくり達は、冬篭り前のかなこのグループの狩りの成果と、その施しを覚えていたため、一応は納得した。 続いて群れの掟が発表されてゆく、その中には盗みの禁止や殺ゆの禁忌といったゆっくり達にとってある意味当たり前のものが多かったが。 普段のゆっくり生活に大きく関わるのは、群れの「しごと」であった、この群れのゆっくりはその種により群れから仕事を割り振られることになり、そこから報酬を貰う事になる。 しかし、多くの群れで決められるすっきりーに関する掟がかなこの口から語られる事は無かった、そう、結局かなこ達はこの問題に関する解決を見出せなかったのだ。 群れのゆっくり達は希少種の下、種族ごとに集まり、群れの仕事をしていくようになった、大体の割り振りは以下の通りである。 希少種:群れの首脳部、各グループの指揮 みょん種:群れの警備、狩りの補助 まりさ種:狩りの主体 ぱちゅりー種:備蓄の管理(子供の世話予定) ありす種:群れのおうちの整備、どうぐの製作 ちぇん種:周囲の探索、遠隔地での狩り れいむ種:全体の補助 この方法は狩りや作業の効率化という形で群れに利益をもたらした、既にかなこと周囲のゆっくり達が行っていた狩での成果だけでなく、おうちの製作や道具の製作を複数のゆっくりで行うことで、製作スピードは数倍にも跳ね上がった。 森の一区画のにおうちをたくさん作り、そこに群れの備蓄を一括して集める計画も立てられ、ありす種とれいむ種による工事が行われだした。 しかし、とうとうかなこ達の恐れていた事が起きてしまう、すっきりーをするゆっくりが現れだしたのだ。 春になり番を作るゆっくりは多かった、しかし群れ全体で行動することと仕事により、多くのゆっくりはすぐに子供を作ろうとはしなかった。 これには様々な仕事に同行したさなえの説得も多いに効果があった、通常種の中では比較的頭の良いもの達もゆん口問題に気がついており、ある程度の自制もされていたのだ。 すっきりーをして、にんっしんしたゆっくりは、ほとんどがれいむ種だった、れいむ達はゆん口問題などには気がつかずただ「おちびちゃんはゆっくりできる」という信念の下に番を急かし、すっきりーに持ち込んだのだ。 もちろんその中には、にんっしんすれば辛い仕事――工事の穴掘りから逃れられると考えたれいむも少なからずいた。 この事態に頭を抱える希少種達、やはりすっきりー制限をするべきだったか、そう悩むかなこに救いの手(ゆっくりに手は無いのだが)を差し伸べたのは意外なゆっくりだった。 この一件の少し前、群れが成立して少し立った頃、群れに不思議な訪問者があった。 それは一匹のゆっくりちぇんで、この群れのほかのちぇんとは比べ物にならないほどの美ゆっくりであり、ピンとたった耳、スラリと伸びた尻尾の毛並みは美しく、汚れの見えない緑のお帽子にはキラキラと輝く飾りが付いていた。 なんと、このちぇんは群れに入れて欲しいと言ってきたのだ、かなこがこの群れのやり方とカーストについて説明してもその意思は変わらなかった、かなこは襲撃者の群れのスパイを疑ったが、らんの強烈な後押しもあり群れに加入したこのちぇんは普段の仕事においてなかなかの優秀さを示すことになった。 さらにこのキラキラちぇんは、らんからプロポーズを受けることになり、それを受けてらんの番となった。 こうしてかなこやさなえ、けーねといった、群れの首脳部の集まりにも顔を出すようになったのだ。 かなこは、らんがキラキラちぇんと番になったと聞いたときは驚いたが、話をしてみれ驚かされる事になる、キラキラちぇんの見識は、らんやけーねといった希少種にも劣らないものだったからだ、この群れに来る前の事は話そうとはしないが、様々な知識と体験談は貴重であり、かなこの相談にも乗るようになる。 そんなキラキラちぇんに、かなこはすっきりー問題について相談を持ちかけてみた。 かなこにしてみれば、何かきっかけにでもなればとした相談で、大きな収穫を得ることになる。 「にゃぁ、かーすとの差をもっと分かりやすくするべきだと思うよー」 「すっきりーはゆっくりの本能だよー、禁止したってやるゆっくりはやっちゃうよー」 「だから、すっきりーを自分で抑えないとゆっくりできなくすればいいんだよー」 キラキラちぇんの提案は以下のようなものだった。 子ゆの増加による食料問題は、この群れが全体ではなく家族ごとの越冬スタイルであるため、自己責任になる。 現在の仕事の報酬の分配はほぼ平等だが、これにカーストで差をつけるべきである。 カーストの上下の徹底、上のゆっくりの命令には逆らわせないこと。 ゆっくりの番は基本的に異種である、この場合番の間でカーストが異なることが出るので、これは高いほうに合わせる。 その代わり、番になるけっこんっの際に番のカーストの差によって群れに税を納めさせる。 この提案はかなこにとっても良いものだった、狩りの成果の分配は平等にしてきてしまったが元々、種族による能力差に合わせるつもりでもあったし。 番の間でのカースト差による問題などは意表を付かれた。 そして、最後にキラキラちぇんが語ったすっきりーの制限法にかなこは目から鱗が落ちる思いだった、さらにその方法なら群れに優れた種が増えることにもつながる。 この掟はすぐに群れへ通達され、ゆっくりの間に波紋を広げることになる。 掟を提案したキラキラちぇんについては、らんとの間のカースト差から莫大な税がかかる事になったが。 番のらんがすさまじい勢いで狩りを行い、なんと数日で税を納めることとなった。 この掟に反発するゆっくりも多く居たが、自分のカーストを上げられると言われると、番を急かして税を納めた。 もっとも割を食う形となったのはゆっくりの中に最も多いと言われるまりさとれいむの番だが、狩りの報酬がカーストを含む能力別になった事により、なんとか税を納めることに成功した。 しかし、群れのゆっくりは知らなかったのだ、この掟に含まれる毒に、その毒が姿を現すの次の春になる…… それからしばらくして、群れに変わったまりさが訪れた、大きなスィーに乗り、後ろに袋を積んだまりさは、自分を「ちょうたつや」のまりさと名乗った、話を聞いてみると食料と引き換えに様々な物を用意してくれるゆっくりだそうである、 「そうか行商人のような物か、つまり商人だな」 こんなけーねの言葉によりこのまりさは商人まりさと呼ばれる事になる、かなこに許されたこの商人まりさは群れに出入りするようになるが、なかなか便利であった。 どの様に手に入れているのか、ゆっくりにとっては薬にもなる貴重なあまあまを持っていたし、ゆっくりの傷を消すことが出来る粉は、非常に貴重なものであると群れのえーりんが太鼓判を押した。 群れのゆっくり達も、少しながらあまあまが入る事を喜んだし、この商人まりさは情報も買っていたのだ、群れの周囲のこと、どんなゆっくりが住んでいるか、他に知っている群れ、それらの情報と引き換えに、惜しげもなく食料を提供するこのまりさは群れに歓迎されることになる。 かなこも話をしてみると、かなこの思想にも一応の興味を示したし、他の場所で希少種と会ったらこの群れの事を伝えると約束してくれた、また群れの希少種の事についても聞かれた。 そんな風に順調なかなこの群れであったが、問題が起きたのは春の終わりの事だった、以前のすっきりー事件の時ににんっしんして出産を済ませたれいむ達が一斉に不満を並べだしたのだ。 梅雨が近いこの時期は群れは梅雨を越えるために狩りに力を注いでおり、ゆっくり達にも各自で備蓄を作っておくように注意がされていた。 これによって食料が不足しだしたのが子持ちの番であった、出産したゆっくりはれいむが多く番が群れにけっこんっ税を払っていたこと、赤ゆっくりは群れが預かってくれるといっても、子ゆっくりと離れたがらないれいむ達が仕事に出なかったこと、が重なった上に、多くのゆっくりが梅雨用の備蓄をを作り出した事から周囲の援助を受けられなくなった事が原因だった。 れいむは不満だった、こんなにゆっくりしている、れいむのごはんが足りないのだ。 「おかしいよ、れいむこんなにゆっくりしているのに!」 何故だ、群れの狩ではあんなにごはんが採れているのに、それならとってもゆっくりしたれいむと、そのおちびちゃんにはたっぷりのごはんが用意されるのが常識ではないか。 番のまりさも不甲斐ない、こんなにゆっくりしたれいむがすっきりーしてやって、こんなにゆっくりしたおちびちゃんを産んでやったのにあれ以来、時々非難するような目を向けてくるのだ。 そもそも、この群れがおかしいのだ、かーすとだかなんだか知らないが、ゆっくりしているゆっくりが偉いなら、このれいむ様と同じれいむが一番ゆっくりしているに決まっているではないか、それをあんな狩しか出来ないようなまりさと、棒っきれを振り回すしか能の無いみょんが偉いなどと、頭の餡子が腐っているに決まってる。長やその周りのゆっくりも変なのが多い、なんてゆっくりしていない群れなんだ。 眠っている赤ゆっくり達に目を向ける、そうだおちびちゃんの為になんとかしないと…… 「だって、れいむはおかぁさんだからね!」 そんなれいむのおうちに一匹のゆっくりが入り込んだ。 そうして、溜まった不満から群れのれいむ達によるクーデターが起こった、集まって不満を叫んでいたれいむ達は群れの食料庫に向かうと、その場に居たぱちゅりーを追い払い、食料庫の結界を破ると中の食料をむさぼりだした。 「ふは、うっめ、まれまじうっめ!」 「これは、いだいなれいむさまがたべてあげるよ、かんしゃしてね!」 「さぁ、おちびちゃんおかあさんがとってきたごはんだよ、ゆっくりたべようね!」 「「「「「「むーちゃむーちゃ、おいしいんだじぇ!」」」」」」 「ぽんぽんいっぱいになったら、うんうんするよー、すっきりー」 狩に行っていたかなこと、それに従うみょん、まりさ達が急報を受け戻った時には食料庫はあらされ、うんうんがまきちらされ、なすび型になったれいむ達が眠っているという信じられない光景が広がっていた。 「あんた達、これはいったい何のまねだい!」 寝転んでいるれいむの一匹に詰問する。 「ゆ、おさ、なんなのれいむはゆっくりしていただけだよ!」 「れいむのゆっくりをじゃまするなんて、おさはゆっくりしてないね!」 寝ぼけていたところを叩き起こされ、不機嫌そうに答えるれいむ。 他のれいむ達ものろのろと起き出すと、そのれいむに同調して文句を言い出す。 「おさが、れいむをゆっくりさせてくれないから、じしゅてきにゆっくりしていたんだよ!」 「れいむは、もっともゆっくりしたゆっくりなんだよ、それがわかってるの!」 「ぷぷぷ、れいむのいだいさががわかったらあまあまもってきてね、すぐでいいよ!」 「「「「「「おかぁしゃん、きゃっこいー!」」」」」」 「おちびちゃん、まっててね、すぐにこのどれいにあまあまもってこさせるからね!」 無言でオンバシラを呼び出したかなこは、それを地面に叩きつける。 ドスンという大きな音が響き、周りのまりさやみょんも、一瞬すくみあがる。 「ゆゅ!!!」 この時、れいむ達は自分の目の前に居るものの力に気が付いた…… 「それで、この一件の首謀者はいったい誰なんだい?」 れいむの集団を睨み付けるかなこ、怯えだしたれいむ達のの視線が奥に居た一匹のれいむに集中する。 かなこの視線もそれを追い、睨まれたれいむがそれに気が付く。 「ゆ、なにをいってるの、みんな、いまこそかなこにれいむいだいさをおもいしらせるんだよ!」 「みょんやまりさなんてめじゃないよ、とつげきだよぉー!!!」 大半は凍った様に立ち尽くすが、扇動された一部のれいむが、かなこ達に向かって突撃する。 「ゆっくりしないでしね、ゆ、ゆびぃ!」 「ゆぎぃ、いたいいたいよ、やめてね!」 「ゆー、ゆびぃ、ゆ、ゆ、ゆ……」 そうしたれいむは、みょんの反撃を喰らう。 「なにをしてるんだぁ、みんなでいくんだよ、はやくしろ、れいむのめいれいをきけぇ!!!」 大声を上げる、首謀者れいむ、そこに無言で近づいたかなこのオンバシラがれいむを吹き飛ばした。 「ゆぶぅ……ゅゅゅゅ……」 吹き飛ばされた先で痙攣する首謀者れいむ、かなこはまりさとみょんに、反乱を起こしたれいむを捕らえて広場へ連行するように指示した。 それとは別に場所に、首謀者れいむを運ぶことも合わせて…… 広場に集められてれいむ達、いったい何が起きるのか、不安そうな顔をするもの、不満げな目を向けるものも、周囲を囲み木の枝を向けたまりさとみょんには何も出来ない。 一部、番のまりさやみょんに呼びかけるれいむも、番が周囲の白い目に沈黙すると黙ってしまう。 仕事に行っていた他のゆっくり達も、一体何が起きたのかと集まりだす、ちぇんを率いて群れの遠くまで行っていたらんが戻った時には、群れの広場には、群れの大半のゆっくりが集まっていた。 広場の中心に来たかなこによって発表される、れいむの反乱、最初は驚いていたゆっくり達も、れいむ達の所業――食料庫荒しが公になると、一斉に非難の声を上げる。 「まったく、れいむはゆっくりしていないのぜ、まりさたちのがんばりがむだになったのぜ!」 「むきゅ、ぱちぇはまえかられいむはいつかやるとおもっていたわ!」 「まったく、ぬすみぐいなんて、おちびちゃんじゃなんだから、まったくれいむはとかいはじゃないわ!」 かなこから発表された罰は、群れの掟によって窃盗の罪により、おしりぺんぺん2回であった。 罰の軽さに不満の声を上げるゆっくり達、続けて発表されたのは彼らの予想を超えたものだった。 「みんな、れいむ達は今回の様に、とてもゆっくりしていないわ、よってれいむ種のかーすとをひとつ下に、"へいみん"の下にする!」 れいむ種が群れの最下層になった瞬間だった、文句を言おうとしたれいむも周囲の白い視線に押しとどめられる、こうしてれいむ達の反乱は、彼らの地位を落とす結果となり終結した。 れいむ達のカーストは便宜上「ゆっくりしていない」と呼ばれるようになる…… かなこは、群れの外れ、首謀者れいむを捕らえた場所に一匹で赴いた。 あんよを傷つけられ転がされたれいむを、二匹のみょんが油断無く木の枝を突きつけた見張っている。 見張りのみょんに労いの言葉をかけて返すと、かなこはれいむに向き直った。 「ふぅ、反乱の首謀者がまさかお前だとはね……」 「ゆぎぃ、れいむはわるくないよ、ぜんぶかなこがわるいんだよ!」 このれいむ、なんとあのさなえの親れいむであった。 あの時、かなこに殴られたことを恨みに思ったれいむは、かなこのグループとは別の勢力の体の大きなまりさに取り入り番となる、まりさを長にして、かなこをせいっさいするよと暗い情念を燃やすれいむ。 しかし、そのまりさは襲撃の報を聞いて飛び出したものの、自分達より明らかに多い、襲撃者に怯えると、戦いを放棄して逃げてしまい、勢力のゆっくりからの信頼を失ってしまう、逆にこの襲撃を跳ね返したかなこのゆん望は上がるばかりであった。 れいむは歯噛みする思いだったが、そのまま冬に入ってしまう、蓄えた食糧とまりさで冬を越えたれいむは、春になりかなこの群れが立ち上がると、手出しが出来なくなってしまう、しかし群れのれいむ達に長への不満が出ていることに気が付き、そんなゆっくりをそそのかして反乱に持ち込んだのだ。 「私は間違っていたよ、こんな最低のゆっくりでも、あのさなえと餡子がつながっていると思って、生かしておいたんだからね……」 抑揚無く呟くかなこ、その横に振り上げられる二本のオンバシラ、 「かなこは、ゆっくりしね、ゆ、ゆぎぃ、ゆ、ゆるいしてね、ゆるしてね!」 振り下ろされる一本、 「ゆぎぃ、いじゃいぃぃぃ、やめてね、やめてね!」 そちらが振りあがり、もう一本が振り下ろされる、一撃で潰さず、左右から少しづつ叩かれてゆく、 「ゆびびび、ぎぎぎぎ、ゆひ、ゆひ、ゆひ、ゆろそて!」 喋れなくなったレれいむに、叩く二本のオンバシラの速度が上がる、何かを叩く音が止んだ時、その場に残っていたのは黒いミンチであった。 オンバシラが消えるとかなこは呟いた…… 「まったく、れいむはゆっくりしていない、他のゆっくりと一緒にしたのが間違いだったよ……」 そうすると反乱を起こしたれいむ達を裁くべく、群れの広場へと向かった。 長のおうち、もともとかなこのおうちだったこの木の洞は前の冬の拡張工事を経て、群れの中でも特に大きな物になっていた。 そのために希少種達、首脳部の仕事のための場所として利用される様になってしまう。 希少種だけでなく群れのゆっくりが絶えず出入りをするため、ゆっくりとしているおうちでは無くなってしまったのだが、それを謝るかなこにさなえは。 「だいじょうぶです、おかあさま、にぎやかになってとってもたのしいです、さなえはゆっくりしています!」 と答えたが、一人立ちに向けてか、こっそりおうちを作っているのもかなこは知っていた。 さなえの成長を喜ぶ反面、寂しい気分になるかなこ、その気持ちを振り払うかのように群れの運営に注力する。 そんなかなこの元には群れの様々な報告が集められていた。 食料の備蓄状態、おうちの整備、群れのゆん口。 あの反乱事件の後、なんとか梅雨を乗り越えた群れのゆっくり達、夏になり再び群れの備蓄は充実した。 このころ、れいむ種以外の番でもすっきりーをする番が出始めるが、長のかなこが越冬の自己責任を通達するとその数もある程度で収まった。 今、かなこの前に報告されているのは、群れの外に向かって探索を進めている、ちぇん達によって上げられている報告である。 何処そこにはよい狩場があった、あそこの木は高いところに実が成っている、群れに以外のゆっくりが住んでいる集落を見つけた、あそこには希少種が住んでいるようだ、大きな川さんを見つけたがわたれなかった、などという実用的な情報から。 こっちの森でれみりゃの影を見た、いや大きなれいむが居た、ゆっくりの何倍もある鳥さんが居たなどという不確かなものまで……多種多様である。 そんな中でも最大のものは、隣の群れのゆっくりと接触できたという点である、かなこの群れから見て山の見えるほうにある群れは、例の襲撃を行っていた群れである。 警戒していたちぇんだが、隣の群れのゆっくりも話が通じないわけでは無い、何度かの交流のあと、意を決して使者を送るかなこ、使者に決まったのは、あのキラキラちぇんであった、泣いてとめるらんを振りほどいて隣の群れに向かったキラキラちぇんの成果は莫大なものだった。 隣の群れは、やはりドスまりさに率いられた群れであるらしい、あのお飾りの無いゆっくり――となりの群れでは「どれい」と呼ばれる――を使っている群れで、そのためのゆっくり確保のために侵攻を繰り返して居たらしい。 ただしドスの方でもかなこの群れのように大きな群れと事を構える気は無いとかで、お互いに手出しをしないという協定を結べそうだとキラキラちぇんは語った。この頃、あの商人まりさもドスの群れへ向かったらしいが群れのゆっくりとトラブルを起こしたとかで、それに対する文句をかなこの群れで言っていた。 「まったく、この調達屋まりさに手を出すなんて、ゆっくりしていない群れなのぜ!」 この一件はドスの意向では無かったのか、この年の秋には、かなこの群れを通してドスの使者が商人まりさの元を訪れ謝罪し、商人まりさは再びドスの群れに向かうことになる。同じ時期に隣の群れとの相互に手出しをしないという協定も結ばれた。 かなこにとっても嬉しい出来事があった、ある日さなえがかなこの元を訪れると。 「あの、おかあさま、さなえは……その、すわこさまとずっといっしょにゆっくりすることにしました!」 と伝えた、群れの仕事で長のおうちを訪れる、すわこと恋仲になっていたようだ。 祝福するかなこや群れの希少種達、 「さなえ、良かったね、幸せになるんだよ……」 祝福するかなこの目に涙が光った。 様々問題を解決してきた、かなこの群れ冬への準備も成功し、この年の越冬の成功率は9割を超える事に事になる。 そしてその次の年の春、群れには大きな問題が持ち上がった。 それは「けっこんっ」問題であった、昨年キラキラちぇんが提案し、かなこが決めた群れのすっきりー対策がここで効いて来たのである。 この問題は、昨年生まれたおちびちゃん、子ゆっくりが成ゆっくりに成長し、一人立ちしようとした所で発覚した。 この群れの掟では「けっこんっ」つまり、番を作る時に群れへの税を納めなくてはならない、番の間でカーストの差が有れば大きくなるこの税は、まだ成体になったばかりのゆっくり達に集めるには辛いものだった。 この群れでは狩などは共同で行う「しごと」であり、そこから能力とカーストに応じて分配される形式である。 成ゆっくりに成ったばかりのゆっくりでも食事には困らないが、税として納めるだけの余剰は存在しない。 仕事の無い自由時間に集めるのは許されているがそれでも若いゆっくりが集められる量には限界がある。 このころ、カーストの上下が徹底されてきたことにより、この税は低カーストの方が納める事になる。 当然、税を払えない若いゆっくり達は親に助けを求めた、かわいいおちびちゃんのけっこんっのためにと、走り回るゆっくり達、一匹のまりさが番になるれいむに、 「ぜいだけじゃないのぜ、これでれいむも"せんし"ゆっくりになれるんだから、まりさにもおくりものをするのぜ!」 と贈り物を要求したことから、贈り物の慣習まで出来てしまう、さらに重圧のかかる親ゆっくり達。 こっそりと群れに隠れて番になったゆっくりが制裁されたことも手伝う、番を作れない子供達からの視線も痛い。 群れの中でも特にこれが重圧となったのは、昨年蓄えた食糧に余裕があると思い、すっきりーして子供を多く産んでしまった番と、考えずに子供を産み、カースト最下層となったれいむの番達であった。 こうなると、頭の良いゆっくり達は自分で対策をするようになる、産むおちびちゃんの数は減らす、植物性にんっしんの場合間引きを行い産むおちびちゃんの種を限定するなどである。 若いゆっくり達も親からこれを厳命される事になる。 とあるゆっくりのおうちでは、 「やめてね!まりさ、れいむにのおちびちゃんをころさないでね!」 「しかたがないのぜ、れいむ、"れいむ"のおちびちゃんがこんなにいたら、らいねんはっさんしてしまうのぜ!」 「むきゅ、しかたがないのね……」 「ごめんなさん、おちびちゃん、こんなのとかいはじゃないわね、でもおとうさんもおかあさんも、にひきがげんかいなの……」 もちろんゲスな親も存在する 「おかあさん、なんで、なんでれいむをおいだすの?」 「いたいよぅ、やめてね、やめてね!」 「うるさいよ、まりさのところにおよめにいくぜいっなんてはらえるわけないでしょ!」 「おちびちゃんたちは、ひとりだちしてじぶんであつめてね!」 「「そ、そんなにゃー!!!」」 「ゆ、それならいい方法があるのぜ、れいむのおちびちゃんを……ゴニョゴニョ」 「あまあまと、ゆー……わかったよそれでおねがいするよ」 こうして群れのゆっくり達は自分達で対策を考えるようになる、特にれいむ種の子ゆっくりや赤ゆっくりを持て余した番から別の群れで働いてもらうと言って、商人まりさがゆっくりを買い取る様になったのもこの頃からである。 成功したすっきりー対策とは別に、希少種達にも悲劇が起きた。 「ゆぅー!どうしてですか、どうしてなんですか、さなえのおちびちゃんも、すわこさまのおちびちゃんもきのうまでいたのに!?」 「あーうー!?」 「ちぇぇぇん、おかしいぞ、らんとちぇんのおちびちゃんが居なくなっちゃたぞ!?」 「うがぁぁぁ……もこうとけいねのおちびちゃんが!?」 「落ち着くんだもこう、もしかしたら迷子になっただけかもしれん、落ち着いて探すんだ、きっとこの帽子の中とか!?」 「てんこのおちびちゃん、でてきてねぇ!ほうちぷれいなんておちびちゃんにははやすぎるわぁ!!!」 群れがひと段落つき、すっきりーをする様になった、希少種の番、その間に生まれた赤ゆっくり達が突如として消えたのある。 ある日の夜、群れで一斉に事件は起きた、生まれた赤ゆっくりは自分ではほとんど動けないはずなのに、煙の様に消えたのである。 希少種達からの涙の訴えを聞いたかなこは、まりさ、みょん、ちぇんを総動員して、周囲を探索するがその痕跡すら見つからない。 ぱちゅりー達の行った群れの中の調査では、希少種以外にも、数例おちびちゃんの消えた事例が見つかるが、赤ゆっくりも犯ゆんの痕跡も何も見つからなかった。 そして、群れの中では「かみかくし」と呼ばれ恐れられる様になるこの事件は、希少種達に大きな悲しみを与えることとなった。 この頃、群れの中でこの事件は、ゆっくりできないれいむ達による逆恨みからの犯行という噂が流れる。 カーストが徹底されるようになり、最下位で不満にあえいでいたれいむ達はけっこんっ税の恨みからこの噂を否定しない。 「いいきみだね、きしょうしゅだからっていばっているからだよ、てんばつだね!」 れいむ達は昨年の反乱の恨みが、まだ群れのゆっくりの残っていることを知らなかったのだ…… 当初は冷静に噂を押しとどめようとしたかなこも、れいむ種の態度とさなえの涙により怒り心頭となる、 れいむ種のカーストは「どれい」となり、他の種によってれいむ達は迫害されるようになっていく。 梅雨を乗り越えた夏、すっきりーをした希少種の番に襲い掛かる悲劇、なんと神隠しが再び起こったのだ。 混乱に陥り、ゆっくりできなくなる希少種達、群れの首脳部、かなこはそんな番たちを慰めると、再度神隠しの調査に乗り出すことになる。 頭の冷えたかなこは、もはやれいむ達、低カーストのゆっくりによる犯行だとは思っていなかった。 夜におちびちゃんが消えていることを鑑みて、捕食種の犯行との推理から、群れの周囲で捕食種を捜索することになる。 赤ゆっくりを失ったショックから、気落ちしているらんに代わって、ちぇん達を率いるキラキラちぇんによって、群れの周囲数箇所にれみりゃの巣が発見され、かなことみょん達による昼間の襲撃で撃破されるものの、神隠しの証拠になるような証言、証拠が発見されることはなかった。 そんなある日、かなこは赤ゆを失い、悲しんでいるであろうさなえを慰めるため、さなえとすわこのおうちを訪ねた。 狩の途中で見つけた、美しい白い花と、商人まりさから購入した取っておきの、小さくて色とりどりのきれいなあまあまを携えておうちの中へ入ったかなこは、おうちの中にさなえの姿を見つけて恐る恐る声をかける。 「さ、さなえ、ゆっくりしているかい……?」 落ち込んでいると思ったさなえは、くるり、とかなこに向きかえると、朗らかに答えた。 「おかあさま、ゆっくりしていってください、さなえはゆっくりしていますよ!」 そのさなえの様子に驚きを隠せないかなこ、 「さなえ……その、おちびちゃんのことは…「おかあさま!さなえのおちびちゃんは、とてもゆっくりしたおちびちゃんでした。おちびちゃんは、そのしんこうにより、もりやさまのもとへむかったのです!」 「おちびちゃんたちは、きっといまもりやさまのもとでゆっくりしているにちがいありません!」 さなえの剣幕に驚くもの、さなえが元気を取り戻したならなにより、この時、かなこはそう思っていた。 この日からさなえは変わった、落ち込んで家に閉じこもっていたのが、群れの中を回ると赤ゆを失って悲しんでいるゆっくり達に「きしょうしゅのおちびちゃんは、とてもゆっくりしているので、もりやさまのもとでゆっくりしている!」と話して回った。 これによって立ち直ってくる希少種達、これは良い傾向だと考えるかなこの後押しを受け、さなえは群れの中に「しんっこう」を広めてゆく事になる。 夏の二度目の神隠しから立ち直った群れに、新たな問題が起きたのはその年の秋のことだった。 けっこんっ税によりすっきりーを、ある程度自重するようになった群れのゆっくり達、しかし、禁欲のストレスからか一部のありすがれいぱー化したのだ、もっともこの事件で被害は出なかった。 れいぱー化してまりさを襲うありす達、しかし狩りから戻ったまりさ達は集団であり、訓練されたゆっくりであった。 瞬く間に取り押さえられ、きょせいされてしまうありす達、ぺにぺにを失い大人しくなってしまったありすを被害ゆが居なかった事もあり、かなこが罰する事はなかった。 もう一つは、またもや起きたれいむ種の反乱である、群れのゆっくりから、どれい扱いされ不満をためたれいむ達が長のおうちを襲撃したのだ。 かなこは不在だったが、この事件はみょん達によりあっという間に鎮圧される、なんとこの時、みょん達を指揮したのはさなえであった、さなえの「しんっこう」はみょん達にも広まっていたのである。 「れいむさん、あなたたちどれいゆっくりは、とてもゆっくりしていません、しかし、もりやさまをしんこうし、きしょうしゅたちにつくすことによって、つぎのゆんせいではきしょうしゅとしてうまれることができるのです!」 さなえの取り成しによって、軽い罰でれいむ達は許される事になる。 この時、かなこは一つの危機感を抱いた、この二つの事件はどちらもまりさ種とみょん種で解決できてしまった。 何故か発生する神隠しにより、おちびちゃんが増えない希少種、このままでは希少種ではなく、まりさとみょんが群れの主導権を握ってしまうのでは無いだろうか。 何としても、神隠しを解決しなくては。 冬篭りの間も、次の春に向け、神隠し対策を考えるかなこ、一匹になってしまった長のおうちは、おふとんの中でも何故か寒かった。 新たなる春、ピリピリとしたかなこをよそに、新しい番が生まれ、すっきりーが行われる。 希少種の番に厳重な警備を敷くかなこ、そんな努力をあざ笑うかのように、三度起きる神隠し。 しかし、今回の神隠しは今までのものとは違った、どの番にもおちびちゃんが残ったのだ。 神隠しにより消えてしまったおちびちゃんを悲しんだ番も、残ったおちびちゃんに安堵する。 さなえのしんっこうが広まったことにより、消えたおちびちゃんは、とてもゆっくりしたところへ行ったのだと、だから残ったおちびちゃんもゆっくりさせてあげよう。希少種達に明るさが戻った瞬間だった。 さなえは番のすわことは春に入ってもしばらくはすっきりーをしなかった、群れのゆっくりに、しんっこうを広める事がさなえのゆっくりになっていたのだ。 今日も群れの希少種やその子供たちに向けてさなえはしんっこうを広めている、それを見守るかなこ、始めはさなえにもおちびちゃんを作るように勧めようかと思ったかなこだったが思い直した。 これでいい、これでいいのだ、さなえがゆっくりしていれば…… 後書き 勢いで続いた、CivⅣ労働制度ネタ第二段になります。 何故か思った以上に長くなってしまいました、読んで頂いた方にはお礼申し上げます。 また前作anko2703 ゆっくり公民 ~奴隷制~に対して様々な感想、指摘、注意など有難うございました。 最後にドスの群れが生き残ることについて、ゲスの群れが制裁されなかった為にゆっくりできなかった方、申し訳ありません、今回も群れは存続してしまっています。 基本的に、群れの制度によりいじめられるゆっくりを書いているため、群れの崩壊までの描写が入らなくなっております。 どちらの群れにもいろいろな崩壊フラグは入れてあるのですが、最後に群れが崩壊してすっきりーという形にはなっていません。 一応、ネタ元のCivⅣ労働制度に沿って4部作を予定していますので、これらの群れについても取り上げることになると思います。 それと、この場を借りて謝らせていただきたいことがあります、anko2700 そして新記録も自分のかいた物になります。 これを読んですっきりしなかった方、イライラした方、申し訳ありません。 最後がオチていない、終わっているのか分かりづらいと指摘していただき、読み直してみると自分でもそう思いました。 基本的に感想である方が指摘した通り、パロディのためあそこで終わりとなっております。 いじめには見えない、タグが違うと指摘してくれた方、次回以降注意させて頂きます。 ※パロディを指摘した方、鋭いです、元ネタ的にはデブちぇんが盗みに入るべきでした。 最後にここまで読んでいただいた方、有難うございました、今後もご指摘やご感想お願い致します。
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1.022以前版につき1.50版とは異なる部分があります タイプ別種族値一覧(草) No 名称 タイプ1 タイプ2 とくせい HP 攻撃 防御 特攻 特防 早さ 合計 努力値 35 ちびみのり 草 - ようりょくそ 60 40 55 35 35 25 250 体1 36 みのりこ 草 - ようりょくそ 90 50 75 40 50 35 340 体2 242 Eみのりこ 草 - ようりょくそ 115 60 90 60 90 45 460 体3 39 ちびしずは 草 - ようりょくそ 65 40 30 40 35 40 250 体1 40 しずは 草 - ようりょくそ 100 65 35 65 30 45 340 体2 241 Eしずは 草 - ようりょくそ 120 75 65 75 65 60 460 体3 43 ちびかぐや 草 エスパー ほうらいじん 110 40 30 45 65 20 310 特防1 44 かぐや 草 エスパー ほうらいじん 150 45 50 65 80 30 420 特防2 45 Eかぐや 草 エスパー ほうらいじん 200 60 60 80 100 50 550 特防3 52 ちびゆうか 草 悪 しんりょく、プレッシャー 65 65 40 65 35 10 280 攻1 53 ゆうか 草 悪 しんりょく、プレッシャー 90 90 50 90 50 20 390 攻2 54 Eゆうか 草 悪 しんりょく、プレッシャー 120 125 65 125 65 30 530 攻2、特攻1 56 ちびメディ 草 毒 ポイズンボディ 20 30 65 45 65 45 270 特防1 57 メディスン 草 毒 ポイズンボディ 35 45 70 65 70 65 350 特防2 186 Eメディ 草 毒 ポイズンボディ 55 65 90 80 90 80 460 特防3 69 ちびさなえ 草 水 てんのめぐみ 45 40 50 60 65 40 300 特攻1 70 さなえ 草 水 てんのめぐみ 65 55 70 75 75 60 400 特攻2 71 Eさなえ 草 水 てんのめぐみ 75 75 100 100 100 70 520 特攻3 93 ゆゆこ ゴースト 草 ふゆう 70 50 45 120 95 40 420 特攻2 94 Eゆゆこ ゴースト 草 ふゆう 120 60 60 140 110 60 550 特攻3 132 だいちゃん 草 - はやおき、めんえき 45 35 40 35 45 40 240 体1 202 EXHF 草 飛行 てんのめぐみ 80 40 80 60 80 80 420 体2
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モンスターカード(No.M-27) イラスト:inami 総枚数:2枚 配置先:MD 近接値:0 狙撃値:0 耐久値:5 エナジー:3 効果: このモンスターをコンバットフェイズ以外で確認した時、全ての効果を中断し、このカードを表向きのままMDの1番上に置く。 その後、コンバットフェイズに移行する。 このモンスターを撃破した場合、自分は次のターン、コンバットフェイズを行えない。 拡張セット【少女達の葛藤】のモンスターカードの一つであり、ヴリル・チルドのようなMD確認時に発動する効果と撃破された時に相手の次のコンバットフェイズを行えなくする効果を持つ 無邪気な追跡者、ヴリル・チルドに次ぐMD確認時効果を持つモンスターカード。そのため、このカードの処理に関しては一度無邪気な追跡者、ヴリル・チルドのQ Aを確認するとよい。 近接値、狙撃値ともに0であるためこちらが撃破されることはない。こちらから撃破しない限りはMDに戻るヴリル・チルドといったところ 撃破した場合は大きく次のコンバットフェイズを行なえなくなる。一気にエナジー20点を目指しているところにこのカードを撃破してしまうと非常に手痛い思いをする。ただし、序盤などにより早く正規パイロットやレゾナントを手に入れたい場合はこのカードのエナジー3点でも十分大きいので倒してしまうのも悪くはない。 コンバットフェイズを行なえない状態であってもMD確認時効果を持つカードを再度確認すれば強制戦闘に入るので、どんどんサーチしていくことをお勧めする。 効果分類 MD確認時効果 撃破時効果 コンバットフェイズを行なえない 関連カード 無邪気な追跡者 ヴリル・チルド Q A Q. A. 名前 コメント
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「おはようございます、ぱちぇさん……朝っぱらから何を見てるんですかあなたは」 「むきゅ、だれかとおもったらやまぐちさんじゃないの」 さなえ教官の体調が回復したため授業が再開されるという報告を聞いて、久しぶりに教習所に行ってみると、受付のぱちぇが頭文字Dを見ていた。 画面上では、オレンジ色のS14とパンダトレノが雨の中バトルをしていた。賢太も強いはずなのに噛ませ臭しかしないのはどうしてだろうな。 「いまここででちょっとしたぶーむになってるのよ。ぶれいくるーむさんではずっとほうそうされてるわ」 「は、はぁ……」 「ねんのためにいっておくけど、みぞおとしとかぶらいんどあたっくとかいんべたのさらにいんとかは、ふつうにやるとうんてんしてるがわもくるまさんもこわれるから、ぜったいにやっちゃだめ、ぱちぇとのおやくそくよ」 「やりませんよ、そんなの……」 お、ハチロクが抜きに行った。 「えー、このあいだはおさわがせしました……あらためまして、がっかたんとうのさなえです。さなえとゆっくりがっかをまなんでいってくださいね」 教官が簡単な自己紹介を済ませ、さっそく授業へと入っていった。 ……そういえば横浜さんがいないな。もしかして授業再開の連絡が届いてないのか? 「さっそくはじめましょう、てきすとさんのろくぺーじをひらいてください」 6ページを開くと、”第一段階 第一章 運転者の心得 1.交通規則を守る”という見出しが飛び込んできた。 「こうつうきそくさんは、ほこうしゃさんやくるまさんなどがどうろをあんぜんに、そしてえんかつにつうこうするうえで、まもらなくてはいけないきょうつうのやくそくごとです」 テキストには、二車線の道路のイラストが描かれている。車とバイクがスムーズに通行できている様を描いているのだろう。 「つまり、こうつうきそくさんをまもることはしゃかいじんとしてのきほんであって、これをまもらないひとはくるまをうんてんするしかくのない、とてもゆっくりできないひとということです」 交通規則の本を熱心に読んでいるありすの絵が描いてある。この絵は別になくてもいいのではないだろうか。 「どうろをつうこうするときは、こうつうきそくさんをまもるのはもちろん、まわりのほこうしゃさんやくるまさんのうごきにちゅういして、あいてのたちばにたって”おもいやりのきもち”をもってつうこうすることがたいせつです」 建物の外では、先に実技教習を行うクラスの授業が行われているのだろう、車のエンジン音や、時折急ブレーキを踏んだような音が聞こえてくる。 しかし、パンパンとうるさい。ここの教習車はランエボなんだろうか。教習所内ではミスファイヤリングシステムを切っても罰は当たらないだろうに。 「また、ふひつようなきゅうはっしんやきゅうぶれーき、えんじんのからふかしなどはさけて、こうつうこうがいをすくなくするようにどりょくをしなければなりません」 よく見ると、さなえは耳栓をしている。確かに外の音は聞こえにくくなるだろうが、それ以上に生徒の声が聞きづらいのではないだろうか。 「つぎは”うんてんのきんしについて”です。てきすとさんのじゅういちぺーじをひらいてください」 飛ばされた4ページほどにはいったい何が書いてあるのだろうか、そう思い読んでみると、なんと白紙。 どうやら、教官が補足した場合や板書などを記入するためにあけられているようだ。 それにしてもこんなに白紙はいらないだろう。リサイクルや無駄遣い禁止などが叫ばれている世の中とは逆行しているような気がする。 「むめんきょ、しゅきおび、かろううんてんや、かくせいざいやまやくをふくようしたじょうたいでのうんてん、ゆっくりしたせいびのできていないくるまさん、きょうかんがいないときのかりめんきょでのうんてんなどはぜったいにしないでください」 発情していると思わしきありすが車に乗ろうとしているのを静止しているみょんが描かれている。 そこまではいいのだが、ページの端にはそのありすとみょんが子供を作っている光景が描かれていた。なぜ二コマ目を作ったのかまったくわからない。 「つぎのぺーじにうつって、うんてんしゃのこころえについて。じどうしゃさんをうんてんするときは、けがのりょうようなどでできないばあいをのぞいて、かならずしーとべるとさんをしてください。じょしゅせきやこうぶざせきでも、かならずしめるようにしましょう。また、どうじょうしゃさんのあんぜんにきをくばるのも、うんてんしゃさんとしてのせきにんですね」 教科書の”後部座席の人にも、させるように努めましょう。”という一文が赤で少し消され、”後部座席の人にも、させ======ましょう。”となっていた。 恐らくこのテキストは道交法改正前から使っているのだろうが、何とも修正の仕方が雑である。 「いじょうでだいいっしょうはしゅうりょうです。ここでちょっとしたみにてすとさんをはさみますね。いまのないようはまるっきりかんけいないもんだいもほぼかくじつにまざってるでしょうが、といてみてください」 そういうと、さなえは第一回ミニテストと書かれたプリントを2枚配り始めた。しかし、今の授業とまるっきり関係ない問題をなぜ組み込んだんだろうか。 「まるばつけいしきのもんだいさんがぜんぶでじゅうもん、たぶんいっぷんかにふんでできるとおもいます。では、ゆっくりはじめてください」 さなえの合図で、一斉にプリントが表向けられ、テストが始まった。 ”問1.交通事故や故障者を見かけたら、連絡や救護などの協力をしなければならない。” まあ○だよな。 ”問2.事故を起こすと、被害者に対する損害賠償だけでなく、行政上・刑事上の責任も生じる。” こんな話、今の授業にあったか?答えは一応わかるが、完全にテキスト無視だ。 ”問3.小さな子供を車に乗せるときは、目の届きやすい前部座席に乗せるのが良い。” ○……いや、×だな。子供は後ろでチャイルドシートに座るのが一番だ。 ”問4.車を運転するときは、自賠責保険だけではなく、任意保険にも加入する。” もう少し先にこんな単元があったような気がするが……。とりあえず○。 ”問5.走行中に窓から紙くずなどを投げ捨ててはいけない。” もはや自動車と関係なくなりつつあるような。 ”問6.シートベルトを着用するときは、シートに深く腰掛けてから行う。” やたらと○が多いのは俺の気のせいなんだろうか。 ”問7.車に乗り降りするときは、交通量に関係なく車の右側から行う。” ×、だよな……? ただ前の列だとシフトレバーが邪魔になって、逆側からだとものすごく乗りにくそうだけど… ”問8.交通法規に違反しない範囲であれば、自分の考えで勝手に運転しても良い。” 自分と勝手がどうも引っかかるんだよな…… とりあえず×にするけど、これは間違ってるかもな。 ”問9.自動車検査証を紛失すると困るので、コピーしたものだけを車に置いて、運転した。” なくしものをよくする俺的には○であってほしいけど、まあ×だろうな。 そういえば部活の合宿の時とかに、保険証のコピーを持参するように言われてたけど、あれってよかったのか? ”問10.イライラしていると運転が荒っぽくなるので、自分の心理状態を気配って運転する。” ○だな……いや、×だ。こういうひっかけはよくあるって聞いたことがある。 そもそもイライラしてるときは車を運転するな、とかそういう結論のはずだ。高速とかで出口とかサービスエリアとかが遠いときにそうなったらどうすりゃいいんだとかいう話は完璧無視だ。 「まだできていないにんげんさんはいませんか? いないみたいなので、かいとうようしさんをかいしゅうしますね!」 さなえが解答用紙を1枚ずつ回収していった。 「それではもんだいようしさんをだしていてくださいね、これからてすとのかいせつをしますよ!」 その場で解説をしてくれるとはありがたい。もやもやしたものはきっちりしてから帰るに越したことはないだろう。 「まずはといいちばん、これはまるですね。こうつうじこやこしょうしゃさんをみかけたら、せっきょくてきにきょうりょくしないといけませんよね」 この辺りは復習というよりも、むしろモラルを問われている問題なんだろう。 「といにばん、これももちろんまるですね。けいじじょうのせきにんはばっきんだけでなく、きんこやちょうえきなどけいむしょにはいるばあいもあり、またぎょうせいじょうのせきにんはめんきょていし、めんきょとりけしなどのしょぶんがあります」 この問題を間違えた人がいるんだろうか、そう思いつつあたりを見渡すと、前の方に頭を抱えている人がいた。 「といさんばん、これはばつです。こどもはこうぶざせきさんにちゃいるどしーとさんをつかってのせてあげてください。ちなみにろくさいみまんのこどもは、はついくのていどにおうじたちゃいるどしーとさんをつかってくださいね」 チャイルドシートを使わなくちゃいけないというのは知ってたが、細かい種類があるとは知らなかった。 「といよんばん、こたえはまる。にんいほけんさんはぎむではないですが、おおきなじこがおきたばあいに、じばいせきほけんさんではまかなえないがくになったりするので、かにゅうしておくべきです」 ほんとうはもっとあとにやるないようのはずなんですけどね、とさなえ教官が付け加えた。 「といごばんはまる、これはきけんというよりもどうとくてきもんだいですね。まどからかみくずさんをなげすてるようなゆっくりできないにんげんさんに、うんてんめんきょさんはにあいません」 まったくもってその通りだと思う。 「といろくばんはまるです。こうしないとうんてんするときにしせいがあんていしません。しーとべるとさんはただしくちゃくようするようにしてくださいね」 「先生、質問です」 前の方に座ってた、俺と同じくらいの背格好の奴が手を挙げた。 「深く腰掛けるとペダルに足が届かなくなる人はどうすればよいんですか?」 「せんもんてんさんにいけば、ぺだるさんのかばーさんをぶあついものにとりかえたりすることができるので、あんしんしてくださいね」 「ありがとうございます」 そういうアイテムもちゃんとあるのか。やっぱり困ってる人は多いんだろうか。そう思いながらテキストの余白にまとめてると、周りの人が慌ててテキストを取り出した。学科終わってないのになぜ仕舞った。 「といななばんはばつです。こうつうりょうのおおいときは、ひだりがわからのったほうがあんぜんですよ」 いずれにせよ、あまり逆からは乗りたくないな。 「といはちはばつですよ、まるにしたゆっくりできないにんげんさんはいませんね? じぶんほんいのうんてんをしないのがげんそくですよ」 納得。そういう意味だったか。 「といきゅうばんはばつです。めんきょしょうさんやけんさしょうさんは、こぴーしたものだけだとふけいたいのあつかいになりますよ」 やっぱり偽造とかそういう観点からも駄目なんだろうな。 「といじゅうばんは、いがいかもしれませんがばつです。いらいらしてうんてんして、じこをおこしてしまってはいけないから、うんてんしないほうはいいということみたいです」 予想通りか。親が普段から、教習所はこういうせこい問題を出してくるから気を付けろって言ってたけど、今日その意味がはっきりとわかった。 「ちなみにさなえてきには、このもんだいはまるですね。すでにうんてんしているばあいはどうしようもないですし」 それが普通の感覚だと思う。 などと考えていると、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った……というよりも言った、か。みょんと思わしき声がチャイムの音を再現していた。正直、無理がある。 「では、きょうのじゅぎょうはこれでおわりますね。みなさん、めんきょさんがとれるようにゆっくりがんばってくださいね!」 そういうと、さなえは教室から出ていった。それを合図に、ほかの学生が次々と席を立った。 あまりここに長居している意味もないので、俺もそこそこに荷物をまとめて教室を出た。 受付に戻ると、今度はぱちぇが電車でDのゲームをやっていた。四国の特急が飛んでいるのを見ると、最新作か。 「むっきゅ、わるくおもわないでちょうだい、いんべたのさらにいんは、くうちゅうにえがくらいんなのよ!」 「高低差のある地形だからできる、掟破りの短絡線……」 「どさんせんすぺしゃるらいんよ!」 「またなにをしてるんですかあなたは。しかも223で土讃線スペシャルから降りてくる2000GTの下に回り込むとか、普通しませんよ」 しかも223を選んでるということは、少なくとも1作目は確実に持っているということになる。このぱちぇ、もしやスピード狂か。 「あーけーどばんでないかしら……」 「同人ゲームですし、多分一生出ないですよ」 結構長くなってしまいました… 以後、学科にしても実技にしても、たぶんこれくらいの長さになると思うので、ご理解いただければ幸いです… -- 作者 (2012-09-03 08 50 04) 昔受けた身としては「おぉ、あんなひっかけあったなー」と懐かしく思いました。 イニD見てるという事は…次は湾岸ですかね(をい -- 名無しさん (2012-09-04 17 04 19) 名前 コメント
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・駄文長文注意。 ・愛で&希少種優遇&独自設定だらけ。 ・希少種は胴付きでかつ能力がチートです。厨二です。そしてガチのHENTAIです。 ・それでも構わないという方はゆっくりどうぞ。 ・重要:おまんじゅうあきさん、HENTAIあきさんリスペクト。でもごめんなさい。 *** 「ん~、ゆっくり狩りなんて久しぶりねー!」 夏の日差しの中、ゆかりん姉ちゃんが大きく伸びをした。 いつもの紫のドレスに白の長手袋。 そして今日は白い日傘をさしている。 「ねえ、ゆかりん姉ちゃん。それどう見ても山に入る格好じゃないよね?」 「いいのよ。私は弟ちゃんに付いてスキマ移動するだけだから」 「南無三っ! 最初から楽する気満々なのは良くないと思いますよっ!?」 「こぼね~。ひじり様、気にしてもしょうがないですよ~。それがゆかり様ですから~」 「……ゆゆ、さりげなく酷いこと言ってない?」 「ゆかりん姉ちゃんこそ、少しは自分の所行を顧みようよ」 その横にいるのはひじり姉とゆゆ先生。 ふたりとも格好はいつも通りだが、流石に足にはトレッキングブーツを履いているし、頭にお飾りのないひじり姉は麦藁帽子をかぶっている。 「なによぉ~? そんなこと言うなら、弟ちゃんのゆっくり袋運んであげないんだからね?」 「スキマって便利だよねっ、ゆかりん姉ちゃん最高!」 「弟さん……」 「弟様ぁ……」 「だってゆっくり袋運ぶのマジで大変なんだよ!?」 ゆっくりが詰まっているだけあって、ひと袋50キロ前後あるし! 生け捕りだから中で動いて運びにくいし! 「それも修行です……と言いたいところですが、少しくらい私が運んであげますよっ!」 「私がゆっくり使って運んであげてもいいのよ~?」 「やめてよふたりとも! そんなことされたら、私が弟ちゃんの側でべたべた出来なくなっちゃうじゃない!」 「「べたべたさせない為に言ってるんです!!」」 「ゆがーん!?」 「いやゆかりん姉ちゃん、ばあちゃんの山なんだし、少しは自重しようよ……」 ショックを受けるゆかりん姉ちゃんに、俺はそっと突っ込んだ。 そもそも俺達が何故ばあちゃんの山にいるかと言うと、うちの村の名物のひとつ、夏巣立ちのゆっくりを捕まえる為だ。 この季節。春に生まれ、梅雨を乗り越えた赤ゆっくり達は、夏がもたらす豊富な餌によって亜成体にまで成長する。 そして、この地域では8月に入ると一斉に亜成体ゆっくりは巣立ちしていくのだ。 その主な理由は三つ。 夏であり、狩りの腕が未熟な亜成体でも十分な餌が取れること。 秋の越冬準備前に縄張りを決められ、その間に番を探せること。 そして、子ゆっくりの成長で巣の中が手狭になり、暑気に当てられたゆっくり達が余裕のある巣穴を希求しだすことが挙げられる。 その結果、この時期の山は、巣立ちしたばかりの亜成体ゆっくりがあちこちで跳ね回ることになるのだった。 赤ゆっくりよりは引き締まり、しかし生体ゆっくり程には固くない独特な食感の皮。 豊富な栄養によって太り、かつ程よく苦労を味わって深みを増した餡。 その味はさる著名な食通をも唸らせた程であり、それゆえにこの村の夏巣立ちゆっくりは貴重な天然食材として珍重されている。 特に、ばあちゃんの山のゆっくりは限りなく自然のままに飼育されていることもあって、質が高いと評判だった。 まあ、ぶっちゃけた話。 狩りを手伝うと結構いい小遣い稼ぎになるのだ、これが。 「なによなによっ!? そんなに私だけべたべたするのが駄目なら、ゆゆとひじりも一緒にべたべたすればいいじゃない!」 「「それでいいなら喜んで!」」 「2秒で懐柔されちゃ駄目でしょおおおおおおぉ!?」 さくっと意気投合しかけた三人に、今度は全力で突っ込む。 なんだその『パンがなければお菓子を食べればいいじゃない』理論はっ!? 「そもそも今日は村の人と班分けするから一緒に回れるかも判らないんだよ!? つか俺なら絶対別々にするから、自重しようよ三人とも!」 「え~?」 「こぼね~?」 「南無三~?」 「揃ってぼやかない! あとひじり姉は南無三の使い方おかしいから!」 スキマを使って捕まえたゆっくりを運べるゆかりん姉ちゃん。 中枢餡を破壊したゆっくりを使役できるゆゆ先生。 そもそも体力が羆並みなひじり姉。 山でのゆっくり狩りで一番重労働な、ゆっくりを詰めた袋を運ぶことに長けている三人をひとつところに固める理由はない。 村のみんなに声をかけて応援を頼んでいるのだから、輸送力も含めて能力が均等になるよう班分けするのは当然だ。 そして経験上、ゆかりん姉ちゃんは俺と同じ班に回される。 別の班にしても、どうせスキマ移動で俺にちょっかいかけに来るのが判っているから。 だからここは、ひじり姉とゆゆ先生には涙を呑んでもらうしかないのだ。 決して俺が楽をしたいからではない。班決めは俺ノータッチだし。 「なにを騒いでいるのよ……」 「はははっ! 相変わらず弟殿のところは賑やかだな!」 「あ、えーりん姉さんにかなこさん。班分けは決まった?」 そう。班決めでゆっくりを振り分けているのは、本部詰めのえーりん姉さんと、ばあちゃん監督のもと全体の指揮を執るかなこさんなのだ。 決して俺を贔屓したりはしないふたりだが、ゆかりん姉ちゃんの性格と行動を考えれば俺と同じ班にするしかないのである。 まあ……その結果、大抵俺とゆかりん姉ちゃんの班は他の面子が戦力外になるんだけども。 「ええ、決まったわよ。ゆゆことひじりは弟君とは別の班ね」 「南無三っ? えーりん姉さん、今年も別なんですかっ?」 「こぼね~。残念です~」 「ゆゆこは仕方ないでしょ。今年も学校の児童達が来てるんだから。叔母様ひとりに引率させるつもり?」 「こぼね~」 赤と青、いつものナース服っぽい衣装の上から白衣を羽織り、何故か眼鏡をかけたえーりん姉さんがゆゆ先生を諭す。 ま、夏休みの自由研究で、村の名産品である夏巣立ちのゆっくり狩りに参加する子供は毎年いるからな。 ゆゆ先生も叔母さんの飼いゆっくりである以上、叔母さんと同じ班……つまりは児童の引率役として割り振られるのは仕方がない。 「ひじりは母さんと同じ班に入って」 「南無……はい、判りました」 もちろん孫の俺が駆り出されているのだから、娘である母さんも当然駆り出されている。 一緒に野良仕事をしているひじり姉はそこに入ることが多い。 「ということは……今年も私は弟ちゃんと一緒ねっ?」 日傘をくるくる回し、ゆかりん姉ちゃんが笑みを浮かべる。 「……そういう事になるわね。いい? 弟君の邪魔しないで、ちゃんと働くのよ?」 「判ってるわよ姉さん、今年も私と弟ちゃんが一番になってみせるわ」 「ははっ、さすがは三年連続の捕獲量トップ班だな! 今年も期待しているぞ?」 「ゆっかり任せなさい!」 「かなこ、この子をあまり煽らないで……すぐ調子に乗るんだから」 「なに、ゆかりは少し調子に乗って生意気なくらいがいいのさ。その方が私も張り合いがでる」 「指揮する人間が張り合ってどうするのよ……」 ゆかりん姉ちゃんとかなこさんの会話に、えーりん姉さんがそっとこめかみを押さえる。 長女は大変だね、姉さん。 末っ子の俺が言うのもなんだけど。 ちなみに、元が保護ゆっくりだった姉さん達の年齢は厳密には不明だ。 なにしろ生年がいつかも正確には判らないのだから。 ただ……母さんやばあちゃんに拾われた時はみんな子ゆっくりだったので、登録票には拾われた歳が生年として記されている。 その順番で言うと、えーりん姉さんが長女、かなこさんとゆかりん姉ちゃんが同い年で二女と三女、ひじり姉が四女でゆゆ先生が五女になる。 だから、ゆゆ先生とかなこさんは母さんが保護して躾けたあとに叔母さんやばあちゃんに譲られたけど、姉ちゃん達の感覚では自分達は五姉妹なのだそうだ。 えーりん姉さんが何かとかなこさんやゆゆ先生を気にかけるのも、多分その辺があるからなのだろう。 それで苦労してる辺りも、えーりん姉さんらしいと思う。 「それで姉さん、俺達の班にはあと誰が入るの?」 「かなこの処のさなえとすわこよ」 「……人間は俺だけか」 「人手不足だからな!」 「そうだね、人手不足じゃ仕方ないよねー」 でもかなこさん、それ自慢げに言う事じゃないからね? 確かにうちの村は加工場関係者抜くと人口も平均年齢もちょっと笑っちゃうことになるけどさ。 「それじゃみんな、あと30分で出発だから所定の場所に移動しなさい……気をつけるのよ?」 「はい、えーりん姉さん」 「こぼね~。弟様、またね~」 「ゆっかり頑張るのよ~」 えーりん姉さんに促され、所定の位置へと移動するひじり姉達。 それを見送っていると、本部のある方からぽいんぽいんと二匹のゆっくりが跳ねてきた。 緑の髪にカエルとヘビのお飾りを付けたゆっくりさなえと、金髪に目玉の付いた黄色い帽子をかぶったゆっくりすわこだ。 「ゆゆっ……かなこさま、ゆっくりしていってくださいね!」 「あーうー!」 「おお、来たか。弟殿、こいつらが今日一緒に山に入るさなえとすわこだ。宜しくしてやってくれ」 「ん、了解。すわこもさなえも頑張ろうな」 「はい! さなえ、ゆっくりがんばります!」 「あーうー! すわこがんばるー!」 ぽいんぽいんとその場で跳ねながら、すわことさなえが元気に答える。 そのお飾りには、狩猟用ゆっくりであることを示す『猟』と刻印された銀色のバッジが輝いていた。 まあ、狩猟用と言っても能力的にほぼ対ゆっくり限定だから、ゆっくりの多く棲むこの山くらいでしか使えないんだけどね。 *** 「ゆっゆっゆっ……!」 山の中、ゆっくりが踏み固めた道をゆっくりまりさが跳ねていく。 「ゆっくりにげるよ! にんげんさんにはつかまらないよ!」 「はいはいゆっくりゆっくり」 それを歩いて追いかけながら、俺はまりさを観察していた。 バレーボールより一回りほど小さいサイズ。金髪にくすみはなく、まりさ種独特の帽子は黒々としていてリボンも綺麗な白。 うん、この夏巣立ちした亜成体で間違いない。 それもかなり状態の良い個体だ。 「まあ俺に捕まらなくてもいいんだけどなー……さなえ、すわこ、行けっ!」 「あーうー! いっくよー、さなえー!」 「はい、すわこさま!」 俺の号令に応え、すわこが跳ねる速度を上げてまりさを追いかけていく。 それを確かめ、さなえは跳ねながら大きく空気を吸い込んだ。 「まりささん! ゆっくりしていってね!」 「ゆゆっ!? ゆっくりしていってね!?」 「ゆっくりしていってね!?」 さなえの挨拶に立ち止まり、ぽいんと跳ね上がってまりさが挨拶を返す。 その隙にすわこはまりさに近づき、着地するまりさにタイミングを合わせてのしかかった。 「あーうー!」 「ゆびいいぃっ!? ちゅ、ちゅぶれるううううぅ!」 上から押さえつけられ、まりさが苦しげに呻く。 そこに追いつくと、俺はまりさを掴みあげ、背負ってきた袋に放り込んだ。 「おそらをとんでるみたいっ!? ゆゆっ? ここはなんだかゆっくりできるよ? ゆ……ゆゆうぅ……」 加工場特製のゆっくり袋は、中に放り込まれたゆっくりを暗さと狭さと袋に染みつかせた匂いで強制的にゆっくりさせる。 まりさが大人しくなったのを確かめ、俺は袋を背負い直した。 「よくやったぞ、さなえにすわこ。ほら、ご褒美だ」 「ありがとうございます、おにいさん!」 「あーうー! おにいさんありがとー!」 ポケットの小袋から特製かりんとうをふたつ取りだして二匹に与える。 「あまあまー! しあわせですー!」 「あーうー! あまあまー!」 「そっか。そこで大人しくしてろよ?」 このかりんとうは甘さ控えめで、ゆっくりにも食べやすい硬さに焼いてあるので、ゆっくりへのご褒美に丁度いい。 しあわせー、な表情でかりんとうをむーしゃむーしゃするさなえとすわこをその場に残し、俺は獣道を離れる。 草を掻き分けて少し進むと、半坪ほどの窪地に一匹のゆっくりまりさがいるのが見えた。 のーびのーびして、獣道の様子をしきりに伺っている。 さっきの挨拶で余分な声が聞こえたと思ったが、やっぱりか。 「……ゆゆ!? にんげんさんなのぜ!?」 「はいはいゆっくりゆっくり。まりさは巣立ちしたばかりのゆっくり?」 見た感じバスケットボールサイズの成体だし、金髪も帽子もちょっと汚れているからまず違うとは思うが、一応聞いてみる。 「ゆっ? ちがうのぜ! まりさはこのまえおちびちゃんをすだちさせたのぜ! いまはあきさんのしゅっさんっ! にむけてかりをしてるのぜ!」 聞かれたこと以上の事を勝手に喋ってくれるまりさ。 「そーなのかー」 「そうなのぜ! このあたりにさいきんゲスがすみついたってうわさをきいてたから、けいかいしていただけなのぜ!」 こういうところで余計なことを口走って潰されるのがゆっくりなんだが、このまりさはそこまで餡子脳ではないらしい。 むしろ、ゆっくりにとっては重要な、今の俺にしてもそれなりに有用な情報を喋ってくれた。 「情報ありがとう。それじゃ、ゆっくり狩りをしていってね!」 「ゆゆ? ゆん、ゆっくりしていってね!」 俺の挨拶に行っても安全だと判断したのか、まりさはぴょんぴょんと跳ねていった。 うーん。やっぱ、ばあちゃんの山のゆっくりは出来ているなあ。流石かなこさんが容赦なく躾けているだけはある。 「にんげんはまりさをゆっくりさせるんだぜ!」 とか、 「れいむにあまあまちょうだいね! たくさんでいいよ!」 とかのビキィワードは口にせず、人間を見下げたりしないが、かといって人間を必要以上に怖れもしない。 人間は自分達を食べるし、ゆっくりさせてくれない怖い存在。 でも、里に下りて畑を襲ったり、おうち宣言をしたり、『とおせんぼ』しない限りはそうそう制裁されることはない事も知っているのだ。 なので俺も、ああいうゆっくりは何もせず見逃すことにしている。 捕まえたところで選別する時にはねられるから、荷物になるだけだし。 「しかし、ゲスねぇ……」 多分、山の外から流れてきたんだろうけど……タイミングの悪い奴だ。 今回の狩りは夏巣立ちのゆっくりだけを捕まえて、他のゆっくりは見逃すのが基本方針。 だけど、ゲスとれいぱーは除外されてるんだよなー。 街ならともかく、かなこさんが管理して常にある程度の淘汰圧をゆっくりに与えている(今回の狩りもその一環だ)この山に、ゲスやれいぱーは邪魔なだけ。 だから今回も、ゲスやれいぱーは見つけしだい駆除していいことになっている。 もちろん虐待だってOKだ。 ばあちゃんの山のゆっくりを虐待できる機会なんてそうそうないので、中には夏巣立ちのゆっくりよりもゲス虐待目当てな鬼威惨もいる。 俺はそこまでする気ないけど。 ゲスに出遭ったら制裁はするにしても、自分から探そうとは思わない。 それよりも夏巣立ちのゆっくりを探した方がいいからな……主に、俺の懐的に。 夏は何かと入り用だし。 「惜しいわね~。ゲス言動したら、私がスキマ落下の刑にしてあげたのに」 不意に。 背中に柔らかな感触が押しつけられ、耳元で声がした。 「ゆかりん姉ちゃん、地味に怖いこと言わない。あと肩に顎乗せないで」 「ん~? いいじゃない、姉弟なんだし」 「いやそれ姉弟関係ないでしょ。だいたいそれ、くすぐったいんだからさ……」 「んふふ」 俺の抗議を軽やかにスルーして、スキマから身を乗り出したゆかりん姉ちゃんが、俺の肩に首を乗せたまま頬をすり寄せてくる。 といっても、かなこさんみたいに積極的なすりすりじゃなく、そっと押しつけてくる感じだ。 「ん~、弟ちゃん、すべすべ~。でもやっぱり男の子よね、逞しくなってぇ……」 「だからくすぐったいってば……ほら、抱きつかないのっ」 「弟ちゃんったらつれないわね~? せっかくふたりっきりなんだから、もうちょっと甘えてくれてもいいのよ?」 「甘えてたら夏巣立ちのゆっくりを捕まえられないでしょ。今年も捕獲量一番になるんじゃなかったの?」 「大丈夫よ~、もう二十匹、二袋も送っているんだから。少しくらいゆっくりしても他の班は追いつけないわ」 ……その油断は敗北フラグだと思うけどなー。 とはいえ、山に入って3時間ちょっとで22匹はかなりのハイペースなのも確かだ。 巣立ちゆっくりは当然だが大抵単独行動しているから、家族狩りみたいに芋づる式に獲れる訳じゃない。 それを考えると、少しくらいは休憩してもいいか。 「じゃあ、少し早いけどここでお昼にする?」 「ええ、そうしましょ。すわこ、さなえー、こっちいらっしゃーい」 「あーうー」 「はい、ゆかりさま」 草を踏み分け、さなえとすわこが跳ねてくる。 その二匹を迎え、俺は草の上に座り込んだ。 「姉ちゃん、弁当~」 「はいはい」 スキマを開き、ゆかりん姉ちゃんが手を突っ込む。 しばらくして引き抜かれた手には、風呂敷に包まれたお重と水筒が抱えられていた。 「今日のおかずは鶏の唐揚げに卵焼きよ」 「あーうー! すわこたまごやきすきー」 「おむすびはみんなで作ったの。具は食べてみてのお楽しみっ」 「またびっくりおむすびかっ!?」 「この間みたいに実ゆは入ってないから安心しなさい」 「それなら……」 「入っているのは赤れみりゃだから」 「おむすびの具としてはマシだけどそれもどうよ!?」 「……さなえはごはんさんだけでいいですよ?」 お重を開き、わいわい言いつつ弁当を使う。 「あら弟ちゃん、両手が唐揚げとおむすびで塞がってるじゃない……はい卵焼き、あーんっ」 「別に自分で食えるんだけどなあ……あーん」 ゆかりん姉ちゃんが、卵焼きを箸で摘んで差し出す。 それを一口で食べると、卵の旨みと砂糖の甘さがじんわりと口内に広がった。 「ね、美味しい?」 「うん、旨いよ……この味付けはゆかりん姉ちゃん?」 「正解! さすが弟ちゃんね、ご褒美あげる……んっ」 突っ込む間もなく、頬に柔らかな感触が触れる。 小さく差し出された舌が、ちろりと頬を舐めあげていった。 「ぶうっ!? ねっ姉ちゃんっ、こういうところではソレ止めようよっ!?」 「いいじゃないの~、お姉ちゃんの愛の証よっ」 「……」 「あーうー! たまごやき、すわこもー!」 「くす……はい、すわこもあーん」 「あーん! むーしゃ、むーしゃ……しあわせー!」 すわこに卵焼きを食べさせ、姉ちゃんが微笑む。 流石にかなこさんが躾けたゆっくりは、胴なしでも虐める対象にはならないらしい。 まあ、姉ちゃんもゲス制裁派であって虐待派じゃないからな。 「……じー」 ふと気付くと、さなえがこちらを見上げていた。 「さなえは何が食べたい?」 「えっ? あ、さなえは……その、からあげさんがたべてみたいです……」 「ん、それじゃ俺のを半分やるよ。ほら、口開けろ」 「ありがとうございます、おにいさん……あーん」 手に持っていた唐揚げを半分に千切り、口の中に放り込む。 「むーしゃ、むーしゃ……おいしいですー! かなこさまがくださるやきとりさんみたいですね!」 「そりゃ同じ鶏肉だからな……ほら、皮も旨いぞ~」 「ありがとうございます! あーん」 ぱあぁっと顔を輝かせるさなえに俺もゆっくりしながら、残りの唐揚げを食べさせてやる。 「むーしゃ、むーしゃ……しあわせですー! かなこさまがおっしゃるとおり、おにいさんはとてもやさしいにんげんさんなのですね!」 「そうかぁ? 唐揚げひとつでそこまで言うのは正直どうかと思うぞ?」 「そうですか? でもかなこさまはいつも、おにいさんのことをほめていますよ?」 「……そうなの?」 「はいっ」 「うあー……」 姉が自分の知らないところで自分を褒めていた。 それを他人(ゆっくりだけど)から聞かされるのってなんでこう気恥ずかしいんだろう。 「……あいつ、自分のゆっくりに変なこと吹き込んでないでしょうね……」 「へんなことってなんですか?」 「弟ちゃんは自分の婿だとか、そう言う類の事よ」 「いや流石にソレはないだろ……」 「はい! かなこさまは、おにいさんのおよめさんになるのだといつもいっています!」 「んぐうっ!?」 「だじょおぉっ!?」 あ。 喉に。 赤れみりゃが。 「~~っ!」 「あーうー!? お、おにーさーん!?」 「たいへんですゆかりさま! おにいさんが!」 「……ほほぉ。かなこの奴、そんなこと言ってたの……」 「いえ、ほほぉじゃなくてですね!」 「~~~~っっ!!」 「はいはい、お水ね弟ちゃん。麦茶でいい?」 「~~~~~~っっっ!!!」 コップに入った麦茶。 一気に。 流し込む。 「ちゅべたいんだぢょおおおおぉぉ!?」 「~~~~~~~~~~~っっっっ!!!!」 「ああっおにいさんがしちてんっばっとうです!!」 「あーうー!?」 やべえ。 赤れみりゃ。 活きよすぎ……。 「ああ、大丈夫よ。水は飲めたし、あとはこうして背中を叩けば……」 ぽんぽん、ぽんぽん。 「っっ!? っ!! っっっ!!!」 「そろーり、そろーり……」 「ほ、ほんとうにだいじょうぶなのですか?」 「そろーり、そろーり」 「あーうー!?」 「しょろーり、しょろーり……」 「大丈夫、大丈夫……だからすわこ、さなえ」 喉で、赤れみりゃが、じたじた。 「はい?」 「あーうー?」 「そこのゲス一家にお弁当取られないようにね」 「ゆっへっへ……このまりささまが、こっそりごはんさんをいただく……って、なんでばれてるのぜええぇ!?」 「気付かない方が餡子脳でしょ……ほら弟君、吐いちゃいなさい」 ぽんぽん、背中が、叩かれて。 優しく、背中を、撫でられて。 苦しいけど、気持ちいい。 「ゆへへ……ばれちゃしかたないのぜ! このごはんさんはまりささまがいただくのぜ!」 「れいむがむーしゃむーしゃしてあげるよ!」 「まりちゃがたべちぇあげりゅのじぇ!」 「ゆん! そんなことはさせません!」 「あーうー! すわこたちのごはんだよー!」 すわこと、さなえが、ゲスのまえ。 「うるさいのぜ! くそにんげんをたおしたまりささまにさからうのかぜ!?」 「ゆっふっふ、まりさはつよいんだよ! あのくそどれいをやっつけたんだよ!」 「おとーしゃんはちゅよいのじぇ!」 俺が、いつお前らに、倒された? ゲスは本当に、餡子脳だな……。 「それいじょうちかづくのなら、かりますよ!」 「たたっちゃうよー!」 「ゆへん! これをみても、そんなことがいえるのかぜ!?」 「っ!?」 ゲスが、口からナイフを、取りだした。 「ゆっ!? そんなもの……さなえはこわくありません!」 「すわこもだよー!」 「ゆっへっへ……ばかなかいゆっくりなのぜ。このないふさんのさびになるのぜ!」 やばい。 すわことさなえに何かあったら。 かなこさんが、悲しむ……! 「ゆんっ! いくのぜええええぇ!!」 ゲスまりさが、ナイフを振るう。 かなことすわこが、身構える。 二匹を制そうと、口を開く。 ゆかりん姉ちゃんが、背中を叩く。 赤れみりゃが、喉で暴れて。 「~~~~っっ……げほっっ!!!!」 俺は思いきり咳き込んだ。 何かが飛び出していく感覚がして、喉が一気に楽になる。 「おじょらっ!?」 「ゆべえええぇっ!?」 一瞬後。 びしゃりという音がして、ゲスまりさの右目に小さな肉まんが激突した。 「ゆびぇえええええぇぇっ!? ま、まりざのおべべがあぁ~~っ!?」 「ううぅ~、いぢゃいんだじょ~!」 あ、赤れみりゃまだ生きてた。 さすが捕食種、凄い生命力だ。 多分、柔らかい目の部分にぶつかったからだろうけど。 「いだいじょ~……う? こりぇ……あまあまだじょ~!」 潰れた目玉の奥から餡子が滲んできたのか、赤れみりゃの声が嬉しげなものに変わる。 「あまあまちゅーちゅーしゅればいぢゃくなくなるんだじょ~! ぢゅ~っ!」 「ゆがあああああぁぁ!? なんでれみりゃがいるんだぜええええぇ!? ま、まりざのあんごずわないでねえええええぇぇ!?」 「う~! あまあま~!」 「いだいいだいいだいいいぃ! おべべにはいらないでえええぇ!!」 あー……思いがけず捕食種による残虐行為手当が。 ま、ゲスだからいいか。 「ゆぎゃああああぁっ!? れ、れみりゃはばりざだげだべでねええぇ!? がわいいでいぶをだべないでねええええぇ!?」 「おぎゃーじゃんなんじぇぞんにゃごぢょいうんだじぇえええぇ!? ぞんにゃごどをいうげしゅおやはぢねええええぇぇ!!」 「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおおおおぉぉ!? ぞんなごどいうゲスおぢびじゃんはいますぐじんでねええええぇぇ!!」 ゲスまりさを助けようともせず、親子で罵倒しあいながら逃げようとするゲスれいむとゲス子まりさ。 「げほっ、げほ……ゆかりん姉ちゃんっ!」 「はいはい。弟ちゃんを奴隷呼ばわりしたゲスは送っちゃうわよぉ?」 「ゆっぐりにげるよおおおぉ!!」 「にげるのじぇええええぇぇ!!」 知らなかったのか? 姉ちゃんからは逃げられない。 俺の背中を優しくなで続けながら、ゆかりん姉ちゃんはゲスれいむとゲス子まりさの足元にスキマを開いた。 「ぞろぉーりっ、ぞろぉーっ……おぞりゃっ!?」 「おじょらどんでりゅみじゃいっ!?」 開いたスキマに親子ゲスが吸い込まれる。 「はい、繋げちゃうわね」 そして、そのスキマの真上に開く新たなスキマ。 そこかられいむとまりさが落ちてきた。 「どんでるみだいいいいいいいいぃぃ……どぼぢでまだおぢてるのおおおおおぉ!?」 「ぎょわいのじぇえええええええぇぇ……ゆっ、にゃんで、にゃんでまちゃおちるのじぇえええぇぇ!?」 上と下に開いたスキマの間を落ち続けるゲス親子。 「これはおまけ」 更にゆかりん姉ちゃんは近くの木の枝を何本か手折り、スキマを落ちるゲス親子にぶつかるように投げ入れた。 一緒に落下しだした枝葉が、空中でもがくゲスれいむとゲス子まりさの身体を容赦なく叩く。 「ゆゆっ!? えださんやべでっ、やべでねえぇ! ぢくぢくじないで、えださんはれいむをだずげでねええぇ!!」 「まりじゃを! まりじゃをだじゅげるんだじぇえええええ!!」 更に枝に繁ったままの葉がぶつかり、ゲスれいむとゲス子まりさの身体に緑の葉肉を擦りつけていく。 「「ゆっ……ゆげええええええぇぇぇっ!?」」 ……それだけで、ゲス親子は苦しみだした。 「にがっ! にがあああぁっ!! なにごれえええぇぇ!! なんでえださんもはっぱさんもにがいのおおおぉ!? ゆげええ!!」 「にぎゃいのじぇ、くるちいのじぇえええええええ!! ゆげっ、ゆげっち! げりょ、たしゅ、だじゅげでえええぇ!!」 「姉ちゃん、あれって……」 「ええ、ニガキの枝よ」 ゆかりん姉ちゃんが楽しげに微笑む。 ニガキ。この辺だと普通に見る樹木だ。 木材としては軽く丈夫で加工しやすく、樹皮には殺菌作用があって漢方薬にもなるのだが……。 この木、とにかく苦い。 幹も枝も実も葉も、全ての部位に苦味成分があるのだ。 そんな物に、体表全てが感覚器官なゆっくりが触れ続けたらどうなるか。 「ゆぎゅっ、ゆぎょおおおおぉ! にがっ、にがいいいいいいぃ!! おじょらっ、おぢでええぇ……にぎゃいのおおぉ!!」 「おじょらどんでっ、にぎゃっ! にぎゃいのじぇええぇ!! ぼうやだぁ、まりじゃがえるっ、おうじがえるううううぅ!!」 ……控えめに言って、地獄の苦しみを味わう事になる。 文字通り全身で恐怖と苦痛を感じつつ、ニガキの枝と一緒にスキマを落ち続けるゲスれいむとゲス子まりさ。 「ゆっゆっゆっゆっ……も、もうゆるじでえええぇぇ! ぢんじゃう、ばりざじんじゃうのぜええええぇ……!!」 「うー、うー! あまあまいっぱいだじょー!」 潰れた目玉から赤れみりゃに侵入され、身体の中から餡子を吸われ続けているゲスまりさ。 「……うわぁー……」 「……あーうー……」 それを見て呆然としているさなえとすわこに、俺は声をかけた。 「おーい、戻ってこーい。さっさと飯済ませて狩りに戻るぞー? この辺はこいつらの声でゆっくりも逃げてるだろうし、足伸ばすからなー?」 「まだここでごはんたべるんですかっ!?」 「あーうー!? ゲスおいてどこかいこーよー?」 「当たり前でしょ?」 「何言ってるんだ?」 驚く二匹に、ふたり同時に口を開く。 「ぼうやべでええええぇぇ!!」 「おぢるううううううぅぅ!!」 「にぎゃいいいいいいいぃ!!」 「「たっぷり苦しませたあと、ちゃんと潰すまでがゲス制裁。ここを離れて万が一にもゲスを逃がす訳にはいかないの」」 ゲス達の悲鳴に、俺と姉ちゃんの声が重なった。 *** 「お帰り、弟殿! いやー、今年も見事なものだったな!」 夕方。 山を下りてきた俺達を、かなこさんが出迎えてくれた。 「ふふっ、今年も私達が捕獲量はダントツでしょ?」 「ああ。娘殿とひじりも随分と頑張っていたが、弟殿達には及ばずだ。大したものだな、ゆかり!」 「当然! これが愛の力って奴よ!」 俺の腕に抱きつき、ゆかりん姉ちゃんが得意げに微笑む。 ゆかりん姉ちゃんはゆっくり詰めた袋をスキマで送っただけで、それ以外の労働は俺とさなえとすわこでやったんだが……まあ、言うまい。 楽させてもらったのは確かだからな。 ゲスも潰したあとはスキマ送りで村の加工場に廃棄させてもらったし。 「そうか! 愛なら私も負ける気はないが、今回は素直に褒めてやろう! 弟殿の班のゆっくりは量も質も素晴らしかったからな!」 「あーうー! かなこー!」 「かなこさまー!」 嬉しげに笑うかなこさん。 その足元に、すわことさなえがぴょんぴょん跳ねてきた。 「おお、さなえにすわこもご苦労だった! 弟殿の言うことをちゃんと聞いたか? 良い子にしていたか?」 その二匹を抱き上げ、かなこさんが笑顔を向ける。 そんな育ての親を見上げ――。 「もちろんですっ! れみりゃすぱーくでゲスをせいさいするおにいさんに、さなえはぜったいさからいません! どんなめいれいにもしたがいます!」 「あーうー! すわこはいいこー! すわこはいいこー! だからせいさいしないってゆかりにおねがいしてー! スキマこわいー!」 「「せいさいごはんはもういやー!!」 半泣きの表情で、さなえとすわこは必死にそう訴えた。 「……ゆかり、弟殿?」 「あ、あははは……山でゲスに絡まれたから制裁したんだけど……ちょっと、その子達には刺激が強すぎたみたいでねー……」 「いやー、なんか色々あって、俺が変な能力持ってるって誤解しちゃってさ……あ、天に誓ってその二匹には手を出してないよ? な?」 「「はっはひいいい!! おにいさんはとってもすてきでやさしいにんげんさんですううぅ!!」」 うん、どう見ても俺が無理矢理言わせてる風だねっ。 でも本当に何もしてないんだよ? ゲス達は俺らが食事終わるまで放置して、制裁の仕上げに揉み込んだニガキの葉をたっぷり口に突っ込んでやったけど、それだけだし。 ゲスまりさを喰ってた赤れみりゃなんかちゃんと逃がしてやって感謝されたんだぜ? 「おにいさんのなかはままみたいにぬくぬくだったじょー!」って。 それなのに、この反応。 ……いや、ゆかりん姉ちゃんのノリに合わせてちょっと調子に乗っていたのは認めるけどさ。 「……ふぅ。とりあえず、こいつらはえーりんに診て貰うことにして……弟殿、ゆかり?」 「はっはいっ!?」 「な、なによぉ……!?」 「何故このようなことになったのか……説明して貰うぞ?」 笑顔のまま、怒りのオーラを浮かべるかなこさん。 その迫力に射すくめられながら、俺はゆかりん姉ちゃんと一緒に笑顔で頷きつつ、心の中で呟いた。 『どうしてこうなった?』と。 ・おまけ『ゆっくりさなえは胴付きになりたい』 「ごめんねさなえ、怖がらせちゃって」 「いいんですよゆかりさま。さなえがみじゅくだったのですから……」 「そうも行かないわ。かなこのゆっくりに借りを作ったままなんて私が嫌なの。だから……私にして欲しいこと、ない?」 「してほしいこと、ですか? えっと……」 「何でも言っていいのよ?」 「それならっ、おねがいがあるのですがっ!」 「なに?」 「ゆかりさまのなかみを、ちょっとだけたべさせてください!」 「……え?」 「かなこさまにききました! ゆかりさまのなかみはなっとうカレーさんなんですよね?」 「え、ええ……そうだけど……」 「わたしたちゆっくりさなえは、カレーさんをたべるとどうつきになれるんです!」 「……それ、おまん亜種のさなえだけよ?」 「そうなのですか?」 「まあ、あなたにおまん亜種の餡統が混ざってる可能性はあるし、胴付きの私の中身だから、普通のカレーよりは胴付きになる確率も高いだろうけど……」 「では、おねがいします! すこしでいいですから、わたしにゆかりさまのなかみをたべさせてください!」 「胴付きになりたいの?」 「はい! かなこさまみたいになりたいんです!」 「仕方ないわねえ……弟ちゃんには内緒よ? ……ん、しょ……」 「ゆわぁ……お、おっぱいからでるのですかっ!?」 「他の胴付きは知らないけれど、私達姉妹はみんな、ね……スープだけで具は出せないけど、それでいい?」 「はいっ! それではっ、しつれいしますっ! はむっ……ちゅうっ……!」 「んんっ……!」 「ちゅっ、ちゅっ……ちゅ……あの、ゆかりさま」 「んっ……ん……なに?」 「こういうこと……その、おにいさんと、したかったのではないですか?」 「ふふっ、案じてくれるの? 大丈夫よ、弟君には何度も吸わせてあげてるから」 「そ、そうなんですか……ゆかりさま、すごいです……ちゅう……」 「ん……っ……ふぁ……」 「ゆかりん姉ちゃ~ん、この間貸したルルブ、今度使うことになったからちょっと返し」 「んにゃあああああぁぁっ!?」 「うわああぁっ!? ゆっ、ゆかりん姉ちゃんっ!?」 「!? ち、ちちち違うのよ弟ちゃんっ! これには訳がっ!!」 「しつれいしてます、おにいさん! ちゅーちゅー!」 「ゆかりん姉ちゃん……俺だけじゃ飽きたらず胴なしにまで……」 「ゆっかり斜め上の解釈しないのっ!!」 「だってそれどう見ても搾乳プレ」 「プレイ言わない! 弟ちゃんの時と違ってこれはさなえにとって真剣な行為なんだから!」 「真剣な搾乳プレイ?」 「だからプレイ言わない! ……って、あんっ!」 「ちゅっ、ちゅうっ……ん、ゆっ、ゆううっ……!」 「ええっ? さ、さなえの様子がっ……!?」 「……ヘエーエ、エーエエエー! エーエエー、ウーウォーオオオォー! ララララ、ラァーアーアーアー!」 「ああっ姉ちゃんのせいでさなえがとんでもないことにっ!?」 「ゆっくり聞きの悪いことを言わないでっ! さ、さなえ大丈夫っ!?」 「あ~らはんま~や! みんな~そ~ちんな! ゆっ、ゆっ、ゆ……」 「さなえーっ!?」 「ゆーっ! ゆっくり胴付きになりましたー!!」 「「なんでじゃああああああああぁぁぁぁっ!?」」 このあと、ゆかりん姉ちゃんはさなえ種を胴付きにする素材として、中身を定期的に加工場に提供することになりました。 搾るのは俺です。 いや、本当に……どうしてこうなった!? 過去作品 anko2043 夏のゆっくりお姉さん anko2057 夏のゆっくり先生 anko2151 夏のゆっくり山守さん(前編) anko2154 夏のゆっくり山守さん(後編) 感想、挿絵ありがとうございます。感謝です。
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900 :名無したちの午後 [↓] :2018/07/13(金) 23 37 48.26 ID 96n0Ef0o0 [PC] 恋はそっと咲く花のように ttp //www.ensemble-game.com/20.koihana/ 処女 琴石 伊織 早見 美里 宮音 沙希 来未 さなえ 西園寺 蓉子 藤堂 なずな 非処女 無し 備考 全ヒロイン出血差分無し。 さなえとの破瓜シーンではコンドーム着用。 蓉子との破瓜シーンでは強制外出し。
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897 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 01 45 33.17 ID B/owmTLto 【諏訪湖】 淡「へー意外と大きいね」 京太郎「本州だと大体13番目くらいに大きい湖だな」 憧「それって微妙なような……」 京太郎「ほ、他が大きすぎるから……」 京太郎「それにアレだ。えっと……なんだったっけ照。冬に湖が凍って出来るやつ」 照「……お、お、お、お見送り?」 恭子「見送ってどうすんねん」 咏「御神渡りだねぃ」 京太郎「そうそう、それそれです、御神渡り。あれは中々凄いぞ」 京太郎「と言っても最近じゃ少なくなってきてるけどな」 もこ「……どうして?」 京太郎「地球温暖化のせいだとさ。よく分からんが」 898 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 01 54 01.35 ID B/owmTLto いちご「なぁ京ちゃん、あそこに人が見えるんじゃが」 京太郎「え?何処です?」 いちご「ほら、あそこなんじゃが……」 京太郎「あれは…… 903ですね」 コンマ判定 00~40 地元のおっさん 41~90 確かに人(再安価) 91~99 げっ、おふくろ 907 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 02 06 35.97 ID B/owmTLto 確かに人 京太郎「確かに人ですね」 いちご「じゃろう?」 京太郎「と言うか見たことあるような……」 912 長野出身メンバーから一人 透華、衣、一、純、智樹 咲、和、優希、久、まこ ゆみ、智美、桃子、睦月、佳織 美穂子、華菜、星夏、美春 純代 煌 戒能プロ さらにコンマがぞろ目なら以下の人物が追加 ぞろ目11 永水 22 臨海 33 誠子 55 菫 66 はやり 77 宮守 88 大沼 99 健夜 920 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 02 12 32.13 ID B/owmTLto あ、忘れてた。ついでにマホも と言う訳で数絵採用しつつ、お詫びの再安価 925 長野出身メンバーから一人 透華、衣、一、純、智樹 咲、和、優希、久、まこ ゆみ、智美、桃子、睦月、佳織 美穂子、華菜、星夏、美春 純代 数絵(指名済み) 煌 マホ 戒能プロ さらにコンマがぞろ目なら以下の人物が追加 ぞろ目11 永水 22 臨海 33 誠子 55 菫 66 はやり 77 宮守 88 大沼 99 健夜 931 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 02 22 30.32 ID B/owmTLto 数絵&マホ 京太郎「数絵?」 数絵「京?」 マホ「お知り合いですか、数絵先輩?」 数絵「ええ、クラスメイトなんだけど」 マホ「そうでしたか!初めまして、マホは夢乃マホです」ペコリ 京太郎「あ、どうも須賀京太郎です」ペコリ 京太郎「えっと、どういう関係?」 数絵「私の中学時代の後輩よ。久しぶりに帰省したから一緒に遊ぶ事になって諏訪湖に来てみたの」 マホ「はい!数絵先輩にはお世話になりました」 934 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 02 38 41.95 ID B/owmTLto 数絵「やめて。私はそれほど何もしてないわ」 数絵「マホにもほとんど教えて上げられなかったし」 マホ「でも他の先輩は数絵先輩のお陰で中学の時も勝てたって言ってましたよ?」 数絵「まさか。優希と和が稼ぎ、煌先輩とムロが守り、私はそれを維持するのが精一杯だったんだから」 数絵「それに正直あの時はほとんど和のお陰だったしね」 マホ「確かに和先輩は凄いですけど、マホは数絵先輩も凄いと思います!」 数絵「……ありがとう」ニコッ 936 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 02 52 38.04 ID B/owmTLto 935 原作だと初対面、と言うか関連性も無いしね。ただ数絵出てマホっち選ばれて 話繋げようとして中学時代捏造してる。もっと前の事言うとネキと怜に面識なんて無いだろうし 京太郎「ん?と言うか数絵、原村や優希と知り合いだったのかよ!?」 数絵「あら?言わなかったかしら?」 京太郎「初耳だよ。あっちも何も言わなかったし」 数絵「……まぁ色々有ったから」 京太郎「……言いたくないなら無理に聞かないけどさ」 数絵「……ありがとう」 956 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 22 09 30.64 ID B/owmTLto 数絵「そう言えば京はどうしてここに?」 京太郎「ああ里帰りのついでに観光がてらな」 いちご「あれ?数絵ちゃん?」 数絵「佐々野先輩?こんにちは」 いちご「こんにちは。数絵ちゃんじゃったんか」 数絵「佐々野先輩がどうしてここに?」 いちご「ちゃちゃのんは京ちゃん達と旅行じゃよ」 数絵「なるほど、そうでしたか」 数絵「水臭いわね、京。私を誘ってくれないなんて……」 京太郎「え?あ、いやその……」 959 1.南浦プロと里帰りするかもって言ってたから躊躇したんだ 2.すまん忘れてたんだ 3.旅先で出会ったほうが運命的だろ? 4.そ、そうだ。数絵にお土産が 5.その他(内容併記) 961 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 22 19 17.25 ID B/owmTLto 旅先で出会ったほうが運命的だろ? 京太郎「旅先で出会ったほうが運命的だろ?」イケメンスマイル マホ「なるほど確かにそうですね!須賀先輩はカッコいいです!」キラキラ 京太郎「え、あ、いや」タジタジ 数絵「……マホ、京の言ってる事は冗談だから」タメイキ マホ「え!?そうだったのですか!?マホだまされたです……」ショボーン いちご「京ちゃん、こげな純粋な子を騙すのは良くないのう」 京太郎「ご、ごめん。まさか本気にされるとは思ってなかったぜ」 964 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 22 31 33.20 ID B/owmTLto 京太郎「そう言えば数絵はこれからどうするんだ?」 数絵「今日はマホと一日過ごすつもりだから何も考えてなかったわ」 京太郎「だったら俺達と行かないか?」 数絵「マホも居るしお邪魔じゃないかしら?」 いちご「大丈夫じゃよ。今更二人ぐらい増えたところで皆誰も気にせんしのう」 京太郎「まぁな。多いときは15人ぐらい一緒に行動してたし」 マホ「わー凄いですね!」 数絵「……京、貴方相変わらずなのね」 京太郎「?」 965 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 22 46 49.40 ID B/owmTLto 淡「キョータロー何処行ってたの?って誰その二人?」 照「……目を離すとすぐに増える」 憩「京ちんは磁石みたいなもんやしなー。女の子限定やけど」 藍子「恋愛原子核ってやつかな?」 利仙「……それはある意味危ないですから」 もこ「……京太郎には前世並行世界ありとあらゆるものからの因縁が有るから」 京太郎「よく分からないけどそれは良い事なのだろうか……」 もこ「……対応を間違えなければ」 咏「まぁまぁ旅は道連れ世は情け。良いんじゃないかい?」 マホ「本当ですか!?ありがとうございますです」ペコリ 数絵「ありがとうございます。えっと皆さんにも紹介しておくと、こちらは私の後輩の――」 マホ「夢乃マホです!改めてよろしくお願いしますです!」 淡「かわいい!テイクアウトOK!?」ジュルリ 京太郎「落ち着け。言い方変えても駄目だ」 972 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 22 59 59.94 ID B/owmTLto 憧「それで、京太郎。これからどうするの?」 京太郎「そうだなぁ……」 数絵「せっかくだし、諏訪大社に行ってみたらどうかしら?ここから近いし」 京太郎「ああ、良いかもな。皆も良いか?」 絃「良いと思いますよ」 淡「問題なーし!」ウリウリ マホ「離してくださーい!」 もこ「……」 恭子「淡、二人を離しいな」 淡「えー」 975 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 23 32 25.37 ID B/owmTLto 【諏訪大社:上社】 京太郎「ここが諏訪大社の上社だな」 いちご「上社?」 京太郎「諏訪大社は諏訪湖の南側の上社、北側の下社に分かれててな」 京太郎「更に上社は本宮、前宮。下社は春宮、秋宮に分かれてるんだ」 恭子「へーそうなんや」 憧「なんで分かれてるの?」 京太郎「え?えっと……」 ???「それは――」 980 コンマ判定 01~32 緑髪の巫女さん 34~67 長野メンバー(再安価) 68~98 何処かで見たことのある政治家 さらにコンマがぞろ目なら以下の人物が追加 ぞろ目11 永水 22 臨海 33 誠子 55 菫 66 はやり 77 宮守 88 大沼 99 健夜 983 名前:次スレの季節か ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/25(日) 23 46 11.94 ID B/owmTLto 緑髪の巫女さん ???「それはこの諏訪大社が建御名方命様と八坂刀売命様と言う夫婦の神様をお祭りしてるからですね」 京太郎「へーなるほど。って貴方は?」 ???「あ、申し訳有りません。私こちらで巫女をしております、さなえと申します」ペコリ 京太郎「あ、どうも」 憧「あの、それは分かったんですけどどうして分かれてるのでしょう?」 さなえ「はい。それに関してはお二人が喧嘩したせいだとか言われてますけどね」 照「……神様でも喧嘩するんだ」 さなえ「ええ。神様も人みたいなところがありますから。……特にあのお二方は」ボソッ 京太郎「え?」 さなえ「いえ何でもないです」ニコニコ 19 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/26(月) 00 28 20.09 ID 4haEvPZ7o さなえ「御神渡りって知っておられますか?」 いちご「湖が凍って氷がせり上がるやつじゃろ?」 さなえ「はい。あれも上社におられる建御名方命様が八坂刀売命に会いに行った足跡とも、ミジャグジ様が通った後とも言われてますね」 絃「ミジャグジ様……ですか?」 さなえ「ええ、建御名方命様はミジャグジ様としても扱われます。ミジャグジ様とはこの土地の土着神また塞の神であり、白い蛇のようなお姿をしていらっしゃるそうです」 咏「若いのに良く知ってるねぃ」 さなえ「一応この神社の巫女ですから」ニコッ 20 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2012/11/26(月) 00 35 26.30 ID 4haEvPZ7o ???「さーなーえーごーはーんー」 さなえ「はーい。すぐ用意しますからー」 京太郎「もしかしてご家族の方ですか?」 さなえ「あ、はい。一応似たようなものです」 さなえ「それでは私は、食事の用意をしなければなりませんのでここで失礼させて頂きますね」 さなえ「皆さん、どうぞごゆっくりご見学下さいね」 京太郎「ありがとうございました」ペコリ <<前に戻る|5月へ|次に進む>>
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スコア シンデレラ・リーグ公式戦 東京-名古屋1回戦 明治神宮野球場(東京1敗) 名古屋 013 010 001-6 東 京 000 000 120-3 (名)○さなえ、黛、Sレイカ-坂東 (東)●竹中、海堂-草薙 戦評 ついに迎えた2022年シーズン。その大事な開幕戦、前年度シ・リーグ覇者の東京は二年連続の優勝を目指し、オープン戦で完封勝利を挙げた竹中を先発マウンドに。一方、二年連続の3位に終わった名古屋は巻き返しの大事な一歩を先発転向したさなえに開幕投手を託した。 試合はビジターの名古屋が主導権を握る。2回、イビルアイが竹中のやや甘めのツーシームにバットを合わせると、ライトへの大飛球は失速することなくスタンドイン。ソロホームランで景気良く先制すると、続く3回はワンアウトで一・二塁のチャンスを迎える。ここで4番に抜擢された花音がライト線を破るタイムリーツーベースヒットを放ち追加点を挙げると、さらに先制ホームランのイビルアイがきっちり犠牲フライ、さらに横山が難しいコースの変化球を上手く合わせてタイムリーヒットとし、この回さらに3点を加える。 一方の東京は、さなえの前に苦しい試合展開。三塁まで進むことが出来ずに打ち崩せない中、5回に花音の末イーベースヒットでピンチを招くと、今日好調のイビルアイにセンター前にタイムリーヒットを浴び、追い打ちの一打を食らってしまう。 そんな名古屋ペースで迎えた7回、東京はクリーンアップの力でノーアウト満塁の大チャンスを迎える。続く宮川はカーブを引っ掛けて内野ゴロとなるが、この間に三塁ランナーが生還し、ようやく1点を返すことに成功する。しかし後続が続かずに追加点は挙げることが出来ず畳みかけることが出来ない。 しかしめげずに8回、三振ゲッツーなどの不運もあったがツーアウト二塁のチャンスに西崎がセンターオーバーのタイムリーツーベースヒット、その西崎を続く丸山がライトへのヒットで還し、二点差へ追い上げて逆転に向けての意気を高めていく。 しかし9回、追い上げる東京に対して名古屋はデッドボールで出塁したわかちゃんが盗塁、続いて加賀が送りバントを決めて三塁まで進めると、続く小喬がしっかり犠牲フライを決めてトドメ。最後はレイカが三人でピシャリと抑えて試合終了。開幕戦はさなえが7回1失点、クリーンアップがイビルアイの3打点を筆頭に全員打点を挙げるなど、投打が噛み合った名古屋に軍配が上がった。 責任投手・本塁打 [勝] さなえ 1勝 [S] レイカ 1S [敗] 竹 中 1敗 [本] イビルアイ 1号 試合詳細 + ... 打撃成績 + ... 守備成績 + ... 投手成績 + ...
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かえるのこはかえる 5KB 観察 小ネタ 飼いゆ 希少種 現代 独自設定 日記調な気がします ・21回目 ・ケロちゃんです。 ・虐めません。 ・ていうか、虐めることができません。 ・ていうかSSじゃない。 ・ヨロシクオネガイシマス 二人きりの雨宿り。 それは、シチュエーション。 一つ屋根の下、他人と他人がなんともむず痒い時間を共有する時間。 他人が異性であれ同姓であれ、多少世間話の一つでもするだろう。 他人が人間であったならば。 野生のゆっくりというのは、雨が苦手であるという先入観をゆっくり自身が持っている。 本当ならば、多少ふやけることはあろうとも体全体が溶けるように崩れていくことはないはずなのに、雨に濡れたと感じてしまえばゆっくりの体は雨に流されてしまう。 先入観というものは、人間でも起こりうるが、ゆっくりは、その先入観に陥りやすい人間に近い精神構造を持つ。 ゆっくり達にとっては、『ゆっくりできない』と感じる事柄は、存在意義の消失と同等に感じられ結果、死という形になり自我を消滅させる。 と、小難しいことを並べてみたが、有り体に言えば、死んだふりだと思ったら本当に死んでいた。 つまり、そういうこと。 何故そんな話をしたのかというと。 雨宿りしているゆっくりがいたから。 つまり、そういうこと。 あまり見たことがないゆっくりだ。 薄い茶色の山高帽のような麦藁帽の上目のような飾りが付いていて、その下から綺麗な金髪とまるっとしたにこやかな顔が降り止む気配のない空を見つめていた。 どうやら私が公園の屋根付きベンチに駆け込む前からいたようで、雨に濡れた形跡はないから、飼いゆっくりかもしれないし野良ゆっくりかもしれない。 飼いゆっくりと野良ゆっくりは、野生のゆっくりとは違い、雨=死ぬという先入観がない。 濡れたとしても、せいぜい皮がしばらくぶよぶよになるだけだ。 楽しそうにプールに浮かんでる姿は夏の風物詩ですらある。海では泣き声を上げながら流されているゆっくりを見ることもできるだろう。 この雨に対しての恐怖心のなさはつまり、そういうことだろう。 そんな由無し事を考えつつ雨が止むのを待っていたが、一向に止む気配などない。 ふと、隣の素性不明の山高帽ゆっくりを見ると、嬉しそうに空を見上げていたがやがて何を思ったのかどしゃぶりの雨の中へ出て行った。 首を傾げながら私はそれをただ見送った。 が、数分後には帰ってきた。 滝のような雨の中にいたのに、帽子や皮膚がぐちゃぐちゃになるどころか、先程よりも綺麗になっている気がする。 彼女は二、三身震いして水滴を飛ばした。 少し、私の足の裾にかかったがさんざん濡れているので今更、気にすることもない。 何気なく観察していると身震いしたときにずれた山高帽と金髪の間から、山高帽のゆっくりより二回り小さい緑髪に蛙と蛇の飾りを付けたゆっくりが転がり落ちてきた。 その緑髪ゆっくりは、不恰好に着地したあと、辺りを見回して安堵したように溜息をついてから山高帽のゆっくりに微笑んだ。 山高帽のゆっくりもそれに笑顔で返す。 山高帽のゆっくりはともかく、緑髪のゆっくりは知っている。 郵便ポストに頼んだ覚えがないゆっくりのカタログが入っていたことがあり、なんとなくそれを流し読みしたことがある。 その時、唯一欲しいと思って記憶に残っていたのは、その緑髪に蛙と蛇の飾りのゆっくりで名前はたしか・・・さなえだったか。 山高帽ゆっくりの方の名前は、一向に思い出せないがさなえとの相性が良く共存する種類だということが書いていた記憶がぼんやりとある。 さなえは、さっきから見ている私に気づいたのか、軽くおじぎをしてから、山高帽のゆっくりと一緒に降り止まない雨の空を見上げた。 その姿は愛らしい。 やはり私もゆっくりを飼ってみようか考えていると、雨の中から、横向きの柱のようなものにタイヤがついたような物が、F1カーのように猛スピードでやってきた。 その柱は、雨の中から屋根の下へ走ってきてドリフトターンをしてから停止する。 思わず隅に逃げた私に対して、山高帽ゆっくりとさなえはそれを見て嬉しそうに駆け寄った。 首をかしげる私は、その笑顔の理由にすぐ納得いった。 山高帽ゆっくりよりも二回りほど大きい柱の側面が開き、中から、注連縄を背中に付けた群青の髪色のゆっくりが出てきた。 そのゆっくりは、さなえと山高帽のゆっくりと頬をすり合わせたあと、私の方を見てお辞儀をした。その折、うなじに黄色い飴玉が埋め込まれているのが見えた。どうやら飼いゆっくりだったらしい。 その風格漂う姿に何故か、私もお辞儀を返してしまった。 注連縄ゆっくりはさなえと山高帽ゆっくりと何かを話した後に柱の中へと入っていった。 続いて、さなえが柱の中へと消えていく。 山高帽ゆっくりはというと、しばらく私の方を見ていたが、ふいに口から蓮の葉のようなものを取り出した。 それを私の足元まで持ってきて、柱の中へと去ってしまった。 そのまま柱は発進し、まだ降る雨の中へ消えた。 蓮の葉は、せいぜい先程いたさなえが入る程度の大きさで、とても私が入れるような大きさではない。 だが、その心遣いになにやら晴れ晴れとした気分になった。 その蓮の葉を、頭上に翳しながらまだ降る雨の中歩く。 ゆっくり達が去ったあと、手荷物の中に合羽があることに気づいたのだ。 それでも、山高帽のゆっくりの心遣いに感謝しながら蓮の葉を使うことにした。 道の所々には、あの飼いゆっくり達とは似ても似つかない野生のゆっくり達の死骸が点在している。 その顔は、恐怖に引きつる紅白ゆっくり。 帽子の吸水力が限界を突破したのか、黒いとんがり帽子の中でぐちゃぐちゃになったゆっくり。 雨に対してか親に対してか、鬼の形相を浮かべた赤ん坊ゆっくり。 先程のゆっくり達と対照的なゆっくり達。 どのような人間にもどのようなゆっくり達にも平等に雨は降る。 綺麗なものも、醜いものも雨は洗い流してくれるだろうか。 アトガキ 雨で溶けないゆっくりがいたら楽しそうですよね。プールとかにぷかぷか浮かぶゆっくりとか。 ということで、書いてみました。微妙に守矢一家。 オンバシラー祭りがやってるとのことですが、自分にはいまいちピンとこないお祭りです。 丸いチーズを転がして追いかけるお祭り並みに。 かなこさまのお迎えがあるのに、わざわざ飼いゆのけろちゃんがさなえを迎えに行った理由はさなえが野生ゆっくりだからです。 なんとなくな感覚で、遠くで雨に怯えていたさなえを保護した。後に金バッジ飼いゆへ。 そんなほんわか裏話。書けません。 雨も安心なスィーってことでオンバスィラー。 そんな裏設定。 ご読了ありがとうございました。 やまめあき(仮) 【妄想で書いたもの】 かり ・ふたば系ゆっくりいじめ 963 ト● ・ふたば系ゆっくりいじめ 990 くちばしにチェリー ・ふたば系ゆっくりいじめ 1000 デスクトップガジェット ・ふたば系ゆっくりいじめ 1018 ゆっくりつくーる ・ふたば系ゆっくりいじめ 1054 夢想天生 ・ふたば系ゆっくりいじめ 1064 スペクタクルスパイダーウーマン ・ふたば系ゆっくりいじめ 1091 つるべおとし ・ふたば系ゆっくりいじめ 1118 ゆっくりのおもちゃ ・ふたば系ゆっくりいじめ 1123 いまじん ・ふたば系ゆっくりいじめ 1142 スポイラー ・ふたば系ゆっくりいじめ 1163 ラブドール ・ふたば系ゆっくりいじめ 1172 益虫? 害虫? ・ふたば系ゆっくりいじめ 1189 スィークリング ・ふたば系ゆっくりいじめ 1214 てゐ! ・ふたば系ゆっくりいじめ 1227 ゆっくりは生首饅頭の夢を見るか? ・ふたば系ゆっくりいじめ 1235 箱、無音、窓辺にて ・ふたば系ゆっくりいじめ 1261 世はまこと遊技である ・ふたば系ゆっくりいじめ 1296 かえるのこはかえる どろわ ・つんつんつんつくつんつくつんつん ぬえ ・山女って可愛いよね ・女はつらいよ トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ふと、桃白白が出てきた。オンバシラびゅーん -- 2010-07-13 01 49 33 守矢一家…欲しいな -- 2010-06-21 19 57 17
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・駄文長文注意。 ・愛で&希少種優遇&独自設定だらけ。 ・希少種は胴付きでかつ能力がチートです。厨二です。そしてガチのHENTAIです。 ・それでも構わないという方はゆっくりどうぞ。 ・重要:おまんじゅうあきさん、HENTAIあきさんリスペクト。でもごめんなさい。 *** 「ん~、ゆっくり狩りなんて久しぶりねー!」 夏の日差しの中、ゆかりん姉ちゃんが大きく伸びをした。 いつもの紫のドレスに白の長手袋。 そして今日は白い日傘をさしている。 「ねえ、ゆかりん姉ちゃん。それどう見ても山に入る格好じゃないよね?」 「いいのよ。私は弟ちゃんに付いてスキマ移動するだけだから」 「南無三っ! 最初から楽する気満々なのは良くないと思いますよっ!?」 「こぼね~。ひじり様、気にしてもしょうがないですよ~。それがゆかり様ですから~」 「……ゆゆ、さりげなく酷いこと言ってない?」 「ゆかりん姉ちゃんこそ、少しは自分の所行を顧みようよ」 その横にいるのはひじり姉とゆゆ先生。 ふたりとも格好はいつも通りだが、流石に足にはトレッキングブーツを履いているし、頭にお飾りのないひじり姉は麦藁帽子をかぶっている。 「なによぉ~? そんなこと言うなら、弟ちゃんのゆっくり袋運んであげないんだからね?」 「スキマって便利だよねっ、ゆかりん姉ちゃん最高!」 「弟さん……」 「弟様ぁ……」 「だってゆっくり袋運ぶのマジで大変なんだよ!?」 ゆっくりが詰まっているだけあって、ひと袋50キロ前後あるし! 生け捕りだから中で動いて運びにくいし! 「それも修行です……と言いたいところですが、少しくらい私が運んであげますよっ!」 「私がゆっくり使って運んであげてもいいのよ~?」 「やめてよふたりとも! そんなことされたら、私が弟ちゃんの側でべたべた出来なくなっちゃうじゃない!」 「「べたべたさせない為に言ってるんです!!」」 「ゆがーん!?」 「いやゆかりん姉ちゃん、ばあちゃんの山なんだし、少しは自重しようよ……」 ショックを受けるゆかりん姉ちゃんに、俺はそっと突っ込んだ。 そもそも俺達が何故ばあちゃんの山にいるかと言うと、うちの村の名物のひとつ、夏巣立ちのゆっくりを捕まえる為だ。 この季節。春に生まれ、梅雨を乗り越えた赤ゆっくり達は、夏がもたらす豊富な餌によって亜成体にまで成長する。 そして、この地域では8月に入ると一斉に亜成体ゆっくりは巣立ちしていくのだ。 その主な理由は三つ。 夏であり、狩りの腕が未熟な亜成体でも十分な餌が取れること。 秋の越冬準備前に縄張りを決められ、その間に番を探せること。 そして、子ゆっくりの成長で巣の中が手狭になり、暑気に当てられたゆっくり達が余裕のある巣穴を希求しだすことが挙げられる。 その結果、この時期の山は、巣立ちしたばかりの亜成体ゆっくりがあちこちで跳ね回ることになるのだった。 赤ゆっくりよりは引き締まり、しかし生体ゆっくり程には固くない独特な食感の皮。 豊富な栄養によって太り、かつ程よく苦労を味わって深みを増した餡。 その味はさる著名な食通をも唸らせた程であり、それゆえにこの村の夏巣立ちゆっくりは貴重な天然食材として珍重されている。 特に、ばあちゃんの山のゆっくりは限りなく自然のままに飼育されていることもあって、質が高いと評判だった。 まあ、ぶっちゃけた話。 狩りを手伝うと結構いい小遣い稼ぎになるのだ、これが。 「なによなによっ!? そんなに私だけべたべたするのが駄目なら、ゆゆとひじりも一緒にべたべたすればいいじゃない!」 「「それでいいなら喜んで!」」 「2秒で懐柔されちゃ駄目でしょおおおおおおぉ!?」 さくっと意気投合しかけた三人に、今度は全力で突っ込む。 なんだその『パンがなければお菓子を食べればいいじゃない』理論はっ!? 「そもそも今日は村の人と班分けするから一緒に回れるかも判らないんだよ!? つか俺なら絶対別々にするから、自重しようよ三人とも!」 「え~?」 「こぼね~?」 「南無三~?」 「揃ってぼやかない! あとひじり姉は南無三の使い方おかしいから!」 スキマを使って捕まえたゆっくりを運べるゆかりん姉ちゃん。 中枢餡を破壊したゆっくりを使役できるゆゆ先生。 そもそも体力が羆並みなひじり姉。 山でのゆっくり狩りで一番重労働な、ゆっくりを詰めた袋を運ぶことに長けている三人をひとつところに固める理由はない。 村のみんなに声をかけて応援を頼んでいるのだから、輸送力も含めて能力が均等になるよう班分けするのは当然だ。 そして経験上、ゆかりん姉ちゃんは俺と同じ班に回される。 別の班にしても、どうせスキマ移動で俺にちょっかいかけに来るのが判っているから。 だからここは、ひじり姉とゆゆ先生には涙を呑んでもらうしかないのだ。 決して俺が楽をしたいからではない。班決めは俺ノータッチだし。 「なにを騒いでいるのよ……」 「はははっ! 相変わらず弟殿のところは賑やかだな!」 「あ、えーりん姉さんにかなこさん。班分けは決まった?」 そう。班決めでゆっくりを振り分けているのは、本部詰めのえーりん姉さんと、ばあちゃん監督のもと全体の指揮を執るかなこさんなのだ。 決して俺を贔屓したりはしないふたりだが、ゆかりん姉ちゃんの性格と行動を考えれば俺と同じ班にするしかないのである。 まあ……その結果、大抵俺とゆかりん姉ちゃんの班は他の面子が戦力外になるんだけども。 「ええ、決まったわよ。ゆゆことひじりは弟君とは別の班ね」 「南無三っ? えーりん姉さん、今年も別なんですかっ?」 「こぼね~。残念です~」 「ゆゆこは仕方ないでしょ。今年も学校の児童達が来てるんだから。叔母様ひとりに引率させるつもり?」 「こぼね~」 赤と青、いつものナース服っぽい衣装の上から白衣を羽織り、何故か眼鏡をかけたえーりん姉さんがゆゆ先生を諭す。 ま、夏休みの自由研究で、村の名産品である夏巣立ちのゆっくり狩りに参加する子供は毎年いるからな。 ゆゆ先生も叔母さんの飼いゆっくりである以上、叔母さんと同じ班……つまりは児童の引率役として割り振られるのは仕方がない。 「ひじりは母さんと同じ班に入って」 「南無……はい、判りました」 もちろん孫の俺が駆り出されているのだから、娘である母さんも当然駆り出されている。 一緒に野良仕事をしているひじり姉はそこに入ることが多い。 「ということは……今年も私は弟ちゃんと一緒ねっ?」 日傘をくるくる回し、ゆかりん姉ちゃんが笑みを浮かべる。 「……そういう事になるわね。いい? 弟君の邪魔しないで、ちゃんと働くのよ?」 「判ってるわよ姉さん、今年も私と弟ちゃんが一番になってみせるわ」 「ははっ、さすがは三年連続の捕獲量トップ班だな! 今年も期待しているぞ?」 「ゆっかり任せなさい!」 「かなこ、この子をあまり煽らないで……すぐ調子に乗るんだから」 「なに、ゆかりは少し調子に乗って生意気なくらいがいいのさ。その方が私も張り合いがでる」 「指揮する人間が張り合ってどうするのよ……」 ゆかりん姉ちゃんとかなこさんの会話に、えーりん姉さんがそっとこめかみを押さえる。 長女は大変だね、姉さん。 末っ子の俺が言うのもなんだけど。 ちなみに、元が保護ゆっくりだった姉さん達の年齢は厳密には不明だ。 なにしろ生年がいつかも正確には判らないのだから。 ただ……母さんやばあちゃんに拾われた時はみんな子ゆっくりだったので、登録票には拾われた歳が生年として記されている。 その順番で言うと、えーりん姉さんが長女、かなこさんとゆかりん姉ちゃんが同い年で二女と三女、ひじり姉が四女でゆゆ先生が五女になる。 だから、ゆゆ先生とかなこさんは母さんが保護して躾けたあとに叔母さんやばあちゃんに譲られたけど、姉ちゃん達の感覚では自分達は五姉妹なのだそうだ。 えーりん姉さんが何かとかなこさんやゆゆ先生を気にかけるのも、多分その辺があるからなのだろう。 それで苦労してる辺りも、えーりん姉さんらしいと思う。 「それで姉さん、俺達の班にはあと誰が入るの?」 「かなこの処のさなえとすわこよ」 「……人間は俺だけか」 「人手不足だからな!」 「そうだね、人手不足じゃ仕方ないよねー」 でもかなこさん、それ自慢げに言う事じゃないからね? 確かにうちの村は加工場関係者抜くと人口も平均年齢もちょっと笑っちゃうことになるけどさ。 「それじゃみんな、あと30分で出発だから所定の場所に移動しなさい……気をつけるのよ?」 「はい、えーりん姉さん」 「こぼね~。弟様、またね~」 「ゆっかり頑張るのよ~」 えーりん姉さんに促され、所定の位置へと移動するひじり姉達。 それを見送っていると、本部のある方からぽいんぽいんと二匹のゆっくりが跳ねてきた。 緑の髪にカエルとヘビのお飾りを付けたゆっくりさなえと、金髪に目玉の付いた黄色い帽子をかぶったゆっくりすわこだ。 「ゆゆっ……かなこさま、ゆっくりしていってくださいね!」 「あーうー!」 「おお、来たか。弟殿、こいつらが今日一緒に山に入るさなえとすわこだ。宜しくしてやってくれ」 「ん、了解。すわこもさなえも頑張ろうな」 「はい! さなえ、ゆっくりがんばります!」 「あーうー! すわこがんばるー!」 ぽいんぽいんとその場で跳ねながら、すわことさなえが元気に答える。 そのお飾りには、狩猟用ゆっくりであることを示す『猟』と刻印された銀色のバッジが輝いていた。 まあ、狩猟用と言っても能力的にほぼ対ゆっくり限定だから、ゆっくりの多く棲むこの山くらいでしか使えないんだけどね。 *** 「ゆっゆっゆっ……!」 山の中、ゆっくりが踏み固めた道をゆっくりまりさが跳ねていく。 「ゆっくりにげるよ! にんげんさんにはつかまらないよ!」 「はいはいゆっくりゆっくり」 それを歩いて追いかけながら、俺はまりさを観察していた。 バレーボールより一回りほど小さいサイズ。金髪にくすみはなく、まりさ種独特の帽子は黒々としていてリボンも綺麗な白。 うん、この夏巣立ちした亜成体で間違いない。 それもかなり状態の良い個体だ。 「まあ俺に捕まらなくてもいいんだけどなー……さなえ、すわこ、行けっ!」 「あーうー! いっくよー、さなえー!」 「はい、すわこさま!」 俺の号令に応え、すわこが跳ねる速度を上げてまりさを追いかけていく。 それを確かめ、さなえは跳ねながら大きく空気を吸い込んだ。 「まりささん! ゆっくりしていってね!」 「ゆゆっ!? ゆっくりしていってね!?」 「ゆっくりしていってね!?」 さなえの挨拶に立ち止まり、ぽいんと跳ね上がってまりさが挨拶を返す。 その隙にすわこはまりさに近づき、着地するまりさにタイミングを合わせてのしかかった。 「あーうー!」 「ゆびいいぃっ!? ちゅ、ちゅぶれるううううぅ!」 上から押さえつけられ、まりさが苦しげに呻く。 そこに追いつくと、俺はまりさを掴みあげ、背負ってきた袋に放り込んだ。 「おそらをとんでるみたいっ!? ゆゆっ? ここはなんだかゆっくりできるよ? ゆ……ゆゆうぅ……」 加工場特製のゆっくり袋は、中に放り込まれたゆっくりを暗さと狭さと袋に染みつかせた匂いで強制的にゆっくりさせる。 まりさが大人しくなったのを確かめ、俺は袋を背負い直した。 「よくやったぞ、さなえにすわこ。ほら、ご褒美だ」 「ありがとうございます、おにいさん!」 「あーうー! おにいさんありがとー!」 ポケットの小袋から特製かりんとうをふたつ取りだして二匹に与える。 「あまあまー! しあわせですー!」 「あーうー! あまあまー!」 「そっか。そこで大人しくしてろよ?」 このかりんとうは甘さ控えめで、ゆっくりにも食べやすい硬さに焼いてあるので、ゆっくりへのご褒美に丁度いい。 しあわせー、な表情でかりんとうをむーしゃむーしゃするさなえとすわこをその場に残し、俺は獣道を離れる。 草を掻き分けて少し進むと、半坪ほどの窪地に一匹のゆっくりまりさがいるのが見えた。 のーびのーびして、獣道の様子をしきりに伺っている。 さっきの挨拶で余分な声が聞こえたと思ったが、やっぱりか。 「……ゆゆ!? にんげんさんなのぜ!?」 「はいはいゆっくりゆっくり。まりさは巣立ちしたばかりのゆっくり?」 見た感じバスケットボールサイズの成体だし、金髪も帽子もちょっと汚れているからまず違うとは思うが、一応聞いてみる。 「ゆっ? ちがうのぜ! まりさはこのまえおちびちゃんをすだちさせたのぜ! いまはあきさんのしゅっさんっ! にむけてかりをしてるのぜ!」 聞かれたこと以上の事を勝手に喋ってくれるまりさ。 「そーなのかー」 「そうなのぜ! このあたりにさいきんゲスがすみついたってうわさをきいてたから、けいかいしていただけなのぜ!」 こういうところで余計なことを口走って潰されるのがゆっくりなんだが、このまりさはそこまで餡子脳ではないらしい。 むしろ、ゆっくりにとっては重要な、今の俺にしてもそれなりに有用な情報を喋ってくれた。 「情報ありがとう。それじゃ、ゆっくり狩りをしていってね!」 「ゆゆ? ゆん、ゆっくりしていってね!」 俺の挨拶に行っても安全だと判断したのか、まりさはぴょんぴょんと跳ねていった。 うーん。やっぱ、ばあちゃんの山のゆっくりは出来ているなあ。流石かなこさんが容赦なく躾けているだけはある。 「にんげんはまりさをゆっくりさせるんだぜ!」 とか、 「れいむにあまあまちょうだいね! たくさんでいいよ!」 とかのビキィワードは口にせず、人間を見下げたりしないが、かといって人間を必要以上に怖れもしない。 人間は自分達を食べるし、ゆっくりさせてくれない怖い存在。 でも、里に下りて畑を襲ったり、おうち宣言をしたり、『とおせんぼ』しない限りはそうそう制裁されることはない事も知っているのだ。 なので俺も、ああいうゆっくりは何もせず見逃すことにしている。 捕まえたところで選別する時にはねられるから、荷物になるだけだし。 「しかし、ゲスねぇ……」 多分、山の外から流れてきたんだろうけど……タイミングの悪い奴だ。 今回の狩りは夏巣立ちのゆっくりだけを捕まえて、他のゆっくりは見逃すのが基本方針。 だけど、ゲスとれいぱーは除外されてるんだよなー。 街ならともかく、かなこさんが管理して常にある程度の淘汰圧をゆっくりに与えている(今回の狩りもその一環だ)この山に、ゲスやれいぱーは邪魔なだけ。 だから今回も、ゲスやれいぱーは見つけしだい駆除していいことになっている。 もちろん虐待だってOKだ。 ばあちゃんの山のゆっくりを虐待できる機会なんてそうそうないので、中には夏巣立ちのゆっくりよりもゲス虐待目当てな鬼威惨もいる。 俺はそこまでする気ないけど。 ゲスに出遭ったら制裁はするにしても、自分から探そうとは思わない。 それよりも夏巣立ちのゆっくりを探した方がいいからな……主に、俺の懐的に。 夏は何かと入り用だし。 「惜しいわね~。ゲス言動したら、私がスキマ落下の刑にしてあげたのに」 不意に。 背中に柔らかな感触が押しつけられ、耳元で声がした。 「ゆかりん姉ちゃん、地味に怖いこと言わない。あと肩に顎乗せないで」 「ん~? いいじゃない、姉弟なんだし」 「いやそれ姉弟関係ないでしょ。だいたいそれ、くすぐったいんだからさ……」 「んふふ」 俺の抗議を軽やかにスルーして、スキマから身を乗り出したゆかりん姉ちゃんが、俺の肩に首を乗せたまま頬をすり寄せてくる。 といっても、かなこさんみたいに積極的なすりすりじゃなく、そっと押しつけてくる感じだ。 「ん~、弟ちゃん、すべすべ~。でもやっぱり男の子よね、逞しくなってぇ……」 「だからくすぐったいってば……ほら、抱きつかないのっ」 「弟ちゃんったらつれないわね~? せっかくふたりっきりなんだから、もうちょっと甘えてくれてもいいのよ?」 「甘えてたら夏巣立ちのゆっくりを捕まえられないでしょ。今年も捕獲量一番になるんじゃなかったの?」 「大丈夫よ~、もう二十匹、二袋も送っているんだから。少しくらいゆっくりしても他の班は追いつけないわ」 ……その油断は敗北フラグだと思うけどなー。 とはいえ、山に入って3時間ちょっとで22匹はかなりのハイペースなのも確かだ。 巣立ちゆっくりは当然だが大抵単独行動しているから、家族狩りみたいに芋づる式に獲れる訳じゃない。 それを考えると、少しくらいは休憩してもいいか。 「じゃあ、少し早いけどここでお昼にする?」 「ええ、そうしましょ。すわこ、さなえー、こっちいらっしゃーい」 「あーうー」 「はい、ゆかりさま」 草を踏み分け、さなえとすわこが跳ねてくる。 その二匹を迎え、俺は草の上に座り込んだ。 「姉ちゃん、弁当~」 「はいはい」 スキマを開き、ゆかりん姉ちゃんが手を突っ込む。 しばらくして引き抜かれた手には、風呂敷に包まれたお重と水筒が抱えられていた。 「今日のおかずは鶏の唐揚げに卵焼きよ」 「あーうー! すわこたまごやきすきー」 「おむすびはみんなで作ったの。具は食べてみてのお楽しみっ」 「またびっくりおむすびかっ!?」 「この間みたいに実ゆは入ってないから安心しなさい」 「それなら……」 「入っているのは赤れみりゃだから」 「おむすびの具としてはマシだけどそれもどうよ!?」 「……さなえはごはんさんだけでいいですよ?」 お重を開き、わいわい言いつつ弁当を使う。 「あら弟ちゃん、両手が唐揚げとおむすびで塞がってるじゃない……はい卵焼き、あーんっ」 「別に自分で食えるんだけどなあ……あーん」 ゆかりん姉ちゃんが、卵焼きを箸で摘んで差し出す。 それを一口で食べると、卵の旨みと砂糖の甘さがじんわりと口内に広がった。 「ね、美味しい?」 「うん、旨いよ……この味付けはゆかりん姉ちゃん?」 「正解! さすが弟ちゃんね、ご褒美あげる……んっ」 突っ込む間もなく、頬に柔らかな感触が触れる。 小さく差し出された舌が、ちろりと頬を舐めあげていった。 「ぶうっ!? ねっ姉ちゃんっ、こういうところではソレ止めようよっ!?」 「いいじゃないの~、お姉ちゃんの愛の証よっ」 「……」 「あーうー! たまごやき、すわこもー!」 「くす……はい、すわこもあーん」 「あーん! むーしゃ、むーしゃ……しあわせー!」 すわこに卵焼きを食べさせ、姉ちゃんが微笑む。 流石にかなこさんが躾けたゆっくりは、胴なしでも虐める対象にはならないらしい。 まあ、姉ちゃんもゲス制裁派であって虐待派じゃないからな。 「……じー」 ふと気付くと、さなえがこちらを見上げていた。 「さなえは何が食べたい?」 「えっ? あ、さなえは……その、からあげさんがたべてみたいです……」 「ん、それじゃ俺のを半分やるよ。ほら、口開けろ」 「ありがとうございます、おにいさん……あーん」 手に持っていた唐揚げを半分に千切り、口の中に放り込む。 「むーしゃ、むーしゃ……おいしいですー! かなこさまがくださるやきとりさんみたいですね!」 「そりゃ同じ鶏肉だからな……ほら、皮も旨いぞ~」 「ありがとうございます! あーん」 ぱあぁっと顔を輝かせるさなえに俺もゆっくりしながら、残りの唐揚げを食べさせてやる。 「むーしゃ、むーしゃ……しあわせですー! かなこさまがおっしゃるとおり、おにいさんはとてもやさしいにんげんさんなのですね!」 「そうかぁ? 唐揚げひとつでそこまで言うのは正直どうかと思うぞ?」 「そうですか? でもかなこさまはいつも、おにいさんのことをほめていますよ?」 「……そうなの?」 「はいっ」 「うあー……」 姉が自分の知らないところで自分を褒めていた。 それを他人(ゆっくりだけど)から聞かされるのってなんでこう気恥ずかしいんだろう。 「……あいつ、自分のゆっくりに変なこと吹き込んでないでしょうね……」 「へんなことってなんですか?」 「弟ちゃんは自分の婿だとか、そう言う類の事よ」 「いや流石にソレはないだろ……」 「はい! かなこさまは、おにいさんのおよめさんになるのだといつもいっています!」 「んぐうっ!?」 「だじょおぉっ!?」 あ。 喉に。 赤れみりゃが。 「~~っ!」 「あーうー!? お、おにーさーん!?」 「たいへんですゆかりさま! おにいさんが!」 「……ほほぉ。かなこの奴、そんなこと言ってたの……」 「いえ、ほほぉじゃなくてですね!」 「~~~~っっ!!」 「はいはい、お水ね弟ちゃん。麦茶でいい?」 「~~~~~~っっっ!!!」 コップに入った麦茶。 一気に。 流し込む。 「ちゅべたいんだぢょおおおおぉぉ!?」 「~~~~~~~~~~~っっっっ!!!!」 「ああっおにいさんがしちてんっばっとうです!!」 「あーうー!?」 やべえ。 赤れみりゃ。 活きよすぎ……。 「ああ、大丈夫よ。水は飲めたし、あとはこうして背中を叩けば……」 ぽんぽん、ぽんぽん。 「っっ!? っ!! っっっ!!!」 「そろーり、そろーり……」 「ほ、ほんとうにだいじょうぶなのですか?」 「そろーり、そろーり」 「あーうー!?」 「しょろーり、しょろーり……」 「大丈夫、大丈夫……だからすわこ、さなえ」 喉で、赤れみりゃが、じたじた。 「はい?」 「あーうー?」 「そこのゲス一家にお弁当取られないようにね」 「ゆっへっへ……このまりささまが、こっそりごはんさんをいただく……って、なんでばれてるのぜええぇ!?」 「気付かない方が餡子脳でしょ……ほら弟君、吐いちゃいなさい」 ぽんぽん、背中が、叩かれて。 優しく、背中を、撫でられて。 苦しいけど、気持ちいい。 「ゆへへ……ばれちゃしかたないのぜ! このごはんさんはまりささまがいただくのぜ!」 「れいむがむーしゃむーしゃしてあげるよ!」 「まりちゃがたべちぇあげりゅのじぇ!」 「ゆん! そんなことはさせません!」 「あーうー! すわこたちのごはんだよー!」 すわこと、さなえが、ゲスのまえ。 「うるさいのぜ! くそにんげんをたおしたまりささまにさからうのかぜ!?」 「ゆっふっふ、まりさはつよいんだよ! あのくそどれいをやっつけたんだよ!」 「おとーしゃんはちゅよいのじぇ!」 俺が、いつお前らに、倒された? ゲスは本当に、餡子脳だな……。 「それいじょうちかづくのなら、かりますよ!」 「たたっちゃうよー!」 「ゆへん! これをみても、そんなことがいえるのかぜ!?」 「っ!?」 ゲスが、口からナイフを、取りだした。 「ゆっ!? そんなもの……さなえはこわくありません!」 「すわこもだよー!」 「ゆっへっへ……ばかなかいゆっくりなのぜ。このないふさんのさびになるのぜ!」 やばい。 すわことさなえに何かあったら。 かなこさんが、悲しむ……! 「ゆんっ! いくのぜええええぇ!!」 ゲスまりさが、ナイフを振るう。 かなことすわこが、身構える。 二匹を制そうと、口を開く。 ゆかりん姉ちゃんが、背中を叩く。 赤れみりゃが、喉で暴れて。 「~~~~っっ……げほっっ!!!!」 俺は思いきり咳き込んだ。 何かが飛び出していく感覚がして、喉が一気に楽になる。 「おじょらっ!?」 「ゆべえええぇっ!?」 一瞬後。 びしゃりという音がして、ゲスまりさの右目に小さな肉まんが激突した。 「ゆびぇえええええぇぇっ!? ま、まりざのおべべがあぁ~~っ!?」 「ううぅ~、いぢゃいんだじょ~!」 あ、赤れみりゃまだ生きてた。 さすが捕食種、凄い生命力だ。 多分、柔らかい目の部分にぶつかったからだろうけど。 「いだいじょ~……う? こりぇ……あまあまだじょ~!」 潰れた目玉の奥から餡子が滲んできたのか、赤れみりゃの声が嬉しげなものに変わる。 「あまあまちゅーちゅーしゅればいぢゃくなくなるんだじょ~! ぢゅ~っ!」 「ゆがあああああぁぁ!? なんでれみりゃがいるんだぜええええぇ!? ま、まりざのあんごずわないでねえええええぇぇ!?」 「う~! あまあま~!」 「いだいいだいいだいいいぃ! おべべにはいらないでえええぇ!!」 あー……思いがけず捕食種による残虐行為手当が。 ま、ゲスだからいいか。 「ゆぎゃああああぁっ!? れ、れみりゃはばりざだげだべでねええぇ!? がわいいでいぶをだべないでねええええぇ!?」 「おぎゃーじゃんなんじぇぞんにゃごぢょいうんだじぇえええぇ!? ぞんにゃごどをいうげしゅおやはぢねええええぇぇ!!」 「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおおおおぉぉ!? ぞんなごどいうゲスおぢびじゃんはいますぐじんでねええええぇぇ!!」 ゲスまりさを助けようともせず、親子で罵倒しあいながら逃げようとするゲスれいむとゲス子まりさ。 「げほっ、げほ……ゆかりん姉ちゃんっ!」 「はいはい。弟ちゃんを奴隷呼ばわりしたゲスは送っちゃうわよぉ?」 「ゆっぐりにげるよおおおぉ!!」 「にげるのじぇええええぇぇ!!」 知らなかったのか? 姉ちゃんからは逃げられない。 俺の背中を優しくなで続けながら、ゆかりん姉ちゃんはゲスれいむとゲス子まりさの足元にスキマを開いた。 「ぞろぉーりっ、ぞろぉーっ……おぞりゃっ!?」 「おじょらどんでりゅみじゃいっ!?」 開いたスキマに親子ゲスが吸い込まれる。 「はい、繋げちゃうわね」 そして、そのスキマの真上に開く新たなスキマ。 そこかられいむとまりさが落ちてきた。 「どんでるみだいいいいいいいいぃぃ……どぼぢでまだおぢてるのおおおおおぉ!?」 「ぎょわいのじぇえええええええぇぇ……ゆっ、にゃんで、にゃんでまちゃおちるのじぇえええぇぇ!?」 上と下に開いたスキマの間を落ち続けるゲス親子。 「これはおまけ」 更にゆかりん姉ちゃんは近くの木の枝を何本か手折り、スキマを落ちるゲス親子にぶつかるように投げ入れた。 一緒に落下しだした枝葉が、空中でもがくゲスれいむとゲス子まりさの身体を容赦なく叩く。 「ゆゆっ!? えださんやべでっ、やべでねえぇ! ぢくぢくじないで、えださんはれいむをだずげでねええぇ!!」 「まりじゃを! まりじゃをだじゅげるんだじぇえええええ!!」 更に枝に繁ったままの葉がぶつかり、ゲスれいむとゲス子まりさの身体に緑の葉肉を擦りつけていく。 「「ゆっ……ゆげええええええぇぇぇっ!?」」 ……それだけで、ゲス親子は苦しみだした。 「にがっ! にがあああぁっ!! なにごれえええぇぇ!! なんでえださんもはっぱさんもにがいのおおおぉ!? ゆげええ!!」 「にぎゃいのじぇ、くるちいのじぇえええええええ!! ゆげっ、ゆげっち! げりょ、たしゅ、だじゅげでえええぇ!!」 「姉ちゃん、あれって……」 「ええ、ニガキの枝よ」 ゆかりん姉ちゃんが楽しげに微笑む。 ニガキ。この辺だと普通に見る樹木だ。 木材としては軽く丈夫で加工しやすく、樹皮には殺菌作用があって漢方薬にもなるのだが……。 この木、とにかく苦い。 幹も枝も実も葉も、全ての部位に苦味成分があるのだ。 そんな物に、体表全てが感覚器官なゆっくりが触れ続けたらどうなるか。 「ゆぎゅっ、ゆぎょおおおおぉ! にがっ、にがいいいいいいぃ!! おじょらっ、おぢでええぇ……にぎゃいのおおぉ!!」 「おじょらどんでっ、にぎゃっ! にぎゃいのじぇええぇ!! ぼうやだぁ、まりじゃがえるっ、おうじがえるううううぅ!!」 ……控えめに言って、地獄の苦しみを味わう事になる。 文字通り全身で恐怖と苦痛を感じつつ、ニガキの枝と一緒にスキマを落ち続けるゲスれいむとゲス子まりさ。 「ゆっゆっゆっゆっ……も、もうゆるじでえええぇぇ! ぢんじゃう、ばりざじんじゃうのぜええええぇ……!!」 「うー、うー! あまあまいっぱいだじょー!」 潰れた目玉から赤れみりゃに侵入され、身体の中から餡子を吸われ続けているゲスまりさ。 「……うわぁー……」 「……あーうー……」 それを見て呆然としているさなえとすわこに、俺は声をかけた。 「おーい、戻ってこーい。さっさと飯済ませて狩りに戻るぞー? この辺はこいつらの声でゆっくりも逃げてるだろうし、足伸ばすからなー?」 「まだここでごはんたべるんですかっ!?」 「あーうー!? ゲスおいてどこかいこーよー?」 「当たり前でしょ?」 「何言ってるんだ?」 驚く二匹に、ふたり同時に口を開く。 「ぼうやべでええええぇぇ!!」 「おぢるううううううぅぅ!!」 「にぎゃいいいいいいいぃ!!」 「「たっぷり苦しませたあと、ちゃんと潰すまでがゲス制裁。ここを離れて万が一にもゲスを逃がす訳にはいかないの」」 ゲス達の悲鳴に、俺と姉ちゃんの声が重なった。 *** 「お帰り、弟殿! いやー、今年も見事なものだったな!」 夕方。 山を下りてきた俺達を、かなこさんが出迎えてくれた。 「ふふっ、今年も私達が捕獲量はダントツでしょ?」 「ああ。娘殿とひじりも随分と頑張っていたが、弟殿達には及ばずだ。大したものだな、ゆかり!」 「当然! これが愛の力って奴よ!」 俺の腕に抱きつき、ゆかりん姉ちゃんが得意げに微笑む。 ゆかりん姉ちゃんはゆっくり詰めた袋をスキマで送っただけで、それ以外の労働は俺とさなえとすわこでやったんだが……まあ、言うまい。 楽させてもらったのは確かだからな。 ゲスも潰したあとはスキマ送りで村の加工場に廃棄させてもらったし。 「そうか! 愛なら私も負ける気はないが、今回は素直に褒めてやろう! 弟殿の班のゆっくりは量も質も素晴らしかったからな!」 「あーうー! かなこー!」 「かなこさまー!」 嬉しげに笑うかなこさん。 その足元に、すわことさなえがぴょんぴょん跳ねてきた。 「おお、さなえにすわこもご苦労だった! 弟殿の言うことをちゃんと聞いたか? 良い子にしていたか?」 その二匹を抱き上げ、かなこさんが笑顔を向ける。 そんな育ての親を見上げ――。 「もちろんですっ! れみりゃすぱーくでゲスをせいさいするおにいさんに、さなえはぜったいさからいません! どんなめいれいにもしたがいます!」 「あーうー! すわこはいいこー! すわこはいいこー! だからせいさいしないってゆかりにおねがいしてー! スキマこわいー!」 「「せいさいごはんはもういやー!!」 半泣きの表情で、さなえとすわこは必死にそう訴えた。 「……ゆかり、弟殿?」 「あ、あははは……山でゲスに絡まれたから制裁したんだけど……ちょっと、その子達には刺激が強すぎたみたいでねー……」 「いやー、なんか色々あって、俺が変な能力持ってるって誤解しちゃってさ……あ、天に誓ってその二匹には手を出してないよ? な?」 「「はっはひいいい!! おにいさんはとってもすてきでやさしいにんげんさんですううぅ!!」」 うん、どう見ても俺が無理矢理言わせてる風だねっ。 でも本当に何もしてないんだよ? ゲス達は俺らが食事終わるまで放置して、制裁の仕上げに揉み込んだニガキの葉をたっぷり口に突っ込んでやったけど、それだけだし。 ゲスまりさを喰ってた赤れみりゃなんかちゃんと逃がしてやって感謝されたんだぜ? 「おにいさんのなかはままみたいにぬくぬくだったじょー!」って。 それなのに、この反応。 ……いや、ゆかりん姉ちゃんのノリに合わせてちょっと調子に乗っていたのは認めるけどさ。 「……ふぅ。とりあえず、こいつらはえーりんに診て貰うことにして……弟殿、ゆかり?」 「はっはいっ!?」 「な、なによぉ……!?」 「何故このようなことになったのか……説明して貰うぞ?」 笑顔のまま、怒りのオーラを浮かべるかなこさん。 その迫力に射すくめられながら、俺はゆかりん姉ちゃんと一緒に笑顔で頷きつつ、心の中で呟いた。 『どうしてこうなった?』と。 ・おまけ『ゆっくりさなえは胴付きになりたい』 「ごめんねさなえ、怖がらせちゃって」 「いいんですよゆかりさま。さなえがみじゅくだったのですから……」 「そうも行かないわ。かなこのゆっくりに借りを作ったままなんて私が嫌なの。だから……私にして欲しいこと、ない?」 「してほしいこと、ですか? えっと……」 「何でも言っていいのよ?」 「それならっ、おねがいがあるのですがっ!」 「なに?」 「ゆかりさまのなかみを、ちょっとだけたべさせてください!」 「……え?」 「かなこさまにききました! ゆかりさまのなかみはなっとうカレーさんなんですよね?」 「え、ええ……そうだけど……」 「わたしたちゆっくりさなえは、カレーさんをたべるとどうつきになれるんです!」 「……それ、おまん亜種のさなえだけよ?」 「そうなのですか?」 「まあ、あなたにおまん亜種の餡統が混ざってる可能性はあるし、胴付きの私の中身だから、普通のカレーよりは胴付きになる確率も高いだろうけど……」 「では、おねがいします! すこしでいいですから、わたしにゆかりさまのなかみをたべさせてください!」 「胴付きになりたいの?」 「はい! かなこさまみたいになりたいんです!」 「仕方ないわねえ……弟ちゃんには内緒よ? ……ん、しょ……」 「ゆわぁ……お、おっぱいからでるのですかっ!?」 「他の胴付きは知らないけれど、私達姉妹はみんな、ね……スープだけで具は出せないけど、それでいい?」 「はいっ! それではっ、しつれいしますっ! はむっ……ちゅうっ……!」 「んんっ……!」 「ちゅっ、ちゅっ……ちゅ……あの、ゆかりさま」 「んっ……ん……なに?」 「こういうこと……その、おにいさんと、したかったのではないですか?」 「ふふっ、案じてくれるの? 大丈夫よ、弟君には何度も吸わせてあげてるから」 「そ、そうなんですか……ゆかりさま、すごいです……ちゅう……」 「ん……っ……ふぁ……」 「ゆかりん姉ちゃ~ん、この間貸したルルブ、今度使うことになったからちょっと返し」 「んにゃあああああぁぁっ!?」 「うわああぁっ!? ゆっ、ゆかりん姉ちゃんっ!?」 「!? ち、ちちち違うのよ弟ちゃんっ! これには訳がっ!!」 「しつれいしてます、おにいさん! ちゅーちゅー!」 「ゆかりん姉ちゃん……俺だけじゃ飽きたらず胴なしにまで……」 「ゆっかり斜め上の解釈しないのっ!!」 「だってそれどう見ても搾乳プレ」 「プレイ言わない! 弟ちゃんの時と違ってこれはさなえにとって真剣な行為なんだから!」 「真剣な搾乳プレイ?」 「だからプレイ言わない! ……って、あんっ!」 「ちゅっ、ちゅうっ……ん、ゆっ、ゆううっ……!」 「ええっ? さ、さなえの様子がっ……!?」 「……ヘエーエ、エーエエエー! エーエエー、ウーウォーオオオォー! ララララ、ラァーアーアーアー!」 「ああっ姉ちゃんのせいでさなえがとんでもないことにっ!?」 「ゆっくり聞きの悪いことを言わないでっ! さ、さなえ大丈夫っ!?」 「あ~らはんま~や! みんな~そ~ちんな! ゆっ、ゆっ、ゆ……」 「さなえーっ!?」 「ゆーっ! ゆっくり胴付きになりましたー!!」 「「なんでじゃああああああああぁぁぁぁっ!?」」 このあと、ゆかりん姉ちゃんはさなえ種を胴付きにする素材として、中身を定期的に加工場に提供することになりました。 搾るのは俺です。 いや、本当に……どうしてこうなった!? 過去作品 anko2043 夏のゆっくりお姉さん anko2057 夏のゆっくり先生 anko2151 夏のゆっくり山守さん(前編) anko2154 夏のゆっくり山守さん(後編) 感想、挿絵ありがとうございます。感謝です。