約 2,714,666 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2987.html
「何故、お前は出かける度に傷負って帰ってくるんだ」 「聞かないでくれ。今回の件については、むしろ俺がどうなっているんだと誰かに叫びたい」 ---とまれ 至近距離での爆発に巻き込まれただかで怪我をして帰ってきたエーテルの治療も終わり このところ数日間続けている訓練を、はじめる事にした ……あの、表現しがたい色をしているうえ、若干びくびく蠢いていたような塗り薬…当然、ロレーナ製だ。そうでなければ、あんな奇怪な治療薬が存在するはずない…で傷が治った事実に、エーテルが複雑な表情をしているが それに構っている時間は、ない 「…とりあえず、今日の訓練も大体はいつも通りだが…」 かすかに、エーテルが笑う 「……本当なら、あんまり他人の前では見せたくないんだが。こっちの方が、やる気がでるだろうしな」 刹那 エーテルの姿が……ハンニバルに、変わった 隣に立っていた辰也が、ぴくり、かすかに反応したことに、宏也は気付いた 当然だ、ハンニバルの姿を見て、辰也が反応しないはずがない ……ここに、ハンニバルが来るはずがない これは、ハンニバルではない …どうやら、エーテルは光を操る能力を持っているらしい つまり、これは 「光の屈折でも利用して、姿を変えてるのか?」 「…ご名答。まぁ、本当に姿だけ、だけどな」 それじゃあ、と いつも通りの訓練が、始まった (----やっぱ、刃物系とは相性悪ぃな、俺の能力は) 切り裂かれる己の髪を見ながら、宏也はこっそりと苦笑する …並大抵の刃物では、切り裂くのも難しい髪ではあるが それでも、エーテルが使うような光剣では、あっさりと切り裂かれる ………恐らく、ハンニバル相手でも、同じ結果だろう 本人の力量と剣の切れ味が合わさり、それこそ、人体を一刀両断できるだけの威力が、あの剣にはあるのだから 宏也自身は、ハンニバルが戦闘を行っている場面を見たことは、ない しかし、辰也やヘンリエッタ、それにジェラルドやイクトミの証言を聞いた限りでは、そうらしい …だからこそ、余計に自分は、体内に「賢者の意思」を仕込むことで、それに対抗しようとしているのだが… どれだけ、相性が悪かろうとも あの男は、自分が殺す そう、決めたのだ ………これだけは、辰也に譲れない 譲ってはいけない 辰也とハンニバルを、再び対面させてはいけない ーーーっひゅん、と 音もなく忍ばせていた髪を、一気に速度をあげてエーテルに向かって放つ 数十本纏めたものではなむ、一本だけ --それでも、宏也の髪は、軽く人体を切断しうる威力を持っている しかし それは、ギリギリのところでエーテルに感知され、切り落とされた やはり、駄目か もっとギリギリの位置まで忍ばせてから、一気に巻きつけて切断した方が… (……ま、それだと暗殺っぽいがな) 正直、自分はだまし討ちの方が性にあっている このように真正面からの戦いも不得意ではないが……「組織」幹部を何人か殺した時は、そのような手段で殺したものだ 都市伝説同士の戦いは、都市伝説同士の相性や本人の戦闘能力ももちろん大事だが……「自分がどんな都市伝説と契約しており、どんな能力を持っているのか」と言う事も、非常に重要だ 能力を知らない相手ならば、不意を討って殺す事も容易い ……今回の相手となるハンニバル相手では、それは使えない ハンニバルは、こちらの能力を把握している 逆に、こちらは未だに、ハンニバルが何と契約して飲み込まれた存在なのかすら、わからない ……正直、厄介だ (元「教会」所属ってんなら、そっち方面からたどるって手もあるが…) あちらが、情報を漏洩するとは思えない だから、推察するしかないが …「教会」に所属するには、それに相応しい都市伝説である必要性があるのだ そうなれば、ある程度は絞れる 「っと!?」 向かってきた光のメスに、思考を中断させられた ギリギリでそれをさけ、距離をとる (あぁ、本当やりずれぇ。あの野郎本人相手となるともっとタチ悪いんだろうけどよ) ……まぁ、わかりきっていた事だ それに、自分はまだ、辰也と比べればマシだろう 辰也は、近接戦闘訓練など、受けた事ないのだし…… (……ん?) ---その瞬間 違和感に気付いた 辰也の気配が、完全に消えている 「-----------っ!!」 通常ならば、「13階段」の能力以外、まともな戦闘手段をもっていない辰也 そもそも、階段がなければ能力は使えない 一応、教会裏の庭の先の山の中であるここにも………少しは、階段らしきものがある それを使えば、発動できなくもない…が、そもそも、相手がその階段の上を通過しなければ発動できない訳で エーテルも、辰也のその能力に付いては、把握している 奥の手については把握していないだろうが…自分が「組織」に報告しなかったのだから…、辰也には、あの能力は使わないように言っている 今の辰也でも、まだ「あれ」を使うには早いだろう ヘタをしたら、飲み込まれる ……だから この訓練において、辰也はうまく、「13階段」の能力を発動する手段を探していた だが …ハンニバルの姿を見て 冷静さが、そがれたか? 急いで、辰也の姿を探す 運がいいと言うべきか、悪いと言うべきか それは、すぐに見付かった エーテルの…「ハンニバルの姿をとった」エーテルの、その背後 気配を完全に消して、気づかれる事なく…そこまで、接近していた辰也 手に握られているのは、鋭利な形をした、石 エーテルが、背後に回りこんでいた辰也に気付いた、その瞬間には 辰也が握る石が、エーテルの喉元に向かっていって……------ 「辰也っ!!」 ---ぴたり 辰也が振るった石の切っ先は………エーテルの喉元ギリギリで、止まった 「---っぶな」 驚いたせいだろうか エーテルの姿が、元に戻った ---すぅ、と 辰也が纏っていた殺気が、消える 完全に、気配を消していた そして、急所狙いの、一撃 「組織」にいた頃の…宏也と関わりだしてすぐの頃の辰也の姿を思い起こさせる光景だった 「………っ」 それを、辰也自身、自覚したのだろう 手に持っていた石が……からん、と 音を立てて、落ちた 表情が、かすかに青ざめている どう、声をかけるべきか 宏也が迷った、その時 「…ひっひ、そろそろ、食事が出来たよぉ」 かけられた声 振り返れば、魔女の一撃たるロレーナが、辰也達を呼びに来ていた …さほど長い時間訓練していた覚えもなかったのだが、もうそんな時間か 「ほぉら、治療薬も持ってきたよぉ?飲んでから来ればいい」 「いらねぇ。これくらいどうって事ねぇよ」 す、と ロレーナが取り出したどす紫色の治療薬を拒否する辰也 …その雰囲気は、「組織」を抜けた後の、普段の辰也に戻っている 「おやおやぁ?あんたが怪我してたら、恵が心配するよぉ?」 「………ジャッカロープの乳でじゅうぶ」 「ジャッカロープなら、恵に連れられてもう食卓にいるけど?」 ……… ………… 無言で、ロレーナから治療薬を受け取った辰也 一気に飲み干し…… ……あ、味に痙攣してる 「…男だな」 「まぁ、ベタ惚れだからな」 …元の性別? まぁ、気にするな そもそも、恵は生まれてくる性別を間違えたような存在だ 「………なぁ」 「うん?」 辰也の意識がこちらに向いていない隙に…とでも、思ったのか こっそりと、エーテルが宏也に尋ねる 「…「組織」内で、とある資料が紛失した」 「へぇ?」 「……H-No.96。つまり、広瀬 辰也の、「組織」での任務記録だ。正直、重要性の低い資料だ………だが、だからこそ、データベース上の記録まで完璧に消されていた、と言うのが引っかかってな」 「どうして、俺にその話を?」 俺には関係ない、とでも言うような宏也に 射抜くような視線を向けて、エーテルは続ける 「…その資料を持ち出したのは。データベース上のデータまで抹消したのは…もしくはさせたのは、お前なんじゃないのか?」 「………何故、そう思う?」 「その記録の内容を……俺は、完全ではないが、少しだけ把握している」 …ぴくり かすかに、宏也は反応を示す それに気付いて、さらにエーテルは続けた 「…やや、不自然に感じる点があった。お前も、それに気付いて…………?」 す、と 宏也が、話を打ち切らせるように、制するように、手をあげる 「……忘れてくれ、その事は…………間違っても、辰也には、気付かせるな」 「自分の任務の事だ。本人が気付いている可能性があるだろ?」 「…それはそうだがな」 だが その奥にある「真実」には、まだ気付いていないはずだ それを、気付かせる訳にはいかない 「……あいつは、知らないままでいいんだよ」 知らないままでいい 知らぬままの方が、幸せな事もある 絶対に、辰也に気付かせてはいけない その真実を、悟らせてはいけない …宏也の様子に、エーテルは首を傾げた 彼もまた、あの資料でかすかに感じられる不自然な点…かすかな違和感には気付いていた しかし、その奥の奥の真実には、まだ気付いていない 広瀬 辰也…H-No.96の、「組織」所属中の、任務 常に、誰か他の契約者、もしくは黒服と組んでの任務である その任務は、たった一つを除いて……全て、暗殺任務 そこまでは、解くに不自然ではない そもそも、辰也の「13階段」は、暗殺向きの能力なのだから ………しかし その任務で、共に組んだ相手は ただの二人を残して、全員、その任務中に命を落としているのだ そう、まるで 辰也の任務を確実に成功させる為の、捨て駒にされていたかのように to be … ? 前ページ次ページ連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4954.html
姿を現した両手足が無い、まるでダルマのようにも見える女性に、久信は親しげに話しかけた。 「修実姉、どこかに体ぶつけてない?」 「ありがとう久くん。大丈夫よ」 修実(よしみ) というらしい女性からはあまり大きくはないが、よく通る声で返事がくる。 犬はしばらく不具の女性を見つめ、やがて携帯からはほっとしたような調子で言葉を寄越した。 『よし、二人とも無事だな。じゃあしばらくはこのアパートの部屋を使ってくれ。警察のほうで手を回して手に入れた物件だ。見た目はぼろいし曰く付きの幽霊アパートだが、探知にも引っかからないような細工をしてある。その点は安心しろ』 「ひどい宣伝文句だな」 外から見上げるアパートから住人の気配が感じられないのはその曰くのせいなのだろうか。 ともあれ、どんな曰くのある物件だろうと、追っ手を気にすることなく身を隠すことができる場所というのは今の久信たち姉弟にはありがたい。 「ありがとう昌夫」 『いいさ。事情が事情だしな』 昌夫が明るく応えると、それまでじっと話を訊いていた犬が、やおら立ち上がって背を向けた。 野良生活に回帰するのか、そのまま振り返らずに去っていく犬を見送る久信の耳に昌夫の声が届く。 『ここにあの町の生き残りが逃げてきてるのは確かなようだ。捜索は俺の部署と、あとは俺の犬たちが担当するからお前たちはあまり動くなよ? またさっきみたいなことがあってお前たちがどっかの組織に捕まっちまうと、俺みたいなぺーぺーには口出しもできなくなるからな』 「分かってるよ」 久信の即答に、電話の声は数秒沈黙した。やがて、 『修実のことで必死なのは分かるがな……あんまり無茶をするなよ?』 「ああ、善処する」 『……また連絡いれるから、今日はさっさと休んでおけ』 呆れたように言葉を残して切れた携帯をしまい、久信は修実を背負い直してアパートの敷地に入った。 事前に逃亡生活の用意がされる手はずになっていると聞いた部屋は一階の一番端の部屋だ。そこに行き着くまでに通る一階の外の部屋にはやはり他の住人の気配がない。 よくこれで潰れずにアパート経営を続けていられるな。 あるいは、このアパートを潰すことができないような加護か呪いがかかっているのかもしれない。 こんな物件の存在を認める代わりに、有事の際はこうして隠れ家として使えるように契約してるのかもな。 お互いに傷つけあわずに存在できるということは実にいいことだ。 鍵を開けると、古アパ―トらしい、軋んだ音を立てて扉は開いた。 1Kの部屋の内部にはほとんど荷物がなかった。 作りつけになっている空の本棚を素通りして居間に行くと、中央にはいまどき珍しいちゃぶ台が一つ置いてあった。その上にはダンボール箱が一つ放り出してあり、それらの他には荷物らしきものはない。 久信はダンボールの中に薬缶などの小物と、簡単に食べられる食料が詰め込まれているのを確認する。 「昌夫が警察に手を回して逃亡生活に必要そうな最低限のものは用意してもらったらしいから、とりあえず今日は飢えることはなさそうだ。持つべきものは犬のおまわりさんだ」 「あまり悪口を言ってはだめよ」 背中から窘めてくる姉の言葉に、けど、と久信は返す。 「実際昌夫は俺たと似た憑き物筋で、犬神憑きの契約者じゃないか。しかも警察で仕事中も犬を使う。 こう、まさに犬のおまわりさんって感じがしない?」 「そうだけど、でもやっぱり褒め言葉には聞こえないもの。あまりそういうもの言いはよくないわ」 「そういうもんかな」 久信は修実部屋の内部を見せるように一通り棚や冷蔵庫を開ける。電気や水が届いていることに少し感動しつつ、久信は今に戻ってちゃぶ台の横に配置されていた新品と思しき布団を片手で広げ、その上に修実を下ろした。 修実が付け根から無くなっている手足を動かして布団の上で落ち着くのを待ってから、久信は警察内に非公式に存在する対都市伝説課に中学卒業後すぐ勤め始めた友人のことを思いつつ、話しの続きを口にする。 「アイツの話だと、最近は警察組織の表の方でも上の地位につく契約者がいるらしいよ」 「そうなんだ。ちょうど警察組織ができあがった頃に回帰してきている気がするわね」 たしかに、この国に警察機構が初めて作られた時、一度崩した秩序を再編するまでの時間稼ぎとして、現在都市伝説と呼ばれるような妖物と契約した者たちが多く活躍していたという話は聞いたことがある。 社会がある程度安定してからは、逆に社会を不安定にさせる要因になり得る都市伝説の存在は公の場から消失していたが、どうもここ最近そういう状況にも変化が見られるようだ。 「もしかしたら、そのうち都市伝説課が公然と設置されるのかもしれないな」 もしそうなれば、姉のような特殊な存在も、少しは生きやすくなるだろう。 「そうなったらそうなったで、混乱は起こると思うわよ。そうしたら犠牲は出ずにはいられない。それならこれまで通り、専門家は専門家で別の組織として在ったほうがいいのかもしれないわね」 そうかもしれないし、違うのかもしれない。自分たちのように生まれた時から都市伝説との関わりを続けている者には世の中の大多数の立場になった考えかたはできないことは承知のことだ。 「ともかく、警察もこの程度には都市伝説に対する対処法や協力関係を作れているってことで、いいんだろうな」 おかげで追われている立場のはずの自分たちはこうして力を抜いて休んでいられるのだ。それでいい。それに、久信たちにはそれ以外のことについて考えられるような余裕は今のところない。 あまり悩んでいてもしかたないと言えばしかたないんだけど……。 思いながら部屋に改めて視線を巡らせる。 最低限の掃除をされているだけの部屋は家具もほとんどない。部屋の真ん中に置かれているちゃぶ台とダンボールなどは、余計に寂しさを印象付けている気がした。 目を楽しませて心に癒しをくれるのは修実姉だけだな。 しみじみと修実に目をやっていると、修実は布団の上で傷を隠すように丈が余っている衣服の袖を揺らした。 「あんまり見ないで……ね?」 ほんのり赤く染めた顔で彼女は、こちらもまた付け根から無くなっている足をもぞもぞと動かす。 修実の言葉に弾かれるように、久信は目を逸らした。 「ごめん、そんなつもりじゃなかったんだ」 「……ん、分かってる」 修実は微笑して、傷口が隠れるような位置を確保する。 「ごめんね久くん。お姉ちゃんに付きあわせちゃって。おかげでいろんな組織の人たちに追われることになっちゃって」 「俺は自分で行動するって決めたんだからいいんだ。それに今の状況はほとんどあの事件のせいなんだから修実姉が謝ることなんて何もない」 強めに言って、ダンボールの中からカップラーメンと、湯を沸かすための薬缶を引っ張り出した。 ダンボールの中に詰め込まれていた食料は、その全体量や彩りを考えていない同じ種類のカップ麺を雑多に詰め込んだラインナップから考えて、久信1人用のものだろう。 事前に食料は一人分でいいなんて言っておいたのは間違いだったか。 今更悔んでも後の祭りだ。少し危険ではあるが、明日あたりに周囲を気にしながら追加の食事を見繕うのもありだろう。 修実は今の状態になってから、食事も排泄も不要になっていた。それは一般的な生物とは活動のための燃料からして全く別のモノに変わってしまったということを端的に示しているように久信には思われる。 その変化がいいものなのかどうなのかは分からない。ただ、日常生活を送ることも難しい状態の姉にとっては、煩わしさから少しでも解放されることは悪いことではないだろう。追われる立場にある今となっては買い出しに走らなくてもいいという状態は便利であるともいえる。 楽観的に考えすぎか。 自嘲気味に内心呟く。そう、久信たちは現在、様々な都市伝説系組織に追われる立場にあり、この部屋に辿り着く前に追ってきた黒服のような者たちから危険人物としてマークされ、今は逃げ隠れる身である。 友人である見塚昌夫(みつかあきお)と、彼が勤める警察内の対都市伝説専門の部署の協力がなければ、今頃どこかの組織に捕まっているか、討伐されていたのかもしれない。 「そりゃ面倒な状況になったもんだな、とは思うけどさ。だからって謝らないでよ。それなら俺なんか何度謝ったって足りないんだから」 「……ごめんね、ありがとう」 小さい謝罪と感謝の言葉に頷くだけで応えて、久信は湯気を上げた薬缶の火を止めた。 「何にせよ、気を付けないとな。警察も大っぴらに俺たちを庇えるってわけじゃないんだし」 その理由は久信たち姉弟が追われている理由と同じものだ。 「面倒なことに、追われる理由については何も言い訳できないから」 そう、 「修実姉のせいで町一つが壊滅したっていうのは、結局のところ否定できないってのが性質が悪い」 修実はダルマのような体を小さく震わせて、もの悲しげに眉を曇らせた。 前ページ次ページ連載 - コドクノオリ
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/2609.html
【種別】 人名 【初出】 とある科学の超電磁砲SS② 第一話 【解説】 『ショッピングセンター』を訪れた御坂美琴を出迎えた『保安員』。 ショッピングセンターの成り立ちや半公開型ARについて美琴にレクチャーした。 同時に都市伝説『とても価値のあるオレンジ』についても語り、その内容を考察して見せた。 後に『とても価値のあるオレンジ』は学園都市ローカルのものだと判明し、 ウワサ話を操作する『プロジェクト=コードEIC』の研究にも参加していることから、 「この話を知り、聞かせた存在」として美琴に襲撃を受けた。 美琴による拷問まがいの詰問に対して精神的に追い詰められたが、 「コードEICでは『不気味な都市伝説』を生み出すことは想定されていない」 「解りやすい『闇の上層部』が存在するなどという事実はない」 と回答している。 美琴からの疑いが晴れた後は解放され、協力を申し出たが、 予定を急に変えた事を『保安員』に怪しまれることを美琴が危惧し、 そのまま安全地帯へ避難させている。 【口調】 話し方は普通だが、「にゃはは」と特徴的な笑い方をする。 例)「んー?にゃはは、全自動お着替えにでも引っ掛かりましたか」
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1518.html
【上田明也の綺想曲6~Grateful Dead Greatful Days~】 「お前ら、夕食は何が良い?」 「酢豚食べたい、お母さん。」 「牡蠣の塩辛と米が有れば何も要らないよ、お母さん。」 「ハンバーグ食べたいです、お母さん。」 「お前ら全員飯抜きな。」 マッドガッサーの捕獲に失敗してからと言うもの、俺はみんなにお母さんと呼ばれ続けていた。 っていうかサンジェルマンは何故家で飯を食っているのだろうか? 「おい、サンジェルマン。」 「え、帰れッて?解った解った。」 奴は本当に米と塩辛だけを食った後に出て行きやがった。 「はい、と言うわけでお前らに夕ご飯を作ってやりたいと思います。」 「「ご飯マダー?」」 流石に子供が二人も居るとうっおと……、噛んだ。 うっとおしい。 「今日はお前ら希望を取り入れて酢ハンバーグにしたいと思います。」 「「それはない」」 なんでこいつらは妙な所で息が合っているのだろうか。 「お前ら酢ハンバーグが不味いと思っているらしいな、ならば良いだろう。 あれがいかに美味しいか子供の時に嫌いだったうどんに大好きなカルピスを混ぜて自爆した俺が教えてやる。」 「食う気が萎える枕だわ。」 「マスt……お母さんの失敗談ですね、どうみても。」 「うるちゃい、お前らは俺の作った飯を豚の如く食えばよいのだ。」 フライパンを取り出して油を引いて火にかける。 クックックドゥーンの酢豚の素を棚から出しておく。 冷蔵庫には丁度ハンバーグのこね終わった奴があるのでそれを使おう。 まず鶏肉の煮物で出来た煮こごりと酢豚の素を混ぜて薄めの餃子の皮の中に包む。 そしてそれをさらにハンバーグの中に入れてフライパンへ…… 紹興酒をフライパンに加えて蓋をして肉に火が通るまでユックリ待ちましょう。 「できたぞてめえら酢ハンバーグ!」 「「やんややんや」」 「さあ食べろ。」 「「いっただきまーす。」」 子供達は酢ハンバーグに齧り付いた。 「うわ!中から酢豚のたれが!しかもハンバーグと調和している!」 「マスターって運動、ていうか肉体を使った作業以外一通り出来ますよね。 これも味付け良いのに野菜が不揃いだったり……。」 「余計なお世話だ。」 二人がご飯を美味しそうに食べているのを見ていると心が落ち着く。 片方は凶悪な都市伝説だしもう片方も凶悪な都市伝説の契約者なのになあ……。 そういえば凶悪なんて誰が決めたんだろうか? それが凶暴なのか邪悪なのかなんて自分たちではなく他人が決めた基準におけるものでしかない。 俺達を受け入れない他人の集合体が数を頼みに振り回したルールに過ぎない。 さて、その法に従う必要はあるのだろうか? その法から逃れればきっと今俺は可愛い二人のロリに飯をつくっている心優しいお兄さんに違いない。 世間一般のルールでは人でなしの俺でも今ここを支配しているルールの下では優しい人間で居られるのだ。 「お前をまともな人間にしたかった。でも駄目だった。俺はもう諦めるよ。 お前と絶交するわけじゃないけどさ、諦めた。俺には無理だ。俺の身が保たない。」 そう言った友人が高校の頃に居た。 しかし世間一般のルールで救われなかった少女が今目の前に二人居る。 世間一般のルールに迫害された人間と都市伝説がいる。 そう言ってくれた友人のことは尊敬しているが彼の気持ちに報いることはできなさそうだ。 「美味いか?」 「美味いよ、上田明也。」 「美味しいです、マスター。」 「なら良いんだ。」 思えば橙もずいぶん家に慣れたものだ。 最初はメルや俺ともぎくしゃくしていたんだがな。 まあそこらへんはサンジェルマンのおかげと言うことにしておこう。 彼女のボロボロの身体をある程度治したのもあいつだしな。 「ああ、そうだ。薬飲ませるから来い。」 「はーい。」 橙は生まれた時から眼が見えなかったらしい。 眼の病気か何かで眼球を摘出するしかなかったそうだ。 だから彼女の目は義眼である。 人形のように可愛らしい彼女だが人形みたいな美しい眼という形容の仕方はあまりしない方が良いのだろう。 「マスター、私白湯用意しておきますね。」 「ああ、ありがとうよ。」 「ハーメルンの笛吹き、ありがとう。」 橙が薬を飲み終わると適当にテレビをつけて番組を見る。 最近はサンジェルマンの特訓のおかげである程度能力を制御できるようになったらしい。 テレビ位なら能力を使ってみても問題は無い。 ただしお笑い番組を見ているときは問題だ。 「はいはいはいこんにちわ~。」 若手の漫才コンビが出てきた。 最近実力をつけているコンビらしい。 「あははははははははは!!!」 出てきた直後に橙が笑い出す。 「………あれ?どうしたの?」 「橙、それは何秒先だ?」 「橙さん、貴方の笑いの壺ってキャハハハハ!!!」 そう、彼女はどうも数秒先の映像に反応してしまっている時があるのだ。 今のようにお笑い番組だと数秒後のギャグで突然笑い出す時がある。 家に来た時はそもそもあまり笑わなかったからまあそれよりはマシと思うことにしている。 「……また間違えた。」 「気にするな、まあゆっくり使い方に慣れれば良いさ。」 「はい……。」 気にしているのだろうかしょんぼりしはじめる。 「馬鹿おめえそんなの仕方ないだろうが!一々気にしないの!」 「そうですよ、橙さん!」 「解ったわ……。」 そういや施設内ではテレビも見せて貰えなかったらしい。 可哀想とか安い言葉を吐くつもりは無いがすこし胸が痛む。 その後、気を取り直してその後しばらくテレビを見て大体10時か9時には就寝である。 以前までは夜遅くから動き回っていたのだが最近は大分警戒されるようになってしまった。 組織の人間と戦って負けるつもりは無いがもしあの秋刀魚男が現れたり宝石を投げつけた男が居たりすればメルが揺らぐ。 ……俺は揺らぐのだろうか、否、揺らげるのだろうか? 人間をやめることは楽だ。俺は楽をしすぎた。 あのコーラ男くらい割り切った奴だと戦いやすいのだがな。 それにあの禿でマッチョな黒服に来られたらぶっちゃけ勝てる気がしない。 そもそも自分の能力がもう割れているというのが痛い。 こちらが妙な動きをしなければ相手だって手を出さないのだ。 それで良い。 メルと一緒にベッドに入ると橙も入ってきた。 「なんだ、まだ夢を見るのか?」 「良いじゃない、どっちでも。」 ちょっと怒ったように橙は言う。 しかしあまりベッドに居られると俺としては襲いかかりたくてしょうがなくなるのだから許して欲しい。 実験でに与えられていた薬の副作用で悪夢を見ているそうだ。 薬の名前は確か"Ω to α"、都市伝説の侵食を進める薬だそうだ。 試作品の物を調整も兼ねて無理矢理与えられたのが身体に負担になっているとサンジェルマンからは聞いた。 薬を使わなくても都市伝説との信頼関係一つだと思うがまあそれはそれだ。 今は"Rev-00"とかいう薬で効果を抑えているそうだ。 「これって本当はすっごい機密事項なんで何処で手に入れたとか秘密ですよ?」 そう言っていたが奴のことだからくすねたかそもそもその薬の製造に一部関わっていたのだろう。 考え事をしていたら幼女二名とも俺の隣で寝てしまった。 仕方ないので俺も寝ることにする。 でもその前に首が冷えないようにタオルケットを二人の首に掛けて…… 掛けようとしたが腕枕中だったので下手に動けない。 そっと動くことにしよう。 秋の朝は割と冷える。 一番最初に目を覚ました俺は布団の中で冷たい空気を入れないように注意しながら布団を出た。 ついでにメルと橙を抱き合わせておく。 おお、これは非常に百合百合しい。 カメラで撮っておこう。 撮影タイムが終わるとさっさと一階に向かう。 エプロンをして味噌汁の出汁をとる。 今日は煮干しで出汁をとろうか。 味噌はいつもの物で良いだろう。 「おふぁようございま~す。」 6時50分にメルが起きる。 二人でねざましテレビの占いを見てキャイキャイ騒ぐ。 ちなみに俺とメルの星座は双子座である。 橙は射手座らしい。 「……おはよう。」 橙も起きた。 只今7時20分。 みんなで朝食を食べ始める、食べ終わる頃にはサンジェルマンも来ていたりしてそれなりに賑やかである。 ご飯を食べ終わると橙はサンジェルマンと修行を始める。 午前中も午後も特にやることは無いからひたすら世界文学全集とか六法全書とか読んだりメルと修行していたりする。 気分次第では町に出かけるのだがハプニングに巻き込まれやすいのが問題である。 その日はちょっと出かけて帰ると午後五時になっていた。 「ご飯作っておきました。」 サンジェルマンの手料理がテーブルに広がっていた。 「ぼくも手伝ったよ!」 橙も手伝ったらしい。 「あー、総菜買って来ちゃった。」 「良いからもう食べましょうよマスター!」 「はい、じゃあお前ら椅子に座れ。」 みんなで席に着くと両手を合わせて俺はこう言う。 「それじゃあ、頂きます。」 「いただきまーす。」 「頂きます、サンジェルマンさん。」 「ふはは、存分に召し上がれ。」 「お前も命に感謝しろ。」 「マスターが言うと怪しいです。」 「上田明也が綺麗なこと言うと不自然だぞ。」 困った奴らである。 だがそんな日々も悪くない。 平凡だけれど偉大な日々。 素直に感謝することにしよう。 【上田明也の綺想曲6~Grateful Dead Greatful Days~ fin】
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4351.html
ある少女は、学校町あるマンションの洗面台で、髪を洗っていた。 その少女の髪は長い茶髪で、彼女自身それは自慢の髪だ。 顔立ちは日本人ともいえるが、どちらかといえば西洋人の顔だろうか? だがそれは些細なことで、その『美少女』には関係が無かった。 そしてその少女は、髪を洗いながら、目をつぶりながらボソッと呟いた。 「だるまさんがこーろんだ」 所で、『だるまさんがころんだ』という話は知っているだろうか? 髪を洗いながら「だるまさんがころんだ」と呟いて鏡を見ると、顔の青白い不健康そうな顔の女が肩越しにこっちを見ている……という都市伝説だ。 そして少女は目を開けて鏡を見る。 そこには、肩越しにこちらを見ている女の姿があった。 少女も見かえし、鏡に右手を伸ばす。 ずるとその右手は鏡の中に入り込み、女の首を掴んだのだ。 「――――ッ!?」 鏡の中の女は、あまりに予想外な出来事に驚き、先ほどとは全く違う、ギョッとした目で少女を見ている。 「おいおい、都市伝説が都市伝説を見抜けなくてどうする? 暇つぶしにやったら本当に出るとは思わなかったな。これぞ東洋の神秘ってヤツか?」 少女は鏡の女の中の顔を、じろじろと見ながら感想をずばずばと言っていく。 「まあ俺みたいになれば、都市伝説の力の気配も消せるしな。お前みたいなマイナー都市伝説が騙されるのも無理無いが」 鏡の中の女は『失礼な! 最近は結構人気なんだぞ!?』とでもいうかの様に手をジタバタと動かしている。それでも少女の手は離れず、それどころか強く握っていっている。 「苦しいか? 死にそうか?」 鏡の中の女は目で頷き、少女はあっさりと手を話す。 『な、何よアンタ!? アンタみたいな都市伝説聞いたことが無いぞ!?』 慌てながら鏡の奥に避難する女を見ながら、少女は律義に答えてやる。 「俺を知らないなんて悲しいな。まあ拠点はアメリカだったしな。お前が知らないのも無理は無い」 少女は先程まで首を絞めていた手をひらひらとふって、洗面台に座った。 「まああれだ、すまなかったな。俺の暇つぶしで死にかけたからな。お詫びに話相手にでもなってやろうか?」 『誰がなるかバカっ!!』 鏡の中の女は、あっかんべーをしながらどんどんと鏡の奥に逃げて行ってしまう。 「そう恥ずかしがるなって」 少女はニヤリと笑いながら、鏡の中に一歩踏み込んだ。 「今帰った」 しばらくすると、急に煙のような霧が部屋の中に入り込み、人の形を作り出す。 ファントムだ。 「ん、お帰り」 少女――――DKGは、鏡の中から顔をだしながらそう言ってやった。 「おお!?」 あまりに予想外な出来事に、ファントムは腰を抜かし、DKGは指を刺しながら笑った。 突如抱きつかれた後、二人は無事に契約した。……何故かファントムの男が婚姻届にサインを! と言ってきた時はパニックになりかけたが、そんな紙は思い切り引き裂いてやった(婚姻届を破るのは犯罪です。良い子も悪い子もまねしないでね)。 二人の関係は恋人などではなく、ただ契約した仲というだけだ。お付き合いの返事は、そういうのはお互いをもっと知ってからにしようという、あまりアメリカ育ちとは思えない反応だった(別に恥ずかしがったわけではなく、流石に一日も経っていないのに早すぎるというだけだ)。 そのはずなのだが、ファントムの男はあれからDKGの為に様々な環境を整えた。 まず、ファントムの男はDKGについて『何も殺したくない=普通の生活をしたい』と勝手に考えたらしく(当たっているのだが)、日本のハイスクールを紹介してきた。彼自身もそこに通っているらしく、一緒に通いたいです! とファントムの男のしつこい要望からだった。 その後は協力関係にある都市伝説達や公共機関さえ操る『組織』にかけ合い、彼女の身分を作らせるという、壮大な事をやってのけた。 それを聞いた時、ん? お前ってフリーって言ってなかったか? と聞いてみると、 「組織のトップとか総理大臣とか、結構顔広いんです」 思わず、お前一体何者だ!? と聞いたら、 「そういえば名前言ってませんでしたね。本条(ほんじょう)雄介(ゆうすけ)です」 と言ってごまかした。 そして時は現在に至る。 「何で鏡の中から何ですか!? あれですか、そんなにドラゴンナイトが気に入ってるんですか!! それとも龍騎の方ですか!?」 「どっちもすきだ安心しろ。それに俺が鏡に入っていたのはお前みたいな痛い理由じゃない」 「それじゃあ何ですか」 「友達作りだよ」 そう言って鏡の中から跳んで出てきた。その手には、胸倉が掴まれた女性の姿もある。 「誰ですか!? どこのどちら様ですか!?」 「いや、みりゃ都市伝説って分かるだろ」 「それはわかりますよ!? 分かりますけど鏡から出てくる系の都市伝説って苦手なんですよ!!」 「そういう問題か?」 「ミラーモンスターに比べれば幾分かマシですけどね!」 そういうとファントムは仮面を外し、黒くワックスで形を整えた髪をした、少し顔のいい人間の姿――――本条雄介の姿に戻った。 「まああれだ。こいつは暇つぶししてたら出てきたから、どうせならこっちで初の友達でもゲットしようかと思ったんだ」 「首を掴むって友達を作る対応じゃないでしょ!?」 ようやくその女性が話しだし、DKGは手をひらひらと振る。 「仕方ないだろ。お前を殺そうという意思が無いと、そっちに入れないからな」 「殺す気満々でしょうが!!」 「安心しろ。半分嘘だ」 「半分は本気じゃん!!」 DKGと女性のガールズトークに、雄介はやれやれと呆れる。 「それはあれでしょう。彼女の能力は『殺すためならどんな事もやってのける』事なんですから、それを応用しないと鏡の中に入れなかったんじゃないですか?」 「そういう事だ。まあ頭の中で『殺す』と呟けばそれで充分なんだけどな」 はっはっは、とDKGと雄介は笑い合い、鏡の女はそれを睨みながら、 「リア充爆発しろぉ!!」 鏡の中に再び逃げた。 「ま、出会いはあれだからな。仕方ないか」 「というより、あの人ネラーですか」 「ん? ちなみにあれはどういう意味だ?」 「『現実(リアル)を充実している奴は、さっさと爆発して消えてしまえ』という嫉妬を意味する言葉です。ちなみに『末長く爆発しろ!』っていうのは、主にカップルに対して祝う、素直になれない人の言葉ですね」 「日本語ってのはよくわからないな」 「というより、最近の若者の造語ですから、教科書には出ませんよ」 「そうか、覚えておく」 DKGはソファに転がり、テーブルの上に置いてあった本を読み始める。 「……『PGM ヘカートⅡ』か、いいな」 「あれ? 契約してからは亜音速どころか、素手で光線銃出せるようになってませんでしたっけ?」 「それとこれは別だ」 人を殺す事を拒絶しているDKGだが、武器は別だ。 武器とは職人の魂であり、大切に扱っていれば絶対に裏切らない物……らしい。 実際彼女の使っている武器は、自分で作っているもので、職人とかあまり関係が無い気がすると、雄介は思う。 「『何も殺さない』とか言っておきながら、そういうのはお好きなんですね」 「何事もビジュアルは大事だろ。木の枝よりナイフの方がかっこいいのと同じだ」 こんな美少女が、銃器を構えている方がイケない気がするのだが、そこはあえて黙っておく。 「おっとそういえば、あなたの生徒手帳、貰ってきましたよ」 雄介はキッチンに立ち、高校の生徒手帳を持っている手で振っている。 「投げろ」 だが取りに行くのが面倒くさいのか、本を読みながらそんな事を言ってきた。 もしかしたら雄介の配慮もあるのかもしれないが、そういうのは良くないと思っている。 「私は、投げていいものはボールと髪飛行機だけと思っています」 「投げナイフとダーツは?」 「危ないから、駄目じゃないかなぁ?」 目をそらす雄介。 間違いない。それだけは、考えついていなかったのだろう。 「まあそんな事言ってる間に取りに来たわけだがっと」 生徒手帳を雄介から奪い取り、パラパラと中身を見る。 その中で、気になるものがあった。 「……おい、今すぐこれは冗談と言え」 「へ?」 DKGは震えていた。 「何で俺の名前が『本条 薫(かおる)』になってるか言ってみろ!」 「うひゃあ!?」 怒りで。 「薫はあれだ、俺が考えたからいいだろう。だけど、何だよ本条って! 名字の方は大文字と言ったはずだろ!」 「だってー、それネーミングセンス無さ過ぎますよ。それにDKGのDとKに沿ってるみたいで嫌なんですよ……」 「俺がそうなるようにしたんだ! 余計な気遣いは迷惑だ! ジャパニーズ『有難迷惑』だ!」 なんかニュアンス違うような? と雄介は思ったが、それより大事な事を言う。 「だってDはドライ、Kはキラーですよ? 薫という名前は僕の好みなので許しましたけど、Dのつく名字は嫌だったもので」 本当は、薫の名前も嫌なんだったとDKGは思う。 何故なら、薫に触れた途端、雄介の表情が曇ったからだ。 それも無理は無いと思う。何故ならキラーが意味するのは、『殺人者』なのだから。 だが、自分の意見も入れてあげたかった。だから、そんな冗談で変えられるような部分を削ったのだろう。 ほんの数日で人の事をここまで分かるという事は、自分も人らしく慣れているのだろうか? 人を殺すことで、満たされたいと願いながら殺すあの頃とは、変わっているのだろうか? 「……ちなみに、何で本条?」 「ほら、あれですよ。結婚しても名字で呼ばない対策――――」 次の瞬間、雄介は暗い空を舞った。 「……信じた俺がバカだった」 瞬間変身で何とか助かった雄介を見ながら、呟くのであった。 ……続いてもいいカナ?
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1331.html
合わせ鏡のアクマ 58 都市伝説4コマ風劇場 解毒中 「そういえばバイトさん」 「ん、なにか?」 「恋愛経験ってあります?」 「あ、それ私も気になる」 「・・・」 「・・・ノーコメントで」 「あ、ずるーい」 「いや、本当に勘弁してくれ」 「ちなみに私はキスまでならあります」 「えぇえええええ!!いつ、どこで!?」 バイトさんに恋愛関係は鬼門だろうなーと、結局はぐらかしてみた 姫さんは恋愛経験ないので、妹ちゃんに先を越されたと驚きを隠せません * 都市伝説4コマ風劇場 「先越された・・・」 「都市伝説時代の話ですけど」 「その時かい!」 「で、相手は?」 「兄さんです。子供の頃の」 「あの頃は兄さんも小さくて、可愛らしい声で恥ずかしそうに私に言ったんです」 「いつかぼくをおよめさ」 「言うなぁあああ!!」バタン 「お帰りなさい、兄さん」 ま、妹ちゃんは年長者だから経験くらいありますとも ・・・可愛かったんだろうなぁ * 都市伝説4コマ風劇場 「お婿さんとお嫁さんを間違えて・・・かわいかったですねー」 「子供だったからよく意味を知らなかったんだよ!!」 「だいたい、お前はどうなんだ!」 「え?私は・・・・・・」 「・・・・・・・・・」ボンッ 「ににに兄さんには関係ありません!」ポカポカ 「あだっ!?叩くな!」 3コマ目の音は顔が赤くなった時のアレ * 都市伝説4コマ風劇場 「で、肝心のキスシーンはどんなだったの?」 「それは・・・」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「そっか じゃあちゅーしてよ」 「なんでぇ?」 「ちゅーは好きな人同士がする儀式みたいなものなのよ」 「だからしてくれないとあなたのこと嫌いになっちゃむぐっ」ちゅー 「えへへー、これでいい?」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「言えません///」「えー」 昔はけっこう行動が早かった主人公 ためらいなくキスとか、今は無理だろうな * 都市伝説4コマ風劇場 「でもしたってことは好きだったの?」ヒソヒソ 「はい・・・でも兄さんには」ヒソヒソ 「言わないわよ・・・」ヒソヒソ 「昔のことはさておき、今はどうなの?」 「今ですか?」 「ないですね。今は姫さんの恋を見ている方が」 「わー!?」 「どうした?」ヒョイ 「いえ姫さんが「××は気にせずご飯作ってて!」 * 都市伝説4コマ風劇場 「できたぞー」 「今日はなに?」 「肉じゃが」 「ジャガイモ崩れてるなぁ」 「そういう時は・・・」 「あの」 「質問していいか?」 「なんですかバイトさん」モグモグ 「さっきの都市伝説時代って一体なんだ?」 「「「・・・・・・あー」」」 事情を知らねばわからないさっきの会話 前ページ次ページ連載 - 合わせ鏡のアクマ
https://w.atwiki.jp/index-index/pages/2829.html
【種別】 都市伝説・組織 【初出】 とある科学の超電磁砲 PSPゲーム版 第二章 【CV】 田頭 里奈、鳥羽 月子、佐藤 恵、小堀 友里絵、清水 彩香 【解説】 学園都市のネット上で囁かれている都市伝説。 曰く、 根も葉もない都市伝説を好き勝手に流布していると、『制裁指導』という集団が現れる。 都市伝説を流布し、風評被害を生み出した犯人に対し、相応の罰を与えるらしい。 その容姿も、構成人数も一切が謎に包まれている。 大方の予想では、 「掲示板が荒れた時等に場を取りなす集団」ぐらいのものだとされていたが、 最近になって『制裁指導』のハンドルネームで書き込む連中が発生。 それは普通の自治ムードとは明らかに違った、 『普通』じゃない感覚を受ける類の人種だったという。 鏑木由美、イーコの二名が第一五学区のカラオケボックスで襲われた事で、 単なる噂に留まるものでは無いと発覚し、御坂美琴達が本格的な調査に乗り出す事になった。 その実態は、「イシガキミホ」を傷つける風評被害を生み出す者を排除しようとする人間の集まりで、 実際の『指導』を執行していたのはノリコという女子を中心とした5人組のグループだった。 「イシガキミホ」を追い詰めた都市伝説『エコミチ暴走事件』を流布する者を、 第一五学区の情報サイトエンタメカーソル等から選別し、襲撃を決定していた。 鏑木由美達の居所が分かったのも、 利用したカラオケボックスがサイトのリンクに含まれていたからである。 その主立った行動は、『エコミチ暴走事件』の噂が広まった、 第二章開始の10日前付近から始まっている。 その思想は、 「おもしろ半分に風評被害を生み出す輩をぶっ殺す」、 「虚実飛び交う掲示板の書き込みから真実を拾い上げる力が私達にはある」等、 かなり過激に発展している。 また、風評被害を生み出す都市伝説を書き込んだ者に対してや、 「イシガキミホ」から指示があった相手に対しては、 場合によっては殺害すら厭わないレベルの襲撃をする段階に達している。 「風評被害に傷ついたイシガキミホの復讐をする」という目的で行動していたが、 『制裁指導』を追う美琴達に対して、「イシガキミホ」からの、 「お前(御坂美琴)みたいなヤツが、弱い人間を傷つける」 というメールを受けて襲撃を実行。 美琴を空き地に追い詰め、5人がかりで攻撃を仕掛けたが、 さすがにレベル5には敵わず打ち倒された。 その後、風紀委員である初春飾利の口から「イシガキミホ」の真実を聞き、 戦意を喪失して警備員に引き渡された。 なお、白井黒子は戦意を喪失した『制裁指導』の面々を、 「甘っちょろい正義感に陶酔し、イシガキミホに依存している」 と辛口に評した。 『制裁指導』の都市伝説は実行犯の捕縛で収束したが、 事件の影では何者かが「どんな都市伝説の出所も突き止め、襲撃する」という点を利用しようと、 「イシガキミホ」の一人として情報提供を行っていたらしい事を美琴達は知る由も無かった。
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4434.html
《ちっ……まだ使える都市伝説があったのか》 「その“使える”って意味によるけどな 使用できる都市伝説ならこの通り、今の時点では俺の切り札だ 便利な都市伝説は残念ながら手元に無い」 『そんな言い草は無いだろう? まぁ、君のような単細胞契約者は一生かかっても僕を使いこなせないだろうがね』 「何だとぉ!? 人殺ししか脳に無いお前よりは遥かにマシだろうが!!」 「け、喧嘩は止めなよ!」 喧嘩とは言え、傍から見れば剣に向かって裂邪が一方的に八つ当たりしているようにしか見えない それに、一見すると黄金の柄の剣が口を聞いているように思えるが、実際は剣にとり憑いている紫の霊魂だ 「ティルヴィング」、「憑依霊」、「エルクレスの塔」、「ヴァルプルギスの夜」、そして「神出鬼没」 5つの都市伝説に飲まれた元人間である、裂邪の6つ目の都市伝説―――ナユタ 元々は人から人へ憑依して回り、他人の命を奪って愉しんでいた姿無き快楽殺人鬼だったが、 それを止める為に裂邪が強制的に仮契約を行った為、このような現状になっているのだ 《だが何を使えようが関係ない、俺は並行世界をも支配する男だ! 例え別世界の俺だろうと、たった1人の契約者が止められる訳がない!!》 周囲の小型UFOが砲撃の準備を開始する その数、凡そ20機ほど 「……おい殺人鬼、ここは一時休戦と行こうぜ」 『本当は即刻取り下げたいところだが…仮契約だか何だが知らないが、それでも君との繋がりは深いらしい 君に死なれると僕が消える……それだけは避けたいからね』 裂邪が「ティルヴィング」を前方に構える きらり、と切っ先が光を反射して輝いた 『言っておくが、足手纏いにはならないでくれたまえ』 「お互い様だろ馬鹿野郎……行くぞ、ナユタ!」 『…仰せのままに』 《撃てぇ!!》 UFOから、裂邪に向けてレーザーが一斉に発射される それらは全て彼に被弾した――――と思いきや、逆に放射状にレーザーが放たれ、20機のUFOが撃墜された 《何っ!? どういう事だ!?》 「ヒハハハハハハ! 「エルクレスの塔」は光を反射して敵軍を焼き払った「アレクサンドリアの大灯台」の縮小型だ! だったらもう分かるよな? レーザーも光だろ!?」 《こ、小癪な……余り目立つ事はしたくなかったが、構わん! 全軍、黄昏裂邪を撃ち殺せ―――――》 命令されたと同時に、傍のUFOが両断され、爆音と共に木っ端微塵になった 何事か、と軍服裂邪が確認しようとした次の瞬間に1機、また1機と墜ちてゆく 《ええい、今度は何が――――――ッ!?》 彼はそこでようやく気付いた 先程まで地上にいた筈だった裂邪が、そこにいなかったのだ では、何処に行ったのか? 何気なく視線をやった先に、彼はいた 今まさに、小型UFOを真っ二つにせんとしている あ、と言う間もなく断ち斬ると、その瞬間に彼の姿が消える 「神出鬼没」による、擬似的なテレポーテーションだ 《消えた……!? 違う能力か!?》 《レーダーニ反応アリ。敵ハ303号機ニ乗ッテイマス》 《ちっ、550号機、753号機! 奴を303号機ごと撃て!!》 《《了解》》 指示通り、2機のUFOから再びレーザーが放たれる しかしその真っ直ぐ伸びる光条は、紫色に怪しく燃え上がる炎によって掻き消された 邪念の篭った攻撃を容赦なく祓う「ヴァルプルギスの夜」である 「あーぁ…良い具合にチートだよな、お前」 『素直に喜びたまえよ、今は君の力なのだから』 「ティルヴィング」を振り下ろし、UFOを撃墜すると、瞬間移動して先の2機も分断し、 飛んできたレーザーを全て跳ね返して確実に撃ち落とす 気がつけば、飛んでいるUFOは母艦だけだった 「ウヒヒヒヒ…おーい、世界の支配者さんよーぃ まさかこれで終わりとは言わねぇよなぁ?」 《……成程、腕は確かなようだ。ならこれはどうだ?》 母艦から謎の光が伸び、不気味な影が降り立った 全身は緑、脚は2本だが、鋭い爪を持った腕が6本あり、先端が棍棒になっている尻尾も2本伸びている 珍しく翼は生えてなく、代わりに胸部には赤く輝く結晶体が埋め込まれていた 目は左右に4つずつ、口はX字に裂けており、滴る涎がアスファルトを溶かす 「ジ・ジ・ゼ・ジ・ゾ……」 《今度はその「ミュータント」が相手だ》 「わお、これどこの三流RPGよ、何故か血が騒ぐぜ」 『子供かね君は』 「男はずっと子供なんだよ、馬鹿みたいに大人びるからあんなことになるんだ」 呟きながらも「ミュータント」の地面を穿つ攻撃はしっかりと回避する と言うより、本人が意識せずに、勝手に身体が動き出していた 「……おい、契約者には憑依できないんじゃなかったのか?」 『さぁね、仮とはいえ、契約したお陰じゃないかな?』 ナユタの本体は「憑依霊」だ 過去には契約者や都市伝説には憑依できず、一般人に憑依して戦闘を行っていたが、 どうやら今は裂邪に憑依できるらしく、彼の身体能力を底上げしているようだ 『ま、憑依してはいるが、君の意識が残っているのはちょっとショックだよ』 「ざまぁみろ、好き勝手にゃさせねぇよ!」 尻尾の棍棒を「ティルヴィング」で弾き返し、爪による斬撃を「ヴァルプルギスの夜」で無力化する 「神出鬼没」で背後に周り、背中から襲いかかる すぐに気付いた「ミュータント」も尻尾で応戦し、何とか背中の一撃は免れたものの、 その代償として尻尾の先が、鮮血を散らして空に舞う 小さくガッツポーズを決める裂邪だったが、体液を飛び散らせて再生した尻尾を見て萎える 「やっぱ再生すんのか…厄介な」 『再生しないように細かく斬り刻むか、焼くしかないようだ』 「殺しに関しては天才だな、お前」 次の瞬間、「ミュータント」の胸部の水晶体から、赤い光線が放たれる またレーザーかよ、と文句を垂れて「ティルヴィング」の切っ先を向け、「エルクレスの塔」の能力で光線を跳ね返す 光は水晶体もろとも焼き焦がし、「ミュータント」の身体に風穴が空く 咆哮を上げ、「ミュータント」は一瞬怯んだ 「っし、ナユタ、数撃手伝え!」 『言われなくともそのつもりだ』 裂邪は居合の構えで「ミュータント」に飛びかかる すれ違いざまに目にも止まらぬスピードで剣を振り、軽やかに地に足を付けた ぼと、ぼとぼと、と化け物は細切れになり、溶けて消えて無くなった 「………す、すごい……あんな化け物を、一瞬で……!」 路地裏から戦いを見ていた少女裂邪は、密かに感動を覚えていた 同時に、腹の底から湧き起こるようなとてつもない感情に、徐々に気付きつつあった 「ヒハハハハハハハ、そ~ら、もう終わりか? 何だったら遠慮なくその無駄にデカい船をぶっ壊させて貰うぞ!」 意気込む裂邪だったが、実は少しばかり体力の限界が近づいていた 殆どナユタの憑依による自動操縦状態だったが、裂邪は運動嫌いで且つ体力は同年齢の平均以下 UFOからUFOへと飛び回っていれば、その減り具合も納得である 《……ふん、安心しろ、まだ用意してある》 再び怪しげな光が出現し、先程の「ミュータント」が現れた ここまでは同じだが、問題はその数である 全部で、5体……流石の裂邪も、顔に出してしまう程の多さである 『もう体力切れか? 全く、よく多重契約なんて出来たものだ、呆れを通り越して…やはり呆れるね』 「どうも有難う、それよりまずいぞ、何とかしたいが……ん?」 目の前には、水晶体にエネルギーを溜める6体の「ミュータント」 恐らくこの後、先程のように胸から光線を出すのだろう 裂邪はポケットからスマホを取り出し時間を確認した後、空を見上げ、にやりと笑った 「問題です、雲の上には何がある?」 『は?』 「あぁ全く常識問題だ、答えは太陽 あの雲さえ退ければ、太陽が見られる訳だ」 『それがどうした――――――――あぁ、そういう事か』 5体の「ミュータント」が同時に光線を発射する 一つになって巨大化した光線を、裂邪は「ティルヴィング」の切っ先で天に向けて反射させた 《血迷ったか、何処を狙っている?》 「見りゃわかるだろ、雲だよ! そして、俺が狙ってるのは、その先に在る希望だ!」 反射した光線は雲を貫き、空に巨大な穴を開ける その穴から、眩い光を放つ神の目玉が、ぎょろりと覗いた 町中が、光に包まれる 町に、そして裂邪の背に、“影”が生まれる 「…ッヒヒ、やっぱ用意が良いな……来い!シェイド!ミナワ!理夢!ウィル!」 「了解シタ」 「はい、ご主人様!」 「OKィ!」 「がってんでい!」 裂邪の影から、黒いローブを纏った人影、青い髪の少女、白い毛並みの獣、赤い人魂が次々と飛び出した 「シャドーマン」のシェイド 「シャボン玉」のミナワ 「獏」の理夢 「鬼火」のウィル 全て、裂邪の契約都市伝説 これまで彼を支えてきた、仲間であり―――家族 《ッバカな!? 一体幾つと契約しているんだ!?》 「都市伝説が……4つも増えた!?」 驚愕する2人の裂邪だったが、この光景はもはやお馴染みなので当の裂邪も半笑いである 「お前ら、状況は分かってるな?」 「全テ影ノ中デ見テイタ……ソコノ少女ノ事モナ」 「もぉ、厄介事に巻き込まれすぎですよ、ご主人様は」 「ついこの間まで誰かと入れ替わってたテメェが言う事かよ?」 「違ぇねぇ、結局は『都市伝説は引かれ合う』って奴でい!」 『のんびり話している暇があるなら前を見たまえ、来るぞ』 「ミュータント」が爪を立て涎を垂らし、ゆっくりと前進してくる ふん、と裂邪は鼻で笑うと、右手を前に差し出した 「まずは奴らの撃破……戦闘開始だ!」 ぱちんっ、という指の音と共に、彼等は一斉に行動を開始した ...To be Continued 前ページ次ページ連載 - 夢幻泡影
https://w.atwiki.jp/legends/pages/970.html
―Episode3 勘違い、そして神代の限定復活― あらすじ 黒服幼女m…ゲフンゲフン黒服幼女との戦闘前 私は出来れば戦いたくはなかった。「暗部」の黒服とはいえ、見た目はまだ年端も行かぬ少女。それに、契約した都市伝説、そしてその能力も分からない相手とは戦いを避けるのは常識だろう? だが、それは意外にもあっさり終結した。 「やっぱりやーめた!お兄ちゃんとはこの先いくらでも遊べるしねっ♪バイバーイ」 そう言って彼女はいなくなった。 …なんだったんだ、今のは? ともかく、中心を目指そうとするが― 近くで破壊音がする!この音は…カプセルか? そう思って、先程のカプセルが置いてあった部屋へ行ってみる。 そこではあの時の蜘蛛の少年がカプセルを破壊していた。 「久しぶり、とでも言いましょうか…憶えてますか?」 「…あ?誰だ、お前は。まさか「暗部」の人間か?」 臨戦態勢を取られてしまう。誤解を解かなければ…! 「あの時、カードで閉じ込めた事は反省します。」 「…ああ、あの時の、ってその格好はどうした!おい!」 「ええ、実は…」 私はあの時の事―自分が都市伝説化した時の事―を少年に話をした。 「成程、つまり今のお前は都市伝説って事か。」 「そうなりますね。」 「その敬語、どうにかならないか?」 「職業病の様なものなんですよ。諦めてください。とりあえずここを破壊しましょうか。」 そう言って私は黄金の刀を取り出す。そして― カプセルに向かって一閃した。バーン!!多数のカプセルが破壊され、中にいた人の形もスライスされて光となって消えた。 とりあえずこれでいいだろう。ただ、これだけでは無いはず。他の所にもいるだろう。 私達は部屋を出る。なんか鼠が多いような気がするが、気にしない方がいいだろう。 前ページ次ページ連載 - 結界都市『東京』
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2340.html
新聞部の活動から 私達を追わないで 私達を見ないで どうか どうか お願いです 私達のことを触れ回らないで そのせいで 私達はまた あなた達を傷つけてしまうかもしれないから Red Cape 「……ん?」 新聞部部員、一 一は、廊下に張り出していた新聞を見ていたその人物を見て…思わず、脚を止めた じっと、真剣な様子で、都市伝説のことを記事にした新聞を見つめている、彼 確か…あの白衣は、化学の先生だ いつも、どこかやる気なさそうな、彼が……じっと、じっと 怖いほど真剣に、新聞部が張り出した新聞を見詰めていて …どうしたのだろうか? 一が首をかしげていると…教師は、新聞に手を伸ばして この時 一の新聞記者としての勘が、告げた 今すぐ止めろ、と 「ち、ちょっと待ってくださいよ、先生!」 「………?……あぁ、新聞部か。どうした」 「どうした、じゃないですよ!今、新聞はがそうとしたでしょう!?」 「そうだが?」 一の抗議に、あっさりと答える教師 じっと、一を見つめてくる 「…何を考えて、こんなもんを張り出している」 「新聞部部員として、真実を書き出すのは当然の事でしょう」 …「都市伝説は実在する」と言う都市伝説を生み出す そんな考えは、隠して、そう訴える一 その一を、教師は静かに見つめてくる いや、見つめてくる、というよりは… (…睨んで、る?) ぞく、と 背筋を走った、悪寒 教師は静かに、一に告げてくる 「これが、全て真実だとでも言いたいか」 「そうですよ。ちゃんと、裏づけ取材もとってますよ」 「…………そうか」 一の言葉に、教師は深々とため息をついた 酷く、酷く…面倒くさそうな、表情 「なら、尚更書くな」 「どう言う事です?」 「これ以上、都市伝説に関わるな」 その、言葉に 一の新聞記者としての勘が、再び告げる この教師も、きっと… 「…先生も、契約者なんですね?」 「………」 その質問には、答えずに っび!!と、教師は壁に張り出していた新聞を、剥がしてしまった あぁっ!?と悲鳴をあげる一の前で、さっさとそれを持ち去ろうとしている 「…警告しておく。痛い目に会う前に、都市伝説に関わる事をやめておけ」 ただ、そうとだけ告げて 教師は、そのままさっさと立ち去ってしまった ……はぁ 一応、すりなおした新聞を張りなおしておいたが…また、剥がされそうな気がする あの教師も、きっと、契約者なのだろう 一体、何の契約者だろうか? 学校の帰り道、一は悩みながら帰路に着く 「…理科室絡みかな……理科室と言えば、人体模型に骨格標本、あとはホルマリン漬けとか…?」 …今度、調べてみる必要が、あるかもしれない そんな事を考えていると 「好奇心旺盛だなぁ?坊主」 そう、声をかけられた え?と振り返ると、そこにいたのは…黒いスーツを纏った、短髪の男 黒いスーツ、サングラス…全身、黒尽くめのその格好 そこから、一はあるものを連想した 黒服 都市伝説を見た者の元に現れて、都市伝説の事を吹聴するな、と釘をさす、そんな存在……… まさか、それが? だとしたら…………チャンス!!! 取材のチャンスだ! 喜んで、声をかけようとして 「あの」 「好奇心猫を殺す、って知ってるか?」 -------え? 黒服の言葉に、きょとんとする一 次の瞬間……その体は、塀に叩き付けられていた 「----っ!?」 「困るんだよな、あぁいう事されると…俺達、「組織」としては」 …何が、起こった? げほ、と咳き込みながら、自分の状態を把握しようとする 何かが…体に、巻きついている それは、黒くて、細くて、長くて… 「髪の……毛……?」 黒服の、あの短かった、髪が 今、しゅるりと伸びていて まるで、別の生き物のように蠢くそれが、一に絡み付いていたのだ …これによって、塀に叩きつけられたのだ、とはっきりと理解する 「…「組織」…それ、って?」 「まだ好奇心を働かすかい?坊主」 くっく、と からかうように笑ってくる黒服 すたすたと、一に近づいてきて……ばん!と一の真横に、手を叩き付けた びくり、思わず体を跳ねらせると…ず、と黒服が、顔を近づけてきて 「今なら、まだ間に合う……これ以上、都市伝説に関わるな。都市伝説の事を、広めるな」 低く、低く 無表情で、そう、低く囁いて、一に告げてきた 一は気づく これは、警告であると 学校で、化学教師にされた警告よりも、ずっと、ずっとこれは重い 「……これ以上、都市伝説の存在を、広めるようだったら」 もし、警告に従わなかったら その時は 「そうしたら……お前さんたち、殺されるぜ?」 くっくっく、と 笑ってくる、黒服 最後は、どこか冗談めかしたように言ってきたが…その癖して、酷く現実味のある、言葉だった 殺される? 誰に? ……この黒服の言う、「組織」に、だろう 「…何者だ、あんたは…!」 黒服を睨み、一はそう言ってやった おや、と黒服は笑い…答えてくる 「化け物さ」 それは、酷くシンプルな答え 自分は人間ではないのだ、と、黒服はあっさりと、そう答えてきた 「ばけ…もの?」 「あぁ、そうさ。お前さん達が追っている存在にのみこまれて、人間やめちまった化け物さ」 ----しゅる、と 髪が、首に巻きついてきた もし、この黒服が、その気になれば… その瞬間、自分は、死ぬ その未来が、酷く簡単に想像できた 「お前さんたちが存在を広めようとしてんのは、こう言う化け物だ。こんなもんの存在が広がったらどうなるか、わかるだろ?」 「…パニックになる、とでも言いたいんですか?」 「それですめばいいがねぇ?」 しゅるり、しゅるり …首、だけじゃない 体中、あちらこちらに、髪が絡み付いて来る まるで、この体をバラバラに、引きちぎろうかとしているかのように 全身、いたるところに 「お前さん、都市伝説の事を少しは齧ってるなら知ってるだろ?…人間に近い姿を取った都市伝説が居る事を」 「…知っていますが、それが何か?」 「なら、聞こうか。都市伝説の存在が、公になったとしよう………さぁて、一般人は、人間に近い姿をした都市伝説や、人間そのものの姿をした都市伝説と…ただの人間を、どう、見分ける?」 ………? どう言う事だ? 理解していない様子の一に、黒服はさらに続ける 「魔女狩り、って知ってるな?」 「-----ぁ」 つまり この黒服が、言いたいのは… 「都市伝説の存在が、公になれば……魔女狩りのような事態が起こる、とそう言いたいんですか?」 「まぁ、実際にはそんな事になる前に、「組織」が止めるだろうがなぁ…それこそ、お前さん達みたいな存在を消して、な?」 ニヤリと笑う黒服 今、自分がそれをしようとしているのだ、とそうとでも言いたそうだ 「お前さん達は、そんな地獄を作りたいか?お前さん達自身や、お前さん達の大切な存在も巻き込まれて……殺されるかも、しれないぜ?」 「人間はそんなに弱くないですよ」 「なぁに…恐怖に飲み込まれりゃあ、人間なんて一瞬で駄目になるさ。人間ってのは、自分達に似ていて、そうじゃない存在ってのが怖いからな」 そう、口にした黒服の、表情に 一瞬影が差したのは、気のせいか? 「化け物。それを、人間は恐れるのさ。そして、それを排除しようとする。それを恐れない人間なんて、所詮、この世でほんの一握りしかいねぇんだよ」 だから、と 最終警告のように、黒服は続けた 「俺達化け物のことを、記事にするな。誰にも触れ回るな。それを護れないようだったら…………ここで、消すぞ?」 剥き出しの殺意を、突きつけられる 首筋に突きつけられたのは、刃物で首括り縄 答え次第で、この場で殺される しかし 一は、その恐怖を振り払う たとえ、この場で殺されるとしても…譲れない信念が、ある 「…それは、約束できない」 「ほぉ?」 …ぎり、と 首に巻きついてきている髪の毛が巻きつく力が強くなったのを、自覚する それでも、引く訳にはいかない 「俺は、ジャーナリストです、新聞記者なんです………新聞記者が、真実から目をそらすわけには、いかないんです!!」 そうだ 新聞記者が、ジャーナリストが!! 真実から、目をそらしてどうする!! 一のその言葉に、黒服はきょとんとして… …そして、くっく、と、また楽しげに、笑った 「…怖いもの知らずだねぇ」 しゅるり 一の全身に巻きついていた髪の毛が、離れた 黒服の髪が、元の短髪に戻っていく 「面白ぇ…なら、やってみろ」 「どう言う、事です?見逃してくれるんですか?」 髪の毛が巻きついていた首筋から…一筋、血が流れる 一歩間違えば、確実に自分は殺されていた それは、確かだ だと、言うのに この黒服は…一を、見逃そうとしている? 「あぁ、そうさ。どうせ、俺がここで殺さなくても、そう言う事を続けていれば…遅かれ速かれ、「組織」なりどこなりに、目をつけられるんだ」 それは お前たちは、これからずっと、誰かから殺されるかもしれない恐怖に怯え続けると言う事だ、とでも言うような 酷く、意地の悪い警告 「俺は見逃してやる。だから、お前さんはお前さんのやりたいようにやりな。今後、お前さんのところに他の誰かが警告しに来た時、お前さんがどうするか…その行動や発言で、お前さんがどうなるか、俺は知ったこっちゃねぇ」 すたすたと、一から離れていく黒服 …最後に 酷く、酷く、酷く 意地悪く笑って、こう、告げてきた 「お前さんの先輩達も、無事ならいいなぁ?」 「-------っ!!??」 言われて、はっとする そうだ、自分の元にこの黒服が来た原因が、あの学級新聞ならば ……先輩達の元にも、黒服が来ていておかしくない そして、その黒服が……自分の元に来た黒服のような黒服だとは、言い切れない もっと無慈悲な存在が来ていても、おかしくない!? それを理解した瞬間には…もう、黒服の姿はなかった だが、それに構う暇すら、なくて 一は慌てて携帯を取り出し、先輩二人の無事を確認しようとした どうか、生きていてくれ その希望に、すがりながら 翌日 「…何故、俺のところにだけ誰も来なかったんだ」 納得行かない様子の新聞部部長、増田 真 「私のところには、ちゃんと来ましたよ。無駄に巨乳で優しそうな女性の黒服が」 そう言うのは、副部長の小宮山 文子 結論から、言おう 新聞部の部員は、全員、無事だった 怪我らしい怪我と言えば、塀に叩き付けられたのと、首にちょっと怪我をした一くらい 宣言した通り、随分と優しい黒服と遭遇したらしい文子は傷一つ負っていないし、部長の真に至っては、まず黒服と遭遇すらしていない 自分だけ、貧乏くじを引かされたような そんな錯覚を、一は覚えた 「くっくっく……これは、我々新聞部への、挑戦と見た!」 「まぁ、挑戦には間違いないでしょうけど。部長、そのセリフ悪役臭いって言うか、その笑い方、俺を襲ってきた黒服そっくりなんで、勘弁してください」 「我々は!!脅迫になど屈しない!!」 断固として、真は宣言する 強く、強く、力強く 「これからも、都市伝説の事は記事にし続けるぞ!真実を発進し続けるんだ!!ちょっぴり捏造しながら!」 最後の言葉は、ちょっとアレだが、その通りだ! 一も文子も、真の言葉に同意して これからも、都市伝説のことを記事にし続ける その決意を、三人は強めていくのだった なお、同日 とある、組織の本部にて 「ん~……何か仕事を忘れてるような……まぁ、いいか」 と、呟いている、なんともやる気のなさそうな黒服の姿があったそうだが それは、わりとどうでもいい事実である 終わってしまえばいい 前ページ次ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者