約 3,555,454 件
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/3378.html
真(中略)サイバスターを駆るマサキ・アンドーは、案の定迷いに迷っていた。 マサキだけならともかく、サイバスターと合体した真・最終防衛システムがサポートしている以上は迷子など有り得ないはずなのだが…… 「なあシステム。俺たち、もうどのくらいこうして飛び続けてる?」 「距離にして、新惑星を余裕で十周程度です……何故、これだけの距離を飛び続けているというのに誰とも遭遇しないのでしょう? 天文学的な確率ですよ」 「俺が知るか……くそ、人と会えなくちゃ道を尋ねることもできやしねえ」 現実はこの通りである。 システムとの合体で、サイバスターのスピードが飛躍的にアップしたため、時間的にはそれほど経っていないのが不幸中の幸いだ。 しかしこのままでは埒が明かない……と、その時、システムが警告を発した。 「マサキ、前方に熱源反応! この反応は……巨大ロボットかと思われます」 「巨大ロボ……? システム、そいつと通信はできるか?」 「少々お待ちください。……あ、丁度巨大ロボ側からこちらへ通信が入っています」 「よし、通信回線を開いてくれ」 マサキの指示に従い、システムが回線を開くと、サイバスターコックピットのモニターに巨大ロボの搭乗者の姿が映し出された。 と、その瞬間マサキの目が驚きで見開かれる。 モニターに映ったのは、マサキにとってよく知った顔だったからだ。 『正体不明のロボットが現れたって言うから調査に来てみれば、マサキじゃねえか!』 「お前……甲児!? 無事だったのか!」 通信を寄越してきたのは、かつての大戦で共に戦った仲間の一人、マジンガーZのパイロット兜甲児だった。 久しぶりの再会を、マサキと甲児はお互いに喜び合う。 『いつものサイバスターに乗ってないから、お前だとわからなかったぜ。その機体はどうしたんだ?』 「ああ、いや、一応こいつもサイバスターだ。ちょっと合体しただけで」 『合体?』 「ええ、私、真・最終防衛システムがサイバスターと合体しています」 『うわっ!?』 ようやく状況をある程度理解できた真・最終防衛システムが、いきなり二人の会話に加わった。 突然会話に割り込んできた第三者に、甲児が驚きの声を上げる。 『い、今のは誰の声だよ?』 「驚かせて悪いな、こいつは真・最終防衛システム。解りやすく説明するなら、シロとクロみたいなもんだ」 「よろしくお願いします、兜甲児さん」 『お、おう、よろしくなシステム』 ぎこちなくも、挨拶を交す甲児とシステム。 常日頃意思を持った兵器、機械獣を相手取っている甲児にしても、システムの存在は衝撃的であったようだ。 そんな彼らの様子を笑いつつ、マサキはまだ大事な話をしていないことに気付く。 「ところで甲児、他の皆は無事なのか?」 かつて、マサキと共に地球を救ったαナンバーズ。 並大抵ではない実力者揃いとはいえ、この過酷なバトルロワイアルだ。全員が全員無事とは限らない。 だが、生き残っているのなら主催打倒の大きな戦力になってくれるはずだ。 ゆえに、マサキは甲児に彼らの安否を聞いたのだが。 『バトルロワイアル? αナンバーズ? おいおい、何の話だそりゃ』 「何……?」 『そんな事より大変だぜマサキ、最近DCの奴らの動きが活発化してきて、 しかもガイゾックとかポセイダルとかゲストとかって連中が地球に攻めて来てるんだ その上、連邦の中ではティターンズとかいういけ好かない奴らが色々やってやがるんだ』 「お、おい……甲児?」 (……おい、システム。こいつはひょっとして) (ええ、恐らく迷いに迷った結果……平行世界にまで迷い込んでしまったものと思われます) (畜生、やっぱりか!) 『けど、お前とサイバスター、それにシステムさんが来てくれたのは心強い! マサキ……システムさん……俺たちロンド=ベルの手で、絶対に地球に平和を取り戻してやろうぜ!』 「あ、ああ…………」 (……どうする?) (……まあ、この世界の人々を放っておくわけにもいきませんし) 【マサキ・アンドー@スーパーロボット大戦 脱出? 第四次スーパーロボット大戦へ】 【真・最終防衛システム@サガ2GOD 脱出? 第四次スーパーロボット大戦へ】
https://w.atwiki.jp/kskani/pages/128.html
超能力少年、そしてとなりのストーカー ◆m0TQE.IDWQ 「………………ふぅ」 四方を絶海に囲まれた地獄の島。 その島に唯一つの短い溜め息が響く、それは心底からの溜め息だった。 溜め息をついたのは何の変哲も無い言ってしまえば平凡な少年。 これまた普遍的な青いブレザーとズボンといった制服を纏い顎に手を当てて何かを思案しているようだった。 茶髪とそれなりの長身で端整な容姿だが、それでも何処でもいるような少年のようである。 だが彼は平凡な少年ではない。 「……不覚ですね」 彼はただ不覚と思った、自分が気が付かない内に殺し合いに参加させられてしまった事に。 そして自身が保護しなければ存在まで巻き込んでしまった事に。 彼の正体は古泉一樹、一種の超能力少年である。 その持ちゆる超能力故に「機関」に属していた。「機関」とは彼のような能力者の集まりである。 その「機関」から彼が託された使命、世界に多大な影響及ばすと言われる涼宮ハルヒの保護。 それはこの島でも行われなければなら無い義務であった。 (…………さてSOS団内で見せてる演技はどうしましょうか?) そこで古泉は彼が涼宮ハルヒ達の前で振舞っている演じている云わば仮の「古泉一樹」の姿のことを考える。 涼宮ハルヒが古泉に望む願望である、敬語を使い微笑を浮かべて温和な性格。 それをこの島でも演じ続けるのだろうかという事。 今、古泉の周りにはSOS団の面子は居ない。 だが (……いえ、そのまま続けましょう。僕の周りには居ませんが……何処かできっと長門さんが見てるでしょうし) 彼は演技を続ける事に決めた。 理由の一つとして上げられるのは何故か主催者である長門有希の存在。 長門は情報思念体に造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースで主流派に属す者である。 彼女の役割は涼宮ハルヒの観察であり彼女を死の危険に晒す事は有り得ないはずだった。 それは兎も角長門もハルヒが立ち上げたSOS団の団員である。 主催である彼女ならこの島で起きていることを常に把握していてもおかしくは無いだろう。 ならば常に見られていると言う可能性もあると古泉は判断した。 それにもしこれから別の参加者と遭遇した場合、その参加者がSOS団に関わりある人物と情報交換していたなら別の人格だったら疑われる危険性だってある。 総合的に判断して演技をしないデメリットの方が高い。 そう古泉は結論付けて改めて考える。 (まず……僕がすべき事は早期の涼宮ハルヒ及び彼の保護。こういう非常時ならなおさら急がなくては) そして古泉がこの孤高の島で自らがすべき方針を考える。 とはいえそれ例え殺し合いの舞台に上がろうとも大きな事は変わらない。 機関から託された使命でもある涼宮ハルヒの保護、そして涼宮ハルヒの大きなキーになる人物でもあるキョン。彼の保護。 これが古泉の大きな役割であり殺し合いでも変わらないことであった。 次に古泉が考えたのは自分たちの知り合いである。 まずは朝比奈みくる、SOS団の仲間であり未来人でも彼女。おっとりとしてるが謎な所もある彼女だが取り敢えず合流できるのならしたい。 何せ彼女もきっと涼宮ハルヒとキョンの保護は方針として香がげるであろうと言う判断からである。 次はキョンの妹。そのまんまキョンの妹である。取り敢えずは保護でしょうと古泉は思う。 キョンは心配するだろうしキョンのことを考えるなら保護しない理由はない。とはいえ積極的に探し人物でもないと判断。 最後に朝倉涼子。長門有希と同じ対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。違う点は彼女が急進派に属してると言う点。 しかし古泉にとって不可解な点がひとつだけ存在する。 それは彼女がもう消滅はずである存在であった事だ。なのに名簿に書かれていた。余りにも不自然だった。 が、考えても答えは出せない。よって保留と判断した。最も危険人物だという認識はしていたが。 (とりあえずこんな感じでしょうか。後はこちらが知らない他の参加者はどうしましょうか?) 古泉は知り合いに対する方針に一旦目処をつけ次に他の参加者について考え始めた。 まずは他の参加者と接触した場合優先すべきは涼宮ハルヒ及びキョンの情報である。 それを確実に聞き出し集める。それが涼宮ハルヒに繋がるのだから。 そして利用できる参加者はできるだけ利用する事を決めた。 如何せん他の参加者の情報は未だに不足している。古泉自身より強い者は確実にいるだろう。 ならばそれを盾にし、己が身を守ることを優先。 そして利用できない参加者については見捨てるかもしくは切り捨てる。 取り敢えず優先すべきは涼宮ハルヒとキョンなのだ。 他の参加者の事などは後でいい。 そう古泉は判断した。 (さて僕自身の身の振り方はこんなものでしょう。細かい事は適宜決めるとして……後は支給品を確認しましょう。何か有効になる物は無いでしょうか?) そしてまず彼が見つけたのは銃器、それもかなり大型の。 それはH K XM8と言う光学サイト付きアサルトライフルだった。 身体能力は並みの古泉としては大きな武器であり当たりに属す物である。 その銃は数あるアサルトライフルの中でも最近に開発されたものでアサルトライフルの革命さえ言われてるものである。 その他にも支給されたものを確認し古泉は一息をつく。 (さて大まかな事は全て終えました……少し考えて見ましょうか。この殺し合いについてを……) まず考えるは主催者の位置に居座っている長門有希の存在である。 本来彼女は涼宮ハルヒの観察が目的だったはず。 なのにふざけた殺し合いの主催者になっていた。 これが涼宮ハルヒやキョンが参加して無いならまだ解る、それなら恐らくだが情報思念体に役目を与えられたとかそんな感じであろう。 しかし彼女達が参加しているのだ、故に理由が分からない。 考えられる推論としては情報思念体そのものが考えを変えたと言う点。 情報思念体は涼宮ハルヒの処遇について主流派、急進派、穏健派に分かれている。 これが何かを切っ掛けにバランスを崩して考えが急速に変わったという事だ。 それ故にこんな殺し合いを開いて且つ彼女達も巻き込んでいると言う推論。 だがしかし古泉では立てられるのはあくまで推論である。 彼は推論は立てはする事はできたとしてもこれを信じる気にはあまりなれなかった。 そこで一旦古泉は長門についての推論を止めもう一人の主催者ついて思考をめぐらす。 もう一人の主催者の男の名前は草壁タツオという壮年の親父であった。 まず考えられるとしたら長門と同じく情報思念体によって作られた存在であろうと言う事。 というより今古泉が持ちゆる情報だけではそう判断するしか他無かった。 兎も角長門がいることから確実に裏に情報思念体が絡んでいる事は確実であろう。 この殺し合いがどういった経緯で開かれた理由が分からない現状調べるしかない。 そこで古泉が思い浮かぶのは3人の人物。 一人は長門と同じ存在である朝倉涼子。長門と同じく情報思念体に属する彼女ならなにかしら情報を知っているだろうと。 最も接触するには最大限の注意が必要だが。危険人物である事は変わりないのだから。 そして残り二人は草壁サツキ、草壁メイ。 偶然かもしれないがもう一人の主催者と同じ苗字を冠する二人。何かしら草壁タツオの情報を持ってる可能性は高い。 彼女達は名前しか知らないが接触する価値はあるだろうと。 (もしかすると草壁サツキ、草壁メイが長門さん達と同じ対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースかも知れませんね……) そして草壁タツオが情報思念体に属するのなら彼女達も長門達と同じではないかと推測する。 だからといって何かが変わるわけではないが警戒する必要はあるだろうと。 (何れにせよ……接触を試みたいですね。後は―――) その後さらに古泉は思案を加速していく。 それでも周りの警戒だけは怠っていなかった。 だがしかしそれでも気付かなかった。 あまりに唐突に。 あまりに普通に。 あまりに自然に。 隣に居た古泉をゆうに越す巨体の生物には。 その生物は鼠色の毛皮を持ちただ古泉の隣に聳え立っている。 大きさは古泉の2倍以上もあり耳をピンと立てただ静かに古泉の傍にいた。 そして (それと―――え?) やっと古泉は気付く。 隣に自然といたその生き物――トトロ――に。 そっと古泉は思索をやめとなりに振り向く。 そこにはニーーと怪しい笑みを浮かべ古泉をじっと見つめる鼠色の化け物。 あまりに普通に自然に唐突だった。 「…………っ!?」 古泉の顔が驚愕に染まり即座に退避を考えトトロから逃げ始めた。 これには流石の古泉も驚いた。 流石に人ではない化け物の参加者が居る事は想定はしていなかったのである。 しかもそれが人とかけ離れた鼠色で巨躯の化け物である。 故に退避。 古泉も情報交換する気が起きなくてまた交換できるかさえ不明であるのだ。 それにいつの間にか隣に居たのだ。不気味で仕方がない。 攻撃するにするにしろこの不可解で明らかに地球に存在しない生物に果たして銃撃が効果があるかさえも分からない。 そう判断した古泉は退避を選び取りすかさず駆け出す。 瞬く間にトトロの元から離れる古泉。 それをトトロはただ見守っているだけだった。 あの口が裂けんばかりの笑みで。 ずっと。 ずっと笑っていた。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「……はぁはぁ。ここまで逃げれば大丈夫でしょう」 古泉は暫く走って逃げていた。 そして辺りを見回すとトトロはいなく唯草原が広がってるだけ。 どうやら撒いたようだ。 ふうと古泉は溜め息をつき先ほどの化け物について考えを巡らす。 あんな化け物がいるとは思わなかったと。 しかし他にも人い外の参加者がいるかもしれないと考えた時。 ふととなりを見てみる。 「…………………………はい?」 そこには先ほどと同じようにとなりに立っているトトロ。 あまりに唐突に。 あまりに普通に。 あまりに自然に。 となりに立っていた。 ニンマリと同じ笑みで古泉を見下ろした。 古泉はただ戦慄するだけ。 気配が全く無かった。 むしろほんの数秒前まで周囲に居なかった筈だ。 なのに何故もう隣に居る。 ただ、ただ恐怖した。 「…………っ」 古泉はその恐怖のまま逃げ出した。 こんな規格外な化け物相手にできないと言う判断の元に。 瞬く間にトトロの元から離れる古泉。 それをトトロはただ見守っているだけだった。 あの口が裂けんばかりの笑みで。 ずっと。 ずっと笑っていた。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「……はぁはぁ……流石にもう走れませんね」 あれからまた逃げ出し体力のある限りただ走っていた。 そして辿り着いたのはあたりを一望できる砂丘。 古泉はもう体力の限界が着ており服に砂が纏わりつくのを厭わずそのままに寝転がった。 空には星が耀き、ただ古泉はそれを眺めていた。 それを行っている内に古泉の心に安堵が宿り始める。 あの化け物を撒く事ができたのだ。 ふうと溜め息をつきふととなりを見ると。 「…………………………やっぱりですか…………………………」 そこには先ほどと同じようにとなりに立っているトトロ。 あまりに唐突に。 あまりに普通に。 あまりに自然に。 となりに立っていた。 ニンマリと同じ笑みで古泉を見下ろした。 古泉の心に諦観のようなものが襲ってくる。 もう体力の限界であり逃げる事はできない。 例え逃げ出してまた同じ様に隣に居るだろう。 この化け物がこんなに自分を追ってくるのは殺し合いに乗ってるのではないかと思い。 ここで命の終わりかと思ってしまった。 どちらにしろ体力がそこをつき動けない。 その時トトロが笑い動き始めた。 古泉は終わりかと思い寝転がったまま星を見続ける。 やがて来る死を待って。 「え……?」 だが死は訪れなかった。 トトロはそのまま古泉と同じ様に寝転がったのだ。 大の字になって星を見ていた。 古泉と同じ様にずっと星を見ている。 古泉はただ唖然としたまま考える。 この化け物は殺し合いになど乗っていない。 ならば何故自分を追ってきたのかと。 一つ答えが浮かんだ。 それは古泉が人と会ったら恐らくやるだろう事に。 そうそれは 「……貴方は人と交流したいのですか? 僕と?」 人との交流。 その古泉の言葉にトトロの笑みがさらに広がっていく。 とても単純な事だった。 それをトトロは行おうとしただけだったのだ。 はあと古泉は溜め息をつく。 何故こんなに必死に自分は逃げたんだろうと。 あほらしくさえ思ってきた。 そしてトトロと同じ様に星を見ながらただこう思う。 満更でもない。だがしかし。 これは 「……やれやれ困ったものです……」 そう思いいつものように苦笑いをして星を見続けた。 トトロのとなりで一緒に笑いながら。 ただ星を見ていた。 【J-8 砂丘/一日目・未明】 【古泉一樹@涼宮ハルヒの憂鬱】 【状態】疲労(大) 【持ち物】 H K XM8(30/30)、5.56mm NATO弾x90、不明支給品0~2 デイパック(支給品一式入り) 【思考】 1:涼宮ハルヒとキョンの保護。 2:SOS団メンバー、キョンの妹と合流。朝倉涼子は警戒。 3:他の参加者は利用。使えないのなら切り捨てる。 【トトロ@となりのトトロ】 【状態】健康 【持ち物】デイパック(支給品一式、不明支給品1~3) 【思考】 1:??????????????? 【備考】 ※人間と交流したいようです。 時系列順で読む Back 対有機生命体コンタクト用インターフェースは電気娘の夢を見るか? Next ドロロ死す!? であります 投下順で読む Back 対有機生命体コンタクト用インターフェースは電気娘の夢を見るか? Next ドロロ死す!? であります GAME START 古泉一樹 闘将(たたかえ)!古泉仮面 GAME START トトロ
https://w.atwiki.jp/83452/pages/3057.html
唯「いや…ムギちゃん……したく、ない」 これからムギちゃんの家族と会うかもしれない、もしかしたら大事な話をしなきゃいけないかもしれないのに 唯「…ダ…ダメだってば」 しかし彼女の手が撫でるように動くと私の意志は簡単に崩れてしまい、体と心がバラバラにされてしまったようにこのまま流されてしまう。 ―――けどそうはならなかった 彼女の次の言葉が私を現実へと引き戻す 紬「ほら、邪魔な服は脱いじゃいましょ…」 火照っていた体温が一気に下がる 違う…… だって彼女は知ってるから、私がどんな気持ちでこの服を着ているのか。 彼女との初デートの前日。 どんな服を着ていけばいいか分からなくて、和ちゃんと一緒に買いに行った。 普段はあんまり行かないようなちょっと高めのお店に行って、見つけたこの上着。 和ちゃんも店員さんも似合うって言ってくれたけど、ムギちゃんに言われるまでずっと自信がなかった。 だからデートの日一番最初に聞いたんだ、この服変じゃない?って。 彼女はキョトンとしてたけど、私に聞き返してきた もしかして今日の為に買ってくれたの?って。 私は恥ずかしがって声をうわずらせながら、そんなわけないじゃんって嘘をついたんだ。 けどやっぱり彼女にはバレてて そう、ごめんなさい。ありがとう。とっても素敵よって言ってくれた。 その日から大事な日には絶対これを着ていくようにしている。 だから違う…… 彼女はこんな時でも絶対この服を邪魔だなんて言わない。 魔法がとかれた私は彼女の手をはねのけて、ソファーの端へと逃げる。 紬「唯ちゃん?」 彼女からあまり聞かない不安な声がする。 心が苦しい……こんな声を彼女にださせてしまったことが。だけど私はどうしても許せない、だってこの服は特別だから。 紬「ど、どうしたの……唯ちゃん?」 私は彼女を強く見据えると、先ほどとは立場が変わったのか彼女は弱々しい顔を見せてきた 紬「いい子だからこっちに来て」 哀願する彼女に首を振る 紬「何で?気持ちよくなかった?なら私もっと頑張るから…」 やっぱりおかしい……彼女は私が何に怒ってるのか分からない人じゃない、一体どうしてしまったんだろう? 紬「唯ちゃん…わ、私…唯ちゃんに……」 彼女の手が伸びて私の髪に触れようとする。怖かった、彼女が私の知らない人みたいで 唯「いや、触らないで」 自分でも怖いほど低い声がでて、彼女の手が空中で止まり力なく落ちていく。 同じソファーの隣同士に座っているのに、今私達の間には絶対的な距離ができてしまった気がした。 そう思った矢先、重たい空気を割るように扉を叩く音がする 「お嬢様」 低い男性の声が聞こえたけど、呼ばれた彼女は動こうとせず、ただ私にすがるような視線が送くるばかりだった。 私は彼女の寂しげな視線に耐えきれなくなり視線を外す そしてもう一度ノックの音がするとやっと彼女は反応し、フラフラと立ち上がると扉に近づていった。 紬「何」 ゾッとするほど冷たい声がムギちゃんの口からでる。 「奥様ですが、急な仕事が入ったため明日の朝にならないとお戻りになれないそうです。」 彼女の変化に気づいてないのか、受け答えしてる男性は淡々と言葉を発していた。 紬「…分かりました」 「あと夕食なのですが…」 紬「斎藤、それはこちらから連絡しますからとりあえず準備はしといて下さい。もうないなら下がっていいわよ」 斎藤「はい、かしこまりました」 矢継ぎ早な会話が終わったのが分かり 私は急いでスカートを整えて、その上にある手をぎゅっと握りしめ彼女の言葉を耐えるように待った。 紬「唯ちゃん」 先ほどのドア越しの会話の時とはまったく違った、頼りなさげな声がする。 目線を合わせると彼女の顔はただでさえ白い肌が一段と蒼白くなり、目元に涙すら浮かんでいた。 そうさせたのは私か… 紬「さっきはごめんなさい」 唯「あっ……ううん、私も言い過ぎた」 お互い謝っても気まずい雰囲気は消えることはなかった。 だって彼女はなぜ先ほどのような真似をしたのかまでを話してはくれなかったから 紬「そろそろ時間も遅くなったし、夕食にしない?」 唯「うん……」 紬「なら食堂に行きましょ、きっと唯ちゃんも気に入ると思うわ」 唯「うん、ありがとう」 会話が止まる。 やっぱりこのまま何てダメだ 唯「ムギちゃん…何かあったの?」 彼女が答えやすいようできるだけ優しい声で聞いてみる。だけど彼女の顔の陰りが消えはしなかった。 紬「……何もないわよ。それじゃあ行きましょう」 無理に微笑みながらそう言って歩き始めるムギちゃんを問い詰めたいけど、、 彼女の後ろ姿は私の質問を完全に拒否していた。 食堂に行くと次々と美味しそうな料理が並びはじめ、それを大きいテーブルで二人っきりで食べる。 広々とした食堂内には皿やファークが奏でる無機質な音ばかりがなっていて、こんなに美味しそうな料理も大して味がわからなかった。 ムギちゃんどうしたの?何かあったの? 何度も聞こうと喉まででているこの言葉が口から出ることはない、たった一度の拒否で恐怖心が私の口を塞いでいて、 もしあの時ムギちゃんを受け入れていたらと後悔ばかりが頭をあげる 紬「そろそろ寝ましょうか?」 あれからほとんど会話もないまま、ただただ気まずい時間を過していた時 彼女が思い出したようにポツリと言う 時間は23時 普段なら間違いなく寝てはいない時間だけど私もどうしていいか分からず、小さい声で同意してしまった。 ただもしかしたらベッドでなら話しができるかもと小さい希望は持っていた。 ソファーから立ち上がりベッドに向かう彼女の後ろをついて行くと、側まできた彼女が振り向き私を見る。 紬「唯ちゃんはここで寝て。私はソファーで寝るから」 唯「え?」 紬「別々に寝ましょう……」 唯「…何で?」 空気がさらに重くなる。 彼女は何も答えてくれないけど、もうムギちゃんの拒否を恐れている場合ではないことは私にも分かった 唯「一緒に寝ようよ」 こんな事言うのは初めてかもしれない、それだけ私達にとって自然な事だったから。 もう一度自分の意志を伝えようと口を開きかける私を、彼女の言葉は遮った 紬「ごめんなさい」 そういうと彼女はひとつ枕を持ってソファーに向かう 唯「何で?」 唯「……何で一緒に寝ちゃダメなの?」 聞き分けのない子供みたいに同じ問いを繰り返す この場の空気と不安な気持ちに私は押しつぶされそうだった。 唯「ねえ、少しだけでもいいk……」 紬「ごめんなさい」 私の哀願するような声がまた彼女の声に阻まれる 紬「今の私少しおかしいの。そんな状態で唯ちゃんの隣に寝たら…… あなたをめちゃめちゃにして、傷つけてしまうから。ごめんなさい」 彼女はそう言うと扉の近くまで行き、部屋の電気を消した。 一気に広がる暗闇に一瞬で彼女を見失う それは視覚的にも、そして心情的にも。 心が折れそうだった。何でこんなになっても私は何もしないでこうやって立ってるだけなんだろう ムギちゃんが何かに苦しんでるのは分かってるくせに、それを知ってしまうのが怖い。 彼女を苦しませてるほどのものが、私にどうにかできるのか? 助けてあげられなかったら彼女に失望されるかもしれない・・・ 眼先で拒否されているのに私はそんな事ばかり考えていた。 布の擦れる音が聞こえて、また静かになる 紬「お休みなさい」 彼女の言葉が永遠の別れに聞こえた 私は誰かに助けを求めたくなる。軽音部のみんなや和ちゃん、憂に私はどうすればいいのか聞きたかった。 けどそんなことしても無駄なんだ。 誰かに聞いて答えがででも結局やるのは私だから、私が何かしないと変わらないんだ。 これは二人の間の問題で、ムギちゃんが苦しんで解決できないなら私がやるしかない。 ムギちゃんならどうするか…… きっと私がそうなっても私の本心を見抜いてくれて、良い方へ導いてくれる。 けど私はムギちゃんではないし、彼女にはなれない。 だったら私ならどうする…… 唯「いいよ……」 紬「え?」 暗闇の中、私の言葉が彼女に届く 唯「ムギちゃんがしたいようにしていいよ」 私は服を脱ぐ さっき私は彼女を一度拒んだ。 あまつさえ触らないでとまで言ったのだ、彼女がおかしいと気づいていながら。 それが――私の犯した間違いなんだと思う。 私にはムギちゃんみたいに本心を見抜くことができない、だったらその歪な気持ちのまま受け止めるしかなかったんだ。 受け止めた後にその中から探すしかない、彼女の本当に望んでいることを 着ていたものを全て脱いで一歩一歩彼女に近づく、覚悟を決めても情けない事に足は震えていた。 暗闇の中でも近づけば彼女が上半身を起こしてるのがわかったので、そのまま柔らかく抱き締める。 紬「ゆ、唯ちゃん!!…えっ……ふ、服は!?」 触って初めて気づいたのか、ムギちゃんの声がたじろいでいた 紬「……ゆ、唯ちゃん!?」 唯「いいよ」 もう一度伝えよう、ムギちゃんに私の気持ちを 唯「めちゃくちゃにしていいよ。」 紬「えっ……」 唯「痛いことでも我慢する、もしかしたら泣いちゃうかもしれないけど大丈夫だから。 ムギちゃんがしたいこと全部受け入れる」 紬「……」 唯「私バカだから、ムギちゃんが悩んでたり苦しんでたりしても、解決させてあげられない。 頼り無くてごめん…… 解決はできないけどそれを分けて欲しい。 ムギちゃんの傷とか悲しみとか私にも分けて、私も一緒に悩んだり苦しんだりするから。 ムギちゃんとならどんなに辛くても、きっと大丈夫。 だから……だからね…… 一緒にいて……あなたの隣にいさせてください。お願い…大好きなの…ムギちゃんの 事…」 多分最後の方は言葉になっていなかったと思う。声をだしたくても涙と嗚咽が邪魔をしていたからだけど少しは私の気持ちが彼女に届いたのか、彼女はキツく強く抱きしめてくれていた。 ――――― ―― 紬「先週の父の誕生パーティーの日、偶然話を聞いたの」 相変わらずの闇の中、ベッドで彼女に身を寄せている私が落ち着いたのを見ると彼女は語り始めた。 紬「そのパーティーには父の友人や仕事上付き合いのある人、後は会社の部下の人達が主に出席しててね、 私にとっては同世代の話し合い手もいないから毎年あまり面白いものでもないのよ。 けど今年は若い男性が何人か話しかけてきてくれてね」 私は彼女のパジャマの袖をすがるように握る。さっきあんな大見得きっておいてもう不安になってしまった 紬「ん?……ふふっ大丈夫。当たり障りない会話よ、学校の事とか部活の事とか聞かれたわ まあそうやって時間を過ごして、そのまま無事にパーティーは終わったのだけど、 部屋に戻った時にそういえば父にプレゼントを渡してないことに今更気づいたの。 やっぱりこういうのは当日中に渡したくて書斎に届けに行ったら、部屋には斎藤と父がい て話をしていたわ。 その時斎藤が聞いていたの、 パーティーの時、お嬢様に男性が何人か話しかけてたみたいですがって。 私はなぜそれを父に聞くんだろうって思って、部屋には入らず父の返事を待った。 そしたら父が言ったの……あいつらは会社の後継者候補だって」 それがどういう意味か私にもわかった。 袖を握る力を強める、彼女がどこにもいかないように。そんな私の手を彼女も上から包むように握ってくれた 紬「父は軽い気持ちだったみたい。 別に今すぐ結婚とかではないし、本人達の意志は尊重するって言ってたわ。 ただ一度会わせたかったみたいで、彼らに少し娘と話してみないかって言ったようなの」 つまりムギちゃんのお父さんは彼らのうち誰かとムギちゃんが結婚して、会社を継いでくれる事を望んでるんだろう 紬「私の知らないところでそんな事をしてるなんて正直頭にきたわ。けど同時に思ったの、やっぱりそれが父の願いなんだって」 彼女の体に手を回す。少しでも彼女が安心できるように 紬「もっと普通の家に生まれたいって思った時もあったけど、私は父も母もこの家も大好き。 だから…」 唯「分かるよムギちゃん」 ムギちゃんに悲しい言葉を言わせたくなくて、我慢できなくなり声をかける。 彼女と付き合ってるのは誰かを喜ばしたいからじゃない ただ私が彼女を好きで、彼女も好きって言ってくれたから。 けどもし私達が付き合っているせいで誰かが悲しむのもイヤだった、特に私達にとって大事な人が悲しむのは…… 紬「そうよね……唯ちゃんも一緒だもんね」 悲しく微笑む彼女の顔が見える。 そして私は今日一番聞きたかった質問をした 唯「……何で私をお家に招待してくれたの?」 彼女はゆっくりと目を閉じる。まるで何かを覚悟したように・・・ 紬「父の話を聞いて、唯ちゃんに私の住んでる家の事とか家族の事を知ってもらうには来てもらうのが一番だと思ったから。・・・きっとこれから先、私達の間にずっと付きまとう問題だし」 唯「そっか…」 私が男の子だったら違っていたんだろうか? でも結局のところ私が男の子でも、桜ヶ丘には入れてずムギちゃんとも出会えなかったから、私達は最初からこうなる運命だったんだろう 紬「本当はもうひとつあったんだけど……」 唯「何?」 紬「まあそれは後でね」 何だろ? 紬「それでさっそく唯ちゃんに電話したんだけど、唯ちゃんは和さんと……」 また含みのある言い方をする彼女 唯「だ、だから私和ちゃんとは!!」 紬「ふふっごめんなさい、ちゃんと分かってるから……今はだけど」 今は? 紬「けどね、その時は違ったの…… もし唯ちゃんの相手が和さんだったら、そっちの方が唯ちゃんにとっては幸せなんじゃな いかって考えてしまった」 唯「えっ?」 紬「だって和さんとは幼なじみで家族ぐるみで付き合ってる訳だし、少なくてもそういう問題はでなかったんじゃないかって……」 唯「……バカ」 彼女を抱く力を強める 紬「そうね、バカだった……けどその時心がぐらついていたから、普段なら一蹴できるような考えにずっと捕らわれていた」 ムギちゃんを不安にしたのは私なんだ。 私がまだまだ頼りないから、彼女が少し揺れただけで私達の関係自体もすぐにおかしくなってしまう 紬「実はね、今日母にだけは唯ちゃんを紹介したかったの」 体がビクッと揺れる、これがさっき言っていたもうひとつなんだろう 唯「それは……どういう意味で?」 紬「大切な人って意味で」 暗闇の中でも分かってしまうくらい、自分の顔が赤くなってる気がする 紬「母はどちらかと言えばそういうのに寛容だと思うから…… 結局帰って来なかったのだけど、だから私今日はずっと緊張しててあんまり和さんの事は 考えていなかったの。 だけど……唯ちゃんが普段飲んでる紅茶の方が美味しいって言ってくれた時、すっと緊張 が取れた。 こんなに可愛くていい子なんだからきっと大丈夫だって、母も許してくれるって」 私はムギちゃんの胸に顔を埋める。 そうしていないと嬉しくて泣いちゃいそうだったから 7
https://w.atwiki.jp/saigonotubasa/pages/40.html
注意! この名言集は残念なことにスカイフィッシュ氏による捏造が含まれています 最後の翼の面々は人格者ばかりです。 鵜呑みにするようなことのないようにお願いします ※最近スカイフィッシュ氏による低クオリティの更新が目立つので適宜検閲します。 現行犯的殿堂入り名言集(下のほうに最新殿堂入り。いつも忘れるのでメモ) SONARの名言 スカイフィッシュの名言 現行犯の名言 maturiの名言 slv様の名言 のまねの名言 その他メンバーの名言(数多く発すると個人ページ増設予定) メンバーの掛け合い 過去の名言 ※最新の名言はこちら※ 神奈川の負け犬「おまんこ…」 神奈川の負け犬「あーあテンションあがってきた」 のみお「今ラピスの妹なにしてるの?」 ラピス「俺の隣で寝てるけど?」 nomio D「これキスばっかしてて腹立つなー」 神奈川の「いいじゃんのみおも金払えばできるだろ」 ラピス「そんなことしてるとママに怒られるよ」 SONAR「ラピスは頭おかしいんじゃなくて単にバカなんだよ」 神奈川の負け犬「おじさんなのはのDVDとか買いあさってるらしいよ」 SONAR「おじさんのその病気はどのくらい進行してるの?」 おじさん「病気?好きなものを集めてるだけだ」 のみお「たわしに擦りつけるもんじゃん」 ラピス「タワシッ、タワシィ…!ウゲェエエ…ッ、タワシッイイイ!!」 神奈川のポケモンマスターによるtwitterログ メタモン「ん?次は君なのかい?」ドレディア「(いやっ・・・奴隷生活はもういやっ・・・でも逆らえない・・・っ)」メタモン「さあ、トレーナーのために僕と君は卵を作るんだ、ここでずっとね。」奴隷ディア「いやああっ・・・!」ドレディアちゃんはマジ淫乱ポケモンでメタモンはベッドヤクザ 基本は股開きっぱのメタモンも奴隷のドレディアちゃんには強気にでちゃう そしてそれを見守るトレーナーと空をとぶ要員のウルガモスさん ああっアイリスちゃん・・・!僕のサザンドラに君の流星群を夜のお勉強で教えてよ! サザンドラだとなんと奇遇なみたいになっちゃうだろアホ ネカフェ大会に参加した話をラピスがしているときに SONAR「翼の広報係がラピスっていうのに不安を覚えるわー] SONAR[これが翼のイメージって思われてると思うと悔しいです」 JAZ「キャッスルファックやろうぜー!」 負け犬「スタビライザー俺のピアスどこやった?」 スタビライザー「右乳首にない?」 JAZ「AK-47 Hawkeye・・・ほうけい・・・包茎?」 負け犬「幽霊がすぐそばにいたら?」 のみお「幼女なら即セックス!」 野良試合中、フラグ下位のときの発言 ラピス「俺より下がいることに感動を覚えた」 ラピス「あれ、二日は歯磨いてないのか」 slv様「はぁ?」 ラピス「大丈夫、俺歯強いから!」 slv様「ふぇらたんのみおとどこで出会ったの?」 ふぇらたん「子宮の中でですね!数億分の1の確立で出会いました!」 ふぇらたん「少しオナニーがてらにコンビニでもいってきます」 SONAR「どういう顔してこのクランにいるの?」 えびえり「のまねさん大会に登録させとくなら俺登録しといてよ」 ふぇらたん「ち ん ぽ」 のみお「ちんぽ派か、やるじゃん」 ふぇらたん「まあね」 JAZ「おっぱいは揉むもんじゃなく生み出すものである」 ラピス「俺細かいところで几帳面だから」 ラピス「太すぎるソーセージ」 JAZ「最近アナル攻めが好きだわ」 slv様「ああ分かる」 のみお「えー俺ないわー」 JAZ「え?まだまだなんじゃないの?」 slv様「お前ホモなの?」 のみお「ホモじゃないよ、ロリコンだよ」 のみお「フォックスハンティングは煙とスモーク使えばいいよ」 JAZ「あーAVAやっかー、アバカンつかいてーし」 ふぇらたん「ラピスさん爆破でちょっと見たことあるっすよ~」 ラピス「マジで!」 のみお「弱かったでしょ?」 ふぇらたん「はい~」 しりとり中 すなけ「アイス」 ラピス「スリジャヤワルダナプラコッペ(正しくは、スリジャヤワルダナプラコッテ)」 のまね「ペリエA(セリエA)」 slv様「これは余のマラゾーマではない マラだ」 ラピス「うんこしてたら服に血がついた」 スカイフィッシュ「今夜のおかずは私よ」 slv様「おぱんつはむはむしたい」 ラピス「そういや机の下が足の皮だらけだわ…掃除しないとなおれも…」 のみお「俺はち●ぽシリコン」 JAZ「これから毎日家を焼こうぜぇ」 すなけ「愉快痛快・・・奇奇怪怪やわぁ」 ラピス「とりま@1」 JAZ「CWの方@1」 ラピス「0じゃね?」 すなけ「JAZさんラピスを無視リストからはずしてあげて」 JAZ「だれそれ」 スカイフィッシュ「誰が強いかなんて関係ない・・・みんなで協力して勝つ!これが一番美しい」 スカイフィッシュ「これ名言入れといてね」 のみお「ゴリラさんと俺は運命共同体だ!」 ゴリラ「ちょっと気持ち悪いです」 すなけ「チンコカニハサムニダ」 のみお「スカイフィッシュ、何で抜けばいい?」 スカイフィッシュ「俺で抜け」 slv様「はあ?優しくて淫乱な義姉が嫌いな男なんてこの世に存在するわけねえだろ」 slv様「これで立たないとかもはやホモかインポ」 slv様「トイレに連れ込んでリアル壁コン」 Giroulamo「つり革ヘディング対決ならかつじしんある」 のみお「恨みがないのが恨みかな」 スカイフィッシュ「中古とか怖いだろ」 スカイフィッシュ「世の中にはCRTにちんこ擦り付けてやっちゃってるやつもいるかもしれんし」 JAZ「誰がロリコンじゃボケ」 JAZ「くそがまんぶるこいや」 (slv様) スカイフィッシュあそぼ (スカイフィッシュ) もうすぐメシだから無理 (slv様) 糞以下 (スカイフィッシュ) しね (slv様) おまえがしね (スカイフィッシュ) 人にしねっていうやつがしね (slv様) なんだとしね (スカイフィッシュ) うるせえしね (slv様) しね (スカイフィッシュ) しね (slv様) 仲良くしようスカイフィッシュ!1 (スカイフィッシュ) そうだね!みっともない死ね! (slv様) そうだよ!こういうのよくない死ね! のみお「あごめん、今から抜くからvc落ちるね」 slv様「三次ロリとかむかつくだけやろ。ケリ入れたいわ」 のみお「東京行ったらラピスの妹紹介してね」 のみお「抜きすぎてチンコ痛い」 ラピス「風呂上りなのに手だけ臭いんだけど」 のみお「えびえり腹パンしていい?」 ラピス「ウッフィーwwww」 のみお「電気科のおっさんに可愛いねって言われた」 JAZ「発育!ロリ満乳」 のみお「JAZさんは俺に生きる希望を与えてくれた」 のみお「ストレスでハゲあがりそう」 slv様「nomioはnomaneさんと同じnの名を持つから」 のみお「○○ちゃんとお風呂入ってくるからまんぶるおちるね!」 nomioがサーバーから切断しました 一同「あいつ抜きにいったな・・・」 のみお「償いによって誠意をしめせばいいんだよ」 一同「( ^ω^)・・・」 slv様「なんだてめえ言いたいことがあったらはっきりいえや」 slv様「なんだよおめえ、しばき倒すぞコラァ」 slv様「パターン崩れた死ね」 のみお「すぐ死ねっていうのよくないと思うよ」 slv様「うっせえ死ね」 スカイフィッシュ「slv様が混ぜてほしいってさ」 JAZ「しゃあねえなあ。slv様も混ぜたやるかぁ~」 slv様「今日さ、すごい嫌なことがあったんだ」 slv様「尿検査で淡白でた…」 のまね「のみお、お前ドクタペッパー飲んでるから魚食べれないんだよ」 えびえり「ラピスとか安定してゴミだから」 天から降り注ぐ者「カレーにジャガイモないとかファック」 のみお「いや、ジャガイモとかいらんわ」 ラピス「ジャガイモwww」 ~えびえりが発言禁止を解除しました~ えびえり「カレーの話するか」 天から降り注ぐ者「ほのぼのレ●プ♪」 ゴリラチョフ「野良秋田私苦乱千死体」 のみお「アゴが痛いんだけどどうしよう」 JAZ「フェラのしすぎやろ」 (SONAR)オヤスミー (nomio)オヤスミー^^ SONAR quit (snake)おやすみー^^ (snake)しね のみお「のまねさんの人生が運ゲーだからな」 ラピス「今日slv様元気ないけどどうしたの?」 slv様「エロゲーやってたら好きなサブキャラの女の子が死んだんだよ・・・」 JAZ「学校のパソコンにランスインスコしてやってたわ」 のまね「自分の主張が通るまで連投すればいいじゃない」 のみお「作業するんだけど何しながらしたらいいかな」 えびえり「俺はいつも歌ってるよ、MMOしながら12時間歌ってたわ」 のまね「このAK,AIMが悪い」 のまね「銃のAIMが悪い」 天から降り注ぐ者「僕がkillできるのは皆さんのおかげです」 すなけ「よくわかってんじゃねーか」 slv様「これからもがんばってくれたまえ」 cw中の出来事 slv様「ラピス助けてくれ!」 ラピス「OK!」 カンカンカキーン ○○→ラピス× ラピスがハンドボールをやっていたという話になって ラピス「相手をさ・・・こうやさしく包み込むように抱きしめ合うんだぜ・・・。胸が熱くなるだろ?」 ラピス「テクノさんそっち見てるなら俺そっち見よう」 唐突に のみお「やっぱりちんこついてないのはだめだわあ~」 slv様「のみおちゃ~ん?お魚さんたべられまちゅか~?」 のみお「スカイフィッシュ、あんまり俺をディスらないほうがいい」 えびえり「ディスるとどうなるの?」 のみお「顔真っ赤になるぞ!」 のみお「slv様ってボコデレだよね」 のみお「とりあえず殴って憂さを晴らしたらもういいよってタイプだよね」 スカイフィッシュ「人生は答えがないから楽しいんだろ」 スカイフィッシュ「これ使っていいよ(キリッ」 slv様「お前ら筋トレとかしないの?」 のみお「チントレならしてるよ」 slv様「唐突だけどカブトムシのエサ食べたことあるよ」 のみお「青汁の固形タイプが好きだよ」 のみお「可愛い子をさ地面にバーンとしたらさ可愛いよね」 slv様「わかる。こいつは殴りたいなあっていうのだろ」 slv様「あの笑顔を曇らせたい」 PBEにて味方が後ろから殴り殺されてるのを見て えびえり「ぎゃはははははははははははwwwwwwwwwwwww」 唐突に のまね「カレー味」 えびえり「謝っとけば大抵のことは許される」 slv様「俺ツンデレとかいたらデレる前にグーパンしそうだわ」 すなけ「SONARさん、AVA・・・しませんか・・・?」 SONAR「ごめん生理的に無理」 すなけ「そっか・・・。でもさ、俺AVA好きだし、SONARさんのことも好きだから」 すなけ「受け入れてもらえるように努力する」 SONAR「私まだAVAとそんな話とかしたことないし・・・」 すなけ「ごめん、ちょっと気がはやかったね・・・」 SONAR「あ、今日ちょっと用事あるんで」 SONAR「あとさ、もうあんまり話しかけてこないでほしいんだけど・・・ごめんね」 天から降り注ぐ者「えびえりお前名前変える約束はどうした!?」 えびえり「時が満ちるのを待っている」 JAZ「なんかHDDから漏れてくる音が女の子の声に聞こえてきた」 ~「スカイフィッシュ」様が「天から降り注ぐ者」にニックネームを変更されました~ えびえり「ギャハハハハハハハハハハハハハハwwwww」 スカイフィッシュ「みじんこ~♪みじんこ~♪俺たち~みじんこ~♪」 のみお「はがすよ?」 SONAR「何度も言うけど俺らのマークびっくりするほどカッコイイよね」 SONAR「タコ?え、トキ?みたいな」 ラピス「SAIGA欲しいわ」 JAZ「俺もTENGA欲しいな~」 てくの「NRFってなんの略称だっけ」 ラピス「ねとられでしょ」 スカイフィッシュ「えびちゃん最近のまねさんに似てきたね」 えびえり「マジで?縮んじゃうじゃん」 すなけ「最近えびちゃんまでもがラピスをディスりはじめてるからな」 スカイフィッシュ「そういえば今日のみおいないな」 JAZ「アレそうなの?とうとう頭がおかしくなったか・・・」 のみお「俺の名言は俺の生きてる証なんだよ」 すなけ「スカイフィッシュのパンツ何色?」 スカイフィッシュ「水色」 なない「胸が熱くなるな」 のみお「なんか俺の気持ち悪い名言が増えてきたからこれからはえびちゃんに代わりに喋ってもらうわ」 のみお「 nomioにはなんかのまねさんいるから#nomio作ろう」 nomio join #nomio names nomio @nomane mode +sn のみお「なんでのまねさんいるのwwwwwww」 護衛中に JAZ「金貸せー金貸せー」 slv様「のみおハゲだからな」 のみお「は?」 slv様「あ?」 のみお「すいません・・・」 のみお「俺昔のあだ名はぽっきーだったよ」 slv様「お前ハゲてんだからプリッツだろ」 のみお「スカイフィッシュしばくけどいい?」 スカイフィッシュ「~ってのみおが言ってた」 のみお「いってねーぞハゲ!死ね!」 slv様「ハゲはテメーだろハゲ」 slv様「容赦なく身体的な面を煽るぞ」 ラピス「えびちゃん魔法使い(童貞的な意味で)だし」 唐突に ラピス「スーパーバリヤー!」 スカイフィッシュ「のみおのハゲ頭を直に見てみたい。」 のみお「頭突きすんぞこら」 ラピス「ごみおwwwwww」 ※のみおのこと 大富豪にてpart3 slv様「のみお、お前俺を5飛びしたらわかってんだろうな?」 大富豪にてpart2 slv様「あいつ手札よすぎやろ」 ラピス「あいつ頭沸いてるわ」 スカイフィッシュ「こんなにも空は青いのに何故人は殺しあうのだろう」 のみお「はちみつ食べるわ!」 大富豪にてpart1 のみお「ラピスさんこれであがれ!イレブンバック!!」 ラピス「ありがとうのみおさん!!」 ズーン!転落! のみお「縛る喜び」 のまね「このゲーム生きてくのがつらい・・・」 JAZ「今日俺の家にSONAR泊まりに来るんだけどほられそうで怖い・・・」 cwにて スカイフィッシュ「slv様相手みんな待ってるぞ。はよこい」 slv様「待たせとけ」 slv様「あれもしかして修理中の味方をTKしたら俺が修理できるんじゃね?」 のみお「お前頭いいな!」 スカイフィッシュ「俺生きてる限りIRCとmumbleに入り続けるよ」 のまね「あ!C4ある!!」 slv様「どこ?」 のまね「そこ」 slv様「なんで禿げてるの」 のみお「気持ちいいからなあ」 slv様「スカイフィッシュお前戻ってきたからって調子に乗ってるとどうなるか教えてやろうか?」 slv様「中学のときの音楽教師ってよく泣くじゃん?俺よく泣かしてたわ」 のまね「キーボードは花を活けるかのようなタッチで操作すればええねん」 SONAR「まじで屑オブ屑」 のみお「のまねさんおはよう」 ~あなたはnomaneによってサーバーからキックされました~ のまね「戦車横SGは強いと思う」 のみお「上から見られたらどうするの?」 のまね「それは読み負けっていうんだよ、しょうがない」 JAZ「slv様おはようございます」 すなけ「slv様おはよう」 slv様「オラのみお挨拶は?」 のみお「えびちゃんどいて!そいつ殺せない!」 のみお「今日学校帰りに小学校低学年ぐらいの子供たちが下校してるのに出くわしたんだけど」 のみお「俺を見た途端、ギャー!とかいってみんな逃げちゃった・・・」 連日のある出来事について SONAR「こいつらどういう教育受けてんだ?」 クラン内虐めの様子 SONAR「のまねさん人権欲しい?」 のまね「うーん、AIM悪い・・・」 SONAR「あんまり欲しくないようですね」 SONAR「デブの人ってさ敵を倒すのに腕振り回すわけじゃん?そんときエネルギー消費しすぎなんだよ」 のまね「ちょっと待ってほしい!俺は手首だけで敵を倒せるぞ!」 slv様・スカイフィッシュ「お前敵たおせねえだろ」 slv様「おらはげお」 ※はげお=のみお SONAR「俺翼のアレって言われてるから」 大会の爆破トーナメント表をみて SONAR「俺ら運営に嫌われてるのかな・・・」 のまね「スカイフィッシュINDIAやろうぜ」 スカイフィッシュ「俺はもうすでに俺のINDIAをやっている。お前はお前のINDIAを楽しめ」 cwにて すなけ「のまねさん次作戦何にする!?」 のまね「知らねえよ」 すなけ「作戦名:知らねえよ 行くぞ!!」 のみお「スカイフィッシュさん明日の朝俺の頭で反射して焼き殺しに行くわ!」 のまね「M14は運ゲー。出会っていきなりヘッド出されて死ぬ」 スカイフィッシュ「今俺マジ強いよ!?目つぶってても当てられるよ!!」 のみお「服着るのがめんどくさい」 すなけ「のまねさんエッチなゲーム好きなの?」 のまね「そりゃあ好きだよ!AVAなんかよりずっと好きだ!できることならエッチなゲームやってる最中に死にたい!それぐらい俺はエッチなゲームが好きさ!文句あるか!?」 のまね「俺が死ぬのは仕方ない」 SR談義中 SONAR「C4設置したあと敵が来るんだよ、そりゃ死ぬわぁ」 のまね「俺もたまに二郎行くけどさ」 のみお「のまねさん食べきれるの!?」 のまね「アマゾンはたこ焼きそのものを売ってくれないからだめだわごみだわ」 PBEの囚人に対して一言 JAZ「あーのまね!のまね!のまね倒した!」 SONAR「くそっ!みんなうんこ!」 のまね「おらくそのみお、俺にひれ伏せ」 のみお「ははぁ」 slv様「うちの大学のトイレさ、ドアに落書きがいっぱい書いてあるんだよ」 slv様「しかも別館に行くときにスケボーで移動するんだぜ?」 敵を倒した後の一言part2 JAZ「オラァァ!!」 敵を倒した後の一言 JAZ「オラボケェ!」 のまね「解除グレの練習とかどうでもいいわ」 すなけ「のまねさん解除グレ失敗したらどうするの?」 のまね「フンッ!(鼻で)」 slv様「お、M4バンブルビーが52だってよ。スカイフィッシュまわせよ」 [***フィッシュ]様に[M4A1.Bumblebee]が当たりました!おめでとうございます! スカイフィッシュ「あ、のまねさん赤階級の人に撃ち勝ったね!」 のまね「まあ俺も赤階級相応の実力だってことさ!」 ~nomaneがmumbleにinしました~ のまね「おはようございます」 すなけ「おやすみなさい」 ~nomaneがサーバーから切断しました~ すなけ「のみおお前お湯沸かせるか?」 のみお「沸かせないよ・・・」 SONAR「あーそろそろ寝ないと」 のみお「俺がSONARさんのかわりにねるよ」 SONAR「俺の深い眠りに勝てるか?」 深夜、みんなでエロ画像集を眺めている時に すなけ「この画像よくね!?」 SONAR「おおいいね!テイクアウト!テイクアウト!」 スカイフィッシュ「お前ら元気だな」 スカイフィッシュ「すなけ嫉妬してるからな」 すなけ「何に」 スカイフィッシュ「俺の才能に」 のまね「のみおさんどうしたんですか?0-4ですよ」 のみお「うるせーんだよ!」 のまね「スカイフィッシュどんな銃が好きなの」 スカイフィッシュ「えっちな銃」 JAZ「30代になるといろいろきつくてね」
https://w.atwiki.jp/tukigakireidesune/pages/15.html
眩しいくらい輝くあの金色の髪が好きだった。太陽のように輝いて、私を照らしてくれた。私は、彼の美しさにただ目を細めるばかり。だけどあの人にそう言うと、決まって顔を真っ赤にして、こっちを向いてくれないので、私は黙って彼を見続ける。私は彼の澄んだ碧の瞳の色も好きだった。 「アーサーさん」 彼の名前を呼ぶ。包帯を巻いている目では何も見えなかった。今が昼なのかも夜なのかも分からない。ただ真っ暗いだけの、緩やかな闇。早く光が欲しい。早く、早く、はやく、はや、く。 「菊!」 若々しい声が耳を抜ける。あぁ、アルフレッドさん。またいらっしゃったんですか。そう辛辣に言おうと思ったが、声が出ない。そういえば、自分は先の大戦で、全身ボロボロになったのだった。忘れていた。 「菊、今日はいいものを持ってきたんだぞ!」 「いい、もの?」 「そうさ!どうだい?!」 どうだい、と言われても私は見えないのだ。もう少し配慮してほしい。こうやって空気の読めない彼を諌めるのも随分慣れてきた気がする。初めの頃は、それはそれは気を使って、どうオブラートに包もうか、大変苦労したものだ。もう、引きこもっている生活をやめてから何日経っているのだろう。…だめだ、最近妙に懐古主義に走っている。 「私は目が見えないのです。アルフレッドさん」 「あ!そうだったね!それじゃあはい、」 そうだったね、か。見れば分かるだろう、包帯を巻いているのだから。彼はときどきこういうことをする。悪意があるのかと思うほどに、私を内側から抉り取る。苦しい。彼と話すのは、とても。かさっと音がして、何かが手に乗る音がする。これは、 「…お菓子………」 「そう!アーサーのやつが持っていけって。全く、自分で届ければいいのにさ!」 「そう、ですか」 苦しい。さっきとは違う苦しさ。喉がぎゅう、と痛くなる。胸が切り刻まれる。叫びだしたいほど息が出来ない。助けて、痛い、痛い、いたい!この感情はなんと呼べばいいのだろう?懐古?罪悪感?それとも。 「……うん……」 アルフレッドさんが隣で頷く。ああ、ちゃんと空気が読めるんですね。…いや、違うのだ。私が否定していただけで、彼はちゃんと、私のことを想っているのだ。優しさを、私が跳ね除けたいだけなのだ。 「今日は雨だよ、菊」 ぐちゃぐちゃの、猜疑心の塊なのだ。私は。 「だから、菊が泣いても分からないよ」 さすが、いつもは周りに気を使わない人。そんなこと言われたら、泣くに泣けないじゃないですか。 「…そう、ですね────」 だけど、今は、何も言えない。 (外は乾いた空気に満ちている。雨なんて、どこに?)
https://w.atwiki.jp/yuimugi/pages/150.html
・ ・ ・ 私と仕事どっちが大事なの? そんな陳腐なドラマのセリフが思い出される。 虫の知らせではないけど、今日は何となく朝からついていなかった。 電車を一本乗り遅れるとか、教科書を間違って持ってくるとか、唯ちゃんが梓ちゃんにいつもより6秒も長く抱きつくとか。 最後以外はさほど支障はきたさなかったけど、まさか家に帰ってきてまでこんな事になるとは思わなかった。 紬「………はい、……いえ、そういう理由ならしかたないですよ……はい……では折り返しまたご連絡いたします、はいお疲れ様です」 携帯をきると共にため息がもれる。 私は投げるように携帯を置いて、座っていたソファーに倒れ込みクッションに顔をつけた。 本当はさっさと連絡しなければいけないんだけど、心の準備くらいさせてほしい きっと怒るだろうな…… また深いため息がでる。 私は彼女にバイトを始めたいと相談した時の事を思い出す あれは確か土曜日の夜、彼女のベッドに寝ている時だった…… ―――――― ―― 唯「バイト?」 紬「ええ、やってみようと思うんだけど」 時刻は深夜3時。横に寝ている裸の彼女にあらかじめ用意していた質問を思い切ってぶつけてみた。 紬「ダメかな?」 私は甘えるようにもたれかかる。 汗をかいたせいなのか、彼女の素肌が少し冷たくなっていたので温めるようとそのまま自分の肌を押し付けた。 唯「……私が決める事じゃないでしょ」 私の体を受け止めやすいように、下になっている彼女も少し動く。 紬「そうだけど、唯ちゃんと会える時間減っちゃうから」 私が相談した意図を理解したように、眠たそうだった彼女の目に少し動揺がはしるのが見える。 彼女は私の体を押してのけ自分の体をおこし、ベッドの端にある上着を着る。 どうやら真剣に話を聞いてくれるらしい 唯「何でバイトしたいの?」 当然の質問をぶつけられる 紬「社会勉強かな。自分の成長にも繋がるし、いろいろ学べることも多いと思うから。」 唯「……何もこの時期にしなくてもいいんじゃない?」 紬「来年は三年生になって受験もあるし、やるとしたらこの時期しかないのよ 唯「……大学からじゃダメなの?」 紬「高校生のうちに一度はやってみたいの」 彼女の質問はどれももっともだけど、やっぱり興味のあることには挑戦したかった。 そうやって部活にも入り、いい仲間と大切な人にも出会えたのだから。 彼女は考えるように目線を上に向けて押し黙ってしまう 紬「唯ちゃんは反対?」 唯「……私が反対したらやめてくれるの?」 あまり聞いてほしくない質問がとぶ 紬「分からない。ただ納得してもらえるように説得はすると思う」 唯ちゃんとはずっと一緒にいたいけど、将来の為にもバイトをしていろいろ学んぶというのは私にとっては大切な事だから、諦めるつもりはなかった。 唯「……やりなよ」 紬「えっ?」 唯「バイト、やりたいならやってもいいよ」 相変わらず上を見ながら、そこに答えがあるように彼女は言ってくれた 紬「……本当にいいの?」 唯「いいってば。やりたいんでしょ?」 紬「はい」 唯「じゃあそれでいいじゃん」 彼女は起こしていた体をまた布団の中に入れてさっき私がしたように体をあずけてくる、 まるでもうこの話はこれで終わりと私に言うように、そんな言葉のない優しさが心にしみる 紬「ありがとう、唯ちゃん」 そのまま今度は下になった私が彼女を抱き締めるよう体を動かす 唯「どこでやる予定なの?」 紬「通学路の途中にあるハンバーガーのファーストフード店、この前みたら募集してたから」 前は、ご一緒にポテトもいかがですかと言われるのが夢だったけど、今度は言う立場になってみたい 唯「そっか……働いたら行ってみていい?」 紬「うん、毎回来てもいいわよ」 唯「毎回は無理だよ……それに失敗して泣いちゃうムギちゃん見たくないし」 紬「どういう意味?」 これでも少しは上手くやれると思っているのに 唯「……頑張ってね」 小さい声でボソッと言ってくれる彼女の優しさが心を暖かくする 紬「うん、頑張る……ねえお礼していい?」 私は体を少し離し、先ほど着た彼女の上着のボタンを手をかけてる 唯「それ誰にたいしてのお礼なの?」 彼女は唇を尖らせ、少し怒った顔をしながら睨んできた 紬「もちろん……あなたにじゃない」 そのまま唇を首にもっていく 唯「んぁ……もうムギちゃんがしたいだけじゃん。眠かせてよ」 そんな反抗的な彼女が足をモジモジさせてるのに、私が気付かないわけがない ―――――――― ―― どうやら余計なところまで思い出してしまっていた。 結局私はバイトに受かり、はれて店員として働けている。 最初は唯ちゃんの予想が当たってしまい失敗ばかりで他の方には迷惑かけていたけど、 最近になってやっと研修中の札をとることができた。 ただこれも最初の危惧通り、 彼女との時間はあまりとれず、ここ1ヶ月は2人っきりで会える時間は極端に減っていた。 だからそれに対して文句のひとつも言わない彼女に申し訳ないと思い、 だからこそ今週の日曜日には久しぶりの休みをとって、どこか行こうと彼女に提案してみた。 だってその日はせっかくの記念日だったから。 唯ちゃんも楽しみにしていたみたいで、 和さんには唯ちゃんが嬉しそうに今度の事を相談してきたと教えてもらっていたばかりなのに…… そんな子に私は今から言わなければいけない 日曜日――あなたの誕生日の日、バイトに入って欲しいとお願いされたけどどうすればいいか?などと… 覚悟を決める、結局先延ばしにしていてもしょうがない。 乱暴に置いた携帯電話を持ち直し、彼女に電話をしようと震える手でボタンを押す 発信音が一度、二度となる。 私はそれを何かのカウントダウンのように感じていた できるなら私の覚悟が揺らがないうちに早くでて欲しいのに、その後も発信音のみでなかなかつながらない。 そして今度はこのままでないでくれと願っていた。 いい加減一度仕切り直そうと思った瞬間、発信音がいきなり途切れる 唯「………ふぁい」 途切れた後もたっぷり間をとってから、さっきまで寝ていましたという彼女の声が聞こえてくる 紬「唯ちゃん、紬です」 唯「んぁ?」 気が抜けた返事が続き、緊張が少しとかれ自然と顔に笑みが浮んだ 紬「聞こえますか?紬です」 唯「ん…ム、ムギちゃん!?」 声と共に後ろで何かが盛大に落ちる音が聞こえてきた 唯「うわぁあ」 紬「だ、大丈夫!?」 唯「あっ……うん大丈夫。ちょっと待ってて」 カタッと音がして静かになり、また後ろの方で微かに音がカシャカシャなっている。 唯「………もう大丈夫」 紬「ごめんなさい。寝ちゃってた?」 唯「ううん、ちょっと休憩してただけ」 そのわりには声が寝起き丸出しだったけど? といつもなら意地悪にそう言ってるのだが、やらなければいけないことを思い出して自重する。 だって横道に逸れるときっと私は言えなくなってしまうから 唯「あっそういえば、日曜日どこ行きたいか決めたよ」 狙ったかのように最悪のタイミング…… もちろん彼女に悪気はない、誕生日までは後3日に迫ってきていたからこの話になるのも至極当然だった 唯「いろいろ考えたんだけどね……」 紬「唯ちゃんその前にちょっといい!?」 私は話を遮る。ここで話しておかないと 唯「ん?」 ひとつ呼吸をし、携帯を強く握りしめて心の中で彼女に謝る 紬「唯ちゃんの誕生日の日なんだけど…… 実は……今ね、バイト先の皆さんがインフルエンザにかかってしまって、その日スタッフが足りない状態なの」 話の内容から不穏な空気を察したのか唯ちゃんが息をのむのが分かった 紬「それでさっき電話があって……休み希望とってるところ申し訳ないけど、日曜日バイトでてもらえないかって言われたの」 喉の奥まで乾いてて、なかなか上手いように言葉がでない。 紬「それでね、私どうしていいか分からなくて…… 今までバイト先の人に迷惑ばかりかけてきたから、こんな時くらい皆さんの役に立ちたいと思うけど…… 日曜日は唯ちゃんの誕生日だし私も唯ちゃんと遊びたい。 けどそれだと多分お店まわらなくなっちゃうだろうから……だけどやっぱり唯ちゃんと……」 何だか同じところをぐるぐる回ってしまっている、罪悪感の為か言葉がしどろもどろになって話が前に進まない。 唯「……もういいよ」 顔が見えないせいなのか、まるで別人に入れ替わってるかのようにさえ聞こえた暗く濁った声がする 紬「えっ……」 唯「分かったから、もういい。日曜日遊べなくなったって事でしょ?」 紬「……ち、違うのよ。どうするか相談したくて、だからまだ決定ではなくてね」 唯「じゃあいいよ、遊ばないで。」 紬「あっ………けど……」 唯「バイト行きなよ、大変なんでしょ?」 紬「そうだけど……本当にいいの?」 唯「……誕生日なんてまた来年あるんだし、いいよ別に」 投げやりな声が私に突き刺さる、 もちろんこれは私が受けなければいけない痛みなのは分かっていた。 紬「ごめんなさい、12~20時までだからもしよかったらそれ以降に……」 唯「いいよいいよ、次の日も学校あるんし」 紬「そ、そう……」 唯「じゃあそろそろ晩御飯食べなきゃいけないからきるね、バイバイ」 紬「あっ…ごめんね、じゃあさようなら」 電話は私が別れの挨拶をしてる時にはすでにきられていた。 携帯を握る手が湿っぽくなっていて、自分でも気づかないほど強く握っていたことに気づく。 怒るなと言う方が無理よね… この相談をしているだけで、彼女に対して失礼なのは分かっていた。 私はバイトと彼女を天秤にかけて、どちらが重いのか決められないとそのまま報告したのなのだから…… 気持ちが重くなる 私は結局彼女になんて言ってほしかったんだろう? 携帯をどこかに投げてしまいたかった、そんな事をしても何も変わらないけど…… それでも私は彼女を怒らせ悲しませて得た日曜日が無駄にならないよう、お店に電話をかけることにした。 ―――――――― ―― いつもなら微妙な距離間を空け、唯ちゃんと一緒に歩く彼女の家までの道を、私は普段とはまったく違う心境で歩いていた。 気持ちが歩幅にもあらわれいるのか、そろそろ彼女が家をでる時間が近づくというのに、なかなかペースがあがらない 心が変わると風景もがらりと変わってしまう…… 彼女と一緒なら、話のネタになりそうな民家から聞こえてくる朝の慌ただしい音や、 道端に寝ている猫も、ただただ煩わしいものでしかなかった。 私が立ち止まらない限り確実に彼女の家は近づいていて、それはもう目の前に迫ってきていた。 昨日バイト先に電話した後、明日の朝直接彼女に謝ろうと思い立った私は、早朝から彼女の家までやってきたのだ。 「お姉ちゃん大丈夫?」 聞き覚えのある声が耳に入ってきた 唯「何が~」 憂「何か昨日から元気ないみたいだから」 唯「そんな事ないよ~もう憂は心配症だな~」 彼女達の会話に私の足は止まってしまう。 だって唯ちゃんが元気ないとしたら、それは私のせいだから…… だけどこんなところにいてもしょうがない、私は意を決して足を前に出す 憂「そりゃ心配するよ、だってお姉ちゃ……紬さん?」 玄関で立ち話をしていた彼女達の目がこちらをむく。 髪を結っている差はあるといえ、それはまるで双子のように、そして今は同じ驚いた表情を浮かべながらこちらに視線をおくってきた。 紬「お、おはようございます。ちょっと唯ちゃんにお話しがあってうかがったの」 私が言葉を発しても、相変わらず彼女達は私を見ているだけだったが、意外にも先に立ち直ったのは唯ちゃんの方だった。 唯「……憂~、私ムギちゃんとお話しして行くから、先に行ってもらっていいかな?」 憂「えっ…?うん、いいけど……」 唯「えへへ、ありがとう~」 明らかに落胆と困惑の色を浮かべる憂ちゃんは、それでも素直に従ってくれた 紬「ごめんなさいね、憂ちゃん」 本当に申し訳なく思い口にだした謝罪の言葉も、嫌みに聞こえてないか心配になる。 憂ちゃんが私の横をお辞儀をして通り過ぎる瞬間、彼女の目に私を非難する色が浮かんでいた。 それは姉との朝の時間を奪った事になのか? それとも姉の元気のなさを私と結びつけたのか? 多分両方だろ。 唯「歩きながらでもいい?」 紬「えっ?」 憂ちゃんに気を取られていた私は、いつの間にか近づいていた唯ちゃんに驚く 唯「話するんでしょ?」 紬「あっ!……ええ、ありがとう」 そのまま彼女は歩き始めだが、先ほど私が来た道は通らずに角を曲がる 紬「あの…こっちじゃないの?」 唯「憂そっちの道行ってるし、人もけっこういるから」 そう言う事か…… 唯「何、話したい事って」 紬「うん、昨日の事直接謝りたくて」 唯「………いいよ別に」 紬「でもせっかく楽しみにしていたのに、私のせいで遊べなくなっちゃって本当にごめんなさい」 唯「いいよ仕方ないじゃん。バイトなら」 いやに聞き分けがいいと逆に不安になってしまう、 だってこちらは罵倒されるのを覚悟して来ていたから。 だからこそ人通りが少ないところを選んでいるとまで思っていた 紬「きっと来週は代わりに休みをいただけると思うから、遊べると思うの」 唯「うん……」 紬「そしたら、どこか行きましょう。唯ちゃんの好きなとこどこでもいいわよ」 唯「うん……」 そういう事じゃないのは分かっていた。 こんな事をしても、唯ちゃんの誕生日に彼女よりバイトを優先したことは変わりはしない。 だけど私に言えるのはここまでで、許したと言った相手にこれ以上何度謝っても煙たいだけだと思い、 もう謝ることすらできなくなってしまった。 結局その後元気のない彼女と当たり障りのない会話をしながら、私達は学校にたどり着いた。 ―――――― ―― 律「いやー今日も疲れた疲れた」 澪「律、最近怠けすぎだぞ」 律「だって学祭も終わったしなー」 梓「学祭が終わったって次は新歓あるんですし、ちゃんと部活しましょうよ」 律「分かったって来週はちゃんとやるから、な?」 その日の夕方、いつも通りののんびりした部活を終え、私達は五人一緒に帰っていた。 私は伺うように目線だけで、前を歩く唯ちゃんに見る。 結局学校に行ってからも、部活中もたいして話はできていない 律「あっ!そういえば明日は1時に唯ん家でいんだっけ?」 唯「うん、いいよ~」 明日……唯ちゃんの誕生日前日に、軽音部で彼女の誕生会がおこなわれることになっていた。 前日になったのは唯ちゃんが誕生日当日は予定があるからと断っていたのだ。 みんなには、和さんのお家で誕生会をやってもらえる事になったと言っていたが、 もちろん用事と言うのは私とのもので、今となってはそれもなくなってしまったのだけど、 私達の付き合いを知らないみんなには、私との用事だという事も、もちろんそれが無くなった事も話していない。 律「じゃあ澪は12時に私の家な」 澪「なんでそうなる」 律「ええーイヤなのかよー」 澪「別にそうじゃないけど……」 唯ちゃんと共に前を歩く2人による、いつもの微笑ましく見える光景も今日は何も感じなかった 梓「どうかしましたか?」 紬「えっ?」 隣を歩いてる梓ちゃんがいきなり聞いてくる 梓「いや、なんだかボンヤリしてたみたいですから」 紬「そう?何でもないわよ」 律「はは~ん、さては唯の誕生パーティーに来れないのが寂しいんだな」 前からりっちゃんの冗談混じりの声が突き刺さる、多分唯ちゃんにも 澪「バイトあるんだっけ?」 紬「えっ!……ええ、そうなの」 日曜日は2人っきりで会うからという理由で、今日、明日はバイトを入れてしまっていた。 だから軽音部では唯一明日の誕生会に私は参加しない。 律「ムギーズル休みしゃえよー」 澪「こらっ律!そんな事したら他の人に迷惑かかるだろ」 律「わ、分かってるよ、冗談だって。けどムギが来れないのは残念だよなー唯も寂しいだろ?」 マフラーをしていて良かった。 口元が隠れていたおかげで少し漏れた声がみんなには届かなかったようだ。 もちろんりっちゃんに悪気はないのは分かってる。だけどこの質問は…… 長い間が空いた。 しかしそれは私が意識を集中させていたからそう感じただけで、実際はみんなが不自然に思うほどは空いていないみたい 唯「しょうがないよ~バイトだもん」 昨日の夜と今日の朝、この返事は三回目。それはやはり変わらなかった…… それを悲しいと感じた私は本当に身勝手だと思う。 そんな私を無視して会話は続く 律「だよな~よーし、じゃあ私がムギの分も騒いで、唯を楽しませてやるよ」 唯「おおー頼みました、りっちゃん隊員」 律「任されよー」 梓「律先輩はいつも二人分騒がしいですけどね……」 律「あ・ず・さ。聞こえてるぞー」 梓「ひぃぃい」 澪「やめろ」 りっちゃんの頭が叩かれる音がして、唯ちゃんの笑い声が届く 彼女の笑い声ですら懐かしく感じてしまう私に、彼女と付き合う資格があるのだろうか その後バイトに行くためにみんなと別れた時も、彼女はみんなの陰に隠れて私に顔を見せてはくれなかった。 バイト中はいつも以上の忙しさで何も考えずにすんだけど、その分家に帰ってから落ち込んでしまう。 ただやっぱり私みたいなのでも、バイトに入らなければお店が回らなかったのも事実で、次の日の土曜日も目の回るような忙しさだった。 ただふとした瞬間、今頃幸せそうな笑顔を浮かべてみんなが開いてくれた誕生会を唯ちゃんが楽しんでるのかと思うと、 胸がチクリと痛んでしまい、またそんな事を思ってしまう自分が本当に情けなかった。 集中力を欠いた時もあったけど、とりあえず無事に作業を終え、 家に着くと携帯に新着メールが一件届いていた事に気づく。 ひらくとりっちゃんから写真が添付されたメールがきていた 写真は誕生会で撮ったもので、唯ちゃんとケーキを真ん中にみんなが写っている 添えられた文には ムギが来ないから唯が寂しそうだったぞ、私の時には絶対来てくれよな と書かれていた。 本当にりっちゃんらしい優しいやり方で、来れなかった私を気遣ってくれてるのがわかり、ありがたいと思う。 私は携帯を操作してりっちゃんにお礼のメールを送り、そしてもう一通のメールも書く。 時間は0時ちょっと前。 こういう時はせめて電話の方がいいのだろうけど、 もしでてくれなかったら確実に明日の仕事に影響してしまうと思い、メールを送る。 短い文に願いを込めた。 『お誕生日おめでとう、これからも大好きです』 返信を信じ待っていたが、そのまま寝て翌朝起きても唯ちゃんからメールはきていなかった。 ――――――― ―― 「今日はごめんね」 日曜日。夜のピーク時を終え、台風のように来ては帰って行ったお客様を笑顔で見送り、 一段落したところでひとみさんが作業をしながらそう言ってきた。 普段のこの時間なら、二人は入っているレジに人数が足りないため今は私しか入っておらず、 ひとみさんはすぐ後ろでストックの確認をしながら何か紙に書き込んでいた。 紬「いえ、こういう事情なら仕方ないです。私も今まで皆さんに迷惑かけてばかりいましたから」 いつお客様が来るか分からない為、私は後ろを見ずに答える。 星野ひとみ 私の教育係だった人で、この店で私が一番迷惑をかけた人だと思う 初日なんてコーラを彼女にかけるという、失態までおかしてしまった。 だからなのか彼女とは一番仲が良くなり、話す機会も多い。私にとっては頼れるお姉さんのような人だった。 ひとみ「そう言ってもらえると嬉しいんだけど…… 紬さんが休みを希望するって事はよっぽどの予定があったんでしょ?」 紬「……いいえ、ちょっとした事だったので」 嘘でもちょっとした事とは言いたくなかったが、彼女にそんな事を伝えてもどうにもならない 紬「ひとみさんも連勤ですよね?ご苦労様です」 その時、カップルがお店に入ってくる。 笑顔で注文を聞いて、ドリンクやハンバーガーを持ち帰りの袋に詰めて渡し、また笑顔でお礼を言う。 お喋りをした後でもこうしてすぐに対応を切り替えられるのは、自分でも手慣れてきた証拠だと思う。 私がお客様への対応をしてる間も、彼女は後ろでいろいろとやっていた。 一昨日から店長までもが倒れてしまったので、ベテランの彼女は店長の代わりに今日は雑務におわれている 紬「あの……」 カップルがお店を出たのを見計らい、また小声で話しかける ひとみ「何かわからないところでもあった?」 紬「いえ、この後少しお手伝いしていってもいいですか?」 ひとみ「けど紬さん、もうそろそろあがる時間よね?」 紬「はい、けど今日は予定ないので少しくらいなら大丈夫です」 予定はなくもなかった……だけど彼女の忙しそうな様子を見て、これまで迷惑をかけてきた自分だけが帰るのは申し訳ない、 少しでも恩返しができれば嬉しかった。 ひとみ「本当に大丈夫?」 紬「はい、やらせてください」 ひとみ「うーん、ならお願いしようかな。正直私だけだとかなり時間かかっちゃって……」 結局閉店時間ギリギリの22時まで彼女の仕事を手伝い、何とか作業を終えることができた。 まだ残ってる方の閉店後の作業も手伝いたかったのだけど、 高校生の私はこれ以上お仕事ができなかったので、ひとみさんと帰らせていただく事にした。 外は11月の終わりということもありかなり寒くなっている、 その中を一緒にお店をでたひとみさんと駅まで歩いた。 私はまだ帰るつもりはなかったけど、どのみち目的地までは駅の前の通りをいかなければならない できるだけこれからの事を考えないようにひとみさんと言葉を交わしながら歩くと、すぐに駅についてしまった。 ひとみ「今日は本当にありがとう、助かっちゃった。今度お礼させてね」 改札に入ろうとしている彼女が立ち止まり、そう言ってくれて何だか今日の頑張りが認められた気がした。 紬「そんな、たいしたことしてませんから」 ひとみ「けど休日を返上して、私の仕事まで手伝ってもらっちゃったし……」 紬「それだけ私もひとみさんに迷惑かけてきましたから」 ひとみ「そんな事ないわよ、紬さんは良くやってくれてるわ。じゃあ何か考えておくわね」 そう言うと改札の中に吸い込まれて行った 腕にしている時計を見ると22時30分をさしている。急がなくちゃいけない 歩いていた進行方向に再度体を向け、駆け出そうとした瞬間、 目の前にフードをかぶった人が立っているのに気がついて、驚く。 そしてそのフードから覗いていた顔を見て、さらに心臓が止まりそうになった 紬「ゆ、唯ちゃん?」 そこには今から会いに行こうと思っていた恋人が、目の前に私を睨んで立っている。 紬「な、何でここに?」 唯「さっきの人誰?」 私の疑問にも答えもせず、彼女はその声だけで怒ってるのがわかる言葉を放つ。 とりあえず答えなければ先には進めないと思い、彼女の疑問から解決していく事にした。 紬「……星野ひとみさん。バイト先の先輩で唯ちゃんもお店に来たとき会ったことあるでしょ?」 唯「……知らない」 彼女はワザとくさく眉の間に皺を寄せる 紬「きっと私服だからイメージ違うだけよ。今バイトの帰り道で一緒にここまで来たの、本当よ」 唯「……バイトの帰り道なのは知ってる」 紬「えっ!どういう意味?」 唯「お店の前で待ってたらムギちゃんがあの人と出てくるのが見えて、後ろからつけてたし……」 彼女の視線が後ろめたさの為なのか、初めて私からはずされる。 けど今彼女は何て言った……お店の前で待っていたという事は、私を待っていてくれていたの? 紬「ちょっと待って……唯ちゃんいつから待ってたの?」 私は彼女に20時まで仕事があると伝えていた。じゃあもしかして…… 彼女は視線を外したまま答えようとしない じれったくなった私は彼女に近づきの手に触る その手は寒空の中冷やされた私の手がビックリするほど冷たくなっていた。 唯「ん!」 彼女は私のてを急いで振りほどこうとする 寒空の中待っていたのがバレたら、私が傷つくと思ってるのかもしれない。 だから私は絶対に彼女の手を離さなかった かなり遅い時間だった為、駅前とはいえ行き交う人はそれほど多くなかったけど、 立ち止まり女の子が女の子の手を振りほどこうとしてるのはかなり奇妙な光景だろう。 彼女は私が離さないと分かると、ついに抵抗をやめてくれた 紬「何でお店の中に入ってきてくれなかったの?」 できるだけ優しく聞いてみたけど彼女からの返事がない。 とりあえず暖かいところにいかないと 紬「唯ちゃんどこか入りましょ」 唯「いい」 紬「ダメよ!ずっと待ってたんでしょ、このままじゃ風邪ひいちゃうわ」 また何も答えてくれない こうなったら無理矢理にでもと私が考えた時、私が重ねていた手をつかみ彼女は突然歩き始めた 紬「ゆ、唯ちゃん、どこに行くの?」 唯「ちょっとだけ付き合って」 手を繋いだまま道を突き進む、 駅に向かおうとする通行人に当たろうがお構いなしだった。 私の方が力が強いから抗おうと思えばできたけど、それをすることはなかった。 彼女がこんな寒い中、2時間近くも待っていた理由を私も知りたかったから。 路地を抜け角を曲がり駅の近くにある公園にたどり着くと、そのまま奥にあるベンチまで引っ張られ座らされる。 吐く息が白い。こんな中にずっと待っていたなんて… 私はマフラーを外し、彼女のしていたその上から肩にかけてあげる 唯「ムギちゃん寒いでしょ?」 紬「大丈夫、私体温高いから」 唯「……知ってる」 それもそうか、いつも私達はお互いの体温をいたるところで感じているのだから 横にいる彼女がかけられた私のマフラーのギュッと握っていて、彼女の可愛らしさだけで私の体温は少しあがる 次へ 戻る
https://w.atwiki.jp/kt108stars/pages/8661.html
109 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/12/04(水) 22 16 55.59 ID iBMz3sz50 [1/2] 地蔵PLに囲まれてトラウマになったGMしってます、はい僕です 125 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/12/04(水) 23 57 57.90 ID iBMz3sz50 [2/2] オンセで地蔵されると顔が見えない分不安が増す 128 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/12/05(木) 00 07 08.67 ID jHSJzpAt0 125 地蔵がどのレベルを指してるかわからんが オンセで俺も俺もやると負担増えない? 俺いつも先頭切るやつがいたらそいつに歩幅合わせて補助に回るようにしてるんだがダメなんかな? 131 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/12/05(木) 00 14 42.37 ID W/iD4U5e0 [1/2] 128 皆が騒いでGMが困ってるんなら控えて、皆が沈黙してGMが困ってるんなら盛り上げる きっとこれがいいPLなんだろうね、言うのは簡単だけど あと地蔵のレベルは全員沈黙レベルです、戦闘になっても無言の指示待ち 132 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/12/05(木) 00 20 40.35 ID 3fDkU6IC0 [1/2] 指示待ちはしょうがないと思うな ゲームによってはそっちの方がいいし 真の地蔵は指示があっても動かない 134 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2013/12/05(木) 00 27 17.69 ID RPXzan3B0 [1/3] 131= 125なのかな? 全員沈黙レベルはキツイねw みんなTRPGに慣れてないのかな? スレ368
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/1094.html
幕張メッセの内部で机の上に立つ女子高生と何人かが彼女を囲むように立っていた。 そう、幕張メッセにて神の軍団は集結していた。保坂と692を除いては。 メンバーが揃っていないことを不満に思ったのかハルヒは文句を言う 「ねぇ、保坂と692がいないんだけど。光秀、アンタは692と一緒だったんじゃないの?」 光秀と呼ばれた大鎌を二つ背負ったロン毛の男が答える。 「一緒だったんですけど、692さんは『6/を殺してから幕張向かう』と言って私と別れました。」 「…まぁいいわ。まだ来ないってことは保坂や692はどっかでくたばってんでしょ。もう放っておきなさい。」 ハルヒは不満げに地団太を始めた。 「あぁ…もうイラつくわ…何だか変な軍隊が邪魔をしてきたし(もう全滅しているが)。それにオルトロス!!テュポーンはまだ来ないの?」 オルトロスと呼ばれたタコが申し訳なさそうに返事をする。 「はぁ…確かに大先生は来ると言ってたんですよ…(遅いなぁ…テュポーン先生)」 そしてハルヒと同じくらいの年齢のツインテールの女子高生がハルヒに質問する。 「どうしますか…?もう、あいつらもここの近くに来てますし…メンバーが足りないとはいえそろそろ動いたほうがいいのでは?」 「そうね…そろそろ動かないとね…ウーロンは囮になって不信者どもをここに追い込んで、それを私達が殺す。それでいいわよね?」 その発言に対し、かがみが意見を言う。 「すみません。私はどうしても殺したい奴がいるんです?私だけ別行動というのはいけませんか?」 「別に構わないわ。この唯一神HALの力があれば誰だってちょちょいのちょいよ!!」 「柊さん。ちょっといいですか?」 光秀がかがみに声をかける 「私も柊さんと同行してもよろしいでしょうか?」 「何でよ?」 光秀はかがみの耳元で小さい声で囁いた。 「退屈は嫌いなんですよ。」 「ふぅんまぁ別にいいけど?」 こうしてかがみと光秀は幕張メッセを出発した。 「さあてウーロンも行ってきなさい。あいつらに見つかったらここに追い込むのよ?」 「わ…わかりましたっ!」 ウーロンは急ぐように、幕張メッセを飛び出した。 「けひゃひゃひゃ♪踊れ…踊れ…神の手の中で踊りなさい愚民どもっ!!」 ハルヒの策略がついに動き出す… 【二日目・3時頃/幕張メッセ外】 【柊かがみ@らき☆すた】 [状態]腐れ外道 [装備]エクスカリバー、その他色々 [道具]色々 [思考] 1、こなたと6/を自分のものにするためならなんでもする 2、明智光秀と行動する 【明智光秀@戦国BASARA】 [状態]変態殺人狂 [装備]大鎌×2 [道具]不明 [思考] 1、殺しを楽しむ 2、柊かがみと行動する 【ウーロン@ドラゴンボール】 [状態]健康 [装備]なし [道具]不明 [思考] 1、こなた達に見つかったら幕張メッセに誘い込む 2、どうしてもピンチになったら『神の軍団』を見捨ててまでも逃げる 【二日目・3時頃/幕張メッセ内部】 【涼宮ハルヒ@ハルヒシリーズ】 [状態]神(笑) [装備]不明 [道具]不明 [思考] 1、こなた達不信者に神罰を与える 2、自分の部下は除いて、参加者と主催者は全員抹殺し、新世界を作る 3、自分こそ唯一神!! ※遊戯と同等のチート力を持ちます ※神人は自由自在に出せるようです 【オルトロス@FFシリーズ】 [状態]健康 [装備]不明 [道具]不明 [思考] 1、ハルヒに従う 2、ウーロンに誘い込まれた参加者を殺す 3、テュポーン先生はやく来ないかなぁ
https://w.atwiki.jp/hasekun/pages/153.html
戦争が終わり、いよいよ出番が来るのかと、 沸々と闘志を燃やし始めるコスト2.0内政武将三人衆! ところが! 「明日からは攻撃武将のレベル上げをしますので 内政武将の方はデッキコストの都合上1人まででお願いします~」 伊籍「なんと、ご無体な!」 孔融「それは酷い!」 劉表「ならば(イラスト上)最年長の私が!」 ???「くくく。甘い、甘いぞ諸君!!!」 伊籍・孔融・劉表「「「誰だ!!??」」」 程普「戦争は終わった!次なる目標は武将のレベル上げ!」 朱霊「ならば求められるものは!」 孫匡「兵士生産短縮スキル!!」 程普・朱霊・孫匡「「「我ら訓練スキル、三人衆!!!」」」 なんと、ここで登場する新たな三人衆! どうする!?元祖三人衆!! 孔融「な、なんだと~~~」 伊籍「コストもバラバラのくせに!!」 劉表「孫匡なんてコスト1.5じゃないか!!!」 程普「それがどうした」 朱霊「スキルとは、多様であってしかるべきなのだよ」 孫匡「悔しいのぅ?悔しいのぅ?」 孔融「ムッキャ~~~!!!!」 伊籍「おのれ孫匡!!!」 劉表「こうなったら…」 孔融・伊籍・劉表「「「合成してやる!!!」」」 一つの戦いが終わり、伝説が生まれた。 その一方で、今また新たな戦いが始まろうとしている。 どのようなスキルを駆使して戦国の世を駆け抜けるのか。 それを選ぶのは、あなただ。 同盟員A「決まったね♪」 同盟員B「そう?なんかわざとらしいような」 同盟員C「まあ、ネタだからねw」 同盟員D「とりあえず来期も拠点2個目から戦争だってさ」 同盟員E「熱いねぇ♪」 愛の雷造劇場 完 あとがき
https://w.atwiki.jp/kyoronosuke/pages/263.html
日下部さんは水溜りの中で動かなくなっていた。 苦しそうな呻き声だけが雨音に混じってかすかに聞こえてくる。 「本来ならば、これで男さんと同じ痛みを味あわせてあげたいところですが……」 みゆきが日下部さんから奪ったナイフを見つめながら言った。 「やめろ! もういいみゆき! 十分だ!」 「……ええ、そうですね。男さんならそう仰ると思いました」 ナイフを日下部さんから遠い場所へ放り投げる。 「しっかりしてください。今、救急車を呼びますから」 駆け寄ってきたみゆきは俺の体をゆっくり起こしてくれた。 俺は、上半身を遊歩道と芝生を分ける低い柵に預け、みゆきが119番に電話するのを眺める。 腰と脚の痛みがひどくてとても立ち上がれそうにない。 互いの服を裂いて作った即席の包帯を使って、みゆきに簡単な止血を施してもらった。 だが、まだ出血はなかなか収まってくれない。 血を失ったからか、頭がボーっとする。 ふと、脇に目をやる。 日下部さんは、うずくまったまま、小刻みに身体を震わせているだけだった。 「一緒に警察にも連絡しておきました。すぐに駆けつけてくれると思います」 みゆきが傘を差した状態で俺の横にしゃがみこんだ。 「今更な感じはしますが…… 傘をお持ちしました」 ばつが悪そうに苦笑するみゆき。 俺も思わず、苦笑い。 「……みゆき、強いんだな」 「お恥ずかしながら…… 少々、合気道を含め武道の心得がありまして…… 昔取ったなんとやら、です。うふふ、私ドジなところがありますので、実力を発揮できないことが多いのですが、運動が苦手というわけじゃないんですよ?」 そうか、こなたが前に言ってたな。みゆきは運動もできるって。 「今日は、ドジを踏まずにできて良かったです」 と、にっこり。 「……でも、あんなに躊躇なく日下部さんの腕をへし折ったり、投げ飛ばしたりするなんて…… ちょっと驚いたよ」 「いえ…… あれは肩の関節を外しただけですから、病院に行けばすぐに元通りになりますよ。手荒なマネでしたが、彼女の動きを止めるにはあれが一番効果的だったと思います。それに、彼女は男さんを……」 「……俺を傷つけたから、か?」 「はい…… こんなにそれもこんなにひどい傷を……」 「ああ、正直ヤバかった…… 助けてくれてありがとう」 「いいえ、当然のことです」 「みゆき…… さっきは、ほんとにごめん。みゆきの手をはたいて、走って逃げたりして……」 「いえ…… いいんです」 「……なあ、正直に答えてくれ。みゆきは本当にかがみを殺したのか?俺はみゆきがかがみを殺したものと思い込んでて…… それでみゆきのところから逃げ出したんだけど。でも、日下部さんもかがみを殺したって言ってて、俺わけがわからないんだけど……」 「……私だって、かがみさんを殺したようなものです」 「だからそりゃ、どういう意味なんだ?」 「男さんの話によると、直接的に手を下したのは日下部さんなのでしょう…… ただ私には動機がよくわかりませんが……」 「ああ、動機なら日下部さん本人から聞いたよ。正直理解に苦しむ内容だったけど……」 俺は日下部さんが俺に語ったことを掻い摘んで説明した。 「愛する人を傷つけるなんて…… 本当に理解に苦しみますね……」 俺はどっちか言うと、百合の部分のほうが理解できなかったんだが…… ……まあ、いいか。 「それより、さっき言った直接的がどうとかってのは……?」 「私も、かがみさんに対し敵意を持って行動しました。ただ方法が間接的な方法だった、というだけです」 「間接的?」 「ええ。うちに…… 高良家に、伝わる禁術を行使したのです」 「……は?」 「黒魔術のようなものといえばお分かりでしょうか? 父の書斎で偶然見つけた本に記されていたのですが……」 「ぷっ!は…… ははは。黒魔術って…… いくらなんでも、このご時世に……」 「亡舞『生者必滅の理』と幽曲『リポジトリ・オブ・タカラ』このふたつを行使すると、行使された対象はさまざまな、そう、場合によっては死に至らしめるようなものを含めてさまざまな厄災を被ると言い伝えられています」 ……それ、なんてスペルカード? 「確かに迷信の類に過ぎないのかもしれません…… しかし、現にかがみさんは亡くなりました。日下部さんがかがみさんを手にかけてしまったのも、もしかしたら私の禁術のせいかも……」 「そんなバカな…… 少なくとも俺は信じねーよ」 「でも…… でも…… そこに私の悪意が働いていたのは確かです。私の悪意が間接的とは言え…… かがみさんを……」 みゆきはぐっと唇をかみ締める。 「……私、さっき日下部さんに偉そうなことを言っておきながら、私だって力を行使することで男さんのことも傷つけていたんです。そのことにも気づいていたんです」 「俺のことも傷つけてた?」 「私がかがみさんに敵意を向けるたびに、男さんが傷ついていたことはわかっていたはずなんです。しかも、それは私よりかがみさんが好きだからという理由からではない、ということも」 「ああ…… そうだな…… 」 「そもそも…… 考え方が間違っていることもうすうす気づいていました。大切な人のためなら自分を含め、周りの人間はどうなってもいい…… そんな考え方…… でも他に男さんに対する誠意の表し方がわからずに…… 気づかないフリをしてたんです」 誠意…… 受け取る側の俺にも問題があったってことだ…… 俺がもっとみゆきのことを一番に思ってやれば…… 「最低ですね、私。散々かがみさんに嫉妬しておきながら、散々かがみさんに敵意を向けておきながら、散々かがみさんのこと『許せない』だとか『邪魔だ』だとか言いながら……」 涙を必死にこらえているようだった。 「今更、悲しむ資格なんかないのに…… なのに……」 搾り出すように言う。 「かがみさんとの思い出が…… 頭の中でぐるぐる回ってるんです。」 涙は流さない。 こらえている。 それはかがみに対する精一杯の誠意なのだろう。 「かがみさんがもういないって実感が今頃になって湧いてきたんです…… いなくなって初めて……」 「じゃあ、かがみに謝ろう」 「え?」 「天国のかがみに」 「許してもらえるでしょうか?」 「許してもらえるまで。一生かけてでも」 「……はい」 「ま、許してもらえるんじゃないかな? だって……友達だったんだろ?」 「本来ならこんなこと口が裂けても言える立場じゃないですが…… 『だった』だなんて過去形に…… したく…… ないです……」 「………」 「かがみさんは…… 私の高校での最初のお友達…… 少し遠いところに行ってしまいましたが…… 今だって……」 肩を震わせる。 ……みゆきは気づいた。 自分の過ちに。 ……そして、俺も共犯者みたいなもんだ。 俺は、それ以上の声をかけることはできなかったが、 そっと、肩を抱くことはできた。 「男…… さん……」 雨で冷えたからだに互いの体温を感じる。 「暖…… かい…… です」 救急車だかパトカーだかのサイレンがかすかに聞こえた。 なんだか、頭がボーっとする。 とんでもなく眠い。 血を流しすぎちまった…… かな……? 「ごめん、みゆき。ちょっと…… 寝るわ……」 「ふふ、男さんたら、風邪をひきますよ」 「………」 「男さん?」 「男さん!?」 「男さんッ!?」 「……そんなッ!?また出血がひどくなってきてるなんてッ!?」 みゆきが必死で俺の下半身を押さえて止血しようとしてくれるのが見えた。 しかし、きつく縛った即席の包帯も、渾身の力を込めたみゆきの手も、血の染みがどんどん広がっていくのを止めることはできない。 「男さん!男さん!目を閉じちゃダメです!もうすぐ救急車が来ますからッ!」 みゆきの声がなんだか遠くに聞こえる。 同時に、俺の頭に一つの言葉が浮かんだ。 今、この瞬間に、どうしても伝えなきゃいけない、と。なぜだかわからないが強くそう思った。 俺は必死に口を動かした。 空気の漏れるようなか細い声にしかならなかった。 みゆきが何か言ってるようだが、俺の耳に聞こえてくるのは、もはや耳鳴りのような音だけだった。 目も霞み始めて、みゆきの姿がどんどんと滲んでいく…… 俺の言葉は、ちゃんと届いただろうか? 真っ暗な闇の中に落ちていくように俺の意識は、ゆっくりと途切れていった。 「俺、やっぱ、みゆきのこと、大好きだ……」