約 3,152,299 件
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/130.html
『でいぶ刑』 この日、群れのゆっくり達が見守る中、 一匹のれいむと、その子供達が犯した罪に対して、 裁判長えーき様から判決が下された。 「くろっ!」 (訳: 主文、被告れいむ及び娘2匹は、『でいぶ刑』に処す。 理由、れいむは群れのみに使用の許される洞窟に無許可で侵入。 共同で管理されるべきゆっくりプレイスである洞窟におうち宣言を行うという暴挙に出た。 さらに、群れの者たちに対して食料の援助を一方的に強要、 それを断られた後、群れ全員の共有財産である貯蔵食料を強奪し、 うんうんまみれ、食べカスまみれにした。 しかも、群れ長であるぱちゅりーの、年端もいかぬ子供たちを誘拐し、 群れ全員の服従を強制、結果的に子供達を自殺に追い込むという凶悪な犯行に出た。 なお、以上はいずれも、群れ全員が見ている中で行なわれた犯行であり、 その事実は確定的に明らかである。 以上の犯行は、被告れいむ及び娘2匹を『でいぶ』と認めるに充分であり、 掟第3条1項『でいぶ罪』を適用されるものである。 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 ) 「むきゅ、はんけつはでたわ! れいむとおちびちゃんたちは『でいぶけい』ね!むきゅん!」 「でいぶはでいぶじゃないぃぃいいい!!」 「でいびゅ?なにいっちぇるにょ?ばかにゃの?ちぬの?」×2 れいむ・・・いや、でいぶ一家は当然、 『でいぶ』なるゆっくり出来ない称号に対して拒否反応を示したが、判決が覆ることはない。 ゆっくり社会に控訴・上告などというものは存在しないし、 あったとしても申し出は棄却されていただろう。 「でいぶだって・・・」 「でいびゅだにぇ・・・・」 「やっぱりでいぶみょん・・・」 えーき様と長ぱちゅりー、でいぶ一家を囲むようにして裁判を見守っていた群れゆっくり達も、 その結果を聞いてガヤガヤと騒がしくなる。 「むきゅ!みんな、はんけつはでたわ!けいをゆっくり、そくざにしっこうしてね!」 「こふー・・・わかるよー。こふー・・・」×30 お帽子の中央あたりに2つ小さな穴を開け、まるで処刑人がかぶる目出し帽のように、 そのお帽子を顔面にかぶった『処刑ちぇん』達が、でいぶ一家を一斉に取り囲み押さえつける。 「ゆぁぁあああ!?でいぶはしんぐるまざーなんだよ!ゆっぐりざぜなぎゃだめなんだよぉぉぉ・・・」 「ゆぴゃぁぁん!?ゆっくちさせちぇぇぇ・・・」×2 「こふー・・・わかるよー・・・こふー・・・」 そして、でいぶ一家は刑罰を受けるため、 処刑ちぇん達の手(?)で広場から連れて行かれたのであった。 ************************************************* 発端は、この日の朝に遡る。 ここは、人間さんの町から遠く離れた、山奥の森の中。 この、豊かな自然に包まれたゆっくりぷれいすには、 長い間この地域に定住を続けてきた、とある賢明なゆっくりの群れがあった。 この群れは、十年以上前にこの森にやってきた、一匹のドスと、数匹のゆっくり達が作り上げた群れであった。 ドスが突然失踪してかなり経つ現在でもその頃受けた教育による影響は絶大であり、 群れ創生初期の生活スタイル・習慣は大切に受け継がれてきている。 例えば 群れの規模を適正に維持するため、胎生型にんっしんを推奨することであったり、 周辺の食料をとり過ぎないように、群れ全体で食料を管理したり、 ドスが硬い岩肌に『つるはしさん』や『まいとすぱーく』を駆使して掘った洞窟に、群れ全員で住んだり、 そして何より、ドスが制定した『掟』を遵守すること、などなど・・・。 この様に言うと、何やらがんじがらめでゆっくり出来なそうに思えるかもしれないが、 群れのゆっくりからすれば、先祖代々受け継いだ習慣を大切に守っているという程度の感覚だった。 それに、掟やその他の習慣を守っている限り、 ゆっくりプレイスはいつまでもゆっくりプレイスであり続けてくれた。 群れのゆっくり達は食糧難に怯えることもなく、強力な外敵に襲われるでもなく、 たまには果物などのあまあまにも恵まれ、冬はみんなで楽しく冬ごもり。 現在の群れ育ちのゆっくり達は、こんなゆっくりプレイスを残してくれたご先祖様を、 心から敬い、感謝していた。 そんな群れに、この日の朝、洞窟に転がり込んできたのが、例のでいぶ一家だった。 「れいむはれいむだよ!ゆっくりしたれいむが、このみすぼらしいむれにはいってあげるね!」 「はやくむーちゃむーちゃさせちぇにぇ!あまあましゃんでいいよ」×2 でいぶ一家は、以前いた群れを(理由は大体想像つくが)追い出されたゆっくり一家だった。 無論、この群れのゆっくり達の目も節穴ではなく、せいぜいガラス玉程度だったので、 でいぶ一家の振る舞いに対して不安を感じてはいた。 「おさー。なんとなく、ゆっくりできないれいむだよー。」 「むれのそとのゆっくりなんて・・・ぱちぇもはじめてだわ。むきゅぅん・・・」 とはいえ、困っている放浪ゆっくり達に一晩の宿も貸さないようではゆっくりできない。 長ぱちぇは、渋々ながらでいぶ一家を迎え入れることにした。 「むきゅぅ・・・なら、むれの『おきて』をまもってくれるってやくそくし・・・」 「ゆふぅん!れいむとおちびちゃんのみりょくに、ぱちゅりーもめろめろなんだね!」 「きゃわいくってごめんにぇ!」×2 そう言うが早いかでいぶ一家は、長ぱちゅりーの話も聞かずに、 群れみんなのおうちである、大きな洞窟へと飛び込んで行ってしまった。 「む、むきゅー!?おはなしをきいてー!!」 「ゆぅぅうう!!すっごくゆっくりしたどうくつさんだね!!ゆっくりー!!」 「ゆっくち!」×2 無論でいぶ一家がそんな長ぱちゅりーの態度を気にするはずもなかった。 そして・・・ 「ゆふん!ここはゆっくりしたれいむがつかってあげるよ!みんなさっさとでていってね!」 「むきゅ!?むきゅ・・・?」 「ここはれいむのおうちだよ!ゆっくりしていってね!!」 「ここはれいみゅたちのおうちだよ!ゆっくちしちぇっちぇにぇ!!」 「む?むきゅぅぅうううう!?」 群れ全員のおうちであるこの洞窟に対して、でいぶ一家のおうち宣言が炸裂した。 甘い態度を取ろうとした途端にこの仕打ちである。 「む、むきゅん!こまるわ!?ここはみんなのおうちなのよぉぉおお!?」 「れいむたちは、おうちがなくてかわいそうなんだよ!?ばかなの?しぬの?」 「ゆっくちできにゃいぱちゅりーは、ゆっくちちんでにぇ!」×2 「むきゅぅぅう?どうしてそんなことい・・・れいむぅぅうう!?なにしてるのぉおお!?」 「むーしゃむーしゃ、うめっ!まじぱねぇ!むっしゃむっしゃ!!」 「わがらないよーっ!?みんなのごはんさん、どうしてたべちゃうのー!?」 でいぶ一家は、長ぱちゅりーの話を相変わらず無視し、 こともあろうに群れ全体の食料庫に飛び込むように顔を突っ込んで、 慎ましく蓄えられていた食糧をめちゃめちゃに食い荒らし始めたのである。 「むっしゃむっしゃ!これはれいむのおうちにおちてたごはんなんだよ!?れいむのにきまってるでしょ!?」 「わがらないよぉぉおお!?」 赤でいぶ達も母でいぶに負けていない。 「うんうんしゅるよ!しゅっきりー!むーちゃむーちゃ、うんうん、しゅっきりー!」×2 食ってはうんうん、食ってはうんうんを繰り返し、群れ全員分の食料を、 うんうんに変えてしまうか、もしくはうんうんまみれにして食べられないようにして、 いもむしさん一匹・木の実一個すら残さず台無しにしていく。 「と、とかいはじゃないわ!?ここはごはんをためておくばしょなのよー!?」 それはまさに、群れを丸ごと餓死に追い込むことを望んでいるとしか思えない、 でいぶの本領を発揮した衝撃的な姿だった。 この、群れのゆっくり達からすれば理解を超えた怪物のような振る舞いには、 群れ全員が呆然としてしまい、でいぶ一家を止める気力すら吹き飛ばしてしまっていた。 「わ・・・わきゃらな・・・」 「む・・きゅ・・・」 そこに、でいぶ一家はさらに付け込む。 ぐしゃ!ゆぴぃいいいいい!? それから少し経った頃、洞窟内に赤ゆっくりと思しき悲鳴が響いた。 「むぴゃぁぁああん!?はなしちぇぇぇえ!?」 「やめちぇにぇ?まりしゃのおぼうち、かえしちぇぇぇ!?」 食料貯蔵庫の前で呆然としていた長ぱちゅりー達が振り返ると、 そこには悲惨な状況になった食糧貯蔵庫以上にゆっくりしていない光景があった。 「む、むきゅう!?おちびちゃんたちに、なにするのぉぉおお!?」 そこにいたのはでいぶ一家と・・・母でいぶにお飾りを奪われ踏みつけられた、 長ぱちゅりーのおちびちゃん達だった。 それはぱちゅりーが、今は亡きだーりんのまりさから授かった、 大事な大事な2匹だけのおちびちゃん達だった。 「みゃみゃあ!!たしゅけ『ぺしっ!』ゆぴぃ!!」 「ばーきゃばーきゃ、ゆっくちしちぇにゃいまりしゃは、ゆっくちくるしんじぇにぇ!」 「れいみゅたちに、ぷくーっなんてしたばちゅだよ!ゆっくちちね!」 ぽにゅん!ぺしょん! 父まりさそっくりの勇敢で妹思いの赤まりさは、 母でいぶにお帽子を奪われた上、赤でいぶ2匹から執拗に体当たりを繰り返され、 元の可愛らしい笑顔が想像できないほどに、全身痣だらけになってしまっている。 「むぴゅ・・・きゅ・・たちゅけ・・」 「ゆふぅん。うごくと、おぼうしがゆっくりできなくなるよぉ。」 その赤まりさの妹、長ぱちゅりーそっくりの、穏やかで姉を慕っていた赤ぱちゅりーは、 赤まりさ同様お帽子を奪われ、体の後ろ半分を母でいぶに踏みつぶされていた。 もとより体の強くない赤ぱちゅりーは、今にも永遠にゆっくりしてしまいそうに、 ぜぇぜぇと弱りきった呼吸を繰り返し、時折苦悶の声を漏らしている。 そして、群れ全員の絶望しきった表情に満足した母でいぶは、 赤ゆっくり達のお帽子を加えた口から、決定的な言葉を発したのであった。 「ゆふん!れいむをむれのおさにしてね!さもないと、このおちびちゃんたちがゆっくりできなくなるよ!」 「みんにゃ、れいみゅたちのどれいになっちぇにぇ!」 「みんにゃ、ゆっくちしたれいみゅのどれいなんだにぇ!こうえいにおもっちぇにぇ!」 。 「れいむたちは、もっとごはんがないとゆっくりできないよ! みんなもおうちから、さっさとごはんさんをもってきてね!ぜんぶでいいよ!」 洞窟の中は、一気に静まり返った。 「む、きゅ。・・・・・・。」 そして、これがでいぶ一家の最大の失策となった。 「・・・・・・わかるよー。」 群れ全員の目から動揺の色が消え、その表情から感情が急速に消えうせていく。 「おさー。『おきて』は、ちゃんとまもるよー。」 「むきゅ。・・・みんな、『おきて』のとおり、おねがいするわ。」 「・・・りょうかいだみょん・・・」 もそもそもそもそ・・・・ それは、群れ全員がまるで一匹の巨大な生き物に変わったかのような、 あっという間の動きだった。 その場にいた群れゆっくり数10匹が、 まるで打ち寄せる波のように隙間なくでいぶ一家を囲み、 その囲いを徐々に狭めていく。 「ゆ・・・?ゆぅ?な、なにしてるのぉぉおお!?おちびちゃんたちが、えいえんにゆ『おちびちゃんたち!!』」 母でいぶとほぼ同時に、長ぱちゅりーも声を発する。 「ゆ・・・ぴぅ・・・」 「むれのために、えいえんにゆっくりしてね!むきゅ!!」 ゆっくちりかいしちゃよ・・・・・・ ごぼぼっ!!ごびゅ!ゆびぇ・・・ その言葉とほぼ同時に、長ぱちゅりーのかわいい2匹のおちびちゃん達は、 自分達から餡子とクリームを大量に吐き出し、永遠にゆっくりした。 「な、なにじでるのぉっ!?ゆわぁぁああ!やめでね!ごっぢごないでねぇええ!?」 「ゆぴぃ?ゆっくちできにゃいぃいいい!?」×2 そして、何の障害もなくなった群れゆっくり達は、 逃げ場のないでいぶ一家を『掟』通り傷一つ付けずに捕らえ、 『掟』通りえーき様の簡易裁判の場に連行したのであった。 こんなわけで、でいぶ一家は群れに出会って20分もしないうちに数々の罪を犯し、 裁判を受けることになったのである。 でいぶ一家の誤算は、2つあった。 1つは、この群れにドスが与え、根付かせた数々の掟の中に、 このような非常事態に対する対処法が存在していたことである。 その掟とは、 『ドス以外のゆっくりが群れの幹部になる時は、みんなで相談して決めるよ!』 『ムリヤリ幹部になるのは、ゆっくりできないゆっくりだよ!』 であり、 『ゆっくりできないゆっくりに捕まったら、足手まといだからさっさと死んでね!』 『ゆっくりできないゆっくりは、捕まえてからじっくり痛めつけてあげてね!』 『痛めつける方法は、ドスがちゃんと考えるよ!ひゃっはー!』 であった。 そしてもう1つは、この群れの『掟』が、 他の群れとは比較にならないほど強力な縛りをゆっくり達に与えていたことである。 通常の群れで掟と言えば『言い伝え』とか『道徳』程度の存在感しかないのだが、 かつてドスによって、れみりゃ以上のトラウマとして植えつけられた『掟』破りに対する恐怖は、 ドスの失踪後十数年が経った現在でも、群れのゆっくり達を縛り続けているのであった。 ************************************************* そして、広場から再び洞窟奥に連行されてきたでいぶ一家は今、 『でいぶ刑』を受けている。 ぺちんっ!ぺちんっ! 「ゆぴゃぁぁあん!あんよぺんぺんは、ゆっくちできにゃいぃいいい!!」 「やめでね!おぢびぢゃんが、いだがっでるよぉぉおおお!!」 ぺちんっ!ぺちんっ! 「わかるよー。でいぶがいたがると、ちぇんはとってもゆっくりできるよー。」 「ゆぁぁあああ!!ゆっぐぢでぎないぃいいいい!?」 ぺちんっ!ぺちんっ! 顔に目出し帽をかぶった処刑ちぇん達によって、 でいぶ一家のあんよが鞭打ちの刑を受け、皮が破れないギリギリの手加減でボロボロにされていく。 それは、虐待鬼意山も真っ青のテクニックであった。 無論初代処刑ちぇんに技術指導を行なったのは、かつて群れを率いたドス自身である。 「ゆぅぅ~・・・おうちにかえるよ。」 「ゆっくちりかいしちゃよ・・・・・・。」×2 鞭打ち刑は終わり、でいぶ一家は解放された。 さすがに処刑ちぇんの技術は確かで、でいぶの『自称・すらりと伸びたカモシカのようなあんよ』は、 でいぶ自身気づいていないが、這うことくらいはできても、一生障害が残る程度に痛めつけられている。 そんな事とはさすがに気づいていないものの、でいぶも治療と休養が必要な事は感じて、 ゆっくりできるおうちで『むーしゃむーしゃ』と『すーやすーや』をするため、 処刑場である洞窟奥から、たまたま一番近くにあった横穴に向かっていった。 そして、たどり着いて中を覗いてみると、そこには別の家族、まりさとありすがいた。 「ゆゆっ!?なんな『ここは、れいむのおうちでしょぉぉおお!?さっさとでていってね!!』ゆゆっ!?」 「しょーだよ!れいみゅたち、あんよがいちゃくて、かわいしょーなんだよ!ゆっくちでていっちぇにぇ!!」 「ゆっくちしてにゃいゆっくちは、ゆっくちしにゃいで、さっさとちんでね!」 一気にまくしたてるでいぶ一家。 ちなみに、皆さんの察する通り、このおうちはでいぶ一家のモノであったことは過去一度もなく、 これまでずっと、このまりさとありすのモノである。 この強引なおうち強奪は、でいぶ一家がこれまで何度も行ってきたおうち獲得方法であった。 「・・・・・・。」×2 だが、まりさとありすは、退こうとしなかった。 まあ、でいぶ一家の強烈な『押し』に怯むのでなければ、抵抗するのは当然であるのだが。 ただし、その抵抗は、これまででいぶ一家が受けてきたモノとは、何かが違っていた。 まりさとありすの口元が、くいっっとつり上がり、でいぶに対して陰湿な笑顔を作る。 「まりさとありすがきたときには、だれもいなかったよ!だからまりさたちのおうちだよ!ゆっくりりかいしてね!」 まりさは、そう言うと同時に、 ぽゆんっ!! 「ゆぴぃっ!?」 「お、おちびちゃぁぁああん!?」 あんよがボロボロで動けない赤でいぶに、殺さない程度に加減した体当たりをぶちかました。 「どうぢでおぢびぢゃん、いぢめるのぉぉおお!?」 「ゆぴゃぁぁああん!?れいみゅたち、とっちぇもゆっくちしちぇるのにー!!」 だが(当然ながら)、まりさもありすも悪びれた様子も無く、 ニタニタと笑いながら、さらに母でいぶと、もう一匹の赤でいぶにも体当たりをぶちかます。 ぽゆんっ!!ぽゆゆんっ!! 「ゆびゃぁぁああん!!?どうぢでぇぇえ!?」 「ゆふん!ぶさいくなれいむたちは、まりさのつよさをおもいしってね!」 「ゆぅ~ん!まりさは、とってもとかいはね!さすがありすのだーりんね!」 ありすも、歯グキをむき出しにした、最高にいい笑顔でまりさとイチャイチャし出す。 そこには(当然だが)でいぶ一家の事を気遣う態度は微塵も無かった。 「このこぎたないでいぶは、もっとゆっくりできなくしようね!」 「そうね!とってもとかいはだわ!!」 「ゆ、ゆ、ゆぴぃぃいいいい!!!」×3 それから10分後、全身アザだらけになったでいぶ一家は、洞窟の中でも一番外に近く、 居心地・安全性ともに低いために、現在誰も使っていない横穴に、 ダストシュートに放り込まれるゴミ袋のように投げ込まれたのであった。 「ゆぎ、ぎぃ・・・」 「いちゃぃぃ・・・」 母でいぶは、先ほど自分に降りかかった不幸が、信じられなかった。 これまで、でいぶが正しいと信じた事は、全て正しかったのに! これまで、でいぶが望んだ事は、その通りになってきたのに! 「ゆぅぅぅ!れいむにごはんもってきてね!れいむはかわいそうなんだよぉぉおお!」 「むーちゃむーちゃさせちぇー!!!」×2 当然だれも持ってくることはなかった。 それから数十分後、 「お、おちびちゃん・・・かりにいこうね。」 「ゆぴぃ・・ゆぅ・・ゆっくちりかいしちゃよ。」×2 あんよペンペン刑による消耗もあり、さすがに空腹がシャレにならなくなったでいぶ一家は、 餓死よりはマシ、と狩りに出ることにした。 「みゃみゃ・・・れいみゅ、たくしゃんむーちゃむーちゃしちゃいよぉ。」 「ゆふふ、おちびちゃん、だいじょうぶだよ。おかーさんにまかせてね。」 強がりではない。 母でいぶは一応、こんな性格でも生きてこれただけの能力は本当にあった。 「はっぱさんをどかすよ!ゆんしょ!ゆんしょ!」 「ゆぅ?・・・ゆわぁあ!!みみずしゃんだー!」 「みゃみゃ、しゅごーい!ゆっくちー!」 森の奥ということもあって、森の土はゆっくりにとっても適度に掘りやすい。 一般的なゆっくりは、身近にあるゆっくりしたごはんに気づかず、 ちょうちょさんやバッタさんを追い掛け回す不毛な狩りを行なうものだが、 この母でいぶは、地面を掘って幼虫やミミズを捕まえる、と言う狩り方法を編み出していたのだ。 だが、 「ゆっへん!れいむは、かりのめいじんなん『ドゴッ!』ゆべぇっ!?」 その時母でいぶに、一匹のちぇんが背後から体当たりをぶちかました。 「わかるよー。」 「ど、どうぢででいぶにぞんなごどずるのぉぉおお!?でいぶはがわいぞうなんだよぉ!!」 「ちぇんはとってもおなかがぺーこぺーこなんだよー。ちぇんのほうがかわいそうなんだよー!わかってねー。」 そう吐き捨てるように言うと、ちぇんはでいぶ一家が集めたミミズを、 一匹残らず口に頬張り、むーしゃむーしゃし始める。 「ゆぴぇぇえええん!?れいみゅたちのみみずしゃんがー!?」×2 泣き叫ぶ赤でいぶ達。 だが、母でいぶは泣いてばかりではすまさなかった。 それもそうだ。 ちぇんの帽子からは、恐らく自分で集めたのであろう山盛りのミミズが顔を出していたのだから。 「ゆがぁぁあああ!!!」 ひょいっ! しかし、母でいぶの渾身の体当たりもちぇんに軽やかにかわされる。 「どうしてよけるのぉぉおお!?」 「でいぶこそなにするのー?みみずさんをひとりじめするなんて、ゆっくりできないねー。」 騒ぎを聞きつけ、群れのみんなも集まってきた。 そして、そこでもでいぶ一家の味方は一匹もいなかった。 「みょーん。みみずさんをひとりじめするなんて、ゆっくりしてないみょん。」 「ひとりじめしてるのは、ちぇんでしょぉぉおお!?」 「でいぶはほんとに、いなかものね。うそまでついて、ゆっくりしてないわ。」 「ゆぅぅううう!!うそじゃないぃいいい!!」 無駄、全ては無駄だったのだ。 でいぶ一家が、でいぶ認定された時点で、嘘も真も無く、 でいぶ一家が全ての悪者とされるのは、決定付けられていたのだから。 「わかるよー。せいっさいだよー。」 「てつだうみょん。」 「ありすも、ぺにぺにがむかむかするわ。てつだうわね。」 3匹の顔に、わざとらしいほどニタニタと歯グキをむき出しにした、いやらしい笑顔が浮かぶ。 その顔は、つい先ほどでいぶ一家を痛めつけた、まりさとありすの表情と、そっくりであった。 「ゆぁぁ、どうぢで、でいぶ、どっでもがわいぞうなのにぃいいいい!?」 「ゆぴゃぁぁああん!ゆっくちさせちぇぇぇええ!!」×2 結局、夕暮れ時になって洞窟入り口近くの横穴に帰ったとき、 でいぶ一家の収穫は、雑草が少しと全身に残る痛々しい痣だけだった。 「どうぢで・・・」 「むーちゃむーちゃ・・・ゆびぇ、にぎゃい・・。」 「むーちゃむ・・・ふしあわしぇ・・・。」 雑草でも腹が膨れるだけマシだろうと、我慢してむーしゃむーしゃしてみるが、 赤でいぶはこれまでの生活で、すっかり舌が肥えていて食べることができない。 やむを得ずでいぶ一家は、もはや夕暮れで暗くなった洞窟内を這いずり、他の食料を探すことにした。 そして、意外と早く別の食事を見つけることができた。 洞窟内には、新参のでいぶ一家にとっては不思議な事に、 壁のところどころにキレイなお花が飾ってあったのである。 それは、この群れが多少なりとも裕福な、憩いを求めるだけの余裕がある群れである証明であった。 洞窟内をお花やキラキラ光る石で飾り、夜や雨の日でもゆっくりできるように、という。 そんなこと、お腹を空かしたでいぶ一家には関係ない事であったが。 「おちびちゃん!ゆっくりしたおはなさんがおちてるよ!ゆっくりむーしゃむーしゃしようね!」 「ゆっくちー!きっと、れいみゅたちがゆっくちしちぇるから、 おはなしゃんがむーちゃむーちゃされたがっちぇるんだにぇ!!」 「きゃわいくっちぇ、ごめんにぇっ!!」 「「「ゆっくり(ち)いただきます!!」」」 ぼゆんっ!! 「ゆぴぃぃいい!?」 まさに、お花をお口に頬張ろうとした瞬間、背後から強烈な衝撃を受けたれいむ一家は、 もはや踏みとどまる事も出来ずに、顔面から地面に思い切りよく突っ伏した。 「・・・・・・。」 でいぶ一家がよろよろと背後に振り返った時、そこにはニタニタと嗜虐的な笑みを浮かべた、 一匹のありすが立っていた。 「とかいはなおはなさんを、むーしゃむーしゃするなんて、とんだいなかものね!!」 「でいぶはがわいぞうなんだよぉ・・とってもおなかがすいて・・・」 「おはなさんがかわいそうでしょぉぉお!?ばかなの?しぬの? おはなさんは、とかいはなありすが、とかいはなこーでぃねーとのためにつかってあげるのよ!」 「で、でも、でいぶたちはおなかが・・・」 「そんなのどうでもいいでしょぉおおお!? ありすのこーでぃねーとのために、でいぶたちががまんするのはとうっぜんなのよ!?」 「ゆ、ゆぅぅうううう!?」 無論この後、すでにボロボロのでいぶ一家に対してありすから一方的な折檻が行われたのは、 描写するまでもないであろう。 散々だった。 初体験の事ばかりだった。 でいぶは、こんなに勝手で、容赦のない、情の欠片も無いゆっくり達の群れを、他に知らなかった。 自分達のことは棚に上げて。 そして、でいぶ一家は空腹を全く癒すことができず、 這うのもやっとという有様で元のおうちに戻ったのであった。 怪我だらけ、空腹、情けないやら惨めやらといった満身創痍の有様でおうちに戻ると、 そこには、先ほどとはまた別のみょんが、まるで自分のおうちであるかのようにくつろいでいた。 「ゆっくりできないおうちだけど、とくべつにゆっくりしたみょんがつかってやるみょん。 ありがたくおもうみょん。」 。 おうちが、今度こそ本当に奪われたのだった。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆぁぁああああああああああ!!」 叫ぶ母でいぶ。 だが、みょんはそんなものそよ風程度にも気にせず、ひょこりと姿勢を直して、でいぶに言い放った。 「でいぶがうるさいみょん。みょんは、『あいじんよう』の『まんしょん』がひつようなんだみょん。 このおうちはつかってやるから、ありがたくおもうみょん。」 「ど、ど、どうじでそんなごどいうのぉぉおお!?でいぶ、でいぶはぁぁああ!?」 「「「うんうんしゅるよ!」」」 「ゆゆっ!?」 そんな、泣いているのか怒っているのかよくわからなくなってしまった母でいぶの後ろから、 聞き覚えのない赤ゆっくりたちの、すーぱーうんうんたいむ宣言が聞こえた。 「ゆぴ・・・ぴぃ・・・」 「く、くちゃ・・いぃ・・・・・」 「「「しゅっきりー!!」」」 背後を見れば、母でいぶの可愛い2匹のおちびちゃん達が転ばされ、 周囲を囲んだ赤・子ゆっくり達に一斉にうんうんを浴びせられていると言う、 ゆっくりできない光景が広がっていた。 「ゆぴぃぃ・・・でいびゅ、おといれしゃんじゃ、にゃいよぉ・・・」 そして、空腹が限界に達していた赤でいぶ達に、それを逃れるだけの体力は残されていなかった・・・ 「くそでいびゅのあかちゃんは、うんうんよりきちゃにゃいんだよ!」 「まりしゃたちのうんうんで、きれいきれいにしてあげるにぇ!」 うんうんまみれで虫の息の赤でいぶ達を囲んでいる赤・子ゆっくり達の表情は、 これまででいぶ一家を痛めつけてきた群れのゆっくり達同様、 ニカッと歯ぐきをむき出しにし、喜びを前面から溢れださせているような、とても不快な笑顔を浮かべている。 「ゆぎ、ゆぎぃ、ゆぁぁああ!!おぢびぢゃ、どうじでぇ、どうぢでごんなごどずるのぉぉおおお!?」 ぽゆんっ!! 「のろみゃー。」 ぽゆゆんっ!! 「でいびゅは、こっちこないでにぇっ!」 「ゆぎぃぃいい!!どうぢでにげるのぉぉおお!?でいぶがかわいそうでじょぉぉおお!?」 母でいぶは、こんな仕打ちをした赤ゆっくり達をせいっさいしようとするが、 もはや体力が残されていないでいぶは、それもかなわず、軽快に跳ね回る赤ゆっくり達に逃げられてしまう。 「どうぢで、どうぢで・・・、でいぶはがわいぞうなんだよぉおお!?どうぢでいぢめるのぉおお!?」 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっ、」 「お、おぢびぢゃぁああん!?ゆっぐぢぢでぇぇええ!!」 そしてついに、赤でいぶ達は非ゆっくり状態が続いたストレスで、ゆ、ゆ、ゆ、と最後の痙攣をはじめる。 「ゆ・・・どうぢで、ゆっぐぢさせちぇ、くれにゃいにょ・・・?」 「こどもを、・・ゆっぐぢざぜない、ぐぢゅおやは・・・ちねぇ・・・」 うんうんまみれで、空腹で、全身ボロボロの赤でいぶ達の恨みは、 もはやそれをした群れのゆっくり達にまで届かない。 その恨みの視線は、ただひたすら、自分達をゆっくりさせるために存在する奴隷、 つまり、母でいぶに向けられていた。 「ゆぁぁあぁああああ!!どうぢで、どうぢでぇぇええ!!」 「・・・あなたにされたことを、そのままかえしただけよ、むきゅん。ゆっくりりかいした?」 振り返る母でいぶ。 そこには、長ぱちゅりーが悲しそうな表情で立っていた。 「むきゅ。おもいだして。れいむは、みんなにどんなことをしたか・・・」 「ゆ・・・でいぶは・・・」 「じぶんがゆっくりするために、ほかのゆっくりのおうちを、とったりしなかった・・・?」 「ゆぅ・・・でも・・・」 「じぶんがゆっくりするために、ほかのゆっくりのごはんを、とったりしなかった・・・?」 「ゆぅぅ・・・」 「ほかのゆっくりのおちびちゃんを、いじめたり、ころしたりしなかった・・・?」 「ゆぅぅううう・・・・」 うつむく母でいぶ。 母でいぶは、一瞬、ホントに一瞬だけ、何かに気づいた、あるいは気づきそうな表情をした。 「・・・ぃぃ・・・ぃぃいいぅぅう・・・・」 母でいぶはうつむいてぱちぇから視線を外し、歯を食いしばって、 こみ上げるモヤモヤした感情を必死にこらえる。 「ぃぅうぅううぃぃ・・・」 だが、それでもでいぶは所詮でいぶだった。 モヤモヤとした感情を、自分に向けられた悪意に対する猛烈な怒りに変え、 でいぶはすべての負の感情をむき出しにした、憤怒に塗り固められた顔をあげた。 「ゆぎ、ぎ、ぎぃ、ぱちゅ・・・」 そうして顔を上げた母でいぶの目の前には、だらしない笑みを浮かべ、よだれを垂らして喜ぶ、 下品でゲスな表情をした長ぱちゅりーの顔があった。 「むきゅふぅううう!!ゆっくりできないでいぶが、めーそめーそないてるわぁ、 とってもきぶんそうっかいね!ぺろんぺろ~ん!!むっきゅり!」 ぱちゅりーは愉快そうに笑いながら、舌をぺろんぺろんさせ、 おちびちゃんが永遠にゆっくりしそうで悲しんでいるでいぶを、思いっきり小馬鹿にしていた。 そう、全く、でいぶになど一欠片の同情も与える価値は無いと、そう言うかのように。 「ゆ・・・ゆぎひぃぃいいいあああ!!」 怒り、憎悪、絶望、あらゆる負の感情を全身からほとばしらせた母でいぶ。 しかし、所詮あんよをズタズタにされた母でいぶには、何もできなかった。 「むっきゅ~ん。たのしいたのしい『すーぱーせいっさいたいむ』はおわりよ!みんな、でいぶたちをはこんでね!」 「こふー・・・わかるよー・・・こふー・・・」 「ぐるなぁぁああ!!でいぶにちかづくなぁぁあああ!!ゆぁぁあああああ!!!」 長ぱちゅりーに寄り添うように立っていた処刑ちぇん達が近づく。 だが、でいぶ一家に逃げ場など存在しない。 母でいぶが気が付いた時には、周囲には長ぱちゅりーとまったく同じ、 ゆっくりしてない下品な笑みを浮かべた群れのゆっくり達がとり囲んでいたのだから。 この後、でいぶ一家に待っていたのは、処刑ちぇん達による、最後の仕上げだけだった。 親子ともども、まむまむに木の枝を突き刺され、 餡子の臭いが壁全体にこびりついた、洞窟の近くにある木の洞に放り込まれた。 洞の中には、あらかじめそこらの雑草を、それこそ半年は食べられるほど山盛りで突っ込まれている。 動けないでいぶ一家でも、味に不満を言わず、食べる量さえ節約すれば、 当分生き続けることができるであろう。 「ゆぁぁあああ!!やべでぇぇえ!ゆっぐぢぢだい、ゆっぐぢぢだいぃいいい!!」 「ゆぴぃ・・・やめちぇ・・・・・・」 「こんにゃの・・ゆっくり、できにゃ・・・」 そして処刑ちぇん達の手で、洞の入り口は、固く固く閉じられたのであった。 。 この『でいぶ刑』で閉じられた洞は、越冬期などを挟む事があるにしろ、概ね半年ほどで開けられる。 雑草とはいえ食料を満載して閉じられるのは、 生き延びるだけの気力と能力があれば、生きて出る事も出来るようにだ。 この群れにおける処刑とは、命を奪うことでなく、あくまでも罪に応じた罰を与えるためのものなのだから。 だが、この洞を開けたとき、生きたまま外に出てきたでいぶは、これまで一匹もいない。 洞を開けた時飛び出すのは、いつも決まって、大量の羽虫や良くわからない昆虫達だった・・・・・・ 今では、この群れの中に伝わる教えの中ですら、このように言い伝えている。 善良なゆっくりの体は土に還り、 ゲスやでいぶの魂は死後虫に変わる。 ゲス達は善良なゆっくり達の糧になるまで、永遠にゆっくりした眠りを得られない・・・ ************************************************* 後日、群れの集会。 「むきゅ~。どすのおきては、ちゃんとまもらないとだめだけど・・・でいぶのまねってつかれるわ。」 「わかるよー。」 「ゆふぅ・・・とってもゆっくりできないみょん。」 「そうね。あんなとかいはじゃないこと、せいっさいでもやりたくないもの・・・。」 誰もが、無理して作ったキモチワルイ笑顔でこわばった顔をほぐすように、 のーびのーびしたり、すーりすーりしたりしながら、嫌な目に遭ったと言わんばかりの表情で話し続ける。 今日の議題は、『でいぶ刑』なるゆっくり出来ない刑を廃止して欲しいと言う内容だ。 「ねぇ、えーきさま。もっとちがうほうほうって、なにかないのかしら。ありすたちも、あんなのやりたくないわ。」 だが、かつて群れの秩序維持を、伝説のドスまりさに託されたえーき様(金バッジ付き)は、 厳格な表情を崩すことなく、その甘い意見を一刀両断する。 「くろっ!」 (訳: 却下。 我らが群れの掟は、偉大なる開祖ドスまりさによって制定された、 時代をも超越した法の中の法である。 とはいえ、もし万が一、掟が群れを取り巻く環境の変化によって、 著しく不具合を生じているのであれば、群れ全員の討議によって改正するもやむを得ないであろう。 しかし、少なくとも『でいぶ罪』および『でいぶ刑』に関する事柄において、 さような不具合が出ている事実は存在しないとえーきは判断する。 よって、個人的な都合、一時的な感情によって掟を改正する必要は断固として認められない。) 「む、むきゅぅ・・・」 そう、こうして掟は、もはや伝説の中の存在となったドスがいなくなってからも、 ずっと、ずっと変えられることなく守られ続けられてきたのである。 群れの洞窟に、伝説のドス、 いや、ドスに扮して群れを教育したお兄さんによって設置されたビデオカメラが、 すっかり使われなくなって久しい今でもなお。 「ゆぅ・・・。しょうがないわ。むきゅん・・・。」 「ゆぁーん。れいみゅ、もうでいびゅ、しちゃくにゃいよー。」 「あんにゃの、ゆっくちできにゃいよぉ。」 「だめよ。おきてをまもって、ゆっくりできないことでもやるの。 そうしないと、とってもゆっくりできなくなっちゃうのよ。」 「ゆぅーん。ゆっくちりかいしちゃよ。」 そうだ。 結局、この群れはもはや、これまでとは違う掟、違う生活などできはしないのだ。 これからも、 何らかの自然災害か、 他の大規模な群れによる襲撃か、 人間による駆除がやってくるまで、永遠に・・・ だから、長ぱちゅりーと群れのゆっくり達は、 ただ一つだけ、いつまでたっても解けない疑問を抱えながら、これからも掟を守って生きていくのである。 「むきゅぅ・・・どうしてでいぶは、こんなゆっくりできないことをするのかしら・・・むきゅん。」 挿絵:街中あき
https://w.atwiki.jp/tibityato96/pages/61.html
もなちゃとかちびちゃとどちらが快適に楽しく会話でき、またどちらが楽しいか。 選択肢 投票 ちびちゃと (362) もなちゃと (649)
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3521.html
『でいぶかいゆっくりになるよ!』 39KB いじめ 思いやり 自業自得 差別・格差 飼いゆ 現代 暇つぶしにどうぞ ・飼いゆっくりがゆっくりできない目に遭う話です。所々テンプレブレイク仕様です。 ・その他ネタ被り、独自設定、意味不明な箇所など書き捨て御免ということで。 ・暇つぶしにどうぞ。話のネタにしてくれたら幸いです。 でいぶかいゆっくりになるよ! 「……ざあ、おだべな、ざい……」 ボロ雑巾同然となったまりさが最後の力で言葉を紡いだ途端、まりさの身体が真っ二つに割れた。 傷つき汚れたその表情は、二つに分かれて尚、とてもゆっくりしていた。 そんなまりさを見て、でっぷりと肥えたでいぶと2頭の子れいむが、ニヤニヤと薄笑いを浮かべる。 「ふん! ぐずまりさはこのぐらいしかつかいみちがなかったね! れいむもようやくしんぐるまざーだよ!!」 「「ゆぷぷぷ! つきゃえなきゃったおとーしゃんだよ! れいみゅたちゆっくちしててごめんにぇ!」」 「さあ、おちびちゃんたち! すーぱーむーしゃむーしゃたいむ、はじめるよ!!」 「「れいみゅのしゅーぱーむーちゃむーちゃたいみゅはじまりゅよ!! しょれーっ!!」」 でいぶ達は二つに割れた夫まりさに躊躇なく齧り付いた。 たちまち夫まりさの身体が形を崩し、食い散らかされていく。 「「「ぐぁっつぐぁっつはふっはふっ!! うっめ! まっじうっめ!! まじぱねえぇーーーっ!!」」」 普段から人気の無い公園であることに加え、現在は夜明け前。 悦びに震えるでいぶ達を邪魔する者は誰もいなかった。 でいぶは公園に住む生粋の野良ゆっくり。夫まりさは元銀バッジ飼いゆっくりだった。 夫まりさが飼い主の「おねーさん」と散歩に来た時、隙をついてでいぶが夫まりさを誘惑したのが馴れ初めである。 飼いゆっくりと番いになって子供さえ作れば、自分も飼いゆっくりとなり「にんげんさん」を「くそどれい」にできる。 聞きかじった野良ゆっくりの都市伝説を、でいぶは信じていた。 しかし飼い主の「おねーさん」は、まりさからバッジを奪って去ってしまった。 実ゆを結んだでいぶを忘れれば連れて帰るが、家族で暮らしたいなら公園に置いていくと言う「おねーさん」。 その言葉に対し、夫まりさは野良になって家族と暮らす、と返答してしまったのだ。 目論見が外れたでいぶは怒りが収まらず、夫まりさを朝から晩まで酷使し罵倒することで憂さを晴らした。 温室育ちの夫まりさは抗いもせず、でいぶの言いなりになって消耗するばかりである。 夫まりさ似の子供も2頭生まれたが、でいぶは自分似の子供達2頭を可愛いがり、夫まりさ似の子供達を虐め抜いた。 結果、一度もゆっくりを与えられなかった夫まりさ似の子供達は、三日経たないうちに永遠にゆっくりした。 その死因すらも、でいぶは夫まりさのせいと言いがかりを付けたのである。 そして今日、いよいよ満足に狩りも出来なくなった夫まりさに、でいぶは宣告した。 家族を想う気持ちさえあれば、「おたべなさい」が出来るだろう、と。 「おたべなさい」は自らの身体を食料として相手に捧げる、ゆっくり最大の奉仕行為。 夫まりさは「おたべなさい」を成功させ、家族の為に殉じたのだ。しかし、その想いを汲み取った者は、誰もいない。 「ゆふぅ、ぽんぽんいっぱいだよぉ! さあ、おちびちゃんたち! けいっかく!をじっこうするときがきたよ!」 「ゆん! れいみゅたちが!」 「かいゆっくちになるために!」 「かいゆっくりをれいむのだんなにするよ! そうすればゆっくりしほうだい! あまあまたべほうだいだよっ!!」 「「やっちゃー!!」」 幼少から生粋の野良として生き抜いたでいぶにとって、飼いゆっくりは夢の「ゆっくり」。 「にんげんさん」を従え散歩に興じ、巨大な「おうち」でゆっくりする、飼いゆっくり達の姿。 何としてでも憧れの飼いゆっくりになる為に、でいぶは計画を練っていた。 今度は飼いゆっくりの「おうち」に出向いて、新たな番いに相応しい飼いゆっくりを見つけよう。 身繕いも万全。夫まりさを使って満遍なく「ぺーろぺーろ」させたので、他の野良ゆっくりからも一目置かれるほどだ。 しかも、今回はでいぶ似の可愛い「おちびちゃん」達も育っている。 可愛い「おちびちゃん」達を見れば、「にんげんさん」も喜んで「おつむ」を下げるに違いない。 「さあ、おちびちゃんたち! しゅっぱつ!するよ! れいむのおつむにのせるからおちないでね!!」 「「ゆん! おかーしゃんのおちゅむはゆっくちできりゅよ~!!」」 今こそ夢を実現するために。 東の空が白む頃、夫まりさを全て平らげたでいぶ親子は意気揚々と公園を去っていった。 「ぽんぽんいっぱいあまあまたべるよ~っ! おちびちゃんいっぱいつくるよ~っ! ……ゆふ、ゆふふふっ!」 住宅街の一角。子供達を偵察に出して休憩していたでいぶは、細い路地の陰で妄想にふけっていた。 そこに、飛び跳ねながら無事戻ってきた2頭の子れいむ達。 「ゆっくちおまたちぇー! おかーしゃん、あっちのおうちに、かいゆっくちのまりちゃがいたよ!」 「ゆん? ゆっくりおかえりなさい! それはほんとうかい? かわいいおちびちゃんたちぃ!」 「なきゃなきゃのびゆっくちだよ! ゆーん、はやきゅれいみゅのおとーしゃんにしちゃいー!」 「ゆふふん。きまりだね。そのまりさを、れいむのだんなにして、みんなでかいゆっくりになるよ!!」 「「ゆん、ゆん、おーっ!!」」 子れいむ達の案内で意気揚々と向かった「おうち」に、そのまりさはいた。 「まどさん」に近寄って「のーびのーび」して見れば、とてもゆっくりしている姿を確認できた。 かつての夫まりさと同じ「ぎんばっじさん」を付けている。間違い無く飼いゆっくりだ。 でいぶの「おつむ」の上に乗った子れいむ達も、そのまりさを眺めて御満悦である。 「ゆほぉーんっ!! これはじょうっだま!なまりさだねぇ! いいよいいよーっ!」 「ゆふふっ! こんぢょはちゅかえるおとーしゃんぢゃといいね!」 「いっぴゃいこきちゅかおーにぇ!」 でいぶ達が庭先で盛りあがってると、そのまりさが「まどさん」に近づいてきた。 視線はでいぶ達に向いており、明らかにでいぶ達を捉えている。実に順調だ。 後は自分達の魅力で籠絡するのみ。 でいぶ達は精一杯ゆっくりした雰囲気を繕うと、生前の夫まりさを誘惑した口調で、眼前のまりさに媚を売る。 「ゆ、ゆっふぅ~ん! れいむはしんぐるまざーでかわいいれいむだよぉ! ゆっくりしていってねぇ!!」 「「ゆんゆん! れいみゅはれいみゅだよ! きゃわいくちぇごみぇんにぇ! ゆっくちしていっちぇね!!」」 「ゆっくりしていってね!! ここはおにーさんとまりさのおうちなのぜ! でいぶたちは、なにかまりさにようなのぜ?」 「かわいいれいむはすてきなまりさとけっこん!したいんだよ~! ひとめっぼれ!だよ~! れいむとまりさのおちびちゃんは、とってもゆっくりできるよ~!」 「まりさはきょせいずみなのぜ。ぺにぺにがないからまむまむもないのぜ。だからおちびちゃんはつくれないのぜ」 「きょ、きょせい? ゆ? ゆ?」 でいぶの誘惑にゆっくりした表情を崩さなかったまりさの言葉は、逆にでいぶを動揺させた。 意味不明の「きょせい」によって「ぺにぺに」が無い? 「おちびちゃん」が作れない? 理解が追い付かないでいぶに、今度はまりさが話かける。 「もしかして、でいぶはかいゆっくりになりたいのぜ?」 「……ゆ? そ、そうだよ! でいぶはかいゆっくりになりたいんだよお!」 「ゆーん。ちょっとまってるんだぜ。おにーさーん! おにーさーん!」 「ゆ、ちょ……!」 つい本音を晒してしまったでいぶは、「にんげんさん」の存在を失念していた迂闊さに気付いた。 今のままでは自分はまりさと何の関係も無い、ただの野良だ。下手したら潰されてしまう。 ここは逃げて別の飼いゆっくりを探そうと思った矢先、すでに窓辺にはまりさの言う「おにーさん」が来ていた。 「ゆ、ゆゆゆ……!!」 「どうした、まりさ。……何このでいぶ? 潰されに来たの?」 「でいぶたちはかいゆっくりになりたいのぜ。おにーさーん、でいぶたちをかいゆっくりにしていいのぜ?」 「それで良ければ飼いゆっくりにしてやるよ。正直調達する手間が省けた。準備するから待たせといて」 「ゆわ~い! やったのぜー!!」 「ゆ、ゆ、ゆん!?」 狼狽するばかりだったでいぶの眼前で、トントン拍子に事態が進展した。それも、でいぶ達にとって望んだ通りに。 「おにーさん」は確かに言った。でいぶ達を、飼いゆっくりにすると。 僅かに違和感を覚えたでいぶだったが、膨らむ期待の前ではそれも消え失せた。 情勢を見守っていた子れいむ達も、良い方向に転んだと感じとれたのか、安心してでいぶの元にすり寄る。 「ゆーん……、やったよおおお! おとーさん、おかーさん。れいむ、かいゆっくりなんだよぉ!! これかられいむのさくせすすとーりーがはじまるんだよおおおっ!! ゆんごくでみててねえええええっ!!」 「やっちゃねおかーしゃん! れいみゅたちのかんっじぇんしょうり!だよ! ばんじゃーいっ!!」 「れいみゅあみゃあみゃいっぱいたべりゅよ! そしたらあみゃあみゃいっぱいたべりゅよ! そしたら……」 「かいゆっくりになれて、しーしーをながすほどうれしいのぜ? まりさもうれしいのぜ!」 浮かれるでいぶ達の様子を、まりさは「まどさん」越しに眺めてゆっくりしている。 ついに念願叶った。その想いがでいぶ達の身体を満たした時だった――。 「お待たせ。じゃ行こうか」 いつの間に外に出たのか、「おにーさん」はでいぶ達の傍らに立っていた。 「おにーさん」はでいぶの身体を髪の毛を掴んで持ち上げ、もう片方の手で子れいむ達2頭を同様に掴み上げた。 自らの自重で髪の毛が引っ張られる形となり、有頂天のでいぶ達に激痛を課す。 「いだだだだだだあだだだあだだだだだっ!!? ぢょ、なにじでるのおおおおおっ!! でいぶはがいゆっぐりでじょおおお!? ごのぐぞどれい! ばなええええええっ!!」 「「いぢゃいよおおおおおっ!! ゆっぐぢじないでばなぜぐぞどれいいいいいいっ!!」」 痛みのあまり常套句すら紡げなかった。逃げ出そうと身をよじる程に痛みが増す。 でいぶ達は「おにーさん」に解放するよう要求するが、「おにーさん」はそのまま歩み始めた。 そうこうしている内に、でいぶ達は「おうち」の中に運び込まれる。 初めて入る「にんげんさん」の「おうち」は巨大で色取り取りだったが、痛みで感慨を抱くどころではない。 そして、でいぶ達は殺風景で無機質な一角に連れて来られた。 「ゆっぐりじないでばなぜええええええっ!! ……ゆん? ここどこ? ゆっくりしてないよ?」 「風呂場だ。見た感じ身繕いはちゃんとしてるようだが、ホコリぐらいは落とさせてもらうよ」 「ゆふん? だれもがみとれるれいむをもっときれいにするんだねぇ! ゆっくりしないではやくしてね!!」 「「きゃわいいれいみゅがもっちょきゃわいいれいみゅになりゅよ! きゃわいしゅぎてごみぇんね!!」」 「ああ、すぐ済むよ。浴槽に放り込むだけだから」 だぱぁん!! 「おにーさん」の言葉に気を良くした直後、でいぶ達はぬるい水の中にいた。 「おみずさんのなかはゆっくりできない」。 大半のゆっくりに刻まれた本能が、でいぶ達を一瞬にして恐慌状態にする。 「ゆばばなっばっばばっばあffっ!! おmずzんばっ! ゆggじでぎnっ!! だずgでっ!!」 でいぶは溺れながらも身体を伸ばして顔を水面に出し、助けを乞う。 一方で子れいむ達は、水中に沈んだままで必死の形相を上に向け、底でコロコロ転がるだけだった。 ゆっくりできない一時を存分に味わったでいぶ達は、水中から引きずり出されてようやく安堵できた。 「「「ゆっ、ゆっ、ゆひー、ゆひー」」」 溶けて無くなってしまうかと思った。 3頭が感じた恐怖は、先程のように髪の毛を掴み上げられてても痛みを感じない程だ。 「2、30秒程度で死にそうな顔をするなよ。さ、水を切るからジッとしてな」 「「「ゆん? ゆぎゃあああああああああああああああっ!?」」」 落ち着く暇も与えられず、でいぶ達はブンッブンッと振り回された。 身体の水滴が除かれていく一方で、圧倒的な力をもって身体全体が投げ捨てられる感覚。 でいぶ達は「おにーさん」が満足するまで振り回され、まるでゆっくりできなかった。 「ゆひー、ゆひー、ごごはどごぉ? でいぶを、ゆっぐりじないで、ばなじでね……」 「ここは台所だよ。今から飼いゆっくりになる下ごしらえをするのさ」 「しぢゃごぢりゃえ? にゃんなのじょれ。いいぎゃられいみゅだぢをゆっぐぢじないでばなじでぇ……」 生乾きのでいぶ達が次に連れて来られた場所は、同じく無機質ながら異質で異様な空間だった。 使い方の解らない道具が方々に並び、ゆっくりできない気配を醸し出している。 特に、高台の上に置かれた金属製の黒い器は、でいぶが収まるぐらい大きくて、一際ゆっくりできなかった。 「おにーざん、このくろくてまるいの、なに……?」 「フライパンだよ。すぐ済むから、あまり上で暴れるなよ」 「おにーさん」がそう言うや、でいぶは「ふらいぱんさん」の上に置しつけられた。 次の瞬間――、 じゅううううううううううううううううううううっ!! 「ゆあぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃっっ!? ゆ゛あ゛ーっ!! ゆ゛あ゛ーっ!! ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーっ!!」 でいぶの「あんよ」から全身に激痛が駆け巡った。 痛みのあまりに漏れ出た「しーしー」が音を立てて弾け、白い「くもさん」のようになってでいぶを包む。 先程まで疲れ切っていた事など忘れ、でいぶは「おつむ」を抑えられながらも必死にもがき苦しんだ。 「なにずるのおおおおおっ!? でいぶはがいゆっぐりなんだよおおおおおおおっ!!」 「だから、飼いゆっくりの下ごしらえだよ。まりさをキズモノにされたら困るからね」 「いいがらばなぜええええええっ!! あづいでじょおおおおおおおおおおおっ!!」 「焼き過ぎないように、きつね色に、と。こんなものか」 ようやく灼熱の「ふらいぱんさん」から解放されたかと思えば、でいぶはすぐ横の高台に置かれた。 焼き立ての「あんよ」は、その時の衝撃ですら耐えがたい激痛をでいぶに与える。 「ゆっぐああああっ!? い、いぢゃいいいいいいいっ!!」 「そこで待ってな。オマケのおちびちゃんもすぐに済ますから」 「おちびちゃん」。そう聞いたでいぶは正気を取り戻した。涙を流してる場合ではない。 我が「おちびちゃん」である子れいむ達は、自分がされたように「ふらいぱんさん」に押しつけられるところだった。 子れいむ達は恐怖に引きつった表情を浮かべ、ろくな抵抗もできずに「おそろしーしー」を垂れ流すばかり。 「ゆああああああっ!? なにずるのおおおおおおおおっ!? がわいいでいぶのおぢびぢゃんをゆっぐりじないでばなぜええええええええっ!!」 「「ゆんやああああああっ!! きゃわいいれいみゅがだいっぴんち!ぢゃよおおおっ!! おがーじゃん! ゆっぐぢじでないでだずげでえええええええええっ!!」」 でいぶは子れいむ達を助けようとしたが「あんよ」は動かない。 必死に身を揺するでいぶの眼前で――、 じゅううううううううううううううううううううっ!! 「「ゆ゛あ゛ち゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」」 「でいぶのおぢびぢゃあああああああああんっ!! おぢびぢゃああああああああああああんっ!!」 子れいむ達の「あんよ」も、揃って狐色に焼かれてしまった。 「まりさー、お待たせ。ほら、飼いゆっくりのでいぶだ。俺は用事を済ましてくるから、ゆっくりしていってね!」 「ゆわ~い! おにーさん、ゆっくりありがとーなのぜ~!!」 耐えがたい激痛と恐怖を経て、でいぶ達はまりさの前に運ばれた。 飼いゆっくりであるでいぶ達が受けた、「くそどれい」による仕打ち。 怒りにかられるでいぶであったが、「あんよ」が不自由では「せいっさい!」どころでは無い。 何としても、まりさに「くそどれい」を「せいっさい!」してもらわねば気が済まなかった。 「まりざあああああああっ!! ゆっぐりじないでぐぞどれいをぜいっざい!じろおおおおおっ!!」 「……くそどれい、ってだれなのぜ? もしかして、おにーさんのことなのぜ?」 「あたりまえでじょおおおっ!? がいゆっぐりのでいぶに、いだいいだいじだんだよおおおおお!! でいぶをゆっぐりざぜるぐぞどれいが、あんよをじゅーじゅーじだんだよおおおおおおおっ!!」 「おにーさんはくそどれいじゃないのぜ。まりさがゆっくりさせてもらってるかいぬしさんなのぜ。 どうしておにーさんがでいぶたちをゆっくりさせるのぜ? ばかなのぜ? しぬのぜ?」 「だがらああああっ!! がいゆっぐりのでいぶをぐぞどれいがゆっぐりざぜるんでじょおおおおお!? まりざはぞんなごどもわがらないぐずなのおおおおおおっ!!?」 「はやきゅせいっしゃい!しちぇこーい! きょのぐじゅまりぢゃあああ!」 「ぐじゅまりちゃはゆっくちしてないぢぇせいっじゃい!しぢぇごーい!」 全く話が通じない。でいぶ達は激昂するが、まりさは依然ゆっくりした表情を崩さない。 そして、まりさはゆっくりした表情のまま――、 ぽよんっ ぶぎゅっ 「ゆぶっげえええええええええええええええっ!!」 勢いをつけて跳躍すると、でいぶに体当りをした。 直撃を受けたでいぶの身体は、平らな床の上をゴロゴロと転がされる。 「だれがでいぶをどめでえええゆぶぎゃっ!?」 部屋の壁に叩きつけられて、ようやく止まったでいぶの身体。 痛みを堪えて起き上がったでいぶの眼前には、すでにまりさが追い付いていた。 まりさは依然としてゆっくりした表情を崩していない。 突然ふるわれた暴力が餡子に沁みたでいぶは、先程のように罵ろうとするも委縮してしまう。 「な、な、なにずるのおおおおおおっ!?」 「なにって、しつけ!だぜ。かいゆっくりをぜんぜんわかってないみたいだから、からだでおしえるのぜ」 「か、か、かいゆっぐりは、にんげんざんを、ぐぞどれいにでぎるんでじょおおおお?」 「ぜんぜんちがうのぜ。かいゆっくりはかいぬしさんにゆっくりしてもらうのがつとめなのぜ。 まりさはおべんきょうができるから、おにーさんがゆっくりしてくれるのぜ。まりさはとてもしあわせー!なのぜ!」 「う、う、う、うぞだあああああっ! がいゆっぐりは、がいゆっぐりは……!」 でいぶはまりさの言う事が理解できなかった。今まで信じていた物が完全に否定されているのだ。 そして、次にまりさが紡いだ言葉こそ、でいぶの理解を完全に超越した。 「でいぶは、まりさのかいゆっくりなのぜ。まりさをゆっくりさせるためにいるのぜ。りかいするのぜ」 「――――――」 かいゆっくりのかいゆっくり? でいぶはまりさのかいゆっくり?? でいぶはまりさをゆっくりさせるかいゆっくり??? 思考がグルグルと餡子の中を駆け巡って、でいぶは目の前すら見えなくなった。 故に、まりさの追撃を顔面で受ける羽目になる。 「ゆぶぎゅううううううううううううううっ!!?」 「りかいできないみたいだから、まりさはでいぶをりかいできるまでしつけ!するのぜ!!」 「ゆひっ! ゆひっ! や、やべでね! ご、ごないでね! ゆ、ゆ、ゆんやあああああぶぎゅあっっ!! ぶぎゅあっっ!! ぶぎゅあっっ!!……」 コンコン! ……ガチャッ 「入るよ、まりさ。ゆっくりしてるかい?」 「あ、おにーさん! まりさ、でいぶがかいゆっくりをりかいできないから、しつけ!してたのぜ!」 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ……」 「ゆぴええええんっ! おかーじゃんをいじめりゅなあああああっ!!」 「おかーじゃんをいじめりゅげずはじにぇえええええ! ゆぴええええんっ!!」 「おにーさん」が再び現れるまでの間、でいぶは執拗に「しつけ!」という名の暴力を受け続けた。 子れいむ達は親が弄られる様を見せつけられ、涙と「おそろしーしー」を流していたが、幸いにもまりさに無視されていた。 先程までの「しつけ!」を受ければ、小さな「おちびちゃん」達はひとたまりも無いだろう。 もはや満足に言葉も紡げないでいぶにとって、我が子の無事が何よりの救いだった。 「で、このでいぶは飼いゆっくりの何たるかが、ちょっとは理解できたのかな?」 「ぜんっぜん!なのぜ!」 「……が、がいゆっぐりは、ゆっぐりでぎるんだよお……。にんげんざんをぐぞどれいにでぎるんだよお……」 でいぶは尚も自らの信念を貫いた。それだけが野良ゆっくりとして生きてきたでいぶの夢であり、希望なのだから。 そんなでいぶに影が落ちる。「おにーさん」がでいぶの眼前で腰を下ろしたのだ。 「でいぶはさ、まりさの銀バッジ取得記念のプレゼントなんだよ」 「ぷ、ぷれ、ぜんと……?」 「ああ、銅バッジから銀バッジが取れたら、何か欲しい物プレゼントするよって約束したのさ。 そしたら、まりさは飼いゆっくりを欲しがったんだ。そこに丁度、でいぶ達が来たって寸法さ」 「ど、どぼじで? がいゆっぐりががいゆっぐりを? わ、わがらないよ???」 「別に飼いゆっくりが飼いゆっくりを飼ってもいいだろ? 意外だったが俺も興味があったし。 お前はまりさにメシの面倒を見てもらう代わりに、まりさをゆっくりさせるのが務めだ」 「ふ、ふざげるなあああ。でいぶを、ゆっぐりざぜろおおおおお」 「もうでいぶ達はまりさの飼いゆっくりなんだ。イヤなら処分する。 見どころの無い飼いゆっくりを、生かしたまま捨てるつもりは無い」 「ど、どぼじでえええええっ!」 でいぶは選択を完全に誤ったことを痛感した。まさか、全く道理が通じない連中の「おうち」に来てしまったとは。 いかに自分の正論を理解させようかと、でいぶが苦心していたその時、横で「おちびちゃん」の叫び声がした。 「きゃ、きゃわいいれいみゅのおきゃーしゃんをいじめるなああっ! ぷきゅーーーーーっ!!」 「くじゅどもはきゃわいいれいみゅたちをゆっくちさせりょおおっ! ぷきゅーーーーーっ!!」 横目を向ければ、怒りの感情むき出しで「おにーさん」に抗議する「おちびちゃん」達の姿が見えた。 「おにーさん」の動きが「おちびちゃん」達の声で止まった瞬間、でいぶの餡子が恐怖で冷える。 「この際言っておくが、おちび達はオマケだ。正直でいぶ候補なんかいらないんだ。 でいぶがまりさの飼いゆっくりの務めを果たし、おちび達の責任の一切を持つなら、特別に置いてやってもいい」 「で、でいぶどおぢびぢゃんだぢはいっじょだよおおお。いっじょにゆっぐりずるんだよおおお」 「じゃあ、まりさの飼いゆっくりになるかどうか、さっさと決めてくれ」 突然、息も絶え絶えなでいぶの身体が「おにーさん」に持ち上げられた。 そして、でいぶは2頭並んだ「おちびちゃん」達の上に載せられ、ゆっくりと手を離されたのだ。 「「ゆっぴいいいいいっ!? お、おみょいよおおおおおっ!! おかーじゃん! ゆっくぢじないでれいみゅからどいでええええええっ!!」」 「……ゆ、ゆああああっ!! がわいいでいぶのおぢびぢゃんがあああああああっ!! で、でいぶのずでぎなあんよざんっ! ゆっぐりじないでおぢびぢゃんのうえがらうごいでえええええっ!!」 何よりの救いが、今まさに打ち砕かれようとしていた。 でいぶの「あんよ」は僅かに感触が戻ってきたが、未だ自分の思う通りに動かない。 このままでは、可愛い「おちびちゃん」達が自分の下敷きになってしまう。 「自分はまりさをゆっくりさせる為の飼いゆっくりだ、って理解できないとおちび達は永遠にゆっくりする。 ゆっくりしないで理解したほうがいい」 「ぢぐじょおおおおおっ!! ぶざげるなごのぐぞどれいがああああああああっ!! でいぶをおぢびぢゃんのうえがらゆっぐりじないでどがぜろおおおおおおおっ!!」 「ゆんやああああっ!! おがーじゃん、うごいぢゃいやああああっ!!」 「ちゅぶれるっ!! きゃわいいれいみゅがぢゅぶれりゅううううううううっ!!」 「ゆああああっ!? がわいいでいぶのおぢびぢゃんだぢ! ごべんねえええええっ!!」 身体をよじって逃げる事も叶わず、でいぶは自ら可愛い「おちびちゃん」達を葬らんとしていた。 まりさも「おにーさん」も、でいぶ達を救う素振りも見せない。じっとでいぶ達を見つめ続けている。 この状況から逃れる方法は検討がついていたが、でいぶは実行に踏み切れなかった。 「ゆぐぐぐぐぐぐ……!」 「おがーじゃーんっ! ゆっぐりじでないでだじゅげでえええええっ!! ゆぶぶぶっ!!」 「お、おにーじゃん! まりちゃ! たちゅけちぇぐだじゃいいいいいっ!! ゆぶりゅぶっ!!」 迷っている間に、子れいむ達は餡子を吐きだしたようだ。一刻の猶予も無い。 「ソレ」を行うのは、恐らくとてもゆっくりできない事だろう。 しかし、自らの「あんよ」で可愛い「おちびちゃん」達を潰してしまうわけにはいかない。 でいぶは目をつぶり、まりさに向かってゆっくりと「おつむ」を向けた。 「……で、でいぶは、ま、まりざざまの、がいゆっぐり、でず」 「ゆん、でいぶはまりさのかいゆっくりなのぜ。でいぶはまりさになにをするのぜ?」 「ま、まりざざまを、ゆっぐりざぜるのが、でいぶのづどめでずうう。だ、だがら、おぢびぢゃんを」 「まりさをゆっくりさせるのが、でいぶのつとめなのぜ。でいぶはそれでゆっくりできるのぜ?」 「ゆっ……ぐっ!!」 「「ぢゅっ!! ぢゅぶりぇりゅううううううううううううううううっ!!」」 「おつむ」をまりさに向けながら流した涙が、床に幾つも落ちた。 問答している暇など無いと言うのに、まりさは許してくれない。 もはやでいぶには、屈辱を飲み込むしか術が無かった。 「ゆ、ゆっぐりでぎまずうううううっ!! でいぶはまりざざまがゆっぐりずればゆっぐりでぎまずうううっ!! でいぶはっ! まりざざまのっ! がいゆっぐりでずうううううううううううっ!!」 「ゆん、おにーさん!」 「ああ。今この瞬間から、でいぶはまりさの飼いゆっくりだ。とりあえずおちび達の上からどかしてやる」 自分の認識を否定する事は、ゆっくりにとって極めてゆっくりできない事である。 今、でいぶは自らの飼いゆっくり観を覆し、まりさの飼いゆっくりである事を宣言した。 身悶えする程ゆっくりできなかったが、それと引き換えに「おちびちゃん」達は助かるのだ。 安堵したでいぶを「おにーさん」が持ち上げようとした、その瞬間――、 「「……も、もっぢょ、ゆっぐぢ、じだが……」」 ぷちゃぷちゃあっ! 感覚が鈍ったでいぶの「あんよ」が、恐ろしくゆっくりできない現象を確かに感じた。 2頭の「おちびちゃん」の感触が消え失せ、替わりにベットリと濡れたような感触が発生したのだ。 それが何を意味するのかを、解りたくもないでいぶは硬直してしまう。 「……ゆーん、でいぶのおちびたち、つぶれちゃったのぜー」 「一足遅かったな。でいぶが早く言えば助けられたのに」 まりさと「おにーさん」が告げる淡々とした事実が、でいぶには信じられない。 しかし、「おにーさん」に位置を移し替えられれば、否応なく事実を目にしてしまう。 可愛い「おちびちゃん」達は、身体中の穴から餡子を吹き出して、真っ平らに潰れていた。 「お、おちびちゃん……? どぼじだの? ゆっぐりじないで、べんじじでね……」 「出来るわけ無いだろ。でいぶがモタモタして潰しちゃったんだから」 「う、うぞだよおお。でいぶじゃないよおおおっ! でいぶがづぶじだんじゃないよおおおおおっ!」 「でいぶがゆっくりしなかったら、つぶれなかったのぜ。かわいそうなおちびちゃんなのぜ。 でいぶはほんとうにおちびちゃんがだいじだったのぜ?」 「ゆ゛あ゛っ! ゆ゛あ゛っ! ゆ゛あ゛あ゛っ!」 もっと早く「おつむ」を下げていたら、子供達は永遠にゆっくりすることは無かった。 本意ではなかったにしろ、子供達を自分が潰したという事実を、でいぶは理解させられた。 「ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!」 「まりさ。とりあえずでいぶに掃除の仕方ぐらい教えておいてくれ」 「わかったのぜぇ! でいぶにおそーじしてもらうのぜぇ!」 慟哭するでいぶは、背後に回りこまれたまりさに、赤いリボンのお飾りを奪い取られた。 まりさの舌に捕らえられた、生まれた時から一緒の素敵な「おかざりさん」。 それを見たでいぶの感情が、さらに激しく揺さぶられる。 「ゆあああっ!? でいぶのだいじなだいじなおがざりざんがえじでええええええっ!!」 「べつにとったりしないのぜ。おそーじしてもらうだけなのぜ。 まずはまりさがおてほんをみせるから、よーくみてるんだぜ!」 「ゆ゛……!?」 まりさはそう言うと、舌で掴んだお飾りを子供達の死骸の上に乗せた。 そのまま、死骸を拭うように、お飾りを床に擦りつける。 自慢の可愛い「おちびちゃん」が「おかざりさん」で形を失っていく。 自慢の素敵な「おかざりさん」が「おちびちゃん」の餡子に塗れていく。 「おそうじはこうやるんだぜぇ! ごーしごーし! ごーしごーし! ごーしごーし!」 「やべでえええええっ!! おぢびぢゃんがあああああっ!! おがざりざんがあああああっ!!」 「さあ、おてほんはみせたから、これからはでいぶがやるんだぜ! ごみはあそこのおといれにあつめるのぜ!」 「おと……いれ……?」 まりさが向いた先に、白い器が置いてあった。 その内側に鎮座する見覚えのあるモノ。紛れも無く「うんうん」だった。 「い、い、いやぢゃああああっ!! おぢびぢゃんはうんうんじゃないよおおおおおっ!!」 「おちびちゃんはでいぶのせいでごみになったのぜ。でいぶもごみになりたいのぜ?」 「ゆびぃぃっ!?」 心身ともに痛めつけられた上、孤独となったでいぶは気弱な悲鳴を上げた。 このままでは、自分も「おちびちゃん」と同じ目に遭ってしまう。 ゆっくりできない想いを噛み締めながら、汚れたお飾りを舌で掴み、でいぶは再び「おつむ」を下げる。 「わ、わがりまじだあああ。でいぶ、おぞうじ、じまずううううう」 「ゆっくりしないでやるんだぜ。おにーさーん! まりさのしつけ!じょうずにできたのぜ?」 「悪くないんじゃないか。今日からでいぶにもゆっくりさせてもらえばいい。 ここはでいぶに任せて、日課の散歩に行こうか、まりさ」 「ゆわ~~い! でいぶ、ちゃんとおそうじしてないと、またしつけ!するのぜ! じゃあいってくるのぜぇ!」 「でいぶのがわいいおぢびぢゃあああん。ごべんねえええ。ごべんねえええ。ごべんねえええ……」 まりさと「おにーさん」が退出した広い部屋に、でいぶだけが取り残される。 焼けた「あんよ」は全ての機能を失わなかったが、微々たる速度でしか移動できない。 自らの「おかざりさん」を用いて「おちびちゃん」を「おといれ」に捨てる。この行為は日が暮れた後も続けられた。 でいぶは涙を流しながら、眠りにつく間際まで子れいむ達に許しを乞い続けた。 飼いゆっくり生活は、でいぶにとって「くそどれい」そのものだった。 用が無ければ「とうめいなはこさん」に押し込められ、まりさが外から開けなければ出る事はできない。 「ゆっくりおはようなのぜ! さあでいぶ、きょうもぺーろぺーろするのぜ!」 「ゆっくりおはようございます、まりささま。ぺーろぺーろ、させていただきまずううう……」 朝になって窮屈な箱から出されれば、「かがみさん」の前でまりさの身繕いをすることが一日の始まりだ。 頬や髪の毛、お飾りや「あにゃる」に至るまで、全身くまなく「ぺーろぺーろ」しなければならない。 その際に「かがみさん」に映る自分の姿は、かつて自身の身繕いを任せていた夫まりさの様だった。 「ゆひぃ、ゆひぃ、お、おわりまじだあああ……」 「……ねぐせがなおってないのぜ。こころがこもってないしょーこなのぜ!」 「ゆぶぎゃああっっ!!」 心を込めた「ぺーろぺーろ」は、不思議な力で相手をキレイにしたり治したりできる。 「ぺーろぺーろ」してキレイにならなければ、心が込もってない証拠だと「おにーさん」は言っていた。 それを理由に、至らなければ容赦なく「しつけ!」を受けた。 これに限らずとも、まりさの気分次第で「しつけ!」は何時でも行われる。 時に遊ばれるように、時に八つ当たりを受けるように、非を一身に受け止める事もでいぶの「つとめ」である。 でいぶが夫まりさに行った腹いせのように、まりさが満足するまで「しつけ!」は行われるのだ。 「……ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛……」 「おにーさーん。でいぶがこわれそうなのぜ~」 「加減しろ。死んだら新しいのを調達するのが面倒くさい。生きてればオレンジジュースで大抵治るんだから」 どれだけ傷ついても、でいぶは「おにーさん」に治された。 故にでいぶは、飼いゆっくりの「つとめ」を休みなく続けなければならなかった。 まりさが散歩などに出かけている間は、部屋中を「おそうじ」しなければならない。 道具は自らのお飾り。かつての誉れだったそれは、今や酷く汚れて所々破れてもいる。 何より子供達の死臭が染み付いているようで、「ぺーろぺーろ」で手入れしようという気も起きなかった。 ノロノロと這いずるしか出来なくなった「あんよ」に鞭打って、でいぶはお飾りで床を磨き続ける。 「ごーしごーし、ごーしごーし、ごーしごーし……」 ガチャッ 「たっだいまーなのぜ~! おそうじおわったのぜ? でいぶ!」 「ゆひぃっ!? す、ずびばぜええええん! もうすごじでございまずうううううっ!! ごーしごーし! ごーしごーし! ごーしごーし!」 まりさが帰ってくれば、でいぶは必死に「つとめ」を果たす姿を見せる。 気に入られなければ、大抵はゆっくりできない目に遭うからだ。 「ゆーん、でいぶはのろまなのぜ! まりさがてつだってやるのぜ!」 「げっ、げっごうでずうううっ!! やべでぐだざいいいっ!! ゆんやああああああっ!!」 でいぶは否を訴えるも、髪の毛をまりさに咥えられて床の端から端まで引きずり回された。 かつて夫まりさに磨かせたモチモチお肌が、床を磨く道具にされている。 でいぶは汚辱に悶えるしかできなかった。 「またでいぶを汚したな。まりさ、たまにはぺーろぺーろで綺麗にしてやったら?」 「ゆ~ん。まりさはおべんきょうがいそがしいのぜ~。おにーさん、おふろにいれてあげるのぜ~」 「やれやれ、またか。じゃあまりさ、そこの例文集を読み上げてるんだぞ。次のバッジ更新で金が取れるようにな。 行くぞ、でいぶ」 「ゆひぃぃっ! で、でいぶは、けっこうでずうううっ!!」 「雑巾代わりにされたんだから、洗わないわけにはいかないだろが」 無理矢理の床掃除の後、決まってでいぶの身体は乱暴に水洗いされる。 浴槽に張った水の中に落とされる度、でいぶは永遠にゆっくりするような思いをするのだ。 でいぶの食事は「おにーさん」がまりさに与えた分量から、改めてまりさによって分け与えられる。 その量は多くなく、まりさの気分次第で変動する為、決して機嫌を損ねてはならなかった。 「でいぶ、きょうのばんごはんさんなのぜ! きょうはゆっくりできたから、とくべつなのぜ! よんこからごこにばいっぞう!なのぜ!」 「ゆうぅ……。ありがとう、ございます……」 小皿に盛られた「ゆっくりふーど」は、2以上の数を数えられないでいぶにとって普段より多く見えるような気がした。 現実には身体を満たさない量に変わりなく、味もゆっくり出来る程のものではない。 片や、まりさは色取り取りで沢山の「ごはんさん」を食べている。 ロクに分け与えなかった夫まりさの食事を、でいぶは「ゆっくりふーど」を噛み締める度に思い出した。 こんな食事事情だから、「あまあま」なんて食べられるはずもない。 今も眼前で、まりさが「けーきさん」を「しあわせー!」な表情を浮かべて食べている。 「ゆ、ゆうぅぅ! まりざざまあああっ! で、でいぶに! あまあまをぐざざいいいいいっ! ひどぐぢだげでもおおおおおっ!!」 「いつもいってるのぜ。ゆっくりしてないかいゆっくりにはあげないのぜ。わかるまでしつけ!なのぜ!」 「ゆぎゃあっ!! ゆぎゃあっ!! ゆぎゃああああああっ!!」 でいぶはガマンできなくなる度に必死におねだりする。必ず手痛い「しつけ!」を受けると解っていても。 就寝の時間になれば、「とうめいなはこさん」に押し込められる。 まりさが「ふかふかべっどさん」に横たわれば、「おにーさん」が部屋を暗くして、一日が終わりだ。 しかし、でいぶはすぐに眠る事が出来なかった。 「……ゆ゛っ、ゆ゛ぅっ、ゆ゛え゛え゛え゛え゛え゛ん゛! がいゆっぐりはゆっぐりでぎないよおおおおっ!!」 まりさの前で封じ込めていた、ゆっくりできない想いが、涙となって溢れだす。 防音効果のある箱の中でゆんゆん泣く事がでいぶの日課なのだ。 飼いゆっくりはゆっくりできない。だから、でいぶは思い出の中の「ゆっくり」に浸るしか無かった。 「でいぶににだおぢびぢゃん、ごべんなざいいい、ごべんなざいいいいいっ……」 思い出に浸りながら、でいぶは自ら潰した子れいむ達に詫びる。 自分が飼いゆっくりになるなんて言わなければ、あの「こうえん」で一緒にゆっくりしてたのに。 そして、「こうえん」でのゆっくりした生活を思い浮かべれば、でいぶはより深い悔恨に襲われてしまう。 「ま、まりざあああ。ごべんなざい、ごべんなざい、ごべんなざいいいいいいっ……。 まりざににだおぢびぢゃあああん。ごべんなざいいいいいっ……」 かつて夫まりさを無下に扱った過ちを、自身が無下に扱われて苦しみ抜く毎日の中で、ゆっくり理解してしまった。 夫まりさは、ゆっくりできる「にんげんさんの飼いゆっくり」を捨てて、でいぶと共にゆっくりする選択をしたのだ。 それなのに、でいぶの元に残った夫まりさに、まりさ似の「おちびちゃん」に、取り返しのつかない事をしてしまった。 どんなに苦しめても、夫まりさはゆっくりした表情を崩さなかったのに。自分に食べられるその瞬間まで。 「まりざああああああああっ!! ゆるじでぐだざいいいいいいいいいいいいいっっ!! ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛っ!! ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛っ!!」 思い出に塗れて泣き疲れた頃に、でいぶはようやく眠りにつく事ができた。 このようなゆっくりできない日々は、でいぶの「ゆっくり」を削ぎ落し、失わせていった――。 季節は巡り、まりさの飼いゆっくりとして過ごし続けたでいぶは、新たな「ゆっくり」を見い出していた。 幾分痩せて皺を刻んだにも拘わらず、その表情は、当初に比べ格段にゆっくりしていた。 「おはようございます、まりささま。みづくろいをさせていただきますよ」 「ゆーん。でいぶもぺーろぺーろがうまくなったのぜ~。かっこいいまりさがさらにかっこいいのぜ~」 「ありがとうございます。れいむはまりささまにゆっくりしていただいて、しあわせー!ですよ」 「最近はでいぶも飼いゆっくりらしくなったなぁ。 どうだ、でいぶ。まりさの飼いゆっくりはゆっくりできるか?」 「はい。まりささまがゆっくりすると、れいむもゆっくりできます」 「それは何よりだ。まりさもゆっくりできて学力も上がってるし、これからもまりさの飼いゆっくりでいてくれ。 まりさも、たまには働きに応じてでいぶをゆっくりさせてやれよ」 「ゆん! それじゃきょうからごはんさんをひとつふやすのぜ!」 「……ありがとうございます、まりささま。れいむはしあわせー!です!」 「つとめ」を果たしてまりさがゆっくりすれば、でいぶの身体に自然と「ゆっくり」が湧く。 「おにーさん」も一緒にゆっくりしていれば、より多く「ゆっくり」が湧く。 自分の行いで誰かをゆっくりさせることができる。でいぶには、ただそれだけが心地よかった。 寝る前には、やはり家族達の思い出に涙を流したが、ただ後悔するばかりではない。 もうゆっくりさせる事のできない家族達の分も、まりさや「おにーさん」にゆっくりしてもらおう。 そう想えば、より献身的に「つとめ」を果たす事ができた。 飼いゆっくりの「つとめ」を果たして得る「ゆっくり」は、かつて考えていた飼いゆっくりの「ゆっくり」とは全く違う。 それを享受するでいぶの心は、すでに壊れてしまっていたのかもしれない。 「いよいよ明日はバッジ更新試験日だな。準備は万全か? まりさ」 「だいっじょうぶ!なのぜ! まりさはきんばっじさんになるのぜ!」 「まりささまなら、きっとだいじょうぶですよ!」 でいぶがこの「おうち」に来てから一年が経とうとしていた。 今、飼い主であるまりさが、一つ高みに登ろうとしていた。自信に満ちる主の姿を、でいぶは心から喜ばしく思うのだ。 永遠にゆっくりするその日まで飼い主をゆっくりさせる。それが、でいぶにとっての「ゆっくり」なのだから。 「それでね、おにーさん。まりさおねがいがあるのぜ。 まりさ、きんばっじさんがとれたらあたらしいかいゆっくりがほしいのぜ!」 「飼いゆっくりはでいぶがいるじゃないか。切りが無くなるから増やすわけにはいかない」 「でいぶはあきたのぜ! だからちがうのがほしいのぜ!」 「……俺は構わんが、それで本当にいいのか? でいぶは処分しなければいけないんだぞ?」 「いいのぜ~!」 でいぶの感情は平静を保っていた。 遂にこの日が来たのだ。かつての夫まりさのように、自分に残された最後の「ゆっくり」を捧げ切る日が。 果たして自分にできるだろうか。飼いゆっくりとして得た「ゆっくり」が、でいぶの身体に満ちる。 「だ、そうだ。飼い主のまりさが、でいぶは明日で用済みだとさ。 何だかんだで結構長い付き合いになったが、新しい飼いゆっくりを調達するなら処分せざるを得ない」 「……ゆっくりりかいしました。そのまえに、ただひとつ、れいむにさいごのひとはたらきをさせてください。 まりささまが、ずっとゆっくりできますように」 「ゆん? なにをするのぜ? でいぶ」 「まりささま。れいむのさいごのごほうっこう!です。ゆっくりあじわってくださいね! ……さあ、おたべなさいっ!!」 絶叫と共に、でいぶのゆっくりとした表情が分かたれ、身体が真っ二つに割れた。 真に自らを食べてもらおうと思わなければ成功しない「おたべなさい」を、でいぶは成功させたのだ。 正に、飼い主であるまりさに全てを捧げきった証明である。 「まりさ、せっかくだから食べてやれよ」 「まずそうなのぜ~! おにーさんにあげるのぜ~!」 「いらないなら処分するぞ。代わりの飼いゆっくりは、銀以上で更新できたら調達してやるよ」 「ゆわわ~い!! おにーさん、ゆっくりありがとうなのぜ~! あたらしいかいゆっくり、わくわくたのしみなんだぜ~~~!!」 浮かれるまりさを部屋に残し、「おにーさん」は二つに割れたでいぶを裏庭に運んだ。 「おにーさん」はでいぶの餡子を指ですくい、一口味わう。そして、物言わぬでいぶに告げる。 「……まりさの飼いゆっくり、御苦労サン。最初は使い捨てのオモチャのつもりだったが、よく務めてくれたよ。 美味かったが、俺に食べて欲しいわけじゃないんだろ?」 でいぶの身体は、ゆっくりした表情を崩されないよう、「おにーさん」によって地中に埋められた。 「だ、だがらあああああっ!! なにがのまぢがいなんでずううううううう!!」 「あぁ? 誰がどう間違ったら、銀バッジが何のバッジも取れなくなるんだぁ!? 前日までの模試は、間違いなく金バッジクラスの結果だったはずだがなぁ!!」 っぱぁーんっ 「ゆぶぢゃあああああああああっ!?」 「おにーさん」が繰り出した平手打ちがまりさの左頬を打つ。痛みが餡子中に沁み渡り、のたうち回って悶えるまりさ。 まりさが「ばっじしけん」に落第した昨日から、「おにーさん」は全然ゆっくりしていない。 大切な帽子のお飾りも没収され、まりさはゆっくりできない時間を過ごし続けていた。 「試験の最中まで次の飼いゆっくりの事ばかり考えて、ろくに回答できなかったのは、まりさだろーがっ! でいぶで満足しておけば、こんな結果にならなかったろうに!!」 「ご、ご、ごべんなざいいいいいっ!! づぎは、づぎはがんばりまずがらあああああっ!!」 「駄ゆっくりに次はない。まりさには、俺の飼いゆっくりの飼いゆっくりになってもらう」 「ゆ、ゆああああああああっ!?」 それは、散々酷使したでいぶの無様をよく知るまりさにとって、無慈悲な宣告であった。 そんなゆっくりできない生活はイヤだ。まりさは立ち上がった「おにーさん」の足元に泣いて縋る。 「お、おにーざんのがいゆっぐりは、まりざだよおおおおっ!! ゆっぐりじでねっ! ゆっぐりじでねっ! ゆっぐりじでねええええええっ!!」 「ウゼェ」 「ぶっぢゅうううううぅっ!?」 「おにーさん」の長い「あんよ」に蹴り飛ばされたまりさは、壁にはね返されて部屋の中央に転がされた。 激痛に身悶えつつも、まりさは自分の立場を叫び続けるしかなかった。 「ゆひぃっ! ゆひぃっ! まりざ、がいゆっぐりだよおおおっ! がいゆっぐりだよおおおっ! がいぬじざんをゆっぐりざぜるんだよおおおおおっ!!」 「ああ、存分に俺の飼いゆっくりをゆっくりさせてくれ。 ……お待たせ。狭かったろう、今出してやるからな」 「おにーさん」は、部屋の隅に置かれた外出用「きゃりーばっぐさん」の扉を開く。 いつもはまりさが外出するときに使われるが、今日は空のまま運び出された。 そして先程、帰宅した「おにーさん」が持ち帰ってきたのだ。 そこから現れた、まりさの飼い主とは――。 「うー☆ うー☆ ここがおにーさんとれみりゃのこーまかんなんだど~? おにーさん、ゆっくりしていってね!!」 「ああ、ゆっくりしていってね!」 にこやかな表情を浮かべた捕食種ゆっくりが、部屋の中を羽ばたいた。 その姿に、まりさは本能からの恐怖を露わにした。 「れ、れ、れ、れみりゃだああああああああああああああっ!?」 「う~? あのまりさはなんだど~? ごはんさんだど~?」 「あれはれみりゃの飼いゆっくりだ。食事も兼ねている」 「うー?? れみりゃがまりさをかうんだどー? よくわからないけどゆっくりできそうなんだどー!」 「あとで教えるよ。さ、腹が減ってるだろう。永遠にゆっくりしない程度に吸ってやれ」 「おにーさん、ありがとう!なんだどー☆」 まさか、捕食種の飼いゆっくりにされるなんて。しかも「ごはんさん」でもあるという。 れみりゃは嬉しそうに宙を舞いながら、まりさに向かってゆっくりと間合いを詰めてくる。 手向かおうにも身体がブルブル震えて言う事を聞かない。 まりさは「おそろしーしー」を垂れ流しつつ、程無くして部屋の隅に追い詰められた。 「ゆあっ! ゆあっ! ゆあーーーっっ! や、やべでね! ごないでね! まりざは、まりざはがいゆっぐりなんだよおおおおおっ!?」 「うー☆ れみりゃはどうばっじのかいゆっくりなんだど~。まりさはれみりゃのかいゆっくりなんだど~。 いただきます☆なんだど~っ!!」 油断した訳ではない。しかし、まりさは抵抗する間もなくれみりゃに齧り付かれた。 「おつむ」に突き刺さった牙から、自らの餡子が吸い出されていく。 そのおぞましい感触に、決して覆る事の無い絶望的なゆん生に、まりさは絶叫を上げた。 「ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!」 完
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4506.html
『お姉さんは魔女~れいむと、れいむのおちびちゃん~』 24KB 虐待 家族崩壊 赤ゆ 現代 虐待人間 独自設定 うんしー オリキャラ注意 四作目です 注意書き追加しました。 過去作 anko4445 邪気眼を持つ者とゆっくり anko4449 台風の目 anko4452 アメリカンゆんやッカー anko4445 「邪気眼を持つ者とゆっくり」に出てきたお姉さんが出てきますが、ストーリー上のつながりは特にありません。ただし、お姉さんはオリキャラです。 善良なゆっくりが出ます。虐待されます。 端役程度ですが、賢いゆっくりが出ます。 いつも通り読み辛いと思いますが、それでもよろしければどうぞ。 『おねーさんの作るお菓子って、どうしてこんな甘いの?』 幼い頃――と言っても数年前の話だが――少年はお姉さんにそう聞いたことがある。 するとお姉さんは、笑って答えた。 『それはな、私が魔女だからさ』 それから、みんなには内緒だぞ? と人差し指を口に当てた。 どっちかって言うと魔法少女じゃないかな、と少年が思ったその日から数年後。 少しだけ成長した少年は、確かに魔法少女ではなくなってきたお姉さんのお菓子が甘い本当の理由を知った。 魔法とかそんなことは関係ない理由だった。 ただ、お菓子に魔法が関係なくても――お姉さんは本物の魔女だった。 『お姉さんは魔女 ~れいむと、れいむのおちびちゃん~』 「おでがいじばず! どうがれいむにあまあまをぐだざい! ずごじでいいでずがら! おでがいじばず!」 商店街にお菓子の材料を買いに行った帰り道。お姉さんは一匹のれいむが叫んでいるのを見つけた。 「ぞごのおねえざん! おでがいじばず! どうがあばあばをぐだざい!」 そして当然のように、れいむはその懇願をお姉さんにも向ける。 最近のゆっくりには珍しく、自分の立場というものを弁えているらしいれいむに興味を惹かれ、彼女は話をすることにした。 「やあ、れいむ。私に用かな?」 「ゆ、おでえざん……! でいぶのおばなじをぎいでぐれるの?」 声をかけると、れいむは目を見開く。 誰もこんな反応をする人間などいなかったのだろう。 それはそうだ。このあたりは、野良ゆっくりに厳しい風潮がある。 この地域は、市街地からそう遠くない場所に山や森があり、住宅地には農地が混ざっている――身も蓋もない言い方をすれば田舎である。 だからゆ害が多く、「野良ゆっくりは害をもたらす存在である」という共通認識が、地域に浸透している。 故に、「愛で派」であっても、野良ゆっくりに餌をやるような類の人間はまずいない。 ……しかしそう考えると、このれいむはよく潰されなかったものだ。かなりの幸運の持ち主らしい。 お姉さんがそんなことを考えているうちに、れいむの聞き取りづらい説明は終わっていた。 「というわけなんだよ……。 だから、あまあまがひつようなんだよ……」 どうでもいい身の上話などが多く混じっていたが、要約すれば「番が死んで食料がない。おちびちゃんが飢え死にしそう」ということだ。 そこまでを、嫌な顔一つせず相槌を打ちながら聞いていたお姉さんは、 「じゃあ、うちに来るかい? 勿論、おチビちゃんたちも一緒に」 れいむにそう提案した。 一も二もなくその提案に飛びついたれいむは、「私の家に着くまで眠っているといい」とお姉さんに渡されたラムネを食べ、 おちびちゃん共々眠りについた。 「「「「「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇー!」」」」」 れいむはお姉さんの家で、あまあまを食べる赤ありすたちに囲まれていた。 「ゆう~ん、おちびちゃんたち、ゆっくりしてるよぉ……」 れいむの前にも、山盛りの餌が置かれている。 「れいむのぶんのあまあまは、おちびちゃんたちにあげてね!」 れいむがそう言ったら――その時、何故かあまあまの皿を下げようとしたお姉さんとの一悶着があったのだが――お姉さんが別に用意してくれた、 苦い草やらキノコやらをごちゃごちゃと混ぜたものである。 それでもここ数日ろくなものを食べていなかったれいむにとっては十分過ぎるものだった。 それから、お姉さんが部屋の隅においていった、いい香りの煙が出るもの――「こうろさん」も、とてもゆっくりできる。 香りを嗅いでいるだけで、れいむはなんだかしあわせー! な気持ちになるのだ。 (ゆっ! あのおねえさんはゆっくりできるよ!) そのお姉さんは、今ここにはいない。 「私がここにいたらゆっくりできないだろう?」 そう言って、部屋から出て行ったからだ。 そこまで気を使わなくてもいいのに――そんなことを考えながら、部屋の隅にある箱を見る。 何故かあの箱からは、ゆっくりできない何かを感じる。 お姉さんに見られていてもゆっくりできないわけではないのだから、気を使うなら、あれをどこかにやって欲しい。 そう思いながらも、れいむは自分の餌を食べ終えた。 見回すと、赤ありすたちもまた、大量のあまあまを食べ終え、満足気な表情で転がっていた。 「ゆっ! おちびちゃんたち、ごはんさんをたべたらうんうんしようね!」 「「「「「ゆっくちりきゃいしちゃわ!」」」」」 れいむは、部屋の隅にあった新聞紙を持ってくる。 お姉さんが、「うんうんやしーしーはこの上でするようにな」と言って置いていったものだ。 「さあおちびちゃんたち、このうえに――」 「「「「「うーんうーん……しゅっきりー!」」」」」 「どぼじでぞごにうんうんじぢゃうのおおおおお!?」 叫んではみるものの。 (ゆ! おちびちゃんがうんうんをがまんできないのはしかたないよ!) れいむはすぐにそう思い直し、舌で新聞紙の上にうんうんを集めていく。 (うんうんはゆっくりできないけど、おちびちゃんのはだいじょうぶだよ!) 「ゆんやあああああ! くちゃいいいいい!」「ちょかいはじゃにゃいわあああああ!」 あにゃるの周りにうんうんをこびりつかせ、泣き喚く赤ゆたち。 「ゆ! いま、おかーさんがきれいにしてあげるからね!」 言いながら、れいむは順番にぺーろぺーろしていく。 やがて綺麗になった赤ありすたちは、それぞれ思い思いにゆっくりしだした。 追いかけっこするもの。こーろこーろするもの。すーりすーりするもの。 「みゃみゃ、ありしゅにしゅーりしゅーりしちぇ!」 そんな中で、一匹の赤ありすがすーりすーりを求めてれいむのもとに来た。 「ゆっ! わかったよ!」 れいむがそう答えると、 「ありしゅもしゅーりしゅーりしちゃいわ!」「ありしゅも!」「ありしゅもよ!」 一斉に、赤ありすたちが集まってくる。 「ゆふふ! じゃあ、みんなですーりすーりしようね!」 「ゆ! ありしゅがしゃいしょよ、みゃみゃ!」 おちびちゃんたちに囲まれ、れいむは、番を失って以来久しく忘れていたように思えるゆっくりを感じていた。 「れいむ、ゆっくり出来てるかな?」 そんなれいむに、お姉さんの声がかけられる。 「ゆ、おねえさん! いたんだね! ごめんね、れいむきがつかなかったよ……」 申し訳なさそうにするれいむに、お姉さんは笑顔を返した。 「いや。構わないさ、このくらい。……それで、ゆっくり出来てるかな?」 そして、同じ問いを繰り返す。対してれいむは、 「ゆん! おねえさんのおかげで、れいむもれいむのかわいいおちびちゃんたちもゆっくりしてるよ!」 肯定を返した。 「そうか」 するとお姉さんはひとつ頷き返し、両手をれいむに伸ばす。 「ゆ、おねえさん――」 「もう、十分だな?」 ぶちり、ぶちり。 「………………ゆ?」 れいむの横で、そんな音がした。 「ゆびゃああああああああああ!?」 両のもみあげを同時に引きちぎられ、れいむは叫びを上げた。 痛みのあまり転げ回りそうになるが、それは許されない。お姉さんの手によって抑えられているからだ。 「お、おねえざん……!?」 「どうかな、れいむ。痛かったかな?」 涙に滲む視界で、お姉さんを見上げる。 「ど、どぼじで……」 「うん?」 「どぼじでごんなごどずるのおおおおお!?」 れいむは再び叫ぶ。 「れいむのもみあげざんどっだら! いだいいだいでじょおおおおお!?」 そして、 「ああ、やっぱり痛かったんだ――」 なら、良かった。 その言葉に、耳を疑った。 「いいわげないでじょおおおおお!?」 「じゃあれいむ、一つ聞こうか」 ぴっ、とお姉さんが人差し指を立てる。 「私は、君達にあまあまを含めた食べ物、それとゆっくりできる場所を提供したけど。それがどうしてもらえたのかを、考えなかったのかな?」 「ぞ、ぞれば……!」 確かに、その疑問も一度はれいむの餡子に浮かんだ。 しかしそこは餡子脳、おちびちゃんがゆっくりしているゆっくりできている安心感故、深く考えはしなかったのだ。 「答えられないんだね? 『れいむたちがゆっくりしてるから』とか答えると思ったんだけど」 「ゆ、ゆ! ぞうだよ! れいむはゆっくりしてるんだよ!」 「そう思う? じゃあ、確かめてみようか?」 そしてお姉さんは、いつの間にか少し離れたところに移動していた赤ありすたちの方を向く。 「さて、君達。れいむと私、どっちがゆっくりしてる?」 それを聞き、れいむは内心で勝ち誇った。 (おちびちゃんにきいたら、れいむのほうがゆっくりしてる、ってこたえるにきまってるよ!) しかし。 「「「「「おねーしゃんのほうが、みゃみゃよりゆっくちしてりゅわ!」」」」」 「「「「「おねーしゃんは、とっちぇもときゃいはよ!」」」」」 赤ありすたちは、一匹残らず、揃って、お姉さんを讃えた。現実は非情である。 「どぼじでえええええええええ!? おぢびぢゃあああああん!? どぼじでぞんだごどいうのおおおおお!?」 「あはは、だってさ、れいむ」 笑いながら、お姉さんはちぎったもみあげでれいむをぺしぺしと叩く。 「さて。一段落したところで、そろそろ続きといこうか」 「ゆっ! やべでね、いだいいだいざんばやべでねえええええ!?」 「あ、そうそう。さっきの質問――なんでこんなことするのかって話だけどね」 お姉さんはれいむを足でホールドし、殴った。 「ゆぎゃああああああああああああああ!?」 「それは実に簡単なことさ――」 言いながら、何度も、何度も殴りつける。 やがてれいむの皮が裂け、餡子が流れ出し始めたところで、お姉さんは手を止めた。 そして、先程おちびちゃんたちとゆっくりしていたれいむに向けていたものと同じ、ゆっくりした笑顔を浮かべる。 「楽しいから。それに尽きるね」 しかしれいむには、それが全く別のものに――いや、お姉さん自体が、得体の知れない化け物のように見えた。 「さて、次は……」 何かを探すように、お姉さんが視線を外す。 「ゆ、れいむは――ゆっくりしないでにげるよ!」 その隙を突き、れいむはあんよに渾身の力を込めると、お姉さんの足の間をすり抜け、飛び出した。 (ゆっ、ゆっ、あのおねえさんは、ゆっくりできないよ!) あれから、どこをどう逃げたのか。れいむは、森の中にいた。 あちこち流れる餡子の涙は未だ止まらず、れいむを消耗させていく。 「ごはんさんをたべて、どこかでやすめば、きっとよくなるよ……」 それを少しでも抑えるため、森に入ってからのれいむは度々立ち止まって休みをとり、舌であちこちをぺーろぺーろしていた。 「ゆ、いつまでもここでゆっくりしてられないよ……。いくよ、おちびちゃ――」 言いかけて、おちびちゃんはいない、という事実を思い出した。 「そうだよ……れいむは、おちびちゃんをおいてにげてきたんだよ……」 残っている左目から、餡子のない涙が流れ出した。 「おぢびぢゃん……ごべんね……ごべんねぇ……」 きっと今頃おちびちゃん達は、あのお姉さんかられいむ以上にひどい目に遭わされているだろう。 だが、れいむには助けに戻る勇気はない。 「ごべんね……。おがーざん、おぢびぢゃんだぢのぶんまでゆっぐりずるがらねぇ……」 そして涙をこらえ、れいむは再び歩みを進める。 そして、「それ」を見つけた。 「ゆわあああああ……」 森の中に唐突に現れたそれは、「あまあまでできたおうち」――つまり、お菓子の家だった。 「ここを、ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」 そのおうちの前に立ち、れいむはおうち宣言をする。 「むーしゃ、むーしゃ、ししし、しあわせぇぇぇぇ~~~~!!」 そしてれいむは、誰に遠慮することなくそれを食べ始めた。 ゆん生で一度も味わったことのない甘さに、れいむは至福の表情を浮かべる。 (こんなにおいしいあまあまさん、おちびちゃんとたべられたら、もっともっとゆっくりできたよ……) れいむの餡裏を、そんな思考がよぎる。 その時だった。 「「「「「みゃみゃー!」」」」」 置いてきてしまったはずのおちびちゃんたちが、おうちの中から現れたのは。 「ゆうううううう!?」 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 もう二度と会えないと思っていたおちびちゃん。そのおちびちゃんたちと、また会えるなんて。 感涙にむせび泣きながら、れいむは挨拶を返した。 「ゆっぐり……ゆっぐりじでいっでねえええええ!」 しかし、その感動の対面を邪魔するかのように―― 「うー! うー!」 そんな声が、森に響いた。 「れみりゃだああああああああ!」 どうしてこんな時に。れいむは思いながら、 「ゆ! おちびちゃんたち、ゆっくりしないでおかーさんのおくちにかくれてね!」 おちびちゃんたちを守らねば、という使命感に突き動かされ、おちびちゃん達を振り返る。 「おちびちゃん……?」 しかし、おちびちゃん達は何も答えず、顔をうつむかせている。 「なにやってるの! ゆっくりしないで、おくちに――」 れいむが、赤ありすの一匹に舌を伸ばした瞬間。 「うー!」 赤ありす――いや、れみりゃは一声、そう鳴いた。 「どぼじでおぢびぢゃんがれみりゃになっでるのおおおおお!?」 見回せば、他のおちびちゃんもれみりゃに変わっている。 「うー! うー!」 背後から再び聞こえてきた声に振り返ると。 目の前に、れみりゃ。 「ゆんやああああああああああ!」 れいむは逃げた。 あちこちに体をぶつけ、鈍い痛みが走るが、そんなことに構ってはいられない。 とにかく、ひたすらに、滅茶苦茶に逃げた。 「ゆ、ここまでくれば、きっとだいじょうぶだよ……」 やがてれみりゃの声が聞こえなくなったことに安堵し、れいむは立ち止まる。 そして深く息を吐いて、顔を上げた。 すると、そこには、一面の、 れみりゃれみりゃれみりゃれみりゃれみりゃれみりゃれみりゃ―――― 「ゆぎゃああああああああああああああああああああ!」 ばしゃばしゃと何かがかけられる感触で、れいむは意識を取り戻した。 「いい悪夢(ユメ)、見れたかな?」 オレンジジュースの紙パックを手に、お姉さんが笑う。 「どぼじでおねえざんがいるのおおおおおおおおおお!?」 「あはは、どうしてだろうね? 不思議だね? ……それにしてもさ、れいむ」 笑いながら、装飾の付いたナイフを取り出すと、お姉さんはれいむを持ち上げた。 「おそらをとんでるみたい! ……ゆ、はなしてね! おねえさん、れいむをはなしてね!」 「君はこの赤ありす達を置いて逃げようとしたよね?」 れいむの下では、透明な箱に入れられた赤ありす達が、れいむを見上げていた。 「ゆ! そ、それは……」 「そんなひどいことをするゆっくりは、きっと制裁されるべきじゃないかな?」 そして、れいむのあんよを浅く切った。 「ゆびゃあああああ! いぢゃいいぢゃいぢゃいいぢゃいやべでやべでやべでやべでぇえええええ!」 れいむの懇願に一切耳を貸すことなく、格子状の切れ込みをつけていく。 それを終えたあと、 「これじゃ、動いたら餡子が出てきて死んじゃうだろうね?」 言ってから、れいむを赤ありすたちの中に下ろす。そして、箱の中に爪楊枝をばらまいた。 「さて、君達。この『ぷーすぷーすさん』を貸してあげるから、存分に刺してやるといい」 「「「「「ゆっくちりきゃいしたわ!」」」」」 「「「「「ちょかいはにゃおねーしゃんのいうこちょは、ゆっきゅりできりゅわ!」」」」」 どう見ても状況を理解していなそうな赤ありす達は、それを拾い上げ、 「やべでええええええええええ! おぢびぢゃああああああん! おでがいだがらやべでねえええええええええ!」 一斉に、れいむの体に突き刺した。 「ゆびゃああああああああ!? 」 れいむの奇声を無視して、赤ありす達は幾度も爪楊枝を刺し続ける。 「ゆ、とっちぇもちょかいはにぇ!」 赤ありすたちの様子は、むしろ楽しげですらあった。 そして、 「あはは。もう、そのくらいでやめたらどうだ?」 お姉さんがそれを止めた頃には、れいむの体にはライオンのたてがみのように大量の爪楊枝が突き立っていた。 「やべでね……ぷーすぷーすさんはゆっぐりでぎないよ……やべでね……」 勿論、弱々しく泣くだけのれいむからは、ライオンのような勇ましさなど微塵も感じられないが。 「おねーしゃん、ちゅぎはにゃにをしゅればいいのかしりゃ?」 「おねーしゃんがさしぇてくりゃるこちょにゃんだかりゃ、とっちぇもちょかいはにゃんでしょう?」 そんなれいむを一切顧みる事無く、赤ありす達はお姉さんを見上げる。 「そうだね、その前にお姉さんと別の部屋に行こう! だから、これに乗ってね!」 お姉さんは、部屋の隅に立てかけられていたトレイを持ってくると、赤ありすたちをそこに載せた。 「じゃーあ、行こうか!」 「「「「「おしょらをとんぢぇるみちゃい!」」」」」 部屋を出るお姉さんに、 「やべてね、れいむのおぢびちゃん、つれでいがないでね……」 れいむの声は、届かなかった。 れいむが一匹だけ残されて、どのくらいの時間が経ったのか。 お姉さんが、部屋に戻ってきた。一人で。 「おねえさん、おねがいだよ……。れいむの、れいむのおちびちゃんをかえしてね……」 弱々しいれいむの懇願に、お姉さんは、 「うん、いいよ!」 至極あっさりと、そしてハイテンションに答えた。 「ゆ、いいの……?」 「ああ、勿論さ!」 そしてお姉さんは、部屋の隅に行き。 あのゆっくりできない箱から、数匹の赤れいむと赤まりさを取り出した。 「ほら、お前のおチビちゃん達だよ!」 「……ゆ?」 れいむの前に置かれたそいつらは、今にも死にそうなほどやつれ、汚らしい姿をしている。 既に息絶えて、ゆっくりできない死臭を放っている者もいた。 弱りきったれいむの心にも、一筋の怒りが現れた。 「なにいってるの、おねーさん。このこたちは、れいむのおちびちゃんじゃないよ」 しかしお姉さんは、いやいや、と首を振る。 「はハ、その子達が、君のおチビちゃんだ。間違いないよ!」 だって、君の番はまりさなんだから。 ありすが、君の子供なわけないだろう? 「……ゆ?」 そしてれいむは、思い出した。 まりさとの間に、植物型にんっしんでおちびちゃんを授かったこと。 間引きが必要と言うまりさに、なんとか生んであげたいと懇願したこと。 まりさも最後には折れ、次の日「もっとたくさんのごはんさんをとってくるよ!」と張り切って狩りに出かけたこと。 そして帰ってこなかったこと。 蓄えた食料はすぐに底を尽き、おちびちゃんたちにろくにむーしゃむーしゃさせてあげることもできず、切羽詰って 人間さんにあまあまをもらえるよう頼むという賭けに出たこと。 忘れてはいけないはずなのに忘れていたそれらを、一度に思い出した。 「ゆああああああああああああああああああああああ!?」 忘れてはいけなかったはずなのに。 何故。何故。何故。 同時に、赤の他ゆんのうんうんをぺーろぺーろしたことを思い出し、餡子を吐きそうになる。 が、それはお姉さんに口を押さえられ、阻まれる。 「どうして忘れてたのか。知りたいって顔してるね!?」 その疑問に答えたのは、やはりお姉さんだった。 「あハ、君に言って分かるかは定かじゃないけど……教えてあげよう! 君を部屋に入れて、起きたあともずっと焚いていた香。わかるかな!? あれには、ゆっくりの判断力を鈍らせる効果があってね! まあ、人間には別の効果が出るんだけどね! 君達ゆっくりに嗅がせると、目の前の『ゆっくりできること』以外はどうでも良くなる、という作用があるんだ! まあ、ゆっくりにとっては半分いつも通りだろうけどね! しかし、これはその程度を大きく上げるんだ! その結果が、君がさっきまで体験していたものだよ! 『今』よりゆっくりできていなかった過去の記憶は忘れ、目の前の見知らぬ赤ゆっくりを『ゆっくりしてるから』自分のおちびちゃんに違いないと思い込んだ! おねーさんが買ってきた、君とは何の関係もない食用赤ありすなのにね!」 流れるようにそこまでを話すと、お姉さんは言葉を切った。 そして、思い出した、とばかりに続ける。 「そうそう。君が逃げようとした時だけどね。君が何を見ていたかはわからないが、それは全部幻覚――夢みたいなものだったんだ。 だから目覚ましにオレンジジュースをかけてやったんだが。きっと無事に逃げられるとこまでは行ったんだろうねぇ!? あハは! 君に与えた餌に、そういうものが見えるようになるキノコを混ぜたんだ。実際の君は、部屋の中でのたうちまわっているだけだったよ! 実に愉快だったよその姿は! あはははハははは!」 そして呆然とするれいむの前に、赤れいむを置いた。 それが何か、今のれいむにはわかる。 一番上のおねーちゃんで、自分もゆっくりできていないだろうに、その小さな体で姉妹たちをあやしていた、その赤れいむ。 大事な大事な、れいむのおちびちゃんだ。 「アは、赤れいむちゃん! 君のおかーさんに、何か言いたいことはあるかなぁ!?」 言いながらお姉さんは、赤れいむにパックに数滴残っていたオレンジジュースを垂らした。 赤れいむの瞳に、わずかに光が宿る。 「おかー、しゃん……」 「――どうちて、れいみゅをうんだにょ?」 時間は、少し巻き戻る。 「じゃあ、ルールをもう一度説明しよう」 スモークフィルムの貼られたガラスで四方を囲まれた箱に入れられた赤ゆっくり達に、お姉さんは言った。 「君達のおかーさんが、君達がいないことに気づいたなら、君達の勝ち。君達が食べ切れないあまあまをあげよう。 だけど気づかなかったなら、気づくまでここで見ているだけ。……理解したかな?」 「「「「「ゆっくちりきゃいしちゃよ!」」」」」 お姉さんが仕掛けてきた賭けは、れいむのおちびちゃん達には勝利が確定したものと思えた。 「ゆ! きっちょ、おきゃーしゃんはしゅぐにきぢゅくよ!」 「しょうだにぇ! しょしちゃら、たくっしゃん! のあみゃあみゃしゃんだにぇ!」 「ゆわーい! あみゃあみゃ! あみゃあみゃ!」 大量のあまあまに囲まれた、思い思いにゆっくりする未来を思い浮かべる赤れいむ達。 しかしその希望は、あっさりと潰えた。 れいむは、周りに赤ありすしかいない状況に、何も疑問を抱かなかった。 『れいむのぶんのあまあまは、おちびちゃんたちにあげてね!』 その言葉に、お姉さんは忠実に従おうとした。赤れいむたちにそのあまあまを渡そうとした。 しかし、れいむ自身がそれを止めた。 必死に叫ぶ声は、れいむには届かない。 箱が防音仕様になっていることも、れいむの声はスピーカーを通していることも知らない赤れいむたちは、母親が自分達を無視しているとしか感じられなかった。 何一つ口にできない赤れいむたちの前で、赤ありす達はたくさんのあまあまを食べ尽くす。 そして憎たらしいほど幸せそうな顔でうんうんをし、その匂いに泣き喚く。 その姿に赤れいむたちがわずかながら溜飲を下げた時。 『ゆ! いま、おかーさんがきれいにしてあげるからね!』 そう言ってれいむは、たちまちのうちに赤ありすたちをぺーろぺーろし、きれいにした。 そして、思い思いのゆっくりを享受する赤ありす達。 それは、赤れいむたちが抱いた幻想と、全く同じだった。 あれは自分たちのものなのに。 母親のゆっくりした表情は、自分たちに向けられるべきものなのに。 『ゆん! おねえさんのおかげで、れいむもれいむのかわいいおちびちゃんたちもゆっくりしてるよ!』 そうして、赤れいむたちがれいむに抱いていた親愛の情は、あっけなく崩れ去った。 『もう、十分だな?』 ようやく自分たちに向けられた言葉に、否定を返す者はなかった。 「おきゃーしゃんは、ごはんしゃんたべちぇ、おちびちゃんにあみゃあみゃしゃんあげちぇ、 うんうんぺーろぺーろしちぇ、しゅーりしゅーりしちぇりぇば、ゆっきゅりできりゅんだよにぇ? べつに、れいみゅたちがいにゃくても、よかっちゃよにぇ? れいみゅたち、うみゃれちぇかりゃちっともゆっくちできなかっちゃよ? しょれにゃにょに、しらにゃいゆっくちといっしょに、じぶんだけゆっくちしちぇたよにぇ? じゃあ、れいみゅたち、いりゃにゃいんだよね? いりゃにゃいにょに、れーみゅたちにょことゆっくちしゃしぇてくれりゅわけでもないにょに。 ――にゃのに。おかーしゃん、どうちて、どうちてれいみゅたちをうんだんだあああああああああああああ! こにょげしゅおやああああああああああ!」 最期に一声高く叫ぶと、れいみゅは餡子を吐き、永遠にゆっくりした。 「お、ちび、ちゃん」 れいむは呆然とその音を口にすると、 「――ゆっくち! ゆっくち!」 とうとう、非ゆっくち症を発症した。 「あははハははははハはは! ここで非ゆっくち症か! ひゃはははハははははハはは!」 それを見て、お姉さんは狂ったように笑い出し―― 「うぐ、ぅおええええええええええ」 急に顔色を変え、吐いた。 そして自らの吐瀉物の中に倒れこみ、気を失った。 「さて、クリシィ。私の可愛い孫。私が言いたいことは、わかりますね?」 優しげな風貌で、品の良さが伺える老婆が、安楽椅子に座っていた。 膝の上には、帽子に金バッジを付けたぱちゅりーが、行儀良く座っている。 その前には、お姉さんが正座させられ、涙目で震えていた。 「ふぁい……お、おばあしゃま……」 足のしびれ故か、お姉さんの呂律は回っていない。 そんなお姉さんを見て、『おばあさま』はひとつ頷き、 「分かっているとは思いますが、あの香は人間が吸うと興奮作用、それと覚醒作用があります。 無論、そこまで強いものではありませんが……あなたは、あれを吸いすぎました。 それがどれだけ危険か、わかっているでしょう? 快楽を貪るためにサバトをする時代は、遥か昔に終わったのです。 使うことは構いませんが、目的とした以外の結果を引き起こしてしまうのは、そしてそれによって自分や他人を危険に晒すのは、 魔女として未熟、いえ、それ以前の問題です」 「重々(ひゅうひゅう)、ひょうち、しておりまひゅ……」 お姉さんの返事を聞き、『おばあさま』は再び頷いた。 そして、「もう一つ」と人差し指を立てる。 「此度のあなたは、やりすぎました。 確かに、ゆっくりを苦しめることは現代を生きる魔女の嗜みです。 ゆっくりは、現代では手に入れにくくなった、血や臓物のような『生命の象徴』の代用品になりますからね。 それを鑑みても、あなたのやったことは度を越しています。 ……あなたは、いつか母親になるでしょう。その時に同じことをされたら、とは言いません。 ですが……あなたのしたことの重さを、その時本当に理解するでしょう。そしてきっと、負い目となるでしょう。 ……このようなことを繰り返すなら、尚更に、ね」 そこで、『おばあさま』はお姉さんを見た。 お姉さんの膝の上で、白くなるほど握られた拳の間から、わずかながら血が流れている。 顔色は、倒れた直後より青白く、まるで死人のようだ。 それに気付き、『おばあさま』は、ほう、と息を吐いた。 「これ以上は、やめておきましょう。あなたも、よくわかっているようですしね」 「むきゅ、ご主人様。少し、厳しすぎませんか?」 お姉さんがよたよたと部屋を出て行った後、ぱちゅりーは言った。 対して『おばあさま』は、「今日は、ちょっとねえ」と返す。 「いえ、いつも、このくらい叱るじゃありませんか。むしろ今日なんてもっと厳しくするかと思っていたのに」 そしてぱちゅりーが見上げると、 「あの子には」 そこには、別人のように厳しい表情をした『おばあさま』がいた。 「才能があります。私が教えずとも、私が知る全ての知識をモノにできるくらいの才能が。 だから私は、魔女としての『心』を、あの子に伝えねばならないのです。 あの子が、道を踏み外すことがないように」 その為なら、私はあの子に嫌われても構いませんよ。 最後は笑顔に戻ってそう言うと、『おばあさま』はぱちゅりーの頭を撫でた。 おまけ お姉さんが赤ありす達を連れてきたのは、キッチンだった。 そこでお姉さんは、全ての穴を塞がれた赤ありすたちを見下ろしていた。 みな一様に、お飾りを奪われ、髪は引き抜かれ、わずかに震えている以外は、どこからどう見てもただの饅頭である。 「さて、君達は、いつから私がゆっくりしてると錯覚していた?」 まあ、最初からだろうけど、と内心で思いながら、お姉さんは言う。 「君達がそう錯覚していた間、ゆっくりしてない私に言われて、何をしたのかな? ……ゆっくりしたママにゆっくりしてないと言い、優しいママに爪楊枝を突き立て。 随分残酷だね、君達は? あは、あハ、あはハははハはは!」 饅頭達は、震えるだけで何も言葉を返さない。 お姉さんは、あらかじめ焼いておいたシュークリーム生地の中に入れた。 全てを上から塗り固められた赤ありすたちは、体内のカスタードを吐いて死ぬこともできず、ひたすら罪の意識に苛まれ続ける。 そうして、時間が経つにつれ、シュークリームは甘く甘くなるのである。 後書き ここまで読んでいただき、ありがとうございます。 読み辛さはここに来て一気に上がったと思います。本当に、申し訳ありません。 今回は、拙作「邪気眼を持つ者とゆっくり」に出てきたお姉さんの話ですね。 作者は、実は善良なゆっくりを虐待する話が好きです。かなり好きです。ただし、れいむとまりさに限る。 れいむやまりさは、一部例外を除いて善良だろうとゲスだろうと痛めつけたくて仕方なくなります。 善良なちぇんやみょんやぱちゅりー、それから希少種は虐待しようとは思わないのですが。何故なんでしょう。 そして、エピローグ部分における描写を皆様がどう感じるか、にもよるとは思いますが。 それをお姉さんにやらせた結果、予想以上の外道になってしまいました。 『魔法』と呼べるようなものを使って何をするか、を考えた結果ではあったのですが。 ……グダグダといろいろ書きましたが、取り敢えず何が言いたいかというと。 もっと良いゆ虐が書けるようになりたいです。 以下、必要のない設定 双葉=U=クリスティ ハーフのお姉さん。魔女。 ごく親しい人にのみ、「クリシィ」と呼ばせる。 邪気眼少年のゆ虐の師匠。 趣味は、お菓子作り。
https://w.atwiki.jp/yiyirys/pages/14.html
ちびちゃとの常連リストです。 ちびちゃと常連リスト詳細 個人へのコメントは一番下のコメント欄にお願いします。 最近見なくなった人と、許可もなく載せていた人は削除しましたー。 【最終更新】罵倒師さん とローズさん を追加しました。 【廼唖】 ミイラと廃墟とジャガイモが大好きな北海道のプリンセス。 子供らしく可愛い場面もあるが、ちょっと変なとこも多々あり・・・。 誰にでも好かれるような何かを持っている気がする。 しょっちゅう親フラで突然落ちることも良くある。可愛いから良しとしよう。 廼唖ログ 廼唖ログ2 廼唖ログ3 【巧海】 昔からずっと絡んでいるマヨネーズ。 マヨネーズをこよなく愛しているらしい。 ホモキャラが定着気味・・・。うぇ 【巧海】 【オシャレファック】 ほぼ毎日来ているイケメン。 自分でイケメンと言っているが、実際にイケメンである。 基本的に誰とでも仲が良く、喧嘩師などはあまり好きではなさそうだ。 【紅月】 うんち大好きスカトロ少女。男疑惑あり。 【焼きクマ】 刹那と一緒にwikiを作成している。 よく裏キャラで居る。 AKB48と深キョンがとても好きらしい。 【焼きクマ】 【髪】 髪の毛 【カム】 喧嘩師と名乗らない喧嘩師。らしい。 結構いい子である。 最近は結構喧嘩をしている。横槍が多々あり。 【遊稀】 うん。 【†令嬢†】 うん? 【美璃】 ツンツンデレツンな少女。 俺の嫁。 【木春】 変態な女の子。 「木」と「春」で合わせて「椿」らしい。 読み方は得にないから俺は「こはる」と呼んでいる。 しろくま達と仲が良い様だ。 【白銀】 よくメールを送ってくる。 最近じゃエロ動画やエロ画像が送られてくるが俺はそんなもの求めてないです。 リア充らしい。 【白銀】 【しょこ】 はな垂れん子★鼻詰まりん子★ 【げすの極みdd(´・ω・`*】 楓というHnも使っている。 結構ドSなのかもしれない。口調がキツイときもあるが、とてもいい子である。 顔を見せて欲しい。 【罵倒師】 最近現れた(?)喧嘩師。 「しろくま」「タイパー」「師匠」「罵倒師」のHNを使っている(「しろくま」は古いらしい) 可成りタイピングの速い喧嘩師だが、 自分では速くない。と謙遜している様子。謙虚な方なのだろうか。 「木春」や「狼」(?)と仲が良いようだ。 POSOの一員(?) 【ローズ】 最近見かけるようになった喧嘩師。 左京とは犬猿の仲の様だ。 最近、POSOという軍に入ったらしく、メンバーが欲しいらしい。 結構罵倒師と一緒にいるところを見かける。 何かさっぱりしたね(´゚д゚`) -- 巧海 (2010-11-25 03 04 03) めんどくさくなったんだもん( ´,_ゝ`) -- ニョロにょろ~ (2010-11-25 12 16 18) 楓うけるんだけどwwげすのリア友として言ってやろう、どこがいい子なのか。 -- まりこ (2010-11-25 18 09 48) リア友さんどうも。いい子ですよ、元気があって。 -- ニョロにょろ~ (2010-11-25 19 03 01) 若干1名SSぢゃない気が…まっ気のせいかな。 -- 巧海 (2010-11-26 03 41 22) 金魚が好きです。サンマは嫌い。 -- げすの極み (2010-11-26 22 17 14) チンコが好きです。デンマは嫌い。 -- ニョロにょろ~ (2010-11-26 23 00 26) なんか、ちびちゃと行く度に白トリプかわるんだけど;; -- げすの極み (2010-11-27 12 33 43) そういう人も居るよん -- にょろ (2010-11-27 14 29 35) 名前の漢字読めない人若干1名(´゚д゚`) -- 巧海 (2010-11-28 00 29 33) そろそろ覚えたれw -- ニョロにょろ~ (2010-11-28 00 36 46) コメント消したんやね> -- 少佐 (2010-11-28 09 42 44) > ←これなにw -- 少佐 (2010-11-28 09 43 48) せやね> -- ニョロにょろ~ (2010-11-28 12 50 04) どうも、常連です。 -- しろくま (2010-11-30 10 38 14) 載せていいなら載せるが……? -- にょろ (2010-11-30 18 23 22) わぁーい、俺がいるぜよ(*´ω`*) -- £ローズ£ (2010-12-06 21 23 34) ^-^ -- ニョロにょろ~ (2010-12-06 22 06 29) 師匠とローズがPOSOno -- 白銀☆ (2010-12-10 14 24 15) 師匠とローズがPOSOの宣伝してるっとw ミスったw -- 白銀☆ (2010-12-10 14 24 54) るんと&タイパーさんが載ってるーーーー! -- チェルシー (2010-12-11 11 10 55) ニョロ、タイパーって -- 左京 (2010-12-12 13 36 47) うん -- ニョロにょろ~ (2010-12-12 17 47 53) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。SSじゃねぇwww -- しげっつぁん (2010-12-22 16 04 31) SSじゃないなら顔しゃsry -- 少佐 (2010-12-29 08 37 34) タイパー -- 吹雪士郎 (2011-03-26 13 35 06) 髪の毛ってwwwwwwなんかおもしろいね(´・ω・`)ww -- りゅー (2011-06-17 18 22 03) のせて~~ -- 暇人 (2011-06-19 19 38 55) 白銀と紅月ならみたことあるなぁ・・・・。 -- 時鳥 (2012-06-02 11 44 03) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3618.html
『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!(続・中編)』 27KB 制裁 観察 考証 自業自得 育児 家出 飼いゆ 野良ゆ 子ゆ 愛護人間 うんしー 長い長い 過去作 anko1548(前)/1744-5(中)/2170-1(後) 『よわいものいじめはゆっくりできないよ!』 anko2263-4『ゆっくりいじめはゆっくりできるね!』 anko2424-5『かけがえのないいのちなんだよ!』 anko2889『いっしょにゆっくりしていってね!』 anko3521『ゆっくりつかいすてていってね!』 anko3542(前)/anko3549(中) 『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』 『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』(続・中編) 「おさぁ!ちょっときてほしいんだよー!!おさぁぁ!!」 「むきゅう……またあのおちびちゃん……?」 うんざりした表情でぱちゅりーは顔を上げる。傍らの串まりさがちっちっと串を鳴らした。 駆け込んできたちぇんはぜいぜい息をつきながらぱちゅりーに訴える。 「あのおちびちゃんたちが、にんげんさんにあまあまをおねだりしてるんだよー!!」 「むきゅうぅ!!れいむとありすはなにをやってるのっ!?」 「なにもしないでみてるよー!!」 「……っとにもうっ!いまいくわ。まりさ、おねがい!」 「やれやれなのぜ」 公園掃除のスケジュール調整の会合は中断され、長のぱちゅりーと副長格の串まりさは家を出た。 あの一家が公園に来てから三日になるが、彼らのためにぱちゅりーが駆り出される事態はすでに十回を超えていた。 しかもそのすべてがおちびちゃん絡みである。 見ると、確かに公園の中心にある噴水のそばにれいむ一家はいた。 ベンチに腰掛けているサラリーマン風の青年が頬張っている菓子パンを見て、二匹の子供がぴょんぴょん跳ねてわめいている。 「ちょうだいにぇ!!ちょうだいにぇ!!きゃわいいれいみゅにあみゃあみゃちょうだいにぇ!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!ほちい!!ほちい!!しょれほちいいぃ!!」 「ちょうだい!!ちょうだい!!ねぇ!!ねぇ!!ちょうだいちょうだいちょうだいちょうだい!!」 体中に涎と泥をこびりつかせた子ゆっくり二匹が、あとからあとから流れる涎にぬらぬらと光沢を帯びて蠢く姿に、 青年はあきらかに顔をしかめ、今にも立ち上がらんばかりである。 親のれいむとありすはといえば、にこにこ微笑を浮かべて子供たちの姿を見守っているだけだった。 「なにやってるんだぜぇぇ!!」 「ゆべえぇぇ!!?」 駆け寄りざま、串まりさがれいむとありすの横っ面に体当たりを喰わした。 悲鳴を漏らして転がる二匹を尻目に、串まりさは舌を子ゆっくり二匹に添えてから、 勢いよく振り抜いて親のほうに放ってよこした。 「ゆびぇっ!!ゆっびぇええええええん!!」 「ゆばあああぁぁぁあ!!いっぢぁああいよおおぉぉぉぉ!!」 「ゆゆっ!!おちびちゃん!!おちびちゃあああぁん!!」 自分の痛みを忘れて子供たちにぺーろぺーろするれいむとありす。串まりさが「ちっ」と串を鳴らす。 そこでぱちゅりーが青年の前に歩み出て、深々と頭を下げて詫びた。 「ほんとうにごめんなさい、おにいさん。あのこたちはまだむれにはいったばかりなんです。 にどとしないようにいいきかせますから……」 「あーいいよ、別に……」 すっかり興を殺がれた風で青年は立ち上がると、さっさと立ち去ってしまった。 「ゆふううううぅぅぅぅ~~~~~~…………」 ぶわっと顔に噴き出た汗をもみあげでぬぐい、ぱちゅりーは深い深い吐息をつく。 虐待趣味の人間でなくて本当によかった。 しかし、目の前の危機は脱したとはいえ、こういうことが積み重なれば「公園のゆっくりは害獣だ」との評判が立ち、 恐ろしい一斉駆除を呼び込むきっかけにもなりかねない。 ゆっくりという生き物はいくら駆除してもすぐにわいてくるためにきりがないが、 その代わり死亡率も高いため、、放っておいても不思議と頭打ちになり頭数がほどほどで安定する傾向にある。 そのため、コストと人員を割いて駆除に乗り出すよりも、目に余らないかぎりは野良は黙認するのが人間社会での一般的な風潮だ。 人に迷惑をかけないように息をひそめ、目立ちさえしなければ、この公園はそれなりのゆっくりプレイスなのである。 しかるに、あの一家であった。 「びゃああああああ!!ゆ゛びゃああああああぁぁ!!おじぢゃんがいじべちゃあああ!!」 「あびゃあびゃぁぁ!!ありじゅのあびゃあびゃあああぁぁぁ!!がえじぢぇよおおおぉぉ!!」 「なんでおちびちゃんをいじべるのおおぉぉぉ!!?ひどすぎるよおおおぉぉ!!」 「ちいさいおちびちゃんにてをだしてはずかしくないのっ!!?ゆっくりあやまりなさいっ!!このいなかものっ!!」 「ちっちっちっちっ」 抗議をしてくる家族に冷めた視線を向け、串まりさはせわしく串を鳴らす。 「こたえてねっ!!おちびちゃんがなにをしたっていうのおおぉぉ!!」 「おさ、せつめいおねがいなんだぜ」 「むきゅ。ひとつ、じぶんからにんげんさんにちかづかない。 ひとつ、にんげんさんのものをねだらない。 ひとつ、おちびちゃんをかってにこうどうさせない。 とりあえず、すくなくともみっつのおきてさんをあなたたちはやぶっているわ。 まりさはゆっくりできないゆっくりをとめただけよ」 「おちびちゃんのやることでしょおおぉぉ!!?おとなげなさすぎるでしょおおぉぉ!!」 「こどものめんどうをちゃんとみられないいじょうにおとなげないことってのはそうそうないわよ」 「じゃ、おさ、せいっさいっするのぜ?」 「むきゅ。そうしてちょうだい」 群れの掟を破ったゆっくりできない仲間に『せいっさいっ』を加えるのは串まりさの仕事である。 群れの警察役として、串まりさは腕っ節を生かして働き、仲間たちに恐れられていた。 帽子の中から太く長い木の枝を取り出し、まりさはれいむとありすの前に立つ。 すでに群れの大半が集まってきてれいむ一家を取り囲んでおり、逃げ場はなかった。 「ほんとはおちびをせいっさいっしてやりたいけど、こどものふしまつはおやがせきにんをとるのがおきてなのぜ」 「ゆゆぅぅ!?やめてね!!やめてね!!」 「ありすたちをいじめてなにがたのしいのよおぉ!!?なんていなかものなむれなのおぉ!!」 「もうなんかいもせいさいされてるのに、まだじぶんたちのやってることがわかってないのぜ?」 「いっつもおちびちゃんのすることにけちをつけてえぇ!! おちびちゃんがおぎょうぎわるいのはあたりまえでしょおおぉ!?」 「だからしつけるのがおやのつとめなのぜ。あたりまえのしつけをなんでやらないのぜ?」 「ちゃんとやってるよっ!!おちびちゃんはかしこいけど、ちょっとおぼえるのにじかんがかかるだけだよっ!! おちびちゃんのことをしらないくせにかってにきめつけないでねぇぇ!!」 「しったこっちゃないのぜ。こっちはけっかだけではんだんするのぜ」 そう言い、串まりさは顎をしゃくる。 串まりさの部下にあたるちぇんとみょんがれいむとありすの後頭部をそれぞれ押さえ、底部をさらす格好にした。 その底部に、串まりさはしたたかにもみあげに握った木の枝を振り下ろした。 「「ゆぎゃああああぁぁっ!!」」 「ゆ゛ぁあああああん!!ゆ゛ぁああああ゛あ゛ん!!ぺーろぺーろぢでよおおぉぉ!!」 「あびゃあびゃたべちゃいよおおぉぉ!!あびゃあびゃ!!あびゃあびゃーーーー!!」 底部を打擲されて叫ぶ親にすり寄って泣き叫んでいる子供たちを、群れ仲間たちはおぞましいものを見る目で見ていた。 破られた掟一つにつき三つ、合計九回ずつ打たれたれいむとありすは、 地面に伏してゆぐゆぐと泣きじゃくりながらなお抗議の声をあげた。 「だんでぇぇ……?だんでなのぉぉ………?」 「どがいばじゃないいいぃぃ…………」 「なんかいもいっているじゃない。あなたたちがむれのおきてをまもらないからよ、むきゅ」 「まもってるよ………!!おきてはちゃんと………!!」 「ええ、おちびちゃんのことさえのぞけば、あなたたちはりっぱにむれになじんでるわ。 それなのに、おちびちゃんのことになると、なんでそんなにゆっくりできないことをするの?」 「おちびちゃんはゆっくりするのがしごとなんだよおぉ………!! おちびちゃんがゆっくりしているから、みんなゆっくりできるんでしょおおぉ……!?」 「そんなくそきったないなまごみをみてゆっくりするやつは、このこうっえんにはひとりもいないんだぜ」 「ゆ゛ぎぃっ………!!!」 れいむとありすが歯噛みをする。 言下に切り捨てる串まりさの言葉はさすがにゆっくりできない言い様だったが、 あまりにも的確に群れ一同の心情を言い表しているために、串まりさをたしなめる者はいなかった。 「この、まりさぁっ……おとなのしっとはみっともないわよぉぉ……!! おちびちゃんはなまごみなんかじゃないっ………ていっせいしなさいぃ!!」 「なまごみがきにいらなきゃうんうんなのぜ」 「ゆがああぁ!!おちびちゃんがかわいいからってしっとしてえぇ!!」 「だれがそんなのにしっとするのぜ。あかちゃんことばもぬけてない、しーしーとうんうんたれながし。 よくまあそんなおちびにそだてられたのぜ、ぎゃくにかんしんするのぜ。 なまごみをかわいがるのはそっちのかってだけど、むれにめいっわくをかけるならいつでもつぶしてやるのぜ」 そう言い捨て、串まりさは背を向けて群れの本部となるダンボールハウスに戻っていった。 ぱちゅりーもその後につき、遠巻きに見守っていた群れ仲間たちも三々五々散らばってゆく。 ただ一匹、頭のリボンにブローチを留めたれいむだけが泣きじゃくるれいむ達に近づいていって声をかけた。 「ゆっ………れいむ、だいじょうぶ……?」 「ゆ゛ぁあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!でいぶ、でいぶううぅぅ!! びんながおぢびぢゃんをいじべるんだよおおぉぉ!!」 「ゆ、でも、それはおきてさんをやぶったからだよ……おきてさんがだいじなのはわかってるでしょ?」 「おぢびぢゃんにぞんなむずがじいごどわがるわげだいでじょおおぉぉ!?」 「だからおとながみてなくちゃいけないし、そもそもそれくらいのおちびちゃんならふつうはわかるよ……。 ね、れいむのおうちでやすまない?」 「あじがどおおおおお」 ブローチれいむがれいむ一家を自分の家に誘い、一家はずりずりとその後についていった。 それを遠巻きに眺めながら、ぱちゅりーはふう、とまた息をついた。 振り返ると、やはり見ていた串まりさがちっちっと串を鳴らしている。 「いつもありがとう、まりさ」 「ゆん、これがまりさのしごとなのぜ。すけじゅーるのそうっだんをつづけるのぜ」 「ええ……」 先に本部に潜り込んでゆく串まりさ。 口は悪すぎるが、実際、気性の穏やかなぱちゅりーではあの一家にそう強くは出られなかっただろう。 こういう時はつくづく串まりさの存在がありがたかった。 腕っ節が強いのが串まりさの持ち味だったが、その実、頭のほうもそうとう回る。 こうして群れの行政を相談していても、その気配りや先見の明において決してぱちゅりーに劣るものではない。 ぱちゅりーは自分よりもむしろ串まりさのほうが長の器にふさわしいのではないかと思い、 そう持ちかけてみたことがあったが、串まりさは首を振って断った。 「まりさのしごとは、みんなにこわがられることなのぜ。こわがられなきゃ、けいっさつはできないのぜ。 でも、おさがみんなにこわがられてたらむれがまとまらないし、みんなゆっくりできないのぜ。 からだはよわいけどやさしくてあたまのいい、ぱちゅりーみたいなゆっくりがおさをやるのがいちばんなのぜ。 まりさはきらわれやくがしょうにあってるし、ぱちゅりーがおさでまんぞくしてるのぜ」 そういう事で、串まりさには劣る器と自分で思いながらもぱちゅりーが長を務めているのだった。 ―――――――― 「ゆっ、ゆっくりどうぞ、おちびちゃんたち」 「「ゆっくりいただきます!!」」 ブローチれいむの家で、一家はおやつに招かれていた。 ブローチれいむが育てている二匹の子まりさが噛み砕かれたどんぐりに口をつける。 「さ、おちびちゃんたちも……ゆゆっ」 「「むーちゃむーちゃ!!むーちゃむーちゃ!!ぱにぇっ!!うみぇっ!!」」 客の子れいむと子まりさにブローチれいむが促そうとしたが、言われる前に二匹はどんぐりに口を突っ込んでいた。 子まりさ達を押しのけんばかりに顔を突っ込み、はぐはぐくちゃくちゃと食べカスを撒き散らす。 飼いゆっくりと違い、食べカスを気にしない食べ方をするのが野良では普通だが、 それにしても子れいむ達の汚さは際立っていた。 一か所に落ち着いて食事をする子まりさ達に対し、 必要以上に涎を撒き散らし、尻をぶりんぶりんと振りながら食べる子れいむと子ありすはいかにも汚い。 外見的にも、よその子ゆっくりと並ぶことでその汚れはますます際立った。 「ゆふふ、れいむのおちびちゃんとぉ~ってもゆっくりしてるよぉ……」 「そ、そうだね……」 「ゆっ、とかいはなてぃーたいむにごしょうたいかんしゃするわ、れいむ」 「ゆん、どういたしまして」 大人たちは一歩引いて、おやつを貪る子供たちを眺めていた。 ブローチれいむも、飼いゆっくりから野良になった、いわゆる『ぷれいすおち』組である。 奇遇なことに、野良になった理由はれいむ達と同じであった。 飼われている間、帰りの遅い飼い主を待ちながら一日中ぽつねんと過ごす寂しさに耐えきれず、 飼いゆっくりが欲しいと飼い主に強くねだったのだ。 ありふれたケースだった。 ゆっくりが最も嫌うのは孤独である。 甘いお菓子も、ふかふかした寝床も、愉快なテレビも、 「しあわせー!」と楽しさを共有する仲間がいなければ、その喜びは半減以下なのだ。 これから死ぬまで一生一人ぼっちなのか、とある日想像したゆっくりが恐慌をきたし、番をねだるケースは多い。 最初に去勢を施しておかないかぎり、六割以上の確率でぶち当たる問題だと言っていい。 ブローチれいむの場合、ゆっくりの側も飼い主の側も頑として譲らなかった。 駄々をこね続けた結果、ブローチれいむはラムネで眠らされ、去勢された。 一生子供を作れない身体になったと知ったブローチれいむは深く絶望し、ほとんど廃ゆっくりになった。 不貞腐れているというレベルをはるかに越え、飼い主が話しかけてもほとんど反応せず、食事もほとんど摂らず、 いもしないおちびちゃんの幻影にぶつぶつと話しかけるだけの置物になり果てた。 「飼い主をゆっくりさせる」という行為は、通常のゆっくりにとっては見返りを期待しての仕事であり、 決してそれ自体が目的になるようなものではないのである。 母性が強く寂しがり屋だったブローチれいむにとって、子供を作り家族とゆっくりするという夢、生き甲斐が奪われた時点で、 飼い主に奉仕する動機は完全に失われたのだ。 死ぬまで永遠に人間に奉仕し続けるだけというゆん生は、彼女のゆん格を崩壊させるに充分な展望だった。 飼い主に媚びることをしなくなり、ただうんうんを垂れ流すだけのポンコツになったブローチれいむを飼い主は持て余し、 ほどなくバッジをむしり取られて道端に捨てられることになった。 殺すに忍びなかったのか、後始末を面倒くさがったのか、潰されなかったのは不幸中の幸いと言えた。 その後、野良生活の中で公園の群れに迎え入れられることで友達ができ、 子供を作れないブローチれいむと番になろうとする者こそいなかったが、 親が死んで孤児になった子ゆっくりの育て親を申し出ることで、念願の家族を手に入れることができたのだから。 おちびちゃん達と一緒に「しあわせー」と叫びながら食べる木の実は、飼い主の監視下で黙々とつつくケーキにはるかに勝った。 今になってみれば、なんで飼いゆっくりなんかやっていたんだろうと思うぐらいのものだった。 そんな彼女にとって、れいむとありすの番はとても他人事とは思えず、 群れでは疎んじられるこの一家と唯一積極的に接触していた。 「ゆーん、ねえ、れいむ、ありす……」 「なあに、れいむ?」 「そろそろ、おちびちゃんにおといれをおぼえさせたらどうかしら……?」 途端に番の表情が険しくなり、ブローチれいむはしまったと思った。 毎日群れの仲間に、おちびちゃんをなんとかしろ躾をちゃんとしろと責められている番は神経質になっていた。 「なにっ!?れいむまでおちびちゃんをいじめるのっ!?」 「とかいはじゃないわ!!れいむだけはおちびちゃんのみかただとおもっていたのに!!」 「ゆ……お、おちびちゃんのみかただからいうんだよっ!!」 しかし子供たちのことを思うと引き下がるわけにはいかなかった。 「おといれをおぼえさせるのが、なんでいじめなの? このままじゃ、いっしょうおといれのできないうんうんゆっくりになっちゃうよ」 「ゆっ!!れいむはしんぱいしょうだね!!いくらなんでも、いっしょうこのままなわけないでしょ?」 「おちびちゃんたちはたいきばんせいがたなのよ。 ありすたちおとながあせってせかしてもぎゃくこうかなの。ながいめでみてあげなきゃね」 「ながいめって……いくらなんでも、こんなにおおきくなっておといれできないのはへんでしょ?」 「れいむのおぢびぢゃんはべんなんがじゃだいいいいい!!!」 怒鳴るれいむに、ブローチれいむはたじろいでしまう。 おちびちゃんの話さえしなければ、本当に素直で話のできるゆっくりなのに。 「なんでっ!?なんでみんなみんな、おちびちゃんをいじめるのおおぉ!? おちびちゃんがいちばんゆっくりしてるのにっ!!みんなのほうがゆっくりしてないのにっ!!」 「しんじつのゆっくりをりかいするのはのらにはむずかしいのかしら……」 「「ゆっゆっちゅっきりーっ!!」」 「「ゆげぇっ!?」」 子れいむ達がさっさと食べ尽くし、まだ子まりさ達が食卓から離れないうちからうんうんをひり出した。 鼻先にうんうんを盛られた子まりさ達がぎょっとして飛びのく。 「「ゆふふ、ごめんね、まりさのおちびちゃんたち!!」」 「「おかーさん、れいむたち、きたないのぜー!!」」 「ゆ、おちびちゃんたち……ゆっくりゆるしてあげてね」 「「ゆうー……」」 (なんでこれがしんじつのゆっくりなんだろうね……) ブローチれいむは疑問である。 群れのおちびちゃんを見ても、れいむ達は全く焦る様子がない。 むしろ、自分のおちびちゃんは特別ゆっくりしているといよいよ自信を深めている節すらあった。 一体どうしたものか、ブローチれいむには見当がつかない。 ―――――――― 「で、どうするのぜ?」 「むきゅ?」 「あのいっかのことなのぜ」 群れの中での公園掃除の分担を決め終えたところで、串まりさは目下の大問題を持ち出した。 「むきゅう……」 「わかってるはずなのぜ。あのつがい、なんかいいってもおちびをしつけようとしないのぜ。 きょうみたいなことがこれからもつづくなら、むれがくじょされないともかぎらないのぜ」 「むきゅ、わかってるわ……」 「まったく、かいゆっくりのときはすなおなれいむかとおもってたけど、とんだやっかいものだったのぜ。 あのつがいはげすじゃないから、おさもなかなかふんぎりがつかないのはわかるのぜ。 そういうときはむれのみんなのかおをおもいうかべるのぜ」 「わかってるってばっ、むきゅっ」 串まりさを遮り、ぱちゅりーはもみあげを振る。 ゆっくりというものは、ほぼ例外なく親バカである。 自分のおちびちゃんが世界一かわいいと信じて疑わない。 しかしそれにしても、あの番は異常だった。 「べつにあたまのわるいふうふにはみえないけど……あのおちびちゃんをみてて、ふあんにならないのかしら? あれじゃ、ぜったいにじりつできないわ。いっしょうめんどうをみるきなのかしら」 「ちっちっ。はんっどうじゃないのかぜ?」 「はんっどう?」 「ことわっておくけど、まりさがかってにかんがえたことなんだぜ。 たぶん、あのつがいはもともとかいゆっくりにはむいてなかったのぜ。 かいゆっくりはたいへんなのぜ、むーしゃむーしゃしあわせーもできないし、ともだちもじゆうにつくれないし、 おちびもじゆうにつくらせてもらえないのぜ。 かいゆっくりにあこがれるのは、かりがへたでおなかをすかせてる、よゆうのないやつだけなんだぜ。 そりゃあのらもゆっくりできないけど、しあわせーきんし、ともだちきんし、おちびきんしのかいゆっくりなんて、 たべものさえとれていれば、うらやましがるゆっくりはいないのぜ。 にんげんなんかのごきげんをうかがいながら、あまあまだけでまんぞくしなきゃいけないゆんせいじゃ、わりにあわないのぜ」 「ええ……」 人間の目に映る野良ゆっくりとは、あまあまを求めて物乞いや恫喝をしてくる手合いばかりである。 そのために人間は、ゆっくりにはあまあまさえ与えていれば満足するという偏見を持っているが、 その実、ゆっくりにとっては、おちびちゃんや家族が作れず友達もいない人生(ゆん生)というものは、 想像しただけでぞっとする、死んだほうがましだ、と思えるようなものなのだ。 別に家族や友達などいらない、あまあまさえあればいい、という嗜好の個体や、 共同体からはじかれた厄介者で狩りをする能力もなく明日にも死にそうなほど逼迫した個体、 あとは人間を奴隷にしてあまあまを献上させようとする極端なゲスばかりが人間の目につくが、 飼いゆっくりの実情が知られた都会では、そうではないゆっくりが大部分なのである。 「そんなかいゆっくりせいかつをつづけてきたけど、あのとおり、ぼせいのつよすぎるれいむたちなのぜ。 〝おちびをつくるな〟とずっとかいぬしにいわれていたのを、かってにつくったのぜ」 「むきゅ、そういっていたわね」 「はんっどうなのぜ。 あれもするなこれもするな、ともだちをつくるなおちびをつくるな。 きゅうっくつでさびしいかいゆっくりのしめつけにずっとはんかんをかんじていたのぜ。 そのはんっどうで、おちびはしつけなんかしないでじゆうにふるまわせてる。 きゅうっくつなしつけなんかいらない、そんなものなくてもゆっくりできる、いや、むしろないほうがゆっくりできる。 じぶんでそうおもいこんでるから、あんなおちびでもゆっくりしてるようにみえるんじゃないのかぜ?」 「………なるほどねぇ、むきゅう……」 「いや、まりさがかってにかんがえたおくそくなんだぜ。 とにかく、あのつがいはきけんなのぜ。じきをみて、おいだしたほうがむれのためなのぜ」 「むきゅ、そう、そうだけど………」 ぱちゅりーの脳裏に、純真な瞳であまあまを持ってきてくれた飼いゆっくり時代のれいむの姿がちらつく。 「もうすこしじかんさんをちょうだい。なんとか、ぱちゅりーからもはなしてみるし……」 「ちっちっ、おさはぱちゅりーなのぜ。まりさは、おさのけっていにしたがうだけだぜ。 じゃ、みまわりにでもいってくるのぜ」 「いってらっしゃい」 串を鳴らしながら、串まりさは本部を出ていった。 ぱちゅりーはまた吐息をついた。 ―――――――― 「ゆっくち!!ゆっくち!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!」 「ゆゆっ、うんうんれいむがきたよ!!」 「ゆげーっ、みんなあっちでゆっくりするのぜ!!」 公園の砂場近く、ゆっくりの子供たちが遊んでいるところに、新入りの子れいむと子ありすが寄ってくる。 それまでどんぐりを転がして遊んでいた群れの子ゆっくりたちが露骨に不快感を現して離れていこうとした。 その前に子れいむ達の両親が立ちはだかる。 「ゆゆっ、おちびちゃんたち、れいむのおちびちゃんとあそんであげてねっ!!」 「ゆふふ、なかまはずれはとかいはじゃないわよ?」 「「「ゆええええぇぇ………」」」 子れいむと子ありすは、群れの子供達から全力で嫌われていた。 まず、まるで赤ゆっくりのように涎と糞便を撒き散らして汚い。 それでも最初は、大人たちの「なかはまずれはゆっくりできない」との苦言に従い、 素直な子ゆっくりがなんとか仲間に入れて遊ぼうと試みた。 しかし二人の子ゆっくりには周囲への気配りというものがまったくなく、 みんなで遊んでいたオモチャを独占してゆきゃゆきゃはしゃぎ、 他の子ゆっくりがそれに触ろうとしたらゆぎゃあゆぎゃあと泣き喚く。 子ゆっくり達がうんざりして遊ぼうとしなくなるのも当然だった。 そしてもう一つ、子れいむと子ありすが嫌われる大きな要因として、 この二人には常に両親がぴったりと寄り添っている事実があった。 この大きさの子ゆっくりなら、ひとまず遠目でも大人の目につく範囲であれば好きに動いていいのが群れの慣例だが、 この二人はいつも背後に両親がくっついている。 両親は子供たちの遊ぶ姿を微笑ましく見守っているつもりでゆふふと微笑を浮かべているが、 子供たちにしてみれば常に監視されているようでゆっくりできない。 実際に、自分たちの子供が少しでも爪弾きにされているとみれば、 「なかまはずれはゆっくりできないよ」という良識ただひとつを楯にして子供たちに説教をたれ、 自分の子供と遊ばせようとするのだ。 子供にも増して、この夫婦はもはや蛇蝎のごとく忌み嫌われていた。 「さ、みんなでなかよくあそぼうね!!」 「ゆううぅ………いやだよおぉ……」 「あのれいむとありすはゆっくりできないよおぉぉ……」 大人ゆっくりの言うことをよく聞く素直な子ゆっくりのグループではあったが、 そんな彼らでさえ、子れいむ達と遊ぶことに難色を示した。 「もうっ!!おとなのいうことをきいてねっ!!」 「ききわけがないのはとかいはじゃないわよ?すなおになってあそべば、とってもゆっくりできるこたちなのよ」 子供たちの冷めきってうんざりした視線にこたえる様子もなく、ぷりぷりと諭す夫婦。 「ゆ、れいむ、ありす……むりじいはゆっくりできないよ」 「「「ゆえええぇぇん!!おばちゃああぁん!!!」」」 その時、ブローチれいむがやってきて夫婦に苦言を呈した。 助けがきたことに安堵し、子供たちがブローチれいむの足元に駆け寄ってその背後に隠れる。 「ゆゆっ!!れいむ、おちびちゃんたちのおゆうぎをじゃましないでねっ!!」 「おゆうぎになってないよ。ねえ、おちびちゃんたちだって、せいっかくがあわないこともあるよ。 いやがるのをむりにあそばせるのはゆっくりできないよ」 「そーだ、そーだ!!」 「れいむおばちゃんにさんせいー!!」 ブローチれいむの尻馬に乗って声を上げる子ゆっくり達に「ゆぐぐぐぐ……」と歯軋りをするれいむ達。 「おとなにむかって、そんなはなしかたをするのはゆっくりできないよ!!おちびちゃん!!」 「まったく、おやはどんなそだてかたをしてるのかしら……」 お前たちだけには言われたくない、とれいむ一家以外の全員が思う。 子供たちが去っていってしまったあとで、ブローチれいむの養子の子まりさ二匹がおずおずと前に出てきた。 「ゆー、れいむ、ありす、いっしょにあそぶのぜ?」 「「ゆゆーっ!!」」 殊勝な子達なのであった。 育ての親のブローチれいむを深く慕う二匹は、普段から「あのこたちとできるだけあそんであげてね」と言われており、 大変とは思いつつも母親を喜ばせるために子れいむ達と遊ぶよう努力していた。 子供ながらにボランティア感覚である。 「ゆゆーっ、おちびちゃんたちはゆっくりしてるねっ!!」 「みんなでなかよくあそんでね!!とかいはよっ!!」 呑気に喜んでいる両親。 ブローチれいむは、他人の子供に無理強いしてはいけないと言った矢先に、 我慢しながら遊び相手を申し出る我が子たちに申し訳なく思いつつも感謝していた。 この両親のもとでは、この子たちはまともに育たない。 なんとか両親以外のゆっくりと接触させ、社会性を育む助けになればとブローチれいむは思っていた。 ブローチれいむが焦るのは、この両親に自分の姿を重ね合わせていたからである。 彼女から見てもれいむ達の育て方はひどすぎた、いや、育てているとさえ言えなかった。 しかし、飼いゆっくり時代に自分が子供を作れていたらどうなっていたのか、彼女にはわからなかった。 今なら、群れの別の子ゆっくりと比較して、あの子たちはひどいと思える。 だが他に比べる相手がいない状況下で子供を産んだらどうなっていただろう? 狩りを教える必要もない環境下で、子供可愛さにただむやみに甘やかしていたのだろうか? 自分がいま育てている子まりさ達を引き取ったのも、赤ゆっくりをとっくに脱したあとだった。 同じ元飼いとして、どうしてもこの両親を責める気にはなれなかった。他のことではまともなだけに。 「ゆっ、それじゃ、かけっこしてあそぶのぜ!!」 「まりさたちはしゅんっそくなんだぜ!!」 「ゆーっ!!ゆっくりおいかけっこ!!」 「ときゃいは!!ゆっくちー!!」 子供達は競争をして遊ぶことにしたようだ。 50センチほど離れた石を目印にして、誰が一番速く着けるかの競争である。 「おかーさん、あいずをおねがいなのぜ!!」 「ゆっ、わかったよ!!ゆーい……ゆゆっ?」 「ゆっくち!!ゆっくち!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!」 合図を待つことなく、子れいむと子ありすは先に駆け出していた。 「ゆゆ……ゆーい、どん!!」 戸惑い気味のブローチれいむの合図に合わせ、苦笑しながら子まりさたちが駆け出す。 れいむとありすはといえば、無邪気に「おちびちゃん、がんばってね!!」ともみあげをふりふり声援を送っている。 おなじ「駆け出す」とは言っても、子まりさ達はぴょんぴょん跳ねているのに対し、 子れいむと子ありすはずーりずーりと地面を這っている。人間でいえば、四つん這いで這っているのと同じだ。 フライングしたとはいえ当然速度の違いは歴然たるもので、半分もいかないうちに子まりさ達が追い抜いてしまった。 「ゆゆっ、おいぬいたのぜー」「まりさたちのかちなのぜー」 「ゆびいぃぃいっ!!」「ときゃいは!!ときゃいはぁぁ!!」 少し挑発すると、すぐに子れいむ達が半泣きでわめき始めた。 やれやれといった調子で子まりさ達がスピードを落とす。 一足ごとに1センチも進まないようなゆっくりした速度で跳ねる子まりさ達の横を、やがて子れいむ達が追い抜く。 その時にはもうゴール直前になっており、子れいむが一等でゴールした。 ちなみに子ありすは道半ばでしーしーをしていた。 「ゆーっ!!ゆゆーっ!!れいみゅがいちびゃん!!いちびゃーん!!」 「ゆゆー、まけちゃったのぜ~」 「れいむははやいのぜ~」 当然、負けたとたんに癇癪を起して泣き喚く子れいむのために、わざと負けてやったのだ。 しかし、れいむは石の上によじ登り、勝ち誇って叫び続けた。 「のりょまのまりちゃなんかよりれいみゅのほうがはやいんだよっ!!」 「「……!!」」 「れいみゅしゅんっそくっでごめんにぇ~♪きゃわいくってごめんにぇ~~♪さいっきょうっでごめんにぇ~~♪」 「………さ、さいっきょうっかはわからないのぜ……?」 「ゆ、まりさはけんかがつよいんだぜ!!」 劣ってもいない足を馬鹿にされた上に、まりさ種が敏感に反応する『さいっきょう』の単語を持ちだされ、 プライドを逆撫でされた子まりさ達はムキになって反撥した。しかし子れいむの態度は増長するばかり。 「ゆきゃきゃきゃきゃっ!!まけいにゅまりちゃ~~♪くやちいまりちゃ~~♪ゆんゆんゆ~~ん♪」 「「ゆぎぎぎぎぎぃ………!!」」 子供じみているように見えるが、この時点で跳びかからないだけ立派なものである。子まりさ達は耐えていた。 親れいむ達は「ゆーん、おちびちゃんったら!!ゆふふっ」などと呑気に微笑んでいる。 おろおろと見ていたブローチれいむがなんとか空気を変えようと口を挟もうとした矢先、信じられないことが起こった。 「れいみゅのさいっきょうっあたっくだよっ!!」 「ゆべえっ!!?」 「お、おにぇーしゃんっ!!?」 増長しきった子れいむが、最強を証明しようとしてか、石の上から子まりさの頭上に飛び降りたのである。 通常、子ゆっくり同士の喧嘩はぽふぽふと横から体当たりする程度で大怪我には至りにくい。 しかし、自重と同じ程度の(実際には子れいむの方が少し大きかった)相手が頭上から全体重を落としてきたら大怪我は必至だ。 普通に育った子ゆっくりの神経ならやらないような危険な行為であった。 「ゆっぶぶぶぶげげげげ………!!!」 「おにぇーしゃん!!おにぇーしゃあああん!!!」 子まりさはひしゃげ、口から餡子を漏らし、舌を半分近く噛み切り、右の目玉は飛び出して転がっていた。 「「「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おぢびぢゃあああああん!!!」」」 親たちが我が子の元へ駆け寄った。 そう、親れいむ達が駆け寄ったのは自分の子供、子れいむの元であった。 子れいむは子まりさの頭上でバランスを崩して落ち、後頭部をしたたかに地面に打って泣き喚いていたのだった。 「ゆびぇえええーーん!!いぢゃいよおおおおぉぉ!!」 「おぢびぢゃんっ!!おぢびぢゃん!!ゆっぐりじでねっ!!ぺーろぺーろぉぉ!!」 「ゆっくりしてちょうだいっ!!とかいは!!どがいばあああ!!」 「……………!!!!」 目玉を飛び出させ、泣き叫ぶことすらできない子まりさを介抱しながら、ブローチれいむは涙を讃えた目で、 初めて憎しみをこめた視線をれいむ達に向けた。 〔続〕
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3092.html
『れいむとおちびちゃんとミステリー』 7KB 愛で 小ネタ 誤解 飼いゆ 現代 愛で?飼いゆ・虐待無し・小ネタ SS初投稿です。 *注意 初投稿です。 文才ゼロのすさまじく駄文の妄想です。 題名についてますミステリーはほとんどありません。 独自設定もあります。 虐待成分は皆無です。 愛でです。 それでもいいという方のみお願いします。 「れいむとおちびちゃんとミステリー」 「ゆっくちしちぇいってにぇ!!」 あるところで1匹の赤れいむが茎から産まれおちた。 が、 「ゆっくりしてないこだね!!」 「ゆ?!」 ****************************************************************************************************************************************************************** 我が家では胴なし・銀バッチ・去勢済み5000円のゆっくりれいむを飼っている。 まあ、それなりに幸せに暮らしていたのだが…事件が起こったのだ。 「みゃみゃー、みゃみゃー」 「うふふ、おちびちゃんはゆっくりしてるよう」 お兄さんが家に帰ってくるとれいむが1匹の赤ゆっくりと遊んでいる光景が目に飛び込んできた。 「れいむ・・・そのおちびちゃんは一体どこから出てきたんだ?」 「ゆ!れいむがいいこにしてたからうーぱっくがはこんできてくれたんだよ!」 この野郎(怒) 「嘘つけ!んなわけあるか!勝手に野良とすっきりしちゃだめだってあれほど言っただろうが!」 「・・・へ、れいむそんなことしてないよ。」 「じゃあ、このガキはいったいどこから出てきたんだ?」 「・・・だから、うーぱっくが・・・」 「しらじらしい嘘をつくな!」 「うーぱっくがおちびちゃんを運んでくるなんて今どき小学生でも信じないぞ!野良とすっきりしたんだろうが!」 「そんなことできるわけないでしょうがああああ!どうやってこのいえのなかでのらゆっくりとすっきりできるのおおおおおおお!」 言われてみれば確かにそうだ。 この家はマンションの5階で野良ゆっくりが侵入できる余地はない・・・ それに最近の雨続きで、前にれいむを公園に連れて行ったのはもう1カ月も前のことだ・・・ 胎生型妊娠でも2週間前後で産まれてくる・・・ 3日前に大掃除もしたから隠していたということも考えにくい・・・ だが・・・ 「ね、おにいさんれいむにあやまってね!」 「・・・確かに普通に考えたら無理だな・・・」 「・・・だからってうーぱっくが運んできたなんて信じられるわけないだろうが!お前が言ってることが本当だったらその赤ゆも一緒に飼ってやるよ!」 「え?、いや・・・だから・・・」 「この謎は俺が解く!」 「あの~」 可能性① この家にはベランダはあるがれいむが落ちてはいけないので俺がいない間は鍵を閉めていてゆっくりにあけることは不可能だ・・・ しかし、ゆっくりがジャンプしても届かない位置にある小窓が1つある。 ゆっくりが1匹通れるくらいの大きさは十分ある。 しかし、ここは5階だ。 通常種のゆっくりがここから侵入してくるとは不可能だ。 つまり必然的に飛ぶことができる種類ということになる。 このあたりにいる飛行できる種は1種・・・ 捕食種のれみりゃだ。 つまりれいむは仇敵であるれみりゃとすっきりしてまで赤ゆを作ったのだ。 可能性② この家に過去、侵入してきたゆっくりもいる。 そう、ゴキまんじゅうのりぐるだ。 ソフトボール程度の大きさで柔らかい体を利用して家屋に侵入してくる。 母性の強いゆっくりれいむは過去に飼いゆっくりで子供を作れなくてりぐるの子供を育ててたなんていう報告例もある。 つまりこいつはゴキもどきとすっきりして子供を作ったのだ。 可能性③ 見たことはないがこの家に侵入できるゆっくりはりぐる以外にも存在する。 希少種のゆかりという種類だ。 異様に柔らかい体でどんな隙間にも入ることができ、またスキマという特殊能力でワープもできる。 つまりゆかり種がこの家に侵入してきてれいむとすっきりしたのだ。 これらの推理を得意げにれいむに話して見せるお兄さん。 半分あきれ顔になってるれいむ。 「えっと・・・れみりゃがはいってきたられいむたべられちゃうとおもうんだけど・・・」 「それにりぐるとすっきりなんてきもちわるいことなんかできないし・・・滅多にいないゆかりんがおうちにくるわけないでしょう?」 「それにそのすいりのこんぽんてきなもんだいなんだけど・・・れいむきょせいされておちびちゃんできないんだけど?」 「・・・」 「ね、れいむ、うそいってないってわかったでしょ?おちびちゃんもいっしょにかってね!」 「あのゆっくりショップの野郎!去勢してないのにしたって嘘書きやがったな!」 「へ?」 「文句言いにいってやる!」 そういうとれいむと赤ゆをゆっくりキャリーにいれてれいむを購入したゆっくりショップに突撃しに行ってしまった。 ゆっくりショップ 「おいこら!」 勢いよくゆっくりショップに入ってきたお兄さんが入るなりいきなり大声で叫んでいた。 「ひ、なんでございましょうかお客様」 ビビる店長・・・ 「お前、去勢したって言って、去勢してないゆっくり売りつけやがったな!」 「いえいえ、きちんと去勢したものをお売りしましたよ!」 「じゃあ、なんでれいむが赤ゆ作ってるんだよ!」 「そのれいむはこちらにお持ちで?」 おにいさんはキャリーを店長の前の机にドンと置いた。 「確認させていただきますね~」 「・・・ああ」 店長はキャリーから眼を回しているれいむを取り出すとまんべんなく観察する。 「う~ん。特に、問題無いようですが?どのような状況でできたんで?」 お兄さんは部屋に帰ったられいむが赤ゆと遊んでいたこと野良ゆっくりが侵入不可の部屋のこと、そして得意げに先ほどの推理を披露した。 「・・・それはうーぱっくですよ」 「お前・・・喧嘩売ってんのか?小学生でもそんなこと信じないぞ?」 「いや、そういうことではないんですよ。うーぱっくは時々、親が死んだり、親に捨てられている赤ゆを見つけると育ててくれそうなゆっくりの所、まで運ぶ習性があるんですよ」 「え、そういうことなの?」 「まあ、それだけあなたのゆっくりが優しそうに見えたんでしょうね。」 「すいません、怒鳴ってしまって・・・(恥)」 「ゆ!ね、れいむうそいってなかったでしょ!おちびちゃんもいっしょにかってね!」 「しゃーないな~。はあ・・・」 約束は約束なので1匹増えることになることになっってしまった。 これから出費が増えることに思わずため息が漏れる。 「まあ、良かったじゃないですか。」 「何が?(怒)」 ぎろりと店長をにらむお兄さん。 「いやだって、ただで旧作種が手に入ったんですよ?」 「旧作種?」 「この赤れいむ、髪が紫色でしょう。これは旧作種っていう変異型なんですよ。」 言われてみれば確かに紫色をしている。 「確かに見たことない髪の色ですね。珍しいんですか?」 店長は黙って一つのショウケースを指さす。 そこには同じ髪の色をした銅バッチの子れいむが入っていた。 そして価格の欄には20万円と書いてあった。 今はれいむと赤れいむと一緒に暮らしている。 正直、その場で赤ゆを売ろうかとも思ったが約束を破るわけにはいかない。 「おちびちゃ~ん!」 「みゃみゃ~!」 今日も2人は幸せそうだった。 ****************************************************************************************************************************************************************** 「あ!こんなとこにもいたぞ!」 「ゆああああああああああああああ!れいむまだ死にたくない~~!!!」 そのころ実の親は一斉駆除で加工所の職員の手で駆除されていた。 おまけ 登場ゆっくり紹介(自分の中のゆっくりの設定の垂れ流し) れいむ ゆっくりの代名詞的な通常種のゆっくり。 運動能力・知能どちらも平均的で悪く言えば特徴のないゆっくりで母性がつよい・お歌を歌う以外特徴がない。 しかし、そのベーシックな能力からゆっくり飼育の初心者にまず最初に勧められるゆっくりとなっている。 れいむをきちんと飼育できないようでは癖のある他種の飼育はまず不可能であるからだ。 また、飼育方法により良くも悪くも大きく変わるのでゆっくりブリーダーの間には「ゆっくりブリーダーはれいむに始まりれいむに終わる」という格言がある。 旧作れいむ 基本はれいむ種と変わらないが髪が紫色なのと若干れいむ種よりも知能が高く穏やかな性格のものが多いのが特徴。 突然変異のように極々少数しか産まれてこない上、子供を作っても通常のれいむしか産まれてこないため人気はあるが手に入りくい種類となっている。 うーぱっく れみりゃ種の近縁種 体が段ボール箱でできており中に物を入れて運ぶことができる。 また羽が生えているため飛行することもできる。 とても優しい性格で他のゆっくりの移動、運搬手段になっていることが多い。 この性質を利用して運送会社の一部で利用されている。 ~完~ このような駄文を最後まで読んでいただきありがとうございました。
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1428.html
飼われいむはおちびちゃんが欲しい 27KB 虐待-普通 同族殺し 飼いゆ ぺにまむ 餡子ンペ09出展 ・餡子ンペ出展『改造/失敗作の末路』 ・ゴミ処理場ネタでテーマ『改造』やろうと思ったけど、間に合わないので別ネタ。 「飼われいむはおちびちゃんが欲しい」 D.O ぺにぺに(まむまむ)と言えば、それはゆっくりにとっての生殖器を意味する。 器官としては単純な構造をしていて、外観はただの穴、 ただしゆっくり自身の意思で、体外に男性器のように飛び出させることもできる構造となっている。 体外に飛び出した状態をぺにぺに、体内に収納して穴のままの状態ならまむまむ、と呼ぶ。 ゆっくりの生殖行為は、一方のぺにぺにをもう一方のまむまむに挿入することで成立する。 ぺにぺにを挿入した側が精子餡、と呼ばれる特殊な餡子をまむまむ側に注入し、 精子餡を受け取った側が胎生型、あるいは植物型にんっしんをするのだ。 というわけで、ゆっくりにとって『ぺにぺに』は、子供を作るのに必要不可欠な器官なのである。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ゆっくちちちぇっちぇにぇ。」 「ああ、これからは俺が飼い主だ。ゆっくりしていけ。」 れいむは今日、ゆっくりショップから買われた飼いゆっくり。 まだまだ生まれて一週間足らずの赤ゆっくりだ。 その表情は純粋で希望に満ち、おリボンにつけられた飼いゆっくり証明の銀バッジも、キラキラと輝いている。 「ゆっくちー。」 れいむは、生まれて翌日には親離れを済ませられ、涙を流す姉妹たちとともに飼いゆっくりとしての教育を受けた。 人間に迷惑をかけないための最低常識、『飼い主さん』と仲良くするとゆっくりできるということ、などなどである。 商品価値の問題もあるので、教育は生後3日程の間にみっちり行われた。 無論ゆっくり的道徳から見れば理不尽な内容も多く、しかも無条件に愛を与えてくれるはずの両親から引き離され、 それが終われば狭く透明なケースの中で、人間さんの品定めする視線にさらされ続けるのである。 ゆっくりショップでの生活は、まったくゆっくりできない日々であった。 「(ゆっくちできにゃいよ・・・。でみょ、れーみゅはかいぬししゃんと、ゆっくちくらしゅよ。)」 その中で支えとなったのは、『飼い主さんと仲良くすると、ゆっくりできる』という教えであった。 愛を与えられない悲しみ、過酷な教育を受ける苦痛。 だが、飼いゆっくりになれば、飼い主さんに迷惑さえかけなければしあわせーな生活が待っているのだ。 れいむはショーケースの中で、ゆっくりした未来を思い描いていた。 温かく安全なおうち、ゆっくりしたじゅうたんやベッドさん、柔らかく甘いゆっくりしたごはん、 恵まれた環境の中でゆっくりと育ったれいむの前に、ある日、とてもゆっくりしたまりさがやってくる。 まりさと瞬く間に恋に落ちたれいむは、情熱的なすっきりーを存分に行うのだ。 れいむの頭上には6匹のゆっくりしたおちびちゃん、れいむとまりさが3匹ずつ。 その後も何不自由ない生活の中で、おちびちゃん達はすくすくと育ち、やがておとなになる。 かつてのおちびちゃん達は、それぞれがとてもゆっくりしたつがいを見つけ、おちびちゃん達を産むだろう。 れいむが生涯を終えるとき、その周囲を飼い主さんと、何千匹もの自分の餡子を継いだ子たちが囲むのだ。 なんてゆっくりしたゆん生だろう。 これでこそ、れいむがゆっくりとして生まれた意味があるというものだ・・・・・・ 「じゃあ、ぺにぺに切ろうか。」 「・・・・・・ゆっ?・・・どうしちぇしょんなこちょいうにょ?」 「どうしてって。子供が出来たら俺がゆっくりできないだろ。俺がゆっくりできないと、お前もゆっくりできなくなる。」 「ゆ・・・おちびちゃん?ゆぴぅ?」 れいむはまだ赤ゆっくり。 人間で言えば2次性徴よりだいぶ前である。 将来おちびちゃんが欲しいとは思っているが、子作りの方法はよくわかっていない。 「ああ、お前子供だからよくわかんねえか。ぺにぺにってのは、無くなると子供が出来なくなるんだ。 お前に子供は必要ないからな。今のうちにぺにぺにを切っとくんだよ。」 なんとなくだが、れいむもぺにぺにの持つ意味を理解できた。 だが、もうひとつ疑問が湧いてくる。 「ゆぅう・・・?おちびちゃんはゆっくちできりゅよ?おにーしゃんもゆっくちできりゅでしょ?」 「俺はできん。勝手に増やされると迷惑なんだよ。じゃあ切るぞ。」 「ゆぁーん!やめちぇぇぇええ!!」 お兄さんは、れいむを左手でつまみあげると、ぷるぷると30秒程度小刻みに揺らしてやる。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ、ゆふぅぅぅうううう?」 れいむの顔はすぐに紅潮し、あごの下辺りからつまようじの先程の小さなぺにぺにが飛び出してきた。 そこに爪切りがそっとあてがわれる。 「ゆっくちやめちぇぇぇ!きょわい『ぷちんっ』・・・・・・ゆぴぃぃぃぃぃい!いぢゃいぃぃぃいい!!ぴぅ、ぅ・・」 「あとはこうして生地で傷埋めて・・・と。終わりだ。じゃあ今後もゆっくりしていってくれ。」 「ゆびゅ・・・ぴぅ。れいみゅ・・・・おちびちゃ・・。」 れいむの夢見た未来は、こうしてあっさりと失われたのであった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「おーい、れいむー。公園いくぞ。」 「ゆっくりいくよ!ゆっゆーん!」 れいむは施術後、数日はお兄さんに厳しい目を向け、避けてはいたものの、月日を重ねるごとに従順になった。 そうして数ヵ月経って成体となった頃には、食事や遊びの時に、しあわせーできる普通の飼いゆっくりになっていた。 少なくとも表面上は。 れいむは、そこそこ優秀な飼いゆっくりだった。 それはれいむのリボンについた銀バッジからも確かであった。 バッジによる飼いゆっくり登録制度は、一応ガイドラインこそあれど、 事実上各自治体や企業で基準はバラバラと、かなり怪しい制度だ。 とはいえ、飼いゆっくりの質を把握すること、野良と区別すること等では役に立つので、採用され続けている。 ここ、虹浦市では以下のような基準となっている。 『銅バッジ』は、いわゆる飼いゆっくり証明証。 ただし躾等は行われていない。個体によっては優秀かも知れないので、マニアや慣れた調教師は好んで購入する。 『金バッジ』は、優良飼いゆっくり認定証。 人間に迷惑をかけない程度の常識を教育され、かつ人間との生活にストレスをあまり感じないという、 飼いゆっくり向きの性格だと認定された個体を示す。 人間の常識の中でゆっくりが生きると言うのは、野生に近い性格であるほど苦痛なものらしい。 では『銀バッジ』はと言うと、この2つの中間、人間に迷惑をかけない程度の常識を教育されたゆっくりである事を示す。 本来自分勝手で無条件に愛情が注がれることを望む赤ゆっくりが、生後数日で手にするには、 なかなかハードルの高いバッジなのであった。 「ゆーん!それじゃ、おにーさん。れいむはおともだちとあそんでくるよ!」 「あー、俺はココで寝てるから、好きに遊んでこい。」 「ゆっくりりかいしたよ!」 そんなわけで、れいむは飼いゆっくり生活のため、奪われた未来のことを忘れられないながらも、 人間と折り合いをつけて生きていくことを選んだのであった。 ・・・この日までは。 ここはデパート屋上に造られた、飼いゆっくり向けの施設が充実した室内公園。 公園では飼いゆっくり達が、いくつかのグループに分かれて各々ゆっくりと遊んでいた。 「こーりょこーりょしゅるよ!」 「わきゃるよー。」 「みゅほぉ!きゃわいいまりしゃにぇ!」 「れいぱーに、うんうんしゅるよ!しゅっきりー。」 「ゆぁーん。ありしゅ、ときゃいはにゃにょにー。」 赤ゆっくりや子ゆっくり達は、同世代の友達を作り、清潔な砂場の中で元気に跳ねまわっている。 「ゆゆーん。れいむのおちびちゃん、ゆっくりしてるよー。」 「ありすのおちびちゃんだって、とってもとかいはなのよ。」 「わかるよー。」 「みょん。」 子・赤ゆっくり達の中には、飼いゆっくりの両親から生まれたおちびちゃん達も多い。 そういった親ゆっくり達は、砂場の外でおちびちゃん達の遊ぶ姿を眺めながら、 子育ての苦労、自分のおちびちゃん達の可愛さ自慢などを楽しげに話している。 実は苦労しているのは飼い主の方なので、この親達はおままごとのような子育てを楽しんでいるだけなのだが。 他には少数のアスリートゆっくり達がぺにぺにやぺにぺに以外を鍛えているが、 大部分は先の2グループと、あと1つ、れいむを含めた去勢済みゆっくりのグループが占めていた。 「ゆぅ。おちびちゃんたち、たのしそうだね。」 「ゆっくりしてるわ。とかいはね。」 「うらやましいよー。」 遊ぶと言っても、おちびちゃんではないので飛んだり跳ねたりすることはない。 元々必要が無ければ運動もやりたがらないのがゆっくりなので、 子供もいない成体ゆっくり達が公園でやることと言えば、もっぱら井戸端会議となる。 未去勢のゆっくり達とは別グループ。 仲良くできるはずもない。 「ありすー、そろそろ帰るわよー。」 「ゆっくりわかったわ。おちびちゃん、もうかえりましょう。」 「ゆわーん。ありしゅ、もっとあしょびちゃいわ。」 「わがままいうのはとかいはじゃないわ。ぺーろぺーろ。」 「ゆゆーん、しゅっきりー。ありしゅ、ゆっくちりきゃいしちゃよ!」 「おちびちゃんは、とってもとかいはね!!すーりすーり、しあわせー!」 「しゅーりしゅーり、ちあわちぇー!」 「ほらほら。早く帰りましょ。今日はありすの好きなシュークリームよ。」 「「ゆっくりー!」」 自分達には得られない幸せを存分に味わうゆっくりを、恨めしそうにれいむ達去勢ゆっくりは眺めていた。 「ゆっくりしたおちびちゃん、ほしいねー。」 「むきゅん!ほうほうもなくはないわ。」 「ゆゆっ!?」×40 今日もそんな愚痴をこぼしていた所、これまた去勢済みのぱちゅりーが井戸端会議の輪に入ってきた。 「ゆぅー。またいなかものの、うそつきぱちゅりーがきたわ。」 「むきゅー!せめて『うわさずき』といってほしいわ!」 このぱちゅりーは、この辺りで飼われているゆっくり達の間では、『情報屋(自称)』として知られているけんじゃ(笑)。 噂から冗談、聞きかじりの知識など、あることないこと収集してはばら撒く、 井戸端会議では必須のキャラクターであった。 まあ、嘘つきぱちゅりーは言いすぎだが口が軽いので、秘密は絶対話せないタイプである。 だが、れいむはぱちゅりーの言葉に食いついた。 「そんなことより、れいむたちでもにんっしんするほうほうがあるの!?」 「わからないよー。」 「むきゅん。ぱちゅりーのじょうほうもうから、ゆっくりできないうわさがながれてきたのよ。まぎれもないじじつよ!」 「ゆっくりしないでおしえてね!」 「むきゅー。それじゃあ、このとっておきのじょうほうを、とくべつにおしえてあげるわ!」 「ゆっくりおしえてね!」×120 結局、みんな興味深々だった。 ・・・・・・。 それは、あまりにゆっくりできない方法であった。 多くのおちびちゃん達を生贄に捧げ、決められた手順に沿って儀式を行う。 幼く罪もない多くの命を犠牲にすることで、ぺにまむを失ったゆっくりでもにんっしんできる、というものである。 ただし、犠牲が多すぎること、手順に間違いがあると効果も失われることから、 これまでこの方法が成功した例は無い、という事らしい。 人間が聞けば矛盾だらけのぱちゅりーの話だったが、ゆっくり達は完全に信じた。 とはいえ、信じることと実行しようと考えることは別問題である。 「わ、わからないよー。」 「そ、そうね。よそのこでも、おちびちゃんはおちびちゃんよ。」 「そ、そんなの、ゆっくりできないみょん。」 ゆっくり殺しはゆっくりできない。 ましてそれがおちびちゃんであれば、なおさらであった。 それは、自分のにんっしんと引き換えにするとしても、高すぎる代償であった。 「むきゅーん。でも、このくらいしないと、ぱちゅりーたちはにんっしんできないわ。」 「もういいよー。ますますゆっくりできないよー。わかってねー。」 「むきゅ、そうね。じゃあ、つぎはとってもゆっくりした、ひとりすっきりーのほうほうをはなすわ!」 「ゆゆっ!!」×300 「むきゅー。まずはこんにゃくさんを・・・」 周囲のみんながぱちゅりーの性生活を垣間見ている頃、れいむはただ1匹、考え込むような表情のまま、 井戸端会議の輪から離れていったのであった。 「おちびちゃん・・・れいむのおちびちゃん・・・」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− れいむの子作りへの執念の強さは、人間にも、他の去勢ゆっくりにも理解できないものであった。 それは、れいむ自身の生まれ持った性格もあるが、不幸な偶然の積み重ねも原因であった。 そもそも、れいむが育ったゆっくりショップのゆっくり達は、すっきりー禁止の教育は受けていない。 客の中にはすでに飼っているゆっくりのために、つがいとして買っていく人も多いからだ。 教育内容としては『飼い主さんに逆らわない』だけで、その後すっきりー禁止、あるいは去勢するのは飼い主の自由。 実はゆっくりショップでも去勢済み赤ゆっくりは販売しているが、値段は数割増しだ。 これは、ゆっくりの体だけでなく、心にも傷が残らないように施術する技術料である。 もっとも普及している去勢法は、ゆっくりにとって麻酔となるラムネに発情剤を混ぜて眠らせ、 ギンギンになっているぺにぺにを、眠っている間に切り取ってしまう方法だ。 施術は赤ゆっくりのうちに行う。 これは別に博愛主義的な理由ではなく、ぺにぺにを失ったことによる喪失感やショック(+人間への不信感)を、 極力減らすために行っている処置だ。 ぺにぺにの存在理由もよくわかっていないうちに、しかも気がつけば切除されている、というようにすることで、 別にそんなもの無くてもゆっくりできる、という程度の認識になる。 こうすると、成体になった頃自分に子供が出来ないことは理解しても、あきらめがつく程度のショックで済むのだ。 だが、お兄さんは、何も理解していなかった赤れいむに、わざわざぺにぺにの存在理由を教えてしまった。 しかも、自分の顔を見せないなどの対策もせず、飼い主自身の手でぺにぺにを切り取る瞬間を見せつけてしまったのである。 いっそ銅バッジのゆっくりだったら、露骨に嫌悪感を飼い主に見せただろうから、決着は早く着いたはずであったろう。 お兄さんが仕事に出た後、れいむは庭の生け垣の向こうにいる、一匹の野良まりさに声をかけた。 「ゆぅ、まりさ。てにいれてほしいものがあるよ。」 「ゆっへっへぇ。あまあまさえくれれば、しろいこなさんから、きれいなこいしさんまで、なんでもてにいれてやるのぜぇ。」 野良まりさは、ゆっくり的に言えば非合法な商品を扱う売人である。 白い粉=小麦粉はゆっくりの治療薬(外傷用)だが、吸引すれば麻薬にもなる。 まともな飼い主なら、ゆっくりの手の届かないところに管理する。 きれいな小石は、要するに河原の小石とかだが、これまためったに外に出ない飼いゆっくりだと手に入れにくい。 野良だってそれなりに入手ルートは必要だが、案外飼いゆっくりより自由にモノが仕入れられるのだ。 金バッジ認定されるようなゆっくりでなければ、飼いゆっくりにはストレスをため込む者も多い。 れいむも多くの飼いゆっくり同様、しばしばおやつのお菓子で小麦粉を購入しては憂さを晴らしてきていた。 「ゆぅぅ。きょうはちがうよ。・・・・・・のらのおちびちゃんを、たくさんもってきてほしいんだよ。」 「ゆ、ゆ?・・・ゆふぅ。れいむにもそんなしゅみがあるなんて、まりさもしらなかったのぜぇ。ゆへぇ。」 わずかに冷や汗をかきながら、口の端を釣り上げて、陰気な笑みを見せる野良まりさ。 本心からの笑みでは無いことは、さすがにれいむもわかる。 野良まりさは、れいむが野良のおちびちゃんを使って、れいむ自身の薄暗い欲望を満たすつもりなのだと考えたようだった。 実際、野良まりさの客にはそういう飼いゆっくりも多い。 「おちびちゃんで、なにするのぜぇ?じわじわころすのぜ?すっきりーするのぜ?かんしんしないのぜぇ。」 「ゆぅっ、ゆぅー!ちがうよ!なんでもいいから、はやくもってきてね!」 「・・・しゅるいはなんなのぜ?かみがくろいのぜ?それともきんいろなのぜ?かずもいうのぜ。」 野良まりさの声が機械的なモノに変わる。 完全に商談として、頭を切り替えたようだ。 「・・・・・・れいむのおちびちゃんだけ、うまれたてで、このふくろはんぶんくらいでいいよ。」 れいむは、コンビニの買い物袋をまりさに渡す。 「ゆ゛ぅ。ずいぶんはでにやるのぜ・・・。」 「なんでもいいよ。できるの?」 「・・・・・・・・・まかせるのぜ。あしたのおひるにはもってくるのぜ。おなじりょうのあまあまとこうかんなのぜ。」 「わかったよ。」 まりさはコンビニ袋を口にくわえ、路地裏に消えていった。 そして、れいむは自分が引き返せない道に進みつつあることを感じていた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 翌日の昼には、生まれたてでつやつやぷにぷにな赤れいむ10数匹をコンビニ袋に詰めてやってきた。 「ゆぴぃ。ゆっくちできにゃいよぉ。」 「しぇまいよぉ。ゆっくちさせちぇー。」 「しゅーやしゅーや、ゆぴー、ゆぴー。」 どうやって手に入れてきたかは野良まりさも語らない。 れいむにとってもなんの興味もない事であった。 「・・・さいごまでよくかんがえるのぜ。いまならまにあうのぜ。」 「まりさにはかんけいないよ。」 「・・・・・・だからいってるのぜ。」 まりさは、結局お菓子を受け取ると、れいむの方を振り向くことすらなく路地裏に消えていった。 れいむは、その姿を見届けることもなく、儀式の準備に取り掛かる。 時刻は太陽さんがオレンジ色に輝き始める頃。 庭の真ん中に、自分の体より少し大きく、深さはあごが隠れるくらいの穴を掘る。 「ゆぴぇ!ゆぅーん、おにぇーしゃん、ゆっくちさせちぇにぇ!」 次に、袋の中でもしょもしょと這う赤れいむを1匹とりだす。 そして、先のとがった棒を咥え、 「ゆぅ、おにぇーしゃん、どうしちゃにょ『ぷすり』ゆぴゃぁぁぁあああ!!」 転がした時に横を向いていた可愛いあんよに棒を突きたてた。 「ゆぁーん。どうしちぇしょんなことしゅるにょ『ころころころ、ぽろり』ゆあぁぁあ、おちりゅぅぅぅ。」 あんよに穴を開けた後は、死なせてしまわないようにそっと転がして、穴の中に放り込む。 「やめちぇ『ぐさり』ゆぴぃぃー。」 「ゆっくちできにゃ『ぷすり』ゆんやぁー。」 1匹取り出してはあんよに穴を開け、穴に落とす。 処置した赤れいむが5匹を越えたあたりからは、袋の中の赤れいむ達も異常に気付いて逃げだそうとするが、 所詮はまだ生まれたてで這いずるくらいしかできない赤れいむ達。 逃げる方法もなく、れいむの届かない所に隠れようと、袋の奥へと逃げ固まり、もしょもしょと身を寄せ合って震えていた。 「はやくでてきてね!」 「ゆぴぁぁー。たしゅけちぇー。」 無論、袋の中でどれほど奥に隠れようと、れいむが舌を伸ばせば簡単に届く。 結局生まれて間もなく親元を離され、袋の中で震えていた赤れいむ達は、 1匹残らずあんよに穴を開けられ、庭の穴の中に敷き詰められた。 「ゆっくちたしゅけちぇー。」 「みゃみゃー。ぴゃぴゃー。」 「おにぇーしゃん、ぺーりょ、ぺーりょ。ゆっくちちちぇにぇ。」 「しゅーり、しゅーり。みんにゃ、ゆっくちちちぇー。」 ぷりぷりとした、可愛い可愛い赤れいむ達。 穴のふちで、息も絶え絶えながらいまだにお互いを気遣う赤れいむ達を眺めていたれいむだったが、 その健気な姿も、決意を揺るがせるには至らなかった。 「おちびちゃんたち!」 「ゆぴぃ。おにぇーしゃん、ゆっくちちちぇー。」 「れいむのおちびちゃんのために、ゆっくりしんでいってね!!」 「ゆ、ゆぴゃぁぁああああ!!」×16 そういうと、れいむは穴の中に、ゆっくりと飛び降りた。 「ゆぴゅ・・・おみょい『ぷちゅ』・・・」 「ゆっくち、ちちゃか『ぐちゃ』・・・」 「どうしちぇ、みゃみゃ『ぷちっ』・・・」 じわり、とれいむのあんよに生温かく水気の多い餡子の感触が広がる。 ぷちりぷちり、とれいむのあんよに赤れいむの潰れる感触が伝わる。 ・・・やがて、赤れいむの声が聞こえなくなり、庭に掘った穴は、新鮮な餡子で満たされた風呂になった。 これこそが、れいむがぱちゅりーから聞いた、儀式の全てであった。 「ゆ、ゆ、ゆぅ。これで、これでおちびちゃんが・・・。」 ぱちゅりーの話が正しく、儀式が成功していれば、 れいむは今夜すーやすーやすると、朝にはれいむのお腹の中に、新しい命が宿っているはずであった。 れいむは全てが終わった後、お兄さんにばれないように庭の穴を埋め、 全身を泥まみれにして餡子風呂の痕跡を隠し、 お兄さんの帰りを待った。 お兄さんはれいむの汚れ方に驚いたものの、 めったに元気よく遊ぶことのないれいむが、珍しくはしゃいでいる事にむしろ喜んでいた。 形ばかりは叱ったものの、お風呂にれいむを入れてやり、珍しくゆっくりフード以外のご飯も作ってあげた。 その日、庭でれいむが何をしたのか、全く疑うことなく。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 翌日、れいむは自分のお腹の中に、たった1つだけではあるが、確かに新しい命の存在を感じた。 ゆっくりの本来の生態から考えると、まったくありえないにんっしんであった。 全ては、思い込みが行動や能力に多大な影響を与える、ゆっくり特有の性質によるものであろう。 胡散臭く凄惨な儀式を、本当に効果があるものだと本気で信じたこと。 それ以上に、おちびちゃんが欲しいという想い。 れいむの良くも悪くも、純粋な願いが、れいむの体に限界を超えさせたのであった。 その日から数日、れいむの食欲は倍増し、瞬く間にサイズが増していったが、 お兄さんも、まさかれいむがにんっしんしているなどとは思わず、 「最近太ってるけど大丈夫か?」 などと言う程度だった。 胎生型にんっしんにしては大きく育っていないことも、ごまかすことが可能だった原因だったかもしれない。 多産なゆっくりは、植物型にんっしんで5~10匹、胎生型でも2~3匹は産む。 まして胎生型なら赤ゆっくり1匹のサイズもビリヤードのボール並になる。 通常のにんっしんであれば、さすがにお兄さんも気付いたであろう。 そしてにんっしんから4日後、通常のにんっしんよりかなり早く、れいむは産気づいた。 今は夕方だが、お兄さんはまだ仕事で家にいない。 出産のタイミングとしては今しかなく、れいむはお兄さんの枕をおちびちゃんの着地地点に置き、出産の体勢に入った。 「ゆ、ぎ、ぎ、ぎぃぃぃ!おちびちゃん!ゆっぐぢうまれでねぇぇぇぇえええ!!」 ぺにぺに、まむまむを失っているれいむは、普通の出産が出来ない。 そのためおちびちゃんは、メリメリとあにゃるから顔を出していた。 うんうんと同じ感覚で産もう、などと器用な事が出来るわけでもなく、れいむの表情は苦痛にゆがむ。 だが、この苦痛の先には明るい未来があるのだ。 そして、 しゅぽーん。ぺちょり。 「ゆ、ゆ、ゆぅぅ・・・」 「おちびちゃん!」 「ゆ、ゆっく、ゆっくちちちぇっちぇにぇ!!」 「ゆぅぅぅううう!おちびちゃん、れいむのおちびちゃん!ゆっぐぢぢぢぇっぢぇにぇぇぇええ!!」 れいむから生まれた赤ゆっくりは、たった1匹だけ。 ゴルフボールより少し大きい程度の、胎生出産にしては小さすぎる赤れいむであった。 思い込みで乗り越えた限界も、この辺りが精一杯であったのであろう。 「しゅーりしゅーり、ちあわちぇー。」 「ゆぅぅぅううう!ずーり、ずーりぃ!!」 「ゆぁーん、おきゃーしゃん、いちゃいよぉ。」 「ゆふふふぅぅぅ!ごべんでぇぇぇぇええ!!」 だが、一度は完全に諦めていた、自分の体を痛めて産んだおちびちゃん。 大切に、大切に育てていこう、そうれいむは誓ったのであった。 お兄さんにばれたらおちびちゃんが酷い目に会うかもしれない。 自分みたいにぺにぺにを切らせるわけにはいかない。 おちびちゃんを隠すなら、めったに使ってない物置部屋の、机の下をおうちにしよう。 今日までずっといい場所を探していたんだ。 ご飯は、れいむが大食いになったふりして、いくらかお口の中に隠して持っていこう。 うんうん、しーしーはティッシュさんをおうちに持っていけばいい。 物置部屋は奥の部屋だから、夜でもなければ少しくらい声を出しても大丈夫。 大きくなったおちびちゃんには、ゆっくりしたお嫁さんを連れてこないと。 そうだ、公園で遊んでいたあのまりさはどうだろう。 とってもゆっくりした飼いまりさだった。 きっとれいむのおちびちゃんと、相性バッチリだ。 そしたら、おちびちゃんのおちびちゃんも・・・・・・ れいむは、これまで足りない頭で必死に子育て計画を練っていた。 それは、れいむがあの『儀式』を知るずっと前から。 いつか築き上げる、れいむのゆっくりした家族、 じぶんが赤ゆっくりだった頃に夢見た未来のために。 「おい。なんだその赤れいむは?」 まったく無駄だったが。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「だから、何なんだよ。この赤れいむは。」 お兄さんは、れいむが産気づいている間に家に帰って来ていた。 帰っても出迎えが無いのは珍しいので、何かあったのかと思って探してみればこの結果である。 ちなみに赤れいむは、ぴーぴーうるさいのでゆっくりフードにラムネを加えて食べさせ、すーやすーやしてもらっている。 れいむも赤れいむも、お兄さんの机の上に乗せられた。 特にれいむはデスクライトを真正面から向けられ、取り調べの様相となっている。 「しゅーや、しゅーや・・・ゆっくちー。」 「・・・れいむのおちびちゃんだよ。」 「ああ。さっきの見てたから、そこは理解した。でも、何でだ?まむまむは無いんだぞ?父親はだれだ?」 「ゆぅ・・・それは・・・」 ゆっくりは精子餡を体内に受け取るどころか、体に浴びるだけでも時にはにんっしんしてしまうほど、すっきりーの成功率は高い。 あにゃるでも口内すっきりーでもドンと来いである。 ただし、ぺにぺに(まむまむ)を切除されると、思い込み効果であろうが、 にんっしん能力を完全に失うはずなのであった。 「あり得ないだろ。お前の態度を見てると、どっかからチビを拾ってくるかもとは思ってたが。まさか産むとは・・・。」 れいむは、全てを話した。 儀式の話、全てを。 れいむは、自分が野良と接触していたこと、勝手ににんっしんした事を怒られると思っていた。 だが、詳しい話を聞くうち、困惑の中にも怒気を含んでいたお兄さんの表情は消え、 話が終わった頃には、無表情ながら、顔色が多少青ざめていた。 「れいむ。」 「ゆぅ。」 「今の話、全部本当か。」 「そうでず。だまっててごべんだざい。」 お兄さんとしても、さすがに全ては信じられなかったのか、話の途中で庭まで見てくる程だったが、 穴の痕跡を少し掘り返したところで見つけた、小さなリボンの残骸とコンビニ袋を見ると、 それ以上掘り返すまでもなく信じるしかなかった。 「れいむ・・・・・・お前はもう飼えないよ。」 「ゆっ!?ゆぅ、ゆっくりりかいしたよ。」 銀バッジ試験を受けた頃から教えられていたこと。 飼いゆっくりが勝手に子供を作ったら、捨てられたり、折檻を受けたり、 ゆっくりできない事になるということは、ずっと前から聞いていた。 「おにいさん、れいむは、おちびちゃんとゆっくりいきていくよ。・・・さようならだね。」 おちびちゃんは、今も机のど真ん中で、仰向けに寝転がって気持ちよさそうに寝息を立てている。 「ゆぴー、ゆぴー。もうたべられにゃいよぉ・・・」 このおちびちゃんが、野良として過酷な環境に生きていかなければならないのはつらいが、 もはやれいむにはどうしようもない事であった。 お兄さんは文房具立てに立ててあったはさみを手に取ると、 赤れいむの口のすぐ下とぺにぺにの位置に先端を押し付け、 しょきん 赤れいむの腹を縦に切り裂いた。 「ゆ・・・ぴゅ・・・」 赤れいむは相変わらず穏やかな表情のまま、2~3度ぷるぷるっ、と痙攣すると、 口の端から餡子を一滴たらし、そのまま動かなくなった。 「?・・・ゆぁぁっぁああああああー!ゆっぐぢぢでぇぇえええ!」 れいむは赤れいむの傷口をぺーろぺーろして癒そうとするが、 舌が赤れいむに触れるたびに、腹の傷口から水気の多い餡子がごぽっと流れ出す。 れいむの見ている前で、赤れいむは安らかな表情のまま餡子の水たまりを広げていき、 へにょへにょとしぼんでいった。 「ゆびぇぇぇぉえええええ!!なんでぇぇぇえ!なんでなのぉぉおお!おにいざぁぁあん!!」 「・・・子供に罪は無いからな。楽に済ませた。」 「なにいっでるのぉぉぉぉぉ!!」 「俺も、育て方失敗したな。」 「ゆぁぁぁあああああ!!おちびぢゃんがぎらいなら、ずでればいいでじょぉぉおお!どおぢで!どおじでぇぇえええ!!」 お兄さんは、飼えないと言った理由をれいむが誤解している事をわかっていたが、もはや訂正しなかった。 ゆっくりが嘘をついたり、ごまかしたり、わがままを言ったり、物を壊したりするのは、叱りはするが別に捨てる理由にはならないと。 たとえ野良の赤ゆっくりを拾って、隠れて育てていたとしても、それは変わらないこと。 ひょっとしたら、1匹くらいしょうがないと、れいむと一緒に飼ってあげたかも知れないこと。 しかし、今後もれいむを飼っていくには、今回の行いは余りにもおぞましすぎたのだ。 お兄さんもゆっくりの育て方を知らなすぎたと反省してはいたが、このれいむが特殊な部類であろうことは、さすがに理解できていた。 それにもうひとつ、れいむは誤解していた。 「ゆぎぃぃぃいいいい!!はなしでぇぇえええ!れいむをはなじでぇぇえええ!!」 お兄さんは先ほど穴から掘り出してきた、かつて野良赤れいむが詰められていたコンビニ袋にれいむを詰め込む。 赤れいむの遺体も一緒に。 「ゆぁぁあぁあああ!おちびじゃん!おぢびぢゃぁぁあああん!!」 そして、口をしっかりと結んでれいむを閉じ込めると、かかとをそっとれいむの頭の真ん中に乗せた。 「れいむは、れいむはのらになっで!もっどおぢびぢゃんをうむんだよぉぉおお!! たぐざんのおぢびじゃんど、おぢびぢゃんのおぢびぢゃんど、おぢびぢゃんのおぢびぢゃんのおぢびぢゃんど・・・」 れいむは誤解していた。飼いゆっくりを生きたまま捨てるのは、マナー違反だ。 「ゆあぁぁああああ!!れいむはおぢびじゃんとゆっぐりずるんだぁぁああ!!ゆひぃ!ゆひぃぃい!ゆっぐぢ」 お兄さんはそっと、全体重をかかとにかけた。 ・・・・・・ぶじゅり。 挿絵 by儚いあき 餡小話掲載作品 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 ふたば系ゆっくりいじめ 305 ゆっくりちるのの生態 ふたば系ゆっくりいじめ 436 苦悩に満ちたゆん生 ふたば系ゆっくりいじめ 628 ゆきのなか ふたば系ゆっくりいじめ 662 野良ゆっくりがやってきた 本作品 『町れいむ一家の四季』シリーズ 前日談 ふたば系ゆっくりいじめ 522 とてもゆっくりしたおうち 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけについては何とも言えないけど) 春-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 165 お姉さんのまりさ飼育日記(おまけ) 春-2-3. ふたば系ゆっくりいじめ 178 お姉さんとまりさのはじめてのおつかい(おまけのおまけ) 春-2-4. ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生(おまけ) 春-2-5. ふたば系ゆっくりいじめ 206 町の赤ゆの生きる道 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ(おまけ) 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 174 ぱちぇと学ぼう!ゆっくりライフ(おまけのおまけ) 夏-1-4. ふたば系ゆっくりいじめ 235 てんこのインモラルスタディ(おまけのおまけのおまけ) 夏-1-5. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業(おまけ) 夏-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね 夏-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 205 末っ子れいむの帰還 秋-1. ふたば系ゆっくりいじめ 186 台風さんでゆっくりしたいよ 秋-2. ふたば系ゆっくりいじめ 271 都会の雨さんもゆっくりしてるね 冬-1. ふたば系ゆっくりいじめ 490 ゆっくりしたハロウィンさん 『町れいむ一家の四季』シリーズ 後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 249 Yの閃光 ふたば系ゆっくりいじめ 333 銘菓湯栗饅頭 ふたば系ゆっくりいじめ 376 飼いゆっくりれいむ ふたば系ゆっくりいじめ 409 町ゆっくりの食料事情 ふたば系ゆっくりいじめ 224 レイパーズブレイド前篇(おまけ) D.Oの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓右に同じ -- 2016-09-01 21 32 39 やっぱバッジ付きでもバカはバカなんだよな。根本的な部分は、何一つ変わっちゃいない。 -- 2016-05-05 21 54 11 取り敢えずれいむは糞だな -- 2016-02-23 15 26 13 去勢のやり方さえ変えてればこうわならなかった -- 2014-04-18 14 27 33 半分以上は去勢の仕方に問題が有りすぎたお兄さんの責任でもあるな。 このれいむにエリザベート・バートリー級の狂気を感じた。 -- 2012-11-28 01 59 40 人間じゃなくてゆっくりに全ての虐め行為を代弁させている感じがして下衆だなぁ。 内容は面白いけど。 -- 2012-06-12 15 14 10 べつににんっしんしなくても、まりさに調達してもらった赤ゆを自分の赤ちゃんにすればよかったのに。 馬鹿なれいむだったね。 -- 2012-02-28 04 45 05 一生モノのトラウマだよ!お姉さん最悪!もっと下さい。 -- 2012-02-27 22 01 20 今回はお兄さんが悪いな。 銀バッジなんて買うから。やっぱり買うなら金にしないと。 安く銅とか銀とかかって殺すことになるなら、飼いやすい金と飼い方のマニュアルを用意するのがペットを買うということだろう。 -- 2011-10-22 09 05 34 お兄さんいかにやりすぎだ・・・。 俺ゆっくり飼ってみたい -- 2011-08-11 10 06 06 これは珍しいケースなんだから、学会発表モノじゃ無いのか? もったいない・・・。 -- 2011-07-12 22 42 47 商人まりさ凄ぇなw お兄さんはけじめが有って優しい人なんだねー。今度飼うゆっくりと幸せになる事を祈るよー -- 2010-10-24 21 51 51 楽に殺してあげるなんていいお兄さんだな 俺だったらヒャッハーしてるわ -- 2010-09-28 17 03 28 この商人まりさが未成ゆんででてくるゲスまりさか -- 2010-08-12 23 33 33 これめっちゃおもしろい!! 望まない去勢のせいで気が病んでしまったんだな けじめのあるお兄さんで良かった -- 2010-07-30 17 34 08 商人まりさは実は良いゆっくりだな -- 2010-07-29 00 57 05 面白かったです。 れいむが夢見てた、何千匹もの自分の餡子を継いだ 子供たちに囲まれて生涯を終えるってとこ。気持ち悪すぎて目眩がした。 -- 2010-07-20 16 54 25 流石にコレはゆっくりの生体を勉強してても予想できんだろ… 想像妊娠で出産まで出来るってなにごと… -- 2010-07-14 14 35 25 思い込みってすごいな・・・・。処分するのは当然の処置だな。 -- 2010-06-27 23 36 03 お兄さん、ペット飼う前には勉強しとけよ -- 2010-06-22 08 54 54
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2758.html
「まりさは絶対にでいぶを見捨てない」 『どうしてまりさがあのれいむをえらんだのか、むれのだれもしりません でも、あのまりさのことは、ありすがだれよりもよくしっています ありすのほかにまりさのことをよくしっているのは、おさのぱちゅりーぐらいです まりさはいつも、じぶんのことをゆっくりできないゆっくりだとおもっていました だから、じぶんはこどくだとおもいこんでいたんです』 ゆっ…ゆっ… むーしゃむーしゃ! こっちはおいしいくささんだよ! ゆっ…ゆっ むーしゃむーげろまずううううう!! こっちはおいしくないくささんだったよ… ゆっ! ありす! ゆっくりしていってね! ゆう…かりをするのはたいへんだよ… むれのかりばは、まりさにはつかわせてもらえないし… しかたないよ…まりさのおかーさんが、ゆっくりごろしをしちゃったから まりさはいっしょうむれはちぶなんだよ… ゆう、ありがとう、ありす まりさのことをかばってくれるのは、ありすだけだよ でも、まりさは、まりさのおかーさんがゆっくりごろしをしてうばいとったごはんでそだったから まりさもつみがあるんだよ…まりさもゆっくりごろしなんだよ… ぱちゅりーにはかんしゃしてるよ ぱちゅりーがまりさをひきとってそだててくれなかったら、 まりさもきっと、おかーさんみたいなゆっくりごろしになってたよ だって、まりさはちいさいころ、おかーさんがたべさせてくれるあまあまを、 なんのぎもんもおもわずくちにしていたよ ちがうよ、いなかものはまりさなんだよ… むれのみんなはまりさのことをにくんでるよ まりさのおかーさんに、おややこどもをころされたゆっくりもおおぜいいるし、わすれてないよ まりさといっしょにゆっくりしてくれるゆっくりなんて、このむれにはいないよ …ありがとう、ありす でも、これいじょうまりさといっしょにいたら、ありすまでみんなにきらわれちゃうよ ごめんね…まりさはかりをしなくちゃいけないから… ゆう…とってもきれいなれいむだよ… こえもすきとおってるし、とってもおうたがじょうずだよ… むれいちばんのびゆっくりだよ… いいなあ…まりさもあんなれいむをおよめさんに…できっこないよ まりさはきらわれものだから、だれもまりさのことをすきになってくれないよ もし、およめさんになってくれるゆっくりがいても、まりさといっしょになったら、ふこうにしちゃうよ… まりさのせいでゆっくりできなくしてしまうのは、ゆっくりできないよ… でも…まりさも…まりさだって… だれかといっしょにゆっくりしたいよ… ただいま…ゆっくりかえったよ! …でもだれもおへんじしてくれるわけじゃないよ まりさはひとりでいきてるんだから …さみしくてゆっくりできないよ でも、まりさはだれともゆっくりできないよ だれかとけっこんしたいとおもっても、そのだれかのおとうさんやおかあさんが まりさといっしょになることをゆるしてくれないよ …ぱちゅりーのところにかえりたいよ でも、まりさはひとりでいきていかなきゃ ぱちゅりーはぱちゅりーのかぞくがいるんだもの ぱちゅりーはまりさのおかーさんじゃないもの まりさのおかーさんは、ゆっくりごろしのおかーさんだもの …ありすとおともだちになりたいよ でも、あんなゆっくりしたありすとまりさはおともだちにはなれないよ ありすはとかいはだし、まりさはきらわれものなんだから まりさはだれともゆっくりできないよ …まってね! まりさのだいじなおぼうしさんまってね! かぜさんまりさのおぼうしさんをつれてかないでええええええ!! ゆええええええん!! どうじでおぼうじざんころがっでいぐのおおおおおお!! ゆっ! れい…む…! あ…ありがとう、まりさのおぼうしさんをつかまえてくれて… ほんとうに…ありが…とう… そうだね…ゆっくりしてないかぜさんだったね うん、れいむも、ゆっくりしていってね! …きょうはおぼうしさんをかぜさんにもっていかれそうになったけど あのれいむとおはなしできたから、とってもゆっくりできたひだったよ …れいむは、びゆっくりでおうたがじょうずなだけじゃなくて、とってもやさしくてゆっくりできるよ れいむ… またれいむとおはなししたいよ… れいむといっしょにいたいよ… れいむとゆっくりしたいよ… れいむと… ゆっ!? なにをはなしてるの!? れいむのわるぐちをいうのはゆっくりできないよ! まりさおこるよ!? れいむはおうたがじょうずなんだよ!! あんなにびゆっくりなんだよ!! とってもやさしいんだよ!! …それだけ? それだけってなんなのおおおおおお!? それしかできない、びゆっくりなだけで、なんにもゆっくりできないって…!! かりもいくじもなんにもおそわってないって…!! れいむのおうたはきくとゆっくりはできるけど、いっしょにゆっくりはしたくないって…!! だからどうしたの!! だったら、れいむとけっこんするゆっくりが、れいむのぶんまでかりをすればいいでしょ!! まりさだったらそうするよ!! まりさは、ぐちやいいわけばっかりいってかりもろくにできないグズなゆっくりにはならないよ!! れいむのためにがんばってかりをして、いっしょうれいむをまもってみせるよ!! まりさはかりがとってもとくいなんだよ!! まり… れ…れいむ…!? い…いまの…きいてた…の!? ゆ…ゆ…ゆわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! ゆ…ありす! うん、そうだよ! まりさはれいむにせいっしきっにぷろぽーずすることにきめたよ! れいむのおかーさんも、こんやくをみとめてくれたよ!! ゆゆ~ゆめみたいだよ… ゆっ!? ありすまで、そんなことをいうの…? ありすも、れいむのことをびゆっくりなだけでゆっくりはできないゆっくりだっていうんだ そんなことないよ! まりさはふしあわせになんかならないよ!! ほかのみんなは、れいむがたかねのはなで、いっしょにゆっくりしてもらえないからそんなことをいうんだよ! まりさはちがうよ!! れいむにうけいれてもらえたよ!! れいむも、まりさがいっしょにゆっくりしてくれるならうれしいっていってくれたよ!! だからきっと、れいむといっしょにしあわせ~になってみせるよ!! みんなのまえでいったとおりだよ!! まりさが、れいむをせきにんとってしあわせにしてあげるんだよ!! ゆ…! ありす!? どうしたの!? どこかいたいの!? ゆっくりしてね! ゆ!ありすううううう!? …いっちゃったよ ありす、どうしてないていたんだろ ゆうう…れいむ…しんこんしょやだね… まりさとってもどきどきするよ… れいむ…まりさとずっといっしょに、ゆっくりしていってね!! ゆ…そうだね…これからふたりでくらしていくから、いろんなことのじゅんびをしなくちゃね! ごはんをたくさんあつめて…おちびちゃんたちようのおふとんをつくって… おちびちゃん… ゆ… ゆ… ゆほおおおおお!! れいむうううう!! まりさ、れいむとのおちびちゃんがほしいよおおおおおお!! すっきりー! うわああああああごべんなざいごべんなざい、ついすっきりーしちゃったああああ!! でぼ、でぼ、まりざはれいむといっしょに、ゆっくりしたかていをつくりたかったんでずうううううう!! あかちゃんたくさんいれば、ゆっくりできるからあああああああ!! はい、わがっでまず… これからがんばって、かりをしてごはんをたくさんあづめまず… ちゃんとせきにんとりまず… おっとのつどめでず… ゆっくりただいま!! れいむ、きょうはやわらかいはっぱさんと、こけさんをとってきたよ!! あかちゃんのためにたくさんたべてゆっくりしないとね!! ゆう…! まりさとれいむのあかちゃん…いちにーさん…たくさんつるさんにできてるよ…!! とってもかわいいよ!! とくにいちばんちいさいあかちゃんが、れいむにいちばんそっくりだよ!! このすえっこのあかちゃんは、しょうらいれいむににてもりでいちばんのびゆっくりになるよ!! まりさがんばるよ!! がんばって、れいむと、あかちゃんたちをゆっくりさせてあげるよ!! うん…もっとたくさんごはんをとってこないといけないね… ちょっとよていよりおおく、あかちゃんができすぎちゃったようなきがするよ… そうだね…こけさんはたべないで、あかちゃんのおふとんにつかったほうがいいね… できればよびのたくわえもあったほうがいいし、れいむようとあかちゃんようのごはんはわけて、 なるべくやわらかいものをあかちゃんにたべさせてあげたほうがいいね… ゆう? れいむ、あたらしいおうた? あかちゃんにきかせてあげるためにさっきょくしたんだ! すごいね! れいむはあかちゃんたちをとってもゆっくりさせてあげられるね!! まりさは、れいむとあかちゃんたちがゆっくりしてくれたら、しあわせ~になってくれたら、とってもゆっくりできるよ!! …ただいま、ゆっくり…かえったよ ごめんね…まりさ、れいむとおちびちゃんたちをまたせすぎちゃったかもね… きょうもがんばって、ごはんをとってきたよ… まりさはせいいっぱい… ゆうっ…! た、足りなかった? ゆ…そうだね、おちびちゃんたち、たくさんいるからね… みんなでわけたらすぐなくなっちゃうね… これじゃぜんぜんたりないよね…ごめんね… そんなことないよ! れいむと、おちびちゃんたちはとってもかわいいよ! だいじだよ!! でも、まりさは ゆっ!! ごべんなざい!! で、でぼ、まりさは…そうだ、おちびちゃんたちのおみやげにいしさんを… ゆうううっ!! …ごべんなざい、そのとおりでず まりざはばがでず…あんごのうでず… ゆ…でぼ、まりざはがんばって、れいむとおちびちゃんたちのためにかりをしてきたんだよ… みんなにおねがいして、かりばもすこしだけつかわせてもらって… ゆぐっ…!! ぞ、ぞれは… いいばじだ!! まりざがそういいまじだ!! まりざはれいむといっしょになりだがっだんでず!! おうたしかできなぐでも、まりさはれいむのごどがだいずぎだったんでず!! まりさがいっしょうけんめいかりをして、れいむをやしなうって、いっだんでず!! ゆぐっ…ゆっ…ひっ… ゆえっ…ゆぐうっ!! ゆっ!! ぞんな…ぞごまでいわなぐだっで… まりざはまいにちまいにちごんなにがんばっでるのに…!! れいむとおちびちゃんたちのために、ひっしではだらいでるのに…!! れ、れいむは!! まいにちおうちにいておちびちゃんとあそんでるだげだから!! まりざのぐろうなんでわがらないんだああああああ!! ゆっ…ゆぐっ…!? ゆ… ごべんなざい…ごべんね… まりざはかりもろぐにできないダメなゆっぐりだよ… ごべんね…ごべんね… ゆわああああああああああ!! れみりゃだああああああああああああ!! だずげでええええええええええ!! やだあああああああああああ!! じにだぐないいいいいい!! だれがだずげでええええええええええええ!! まりざにはれいむとおちびちゃんだぢがあああああ!! ゆっぐりできないいいいい!! まりざまだじにだぐないいいいいい!! まだれいむのごどじあわぜにじであげでないいいいいい!! ゆっぐりざぜであげられでないいいい!! れいむにいっだごどなんにもまもっであげられでないいいいい!! おちびぢゃんだちをゆっぐりざぜであげられでないいいいい!! まりざはっ!! まりざは!! ちゃんとかりがでぎるって、れいむをゆっぐりさぜであげられるっでしょうめいじでないいい!! いやだあああああああ!! まだまりざはなんにもでぎでないいいいいいいい!! まりざはごんなどごろでじんだらだめなのにいいいいいい!! まりざはれいむのだめにいぎるんだああああ!! れいむどいっじょにゆっぐりずるんだああああ!! ゆぎゃあああああああああああいだいよおおおおおおおおおおお!! はなじでええええええええええええ!! まりざはあああああ!! まりざばっ!! れいむどっおちびぢゃっじあっわぜにっゆっ!! ゆ゛っ!! ゆ゛っ!! ゆ゛っ!! ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ ゆ゛… ……… …… … れいむ まりさは沢山心残りがあるよ れいむを一生守るって、頑張って狩をするって、約束したのに 何にも出来なくてごめんね まりさが死んだ後、れいむとおちびちゃん達がどうやって生きていけばいいのか まりさはとても心配だよ れいむは狩が出来ないから、まりさが守ってあげなければいけないのに おちびちゃんたちはまだ小さいから、お父さんのまりさが守ってあげなければいけないのに まりさはれいむとずっと一緒にゆっくりしたいと思ってたよ れいむがまりさに優しくしてくれたから 嫌われ者のまりさのお帽子を、あの時拾ってくれたから だから、まりさはれいむの事を、一生守るって決めたんだよ れいむが狩ができなくても、お歌を唄うしかできない、それ以外何にもできないゆっくりなら 群れの皆が、ただ歌うだけのゆっくりとしてしかれいむを見ないなら、お嫁さんにするのは もっと別なゆっくりだって言うんなら、 誰もれいむを必要としないなら、まりさがれいむを必要だって言うって まりさがれいむをお嫁さんにするんだって、決めたんだよ 一人ぼっちはゆっくりできないよ でも、まりさにはれいむが居てくれたから、一人ぼっちじゃ無かったよ それなのに、もう一緒に居られなくて、ごめんね まりさが居なくなったら、誰がれいむとおちびちゃんたちを守るんだろう れいむとおちびちゃんたちは、どうやって生きて行ったらいいんだろう どうやって狩をして、どうやって子育てをして…おちびちゃんたちにどうやって色んなことを教えて… 誰が… 誰か…れいむとおちびちゃん達を助けてあげてください まりさは死んでしまうから、もうれいむとおちびちゃんたちを助けてあげられません まりさのだいじなれいむと、おちびちゃんたちなんです とっても優しいれいむなんでず とっても可愛い良い子なおちびちゃん達なんです れいむ達が幸せになってくれさえすれば、まりさは死んでもいいんです ゆっくり出来なくなってもいいんです だから、どうかお願いです まりさの代わりに、れいむとおちびちゃん達を幸せにしてあげてください まりさができなかった代わりに…まりさのゆっくりの代わりに… どうか… まりさの大事な、れいむと、おちびちゃんたちを… ありす…どうだった? そう…あのれいむのことは、れいむがおちびちゃんのころからしっているけど みょうにきぐらいだけはたかいゆっくりだったわ… ははおやのきょういくがわるかったせいだわ こうなることはよそうできていたけど… むきゅ、ありすのせいじゃないのよ、しかたないわ れいむがそうすることをのぞむなら、ぱちゅりーたちにできることはもうないのよ てはさしのべた それをはねつけた それでおしまい …ありす、むれのみんなでだしあってあつめたというのは、うそでしょう? そのくらい、ぱちゅりーにはおみとおしよ ありすが、まりさのことをすきだったってこともね? おやめなさい、そんなことは ありすがまりさのかわりに、あのれいむたちおやこをやしなっていくわけでもないのでしょう? そうしたいきもちはわかるわ あのまりさは、ぱちゅりーがおかあさんがわりになってそだてたまりさだもの… まりさのおちびちゃんたちは、ぱちゅりーにもぎりのまごみたいなものなのよ でも、ぱちゅりーにも、よそのかぞくをえんじょしてあげるだけのよゆうはないわ ええ、そうね…どうしてまりさはあんな、おうたしかとりえのないれいむなんかえらんだのかしら ほかのみんなはいまだに、ゆっくりごろしのあんこをうけついだゆっくりだっていうけれど、 まりさがゆっくりいちばいがんばってかりをしているのは、ぱちゅりーがいちばんよくしってわ そして、まりさはとってもやさしくてゆっくりできるゆっくりだった ゆっくりごろしのははおやからうまれたとはおもえないくらいにね… そうかもしれないわね、まりさは…きっと…ばかだったのよ… ばかだわ…ほんとうに… むきゅ… 『まりさのおそうしきがおわったそのいちにー…さんとたくさんにちあと、 れいむと、まりさののこしたおちびちゃんたちは、もともとまりさとれいむをこころよくおもってなかった むれのゆっくりにおうちをうばわれ、さらにおちびちゃんのひとりがごはんどろぼうをしたために リンチにちかいせいっさいをくわえられてしにました どうしてありすはあのとき、すなおにまりさに、まりさがすきだといっておかなかったのか いまからでもありすとけっこんしてほしいといわなかったのか、こうかいしています』 (終わり) このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! ◆SS感想掲示板 10作品未満作者用感想スレへ ※書き込む時はSSのタイトルを書いて下さい。 コレをコピーしてから飛びましょう→『ふたば系ゆっくりいじめ 1323 まりさは絶対にでいぶを見捨てない』 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3603.html
『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!(中編)』 39KB 愛で 制裁 観察 自業自得 育児 飼いゆ 野良ゆ 子ゆ 愛護人間 うんしー まだ半分ぐらい。全四回ぐらいになりそうな…… 過去作 anko1548(前)/1744-5(中)/2170-1(後) 『よわいものいじめはゆっくりできないよ!』 anko2263-4『ゆっくりいじめはゆっくりできるね!』 anko2424-5『かけがえのないいのちなんだよ!』 anko2889『いっしょにゆっくりしていってね!』 anko3521『ゆっくりつかいすてていってね!』 anko3542『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』1 『おちびちゃんはとってもかわいいんだよ!』2 「ゆっくち!!ゆっくち!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!」 「ゆゆ~ん!!きょうもおちびちゃんたちはゆっくりしてるよぉ~~!!」 ゆっくり達の間の抜けた声が家中に響く。 それぞれ「ゆっくち」と「ときゃいは」を壊れたラジオのようにひたすら連呼しながら、 赤れいむと赤ありすはそこらじゅうをずりずりと這い回る。 まだぴょんぴょんと飛び跳ねられるほど成長はしていない。 身体の大きさに反比例するのかどうか、ゆっくりは子供になるほど声が大きく、キンキン甲高い。 声も耳触りだが、それ以上に辟易するのはその汚さだ。 前述したように赤ゆっくりは顔中を涎まみれにし、這い回りながら平気でしーしーとうんうんを垂れ流す。 そのおかげで赤ゆっくりの通った床はべたべたして不快極まりない。 タオルを敷き詰めたゆっくりハウス近辺ならまだいいが、 身体が弱いくせに好奇心は人間以上の赤ゆっくり共は部屋中を回ろうという勢いで動き回る。 当てずっぽうに這いまわっているようでいながら、その這う方向は常に外側へ外側へと向かい、 明確に行動範囲を広げる意思が見てとれた。 そんな物体を眺めながら、れいむとありすは「ゆゆぅぅ~~~ん」と目を細めている。 可愛くて可愛くてしょうがないらしい。 「ちょっと!!」 私の怒鳴り声にびくっと身をすくめる両親。 おずおずと私のほうを見上げてくるが、その目には怯えとともに「またか」といううんざりした色が混じっている。 うんざりしているのはこちらだ、思わず声を荒げる。 「子供を好き勝手に動き回らせるなって言ってるでしょ!?べたべたべったべた汚いのよ!!」 「ゆゆぅ、ごめんなさい、おねえさん……」 「何回も言ってるわよね?そのたびにあなたたち謝ってるけど、ちっとも努力してるように見えないんだけど!」 「ごめんなさい、ありすがよくいってきかせるから……」 「だから毎回それ言ってるけど、何をどう言って聞かせてるのよ。ちょっとやってみせてよ、今すぐ」 「ゆぅ……」 互いに視線を交わしてから、不貞腐れたようにずーりずーりと子供の元へ這ってゆくれいむ達。 「ゆゆ、おちびちゃんたち、おかあさんのところへきてね!!」 「ままのそばでゆっくりしましょうね!!」 「ゆわーい!!ゆっくち!!」 「ときゃいは!!」 両親の呼びかけに目を輝かせ、もみあげや髪をわさわさと波打たせる赤ゆっくり達。 はずみでしーしーが漏れた。なにかに反応するたびに小便を垂れ流す。 「さ、ぺーろぺーろしてあげるわ。じっとしてて」 「みゃみゃ、ぺーろぺーろ!!ときゃいは!!ゆきゃきゃきゃっ!!」 「おきゃーしゃんゆっくちー!!しゅーりしゅーりちてー!!」 「ゆゆ~ん!!おちびちゃん、すーりすーり!!かわいいよぉぉ~~!!」 いちゃいちゃと乳繰り合うばかりでいつまでたっても注意しようとしない。 いらいらしながら例の脅し文句を出す。 「家の中を汚すようなゆっくりは処分するわよ?」 「ゆー………ね、おちびちゃんたち、あんまりうごきまわっちゃだめよ?おねえさんがこまっちゃうからね」 「ときゃいは!!ときゃいは!!」 「おかあさんのそばからはなれないでね!!ずっといっしょにゆっくりしようね!!」 「ゆっくちりきゃいちたよ!!ゆっくちーっ!!」 「ゆゆぅぅぅ~~~ん!!とってもすなおでききわけがいいこだよおおぉぉ~~~~!!」 「あなたたちならとってもとかいはなれでぃになれるわよぉ!!」 「ゆーっ!!ときゃいは!!れでぃ!!ときゃいは!!」 相好を崩す両親だったが、傍から見れば全く叱っていないし、子供もまるでわかっていない。 ただ自分が褒められているらしい言葉や自分をゆっくりさせる言葉にだけ敏感に反応しているだけだ。 ことに赤ありすの反応はひどい。ただときゃいはときゃいは連呼してるだけにしか見えないが、足りないのだろうか? 私のほうは、もうなんかいろいろと後悔していた。 ともかく、「処分する」という脅し文句を気軽に使いすぎた。 この子育て体験学習が始まってから私はひっきりなしに迷惑をかけられ通しで、 そのたびに「きちんと育てられないなら処分する」と言い続けてきたのだが、 何回も繰り返した結果、「本気で言ってるわけじゃない」と思われたようだ。 すっかり当初の危機感は薄れ、私の怒りは適当にあしらってすませようという腹の底がありありと見えた。 「とにかく汚れた床は掃除しときなさいよ!」 濡れ雑巾を床に投げつけ、私はソファに身を投げ出した。 それを舌で取り、こちらをちらりと一瞥してからありすが「ごーし、ごーし」と床を拭き始める。 ゆっくりにとっての掃除といったら舌でぺーろぺーろと舐めることだが、砂糖水をさらに塗りたくられても困る。 だから雑巾の使い方は教えてある。 とはいえゆっくりの掃除などたかが知れたもので、あとで私が仕上げしなければならないのが腹立たしい。 一方、れいむの方は赤ゆっくり二匹を頭に載せてゆっくりハウスに引っ込んでしまった。 「おしょらをとんでりゅみちゃい!!」「ゆきゃーっ、ゆーっ!!」「ときゃいは!!」などと叫び声は絶えなかった。 子育て体験学習を始めてから四日が過ぎた。 そして今れいむたちはといえば、まったく育てていなかった。ただ一緒になって遊んでいるだけだ。 限界だ、と思った。 この二匹が、飼いゆっくりとしてまともにやっていけるように子供を育てられる目算はゼロだ。 そのため処分しなければならないが、二匹が自分の無能さを納得できるように、最後のチャンスを与えなければならない。 ―――――――― 子供が生まれてから二日と少しの間は、ひっきりなしに食事を求めて泣きわめく赤ゆっくりの世話に追われ、 両親はげっそりと疲れていた。 自分たち親を無視して、ただ出される食事とだけ向かい合う赤ゆっくりに対し、 愛情と意欲を保てるかどうかが最初の瀬戸際だったと言っていい。 凡百のゆっくりなら「おやをゆっくりさせないげす」ということで潰しているケースだろう。 その点については、結果から言うと難なくクリアできた。 飼いゆっくりとしての素養が下地にあったからだろうが、 赤ゆっくりがわずかずつ成長し、両親との対話をするようになる段階まで、れいむとありすは子供を潰さずに堪えきった。 れいむとありすの、子を思う愛情は本物だったわけである。 しかし、愛情だけがあっても分別がなければ教育は成立しない。その分別が、れいむとありすには欠けていた。 それはつまり、最悪のケースだということであった。 「しゅーりしゅーり!!しゅーりしゅーり!!」 「ゆうううぅぅおちびちゃんっ!!すーり、すーり!!すーりすーりいぃぃ!!かわいいよおおぉぉぉぉ!!!」 「さ、おちびちゃん、とかいはなれでぃとしてみだしなみをととのえましょうね!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!ゆっくちー!!」 二日と半日を過ぎたあたりで、少し成長した結果親と対話をする余裕ができ、 赤ゆっくり達は積極的に親にすり寄り、すーりすーりをねだるようになった。 一転して可愛げを見せてきた子供たちに、れいむとありすの理性のタガはあっさりと外れた。 可愛い可愛いとわめきながら一日中いちゃいちゃと頬ずりし合っている。 仲睦まじいのは大変結構だが、問題は飼い主の自分に面倒をかけないかどうかなのだ。 その点においては、二匹の子育ては壊滅的だった。 一応、始めの頃はしつけらしき行動を見せることもあったのだ。 「ゆっ、おちびちゃん、むーしゃむーしゃのときにこぼさないようにしようね!!」 「「むーちゃむーちゃ!!むーちゃむーちゃ!!ぱにぇっ!!しゅっげ!!」」 「ゆー、おちびちゃん!おかあさんのおはなしをききましょうね?」 親の話に全く耳を貸さない子供たちに手を焼き、ありすが舌で食事を一旦退けたことがあった。 「ゆ?」「ときゃいは?」 一心不乱に貪っていたゆっくりフードが目の前から消え、赤ゆっくり達は一瞬きょとんと呆けた。 そして、ありすがフードを舌で退けているのに気付くと、ずりずりとそっちの方に這いはじめた。 「ゆっ、おかあさんのおはなしをきいてからたべようね!!」 そう言ってれいむが二匹のゆく手を舌で遮る。 再びきょとんと眼をしばたたかせ、彼方のゆっくりフードと、そこまでの道を遮る二本の舌と両親の顔を交互に見やると、 赤ゆっくりたちはぶるぶるぶるぶると震えだし、そして爆発した。 「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーっ!!」 「どがいばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーー!!」 ありすもれいむも、見ていた私もぎょっとした。 生まれて初めて、自分の欲しいものが手に入らないという状況にぶつかった赤ゆっくり達の癇癪はすさまじかった。 顔中をぐしゃぐしゃにし、歯茎を剥き出し、涙と涎としーしーを撒き散らし、もみあげや髪をばたばた振り回して床を叩いた。 「いじべりゅうううううう!!おがあじゃんがいじべりゅうううううう!!!ゆ゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 「おじゃがじゅいじゃあああああ!!!だべりゅ!!らんぢじゃんだべりゅううううう!!!どぎゃいばああああ!!」 激しくびたんびたんと床の上を跳ねる二匹に、れいむ達と私はしばらく呆然としていたが、 ありすがようやく二匹をなだめにかかった。 「ち、ちがうの!おちびちゃん!!いじめてるんじゃないのよ!! た、ただ、むーしゃむーしゃのまえにままたちのおはなしを………」 「ゆ゛じゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぶう゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 「ごばんじゃん!!ごばんじゃん!!ごばんじゃん!!ごばんじゃん!!ごばんじゃん!!ごばんじゃああああん!!!」 体中をぐんにゃりと歪ませてこの世の終わりのような唸り声を漏らす赤ありす。 狂ったように食事を催促してもみあげをぴこぴこぴこぴこ振り回しキーキー声をはりあげる赤れいむ。 子供たちの狂態に完全に圧倒されてしまった両親は、慌ててゆっくりフードを子供たちの前に押しやった。 「ご、ごめんなさい!!ほら、らんちさんよ、むーしゃむーしゃしてねっ!!」 「「ゆゆっ!!」」 赤ゆっくり達は憑き物が落ちたかのようにぴたりと止まり、すぐに顔中を笑顔にしてがつがつと食事を貪りだした。 両親はそこでふうと息をつき、胸をなでおろしていたが、私の中の不安は募るばかりだった。 赤ゆっくりの反応自体はこれが一番ひどかったのだが、 より決定的だったのが次の一件だった。 そこらをずりずり這い回るようになった赤ゆっくりは、ことのほかティッシュが気に入ったようだった。 床に置いていた私が迂闊だったのだが、二匹の赤ゆっくりはティッシュを見つけると、すぐに引っ張り出して遊びだした。 赤れいむはティッシュが抜けていく感触が面白いらしく、口に咥えて引っ張り出してはそこらに放りだし、すぐに次を咥える。 放りだされたティッシュを赤ありすがかき集め、 「ときゃいは!!こーでぃねーちょ!!」とわめきながらぐしゃぐしゃにしたり破いたりしていた。 始めのうちこそ、両親は「ゆううぅ~~……おちびちゃんゆっくりしてるよおおぉぉ~~……」と喜んでいたが、 私が床をドンと踏みつけると、不承不承動きだした。 どうも私がおちびちゃんの可愛さにやられるのを期待しているふしがあり、私がせかすまで動かない。 ともかく両親は、おちびちゃんを抑えてやめさせようと試みた。 「ゆゆっ、おちびちゃん、ちらかしちゃめっ!だよ!!」 「とかいはなれでぃならこんなことはしないわよね?」 子供の体を押さえ、微笑を浮かべて諭す親に向かって、子供たちはまた爆発した。 食事ほど切迫してはいないようで、前回ほど大声で泣きわめくことはしなかったが、 今回子供たちが見せたのは敵意と害意だった。 「れいみゅをじゃましゅるおきゃーしゃんにぷきゅーしゅるよ!!ぷきゅーっ!!」 「ゆぅううううううぅ!!?」 両親は狼狽した。 ゆっくりの威嚇行動である『ぷくー』は、ゆっくり当人にとっては威嚇行動以上の意味がある。 経験のない赤ゆっくりや妄想の激しいゲスが「まりささまのぷくーでゆっくりしぬんだぜ!!」などと叫ぶケースがあるが、 ぷくーで相手が死ぬか、ないしはダメージを受けると本気で思っているのは珍しいことではないのだ。 そんな赤ゆっくりにぷくーをされるということは、可愛いわが子が自分を殺そうとしているということである。 れいむ達は焦った。 「やべでっ!!やべでねええぇ!!ぞんなごどじだいでええぇぇ!!」 「なんでえええええ!?あんなにながよじがぞくだっだでじょおおおぉぉ!!?」 「ときゃいはにゃこーでぃねーちょをじゃましゅるみゃみゃにゃんかきりゃいだよっ!!」 「「ゆっがーーん!!!」」 わざわざ大声で宣言するほど、両親のショックは大きかった。 赤ありすからもぷくーをされ、そのうえ嫌いとまで言われた。 ぴこぴこをわさわさと震わせ、れいむは泣きながらわが子に詫びた。 「ゆぇええええん!!ごべんで!!ごべんでおぢびぢゃあああん!!」 「おでがいだがらままにぞんなごどいわだいでえええええ!!」 「ゆゆっ!!あそぼうね!!おかあさんといっしょにあそぼうねええ!!」 「ままもいっしょにあそぶわっ!!ままもなかまにいれてちょうだいっ!!」 「「ゆわーいっ!!」」 さっきまで殺そうとしていた両親にそう言われた途端、一転して子供たちはぱぁっと笑顔になって喜び、 家族ぐるみでティッシュを散らかしはじめた。 どうやら、この子供たちは、根っからのゲスというのとは違うらしい。 よくはわからないが、たぶん……さらに厄介な何かだ。 だが、もっと厄介なのは、このれいむとありすだ。 わが子に嫌われているとわかると焦っておたおたし、子供の意を通してしまう。 人の親として、いや違った、ゆっくりの親として最悪に近い性格だった。 その時は、子供たちが眠ってしまってかられいむ達が必死にティッシュを片付け、 私に向かってびたんびたんと土下座で詫びてきた。 そこまではまだ可愛げはあったわけである。 しかし、その件をきっかけに、れいむとありすは実質子供たちの奴隷と化した。 子供たちに嫌われるのを怖れ、その癇癪に怯え、甘い言葉と態度ばかりで接し、ひたすらゆっくりしていると誉めそやす。 子供たちもその気になり、生まれてからずっと自由奔放に振舞っていた。 部屋は散らかり、夜中までわめき声が響き、私のストレスは高まるばかりだったが、 私に促されても、二匹は子供たちに強く出ようとはしなかった。 自由勝手に遊び回る子供たち、それを見ているだけでゆっくりできるれいむとありす。 我慢しているのは私だけだった。 当初の約束などどこ吹く風、れいむとありすは日を追うごとに真剣味を薄めていき、 飼い主の私は適当になだめておけば済むと思っているようだった。 そう、限界だった。 躾け直さなければならない。私はれいむ達の尻を叩くことにした。 ―――――――― 「もう、いいかげんにしなさい!!」 「「ゆゆっ?」」」 床を踏み鳴らして怒鳴りつける。 うんうんとしーしーまみれの汚いタオルをずるずると引きずりながら台所にまで這い出てきた赤ゆっくり達。 仁王立ちの私を見上げ、きょとんと呆けている。 二匹に向かって私はさらに怒鳴った。 「こんなとこまで出てきちゃ駄目でしょ!ハウスに戻って!!」 「ゆっくちぃ~?」 「ときゃいは?」 赤ゆっくり達は言われても全く理解しておらず、首をかしげてゆんゆん揺れている。 「戻りなさい!!」 床を踏み鳴らしてさらに大声を張り上げると、ようやくゆっくりできない雰囲気だけは伝わったようで、 涙目になってぶるぶる震えてから「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」と喚き出した。 「ゆゆっ!!おちびちゃん、だいじょうぶ!?」 そこでありすが駆け寄ってきた。 父親が到着したのを見て、赤ゆっくりはぱっと笑顔を浮かべ、「ゆっくり!!ゆっくり!!」ともみあげを振る。 「あんたたち、ぜんっぜん躾け出来てないじゃないの!!」 「ごめんなさい!!ごめんなさい!!れいむ、おちびちゃんをおねがい!!」 「ゆっ!!おかあさんといっしょにゆっくりしようね、おちびちゃん!!」 怒声を上げる私とゆんゆんはしゃぐ赤ゆっくりの間に割って入り、横目でれいむに指示を送るありす。 れいむがもみあげで子供二匹を引きよせ、そそくさとハウスの方に向かっていく。 もみあげを振りながらスタンバイし、母親に運ばれてゆきゃゆきゃ喜んでいる赤ゆっくりが腹立たしい。 父親が取り残されている剣呑な空気に、まったく興味もわかないのだろうか。 「ちょっと、その子たちこっちに戻しなさい!!」 「ごめんなさい!!ごめんなさい!!あとでありすがいってきかせるわ!!ごめんなさい!!」 毎回この調子だ。 私が怒れば、両親はとにかくその場から子供たちを引き離し、 片方が私をなだめすかし、片方がゆっくりハウスで子供をあやすという形が完成されていた。 徹頭徹尾、ゆっくりできないもの、剣呑な雰囲気には子供を近づけない。 赤ゆっくり達にこれ以上ないほど苛立ってはいたが、同時に哀れだった。 こんな育てられ方をしたゆっくりがどんな一生を送るのか、他人事ながら想像するだけでぞっとする。 この場で殺してしまったほうが慈悲だとさえ思えた。 「もういいわ。処分します」 「ゆーっ!!ごめんなさい!!ありすたちがんばるわ!!ごめんなさい!!」 ありすの謝罪にも、もはや逼迫感は薄い。今回もなだめれば済むと思っているようだ。 しかし今回は違う、私はずかずか歩き出した。 「ゆ~ゆ~ゆっくり~♪……ゆゆっ?」「ゆっ?」「ときゃいは?」 れいむと子供たちが立てこもっているゆっくりハウスの屋根を引き剥がす。ワンタッチで取り外し可。 子供たちに歌を歌っていたれいむが、きょとんと私を見上げる。 私は一切構わず、二匹の赤ゆっくりをひょいと取り上げて、三角コーナー用の小さなビニール袋に詰め込んだ。 「おしょらをとんでりゅみちゃい!!ゆっ!!こーりょ、こーりょ!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!こーりょ、こーりょ!!」 状況がわかっていない赤ゆっくりは、ぶら下げられて揺れるビニール袋の中でゆきゃゆきゃはしゃいでいる。 一方、両親は悲鳴をあげていた。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ーーーーーーーーーっ!!!?」 「どぼじでえええええ!!?がえじで!!おぢびぢゃんがえじでええええええ!!!!」 「処分します。この子たちは加工所に送るわ、こんなんじゃ貰い手もつかないでしょうし」 「がごうじょいや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!?」 どばどば涙を流し、二匹は私の足にぽむぽむ体当たりを繰り返した。 「どぼじで!?どぼじで!?どぼじでがわいいおぢびぢゃんにぞんなごどでぎるどおおおぉ!!? おねえざんはゆっぐじじでだいよ!!おにだよっ!!びどずぎるよおおおお!!!」 「じんじられないっ!!なんで!?おぢびぢゃんががわいずぎるがらじっどじでるのおおお!!? ぎぎわげのないごどいわないでがえじなざいっ!!いながもの!!いながもの!!いながものおおおお!!!」 「約束!!!」 「「ゆ゛っ……!!」」 ぎゃあぎゃあ抗議してくる二匹に向かって、私はぴしゃりと言い放った。 「この子たちを生んで、育てる。それを許すために条件があったわよね? 私とした約束、覚えてるんならここで言ってごらん」 「ゆ…………」 「……お、お、おねえさんが………ゆっくり………」 「大きな声で!」 「!!………お、おねえさんがゆっくりできなくなったら、おちびちゃんを、すてる………」 「わかってるじゃないの。約束通りじゃない、何もおかしくないでしょ。 まさか、おちびちゃんが私をゆっくりさせてたなんて言わないわよねえ?」 「………!!………!!ぞんなっ………ぞんなあああ!!」 「ぼんどうにずでるなんでおぼわないでじょおおおおお!!?」 「信じなかったのはあんたたちの勝手。約束通り捨てるのは私の勝手。 これに懲りたら、次から飼い主との約束は真面目に受け取ることね」 ビニール袋の口をきゅっとねじり、こま結びに固く結わえてしまうと、台所の上に無造作に放り出した。 ゆべっ、と台所に叩きつけられた赤ゆっくりはゆぎゃあゆぎゃあと泣きわめきはじめた。 「ゆああ゛あ゛あ゛!!ないでる!!おぢびぢゃんないでるうううぅうぅ!!」 「泣こうが笑おうがどっちでもいいでしょ、どうせ死ぬんだから」 「びどいいいぃぃ!!おねえざんにはごごろってものがないのおおお!!?」 「それはあんたたちの方でしょ。可哀想だと思わなかったの?この子たち」 「「だんでえええええええ!!!?」」 「こうならないようにする方法はわかってたでしょうが!!」 座り込み、床をばぁんと叩く。びくんと萎縮する二匹に私はたたみかける。 「いい!?飼い主の私に迷惑をかけない、ゆっくりしたゆっくりに育てる。それが条件だったはずよ。 そうならなければ処分される。さあ、処分されないようにするにはどうしたらよかったの!?」 「ゆ………ゆ…………」 「それは…………」 「私がゆっくりできるように躾けることでしょ!?あなたたちがそれをしなかったから駄ゆっくりになった。 あの子たちが駄目になったのも、これから処分されるのも、あなたたちが躾けなかったからよ! なんで躾けようと思わなかったの!?これから死ぬのよ、あの子たち、あなたたちのせいで!!あなたたちが選んだことよ!!」 「ゆ………ゆぅ……ゆぐううぅぅ………だって………ゆううぅ」 「……でも……でも………ゆぅ……でもおおぉぉ………」 目をそらし、言葉を濁している。その表情から、考えていることは手にとるようにわかった。 「おちびちゃんを見せれば飼い主も考えを変える」という楽観的予測は、子供を勝手に作ったときから変わっていなかった。 とにかく、ただ子供をゆっくりさせていれば、その可愛いゆっくりぶりに飼い主もほだされ、処分する気を失うだろう。 頭からそうあてこんで、ゆっくりできない躾なんかやらないでいたのだ。 まあ、それならそれでいい。 毅然として処分すれば、この二匹にもいい勉強になるというものだ。この体験学習に意味はあった。 哀れなのは赤ゆっくりなのだが、 残酷なようだが、スーパーに行けばひと山いくらで食用が売られ、 街中ではあちこちで死体をさらし、毎日のように駆除されているゆっくりである。 ぶっちゃけ、ある程度ドライにならなければゆっくり飼いなどやっていられない。 もともと処分するはずだったものを、れいむ達の躾のために利用し、用が済んだから予定通り捨てるというだけだ。 善行を施してやっている気などなく、ゆっくりを私の癒しのために利用しているのは自覚している。 しかし、街中で卑屈に物乞いをし、飼いゆっくりにしてくれと叫ぶ野良ゆっくりを見ていると、 ゆっくりにとって一生を自由な野良として過ごすほうがいいのか、 それとも飼いゆっくりとして人間に利用されるほうがいいのか判断はつかず、 ゆっくりを利用することに罪悪感はあまり湧かないのが正直なところだ。 そういうわけで、利用価値のない赤ゆっくりはポイさせてもらう。 しかし当然、れいむとありすはしつこく食い下がり、無視する私に向かって慈悲を乞い、無慈悲さを糾弾してきた。 二十分ほどもわめかせたところで、私は最後のニンジンをぶら下げてやった。 「じゃあ、もう一度だけチャンスを与えます」 「「ゆゆっ!!?」」 台所からビニール袋を持ってきて、鋏で口を切り開き、中の赤ゆっくりを二匹の前に転がしてやる。 涙と涎としーしーとうんうんがビニール袋の底の角にたっぷりと溜まっており、思わず「うぇっ」と呻いてしまった。 そんな密封された袋の中でさんざん転げ回ったらしく、赤ゆっくりも全身がびっしょりである。 そんな赤ゆっくりに舌を伸ばし、泣きわめく子供たちを涙目になってぺーろぺーろと舐める両親。 「ゆぅぅうぅうぅんん!!ゆうううううぅぅん!!よがっだ!!よがっだよがっだよがっだよおおぉぉぉ!!」 「べーろべーろ!!べーろべーろ!!いっじょよ!!ずっどずっどずーっどままどいっじょよおおぉぉ!!」 「ゆぎゃあああああああ!!ゆっぎゃあああああああん!!」 「ゆびいいぃい!!ゆびぇええええーーーーっっ!!」 ばぁん、とまた床を叩き、こちらに注目を向けさせる。 「五日後に、銅バッジ試験を受けさせます」 「ゆっ…………」 行きつけのゆっくりショップで、銅バッジ認定試験を受けつけていた。 バッジ試験といってもいろいろあり、銅、銀、金、プラチナとランクが分かれている。 銀や金といったバッジは、正式なゆっくり関連施設で試験が行われ、 ほぼ人間に準ずる権利と責任が与えられるプラチナ試験ともなれば、国立の最高機関主催のもとで年に一回行われるだけだ。 だが、単に「飼いゆっくりです」という印程度の意味しかない銅バッジなら、 マニュアルに従って試験を受けさせたうえで、市井のゆっくりショップ店員が自由に認定していいのだ。 だから、主に飼いゆっくりが生んだ子供を対象に、料金をとって銅バッジ試験を行っているショップは多いのである。 「そこでバッジがもらえるように躾けなさい。 その試験で、銅バッジがもらえなければ、その子たちはアウト。今度こそ処分します。 そうしたくなかったら、死に物狂いで育てることね」 「ゆゆっ!!ゆっくりわかったよ、おねえさん!!」 「ありすたちがぜったいとかいはなれでぃにそだててみせるわっ!!」 「ゆびぇえええぇん!!しゅーりしゅーりちてよおぉぉ!!」 「どぎゃいば!!どびゃいびゃああぁ!!ぺーりょぺーりょちてええぇ!!」 声は威勢がいいが、1ミリも信用できない。 私たちの会話に全く関心を抱かず、ただすーりすーりしろだのぺーろぺーろしろだのとわめく子供たちに応えてやり、 私の話に半分程度しか意識を向けていないれいむとありす。 また床を叩き、こちらに集中させて念を押す。 「わかってる!?その子たちがこれからもゆっくりするか、処分されるか、あなたたち次第なのよ! あなたたちがちゃんと育てればその子たちはゆっくりできる。あなたたちがやらなければ殺される! その子たちを生かすか殺すか、決めるのはあなたたちなのよ!!いいわね!?」 「「ゆっくりりかいしたよっ!!!」」 うん、無理だな。 もちろん、できるわけがないのは十二分に承知なのだ。 しかし今の時点で、こいつらの中では「まだ本気出してない」なのである。 お姉さんが子供を見逃すと思って躾をサボっていた。これでは、「本気でやれば育てられる」という思考の逃げ道を残してしまう。 すでに私の中では、子供を処分した上に去勢を施すことまで決定していた。 それを納得させるためには、「子育て能力が自分たちにはない」ということをつくづく身に染みさせなければならないのだ。 だから真面目にやってもらわねばならない。 本当に、これが最後のチャンスである。 ―――――――― 「それでは、こちらへどうぞ」 「はい」 ゆっくりショップ店員の青年に導かれ、ショップの奥の扉を開ける。 四畳半ほどの部屋には、中心にテーブルと椅子が置かれているほかにはほとんど物はなかったが、 壁には青空と雲、木々や川やゆっくりが描かれ、ゆっくりがリラックスできるような内装になっていた。 「ゆわーい!!ゆっくちできりゅおへやしゃんだよ!!ゆっくち!!ゆっくち!!」 「ときゃいはなこーでぃにぇーちょしゃんだあぁ!!ときゃいは!!ときゃいは!!」 「ゆふふ、おちびちゃんったら」 赤ゆっくり期を抜け、身体ばかりがテニスボール大の子ゆっくりになった二匹がぴょんぴょん跳ねて部屋に入る。 赤ゆっくり特有の舌足らずな発音は全く改善されていない。 両親がゆふふと笑いながらその後についていく。 「えーと……その、おちびちゃん達……ですよね?」 「はい……すみません」 確認してくる店員に、私は顔を赤らめた。 「ゆっ!!おにいさん、おちびちゃんたちをよろしくねっ!!」 「ゆっくりよろしくおねがいしますわ」 「うん、じゃあこっちに来てね」 「「おそらをとんでるみたい!!」」 店員の手に運ばれ、テーブルの上に導かれるれいむ一家。 ゆきゃゆきゃ言いながら跳ね回る子供たちを、両親がテーブルから落ちないように巧みに先回りして動き回るのでせわしない。 「それでは、これから銅バッジ認定試験を始めます。 お兄さんがこれからいくつか質問するから答えてね。いいかい?」 「ゆっくち!!ゆっくち!!」 「ときゃいは!!ときゃいは!!」 子供たちはお兄さんの言葉などまったく耳に入れようともしない。 人間の応対は親の仕事なのであった。 「ゆっくりわかったよ!!」 「わかったわ、おにいさん」 「いや、君たちじゃなくて、おちびちゃんに答えてほしいんだよ」 「れいむたちがかわりにこたえるよっ!!」 「それじゃ、おちびちゃんの試験にならないじゃないか」 「あんたたちは黙ってなさい!」 私にぴしゃりと言われ、不満げに口をつぐむれいむ達。 「それじゃ、試験を始めるよ。いいね?」 「ゆっくちちーちーしゅるよっ!!ゆっくちー!!」 子れいむがテーブルの上で粗相をしてしまった。 顔を真っ赤にして「すみません」とテーブルを拭こうとする私を制し、店員は笑って言った。 「大丈夫、大丈夫です。よくあることですから。じゃ、始めます」 その後、店員からいくつか質問が行われた。 「君のお姉さんは飼い主かな?それとも奴隷かな?」 「人間さんはゆっくりしているかな?」 「野良のゆっくりが「ずっといっしょにゆっくりしてほしいよ」と言ってきたらどうする?」 「(ゲスと金バッジの写真を見せて)どっちがゆっくりしたゆっくりだと思う?」 ごくごく基本的な質問が繰り返される。 ゆっくりが答えるたびにマニュアルと照らし合わせ、加点式で採点され、一定以上の点数で合格するしくみだ。 至極簡単なうえに、全問正解する必要さえない、実にぬるい試験である。 しかし、事務的に質問を繰り返す青年に対して、子ゆっくり達はほとんど無視を決め込んでいた。 一度など、質問してきた青年に反応して子れいむがじーっと見つめ返したことがあったが、 何が面白いのか「ゆきゃきゃきゃきゃっ!!」と笑いこけ、おまけにうんうんまでひり出した。 「それでは、これで銅バッジ認定試験を終わります」 認定試験は終わってしまった。 ついに、子ゆっくり達はただの一度も答えられなかった。 しまいには、子れいむがテーブルの上に伸びをして起き上がり、 「きょきょをれいみゅのゆっくちぷれいしゅにしゅるよっ!!」と叫んだ。 バッジ認定試験中のおうち宣言。論外もいいところである。 こうなることはわかりきっていたのだ。 「五日後にバッジ試験を受けさせる」との宣言を受けてからも、れいむとありすはなぜか子供たちを躾けようとしなかった。 まったく叱らず、自由放埓に振る舞わせ、部屋を汚すに任せていた。 完全に諦めて、最後の日々を噛みしめることにしたのだろうか? それともあくまで私が本気ではないと考えているのか? 何を考えていたのか、それがここで明かされることになる。 「試験結果ですが、残念ながらこの子たちは………」 「ゆっ!!おにいさん、ゆっくりまってねっ!!」 「あせってこたえをだすのはいなかものよっ!!」 店員の言葉を遮り、れいむとありすが声をあげた。 子供たちの側に駆け寄り、私と店員の顔をゆっくりと見渡すと、子供たちの上でもみあげを広げてれいむが言った。 「ゆっくりおちびちゃんをみてみてねっ!!」 「え、さっきから見てるけど……」 「ううん、よけいなことをかんがえないで。すなおになって、ゆっくりしたまっさらなきもちで、よくみるのよ」 れいむとありすが指し示す中、子ゆっくり達は自分で宣言したゆっくりプレイスで「ゆぴぃ……ゆぴぃ……」と眠りこけ、 相も変わらず涎としーしーを垂れ流している。 全員でその子ゆっくりを見つめたまま、しばらくの間沈黙が流れた。よく見るとれいむとありすがぷるぷると震えていた。 やがて、目に涙さえ浮かべたありすが、私と店員の顔をたっぷり時間をかけながら見渡して、こう言った。 「……………ゆっくりしてるでしょう?」 あっ、と思った。 こいつら、ポンコツになってしまっている。 「ゆゆーっ!!そうだよっ!!れいむとありすのおちびちゃんは、とってもゆっくりしてるんだよおぉ!!」 ポンコツれいむが、やはり感極まって涙を流しながら叫んだ。 「れいむ、わかったんだよ!! おちびちゃんをみてるうちに、ほんとうのゆっくりがなにかをわすれていたことにきがついたんだよっ!! むーしゃむーしゃでこぼさないとか、うんうんさんをきまったばしょでするとか、よるさんはおおきなこえをださないとか…… そんなことより、もっともっとたいせつなことがあるのをわすれていたよっ!!」 「たしかに、とかいはなおぎょうぎもたいせつなことよ。 でも……でも、それをみがくために、ほんとうにゆっくりしたことがなにか、みんなわすれていってしまう。 じゆうにふるまうおちびちゃんたちは、たしかに、おぎょうぎがわるいかもしれない。 でも………でも!!おとなたちに、にんげんさんに、こんなにゆっくりしたおかおができる!? こんなにゆっくりしたこえで、ゆっくりとふるまうことができる!? これこそ、ほんとうのゆっくりだわ!!ありすたちは、しんじつのゆっくりをみうしなっていたのよ!!」 「……どうばっじさんはらくっだいっかもしれないね。おちびちゃんたち、おぎょうぎがわるかったもんね。 でも、でも!!れいむたちのおちびちゃんはとってもゆっくりしてるよっ!!それだけでじゅうぶんだよっ!! ばっじさんなんかなくても、れいむたちのおちびちゃんはせかいいちゆっくりしたおちびちゃんなんだよおおおぉ!!」 王様は裸だとでも暴いたつもりでいるらしく、真実に到達した昂揚感を顔中にたたえて、 れいむ達は両のもみあげを大きく広げながらぷるぷるぷるぷるいつまでも震え続けていた。 ―――――――― 「ゆっくち!!ゆっくち!!」「ときゃいは!!ときゃいは!!」 「ゆふふ、ゆっくり!!ゆっくり!!」「みんなとかいはねっ!!」 ゆっくり達の鳴き声が車内にやかましく響いている。 ゆっくりショップを後にして、私のれいむ達はいよいよテンションを上げていた。 バッジ試験は当然落第である。 ショップを出てから、私は一言も喋らなかった。 そのことにも関心を抱かず、一家は家族でゆきゃゆきゃ盛り上がっている。 「ゆぅーん!!おにゃかしゅいちゃぁ!!」 「ときゃいは!!らんちしゃんたべりゅ!!」 「ゆゆっ、そうだね。しけんさんたいへんだったもんね!!おちびちゃんたち、よくがんばったね!!」 「おねえさん、ごはんさんにしましょう!! きょうはゆっくりできるきねんびさんだから、ごうかならんちさんがいいんじゃないかしら?」 なんの記念日だバカ。 「ゆゆっ!!そうだね!!とってもだいじなことがわかった、たいっせつっなきねんびさんだからね!! たくっさんっのごちそうさんでおいわいしようね!!ね、おねえさん!!」 「いいわよ。おちびちゃんにとっては最後のごはんさんだしね」 「「ゆぇっ?」」 後部座席で頓狂な声をあげるれいむとありすに、私は前方を見据えたまま淡々と告げた。 「おちびちゃんはこれから約束通り処分します。 躾けなかったんだから、あなたたちも文句ないわよね。おちびちゃんが殺されるほうを選んだんだもんね」 「「ゆ゛っえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!?」」 悲鳴をあげる二匹。もはやどうでもいい。 「なんでえええええええ!!?わかってくれたんじゃないのおおおおおお!!?」 「誰がいつわかったって言ったのよ……」 「おちびちゃんはこんなにゆっくりしてるのよおおおおおおお!!!?」 「私は?」 「「ゆっ?」」 「私がゆっくりしてないのはなんで?ゆっくりできるおちびちゃんのはずでしょう」 「おねえざんがずなおにおぢびぢゃんをみようどじないがらでじょおおおおお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 それが本心か。 こうなっては宗教と同じである。 互いに信仰が違う同士でぶつかり合うなら、議論は成立しない。戦争しかない。歴史が証明する真理だ。 結局、私が飼い主として未熟だったということになるようだ。 子供を作った時点で、まだ取り返しがつくと思ってしまった。 しかし、愛しいおちびちゃんを見ているうちに、れいむ達の中で、 それまでの躾で植え付けてきた飼いゆっくりとしての教養はすべて排斥されてしまった。 「飼いゆっくりにうかつに子供を作らせるな」の定石を、理屈はわかっていながら、私は遵守できなかったわけである。 つくづく買いかぶっていた。 銀バッジも取れ、聞き分けのいいゆっくりだと思っていたが、「おちびちゃん」がれいむとありすのスイッチだったようだ。 考えなしの従順さを賢さと取り違えてしまうという初歩的なミスを侵してしまったようだ。 最初から去勢済みを選んでおかなかったのも敗因か。 れいむとありすは、飼いゆっくりとしてはポンコツになってしまった。 ゆっくりとしての価値観のみですべてを計り、飼いゆっくりとしての処世術はかなぐり捨てられた。 飼いゆっくりでなく、本能で動く「まともなゆっくり」として生きるなら、 それはつまり人間の立場から言えば「害獣になる」という選択である。 であれば、れいむ達がこの結論に達した時点で子供もろともすべて潰すのが筋だろう。 だが、れいむ達への愛情は薄れかけていたが、それでもまだたしかに私の中に情はあった。 そして、躾に失敗したからといって、まがりなりにも飼った生き物を殺すという短絡的な選択を自分に許したくはなかった。 れいむ達はこれからも飼い続ける。去勢はする。 適度にあまあまと鞭を段階的に使い分ければ、再びなつかせられる可能性も決して低くはない。 今回のことは、結局私自身の経験として受け止めなければいけないだろう。 しかしともかく、子ゆっくり共は潰す。この二匹は私が飼ったわけではなく、れいむとありすが条件つきで飼ったペットだからだ。 胸に苦いものは残るが、やはり四匹も飼う余裕はない。最近寝不足なのだ。 「やべで!!やべでええええ!!ずでだいでえええええぇぇ!!!」 「ゆっぐりがんがえなおじでよおおおぉぉ!!どうじでぞんなにわがらずやなのおおおぉぉ!!?」 「ゆびぇええええええん!!おにゃがじゅいぢゃああああ!!!」 「らんぢじゃあああああぁん!!どぎゃいば!!どぎゃいばあああぁぁ!!」 ゆぎゃあゆぎゃあ騒ぎ立てるゆっくり達の声を聞き流し、私はスーパーの前で車を停めた。 「それじゃ、最後のごはんを買ってくるから。豪華なのを食べさせてあげるわよ」 「「ざいごのごばんざんじゃないでじょおおおおぉぉ!!?」」 わめくゆっくりを車の中に残し、私はスーパーの中に入った。 買い物を済ませて帰ってきた時には、車の中にゆっくり達の姿はなかった。 後部座席に残っていたのは、むしり取られたれいむとありすの銀バッジ、そして子ゆっくりのうんうんとしーしーの跡だけだった。 他のペットと同じく、夏場に密閉された車内にゆっくりを放置するのは脱水症状の危険がある。 そのために窓を少し開けていたのだが、その隙間によじ登り、身体を潜り込ませて脱出したらしい。 鍵はかけてあったので盗難の線は薄い。 「れいむ!!ありす!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 人目もあって恥ずかしかったが、大声で呼ばわり、探し回った。 むしゃくしゃした気分を発散させたかったこともあり、買い物には三十分以上もかけてしまった。 いつ脱出し、どこまで行ったものか。 二十分ほどかけて探した時点で、ようやく「ゆっくりしていってね!!」の反応が聞こえてきた。 意外なところにいた。 高台にあるスーパーを囲む金網に遮られた向こう、草生の広がる斜面のはるか下に、れいむ達一家の姿があった。 動きの遅いゆっくりがあそこまで回りこむにはそうとうな時間が必要に思われたが、 どうやら斜面に沿って通る排水溝の中に潜り込んで金網のこちら側から向こう側に抜けていったようだ。 私は大声を張り上げて呼びかけた。 「何してるの!?れいむ、ありす!!戻ってきなさい!!」 「いやだよっ!!おちびちゃんをころそうとするげすなおねえさんのところにはかえらないよっ!!」 「ありすたちはかいゆっくりをやめることにしたのっ!!」 キンキンよく通る声で、れいむ達が返答を返してきた。やはり家出か。 「れいむはかわいいおちびちゃんたちがだいじだよっ!! おねえさんもすきだったけど、おちびちゃんのことはもっともっとだいすきなんだよっ!!れいむはおかあさんなんだよ!!」 「おねえさんっ!!おねえさんとわかりあえなかったこと、とってもざんねんだわ!! おねえさんがすなおになって、おちびちゃんをただしくあいすることができるようになったら、きっとまたあいましょう!! いまは、だめよ!!いまのおねえさんははなしがつうじるじょうったいっじゃないわ!!しかたがないことなの、わかって!!」 「あんたたち、飼いゆっくりをやめて野良になるのがどういうことかわかってるの!? 野良ゆっくりは今までも沢山見てきたでしょう!!あんなふうになりたいの!?」 「ゆっ!!かくごさんはできてるよっ!!のらゆっくりはとってもたいへんなんだよ!! でも、かわいいおちびちゃんたちがいるから、れいむたちはいくらでもがんばれるよっ!!」 「しんじつのゆっくりをみつけたわたしたちなら、なにもこわくないわ!! しんぱいしないで、おねえさん!!ほんとうにゆっくりしたゆっくりのつよさをみせてあげる!! それじゃ、またいつかあいましょう!!そのときは、おねえさんもおちびちゃんをかわいがってあげてねっ!!」 「「ゆっくりしていってねっ!!おねえさん!!」」 それを最後に跳ねてゆき、すぐにれいむ達は家々の隙間に潜り込んで見えなくなった。 私はいろいろと脱力してしまい、その場にゆっくりとへたり込んでしまった。 ―――――――― 「あのれいむが?」 「ゆっ、『ぷれいすおち』してきたのぜ」 やや意外な報告に、ぱちゅりーは片方の眉を上げた。 やれやれといった風情で、報告してきたまりさはちっちっと口に咥えた串を鳴らす。 『ぷれいすおち』とは、飼いゆっくりが野良になることを示す、野良ゆっくり内の俗語である。 人間の庇護=ゆっくりプレイスを追われて野良になったゆっくりは、まず、居心地のよさそうなこの公園に寄ってくるのが普通だ。 「むきゅう、ちょっといがいね。あのれいむはかいぬしとなかがよさそうにみえたけど。 あのかいぬしも、そうそうゆっくりをすてるてあいにはみえなかったけどね」 「じぶんでおちてきたのぜ」 「むきゅ……ああ、そう……」 飼い主に追い出されるか、自分で出てきたかでは、『ぷれいすおち』に対する野良の印象は違う。 飼い主の心証を害するのは飼いゆっくりとしてのルールに抵触するということであり、野良にとっては関係のない問題だ。 しかし、自分から飼いゆっくりよりも野良になることを望むということは、 気ままな野良生活に憧れを抱き、美化してしまっているということである。そういう手合いは面倒なのだ。 「で、このむれにいれてほしいっていってきたのぜ。どうするのぜ?」 「まあ、ことわるりゆうもないけど……きがおもいわね。あのれいむを、のらとしてむかえいれるのは」 ここは、大きな公園に作られたゆっくりの群れであった。 ぱちゅりーは群れの長であり、木串を口に咥えた傷だらけのまりさは副長のような位置にいる。 この公園は、件のれいむが飼い主との散歩でよく通り道にしていた場所だった。 寂しがりらしく、れいむはここにたむろする野良と話をしたがり、 飼い主に隠れて口に隠してきたあまあまを分けてくれることもあった。 もともと群れを作るくらいで統制はとれており、人間に飼われたゆっくりに手を出さない分別はあった。 ましてあまあまを持ってくるならVIP待遇である。 飼いゆっくりの施しに反感を持つ者、あまあまが欲しいだけの者、単純にれいむと友好を深めたい者、別にどうでもいい者、 思惑はいろいろだったが、ともかくそれぞれ、れいむに対し適当に応対できていた。 世間知らずな子供だとは思っていたが、ぱちゅりー個人としてはれいむは嫌いではなかった。 そのれいむが、野良の世界に入ってくる。 あまあま供給者として手厚く遇されてきた過去から、歓迎されるだろうとあてこんでいるのは想像できた。 気の重い新入りなのだった。 「ゆ、つがいのありすとおちびちゃんもぶらさげてきたのぜ。まりさはまだおちびちゃんはみてないけど」 「ああ~、そう……」 重い腰を上げ、ぱちゅりーはブルーシートの覆いをかき分けながら、ダンボールの家から出た。 「ゆ、おさ、ちょうしはだいじょうぶ?」 「ゆっ、おさ、こっちだよ」 「むきゅ、ありがとう」 串まりさを従え、広場に集まっている群れ仲間に案内されて、ぱちゅりーは公園の入り口に着いた。 「ゆっ!!おさ、ゆっくりしていってねっ!!げんきにしてた!?」 「むきゅ。ゆっくりしていってね」 ぱちゅりーは挨拶を返すと、もみあげをぴこぴこと振りながら満面の笑顔を向けてくるれいむから目をそらし、 その傍らにいるありすに声をかけた。 「そちらは、れいむのおよめさん?」 「ありすよ。どうぞ、ゆっくりよろしくね」 「ゆーっ!ありすはおよめさんじゃなくておむこさんだよっ!!ぷんぷん!!」 「ああそう、ごめんなさいね」 「ゆっくりゆるしてあげるよっ!!これからよろしくね、おさ!!」 完全に群れに入った気になっているれいむに、ぱちゅりーは質問を重ねた。 「まず、かぞくこうっせいをかくにんさせてちょうだい。おちびちゃんがいるんでしょう?」 「ゆゆっ!そうだね!!おさがきたから、みんなにしょうかいするよっ!! れいむのじまんのおちびちゃんをみてみんなでゆっくりしていってねっ!!」 それまで背後に隠していた子供を、れいむはもみあげで持ち上げ、群れの前に差し出してきた。 「「おしょらをとんでりゅみちゃい!!」」 その子れいむと子まりさは、身体はむしろ子ゆっくりとしては大きめだったが、 その叫び声は完全に生まれた直後の赤ゆっくりそのものだった。 れいむのもみあげに支えられながら、自分たちを取り囲む群れの視線を見渡し、 子ゆっくり達は「ゆぅ?ゆぅー」「ときゃいは!!ときゃいは!!」と落ち着きなくもみあげをぱたぱた動かしている。 その口からは涎が、まむまむからはしーしーがだらしなく垂れ流されていた。 ぱちゅりーの背後で、串まりさが咥えていた木串をぱたりと取り落とす音が聞こえた。 「………なに、これ……」 「れいむとありすの、かわいいかわいいたからものだよぉっ!!」 思わず漏らしたぱちゅりーの声に、れいむが胸を張って応える。 「ゆゆっ!!きゃわいいれいみゅがしゅーぱーうんうんしゅるよっ!!ちゅっきりー!!」 「ときゃいはちゅっきりーっ!!」 衆目の中で、二匹の宝物は、ぶりんぶりんと尻を振りながらうんうんをひりだした。 ずりずり、と群れのゆっくりが後ずさる音が響く。 わざわざ撒き散らすかのようにあちこちに飛び散るうんうんを見ながら、 ぱちゅりーの眉に刻まれた皺はマリアナ海溝のように深くなっていくのだった。 〔続〕 挿絵: