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【冬休み五日目】(合宿三日目) 京太郎(はうっ……!) 京太郎(体が重い……!けれど俺の眼は開いている!) 京太郎(これが世に聞く金縛りと言うやつなのか……!) 京太郎(……でも本当に重いな、何なんだろ) 京太郎(何だこの柔らかい感触)プニプニ 京太郎(弾力があって、スベスベで……)プニプニ 京太郎(こんな抱き枕あったっけ?)プニプニ 京太郎「……」バサッ 穏乃「…………ん~」ギュゥ 京太郎「なんだ高鴨か……」プニプニ 京太郎「……高鴨!?」 京太郎(何これなんだよこれ!なんで俺裸なの?ってかなんで高鴨まで裸なの!?) 穏乃「京太郎……寒い……」ギュゥ 京太郎「ちょっ、そんな寄せられるとまずっ―――!」 穏乃「んっ…………」モゾモゾ 京太郎(こっ、これは世に聞く素股……!?) 京太郎(回復技「あさのひざし」で覚醒したマイサンが高鴨の太ももに包み込まれているだとォ!) 京太郎(まずい、この状況は非常にまずい!) 京太郎(第一この状況を咲に見られでもしたらまず冥土直行便!) 京太郎(高鴨を起こせば事情は聞ける、だがこの快感は得られなくなってしまう……!) 京太郎(どうする!どうする俺!) 京太郎(昨日何があったかは知らないが……) 京太郎(こんなところにいられるか!俺は布団に戻る!) 京太郎(さーて寝巻寝巻ー) 京太郎「なんで高鴨の布団にあるんだよ……へくしょん!」 京太郎「さむっ、早く着替えないと」 京太郎(高鴨が俺の布団で寝てるから、俺は高鴨の布団で寝ないとか) 京太郎(夜話してたとき、あいつずっと枕抱きしめてたよな……) 京太郎「」クンクン 京太郎(何これ、高鴨みたいなのでもこんな匂いするのか) 京太郎(すげえ、クセになりそう) 京太郎(つーか、そもそもなんであいつが俺の布団にいたんだ?) 京太郎(……まあ、起きた後で聞けばいいか……) 京太郎(…………) 京太郎(なんとか起床時間前に起きて高鴨を移動させておいた……) 京太郎(なんでああなったんだ……?) 朝 京太郎「はい、それでは練習を始めまーす」 咲「いつもより元気なくない?大丈夫?」 京太郎「ああ、大丈夫、無問題だ」 京太郎(昨日は何があったんだ……気になってしょうがないぞ) 咲「?」 穏乃「京太郎、おはよっ!」 京太郎「よっす」 穏乃「なんか元気無いね、どうしたの?」 京太郎「ん……なんでもない」 穏乃「そっかー」 京太郎(高鴨のせいだなんて言えないよな、俺の夢だったという可能性も否めないわけだし) 京太郎(って、今俺高鴨と二人っきりじゃん、話聞けるじゃん) 京太郎(どうしよ、聞いてみようかな……) 京太郎「高鴨、ちょっと聞いてもいいか?」 穏乃「え?なになに?」 京太郎「今日夢見た?」 穏乃「へ?」 京太郎「いやー、今朝俺と高鴨が裸で抱き合ってる夢見てさ」 京太郎「やっぱりそんなんありえないよなー」 穏乃「…………」 京太郎(静かになった?考えてるのか?) 穏乃「う、うん!そうだよ、私と京太郎がそんなことするなんて、そんなの絶対おかしいよ」アセアセ 京太郎「……お前って俺のこと京太郎って呼んでたっけ?」 穏乃「えっ、ほ、ほら、大星さんとか三尋木さんとか京太郎って呼んでたから私も呼ぼーって」 京太郎「そうなのか?」 穏乃「そ、そーだよ!あ!あっちの対局終わったみたいだから私行ってくるね!」 京太郎「高鴨?」 ―――時をさかのぼること、深夜 穏乃「ん……」モゾモゾ 穏乃(ダメだ、目が覚めて寝れないや) 穏乃(どうやったら寝れるかな……) 京太郎「ん~……」Zzz 穏乃(須賀……かぁ) 穏乃(男の子の身体ってどんなんなんだろ) モゾモゾ 穏乃(浴衣だから脱がしやすいなぁ)モゾモゾ 穏乃(うわ、これが男の子の身体か)サワサワ 穏乃(これ全部筋肉なのかな、あ、乳首とかもあるんだ) 穏乃(……なんか暑くなってきたな……)モゾモゾ 穏乃(誰も見てないし、脱いじゃえ!) 京太郎「んぅ……」ギュゥ 穏乃「へっ!?」 穏乃(私、抱きしめられてる?) ギュゥゥゥ 穏乃(少し苦しいけど……でも、安心する……) 穏乃(私も……)ギュゥ 穏乃(ちょっと息荒くなってきた……なんでだろ) 穏乃(眠くなってきたし……このまま……)ギュゥ 穏乃(京太郎…………京太郎、かぁ……) 穏乃(そんなことがあったなんて言えない!絶対に!)ブンブン 京太郎(結局あれは夢だったのか、一夜の過ちとかじゃなくてよかった、うん) 淡「きょうたろー、何の話してたのー?」 京太郎「ん?高鴨とか?」 淡「なーんか変な話をしてた気がするんだよねー」 京太郎「いやまさか、高鴨はそういうのに縁なんて無い方だろ」 淡「んー、だよねー」 京太郎「それで、次はお前が抜けてきたのか」 淡「そーそー、でもさ、練習ばっかだと疲れるから喋って時間つぶさない?」 京太郎「まあいいけど」 淡「じゃあ何話そっかー?」 京太郎「俺としてちょっと気になることがあんだけどさ」 淡「何?」 京太郎「なんで男女が同じ部屋に寝てるのにエロエロなイベントがほとんどないんだろうな」 淡「えっ、いくらきょうたろーでもそれは引くよ?」 京太郎「お前相手だったらこっちから願い下げだよ」 淡「いくらきょうたろーでもそれは怒るよ?」 京太郎「いやだってお前……」チラッ 淡「?」ペターン 京太郎「ふっ」 淡「鼻で笑った!今鼻で笑ったよね!」 京太郎「高鴨みたいな太もものエロさもなく、滝見さんほどの胸もない淡……ふっ」 淡「可愛いじゃん!私、可愛い!ほらほら!」 京太郎「はいはい可愛い可愛い」 淡「ばーかーにするなー!」ポイッポイッ 京太郎「痛っ!痛い!牌投げるなって!痛っ!」 昼 京太郎「午後は自由時間にするから、どっか遊びに行っていいぞー」 穏乃「やった!ラーメン!ラーメン!」 淡「サキサキー、どこ行こっかー」 咲「私は……行きたいところとかはあんまりないかな、咏ちゃんは?」 咏「んー私もよくわかんねーし、大星に任せるよ」 淡「任されたよ!じゃあれっつらごー!」 ワイワイガヤガヤ 春「…………」ポリポリ 京太郎「…………」 春「…………」ポリポリ 京太郎「滝見さんはどこか行ったりしないのか?」 春「」コクッ 京太郎「そっか、外寒いもんなー」 春「……そっちは?」 京太郎「あいつらの輪に入るのはなんか悪い気がしてな、邪魔しちゃいそうだし」 春「…………」ポリポリ ゴソゴソ 京太郎「何してるんだ?」 春「笑う犬」 京太郎「DVDなんてあるのか、知らなかった」 春「」コクッ 京太郎(……暇だ) 京太郎(部屋の中には俺と滝見さんだけ) 京太郎(何かすること……)チラッ 春「……」ポリポリ ポヨン 京太郎(胸……おっぱい……乳……おもち……) 京太郎(滝見さんの豊かな胸を観察し、研究する……天才なのか俺は!) 京太郎(……だが、どういう場面を研究すればいいんだ?) 京太郎(ここは滝見さんに揉ませてもらって、実際の揉み心地を研究しよう!) 京太郎(頼み込むなら土下座というのが古からの習わし!) 京太郎(本当にすまないという気持ちで……胸がいっぱいなら………!どこであれ土下座ができる……!たとえそれが……) 京太郎(肉焦がし……骨焼く……鉄板の上でもっ……!) 京太郎「滝見さん!」 春「……何」 ブス… ∫ ;′ ∫ ,;′ ブス…',. -――-゙、 ;' ジジジ… ; / へ ` 、'; ∫ 京太郎「俺に!胸を揉ませてください!」 _;'___{. , -/、/=;´イヽ;'_ /三三j='rー、\_ 、)_℡, ;;〉三'`、ジジ… /三三└'゙ー ;‐;;‐;;'`ー;;ヾ'`"´三'三;`、 囮ヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱ囮 囮災炎災炎炙災炒炎災灸災炭囮 ◎┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴◎ 春「…………」 春「…………」ポリポリ ヤッタ!ヤッタ!ヤッタ! 春「……ふふっ」ポリポリ 京太郎「見なかったことにしないで!せめて反応して!寂しいから!」 春「…………許可すると思う?」 京太郎「いいえ全く」 京太郎「だが!しかし!それでも!ここで退くわけにはいかないんだ!男として!健全な青少年として!」 春「……無駄な情熱」 京太郎(本当に揉みたいという気持ちで……胸がいっぱいなら………!どこであれ土下座ができる……!たとえそれが……) 京太郎「頼む!この通りだ!」 春「……どうして?」 京太郎「俺はただ、滝見さんの胸が揉みたい!触りたい!あわよくばしゃぶりつきたい!だって欲求不満だから!」 京太郎「滝見さんなら、俺の願望を満たしてくれると思ってる!俺は滝見さん(の胸)が大好きなんだ!」 京太郎「一目見たときから思ってた!頼む!俺に揉ませてくれ!」 春「…………」 春「……病院に行くべき」ジトッ 春「頭の」 京太郎「冷たい!視線も言葉も冷たい!だが、俺は――――ッ!」 春「…………」ジトッ 京太郎「…………」 京太郎「ごめんなさいでした……」 春「…………」ポリポリ 京太郎(……俺は、何をしていたんだろう) 春「…………」ポリポリ 京太郎『俺は滝見さん(の胸)が大好きなんだ!』 春「…………」ポリ... 夜 京太郎「練習再開だ、準備しろー」 淡「えー!今晩も休ませてよ!」 京太郎「終わったら散々くつろいでるだろうが」 淡「むぅ……」 京太郎「結局お前が来るのか……」 淡「だって遊びたいんだもん!」 京太郎「お前なぁ……」 淡「ほらほら、ちゃっちゃとやっちゃお?」 京太郎「……はぁ」 淡「ねーねーきょうたろー」 京太郎「何だよ」 淡「私のこと好きー?」 京太郎「はぁ!?何言ってんだよ」 淡「どーなの?」ズイッ 京太郎「……まあ、好きか嫌いで言えば……嫌いではないけど」 淡「じゃあ好きなんだ!」 京太郎「そういうわけでもないんだが……それが何だよ」 淡「じゃあさ!じゃあさ!」 淡「私が頑張ったらさ、いっぱい甘えていい?」 京太郎「甘える?」 淡「撫でてもらったり、お菓子食べさせてもらったり?」 京太郎「ん……いいぞ、それでお前が頑張れるなら」 淡「よしっ!たくさん頑張っちゃうよ!……っとその前に」ポスン 京太郎「おい」 淡「これ知ってる?充電っていうんだよ?」 京太郎「いや知らないけど」 淡「こうすると淡ちゃんパワーがどんどん溜まっていくんだ!こう、ドバァーっと!」 京太郎「さいですか」 淡「よーし、頑張ろー!」 咏「よっす」 京太郎「よっ」 咏「あんさぁ、京太郎ってもうオーダーとか決めた?」 京太郎「いや、まだ全然だけど、そろそろ決めた方がいいか?」 咏「そうなんじゃね」 京太郎「一つ大会のことで気になってたんだけどさ、一戦目と二戦目でオーダー変更とかできんの?」 咏「ああ、できるはずだったと思うぜぃ、知らんけど」 京太郎「そっか……ちゃんと考えなきゃな」 京太郎「ほい、それロン」 咏「うげっ、また和了られた……」 京太郎「もうちょい守備堅くした方がいいぞ、大きいの和了る前に和了られてたら意味ないしな」 咏「それもそうなんだけど……京太郎が強いんだよ」 京太郎「やるからには本気でやらないとダメだろ」 咏「確かにそうなんだけどさ……」 京太郎「ま、こっからも一緒に頑張っていこうぜ」 咏「……おう」 咏(……ってか、京太郎なら多分……) 咏(……違う、今はそんなこと考えてる時間じゃねえ) 【風呂】 カポーン 京太郎「ふぅ~」 京太郎「明日で合宿最後か、今まで誰かが入ってきて落ち着けなかったけど」 京太郎「今日だけでもゆっくり休めてよかった……」 ザバッ 京太郎「うっし、明日も頑張ろう!」 京太郎(臨海の監督さんたちもここに泊まってるんだよな……) 京太郎(まだ、俺がこいつらを引っ張れてるのか不安だし、行ってみよう) 淡「ねえーきょうたろー聞いてる?」 京太郎「ん、おお聞いてる聞いてる」 淡「ホントにー?」 京太郎「ホントホント」 淡「んーとね、それで――――」 ―――一時間後 京太郎「」キョロキョロ 京太郎「作戦、開始だ」 コンコン 京太郎「失礼しまーす」 京太郎「監督さんの部屋がここだって聞いて来たんですけど……」 霞「あら、京太郎くんじゃない」 晴絵「おっす、須賀くん」 善野「何しに来たん?」 京太郎「皆さん同じ部屋で寝てるんですか……?」 トシ「そういう仕様らしいから仕方ないんだよ」 臨海「キョウタロウ?」 霞「それで、何の用なの?」 京太郎「はい、実は――――」 雅枝「なるほどな、つまりはアドバイスが欲しい、いうことやな」 晴絵「シズとかは直線的で扱いやすいと思うけどなぁ」 京太郎「あいつ以外が問題なんですよね」 臨海「それなら、私たちでレッスンしてあげるのがよいでしょうか」 霞「そうですね、少し夜が遅いですけど」 善野「須賀くん、時間大丈夫?」 京太郎「はい!頑張ります!」 トシ「それじゃあ始めようかね」 臨海「―――――と、ざっとこんなものかな」 晴絵「どうだ?勉強になった?」 京太郎「なるほど、ばっちりです!」 トシ「彼女たちと同い年の須賀くんなら、親身にもなってあげられるし、発破だってかけやすいはずさね」 雅枝「あのチームをまとめるのに適してるっちゅうわけやな」 京太郎「そうだったんですか?」 善野「せやから、須賀くんも自信持って頑張ってな」 霞「敵同士だけど、頑張ってね」 京太郎「はい!本当にありがとうございました!」 臨海「ここまでで、いいかな」 京太郎「同じホテルなのにわざわざ見送りなんていいですよ」 臨海「これでも私たちは教育者だからな、心配なものは心配なんだ」 京太郎「そうっすか、ありがとうございます」 臨海「いや、礼なんていらないよ」 京太郎「でもこんな時間に俺の相談に乗ってくれて申し訳ないというか」 臨海「……そういえば、君はどうして私を訪ねてきたんだ?石戸先生の方が相談もしやすかっただろうに」 京太郎「んー……監督さんが頼りになりそうだったから、ですかね」 京太郎「霞さんたちが頼りないってわけじゃないんですけど、一昨日とか俺のこと看ていてくれたじゃないですか」 京太郎「だから監督さんのところに行こうとしたんだと思います」 臨海「……そう、か……そう言われて悪い気はしないな」 京太郎「というわけで、ありがとうございました」 臨海「うん、頑張ってくれ」 京太郎「へへっ、負けませんからね」 臨海「こちらもそう老いぼれちゃあいないよ、じゃあな」スタスタ 京太郎「おやすみなさーい」 【冬休み5日目】(合宿三日目)終 【冬休み6日目】(合宿四日目) 京太郎(清々しい朝!冬の日差しにその寒さ!) 京太郎(けどさぁ……) 京太郎「…………」サワッ 咲「んっ」ビクッ 京太郎(なんで咲の胸を触ってるんだ俺……)サワサワサワサワ 京太郎(ってかなんでこんな後ろから抱き着いてるような体勢になってんだよ……)サワサワサワサワ 京太郎(今までないものだと思ってたけど、服越しでも案外あるもんなんだな)サワサワサワサワ 京太郎(そもそも昨日何があったんだ?)サワッ 咲「あっ、んっ……」ビクビクッ 京太郎(急に震えだしたけど、寒いのか?) 京太郎(布団もっとかけてやらないと……) バサッ スタスタ... 咲(なんか変な感じがしたから起きちゃったけど)モジモジ 咲(何なんだろうこの感じ……体がすごく熱くて……) 咲(ちょっと気持ちいい、かも……) 咲(京ちゃん、私の胸が好きなのかな) 咲(……触ってくれたってことはそういうことだよね) 咲(なんだか、嬉しいな) 朝 京太郎(……はっ!) 京太郎(朝、か?) 京太郎(でもなんか暑いような……) 咏「ぅ…………」モゾモゾ 京太郎(なんでまた俺の布団で寝てるんだよ……) 京太郎(小さいからはみ出なくっていいけどさ) 京太郎「えいえい」ツンツン 咏「にゅ……ぅ……」プニプニ 京太郎(一昨日は滝見さん、昨日は高鴨、そんで今日は咏か) 京太郎(何なの俺、何か憑いてるんじゃねえの?) 咏「んぅ…………きょぅたろぉ……」 咏「……すきぃ…………」 京太郎「!」ビクッ 京太郎(びびったぁ……寝言か、そりゃそうだよな) 京太郎(第一好かれるようなことあんました覚えないし、うん) 京太郎(けど、もし俺が咏と付き合ったら……) 京太郎(…………) 京太郎(通報されるな) 淡「今日はみんなで人生ゲームをしよー!」 京太郎「……はぁ」 咲「いいの?京ちゃん」 京太郎「ときには息抜きも必要だろうからな」 淡「私黄色使うねー!」 春「……青」 穏乃「じゃあ私は赤!」 咏「んーと……じゃあ私は緑にするかねぃ」 淡「あ、そーだ!一番金持ちの人は誰かに命令できるってことにしよ!ってかそうするから!」 京太郎(うわぁ、めんどくせぇ……) 淡「今めんどくせえって思ったでしょ!」 京太郎「なっ、どうしてそのことが!」 淡「私ときょうたろーは以心伝心だからね!愛し合ってるっていうのー?」 咲「」ムッ 咏「」ムッ 淡「んー、私が勝ったら何しよっかなー」 春「勝たないから心配しないでいい」ポリポリ 淡「へータキミン言うねー」 京太郎「とっとと始めるぞー」 一位 京太郎 二位 春 三位 穏乃 四位 淡 五位 咲 六位 咏 淡「うわ、びみょー」 咲「また家が燃えちゃったよぉ……」 咏「竜巻で飛ばされるよりまだマシだろ……」 穏乃「やった!ブラックバス釣れた!」 京太郎「何とか一位だったけど、滝見さんすげーな」 春「……ギャンブルは得意」ポリポリ 京太郎「俺が一位だから何か命令していいんだよな?」 淡「……チッ」 京太郎「あくどい顔で舌打ちするなよ!なんか恐いから!」 京太郎「じゃあ咏が俺にマッサージ、咲は滝見さんにマッサージな」 咲「え?」 咏「ふぇ?」 穏乃「そんなのでいいの?」 京太郎「ああ、気持ちよけりゃいいだけだから」 淡「なにそれつまんないー!」 春「……なんで私まで」 京太郎「細かいことは言わずに、な?」 春「…………」ポリポリ 咏「でもよぉ、マッサージってどうすりゃいいん?」 京太郎「肩揉んだりでいいぜ、そこまで本格的にやる必要はないからな」 咏「へいへい、んじゃ始めるよ」 咏「京太郎って結構肩凝ってるのな」 京太郎「んーまあな」 咏「ん……しょ」 京太郎「こういうのもいいな、なんかリラックスできるわ」 咏「それは私の腕がいいからなんじゃねーの?知らんけど」 京太郎「そうかもな、毎日やってもらいたいくらいだぜ」 咏「ま、毎日って……」 京太郎「ん?どうした?」 咏「どうもしてねえよ!」グキッ 京太郎「痛っ!?」 咲「滝見さんのうなじ、綺麗だね」 春「…………」コクッ 咲(滝見さんの胸大きいな……) 咲(私も黒糖食べれば大きくなるのかな) 咲(もし大きくなったら京ちゃんも……ってなんで京ちゃんのこと考えてるの!) 咲(京ちゃん大きいの好きだもんね……羨ましいなぁ) 咲(って、あーもう!) 春「?」 淡「つまんなかったからもう一回!」 京太郎「せめて種目変えようぜ……」 一位 京太郎 二位 穏乃 三位 淡 四位 咏 五位 咲 六位 春 京太郎「また俺の勝ちだな!」 淡「つまんないつまんないつまんないー!」 穏乃「うーん、いい線行ってたと思ったんだけどなぁ……」 咏「まあ、いっか」 咲「順位下がっちゃったよぉ……」 春「……命令は?」ポリポリ 京太郎「お、そうだったな、んじゃ、命令は――――」 京太郎「全国で充電ってのが流行ってるらしい」 咲「充電?」 京太郎「一人がもう一人の膝の上に乗ってエネルギーを蓄えるとかなんとか」 穏乃「へー、今度憧にやってもらおうかな!」 京太郎「つーわけで、俺が滝見さんに充電をする」 咏「は?」 淡「え?」 春「…………」ポリポリ 京太郎「ほら、俺今二連勝だから最下位の滝見さんに運気を注入するっていうか」 咲「それって滝見さんが京ちゃんの上に座るってことだよね?」 京太郎「ん、それがどうかしたか?」 咲「どうかしたか、って……」 京太郎「よし、んじゃ滝見さん乗ってくれ」 春「…………」ポスン 淡「……それだけ?」 京太郎「これだけ」 淡「なにそれ!またつまんないよ!」 春「……黒糖食べさせて」 京太郎「おう、いいぞ」ヒョイ 春「…………」ポリポリ 咏「なんでこんなん見てないといけないんだよ……」 穏乃「滝見さん、充電されてる感じとかするの?」 淡「まっさかーそんなことあるわけ……」 春「……須賀くんが伝わってくる」 淡「何その効果!?」 淡「もう一回!もう一回!」 咲「もう昼だからそろそろやめない?」 淡「諦めちゃだめだよサキサキ!」 咲「諦めるも何もないと思うけど……どうする?京ちゃん」 京太郎「俺も黒糖食べていいか?」 春「……食べさせてあげる」 咲(なんで向かい合ってるの!?) 京太郎「じゃあ俺も」 春「…………」ポリポリ 京太郎「…………」ポリポリ 咲(なんだか兄妹みたいで微笑ましい光景だけど、どうしよう咏ちゃん!)チラッ 京太郎「服に黒糖こぼれてるぞ」ヒョイ パクッ 春「あ……」 咏「」イラッ 咲(こっち見てないや……こうなったら高鴨さん)チラッ 穏乃「滝見さん私も黒糖食べたい!」 春「……どうぞ」 穏乃「ありがと!」ボリボリ 咲(あ、これダメなパターンだ) 咲(でも私がしっかり聞かないと!) 咲「京ちゃん、お昼ご飯食べに行く?」 京太郎「……」ナデナデ 春「…………」ポリポリ 京太郎「滝見さんの髪、綺麗だな」 春「……春でいい」 春「…………」 春「……なんでもない」 京太郎「春の髪、綺麗だな」 春「…………」カァァ 咲「」イラッ 昼 京太郎「今日の午後は自由時間だぞー」 淡「よーやくきょうたろーもわかってきたみたいだね」ウンウン 穏乃「三尋木さん!ラーメン食べに行かない?」 咏「おーいいぜぃ、どっちが食べられるか勝負な」 穏乃「よしっ!燃えてきたぞぉぉぉぉおおおお!」 淡「じゃあタキミン遊びに行こー!昨日行けなかったからね!」 春「……」コクッ 京太郎「……んじゃ、俺たちも遊びに行くか」 咲「えっ、私と?」 京太郎「咲以外に誰がいるんだよ、ほら行くぞ」 咲「あっ、ちょっと待ってよ京ちゃん!」 咲「わぁ、本がいっぱいだよ、京ちゃん!」ピョンピョン 京太郎「確かに大きいけど、はしゃぎすぎだろ」 咲「長野じゃこんなに大きいところあんまり無かったもん!ああ……いいなぁお姉ちゃん」 京太郎「咲、ホントに本のこと好きなの……」 ポツーン 京太郎「……な」 京太郎「あんにゃろうどこ行きやがった……」 京太郎(目を離したらいつもこうだ、まあ本屋なら大体……) 咲「京ちゃんどこぉ……」 咲(お手洗いにも行きたいのにぃ……) 京太郎「ったく、何やってんだよ」ギュッ 咲「ぁ……」 京太郎「トイレに行きたかったら俺に言え、連れて行ってやるから」 咲「そんなこと、言えるわけないじゃん……」 京太郎「お前がいなくなったら困るんだよ、だから、さ」 京太郎「俺がいるときは、俺に頼れ」ニコッ 咲「…………あぅ」カァァ 京太郎「スッキリしたか?」 咲「お、女の子に何言ってるの!京ちゃんのバカ!」ポカポカ 京太郎「相変わらず咲はちんまいなー」 咲「もー!」 咲「…………」ジーッ 京太郎(こうして咲と本屋に来たわけだけど……) 咲「…………」ペラッ 京太郎(……なんかつまんねえ) 京太郎(何かいたずらしてやるか) 京太郎(にしても何読んでんだ?)チラッ 咲(京ちゃんの顔が……うぅ)カァァ 京太郎(恋愛小説か?咲もそういうの読むんだな)チラッ 咲「///」ポシュー 京太郎(咲の耳……か) 京太郎(……よし) 咲(京ちゃんの顔が近いから集中できないよぉ……)カァァ 咲(でも京ちゃんに怪しく思われちゃうからちゃんと読まないと……)ジーッ 京太郎「ふーっ」 咲「ひゃぁっ!」ビクッ 京太郎「あっはっは!なんつー声出してんだよ」 咲「も、もうっ!京ちゃんのバカ!」 咲「あっち行っててよ!」 京太郎「はいはい、十分経ったらまたここに来るから絶対に動くなよ」 咲「言われなくてもわかってるもん!べーっ!」 京太郎(―――とは言われたけど、時間が来るまで何しよ) お品書き 1.牌のお姉さんの麻雀教本 中級編…2000円 2.牌のお姉さんの麻雀教本 上級編…2800円 3.小鍛治健夜の目指せ!グランドマスター!…2800円 4.戒能良子のものまね王! 5.迫り来る怒涛の修羅場…2000円 6.女性を落とす40の方法…1000円 7.ライトノベル…600円 8.小説…600円 9.恋愛小説…600円 10.野依理沙の感情コントロール法…1000円 11.一日を活用する本…1500円 12.咲が読んでたのと同じ恋愛小説…700円 京太郎(咲も読んでたし、俺も似たようなの読んでみるか) 京太郎(……思春期の恋愛模様を描いた作品、か面白そうだ) 京太郎(咲の読んでたやつはどんな話だったんだろ) 京太郎(まあいいや、買いに行こ) 「ありゃぁたっしたー」 京太郎(後は咲を探しに行くだけだな) 京太郎(この辺のコーナーだったよな……あ、いた) 咲(京ちゃんまだかな……)モジモジ 京太郎(何だあいつ?足踏みしたり脚寄せ合ったり……) 咲(なんでまたお手洗いに行きたくなっちゃうんだろう……)モジモジ 京太郎(?) 京太郎(こっちに気づいてないのか?じゃあ……) 京太郎「おい、咲」 咲「へっ……あ、京ちゃん」 京太郎「早く行くぞ」グイッ 咲「えっ、なに、どこ行くの?」 京太郎「トイレ、行きたくなったんだろ」 咲「どうしてわかったの?」 京太郎「お前のことだからな、ほら着いたぞ」 咲「あ、ありがと……」モジモジ 咲(どうして京ちゃん、私がお手洗いに行きたいってわかったんだろ) 咲(なんで私を引っ張って行ってくれるんだろ) 咲(…………) 咲(帰るときは、私から京ちゃんの手繋ごうかな) 咲(手をつないで買い物に行くって、デートみたいだよね) 咲(……こんな風に、また遊びに行けたらいいな) 咲「お待たせ、京ちゃん」 京太郎「ん、そんなに待ってねえよ」 咲「えへへ、それじゃあ帰ろっか」ギュッ 京太郎「あ……ああ、そうだな」 咲(恋人繋ぎって、ちょっと大胆だったかな) 京太郎「って咲、本買わなくていいのか?」 咲「あっ、忘れてた!ちょっと待ってて!」トテトテ 京太郎「だから走るなっての!」 夜 京太郎「いよいよこの合宿も終わりっつーわけで、練習するぞー!」 穏乃「おー!」 淡「元気150%の淡ちゃんなら負けないよ!」 咲「私も負けないもん!」 春「…………」ポリポリ 咏「うぅ……胃もたれきつぃ……」 淡「そい!リーチ!」 咲「じゃあ私も、リーチ」 咏「そんじゃ、リーチ」 穏乃「リーチ!」 「「「「……」」」」 京太郎「何やってんだあいつら……」 春「……きょうたろう、始めて」 京太郎「ん……ああ」 京太郎(春が集中できるからって充電しながらやってるけど……) 春「…………」ウツラウツラ 京太郎(人の膝の上で寝るなよなー) 春「ん……」モゾモゾ 京太郎(やばっ、動かれると流石にまずいっ) 京太郎(これは起こすしかない……よな) 京太郎「おーい、春ー」 春「…………」 京太郎「後ろからじゃ起きてんのかどうかわかんねえよ……」 京太郎「…………」 春「…………」 京太郎「……俺も寝るか」 京太郎「最後の相手は高鴨か」 穏乃「んそっ、よろしくね!」 京太郎「おう、頑張るぞ!」 穏乃「うぉぉぉぉおおおお頑張るぞぉおぉおおお!」 京太郎(なんだろう、このやり取り終わらない気がするぞ?) 穏乃「いやぁー、今日で合宿も終わりなんだねー」 京太郎「手、動かせよ」 穏乃「須賀は楽しかった?私は楽しかったよ」 京太郎「いや、だからさ」 穏乃「東京のラーメンおいしかったし、麻雀も楽しかったし!」 京太郎「集中しようぜ、集中」 穏乃「大星さんや宮永さんともまた打てたから良かった!」 穏乃「須賀はどう思う?」 京太郎「麻雀しようぜ」 穏乃「うん、やっぱり楽しかったよね!」 京太郎「どこをどう捉えればそうなる!?」 京太郎「これで合宿は終わりだ!」 京太郎「そしてぇえぇえええええーーーー!」 淡「打っち上っげだーーーー!」ドンドンパフパフ 咲「わ、わー!」 咏「いえーい!」 穏乃「ラーメン!ラーメン!」 春「…………」ポリポリ 淡「でもどこに行くのー?」 京太郎「う……んー、どうしよ」 京太郎「じゃあカラオケでいっか」 咲「えぇ……私歌とか上手くないよ?」 京太郎「楽しけりゃいいんだよ、みんなもいいだろ?」 穏乃「憧によく連れていかれたからね、オッケーだよ!」 淡「私もいいよ!」 咏「ま、いんじゃね」 春「…………」ポリポリ 京太郎「誰から歌うんだ?」 淡「その前にルール決めようよ!」 咏「ルール?」 淡「六人の内負けた人が言うこと聞くとか!」 咲「わざわざそんなことしないでもいいんじゃ……」 淡「じゃあ一番の人がきょうたろーに充電してもらうとかは?」 咲「」ピクッ 咏「」ピクッ 京太郎「おい待てそのルール、俺が一位じゃ意味ないじゃねえか」 淡「え~、どうせきょうたろーは勝てないよー」 京太郎「何だと?」 穏乃「まーまー二人とも落ち着いて」 淡「タキミンはどう思う?」 春「……いいと思う」 京太郎「くっ……」 淡「嫌だったら代替案を提案してねー」 京太郎「折衷案ってことで俺が一位になったら他の人に命令」 京太郎「他の人が一位になったら俺が充電、でどうだ?」 咲「どうだ、っていうか……」 咏「京太郎が得しすぎだろ……」 淡「うん、それでいいや!」 穏乃「じゃあ一番は私行くよ!」 春「…………」ポリポリ 穏乃「青空が眩しいー、君がいる風景はー」←16点 淡「重さじゃー測れない、こんな想いー」←52点 咲「こわいもののない世界ならー」←58点 淡「何なのこの機械!おっかしいんじゃないの!」 淡「私が52点なんてあり得ないでしょ!」 京太郎「ふっ」 淡「鼻で笑うな!」 春「雲の形、突き抜けるー」←96点 咏「毎日ナニがあって、頭抱えてもー」←92点 京太郎「たましいゴーンと、チャイムを打たれたならー、打たれちゃったら!」←61点 淡「なんできょうたろーの歌より私の方が下なの……」ガックシ 咲「それは同感かも……」ガックシ 穏乃「うん……」ガックシ 京太郎「なぜそこまで落ち込む!?」 春「きょうたろう、充電」 京太郎「お、おお、いいぞ」 春「」ポスン 春「……頭撫でて」 京太郎「ああ、よしよし」ナデナデ 淡「ちょっ、そんなオプション――――!」 淡(待てよ、ここで頭なでなでを禁止したら私が勝ってもあまり得はない!) 淡(それにこう考えている間にもタキミンのきょうたろーポイントがどんどんたまっていく!) 淡(まさかこれが――――) 春「……ふっ」 淡(先手必勝のジャスティス!勝てば魏呉蜀!) 咲(勝てば官軍だと思うけど……) 淡(ここは黙るしかない!) 京太郎「淡、どうかしたか?」 淡「ううん、なんでもないよー」 淡(タキミン……恐ろしい子……!) 春「……きょうたろう」 京太郎「どうした?」 春「何かして」 京太郎「何か、って何だよ」 春「……抱きしめたり、とか」 京太郎「なら今頭撫でてるじゃん」 春「そうじゃなく……」 京太郎「んー……じゃあ……」 京太郎(咲とかがいるからあんまり大胆なことはできないとして……) 京太郎(そうだ!) 京太郎「……春」ボソッ 春「」ビクッ 京太郎「どきどきしてるんだ、俺の胸……春を充電したい、十年も、二十年も」ボソボソ 京太郎「っ……お前のそばに居続けたい」ボソボソ 京太郎「きっと、お前のことが好きなんだ……いや、春が好きだ、断言できる」ボソッ 京太郎「りゆうはわからない、色々ありすぎて、お前の好きなところが多すぎて」ボソボソ 京太郎「……なあ、春」 春「……///」カァァァァァ 京太郎「好きだぞ」ボソッ 春「///」ボシュー 咲「あの二人何してるのかな?」 淡「さあー?じゃあ次の曲入れちゃおー!」 穏乃「信じる、それだけで越えられないものーはない」←97点 淡「ほどかれてくの、どこまでもー」←70点 咲「がんばっちゃったがんばった我々東南西北わーいわーい!」←83点 淡「だからなんで私がこうなんのよ!」 穏乃「点数上がったんだからいいじゃん」 淡「アンタが一番おかしいでしょ!」 春「君の知らない、私だけの秘密」 京太郎「春は歌上手いなー」 春「……」カァァ←31点 咏「冒険でっしょ、でっしょ!」←76点 京太郎「ハートのエッジに挑もう、思うたけ見つめてー」←92点 穏乃「今度は私だよ!」 京太郎「ぐぬぬ、あとちょっとだったのに……」 穏乃「ねぇー私にも何かしてー」 京太郎「だから何かって言われてもな……」 京太郎「んじゃ、遠慮なく」サワッ 穏乃「ふぇっ」 京太郎「高鴨の太ももって結構筋肉ついてんだな」サワサワ 穏乃「ちょっ、何触ってんのさ!」 京太郎「こんな恰好で寒くないのか?」サワサワ 穏乃「はしってるから……大丈夫、だけど……」 京太郎「でも、ちゃんと肌スベスベしてるし、女の子って感じするぜ」サワサワ 穏乃「それ、褒めてくれてるのかわかんないんだけど」 穏乃(さっきから何かが当たってる気がするし……須賀に触られてると……何だろう) 穏乃(ちょっと変な……)モゾモゾ 春「…………」ボリ!ボリ!ボリ! 咲「京ちゃん何やってんだろ……」 咏「あいつ……」 淡「タキミンまであらぶってる……」 淡「次は絶対に勝ってやるんだから!」 穏乃「私はもういいや……」 咲「私も頑張る」グッ 春「…………」ポリポリ 咏「今度こそ勝つぜぃ~」 穏乃「みみーもとで囁き呼ぶ声に振り向けば、気づかぬうち開かれていたトビラー」←66点 淡「ガッティーノ、ガッティーナ、私だけの傍にいてねー」←15点 咲「わーたっしーとしようよ、ココロが晴天ドキツモ昇天」←75点 淡「」チーン 京太郎「ぶははははは!どんだけ機械に嫌われてんだよ!」 咲「京ちゃん、淡ちゃん可哀想だよ」 京太郎「でもよぉ、あっはははは!」 淡「うっさいうっさいうっさーい!どうせきょうたろーだってこんな点になるもん!」 京太郎「ならねーよ、ま、見てればわかるけどな」フフン 春「アザレアを咲かせて、暖かい庭までー」←5点 咏「おおきな夢、夢、スキでしょ?」←83点 京太郎「本気の恋ー、それは突然花が咲くー」←90点 淡「みんなしてずっこいずっこい!」 京太郎「結局実力ってことだな」 淡「むぅ……」 咏「んで、命令何すんの?」 京太郎「おっ、そういえばそうだったな」 咲「エッチな命令とかは……ダメだよ?」ニコッ 京太郎「わ、わかってらぁ、そんぐらい」アセアセ 春「…………」ポリポリ 京太郎「んー、と、じゃあ……淡?」 淡「なによぉ……」グスッ 京太郎「いや、負けたからって泣くなよ」 淡「だって、きょうたろー程度に負けるとかありえないし……」グスッ 京太郎「ナチュラルに失礼だな、おい」 春「……命令」ポリポリ 京太郎「ああ、ちょっと考え中な」 京太郎(全員に猫のごとく甘えてもらう、とか言おうと思ってたけど俺もそこまで空気が読めない男じゃあない) 京太郎(淡が泣いたままだと嫌な気がするし……淡の脇をくすぐって励ますとかいいんじゃないか?) 京太郎(あわよくば淡の胸に触れる、って違うわ!どんだけ変態なんだ俺!) 京太郎(それにあんな胸触ったってなぁ……)ハァ 京太郎「淡」 淡「なに?」 京太郎「ほい」ガシッ ヒョイッ 淡「はぁっ!?」 咲咏穏「ええっ!!」 春「…………」ポリポリ 淡「なっ、何してんの!」 京太郎「ほーれ高い高ーい」 淡「子どもじゃないんだから降ろしてよー!」ジタバタ 京太郎「はっはっは、じたばたはHPが少なくないと威力弱いんだぜー」 淡「っていうかスカート見えるから!」ゲシッ 京太郎「ぐへぁっ」グラッ 咲「あっ!」 咏「京太郎のバランスが!」 穏乃「大星さん危ない!」 淡「きゃぁっ!」 京太郎「淡っ!」 京太郎(これだと淡が頭から落ちる、最悪病院行きだ!) 京太郎(それだけはさせない!) ドッシーン! 咲「きょ、京ちゃん!」 京太郎「いつつ……腰打ったっぽい」 咏「ったく、気ぃ付けろよなー」 京太郎「わりぃわりぃ」 淡「もー!きょうたろーのせいで危なかったじゃん!」 京太郎「人が身を挺して守ったっつうのに一言目がそれかよ……」 淡「ぁ……それはありがとう、だけど……」モジモジ 淡「って!そもそもきょうたろーが高い高いなんてしなきゃよかったんじゃん!」ウガー 京太郎(一瞬でもしおらしくてかわいいと思った俺がバカだった) 淡「こうなったらやり返してやる!えいっ」ガシッ 京太郎「うおっ!」 淡「んぐぐ……」 淡「持ち上がれぇ……!」 京太郎「淡、あんまり無理しない方がいいんじゃないか?」 淡「うっさい!やり返すったらやり返すんだから!」 ――十分後 淡「なんで持ち上がんないのさー!」 京太郎「体格差があるからしゃあないだろ」 淡「きょうたろーの筋肉硬かったし、抱きしめてるみたいで気持ち良かったよー!」 京太郎「なんでこの状況で褒められてんだろ俺」 京太郎「次で最後にするか」 咲「そうだね、もう結構遅いし」 咏「じゃさ、じゃさ、最後は全員で同じ歌歌ってその得点を競うってのはどうなん?」 淡「あ、いいねーそれ!」 穏乃「じゃあ何歌うの?」 春「……だんご三兄弟」 咲「中々古いね!?」 京太郎「そりゃみんな知ってるだろうけどさ……」 淡「じゃあセーラームーンとかは?」 咏「そっちのがおぼろげなんだよねぃ……」 穏乃「タ○リ倶楽部のオープニングは?」 京太郎「あれカラオケに入ってんのか?つーかどんなチョイスだよ」 淡「タ○リ……なにそれ?」 咲「私も土曜日は夜遅くまで本読んでるから知らないな」 京太郎「それ、見てるって言ってるようなもんだぞ」 咲「空耳しか見てないもん!」 淡「だから何それ?」 京太郎「結局、おいでよ亀有を歌うことになったぞ!」 咲「どうしてこうなっちゃうの……」 穏乃:96点 春:90点 淡:66点 咲:27点 京太郎:21点 咏:1点 咏「1点……1点……」チーン 淡「また勝てなかった……」ガクッ 咲「私だって4位だったんだから、元気出そ!」 春「…………黒糖、いる?」ポリポリ 淡「いるいるっ!ちょーだい!」 咲「ゲンキンだなぁ……」 穏乃「また私が一番かぁ……よっ!」ポスッ 京太郎「俺の膝に慣れるの早くね」 穏乃「まあ、嫌いじゃないからねー」 京太郎「新子だったら「こんなこと死んでもやらないわよっ!」とか言いそうだよな」 穏乃「あはは……有り得るね」 京太郎「今回も何かするか?」 穏乃「うんっ、おまかせで!」 京太郎「んじゃ、まずは」サラッ 穏乃「ん……」 京太郎「高鴨の髪の毛さらっさらだな」ススッ 穏乃「えーそうかな?」 京太郎「綺麗だし、いい匂いもするぞ」ソソッ 穏乃「なんかむずむずする……」 京太郎「やっぱり女の子の髪って気持ちいいな」 咲「……やっぱり?」ゴッ 京太郎「ヒッ」 咲「京ちゃん、他の女の子の髪触ったことあるの?私にはないのに?」 京太郎「そ、それは言葉の綾というやつで、触ったっつうか撫でたときとか……ほら!小さいときにお前のことも撫でてたろ!」 咲「……そういうことならいっか」 咲「ほら、続けなよ」 京太郎「は、はい……」 京太郎(なんか重い雰囲気になってんですけど!?) 京太郎(やべーよ殺されるよ、何だよあの殺気、このまま抱きしめようかと思ったけど絶対無理だよ) 穏乃「もう終わり?」 京太郎「う……ああ……うー……」 京太郎(けどまだこうしていたい自分もいるわけで……) 京太郎「いや、まだだ!」ギュッ 穏乃「わっ!」 京太郎(あっれー?どうして俺は高鴨を抱きしめてんの?おっかしいなー) 淡「髪いじって抱きしめるって……」 咏「あんさぁ、京太郎?流石に限度ってものがあると思うぜぃ」 京太郎「ちっ違うわ!これは俺が無意識下に行った行動であって俺自身の行動じゃないんだ!」 京太郎「そうっ!いわばそれは反射!思考とは真逆!目の前いる高鴨を抱きしめるのは俺の性なんだ!」 淡「なお悪いわっ!」ゲシッ 京太郎「脛はやめろって痛いから……」 京太郎(なおさら酷い雰囲気になった気がする……) 咲「」ニコニコ 淡「」ジトッ 咏「」ジーッ 穏乃「~♪」 春「」ポリポリ 京太郎「なあ、高鴨?」 穏乃「穏乃でいいよ、私も京太郎って呼ぶから!」 京太郎(この状況で何言いだしちゃってんのお前!?) 京太郎「何言っちゃってんの、おい」 穏乃「今さ、京太郎に抱きしめられてるとなんか安心するんだ」 穏乃「ウチ女子高だから、久しぶりに男子と話したのに楽しくて」 穏乃「だから京太郎とはもっといい友だちになりたいな、って」 京太郎「今言うことなのかよ……」 京太郎(しかもこの惨状で) 穏乃「なんか言うタイミング逃しちゃいそうだったからね」 京太郎「そ、そうか」 京太郎(何これ、何が言いたいのこいつ) 京太郎(言われて滅茶苦茶嬉しいけど……) 咲「ジュゴゴゴ」ニコニコ 淡「ジュゴゴゴ」ジトーッ 咏「ジュゴゴゴ」ジーッ 春「……」ポリポリ 京太郎(ストロー悲鳴あげてるから!こっち向かないで怖いから!) 穏乃「京太郎ー」 京太郎「なっ、なんでございますでしょうか」 穏乃「呼んでみただけだよ、えへへ」 京太郎(そういうことされると……もう……)カプッ 穏乃「ひゃぁっ?」 京太郎「んっ……」ハムハム 穏乃「京太郎ぉ、くすぐったいよぉ」 京太郎「ははほはっへはいへぇ」 穏乃「耳元で喋らないでよ、ふふっ」 京太郎(なんで俺、穏乃の耳咬んでんだろ……) 京太郎(あとは耳に息を吹いて終わらせよう) 咲淡咏「」ゴゴゴゴゴゴゴ 京太郎(あいつらに殺される気しかしない!) 京太郎「……ん」 京太郎(俺の唾液ですごくエロく見える……) 京太郎「ふーっ」 穏乃「んんっ!」ビクッ 京太郎「こ、これで終わりだ!」 京太郎(何やってんだろ俺……) 京太郎「かーっ!歌った歌ったー!」 淡「きょうたろーの変態」 京太郎「まだ言うか」 咲「8時くらいだけど、新幹線間に合うかな?」 咏「大丈夫なんじゃね、知らんけど」 穏乃「んー、でも確かに危ないかもね」 京太郎「じゃあここで解散っつうことでいいか?」 淡「うん!」 穏乃「だねー」 京太郎「そっか、じゃあ行くぞ」 咲「ま、待ってよ京ちゃん」 春「……お疲れ」 穏乃「またね」 淡「また来週だよー!」 咏「じゃあなー」フリフリ 京太郎「おう!頑張ろうなー!」 咲「そっか、私以外みんな博多行きなんだ」 京太郎「春は今から帰って家に着くのか?」 春「ホテルは取ってある」 穏乃「どうせだし京太郎の部屋に泊まればいいんじゃないかな」 春「……いいの?」 京太郎「いやダメだろ、年頃の男女が同じ部屋で寝泊まりなんて」 咲「つい昨日までやってたんだけどね……」 咲「あ、私こっちだから」 京太郎「そっち東北新幹線だぞ」 咲「えっ!?わわっ、危なかったよ!」 京太郎「お前、よく東京まで来れたな」 咲「バ、バカにしないでよ!」 京太郎「はいはい、バカにしませんよー」 咲「バカにする気満々でしょ!」 京太郎「長野新幹線あっちだぞー」 咲「わ、わかってたから!わかってたからね!」 京太郎「はいはい、じゃあな」ナデナデ 咲「だからバカにしないでよ!」 穏乃「京太郎って宮永さんと仲良いんだねー」 京太郎「ま、幼馴染だからな」 穏乃「いつごろから知り合ったの?」 京太郎「咲とは小学生くらいかな、なんでだ?」 穏乃「んー、ちょっと気になったから?」 春「……二人とも、はい」 京太郎「黒糖一袋!いいのか?」 穏乃「うおっ!おおおっ!」 春「お疲れ様のプレゼント」 京太郎「そっか、あんがとな」 穏乃「んー!おいしー!」ボリボリ 春「……」ニコッ 【冬休み6日目】終
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特別編 ふたりの日記、由暉子ver ※本編とは完全に別のものです。別の世界線とかそういうのです side京太郎 4月×日 麻雀部に入部した 男子が少ないこの学校でどうしようかと悩んでいたが、 『そこゆく1年男子。そう、そのスケベそうな君。どーよ?ちょっと麻雀打ってみない?今ならアイドル目指すいい子いるよ?』 という謎の勧誘を受けた。何この人、と思ったが、隣に同じクラスのロリ巨乳がいたので試しに、ということでやってみた 麻雀自体も中々面白かったし、他によさげな部もない 何よりロリ巨乳とお近づきのチャンス、ということで入部した あのおもちのために、やってやるぜ!! side由暉子 4月×日 正式に麻雀部に入部しました まぁ、今まで通っていたので何が変わるという訳ではないでしょうけど 早速新しい衣装を着て『よし!部員勧誘だ!形だけでもやっとかなきゃな!!』という爽さんに連れられ廊下へ たまたま男子が通りがかり、声を掛けてみると本当に入部したのはビックリでしたね よく胸を見てますが、話やすい人ですし、先輩達も男子がいると色々助かるということで結構みんな抵抗なく受け入れてました いきなり雑用とかなの確定ですかとも思いましたが、男子本人も特に気にしてないみたいです なんにせよ、これから楽しみです side京太郎 5月○日 麻雀のルールや役は大体覚えたが……勝てねぇ 成香さん、誓子部長、揺杏さんはともかく、由暉子とか勝てる気がしないし、爽さんなんか意味わからん。 なんだアレ別の生き物か やるなら勝ちたいんだけどなー しかし最近、大会に向けて、とか言って由暉子の新しい衣装が増えてる あのちっこさであの立派すぎるおもち……そりゃ大胆で可愛い衣装なら人気出るわ 畜生、打ってる最中にどーよ?とか聞いてきやがってありがとうございます side由暉子 5月○日 最近は京太郎くんもルールや役を覚えたようでよく打ってます でも私や爽さんには全く勝ててません。特に私と打つ時、胸ばっかり見てるから負けるんです 見るのはいいんですが、ちゃんと麻雀に集中しないと それでも大半の雑用や力仕事を引き受けてくれるのはありがたいです これから忙しくなってきますし、何かお礼をするべきですよね そう先輩達に言ったら、新しい衣装を着て見せればいいと言われました その通りにやったら確かに喜んでましたけど、こんなのでいいんでしょうか? side京太郎 6月△日 麻雀部がまさかの団体戦優勝、そして全国へ 軽い感じかと思ってたけど、全国でってのはマジだったのか…… 俺なんて全然だったのにな これからはもっと頑張ろう それと、最近由暉子が呼び出されることが多くなった 大会で活躍して目立つようになってからか、つまらん男が寄ってくる、と爽さんと揺杏さんが言っていた 由暉子もさすがに変な男についてったりしないだろうけど、大丈夫か? side由暉子 6月△日 かなりきつかったけど、団体戦は勝てました これから全国、先輩達は全国デビューだ!って言ってました 全国……私達がどこまで行けるかはわかりません でも、やれるだけのことはやりたいです それと、最近男子に呼び出されることが多くなりました 告白されたり、連絡先聞かれたりとちょっと困るので先輩達に相談すると、京太郎くんが彼氏ということにすればいいと言ってくれました 実際そう言うとすぐに終わりますし、これはいい解決法です side京太郎 7月□日 最近クラスでよく男子に無意味に叩かれたり、女子に由暉子と二人きりにされたりする なんだ?何かやったのか? 男子はリア充爆発しろ!とか言ってくるし 麻雀部にいるからか?確かに女子ばっかりだが、2人くらい小学生男子みたいなのがいるけど 成香さんは小動物みたいだし、由暉子は抵抗しない、誓子部長は保護者? よく分からん、何もやってないはずなのに ま、由暉子や部に迷惑かかってないならいいか side由暉子 7月□日 学校ではすっかり私と京太郎くんが付き合ってる、ということになってました 2,3回くらいしか言ってませんけど、噂ってすごいですね おかげで呼び出されたりもなくなりました ただ、他の女子から色々聞かれるのがちょっと大変です 付き合ってないのにどこまでいった、どうやって落とした?とか聞かれても困ります 適当に返せばいい、と爽さん達が言うので、『ご想像にお任せします』と返すようにしました 何か余計に騒がれてる気もしますが、大丈夫でしょう。悪い気もしませんし side京太郎 8月●日 ま、まさかの全国制覇だああああああ!! マジで?マジなのか!? 本当に全国制覇するなんてすげーよ!! みんな泣いてたわ、感動で 俺も、もっと頑張ってみるかな…… side由暉子 8月●日 ほ、本当に全国制覇しちゃいました!! 流石の爽さんも最後は茫然としてましたし、揺杏さんも、成香さんも誓子さんも泣いてました 去年は麻雀なんてほとんどやってなかったのに、いいんでしょうか まさかのことにあんまり現実味がありません でも、それでもすっごく嬉しいです!! side京太郎 9月◇日 最近やたらと由暉子に取材やらなんやらが増えた アイドル路線、とか言ってたけどマジでアイドルになりそうな勢いだ 1回、マジで瑞原プロが来てて、次期牌のお姉さんにとかって話があったとか 由暉子には他校からまで野郎から告白とかが増えたとかだし 大変そうだなー しかし、クラスの女子がいいのか?とか聞いてくるのはなんだ? 俺がなんだというんだろうか? side由暉子 9月◇日 最近は色んな人がくるようになりました 雑誌等の取材からグラビアまで本当にやるとは思いませんでした 特に瑞原プロが本当に来たのは驚きました 次期牌のお姉さん……面白そうではありますが、まだ高校1年生ですから決められません それと、そういうのを抜きに卒業後プロに興味ないかとも聞かれました 他校の男子からも色々増えましたし、アイドルって実際は大変なんですね 少し部に顔を出す時間が減ったのが、少し寂しいです side京太郎 10月▽日 今日は由暉子の誕生日だったので、みんなでお祝いをした 俺は手編みのマフラーと手袋をプレゼントした 衣装とかじゃなく、普段使えるようなデザインにしたものだったが、由暉子は喜んでくれた 秋の大会も近く、最近忙しいのに俺の指導だってしてくれてるし、これくらい当然だ 最近は由暉子や爽さんと打っても前みたいにすぐ飛ばされたり焼き鳥だったりも減ってきたし 次の大会は俺だってやってやるぜ! side由暉子 10月▽日 今日は私の誕生日で、みんながお祝いしてくれました すっかり忘れていて、サプライズのような形で驚きましたが、とても嬉しかったです みんなからプレゼントを貰いました。でも爽さんがくれたプレゼント、派手な下着はなんでしょうね? 京太郎くんからは手編みのマフラーと手袋を貰いました 普段使えるものを、ということでしたのでさっそく明日から使います 最近は練習も頑張ってるのに。ありがとうございます、京太郎くん side京太郎 11月■日 今日はとんでもない話を聞いた 俺が由暉子と付き合っている、という話だった 6月に由暉子自身がそう言った、と告白して玉砕した男子から聞いた すぐに部室で聞くと、『……やっべ、忘れてた』と爽さんが言った アンタが元凶か! 一応由暉子の負担を減らすため、という理由があったからいいが、せめて一言言えよ 由暉子にも確認を取り、今後はそういうことは無い、ということで話が付いた side由暉子 11月■日 今日、部室で京太郎くんがいきなりとんでもないことを言ってきました 『俺と由暉子が付き合ってるって、どういうことですか!?』 成香さんは驚くし、揺杏さんはお茶を吹くし、それが誓子さんが勉強しているノートにかかるしで大変でした 『……やっべ、忘れてた』と爽さんが言い、京太郎くんに噂の件を伝えることを忘れていた、ということでした 京太郎くんもちゃんと分かってくれたみたいで良かったです でも、なんでしょうね 『そういうことは無い、ってことでな』と京太郎くんに言われた時、少し胸が痛かったです side京太郎 12月◎日 今日はクリスマス、なので麻雀部でクリスマスパーティーをした 正直、有珠山でこういうことやっていいのか疑問でもあるが 『楽しければいいじゃん?』という爽さんの一言で解決した プレゼント交換では、由暉子のブロマイドが当たった 部屋に飾るか、と冗談半分で言うと、じゃあ撮り直そう!ということで由暉子とのツーショット写真を撮ることになった 由暉子も言われるがままに、俺の腕に抱き着くような形になり、俺は腕の柔らかい感触のせいで何も言えなかった 後日、ツーショット写真は焼き増しするとか。俺としてはみんなで撮るのもいいんだが、ま、いいか side由暉子 12月◎日 今日はクリスマス、なのでみんなでクリスマスパーティーをしました 多少やっていいものかの疑問はありますが、爽さんが言うように、楽しいからいい、です プレゼント交換では、京太郎くんの用意した可愛らしいマグカップとテディベアでした 結構良いものですし、大事にします それと、京太郎くんに私の写真が当たってしまい、それから流れで京太郎くんと2人で写真を撮ることになりました もっと寄って、等と言われたので、思い切って腕に抱き着いちゃいました 京太郎くんの腕、思ったより逞しかったです。写真を早めに送ってもらえるよう頼みましょう side京太郎 1月☆日 新年あけましておめっとさん 今日はみんなで初詣に出掛けた 由暉子は着物を着ていて、なんと今回は揺杏さんが用意したものじゃないらしい 自分で着てみたかったからレンタルしてみたとか。似合ってていいと思う。綺麗だ それからお参りを済ませ、おみくじを引いた。結果は吉。ま、いっか 爽さんや揺杏さんが大凶引くまでやるとか小学生みたいなこと言ったりしてた。気持ちは分かるけど女子高生のやることじゃなねーよ 何故か由暉子は見せてくれなかった。あんまりいいこと書いてなかったか? side由暉子 1月☆日 新年あけましておめでとうございます 今日はみんなで初詣に出掛けました せっかくだからと着物をレンタルしてみました。みんな、京太郎くんからも綺麗だ、似合うと言われて嬉しかったです お参りを済ませた後、おみくじを引きました 爽さん達は何か騒いでいましたが……正直、仏教とか神道?のことなのにいいんでしょうかね 結果は小吉……恋愛、自分でも気付かない想い、はやく自覚するべし……なんでしょうか 恋愛なんて、相手はおろか男子だって京太郎くんしかいないのに…… side京太郎 2月▲日 今日はバレンタイン、という訳でチョコを貰って、そしてあげた。逆チョコって奴だ 普段のお礼も兼ねて、いいだろう でも爽さんと揺杏さんのジョークグッズみたいなチョコは許さん。無駄に高い技術でチョコとわさびを組み合わせるな 他のみんなもくれたが、由暉子がやけに凝ったチョコをくれた アイドルがそういうことしていいのか?と聞くと少し機嫌を損ねたようにそっぽ向かれた 後で何か埋め合わせでもするべきか? ホワイトデーに何かやるかな side由暉子 2月▲日 今日はバレンタイン、なので普段のお礼も兼ねてチョコを作りましたが、京太郎くんからももらってしまいました しかも誰よりも美味しかった……料理、勉強し直すべきでしょうか 京太郎くんに渡す時、頑張って手作りしたのに、『アイドルがそういうことしていいのか?』って言われました 別にいいじゃないですか。ちょっとムッっときたのでしばらく話してあげません でも、アイドルだからって。私だって1人の女の子で……アレ? 女の子として……なんでしょう。私、何を考えて? 分かりません、京太郎くんのことを考えると、変な考えばかり浮かぶのも、分からないことだらけです side京太郎 3月◆日 今日はホワイトデー、バレンタインの時のお返しも兼ねて、由暉子と2人で出かけることに 正直、爽さんや誓子さんが卒業して少し落ち込んでいるかとも思ったが、そんなことはなかった むしろ、今まで以上に頑張ろうという感じだった お互いにお返しのものを選ぼうと色々な店を回ったが、中々これというものがなかった 昼を適当なところで済ませた後、無理に今選ばずいいものがあれば、ということになり、そのまま午後は遊ぼうという話になった 映画やゲーセンなど、色々なところを回っていると、すぐに日も暮れてしまった 最後にいい景色が見れる場所があると由暉子に案内され、向かった場所は人気のない公園だった しかしそこは、夕日が綺麗に見えるいい場所でもあった しばらく2人で静かに夕日を見ていると、不意に由暉子から袖を引っ張られた なんだと思いながら由暉子の方を向くと、不意打ちでキスされた 唇はすぐに離れ、正直状況が全く理解できなかった が、それは何故か由暉子も同じようで、キスしてきた由暉子の方もかなり困惑した様子だった そのまま由暉子は走ってどこかへ行ってしまった そうしてしばらく経ち、今に至る まさかとは思うけど、由暉子の奴…… side由暉子 3月◆日 今日はホワイトデー、なのにとんでもないことをしてしまいました…… お互いにバレンタインのお返しをするため、京太郎くんと出かけました 初めは色々な店を回っていたのですが、あまり良いものがなく、午後は遊ぶことに そのまま色々遊んだ後、前に先輩から聞いた綺麗な夕日が見える公園に行きました 話に聞いてはいましたが、そこで見る夕日はそれ以上に綺麗でした しばらく見ていてふと隣を見ると、京太郎くんの横顔が見え、そこからは正直無意識でした 京太郎くんの服の袖を掴み、こっちを向かせて……私からキス、しました 京太郎くんも驚いていたと思いますが、私の方がもっと驚きました どうして、なんで……そんなことばかり考え、気付けばそこから走っていました そのまま家に帰っても、顔が熱いのもやけに鼓動が早いのも、いくら経っても収まりません だって、私から……でも……嫌じゃ、なかった? じゃあ……私は……京太郎くんのことが…… 京太郎「あー、この日のことは忘れられねーわ」 由暉子「私もです。ずっと前からだったとはいえ、自覚する前から無意識にキスなんて……」 京太郎「お前部室で翌日会うなり即行キスしてきただろ」 由暉子「確認したかったんです。本当に好きなのか、勢いじゃなかったのか」 京太郎「で、確認できたから?」 由暉子「押し倒しちゃいました」テヘ 京太郎「テヘ、じゃねーよ。真顔でやんな」 京太郎「ったく、後から来た成香さんは真っ赤になるし、揺杏さんはノリノリで根掘り葉掘り聞いてくるし」 由暉子「ガッツリ見せつけるかのごとく語ったからいいじゃないですか」 京太郎「揺杏さんが『私が悪かった、だからもういい。マジで砂糖吐く。げっろ』って言っても止めなかっただろ」 由暉子「愛が抑えられなくて……そういう京太郎も今、抑えてないですよ?」 京太郎「……ま、同意できるしな」 由暉子「結局こうなりますね。私からでも、最後はされるがままになりますし」 京太郎「嫌か?」 由暉子「むしろ、もっとお願いします」 カンッ!!
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特別編、永水ver とある執事との交流 ハギヨシ『こうやって話すのも久しぶりですね』 京太郎『そうですね。新しい学校やらでこっちも忙しくて』 ハギヨシ『いえいえ、私の方こそ連絡ができず申し訳ない限りです。ところで、今は鹿児島でしたっけ?』 京太郎『はい。元女子校の永水にいます』 ハギヨシ『ほほう、永水ですか……去年のインターハイにお供した時に何度か見ましたが……』 京太郎『……巫女服ですね』 ハギヨシ『巫女服です。それを着ている方々も素晴らしかったです。それを機会に巫女ものが数冊増えたものです』 京太郎『分かります。それと、こっちは暑さからか薄着になるのが早くて』 ハギヨシ『いいですねぇ、こちらはまだまだ長袖の方が多いですよ』 京太郎『こっちで仕入れた素人ものでも今月は送りましょうか?』 ハギヨシ『ふむ、ではそれと水着ものを是非。そちらでなら良質のものが手に入るととある筋からの情報が』 京太郎『水着もの……確かに少し探しただけで良作が多いです。分かりました』 ハギヨシ『ではこちらは巫女ものと……そうですね、個人的なおススメをいくつかご用意しましょう』 京太郎『ええ、ではまたいつものように。品名は「参考書で」』 ハギヨシ『はい、こちらの品名は「月刊誌」でよろしくお願いします』 漢達の友情は決して途切れない こうやって月1でエロ本をまとめて貸し借りしている2人であった カンッ!!
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京太郎「好きです!俺と付き合ってください!!」 理沙「……!?」カァァ 京太郎(ど、どうだ?)チラ ドクン ドクン 理沙「……っ」 理沙「……「ありがとうございました。足元気をつけてお降りくださいませ」 京太郎「oh……」 理沙「お、降りよ」アセアセ 京太郎「…………」 理沙「…………」 京太郎(タイミング悪すぎだろ……降りる直前でもいいから不具合で止まってくれたら良かったのに……) 京太郎(ていうか告白やっぱ早かったかなー……でもずるずる先延ばしにしたらいつ出来るかわかんねーし) 京太郎(雰囲気に流された感じはあるけど間違ってなかったはず!) 京太郎「理沙さn「京太郎」……はい」 理沙「……」ジー 京太郎「」ドキ 理沙「き、京太郎のこと…………好き」 京太郎「!」パァァァァ 理沙「でも付き合えない」 京太郎「な……なんでですか?」 理沙「…………」 京太郎「教えてください!」 理沙「……高校生だから」 京太郎(つまり……大人だったらいいのか?どういうこと?) 京太郎(んー……好きってのは男としてだよな?そうじゃないと理沙さんは好きとは言わない……と思う) 京太郎(俺が大人じゃないと駄目なのか?……そうだ!)ピコン 京太郎「……わかりました」 理沙「」コクリ 理沙「それじゃ」ダッ 京太郎「ちょ、待ってください!」ガシ 理沙「離して!」 京太郎「まだ言いたいことがあるんですって!」 理沙「終わった!京太郎のことフった!」 理沙「もう……終わった……」ポロポロ 京太郎「……終わってないですよ。だから最後まで聞いてください。ね?」フキフキ 理沙「……」 理沙「……わかった」 京太郎「えっと……理沙さんは俺のこと、す、すす、好きなんですよね?お、男として」 理沙「…………」コクリ 京太郎「でも高校生だから付き合えない。つまり大人だったら付き合えるんですよね?」 理沙「……」コクリ 京太郎「俺は馬鹿だから理由なんてわかんないですけど、ようは恋人関係が駄目なだけですよね?」 理沙「」コクリ 京太郎「じゃあ付き合うこと前提で友達付き合いしましょう。結婚前提のお付き合い……みたいな?」 理沙「…………」 京太郎「駄目……ですか?」 理沙「……ばか」 理沙「ばかっ」ギュウウ 京太郎「……ばかですみません」ギュ 京太郎「……帰りましょうか」 理沙「」コクリ 理沙「……」ギュ 京太郎(……デートの時も繋いでたし。恋人じゃなくても繋ぐし。俺がドキドキする以外問題無いし)ドキドキ 理沙「……楽しかった」 理沙「ありがと」 京太郎「……俺も楽しかったです」 京太郎「理沙さんといるからいつも以上に」 理沙「……っ」ギュ 京太郎(照れてる。可愛いなぁ) 京太郎(にしても……なんかめっちゃ周りから見られてる……なんでだろ?) 京太郎「もう暗いですね」 理沙「八時!」 京太郎(もう八時だったのか。正直お腹減ったかわかんねー。食い始めたら食べられるだろうが) 京太郎(それより……) 理沙「どこか……」ケンサクチュウ 京太郎(バスってこんなに体触れちゃうんだな。俺の図体がでかいからかわからんけど肩とかあたってるし……) 京太郎(恋人……になる予定なんだよな……ヤバイ興奮してきた!) ツンツン 京太郎「おわっ!?なんですかホッペなんかつついて!」 理沙「……なんとなく?」 京太郎「むむむ、おりゃ」ツンツン 理沙「むぐ、お返し!」ツンツンツン 京太郎「なんのー!」ツンツンツン 京太郎「…………あー……その、あれですね。うん」(冷静になって恥ずかしくなった) 理沙「…………」(京太郎が可愛くて、やめられなくて恥ずかしくなった) 京太郎「ほ、ほら、もう着きますよ」アセアセ 理沙「」コクリ 京太郎「……なんかこのバス降りなかったらずっとこの時間が続くんじゃないか……なんて」 京太郎「……」 理沙「……」 理沙「これから」 京太郎「?」 理沙「……もっと楽しい……から」ニコ 京太郎「……ええ、そうですね。ほんとそうですよね!」ニコッ 理沙「ひとまずご飯!」 京太郎「はい!」 京太郎「……へへへ」 京太郎「理沙さんと恋人みたいな状態なのかぁ……」 京太郎「やべぇ、おちつかねぇ」 京太郎「こんな気持ちで学校行っても勉強に身入らねぇよ」 ピンポーン 京太郎「ん?誰だろ?」 ガチャ 理沙「……」 京太郎「り、理沙さん!?」 京太郎「どうしたんですか?こんな早くに」 理沙「……っ!」 理沙「」バッ! 京太郎「これは……!?もしかしてお弁当ですか!!」 理沙「……作り過ぎた」ボソ 京太郎(これはいつも作ってるお弁当を俺の為にも拵えてくれたてことでいいんだよな!いいんだよな!!) 理沙「……それじゃ!」プンスコ タッタッタッ 京太郎「あ、行っちゃった……」 京太郎「……すげーやる気出てきた」 ───────── ────── ─── 京太郎「ありがとうございましたー!」 マスター「何か良い事でもありましたか?」 京太郎「ええ!それじゃテーブル片付けてきます!」 タッ マスター「……良い笑顔です」 カランカラン 京太郎「いらっしゃいませー」 咏「やっ」 京太郎「三尋木プロ!お久しぶりです!」 京太郎「好きな席へどうぞ」 京太郎「何にしましょうか?」 咏「そうだねぃ……オススメのコーヒーとあんたの小話で」 京太郎「へ?俺の?」 咏「そうそう。例えば……ノヨリさんとの関係とか」 京太郎「ふぁ!?」 咏「いやぁ、なんか今日ノヨリさんの調子も機嫌も良かったから少年と何かあったと思ったんだけどねぃ……当たり、だろ?」 京太郎「えーっと……まぁ、、、」ゴニョゴニョ 咏「あっはっはっ!可愛いもんだ」ケラケラ 京太郎「むぅ……」 咏「で?何があったんだい?」 京太郎「興味津々ですね」 咏「そりゃぁ私だって乙女だからねぃ。そーいう話は大好物さ」 京太郎「どっちかって言うと井戸端会議のおばさんみたいな聞き方ですけどね」 咏「少年からみりゃ私なんかはおばさんだろうさ」 京太郎「そんな年齢離れてます?」カシゲ 咏「まぁ十近く違うとねぃ」 京太郎「え、まじですか?」 咏「まじまじ」 京太郎「そうなんだ……20ぐらいだと思ってました」 咏「嬉しいのやら悲しいのやら」ヤレヤレ 京太郎「それで……まぁなんといいますか……」 咏「話しづらい?」 京太郎「少し」 咏「……付き合い始めたか」 京太郎「……」 咏「当たりみたいだねぃ。でもそれのどこが言い辛いのさ」 京太郎「まぁ付き合い始めたっていうのは少し間違いと言いますか」 咏「ほぅ」 京太郎「えっとですね……―――――」 京太郎「ということなんです」 咏「あー……」 京太郎「理沙さんが高校生と付き合えないって言った理由を自分なりに考えたんですけど、理沙さんが有名だからなのかなって思って」 咏「わっかんねー。わっかんねーけど間違ってないと思うけどねぃ」 咏「多分仲の良い人らはからかいながらも祝福してくれるだろうさ」 咏「けど世間の目は違う。プロ雀士が子供に手を出した、そう言う。二人が合意の上だろうがね」 咏「……時々中学生や高校生に手をだして捕まってるやつがいるだろ。なんでだと思う?」 京太郎「わかんないです」 咏「周りがリークするからさ。例え二人が合意だったとしても周りが認めなかったらそれは犯罪なんだよ。まぁ中学生以下は普通に犯罪だけど」 咏「で、ならどうすればいいのか?ラブホテルに入ったりとか付き合ってるよーとか言いふらさなきゃいいのさ」 咏「仲良いだけだから問題無いってね」ケラケラ 京太郎「」カァァ 咏「だから今の関係でいいんじゃね?知らんけど」 咏「さて、そろそろ帰ろうかねぃ。ノヨリさんが来る前に」 京太郎「え?なんで来るってわかるんですか?」 咏「少年とノヨリさんの様子を見てたら誰でもわかるんじゃね?知らんけど」 京太郎「……三尋木プロ、ありがとうございました」 咏「私は冷やかしに来ただけさ。そこに合いの手を打っただけ」 咏「そうそう、私のことは名前で呼びな。三尋木プロなんて呼び方はそんなに仲良くないやつらでお腹いっぱいだ」 京太郎「……わかりました。じゃあ咏さんって呼びます。俺のことも下の名前でよんでください。少年は流石にむず痒いです」 咏「わかった。それじゃねぃ、京太郎」 カランカラン 京太郎「……良い人だ」 カランカラン 理沙「……来た」 京太郎「いらっしゃいませ理沙さん!とりあえず座ってください!」 京太郎「何か飲みますか?オススメはですね、この「京太郎君」 ? なんですか?」 マスター「今日はもう上がっていいですよ」 京太郎「まだ片付け終わってませんけど……」 マスター「帰っていいという状況で女性が待っている。なら行動すべきは一つだと思いますが?」 京太郎「……ありがとうございます!理沙さん、ちょっと待っててください!」 ダッ マスター「……彼はこれから如何様にもなる素晴らしい才能の持ち主だ」 理沙「?」 マスター「でも、きっと京太郎君はあなたに影響されるでしょう。それが幸せなのか否か」 理沙「……」 京太郎「ふぃぃ、バイト終わりって一息つきたくなるんですよね。そんなに疲れてないんですけどね」 理沙「そういうもの」 京太郎「そんなもんですかー。麻雀の時もそうですか?」 理沙「」フルフル 理沙「いつも足りない」 京太郎(好きなんだなぁ……俺はそこまで麻雀に打ち込んでいるだろうか?) 京太郎(きっとまだ遊び感覚だろうな) 理沙「京太郎」 京太郎「なんですか?」 理沙「寄っていって」 京太郎「わかりました」 理沙「座って」 京太郎「はい」ストン 理沙「…………」 京太郎「?」 ストン 京太郎(!? 何故に理沙さんは俺の脚の間にすっぽりと収まっているのでしょうか!?) 京太郎「り、理沙さん」 理沙「京太郎」クル 京太郎「な、なんでしょうか」ドキドキ 理沙「……っ!」 理沙「私、は……好きなことする」 理沙「京太郎も」 京太郎(今……てわけじゃなさそうだ。真剣な顔してる……) 京太郎(好きなようにやれって?どういうことだろう?) 京太郎(まぁいいか。後で考えよう。今は理沙さんの温もり感じてたい) 京太郎「抱きしめていいですか?」 理沙「……ぃぃ」ボソ 京太郎「……」ギュ 京太郎「もう大分暖かくなってきましたけど夜は寒くなることも多いですね」 京太郎「こうやってると、すごく温かいです」 理沙「……心地良い」 京太郎「これからどうなるんでしょうね」 理沙「……」 京太郎「ずっとこうしていられたら、きっと幸せですね」 理沙「……そうする」 理沙「だから側にいて」ギュ 京太郎「……もちろんです」 理沙「…………」 京太郎「…………」 チュ 京太郎「そろそろご飯作りますか?」 理沙「」コクリ 京太郎「そういえばお弁当すっごく美味しかったです。やっぱ料理上手ですね」ニコ 理沙「そ、そんなことない」カァァ 理沙「……また作る!」プンスコ 京太郎「大変じゃないですか?」 理沙「大丈夫!」 京太郎「それじゃあお願いしちゃってもいいですか?」 理沙「お願いされた!」 京太郎「でもそれだと俺が受け取ってばかりですね」 京太郎「何か出来ることありませんか?」 理沙「いらない!」 京太郎「で、でも……」 理沙「……」 スリスリ 京太郎「あの、理沙さん?」 理沙「これで十分」 理沙「あったかい」 京太郎「……~~~」ポリポリ ―――次の日――― 京太郎「よし、完璧。そろそろ学校行きますか」 ピンポーン 京太郎「はいはーい」 ガチャ 理沙「……お弁当」スッ 京太郎「え?でも昨日も……」 理沙「作った!」 京太郎「……わかりました。いただきます。でもちょっと……えっと、少しだけ中に入ってもらえますか?」 理沙「わかった」 バタン 京太郎「えっと……」ギュ 理沙「!?」 京太郎「抱きしめられるの好きだったみたいなので、その、お弁当のお礼にですね」 京太郎「すみません、こんなもので」 理沙「……ありがとう」ギュ 京太郎「……理沙さんはもう仕事ですか?」 理沙「もうちょっと後」 京太郎(そっか、まだなのに俺の学校に行く時間を見計らって来てくれたんだな) 京太郎「それじゃ、行ってきます」 理沙「……いってら」チュ 京太郎「明日バイト休みかぁ」 京太郎(そういえば理沙さんも予定無いって言ってたっけ?) 京太郎(デート……デートに行きてぇなぁ……) 京太郎(でもやっぱ駄目なんだろうか、デート) 京太郎(咏さんの話からすると周りに見つかったら駄目なんだもんな) 京太郎(でもこないだ遊園地デートしたし。あん時は付き合ってなかったけどさ) 京太郎(いや、今も付き合ってるわけじゃないけど、意識しちまうよなぁ。正直建前だし) 京太郎(それに知らない人が見たらどう思うかって言ったら、付き合ってるんじゃないの?ってなるだろうし) 京太郎(そう話題になった時点でアウトだろ。もどかしい……) 京太郎(あぁ、理沙さんとどっか行きてぇな……) 京太郎(あれ?思えば理沙さんと同じ時間を過ごせればいいのにどっかに行きたいってほうが表に出てきてんな) 京太郎(理沙さんと過ごせるなら部屋でもいいわけだし) 京太郎(でも、理沙さんはどっか行きたいかもしんないし……) 京太郎(そもそも理沙さんは俺に休日の時間を使ってくれるのか?) 京太郎(もしかしたら一人で過ごしたいって思ってるかも) 京太郎(うわー、どうなんだろ?誰も彼もが休みは好きな人とずっと一緒にいたいって思ってるわけじゃないしな……) 京太郎(……聞いてみるか) 京太郎 >明日って 京太郎(ちょっと待て。こんな風に聞いたら理沙さんは優しいからOKって言うし一緒にいたいって言うに決まってるじゃないか) 京太郎(駄目だ。その優しさに甘えてつけこむようじゃ) 理沙 >明日 部屋に来て 理沙 >京太郎と過ごしたい 京太郎(……明日って書いてしまったから気を遣わせたのかな?) 京太郎(でも折角会いたいって言ってくれてるんだ。……俺も会いたいし) 京太郎 >はい、行きます! 京太郎(俺ってずるいのかな……) ―――次の日――― ピンポーン ガチャ 京太郎「おまたせしました。着替えてきたから少し遅くなっちゃいました」ハハハ 理沙「大丈夫」 理沙「あがって」 京太郎「はい、お邪魔します」 京太郎「あ、これ返しておきます。今日もお弁当美味しかったです」ニコ 理沙「ん」テレッ 理沙「なにそれ?」 京太郎「ん?このかばんの中身ですか?」 理沙「」コクコク 京太郎「実は最近コーヒーの淹れ方を教えてもらいまして……」ゴソゴソ 京太郎「それの為のポットと挽いてある豆です」バーン 京太郎「ドリッパーはありましたよね?」 理沙「ある」 京太郎「んじゃ借りますね」 京太郎「よし、お湯も沸いたしこっちに入れて……っと」 京太郎「んじゃ注いでいきますよー。まずは真ん中に……」トポトポ 理沙「ん、いい香り」 京太郎「クリスタルマウンテンっていう銘柄らしいです。煎り方の違うものを色々試したそうで、その余りをもらったんですよ」ノノジ… 京太郎「いやーラッキーですよね」 理沙「役得!」 京太郎「ですです」 京太郎「さて……いい感じかな?」 理沙「?」 京太郎「全体的にお湯が行き渡ってたらいいみたいです」 京太郎「偏ってたりしたら、お湯が足りてない部分の旨味が出きってない分味が落ちるそうです」 理沙「詳しい!」 京太郎「受け売りですけど」 京太郎「よしOKかな」 理沙「少ない!」 京太郎「あぁ、これでいいんですよ。こうやって……」 トポトポ 京太郎「後から入れるんです」 理沙「なんで?」 京太郎「さっき入れた分でコーヒーの旨味成分っていうのは出きっているそうです」 京太郎「さらに注いでしまったら、出るのは苦味や渋味みたいですね」 京太郎「なのでこうして後からお湯だけ入れるんです」 京太郎「ふわぁ……」 理沙「寝不足?」 京太郎「ちょっと遅くまで遊びすぎたみたいです」ハハハ… 京太郎(ほんとは色々考えてたせいだけど……言えるわけない) 理沙「……っ!」 理沙「きょ、京太郎!」 京太郎「なんですか?」 理沙「」ポンポン 京太郎(ふとももを叩いてる……?……もしかして膝枕か!?)ゴクリ 理沙「早く!」プンスコ 京太郎「は、はい」 京太郎「し、失礼しまーす……」ポフ 京太郎(こ、これが膝枕なのか。思った以上に気持ちいい……) 理沙「……」ナデナデ 京太郎(理沙さんに撫でられるの心地いい……ハマりそうだ……) 理沙「」ペタペタ 京太郎「ちょ、くすぐったいですって、あははははっ、首は駄目ですって」 理沙「かわいい」クス 京太郎「もう、何するんd、むぐっ」 理沙「――――ぷはぁ。キスも……気持ちいい?」 京太郎「……ふぁい。気持ちよかったです」 理沙「よかった」ナデナデ 京太郎(弄ばれてんなー……悪くないけど) 京太郎「……理沙さん」 理沙「?」 京太郎「俺ってかなり子供なんです。理沙さんとこんな関係になって余計に自覚しました」 京太郎「弱い、弱い自分がここにいるんです」 京太郎「外でデートしたいです。でもそれは難しいですよね。俺達が意識してしまってるから」 理沙「……」 京太郎「理沙さんと少しでも長く一緒にいたいです。でも理沙さんも一人の時間欲しいですよね」 京太郎「でも自分は我がままですから。昨日もLINEに『明日』まで書いて止めました。そんなん気になるって話です」 京太郎「ずるくて、そんな自分が……ヒック……嫌で……」 京太郎「……すみません、今日はもうk、いたっ」 理沙「……」 京太郎「あの、そんなとこ抑えられたら起き上がれないんですけど……」 理沙「……京太郎は子供」 京太郎「……知ってます」 理沙「甘えるのは当然」 理沙「受け止める」 京太郎「でも……あいたっ!おでこ叩かないでください!」 理沙「そのうち返してもらう」 理沙「ずっと一緒」 京太郎「…………」ギュ 理沙「…………京太郎」ギュ ――――――好き 京太郎「……突然泣いてすみませんでした」 理沙「かわいかった」 京太郎「ええ!?可愛いってなんですか!」 理沙「……小動物?」 京太郎「そんな小さくないですよ!」 理沙「……!ゴールデンレトリバー!」 京太郎「犬ですか!!」 理沙「おいで」チョイチョイ 京太郎「行きませんよ!」 京太郎「……」チラ 理沙「」オイデオイデ 京太郎「…………ちょっとだけなら」 理沙「……気持ちいい?」ナデナデ 京太郎「……はい」 理沙「かわいい」 京太郎「はっ!?」
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モモタロス 赤い鬼みたいなイマジン。おそらく、良太郎の桃太郎(鬼?)のイメージで出来た姿。 大雑把でぶっきらぼうだが、なんだかんだで優しい性格で、ツッコミ的な役割もなんだかんだで果たすが、下手というよりは面倒くさいツッコミをする。 直情的で、接近戦などのわかりやすい戦い方を好む 彼が憑依した状態で戦うと、仮面ライダー電王ソードフォームという赤い電王になり、武器であるデンガッシャーはソードモードの形をとる
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【10月第4週 平日】 京太郎「今週末から来週末にかけていよいよ国麻か……」 京太郎「絶対に決勝まで行ってやるぜ!」 キーンコーンカーンコーン 京太郎(今日もロンリー登校だった……)ガックシ 咏「京太郎のやつ、また落ち込んでるよ」ヒソヒソ 和「いつものことですね」ヒソヒソ 咏「だね」ヒソヒソ 京太郎「昼飯を食べに行くぞ!」 咏「その前に授業の課題片付けろよなー」 和「静かにしてください」 京太郎「二人とも当たり強いな!俺でも傷つくよ!」 昼 京太郎「屋上に来るのも久しぶりだな……」 京太郎「一時期は狂ってるほどに来てたけど」 郁乃「あ、京太郎くんや~」 京太郎「郁乃さんっていつもここにいますよね……」 郁乃「ん~なんでやろな~」 京太郎「聞いた俺がバカでした」 郁乃「京太郎くん酷いな~お姉ちゃん怒ってるで~」プンプン 京太郎「あんまり怒ってるように見えないんですけど」 郁乃「まあ怒っとらんから」シレッ 京太郎(何なのこの人!)イラッ 郁乃「せや~二人っきりなんやし一緒に食べへん?」 京太郎「いいですね、食べましょうか」 郁乃「~♪」モグモグ 京太郎「郁乃さんのお弁当は霞さんが作ってるんでしたっけ?」 郁乃「せやで~居候やからな~」 京太郎「ダメな大人だこの人……」 郁乃「むぅ、さっきからいろいろと酷いこと言うな~」 京太郎「冗談!冗談ですから!」 郁乃「そうなん?」 京太郎「まさか本気でダメな人だとか思ってるわけないじゃないですかー」ボウヨミ 京太郎(実際この人何もやって無さそうだな……) 郁乃「なら良かったわ~」ニコニコ 京太郎(憩さんも郁乃さんもいっつも笑ってるよな) 京太郎(照も同じくらい笑えばいいのに―――)ポワポワ 照『そっか、良かった~』ニコニコ 京太郎(可愛いけど何か違うな) 郁乃「~♪」モグモグ 京太郎(話題途切れちゃったけど、どうしよう) 京太郎「郁乃さんは……国麻に出るんですか?」 郁乃「ん~団体戦は遠慮しておきたいな~」 郁乃「末原ちゃんたちと一緒に戦う言うんは魅力的やけど……私は本当は出ちゃダメやから」 京太郎「そう……ですよね」 郁乃「個人戦は面白そうやから出るけどな~」 京太郎「じゃあ俺と当たるかもしれないですね」 郁乃「手加減はせえへんよ?」 京太郎「上等です、勝ってみせますから」 京太郎「そういえば国麻ってプロの人たちも出るんですか?」 郁乃「それは冬の全国プロ・アマ交流戦だけやな~」 京太郎「やっぱりそうなりますよね」 郁乃「なんや?小鍛治さんとかと戦いたかったん?」 京太郎「それだけは遠慮しておきます」 郁乃「私も嫌やわ~」 郁乃「せや!京太郎くんが決勝戦まで行ったらご褒美あげるわ」 京太郎「ご褒美……って前の良子さんみたいな?」 郁乃「うん、誰か呼んであげるわ~誰がええ?」 京太郎「だったら……そうですね……」 京太郎「臨海の監督さん……でも?」 郁乃「……京太郎くんはかっこいい人が好きなん?」 京太郎「確かにそうかもしれませんねーってはぁっ!?」 郁乃「だっていっつもかいのーちゃんとかカントクちゃんとかとおるやん~流石に拗ねるで?」 京太郎「ただの偶然ですって」 キーンコーンカーンコーン 京太郎「あ、予鈴だ」 郁乃「今日はここまでやな~」 京太郎「そうっすね、ありがとうございました」 郁乃「私も楽しかったで~」 放課後 京太郎「相変わらず暇だ……」 京太郎「愛宕監督曰くもうすぐオーダー決めをするとか」 京太郎「俺もそういう会議に参加したりとかしなくちゃなのか?」 京太郎「今日こそは勝ってやる!」 泉「京太郎くん!久しぶりに打ちませんか?」 京太郎「へー泉は俺に勝つ自信があると」 泉「今日こそは勝ってみせますよ!」 俺は、打っていた 暖かな陽だまりの中で 照と咲とモモと、三人の幼馴染と 俺は彼女たちと互角に戦っていた それが何故かなのはわからない 思い出そうとすると溢れてくるのは水 水に溺れる感覚 あの感覚は……一体 照「京は私たちを懐かしい気持ちにさせる」 京太郎「懐かしい気持ち?」 咲「麻雀を始めたころの初めての気持ち」 京太郎「なんだそりゃ?そんなオカルトありえねえっつーの」 桃子「それが京太郎のわけのわからない強さなんっすよ」 京太郎「強さっつっても大して勝ててないし……」 照「それは京の運が悪いだけ」 京太郎「えぇ……」ズーン 京太郎(…………) 京太郎(今のは、一体……?) 洋榎「負けた……」ガックシ 泉「今日こそは勝てる思うとったのに……」 京太郎「まあまあ、二人とも元気出して!」 泉「京太郎くんに言われたないですわ」 洋榎「せやせや、ちゃっかり二位のくせに」 京太郎(なんで責められてるんだろ) 京太郎「さっきのはなんだったんだろうな……」 雅枝「須賀、肩揉んでくれるか?」 京太郎「はいはーい」モミモミ 雅枝「あ^~気持ちええな^~」 京太郎「ってなんで俺が監督の肩揉んでるんですか!」 雅枝「なら胸もええで」 京太郎「いいんですか!」ニヘラ 京太郎「って欲しくないわそんなもん!」 雅枝「なんや失礼やなーはい続き続き」 京太郎「はぁ……」モミモミ 京太郎「監督ー何か話しません?」 雅枝「別にええでー」 京太郎「そういえば国麻のオーダーってどうなってるんですか?」 雅枝「あーそれは今夜石戸の家で話そ思うとったんやけど」 京太郎「そうですか」 雅枝「須賀も参加してくれるか?」 京太郎「俺なんかの意見を参考にしてもいいんですか?」 雅枝「ええんやないの?須賀やったら贔屓なんてせえへんやろ」 京太郎「結構信頼されてるんですね、俺」 雅枝「まあ……せやな」 京太郎「なんか間があった気がするんですけど」 雅枝「手休めずに揉みぃ」 京太郎「はいはい、ここいら辺ですか?」グイッ 雅枝「んぁぁ、ええなぁ」 夕 京太郎「こんにちはー」 店員「おっ、須賀の坊ちゃん久しぶりやな」 京太郎「どうも、お久しぶりです」 店員「今日も何人かおもろいのが来てるで」 京太郎「へー楽しみですね」 店員「まあ立ち話もなんやから入って入って」 おっさん「げっげっげ、よう来たな須賀んとこのォ!」 善野「須賀くんか、よろしくな」 良子「面子もそろったことだし、スタートしようか」 京太郎 92+177+35=304 良子 74+200+60+30=364 善野 73+200+30-15=285 おっさん 96+120+15=231 京太郎(昔のあの感じ) 京太郎(なんであの感じを忘れていたんだ……) 京太郎(もっと……自由に!)カチャカチャ←ベルトを外す ゴッ 京太郎(来た!) 良子(……これ……は) 善野(ふむふむ) 良子「ツモ、これでフィニッシュです」 善野「お疲れ様でしたー」 京太郎「お疲れ様でした」 良子「京太郎、さっきは何を……?」 京太郎「よくわからないんですよね、昔の感覚と言うかなんというか」 善野「へー面白いこともあるんやなー」 良子「中々良かったよ、それではまた後で」 善野「ほな後でなー」 京太郎「さよーならー」 京太郎「善野監督って元気そうだよな……」 京太郎「会議の前にメールでもするか」 京太郎「多治比さんに送ってみるか」 京太郎「前カス虫外道とか言われたんだよな……」 京太郎「何て送ろう」 京太郎『こんばんは』 京太郎『多治比さんって美人ですよね』ピッ ヴーッ ヴーッ 真佑子『何ですかいきなり』 真佑子『気色悪いですよ』 京太郎「歯に衣着せてねえ!」 京太郎『突然あんなメールを送ってすみません』 京太郎『なんか口説いてるみたいですよね……』ピッ ヴーッ ヴーッ 真佑子『わかってくれればいいんですよ』 真佑子『私も少し言い過ぎちゃいましたね』 真佑子『あんなことを言われたらどうしていいかわからなくて』 京太郎「言い過ぎ……うん、そうだよな」 京太郎「ん?もうそろそろ時間か、こっちを終わらせないとな」 京太郎『こちらこそすみません』 京太郎『もう用事があるので失礼しますね』ピッ 京太郎「よし、会議だ会議!」 【10月第4週 平日】終 雅枝「全員揃ったみたいやな」 良子「イエスマム」 . . . .- ― -. . .,, ,,. ´ ` ,, ´ ヽ / ヽ ヽ / / , , ハ ', / / / / / ハ ', ハ // / / / l 〃 / ! } //!ヽ {l/ l 斗イ ! メ /| ! l/ / ! \ /;, { l N ハ | / \ _ _ _! l / /ト . \ . //丶, 、 |弍芝ミ / / l l ! ! ! / ,' \ ヽ 〃 〉 \ ! 戔沁 /イ .=芸ミx | | lイ// ヽ ハ / ,' イ 弋_ソV {戔刈ミ / / \ ', ./ l /| ,,, 弋_ ソ/ / Y ∧ .! l /八 ' ,,, / /イ . l } |/! / \ 、 / / ヽ l } | .∨ ムイヽ ,, イ /> \ 〃 / ,、---- ニl --/ 'イ | \ ヽ / //! ハ ムイ.___| ヽ} { | / ] ― ハ / r‐ V⌒Y イ ム/ ヽ ', 近畿Aコーチ 戒能良子 霞「京太郎くん、お茶入れてくれるかしら?」 , ' . . . . . . . . . . . . . . . . . .ヽ ..ヽ /. . . . . . . . . . . . . . . .;、 . . . . . . ヽ .. .ヽ // . ./.. /. ; / ';. . . . . . . . . . '; ....; /,' . ;'. /. l! ;' .'; l l . . ..i /.i | lL -亠 l  ̄丁T! ‐! l l . . |. i ! 、 l l!、 _」L l l --+HL_ l .;リノ . . ...| ! .l トゝ !´__ _ヽ 川 ,,z=-zy/j;イ .| | .l . lv'筰 卞 ヽ. ´ b jヽ .!l .| l l! .辷.ノ ー.― ll .| l l. ,,, ' ''' 'l . .| l l /l .|. l .l. ャー‐ッ / l / .l l ... イ / l. l >.....___ < | l / .. ' l . / l / . /. l .. /{ | / . / l . . / ゝ´ll /,' ./> 、 l . /// ! / / イ./ ヽ. l . / ,' / / ;.' / | .i. l=;/ l / ,; ,' / ! l ,' l ./ i / / / l! .l / 丿, ' /! ;' / / ! 三箇牧高校監督 石戸霞 郁乃「棚にせんべいあるからよろしくな~」 , '"  ̄` 、 / ヘ ./ ヽ、 ヘ ′ i !ハ ∧ i| | ! ヤ ∧ |i | / リ从 ∧ | /´レ勹´ _`_キ ∧ | !' ,r=‐ ⌒i| \____ | 爪 ´,, ″| ヽ、 `ヽ | ゝ .,ノ 从 `ヽ、 | 心 _/.)^._ イ´ ∧\ }..,ィ|i /./ | i \ } ソ{ ./ | ,'‐^ュ `k | i \"´ji { 广 ̄丁 j’ ´ ‐''ノ从 |-ミ } ji ル / 人__,,斗宀'" i \|ノ; /i | 彳"/ /' │ !"¨ ./ |ゝ-弋./ /__ __ _/i / |!/| | / / `´ |/ | i| | / / | | i| 三箇牧高校次鋒 赤阪郁乃 京太郎「はいはい」 /\-――‐- 、 , --=7 丶 `ヽ /, ヽ ヽ ∠/ / 、 、 丶 i / i ! l. l i. i | / ,/ ! ! l|| ! |、 ll ! | ヽ、 /_ -7 , | l ト、| |ヽ! N , 斗 r ,'_ ト--`  ̄ //! ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !| ´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ // l i `i _/,、/ ´ {ハ!ヽ{ ′ /!}/ ′ 丶 ー ―‐ ' / |′ \ / | __ i ー ' ! __ , ィ'´ . /-‐ ´} / `Y´ . .\ , -‐'' ´ . ./ . . ./― - 、 ,/__ / . . . . . /`丶、 ハ . . .i ., . ,′ . i `  ̄ / . . . . ../ . . . . . . .丶、 / . . .i . . |,' . i . . . . ! ヽ / / . . . . . / . ., . . . . . . . . ,.ヽ ! . . . .ヽ .{ . .l . . . . l. i / . . . . . / . ./ . . . . . ./ . . .i インターハイ男子個人戦チャンピオン 須賀京太郎 雅枝「おお、会議っぽいな」 京太郎「雅枝さんは無かったので我慢してください」 雅枝「不公平や……」 京太郎「そういえば試合表とかどうなってるんですか?」 雅枝「あーそれはな……」ゴソゴソ 雅枝「こうなっとる」 一戦目 関東 対 東北 対 近四中 対 九州 二戦目 近畿A 対 中部 対 一戦目の下位二チーム 三戦目 一戦目の上位二チーム 対 二戦目の上位二チーム 京太郎「うちのチームは楽なんですね」 郁乃「善野ちゃんのくじ運はええからな~」 京太郎「その善野さんは?」 良子「少し気分が悪いそうなので帰ってしまった」 京太郎「そうなんですか」 雅枝「ちなみに日程表はこうや」 一日目 第一戦 二日目 第二戦 三日目 決勝戦 四日目 オフ 五日目 オフ 六日目 個人戦一回戦 七日目 個人戦二回戦 八日目 個人戦準々決勝 九日目 個人戦準決勝 十日目 個人戦決勝戦 雅枝「個人戦は一位の選手の勝ち抜けや、それ以外はそのまま敗退」 雅枝「それで本題のオーダーをどうするかや」 良子「これが選抜最終候補のレコードだよ」 京太郎「なるほどなるほど……」 京太郎(よくわかんねえ……) 雅枝「まずはどこから決めよか」 良子「エースの置き場を決めておきたいですね……」 郁乃「姫松や新道寺みたいな変則型で行くのもありやな~」 霞「そうね……どうしましょうか」 京太郎「やっぱり先鋒から決めましょうか」 霞「そうね」 良子「注意すべきは永水のコマキ、龍門渕の天江、白糸台の宮永照でしょうか」 京太郎「咲はいいんですか?」 雅枝「宮永妹は大将向きみたいやからな、先鋒よりも大将の方が使いやすいやろ」 京太郎「確かにそうっすね、それじゃあ誰にしましょうか?」 雅枝「私としては荒川やな」 京太郎「俺も憩さんは安定してると思いますね」 郁乃「え~咏ちゃんの方がええと思うな~」 良子「私はあえて清水谷がいいと思います」 良子「安定感ならこちらも十分かと」 霞「みんな色とりどりだから困るわね……」 京太郎「多数決の結果憩さんに決まりました」 霞「次は次鋒ね」 郁乃「私は咏ちゃんがええと思うな~阿知賀の子みたいな感じで巻き上げるんや~」 良子「それなら園城寺選手の方がよくないですか?」 雅枝「その形やったら江口もありやな」 京太郎「皆さん結構ひねくれてますね」 郁乃「せやろか~?」 霞「次鋒は咏ちゃんね」 郁乃「次は中堅さんやな~」 京太郎「ここは姫松の伝統通り洋榎さんで行きましょうか」 良子「江口選手もよいのでは?」 雅枝「私は園城寺がええな、そないに消耗させずに済むやろうし」 雅枝「洋榎に決定やな!」ウキウキ 京郁霞良(すっごく嬉しそう) 霞「次は副将ね、郁乃ちゃん辺りがいいかしら?」 郁乃「霞ちゃんに選ばれるってなんか嬉しいな~」 京太郎「俺は怜さんですかね」 良子「新道寺のように江口選手でどうですか?」 京太郎「無記名投票の結果、副将は怜さんになりました」 雅枝「須賀は園城寺のこと名前で呼んどるんやな」 京太郎「成り行きで……」 郁乃「京太郎くんは誰とでも仲良くなるからな~」 霞「そこが京太郎くんのいいところね」 良子「…………むぅ」 良子「なんか嫌だ……」 京太郎「次は……ってもう大将しかないですね」 雅枝「大将は勝負所やな、もう後が無い」 京太郎「一番重要ですね」 霞「これも最初は候補を絞りましょうか」 雅枝「大将は……お前が適任やな」 郁乃「え?私~?」 良子「ミートゥーです」 霞「でも私は……」 雅枝「自分の生徒が選ばれるんやから喜ぶべきやろ」 京太郎(そうだ……二人とも郁乃さんのことを知らないんだ) 京太郎「郁乃さんは……それでいいんですか?」 郁乃「……別に、大丈夫やで」 雅枝「決定やな」 オーダー 先鋒 荒川憩 次鋒 三尋木咏 中堅 愛宕洋榎 副将 園城寺怜 大将 赤阪郁乃 雅枝「次会うのは土曜日やな」 京太郎「あれ?そういえば国麻の会場って……」 霞「ここ、大阪よ。私たちは中心街の方のホテルを取ってあるわ」 京太郎「わかりました。じゃあ俺帰りますね」 霞「お疲れ様ー」 雅枝「ほな私らも帰ろか」 良子「イエスマム」 雅枝「……なあ、その呼び方やめてくれへん?」 良子「イエスマム」 【10月第4週 平日 深夜】終 【10月第4週 休日】 【国民麻雀大会1日目】 日程について 一日目 第一戦 二日目 第二戦 三日目 決勝戦 四日目 オフ 五日目 オフ 六日目 個人戦一回戦 七日目 個人戦二回戦 八日目 個人戦準々決勝 九日目 個人戦準決勝 十日目 個人戦決勝戦 ※個人戦は一位のみ勝ち抜け 京太郎「朝から現地入りだ!俺って偉い!」 京太郎「初戦は関東と東北、関西と九州だったな」 京太郎「試合は昼から見に行くことができるけど……まずは何をしよう」 朝 京太郎「試合会場の下見に行くか」 京太郎「確か試合会場は……」 哩「お、須賀じゃなか」 京太郎「白水さん、もう来てたんですね」 哩「昨日新幹線ば使うてな、須賀は……なしてここに?」 京太郎「大阪選抜のサポーターっていうかコーチみたいなことやってるんですよ」 哩「こっちはそげなんいなか……羨ましか」 京太郎「と言っても何もやってませんし……」 京太郎「そういえば鶴田さんはいないんですね、いつも一緒なのに」 哩「姫子ん奴ば「せっかく大阪に来たやけん買い物ば行ってきます!」言うてな……」 京太郎「試合開始は……あと4時間くらいですね、どうします?」 哩「ん……どうしよか」 京太郎「じゃあ探検でもしてみましょうか」 哩「探検?」 京太郎「俺もまだ入ったことないですし、どうですか?」 哩「……どうせすることもなか、よかよ」 京太郎「では行きましょうか、お姫様」 哩「調子ばよかね」 京太郎「よく言われます」 京太郎「哩さんはどこのポジションなんですか?」 哩「試合ば見てんからのお楽しみ」 京太郎「元々教えてもらえるなんて思ってませんでしたけどね」 哩「ここばステージと?」 京太郎「そうですね、団体戦の試合はすべてここでやるらしいですよ」 哩「興奮してきよったな!」 京太郎「俺もです!」 哩「願わくば明後日、ここでな」 京太郎「明日じゃないんですね」 哩「私らは強いけん、負けばせんとよ」 京太郎「俺たちも行きますからね!」 哩「うん、楽しみや」 哩「あ、そろそろ時間たい。ここまでやね」 京太郎「それではまた、どこかで」 哩「さいなら~」 京太郎「試合やってるらしいけど、情報無しっていうのも面白そうだよな」 京太郎「ってことで街をぶらつこう」 京太郎「どこ行こっかなー」 prrr prrr 京太郎「はいもしもし」 霞『京太郎くん?控室にお弁当運んでおいて、それじゃね』 京太郎「ちょっと待っ(プツッ)て!」 プーッ プーッ 京太郎「何なんだよ……」 【会場】 京太郎「お弁当って言ったって……」 『大阪選抜様』 京太郎「あ、あった」 京太郎「箱一個分か、軽いな」ヨッコイショウイチ 京太郎「えーっと俺たちの控室はーっと」キョロキョロ 京太郎「確かこっちかな?」 夕 ヴーッ ヴーッ 霞『第一戦、関東と九州が負けたわ』 霞『第二戦に備えて今夜練習をするからできれば来てちょうだい』 京太郎「照のところと白水さんのところが負けたのか!?」 京太郎「意外だな……って関西は高鴨さんと東北には姉帯さんがいるのか……誰に当たってもやばいな」 京太郎「街を回って帰るか」 京太郎「神頼みに神社に来てみたぞ!」 京太郎「でも結構寂しいところだな」 ヒュゥー 京太郎「巫女さん一人いねえや」 京太郎「おみくじもお守りも無人だし、不用心だろ……」 京太郎「おみくじでもしていくか」 京太郎「金入れて」チャリン 京太郎「箱の中からつかむ……っと」 京太郎「……おおっ!」 末吉 願望 叶う……叶います、多分 恋愛 鏡を見てから出直してきなさい 待人 来るんじゃないかな 金運 稼ぐ貴方に禍が!今すぐ本殿にある黄金の壺を買いましょう!(要十万円) 学力 信じる者は救われる 京太郎「学力の項目黄金の壺売ろうとしてんじゃねえか!」 京太郎「ホテルは……ここでいいんだな」 京太郎「部屋番号は404か、今回も誰かと一緒なのかな……」 京太郎「なんでまた一緒なんですかぁぁぁあああ!!!」 洋榎「それはウチの台詞やぁぁぁあああ!!!」 京太郎「…………」 洋榎「…………」 京太郎「異議申し立て、行きます?」 洋榎「もうええわ、いつものことやし……」 京太郎「俺も絹恵さんじゃなくて洋榎さんでよかったです」 洋榎「おっ、京太郎もようやくわかってきたな!」 洋榎「オンナは胸やない!度胸や!」 京太郎(そういうことだけどそういうことじゃないんだよなぁ……) 夜 京太郎「洋榎さーん!遊びませんかー!」 洋榎「京太郎は練習行かへんのか?」 京太郎「れ……練習……?」 洋榎「なんや知らんかったんか……来ないでええんか?」 京太郎「じゃあ行きます!」 洋榎「せやったらこっち来ぃや」 雅枝「明日はいよいよ初戦や!」 雅枝「負けたらそこでお終いやさかい、気張るようにな!」 雅枝「ほな練習開始や!」 雅枝「須賀ーこっちやこっちー」 京太郎「はいはーい、なんですか?」 良子「今日は京太郎に特訓をしようと思ってね」 京太郎「特訓っていつもやってるじゃないっすか」 雅枝「今まで蔑ろにしとった部分があったからな、ほな始めるで」 京太郎「あんまり厳しいのは御免ですよ」 良子「さあ、どうだろうね?」 京太郎「えぇぇ……」 雅枝「はいそこもっと腰振ってー」 良子「グッジョブグッジョブ」 京太郎「んっふっ!ふんっ!」ブンブン 雅枝「ええでー絶好調やでー」 良子「ガンバ!」 京太郎「あのーいつまで俺はフラフープを続けなければならないのでしょうかー」ブンブン 雅枝「私らのどっちかから和了るまでやなー」 良子「それロンだよ」 京太郎「くそぅ……これで八局目じゃないですか!」ブンブン 良子(京太郎の腹筋……逞しいな……) 雅枝「そう思うんやったら早く和了ることやなーはいローン」 京太郎「人和ってどんだけ無駄な運使ってんですか!」ブンブン 京太郎「疲れた……」 良子「大丈夫か?」 京太郎「もう眠いっすよ……ふぁ」 良子「そうか、じゃあ今日はもう諦めるか……」 京太郎「諦めるって、何をですか?」 良子「せっかくだから、京太郎にイイコトしてあげようと思ったのに……」 京太郎「イイコトですって!?」 良子「京太郎が疲れているんじゃしょうがないよな、(特訓は)また今度にしよう」 京太郎(疲れているとできないイイコト……はっ!) 京太郎「ヤります!ぜひヤりましょう!」 良子「大丈夫なのか?」 京太郎「ばっちり!オールライトですよ!」 良子「よし、それじゃあそこに座ってくれ!」 京太郎(座る!良子さんはそういうのが好みなのか!) 良子「はい、サイコロ振るよー」 京太郎「……えっ?」 京太郎(イイコトってそういうことかよ……期待した俺がバカだった!) 京太郎「……ポン」 良子(京太郎、元気無いな) 良子(マネージャー愛宕がいなくなったから?私と二人っきりだから?) 良子(京太郎は嫌なのかな……)シュン 京太郎「良子さん?どうかしたんっすか?」 良子「京太郎は私のこと嫌……!」 良子「わわわわっ!今の忘れて!フォーゲット!ドントリメンバー!」 京太郎「ええぇ!?何ですか一体!?」 良子「なんでもない!なんでもないよー」 京太郎「は、はぁ……」 【1日目】終 【2日目】 京太郎「国民麻雀選抜大会……」 京太郎「俺は皆の力になれたのかな?」 京太郎「今日は朝から練習するらしいけど、どうしよう」 京太郎「やっぱり練習に行くか」 洋榎「ぐごーごえー」 京太郎「相変わらず寝相悪ぃな……」 洋榎「ぐげー」 京太郎「洋榎さーん、練習行きますよー」 洋榎「んあ?」 京太郎「練習だけで起きるのかこの人!?」 京太郎「咏、調子はどうだ?」 咏「ま、上々なんじゃねえの?」 京太郎「いつも通りみたいだな」 咏「私がこんなところで緊張してられっかよ、そだそだ、一緒に打たね?」 京太郎「よし、俺がビシビシ鍛えてやる!」 咏「あっはっは、どっちが鍛えられんだろねー」 京太郎「何をー!」 咏「……」トン 京太郎「……」トン 咏「……」トン 京太郎「咏?」トン 咏「なんだよ」トン 京太郎「そこまで気を張らなくてもいいんだぞ」トン 咏「……」トン 京太郎「誰もお前を責めない、だからもっと自由にやればいいんだ」トン 京太郎「インターハイのときもそうだったろ?」 咏「……わかってるよ」トン 京太郎「頑張れよ」トン 咏「……」トン 咏「……ありがと」ボソッ 怜「京くん京くん」 京太郎「何っすか?」 怜「ちょっと私と打たへん?」 京太郎「打たへんって、試合前なのに大丈夫なんですか?」 怜「せやからちょっとって言うとるやん」 京太郎「んー……わかりました」 京太郎「俺で良ければ、いくらでも」 怜「そかそか、おおきに」 怜「……京くん」 京太郎「今度は何っすか?」 怜「なんでウチを選んでくれたんや?」 京太郎「え?」 怜「聞いたで、京くんもレギュラー決めに参加しとったんやろ?」 京太郎「ああ、知ってたんですか」 怜「監督から話を聞いた愛宕姉から話を聞いた愛宕妹から話を聞いた船Qが言っとったで」 京太郎「そういえば親戚でしたねあの人たち……」 怜「……ま、ええわ」 怜「誰かが信じてくれてるってわかったわけやしな」 バスガデルデー 怜「ほな頑張って来るわ」 京太郎「俺が応援してますからね」 怜「おおきに、ほな会場で」ニコッ ガチャ バタム 京太郎「……あれ?」 京太郎「バス……会場で……って!」 京太郎「俺って徒歩なの!?聞いてないよそんなの!」 京太郎「いや!今ならバスに追いつくかも!」 京太郎「うおおおおおおおおお!」 恒子「っっっっっ!さあ!やってまいりました国民麻雀大会!地区選抜団体の部!」 恒子「注目の第二戦目!実況は私!解説は関西チームコーチ瑞原プロがお送りします!」 はやり「よろしくお願いしますっ☆」 恒子「ホントはすこやんがいるはずだったんだけど負けちゃったので急遽瑞原プロに代わっていただきました」 はやり「そういうのは反感を買っちゃいますよ」 恒子「いやいや、天下のスーパーアナウンサーとトッププロに喧嘩を売るやつなんていないでしょう」 はやり「あ、それもそうですね」 恒子「というわけでバンバン実況していきます!」 はやり「解説していきますっ☆」 恒子「CMの間もチャンネルはそのままで!」 健夜「はぁ……」 健夜(こーこちゃんってばまたあんなこと言って……)ズーン 照「…………」ペラッ 照(咲と憩……それに神代さん、か) 菫「……はぁ」 菫(私が大量失点したせいであんなことに……)アウアウ 淡「…………」 淡(さんがまき!今度は負けない!)オー! 智葉「…………」 智葉(静かだな……) 小蒔「み、みなさん!今日も頑張りましょうね!」ムフー 哩「頼りばしとるとよ」 小蒔「いえ、私は昨日も大したことは」アセアセ 姫子「部長、浮気しとっとですか?」ジトッ 初美「とりあえず頑張るですよー」 小蒔「監督も何か一言!」 秋一郎「…………」 秋一郎「プリン食べたい」ボソッ 小蒔「プ、プリンですか!私も食べたいです!」 初美「勝ったらみんなでプリン食べに行きますよー」 咲「あううう、もうすぐ試合だよぉ」 衣「海千山千、実に楽しみだ試合だな!」 美穂子「ではその前にお弁当でも、どうですか?」 衣「おお!衣の大好きなえびふらいがあるぞ!」 透華「いつも衣のためにありがとうございます」 美穂子「いえいえ、こうして衣ちゃんも喜んでいることですし」 衣「ふぁひふぁはへはいほは?」(咲は食べないのか?) 咲「えーっと、じゃあ私はタコさんウインナーにしますね」 美穂子「はい、どうぞ」ニコッ 郁乃「ほな頑張っていこか~」 憩「照ちゃんたちが相手やんな」 洋榎「打ちだおれの洋榎にかかればそんなん関係あらへんわ!」 咏「誰が相手でも勝てばいいだけなんじゃねえの?知らんけど」 怜「竜華の太ももが恋しいわ……」 洋榎「ウチが膝枕したろか?」 怜「妹さんのなら喜んでしてもらっとったけど……アンタはな……ふっ」 洋榎「鼻で笑われた!?」 京太郎「はいはい皆さん、集中していきますよ」 洋榎「なんや結局着いたんか」 京太郎「ダッシュで来たんですよ!」 郁乃「おかしいな~バスで行くって昨日メールしといたはずなんやけど~」 郁乃「送れとらんかったわ、てへっ」 京太郎「てへっ、じゃないですよもう!」 京太郎(お守りと、あのときの藁人形) 京太郎(ゲン担ぎに渡しておくか) 京太郎(……藁人形は縁起悪いけど) 京太郎「憩さん!」 憩「なんや?」 京太郎「これ、お守りです。いざというときに役に立つと思うので」 憩「京太郎くんのやないん?」 京太郎「俺はもういいので、憩さんに持っていてほしいんです」 憩「大事にするな、おおきに!」ニコッ 京太郎「怜さん怜さん」つ藁人形 怜「なんやこれ、ボケか?ボケなんか?」 京太郎「お守りです」 怜「正反対やないか、縁起悪いわ」 京太郎「ふふっ、そのツッコミは想定内ですよ!まだまだですね!」 怜「むっ、京くんのくせに生意気やで」 京太郎「まあ相手の髪の毛取ってこの釘刺しておけばいいだけなんで」 怜「さらっとえげつないこと言うな……」 憩(先鋒戦……九州と関東の代表は確か――) 淡「あ!ケイだ!」 初美「こんにちはーですよー」 淡「また高校マイナス百年生とかー」 初美「マイナスってなんですかマイナスって!私の方が年上なんですよー」エッヘン 淡「どう見ても年下でしょ」 憩「そろそろ時間やし、はよ席座っといたほうがええんとちゃう?」 初美「そうですねー、中部の人はまだなんですか?」 淡「この私におびえて逃げ出したとかでしょ、あはは」 タッタッタッ 美穂子「はぁ、はぁ、すみません、遅れてしまいました」 美穂子「今日は、はぁ、よろしくお願いします」 憩「違ったみたいやね」 淡「むぅ……」 初美「中部の人も来たことですし、ぱぱっと始めるのですよー」 東一局 親 初美 100000 憩 100000 淡 100000 美穂子 100000 美穂子(関東と九州は後が怖そうだから、まずは大阪の人を) 美穂子「カン」 美穂子「ポン」 美穂子(あ、あら、ツモっちゃいました) 美穂子(でも、先手を取るのもいいですね) 美穂子「ツモ、4000・8000」 美穂子(……そして) 憩(なんでウチが親の時に……) 初美(私の出番なのですよー) 東二局 初美 92000 親 憩 96000 淡 96000 美穂子 116000 淡(北が余っちゃうなー) 淡(ハツミが北家……そんでもって和了られたら役満) 淡(ちょっとやばい気がするけど……) 淡(それでも、私は和了にいく!)トン 初美「ポンですよー」 初美(後は東さえ来れば) 初美(そう言ってる間に来ましたねー) 初美「カン!」 初美(昨日は不発でしたけど、今日はもらいますよー) 初美「ツモ!8000・16000!」 憩「親っ被りか……」 美穂子(大阪の人……危なさそうね) 東三局 初美 124000 憩 80000 親 淡 88000 美穂子 108000 淡「ロン、2900!」 淡「やられっぱなしなんてやだもんね!」 淡「連荘だよ!」 憩(全然聴牌できひん……) 憩(いや、まだまだや!) 憩(みんなにつなげたる!) 東三局一本場 初美 121100 憩 80000 親 淡 90900 美穂子 108000 美穂子(まずはここ、かしら?)トン 憩「それ、ポンで!」 淡(鳴かれると関係なくっても腹立つ……) 美穂子(大星さんはもう張ったみたいね、これなら大丈夫かしら) 憩(なんやろ、調子がええ) 憩(鳴けるし、牌も通るし) 憩「いっこ、カン!」 初美(順番飛ばされてばっかりなのですよー) 初美(ちゃんと私も混ぜてほしいですねー)トン 憩「ロン、6400や!」 東四局 初美 114400 憩 86700 淡 90900 親 美穂子 108000 美穂子(荒川さんは……染め手、みたいね) 美穂子(でも打点も高そう……) 憩「……」トン 美穂子(そうね……ここは) 美穂子「ポン」 初美(このまま逃げ切るですよー)トン 憩「ロン、24000や!」 初美「ななっ!?」 淡(うーん……三位かー) 淡(このまんまじゃカッコ悪いでしょ!) 【圏外射撃】発動! 南一局 親 初美 90400 憩 110700 淡 90900 美穂子 108000 淡「ツモ!ダブリー裏4!」 淡「3000・6000!」 初美「うう……」 初美「次はもらうのですよー!」 憩(このまんま逃げ切れたらええんやけど……) 美穂子(ここさえ乗り切れば……) 南二局 初美 84400 親 憩 107700 淡 102900 美穂子 105000 美穂子(東が二枚) 美穂子(薄墨さんは東と北で鳴いたら終わり、ならここはキープしておきましょう) 初美「カンですよー」 初美(後は東さえ来てくれればいいのですけど、持たれちゃってるみたいですからねー) 初美(ここは、混一色狙いで!)トン 初美「ツモ!北混一色」 初美「2000・4000」 淡(最後の親、ここで決めちゃうよ!) 【圏外射撃】発動! 南三局 初美 92400 憩 103700 親 淡 100900 美穂子 103000 美穂子(大星さん……また高そうな手) 美穂子(薄墨さんか荒川さんが振り込むのは可哀想……) 美穂子(それなら、私が)トン 淡「ロン!18000!」 美穂子「はい」ニコッ 南三局一本場 初美 92400 憩 103700 親 淡 118900 美穂子 85000 初美(あうう、役満和了ったのにマイナスなのですよー……) 憩(また聴牌できひんかった……) 美穂子(そろそろ……和了りにいきましょうか) 美穂子「ツモ、4100・8100」 オーラス 初美 88300 憩 99600 淡 110800 親 美穂子 101300 初美(ノーテンですかー) 初美(親の人が和了るのを待つしかないですかねー) 憩(あかん……ぜんっぜんダメや……) 淡(もっと稼ぎたかったけどここまでかなー) 美穂子(え、えーっと……これは……) 美穂子「ノーテン」 初美「ノーテン」 憩「ノーテン」 淡「ノーテン」 先鋒戦終了 関東 110800(+10800) 中部 101300(+1300) 大阪 99600(-400) 九州 88300(-11700) 京太郎「これで終わり……ですか?」 雅枝「あんまり点動かんかったな」 良子「ドライな幕切れだね」 京太郎「次は咏だな、頑張れよ!」 咏「おう!わかってるよ!」 京太郎「それじゃ、ちょっとトイレ行ってきますね」 雅枝「……はぁ」 京太郎「今まで先鋒戦が長かったせいかあんま出なかったな」 淡「あ!京太郎だ!」 京太郎「お、淡か」 淡「見てた?今の試合!」 京太郎「相変わらずのダブリーだったな」 淡「でしょでしょー、もっとどばーっと稼ぎたかったけどね!」 京太郎「見てて面白かったぞ、最後はまあアレだったけど」 淡「うん……私も同じ」 京太郎「またお前と打ちたいな」 淡「今度は打ちのめしてあげるから!」 京太郎「へへっ、俺だって強くなってんだぜ!」 淡「さーどーかなー」 京太郎「なんだと?」 淡「あはは!京太郎が怒ったー!」 京太郎「待てこらー!」 淡「やーだねー」 憩(試合会場で何しとるんやあの二人) 哩(点数ば開いとるけん、なんとかして稼ぐ!) 菫(照の妹がいる中部をマークしておくべき、か) 咏「よーっす、よろしくねぃ」 菫「ああ、よろしく」 もこ「……………………」ブツブツ もこ「…………よろしく」ボソッ 咏 100000-100000*205/209=100000-98100=-1900 菫 100000-100000*227/209=100000-108200=8200 もこ 100000-100000*216/209=100000-102800=2800 哩 100000-100000*190/209=100000-90900=-9100 次鋒戦終了 関東 119000(+8200) 中部 104100(+2800) 大阪 97700(-1900) 九州 79200(-9100) 【次鋒戦での一幕】 もこ「…………」 咏(なんだこいつ) 咏(なんか力が出ねえ……しらんけど) 菫「ロン、3900」 哩(縛りばうまくいかん……) 姫子(部長ば稼げんかった分、私が稼ぐ!)フンス 智葉「よろしく頼む」 透華「中堅戦こそは私が勝ってみせますわ」ファサ 洋榎「けったいな髪形しとんなー」 透華「な、なんですのいきなり!」 智葉「試合前なんだから集中したらどうだ」 洋榎 100000-100000*217/196=100000-110700=10700 智葉 100000-100000*193/196=100000-98000=-2000 透華 100000-100000*182/196=100000-92300=-7700 姫子 100000-100000*195/196=100000-99000=-1000 中堅戦終了 関東 117000(-2000) 中部 96400(-7700) 大阪 108400(+10700) 九州 78200(-1000) 【中堅戦ダイジェスト】 洋榎「出鼻くじきリーチ!」 智葉「くっ……」 姫子「ツモ!2000・4000!」 洋榎「何やと!?」 透華(このままだと何も目立てないまま終わってしまいますわ!) 透華(おいでまし!) 透華「ロン!12000!」 智葉(私も負けていられるか!) 智葉「ロン、16000」 洋榎(三人がかりでそこまでウチを狙うんか……まあええわ、見せたる!) 「――――――ツモ!」 怜(……竜華) 怜(ウチ一人でも頑張って来るわ) 怜(……いや、一人やなかったな) 怜(荒川さんに咏ちゃん、愛宕さん、赤阪さんやっておるんや) 怜(私、ここまで来れたんやな) 美子「あ……よろしくお願いします」 怜「こちらこそよろしくお願いします」 絃「……よろしくお願いします」ズーン 怜「あんた、関東の霜崎さんやったっけ?なんでそんなに暗いんや?」 絃「……さっき自販機に五千円札を飲まれてしまったんです……」 怜「一葉さんが!?」 美子「誰だってそんくらいのことはあっとですよ」 絃「そう……ですか?」 怜(いやあり得へんやろ……) 衣「待たせたな魑魅魍魎!永久凍土よ!」 絃「永久凍土?」 美子「魑魅魍魎って悪か意味でしたよね?」 怜(面子濃いなぁ……) 怜(この藁人形、使ってみよ) 怜「天江さん?髪にゴミついとるで」 衣「何処にだ?」 怜「ちょっと待っててな、取ってあげるわ」プチッ 怜(綺麗な髪の毛やな……) 怜(これを人形の中に入れて……) 怜 100000-100000*269/212=100000-126900=+26900 絃 100000-100000*238/212=100000-112300=+12300 衣 100000-100000*196/212=100000-92500=-7500 美子 100000-100000*147/212=100000-69300=-30700 副将戦終了 関東 129300(+12300) 中部 88900(-7500) 大阪 135300(+26900) 九州 47500(-30700) 【副将戦】 怜(あとは釘を刺せばええんやっけ?)トントン 衣「うぐぅ……」 衣(何だこれは……ァ) 衣(不可思議、奇奇怪怪……) 絃(今日も私は不幸ですか、そうですか) 絃(はぁ……) 美子(何ば起こっとると?) 美子(テンパイができん……) 怜「ロン、16000」 怜(まだや!みんなと、まだ戦うんや!) 恒子「さあいよいよやってまいりました大将戦!」 恒子「果たして最終戦まで駒を進めるのはどの地区なのか!」 恒子「それでは大将の選手紹介だ!」 恒子「まずは九州選抜!」 恒子「トップと約八万点差!この逆境から立ち直ることができるのか!」 恒子「大将は!神代小蒔ー!」 はやり「胸とトンデモ火力に要注意ですね」 恒子「お次は現在三位!無事最終戦進出となるか!」 恒子「中部選抜大将はーっ!」 恒子「宮永咲ー!」 はやり「全てにおいてバランスのとれた選手ですねっ☆」 恒子「そしてそして!逃げ切れるのか大阪選抜大将!」 恒子「赤阪郁代ー!」 はやり「よくわからない、掴めない子ですよね」 恒子「個人戦以来の姉妹戦を制するのはどちらなのか!」 恒子「関東選抜大将はーーーーぁっ!」 恒子「宮永ー!照ぅー!」 はやり「CMの後もチャンネルはそのままでっ☆」 郁乃 100000-100000*206/291=100000-70800=-29200 照 100000-100000*341/291=100000-117200=+17200 咲 100000-100000*324/291=100000-111300=+11300 小蒔 100000-100000*293/291=100000-100700=+700 第二戦目終了 関東 146500(+17200) 中部 100200(+11300) 大阪 106100(-29200) 九州 48200(+700) 郁乃「ツモ、2600オール」 照(郁乃……) 照(たとえあなたが相手でも) 照(容赦はしない)ゴッ 照「ツモ、400・600」 照「ロン、2600」 小蒔「あっ、はい……」 照「ロン、5800」 照「ツモ、3300オール」 照「ロン、12600」 小蒔「……っ」ジワッ 小蒔(このまま、負けっぱなしなんて……) 小蒔「…………」スゥ 【娘よ、力を授けるぞ】 【存分に戦え】 【不完全なその器でな】 「――――ツモ」 小蒔「4300・8300」ゴッ 咲「カン」 咲(赤阪さんに神代さん、そして……) 咲「カン」 咲(お姉ちゃん) 咲「カン」 咲(今日は負けない) 咲「もいっこ――」 咲(負けたくない!) 咲「カン!」 咲「ツモ、8000・16000」ゴッ 郁乃(なんで……なんで) 郁乃(みんな私のことを信じてくれとったのに……) 郁乃(なんで、何もできないんや!) 郁乃(私やって、まだ!) 照「……ツモ」 恒子「大将戦、決着ー!」 恒子「最終戦へと駒を進めたのはァー!」 恒子「王者宮永照擁する関東選抜!」 恒子「そして、荒川憩、愛宕洋榎のダブルエース!大阪選抜だー!」 京太郎「5900点差、ですか」 雅枝「赤阪があそこまで荒れるんは意外やったな」 霞「滅多にないのに……」 良子「他の三人がクレイジーだったんでしょう」 雅枝「……今夜の練習で見てみよか、とりあえず今は帰らんとな」 雅枝「一時間後、会場前で集合や」 雅枝「それまでは自由時間、好きにしてええで。ほな後で」 ガチャ バタム 京太郎(自由時間か……) 京太郎(会場の中でもうろつこう)
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第四章【国麻】・【離散】開始 ベンチに座って本を読んでいた 父さんと妹は遊びに、母さんは仕事で出かけていた 今は一人 一人で本を読む……大人っぽい! 子どもながらにそんなことを考えていた やっぱり、少し寂しい 一緒に遊びに行く友だちなんていないから 静かにページをめくる、髪が風でなびく そろそろ帰ろうかな、と思っていたとき 「お、俺と遊ぼうぜ!」 私の目の前に、彼が現れた 「あ、いや……遊んでください」 不思議な子だな それが第一印象だった 【8月第4週 平日】 京太郎「…………」 京太郎「どうしてまた、あいつは」 京太郎「引っ越しは今週末だそうだ」 京太郎「……何しよ」 朝 京太郎「こんなときは麻雀だよな」 京太郎「気を取り直そう」 京太郎「お邪魔しまーす」 郁乃「いらっしゃ~い」 照「あ、京だ」トテトテ 京太郎「照、来てたのか」 照「うん」 郁乃「もう打ち始めてるで~」 京太郎(ちょっと心配してたけど) 京太郎(なんだかいつも通りみたいだな) 照「京、一緒に打とう」 京太郎「おう、いいぞ」 京太郎「決勝のとき、さ」 照「……なに?」パリパリ 京太郎「懐かしい感じがしたんだよな、なんつーか」 京太郎「照たちと昔打ってたときみたいな?」 京太郎「そんな感じがした」 照「…………」ポリポリ 照「そう」ゴックン 照「懐かしい、か」 京太郎「うん、あとパソコンの前でお菓子食べるのやめような」 照「無理な相談」モグモグ 京太郎「もうすぐ昼か、何しよう」 昼 京太郎「久しぶりにバイトでもするか」 京太郎「でもこの時間からあそこに行ってもあんまり働けないからな……」 京太郎「もう一つ新しいのを探してみよう」 京太郎「探偵……か」 京太郎「面白そうだな、行ってみるか!」 平次「お前さんが須賀京太郎やな」 京太郎「はい!今日はよろしくお願いします!」 平次「オレは服部平次言うんや、西の名探偵とはオレのことやで!」 京太郎「それで、今日の仕事は?」 平次「迷い猫探しや」 京太郎「猫?」 平次「せや」 京太郎「……」 平次「今つまらん思うたやろ」 京太郎「正直に言うと、はい」 平次「そうポンポン殺人事件が起こってたまるかいな」 平次「ほな行くで」 京太郎「オスの三毛猫とかどんだけレアなんだよ」 京太郎「どっかにいねえかな」 京太郎「あ」 猫「ニャッ」ナニッ 京太郎「待てごらあああ!」 猫「ニャアアアアアア」ドタタタタ 怜「今日の健診も大丈夫やったな」 猫「ウニャアアアア」ドタタタタ 怜「ね、猫?トリプルや!」キィィィン! 怜(直進して事故と見せかけて私を襲うんか……そうはさせへん!) 怜「うにゃっ!今や!」 猫「ニャッ!?」 怜「はい、捕まえた」 猫「ウニャッ!」ジタバタ 京太郎「あ、怜さん」 怜「ああ、京くん、この猫京くんのやったんか?」 京太郎「いえ、依頼されてまして」 怜「ふ~ん、ま、ええわ、はい」 京太郎「ありがとうございます」 怜「せや、今度どこか遊び行かへん?」 京太郎「遊び、ってか急ですね」 怜「思い立ったが吉日や」 京太郎「そうですね、日が空いたら連絡しますよ」 怜「待っとるで」 京太郎「はい、それではまた」 平次「もう捕まえたんか」 京太郎「ぜぇー、はい、はぁー、まあ」 平次「お手柄やったな、バイト代は振り込んどくで」 キャアアア ヒ、ヒトガ! 平次「なんやと!?」 京太郎「何かあったんでしょうか?」 平次「須賀はもう帰っとれ!こっからは危ないんや!」 京太郎「は……はぁ」 イマイクデ! ク、クルナ!クルンジャナイ! ダマットレドアホ! クルナァァァァ! ドヒュウン 京太郎「今銃声がしたような……まあいっか」 京太郎「帰ろう」 京太郎「服部さん、なんか禍々しいものを感じた」 京太郎「死の危険、的な」 夕 京太郎「特訓しよう」 京太郎「今は誰がいるかなー」 郁乃「照ちゃんとエイちゃんはもう帰ったで~」 郁乃「今は憩ちゃんと咏ちゃん、私と霞ちゃんだけやで」 京太郎「そうですか……どうしよ」 咏「お、京太郎じゃん」 京太郎「よっ」 咏「どうしたんだい?」 京太郎「いや、少し気が向いたからな」 京太郎「俺と打たないか?」 咏「お、いいねぃ、んじゃ行こっか」 咏「やっぱり、前よりもずっと上手くなってんね」 京太郎「そうか?」 咏「そーそー」 京太郎「……そうか、上手くなれてるのか」グッ 咏「んで、今は何考えてんだ?」 京太郎「えっ?」 咏「何か悩んでることでもあんだろ?顔に書いてあるぜ」 京太郎「あー…………」 京太郎「決勝のときにさ」 咏「つまりあの変な感覚を取り戻したいって?」 京太郎「そういうこと……なのか?」 咏「んまあ、そういうことなら実際に打ってみるのが一番なんじゃねえの?知らんけど」 京太郎「実戦か」 咏「私はこうして二人でやってる方が好きなんだけどねぃ」 京太郎「秋は夜長、夜更かしの季節だな」 夜1 京太郎「せっかく木刀買ってきたんだし、素振りでもするか」 京太郎「えいっ!えいっ!」ブンブン 京太郎「これ、結構くるな」 京太郎「まだまだ!」 京太郎「えいっ!」 京太郎「えいっ!」ブン ガシャッ 京太郎「あ、そうだ室内だったな」 京太郎「外でやらないと……」 京太郎「さすがに夜になると寒いよな」 京太郎「あっためるためにあと1000回!」 京太郎「これを一か月続けたら筋肉モリモリになれるのかな!」 京太郎「今日は疲れたからもう終わりだけど」 夜2 京太郎「散歩に行ってくるか」 京太郎「照のことも考えないとな」 京太郎「いってきまーす」 照(ポッキーなう)ポリポリ 京太郎「うまいか?」 照「京……うん」 照「どうしてこんな……」 京太郎「こんな時間にってか?」 照「うん」コクッ 京太郎「ちょっと考え事をな」 照「……それって……いや、なんでもない」 京太郎「照のことだよ」 照「えっ」 京太郎「どうしてお前は出ていくのかなって」 京太郎「また、俺の前からいなくなるのかなって」 照「…………」 照「京は気にしなくていい」 照「私が決めたことだから」 照「大丈夫だから」 照「また会えるんだろうし、国麻、楽しみにしてるから」 照「それじゃあ、ね」 京太郎「……照」 京太郎(このままでいいのか?) 京太郎(このまま、また照がいなくなっても) 京太郎(ようやく俺のそばに戻ってきてくれたんだ) 京太郎(……最近悩んでばっかだな) 京太郎「照!」 照「まだ、何か?」 京太郎「俺のそばから離れないでくれ」 照「……え?」 京太郎「照がいなくなって三年、でも今年、四月に久しぶりに照と会えたときすごく嬉しかった」 京太郎「この半年照と一緒にいてすごく楽しかった」 京太郎「まあ実際は五か月くらいだけど、さ」 京太郎「一緒に学校行ったり、運動会で頑張ったり、祭りに行ったり」 照「…………っ」 京太郎「この前みたいに海に行ったりしてすっごく楽しかった」 京太郎「でもよ、それなのに、理由もわからずにまた離ればなれになるなんて嫌だ」 照「理由……」 京太郎「理由だけでも教えてくれないか?」 京太郎「俺が悪かったんなら謝る、だから教えてくれよ」 照「……京には言えない」 照「私には、言えない」 京太郎「またそうしていなくなるのかよ」 照「違う!」 京太郎「違わないだろ、前も照は俺たちの前からいなくなった」 京太郎「俺は照と一緒の方が楽しい、だから離れないでくれ」 照「楽しい……か」 照「それは、違うんじゃないかな」 京太郎「なに……?」 照「京にはもう憩が、エイスリンが、咏も霞も郁乃さんもいる」 照「京は、ただそばに誰かがいてほしかっただけじゃないの?」 照「私なんていらないんでしょ、咲やモモ達といたときみたいに」 照「見送りなんてしなくていいから」 照「霞たちにもそう言っておいた」 照「今度会うのは国麻のとき」 照「じゃあね」 照「短い間だったけど、ありがとう」 【8月第4週 平日】終 【8月第4週 休日】 京太郎「照は今日にはもういなくなっちゃうのか」 京太郎「俺にとっての照って何だったんだ?」 京太郎「楽しいって思ってたのは俺だけだったのかな……」 京太郎「どんな言葉を使えば、照に届くんだろう」 朝 「今日は楽しかったぜ!ありがとな!」 「こちらこそ」 「モモがいないからひまだーっておもってたんだけどお前がいてくれてよかったぜ!」 「……照」 「宮永照だから、照って言って」 「テル、か俺は京太郎だ!」 「……長いから京でいいかな」 「おう、大かんげーだ!」 「ただいま」 「おかえり」 「咲は?」 「モモちゃんや京太郎くんたちと遊びに行くってさ」 「……そう、母さんは?」 「今日も帰ってこないってさ、咲に任せっぱなしってのはダメだから今日は出前だぞ」 「それで、どの店に頼む?」 「どこでもいい」 「そっか、わかった」 「私、上に行ってるから」 「ああ」 照母「照、起きなさい」 照「ん……母さん、来てたんだ」 照母「また遅くまで起きてたのね、もう行くわよ」 照「わかった」 照母「それで、荷物は?」 照「……忘れてた」 照母「もう、ちゃんとしなさいよ」 照「うん」 ガチャ バタム 照母「さーてと、ぱぱっと帰るわよ」 照母「大家のおばさんにもあいさつしてきたし」 照「あの人まだ成人してないよ」 照母「まーたまたー……マジ?」 照「うん」 照母「あちゃー……って、ねえ照、あの子って確か」 照「……京太郎」 京太郎「照」 照「今度は何?」 京太郎「ありがとう」 京太郎「また遊んでくれるか?」 照「うん、これ私のねとま?のハンドルネーム」 京太郎「『ワムゥ』?」 照「今度はそこで打とう」 照「待っ照」 京太郎「……それ、ダジャレか?」 照「うん、じゃあね」 京太郎「おう」 京太郎「毎時間メール送るから」 照「それは迷惑」 京太郎「じゃあ毎日?」 照「それもちょっと」 京太郎「じゃあ毎月」 照「間隔空きすぎ」 京太郎「じゃあ気が向いたらでいいな」 照「……わかった」 毎週平日の夜にメールを送れるようになりました 照母「照、アンタ挨拶してなかったんでしょ」 照「京にはした」 照母「まあ、ここに帰ってきたくなったらいいなさいよ」 照「……なんで?」 照母「照のしたいようにさせてあげる、ただそれだけよ」 照「……そう」 照母「それに、あの……京太郎くん?のこと放っておけないんでしょ?」 照「ちっ、違う!」 照母「咲やモモには負けないようにしなさいよ」 照「だから違う、って」 京太郎「行っちゃったか」 京太郎「まだ、チャンスはあるはずだ」 昼 京太郎「久々に実家に帰るか」 【実家】 京太郎「ただいまー」 京父「よっ、京太郎」 京太郎「と、父さん帰ってきてたのか」 京父「暑かったぞーインドはー」 京太郎「エジプトに行った時も同じようなこと言ってなかったか?」 京父「今度はニュージーランドに行ってくるんだ、羨ましいだろー」 京太郎「へいへい、そうですね」 京父「なんだ、我が子は連れないなー」 京父「さすがはタラシチャンピオンといったところか」 京太郎「ちょっと待て今何て言った」 京父「読んだぞ新聞!男子個人戦チャンピオン須賀京太郎、夜のチャンピオン?だってよ!」 京父「将来が楽しみだ!」 京太郎「マジかよ……」 京太郎「じゃあ散歩してくるな」 京父「そうやって女の子を引っかけてくるのか……ふむ」 京太郎「だから違うっての!」 ピンポーン 桃子「京太郎ー遊ぼーっす!」 京太郎「なんで俺が来てるってことわかってるの!」 京父「俺が連絡しておいた」ドヤァ 京父「ほれほれ、女の子を待たせるなんて罪なことするなよ」 京太郎「ドヤ顔するな!わーったよ、行ってくる」 京父「避妊はしっかりなー」 京太郎「余計なお世話だ!」 桃子「おじさんと何話してたんっすか?」 京太郎「なんでもないよ」 桃子「そうっすか、じゃあ今日も私とどっか行くっす!」 京太郎「拒否権は……ないんだろうな」 桃子「モチのロンっす!」 桃子「到着ーっす」 桃子「覚えてるっすか?この公園!」 京太郎「ああ、よく遊びに来たな」 京太郎(照と出会ったのも、ここだったんだよな) 京太郎(たしか、あのベンチに……) 桃子「今日はここで遊ぶっすよ!……ん?どうかしたっすか?」 京太郎「いや、あそこにあったベンチなんだけど」 桃子「あれなら新しい遊具を置くからって廃棄されたっすよ、それがどうかしたっすか?」 京太郎「……そうだったのか」 咲「京ちゃん?やっぱり京ちゃんだ!」 京太郎「久しぶりだな」 咲「うん!」 桃子「私が呼んでおいたっす!」フフン 京太郎(相変わらず大きい……前より大きくなってないか?) 咲「京ちゃん……」ジトッ 京太郎「な、なんだー咲ー?」アセアセ 咲「知らない!」プイッ 京太郎「さ、咲さん?おーい」 桃子「それじゃ、何するっすか?」 京太郎「キャッチボールでもするか」 桃子「それじゃあボールとグローブ持ってくるっす!」 咲「行ってらっしゃい」 桃子「行ってくるっすー」 京太郎「モモは元気だな」 咲「京ちゃんが帰ってきたからじゃないの?」 京太郎「じゃあいつも通りの咲は俺に帰ってきてほしくなかった、と」 咲「違うよ、これでも嬉しいんだよ、でもえっちなのはダメだよ」 京太郎「俺はせんべいよりもおもち派だからな」 咲「……何言ってるの?」 京太郎「要するに、大きいは正義!」 咲「京ちゃんの場合は正の字が違うと思う」 桃子「持ってきたっすよー」 京太郎「モモー投げるぞー」ビュン 桃子「ばっちこーいっす!」バシッ 桃子「咲ー行くっすよー」ビュン ポヨン 京太郎「おお……」 咲「むむっ!」ビュン 京太郎「がはっ!ちょっ、咲!みぞおち!」 咲「あははーごっめーん、手が滑っちゃったー」 桃子「思いっきり棒読みっすね」 京太郎「堪能堪能、満足満足」 咲「京ちゃん、五体不満足って言葉、知ってる?」 京太郎「ひぃっ」 桃子「さーてと、次はどこに行くっすか?」 京太郎「roof-top?」 咲「麻雀喫茶だよ」 京太郎「麻雀喫茶?」 桃子「麻雀ができる喫茶店っす」 京太郎「あーなるほど」 咲「染谷さん、まだいるよね?」 桃子「来週までいるらしいっすよ」 京太郎「誰だ、それ?」 桃子「広島に住んでる娘さんっす、今は友達のちゃちゃのんさんとこっちに遊びに来てるっす」 京太郎「へー」 咲「あ、着いたよ」 マホ「いらっしゃいませー」 いちご「いらっしゃいませー」 京太郎「メイド!?」 咲「あれ、マホちゃん?」 桃子「どうしてここで働いてるっすか?」 マホ「社会勉強です!」ムフー まこ「夏休みの宿題なんじゃと」 咲「どうも、こんにちは」 桃子「またきたっすよ」 まこ「はい、いらっしゃい、そこの男子は……誰じゃ?」 咲「京ちゃん、私たちの幼馴染です」 いちご「ほぉ?どこかで見たような……?」 マホ「マホ知ってます!この人男の子のチャンピオンさんです!」 いちご「あぁ~なるほどー」 京太郎「俺の知名度ってこの程度だったのか……」 まこ「君が須賀京太郎くんじゃったか……打ってくか?」 京太郎「うむ……どうしましょう?」 京太郎「いや、やめておきます」 いちご「なーんじゃ、つまらんのう」 咲「じゃあ私が打ちましょうか?」 いちご「そ、それは遠慮しとく……」 まこ「んで、注文は?」 マホ「まはまほから揚げがオススメですよ!マホが食べさせてあげます!」 京太郎「それはなんつーか、背徳的すぎるな」 メニュー 1.まはまほから揚げ 2.ちゃちゃのんショートケーキ 3.まこのワカメスープ 4.カツ丼 5.タコス 6.お好み焼き 7.桃パフェ 京太郎「皆さんのオススメは?」 いちご「ショートケーキならちゃちゃのんが食べさせるけぇ、選んどき!」 まこ「ワカメスープもオススメじゃよ」 桃子「私は桃パフェっすね」 咲「私はお好み焼きだよ」 京太郎「んーじゃあ……」 京太郎「から揚げで」 咲「えっ」 まこ「えっ」 桃子「京太郎……」 いちご「ロリコンじゃったなんて、そんなん考慮しとらんよ……」 京太郎「いや、でも」 マホ「やたっ!マホのから揚げが頼まれましたよ!」 京太郎「あんなに喜んでるんですし」 咲「苦しい言い訳だね」ジトッ マホ「須賀先輩、あーん」 京太郎「あーん」 マホ「おいしいですか?」 京太郎「うん、とっても」ニコッ 「「「「うわぁ……」」」」 京太郎「次はどこ行くんだ?」 桃子「近寄るなっす!」 咲「そうだよ変態!」 久「やっほーって、優希だけ?」 優希「のどちゃんは今日も来ないって言ってたじぇ」 久「あらそう……じゃあ咲とモモが来たら起こしてー」 優希「はーい」 咲「遅くなりましたー」 久「ん……はーい」 桃子「優希、寝ちゃってるっすね」 優希「タコス、タコスが……ぐぅ」 京太郎「えい、えい」プニップニッ 優希「今度はタコさんだじぇ……」 久「須賀君も来てたの?」 京太郎「はい、お邪魔します」 久「そんなに固くならなくていいわよ」 咲「私お茶入れてきますね」 桃子「さて、何するっすか?」 京太郎「俺が4人の邪魔するのもあれなんで、パソコン貸してもらえますか?」 久「いいわよ、あとネト麻するならその横の機械も使ってみて」 京太郎「何ですか、このヘッドギア」 久「ナーブギアとか言うらしいわ、リアリティを追求するために開発されたんですって」 京太郎「へー」 京:すっげーリアルだな、なんだここ 京:えーっと、ここの掲示板で対局申込みをすればいいのか……じゃあまずは東南で しばらくお待ちください 京:よし、いよいよ楽しみだな びっぐすたー:よろしくー のどっち:よろしくお願いします NoName:どうしてのどっちさんがここに! 京:よろしくおねがいします 東1局 親 NoName 25000 びっぐすたー 25000 のどっち 25000 京 25000 京:ロン! 京:リーチ、赤1! びっぐすたー:なんだ、その程度かぁ 京:裏3 びっぐすたー:え…… 東2局 NoName 25000 親 びっぐすたー 17000 のどっち 25000 京 33000 京:ロン 京:混一色、役牌白、役牌中、小三元、チャンタ、混老頭、対々和 京:24000 びっぐすたー:もーなんなのさっきからー! びっぐすたー:いいもん!こっからが本気! のどっち:本気も何もないと思いますが…… 【圏外射撃】発動! 東3局 NoName 1000 びっぐすたー 17000 親 のどっち 25000 京 57000 びっぐすたー:いっちゃえ! びっぐすたー:リーチ! 京:ダブリー…… NoName:こ、こんなの、どうすれば…… びっぐすたー:ロン!ダブリー一発赤2ドラ2! びっぐすたー:裏3! 終局 NoName -15000 びっぐすたー 33000 のどっち 25000 京 57000 びっぐすたー:うむむ、とどかなかったかー 京:はっはっは、勝負ならいつでも受けて立つぞ のどっち:……ありがとうございました NoName:のどっちさん、どんまいです びっぐすたー:ネット最強ののどっちを倒したんだから、真のネット最強はこのびっぐすたーってことだね! 京:いやいや、それなら俺だろ びっぐすたー:あんたのは偶然、私のは必然だもん! 京:……なんだそりゃ 久「あら、終わったの?」 京太郎「はい、飛ばしましたよ!」 咲「すごいね、私なんてまだパソコンあんまり使えないし……」 京太郎「そういえば、ネット最強っていうのどっちって人と打ちましたよ」 優希「のどちゃん……!」 桃子「和がどうかしたっすか?」 久「和、今日も来れないんだってさ」 咲「転校、本当にしちゃうのかな」 京太郎「転校?」 久「ああ、こっちの話だから気にしないでいいわよ」 京太郎「そうですか……」 桃子「ああっと!もうこんな時間ですし、そろそろ帰らないとっすね!」 久「うん、そうね、今日はこれで解散よ!」 桃子「さて、次はどこに行くっすか?」 京太郎「逆に、モモと咲は何がしたいんだ?」 桃子「私はみんなで遊びに行きたいっすね」 咲「うーん、私は……」 咲「みんなでウチくる!?」 京太郎「は?」 桃子「ひ?」 久「ふ?」 優希「じょ?」 咲「え、えーっとぉ、せっかく京ちゃんも帰ってきたんだし、みんなでウチで遊びたいなあ、って」 桃子「ははぁーん、そうやって京太郎をなんやかんやして泊まらせて襲うつもりっすねー」 咲「ち、違うよ!」 京太郎「咲さえよければ俺はいつでも」 咲「ほんとっ?」 京太郎「んなわけあるかい」ペシッ 咲「あうっ、純粋な乙女心をもてあそぶなんてひどいよ京ちゃん……」 優希「それで、どうするんだじぇ?」 京太郎「うーん、そうだな」 京太郎「じゃあモモの意見をくみ取って外食に行こう、みんなで!」 京太郎「……って、どうですかね?」 久「私はいいわよ」 優希「タコス!タコス!」 桃子「私も大丈夫っすよ」 咲「別にいいけどさ……」プクー 京太郎「また今度な」ナデナデ 咲「撫でればすむと思ってるでしょ?」 京太郎「……違ったか?」 咲「ううん、正解だよっ」 京太郎「そうかそうか、んで、どこ行きます?」 京太郎「まあ大勢で来るならファミレスでしょう」 優希「うがー!タコスが無いんだじぇ!」 優希「須賀!いや京太郎!いや犬!いや……バカ犬!」 京太郎「どんだけ落ちてんの俺!」 優希「いいからタコスを買ってくるんだじぇ!」ゲシッ 京太郎「蹴られた!?俺の身分どんだけ低いの!」 咲「私はえびフライ定食にしようかな」 桃子「私はハンバーグセットっすね」 久「じゃあ私はカルボナーラにでもしようかしら」 衣「咲!咲じゃないか!」 透華「衣、何をしてるんですの?ってあなた方は……」 久「あら、奇遇ね」 智紀「清澄」 桃子「お久しぶりっすね、眼鏡おっぱいさん」 京太郎「えーっと、あなたがたは?」 透華「よくぞ聞いてくれましたわ!私たちは!」 純「龍門渕高校麻雀部だ。……確かお前、インターハイに出てたよな?」 京太郎「ええ、まあ」 透華「ムキー!話を邪魔しないでくださいまし!」 一「ホントだ、この人1位だよ個人戦の」 衣「強いのか!」 智紀「通称”炎の須賀”、高火力が特徴」 京太郎「あれ、昼とは違って俺有名?」 優希「ただの偶然だじぇ」 メニュー 山菜丼 秋の果実盛り合わせ タコゆでパスタ パンダ定食 えびフライ定食 サルミアッキ定食 川魚定食 冷やしうどん あなたの心に手錠をかけるよ!定食 久「あら、可愛いもの食べてるのね」 京太郎「パンダ定食ですか?」 久「そうよ、小っちゃいハンバーグが目、ライスが顔かしら?」 咲「京ちゃんは女の子ものが好きですからね」 優希「ハンバーグと白飯って男っぽいほうな気がするけど……」ウーン 咲「街のレディースランチを食べまわるのにつき合わされてたんですよ」 京太郎「おいしいものはしょうがない」 桃子「京太郎……咲とそんなことしてたっすか」ジトッ 京太郎「モモは誘ってもやれラーメン屋行きたいだのやれお好み焼きを食べに行くだの言ってたからなー」 久「須賀くんも隅に置けないわね~」ヒョイパクッ 京太郎「あ!せっかくとっておいたハンバーグが!」 久「……うん、おいしいわね!」グッ 京太郎「グッ!じゃないですよ!返してくださいよ!」 久「流石に人前はちょっと……ね?」 京太郎「返してとは言いましたけど戻してとは言ってませんから!」 一「うわっ、ご飯中にそんなこと言うのやめてよ」 智紀「不潔」 京太郎「言ったのは竹井さんですよ!」 久「あら、私は何も言ってないけど?ねえ?」 純「あー、確かにそうだったな」 京太郎「ぐぬぬ」 京太郎「ふー食った食った」 咲「京ちゃん、オヤジくさいよ」 桃子「で、次はどこに行くっすか?」 衣「衣も一緒に遊ぶぞ!」 久「いいの?」 透華「今は暇ですから大丈夫ですわ」 桃子「ゲーセンに来たっすよ」 衣「咲!これはどうやって遊ぶんだ?」ワクワク 咲「えーっと、これはね…………」 咲「…………」ムムッ 衣「咲?」 咲「わからないや、あはは」 純「やっぱり強いなッ!」ガシュンガシュッ 智紀「そっちこそ」ピコピコ 智紀「えいっ」 純「ぬおっ!」 透華「むきーっ!何なんですの!全く取れませんわ!」 一「と、透華……そんな無理しなくていいから」 透華「いえ!このままじゃ気がすみませんわ!」 桃子「本当にいいんすね?あそこのメロンパンは高いんすよ?」 優希「タコスのためとあらば手加減はしないじぇ」 久「どっからでもかかってきなさい!」 桃子「エアホッケースタートっす!」 京太郎「さて、どこに行こうかな」 透華「どうしてカードが使えないんですの!」 透華「かくなるうえは…………!」 一「透華、もういいから、ね?」 京太郎「お二人とも何をしてるんですか?」 一「えっと、これなんだけど」 一「ボクが欲しいって言ったら透華が張り切っちゃって」 透華「絶対に取ってさしあげますわ!」 一「ほらね?」 京太郎「なるほど……」 京太郎(さて、どうしよう) 京太郎「あのー、龍門渕さん?」 透華「何ですの?」キッ 京太郎「い、いや、アドバイスでもしましょうか?」 一「それいいね、透華はどう?」 透華「結構ですわ!もう一回!」 ウィーン 透華「そこですわ!」 キュッ 京太郎「あ、持ち上がった」 ポトッ 透華「むきーっ!もう!何なんですの!」ガタッガタッ 一「透華、揺らしちゃだめだよ」 透華「もう一回!もう一回ですの!」ポチッ 透華「この辺り……」 京太郎「いや、もう少し先に行っちゃいましょう」テヲノセル 透華「な、何をしてますの!後ろに行きすぎですわ!」 京太郎「大丈夫ですよ、見ていてください」 一(うわぁ、須賀君大胆だなぁ、距離近いよ) 一(二人とも集中してるから気づいてないみたいだけど) ウィーンウィーン ポロッ ガコン! 透華「お、落ちましたわ!」 一「それにしても、取れなかったのにどうして?」 京太郎「結構穴の近くにあったので押してみようかなー、と」 京太郎「おめでとうございます、龍門渕さん」 透華「ええ、そうで、す、わ……ね…………」ガバッ 一(あ、気づいた) 透華「なっ、何をしてるんですの!?」 京太郎「えっ、何って……あ」 透華「は、破廉恥ですわ!不潔ですわ!」ゲシッゲシッ 京太郎「ちょっ、脛はやめてくださいよ」 透華「うるさいですわ!」 京太郎「いたた、国広さんが宥めてくれたからいいけど……」 京太郎「さて、次はどうしようかな」 京太郎「せっかくみんなと遊んでるんだから写真とか撮りたいよな」 京太郎「プリクラに誘ってみよう」 久「プリクラ?いいんじゃない?」 優希「特別に許可してやろう、ふっふっふ」 桃子「もちろん私が京太郎の隣っすからね!」 衣「咲、プリクラ、とはなんだ?」 咲「えっ、う、うーん……」 咲「プリン食べられて暗くなっちゃった?」 京太郎「どういう状況だよ」 智紀「別に構わない」ピコピコ 純「うおっ!ちょっと待て!ぬわっ!」 「YOU LOSE」 純「くそぉ……」 智紀「これで十連勝」フフン 一「プリクラ?わかった、透華に話しておくね」 透華「がるるるるー!」 京太郎「モモと天江さんが隣か」 透華「ち、近寄らないでくださいまし!」 京太郎「すみません……」 衣「とーかときょうたろーは仲が悪いのか?」 透華「そ、そんなことありませんわ!ごらんなさい」ギュッ 京太郎「後ろからっ!?」 京太郎(でも、無いんだよなぁ……) 衣「そうか!なら衣も!」ギュッ 桃子「わ、私も!っす!」ギュッ 京太郎(ああ……右腕の感触がぁ……) 咲「京ちゃん…………」 優希「ニヤケすぎだじぇ」 衣「きょうたろーは衣とプリクラとやらを撮って楽しかったのだな!」 透華「……破廉恥ですわ」ジトッ 京太郎「そろそろ帰らなきゃだけど、もうちょい遊んで行こう」 京太郎「咲は何やってるんだ?」 咲「えーっと、これ、なんだけど」 京太郎「太鼓○達人か」 衣「どうやって遊べばよいのだ?」 京太郎「実際にやってみた方が速いから……」 京太郎「じゃあ俺が天江さんに教えるから咲は見ててくれ」 咲「うん、わかったよ」 衣「よろしく頼む!」 京太郎「まずは200円を投入します」 衣「うむ!」 京太郎「次に、ここのバチを取ります」 衣「おお、これはこの遊戯のために拵えられたのか!」 京太郎「しっかり握っててくださいね」 衣「きょうたろーの手は温かいなー」 京太郎「そんでもって、曲を選んで演奏開始です」 衣「楽しかったぞ!」 京太郎「それはよかったです」 京太郎「咲もわかったか?」 咲「…………ふんっ」プイッ 京太郎「咲?どうしたんだ?」 咲「べっつにー」 咲「京ちゃんはえっちだな、って」 京太郎「いやいやいや、何もやってないだろ」 咲「十分えっちだよ!衣ちゃんの手握って、抱き着いてるみたいだったよ」 京太郎「いや、だからと言ってなぁ」 咲「ふんっ」 京太郎「じゃあ俺もう帰りますね」 久「また来なさいね、今度こそ打ちましょう」 優希「次に会ったときが年貢の納め時だじぇ!」 桃子「また遊びに行くっす!」 咲「ふんっ、だ」 京太郎「いい加減機嫌直してくれよ……」 純「じゃあな、いつか打とうぜ」 智紀「……いつか打とうぜ」 純「俺の真似するんじゃねえよ、ちゃんと言え」 智紀「……じゃあな」 純「また俺の真似じゃねえか!」 衣「きょうたろー、今日は楽しかったぞ!」 衣「満月の夜に会うのを待っているぞ!」 京太郎「ええ、また会いましょう」 衣「うむ!」 京太郎「そろそろ帰るか」 一「あっ、須賀君、ちょっといいかな?」 京太郎「はい、何でしょうか」 一「ほら透華、渡しなよ」 透華「わ、わかってますわ!」 一「ほーらーはーやーく」 透華「これは……感謝の印として受け取ってくださいまし」 京太郎「このぬいぐるみ、さっきのやつですよね?」 一「あの後、透華が頑張って取ってさ、須賀君にお礼しようとしてたんだよ」 透華「はっ一!」 京太郎「そうだったんですか」 透華「違いますわ!」 一「もう、素直になりなよ」 透華「嫌ですわ!こんな破廉恥な殿方に何を!」 透華「…………ありがとうございました」ボソッ 一「気変わり速っ」 京太郎「いえ、こちらこそ、素敵なものをありがとうございました」 一「うん、じゃあね」 京太郎「はい」 京太郎「さて、と帰ってきたぞ」 京太郎「何をするかな……っと」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「ん、何だ?」 一『国広です、ボクたちの連絡先送っておくね』 一『衣とかにメールとかしてあげてね』 龍門渕五人の連絡先を手に入れた! 夜2 京太郎「照にメールするか、約束もしたしな」 京太郎「何て送ろう」 京太郎「雀士なら打って語ろう!」 京太郎『打たないか?』 京太郎「送信っと」 京太郎「照なら応えてくれるだろう」 京太郎「なんで帰ったのかも気になるしな」 照「…………」 照「打たないか、か」 照「私じゃなくても憩たちと打てるのに」 照「なんで、だろう」 照「…………わからない」 京太郎「返信来ないなー」 京太郎「寝てるんだろう、うん」 京太郎「次は誰とメールしようかな」 京太郎「辻垣内さんに送ってみるか」 京太郎「近寄りがたい雰囲気だけど、大丈夫だよな」 京太郎『麻雀打ちませんか?』 京太郎「大丈夫……だよな」 京太郎「そういえば辻垣内さんって目つき怖かったよな……」 ヴーッ ヴーッ 京太郎「!」ビクッ 京太郎「ささささ流石にだだだ大丈夫だろう」 智葉『了解した、ルームナンバーは3398だ』 京太郎「よかったぁ……『ドタマぶち抜くぞ』とか言われなくてよかったぁ」 【MAOの世界へようこそ】 京:相変わらずリアルだな 京:鳥のさえずりまで聞こえてくるし、対局も牌の感触とかリアルだし 京:何よりもリアルの雰囲気がある 京:おっと、ここか player3108:来たか 京:辻垣内さんですか? player3108:ああ、今夜はよろしく、楽しみだ 束縛希望:縛られたか デビル人:同じく 東一局 親 デビル人 25000 リザベーション2翻 束縛希望 25000 player3108 25000 京 25000 智葉(須賀、高火力と速攻) 智葉(清澄の先鋒と似ているが) 智葉(こちらの方が楽そうだ) 【抉る眼光】発動! player3108:カン 京太郎(うっわ、片方潰されちゃった) 京太郎(でも、まだまだだ!) 京:ロン 京:24000 智葉(……ふむ) 東二局 デビル人 25000 親 束縛希望 25000 リザベーション3翻 player3108 1000 京 49000 智葉(どうやら見くびっていたようだ) 智葉(さて、と) 智葉(借りは返してもらうぞ) 智葉(張りつつ、やつを止める!) 【抉る眼光】発動! 智葉(安い……) 智葉(しかしまた須賀が危険だからな) 智葉(わずかでも取り返す) player3108:ロン player3108:1300 東三局 デビル人 25000 リザベーション3翻 束縛希望 25000 親 player3108 2300 京 47700 智葉(そろそろ疲れてきた……) 智葉(だが、まだいける) 智葉(私だって今年は準決で宮永といい試合をした) 智葉(だから、負けない) 【抉る眼光】発動! player3108:カン player3108:カン 京太郎(二萬も五萬も暗槓!?) 京太郎(三色が封じられた……か) 京太郎(捨てた方がいいよな) player3108:カン 京:なっ! player3108:嶺上ツモ、責任払いで18000 player3108:連荘 東三局一本場 デビル人 25000 束縛希望 25000 リザベーション3翻 親 player3108 20300 京 29700 智葉(そろそろ疲れてきた……) 智葉(須賀の一人聴牌) 智葉(ここは……オリておくか) 智葉(オーラスでまくる、ただそれだけだ) 京太郎(うむむ……辻垣内さん強いな) 京太郎(もういっちょ) 京:ロン 京:12300 オーラス デビル人 12700 束縛希望 25000 player3108 20300 親 京 42000 京:ツモ 京:12000オール デビル人 700 束縛希望 13000 player3108 8300 京 78000 智葉(一方的、流石は男子チャンピオンと言ったところか) player3108:おつかれ、先に失礼する 束縛希望:あっ、ああああっ! デビル人:部長、いい顔ですっ 京:何だったんだあの二人は 京:俺ももう寝るか 【8月第4週 休日】終
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time――out ◆.ji0E9MT9g ◆ 「クソッ……何でこうなるんだよ……!」 時間は少しの間巻き戻る。 志村の犯行自白を聞き届け橘が戦地に向かうのを見た戦士たちが彼の加勢に向かおうとした瞬間に巧が蹲ってしまったのだ。 良太郎がイマジンと契約したのかと巧を訝しげに見る中で、一人事情を知っている士は静かに口を開いた。 「見ての通りだ、こいつの命はもう、消えかけてる」 「何だって……、それはどういうことだ、ディケイド」 思わず掴みかかりそうになる拳を収めながら、フィリップが問う。 それに対しまたも説明を開始しようとした士を制したのは、巧であった。 「そのままの意味だ。俺はもう寿命で、多分何をしてももう何時間もしないうちに死ぬ。……どこまで持つかも、正直分からねぇ」 そう言って、彼は一旦灰の止まった掌を見る。 しかしもうそれが人の形を留めているのすら奇跡といえる状況で、彼が笑顔を浮かべるはずもなく。 それに対しやるせなさに息を吐き出したのは、フィリップであった。 「そんな身体で、ライジングアルティメットと二回も戦ったりしたら……寿命が縮まって当然だ……!」 言われて、巧は思い出す。 人間に捕まりオルフェノクの細胞を破壊し寿命を縮める薬を投与された後に戦った相手は、どれも強大極まりなかった。 オルフェノクとして生きる決意を固めた木場、オルフェノクの王、そしてここに連れてこられてからもテラーにユートピア、ガドルにライジングアルティメット、そしてウェザー……。 そのどれもが万全の装備を備えても勝利を確信できるような相手ではなく、またその戦闘でファイズを、オルフェノクの力を使う度に、彼の寿命は加速度的に摩耗していった。 元々ファイズの鎧を走るフォトンブラッドはオルフェノクにとって害になるものなのだから、弱り切った身体で纏えばそうした副作用が如実に出ても仕方なかったのだ。 しかし彼は文字通り命を燃やし戦い続けた。 その身が崩れ去るその瞬間まで、何かを守るために戦いたい、とそう願って。 しかし、もうそれも叶うまい。 先ほど村上に遭遇した際オルフェノクの力を使い戦闘に至らなかったのは、禁止エリアなど理由ではなく、オルフェノクとして戦えばあそこで寿命を迎えるだろうことを、理解してしまったからだ。 理屈ではなく直感での理解だったが、恐らく間違ってはいない。 その証拠として、今この瞬間に戦闘を介してもいないのにこれほどの灰がこの身から吐き出されているのだから。 『お前らは全員殺す。この世界で唯一、未来永劫生き続け全ての力の頂点に立ち続けるこの俺を、ここまでこけにした礼としてな』 と、ふと戦場に意識を移せば、アンデッドとして真の姿を現した志村が、橘と村上に勝利宣言をしていた。 それを見て、立ち上がろうと突き立てたはずの拳に感覚が宿らない為に大きくバランスを崩しながら、巧は地べたに頬を擦り付けてしまう。 それに士とフィリップが気を取られている隙に、デイパックすら持たぬまま良太郎はジョーカーの下へ走り出して。 「あの馬鹿……ッ!フィリップ、巧を頼む!」 生身のままアルビノジョーカーに立ち向かう良太郎の背を見て、士も続く。 それを見送ったフィリップの横で、巧もまたその消えかける足をしかと地面に突き立てて。 「止めないでくれフィリップ、俺は――」 「――止めないさ」 しかし、止められるのを覚悟した巧に、フィリップはまるでそうして立ち上がることさえお見通しだったように呟く。 その瞳の先にはアルビノジョーカー。 姉を殺した相手の言動に、知らぬ間に先日風都タワーを襲撃した大道克美の姿を、彼は幻視していた。 不死の存在として生きる内、日々人間性を失う代償を負った、NEVERの兵士たち。 そんなものを真に永遠などとフィリップは思えもしなかったし、同時に自分にとっては良太郎の述べる誰かの心の中で生きる永遠の方が余程尊く思えた。 だから同時に、今目の前で命の火を絶やそうとする巧に、その輝きを止める資格なども自分には、ない。 「……すまねぇな」 そんな中、巧はポツリと謝罪を漏らす。 それが何に対する謝罪なのか、フィリップには正直特定できない。 乾巧という人間がそのつっけんどんな言葉の裏に優しさを秘めた人間なのか、少しくらい理解しているつもりだったから。 だから、彼はそれに少し笑みを返しただけで何も答えなかった。 きっと、巧も許しを得ようと口にした謝罪ではないだろうことを、理解していたから。 それを受け、巧は遂に走り出す。 その身体からは止めどなく灰が零れ出ているが、しかしだからといって彼の背中が弱く見えることなど、あり得なかった。 その背中に、仮面ライダー、としての最高のものを見た気がしたから。 ◆ ファイズが放つ未知の粒子迸る紅の剣を、その手に持つ鎌で受け止めるのは、彼に対峙するジョーカーであった。 しかし、数回の打ち合いしか成していないというのに、もうファイズの肩は上がっている。 既に限界を超えたダメージを蓄積した中で寿命をも迎えかけているのだから、それは最早どうしようもなく当然のことであった。 しかし彼の中の闘志は衰えず、むしろ高まっていく。 だがそんな彼と相対するジョーカーは変わることなく嘲笑を浮かべ。 「どうしました、もう限界ですか?“乾さん“」 「――ッ!」 明らかな挑発に対しかけ声一つエッジを大きく凪ぐが、しかし難なくそれを躱されむしろその腹に蹴りを食らってしまう。 それに呻き声を上げる暇もなくその身にヘルファイアの炎が容赦なく降り注いだために、ファイズは大きく吹き飛ばされた。 その身を木に強く打ち付けながら、彼はそのまま力なく座り込む。 そうして目前に徐々に迫り来る白いジョーカーを見やりながら、彼は二人の男を思い出していた。 『――冴子は、僕の妻でね。ここに来る前に少しいざこざはあったけど、賢く美人で、自慢の妻なんだ』 知り合いについて情報を交換している時に、どこか遠くを見ながらしかし嬉しそうにその名を言っていた霧彦のことを。 彼が街と同じほどに愛した生涯ただ一人の伴侶、それをこいつが、殺した。 『あきらは俺の弟子じゃなかったけど、よく知ってるよ。ちょっと融通聞かないこともあったけど、真面目で良い子だった』 イブキにどう言えばいいんだろうなぁとぼやきながらあきらとの思い出を考えるヒビキのことを。 彼が気にかけた友の元弟子で、既に一般人として鬼の道を諦めた、しかし心優しい彼女を、こいつが、殺した。 それを思う度、彼の腕の、既に消えかけたはずの感覚が鮮明になっていく。 そのまま勢いよく顔を持ち上げたかと思えば、彼はジョーカーの振り降ろす鎌をその剣で受け止めた。 限界を超えたファイズの攻撃に狼狽えるジョーカーを気にもとめず、ファイズは自身のドライバーに手を伸ばして。 ――EXCEED CHARGE 瞬間彼の身体を走ったファトンブラッドは、彼の右手に流れ込み、その赤い刀身を一層輝かせた。 それにジョーカーが反応する前に、彼は大きく剣をなぎ払い。 スパークルカットの名を持つ一撃を、デスサイスにぶつける。 それを受け数瞬デスサイスが悲鳴を上げるが、しかしそれすら気にせずファイズはエッジを振り切った。 赤いφの字が宙に浮かぶ中、ジョーカーは苛立ちと共に半分に折れたその得物を投げ捨てる。 それを機とみたかファイズはミッションメモリーをファイズショットに入れ替え、その手につけたファイズアクセルから黒と赤のミッションメモリーを抜き去って。 ――COMPLETE それをファイズフォンに挿入すれば、その身は一瞬で黒の身体に銀のラインの走る戦士、仮面ライダーファイズアクセルフォームのものへと変貌する。 ――START UP 防御力と引き替えに驚異のスピードを得た彼は、傷つき既に限界の身体を、しかし加速してジョーカーに神速の勢いで肉薄。 「――ラァァァァァァッ!!!!」 咆哮と共に縦横無尽に飛び交いそしてその拳を幾度となくジョーカーに放つ。 全ての彼に騙され殺されたものたちの怒りを、その拳に込めるように。 ヒビキという、誰しもを信じ、誰しもが心を開く、誰よりも大人だった男の思いも乗せて。 「いい加減に……しろぉ!」 しかしそれを受けるジョーカーも何時までもただでやられているはずはない。 いきなり周囲を紫の閃光が支配したかと思えば、それは辺りを爆炎で包み込む。 それはまるで、自分がその神速の勢いについていけないなら、全てを破壊すればいいと言わんばかりの乱雑な攻撃だった。 しかし、それは少なくとも攻撃のみに神経を振り絞っていたファイズが相手のこの状況では、有効であった。 ただでさえ薄くなったアーマーの、その奥のコアに衝撃が直接到来して、ファイズは形容しがたい悲痛な叫びを以て大きく吹き飛ばされた。 強かにその身を地面に仰向けに横たえながら、その身を通常のファイズのものへと変えて。 まだ倒れるわけにはいかない、まだ諦めるわけにはいかないとそう感じながらも、抗いがたい睡魔に襲われて。 巧は、遂にその瞳を閉じた。 ◆ ――目を覚ますと、そこは緩やかな斜面をした緑の大地であった。 それは確かに自分がこの場に連れてこられる前、真理と啓太朗と共に寝転がっていた河原の土手。 今までの全てが夢だったのか、と巧が混乱しつつも、ここは本当に気持ちの良い場所だと、その心地よさのままにその目を閉じかけるが、しかしそんな彼に対し降ってくる声が一つ。 「――乾君、良い場所を知っているものだね、ここは風都のように良い風が吹く」 ふと声のした左側に視線を移すと、そこには既に灰になり風になったはずの霧彦の姿。 どうしてお前が、そんな投げかけを本来ならするべきだろうが、それをする気にはなれなかった。 「あぁ、たまにはこうして地に寝そべり天を見上げるのも悪くない」 右側から聞こえた声に振り向けば、そこには自身や霧彦と同じく仰向けに寛ぐ天道の姿。 既に死んだものたちが何事もないように自分と会話していることをしかし不思議に思うこともなく、彼は導き出した一つの答えを口にする。 「死んだのか、俺」 遠い目をしながらそう呟くと、しかし心のどこかがすっと軽くなるのを感じた。 もうこれ以上誰かの為に戦う必要もない、痛い思いも、辛い思いもしなくていいのだと。 「――本当に、それでいいのか?」 天道が、自分の心を見透かしたようにそう問う。 その顔はいつもの彼のように自信満々といった様子ではない。 ただ、本当に問うているのだ、自分の覚悟が、その程度のものだったのか、と。 それに対し、巧は黙って空を見上げる。 多くの人を騙し殺したあの悪魔は、許されざる邪悪だ。 しかしそれに負けて死んでしまった自分が、これ以上何か出来るとでも言うのか。 あれだけ頑張ったのだからもう休んでもいいではないか、と生前には抱くことのなかったような思いを顔に浮かべつつ、しかしそれを口にはしない。 それを口にした瞬間全てが終わってしまう気がしたのはもちろん、それだけでは終わらない自分が確かにいるのを感じたから。 「乾君、君が今死んだら、僕のスカーフはどうなるんだい?一体誰がそれを洗濯するなんて思うんだ?」 黙りこくる巧に、霧彦が起き上がりつつそう問う。 その顔には笑顔が浮かんでいたが、それは彼を嘲るものでなく、彼の出す答えが分かっているための悪戯な笑顔に見えた。 それを横目で見やりつつ、しかし巧は何も言わず寝そべるまま。 「――お婆ちゃんが言っていた」 そんな巧に降ってくるのは――あぁ、見なくてもわかる――その人差し指を天に向け、儚げな表情を浮かべた天道の声。 「人に足が生えているのは、天に少しでも近づこうと努力した結果だ、もし地に伏せ空を見上げるだけでは、天に届くことはない、ってな。――お前も俺の夢を継いだなら、立ち上がれ、乾」 お前が天そのものだって言いてぇのかよ、と相変わらず主語の大きい彼の言葉をしかしどこか微笑ましい気持ちで受け止める巧。 彼は黙ったままだったが、しかしその顔には先ほどのような緩やかな死に対する思いは見られなかった。 「あーあ、ったく少しの間寝させてもくれねぇってのかよ」 がばっとその身を一気に起き上がらせながら、巧はぼやく。 その髪をぼさぼさと掻きむしって、その手に灰がついていることに、最早何も感じぬままに。 「心配するな、これで終わりだ。それが終われば、彼女にも会える」 達観したようにそう呟く天道の声を聞きながら、彼の意識はぼやけていく。 いや、むしろ急速に浮上して言っているという方が、正しいのか。 ともかく、天道の言う彼女、というのが誰なのか、思考の纏まらぬままに彼はその瞳を閉じかけて。 ――巧! ◆ もう一度目を覚ましたとき、そこにあったのは先ほどとは違って冷たい大地と戦闘による嗅ぎ慣れた、しかしいつまで経っても嫌悪を覚える臭いだった。 その身を先ほどより何倍も重く感じながら、しかし確かに起き上がると、目前のジョーカーは今度こそ恐怖にも似た声を上げてファイズを見やる。 橘朔也に、乾巧、呆気なく刈り取れると思ったはずの命が、何故こうまで自分の邪魔をし続けるのか、何も理解できないと言わんばかりに彼は狼狽する。 その姿に仮面ライダーの何たるかを深い部分で理解していなかったと判断できて、巧は思わず彼を笑った。 「何が可笑しい……もう死にかけの分際で、全てを支配し永遠に生き続けるこの俺を……笑うなぁ!」 それに怒りが爆発したのか、ジョーカーは猛進する。 先ほどまでの冷静さを、どこかに置き去りにしたように吠える彼を前に、ファイズは手首をスナップさせるのみ。 思い切り振りかぶったジョーカーの拳を刹那で躱しながら、ファイズはその右手を強かに彼の腹に放った。 呻き声と共に緑の血を吐き出す彼を前に、ファイズはその手にポインターを持ちながら、ふと思い出したことを口にする。 「――そういやお前、真理がお人好しって言ってたっけな」 その言葉は先ほど自分が村上に対して放った言葉だったはずだ、とジョーカーは思い出す。 しかし何の脈略もなく放たれたその言葉に、彼はただ困惑を残して。 「あの女はなぁ、お人好しなんかじゃねぇんだよ。俺が猫舌なのを知ってて夕飯に鍋焼きうどんを出してくるような、意地の悪い女なんだ」 「……何が言いたい?」 どこか遠くを見ながらぽつりぽつりと漏らすファイズに、思わずジョーカーは問う。 しかしそれを気にもせず、彼はドライバーに手を伸ばした。 ――EXCEED CHARGE 再び放たれた電子音声と共に、高まりゆくエネルギーを感じながら彼は妨害せんと近づいたジョーカーを殴り飛ばす。 今までを大きく超えるようなその拳のダメージにジョーカーが呻く中、彼は大きくその身を飛び上がらせて。 「――あいつを何もしらねぇくせに、偉そうにあいつを語ってんじゃねぇ!!!」 かけ声一つ、その右足を真っ直ぐにジョーカーに向けた。 瞬間、彼の身体を赤い円錐と共にファイズが貫いて。 その白の身体に大きくφの記号を浮かび上がらせながら、死神ジョーカーは、遂にその身をゆっくりと倒した。 ◆ 「……ぐっ」 呻き声と共に仰向けに横たわるのは、この場で志村純一、正義の仮面ライダーを名乗ったアルビノジョーカーであった。 自身の正体が村上にばれた時彼は、この場で殺せるだけの人間を殺してすぐに離脱することを考えた。 その場に現れた橘に負けはないと確信を持って挑んだが、勝負は痛み分け。 どころか手にするナイトの鎧がギャレンのそれを本来大きく凌いでいることを考えれば、負けを認めなくてはならないもので。 それは橘という男を長年見下し続けてきた彼には心底納得のいかないものだった。 故に彼だけでも殺す決意を以て本来の姿に変じたが、そこに野上良太郎が現れた。 自分が永遠の存在である、という言葉を否定し剰え生身で自分を押し倒した彼に苛立ちを募らせればそこに門矢が現れ、次は乾巧だ。 とはいえ既に灰を吐き出し見るからに死に体だったために容易に殺すことが出来るだろう、最低限彼と橘、村上を始末してこの場を去ろうと考え、戦闘を開始したのだが。 その結果が、これだ。 ほぼ万全に近い装備を得ながらの敗北に、彼は全く理解の追いつくことが出来なかった。 と、ふと視線を動かせば、そこには自身をこの状況に追い込んだ村上の姿。 「何の……用だ」 息も絶え絶えにそう彼に問いかけると、村上は自分を興味深げに見つめ。 「あなたの敗因はたった一つですよ、志村純一」 そう言い放った。 自分の敗因などという言葉に、志村はただ困惑する。 そんなもの、自分が彼らの実力を見誤ったとも思えないし、彼には一切理解の追いつかない部分であった。 「――あなたは、もっとも怒らせてはいけない男を怒らせてしまった……、ただそれだけです」 それが、自身を打ち倒した乾巧のことなのか、自身のペースを掻き乱しナイトを打ち破る大金星を上げた橘朔也のことなのか、それともそもそも彼らと戦う状況にまで持ち込んだ村上自身のことなのか。 そのいずれかは全く見当のつかないものの、彼はそれ以上村上に問うことも出来なかった。 パキン、と気持ちの良い音が響いた後見覚えのある緑の光に自分が包まれ、その意識を深い闇の中に、彼の身体は封印のカードの中に押し込められたのだから。 それを静かに拾い上げながら、村上はゆっくりとその場から踵を返し静かに離れていくのだった。 ◆ 志村純一がその身をカードの中に封じ込められたのを見て、フィリップは姉の敵が取られたことを実感する。 出来ればこの手で討ち取りたかったが、士から事情を聞いた巧の戦いを、自分が汚すわけにもいかないとそう思い、その戦いを見守ることにしたのだ。 戦いが終わってもなおただ天を見上げるのみで立ち尽くすファイズに近づきながら、フィリップは慎重に言葉を選ぶために思考を巡らせ続ける。 「巧……お前は――」 「言うな門矢、何も言わなくて良い」 しかしそんなフィリップより先に、かけるべき適切な言葉が見つからないながらにその口を開いた士を、ファイズは止める。 その少しの動作だけでファイズの鎧でも抑えきれぬほどの灰が全身から吐き出されて、事情を聞いていない橘にも彼に先はないことを察することが出来てしまって。 誰もが黙り続ける沈黙の中で、しかしファイズはゆっくりとその顔を上げた。 「お前らに、夢……ってのはあるか」 唐突ながら聞いたそれは、その実問いではない。 ただ彼らの胸に自分自身が聞けばそれでいい、そんな言葉であった。 「俺は、他人からたくさん夢を託されてきた。例えば、霧彦とかな」 言いながら自身の懐より彼のスカーフを取り出したファイズは、それをフィリップに手渡す。 そのスカーフには幾分か灰がついていたが、しかしフィリップはそれを払うことはしなかった。 「フィリップ、このスカーフを洗濯してやってくれ。そしてお前の街で、一番良い風が吹くところにおいてやってほしい。それが、あいつの夢だった」 「当然だ、任せてくれ」 真っ直ぐな瞳で、しかしその眼を赤く充血させ潤わせながら言う彼を見て、ファイズは少し笑った。 それがなお悟った人間の笑い方のように見えて、フィリップは思わず彼を直視できなくなってしまう。 それを気にする暇もなく、彼は今度は士の方へ振り向いて。 思えば短い間の仲だったが、色々知った口を聞かれ様々なことを思った男だった。 こいつが破壊者だとしても、信じようと決めた自分を泣かせぬ為にも、彼は一歩進む。 「それからこれは、天道総司って男の夢だ。あいつと同じ顔をした、黒いカブトに変身する男に伝えてくれ。アメンボから人間まで、全ての命を平等に守る、それが天道の夢だってな」 「――あぁ、わかった」 返答に僅かに時間を要したことを少し気がかりに思いながら、彼は最後にそこにいる全員の顔を見渡す。 フィリップ、士、橘、良太郎。全員、善良な仮面ライダーであるはずだ。 少なくともこの中に志村のような正義を利用する邪悪は存在しないと、彼は信じたかった。 だから、継いでもらおう。 自分の夢も、彼らになら任せられるから。 「それから、世界中の洗濯物が真っ白になるみたいに、皆が幸せになれるように。……これが俺の夢だ。お前らに、後を任せたい」 そう言って目を閉じかけて、もう一つ夢を思いつく。 どうせ最後なのだから、少しくらい臭い台詞も悪くない、とそう感じて。 「そして、皆の夢が、きっと叶いますように――」 そこまで言うと、彼の身からファイズの鎧は失せていく。 変身制限を迎えたために、その役目を終えたのだ。 しかしそのフォトンブラッドによる輝きが消えた後、そこにいるはずの巧の姿はもう存在しなかった。 灰の山に置き去りになったファイズドライバーと首輪を見て、しかし誰も泣いたりはしなかった。 彼という男が自分たちに残した夢の意味を、これ以上ないほど分かっているつもりだったから。 風にさらわれていく灰はいずれ、彼の友が愛した街や天にも届くと、そう確信できたから。 ◆ 「なるほど、ここにカイザドライバーがあったのですね」 乾巧の死にただ一人その場で向き合わなかった男、村上は少し離れたGトレーラーで自身もよく知る王を守るためのベルトの一本を見つける。 草加雅人に支給されていただろうそれに全てのツールを取り付けながら、他の支給品に目を移そうかと考えたその時。 「――ここで、何してるんですか」 ふと、後方から訪れた声に振り向いた。 そこには、未だイマジンも取り付いていない生身の野上良太郎の姿。 それを視認しながらも、しかし彼は別段驚いた様子もなかった。 「貴方がここにいると言うことは、乾さんは逝ってしまったんですね」 ゆっくりと空を見上げた彼に、良太郎は警戒の目を向け続ける。 その手には自分のデイパックの他にもう一つを持ち合わせているようで、恐らくは村上のものだろうことが把握できた。 自分に届けに来たのだろうそれを受け取ろうと手を伸ばせば、良太郎は抵抗するようにその手を引っ込める。 恐らくはこんなところで単身行動していたことを彼は訝しんでいるのだろう。 それに気付いたのか、村上はいつものようにふっ、と笑ってGトレーラーより舞い降りた。 「心配しなくとも、このドライバーを秘匿するつもりなどありませんよ、私は志村純一とは違い、皆さんを出し抜くつもりなど少しも持ち合わせてはいない」 恐らく問題なく私のものと認められるでしょうしね、と意味深な言葉を続けながら、彼はカイザギアを手に垂らす。 それを見てもなおデイパックを渡そうとしない良太郎に困惑の表情を向けると、彼はその瞳を先ほどと同じく真っ直ぐ向けた。 「何で、乾さんが死ぬとき、そばにいなかったんですか」 その声は、静かな怒りに燃えている。 彼の死に際にこんなところで自分の戦力を確保している動きが単純に気に入らなかったということか、と村上は思い至った。 その程度のことで、とも思うが、しかしここで彼の機嫌を損ねれば今後自分の主催戦での立場も危うい。 それは新たに抱いた自分の方針にも背くことになる、と彼は一つ息を吸い込んで。 「彼が死ぬ間際に私がいる必要はないからですよ、それに――」 「あなたが乾さんと敵だからですか?あんなになってまで戦ったのに、その人が死ぬときまで、あなたは彼を憎んでたんですか?」 記憶。 それは人と人を繋ぐなによりも大事なものだ。 電王として戦い、また記憶を犠牲に戦う侑斗を目にして、その思いは良太郎の仲で非常に大きいものになった。 だから、その人を覚えている人の記憶は、一つでも良いものを持っていて欲しかった。 例えば死に際に残した言葉などは、その人の人となりを表すようなものだ。 だからそれを聞かずもしも村上が巧を恨み続けているというのなら、それは絶対に彼にとって許せないことであった。 しかしそれを聞いた村上は何も思うところはないようにいつものような凜とした顔をしている。 それに思わず良太郎は声を荒げそうになって、しかし村上はそれを制しゆっくりと話し出した。 「――あなたは何か勘違いをしているようだ。確かに彼と私の間には深い確執がありました。しかしそれはお互いの信念に基づくものだ、それが消える死の後にまで、私は彼という有能な同族を憎んだりはしない」 「なら、なんで……」 「私がいては、彼が笑顔で逝くことが出来ないからですよ」 村上は、臆面もなく告げる。 それに呆気に取られた良太郎を気にも留めず、彼は良太郎を真っ直ぐ見据えて。 「人は泣いて産まれてくる。それは仕方のないことですが……しかし死の瞬間の表情を決めるのはその人自身だ。私は、死の瞬間浮かべる表情にこそその人物の全てが現れると思っている」 自身の人生哲学を語る彼に、良太郎は何も言えない。 それを見ながら、しかし村上は続ける。 「私の信頼に応え志村純一を打ち倒した乾さんは、上の上たる存在だ。そんな存在が死に際に私の顔を見てその表情を曇らせるというのなら、私はその死に際から潔く去りましょう」 彼の言い方からすれば死に際の志村の前に現れたのはその逆という意味か、と良太郎は思うが、ともかく。 そこまでを一気に言い切って、村上は息をつき、しかしまた顔を持ち上げた。 「――乾さんは、笑顔で逝きましたか?」 「わかりません、最後まで、変身していたので……」 「そうですか」 短く答えた村上は、そのままゆっくりと廃病院の方へ足を進めようとする。 良太郎の手から力なくぶら下がるデイパックを受けとり、その中にカイザギアとオーガフォンを詰め込んで。 「――あの!」 その背中に、思わず良太郎は叫ぶ。 それに思わず振り返りながらも、村上は意外そうな表情を浮かべた。 「何ですか、野上さん」 「何で貴方は人間とオルフェノクの共存を考えたりしないんですか、そんなにオルフェノクに優しいなら、人間と戦わない道を探すことだって――」 「――我々に戦争以外の道はない」 どこまでも甘い良太郎の言葉に対する村上の言葉は、先ほどよりも強かった。 そこに揺るがぬ彼の持つ正義を感じて、思わず良太郎は怯んでしまう。 そんな彼を見て「もう結構ですか?」と踵を返し廃病院に向かう彼を見やりながら、しかし良太郎は彼を悪と断じることは出来ぬままで。 「それでも、僕は信じたい。貴方のことも、オルフェノクと人間が共存できるってことも」 誰からも甘いと断じられそうな危うい思考を抱きながら、しかしその瞳に誰より強い意志を抱いて、彼は村上の後を追うように駆け出した。 もう、誰も死なせたくないと決意を新たに抱いて。 誰よりも弱い彼は、しかしそれでも諦めず何かを救うために今日も走るのであった。 【乾巧@仮面ライダー555 死亡確認】 【志村純一@仮面ライダー剣 封印】 【残り20人】 【二日目 深夜】 【E-5 病院跡地】 【門矢士@仮面ライダーディケイド】 【時間軸】MOVIE大戦終了後 【状態】ダメージ(中)、疲労(中)、決意 【装備】ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド、ディエンドライバー+ライダーカード(G3、サイガ、コーカサス)@仮面ライダーディケイド 【道具】支給品一式×2、不明支給品×2、ケータッチ@仮面ライダーディケイド、キバーラ@仮面ライダーディケイド、 【思考・状況】 基本行動方針:大ショッカーは、俺が潰す! 0:どんな状況だろうと、自分の信じる仮面ライダーとして戦う。 1:巧に託された夢を果たす。 2:友好的な仮面ライダーと協力する。 3:ユウスケを見つけたらとっちめる。 4:ダグバへの強い関心。 5:音也への借りがあるので、紅渡を元に戻す。 6:仲間との合流。 7:涼、ヒビキへの感謝。 8:黒いカブトに天道の夢を伝えるかどうかは……? 【備考】 ※現在、ライダーカードはディケイド、クウガ、ファイズ、ブレイド、響鬼の力を使う事が出来ます。 ※該当するライダーと出会い、互いに信頼を得ればカードは力を取り戻します。 ※参戦時期のズレに気づきました。 ※仮面ライダーキバーラへの変身は光夏海以外には出来ないようです。 ※巧の遺した黒いカブトという存在に剣崎を殺した相手を同一と考えているかどうかは後続の書き手さんにお任せします。 【橘朔也@仮面ライダー剣】 【時間軸】第42話終了後 【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、精神疲労(中)、仲間の死に対しての罪悪感、自分の不甲斐なさへの怒り、クウガとダグバ及びに大ショッカーに対する恐怖(緩和)、仲間である仮面ライダーへの信頼、仮面ライダーギャレンに1時間45分変身不能、仮面ライダーザビーに1時間50分変身不能 【装備】ギャレンバックル@仮面ライダー剣、ラウズカード(ダイヤA~6、9、J)@仮面ライダー剣、ラウズアブゾーバー@仮面ライダー剣、ガイアメモリ(ライアー)@仮面ライダーW、、ザビーブレス@仮面ライダーカブト 【道具】支給品一式×4、ゼクトルーパースーツ&ヘルメット(マシンガンブレードは付いてません)@仮面ライダーカブト、ディスクアニマル(アカネタカ)@仮面ライダー響鬼、変身音叉・音角@仮面ライダー響鬼 【思考・状況】 0:仮面ライダーとして、人々を護る。 1:まずは今後の方針を考える。 2:乾に託された夢を果たす。 3:首輪の種類は一体幾つあるんだ……。 4:信頼できる仲間と共にみんなを守る。 5:小野寺が心配。 6:キング(@仮面ライダー剣)、(殺し合いに乗っていたら)相川始は自分が封印する。 7:出来るなら、始を信じたい。 【備考】 ※『Wの世界万能説』が誤解であると気づきました。 ※参戦時期のズレに気づきました。 ※ザビーゼクターに認められました。 ※首輪には種類が存在することを知りました。 【フィリップ@仮面ライダーW】 【時間軸】原作第44話及び劇場版(A to Z)以降 【状態】ダメージ(中)、疲労(中)、照井、亜樹子、病院組の仲間達の死による悲しみ 、仮面ライダーサイクロンに1時間45分変身不能 【装備】ガイアドライバー@仮面ライダーW、ファングメモリ@仮面ライダーW、ロストドライバー+(T2サイクロン+T2エターナル)@仮面ライダーW 【道具】支給品一式×2、ダブルドライバー+ガイアメモリ(サイクロン+ヒート+ルナ)@仮面ライダーW、メモリガジェットセット(バットショット+バットメモリ、スパイダーショック+スパイダーメモリ@仮面ライダーW)、ツッコミ用のスリッパ@仮面ライダーW、エクストリームメモリ@仮面ライダーW、首輪(北岡)、首輪の考案について纏めたファイル、工具箱@現実 、首輪解析機@オリジナル 、霧彦のスカーフ@仮面ライダーW 【思考・状況】 1:大ショッカーは信用しない。 2:巧に託された夢を果たす。 3:友好的な人物と出会い、情報を集めたい。 4:首輪の解除は、状況が落ち着いてもっと情報と人数が揃ってから取りかかる。 【備考】 ※バットショットにアルビノジョーカーの鮮明な画像を保存しています。 ※鳴海亜樹子と惹かれ合っているタブーメモリに変身を拒否されました。 ※T2サイクロンと惹かれあっています。ドーパントに変身しても毒素の影響はありません。 ※病院にあった首輪解析機をエクストリームメモリのガイアスペース内に収納しています。 【野上良太郎@仮面ライダー電王】 【時間軸】第38話終了後 【状態】強い決意、疲労(中)、ダメージ(中)、仮面ライダー電王に1時間45分変身不能 【装備】デンオウベルト&ライダーパス@仮面ライダー電王、サソードヤイバー@仮面ライダーカブト 【道具】支給品一式 【思考・状況】 基本行動方針:モモタロスの分まで、皆を守る為に戦いたい。 0:極力自分の力で、自分に出来る事、やるべき事をやる。 1:まずはここで情報を交換したい。 2:巧に託された夢を果たす。 3:リュウタロスを捜す。 4:殺し合いに乗っている人物に警戒 5:相川始を警戒。 6:あのゼロノスは一体…? 【備考】 ※変身制限について把握しました。 ※ハナが劇中で述べていた「イマジンによって破壊された世界」は「ライダーによって破壊された世界」ではないかと考えています。確証はしていません。 ※キンタロス、ウラタロスが憑依しています。 ※ブレイドの世界の大まかな情報を得ました。 ※現れたゼロノスに関しては、桜井侑斗ではない危険人物が使っていると推測しています。 ※冴子から、ガイアメモリと『Wの世界』の人物に関する情報を得ました。 ※ただし、ガイアメモリの毒性に関しては伏せられており、ミュージアムは『人類の繁栄のために動く組織』と嘘を流されています。 【村上峡児@仮面ライダー555】 【時間軸】不明 少なくとも死亡前 【状態】ダメージ(中)、疲労(中)、バードメモリに溺れ気味、ローズオルフェノクに1時間45分変身不能 【装備】オーガギア@劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト、カイザギア(ドライバー+ブレイガン+ショット+ポインター)@仮面ライダー555 【道具】支給品一式、バードメモリ@仮面ライダーW 不明支給品×1(確認済み)、ラウズカード(アルビノジョーカー)@仮面ライダー剣 【思考・状況】 基本行動方針:殺し合いには乗らないが、不要なものは殺す。 1:人は許せない、がここでは……? 2:まずは情報を交換したい。 3:乾さん、あなたの思いは無駄にはしませんよ……。 4:世界の破壊者、という士の肩書きに興味。 【備考】 ※変身制限について把握しました。 ※冴子から、ガイアメモリと『Wの世界』の人物に関する情報を得ました。 ※ただし、ガイアメモリの毒性に関しては伏せられており、ミュージアムは『人類の繁栄のために動く組織』と嘘を流されています。 ※オーガギアは、村上にとっても満足の行く性能でした。 ※今後この場で使えない、と判断した人材であっても殺害をするかどうかは不明です。 【全体備考】 E-5エリアに志村純一のデイパックと首輪、乾巧のデイパックと首輪が存在しています。 117 time――rebirth 時系列順 118 師弟対決♭キミはありのままで(前編) 投下順 門矢士 123 決める覚悟 乾巧 GAME OVER 村上峡児 123 決める覚悟 野上良太郎 橘朔也 志村純一 GAME OVER フィリップ 123 決める覚悟
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出演 碓井将大/高橋龍輝/橋本汰斗/山田悠介/山口賢貴/西井幸人 陳内将/荒井敦史/阿久津愼太郎/近江陽一郎/山田裕貴 今野良太郎/前山剛久/白又敦/土屋シオン/大久保祥太郎 開催 2011年02月11日(金)~2011年02月13日(日) 全5公演 東京 恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホール 全5公演 02/11 (金) 02/12 (土) 02/13 (日) 昼 14 00 14 00 - 夜 18 00 18 00 16 00 公式サイト 関連商品 DVD LINK MEMO 今年の春は (先輩たちも)どこ吹く風 おれたちも新旋風巻き起こすぜ2011! 2021-01-06 00 21 39 (Wed)
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【種別】 俺、誕生! 登場人物・出演俳優 (登場人物) 【名前】 野上愛理 【よみがな】 のがみ あいり 【キャスト】 工藤美友里 【登場話】 劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生! 1988年の時間の愛理。3歳。 【関連するページ】 俺、誕生! 登場人物・出演俳優 劇場版 工藤美友里 福田産婦人科 野上良太郎