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ちくたくコンチェルト 作曲者 龍獣楽団 属性 ポピュラー BRONZE SILVER GOLD PLATINUM 難易度 2 6 7 10 消費CP 3 6 9 13 ノーツ数 121 366 497 718 BPM 60~140 攻略・解説 楽曲について ちくたくコンチェルト(アプリ)のテーマ曲。このアプリのリリース時から遊べる初期曲 ユーザー登録を済ませた際にプレゼントでもらえる(シンフォニア以降要検証) 譜面について 全ての譜面において最後のパッポーに注意 また曲が3分くらいと長いため集中力が切れないように注意 シンフォニアにて金譜面が降格した プレイ動画など ゴールド コメント ゴールド譜面では、動画2 26のところでミスすることが多いので要練習です。 -- 名無し (2016-08-02 13 26 54) 名前 コメント
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ギルドプラントについて 他ギルド様では定期的に収穫をしているかと思いますが、 ちくわっちょでは多分不定期になると思います。 収穫日は成長後に郵便で希望日を聞きます。 なるべく全員で収穫をしたいと思っています。 肥料はギルドメンバー全員でご協力お願いします。 肥料について 肥料はギルドルームのシュブールさんから買えます。 1つ70万と結構高いので、お金に余裕が無い場合は 無理して購入する必要はないと思います。 肥料を買ったら、ギルドプラントの苗に話しかけ、 肥料をウィンドウにドラッグしましょう。 多分これで肥料をあげることができます。
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テツヤ ◆本名 テツヤ (てつや) ◆基本ステータス 現年齢17歳 身長178cm 体重69kg ◆職業 プリースト ◆性格 いけずで、粗暴。めんどくさがりで、割と無口。アウトローで、世間を斜に見る傾向があるが…実は情に厚かったり、妙なところで面倒見がよかったりする。本人だけがまったくもって無自覚ないい人。 ◆外見特徴 マジデフォ黒髪。アメジストの瞳 ◆家族構成 弟…ユリイカ(ゆりいか・ちんちくりんローグ) 【Chaos】 ● バックグラウンド プリーストのくせに無神論者。 バトルスタイルは打撃…というよりストリートファイト系。武器は問わない。殴りやすければ何でもいいらしい。 彼がわかる範囲の親族や先祖はみんなシーフ系の冒険者。特に、祖父と父親は裏の世界では名の通ったアサシンだった。ちなみに母親はローグ。世界をまたにかけたトレジャーハンターだったようだ。 プリーストになったのは、病に倒れた祖父の介護を教会側が全面的に看るための条件。神に仕えることで、一族が積み重ねてきた罪を償うというのが狙いらしいが…本人にはまったくその自覚はない。 ローグの弟が居る。本人的には可愛がっているつもりらしいが、肝心の弟からは鬼呼ばわりである。 特技はピッキング。咥えタバコで、ほとんどの鍵を開けてしまう。
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サブタイトルの意味 牡丹(三ノ輪銀)の花言葉。 あらすじ 勇者に選ばれてから1ヶ月が経過し、友奈たちは忙しい日々を送っていた。 セリフ集 御霊の妨害 +折りたたみ 東郷美森 ガス? 結城友奈 うわっ、何これ!? 犬吠埼樹 見えない~! 三好夏凜 そんな目くらまし!気配で見えてんのよ! ちんちくりん +折りたたみ 結城友奈 あの~。 三好夏凜 何よちんちくりん。 結城友奈 ちん? 夏凜の転校の扱い +折りたたみ 担任 三好さんは、ご両親の都合でこちらに引っ越してきたのよね? 三好夏凜 はい。 担任 編入試験もほぼ満点だったんですよ。 三好夏凜 いえ。 完成型勇者 +折りたたみ 東郷美森 なぜ今このタイミングで?どうして最初から来てくれなかったんですか? 三好夏凜 私だってすぐに出撃したかったわよ。 三好夏凜 でも大赦は、二重三重に万全を期しているの。 三好夏凜 最強の勇者を完成させるためにね。 東郷美森 最強の勇者? 三好夏凜 そっ。あなたたち先遣隊の戦闘データを得て、完璧に調整された完成型勇者、それが私。 三好夏凜 私の勇者システムは、対バーテックス用に最新の改良を施されているわ。 三好夏凜 そのうえ、あなたたちトーシロとは違って、戦闘のための訓練を長年受けてきている! 精霊について +折りたたみ 義輝 ゲドーメ 結城友奈 外道じゃないよ、牛鬼だよ。 結城友奈 ちょっと食いしん坊君なんだよね。 三好夏凜 じ…自分の精霊のしつけもできないようじゃ、やっぱりトーシロね! 東郷美森 牛鬼にかじられてしまうから、みんな精霊を出しておけないの。 三好夏凜 じゃあそいつを引っ込めなさいよ! 結城友奈 この子勝手に出てきちゃうんだ。 結城友奈 はあっ!?あんたのシステム壊れてんじゃないの!? 義輝 ゲドーメ 結城友奈 そういえば、この子しゃべれるんだね。 三好夏凜 ええ。私の能力にふさわしい、強力な精霊よ。 結城友奈 あっ、でも東郷さんには3匹いるよ。 夏凜のタロット結果 +折りたたみ 犬吠埼樹 あっ、どうしよう。夏凜さん! 三好夏凜 今度は何よ!? 犬吠埼樹 夏凜さん死神のカード…。 三好夏凜 勝手に占って不吉なレッテル貼らないでくれる!? 煮干しの栄養素 +折りたたみ 三好夏凜 何よ?ビタミン・ミネラル・カルシウム・タウリン・EPA・DHA…煮干しは完全食よ! ぼた餅 +折りたたみ 東郷美森 じゃあ、私のぼた餅と交換しましょう。 三好夏凜 何それ? 東郷美森 さっき、家庭科の授業で。 結城友奈 東郷さんはお菓子作りの天才なんだよ。 夏凜の説明(バーテックスの出現周期と満開) +折りたたみ 三好夏凜 いい?バーテックスの出現は、周期的なものと考えられていたけど、相当に乱れてる。 三好夏凜 これは異常事態よ。 三好夏凜 帳尻を合わせるため、今後は相当な混戦が予想されるわ。 東郷美森 確かに。1か月前も複数体出現したりしましたしね。 三好夏凜 私ならどんな事態にでも対処できるけど、あなたたちは気をつけなさい。命を落とすわよ。 三好夏凜 ほかに、戦闘経験値をためることで、勇者はレベルが上がり、より強くなる。 三好夏凜 それを、満開と呼んでいるわ。 結城友奈 そうだったんだ。 東郷美森 アプリの説明にも書いてあるよ。 結城友奈 そうなんだ! 三好夏凜 うぅ~。 三好夏凜 ま…満開を繰り返すことで、より強力になる。 三好夏凜 これが大赦の勇者システム。 結城友奈 へえ~すご~い! 東郷美森 三好さんは、満開経験済みなんですか? 三好夏凜 うっ…いや、まだ。 犬吠埼風 な~んだ。あんたもレベル1なんじゃ私たちと変わりないじゃない。 三好夏凜 きっ、基礎戦闘力が桁違いに違うわよ!一緒にしないでもらえる!? 犬吠埼風 そこは私たちも努力しだいってことね。 勇者部五箇条 +折りたたみ 結城友奈 なせば大抵なんとかなる! 三好夏凜 ん?何それ? 結城友奈 勇者部五箇条。大丈夫だよ、みんなで力を合わせれば、大抵なんとかなるよ。 三好夏凜 「なるべく」とか「なんとか」とか、あんたたちらしい見通しの甘いふわっとしたスローガンね。 三好夏凜 まったく。もう…。私の中で諦めがついたわ。 演劇決定 +折りたたみ 結城友奈 え~っと、勇者部の予定と、私たちの遊びの予定…。 三好夏凜 勝手に書き込まないで! 結城友奈 勇者部は土日にいろいろ活動があるんだよ。 犬吠埼風 忙しくなるわよ~。 三好夏凜 勝手に忙しくするな! 結城友奈 そうだよ、忙しいよ。 結城友奈 文化祭でやる演劇の練習とかもあるし。 犬吠埼樹 えっ? 結城友奈 へっ? 東郷美森 演劇? 結城友奈 あれ? 犬吠埼樹 いつ決まったんですか? 結城友奈 あれれ?もしかして、私の中の勝手なアイデアを口走っちゃっただけかも。 三好夏凜 バカなの? 犬吠埼風 いいね~、演劇。 4人 へっ? 犬吠埼風 決まり!今年の文化祭の出し物は、演劇でいきましょう! 次回予告 +折りたたみ 結城友奈 にぼっしーちゃん 結城友奈 この歌知ってる? 三好夏凜 マイクをよこしなさい 犬吠埼風 今日もかわいいぞ 犬吠埼樹 アルファ波… 東郷美森 妖怪? 犬吠埼風 私の『理由』なのよ 犬吠埼樹 『理由』なんて何もない…
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私が学校から帰ってくると、部屋のど真ん中にゆっくりがいた。 「じょうしきにとられれてはいけません!!!!」 ――――――――――――――――――――――――― まぁ、紆余曲折あって常識に囚われないさなえは私の飼いゆっくりになったんだ。 私はそれまでゆっくりは甘い物しか食べれないのだと思っていたのだけれど、この子のお陰で常識に囚われなくて済んだよ。 ゆっくりでも辛かったりするのが好きな個体もいるんだね。 このさなえは自ら好んで刺激物やら普通のゆっくりが食べない物を摂取したがる修正があるようで、食事の時はもっぱら私と同じ物を食べさせる。 ある時はゴーヤチャンプルー、又ある時はワサビの入ったお寿司。 不思議だ。 普通ゴーヤをゆっくりが食べれば苦くて吐き出すし、ワサビなんて以ての外。 食生活がめちゃくちゃゆっくりらしくない。 一度病気なのかと思って医者に診てもらったら、そう言うものですって言われてかえされちゃった。 とにかくまぁ、こんなさなえがある時散歩に行きたいって言い始めたんだ。 もちろん私としては断る理由なんてないし、良い運動になるから近くの河川敷に行ったんだ。 さなえのリクエストでお弁当はちょっと変になっちゃったけど。 この話はその時の話。 ちょっと面白かったからよく覚えてるんだ。 ――――――――――――――――――――――――― 「さなえちゃん。行くよー?」 「はい!ですがそのかっこうはじょうしきにとらわれすぎてませんか?もっときばつでめだつかっこうのほうがいいとおもいます!!」 「それだと私が異常に見られるからだめー。」 さなえはいつもこうだ。 私がの服装が変だと言ってなにやら変な格好をさせようとするのだ。 さなえちゃんのリクエストで緑っぽい上着を着てるのだからじゅうぶんでしょ? 「そんなこと言ったらさ、さなえちゃんのその歩き方も常識的すぎて常識に囚われてるんじゃないの?」 私のささやかな反撃。 「た、たしかに・・・・・さなえは・・・じょうしきにとらわれていたんですね・・・・・・・・」 さなえの精神にピンポイントでヒットしたのかさなえがブルブル震えながら動かなくなっちゃったよ。 「あー、・・・歩くのなんてそれ以外ないんだから常識も何も無いね。ごめん。」 とりあえずこういうときは謝るが吉。 この子を抱えて行くだなんて考えられないもの。 「そ、そうですね!!さなえはじょうしきにとらわれているわけではないのですね!!」 「うん、だいじょぶだいじょぶ。さなえちゃんは非常識だよー。」 「・・・・・・・なんだか、とおまわりにけなされたきがします。」 「気のせい気のせい。さ、あの河川敷まで競争だっ!」 答えにくい質問がきたら誤魔化す。それが私くおりてぃー。 ――――――――――――――――――――――――― しばらく歩けば腹が減ってくるのは自然の摂理だ。 「さなえちゃん。そこのベンチでご飯食べよっか。」 だがしかしさなえはそんな自然の摂理すらも飛び出そうとするのだ。 「じょうしきにとらわれすぎてます!!おなかがすいたからたべるというのもそうですが、なぜすわってたべるのですか!?」 面倒な奴である。 「そうか、ならさなえは飯いらないのか。」 そう言って一人だけベンチに座り持ってきたおにぎりを食べ始める私。 「・・・・・・ごめんなさい。」 「分かればよろしい。」 さなえが反省したようなのでベンチに乗せてあげて、鞄からさなえ用のご飯の一つであるゴーヤを取り出してさなえに与える。 「おねーさん!おいしいですね!!」 「そう?ゴーヤ生で食べる奴なんて正直私は引くけど。まぁさなえちゃんは非常識だもんね。」 とまぁこんな感じで何気ない会話を楽しんでいるとアイツがやってくるわけだよ。 「ゆゆ!!そこのくそにんげんはれいむにあまあまちょうだいね!!!ついでにそこのさなえをせいっさいしてあげるよ!!!!かわいくってごめんね!!!!!」 でいぶちゃんである。 「おおー。やっぱり来たか。ほら、さなえちゃん。さなえちゃんと同じ非常識ちゃんだよー。」 「これはたしかにひじょうしきですが、わたしはじょうしきにとらわれないだけで、ひじょうしきではありません。」 さなえちゃんは私の言葉に反論するけど、非常識であることに間違いは無いと思うんだ。 「ゆうううううううううううう!!!!!!!!むしするなぁあああああああああああああああ!!!!!!!」 でいぶちゃんは私たちが無視するから切れてしまった。 「ほらぁ、でいぶちゃん怒っちゃったよ・・・・」 「いいじゃないですか。そんなことよりいまはもっとゴーヤください!もっとたべたいです!」 でいぶちゃんを軽く無視して私にゴーヤを求めるさなえちゃん。 「はいはい。どうぞ。」 でいぶちゃんは私が鞄の中から食べ物を取り出したことで、それを欲しいってせがんで来ちゃったんだ。 「ゆゆ?それはあまあまだね!!!!ゆゆ~ん♪なかなかにつかえるくそにんげんだよ!!さっさとちょうだいね!!!!!」 「へ?これ欲しいの?やめた方がいいと思うなー。」 「そうだよ!!!!さっさとしてね!!!!ゆっくりできないよ!!!!!!」 さすがの私でもいくらでいぶちゃんが欲しがっているからといって、ゴーヤをあげるようなことは余りしたくなかったのだ。 ゴーヤだってタダじゃないからね。 「いいじゃないですか。ちょっとちぎってあげれば。それよりのみものもだしてください!しょくじにのみものがないのはひじょうしきです!」 お前がそれを言うのかっ!? 「はいはい、いつものコレねー?いくらなんでもタバスコは飲み物じゃないっての・・・・・」 さなえの目の前にタバスコを置くとそれを器用にくわえて、飲み始めちゃったよ。 緑のタバスコくわえたさなえちゃん・・・・・・・・ なんかシュール。 「ゆっぎいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!さっさとよこせえええええええええええええええええええ!!!!!!!」 「あ、そうだったね。はい、お口を上に向けてー。」 言われたとおりに口を開け、大空を仰ぎ見ちゃってるでいぶちゃん。 「ゆぁーん。・・・むーしゃむーsyゆげぇ!!!!!!こ、これ!!どくはいってるうううううううううううううううううううう!!!!!!!」 案の定でいぶちゃんはゴーヤを吐き出してしまいました。 あぁ、もったいない。 「ほら・・だから言ったじゃない?」 「ゆげぇ!!!ゆぐ・・・でいぶをだまじだな・・・・ゆっぐぅ!!・・・・さっさとそのさなえののんでるやさいジュースさんをよこすんだよぉ・・・・・・・」 全く以て傲慢で的外れなでいぶちゃんだ。 「あのね、これは辛いものなんだよ?」 「うぞを・・・づぐな・・・・・・・・さなえがそんなにゆっくりのんでるんだよ・・・・・・・からからさんなわけないよ・・・・・・・・」 「おねーさん。又上から垂らしてあげたらいいんじゃないですか!」 さなえはそんな提案をするけど私は乗り気じゃない。 だってコレ、死にそうだよ? 「えー・・・・・・んー、分かったよ。はい。でいぶちゃんもう一回口開けて上向いてー。」 「ゆぁ・・ん・・・・・・・・・!!!???が、がらがらざんだああああああああああああああ!!!!!!!!ゆっげぇええええええええええええええ!!!!!!!」 ほら、思った通り中身をどんどん吐き出してる。 えうー・・・・汚いなぁ・・・・・・・・ 「おねーさん。かばんにメロンのがありますよね!たべさせればたぶんもとにもどります!」 これはいいことを聞いた。 メロンなんかで治ってくれるなら嬉しいね。 メロンは実家の農家で作ってるからしょっちゅう送られてくるんだけど、私メロンアレルギーなんだよね。 食べ終わると口の周りがヒリヒリしてきて嫌なんだよね。 「はいよーでいぶちゃーん。メロンですよー。」 私はでいぶの目の前にメロンの切ってある奴をいくつか投げてあげた。 「ゆゆ・・・・はじめてみるくだものさんだよ・・・・・・・・むーしゃむーしゃ・・・・・・・・・し、し、し、し、しあわせええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!」 どうやらでいぶちゃんのお口には合ったようだ。 「よかったよかった。あ、でいぶちゃんアレルギーってある?メロンって何だったかのタンパク質分解酵素もってて、それが口の中の粘膜を溶かしてヒリヒリさせるんだって。あ、でもでいぶちゃんに粘膜なんてないか!」 でいぶちゃんは私の言っていることがイマイチ分かっていないようだったが『ヒリヒリ』の単語には反応したんだ。 「ヒリヒリ・・・・・・ゆ?・・・・・・ゆゆ??・・ヒ、ヒリヒリさんはゆっくりできないいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」 なんだか突然口の周りを真っ赤にして転げ回り始めたんだ。 ゆっくりは思いこみのナマモノってよく言うけど、その神髄を見た気がしたよ。 「あはは。でいぶちゃんおもしろいねぇ。」 「おもしろくないいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!」 私はでいぶちゃんの反応の良さにちょっと上機嫌になっちゃったんだ 。 「あははは♪あ、そうだ!ちなみにさっきのはタバスコって言うんだよ。さっきのタバスコが緑だったのはハラペーニョって唐辛子を使ってるからなんだ。全然野菜ジュースじゃないよねー?」 「ゆぎぎぎぎ・・・・・・・・・」 でいぶちゃんはとっても悔しそうにしてたから面白くなってからかってみたくなったんだ。 「んー。あ、ほらでいぶちゃん?あそこにめーりんがいるよね。」 「ゆゆ・・・・たしかにクズのめーりんがいるよ・・・・ひりひりさんはゆっくりできないぃ・・・・・・・」 うん、良い反応だよ。 「それじゃあさ、あのめーりんにさっきのタバスコ飲ませてみよっか!!」 私の提案にでいぶは少し驚きましたが、すぐにでいぶ特有のドヤ顔になって喜びました!!!! 「ゆひひひ!!クズにしてはいいことおもいつくね!!!!さっさとめーりんをくるしめてね!!!!!・・・やっぱりヒリヒリさんゆっくり出来ないぃいいいいいいいいいいいい!!!!!」 でいぶちゃんもとっても乗り気だから早速めーりんちゃんを呼び寄せます。 「おーい!めーりんちゃーん!!食べ物あげるからこっちおいでー!!」 めーりんはすぐに私に気が付いて元気な声で返事をしてくれた。 「じゃおーん!!!」 ニコニコしながらこっちにくるめーりんはホントに可愛らしい。 どうせだから、この子。帰りにお持ち帰りしちゃおう。 でいぶちゃんはまだヒリヒリが取れないのか地面に自分の唇を擦りつけてて面白かった。 「ゴーシゴーシ・・・・」 「さぁ、めーりんちゃん!!!君にはこのタバスコをあげる!!くわえて、チューチュー吸ってみ?」 めーりんの口にタバスコをくわえさせて吸わせてみる。 「ゆふふ・・・・・クズのめーりんがなきさけぶこうけいが、めにうかぶよ・・・・・ゆふふふ・・・ゴーシゴーシ・・・・・」 めーりんがタバスコをくわえると途端にただでさえ幸せイッパイの顔がさらに幸せそうな顔になったんだ。 「じゃお~ん・・・・・・」 その様子を見たでいぶちゃんはもちろん怒り始めちゃいました。 「どおしてえええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!????????からからさんでしょおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!ゆっくりできないでしょおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」 「じゃ、じゃお・・・・・」 でいぶのあまりの醜さにめーりんが怖がってるよ。 でも気にしない。 「さぁ、めーりん。君にはついでにコレを上げよう。」 そういって私は鞄に入っていた真っ赤な唐辛子の一種をめーりんの口に投げ込む。 うまい具合にめーりんのお口にジャストミートォ!! 「じゃお?・・・・・・じゃお!?じゃおおおおおおおおおおん!!!!!!」 私は今までこれほどまでに美しく、喜びに満ちた表情は見たこと無かったよ。 「そうか・・・・美味しかったのか・・・・・・私には理解できないけどね・・・・・・」 そんな表情と幸せそうな声を聞いたでいぶちゃんが黙っているはずがありません。 「ゆゆううううううう!!??それはきれいなあまあまだね!!!!!クズのめーりんにはもったいないよ!!!!!れいむにもちょうだいね!!!!!!」 「いいよ。はい。」 これまたお口にジャストミートォ!! 「むーしゃむーしゃ・・・・ゆ?あじがしないよ!!!!もういっこちょうだいね!!!!!」 もう一度ジャストミートォ!!! 「むーしゃむーしゃ・・・・・ゆゆ?へんだよ?なんだかからだがぽーかぽーかしてきたけど、あじないよ!!!もういっこty・・・・・・・・・・・・・」 突然でいぶちゃんの動きが消えます。 プルプル震えてると思ったらいきなり空高く飛び上がりました。 「ゆっっっっぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!いだいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!おぐぢざんが!!!!おぐぢざんがいだいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」 とてつもない大声だったので耳を塞いでしまうほどでした。 「おのれえええええええええええええええええええ!!!!!!!!!なにをぐわぜだあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」 「唐辛子だよ。ハバネロってやつ。めっちゃ辛いの。私はいくら何でも食べれないねー。青いヤツならさなえがおやつに食べるんだよ。」 「ゆぐ!!!ゆっげぇ!!!ゆがぁああああああれいむのアンコさんがからからさんになってるううううううううううううううううう!!!!!!!!」 「あははは。でいぶったらハイテンションだね!そうだ!メロン食べる?」 「ざっざどぐわぜろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」 今日持ってきていた分のメロンを全部れいむの口に押し込んでみる。 全部平らげると少しは落ち着いたのか、はぁはぁ良いながら休んでいる。 「ねぇ?でいぶちゃん?ヒリヒリはもう無いの?」 「ゆ?・・・・・・・ヒリヒリ・・・・・・ゆぎゃあああああああああああああああああ!!!!!!!ヒリヒリさんはゆっくりできないいいいいいいいいいいい!!!!!!!!からからさんもゆっくりできないいいいいいいいいいいい!!!!!!!」 でいぶちゃんが余りにアグレッシブな動きをするものだからちょっと見とれちゃいそうになったよ。 ここで今までゴーヤとタバスコに舌鼓を打っていたさなえがまた別のものを食べたいと要求してきた。 今のアンタにはそれしか頭にないのかな? 「おねーさん!!!しょくじがおわりました!デザートにいつものヤツをください!」 「はいはい、これね。あとめーりんには新しいタバスコあげる。もうなくなったでしょ?」 「やっぱりしょくごにはこれですね!!」 「じゃおーん!」 この子たちとゆっくりしてたらでいぶが復活したのか、息も絶え絶えにまたもや私に何か要求してきたよ。 「ゆふ・・・ふふ。れいむさまはみてたよ・・・・・・今さなえがなにかくわえたね・・・・・・それこそあまあまだよ・・・・・・さっさとちょうだいね!!!!!!」 学習しないでいぶちゃんである。 「はいはい。上向いてー。口開けてー。」 「ゆぁ・・・ん・・・・・むぅ!?つ、つーんてするよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」 さなえが食後に欲しがっていたのは練りワサビのチューブなのだ。 「それはね。ワサビって言って私も大好きなんだー。単体で食べようとは毛頭思わないけどね。」 しばらくれいむが転がっていたら、突然起き上がり私を睨み始めたんだ。 「・・・・・れいむをくるしめるゲスはしねぇ・・・・ゆっくりしてないものばっかりれいむにたべさせて・・・・・・」 「でいぶちゃんたらなに言ってるの?この子たちは私の持ってる食べ物全部幸せそうに食べてたよ?ゆっくりしてない食べ物なんて私持ってきてないよ?」 「・・・・・・ふざけるんじゃないよ・・・・・・」 「ふざけてないって♪でいぶちゃんがゆっくり出来なかったのはさ、でいぶちゃんがゆっくりしてなかったからじゃないの?」 「れいむは・・・・ゆっくr」 「ゆっくりしてないよ。だってさ、この子たち見て?こんなにゆっくりしてるよ?こんなにゆっくりしてるこの子たちが食べたら美味しい物だったんだよ?でもでいぶちゃんが同じ物食べたらゆっくりできなかった。それってさ、でいぶちゃんがゆっくりしてないからじゃない?」 「・・・・なに・・・いってr」 「でいぶちゃんがもっとちゃんとゆっくりしてたら美味しく食べれたのにねー?」 「れ、れいむが・・・・ゆっくりしてない・・・・?」 「うん。でいぶちゃんゆっくりしてない。」 しばらく無言で何かを考えていた表情のれいむが意を決したように私の目を見つめてきたんだ。 「れ、れいむ・・・・・・・・・・・どうしたらゆっくりできるかな・・・」 でいぶちゃんは自らのアイデンティティが崩れたことで従順になりかけているようだ。 「簡単だよ!はい!笑顔になってー!・・・・ゆっくりしていってねー。」 「ゆゆ!!ゆっくりしていってね!!!!」 それは多分、このでいぶちゃんの今までゆん生最高の『ゆっくりしていってね』だったと思うんだ。 「うん。これででいぶちゃんもゆっくりしたゆっくりだ!今ならこのハバネロが美味しく感じるだろう!!ほら!お食べー。」 私はちょっと遠くにハバネロを投げてやる。 「やったよ!!これでれいむもあんしんしてむーしゃむーしゃできるよ!!!!!!」 でいぶちゃんがハバネロに向かって一直線してる間にベンチに広げたゴミやらなにやらを鞄に詰め込み始める。 「ゆん!!!!これで、れいむはさいっこうにゆっくりしたすーぱーむーしゃむーしゃたいむができるよ!!!!お姉さん!ありがとう!!すーぱーむーしゃむーしゃたいむ!!!はじまるよ!!!!!むーしゃむーしゃ・・・・・」 れいむがハバネロを口に含んだのを確認した私はさなえちゃんを抱えてめーりんと一緒に逃げるのだ!! 「ひゃっほー!ずらかるよ!!!めーりん!!着いてくるんだ!!!」 私はめーりんに向かって親指を立てる。 そしてめーりんの声を合図にして走り出したんだ。 「じゃおーん!!!」 ――――――――――――――――――――――――― あ、そうそう。 逃げてる途中、あのでいぶちゃんの声が聞こえた気がしたんだよね。 「みどりとあかはゆっくりできないいいいいいい!!!!」 ってね。 オワリス。 挿絵:全裸あき
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※ゆっくりんピース ※俺設定満載 季節は始まりの春。 進学や就職などで多くの人々が新たな人生の一歩を踏み出す。 それと同時に、今までよりもずっと厳しい世界の洗礼を受ける季節でもある。 「先輩、今開発しているこの薬は・・・?」 「ゆっくりカンパニーから依頼されたゆっくりだけに効果のある薬」 先輩と呼ばれた白衣の男は彼女の後ろを付いてくるメガネをかけた若い女性の問いにぶっきらぼうに答えた。 女性はその答えに対して不満があるらしく「そうじゃなくて・・・」と更に彼を問いつめる。 「ゆっくりにどう言う効果をもたらす薬ですか、って訊いてるんです」 「ひとつは死ぬ、もうひとつは植物型のにんっしんっが出来なくなる」 「そ、そんなぁ・・・かわいそうですよ、それ」 露骨に顔をしかめた女性を一瞥した先輩はふぅ、とため息をつく。 そのため息には彼女の言葉に対する同意とゆっくりへの同情と、仕方ないんだよ、という諦めが混じっていた。 しかし、後輩の女性はそれに気づくことなく彼に食ってかかった。 「先輩、私達はゆっくりんピース職員ですよ?なのに・・・」 「NPO法人だって所詮資本主義の内側の存在なんだよ」 「それって、お金のためってことですか!?」 後輩に睨み付けられた男性はまたため息をついてから、再び口を開いた。 「今のゆっくり関係の社会問題をいくつか挙げてみろ?」 「はい?・・・ええっと、捨てゆっくりに野良ゆっくり、農村での作物被害に・・・」 「ゆっくりの死体が原因の事故、他の動物を圧迫、あとあまり一般的じゃないが虐待だな」 男性が虐待、という言葉を口にしたと彼は顔を背け、女性は眉をひそめた。 どちらもゆっくりんピースに所属していることから判るように基本的にはゆっくり好きである。 その2人にとってゆっくり虐待は想像するだけで背筋の凍りつくような蛮行に他ならない。 「ちなみにこの虐待って言うのには手術や殺処分、動物実験の類も含まれるからな」 「ちょっと待ってください!だったら・・・」 女性は思わず叫んでしまった。 鬱陶しそうな周囲の視線に気づいて声を潜めて話を続ける。 が、そこから先の言葉を口にすることが出来ない。 「そうだ、動物実験だよ。ゆっくり関係の新薬開発には不可欠のな」 女性が言えなかったその言葉を、男性はこともなげに告げた。 絶句する女性を一瞥すると、まるで何事もなかったかのように仕事場へと戻って行く。 実験と称した虐待を行うための部屋に。 「薬の効果はどうだ?」 「萌芽抑制剤の効果を今から確認するところです」 「どのぐらい投与した?」 「ごく微量です」 微量の意図するところは主任もご存知でしょう、と受け答えしていた若い男性は付け加える。 彼はゆっくり愛好家ではないらしく、先ほどの女性のようにこの団体の建前と実態の矛盾に疑問を抱く様子はない。 本当にただ淡々と、ゆっくりを実験動物として冷めた目で見ていた。 「れいむ、す~りす~りするよ!」 「ゆゆっ!れいむ、ゆっくりしたあかちゃんがほしいよ!」 彼らの視線の先では2匹のゆっくりが最高に幸せそうな笑みを浮かべて頬ずりをしている。 一般にすっきりと呼ばれるゆっくり同士の交尾であり、これによって彼女達は子どもを増やす。 複数の人間に見守られながら交尾を続ける2匹は、やがて「すっきりー!」という言葉を発し、交尾を終えた。 「れいむ、とってもゆっくりしてたよ!」 「まりさのほっぺもとってもゆっくりしてたよ!」 「ゆぅ~ん、てれるよ!・・・・・・ゆぅ?」 お互いがお互いを褒め合いながら絆を深める2匹だったが、程なくしてある違和感に気づいた。 本来ならすぐに生えてくるはずの赤ゆっくりが生る茎が生えてこないのだ。 新薬が効果を発揮したことで研究者達はほっと安堵するその中心で2匹はおろおろとしている。 「ゆぅ・・・どうしてぇぇ?」 「ゆっくりわからないよ・・・」 「ゆゆっ!そうだよ、もういちどすりすりしようね!」 こうして2匹は再び頬を重ねたが、結局にんっしんっすることは叶わなかった。 彼女達が行おうとした妊娠は俗に「植物型」と呼ばれるもので、本来なら交尾後すぐに生えてくる茎に子どもを宿す。 他にも「胎生型」と呼ばれる妊娠も存在するが、こちらはかなり成熟した個体でないと出来ないらしく2匹にはまだ早かった。 「・・・やっぱり、可哀想ですよ」 「今のゆっくりの去勢や不妊手術のやり方って知ってるか?」 「知ってます。だからこれ以上何も言いません」 いつの間にか仕事場に戻って来ていた後輩の女性とそんなやり取りをしながら男性は2匹を回収した。 彼に抱かれた2匹は「どうぢでぇ・・・」などとぐずっていたが、女性からお菓子をもらって少しだけ元気になった。 ちなみに現在の不妊や去勢の手術はゆっくりの胴体に大きな穴を開ける上に、修復に子ゆっくりを1匹使い捨てにする必要がある。 「ところで、先輩。あの2匹はこの実験が終わったらどうなるんですか?」 「あの2匹は継続的な効果を見るための個体だから、胎生型への影響の有無、副作用の有無、薬の成分の残存なんかを調べて・・・」 「それが全部終わったら?」 「多分、無事なら持ち帰ってもいいと思うぞ」 その言葉に女性は少し安堵したらしく、ほっと胸をなでおろしす。 そんな彼女を眺めながら、男性は何となく今日の実験がゆっくり殺処分用の薬品の実験のほうじゃなくてよかった、と思った。 ついでに胎生で生まれた子どもが当然研究対象になるかも知れないことや両親から隔離されるかもしれない事は黙っておいた。 季節は灼熱の太陽が照りつける季節、夏。 冗談のような話ではあるが、エアコン代の影響で捨てゆっくりが増加する季節でもある。 「あ、バッジ付きだ」 作業服を着たゆっくりんピースの職員の男性は野良の中にただ1匹バッジを付けたゆっくりがいることに気づいた。 そのゆっくりはゆっくりありすで、彼女の周りには野良と思しき数匹のゆっくりが集まっている。 「ちょっとごめんよ・・・っと」 彼はその数匹のゆっくりを押しのけつつありすのそばまで行くと、懐から妙な機械を取り出す。 その機械をありすのバッジに当てると、そこから何らかの情報を読み取り、機械の画面に様々なデータが表示された。 更に携帯電話にその機械をつないで「更新」のボタンを押すと、画面に転居済みという文字が大きく表示された。 「捜索願いの届け出はなし。この辺にゆっくりと遊べる場所はないし、前の住所からの距離も遠い・・・」 「ゆゆっ、おにーさんなあに?」 「いや、何でもないよ。ただ、君が飼い主のお姉さんと会えるようにしてあげようと思ってね」 瞬間、ありすの顔に笑顔が浮かんだ。 人間には到底まねできないであろう余計な感情の一存在しない純粋な喜び。 それを見せられてしまった男性の心中には飼い主の無責任に対する深い憤りが生じた。 「ああ、お姉さんもきっと心配しているよ」 「ゆーっ!おにーさん、ゆっくりありがとう!」 しかし、彼はそんな内心を隠して柔和な笑みを浮かべると、薄汚れてしまったありすを抱きかかえた。 直後、足に何かがぶつかる感触を覚え、下を向くとありすの周りにいたゆっくりが膨れて威嚇をしている。 「「「ゆゆっ!ありすはみんなのおともだちだよ!つれてかないでね!」」」 どうやら、ありすを帰したくないらしい。 彼女達を見てため息をついた男性だが、特に何をするわでもなくポケットからゆっくりフードを取り出し、ばら撒いた。 すると薄情というかなんと言うか、ゆっくり達はありすをそっちのけでフードに夢中になる。 「さあ、ありす行こうか?」 「ゆっくりりかいしたわ!みんな、いままでゆっくりありがとう!」 微笑むありすを抱えて、男性は保健所へと向かった。 「さあ、ありす。ここでちょっとの間待っていればお姉さんが迎えに来るよ」 「ゆっくりりかいしたわ!おにーさん、ゆっくりしていってね!」 「あ、ああ・・・ゆっくりしていってね。と言いたいところだけど、仕事があるからまたな」 そう言うと男性は足早に保健所を後にし、先ほどゆっくり達がいた場所に戻って行った。 目的はもちろん先ほどのゆっくり達。 もっとも、いまさら戻って彼女達が見つかるはずもなく、集団はすでに解散していた。 「仕方ないか・・・」 呟くと先ほどの機械を取り出し、別の機能を起動させる。 画面の中心が自分の現在地で、周囲にいくつか赤いポイントが存在していた。 この赤いポイントは先ほど撒いたフードを食べたゆっくりの現在位置を示している。 「全員この辺の野良だったか・・・」 これなら早く済みそうだ、と呟きながら機械の画面の情報を頼りにゆっくりの居場所を特定する。 最初に見つけたれいむは家族連れだったらしく、先ほどのフードを家族に分け与えていた。 久しぶりの美味しい食事を底部を怪我したまりさと4匹の子ども達と一緒に涙を零しながら味わっていた。 「っと、のんびり観察してる場合じゃない」 青年はポケットからゆっくり捕獲用の袋を取り出すとせめてもの情け、と彼女達が食事を終えるのを待つ。 「ゆっくりごちそうさま!」 やがて、彼女達が食事を終えると即座に子ゆっくり2匹を捕まえて袋の中に放り込む。 それと同時にこちらの存在に気づき、何か訴えようとする親ゆっくりと残りの子ども達。 しかし、彼はまともに喋る暇さえも与えずに彼女達を捕獲した。 「・・・・・・ごめんな」 袋の中で何かを叫び続ける彼女達には聞こえない声でそう呟くと、他のゆっくり達の回収へ向かった。 回収されたゆっくりの向かう先も保健所だが、彼女達には飼い主が迎えに来るまでの猶予など存在しない。 季節は実りと収穫の秋。 ゆっくり達が冬に備えて一生懸命野山を駆け回る季節でもある。 「ゆっくり被害にあった作物はこれで全部ですか?」 「はい」 「ゆー害以外の理由で売れない作物も安価になりますが、買い取りましょうか?」 ある山間の農村に赴いた一人の青年が壮年の農家の男性と商談をしていた。 青年はゆっくりんピース職員で、農村部でのゆー害への対策を専門にする人物であった。 主な職務は農家の人たちの相談相手になること。 「本当によろしいんで?」 「ええ、こうやって安価で購入したものをピース運営のゆっくり保護施設に回しますから」 「ああ、なるほど・・・」 男性はその言葉で彼の提案がただの親切心ではないことを理解し、契約のために必要な印鑑を取りに行った。 農夫の彼は気づいていないが、これにはゆっくりとゆっくりんピースに対するイメージの悪化を緩和する意図もある。 ゆっくりの地位向上を目指す以上、それは真っ先に気をつけなければならないことだ。 「それではお代は・・・こんなものでいかがでしょう?」 「もともと売り物にもならんものですから、それで結構です」 「では、商談成立ですね」 そう言って必要な契約や手続きを済ませ、作物を青年は農家の男性の家を後にした。 止めておいた車に乗り込み、ゆー害に遭った農家の場所とゆっくりが目撃された場所の記された地図を眺める。 「・・・・・・ここか」 地図上の情報から短時間でゆっくりが集団で生息しているであろう場所を割り出した青年は車を走らせた。 ゆっくりが人間の生活圏に降りてくる理由はいくつかある。 単純にゆっくりと人間の生活圏が近すぎるから。 人間の食べ物の味を覚えてしまったから。 ゆっくりの生活圏で食料不足が起きたから。 「今回は食料不足だな・・・」 それもゆっくりの集落で人口爆発が起きたことに端を発するタイプの、と心の中で付け加え青年はため息をついた。 彼がそう判断した理由は3つ。 まず、例年よりゆー害の発生件数が目に見えて増えている点。 害をもたらすのが味を覚えたゆっくりだけならばそこまで被害が急増するとは考えられない。 次にある農家が始末したゆっくりの皮の質が悪く、餡子が不必要に甘かった点。 ゆっくりは苦しむことで中身の甘みが増す性質を持つが、農家の男性は一撃で絶命させていたのでそこまで甘くなることはない。 最後に山中でのゆっくりやゆっくりの死体の目撃証言が非常に多い点。 こちらは農家のゆー害よりも更に激増しており、人間の通る道に足を踏み入れてでも食料を探さねばならない状況だと考えられる。 「車を止めるとしたら・・・ここら辺だな」 青年は適当な場所に車から降りると、ゆっくりの集落があるであろう方向をじっと凝視した。 道から見える木々の隙間を縫って、確かに多くのゆっくりが食べ物を探し回っている。 過去の調査でここに集落があったという報告はないが、新しい集落でもできたのだろう。 「ごはんさん、ゆっくりでてきてね!」 「むしさん、ゆっくりおへんじしてよー」 「おなかすいてゆっくりできないよ」 ゆっくりらしからぬ忙しなさで餌を探し求めるゆっくり達。 しかし、成果を上げる前に日が暮れてしまい、遊楽へ引き返さざるを得なくなってしまう。 重い足取りで家路を急ぐ彼女達を、男性は見失わないように、しかし見つからないように追いかけていった。 「やあ、ゆっくりしていってね!」 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 「ゆゆっ!にんげんさん、ありすのとかいはなむれになんのよう?」 群れの長と思しきひときわ大きなゆっくりありすのその一言で男性は全てを理解した。 一般にゆっくりありすはすっきりーを好むといわれており、彼女らが長になると集落のすっきり制限が緩くなり、時にはそれが推奨されてしまう。 また、愛するパートナーとのすっきりーを嫌うものなどいるはずもないので、子どもが際限なく増えてしまうのだ。 「そうか、君が長か。君に相談があるんだが良いかな?」 「ゆふん!とかいはなありすがおにーさんのおはなしをきいてあげるわ!」 「率直に言うよ。今度、人間の作物に手をつけたらこの群れ潰すから」 驚愕するゆっくり達はしばし呆然としていたが、やがて男性に向かって抗議し始めた。 どうしてそんなこと言うの、れいむ達何も悪いことしてないよ・・・などなど、ゆっくりから見れば至極真っ当な主張を繰り返す。 が、こちらは人間であり人間に害をなすものはたとえゆっくりであっても黙って放置するわけには行かないのだ。 「ゆっくりしないでかえってね!このいなかもの!」 「そうか、交渉決裂だな」 「「「ゆっくりでてってね!ぷくううううううう!」」」 男性に向かって威嚇するゆっくり達。 どうやらこの中には人間の恐ろしさを正確に把握しているものはいないようだ。 男性はもう何度目になるか分からないため息をつくと、目にも止まらぬ速さでありすを叩き潰した。 「「ゆっ・・・?」」 「お、おさ?」 「「「ゆ、っくりぃ・・・?」」」 ゆっくり達は何が起きたのかさえも理解できず、ただ間抜けな声を上げる。 10秒、20秒と時間が過ぎてゆくが群れで一番大きく、優秀なゆっくりのはずの彼女がたったの一撃で粉砕されたことが信じられないようだ。 1分たってなおも状況を飲み込めないゆっくり達を尻目に、男性は衣服の汚れを払った上で淡々と話し始める。 「俺は君達よりもずっと強い。だから潰されたくなかったら俺の言うことを聞いてくれ?」 「「ゆ、ゆっくりー・・・」」「ま、まりさはありすをゆっくりできな・・・」 「抵抗しても構わないが、他のゆっくりも酷い目に遭うだけだぞ?」 あくまで冷淡に、ただの事務的な事実確認をしているだけと言わんばかりの口調で抵抗の意思を削ぐ。 そうして、全員が恭順の意を示したところで、本題再び口を開いた。 「多分、君達は赤ちゃんが増えすぎてご飯が足りなくて困っているんだろう」 「ゆゆっ!どうしてわかったの!?」 「それは長のありすが“すっきりーはとてもとかいはでゆっくりできるのよ”とか言っていたのが原因だ」 またしても見事に彼が見たこともないはずの群れの内情を指摘され、ゆっくり達は驚く。 「このままだと、君達の赤ちゃんがずっとゆっくりしてしまうし、君達だって非常に危ない」 「ゆゆっ!れいむのおちびちゃん、ずっとゆっくりしちゃうの!?」 「だから明日の朝またここに来るから、その時に俺に子どもを預けてくれないか?」 彼の提案を聞いたゆっくり達は再び驚愕し、しばし悩んだ。 結局、人間の元で茎も含む赤ちゃんがゆっくり出来ることや、交換条件として野菜を提供することを約束するとその提案を快諾した。 勿論、交換した赤ゆっくりが無条件に保護を受けることなどあるはずもなく、良い飼い主に引き取ってもらえるものなどごくわずかに過ぎない。 最悪の場合は、ゆっくり食品の原材料やゆっくり関係の医薬品の実験動物として苦痛に満ちたゆん生を送ることになる。 しかし、ゆっくりんピースの職員達がその事実を漏らさない限り、親達は我が子の幸せを信じてゆっくり出来る。 季節は寒さが全ての生き物を等しく攻め立てる冬。 冬篭りの出来ない都市部のゆっくり達にとっては死の季節でもある。 勿論、飼いゆっくりにとっては何の関係もない話だが・・・。 この季節のゆっくりんピースの主な活動はゆっくりの死体の回収である。 が、それと並行して今年度の活動の総決算や来春に向けての様々な計画の立案が同時に行われていた。 「先輩、家庭に仕事を持ち込むと女の子に嫌われますよ?」 「いつの間にか我が家に上がりこんでる奴が何を言うか」 「ゆゆっ!おにーさん、おしごとしないでゆっくりしようね!」 「そうだよ!まりさたちといっしょにゆっくりしようね!」 「「ゆっくちー!」」 普段は白衣を着ている男性だったが、自宅でパソコンとにらめっこしている今はジャージ姿。 そんな彼の背中越しにメガネをかけた女性がパソコンの画面を覗き込む。 足元では成体のゆっくりれいむとゆっくりまりさ、そして彼女達の子どもと思しき2匹の子ゆっくりがせわしなく跳ね回っている。 「この資料なんですか?」 「えーっと・・・・・・」 女性にそう問われた男性はそれぞれの資料を弄りながら彼女に説明する。 これは回収した野良や野生のゆっくりの処分方法をまとめたリスト、これは保健所に提供したゆっくり安楽死用の薬品に関する資料。 これは有力な資金提供企業のゆっくりカンパニーから受け取ったゆっくり関係の医薬品に関するデータ・・・ 「・・・どうすればこんな発想が出てくるんでしょうかね?」 「ここから流される医薬品のデータはいつもこうなんだよ。人外じみた天才がいるとしか考えようが無い」 「これなんかノーベル賞ものですよ」 そのデータがなければあと30年は開発されないであろう医薬品の情報を眺めながら2人は唸る。 ちなみにゆっくりカンパニーというのはゆっくり関連のビジネスにおいて圧倒的なシェアを占める会社で、ゆっくりんピースにとっても重要な存在である。 ゆっくりの地位向上のために、あるいはゆっくりを売るために・・・目的は違えど同じくゆっくりのイメージアップを重要視する両者の利害は一致する。 それ故、ゆっくりんピースはゆっくりカンパニー内でのゆっくりの非道な扱いは摘発できずにいるのだが、大義のための小さな犠牲だとして目を瞑っているのが現状である。 「ま、凡人の俺達があれこれ考えても仕方ない。それより、こいつらを逃がちまった分の始末書かかないと」 「ゆぅ、しまつしょってなあに?ゆっくりできるの?」 「全然ゆっくりできねぇよ、チクショウ」 れいむの言葉に顔をしかめつつ、男性はだらだらとキーボードを打つ。 その傍らでは女性が床に腰を下ろしてゆっくり達と戯れる。 彼女達の手によって実験施設から解放された4匹は2人を信頼し、現在は男性の家でゆっくりした生活を満喫していた。 「おねーさん、れいむたちのおうたでゆっくりしてね!」 「ゆ~♪ゆ、ゆ~ゆ~♪」「ゆん、ゆんゆ~♪」 「「ゆっくり~ゆっくり~♪」」 もっとも、彼女達の解放が可能だったのは代替の利く実験が並行して行われていたことと、他の職員達の黙認によるものなのだが。 今も彼女達の知らないところでは別のゆっくりが、彼女達が受けるはずだった実験の犠牲になっているかもしれない。 ゆっくりんピースはこのような矛盾を個人単位でも、組織単位でも数多く抱えている。 「れいむ、まりさ。ゆっくりしてる?」 「「とってもゆっくりしてるよ!」」 「「ゆっくちー!」」 それでも何もしないよりはずっと良いだろう。 4匹のゆっくりした笑顔を眺めながら、彼女はそう思った。 ---あとがき--- たまにはあくまで人間本意のゆっくりんピースがあっても良いんじゃないかと思って書き殴った しかし、さすがにこれは法人としてのミッションと実態に乖離が酷すぎるかも知れん byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
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Eもこう ちくりんに すみ くれないの ほのおを まとう すがたは げんそうきょうの ふしちょう。 タイプ 炎 格闘 特性 ほうらいじん ほのおのからだ 種族値 HP 150 すばやさ 50 こうげき 100 とくこう 120 ぼうぎょ 65 とくぼう 65 進化系統 ちびもこLv30でもこうほのおのいしでEもこう レベルアップで覚える技 Lv01 ひっかく Lv01 にらみつける Lv12 ひのこ Lv16 えんまく Lv25 いかり Lv30 リベンジ Lv33 かえんぐるま Lv40 じこさいせい Lv44 ブレイズキック Lv51 ねっぷう Lv59 フジヤマVOL 覚える技マシン 01 ピヨピヨパンチ 02 ドラゴンクロー 04 めいそう 05 ほえる 06 どくどく 08 ビルドアップ 10 チームワーク 11 にほんばれ 12 ちょうはつ 15 はかいこうせん 17 まもる 21 やつあたり 23 アイアンテール 26 じしん 27 おんがえし 28 あなをほる 31 かわらわり 32 かげぶんしん 35 かえんほうしゃ 37 すなあらし 38 だいもんじ 39 がんせきふうじ 41 いちゃもん 42 からげんき 44 ねむる 45 れいげき 48 スキルスワップ 49 よめしゅぎょう 50 オーバーヒート 覚える秘伝マシン 04 かいりき 06 いわくだき 覚える覚えさせてもらえる技 ちきゅうなげ メガトンパンチ メガトンキック いわなだれ カウンター みがわり ものまね ゆびをふる すてみタックル のしかかり 倒すと獲得できる努力値 こうげき +3 育成例
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前回のfuku1364.txt『ゆっくりハンターの生活』の続きです。 こっちだけでも読めないこともないですが、出来たら前作を見てからご覧になってください。 ゆっくりハンターの生活2 朝よりも多少雲が出てきた昼下がりの午後。 阿求ちゃんとの楽しい昼食を終えた私は、ハンターとしての仕事を再開する。 「ハンターさん、午後はどうするのですか?私は狩りに行きたいです!」 阿求ちゃんが、メイスを高々と構えてそう意気込む。 朝は比較的穏やかな作業だったから、彼女には刺激が足りなかったのかもしれない。 私は、仕事用の手提げカバンを持って彼女に笑いかける。 「ええ、今日の午後は狩りに行くわ。一緒に依頼主のところまで行きましょうね」 「了解です。私のモルゲンで叩き潰して見せます」 「……ずっと気になっていたんだけど、モルゲンってそのメイスのことかな?」 柄の先端に歪な突起を生やした鉄の塊がついているだけという、か細い少女には似合わない無骨なメイス。 鈍い光を輝かせているそれはいかにも禍々しく、今まで殺されたゆっくりたちの怨念がこめられているようだった。 彼女はそのメイスを誇らしげに構えて、うっとりした目でそれを見ている。 「ええ!数々のゆっくりのあんこを吸ってきた、私の自慢のメイスです。 モルゲンステルン(トゲ付きメイス)タイプのものだったので、モルゲンと名づけました」 「阿求ちゃん、張り切るのはいいけど室内でそれ振り回さないでね」 「すみません。でも私の内から出るパッションが止まりません」 無闇に逸る阿求ちゃんをなんとかなだめて、私達は依頼主のところへ向かった。 そこまで行く途中の道で、私の隣を歩きながら持っているメイスをぶんぶんと振り回す少女はひどく危なっかしい。 怪我させないよにしっかりと見ておく必要があるだろう。 「えーっと、……ここかしらね」 私は手に持った依頼書を見て、目的地が目の前にある家で正しいか確認する。 前に何度か依頼が来たので間違いないと思うが、念のためだ。 「おじゃまします。依頼を受けたゆっくりハンターの者ですが、誰かいませんか?」 呼び鈴を鳴らし、入り口でそう言ってから待っていると、すぐに中から男が出てきた。 小太りのおじさんで、顔が油でてかてかと光っていた。 男はしかめっ面のままこちらを見て、そして黙って部屋の奥に目を遣る。 中に入れという合図だ。 私は一度彼にお辞儀をしてから中に入り、阿求ちゃんも私に続いた。 私達は、男によって客間の一角に案内され、用意された席に座った。 案内された部屋は、なにやら賞状やらトロフィーやらが目のつきやすいところに並べてある。 ゆっくり関連のグッズもそこかしこに置かれており、私の口からは素直にかわいいなぁと言う言葉が漏れた。 一方、阿求ちゃんは手をプルプル震わせてそのゆっくりたちを見ていた。 男は終始無言で、こちらと目をあわせようとすらしない。 阿求ちゃんはそんな男の様子を訝しんでいたが、私にとってはもう慣れたものだ。 懐から依頼書を取り出し、仕事の話を始める。 「では、依頼内容の確認をしますね。 私が依頼された仕事は、昼の間にこの畑を荒らしに来るゆっくりたちから作物を防衛すること。 その際に注意することは、絶対にゆっくりたちを殺さない。 ゆっくりに怪我を与えてしまうとしても、必ず最小限にとどめること。 成功報酬は依頼書に明記されている通り、ということで。 以上でよろしいですか?」 阿求ちゃんが私の言葉に驚いたような顔をこちらを見た。 狩りに来た、といっているのにこれだから仕方ないか。 事情を先に説明しとけばよかったな、といまさらながら悔やむ。 まあいまさら悔やんでも後の祭りだ。男が黙ってうなずくのを見て、私は阿求ちゃんをつれて席を立った。 「待て」 部屋の扉に手をかけたとき、男が始めて声を上げた。 やっとか、と私がほっとして男の方に向き直る。 「なんでしょうか?」 「いいか。絶対にゆっくりちゃんたちを虐めたり、殺したりするんじゃないぞ。 彼女達を透明の箱に入れて、無闇に苦しめるるのもいかんからな。 もし私の周りでそんなことをすれば、お前にも彼女らと同じ苦しみを味わわせてやるから覚悟しておけよ」 「ええ、彼女達は、かわいいですからね」 男は私の答えにふん、と鼻を鳴らし、そして特大ゆっくり人形を抱きかかえながらまた目をそらした。 「わかったならそれでいい。私はこの子と戯れているからさっさと出ていけ」 私はそれ以上男に話しかけることは無く、阿求ちゃんを連れて男の家から出た。 阿求ちゃんはずっと怒りを抑えていたらしく、表に出るなり真っ赤な顔をしてブンブンとメイスを振り回した。 「もう!どういうことですかハンターさん!ゆっくりたちを殺すななんて、私がモルゲンを持ってきた意味ないじゃないですか! それになんですかあのジジイの態度は!そんなにゆっくりが好きなら畑ごとゆっくりに上げればいいじゃないですか!」 「落ち着いて、阿求ちゃん。これには深くないけど事情があるの。それにゆっくりを狩ることに変わりは無いから」 私の言葉に、ようやく彼女の動きが止まる。 「え?今回は追い払うだけじゃないんですか?それに殺害はNGだとあのジジイが………」 「そんな対処の仕方をしても、ゆっくりに効果は無いのは阿求ちゃんも知ってるんじゃないかな? 翌日には忘れてまた来るだろうし。それに、殺害がNGなのはあの人の近場だけよ。 追い払った後追跡して、森の中で殺しても何も言われないわ。むしろ先方もそれを望んでるわ」 「……じゃあなんであのジジイはあんなことを言ったんですか?素直に退治してくれ、と言えばいいじゃないですか」 阿求ちゃんは納得行かないような顔で私にそういった。 正直私もそう思うが、人には事情があるんだから仕方ない。 「実はねぇ……あの人、ゆっくりんピースの会員なのよ。それも結構上の方の」 「はぁ!?あの基地外集団のですか?じゃあなんでゆっくりを殺せなんていうんですか? あいつらはゆっくりを保護する団体でしょう?」 「ええ、普通の会員さんだったらブリーダーさんに頼むところでしょうけどねぇ。 でもあの人、ゆっくりにお金かけすぎてそんな余裕ないのよ。ブリーダーさんって結構お金かかるから。 かといってそれなりに上のほうの人だから、自分で殺すのも加工所にうっぱらうのも周りの目が許さないし。 ましてやゆっくりに畑を明け渡したりなんかしたら、破産しちゃうわ」 「はぁ……だからお姉さんのところに話がまわってきたと」 「ええ。ハンターは割と安めで仕事を引き受けるものだから、こういう人たちの依頼は良く来るの。 こちらとしても、そういう人種の人たちはほかの人より多くお金出してくれるから万々歳よ」 彼女は私の言葉に心底呆れた様子で、深いため息を吐いていた。 子どもにとっては、こういう大人の複雑な理由は理解できないのだろう。 まあ、私も彼らのことを理解できることなんて一生無いだろうけど。 仕事だからと折り合いを付けているだけだ。 「だったらゆっくりんピース抜ければいいと思うのは私だけでしょうか……」 「私もそう思うけどねぇ。でも、今抜けたらこれまでゆっくりたちに使ってきたお金は無駄だった、と認めるようなものだから出来ないんでしょうけど。 まったく、もっと単純に自分の思うまま生きればいいのにねぇ」 阿求ちゃんはうんうん、と頷きメイスの先で家の壁を小突く。 大きな音は出ないものの、家の壁の塗装が少し削れた。 「ゆっくりを見つけたら何も考えず叩き潰すくらいでいいと思うんですよ私は。 それなのにゆっくりがかわいそうだの保護しようだのとぐちぐちと……やっぱりゆっくりんピースは害悪ですね!」 「こらこら、人の思想に口を出しちゃあ駄目よ?向こうは向こうで考えた末の結果なんだから。 そういうのは心の中だけで考えて、口には出さないものよ?あと壁突くのやめなさい」 阿求ちゃんはまだ納得いっていないようだったが、素直に私の言葉に従ってくれた。 妹がいたらこんな風なのかもしれない、と密かに思った。 「それじゃあ、畑に行こうね。いつゆっくりたちが来るともわからないし」 「そうですね。こんなやつのことは忘れてさっさとゆっくりで遊びましょう!」 彼女はそういうと、私の手を引っ張って畑の方に歩いていく。 彼女はもう待ちきれないと言った様子で、顔は興奮しているせいか少し赤い。 私は転ばないように気をつけながら、そのまま彼女についていった。 「ここが畑ですか……なんとも無防備ですね」 男の家の裏側に回ると、一面に畑が広がっている。 それなりに耕地面積は広く、作物もよく育っているのが見て取れたが、 外側の蔓ごと抜かれていたり、ほんの少しだけかじられた野菜が捨ててあったりとひどく荒らされていた。 ゆっくり対策に作られたのだろうか、木製の柵が畑の周囲に立てられていたが、ところどころ壊されておりもう柵としては機能していなさそうだ。 ゆっくりのことを少しでも調べた農家ならあんなもの役に立たないことぐらいはわかるだろうに。 もしかしたら、ゆっくりんピースには間違った知識が蔓延しているのかもしれない。 「無駄に広いから、ここを守るのは大変ですね……。ハンターさん、どうするんですか? 柵を張りなおしたりしとかないと、危ないのでは」 「そんなめんどくさいことしなくても大丈夫よぉ。一緒に座ってゆっくり待ちましょう?」 「……え?何もしなくていいんですか?」 「別にいいわよ。どうせ今からやったってたいした柵なんか作れないし。 あ、あの雲なんかむくむくしててかわいいわよ?ゆっくりみたいで」 私は地面の上に腰をおろし、柵にもたれながら空に浮かんでいる雲を指差してそういった。 阿求ちゃんはまだなにか言いたそうだったが、私の様子を見てあきらめたのか結局は隣に座って一緒に空を眺めていた。 そこにはやわらかそうな雲が数個浮かんでいて、あそこで寝たら気持ちよさそうだ。 いかにもゆっくりたちが好みそうな場所で、もしかしたらあそこにはゆっくりたちが住んでいるのかもしれない。 そんなことを彼女に言うと、彼女は笑ってそれを否定した。 彼女が言うことには、 崖の上でゆっくりをロープに括り付けたまま降ろしたところ、そのゆっくりはショック死してしまった、という実験結果があるらしい。 だからゆっくりたちは高いところは苦手だと思われ、よってあんな高いところにある雲でゆっくりすることは無理とのこと。 「へぇ~、ゆっくりたちが高いところ苦手だなんて知らなかったなぁ。 阿求ちゃん物知りだね」 「いや、物知りだなんてそんな。ゆっくりに関してはまだ未知な部分が多くて、私にも知らないことなんてたくさんあります」 彼女は俯いて、照れたかのように頬を掻いた。 子どもなのに謙遜までするなんて、将来は大物になるかもじれない。 「……ゆっくりと言えば、ハンターさんはゆっくりが好きなんですよね?」 彼女は再び顔をあげ、思い出したようにそういった。 「うん、そうよ。あのゆっくりの笑顔を見ていると、なんだか心がホンワカしてくるのよねぇ」 「じゃあなんでまたハンターなんかに?農家になれないのわかりましたが、だからってそれじゃなくてもいいじゃないですか。 ブリーダーとか、保護委員になるとか、他にもいろいろあるでしょう」 「それも考えたんだけどねぇ。でも私、殴ってしつけるのはちょっと苦手だし。 一時期頑張ってやってみたこともあったんだけど、私がゆっくりに餌をやったら何故か死んじゃうのよ」 「ああ、あの殺人野菜のことですか……うう、思い出したら気持ち悪くなってしまいました」 「おいしいのにねぇ。だから基本的に保護系は無理だったわ。保護した片っ端から死ぬんだもの。 でもどうしても私はゆっくりにかかわる仕事をしたかったから、ハンターの職に就くことを決めたの」 「……なるほど、納得しました。お姉さんも大変なんですね……あ!」 ちょうど話に区切りがついた時、向こうから小さくて丸い塊が飛び跳ねながらこっちに向かってくるのが見えた。 言わずもがな、ゆっくりだ。 見たところ全部まりさ種のようである。 「まりさたちのゆっくりごはんをとろうね!あそこのおやさいはとってもおいしいよ!」 「ゆゆ!?にんげんたちがいるよ!だいじょうぶなの?」 「だいじょうぶだよ!ここのいえのにんげんはまりさのかわいさにめろめろだから、なにもしてこないよ!」 以前来たときに相当甘やかされたのだろう、随分な言い草である。 こうなっては言葉で止めるのはもう無理だ。なにを言ってもここはまりさのものだからさっさと出てけと言われるだけ。 それを知っていたのだろう、阿求ちゃんがメイスを構えて攻撃体制をとる。 「かかって来なさい!みんなまとめて叩き潰してあげますよ!」 メイス片手に突撃しようとする阿求ちゃんの襟を、私は慌てて掴んだ。 「ぐぇ!な、なにするんですか!?」 「駄目だよ阿求ちゃん。そんなので攻撃したらゆっくりたち死んじゃうよ」 「じゃあどうするんですか!ああもうどんどん迫ってきてます!」 私はふてぶてしくにやりと笑うと、手提げかばんの中から銀色に光る"それ"を取り出した。 太陽の光を反射してまぶしく輝くそれは―― 「じゃじゃーん!銀のナイフー!」 それは刃渡り十五センチほどの狩猟用ナイフで、私が狩りのときに良く愛用するものだった。 狩りのとき以外にも、料理のときに使ったり、収穫のときに使ったりと、私にとっては生活の必需品となっている。 「ってそんなの見ればわかりますよ!ナイフなんて使ったらやっぱりゆっくりは死んじゃないですか!」 「モノは使いようよぉ?ちょっと見てなさい」 私は突撃してくるゆっくりに向かって、思い切りナイフを投げた。 そのナイフはほぼ直線に近い軌道を描き、ゆっくりにの顔に直撃――せずに、ゆっくりのかぶる帽子を射抜いた。 「ゆゆ!?まりさのぼうしが!」 ナイフは帽子に刺さっても勢いをとどめることは無く、そのまま帽子ごと地面に突き刺さる。 慌てて帽子を取られたゆっくりが拾おうとするも、ゆっくりではナイフを抜くなんて器用なことは出来ない。 泣きながら帽子の周りを飛び跳ねるだけだ。 「す、すごい…。こんな方法があったんですね!」 「まあ、リボンとかだと結構大変なんだけどねぇ。今回はまりさ種ばっかりだから楽に済みそうだわー。 エイ、タァ、ドウリャー、トゥー、ワーワー」 私は投げる毎に気合の言葉を発しながら、突撃してくるゆっくりたちの帽子をひとつ残らず地面に縫い付けていく。 前方の惨状を見て逃げようとするゆっくりにも、きっちりナイフを投げておく。逃げられたら厄介だ。 十五匹ほどの帽子を縫い付け、防衛戦は終了した。 「うーん、あんまりいなかったわねぇ」 「結構いるように見えますが…これで少ない方なんですか?」 「これだけ畑が広いと、コミュニティ全体で来ることもあるからねぇ。 違う畑では百匹近くのゆっくりが襲ってきたこともあったっけ。今回みたいに制限は無かったけど、さすがに危なかったわぁ」 あの時は仕事中に周りの農家たちも応援に来て、さながら闘技場のようになっていたっけなぁ。 あんこまみれになった畑の周りを、みんなで仲良く掃除したのはいい思い出だ。 今回は規模が規模だし、ここの住人自体もあまり評判がよろしくないので観客は阿求ちゃんしかいないけれど、 見られることを意識するといつも以上に頑張ろうという意欲がわくものだ。 「で、どうするんですか?あれ」 「そうねぇ。まりさたちにはちょっと聞きたい事があるから、阿求ちゃんはそこでちょっと待っててくれないかしら」 阿求ちゃんが目の前の自分の帽子の前で泣き叫んでいるゆっくりたちに指を向ける。 私は彼女をそこに残し、リーダー格と思われる、一番大きいサイズのゆっくりまりさに近寄った。 「ちょっといいかな?」 呼びかけられたゆっくりまりさが、涙やらよだれやらでぐちょぐちょとなった顔をこちらに向けた。 「お゛ね゛え゛さ゛ぁ゛ぁぁぁん!!ま゛り゛さ゛のぼうし゛と゛って゛ぇ゛ぇぇぇ!!」 「いいよ。はい、これでいいかな?」 私はそのまりさが言うように、地面からナイフを引き抜いて帽子を取ってあげた。 そして私の胸の前でそれを抱えるようにして持つ。 「おねえさんありがとう!それはまりさのぼうしだから、さっさとかえしてね!」 先ほどまでの泣き顔はどこへやら、まりさはいつものふてぶてしい顔をして私から帽子をとろうと飛び跳ねている。 たぶんさっきのは嘘泣きだったのだろう。 泣けばここの住人は馬鹿だから助けてくれる、なんて計略があったに違いない。 確かにそれは有効である。昨日までならば。 あのゆっくりんピースのおじさんの金と共に、このゆっくりたちの命運も尽きてしまった。 「じゃあ、私の質問にちょっと答えてくるかな?」 私はなるだけやさしい口調でそういった。 本当はもっと厳しく言った方がいいのだろうけど、やはりいきなりそんなことをするのも気がひける。 ゆっくりまりさは私が下手に出ている様子にこいつも自分に優しい人間だと思ったのだろう、 体を一回り大きくして見下すようにこちらを見ている。 「そんなことよりまりさのぼうしさっさとかえしてね!のろまはきらいだよ!」 案の定付け上がってしまった。 仕方がない、気は進まないけどこちらも少しだけ強硬姿勢を見せなければいけないか。 私は帽子をしっかりと抱え、ゆっくりまりさに取られないように注意しつつ、ナイフでほんの少しだけ帽子に切れ目を入れた。 自分の帽子がさらに傷を付けられていく様子を見て、ゆっくりまりさは慌てふためく。 「おねえさんへんなことはよしてね!まりさのだいじなぼうしにきずつけちゃだめだよ!」 「ごめんね?私も仕事だから。本当はこんなことしなくないのだけれど」 「だったらさっさとかえしてね!」 「じゃあ私の質問に答えてくれる?」 言外に答えなかったら帽子を引き裂くぞ、と言う脅しのニュアンスを含みつつ、私はゆっくりまりさに迫る。 ゆっくりまりさは下に見ていた人間に思わぬしっぺ返しをくらって心底悔しそうだったが、 自分の大事な帽子には変えられないのか、観念したかのように動きを止める。 「わかったよ!こたえるからさっさとしつもんしてね!」 「ふふっ。じゃあ聞かせてもらおうかしら。 あなた、ほかに仲間はいる?ここの畑を他のゆっくりに知らせたかしら?」 私が問うたのは相手の戦力の規模。 このゆっくりたちを処分するならばここから離れねばならない。その間、この畑は無防備になってしまう。 もしまだいるならばこのゆっくりたちは、このままここに縫い止めておかねばならない。 まったく、捕獲用の箱くらい使わしてくれてもよかろうに。 だが、私のそんな心配を知ってかしらずか、ゆっくりまりさの答えは私にとって理想的なものだった。 「なかまはいないよ!ここにいるみんなでぜんぶだよ!それにほかのゆっくりにもいってないよ! ここはまいさたちだけのゆっくりぷれいすだからね!」 「ありがとう。でも嘘はついちゃだめよ?そうしたら私にとってもあなたにとっても悲しいことになるわ」 「うそなんかついてないよ!まりさはしょうじきものだからしんらいしてくれていいよ!」 一応念を入れて探りを入れてみるも、ゆっくりまりさに嘘をついている様子は見受けられない。 まりさ種特有の強欲さから考えても、その話は信憑性に足るものだと思われた。 私の目標は、このゆっくりまりさだけとなった。 「おねえさん、おしえたんだからさっさとぼうしかえしてね!」 「ああ、ごめんなさい。今返すわ。でもその前に、私からもあなた達に教えたいことがあるの。 あなた達がゆっくりできるかどうかに関わる、とても大事なことなんだけど。聞いてくれる?」 「まりさはゆっくりしたいんだぜ!おねえさん、ゆっくりしないではやくおしえてね!」 ゆっくりできない、と言う言葉に本能的に恐怖を覚えたのだろうか、ゆっくりまりさが帽子のことも忘れて私の情報をせがんでいる。 私はまりさを安心させるように微笑むと、畑の方にいる阿求ちゃんを指差した。 「ねぇ、あの女の子って誰だかわかる?」 「ゆ?あんなひょろいやつなんてしらないよ!」 ゆっくりたちから見れば、彼女はそんな風に映るらしい。 私としては、線が細く、そのすらっとした体のラインはうらやましいものであるのだが。 私はこんな職業柄、どうしても少し筋肉質な体になってしまうからだ。 今度、どうやってあんな主そうなメイスを振り回すパワーを持ちながらそんな体型を維持できるのか、じっくりと聞いてみたいものである。 ……いけない、思考が脱線した。今は仕事に集中しないと。 「あの子はね、実はあなた達を捕まえに来た加工所の人なの」 「ゆゆ!?おねえさんそれほんとう!?」 「ええ、もちろんよ。彼女の持っているものが見えるでしょう?あれは、あなた達を捕まえるための道具なの」 実際は、あれは捕まえるものではなく殺すためのもの。それでも、ゆっくりたちにとって脅威であるものには変わりないのだが。 ゆっくりまりさはとりあえずあれの危険性についてはわかったのか、私に隠れながら、おびえた表情で向こうを見る。 「でも、心配しなくても大丈夫よ?あの子はあなた達が近づかない限り、何もしないから。 だから、今日はおとなしく森に帰ったほうがいいんじゃないかしら?」 「で、でもそうしたらまりさたちごはんたべられないよ!」 「それは仕方がないわ。たべものより命の方が大事でしょう? どうしても行きたいっていうんなら止めはしないけど、私はあの子からあなた達を守れるほど強くないわ」 阿求ちゃんのいる畑を見やって、ゆっくりまりさは考え込んでしまった。 お野菜は食べたいが、そこに立ちはだかるのはこわいもの構えて仁王立ちする人間。 この人数でかかればいくらかはあれを抜けられるかもしれない。だが、確実に私達の大半はゆっくりできなくなる。でも私じゃないかもしれない。 運がよくて私だけはおいしい野菜を食べながらゆっくりできるかもしれない。 どうしよう、怖いけど、お野菜は食べたい。あれはとてもおいしい。 おいしいものを食べたいと言う欲求と、死への恐怖と、もしかしたらという希望。 ゆっくりまりさの中で葛藤が渦巻いた。 ゆっくりまりさは考えに考え抜いた末、私に向かってこういった。 「おねえさん!まりさたちきょうはかえるよ!あしたあそこでゆっくりすればいいからね!」 勝ったのは死への恐怖。やはりあのメイスと、何より彼女が怖かったのだろう。 結構離れた私の場所でも、阿求ちゃんのゆっくりへの殺気がありありと感じられる。 ゆっくりまりさもそれを感じ取ったのだろう。 そうでもなければ、本能に従順なゆっくりが簡単に食への欲求を止められるものか。 私は彼女の殺気の波動から守るようにゆっくりまりさの前に屈みこんで、持っていた帽子をかぶせてやる。 「そう。命を大事にしてくれて嬉しいわ。早くみんなを連れてここから逃げてね」 「うん!おねえさんありがとう!みんなにおしえてくるね!」 ゆっくりまりさは勇んで他のゆっくり達に近づいていき――そして泣きそうな顔でまた私のところに戻ってきた。 「おねえさん!ほかのまりさたちのぼうしもとってあげてねぇぇぇぇ!!」 そういえば、まだ刺さったまんまなんだっけ。 私は地面に縫いとめられている帽子を回収し、それぞれのゆっくりまりさに被せてやる。 ゆっくりまりさたちは泣きながら私に礼をし、後ろでさっきを撒き散らす阿求ちゃんをみて恐れおののいて、そして帰っていった。 私はゆっくりたちがこちらを気にしなくなるほど離れてから、後ろにいる阿求ちゃんを呼び寄せる。 「すごいですね。どうやってあのゆっくりたちを説得したんですか? 合い辛そう簡単に畑を諦めるようなやつらじゃないのに」 「ふふっ。阿求ちゃんのおかげよぉ。 じゃあ他のゆっくりたちもいないようだから、後を付けていきましょうか。 待望の狩りの時間よ」 彼女は自分のおかげとはどういうことかと首をひねっていたようだが、 ゆっくりが狩れる聞いて俄然やる気を出したようだ。 「ほんとですか!ついにあいつらをつぶすときが来たのですね!」 「まあ、人目のつかないところまで尾行してからだけどねぇ。 ここで見失ってしまったらことだから、静かに、そして慎重に行きましょう?」 私は興奮する阿求ちゃんの唇に人差し指を押し当て、にこりと笑った。 彼女は了解です、とおでこに手をやって敬礼のポーズを取る。 まあ、ゆっくりたちは鈍感だからばれることは万が一程度しかないだろうが、念には念をだ。 そうして私達はゆっくりまりさたちの尾行を開始し、十数分後、彼女達の巣と思われる森の一角についた。 そこにはそのゆっくりまりさのほかにも、彼女の子ども達と思われる子ゆっくりもいた。 「おおー、いっぱいいますねー。もう我慢しなくてもいいんですよね?」 阿求ちゃんがメイスを構えて、満面の笑みで私の許可を請う。 私もナイフを構え、頷いた。 「いいわよ。ただ、向こうにいるリーダー格のゆっくりまりさは私に預からせてね?」 「わかりました!では行ってきます!」 彼女は弾丸のごとく疾走し、一直線にゆっくりに突撃する。 いきなりの奇襲に驚いたゆっくりは、すばやく反応することが出来ない。 「はぁーーーーっ!滅殺!」 「ゆべっ!?」 「びいっ!」 「ゆぐぅぅぅ!?」 「い゛ぃ゛ぃぃぃ!!」 彼女がメイスを振り回し、その暴風雨のような一撃に巻き込まれたゆっくりたちが内蔵物を撒き散らす。 ほんと、どこにあんな力があるのだろう。そう疑問に思いつつ、私は逃げようとするゆっくりを私がナイフを投げて縫いとめる。 今度は、帽子じゃなく本体を直接狙う。 「いだいよぉぉぉぉ!!」 「ゆぅぅぅ!!にげたいのにうごけないぃぃぃぃ!」 ナイフが刺さったごときでは致命傷には至らないが、それでもゆっくりたちの動きを止めることはできる。 動きさえ止めてしまえば、もう逃げられる心配は無い。後は阿求ちゃんに任せておけば大丈夫だろう。 私はそれを放置して、阿求ちゃんのメイスに当たらないように気を付けつつ、 目の前の惨状に呆然としているリーダー格のまりさに近寄った。 向こうも私を認識したようで、怒ったような顔で私に抗議の声を上げる。 「おねえさん、これどういうこと!!まりさたちをだましたの!!」 「ごめんね?これも仕事なの。あなた達には後で話があるから、とりあえずそこで待っててね?」 私はそのゆっくりまりさと、取り巻きにいた数匹のまりさをナイフで刺して動けないようにしておく。 ゆっくりまりさたちは体中を走る激痛に悲鳴を上げているが、私はそれを無視して阿求ちゃんのほうに向かう。 彼女のほうはあらかた片付いたようで、そこらじゅうにあんこが飛び散っている。 彼女も服をあんこだらけにしながら、恍惚の表情を浮かべてそこに佇んでいた。 「あらあら、もう終わっちゃったの?手伝おうと思ったのに」 「ああ、ハンターさん。本当はもう少しゆっくりいたぶろうかとも思ったんですが、一日中我慢していたせいで制御が利かなくて…」 「早いに越したことはないから私としては別にいいけどねぇ。って、あら?まだあそこに残っているわよ?」 そこには、あんこに埋もれていた一匹の子まりさがいた。 阿求ちゃんがまき散らかしたあんこが体中に飛んできて、運よくそれが擬態として働いたのだろう。 「ゆゆ!もうだれものこってなんかいないよ!ぜんめつしちゃったんだからゆっくりかえってね!」 自分を見つけられて焦ったのか、ゆっくりまりさが声を張り上げてそういった。 そんなことしても逆効果なのだが、ゆっくりだから仕方がない。 阿求ちゃんが頬を吊り上げながら、声のしたほうに近づいていく。 「そうですか、やっと全滅しましたか」 「そうだよ!もうだれもいないからゆっくりさっさとかえってね!」 「でもちょっと疲れましたから、ここで一休みしましょうか」 彼女は近くにあった木の根元に座り込み、隠れている子まりさの上に先端がのしかかるように、自分の持っているメイスを置いた。 「ゆぐっ!?お、おもいよ!とげがささっていたいよ!おねえさんはやくこれをどけてね!」 「おかしいですね~、全滅したはずなのにどこかからゆっくりの声が聞こえます。 幽霊でしょうかねぇ?おお、こわいこわい」 彼女はわざと子まりさと視線が合わないようにしつつ、そううそぶいた。 メイスを乗っけられた子まりさは必死に抗議の声を上げる。 「ゆゆ!ぜんめつなんかしてないよ!まりさがここにいるよ!だからさっさとこれをどけてね!」 「ええ?全滅なのではなかったのですか?でもどこにいるのでしょう。皆目見当もつきません」 彼女は周囲を探すように歩き回り、時折メイスの力を軽く踏んで子まりさの負荷を増加させる。 「いだいぃぃぃ!ふまないでね!これいじょうされたらまりさつぶれちゃうよ!」 「あらごめんなさい。でもあなたがどこにいるのか探さないと・・・ここかしら?」 そういってさっきより強くメイスの柄を踏む。 「ひぎっ!それいじょうはやめでねぇぇぇ!!あんこがでちゃうよぉぉぉぉ!!」 「あは、あはははっ!やっぱり見つからないですねぇ。ここですか?それともここ?ここかもしれませんねぇ」 彼女は興奮で顔を赤く染めながら、何度も、何度もメイスを踏む。 踏まれるたびに子まりさはビクン、ビクンと痙攣し、中のあんこをひねり出して行く。 「ああ、やっぱりたまらない!もっと、もっと聞かせてください!」 「ゆべっ!や、やべっ!!こべっ!もぶっ!だべっ!」 彼女は狂ったように笑いながら、汗が滴り落ちて妖しく光る足を上下に動かす。 子まりさはポンプのように、踏まれるたびに口から悲鳴を上げる。 そしてその声はだんだんと弱くなり、そして中のあんこがすべて飛び出ると同時にその声も聞こえなくなった。 「もう終わりですか?子どもは耐久力がないのが難点ですねー。 悲鳴は成体よりも良いのですけど」 「あらあら、あれだけ愉しんでたのに辛口ねぇ。 でもとりあえずこちらは終わったようだから、ちょっと来てくれるかしら?」 私は彼女を連れて、先ほど動けなくしておいたまりさ達の元へ向かう。 やはりまだ動けないようで、目の前の惨状に震えながらもそこから逃げられないでいた。 「お、おねえさん!まりさをたすけてね!まりさしにたくないよ! ほかのまりさたちはしなせてもいいから、まりさだけはにがしてね!」 リーダー格のまりさが私を見るなり他のやつらを見捨てて命乞いをする。 他のゆっくりまりさが慌てて自分も、自分もと命乞いを始める。 「自分だけ助かろうとは見下げた根性ですね。ハンターさん、殺しちゃっていいですか?」 「だめよぉ。この子達はみんな逃がしてあげるんだから」 私のその言葉に阿求ちゃん絶句し、ゆっくりたちは歓喜の声を上げる。 「おねえさんありがとう!まりさをゆっくりにがしてね!」 「ああ、でも私も仕事だから、ただで逃がすわけにも行かないのよ。 あなた達もう顔が割れてるから、万が一あのおじさんにあなた達のことを見つけられたら困ることになるわ」 「……ゆっくりなんて見分けつかない気がしますけど」 「あら、ゆっくりんピース舐めちゃだめよ?彼らはゆっくりたちの顔のわずかな違いでその個体を識別できるんだから」 ゆっくりたちは確かに似ているが、個々で微妙に違ってたりする。 目つき、口元、眉毛の凛々しさなど、ゆっくりんピースやブリーダーはそれを見て区別することができる。 「じゃあどうするんですか?やっぱり殺すしかないじゃないですか」 「そんなこともないのよ?ちょっと見ててね…えいっ」 私はナイフを使って、ゆっくりまりさの右目の部分だけを綺麗に刈り取る。 「ゆ、ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!まりさのめがぁぁぁぁぁぁ!!」 「ごめんね?痛いだろうけど暴れちゃ駄目よ?すぐ済むから我慢してね」 私は隣のまりさも同様に同じ部分を刈り取り、それを最初に切ったゆっくりまりさの目にくっつける。 同様に先に刈り取った右目も、今切ったゆっくりまりさの目に引っ付けて、傷口をふさぐ。 これで、二匹のゆっくりまりさの右目は交換された。 「どう?これならばれなくなるでしょう?」 「はぁ、パーツの交換ですか…良く考えますねこんなの」 「ありがとう、ほめ言葉として受け取っておくわ。 まあさすがにこれだけじゃばれちゃうから、もっと色々やるんだけど」 私は再びナイフをゆっくりたちに向ける。 ゆっくりまりさたちはこれから来る痛みから逃げようとするが、体に刺さるナイフがそれを許さない。 私はそんなゆっくりたちを安心させるために、優しく微笑んであげた。 「ちょっと痛いだけだから、我慢してね?これが終わったらみんな逃がしてあげるから」 ゆっくりまりさたちは悲鳴を上げているが、私は無視してナイフで顔のパーツを切り取っていく。 その悲鳴に罪悪感が心の中でもたげたが、ゆっくりたちを生かすためなのだから、と私はそれを押さえ込んで作業を続けた。 ゆっくりたちの麻酔なしの整形手術は、一時間後にようやく終わった。 「はーい、終わったよー。みんな、良く頑張ったね」 私は痛みに耐えかねて気絶しているゆっくりたちを起こし、ナイフを抜いて野に放ってやる。 ゆっくりまりさたちはまだ痛みが抜け切っていないようだったが、それでも体に鞭打って私の元から離れていった。 そのときに私になにか言おうとしていたが、交換したばかりだったせいか口が動かなかったようで、結局そのまま何も言わず去っていった。 お礼なんて、別にいいのに。 ゆっくりまりさたちを見送りながら、阿求ちゃんが私に質問をした。 「ハンターさん、なんであんなめんどくさい事をしたんですか?やっぱり殺したくないからですか?」 「もちろんそれもあるわ。でも、あの子達明日になったら私達のことなんてすっかり忘れて、いつか群れをなしてまたあのおじさんの畑襲うと思わない?」 「まあ、ゆっくりの習性上そうなってもおかしくは……って、まさか」 「大事な収入源は、できるだけ手放したくないものよねぇ」 私達はその後依頼人の男のところにいき、ゆっくりたちを追い払ったとだけ報告してお金を受け取った。 彼は自分の畑を襲うゆっくりたちが死んだのだと喜びを隠せずにいたが、 阿求ちゃんはそんな彼を哀れむように見ていた。 男は阿求ちゃんの様子に気づくこともなく、上機嫌のまま私達を見送るために玄関まで来ていた。 私は大事な顧客である彼にしっかりとお辞儀をして、そしてこう言った。 「また、何かあったらよろしくお願いしますね」 終わり 外伝へ 読んでくださった人に感謝の念をこめて。 本当に、本当にありがとうございました。 このSSに感想を付ける
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