約 106,076 件
https://w.atwiki.jp/bo-dode/pages/88.html
戦闘の最中、違和感を感じた志々雄は相手の行動を疑問に思い、警戒を怠らなかった。 そして先程の爆発の直前、ようやくそれが得物の男の仕掛けた罠だと感付いた。 酒場に充満する異様なアルコール臭、水溜り。 咄嗟に志々雄は退く。 小僧――リオンが爆発に飲み込まれ、断末魔をあげたのはその数瞬の後だった。 ――冷静になり切れなかったのが殺られた原因だな、小僧。 軽快な銃撃音を、にわかに炎に包まれる店内で聞きながらそう呟いた。 爆発そのものなら別だが、この身体はこれしきの炎で灼かれはしない。 銃撃が止んだところを見ると、奴は俺には気付いて無いらしい… やがて酒場の外の足音。遠のいて行くところからすると、やはり黒影は気付いていないようだ。 ならばこの酒場が焼け落ちる前にと、志々雄は炎に包まれた店内の中心に歩みを進める。 目的の物は―― 『……志々雄!?』 焼け焦げた"黒いモノ"の傍らに落ちていた"それ"が、驚いた声をあげる。 「小僧は殺られたからな。 興味がある、貰って行くぜ」 誰に放った言葉だろうか。 志々雄はソーディアン・ディムロスを拾い上げると、煤(すす)を払うようにそれを大きく横薙ぎに一振りする。 『…………』 「面(ツラ)も無ェクセに一端に悔しそうにしてるんじゃねぇ、剣風情が。 小僧がシんだのがそんなに惜しかったか?」 あざ笑うように志々雄は言い放つ。 『…ただの戦闘狂の貴様にわかるものか!』 ディムロスの言葉を聞きつつ、志々雄は焼け落ちる酒場の裏口へと歩みを進める。 「刀ってのは人を斬る為に有る代物だ。 剣にそんな説教垂れられようとも、何の説得力もありゃしねぇんだよ」 『我らソーディアンは使い手の力を増幅させる武器だ。 人殺しの道具かどうかは、使い手次第でどうとでも変わる!』 火の勢いの強くなる酒場を裏口から後にする志々雄。 「癪に障る言い方だな、剣。どこぞの馬鹿を思い起こさせる事を言いやがる」 『我が名はディムロスだ』 「喧しい。 テメェなんぞただの人殺しの道具だろうが」 『だから我は――』 「その理屈なら間違ってないだろうが、"ただの戦闘狂"なんだからな。 …それより、客人だぜ」 + + + + + ルイス、そしてコレットは結局、放送があるまで町の建物の中を転々としていた。 コレットには天使化の影響で、高い聴力が備わっている。 恐らく同じエリアの中ならば、殆どの音は把握できるであろう。 ゆえに下手に動くよりも出来るだけこの場に留まって待ち、危険が迫ったときは事前に回避するべきだと判断したのだ。 広い平原では見通しが利くから、その聴力を存分に生かすことが出来ない。 味方しそうな人間が近付いた場合は、コレットがルイスのときと同じく接触を図ればいい。 …と言うのがルイスの提案だ。 コレットとしては全ての戦いを止めたいのだろうが、それはさすがに無謀にも程がある。 ルイスは今にも飛び出しそうなコレットを、何とか引きとめようとしていたのだ。 だが、この町の周囲には危険な相手ばかりが揃っていたようだ。 今もコレットの耳に届くのは銃撃音、破壊音… 戦闘の音だ。 放送でも8人が既に戦死したと発表されたし、状況的にはあまり良い状況とはいえなかった。 「……コレット」 互いに知っている人物もゲームに参加している。 コレットはゼロス、ルイスはフレイアとディー。 そういう情報は、もうひとしきり交換し合ったのだ。 「…平気だよ、ルイス。 …もしかしたら危ないかもしれない、ルイスはこの町を離れた方が安全かもしれないね」 よいしょ、とコレットは立ち上がる。平気だと言ったコレットは、ルイスの目から見ても少し暗い様子が見えた。 …このゲームを止められないのが、悔しいのだろうか。 今コレットは"ルイスは"と言った。自分を安全なところに逃して、コレットは起きている戦いを止めに行くつもりなのだろう。 だがルイスも彼女が心配だ。 さっきの様子からしてもドジな彼女だ、一人で行かせるなど考えられない。 たがいそうして平行線のうちに、今に至っている。 ―― … ―― 「!?」 ルイスの耳にも届いた轟音。 爆発音のようだった。 立ち上がったコレットを見ると、まるで青ざめるような顔… もっとハッキリと"何か"が聞こえたのだろう。 「まり…… あん…?」 「え?」 コレットの呟きを聞き返す。マリアン……人の名前かな? などと考える間も無く、コレットが飛び出していく。 「あ、コレット!!」 慌ててルイスも追いかける。 …忘れずにフレイアの傘を携えて。 「誰の事だかわからない、でも…… とても悲しい叫びだったの!」 そこに向かう途中コレットに聞くと、そんな返事が返ってきた。 耐え切れなかったのだろうか… 今二人は、爆発の聞こえた方へと走っている。 煙が上がっているため、距離と方角はルイスにも把握できた。 角を曲がると、激しく燃えさかる酒場が視界に入った。 …そして、その酒場から出てきた様子の包帯の男。 慌ててコレットが駆け寄ろうとするのを、ルイスが何とか抑える。 何か様子が違って思えたのだ。 「――テメェなんぞただの人殺しの道具だろうが」 紅蓮の剣を携えた、男の声が聞こえた。 誰かもう一人話している様子だが…姿は見えない。 次の瞬間…… その男がこちらを向いた。 ――気付かれている! ルイスがどうするかと思案する前に、コレットが道の真ん中へと躍り出た。 ああもう―― 「こんなゲームに参加するのは止めてください!」 姿を現した小娘が、開口一番そう言った。 慌てた様子でもう一人、小僧が飛び出してくる。 「…弱肉強食、って言葉を知ってるか? 小僧に小娘」 『おい、待て志々雄! 向こうに戦意が無いのは――』 「喧しいぞ、剣なら剣らしく黙ってやがれ。 …ゲームなんぞ関係ねぇ、この世界は強い者が生き残る。 それだけだ」 「コレット、下がって! …話の通じる相手じゃなさそうだ!」 ルイスがコレットの前に出て、傘を構える。 「ルイスこそ、危ないよ!」 「僕だって、腕に自信がないわけじゃない。 …コレットは会いたい人が居るんでしょ? 生き残らなきゃ、会えないよ」 そう言ったルイスの傘を握る手に、力がこもる。 …相手が只者じゃないのは、ルイスにも感じられた。 【F5 町の燃える酒場前・昼過ぎ】 【名前・出展者】志々雄 真実@るろうに剣心 【状態】火傷(無いも同然) 【装備】ソーディアン・ディムロス@テイルズオブデスティニー 【所持品】支給品一式、予備のマガジン、不明支給品 フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア 【思考】基本:所詮この世は弱肉強食… ゲームなんて関係ないが、強い奴が生き残るべき 1:目の前の小僧どもと戦う 2:あの火の玉を飛ばすのはどうやるんだろうな? 3:さっきのあの食わせ者の男は、今度生きて会ったら俺が仕留めるか 【ディムロス@テイルズオブデスティニー】 【思考】 1:志々雄を止めなければ… 2:リオンを死なせてしまったのは我にも責任がある… 【名前・出展者】ルイス・キャパシティニ@テイルズオブコンチェルト 【状態】健康 【装備】フレイアの傘@テイルズオブコンチェルト 【所持品】支給品一式、スペクタクルズ(×98)@テイルズオブシリーズ 【思考】基本:殺し合いには乗らないが、殺しを完全に否定はしない 1:コレットを守らないと 2:フレイアとディーが気になる 【名前・出展者】コレット・ブルーネル@テイルズオブシンフォニア 【状態】健康、所々に擦り傷 【装備】無し 【所持品】支給品一式、不明支給品 【思考】基本:殺し合いには乗らない。乗っている参加者がいれば説得する 1:ルイスを守らないと 2:参加者のゼロスを探したい * * * 一方、黒影は酒場からやや離れた位置で、燃えさかる酒場を見ていた。 片方はしとめた。恐らく、もう一人もあの爆発と炎ならば無事なはずが無いだろう… そう確信していた。 炎が消えたら、焼け残っているものが無いか確認しなければ。 【F5 町の酒場・昼過ぎ】 【名前・出展者】桐生院 黒影@陽華がくえん☆ねこやしき 【状態】無感情モード、顔の右頬に火傷(戦闘に支障はない) 【装備】河城にとり製光学迷彩スーツ@東方Project(焼かれたため使用不可能) サブマシンガン@現実(弾切れ) 【所持品】支給品一式 【思考】基本:ゲームに優勝して、元の世界に帰る 1:サブマシンガンの予備のマガジンを探す 2:もしかしたら仕留めた奴が持っていたかもしれないな…… ※志々雄が生きている事に気付いていません * * * 前の話 057 ナカマ@サイカイ@コウキュウヒン 次の話 059 Parade of thunder and gold
https://w.atwiki.jp/loaceli/pages/300.html
キャラクター プリウスオンライン あざりん:ガンナー 役職 性格 スカイプ skype_status 本人からコメント
https://w.atwiki.jp/shihoaya/pages/134.html
目抜き通り、裏通り、屋内、野外……その町にはもはや、ひとかけらの日常さえも残されていなかった。 交差点には自律型大型対空砲台が設置され、噴水を囲む石造りの階段には臨戦態勢の兵士達。 そして、赤レンガの屋根目がけて墜落していく機械仕掛けの鳥。 「ぬんっ」 瓦礫、オイルを吹き上げる鉄くず、そして血だまりが散在する公園の上空。 他の同類よりもひときわ巨大な鉄の鳥と交戦する男。 ばさっ 金色の翼が羽ばたいた……と同時に生ずる無数の光弾。 そのすべてが男目がけて弧をえがき舞い踊る。 「俺は――負けないっ!!」 男もまた蝶のそれに似た虹色の羽根を大きく羽ばたかせ、さらに上空へと舞い上がった。 そして、眼下を舞う鉄の鳥めがけ突き出した両手より碧色の洪水を降り注がせる。 チリッ、チリチリ……ドォォォォンッ! 鳥の心臓部、聖霊機関が悲鳴をあげた。全身を覆っていた碧色の光が消失して行く。 聖霊力の加護を失った大型戦闘機に尚も降り注ぐ碧色の滝。 その光が外部装甲を、鉄の骨格を強制的に元素へと分解していく。 光が消えた後には、戦闘機の乗員も含め何一つ残されていなかった。 海沿いの、町を一望出来る堤防の上よりその光景を険しい目つきで眺めていた一人の少年。 そう、少年は知っていた。虹色の羽根を纏い、自らの意のままに聖霊力を操るその男の正体を。 ――間違いない、アレは……シンラのガルーダ! 少年ツバメは父王を殺害したガルーダ、アサギを追いこの港町にやって来た。 よもや、この町に亡国シンラの生み出したガルーダが隠れ住んでいようとは…… が、ツバメにしてみればそれは大した問題ではなかった。 『お前の左目に埋め込まれた聖霊石、そして聖霊力増幅装置ガルーダローブ。この2つがあればガルーダなど要らぬ』 そっと目を閉じ、在りし日の父王の言葉に想いを馳せる。 ――そうだ、ガルーダなんて……聖霊との融合体なんてっ!! がちゃっ、がきんっ! 背中に装着された鉄の骨格が大きく展開し、そこに光が灯る。 ――出来損ないどもが僕の輝羽に敵うものかぁっ!!! そして怒りの灯る目を見開き、輝羽……光の翼を大きく羽ばたいてツバメが空へと舞い上がった。 「シンラのガルーダ……僕の邪魔をするなぁぁぁぁっ!!!」 ■ 「僕の邪魔をするなぁぁぁぁっ!!!」 爆煙を噴き上げる民家の向こうから飛び出して来た、まばゆい、そして巨大な光の翼を背負った少年が、 空を舞うアゲハの視線の先で静止する。 眼前の少年から聖霊の助けを借りなくとも感じ取れる……すさまじいまでの怒りに満ちた聖霊力を。 少年の年齢は10歳程度と言った所だろうか。 ――今更兄弟などいらぬ……貴様らの存在を消してやる!! 3年前のあの日、自分達を殺害する為に機甲羽根を纏い現れた妹……セセリをふと思い出した。 (親玉来た来た。あ、か~わいい子♪) 「ああ」 そして3年前と変わらぬ、自身の中に宿る聖霊の言葉にそっけなく答える。 「あの少年の左目、まさか……」 (聖霊石ね。でも……空っぽだわ) 空っぽ――そう、少年の聖霊石に聖霊は宿っておらず、ただ聖霊力のみが込められていた。 「聖霊を宿さず聖霊力を操る……」 (人間なのに頑張るわね~、大方あの背中のピカピカ機甲羽根のおかげなんだろうけど) 「輝羽、か」 他の兵士達が着けていたそれとは明らかに違う、巨大な輝く羽根。 「やぁぁぁっ」 少年の掛け声に呼応するように輝羽が大きく揺らぎ、 そこからあふれ出した聖霊力が浮遊砲台の姿で具現化された。 1つ、2つ、3つ、4つ…… ズガガガガッ!! それらが一斉に、なぎ払うかのごとく光弾をばら撒く。 「どうだぁっ!!」 そしてそれを隠れ蓑に少年がアゲハ目がけ光弾を放った。 (うわ~お、すごいすごい♪) 「感心している場合か!」 キィィィンッ 聖霊力の障壁を作り出しこれを相殺。 「何故ソーマが聖霊機関を!!」 「聖霊機関?」 その言葉を聞いた少年があざ笑うかのような――それでいて怒りの緩まぬ目つきでアゲハを睨みつけた。 「はっ、所詮は時代遅れの出来損ないだな! 我々が復活させたのは、聖霊機関を超えた、真の聖霊機関だ!」 「真の……聖霊機関だと?」 そして少年が声を張り上げ、誇らしげに続ける。 「シンラは滅んだ! 次はソーマがこの地を支配する!」 ■ クロスを取り払われ、木目だけが広がるテーブルを囲み3人の女が座っていた。 長辺の一方に長い髪を蓄えた、金糸飾りの白衣の美女。そしてその反対側にところどころが破れている 黒いワンピースドレスの少女と、オレンジ色のミニスカートから健康的な脚を覗かせる女性。 「ソーマが……聖霊機関を復活させた?」 白衣の女――アリスが怯えたような顔でつぶやいた。 「ええ。シンラの中枢、ウツロブネの残骸から」 「ウツロっ!?」 ウツロブネ…… その言葉に反応し、ミニスカートの女性――タテハが目を大きく見開き隣に座る少女へと向き直る。 「その中に女の子の遺体は無かったの!?」 そして興奮気味に問い詰めながら、黒いスカートを両手で握りしめ顔を伏せたまま説明を続ける少女―― アサギの肩をぎゅっと掴んだ。 「痛っ!」 「あ、ご、ごめんなさい……」 か細い悲鳴にぱっとその手を離す。 聖霊の力により大分回復したとは言え、アサギが瀕死の重傷を負っていた事を思わず失念してしまっていた。 ウツロブネ。父と、あの子の居城。 胸の奥にしまっていた記憶が蘇る。今ここにいない、あの日ウツロブネと共に消えた妹の記憶。 ――セセリちゃん……一緒に暮らしたかったよ、お母さんと、お兄ちゃんと…… 「タテハ……さん?」 クリっとした瞳で見つめながら、心配そうに小首をかしげるアサギの言葉にふと我に帰る。 「え、あ、やだ、ゴメン」 鼻の奥につぅんと来る感触……どうやら知らない内に泣いてしまっていたようだ。 「ううん、いいの。タテハさんも……色々辛かったんだろうし。 女の子の遺体があったかどうかはさすがに分からないけど……」 アサギが申し訳なさそうにうつむく。そして、一度深く息をついてそのまま説明に戻った。 「それで……私やツバメ、ジャノメは実験が成功したんだけど……」 声を震わせ、黒い厚手のスカートをシワが寄るほどにギュっと握り締める。 「あの子達は……まだ施設の中にいるあの子達は……」 ぽたっぽたっ 1つ、2つとスカートの上に水滴が落ち、小さなシミが広がってゆく。 「このままだと……みんな殺されてしまう……」 タテハは、小さな悲鳴のような声をあげながら震える肩をそっと抱きしめ、 ゆるやかなウェーブのかかった薄紫色の髪を優しく撫でてやった。 「大丈夫よ、そんな事させはしない――」 ふと思った。もし、妹がいたとしたら、こんな感じなのかなぁ……と。 自分にしがみつき涙を流す少女に、自身の体を聖霊機関と化しながらも戦い続けた妹、セセリの姿がダブった。 ――セセリちゃんみたいな子をこれ以上増やしたくない、だから…… 「私、戦うわ。ううん、私だけじゃ無い。お兄ちゃんだって!」 「タテハ……」 テーブルの向こう側から、アリスがか細い声をあげ心配そうに見つめる。 「大丈夫よ、お兄ちゃんもいるし」 「ごめんなさいね、何の力にもなくて……」 アリスが力なくうなだれる。 かつては聖霊の巫女としてプロジェクトエスプガルーダの主軸を担っていた彼女だったが、 実験の日々が聖霊力を奪いつくしてしまっていた。 もっとも、仮にアリスに聖霊力が残っていたとしても戦場に連れて行く事など タテハにも、無論兄アゲハにも出来ようはずの無い事なのだが。 「お母さんは家を守ってて、すぐ帰ってくるから!」 ガタッ 跳ね上がるようにタテハが立ちあがる。 「タテハさん待って!私も一緒に行く!」 そしてそれに付き従うようにアサギも立ち上がった。 「体はもう大丈夫なの?」 「このぐらい、あの実験に比べたらっ!!」 そう言って胸の前で軽く両手でこぶしを握ると、タテハを尻目に表へと飛び出して行ってしまった。 そして羽根を広げ空へと舞い上がり、こちらを振り返りながら手を伸ばす。 「さぁ、行くよっ!!」 「うんっ!」 タテハも羽根を広げながら飛び上がり、差し出された小さい手へと腕を伸ばしその手を掴む。 「2人とも、気をつけるのよぉっ」 玄関で大きく手を振る母の姿がだんだんと、だんだんと小さくなっていった。 <<前へ 次へ>>
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5161.html
前ページ次ページ虚無と狼の牙 虚無と狼の牙 第十七話 ジョンストンはレキシントン号の真下に竜騎士部隊を展開させた。先行した巡洋艦四隻撃墜の原因が、下からの狙撃であったことを踏まえての策である。 「例のトリステイン貴族といい、艦長といい、全くの腰抜けどもめ。この私自らが戦い方を教えてくれるわ!」 鼻息を荒くしてジョンストンは威勢よく啖呵を切った。ボーウッドは苦笑いを浮かべながら、ジョンストンの後姿を見つめる。その二人の傍らで、ワルドはどこか冷ややかな笑いを浮かべている。 「事実上更迭された割には、随分と余裕ですな、ワルド子爵?」 平然とした様子のワルドに、ボーウッドは訝しげな様子で話しかけた。 「なに、面白いものがみれそうですからな」 「面白い?」 「……まずは相手の手の内を知る、これは戦いの基本でしょう」 ワルドは目の前のジョンストンの後姿を見て、鼻で軽く笑った。 ウルフウッドとデルフリンガーは森の街道を抜けた。目の前にあるのはタルブの平原、そしてその中央に浮かぶのは―― 「相棒、見えたぜ、あれがレキシントン号だ」 デルフリンガーの言葉にウルフウッドはゆっくりと目標を見上げる。竜に乗った騎士が十人ほど、戦艦の下を旋回している。 「さてと、ここからが正念場だ、相棒。もう逃げも隠れも出来ないぜ」 「正面突破や、行くで」 ウルフウッドはアクセルを全開に回した。彼の乗ったバイクが平原へと躍り出る。 レキシントン号を守っていた竜騎士の一人が慌てて甲板に現れた。 「司令官殿。目標の人物と思われる男が姿を現しました」 「よし。馬鹿な男だ。先ほどまでの不意打ちのようにうまくいくと思うなよ。全竜騎士に告ぐ! これより目標に向かって全軍攻撃を開始、目標を打ち倒せ!」 威勢よく命令を出すジョンストンをワルドは冷めた目で見ていた。 ――具体的なことは何も告げずに、何が指示だ。 ワルドは目の前の上官の愚かさを心の中であざ笑う。おそらくは、竜騎士隊は何も出来ないままに全滅するだろう。しかし、それは彼らが弱いということではない。 手の内の分からない相手に無策に突っ込めば、そのような結果になるのは火を見るよりも明らかなのだ。 「見たところ、ただの平民のようだな。どんな手を使ったか知らぬが、竜騎士部隊を相手ではおそらくは生きて帰れまい。馬鹿め」 馬鹿は貴様だ――ワルドは心の中で呟いた。 「よし! では、竜騎士部隊よ、いっせいにヤツに魔法を浴びせよ! 骨すらも炭に変えてくれるわ!」 大げさに身を翻して、指示を出すジョンストン。 ――馬鹿め。 ワルドは船から身を乗り出しながら、その様子を眺めていた。あの男に魔法が通じないことは先刻承知している。 「なっ」 案の定の展開だ、ワルドは一人笑う。目の前で口を開けて呆然としているジョンストンの姿が滑稽で仕方がない。 ウルフウッドはデルフリンガーで大きさ数メイルはある炎の弾を切り裂くと、パニッシャーで狙いをつけて、竜騎士を二機撃ち落した。 「ば、馬鹿な! 何をやっているのだ! 真面目にやらんか! もっと魔法を! 魔法を浴びせかけよ!」 ――まともな状況判断も出来ない愚か者め。自分に実戦経験がないから、戦況を正確に把握できないのだ。 ワルドははね付き帽子を目深にかぶって、慌てふためく背後のジョンストンの姿をあざ笑う。 戦場においてもっとも重要なのは、正確かつ迅速な判断だ。間の抜けた上官の指示に馬鹿正直に従って、意味のない特攻を繰り返させられている竜騎士たちは、ワルドにとっては心底憐れむべき対象でしかなかった。 案の定、魔法をデルフリンガーで切り払われると、ほぼ同時に今度は三機の竜騎士が撃墜された。 「何をやっているのだ、この馬鹿者共めが! こうなれば、全員突撃! 突撃を仕掛けよ!」 ワルドは小さく胸で祈る仕草をした。ボーウッドはそんなワルドの様子を忌々しそうににらみつける。 状況的に竜騎士の全滅は必至だ。ワルドはその状況を上からのんびりと眺める。 ウルフウッドの使う銃の破壊力は確かに恐ろしい。銃としての性能はハルケギニアの常識をはるかに上回っている。 しかし、いくら破壊力があるといっても、あの銃弾であれだけ簡単に戦艦を撃沈できるとは思えない。なにか、隠し玉があるはずだ。 ――さぁ、見せてもらうか。君の手の内を。 竜騎士隊が全滅した頃合を見計らって、ワルドはゆっくりとフライの魔法で空へ浮かび上がった。 $ 「相棒、これでやっかいなのは全部撃ち落したぜ!」 相手竜騎士の炎の魔法をことごとく打ち消したデルフリンガーが嬌声を上げた。 ウルフウッドは無言のまま頷くと、レキシントン号の真下へと切り込んでいく。 そこには占領行動に出でいた兵士たちもいたが、ウルフウッドの前にあっさりと竜騎士団が全滅したのを目の当たりにして、彼らは蜘蛛の子を散らすように逃げ始めていた。 「ちらほら、敵さんの姿が見えるけれどもよ、どうする?」 「んなもん、いちいち相手にしとったらきりないわ。目標は相手の戦艦のみや。それさえ落としたら、後はこっちの連中がなんとかするやろ」 「了解だぜ、相棒」 そうは答えたものの、ウルフウッドはどこか腑に落ちないものを感じていた。例のワルドの存在だ。 ウルフウッドはワルドが今回の一件に絡んでいるとにらんでいたが、それにしては事があっさりと進みすぎている。 ――随分と、大人しいやないか。何を企んどる? 「相棒! 今だぜ」 デルフリンガーの声で一旦思考を止めたウルフウッドは、まっすぐにパニッシャーをレキシントン号に向けて構える。 例のガンダールヴのルーンのおかげだろうか、本能的にどこを打ち抜けば艦を落とせるかが、わかる。 「これで、終いや」 引き金を引いた。ランチャーがまっすぐにレキシントン号の腹へと向かって、飛んだ。 $ 地面から突き上げてくる衝撃に、ボーウッドとジョンストンは甲板で宙を舞った。甲板に体を打ちつけたボーウッドは鈍い声を上げる。 「ぐっ、な、なんだ? これは、爆弾か?」 状況を把握できないままに、ボーウッドは立ち上がった。慌てて、船から身を乗り出し、下を覗き込む。そこではどす黒い煙がもうもうと昇っていた。 「馬鹿な、こんな芸当が出来るとは……。確かに、これでは先行した巡洋艦が撃ち落されたのも頷ける」 ハルケギニアにおいて、戦艦を撃ち落すのは、艦隊戦による大砲の応酬もしくは竜騎士による近接戦闘と相場が決まっている。だが、しかし今回のケースはそのどちらにも当てはまらない。 基本的にこのような戦艦は竜騎士による火の魔法に対して固定化の処理を行っているものだが―― 「物理的な衝撃と、強力な火炎を併せ持つ攻撃など、聞いた事がないぞ……」 呆然とするボーウッド。彼は、自分たちの見通しの甘さを後悔した。 「こ、これは一体どういうことだ、ボーウッド!」 青ざめた表情でジョンストンがボーウッドに詰め寄った。 「……閣下。火の回りが早い。この船は墜ちます。脱出の用意を」 「このレキシントン号が落ちるというのか!」 「ええ、その通りです」 ボーウッドは冷静に事態に対処する。こうなってしまった以上、後に残った選択肢はいかに被害を少なくするかしかない。 「ちょ、ちょっと待て、ボーウッド! こ、これでは私にどうクロムウェル宰相に申し訳しろというのだ、え? わが国最大の艦隊を、たった一人に沈められたなどと」 「残念ですが、それが現実です」 「ふざけるな、わ、私は認めないぞ! 全員で消火活動に当たれ! 船員の退避など認めん!」 「往生際が悪いですぞ、ジョンストン司令官」 ボーウッドとジョンストンが振り返った先で、ワルドがゆっくりと甲板に着地した。 「往生際、が悪い、だと? ワルド子爵! そもそも竜騎士隊を任せた貴様がもっとしっかりしておれば、このようなことにはならなかったのだぞ!」 「お言葉ですが、手の内も分からぬ相手に無策に突っ込んでいくばかりでは、いかに歴戦の兵士といえども、勝てませぬ」 「き、貴様、私を愚弄するのか!」 「事実を申したまでのことです」 ワルドの言葉に逆上したジョンストンは杖を引き抜いて、ワルドへと向けた。その様を見たワルドはすばやくジョンストンの懐にもぐりこむ。 「司令官殿。こういった場合には、最高責任者が艦と運命を共にするというのが、軍人の美学ですぞ」 「わ、ワルド、貴様、自分が何をしたかわかっているのか……」 力なく開いたジョンストンの口から、血があふれかえった。ワルドの杖が彼の胸に深々と突き刺さっている。 「せめて、家名を汚さぬよう、この船と運命を共にするが良かろう」 ワルドはジョンストンの体を右足で押し出すように蹴りだした。ジョンストンの体が傾いた甲板を転がっていく。 「ワルド子爵、貴様何を考えている?」 「無能な司令官と共に心中するのは、あなたとて本意ではありますまい。ところで、その杖を仕舞っていただけますかな? 貴殿に危害を加える意図はありませぬゆえ」 ワルドに向かって杖を構えたままのボーウッドに対して、ワルドは悠然と笑ってみせる。 「貴様、わざと、いやわかっていたな? こうなることを?」 「さぁ、軍人にとっては上官の命令は絶対ですからな。それはあなたとて同じこと」 「……どうするつもりだ?」 「この船を落とした男を葬り去る。そのために一つ艦隊が消えてしまったわけですが、十分にトレードオフすると思いますがね」 「いくらスクエアの貴様とはいえ、戦艦を一人で撃ち落すような男に勝てるのかね?」 「相手の手の内がわかれば、あとは対応するだけですからな」 「まさか貴様は相手の手の内を見るためだけに、一つの艦隊を犠牲にしたというのか! 貴様は正気か!」 「いたって正気ですよ、艦長殿。ヤツはどうしてもこの手で殺さねば――収まりがつきませぬ」 ワルドはにやりと笑う口笛を吹き、風竜を呼んだ。 ボーウッドがくるりと背を向けるワルドに声を掛けようとしたとき、一人の兵士が慌てて、甲板に躍り出てきた。 「か、艦長! ダメです! 火の回りが速すぎて、消火が間に合いません!」 「ええい、本艦はもうだめだ! 総員に退避命令を出せ!」 兵の声に振り向いて大声で答えたボーウッドは、慌ててワルドに視線を戻そうとした。しかし、ボーウッドが甲板へと上がってくる兵の声に気をとられた隙に、すでにワルドは飛び立った後だった。 $ 「終わったな、相棒。残党狩りは正規軍の奴らに任せて、俺たちはずらかるとしよーぜ」 デルフリンガーがのんびりした調子で声を掛ける。煙に包まれたレキシントン号がゆっくりと高度を下げていた。しかし、ウルフウッドは上空を見据えたまま、動かなかった。 「いや、まだや」 「あん?」 「まだ、一番厄介なヤツが残っとる」 ウルフウッドの視線の先、そこには風竜にまたがるワルドの姿があった。 「やぁ、使い魔くん。久しぶりだね」 「……随分のんびりとした登場やな。オンドレの船、もうすぐ沈むで」 「もったいないけど、仕方ないさ。おかげで、いいものが見られたからね」 ワルドの言葉にウルフウッドは舌打ちをした。手の内を見られたこともそうだったが、それ以上にそれだけのために艦を一つ犠牲にする精神が気に食わなかった。 「あの後、焼け跡からキミの死体が見つからなかったときは、本当に驚いたよ。あの出血でまさかとは思っていたけど、本当に生きているとはね」 「そらご期待に応えられんで悪かったな。どうやら、ワイ、地獄からは嫌われてるみたいやねん」 にらみつけるウルフウッドを見ながら、ワルドはくくっと喉の奥で笑い声を上げた。 「まさか。僕はむしろ感謝したい気分だったよ。こうして、ちゃんと君を自分の手で殺せることにね!」 挨拶代わりにウィンドブレイクを放つワルド。ウルフウッドはそれをデルフリンガーで横なぎに払い捨てる。 「今日は君一人かい? ご主人様はどうした?」 「あんな何の役にも立たん小便くさいガキ、置いてきたわ」 「それは残念だ、彼女にもぜひともお礼がしたかったのだけれどもね!」 ワルドは三つ続けざまにウィンドブレイクを放った。まっすぐに風の塊がウルフウッドに向かう。 「学習能力がないんか、オンドレは?」 ウルフウッドはそれらをデルフリンガーで簡単に払った。魔法を吸収できるデルフリンガーの前では、ウィンドブレイクなど物の数ではない。 「何、ただの準備運動さ。本番は、これからだよ」 おもむろにワルドは杖を持ち上げた。そして風の塊を放ち、レキシントン号の窓を叩き割る。 「?」 ワルドのとった行動にウルフウッドはとっさに身構えた。その様子を見て、ワルドは満足そうに笑う。 「君のその剣、吸収できるのは魔法だけだったな」 「相棒、やべえ!」 デルフリンガーの声が響くやいなや、ウルフウッドはバイクから飛び降りる。 「身軽になったか。いい判断だ。だが、これだけの数、貴様には避けきれまい!」 ワルドが再び杖を振るった瞬間、風に巻き上げられて数百本の矢が窓から飛び出してきた。巻き上げられた矢は、まっすぐにウルフウッドに向かって飛んでくる。 「相棒! オレは魔法力は吸収できるが、魔法力を受けて加速した物体を止めることは出来ないぜ!」 「わかっとるわ!」 無数の矢が竜巻の様にウルフウッドを取り巻いて旋回する。そして、 「串刺しになるがいい」 ワルドが杖を振るった瞬間、それらがいっせいに襲い掛かって来た。 「くっ」 ウルフウッドはパニッシャーとデルフリンガーを振り回して、襲い掛かる矢を払い落としていく。パニッシャーとデルフリンガーの重量を活かした衝撃の前に、放たれた矢は次々と散っていく。しかし―― 「なるほど、見事なものだ」 ワルドが感嘆の声を上げた。 「あれほどの矢を放って、たったの三本しか刺さらないとはな」 ウルフウッドは矢の刺さった左足をかばうように身を屈めたまま、悠然と風竜にまたがるワルドの姿を視界に映す。 三本の矢は左足のふくらはぎ、背中、そして右肩に刺さっていた。傷口から静かに血が滴り落ちる。 $ 「にらみつけているだけで、撃っては来ないのかい?」 ワルドが余裕の表情でパニッシャーを杖で指した。 「くそったれが。今日はまた、随分と饒舌やないか」 ウルフウッドが吐き捨てるように言った。 「相棒、こいつはまずいぜ」 デルフリンガーの言葉をウルフウッドは無言で受け流した。 この距離から狙撃しても、ワルドの風の防御壁のおかげで弾丸は当たらないだろう。唯一活路を開く道としては、接近戦に持ち込むことだが ――風竜にまたがって空中にいるワルド相手に接近戦に持ち込むのは不可能に近い。 「お得意の遍在いうのは使わへんのか?」 「悪いが、そんな安っぽい挑発には乗らない。前回は下手に遍在なんかを使ったせいで、魔法力が切れて、あんなピンチになったわけだからね」 ワルドは余裕で笑う。 「そちらこそ、例の船を落とした切り札でも使ってみたらどうだい? きれいに君に打ち返して差し上げよう」 ワルドは心底愉快そうな笑い声を上げた。前回不覚を取った相手を、今度は完膚なきまでに追い詰めている。それはとてつもない快楽だった。 「さてと、先ほどはガンダールヴらしい人間離れした動きだったね。けど、傷だらけの体で、次同じ攻撃を受けて、はてさてどこまで耐えられるかな?」 ワルドゆっくりと杖を振り上げた。再び風の魔法が、レキシントン号の窓から大量の矢を運び出す。 「相棒、次は本当にまずいぜ! どっかに身を隠すところを探せ!」 「アホ。無理や。こんなだだっ広い平原、どこに隠れろっちゅうねん」 半分あきらめたような口調のウルフウッド。 「相棒! お前さん、大人しくハリネズミになる気か!」 「アホか……」 ウルフウッドは自分の周りを取り囲む無数の矢を見ながら呟いた。 この状況で活路を開く方法があるとしたら、それはたったの一つだけだ。この矢の中にあえて飛び込んで、防御を度外視して、この矢の嵐を抜けて銃弾を打ち込む。 賭け、だ。この魔法を使っている間、ワルドは風の防御壁を張れないと仮定しての。 ウルフウッドはパニッシャーを盾にして、矢の中へ飛び込んだ。 「何?」 しかし、彼の予測は大きく外れた。矢は彼を避けるように後ろに広がったのだ。 「まさか……」 「くくっ。残念だったね。これくらい精密に矢を操ることが出来るのだよ、私は」 ワルドが悠然と笑う。パニッシャーを盾にして飛び込んだため、ウルフウッドの背中はがら空きだった。 ――終わりか。 ウルフウッドが歯噛みして、あきらめかけた、その瞬間、彼の身の回りを炎が包んだ。その炎は蛇のようにウルフウッドの周りを一周すると、全ての矢を飲み込み焼き尽くした。 $ 「ウルフウッド君。無茶は困りますぞ、全く」 ウルフウッドはゆっくりと声の方向を振り向く。 そこには見慣れた顔――コルベールが腰に杖を当てて、立っていた。 「センセ。あんた、なんでこんなとこに」 ウルフウッドの言葉にコルベールは柔らかく笑って答える。 「……貴様、何者だ?」 勝負に水を差されたワルドが低い声で、コルベールに尋ねた。 「別に名乗るほどのものでもないですよ。グリフォン隊隊長のあなたのように地位のある人間ではないのでね」 そして、コルベールは再びワルドへ向かって杖を構えた。 「もっとも、母国と自分を信じてくれていた人間を裏切るような輩に、名乗るべき名前はないというのが本音ですがね」 コルベールの挑発に対して、ワルドは無言だった。そして、ゆっくりとワルドはコルベールの能力を分析し始める。先ほどの魔法から推測するに、おそらくは火のトライアングルクラス。厄介なヤツが戦場に現れた。 「って、なにやっとんのや! このハゲッ!」 と、唐突にウルフウッドがコルベールの頭を思い切りしばいた。 「なっ?」 あまりにも予想外の事態にワルドの動きが止まる。コルベールの頭に見事に赤い跡が出来た。 「あんた、じょうちゃんの面倒を頼んだやろ! それがなんで、こんなとこにおんねん!」 「いたた。人の頭を気安く叩いてくれますね……。大体、あなただって偉そうなことを言っていたくせに、そもそも大ピンチだったじゃないですか」 コルベールは頭を押さえながら反論した。 「うっ」 痛いところを付かれてウルフウッドは黙り込む。 「全く、人の頭を気安く……。大丈夫ですよ。ミス・ヴァリエールはちゃんと安全なところに隠れてもらっています」 「……ほんま頼むで」 「ええ。彼女を、こんな血なまぐさい世界に引きずり込むわけにはいきませんから」 そして、ウルフウッドはすばやくコルベールの前に立ちはだかり、ワルドの放ったウィンドブレイクをデルフリンガーでなぎ払った。 「まったく油断もすきもない奴やで」 不意打ちに失敗したワルドが小さく舌打ちをする。おそらく、コルベールともウルフウッドとも一対一で戦えば、ワルドは勝てるだろう。しかし、それが二人同時なら――わからない。 ワルドにとってはせめて今の不意打ちででも、コルベールは倒しておきたかった。 「センセ。あんた、二度と人に向けて魔法は放たへんのと違たんか?」 ワルドの動きを見据えながら、ウルフウッドがコルベールに声を掛けた。 「あれは魔法で人を傷つけたくない、という意味ですよ」 「なら、なぜ戦場に出てきた?」 「自分の友人が危険な目に遭っているのに、それを見過ごすのは、魔法で人を傷つけることと同じ。違いますか?」 「友人……な」 ウルフウッドはコルベールの言葉を反復して、小さく笑った。 「なにかおかしいですか?」 コルベールは不思議そうにウルフウッドを振り返る。 「いや。そうか、ワイは、センセの友達、やったんやな……」 「ウルフウッド君?」 「いや、なんでもない」 ウルフウッドはパニッシャーとデルフリンガーをゆっくりと構えた。アホみたいな話やで、と小さく呟いた。 「センセ、この戦いが無事終わったら、酒奢ったってもええで?」 「あいにく、収入のない君にたかる気はないですよ」 「そうかい」 「ええ。――ただ、お酒を飲むという案には賛成です」 「ほな、ちゃっちゃっと終わらせたろか!」 ウルフウッドはパニッシャーを振り回すようにして、銃口を開いた。その背後でコルベールが杖を構える。 「……調子に乗るなよ」 二人の様子を見て、ワルドが苦々しげに呟いた。 前ページ次ページ虚無と狼の牙
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/4728.html
973: ナイ神父MK-2 :2016/07/04(月) 00 56 31 憂鬱日本大陸化ネタ 1942年編 其の6 アジア艦隊の壊滅以降、アメリカ太平洋艦隊の重要拠点にして、日本の西海岸上陸を防ぐ最後の砦であるハワイ、パールハーバー には現在大西洋艦隊からも艦隊を回航して決戦に備えた準備が行われていた。中にはアメリカの最新鋭艦であるアイオワ級やエセックス級の 姿も見られ、其の上に載る艦載機にも多数のF6Fの姿が確認でき正に総力戦といった様相を呈していた。この威容には艦隊の指揮を行う ハルゼーも驚きを隠せず、隣に居るパイ大将へと話しかけていた。 「良くこれだけの戦力を集められましたね。」 「東海岸からも戦力を引く抜いてきたのだ、お陰で大西洋の守りは薄くなっている。」 「大丈夫なのですか?最近は枢軸が日本寄りになって日本から海軍戦力を購入していると聞き及んでいますが。」 「現状アメリカと枢軸が戦う要素はない、政府はそう考えている。」 「随分と楽観的ですが、何か理由が有るのですか?」 「現在支援しているイギリスは、腐っても元は7つの海を支配した海上帝国だ 東洋艦隊が壊滅しても未だ同数の戦艦と空母を所有している。多少戦力が増えた所で海上での防衛はイギリス単独で可能 そう考えたのだろう」 「だと良いですが、最近のジャップ共の戦力は異常です。」 「其れは私としても解かっている。しかし、ホワイトハウスは其れを余りに軽視しているのだ、確かに日本が10倍近く巨大化したなどと言う話しは 馬鹿げている。だが、実際に日本の戦力は上昇しているのだもう、唯の黄色い猿などと呼んで侮っている場合ではないのだ・・・」 パイ大将の懸念を示した懸念の通り、現在日本ではアメリカ太平洋艦隊の撃滅とハワイ諸島制圧を目指して多数の艦隊が出航準備を終え 命令を待つばかりと成っていた。作戦を待つ将兵の中には第二艦隊の指揮を務める伊藤整一海軍中将の姿もあった彼自身は夢幻会に所属していなかった 物の、大陸化の混在を大きく受けた人物であった。 「いよいよ作戦開始か、あの時は再び率いれるとは考えもしなかったのだがな・・・」 「以前と言いますと?」 「ああ、艦長はこの世界の記憶のみだったな。」 「はい、他の同期にはフランスやオランダ、はたまたソ連と同盟を結んでいた世界の記憶があると言う話も聞きますが、 自分にはさっぱりです。ですが実際に証拠があり、此の艦もオランダと同盟していた世界から流れてきた大和である以上、信じない訳には 行きません。指令はどちらからですか?」 「私は巨大化する前の日本に比較的近しい世界からだ。其の世界では我々日本はアメリカに追い詰められて、沖縄防衛の為の特攻作戦に 今と同じ立場で臨んでいた・・・しかし、敵の航空機に制空権も護衛も居ない中攻撃にあってな意識途切れたと思ったら自宅の布団の中だ、 あの時は妻を驚かせてしまったぞ。」 「それは・・・」 「あの時は我が国に力が足りなかったのだ、しかし、今回は違う米国と対等に渡り合うに相応しい戦力が用意されている。今度は特攻作戦など 起こさせん。」 「今回はそんな結末に成りませよ、大和に加えて伊吹に相模、大鳳型や瑞穂、信濃まで投入した大艦隊です航空戦だろうが砲撃戦だろうが負けはしませんよ」 「そうだな、今度こそ英霊としてではなく生きた人間として陸に帰れる様に努力しよう」 様々な人間の思いを乗せながら日米の両艦隊はお互いの母港から艦隊を出航させ、彼等はハワイ沖で激突する事となる。 艦隊の発見はやはり電探の性能に勝る、日本艦隊の先制から始った。対する太平洋艦隊も数分遅れで敵を発見、激しい制空権争いが繰り広げられるが 時間を置く毎に不利に成っていくのはアメリカ海軍であった。 974: ナイ神父MK-2 :2016/07/04(月) 00 57 06 「最新型のF6Fだぞ、何で、何で追いつけないんだ!」 「味方は何処だ、援軍をはや・・・」 「敵は全機ジェット機だ、何時の間に烈風から変わったんだよ!」 「あれは本当に日本製なのか!?ナチの奴等が流したんじゃ・・・」 「デカイくせしてなんてスピードだ!」 制空権を維持する為の戦闘機部隊が質による蹂躙を受けているのと同時に艦隊にも多数の駆逐艦や攻撃機ら対艦ミサイルが飛来、米艦隊に飽和攻撃を行っていた 戦艦や正規空母こそ艦橋損害が軽微で航行などに支障は無かったが、駆逐艦を初めとした小型艦や護衛空母などの防御の薄い艦は装甲や飛行甲板を食い破られ 機関や弾薬庫を誘爆させて撃沈する艦も出始めていた。 「ダメージレポート!」 「主砲や機関は無事です!しかし、今の攻撃で機銃や高射角砲に多数の被害が出ています!」 「一部の艦と連絡が取れません!通信用の装備か艦橋にダメージを受けたと思われます!」 「今の攻撃で各空母の飛行甲板が破損!離着陸不可能です!」 「畜生!これじゃ敵艦に砲撃する以前の問題だ!」 ハルゼーは思わずそう叫ぶも、叫んだからといって現状が代わるはずも無く、状況は更に悪化していた。 「敵主力艦を確認!周囲の艦と比べる限り、長門型以上の大型艦が多数!」 「馬鹿な、長門以上の艦が複数?4隻だけではなかったのか・・・」 「敵艦隊砲撃を開始しかしました!」 「撃ち返せ!性能だけが勝敗を決しないことを奴等に見せ付けろ!」 しかし、その命令も空しく砲撃戦開始から2時間後に旗艦となっていたニュージャージーが大和型の砲撃の直撃を受けて撃沈 新鋭空母であるエセックス級もレキシントンやエセックス等を攻撃隊の雷撃で失っている。また、この戦いでパイ大将が ニュージャージーと運命共にして死亡、生き延びたハルゼーと乗艦であるアラバハマは生き残った残存艦を率いてハワイへ離脱している。 太平洋艦隊の脅威が取り払われたと考えた日本軍は此処で、待機させていた神州丸型及びあきつ丸型を含む多数の揚陸艦部隊を 展開しハワイへの上陸作戦を開始する。此れに対してアメリカ陸軍も用意していた新型のM4中戦車やM12駆逐戦車ジャンクソンなどを 用意し、日本軍に備えるが日本があざ笑うように投入した回転翼機桜花によって追い詰められていく。桜花のロケット弾攻撃や 機銃掃射に対して有効な手立てを持たない戦車や歩兵は追い回された上30mm連装機関砲や対戦車用のロケット弾で吹き飛ばされ 一部の歩兵が対戦車砲を上空に向けて撃つも悠々回避されひき肉にされている。そして陸上が混乱した所を狙い発動艇によって 上陸した日蘭世界のチハや上陸部隊により上陸地点が確保されて日本製の戦車揚陸艦からも重戦車や発動艇に乗らない中戦車部隊が 上陸を開始して、アメリカ陸軍と激しい上陸戦を始める。 975: ナイ神父MK-2 :2016/07/04(月) 00 57 39 「畜生!何がM4なら数で勝てるだ!そもそも効果ないじゃないか!」 「M12の部隊は何をしてるんだ!さっさとあの重戦車を排除してくれ!」 「無理だ!さっきの光景を見ただろ、今出て行けば空中を旋回してる奴に見つかっちまう!」 「P47はどうした!?支援は!?」 「だめだ!こっちの航空機連中まるで七面鳥かなにかみたいに日本軍落とされてる!」 アメリカ軍の悲鳴他所に、とある九七式中戦車の中では一人の兵士が愚痴を零していた 「くそ、此れがあの時、いやこの世界で作った九七式でも開発できてればポルシェビキ共の好きにはさせなかったのに」 「今更愚痴っても仕方ないだろ?それに、この世界ではあの事件自体起きてないんだ、お前もアイツが生きていたのを確認したはずだ。」 「それは解かってるんだが、どうしても考えてちまうんだよ、あの時技師の連中の話をもう少し聞いてあの九七式が量産されてりゃなって」 「・・・今の敵はアメリカだ、露助じゃない。其処は間違えるなよ」 「解かってるよ」 この1月後、日本陸軍はハワイ諸島全島を占領アメリカへの本土攻撃の足を確保している。また、パールハーバー占領時に自沈処理が間に合わず 残されていたアイオワやアラバハマ等一部のアメリカ軍艦の接収に成功、性能調査の為に本土へと回航されている。更にハワイの陥落によって アメリカ西海岸の州で不安が高まるも、東海岸や中央州では未だに戦意が高く、徐々に州間で意識の乖離が目立ち始める事となる。 976: ナイ神父MK-2 :2016/07/04(月) 00 58 10 以上ですWIKIへの転載は自由です。
https://w.atwiki.jp/shinsen/pages/178.html
刀系 あざまる (アザマル) 【刀】 基本性能 価値 重量 攻撃力 耐久度 6 14.3 36 58 命中補正 回避補正 物理耐性 妖術耐性 +2 +2 − +10 装備可能 侍、忍、鍛 装備区分 剣術系武器 必要Lv 8以上 付与効果 耐久-5 器用-5 知力-5 魅力-5 全属性-5 妖力 呪い・壱(20回) 備考 尾張のクエスト「忠義の旅人」の報酬 取引不可
https://w.atwiki.jp/nolnol/pages/127.html
刀系 あざまる (アザマル) 【刀】 基本性能 価値 重量 攻撃力 耐久度 6 14.3 36 58 命中補正 回避補正 物理耐性 妖術耐性 +2 +2 − +10 装備可能 侍、忍、鍛 装備区分 剣術系武器 必要Lv 8以上 付与効果 耐久-5 器用-5 知力-5 魅力-5 全属性-5 妖力 呪い・壱(20回) 備考 尾張のクエスト「忠義の旅人」の報酬 取引不可
https://w.atwiki.jp/imagin-of-aaa/pages/98.html
身長:152cm 体重:48kg 誕生日:7月28日 血液型:B 趣味、特技:日舞 阿羅耶識のなかでも屈指の古い家柄の出身。 古風な家で箱入り娘として育てられ、 非常におっとりした性格に育った。 神楽の舞を得意とし、篠宮清音とは親友。 (カード裏面解説より) もともとは能力の使い勝手の悪さから本家ではあまり使われていなかった。 が、強化されて再録した際にその能力から黒使いにとっては悪夢のカードと化している。 とある赤使いの証言。 “あざか?立った時に相手が黒ければほぼ確実に殴らなくても勝てるね。” スキルの棒はよくマーリンや沖田に突き刺さっている。 そんな彼女の言葉は心に突き刺さる。 819 名前:ゲームセンター名無し 投稿日:2008/03/16(日) 16 00 28 ID y/wgeXJQO 友達が大海をスーパーあざかって呼ぶから、俺の中であざかが変な立ち位置になってしまった 820 名前:ゲームセンター名無し 投稿日:2008/03/16(日) 16 24 33 ID 2kgkDaWoO 819 あざか「きたねえ花火だ」 夏祭りの娘「……」 こうですか?わかりません! 59 :ゲームセンター名無し:2007/04/10(火) 00 26 06 ID MLaMEME80 清音「ねー、あざかちゃん」 あざか「なぁに?」 清音「質問って、相手に何か尋ねることだよね?」 あざか「そうだよ、どしたの?」 清音「んー…ま、いいや」 あざか「そっかぁ」 清音「いー天気だねぇ」 あざか「そーだねぇ」 誰かコレもテンプレに追加してくれwww 17 名前:あざか厨撲滅委員会 投稿日:2009/05/14(木) 19 06 58 ID hB4xeycaO あざか厨復活祭 21 名前:ゲームセンター名無し 投稿日:2009/05/14(木) 23 34 53 ID b7dE7vQQO 17 ?誰のこと kwsk 22 名前:ゲームセンター名無し 投稿日:2009/05/15(金) 00 13 36 ID uftp2S1h0 埼玉県あざか市
https://w.atwiki.jp/ucasaga/pages/144.html
蜂谷あざみ はちやあざみ 蜂谷あざみとは、りんの黒歴史ノートから生み出されし才色兼備少女。 設定 蜂谷神社の神主の一人娘。 幼い頃に母と死に別れた。神主の父と二人暮らし。 神代第三中学校二年四組に通う中学生。 14歳。B型。身長165cm。菫色がかった髪が特徴。 物心つく前に病死した母親のことは写真でしか知らない。 神社が市街地から外れた北の端に位置しているので幼馴染などもおらず、小学校低学年までは一人でいることが多かった。 10歳のときに蜂巣ノ池の脇にある蜂巣湿地に生えていた小さなトネリコの木を見つけ育て始める。かなり早く成長していくこの木を育てることで幼少期の寂しさを紛らわせるうち、いつの間にか自身も大人になり周囲から頭脳明晰・容姿端麗の才色兼備として認知されるようになる。 それでも本当に心を許しているのは、父以外では蜂巣ノ池の“世界樹”だけというのが現状であり、なんとか変わりたいと願っている。 (随時追加) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/junretsuwago/pages/779.html
辞書 品詞 解説 例文 漢字 日本国語大辞典 名詞 ① 近世、土地の小名。明治時代市町村合併以降は近世の村を大字、それ以下の小名を小字と呼ぶようになった。普通は小字を単に字という。あざな。 〔地方凡例録(1794)〕 字 ② 家々のかたまり。小さな集落。 ※闇の絵巻(1930)〈梶井基次郎〉「道の傍らには小さな字(アザ)があって」 広辞苑 名詞 町村内の区画の名。大字と小字とがあり、普通は後者を単に字という。 字 大言海 名詞 あざな(地名ノ)ノ條ヲ見ヨ。 字 検索用附箋:名詞名称 附箋:名称 名詞