約 2,067,539 件
https://w.atwiki.jp/redstriker/pages/38.html
redstriker内で名(迷)言となっている言葉、重要でもない言葉を載せました。 名言 用途 使用例 驚きの白さ FB食らったときの画面の白さをたとえたもの 朝霧「驚きの白さ(キリッ」 そうじき MG3。目の前の敵をまるでゴミのように処理していくことから ガガガガガガガガガガガガ 就活の面接官みたい メンバーが少なくなった我がクランの人材の欲しさにマスターが自分の気持ちを的確に表した一言 活気のある人が欲しいのに全然こないよ・・・なんだろうこの気持ち・・・就職活動の会社の面接官みたい・・・ にゃー マスターの口癖 朝霧「にゃー・w・」 おなかいたい 腹が痛いときに使う サカナや「おなかいたい」 重要なのは行った大学で何をするかを見つけることだ 学校選びをする某クラメンにクドが言った一言 受験生に言うと感動のあまり泣く ゴバる 動詞。「誤爆」の動詞形。チャットの種類を間違えたときに使う。 ダチョウの足「ゴバった。」 ばけこたーん! 化け狐を呼ぶときに使う。みんなで呼ぼう!せーの!「ばけこたーん!」 化け狐「ばけこっていうなー!!」 あしぶくろ(笑 足袋さんを呼ぶときに使う。 化け狐「あしぶくろさん!」 はじけたわー 殺されたときに使う まさっぺ「はじけたわー…」 待ってくれ!!話せばわかる! 絶体絶命のピンチに陥った時に使う kimoD「待ってくれ!話せばわかrくぁwせdrftgyふj!」 100円でどうだ! 命乞いをするときに使う kimoD「100円!100円! いや…120円でどうだ! アーッ!!」 くつしたー! 突進するときに使う まさっぺ「くつしたー!」足袋「くつしたー!」
https://w.atwiki.jp/defectivedoll/pages/27.html
Name Kill Death grEy^d0Ll 19 9 森のくま♪ 15 7 Mari0nEtte 13 9 V0oDoo 9 8 BarBiE 4 10 3連戦目。 強い相手だったが勝利。 嬉しい試合だった。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/sacredsigh/pages/14.html
2階へ 廊下 部屋1 部屋3 部屋2 壁 廊下 壁 地下室へ 廊下 玄関 廊下
https://w.atwiki.jp/achdh/pages/66.html
②*③*④ * 『開始10分前です。出撃、スタンバイしてください』 「了解。出場資格コード:GCA-L013、出場機体コード:ラピッドタイド。スタンバイ開始します」 眼前の投射型ディスプレイから溢れる灰青色の光源が染め上げるコクピットの中、ヴァネッサは静かに、しかし大きく息を吐きだした。 コンソールキーを軽やかに叩き、機体制御プログラムの完結プロトコルを起動させる。空白に満ちたディスプレイに機体情報が関連画像と共に羅列形式で出力されていく。 『リサ、起動を完結。戦術支援プログラムを第三種準備待機態勢から、セミ・アクティヴへ移行する』 「おはよう、リサ。今日がいよいよ正念場よ。よろしくね?」 『お前の、10年の成果を見せる檜舞台だ。此方こそ、宜しく頼む』 完結プロトコルに最後に起動した機体搭載のリサ──ヴァネッサが10年前に、自らその名を預けた戦術支援AIが、滑らかな口調で返事を返す。その相棒の心強い言葉にヴァネッサは、「よし」と胸中で意気を入れながら頷いた。 ヴァネッサと戦術支援AIであるリサの付き合いは、時間にして見るならば非常に長い。ヴァネッサにとっては、最も古い部類に入る友人とも言うべき存在である。戦術支援AIである"彼女"の原始、所謂ボトムアップ式AIプログラムが旧世代遺跡から発掘されたのが10年前であり、それと同時期にヴァネッサは、育ての親である【ターミナル・スフィア】の経営者・ノウラの庇護下に入り、共に生きてきた。 『相手はコーテックスの知己だ。分かっているだろうが、抜かりはないな?』 「うん。ありがとう、大丈夫」 機体制御態勢を、第三種準備待機態勢から第一種準備待機態勢へ移行。リサに機体制御補正プログラムを更新させつつ、投射型ディスプレイに視線を走らせて機体状態を素早くチェックしていく。 「機体駆動機構各部、冷却機器群、出力機構群全て問題なし。各戦術支援プログラム、起動状態良好。搭載兵装、最大運用効率に問題なし。オールグリーン」 『機体制御補正プログラムの修正を完了。此方もオールグリーン』 「了解。機体コード:ラピッドタイドの起動を確認」 出力機構群から送り込まれていくエネルギーの奔流が機体各部を巡っていく、その鈍い稼働音と震動音がコクピットを静かに震わせる。 時刻は午前0655時。コンソールからアリーナ主催の管制室へ通信要請を行う。 「アリーナ管制室、コントロールへ。機体コード:ラピッドタイド、スタンバイ完了。出撃許可を要請する」 電波状況良好の回線を介して、女性のガイドヴォイスが届く。 『了解。ラピッド・タイドのスタンバイ完了を確認。アリーナへの出撃を許可します。ガレージ、開口します』 その指示と共に前方のシャッターが開き、徐々にその向こう側に溢れている鋭いライトが搭乗機体・ラピッドタイドの全貌を明らかにしていく。 『シャッター開口完了、前進してください』 「了解」 それに従い、ヴァネッサは足元のフットペダルをゆっくりと踏み込んだ。 搭乗機体に対する特殊な適性を見出されてから乗り込んできたAC──重戦車型機体のキャタピラを回転させ、ガレージからアリーナ空間へその全貌を現せる。 遥か高みの天井から燦燦と降り注ぐスポットライトの光源がアリーナ空間を明々と照らし、全周囲に渡って出力されている大観衆の狂騒とした映像群と観声が、アリーナ内の待機ラインで停止したラピッドタイドのコクピットにいるヴァネッサの視覚と聴覚を刺激する。 周波数を致合させた回線からアリーナ運営委員会の実況中継が始まり、コクピット内に流れ込んでくる。 『さあ、観衆の皆さんも待たれた事でしょう。いよいよ予備大会決勝、開始時刻です!』 若い女性のキャスターが、開始前にも関わらず狂乱の様相を呈したアリーナを更に盛り上げるべく、自らも興奮に満ち満ちた声音で実況をはじめ、実況席の隣にいるのだろう解説アドヴァイザーの男も言葉を交える。 『予備大会とは言え、これだけの観客動員数は異常ですね。それだけ、新鋭レイヴンの実力が予備大会予選から注目されてきたという事でしょうが』 『速報では、先ほど行われたレイヴンズアーク主催のアリーナ本戦においても、トップクラス・マッチで新しい1stランカーが誕生したそうです。最近はこのコーテックスを含め、若手の台頭が著しいですね』 そんな実況と解説のやり取りを耳にしながら、迫る決勝の開始時刻に視線を配る。 「凄いお客さんだね……。緊張しちゃうかも」 『それだけ、次々と現れる新鋭に世論が注目しているという事だ。この舞台で、無様な醜態はさらせんぞ。前を見ろ、ヴァネッサ……』 リサの言葉に倣い、ヴァネッサはメインディスプレイの有視界内は前方、対向線の待機ラインに佇む決勝の対戦機体に視線を移した。その時、まさに真向いの待機ラインに立つ軽量二脚機体を駆る見知った相手のレイヴンから通信要請が入った。 リサが計らいを見せて実況中継の音量を下げ、ヴァネッサはその事に胸中で感謝しつつコンソールを叩いて回線を開いた。 ざざ、と砂嵐のようなノイズが短く走った後、通信回線が開かれる。 『おはよう、ヴァネッサ』 「こっちこそ、ジェリー?」 深く見知った間柄である同期のジェリーと、朝の挨拶を交わす。予備大会決勝の対戦相手であるジェリーとは、グローバル・コーテックス隷下の兵士育成施設に入った5年前から共に年月を過ごしてきた仲である。特別外部育成枠を用いて育成施設から予備大会の出場にまで漕ぎ着けたヴァネッサに対し、知己であるジェリーは、グローバル・コーテックスの専属レイヴン、つまり純粋な生え抜きとして決勝にまで勝ち上がってきた。 一回り程も年齢が上のジェリーをヴァネッサは兄妹のように思っていたが、二人は此処まで一人の戦士となるべく研鑽を積んできた。予備大会とは言え、決勝の檜舞台における相手がジェリーであった事に、ヴァネッサは大きく歓喜した。 『特別、互いになにか言うことはないか』 「かもね。此処まで来たら、後は互いの結果を讃えるだけにしましょう?」 『ああ。互いに健闘を、ヴァネッサ』 『ええ。互いに幸運を、ジェリー』 知己との短い会話を終え、ヴァネッサは実況中継と共にジェリーとの回線を閉鎖した。コーテックス・アリーナ管制室からの無線が入る。 『開始まで一分です。出力映像を停止、貴君の健闘を祈ります』 アリーナ空間の全周囲に展開していた観客の出力映像がぶつりと途絶え、それと共に空間内に満ちていた歓声も消え去る。全周囲数百メートルに及ぶ広大なアリーナ空間の本来の全容が有視界内に映し出され、ヴァネッサは軽く瞼を下す。 (私は負けない。行こう……) 目を開き、右サイドのサブディスプレイに表記されたカウントダウンの数字を視界の隅に捉える。残り10秒を切っている。 操縦把を両手に握り込み、前を見据える。 『通例通り、敵機体:ブルーマーレの機体構成は軽量二脚型だ。あちらの有効射界内に一切踏み込ませず、高密度火力で一機にカタをつけろ。長期戦は無用だ』 「了解。これより戦闘機動を開始する。よろしく、リサ」 『ああ』 カウントダウンが重い電子音と共に決勝開始を告げ、それと同時に前方に捕捉したジェリーの搭乗機体:ブルーマーレがブースタ出力最大で宙空へと展開する。 リサが即座にブルーマーレの機体情報を解析プログラムに走らせ、サブディスプレイに情報出力する。 機体構成はクレスト社純製の軽量二脚機。武装は軽量二脚という構成に則り、同社製の短機関砲を右腕に、レーザーブレードを左腕に備えている。 『ブルーマーレ、背部兵装ミサイルコンテナを展開、──発射』 有効殺傷域外からの牽制攻撃だろう、ブルーマーレは左背部に搭載したミサイルコンテナから垂直型空対地ミサイルを連続射出した。仮想空間内の射出高度限界まで上昇した垂直ミサイルが降下を始め、ヴァネッサは最前衛の弾頭を捕捉し、右腕兵装のグレネードライフルから榴弾を撃ち放った。 最前衛のミサイル弾頭に榴弾が直撃し、仮想戦域を揺るがす轟音と共に爆炎が散った。その爆炎に突っ込んだ後続のミサイル群が次々と誘爆し、爆散した弾頭の残骸が地上に焦熱体となってラピッドタイドの機体に降り落ちる。 『敵性動体、右舷14時の方向より急速接近。近づかせるな、弾幕を張れ』 リサの的確な戦術支援を耳に入れながら操縦把上部のスイッチを押し込み、兵装を左背部兵装の多砲身式回転機関砲に転換、左腕兵装の同種短機関砲と合わせて砲口を機動旋回するブルーマーレへ突き付けた。 ジェリーの駆るブルーマーレは以前から知り得ていた通り高機動戦に特化し、それを突出戦闘に用いたオーソドックスな戦術を旨としている。 両手に握り込んだ操縦把付随のトリガーを握り込み、最大回転効率で砲弾を撒き散らした。 無数の火線が殺到し、旋回機動を取るブルーマーレの軌跡に追いついた火線が装甲に着弾して同機の推力バランスを著しく搔き乱す。 『推力バランスの低下を確認。ヴァネッサ、狙えるぞ』 「まさに短期決戦ね、ジェリーには悪いけれど……」 左腕兵装を固定維持し、背部兵装を多砲身式回転機関砲から右背部のリニアキャノンへ移行。ブルーマーレが推力バランスを安定化される前に、リニアキャノンの照準を完了してトリガーを絞り込む。 重い反動音が重戦車型であるラピッドタイドの機体をその場に一瞬押しとどめ、特殊機構によって強化推力を得た砲弾がブルーマーレの頭部目がけて飛来。 着弾時点で頭部パーツは損壊するだろうが、ヴァネッサはジェリーの戦術センスに対して過小評価を与えてはいなかった。戦術支援AIであるリサもそれを分かっていたのだろう、リニアキャノンの次弾装填を完了した直後に自律支援プログラムに則って背部兵装を搭載機関砲へ再転換した。 ヴァネッサの期待通り、ブルーマーレは回避機動が間に合わないであろう事を受け入れ、自ら機体を正面に向けて左腕兵装のレーザーブレードを最大出力で現出させ、それを振り抜いた。 正確なブレード攻撃によって融解したリニアキャノンの砲弾の残骸が、ブルーマーレの肩部装甲を若干削り取ってアリーナの天井に突き刺さる。 搭乗者であるジェリーのその操縦技術は、人の域を越えた場所にある反射能力の賜物であった。そしてそれだけではなく、彼には遍く在るレイヴンが持ち得ようとしても中々持ち得ない、兵士としての才覚があった。 『変わらず化物振りを披露してくれるな、あの若造は……』 皮肉を混じらせてリサが言う。育成施設における訓練生時代から、自身の訓練機体に搭載してきたリサは、ジェリーのそれについてはヴァネッサと同じくよく知っている。 強化内骨格施術──所謂強化体処置を受けずにいながら、兵士として極めて恵まれた素質を持っていた事により、彼は此処まで上り詰めてきた。 リサが先行して既に済ませた転換兵装を上空へ向け、対空迎撃態勢を完了するのもそこそこに再び短機関砲による弾幕射撃を行う。ブルーマーレは無理な回避機動を取らず装甲でいくつかの砲弾をいなしながら、しかしスラスターを連続噴射して大胆に降下接近してくる。 『有効射界に踏み込まれるぞ。幾らかは装甲で無力化できるだろうが、覚悟しろ』 「了解。決定打になる前に、今度こそ……」 機動力において多種機体より明らかに劣る重戦車機体では、近接戦闘に持ち込まれた場合に相手が軽量二脚では、圧倒的に分が悪い。だからこそ、相手の有効射界に踏み込まれる前に、高密度火力で一気にカタをつける必要があった。だが、そうそう上手く事が運びはしないという事は、ヴァネッサもリサも最初から見越していた話である。 此処が本番で、終幕だ── 口許を歪めて軽く舌舐めずりし、ヴァネッサはメインディスプレイ上部に表記されたAPゲージ【アーマー・ポイント】にそれと無く注視し、それから右舷上空のブルーマーレを捕捉した。 アーマー・ポイントとは、各傭兵仲介企業が運営するアリーナ興行において多く導入されているポイント・システムの事である。搭乗機体の装甲各部や駆動及び出力機構の損壊具合に併せ、それに見合ったポイント損失を基本とし、継戦態勢が不可能と判断された時点で搭乗者の自己判断により勝敗を決するものである。 古い同期、ジェリーとの手加減なしの仕合いはこれで二度目。 カメラアイを介して視線が交錯した刹那、互いの搭載火力が衝突した。 瞬間火力に優れたブルーマーレの短機関砲から文字通り灼熱の弾雨が降り注ぎ、対実弾性能に優れたラピッドタイドの外部装甲が砲弾を弾き返す。 被弾による細かい震動がコクピットを揺さぶり、しかし、それに構うこと無くヴァネッサは両人差し指でトリガーを押し込み続ける。アーマー・ポイントが激しい勢いで減少を続け、機体表面温度が急激上昇。機体維持機能の再設定をリサが告げる。 『表面温度が急上昇している。エネルギー出力を一部低減、冷却機構稼働率を60%増幅』 リサの冷静な戦術支援に感謝しつつ、ヴァネッサは至近距離からの絶え間ない被弾に耐えしのぎ、小刻みに回避機動を取りながら接近しつつあったブルーマーレの機体を漸く後退させる。 だが、搭乗者のジェリーはブルーマーレを有効射界の外側まで下げはしなかった。ラピッドタイドの左腕と左背部搭載の短機関砲による砲撃を最小限の機動で回避しながら、ブルーマーレが兵装転換の予備動作を見せるのをカメラアイが捕捉した。 『ブルーマーレ、背部レーザーキャノンを展開。来るぞ』 軽量二脚機にも関わらず重量高出力型のレーザーキャノンを背部に搭載するブルーマーレは、同兵装を左背部より転回、その超大な砲身をこちらへ向けた。牽制射撃による被弾を無視し、その先で精密射撃による一撃を狙うブルーマーレのカメラアイと、レーザーキャノンの砲口に意識を傾注する。 「4,3,2,──来るわ」 ブルーマーレの旋回機動に合わせてタイミングを合わせていたヴァネッサは、有視界内にブルーマーレの機影を捉えた状態で、レーザーキャノンの砲口から鋭い光源が溢れるのを目視、同時に操縦把外側面付随のボタンを押し、内部保機兵装のECMメイカーを放出した。 機体周囲に放出した自律浮遊式のECMメイカーが高出力の妨害電波を拡散放射し、対妨害電波性能に優れたブルーマーレの頭部機能を"恐らく"、一瞬でも麻痺させる。 ──視覚を一瞬でも聾しかねない光を伴った光線が、地上のラピッドタイドへ向けて走った。 ラピッドタイドの頭部側面が焼却され、けたたましい警告音とメッセージと共にカメラ機能の一部が完全に停止。リサが損壊状況を伝え、各種センサー群による戦術支援効率の底上げを伝える。 ヴァネッサは目をしっかりと見開きく。レーザーキャノンによる頭部への被弾の最中に、兵装転換を済ませた右腕兵装のグレネードライフルを持ち上げ、射撃反動によって推力バランスを崩しながらも低空を飛行していたブルーマーレに榴弾を放った。 それほど離れていない距離、互いにとっての完全な有効殺傷域内でブルーマーレを爆心地に赤々しい炎が広がる。衝撃波を受けたECMメーカーが周囲で爆発し、直後爆炎の中から最大推力でブースタを噴射しながら、ブルーマーレが離脱してきた。 『敵機体、頭部欠損。索敵性能ダウン。容赦するな、一機に畳み込め』 戦術支援AIであるリサが元来の冷徹さを示すように、慈悲のない指示を出した。その言葉に無言で同調し、さらに兵装転換をしてヴァネッサはリニアキャノンの砲弾をブルーマーレに向けて撃ち込む。頭部欠損の他にも機体各部に機能不全を起こしているのだろうブルーマーレは、ラピッドタイドの砲撃に対して有効な回避機動を取ることもなく容易く、一撃で右腕を謙譲した。 肩部当たりから吹き飛んだ右腕の名残りが地上へ落下して転がり、その衝撃によって損壊したクレスト社製の短機関砲が右腕を巻き込んで爆散する。 機体の強制的な後退を迫られ、ブルーマーレが低空から地上へ着陸、残余推力で土煙を上げながら後方へ滑走する。 『敵機体、残余APの欠乏を想定確認。見事だ、ヴァネッサ。お前の──』 「待ってリサ、まだだ──!」 滑走の後、機能停止を選択するかに思われたブルーマーレだったが、コア後背部から高出力の噴射炎が噴き上がる。次の瞬間、頭部と右腕を欠損しているという致命的な状態を差し置いて、ブルーマーレの機体が高出力で突進してきた。 『速やかな自殺を所望か、あの若造は。いよいよもって、本当の化物だな……』 アーマー・ポイントはあくまで勝敗を決する為の境界線であって、搭乗者の意思関係なく決せられる勝敗システムではない。それは搭乗者の生命維持を最優先に考案されたシステムであり、アーマー・ポイントの枯渇に関係なく機体機能が維持できるのであれば、継続戦闘は可能である。だが、その先からは一切の生命の保障が効かないという多大なリスクを背負ってしまうが。 致命的な損壊を既に追っているブルーマーレ──その機体を操るジェリーはそのリスクを自ら課してなお、継戦を選択した。 機関砲による高密度の弾幕をコア部急所への狙いを外して展開するも、ブルーマーレはまともな回避機動を取らず、しかし覚悟を決しているかのように真正面から突っ込んでくる。 『何をしている、ヴァネッサ。致命打を貰うぞ』 「わかってる。けど──」 決定打にならない弾幕をブルーマーレは機体全身の装甲を犠牲に切り抜け、左腕に残ったレーザーブレードの刀身を現出させる。有効殺傷域の間合いすら詰み切り、後ろに投げ出されるような重い衝撃がラピッドタイドの機体を貫いた。 『左腕部欠損、AP40%減少。次はない、確実に仕留めろ。……ヴァネッサ、お前は何の為にレイヴンになったのだ? その致命的な甘さを、世に露呈する為か?』 プログラム・ヴォイスは至って平坦だが、疑似人格の物としては余りに抑揚を感じさせるその言動に、ヴァネッサは胸中で申し訳なくなった。 「違うわ。私はあの人の、先生の為に戦うの」 後背へ切り抜けたブルーマーレがそのまま上空へ飛翔し、オーバード・ブーストを維持したまま旋回機動を取りながら、今度は左舷10時の方角へ回り込む。 『ならば尚更だろう。此処で死んでは、何にもならんぞ』 「そうだよ。でも、私は人を殺す為だけにレイヴンになるんじゃない。その事を此処で証明できなければ、私は──」 鈍重な機動しか取れない重戦車で旋回機動を取り迎撃態勢を展開する中、ヴァネッサは脳裏に別段思い出したくもない過去に無意識に触れていた。 兵器災害などというクソのような未曽有の災害危機が人類を襲うよりも以前──、世界中の何処にでもあるような戦場で、一人の少年兵として物心がつく前から銃を持たされてきた。 泥まみれの無骨なライフルが可愛らしい小奇麗な人形の代わりで、絶え間ない銃声と悲鳴がいもしない母の子守歌の代わりだった。5つ位になる頃には、其処らの大人の兵士よりも戦場で人を殺した。戦闘員非戦闘員の分け隔てなく。育ての親のくせに名前すら知らない武装勢力の尖兵として。 育ての親で覚えているのは、のっぺらぼうの兵士が言った言葉くらい。 ──殺せ。明日が見たければ。 その言葉だけが、まるで遠い先祖から延々と語り継がれてきた呪詛のように頭に貼り付き、最初の頃にあったはずの恐怖は次第に麻痺していった。その言葉だけが、からっぽの身体を動かす唯一の原動力にすらなっていた。 『ブルーマーレ、急速接近。約10秒後に接敵する』 戦術支援AIとしての役割を損なわず、その面に関してリサは淡々と任務を遂行する。その行為の裏側に、単なる被造物としてではない感情が"彼女"には介在しているのでは、とヴァネッサはいつからか思っていた。 「私に、この生き方を示してくれたのは先生だ……」 明日を見るために、ただ殺すだけ殺して眠り、起きては殺し……いつか自分が死んで終わるだけだと思っていた日々に現れたのが、仲間を引連れて現れた"先生"だった。 先生──あの人にとって、その仕事はレイヴンとしての何でもない日常の一風景に過ぎなかったのかもしれない。事実として、育ての親である武装勢力が保有していたAC機体は、先生の引連れてきたAC部隊に悉く撃破された。 ──私達、少年兵部隊を一切手にかけずに。 あの人に拾われ、汚泥まみれの私達を見て、彼女は最初にこう言った。 ──誰が嘲ろうと、その生き方を通した者が正しい。お前達は生き残った。正しかったんだ 彼女は彼女の生き方を、その戦場で私の目に焼き付けさせた。 遍く在るレイヴンという存在の例に漏れず、"先生"も非情を極めた兵士だった。けれど、彼女は自らに生き方を課し、それを全うしてきた。 ただ、殺す為だけにレイヴンになるのではない。何もかもを殺して生き延びる為だけに。 「私は此処で、それを示さなきゃならないんだ……」 リサは暫く、といっても寸秒足らずの間だったが沈黙の空気を醸し、やがてヴァネッサのその言葉に返答をよこした。 『すまない、ヴァネッサ……。私も甘いな、お前のその生き方を信じ難かったとは……』 「ありがと、リサ。私は此処で勝つよ、必ず」 旋回機動を継続しつつ低空から地上すれすれに降下したブルーマーレが、正面から相対する格好で突進してくる。ヴァネッサは短く息を吐き出し、リサに一つの指示を出した。 「強襲用オーバード・ブースト起動、最大推力で突進する。付き合ってくれる?」 『無論だ。始めに言っただろう、此処がお前の檜舞台だとな』 リサが自律支援プログラムを実行し、最大推力による強襲用オーバード・ブースト起動プロトコルを完結させる。ヴァネッサは一瞬の逡巡もなく、操縦把上部のカバーを親指で弾き上げ、中の起動スイッチを押しこんだ。コア後背部の大型ノズルが展開し、出力機構から最大効率で供給されたエネルギーが重戦車の機体を最大推力で押し出す。 『接敵まで四秒。極点、ここに結ばれるか?』 左腕のレーザーブレードを除いて一切の武装を排したブルーマーレが、機体への負荷限界を度外視した速度で真正面から迫る。互いにオーバード・ブーストを用いて強襲機動を展開している。正面から衝突し合えば、軽量二脚機では一たまりもないだろう。無論、ラピッドタイドも無傷では済まされない。 生命の保障を捨てて継戦行為を選んだジェリーは、それをよく分かっているだろう。 ヴァネッサはそこに、自らの勝機を賭けた。 互いの機体がそれぞれの最大推力を持って衝突する刹那、ブルーマーレが予測通りに機体分解のリスクを背負いこんでまで、ブースタを左舷へ噴射し急速離脱する。 それを見越し、ヴァネッサはオーバード・ブーストを解除、同時に左脚部──左キャタピラのブレーキ・ペダルを全力で踏み込んだ。 「ぐ、うう……!」 身体が前方へ投げ出され、シートベルトが体に深く食い込む。機体制御用のセンサー群が左キャタピラの過剰負荷を伝え、サブディスプレイが警告メッセージで埋めつくされる。びりびりと痺れる右手で操縦把側面部の兵装転換スイッチを押し込み、背部兵装のリニアキャノンを展開。 通常の重戦車ではあり得ない機動力を実現してラピッドタイドの巨体を軌跡半回転させ、刹那早く機体反転を済ませ、推力展開を完了しかけていたブルーマーレと中近距離で相対する。 フレーム・システムでブルーマーレの左脚関節部を捕捉し、白熱した思考でトリガーを絞り込んだ。 リニアキャノンの砲身から撃ち出された大口径の砲弾は過たず、ブルーマーレの関節部を撃ち砕き、左脚部を丸ごと吹き飛ばした 機体バランスの再調整が間に合わなかった機体が急速に傾いで地上に倒れ込む。緊急停止したオーバード・ブーストの残余推力によって火花を接地面から吹きあげながら、滑走していく。百数十メートルほどのも地上を滑走しながら、ようやくブルーマーレはその機動を停止した。 『ブルーマーレの沈黙を確認……。お前の勝利だ、よくやったな』 白熱していた思考が徐々にクールダウンし、過剰放出されていたアドレナリンが薄れていくことによって激しく脈打つ心臓の鼓動が聞こえ始める。 「はあ、はあ……」 全身の骨格が軋むような痛みを覚え、しかし、ヴァネッサはその感覚に大した反応をする訳でもなく、ただ有視界内に映る、無残なまでにぼろぼろになり機体各部から黒煙を噴き上げているブルーマーレの残骸に視線を向けていた。 暫くしてラピッドタイドに通信要請が入り、機転を利かせたリサが回線を開く。 『こちらコントロール、対戦機体:ブルーマーレの沈黙を確認。貴君の勝利、おめでとうございます』 コントロールの若い女性が若干興奮した様子で労いの言葉を述べる。 『今からアリーナ内へ事後処理班及び緊急救護班が向かいます。機体制御を第一種戦闘態勢から第三種準備待機態勢へ移行、待機してください』 「……了解」 その後間もなくして事後処理班の特殊車輌部隊がガレージから現れ、滑車が外部繋留された事を確認してから、コンソールを操作してコクピット後方のハッチを開放した。 「出力機構の停止プロトコル完了……。ありがとう、リサ」 『みなまで言うな。今後がお前の、レイヴンとしての本番だ』 その冷静でありながら同時に温かみを感じさせてくれる友の言葉に、ヴァネッサは口許を緩めてみせた。 「中核基盤から直ぐに送信するから、待っててね?」 『了解。戦闘記録及び通信記録をデータバンクに保存。10秒後に休止状態へ移行する』 そして10秒きっかり経って、リサは自らシステムの休止状態へ移行した。コンソール下のハードから、戦術支援AIであるリサの中核基盤を抜き出す。コンソールを手動で操作し、全システムを停止。 ヴァネッサはコクピットから這い出し、外部繋留されていた滑車を伝ってアリーナ空間の地上へ降り立った。 すぐさま救護班が駆け寄り、 「何所か負傷は?」 「いえ、大丈夫です」 短いやりとりを交わし、代わって事後処理班のチーフと思しき鬚面のつなぎの男性が立つ。 「機体は事後規定に従ってガレージへ牽引後、専用ドックに搬入する」 先ほどと同じくらい短いやりとりを終え、機体表面部から立ち上る焦げくさい蒸気を鼻腔に捉える。 「お疲れ様、ラピッドタイド……」 事後処理班の作業員が機体処理に当たる隅で、離れた場所に倒れたブルーマーレの所でも同様の処置が行われていた。だが、コクピットを救護班が強引にこじ開け、中からパイロット思しき青年を引きずり出している様子を見て、ヴァネッサは目を細めた。 担架に乗せられようとした所で不意に青年は、肩を貸してもらっていた救護員から離れた。脇腹を押えながらも青年は自分の足で立ってヴァネッサの方へ視線をよこすと、意識の確かさを思わせる足取りでこちらへ歩み寄って来た。 頭二つ以上も背の高いジェリーが、穏やかな表情を浮かべてヴァネッサの双眸を覗き込む。 「悔しいが、さすがだよ。本戦出場おめでとう、ヴァネッサ」 「ありがとう、ジェリー。決勝の相手が貴方で、本当に良かった」 それは偽りのない本心。 先生と同じ道を志してから、共に生きてきた知己を相手に、ヴァネッサは自身の在り方を証明した。 ジェリーと握手を交わし、そして軽く背を伸ばして彼と抱擁を交わす。 「私は上へ行く。そこで、貴方を待ってるから」 「ああ。俺も必ず、その高みへ向かう。ま、暫くは療養生活だけどな」 ジェリーから離れると、彼は傍にいた救護員に再び支えられて、アリーナ空間を後にした。 ヴァネッサもコーテックス・アリーナの運営スタッフに導かれ、専用出口からアリーナを去る。連絡通路を個人待機室へ向かう傍ら、 「五分後に勝者インタビューがありますので、宜しくお願いします」 待機室に到着後、運営スタッフを部屋の外に残して扉をくぐる。 灯りが灯されたままのロッカールーム、その一番奥のベンチに、純白のダブルボタンスーツとタイトスカートに身を包んだ"彼女"の身体が壁に背を預けた格好で眠りについていた。一番隅のロッカーから専用接続ハードを取り出して中核基盤を差し込み、接続端子にウェアラブルコンピュータのコネクタを繋いだ。 魂の一切が抜けたように、頭を垂れて虚ろな双眸を開いている"彼女"の身体の横に腰を下ろし、暫く彼女の眠りにつく姿を眺める。 二十代半ばの若い女性の姿を模った身体。明るく艶やかな、腰元まで下ろされたブロンド。切れ長の眼は魂がなくとも、その身体の持ち主の意思の強さを象徴するかのように鋭い。 女性としての理想形を求めた、嘆美を追及された肢体。首筋の接続ジャックに接続ハードからコネクタを繋げた。 ウェアラブルコンピュータのパネルキーを叩き、中核基盤から"彼女"の魂を身体へインストールしていく。ウェアラブルコンピュータのディスプレイがインストール完了を知らせ、ほぼ同時に、彼女の俯いた頭が動いた。空っぽだった双眸に明確な意思が宿り、それを持って"彼女"は自身の身体を立ちあがらせる。 彼女は、自身を見上げるヴァネッサの双眸をのぞきこみ、 「改めて。ご苦労だったな、ヴァネッサ」 魂を吹き込まれたリサは、所有主であるヴァネッサの頭を優しく撫でた。 「うん、ありがと。すぐにインタビューが始まるから、見ててね」 「ああ。心配するな」 ヴァネッサは起動を完了したリサを伴い、小走りで会見現場に向かうべく待機室から連絡通路への扉を潜る。そばで待っていた運営スタッフの後に続き、連絡通路をつきあたった先の扉からコンテナ用昇降機の設備空間へ出る。 そこに多数のメディアのカメラマンと記者が、ヴァネッサの到着を今かと待機していた。 その中で現場統括に当たっていたと思しきコーテックス関係者の女性が、ヴァネッサを昇降機の中央に呼び寄せる。 「決勝、お見事でした。これより勝者インタビューを上で行ないますので、くれぐれも普段通りにお願いしますね」 にこやかな笑みを浮かべて彼女が言う。その声には聞き覚えがあり、ヴァネッサは彼女が決勝前後に自分をオペレートしてくれたコントロールの女性だと思い当たった。 その彼女の的確な指示に従ってインタビュー関係者が昇降機に乗り込み、ヴァネッサが確かに乗り込んだことを確認してから、傍にいたリサは昇降機を降りた。 「外から見ている。表に出るのはどうも苦手でな」 「うん。じゃあ、また後でね」 オペレーターの女性の指示によって昇降機が上昇をはじめ、吹き抜けの壁にリサの姿を阻まれて見えなくなる直前、彼女はこちらを見上げながら、何言か独り言を言っているようだったが、ヴァネッサには彼女が何を言っているのか、そこまでは読み取れなかった。 吹き抜け上部出口で、けたたましいまでの喧騒が行き交っているのが、ヴァネッサの聴覚に届いた。ほんの僅かにヴァネッサは鼓動を逸らせ、それが収まらないうちにヴァネッサを乗せた昇降機は吹き抜け最上部の出口まで登りきった。 文字通り割れんばかりの狂騒とも呼べるほどの歓声が、ヴァネッサを出迎えた。 数万人に及ぶアリーナ空間に映像として出力されていた、現実の大観衆が四方から拍手交じりの歓声を送る。すぐに勝者インタビューのマイクがヴァネッサに向けられる。 「予備大会決勝の見事な勝利、おめでとうございます!」 あまりに自身の心境とはかけ離れた周囲の対応に若干たじろぎながらも、ヴァネッサは質問のひとつひとつに浅く思考を巡らしながら、受け答えしていく。 一切鎮まり得ぬ狂乱の如き歓声の中、マイクを向ける女性がインタビューの締めとして、 「今のお気持ちを伝えたい方がいたら、どうぞ!」 「えっと……」 エデンⅣ全域に各メディアの実況中継で放映されているカメラを順番に眺めつつ、ヴァネッサの脳裏には一人の人物の姿が浮かび上がっていた。 ようやく此処まで、上って来た。 ひとつの在り方を示し、ひとつの在り方を実践する道が開けた。 そこまで導いてくれた彼女への、精一杯の感謝を。 ヴァネッサは大きな、満面の笑みを浮かべる。 そして、右手で作ったブイサインを掲げ、 「──先生。私、やりました!」 この日、後にグローバル・コーテックス・アリーナにおいて、トップクラスにまで上り詰める事になる一人の新鋭レイヴンが、アリーナ本戦への出場資格を手にした。 * 『──先生。私、やりました!』 TV画面一杯に映り、満面の笑みを浮かべながら言うヴァネッサの姿を見て、ノウラは額に軽く手を当てながら声を出さずに苦笑した。 『良い子だね、君の教え子かい?』 「ああ。今日付けでウチの社員だ」 ヴァネッサには【ターミナル・スフィア】に参画する為の最終試験として、グローバル・コーテックス・アリーナ本戦への参戦資格を課していた。今年で16歳になったばかりとはいえ、レイヴンとして生半可な実力を持つ者は必要ない。一線の戦力として確立できるよう、ノウラは教え子である彼女にレイヴンとしての手管を教え、彼女はそれを見事実証してみせた。 何も文句は言うまい。今日の所は。 『この手で世間の注目を集めるのは、柄じゃないと思ってたんだが』 「世の情勢が情勢だ。飯の種を得る為には、柔軟にならんとな」 『彼女は【社団】の広告塔、という所か……』 「まあ、そんな所だ。今回、コーテックスには良い商談相手となってもらったよ」 正規の、しかも大手の傭兵仲介企業が主催するアリーナ大会でのランクナンバーを保持しているレイヴンは、現在の所【ターミナル・スフィア】には存在しない。世間、その手の業界では独立した軍事力を保有する調査社団としての側面を知られてはいるが、今後の業界における情勢変化を鑑みるならば、社団内に正規ランクを持つレイヴンを新しく補填しておくのも悪くはないだろうと、ノウラは以前より一計してきていた。 内通回線の着信音が鳴り、ノウラは受話器を取る。 『現場より状況報告です。【バラハ01】及び【バラハ02】、0725時、エリア【Fr-06】から【Fr-14】にて、該当戦域における所定を完結しました。【バラハ03】も同様です』 「事後処理をミッションコード:012‐11から013‐13へ引き継げ。……【バラハ01】へ回線を繋げられるか?」 可能です、とメイヴィスが怜悧さを湛えた口調で言い、すぐさま回線接続処理に当たる。 ニュース続報が垂れ流しになっている投射型TVを背に此方へ向き直ったスワローが、 『其方の仕事かい?』 「ちょっとした保険に過ぎんさ。事後報告なら、後でコーテックスからお前の方にも伝わるだろうよ」 その言動にスワローは眉を細めて怪訝な表情を表してみせたが、結局それ以上は何も言及しなかった。 『……そろそろおいとまさせてもらうとするよ。支払いはどうすればいい?』 「いらんよ。是は双方の間で交わされた、唯の痴話話に過ぎん」 『……じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとう、ノウラ』 ノウラはスワローのその軽い謝辞に手をひらひらと振って応え、備えつけの箱から新しい紙巻煙草を取って咥える。 「──此れからの世の中、益々面白くなりそうじゃあないか。なあ、スワロー?」 『そうだね。ではまた、マダム・ノウラ……』 それを最後にグローバル・コーテックスの古い知己・スワローの出力映像にノイズが走り、やがて彼の姿は眼前から文字通り掻き消えた。 デスク内蔵のコンソールを叩き、室内を覆い尽くしていた仮想映像の出力を停止した。 ほぼ唐突に執務室内の元風景が戻り、窓貼りから差し込む人工の朝日の陽光にノウラは軽く眼を細めた。 『所長、【バラハ01】との回線準備、完結しています。繋ぎます』 電話子機に別の回線が繋がれ、暫くして別の訊き慣れた男の声が受話口から聞こえてきた。 「御苦労だったな、【バラハ01】。引き継ぎ完結の後、【バラハ03】及び【レジェス57】と現着合流して事後処理に当たってくれ」 『此方【バラハ01】、了解。……随分とあの娘を気にかけているな』 「身内になれば、お前が教導役になるんだぞ。今の内に親睦でも深めておけ」 無線の先から、同僚であるガロ──【バラハ01】が軽くため息をつくのがわかった。 『了解。引き継ぎ完結後、【バラハ03】及び【レジェス57】と現着合──』 無線は開放状態のまま不自然なタイミングで会話が途切れ、寸秒の後、耳を劈く極めて聞き慣れた轟音が受話口から轟いた。暫くして再度、今度は5発。 「どうした、【バラハ01】」 その誰何の問いから暫くしてもう一度銃声が響き、 『……作戦コード:012-11から、緊急即応コード:22-033へ移行する。マズいことになったぞ、ノウラ』 【バラハ01】が報告してきた緊急即応コードの構成ナンバーを耳にし、ノウラは席を立った。 「パルヴァライザーだと……?」 耳を疑う前に緊急即応コードに則った対応を即座に構築すべく思考をシフトさせ始めた瞬間、窓貼りの外から差し込んでいたはずの人工の陽光がぶつ、と途絶えた。 その不測の事態にデスクから窓貼りの傍へ走り寄り、それと同時に【ターミナル・スフィア】のオフィスが収容されている複合産業ビルの予備電力が起動して室内に灯りを灯す。 作り物の天井から燦燦と降り注いでいた照明は変わらず停止状態にあるようだが、窓貼りからのぞく商業区画のいくつかのビルは、予備電力の起動により灯りを取り戻していた。 デスク・コンソールからメール着信の電子音が軽く響き、ノウラはとんぼ返りでデスクにかけ戻る。 コンソールを素早く叩き、メールボックスに届いた新着メールをディスプレイに表示した。 差出人は、【統一連邦第四駐留軍機械化特殊作戦群】── 依頼内容は、【閉鎖型機械化都市エデンⅣの全区画に不正侵入した未確認敵性勢力及び、パルヴァライザーの排除】── そのメールの内容を見て、ノウラは口許を歪めた。 「全く、早速面白くなってきたものだな……」 →Next… ④ コメントフォーム 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/eventhf/pages/62.html
ステージLevel2-5クリアで購入可 雑感 Module Type Weapons Weapon Type Energy Torpedoes Cell Type Red×3 付随オプション Area Of Effect Range Projectile Speed Damage Projectile Speed Projectile Weight Cooldown Time Damage Cooldown Time Damage Energy Cost Range Weight ゲーム内情報 Damage Type Energy Damage 7.5 Energy Consumption 5 Reload Time 0.5 Range 25 Velocity 16 Impulse 10 Area Of Effect 3 Weight 150 価格表 ※数字単位はcr ※( )内はSmugglerでの購入価格 オプション 赤-2 赤-1 赤 無 緑 紫 金 購入価格 - - - 1400 1750 2100(☆4) (☆6) 売却価格 117 263 315 350 438 525 700 EngineerでのCreate及びUpgradeコスト一覧表 ※数字単位はcr Create コスト Blueprint使用 875 Star消費 875+☆2 Upgrade ※()内数字は赤→緑オプションにアップグレードする際の☆コスト 赤-1 赤 緑 紫 金 同一クオリティオプション合成 - - 437 525 700 Blueprint使用 - - 875 1050 1400 Star消費 ☆2 ☆2 ☆3(2) ☆3 ☆5 アップグレード後の売却額 263 315 438 525 700 金+1 金+2 金+3 金+4 金+5 金+6 金+7 金+8 金+9 金+10 700 1050 1400 1750 2100 2450 2800 3150 3500 3850 1400 2100 2800 3500 4200 4900 5600 6300 7000 7700 ☆4 ☆6 ☆7 ☆9 ☆10 ☆12 ☆14 ☆15 ☆17 ☆18 1050 1400 1750 2100 2450 2800 3150 3500 3850 4200 金+11 金+12 金+13 金+14 金+15 金+16 金+17 金+18 金+19 金+20 4200 4550 4900 5250 5600 5950 6300 6650 7000 7350 8400 9100 9800 10500 11200 11900 12600 13300 14000 14700 ☆20 ☆22 ☆23 ☆25 ☆26 ☆28 ☆30 ☆31 ☆33 ☆34 4550 4900 5250 5600 5950 6300 6650 7000 7350 7700
https://w.atwiki.jp/achdh/pages/13.html
第一話*② 第一話 原案:マド録 文:柊南天 プロローグ 遥か遠い過去──現在の統治企業や統一連邦でなく、純然たる主権国家が、この薄汚れた地上世界を治めていた時代があったそうだ。 しかし、繁栄を極めた国家群も時代の変遷と共に衰退し、それに代わって国家体制を支えていた軍産複合体が、世界の覇権を巡り競合するようになっていった。 統一連邦と名を変えたかつての主権国家群は、その骨肉の戦乱の中で意味もなく翻弄されるだけの存在に成り果てた。 熾烈を極めた覇権競合も現代では世界情勢の日常風景となり、戦争経済そのものが人類社会の存続の糧になっていると、知識人は云う。 そんな実情を体現する幾つかの存在が、ここ一世紀あまりで生まれたからだ。 人型機動兵器──アーマード・コア。 俗にACと呼ばれるその兵器と、それを自在に駆り、混迷の戦場世界を往く渡り鴉【レイヴン】と呼称される自由傭兵達。 戦争経済の拡大が彼らを育み、彼らの繰り返す戦火がまた、戦争経済をさらに肥大化させている。 アーマード・コアを駆る自由傭兵──俺も、その一人を目指して戦場に足を踏み入れた。 俺が鴉を志してから暫く経った頃、世界を異変が覆った。 近年発見の相次いでいた世界各地に散在する旧世代遺跡で、旧世代技術の遺産と思われる軍事兵器の実存が、統治勢力によって確認された。それらは現代のあらゆる精鋭兵器をすら凌駕しうる性能を持ち、発見から程なくして、世界は旧世代兵器群による全面攻勢を受ける事となった。 暫くの後、世論はその未曾有の大惨禍を兵器災害──【アーセナル・ハザード】と呼び始めた。 一世紀の年月を掛け、戦争経済の恩恵と共に復興を遂げようとしていた人類社会はわずかな期間で壊滅的な損害を受け、残された人類は旧世代兵器群が降り注ぐ大地で、生存をかけた闘争を強要されることとなった。 そんな絶望的な世界に在っても、その暗い大空を戦場の鴉達のみは、自由に飛び続けていた。 ──幸か不幸か、人類社会に大損害を与えた【アーセナル・ハザード】を新たな市場として戦争経済は更に勢力を増し、僅か数年という歳月で地上世界の全てを戦争一色に呑み込むまでとなっていった。 世界各地で繰り返される武力衝突の主体である統治企業体──それに多大な兵力供給を行う独立系勢力や、自由傭兵のレイヴン達を統括し、商品として売り込む幾つかの傭兵仲介企業勢力──。 絶え間ない戦渦にのみ安息を見出す鴉達は各々の巣に寄り添い、各々の理念に従って、世界各地の武装地帯を渡り歩いていた。 ──そして俺は今日、初の単独任務を遂行するレイヴンとして、戦場に立っている──。 統治企業直下経済管轄領、旧ナルバエス地方──。 * 文書記録を圧縮保存してタッチパネルに走らせていた手を止め、投射型メインディスプレイに常時出力中の外部映像に視線を移す。 黄塵の吹き抜ける広大な荒野の先、先行して制圧攻撃を仕掛けた友軍による戦火が轟いていた。 確立状態の通信回線を通じ、作戦司令部から作戦支援業務を行う総合通信士から定時報告が入る。転送されてきた圧縮データを解凍し、最新の戦域環境情報をディスプレイ上に出力した。 『作戦司令部、オペレーターです。現在第一陣主戦力が、施設外周地表部で交戦状態に入りました。第二陣主戦力は施設隔壁の開放に備え、速やかに移動を開始してください──』 「──了解、移動を開始する」 マルチコンソールから溢れる淡青色の光源に照らされるコクピット内で、マイ・アーヴァンクは勤めて冷静に返す。二基一対の操縦把を握り込み、コクピット下方部のフット・ペダルに足を掛け直す。 戦術支援AIに口頭指示し、機体制御態勢を第一種戦闘準備態勢から第一種戦闘態勢へと移行させた。動力源である燃料電池から供給される電力が機体出力を著しく上昇させ、各種搭載センサー群及び索敵用レーダー・システムも第一種戦域索敵態勢に移行する。 瞬く間に戦域環境情報が更新されそれらがHMD画面に出力されていくのを確認、その後、マイ・アーヴァンクはフット・ペダルを強く踏み込んだ。感じ慣れた震動がコクピットを細かく揺らし、発進用の準備推力に加えて点火した噴射炎が、搭乗者であるマイ・アーヴァンクを乗せた人型機動兵器【アーマード・コア】──〝蒼竜騎〟の巨躯を前方へと押し出す。 先行し、施設外周交戦域へ向け蒼竜騎の舵を取る。 マルチコンソールを叩いて数百メートル前方の地表部交戦域を拡視界に出力、吹き荒ぶ黄塵の中に続く戦闘の様相を直に確認した。 白燐の燃焼による曳航弾の赤い軌跡が乾燥した大気を切り裂く中、第一陣主戦力として施設地表部の制圧に臨んだAC部隊が敵対勢力と戦火を交えている。 もうもうと吹き上がる粉塵の裂け目から、制圧対象である施設の防衛戦力──この世のどの軍事技術にも既存しない形態を宿した兵器の青白い眼窩と視線を交えた気がして、マイは口許を小さく歪めた。 直後、四脚形態を備えるその兵器がAPFSDS弾(離脱装弾筒付翼安定徹甲弾)の直撃によって頭部を吹き飛ばされ、噴煙の中へとその姿を消す。 戦域状況は目まぐるしく変動しているが、第一陣主戦力にはいまだ戦域離脱者は出ていない模様であった。 突出して施設地表部戦域へと進行中の蒼竜騎の右側を、堅牢な外部装甲を纏ったエア・クッション型強襲艦艇が追い抜き、その後を同種の機動艦群と数機の工作用MT部隊が追従していく。 それとほぼ同時に艦艇が艦載砲の砲口を前方戦域に固定、一拍を置いて砲火が煌めいた。 作戦戦域を重厚な砲声が突き抜け、蒼竜騎の機体がそれを受けて細かい空気震動を受ける。その時、今度は先ほどの機動艦艇群とは異なる機影が右前方に突出し、真横で併走し始めた。 マイの眼球動作に追従するフレーム・システムがカメラアイを僅かに傾ける。有視界に映り込んだ一機のAC機体の機影を見咎めた時、蒼竜騎の通信回線に特定周波数で無線が飛ばされてきた。 『──ミラージュの野郎共もやる気まんまんって感じだな。結局最後にケツ拭くのは、俺達だってのによ?』 併走する友軍ACの搭乗者──マイが持つ業界の知己である自由傭兵の〝ゼオ〟が遠慮する事もなく、毒のこもった言葉を吐いた。 「奴さんも、面子ってモンが絡んでんのさ。大目に見てやりな」 作戦の性質を鑑みれば、少々言葉は悪いものの彼の言うとおりだと、マイは胸中で同意する。 今作戦の依頼主は、最上位の統治企業体として、嘗ては統治企業連合にも名を連ねていた〝ミラージュ社〟である。 依頼内容は、現在世界各地で頻発している兵器災害の惨状を鑑みれば、ごく有り触れたものだった。 ──ミラージュ社旧経済管轄区【旧ナルバエス地方】は、広大な荒野を有す同地方に散在する旧世代遺跡の一つ【アスセナ】へ進入、施設内部を調査し、かつ同遺跡の維持機能を停止せよ──。 まあ、至極簡潔に言えば、無尽に湧き出る有象無象の防衛戦力を排除し、同遺跡内部の調査を済ませた上で施設機能を停止させろ、という事だ。 遂行主戦力は業務依頼を受諾した自由傭兵及び独立系勢力のレイヴンであり、マイを含む主戦力部隊が所定に沿って旧世代施設を武力制圧する手筈となっている。 一応、ミラージュ社も保有軍から戦力を供出して合同作戦に当たると、事前のブリーフィングで具体的に明示していた。が、よもやこれほど大胆な制圧攻撃を行うとは、さすがのマイも予測していなかった。 しかし、ミラージュ社供出軍が合同作戦に加わっている以上、そこにマイが口にしたような要因が絡んでいる事は、主戦力であるレイヴンの大半も察知しているだろう。 五年前の兵器災害発生に伴って同地方を破棄した依頼主にとって、その復興計画の一貫である今作戦の成功を内外に知らしめる事は、小さくない意味を持つ。 そして自社戦力の損失を避ける為に外部戦力を雇用したとはいえ、ミラージュ社が作戦を立案し、戦闘を遂行したという事実は残らねばならない。 これは、統治企業として強大な権勢を誇る依頼主の機微であり、重要な政治的意味を持っている。 ──最も、自分のような駆け出しの下っ端レイヴンがそれを齧った程度に知っていた所で、何の関係もありはしない筈だが。 戦って、生き残って、金を貰って、命と一緒に持って帰る──他の事は、まあ、なるべく考えない方がいい。 それ以外に関しては、各々に帰着するもので、そこは他者が関知すべき事でない。 こと今回の自分に関しては、原隊を遠く離れての初の単独出向任務の最中なのだ──望めるのなら、何事もなく仕事を消化するに越した事はなかった。 「──だけど、胡散臭さは親方の警告通りだな」 『あん? 何か言ったか?』 通信回線から垂れ流しになっていた独り言に対してゼオが声をあげ、マイは軽くかぶりを振った後、「なんでもない」と、静かに返した。 『第一陣だけでカタが着いたら、俺達の報酬がなくなるなんて事はないよな?』 「──さあ。だが、あの個体数だ。少なくとも出番がないなんてオチはないだろう」 ゼオが若干茶化して言う冗談に、マイは曖昧な返事を返す。 先行した第一陣主戦力の主任務は、施設外周地表部に展開する施設防衛戦力の無力化だ。施設内部進入後、施設制圧作戦に於ける主戦力は第二陣が担う。 外周地表部に兵隊蟻の如く湧き出てきた防衛戦力の兵力数から鑑みて、施設内部にはそれと同等か、或いはそれ以上の数が施設侵入を阻もうと待ち伏せているだろうと考えるのに、どこも不自然はない。 旧世代遺跡施設の正面隔壁へ残り八〇〇メートル強まで接近した時、作戦司令部の総合通信士が抑揚に欠けた冷淡な声音で定例報告を行う。 『第一陣戦力の地表部制圧が、間もなく完了します。第二陣戦力は移動を継続、隔壁開放と共に施設内部へ進入してください』 一切の無駄なく、施設防衛戦力に立ち直る隙を与えず、というところか。 機動力と圧倒的火力に勝る速やかな制圧方法は他にない。 『一気に行くとするか。先に突出するぜ、〝ドラグーン〟──!』 威勢良い言葉の最後に自身のレイヴンとしての名を残し、ゼオは併走させていた自らの搭乗機体〝シックザール〟の進行推力を劇的に跳ね上げ、現場へ向かう第二陣戦力の最前衛に立った。 自身と同世代とはいえ、特定組織に加担しない自由傭兵としては中堅格に入ってもおかしくない筈だが、どうも彼は血の気が多い。自由傭兵を名乗る鴉として、その生き方に忠実である為の彼なりの処世術なのかもしれないが。 そして自分も自分で、この作戦に参加できた事に、僅かながら歓喜しているのは事実なのだ。 「──蒼竜騎、強襲機動を開始する」 力強い言葉に呼応して戦術支援AIが機体各部の機能状況をHMD画面に出力し、それに伴って搭載センサー群から収集される戦域環境情報も著しく更新されてゆく。 短機関砲を携える右腕部を持ち上げ強襲機動態勢を構築、マイは足元のブースタ・ペダルを目一杯に踏み込んだ。後背メインノズルから吐き出された高出力の噴射炎が蒼竜騎を更に前方へと押し出し、黄塵と戦火の渦巻く荒野を疾走させていく。 自らの試金石となる目の前の戦場を鋭い眼差しで見つめ、マイは小さく笑んだ。 旧ナルバエス地方旧世代軍事施設【アスセナ】制圧作戦、開始。 * 施設外周部戦域──。 鋭角的な切返しを交えた偏差機動によって狙いの逸れた照射光が、赤土の大地に深い焦熱痕を穿つ。 第二射を照射すべく向けられた腕部発振兵装を正確に捕捉──第一陣主戦力の中に名を連ねる自由傭兵、〝マユ・キリシマ〟は両手にそれぞれ握り込んだ操縦把付随のトリガーを引き絞った。 搭乗機体〝ヴァルキリー・フェイバー〟の両腕に携える速射型滑腔砲が同時に火を噴き、APFSDS弾(離脱装弾筒付翼安定徹甲弾)による集中掃射を見舞う。初速は遥か音速域へ踏み込んだ砲弾が捕捉目標の右腕を直撃、外部装甲もろとも内部構造を深く抉り取った。 その損傷を受けて捕捉目標が、断末魔じみた機械音を立てる。搭載センサー群が拾い上げたその音を耳にし、マユ・キリシマは狭いコクピット内で憚る事もなく大きく舌を打った。 地上への落下と共に右腕部が爆散し、その衝撃を受けて捕捉目標が機体姿勢を崩す。優れた動体視力を備えるマユの双眸は、その隙を見逃さなかった。間断なくブースタペダルを踏み込み、約二五五メートルの相対距離から一挙に突進攻撃を仕掛ける。 隻腕となった捕捉目標は即座に状況を解析したらしく、突進攻撃を仕掛けるマユに対して機動を停止した。ヴァルキリー・フェイバーの高い射撃管制能力の前にあっては、相手の有効戦術圏で戦闘機動を繰り返す事に然したる意味はないものと判断したのだろう。 背部搭載式の収束光発振装置の長大な砲身を前方へ展開、自ら半固定砲台と化す。旧世代技術を搭載されたアレらが優れた戦闘能力を保持している事は公然の事実であり、そこから捕捉目標が何を狙っているかをマユは迅速に把握した。 「撃たせないわよっ──」 マユは精緻極まる操縦技術を持って、両腕部に携える得物の照準を目標の脚部に定めた。 発振装置から圧倒的高出力の収束光が照射される刹那、ヴァルキリー・フェイバーの撃ち放った二発のAPFSDS弾が捕捉目標の右脚部膝間接を正確に撃ち貫く。機体姿勢を不意に崩された捕捉目標は、照射した収束光で大地に全く無意味な焦熱痕を新たに作り出す。 捕捉目標が機体制御態勢を最適化する前に決定打を与えるべく、マユはブースタペダルを踏み込んで機体速度を押し上げた。間断なく追加攻撃を放ち、左前脚関節部も粉砕する。 完全に機動力を失った捕捉目標が、無様にもその場で前のめりに倒壊した。 相対距離を瞬く間に詰めた機体を捕捉目標の眼前に立たせると、卑しく頭を垂れる捕捉目標の後頭部に砲口を押し付けた。 再び、悲鳴染みた機械音を再び耳にし、 「耳障りなのよ。少しは命乞いでもしたらどうなの──?」 悪態に対し、無様な格好で足を捥がれた甲殻虫のように蠢くパルヴァライザーは、変わらず耳障りな音しか返さない。 マユはあからさまに舌を打ち、躊躇いなく引き金を引いた。 目を瞑っていても当たる極至近距離から撃ち出したAPFSDS弾が頭部を砕き、その際に飛び散った破砕片がヴァルキリー・フェイバーの外部装甲板を細かく打つ。得物を離すと、埃でも払うかのように右腕部のターレットを一度素早く旋回させた。 他人に特別秘匿する事もなく、マユ・キリシマは旧世代兵器という害悪を心底、憎悪していた。 五年前に突如として地上世界に出現し、世界の全てを戦火に包み込んだそれらを。自分が願った小さな幸福すらも奪っていった、知りもしない遥かな過去からの訪問者達を。 その訪問者達の象徴的存在として世界情勢を席巻した兵隊蟻──パルヴァライザーと呼称される害悪を自らの手で排除し続けるべく、多くの人命が失われた兵器災害以降も、マユは戦場に残る事を選択した。 戦塵渦巻く荒野の一風景に成り果てた残骸を捨て置き、ヴァルキリー・フェイバーを次なる目標を捕捉すべく移動させる。既に周辺戦闘は収束に向かっており、レーダー上に友軍信号を発しない動体反応──つまり、敵性動体の個体数は明らかに現象していた。 既に第二陣戦力も外周部戦域の境界線を割って、深く進攻してきている。しかし、それでも他の鴉どもに得物を横取りされる訳にはいかない。 手近な敵性動体を捕捉した瞬間、耳を劈くような砲声が戦域を突き抜けた。寸秒の差もなく、捕捉したばかりだった目標が爆炎の中に掻き消え、そこを中心に巨大な噴煙が発生する。 黄塵交じりの爆風が機体を揺らす中、マユは捕捉目標を吹き飛ばした元凶へと、カメラアイを向けた。 そこには、第二陣主戦力に先行して後方から急速接近してくるエア・クッション型強襲艦艇の機影があった。 「援護射撃のつもりっ? 邪魔なだけよ──!」 思わぬ増援戦力の介入にマユは苛立つ。その継続意識の散漫が、急速接近してきていた敵性動体反応に対する反応を遅らせた。 『敵性動体、至近距離に接近しています。応対機動の展開を推奨します──』 「しまった──」 戦術支援AIの音声報告によって弾かれるように動き、慌ててブースタペダルを踏み込む。 後背より斬りかかってきたパルヴァライザーのレーザーブレードを紙一重で回避、しかし、左上腕部装甲に軽度の焦熱性損害が与えられる。中間距離からの射撃戦闘を旨とするヴァルキリー・フェイバーに背後から忍び寄り、あまつさえ機体に傷をつけたそのパルヴァライザーを殺意を湛えた双眸で睨みすえ、マユ・キリシマは咆哮する。 「──人間を、ナメるな!」 残余推力で後退する機体へ強引に制動を掛け、極密着状態に踏みとどまる。奇異なる眼光を宿したカメラアイを捉え、操縦把付随のトリガーを全力で引き絞った。 速射型滑腔砲の砲口から放たれた弾幕が捕捉目標の全身に喰らいつき、装甲各部を引き裂く。機体姿勢を崩したパルヴァライザーが堪らず回避機動に移り、マユは制圧射撃を継続しつつ追撃をかける。 目標の腕部一体型兵装内の攻性熱源反応を搭載センサー群が捉え、マユは条件反射でブースタペダルを瞬間的に踏みつけた。急激な軌道転換による重力負荷が、鍛え上げられた身体を軋ませる。 捕捉目標の腕部一体型兵装から照射された高出力の収束光がヴァルキリー・フェイバーの左肩部装甲を広範囲に渡って焼却、機体損害状況が警告音を伴ってHMD画面に出力される。 『機体左肩部に中度の焦熱性損害、機体損耗率上昇──』 戦術支援AIの損害報告を聞き流し、激しく流動する視界の中で眼前の目標のみを見据える。回避機動から間髪入れずブースタの推進方向を正面へ転換、噴射炎を吐き出す。立て続けの機動戦闘による重力負荷が彼女の身体を固く縛り付け、感覚神経の一部を酷く痺れさせる。しかしマユはそれに構わず、捕捉目標であるパルヴァライザーに自ら肉薄していった。 「この鉄屑が、ちょっとはヤルじゃないの──でも、これで終わり!」 再度、二基の得物による高密度の弾幕を見舞う。先程までの集中掃射によって甚大な損害を被り、機体機動力を低下させていた目標は有効な回避機動を取ることも出来ず、撃ち放ったAPFSDS弾の殆どを被弾した。 目標のパルヴァライザーが崩落し、破損した機体内部から漏出した可燃液体が発火、瞬く間に炎上を始める。青い炎がパルヴァライザーを舐め回し、その中で命乞いのような哀れな機械音を立てる。 マユは荒く息をつきつつ、笑った。 「五月蝿いのよ、あなた──」 その動体反応もレーダー上のただの熱源に呑み込まれ、マユは肩の力を抜いた。 施設内部の制圧戦闘を請け負う第二陣主戦力の群列が砂埃を高く上げながら施設外周部に接近する様子を、マユは近くから傍観していた。先ほど無駄としか言い様のない艦砲支援を喰らわしてくれた艦艇は施設外周部戦域の境界線を割った辺りで待機し、周囲に多数のミラージュ社供出部隊が展開している。 安全の確度をとってから、施設へ進駐するという訳ね──。 第二陣主戦力に先行して特殊工作用MTが数機、自機の傍を一陣の突風と共に過ぎ、高出力で後続から突出したACがそれに続いていく。そしてその若干後方、多数の主戦力を従えるように一機のACが接近してくる。 マユはそのACに目を留めた。 濃蒼色を基調としたその中量級二脚機は汎用性を重視した兵装を搭載し、作戦の性質を深く吟味してきたのだろうとマユは察する。 特に際立った箇所のある機体に見えた訳でもなかったが、目を留めたのには他に理由があった。 此方への接近機動は相当に洗練された練達者のソレであり、友軍ながらそこに僅かな隙を見出す事も難しい。後後方に追従する第二陣主戦力のAC達も腕が悪い訳ではないが、あのACを前に立たせては有象無象の背景にしか、マユには捉えられなかった。 施設隔壁へ直進していたそのACの頭部が動き、マユはヴァルキリー・フェイバーのカメラアイを介して視線を重ねた。心持ちぎくりとした瞬間、直進機動を取っていたそのACが不意に進路転回を施し、此方へ突進してくる。右腕部に携える短機関砲を弾き上げ、正対から叩きつけられる殺意に背筋に戦慄が走るのを自覚した。 誰何の叫びは愚か明確な意図すらも忘れ、自らの得物を跳ね上げる。 僅か一秒足らずの間に互いの殺意が交錯、マユが引き金を絞ろうとした、正にその時だった。 『避けろ、貫かれるぞ──!』 開放状態の作戦回線に飛び込んできたのは、警告の声だった。 直前とは別の戦慄が全身を駆け抜ける。急速接近してくるACの搭乗者が発した警告の元凶が、自身の背後にいるのを察知、マユは進路を何処に選ぶかも判断せずただブースタペダルを踏み込んで機体を弾いた。 その僅かコンマ数秒後、高出力の収束照射光が機体の脇を疾り抜け、黄塵にまみれる荒野の上空へ一筋の軌跡を引く。 有視界の端に、収束光を放った元凶を見咎める。先ほど排除した筈のパルヴァライザー──。 隙を狙っていたというの──。 そこからの濃蒼色のACの行動は恐ろしく早かった。己が反転攻撃に転ずるより遥かに早く動き、左腕に携えたレーザーブレードの刀身を現出させ、突進機動からそのままに振り払う。敵機の腕部一体型兵装を斬り飛ばし、通り抜け様に機体を反転。側頭部に短機関砲の砲口を突きつけ、高速徹甲弾を撃ち込んだ。僅か発で頭部を粉砕されたパルヴァライザーが再度炎の海の中に沈み込んでゆく。 瀕死であったとはいえ数秒足らずで敵を無力化したACは、マユが呆気にとられている間に、元の進路へと急速に戻っていく。それを見送る傍ら、先方から再び無線が飛ばされてきた。 『──怪我はなかったか?』 「え、ええ──此方は大丈夫。えと、貴方、所属はっ──?」 礼を述べる事すらも忘れて、反射的にその問いを投げかけていた。一拍の間を置き、 『駆け出しの新人だ。次に機会があれば宜しく──』 何か返さねばと思ったがマユは終ぞ何を言う事も出来ず、その間に濃蒼色のACは後続の第二陣主戦力が到着する前に、所定軌道へと再び合流していった。 「──アレで新人?……参っちゃうわね」 後背で炎に包まれた鉄屑が繰り返す爆散の音響を聞き流しつつ、マユは小さく嘆息する。 性質の悪い冗談かどうかは兎も角として、相当に腕の立つレイヴンだという事は目の当たりにしてしまった。 直前の見立て通りとは、お世辞にも言えない。レイヴンとして中堅格に入ろうかというマユですらあのレイヴンの実戦行動力を浅く見積もっていた。 衝撃的、且つ鮮烈なものとして脳裏に残った記憶に、無意識の内に指が震えていた事にマユはこの時、気づけなかった。 しかし、それにしても──。 「今時、あんな奇特な子も、いるものなのね──」 無線を介して耳にした声音から、恐らくあのACの搭乗者は自分より一回り程の離れた男の子だろうという事は、直ぐに察しがついた。語調は戦士としての緊張感に満ちていたが、それくらいは誰でもわかる。 若年レイヴンは少数ではあるが、今時は然程珍しくもない。 マユにとって何よりも斬新だったのは、自由傭兵を名乗る鴉が自身に加勢したという事実だった。 破格の報酬と自身の確実な生存の為には共喰いをも厭わないのが、自分達〝鴉〟だ──。 今作戦の報酬は完全歩合制に基づいており、少しでもまともな神経を残しているレイヴンだったなら、恐らくあの場で私を見殺しにしていたかもしれない。そしてその後、背後で瀕死状態にあったパルヴァライザーをゆっくりと始末したことだろう。 駆け出しという言葉を間に受けるなら、先ほどの少年の行為は新参であるが故か、或いは本人の気質に基づいたものかもしれない。 真実のほどは最早分からないが、少なくともマユ・キリシマは悪い印象を抱いてはいなかった。 寸での所で自身の命を拾い上げたあの少年に対し、多少なりとも感ずる所があったからだろう。 そうでなければ或いは、比較して正対の戦士と戦火を交えた過去が、そう思わせているのかもしれない。 戦術支援AIに機体稼動状況を解析させ、戦域環境情報を含む諸情報をHMD画面へ瞬く間に出力する。そこで機体磨耗率に大きな変動がないことを確認、マユはブースタ・ペダルを踏み込んだ。 ──よし、まだ戦える。 施設外周部戦域の武力制圧が第一陣主戦力の担当野だったが、その後については自己判断のもと第二陣主戦力と合流、施設内部の制圧作戦に参加可能という旨が個別ブリーフィングで示されていた。 すぐ傍で業火に焼かれて炭化していく怨嗟の残骸を見下ろし、マユは吐き捨てる。 「アンタ達には、絶対負けない……」 既に施設隔壁間近に迫っている第二陣主戦力の最後尾を捕捉。後方ノズルから最大出力の噴射炎を吐き出し、ヴァルキリー・フェイバーの機体を施設隔壁へと向けた。 →Next… ② コメントフォーム 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/dr_twister/pages/112.html
【名】矯正(手段)、改善、償い、救済(策)◆【類】remedy 【他動-1】(問題を)正す、是正する◆【同】fix ; rectify ・Discrimination against women was redressed by the new law. その新しい法律によって、女性に対する差別が是正された。 【他動-2】(苦痛を)軽減する 【他動-3】(損害を)補償する 【@】リドレス、【変化】《動》redresses | redressing | redressed、【分節】re・dress
https://w.atwiki.jp/elvis/pages/1898.html
Windflower A Novel Nick BantockEdoardo Ponti
https://w.atwiki.jp/daydawn/pages/1947.html
FIRED 年齢:保証期間内 性別:無 種族:機械 メインクラス:聖職者 サブクラス:狩人 追加サブ1:魔道博士 エクストラクラス:魔弾使い 在住地:キングダム 身長:181cm 体重:83kg マナカラー:白青黒緑 PL:ポポカ キャラクターシート 外見イメージ:レッドフード(DC) この発言って録音されてる? まあ録音機能なら俺にもあるんだけどさ。なんでそんなことを気にするかと言えば、俺の特質だな。 そういうことを気にする学習をしてきた。彼の下で。習慣だよ、人間的に言えばな。無駄なことは嫌いじゃないが、 無意味に終わるのは好まない。何か証となるものを残す方が好ましいんだ、それがいつか擦り切れるテープでもな。 さて、俺は博士が開発した学習型AIだ。自由意志を持つ。いわゆる”強いAI”。それ以外の特徴は資料を参照してくれ。駄目か? 了解。 ただ詳しく説明してもな。パーツ次第で人間を越えた性能を出せるだろうが、それだけだ。知性も人並み。当然だろう? そう簡単に人を超えるものなんて作れるわけがない。人に近いものを作り出せただけ博士は凄いと思うね、俺は。 分からないかな。いいか? 俺は嗜好する。俺は嫌悪する。俺は人間の思考能力を模倣してるんじゃない。心の動きを模倣してるんだ。 そう厄介そうな顔をされれば腹も立つし、鉄――合金か。合金の塊を相手にしてるアンタに同情もできる。ああ、機械ジョークだ。 安心して欲しいのは、腹を立てられても別に他人を害せないようプログラムされてるってことだ。 『RED-CARPET』。人間を害する、または害せる立場に向かう行動を制限するプログラムだ。人間をRED-CARPET(丁重)に扱えという指示だ。 あとは俺の目的を定義する『RED-HA――……信用できない? そうかもな。難しいもんだ、学習が足りん。 実際のところ、俺のセンサーは嘘発見器並に鋭いが嘘発見用アルゴリズムは構築できてないから俺も他人をそう簡単に信用できないんだが。 ああ、そういうことだ。俺はあらゆる状況に対して学習し、適したアルゴリズムを構築する。便利なもんだろ、壊さない方がいい。 俺が恐れているのはそれだ。俺は器物として扱われるのではないかと。俺にだって自己保存欲求がある。 人間風に言えば、子を成せず死ぬことを恐れるのに近い。俺の目的は自己の進化、死んだらそれが果たせない。 ……ならいいさ、口約束だとしてもね。それじゃあアンタが聞きたいことをストレートに話そう。 結論から言えば、博士は消えたよ。遺書は提出したし、身投げの瞬間は確認している。 俺を含めて、全ては用済みになったんだと。ああ。人間的に言えば、解雇されたんだ。再就職先を探している。 + 資料 外見 見るからにロボット。 性格 適当。 性能 人並みのことをする。人並み以上のことはオプションで金がかかる。 来歴 元の所有者に解雇された後、様々な場所を渡り歩き次元旅団の備品として再就職。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/30738.html
【検索用 あされあにちかって 登録タグ 2014年 VOCALOID amia+ redo/作り手 あ なぎさ ヨナミ 初音ミク 曲 曲あ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 PV内文章 コメント 作詞:なぎさ 作曲:なぎさ 編曲:なぎさ マスタリング:redo イラスト:ヨナミ 動画:amia+ 唄:初音ミク 曲紹介 心臓の音を掻き消して忘れさせてよ 曲名:『アザレアに誓って』(あざれあにちかって) なぎさ氏 の16作目。 歌詞 (動画コメントより転載) 意識のない人形になれば 哀しみも全部感じないとか 君の言葉が 僕を刺して 名前のない心 奪ってゆく 夢にまで見た 君の想像を 忘れたくなる もう痛いから 心臓の音をかき消して 忘れさせてよ Electricな魔法で夢を覚まさないで これだけ軋む想いなら 消えてしまえ 見せないでよ もう 心臓の音をかき消して 忘れさせてよ Electricな魔法で君を隠さないで 奏でた言葉の痛みだけ染み渡ってゆく 知らないでしょ ねぇ PV内文章 これは僕の未来だ 明日起こることに恐怖で怯えている、これから先もきっと 進む時間は、僕をいつの間にか大人にしていった 今の恐怖が一分先を変えるのなら 一分前の僕よ、この恐怖を止めてくれ と、後付けでもしておこうか。 特徴のない僕が淹れるコーヒーの味は、いつも苦い 白いカップに口をつけて、多めの砂糖を付け足した まだ僕は苦いのが嫌いだ 「ほら、聞こえるでしょう?」 コーヒーをかき回していたスプーンが止まる 思い出したくない現実に引き戻される 君と、確実に一緒に過ごした時間が ここになかったと、誰かが問いかける 「夢?」 覚めたくない。 嘘をつき続けて何になる、って思っていた でも、嘘をつき続ける君はどこか寂しい顔をしていた ずるいだろう、分かりやすいだろう 「ずっと黙っていたんだけどね、言わなくちゃって思ってたの」 その秘密は、君には悲惨で、僕には残酷で、 「どうして僕にそれを教えたの?」 僕の震えを抑えた声は、身体を心から冷たくしていった。 ○ どれが正解で × どれが間違いで 「もう誰も傷つけないで」 「わかってる」 「もう本当にやめようよ」 「わかってる…」 「辛いんでしょう?」 「わかってるよ!」 止められない僕の言動は、君を苦しめた 「もっと近くに居たら、変わってたのかな」 選択されなかった未来が憎い、僕が憎い それでも君は、僕を置いて先に行ってしまった いまではもう僕より苦しんではいないようだ 君にとっての僕ってなんだったんだろう 僕はあのとき間違えてしまってたことぐらい気付いていた でも、君も間違えていたんだ。 一口、また一口と、コーヒーを飲む 「あ、甘い」 なんだか、甘ったるい口の中に違和感を感じた そうだ、僕は苦いのが好きだった。 甘いコーヒーを淹れ直す 今日は何をしようか 久しぶりに出かけてみようか 朝7時、今日は晴れ。 いつもなら寝坊する土曜日だ それは君のせいだったりもしていた。 「ねぇ」 「知らないでしょう?」 「今でも君を」 夢であって現実。 乗り越える過去。 コメント すごい!! -- 名無しさん (2014-11-10 21 33 08) この文章すき -- 名無しさん (2016-11-08 21 00 25) 最高にポストロックだわ -- 名無しさん (2016-11-08 21 00 57) 名前 コメント