約 3,521,665 件
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/610.html
家族を作るということは、ゆっくりにとって最上の生存目的である。 人間と同じく、身体的精神的な快楽を求めて生きるのがゆっくりだが、 その中でも、つがいを見つけて子供を作り、家族で団欒する幸福は、 大多数のゆっくりにとっては、ゆん生において何よりもゆっくりできる至高の幸せだ。 愛しい夫と、妻と、愛の結晶である子供を成し、 互いに愛を確信しながら、身を寄せ合って共に生きる。 少なくとも、あまあまも玩具も知らない野生のゆっくりにとっては、 それ以上のゆっくりは想像できないのが通常だ。 飼いゆっくりを訓練する際も、 「家族を作る」という目的意識を「人間をゆっくりさせる」にすり替える過程において、 大多数の時間と労力が費やされる。 実際のところは、こうしたゆん生観の大転換が成功するほうが稀であり、 ほとんどのゆっくりが、ゆっくりとしての本能を捻じ曲げることに失敗して他の用途に回される。 ゆっくりショップに並んでいるような、多種の生物である人間の幸福を望み奉仕するゆっくりのほうが異常な洗脳饅頭なのだ。 それでさえ、多くは飼われているうちに種族の本能がぶり返して自分の子供を作ろうとし、 その結果人間に「ゲス」と呼ばれ、処分されることになる。 それほどにゆっくりにとって、自分で作る家庭とはかけがえのないものなのだ。 今、両親にとってその家庭は地獄そのものだった。 自らの手で、せせら笑いながらゆん生をズタズタにしたわが子が、 家族から離れて佇み、いつも氷のような視線で自分たちを見つめていた。 帽子と左目のない、全身傷だらけの子まりさは、 いつも意思とは無関係にうんうんとしーしーを垂れ流し、そこらに打ち棄てていた。 「おちびちゃん……きれいきれいしようね……」 垂れ流される便を、両親はかいがいしく処理した。 丹念にぺーろぺーろして床の便をかき集めて庭に捨て、子まりさの体表にこびりつく汚れを舌で落とした。 かつて赤ゆっくりだったころにもそうしてあげていたものだが、 「お前らが原因なんだから当然だ」というように、無表情でされるがままになっている子まりさの介護は、 とてもかつてのように心楽しいものではなかった。 両親のどちらかが近づくたびに、子まりさはナイフのような言葉で心をえぐってきた。 「やっちょころしちぇくれりゅの?」 「きょんどはみぎのおめめもとりゅの?」 「ぷーすぷーすしゃんはもうあきちゃの?」 その度に、両親は何度も何度も詫びるのだったが、子まりさは聞きもしなかった。 ただ死を望むばかりだった。 食事は日に二度、お兄さんが持ってきてくれた。 持ってくるのは二度だが、ゆっくりは通常、日に四、五回ほど食事をする。 充分な量の食事を、両親がきちんと配分して分配した。 もちろんのこと、子まりさにも平等どころか、むしろ多めに分配した。 持っていくたびに、生きる気力のない子まりさに両親は頭を下げて何度も食事するよう懇願し、 もはや家族を責め立てることにしか生き甲斐を見出していないらしい子まりさは、そうしてようやく口をつけるのだった。 楽しかるべき家族の食事はもはや団欒のときではなく、 こちらを睨みながら隅で佇んでいる子まりさに気兼ねしながら耐える苦痛のときでしかなかった。 自分達でずたずたにした我が子の前で、呑気に「しあわせーっ」などと叫ぶことなどできるはずもない。 食事時に「しあわせ」と発声できないことは、ゆっくりにとって想像以上のストレスである。 憎悪の篭った視線に射られながら口に運ぶ食事に味はなかった。 必死に詫び、乞い、なだめ、すかし、 両親は子まりさを家族の輪に入れようとしたが、 「またぷーすぷーすしゃんすりゅの?」 「まりちゃをこんにゃにしちゃゆっくちたちと、にゃにをしゅればいいにょ?」と言われては、 それ以上強いることもできなかった。 確かに、ゆん生がめちゃくちゃになるほどの暴行を受けた相手に囲まれ、さあ仲良くしろなどとは言えない 子供たちも、最初の頃こそ子まりさに詫びて泣いていたが、 子供は正直なもので、はっきりと口にこそ出さないものの、 時間がたつごとに便にまみれて臭気を放つようになった子まりさを疎んじる素振りが見えはじめた。 今では親以外、子まりさを食卓に誘う気配は見えない。 それどころか、言葉の端々に不穏なものが見え隠れしはじめた。 「じびゅんでこにゃいっていっちぇるんだから、あんにゃのほっといちぇいいのに……」 「おきゃーしゃん、まりちゃのごひゃんしゃん、おおしゅぎにゃい? どうしぇじぇんぶたべにゃいよ」 「おわっちゃこちょはしょうがにゃいよ!もういいきゃら、れいみゅたちだけじぇゆっくちちようよ!!」 そんな些細な失言にも、両親は強くたしなめ、叱りつけた。 善悪の道理の感覚がまだまだ薄く、贖罪の覚悟がない子供たちは、 両親のそんな叱責を窮屈に感じ、常時ふてくされ気味の態度で、 両親と子まりさから離れて子供たちだけで遊ぶようになっていった。 ベランダの隅から憎悪の視線を向けてくるうんうんまみれの子まりさ。 食事の時以外は両親から離れ、逆側の隅で身を寄せ合ってぼそぼそ喋っている子供たち。 子まりさに対して詫び、他の子供たちを叱りつける以外の会話はほとんどなくなった両親。 あんなに仲睦まじかった家族が、どうしてこんな事になってしまったのか。 夜毎に両親は身を寄せ合い、涙した。 誰を恨むこともできない、全面的に自分たちのせいであり、 あの子まりさがいる限り、家族のゆん生には贖罪しか残されていなかった。 当然、そこに一片のゆっくりもあろうはずはない。 あの時、お飾りのないゆっくりをあれほどに苛めなければ。 せめて目を潰さなければ、ぺにぺにを潰さなければ、まだ子まりさは許してくれたのかもしれない。 いや、きっと許してくれた、あんなにゆっくりできるいい子だったから。 親のまりさとれいむは歯噛みし、涙にくれて後悔しながら、 今は遠い彼方のものになってしまったゆっくりを偲ぶばかりだった。 しかし、それでも救いはあった。 少しずつバラバラになっていく家族の中で、 末っ子の子れいむだけが、根気強く家族を繋ごうとしていた。 姉妹たちに煽られて仕方なしに流されていた末れいむだったが、 この状況に耐えられなかったようで、必死に改善の努力をしはじめた。 両親と一緒になって、子まりさの排便の面倒を見ようとした。 ゆっくりできないうんうんの臭いは末れいむにとって涙が出るほど辛いものだったが、 誠意を見せたい一心で、懸命に口の中にうんうんを詰め込んで運搬した。 両親は止めたが、子れいむは毅然として言った。 「おねーしゃんはもっちょもっちょゆっくちできにゃいよ!! れいみゅのしぇいだきゃら、れいみゅがゆっくちできにゃくてもいいんだよっ!!」 子まりさは何も言わなかったが、 末れいむが自分の世話に参加するようになってからは、両親を責め立てる口数が心なしか減っていった。 姉妹たちと遊びながら、末れいむはこまめに子まりさの方にも顔を出した。 今日はこんなことを話した、こんな面白いことがあった。 返事をしない子まりさに向かって、末れいむは懸命に楽しい話をした。 他の姉妹も、強いて赤れいむを止めようとはしなかった。 通常、こうした目立った単独行動に出る仲間がいれば、 何も行動しない自分たちの後ろめたさを糊塗するために、 「いい子ぶっている」という理屈で攻撃性を剥き出し、苛めの標的にするケースが多いのは人間もゆっくりも同じだ。 しかし、元々性根が家族思いのこの姉妹にはそのようなことはなく、 引け目を感じながらも、子まりさの元に跳ねていく末れいむを黙って見送るにとどまった。 「あのにぇ、あのにぇ、きょうはにぇ、れいみゅおねーしゃんがね……」 「………れいみゅはゆっくちちてていいにぇ」 「ゆっ!?ゆゆっ、ゆっくちちてりゅよ!!まりちゃおにぇーちゃんも…」 「まりちゃのおめめとぺにぺにをつぶちて、みんにゃとゆっくちちちぇ、たのちいよにぇ」 「ゆぐっ…………」 ごく稀に子まりさが口を開いたかと思えば、辛辣な皮肉だった。 その度に末れいむは涙を浮かべて黙り込み、すごすごと引き下がるのだが、 それでも次の日には、また子まりさの元へ跳ねていく。 「おにぇーしゃん、しゅーりしゅーりちていい……?」 「……………」 「……しゅーり、しゅーり………ゆっくち、ゆっくちぃ……」 懸命になって子まりさを元気づけようとする子れいむを、両親は涙を浮かべて見守っていた。 あんなにゆっくりしている子がいれば、子まりさの心の氷もいつか溶けるのではないか。 この家族も、いつか、いつかきっと昔のようにゆっくりできる。 子まりさの心を氷で閉ざしたのはいったい誰なのか、 それは努めて考えないようにし、両親はかすかな希望にすがった。 「しゅーり、しゅーり……ゆぅ、おにぇーしゃんのおはだしゃん、ゆっくちしちぇるにぇ………」 「ゆっくちしちぇにゃいよっ!!」 子まりさが叫んだ。 「こんにゃにきじゅだりゃけでっ!!うんうんまみりぇのおはだしゃんが、ゆっくちしちぇるわけにゃいでしょっ!!」 帽子を捨てて以来初めて、子まりさが感情を剥き出しにしていた。 鬱屈した感情を正面からぶつけられ、末れいむは涙をこぼし、悲しげに目を伏せ、それでも答えた。 「ゆっくち………しちぇるもん……… まりちゃおにぇーちゃんの、おはだしゃん………きじゅだりゃけでも、うんうんでも……ゆっくち、しちぇるもん」 「うしょつくにゃ!!うしょちゅき!! だっちゃられいみゅもぷすぷすしゃれてみちぇよ!!ぺにぺにしゃんつぶちちぇよ!!おかじゃりしゅててよ!!」 「ゆ、ゆ………?しょんにゃ………」 「できにゃいよにぇ!!しょんにゃゆっくちできにゃいこちょ、じぇったいできにゃいよにぇ!! しょんにゃゆっくちできにゃいきゃらだになっちゃら、もうだりぇもいっちょにゆっくちちてくれにゃいもんにぇ!! まりしゃのこちょもゆっくちできにゃいっておもっちぇるくちぇに、ちらぢらちいよっ!!」 「………おにぇー、しゃん………」 末れいむはうなだれ、しばらく黙っていたが、 やがてゆっくりを向きを変えて家に向かっていった。 「もうきょにゃいでにぇっ!!」 子まりさは捨て台詞を吐いたが、その目には何日ぶりかの涙が浮かんでいた。 「おぢびぢゃん!!なにじでるのおおぉぉ!!?」 「やべでっ!!やべでね!!ゆっぐりがんがえなおじでね!!ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛だべえええええ!!!」 ボール箱で作られた我が家のほうから悲鳴が聞こえてきた。 何事かと子まりさが顔をあげると、あの末れいむが家族の制止を振りほどいてこちらへ向かってきているところだった。 その口には、あのぷすぷすさんが咥えられていた。 急速に冷めていく感情を視線に込め、妹の歩みをじっと待つ。 ぴょんぴょんと跳ねながら目の前にたどり着いてきた妹の顔とぷすぷすさんを交互に見て問う。 「しょれが、れいみゅのこちゃえ?」 「ゆっ!しょうだよっ!!」 「………わかっちゃよ。もう、どうでみょいいよ。はやきゅしちぇにぇ」 「ゆっ?ゆーっ、れいみゅ、できにゃいよ」 「……いましゃらにゃにいっちぇるの?」 「れいみゅ、じびゅんをぷーすぷーすできにゃいよ。おにぇーしゃん、おにぇがいにぇ!」 「ゆ?」 子れいむはそう言い、ぷすぷすさんを差し出してきた。 この妹は何を言っているのだ? 自分をぷすぷすして殺すのではなかったのか? それどころか自分に向かって、己を傷つけてくれと頼んでいる。 「れいみゅ、おにぇーちゃんといっちょがいいきゃら。 おにぇーちゃんといっちょにゆっきゅりしちゃいきゃら、ぷすぷすしちぇにぇ。 いっぴゃいぷすぷすしちぇ、おめめちょぺにぺにをちゅぶしちぇね」 「…………!!」 キラキラと目を輝かせ、笑顔で末れいむはぷすぷすさんをもう一度自分のほうに押しやってきた。 こいつはわかってない。 ぷすぷすさんがどれほど痛いのか、赤ちゃんを生めなくなることがどれほどの絶望かわかってない。 だから気軽にこんなことが言えるのだ。 思い知らせてやる。子まりさはぷすぷすさんを取り上げた。 しかし、できなかった。 ぶるぶる震えるぷすぷすさんの先を末れいむに向けながら、どうしてもあんよを踏み出すことができなかった。 「……おにぇーちゃん?どうしちゃにょ?」 「……………………」 「………なんぢぇ、ないちぇるの?」 「おぢびぢゃああああああん!!!」 両親が、姉妹たちが、駆け寄ってきていた。 「やべでっ!!おぢびぢゃんはいいがら!! ばりざおぢびぢゃんっ!!でいぶを、でいぶをぷすぷすしでねえええ!!」 「ごべんねっ!!ごべんねっ!!いままできづかなくてごべんねっ!! おどうざんが、いうべきだったのに!!おとうさんが!!ごうじでづぐなうべぎだっだのに!! ゆ゛ぐっ、おぢびぢゃっ!!おどうざんをずぎにじでいいよ!!ごべんねええええ!!」 「おねえじゃーっ!!でいびゅをぷずぷずしちぇえええ!!」 「ばりじゃも!!ばりじゃもおおお!!!」 家族全員が、子まりさに向かって腹を突き出す。 そして口々に、自分を傷つけてくれ、お前と同じようにしてくれと願った。 それを聞くうち、子まりさの口からぽとりとぷすぷすさんが落ちた。 「………お、とーしゃ………おきゃー………しゃ………」 「ハイハイハイ、ご立派!!お見事!!!」 お兄さんの声がした。 「いやあ、すばらしい家族愛でした。スバラシイッ! 償いのために、自らの体を差し出す自己犠牲の精神。ウツクしい。マネできない。 君たちのうるわしすぎる愛情に、お兄さん、涙がとまらないよ」 目元をハンカチで押さえながら、お兄さんは震える声で褒め称えてくれた。 お兄さんの前に並ぶ家族は、互いに視線を交わしながら「ゆふふ」と笑いあう。 子まりさも、まだ表情は硬かったが、一応は両親の傍に並んでいる。その傍らで末れいむがすーりすーりしていた。 「お帽子をなくして、傷だらけになってゆっくりできなくなった子まりさに対して、 決していじめたりせず、分け隔てのない愛を注ごうとする君たちの心根はホンモノだ。 認めざるをえないようだね………今の君たちは、弱い者苛めなどしない、本当にゆっくりしたゆっくりだ!」 「「「ゆゆーっ!!」」」 お兄さんに認められ、一同は満面の笑顔でもみあげやお下げを上げてガッツポーズをした。 「約束どおり、君たちを苛めることはもうしない。 こんな美しい家族を苛めるなんてできるはずがないじゃないか。 明日、森に返してあげよう。沢山のあまあまもお土産に持たせてあげよう。 今日はもう遅いから、あと一晩だけそこでゆっくりしていってくれ」 「ゆっくりりかいしたよっ!!」 「おにいさん、ありがとう!!」 「お礼なんて。むしろお礼を言うのは僕のほうさ。 こんなに心温まる家族愛を見せてもらってとってもゆっくりできたんだからね!」 「ゆーっ!それほどでもあるよっ!」 「おちびちゃん、それをいうなら「ないよっ」でしょ!ゆふふ」 試練を乗り越え、家族たちはこのうえなくゆっくりしていた。 これで家に帰れる。しかも沢山のあまあまを携えて。 子まりさはこんな体になってしまったが、そのおかげで、家族たちのつながりはより強固なものになったのだ。 子まりさを囲んで、これから沢山ゆっくりしよう。愛を交わそう。 両親のれいむとまりさは、万感の思いを込めて頬を交わした。 その夜は、久しぶりに子まりさを家に迎えて、みんなで語り合ってからゆっくりと眠った。 子まりさはまだ口数が少ないが、たっぷり時間はある。ゆっくりと仲直りしよう。 両親は寝る前に、子まりさと、そして末れいむを特別いっぱいぺーろぺーろしてあげた。 皆が寝静まった頃、親まりさはただ一匹、空のお月様を見上げていた。 お月様はまんまるさんだった。それは、今の自分たち家族を象徴しているようだった。 「ゆっくりしていってね………」 親まりさは穏やかな笑みを浮かべて、お月様に挨拶をした。 「「「ゆっくちおきちゃよっ!!」」」 「ゆふふ、おちびちゃんたちはおねぼうさんだね!」 ボール箱の家の中で、目を覚ましたおちびちゃんたちをぺーろぺーろしてあげる。 くすぐったそうに笑うおちびちゃんたちの表情に陰はない。 子まりさは強張ってはいるが、抵抗はしない。 この家で暮らすのも今日で最後だ。 終わってみれば、雨風はしのげるしご飯はお兄さんが持ってきてくれるしでなかなか快適な家だったが、 やっぱり、自分達で狩りをしてこそのゆっくりできる家族だ。 森へ戻れば、沢山の仲間達がまた迎えてくれるだろう。心配をかけちゃってごめんね、ぱちゅりー。 家族は箱を出て並び、お兄さんが出てくるのを待った。 出立が待ち遠しい。 帽子の内側を払ったりしながら、どれだけあまあまを運べるかの胸算用をする親まりさを見て、 親れいむが「ゆふっ」と笑った。 そうこうするうちに引き戸が開いた。 全員がそちらに向き直り、お兄さんに朝の挨拶をする。 「「「「「ゆっくりしていって「じゃおーん!」 「「「「「「ゆゆっ?」」」」」 出てきたのはお兄さんではなかった。 人間さんの頭部に合わせて見上げていた視線を、床すれすれに下げる。 「じゃおーん!じゃおーん!」 少しだけ開けられた引き戸の隙間から現れ、 鳴き声を上げながらこちらに跳ねてくる小さなゆっくり。 「ゆゆっ!ぐずのめーりんがいるよっ!!」 ――――――― 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆーっ!!めーりんはゆっくりしてないね!!ぐず!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「れいみゅのぷーすぷーすによいしれちぇいっちぇね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「それしかしゃべれないの?ぐず!!のろま!!ゆっくりしね!ゆっくりしね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆーん!おちょーしゃん、ちゅぐにきょろしちゃもっちゃいにゃいよっ!! まりちゃ、いっぴゃいあちょびちゃいよ!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆゆっ、そうだね!おとうさんうっかりしちゃったよ!! ことばもしゃべれないのろまはたっぷりあそんであげないとね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ちゃべれにゃいにゃらおくちにゃんかいらにゃいよにぇ~~? ゆーっ!こうぢゃよ!!ゆーっ!!ゆーっ!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 ゆっくり共が、小さなゆっくりを取り囲んで罵詈雑言を吐き、執拗に痛めつけている。 傷を負ったあの子まりさを除き、八匹全員がリンチを楽しんでいた。 親れいむが子めーりんのもみあげを噛んで持ち上げ、びたんびたんと床に叩きつける。 執拗に口を狙っていた。 「ゆっ!ゆっ!ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!」 「ことばもしゃべれないぐずめーりんなんかしかいにはいってこないでねっ!! こどものじょうそうっきょういくっにわるいよ!!」 「「「ぐーじゅ!!ぐーじゅ!!」」」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「おめめしゃんぷーす!ぷーす!!ゆっくちくるちんでいっちぇね~♪」 「じゃおーん!じゃおーん!」 子めーりんの両目に爪楊枝が差し込まれ、砂糖水したたる眼球が一気に両方ともえぐり出される。 眼球でサッカーをしながら子ゆっくり共はゆきゃきゃと歓声をあげた。 ふと、親まりさが気づき、爪楊枝を咥えて子まりさのもとへ跳ねていった。 「ゆっ!おちびちゃんもいっしょにあそぼうね!!」 「…………やぢゃ」 「ゆーっ?どうして?とってもたのしいよっ!!」 「………いじみぇて、たのちいの?」 「ゆん!とってもたのしいよ!!おちびちゃんもいっしょにあそぼうよ!!」 「………まりちゃ、やぢゃ。いぢめちゃく、にゃいよ」 「ゆゆぅ?どうしてぇぇ?! おとうさんも、おかあさんも、おちびちゃんといっしょにあそびたいよっ! みんなでいっしょにあそぶからゆっくりできるんだよっ!!」 「そうだよ、おちびちゃん!」「「おにぇーちゃん!」」 親れいむと姉妹たちも、子まりさに駆け寄って必死に誘う。 「ね、いっしょにあそびましょう?おちびちゃんにも、ゆっくりしてほしいの」 「………………たのちくにゃいもん」 「ど、どうして?まえはあんなにたのしく………」 「まりちゃ、やぢゃ!なんかやぢゃ」 「ゆぅぅ………ね、いもうとたちも、おねえちゃんとあそびたがってるよ」 「ゆーっ!おにぇーちゃん、いっちょにゆっくちちようよ!!」 「いぢめ、やぢゃ……わるいこちょだよ……」 「ゆー、れいむ………」 「ゆ、そうだね………かんちがいしちゃったんだね。 ね、おちびちゃん。ゆっくりよくきいてね。 もちろん、よわいものいじめはゆっくりできないことだよ。 おぼうしがなくてゆっくりできないゆっくりだって、いじめちゃいけないよね。 おとうさんもおかあさんも、とってもはんせいしてるんだよ。 でもね、おちびちゃん。むずかしいかもしれないけど、よくきいてゆっくりりかいしてね。 あのね、ぐずのめーりんはれいっがいっ!なんだよ。 のろまで、ことばもしゃべれないめーりんが、だれをゆっくりさせられるの? いきててもめいっわくっしかかけないでしょ?じゃあなんのためにいきてるのかな?かんがえてみようね。 ね、おちびちゃん。あれはいきものじゃないの。おもちゃなの。 めーりんがやくにたつことといったら、みんなのおもちゃになることだけじゃない? だから、めーりんをおもちゃにしてあげることは、とってもゆっくりできることなんだよ!!」 「ゆーっ!!しょうだよっ!!」 「おにぇーちゃん!!いっちょにあちょぼ?」 「ね、おちびちゃん………」 「…………やぢゃ!!やぢゃやぢゃやぢゃああ!!ごわいいいいいぃぃ!!」 「お、おちびちゃん…………」 ついに泣き出した子まりさを囲み、オロオロしだす家族。 僕はそこで出ていくことにした。 「おい、お前ら」 「「「「ゆゆっ?」」」」 一斉にこちらを向き、にぱっと満面の笑顔を浮かべて挨拶してくる。 「「「「ゆっくりおはようっ!!ゆっくりしていってね!!!」」」」 あの時と同じだった。 全く後ろめたさのない、真っ直ぐな瞳。 自分達のする事に一片の疑問ももたず、家族愛に自己陶酔して満ち足りた表情。 吐き気がした。 「いいお目覚めだな」 「ゆーっ!!やっともりにかえれるひだよっ!!きぶんそうかいっ!!だよっ!!」 「あー、その件だけどな、取り消しだ」 「ゆ?……………ゆゆゆゆゆゆゆううぅぅぅぅ!!!?」 不穏な台詞に、ゆっくり共が叫ぶ。 「なんでっ!?なんでなんでなんでええぇぇ!!?やくそくがちがうよおおぉ!?」 「おにーさんっ!やくそくまもってねっ!!うそつきはゆっくりできないよぉ!!!」 「僕は何も約束を破っていない。 言ったはずだ、お前らが弱い者苛めをしないゆっくりになったら、ってな」 「そうだよっ!!まりさたち、もうよわいものいじめなんてしないよっ!!」 「れいむたちをうたがってるのおぉ!?」 「じゃあ、それは何だよ?」 両目をえぐり出され、やはり全身に爪楊枝を突き立てられている子めーりんを指差す。 そんな姿でも、まだ「じゃおーん」と鳴き続けている。 「ゆゆっ?」 きょとん、と子めーりんを見つめる家族。 二回目ともなるとすぐに僕の発言が飲み込めたようで、すぐに難詰してきた。 「ゆゆーっ!!まさか、おにーさんっ!!これもよわいものいじめっていうきなのおぉ!?」 「当たり前だろ………」 「いいがかりだよおぉ!!むちゃくちゃだよおおおぉ!!! こんなのまでいじめちゃいけないのぉ!?なかよくしなきゃいけないのおおぉ!!? だったらっ!!いしさんだっておはなさんだってうんうんとだってなかよくしなきゃいけなくなっちゃうよぉ!! おにーさんっ、きょくたんすぎるでしょおおおぉぉ!!?」 「極端かい?」 「じょうっしきっ!!でかんがえてね!! いじめはよくないけど、こんなのまでだいじにしてたら、ゆっくりいきていけないよっ!!!」 「僕だって生類哀れみの令を発布したいわけじゃない。 同じゆっくりを、苛めるなと言うのが、どうしておかしいんだ?」 「ぐずめーりんなんかゆっくりじゃないでしょおおおぉ!?」 「こんなのゆっくりじゃないよっ!!ごみくずだよ!!! ことばもしゃべれないで、じゃおじゃおいってるだけのごみく――」 僕はそれに被せていた帽子を取り上げ、本来の――末れいむのリボンを取り付けてやった。 「ゆえっ?」 状況を認識するまでに十数秒。このとろさでよく野生で生きているものだ。 いや、死亡率はそうとう高いらしいから妥当か。 「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!」 「………あ゛………あ゛………あ゛…………あ゛………………!!!」 「おでえぢゃあああああああーーーーーーーーーっ」 あとは前回の再現だった。 末っ子れいむの惨状にながながと悲鳴を上げ、パニックを起こし、嘆き、詫び、 ぺーろぺーろできないだのおにいさんなおしてくださいだのと連呼した。 「どうしてわからないんだ、お前らは」 「ゆぐじでっ!!ゆぐじでぐだざいいいいいい!! ばりざが!!ばりざ!!まだいじべばじだああああ!!いじべでじばいばじだああああああ!!!」 「でいぶをごろじでぐだざいいいい!!おじおぎじでぐだざいいいいいい!!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 両目を失ってぴくぴく痙攣している末れいむを持ち上げ、見せ付ける。 「いいか。お前らがこいつをめーりんだと思ったのは、この帽子があるからだな」 緑色の小さい帽子を、もう一方の手でひらひらさせる。 ペットショップで購入した子めーりんの帽子を、ちょっと拝借してきたものだ。 「そして僕が細工した。こいつの口をテープでふさいだんだ」 末れいむの口に貼り付けたマスキングテープを、慎重に引き剥がす。 どうにか唇を破らずに済んだが、執拗に攻撃された口内は歯茎がずたずたに砕け、 ほとんど全て粉砕されたらしい歯の破片が大量に、きらきらと光りながらこぼれ出した。 「……ゆ゛……ぐ…………ゆ゛げぇ……」 「あ゛………あ゛………あ゛あ゛あ゛あ゛…………あ゛………お゛……ぢび、ぢゃ……」 「じゃおーん!じゃおーん!」 めーりんの帽子をひっくり返し、中に仕込んでおいた超小型のボイスレコーダーを見せる。 「じゃおーんの鳴き声は、このレコーダーに記録してループ再生させたものだ。 それだけで、お前らはこの黒い目黒い髪の、しかも我が子をめーりんだと思い込み、虐待した」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ………ごべ………ごべんだざ………」 「ぐずのめーりんはれいっがいっ!だってな? 喋れないからゆっくりできない、だから苛めてもいい。そう言ってたな。 じゃあ、もう喋れないこのれいむも潰していいわけだ。さ、いっくぞー」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!! ぢがいばずっ!!ぢがいばずううううう!!!べーりんもいぎでばずっ!!ゆっぐじでぎばずうううう!!! じゃべれだぐでぼいぎでる、おなじゆっぐじでずううううううううごべんだざああああいいいいいい!!!!」 「でいぶをごろじでぐだざい!!おでがいじばず!!ぜいっざいじでぐだざい!!おでがいじばず!! でいぶはいぎるがぢのないげずでずっ!!おぢびぢゃんは!!おぢびぢゃんはあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「いい加減にしろよ、お前ら」 僕に帽子を投げつけられ、びくんと震える家族。 「弱い者苛めはゆっくりできない。ただし帽子のないやつは「れいっがいっ」。 で、子供を苛めてしまい、反省したと思ったら今度は喋れないやつは「れいっがいっ」。 今回のことでもうめーりんは苛めないのかもしれんが、また理由つけて他の「れいっがいっ」で遊ぶんだろう。 髪の色が変だ、目の色が変だ、喋りが変だ、飾りが変だ、いくらなんでもこいつは、いくらなんでもこいつは。 なんとか理由を見つけて苛めを楽しむわけだ、本っ当に苛め好きだなあ、お前ら。 人間の中には虐待お兄さんってのが少なからずいるが、 お前らゆっくりは全員が虐待趣味抱えてんだなあ。まったく、頭が下がるよ」 「………ゆ゛ぐっ………………う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅ……………!!!!」 「詰みだよ、お前ら。たっぷり時間をかけて制裁し、惨たらしく殺してやる。全員な………あ、一匹だけは助けてやる」 「ゆ゛っ!!?」 満身創痍の妹を見つめながら震えている傷だらけの子まりさを取り上げてやる。 「こいつだけは助けてやる。こいつはめーりんを見ても苛めなかった。 自分の身にならなきゃわからなかったとはいえ、なかなか立派なものだ。 こいつだけはもはやゲスじゃない。助けてやろう。 あ、そこの末れいむも検討の価値はあるかな?」 「ゆ゛っ………あじがっ……おに、おにいざ……」 「何だよ」 「おねがい、じばず………ほがの、ほかの………おぢびぢゃんも………」 「駄目だ。見てなかったのか?大喜びでぷーすぷーす。弱い者苛め大好きゲスゆっくりだ。制裁すべきだな」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おでがいじばずおでがいじばずおでがいいいいいいい!!! おぢびぢゃんだげは!!ばりざだぢがぜんいんぶんぜいっざいざればず!!おぢびぢゃんだげはああああ!!!」 「いくら子供思いの親アピールされたって、こいつとそいつをここまで痛めつけたのお前らだしなあ」 「あ゛ーーーーーーーーーーっ!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーーーーっ!!!!」 完全に八方塞がり、しかも全面的に自分達で退路を断ったその状況に追い込まれ、 両親はもはや泣きながら絶叫するしかないらしかった。 ――――――― 「…………ゆっくり……おはよう……」 目覚め、家族を見回してから挨拶する。 返事は返ってこない。 ただ、疲れきった視線がひととき自分に集まるだけだ。 今日も目覚めてしまった。 もっと長く眠っていたかった。 眠りのまどろみから浮き上がった今、また現実をその目に映さなければならない。 「ゆぅ…………」 親れいむだけが、呻きで反応を返した。 それきり家族の視線は離れ、別の一点に改めて集中する。 「はふっはふっ!!うっみぇ!!まじうっみぇ!!ぱにぇぇ!!」 「まじやべっ!!うみぇっ!!とみゃんにぇっ!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 家族が食い入るように見つめるその先では、二人の子ゆっくりが山盛りのあまあまに顔を埋めている。 ベランダには一日かけても食べきれないような量のあまあまが山積みになっていた。 クッキーやチョコレートやプリンを食べ散らかし、一口ごとにあまりの旨さにうれちーちーを漏らす子まりさと末れいむ。 かたや左目とまむまむを失い、かたや両目を失った状態だったが、 極上のあまあまの快楽に脳髄を痺れさせた今、もはや悲壮感は全くなく、 この世の栄華を極めたがごとき恍惚の表情を浮かべていた。 末れいむの砕けた口と歯はお兄さんが再生していた。 「こいつにはお前らにたっぷり言いたいことがあるだろうからな」、それが理由だった。 少しでもあまあまが減れば、お兄さんがすぐに追加する。 二人は昼夜の区別なく、のべつまくなしにあまあまを咀嚼する。 一方、残りの家族は、狭い水槽に閉じ込められていた。 透明な壁が四方を遮る空間に八人のゆっくりがみっちりと詰め込まれ、ほとんど動く余地はない。 あの日から、食事は一切与えられなかった。 唯一、子まりさと末れいむのうんうんとしーしー以外は。 「ゆぷー☆きゃわいいまりしゃがうんうんしゅるよ!!」 「れいみゅのしゅーぴゃーうんうんちゃいみゅだよっ!!きゃわいしゅぎてごみぇんにぇ!!」 子まりさと末れいむはそう宣言すると、わざわざ家族のいる水槽まで這いずっていき、 水槽に向けて尻を上げた。 透明な壁に向かって、二人のしーしーが叩きつけられ、うんうんがひり出される。 子まりさの方は常時うんうんとしーしーを垂れ流している状態だが、 意識して排出すると、こうして勢いよく噴出すのだった。 「おい、どれい!!ごみくじゅどみょにごひゃんしゃんをめぎゅんであげちぇにぇ!!」 「はい、ごしゅじんさま」 二人の傍に常時侍っているのは、ゆっくりさくやだ。 舌ともみあげでスコップと雑巾を器用にてきぱきと使い、専用の容器にうんうんとしーしーを集めていく。 「やしゃちいれいみゅのほどきょしだよっ!!ありがちゃくおもっちぇにぇ!!」 「なんちょかいえ!!ごみくじゅ!!」 二人の罵声に涙を浮かべながら、それでも家族は答えた。 「「「「あり………がどう、ございば……ず………」」」」 「ゆふんっ!!ゆっくちちてにゃいよ!! しょんにゃきょきょろのこもっちぇにゃいおりぇいで、ほどきょしはあげられにゃいよっ!!」 「どれい!!ごひゃんしゃんはぬきぢゃよ!!しゃげちぇにぇ!!」 「ゆ゛あああああ!!ありがどうございばず!!ありがどうございばず!! ばりざざまとでいぶざまのおがげで、ぎょうもごみぐずだぢはゆっぐじでぎばずっ!!!」 家族の懇願を聞きながら、二人の子ゆっくりはにやにやと笑みを浮かべる。 「しょんにゃにうんうんにゃんてたべちゃいにょ?ゆぷぷぅ~~☆」 「うんうんずきのごみくじゅにゃんてゆっくちできにゃいにぇ~~☆」 「ゆ゛ぐう゛う゛う゛う゛ぅ……………!!」 ひとしきり罵倒され、嘲笑され、それをじっと黙って耐えてからようやく食事が与えられる。 さくやが水槽の上部からうんうんとしーしーを一緒くたにして流し込み、 極度の空腹を抱えた家族がそれにかぶりつく。 「うんうんたべちぇるよ!!ごみくじゅがうんうんたべちぇるよぉ!!ゆぴゃぴゃぴゃぴゃ!!」 「くちゃいくちゃい~~♪こんにゃすがちゃでよくいきちぇられりゅにぇ~~☆」 始めの頃は、子供たちが泣き、怒り、反抗したが、 少しでもこの二人に逆らおうものなら、お兄さんの制裁が行われた。 『お前らに怒る権利があるのか、え? 弱い者を苛めて喜ぶゲスのゴミクズに、なんの権利があると思うんだ? こいつが子供を作れないのは誰のせいだ?こいつの目が見えないのは誰のせいだ? お前らがこいつらに向かって、いったいなにを要求する権利があんだよ。言ってみろ』 『ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ごべんだざい!!ごべんだざい!!ごべんだざい!!ごべんだざい!!』 『お前らが自分で言った通り、本当のゴミクズに生きる価値はない。 そんなゴミクズはせめて他のゆっくりのオモチャになったほうが幸せなんだろ? 幸せって言えよ、コラ』 『ゆぶぎゃばああああ!!じ、じあばっ!!じあばぜぇ!! ごんだごびぐずでだのじんでぐれでっ、あじがどっ、ごじゃばじゅうう!!がんじゃじばじゅうううううやべぢぇえええ!!!』 家族の体には、多くの傷が刻み込まれている。 ぷすぷすさんで刺された傷、あつあつさんで焼かれた傷、ぺちぺちさんで皮が破れるまで叩かれた傷。 体表がでこぼこになるほどに傷だらけになった家族は、 今日もお兄さんの制裁に怯えている。 ベランダには数々のゆっくりできる玩具が転がっており、 奴隷としてお兄さんがあてがったゆっくりさくやが、子まりさと末れいむの世話をなにからなにまでしてくれる。 ふかふかしたクッションに横になりながら、二人はさくやの子守唄を聞いて寝息を立て始めた。 うんうんを咀嚼しながら、家族は枯れる気配のない涙をまた一筋流した。 〔続〕
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/429.html
おんもでゆっくりしよう!2 22KB 『おんもでゆっくりしよう!2』中編 オレはイライラしていた。 前回、編集ミスでナレーターであるこのオレ『観察お兄さん(神気取り)』の説明文が無くなっていた事に。 ではなく、今回絶賛観察中のこのゆっくり家族達に、である。とにかくウザイ。 観察一直線のオレが虐待鬼意三に宗旨替えしてしまいそうなウザさだ。 特にれいむ種のウザさに拍車がかかっている気がする。 かなりの数が死んだとはいえ、それでも溜飲が下がらないとは。 つーか、なんで全滅しなかったんですか? そんな運はイラナイよ! 今回(元々は1話形式でした。)はれいむ種のウザさにも焦点を当てて観察してみよう。 「それじゃあれいむ、おちびちゃん、ゆっくりおうちにかえっておみずさんご~くご~くするのぜ…」 「つかれたよ! もうあんようごかないよ!」 「おみじゅ! おみじゅ!」 「まりさ! れいむもかわいいおちびちゃんたちも、つかれちゃってもううごけないよ! ゆっくりしないでおみずさんさがしてきてね!」 「ゆぅぅぅ…」 でた、れいむ! なんなんですかね、コレ(笑) 身体機能に差が皆無なら、れいむの無能っぷりはその『向上心』の無さに尽きる。 ゆっくりは種毎に性格が違う。同種個体でも臆病・活発等の差異はあれど、 基本的な種の行動原理のようなものがあったりなかったり 観察対象のゆっくりについて考察するなら まりさ:活発、蒐集癖。これはエサを集めるのに適したものだ。 ありす:活発、とかいは。まりさほどではないが、ガラクタ蒐集もする。 れいむ:(笑) 現状に甘んじることなく、よりゆっくりするためにアクティブに行動するのが今回のまりさ、ありす。 餌場の開拓、食料の選別(毒など)、とかいはなコーディネート(資材集め)、すっきりてくにっく…枚挙に暇が無い。 一方、れいむは漠然とした『ゆっくり』を求める傾向にある。 『おうた』等は他のゆっくりだって歌うし、れいむ種は狭い自分の引き出しからしか旋律を生み出せない。 特に練習らしい練習もしない。どちらかというと、ゆっくりしたおうたを聴くことの方がゆっくりできる。 あったかいおうちでゆっくりしたい。 おちびちゃんがいればゆっくりできる。 おいしいごはんがあればゆっくりできる。等など そのどれもが受動的であり、現状の『ゆっくり』に甘んじてしまう傾向が強いのが『ゆっくりれいむ』だ。 例えば、ここに一本のアイスの棒(はずれ)が落ちていたとしよう。 例1)まりさ:「ゆゆゆっ! これはすごくゆっくりしたぼうさんだよ! まりさのだんびらにするよ!」 例2)ありす:「ゆゆっ! なかなかとかいはなぼうさんね! おうちのこーでぃねーとにつかえるわ!」 例3)れいむ:「(ぴょーん、ぴょーん、ぴょーん、ぴょーん…)」 …。たとえが悪かったかもしれない。おっと、またまた観察が疎かに。 この癖なんとしないといかんな。 「だめなんだぜ、ここはあぶないんだぜ、おうちのちかくにごーくごーくできるかわさんがあるから そこまでがんばってほしいんだぜ…」 「ゆっ! …しかたないね。れいむはおちびちゃんたちにしんじゃったおちびちゃんたちのぶんまで ゆっくりしてほしいよ。…おちびちゃん、れいむのおくちにはいってね! おうちかえろうね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「ゆっきゅち!」 「やじゃぁぁっ! おみじゅ! おみじゅごーきゅごーきゅちたぃぃぃいいっ!」 「ゆっくりしないではやくしないとまたゆっくりできなくなっちゃうんだぜ! ゆっくりしないでおうちかえるんだぜ!」 どうやら、まりさ一家は帰宅することで話が纏ったようだ。 れいむも意外と聞き分けが良いのがオドロキである。 さて、赤れいむが1匹ダダこねているがどうするのかな? 「おおきなおちびちゃんたちは、まりさのおくちにゆっくりはいるんだぜ!」 「ゆびいいいいいぃぃっ! おみじゅぅぅぅ! ゆびぃぃぃい!!」(ころころ) ※饅頭格納中… 「ゆびぃぃぃぃっ! びゃぁぁぁっ!! みじゅもっでごぃぃぃっ!!」(ころんころん) 「ふうう、おひひひゃん、ふぁふぁうひへね…」 「へいふ…ひはんははいんはへ、ほうはへふぁふぁいふぉ…」 「ふうううう! ほへんふぇぇぇ! ほひひふぁんほへんふぇぇぇ!!」 あらあら、生き残った子ゆっくり達を格納した親達はわがまま赤れいむをおいて ずーりずーりと帰途についてしまった。 ころころ転がりながら泣き叫んでいる赤れいむはソレに気付いていない様子。 一家は、蚊に刺され苦しみぬいた末に死んでいった子達、泣き叫んでいるあかちゃん、 そして未だ毒に苦しんでいる瀕死の我が子を順に見やり、 『ふっふり…』 ぽつり、と涙と共に零し、背(?)を向けた。 すぐ傍には当然ありす一家もいたのだが、子ありすの惨状に嘆くのに忙しく、 まりさ達が去ったことには気が付いていない。 ありす達もまりさ達も、他の家族を気遣っている余裕など既に無くなっていた。 「ありしゅおみじゅごーきゅごーきゅちたいよ!」 「れいむものどさんからからだよぉ! おみずさんご~くご~くしたいよ!」 「ゆうう、れいむ、どうしよう…?」 「ゆっ! ゆっ! あがれないよ!」 ありす一家もノドの渇きに苦しんでいるようだ。 だが、帰ろうにも一家の大黒饅頭ゆっくりれいむが側溝から抜け出せない。 親れいむは側溝から抜け出そうと必死で、親ありすの問いかけにも気が付かない。 「ゆはぁ、ゆはぁああ、れいむのどさんからからになっちゃったよ! かべさんはいじわるしないでれいむをここからだしてね! ゆっ? これはおみずさんだよ! れいむがごーくごーくするよ!」 「ゆゆっ!? おと~さん! れいむにもごーくごーくさせてね!」 「ありしゅも! ありしゅも!」 どうやら、目の前のゆっくり皿に溜まった黒い雨水に気が付いたようだ。 ボウフラがうじゃうじゃ湧いているんだが、ゆっくり的にはお構いなしらしい。 蚊柱と同じ位、ゆっくりしていない挙動で蠢いているのだが…、水の中は良く見えないのだろうか。 側溝は成体1匹分の深さ。子ゆっくりどもはゆっくりしないでご~くご~くしたいのか 親れいむの頭を経由してコロリンと側溝の底に降り立った。 成体でも恐れをなした高さだというのに、なんとも無謀・無知・無垢… そこは風の通り道になっているからか、子れいむたちはヒヤリとした空気に包まれる。 コンクリートの外壁はどこまでも続いており、フタの抜けたこの場所から少し先は キチンと天蓋があり、『ュゥゥゥゥゥ』と暗い音を黒い洞から発していた。 ゆっくりの目線からすれば、天井が暗くざわめく灰色の異空間に迷い込んだような感覚だ。 そして目の前にはなんだか不気味な雰囲気の肌色のオブジェ。この中で子ありすは…。 「ゆううううっ! なんだかこわいよ! ゆっくりできないよ!」 「ゆぇぇぇぇえん!」 降りた子ゆっくり達は、その強烈な違和感に怯えはじめた。 「ゆっ! おちびちゃんたちもおりてきちゃったの? ゆふふ、しかたないね。いっしょにご~くご~くしようね!」 子ゆっくりでは皿の縁に届かないので、親れいむは口移しで子ゆっくり達を潤す。 大量のボウフラと共に… 「ごーくごーく! ごーくごーく! しあわせー!」 「とかいはなおあじね!」 「れいみゅも! れいみゅもぉぉぉっ!」 「れいむ、こっちにもとかいはなおあじのおみずさんちょうだいね!」 側溝の縁で待機していた親ありすと赤ゆっくり達もおみずの催促。 「ゆっ! わかったよ! ご~くご~く! ご~くご~く!」 「ゆゆっ! いじわるしないでおみずさんちょうだいね!」 「ちょ~らいにぇ!」 「ひゅっひゅひ、ひひゅほ! ぴゅ~~~~~~っ!」 「ゆわぁ~~~! あめしゃんだぁぁ!」 「ゆゆっ! これはおみずさんだよ! とかいはなしゃわ~さんね! さすがありすのだ~りんだわ!」 「ぴゅ~~~~~~~っ!」 「ゆきゃっ! ゆきゃっ!」 親れいむは口に含んだおみずを、上段の家族に向けて緩やかに噴出した。 蚊に刺された蔓の処理といい、今のしゃわ~といい、このれいむは何かと気転が利くようだ。 父ゆっくりになると、れいむ種でも少しは変わるのだろうか 渇きを潤す黒いしゃわ~(ボウフラ入り)にご満悦の一家。 黒い虹が一家の行く末を暗示するかのように架かっていた。 「ゆぅぅぅ~~~… でられないよ…」 一通り水遊びを楽しんだ一家はようやく、もう帰ろうという結論に辿り着く。 しかし、未だ親れいむの側溝脱出は成らず、残された一家は困り果てていた。 子れいむたちは親れいむのおつむに取り付いてず~りず~りと登頂し、なんとか脱出できた。 「れいむぅぅぅ、だいじょうぶなのぉぉ!?」 「ゆゆゆ! …しんぱいごむようだよ! きっとべつのばしょさんからでられるよ! ありすたちはゆっくりしないでさきにおうちにかえってね!」 「ゆ~~~ん… わかったわ、れいむ。ゆっくりしていってね!!!」 『ゆっくりしていってね!!!』 『ゆっきゅちちちぇいっちぇにぇ!!!』 子ゆっくり達を連れてその場からず~りず~りと去る親ありす達。 「ゆっ、おか~さん! あかちゃんがないているよ!」 「ゆっ!? ……いきましょう、おちびちゃんたち。ゆっくりしないでおうちにかえりましょうね…」 「ゆぅぅぅ…」 置いていかれた赤れいむを捨て置き、帰路に着く。 自然は厳しい。ゆっくりだって生きている。 時折見せる、こうした野生動物然としたドライな反応もゆっくりの魅力のひとつだ。 おうちにかえろう。おうちにかえってゆっくりしよう。 きょうはおちびちゃんたちがいっぱいゆっくりできなくなってしまった。 しんでしまったおちびちゃんのぶんまでいっぱいゆっくりしよう。 おいしいごはんさんをぽんぽんいっぱいむ~しゃむ~しゃしよう。 まいにちいっぱいす~やす~やしてす~くす~くおおきくなろう。 ゆっくりしよう。 おんもはこわいこわいだったけれどあしたもがんばってゆっくりしよう。 「ゆっ! ゆっくりしないででぐちさんをさがすよ!」 ゆっくり皿のあった場所は格子があり、『下流』の方に行くしかない。 意を決したれいむは暗闇の洞に吸い込まれるように消えていった。 遊歩道には呻き声と赤れいむの嘆きだけが残っていたが、 元々小さな体から発せられる声は、少し強くなってきた風に容易く掻き消される。 「か゛ゆ゛…う゛ま゛。゛」 「ゅ゛っ…ゅ゛っ…ゅ゛っ…ゅ゛っ…ゅ゛っ…ゅ゛っ…。 ……。 …。 ゅ゛っ…。 ……。 …。」 「ゆびいいいいい!! ゆっ!? おきゃーしゃんどきょぉ? どきょぉぉぉ!?」 今まで宥めてくれていた親れいむの声が無くなっていることにようやく気付いた赤れいむ。 不信に思い、辺りをキョロキョロ見渡すが、そこにはゆっくり出来ないオブジェと化した家族達、おともだち。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆぁぁぁぁ! うわあああああああ!!」 (○)(○) あれだけ喧騒に包まれた遊歩道も静かになった。 散らばったゴミクズを足で寄せ集め、遊歩道のベンチの脇にあるクズ篭に放り込みながら これからの観察プランを練ることにする。 『ュゥゥゥゥゥ… ュゥゥゥゥゥ…』 …側溝から時折聞こえるこの音。大体見当はつくが、中はどうなっているのだろうか。 それにさっきまでは静かだったのにまた聞こえてきた。 次の観察プランはコイツでいくか。 「ず~り、ず~り! ゆっ! ゆっ!」 暗闇の側溝の中、親れいむは窮屈そうに這っていた。 天蓋はバスケットボール大の体の頭頂部分にピッタリで跳ねることが出来ないのだ。 じまんのかわいいおりぼんが擦れて汚れてしまっているのも知覚出来ていたが、 今は一刻も早くここから脱出して、ありすたちに合流しなければならない。 くきさんを生やした身重のありすひとりとおちびちゃんでは、帰り道は不安である。 生き残ったおちびちゃんもまだいっぱいいるのに、おと~さんのれいむが守らねば! 「まっててね! ありす! おちびちゃん! れいむはゆっくりはやくだっしゅつするよ!」 『ュゥゥゥゥゥ… ュゥゥゥゥゥ…』 「ゆ! ゆぅぅぅ… またきこえてきたよ」 この音。いや、声。 どれくらい進んだのか判らないが、だんだん近づいてきているような? 既に風の音ではないというのは、れいむでも判った。 こころなしか、ゆっくりの声に似ている? 「ゆ~~ん! だれかいるのぉ~? いるならおへんじしてねぇ~! ず~り、ず~り!」 呼びかけながらまた暫しのず~りず~り。 「ユウウウウウ… ユウウウウウ…」 「ゆゆゆ!?」 いた。 ゆっくりだ。 天蓋ブロック端に刻まれた取っ手が明り取りの窓の役割を果たし、ボンヤリと照らす。 そこにはボロボロのれいむがいた。 おりぼんも、おはだも、かみさんも、きっとおくちのなかのは(歯)やしたさんもボロボロだろう。 (なんだかゆっくりしてないれいむがいるよ…) 観察お兄さん的に側溝の中の状態も看破できるのだが、 観察お兄さん的好奇心で、れいむに姿を見られないよう留意しながら蓋を外してみる。 差し込んだ外の明かりにボロれいむ&親れいむがそれぞれ別な反応を示す。 いや、根底は同じなのかもしれない。 「ゆぴぴるっ… おんもぉ? …ゆぴるぱっ!」 「ゆゆゆ!? あかるくなったよ! でぐちだよ! れいむのるーとせんたくはただしかったよ!」 側溝の1ブロックを外すと、れいむとボロれいむが丁度露出した。 光を浴びたボロれいむの様子が何かおかしいと感じたれいむは、ボロれいむがかなり衰弱しているということに気が付いた。 「ゆゆっ! だいじょうぶ!? だいじょうぶ!? ゆっくりしてる!?」 「ゆぴぴる! ぴぴるんぱ! ぱぴゅるぴゅん!」 「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」 「ぴぴゃらっぷ! ぴゃぁん! ぴゃぁん!」 ボロれいむがどんな状態か、簡単にいえば、体内で大量のボウフラが暴れているのだ。 天蓋を外したおかげで半透明の眼球から体内に光が差し込み、負の走光性だか走地性よろしく ボウフラが一斉に活動したのだ。その眼球内にもギッシリとボウフラが詰まっていたが。 それにしても、いったい、体内でどうやって呼吸しているのだろうか。 ボロれいむは一昨日、側溝に迷い込んだ若れいむだった。 はるさんを迎えひとりだちした矢先、同じく巣立ちをしたかっこいい若れいむ2・若ありす1姉妹に出会い、 一緒に遊んでいるうちに遊歩道に近づいてしまった。 針金に引っ掛って落下し、その時出来た傷口に卵を産み付けられ、体内でボウフラが孵化してしまったのだ。 傷の痛みと、一緒に落ちて分断されたおともだちのあまりにゆっくり出来ない最後に 散々泣き叫び衰弱していたため、あちこち刺されても大した反応も出来ず、 ゆっくりできないなにかから逃れるように這いずりながらココまで辿り着いた。 オレはゆっくりと蓋を元に戻した。 「ぱぴぷぺっ… ユウウウウ…」 「ゆっくりしてね! ゆっくり! (ゴゴゴ…)ゆゆっ?! おんもさんまってね! ゆっくりしててね! ゆぅぅぅぅ…」 予想通りってのも、案外つまらない。 くぐもっていく2匹の声を聞きながらオレは考える。 この親れいむも直接ボウフラ入りの水を飲んだし、ボウフラ自体もあんこに耐性があるようだ。 頭頂部も擦れて禿げ上がり、もうしばらく這いずれば中身が露出するだろう。 それにこの先には… 「ゆぐぅぅぅ?! でぐちさんがなくなっちゃたよぉぉお!? でぐちさんやめてね!! れいむをおんもにださせてね! それからしまってね!!」 「ゆううう… れいむは、いきるよ… いきて、ありすとおちびちゃんとしあわせ~にくらすんだよ… ず~り、ず~り」 「ュゥゥゥゥゥ… ュゥゥゥゥゥ…」 「ュゥゥ…」 「ゆっゆっ!? すすめないよ! どおして!?」 側溝には要所毎に格子が設えてあった。 格子の向こうからもあの声が渦巻いて聞こえてくる。 そして、ゆっくり出来ない羽音も… オレはありすを追いながら携帯で蚊について調べていた。 展望台は電波塔の役割も果しており、自然豊かなこの公園内でも感度は良好だ。 どうやら『ゆ擦り蚊』とかいうのがいるみたいだが、ソレと今回のは少し体色が違う。 コイツの口吻は赤く、翅はステンドグラスのように七色に煌いているのだ。 『紅魔蚊(ん)』ゆっくりの死体を媒介に繁殖する蚊だそうだ。 ゆっくりに含まれるれみりゃ・ふらん等の因子が起因して発生するらしい。 吸血するもの同士、気が合ったってことなのか? ゆっくりのあんこしか吸わず、日の光が苦手。 繁殖力・成長速度はゆっくり並み。etc. ちなみにボウフラは『ぼうふりゃ』とも『ぼうふらん』ともいわれるそうだ。 正直、どうでもいい。 ゆっくりが介入したことで、残念ながら全てにおいて元の蚊よりグレードダウンした生物である。 歴史的にみても、ゆっくりなんぞよりも蚊が優れた生命であることは知れたことなのだが ゆっくり同士でもこのようなグレードダウンは往々にして起こりうる。 例えば、れいむの場合 ゆっくりの基本的な身体差は無いが、れいむ種は小柄な個体が多い。 これはエサ集めを幼少期や成熟期に他の個体に依存した結果、最終的な摂取量がまりさ種やありす種に及ばないためだ。 もし、れいむ種が父役を果たした場合でも、拾得量や栄養面での問題。 少ないエサを子(特にれいむ種の仔にだが)に優先的に分け与えるため似たような結果になる。 アクティブに動く個体は『かり』の際にも少なからず食料を摂取し、運動の作用で健康なものが多い。 経験を積み重ね、それに基づいた野生ならではの知性と閃きも見せる。 小柄な個体が産む仔は、比例して小さく貧弱であり、餡容量も少ない。 ゆっくりの特徴として、劣性の遺伝情報も色濃く受け継がれてしまう。 野生で生きるものの母体としては、れいむ種などではなく、まりさ・ありす・ようむ等、 とにかくれいむ以外のゆっくりが望ましいのだ。 これは、現代で言うところのラバ・ケッティの関係に当てはめると判りやすいかもしれない。 ♀ウマに♂ロバを掛け合わせると、体の大きな♀ウマからは 馬の力強さ、ロバの頑丈さ、粗食に耐える素晴らしい能力を持った 『ラバ』という動物が生まれる。寿命も比較的長い。 ♀ロバに♂ウマを掛け合わせると、体の小さな♀ロバからは 馬の臆病さ、ロバの矮小さ、粗食に任せた大食らいの役立たず 『ケッティ』という動物が生まれる。体が小さいので労役には耐えられない。 これらは一代雑種と呼ばれ、子孫を、仔を成せない個体として生まれる。 だがこれがゆっくり同士、母体がれいむ、もしくはでいぶならどうだろう。 どんな個体でも大量に仔を成すし、れいむ同士(苦笑)の『つがい』も珍しくない。 上記の例をゆっくりに当てはめて鑑みれば、現在のゆっくりを取り巻く状況も少しは改善されるのかもしれない。 そんな事を考えながら散策していると、丘の手前の草むらでなにやら騒いでいるありす一家に追いついた。 「ゆぷりぴゅん!」 「ぷりんぱ!」 「おぢびぢゃんどおじぢゃっだのぉぉぉおおおっ!!」 ぼうふりゃ水を浴び、飲んだチビどもが悉く奇声を上げて転がっていた。 時刻はまだ14時。絶好のぴくにっく日和の丘の草原なのだ。 子ゆっくりのおめめから入った光は小さな体内を蹂躙し、ソレを受けたぼうふりゃもあんこを蹂躙する。 その苦痛は想像を絶するだろう。 わずかに生き残ったチビども(それでも『いっぱい』いたのだが)は、総てが正常に立つことが出来ず その丸っこい身体を弓なりに反らせ、ぬるぬるの気味の悪いアーチを形作っていた。 「あぎゃぢゃぁっ!! あぎゃぢゃっ! じっがりじでぇ!! おうぢがえろーね゛っ! もうずぐそごだよぉ!!」 「ぴぴゃらぁぁぁっ!! ぴゅん! ぴゅん!」 べぇろべぇろと子を舐めてあやす親ありす。 赤れいむ・赤ありすは、アーチのバランスが崩れ横倒しになるとコメツキムシの如くパチンと跳ねる。 普段の跳躍の倍以上の高度から粘液濡れの地面に叩きつけられ、またゆっくりとブリッジの態勢をとる。繰り返しだ。 よく見ると体表面がボコボコと不規則に波打っていて、体内でぼうふりゃが暴れていることがわかる。 体内のところどころから小さな突起が飛び出て、手を振るようにピンピンと動く。 コレも逃げ場を求めて体外に出ようともがくぼうふりゃだった。 幼体の場合、半透明の眼球を経由せずとも、その体全体で光を受けるだけで十分だ。 手を陽にかざすと光が透過するように、皮の薄い子ゆ・赤ゆも同様に体内を光が通る。 紫外線の影響もその身体内部全域に受けるので、成体近くになるまでの日光浴は程ほどにするのがゆっくり飼育の常識。 因果関係は不明だが短時間でも効果が出るので、それでも楽観視は出来ない。 野生の個体が良くする、実ゆっくりといっしょにひなたぼっこ→いねむり等は、高確率で先天的な障害を招くのである。 ちなみにれいむ種の多くは日光浴を好む傾向にある。 そう、れいむ種はその行動規範の悉くが実利を成さない。それはゆっくり全般に云えることでもあるのだが… れいむ…(笑) 「ぴぴりぎぃぃぃいっ! ぎぴぎぎぃいいぃぃぃっき!」 子ありすはよほど苦しいのか、アーチが捻れ、まるで固絞りの雑巾の様になっている。 絞られて出てくるのは水とは形容しがたいヌルヌルの黄ばんだ粘液だけだ。 そして、ギリギリと音立てるかのごとく捻れた子ありすが瞬時に弛緩し、 カラカラの体がぺしゃん!と粘液溜まりに沈む。 苦しみにもがき捻れすぎて水分を絞りきってしまったらしい。 おまけにゆっくりゲージ残量もほぼゼロ。えんぷてぃっ!だ まあ、ぼうふりゃに殺されたようなもんだから脱水赤れいむよりはマシかな。 なかなかとかいはな死に方だし、やったね! 雑巾ありす!! パサパサ雑巾ありすはその体全体を使い水分を吸い上げるが、既に意思の宿らない身体に給水される液体は その皮をグズグズに変化させてしまう。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! だんでだのぉぉぉおお!!」 「ぴききぃいぃっ! ぴぃぃいいぃいっ!」(ぱぴゅ!) こちらは子れいむ。全身を捻った結果、眼球が破裂してかわいい音を奏でる。 破裂と共に飛び出た大量のぼうふりゃが日の光に晒され、粘液ダレと子れいむの亡骸の上でピンピン跳ね回る。 欲張って他の子よりも大量に黒水を飲んだ結果であった。 「ゆひっ! ゆひっ! …ゲッ!! ォゲェェェ!!! ゲェッ! ォァゲッ!! ウェォォォオッ! …ッオ!」 その光景に親ありすも堪らず嘔吐してしまう。 水っぽいソレはパシャパシャと親ありすの前を流れ、のた打ち回る仔ゆっくり溜まりにまで到達する。 既に赤ゆっくり達も捻れており、その姿は一手間施したパスタ、もしくは何かの幼虫を髣髴させた。 どちらか一方の先端にはモッサリと毛が生え、鮮やかな飾りのようなものがヒラリと揺れていたが 親ありすの消化液も兼ねた吐瀉物が触れると、雪解けの如く消えてしまった。 「でいむぅぅぅ… ありず、どうじだらいいのぉぉぉぉ… ぽうやだよぼほぉぉ… ゆっぐりじだいよぉぉぉ…」 (*1))))) 「ゆうう?」 今度は頭上の蔓に成った実ゆっくりが高速で振動し始めた。 3つの実のうち、本体側の2個の実(ありす・れいむ)がカッと目を見開き、苦悶の声をあげる。 子を宿したゆっくりが何か摂取すると、まずはその孕み子を経由する。 親ありすが飲んだ水、そのぼうふりゃが実ゆっくりまで到達し、徐々にその中身と摩り替わっていったのだ。 (*2) 「おぎびぎゃん! やべで! おぢびぎゃんぼゆっぐりさぜて! ありずのおぢびじゃっ!」 (*3))))) (ぷつん! ぽとり) 「ゆゆゆっ! あ゛りずのおぢびぢゃん! うばれだよ! ゆっぐり゛! ゆっぐりじでいっでねぇぇ!!」 振動実れいむが蔓を離れ、地面に落ちた。 振動具合がしゅっっさんの前兆とは程遠いものだったとはいえ、ありすは無事におちびちゃんが生まれてくれたのだと思った。 こんな状況なのに、こんな状況だからこそ生まれてくれた。流石ありす。自分はゆっくりしているとかいはなありすなのだ。 おちびちゃんがうまれたよっ!! れいむ! ゆっくりしないではやくきていっしょにおちびちゃんとす~りす~りしようね! かっこいいれいむにそっくりなかわいいかわいいおちびちゃんだよ! (*4) (パカッ) 「ゆ゛っ?」 実れいむの上半身がパックリと縦に割れ、体内から白い虫が2匹、のっそりと出てきた。 6本の脚で逆さにおりぼんに掴まって身体を支え、重力の力を借りて翅を下方に垂らす。 体が黒ずみ、翅が本来の七色を放ちはじめた。 ワァ、こうまかの羽化だぁ。 「う~☆」(羽音) 2匹の蚊はその場で翅を振るわせアイドリングを済ませると、 示し合わせたように同時に飛び立ち、日の光を避けるために近くの草むらに消えていく。 イソイソとした所作だったが、その姿は中睦まじい姉妹に見えなくもなかった。 「お、おぢびぢゃっ! だんでおぢびぢゃんがわれじゃうのぉぉぉぉ???!!!」 残骸はぐるりと白目を剥き、割れていない下半身はだらりを舌を出して弛緩している。 やがて上半身が徐々に左右に垂れ下がり、無事だった下半身もキレイに真っ二つになってしまう。 水分もトンでしまっているようで、割れた惰力でボソリ…と崩れる。 羽化の最中に実ありすも地面に落ちていたが、こちらは何の反応もなくただただ、黒ずんでいくだけ。 親ありすは割れた赤れいむが衝撃的で、実ありすが生まれ落ちたことにも気付かなかったし 実ありすも消化液と残骸たちに紛れて融けてしまった。 「おうち… かえらなきゃ… れいむがまってるよ…」 ぼろぼろの蔓に残ったのは実れいむ(1)だけ。 辺り一面ヌルヌルした粘液とピンピン跳ねるぼうふりゃまみれ。 先ほどまで蠢いていたチビどもも、ありすの消化液の影響で全て体が半壊状態。 生き残ったおちびちゃんは実れいむを残してひとりもいなくなってしまった。 「どぼじでこんなことに…」 ず~り、ず~り。ありすは振り返らない。 残った実れいむが落ちないよう、ゆっくり、ゆっくり、あいするれいむのまつおうちへと這う。 「このおぢびぢゃんは… ごのおぢびぢゃんだげでも… ありずはぜっだいまもっでみぜるよ…」 本日、太陽の光を一身に浴びた実れいむ。 おひさまさんのひかりがあたると、きらきらすけてきれいなおちびちゃん。 きょうはいっぱいひなたぼっこしたね! あとはおうちでゆっくりしようね! おいしいごはんでゆっくりしようね! ありすのつくったきれいなあくせさりーさんでおしゃしようね! おとーさんれいむからぶゆーでんをいっぱいきこうね! ゆっくりしようね! ゆっくり! 展望台横の茂みに消えていく親ありすを見定め、巣の場所に中りをつける。 さて、次はまりさ一家だ。 帰宅済みなのか、枝葉で施錠された『おうち』の横にオレは腰を下ろした。 続きます。次回は後編。 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ぼうふりゃキモいなw ってゆーか、飲み込んだのに餡子変換されないのか? -- 2018-01-03 11 49 12
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3463.html
『長まりさをやってみた 7話』 18KB 愛で 制裁 観察 実験 戦闘 群れ ゲス ドスまりさ 希少種 自然界 待ってた人いるかわからないけど帰って来ました 注意 愛でありらしいです 頭の良いゆっくりが出ます 今日は、相談しにくるゆっくりや問題を起こすゆっくりも居なかったので、長としての仕事も無く暇だ。 なので、ゆっくり相手に授業を開いてみる事にした。 ちなみに、魔梨沙は「一番近くで師匠の授業を聞くわ!」と言っていたので、冗談で頭の上に乗せてみたらかなり気に入ったらしく、降りてこようとしなくなった… ざわざわ いつも通り俺の住んでいる洞窟の前に沢山のゆっくりが集まっている。 特に急いで教えなければいけない事も無いし、無理やり授業を受けさせたせいで、長はゆっくりできないと思われても困るので自由参加にしたのだが、群れにいるほとんどの成体のゆっくりは授業を受けに来たようだ。 『勉強が好きなぱちゅりー種以外ほとんど来ないと思ってたけど、予想より沢山来たな。』 「それはそうよ。師匠の身体能力や知識は、普通のゆっくりから見たら奇跡みたいなものだもの。」 『ああ、成る程。そういえば、ゆっくりは英ゆんとか森の賢者みたいな優秀な奴に付いていく事が多いよな。大抵、英ゆん(笑)とかもりけん(笑)に付いていって自滅するけど。』 「そう、だからここに来ているゆっくりは、師匠の事を尊敬していて、師匠に付いていきたいと思っているゆっくりよ!うふふ、ある意味私の後輩ね♪」 『何で俺よりお前の方が嬉しそうにしてんだ…』 さて、何で授業を受けに来たゆっくりが沢山いるかの疑問も解けたし、そろそろ授業を始めるか。 『よし、まず最初におまえらにお話を聞かせる。途中でそのお話の問題を出すから、よ~く聞いておけよ。』 「ゆっくりりかいしたよ!」×一杯 ある所に、仲の良いまりさとぱちゅりーの夫婦が居ました。 子供が欲しくなったまりさとぱちゅりーは、すっきりーをしておちびちゃんを作りました。 お腹が大きくなる妊娠をしたぱちゅりーは、夫のまりさが守ってくれたおかげで、無事に元気なおちびちゃんを生めました。 生まれてきたのは、赤ちゃんまりさが3人と赤ちゃんぱちゅりーが1人です。 お父さんになったまりさとお母さんになったぱちゅりーは、ゆっくりしたおちびちゃんが生まれてとても喜びました。 しかし、おちびちゃんが生まれた次の日、お父さんまりさとお母さんぱちゅりーは、お家に押し入って来たゲスなれいむとまりさの夫婦に永遠にゆっくりさせられてしまいます。 ゲス夫婦は、お家にあったご飯を奪った後、お家の隅っこの方で4人のおちびちゃんが震えている事に気がつきました。 前から奴隷が欲しいと思っていたゲス夫婦は、おちびちゃんを奴隷にする事にしました。 しかし、赤ちゃんまりさは大人になって強くなったら、復讐されてしまうかもしれないので、大人になっても強くならない赤ちゃんぱちゅりーを残して、他のおちびちゃんを永遠にゆっくりさせてしまいました。 その後、残った赤ちゃんぱちゅりーは、ゲスな夫婦のお家でうんうんを食べてお部屋を綺麗にする係として暮らしました。 ですが、赤ちゃんぱちゅりーは、家族を殺したゲスな夫婦を心の底から恨み、復讐する機会を狙っていました。 『さて、ここで問題だ。この赤ちゃんぱちゅりーの復讐は成功するか、それとも失敗するのか。お前らはどっちだと思う?』 あまりゆっくりできない内容の問題だったので、少し暗い雰囲気の中、ゆっくり達は自分の意見を出し始めた。 「むきゅう…おちびちゃんはかわいそうだけど、からだのよわいぱちぇじゃ、いっしょうまりさにはかてないわ…」 「ふくしゅうできそうなおちびちゃんをえいえんにゆっくりさせるなんて、ずるがしこくてゆっくりできないみょん!」 「とんだいなかもののふうふね!おそわれたかぞくがかわいそうだわ!」 『ああ、言い忘れてたけどヒントだ。この赤ちゃんぱちゅりーは、お腹に居た時にお父さんまりさとお母さんぱちゅりーの知識を貰っている。例えば、毒キノコの知識なんかも持ってる。』 「ゆ?あたまがよくても、ゲスにはかてないのぜ!やっぱりふくしゅうなんてむりなのぜ!」 「わかるよーげんじつはひじょーなんだねー」 反論の意見が無いところを見ると、どうやらここにいるゆっくりは全員、復讐は成功しないと思っているようだ。 あれだけ露骨なヒント出されたのに、深読みするゆっくりが1匹も居ないとは…。 『よし、その後赤ちゃんぱちゅりーがどうなったか言うするから、ちゃんと聞けよ!』 最初の数日は、恨みだけで相手を殺せそうな顔で暮らしていた赤ちゃんぱちゅりーでしたが、ある日から毎日おいしそうにうんうんを食べ、ゲス夫婦に感謝の言葉を送るようになりました。 ゲス夫婦は、そんな赤ちゃんぱちゅりーの滑稽な姿を見下してゆっくりしていました。 ある日、いつも通りゲス夫婦が他のゆっくりからご飯を奪って帰ってくると、お家の中にとても綺麗な色をしたキノコが2つ置いてあります。 ゲス夫婦は、きっと奴隷がうんうんを食べさせてあげている自分達に感謝の気持ちとして、とてもゆっくりしたキノコを献上したのだと思いました。 そう思い込んだゲス夫婦は、置いてあった幸せそうにキノコを食べ始めます。 しかし、置いてあったキノコは、赤ちゃんぱちゅりーがゲス夫婦に感謝して送ったゆっくりしたキノコでは無く、復讐の為に仕掛けたゆっくりできないキノコでした。 このゲス夫婦は、自分達で狩をした事がないせいで、ゆっくりできないキノコの存在を知らなかったのです。 そして、ゆっくりできないキノコを食べてしまったゲス夫婦は、口から沢山の餡子を吐き出して死んでしまいました。 こうして、赤ちゃんぱちゅりーは復讐を成功させました。 『というわけで、復讐に成功するが正解だな。』 「す、すごいのわ!おちびちゃんなのに、おとなのゲスをせいさいできるなんて、とかいはなゆっくりだわ!」 「うう、わかるよー!つらいおもいをしながらも、ふくしゅうをやりとげたんだねー!グスッ か、かんどうしてなみだがとまらないよー!」 「からだのよわいぱちゅりーのおちびちゃんなのに、かぞくのむねんをはらすなんて、すごすぎるゆっくりだみょん!」 よほど赤ぱちゅりーの復讐劇で感動したらしく、ここに居る全てのゆっくりが赤ぱちゅりーに賛辞を送っていた。 …実は、この赤ぱちゅりーの話は、前に俺がゆっくりの観察をしに森に来たときに見た実話で、俺が介入すればいつでもゲス夫婦を制裁できたなんて口が裂けても言えないなあ。 『さて、今のお話で何が言いたかったのかというと、勝ち負けは強さだけで決まらないって事だ。頭を使えば、体の弱い赤ちゃんぱちゅりーでも大人のゆっくりに勝てるって事がわかっただろ?』 「むきゅ!からだのよわいぱちぇでもいっしょうけんめいかんがえれば、かてるのね!」 「ゆ!もともとつよいまりさが、かんがえてたたかえば、むてきなんだぜ!」 『逆に、自分より弱い奴に負ける可能性もあるから、どんなに相手が弱そうでも絶対に油断するなよ。慢心していて子供に負けた大人のゆっくりなんて、笑い者にされるからな。』 「ゆゆ!?や、やっぱりむてきになるのはやめておくんだぜ…」 その後、まりさを除いたゆっくりの笑い声があたりに響いた。 授業が終わり、俺の住んでいる洞窟に帰ってきた後、俺は魔梨沙と話していた。 『なあ魔梨沙、何かあったのか?授業中はやけに静かだったけど。』 「うう、師匠の頭の上って凄く安心できて、ついうっかり寝ちゃって…起きた時にはもう授業が終わってたのよーーー!!」 魔梨沙の悲しみの叫びも洞窟の中に響いた… 授業を開いた次の日、昨日の暇が嘘の様に相談をしに来るゆっくりが大量に来ていて、俺住んでいる洞窟の前に相談をしに来たゆっくりの列ができている。 数が多くて疲れるが、ほとんどが一斉駆除や虐待鬼威惨等のテンプレな悩みを持っている野良ゆっくりと違い、野生のゆっくりの悩みはバリエーションが多いのが唯一の救いか。 相談の終わったゆっくりが洞窟から出て行くと、次のゆっくりが入ってきた。 「ありすのおちびちゃんが、きもちわるいっていって、むしさんをたべてくれないのよ…どうしたらいいのかしら…」 『虫以外のご飯の量を少しだけ減らして、ややお腹が空くぐらいの状態にしておけ。あとは親が美味しそうに虫を食べていれば、そのうち小腹を空かせたチビが自分から食べるようになる。』 こんな風にまともな相談もあれば 「まりさのしゅんそくっ!のあんよにいしさんがささってて、すごくいたいんだぜええええええ!」 『俺じゃなくて、治療の仕事をしてるぱちゅりーの所に行け!というか、あんよが痛いのにわざわざ順番待ちの列に並んでたのか!?』 何か勘違いしたゆっくりが来る事もある。 「みょんはえださんをけずって、ろーかんけんをつくるのがとくいだみょん!だから、みょんはろーかんけんをつくるしごとをしたいんだみょん!」 『ああ、他のゆっくりは落ちてる枝をそのまま使ってるから、凄く使いにくそうだよな。よし、魔梨沙!このみょんがどれくらい上手く木の枝を加工できるか見てくれ!』 「はーい!じゃあ、此処だと師匠の邪魔になるし、あっちに行きましょうねー♪」 「き、きんちょうするみょん!でもがんばるみょん! 『魔梨沙に認められたら、細かい仕事の内容を決めるから、また並べよー!』 たまに面白い事を考えたゆっくりが来たりするのも、相談を受けていて飽きない理由か。 「た、たいへん!たいへんなんだよー!わかってよー!」 みょんの次の相談者は、かなり慌てた様子のちぇんだった。 よほど大変な事があったらしく、話している最中も落ち着き無く跳ね回っている。 『凄い慌てようだな。何があったんだ?』 「ドゲスが!ドゲスがゲスをたくさんつれて、こっちにきてるんだよー!わかってねーーー!!」 『お前、普通に列に並んでたよな!?何でそんな緊急事態なのに、並んでんだよ!?』 「わ、わからないよー!すぐにしらせようとおもったけど、あんよをけがしてるまりさが、いたいのをがまんしてるまりさでもならんでるのに、なんでちぇんがじゅんばんをまもらないんだぜ!っていったからだよー!」 『ああ、あの馬鹿か…って呆れてる場合じゃないな。魔梨沙っ!一旦仕事は中止だ!これから俺の言うとおりに大人のゆっくりを誘導してくれ!』 群れの外れで待っていると、ちぇんの言った通りドスンドスンと音を立てながら、ゲスなドスまりさ…ドゲスがこちらに向かって来た。 ドゲスの後ろには、十数匹の普通サイズの通常種がゾロゾロと付いて来ている。 ドス級のゆっくりが率いている群れなのに、普通サイズのゆっくりの数はあまり多くない。 恐らく、ドゲスに付いて行って食料を奪い回っているので、子供を育てる為に定住できない所為だろう。 そんな事を考えているうちにドゲスは俺の前で止まり、無駄に大きな声で喋り始めた。 「ゆっへっへっへ!そこのまりさ!ドスがとくべつにむれにきてやったんだぜ!ゆっくりしないでおうちのごはんをぜんぶドスにけんじょうするんだぜ!」 「そうだよ!クズでむのうなゆっくりは、でいぶのためにさっさとごはんをもってきてね!ゲラゲラゲラ!」 「ゲラゲラゲラ」×一杯 わかりやすいほどゲスな群れだな。 しかも、ドゲスはドス級のゆっくりにも関わらず、俺を人間だと判断できないようだ。 一番対処しやすい馬鹿なドゲスだが、一つだけわからない事がある。 『俺しか居ないのに、何で此処が群れだってわかるんだ?』 「むきゃきゃ!それはもりのけんじゃであるぱちぇが、クズでむのうなばかをころさないかわりに、むれのいちをききだしたからよ!」 するとドゲスの後ろからボロボロになった5匹のゆっくりが飛び出してきた。 「ゆへへへ!これで、まりさたちをおいだしたむれもおわりなのぜえええええ!」 「むきゅー!ぱちぇたちをおいだしたむくいよ!」 「いなかもののむれなんてぜんめつっ!すればいいのよ!」 「いくらつよくてもドスにはかてないみょん!」 「わかるよー!さっさとどすにやられちゃえばいいんだねー!」 ああ、成る程。 この前追い出したゆっくり達が、群れの位置をばらしたのか。 「クズのくせにでしゃばるんじゃないんだぜ!まぁいいのぜ!どうせ、おまえらみたいなむのうなクズは、もうようずみなんだぜええええええええええ!」 ぐちゃ そう言うとドゲスは60cmほど飛び上がり、5匹のゆっくりを踏み潰してしまった。 復讐しようとしたら利用されるだけされて、さらに用済みになったら殺されるなんて、小悪党みたいな奴らだったなあ。 「ゆっへっへっへ!こいつらみたいになりたくなかったら、さっさと『あー、もうそういう面倒な口上はいらないから。』ゆ!?」 『お前みたいなゲスの言うことなんて、1つも聞くつもり無から。話を聞くのもだるいし、さっさと掛かって来い。』 「ゆぎいいいいいいいいい!!ドスをばかにするなんて、ゆるさないのぜえええええええ!おまえなんて、ドスがいちげきでえいえんにゆっくりさせてやるんだぜえええええ!」 俺の挑発に乗ったドゲスが、一直線に向かって来る。 しかし、ドスの体当たりは異常なまでに遅かった。 無駄に体がでかいので、大きく回避しないと避けられないのだが、あまりにも遅いので歩いていても避けられる。 「なにやってるのおおおおおお!はやくあいつをたさないと、れいむがごはんをうばってむーしゃむーしゃできないでしょおおおおおおおお!」 「ドス!そんなクズさっさとやっつけるのぜ!すぐでいいのぜ!」 「ゆがあああああああああ!うるさいのぜええええ!おまえも、いだいなドスのいちげきをよけるんじゃないんだぜえええええええええ!!」 『避けるなって言われて、言われた通り避けない奴がいると思っているのか?それに、そんなにノロマでよく生きてこれたな。ああ、頭も悪いし、足も遅いけど運だけは良かったのか!』 「ドスをばかにするなあああああああああああああ!ドスのスペシャルアタックで、いますぐしねえええええええええええええええええ!」 スペシャルアタックと言っているが、さきほどと同じ超遅い体当たりだ。 昨日、どんな相手でも油断するなと授業で教えたばかりなので、警戒しながら戦っているのだが、正直警戒しながらに戦ってるのが少しアホらしくなってきた。 「どうしてあたらないんだぜええええええええええ!?ドスのこうげきをよけられるはずないんだぜえええええええええええええ!」 まぁ、普通のゆっくりはドスと対峙すると、ビビってその場から動けなくなるからな。 多分あのドゲスは、そういう駄目なゆっくりとしか戦った事が無いんだろうなあ。 「師匠ー!準備が終わったわよーーー!」 悔しがって地団太を踏んでいるドゲスを見ていると、群れの奥から魔梨沙がこちらに向かって来た。 ようやく魔梨沙に指示しておいた誘導が終わったようだ。 『ご苦労さん。でも、此処は危ないし、こっちに来ないで遠くから大声で伝えればよかったんじゃないか?』 「うふふ♪上手くお仕事もできたし、師匠にご褒美もらいたいな~なんて思ったのよ!それと、此処は危ないけど師匠の頭の上は安全よ!」 『俺の頭の上が気に入ったのか…また寝るなよ?』 「こ、こんな時に寝ないわよ///」 「ゆがあああああああああああ!!もうゆるさないんだぜええええええええええええ!これでもくらうんだぜえええええええええええええええええええええ!!」 魔梨沙を頭を乗せたと同時に、ドスがキレた。 ドススパークを撃つつもりのようで、帽子から取り出したドススパークを撃つ為のスパーク茸を咀嚼してチャージしている。 しかし、ドススパークは、一旦チャージし始めると1分近く何もできないので、その間は隙だらけだ。 『おお!?ちょうどこっちの準備が終わった後にチャージをし始めるとは…だからゆっくりが死ぬ為に生まれてくるって言われるんだろうな…』 「え!?ゆっくりって人間からそんな風に言われてるの!?」 『おっと、チャージが終わる前にさっさと済ませないとな。』 「ちょ、師匠!?さっきの話詳しく教えて!!」 頭の上から何か聞こえる気がするが、気にしない。 俺は、さきほどドスに潰された5匹のゆっくりの元へ向かった。 ドススパークは口から出すので、正面にしか撃てない。 標的である俺が移動したため、ドスも方向転換しないといけないのだが、チャージ中はゆっくりとしか動けないようで、ノロノロと方向転換している。 俺が潰された5匹のゆっくりの死体を地面から引き剥がし終わり、ドスの方を向くと、ちょうど俺のいる方向を向き終わったところだった。 すでに、大分チャージが終わっているようで、ドスの口からは黄色い光が漏れている。 「ゆへへへへ!もう、おまえはおわりなんだぜ!ドススパークでいっしゅんでころしてやるんだぜええええええええええ!!」 チャージ中にも関わらず、無駄に口を開けて喋るドゲス。 俺はその開いた口に… 『そうか。それじゃあ、頑張ってドススパークを撃とうとしてるドゲスにプレゼントだ。』 死臭を放つ、5匹のゆっくりの死体を放り込んだ。 「ゆげ!?なにをいれたんだぜ!?ぐざいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」 ドゲスは慌てて死体を吐き出そうとしているが、今はドススパークのチャージ中だ。 そんな事をすれば当然ドススパークが暴発し… 「ぎぼぢわるいいいいいいい!ゆg(カッ)」 ドゲスは一瞬だけ強く発光すると、爆散した。 「わからないよおおおおおおおおおおおおお!?ドスはさいきょうのゆっくりはなかったのおおおおおおおおおおお!?」 「でいぶこんなのきいてないよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?ドスがいれば、クズをころしていっぱいむーしゃむーしゃできるんじゃないのおおおおおおお!?」 「そろーり、そろーり。まりさはにげるのぜ!まりさはここにいないから、ぜったいにみつからないんだぜ!」 「んほー!そんなにおしりをふってるなんて、とかいはなありすをさそってるのねえええええええ!」「そろーりそrゆ?れいぱーだあああああああ!?ゆんやーーーーーー!」 「むきゃきゃ!ドスをたおすなんてすごいまりさね!もりのけんじゃであるぱちゅりーが、つかえるにあたいするゆっくりだわ!」 「とくべつにみょんもつかえてやるみょん!ありがたくおもうみょん!」 ドスが殺されてただ泣き喚くゆっくり、逃げ出そうとするゆっくり、レイパー化するゆっくり、媚?を売るゆっくり等、色々なゆっくりがいるが、俺の群れを襲ったゲスを1匹も逃がすつもりはない。 「皆出てきて!ドゲスは師匠が倒してくれたわ!後はゲスを掃除するだけよ!」 魔梨沙が合図を送ると、俺の群れに所属している成体のまりさ種、ちぇん種、みょん種がゲスの群れを囲むように現れた。 どのゆっくりも木の枝を咥えて武装している。 ちなみに、あまり体を動かすのが得意じゃない、ありす種とぱちゅりー種は赤ゆっくりと子ゆっくりを一箇所に集めて隠れさせたので、ゲスの包囲には参加していない。 「3人で1人のゲスを倒すのよ!そうすれば絶対に負けないわ!」 「ゆおおおおおおおおお!!」×一杯 自分達と同じ普通サイズのゆっくり(に変装した人間)が、ドス級のゆっくりを倒したのを見た所為か、俺の群れのゆっくりの士気はかなり高い。 反対にゲスの群れは、最強だと思っていたドゲスが殺された事によって混乱しており、戦闘どころではないようだ。 ゲスの群れは数も大きく負けており、こちらはありす種とぱちゅりー種が参戦していないにも関わらず、こちらの数分の一程度の数しかいない。 さきほど魔梨沙が言ったように3対1で戦っても余裕ができるほどだ。 「やべ、やべで!でいぶのみりょくてきなボディをぷーすぷーすしない(グサ)ゆぴぃ!?ゆぎ…もっとゆっくり…したかった…」 「むきゃ!ぱ、ぱちぇのずのうはせかいのたからよ!?ぱちぇをころしたらこのずのう(グサ)むぎょおおおおおおおおおお!!」 何1つ有利な点の無いゲスの群れは、何もできずに殺され、次々と断末魔をあげていった。 俺の頭の上では、魔梨沙が戦っているゆっくりに指示を出している。 高い場所から周囲を見渡せるので、正確な指示を出せるみたいだ。 ただ、足元で敵味方混じったゆっくりが沢山居るので、うっかり味方を踏み潰してしまいそうで俺は戦闘に参加できず、少し暇だった… 「そこのみょん!一人で前に出すぎよ!もっと固まって戦いなさい!そっちのレイパーはゲスまりさを犯すので必死だから、今のうちに殺っちゃいなさい!ただし、レイパーは死ににくいから一世に攻撃するのよ!」 「んほーーー!まりさのまむまむは、とかいはねええええええええ!(グサ)(グサ)(グサ)んほ!?(グサ)(グサ)(グサ)ゆぎ…もっとすっきり(グサ)(グサ)(グサ)じだがっだ…」 「ゆ!まりささまをたすけるなんて、みどころのある(グサ)どぼぢで!?」 その後、特に問題なくゲスの群れの殲滅は終わった。 群れ同士の戦争をしたにも関わらず、こちらの被害は軽傷のゆっくりが2匹だけ、ようするに圧勝だった。 『昨日の授業で教えたばかりの内容を、次の日に自分で実践するとは思わなかったな。』 ドゲスの攻撃は全て遅く、避けるのは簡単だった。 しかし、ドス級のゆっくりの皮は厚く普通に攻撃していてもダメージを与えられないので、ドススパークを暴発させなかったら、いつまでも倒せなかっただろう。 「うふふ、師匠が赤ちゃんぱちゅりーで、ドゲスがゲス夫婦ね♪」 『お願いだから、俺を赤ぱちゅりーに例えるのはやめてくれ。かなり恥ずかしい。』 「うふふ、師匠ったら可愛いわね♪」 『あんまり俺をからかうと、2度と頭に乗せてやらなくなるぞ。』 「え!?そ、それは嫌ーーー!」 昨日に続き、今日も魔梨沙の声があたりに響いた。 続きたい **************************************************************************** 書き忘れたり、書いたつもりだったけど、後になって読者に伝わってないんじゃないかな?って思った設定をここで書かせてもらいます。 群れのシステム 群れは配給制で、狩で採ってきた食料は長に渡した後、群れのゆっくりに分配される。 余った食料は緊急事態の時用に、長お兄さんの住んでいる洞窟の奥のほうに貯めてある。 ほとんどのゆっくりは、狩&見回り又は、子守&教育の仕事をしていますが、長おにいさんに提案して認められたゆっくりが、治療等の自分で考えた仕事をしている。 長お兄さんは、ゆっくりの前とそれ以外で別の呼び方をする場合があります。 例 ゆっくりの前 それ以外 1人 1匹 夫婦 番 等です 挿絵:姉妹あき
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/2057.html
「ごべん゛な゛ざい゛い゛い゛はんぜい゛じまずがらゆるじでぐだざい゛い゛い゛い゛い゛」 一匹のゆっくりれいむがお兄さんに捕まった。お兄さんの家に忍び込み大切な母の形見を壊したからだ。 ここまではよくある風景だがこのゆっくりはちょっと違った。 「でいぶはどうなっでもい゛い゛がらおながのあがじゃんだげはだずげでぐだざい゛い゛い゛い゛」 このれいむ実は胎生型妊娠をしていたのだ。幸いなことにお兄さんは虐待お兄さんではなかったので 子供が生まれるまで生かしてもらえることになった。 ? ? ? 1 日 目 ? ? ? 「むーしゃ、むーしゃ…」 れいむは逃げないよう檻に囚われ餌として野菜くずを与えられた。 くずといっても野生の食べ物に比べればはるかに美味しかったがれいむは幸せな気持ちになれなかった。 もうすぐ人間さんに殺されてしまう。そう思うと美味しいはずの食事も味が良く分からない。 「ゆゆっ?あかちゃん?」 その時れいむの腹の中の赤ちゃんが動いた。 「れいむのかわいいあかちゃん、げんきにそだってね」 死の恐怖に怯えていたれいむだが赤ちゃんそ存在がれいむの心を支えていた。 ? ? ? 7 日 目 ? ? ? 「うーん、うーん、うまれるよ…」 お兄さんが仕事で家を開けている時、れいむのおなかに痛みが走る。赤ちゃんが生まれようとしているのだ。 「れいむのあかちゃんうまれるんだね…れいむとってもうれしいよ」 だがその時お兄さんの言葉を思い出す。 『子供に罪はないから生まれるまで待ってやる。だが子供が生まれたらお前は殺すからな』 「ゆゆっ!だめだよ、あかちゃんまだうまれないで!」 れいむは腹に力を込めて生まれてこようとする赤ちゃんを押し戻した。 やがて赤ちゃんも諦めたのかれいむの産気は収まった。 「あかちゃんうまれるのはもうちょっとだけまってね…」 ? ? ? 1 0 日 目 ? ? ? 「うーん、うーん、うまれるよ…」 お兄さんが仕事で家を開けている時、れいむのおなかに痛みが走る。赤ちゃんが生まれようとしているのだ。 「れいむのあかちゃんうまれるんだね…」 だがその時お兄さんの言葉を思い出す。 「あかちゃんおねがいだからうまれないでええええ」 れいむは腹に力を込めて生まれてこようとする赤ちゃんを押し戻した。 だが赤ちゃんは前回より強い力でれいむの体から出ようとする。 「おねがいだからやめてええええ」 自分の力では抑えきれないと思ったれいむは野菜の芯で自分のまむまむに蓋をした。 そのかいあってかしばらくして産気は治まった。 「あかちゃんがうまれるとれいむがこまるんだよ。おねがいだからうまれないでね」 ? ? ? 1 2 日 目 ? ? ? 「うーん、うーん、うまれるよ…」 お兄さんが仕事で家を開けている時、れいむのおなかに痛みが走る。赤ちゃんが生まれようとしているのだ。 「おねがいだからう゛まれないでっていってるでしょお゛お゛お゛お゛」 だが今回は赤ちゃんもなかなか諦めようとしない。 まるで『なんでうんでくれないの?じぶんはいらないこなの?』と言っているようだった。 「わがままなあかちゃんだね!れいむそんなわがままなあかちゃんいらないよ!」 怒ったれいむはお腹の中の赤ちゃんを罵倒しはじめた。れいむの気持ちがわかるのか赤ちゃんは大人しくなった。 「こんなできのわるいあかちゃんがいるなんてれいむはふこうだよ」 赤ちゃんは寂しそうにごろりと動いた。 ? ? ? 1 7 日 目 ? ? ? 「い゛だい゛い゛い゛い゛、でいぶのおなががい゛だい゛い゛い゛い゛い゛」 お兄さんが仕事で家を開けている時、れいむは激痛でのた打ち回った。 お腹の子供が成長しすぎたせいでれいむの体を圧迫しているのだ。 「れいむをいたいいたいさせるあかちゃんはしね!」 れいむは壁や床にお腹を叩き付けた。何度も何度も… あかちゃんは『いたいよ、なんでこんなことするの?』と言う様にもぞもぞと抵抗したが その動きがよけいにれいむのお腹を痛くし怒りを買うことになった。 「あかじゃんあばれるな!はやくしね!はやくしね!」 やがてお腹の赤ちゃんは動かなくなった。壁に叩きつけられたダメージで死んでしまったのだ。 れいむのまむまむからチョロチョロと餡子が漏れる。 「なあれいむ・・・」 「ゆ、ゆぴっ!!」 気がつくと背後にお兄さんが立っていた。 「れいむの赤ちゃん中々生まれないな」 「し、しらないよ!れいむはあかちゃんになにもしてないよ!」 「…」 「お、お兄さん?」 「なあれいむ…」 「れれれ、れいむはなにもしてないよ、あかちゃんはげんきにそだってるよ!」 「…そうか」 お兄さんは無言で部屋から立ち去った。 ? ? ? 2 0 日 目 ? ? ? 「うーん、うーん」 お腹に痒みを感じれいむは目を覚ました。何だろうと思いお腹を見ると… れいむのまむまむにウジ虫が入り込もうとしていた。 どうやら腐った赤ちゃんの餡子の臭いに釣られて湧いてきたらしい。 「やめでえ゛え゛え゛!むしさんれいむのなかにはいらないでえ゛え゛え゛!」 れいむはまむまむを壁に擦りつけウジ虫を引き剥がした。 ほっとしたのもつかの間腹の中にちくりとした痛みを感じる。 どうやら気づいたのが遅かったらしくすでに数匹体内にウジ虫が入り込んでいたのだ。 チクチクとした痛みはやがて激痛に変わる。どうやらウジ虫が中枢餡子のあたりまで入ってきたらしい。 「いだいよお゛お゛お゛お゛!むしさんでいぶをだめないでえ゛え゛え゛え゛!」 「なあれいむ・・・」 「ゆ、ゆぴっ!!」 気がつくと背後にお兄さんが立っていた。 赤ちゃんを殺したことをお兄さんにばれないようにしなければならない。 れいむは痛みをこらえて平静を装った。 「れいむがこの家に来てからもう20日になるな」 「れ、れいむのあかちゃんはゆっくりしているからなかなかうまれないんだよ」 自分が疑われていると思ったれいむは聞かれてもいないのに言い訳を始めた。 「俺あれから考えたんだけどさ。れいむ、赤ちゃんが生まれてもお前は助けてやるよ」 「ゆ、ゆゆっ!?」 「俺も幼い頃母親が死んでさ。だから形見が壊されたときすごい怒ったけど やっぱりゆっくりでも母親は必要だと思うんだ。」 「…」 「生まれてすぐ母親がいなくなるのって悲しいからな。お前の赤ちゃんにもそんな思いさせたくないんだ」 「……」 「あの時のことは水に流してゆるしてやるからお前も赤ちゃんのこと大事にしろよ」 「…ゆ、ゆぐっ」 「れいむ?」 「ゆ、ゆげええええええ!!」 「おいれいむ?どうしたんだ?しっかりしろれいむ!」
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3325.html
『子ゆっくりのゆん生が終わるまで』 30KB 虐待 制裁 観察 越冬 家族崩壊 姉妹 自然界 現代 虐待人間 6作目 これは、とある埼玉の小さな小さな山に住むゆっくりたちのお話です。 季節は秋。 赤い紅葉がはらはらと舞い落ちる様は、食料を集めるゆっくりたちも時折それに見惚れるほどに美しいもので した。 とはいえ、もうすぐ寒い冬がやってきます。えっとうっ、の準備を急がなければなりません。それでもやっぱ り、ゆっくりたちは燃えるような葉の嵐を見ては少しだけゆっくりするのでした。 さてさて。 その小さな山にはぱちゅりーを長とする小さなゆっくりの群れが住んでいました。彼らは小さな群れでしたが、 賢いぱちゅりーのおかげでそれなりーにゆっくりな毎日を過ごしていました。 ただ、どんな群れにもやはり「ゆっくり反りがあわない」という者が出てきます。 狩りの名手であるそのまりさは、かつてぱちゅりーの群れの一員でしたが、ある出来事をきっかけに番のれい むと共に群れを出ました。 とはいえ、発見即せいっさいというような厳しいものではなく、ただ群れの保護から離れるだけのこと。そし て、この山は人間も滅多に来ず、食料もそれなりーにあるので、家族はとてもゆっくりできていました。 『子ゆっくりのゆん生が終わるまで』 vol1.長男 子まりさ その子まりさは、親まりさのことが本当に好きでした。 子が親を愛し尊敬するのは、人間動物問わず極々当たり前のことですが、子まりさの信奉っぷりは群を抜いて いました。 というのも、子まりさはれみりゃに襲われたとき、果敢に戦った親まりさに救って貰ったという思い出がある のです。 ――お父さんのようになりたいよ。 子まりさは常日頃、その夢を口にしていました。母親である親れいむの温かい眼差しを受けつつ、子まりさは 日夜走り回って体力をつけていました。 狩りにはまだ行かせて貰えなかったのですが、父からは「もうすぐおちびちゃんにも狩りを教えてあげるね。 いっぱいごはんさんをみつけていっぱいむーしゃむーしゃできるようにしてあげるね」と言われていました。 子まりさはそう言われた日の夜、親れいむにベッドに寝かしつけられるまで興奮のあまり眠れませんでした。 一つ残念なことに、子まりさに友達はいませんでした。自分が生まれたときには既に、親まりさたちは群れを 離れていたからです。 一度、お散歩の途中で見かけたぱちゅりーに話しかけてみましたが「むきゅ。あのいっかのおちびちゃんね。 あなたとわたしはむかんけいだから、はなしかけちゃだめよ」と言われてしまうだけでした。 そのことを子まりさが伝えると、親まりさは仕方ないねというように寂しげに笑い、それを親れいむがすーり すーりして慰めました。 子まりさは子まりさなりに、この話題がタブーなのだと理解しました。 代わりに妹たちとはよく遊びました。 次女のれいむは、姉である子まりさの目からみても「しょうらいゆっくりしたおよめさんになれるね」という 感じのしっかりした子でした。 末のまりさは、二人より少し歳が離れているせいかちょっと甘えん坊ですが、すぐ泣いてすぐ笑う、家族のム ードメーカーです。 狩りに連れて行くと親まりさが言った日から「たいようさんに3かいゆっくりおはようといった」日が過ぎて。 とうとう待望の狩りに連れて貰う日がやってきました。 「おとうさん、ゆっくりかりをするよ!」 「ゆふん。おちびちゃん、ちょっとまってね。ちゃんとおとうしゃんのいうことをきかないと、ゆっくりできな くなるからね」 「ゆっくりりかいしたよ! おとうさん、どうすればいいの!」 親まりさの教えを受けた子まりさは、子まりさなりに頑張ってみたがどうにも上手くいきません。 「ばったさん! どうしてゆっくりしてくれないの! まりさおこるよ! ぷくーするからね、ぷくーだよ!」 そんな風に言っても、バッタはいうことを聞いてくれないのです。 結局その日、子まりさが狩りで手に入れたのは小さな小さなきのこ一つ。それも、親まりさが見つけてくれた ものでした。 帰り道に涙ぐむ子まりさに、親まりさはこう言って聞かせました。 「おちびちゃん。さいしょはだれでも、うまくいかないものなんだよ」 「おとうさんも……?」 「そうだよ。まりさもさいしょは、ぜーんぜんとれなかったんだよ。おとうさんについていって、たくさんのこ とをおしえてもらったんだよ……」 「まりさも、かりがうまくなれる?」 親まりさがすーりすーりしてくれました。 「もちろんだよ、おちびちゃん」 焦らずゆっくりと育つ。それがゆっくりにとってゆっくりできる成長なのです。 子まりさはその日、一つ大人になりました。 vol2.次女 子れいむ 甘えん坊の妹と、元気いっぱいの姉に挟まれた次女れいむは、親まりさより親れいむにべったりで、必然的に 家のお手伝いをよくすることが多くなりました。 親れいむは、子供の目から見ても色んな知識を蓄えていました。特に、母親がありす種だったせいか「こーで ぃねーと」の腕は、ありす種に勝るとも劣らずといった感じでした。 「こうやってはっぱさんを口ではむはむして、おさらさんをつくるんだよ」 「ゆゆ~……おかあさん、ゆっくりすごいよ!」 「ゆふん。おちびちゃんもつくってみる?」 小さな葉っぱさんを渡された次女れいむは、うんしょうんしょっと舌で一生懸命葉っぱを折りたたんでみまし たが、いつまで経っても「おさらさん」にはなりません。 「ゆぅ……」 次女れいむは、上手くいかない自分に嫌気がさして涙ぐんでしまいます。それを見てとった親れいむは、あら あらと苦笑しながらすーりすーりして言いました。 「てつだってあげるね、おちびちゃん」 「うん!」 親れいむが舌を出して、分かりやすくおりたたみ方を説明していきます。次女れいむもそれを見ながら、ゆっ くりがんばります。 その日の夕食、子まりさの「おさらさん」が変わりました。 「ゆゆ? まりさのおさらさん、いつもとちがうね!」 「ゆふふ。それはね、れいむがつくってくれたおさらさんなんだよ」 「ほんとう、れいむ!?」 次女れいむは照れたようにもみあげをもじもじさせながらいいました。 「ゆゆ~……お、おねえしゃんにぷれぜんとしたかったの……」 「れいむ! まりさかんげきしたよ! ゆっくりありがとう!」 「ゆふん……」 温かく姉妹愛を見守る両親。その後、末っ子が「まりしゃもほしい!」と我が侭を言っててんやわんやしたの は、また別の話。 vol3.三女 子まりさ 末っ子の子まりさは、いつも劣等感を抱えていました。 長女である姉まりさは、お父さんに狩りに連れて行って貰えるほどの元気の良さ。 次女である姉れいむは、いつもおうちのお手伝いをしているしっかりもの。 自分だけが、何もできない気がしていました。まあ、この末まりさ。実はまだ一人でうんうんもできないほど の甘やかされっぷりなので、まずはそこからだろうという話なのですが。 まず最初に、姉のように狩りに連れて行って貰うように頼んでみました。親まりさは困ったような顔で、彼女 を宥めるようにすーりすーりしました。 「ゆゆ~ん。おちびちゃんにはまだはやいよ! でも、たくさんあしたがきたらすぐにかりにいけるからね!」 「ゆぅぅぅ! まりしゃだいじょうぶだよ! いもむししゃんだってちょうちょしゃんだってむーしゃむーしゃ できるよ!」 「おちびちゃん。おとうさんをこまらせたらゆっくりできないよ?」 「うぅ……うぅぅ……うあぁぁぁぁぁん! やだやだやだああああ! まりしゃもかりにいくぅぅぅぅぅ!」 こればっかりはどうすることもできず、親たちも溜息をついて、肩ならぬもみあげとおさげを竦めるしかでき ませんでした。 「まりさ、まりさ」 「ゆぅぅ……にゃに……?」 ある日、末まりさは皆が寝静まっている夜に起こされました。起こしたのは、姉まりさです。 「ゆっくりおはなしがあるんだよ、しずかにね」 「ゆゆ。まりしゃゆっくりするよ」 「じつはね、かりのとちゅうでおはなさんがいっぱいあるゆっくりプレイスをみつけたんだよ」 「ゆゆ~……おはなさん。おはなさんはゆっくりできるにぇ」 「ゆふん。しょろーりしょろーりとそのおはなさんをつみつみしようね」 「ゆうう……でも、まりしゃまだひとりでしゃんぽはできないよ……」 「ひとりじゃないよ。まりさとれいむとまりさで、ゆっくりいこうね」 「ほんと!? ゆわぁ……! ゆっくち! ゆっくちだね!」 浮かれて飛び跳ねる末まりさを、姉まりさは慌てて押さえました。 「しーっ、しーっ!」 「ゆう……おちびちゃん……よふかしはゆっくりできないよ……」 「ゆ! ご、ごめんなさいおかあさん」 次の日の朝。 姉まりさと姉れいむ、そして末まりさは三匹で一緒にお花畑に行きました。お父さんお母さんには「ゆっくり あそびにいくよ」とだけ伝えてあります。 「ゆわぁ……」 そこには白いお花さんがたくさんたくさん咲いています。ゆっくりたちにとっては種類なんてどうでもいいで しょう。ともかくそのお花はたいへんゆっくりできるものでした。 「いっぱいむーしゃむーしゃするよ!」 「ちがうよまりさ! このおはなさんで、はなわさんをつくるんだよ!」 「ゆぅぅぅ!? むーしゃむーしゃできないの!? どぼじでえええ!?」 次女れいむが諭すように言います。 「まりさ。まりさはおとうさんおかあさんみたいになりたいよね?」 「ゆうう……あたりまえだよ! まりしゃだって、おとうしゃんみたいににゃれるもん!」 「だったら。おとうさんおかあさんにはなわさんをぷれぜんとしようよ! そうしたら、おとうさんもおかあさ んもまりさのこと『すごくゆっくりしてるね!』ってほめてくれるよ!」 「ゆ……ほ、ほんとう?」 「ほんとうだよ! だって、おはなさんではなわさんをつくるのってすっごくゆっくりしているからね!」 言われて、末まりさは周囲を見回します。 このきれいなお花さんで花輪をつくれば、確かに両親も自分のことを見直すかもしれません。子ゆっくりにと って、食欲は何よりも優先されるべきものですが、彼ら三匹はとても優秀なようですね。 「うん! まりちゃつくるよ! はなわさんをつくるよ!」 子ゆっくりたちは、息せき切ってお花を集めます。それから、次女れいむの指示に従って、お花さんを加工し ていきます。 「ゆうう……かんせいしたよ!」 花輪がとうとう完成しました。 「ゆわーい……とってもゆっくりしたはなわさんだよ!」 「おとうさんよろこぶかな?」 「おかあさんよろこぶよね!」 子ゆっくりたちは花輪を大事そうに抱えて、お家へと向かいます。 長女まりさが鼻歌を歌い始めました。 「ゆっくりのひ~♪」 次女れいむがそれに合わせます。 「まったりのひ~♪」 末まりさも続けます。 「すっきちのひ~♪」 三匹の合唱は、秋の森に春のような明るさを与えてくれます。 「ゆゆ? おちびちゃん、おそかったね……ってどうしたのこれ!?」 「ゆぅ……まりしゃからのぷれじぇんとだよ!」 「まりさたちはちょっとおてつだいしただけだよ!」 「まりさがおとうさんおかあさんのためにがんばってくれたんだよ!」 「ち、ちがうよ! まりしゃはおてつだいしただけで、おねえちゃんがぜんぶ……」 末まりさは慌てて訂正します。 聡い両親はすぐに、どうしてそんなことをしたのかを理解しました。これこそ愛です、家族の愛情なのです。 「ゆ……ゆ……ゆ……ゆううううん! おちびちゃああああああん! すーりすーり! すーりすーりだよーー ーーーー!」 両親は二匹でこれまでで最大のすーりすーりを三匹に与えました。 「「「ゆわあああああああい!」」」 その日の夜。厳しい冬を乗り越えるためのゆっくりエネルギーを補充するかのように……彼らのお家では、い つまでもいつまでもすーりすーりと歓声が絶えることなく続くでしょう。 秋にしては珍しくぽーかぽーかした日和。 頭に花輪をつけた親まりさと親れいむは、自分のそばでお昼寝する子ゆっくりたちを見ながらのんびりとすー りすーりしていました。 ――ゆわあああ……すごくゆっくりしたおちびちゃんたち! ゆっくりしていってね! ――ゆっくちちていってね! ――うんうんはここでしなきゃ、ゆっくりできないからね! ――ゆっくちりかいちたよ! ――ゆうううう!? どぼじでうんうんもらしてるのぉぉぉ! ――ゆううう! れみりゃがああ! れみりゃがあああ! ――だいじょうぶだよ、おちびちゃん。れみりゃはおとうさんがやっつけたからね。 ――すーりすーり……あんしんしておやすみ、おちびちゃん。 ――ゆ、ゆ……ゆっくちぃ……。 ――きゃわいいまりしゃのすーぴゃーうんうんちゃいむだよ! ――ぎゃんばれぎゃんばれま・り・しゃ! ――ぎゃんばれぎゃんばれま・り・しゃ! ――うん、うん……しゅっきりいいいいい! ――やったね! ひとりでうんうん、できるようになったね! ――ゆわああい! おかあしゃん! しゅーりしゅーりしてー! 「ゆっくり……しあわせー」 「まったり……しあわせー」 「……ねえ、れいむ。えっとうっ、がおわったら……」 「ゆぅ……はずかしいよ、まりさ。おちびちゃんがいるんだし……」 「だいじょうぶ。ねむってるよ……」 春になったら。 おちびちゃんたちに、また妹が出来るのかもしれません。 二人はその日を夢見て、でもまずは……今のゆっくりしたしあわせー、を噛み締めるのでした……。 ――まあ、そんなハートフルストーリーなど一切合切関係なく君たちは死ぬんですが。 vol4.いつものマンネリ打破お兄さん ゆっくり埼玉研究所の「博士」から「虐待もできてお金も貰えるというアルバイトしませんか?」と誘いを受 けた。 日曜で暇を持て余しているということもあり、喜び勇んでやってきた次第である。しかし、山に登るときまで 白衣なんですか博士。 「ここには、ぱちゅりーが長をやっている小規模な群れがあります」 「その群れを全滅させるんですか!」 俺の言葉に、博士は苦笑した。 「せっかちすぎますよ。全滅はよろしくありませんね。ゆっくりの群れは中規模レベルになると個数の厳密な管 理が必要になります。大規模レベルになると、森の生態系を乱す恐れがあるからです。ただ、中規模はともかく 小規模になるとなかなか国も管理しきれない」 「はぁ……」 「そこで。山の持ち主から依頼されて、定期的に間引きを行う訳です。ゆっくりは小規模なら生態系を乱さず、 定期的に死亡することで土壌を豊かにしますからね」 「なるほど。間引きですか」 「ええ。さて……まずは群れから追放されたり、出て行った『はぐれ』を間引くとしましょうか」 「分かりました! って、『はぐれ』かどうかってどうやって分かるんですか?」 「ああ、案内ゆっくりがいますから」 博士はそう言って、きょろきょろと周囲を見回した。天然の花畑のようだ。真っ白い花が、風にゆらゆら揺れ ている。その景色にまったりしていると、草むらからがさがさと音を立てて、ぱちゅりーが現れた。 野生のゆっくりにしては、妙に小綺麗で金バッジ付のような知的な眼差しを持っていた。 「むきゅ。おひさしぶりです、はかせ」 「お久しぶりです。長ぱちゅりー」 「『はぐれ』のところにあんないするわ。ついてきてください」 「ありがとうございます。あ、そうそう。こちら今回の助手さんです」 「むきゅ。これは、しつれいしました。おさぱちゅりーです」 「ああ、こちらこそご丁寧に……」 ぺこりと頭を下げるぱちゅりーに、何故か恐縮して思わず頭を下げてしまった。 「あの……博士」 「はいはい?」 思わず小声で囁く。 「間引きに、群れの長が協力するんですか?」 「賢い長なら、ですがね。ここの長ぱちゅりーは、その辺ドライですから」 「はかせ。『はぐれ』の一家はあそこです」 ぱちゅりーがもみあげで指した先には、確かにゆっ、ゆっ、ゆっ、という歓声が聞こえてくる。 「今回はそれ以外にも?」 「むきゅう。もうそろそろ、いまあるしょくりょうのけいさんがおわります。ただ、まびきしないわけにはいか なさそうです……むきゅ」 「では、ひとまずあの『はぐれ』からということですね。了解です」 「それではよろしくおねがいします。むきゅ」 長ぱちゅりーががさがさと草むらに消えていく。 「食料の計算って何ですか?」 「越冬用の食料を計算して、何匹間引かないと駄目か、計算しているんですよ。冬直前に、もう一度間引きに来 なきゃいけないようですね」 「へぇ……凄いですね」 「どこの群れもこうなら、楽なんでしょうがね。さて、まああの『はぐれ』は我々の獲物です。今回の虐待道具 は……」 鼻歌交じりで博士が取り出した道具。それは博士のオリジナル虐待道具らしい。 「名付けて――『お母さんのおくちのなかはとってもゆっくりできるね』です」 ネーミングセンスはないな、と俺は思った。 ぽかぽかした陽気のせいか、一家は揃ってうたたねしている。 「親まりさ・親れいむ・子まりさ・子れいむ・子まりさ……普通ですね」 「普通が一番じゃないですか。起こしますか?」 「ええ。打ち合わせ通りによろしくです」 俺はクラッカーを取り出し、彼らの鼻先でぱん、と爆発させた。 「「「「「ゆ゛っっっ!!!」」」」」 飛び起きた一家は、目をぱちぱちさせている。 「よっ!」 「ゆ……だ、だれ……ゆっくりできない……」 「に、にんげん……さん?」 「ゆう……ゆんやあああああああ! うるじゃいいいい! うるじゃいよおお!」 「ゆ、ゆっくりできないよぉ!」 「にんげんさん! なんだぜ! ま、まりさたちになにかようなのかだぜ!?」 親まりさがようやく立ち直り、四匹を守るように立ちはだかる。俺は笑って子ゆっくりの一匹を指差した。 「そのガキどもが欲しい」 「「「ゆ゛ッ!!?」」」 子ゆっくりたちは硬直したが、親たちの反応は速かった。 「おちびちゃん! おかあさんのおくちのなかにはいるんだぜ!」 子ゆっくり三匹程度なら、楽勝で口の中に入るだろう。 博士は道具を構えて、今か今かと待ち構えている。 「ゆうう! おちびちゃん、ゆっくりしないでいそいで!」 「ゆ! ゆっくりりかいしたよ! まりさ!」 「ゆう……きょわいよおおお! ゆあああああん!」 まりさが泣きながら、れいむがきりっと眉を吊り上げて口の中に入った。が、一回りだけ体の大きいまりさは 口の中に入ろうとしない。 「ゆゆ! おちびちゃん、さっさとはいってね!」 「いやじゃ! まりしゃもたたかうよ! こんなゆっくりしてないにんげん、まりさもせいっさいするよ!」 ……ふむ。どうします? やっちゃってー、と博士の指示が出たので俺は素早く動いて子まりさにデコピンを喰らわせた。呆然としてい た子まりさの皮が、じんわりと赤くなり……見る見る内に子まりさの目に涙が浮かぶ。 「ゆび!? い、い、いじゃああああああああああああああああああい! ゆんやあああああああああああああ あ!」 子まりさは飛び跳ねて痛みを訴える。相変わらず、痛みに弱いなぁコイツ等。 「おちびちゃあああああああああああん! はやくおかあさんのおくちのなかにいいい!」 「ゆんやああああ! おうちかえるうううう!」 ぴょんぴょんと子まりさがお家に入ろうとする、おいおい違うだろ。 「おうちはだめだよおおおお! おちびちゃんはこっちいいいいい!」 親まりさが誘導して、ようやく子まりさは口の中に入ってくれた。ホッと一息。 「では、始めるとしますか」 「かぞくにはてをださせないよ! ぷくーーーーーっ!」 膨らんだ親まりさの帽子を取り上げ、中に入っていた凶器(木の枝)を念のために奪ってから、親まりさの頭 に座り込んだ。 「ゆぶべ!? ど、どいてえええええ! どいてよおおおおおお!」 ケツでじたばたする親まりさがたまらなく鬱陶しいので、適当に突っついて大人しくさせる。 「いだっ、いだだだっ! やべっ、やべでええええ!」 「まあ、落ち着いて見てなって」 「さてさて、まずはご開帳♪」 博士が鼻歌交じりで、親れいむの口をこじ開けた。 「ゆんやあああああ! どぼぢでおくちさんがひらくのおおおおおお!?」 「きょないでええええ! れいむぷくーするからねえええ!」 「やじゃあああ! きょわいのやじゃああああああああああああああ! いだいのやじゃああああああああ!」 「ふぇご! ふぇげええ!」 訳の分からない鳴き声をあげる親れいむの喉に、まずは第一の装置をセットする。アクリルの板は喉に複数の フックで引っかかり、絶対に子ゆっくりたちを飲み込ませない。 「続いて枠をつけて、と……」 親れいむの口に、自動車のタイヤ交換に使用するジャッキのような金属装置を取り付ける。このジャッキで口 は限界まで広げられる。 「ふぉ……ふぁ……」 「よし、大きさはこんなものか……」 それから、透明なガラスをその枠にセットして終了である。 「ふぉげ!? ふぁ……ふぉぁああああああ!?」 「やべろおおおおおお! れいむになにするんだあああああああああ!」 目を白黒させる親れいむ。 必死になってもがく親まりさ。 「あんよ焼きかあんよ剥がししますか?」 「ちょっとやそっとじゃ、外れませんからねえ。せっかくですし、あんよを焼かない状態で成体ゆっくりを押さ えつける経験もしておいた方がいいでしょう」 「そうっすね」 まあ、うねうねもがくのが多少鬱陶しいが、慣れればどうということはない。 「それより見えますか?」 「ええ、バッチリです」 子まりさ二匹、子れいむ一匹が、不安そうにこちらを覗き込んでいた。恐らく、彼らは気付いていないのだろ う。お母さんの口の中は安心できる、としか知らないのだ。 ……どんな場所でも、長く居すぎるとロクなことはないんだぜ? 何ということでしょう。 悪辣な「にんげんさん」が突如、しあわせーな一家を妬んで襲いかかってきました。勇敢な親まりさが戦い、 親れいむは子供を守るために口の中に入れました。 一緒に戦おうとした子まりさも、親の愛情を受け止めて仕方なく口の中に入りました。決してデコピンが痛か ったから、などという理由ではないのです。 「ゆぅ。おかあさんのおくちのなか、とってもあたたかくてゆっくりできるね」 「ゆふふふふ。にんげんもこまっちぇるね!」 「あとはおとうさんがにんげんさんをせいっさいするのをまつだけだね!」 そんな風に、三姉妹は笑い合います。彼らにとって父親は絶対的な存在です。親まりさが負けることなど、あ り得るはずがないのです。 ところが……。 「ゆゆっ! おくちさんがひらいちゃったよ!」 「ゆんやあああああああああ! きょわいよおおおおおおおおおお!」 「やめじぇええええええ!」 何ということでしょう。人間さんの手がするすると伸びたかと思うと、お母さんのお口に変なものを入れまし た。どうやら、『透明な壁さん』のようです。 「ゆゆうう! おそとがみえるよ!」 「ゆぅ……おとうさん、なにしてるんだろうね?」 「おとうしゃん、うんうんたいそうしちぇるの?」 「ちぎゃうよ! きっとあれは……ぽんぽんあそびをしているんだよ!」 ぽんぽんあそびとは、親まりさのおなかをトランポリン代わりにする遊びです。 「ゆう。じゃあ、にんげんさんとなかよくなったのかな?」 「きっとこうさんしたんだよ!」 「ゆうう……じゃあまたゆっくちできるね!」 「ゆっくり、ゆっくりー!」 子ゆっくりたちには、父親が椅子にされていることが分かりません。だって、お父さんは無敵なのですから。 今まで幸せだったのだから。これからもきっと幸せ。 そんな幻想を、この子ゆっくりたちは抱いているのです。人間の言葉でいうところの、現実逃避ですね。 人間の場合は、冷静な判断力が戻れば現実に立ち向かおうともするのでしょうが、子ゆっくりたちには、そも そも現実を認識できる力がありません。 だから、子ゆっくりたちは自分たちにできることをしました。 「おねーちゃん、ゆっくりしようよ!」 「……そうだね、みんなでゆっくりしよう!」 「ゆっくり♪ ゆっくり~♪」 長女まりさが歌を歌い始めました。 「ゆっくりのひ~♪」 次女れいむがそれに合わせます。 「まったりのひ~♪」 末まりさも続けます。 「すっきちのひ~♪」 三匹の可愛らしい合唱は、お母さんのお口の中で響きます。 「ふぉふぇー! ふぉふぉっふぇー!」 親れいむは、必死になって口の板を何とかしようともごもごしています。でも、当然ながら無駄な努力です。 親れいむは知っています。 長時間口の中に居た子ゆっくりが……どうなってしまうのかを。 人間たちが何か言っています。 「どうです。水槽で見ているみたいでしょう。時間制限つきですが」 「なんか歌ってるみたいですね。微かに声が聞こえますし」 「無邪気なものですね。さて、第二段階に移行するのにあと十分というところですか」 「じゃ、ゆっくり待ちますか」 「ゆっくり待ちましょうか」 親れいむにはよく分かりませんが……とにかく、すごくゆっくりしてないことを言っていると、理解できまし た。 ――十分後。 「ゆ? ゆゆ? あんよしゃんが……むずむずするよ!」 れいむが飛び跳ねます。が、いつもの半分も跳べません。それはそうでしょう。もう既に、彼女のあんよは溶 けかかっているのですから。 「ゆううう!? まりさのあんよしゃんもへんだよおおおお!」 「ゆんやああああああ! べとべとしゅるううう! おかあしゃんのおくちのなか、べとべとしゅるよおおお!」 三匹がぴょんぴょんと飛び跳ねます。 その度に、どんどんとあんよは溶けていきます。 親れいむはあまあまな味が口の中に広がってきたことに絶望します。 「ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「いじゃい! あんよしゃんがいじゃいいいいい!」 「うあ……でるううう! おうちかえるううううう!」 「まりしゃも! まりしゃもおうぢいいいいい!」 三匹がお母さんのお口から出ようとします。ですが、透明な壁さんがそれを阻んでいます。 「かべしゃん、かべしゃん! ゆっくりどいてね!」 「ぷくーしちゃうよ! ぷくうううううう!」 「れいむたち、おくちからでたいの! だからどいてよおおおおおおお!」 ぽこんぽこんと、ピンポン玉のようなしょんぼりした勢いで壁に当たっては弾かれを繰り返しています。 その様は、二人の人間からはとてもゆっくりできるほどに滑稽でした。 「やべろおおおおお! おぢびちゃんが! おちびちゃんがああああああああ!」 「あんよが溶けたと気付いてから、五分後に次の虐待に移りますよー」 「どげじゃうううう! ゆっくりしていたおちびちゃんがとげじゃうよおおお!」 おや? 白い人間さんが立ち上がりましたね。 親れいむの横に回って、何やらゆっくりしてないものを取り出しましたよ? 「さくっ、さくっ、さくっと」 「ふぉふぇええええええええええええええええええええええ!?」 なんと、白い人間さんはナイフで親れいむの頬に四角い切れ込みを入れました。それから、手でその頬をぶち りと引き千切りました。 親れいむは激痛でびったんびったんと暴れ狂います。その度、子ゆっくりたちは悲鳴を上げました。 「やべでええええ! おかあしゃん、やべでよおおおおおおお!」 「おかあさあああああん! ゆっくりしでよおおおおおお!」 「ゆんやあああああああ! もうやじゃあああああああああああ!」 ――と、そんな彼らの前に光が現れました。何と、お母さんの頬がぱかっと開いて、出口が作られたのです。 「おーい、こっから出られるぞー」 「ゆ゛! でられるよ! ここからでられるよ!」 「いもーしょ! しっかり! しっかり!」 「ゆうっ……ゆっくち! ゆっくちぃっ!」 人間さんの声に、子ゆっくりたちは無我夢中でそちらに向かってずーりずーりします。ところが不思議なこと に、段々と傾斜がキツくなってきました。 「ふぇあああああああああああああああああああああああ!」 「おー、なるほどなるほど。そういう風にすれば絶対にクリアできないと」 「おまけに間近で絶望する子ゆっくりも見られますよ」 「あ、じゃあ替わってくれませんか」 「いいですよ。どうぞ」 人間が入れ替わります。中を覗き込んだ人間は、満面の笑顔を浮かべました。 「どぼじで……どぼじでのぼれないの……」 次女れいむが泣きながらよじよじしては、滑り落ちています。 「ゆんやあああああああああああ! ゆんやああああああああああ!」 長女まりさは、ただ泣き喚くだけです。おまけにうんうんとおそろしーしーまで漏らしてます。親れいむはそ れどころじゃないのが救いですね。 「うんしょ、うんしょ、のーびのーび……のーびのーび」 もう歩けないと判断した末まりさは一生懸命のーびのーびしますが、無駄な努力です。 どんどんどんどん。 子ゆっくりたちは溶けていきます。 思い出も、成長も、大切なものは何もかも全部。 「ゆう……ゆゆ……ゆび……ゆびびびびび…」 長女まりさは、溶ける痛みと恐怖に狂いました。 「どぼ……じで……おか……しゃ……」 次女れいむは、どうして大好きなお母さんが自分を殺そうとするのか、理解できません。 「とけるの……やじゃ……」 末まりさは、無慈悲な現実に涙しました。 「おちびちゃああああああああああああああん! まりさの! まりしゃのゆっくぢしだおぢびじゃあああああ ああああああああああああああああああん!!!!」 「ふぁあああああああああ! ふぉおおおおおおおおおおお! ふぇおおおおおおお!」 長女まりさには夢がありました。 いつか、狩りでおとうさんを追い越すのです。 「ゆぅ……ついにまけたよ! おとうさん、これであんしんしていんたいっ、できるね!」 「まかせてよ、おとうさん! まりさが、ずーっとごはんさんをむーしゃむーしゃできるくらいに、とってきて あげるからね!」 次女れいむには夢がありました。 いつか、長女まりさと同じくらい格好いいまりさにぷろぽーずっをしてもらって、ゆっくりした家庭を築くの です。そしてこーでぃねーとしたおうちで、子ゆっくりたちと一緒にゆっくり暮らすのです。 「ゆふふふ……まりさ。れいむ、しあわせー」 「せかいでいちばんびゆっくりのれいむをつがいにした、まりさこそしあわせーだよ」 末まりさには夢がありました。 近くにぱちゅりーの率いる群れがあります。そこに次の長として、立候補するのです。 そうして、どんどんと群れを大きくして世界を制覇するのです。 「うへええええ。人間ではとてもまりささまに敵いません」 「ゆっくりとうぜんだね! さっそくだけどあまあまもってきてね! そしたらまりさせんようのどれいさんっ、 にしてあげるから!」 「おおまりささまなんとありがたい。さあ、ゆっくりしないであまあまを集めるんだ!」 そんな他愛もない夢は。 母親の口の中で、どろどろに溶けて消えていったのでした。 「さて。すいませんが、れいむの方はこっちで潰しますので、まりさよろしくお願いします」 「はーい」 俺は親まりさを潰そうと立ち上がった。 「うぎぎぎぎぎ……がああああああああああああああああああああ!」 復讐と殺意に満ちた視線を、はいはいとおざなりに受け流す。 「どぼぢで……どうじでごんなごどおおおおおおお! ぐぞじじい! じね! じねええええええええええええ ええええ! おに! あぐまあああああああああああ!」 「どうしてってなぁ……間引きってどう説明したらいいものか」 「ああ、じゃあ僕が説明してあげますよ」 中枢餡を素早く突いて即死させたのだろう、親れいむは既に事切れていた。何ちゅう早業だ。 「いいですか、まりさ。この山は小さくて、ぱちゅりーの群れがちょっと増えただけでも、山の資源が枯渇して しまいかねないほどなのです」 「……ゆ?」 「要するに、越冬するためにまりさが食料を集めますよね?」 「えっとうっ、するからあたりまえだよ……」 「あの群れもみんなえっとうっ、しますよね? そうすると、ごはんさんが足りなくなるのです」 「たり……ない?」 「ええ。あなたたちゆっくりの食欲は旺盛すぎて、放置しておくと山の食料が全部なくなりかねないほどなので す。だから、我々は定期的にやってきてゆっくりを駆除するのです」 「くじょ……? これが、これがくじょ……?」 「ええ」 親まりさが歯を剥き出しにする。 「うぞづげえええええええええええええええ! まりさは! まりさはゆっぐりじでだんだああああ! ぞんな まりざだぢが! くじょされでいいもんかあああああああああ!」 「ええ。……掟を破ってまで、ですよね」 「え゛」 親まりさが凍りついた。 家族が全て殺されたにも関わらず、彼はそれどころじゃないとばかりに狼狽し始めた。 「おちびちゃんは一家族につき一匹。何らかの事情があるときのみ、もう一匹追加を許される。忘れたとは言わ せませんよ?」 「ど……どぼじで……どぼじでおぎでじってるのおおお!?」 長ぱちゅりーから聞いていたからだが、博士は俺にそっと目配せした。教えるつもりはないらしい。 「まあ、ともかく。掟を破って子供を三匹も作ったあなたは、山の敵なんですよ」 「おやまさんの……てき……」 「あなたたちがゆっくりすると、群れの誰かがゆっくりできなくなるんです。だから、死になさい」 「ゆ――――」 親まりさがビクンと全身を震えさせる。カチカチと歯を鳴らす。 れいむに助けを求める――死んでいる。 長ぱちゅりーに助けを求める――ここにはいない。 「むきゅ。まりさ……おちびちゃんはいっぴきだけよ。ほかのおちびちゃんは、みゆっくりのときにかりとらな いといけないわ」 「やじゃあああ! やじゃああ! おちびちゃんはゆっくりできるんだああ! ごはんさんだって、まだまだた くさんあるだろおおお!」 「むきゅう……それはいまのはなしよ。あきさんがくるころには、どうなるかわからないわ」 「うるざいいっっ! まりざはれいむといっしょにむれをでるよっっ!」 「……わかったわ。それがまりさののぞみならしかたないわね。みんな! まりさはむれからついっほうされた わっ! ごはんさんをわけたりするとせいっさいのたいしょうになるからね!」 「まりさぁ……」 「ゆ。れいむ、だいじょうぶだよ……まりさがまもるから」 「ゆ゛……ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 まりさが博士に飛びかかる。博士は右手に持っていた針で、素早くまりさの目から中枢餡を突いた。 「はい、終了っと」 「ゆ゛。ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ぐ……ぢ……」 まりさには、夢がありました。 「それじゃあおとうさん……いってくるのぜ!」 「おとうさん、れいむいってくるよ!」 「おとうさん、いってきます!」 とうとう、最初の子供三匹が巣立ちのとき。精悍な顔立ちになった長女まりさ、誰もが振り返るような美ゆっ くりになった次女れいむ、元気溌剌の末まりさ。 みんなみんな、ゆっくりしたゆっくりでした。 それを見送って、れいむと二匹でゆっくりのんびりと暮らし――。 「ゆ。れいむ……」 「ゆふん。……つぎのおちびちゃんも、りっぱにそだてようね」 そうして、どんどんとまりさの餡筋のゆっくりたちが増えていくのです。彼らは世界中どこでもゆっくりして いるゆっくりと大評判。 たくさんたくさんの月日が流れて――。 子ゆっくり、孫ゆっくり、ひ孫ゆっくりたちがお家に集まる中、まりさとれいむはすーりすーりしながらゆっ くりと息絶えるのでした。 そのあと、たくさんのゆっくりしたゆっくりを作ったゆっくりとしてゆっくりえいきに認められ、ゆんごくで 二匹、のんびりと暮らすのです。 そんな夢を中枢餡が破壊される瞬間まで、まりさは考えていました。 中枢餡に針が突き立った瞬間、それが夢だと分かりました。 現実を理解した瞬間、一気に非ゆっくり症になるほど、まりさは絶望しました。 中枢餡を損傷して、激痛に動くことすらできないまま――時間は、ゆっくりと流れます。 (もっと……ゆっくり……したかった……) そう考えて、息絶えるまで現実では一秒にも満たなかったでしょう。 しかし、まりさにとっては――何年何十年もの時間に感じ取れたのでした。 残された死体は、群れのゆっくりたちが見つけないように叩き潰され土に撒かれました。 風が吹き、埋めた土の上に偶然にもあの花輪が二つ、ころころと流されてきました。 それはまるで、親まりさと親れいむの死を悼んでいるかのようでした。 「いやあ、めでたしめでたし」 博士はそう言って、笑ってこの物語を締めくくった。 <あとがき> 口の中ネタは、もうちょっと幅を広げたいなあ。 過去の作品 anko3216 愛するでいぶ anko3238 ゆ虐思考 anko3257 赤ゆ十連発(前編) anko3263 赤ゆ十連発(後編) anko3271 手を触れずに殺害せよ 挿絵: 挿絵:
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/2197.html
「お兄さん、れいむたちをおうちに入れてね!」 「おうちにいれてくれないとゆっくりできなくなるよ!」 玄関の戸をボフンボフンと叩く音がすると思ったら2匹のゆっくりがいた。 成体サイズのれいむとまりさだ。 いきなりやってきて、人様の家に入れろとは馬鹿馬鹿しい。 当然、戸を閉めて鍵をかけようとした。 「まってねお兄さん!れいむのかわいそ話を聞いてね!」 「聞いてくれないとゆっくりできなくなるよ!」 〔ゆっくりかわいそ話〕 れいむとまりさは、秋に群れを巣立ち新しい巣穴でゆっくりと冬を越えるつもりだった。 しかしある晩、夜風にあたっていたら寒くなったところ、れいむとまりさは「す~りす~り♪」とお互いを暖め そして気がついたられいむの頭には茎が1本生えていた。 冬越え直前に子供を産むことは一家心中を意味する。 だから、れいむとまりさは相談し実を一個だけ残して後は産まれる前に処分する事にした。 初めての赤ちゃんをどうしても全て処分する気にはなれず、それがギリギリの妥協だった。 それから減った分の餡子を補うために冬越え用のごはんを「むーしゃ♪むーしゃ♪」して それを見ていたまりさも赤れいむも羨ましくなって、お腹いっぱいになるまで食べた。 一度お腹いっぱい食べると、次もお腹いっぱい食べたくなってしまうのが人情・・・それから毎日おなか一杯になるまで食べて とうとう食べつくしてしまった。 自業自得じゃねーかアホか。 やっぱり戸を閉めようとした。 「ゆっくちちていっちぇね!」 まりさの帽子のすそからピョコッと赤ちゃんれいむが顔を覗かせる。 ああ、こいつが今の話に出た生き残った赤ゆっくりか。小汚いな。 相変わらず冷めた目で眺めていたら、れいむが鼻息をフンッと噴出し勝ち誇った顔をしてふんぞり返っていた。 それに気がついたまりさも一緒になってふんぞり返る。 「かわいいかわいいれいむの赤ちゃんだよ!お兄さんいきててよかったね、すごくゆっくりできるでしょ!」 「ゆっへん!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 親ゆっくりにとって赤ゆは、とってもゆっくりできる存在だ 自分がゆっくりできるのだから、きっと他の誰が見てもゆっくりできるよね! そういう理屈が成り立つのが餡子脳である。 ピキピキッ! こめかみの辺りで確かにそんな感触がした。 よし、締め出すのはやめだ。そんなに俺の家に入りたければ入れてやろうじゃないの。 ヒョイッと赤れいむを摘み上げる。 「ゆっ!おしょらをとんでるみちゃい!」 「あー!なにするのぉお!れいむのあかちゃんをかえしてね!」 「あかちゃんをはなさないと実力行使するよ!まりさはお兄さんよりいっぱいつよいんだぜ!」 足に力いっぱい体当たりを仕掛けてくるまりさと涙目になってオロオロと慌てふためくれいむを無視して 玄関の奥へと赤れいむをぶら下げていく。 そして、黒電話の隣にある空っぽの水槽に赤れいむを落とした。 「みゅ!」 この水槽で以前、熱帯魚を飼っていたが、一緒にアメリカザリガニを入れたところ不要になってしまった。 水槽だってタダではないので捨てずに洗って置いておいたが、透明の箱の代用として十分再利用できる。 「れいむの赤ちゃんがいたがってるよ!ゆっくりやめてあげてね!」 「どうだ!まいったか!降参するならいまのうちだよ!」ぽよんぽよん! 水槽を地面に降ろして開いている天井部分を、れいむとまりさの正面に来るように横向きに倒す。 ころころと中で転がる赤ちゃんに2匹とも駆け寄ってきた。 「おちびちゃん、ゆっくりしていってね!いたいとこない?ぺーろぺーろ!」 「ゆっ、ようやくかんねんしたね!赤ちゃんは返してもらうよ!ゆゆ~ん、とってもかわいいあかちゃんだよ!」 2匹とも仲良く水槽に入ったところでゴロンッと元の向きに戻す。 「「ゆっ!」」 捕獲完了。 成体ともなれば、ちょっとした鉄アレイ並に重量がある。 左右に1匹づつ持って歩くよりも自分から入ってくれて大助かりだ。 「おちびちゃん、ぺーろぺーろ!いたいのいたいのとんでいけー!」 「すーりすーり、まりさの赤ちゃんとりかえしたよ!とってもかわいいよ!」 「ゆんゆん、おかーしゃんくちゅぐっちゃいよ!」 すっかり俺の存在を忘れて体をすり合せたり舌で舐めあったりしてグルーミングをしている。 天井部分のフタを閉めたところで影ができ、ようやくこちらに気がついた。 「ゆっ、ジジイはまだいたの?ここはれいむたちのおうちだよ!ゆっくりできないジジイはでていってね!」 「ゆっふっふ、ジジイはバカだね!おうちをまんまととられた上に人質のおちびちゃんまで取り返されて、もう打つ手がないね!」 「ばかなじじいはでちぇいっちぇね!」 プクーっと風船の様に膨らんで威嚇するれいむ。 赤れいむもそれを真似してほほだけちょっぴり膨らんでいる。 まりさは、自分の力に俺が屈したのだと得意げになり眉をひそめながら侮蔑な視線を向けていた。 「おー、こわいこわい、それじゃあお前らはその自分の家でゆっくりしていってね!」 「プンプン、ここはれいむのおうちなんだからあたりまえでしょ!」 「きっと、あたまがかわいそうなんだぜ!」 そのまま水槽を放置し目と鼻の先の居間でソファーに腰をかける。 しばらくすると、「ゆっゆっゆっ~♪」と雑音が聞こえてきた。 きっとれいむが赤ゆに歌を聞かせているんだろう。 しばらくするとその雑音にまりさの声も混ざり、それから赤れいむの「ゆぅ♪ゆっ♪」と舌っ足らずのワンテンポ遅れた声と合わせて 合唱となった。 「ゆっゆっっくり~♪」「ゆっくりぃ~♪」「ゆぅ♪ゆぅ♪」 ー数時間後ー 「おかーしゃん、れいみゅゆっくちおにゃかすいたよ!」 「ゆっ、そうだねおかーさんもお腹すいたしそろそろごはんにしようね!まりさ、ごはんをもってきてね!」 「それじゃ虫さんでもとってくるね!ここはきったなそうだから虫さんくらいいそうだよ!」 お腹をすかせて表情が曇っている赤ゆにほっぺたをすり合わせて慰めるれいむ。 そんなゆっくりした家族を養うべく、まりさはさっそうと透明な内壁めがけて跳んだ。 「ゆべぇ!」 見えない壁に阻まれて弾き返されグラグラと水槽が揺れる。 「いちゃいぃいい!おそとにでれないよぉぉお!」 「なにいってるのまりさ!何もないのにでれなくなるわけないでしょ!」 れいむがまりさの出ようとした方向へ進むと 「ゆっ?」 確かに見えない壁のような物がある事がわかった。 今度はまりさとれいむで別々の方向へ出口がないか壁面に沿って探す。 地面に沿って自分の足で入ってきたのだから当然その入り口があるはずだ。 入り口は出口になる。これはゆっくりでも理解できる真理だ。 赤れいむは親達が何をしているのかわからず、「ゆぅ~?」っと小首を傾げている。 一方親達は水槽の内側を一周したのにもかかわらず、それらしき出口が見つからない。 だんだん焦りの色が濃くなり、そしてとうとう喚きだした。 「どぼじででぐちがなくなってるのぉぉおお!」 「かべさんいじわるしないでねぇえええ!」 「ゆ・・・ゆぅ・・・ゆわぁぁあああん!」 「やあ、ゆっくりしてるかい?」 そろそろ頃合かなと、ゆっくりどもの様子を見に来てみた。 片手には食べかけのシュークリームを持っている。 「ゆゆっ!じじい!ここはれいむのおうちだよ!まだいたの!?」 「じじいのせいでお外にでれなくなったでしょぉぉお!なんとかしてよねぇええ!」 「ゆわぁぁあああん!ゆわぁぁぁああん!」 「まあ、そういわれてもだな・・・もぐもぐ、そこはお前らの家なわけだし・・・もぐもぐ 自分たちで何とかしないといけないんじゃないかね・・・もぐもぐ」 ゆっくりどもが腹を減らしてるだろうことを見越して、わざと見えるようにシュークリームを口へ運ぶ。 もぐもぐと声に出して言うことでアピール全開だ。 「じじい!なにたべてるのぉ!れいむたちはお腹をすかせてるんだよ!」 「それをこっちによこしてねぇええ!いまなら半殺しでゆるしてあげるよぉお!」 「ゆっぐ・・・ゆっぐ・・・おにゃかすいちゃよぉ」 「ああ、これ?食べたいの?どうしよっかなー♪ 一口くらいあげよぉっかなぁ?」 一かけら程しか残っていないシュークリームを水槽の上部のフタを開けて ゆっくりがジャンプすれば届くか届かないかくらいの距離を保って見せ付ける。 カスタードクリームの香りがれいむとまりさの鼻をつき、それがとっても甘くてゆっくりできるものである事がわかった。 「ゆっくりよこせぇええええ!」 「まりさのだよ!ここはまりさのおうちなんだから、ここにあるのはまりさのだよ!」 「ゆっ!ゆっ!」 毎日お腹一杯たべていたゆっくりにとって、空腹は我を忘れさせるのに十分だった。 れいむもまりさも水槽の中でギリギリで届かないシュークリームに向かってぴょんぴょんと懸命に飛び跳ね 赤れいむもピコピコと真上にある甘そうなお菓子に夢中でお口をあけて目をキラキラと輝かせている。 「ほーら、まりさのお口にシュークリームはいっちゃうぞぉ、コイツ全部ひとりでくっちまうつもりだぞぉ!」 スィーっと指につまんだシュークリームの欠片がまりさの口元をかすめる。 まりさが口に収めようと懸命に飛びかかってきたところで、ヒョイッとかわす。 れいむはまりさが自分の分まで食べようとしていると焦り気が気ではない。 目をギョロっとみひらいて涎を飛ばしている。 「おっと、こんどはれいむの方へいくぞぉ」 まりさの口をかすめた時よりも若干低空にして指の動きを止める。 「れいむのだよ!なかのクリームから薄皮の一枚までぜんぶれいむのだよ!」 ピョ~ンっと飛び上がった姿はまるで、釣り上げた魚の様にピチピチとしている。 彼女の言葉通り、クリームも皮も一口ですべてれいむの口の中に消えた。 「どぼじでまりざのシューシューぜんぶたべちゃうのぉおおお!」 「ゆぅえぇ~ん!れいみゅのごはんたべりゃれちゃったよぉ!おかーしゃんがぜんぶたべちゃったぁ!」 「ゆっ!れいむじゃないよ!れいむはたべてないよ!虫さんだよ!この家は虫さんがおおいっていってたよ!」 2匹の様子に我を取り戻したれいむだが、必死に出た言い訳がこれだった。 一同しばらく沈黙し、それからまりさはれいむから距離を置いて 赤れいむもまりさの傍らでゆっくりとした。 時折、親れいむに憎しみの視線を送ってはブツブツとなにか呟いている。 食べ物の恨みは恐ろしいというが、ゆっくりの世界では人間のそれよりも重罪なのだ。 れいむがまりさと赤れいむの方へ寄っていくと そそくさと、まりさも赤れいむもその反対側へ逃げていく。 こんな事を数分の間くりかえした。 「ゆぅ・・・」 れいむは気まずくなって、俺のほうへ話しかけてきた。 「おにーさん、れいむたちをここからだしてください。れいむたちがなにか悪いことをしたのなら謝ります」 「ん?なんだ急に」 家に入った時とはうってかわって、姿勢を低くしている。 ひょっとしてゆっくりの土下座だろうか。 「ここにいると、かぞくみんなでゆっくりできません いっしょうのお願いなので、どうかゆるしてください。」 「一生のお願い?」 「いっしょうのお願いです。れいむたちをお外に出してください。」 子供のころによく”一生のお願い”とかいって親を困らせたものだが そういう概念がゆっくりにもあったらしい。 最初の悪態はどこふく風、すっかりしおらしくなったれいむに、どうしたものかとしばし考えた。 「うん、じゃあまりさ、お前の一生のお願いを言ってみな 一つだけ願いを叶えてあげよう。」 れいむは、なんでまりさなんだろうとわからなかったが 結局は同じだろうと思った。 れいむとまりさの仲が気まづくなったのは、このゆっくりできない空間のせいで ついこの間まで仲良く巣で暮らしていたのだ。 まりさだって、まず第一にここから出たいに決まっている。 お外に出れたら、この人間の食べ物を全部奪って巣にもってかえってやろう。 そうすれば、また家族みんなでゆっくりできる。 「まりさはおかしがほしいよ!シューシューが食べたいよ!」 「ゆ”ゆ”!?」 れいむにとって意外な答えだったが、俺としては予想どおりだ。 「ちがうでしょぉおお!おそとにでないとだめでしょぉおお!」 そんな叫びを無視して、俺のほうへ向き直りシュークリームを食べさせてもらえる期待のお目めを輝かせていた。 「よしきた、いま作ってやるから待ってろよ!」 あらかじめ用意していたゴム手袋を両手にはめると 腰に釣っているポーチから”ゆっくりアリスの精子餡”と書かれているチューブを取り出す。 まず手のひらにニュッと白い餡を搾り出して 今度はそれを両の手の平で全体に伸ばすように馴染ませる。 次に、よく白餡を馴染ませた手のひらでまりさののほほを優しくなでてあげる。 「ゆっ♪あったかくてきもちいいよ♪」 それから、弧を描くようにしてさすり徐々に振動を加えながら 力任せにゴシゴシとこする。 「おにーさん、ちょっと痛いよ!」 「これもシュークリームを作るためだ!我慢しろ!」 お兄さんの腕が腱鞘炎になりかけた頃 しだいにチューブの白餡よりも、まりさの粘着質な体液が放出されてきた。 「ゆほぉぉお、なんだかとってもゆっくりしてきたよ!」 目がトロンとして、口元から涎を流しながらヒクヒクとしている。 こうなれば、あと少しだ。 「すっきりぃいいい!」 まりさの帽子の隙間から茎がニョキニョキと生えて、すぐに小さな実をつける。 この白餡には成長促進剤も含まれているため植物型の出産なら通常の何百倍も早く赤ちゃんが産まれる。 実はすでに5個のアリス種と3個のまりさ種という具合に識別できるほどになっていた。 素早く、アリス種が覚醒する前にもいでやってまりさの目の前に転がしてやった。 「ほ~ら、ミニシューシューでちゅよぉ」 アリス種の中身はカスタードクリームなので、皮が薄い赤ゆのうちは シュークリームの食感によく似ているのだ。 「ゆっ、おいしそうなシュークリームだよ!おちびちゃんもいっしょに食べようね!」 「ゆっくち!むっちゃむっちゃ、ちあわちぇ~♪」 まりさがアリスの実4個と赤れいむがアリスの実1個の取り分となり仲良く食事にした。 人間の味覚からしても赤ゆの味は高級洋菓子に匹敵する。 きっと俺が食べていたコンビニで100円のシュークリームよりも美味しいだろう。 製造工程を見てしまうと食べる気がしないが・・・。 一部始終をみていたれいむはガタガタと震えていた。 まだ、まりさの頭上には3個のまりさ種の実がついているが、こっちはそのままにしておいた。 そのうち産まれ落ちるんだろうな。 「お、おにいさん・・・おねがいです、れいむをそとにだしてください・・・いっしょうのおねがいです」 青ざめて震えているれいむ。 「そうだな、まりさの一生のお願いを聞いてあげて、れいむの一生のお願いを聞いてあげないわけにはいかないよね。 よし、お外にだしてあげよう!」 よっこらせ!っと 水槽を抱えて持ち上げると、よろよろと持ち歩き ベランダの窓を足で開けた。 「そら、お外だぞ!ゆっくり冬越えしていってね!」 ピューっとベランダに冷たい風が吹く。 「ゆゆっ!ちがうでしょぉおお!このままお外にだされてもだめでしょ!」 「あ、え?水槽から出してって意味ね? な~んだ、ハッキリ言ってくれないとわからないってば! じゃあ来世ではちゃんと、そう言ってよね。一生のお願いはもう使い切ったわけだし♪」 ゆがーん! おまけ 〔ゆっくりれいむとまりさ一家の冬越え編〕 ベランダに出されてから最初の夜を迎えようとしていた。 水槽のおかげで始めこそ寒さが遮られ保温されていたが、いまではすっかり外気と同じ温度になっている。 食事は、お兄さんが夕食を作るためにでたジャガイモの皮とキャベツの芯。 「おかーしゃんしゃむいよぉおお!」 「おちびちゃんゆっくりがまんしてね、すーりすーりしてれば暖かいからね!」 まりさと赤れいむは、ほおずりをして少しでも寒さから逃れようとした。 「れいむもおちびちゃんとすーりすーりさせてね」と近づいてきたが れいむはあっちに行ってね!れいむのせいで寒い思いをしているんだよ!と追い返されてしまった。 赤れいむも 「ゆっくちできにゃばかなおかーしゃんはゆっくちちんでね!いいきみだよ!」と言い放つ始末である。 まりさの頭上で赤まりさの実がゆらゆらと揺れて、産まれ落ちようとしていた。 赤れいむは、さっきのシュークリームがまりさの頭上の実である事を見ていたので また、あまあまが食べられるよ!とお目めをキラキラさせながら、いまかいまかと待ち望んでいた。 そして、とうとう1匹目の赤まりさ落ちる。 本来なら、地面にやわらかい葉っぱを敷き詰めて備えるが、ここは底面もガラス張りだ。 「ゆっ、ゆっくち~♪」 べちゃ 「・・・ゆ・・・もっとゆっくち・・・ちたかっちゃ・・・」 人工的に生産された赤ゆは早産のため普通の赤ゆよりも皮が柔らかい それに加えて硬い地面に叩きつけられた赤ゆは、あっさりと餡子をぶちまけて短い生涯に幕を閉じた。 「ゆっ!まりさの赤ちゃん・・・」 餡子の上にはまりさ種特有のお帽子が乗っている。 続けて、2匹目3匹目が同時にそこへ落下してきた。 幸いにも、1匹目の屍骸とお帽子がクッションとなり潰れることなく産まれた。 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆっくぃゆっくぃ!」 2匹とも、ゆっくりとしたお帽子を被っているまりさの子供だ。 「ゆ~ん、まりさのあかちゃん・・・まりさと一緒でとってもゆっくりしてるよ!」 れいむとの間に作った最初の赤ちゃんはれいむ種1匹だけ残して後はすべて間引いてしまった。 だからこれが初めての同種の赤ちゃんとのご対面だ。 れいむの赤ちゃんの時よりもはるかにゆっくりできた。 そこへ、もぞもぞとシュークリームが産まれてくるのを待っていた赤れいむが 2匹の赤まりさの足元の餡子を舐め取っている。 「あ~ま♪あ~ま♪ちあわちぇー!」 餡子の上にはまりさ種の帽子が乗っているため、それがまりさの赤ちゃんの餡子であることはまりさにもすぐに理解できた。 元はといえばれいむのせいで、今こんな目に合っている。 自分の赤ちゃんを食べて空腹を満たそうとしている赤れいむ。 急に憎たらしく見えてきてムカムカと腹が立ってきた。 「れいむの赤ちゃんはゆっくりしないであっちへいってね!」 「ゆぴゃ!」 まりさに体当たりをされて、親れいむの方へところころと転がっていく。 「ゆっ?ゆゆ?」 さっきまで優しかった親まりさがなんで自分にそんな事をするのか赤れいむにはわからなかった。 キッとこちらを睨み付けてきて、駆け寄っていったらまた突き飛ばされそう。 だから、おずおずと側にいる親れいむの方を見た。 親れいむは視線を合わせない。 自分に向かって死ねとか言ってくる子はもう可愛くはなかった。 赤れいむは、この狭い水槽の中で一人ぼっちになった。 両親から嫌われている赤れいむは、赤まりさ達がもう少し大きくなれば虐めの対象になることであろう。 翌日、親まりさは固い野菜の芯を赤まりさのために柔らかく噛み砕いてあげて食べさせた。 甘いものを食べたことがない赤まりさは、美味しくない餌でも口移しで食べさせてもらえるごはんを喜んで食べた。 親れいむは赤れいむを無視してバリボリとまりさも食べない味のない屑皮をかじる。 赤れいむは食べられるものがないので、まりさ達か親れいむがうんうんをするのをジッと待った。 まりさからもれいむからも苛められて育つ赤れいむは将来どんな一生のお願いをしてくれるんだろう。 きっと、自分だけゆっくりさせてくれとかだろうな。 そうしたら水槽を家の中に入れて、この赤れいむだけを可愛がってみせてやるか。 ゆっくり一家の冬越えはまだ始まったばかりだ・・・。 過去の作品 ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ! ゆっくりいじめ系1254 赤ちゃんを育てさせる ゆっくりいじめ系1261 水上まりさのゆでだこ風味 ゆっくりいじめ系1297 ゆっくり贅沢三昧・前編 ゆっくりいじめ系1466 ゆっくり贅沢三昧・後編 ゆっくりいじめ系1467 まりさの皮を被ったアリス ゆっくりいじめ系1468 肥料用まりさの一生 ゆっくりいじめ小ネタ222 ゆっくっきんぐ ドナーツ編 ゆっくりいじめ系1532 可愛そうな赤ちゃんにゆっくり恵んでね ゆっくりいじめ系1580 ゆっくりしなかった魔理沙と愛のないアリス ゆっくりいじめ系1673 ゆっくりクアリウム ゆっくりいじめ系1715 ゆっくりトイレ ゆっくりいじめ系1735 ゆっくりれいむと白いお部屋 ゆっくりいじめ系1743 プラチナまりさとフリーすっきり権 ゆっくりいじめ系1761 ちょっとしたイタズラ ゆっくりいじめ系1905 あったかいゆっくり ゆっくりいじめ系1935 しゃべらないゆっくり ゆっくりいじめ系1940 愛されまりさの一日 ゆっくりいじめ系1993 加工場産の赤ゆっくりを育てる 前編 ゆっくりいじめ系1994 加工場産の赤ゆっくりを育てる 中編 ゆっくりいじめ系2110 加工場産の赤ゆっくりを育てる 後編1 ゆっくりいじめ系2111 ゆっくり二世帯住宅 作者:まりさ大好きあき
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3233.html
『ゆっくり駆除業者のお仕事風景7 後編』 23KB 虐待 家族崩壊 ゆっくりしていってね!!! 初めましての方は初めまして 前作を見てくださった方はありがとうございます。 投稿者の九郎です。 タイトルどおり前作の続編です。 いくさんをかわいがるので饅・即・虐の方はご注意。 ――――同日、同時刻―――― 「いくさん、あーん」 「およよ…あーん…」 いくさんが口をあけたのを確認すると スプーンをそっと口に入れてやる。 「熱くないか?」 「はい、大丈夫です…およ…」 今テーブルの上は書類ではなく食器類が並んでいる。 ある程度の食事が済んだところで最後にスープを飲んでいるのだ。 スープは食事の最初だって?こまけぇこたぁいいんだよ!! ゆっくりの耐熱能力は決して高くない。 無論水気も危険。 水分を摂取しないわけではないし 味のついたものならおいしく感じるものではあるのだが。 「んっ………おいしいですねー」 「そりゃよかった」 先日のテレビでスープを見たいくさんは それを一度口にしてみたいと言っていた。 俺はその後スーパーで紙パックのスープを手にとって考えた。 いくさんはせいぜい頑張っても100cc程度しか飲めないだろう。 紙パックの数百ccのものを100ccだけ取り出し火にかけるのはどうかと思う。 それらを考慮した結果粉末のカップスープとなった。 そしてもう一つ問題が。 「おにいさん…やっぱりわたしはじぶんで」 「却下だ。またこぼしていくさんに熱い思いをさせるなど嫌だからな。 迷惑とか、面倒をかけるとか、そんな心配なら無用だぞ」 「およ…」 器用ないくさんなら自分だけでスープを飲めると思ったのだが 短い腕やつるつるして滑る羽衣では液状のスープを すくい上げて口に運ぶ作業が難しいため上手に飲めなかったのだ。 「ささ、もう一杯。あーん」 「あーん」 コーヒー用のスプーンなので一口がかなり少ない。 ワインのようにちびちびと味わう形となり 『飲む』というより『舐める』に近い。 「おにいさん、ひょっとして」 「なにかな?」 いくさんにあーんするのは実にいい。 とてもゆっくりできる。 「おしごと、さいかいしたくないのですか?」 「さすが空気の読めるいくさんは違うなぁ…」 いかんなぁ、本当に甘え癖がついている。 「分かった分かった、仕事しよう。 だけどさ、今度は一緒にいてくれないか?」 「だいじょうぶなんですか?」 「大丈夫だって。一緒にお仕事しよう」 俺はティーカップにいれたスープとスプーンを 受け皿に置いて書類を広げた。 「さて、次はいつのことを書こうかね」 俺はボールペンをとった。 ――――某日、某時刻―――― 「はっはっは~逃げろ逃げろ~」 「ゆんやああああああああああああ!!! こっちこないでね!!!」 俺は一般道路の歩道でマシンを走らせながら野良れいむを追っていた。 マシンのシフトは低速だがこれでも普通のゆっくりから見れば 逃げ切れるものではないはずだ。 だが、現在両者の速度は拮抗している。 ※俺=おにいさん い=いくさん 俺『要するに冬に駆除することになるのは人間として、野生としての 両方の性質を兼ね備えた『野良として』の知識を持ったものが メインターゲットになる』 い『のらとしての…ですか?』 俺『ああ、そいつらはそこそこ知力体力を持っており なおかつ人間との力の差をわきまえた者ということだ。 こういった野良はバッジ試験を受けさせてみると 意外に銀くらいは当たり前に取得できる個体もいる。 銀取得の条件は金に比べて緩いがそれでも大前提として 人間が強い存在であると理解していることが必要だ』 「ぜひっ!ぜひっ!だべっ!ぼうだべぇ!!」 ポテッポテッと跳ねてついにその場で動けなくなってしまう。 単純な体力の限界だ。 それを見た俺はマシンを降りる。 「さて、そろそろ満足したか?巣の場所を教えてもらおう」 「まっ!まだっ!だよっ!でいぶっ!ばだっ!はじれるよ!!」 「先ほどもう駄目と言ったではないか」 ゲシゲシと靴のつま先で野良れいむを蹴る。 「いだ!いだ!やべでね!ゆっぐりやべでね!!」 「だったら走れよ。逃げるならいくらでも逃げていいと言ったろ?」 「ゆびっ!ゆびぃ!!」 何とかずりずりと這いずり始める。 もういくばくの体力も残していないのだろうが 根性を見せて何とかジャンプを続ける。 俺『そして飼いゆっくりにはないタフネス、バイタリティというものがある。 地を這おうとも、泥をすすろうとも生きていくんだという 気概があるものが街という過酷な環境で生きるための条件だ』 い『そうなんですか…わたしみたいに にんげんさんからおしょくじをもらっているゆっくりにはむりですね』 俺『まあ、そうかも知れんな。 ただ、そういうやつらほどゴミの中を這い回ったりしていて 見るからに不衛生であることが多いので かえって人間からは忌避される傾向が強い。 つまりはバッジ取得の才能があってもこれらの野良を拾って 飼ってやろうという懐の広い人間はいない』 「でい…ぶは…でい…ぶはなにもわるいごどじでないのにぃぃ…」 ついに力尽きて公園の片隅で動かなくなる野良れいむ。 それなりに野良として生きていた時間が長いのだろう。 俺のことを罵るより自分の運命を呪っているようだ。 「死にたくなければ巣まで案内しな」 クソ饅頭を軽く踏みつけながら言う。 「ゆびぃ…にげぇ…わがりばじだ、あんないじまず… でも、おぢびぢゃんは…」 「分かっている。安全は保障しよう」 い『せちがらいですね』 俺『同情する気持ちも分かる。実際そいつらは人間に迷惑をかけないように より正確に言えば人間に駆除する理由を与えないように 細々と生きながらえているものが大抵だ。 そいつらが住処にしているのは例えば 公園の公衆トイレの裏、路上の排水溝のカバーの下など。 確認すればすぐに分かるが、普段人間が 目を向けることのない場所が多い。 迷惑をかけていないとは言ってもそんなところを 何かがうろついていれば人間はどう思うだろうな』 い『………』 俺『結論として何が言いたいのかというと 市街地に住む野良たちはどんな条件があったとしても 人間にとっては害悪でしかないのだということだ』 その日の俺は一匹も野良を見つけることが出来なくて苛立っていた。 大抵バカなクソ饅頭は普通に路上をうろうろしているため 一般道を巡回するのが常なのだが今日に限って路地裏や 自動販売機の陰などを中心に捜索していた。 そうして見つけたのがこのれいむだ。 見つけた瞬間から分かった。 こいつは大分長い間野良をやってきたに違いないと。 体のあちこちには切り傷があり 頭部の紅白リボンは擦り切れてボロボロだ。 よく見たら後ろ頭にはガムがこびりついていた。 そんなみすぼらしい姿だがたくましさもある。 何よりそんな姿になりながらも元気なのだ。 様々な修羅場をくぐり抜けてきたことだろう。 そんなれいむを殺そうとするとこちらに懇願してきた。 助けてください、自分が死んだらおちびちゃんが死んでしまいます、と。 俺はそんな殊勝な態度と子供も回収しようという考えから 交渉に乗ってみることにした。 だったら好きなだけ逃げろ。 俺がお前を見失ってしまったらお前の勝ちとする。 そう言うとれいむは逃げた。 ひたすら逃げた。 俺が追いかける向こう側に。 俺が回り込むと反対側に。 マシンのほうに誘導されているとも知らずに目に見える範囲で逃げ続けた。 が、当てが外れた。 ちょっと恐怖心を煽って追いかければ 巣に戻っていくと思っていたのだ。 そこで子供ごと葬ってやろうとしていたのだが。 そこまで距離があるのかそうでないのか分からないが たどり着く前に力尽きてしまった。 い『ぎんばっじをいただくにはどんなことをすればいいんですか? ばっじをもらえるのでしたら…』 俺『いくさんは銀を飛ばして最初から金バッジを取らされたのか?』 い『ええ、ですからぎんばっじのじょうけんはしらないのですが…』 俺『バッジの取得試験は試験という名目だがその実は微妙に違う。 取得のために赤ゆっくりから教育を始めるのが基本。 いわば血統書みたいなものなんだよ』 い『だからのらはりようしない、と?』 俺『まあそういうことだ。 それに一番のネックは余計な知識を持っていること。 あれはこうだった、これはこうだった、と 要らぬ知識を持っていては飼い主の心象を悪くするだけだからな。 いろんな意味で人間にとって都合のよいゆっくりということだ。 ゲス化しにくいしな』 い『およよ…』 「どぼじでにんげんざんがいるのおおおおおおお!?」 「おがーじゃあああああああああん!!」 抱えたれいむに案内された先は 駅の隅でほとんど人の現れない自転車置き場だった。 放置自転車のなれの果てだろうか。 横に並んだ自転車の上には無造作に青いビニールシートが被せてあり その下から三匹のチビが出てきた。 内訳は子れいむに子まりさ、赤れいむだ。 どうやらこの自転車の隙間を住処にしていたらしい。 野良れいむを下ろしてやると 親のもとに全員が集まってくる。 「おかーしゃんごはんー!」 「はやくにんげんさんやっつけてよー!」 「ゆー…ごめん、ごはんさんはないんだよ…」 「しょんなああああああああ!!!」 「どぼじでええええええええええ!!??」 よくもまあこんな状況で生きているものだ。 感動の再会に浸っているところ申し訳ないが俺は口を開く。 「よう、クソ饅頭共」 「ゆんやああああああああああ!!!」 「にんげんさんはゆっくりできないいいいいいいいい!!!」 「おちびちゃんだまって!しずかにしてね!」 「ゆゆっ!?どうして!?」 「おかーしゃんはやくやっつけてよおおおおおおお!!」 「しずかにするんだよ!!」 「……………ゅ……」 おお、意外にしつけが行き渡っているものだ。 まあそれくらいは出来ねば野良などやってはいられんか。 「さて、これよりバッジ試験を行いたいと思う」 俺は拾った銀色に光る物体を掲げてみせる。 「ゆゆっ!?ばっじさん!?」 「おちびちゃん!ばっじさんがもらえれば 『かいゆっくり』になってとてもゆっくりできるよ! がんばって『ごうかく』しようね!」 「ゆっ…ど、どうすればいいの?」 「にんげんさんのいうとおりにうごけばいいんだよ! だいじょうぶ、おかーさんは『ぎんばっじゆっくり』だったんだよ! おかーさんにできたんだからおちびちゃんにもできるよ!」 「ゆっくりがんばるよ!」 「「ゆっくちー!」」 い『ぎんばっじしけんっておにいさんもできるんですか?』 俺『まさか。その時俺が持っていたのはビール瓶の蓋だ。 道中れいむが元銀バッジだというのと聞いたのと 落ちていた銀色に光るそいつをみて思いついただけだ』 「では最初の試験!あまあまを我慢する試験だ! こいつを食べるのを五分間我慢すれば合格だ! ちょっとでも触った時点で失格だからな!」 俺は持っていたガムを開いた銀紙の上に乗せて地面に置いた。 「ゆゆっ!あまあまだ!むーしゃむーしゃするよ!」 「だめー!!」 「ぶじゅっ!!ゆわーん!!! おかーしゃんがぶったああああああ!!!!」 「こどもにぼうりょくをふるうおやはじねええええええええ!!!」 「だめだよおちびちゃんたち! これをたべたらばっじさんがもらえないよ!」 「ゆ…うぅ…」 「やじゃやじゃ!おあじゅけやじゃああああああ!!」 「おかーさんもむーしゃむーしゃしたいよ! でもこれをがまんすればもっとたくさんの あまあまがたべられるんだよ!」 「ゆぅ……もっとたべたいよ!」 「ゆっくりがまんするよ!」 一分経過 「ゆんやあああああああ!!! もうやじゃああああああああああああああ!! むーちゃむーちゃちゅするうううううううう!!!」 「わがままいうこはせいっさいっするよ! おとなしくがまんしてね!!」 「ゆぅ…ゆぅ…せめてにおいだけでもぉ…」 「だめだよ!においをかいだらがまんできなくなるよ!」 「においだけならいいでしょおおおおお!! ばかなの!?しぬの!?」 三分経過 「いまのうちだよ!そろーりそろーり!」 「だめだっていってるでしょおおおおおおおおおお!!!」 「ゆびぃ!!ゆわああああああああああん!!! いだいよおおおおおお!!いだいよおおおおおおおおお!!」 「ばきゃなおやはむちちていまのうちにれいみゅが むーちゃむーちゃちゅるよ!!」 「だめだよおおおおおおおお!!!」 「ぶじゅ!!いぢゃいいぢゃいおみょいよおおおおおおお!! れいみゅのうえにのっちゃやあああああああああ!!」 五分経過 「かていないぼうりょくだよおおおおお!!! ばかなおやはとっととあまあまもってきてしんでね!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおお!!??」 「もうやじゃあああああああ!!! もうやじゃあああああああああ!!! はっじざんなんていらないがら むーしゃむーしゃするうううううううううう!!!」 七分経過 「じねええええええええええええ!!!! ばかなこはもうれいむのこじゃないよおおおおお!!!!」 「ゆわーん!!おまえなんがもうおかーじゃんじゃないいいいいい!!!」 十分経過 「むーしゃむーしゃしあわせええええええええええ!!!!」 「ああああああああああああああああああああ!!! だめだっでいっだのにいいいいいいいいいいい!!!」 「おねーちゃんのあまあまをかってにたべたいもーとは じねえええええええええええええええええええ!!!」 「ゆぶばびっ!!いだいいだいやべでね!!ゆっぐりやべでね!!」 「残念…そいつは失格だな」 「ごんなぢびはもうどうでもいいよおおおおお!!!! どっどどあまあまもっでごいいいいいいいいい!!!」 「オーケー。とりあえずこいつを食え。残りの三匹は合格だ」 俺はさらにガムを取り出し子まりさ、赤れいむ、親れいむに食わせてやる。 「「「むーしゃむーしゃ、しあわせー!!!」」」 「どぼじでれいむにはぐれないのおおおおおおおお!!??」 「なあ、こいつはもう不合格だからどうなってもいいよな?」 「ふん!!そんなどろぼうれいむはもうれいむのこじゃないよ!」 「ゆっくりちね!!」 「どぼじでええええええええええ!!!」 「よし分かった。ただ最後まで試験は見届けてもらう」 俺は不合格の子れいむを持つとライターで口を足を炙ってやる。 「あじゅいあじゅゆっぐぢ―――― ――――………!!!――――――――……!!!!」 口と足を炙られて喋ることと移動することが出来なくなったそいつを 試験会場(笑)の見える位置に置きさらに次の試験を考えた。 い『おにいさん…『きちく』…です』 俺『そんなめで見るなよ………興奮しちゃうだろ!』 い『………………………………………………』 俺『冗談だって。後ずさらなくてもいいだろ。 まあそういうわけで、俺は結局一匹が脱落するまで ひたすら見ていたわけだ。そして次の試験を思いついた』 「さあ、次の試験はすっきりー!!を我慢する試験だ」 「ゆゆっ!?こどもたちがすっきりー!!するわけないでしょ!?」 「それはどうかな…?では五分間すっきりー!!を 我慢で来たら合格!試験開始!!」 そう言うと俺は一匹ずつ掴んで揺さぶってやった。 「ゆっゆっゆっゆっゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 饅頭共は揺さぶってやると性欲が高まる習性がある。 勿論、必ずすっきりしなくても時間と共に収まる。 その時間は大体十分前後だ。 「ゆ~♪おきゃーしゃんにゃんでゃかれいみゅへんじゃよう……」 「まりちゃもう…」 「お、おち、おちびちゃん、がまんだよ…」 一分経過 「れい…れいむううううううううううううう!!!」 「ゆんやあああああああああああああ!!!」 「だめええええええええええええええ!!! 『きんしんそうかん』はせいっさいっするよおおおおおおお!!!」 三分経過 「おかーしゃ、おかーしゃ、すーりすーりならいいでしょ? すーりすーりしよ!?」 「だ、だめ、だめだよぉ!! すーりすーりしたらがまんできなくなるよぉ!!」 「れいみゅぅ…れいみゅのからだ、あちゅいよぉ… れいみゅ、びょうきさんになっちゃったのぉ?」 五分経過 「おかーちゃ!!おかーちゃ!! ちゅーりちゅーり!!!」 「だめだっていってるでしょおおおおおおおお!!?? 『いんらん』でれいぱーなこはじねえええええええええええ!!!」 「ゆっ…ゆっ…ゆっ…くるしいよお…おなかさんあついよぉ…」 七分経過 「ゆへ!ゆへっ!ゆへへっ!! おかーちゃ!おかーちゃ!! れいみゅもむちゃくちゃにちてぇ…!!」 「おちびちゃんじっがりじで!! まりざもどめでね!!!」 「れいみゅ!れいみゅ!まりちゃからだおかしいよぉ!! もうどうなってもいいよぉ!!!」 十分経過 「んほおおおおおおおお!!! れいむ!れいむ!まりちゃすっきりするよおおおおおおおお!!」 「だめだっでいっでるのにいいいいいいいいいい!!! はなれろおおおおおおおお!!! はなれろっでいっでるでじょおおおおおおおおお!!!」 「す、す、す、すっきゆびぎげ!!!」 俺はことが終了する直前に指で赤れいむを襲っていた子まりさを弾いた。 「すっ!すっ!!すっきり!すっきりいいいいいいいいいい!!!」 どうやら本当にギリギリのタイミングで弾いたようで 赤れいむが妊娠していないのに子まりさが達してしまったようだ。 「残念…こいつも不合格だな」 「ふん!!じぶんのいもうとをおそうれいぱーなんか れいむのこじゃないよ!!」 「ゆ…ゆわーん!ぎぼじわりゅがったよおおおおおお!!」 「ゆぅ…おちびちゃんよしよし、ぺーろぺーろ」 親は五分過ぎたあたりから、赤れいむは今のショックで 発情状態から抜け出したようだ。 俺は横に転がったままの姿勢でいるそいつを 持ち上げて例によって口と足をライターで炙って行動不能にしてから 先ほど不合格になった子れいむの横に置いてやった。 「――――――――っ!!」 「――――!!――――――――!!!」 子れいむと子まりさが 何が言い合おうとしているようだが、当然声は出ない。 ただ、双方友好的な表情はしていなかった。 い『そんなしけん、わたしだってつらいですよ…』 俺『どういう意味かな?』 い『ごじしんでくうきをよんでください。 それはともかく、じゅっぷんするつもりなら はじめからじゅっぷんといっておけばいいのでは?』 俺『いやいや、二つの試験が十分で我慢がきかなくなったのは偶然だ。 誰かが脱落するまで二十分でも三十分でも続けるつもりだった』 い『やっぱりおにいさん『きちく』です…』 「さあ、三つ目の試験。耐久性、忍耐力の試験だ!」 「たいきゅ…なに?」 「意味は分からなくていい。まずお前がチビを口に入れろ」 「ゆ!おちびちゃんれいむのくちにゆっくりはいってね!!」 「ゆっきゅちー!」 軽く跳ねて親れいむの口に飛び込むチビ。 子を持つ親はしばしばこうして子供を口の中に避難させる。 饅頭共の間ではこうすることで高い安全性が得られると 信じられているようだ。 実際、こいつら同士での戦闘が発生した場合は外より安全だが。 「よーし、こっちへこい」 「ゆー!おそらをとんでるみたい!」 俺は赤れいむが入った親を持ち上げると そこにあった自転車のペダルに乗せた。 「すごくたかいよ!れいむはとりさん!!」 「気に入ったなら何よりだ。動くなよ」 俺は取り出したビニール紐でペダルに括りつけてやる。 身体に取っ掛かりはないので主にリボンと髪を中心に固定する。 「ゆ!?ゆっ!?うごけないよ!? ゆっくりできないよ!?」 「これでよし、試験内容を教える。 チビを吐き出すか、噛んで殺したら失格だ。 五分間耐えれば合格」 「ゆゆっ!?おちびちゃんをこんなところから落とすわけないでしょ!?」 「そうかそうか、では試験開始!」 俺は反対側にあるペダルを回し始めた。 「ゆゆっ?れいむがうごいてるよ! れいむはとべるようになったよ!?」 「おかーちゃんちゅごーい! れいみゅもとぶー!」 「だめー!おちびちゃん、でてきちゃだめー!」 「どぼじでじょんなごどいうにょおおおおおおお!?」 一分経過 「ゆゆぅ!?れいむもっとはやくとべるようになったよ! どんどんとぶよ!」 「おかーしゃん!れいみゅもとびちゃいよ! ゆっくりだちてね!!」 「だめっていってるでしょ!」 「どぼじでええええええええええええ!!??」 三分経過 「ゆぅっ!?ゆぅっ!?はやすぎるよ!ゆっくりできないよ!? もっとゆっくりとぶよ!?」 「おかーちゃんゆらさないで!! ゆっくちできないよ!ぐーらぐーらしないでね!!」 「おちびちゃんはだまっててね!! れいむもゆっくりできてないんだよ!!」 五分経過 「ゆっ!?ゆっ!!??ゆううううううううう!!! ゆっぐりできないいいいいいいいいいい!!!」 「ぎぼじわるい!! だじで!!だじでよおおおおおおおおおお!!!」 「だめだよ!!ここからおぢだらじんじゃうよ!!」 「だっだらじなないようにおろぜばいいでじょおおおおおおお!!?? ばかなの!?じぬの!?」 「ゆっ!ゆぅっ!どまるよ!?ゆっぐりどまりだいよ!!??」 七分経過 「ゆ゙っ!!!ゆ゙っ!!!ゆ゙っ!!!ゆ゙っ!!! もうやだあああああああああああああああああ!!! おうぢがえるううううううううううう!!!!」 「ゆ゙っ…………ゆ゙っ……………ぎぼ…じ…わ」 十分経過 「ゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っゆ゙っ!!!!」 カラカラカラカラ スタンドで宙に浮いた自転車の後輪とクソ饅頭の声が 二重唱でなり続けている。 「ぶぐっ!!!!???? お゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙え゙!!!」 「ぶべら!!!」 「おおっ!?」 親れいむが赤れいむごと盛大に餡子を吐き出した。 地面にたたきつけられたチビは餡子にまみれて痙攣している。 「残念…失格だな」 「ゆ゙っ………ゆ゙っ………」 もうペダルは回していないのだが完全に目を回しているようだ。 俺はチビにその場で出来る治療(親の吐いた餡子補充)をして 親れいむの回復を待った。 五分後 「おちびちゃん!おちびちゃん!だいじょうぶなの!?」 「だいじょうぶじゃないよ!!ぷくー!!」 意外だが餡子を口にしたことでチビは完全回復していた。 むしろ餡子を吐いた上に ペダルに括りつけられたままの親のほうが顔色が悪い。 「ところでこのチビを吐き出したからお前も不合格だな。 なあチビ、こいつはどうなればいいと思う?」 「れいみゅをこんにゃめにあわちぇたくちょばばあはゆっくちちね!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおお!!??」 「よーし、とりあえずこれを食らえ」 俺は親を括りつけた自転車のペダルにあるしたの隙間から 最大出力にしたライターの火を近づけてやった。 「あづいいいいいい!!あづいいいいいいいいい!!! だずげでよおおおおおおおおおおお!!!」 「おお、みじめみじめ!れいみゅをおとすようにゃ ばかにゃおやはとっととちんでね!!」 「どぼじでえええええええええええええ!!!」 俺は親の脚部を丹念に焼いた。 ペダルの隙間からでは微妙かと思ったがペダルが金属製だったのが幸いして 親れいむの足である底部はパーべキューのように綺麗に焼けた。 「ゆわああああああああああああああ!!! うごげないいいいいいいいいいいいい!!!」 「そうそう、お前は全ての試験を乗り越えた晴れて合格だ」 「ほんちょー!?」 「ああ、お前にバッジをやる。これは合格祝いだ」 俺は最後の一枚のガムを食わせてやった。 「ゆゆーん!むーちゃむーちゃ!ちあわちぇー!!!」 「さあ、そしてあの哀れなクソ饅頭はもう動けん。 お前の好きなように制裁しろ」 「ゆゆーん!!れいみゅのいたみをおもいちらせてあげりゅよ!」 チビは親の元に跳ねていき体当たりを始めた。 「ちね!ゆっくちできないおやはちね!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおお!!??」 ぶっちゃけチビの体当たりなど成体には通用しない。 だが、俺の狙いはそこではない。 「ゆうちゅうなれいみゅはばっじさんもらって かいゆっくりにしてもらうよ!! ばかなおやとはちがうんだよ!! とっととちんでれいみゅのゆっくちをじごくかりゃみてりぇばいいよ!」 「……………ゆがあああああああああああああああ!!! ごのおやふごうものおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 ガリッ 調子に乗って体当たりを繰り返していたチビが 口の付近に来たとき何とか身体の半分から上を動かし 思い切り噛み千切っていた。 「ゆっ………ゆふふふ……おやをころそうとした くずをせいっさいっしたよ!!」 「そいつはよかった。こいつらも制裁するかね?」 「――――っ!!――――――――――――!!!」 「――――――――!!!」 動けず喋ることも出来ない先の二匹を目の前に持ってきてやる。 「ゆ…ゆふふふふ! とっととこっちによこしてね!! れいむがじきじきにせいっさいっするよ!!」 「「――――!!!!!!!」」 二匹の表情が恐怖にゆがむ。 俺はそれにかまうことなく親の口の中に放り込んでやる。 「むーしゃむーしゃ!! ゆふふ!!せめてれいむの『ちにく』になってつぐなうんだよ!! ばかなこはぜんぶしねばいいよ!!」 「じゃあ俺はこれで」 その場で動かしたビニールシートやライターなどを回収して去ろうとする。 「までえええええええええええ!!! ごんなごどになっだのもぜんぶおまえのぜいだああああああああああ!!! ぜいっざいっじでやるがらがぐごじろおおおおおおおおお!!!」 「ありゃ、そこに気付くんだ。 なんてこったい。気付かなければ生きながらえていたものを…」 「ばがなじじいはどっどどじねええええええええええええ!!! ぜいっざいっずるよおおおおおおおおおおおお!!!」 「それはもう分かったけど、どうやって?」 「ゆ゙っ…?ゆ゙ぅっ……? なんなのおおおおおおおおおおおおおお!! あんよざんうごげえええええええええええええええ!!! じじいをぜいっざいっでぎないでじょおおおおおおおおお!!??」 「動かないのはもう分かってたんじゃないのか…?」 「うごげええええええええええええええええ!!!! げずなあんよざんはぜいっざいっずるよおおおおおおおおお!!!」 自分の足を制裁するってなんやねん。 「ゆ゙へっ!!ゆ゙へっ!!!ゆ゙へへへ!!! でいぶにざがらうものばぜんぶじねええええええええええ!!!! じね!!!じね!!!じねえええええええええええええええ!!!!」 「あーあーあー。最初は放置のつもりだったけど ここまでうるさいとそうもいかなくなった。 ゆっくり死んでね♪」 「ぶぎゅぎょぶ!!!!」 本来の駆除業者としての商売道具の槍で中枢餡を直撃するように貫いた。 「さて…と。これでここにはもう用はないな」 「ゆびっ……ゆびぃ…………………」 俺は槍を肩に担いで去っていく。 親は刺さったままだし子は親の腹(?)の中だ。 コンパクトに収容できたから丁度いい。 ――――元の日付、午後三時―――― 「なんだかものすごいおはなしでしたね…」 「うむ、あの時の一件で俺も虐待鬼意山に一歩近づいたかな?」 「おにいさんはそうなりたいんですか?」 「いや、どうだろう?そう呼ばれることは一種の名誉だと思うが」 「そうなんですか…?」 「どうなんだろう…?」 俺といくさんは同時に首をかしげた。 「ところでおにいさん」 「何だ?」 「これって『じぎょうしょ』にていしゅつするしょるいでしたよね?」 「そうだが?」 「このおはなしって、おしごととかんけいあるんですか?」 「…あ」 ボールペンで書いてしまったその文章を見て頭を抱えた。 続く あとがき 銀バッジは注意していてもゲス化する可能性があるという方向で。 いくさんはおにいさんの虐待を見たり聞いたりしても気にしないという方向で。 あくまでおにいさんのメインは駆除、時々虐待という方向で。 このシリーズもちゃんと最終話を迎えるという方向で。 ライターの火力はそんなに強くない?気にしない方向で。 衣玖さんが末代まで祟るというのは私と衣玖さ(ry 最後に、この作品を読んでくださった全ての方に無上の感謝を。 私がここに投稿させて頂いた作品一覧 anko3052 ゆっくり駆除業者のお仕事風景 以降そのシリーズ anko3061 隻眼のまりさ プロローグ 以降そのシリーズ anko3127 ゆっくり加工業者のお仕事風景
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1905.html
『おんもでゆっくりしよう!2』中編 オレはイライラしていた。 前回、編集ミスでナレーターであるこのオレ『観察お兄さん(神気取り)』の説明文が無くなっていた事に。 ではなく、今回絶賛観察中のこのゆっくり家族達に、である。とにかくウザイ。 観察一直線のオレが虐待鬼意三に宗旨替えしてしまいそうなウザさだ。 特にれいむ種のウザさに拍車がかかっている気がする。 かなりの数が死んだとはいえ、それでも溜飲が下がらないとは。 つーか、なんで全滅しなかったんですか? そんな運はイラナイよ! 今回(元々は1話形式でした。)はれいむ種のウザさにも焦点を当てて観察してみよう。 「それじゃあれいむ、おちびちゃん、ゆっくりおうちにかえっておみずさんご~くご~くするのぜ…」 「つかれたよ! もうあんようごかないよ!」 「おみじゅ! おみじゅ!」 「まりさ! れいむもかわいいおちびちゃんたちも、つかれちゃってもううごけないよ! ゆっくりしないでおみずさんさがしてきてね!」 「ゆぅぅぅ…」 でた、れいむ! なんなんですかね、コレ(笑) 身体機能に差が皆無なら、れいむの無能っぷりはその『向上心』の無さに尽きる。 ゆっくりは種毎に性格が違う。同種個体でも臆病・活発等の差異はあれど、 基本的な種の行動原理のようなものがあったりなかったり 観察対象のゆっくりについて考察するなら まりさ:活発、蒐集癖。これはエサを集めるのに適したものだ。 ありす:活発、とかいは。まりさほどではないが、ガラクタ蒐集もする。 れいむ:(笑) 現状に甘んじることなく、よりゆっくりするためにアクティブに行動するのが今回のまりさ、ありす。 餌場の開拓、食料の選別(毒など)、とかいはなコーディネート(資材集め)、すっきりてくにっく…枚挙に暇が無い。 一方、れいむは漠然とした『ゆっくり』を求める傾向にある。 『おうた』等は他のゆっくりだって歌うし、れいむ種は狭い自分の引き出しからしか旋律を生み出せない。 特に練習らしい練習もしない。どちらかというと、ゆっくりしたおうたを聴くことの方がゆっくりできる。 あったかいおうちでゆっくりしたい。 おちびちゃんがいればゆっくりできる。 おいしいごはんがあればゆっくりできる。等など そのどれもが受動的であり、現状の『ゆっくり』に甘んじてしまう傾向が強いのが『ゆっくりれいむ』だ。 例えば、ここに一本のアイスの棒(はずれ)が落ちていたとしよう。 例1)まりさ:「ゆゆゆっ! これはすごくゆっくりしたぼうさんだよ! まりさのだんびらにするよ!」 例2)ありす:「ゆゆっ! なかなかとかいはなぼうさんね! おうちのこーでぃねーとにつかえるわ!」 例3)れいむ:「(ぴょーん、ぴょーん、ぴょーん、ぴょーん…)」 …。たとえが悪かったかもしれない。おっと、またまた観察が疎かに。 この癖なんとしないといかんな。 「だめなんだぜ、ここはあぶないんだぜ、おうちのちかくにごーくごーくできるかわさんがあるから そこまでがんばってほしいんだぜ…」 「ゆっ! …しかたないね。れいむはおちびちゃんたちにしんじゃったおちびちゃんたちのぶんまで ゆっくりしてほしいよ。…おちびちゃん、れいむのおくちにはいってね! おうちかえろうね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「ゆっきゅち!」 「やじゃぁぁっ! おみじゅ! おみじゅごーきゅごーきゅちたぃぃぃいいっ!」 「ゆっくりしないではやくしないとまたゆっくりできなくなっちゃうんだぜ! ゆっくりしないでおうちかえるんだぜ!」 どうやら、まりさ一家は帰宅することで話が纏ったようだ。 れいむも意外と聞き分けが良いのがオドロキである。 さて、赤れいむが1匹ダダこねているがどうするのかな? 「おおきなおちびちゃんたちは、まりさのおくちにゆっくりはいるんだぜ!」 「ゆびいいいいいぃぃっ! おみじゅぅぅぅ! ゆびぃぃぃい!!」(ころころ) ※饅頭格納中… 「ゆびぃぃぃぃっ! びゃぁぁぁっ!! みじゅもっでごぃぃぃっ!!」(ころんころん) 「ふうう、おひひひゃん、ふぁふぁうひへね…」 「へいふ…ひはんははいんはへ、ほうはへふぁふぁいふぉ…」 「ふうううう! ほへんふぇぇぇ! ほひひふぁんほへんふぇぇぇ!!」 あらあら、生き残った子ゆっくり達を格納した親達はわがまま赤れいむをおいて ずーりずーりと帰途についてしまった。 ころころ転がりながら泣き叫んでいる赤れいむはソレに気付いていない様子。 一家は、蚊に刺され苦しみぬいた末に死んでいった子達、泣き叫んでいるあかちゃん、 そして未だ毒に苦しんでいる瀕死の我が子を順に見やり、 『ふっふり…』 ぽつり、と涙と共に零し、背(?)を向けた。 すぐ傍には当然ありす一家もいたのだが、子ありすの惨状に嘆くのに忙しく、 まりさ達が去ったことには気が付いていない。 ありす達もまりさ達も、他の家族を気遣っている余裕など既に無くなっていた。 「ありしゅおみじゅごーきゅごーきゅちたいよ!」 「れいむものどさんからからだよぉ! おみずさんご~くご~くしたいよ!」 「ゆうう、れいむ、どうしよう…?」 「ゆっ! ゆっ! あがれないよ!」 ありす一家もノドの渇きに苦しんでいるようだ。 だが、帰ろうにも一家の大黒饅頭ゆっくりれいむが側溝から抜け出せない。 親れいむは側溝から抜け出そうと必死で、親ありすの問いかけにも気が付かない。 「ゆはぁ、ゆはぁああ、れいむのどさんからからになっちゃったよ! かべさんはいじわるしないでれいむをここからだしてね! ゆっ? これはおみずさんだよ! れいむがごーくごーくするよ!」 「ゆゆっ!? おと~さん! れいむにもごーくごーくさせてね!」 「ありしゅも! ありしゅも!」 どうやら、目の前のゆっくり皿に溜まった黒い雨水に気が付いたようだ。 ボウフラがうじゃうじゃ湧いているんだが、ゆっくり的にはお構いなしらしい。 蚊柱と同じ位、ゆっくりしていない挙動で蠢いているのだが…、水の中は良く見えないのだろうか。 側溝は成体1匹分の深さ。子ゆっくりどもはゆっくりしないでご~くご~くしたいのか 親れいむの頭を経由してコロリンと側溝の底に降り立った。 成体でも恐れをなした高さだというのに、なんとも無謀・無知・無垢… そこは風の通り道になっているからか、子れいむたちはヒヤリとした空気に包まれる。 コンクリートの外壁はどこまでも続いており、フタの抜けたこの場所から少し先は キチンと天蓋があり、『ュゥゥゥゥゥ』と暗い音を黒い洞から発していた。 ゆっくりの目線からすれば、天井が暗くざわめく灰色の異空間に迷い込んだような感覚だ。 そして目の前にはなんだか不気味な雰囲気の肌色のオブジェ。この中で子ありすは…。 「ゆううううっ! なんだかこわいよ! ゆっくりできないよ!」 「ゆぇぇぇぇえん!」 降りた子ゆっくり達は、その強烈な違和感に怯えはじめた。 「ゆっ! おちびちゃんたちもおりてきちゃったの? ゆふふ、しかたないね。いっしょにご~くご~くしようね!」 子ゆっくりでは皿の縁に届かないので、親れいむは口移しで子ゆっくり達を潤す。 大量のボウフラと共に… 「ごーくごーく! ごーくごーく! しあわせー!」 「とかいはなおあじね!」 「れいみゅも! れいみゅもぉぉぉっ!」 「れいむ、こっちにもとかいはなおあじのおみずさんちょうだいね!」 側溝の縁で待機していた親ありすと赤ゆっくり達もおみずの催促。 「ゆっ! わかったよ! ご~くご~く! ご~くご~く!」 「ゆゆっ! いじわるしないでおみずさんちょうだいね!」 「ちょ~らいにぇ!」 「ひゅっひゅひ、ひひゅほ! ぴゅ~~~~~~っ!」 「ゆわぁ~~~! あめしゃんだぁぁ!」 「ゆゆっ! これはおみずさんだよ! とかいはなしゃわ~さんね! さすがありすのだ~りんだわ!」 「ぴゅ~~~~~~~っ!」 「ゆきゃっ! ゆきゃっ!」 親れいむは口に含んだおみずを、上段の家族に向けて緩やかに噴出した。 蚊に刺された蔓の処理といい、今のしゃわ~といい、このれいむは何かと気転が利くようだ。 父ゆっくりになると、れいむ種でも少しは変わるのだろうか 渇きを潤す黒いしゃわ~(ボウフラ入り)にご満悦の一家。 黒い虹が一家の行く末を暗示するかのように架かっていた。 「ゆぅぅぅ~~~… でられないよ…」 一通り水遊びを楽しんだ一家はようやく、もう帰ろうという結論に辿り着く。 しかし、未だ親れいむの側溝脱出は成らず、残された一家は困り果てていた。 子れいむたちは親れいむのおつむに取り付いてず~りず~りと登頂し、なんとか脱出できた。 「れいむぅぅぅ、だいじょうぶなのぉぉ!?」 「ゆゆゆ! …しんぱいごむようだよ! きっとべつのばしょさんからでられるよ! ありすたちはゆっくりしないでさきにおうちにかえってね!」 「ゆ~~~ん… わかったわ、れいむ。ゆっくりしていってね!!!」 『ゆっくりしていってね!!!』 『ゆっきゅちちちぇいっちぇにぇ!!!』 子ゆっくり達を連れてその場からず~りず~りと去る親ありす達。 「ゆっ、おか~さん! あかちゃんがないているよ!」 「ゆっ!? ……いきましょう、おちびちゃんたち。ゆっくりしないでおうちにかえりましょうね…」 「ゆぅぅぅ…」 置いていかれた赤れいむを捨て置き、帰路に着く。 自然は厳しい。ゆっくりだって生きている。 時折見せる、こうした野生動物然としたドライな反応もゆっくりの魅力のひとつだ。 おうちにかえろう。おうちにかえってゆっくりしよう。 きょうはおちびちゃんたちがいっぱいゆっくりできなくなってしまった。 しんでしまったおちびちゃんのぶんまでいっぱいゆっくりしよう。 おいしいごはんさんをぽんぽんいっぱいむ~しゃむ~しゃしよう。 まいにちいっぱいす~やす~やしてす~くす~くおおきくなろう。 ゆっくりしよう。 おんもはこわいこわいだったけれどあしたもがんばってゆっくりしよう。 「ゆっ! ゆっくりしないででぐちさんをさがすよ!」 ゆっくり皿のあった場所は格子があり、『下流』の方に行くしかない。 意を決したれいむは暗闇の洞に吸い込まれるように消えていった。 遊歩道には呻き声と赤れいむの嘆きだけが残っていたが、 元々小さな体から発せられる声は、少し強くなってきた風に容易く掻き消される。 「か゛ゆ゛…う゛ま゛。゛」 「ゅ゛っ…ゅ゛っ…ゅ゛っ…ゅ゛っ…ゅ゛っ…ゅ゛っ…。 ……。 …。 ゅ゛っ…。 ……。 …。」 「ゆびいいいいい!! ゆっ!? おきゃーしゃんどきょぉ? どきょぉぉぉ!?」 今まで宥めてくれていた親れいむの声が無くなっていることにようやく気付いた赤れいむ。 不信に思い、辺りをキョロキョロ見渡すが、そこにはゆっくり出来ないオブジェと化した家族達、おともだち。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆぁぁぁぁ! うわあああああああ!!」 (○)(○) あれだけ喧騒に包まれた遊歩道も静かになった。 散らばったゴミクズを足で寄せ集め、遊歩道のベンチの脇にあるクズ篭に放り込みながら これからの観察プランを練ることにする。 『ュゥゥゥゥゥ… ュゥゥゥゥゥ…』 …側溝から時折聞こえるこの音。大体見当はつくが、中はどうなっているのだろうか。 それにさっきまでは静かだったのにまた聞こえてきた。 次の観察プランはコイツでいくか。 「ず~り、ず~り! ゆっ! ゆっ!」 暗闇の側溝の中、親れいむは窮屈そうに這っていた。 天蓋はバスケットボール大の体の頭頂部分にピッタリで跳ねることが出来ないのだ。 じまんのかわいいおりぼんが擦れて汚れてしまっているのも知覚出来ていたが、 今は一刻も早くここから脱出して、ありすたちに合流しなければならない。 くきさんを生やした身重のありすひとりとおちびちゃんでは、帰り道は不安である。 生き残ったおちびちゃんもまだいっぱいいるのに、おと~さんのれいむが守らねば! 「まっててね! ありす! おちびちゃん! れいむはゆっくりはやくだっしゅつするよ!」 『ュゥゥゥゥゥ… ュゥゥゥゥゥ…』 「ゆ! ゆぅぅぅ… またきこえてきたよ」 この音。いや、声。 どれくらい進んだのか判らないが、だんだん近づいてきているような? 既に風の音ではないというのは、れいむでも判った。 こころなしか、ゆっくりの声に似ている? 「ゆ~~ん! だれかいるのぉ~? いるならおへんじしてねぇ~! ず~り、ず~り!」 呼びかけながらまた暫しのず~りず~り。 「ユウウウウウ… ユウウウウウ…」 「ゆゆゆ!?」 いた。 ゆっくりだ。 天蓋ブロック端に刻まれた取っ手が明り取りの窓の役割を果たし、ボンヤリと照らす。 そこにはボロボロのれいむがいた。 おりぼんも、おはだも、かみさんも、きっとおくちのなかのは(歯)やしたさんもボロボロだろう。 (なんだかゆっくりしてないれいむがいるよ…) 観察お兄さん的に側溝の中の状態も看破できるのだが、 観察お兄さん的好奇心で、れいむに姿を見られないよう留意しながら蓋を外してみる。 差し込んだ外の明かりにボロれいむ&親れいむがそれぞれ別な反応を示す。 いや、根底は同じなのかもしれない。 「ゆぴぴるっ… おんもぉ? …ゆぴるぱっ!」 「ゆゆゆ!? あかるくなったよ! でぐちだよ! れいむのるーとせんたくはただしかったよ!」 側溝の1ブロックを外すと、れいむとボロれいむが丁度露出した。 光を浴びたボロれいむの様子が何かおかしいと感じたれいむは、ボロれいむがかなり衰弱しているということに気が付いた。 「ゆゆっ! だいじょうぶ!? だいじょうぶ!? ゆっくりしてる!?」 「ゆぴぴる! ぴぴるんぱ! ぱぴゅるぴゅん!」 「ゆっくりしてね! ゆっくりしてね!」 「ぴぴゃらっぷ! ぴゃぁん! ぴゃぁん!」 ボロれいむがどんな状態か、簡単にいえば、体内で大量のボウフラが暴れているのだ。 天蓋を外したおかげで半透明の眼球から体内に光が差し込み、負の走光性だか走地性よろしく ボウフラが一斉に活動したのだ。その眼球内にもギッシリとボウフラが詰まっていたが。 それにしても、いったい、体内でどうやって呼吸しているのだろうか。 ボロれいむは一昨日、側溝に迷い込んだ若れいむだった。 はるさんを迎えひとりだちした矢先、同じく巣立ちをしたかっこいい若れいむ2・若ありす1姉妹に出会い、 一緒に遊んでいるうちに遊歩道に近づいてしまった。 針金に引っ掛って落下し、その時出来た傷口に卵を産み付けられ、体内でボウフラが孵化してしまったのだ。 傷の痛みと、一緒に落ちて分断されたおともだちのあまりにゆっくり出来ない最後に 散々泣き叫び衰弱していたため、あちこち刺されても大した反応も出来ず、 ゆっくりできないなにかから逃れるように這いずりながらココまで辿り着いた。 オレはゆっくりと蓋を元に戻した。 「ぱぴぷぺっ… ユウウウウ…」 「ゆっくりしてね! ゆっくり! (ゴゴゴ…)ゆゆっ?! おんもさんまってね! ゆっくりしててね! ゆぅぅぅぅ…」 予想通りってのも、案外つまらない。 くぐもっていく2匹の声を聞きながらオレは考える。 この親れいむも直接ボウフラ入りの水を飲んだし、ボウフラ自体もあんこに耐性があるようだ。 頭頂部も擦れて禿げ上がり、もうしばらく這いずれば中身が露出するだろう。 それにこの先には… 「ゆぐぅぅぅ?! でぐちさんがなくなっちゃたよぉぉお!? でぐちさんやめてね!! れいむをおんもにださせてね! それからしまってね!!」 「ゆううう… れいむは、いきるよ… いきて、ありすとおちびちゃんとしあわせ~にくらすんだよ… ず~り、ず~り」 「ュゥゥゥゥゥ… ュゥゥゥゥゥ…」 「ュゥゥ…」 「ゆっゆっ!? すすめないよ! どおして!?」 側溝には要所毎に格子が設えてあった。 格子の向こうからもあの声が渦巻いて聞こえてくる。 そして、ゆっくり出来ない羽音も… オレはありすを追いながら携帯で蚊について調べていた。 展望台は電波塔の役割も果しており、自然豊かなこの公園内でも感度は良好だ。 どうやら『ゆ擦り蚊』とかいうのがいるみたいだが、ソレと今回のは少し体色が違う。 コイツの口吻は赤く、翅はステンドグラスのように七色に煌いているのだ。 『紅魔蚊(ん)』ゆっくりの死体を媒介に繁殖する蚊だそうだ。 ゆっくりに含まれるれみりゃ・ふらん等の因子が起因して発生するらしい。 吸血するもの同士、気が合ったってことなのか? ゆっくりのあんこしか吸わず、日の光が苦手。 繁殖力・成長速度はゆっくり並み。etc. ちなみにボウフラは『ぼうふりゃ』とも『ぼうふらん』ともいわれるそうだ。 正直、どうでもいい。 ゆっくりが介入したことで、残念ながら全てにおいて元の蚊よりグレードダウンした生物である。 歴史的にみても、ゆっくりなんぞよりも蚊が優れた生命であることは知れたことなのだが ゆっくり同士でもこのようなグレードダウンは往々にして起こりうる。 例えば、れいむの場合 ゆっくりの基本的な身体差は無いが、れいむ種は小柄な個体が多い。 これはエサ集めを幼少期や成熟期に他の個体に依存した結果、最終的な摂取量がまりさ種やありす種に及ばないためだ。 もし、れいむ種が父役を果たした場合でも、拾得量や栄養面での問題。 少ないエサを子(特にれいむ種の仔にだが)に優先的に分け与えるため似たような結果になる。 アクティブに動く個体は『かり』の際にも少なからず食料を摂取し、運動の作用で健康なものが多い。 経験を積み重ね、それに基づいた野生ならではの知性と閃きも見せる。 小柄な個体が産む仔は、比例して小さく貧弱であり、餡容量も少ない。 ゆっくりの特徴として、劣性の遺伝情報も色濃く受け継がれてしまう。 野生で生きるものの母体としては、れいむ種などではなく、まりさ・ありす・ようむ等、 とにかくれいむ以外のゆっくりが望ましいのだ。 これは、現代で言うところのラバ・ケッティの関係に当てはめると判りやすいかもしれない。 ♀ウマに♂ロバを掛け合わせると、体の大きな♀ウマからは 馬の力強さ、ロバの頑丈さ、粗食に耐える素晴らしい能力を持った 『ラバ』という動物が生まれる。寿命も比較的長い。 ♀ロバに♂ウマを掛け合わせると、体の小さな♀ロバからは 馬の臆病さ、ロバの矮小さ、粗食に任せた大食らいの役立たず 『ケッティ』という動物が生まれる。体が小さいので労役には耐えられない。 これらは一代雑種と呼ばれ、子孫を、仔を成せない個体として生まれる。 だがこれがゆっくり同士、母体がれいむ、もしくはでいぶならどうだろう。 どんな個体でも大量に仔を成すし、れいむ同士(苦笑)の『つがい』も珍しくない。 上記の例をゆっくりに当てはめて鑑みれば、現在のゆっくりを取り巻く状況も少しは改善されるのかもしれない。 そんな事を考えながら散策していると、丘の手前の草むらでなにやら騒いでいるありす一家に追いついた。 「ゆぷりぴゅん!」 「ぷりんぱ!」 「おぢびぢゃんどおじぢゃっだのぉぉぉおおおっ!!」 ぼうふりゃ水を浴び、飲んだチビどもが悉く奇声を上げて転がっていた。 時刻はまだ14時。絶好のぴくにっく日和の丘の草原なのだ。 子ゆっくりのおめめから入った光は小さな体内を蹂躙し、ソレを受けたぼうふりゃもあんこを蹂躙する。 その苦痛は想像を絶するだろう。 わずかに生き残ったチビども(それでも『いっぱい』いたのだが)は、総てが正常に立つことが出来ず その丸っこい身体を弓なりに反らせ、ぬるぬるの気味の悪いアーチを形作っていた。 「あぎゃぢゃぁっ!! あぎゃぢゃっ! じっがりじでぇ!! おうぢがえろーね゛っ! もうずぐそごだよぉ!!」 「ぴぴゃらぁぁぁっ!! ぴゅん! ぴゅん!」 べぇろべぇろと子を舐めてあやす親ありす。 赤れいむ・赤ありすは、アーチのバランスが崩れ横倒しになるとコメツキムシの如くパチンと跳ねる。 普段の跳躍の倍以上の高度から粘液濡れの地面に叩きつけられ、またゆっくりとブリッジの態勢をとる。繰り返しだ。 よく見ると体表面がボコボコと不規則に波打っていて、体内でぼうふりゃが暴れていることがわかる。 体内のところどころから小さな突起が飛び出て、手を振るようにピンピンと動く。 コレも逃げ場を求めて体外に出ようともがくぼうふりゃだった。 幼体の場合、半透明の眼球を経由せずとも、その体全体で光を受けるだけで十分だ。 手を陽にかざすと光が透過するように、皮の薄い子ゆ・赤ゆも同様に体内を光が通る。 紫外線の影響もその身体内部全域に受けるので、成体近くになるまでの日光浴は程ほどにするのがゆっくり飼育の常識。 因果関係は不明だが短時間でも効果が出るので、それでも楽観視は出来ない。 野生の個体が良くする、実ゆっくりといっしょにひなたぼっこ→いねむり等は、高確率で先天的な障害を招くのである。 ちなみにれいむ種の多くは日光浴を好む傾向にある。 そう、れいむ種はその行動規範の悉くが実利を成さない。それはゆっくり全般に云えることでもあるのだが… れいむ…(笑) 「ぴぴりぎぃぃぃいっ! ぎぴぎぎぃいいぃぃぃっき!」 子ありすはよほど苦しいのか、アーチが捻れ、まるで固絞りの雑巾の様になっている。 絞られて出てくるのは水とは形容しがたいヌルヌルの黄ばんだ粘液だけだ。 そして、ギリギリと音立てるかのごとく捻れた子ありすが瞬時に弛緩し、 カラカラの体がぺしゃん!と粘液溜まりに沈む。 苦しみにもがき捻れすぎて水分を絞りきってしまったらしい。 おまけにゆっくりゲージ残量もほぼゼロ。えんぷてぃっ!だ まあ、ぼうふりゃに殺されたようなもんだから脱水赤れいむよりはマシかな。 なかなかとかいはな死に方だし、やったね! 雑巾ありす!! パサパサ雑巾ありすはその体全体を使い水分を吸い上げるが、既に意思の宿らない身体に給水される液体は その皮をグズグズに変化させてしまう。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! だんでだのぉぉぉおお!!」 「ぴききぃいぃっ! ぴぃぃいいぃいっ!」(ぱぴゅ!) こちらは子れいむ。全身を捻った結果、眼球が破裂してかわいい音を奏でる。 破裂と共に飛び出た大量のぼうふりゃが日の光に晒され、粘液ダレと子れいむの亡骸の上でピンピン跳ね回る。 欲張って他の子よりも大量に黒水を飲んだ結果であった。 「ゆひっ! ゆひっ! …ゲッ!! ォゲェェェ!!! ゲェッ! ォァゲッ!! ウェォォォオッ! …ッオ!」 その光景に親ありすも堪らず嘔吐してしまう。 水っぽいソレはパシャパシャと親ありすの前を流れ、のた打ち回る仔ゆっくり溜まりにまで到達する。 既に赤ゆっくり達も捻れており、その姿は一手間施したパスタ、もしくは何かの幼虫を髣髴させた。 どちらか一方の先端にはモッサリと毛が生え、鮮やかな飾りのようなものがヒラリと揺れていたが 親ありすの消化液も兼ねた吐瀉物が触れると、雪解けの如く消えてしまった。 「でいむぅぅぅ… ありず、どうじだらいいのぉぉぉぉ… ぽうやだよぼほぉぉ… ゆっぐりじだいよぉぉぉ…」 (*1) )))) 「ゆうう?」 今度は頭上の蔓に成った実ゆっくりが高速で振動し始めた。 3つの実のうち、本体側の2個の実(ありす・れいむ)がカッと目を見開き、苦悶の声をあげる。 子を宿したゆっくりが何か摂取すると、まずはその孕み子を経由する。 親ありすが飲んだ水、そのぼうふりゃが実ゆっくりまで到達し、徐々にその中身と摩り替わっていったのだ。 (*2) 「おぎびぎゃん! やべで! おぢびぎゃんぼゆっぐりさぜて! ありずのおぢびじゃっ!」 (*3) )))) (ぷつん! ぽとり) 「ゆゆゆっ! あ゛りずのおぢびぢゃん! うばれだよ! ゆっぐり゛! ゆっぐりじでいっでねぇぇ!!」 振動実れいむが蔓を離れ、地面に落ちた。 振動具合がしゅっっさんの前兆とは程遠いものだったとはいえ、ありすは無事におちびちゃんが生まれてくれたのだと思った。 こんな状況なのに、こんな状況だからこそ生まれてくれた。流石ありす。自分はゆっくりしているとかいはなありすなのだ。 おちびちゃんがうまれたよっ!! れいむ! ゆっくりしないではやくきていっしょにおちびちゃんとす~りす~りしようね! かっこいいれいむにそっくりなかわいいかわいいおちびちゃんだよ! (*4) (パカッ) 「ゆ゛っ?」 実れいむの上半身がパックリと縦に割れ、体内から白い虫が2匹、のっそりと出てきた。 6本の脚で逆さにおりぼんに掴まって身体を支え、重力の力を借りて翅を下方に垂らす。 体が黒ずみ、翅が本来の七色を放ちはじめた。 ワァ、こうまかの羽化だぁ。 「う~☆」(羽音) 2匹の蚊はその場で翅を振るわせアイドリングを済ませると、 示し合わせたように同時に飛び立ち、日の光を避けるために近くの草むらに消えていく。 イソイソとした所作だったが、その姿は中睦まじい姉妹に見えなくもなかった。 「お、おぢびぢゃっ! だんでおぢびぢゃんがわれじゃうのぉぉぉぉ???!!!」 残骸はぐるりと白目を剥き、割れていない下半身はだらりを舌を出して弛緩している。 やがて上半身が徐々に左右に垂れ下がり、無事だった下半身もキレイに真っ二つになってしまう。 水分もトンでしまっているようで、割れた惰力でボソリ…と崩れる。 羽化の最中に実ありすも地面に落ちていたが、こちらは何の反応もなくただただ、黒ずんでいくだけ。 親ありすは割れた赤れいむが衝撃的で、実ありすが生まれ落ちたことにも気付かなかったし 実ありすも消化液と残骸たちに紛れて融けてしまった。 「おうち… かえらなきゃ… れいむがまってるよ…」 ぼろぼろの蔓に残ったのは実れいむ(1)だけ。 辺り一面ヌルヌルした粘液とピンピン跳ねるぼうふりゃまみれ。 先ほどまで蠢いていたチビどもも、ありすの消化液の影響で全て体が半壊状態。 生き残ったおちびちゃんは実れいむを残してひとりもいなくなってしまった。 「どぼじでこんなことに…」 ず~り、ず~り。ありすは振り返らない。 残った実れいむが落ちないよう、ゆっくり、ゆっくり、あいするれいむのまつおうちへと這う。 「このおぢびぢゃんは… ごのおぢびぢゃんだげでも… ありずはぜっだいまもっでみぜるよ…」 本日、太陽の光を一身に浴びた実れいむ。 おひさまさんのひかりがあたると、きらきらすけてきれいなおちびちゃん。 きょうはいっぱいひなたぼっこしたね! あとはおうちでゆっくりしようね! おいしいごはんでゆっくりしようね! ありすのつくったきれいなあくせさりーさんでおしゃしようね! おとーさんれいむからぶゆーでんをいっぱいきこうね! ゆっくりしようね! ゆっくり! 展望台横の茂みに消えていく親ありすを見定め、巣の場所に中りをつける。 さて、次はまりさ一家だ。 帰宅済みなのか、枝葉で施錠された『おうち』の横にオレは腰を下ろした。 続きます。次回は後編。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2465.html
『はんせいしてますごめんなさい』 36KB 虐待 嫉妬 誤解 日常模様 同族殺し 共食い 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 現代 独自設定 よろしくお願いします ッじめに 善良な個体の虐待です 通常種のみ登場します グロテスクな表現を含みます 以上の点に注意して読まれるようお願いします 1 「おにいざん!!! ごべんばざい!!! おでがいでずがらおうじにいれでぐだざい!!!」 街中の住宅街のとある家の玄関前 一匹のれいむが玄関のドアに向かって必死に呼びかけていた 「もうおにいざんどのやぐぞぐやぶっだりじまぜん! あやばりばず!!! はんぜいじばず!!! だがら、だがらでいぶをもういじどがっでぐだざい! おうじのながにいれでぐばさび!!! おにいいさあああああああああああああああん!!!」 必死の呼びかけが通じたのか、ドアが開き中から一人の中年男性が出てきた れいむは悲痛に歪めていた表情をパァっと明るくして中に入ろうとした 「だれもいれるなんていってねーよ」 男性はそう言うと右足を振りあげてれいむの腹を蹴りつける 「ゆぐぅ!!! ・・・・・・ゆ、ゆゆゆごおお・・・げ、げええええ ・・・・・お・・・おにい・・・・さん?」 完全に油断していたれいむは蹴りをまともに受けてしまい、その場にへたり込んでしまう 苦しそうにうねうねと芋虫のように蠢くれいむ 口からは泡だった泥のような餡子を吐きだしている 「ゆごっ! ゆごごっ・・・! でいぶ・・・あやばっだ・・・のに・・・」 「しらねーよ。 謝ったからなんだってんだよ。 謝ったらそれで全部終わりだとでも思ってんの?」 「でぼぉ・・・でぼおおおおお!」 「でもじゃねーよ。 言い訳してる時点で反省する気ゼロだっていってるようなもんじゃねーかよ」 「ゆ、ゆうううううううううう!!! どぼじでえええええ! どぼじでごんなごどにいいいいい!」 「あーうるせーうるせー。 うぜーからさっさと消えろや」 男性はそう言ってドアを閉めてしまった 後に残されたれいむはただただ泣き続け、そのままそこで一晩明かした 翌日、男性が仕事に出かけに中から出てくると、れいむは一目散に駆け寄って挨拶をした 「おにーさん! ゆっくりいってらっしゃい!」 とびっきりの笑顔で挨拶するれいむ れいむは頑張っていい子にしていればれいむの事を許してくれると考えていたのだ お兄さんはれいむに一目もくれずさっさと行ってしまった だがれいむはあきらめない あきらめてはそこで全てが終わってしまう お兄さんが許してくれるその日まで、頑張り続けるとれいむは心に誓った 「ゆううううう・・・・ おなかがぺーこぺこだよぉ・・・ べーこんごはんさんがたべたいよぉ・・・」 餌を与えられずに庭に放置されたままのれいむは、さっそく空腹に悩まされた 加工所で生まれ、ショップで育ち、外の世界を知る間もなくこの家にやって来たれいむは ゆっくりふーどや人間さんの食べ残しを食べていたので、野生のゆっくりがするような食事はしたことが無かった 背に腹は代えられずいやいやながらも庭にぼうぼうと生い茂った雑草を一口かじってみる 「・・・・・・・・・・・・・・・ゆげえええええええええええええええええええええええ!!!! にがにがでゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」 草を咀嚼していくうちに草の汁が口全体に広がってゆき、苦いという感覚がじわじわとしみ込むように舌へ伝わってくる 耐えられずに吐きだしたが舌や歯茎には味の感覚が残っていた お水でうがいをしようにも水の入った皿などどこにも見当たらない れいむは仕方なく、自分の唾液で口の中が満たされるのを待った とてもこんなものは食べられない しかし、お腹はすいてしまう 何か他に食べれるものはないか辺りを見渡してみる どこを見ても草、草、草・・・・・・ れいむはため息をついて後ろにコロンと倒れた なにも考えずに空に浮かぶ雲を見つめる 「・・・これかられいむはどうすればいいの? ・・・おにいさんはゆるしてくれるのかなぁ?」 白い雲に問いかけるように、れいむは頭の中で不安に思っていることを言葉にした その問いかけに答えるものはどこにもいない 空腹に耐えきれなくなったれいむは観念してもう一度草に挑戦する 一口むーしゃむしゃする度に溢れる汁を何とか飲み込んで、また新たに草を口に入れる 何度か戻しそうになったが、草を無理やり飲み込むことで何とか耐えきった 「むーしゃむーしゃ・・・・・しあわせええええ! このランチさんはとってもとかいはだわぁ!」 向かいの家で飼われているありすがしあわせーと叫んでいる それを聞くと大粒の涙がぽろぽろとおめめから流れ落ちてきた 「ゆぐっ・・・・・・ゆぐううううう! どぼじでええええええ・・・ おにいざあああああんんんんん・・・・・」 れいむは怒られた理由が全く分からなかった 普段のように言われたことを守り、きちんとルールを守って生活していた なのに、突然あんよをぺんぺんされ外に放り投げられたのだ 怒られた理由が分からないままのれいむはただただ悲しくて仕方なかった 2 「おにいざん!? はなじをぎいでね!? でいぶをむじじないでね!?」 固く閉ざされたドアに何度も身体を叩きつけて懇願するれいむ 帰って来たお兄さんと話そうとしたが完全に無視されてしまったのだ れいむがどんなに呼びかけても、聞こえてくるのはテレビさんの音ばかり 「どぼじでっ・・・ どぼじでなんにぼいっでぐれないの!? でいぶはずっどいいごにじでだよ!? どぼじで・・・どぼじでえええええええええ!!!」 「・・・るっせえっつってんだろ!!!」 「ゆぎゃん!」 突然開いたドアが顔面に衝突して吹っ飛ぶれいむ 顔は真っ赤になり歯が何本か折れたが、それでもお兄さんが出てきてくれたことがうれしくて笑顔になる 「おにいさんきいてね! れいむはがんばったんだよ! とってもつらかったけどあきらめなかったんだよ!」 「だから、なに?」 「ゆっ・・・ こ、これからももっともっとがんばっておにいさんをゆっくりさせるよ!」 「で? 反省はどうした?」 「・・・ゆぅ? はん・・・せい・・・?」 れいむはぽかんと口を開けたまま固まってしまった 怒られた理由を思い出すことをすっかり忘れていたのだ 「その様子じゃ反省してないみたいだな。 じゃ、そゆことで・・・」 「まっ! まっでね!? でいぶはんぜいじでいいごにじでだよ!?」 「へぇ、じゃあ何をどう反省したか言ってみろよ」 「ゆぅ・・・ それは・・・」 「やっぱり反省してねーじゃねーか。 口だけの反省ならそこらへんのゲスでもできるわ」 「で、でもぉ・・・でもぉ・・・」 「また『でも』か。 まぁいい、それより飯は食ったのか?」 「ゆん!? ごはんさん!? ごはんさんくれるの!?」 ご飯という単語にもみあげを即座に反応させてピコピコ動かすれいむ 目がキラキラと輝いて、涎がたらりと滴り落ちる 「まだやるとはいってねえよ。 そこに草沢山はえてるだろ?」 「ゆん? ・・・くささんはゆっくりできないよ」 「話は最後まで聞け。 そこに生えてる草を全部食べたら飯食わしてやるよ」 「ほ、ほんとにいいいい!? うそじゃない!?」 「本当だ、まぁせいぜい頑張れや」 「ゆわぁい! れいむ、がんばってむーしゃむしゃするよ!」 お兄さんはそう言ってドアを閉めた 「さっそくむーしゃむしゃするよ! くささんはゆっくりれいむにたべられてね!」 草に向かってそう宣言したれいむはおくちを大きく開けて草にかじりついた お口の中いっぱいに広がる青臭い臭いと、じわじわとにじみ出る苦い草 ゆっくりできない臭いと味を我慢して無理やり口の中へと押し込んで行く 「むうううううじゃあああああむうううううじゃあああああああ・・・・・じばばぜえええええええええええええ!!!」 しあわぜーは本当のしあわせーではなく、無理やりひねり出した言葉だった そうでもしないと、ゆっくりできなさすぎて餡子がおかしくなりそうだった 「げええええええっぷ! ゆぅ・・・まだまだたくさんあるよ。 でも、れいむあきらめないよ!」 草を全部飲み込むと、また次の草を引っこ抜いて口の中へと押し込む ようやくお腹がいっぱいになり、次第に眠くなっていくれいむ しかし、ゆっくりできるべっともふかふかもどこを探しても見当たらない 仕方ないので引っこ抜いた草をしいて、縁の下で眠ることにする 「ゆぅぅぅ・・・ はやくおうちのなかでゆっくりすーやすやしたいよぅ・・・」 冷たい地面に敷いた青臭い草の上へ倒れこむように横になるれいむ 口の中には草の苦い味がまだ残っている 「どぼじでおにいさんはあんなにぷんぷんしてるの? れいむはいったいなにをしたの? わからないよ・・・ おにいさんおしえてよ・・・れいむはいったいなんてあやまったらいいの?」 どんなに考えても、れいむは反省すべき理由がわからない 疲れ切ったれいむは考えがまとまらない内に眠ってしまった れいむは夢の中でべーこんごはんさんをおなかいっぱいむーしゃむしゃした 夢の中でお兄さんはいつものお兄さんに戻って、れいむを優しく介抱してくれる お兄さんはれいむにしていたことを謝って、れいむのことを許してくれた (ゆふふふふ・・・ れいむはおこってたけどゆるしてあげるよ・・・ またいっしょにたっくさーんゆっくりしようね・・・・・) そんな幸せな夢は、突然中断された もみあげを引っ張られて無理やり縁の下から引きづり出されたのだ 「ゆ・・・! ゆゆゆゆううううう!? おにいざん!? でいぶになにずるの?!」 混乱したれいむは身体をぐねぐねとうねらせて必死に抵抗した 外はまだ暗く、おひさまは顔を出していない 「まぁ落ち着け。 おまえにプレゼントしてやろうとおもってな」 「ゆぅ!? プレゼントさん!?」 「そうだ、今さっきジョギングしてたらゆっくりが因縁つけてきたんだよ んで、フルボッコにしてぶっ潰してやったんだわ。 それがこいつ等な」 お兄さんはそう言うと、ビニール袋から二体のゆっくりの死体を取り出してれいむの前へ放り投げた 恐らく番であろうまりさ種とれいむ種が一体ずつ 大きく目を見開いて、口をだらしなく広げたまま絶命している 「ゆげええええええええええええ!? なにごでええええええええええええ?!」 「だからプレゼントだって。 これ中身は餡子でできてるんだからお前食えるだろ? お前の為に持って来てやったんだから遠慮しないで食べていいんだぞ」 「ごんなのだべれるわげないでしょおおおおおおおおおおおおお!? ばがなのじぬのおおおおおおお!?」 「はぁ!? 食えないわけねーだろが! それ食い終わるまでここでみてやるから早く食え。 残さず食え」 「だがらむりだっでいっでるでしょ!? れいむのはなじをぎいでね!?」 「食わなかったらもう許してやらねーぞ。 それでもいいのか?」 「ゆぅ!? なんでそうなるの!?」 「反省してるならくえるよなぁ? なぁ? 反省する気ねえのか、こら」 「・・・はん・・・せい」 反省という言葉を出されたとたん黙ってしまうれいむ まるで魔法をかけられたように従順になってしまう 「早くしろ。 じゃねーともう許してやんねーぞ」 「・・・ゆっくりりかいしたよ」 一撃で踏みぬかれたのか、脳天を潰されてぺしゃんこになった二つの骸 目玉が飛び出て餡子がはみ出だして表情が読み取れないほど激しく損壊している はみ出たその餡子を恐る恐る口に含み、飲み下す 口の中には甘いゆっくりした味が広がってゆく しかし、れいむはまったくゆっくりできない 想像してみてほしい どんなにおいしそうに調理されていたとしても それが人間の肉だと知っていてあなたはそれを食べることができるだろうか 「全部残さずたべろよ。 できるだけ早くな」 お兄さんの声がこんなに恐く感じたのは初めてだった 3 「ゆ、ゆべえ・・・ ゆぎゅううう・・・ ごっくん!」 時刻は昼の十二時をまわり、れいむはようやくゲス番の死体を完食することができた 口の周りにべっとりと餡子をつけたれいむ その顔は大量のカロリーを摂取しているにもかかわらずげっそりとやつれている 「なんで・・・ でいぶが・・・ ごんなべに・・・・」 死臭が体中に染みつき、一秒たりともゆっくりできない お兄さんが打った精神強化剤が無ければとっくに餡子を吐いて永遠にゆっくりしてしまっていただろう 「よし、全部食べたな。 偉いぞ、れいむ」 「ゆぅ!? おにいさん!? れいむをゆるしてくれるの!?」 食べ終わるまでずっとそばにいたお兄さんが漸く口を開いた れいむは期待に腹を膨らませ、もみあげをピコピコさせてお兄さんにすり寄る しかしその淡い期待は一瞬で打ち砕かれた 「はぁ!? 偉いとは褒めたが許してやるとは一言も言ってねーけども」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおお!? でいぶごんなにがんばっだんだよ!?」 「まぁ、頑張り次第では許してやらんこともねーけどよ。 まだまだ頑張りが足りないってこった」 「これいじょうなにをがんばればいいのおおお!? でいぶはもうげんっがい!なんだよおおおおおお!」 「それだけ喚ければ大丈夫だ、問題ない。 れいむ、お前に新しい課題をくれてやろう」 「あたらしいかだいさん!? まだなにかしなくじゃいげないのおおおおおお!?」 「なに、難しいことじゃねーよ。 家の壁を全部なめなめして綺麗にしろ それができたらお前を許してやる」 「・・・なめなめってぺーろぺろのこと?」 「そうだ、この家の壁の汚れをすべてぺーろぺろして綺麗にするんだ」 「ぞんだごぼでぎるばずないでじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「それと引き続き庭の雑草毟りもやれよ。 ある程度綺麗になったらまた飯食わしてやるから」 れいむは途方もない課題に茫然自失になった このれいむにとってあまりに巨大なお家をぺーろぺろで綺麗にしなくてはならないのだ それに草も食べ続けなければならない 「誠意をみせろよ、れいむ」 そう言ってお家の中に入って言ってしまうお兄さん 今日はお兄さんの仕事が休みの日で、本来ならお兄さんと沢山遊んで好きなだけゆっくりできる筈だった それがどうだろう いまのれいむには、ゆっくりのゆのじもない 「ゆぅ・・・ とりあえずくささんをむーしゃむしゃするよ・・・」 それでもれいむはあきらめなかった 与えられた課題を一つ一つクリアすれば、れいむは許されてまたゆっくりした毎日が戻ってくる そんな一筋の希望にすがる様に、れいむは草をむーしゃむしゃしていった それから数日後 れいむは草をある程度食べ終えると壁の清掃へと取りかかった 白く塗られた壁は薄らと塵が被っており、れいむが舌で舐めるとそこだけぴかぴかになった 草と違って極端ににがにがな味がするわけではないが、ゆっくりできる味など当然するはずがない 「ゆっくりぺーろぺろするよ・・・ ぺーろぺろ・・・・・」 少しずつ壁の汚れをなめとっていくれいむ ふと、べーこんごはんさんを食べた後のお皿をぺーろぺろした時のことを思い出した ぺーろぺろする時はいつも幸せだったのに、今しているぺーろぺろはただただ虚しい 「みゃみゃ! みちぇみちぇ! あのれいみゅかべしゃんをぺーりょぺりょしてりゅわ!」 「しっ! みちゃだめよ! あのれいむはちょっとあんこがふじゆうなのよ、かわいそうなのよ」 「どうしちぇ? いにゃかもにょなにょ?」 「そんなこといったらとかいはになれないわよ! さ、もういきましょ。 かえったら、ままがぺーろぺろしてきれいにしてあげるわ」 「ゆん! みゃみゃのぺーろぺろはとっちぇもゆっくちできりゅわぁ!」 野良のありすの親子が通りかかって話しているのが聞こえた れいむは清掃をやめて、その親子をじっと見つめていた れいむは生まれてすぐに親から引き離され、金バッチをつけた他ゆんのありすやれいむに育てられた 育ての親の言うことを素直に聞いていたのでゆっくりショップの人間さんはやさしくしてくれた だから、れいむは人間さんの言うことをきちんと守ればゆっくりできると信じている 野良が庭にやってきても無視してやりすごしたし、一緒に遊ぶようなことはなかった 野良は自分勝手でルールをわきまえないとてもゆっくりしていないもの そういう認識を加工所で刷り込まれたれいむにとって野良とはそういう存在だった だが、ありすの親子はとってもゆっくりしていた その理由をれいむは理解できない 「ゆぅ? もしかしてのらはゆっくりできるの? みんなはれいむにうそをついてたの?」 子ゆっくりのころに去勢されたれいむはぼせい(笑)の形成に至らなかった ぼせい(笑)が存在しないため、おちびちゃんはゆっくりできるという感覚も存在しない そのため、ありすの親子がゆっくりしていたのは、親子が一緒だからではなく野良だからという認識にすり替わる 加工所やショップで言われ続けていた野良はゆっくりできない存在という認識が揺らぎ始めた 極度のストレスと疲労が伴ってれいむの判断能力は劣化していたこともあり、疑念が頭をもたげる 「こんなことなられいむものらになりたいよ。 のらがあんなにゆっくりできるなんてれいむしらなかったよ・・・」 あんよがずーりずりと外の世界へと向かって無意識に動いていく 門を出ればすぐに外の世界へと出て行けるのだ 後少し、もう少しでゆっくりできる・・・ 「なにかんがえてるんだろうね・・・ れいむはおにいさんにせいいさんをみせてゆっくりするんだよ・・・」 お兄さんの存在を思い出して足を止めるれいむ もしここで外の世界に出て行ってしまったら、お兄さんはもう二度と許してくれないだろう もう一度・・・もう一度お兄さんとゆっくりするんだ! れいむは確固たる決意の元、与えられた課題へと取りかかった 「お~頑張ってるじゃねーか。 正直ここまでやるとは思わなかったぞ」 「ゆん! おにいさんじゃましないでね! れいむはがんばってるんだよ! がんばってせいいさんをみせておうちにいれてもらうんだよ!」 「そーかそーかいい心がけだな。 そんなれいむにプレゼントをもってきてやったぞぉ」 「・・・ぷれ・・・ぜんと・・・さん?」 プレゼントという単語に凍りついてしまうれいむ お兄さんが抱えている、がさごそと動く段ボールに視線が釘づけになる 「お、その様子だとプレゼントがなんなのか大体察しがついてるようだな じゃあ早速御開帳といこうか。 今日のプレゼントは元気なおちびちゃんでーす!」 お兄さんはそう言って段ボールをひっくり返して中身をぶちまけた れいむ種とまりさ種が五匹ずつ計十匹の赤ゆっくり達が地面にぼとぼとと落ちてくる 「おとおしゃあああん!? おきゃあしゃああああん!?」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいい! いちゃいよおおおおおおおおおおお!」 「まりしゃのおぼうちかえちちぇえええええええ! ゆんやああああああああああ!」 「どびょじじぇごんにゃごじょしゅりゅにょおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「ゆぅ・・・ いたいのはいやなんだじぇ・・・ こわいんだじぇ・・・」 「もうやじゃあああああ! れいみゅなんにもわるいこちょしちぇないのにいいいいい!」 「かわいいれいみゅがなんでこんにゃめに・・・・」 「おきゃあしゃん・・・・ おとうしゃん・・・・・」 「ゆっ・・・ゆっ・・・」 「ゆんやあああああああああ! ゆんやあああああああああああ!」 「おちびちゃんたち!? ゆっくりしていってね!? ゆっくりゆっくり!」 突然外に放り出された赤ゆっくり達は一斉に泣き出した 中には瀕死の者もおり、れいむはどうしていいか判らず狼狽する そんな光景を見てにっこりとほほ笑むお兄さん 「それ、食え」 「・・・・・ゆ ・・・・・お兄さん? いまなんて?」 「食え。 残さず全部食え」 「これ、ゆっくりだよね? おちびちゃんだよね?」 「だからなんだ。 食え」 「で、できないよ・・・ おちびちゃんなんかむーしゃむしゃしたら・・・」 「できぬともうすか。 いま、できぬともうしたか」 「ゆぅ?」 「食わないならお前はもう許さない。 お前はそこで乾いていけ」 「そ、そんな・・・」 「どうした、はやくしろ」 「ゆう・・・・ れいむは・・・」 泣き叫ぶおちびちゃん達 じっとれいむを見つめるお兄さん ゆっくりの中での最大の禁忌である同族食い そしてもう一つの禁忌、おちびちゃん殺し れいむはその片方を既に犯している もう片方も犯せば、れいむは立派なゲスゆっくりになってしまう 「・・・ゆっくりりかいしたよ」 れいむの中で、理性よりもお兄さんへの恐怖が勝った 「おちびちゃんはれいむにゆっくりたべられてね。 はーみゅはみゅ」 「ゆぴぃ!? ゆんやああああああああああ! はなしちぇええええええええ!」 れいむは一匹の赤まりさを咥える 咥えられた赤まりさはぶりんぶりんとあんよを左右に振って抵抗している なかなか踏ん切りがつかないのか咥えたまま動かないれいむ そんなれいむにお兄さんはあるものを注射器で注入した 「ゆひぃ!? ほひひはん?へいふひはひひはほ? ・・・はんはははははははふふはっへひはほ?」 注射器のラベルには『コンポストゆっくり用食欲増進剤 精神強化成分配合』と書かれている れいむは頭がぼーっとして身体が熱くなっていくのを感じると同時に今まで感じたことのない空腹感を感じた まるで三日三晩食事を取らなかったような飢え めがぐーるぐるして、舌がピクピクとひきつる 「はなしちぇええええええええ! まりしゃまじゃしにちゃく『ぐちゃ!』・・・!」 咥えていた赤まりさを噛み潰したれいむ その光景を見て、他の赤ゆっくり達は一斉に逃げ出した 「なんだかとってもおなかがすいたよ! れいむはたっくさんむーしゃむしゃするよ!」 「こっちにくりゅなあああああああ! このげすうううううううううううう!」 一匹の赤れいむに狙いをつけて飛び跳ねるれいむ すばやく回り込んで赤れいむをもみあげでつまみあげる 「はなしちぇえええええええええ! れいみゅをたべにゃ『げちょ!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 光悦の表情を浮かべるれいむ 眼下で息を切らしてお腹に体当たりをくり返す赤まりさに気づく 「きょうぢゃいをこりょしちゃげしゅはまりしゃがせいっしゃい!しゅりゅのぜえええええ! ゆっくちしにゃいでしゃっしゃちょ・・・ゆわあああああああ! はなしちぇええええええ! ゆるしちぇええええ『げしょげしょ!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 「ゆわあ、あ、あ、あ、あ・・・・ みんにゃてべられちゃうのじぇ・・・」 「きょわいよおおお・・・ れいみゅもうしんじゃうにょかなぁ・・・」 「ゆうううう・・・ おきゃあしゃん・・・ おちょうしゃん・・・」 「どびょじぢぇ・・・ どびょじぢぇごんにゃめに・・・」 壁の隅にひと塊りになって震える赤まりさと三匹の赤れいむ れいむは大きく広げた口でそれらを被うと、口を閉じて一気に噛み砕いた 「しあわせええええええええええええええ!」 「ゆっ・・・ゆげえええええええ!」 「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆっ・・・」 「しあわせええええええええええええええ! しあわせええええええええええええええ!」 精神的に追い詰められて餡子を吐く赤まりさと既に瀕死になっていた赤れいむ それらを食べ終え、最後の一匹になった赤まりさににじり寄っていくれいむ 「ゆわぁあわわわ・・・・ まりしゃ・・・おいしくにゃいよ? たべちぇもおいちくにゃいよ? おねがいぢゃかりゃこっちにこにゃいでにぇ? まりしゃとゆっくちしてにぇ?」 「かわいいれいむはむーしゃむしゃするよ!」 「ゆんやあああああああああああ『ぷしゃああああああああ!』あああああああああああ!」 赤まりさの下腹部から、おそろしーしーが勢いよく噴出される がたがたと震える赤まりさを前に、れいむは笑顔で宣言した 「ゆっくりいただきます!」 「やめりょおおおおおおおお! しにちゃくにゃあ『ぎっちょん!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 全ての赤ゆっくりを完食し終えたれいむ そんなれいむにお兄さんはこう言った 「見ろよ、あのれいむゆっくりしてないだろ?」 「あんなにかわいいおちびちゃんをたべちゃうなんて・・・ このゆっくりごろし・・・」 「みゃみゃぁ・・・ ありしゅこわいわぁ・・・」 お兄さんの傍らには、先ほどのありすの親子がいた 4 「おにいさん! おにいさんにもらったぶろっくさんで ありすのおちびちゃんがとってもとかいはなこーでぃねいとをしたのよ!」 「みちぇみちぇ!おにいしゃん! ありしゅがんばっちゃわ!」 「すごいなぁ! ありすもありすのおちびちゃんもとっても都会はだな!」 お家の中からは楽しそうなお兄さんとありす親子の声 れいむはそれを聞くと惨めな気持ちになるので聞かないようにしていたが、嫌でも耳に入ってくる れいむが赤ゆっくりを食い殺したあの後、お兄さんはれいむではなくありすの親子を家に入れた お兄さんは新しくありす種が飼いたくなったのでつれてきたとのこと れいむにとってはあてつけにしか思えなかった 毎日のように聞こえるありす親子の生活音 それを聞くたびにいーらいらするれいむ れいむはただただ耐え続け、今日も壁を綺麗にする 「とってもとかいはならんちさんだわぁ! おにいさんゆっくりありがとう! ほら、とちびちゃんもおれいをいいなさい!」 「おにいしゃん! ゆっくちありがちょー!」 「いいんだぞー! いっぱいたべてゆっくり大きくなってね!」 れいむの大好きなべーこんごはんさんの臭いがする 臭いだけ嗅がされておなかが情けない音を立てた もうここ何日もまともなごはんを食べていないれいむにとっては拷問だ 「ゆうううぅぅぅぅ・・・ れいむのべーこんごはんさん・・・・」 空腹を紛らわすために、その辺に生えていた雑草を毟って口に入れるれいむ もう雑草の味には慣れたがちっともゆっくりできない 「みゃみゃ! ありしゅこーりょこりょすりゅからみちぇちぇにぇ! こーりょこりょ!」 「とってもとかいわなこーろころだわぁ! おにいさんもみてあげてぇ!」 「可愛いなぁありす! もっかいこーろころして見せてくれるか?」 「ゆっくちりかいしちゃわ! こーりょこりょ!」 楽しく遊ぶありす親子とおにいさん 前はれいむがお兄さんを一人占めして一緒に遊んでいた 「おにいしゃんしゅーりしゅりしちぇ! しゅーりしゅり!」 「だめよ、おちびちゃん! おにいさんはいまてれびさんをみてるのよ!」 「いや、かまわんぞ。 ほーらこっち来い、すーりすり」 「ゆわぁい! おにいしゃんのおちぇちぇとっちぇもあっちゃかいわぁ! ありしゅ、おにいしゃんのおちぇちぇだーいしゅき!」 お兄さんの手にすーりすりする赤ありす その手はれいむだけに優しくしてくれる温かい手だった 「ありしゅ、にゃんぢゃかにぇむいわぁ・・・」 「ちょっとおひるねにしましょうか・・・ おちびちゃんゆっくりおやすみなさい」 「ありしゅおにいしゃんとねむねむしちゃいわ・・・」 「ああ、いいぞ。 ありすもこっちに来いよ」 「ええ!? いいの!? おにいさんはほんっとう!にゆっくりしたにんげんさんね!」 「それほどでもあるよ。 さぁ、みんなでゆっくりお昼寝しようか」 「ゆぅ・・・ ありしゅ・・・ おおきくなっちゃらおにいしゃんのおよめしゃんになりゅ・・・ゆぴー」 お兄さんとお昼寝するのはれいむの特権の筈だった 今は別のゆっくりがおにいさんの手の中で眠っている 「ぺーろぺろ!ぺーろぺろ! ゆっくりしないでかべさんはきれいになってね! ぺーろぺろ!」 れいむは早くお兄さんを取り戻そうと躍起になった しかし、れいむの小さな舌では壁を綺麗にするのには時間がかかりすぎる まだ四分の一も終わっていないのだ 「ぺーろぺろ!ぺーろぺろ! ぺーろぺr・・・・ゆぐうううううううう!!! なんででいぶがごんなごぢじなぐじゃいげないのおおおおおおおおおおお!? おにいざんあんなにやざじがっだのにいいいいいいいいいいいいいいいい!!! なにがいげながっだの!? なにがわるがっだの!? でいぶはなにぼあやばればいいぼおおおおおおおおおおお?」 壁に額をつけて、ぽろぽろと零れ落ちる涙を見つめるれいむ 奪われてしまったしあわせ 終わらない課題 ゆっくりできない食事 変わってしまったお兄さん 何が問題で、何が悪かったのか れいむにはとうとう答えが分からなかった 永遠と続くと思われた絶望的な生活 だが、そんな日々は突如として終わりを告げる 「おにいしゃんはなしちぇええええええ! みゃみゃあああああああ! どぼしちぇたしゅけちぇくりぇにゃいにょおおおおおおおおおお!?」 「ごめんなばい! おでがいでぶがらおじびじゃんぼばなじでぐばばい!」 「うるせーよこの屑ども。 あんなに可愛がってやったのに恩をあだで返しやがって」 「どぼしちぇこんにゃこちょしゅりゅにょおおおおおおおおおおおおおおおお!? ありしゅなんにもわりゅいこちょしちぇないにょにいいいいいいいいいいい!!!」 「だべえええええええええええええ! ぞんなごどいっじゃだべええええええええ!! おでがいだがらおにいざんにあやばっでええええええええええええええええええ!!」 「はー・・・ どうしようもねえクソ餓鬼だな お前死刑確定だから。 ゆっくり苦しんで死んでいってね」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいいい!!! もうやじゃ! おうちかえりゅううううううううううううううう!」 お兄さんにつかまれている赤ありすと、顔をぐしゃぐしゃにして謝り続ける親ありす そんな二匹をお兄さんは汚物でも見るかのように見ていた れいむが外から家の中を覗くとカーペットの上にシミができている どうやら赤ありすが粗相をしてしまったようだ 「おい、れいむ! いるか?でてこい!」 「ゆぅ、れいむはここだよ。 おにいさん」 庭に出てれいむを呼ぶおにいさん れいむは一目散にお兄さんのところへ跳ね寄っていく 「これ、食え」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」 「おにいざああああああああああああああん! やべべええええええええええええええ!!!」 さも当然とでも言うかのように言い放ったお兄さん 赤ありすはこのお家に来た日に、れいむがおちびちゃんを食い殺しているのを見ていたので必死に抵抗する 親ありすの方は、泣きながら懇願しつづけていた 「おでがいでずがらおちびじゃんぼごろざないでぐだざいいいいいいいいいいいい!!!」 「言ったよなぁありす。 こいつがトイレで失敗しないようにちゃんと面倒見ろって」 「ありずはじゃんどおじえだわ! でぼじょっどめをはなじだずぎにいいいいいいいいいいいい!」 「阿呆が。 今回だけじゃねーだろーが。 こいつが何回失敗したか覚えてるか?」 「ええっと・・・ いち、にい、たくさん・・・ だぐざんでずうううううううううううう!!!」 「だろぉ? トイレの場所も覚えられないゴミ屑は死んだ方がいいよね! ゆっくりりかいしてね!」 「ぞんだあああああああああああ!!! もういっがいだげじゃんずぼぐばばいいいいいいいい!」 「嫌だよ、何度もチャンスやったのにそれを不意にしたお前が悪い」 「どぼじでえええええええええええええええええええええ!!!」 「ゆんやああああああああああああああ! みゃみゃあああああああああああああああ!」 れいむは呆れた トイレの場所も覚えられないなんて、なんてバカなんだろう れいむが同じくらいの大きさだったころはトイレの場所はおろか数や文字まで覚えさせられていた その程度もできないのにれいむのお家で暮らし、お兄さんを一人いじめしていたなんて・・・ 「おにいさん! はやくそのくずをちょうだいね! れいむはおなかがすいてるんだよ!」 「お、れいむはほんとにいい子だな~! 流石は加工所産だけあるな」 「なにいってりゅにょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「やべろおおおおおおおおおお! おじびじゃんぼだべるなああああああああ!」 れいむは子ありすを直ぐにむーしゃむしゃできるように身構えていた 憎きありす親子に自ら制裁をくわえることができるのだ 楽しくないはずがない 「いくぞ~! ほ~れ!」 「ゆぴいいいい! おしょらをとんじぇるみちゃいいいいいいいいいい!?」 「やべろおおおおおおおおおお! おじびじゃんぼだべるなあああああああ!」 放り投げられた子ありす、踏みつけられて身動きとれない親ありす れいむは落下予測地点に先回りして口を大きく開けた その中に子ありすがすぽりと入り、れいむは思いっきり口を閉じた 「ゆんやああああああ! ありしゅまだしにt『びちぃぐちゃ!』・・・!」 「むーしゃむーしゃ! むーしゃむーしゃ!」 子ありすが絶命しても執拗に噛み砕くれいむ まるで今までため込んできた不満を全てぶつけるかのように・・・ 「しあわせえええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」 「あでぃずのおじびじゃんがあああああああああああああああああああああああ!!!!」 久々に心の底からゆっくりを感じたれいむ 絶望の真っ只中に叩きこまれたありす お兄さんはそんな二匹をみて満足そうにほほ笑むとお家の中に入って行った 5 「はやくしてね! れいむはおこってるんだよ!」 怒りの声を上げるれいむ 口には錆びた錆びた釘を咥えている 庭にはれいむのほかにありす、まりさ、ぱちゅりー、ちぇんがいる れいむ以外のゆっくりは総出で家の壁をなめて綺麗にしている 「ごべんなべい! あやばりばずがらゆるじでぐださい!」 「もうへとへとなんだぜええええ! おねがいだからゆっくりさせてほしいのぜええええ!」 「むきゅ・・・エレエレエレ。 もっど・・ゆっぐじ・・・」 「わぎゃらないよおおおおおお! ぱちゅりーしっかりしてねええええええ?!」 ぱちゅりーが中身のクリームを吐きだして、心配そうに駆け寄る一同 れいむはそんなゆっくり達に満面の笑みを浮かべて言い放った 「ぱちゅりーはきょうのごはんさんだよ! れいむがむーしゃむしゃするからね!」 「「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」 驚愕するゆっくり達を放っておいて、れいむはぱちゅりー近寄ってほっぺをガブリと食いちぎる 「むーしゃむーしゃ・・・・しあわせええええええええええええええ!」 ぱちゅりーを食べたれいむはとてもゆっくりした表情を浮かべた 他のゆっくりは寄り添ってがたがたと震え、恐ろしーしーを漏らす 「なにしてるの!? さっさとかべさんをぺーろぺろしてね! きょうののるまさんをたっせい!するまですーやすやもきんしだからね!」 れいむは咥えた釘を振りかざし、生き残ったゆっくりを仕事へと駆り立てた あれからお兄さんは野良を拾って来て、その野良に何か不都合なことがあるとお庭に放り出した 外に出されたゆっくり達は庭に住んでいるれいむに番や姉妹を食われ、以後奴隷としてれいむの課題を手伝わされている 「よぉ、れいむ。 今日も精が出るな」 「ゆゆ? おにいさん? あたりまえだよ! れいむはがんばってるんだよ!」 「そーかそーか。 で、結局怒られた理由は分かったのか?」 「ゆぅ? りゆうさん? なにそれおいしいの?」 「ふっ・・・そんなもんか。 まあいい、今日でお前のことをゆるしてやるよ」 「ゆーん!? ほんとうなの!? れいむ、もうがんばらなくてもいいの!?」 「ああ、もう頑張らなくていいんだぞ そうなるとそいつらはもういらないよな。 全部食って処分しとけよ」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「「「どぼじでぞうなるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」 涙を流して嘆く野良達はれいむがにじり寄ると直ぐに身構え戦闘態勢に入った 沢山の野良を食らい体調良好なれいむ 僅かな食事しか与えられず貧弱な身体を酷使してきた野良 結果は比を見るより明らかだ 「いぢゃいいいいいいいい! までぃざにひど『ぶすり』ゆぎゃあああああああああああ!」 両目を刺された後まむまむに釘を突っ込まれたまりさ 「わぎゃらないよおおおお! どぼじでごんな『むしゃり』・・・!」 顔面を容赦なく噛みちぎられて断末魔も上げられず絶命するちぇん 「のろってやるううううう! ごのいながぼの『へしゃり』ごべええええええええええええ!」 身体を抑えつけられて不自然な方向へと無理やりへし折られたありす 「れいむのすーぱーむーしゃむしゃたいむはっじまっるよー☆」 物言わぬ饅頭になった四体の野良に、れいむはドヤ顔で言った 苦労の末に獲得したしあわせーな食事 れいむは夢中でむしゃぶりつき、作業着の人間さんがお兄さんのお家を尋ねてきたことに気づかない 「あ、どーもー! お待たせして申し訳ありませ~ん」 「別にいいんですよ。 あれを引き取ってもらえればいいだけなんで」 「はぁーい。 ではさっそく・・・ うわ!これはひどい・・・」 「もう手がつけられなくてどうしようもないんですよ・・・」 明るい声で挨拶をした作業着の人間さんは、れいむを見て絶句した おいしそうに同族を食べるれいむ 口の周りは餡子やカスタードでべたべた ゆっくりが饅頭とは言え見ていてあまり気持ちの良い物ではない 「ええっと・・・ じゃあ、連れて行きますね・・・」 「はい、助かります。 支払いはクレジットでも大丈夫ですか」 「あっ・・・ はい、大丈夫ですよ。 ちょっと待っててください」 「ゆーん! がんばったれいむへのごほうびさんだよ! むーしゃむーしゃ!」 「おい、れいむ!」 作業着のお兄さんが支払い用の端末を取りに行くとお兄さんはれいむを呼んだ れいむは食事を中断され不機嫌そうに膨れるが、お兄さんに呼ばれたので直ぐに笑顔になってすり寄っていく 「おにいさん! れいむがんばったよ!」 「ああ、頑張ったなれいむ。 そんなことより、れいむ。 今日でお前とはお別れだ」 「ゆーん! おうちにいれ・・・ゆぅ? おわ・・・かれ・・・?」 れいむはお兄さんの言っていることが理解できない お別れという言葉に思考がフリーズする 「そうだ、お前は加工所に連れて行って処分してもらう」 「しょ・・・ぶん・・・?」 「永遠にゆっくりさせるってことだ」 「ゆううううううううううううううう?! なんでえええええええええ!?」 「さあ、なんでだろうな。 そんなことよりれいむ、怒られた理由は分かったか?」 「ゆぅ!? ぞんなのわがらないよ!? でもでいぶがんばっだんだよ!? ぜいいざんをみぜでばんぜいじだんだよ!?」 「だろうな、お前は怒られた理由も分からないで俺に謝罪して反省したわけだ」 「ぞうでず!!! でいぶはおごられだりゆうばわがりばぜん! でぼいっじょうげんべいばんぜいじばじだ! あやばりばじだ! だがらでいぶを『・・・だよ』・・・ゆ?」 「もともと理由なんてなかったんだよ。 お前は俺のと言った通りずっといい子にしてた 勝手にむーしゃむしゃすることも、野良っとすっきりして子供を作ることもしなかった お前はゆっくりにしては聞き分けのいいやつだったよ」 「・・・じゃあ、どぼじで?」 「だから理由なんてないっていっただろ。 まぁ、早い話飽きたんだわ」 「・・・あきたさん?」 「そうだ、だからお前を家の中から閉め出した だけどお前は自分が何か悪いことをして追い出されたと勘違いした。 ただそれだけなんだわ」 「どぼじで・・・? どぼじでなのおおおおおおおおおおお!? でいぶがいいごにじでだらあんばにぼめでぐべばぼびいいいいいいいいいいい!!!」 「この数日間、理由も解らないで必死に反省してるお前を見てて十分楽しめたよ まぁ、お前の言葉を借りて言うならゆっくりできたってとこだな」 「じゃあ! じゃあ!!! でいぶをもういじどがっで『それはできない』どぼじでえええええ?!」 「言ったろ、飽きたって。 もうお前がどうなろうが知ったこっちゃない」 「ゆうううううううううううううううううううううう!!!! なまいぎなぐじをぎいでごべんばばい! ばんぜいじでばぶごべんばばい!!!」 「必死だな、おぃ」 泣いて額を地べたにこすりつけるれいむをニヤニヤと見下ろすお兄さん 「おまたせしました~」 作業着の人間さんが戻ってくるとお兄さんはニヤついた顔をキリっと引き締めた 支払いが済むと作業着の人間さんは透明な箱にれいむを入れた 加工所特性のゆっくり専用防音ケースである 「お゛に゛い゛ざあああああああああああああ『パタン』・・・・」 「じゃあ、お願いしますね」 「はい、でも本当にいいんですか? 銀バッチでとっても懐いてるみたいですけど」 「昔はいい子だったんですよ、でも今は・・・」 そう言って庭に目をやるお兄さん 庭にはれいむが食い散らかした野良の死体が散乱している 「・・・確かにこうなったら手放したくなるのも無理はないですよね」 「すみません、情が湧くといけないので・・・」 「あ、はい。 では、またご利用になる時はよろしくお願いします」 「はい。 ありがとうございました」 「いえいえ。 こちらこそ・・・では」 挨拶を終え、乗って来た軽トラックの荷台にれいむを放り込んで出発する作業着の人間さん お兄さんは無言でそれを見送った 「ばんぜいじでばずごべんばばい! でいぶばわるいごでじば! げずばゆっぐぢでじだ! あやばりばずがらゆるじでぐばばい!! おべがいじばず! だのみばず! ごでがらばごごぼをいべがべでいいごにじばず! だがらッ! だがらああああああ!!!!」 れいむは透明な箱の中で、誰に聞かれることもない謝罪を繰り返していた 終 あとがき 前回『anko2410さくのなかとそと』を投稿させていただいた者です どうやら沢山の方に読んでいただけたようで、大変ありがたいことです にとりあきさんには素敵な挿絵を書いていただき、本当にありがとうございます 皆さまにこの場を借りてお礼を申し上げさせていただきます 今回の作品はいかがでしたでしょうか 感想がございましたら感想板に書き込んでいただけると大変助かります 次回の作品の参考にさせていただきたいと考えているので 遠慮なく思ったことを書いて頂ければ幸いです では
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/153.html
夏ゆさいのフルコース 23KB 制裁 自業自得 調理 駆除 野良ゆ 赤ゆ 独自設定 うんしー 18作目です。夏野菜はゆっくりできるね! 庭の畑に野菜の苗を植えた。 野菜作りは今回が初めてなので要領がよく分からなかったが、 それでも出来る限りの世話を毎日してやった。 しばらくすると、畑には綺麗な花が咲き、小さな野菜の実ができた。 日に日に大きくなる野菜を眺めながら農作業をしていると、 野菜の葉っぱをかじる小さな虫を発見した。 「これは俺が大事に育てた野菜なんだ、勝手に食べないでくれよ。えいっ。」 スコップを軽く振りかざすと、虫は何の抵抗もなく潰れた。 野菜に寄ってきた悪い虫を取り除く作業も、野菜作りには欠かせない。 最初は虫を殺すことに抵抗を感じていたが、 野菜を作るためだから仕方ない、と考えるようになってから徐々に慣れていった。 畑にはトマト、スイカ、きゅうり、ジャガイモを植えたのだが、どれも順調に大きくなっている。 来週あたりには収穫できそうだ。 一週間後、畑の野菜を収穫することにした。 朝の涼しいうちに農作業の格好をして庭に出る。 農作業は力仕事で疲れると思うが、今はとてもうきうきしている。 今晩は収穫した野菜づくしだな。 フライドポテト、コロッケ、芋の煮付け、きゅうりとトマトのサラダ、デザートはスイカ。 手作りの野菜を使った手作りの料理、 手間はかかるがこれに勝るものは無い。 わくわくしながら外に出たのだが、庭を見て唖然とした。 畑の野菜が荒らされていたのだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 野菜泥棒の犯人はゆっくり。 畑には30匹近くのゆっくりが湧いていた。 そのうちの6匹が成体ゆっくりで、 きゅうりやトマトの茎を口でくわえて揺すったり、ジャガイモを掘ったりしている。 20匹以上は育ちざかりの子ゆっくりで、野菜をいっぱい食べたのだろう、体がパンパンに膨らんでいる。 満腹になって気持ち良くなったのか、その場で眠る子ゆっくりもいる。 肝心の野菜を見てみると、高い場所にできたトマトやきゅうりは何とか食べられずに残っていたが、 低い場所に実っていたものは、見事に全部食べられている。 硬いジャガイモはゆっくりたちにとって食べにくいのか、少しかじられてそのまま放置されている。 何匹かの子ゆっくりの頬がジャガイモの形に出っ張っている。 その子ゆっくりが動くたびに、体内のジャガイモがゴロゴロと動いている。 小さなジャガイモを噛み切れず、そのまま丸飲みしたのだろう、 まるで鳥の卵を丸呑みにした蛇のようだ。 1個だけ実っていたスイカは、成体ゆっくりに何度も体当たりされ、地面を行ったり来たりしている。 子ゆっくりたちはそれをまねて、丸いジャガイモに体当たりして遊んでいる。 よし、名前を決めた。こいつらは、夏野菜を目当てに集まってくる「夏ゆさい」だ。 夏ゆさいどもは腹いっぱいであるにも関わらず、夏野菜を際限なく食べているようだ。 どんだけ食べれば気が済むんだ。 「む~しゃむ~しゃ、しあわせぇえええ!!!」 「「「む~ちゃむ~ちゃしゅるよ!!!!」」」 「おやさいしゃんはころころしてたのちいよ!!!」 「おなきゃがいっぱいだからす~やす~やしゅるよ!!!」 さすがに傍観するのは限界だ 「おいてめぇら、俺が育てた野菜を勝手に食べやがって、ただで済むと思うなよ。」 「ゆ!?おやさいさんはかってにはえてくるんだよ!!!にんげんさんはそんなこともしらないの?」 「んなわけないだろ。野菜は植えるから生えてくるんだ。」 「ぷぷっ、れいむはにんげんさんよりもゆっくりとしたゆっくりだから おやさいさんがかってにはえてくることをしってるんだよ!!! むーしゃむーしゃ、しあわしぇ~~~!!!ゆゆ?どうしたの???にんげんさんもおやさいさんをたべたいの?」 「・・・・・・・」 「あげないんだよ!!にんげんさんはいままでおやさいさんをどくせんしてきたから れいむたちにおやさいさんをわけてくれないとだめなんだよ!!!」 「「「ゆっくちわけちぇにぇ!!!」」」 体の底からゴウゴウと怒りがわいてきた。 すぐさま、丸々太った子れいむをつまみ上げ、親指と人差し指で胴体に圧力をかけていく。 「ゆぎゃぁああああああああああ!!!」 「やめてねおちびちゃんがいたがってるよ!!!にんげんさんははやくおちびちゃんをはなしてね!!!」 「さて、今日は夏ゆさいのフルコースだな。」 「いちゃいよぉおおおお!!!たすけちぇぇええええええええ!!!ぐぎゃっ」 手の中の子れいむは腹から真っ二つにちぎれた。 子れいむの両目は圧力で飛び出し、そのまま地面にボトリと落ちた。 子れいむは歪んだ表情をしたままピクリとも動かない。 裂けた断面からは餡子と野菜の汁がポタポタと滴り落ちている。 「せっかくの野菜をこんな汁に変えやがって・・・」 手についた餡子を振り払い、子れいむの残骸を地面に叩きつける。 びちゃっと音がして、叩きつけた上半分は完全につぶれた。 地面に落ちている下半分を靴でグリグリと踏み、原型を残さないようにしてやった。 「まりちゃのいもうとがぁああああああ!!!」 「おちびちゃんになんてことするの!!!れいむはもうかんかんだよ!!!!」 夏ゆさいどもは俺に対して威嚇を始める。 一方でちゃっかりした子ゆっくりたちは、命の危険を感じて逃げ出そうとしている。 必死にもぞもぞと動く子ゆっくりたち。 だが腹にはいっぱい野菜が詰まっているようで、 その動きは非常に鈍く、カタツムリの移動する速度よりも遅い。 腹いっぱい食べてしまったら、いざというときに逃げられなくなる、ということに気がつかなかったのだろうか? まぁ、こちらとしては追いかける手間が省けるので非常に楽だ。 近くにいた足の遅い子まりさを捕まえて持ち上げる。 「ゆうう!!!ゆっくちできにゃいにんげんしゃんはせいっしゃいしゅるんだじぇ!!!」 子まりさは俺の手の上でプクーっと頬を膨らませ始めた。 徐々に子まりさの顔は赤くなっていく。 それはまるで、今日収穫する予定だったトマトの色だ。 「制裁してみろよ。」 「ゆ!まりしゃはおこったんだじぇ!!!」 子まりさはさらにプクーっと膨らんでいく。 顔はますます赤くなっていく。 限界まで膨らんだ子まりさは、とても苦しそうな表情をしている。 よしよし、いい感じだ。 子まりさを右手に持ち、そのまま両手をスッと横に開く。 「『ビストロ・ド・ゆっくり』へようこそ。一品目は、プチまりさの餡かけサラダだ。」 そのまま勢い良く手を叩く。 パーーーーーーン とても大きな音がして、手の中の子まりさは勢い良く破裂した。 飛び散った子まりさの餡子が、近くにあった芋のツルに付着した。 手には子まりさの帽子とつぶれた皮が残った。 それを、餡子の付着した芋のツルとミックスし、 逃げ惑う子れいむの口へ突っ込んでやる。 「さぁ試食タイムだ。感想を聞かせてもらおう。」 「ゆげええまじゅいよぉおおおお!!まりしゃのおぼうちはくしゃいよぉおおおおお!!!」 かまわず、小さな子れいむの体を指で上下にプニプニとさせ、咀嚼の手伝いをしてやる。 子まりさの味を堪能した子れいむは、口の隙間から餡子を漏らし始め、目を白目にしてガクガクと震えだした。 「ゆべええええええ・・・・」 子れいむの顔が真っ青になる。 子れいむの皮の表面には、何かブツブツと発疹ができ始めている。 同属を食べたことによる拒絶反応なのか?その原理や理由はいまいち分からない。 おっ、だけどこいつ、まるできゅうりのようだ。ちょうどいい。 白目になった子れいむを縦に引き伸ばし、一匹の成体ゆっくりの口に押し込んでやる。 「二品目は新鮮子れいむの丸かじりだ。しっかり味わってくれ。」 「ゆえっ、ええええ、ええええ」 ゆっくりの頭にゲンコツをかまし、子れいむをしっかりと食べさせてやる。 「ゆげぇえええええ~~ゆげぇええええ~~~れいむのおちびちゃんがおくちのなかにぃいいいい!!!」 「どうだ、夏ゆさいはゆっくりできるだろ?」 「くさいよぉおおお!!!」 なるほど、死臭のするお飾りがあるとゆっくりできないのか。 次は下ごしらえをちゃんとしないとダメだな。 今度は子ゆっくり全員を捕まえ、お飾りをはずしてからダンボールの中に放り込む。 ついでに、硬い石ころを十個ほどダンボールの中に放り込んでおく。 「ゆゆ!たきゃいたきゃーい!!!」 「きょきょはとてもゆっくちできるよ!!!」 命の危険を忘れ、子ゆっくりたちはダンボールの中でゆっくりしはじめる。 ダンボールの中にいる子ゆっくりたちの顔は、土まみれになっていてジャガイモのように見える。 ジャガイモと明らかに違うのは、自発的に動くという点だ。 「れいむのおちびちゃんをかえしてね!!おちびちゃんをゆっくりさせてあげてね!!!」 「何言ってるんだ?ゆっくりは勝手にたくさん生えてきて困るから、わざわざ殺してあげるんだよ。」 「ちがうよぉおおおお!!おちびちゃんはれいむがいっしょうけんめいそだてたんだよ!!!」 「そんなわけないよ。れいむは子ゆっくりを独占してるから、少し俺に分けてくれないとダメなんだよ。」 「おちびちゃんはれいむのものなの!!!にんげんさんはおちびちゃんをつれていっちゃだめなんだよ!!!」 「子ゆっくりを独占したいからって嘘つくなよ。嘘をつくゆっくりの子供は全部没収だ。」 子ゆっくりの入ったダンボールを閉め、ガムテープで固定する。 きゃぴきゃぴと聞こえていた子ゆっくりたちの声が、フタをすることで全く聞こえなくなった。 「ゆ!おちびちゃんはまりさたちがたすけてあげるんだぜ!!!」 残った6匹の成体ゆっくりがダンボールに近づき、体当たりを始める。 それからゆっくりたちは、何度も何度もダンボールに体当たりを繰り返す。 10分ほど放っておいたが、子ゆっくりを入れたダンボールはとても頑丈で、 いくらゆっくりたちが体当たりしてもフタは開かない。 一向に状況が変わらないので、仕方なくガムテープをはずし、ダンボールのフタを開けてやる。 「ゆ!!!おちびちゃんをはやくだしてあげてね!!!」 ダンボールを逆さにして中身を全部出す。 ダンボールの中から出てきたのは石ころ、小さなジャガイモ、野菜の汁、 そして、ぐちゃぐちゃにつぶれた子ゆっくりの塊だった。 親ゆっくりたちの体当たりによって、同梱された石ころが跳ね、 跳ねた石ころが子ゆっくりたちを潰したようだ。 「三品目は子ゆっくりのポテトサラダだ。おいしそうに混ざっているね。」 「おちびちゃんがしんでる!?どぼぢでえええええ!!!」 「おちびちゃんをころしたにんげんさんはゆるさないんだぜ!!まりさがせいっさいしてやるんだぜ!!!」 「せっかくのサラダだ。残さず食べろよ。」 れいむの口に子ゆっくりの餡子を押し込んでやる。 「ゆっ、ゆげぇえええ・・・ゆ、ゆゆっ??とってもあまあまだよ!!!」 「ゆ!まりさもあまあまさんたべたいんだぜ!!!」 「にんげんさんはれいむたちにもっとあまあまをよこしてね!!!」 ドゴッ くれくれうるさかったので、れいむの左顔面に蹴りをかましてやった。 足を引き抜くと、れいむの顔左半分に空洞ができた。 「ゆあ・・・ああああ・・れひうのおはおは・・・・」 残った2匹のれいむと3匹のまりさが、れいむの周りを取り囲む。 「どうちてこんなことするのぉおおおお!!!れいむはいたがってるよぉおおおお!!!!」 「にんげんさんはれいむのおかおをはやくもとにもどすんだぜ!!」 「れいむはゆっくりしてね!!れいむがゆっくりできるおうたをうたってあげるよ!!! 「ぺーろぺーろするんだぜ!!!いたいいたいははやくなくなるんだぜ!!」 ゆっくりたちの中心にいるれいむは、ゾンビのような顔をしている。 右目は焦点が合わずにキョロキョロし、後頭部までめり込んだ左目は潰れて中身の餡子と一体化している。 口からは餡子の混じったよだれが垂れている。 左側の奥歯はすべて後頭部へ押し込まれ、残った歯がむき出しになっている。 「れひうおおはおはああああああああ」 れいむのお顔が、と言いたいらしい。 ほかにも何か言ってるがよく分からない。 「れいむがいたがってるんだぜ!!にんげんさんはれいむをたすけるんだぜ!!!」 「泥棒を優遇する被害者なんてそうそう聞かないねえ。」 れいむの前に立ちはだかるナマイキなまりさを蹴り飛ばす。 「ゆげっ、ゆ!!おそらを・・・ぶぎゃっ!!!!」 まりさは5mほど先の地面に墜落してゴロゴロと転がった後、大量の餡子を口から吐いて動かなくなった。 さて、うるさいやつもいなくなったことだし調理の続きだ。 硬い木の枝をれいむの右目に刺してやる。 「ゆあああああああ!!!!いはいおおおおおお!!!!」 「やめてね!!!れいむはいたがってるんだよ!!!」 かまわず木の枝を目の奥にぐりぐりと押し込んでいく。 奥の方まで枝が到達すると、れいむの後頭部に穴が開き、突き刺した右目が枝といっしょに出てきた。 出てきた右目をつかみ、だらしなく開いたれいむの口へ放り込んでやる。 両目を失ったれいむは目が見えないようだが、 口の中に入ってきたものに対して違和感を感じたのだろう、思わず目玉を吐き出そうとする。 「番外料理、ゆっくりの目玉でございます。お口に合いますかな?」 「ゆぇえええええええええええ」 吐こうとするれいむを押さえ、髪とお飾りを掴んで皮ごと髪を剥ぎ取る。 「むううううううううう!!!!」 「下ごしらえは肝心ですからね。手をかけるのがおいしさのコツです。」 それかられいむの全身にスコップを刺し、表面の皮をすべてめくりとっていく。 「いはいいいいいいいいいいいいい!!!!!」 皮をすべて剥いだことで、ゆっくりれいむは餡子の塊となった。 そこから中枢餡だけを取り出し、一口サイズに切り取る。 「四品目のデザートはれいむの中枢餡でございます。」 先ほどあまあまを食べたいと言っていたまりさに、れいむの中枢餡を食べさせてやる。 「ゆぇええ・・・・ゆゆ??とってもあまあまだぜ!!!」 「そうだろそうだろ。」 「なにいってるの!!まりさはれいむをたべちゃったんだよ!!!」 「ゆっ、でもとってもあまあまだったんだぜ!!まりさはもっとたべたいんだぜ!!!」 「おお、悪い悪い。そういえばスイカには種があったな。今回のテーマは夏ゆさいだから、そこも再現してやらんとな。」 まりさをつかみ上げ、あにゃる付近をギュッと絞ってやる。 少し苦しそうな表情を見せた後、まりさのあにゃるから黒いうんうんがコロコロと出てきた。 「まりさ・・・」 「ゆうううはずかしいんだぜ!れいむはまりさのうんうんするところをみないでほしいんだぜ!!!」 「じゃあ、食べるのはいいんだな。」 まりさのあにゃるから出てきたうんうんを、れいむの口に入れてやる。 「ゆぇえええええ!!くちゃいよぉおおおお!!!!!」 「ゆぁああああ!まりさのうんうんをたべちゃだめなんだぜ!!!」 「なるほど、まりさが代わりに食べるのか。」 「ゆ!!ちがうんだぜ・・・ゆ、ゆげぇええええくちゃいいいいい!!!!」 「まだあるからどんどん食べてくれよ。」 「やめちぇえええええええ!!!」 まりさのうんうんを全員に食べさせてやると、 うんうんを食べた全員がオエ、オエ、と口から餡子を吐きだした。 さて宴もたけなわだが、楽しんでもらったところで一次会は終わりだ。 そろそろ会計をしてもらおう。 「夏ゆさいのフルコース、しめて3000円になります。」 「ゆ?」 「3000円です。」 「ゆ??」 「ゆ?じゃないよ。3000円だって言ってるだろ。」 「ゆ?なにそれ???」 「なにって、食事の代価を払えって言ってるんだ。現金がダメなら、何か価値のある物を俺によこせ。」 「ゆ!!どうしてれいむがにんげんさんになにかあげないといけないの???」 「だから最初に『ただで済むと思うな』って言ったろ。ここで食事するのは有料だ。 つまり、畑の野菜を勝手に食べた分、俺に何かよこせってことだ。 こっちが楽しませてもらった分は代金を差し引いたが、それでも3000円分の報酬が足りない。 払えないならお前ら全員を加工所に送るが、それでもいいか?」 「かこうじょはだめだよ!!れいむはさんぜんえんぶんはらうよ!!!」 「そうか。その3000円分は何で払ってくれる?」 「れいむのゆっくりできるおうただよ!!!ゆっくりきいていってね!!!」 ゴスッ 「ぐぎゃあああああああ!!!!!」 「高けえよ、ライブ並みの料金じゃないか。そこのまりさは何で払ってくれる?」 「ゆ!まりさはぺ~ろぺ~ろがとくいだよ!!」 ベキッ 「ゆぎゃあああああああ!!!」 「得意なことを聞いてるんじゃないんだ。おまえはどうだ?」 「ゆ・・・・・・・」 バチン 「いちゃいいいいい!!」 「何か言えよ。次、お前は?」 「ゆゆ、にんげんさんはれいむたちをかってゆっくりさせてね!!!」 「この土壇場でなんてこと言いやがる。でも、その度胸に免じてお前ら3匹を3000円で買ってやる。」 「ゆゆ!れいむはかいゆっくりになれるよ!!!どれいはあまあまをさっさともってきてね!!!」 「何言ってるんだ?お前らは今、全部で4匹残っている。俺が買うのは3匹だといっている。つまりどういうことか分かるか?」 「ゆ?どういうことなの??」 「1匹は買わない。つまり、お前はここでおさらばだ。」 「どうじでぇええええ!!!!」 持っていたクワをれいむに振り下ろす。 クワが皮と餡子を貫通し、地面の土に突き刺さる。 「ぐぎゃあああああああああああああ」 貫通したクワは中枢餡を逸れたようで、れいむはまだ動いている。 だが、体にクワが貫通しているので、どんなに体を揺すってもクワは抜けない。 「もういやだああああ!!!おうちかえるうううううう!!!」 「安心しろ、この畑がお前のおうちになる。」 「ちがうよぉおお!!!れいむにはべつのおうちがあるんだよぉおおおおお!!!」 「まあそう言わず、ここでゆっくりしていけ。」 「ゆぐ、もっどゆっぐりじだがっだよ・・・・・」 れいむははそのままどす黒くなり、二度と動かなくなった。 クワを抜き、動かなくなったれいむをスコップでぐちゃぐちゃにする。 れいむの残骸は土と混ざり、完全に畑の土となった。 その様子を見ていたほかのゆっくりは体をビクビクとさせ、その場で震えている。 「大丈夫。お前らは俺が買ったんだから、家の中へ連れてってやるよ。」 「ゆ!ゆっくりしていってね!!!」 こわばっていた夏ゆさいどもの顔色が急に緩む。 その顔は今やニヘラニヘラとしている。 残った1匹のれいむと2匹のまりさを家の中に入れてやる。 さて、次は家の中で2次会だ。 今度は俺が夏ゆさいを堪能させてもらう。 「ゆ!!ここはゆっくりできるおうちだよ!!!」 「どれいはあまあまさんをとっとともってくるんだぜ!!!」 「それからゆっくりできるおやさいさんをもってくるんだぜ!!!」 こいつらは飼いゆっくりではなく、買いゆっくりなのだが、 どうやら自分の立場をわきまえていないらしい。 まあ、ゆっくりできるのは今のうちだ。 せいぜいゆっくりするがいい。 ゆっくりたちを風呂場へ連れて行き、浴槽に放り込む。 そして、すぐに使うれいむだけを浴槽の外で洗ってやる。 「ゆ!れいむはきれいきれいさんになるよ!!!」 「ここはせまいんだぜ!!!」 「はやくだすんだぜ!!!」 「お前らは後だ。しばらくそこで待ってろ。」 「ゆ!!!まりさをはやくきれいきれいにするんだぜ!!!」 風呂場から出て、れいむをリビングに連れて行く。 「ゆ!ここはとってもひろいよ!!!ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!!!」 それから、台所にある包丁とまな板を取ってくる。 リビングに戻り、嬉しそうな顔をしたれいむを掴みあげ、まな板の上に乗せる。 「ゆ?これからなにが始まるの??」 ゆっくりの調理が始まる。 まず、れいむの背を2箇所、横に切る。 「いちゃい!ゆっ、いちゃい!!!ゆっくりできないよぉおおお!!!」 次に包丁を縦に入れ、皮を観音開きにする。 「ゆぎゃああああああああ!!!」 開いた背側から手を入れて、中身をグニグニと探っていく。 「ぐぎゃあああああああああああああああああ」 手に何かが触れたので、それをゆっくりと取り出す。 「ゆがあああ・・・・・」 いろいろな反応を見せてくれるので、ゆっくりは調理してておもしろい。 ちなみに体内から中枢餡を取り出したので、れいむはそれっきり動かなくなった。 取り出した中枢餡をフライパンで軽く焼き、口にそっと含む。 「うぉ、これは美味い。」 おいしい所だけを食べて、後の残った部分は捨てるというのが贅沢な食べ方らしい。 何かのグルメ漫画でそんな話があったな。 それに見習い、中枢餡以外の部分は捨てるとしよう。 さて、次はまりさの番だ。 れいむと同じように体を洗って、まな板の上にセットする。 「ゆ?なにがおこるんだぜ??」 ポッコリ膨らんだまりさの腹を包丁で切り開いていく。 「いぎゃあああああああああああ!!!!」 おや、こいつは胎生にんしんをしているらしい。 「ゆ~zzz、ゆ~zzz、ゆっ・・ゆゆ!ゆっくちしていっちぇにぇ!!!」 まりさの体内にいる赤ゆっくりが目を覚ましたようだ。 「おきゃーしゃんはどきょ??ゆっくちさせてよぉおおお!!!」 「ゆ、ここだよおちびちゃん!!!」 「ゆゆ!おきゃーしゃんのおこえがしゅるよ!!!ゆ?おしょらを・・・・」 赤ゆを持ち上げ、台所に持っていく。 「ゆゆ?おきゃーしゃんはどこ??おにゃかしゅいたよぉおおお!!!ゆっくちしたいよぉおおお!!!」 ぐずる赤ゆを、あつあつのフライパンに乗せてやる。 「ゆ!?ゆがあああああああ!!!ゆっくちできにゃいよぉおおおおお!!!!」 フライパンの上で赤ゆが踊る。その踊りを『赤ゆ音頭』と名づけてみた。 「あんよがあちゅいよおおおおおおお!!!!」 たまらずピョンピョン跳ねる赤ゆ。 赤ゆの底面は茶色に変色し始めている。 おさげをピコピコ、体はプルプル、あんよはピョンピョン、おめめはウルウル。 赤ゆの踊りはますます激しくなっていく。 「さて、ここからが腕の見せ所だ。」 換気扇を回し、バケツには水を汲んでいる。 準備は万端だ。 チョロチョロ 「ゆ!ちゅめたくてきもちいい~~~!!!ゆっ」 一瞬で赤ゆの体が炎に包まれる。 火の玉のように燃え盛る赤ゆが、テンポアップした赤ゆ音頭をフライパンの上で踊り始める。 赤ゆのフランベだ、よよいのよい。 「ゆぎゃああああじゅいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」 アルコールと皮の焦げる香ばしい匂いが漂ってきた。 赤ゆを包んでいた火が消えると、赤ゆの皮は茶色に変色していた。 「いちゃい・・・・・・」 赤ゆのおさげやお飾りはチリチリに焦げ、跡形もなくなっている。 赤ゆは火傷の痛みから「ゆうゆう」言っているが、その声はよわよわしい。 フライパンを持って親まりさのいる部屋に戻り、 親まりさの目の前で、半焼きにした赤ゆを口に運ぶ。 「おちびちゃあああああんん!!!!!」 口の中に入れた赤ゆは舌の上でもぞもぞと動く。 口の中でも赤ゆ音頭を踊っているらしい。 一度やってみたかったんだよなぁ、赤ゆの踊り食い。 口を軽く開けると、中から赤ゆの叫び声が聞こえてきた。 「おきゃーしゃああああんん!!!!」 「ゆ゛!!おちびちゃん!!!!」 もちもち 「美味い。濃厚な餡子ときめ細かい皮の口当たり、赤ゆは言うまでもなく絶品だ。」 「まりさのおちびちゃんがぁあああああ!!!!」 親まりさはもういらない。 手元にある包丁を脳天から突き刺してやる。 「ゆぎょ・・・・」 中枢餡を貫くとまりさは動かなくなった。 こいつも畑の土にしてやろう。 あと一匹、まりさが残っている。 「ゆゆ!!まりさはきれいきれいさんになるんだぜ!!」 よく洗ったまりさをリビングのテーブル上に乗せてやる。 さあ、準備は整った。 椅子の上に正座し、合掌する。 「ゆゆ?なにしてるんだぜ??そんなことするひまがあったらまりさにあまあまさんをもってくるんだぜ!!」 「いただきます。」 ガブっ 「いちゃあああああ!!!」 まりさの頬にそのままかぶりつく。 中枢餡や赤ゆっくりほどではないが、甘い饅頭の味がした。 素材を生でそのまま食べるのも贅沢な食べ方らしい。 「やめてよ!!!!いたいよぉおお!!!!」 まりさの後頭部をむしゃむしゃと平らげていく。 「それなりの味だな。」 「まりさをたべないでよぉおお!!まりさはかいゆっくりなんだよ!!!」 「かいゆっくりなら、かいぬしをゆっくりさせるのが役目だろ?なら俺をゆっくりさせてくれよ。」 「どれいはゆっくりしなくていいんだぜ!!まりさがゆっくりしたいんだぜ!!!ゆぎっ、いちゃいいいいい!!!!」 まりさは尋常じゃない動きで暴れだす。 それでも人間の腕力には遠く及ばない。 そしてまりさの体を押さえつけたまま、眼球や歯をえぐりとっていく。 「いぎゃあああああああああああ!!!」 歯を1本もぐごとに、まりさの暴れる動きは強くなる。 ゆっくりの歯は、トウモロコシの粒を一つ一つもぎ取るように簡単に取れていく。 まりさを十分に苦しめた上で、再び頬にかぶりつく。 「ゆふぁああああああああ!!!」 「おや、さっきより少し甘いな。」 苦痛を感じたゆっくりの餡子は甘くなると言われているが、 まさかこんなに早く変化が出るとは。 だが調子に乗って全部食べると腹いっぱいになってしまう。 美味しいところだけを食べるとしよう。 ゆっくりまりさの口を両手で掴み、縦に開いていく。 「ゆああああああああああああああ」 えいっと力を入れると、口から全身がガバっと裂け、中の餡子が丸見えになった。 中身の餡子がまだ少しぷるぷると振動しているが、ゆっくりの原型は留めていない。 ただ、振動する餡子の塊がそこにあるだけだ。 その塊に手を突っ込んで中枢餡だけを取り出し、生でそのまま食べる。 「うん、生の中枢餡も美味い。だがここまで甘いものづくしだとさすがに飽きるな。」 まりさの中枢餡を食べ終え、残りの餡子は全て破棄することにした。 夏ゆさいを堪能し終えたところで、改めて畑に残った夏野菜を収穫する。 量は減ったものの、何とかその晩、夏野菜のフルコースを食べることができた。 夏野菜は、夏ゆさい以上においしかった。 翌日・・・・・・ 庭の畑に夏ゆさいが再び生えていた。 甘い畑の土や余った野菜の葉っぱにつられて 20匹ほどの夏ゆさいが庭の畑に集まっている。 夏ゆさい全員が野菜の葉っぱを食べ、 口々にしあわせ~~!!と、のたまっている。 はぁ、と一つため息をついた。 野菜は一生懸命育てないと生えてこないが、夏ゆさいは放っておいても勝手に生えてくる。 いわば害虫や雑草のようなものだ。 この日も仕方なく、生えてきた夏ゆさいどもを駆除することにした。 夏ゆさいどもの悲痛な叫び声が聞こえる中、 野菜の葉っぱを食べる、一匹の小さな虫を見つけた。 申し訳なさそうに葉っぱを食べるその小さな虫を、俺は 見逃がしてあげた 鉄籠あき 過去の作品 anko1922 鉄籠 anko1941 野良まりさたちの行く末 anko1951 ゆっくりの住む牧場 anko1968 正義感 anko1973 あんころ草 anko1993 50% anko2013 カウンセリング anko2024 カレーの作り方 anko2047 露店のゆっくり anko2059 ゆっくりおばさんの船旅 anko2085 赤ゆ合戦 anko2107 たこつぼ anko2120 線香台 anko2187 生きる anko2207 野良ゆをゆっくりさせない工夫 anko2235 れいむへの愛情 anko2272 もてないゆっくりの恋