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宗教法人K.T.S.教主3人の頭文字を取り設立された法人団体。 仏教崇拝団体教主:紳裂火織 義妹崇拝団体教主:土御門元春 基督教崇拝団体教主:ステイル=マグヌス
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12月23日午前10時30分、天皇誕生日で祝日にも関わらず上条は制服で高校へと足を運んでいた。 学園都市の学校全てが昨日が終業式で今日から冬休みだというのに上条が登校しているのにはれっきとした理由があった。 「二学期は確かに無断欠席が多かったとはいえ、今日からクリスマスまでの3日間の奉仕活動……不幸だ」 ブリテン・ザ・ハロウィン、第3次世界大戦などで活躍した上条ではあるが小萌がそれを知っているわけが無い。 小萌にとっての事実はその長い期間、無断欠席をしたということでしか無いのだ。 とはいえそれでも3日間の奉仕活動だけで済ませたのは小萌なりの優しさなのだが、 「いくらなんでも厳しすぎだよなぁ……」 悲しいかな上条には全く伝わっていなかった。 美琴に何も言わずに出かけたことを思い出して連絡を取ろうとすると、 「おはよう上条。学校に向かってるみたいだけど何かあったのか?」 「……えっと、井ノ原弟、だよな? 学校と違ってかなり落ち着いてるのは気のせいでせうか?」 「ああ、上条と学校の外で会うのは初めてだから戸惑うのは当然か。今のが素の俺だよ。学校での俺は皆に合わせてただけだから」 学校でクラスの連中とバカ騒ぎに興じている時とはまるで違う、物腰が落ち着いている井ノ原弟こと真夜と出会った上条。 真夜から意外な事実を聞かされて驚いた上条は学校へ向かう理由を真夜に話した。 「ふぅん、長期無断欠席の罰で月詠先生から奉仕活動しろって話か。それは仕方ないけど……もしかして上条、嫌なのか?」 「当たり前だろ! 今日から美琴とイチャイチャしようとしてたのに何が悲しくて奉仕活動しなきゃならんのだ! 美琴が寂しくて泣くのなんて上条さんには」 「じゃあ俺が代わるよ」 「耐えられんから井ノ原弟が代わりにやってくれる……マジですか?」 普段の不幸っぷりから上条は真夜の奉仕活動の肩代わりの申し出を信じられない思いで聞いていたが、真夜の頷きを見て心の底からラッキーを感じていた。 最初は感謝しかしていなかった上条だが真夜の都合は大丈夫なのかと尋ねると、 「ねーちゃんはむくれるかもしれないけど分かってくれると思う。何だかんだでねーちゃん、俺の言うこと聞いてくれるし」 「おーい愚弟ー。腹減ったから肉まん買ってくれよー。言っとくけど3つな、3つ」 「駄目だよねーちゃん、昼ご飯が食べられなくなるから1個だけ」 「ちぇー。まっ、しゃーない。愚弟のメシは俺の大好物だからな♪ ……ん? 上、条……ギャーーーーっ!」 これまた耳を疑う井ノ原姉こと真昼についての評判を聞いた上条の前に、真夜にやけに甘える真昼という目を疑う光景を目の当たりにすることに。 そして上条に気づいた真昼は恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にさせながら上条を情け容赦なく殴りまくった、真夜に冷静に止められるまで。 それから真夜が真昼に事情を説明すると渋々ながら真昼は納得、2人は上条の代わりに自分の高校へと向かうことに。 「月詠先生には俺から言っておくから上条は恋人とのデート、気兼ねなく楽しんでくれよ。それと今度から学校でも素の俺で行くからよろしく」 「俺と愚弟に感謝しろよ上条! いつかこの埋め合わせはしてもらうからな!」 自分の代わりに奉仕活動をしてくれる井ノ原姉弟(正しくは真夜のみ)を見送った上条は真昼に殴られた顔をさすりながら美琴に電話をかけるのだった。 ――――― その頃、土御門の部屋ではパンツ一丁で正座させられている土御門、仁王立ちで二人に吹雪を浴びせ続ける白雪の姿があった。 理由は白雪の後ろに大量に積まれたメイド服、メイドものBD(18禁)、アニメキャラのメイドフィギュアを見れば一目瞭然である。 「―――元春。何か言い残すことはない?」 「ちょっ、ちょっと待つぜよ月夜ぉーー!! これには色々と訳が―――」 「ねえ、氷の剣で叩き切られるのとこのままずーーーと氷漬けにされるの、どっちがいい?」 「その選択肢、死因が変わるだけだにゃー!!」 なんとかして恋人の怒りを収めようとする土御門であるが、ここまでキレた白雪になすすべもなかった。 もはや凍死か惨殺かの二択になったとき、土御門の部屋の扉が開かれた。 「おおー、見事なまでにやられてるなー兄貴」 「まっ、舞夏ぁ!!」 「こんだけ積まれたメイド服を見れば何があったかはわかるんだぞー まあ白雪さんもそんぐらいで許してやってくれー」 「……………まあ、舞夏ちゃんがそう言うなら」 いきなり部屋を訪れた舞夏のおかげでなんとか一命を取り留めた土御門。 しかし、舞夏の次の一言で土御門は絶望に追い込まれた。 「だけどなー、そのメイド系のものは全部捨てちゃっていいからなー。兄貴が許可しなくても私が許可する」 「ん、オッケー」 ―――この日、土御門の部屋からメイド系のものはすべて消えたのは言うまでもない。 ―――――――――― 一方、美琴と黒子はデパートに来ていた。 この時期にここに来る理由は一つ。 美琴は恋人である上条に、黒子は気になる男である青ピにクリスマスプレゼントを買うためである。 「お姉さまは何をプレゼントするんですの?」 「んー、まだ決めてないわね。そう言う黒子は?」 「私もですの。何かいいものはないんでしょうかね。」 「やっぱり定番で手袋とか。マフラーもいいわね。でも、そうすると手作りか・・・」 「それなら毛糸とかそういった物を買ったほうが、いいんじゃないんですの?」 「そうね、なら、そういった物買いに行こっか。」 「そうですわね。小物は4階にあったはずですわよ。」 二人はプレゼントを手作りにすると決め、早速必要なものを買うのだった。 そんな時、美琴の携帯に着信がかかった。 ――――― 「もしもし当麻、どうかした? 今日はずっと罰の奉仕活動するって聞いてたけど」 『ああ、それなんだけどさ』 美琴は上条から奉仕活動を真夜が代わりにしてくれることを聞かされて驚いていた、上条の周りにその手のクラスメートがいたことに対して。 その後、上条から昼食の後でデートに誘われるが黒子と一緒ということとクリスマスプレゼントを作ることを考えて、 「ゴメン! 私も当麻と一緒に居たいんだけどさ、今日はこれから大事な約束があるの。だから……」 魅力的な上条からのお誘いを断ることに。 電話越しからでも上条の落胆を感じ取った美琴はすかさずフォローを入れる。 「あ、あのね当麻。大事な約束というのは黒子と一緒にクリスマスプレゼントを作ることでね、渡すまでナイショにしておきたかったの」 『……ホントでせうか? 上条さんに愛想が尽きたとかそういったことじゃ』 「んなわけないでしょ! アンタに愛想が尽きるとか絶対にありえないわよ! 私だって会いたいの我慢してるんだから今日はお願いだから我慢して!」 『やだっ!!』 子供かアンタは! 美琴は上条をそう一喝した後でクリスマスプレゼントが出来たら連絡することを約束して上条からの電話を切った。 上条のあまりの子供っぷりに呆れると同時にそこもまたカワイイと思える自分のベタ惚れっぷりを重症と感じてた美琴に遠慮がちに黒子から声をかけられる。 「あ、あの~お、お姉さま。よ、よろしかったんですの? わたくしに付き合って下さるのは嬉しいのですが上条さんを差し置いてというのは」 「いいのよたまには。何たってこのプレゼントに黒子、アンタの真っ当な恋の成就がかかってるんだから。付き合ってあげるわよ」 「おっ、お姉さま……黒子は、黒子は……お姉さまの優しさに久しぶりにお姉さまへの欲望を解き放ギャンッ!」 「そうゆうのはいい加減卒業しなさい! ホラ、さっさと材料買ってクリスマスプレゼント作りにかかるわよ」 自分の優しさに感動し、猛然と迫る黒子を雷撃で大人しくさせた美琴はプスプスと音を立てながら気絶している後輩を引きずって4階へと向かうことに。 その際、上条へのお詫びの意味を込めたラブラブメールをちゃっかり送っている美琴だった。 ――――― 美琴から電話を切られた上条、最初は不幸と嘆きはしたものの恋人からのクリスマスプレゼントを楽しみにしただけで立ち直った。 すぐさま幸せを感じていた上条だが美琴からのメールに気付いていないのは間違いなく不幸だろう。 「美琴のクリスマスプレゼントを楽しみにするだけにはいかないからな。よし、俺も何か美琴が喜んでくれそうなクリスマスプレゼントを買うとするか」 美琴へのクリスマスプレゼント買う決意をした上条だが財布を忘れたことに気付き、急いで自分の部屋へと向かった。 かなり速く走ったお陰ですぐに寮の前まで到着した上条の目の前の異常な光景に走るのを止めた。 「な、なあ青ピ……。これってどうゆう状況なんだ?」
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「明日はバレンタインだけど、かみやんはどう過ごすつもりぜよ?」 昼休み、白雪にあーんされながら土御門が聞いてきた。 「いや、美琴からしかチョコもらえないと思うし、普通に美琴とデートするつもりだけど?」 「なん……だと?」 その言葉を聞いた瞬間。土御門、青髪ピアス等などの上条を中学から知ってる人間がゆらりと立ち上がった。 「「「「「「「「「「テメェは何ぬかしてるんだゴルァァァああああああああああああああああああああああ!!」」」」」」」」」」 「うぎゃぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 クラスの半分の男子から殴られた。フルボッコに、そりゃもうボッコボコに。 「痛ぇじゃねぇか馬鹿野郎ども!! 何しやがる!!」 そこは上条と言うべきかすぐに起き上がる。 「かみやんは忘れたんか!?あの悲劇を、あのうらやましいを過ぎて恐ろしい悲劇を!!」 「そうだそうだ!!お前のせいでどれだけの被害を受けてると思ってんだ!!」 「お前が学校中のチョコ全部もらって、精神的にも肉体的にも死ぬところだったんだぞ!!」 「そんな中お前は『また義理チョコか……不幸だ』全部本命だっつーの!!」 「それでお前はバレンタインとホワイトデーは引きこもりになったろうが!!」 「かみやん……お前かわいい彼女がいるからって調子乗りすぎぜよ!!」 俺はどんな中学校生活送ってきたんだよ!! 上条は昔の自分に聞いてみたい。マジでそう思った。 「まっ、俺たちに被害が出なかったら何してもいいんやけど……」 「頼むから見せつけだけはやめてほしいにゃー。出ないと精神的にも肉体的にも死ぬからにゃー……」 そんな事言われても困る上条だったのだった……。 そんな当麻達の耳に入ってきたのはイチャイチャしてるわけではないが、自然にいい雰囲気を作ってる学園都市一の問題カップルである。 「じゃあ真昼さん、赤音さん。夕方までにリクエスト考えといてね」 「任せとけって♪」 「いや、あの、真昼ちゃんに真夜君。バレンタインのチョコを女性が男性にリクエストするってどうなのかな~って思うよ、私」 チョコを作る気満々な真夜、それを楽しみにしてる真昼、そんな二人に疑問を持つ赤音のトライアングルカップルである。 ちなみに赤音は現在、井ノ原家に住んでいるのだがここまで来るのに紆余曲折あったが割愛させてもらう。 上琴よりも問題が早く解決したのは『両親同居』というメリットがあったからだったりする。 「……あのな赤音。真夜の料理の腕はお前もよーく分かってるだろ? 自分の作るチョコとあいつの作るチョコ、どっちが美味いか分かるだろ?」 「確かに……。彼女のより彼氏のが美味しいって軽く凹むよね。……じゃあ仕方ないか♪」 真夜の料理の腕前は実は繚乱家政女学校の生徒レベルだったりするが、本人は全く自覚が無かったりするので、 (別に俺は真昼さんや赤音さんの作るチョコなら何でもいいんだけどなぁ……。でも二人が喜んでくれるなら何でもいっか) こんなことを思ってるのだが、それを口にしたら二人が落ち込むと直感で感じていたので口にしない。 そんな三人の会話を聞いていたクラスメート達は耳を疑い、代表してデルタフォースが真夜に尋ねる。 「な、なぁ井ノ原弟くん。上条さんは気のせいかもしれませんが、あなたがチョコを作るように聞こえましたが?」 「ん? そうだけど? 何かおかしい所でもあったのか?」 「おかしいだろ絶対! 普通バレンタインは女子がキャッキャウフフしながらチョコ作ったり選んだりするイベントぜよ!」 「ああ、まあそう言われればそうだな。でも俺、毎年真昼さんに手作りチョコ食べさせてたからなぁ。それに海外じゃ男子が女子にって珍しくないぞ?」 「せやけど今年は茜川はんがおるやろ! 巨乳の子から手作りチョコ貰うって何と羨ましいことか! 逆に井ノ原姉のようながさつな男っぽい子なんぞにガフッ!」 余計なことを言った青ピは真夜の蹴り(能力未使用状態)を喰らってその場に倒れ込むが、誰も真夜はおろかトライアングルカップルに手を出そうとしない。 伊達にほぼ毎日青ピ率いる『嫉妬ファミリー』を返り討ちにしてるわけではないが、何とか出来る二人がいるが手を出そうとはしなかったりする。 「バカだなァ青髪のやつ。弟の奴は普段は温厚だから余計なことさえ言わなきゃ無害だってのによォ」 「ていうかアクセラ君っていつも彼らのこと、応援してる風だよね? 私は赤音ちゃんが幸せだから口も手も出さないけど」 「苦難の道を歩くカップルだぜ? 応援しねェわけにはいかねェだろうが」 学園都市最強の一方通行は自分と同じ茨の道を歩くカップルとして、実力レベル5の月夜は親友の赤音が幸せそうにしてるので応援していたりする。 そこで何を思ったのか、真夜が当麻、土御門、浜面、一方通行にこんな提案をしてきたのだ(気絶中の青ピは無視)。 「なあ上条に土御門、それに一方通行、浜面。一度くらいは自分達でチョコ作って恋人にプレゼントしたらどうだ?」 「「バカかお前はッッッ!!」」 デルタフォースの土御門と青髪ピアスが力説。 「にゃー!!バレンタインってのはなあ!!女の子が男子に勇気だして、ラヴを伝える日なんだにゃー!!」 「それをお前は外道か!?男が女の子に渡しても、なんもトキメカナイんや!!」 そう言いながらボコボコにする。内容はくだらないのだが妙に迫力があったので真昼と赤音は迂闊に手を出せない。 「はいはーい、皆さんもう昼休みはそろそろ終わってしますよー?さっさと席に着いてくださーい」 小萌先生のお陰でこの場は収まったがまだ二人は何か迫力がある。 「はまづら、また放課後」 「では半蔵様、今日の放課後またお会いしましょう!!」 と言って滝壺と郭は自分の教室に帰っていった。 だが小萌先生はまだ何か疲れている。 「ふう、全く上条ちゃん達のせい……いや、これは喜ぶべき事です?」 などとぶつぶつ言っている。 「そういや最近先生達複雑な表情してるよな」 「それは……あれだ、新入生とかじゃねえのか?」 「ンなモン毎年の事だろうが、そンなちっとやそっとであンな表情しないだろォ?」 実は最近教師達全員そわそわとしているのだ。浜面の予想はあながち間違っていないのだが、それが上条、一方通行、浜面のせいだとは知らなかった。 (まあ、学園都市最強にその学園都市最強を倒したレベル0、第四位を倒したレベル0に憧れる中学生増えたからにゃー、入学希望者ワンサカぜよ) 最近、当麻の高校の知名度は上がっていて特に当麻、一方通行、浜面の知名度はかなりのもの。 性格や素行に問題あれど、強い者に憧れるのは世の常で当麻の高校に入学を希望する学生が去年の倍にまで膨れ上がってるのが現状である。 そんなこんなであっという間にHRも終了、放課後になって小萌が四人の生徒を呼び出す。 「はーい、じゃあ今日はこれで終わりですー。白雪ちゃん、茜川ちゃん、真昼ちゃん、真夜ちゃんは明日のシステムスキャンの件で話があるので職員室ですよー」 小萌の呼び出しに若干面倒くさそうにしながらも四人は職員室へ向かおうとする。 ちなみに土御門と青ピにやられたダメージは全く無いどころか、効いてもいない辺りは彼もそろそろ化け物じみて来ているのかも知れない。 「なあ真夜。今日はお前らの訓練に付き合わなくていいのか?」 「うん。明日が明日だからさ、訓練も調整程度しかしないし。バレンタイン前日までつき合わせるのも悪いからさ」 「分かった。じゃあ明日頑張れよ!」 半蔵と何気に仲良しな真夜、去り際の彼の励ましが少し嬉しかったりする。 気を取り直して真昼、赤音と職員室に行こうとしたが、赤音は月夜と一緒に行くとのことで真昼と一足先に向かうことに。 「良かったの赤音ちゃん? 二人と一緒に行ってもいいんだよ?」 「それもいいけどたまには親友と一緒がいいな~って。それより土御門君に話、あるんでしょ?」 「ありがと♪ じゃあ土御門くん、ちょーっと昼休みの件で話し合おうよ♪」 土御門は月夜が怒ってる時の呼び方で自分を呼んだのにゾッとするが、恐怖で動けずにいた。 月夜の豹変っぷりにクラスメートの殆どが退散し、残ったのは土白以外では当麻、青ピ、一方通行、赤音、浜滝(滝壺は浜面を迎えに来た)のみだ。 「昼休み、井ノ原くんに言ったこと、覚えてるよね?」 「あ、ああ、覚えてるけど、そ、それが何か問題あった……のかにゃー?」 「女の子が男の子に勇気だしてラヴを伝える日、それはいいよ。でもその言い方だと土御門くんは私以外の勇気を出した女の子にラブを伝えられたいのかな?」 「な、なんでそうなるにゃー! それはあくまで一般論であって別に俺はそんなこと思っても……いないぜい?」 土御門の否定に間があったこと、最後の疑問符に怒りがさらに膨れ上がった月夜の殺気に誰も口出し出来ないどころか逃げることも出来なかった。 そんな月夜が女性陣にこんな質問をしてきたのだ、怒りを一時的に抑えて。 「ねえ赤音ちゃんに滝壺さん。私はバレンタインに彼氏からチョコ貰ったら嬉しいと思うんだよ、実際。二人はどう思う?」 「私も嬉しいかな? 真夜くんがくれるのなら何でも嬉しいってのも理由だけど気持ちが籠もってるのなら男とか女って関係無いよ」 「あかねがわの言う通り。女性から男性というのは日本人男子の固定概念。私もはまづらが手作りでチョコ作ってくれたらすっごく嬉しい。どんなに不器用で不味かったとしても」 女性陣二人の答えに満足した月夜とは対照的に、土御門は最初は納得出来なかったが恋人同士という観点から考えてみることに。 (確かに男がチョコ持って告白ってのは夢が無いけど恋人同士だったらそれも……イカンイカン!) 「土御門くん、さっきの私の言ってたこと、聞いてなかったのかなー? 私はあなたの手作りチョコ食べたいなーって思ってるんだけど♪」 「…………マジ、ですか? で、でも俺としてはお前と恋人になった初めてのバレンタインだからウギャッ!」 土御門が言い終わる前に月夜は自分の恋人を全身氷漬けにしてしまうが、即答してくれなかったというのが大きな理由だったりする。 怒りモードを解いた月夜は赤音と一緒に職員室に向かう前に、氷の中の土御門に宿題(?)を残す。 「じゃあ私は職員室に行くけど、その間に私のお願いの返事、考えておくんだよ。答えはもう、分かってるよね? 行こう赤音ちゃん」 「う、うん。じゃあねみんな」 こうして月夜と赤音が職員室へ向かった後の教室では当麻、一方通行、浜面が先ほどの会話(主に女子の)の聞いて今年のバレンタインについて考えることに。 「確かに………美琴の事は愛してるし色々世話になってるからな……」 「アイツがチョコ作れンのも問題だしなァ……」 「結局お前チョコ欲しいのかよ」 「ウッセェ、黙らないとしばくぞォ?」 「スイマセンアクセラレータサマアナタニハカナイマセンノデドウカオユルシヲ」 「浜面、すぐに土下座するのは情けなくねーか?」 上条、お前は何人の女に土下座してるんだ?浜面とてお前だけには言われたくないだろう。 「うっせぇ!!小物には小物の道があるんだよ!!」 「んー……チョコ作ってみるかな」 「スルーかよ!?」 「よし、そうと決まったら浜面、お前ん家で作ろう」 「スルーしたのに図々しいわッ!!」 「頼むよ!!実は俺バレンタイン終わるまで冷凍室入っちゃダメって美琴から言われてるんだよ!! 打ち止めとか滝壺とか白雪とか白井とか郭の作ったチョコも作るみたいだし……勝手に見たら悪いだろ?」 「冷凍『庫』じゃなくて冷凍『室』かよ!?……でもまあ、確かに仕方ないな……お前には色々かりがあるし……」 「ありがとうございます!!よし、アクセラも今日行くよな?」 「何でオレもチョコ作ることになってンだよ!?」 「打ち止め喜ぶと思うぞ?でも俺達が作ってお前だけ作らなかったらションボリするぞ?」 一方通行は考えてみる。打ち止めがどうなるか……それを考えた瞬間速攻で決めた。 「チョコだろうとナンだろうと作ってやらァ!!」 「よし!!それでこそ男だアクセラ!!いや、一方通行!!」 「あのーうち最後までスルー?」 「悪いな青ピ、俺ん家台所も冷凍庫も小さいんだ。だからさすがに四人は無理だわ」 「そ、そんなー……そりゃないで!?うちはどこで作ればいいんや!?」 「「「それは知らん(ン)」」」 「ヒドッ!!即答ヒドッ!!」 そんなうなだれた青ピなどほっといて上条と一方通行は廊下に一足先に出ていった。 浜面は滝壺に断ってから上条と一方通行を家に連れていくつもりだ。 「つーことで滝壺、悪けど今すぐ家に来るの無理だ。本当にすまん」 「大丈夫、みさかの家に行って仕上げをするから気にしないで」 「本当にすまん!!今日の夜頃なら帰ってきても大丈夫だから!!」 「うん、また夜会おうね」 そう言ってその場を立ち去ろうとした浜面だったが…… 「はまづら」 「ん?なんだ?」 「がんばってね、私もがんばるから」 「おう!!任せとけ!!俺も楽しみにしてるからな!!」 「うん、わかった。」 そう言って今度こそ、氷ってる土御門と床でうなだれてる青髪ピアスをスルーして、廊下で一足先に待ってる上条と一方通行の元へ急ぐのだった。 「では皆さん。明日の学校終わりで昼食後、常盤台でシステムスキャンを行いますのでよろしくですー」 「あ~、何か緊張してきたよ~」 「大丈夫だよ赤音ちゃん。常盤台だからって固くなる必要なんて無いんだから」 こちらは職員室、無事に明日のシステムスキャンについての話も終了。 月夜と赤音はやる気を見せていたが、井ノ原ツインズはそれほどでも無かったりする。 「なーんか面倒くせーなー。真夜と赤音と白雪はともかく、俺のシステムスキャンなんて意味ねーって。つーかかなりどうでもいい」 「そんなこと無いよ真昼さん。だって真昼さん、相手の感情のベクトルも見えるようになったんだよ。俺の能力だって人よりちょっと動けるようになる程度だし。意味が無いのは俺の方」 (どうしてこの二人はここまで能力のレベル評価にこだわらないんだ? 強くなろうって意思は高いのに……。もう少し自分達の能力を評価してもいいものだが) 同席していた木山が井ノ原ツインズに対して抱いてる一番の悩み、それは自分達の能力の凄さに無頓着すぎる点だ。 真昼は力のベクトル視認だけでなく、相手や周囲の人間が他者に向けてる気持ちのベクトルまで見えるようになっているのだ。 真夜も人より少し動ける程度と言っているが、強化できる上限が日に日に増加、それどころか直感などのあやふやなものまで強化出来そうになりつつある。 「二人とも最初からそんなにやる気ない風でどうするですかーっ! 真昼ちゃんも真夜ちゃんも木山先生が認めた生徒なんですよ! もっと張り切って欲しいですよー!」 「まあ月詠先生の言う通りだ、二人とも。ここら辺で自分達がどれだけ強くなったのかを知るのも悪くないぞ。結果は気にするな、楽しむつもりでやればいい」 「小萌先生と木山先生がそう言うなら頑張らねーわけにはいかねーな。いっちょ頑張るぞ真夜!」 「そうだね。日頃鍛えてもらってるみんなへの恩返しと思って頑張るよ、俺」 ようやく四人全員がやる気になったのを見て、小萌と木山は安心すると四人を帰るように促す。 職員室を出る前に真夜が、またしても他意ゼロの言葉を教師二人にぶつける。 「じゃあ明日、二人の分のチョコも作って持って行きます。二人とも俺の恩人ですから」 「あ、ありがとうです……。お、男の子からチョコ貰うのはな、何とも不思議な気分ですねー……」 「そんなに身構える必要は無いですよ、月詠先生。最近分かったんですが真夜はああゆう生徒です。本当に日頃の感謝しか考えていませんよ」 小萌はさすがに驚くが、真夜のことをかなり知っている木山は全く驚いてはいなかった。 真昼と赤音も驚いてはいなかったが、月夜だけは呆然としながら真昼と赤音に尋ねる。 「ね、ねえ二人とも? 井ノ原くんあんなこと言ってるけどいいの?」 「いーのいーの♪ 真夜君ってああゆう人だから。それに私達以外の誰かに愛情を注ぐなんてこと有り得ないもん」 「俺ん家の家訓その二にあるんだ。『受けた恩は誰だろうと必ず報いろ』ってな。それに感情のベクトルを見るまでも無く、あいつに下心は無いって分かってっから心配ねーよ」 真夜を全く疑っていない真昼と赤音に、月夜は少しだけ羨ましいと思った。 職員室を出た後で真夜が漏らした言葉に月夜は彼に対し、あるフレーズが頭をよぎる。 「後は半蔵と郭さんにもお礼のチョコ渡さないとな。何か今年は恋人に両親に恩人、チョコ作りが大変そうだなー」 (ああ、井ノ原くんってマイペースっていうかちょっと天然さんなんだ……) トライアングルカップルが明日のシステムスキャン前の調整があるとのことで武道場に向かったので一人、教室へと戻る月夜なのだった。 月夜が教室に戻ってる頃、青ピは黒子にそれとなく彼氏が彼女にバレンタインにチョコを渡すことについて電話で会話していた。 『そうなんですの……ジュルリ……食べてみたいものですわ……』 「黒子はん?今うちがチョコを体に塗り捲ったビジョンがうかぶはずないわよなぁ?」 『なぜお分かりになったんですの!?……はっ!!黒子と○○様は一心同体ですのね!?』 「ホンマに考えてたんかい!!中学生なのに黒子はん過激すぎや!!」 『でもそんな過激な中学生がお好みではございませんの?』 「そ、そそそそそそそそそんなわけあるかい!!う、ううううううううちはな、い、いたって健全やで!?」 『そんな!?では○○様の落下型ヒロインのみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生教師幼馴染みお嬢様金髪黒髪茶髪銀髪ロングヘアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護士さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様二ーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まであらゆる女性を迎え入れる包容力をお持ちではないんですの!?』 「黒子はん!!全部覚えてたん!?ってそっちじゃなくて違うで!?うちは黒子はん一筋やで!?そして健全やで!?」 『そうですわよね、中学生にスクール水着着せて喜んでますものね~?』 「うっ!?」 『その他にも――――』 こっからはあだるてぃーなお話なしなので、お見せすることができません。 そしてそれを教室のドアの外で聞いてしまった白雪は…… 「青髪く~ん?」 「はっ!!」 「中学生の女の子にそんな事させてるのかな?」 「違う!!ちがうんやこれh」 「問答無用じゃこの変体スケベエロエロ魔神ぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!!」 氷った。ケータイごと青ピは氷った。 「やれやれ、ほいっと」 やることをやると白雪は土御門を解放した。 「にゃー……この仕打ちはないぜい……」 「お疲れ様元春、それじゃ答えを聞かせてもらうよー?」 「俺もチョコレートを作る事にしたにゃー。」 「そうなの。それと、今日は美琴ちゃんの家でチョコレート作るから一緒に帰れないから。」 「分かったぜよ。」 「とりあえず校門まで一緒に行こう?」 土白は学校の校門まで一緒に帰る事にした。(青ピの氷を溶かすのを忘れて。) 「じゃあ明日は楽しみにしているから。」 「俺も楽しみにしているからにゃー。」 というと土白は校門で別れた。 月夜と別れて少しして、土御門はとてもシンプルかつ重要なことに気付く。 「あーーっ! チョコ作るっつても俺一人で出来るわけないですたい! 月夜に頼むなんて出来ねぇし……そうだ!」 土御門は何かを思いだすと、携帯を取り出しある人物と連絡を取った。 『もしもし兄貴かー? どうしたんだーバレンタイン前日に。言っとくけど兄貴のチョコならもう作ったから心配するなー』 「おおっ! さすがは舞夏ぜよ! ……っといかんいかん。実は折り入って頼みがあるんだにゃー」 土御門が頼った人物、それは義妹の舞夏で、彼は事情を手短に話した。 それを聞いた舞夏は土御門のお願いを了承するが、今すぐというわけにはいかない事情があった。 『兄貴の頼みだからすぐ駆けつけると言いたいけど少し待っててくれるかー? 学校の課題で研修先に渡すチョコ作っててなー。今から三十分後に兄貴の部屋にお邪魔するけどいいかー?』 「三十分くらいなら全然平気ぜよ。こっちでも食材とか準備しないとマズイだろ?」 『それはこっちで準備するぞー。なんてったって月夜に贈るチョコを作るんだからなー。兄貴のセンスに任せられないぞー』 『舞夏さん、完成を待つだけだからって電話に出ないで下さい。……ところで誰と話をしてるんです?』 舞夏と会話してるのに別の誰か、しかも聞き覚えのある声を聞いた土御門は嫌な予感しかしなかった。 『じゃあ兄貴、五和にバレたから切るぞー。また後でなー』 それで舞夏との電話は終了、土御門は五和が付いて来ることだけは無いようにと祈るのだった。 バレンタイン前日で忙しいのは恋する乙女や恋人のいる女性ばかりではない。 「あ、あのー黄泉川先輩。今日はわしはお休みだったような気がするのよな。何でまた急に?」 「悪いな建宮。バレンタイン前日と当日は基本、ジャッジメントの女子は休みなのを忘れててな。人手が足りないから急遽お前を呼んだってわけじゃんよ」 アンチスキルとして活動してるのは黄泉川、そして建宮だった。 ちなみにアンチスキルの女性はバレンタイン前日だろうと当日だろうとジャッジメントの女子のように、休みになることは無い。 「言っとくがバレンタインが近づくとろくでもない連中が増えるからな。忙しさもいつも以上だと覚悟するじゃん。ま、お前さんなら心配無用だけどな」 「任せるのよ! 男、建宮斎字、乙女の一大イベントの邪魔する奴等など全て叩き潰してやるのよね!」 「おーっ頼もしいじゃんよ。じゃあ張り切って巡回するじゃん!」 こうして二人は巡回を始めるのだが、建宮は黄泉川にきわめてシンプルな質問をした。 「ところで黄泉川先輩は誰かにチョコをあげる予定は?」 「あー……一方通行くらいだな。でもま、あいつには打ち止めのチョコもあるしコンビニで適当にチロルチョコでも買って渡せばいいじゃん♪」 (この場合、黄泉川先輩の華の無い生活を悲しむべきか、白いのの扱いを哀れむべきか……難しい問題よな) ちなみに当日、偶然にも芳川もコンビニで購入したチロルチョコを一方通行に渡すという奇跡が起きることなど、当人達は知る由も無かった。 そのころ、初春と佐天はというと… 「ねぇ、明日飾利は建宮にチョコあげるつもりなの?」 「え!?あ、あげるつもりはないですけど、きゅ、急にどうしてですか?」 初春はいきなり佐天に聞かれたので明らかに動揺していた。 「だってこの前そんな事話したし、あれ以来建宮に会っていないでしょ。」 そうなのである。あれ以来、初春は建宮にどう接して良いのか分からなくなっていたので避けるように魔術絡みの事で動いていないのだ。 「せ、せっかく忘れていたのにそんな事思い出させないでください!!明日本当に建宮さんに会ったらどうすれば良いんですか!?」 「今まで避けられたから大丈夫でしょ、ってまた顔を赤くしているし。」 「涙子さんのせいですよ。もう本当に建宮さんに会えなくなってしまうでは無いですか!!」 「なんか前にもこんな話をした気がする…」 佐天はあの時もこんな話をしたな~っと思っていた。 「まあ、とりあえず渡さないなら良いんだけどさ。ところで、誰かにチョコあげるの?」 「一応、お兄ちゃんとお姉ちゃん、涙子と最愛にはあげようかなっと思ってますけど。」 「じゃあさ、一緒に作らない?」 「良いですね、じゃあこの後私の家に来てチョコ作りませんか?」 「良いですよ。じゃあ行きましょう。」 という事で初春と佐天は佐天の家に向かった。 その頃の柵川中学校門前、最近ではすっかり名物になった二人がぶつかり合っていた。 「神裂先生よぉ、飾利を呼んで来てくれよ。今からバレンタインのリクエストすんだからさ」 「ですから、何度も言ってるじゃないですか。飾利はすでに佐天と一緒に帰ったと」 神裂とシェリー、実はシェリーが正式に学園都市配属になって以来、ほぼ毎日この場所で喧嘩をしているのだ。 ちなみに神裂が教師として学校にいるのに初春のことを名前で呼んでるのは、シェリーが現れて二人(初春と神裂)が親しい間柄だとバレたから。 このせいで初春が今まで隠していた佐天、神裂との関係が暴露、一気に初春が柵川中学一の有名人になってしまったのだった。 「それにしても芸術家というのは暇なんですね。ここに飾利に会いに来る暇があるのなら作品の一つでも完成させてはどうですか?」 「はっ、分かってないねぇ。飾利と会うことで私はリフレッシュ、作品に取り組む意欲を上げてるのさ。つーわけでさっさと飾利呼べよ」 「……あなたは毎度毎度。そろそろ本気で体に教え込まないと分かりませんか?」 「上等だ、やれるもんならやってみろよ」 そうこうしている内に二人はヒートアップし、一触即発の事態になるが二人が怖いので誰も止められない。 唯一止められる初春がここにはいないので血を見る喧嘩が始まるかと思われたが、 「神裂さんとシェリーさん、一体何をやってるんですか? 周りの迷惑になると飾利が超怒るから止めた方がいいですよ」 用事があってやってきた絹旗から初春の名前を聞くと、喧嘩しそうな雰囲気は消え去った。 「絹旗、あなたも飾利に会いに来たのですか?」 「涙子にも超会いに来たんですけどね。ところで二人は今どこに?」 「今日は飾利はジャッジメントの仕事はお休みなので、佐天と一緒に帰りましたよ。もしかしたら佐天の家かもしれません」 「そうですか、おかげで超助かりました。じゃあ私はこれで……っと超忘れてました」 神裂から初春と佐天、二人の義理姉妹のことを聞き出した絹旗は佐天の部屋の方角へと進路を向ける。 しかし向かう前に絹旗は神裂とシェリーにバレンタインなら聞かれる当たり前のことを尋ねる。 「ところでお二人は誰かにチョコを超あげたりしないんですか? 飾利ならきっと二人に友チョコと妹チョコを超作ると思いますよ」 (飾利からの妹チョコですか……。ならば私はお姉ちゃんチョコをあの子にあげましょう♪ ついでに上条当麻にも恩返しの意味でチョコを……) (友チョコか。私は好きな男なんざ居ねぇしな。だったら飾利の為に友チョコならぬ朋友チョコを作るか!) 絹旗の質問に決意を固めた二人は全く予定していなかったバレンタインチョコを作る為にその場を後にした。 取り残された絹旗もまた、初春と佐天と合流すべく佐天の部屋の方角へと足を伸ばす。 その頃、佐天の部屋に向かってる初春と佐天、その途中で佐天が思い出したかのように初春に尋ねる。 「そういえば飾利、神裂さんとシェリーさんにチョコあげないの?」 「……ああっ! 忘れてました! 火織お姉ちゃんとシェリーさん、それにヴィリアン姉さまにも作ってあげないと!」 佐天が建宮のことばかり言うものだから初春は大事な姉(義理の)二人、親友一人の存在を忘れてしまっていた。 そのことを思い出し、今日は忙しくなりそうだと思った二人だが、そこに絹旗が合流する。 「何とか超追いつきましたよー。飾利に涙子、もしかしなくてもチョコ超作るんですか?」 「ええ。当麻お兄ちゃんと美琴お姉さん、涙子さん、最愛さん、火織お姉ちゃん、シェリーさん、ヴィリアン姉さまと多いですけど」 「建宮には超あげないんですね。いや、超いい傾向ですけど」 建宮の名前が出て焦った初春だが、顔には出ないまでには回復してるので何とか怪しまれることが無かった。 そんな中、佐天は今ここに居る上琴義妹トリオ(自分含め)を見て、妙案が思い浮かんだ。 「じゃあさ、今年はあたしたち三人で作ろうよ! 飾利がチョコ渡そうとした人達にさ♪ ついでで建宮さんにも、ホントついでだけど」 「それは超名案です! 浜面には麦チョコ一粒で超充分ですから作る気ありませんし。……でも建宮にもですか?」 「いやほら、建宮さんには何だかんだでお世話になってるしさ。飾利からチョコ貰えなかったら引きこもっちゃうかもしれないし。ボランティアだよ、ボランティア」 「それなら超納得です。でもあいつの場合、そこら辺に超転がってる石ころにチョコ塗ったのを渡せば充分ですね。飾利はどうですか?」 佐天のアイディアに救われた初春、心も落ち着き、建宮に対する『お父さんフィルター』も修復完了して絹旗に答える。 「私も賛成です。でも最愛さん、建宮さんにもきちんとしたチョコ作らないとダメですよ? 日頃からお世話になってるんですから」 「わ、分かってますよ? ちょっとした超軽いジョークですよ、ジョーク。……じゃあ気を取り直してバレンタインチョコ作り、超頑張りましょう!」 「「おーーーーーーっ♪」」 上琴義妹トリオ、気持ちを一つにし佐天の部屋へと向かうのだった。 こちらはインデックスとステイルが勤める教会、悩める少年ステイルは一人で悩んでいた。 (インデックスにチョコをそれとなく催促すべきか、それとも僕が彼女にチョコをプレゼントするか……。僕は一体どうすればいいんだ?) 見た目は老けてるが中身は立派は思春期の少年が本気で悩んでいると、彼の悩みの原因たるインデックスが陽気に帰って来た。 「ただいまー」 「や、やあおかえりインデックス。そういえばあの三毛猫は見つかったかい?」 「またどっかにふらっと出かけちゃったんだよ。まるでとうまみたい……ペットは飼い主によく似るっていうけど、スフィンクスの飼い主は私なんだよ」 「そうだね、全く飼い主に恩を返さないのはひどいね」 そんな会話をしながらも、ステイルはタバコを吸いながら考える。 (インデックスのチョコはほしい、だが!この子がチョコを作れるとは思えない。ましてや作る事さえ不可能かもしれない。 いや、ここはやはり僕から渡すべきなのか?僕ならインデックスの為に鉄人並みのチョコを作る事さえ惜しまない。 だが、しかし、でも、クソォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!) そんな時、上条当麻の幻聴が聞こえた。 『馬鹿野郎!!お前はインデックスが好きなんだろうが!!好きなら好きっていっちまえばいいじゃねぇか!! 保護対象であって恋愛対象じゃない?ふざけんな!!そんな幻想考えてるから前へ踏み出せないんだ!! さっさと踏み出せよ魔術師!!お前なら言えるはずだ!!テメェの足枷(幻想)なんてぶち殺せ!!』 (全く……僕の思考回路の中まで説教するのか君は……君に言われなくてもわかってるんだよ!!) 勇気をだす。足を踏み出す。今こそ言うべきだ!! 「インデックス!!僕は君のチョコがほしい!!」 だがそこには、 「にゃあ?」 「何で猫なんだ!?」 インデックスはそこにいなかった。かわりに猫ってどういうことだ? 「はいスフィンクス、ちょっと遅いご飯なんだよ」 どうやらステイルが思考の泥沼に落ちてる間にスフィンクスが帰ってきてご飯を取りに行っていたらしい。 「な、なんて不幸なんだ……」 神様、この不条理な世界をどうにかして下さい。 ステイルはいつもの事だが、神に祈った。
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その後もいろいろ談笑していると当麻が腕の時計を見て 「あぁ…もうこんな時間か……お前らこれからどうすんだ?」 「とりあえず街に行くつもりぜよ…」 「カミやんはどうするんや?」 「俺はまだ少し仕事がある…どうだ、お前ら…うちに来るか?」 「えっ?」 「上条君の?」 「あぁ…今日何人か人を呼んでんだ」 当麻の提案に4人は少し考えて 「せやな~どうせ特に予定も考えてへんし」 「別に私はいいよ」 「私も構わない」 「決まりぜよ」 3人の意見を聞き当麻は 「そうか…もうすぐ浜面の奴が来ると思うんだけど…」 もう一度時計を確認していると 「お~い!上条!!」 当麻を呼ぶ声がした。声をした方を見ると一人の男が走って近づいてきた。 「あー!パパだぁ!!」 「噂をすればなんとやらだな…」 近づく男に滝壺の膝の上からおりて、とうまは近づいて行った 「おかえり~」 「よぉーとうま、ちゃんとママを守ってたか?」 「ごめいれいどうりに!!おまもりしましたぁ!!」 「そうか!よくやった軍曹!!」 そう言って、浜面はとうまを抱きかかえて当麻達に近づいてきた 「わりーな上条遅くなって…」 「一時間近く遅れてんぞ」 「わりーわりー…えっと…」 当麻の周りに居る知らない4人を見て、浜面は少し戸惑った。 「あぁこいつらか?昔のクラスメイトだ」 「あぁ上条の…どうも浜面仕上です」 4人もそれぞれどうも、といった感じにお辞儀をした。 挨拶をした浜面は滝壺に近づいた。 「滝壺、どうだった?」 「大丈夫…」 滝壺が答えると浜面の後ろから当麻が伝えてきた。 「母子共に健康だそうだ」 「そうか」 「浜面来ていきなりで悪いが、こいつらも俺んちに連れて行ってやってくれ」 当麻はクラスメイト4人を見ながら尋ねた。 「別にいいけど…お前の車、使っていいのか?」 「あぁ…わりーけどもう一人…いやっ二人連れてきたい人がいんだ…だから車は俺が使う…タクシーで行ってくれ」 「分かった…じゃあ、とりあえずタクシーを…」 「病院の入口にならタクシー乗り場があるぞ」 「おーっと、その前に俺ちょっとトイレ行きたいぜよ」 当麻が案内しようとしたところに土御門がそう言ったので、当麻は土御門の考えを悟って 「あぁ…病院の使え、案内する」 「すまんぜよ、カミやん…みんなちょっと待っててくれにゃー」 そう言って病院に入る当麻に土御門はついて行った。病院の中に入ってロビーを歩いていると土御門が 「浜面の奴を一人で行かせるなんて…何を考えてるぜよ?」 裏でよく見せる真剣な顔をして尋ねた。 「いちいち心配する必要ねーよ」 「アレイスターの奴は、ある程度あきらめたみたいだが…統括理事会の中には、 浜面の首をアレイスターの手土産にしようとしてる奴らもいんだぞ…せめてお前がついていてやるべきだろ?」 「大丈夫だ…超一流のボディーガードをつけたからな…」 「ボディーガード?誰ぜよ?」 「お前もよく知る奴さ…」 「…?ねーちんの事か?」 「いいや…神裂は手が離せなくてな…」 「なら誰ぜよ?」 「後で分かる」 当麻は意味深なセリフでうやむやにしたが、土御門はまだ納得できていなかった。 「でも、もし奴らが何かしてきたら、どうするつもりぜよ?」 「…統括理事会の中で俺に喧嘩を売るような根性のある奴はいねーよ…まぁもし売ってくるしたら親船さんくらいだろ」 「…確かに、でもあの人の場合はお前が極悪人だったらの話だ…だけど今のじゃ答えになってないぜよ、 もし奴らが何かしかけてきたらどうするつもりぜよ?」 「決まってんだろ………戦争だ…」 当麻の不気味な笑みを浮かべて出したセリフに土御門はゾッとしたが、 「冗談だよ…たまには息抜きしろよ」 土御門の肩を笑顔でポンポンっと叩いて、当麻はロビーにあるエレベーターの方へと歩いて行った。 「まったく…その気になれば世界と戦える戦力を持ってる男が言うと冗談に聞こえないぜい」 タクシーに乗った一同は、第三学区のとある施設に到着していた。高層マンションのようなビルを見た吹寄達は、少し驚いて口を開けた。 「ここって…」 「個室サロンやないか…」 彼らのような普通の高校生だった者にはあまり馴染みのない場所であるが、その存在ぐらいは彼らは知っていた 「あぁ…上条の奴は此処と年間契約結んで、帰ってきたら大抵ここで寝泊まりしてんだよ」 一通り説明した浜面は個室サロンに入るとカウンターに行き、おそらく当麻から預かったのであろうカードらしき物を見せた。 店員はすぐに部屋を確認して部屋の番号を教えてくれた。 近くにあったエレベーターに乗ると浜面は最上階のボタンを押して、扉を閉めた。しばらくして 最上階の廊下らしき所に出ると、そこには4つのドアがあるだけで奥には非常階段の扉があるだけだった。 「なんや…あんなでかいビルやのに部屋はこれだけかいな」 と青髪が不満を漏らすと、浜面がそれに答えた。 「数は少ないけど、その分部屋はめちゃくちゃ広いぞ」 浜面はエレベーターを降りてすぐにあるドアの前に立つとカードキーを差し込んむと ビィィーっという電子音と共にドアが開いた。ドアを開けると奥から 「あー誰か来た!きっと上条だって、みさかはみさかは予想してみる」 と可愛らしい声が聞こえてきた。部屋の奥からドタドタと走る音が近づいてきて一人の中学生か小学生くらいの少女がやってきた。 部屋の奥から来た少女はドアを開けた者達を見ると 「あー!!浜面達だ!ってみさかはみさかは予想外の出来事に驚いてみる!」 「よう!ラストオーダー!」 「元気そうだね…」 「わー!みさかのおねえちゃんだぁ!!」 どうやら浜面一家は知り合いらしいが、吹寄達(土御門を除く)はその少女をまったく知らなかった。しかし、それはお互いさまで少女は 「後ろ人たちは誰?ってみさかはみさかは尋ねてみる!」 「あぁ上条の昔のクラスメイトだそうだ」 「そうか~上条のお友達か~ってみさかはみさかは納得してみたり!」 少女が納得していると奥から 「ラストオーダー、どうしたんですか?浜面達は超帰ってきたんですか?」 また奥から少女の声と共に今度も中学生か、いって高校生ぐらいの少女が出てきた。 「よぉ絹旗!」 「久しぶり」 「きぬはたおねえちゃん!」 今度もまた知らない少女なので4人は特に反応出来なかった 「超久しぶりですね…浜面に滝壺さん、それにとうまも…ほら、超遠慮せずに入ってください」 絹旗と呼ばれた少女は中へと招いたのでみんな部屋へと入り、奥の広間に歩いて行く途中に浜面が 「つーか…お前んちじゃねーだろ」 「細かいこと気にするなんて、相変わらず超浜面なんですね」 「なんだその浜面の全否定は!?」 「うるさいです…だいたい契約しといてまったく利用しない上条のために私がわざわざ超仕方なく使ってやってるんです」 「はいはい…ご立派ご立派」 浜面のかえしに不機嫌そうな顔をしたが、そこに吹寄が 「あのーあなたも上条の知り合いですか?」 「えっ?う~ん私の場合は、浜面やラストオーダーみたいに直接的な繋がりが超あるわけじゃないですけど…まぁ知り合いですよ」 「みさかは上条とはお友達だけど、私よりあの人の方が仲がいいかもって、みさかはみさかは推測してみる!」 「はぁー」 よく分からなかったが、知り合いであることは確からしい。知らない人物ばかりであったがそこに 「あ~!みなさんも来たんですか~?」 よく知る子供(大人)の声が聞こえてきた。そこには大きくて見ただけで値段が高いであろうことが分かるソファーに座る先生の姿があった。 「小萌先生!!」 「なんや!先生も来とったんか!」 「はい~さっき上条ちゃんから電話がありましたから~まったくぅ入るのに苦労しましたぁ~」 そりゃそうだろう、と4人はというよりは全員そう思った。そこから先に声をだしたのは姫神だった。 「先生はここを知ってたんですか?」 「えぇここは昔上条ちゃんがお医者さんになる前に一緒に飲み明かしたとこですからぁ!!」 「なんやてぇぇ!!なんて羨ましい!!もぉ!なんでカミやんの周りにはこんなにもレベルの高いロリちゃんがぎょーさんおるんや~!?」 青髪が妙なテンションになっていて、普通なら無視するが無視しない者が2人いた。 「ロリって…私は超20代なんですけど…」 「みさかだって!もう高校生なんだよってみさかはみさかは訴えてみる!!」 「「「「えっ!?」」」」 今日上条当麻の事実を知った時以上の驚きが、まだ存在した。 「うそ…」 「小萌先生以外にも…こんなにたくさん」 吹寄と姫神は口に手を当てて唖然としている。 「そうか…ワイは分かったでぇー!きっとカミやんにはロリを引き寄せる磁石があるんや~!! なんとしてもそれを手に入れてやるぅぅぅ!!!」 青髪が意味不明なことを言い始めたので、こういう時のための吹寄である。 「うせろっ!地の果てまで!!!」 ゴシュッ!っと音を出して青髪に悲鳴を上げる暇もあたえずに見事に青髪の意識を飛ばした。 「あ~もう吹寄ちゃん!ここは上条ちゃんの家なんだから暴れちゃだめですよ~」 「すいません、つい我を忘れて…そういえば先生は上条が医者になったのを知ってたんですよね?」 「えぇそうですよー上条ちゃんがある日当然、脳科学の事について尋ねてきたんですよー」 吹寄と姫神は、それぞれ広いリビングに置いてあるソファーに適当に座りながら、もう一度訪ねた。 「脳科学ですか?」 「医学関係じゃなくて?」 「そうなんですよ、私もどうしてかは知らないけど最初は脳科学について聞いてきたんです…でもだんだん私じゃ説明できなくなってきて、 そこで私が上条ちゃんにあるお医者さんを紹介したんです」 小萌先生は思い出を楽しそうに思い出を語っていった。 「それでその人から脳科学だけでなく医学についても学んでいくうちにお医者様へとなっていったので~す」 「あいつが…信じられん」 「だから言ったでしょ?上条ちゃんはやれば出来る子なんですっ!!」 「じゃあさっき上条君が言ってたお師匠さんて」 「あー多分私が紹介した人ですよ~」
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そんなドタバレンタインデーも終わった4月の始業式の日。 ホームルーム それは普通の高校ならどこにでもある朝の行事。 (まれに挨拶がすべて「ごきげんよう」だったりする事はあるが)。 「にしてもクラス一緒って変じゃね?」ただしこの一点が上条のところでは普通ではなかった 「ああ、それはだな。」 情報屋が仕入れてきた情報を開陳する。 「このクラスひとくせもふたくせもあり過ぎて他のクラスと混ぜたら他のクラスまで影響食らうってのと、 小萌先生くらいしか統制できないかららしい。」 「…反論の余地なしね。ん?ってことは担任はまた小萌先生なの?」吹寄が聞く。 「そうらしい」情報屋が言うと。 「「「「「「いやっほーい!!」」」」」」男子(特に青ピ)の歓声が。 しかし長くは続かない。 「でも副担はゴリラらしい。」 直後、絶叫が窓をふるわせた。 また ホームルームとは 特別な連絡や小さいイベントがなされる場。 むろん 上条たちのいる高校とて例外ではない。 そして 今日はそういうイベントがある日。 そういう日は 朝の教室はどっかの耳が早い奴が噂を聞きつけてざわめくところから始まる。 「それと転校生が来たらしいぞ。なんかスゲー奴らしい。」 ただし、上条のクラスでこの手の噂を持ってくる耳の早い奴は 「ホントか情報屋!?」 情報屋こと紫木 友であることが常なのだが。 さらに言うと情報屋はかならず吹寄の所へ行って報告をするのがいつの間にかデフォに成りつつある。この意味するところは……まだ、だれも知らない。 いや、想像すらできなかった……。そんな4月の朝であった。 ついでに言っておくと 「すごい奴ってどういう意味だ??」上条が至極もっともな疑問を述べれば 「今度こそ貧乳ウサギばんざいだにゃー!」土御門がばかなことを言って 「土御門…………頭冷やせやこの浮気者!!」カチン!と月夜に凍らされ 「何をバカなことっ!」「そげふっ」吹寄が何故か上条に渾身の回し蹴りを決め 「わてもそろそろロリっ子がこのクラスに来てもええ思うんや」「「「「「「「お前にはあのジャッジメントがいるだろうが!!!」」」」」」」青ピがクラスの男子にフルボッコされる。 と、いうのはもはやお約束に近い。 「はっ、くだらねェ。ロリだの何だの関係ねェだろォがよォ」「「「「「「貴様にだけは言われたくない!!!!!」」」」」」これまたほぼお約束。 「おまえら平和だなあ…」「お前もそう思うか浜面…」「はまづら、はまづらもだんだん平和ボケしてきてると思う」「半蔵様も。その体勢では不意打ちに抵抗できませんよ?」 「「そうかなー…って二人ともクラス違うよね!?」」 この二人は毎度呆れて見るポジションでありながら突っ込みもこなしている。意外とすごいお二人である。 そんなこんなしているうちにホームルームが始まる。 「はーい、ホームルームを始めるのですよー………って、なんで青ピちゃんは顔がはれてるんですかー?」「何もないでセンセ」 嘘つけっ! とクラス全員が心の中で突っ込むがさすがの小萌とて生徒の心の声まで聞きとることはできない。 「ならいいのですよー。では転校生のご紹介ですー。今度の子は男の子なのですよー。おめでとう子猫ちゃん残念でした野郎どもー。」 ああああーという男子の声が響く。 ついでに「男子ですごい奴って?」「一方通行より凄いのはいる訳ないよね?」「にゃー。別の意味でかもしれないぜい」「ん?土御門いつ氷から脱出した??」と言うささやきも聞こえる。実際土御門の予想は当たっていたのだが。 そして 「入ってくださいー。」 その瞬間、すべての生徒が『すごい奴』の意味を知った。 「「「「「「「「「「小学生!?」」」」」」」」」」「いえ、ちゃんと16ですが?」 このやり取りに慣れているらしく転校生は嫌そうな顔もせずニコニコと笑って答える。 「では、自己紹介よろしくなのですー。」 「はい、この度転校してまいりました月詠 翔太です。よろしくお願いいたします。」 どう聞いても小学生の転校のあいさつ という感じの声である。 小学生にしてははっきりと、よどみなく言うところがかろうじて16『かもしれない』くらいである。 クラスがざわめく。 「きゃーっ、かわいいー♪」「ホント小学生みたい♪」というのは女子生徒。 「月詠?」「小萌センセと同じやがな」「名字もだけど小学生に見えるってのも共通だよ」「うん、兄弟と言われても信じられる」「そういえば二人、似てるような……」冷静な生徒たち(男子の全員と吹寄、姫神以下数人だけの女子)はささやく。 これらのざわめきの幕引きはほかならぬ小萌によってなされる 「翔太君は私の甥っこなのですよー。」 するとざわめきは一瞬にして静まり、 「「「「「「「「「「なるほどー」」」」」」」」」」 普通担任の親せきであることが分かると大抵ざわめくが……。 上条たちのクラスは逆に納得してしまった。 「ん?ってことは小萌センセの親せきはみんな見ため小学生なんか?」青ピの目が輝く。 「んー?どうでしょう?」小萌が言う。 「つーか青ピ、てめえ『小萌先生の親戚の女の子は全員ロリっ子かも』って喜んでたろ?」 「ばれた?」 「「「「「「「「バレバレじゃボケぇええええ!!!!!」」」」」」」」」 ちなみにこのドタバタを翔太は若干、いや かなり引き気味に眺めていた(当然です。) しかし彼らは知らない。 この子供…ではなかった高校生には彼女がいて。 しかもそいつがに転校してくるとは。 土御門ですら知らなかった「同僚」の転校は悲劇を引き起こすのか喜劇を引き起こすのか、この時点ではまだ誰も知らない。 空気を代えようと浜面は思い、情報屋にある話題をふきかける。 「そう言えば情報屋、今年の一年はレベル高いって言ってたけど、明日来る一年はどうなの?」 「……名簿のコピーがあるが、その情報はかなり高額だぞ?」 「金を取るのか?」 「違う、それなりの情報をよこせってことだ」 情報屋のこの情報は法に触れるため、それなりの情報が無かったらただ損するだけだ。 浜面はうーんと考えると最近噂になっていることを思い出す。 「上条が引っ越した先は学舎の園前」 「すでに持っている」 「常盤台の大半は上条に惚れてる」 「解りきったこと」 「……一方通行は最近あの打ち止めと唇でキスしてた。俺がこの目で見た」 「持ってけ泥棒!!」 また後ろからギャーギャー言って一方通行を襲ってるが、一方通行は『反射』の代わりに、『スルー』と言う能力を使う。 これは反射の次に簡単な演算で、どんなものでも受け流す。これなら周りに被害が減るため、クラスメイトに教われたときはこれを使っているのだ。 だがこの光景を翔太は見馴れていないため、開いた口が塞がらない。 「翔太ちゃん、これがこのクラスの日常なのです」 「……いや、おばさん。あの白い人大丈夫なの!?集団リンチうけてるよ!?」 「一方通行ちゃんは学園都市最強なので大丈夫なのです」 「ええっ!?僕そんなの聞いてないよ!?」 「まあ、その内なれるのです」 慣れるのかな……?と、翔太は首を傾げたのだった。 すると、いきなり浜面が椅子から転げ落ち、 「な、なんじゃこりゃー!?」 叫んだ。 「どうした浜面!!」 「れ、レベルが、学歴が」 「何があった!?」 上条が名簿を見る、すると上条は目を丸くし、 「女子が全員常盤台だと……?」 そう呟いた。 「「「「「「「「「「「「何だとッ!?」」」」」」」」」」」」 男達の首がクルッと、上条の方に向き、ドタドタと上条の持ってる名簿を奪い取る。 「本当だ!!何故に常盤台のお嬢様がこんな高校に!?」「おいおい、男子もレベル4しかいないぞ!?」 「ぎゃー!!女子の中に常盤台のレベル5、心理掌握がいる!!」 「先輩としてのメンズが立たない!!」 「しかし、常盤台のお嬢様が後輩って悪い気しないな」 そんな騒いでるなか、情報屋はへらへらしながらその疑問らに答える。 「常盤台のお嬢様は上条、一方通行、浜面に惚れて来た。男子はこの三人を倒して学園都市最強の称号を手に入れる。と、俺は聞いている」 「「「「「「「「「「「「殺せェェェええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」」」」」」」」」」」」 男達が怒りのあまり、学園都市最強の三人組に襲いかかろうとしたが、 「いい加減に授業始めますよ!!」 それ以上に怒っている小さい先生に止められたのだった。 しかし教師の説明なくして納得できないおでこがここに。 「先生!これはいったいどういう事ですか!?」 吹寄が聞く。ついでに上条をにらみながら。 「先生もこの間見て気絶しかけたのですよー。」 「そうじゃなくて何でこんなことになったんです!?」 すると小萌は上条と一方通行のほうを見て言う。 「上条ちゃんと一方通行ちゃんのせいなのですよー。」 「……でしょうね。具体的には??」 「調べたところこういうわけなのですー『今度中3になるわが常盤台のエースにすごい彼氏がいるらしいんですの。』 『私も聞きましたわ、その方学園都市最強を2度も倒したそうですの』『私は5回と聞きましたの』『しかも今では学園都市最強と机を並べるご学友だそうですわ』 『何ですって!?昨日の敵は今日の友 ですか?』『それでそのお二人はどんな学校に通われてるんですの??』」 小萌は見事にお嬢様口調を真似てやって見せた。 「と、言うわけで常盤台のお嬢様が大挙してうちを受験して全員合格してしまったのですよー。」 むろんその分普通の学力レベルの人が普通の学校を受けたのに落ちた!と絶句しているのだが。 「ちょっと待てェ!5回もやられた覚えはねェぞ上条!」周りは あー、倒されたことは否定しないんだ…と思った。 「俺に怒んな!噂に尾ひれがついたんだろうよ。」 「確かに学園都市最強とそれを倒した人間。……ある意味うちの学校は最強なのでは?」 「吹寄ちゃん、確かにそうかもしれませんが学力の面ではまだまだなのですー。 と、言うわけで今年からは学力でも最高になれるように全校生徒の夏季補修を長くする予定なのですよー。」 ええええええええ!!!!!! クラスが震えた。 「上条当麻……貴様のせいでっ!」吹寄が怒る。 むろんクラスのみんな同じようなもんで…… 「「ふ、不幸だッ!!」」 学園都市最強とそれを倒した男がレベル0~2のクラスメイトに追いかけられるという 不可思議な状態がここに現出することに。 「ううっ、僕、こんなクラスでやっていけるのかな……」 「そんな心配する必要は無いぜよ。確かにこのクラスは変わり者が多いが根はいい奴が殆どだぜい」 「えっと、君は?」 「俺は土御門元春、このクラスの唯一の良心と呼ばれてる男ぜよ♪」 弱気になっている翔太に声をかけた土御門だが、自分の名前を出した途端に考え込んでしまったのを見て不思議に思う。 土御門は知らない、翔太と結標が恋人同士で時々ではあるが結標から土御門に対する愚痴を言っているのを。 「月詠くん、元春の言うことは話半分で聞いた方がいいよ。こいつ、私の恋人だけどさらっと嘘吐くから♪」 「月夜ー、そいつは酷い言い草ぜよ……。あ、こいつは白雪月夜、俺の恋人なんだにゃー♪ 可愛いやつだがやきもち焼きなのが玉にゲフッ!」 「気にしないでねー♪ 今のは元春の戯言だから。ごめんね、ちょっと席外すね。今から元春にお仕置きしなくちゃいけないから♪」 席を外すと言いながら月夜は翔太から見える位置で土御門を『氷のグローブ・スパイク付き』でボコボコにしていた。 既にカオスと化した教室でさすがの小萌も手が付けられない状態の中、騒ぎを簡単に治められる赤音が立ち上がる。 赤音は真夜、真昼、小萌、翔太、姫神、半蔵の静かにしていた面々に特注耳栓を付けるように促して、 「うるっさーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!!!!!」 【鼓膜破砕(ボイスシャット)】の大声で騒いでるクラスメートを大人しく、否、無理矢理黙らせた。 当麻は右手の使用が遅れ、一方通行は『反射』してなかったので他のクラスメート同様に赤音の大声に目を回していた。 ようやく静かになった教室で赤音は耳栓をしてる人達にオッケーサインを出して特注耳栓を外すように促す。 「毎度毎度感謝するですー♪ 赤音ちゃんの大声はクラスを大人しくさせるのに一番ですねー」 「いえいえ、それほどでも。初めまして月詠君、私は茜川赤音。この真夜君とは恋人同士なんだ、よろしくね♪」 「赤音さん、その紹介は恥ずかしいんだけど……。俺は井ノ原真夜、よろしく月詠」 「よ、よろしく……(良かった、この二人はまともそうだ)」 翔太は赤音と真夜にようやく常識人に出会えた喜びを感じていたが、次の真昼の自己紹介で大きく覆される。 「俺は井ノ原真昼、こう見えても立派な女だぜ。ちなみに真夜は双子の弟で世界一愛してる恋人だ」 「……えっ? だって井ノ原くんは茜川さんの恋人って……。こ、小萌おばさん、どうゆうこと?」 「えーっとですね、その三人は本人達も了承済みの恋人なんですよー。深く考えない方がいいですよ、付き合い自体は他のカップルよりも健全ですから」 初めて見たポリアモリーなカップルの混乱状態の翔太、そこに更なる混乱の種が舞い込む。 「真夜、いいのかよ、あんなこと言われて。さり気なく小萌先生、お前らのこと変わり者カップルって言ってんだぞ」 「まあ変だってのは自覚してるから気にしてないよ。でも半蔵だって人のこと言えないと思うぞ。恋人の郭さんに様付けで呼ばせてるだろ?」 「あ、あれはあいつが勝手にだな……!」 (恋人に様付けで呼ばせてるってことはアブノーマル? どこを見ても変人だらけだよ、このクラス……) この高校に転入して後悔し始めていた翔太、しかし姫神によって彼がクラスの騒ぎの中心になってしまう事態に。 「はじめまして翔太くん。私は姫神秋沙。小萌先生とは。居候させてもらった仲。というわけで私と付き合って。キャラが立つには。これしかないから」 「(ま、また変な人が、しかも告白されたよ! でも僕には淡希がいるから……)ごめんなさい! ぼ、僕、付き合ってる女性がいるから」 そして常盤台では…… 「お姉様……」 「どしたの黒子。なんかやつれてない?」 御坂美琴と、疲れきった白井黒子が話をしている。 「ま!お姉様!!まさか『あのこと』を知らないのですか!!? あ、そうですわね。お姉さまはいつも上条様のことを考えていて気づかれなかったのでしょうに」 「し、失礼よ!否定はしないけども!!」 そこは常盤台のエースのメンツとして否定してくださいの、という言葉を飲み込み。 「常盤台の3年生の大半が、進学先を○○様がいる□□高校なんですの」 青ピがいる高校、必然的に自分の当麻がいる高校であると理解し、 「ちょい待ち。ってことは何?□□にお嬢様が大集合?……原因はもちろん」 「それだけではありません。上条当麻、一方通行、浜面仕上に惚れてしまわれた生徒に、 その3人を倒そうと、数々のレベル4の男子が□□に。偏差値がいきなり30ほど上がったと寮監が騒いでおりました」 さすがにここまでくると、怒ると言うよりただ呆れるしかない。 「ああ……。○○様がよからぬ生徒に誘惑されないか黒子は心配で胸が爆発しそうです」 「あの変態趣向を好きになるのは珍しいんじゃない?あとさりげなく最近胸が大きくなったの自慢しないで」 もろもろのことがあったりなかったりで白井の胸は成長している。といっても元々育ち盛りの中学生、美琴のも同じぐらい成長している。――5センチほど 「大丈夫かしら。入学初日に入院なんてしたら私あの高校、廃墟にしたくなっちゃう」 「……リアルすぎる冗談は欲しいですわ」 少しだけ静かになった学舎の園。何人かの教師が□□に教師指導のため移動していたためだ。 学園都市に震撼を及ぼしているあの学校は大覇星祭で長点上機学園を抜いて1位になるのはそう遠くない話だろう。 そしてその高校の一室では、転校生の衝撃発言に絶叫していた。 「「「「「「「「「「「「な、何ですとォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」」」」」」」」」」」」 世界共通、転校生に彼女、それは話題になるだろう。そしてそれはこのクラスにも当てはまる事だった。 「どんな!!どんな女!?」 「えっと……」 「胸は!!巨乳!?貧乳!?」 「巨乳です」 「「「「「巨乳キタァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」」」 「「「「「「貧乳じゃないのかちくしょォォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」 ここだけは男共の趣味が女子にバレるのだが、今の男共にそんなもの関係なのだ。 土御門は最後の希望にかけ、もう一つ質問をする。 「あ、相手の年はやっぱり十歳くらいかにゃー?」 「何でそうなるんですか!?」 「いや、見た目的にだにゃー……」 「ちゃんと年上です!!」 「「「「「「お姉さんキャラキタァァァああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」」」」」」 「「「「「「妹キャラはいずこにィィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」」」」」」 どっちかと言うと年下キャラが好きな男達は崩れ落ち、再起不能に陥る。 そんな崩れ落ちてる男達に、優しい翔太は声をかけてみる。 「お、女の子は胸でもないし、年は関係ないんじゃないでしょうか?」 今、火種はまかれた。 「何を言っているぅ!!巨乳何て邪道だ!!あんなデカイモノなど捨ててしまえ!!」 「何を!?貧乳など、包容力が無いんだよ!!包容力が!!愛と夢なんて詰めることができないだろ!?」 「何を言っている!?貧乳こそ神に与えられた究極の美っ!!それを侮辱するやつは人間などではないっ!!」 「貧乳が神だと?ふざけるな!!あんな固いもののどこがいい!?母性の塊は男を包んでこそ本領発揮できるのだっ!!」 男達は自分の信念のため、『胸対立戦争』のまく上げだった(ただのとっくみあいと能力の使用)。 「……赤音ちゃん、もう一度お願いします」 「……さっきからやってますが無理です。あっちが大きすぎです」 「ううっ、赤音ちゃんでも無理ですか……。なら翔太ちゃん、お願いします」 「えっ!?おばさん!!僕には無理だよ!!範囲が絞れなくて皆に当たっちゃうよ!!」 「大丈夫なのです。翔太ちゃんのデータはちゃーんと把握してますから。おもいっきりやっちゃってください」 「おばさん、僕はどうなっても知らないからね……」 次の瞬間、男達が物理的に燃えた。 「「「「「「「「「「「「アチイィィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」 追記しておくが、燃えなかった男は上条、一方通行、上条を利用した土御門と浜面である。 そんな物理的に燃えている男子はほっといて、小萌先生は教壇で翔太の能力解説をする。 「えー、翔太ちゃんの能力はただの発火能力(パイロキネシス)とは違いまして、 空気中の元素をプラズマ化し、あらゆるものを焼き尽くす能力なのですよ」 「それめちゃくちゃ便利な能力じゃないですか!!」 上条がすかさず突っ込むが、翔太はあまりよくない顔をし、 「攻撃にはいい能力ですけど、対象が絞れなくて全部焼き付くしちゃうんです」 事実上、現在進行形で物理的に燃えてる男達の炎を消してる上条と一方通行、後白雪である。 転校の理由の一つは、小萌に能力の制御の仕方を教えてもらうためである。 「……コイツラ全員病院行きだな、まァあのカエル医者なら1日で直せるだろォけどな」 「ううっ……ごめんなさい」 「別に翔太が悪い訳じゃないだろ?こんなことで言い争ってるコイツラが悪いんだ。 コイツラは一度痛い目にあわなきゃ反省もしないだろ」 上条の言葉に翔太は少しだけ励まされるが、上条に対する女子の視線が何故かキツかった。 「カミやん、それはお前も同じぜよ」 「「「「「「「「「「「そーだそーだ!!」」」」」」」」」」」 「何で女子からも非難をうけてるんでせう!?不幸だー!!」 女子が言いたいのはフラグを立て続ける事に怒っているのだが、上条は一生気付くことは無いのであった。 燃えなかったのは男子は当麻達以外にも居た、最初から『胸対立戦争』に参加していなかった真夜もその一人。 貧乳の真昼、巨乳の赤音の二人を恋人にしてる彼にとっては対立すべき理由も無く、それ以前に真昼と赤音以外の女性観で論ずる思考など持ち合わせていない。 まあ、仮に燃えたとしても【瞬間超人(リーンフォースセレクション)】を使えば火傷程度はあっという間に治ってしまうのだが。 (ふぅん、月詠か。自主練すれば能力の制御も出来るようになるかもな。試しに今度誘ってみるか♪) 真夜は思った、目の前の少年も自分達の自主練に参加してもらって強くなって欲しいと。 その一方で自分を盾にした土御門と浜面を責める当麻の姿があった。 「てめぇらさっきはよくも人を火避け代わりに使いやがったな! たまには自分達で切り抜けろ!」 「無茶言うなカミやん。カミやんはこうゆう時にこそ存在して輝くもんぜよ♪」 「土御門の言う通りだ上条。俺らに災害から自力で助かる力は無い! だからこそ親友を頼るってのが筋ってもんだろ!」 (親友なら半蔵のことは少しくらいは気にかけるもんだろ……) それぞれの自論を掲げる土御門と浜面に呆れた当麻、特に火傷した半蔵に気付いていない浜面に対して。 焼いてしまった男子を申し訳なさそうに見ている翔太を見て、真昼はバレンタインに見かけたあるものを思い出していた。 「やっぱりアレって月詠だったのか……? だとすると相手の女は……」 「どうした井ノ原姉? ははぁ、さては貧乳どころか無乳のことを嘆いゲフッ!」 「黙れバカ面、じゃなかった浜面。ただバレンタインの時に月詠らしい奴がすっげー露出してる茶髪の女と抱き合ってたのを見たような気がしただけだ」 真昼の発言を受けて嫌な予感を立てたしまった土御門と一方通行。 ちなみに真昼はセクハラ発言をした浜面を半蔵仕込の実戦テクニックを利用した膝蹴りを彼の顔面に叩き込んでいたりする。 「なあアクセラ。もしかしなくても翔太の恋人って」 「言うな。アイツの名前を口にしたら隣のクラスに転入してきたってふざけた展開になりかねねェ……」 その頃、三年の教室では結標が自己紹介していた。 ……………………………………もちろんさらしで。 「霧ヶ丘女学院から来ました、結標淡希ですよろしくお願いします」 ただただ、欲情期まっさかりの男達はその胸の谷間が見えないかと踏ん張っている。 そして女子たちはその男子たちに冷たい視線。 男達は現在進行形で何かささやきあっていた。 「俺のクラスにとうとう巨乳がッ!!」 「しかもさらしだぞ!?今年は俺の時代が来たのか!?」 「二年の郭と吹寄もいいが、あれはあれでたまらないィィィいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」 「おい落ち着け!!転校生に聞こえるぞ?」 もう全部聞こえてるんだけど……、と突っ込みたいのは我慢していい案を思いつく。 「ちなみに私、彼氏いるから」
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上条当麻(かみじょう とうま) 【概要】 【法則性】 【人称】 【趣味嗜好】 【行動パターン】 【登場巻一覧】 【例文(原作より抜粋)】 【概要】 『とある魔術の禁書目録』第一主人公。基本的には一般的なやや口が悪い男子高校生といった口調だが、本人のテンションによって口調が変わったり独特の言い回しをする場合がある。 このページの最上部へ 【法則性】 年上相手でもため口が基本だが、小萌先生などの学校の先生相手には一応敬語を使う。しかしこの敬語も高校生が無理してちょっと丁寧な言葉使ってみました程度のものであり、薄いメッキは状況次第で簡単に剥がれる。 【特殊な言い回し】 1巻40p 「当然なの!当然なんだよ当然なんです三段活用!」 2巻130p 「食ったんかい!食ったんだな食ったんだろ三段活用!」 1巻56p 「……、どゆことでせう?」 新約8巻23pに混乱してオネエ口調になるシーンがある。これ以降パニックになった時にはちょくちょくオネエ口調となる。 新約8巻23p (……もう嫌だ。もうイヤなのよォォォォ!!あたくしの寿命が太い蝋燭の形で表現されるのならば、この手の死ぬほど情けねえミッションで蝋燭が半分以上ゴリゴリ削れているに決まってるわ!!ていうかぶっちゃけ大真面目に魔術師と戦うよりこっちの累積ダメージの方が多い気がするじゃないのよォォォォォォ!!) このページの最上部へ 【人称】 一人称 基本は俺。 二人称 基本『お前』。あまり親しくない相手に対しては『アンタ』。相手の名字を呼ぶ場合も多い。ただし外国人相手の場合は名字が先だと勘違いしているのかファーストネームで呼ぶ。 【例外】 レイヴィニア=バードウェイのことは『バードウェイ』と呼ぶ。妹のパトリシア=バードウェイのことは『パトリシア』と呼ぶ。 土御門元春のことは『土御門』と呼び、義妹の土御門舞夏のことは『舞夏』と呼ぶ。 超電磁砲10巻64話66pで削板軍覇の事を『軍覇』呼びしている。この呼び方は超電磁砲のみのため理由があるのか単に間違えたのか判断ができない。 【追記】 2019/8/6超電磁砲担当編集である荻野謙太郎氏のツイートにより『軍覇』呼びは誤表記であることが確認された。『削板』に読み替えて欲しいとのこと。それはさておいて『軍覇』呼びは非常に萌えるんだよな。 このページの最上部へ 【趣味嗜好】 2巻130pの記述にて、1個700円のプリンを買って冷蔵庫に入れていたことが分かる。甘いもの好きのようだ。かわいい このページの最上部へ 【行動パターン】 このページの最上部へ 【登場巻一覧】 巻数 ページ 1巻 10p~130p,142p~159p,163p~279p,284p~294p 2巻 10p 3巻 16p 4巻 10p 5巻 10p 6巻 20p 7巻 37p 8巻 49p 9巻 16p 10巻 10p 11巻 10p 12巻 15p 13巻 26p 14巻 24p 16巻 18p 17巻 23p 18巻 36p 20巻 43p 21巻 11p 22巻 10p このページの最上部へ 【例文(原作より抜粋)】 このページの最上部へ
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とある女子寮の狂想曲 さて、話が変わるがこの女子寮には和室が存在する。 実質使用しているのは神裂のみなのだが、日本人の客のどをもてなす時などにも活用される。 そんな障子で仕切られた部屋に正座する人間が二人、片方は日常的にこ部屋を使用する神裂であり、ここまでは何の違和感も無い。 さてもう一人。 今世界中で巻き起こる紛争及び戦争の超中心人物であり超平凡な高校生、その名は。 「何でここにいるのですか上条当麻!!」 「ええぇぇぇェェェっっっっ!?別にまだ上条さん怒られるようなことしてませんのことよ!?別に今日は変な魔術師の団体に命狙われてねぇし!!」 「ちょっと待ってください、だってもう学園都市の外にいる時点でイレギュラーでしょうに!!しかも何故ここ!?」 「知らないもん!何か担任の先生に「上条ちゃんは馬鹿なので外国で修学旅行なのです…?」とか変な疑問形で言われただけだもんね!!」 実際には学園都市の長アレイスターによる「プラン」省略のための布石だったりするのだがそんなことを超平凡な高校生が知る筈もなく。 「で、何かローラさんとかいう人が面白そうだから此処に泊まれって。」 「馬鹿ですかあの女狐ェェェェェェェっっっっ!!!」 何時に無く荒れる神裂にビビりまくる上条、当の本人は知らないがここは女子寮である。そこにこの人間を泊まらせるとなると……、 「い、いったい何人修道女を辞めなければならなくなるのでしょうか……」 「どういうこと!?アナタの目には私は貪欲な変態魔神に見えてるのでせうか!?」 「そこの障子から何人かが興味深そうに覗いてる時点でもう危ないんですこの旗男が!!!」 どぴっしゃーーーん!と聖人の力をフル活用して障子を閉める神裂に震えまくる上条はでっかい鞄から包みを取り出し 「かかかかかか神裂さん!?ここは一つお土産で気を落ち着かせてくれませぬか!?」 「……日本人が日本のお土産を貰うのはどうなんでしょう」 そう言いつつもやっぱりちょっと嬉しそうにしてしまう神裂、それを見た上条は (ありがとう土御門!お前から渡されたお土産で俺の命は救われた!) 「開けてもいいですか…?」 「どーぞどーぞ」 (何でしょう、触ったところ何か服のような物でしょうか…?) 曲がりなりにも上条当麻からの贈り物ということで若干ドキドキしてしまう神裂火織十八歳。 色々と期待しながら包みを解いていく彼女が見たものとは、 派手なピンクの衣装とそこに張られた「女子高生ツンデレメイド」の文字だった。 「上条当麻ァァァァァァァァァァぁぁぁッッッッ!!!!」 「なっ、何なんでせうかってオイ!何持たせてんだよ土御門!?…神裂さん!?これは土御門のアホンダラが仕掛けた愉快なハニートラップであり上条さんは何一つ悪くないのでありましてですねーーッ!!?」 そんな血なまぐさい光景をオルソラやアニェーゼなど幾百人ものシスターが覗いていたのはまた別の話。 続く
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初心者は御坂かアックア。上級者は一方通行か土御門かな -- (ベクトル) 2012-01-21 15 40 25
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超能力開発カリキュラムにおいて、透視系の能力開発のための実験。 目隠しでポーカーするというもの。 土御門曰く「朝まで居残りだったにゃー」。
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イメージとしては・・・「土御門?」 お調子者だけどいいやつ やるときゃやる 皮肉を言うがイヤミに聞こえない 運動神経はいいほう ムードメーカー カレーパンが好き