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☆オリジナルあり ☆他設定使わせてもらってます 「やべでええええええええええ!どぼぢでごんだこごずるのおおおおおお!!??あがぢゃんでぎぢゃううううううう!!!」 「ゆへへ、だったらあのあなにすててくればいいんだぜ、ほら、もっとあえぐんだぜ!」 「おくちがおるすなんだぜ、とうぜんのむくいなんだぜ!」 木枯らし吹きすさぶ森の中、小さく開けた草原に4つの饅頭が落ちている 言うまでもなくそれらすべてがゆっくりだ。 普段はこのあたりを縄張りにしている群れのゆっくりがここで遊び回っているはずなのだが 今日はその4匹以外ゆっくりの姿を認めることはできない。 まりさ種が2匹、ありす種が2匹、ありす種のうち一匹は奇妙に変形しており まりさ種はその一匹に群がっている、もう一匹のありす種は同類を助けるでもなく その醜態を無きものかのように傍観しているだけだ。 「んほぉおおおおおおおお!すっきりぃいいい!」 「ずっぎりぃ・・・」 まりさ達は思う存分すっきりしたのか、妙に変形したありすから離れると帽子から わずかな木の実を取り出し、ゆっくりにあるまじき無表情を顔面に貼り付けたありすの前に置いた。 「ゆふーっ!こんかいはこのぐらいでゆるしてやるんだぜ!」 「それなりにゆっくりできるありすだったぜ、またよろしくなんだぜ」 「ありがとうございました」 ありすは、どこにも視線を落ち着かせず無表情のままそう言うと そそくさと変形したありすの方へ跳ねて行った。 「ゆぅうううう、あがぢゃん・・・ゆっくじじていっでね・・・ゆぅ・・・」 さんざんすっきりされたその体からは4本も茎が伸びており すべてにビー玉サイズの赤ゆっくりが実っている にんっしんに十分な体格のある変形ありすは、瞳を閉じて眠ってしまっているようだ。 半ば無理矢理作らされた子供だが情は沸くようだ、無表情なありすはそれを傍目にみると 茂みに止めてあったスィーからぼろ切れを咥えてくると、変形ありすの体を拭き始めた。 この変形ありす、足が焼かれた上にぺにまむ交尾をしやすいように体の上半分を 五寸釘で地面に縫い止められている。 傍観ありすはまりさやありすから出た粘液をぼろ切れで拭き取る 変形ありすは起きない、お気楽なものだ、つい力が入る。 「ゆぅ・・あかちゃん、とかいはにそだってね・・・。」 傍観ありすは、茎の先の赤ゆっくり達を眺めた、冬の強い日差しに照らされて 母子共に幸せそうに眠っている、変形ありすの姿を見れば幸せとはいえないが 少なくともその表情は幸せそのものだった。 「わたしもこうやってうまれたのね・・・。」 傍観ありすはにっこりほほえむと、変形ありすの額に生える茎を根元から噛みちぎった。 「ゆぎゃあああああああああああ!」 根元の皮も少し噛みちぎってしまったのか変形ありすの表情が一転し森に叫び声が響き渡った ゆっくりと同じようにあくせくと冬眠の準備に勤しんでいた小動物達があわてて逃げてゆく 「ありすのあかちゃん・・・?あかちゃん・・・ゆっくじじで!へんじして!!」 4本の茎を変形ありすの前にはき出すと、傍観ありすは冷たく言い放った。 「さっさとたべなさいくそれいぱー、あとよんくみでむれにかえるわよ」 「どぼぢで・・・ありすのぢびぢゃん・・・、どうじでままにこんだごどするの・・・。」 「あのよにいってもおやこのなのりはしないわ、さっさとたべなさい、それともかこうじょにいく?」 ゆっくりは不思議な生物だ 生き別れになろうが、レイプの末の子供だろうが、親は実の子供の顔を判別することができる、子も同様だ。 このありす達はいつもここを遊び場にしている群れのゆっくりではなかった。 ここより森を奥へ行った場所にある、とても頭のよいドスの群れのゆっくりなのだ その群れでは最近レイパーの被害に悩まされていた、優秀な指導者のおかげで 人間と接触することもなく、よく組織された防衛隊が野生生物の被害を未然に防いでいたために 同族による犯行には鈍感な、いわゆる平和ボケした群れだったため 成体ゆっくりは黒く朽ち果てるまで犯し尽くされ、その忘れ形見に大量の孤児が残された。 ドスは悩んだ。 仲間が増えるのは喜ばしいことだが、それは「群れの中」での話。 見も知らぬ、ましてやレイパーの子供など群れに置いておくわけには行かない なによりすっきり制限によって周辺の自然環境のマージンを考えた頭数制限を行っていたため そのバランスが孤児達によって崩されることは好ましくないことだった 「じこせきにん」で、孤児を受け入れる家庭を探してみたが 人間に虐待された末に去勢された過去を持つ個体や 子供を亡くした家族の数組が名乗り出たにとどまり、いよいよ孤児達は行方を無くした。 ここで二の足を踏んでいてはこの周辺の食糧事情が壊滅する。 さんざん悩んだ末、首脳陣は極秘裡に孤児ゆっくり達を この群れのゆっくりたちが人目をはばかって 利用している子捨て穴へ投棄することを決定した その日、子ゆっくりほどに育っていた100匹の孤児ゆっくり達は、綺麗な飾りを施され 少し早い「巣立ち」を祝われ、セレモニーの後、10台の檻付きのスィーに分乗させられた。 「ゆゆーっ、はやーい!」 「ありすはとかいにいって、あのやさしいドスのめいせいをひろめてくるわ!」 「すだちのまえにままにあいたかったわ、まま、どこにいるのかしら・・・。」 輝かしい将来を思い描く子ゆっくり達彼女らが向かうのは子捨て穴。 しかし、そんなときだった、ドスの元にレイパーありすが捕獲されたとの至急報が入ったのは。 ドスとしても子ゆっくりたちを皆殺してしまうのは忍びない レイパーの孤児は親に返し、食料以外の支援を行うのが群れの決まりだった なによりもここは高度に道徳の発達した群れだった、ゆっくりを殺すことは禁忌である ドスはスィーの運転の上手い側近のちぇんを穴へ向かわせた。 側近のちぇんが穴に着く頃には、10台のスィーのうち9台が子供達の投棄を終えた後であった ちぇんは惨状に目を覆った 逃げだそうとした子ゆっくりの物と思われるカスタードの跡が、轍に沿って数個仲良く並んでいる。 ちぇんが茫然自失でその一つに近寄ってみると それは姉ありすの死体の中に妹ありすが入っている物だった 足の遅い妹を気遣う、優しいありすだったのだろう。 ついさっきまでおそろいの飾りを喜んでいた二匹だった 「わからないよ・・・。」 すでに最後のスィーの子ゆっくり達は恐慌状態に陥っており、レイプに及ぶもの 姉妹を食う者、舌をかみ切って死んだ者、それは穴の底にもまさる地獄だった。 その中で一人折の隅でおびえるありすがあった、それがあの傍観ありすである。 群れに帰ると、ありすはドスの元に連れてこられ、母子の対面をさせられた。 性欲に顔をゆがめた汚らしい泥饅頭、それが自分の母親なのだ。 傍観ありすは、数の減った姉妹とともに群れに残ることにした、もう冬も近い。 群れは、この群れの食料採取範囲外で冬ごもりの食料を確保することを条件として 傍観ありすとその姉妹が群れに住むことを認めた 餌集めのために群れから渡されたのは、あの檻付きのスィーだった。 だがレイパー事件によって10組の家族が壊滅させられていたため 住居も食料的余裕も十分にあったが、群れのゆっくり達の感情がそれを許さなかった やはりどんな事情であれ余所者は余所者であり、売女の娘は売女の娘だった。 冬ごもり前のはどこの群れでもすっきり制限をかける 傍観ありすの「いどうへるす」は非常に繁盛し 群れのどの家庭よりも早く冬ごもりの準備をすることができた それは春を迎えても変わることはなかった 最大の顧客がドスの群れのゆっくり達だったというのはもはや悪い冗談のようなものだ。 そして春が過ぎ、夏のある夜。 ドスの群れの一角で悲鳴が上がった。 それは見る間に群れ全体に伝播し 朝までにはその周辺でゆっくりの声を聞くことはできなくなった。 母に裏切られ 世間に裏切られ 見る物すべてが悪意一色で染められた傍観ありすの復習は終わった。 書いた奴 お前の母親 淡々とした話を書きたいなと思ったのですが 泥酔状態のためなんだかよくわからないものになりました あまり詳細に描写しない方がいい感じに仕上がるっていうの、ありますよね、多分。
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169(2018.02.03) せんてんっていいな 原曲 にんげんっていいな 唄 ガガガDX 作詞 山口あかり 編詞 なっち 作曲 小林亜星 ラスの子見ていた嵌張和 安手を鳴いた子一等賞 リーチをしたのにまた負けた また負けた いいないいな せんてんっていいな おいしい貯金にイライラ他家 ロン牌5枚は持ってるだろな ぼくも和了ろ 安手で和了ろ せんせんせんと和了ってバイバイバイ ラス目が見ていた南1局 ビリっ子ピンチだ 数百点 早めの仕掛けにまた負けた また負けた いいないいな せんてんっていいな みんなでなかよく ポンポン副露 3つ目の副露で張れたんだろな ぼくも鳴くぞ 早めに鳴くぞ ポンポンチーと鳴いて バイバイバイ いいないいな せんてんっていいな みんなが張ってた満貫聴牌 ロンが出来なければ0点だろな ぼくも作ろ せんてん作ろ ロンロンロンと言って ライライライ! ぼくも勝とう しぶいに勝とう せんせんせんと和了って バイバイバイ 曲目リストへ戻る 歌唱履歴 2018.02.07 003曲目(なっち) 履歴へ戻る
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秋月りすをお気に入りに追加 秋月りすのリンク #blogsearch2 Amazon.co.jp ウィジェット 秋月りすのキャッシュ 使い方 サイト名 URL 秋月りすの報道 「4/4は4コマの日2021 4人の4コマ作家を語る」 - PR TIMES 「OL進化論」連載30周年で秋月りす描き下ろしイラストプレゼント、第1話も掲載 - ナタリー asahi.com:35歳で独身で(秋月りす) - 漫画偏愛主義 - 文化・芸能 - 朝日新聞 秋月りすとは 秋月りすの64%は運で出来ています。秋月りすの12%は心の壁で出来ています。秋月りすの11%は海水で出来ています。秋月りすの6%は成功の鍵で出来ています。秋月りすの4%は不思議で出来ています。秋月りすの3%はやらしさで出来ています。 秋月りす@ウィキペディア 秋月りす 楽天売れ筋ランキング レディースファッション・靴 メンズファッション・靴 バッグ・小物・ブランド雑貨 インナー・下着・ナイトウエア ジュエリー・腕時計 食品 スイーツ 水・ソフトドリンク ビール・洋酒 日本酒・焼酎 パソコン・周辺機器 家電・AV・カメラ インテリア・寝具・収納 キッチン・日用品雑貨・文具 ダイエット・健康 医薬品・コンタクト・介護 美容・コスメ・香水 スポーツ・アウトドア 花・ガーデン・DIY おもちゃ・ホビー・ゲーム CD・DVD・楽器 車用品・バイク用品 ペット・ペットグッズ キッズ・ベビー・マタニティ 本・雑誌・コミック ゴルフ総合 掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ 秋月りす このページについて このページは秋月りすのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新される秋月りすに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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※駄文、稚拙な表現注意。 ※俺設定注意 ※『ふたば系ゆっくりいじめ 440 れいむとまりさとありすとぱちゅりーがゆっくりするSSさん』をリスペクトして作りました。 ※「ふたば系ゆっくりいじめ 440 れいむとまりさとありすとぱちゅりーがゆっくりするSSさん」を先に読むことをお勧めします。 ※短いうえ、メタ視点注意 ※読みづらい文章注意 ※「あるゆっくりできない2匹の一生」のドMてんこが餡庫の「れいむとまりさとありすとぱちゅりーがゆっくりするSSさん」を読んでSSを考えました。 あんまりしつこくてんこが頼むので長月はそれを清書し、パソコンに打ち込み、餡庫にUPしました。 つーか、てんこ、お前は次の作品、ゲスト出演するんだからさっさと戻って来い!! てんこがゆっくりするSSさん 作、長月(てんこ?) 注意事項 てんこが悪い子、または虐待したいとおもったら、コメントで「とくになし」のぼたんさんを押してね。 てんこを虐待できるよ。 『てんこは悪いこです。ちょう悪い子です。 虐待されてもしょうがないぐらい悪い子です。 今日もあきかんさんをポイ捨てしました。あとお年寄りさんに席をゆずりませんでした。 お風呂さんにはいりませんでした。ごはんさんを食べるとき「いただきます」をしませんでした。 てんこは救いようもなく悪い子でした。(注てんこは悪い子)』 さあどくしゃさん。てんこをいじめてね。こめんとさんで「とくになし」をおしてね。 さあはやく。 えっ、どーしてむしするのおおおおお!!! まだわるいことがたりないのおおおおお!!! よーしそれなら。 『てんこは悪いこです。ちょう悪い子です。 ゲスまりさやでいぶ、のーぶるゆっくりが悪いことをするのも全部てんこのせいです。 不況さんも政治家さんの汚職さんも全部てんこがやらせたことです。大悪党です。 てんこは救いようもなく大悪党でした。(注てんこは大悪党)』 さあ、なぐってね。けってね。しばってね。 こめんとさんで「とくになし」をおしてね。 ・・・どーしてまた、むしするのおおおおお!!! てんこもうまちきれないのよおおおおお!!!! 『てんこは悪いこです。ちょう悪い子です。(注てんこは悪い子) 今日はゆうかをいじめました。「このメス豚ゆうかめ!!」とかいっていじめました。(注てんこは悪い子) あとめーりんもいじめました。さくやとさなえもいじめました。(注てんこは悪い子) てんこは悪い子でしかもいじめっこです。(注てんこは悪い子)』 もうじゅうぶんでしょぉおおおお!! ほんとはてんこだっていじめたくないんだよぉおおおお!!! いじめられるほうがいいのよぉおおおおお!!! はやくモヒカンあたまでハーレーにのって、ひやっはーって、てんこをさらってねぇええええ!!! えっまだたりないのぉおお!? じらしすぎよぉおおおお、おにいさん!!! 『てんこは(注てんこは悪い子)悪い(注てんこは悪い子)こです。ちょう(注てんこは悪い子)悪い子です。(注てんこは悪い子) きょうは(注てんこは悪い子)おにいさん(注てんこは悪い子)にぷくーっ(注てんこは悪い子)をしました。(注てんこは悪い子) おうち(注てんこは悪い子)せんげん(注てんこは悪い子)も(注てんこは悪い子)しました。(注てんこは悪い子) て(注てんこは悪い子)ん(注てんこは悪い子)こ(注てんこは悪い子)は(注てんこは悪い子)悪(注てんこは悪い子)い(注てんこは悪い子)子(注てんこは悪い子)で(注てんこは悪い子)す。』 さあ、さぶみりなるこうかさんまでつかったのよぉおおおお!!! はやくてんこをいじめてねぇえええ!!もうてんこ、まむまむがぬれぬれなのよぉぉおお!!(ジョロジョロー) たとえるなら「いんらんだんちづまじょうたいっ!!」なのよぉおおおおお!!! さあ・・・・ 長月よりお詫び SSの途中ですがてんこの行動があまりにきもくなってきたので強制終了させていただきます。 お見苦しいSSを見せてしまったことを深くお詫びいたします。 あとがき 何、書いてるんでしょう俺は。あるドスまりさの一生の続き書いてたはずなのに。 『れいむとまりさとありすとぱちゅりーがゆっくりするSSさん』の作者さん、本当にすいません。 今まで書いた作品 ふたば系ゆっくりいじめ 176 ゆっくりちるのの生態(前編) ふたば系ゆっくりいじめ 185 選ばれしゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 196 新種ゆっくり誕生秘話 選ばれしゆっくり番外編 ふたば系ゆっくりいじめ 208 ゆっくり見ていってね ふたば系ゆっくりいじめ 218 またにてゐ う詐欺師てゐの日々 ふたば系ゆっくりいじめ 227 VS最強のゆっくり 史上最低の戦い ふたば系ゆっくりいじめ 247 夢と現実のはざまで ふたば系ゆっくりいじめ 264 あるまりさの一生 ふたば系ゆっくりいじめ 298 ゆっくりを拾ってきた ふたば系ゆっくりいじめ 336 ゆっくり Change the World(出題編) ふたば系ゆっくりいじめ 357 ゆっくり Change the World(出題編2) ふたば系ゆっくりいじめ 391 ゆっくり Change the World(解答編) ふたば系ゆっくりいじめ 400 あるゆっくりできない2匹の一生 あるドスまりさの一生 とてもゆっくりした群れ(前編)
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【検索用 ねこたまり 登録タグ VOCALOID ね アルセチカ 初音ミク 大江カルシー 曲 曲な】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:大江カルシー 作曲:大江カルシー 編曲:大江カルシー 絵:アルセチカ 唄:初音ミク 曲紹介 春といえば猫ですね。裏切って前を向く話。 『忘れないように』 曲名:『猫溜まり』(ねこだまり) アルセチカ氏によるテーマ・投稿日統一企画、#eneeemy参加作品。 動画に出てくる男の子は日高 史(ひだか ふみ)。出席番号18番。プロフィールはこちら。関連楽曲「春びらき」 歌詞 (動画説明欄より転載) 校舎裏の猫溜まりの其の小さな路地の隅で 君は一人うずくまり何か独り言ちている 悲しい話ばかりちらついて動けない僕を どこか重ね合わせて見てる それは愛と憐憫とを履き違えているのだと 笑う友は期待に向かって歩き出していて 文に書いた文字が雨で滲んでしまう様な 何か忘れている春 だけど世界は、流る毎日は 立ち止まる僕らを置き去ってく 探していた 君というイデア 破れないディプロマ さよならだって謳って 思い出なんていつか消えるから 心に針[ピン]を刺したまたひとつ 忘れないように 春催い 今、傘を閉じて 雨音だけが二匹を包む 特に理由なんて無いけれど 覚えてたい気がして 校舎裏の猫溜まりの其の小さな路地の隅は 壊れかけのオルゴールの様に一つ空いたまま 悲しい話がまたちらついてうずくまる僕を 誰かがそこで見ている だけど巷間は、つまらない今日は 与えもしないのに奪っていく 滲んでいく視界じゃ何もわからない a lie ただ、頬を濡らして伝った雨 何処を覗いたって君が居る 風に舞う灰を花と見紛う そんな春から 過ぎ行く日々と君の間 要らない行間ばかりを読んで 散らかって仕舞った心の裏 聞こえないように 時が経って誰かを愛して 雪解ける日が来て そしていつか珈琲片手に思い返すから さよならだって謳って 思い出なんていつか消えるから 心に針[ピン]を刺したまたひとつ 忘れないように 春催い 今、傘を差して 雨音だけが一匹を悼む 痛くなるように 忘れぬように 歩き出すから 風に舞う灰を花と見紛う そんな春から コメント 名前 コメント
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【ありす】「・・・」 【ありす】「・・・私、佐城ありす。高校一年生」 【ありす】「・・・鈴木裕樹様の性処理肉人形」 【ありす】「・・・今日は何やる? 漫画? ゲーム? それとも・・・性処理?」 【ありす】お人形になりたい、むっつりスケベな145cmのゴスロリ風女の子です。 【GM】では、はじめていきましょうー 【GM】 【GM】学校が終わり放課後。 もう少し立てば連休日 そんな帰り道に 裕樹は あっと思い出したように言う。 【裕樹】「あ、そうだ…ありすさんは今度の3連休どうするの?」そういって思い出したようにありすの予定を聞いてくるのであった。 【ありす】「・・・予定、ないよ?」 【ありす】こくんと首を傾げ、上目遣いに裕樹の顔を見上げる。ごく自然なありきたりな動作なのに、どこか期待しているようにも見える。 【裕樹】「ん-そっか。ならさ…二人でどこかに行かない?うちの親両方とも仕事でいないからさ。たまには…うちやありすさんの家じゃないところに行くのもいいかなーってね」その言葉を聞いて嬉しそうにしながら提案してくる。 【ありす】「・・・なら。いいところ、知ってるよ」 【ありす】ふふ、と無邪気そうな笑みを浮かべる。そこにどこか悪戯めいた笑いを感じる。 【裕樹】「ホント?どこにあるんだろ。ありすさんならいいところ知ってそうだし、どこにあるんだい?」ありすの言葉に嬉しそうにそういって 【ありす】「・・・うちの別荘。ログハウスで三日ぐらいなら滞在できるよ・・・二人っきりで」 【ありす】二人っきりで何をするのか。期待した瞳で裕樹を見つめる。 【ありす】「・・・いいよね?」 【GM】ありすのその顔を見て……ありすとの行為を始めてか、その顔をされれば… 【裕樹】「もちろん、だよ?ありす」その顔はいつも行為をしているときに見せる御主人様としての貌。「いっぱい楽しも?」そういいながらありすを見つめる。 【ありす】「・・・うん。裕樹様」 【ありす】性処理肉奴隷の気分のありすは、恥ずかしそうに頬を染めながら、裕樹にそう返した。 【GM】ではそうして二人は予定を立てて そして一番に楽しいことを考えて……そして時間が経って。旅行の日。 新幹線から移動して、目的の場所まで到着。着替えやらゲームやらを入れた荷物とキャリーケースを引きずってそこへたどり着く。 【裕樹】「んーー…いい天気でよかった。ここからちょっと歩く感じなんだっけ?」そういってありすの方を見て、聞いてみる。 【ありす】「・・・うん。裕樹のスマホに地図入れたから、それで・・・その前に」 【ありす】ちらっと駅前のラブホを見る。前々からしたいと言ってたことを、今日、ここで裕樹にやってもらうのだ。 【裕樹】「うん、そうだね。それじゃ行こうか。ありす」そういってそういってラブホのほうに向かってありすの手を掴んで歩いていく。そのまま、中に入って行き一部屋借りて…そこには多くの道具があるからこそ、そこで向かっていく。 中に入ればベットが一つそして大量のアダルトグッズとかが一式揃っているのであった。「ここで いいかな?」クスっと笑いながらありすを見る。 【ありす】「・・・」 【ありす】こくりと頷くと、裕樹の持ってきたキャリーケースを開ける。人ひとりが入れそうなぐらいな大きさだが、中はほとんど空だ。そう。人がひとり入れそうなぐらい。 【ありす】「・・・お願いします」 【ありす】ありすは目隠しと足枷、手錠、猿轡を裕樹に手渡すと、両手を後ろに回し、神妙に待った。 【裕樹】「いい子。じゃあ…してあげるね」そういってありすのから両手を縛るそして足もしっかりとまげて両足首から縛り上げ。目隠しをしてからありすの口を開かせて、そのまま口に轡をかませ、締め付けていく。そのままの状態でキャリーケースを開く。そして可愛い可愛い愛しい人形を愛するようにありすの頬を首筋を胸を背中をお尻を撫でていく。「壊れないように、ね?」そういってありすの身体を抱き上げていき、キャリーケースの中に収めていく。 【ありす】「・・・ん」 【ありす】両手両足を縛られ、目隠しをされ、猿轡をされ、キャリーケースに入れられる。まるで誘拐のようだ。 【ありす】だがこれでいいのだ。これがいいのだ。人形は動かない。動かないからキャリーケースに入れて運ぶ。当たり前のことだ。 【ありす】これから裕樹に別荘に連れていかれる。そうしたら何をされるのか。期待に胸を膨らませ、秘部を湿らせながら、小さなキャリーケースの中で身悶えていた。 【裕樹】「いい子だよ。ありす」そういいながらパタンっとキャリーケースをしめる。そして…そのままキャリーケースを引きずっていく。キャスター付きなのでそのまま引っ張られていくと…ガタガタと揺れている感覚がありすの身体に響いてくる。その振動は間違いなく…今自分が”その中にいて拉致されている”感覚がやってくるだろう。 【ありす】「・・・ん」 【ありす】拘束され物として扱われて運ばれるのは、誘拐されているようで。 【ありす】相手が裕樹であるのは安心できるとともに、裕樹が自分を誘拐しているということに興奮を覚えてショーツを愛駅で濡らしてしまう。 【GM】そのままガラガラという音と振動をありすの身体に味合わせて しばらく歩いてから……ログハウスへと到着する。そのまま教わったとおりに中に入っていき扉を開く。その音がありすの耳に入ってくる。 そして、そのままがちゃりとケースが開かれる 【裕樹】「ついたよ?ありす。ここで今日から過ごすんだよ。」そういいながらありすの身体を抱き上げて、目隠しを取ってやる。 【ありす】「・・・ん」 【ありす】キャリーケースから解放され、目隠しをとり、裕樹をその視界に収めると、安心したように、嬉しそうに、にこりと笑った。 【裕樹】「どうだった?こんなことされて。」そういいながらありすの股を確認するように…ありすの下着ごと下を丸出しにさせていく。 「どんな気分だったか言ってみてよ」 【ありす】「・・・んー」 【ありす】猿轡をしたまま言えとは意地悪なこと言うと、少し頬を膨らまさせるも、スカートをたくし上げられ、黒いショーツが愛液でぐっしょりになり、太ももを伝っている様子を見られると、恥ずかしそうに顔をそらして頬を紅潮させる。 【裕樹】「あはは、下の口がちゃんと答えてくれてるね」クスクス笑いながら濡れた秘所にそっと指を這わせて撫でていく。 くちゅ くちゅっとわざと水音を立てるようにしながら、ありすの顔を見て。「嬉しそうだね」そういいながらもう片方の手で猿轡を外していく。 【ありす】「・・・ふぁ、ぁ、ん、ん、うん・・・ん」 【ありす】猿轡を外されると唾液が糸を引いて。熱い吐息を裕樹に吹きかけながら、まともに立っていられないのか、裕樹に寄りかかってしまう。 【ありす】「・・・ちょっとだけ、怖かった、けど、気持ち、よかった・・・」 【ありす】愛液が、裕樹の指を濡らしてしまう。 【裕樹】「あはは、そうだったんだ。僕も緊張したよ。でも楽しかったね」そういいながら寄りかかってきたありすを抱きしめて愛液で塗れた手でそっと自分のズボンのチャックを下ろして。勃起した肉棒を丸出しにして「緊張して興奮を抑えるのが大変だった…よっ」そのままじゅぶんっ!と勢いよくありすの秘所の中に肉棒を挿入していく。ごちゅんっと子宮を強く突きあげしっかりと興奮している肉棒を脈打たせて教えていく。…興奮していたことを。 【ありす】「んんんっ!! 裕樹様、ん、ありすを、犯したかったんだ・・・んんっ!」 【ありす】自分の身体で興奮し、自分の身体を犯すことを楽しみにしていたという裕樹に喜びを覚えながら、両手両足の自由が利かないまま、膣内に入れられた肉棒を締め付け、裕樹を楽しませようとする。 【裕樹】「もちろん。僕の愛しい性奴隷人形ありすをたっぷり犯したかったよ。」そういいながらそのままありすの身体を掴んだままそのままピストンしていく。締め付けを感じながら強く突きあげ、膣内を押し広げるように角度を変えて突き上げていく。 【ありす】「・・・ん、嬉しい・・・もっと、犯して、ありすを犯して、裕樹様・・・」 【ありす】学校では友人だったありすと裕樹も、この場ではご主人様と性処理肉人形。裕樹の寵愛を一身に受けたありすは、四肢の自由を奪われたまま、嬉しそうに裕樹に犯され、自ら犯されることを望む。 【裕樹】「もちろんだよ?これから数日間はずっと犯すからね♪」言いながら、服を捲っていき乳首をきゅっと摘まんでやる。乳首を摘まみこねくり回しながら、子宮を強く突きあげていく。 【ありす】「・・・うん、犯して・・・性処理肉人形のありすを犯して、楽しんでください・・・あ、んんっ」 【ありす】ほとんど膨らみのない乳房。しかし、乳首は勃起しており、敏感なそこを摘ままれると嬌声が漏れ出してしまう。 【裕樹】「うん、そうだよ君は僕の所有物だからね」そういいながらどんどんとピストンしていき、大きく膨れ上がった肉棒は我慢できずにびゅるびゅくびゅくううううっと精液を吐き出していく。そのままどんどんと子宮の中を満たしていきながら…ぐちゅ ぐちゅっと押し込むように突き上げる。 【ありす】「んんんんっ!! はぁ・・・はぁ・・・うん、ありすは、裕樹様の、もの」 【ありす】裕樹に膣内出しをされると、呼応するように絶頂を迎える。子宮に放たれる精液を受け入れ、蕩けた瞳で裕樹の顔を見上げる。 【裕樹】「ほら、僕のが入ってきてるのがわかるでしょ?」そういいながらドクンドクンと肉棒を脈打たせながら中に注ぎ続ける。「僕の物っていうマークだからね?ちゃんと忘れないでよ?」いいながらちゅ ちゅっとありすの唇にキスをしていく。舌を入れて絡ませていき…唾液を絡ませていく。 【ありす】「・・・うん、裕樹様の、肉棒が、ありすの中に入ってます・・・ありすの身体は、裕樹様のものと、刻まれてます」 【ありす】四肢が使えない状態で、頭だけを動かして、口づけに自分も舌を絡ませていk。 【裕樹】「んっんちゅ…ぴちゃ…はぁさて…それじゃ…次はどうして遊ぼうか」クスリと笑いながらそっとありすの顔を見てこれから数日間はたっぷりとね? そういいながらありすの頬を撫でて。 【ありす】「・・・ん、好きなように、好きなだけ、ありすを使ってください。裕樹様・・・」 【ありす】二人だけのログハウス、誰にも邪魔されない空間での生活が始まった。 【GM】 【GM】
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そのありすは、いわゆるレイパーと呼ばれる類の存在ではなかった。 ありすにはゆっくりした恋ゆっくりのまりさがいて、 二匹は同じ群れに生まれ、子供のころから互いに想い合った相手であり、 出合ってから一年の歳月を重ねる間に近々愛を結ぶ約束を交わし、多くの子を設けようと誓った幸多きカップルであった。 ――つい、この間までは。との但し書きが着くが。 * * * ぽいん、ぽよん。 ぽゆん、ぽよん。 夜の帳が既に下りた森の中。間抜けな音が、ぽやん、ぽわんと響いている。 その音、気の抜けたバスケットボールが地面に跳ねる音に似ていた。 音の発生源は、一つではない。二つ、寄せ合うようにして跳ねている。 背の高い木々の枝葉から漏れる月明かりの中、その丸いナマモノは必死の形相で前へ、前へと跳ねていた。 「ゆっ、へっ、ゆっ、へっ……も、もうすぐだよ!」 「ゆぅ、はぁ、ゆぅ、はぁ……も、もうすぐね!」 この時、れみりゃがふらんが徘徊する夜の闇を無謀にも疾駆するのは、二匹のゆっくりである。 それぞれまりさと、ありすだった。 「ゆっ、ほっ……はやく、ゆっくり、したいねっ」 「ゆぅ、はぁ……そうね、まりさ、ここはゆっくり、できないものねっ」 言い交わす二匹は、絶えず見えない何かに怯えているようだった。 覚悟の強行軍だ。夜のおそとを出歩くことが、どれほどゆっくりできないことか、二匹は当然よく知っている。 同じゆっくりの夜行性捕食種ばかりではない。 野犬や狐狸といった動物たちから、幻想郷の主たる住人である魑魅魍魎の類まで、夜に活性化するゆっくりの外敵はとても多いのだ。 それをおして、夜間の旅路を採らなければならない理由を、二匹は共有していた。 「でもっ……夜なら、群れのみんなも、追いかけて……これないものねっ……」 「ゆぅ、へっ……そうだね、追いかけて、これないものね……ゆぅ……」 或いは、外敵が多いからこそ夜を選んだというべきか。 二匹の旅路は逃避行だ。同じゆっくりから、捕食種ではないゆっくりから逃げている。 それも、同じ群れに属していたゆっくりから。 だから、夜を選んだ。夜に逃げれば、わざわざ危険を冒してまで自分たちを追いかけてくるようなことはないだろうから。 二匹は何も、群れにおいてゆっくりできない罪を犯したわけではない。 ありすはレイパーではなく、まりさもゲスではなく、むしろとてもゆっくりした、ゆっくりの優等生のようなゆっくりだった。 だが、群れは自分たち――正確にはありす種に生きる価値を認めなかった。 そういう群れになってしまった。 群れがレイパーの被害を受けたということは、確かに幾度かあった。 だが、それは常によそ者の――流れ者のありす種による仕業だった。群れの中からレイパーを出したことは、一度たりともない。 例え、被害を受けたゆっくりやその家族の内心はどうであれ、流れのレイパーの罪の責を群れのありす種に負わせるなんて、 全然ゆっくりできないことだとみんな了解しているはずだった。 ならば、どうして群れは変わってしまったのだろうか。 原因は、はっきりしている。一匹のゆっくりが、 ドスの側近を務めるぱちゅりーが、憑かれたように危険も顧みず人間の里に足しげく通うようになったのはいつのことだっただろう。 最初は、色々なことを教えてもらったと嬉しそうに周りに話していた。 人間の里に行くたびに、いろいろなごほんの内容を教えてもらえて、ぱちゅりーの知識は少しずつ増えていくのだといっていた。 確かに、ぱちゅりーは少しずつ賢くなっていくようだった。 だが同時に、ありすは違和感を感じていた。少しずつ賢くなるぱちゅりーが、少しずつおかしくなっていくように感じられた。 どこがどう、とはいえない。何かが極端に変わったわけでもない。 ただ、少しずつ、ぱちゅりーは『ゆっくりするため』になら、『ゆっくりらしくない』考え方をするようになっていくように思えた。 おかしくなったぱちゅりーが、ドスにまで変なことを吹き込んで、一緒におかしくしてしまったと気付いたのは、 随分後になってからのことだった。 そうして異変に気付いた所で、だからといってなにも手も出せず、気がついたら、歯止めなんて利かなかった。 あっという間に、群れ全体がおかしくなってしまっていた。 「もうすぐ、『ゆーまにあのもり』を、抜けるわっ……」 ゆーまにあのもり。 ありすは眉根を曇らせて、ありすの故郷だったこの森の名前を呼ぶ。 本当は、この森に名前なんかなかった。おかしくなったぱちゅりーが、「もりさんややまさんにもなまえがあったほうがべんりよ」と ある日突然主張しはじめて、この故郷を『ゆーまにあ』と名付けてしまった。 確かに、土地にも名前があったほうが便利ではあった。 例えば、位置関係がはっきりして、狩りや遠出の際にもどこへ行くのかがわかりやすくなった。 新しい場所にどんどん新しい名前をつけていくことが、群れのゆっくりの間で流行った。 新たに見つけた場所の名前を聞くたびに、世界が広がっていくような喜びを群れのゆっくりたちは共有した。 でも、とありすは思うのだ。 世界は広がったようで、実は狭くなったんじゃないかって。 どこそこの森、どこそこの山。名前を付けることで、その場所とそこに存在するものが結びついてしまった。 特にゆっくり同士の付き合いにおいて、群れのゆっくりはひどく他の群れに対して狭量になっていった。 『あの森のゆっくりの群れはどうだ、どこそこの山出身のゆっくりはこうだ』 『それに対してゆーまにあの森のゆっくりは、これだけとってもゆっくりできている』 『だからゆーまにあの森のゆっくりはそれだけえらいんだ』 とても、居心地が悪い雰囲気をありすは感じた。みんな、ゆっくりできていない、と素直に思った。 だから、ありすは群れの仲間たちから少し距離を置いた。自分もそんなゆっくりできないゆっくりにはなりたくなかった。 それは無意識の危険信号だったのかもしれない。だからこそそれだけでは足りないのだと、もっと早くに気がつくべきだった。 みんながみんな、自分と違うもの、否定していいものを探し始めたらどうなるか、気がつくべきだった。 『……ありすたちは、レイパーになるゆっくりだよ』 『れいぷでゆっくりをころすゆっくりだよ』 『おお、こわいこわい』 結局、ありすたちがある日気がついたときには、みんなの『ゆっくりできていない』探しはもうありす種に向けられていた。 そしてみんなから『わるもの』を見る目で自分が見られていることに気づいた時。 ありすはやっとドスとぱちゅりー、そしてその他の群れの長老たちが何をしようとしているのかを悟った。 それは、ありすにだって子供の頃、何度も経験したことがあることだった。 子ゆっくりが何匹か集まれば、必ずといっていいほどいじめていい相手というものを見つけ出す。 ちょっとした違い、ちょっとした鈍さ、それを目ざとく見つけ出して、その劣った部分を責め立てる。 何故って? そんなの簡単だ。楽しいからに決まっている。 みんなと違うことは、悪いことだ。 みんなと同じことができないのは、気持ち悪いことだ。 そう、『わるいやつ』がはっきりしていると、みんなゆっくりできるのだ。 まだ、わからない? それは、気に入らないことを全部『わるいやつ』のせいにして叩いてしまえば、なんとなくすっきりー!した気分になれるからだ。 それに、ドスはみんなをゆっくりさせることができなくても、みんなが『わるいやつ』を叩いている間は自分もゆっくりできるのだし。 みんなで『わるいやつ』に『せいさい』を加えている間は、群れ全体が一つにまとまっていられる。 運悪く、『わるいやつ』にとして指定されたゆっくり以外は。 そしてありす種は、まさにその『わるいやつ』に指定されたゆっくりに他ならない。 ありすはそんなひどいお芝居の役周りに付き合うつもりは、さらさらなかった。 「……ひがしのドス、うけれいてくれるかしら」 だから、ありすは森を逃げ出そうとしている。 恋仲であったまりさに連れられて、日増しに強まるゆーまにあの森でのありす種迫害から逃れるために。 ゆーまにあの群れの縄張りに隣接する、強大な東のドスの縄張りへと。 「ゆぅ……それは、いってみなきゃ、わからないよ」 危険から物理的に遠ざかるにつれて、ありすの中で不安の暗雲がどんどん大きく広がってゆく。 疲労ではなく、心労から徐々に跳ねる速度が落ちてゆくありすに気づいて、まりさが叱咤の声を掛ける。 確かにまりさにしても、逃げ延びれば東のドスに保護してもらえると確信があっての逃避行ではない。 このまま群れに残った場合、何が我が身に起きるかわからないという恐怖に駆られたからこその逃走劇だ。 「ありすが、ゆーまにあの森を出たいなら。ゆっくりしないで、いくしかないよ」 先のことはわからない。 それでも、進む先にしか生き延びる可能性は残されていないように思えた。少なくとも、幸福の可能性は森の外にしかなかった。 そして、ありすだってその可能性をあきらめるつもりなどなかった。 ありすと共に、この先のゆん生を生きていきたかったから。まりさもまた、ありすと共に生きていくと誓ってくれたから。 その誓いを、どんな形であれありすは最後まで貫くつもりだった。 「だめなら、きたのドスのところにいくよ。あそこのドスは、どんなゆっくりもうけいれてくれるってきくよ」 そこまで険しい表情で続けてから、まりさはありすに改めて視線を向けなおして、「ゆっくりまわりみちだね」と笑った。 そうだ、最後まであきらめない。可能性すべてにすがりつくんだ。 大好きな、今までいつも支えてくれたまりさと、これからもずっと一緒に生きていくために。 「……ちょっとしたはねゆーんね」 まりさの笑顔が、ありすの心を勇気付ける。 疲れた身体に、まだまだ走り続ける力を分け与えてくれる。 「もうすぐだよっ。もうすぐもりをぬけて、ぷるとのおがわだよ!」 「ぷるとのおがわをわたったら、もうひがしのドスのなわばりね……!」 東のドスの群れに受け入れられたら。 たとえ、そうでなくたって。 まりさは一緒にいてくれると誓ってくれた。 ありすはそれだけで胸が一杯だった。しあわせー!で身体中がいっぱいだった。 「そこまでよ!」 この裁きの時が来る直前まで、しあわせー!で身体中が一杯だった。 「「ゆゆーっ!?」」 それは、森を抜け、川原に出る本当に直前の事だった。 鋭い叫びが、前から響いた。後ろからではなく、前から。 東のドスの群れが支配するはずの領域の側に、突如多くの気配が沸いた。 ありすは驚き、たたらを踏んだ。 まりさはとっさに危険を察知したのか、跳ねるのを止めるや一歩後ろに下がった。、 「このむれからにげられるとでもおもってるの? ばかなの? しぬの?」 「おお、おろかおろか」 「レイパーで、しかもひがしのドスのスパイなんて……」 「おお、はじしらずはじしらず」 前方から投げられる声は、一つではない。 闇の分厚い緞帳の向こうに、数多の気配が沸いていた。 追っ手ではない、はずだ。ありすは努めて、予想外の事態に冷静であろうとする。 「か、かくれてひとのわるぐちなんてとんだいなかものね! とかいはは、あいてのまえできちんといけんをいうものよ!」 「もちろん、でていってあげるわ」 精一杯の虚勢を込めたありすの呼びかけに、闇の中の声は笑いの気配を乗せて応じた。 前にいるのは追っ手ではない。誰にも気付かれずに群れを抜け出したのは。 捕食種でないことも間違いない。れみりゃにせよ、ふらんにせよ、狩りの対象に襲い掛かる前に会話の猶予を設けるほど悠長ではない。 捕って食うことが目的である以上、唸り声を上げて威嚇することはあっても襲う時はほぼ例外なくいきなりズドン、だ。 だから追っ手と捕食種、両者ではありえないはず。警戒しつつも、だからありすは必要以上に恐れない。 とはいえ、姿の見えない相手の口振りから察するに、こちらに好意を抱いていないことも確かだ。 そもそもこんな冬場、しかも夜更けに活動しているゆっくりがいること自体、不審だった。 確かに冬といっても暖かい日なら、縄張りの境界ぎりぎりまで狩りに出かけてその日の内には帰ってこない仲間が出ることもある。 そんな、遠出して日のある内に帰巣できなかった仲間と、偶然出くわしてしまったのだろうか? だが同じ群れのゆっくりならば尚更、敵ではないとはいいきれなかった。群れは、ドスに忠誠を誓うゆっくりが多数派なのだ。 どう言い逃れるか、無理ならばどう逃げるか、ありすは相手の姿を求めて目線をきょろきょろと泳がせる。 そして。 「いけんするためじゃなくて、あなたをえいえんにゆっくりできなくするためにだけどね!」 「ゆげっ……」 暗闇の中、啖呵を切りながら進み出てきたゆっくりたちの姿に目を限界まで見開いて言葉を失った。 「ど、どぼぢで……?」 目の前で、茫洋と開けた未来の前で、ようやくありすが手にしようとする光明の前で、ありえないことが起きていた。 未来へ続く道筋が、急速に狭まってゆく。 届いたかに思えた光が急速に遠ざかり、闇へと置き換わっていく。 今、目の前の闇の中から現れて、ありすの希望を根こそぎにしようとする『連中』の名前を、ありすはよく知っていた。 その恐怖を、その悪夢を、ありす種である彼女が知らないわけがなかった。 目の前に現れたものは、群れから放たれた追っ手だった。目の前にいるはずのない、群れからの追っ手だった。 そして追っ手として群れから出るものたちのうち、考えうるその中でも最悪の存在でもあった。 どんどん数を増す『連中』の姿に耐え切れず、ありすの恐怖と悲しみに塗りつぶされた叫びが夜の森に響く。 「どぼぢで『ゆっくりたあて』がまえにいるのおおぉぉぉ!!?」 ――『ゆっくりたあて』。 ありす種を迫害するためにぱちゅりーが中心になって作り上げた、ありす狩りのための特別なゆっくりたちだ。 その目的とするのはありす狩りだが、そこに属するゆっくりもまた、その多くがありす種だという。 そこに属するものたちは、ありす種も、そうでないものも、例外なくレイパーありすの子どもだった。 レイパーありすが襲い、孕ませ、朽ち果てさせたゆっくりたちの子どもたちだった。 ぱちゅりーはその生まれながらにして親の亡い赤ちゃんゆっくりたちを『群れに授かった子どもたち』として集め、 彼女たちにドスと群れ全体のためだけに働くことと、『ゆっくりたあて』として教育された仲間以外のありす種を憎むように仕向けた。 そして、ことありす種には見た目からしてレイパーとなるありす種とは違うのだと自覚させるために、生まれながらに身に着けていた ありす種の証であるカチューシャを捨てさせた。 不思議な事に、そうしてカチューシャを捨てたありすたちには、新たに青いリボンがどこからか生まれるのだった。 こうして変異したありす種が、誰ともなく『ろりす』と呼ばれ始めたのがいつのことからかわからない。 そしてその青いリボンをつけたありすこそが『ゆっくりたあて』の象徴になり、彼女たちの団結と忠誠心の証になった。 それは同時に、ありすや群れのあり方に疑問を持つゆっくりたちにとっての恐怖の対象でもあった。 このありす――否、ろりすたちは今、ありすを殺し、ドスと群れの恩に報いるためならば夜の闇すら欠片も恐れない。 自己の身の危険すら問題としない狂信が、鋭利過ぎる刃となって少しでも意見を異にするゆっくりたちに容赦なく突き立てられるのだ。 「ドスのおさめるむれをうらぎるなんて、ぜったいにゆるされないのよ」 今、この瞬間、むき出しにされたその牙にありすが追い詰められているように。 「ゆ、う……どうして? どうしてここがわかったの……?」 じりじりと、ろりすが間合いを詰めてきた分だけありすは背後に後じさる。 今の群れは、裏切り者を絶対に許さない。いなくなったことに気づかれた後で、群れから追っ手が掛かることは予想していた。 だからこそ、一切ゆっくりしないでこの境界線まで一目散に逃げてきたのだ。 ゆっくりは持ち運べる明かりを持たない以上、たとえスィーを使ったって夜に素早く森を移動する手段なんてない。逃げ切れる、はずだったのだ。 それなのに、ろりすたちは先回りして目の前にいる。 ありすとまりさが、家族を捨ててまで選んだ未来への道を遮っている。 どうやって? その疑問に対する答えを、ありすは持たない。 だが、なんのために? ということであれば、自問するまでもなくはっきりしている。 ありすを、この場で殺すため。それ以外の目的なんかあるはずがない。 「うふふふふ……」 死への絶望にその顔をゆがめたありすを嘲笑う声は、後ろから聞こえた。 驚き慌てる間に、後ろにも回りこまれたのだ。ありすは自分の迂闊さを悔やんだ。 振り向く間に、不安にも襲われる。ありすが気付かない間にろりすたちが後ろに回りこんでいたのだとしたら. まりさは、最愛の恋ゆっくりは、無事でいてくれているのだろうか。 「どうして『ゆっくりたあて』がまりさたちのまえにいるのかしらね?」 「ゆ? まりさ?」 まりさは、無事だった。表情は豹変、じっとりと湿度の高い笑顔を顔に貼り付けて、しかしまりさは無事だった。 その口から名前を呼ばれて、ようやくのこと。 ありすは、自分が聞いた笑い声が、後ろに留まるまりさが上げたものだったことに気が付いた。 心の中に湧き上がった不安が、その瞬間急速に変質していく。 ありすにはまりさの笑顔の理由がわからない。 前方に現れたろりすなど一顧だにせず、まりさが満面に湛える嫌な笑みは完全にありすにのみ向けられていた。 ありすはこれまで、まりさからこんな小ばかにするような視線を向けられたことはない。 それどころか、まりさが誰かにこうもあからさまに蔑む眼差しを送るところすら、見たことがなかった。 いったい、これは、目の前にいるこのゆっくりは本当にありすが愛したまりさなのだろうか。 そんな馬鹿げた疑問すら、重大な深刻性を持ってありすの脳裏を過ぎる。それほどの違和感だった。 「それはね、ありす」 まりさが何か言っているが、ありすはその声音を聞いて、しかし内容はよく聞いていない。軽いパニック状態だった。 まりさが本当のまりさかどうかなんて、いったい、別の誰かがすりかわっているとでもいうのか。 ばかばかしい、とありすは意識して自分の頭からそんな妄想を追い払う。 だいたい、目の前にいるまりさのおぼうしは間違いなくありすの愛したまりさのおぼうしだし、 まりさのお声は間違いなくありすの愛したまりさのお声だ。口調は何故か、どこかゆっくりできないものに変わっているけど。 長い間、とかいはな愛を育んだ二匹だ。例え何者かがおぼうしを奪って成り代わっていたところで、その声で真贋の区別は絶対につく。 そうだ。声さえ聞けば。望むと望まざるとに関わらず。 ありすには、その真贋がついてしまうのだ。 「まりさがゆっくりたあてにしらせておいたからよ」 「……ゆ?」 あたりまえだ。ほんものかどうかなんてすぐにわかる。 「ゆぅ? わからない? まりさが、ドスをうらぎろうとしているありすがいるって、れんらくしたの」 すぐに、わかる。たとえわかりたくなくても、わかってしまう。 ながいあいだ、いっしょにあいしあったのだから。 だから。 いま、めのまえで、ありすをうらぎったとほこらしげにつげたのは、まちがいなく、ありすのあいした、あのまりさだ。 「まりさ、おつかれさま。もういいわよ」 「ゆゆっ、ありがとうねろりす。じゃあまりさはつかれてるし、ちょっとおやすみさせてもらうわ」 ろりすとまりさが、親しげに言葉を交わす。互いの労を労っている。 その光景を目の前にして、ありすはまったく凍り付いていた。 何が起きたか、わからないからではない。 わかってしまったからこそ、凍り付いていた。 「まり……さ……? どういう、こと?」 わかっていて、理解したくないから、我知らずそんな問いを口にしていた。 自分でも、ばかばかしい問いだとしか思えない。 まりさがまりさである以上。何が起きたかなんて、この上なくはっきりとしているのに。 「ありす、おどろいてるみたいね。つまり、こういうこと」 まりさが口元に浮かべた笑いは、ろりすたちと同質の冷たさを備えていた。 軽く体を前に傾けたまりさのおぼうしに、ろりすの一匹が口に咥えた何かを飾り付けた。 それは、三日月の形をした小さな帽子飾り。 普通のまりさではない、『ゆっくりたあて』に与するレイパーありすの落とし子たるまりさ種の徴。 まりさが、最初から最後まで、決してありすの味方などではありえなかったことの、 出会った最初の瞬間から、迫る最期の瞬間まで、ありすに対する群れのスパイであったことの、 まりさが最初から最期まで、ありすの敵であったことの、紛れもない絶対の証。 「……だっ。だましたの!? だましたのね、まりさ!」 氷が、解ける。心を鎖していた氷が。跡形もなく、揮発するほどの勢いで。 身を焦がすような、心を焼き滅ぼすような、光をいっさい発することのない真っ黒な炎。 ありすの中に唐突に燃え上がったその炎が、心を閉ざしかけた氷をたちまちの内に消し飛ばす。 「ゆゆ? まりさはむれのためにはたらいただけ。むれをうらぎったのは、ありすよ」 炎の燃料は、怒りと絶望。 だがありったけの激怒をぶつけてなお、それに怯むでもなく薄く、まりさは湿った、陰りのある笑いを動かさなかった。 彼女の反応は、とても薄い。今まで共にしてきた時間を、根本から疑わせるほどに。 ただ、まりさにとって当然のことを、当然のこととして告げるだけだ。 さながら、まるで面識のない赤の他人にものごとの道理を説くように。 「むれをうらぎったゆっくりは、えいえんにゆっくりできないことになるの。あたりまえじゃない」 「ゆあ……ゆあ、ゆがああぁぁぁぁっ!!」 ありすは叫んだ。 言葉にならなかった。考えなんて、まとまるわけがない。 心の中は煮え立つような激情と、凍りつくような絶望でぐちゃぐちゃだった。 今までありすがありすのままでいられた、拠って立つべきものが、跡形もないほど粉々に打ち砕かれてしまっていた。 まるで、宙に放り出されたような感覚。 出会ってからいつも、まりさは一緒だったのに。 いつも、ありすよりさきをすすんで、ありすをひっぱってくれたのは。 いつも、ありすのしらないいろいろなことをおしえてくれたのは。 いつも、ありすをそばでやさしくささえてくれたのは。 これからもいつもいっしょだと、みらいをちかいあったのは。 であってからいつも、ずっとずっとふたりでつみかさねてきたまいにちは。 ――ぜんぶ、うそだったの? 「……じね!」 瞬間、ありすの頭から思考が消失した。 口にしたこともないような単純な罵声が、抱いたこともなかったような純粋な憎悪に乗って喉の奥から迸った。 恐怖が消え、怒りに置き換わり、殺意となってまっすぐにまりさを射抜いた。 その殺意の射線を辿って、ありすが一個の弾丸と化して地を蹴り、飛んだ。 「じね! うらぎりものはじねっ! ゆっぐりじね! じね! じね!」 「うらぎったのはありすだっていってるでしょ?」 そう嘯き、心外そうに眉根を寄せるまりさの顔がひと跳ねごとにぐんぐん迫る。 まりさへの疾走、その最後の跳躍は、ありすのゆん生で最良の跳躍だっただろう。 ありすはまりさの身体を食い破るべく、まっすぐ、綺麗に飛翔した。放物線を描き、金色の髪をなびかせて。 破滅へ向かって、まっしぐらに。 「ドスのもりに、レイパーのきたならしいこえがひびくのはゆるされないわ」 そんな、事務的ですらある淡々とした声が、ありすの極端に狭まった――まりさ以外の全てをオミットした視界の外から聞こえた。 次の瞬間、その狭い視界の下方から、茶色い何かが突き出してきた。 避ける余裕も、その意思もなかった。ありすの頭の中は、まりさを殺すことだけで占められていたから。 そしてありすと茶色い何かは一点で交差し、『とすっ』、と軽い音と衝撃がしたかと思うと、 ありすは喉の奥に焼き付くような――いや、焼き尽くすような激しい痛みを覚えた。 「ゆべっ……!!」 それは、死を予感させるほどの苦痛だった。 ありすは絶叫すら上げられず、飛び出そうなほどに剥いた眼球をぎょろぎょろと動かして、必死に我が身に起きた事態を知ろうとした。 まともに声が出ないのは、何も痛みのせいだけというわけではなかった。 ありすは最初、目の下に伸びる茶色い棒が何かわからず、数回転ほど地面をごろごろ転げまわり、十分すぎる苦しみを味わった末に、 ようやくそれが口の中に突き立つ木の棒なのだと理解した。 もっとも、たとえ理解が及んだ所で苦痛の源に対処するための手段は貫かれたありす本人には存在しない。 のた打ち回れば回るほど、口から突き出した長い棒が激しく地を打ち、その衝撃が中身をえぐり、かき回す。 「えべっ、ゆえぼぶぇべっ! ふびぃぃぃ、うびぃぃぃぃ!!!!」 それでも、ありすは死ぬ事が出来ない。ありすの口のサイズに等しい太さの棒が、カスタードを吐き散らすことすら許さないから。 中身を失わない以上死ぬ事も出来ず、継続的に与えられる苦痛が意識を失うことすら許さない。 「びっ……ぶいぃぃ……ぶぃべぇっ……ば、ばでぃざぁぁぁ! びゅぐっり、びぶぇえ……!!」 塞がれた口から漏れ出る音は、死の世界に落ち込みつつあるものが生あるものに遺す呪詛の言葉だ。 まさに生き地獄という状態で、ありすはぎろりとまりさを睨み据えた。 この世の全てを呪うような眼差しで、この世の全てそのものだったまりさをぎろりと睨みすえた。 睨んだものを道連れにする力が自分にあったなら。 そう願い、力ない自分に絶望し、だがせめて、もはや免れる望みはない死の瞬間まで憎悪と憤怒を叩きつけてやろうと、 命を緩慢に削られてゆく苦悶の中、まりさに向けた視線だけは決して反らさず睨み続けた。 「ドスのもりを、レイパーがきたならしいめつきでみることはゆるされないわ」 「……びゅっ」 その儚い抵抗の術すら、ろりすたちは行使する権利を認めない。 視線が突然、二匹のろりすに遮られたと思うと、視界が同時に暗転した。 「ゆぶびっ!! ゆぶぁゃあばばぁばぁぁぁぁぶぁばぁっ!!?」 ワンテンポ遅れて、新たに焼かれるような苦痛の源が二つ増えた。 両目を深々と鋭く尖れた枝が抉っていることを、もはやめくらのありすには永遠に認知する事はできない。 「ドスのもりを、レイパーがみにくくうごきまわることはゆるされないわ」 「ぶびゅっ……っびゅびぃ!!? ゆべびぃっ、ゆびいいぃぃぃぃ……っ!!!!」 それどころか、ありすはついにのたうつことすら許されなくなった。 激しく横殴りの衝撃を受け、横転したありすの底部にすかさず幾本もの鋭い木の枝が続けざまに突き立てられた。 その全てが、皮を軽く突き破り、中身の奥深くまで達する深手だった。 これでもう、ありすは二度と大地を跳ねたり這い回ったりすることは出来ない。 「ドスのもりを、レイパーのきたないなかみでよごすことはゆるされないわ」 「ゆぐっ……ゆびゅっ、ゆぶぅ……」 ろりすの冷たい宣告が聞こえるたび、ありすの機能は一つずつ奪われていく。 今のありすはおしであり、めくらであり、足萎えだった。 聞くことはできる。ありすがまりさに向ける憎悪より遥かに暗く、強い憎しみの篭ったろりすの声を聞くことはできる。 嗅ぐことはできる。傷口から僅かずつ体内から漏れ出していくカスタードの甘い香りを、自らに迫る死の臭いを嗅ぐことはできる。 感じることはできる。何匹ものろりすたちがありすの金髪を銜えて乱暴に引きずり、どこかに運び去ろうとしているのを感じることはできる。 それ以外はできない。なにも、できない。 そして、例え意味ある言葉をろりすの口から聞くことが出来ても、ありすはもうその言葉の意味を理解するだけの認知力を持たない。 全身を激流のように駆け巡る苦痛の情報は、ついにありすの精神の限界を超えつつあるからだった。 (どぼぢで……) 緩慢に死に逝く、身体よりも。 先に、絶望と苦悶と憂悶に支配された心が掠れて逝く。 ありすの心が薄まり、消え果て、ただ蠢くシュークリームと変じてゆく。 身体より一足早く、虚無へと向かうありすの心に浮かぶのは、たった一つの疑問だった。 (どぼぢで、ありずをみんな、ぎらうの……) 何もしていないのに。 みんなと共にあることを祈っていたのに。 まりさに愛されたいと願っていたのに。 ただただ、ゆっくりを――すっきりではなく。ただひたすらにゆっくりとした日々を――望んでいただけなのに。 「ドスのもりに、レイパーのいばしょはどこにもないわ……っさっさと、きえなさい!」 勝ち誇った叫びを聞くと同時に、どん、という衝撃をありすは感じた。 ふわりとした浮揚感の次に、水面にわが身が落ちる冷たい感触。あの小川に突き落とされたのだ、と理解するまでに少し掛かった。 (このかわの、むこうにいけば――) ゆっくりした生活が、待っているはずだった。 まりさと共に誓い合った、誰からも迫害を受けないしあわせーな生活が。 そのまりさ自身に壊された未来が、舌を延ばせば届きそうなほどの間近にある。 ありすの枝が突き立つ両眼から、餡子の混じった涙が二筋生まれ、すぐさま水流の中に溶け込んだ。 ありすは流されていくだけだ。 今までもそうだったように。死の後にすら、流されていくのだ。 己の意志など、そこに介在はしない。 ゆっくりの織り成す社会の流れが、川上より川下へとただ下るだけの水の流れが、ありすの行き着く先を決定する。 例えどれほど求めるものが近くにあっても、流れがそこへと向かってくれぬ限り、ありすの努力など未来永劫結ばれることはない。 そして、流れはありす種が総じてレイパーとして忌まれ、疎まれ、斥かれる方向へと定まっていた。 川の流れはありすを乗せて、ゆっくり、ゆっくりと、下流へと流れ下っていく。 凍りつくように冷たい川の水は、不幸にしてありすの皮をすぐには溶かすようなこともなく、カスタードの流出を許さず、 思いつく限りのこの世の全てを呪う猶予をありすに与えてなお生命あるままに流してゆく。 (もう……ゆっくり……ざぜで……) その願いすら、ありすを翻弄し続けた『流れ』は容易に許すことなく。 ありすに安息が許されたのは、それから日が昇り、月が没して川魚たちが活発に動き出したあとのこと。 ありすはやはりゆっくりと、川魚たちが気まぐれに身体を食い千切る苦痛の中に悶えて死んでいった。 この冬。 ゆーまにあと自らを呼ぶゆっくりたちに端を発したありす排斥の流れが冬の食糧事情に絡んだ間引きを呼んで、 数千、数万のありすの死体が幻想郷近くまで流れ着き、文々。新聞の記事にちょっとした怪現象として描かれることになるのだが――、 それは一足先に旅立った、ありすにとっては関係のないことだったろう。 エピローグへ
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そのありすは、いわゆるレイパーと呼ばれる類の存在ではなかった。 ありすにはゆっくりした恋ゆっくりのまりさがいて、 二匹は同じ群れに生まれ、子供のころから互いに想い合った相手であり、 出合ってから一年の歳月を重ねる間に近々愛を結ぶ約束を交わし、多くの子を設けようと誓った幸多きカップルであった。 ――つい、この間までは。との但し書きが着くが。 * * * ぽいん、ぽよん。 ぽゆん、ぽよん。 夜の帳が既に下りた森の中。間抜けな音が、ぽやん、ぽわんと響いている。 その音、気の抜けたバスケットボールが地面に跳ねる音に似ていた。 音の発生源は、一つではない。二つ、寄せ合うようにして跳ねている。 背の高い木々の枝葉から漏れる月明かりの中、その丸いナマモノは必死の形相で前へ、前へと跳ねていた。 「ゆっ、へっ、ゆっ、へっ……も、もうすぐだよ!」 「ゆぅ、はぁ、ゆぅ、はぁ……も、もうすぐね!」 この時、れみりゃがふらんが徘徊する夜の闇を無謀にも疾駆するのは、二匹のゆっくりである。 それぞれまりさと、ありすだった。 「ゆっ、ほっ……はやく、ゆっくり、したいねっ」 「ゆぅ、はぁ……そうね、まりさ、ここはゆっくり、できないものねっ」 言い交わす二匹は、絶えず見えない何かに怯えているようだった。 覚悟の強行軍だ。夜のおそとを出歩くことが、どれほどゆっくりできないことか、二匹は当然よく知っている。 同じゆっくりの夜行性捕食種ばかりではない。 野犬や狐狸といった動物たちから、幻想郷の主たる住人である魑魅魍魎の類まで、夜に活性化するゆっくりの外敵はとても多いのだ。 それをおして、夜間の旅路を採らなければならない理由を、二匹は共有していた。 「でもっ……夜なら、群れのみんなも、追いかけて……これないものねっ……」 「ゆぅ、へっ……そうだね、追いかけて、これないものね……ゆぅ……」 或いは、外敵が多いからこそ夜を選んだというべきか。 二匹の旅路は逃避行だ。同じゆっくりから、捕食種ではないゆっくりから逃げている。 それも、同じ群れに属していたゆっくりから。 だから、夜を選んだ。夜に逃げれば、わざわざ危険を冒してまで自分たちを追いかけてくるようなことはないだろうから。 二匹は何も、群れにおいてゆっくりできない罪を犯したわけではない。 ありすはレイパーではなく、まりさもゲスではなく、むしろとてもゆっくりした、ゆっくりの優等生のようなゆっくりだった。 だが、群れは自分たち――正確にはありす種に生きる価値を認めなかった。 そういう群れになってしまった。 群れがレイパーの被害を受けたということは、確かに幾度かあった。 だが、それは常によそ者の――流れ者のありす種による仕業だった。群れの中からレイパーを出したことは、一度たりともない。 例え、被害を受けたゆっくりやその家族の内心はどうであれ、流れのレイパーの罪の責を群れのありす種に負わせるなんて、 全然ゆっくりできないことだとみんな了解しているはずだった。 ならば、どうして群れは変わってしまったのだろうか。 原因は、はっきりしている。一匹のゆっくりが、 ドスの側近を務めるぱちゅりーが、憑かれたように危険も顧みず人間の里に足しげく通うようになったのはいつのことだっただろう。 最初は、色々なことを教えてもらったと嬉しそうに周りに話していた。 人間の里に行くたびに、いろいろなごほんの内容を教えてもらえて、ぱちゅりーの知識は少しずつ増えていくのだといっていた。 確かに、ぱちゅりーは少しずつ賢くなっていくようだった。 だが同時に、ありすは違和感を感じていた。少しずつ賢くなるぱちゅりーが、少しずつおかしくなっていくように感じられた。 どこがどう、とはいえない。何かが極端に変わったわけでもない。 ただ、少しずつ、ぱちゅりーは『ゆっくりするため』になら、『ゆっくりらしくない』考え方をするようになっていくように思えた。 おかしくなったぱちゅりーが、ドスにまで変なことを吹き込んで、一緒におかしくしてしまったと気付いたのは、 随分後になってからのことだった。 そうして異変に気付いた所で、だからといってなにも手も出せず、気がついたら、歯止めなんて利かなかった。 あっという間に、群れ全体がおかしくなってしまっていた。 「もうすぐ、『ゆーまにあのもり』を、抜けるわっ……」 ゆーまにあのもり。 ありすは眉根を曇らせて、ありすの故郷だったこの森の名前を呼ぶ。 本当は、この森に名前なんかなかった。おかしくなったぱちゅりーが、「もりさんややまさんにもなまえがあったほうがべんりよ」と ある日突然主張しはじめて、この故郷を『ゆーまにあ』と名付けてしまった。 確かに、土地にも名前があったほうが便利ではあった。 例えば、位置関係がはっきりして、狩りや遠出の際にもどこへ行くのかがわかりやすくなった。 新しい場所にどんどん新しい名前をつけていくことが、群れのゆっくりの間で流行った。 新たに見つけた場所の名前を聞くたびに、世界が広がっていくような喜びを群れのゆっくりたちは共有した。 でも、とありすは思うのだ。 世界は広がったようで、実は狭くなったんじゃないかって。 どこそこの森、どこそこの山。名前を付けることで、その場所とそこに存在するものが結びついてしまった。 特にゆっくり同士の付き合いにおいて、群れのゆっくりはひどく他の群れに対して狭量になっていった。 『あの森のゆっくりの群れはどうだ、どこそこの山出身のゆっくりはこうだ』 『それに対してゆーまにあの森のゆっくりは、これだけとってもゆっくりできている』 『だからゆーまにあの森のゆっくりはそれだけえらいんだ』 とても、居心地が悪い雰囲気をありすは感じた。みんな、ゆっくりできていない、と素直に思った。 だから、ありすは群れの仲間たちから少し距離を置いた。自分もそんなゆっくりできないゆっくりにはなりたくなかった。 それは無意識の危険信号だったのかもしれない。だからこそそれだけでは足りないのだと、もっと早くに気がつくべきだった。 みんながみんな、自分と違うもの、否定していいものを探し始めたらどうなるか、気がつくべきだった。 『……ありすたちは、レイパーになるゆっくりだよ』 『れいぷでゆっくりをころすゆっくりだよ』 『おお、こわいこわい』 結局、ありすたちがある日気がついたときには、みんなの『ゆっくりできていない』探しはもうありす種に向けられていた。 そしてみんなから『わるもの』を見る目で自分が見られていることに気づいた時。 ありすはやっとドスとぱちゅりー、そしてその他の群れの長老たちが何をしようとしているのかを悟った。 それは、ありすにだって子供の頃、何度も経験したことがあることだった。 子ゆっくりが何匹か集まれば、必ずといっていいほどいじめていい相手というものを見つけ出す。 ちょっとした違い、ちょっとした鈍さ、それを目ざとく見つけ出して、その劣った部分を責め立てる。 何故って? そんなの簡単だ。楽しいからに決まっている。 みんなと違うことは、悪いことだ。 みんなと同じことができないのは、気持ち悪いことだ。 そう、『わるいやつ』がはっきりしていると、みんなゆっくりできるのだ。 まだ、わからない? それは、気に入らないことを全部『わるいやつ』のせいにして叩いてしまえば、なんとなくすっきりー!した気分になれるからだ。 それに、ドスはみんなをゆっくりさせることができなくても、みんなが『わるいやつ』を叩いている間は自分もゆっくりできるのだし。 みんなで『わるいやつ』に『せいさい』を加えている間は、群れ全体が一つにまとまっていられる。 運悪く、『わるいやつ』にとして指定されたゆっくり以外は。 そしてありす種は、まさにその『わるいやつ』に指定されたゆっくりに他ならない。 ありすはそんなひどいお芝居の役周りに付き合うつもりは、さらさらなかった。 「……ひがしのドス、うけれいてくれるかしら」 だから、ありすは森を逃げ出そうとしている。 恋仲であったまりさに連れられて、日増しに強まるゆーまにあの森でのありす種迫害から逃れるために。 ゆーまにあの群れの縄張りに隣接する、強大な東のドスの縄張りへと。 「ゆぅ……それは、いってみなきゃ、わからないよ」 危険から物理的に遠ざかるにつれて、ありすの中で不安の暗雲がどんどん大きく広がってゆく。 疲労ではなく、心労から徐々に跳ねる速度が落ちてゆくありすに気づいて、まりさが叱咤の声を掛ける。 確かにまりさにしても、逃げ延びれば東のドスに保護してもらえると確信があっての逃避行ではない。 このまま群れに残った場合、何が我が身に起きるかわからないという恐怖に駆られたからこその逃走劇だ。 「ありすが、ゆーまにあの森を出たいなら。ゆっくりしないで、いくしかないよ」 先のことはわからない。 それでも、進む先にしか生き延びる可能性は残されていないように思えた。少なくとも、幸福の可能性は森の外にしかなかった。 そして、ありすだってその可能性をあきらめるつもりなどなかった。 ありすと共に、この先のゆん生を生きていきたかったから。まりさもまた、ありすと共に生きていくと誓ってくれたから。 その誓いを、どんな形であれありすは最後まで貫くつもりだった。 「だめなら、きたのドスのところにいくよ。あそこのドスは、どんなゆっくりもうけいれてくれるってきくよ」 そこまで険しい表情で続けてから、まりさはありすに改めて視線を向けなおして、「ゆっくりまわりみちだね」と笑った。 そうだ、最後まであきらめない。可能性すべてにすがりつくんだ。 大好きな、今までいつも支えてくれたまりさと、これからもずっと一緒に生きていくために。 「……ちょっとしたはねゆーんね」 まりさの笑顔が、ありすの心を勇気付ける。 疲れた身体に、まだまだ走り続ける力を分け与えてくれる。 「もうすぐだよっ。もうすぐもりをぬけて、ぷるとのおがわだよ!」 「ぷるとのおがわをわたったら、もうひがしのドスのなわばりね……!」 東のドスの群れに受け入れられたら。 たとえ、そうでなくたって。 まりさは一緒にいてくれると誓ってくれた。 ありすはそれだけで胸が一杯だった。しあわせー!で身体中がいっぱいだった。 「そこまでよ!」 この裁きの時が来る直前まで、しあわせー!で身体中が一杯だった。 「「ゆゆーっ!?」」 それは、森を抜け、川原に出る本当に直前の事だった。 鋭い叫びが、前から響いた。後ろからではなく、前から。 東のドスの群れが支配するはずの領域の側に、突如多くの気配が沸いた。 ありすは驚き、たたらを踏んだ。 まりさはとっさに危険を察知したのか、跳ねるのを止めるや一歩後ろに下がった。、 「このむれからにげられるとでもおもってるの? ばかなの? しぬの?」 「おお、おろかおろか」 「レイパーで、しかもひがしのドスのスパイなんて……」 「おお、はじしらずはじしらず」 前方から投げられる声は、一つではない。 闇の分厚い緞帳の向こうに、数多の気配が沸いていた。 追っ手ではない、はずだ。ありすは努めて、予想外の事態に冷静であろうとする。 「か、かくれてひとのわるぐちなんてとんだいなかものね! とかいはは、あいてのまえできちんといけんをいうものよ!」 「もちろん、でていってあげるわ」 精一杯の虚勢を込めたありすの呼びかけに、闇の中の声は笑いの気配を乗せて応じた。 前にいるのは追っ手ではない。誰にも気付かれずに群れを抜け出したのは。 捕食種でないことも間違いない。れみりゃにせよ、ふらんにせよ、狩りの対象に襲い掛かる前に会話の猶予を設けるほど悠長ではない。 捕って食うことが目的である以上、唸り声を上げて威嚇することはあっても襲う時はほぼ例外なくいきなりズドン、だ。 だから追っ手と捕食種、両者ではありえないはず。警戒しつつも、だからありすは必要以上に恐れない。 とはいえ、姿の見えない相手の口振りから察するに、こちらに好意を抱いていないことも確かだ。 そもそもこんな冬場、しかも夜更けに活動しているゆっくりがいること自体、不審だった。 確かに冬といっても暖かい日なら、縄張りの境界ぎりぎりまで狩りに出かけてその日の内には帰ってこない仲間が出ることもある。 そんな、遠出して日のある内に帰巣できなかった仲間と、偶然出くわしてしまったのだろうか? だが同じ群れのゆっくりならば尚更、敵ではないとはいいきれなかった。群れは、ドスに忠誠を誓うゆっくりが多数派なのだ。 どう言い逃れるか、無理ならばどう逃げるか、ありすは相手の姿を求めて目線をきょろきょろと泳がせる。 そして。 「いけんするためじゃなくて、あなたをえいえんにゆっくりできなくするためにだけどね!」 「ゆげっ……」 暗闇の中、啖呵を切りながら進み出てきたゆっくりたちの姿に目を限界まで見開いて言葉を失った。 「ど、どぼぢで……?」 目の前で、茫洋と開けた未来の前で、ようやくありすが手にしようとする光明の前で、ありえないことが起きていた。 未来へ続く道筋が、急速に狭まってゆく。 届いたかに思えた光が急速に遠ざかり、闇へと置き換わっていく。 今、目の前の闇の中から現れて、ありすの希望を根こそぎにしようとする『連中』の名前を、ありすはよく知っていた。 その恐怖を、その悪夢を、ありす種である彼女が知らないわけがなかった。 目の前に現れたものは、群れから放たれた追っ手だった。目の前にいるはずのない、群れからの追っ手だった。 そして追っ手として群れから出るものたちのうち、考えうるその中でも最悪の存在でもあった。 どんどん数を増す『連中』の姿に耐え切れず、ありすの恐怖と悲しみに塗りつぶされた叫びが夜の森に響く。 「どぼぢで『ゆっくりたあて』がまえにいるのおおぉぉぉ!!?」 ――『ゆっくりたあて』。 ありす種を迫害するためにぱちゅりーが中心になって作り上げた、ありす狩りのための特別なゆっくりたちだ。 その目的とするのはありす狩りだが、そこに属するゆっくりもまた、その多くがありす種だという。 そこに属するものたちは、ありす種も、そうでないものも、例外なくレイパーありすの子どもだった。 レイパーありすが襲い、孕ませ、朽ち果てさせたゆっくりたちの子どもたちだった。 ぱちゅりーはその生まれながらにして親の亡い赤ちゃんゆっくりたちを『群れに授かった子どもたち』として集め、 彼女たちにドスと群れ全体のためだけに働くことと、『ゆっくりたあて』として教育された仲間以外のありす種を憎むように仕向けた。 そして、ことありす種には見た目からしてレイパーとなるありす種とは違うのだと自覚させるために、生まれながらに身に着けていた ありす種の証であるカチューシャを捨てさせた。 不思議な事に、そうしてカチューシャを捨てたありすたちには、新たに青いリボンがどこからか生まれるのだった。 こうして変異したありす種が、誰ともなく『ろりす』と呼ばれ始めたのがいつのことからかわからない。 そしてその青いリボンをつけたありすこそが『ゆっくりたあて』の象徴になり、彼女たちの団結と忠誠心の証になった。 それは同時に、ありすや群れのあり方に疑問を持つゆっくりたちにとっての恐怖の対象でもあった。 このありす――否、ろりすたちは今、ありすを殺し、ドスと群れの恩に報いるためならば夜の闇すら欠片も恐れない。 自己の身の危険すら問題としない狂信が、鋭利過ぎる刃となって少しでも意見を異にするゆっくりたちに容赦なく突き立てられるのだ。 「ドスのおさめるむれをうらぎるなんて、ぜったいにゆるされないのよ」 今、この瞬間、むき出しにされたその牙にありすが追い詰められているように。 「ゆ、う……どうして? どうしてここがわかったの……?」 じりじりと、ろりすが間合いを詰めてきた分だけありすは背後に後じさる。 今の群れは、裏切り者を絶対に許さない。いなくなったことに気づかれた後で、群れから追っ手が掛かることは予想していた。 だからこそ、一切ゆっくりしないでこの境界線まで一目散に逃げてきたのだ。 ゆっくりは持ち運べる明かりを持たない以上、たとえスィーを使ったって夜に素早く森を移動する手段なんてない。逃げ切れる、はずだったのだ。 それなのに、ろりすたちは先回りして目の前にいる。 ありすとまりさが、家族を捨ててまで選んだ未来への道を遮っている。 どうやって? その疑問に対する答えを、ありすは持たない。 だが、なんのために? ということであれば、自問するまでもなくはっきりしている。 ありすを、この場で殺すため。それ以外の目的なんかあるはずがない。 「うふふふふ……」 死への絶望にその顔をゆがめたありすを嘲笑う声は、後ろから聞こえた。 驚き慌てる間に、後ろにも回りこまれたのだ。ありすは自分の迂闊さを悔やんだ。 振り向く間に、不安にも襲われる。ありすが気付かない間にろりすたちが後ろに回りこんでいたのだとしたら. まりさは、最愛の恋ゆっくりは、無事でいてくれているのだろうか。 「どうして『ゆっくりたあて』がまりさたちのまえにいるのかしらね?」 「ゆ? まりさ?」 まりさは、無事だった。表情は豹変、じっとりと湿度の高い笑顔を顔に貼り付けて、しかしまりさは無事だった。 その口から名前を呼ばれて、ようやくのこと。 ありすは、自分が聞いた笑い声が、後ろに留まるまりさが上げたものだったことに気が付いた。 心の中に湧き上がった不安が、その瞬間急速に変質していく。 ありすにはまりさの笑顔の理由がわからない。 前方に現れたろりすなど一顧だにせず、まりさが満面に湛える嫌な笑みは完全にありすにのみ向けられていた。 ありすはこれまで、まりさからこんな小ばかにするような視線を向けられたことはない。 それどころか、まりさが誰かにこうもあからさまに蔑む眼差しを送るところすら、見たことがなかった。 いったい、これは、目の前にいるこのゆっくりは本当にありすが愛したまりさなのだろうか。 そんな馬鹿げた疑問すら、重大な深刻性を持ってありすの脳裏を過ぎる。それほどの違和感だった。 「それはね、ありす」 まりさが何か言っているが、ありすはその声音を聞いて、しかし内容はよく聞いていない。軽いパニック状態だった。 まりさが本当のまりさかどうかなんて、いったい、別の誰かがすりかわっているとでもいうのか。 ばかばかしい、とありすは意識して自分の頭からそんな妄想を追い払う。 だいたい、目の前にいるまりさのおぼうしは間違いなくありすの愛したまりさのおぼうしだし、 まりさのお声は間違いなくありすの愛したまりさのお声だ。口調は何故か、どこかゆっくりできないものに変わっているけど。 長い間、とかいはな愛を育んだ二匹だ。例え何者かがおぼうしを奪って成り代わっていたところで、その声で真贋の区別は絶対につく。 そうだ。声さえ聞けば。望むと望まざるとに関わらず。 ありすには、その真贋がついてしまうのだ。 「まりさがゆっくりたあてにしらせておいたからよ」 「……ゆ?」 あたりまえだ。ほんものかどうかなんてすぐにわかる。 「ゆぅ? わからない? まりさが、ドスをうらぎろうとしているありすがいるって、れんらくしたの」 すぐに、わかる。たとえわかりたくなくても、わかってしまう。 ながいあいだ、いっしょにあいしあったのだから。 だから。 いま、めのまえで、ありすをうらぎったとほこらしげにつげたのは、まちがいなく、ありすのあいした、あのまりさだ。 「まりさ、おつかれさま。もういいわよ」 「ゆゆっ、ありがとうねろりす。じゃあまりさはつかれてるし、ちょっとおやすみさせてもらうわ」 ろりすとまりさが、親しげに言葉を交わす。互いの労を労っている。 その光景を目の前にして、ありすはまったく凍り付いていた。 何が起きたか、わからないからではない。 わかってしまったからこそ、凍り付いていた。 「まり……さ……? どういう、こと?」 わかっていて、理解したくないから、我知らずそんな問いを口にしていた。 自分でも、ばかばかしい問いだとしか思えない。 まりさがまりさである以上。何が起きたかなんて、この上なくはっきりとしているのに。 「ありす、おどろいてるみたいね。つまり、こういうこと」 まりさが口元に浮かべた笑いは、ろりすたちと同質の冷たさを備えていた。 軽く体を前に傾けたまりさのおぼうしに、ろりすの一匹が口に咥えた何かを飾り付けた。 それは、三日月の形をした小さな帽子飾り。 普通のまりさではない、『ゆっくりたあて』に与するレイパーありすの落とし子たるまりさ種の徴。 まりさが、最初から最後まで、決してありすの味方などではありえなかったことの、 出会った最初の瞬間から、迫る最期の瞬間まで、ありすに対する群れのスパイであったことの、 まりさが最初から最期まで、ありすの敵であったことの、紛れもない絶対の証。 「……だっ。だましたの!? だましたのね、まりさ!」 氷が、解ける。心を鎖していた氷が。跡形もなく、揮発するほどの勢いで。 身を焦がすような、心を焼き滅ぼすような、光をいっさい発することのない真っ黒な炎。 ありすの中に唐突に燃え上がったその炎が、心を閉ざしかけた氷をたちまちの内に消し飛ばす。 「ゆゆ? まりさはむれのためにはたらいただけ。むれをうらぎったのは、ありすよ」 炎の燃料は、怒りと絶望。 だがありったけの激怒をぶつけてなお、それに怯むでもなく薄く、まりさは湿った、陰りのある笑いを動かさなかった。 彼女の反応は、とても薄い。今まで共にしてきた時間を、根本から疑わせるほどに。 ただ、まりさにとって当然のことを、当然のこととして告げるだけだ。 さながら、まるで面識のない赤の他人にものごとの道理を説くように。 「むれをうらぎったゆっくりは、えいえんにゆっくりできないことになるの。あたりまえじゃない」 「ゆあ……ゆあ、ゆがああぁぁぁぁっ!!」 ありすは叫んだ。 言葉にならなかった。考えなんて、まとまるわけがない。 心の中は煮え立つような激情と、凍りつくような絶望でぐちゃぐちゃだった。 今までありすがありすのままでいられた、拠って立つべきものが、跡形もないほど粉々に打ち砕かれてしまっていた。 まるで、宙に放り出されたような感覚。 出会ってからいつも、まりさは一緒だったのに。 いつも、ありすよりさきをすすんで、ありすをひっぱってくれたのは。 いつも、ありすのしらないいろいろなことをおしえてくれたのは。 いつも、ありすをそばでやさしくささえてくれたのは。 これからもいつもいっしょだと、みらいをちかいあったのは。 であってからいつも、ずっとずっとふたりでつみかさねてきたまいにちは。 ――ぜんぶ、うそだったの? 「……じね!」 瞬間、ありすの頭から思考が消失した。 口にしたこともないような単純な罵声が、抱いたこともなかったような純粋な憎悪に乗って喉の奥から迸った。 恐怖が消え、怒りに置き換わり、殺意となってまっすぐにまりさを射抜いた。 その殺意の射線を辿って、ありすが一個の弾丸と化して地を蹴り、飛んだ。 「じね! うらぎりものはじねっ! ゆっぐりじね! じね! じね!」 「うらぎったのはありすだっていってるでしょ?」 そう嘯き、心外そうに眉根を寄せるまりさの顔がひと跳ねごとにぐんぐん迫る。 まりさへの疾走、その最後の跳躍は、ありすのゆん生で最良の跳躍だっただろう。 ありすはまりさの身体を食い破るべく、まっすぐ、綺麗に飛翔した。放物線を描き、金色の髪をなびかせて。 破滅へ向かって、まっしぐらに。 「ドスのもりに、レイパーのきたならしいこえがひびくのはゆるされないわ」 そんな、事務的ですらある淡々とした声が、ありすの極端に狭まった――まりさ以外の全てをオミットした視界の外から聞こえた。 次の瞬間、その狭い視界の下方から、茶色い何かが突き出してきた。 避ける余裕も、その意思もなかった。ありすの頭の中は、まりさを殺すことだけで占められていたから。 そしてありすと茶色い何かは一点で交差し、『とすっ』、と軽い音と衝撃がしたかと思うと、 ありすは喉の奥に焼き付くような――いや、焼き尽くすような激しい痛みを覚えた。 「ゆべっ……!!」 それは、死を予感させるほどの苦痛だった。 ありすは絶叫すら上げられず、飛び出そうなほどに剥いた眼球をぎょろぎょろと動かして、必死に我が身に起きた事態を知ろうとした。 まともに声が出ないのは、何も痛みのせいだけというわけではなかった。 ありすは最初、目の下に伸びる茶色い棒が何かわからず、数回転ほど地面をごろごろ転げまわり、十分すぎる苦しみを味わった末に、 ようやくそれが口の中に突き立つ木の棒なのだと理解した。 もっとも、たとえ理解が及んだ所で苦痛の源に対処するための手段は貫かれたありす本人には存在しない。 のた打ち回れば回るほど、口から突き出した長い棒が激しく地を打ち、その衝撃が中身をえぐり、かき回す。 「えべっ、ゆえぼぶぇべっ! ふびぃぃぃ、うびぃぃぃぃ!!!!」 それでも、ありすは死ぬ事が出来ない。ありすの口のサイズに等しい太さの棒が、カスタードを吐き散らすことすら許さないから。 中身を失わない以上死ぬ事も出来ず、継続的に与えられる苦痛が意識を失うことすら許さない。 「びっ……ぶいぃぃ……ぶぃべぇっ……ば、ばでぃざぁぁぁ! びゅぐっり、びぶぇえ……!!」 塞がれた口から漏れ出る音は、死の世界に落ち込みつつあるものが生あるものに遺す呪詛の言葉だ。 まさに生き地獄という状態で、ありすはぎろりとまりさを睨み据えた。 この世の全てを呪うような眼差しで、この世の全てそのものだったまりさをぎろりと睨みすえた。 睨んだものを道連れにする力が自分にあったなら。 そう願い、力ない自分に絶望し、だがせめて、もはや免れる望みはない死の瞬間まで憎悪と憤怒を叩きつけてやろうと、 命を緩慢に削られてゆく苦悶の中、まりさに向けた視線だけは決して反らさず睨み続けた。 「ドスのもりを、レイパーがきたならしいめつきでみることはゆるされないわ」 「……びゅっ」 その儚い抵抗の術すら、ろりすたちは行使する権利を認めない。 視線が突然、二匹のろりすに遮られたと思うと、視界が同時に暗転した。 「ゆぶびっ!! ゆぶぁゃあばばぁばぁぁぁぁぶぁばぁっ!!?」 ワンテンポ遅れて、新たに焼かれるような苦痛の源が二つ増えた。 両目を深々と鋭く尖れた枝が抉っていることを、もはやめくらのありすには永遠に認知する事はできない。 「ドスのもりを、レイパーがみにくくうごきまわることはゆるされないわ」 「ぶびゅっ……っびゅびぃ!!? ゆべびぃっ、ゆびいいぃぃぃぃ……っ!!!!」 それどころか、ありすはついにのたうつことすら許されなくなった。 激しく横殴りの衝撃を受け、横転したありすの底部にすかさず幾本もの鋭い木の枝が続けざまに突き立てられた。 その全てが、皮を軽く突き破り、中身の奥深くまで達する深手だった。 これでもう、ありすは二度と大地を跳ねたり這い回ったりすることは出来ない。 「ドスのもりを、レイパーのきたないなかみでよごすことはゆるされないわ」 「ゆぐっ……ゆびゅっ、ゆぶぅ……」 ろりすの冷たい宣告が聞こえるたび、ありすの機能は一つずつ奪われていく。 今のありすはおしであり、めくらであり、足萎えだった。 聞くことはできる。ありすがまりさに向ける憎悪より遥かに暗く、強い憎しみの篭ったろりすの声を聞くことはできる。 嗅ぐことはできる。傷口から僅かずつ体内から漏れ出していくカスタードの甘い香りを、自らに迫る死の臭いを嗅ぐことはできる。 感じることはできる。何匹ものろりすたちがありすの金髪を銜えて乱暴に引きずり、どこかに運び去ろうとしているのを感じることはできる。 それ以外はできない。なにも、できない。 そして、例え意味ある言葉をろりすの口から聞くことが出来ても、ありすはもうその言葉の意味を理解するだけの認知力を持たない。 全身を激流のように駆け巡る苦痛の情報は、ついにありすの精神の限界を超えつつあるからだった。 (どぼぢで……) 緩慢に死に逝く、身体よりも。 先に、絶望と苦悶と憂悶に支配された心が掠れて逝く。 ありすの心が薄まり、消え果て、ただ蠢くシュークリームと変じてゆく。 身体より一足早く、虚無へと向かうありすの心に浮かぶのは、たった一つの疑問だった。 (どぼぢで、ありずをみんな、ぎらうの……) 何もしていないのに。 みんなと共にあることを祈っていたのに。 まりさに愛されたいと願っていたのに。 ただただ、ゆっくりを――すっきりではなく。ただひたすらにゆっくりとした日々を――望んでいただけなのに。 「ドスのもりに、レイパーのいばしょはどこにもないわ……っさっさと、きえなさい!」 勝ち誇った叫びを聞くと同時に、どん、という衝撃をありすは感じた。 ふわりとした浮揚感の次に、水面にわが身が落ちる冷たい感触。あの小川に突き落とされたのだ、と理解するまでに少し掛かった。 (このかわの、むこうにいけば――) ゆっくりした生活が、待っているはずだった。 まりさと共に誓い合った、誰からも迫害を受けないしあわせーな生活が。 そのまりさ自身に壊された未来が、舌を延ばせば届きそうなほどの間近にある。 ありすの枝が突き立つ両眼から、餡子の混じった涙が二筋生まれ、すぐさま水流の中に溶け込んだ。 ありすは流されていくだけだ。 今までもそうだったように。死の後にすら、流されていくのだ。 己の意志など、そこに介在はしない。 ゆっくりの織り成す社会の流れが、川上より川下へとただ下るだけの水の流れが、ありすの行き着く先を決定する。 例えどれほど求めるものが近くにあっても、流れがそこへと向かってくれぬ限り、ありすの努力など未来永劫結ばれることはない。 そして、流れはありす種が総じてレイパーとして忌まれ、疎まれ、斥かれる方向へと定まっていた。 川の流れはありすを乗せて、ゆっくり、ゆっくりと、下流へと流れ下っていく。 凍りつくように冷たい川の水は、不幸にしてありすの皮をすぐには溶かすようなこともなく、カスタードの流出を許さず、 思いつく限りのこの世の全てを呪う猶予をありすに与えてなお生命あるままに流してゆく。 (もう……ゆっくり……ざぜで……) その願いすら、ありすを翻弄し続けた『流れ』は容易に許すことなく。 ありすに安息が許されたのは、それから日が昇り、月が没して川魚たちが活発に動き出したあとのこと。 ありすはやはりゆっくりと、川魚たちが気まぐれに身体を食い千切る苦痛の中に悶えて死んでいった。 この冬。 ゆーまにあと自らを呼ぶゆっくりたちに端を発したありす排斥の流れが冬の食糧事情に絡んだ間引きを呼んで、 数千、数万のありすの死体が幻想郷近くまで流れ着き、文々。新聞の記事にちょっとした怪現象として描かれることになるのだが――、 それは一足先に旅立った、ありすにとっては関係のないことだったろう。 エピローグへ
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もくじを見る 概要 使用ポケモン 関連項目 コメントフォーム 概要 使用ポケモン No. ポケモン レベルアップ 関連項目 わざ あ行 アーマーキャノン アームハンマー アイアンテール アイアンヘッド アイアンローラー アイススピナー アイスハンマー アイスボール あおいほのお アクアカッター アクアジェット アクアステップ アクアテール アクアブレイク アクアリング あくうせつだん アクセルブレイク アクセルロック あくのはどう あくび あくまのキッス あくむ アクロバット あさのひざし アシストギア アシストパワー アシッドボム アストラルビット あてみなげ あなをほる あばれる アフロブレイク あまいかおり あまえる あまごい あやしいかぜ あやしいひかり アロマセラピー アロマミスト あわ アンカーショット アンコール あんこくきょうだ いあいぎり いえき イカサマ いかり いかりのこな いかりのまえば いじげんホール いじげんラッシュ いたみわけ いちゃもん いっちょうあがり いてつくしせん いとをはく イナズマドライブ いにしえのうた いのちがけ いのちのしずく いばる いびき いやしのすず いやしのねがい いやしのはどう いやなおと いわおとし いわくだき いわなだれ インファイト ウェーブタックル ウェザーボール うずしお うそなき うたう うたかたのアリア うちおとす うつしえ ウッドハンマー ウッドホーン うっぷんばらし うらみ うらみつらみ エアカッター エアスラッシュ エアロブラスト エコーボイス えだづき エナジーボール エラがみ エレキネット エレキフィールド エレキボール エレクトロビーム えんまく おいうち おいかぜ おいわい おうふくビンタ オウムがえし オーバードライブ オーバーヒート オーラウイング オーラぐるま オーロラビーム オーロラベール おかたづけ おきみやげ オクタンほう おさきにどうぞ おしおき おしゃべり おたけび おだてる おちゃかい おどろかす おにび おはかまいり おまじない おんがえし おんねん か行 ガードシェア ガードスワップ かいでんぱ かいふくしれい かいふくふうじ かいりき カウンター かえんぐるま かえんだん かえんのまもり かえんほうしゃ かえんボール かかとおとし かぎわける かくばる 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ゆいみお!第六話(終) ゆいみお!第6話(最終回)です 「いよいよだね、澪ちゃん!」 「あ、あぁ…そうだな、唯!」 「澪ちゃん、そっちは壁だよ」 「…あぁっ!どおりで…唯が白くて平べったいなって思ってたんだよ」 「もー、澪ちゃん緊張しすぎ!」 いよいよ迎えた演芸大会本番 「ゆいみお」の二人は控室で出番を待っている 唯の誘いからできたこのユニット 一週間前唯の家で行った集中合宿以降は、休憩時間と部活後のわずかな時間しか練習できなかった しかし、演奏する曲「わたしの恋はホッチキス」は元々練習してきた曲であり、それぞれの課題は明確であった 唯はミスなく演奏すること。澪はしっかりと歌いきること そして二人共通の課題は、それぞれのソロパートを演奏しきること これらの課題克服を目指し、練習を重ねた 日曜日はぎこちなさがあった二人だったが、月曜からは今まで通りの関係で練習ができた 澪はあきらめて、唯は開き直っている様子が窺えた 「唯は相変わらず緊張してないみたいだな」 「えへへー、だってこの衣装きれるんだもん」 「別に私は制服でもよかったのに…」 「駄目だよ!せっかくの晴れ舞台なんだから」 二人が本番に向けて選んだ衣装は、昨年の学際で着たミニ浴衣だった しかし、唯はアクシデントでこの衣装を着て舞台に上がれなかった だからもう一度着たいという唯の強い希望から、この衣装に決まった 学際の時は季節からファーがつけられたが、今回はそれは取り払われ浴衣のみで演奏をする 「なんか、あっという間だったねー」 「んっ、何がだ?」 「私たちがペアを組んで本番が来るまでだよ」 「あぁ…元々準備期間が短かったからな」 「…んもうっ、そういう意味じゃないよ!」 「えっ?!…そうなの?」 「…」ガタッ 無言で立ち上がる唯 「ど…どうしたんだ…唯」 唯の行動に驚く澪 「おトイレ!」バタンッ そう言って控室から出る唯 「…澪ちゃんのバカ」 控室の外で唯が呟く 「…あぁ、分かってる…私にとっては、夢のような時間だったよ」 一人残された澪が呟く 1週間前、自分の唯への気持ちに気付いた澪 しかし気付いたきっかけが、唯に好きな人がいることを知ったときという皮肉なものとなった それからの1週間は、唯への思いは封印し、本番へ向けての練習に集中した だが二人での練習を終え一人になったとき、唯への思いは爆発する そのぶつけどころのない思いに悩み、枕をぬらす夜が続いた澪 そして悩み続けた結果、澪は一つの答えを出す 「(これが終わったら…唯に…)」 また、唯も… 「(これが終わったら…澪ちゃんに…)」 二人がそれぞれの決意を持って本番を迎える 刻一刻と迫る出番の時、ステージの袖で出番を待つ二人 元々緊張しぃの澪は、ほとんど声を発することがなかった しかし、いつもは本番前までいつも通りな唯も言葉数が減っていた 「…唯、大丈夫か?」 いつもと様子の違う唯を心配して、澪が声をかける 「…えっ?!大丈夫だよ」 「…」 そう言う唯の笑顔は、いつもとは違うかなりぎこちないものだった そして、声がわずかだが震えているのを澪は聞き逃さなかった 「唯、緊張してるのか?」 「えぇっ?!…ま、まっさかー…澪ちゃんじゃないんだからー」 平静を装ってる唯だったが、明らかにいつもと違う そう確信した澪は… 「唯っ!…」 「ひゃっ!…もーっ、どうしたの澪ちゃーん」 唯の手を握り、手の温度を確かめた 「…唯、すっごく手冷たいよ」 「えっ…わ、私は…心があったかいから、手は冷たいんだよー…前そう言ったでしょ」 確かに、唯は去年の冬にそう言った しかし今日は夏の日差しが照り返し、真夏日になろうかというくらいの暑さだった 唯の手は、その暑さを感じさせないくらい冷たかった…まるで今日が真冬であると感じるほどに 「(…一緒に演奏するのが、私しかいないから唯…緊張してるのかな)」 澪は、唯の緊張の原因は自分にあると思った 軽音部でステージに立つ際は、ムードメーカーの律、安心感を与える紬、癒しを与える梓と、唯の緊張をほぐす人物がいた しかし澪はステージに立つまで緊張しっぱなしで、周りを見る余裕なんてなかった 「ほ、ほら澪ちゃん…次、私たちだよ」 ゆいみおの前の演技者がステージに上がる このままステージに上がれば、唯は確実に失敗する そう澪は確信した。なんとかして唯の緊張をほぐさないと…1年の学際の時、唯が自分にしてくれたように 「…唯、大丈夫だから」 「えっ…」 「私がいるから、安心して」 「澪ちゃん…」 真剣な眼差しを唯に向け、澪が続ける 「これまで私が一番近くで、唯の演奏、声を聞いてきた。その私が保証する、唯は大丈夫。だから、安心して演奏して」 「…」 「唯の隣には、いつも私がいるから」 この言葉を聞いて、唯の手に体温が戻ってくるのを感じる 「今までもこれからも、それは変わらない…」 そう言いきると、一旦唯から視線を外す澪 唯の手はあっという間に熱くなっていた 「…うん、そうだよね…そうだよ!」 「唯…」 唯がいつものトーンで話し出す 「ずっと、放課後ティータイムで…私も一番近くで澪ちゃんの演奏と声…聞いてきたよ」 「うん…」 「だから、澪ちゃんも大丈夫!安心して歌ってね!」 いつもの笑顔を澪に向ける 「うん、分かった」 自分の精一杯の笑顔を唯に向ける澪 『次は、エントリーNo.15「ゆいみお」です』 出番を告げるアナウンスが響く 「いよいよ出番だよ澪ちゃん!」 「あぁ行こう、唯!」 ステージへと上がる二人 二人の間の手は、繋がったままで | | | ・ ・ ・ 「終わっちゃったねー」 「うん…」 本番を終え二人は今、公園のベンチに腰掛けている 「優勝…できなかったね…」 「うん…」 結果としては、二人は優勝できなかった しかい、オリジナル曲を歌い、二人の息の合った演奏・歌唱が評価され3位という大健闘を見せた 「3位でも、賞品でるんだね」 「そうだな」 「これ使って、二人でお出かけしようね!」 「あぁ」 3位の賞品として貰ったのは、映画のペアチケット そしていつか遊びに行く約束をする二人 「…」 「…」 二人の間に流れる無言の時 演奏終了後から、二人の会話、言葉数が減っていた それはまるで、何かを言うタイミングを窺っているかのように見える しばらくたって…その時は、来る… 「「あ、あのっ!」」 「あっ!…ゆ、唯…何だ?…」 「そういう澪ちゃんこそ…何?」 言いだしたタイミングがかぶり照れる二人 「あ…えーっと…唯から先に言ってくれないか?」 「うーん…澪ちゃん、先に言って?」 「い、いや!唯が先に言ってくれ!」 「ううん!澪ちゃんから先に言って!」 どちらが先に言うかで譲り合う二人 そんなやりとりが続いて… 「うぅ…分かった…私が先に言うよ…」 「うん!」 根負けして澪が先に言うことになった 「じゃ、じゃあ…言うぞ」 「う、うん…」 ベンチのとなり通し、澪は自分の真正面を見ながら言葉を放ち 唯は自分の足元を見ながら、澪の言葉を待つ 「私は…唯と一緒に練習できたこの1週間…すっごく楽しかった」 「…えっ」 澪の言葉に驚き、顔を上げる唯 「なんか2年になってから、唯と一緒にいることが減って…だからこの1週間は、1年の頃みたいで… すごく楽しかったんんだ。あぁ、前はこんなだったなって…」 「…」 澪の言葉を、しっかりと聞く唯 「唯といることの楽しさ以外にも…気付いたことがあるんだ…でもそれは、今となっては遅いことかもしれないけど」 ついに澪が決心する 「先週の合宿の夜、唯好きな人いるか聞いたろ」 「う、うん…」 「あのときさ、私はいないって言った後…唯はいるって言ったろ」 「うん…」 「それ聞いた時、すっごく胸が痛んだんだ…その痛みがどこからくるのか…その理由が、分かったんだ」 「…」 澪の言葉に集中し、返事ができない唯 そして澪は深く息を吸い… 「私は、唯が好きだということに…唯、好きだ。友だちとしてではなく、一人の女性として…愛している」 澪が唯に告白する。澪は唯の手を握り、視線を唯にまっすぐに向ける 「っ……」 澪の告白を受け、言葉を失う唯 「ただ、私の気持ちを…聞いてほしかった…迷惑かもしれないけど、もう抑えられなかったんだ」 澪はずっと視線を唯から外さない しかし唯は、上げていた顔を再び下げる 「…ひっ…ふぇっ…うっ…うえぇぇーん」 「えっ?!ゆ、唯ぃ?!」 突然泣き出した唯に驚く澪 「うえぇぇーん…えぇーん」 「あっ…の…その…迷惑とかだったら…断っても構わなんだ…その…ただ、私の気持ちを…聞いてほしかっただけなんだ」 動揺する澪 「ふぇっ…ぢ、ぢがうのー…ぐすっ…」 「えっ?!違うって何が?」 「べづに…ぶぇ、めいわぐなんがじゃ…ないがらぁー」 泣きながら自分の気持ちを伝える唯 「えっ…迷惑じゃないって…」 「ぐすっ…わ、わたしも…澪ちゃんのこと…好きだから、大好きだから…嬉しかったのー!」 泣きやみ、澪の告白に応える唯 「…えっ、今何て?…」 「だからー、私も澪ちゃんと一緒で大好きなの!澪ちゃんのこと愛してるの!」 感極まり大声で再び告白する唯 「…と、いうことは…」 「りょ、両想い…ってこと、だよね」 「「や、やったー!!」」 お互いの思いを確認し合い喜ぶ二人 「えっと…唯は、いつからその…私のこと、好きなんだ?…」 「うーんっとね…1年の頃は、綺麗でかわいいなぁーって思ってるだけだったんだけ…」 「う、うん…」 「ちゃんと澪ちゃんのこと好きだって思ったのは…2年になってからかな」 「えぇっ?!そんな前から?」 結構前から唯が自分のことを好きだったことに驚く澪 「うん…澪ちゃんのこと好きだって気付いたら…澪ちゃんとお話したり、練習するの…恥ずかしくなって…」 「…で、律や梓とコミュニケーションとるようになったのか?」 「あずにゃんは可愛いし、りっちゃんといると楽しいから…全部ってわけじゃないけど…少しは、あるかな」 「はぁーっ…そうだったのか」 唯とのコミュニケーションが減った理由を知り、安心したようなそうでないような気持ちの澪 「でもよかったよぉー、澪ちゃんから先に好きだって言ってもらえて」 「んっ…だったら、さっき唯も告白しようと思ってたのか?」 「えへへーそうだよ!」 笑顔でVサインをする唯 「そうだったのか…なら私のこの1週間は、取り越し苦労だったのか…」 「そんなことないよ!私は1年以上悩んだんだから!」 「あぁそうだった…ごめんな唯、待たせて」 「うぅん、いいんだよ!両想いになれたんだし!」 「そうだな」 お互い笑顔で向き合う 「えへへ…これからよろしくね、澪ちゃん!」 「あぁ…こちらこそ、唯!」 二人を夏の真っ赤な夕日が照らし出す まっすぐに延びた二人の影が、これから続く二人の関係が長く続いていくのを示しているかのように見えた 以上です なかなか続きを投下できず、お待たせしたことをお詫びいたします 約1年ぶりとなる長編の続きものだったのですが、終わらせることができました これもスレの皆様のおかげです、ありがとうございました これでゆいみお!は一旦終了します でも、この後の二人について色々と妄想済みですのでまたssが出来次第ひっそりとあげていきたいと思います 最後にこのssを読んでいただいた全ての唯澪ファンの皆様、ありがとうございました 初出:1- 621 The sequel:唯澪!! INDEX:ゆいみお! BACK:ゆいみお!第五話 戻る(SS) TOP