約 106,067 件
https://w.atwiki.jp/streetpoint/pages/674.html
敗北 シンはセイラを取り戻す事が出来なかった。 男達は、シンの目の前で乗って来たであろう宇宙船に乗り込み、まるであざ笑うかの様に遥か上空へと飛び立ってしまった。 悔やんでいても仕方ない。 目の前で仲間が死ぬのなど、嫌というほど見てきたシンにとって、今一番やるべきことを瞬時に判断するのは雑作もない事だった。 ただ、感情を押し込めているだけであって悔しい、歯がゆい事に変わりはない。 近くの木を蹴り倒し、くるりと元来た方へと体を反転させた。 すぐにシンはカッツの元へ戻り、素早く止血をしてキャンプへとおぶって運んだ。 その途中、祈るような思いでルーズへ連絡を入れる。 ルーズはすぐに反応をした。 『今、地球から出て来る航行ルートにズレが生じたのを確認したわ。何かあったの?』 どうやら政府管轄のルートを細やかにチェックしていたらしい。 恐らくルーズが見つけたのは、先ほどシンが逃がした連中の宇宙船だろう。 重たいカッツの体を半ば引きずるようにジャングルを進みながら、シンはつい今しがた起きたばかりの出来事を事細かに説明した。 『セイラは捕まったのね? 殺されなかったって事は、利用価値があるからよ。きっと生きているわ。取りあえず昨日政府に話しを付けて、私も地球へ向かっているの。もうじき到着するから、通信を切らずに待ってて。医療道具も今回は揃えてきてるから』 「そうか……分かった」 そこでルーズとの通信を切ると、シンは大きく息を吐いた。 一体何故こんな事になってしまったのだろう。 地球に来て敵との戦いに巻き込まれ、セイラは拉致されカッツは瀕死の重傷を負ってしまった。 一体plainは何を企んでいる? 地球に危険をおかしてまで来て、こんなジャングルで何を探しているというのだ? そこでシンは一度カッツを担ぎ直すと、一瞬頭に浮かんだ何かをもう一度探った。 探している? そうだ、政府の調査団は地球の調査に来ている。だが、組織の連中は調査が目的などではないはずだ。 地球の状況を知りたいなら、調査を終えて戻ってきた政府のコンピューターをハッキングすれば簡単だ。 だとするなら、必ず目的の物がここブラジルにあるという事。 それが何か分かれば、もしかしたら組織に大ダメージを与える事が出来るかもしれない。 「う、う……」 微かに呻くカッツに我に返り、シンはビルへと急いだ。 ルーズがやってきたのは、シンが基地に戻ってきて1時間もしないうちだった。 「カッツ……」 虫の息のカッツの姿に、さすがのルーズも動揺を隠せない。 直ぐさまルーズが乗ってきた宇宙船にカッツを乗せ、緊急手術が行なわれた。 ルーズは医者ではなかったが猛勉強をしたためある程度の医療知識を持っている。 そして医者がいない場所で緊急の場合に限り、ネットを繋いだ状態で医師と連携を取りながら一般人でも怪我人や病人の手当が出来るようになっていた。有事の際の緊急処置だ。 もっと設備が整った宇宙船なら、医師が遠隔操作をしながら緊急手術を行なうことも出来るのだが、如何せんこの宇宙船はそこまで最新ではない。 大きな画面に映し出される医師とカッツの映像を見ながら、ルーズとシンは必死で出される指示通りにカッツの体から弾を摘出し縫合するという作業を繰り返した。 何時間経過したのか、ふと集中が切れ掛かった時、やっと処置が終わった。 「ーーー終わった……」 ドサリと近くの椅子に座り込み、シンは大きく息を吐いた。 「取りあえず出血が多いからしばらくは増血剤を点滴して様子を見ましょう」 「ああ……なあ、ルーズ。カッツは死なないよな?」 ベッドの上で眠るカッツの様子をチラリと伺い、シンが尋ねる。 ルーズは微笑んで頷いた。 「この男が簡単に死ぬ訳ないでしょ?」 その一言に、何故か説得力があってシンも笑う。 「そうだな。とんでもない高さの崖から落ちても死ななかったんだし、銃弾浴びた位じゃ死ぬ訳ないか」 そう言い終わると、シンは疲れからかその場で眠ってしまった。 **** 私の名前はソラ…… 「空」から付けられたんですって。 あなたの瞳の色は、とても不思議ね。 私の名前と同じ、空の色ーーー ふわふわと心地よい温もりを感じ、カッツは意識を取り戻した。 驚くほど周囲がまぶしくて、顔をしかめてゆっくりと目を開いて行く。 懐かしい記憶はひどく甘い味がして、ぞくりと心の奥底を揺らした。 無機質な天井がはっきりと見えるようになってくると、カッツは首を横に動かす。 「……うっ!」 体中に痺れるような痛みが走り、思わず声を漏らす。 と、 「やっとお目覚めか?」 聞き慣れた野郎の声が近くで聞こえ、その声はすぐ側までやってくると美味しそうにお菓子を食べながらカッツを見下ろした。 「ここ、は……?」 「ルーズが乗ってきた宇宙船だ。本当にお前は悪運だけはピカイチだな。こんなに早く意識を取り戻すとは、恐れ入る……何か飲むか?」 「セイ、ラは?」 その名を聞くと、シンの顔色が変わる。 「……連れ去られた。すまない」 シンの答えに目をつぶり、カッツは悔しさに歯ぎしりをする。 それでも力が入らないため、思うように噛めていない。 「迷惑、かけたな」 悔しそうな表情のシンは、ふと表情を変えると、今度は悲しそうにくるりとカッツに背を向けた。 「オレは何もしていない。礼ならルーズに言えばいい……あいつはこの4日間、ずっと寝ずにお前の看病をしていたんだからな」 4日間ーーー そんなに眠っていたのかと、カッツは記憶をなくすまでの出来事を思い出す。 セイラは連れ去られた。そして自分も重傷を負った。 一体なにをしているのだろう。 セイラは無事なのだろうか? 泣いていないだろうか? 「カッツ、起きたの?」 部屋に入ってきたルーズが、二人の様子に眉を上げる。 「ルーズ、お前さっき休むって出て行ったばかりだろ?」 「何だか気になって眠れないから、戻ってきたのよ」 そう言いながらカッツの隣りに座って脈を取る。 「……落ち着いているみたいね」 「すまないーー」 「ミイラみたいな姿で言われてもねえ」 そう言って笑ったルーズに、カッツも気持ち微笑む。 「セイラさんを連れ去った連中の宇宙船の行き先を突き止めたわ」 「本当か?」 先に口を開いたのはシン。 頷いてルーズはテーブルに置いてあった端末を使い、エンドの地図を画面に表示した。 それを見る為に体を起こそうとするカッツを押さえつけ、叱る。 「ちょっと、怪我人は動かないで頂戴。傷が開いたらエンドに戻るのがまた遅くなるんだから」 大怪我をしたカッツを乗せたまま大気圏を抜けるのは危険な為、ルーズ達は未だ地球から出ていなかったのだ。 どうせまともに動けないし力も入らないので、カッツは諦めてシンが口に押し込んだストローから栄養ドリンクらしいジュースをチュウと飲んだ。 「ここよ」 ルーズが示したのはドルクバだった。 「トレインの所か……」 「宇宙船を降りたのは別の国だったけど、空港や道路のカメラ画像を入手出来るだけ入手して探したの。それでやっと突き止める事が出来たのよ」 カッツの看病をする傍ら、休む事無くそんな作業を続けていたらしい。 シンはルーズの根気に脱帽した。 「それで、セイラは無事そうだったのか?」 「ええ、怪我なんかはなさそうだった。顔は頭からショールを被せられてたからはっきりとは分からなかったけど、男達に両脇を挟まれて自分で歩いていたから大丈夫だと思う。そのうちトレインから連絡が入ると思うわ」 そう言い終わると同時に、まさにルーズとシンが見ている端末に連絡が入った。 二人は顔を見合わせ、呼び出しに応える。 画面にトレインの顔が映し出された。 『よう、カッツの野郎の様子はどうだ?』 開口一番トレインが尋ねると、ルーズは体をずらして後ろでジュースを不味そうに飲むカッツの姿を見せる。 「ご覧の通り、しぶとく生きてるわ」 『はははっ! 意識が戻ったんだな。そらあ良かった。おい、カッツ! てめえ怪我が治ったらルーズに特別ボーナス払っとけよ!』 「うるせえ」 先ほどよりも喉が潤った分、カッツの声から掠れが取れた。力はないが滑らかにそう言うと、プイと画面と反対側へ顔を向けて目をつぶる。 『まあ、お前は殺しても死なねーからな。っと、忘れる所だった。頼まれてたセイラ=バーミリアンの行方だが、ついさっきドルクバの外れにある汚水処理センターの近くの倉庫で保護されたらしい』 「保護された? 一人?」 『ああ。連れ回してた連中はルーズが送ってくれた画像を使って緊急手配してるが、今の所確保したという連絡は入ってない』 取りあえずシンとカッツはほっと胸を撫で下ろした。 無事に警察に保護されたというのならひとまず安心だ。 「トレイン、plainの連中地球で何やらこそこそやっているみたいなんだ。セイラの事もふまえて、エンド政府に掛け合えないか?」 シンが真面目な顔で言うと、トレインはあごに手をやり、うーんと唸る。 『セイラ=バーミリアンはエンド政府に在籍しているから、もちろんお前達からもらった情報と一緒にこれから報告はするつもりだ。だが、すぐに動くかどうかは難しい所だと思うぞ』 「それは分かってるが、地球探索チームが数名殺されているんだぞ? おまけにカッツまで大怪我だ。これで組織とは付かず離れずですからって言われたら、こっちは大損だ」 シンはセイラを助けられなかった事に責任を感じている。 さらに元々短気な性格なおかげで、組織が何を企んでいるのか本気で探る腹のようだ。 『そう言われてもなあ。俺らみたいなただの刑事に、そんな権限はねえし……お前達が独自に動くってんなら、情報があればすぐリークしてやるぞ』 「ちっ、それでも公務員か……ところでルーズ、ベニーランドにはいつ帰れる?」 トレイン達だけでなく、エンド政府としても恐らくplainの動きをしっかりと把握しておきたいというのが本音だろう。 しかし、一介の刑事や人探し屋がどうこう出来る相手ではない。 警察をけしかける事を諦めたシンが、ルーズとその向こうで不貞腐れるカッツを見て尋ねる。 「そうね……あと10日後って所ね」 怪我をしたのがエンドだったなら、もっと設備の整った病院で治療も受けられただろうカッツの容態は、限られた医療道具だけですぐに回復するというのは難しい。 それでもカッツの回復力は常人離れをしているため、全身を銃で穴だらけにされても2週間ほどでかなり回復すると予測が立てられた。 『取りあえず、こっちで出来る限りの事はやって情報も仕入れとく。お前達もそこから出来る事をやってくれ。で、何か分かったら教えてくれ。じゃあな』 ブツリと通信の切れた画面を閉じ、ルーズとシンはどちらからともなくため息を吐いた。 組織がいつ頃存在し始めたのか、正確な事は分からない。 だが、地球から宇宙へと人類が逃げてきた200年前には既に政府の裏側を担う仕事の為に組織されていたようだ。 完全に政府の手を離れてしまったのか、それとも政府との関連が今だ強い為か、組織が関係していると思われる事件は往々にして霧と消える。 調べようにもルーズでも探し当てられないデータがあって、組織に関しては分からない事だらけなのだ。 エンドに戻るまであと10日。 続く… 次へ → 契約 一つ戻る → 初恋 お帰りの際は、窓を閉じてくださいv Minimum Boutトップに戻る
https://w.atwiki.jp/japan_dorama/pages/4421.html
#笑う招き猫 ,#TBS,#火11,#清水富美加,#NETFLIX,#Hulu,#Amazonプライム,#dTV,#視聴率,#無料ドラマ amazonで探す @楽天で #笑う招き猫 を探す! 火23TBS 2017.03.21~2017.05.23 公式HP Hulu NETFLIX dTV PrimeVide U-NEXT TVer Paravi GYAO youtube検索 / Pandora検索 / dailymotion検索 / bilibili検索 1 2017/03/21 2 2017/03/28 3 2017/04/04 4 2017/04/11 5 2017/04/18 6 2017/04/25 7 2017/05/02 8 2017/05/09 9 2017/05/16 10 2017/05/23
https://w.atwiki.jp/fate_overheaven/pages/55.html
. 少女は普通に過ごしていた。 近代都市として名高い見滝原に住んでいる、どこにでもいる平凡な女子高校生。 繁華街にある実家の花屋から見滝原高校までバスと徒歩で通学する。 自分と同じように、授業を受ける生徒たちは性別や外見、産まれと育ちを除けばどれも『同じ』に見えた。 人間が人間なのは当然なのだから。生物学上、どれも一緒で完結する話で終わるのだろう。 学校内の日常も至って普通だった。 先生の授業も、体育の身体テストも、まあ高校生だったら……な内容ばかり。 一応、少女が僅かに意識している点が一つ。 いきなり、突然なのだが、少女のクラスにいた少年――名前は『アイル』と呼ばれる彼が不登校になっている事。 別に少女と交流があった訳でもない。 むしろ、授業中は寝てばっかり。雰囲気も明るいものじゃない。正直のところ不良……なのかも。 実際の真相は不明だ。 全ては少女の憶測………クラスでの『ウワサ』だった。 先生もアイルが不登校でいる点を格別、気にしている節もなく。 「本日もアイル君は欠席のようですね」と適当に受け流して、次の話題へと展開し、ホームルームが終わる。 だから――嗚呼、別に大した問題はないんだろうな。 そう、思っていた。 第一、学校内の不穏な問題など些細な事件でしかなかった。この見滝原では恐ろしい邪悪が潜んでいる。 アラもう聞いた? 誰から聞いた? 赤い箱のそのウワサ 人のいる場所にいつの間にか置かれている真っ赤な箱。 中には【人間一人分】その全てが敷き詰め入っている。 学校に置かれていたら、生徒か先生か誰かヒトリいなくなっている。 病院に置かれていたら、患者か医者か誰かヒトリいなくなっている。 ヒトリで居たら、恐ろしい怪物がその人間を箱に詰め込んで鑑賞するって 見滝原の住人の間ではもっぱらのウワサ!! チョーサイコ! ………事件は無差別だ。 『箱』にされている人間に共通項はなく、警察の捜査も難航を極めている状況だとか。 これも最近の話。まだ一週間経過していない。 少女はフト思うのだ。確か……アイルが不登校になった時期も同じ位だな、と。 だが、彼がサイコ染みた猟奇殺人犯には到底思えない。隣人を疑う抵抗とは違う。 明らかにそうじゃないだろう。第六感に従った確信めいたものである。 けど――分かっている。 少女は頭の中で決定的な『ナニカ』が引っ掛かっていたのだ。もしかして、アイルは知っているのかもしれない。 ……自分が、探偵か警察気取りで追及したところで、無意味だけど。 少女は、授業を聞き流しながら、教室の窓より見滝原の都心を眺めていた。 私が居た町って、こんなのだっけ……… ■ ■ ■ 見滝原にある都市開発途中の地域。その廃墟にて 「あーあ、やっぱりか」 血まみれの少年、のようなナニカが心底残念そうにぼやいた。 そこには完成された『赤い箱』があり、怪物は退屈そうにそれを観察し終えている。 これで一体何人目だったろうか。数に関してあまり興味も無い。彼にとって重要なのは『中身』なのだから。 少年は『怪盗』だった。 最も世間体で知られている定義に当てはまる怪盗ではない。略称なのだ。 『怪』物強『盗』。 未知を示す『X』と不可視――『I』nvisibleから準えてメディアからは『怪盗X』と名付けられた。 無論。少年にとって本名ではないのだが、本人も本当の自分を分かっていない。 分かっていないからこそ、こうして『箱』に人間の全てを敷き詰め、自分を探す手掛かりを得ようと奔走している。 「馬鹿げた儀式は終わったか」 グロデスクで異色な光景に顔色一つ変えず、長髪の大男が恐れる様子なくXに対し告げた。 一応ヒトらしい姿をしているが、X同様全く人間とは異なる能力を備えた存在・サーヴァント。 マスター側のXですら脅威的な身体能力と再生能力、様々に姿を変化させる細胞を使った『変装』。 にも関わらず。 Xが召喚したサーヴァントは顔色一つ微動だにしないのは、彼こそX以上の怪物である他ないからだ。 『バーサーカー』のクラスで召喚された怪物の言葉に、どこか捻くれた様子でXは答える。 「一応『怪盗』をやってるんだよ、これでも」 「フン……」 怪盗、か。理解できん。 バーサーカーは一つだけ決定的な事実だけを得ていた。紛れも無くXは人間であるということ。 柵(しがらみ)を求めて、自身の存在理由に価値を見出そうと、どうにかして世に自らの痕跡を刻まんとする意志。 人間のソレでなくて、何だと云う? 真理に近いバーサーカーの思考だが、当然打ち明ける必要もない。 バーサーカーが思うに、言葉だけでXのような輩が納得をする訳がないし。したらしたで聖杯獲得から路線が外れる。 聖杯を得るにも、余計な手を加える必要は無い。 「ここに集められている奴らは皆『同じ』に加工されている。それが分かったかな」 記憶の封印。 Xもそうだが自身の能力どころか記憶が封印され、マスターとして覚醒するまでは怪盗とは無縁であった。 否。細胞が常に変異し続け、自分が自分でなくなってしまう恐れもあったのに。 逆に、正常な状態で『怪盗X』を取り戻せたのが奇跡である。 無論。全員が全員、記憶が封印されたマスター候補でもないらしく、人間っぽく加工された類をXの観察眼で見通せた。 魔術の類はまるで知識にないが、これほどのものかとXは関心を抱いていた。 そうそう、と物のついでのようにXが言う。 「最近『ウワサ』を聞いたんだよね。―――悪の救世主って奴」 漸くXがバーサーカーの方を振り向いた時。 箱にされた人間が所持していた板状の機械――スマートフォンを、パズルのように分解し、弄んでいるバーサーカーがいる。 バーサーカーは嗚呼と呟く。 「サーヴァントであろうな。それも……人間の意識を操作する類のスキルを持った」 「なーんだ。知ってたんだ」 Xは心底つまらなそうな態度で背伸びをした。 アラもう聞いた? 誰から聞いた? 悪の救世主のそのウワサ 悪人の前だけに現れてくれる素敵な救世主 どんな外道でも彼の前では逆らえない! でもでも気をつけて? 救われた悪人は彼から逃れられる事は出来ない! 救われる前よりも酷い目にあっちゃう。 善人には関係ないから、むしろ悪人退治の救世主って 見滝原の住人の間ではもっぱらのウワサ!! キャーカッコイイ! 「どんな奴でも救ってくれる、って。俺でも救ってくれるか試したいよね」 冗談半分、半ば皮肉混じった態度で怪盗はあざ笑う。 怪物じみて――人間など何十何百殺している怪盗を一体誰が『救ってくれる』のか。 違う。 『誰も救わない』からこそ、なのだ。 同時に『救済』の意味も……バーサーカーはスマートフォンの残骸を塵芥のようにバラバラにまき散らす。 「本気でくだらん『ウワサ』だ。人間の本質そのものではないか」 勝手に持てはやし。勝手に祭り上げる。 元よりサーヴァント………英霊には人々による『過大解釈』で構成された怪物も存在するように。 恐らく、ウワサする人間たちの口ぶりから、罪なき悪意により誕生した『救世主』なのだ。 ――バーサーカーは『違う』。 闇の一族として、地上の人間を蹂躙し、生物として頂点に君臨する『魔王』――カーズに救済など不要だった。 そして、人間によって生み出された怪物とは違う、真の怪物なのだから。 □ □ □ 「はあ………」 少女は、ただの少女でなくなってしまった。 彼女の名前は『渋谷凛』。本来あるべき世界ではアイドルをやっていた女子高校生である。 だからだろう。 別に見滝原の町並に違和感を覚えずとも、アイドルではない自分自身に違和感を覚える日が訪れてたに違いない。 結果は同じ。過程が異なるだけだ。 聖杯戦争と呼ばれるものに巻き込まれたのだが……それもアイドルとは無縁過ぎる。 戦争も魔法もない世界から不思議の国に迷い込んだシンデレラ。 未だに状況はサッパリ。 右も左どころか、上下左右どこも支離滅裂な状態の凛が、溜息ついたのは自らのサーヴァントを前にしていたから。 何故なら彼女が召喚したのは――― 「………『怪盗』?」 「ええ。私の名は怪盗シャノワール、以後お見知りおきを」 ほくそ笑みを浮かべる、黒のシルクハットと艶やかなマントを翻す、煌びやかな容姿の青年。 凛が召喚した英霊は―――そう『怪盗』だった。 凶悪犯罪者……見滝原を恐怖に陥れている猟奇殺人鬼と比べれば、まだマシなのかもしれない。 だけども。 怪盗、とは。怪盗を相方に聖杯戦争を勝ち抜けというのは、些か難しい話ではないか。 最も――凛は、聖杯を求めている訳ではない。この先、元のあるべき『アイドルの世界』に戻れるかが不安に感じているだけ。 加えて、一つ心配事が増えたのが説明するまでもない。 「まさかとは思うけど……何か盗むつもりないよね」 「まさか。召喚された以上は『怪盗』の名に恥じない様、盗み出すとも」 凛の反感を買うのも承知で堂々と宣言する怪盗の態度は、いっそ清々しい自己顕示欲を露わにしていた。 そして、凛もどこか予感していたので、変に驚いた様子もない。 ただ。 怪盗は少々顔を曇らせる。 「しかし……マスターも知っての通り。問題は『何を盗み出すか』の一点に絞られる」 「何を、って」 確かに『聖杯』を盗む。なんて普通のお宝目当ての、それこそ怪盗の定番方針を引っ提げるならまだしも。 聖杯戦争においての『聖杯』は、優勝賞品じゃあない。 自らの手で『聖杯』を作ると言っても過言な表現とも違う。 とにかく、怪盗にとっての『盗む標的』がサッパリ見当たらない状況。 「君の問いにはこう答えよう。『まだ盗む物は決まっていない』」 「できれば何も盗んで欲しくないんだけど」 「ならば、君は手を穢し『聖杯』を欲するのかな?」 「願いなんてないよ」 「それは安心だ。そして君も安心してくれたまえ、マスター。私は怪盗の信条にかけて、決して人を傷つける事はしない」 「―――」 なんだろうか。この説得力は。 不思議にも信頼できるような……だからといって盗みを『良し』とする訳ではないのだが。 戸惑う凛を余所に、世紀の大怪盗は予告するのだった。 「マスター。君は特等席で私の華麗なショーを見物出来る幸運の持ち主だ。必ずや偉大なる宝を君の前で盗み出そう」 時系列順 Next 漆黒の頂きに君臨する王
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/814.html
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『騎馬戦・その2』 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 不意にみさおの周囲の景色が歪む。いや、正確には彼女の見ていた外の世界が。 (あ、あれ?) 彼女には何が起きたのか把握できない。ただ、鍛え抜かれた肉体が非言語レベルでの警告を発していた。ここは危険だ、逃げろ、と。わずかに残された理性が行動を開始しようとする。しかし圧倒的な多幸感の前に、たちまち抵抗も空しく押し潰されてしまう。 (なんか、すっごくいい気持ちだ……) そのまま彼女の意識は闇に呑まれた。 そして。 みさおの顔から表情が消える。眼に獣のごとき紅い光が宿る。筋肉という筋肉にかつてない緊張が走る。身体が三割ほど膨れ上がる。 「……Va……」 そこに存在しているのは、かつて日下部みさおと呼ばれた何かだった。 ◇ 「ナイスフォロー、さすがみゆき」 間一髪でつかさがみゆきにキャッチされるのを見届けたかがみは、改めてみさおを睨みつける。 「今度はこっちの番よ。日下部、覚悟はできてるんでしょうね」 「Va?」 もしかがみが怒りに我を忘れていなければ、みさおの異変にいち早く気づくことができたかも知れない。こう見えても中学以来、五年近くの付き合いである。彼女がやっていいことと悪いことの区別がつく人間だ、というくらいは理解していたはずなのに。全てが終わってからしばらくして、かがみはそのことに思い至ることになるが、それはまた別の話である。 首から上は激情に支配されていたかがみだが、肩から先は極めて冷静だった。慣れ親しんだドグファイト・スイッチを指だけでオン。HUD(ヘッドアップディスプレイ)の表示はガン・モードに替わる。自動的にロックオン。だが最適射撃体勢をとる前にみさおが動く。かがみはただちに戦闘機動を開始。大推力にものをいわせて急旋回。逃げるみさおを追撃する。照準環に入る。射程内。トリガーを引く。みさお、右にブレイク。HUDの残弾表示の数字があっという間に減る。命中しない。 「くっ」 思わずかがみは奥歯をかみ締める。やはり高機動能力では向こうが一枚上か。 後下方に敵騎、の警報音。反射的にブレイク。大G加速。あざ笑うようにみさおが下方を高速ですり抜けていく。照準する余裕もない。急ロール。距離を取って体勢を立て直す。 かがみはストア・コントロール・パネルをちらりと見る。RDY GUN、RDY AAMⅢ-4、RDY AAMⅤ-4、RDY AAMⅦ-6──対空兵装は完全武装。ミサイル発射レリーズに指をかける。心に迷いが生じる。これを押したらもう引き返せない。 不意にインカムの呼び出し音が鳴り響く。 「はい、こちら柊」 『桜庭だ。お楽しみのところ悪いが、少し話がしたい。すまんが運営席まで戻ってくれ』 「でも……」 『日下部の相手なら、あとでいくらでもさせてやる』 「話というのは」 『なに、ちょっとしたことさ』 まるで世間話でも始めようといわんばかり。だが、かがみは、この桜庭ひかるという教師がある種の韜晦癖の持ち主であることを知っている。 (暗号化通信でも話せないヤバイ内容ってことか) FC(射撃管制)レーダーがみさおを捉えている。HUDにキュー。ブリップの脇にHシンボル。高速接近中の表示。 (つかさの容態も気になるし。しかたない、一度戻るか) 「了解。戻ります」 かがみ騎、MAXアフターバーナー。戦場から離脱する。最高速度で劣るみさお騎は追いつけない。 ◇ 一方、一対四で防戦中だったこなたにも異変が起きていた。 「つかさ、つかさ、つかさ、つかさ……」 何も見えない。 何も聞こえない。 何も感じられない。 こなたの脳内でリフレインされる、つかさが吹き飛ばされる瞬間の映像。 「つかさを、返せーーーーーっ!」 種が、割れる。 「な、なんだ。急に動きが──」 圧倒的優位に立っていたはずの四騎は、突然のこなたの反撃に対応し切れない。 「ハルカ、右にブレイクッ!」 「へっ?」 坂本美緒の警告と迫水ハルカのハチマキが奪われたのは、ほぼ同時だった。 (なんだあいつ、反応速度が今までとは桁違いだ) 危険を感じた美緒は列騎に指示を飛ばす。 「智子、宮藤、一旦引いて距離を取れ。体勢を立て直して、ジェットストリームアタックをかける」 「了解っ!」 生き残った三騎は思い思いの方向に離脱する。 「お願いします、仇を取ってくださいよ~」 ハチマキを奪われリタイアしたハルカが、瓶底眼鏡をずり上げながら情けない声で叫んでいた。 スーパーフェニックスが吼える。こなたは姿勢を変化させずに美緒騎の後を追い上昇する──騎首をもたげることなく、対地水平姿勢のまま上昇増速。 「狙いはあたしか。ずいぶんと舐めてくれる」 こなたは六発の中距離仮想高速ミサイルを発射。美緒騎のMTI(移動目標インジケータ)上に仮想ミサイルの航跡が合成シミュレートされて表示される。 来るぞ。美緒はMTIからHUDに目をうつす。最初の五騎はこれで一方的に潰滅したのだ。 美緒騎、C組の新型高速ミサイルを発射。四発。これもシミュレート。ミサイル迎撃成功。その前に美緒騎は魔法障壁を展開しながら高機動回避に入っている。残りの二発の敵ミサイルはなおも接近、十秒で美緒騎に達する。美緒騎は騎首を敵ミサイルに向けたまま螺旋を描き、第一弾を回避。二発目を高速射撃で撃墜、瞬時に騎体を右にスライド、三発目にそなえて騎体をバンクさせずにジグザグ機動、こなたに接近する。こなたは逃げずに突っ込んでくる。真正面から。 突然、こなたはエアブレーキを開いて急減速した。速度を殺す。ダイブ。急降下。 美緒は目を見開く。こなたのふるまいは騎馬戦のセオリーからはずれている。 美緒騎、こなた上空を亜音速で通過。 一瞬、美緒はこなたを見失う。とっさに騎首を下げ、そのままロールせず順面のまま逆宙返り。美緒の頭に血がのぼり、視界が真っ赤になる。レッドアウト。思わずループ径をゆるめ、こなたを捜す。上後方に敵騎、の警告音。急反転上昇旋回。こなた、最大AOA、ガンサイト=オープン。上昇に移る直前の美緒騎をロックオン。もちろん実弾射撃はしない。ファイア。射程ぎりぎりでのこの攻撃は運営席の戦術シミュレータにより失敗と判定される。美緒騎、ただちに反撃。 急旋回した美緒騎はこなたの左後方に占位。こなた、アフターバーナー点火。亜音速から大G加速。すかさず美緒騎は騎首をこなたに向けて、振る。騎体がぐいと回転。ロックオン。自動射撃。射程外。短距離高速ミサイル発射。四発。こなた、突発的に一六Gをかけて仮想ミサイル群を回避。 「なんてやつだ──あいつは……泉こなたは化け物だ」 (作者:もう少し続けてもいいですか?) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『騎馬戦・いんたーみっしょん』 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― こなた:……なんか、妙なところで引きになってますネ。 かがみ:話によると、作者の中の人があそこまで書いたら朝になってた、ってことらしいわよ。 こなた:あー、なんかわかるなぁ。深夜のテンションって、ときとして異常なものがあるけど、いざ朝になって見直してみたら『なんて恥ずかしいことしてんだ、私は』みたいな? かがみ:まあ、わからないでもないかな。でもそう言うからには、あんたもそういう経験とかあるの? こなた:そりゃぁ……(何故か頬を朱に染める)。ほら、昨日だって一晩中あんなことやこんな──。 かがみ:はいストーップ! アブない発言禁止ーっ! こなた:……むぅ、読者の人はむしろそっちの方を期待してんじゃん(ブツブツ)……。 かがみ:何か言ったか。 なんなら一度、拳で教育が必要か? こなた:えー、気を取り直しまして。なんかみさきちがヤバイ雰囲気ですよ。暴走? かがみ:こなたも種割れしてたしね(笑)。あ、それと桜庭先生が私のことを呼び戻したりしたのも、気になるといえば気になるわね。 こなた:なるほど、未回収の伏線がいろいろあるわけだね。これはやっぱり続編に期待でしょうか、解説者のかがみさん。 かがみ:誰が解説者だよっ。まあでも、確かにあのまま終わらされちゃ、演じてるこっちとしても後味悪いもんね。 こなた:ではそのあたりの期待感なども盛り込みつつ、上手にまとめていただけますかね。 かがみ:そこで私にふるのかよ。たまには自分でやったらどうなんだ? かがみ:いやまあ、そこはそれですよ、お代官様。あとでタンマリと山吹色のカスティラが……。 かがみ:いらねーよ。 こなた:じゃあ、こういうのは? (こなたがかがみの席に回りこみ、耳元で何ごとか囁く) かがみ:(耳まで朱に染めて)……ホ、ホントに? こなた:万事このお姉さんに、泥舟に乗ったつもりで任せなさいっ! かがみ:し、しかたないわね。今日のところはだまされてあげるわ。 こなた:一見不満そうに見えてそれでもきちんと役割はたしてくれるかがみ萌え。 かがみ:萌えって言うなっ! (コホン)では、今後を楽しみにしつつ応援していただければ、またなにか新しい展開があるかもしれないので、引き続き応援をよろしくお願いします。 こなた:では最後に、恒例のお約束のあれを。 かがみ:はいはい。では、せーのっ! ふたり:バイニー! (2008.10.16 都内某スタジオで収録) 坂本:うーむ、はたしてあたし達は次回も出番あるのだろうか。 宮藤:はいはいはーい。あたし実は、高良さんの胸にすっごい興味があるんです。 坂本:……宮藤、お前だけは出なくていいから。 宮藤:えーっ、なんでですかー? 坂本さん酷いですよ~! P:OH! ユ○カは、コナタのことが心配じゃないですか? Y:そ、そんなことないけど。でもあの、本当に大丈夫なのかな、これ? H:いや、だからさパ○ィ。あの戦闘に介入するなんて、無茶を通り越して無謀という気がするんだけど。 P:問題ありませーん。我らソレス○ルビーイングのガン○ムマイスターには、この地球上の争いゴトを根絶する、という大儀があるのデ~ス! M:……いつに間に、そんなことに……。 (Fin) コメントフォーム 名前 コメント まてwwこれはなんなんだwww もはやらき☆すたじゃねぇww -- 名無しさん (2008-10-25 13 46 16) カオスだがやっぱり面白いw これからも枕元で毎晩囁いてみますので、これからも楽しい作品お願いします。 GJ!! -- にゃあ (2008-10-23 04 41 48) いろんな意味でカオスだ… -- 名無しさん (2008-10-19 02 13 36)
https://w.atwiki.jp/monaring/pages/3295.html
嘲笑う月 4黒 エンチャント 黒でないクリーチャーは-1/-1の修整を受ける。 もし真実と空想が入り混じっていたら、真実が何かなんて誰にも分からない。 37版209 [部分編集] 辛いことを思うモララーや《魂の裏切りの夜》の亜種。 黒クリーチャーは弱体化しないため、自軍を黒で統一しておけばデメリットは無いも同然。多少重いが、ウィニーデッキによく効く。相手も黒かった場合はサイドに下げるほかないだろうが。 ララモの工作員も機能的に近い。入れ替え候補としてサイドに忍ばせておいてもよいだろう。 イラスト .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. . ,.-─- 、 .. .. .. .. .. .. .. . .... .. .. .. .. . / \ .. .. .. .. .. .. .. . . .. .. .. .. / o ./ ̄ ヽ .. .. .. .. .. .. .. . ...... | 、_i .. .. .. .. ........ . ', 丶_,ゝ._ ノ ........ ......... \ / ........ ...... .. .. . . .. ` - ´ .. .. .. . . .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. . ... .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. ... ... .. .. .. .. .. .. .. .. .. /| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|ヽ / | | ヽ / | ∧. ∧ . ..| ヽ | ∩ ゙| .__j i__j .| | /|´,.|fi .└' | | |-、 ,《二 i´ ゙| .|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|`i | i`iー、 ,. -t''" ゙| ,. | _i´| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | .| ̄二ニゝ | i.ニ` i i ´| .| |.{} |j .| ゙| .| 、______,.
https://w.atwiki.jp/utauuuta/pages/1897.html
きみはわらう【登録タグ き 抹和 曲 枡久とうか 神々廻海瑠 鼎唄シノ】 作詞:抹和 作曲:神々廻海瑠 編曲:神々廻海瑠 唄:鼎唄シノ・枡久とうか 曲紹介 しっとりとしたピアノに乗せて掛け合いを 歌詞 (動画歌詞より転載) 君は笑う。 誰のために? 自分のために。 どうして? 生きるために。 笑わなきゃ死ぬの? そうゆうわけじゃない。 生きてるの? 死んでいる。 どうゆうこと? 存在は生きる。 自分は死んだ? そうゆうこと。 君って誰? これを見た人。 もう1人いるね? そうだね。 誰? わかるでしょ。 そうゆうことね? 君は笑う。 コメント わぁぁぁぁ!まさか登録されていたとは!!ありがとうございます! -- 神々廻海瑠 (2013-02-27 17 09 33) 素敵な歌、ありがとうございます。勝手ながら登録させていただきました。 -- 名無しさん (2013-02-27 20 59 20) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/atiga-9nen/pages/66.html
【中学一年 ―― 8月第二週】 京太郎「(さて…昨日からインターミドルの開幕だけど…)」 京太郎「(俺達の初試合は特に描写する事もないレベルで無難に終わった)」 京太郎「(強いて言うなら県大会決勝戦の再来というかなんというか…)」 京太郎「(終わった後に対戦相手がゲッソリしてたのが少しだけ申し訳なかったけど…)」 京太郎「(まぁ…小鍛治プロみたく麻雀が嫌になるレベルじゃないから…まだマシだよな?)」 京太郎「(いや…比較対象がおかしいかもしれないけどさ)」 京太郎「(ま…何はともあれ…【後三回勝てば団体戦優勝だ】 )」 京太郎「(まずはそれを目指して頑張ってみるか)」 京太郎「(その為にも…今のうちに自分の牌譜の見直しでもやっておこう)」 京太郎「(次の俺達の試合は二日後だけど…それまでの間に出来るかぎりの事はやっておきたいしな)」 +2 00~50 失敗 51~99 成功 ※雀力により+3されます 失敗 京太郎「(まぁ…ほぼ一日でどうにか出来るほど甘い話じゃないって事だな…)」 京太郎「(多少はマシになった感じはするけど…あくまでそれだけだ)」 京太郎「(仕方ない。そもそもダメで元々だったし…)」 京太郎「(気持ちを切り替えて…今は…)」 太平山「…よろしく」 A「よろしくおねがいします」 B「よろしくおなしゃす」 京太郎「(…この中で一位を取る事を考えないとな)」 +2 京太郎(雀力3+能力補正7+土壇場補正5)15 +3 御広谷(雀力6-能力補正(京太郎)7)-1 +4 A(雀力5-能力補正(京太郎)7)-2 +5 B(雀力5-能力補正(京太郎)7)-2 京太郎97 御広谷70 A65 B41 京太郎「(この中で要注意なのは勿論、御広谷だ)」 京太郎「(去年もエースを努めた二年がそのまま先鋒をやってる訳だからな…)」 京太郎「(この中で単純な雀力で言えば間違いなく飛び抜けてる)」 京太郎「(去年もインターミドルに出た分、経験も豊富だろうし…油断は出来ない)」 京太郎「(…まぁ、何故か脳裏に太平山って文字が浮かんだけど気のせいだろ)」 京太郎(太平山は御広谷に敗れたからこそ俺達の合宿相手に選ばれた訳だし) B「」トン 京太郎「…それロンだ。6400」 +2 京太郎(雀力3+能力補正7+土壇場補正5)15 +3 御広谷(雀力6-能力補正(京太郎)7)-1 +4 A(雀力5-能力補正(京太郎)7)-2 +5 B(雀力5-能力補正(京太郎)7)-2 京太郎37 御広谷3 A5 B19 ※トップなので運命の二つ名発動せず 京太郎「(よしよし…ちゃんと俺の能力は効いてるみたいだな…)」 京太郎「(俺以外のところは殆ど手が進んでない)」 京太郎「(ま、俺だってそんな高めの手を張ってる訳じゃねぇけどさ)」 京太郎「(でも、この中じゃ…悠々と手作り出来るし・・何より…)」 御広谷「くっ…!勝負だ…!リーチ!!」 京太郎「…悪いな、それだ。ロン、3900」 京太郎「(勝負を焦った御広谷が出してくれたか)」 京太郎「(満貫って手もあるけど…ここで御広谷を落とせたのは大きいな)」 京太郎「(さっきのも合わせて点差も大きく開いたし…)」 京太郎「(…先鋒での勝ち抜けはほぼ決まったかな)」 京太郎「(ま…だからと言って油断はしねぇよ)」 京太郎「(フォア・ザ・チーム…その言葉を俺はまだ体現出来ちゃいないけど)」 京太郎「(だからと言って…手を抜いて先輩たちに迷惑かけるような格好わるいところは見せたくないしな)」 +2 京太郎(雀力3+能力補正7+土壇場補正5)15 +3 御広谷(雀力6-能力補正(京太郎)7)-1 +4 A(雀力5-能力補正(京太郎)7)-2 +5 B(雀力5-能力補正(京太郎)7)-2 京太郎71 御広谷30 A92 B39 A「(これが阿田峯の一年…須賀京太郎か…)」 A「(なるほど…先輩たちが要注意だって言ってた意味が分かる…)」 A「(まだ荒削りだけど…こいつのいる卓は確かに…手が進まねぇ…)」 A「(だけど…それは決して完全って訳じゃねぇみたいだな)」 A「(気の緩みか或いは運が良かったのか…俺には逆転手が入ってる)」 A「(ま…これを須賀の奴に当てるのはきっと無理だろうさ)」 A「(あいつはもう俺が聴牌してる事を読んでる)」 A「(だが…さっきの直撃で須賀の事しか見えてない御広谷なら…」 御広谷「…これだ…!」 A「おっと…そいつを貰うぜ。ロン…ハネマンだ」 御広谷「ぐぅ…!!」 +2 京太郎(雀力3+能力補正7+土壇場補正5)15 +3 御広谷(雀力6-能力補正(京太郎)7)-1 +4 A(雀力5-能力補正(京太郎)7)-2 +5 B(雀力5-能力補正(京太郎)7)-2 御広谷52 A51 B99 ※運命の二つ名発動! B「(…御広谷はもうダメだな)」 B「(打ち筋に覇気がない。完全に萎縮してる)」 B「(ま…当然か。一度も和了れずに跳満直撃)」 B「(エースの自負ってヤツを粉々にするには十分過ぎるくらいだ)」 B「(こいつを狙い打っても良いんだが…だが、もう次の局が目の前だ)」 B「(ここで御広谷をさらに追い詰めるよりは…二位のAから点差を奪っておきたい)」 B「(幸い…俺の手は最低でも跳満だ。後はこれを当ててやれば…俺が二位に…)」 京太郎「…」スッ 京太郎「…おっと、悪いな。ツモだ」 B「えっ」 京太郎「満貫で…2000・4000…これで終わりだな」 モブ1「よ。お疲れ様」 京太郎「うっす…すみません。一回和了らせちゃいました」 モブ1「ばーか。十分だっての」ポン モブ1「ここから詰められるほど俺は弱くねぇよ」 モブ1「ま…流石に残り何万点を飛ばしてやれるほど強いって訳じゃねぇけど」 モブ1「だが…ここまでやってくれたんだ」 モブ1「お前の顔に泥を塗らないような対局をしてくるよ」 京太郎「…はい!お願いします!!」 +2 00~30 だが、御広谷が復活した 31~60 無難に点差を広げて次へと繋いだ 61~99 御広谷を飛ばして次鋒で終了した ※雀力5フォア・ザ・チーム10京太郎の勝ち星10 =+25されます モブ1「(と…後輩に偉ぶって見たものの…だ)」 モブ1「(流石インターミドル…容易くやらせてはくれないな…)」 モブ1「(点差は取れてるし…負けるつもりはないが…)」 モブ1「(これは須賀が稼いでくれた点差が大きい)」 モブ1「(ここまで開くと多かれ少なかれ勝負しないとおいつけないからな…)」 モブ1「(それを狙い打つだけの簡単なお仕事…ってほどじゃねぇけど…)」 モブ1「(だが…ま…)」 モブ1「(…恥ずかしくない戦果にはなったかな)」+20000 +2 00~30 御広谷復活?あぁ、そんなものもありましたっけ 31~60 さらにモブ2先輩が稼いでくれた 61~99 御広谷ハコワレ ※雀力5フォア・ザ・チーム10京太郎の勝ち星10モブ1の勝ち星5 = +30されます モブ2「(はは、御広谷の奴…顔が真っ白になってやがる)」 モブ2「(そりゃそうだな。エースの奴が潰されて…モブ1には狙い打たれて)」 モブ2「(もう小さな風一つ吹いただけでも吹っ飛んでしまいそうな点棒しか持ってねぇんだ)」 モブ2「(まさか強豪校の自分たちがこんなことになるなんて…そんなこと考えてなかったんだろうな)」 モブ2「(勿論、それは慢心じゃない。油断じゃない)」 モブ2「(ただ…あいつらは知らなかっただけなんだ)」 モブ2「(世の中にはそういうものを全部吹っ飛ばすような化物がいることを…さ)」 モブ2「(…もしかしたら…去年、不動峰と当たらなかったら…俺達もああなっていたのかもな)」 モブ2「(だから…少しだけ同情するよ)」 モブ2「(だけど…いや、だからこそ…容赦なんてしない)」 モブ2「(明日は我が身…それを自分の心に刻みつける為にも…)」 モブ2「…ツモ。1600・3200」 モブ2「(…俺はお前を飛ばして…次へ行く)」 「強い!!ほとばしるほど強い!!」 「阿田峯中学…去年はインターハイ一回戦負けでしたが…」 「今年はエースを一年に変えて、圧倒的点差で準決勝進出!!」 「いやぁ…勿論、MVPは須賀選手ですが、後の二人も良いですね」 「点差というリードを護って、最後には優勝候補でもあった御広谷を飛ばしての終了」 「他の二高が一段劣っているという事に目をつむっても飛び抜けていると言っても良いでしょう」 モブ3「…だってよ?」 モブ2「はは…なんかこそばゆいな」 モブ1「ま、褒められるのは悪い気がしない」 部長「そ、そうだね…うん…」 部長「(また出番がなかった…)」 京太郎「お疲れ様っす!ジュース買って来ました!!」 モブ1「おいおい…またそんな事やってたのか?」 モブ2「エースなんだからゆっくりしとけって」 京太郎「いやぁ…先輩たちの対局見てたらなんか居てもたっても居られなくなって…」 モブ3「だからって雑用するのはどうなんだ…まぁ、良いがな」 部長「あ、それより…次の対戦相手は決まった?」 京太郎「…えぇ。次の対戦相手は…」 末尾偶数:…不動峰です 末尾奇数:上原学園です ゾロ目:??? 上原学園です 京太郎「上原学園です」 モブ1「あそこかー…」 モブ2「確か…二年がエースをやっている学校だな」 部長「それだけじゃない。確かそのエースは須賀と同じ特殊な能力持ちだったはずだ」 京太郎「特殊な能力…」 モブ3「…なんだ。怖いのか?」 京太郎「そ、そんな事ないですよ!!」 京太郎「ただ…俺、結局不動峰相手に何も出来なかったですし…」 モブ2「おいおい、まだ引きずってるのか?」 モブ1「不動峰相手に勝てたのはお前のお陰なんだぞ」 モブ3「そうだぞ。須賀はちゃんと自分の役目を果たしたんだ」 モブ1「ま…確かに今までどおりにはいかないだろうけどな」 モブ2「でも、後ろには俺達がいるんだ。少しは信頼しろよ」 モブ3「あぁ。お前が多少、稼げなくても…俺達で何とかしてやる」 部長「それがチームってものだからね」 京太郎「先輩…部長…」 モブ1「ま、辛気臭い話は止めて…今日はとっとと帰ろうぜ」 モブ2「そうだな。上原の牌譜も記憶しないといけないし」 モブ3「データのチェックと対策は任せろ」 京太郎「…はい!お願いします!!」 【System】 須賀京太郎の雀力が3あがりました。 【中学一年 ―― 8月インターハイ準決勝】 京太郎「(…モブ3先輩のお陰で…牌譜は大分頭に入った)」 京太郎「(上原の能力も…大体だけど分かってる)」 京太郎「(…だから…大丈夫だ)」 京太郎「(いつも通りの打ち方さえすれば…きっと勝てる)」 京太郎「(俺と同じオカルト持ちだって…勝てるはずなんだ)」 京太郎「(例え勝てなくても…先輩たちなら何とかしてくれる)」 京太郎「(だから…俺は…)」 +2 京太郎(雀力4+能力補正8+土壇場補正5-能力補正(上原)10)7 +3 上原(雀力5-能力補正(京太郎)8)-3 +4 A(雀力5-能力補正(京太郎)8-能力補正(上原)10)-13 +5 C(雀力5-能力補正(京太郎)8-能力補正(上原)10)-13 京太郎48 上原57 A69 B14 上原「(ひひ…どうやら阿田峯の一年は…俺と同じく他人の手を遅くするタイプらしいな…)」 上原「(お互いに干渉しあって微妙な感じだが…だが、この状態…悪くねぇ)」 上原「(確かに俺の手は遅くなってるが…それでも他の奴よりはマシだ)」 上原「(実質…この卓は俺と須賀って一年の一騎打ち…)」 上原「(だが、経験や雀力という面で有利なのはこの俺だ!)」 上原「(今までみたいに楽勝って訳にはいかねぇだろうが…だが、勝つのは難しく…)」 A「…それロンだ」 上原「えっ」 C「アッハイ」 上原「…え?」 +2 京太郎(雀力4+能力補正8+土壇場補正5-能力補正(上原)10)7 +3 上原(雀力5-能力補正(京太郎)8)-3 +4 A(雀力5-能力補正(京太郎)8-能力補正(上原)10)-13 +5 C(雀力5-能力補正(京太郎)8-能力補正(上原)10)-13 京太郎92 上原89 A41 C31 京太郎「(…悪いな。俺の能力はお前と違ってある程度、範囲を選べるんだよ)」 京太郎「(今のお前は動揺してるだろうな…まさかAが和了るなんて欠片も思っていなかっただろうし)」 京太郎「(お陰で高めの手がブレて…和了りから遠のいてるぜ)」 京太郎「(どうやら…モブ3先輩から教えてもらったファーストアタックは成功みたいだな)」 京太郎「(んで…そのお陰か…俺にはぐんぐん運が向いてきて…)」 京太郎「…ロン。倍満だ」 C「…はい…」 +2 京太郎(雀力4+能力補正8+土壇場補正5-能力補正(上原)10)7 +3 上原(雀力5-能力補正(京太郎)8)-3 +4 A(雀力5-能力補正(京太郎)8-能力補正(上原)10)-13 +5 C(雀力5-能力補正(京太郎)8-能力補正(上原)10)-13 京太郎32 → 加速世界発動 →52 上原78 A35 C69 上原「(くそが…!なめやがって…なめやがって…!!)」 上原「(あの一年…さっきの局わざと能力使ってなかったな…!?)」 上原「(俺を動揺させる為に…あざ笑う為に…!もう許さねぇ…!)」 上原「(俺を馬鹿にした報いだ…!絶対にこの満貫をぶち当ててやる…!)」 京太郎「…ポン!」 上原「なっ…!」 京太郎「ポン!」 京太郎「それチー!!」 上原「(ダメだ…!待ちがどんどん変わって…捉えられない…!!)」 上原「(くそ…!なんだこいつ…!相手の手を遅くする能力だけじゃないのか…!?)」 上原「(こんな…俺の手から逃れるような能力を…くそ…くそおお…!!!)」 A「…」トン 上原「それだぁ!!!8000!!!」 A「あ、あぁ…」ビックウゥ +2 京太郎(雀力4+能力補正8+土壇場補正5-能力補正(上原)10)7 +3 上原(雀力5-能力補正(京太郎)8)-3 +4 A(雀力5-能力補正(京太郎)8-能力補正(上原)10)-13 +5 C(雀力5-能力補正(京太郎)8-能力補正(上原)10)-13 京太郎35 →加速世界発動 →55 上原35 A46 C53 ※トップなので運命の二つ名発動せず 京太郎「(完全に上原の頭に血が登ってるみたいだな…)」 京太郎「(どうやら…モブ3先輩の分析通り、こいつは自分の思い通りにならないとすぐ切れるタイプらしい)」 京太郎「(だったら…もう一つかき回させて貰おうか)」 京太郎「(幸いにして…上原の奴は俺を執拗に狙い撃とうとしてる…)」 京太郎「(…だけど…甘いぜ)」 京太郎「(お前の能力じゃ…俺を捉えきる事は出来ない)」 京太郎「(俺以外の相手なら…話は別だったんだろうが…)」 京太郎「(だけど…俺の速度は…お前じゃ追えない…追わせない!)」 京太郎「ポン!」 京太郎「ポン!」 京太郎「…それポン!!」 上原「ぐ…!!」 京太郎「…ロンだ。6400」 上原「ぐ…も、持っていけ!!」 上原「(まだだ…!まだ終わってねぇ…!)」 上原「(俺は…まだやれる…!やれるんだ…!)」 上原「(次こそ満貫…いや、それ以上のものを当ててやる…!!)」 京太郎「…おい」 上原「なんだ…!?」 京太郎「…もう終わったぞ」 上原「あ゛ぁ!?」 京太郎「…先鋒戦は終わりだ。次鋒戦に席を譲らないと」 上原「…は?」 上原「何を言ってるんだ…?俺がマイナス収支のまま終わる訳ないだろ…?」 上原「次こそお前に満貫…いや、跳満あてておれが逆転するんだ!!」 上原「そうだ…そのはずだ…これは…これは…何かの間違いなんだ…」ブツブツ 京太郎「…付き合ってられないな…」 京太郎「(…上原のエースは強かった)」 京太郎「(だけど…所詮、それだけだった)」 京太郎「(あいつは勝つ事よりも…屈辱を晴らす事を優先した)」 京太郎「(…だから、俺が勝てた。付け入る隙があった)」 京太郎「(…それを…他人事とは…見れないよな…)」 京太郎「(俺だって…一歩間違えればあんな風になっていたかもしれない)」 京太郎「(他の奴見下して…勝てるのが当然って思って…)」 京太郎「(チームに迷惑を掛けたかもしれない)」 モブ1「よ。お疲れさん、凄かったじゃないか」 京太郎「…あ、先輩…」 京太郎「…ありがとうございます」ペコッ モブ1「…ん?どうしたいきなり」 京太郎「いや…俺…先輩たちと会えてよかったです」 モブ1「おいおい、愛の告白か?悪いけど俺にそんな趣味はないぞ。モブ3は別かもしれないが…」 京太郎「ち、違いますよ!!」 京太郎「俺は…ただ…もしかしたら…自分の力に増長して…上原みたいになってたかもしれないから」 京太郎「そうじゃなくいられるのは…多分、尊敬出来る先輩たちのお陰だから…」 京太郎「改めて…今の環境に…感謝したくなって…」 モブ1「…なんだ。そんな事か」 京太郎「そ、そんな事って」 モブ1「気にし過ぎなんだよ、お前は」グシャ 京太郎「わっ!」 モブ1「そんな心配しなくてもお前はあんな風にはならないさ」 モブ1「寧ろ…俺達の方こそお前に礼を言わなきゃいけない」 京太郎「えっ…?」 モブ1「俺たちを…ここまで連れてきてくれてありがとう」 モブ1「俺たちを…尊敬してくれてありがとう」 モブ1「俺たちを慕ってくれて…ありがとう」 モブ1「お前のお陰で…俺たちは今、この大舞台でも胸を張って戦っていられる」 モブ1「…だから、お前もそんな風に落ち込まないで胸を張れ」 モブ1「俺達がお前のいう尊敬する先輩たちでいられるのはほかならぬ…お前のお陰なんだからさ」 京太郎「…はいっ!」 +2 00~30 上原の逆襲 31~60 順当に点差を広げた 61~99 ABを飛ばして決勝進出 ※雀力5フォア・ザ・チーム10京太郎の勝ち星10 = +25 AorBを飛ばして決勝進出 モブ1「(まさかあいつがあんな事考えてるなんてな…)」 モブ1「(力を持ってるなら持ってるなりの後ろ暗さみたいなもんがあいつにもあるのかもしれないな…)」 モブ1「(普段から雑用を率先して引き受けるのも…もしかしたらそういうのが作用してるのかもしれない)」 モブ1「(…ホント、可愛い後輩だよ、お前は)」 モブ1「(俺たちをこんな舞台に連れてきてくれただけじゃなく…)」 モブ1「(その上…驕らずに…俺達の事尊敬してくれて…)」 モブ1「(自分から率先して…色々やってくれるんだからよ)」 モブ1「(お前は自覚してないかもしれないけど…)」 モブ1「(須賀、お前は本当にすげぇ奴なんだぜ)」 モブ1「(後輩としても…人間としても…お前は出来てる奴だ)」 モブ1「(俺は…今こそ思うよ)」 モブ1「(俺の為じゃない、チームの為でもない)」 モブ1「(誰よりも…お前の為に…優勝したい)」 モブ1「(俺たちをここまで連れてきてくれた…お前の為に…勝ちたい)」 モブ1「(だから…こんなところでつまずいてなんて…いられねぇ…)」 モブ1「(あいつを決勝まで連れて行く為にも…一年で…優勝っていう最高の栄誉をくれてやる為にも…)」 モブ1「…ツモ。8000オール…飛びだな」 モブ1「(…ここは俺が…勝ってやるよ)」 「決着!!!阿太峯!!他校を寄せ付けません!!」 「須賀選手が渡したバトンを後続に繋がず、モブ1選手が勝負を決めました!!」 「いやぁ…やはり彼は阿太峯の中でキラリと光るものがありますね」 「須賀選手はまだ荒削りなところがありますが牌を打つセンスは阿田峯でも1でしょう」 部長「…」 モブ1「あ……そ、その…部長?」 部長「な…なんだい?」 モブ2「げ、元気だせよ、ほら…暗い顔してるなんてらしくねぇぜ?」 部長「何を言ってるんだまったく…」 部長「決勝まで来られて暗い顔をしている訳がないだろう…?」フルフル 部長「あぁ、そうだ。僕は嬉しいんだ…例え出番がなくても…フォア・ザ・チームの理念は僕の中にも活きているんだから…」 モブ2「…おい」 モブ1「わ、悪かったって…その…急に跳満が来たからさ…」 京太郎「ただいま戻りましたー」 モブ3「あ、あぁ…須賀。いいところに…」 京太郎「…はい?」 モブ3「次の相手はどうだった?もう決まったんだろう?」 京太郎「あ、はい。次の相手は…」 +2 末尾偶数:不動峰 末尾奇数:??? 不動峰です 京太郎「…不動峰です」 モブ1「ま、順当なところだな」 モブ3「あぁ。あそこが決勝まで来られないという事はまずないだろう」 モブ3「エースはもとより全員が全国区の打ち手だ」 モブ2「よっぽど運が悪くなければ負けるなんてあり得ないだろうな」 京太郎「いえ…ですけど…」 モブ3「…ん?」 京太郎「いや…何でもないです」 京太郎「(そうだ…ありえる訳ないよな…)」 京太郎「(不動峰の対戦相手…その1校が…)」 京太郎「(【わざと負けたように見えた】なんて…)」 京太郎「(だけど…あの先鋒の奴…)」 京太郎「(最後…笑っていやがった…)」 京太郎「(不動峰に大差をつけられて…落ち込んでてもおかしくないはずなのに)」 京太郎「(まるで【この程度なのか】ってあざ笑うみたいに…ぞっとする顔で…)」 モブ1「ま…何はともあれ…」 モブ2「あぁ。そうだな、去年のリベンジだ」 モブ3「…あぁ…腕が鳴るな」 部長「…そうだね」 部長「まぁ…相手は県予選前に一回当たってるんだ」 部長「それから幾らか成長してるかもしれないが…手の内は読めている」 部長「…それに僕たちは練習試合で勝てたんだ」 部長「それと同じ事をすれば問題はない」 モブ1「ある意味、さっきの試合より気が楽かもな」 モブ2「おいおい、そりゃ言い過ぎだろ」 モブ3「まぁ…俺たちなら勝てない相手じゃない。それが分かっている以上、ガチガチに構える必要はない」 モブ3「何時も通り…傾向と対策、それだけしっかりやってれば良い」 部長「じゃ…其のためにもそろそろホテルに戻ろうか」 京太郎「はい!!」 【System】 準決勝の結果、雀力が+3されました 重力世界の補正値が8から9へと変わります
https://w.atwiki.jp/wakiyaku/pages/26.html
嘲笑う石像 【作品名】嘲笑う石像 【ジャンル】小説 【名前】嘲笑う石像 【属性】暗黒神の意思を伝える石像 【大きさ】小物程度 【攻撃力】動けない 【防御力】大きさ並みの石像 【素早さ】動けない 【特殊能力】夢を見せて相手の思考を誘導できる 直接精神を操作したりは出来ない あくまでも夢を見せる程度 自分で相手を眠らせることも出来ない 自分の表情を嘲笑っているような表情に見せかけられる 【長所】大いなる暗黒神の意思が宿る手先 【短所】所詮ただの石像なので殆どなにもできない 【戦法】相手が寝たら一応夢で嫌がらせしてみる
https://w.atwiki.jp/darakuhime/pages/207.html
前ページ次ページNameless Archives/2ちゃんねる・エロパロ板/スーパーヒロイン系・総合スレ 題 機電神ブラフマー1 作者 109(ID ya9yGCg5) 取得元 スーパーヒロイン系・総合スレ,http //pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1071976937/ 取得日 2007年11月04日 タグ cb rb 巨大ロボ 概要&あらすじ 機電神ブラフマー1は、二正面作戦ため敗れてしまう。 ご注意:以後の作品の著作権は、作者(書き込み主)にあります。 109 :102:04/01/05 01 56 ID ya9yGCg5 というわけでオレネタ。 オリジナリティ無いとかそういうのはご勘弁を。 『機電神ブラフマー1』 ブラフマー1(α);六郷 茜(ろくごう・あかね) ブラフマー1(β);弘明寺 葵(ぐみょうじ・あおい) アスラ軍団幹部・ヴリトラ 洗脳スパイ・大岡浅黄(おおおか・あさぎ) 研究所長・花月 菫(かげつ・すみれ) (ここまでのあらすじ) 地球に飛来した謎の隕石から発見された3つの光玉。 研究の結果、それは知的生命の意思をエネルギーに変換する装置であると分かり、『カルマドライブ』と名づけられた。 折しも同じころ、『アスラ軍団』と名乗る一団が全世界に対し戦線を布告。メカスレイブと呼ばれる攻撃兵器群の圧倒的な力の前に人類はギリギリの戦いを強いられていた。 そして彼らは使いようによっては無限の力を行使できるカルマドライブを狙い、研究所の置かれている日本を攻撃し始める。 対して研究所ではこれまでの研究成果を応用し、カルマドライブを動力源とする迎撃用ロボット兵器『ブラフマー1(α・β)』を建造、残るひとつを研究所の防御システムに組み込んだ。 しかしブラフマー1を制御しきれるパイロットは現在のところたったふたりの女戦士だけ。 はたして反撃のラッパは高らかに鳴り響くか?それとも敗北し絶望のエンディングを迎えるのか? 「二正面作戦」 (前回のあらすじ) 攻防一体のブラフマー1と研究所。 どちらかを完膚なきまでに戦闘不能にしても残るひとつの力が発動し、これまでのメカスレイブはすべて撃退されてきた。 しかしある作戦時、大停電によって研究所の制御部が一時ダウンしたとき、戦闘不能に陥ったブラフマー1も本当に何もできなくなっていたことを、アスラ軍団の支配者ヴリトラは見抜いていた。 すなわち、三つのカルマドライブ(なかんずく研究所のもの)をすべて同時に落とせば、彼ら最大の敵は排除できるのだ。 そこでヴリトラは一計を案じる。 洗脳したスパイを潜り込ませ、戦闘中に研究所のカルマドライブを停止させる。そのため事前に「奴隷収容所作戦」を実行、わざとブラフマー1に救出させた。 かくして準備は整い、後は本作戦を決行するのみとなった…。 110 :機電神ブラフマー1:04/01/05 01 58 ID ya9yGCg5 「緊急事態発生!オクトパス級メカスレイブ3機出現、ブラフマーチームは戦闘態勢に入ってください」 けたたましく鳴るアラート音。 研究所内はにわかに緊張感に包まれ、白衣に身をまとったスタッフはそれぞれ所定のコンソールに向かう。 『α号・茜、スタインバイOK』 『β号・葵、準備整いました』 「状況はブリーフィングのとおりよ。頼むわ」 『了解!!』 ふたり同時に答えると同時に、巨人像を拘束していたクレーンが音を立ててはずれ、直後、カタパルトによって打ち出される。 赤と青、ふたつの女神像。ブラフマー1と名づけられた、地球最強の兵器にして最後の防衛ラインだ。 これまで何度も繰り返してきた出動シークエンスではある。 しかし戦いへの恐怖と緊張、そして高揚感はいつでもはじめてのように感じる。茜も葵も、サブモニター越しに互いの表情を確認し、うなずきあう。 「…でも変ね。アスラ軍団がこうも単調な攻撃を仕掛けてくるなんて…」 戦場に向けて飛び立った女神たちを見ながら、誰にも気づかれぬ小声で、花月博士がつぶやいた。 齢三十でカルマドライブ研究の、そして地球防衛の責任者になった者の、あるいは第六感なのだろうか? そんなものじゃない、これは理由ある疑問だと、頭を振りながら不安げに彼女は飛行機雲だけが残る空を見つめていた。 111 :機電神ブラフマー1:04/01/05 02 01 ID ya9yGCg5 同じころ。 基地内・カルマドライブ制御室の奥まった一角では、ふたりの女性が揉みあっていた。 「や、やめなさい大岡さん!離さないとどうなるか分かってるの!?」 「どうなるんですか?フフフ」 両手を後ろ手にガッチリ締め上げながら、大岡と呼ばれた女は不敵に微笑む。 「次の定例会で、あなたを配置転換するよう言うわ」 「それは残念。だって、次なんてもう無いもの」 唇の端を邪悪に吊り上げる大岡。片方の手の上には、小さく黒い物体が握られていた。 彼女はそれを素早く、相手の首筋に打ち込む。 「一体なにを…あ、ああっ…」 崩れ落ちる女性。それを冷ややかに、やや楽しそうな表情で見下ろす大岡。 「これであなたもヴリトラ様の下僕。さあ、立ちなさい」 その言葉を合図に、倒れたはずの女性が背中から糸で引かれたように立ち上がる。 顔を上げると、その額にはアスラ軍団の紋章、女陰と鉤爪の合わさったものが黒く刻み込まれていた。 相対する大岡の額にも同じ紋様が浮かび上がっている。 「アナタに命令よ。アタシのロッカーにあるエナジーキャンセラーを制御室に設置しなさい」 「ハ…イ。わたしは、エナジー…キャンセラ…ーを、設置します」 「人手が足りないようなら、これを他の職員に取りつけて、手伝わせなさい」 女の手に、先ほどの黒い物体…蜘蛛の形をしたアスラ軍団の催眠ユニットが握られる。 「ハ…イ。これを、他の職員に…とり、つけます」 「よろしい。ではさっそく行きなさい」 腕を振り上げ、行動を促す。 「ハ…イ」 フラフラと頼りなさそうな足取りで、女性は歩きだし、制御室から出ていった。 それを確かめ、また笑みを浮かべる大岡。 その瞳は、これから起きるであろう事態への淫らな期待に潤んでいた。 「ンフフ、あと数時間もすればココもヴリトラ様の淫宮になるのね…。ああん、もう待てないわぁっ」 白衣の前をはだける。その下には何も着けていない。 正確には、陰部にペニスバンド様のモノをつけ、胸の双丘には額と同様、淫らな紋章が刻み込まれ、首には大型犬に使うような黒く太い首輪が巻きついていた。 112 :機電神ブラフマー1:04/01/05 02 03 ID ya9yGCg5 破壊された都市で対峙するメカスレイブとブラフマー1。 いつものように先攻せず、触手をゆらめかせているだけのメカスレイブたちの不気味さに、コクピット内のパイロットふたりは焦りを感じていた。 「このエロタコ、どういうつもりだ…」 「いつでも勝てる、とでも言いたそうですね」 強気な言葉を出しているつもりでも、怖れが徐々に高まってくる。茜も葵もそれを充分に感じていた。 触手のいやらしい動きを止めず、本体もフラフラと浮遊するかのごとく動く敵は立ち位置を定めない。 ジリ、ジリ。 後ずさりするブラフマー1。間合いは変わらないが、戦場は少しずつ移動している。 互いに睨みあったまま、数分後。 「ええい、このままじゃどうにもならない。行くよ葵!」 「了解です。いざ!」 決意を言葉に出すと、そのまま敢然と正面に向けて走り出す。 ロボットという言葉からは想像もつかない軽やかな動きで肉薄、メカスレイブの眼前で予備動作なしで垂直に飛び上がる。 これまで多くの敵を屠ってきた必殺のアクションだ。 「グラビティ・シュート!」 高空から位置エネルギーとカルマドライブによって発せられたプラズマ火球を叩きつける、強烈な飛び蹴りが決まった …はずだったが、 「な、そんな?」 三体のメカスレイブはついに立ち位置を固定、その触手を交差させバリアを作り出していた。 ドウゥゥゥンッ!! はじき返される火球、ブラフマー1本体もその光の壁に阻まれ、あえなく背中から落下する。 「アウッ…んっ!!」 「ヒッ!!」 情けない声をあげるふたり。 カルマドライブ制御の副作用としてパイロットにフィードバックされるロボット本体の衝撃、すなわち痛みが全身を鋭く貫く。 バリアを解除したメカスレイブが、動けないふたりにゆるゆるとにじり寄ってくる。 その緩慢な動作は傍目から見ても嫌悪感を催すに充分だ。 「ンクッ…や、やるしかないよね」 「当然です、茜さん!」 「こういうとき、葵が一緒だといいね。いくよ!」 「了解!」 113 :機電神ブラフマー1:04/01/05 02 07 ID ya9yGCg5 力を取り戻し立ち上がるふたり。両腕を互いに組み合わせ、顔を正面に向ける。 「ヴェーダ・コンビネーション!」 腕の間に、先ほどより強力な青白いプラズマが形成される。 その力の反動に耐えるかのごとく大地を踏みしめる四本の足。無表情なはずのロボットの顔にも気合と緊張とが見えるかと思うほどだ。 その殺気を意に介さずにじり寄るメカスレイブ。 いっぽ、また一歩と近づく間合い。 「ブラフマー・ファイヤー!」 組み合った両腕が振りかぶられ、プラズマは極太のレーザーとなって撃ち出される。 過去2回だけ使われた彼女ら最大の技であるが、反面、これを使った後は2時間の間、完全に戦闘不能になっていた。 最後の切り札である。 大地をつんざく轟音、そして光。 その果てに、消滅していくメカスレイブの姿が一体、二体…。 「…な?」 消滅したのは二体。それでは残る一体はどこに? 「茜さん、うしろ…キャアッ!」 葵の勘が察知するよりわずかに早く、α号の背中に鈍い衝撃が走る。 β号の視界には、相方を人質にするかのような体勢で触手を揺らめかせるメカスレイブの姿が映っていた。 「なんでそこに?」 「さっきまでのノロさはウソだったって言うのか!」 すでに戦闘に使う力を出しきり動けないふたりをあざ笑うかのようにぬらぬらとした表面を見せつける敵。 呆然とする葵、β号の背中にも嫌悪感を催す感触が加えられる。 「ヒッ…なにこれ…?」 「葵!ち、ちくしょう!」 α号の背後から伸びたメカスレイブの触手が、β号の背後から彼女の体に巻きついていた。 その粘液質な表面を光らせながら、まるで生身の人間を愛撫するかのごとく、脇腹から胸、肩へ、そして太腿から陰部へと。 次々と新しい触手が肢体に伸ばされていく。 ズルリ。ズルリ。ゆっくりと、しかし本数を増やしつつ機体の表面をまさぐっていく触手が、巨人の表面を濡らし、汚していく。 元々はアジテーションの意味もあって鮮やかに塗られていた体が、粘液によって濁っていく。 前ページ次ページNameless Archives/2ちゃんねる・エロパロ板/スーパーヒロイン系・総合スレ Counter today - ,yesterday - ,summary - . Page created 2007-11-04,last updated 2007-11-10 22 21 14 (Sat),and copyright by 堕落姫乃眸.
https://w.atwiki.jp/kkjs/pages/164.html
随分、時間を無駄にしてしまったわ。 ラプソーンが自らの城を取り込み、完全な復活を果たしてしまったっていうのに、ヤンガス以外の全員が、まともに歩くことさえ出来ないダメージを負ってしまい、戦える状態に戻るまで一週間も費やしてしまった。 レティスに指示された七つのオーブを集め終わり、これからレティシアに向かおうという時、エイトはミーティア姫と話をすることを望んだ。 私は別れの挨拶のようなことは好きじゃないんだけど、これは違うとわかる。 エイトは必ず勝つためにそうするんだって。エイトが戦う理由は、世界を救うためだけじゃなく、ミーティア姫を元の姿に戻してあげるため。その気持ちをもう一度力に変えるために、彼女に会いたいんだって。 でも最近、移動する時は空を飛ぶか、ルーラを使うかしてたもんだから、ミーティア姫は人の姿に戻れるほどの量の水を飲めなかった。 それでどうしてるかっていうと、エイトとミーティア姫は一生懸命、泉の周りを走って喉を乾かそうとしている。 ダイエットを兼ねたヤンガスもそれに付き合ってるんだけど、私は辞退させてもらった。 もちろん魔物が襲ってくるようなことがあったらすぐに加勢するつもりだけど、今のところそういう様子はない。 私は泉から少し離れた場所に座って、空を見上げた。 暗黒神、ラプソーンが待つ空。 追いかけて、追い詰めて、今度こそと何度も思ったのに、あいつはそれをあざ笑うかのように、次々と犠牲を増やしていった。 もう許さない。もう次はない。ラプソーンは必ず、この私の手で倒してみせる。 不意に視界が遮られた。 「そちらの美しいお嬢さん。私めに貴女のそばに座る栄誉をいただけますか?」 ククールがすました顔して、私の顔を覗き込んでいた。折角ひとが気合入れてたっていうのに、拍子抜けしちゃうじゃないの。 「勝手にどうぞ」 今は彼の軽口に付き合う気分じゃない。 「それでは、お言葉に甘えて」 そう言ったククールは、わざわざ私の真後ろに回り込んで腰をおろした。 何してるんだろうと思うと同時にククールは、いきなり私に全体重を預けてきた。 完全に油断していた私は、手の指が足のつま先についてしまうほどの、完全な屈伸を強いられる。 「いたたたたたっ! いたっ、おもっ、ちょっと重い! 痛いってば!」 パッと見、細く感じるけど、鍛えてる上に背も高いから結構重いのよ、この男。 「へえ、途中で胸がつかえるかと思ってたのに、ゼシカは身体やわらかいんだな」 妙に感心したような声をあげられた。 「このっ・・・ドアホーッ!!!」 渾身の力を込めて押し返す。何とか元の体勢まで戻すことは出来た。 「おおーっ。すごいすごい」 拍手までされてしまった。何なのよ、このバカ。 付き合ってられないとは思うけど、ククールの力加減は絶妙で、立ち上がって逃げるまでは出来ない。 「あんまり上ばっかり見てると疲れるぜ? 足元が疎かにもなるしな」 ・・・何よ、その見透かしたような言い方。 いつもそうよ。自分は何もかも全部わかってるっていうような顔をして、私のことは子供扱いする。 この一週間で、やっぱりククールは私には理解しきれない人なんだっていうことがわかった。 立つのもやっとっていう時は、辛い気持ちやオディロ院長との思い出なんかを、本当にちょっとだけなんだけど話してくれたりして、少し距離が縮まったような気がしてたのよ。 だけど少し回復すると、ククールはマルチェロから渡された指輪を見つめて考え事することが多くなって。そして私はそれを、お兄さんを心配してるんだと受け止めてた。 マルチェロときたら死にそうなケガしてたのに、治療もしないでゴルドから歩き去ってしまったから。あの姿を見送る時も、本当に回復魔法が使えない自分が歯痒かったわ。 だけど、それは私の思い込みだった。 普通に歩けるようになるとすぐ、ククールは一人でサヴェッラに行くと言い出した。 私もエイトも、やっぱり歩けるようになったばかりの時で、どうせ戦えないんだし、ルーラを使うからすぐに戻るって。 もちろん私たち、止めたわよ。何をするつもりなのかわからないけど、行くなら全員で行こうって。 だけど、同行を許されたのはエイトだけ。私とヤンガスは置いてけぼり。 キメラのつばさを使って後を追うことも考えたけど、絶対についてくるなってクギを刺されて、出来なかった。本気で怒らせると、ククールは結構怖いから。 その夜、二人が戻ってきた時もククールは何も話そうとはしてくれなくて、何があったのかを教えてくれたのは結局エイトの方だった。 ククールはサヴェッラ大聖堂のお偉方のところに行って、『行方不明の新法皇様から即位式の直前に、煉獄島の囚人たちを新法皇誕生の恩赦による減刑で出獄させるよう、命令を受けていた』なんて涼しい顔して大嘘ついて。 マルチェロからもらった騎士団長の指輪を証拠の品だって見せて、ニノ大司教たちを助け出す手筈を整えてしまったんだって。 それと崩壊してしまったゴルドへの救援も一緒に要請したらしい。 もちろん、嘘ついたのが悪いなんて言うつもりはないわよ。 煉獄島みたいなひどい所、助けられるなら一日だって早く出してあげた方がいいと思う。崩壊してしまったゴルドにも、回復魔法の専門家の聖職者たちを送り込むのは何よりの助けになると思う。 でも、どうして一人でやろうとするの? 聞くまでもなく、理由はわかってるわよ。もし嘘がバレた時でも、自分一人が捕まれば済むなんて思ってるんだわ。だけどそういうところが本当に腹立つのよ。 ・・・でも多分私が一番ショックを受けてるのは、マルチェロに貰った指輪を見ながらククールが考えていたことが、マルチェロの行方じゃなくて、その使い道だったっていうことの方なのかも。 ククールがマルチェロのことを全く心配してないとは思わないわ。でも私だったらきっと、あんな形でお兄さんに渡されたものを、何かに使おうだなんて思いつきもしない。 そして、いくら人助けのためだからってそれを使って公の場でサラッと嘘ついて、その帰りにベルガラックのカジノに寄るなんて絶対無理よ。 そばで見ていたエイトにも教えなかったらしいんだけど、多分とんでもないイカサマをして、わずか数時間の間にコインを40万枚も稼ぎ、大量の剣やら鎧やらをお土産にすました顔して帰ってきた。 私にもグリンガムのムチなんていう最高級の武器をプレゼントしてくれたもんだから、いろいろ言ってやりたいことがあったのに、何も言えなくなってしまった。 本当にわからない。繊細で傷つきやすい人なのかとも思うのに、変なところで人並み外れて図太いんだもの。 そういうところ、半分くらい分けてほしいもんだわ。 「最後の戦いの前に、ゼシカに話しておきたいことがあったんだ」 自分の考えにふけっていた私は、背中越しにつたわるククールの声の響きに、ちょっとドキッとした。 「やめてよ。戦いの前にどうとかって、私、そういうの好きじゃないのよ。話なら帰ってきてから聞くわ」 「今じゃないと、意味ないんだ」 いつになく真剣な声に、それ以上は拒絶できない。 「・・・わかったわ、どうぞ」 「オレがこのパーティーに加わる時、ゼシカに言った言葉、覚えてるか?」 何よ、何言うつもり?」 「・・・覚えてるわよ。私だけを守る騎士になるとか何とかでしょう?」 「そう、それ。あれ、無かったことにしてくれ」 頭をウォーハンマーで殴られたような衝撃がきた。 「あの頃のオレは何も考えてなかった。ひと一人守るってことがどれだけ難しいことか、わかってなかったから簡単にそういうことを口にできた。本当にバカだったと思う」 ひどい・・・。 ククールのバカバカバカ! 何よ。どうしてそういうことを、今言うの? 守ってくれてたじゃない、ずっと。私がどれだけ支えられてきたか、わからないの? これから決戦だっていうのに、いきなりそんなこと言って突き放すなんて、ひどすぎる。一気にテンション下がっちゃったじゃないの。 ・・・本当に、私ずっと頼りっぱなしだったんだ。ククールのこんな一言でショック受けるほど。 もしかしてククールは、もういやになったのかしら。この間だって私のために危うく命を落とすところだったんだし。 そう考えると、これ以上甘えちゃいけないんだと思う。 そうよ、初めは私一人で兄さんの仇を討つつもりだったじゃない。 私だけを守るなんていうククールの言葉も、言われた時は全く信用してなかった。 それなのにククールは、私を何度も助けてくれて、守ってくれた。 これ以上望むのは間違ってる。次が最後の、それも一番大きな戦いなんだもの。こんなことで落ち込んでるようじゃあ、暗黒神なんてものに勝てるわけないわ。 「それにゼシカつえーしな。ドラゴンキラーやもろはのつるぎなんて片手で振り回してるのを見た時には、うかうかしてたら剣でも負けると思ったもんだ」 でも何か、こういう言われ方されるのはムカつく。 確かに身体が回復してからというもの、今までは重くて上手く扱えなかった剣が嘘のように軽く感じるようになった。 力が特別強くなったわけではないんだけど、私にも少しは魔法剣士だったご先祖様のチカラが受け継がれてたっていうことなのかしら。 でも、だからって剣でククールより強くなれるなんて思ってないわよ。ククールだって、きっと本気では思ってない。 こういう時でも、私をからかうのは忘れないのね。 「それにゼシカだけ守ったって、そんなものに意味なんてないんだよな。大事なものが何もない世界に一人だけ取り残されても寂しいだけだ。ケチなこと言わずに、守れるものは全部守る」 ちょっと泣きそうだったんだけど、続くククールの言葉に、そんな気分は吹き飛んだ。 「オレ一人じゃキツいけど、ゼシカと一緒だったらこの世界全部だって守れる気がする。・・・頼りにしてるんだぜ、これでも。ラプソーンとの戦いでも、よろしくな」 ・・・どうしよう、目眩がする。 「ゼシカ?」 私が返事をしないもんだから、ククールがこっちの様子を伺おうとしてる。 ダメ! こっち見ちゃダメ。 「・・・まかせといて」 それだけ言うので精一杯だった。でも、ククールの動きは止まったので一安心。 見られたくないの。私きっと今、すごく変な顔してるから。嬉しすぎて、頭がおかしくなりそうなんだもの。 ずっと聞きたかったの、その言葉。『頼りにしてる』って、そう言ってほしかった。嘘や慰めじゃないよね? ククール、そんなに甘くないものね。 言葉は何も思い浮かばなくて、でも何かは伝えたくて、私もククールの背に体重をかけた。広くて温かくて、力強い背中。命も何もかも、全て預けられる。 うん、私も頼りにしてる。あなたを信じてる。一緒に守ろうね、私たちがこれから生きていく世界を。 さあ、首を洗って待ってなさいよ、ラプソーン。今の私には怖いものなんて、もう何もないんだから! ほしかったもの-後編