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注意 ・とっさに浮かんだから話です。 ・自業自得になるゆっくりと、幸せになるゆっくりがいます ・ネタが被ってしまっているかもしれません。 ・自己設定などを多く含みます。 ・F5連打等でのDOS攻撃はやめよう ≪DOSまりさ≫ 作者 農業あき あるところに、ゆっくりの群れがある。 この群れの長は、希少種と言うか、こいつしかいない。 また、特殊な攻撃手段を持っていて、群れの守護者である。 名前はDOSまりさである。 人間がつけた名前であり、ゆっくりにとっては理解できない名前である。 ある日、この群れが襲われた。 周囲の群れではなく、DOSまりさのことを知らないゲスな群れである。 ドゲスもいて、ゆっくりの群れとしたら強い部類に入る。 「ドスはドスだよ。はやくみつぎものをもってきてね!! はやくしないと、どすすぱーくをするよ」 ドゲスは多くのゆっくりをひきつれて、DOSの群れに来ていた。 「どすはつよいんだよ!!」 「はやくあたらしいどれいがほしいよ!」 「どすうう、かっこいいい」 「あまあまをもってきてね。たくさんでいいよ」 この群れは襲った群れを奴隷にして行進していたらしい。 「ここから、たちさってくんないかな?」 DOSまりさはうんざりした顔をしていた。 「たちされとかばかなの?しぬの?」 「ばかは、どすでしょ・・・・」 「どすはばかじゃないよおおお!!げすはせいっさいするよ!!」 「しかたないなあ・・・」 ドスはキノコを食べ、ドススパークの体制をとった。 ドススパークは人間さえも重症にする程度の力はある。 どんなに大きなゆっくりでも饅頭であるから、死ぬのが当たり前である。 しかし、DOSまりさは何食わぬ顔をしていた。 「どすす・・・」 「しょうがないか・・・」 「ぱーゆ!?」 ドスは、発射する瞬間にゆっくりできない顔になり、動きが止まった。 「どす?どうしたの?」 「はやくせいさいしてよおおお」 「・・・」 「どうして、こっちにくるのおおお!!」 「ゆぎゃあああああ!!」 どすは、動かなくなり、横に倒れた。 球体に近いせいで転がり、ゲスの群れを蹴散らした。 「もっとゆっくりしたかったあああ」 「ぼっど・・・」 群れのほとんどが潰された。 残ったゆっくりも満身創痍で戦える状態ではなかった。 「だから、たちさってっていったのに・・・」 「・・・ゆ?どうじでみんなしんでるのおおお」 このDOSまりさは相手にゆっくりできない情報を送る力を持っている。 人間社会では良くある攻撃ではあるが、ゆっくりにはたまったものじゃない。 ドスでさえ意識が飛んでしまう程度の攻撃力はある。 「おまえがやったんだなあああああ!!」 「いや、どすがやったんだよ」 ドスは自分がやったことに気がつかず、DOSまりさに攻撃をした。 「げずはじねええええええ!!」 「はあ・・・」 「ゆ?」 またもや、ドスは意識を持っていかれた。 中途半端に飛んだため、狙いが定まらず、手前にあった岩にぶつかった。 ゆっくりとしては丈夫なドスであったが、自分の重さのせいで、 衝撃が大きく、皮が破けて、餡子が流出していた。 人間がいたら治るだろうが、このドスの怪我は二度と治ることは無いだろう。 「どすのあんこさん、でていかないでええええ!!」 「かわいそうだとおもうけど、むれのしょくりょうにさせてもらうよ」 DOSの群れのゆっくりたちが前に出てきて、散らばっている餡子を回収した。 「どすのあんこさんを、もってかないでええええええ!!」 ドスは叫んだが、ゆっくりたちは聞く耳を持たず、すべての餡子を回収した。 これは非常食になり、梅雨や越冬に利用されるようになる。 DOSまりさの群れはその非常食のおかげでゆっくりすることができ、 ゲスを討伐していたため、人間との関係も良好であった。 DOSまりさは多くのゆっくりをゆっくりし続けていくことができた。 終 あとがき・・・ 読んでくださいまして、ありがとうございます。 ちょっと調べ物があってDOS攻撃について調べたので、書いてみました。 ゆっくりおーらがあるのなら、ゆっくりできないおーらがあってもいい、 そう思って書きました。 DOS攻撃は怖いですね。F5を連打すれば攻撃でき、 サーバーをダウンすることも可能なんて・・・ 農業あきと名乗ってみましたが、 「農業学生とゆっくり」の続きが途中で止まっています。 今週中にあげられたらいいな… ご感想やご意見があると助かります。 お願いします。 http //jbbs.livedoor.jp/otaku/13854/ ここでいいんでしょうか?
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『弱くないまりさ』 26KB いじめ いたづら 自業自得 日常模様 お家宣言 野良ゆ 自然界 現代 独自設定 ありがちネタ ありがちなネタな気がするから被ってる可能性がとっても高いよ! それを考えるとすっごい怖いよ! しかもそんなネタですら上手く料理できてないよ! ネタ被ってたらごめんね! つまんなかったらごめんね! 許してね! 許したらあまあまもってきてね 注意事項 ・俺設定注意 ・善良(?)ゆっくり死亡注意 ・虐待殆ど無し注意 それではどうぞ 実のところ、ゆっくりという生物(ナマモノ)は決して弱くないのだ。 『弱くないまりさ』 まりさは群れで一番強いのだ。 自分でそう思っているし、森の中に住んでいる群れのみんなもそう考えている。 その若ゆっくりのまりさは、群れでもダントツに素早いちぇんにかけっこで勝つことができた。 また、木の枝を巧みに操るようむにちゃんばらで勝つことだってできた。 長である年老いたぱちゅりーのきょうっいくっにもまりさ種とは思えない理解力を示し、 とかいはなありす達に並ぶほど物作り(笑)の技術もある。 は? れいむ? ゆっくりプレイスに襲来した胴無し子れみりゃを死闘(笑)の末に打ち倒した頃には、 文武両道を地で行くまりさは群れの勇者(笑)として尊敬と羨望の眼差しを一身に受ける存在になっていた。 普通であればここで驕り高ぶり、ゆっくり特有のゲス気質を発揮して群れを壊滅させたりするものだが、 まりさは鍛練や実績からくるプライドを持ちつつも他ゆんを見くびることをしないゆっくりに育った。 殊更に美ゆっくりとして生まれたわけではないが、おぼうしの形も悪くない。 いや、どちらかと言うのならば、むしろ整った方である。 誰にでも分け隔てなく爽やかな笑顔を向けるまりさと会話をして、頬を赤らめずにいられる未婚ゆっくりはいなかった。 力が強く、技を持ち、頭も悪くなく、そして善良。 野生ゆっくりの群れの中では数十世代に一匹生まれるか生まれないか、 まりさはそんな優れたゆっくりである。 ―――――――――――――――――――― 「ゆっ! それじゃあ、まりさはかりにいってくるよ! おやさいさんをたくっさんっとってくるからゆっくりきたいしててね! かってにはえるおやさいさんをひとりじめするにんげんさんたちをこらしめてくるからね!」 「「「ゆぅーっ! まりさ、ゆっくりがんばってね!」」」 これである。 いかに優秀とは言え、そこは野生ゆっくりの限界。 "勝手に生えてくるお野菜さんを人間さんは独り占めしている" "人間さんは強いけど、まりさ程の勇者なら懲らしめることだって不可能ではない" 残念だが、このような幻想から逃れることはできなかったようだ。 狩り(笑) …群れを離れて数日、辛く険しいまりさの長旅の終着点には素晴らしい景色が広がっていた。 見渡す限りの広大な空き地に、数え切れないくらいのお野菜さん。 群れのみんながここで暮らせば、一体どれほどのしあわせーを享受することができるのだろうか。 ぱちゅりーのおはなしできいてはいたけど、まさかここまでのゆっくりぷれいすだったとはっ…! 幼馴染である"はやぶさのちぇん"や"えんげつさっぽうのようむ"と共に幾多の冒険を繰り広げ、 野生ゆっくりでは考えられないほど多種多様な経験を積んだ"ゆうしゃまりさ"ではあるがしかし、 想像を絶するほど豊かなプレイスを前にして、うれしーしーとおそろ(畏ろ)しーしーを止めることなどできなかった。 胸(?)をぐるぐると駆け巡る感動、そして畏れ。 筆舌に尽くしがたい感情(笑)の渦に身を震わせていたまりさの中に、一つの言葉が浮かんでくる。 は…… た…… け…… それは自分の両親から聞いた言葉ではなく、尊敬する老賢者の長から教わった単語でもない。 まりさの体の内側よりじわじわと滲み出てきた温かい気持ち。 ゆっくりである自分の中に代々受け継がれてきた、本能が伝えてくる言葉であった。 は…た…け…? はたけ…。 ゆっ、そうなんだね このゆっくりぷれいすは"はたけ"さんっていうんだね! 不思議な感覚であったが、まりさはそれを素直に受け止める。 恐るべき咆哮で大地を揺らす獰猛な魔獣(子イヌ) 剣を弾く鎧のような鱗を纏った死を司るドラゴン(子ヘビ) 旅の途中、それまで培った知恵と勇気が通用しない死地において、常に自分を救ってくれたのはこの"本能"だったのだ。 毎日へとへとになるまで繰り返した肉体の鍛練。 ゆっくりと時間をかけて育ててきた知恵と知識。 そしてどんなときでも心の片隅に置いていた全てのゆっくりのしあわせー。 それら全てを駆使して辿りついた場所は、もはやこの世のものとは思えない桃源郷であった。 まりさは理由も分からずぼやける視界を戻すように、一度だけ時間をかけてまばたきをした。 ほんの少し顔を上げ、いまだ止まらない体と心の震えに全てを委ね、その顔はキリッとしたドヤ顔を形作る。 深く深く息を吸い込んで、自然に生まれた笑顔が大きく口を開き…… 「このはたけさんを、まりさたちのゆっくりぷれいすにするよっ!!」 万感の想いと共に、輝かしい"おうちせんげん"が飛び出した。 ―――――――――――――――――――― 「またか…」 思わず溜息をついてしまった。 諦めに似た気分で四、五メートルほど離れた場所で騒ぐ不思議饅頭に目を向ける。 手に持っていたクワを傍に置き、少しずれた麦わら帽子の位置を戻して、 農夫は黒い帽子のゆっくりに近づいて行った。 確か"まりえ"…… いや、前にテレビで聞いたのは"まりあ"だったか? そのゆっくりの名前は覚えていないが、まあそんなことはどうでもいい。 大切なのは、森に近い場所に作ってしまったこの畑の野菜を、時々現れる饅頭が狙っているということだ。 「おい、そこのゆっくり」 「…ゆ?」 なんだかぷるぷると震えていたゆっくりが、こっちを向いた。 声をかけられると思っていなかったのか、不思議そうな表情をしている。 小汚い。 人間の帽子を真似たような形の物体を頭に乗せているが、途中からぐちゃっと折れ曲がっている。 体には土がついているのか、ところどころ茶色い染みが出来ていた。 食品である普通の饅頭と同じ材質、成分だとは知られてるが、 あんな薄汚れた物が地面に転がっていて、食べる人間なんているのだろうか 肌にこびりついている茶色い染み。 土ならばまだ水で流せばいいが、自然の野原を転げまわっている野生ゆっくりのことだ。 それが野生動物の糞などでないという保証はどこにもない。 衛生的に問題無いよう加工するとは言え、肥料として家畜の排泄物を畑にまくことは現在でもある。 この野菜も糞尿にまみれて育ったと考えられないことはないが…。 いやいや、それでもアレは無いな(笑) というか野菜と一緒に考えるのは極端すぎたか 「…………? …………? …………! ………ゆっ!?」 ぽかんとした間抜けな顔が、短い鳴き声と共に驚愕の表情っぽいものに変化した。 他の生物と比べたゆっくりの無能ぶりを舐めてかかってはいけない。 こちらを向いてたっぷり1分は使ったが、ようやく目の前の自分に気がついたのだろう。 これが噂の餡子脳だ。 いつもなら即潰して捨てるだけのゆっくりだが、そろそろキリのいい時間帯である。 休憩がてら野生の饅頭にちょっかいを出してみるのも悪くはない。 このゆっくりはどういう反応をするのだろうか。 気分がのっている今なら、意味も無く潰したりすることもしない。 素直だったり運のいいゆっくりなら生き延びることはできるだろうが、さて。 ―――――――――――――――――――― 突如現れた巨大な影に、まりさは素早く警戒を強めた。 大地に突き刺さる、巨木を思わせる二本の柱。 更に見上げれば、その上に用途の分からぬ謎の塊。 両側からはれいむのおさげさんと同等の働きをする二つの触手。 そして遥か頂上に見える、ゆっくりのお顔を模した体。 ぱちゅりーに聞いている。 その性質は野蛮で残忍。 餡子もクリームも(人間で言うところの「血も涙も」)無い卑劣な手段を好んで使う。 軽々と振るう力は大のゆっくり数ゆん分。(笑) かけっこ自慢のちぇん種に負けずとも劣らぬ速度で大地を移動し、(笑) その無尽蔵の体力と言ったら、狩りの得意なまりさ種を僅かに凌ぐほど。(笑) そして悪知恵だけならぱちゅりー種をも超えるという。(笑) 主にお野菜の勝手に生えてくるゆっくりプレイスに生息する、最凶最悪の巨大生命体…!(笑) その名も"にんげん"さん!! 人間さんには十分注意しろ、と老賢者は眉間にしわを寄せて何度も言っていた。 群れの誰もが遭遇したことは無いが、その恐ろしさだけなら誰でも知っている。 人間さんの中にも道理を理解し、穏やかな気質でゆっくりに従う種族がいると伝わっているが、 それも他の種族と比べたらほんの少ししか生息していないという。 少なくとも、目の前の一匹がマトモな方だと考えるのは早計に過ぎる。 お野菜さんのことを習って人間さんの存在を知った日から、 たとえ相手がその恐るべき悪魔であろうと勝利を勝ち取るため訓練を積んできたという自負を持つまりさ。 しかし、それでも戦闘になれば苦戦を強いられることは間違いない。 いや、下手をすれば負けてしまう可能性だって考えられないことではないのだという。 目の前の人間さんは知性を持った"めで"種族か、それとも強大な力を無闇に振るう"ぎゃくたい"種族なのか。 判別法をぱちゅりーに教わったことを思い出したまりさは、勇気を振り絞って巨大な生き物に問うた。 「ゆっ… にんげんさん! ゆっくりしていってね!?」 「はいはいゆっくりゆっくり」 なんと、彼方の空より響いてきたのはちゃんとした挨拶ではなかった…! ゆぅ、ゆっくりしてないごあいさつだよ これは"めで"じゃないにんげんさんなんだね… まりさは人間さんに気付かれぬよう、警戒の度合いを少し強める。 だが、お野菜さんの生えるプレイスを人間さんが徘徊しているだろうことは百も承知。 その個体が"めで"ではないという可能性だって、もちろん考慮していた。 そう、この次に待っているのはカスタードをチョコレートで(人間で言うところの「血を血で」)洗う死闘なのだ…! しかし如何に理知に欠け、ゆっくりしていない種族とはいえども、無闇に傷つけることをまりさはよしとしない。 全てにおいて完全であるように思えるまりさ。 その唯一の欠点は、獰猛な獣に対しても優しさとゆっくりを与えてしまうという"甘さ"であった。 「にんげんさん! このゆっくりぷれいすはまりさがおうちせんげんしたんだよ! にんげんさんはでていってね! でも、すこしくらいならゆっくりしてもいいからね! ゆっくりしていってね!」 まりさは人間さんを理性で説き伏せることはできないと知ってはいたが、 それでも、温かい慈悲を見せれば心を入れ替えることもあるのではないかと少しだけ期待をかけていた。 ほんの短い間とはいえ、自分のゆっくりプレイスでゆっくりすることを許す。 まりさは人間さんが怯えることの無いよう、優しく穏やかな笑顔を浮かべて伝える。 「……………………」 しかし人間さんは答えない。 彼方を向いて、ああ…そうそう"まりさ"だった…、などと呟いているが、まりさに喋っているのではないのだろう。 もしや、言葉が通じないのか…? 致命的に問題をややこしくさせる可能性にも頭がいったまりさだったが、 一応、言語を扱うことはできると長が教えてくれたのを思い出し、落ち着きを取り戻すまりさ。 そう言えば、先ほども"ゆっくり"という言葉を使っていた。 カタコトではあるが、聞いたり喋ったりする程度の知恵はあるのだろう。 そう思ったまりさは、人間さんの返答をゆっくり待つことにした。 「ふむ、まりさよ お前がおうちせんげんした時、俺は少し向こうにいたよな? だからこのエリア…… いや、ここらへんのプレイスは俺がいないと思ったんだろう」 雲を突き抜ける高みから、人間さんのものと思われる声がようやく届いてきた。 「だがな、お前が今立っているプレイスも俺がさっきいたプレイスも、 実は一つに繋がっているんだ つまり、お前は俺がいたゆっくりプレイスでおうちせんげんしてしまったんだよ」 な…、何を言っているのだこいつは? まりさは愕然とした。 自分達の"おうちせんげん"には、たった一つだけ欠点が存在している。 それは「誰かがいることに気付かず、おうちせんげんしてしまうこと」である。 おうちせんげんは、そのプレイスが自分のものであるという唯一にして確実な証拠。 しかし、先住ゆんの存在に気付かずに行ってしまえば、そのプレイスは誰のものになってしまうのか? この複雑怪奇な問題に対し、ゆっくり達は正しい答えを持っている。 即ち、先に住んでいるゆっくりが後から来たゆっくりのおうちせんげんを邪魔すればいい、ということだ。 そうすれば、先住ゆんに気付かずにおうちせんげんをしかけたゆっくりも、誰かが先にいた事実を理解する。 丁寧に問題点を洗い出され、緻密に組み立てられた"おうちせんげん"システムは完全無欠の法となった。 これは自分達の群れだけではなく、他の群れでも同様に行われているようだ。 まりさが子供の頃にこのお話を聞いたとき、餡子に衝撃を受けたことを覚えている。 自分達の群れだけではない、この広い世界全てのゆっくりが使っている完璧な"おうちせんげん"。 それはつまり、住んでいる土地や文化に関わらず、ゆっくりなら誰でも"おうちせんげん"を思いつき得るということ。 "ゆっくり"という生命に眠る知恵のポテンシャル。 その高さに、まりさは大きな感動を覚えたのだった。 ……だと言うのに! この人間さんは意味の分からない理論を展開し、自分を正当化しようとしてくる! 先にゆっくりプレイスに住んでいる場合、他ゆんのおうちせんげんには途中で声をかける。 生後一週間を過ぎれば赤ゆっくりでも知っているこの方法を、人間さんは行わなかったのだ。 それどころか、恥知らずな人間さんは勝手に都合よくシステムを作りかえ、ゆっくりプレイスの所有権を主張してきた。 それは即ちルール違反! ゆっくりしていないゆっくりとして、即座におうちから叩き出されても仕方ないのだ! 心優しいまりさとて、流石にこれには怒りを覚える。 正義感の強い父に育てられたまりさは、卑劣な行為をなによりも憎んでいるのだ。 「にんげんさん! おうちせんげんがふふくなときは、おうちせんげんのとちゅうにおうちせんげんをするんだよ! そんなこともしらないの!? ばかなの!? かってなことをいわないでね!! まりさおこるよ!!」 それでもまりさは怒りに耐える。 人間さんは卑怯なのではなく物を知らないだけなのだと考え、丁寧に説明をしてあげる。 普通なら「ばかなの? しぬの?」と続けるところを「ばかなの?」で止めてあげることさえした。 それに対する返答は…… 「ほう、なるほどなるほど だがなあ、お前らゆっくりは知らないかもわからんが、 人間さんは元々"おうちせんげん"というのを使わないんだ」 「…………ゆ?」 一瞬、その生物の言っている言葉の内容が理解できず、まりさは硬直した。 その隙をついて、人間さんは更に話を続ける。 「そのルールだと、お家を留守にしている場合 他のゆっくりのおうちせんげんの途中に邪魔できないだろう? だから人間はおうちせんげんの代わりに"ここは自分のお家です"って文字で伝えることにしてるんだ」 めろすは激怒した。 失礼。 まりさは激怒した。 おうちを留守にするとおうちせんげんが邪魔できない? だからみんな、苦労をしておうちに"けっかい!"を張るのだ!! そう言えば、けっかい!が張れないなどと文句を付けるのか? だったらおちびちゃんにお留守番をしてもらえばいいだろう!! ああ言えばこう言い、こう言えばああ言う。 揚げ足取りにすらなっていない屁理屈を繰り返す人間さんの態度に、まりさは目の前が真っ白になったように錯覚した。 それは無論、生まれてこの方感じたことのないような怒りによるものである。 「ふっざけたことをいわないでねええええええええええええ!!? いまどき、おちびちゃんだってもっとまともないいわけをするよおおおおおおおおおおお!!!」 わなわなと怒りに震えるまりさ、ついに堪忍袋の緒が切れてしまった。 にんげんさんがこんなにもわからずやだったとはおもわなかったよ! まりさはもうおこったよ! ぷくー!じゃあすまされないよっ!! そしてまりさは話し合いで解決する意思を放棄する。 もちろん、まりさの知らない事実であるが、それは同時に"まりさの生存する可能性"を捨てることでもあった。 ―――――――――――――――――――― 「いいかげんにしろおおおおおおおおおおおおお!! おんっこうっなまりさもどたまにきたよおおおおおおおおおおおお!!!」 ぶるぶる痙攣していたと思ったら、そのゆっくりは突如ヨダレを撒き散らしながら怒りだしたようだった。 「う、うわっ…… これはキモい……」 歯をむき出しにして作られた表情は、はっきり言って通常の人間では直視に堪えないほど醜い。 ぐねぐねと軟体生物っぽく暴れまわるその動きは、地面と垂直に円を描いているようにも見える。 農夫は少し前のニュースで見た、急に人数が倍増した音楽ユニットのパフォーマンスを思い出した。 本題には関係ないが、先程まりさの主張した"おうちせんげん"。 これは通常「この○○○を、○○○のゆっくりぷれいすにするよ!」という言葉で行われる。 その言葉が開始してから終了するまでの間に先住ゆっくりがおうちせんげん返しをすることのできる可能性は、 普通種、希少種、胴付き、あらゆるゆっくりで調べた結果、0%だと加工所から発表されている。 ゆっくりはただでさえ頭が鈍く餡(脳)の回転が遅い生物(ナマモノ)であり、言葉を理解するだけでワンクッション、 自分にとってショックな内容の言葉だとさらにツークッションを必要としている。 他ゆんのおうちせんげんを言葉が完了してから理解するまでにかかる時間は、普通種で大体1分45秒とのことだ。 このまりさの群れでも、先住ゆんに気付かずにおうちせんげんが為されることは多い。 そうした場合は当然の如くゆっくり同士の殺し合いになるのだが、それを原因として一週間に平均5匹のゆっくりが死亡している事実は、 まりさは当然、長のぱちゅりー以下全てのゆっくりが知らないことである。 よくそれで群れとしてやっていけているものだ。 「ゆっうううううううううううううう!! もうがまんのげんっかいっだよ!! にんげんさんはすこし、いたいめにあったほうがいいよ!! まりさがこらしめてあげるよっ!!」 ひとしきり激昂してから動きを止めたまりさは、へたったおぼうしから木の棒を取り出して口に咥える。 「えいえんにゆっくりはさせないからあんしんしてね! ゆっくりしねええええええええええええええええええええええええ!!!」 とんでもなく矛盾したことを口走りつつ、こちらに向かってぴょんぴょん飛び跳ねてくるまりさ。 その鬼気迫る表情から、恐らく突進をしかけているつもりではないかと予測できる。 ゆっくり如きに人間を怪我させられる道理もないが、それでも尖った木の棒は危険だ。 ズボン越しとはいえ、スネにあたったらかなり痛いだろう。 もしかしたら絆創膏を貼らなければならない事態に陥る可能性もある。 「ふぁーんふぁーんうぃーひっざ……おっと」 当然だが、農夫はまりさが到達する前に軽く足をあげた。 するとこれまた当然、まりさは地面に顔から突っ伏すことになる。 口に木の棒を咥えていたために地面さんと熱いちゅっちゅをかますことにはならなかったが、 激突の瞬間にした"ベキィ!"なる音から、砂糖細工の歯が何本か折れたことが分かる。 「ゆべっ!? ……ばっ…! ばりざのさわやかにしろくかがやくしんじゅのようなはさんがああああああああああ!!?」 言うまでもないが、まりさの歯は白くない。 ゆっくりの歯は砂糖で出来ており、歯磨きなどしたら簡単に歯が削れてしまうのだ。 故に、飼いゆっくり以外のゆっくりの歯はすべからく薄汚れているのが常識である。 「お前の歯が真珠だってんなら、豚にくれてやっても惜しくないなあ… それはさておき、大丈夫か?」 「ゆぐぐ…! まりざのひっさつわざをよけたことはほめてあげるよ! でも、まぐれはなんかいもつづかないよ! こんどこそしねええええええええええええええええええええええええ!!(ぴょーん)」 「ほいっと」 「ゆばぁっ!?(バキィ!) ……ばっ…! ばりざのあらゆるまだむをみりょうするはりうっどはいゆうのようなはさんがああああああああああ!!?」 「そんな俳優はそもそもオーディションで落とされると思うなあ… もう5、6本は歯が抜けちまったぞ?」 「ゆふうっ…… ゆふふうっ……」 そんなやりとりが数回続き、まりさの口の中で無事な歯が2本以上続けて並んでいる場所が無くなってしまったころ、 ようやくまりさは人間に攻撃が当たらないことを理解したようだった。 「ど……! どぼじであだらないのおおおおおおおお!!? どぼじでええええええええええええええええええええ!!!?」 「そりゃあ、あんなに遅い攻撃じゃあな どんなにトロい人間でも、命中させるのは難しいと思うぞ」 「ゆううううううううううううううううううううううう!!?」 ちなみに一般的なまりさ種であれば、歯が1本折れた時点で負け惜しみと共に「もうおうちかえる」と叫び出すところだが、 このまりさはゆっくりにしては驚異的な忍耐力で痛みに耐え、攻撃をし続けた。 群れ一番の勇者の呼び名は、伊達ではないのだ(笑) 「あだればしぬんだああああああああああああああ!! よげるなあああああああああああああああああああああ!! よげないであだれええええええええええええええええええええええ!!」 先程の動きをぐねぐね再現しながら泣きわめくゆっくり。 凄まじく醜い。 「じゃあ、まりさ お前は他のゆっくりと喧嘩をするとき、相手の攻撃を避けないで当たってやるのか?」 「ゆ゛っ…!?」 キモい動きと漫画のような滝状の涙を止め、ちょっと考え込むまりさ。 農夫の一言で、自分の発言がかなりアホだったことを理解したのだ。 これはゆっくりにしては驚異的な理解力である。 群れの賢者に教えを請うた時間は、伊達ではないのだ(笑) 「…まあいいか ほら、次は当たってやるからもう一度攻撃してきな」 「ゆゆ!?」 調子に乗って余裕を見せてくる人間に、まりさは不敵な(と自分では思っている)笑みを浮かべた。 ゆぐふふふ… にんげんさんはばかだね! にんげんさんのぶきはその"ちぇん"とおなじくらいのすぴーどさん! そのすぴーどさんでこうげきをよけることのできるのがつよみなのに、 それをぽーいぽーいしてじぶんからあたりにきてくれるなんてね! こうっかいっするじかんはあたえないよ! せいぜいちょうしさんにのりすぎたことをこうっかいっしていってね! どうしろと言うのだろうか。 まりさはところどころ…いや、大多数が欠けてしまった歯で、再び木の棒を咥えた。 「くらえええええええええええええええええええええええええ!!」 ぴょーんぴょーん 間抜けな音とは裏腹に、憤怒の表情で迫ってくるキモ饅頭。 あの気持ち悪い顔が触るのはちょっとやだなあ、と農夫は若干後悔したが、約束は約束なのでぶつかるまで待ってやる。 「こんどこそほんとうにしねええええええええええええええええええええええ!!(ぴょーん)」 ザクゥッ!! まりさの咥えた木の枝は、かなり危険な長さまで一気に突き刺さった! お分かりだろうが、当然まりさ自身にである。 「…………………… ………あ…… あがああああああああああああああああああああああ!!? いだいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」 地面に落ちてから数秒後、びったんびったん飛び跳ねながら、まりさは大口を開けて泣き始めた。 正しく言葉を操れているところを見ると、幸い木の枝は中枢餡に届いていないのだろう。 「どっでええええええええええええええええええええええ!!!(びったんびったん) ごれどっでええええええええええええええええええええええええ!!!(びったんびったんびったん)」 いましがた自分が攻撃した人間に情けない顔で懇願する汚饅頭。 はっはっは、と朗らかに笑いながら、農夫は木の枝を抜いてやった。 「ゆ゛ひっ… ゆ゛ひぃっ… …………………… ……………どっ… どぼじでばりざにざざるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!? どぼじでええええええええええええええええええええええええええええええええ!!?」 餡子の比重はそれなりに高い。 中身が全部餡子のれいむ種やまりさ種、それも成体ゆっくりとなればかなりの重量を誇る。 たとえ勢いの皆無なぴょーんぴょーん攻撃と言えども、全体重を木の枝に乗せてぶつかれば人間も大怪我は免れない。 が、それは木の枝とゆっくりがガッチリ固定されている場合に限る。 一般的に、人間が物を噛む力の最大値は体重と同程度と言われる。 しかしゆっくりの場合、自分の体重と同じくらいの力が砂糖の歯に加われば、即座に歯が砕け散ってしまうのだ。 故にゆっくりの咬筋力は他の生物と比較して、驚くほどの弱さを誇る。 健康的な成体まりさが全力で噛んで歯ぎしりした結果、十分に濡れたコピー用紙にギリギリ穴が開いたと加工所から発表されている。 そんな力で雑多な食事をすることができるのは、ゆっくり特有の思い込みの力によるものだとか。 そういった意味のことをまりさでも理解できるように、農夫は簡単な言葉で懇切丁寧に教えてあげた。 噛む力が弱ければ、武器を持ったとしてもダメージは与えられない。 ならばと体当たりをすれば、ゆっくり程度の跳躍力では中身入り2Lペットボトルをどうにか倒すのが関の山だ。 ゆっくりが人間にも有効な攻撃をするのは、非常に非常に非常に難しい問題なのである。 「……………う…… うぞだああああああああああああああああああああああ!!! ばりざはむれいちっばんっのゆうしゃなんだあああああああああ!!! にんげんにもまげないんだあああああああああああああああああああああ!!!」 再び凄まじい表情で何度も飛び跳ねるまりさ。 確かにこの顔の醜さ、情けなさなら人間のそれにも負けることはないだろう。 「ゆがあああああああああああああああああああああああ!!!(びったんびったん) ばりざはよわぐないいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!(びったんびったん) ばりざはよわぐないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!(びったんびったん) よわぐないっでいえええええええええええええええええええええええええええええ!!!(びったんびったん)」 「おう? いや、お前が弱いとは言ってないよ」 「ゆがあああああああああああああああああああああああああああ!!(びったんびったん) ゆががああああああああああああああああああああああああああ……(びったんびったん) …………………(びったんびったん…) …………ゆっ?」 やはり数テンポ遅れて言葉の意味を理解したまりさは農夫を見る。 その顔には、侮蔑や冷笑の類は浮かんでいなかった。 「ま゛っ… まりざ、よわぐないの? まりざ、にんげんざんよりよわぐないの?」 「ああ 人間はゆっくりのことを"弱い"なんて思っちゃいないよ」 体の下半分に涙の痕を帯状に残したまりさの顔に、希望の光が差し込んできた。 「まりさ、お前はお花さんや虫さんを食べたりするよな」 「だ、だべるよっ! まりざ、おはなざんもむしざんもいっぱいだべるよっ! まりざはむれでいちっばんっかりが……」 「まりさはそのお花さんや虫さんを"弱い"とは言わないだろ?」 「………………ゆ?」 「そこらに転がってる石や草、空に浮かんだ雲、近くを流れてる川 別に、そういった"物"に強い弱いとか無いだろ?」 伊達ではないまりさには、農夫の言っている言葉の意味がおぼろげにだが理解できてきた。 漠然とした不安を抱え、ゆ? ゆ? と何度も聞き返す。 「だからな、まりさ "強い"とか"弱い"っていうのは、自分と少しはやりあえる生き物を表す言葉なんだ 人間にとってお前らゆっくりは路傍の石コロと大差無い 強さを測る以前に……」 不安はじわじわと大きくなる。 もはやまりさは自分でも理由が分からずに泣きそうな顔だ。 「……"敵"じゃないんだ "物"なんだよ まりさを含め、ゆっくりってのはさ」 群れの老賢者、とても賢いぱちゅりーの元できょうっいくっを受けたまりさは、やはり伊達では無かった。 とてもとても驚くべきことに、"価値観の違い"、"相手が自分をどう扱っているのか"をゆっくりながらに理解できてしまったのだ。 まりさはついに泣きだした。 「…ぢっ! ぢがうよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! ばりざはものじゃないよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 群れの勇者まりさ。 文武両道のまりさ。 強く賢く、みんなの憧れまりさは、群れの赤ゆっくりと同等以上の情けない顔で泣きわめく。 「ばりっ! ばりざっ! ばりざば! にんげんざんをごらじめにぎだんだよおおおおおおおお!! にんげんざんのでぎなんだよおおおおおおおおおおおお!!」 「はっはっはっは まりさ、敵っていうのは攻撃をしてくるものなんだぞ? お前くらい人間に無害な"物"は無いさ」 「ぢがうよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! まぢがっでるよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! ぼらっ!(ぽいーん) ぼらぁっ!(ぽいーん) ばりざっ! ごうげぎじでるでじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!?」 ぽいーん、ぽいーん、と農夫に向かって飛び跳ねるまりさ。 しかし日々の農作業で鍛えこまれた足腰を持った農夫はビクともせず、ぶつかっては跳ね飛ばされるまりさを笑いながら見ていた。 「はっはっはっはっは そこの石コロが風で転がって足にぶつかってるのと変わらないなあ いや! それよりも痛くないかもしれないなあッ! はっはっはっはっはっは!!」 「ぢがうっ! ぢがうううううううううううううううう!! ぢがうよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! ぢがうでじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! ごうげぎでじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「はっはっはっはっはっは!! あっはっはっはっはっはっは!! あっはっはっはゴホッ!ゲフぅっ! はひっ、はひーっ! むせたっ! あーっはっはっはっはっはっは!!」 「ぼらああああああああああああああああああ!!!(ぽいーん) ぼらあああああああああああああああああああああああああああ!!!(ぽいーん) ごうげぎだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!(ぽいーん) ごうげぎでじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!?(ぽいーん) ごうげぎじでるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!?(ぽいーん)」 あっはっはっはっは……… ぽいーん、ぽいーん……… 十数分後。 周囲に響く間抜けな音と笑い声がやんで静かになった畑の一角には、ひとりの人間と、ひとかたまりの"物"があった。 少しずつ少しずつ黒ずんでいくその"物"は、しばらくの間微弱な痙攣を繰り返していたが、 笑い過ぎで腹筋を痛めた人間に通行の邪魔にならないよう道の端に放り投げられてから1分後、完全に動きを止めた。 野原に咲いた花は弱くない。 道端に転がっている石は弱くない。 ゆっくりも決して、弱くないのだ。 他に書いたSSさん ・anko2094 体感時間は黄金色
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「ぶっちゃけ無双モードだと攻撃志向や呪文志向はほぼ無意味よね。一般兵作りにくいし、東方ユニットの経験値はたまりやすいいし。」 「無双モードはよっぽどミスしなければ勝てるからね。実質志向ゼロに等しいまりさを主人公にしてみたのは、まぁハンデ的な意味合いもあるんだよ。」 「泣いていいか?」 「まりさ、つらい時は泣いていいのよ。私がその涙を拭ってあげるから、ね?」 「ありすぅ・・・・」 「そこまでだ!」 「あんたが言うのかい・・・。」 S T A G E 1 S T A G E 2 S T A G E 3 E X T R A S T A G E 1 「氾濫原型のいい立地ね。平原牛は・・・・・まぁハンマー源かな。」 「この難易度では本来AIに開拓者×2、労働者×1、弓兵×4、斥候×2のボーナスがつくが、どうも先行スタートだとそれが無いみたいだぜ。」 「つまり、初期においては難易度は下がっているということね。これなら多少は拡張の余地がありそうね。」 「もっとも維持費やAIの生産ボーナスの関係上かなりキツイことに変わりはないけどね。・・・・・・さて、神社の位置は・・・・・」 「赤い丸の一つ上にしようぜ! なんか半島っぽいし首都で囲い込んでしまうんだ。」 「東と南にそれぞれ一都市立てましょう。後なるべくなら北の方に開拓をしたいところだけど、それはまぁお隣さんの機嫌次第というところかしらね。」 「おりんはいないはずよ?」 「(華麗にスルーだぜ☆) じゃあ、神社を建立するぜ!」 ・BC4000年、博麗神社建立! 「あれ、戦士が買えないんだぜ!?」 「無双モードは一般兵のコストが二倍になるからね。当然先行スタートの戦士費用も二倍ってわけさ。」 「はぁ、そんなことでこの先生きのこれるのかしらね?」 「だ、だいじょうぶよ!! 失敗は次につなげれば成功よりも重い経験になるのよ、まりさ!」 「つ 男は黙ってメインメニューに戻る」 「戻らず続行よ。無双モードなのでいきなり東方ユニットを稼働状態にできるし、そのための資金も与えられるわ。なにも、問題はない!」 「じゃあ戦士の代わりに私を降臨させて置くぜ。なんといってっも主人公だからな。最初に出なくちゃ話が始まらないぜ!」 「(本当は防御姿勢がとれる私の方がはるかに安定するんだけど、まりさが言うなら仕方が無いよね///) まりさは移動力が最初から2なので探索に、蛮族退治に頼りになるわ!!」 S T A G E 2 「まずは当面の方針を策定しなk・・・・」 「アポロ・・・・神学!!!」 「官吏・・・・スリングショット!!!」 「それは前回聞いたわ。どうやってそこまでこぎつけるか、よ。」 「ふむぅ・・・そもそも本来天帝以上の難易度でアポロ神学はかなり分の悪い賭けなのだが、この情熱的幻想郷には遺産を立てようなどという酔狂な輩はいないので十分実現性があるということを先に述べておこうかな。」 「初期の拡張を完全に放棄して、拡張・軍備のハンマーを遺産建造に回せばなんとかなるって。 くわえて私達には基礎ハンマーに+6もしてくれる固有遺産『霧雨魔法店』があるしな。まずこれを立てよう。」 「ストーンヘンジも建てようよー! どうせ偉大なハg・・・もといメリーを確保しなけりゃならないんだし、ぶっちゃけ首都がヒマだもん!」 「初期拡張の放棄は、半島で開拓余地が既にあること、維持費による研究鈍化がアポロ神学には致命傷になること、拡張のためのハンマーが無いこと、そもそもルネサンスまで戦えればいいことの4点が理由だね。」 「・・・・・ん? ルネサンスまで?」 「『判定見切り』取得とこの時期の固有技術『博麗式』がほぼ同時期で、かつ次の固有技術まで遠いからな。私達だけでなく他の全文明でも『判定見切り』直後からのラッシュが最も楽なんだぜ!」 「つまり自由主義もオックスフォードのための六都市も全く不要、ということになるね。ぶっちゃけ『判定見切り』まで生き残れれば僕らの勝ちさ。」 「ヌルゲーね。そのためのハンデ指導者まりさなのね~。」 「もうほっといてくれよぅ・・・」 「まりさぁ・・・」 「まぁ、そんなわけなので技術は『農業』→『畜産』→『陶器』→『採鉱』→『青銅器』→『筆記』→「多神教』→『聖職(製酒法)』→『石工術』→『一神教(発酵術)』と進めていこう。 「細かい技術取得は省略していくね!」 ・BC3800年、まりさが小屋から『採鉱』を教わる! ・BC3720年、まりさが小屋から『農業』を教わる! 「幸先がよすぎない? 反動が怖いわよ?」 「確かに運がいいね。尤も、まりさはその機動力で世界中のお菓子の小屋を荒らして回っていくから技術の一つや二つの獲得は想定の範囲内だよ。早いけどね。」 「さすが私のまりさ///」 ・BC2800年頃、一通りと探索が終了。まりさ帰還。 「『農業』『採鉱』、351Gと大量の経験値。いや~大漁だったな!」 「なに、このお菓子の小屋経済?」 「出会った指導者は西にフランちゃん・もこたん、北に水密・てんし、東に春告精・文化圏を持ってる熊・レティ・ハーンという感じだね。うどんさんはどこにいるのか今は分からないね。」 「大漁だったんだが、神社の北は砂漠しかない絶望の自然国境があったし、水密がかなり近いので、まぁ、ひきこもろうか。」 「さんせい~! おコタでどぶろく~!」 ・BC2280年、博麗神社でストーンヘンジ完成! 「主な効果は偉大なハg・・メリーの召喚だ。今回文化圏確保の方がおまけだな。」 「霊験あらたかなこの御神体! まさしく私の神社にこそふさわしい!!」 ・BC1160年、博麗神社でアポロ神殿完成。ボーナスに「蒸留酒(神学)」を選択! ウイスキー派創始! 「サクっと完成したわね。」 「ここまでがプロローグみたいなもんだからな。アポロ建造に失敗すると目も当てられないことになるが、そん時は黙ってメインメニューに戻った方が無難だな。」 「ちなみに神社東にあった大理石は改善が間に合わず使っていない。なくても8ターンで完成するとの事だったので特に問題はなかったけどね。」 「事前のテストプレイでは、指導者がランダムだと3割くらいしか成功しなかったけど、今回のメンツ固定であればどんな立地でも7~8割は成功するみたいだね。」 「あ、それとうどんげも見つけたわ。 ずいぶん青ひげの濃いお顔になられていたけど、なにがあったのかしらね。」 S T A G E 3 「さ~て、おぜん立ても済んだし、ここいらで弾幕ごっこがはじまらないかなぁ。」 「大分以前からリリー以外が戦争準備中なんだけどね。 あ、うちの防御は腰みの4体のみだけどまりさがいるから心配ないね!」 「まったくもって不用心ね! ほら、お釈迦さまがこっちに来ないようにお祈りしてなさい。お賽銭も入れて!!」 「ざわ・・・・・・・ざわ・・・・・・・」 パパパパパォワ~、ドドン!!×2 ・BC950年、水密・遊戯がまりさに宣戦布告!! 「ほら、いわんこっちゃない! この世界初の弾幕ごっこの標的は見事にウチの神社だったってわけね!!」 「まー、まだあわてるような時間じゃない。この時代のスタックだったら私一人で何とか対処可能なんだぜ。(多分)」 「水密との国境近くには森+丘があるね。山岳で侵攻ルートが一本しかないし、そこに籠ってゲリラ戦を展開しようか。」 ・少女防戦中・・・・・・・・ 「かったZE☆ なぜか熊さんしか兵を送りこんでこなかったが、これくらいの道中でピチュるわけにはいかないよな!(実際には一回ピチュったけどキニシナイ!)」 「さすがわたしのm・・・・」 「さすがは僕のまりさだ!実は都市に籠っても防御ボーナスが無いという逆境を跳ね返した機動ゲリラ戦、実に見事だったよ!!」 「呪呪呪呪呪呪呪呪呪・・・・」 「(懐かしい弾幕が見えた気がした)」 ・BC725年、「瞑想」「多神教」を賠償として払い遊戯と和平。 ・同様に「瞑想」を支払い水密とも和平。 「よくやったわ! 神社にこいしが接近した時はもうだめかと思ったけどね。」 「首領AIとはいえこの時代ではまだ普通のデススタックだったな。もっとも、標準のパンゲアに9文明詰め込んでいるせいもあるんだろうケド。」 「まりさが一生懸命に戦ってくれたおかげで戦争中に予定の3都市をつくることができたわ。ありがと、まりさ///」 「今後お釈迦様や船長に不穏な動きがあったら国境沿いに都市を立てて籠城することにしましょう。維持費かかさむし砂漠のゴミ都市なのでできれば立てたくはないけどね。」 「ともあれ、この戦争で情熱大陸の導火線に火がついたみたいで各地で便乗弾幕ごっこが絶賛開催中の模様だよ。」 「各地でうれしい悲鳴があがっているねぇ。ウチらは一足お先に楽しんじゃったけど。」 「この通り、全員鉄拳を突き上げている状況だぜ。(BC725年当時) みんな戦いたくてうずうずしていたのが伝わってくるよな! 私もわくわくしちゃうぜ☆!」 ・(少し戻って)BC825年、レティ・ハーンがリリーに宣戦布告! ・BC700年、お釈迦さまが水密に仏罰を下す。(もこたんが水密に宣戦布告!) ・BC625年、くまー・うどんさんがリリーに便乗宣戦布告! ・BC525年、天使がお釈迦様に神の裁きを下す!(てんしがもこたんに宣戦布告!) ・BC450年、フランちゃんがお釈迦様を排斥!(フランちゃんがもこたんに宣戦布告!) ・BC250年、もこたん―水密和平。 ・BC50年、レティ・ハーンとリリーが和平。 「実にカオスね。すがすがしいくらいよ。」 「構図としてはリリー・もこたんの平和志向度2ペアがフルボッコにされている感じかな? もちろん酒や国境の問題もあるし、そもそも理由があるかすら疑わしいんだけどね。」 「平和志向度2で『平和的』で浮いちゃうのか。恐ろしい世界だな。」 「オレ、お釈迦様。戦い、好きくない。 平和だいじ。」 「ちょっとまて、上のやつは断じて私じゃないぞ!! っていうかホントに誰だよ、この黒ジャイアンは!!?」 「このカオス世界の最中、実は官吏スリングショットも無事に遂行しているよ。」 ・BC525年、「法律」開発。 予定調和のように沸いていた偉大なハg・・・メリーさんで官吏スリングショット! 「おぉ、偉大なハg・・・メリーの電球消費で官吏が後8ターンになったぞ・・・・・・って、一発で取得できないのかよ。」 「大ハゲの電球消費はビーカー1000程度。『官吏』は難易度補正でかなり重くなっているから一人では足りないんだ。・・・・・正直普通に哲学ジャンプの方が汎用性があっていいと思うよ。」 「BTSで陳腐化した戦術の一つだものねぇ、所詮。一応やり方は初期宗教系技術コンプリート+『官吏』の前提技術を取得して、偉大なハゲを電球消費ね。でも『君主政治』だけは獲得しないように注意ね。これを持っていると偉人技術の優先順位の関係上、電球の消費先が『神授王権(ワンコン)』になってしまうわ。」 「ジン派平和的解決しない?」 「しない。 しかし、デメリットばかりじゃないな。ここまで『神学』は交換技術、恐喝材料としてかなり優秀だったし、渡しても痛くないのもいいな。」 「この戦術自体はむしろ中難易度でプレイするときに有用な選択肢を与えてくれると思うな。まぁ、とりあえず『官吏』を開発してばらまこうか。」 BC300年、「官吏」開発。 AD75年、「官吏」ばらまきタイム! ・フランちゃんと交換「官吏」⇔「封建制」、レティと交換「官吏」⇔「鋳金」 「戦争屋ばっかで交換がしにくい(←取引上限回数制限のため)が、無双モードの重要技術、『鋳金』と『封建制』を手に入れたぜ!」 「フランとは『親しみ』に到達しているのね。高難易度ではいかに早く『親しみ』の取引相手を作れるかがカギになるわね。 テストプレイではしばしば技術交換がの停滞で詰んでいたそうよ。」 「さて、あとは『教育』経由で『博麗式』・『判定見切り』まで一直線だな。キリがいいのでここでいったん〆ようぜ!」 E X T R A 「酒呑めー!!」 「紀元元年時の各酒分布よ。ちなみに私達はBC1120年にワインを国酒にしているわ。」 ワイン派 蜂蜜酒派 ビール派 「ワイン派が多すぎるような気がするけれど、急速に広まったのは各地で弾幕ごっこが勃発してからなのであまり問題ではないわ。同じお酒を飲んでる私達の背後を平気で襲ってきたくまさんはさすがよね。」 「ちなみに各種の宗主は、蜂蜜酒派がお釈迦様、ワイン派がてんこ、ビール派がうどんげだね。リリーが中国酒派を創始したけれど、うどん印のビールの方が好みみたいだね。」 「それと紀元元年時の外交状況もまとめてみたぜ!」 「うどんげキメェ。」 「冤罪でしょう、これ・・・・」 「同酒ボーナスがまだあまり育っていない水密、レティ・ハーンの二人が手空きで怖いね。急いでパターン化を手に入れよう。」 「こんなところかな。まだパソコンにインストールしてJOYパッドの調整を進めている段階なんだぜ。東方戦火異変の本編攻略は、次回!!」 つづき→後篇 攻撃志向だと衛生兵に必要な昇進が一つ減る 敵に譲渡して魔理沙に食わせるための兵を作るのに役立つよ! -- 名無しさん (2010-11-09 19 38 01) ベホマ毛玉の譲渡、そういうのもあるのか! -- レポ主 (2010-11-10 12 13 25) 最初に衛生兵1&2を所有した奴を2体譲渡して食わせて衛生兵12を習得後に衛生兵3兵を譲渡 こうやれば欲しいスキルを確実にラーニング可能 -- 名無しさん (2010-11-10 15 12 06) 2~3都市占領してはその都市を返還して友好度を稼いで通行条約→ユニット譲渡→宣戦 と繰り返すと簡単にスーパー魔理沙になる -- 名無しさん (2010-11-10 15 14 06) 名前 コメント
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まりさがんばる 「ゆぐぅぅ・・・。ゆげぇぇぇ・・・。」 閑静な住宅街のなかの空き地。 どこかの資材置き場なのか土管やドラム缶、木箱にダンボールなどが散乱している。 ずいぶん長い間放置されているのかドラム缶は赤錆に覆われ、あちこちで背の高い草が伸び放題になっている。 おそらく放置されていたであろう木箱に、雨よけのブルーシートが被せられている。 木箱の中にはさらにほぼ同じ大きさのダンボールが入れられている。 その中から人らしき声が漏れている。 しかし、木箱は人間が入れるほど大きくはない。 人間そっくりの声を発する生き物、ゆっくりの巣だ。 「ゆぅぅぅ・・・。」 「おちびちゃん、ゆっくり!ゆっくりだよ!!」 「まりしゃおにぇーちゃん、ゆっくちしちぇ!」 中には大小のまりさが一匹ずつと小さなありすが一匹。 親まりさと、その子ゆっくり達だ。まだ、赤ゆ言葉がぬけない頃だろうか。 ぐったりと寝込んでうなされているのは子まりさ。 あとの二匹がすぐ傍で心配そうに付き添い、ときどき子まりさに声をかけ励ましている。 「ゆわーん、まりしゃおにぇーちゃん!ありちゅのちぇいでまりしゃおにぇーちゃんが・・・」 「ゆっ!ちがうよ!おねーちゃんがびょーきになっちゃったのはおちびちゃんのせいじゃないよ!」 「ぢぇも、ありちゅがおにぇーちゃんのおぼうちをかりたちぇいで・・・」 「ゆぅ・・・、まりちゃは・・・おにぇーちゃんだから、 ・・・いもーちょをたすけるのはあたりまえにゃんだよ・・・・・・ゆぐっゆげぇぇぇぇ」 「おちびちゃん!ゆっくり!あんこさんはいちゃだめだよ!」 「おにぇーちゃんゆっくちぃぃ!!」 姉まりさは病気だった。 ことの始めは二日前にさかのぼる。 折りしも秋の冷たい雨が数日続いていた。 夏から秋にかけては、ゆっくりたちも草花に虫と豊富な食料に恵まれる。 それはこの一家も例外ではなく、十分な食事にありつき、かつ多少の蓄えもすることが出来た。 しかし、断続的に降り続ける雨に狩りにいくもままならない。 蓄えもとうとう尽きてしまった。雨はまだやみそうにない。 自分はともかく、おちびちゃんたちは長く絶食するわけには行かない。 そんなことをすれば、体の小さなおちびちゃんたちは永遠にゆっくりしてしまうだろう。 とすれば、わずかな雨あがりの間に狩りに行って来るしかない。 「ゆっ!おちびちゃんたち、よくきいてね。おとーさんはかりにいってくるよ。 とちゅうであめさんがふってきたら、どこかであまやどりするから、すぐにかえってこれないかもしれないよ。 おとーさんがるすのあいだ、あめさんがやんでもおうちからでちゃだめだよ。」 「でもずっとおうちのにゃかでちゅまんにゃいよ!まりしゃ、おちょとであそびちゃいのじぇ!」 「おにぇーちゃん、おとーしゃんのいいつけをまもりゃにゃいなんちぇ、ときゃいはじゃにゃいわ。」 「そうだよ、おちびちゃん。あめさんは、ふってないようにみえてもまたすぐにふってくるんだよ。 おちびちゃんたちはちいさいから、あめさんにぬれるとすぐにゆっくりできなくなるんだよ。 でも、おうちのなかならあめさんもはいってこないよ。ゆっくりりかいしてね。」 「ゆぅ・・・、ゆっくちりかいしちゃよ・・・。」 「ゆっくちりかいしちゃわ!」 「それじゃいってきます!まりさは、おねーちゃんだから、いもーとのめんどうをちゃんとみてあげるんだよ!」 「ゆん!ゆっくちりかいしちゃのじぇ!」 「おとーしゃん、ゆっくちはやきゅかえってきてにぇ!やくちょくよ!」 「ゆっ!ゆっくりすぐにかえってくるから、おちびちゃんたちもゆっくりいいこにまっててね!」 こうして親まりさは、雨があがったわずかな合間に狩りへと出かけていった。 一時間後 子まりさと子ありすはまだまだ元気に親の帰りを待っている。 「ゆゆーん、おとーしゃん、はやきゅかえっちぇこにゃいかしら?」 「おとーしゃんは、かりのめいじんだから、かえっちぇきたらいーっぱいむーちゃむーちゃできりゅのじぇ!」 「ときゃいはなおはなしゃんもとっちぇきてくれるかちら?」 「おいしいいもむちしゃんもあるかもしれにゃいのじぇ!」 「「ゆゆーん!たのしみなのじぇ(たのしみね)!」」 二時間後 ぽつん、ぽつっ、ぽつっ 少し雨が降り始めた。そのせいでもないだろうが、二匹にも最初の元気がなくなってきた。 「あめしゃんふってきたのじぇ・・・・」 「おにぇーちゃん、おうちのなかでゆっくちまとうにぇ・・・。」 三時間後 びゅーー、ばちゃばちゃ、ザー 雨が本降りになってきた。風も強く、いよいよ大雨といった様相だ。 「ゆぅ・・・おにゃかすいたのじぇ・・・。おとーしゃんゆっくちはやくかえってくるのじぇ・・・。」 「ゆぅぅ、あめしゃんふってきたからあまやどりしちぇるのにぇ・・・。 かぜしゃんもゆっくちしてにゃいわ・・・。あめしゃん、ゆっくちはやくどこきゃいっちぇね!」 びゅうううう ぶわっ 「ゆぴーー!あおいぬのしゃんとんでっちゃたのじぇ!」 「ゆわーーん!おにぇーちゃんきょわいいいーーーー!」 「だいじょうぶなんだじぇ!おうちのなかまではそうかんたんにあめしゃんは、はいってこにゃいのじぇ!」 「ゆぐっゆぐっ・・・。・・・あめしゃん、はいっちぇこにゃいわ!」 「あんしんするのじぇ。もうすこししたらおとーしゃんがかえってくるのじぇ。」 「ゆんっ!ゆっくちりか「ぽたっ」ゆゆぅ?」 ぽたっ、ぽたっ、ぽたたっ 最初のうちは、入口からわずかに雨が入ってくるぐらいだったが、そこは木箱。 ブルーシートの覆いがなくなってしまえば雨が滲みこんできて、 それが内側の段ボールの許容量を超えれば、当然いずれは雨漏りが始まる。 「「なんであめしゃん、おうちにはいってくるのじぇ(はいってくるにょ)ーーーーー!!」」 「ゆ゛っ・・ゆ゛っ・・ゆ゛っ・・ゆ゛ぁぁぁああああ!!おとーしゃーーーん!ゆっくちたすけちぇーーーー!!!」 「ゆゆっ、ありしゅおちつくのじぇ。こっちにくるのじぇ!ここならあめさんこないのじぇ!」 「ゆ・・・。ゆっくちりかいしちゃよ・・・。」 ずーりずーり 「おにぇーちゃんがついてるのじぇ!」 すーりすーり 「ゆーん!おにぇーちゃんありがちょーー!」 すーりすーり 雨がやむ気配はなく、雨漏りは酷くなる一方だ。 「ゆぐっ、ゆぐっ、にゃんであめしゃんこっちまではいってくるにょぉぉぉぉ!!」 「あめしゃん、おうちにはいっちぇきたらゆっくちできないのじぇぇぇ!!」 「ゆっしゅん!ゆっしゅん!おにぇーちゃん、ありちゅおからだがぬれてゆっくちできにゃいよ・・・。」 帽子のある子まりさに比べ、子ありすは体中が濡れている。 まだまだ、体が崩れることはなさそうだが、皮が薄く軟らかい子ゆっくりではいつまで保つかわからない。 それにこの秋の寒さに加え、体を濡らしてしまえば、簡単に病気になってしまうだろう。 「ゆぅ・・・。ゆゆっ!まりしゃのおぼーしをかしてあげるのじぇ!これがあればぬれないのじぇ!」 「ぢぇも、おにぇーちゃんがあめしゃんにぬれちゃうわ。」 「まりしゃはおにぇーちゃんだから、だいじょうぶなのじぇ! かわいいいもーちょにょためにゆっくちがまんするのじぇ!」 まりさは、これまでの経験からこの天候では雨がまたすぐに降ってくるだろうと感じていた。 そのため、短時間で集中して狩りをし、結果、節約して二日ぐらいならば一家が食べつなげる程度の食料が手に入った。 このまりさは、天候の読み方といい、狩りの効率といい、そこそこ優秀な個体のようだ。 しかし、さあ帰ろうと思った矢先、雨が降り始めたので雨宿りしてから帰ることにした。 雨は風を伴って強くなる一方だったが、夕方近くにはやっとやんでくれた。 これでおちびちゃんたちのところに帰れる。 またいつ雨が降り出すかわかったものではない。 そうなる前に急いで帰ろう。 お帽子のなかには子まりさの好きな、いもむしさんもある。 子ありすの好きな、とかいはーなはなさんもある。 きっとお腹をすかせているだろうおちびちゃんたちも喜んでくれる。 「ゆっ、ゆっ、あまやどりしてたらおそくなっちゃったよ!おちびちゃんたちおなかぺーこぺーこだね!」 自然帰りの足も軽くなる。 ぽよんぽよん 「でも、これだけあればおちびちゃんたちもおなかいっぱい、むーしゃむーしゃできるよ!」 ぽよんぽよん 「ゆっ、ゆっ、もうすぐおうちだよ!ゆっくりいそぐよ!」 ぽよんぽよん 「ゆがーーん!どぼちてあおいぬのさんとんでっちゃてるのぉぉぉぉぉ!?」 やっとたどりついたおうちには厳重に掛けて固定したつもりのブルーシートが外れている。 なかのおちびちゃんたちは無事だろうか? 大急ぎでおうちのなかに飛び込んだ。 「おちびちゃんたち!だいじょうぶ!?」 「おとーしゃんっっ!まりしゃおにぇーちゃんがっ・・・!」 「おちびちゃん!?おちびちゃん!??」 雨漏りのなか、妹のためにお帽子を貸してあげた子まりさは全身がふやけて、皮が今にも解けだしてしまいそうだ。 子ありすも全身濡れているが、こちらは問題なさそうだ。 やはりまりさのお帽子を被っていたのが良かったのだろう。 それに比べて、子まりさは虫の息だ。 すぐにでも体を乾かしてやらなければ命に関わる。 「そーっとそーっとぺーろぺーろだよ。」 まりさは、獲って来た食料を床に置くと子まりさから余分な水分を取るため ふやけた皮を傷めないように出来るだけ優しくぺーろぺーろしだした。 次にまりさは自分のお帽子を濡れた床の上に敷いて、その上に子まりさを寝かせた。 そして自分はブルーシートをもう一度木箱の上に被せ直す。 もし、同じことがあれば次こそ子ゆっくりたちの命はないだろう。 今度はブルーシートが飛んで行かないように大き目の石を両側にいくつものせる。 十分にブルーシートを固定すると、おうちのなかにもどる。 そして、心配そうに子まりさの傍に付き添っている子ありすから一部始終を聞きだした。 「ゆぅ・・・。まりさのおちびちゃんはとってもゆっくりしたおちびちゃんだね・・・。」 「ありしゅのせいで、まりちゃおにぇーちゃんがゆっくちできなくなっちゃうわ・・。」 「おちびちゃんのせいじゃないよ。おとーさんがしっかりしてなかったから、おちびちゃんたちをこわいめにあわっせちゃったね。 ごめんね・・・、おちびちゃん・・・。」 それからしばらくは子まりさが目を覚ますのと、体が乾くのを見守るしかなかった。 これ以上子まりさの体に触れれば、体が乾く前に皮が破れそうだったからだ。 途中、子ありすに獲ってきた食料を食べさせた。 子ありすは自分がまりさのお帽子を被っていたことに罪悪感を感じているのか、 子まりさが目を覚ますまで自分もむーしゃむーしゃしないと聞こうとしなかった。 しかし、子ありすにしても冷たい雨に濡れて平気なはずはない。 ただでさえ体力のない子ゆっくりなのだ。 説得の末、子ありすにどうにかむーしゃむーしゃさせると、 やはり体力が低下していたのかすぐに眠りに落ちてしまった。 それからはまりさが子まりさの傍に付き添い、見守り続けた。 「ゆぅぅーん・・・・。」 しばらくして、子まりさがか細いうめき声をあげ、目を覚ました。 「おちびちゃん!おちびちゃん!おとーさんだよ!ゆっくりしてね!」 「ゆぅ、ゆぅぅーん・・・。おとーしゃん・・・。まりちゃ・・・、きぼちわるいのじぇ・・・。」 「おちびちゃん、まっててね!すぐにむーしゃむーしゃさせてあげるよ! おちびちゃんのだいすきな、いもむしさんもとってきたからね!」 「おとーしゃん・・・。ありしゅはぶじなのじぇ・・・?」 「おねーちゃんのおかげでありすはげんきだよ。 ゆんゆん、おちびちゃんもむーしゃむーしゃしようね。そうすればすぐにげんきになるよ。」 「ゆーん・・・。いもむししゃんおいしそうなのじぇ・・・。」 まりさが獲ってきた食料の中でも子まりさの好物のいもむしをもってきてやると、 子まりさはゆっくりと食事を始めた。 「むーしゃむーしゃ、むーしゃむーしゃちあわちぇー・・・。」 元気いっぱいとはいかないが、子まりさがそれなりに旺盛な食欲を見せたことでまりさもほっと安堵のため息をついた。 まだ体が乾ききっていないうえ、あれほどひどい目にあったのだから、 かなり消耗しているのは仕方ないにしても、食欲があるうちは大丈夫なはずだ。 そこは単純なゆっくりの体、食べて寝ることが出来れば持ち直すだろう。 食事を終えた子まりさを再び寝かしつけ、まりさも眠りにつく。 狩りの疲れに加え、おうちに帰ってからも気の休まる暇がなかった。 明日一日はごはんの心配もない。 またわずかな晴れ間を見て狩りにいくべきかもしれないが、 おちびちゃんたちの体調しだいでは一日中付き添ってやらなければならない。 なんにしろ明日になってからだ。今日はもうすーやすーやしよう。 おとーしゃん!おとーしゃん! 何だろう?おちびちゃんが自分を呼んでいる。 まだ眠いが仕方ない。 妹ありすは昨日は自分が帰ってきてすぐ、眠ってしまったから寂しくて早く起きろとうるさいのだろう。 「どうしたの、おちびちゃん?おとーさん、まだねむいよ・・・・。」 「おにぇーちゃんが・・・!おにぇーちゃんがたいへんにゃのーーーー!!」 おねーちゃん? 姉まりさがどうかしたのか? こんなときゆっくりの餡子脳は悲しい。すぐには事に思い至らない。 その上、寝起きでぼんやりした頭でゆっくりと昨日の出来事を思い出していく。 そういえば昨日は・・・・? そうだ、姉まりさは冷たい雨に体が解ける寸前まで濡れて体調をくずしていたんだ! 「ゆぅぅ、ゆぅぅぅん・・・。」 子まりさの方へ目をやると、確かに一目で様子がへんだとわかる。 体は・・・・もうほとんど乾いている。 しかし、顔色が悪いし息も荒い。そっとおちびちゃんの頬へふれると明らかに熱い。 病気だ。おちびちゃんは病気に罹ってしまったのだ。 あれだけ体が濡れて生死をさまよった挙句、冷たい雨で体を冷やしてしまったのが決定的だった。 「おちびちゃん?、おちびちゃん?おとーさんだよ!わかる!?」 「おにぇーちゃん、ゆっくち!ゆっくちしてね!」 「ゆぐぅぅ・・・。おとーしゃん・・、ありしゅ・・、ゆっくち・・ゆげっゆげっ!」 「おちびちゃん!」 「おにぇーちゃん!」 大変だ。子ゆっくりはゆ風邪をこじらせた程度でも簡単に永遠にゆっくりしてしまう。 自分ではどうにもならないかもしれない。 あとで、ぱちゅりーのとこへ行ってみたほうがいいかもしれない。 それはそうと、おちびちゃんたちにむーしゃむーしゃさせなくてはならない。 姉まりさには少しでも体力が必要だし、妹ありすまで倒れたら目も当てられない。 「おちびちゃんたち、あさむーしゃむーしゃしようね。 まりさ、きのうのいもむしさんもまだのこってるよ。いっっぱいたべてね。」 食料は節約しなければならないが、子ゆっくりたちに体力をつけさせる必要もある。 特に姉まりさにはたくさんむーしゃむーしゃしてほしい。 ごはんさんはまたあとで狩りにいくしかないね・・・。 しかし、そんな心配は杞憂だった。 子まりさは余程体調が悪いのか、昨日よりも食欲がなくなっていた。 「ゆぅ・・・。おちびちゃん、もうすこしむーしゃむーしゃしようね。」 「ゆゆぅ・・・。まりしゃもうおなかいっぱいなのじぇ・・・。」 いつもは特に食欲旺盛な子まりさが今日はまるで食欲がない。 まりさはいよいよ危機感を募らせていた。 食欲があるうちはまだ大丈夫。本当に弱っている生き物は食べることさえできなくなるのだ。 本能的にそれを察知したまりさは、子ありすに留守を頼むと小雨の降る中を早々に出かけていった。 「ぱちゅりー!」 「むきゅ!?まりさどうしたの、こんな雨の中を?」 「ぱちゅりぃぃぃぃーーー!!!」 まりさは、近所のぱちゅりーのところを訪ねていた。 このぱちゅりーは賢く、自分で狩りをするほかにその知恵や知識で他のやっくりを助けることでも食料を手に入れていた。 その知識には薬草など怪我や病気にかんするものも含まれていた。 「そう・・・。おちびちゃんがびょうきにかかってしまったのね・・・。」 「そうだよ!ごはんさんもあんまりむーしゃむーしゃしてくれなくて・・・。 もうぱちゅりーにたよるしかないんだよぉぉぉ!」 「むきゅーん・・・。わかったわ、ちょっとまってくれるかしら。」 そういうと、ぱちゅりーはお薬の入った救急セットを引っ張り出してきた。 ぱちゅりーが近くの公園で拾ってきた子供用のポシェットだ。 なかにはぱちゅりー特製の様々なおくすりが入れてある。 「むきゅ!じゅんびはばんたんよ!おちびちゃんのところへいきましょう!」 「ありがとおうぅぅぅぅ!!!ぱちゅでぃぃぃぃぃ!!!」 「おとーしゃん、おかえりなしゃい!」 おうちに帰るなり、妹ありすが駆け寄ってきた。 病気の姉まりさと二匹だけで心細かったのだろう。 「おちびちゃん、おねーちゃんのぐあいはどう?」 「おにぇーちゃんずっとねむっちぇるわ・・。ぢぇもくるちちょう・・・。 こんにゃのときゃいはじゃにゃいわ・・・。」 「むきゅ。おちびちゃん、ここはぱちゅりーにまかせて。」 「ゆゆーん・・。ぱちゅりーおにぇーしゃん、まりしゃおにぇーちゃんのおびょうき、ゆっくちなおしてにぇ!」 「むきゅん!さいぜんをつくすわ。それじゃしんさつするわね。どれどれ・・・。」 ぱちゅりーは熱を測ったり、顔色や呼吸を確認したあとで、 まりさと子ありすにも昨日からの子まりさの容態を聞いてみた。 「ゆ!きのうはこんなにぐあいがわるくなかったんだよ! きょうのあさ、おちびちゃんをみたら、すっごくくるしそうだったんだよ!」 「ゆん!ありちゅ、おにぇーちゃんのくるちそうなこえでめがさめたのよ!」 「むきゅーん・・・。だいたいわかったわ。たぶんふつうのゆ風邪よ。」 「ゆかぜ!それじゃ、おちびちゃんはたすかるんだね!」 「ゆっくち!ぱちゅりーおにぇーしゃんはときゃいはにぇ!」 けれど、ぱちゅりーは深刻そうな表情で続ける。 「そんなにかんたんじゃないわ。 たいりょくのないおちびちゃんが、つめたいあめさんにいっぱいぬれてしまったんですもの・・・。 たいりょくがていかしてとてもきけんなじょうたいよ・・・。肺ゆんをおこすかもしれないわ。」 「ゆゆっ!はいゆん・・・。そんなぁ・・・、おちびちゃんはたすからないの?」 「・・・まだわからないわ。あんせいにして、えいようのあるものをたべさせてあげて。 それと、おくすりよ。ねつがさがって、すこしはらくになるはずよ。」 そういってぱちゅりーは、救急セットのなかから小瓶を取り出してまりさに渡した。 中にはペースト状にすりつぶされた薬草がはいっていた。 「げねつさようのあるはっぱさんに、なんしゅるいか、じようのあるはっぱさんをまぜたものなの。 ちょっとにがいから、おちびちゃんにはごはんにまぜて、むーしゃむーしゃさせてね。」 「ありがとうぱちゅりー!それでおれいのごはんなんだけど・・・。」 「むきゅ!またこんどでいいわ。おちびちゃんがげんきになったらおねがいね!」 「ゆ!ごめんね、ぱちゅりー・・・。きっとおいしいごはんたくさんもっていくからね!」 「こまったときはおたがいさまよ!」 「おとーしゃん、はやくおにぇーちゃんにおくすりのませてあげてにぇ!」 「ゆん、それじゃごはんにしようね!おちびちゃん!おちびちゃん!おきてね!」 「おにぇーちゃん、ゆっくちむーしゃむーしゃにようにぇ!」 「ゆゆーん・・・。ごはんなのじぇ・・・?」 「まりさにはとくべつにえいようのあるおくすりをあげるよ! ごはんといっしょにむーしゃむーしゃしてね!そうしたらすぐにげんきになるからね!」 「・・わかったのじぇ。まりしゃおくすりむーしゃむーしゃするのぜ・・。」 まりさは小瓶のふたを開けると、拾ってきたアイスの棒でおくすりをごはんに混ぜ込んでいった。 ちょっと贅沢なおやさいさんの切れ端やあまいおはなさん、軟らかいくささんに混ぜて 出来る限り苦くないように工夫した。 「ゆげぇ・・・。おくすり、ちょっとにがいのじぇ・・・。」 「おちびちゃん、ゆっくりむーしゃむーしゃしてね!おくすりのまないとゆっくりできなくなるよ!」 「ゆぅぅ・・。まりしゃ、おくすりむーしゃむーしゃするのじぇ・・・!」 食事が終わって子まりさを寝かしつけてしばらくすると、苦しそうだった呼吸も心なしか穏やかになってきたようだ。 「ゆんゆん!さすが、ぱちゅりーのおくすりだよ!これでおちびちゃんもだいじょうぶだね!」 やることはまだまだある。 天気は十分に回復していないが、だからこそわずかな晴れ間に狩りに行かなければならない。 次に雨がやむのはいつになるかわからないのだ。 「おちびちゃん、おねーちゃんをよろしくね! もし、おねーちゃんがどうしてもぐあいがわるいときは、おくすりのませてあげてね!」 「おとーしゃん、かりにいっちゃうにょ? きょうはむーちゃむーちゃしなくてもいいから、おうちにいてにぇ?」 ああ、そうか。昨日あんなことがあっておちびちゃんは自分が家を空けるのが怖いんだ。 自分がしっかりしなかったせいで、おちびちゃんたちを怖い目にあわせてしまった・・・。 「ごめんね・・・。だめなおとーさんで・・・。 おうちはじょうぶにしといたからもうあおいぬのさんとんでったりしないよ。 おねーちゃんのためにもおいしいごはんたくさんとってこないといけないから、 おとーさん、かりにいってくるよ。ありすもなかないでね・・・。」 「ゆん・・・。ありちゅ、ないてなんかいにゃいもん。 ありちゅはときゃいはだきゃら、おるすばんできりゅわ!」 「ゆーん!おちびちゃんはとかいはだね。・・・しんじゃった、おちびちゃんのおかーさんをおもいだすよ・・・。」 「ゆゆ?どうしたの、おとーしゃん!?」 「ゆん!?なんでもないよ!ゆっくりいってくるよ!」 「ゆっくちいってらっしゃい!!」 ぴょんぴょん ゆゆーん!おちびちゃんたちはとってもゆっくりしてるよ! まりさはとってもしあわせだよ! ぴょんぴょん まりさは、昨日にもまして必死で狩りに没頭した。 狩場も昨日よりもおうちに近い。 もし、雨が降り始めたら、すぐにでもおうちに帰れる用ようにだ。 もし自分がもっとおうちをきちんと造っていたら・・・、 もし自分がもっと早く帰っていたら・・・、 こんなことにはならなかったはずなのに・・・。 それに、いくら強がっても妹ありすは雨が降り出せば怖い思いをするだろう。 まだまだ、ほんの小さな子ゆっくりなのだ。 なにより、くすりのおかげで小康状態にあるとはいえ子まりさのことが心配だ。 今日は早く帰ろう。 「ゆっくりただいま!おちびちゃん、おねーちゃんのぐあいはどう?」 「おにぇーちゃん、だんだんくるちそうににゃってるにょ!」 見れば確かに子まりさはくすりを飲ませる前と同じような状態に戻っている。 「ゆぅぅ・・・。おくすりがきれちゃったのかもしれないね・・。 おちびちゃん、ごはんにしようね。おねーちゃんもおこしてね。 おとーさんはごはんのよういをするよ。」 「ゆげっ、ゆげえっ!!ゆぐぅ・・・。まりちゃ、きもちわるいのじぇ・・・。」 「おちびちゃん!だいじょうぶ!?」 「おにぇーちゃん、ごはんさんむーしゃむーしゃしょうにぇ!」 「ゆぅぅ、あんまりたべたくないのじぇ・・・。」 「おちびちゃん、そんなこといわないでちょっとだけでもむーしゃむーしゃしようね。」 「ゆっくちりかいしたのじぇ。ごはんさんむーしゃむーしゃするのじぇ・・・。」 おくすりを飲ませて子まりさを再び寝かしつけると多少は顔色も良くなったように見える。 ただ、気のせいだろうか。朝方よりも具合が悪くなっていないだろうか・・・。 まりさの餡子脳にぱちゅりーの言っていた肺ゆんという言葉がふと過ぎる。 そんな馬鹿な!あんなにゆっくりとしたおとびちゃんが! もし本当に肺ゆんだとしたらぱちゅりーにもどうにもならないだろう・・・。 いいや!違う! 冷たい雨に濡れたせいでゆ風邪を少しこじらせてしまっただけだ。 おくすりも効いているし、寝て起きれば少しは良くなっているはずだ・・・。 まりさは必死に自分に言い聞かせる。 そうして、子まりさを見守っているうちに、自分もうとうとと眠り込んでしまった。 「ゆぐぅぅ・・・。ゆげぇぇぇ・・・。」 まりさは物音で目を覚ます。辺りはまだ暗い。 おそらく早朝といったところだろう。 「ゆげぇぇぇ・・・・っ。」 「・・・おちびちゃん?」 様子が変だ。 暗いなか目を凝らして姉まりさのほうを見てみる。 「どぼちてあんこさんはいちゃってるのぉぉぉぉぉ!!!」 「おちびちゃん!?おちびちゃん!!すぐにおくすりのませてあげるからね!! これいじょうあんこさんはいちゃだめだよ!!」 「ゆぐっ、ゆぐっ!!」 苦しそうな子まりさは、呼吸も荒くまともに返事も出来ない。 まりさは手早くおくすりの小瓶をあけると、アイスの棒で直接子まりさにおくすりを飲ませる。 子まりさは、呼吸が荒いからなのか、おくすりが苦いからなのか、再び戻しそうになってしまう。 「ゆげっ!ゆげぇぇぇ!!」 「おちびちゃん、ごめんね!!」 まりさは子まりさがおくすりを吐き出さないように口を無理やりふさぎ、落ち着くまでそのまま待つ。 しばらくすると、多少落ち着いてきたのか、静かになった。 次に子まりさが吐いてしまった餡子を集め、子まりさに飲み込ませる。 子まりさは、これも嫌がったが無理やりにでも飲み込ませる。 騒がしかったのか、子ありすも起きてきてしまった。 泣き出す子ありすをあやしつけ、子まりさの様子を見守る。 幸い、吐いてしまった餡子はそれほど多くなかったし、それも全部戻した。 おくすりのおかげでしばらくは大丈夫そうだ。 でも、これではもう一睡もすることができない。 少しでも油断すれば、子まりさは永遠にゆっくりしてしまうだろう。 明るくなったら一番にパチュリーのところへ行こう。 ぱちゅりーでも子まりさの容態は手に負えないかもしれない。 でも、自分には他にどうすることも出来ない。 「おちびちゃん・・・。ごめんね・・・。」 辺りがやっと明るくなった頃、早々にまりさはおうちを飛び出した。 雨は降っていない。 一応、子ありすを起こして、ぱちゅりーのところへ行ってくることと、子まりさの世話を頼んできた。 しかし、また餡子を吐くようなことがあれば、子ありすにはどうすることも出来ないだろう。 急がなければ! 「ぱちゅりー!おきてぱちゅりー!」 「むきゅきゅーん・・・。どうしたのまりさ、こんなそうちょうから・・・?」 「おちびちゃんがたいへんなんだよ!」 「・・・おちびちゃんが?」 「すこしまえに、あんこさんはいちゃったんだよ!とってもぐあいがわるそうだよ!」 「むきゅ!それはたいへんね!まってて、すぐじゅんびするわ!」 言うなり、例の救急セットを取り出してきた。 「むきゅん!じゅんびかんりょうよ。さあ、いきましょう!」 「ゆっゆっ、おちびちゃん!!」びょん 「むきゅー・・・むきゅん。」ごろん 二匹が大急ぎでまりさたちのおうちへ駆け込んできた。 「おとーしゃん!!」 「おちびちゃん、おねーちゃんのぐあいは?」 「ゆっくちねむっちぇるよ・・・。」 「むきゅ!そうね、おくすりがきているみたいね・・・。」 「でもぱちゅりー、おちびちゃん、さっきはあんこさんはいちゃったんだよ・・・。」 「むきゅぅ・・・・。そうね、かおいろもこころなしかきのうよりわるいし、やつれてみえるわ。」 「ぱちゅりー、おちびちゃんのぐあいはどう?」 「・・・・。まりさ、ちょっといいかしら。」 ぱちゅりーは、まりさをおうちの外へ連れ出した。 「どうしたの、いきなりおうちからでるなんて?」 ぱちゅりーは昨日にも増して深刻な表情で言う。 「むきゅ、おちついてきいてほしいわ。おちびちゃんはこのままでは、たすからないとおもうわ・・・。きっときょうかあすには・・・。」 「そんな!!なんとかならないの!? 」 「むきゅん・・・。ごめんなさい・・・・。おくすりをのませて、あとはいっしょうけんめいおせわをするしかないわ・・・。」 恐れていたことがとうとう目の前に現実として突きつけられてしまった。 自分のせいで、自分が頼りないばかりにあのゆっくりとしたおちびちゃんが・・・! 「でも、それじゃおちびちゃんはよくならないんでしょ! ぱちゅりー、まりさはどうなってもいいよ!!どんなことでもするよ!! だから、おちびちゃんをたすけてあげてね!!」 「ぱちゅりーにももうどうしようもないのよ・・・。なんとかできるとしたらにんげんさんぐらいしか・・・。」 にんげんさん! そうだ! にんげんさんならおちびちゃんをたすけることができるずだ! 「ゆゆ!にんげんさん!にんげんさんならおちびちゃんをなおせるんだね!?」 「むきゅん。にんげんさんのおくすりならおちびちゃんもなおせるとおもうわ・・・。 でも、にんげんさんのおそろしさは、まりさもしっているでしょ? きけんすぎるわ。」 「それでもまりさはいくよ!ぜったいに、にんげんさんからおくすりをもらってくるんだよ!」 「わかったわ。それじゃあ・・・。」 ぱちゅりーはまりさを説得することが無駄だと悟ると、せめてものアドバイスをしてくれた。 「にんげんさんはとてもおそろしくて、つよいいきものよ。 でも、すべてのにんげんさんがこわいひとばかりじゃないのよ。 なかにはゆっくりにもやさしいひとがいるらしいの。 まりさもきいたことがあるでしょう? にんげんさんとゆっくりが、いっしょにゆっくりくらしてるというおはなしを。」 「ゆ!かいゆっくりだね!きいたことがあるよ! わかったよ! ぱちゅりー、おちびちゃんをかいゆっくりにしてもらえばいいんだね!」 「だめよ、まりさ!にんげんさんにかいゆっくりにしてほしいということは、 つぶされてもいいといってるのとおなじことなのよ!」 「そんな・・・・。じゃあ、どうすればいいの・・・?」 「むきゅん。まずはやさしそうなにんげんさんをみつけるのよ。 ゆっくりをたすけてくれそうなひとよ。 できればかいゆっくりといっしょにくらしているひとがいいわ。 そしたらそのひとにおねがいして、おくすりをもらってくるの。 にんげんさんのおくすりなら、おちびちゃんだってたすかるはずよ!」 「ゆゆ!すごいよ、ぱちゅりー!それでそのおくすりはなんていうの?」 「むきゅん!おくすりのなまえはね・・・・。」 「おくすりのなまえは・・・!?」 「おくすりのなまえは、かぜぐすりと、おれんじじゅーすっていうのよ!!」 こうして、まりさのおくすりを求める旅が始まる。 初めてのSSになります。 続くかどうかわからんです。 ものすごく大まかな次回のストーリーだけ頭のなかにあります。 それとゆ虐がないことに腹がたった人ごめんね。 冒頭の「~があります」って注意書きはネタバレだと思うからやめときました。
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あまり捻らずfuku1182後のまりさを書いてみた。 ゆっくりまりさが夜道を歩いている。 まりさは、つい少し前まであるゆっくりれいむと愛を育み、一緒に子供を作ろうと約束 していた筈だった。 しかし、どこから歯車は狂ってしまったのか、気づけば飼い主だったお兄さんに寝取ら れてしまった。 唯一の心の安らぎだったれいむに捨てられ、まりさは虚ろな表情で夜道を歩いている。 そんなまりさをゆっくりありすが見つけたのは必然だったのかもしれない。 「まりさ? どうしたのこんなところで? とかいはでももうねるじかんよ!」 「ゆっ!」 怒った様子のありす。しかし内心はまりさに出会えて動揺している。 ゆっくりでも性欲の強いありすは、まりさを見るだけで目が笑い、口が鼠口に形を歪め、 襲いかかりそうになる。まだこのありすは、他のに比べると我慢強いありすだった。 一方、まりさは突然現れたありすに動揺し、自然と後ろへ下がっていく。 ありすがレイプ魔だというのはまりさも知っていた。おにいさんにれいむを寝取られ、 まりさはもうゆっくりと愛し合うつもりはまるでない。 無理矢理でも襲われそうな不安と、交尾への嫌悪感に、自然とまりさの体は震えていた。 「ゆっ……ゆっくりしないよ! すぐにかえるからね!」 「そんなこときいてないわ! とかいはにあせりはきんもつよ!」 じりじりとまりさへ近づいていくありす。距離が狭まるほど、表情が徐々に変わってい く。 ありすからの不気味な圧力に、まりさは色々口に出しながら、離れようとどんどん後ろ へ下がっていく。 まりさの背中が壁についた。 「ゆっ!?」 思わず後ろを見るまりさ。その隙をありすが逃すわけがない。 「ま、ままままままりさぁあぁぁぁああぁあっ!!」 「ゆぅうぅううぅぅううぅっ!」 飛んできたありすを躱そうにも、既に周りは袋小路。 捕らえるために壁へと誘導したありすの作戦勝ちだった。 体を壁に押しつけ、ありすは動けないように固定する。 まりさは身動き1つ取れない。ありすに飛び乗られた時点で、まりさの運命は決定した。 「やめでぇええぇぇえっ!! もういやだよぉおおぉおぉおっ!!」 「かわいいわまりさ!! ハァハァッ! いっしょにすっきりしましょ!!」 「すっきりしたくないぃいいぃいぃっ!!」 まりさの悲鳴が響き渡る。 夜空の星が1つ、流れていった。 ありすがまりさの上から退いたのは、それからすぐだった。 顔はまるですっきりしていない、ただ憎しみだけが目に込められている。 「まるできもちよくないからだね! とかいはのありすもがっかりだわ! あなたなんて まりさじゃないわよ!」 捨て台詞を残し、ありすはそのまま立ち去っていく。性欲がまるで満たされなかった為 か、自慢の都会派な振る舞いはまるで見られない。 まりさは、壁に押し当てられたまま動こうとしない。変形し、穴の空いた体も気にせず、 ただ口から体液を流して倒れている。 目からはもう意志が消えている。 れいむに捨てられ、ありすにも捨てられたまりさ。 ただ漏れた餡子に群がる蟻だけが、まりさを必要としているようだった。 このSSに感想を付ける
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*この世界は愛で特化されています。 *虐待は全くありません。ひたすら愛でてるだけです。 *成体ゆっくりは漢字を使って喋ります。 *本編と全く関係ない独自設定があります。 *オチ?何ですか、それ(泣) まりさのほうき ゆっくり用の玩具は色々あるが、流行り廃りに関係なく売れる定番商品というものがある。 特別な電源も要らず、触媒も不要で、壊れにくく、安い。そんな飼い主にも優しい商品は、 昔から今まで、ほとんどの飼いゆっくりが持っているアイテムだろう。 例えば、ゆっくりれいむの場合は御幣だ。 神主や巫女が使う商売道具であり、木と紙で作られたそれは、れいむ種が好んで振り回して 遊ぶ。特に目的や用途がある訳ではなく、本当に振り回す事が楽しいらしい。 ゆっくりありすの場合は人形を好む。 人間の子供がそうするように、話しかけたりもするが、基本的に一緒にいるだけでゆっくりできる のだそうな。昔は陶器製の人形がメインだったので高価な玩具であったが、最近は合成樹脂で 出来た安価な人形が大量生産可能になった為、それほどでもない。 ゆっくりぱちゅりー種は本が好きだ。 チラシのような単純なシロモノでも、ぱちゅりーは「まどうしょ」と称して集めたがるが、 キチンと製本された本は更に彼女らの知的好奇心を刺激するらしく、中身が白紙でも喜ぶようだ。 で、ここからが本題だが、ゆっくりまりさの場合はどうだろうか? 「まりさですか?それだったら、この箒なんかいいんじゃないですかね」 と、常備薬の点検に来た薬局のお姉さんが大きなカバンから取り出したのは、長さ50センチほどの 小さな竹箒だった。 「へぇ……可愛い箒ですね」 「これは成体まりさ用のサイズですけど、これを与えておけばまりさは大体満足しますよ」 そういいつつ、お姉さんは次々と色々なサイズと形の箒をカバンから取り出して玄関先に並べる。 ……どう考えてもカバンのサイズより多い量だけど、深く考えるのはよそう。 「これが赤まりさ用。こっちが子まりさ用。違いはサイズだけですね。 あと、こっちのは星型のストラップがついたバージョンです。まりさは星型も好きですから。 こっちのヤツは穂先が柔らかくなってて、本当に室内の掃除に使えます。 頭の良いまりさはこれで掃除をしてくれますよ」 いやぁ、商品の説明を聞いてて俺は大いに感心した。 たかがペット用品と思っていたが、色々と考えて商品開発してるんだなぁ。 「実際に選ぶ時にまりさ本ゆんに選ばせるのもいいですけど……今日はまりさちゃんは?」 「あー、今日は朝から学校に行ってるんです。そこの空き地の青空学校ですけど」 今日は週3日ある登校日で、母親のれいむと子まりさはそこへ出かけてしまっている。 お隣に住む父まりさや、姉れいむとも会えるので、ウチのまりさは学校が大好きなようだ。 今までは母の使っている御幣や陰陽玉で遊ばせていたが、やっぱり専用の玩具くらい欲しいだろうと 思い、俺はゆっくりのプロであるお姉さんに相談してる訳だ。 「……いや、私はあくまで薬屋であって、ゆっくりショップの人じゃないですけど」 「でも詳しいじゃないですか。商品も取り扱ってるし」 「まぁ、ウチでもゆっくりは飼ってますからね」 何でもこのお姉さんは、自宅に12~13匹のゆっくりを飼っていて、その半数以上がレアな ゆっくりなのだという。通称『ウサミミ12ゆん将』だとか。 なるほど、薬屋だからお姉さんは薬師如来のポジションなんだな。 「まぁ、まだまりさは子ゆっくりですし、この小さいのをひとつ下さい」 「はい。まいどありがとうございます」 色々と並べられた商品の中から、子ゆっくりに丁度良さそうなサイズの、穂先が柔らかめのヤツを買う事にした。 まりさ種全般に言える事だが、ウチのまりさも少々やんちゃなので怪我をしないようにと思ったのだ。 で、この後も色々とゆっくり関連の商品をおススメされたが、今日はこの箒だけで良しとした。 + + + + + + 「ゆわぁぁああぁぁー!ほうきしゃんなのじぇー!!」 まだ赤ゆっくり言葉の抜け切らない口調で、まりさは目を輝かせた。 「これ、ほんちょにまりしゃがもらっていいの?」 「ああ。いつまでもお母さんのお下がりじゃ嫌だろ」 「そんにゃことないのじぇ!おかあしゃんのボールしゃんもたのしいのじぇ! でも、あたらしいほうきしゃんも、とってもうれしいのじぇ!!」 「ゆゆーん♪おちびちゃん、良かったね。あと、お兄さんにちゃんとお礼を言おうね」 「ゆゆっ!そうなのじぇ。おれいをいわないのは、ゆっくりできないのじぇ!おにいしゃん、ありがちょー!」 うむうむ。これだけ喜んでくれると俺も嬉しい。 と、母れいむが俺の近くに寄ってきて、小声で話しかけてきた。 「お兄さん、おちびちゃんの玩具はとっても嬉しいけど、高くなかったの?」 「ああ。箒は安いからな。そんなに気にしなくていいぞ」 「ゆぅー、本当にありがとうね。れいむたちは、お兄さんの飼いゆっくりで良かったよ」 なんだか目をウルウルさせてれいむが礼を言う。大げさなヤツだな。 まぁ、感謝されて嬉しくない訳じゃないんで、いいけどね。 さて、一方のまりさだが、早速箒の上に跨って(というか、乗っかって?)、誇らしげな表情で固まっている。 どうやら、あれが「おそらはまりさのものなのぜ」のポーズらしい。 現在、まりさの脳内では、箒に乗ってお空を駆け巡っている妄想、もとい、幻想が繰り広げられているのだ。 元気な声で「ゆっくり○○するよ!」と叫ぶ場合もあるらしいが、なんとなく俺はあの静かな自信に満ち満ちた 表情のまりさが可愛いと思う。 時々、バランスを取るように右に左に身体を傾けて、ちょっとふんぞり返るようにニヤけているのが良い。 なんと言っても、目がキラキラと輝いてるよな。 いや、本当に買ってよかった。 + + + + + + 後日、お隣の父まりさが子れいむを連れて遊びに来た。 「ゆっ!おちびちゃんが箒さんを買ってもらったって聞いたから、見にきたのぜ!」 「れいみゅも、おねえさんにおんみょうだまさんをもらったよ!」 どうやら俺が新しい玩具を買ってやった事を学校で聞いて、父まりさが飼い主のお姉さんに頼み込んだらしい。 姉れいむは真新しい陰陽玉を咥えていた。 「お兄さん、おちびちゃんの為にありがとうだぜ!」 「何だ、お前もわざわざお礼を言いに来たのか?気にすんなって」 「そうはいかないのぜ!恩を受けたらお礼を言うのは、ゆっくりのじょうっしき!なのぜ」 どうもゆっくりというのは、人間に対する感謝とか尊敬の念が強いらしい。 野生ゆっくりだと、それほどでもないという話だが……種族の存在意義が「人間さんの為」になってるという 説が出るくらいに人間大好きなんだよな。 れいむとまりさの姉妹は、お互いの新しい玩具を使ってキャッキャと遊んでいる。 両親ゆっくりも、その微笑ましい光景を見てゆっくりと微笑んで寄り添っている。 飼い主の俺は……ちくしょう、恋人欲しいなぁ。お隣のお姉さんとデートしたいぜ。 うぅ、俺もリア充になりたいよぉ。 愚痴っても仕方ないから、俺もゆっくりの一家を眺めてゆっくりする事にした。てか、それしか出来ん。 「あーあ、ゆっくりゆっくりしていってねー、か」 「「「「ゆっ?!ゆっくりしていってね!!!」」」」 俺の半分ぼやきに、一家が揃って挨拶を返してきた。 ……まぁ、いいか。これはこれで楽しい毎日だ。 + + + + + + オマケ 「うぅ……やっぱり私もお隣へお礼を言いに行けば良かったかしら」 「だーから、まりさが「一緒に行こう」って言ったのぜ」 「おねええしゃん!ゆっくりしてにぇ!ゆっくりゆっくり!」 夜、お隣では眼鏡のお姉さんが枕を抱えて悶々としてました。 ベッドの隣には呆れ顔の父まりさと、状況は分からないけどお姉さんを励ます子れいむがいます。 「だぁーって!恥ずかしいじゃない!無理矢理会いに行く理由を作ってるなんてバレたら、どうするの?!」 「考えすぎなんだぜ。お兄さんもかなり鈍いから、積極的に行かないと進展ないのぜ?」 このお姉さんとお隣のお兄さんは3歳差の幼馴染(お姉さんの方が年上)でした。 しかし、二人揃って小学生以下の奥手っぷりが災いして、今まで全くの進展ナシ。 ペットのゆっくり同士が情報交換して、なんとか二人をくっつけようとしてますが、ヘタレな二人は 相変わらず進展ナシなのです。 (やれやれ、これじゃれいむやおちびちゃんと一緒に暮らせるのは、まだまだ先になりそうなんだぜ) お節介な飼いゆっくりまりさは、こっそりタメ息をつくのでした。 (おわり)
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「ま、まりざああああああああ!」 森の中からありすの声が聞こえる。 ゆっくりまりさは懸命に逃げていました。 親まりさだけならば楽に逃げることができました。 しかし、今は子まりさが4匹親の速度に必死についてきています。 幸いにもこの先は湖でした。 2匹の親まりさは森の先の湖を見て安堵します。 「ゆううううぅ!これでたすかるよ!」 「みんなはやくぼうしをうかべてね!」 親まりさの発言で我先に帽子を浮かべる子まりさ達。 子まりさが全部帽子に乗ったのを確認すると親まりさも帽子を浮かべました。 「まりざあああああああいっしょにゆっぐりじようよおおおお!」 「にげなくでもだいじょうぶだよおおおおおおおお!」 ありすの群れが森から飛び出してきます。 間一髪、親まりさは帽子に飛び乗ることができました。 急いで陸地から離れる親まりさ。 何匹かのありすは水も気にせずに親まりさに飛び掛かりました。 それを二匹は口に咥えた棒ですべて叩き落します。 「ま、まりざあああああガボゴボ・・・」 「たずげでええええええええ・・・」 「まりさ、いまならもどってきたらゆるしてあげるよ!」 湖畔で生き残ったありすたちがまりさ達に呼びかけます。 しかし、まりさたちが戻るわけにはいきません。戻れば死ぬのだから。 「まりさ、どうしよう・・・」 「とにかくすすむよ!ありすたちがいないばしょにいこうね!」 そうやっておやまりさは湖に帽子を漕ぎ出しました。 子まりさ達も親まりさに挟まれてオールで必死に水を掻いて行きます。 やがて、まりさたちの前に岸が現れました。 「ありすたちがいないよ!」 「あそこでおりようね!」 しばらく岸を巡り、上陸できる場所を見つけるとまりさ達は見知らぬ土地に上陸しました。 「ゆゆっ、なにかへん!」 「ちょっとじめんがぶよぶよしてるかも!」 「はねてもあまりいたくないよ!」 「ぶよんぶよん~。」 新しい土地でそれぞれ感想を言っていく子まりさ達。 親ゆっくりも子ゆっくりのように地面に違和感を感じたようでした。 しかし、記憶を探しても引っかかるものはありません。 「もっとおくにいってみようね!」 「たべものがあるといいね!」 まりさ達は岸辺を離れ、食べ物を探すことにしました。 ふよふよとした地面には草が生えていたが、大きな木は見つかりませんでした。 草原を掻き分けて進むとまた岸に辿り着きました。 「ゆゆゆ?みちまちがえたのかな?」 「ゆ~、つぎはきしにそってうごこうね!」 草原の中で道に迷ったと感じたまりさ達は今度は岸に沿ってうごくことにしたようでした。 「なにしてるの?」 「めじるしをつくってるんだよ!つぎにきたときこれがあればきづくでしょ!」 「おとーさんすごい!」 父まりさは次にここに来た時気づくよう目印を作ったようです。 それに気づいた子まりさに説明し、子まりさを教育するのも忘れません。 目印を出発したゆっくりまりさはゆっくりと岸にそって進みます 途中動物が現れるかもと警戒していましたが、現れたのは魚を狙う鳥ぐらいで、陸の動物は一度も会いませんでした。 そうして岸に沿ってまりさたちは進み、しばらくすると目印を作ったところに来てしまいました。 「ゆゆゆ!これはしまだよ!」 「しま?」 「おとーさんのおとーさんまりさがいってたよ!みずのなかにじめんがあるばしょがあるって!」 「ゆゆっ!?」 ここは浮島でした。 陸から離れた水草などの植物が何年もの年月により泥炭化し土となり、それが何年も繰り返されて大きな島となっていたのでした。 父まりさは自分が言ったことを確認するために足元の地面をすこし掘ります。 しばらくすると水が湧き出し、さらに掘ると底が見えない水が見えました。 「ゆゆ!!このじめんはあぶないよ!」 「すぐにうめてね!」 あわてて土をかぶせて埋めようとするまりさ達。 しかしそのまま土をかけても沈んでいくばかり。 「ゆうううううう!どおじでええええええええ!」 「ごごじゃゆっぐりでぎないいいいいいいいい!」 まりさたちはとうとう泣き出してしまました。 6匹の泣き声が回りに響き渡ります。 そこへ、 「おいおい、どうしたんだぜ?」 「ゆぅ?」 いきなり聞こえてきた声に不思議がるまりさたち。 辺りをきょろきょろ見回すがまりさたち以外にうごくものはいません。 「ゆゆゆ・・・ゆうれいだああああああ!」 「い゙や゙あああああああ!」 「帽子が邪魔なんだぜ、上をみてみな。」 「ゆっ!」 言われて上を見上げるゆっくり。 そこには箒に乗ってまりさにそっくりな人が浮いていて・・・ 「ま゙り゙ざあ゙あああああああああ!」 「ゆ゙っぐり゙じよ゙ゔね゙えええええええ!」 「そこでゆっくりしててね!」 向日葵畑の中でゆっくりまりさはゆっくりありす二匹から逃げていました。 ある人に会うためにいつも住んでいる場所から離れたここにやってきたのです。 不運にももう少しでその人のいる場所に着くというところでゆっくりありすに見つかってしまい、目的どころではなくなってしまったのでした。 向日葵畑に逃げ込んだは良かったのですが発情中のありすは驚異的な感覚でまりさを追いかけてきました。 長い間旅してきたまりさには逃げ切るだけの体力は残っておらず、まりさがすっきりさせられてしまうのも時間の問題でした。 「みんなとのやくそくがあああああああああ!」 ゆっくりまりさは旅立つ前、群れのみんなに絶対に帰ると約束していました。 その約束のために今までがんばってきたのだがもはやまりさに約束を守るための体力は残っていませんでした。 とうとう石にに躓き顔を地面に打ち付けるまりさ。 まりさはこれから怒ることに恐怖しながら必死に顔を起こし振り返ります。 しかし、あれほどまでにしつこく追いかけてきたゆっくりありすたちはいつまで経ってもやってくることはありませんでした。 「ゆゆ?にげきれたのかな?」 まりさは不思議に思っていると、ガサゴソと向日葵が揺り動く音が近づいてくるのに気づきます。 「ゆゆ!かくれなくちゃ!」 まりさは穴を掘って体を隠します。 穴にすっぽりと入ったまりさは帽子だけ地面から出た状態となりました。 こうすることで穴を掘るところを見なかったゆっくり以外の動物には人が落とした帽子に見えて襲われることはありません。 ゆっくりの場合は死んだゆっくりの装飾を持っていると他のゆっくりに嫌われるので何も見なかったように立ち去っていきます。 ありすが見ている間はできなかった隠れる行動ができて、まりさはこれで目的を果たすことができるだろうと安堵しました。 しかし、物音はまりさのほうに近づいてきます。 まりさは不安になり、よりいっそう穴に潜り込もうとしました。 とうとう物音はまりさの目の前までやってきます。 目を瞑り、じっと耐えるまりさ。 しばらくしても何も起こりません。 まりさはホッと胸をなでおろします。 同時に頭がスースーする感覚を覚えるゆっくりまりさ。 「ゆゆっ!まりさのぼうし!」 急にまりさの帽子がなくなりあわてて穴から飛び出したまりさは日傘をさした緑髪の女性が帽子を掴んでいるのを目にしました。 「ゆゆ、まりさのぼうしかえしてね!」 「言われなくても返すわよ。」 そういってその女性は帽子をまりさの頭に載せてくれます。 「おねーさんありがと!ゆっくりしていってね!」 「と、言われても元からここでゆっくりしてたんだけど。」 「ゆゆ・・・まりさもゆっくりさせてね!」 「その前にどうしてここに来たのか教えなさい。」 女性の質問にまりさは忘れていた目的を思い出しました。 「ゆ!ゆーかってひとにたねをもらいにきたんだよ!」 「種?」 「そうだよ!まりさたちがゆっくりするにはそのたねがひつようなの!」 「どこでそんなこと聞いたのかしら?」 「まりさにそっくりなかおのひとがほうきにのってあらわれたの!」 「あぁ名前も一緒だから分かりやすいわ。」 「それでゆーかってひとがたねをもってるっておしえてくれたの!」 「なるほど。」 まりさは緑髪のお姉さんの返答を待つ。群れの明日が掛かっているので断られたら土下座しても頼み込むつもりでした。 しかし、緑髪のお姉さんはあっさりと、 「いいわよ。」 「ゆっ!?おねーさんありがと!」 「ただし、貴方達の住処で渡す種をどうするか見させてもらうわ。」 「ゆゆゆ・・・わかったよ!ゆっくりあんないするね!」 群れの場所を知られるのはまずいとまりさは考えたが、恩人の教えてくれた人なのだからと自分を納得させます。 「それで、どんな種がほしいのかしら?」 「んーと、おみずにうかぶやつ!」 「水草?」 「よくわからないけどそれだよ!それならまりさたちもあんしんしてのれるってきいたよ!」 「よく分からないわね。ますます気になるわ。とにかく案内して頂戴。」 緑髪のお姉さんはまりさを持ち上げて飛び上がりました。 「ゆゆっ!おそらをとんでるみたい!」 「それで、貴方のお家はどこかしら?」 「ゆー、あそこだよ!」 そうやってまりさが顔を向けたのは大きな館が近くにある湖です。 「まさか湖の中で住んでいるの?」 「ゆっ!そうだよ!まりさたちのしまでくらしてるよ!」 そう言ってまりさは緑髪のお姉さんを案内します。 しばらくして、湖に浮かぶ浮島に到着しました。 「ここがそうなのかしら?」 「そうだよ!みんな、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 緑髪のお姉さんの腕の中でまりさがゆっくりの挨拶をすると草むらの中から一匹二匹とゆっくりが現れました。 ゆっくりは全部ゆっくりまりさ種です。 「まりさしかいないのね。」 「そうだよ!ここはまりさたちのおうちだよ!」 まりさは自慢げに答えます。 このまりさ達は初めてここに辿り着いたまりさ達と、同じく危険な目にあって浮島に辿り着いたまりさたちです。 今では小規模の群れとなっていました。 「おねーさんおろしてね!」 「はいはい。」 まりさは緑髪のお姉さんの腕から降りると草むらから出てきたまりさ達の元へ向かいました。 「ゆっくりしないでかえってきたよ!」 「おかえり、まりさ!みんなしんぱいしてたよ!」 「あぶなかったけどなんとかもくてきをはたせたよ!」 そのまりさの答えにゆっくりまりさ達は緑髪のお姉さんに顔を向けます。 「おねーさんはゆっくりできるひと?」 「今はゆっくりしてるわよ。」 そう返事するとまりさ達は警戒を解き、 「まりさたちがんばってくささんやおはなさんそだててるんだけどうまくいかないの!」 「なかまはどんどんふえるからもっとくさがひつようなの!」 「ほうきのおねーさんがくさばなでこまったらひまわりのおねーさんにそうだんすればいいっていってたの!」 「だから、むれでいちばんのまりさにたのんでつれてきてもらったの!」 「おねーさんおねがいします!」 と、緑髪のお姉さんに事情を話します。 事情を聞いた緑髪のお姉さんは箒に乗ってきた人に文句を言いながらも、ゆっくりのために種と上手な育て方、さらにこの浮島でも育つ食べれる植物の種を用意しました。 今までまりさ達は湖畔近くで食べ物を取って戻ってくるという危険な生活をしていたので、それが減り、より長く島で暮らせるのはとても喜ばしいことでした。 浮島は木が育つことが可能な場所もありました。 そこにはりんごの木を植えました。 緑髪のお姉さんのおかげですぐに育った草をまりさ達は敷き詰めて新たな地面にしていきます。 「ゆ~、おねえさんありがと!」 「これでゆっくりくらせるよ!」 「おねーさんにもらったたねがんばってそだてるからね!」 「がんばって綺麗な花を咲かせなさい。枯らせてしまったら許さないわよ。」 そういって緑髪のおねーさんは去っていきました。 その後もたまにやってくる箒のお姉さんと緑髪のお姉さんにいろいろ教わりながら、ゆっくりまりさの浮島は湖の上のゆっくりプレイスとなりました。 ゆっくりプレイスの場所をどこで聞いたのか、時たままりさが浮島に流れ着き、群れの住人となりました。 そうやって数を少しずつ増やしながら、まりさたちは浮島でゆっくりとした生活を送っていました・・・ 「ゆうぅぅぅ、まりさたちだけゆっくりしててずるいよ!」 「そうだよ!れいむたちもあそこでゆっくりしたいよ!」 「まりさたちはひきょうだよ!」 木の上で文句を言うのはゆっくりれいむ。 れいむはリボンをつけていますが特に能力もなく、帽子で湖を渡るまりさをとても羨ましく見ていました。 「れいむたちもあのぼうしがあればゆっくりできるのにね!」 「れいむもりぼんじゃなくてぼうしがよかったよ!」 「しろくろのくせにれいむよりすぐれてるなんてゆるせないね!」 このれいむたちはまりさがありすにおわれて湖に逃げるのを木の上で見ていたのでした。 そのまま戻れなくなっているまりさの家族を笑っていたらまりさたちが湖の上で歩いているの見て驚きます。 よく見れば地面があるのが分かり、それでも何も無さそうな場所だったのであのまままりさ達は死んでしまうだろうと思いました。 しかし、しばらくしてまりさ達がどうなったか見に行くと何もない場所ですごくゆっくりしているではありませんか。 本当なられいむたちのもそこに行ってゆっくりしたいのですが、帽子がない霊夢は浮島に行く方法がありません。 一度まりさに帽子にれいむも乗せてと頼んだことがありました。 その時はまりさが、 「まりさのぼうしはひとりようだよ!れいむはのせれないんだ!ごめんね!」 そういってまりさは一人で浮島に向かっていったのでした。 れいむはそれを悔しそうに見るしかありませんでした。 それからもれいむは気の合う仲間たちと浮島を眺めてはゆっくりしているまりさを見て文句を言っていました。 このれいむたちは湖付近ではかなり多きい群れでしたが、発情ありすや人間によって常にゆっくりしているわけではありませんでした。 それゆえ、ずっとゆっくりできている浮島のまりさたちが羨ましかったのです。 今日もまた一匹のゆっくりまりさが浮島に向かおうと湖畔にやってきていました。 木の上のれいむは木から下りてまりさに言います。 「れいむもあそこにつれていってね!」 「ゆゆっ!だめだよ!ぼうしはひとつしかないよ!」 またれいむはまりさに断られてしまいました。 しかし今日は引き下がりません。 「どーしてもだめ?」 「どーしてもだよ!これはまりさのたいせつなぼうしだもん!」 そういってまりさはれいむを無視して帽子を湖に浮かべました。 その時、 「じゃあゆっくりしね!!」 「ゆぐっ!」 れいむはまりさを突き飛ばしました。帽子ではなく湖に落ちたまりさは沈んでいきます。 「れいむ゙ううううう!どおおおじでえええええ!」 「まりさだけゆっくりするのはぜったいにゆるさないよ!」 残ったのは先ほどのまりさのぼうし、れいむはそこに飛び乗ります。 「ゆっゆっ、れいむものれるよ!まりさはうそつきだね!」 初めて水に浮かんだれいむは大はしゃぎです。 一緒にいたれいむも乗りたそうにれいむを眺めていました。 しばらく交代で帽子に乗って遊んでいるとまりさを突き落としたれいむが何かを決意したような顔で言いました。 「これからむれのみんなにいってあのうきしまをれいむたちのものにするよ!」 「ゆゆゆ!?」 「あそこなられいむたちだってずっとゆっくりできるよ!」 「そうだね!まりさたちにはもったいないね!」 れいむはそう言って群れのみんなに自分の意見を話しました。 最近ありすの襲撃で仲間を減らし、ゆっくりできていなかったれいむの群れはその提案に賛成しました。 それからしばらくして、帽子を奪われ餡子を飛び散らせたまりさの死体が森に散乱するようになりました・・・ 「ここでゆっくりさせてね!」 「ゆっくりしていってね!」 浮島のまりさの群れは今日も数匹のまりさを仲間に加えました。 「ここでぼうしをかわかせてね!そうしないとゆっくりとけちゃうよ!」 「そうだね!ありがと!」 やってきたまりさは浮島の上に帽子を引き上げて帽子を乾かします。 いくら水に強い帽子でもずっと水の中だと溶けてしまうのでした。 帽子を乾かしている間になぜここに来たのかをやってきたまりさに聞きます。 浮島で生活するまりさたちには外から来る情報はとても貴重なものでした。 「ゆっ!もりのなかでぼうしをとられるまりさがふえたんだよ!」 「ゆゆっ!だいじなぼうしなのに!」 「そうだよ!だからまりさはとられるまえににげてきたの!」 「ここならあんぜんだよ!ゆっくりしていってね!」 群れの主要なまりさはやってきたまりさ達に事情を聞いた後集まって会議を始めました。 「ゆゆゆ・・・みんながいってるからもりのことはほんとうみたいだね!」 「これからもどんどんまりさたちがやってきそうだよ!」 「そのためにはここをもっとおおきくしないと!」 まりさ達は浮島に住めるゆっくりの場所が少なくなっているのに気づいていました。 とてもとても広い湖なので浮島を大きくしても問題はありません。 しかし、浮島を作るために必要な植物は育つまで時間が掛かります。 そして、まりさたちを悩ませていることがもう一つありました。 「でも、さいきんくささんたちへんだよ・・・」 「ゆっくりできてないよね・・・」 「いわれたとおりにそだててるのにね・・・」 まりさたちの使う植物のうち、一部の植物達が上手く育っていませんでした。 その草の部分で浮島に亀裂ができて島から離れてしまったり、浮島が沈んでしまうのです。 すぐに新しい草で補強して何とかしていますが所詮時間稼ぎでした。 「ゆゆゆ・・・こまったときはみどりがみのおねーさんにそうだんだよ!」 「ゆっ!そうだね!おねーさんならきっとなんとかしてくれるね!」 まりさたちは植物のことで困ったら緑髪のお姉さんと箒のお姉さんに助言を貰いに言っていました。 今回は植物についてなので緑髪のお姉さんを訪ねることにしたのです。 「ゆぅ・・・でももりはいまあぶないらしいよ!」 「でもでも、このままじゃゆっくりできないよ!」 森の危険はやってきたまりさたちによって浮島のまりさ達にも恐怖を植えつけていました。 緑髪のお姉さんを呼ぶには森を抜けねばなりません。 そんな危険な場所に誰を行かせるか・・・ まりさ達が悩んでいると一匹のまりさがやってきます。 「まりさがいくよ!まりさはまえにもいったことがあるよ!」 「ゆゆ!そうだね!むれでいちばんはやいまりさならあんしんだよ!」 そのまりさは初めて向日葵畑に向かったまりさでした。 あの後も何回か行っていたのでどうすれば森をすぐに抜けれるかも知っていました。 群れの主要なまりさ達はこのまりさに望みを託すことにしました。 出発の日。 朝早くに浮島を出発することになったまりさは群れのまりさに見送られながら帽子を漕ぎ出します。 何事もなく湖畔につき、森に入ろうとしたとき一匹のれいむが前に立ちはだかりました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっ、ゆっくりしていってね!」 れいむの発言に条件反射で答えてしまうまりさ。 しかし、ゆっくりしているとそれだけ浮島の仲間がゆっくりできなくなります。 「れいむ、ごめんね!まりさはいそいでるんだ!」 「ゆっくりしつもんさせてね!」 まりさの断りも気にせずまりさに質問をするれいむ。 まりさは苛立ちながらもゆっくりと質問を待ちます。 「いままりさたちのむれはゆっくりしてる?」 「いまたいへんだからゆっくりしてないよ!だからさっさとどいてね!」 まりさは正直に答えて退いて貰おうとします。 しかし、れいむは顔をにやけさせて逆にまりさを捕まえようとしました。 「ゆゆ、ゆっくりやめてね!」 「うごかないでね!」 まりさはれいむの突進を避けます。そのまま自慢の足で森に逃げ込もうとすると、別のれいむが二匹現れました。 これで助けてもらえる。 まりさはそう思い、新たなれいむ達に声をかけます。 「よかった!まりさをたすけてね!」 そういってまりさは二匹のれいむに近づいていきます。 そして、二匹を横切ろうとしたとき、二匹によって左右から掴まれてしまいました。 「ゆゆっ!ゆっくりやめてね!」 まりさの発言を無視して、二匹のれいむはまりさを地面に押さえつけました。 そこに先ほど突進してきたれいむがやってきます。 「まりさ、むれのことおしえてくれてありがとね!これでこんばんれいむのさくせんをじっこうできるよ!」 「ゆゆゆゆ!なにいってるの!」 いきなり作戦がどうこういいだしたれいむをまりさは不思議がります。 「まりさのむれはゆっくりできてないんでしょ?」 「そうだよ!だからまりさをはなしてね!」 「それなら、こんばんれいむたちがせめたらかんたんにうばえるね!」 「なにいっでるのおおおおおお!」 まりさはれいむの言っている事が理解できません。 だってまりさと違いれいむは帽子がないのです。それでは湖を渡れません。 「れいむはうきしまにわたれないよ!」 「そんなことないよ!」 そういってゴソゴソと茂みから何かを取り出すれいむ。 それは、ゆっくりまりさの帽子でした。 「どおじでえええええええええええ!」 まりさはれいむの発言より驚きました。 まりさ種は帽子をとても大事にします。他のゆっくりに上げることはありません。 そこまで考えてまりさは森で起こっている事件を思い出しました。 あの事件は帽子を奪うためにれいむたちがやっていたのです。 「ぎざま゙ああああああああああああ!」 「ゆっゆっゆっ!」 まりさは声を振り絞り叫びます。 そんなまりさをれいむは見下した目で笑いました。 「きづいたようだけどもうおそいよ!」 「ぼうしはみんなのぶんそろったよ!」 「あとはあのうきしまをれいむのものにするだけだよ!」 ふんぞり返るれいむの答えにまりさを押さえつけているれいむも続けます。 まりさは何とか逃げ出そうともがきます。 「むだだよ!まりさたちはもういっぴきもにがさにからね!」 「ゆゆゆ・・・むれのなかまがおまえたちをゆるさないよ!」 「れいむたちはまりさたちのねたよなかにせめこむんだよ!」 「れいむのすごいさくせんはおばかなまりさたちにきづかれることはないよ!」 「まりさがばかでたすかったよ!」 悔し紛れの対応もれいむたちに流され、さらに馬鹿にされてしまったまりさは涙が止まりません。 「お゙ね゙がい゙や゙め゙でえ゙ええええええええええ!」 「うるさいよ!まりさはそこでしね!」 「ゆぎゅ!」 泣き叫ぶまりさをれいむ達三匹で踏みつけます。 まりさは踏まれるたびに悲鳴を上げて、餡子を飛び散らせて死んでしまいました。 「じゃあさくせんどおりよなかにせめこむよ!それまでゆっくりしようね!」 れいむ達はそう言ってもりのなかに消えていきました・・・ ゆっくりまりさを送り出した浮島のまりさ達はその日も数匹のまりさを仲間に加え、いつもどおりに暮らしました。 その夜、まりさ達は緑髪のお姉さんが来なかった事を残念がり明日には来るだろうと、いつもより早く寝ていました。 箒のお姉さんによって外敵から襲われにくくなったまりさ達は、ゆっくりと帽子を漕ぐれいむ達に気づきませんでした・・・ 「ゆーおかあちゃんおにゃかしゅいたー。」 群れの一匹の赤ちゃんまりさが目を覚まします。 赤ちゃんはお腹が空いたので母親にご飯を貰おうと親まりさを探しました。 しかし、辺りを見回しても親まりさも姉妹のまりさも見つかりません。 「おかああああさあああああさぎゅ!」 母親を探そうと声を上げたまりさは誰かに圧し掛かられました。 まだ成長しきっていない赤ちゃんまりさはそれだけでぼろぼろです。 「ゆぐぅ!」 今度は後ろにか見つかれ持ち上げられました。 噛まれた部分から餡子を滲ませながらも赤ちゃんまりさは逃げようと体を振ります。 「はにゃじでえええええ!」 まりさが暴れていると急に噛まれていた所が痛くなくなります。 「ゆっ?」 それと同時にまりさは自分が落下していることが分かりました。 これで地面について逃げられる。 まりさはそう思い元気を取り戻しました。 しかし、 ボチャン! 「ゆぎゅごぼぼぼ・・・」 赤ちゃんまりさは地面につくことはありませんでした。 赤ちゃんまりさは空けられた穴から湖に吸い込まれ帽子ともども二度と浮き上がってきませんでした。 「ゆっ!こいつでさいごだね!」 危険を考えずにぐっすりと寝ていたまりさたちは各個撃破され、湖に沈んでいきました。 まりさを潰すごとに穴を開けていたので穴だらけでしたが、すこし気にすれば生活できないほどではありません。 れいむたちは勝手に地面が戻るものだと思っていました。 今まで住んでいた地面は何もしなくても穴が埋まったりしていたので今回もそう思ったのです。 まりさ達を沈めたれいむたちは島の中央に集まります。 そこには溜め込んだ食べ物や植物の種、そして実をつけたりんごの木がありました。 「ゆゆ!おいしそうなごはんだよ!」 「うめぇ!これめちゃうめぇ!」 れいむたちはまりさ達を潰して疲れていたので我先にと食べ物を漁ります。 何匹かはりんごの木に向かいました。 「りんごだ!」 「だめだよ!」 りんごに向かって飛び掛ったれいむをまりさが突き飛ばしました。 「これはおねーさんといっしょにたべるためのりんごだよ!」 「ゆゆゆ・・・まだいきのこってたんだね!」 「もうまりさはひとりだよ!ゆっくりしんでね!」 そうやってまりさとりんごを狙うれいむ達。 まりさはりんごと自分を守るために必死に飛び跳ねました。 しかし、多勢に無勢、とうとうまりさはれいむに捕まります。 まりさは潰されるのを覚悟しましたが、れいむ達はまりさを押さえつけ、りんごの木に向かいました。 そうして、泣き叫ぶまりさの前でりんごをゆっくりと食べきってしまったのです。 「どお゙じでごん゙な゙ごどずる゙の゙お゙おおおおおおおお!」 「まりさりんごおいしかったよ!」 まりさは足を噛み千切られて湖に捨てられました。 まりさは沈んでいきます。 まりさを見て笑い転げるれいむに何もできず死ぬことに涙しながら溶けてしまいました。 「まりさもいなくなったし、きょうからここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!」 「ここでずっとゆっくりしようね!」 「あしたはまえのすみかからしょくりょうをはこぼうね!」 「まりさのぼうしはどうしよう?」 「みずうみにながされないようにうかべとけばいいよ!」 「そうだね!それならすぐつかえるね!」 明日の朝、元の住処から食料を運ぶことやどこで住むかなどをゆっくり決めてかられいむ達はぐっすりと眠りました・・・ 次の朝、れいむは帽子がなくなっていることに気づきます。 「れいむのぼうしがなくなっちゃった!」 「どおじでえええええええええ!」 「これじゃゆっぐりでぎないいいい!」 れいむは口々に騒ぎ始めます。 そこにさくせんを発案したれいむがやってきました。 「だいじょうぶだよ!ここにはくさがいっぱいあるからしばらくたべものにはこまらないよ!」 「そうだよ!それにりんごのきもあるよ!」 「まりさたちはここでくらしてたんだからたべものもあるはずだよ!」 れいむの言葉に騒ぐものはいなくなりました。 そうして各々ゆっくりしだします。 「ここならにんげんもこれないね!」 「そうだね!あかちゃんたちもゆっくりできるよ!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 といっても、付近で最大規模のれいむの群れが全部やってきたのですから浮島の上はゆっくりでいっぱいでした。 これでは飛び跳ねたりはできません。 「あかちゃんたちはみずうみにちかづかないでね!」 「あぶないからね!」 「わかっちゃよ!はなれてゆっくちちてるよ!」 昨日空けた穴のせいでもあったのでれいむ達は早く穴が埋まらないかなと思っていました。 そうして、昼頃になるとれいむ達は地面の草を食べ始めました。 「むーしゃ!むーしゃ!しあわせ~!」 「このくさおいしいね!」 「やわらかいからあかちゃんもたべやすいよ!」 「ちあわちぇ~!」 「いっぱいあるから、おなかいっぱいになるまでたべようね!」 浮島は草で覆われているのでれいむ全員でもしばらくは食べ切れないと思われました。 しかし、草は浮島を形成する上でとても重要な部分です。 その草を食べるとどうなるか。 まりさが残っていれば分かるのですが今ここにまりさはいません。 誰にもとがめられることなく、れいむ達は地面の草を貪り食いました。 異変が起こったのは昼ごはんを食べてゆっくりしていたときです。 「ゆゆっ!!なんだかしずんでるよ!」 「そこはあぶないよにげてね!」 「おなかいっぱいでうごけないいいいいい!」 一匹のれいむのいた地面が崩れ、湖に落ちたのです。 「ゆぎゅううううう!たすげでごぼぼぼぼぼ・・・」 「ゆぎゃああああああ!」 「おがあああぢゃああああああん!」 「はやくおかーちゃんたちゅけてね!」 「ゆゆゆゆ・・・」 帽子のないれいむ達には助けることができません。 「い゙や゙あ゙ああああああああ!」 「ゆううう、どおじでえええええええ!」 「れいむたちなにもしてないのにいいいいいい!」 一匹の死を悲しんでいると他の場所からも悲鳴が上がりました。 「ゆゆゆ・・・こんどはなに!?」 「またひとりおちたよ!」 「れいむのあがぢゃんがああああああああ!」 れいむ達はあわてます。 何かおかしなことが起こっていると。 「まりさたちがまだいるの!?」 「このしまにはれいむたちだけだよ!」 「じゃあなにがおこってるの!」 「れいむわからないよ!」 「とにかくゆっくりしないでね!」 しかし、れいむで埋められた浮島は表面上何が起こっているのか分かりません。 「ゆ!おかーしゃんどこいくのおおおおお!」 「れいむのあがぢゃああああああん!」 「まっててね!いまいくからね!」 「ゆっくち!・・・じっばいいいいいいい!」 「はやくもどってね!とけちゃうよ!」 「もどれに゙ゃい゙よ゙おおおおおおおお!」 れいむ達が島が崩れていると気づいたのは島に亀裂が入り、ばらばらになったときでした。 もちろん、そのときには手遅れです。 「く、くささんがんばってね!れいむがおちちゃうよ!」 「ごごじゃゆっぐりでぎないいいいいいいい!」 あるれいむはゆっくりの重さに耐えれなくなった草ごと沈み。 「ここはあぶないよ!むこうにとびうつろうね!」 「こどもたちはれいむのくちのなかにはいってね!」 「わかったよ!おかーさんがんばってね!」 「ひょひひふよ!」 「ゆー!」 「ゆがあああああああ!」 「おがーざんのばがあああああああ!」 「あががばぼごごおご・・・」 またあるれいむは他のくさに飛び乗ろうとして足を滑らし沈み。 「おなかすいたね・・・」 「だいじょうぶだよ!もうすこしでりくにつくよ!」 「そうだね・・・ゆっくりできるといいね・・・」 「れいむしっかりしてね!れいむ!」 「ゆっくりしたけっかがこれだよ・・・」 またまたあるれいむは別れた浮島の上で飢餓で苦しみながら死にました。 そんななか、一部のれいむ達は島の中心に向かって逃げていました。 れいむ達は群れのボスや作戦を発案したれいむ達でした。 「ゆゆっ!まんなかはまだくずれてないよ!」 「あそこにはきがはえてたよ!」 「あそこまでいけばゆっくりできるね!」 そう言いながられいむ達は中心に向かって必死に跳ねて行きました。 亀裂はれいむ達に容赦なく襲い掛かります。 「ゆぐゅ!」 「ゆっくりしないでね!はやくこっちにきてね!」 「ゆううううう!だずげでえ゙えええええええええ!」 「・・・ゆっくりしんでね!」 「ぞん゙な゙あ゙あああああああああ!」 「のろまなれいむはおいてのこったみんなでゆっくりするよ!」 そうやって仲間を見捨てながられいむたちはりんごの木に辿り着きました。 結局りんごの木まで辿り着けたのは10匹も満たしませんでした。 浮島の崩壊が終わると、りんごの木のれいむ達は辺りを見回します。 ばらばらになった浮島の残骸の上には何匹かれいむの姿が見えます。 しかし、食べ物が無いれいむたちは運よく湖畔に辿り着くでもしない限り餓死してしまうでしょう。 「ゆっ、ゆっ、ゆっくりたすけてね!」 「ゆぅ・・・」 何とかりんごの浮島に辿り着いたれいむが引き上げてもらおうと声を上げます。 しかし、そのれいむには下半分の体がありません。 これでは引き上げても助からないでしょう。 たとえ助かったとしても限りあるりんごです。 れいむは少ないことに越したことはありません。 浮島のれいむがしがみ付いてるれいむに向かいます。 「ゆっ、はやくたすけてね!」 助けてくれると思ったれいむははやく、はやくと浮島のれいむを急かします。 浮島のれいむはれいむがしがみついてる浮島の齧り、分離させました。 「どおじでえええええええ!」 「うるさいよ!そのからだじゃもうゆっくりできないんだよ!ゆっくりしね!」 しがみついていたれいむは浮力の減った浮島の残骸とともに湖に沈んでいきます。 その顔は驚きと憎しみでいっぱいでした。 浮島の崩壊からしばらくして、あたりは静けさを取り戻しました。 浮島の残骸は風によって様々な方向に流されて、りんごの木の周りには残っていませんでした。 りんごの木がある浮島では残った霊夢がりんごの木を巡って対立しています。 「れいむたちはおなかがすいたんだよ!そのきをたべさせてね!」 「いまたべたらりんごがならないよ!ゆっくりりかいしてね!」 空腹が限界を超えたれいむ達はりんごの木を食べようとじりじりと木に向かって進んでいきます。 それを、ある程度余裕があるれいむ達が押さえつけていました。 日が経つにつれて、空腹で我を忘れるれいむが増え始めたころ、とうとう共食いが始まりました。 「なにこれえええ!れいむってちょううめぇ!」 「ほんとだ~!」 「ムーしゃむーしゃしあわせええええええ!」 「あああああ、れいむのあがぢゃあああああん!」 「おねーさんたちゆっくちちてね!れいみゅおいしくないよ!」 最初は空腹で動けなくなっていた子ゆっくりを。 その後は、木を食べることに反対したれいむ達を。 そして誰が木を食べるか。 そんな争いを続けていくうち、 「これできまりだよ!」 「ゆっくりじだげっががごれだよ!」 最後まで残っていた二匹のうち、一匹がもう一匹を湖に突き落としました。 とうとうれいむは一匹になってしまいました。 「これでれいむをじゃまするものはいないね!」 れいむは安心してその場でゆっくりしだします。 それまでの戦いから疲れが溜まっていたれいむはぐっすりと眠ってしまいました。 れいむが寝ている間に浮島に強風が吹き荒れました。 その風はれいむのいる場所にも訪れ、戦いで取れやすくなっていたリボンを取っていきました。 「ゆっ・・・れいむのりぼおおおおおおん!」 れいむは風に流されるリボンに無我夢中で飛びつきました。 下は湖だと言うことも忘れて。 「あがががぼぼぼお・・・」 こうして、まりさの築いたゆっくりプレイスはゆっくり達のなかから消えていて行ったのでした・・・ 大きな湖に浮かぶ小さな小島。 ここにはりんごの木がありました。 りんごの木の下には花束が二つ置いてありました。 花を操る能力だけど植物もなんとか操れるんじゃないかと思って無茶させてみた。 旧作の方は知らなくて花のだけじゃよくわかんね。 性格が丸すぎる気もするな・・・うーん。 れいむの所が少ないと言われたので加筆してみた。 これでいいのだろうか。 とりあえずスレの664などを参考にしました。 意見くれた方ありがとう。 今まで書いた作品 ゆっくり水攻め ゆっくりの川流れ 天井のゆっくり ゆっくりまりさの水上生活 ゆっくり訓練 ぶるぶる とりもち 子ゆっくり きめぇまる このSSに感想を付ける
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「ま、まりざああああああああ!」 森の中からありすの声が聞こえる。 ゆっくりまりさは懸命に逃げていました。 親まりさだけならば楽に逃げることができました。 しかし、今は子まりさが4匹親の速度に必死についてきています。 幸いにもこの先は湖でした。 2匹の親まりさは森の先の湖を見て安堵します。 「ゆううううぅ!これでたすかるよ!」 「みんなはやくぼうしをうかべてね!」 親まりさの発言で我先に帽子を浮かべる子まりさ達。 子まりさが全部帽子に乗ったのを確認すると親まりさも帽子を浮かべました。 「まりざあああああああいっしょにゆっぐりじようよおおおお!」 「にげなくでもだいじょうぶだよおおおおおおおお!」 ありすの群れが森から飛び出してきます。 間一髪、親まりさは帽子に飛び乗ることができました。 急いで陸地から離れる親まりさ。 何匹かのありすは水も気にせずに親まりさに飛び掛かりました。 それを二匹は口に咥えた棒ですべて叩き落します。 「ま、まりざあああああガボゴボ・・・」 「たずげでええええええええ・・・」 「まりさ、いまならもどってきたらゆるしてあげるよ!」 湖畔で生き残ったありすたちがまりさ達に呼びかけます。 しかし、まりさたちが戻るわけにはいきません。戻れば死ぬのだから。 「まりさ、どうしよう・・・」 「とにかくすすむよ!ありすたちがいないばしょにいこうね!」 そうやっておやまりさは湖に帽子を漕ぎ出しました。 子まりさ達も親まりさに挟まれてオールで必死に水を掻いて行きます。 やがて、まりさたちの前に岸が現れました。 「ありすたちがいないよ!」 「あそこでおりようね!」 しばらく岸を巡り、上陸できる場所を見つけるとまりさ達は見知らぬ土地に上陸しました。 「ゆゆっ、なにかへん!」 「ちょっとじめんがぶよぶよしてるかも!」 「はねてもあまりいたくないよ!」 「ぶよんぶよん~。」 新しい土地でそれぞれ感想を言っていく子まりさ達。 親ゆっくりも子ゆっくりのように地面に違和感を感じたようでした。 しかし、記憶を探しても引っかかるものはありません。 「もっとおくにいってみようね!」 「たべものがあるといいね!」 まりさ達は岸辺を離れ、食べ物を探すことにしました。 ふよふよとした地面には草が生えていたが、大きな木は見つかりませんでした。 草原を掻き分けて進むとまた岸に辿り着きました。 「ゆゆゆ?みちまちがえたのかな?」 「ゆ~、つぎはきしにそってうごこうね!」 草原の中で道に迷ったと感じたまりさ達は今度は岸に沿ってうごくことにしたようでした。 「なにしてるの?」 「めじるしをつくってるんだよ!つぎにきたときこれがあればきづくでしょ!」 「おとーさんすごい!」 父まりさは次にここに来た時気づくよう目印を作ったようです。 それに気づいた子まりさに説明し、子まりさを教育するのも忘れません。 目印を出発したゆっくりまりさはゆっくりと岸にそって進みます 途中動物が現れるかもと警戒していましたが、現れたのは魚を狙う鳥ぐらいで、陸の動物は一度も会いませんでした。 そうして岸に沿ってまりさたちは進み、しばらくすると目印を作ったところに来てしまいました。 「ゆゆゆ!これはしまだよ!」 「しま?」 「おとーさんのおとーさんまりさがいってたよ!みずのなかにじめんがあるばしょがあるって!」 「ゆゆっ!?」 ここは浮島でした。 陸から離れた水草などの植物が何年もの年月により泥炭化し土となり、それが何年も繰り返されて大きな島となっていたのでした。 父まりさは自分が言ったことを確認するために足元の地面をすこし掘ります。 しばらくすると水が湧き出し、さらに掘ると底が見えない水が見えました。 「ゆゆ!!このじめんはあぶないよ!」 「すぐにうめてね!」 あわてて土をかぶせて埋めようとするまりさ達。 しかしそのまま土をかけても沈んでいくばかり。 「ゆうううううう!どおじでええええええええ!」 「ごごじゃゆっぐりでぎないいいいいいいいい!」 まりさたちはとうとう泣き出してしまました。 6匹の泣き声が回りに響き渡ります。 そこへ、 「おいおい、どうしたんだぜ?」 「ゆぅ?」 いきなり聞こえてきた声に不思議がるまりさたち。 辺りをきょろきょろ見回すがまりさたち以外にうごくものはいません。 「ゆゆゆ・・・ゆうれいだああああああ!」 「い゙や゙あああああああ!」 「帽子が邪魔なんだぜ、上をみてみな。」 「ゆっ!」 言われて上を見上げるゆっくり。 そこには箒に乗ってまりさにそっくりな人が浮いていて・・・ 「ま゙り゙ざあ゙あああああああああ!」 「ゆ゙っぐり゙じよ゙ゔね゙えええええええ!」 「そこでゆっくりしててね!」 向日葵畑の中でゆっくりまりさはゆっくりありす二匹から逃げていました。 ある人に会うためにいつも住んでいる場所から離れたここにやってきたのです。 不運にももう少しでその人のいる場所に着くというところでゆっくりありすに見つかってしまい、目的どころではなくなってしまったのでした。 向日葵畑に逃げ込んだは良かったのですが発情中のありすは驚異的な感覚でまりさを追いかけてきました。 長い間旅してきたまりさには逃げ切るだけの体力は残っておらず、まりさがすっきりさせられてしまうのも時間の問題でした。 「みんなとのやくそくがあああああああああ!」 ゆっくりまりさは旅立つ前、群れのみんなに絶対に帰ると約束していました。 その約束のために今までがんばってきたのだがもはやまりさに約束を守るための体力は残っていませんでした。 とうとう石にに躓き顔を地面に打ち付けるまりさ。 まりさはこれから怒ることに恐怖しながら必死に顔を起こし振り返ります。 しかし、あれほどまでにしつこく追いかけてきたゆっくりありすたちはいつまで経ってもやってくることはありませんでした。 「ゆゆ?にげきれたのかな?」 まりさは不思議に思っていると、ガサゴソと向日葵が揺り動く音が近づいてくるのに気づきます。 「ゆゆ!かくれなくちゃ!」 まりさは穴を掘って体を隠します。 穴にすっぽりと入ったまりさは帽子だけ地面から出た状態となりました。 こうすることで穴を掘るところを見なかったゆっくり以外の動物には人が落とした帽子に見えて襲われることはありません。 ゆっくりの場合は死んだゆっくりの装飾を持っていると他のゆっくりに嫌われるので何も見なかったように立ち去っていきます。 ありすが見ている間はできなかった隠れる行動ができて、まりさはこれで目的を果たすことができるだろうと安堵しました。 しかし、物音はまりさのほうに近づいてきます。 まりさは不安になり、よりいっそう穴に潜り込もうとしました。 とうとう物音はまりさの目の前までやってきます。 目を瞑り、じっと耐えるまりさ。 しばらくしても何も起こりません。 まりさはホッと胸をなでおろします。 同時に頭がスースーする感覚を覚えるゆっくりまりさ。 「ゆゆっ!まりさのぼうし!」 急にまりさの帽子がなくなりあわてて穴から飛び出したまりさは日傘をさした緑髪の女性が帽子を掴んでいるのを目にしました。 「ゆゆ、まりさのぼうしかえしてね!」 「言われなくても返すわよ。」 そういってその女性は帽子をまりさの頭に載せてくれます。 「おねーさんありがと!ゆっくりしていってね!」 「と、言われても元からここでゆっくりしてたんだけど。」 「ゆゆ・・・まりさもゆっくりさせてね!」 「その前にどうしてここに来たのか教えなさい。」 女性の質問にまりさは忘れていた目的を思い出しました。 「ゆ!ゆーかってひとにたねをもらいにきたんだよ!」 「種?」 「そうだよ!まりさたちがゆっくりするにはそのたねがひつようなの!」 「どこでそんなこと聞いたのかしら?」 「まりさにそっくりなかおのひとがほうきにのってあらわれたの!」 「あぁ名前も一緒だから分かりやすいわ。」 「それでゆーかってひとがたねをもってるっておしえてくれたの!」 「なるほど。」 まりさは緑髪のお姉さんの返答を待つ。群れの明日が掛かっているので断られたら土下座しても頼み込むつもりでした。 しかし、緑髪のお姉さんはあっさりと、 「いいわよ。」 「ゆっ!?おねーさんありがと!」 「ただし、貴方達の住処で渡す種をどうするか見させてもらうわ。」 「ゆゆゆ・・・わかったよ!ゆっくりあんないするね!」 群れの場所を知られるのはまずいとまりさは考えたが、恩人の教えてくれた人なのだからと自分を納得させます。 「それで、どんな種がほしいのかしら?」 「んーと、おみずにうかぶやつ!」 「水草?」 「よくわからないけどそれだよ!それならまりさたちもあんしんしてのれるってきいたよ!」 「よく分からないわね。ますます気になるわ。とにかく案内して頂戴。」 緑髪のお姉さんはまりさを持ち上げて飛び上がりました。 「ゆゆっ!おそらをとんでるみたい!」 「それで、貴方のお家はどこかしら?」 「ゆー、あそこだよ!」 そうやってまりさが顔を向けたのは大きな館が近くにある湖です。 「まさか湖の中で住んでいるの?」 「ゆっ!そうだよ!まりさたちのしまでくらしてるよ!」 そう言ってまりさは緑髪のお姉さんを案内します。 しばらくして、湖に浮かぶ浮島に到着しました。 「ここがそうなのかしら?」 「そうだよ!みんな、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 緑髪のお姉さんの腕の中でまりさがゆっくりの挨拶をすると草むらの中から一匹二匹とゆっくりが現れました。 ゆっくりは全部ゆっくりまりさ種です。 「まりさしかいないのね。」 「そうだよ!ここはまりさたちのおうちだよ!」 まりさは自慢げに答えます。 このまりさ達は初めてここに辿り着いたまりさ達と、同じく危険な目にあって浮島に辿り着いたまりさたちです。 今では小規模の群れとなっていました。 「おねーさんおろしてね!」 「はいはい。」 まりさは緑髪のお姉さんの腕から降りると草むらから出てきたまりさ達の元へ向かいました。 「ゆっくりしないでかえってきたよ!」 「おかえり、まりさ!みんなしんぱいしてたよ!」 「あぶなかったけどなんとかもくてきをはたせたよ!」 そのまりさの答えにゆっくりまりさ達は緑髪のお姉さんに顔を向けます。 「おねーさんはゆっくりできるひと?」 「今はゆっくりしてるわよ。」 そう返事するとまりさ達は警戒を解き、 「まりさたちがんばってくささんやおはなさんそだててるんだけどうまくいかないの!」 「なかまはどんどんふえるからもっとくさがひつようなの!」 「ほうきのおねーさんがくさばなでこまったらひまわりのおねーさんにそうだんすればいいっていってたの!」 「だから、むれでいちばんのまりさにたのんでつれてきてもらったの!」 「おねーさんおねがいします!」 と、緑髪のお姉さんに事情を話します。 事情を聞いた緑髪のお姉さんは箒に乗ってきた人に文句を言いながらも、ゆっくりのために種と上手な育て方、さらにこの浮島でも育つ食べれる植物の種を用意しました。 今までまりさ達は湖畔近くで食べ物を取って戻ってくるという危険な生活をしていたので、それが減り、より長く島で暮らせるのはとても喜ばしいことでした。 浮島は木が育つことが可能な場所もありました。 そこにはりんごの木を植えました。 緑髪のお姉さんのおかげですぐに育った草をまりさ達は敷き詰めて新たな地面にしていきます。 「ゆ~、おねえさんありがと!」 「これでゆっくりくらせるよ!」 「おねーさんにもらったたねがんばってそだてるからね!」 「がんばって綺麗な花を咲かせなさい。枯らせてしまったら許さないわよ。」 そういって緑髪のおねーさんは去っていきました。 その後もたまにやってくる箒のお姉さんと緑髪のお姉さんにいろいろ教わりながら、ゆっくりまりさの浮島は湖の上のゆっくりプレイスとなりました。 ゆっくりプレイスの場所をどこで聞いたのか、時たままりさが浮島に流れ着き、群れの住人となりました。 そうやって数を少しずつ増やしながら、まりさたちは浮島でゆっくりとした生活を送っていました・・・ 「ゆうぅぅぅ、まりさたちだけゆっくりしててずるいよ!」 「そうだよ!れいむたちもあそこでゆっくりしたいよ!」 「まりさたちはひきょうだよ!」 木の上で文句を言うのはゆっくりれいむ。 れいむはリボンをつけていますが特に能力もなく、帽子で湖を渡るまりさをとても羨ましく見ていました。 「れいむたちもあのぼうしがあればゆっくりできるのにね!」 「れいむもりぼんじゃなくてぼうしがよかったよ!」 「しろくろのくせにれいむよりすぐれてるなんてゆるせないね!」 このれいむたちはまりさがありすにおわれて湖に逃げるのを木の上で見ていたのでした。 そのまま戻れなくなっているまりさの家族を笑っていたらまりさたちが湖の上で歩いているの見て驚きます。 よく見れば地面があるのが分かり、それでも何も無さそうな場所だったのであのまままりさ達は死んでしまうだろうと思いました。 しかし、しばらくしてまりさ達がどうなったか見に行くと何もない場所ですごくゆっくりしているではありませんか。 本当なられいむたちのもそこに行ってゆっくりしたいのですが、帽子がない霊夢は浮島に行く方法がありません。 一度まりさに帽子にれいむも乗せてと頼んだことがありました。 その時はまりさが、 「まりさのぼうしはひとりようだよ!れいむはのせれないんだ!ごめんね!」 そういってまりさは一人で浮島に向かっていったのでした。 れいむはそれを悔しそうに見るしかありませんでした。 それからもれいむは気の合う仲間たちと浮島を眺めてはゆっくりしているまりさを見て文句を言っていました。 このれいむたちは湖付近ではかなり多きい群れでしたが、発情ありすや人間によって常にゆっくりしているわけではありませんでした。 それゆえ、ずっとゆっくりできている浮島のまりさたちが羨ましかったのです。 今日もまた一匹のゆっくりまりさが浮島に向かおうと湖畔にやってきていました。 木の上のれいむは木から下りてまりさに言います。 「れいむもあそこにつれていってね!」 「ゆゆっ!だめだよ!ぼうしはひとつしかないよ!」 またれいむはまりさに断られてしまいました。 しかし今日は引き下がりません。 「どーしてもだめ?」 「どーしてもだよ!これはまりさのたいせつなぼうしだもん!」 そういってまりさはれいむを無視して帽子を湖に浮かべました。 その時、 「じゃあゆっくりしね!!」 「ゆぐっ!」 れいむはまりさを突き飛ばしました。帽子ではなく湖に落ちたまりさは沈んでいきます。 「れいむ゙ううううう!どおおおじでえええええ!」 「まりさだけゆっくりするのはぜったいにゆるさないよ!」 残ったのは先ほどのまりさのぼうし、れいむはそこに飛び乗ります。 「ゆっゆっ、れいむものれるよ!まりさはうそつきだね!」 初めて水に浮かんだれいむは大はしゃぎです。 一緒にいたれいむも乗りたそうにれいむを眺めていました。 しばらく交代で帽子に乗って遊んでいるとまりさを突き落としたれいむが何かを決意したような顔で言いました。 「これからむれのみんなにいってあのうきしまをれいむたちのものにするよ!」 「ゆゆゆ!?」 「あそこなられいむたちだってずっとゆっくりできるよ!」 「そうだね!まりさたちにはもったいないね!」 れいむはそう言って群れのみんなに自分の意見を話しました。 最近ありすの襲撃で仲間を減らし、ゆっくりできていなかったれいむの群れはその提案に賛成しました。 それからしばらくして、帽子を奪われ餡子を飛び散らせたまりさの死体が森に散乱するようになりました・・・ 「ここでゆっくりさせてね!」 「ゆっくりしていってね!」 浮島のまりさの群れは今日も数匹のまりさを仲間に加えました。 「ここでぼうしをかわかせてね!そうしないとゆっくりとけちゃうよ!」 「そうだね!ありがと!」 やってきたまりさは浮島の上に帽子を引き上げて帽子を乾かします。 いくら水に強い帽子でもずっと水の中だと溶けてしまうのでした。 帽子を乾かしている間になぜここに来たのかをやってきたまりさに聞きます。 浮島で生活するまりさたちには外から来る情報はとても貴重なものでした。 「ゆっ!もりのなかでぼうしをとられるまりさがふえたんだよ!」 「ゆゆっ!だいじなぼうしなのに!」 「そうだよ!だからまりさはとられるまえににげてきたの!」 「ここならあんぜんだよ!ゆっくりしていってね!」 群れの主要なまりさはやってきたまりさ達に事情を聞いた後集まって会議を始めました。 「ゆゆゆ・・・みんながいってるからもりのことはほんとうみたいだね!」 「これからもどんどんまりさたちがやってきそうだよ!」 「そのためにはここをもっとおおきくしないと!」 まりさ達は浮島に住めるゆっくりの場所が少なくなっているのに気づいていました。 とてもとても広い湖なので浮島を大きくしても問題はありません。 しかし、浮島を作るために必要な植物は育つまで時間が掛かります。 そして、まりさたちを悩ませていることがもう一つありました。 「でも、さいきんくささんたちへんだよ・・・」 「ゆっくりできてないよね・・・」 「いわれたとおりにそだててるのにね・・・」 まりさたちの使う植物のうち、一部の植物達が上手く育っていませんでした。 その草の部分で浮島に亀裂ができて島から離れてしまったり、浮島が沈んでしまうのです。 すぐに新しい草で補強して何とかしていますが所詮時間稼ぎでした。 「ゆゆゆ・・・こまったときはみどりがみのおねーさんにそうだんだよ!」 「ゆっ!そうだね!おねーさんならきっとなんとかしてくれるね!」 まりさたちは植物のことで困ったら緑髪のお姉さんと箒のお姉さんに助言を貰いに言っていました。 今回は植物についてなので緑髪のお姉さんを訪ねることにしたのです。 「ゆぅ・・・でももりはいまあぶないらしいよ!」 「でもでも、このままじゃゆっくりできないよ!」 森の危険はやってきたまりさたちによって浮島のまりさ達にも恐怖を植えつけていました。 緑髪のお姉さんを呼ぶには森を抜けねばなりません。 そんな危険な場所に誰を行かせるか・・・ まりさ達が悩んでいると一匹のまりさがやってきます。 「まりさがいくよ!まりさはまえにもいったことがあるよ!」 「ゆゆ!そうだね!むれでいちばんはやいまりさならあんしんだよ!」 そのまりさは初めて向日葵畑に向かったまりさでした。 あの後も何回か行っていたのでどうすれば森をすぐに抜けれるかも知っていました。 群れの主要なまりさ達はこのまりさに望みを託すことにしました。 出発の日。 朝早くに浮島を出発することになったまりさは群れのまりさに見送られながら帽子を漕ぎ出します。 何事もなく湖畔につき、森に入ろうとしたとき一匹のれいむが前に立ちはだかりました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっ、ゆっくりしていってね!」 れいむの発言に条件反射で答えてしまうまりさ。 しかし、ゆっくりしているとそれだけ浮島の仲間がゆっくりできなくなります。 「れいむ、ごめんね!まりさはいそいでるんだ!」 「ゆっくりしつもんさせてね!」 まりさの断りも気にせずまりさに質問をするれいむ。 まりさは苛立ちながらもゆっくりと質問を待ちます。 「いままりさたちのむれはゆっくりしてる?」 「いまたいへんだからゆっくりしてないよ!だからさっさとどいてね!」 まりさは正直に答えて退いて貰おうとします。 しかし、れいむは顔をにやけさせて逆にまりさを捕まえようとしました。 「ゆゆ、ゆっくりやめてね!」 「うごかないでね!」 まりさはれいむの突進を避けます。そのまま自慢の足で森に逃げ込もうとすると、別のれいむが二匹現れました。 これで助けてもらえる。 まりさはそう思い、新たなれいむ達に声をかけます。 「よかった!まりさをたすけてね!」 そういってまりさは二匹のれいむに近づいていきます。 そして、二匹を横切ろうとしたとき、二匹によって左右から掴まれてしまいました。 「ゆゆっ!ゆっくりやめてね!」 まりさの発言を無視して、二匹のれいむはまりさを地面に押さえつけました。 そこに先ほど突進してきたれいむがやってきます。 「まりさ、むれのことおしえてくれてありがとね!これでこんばんれいむのさくせんをじっこうできるよ!」 「ゆゆゆゆ!なにいってるの!」 いきなり作戦がどうこういいだしたれいむをまりさは不思議がります。 「まりさのむれはゆっくりできてないんでしょ?」 「そうだよ!だからまりさをはなしてね!」 「それなら、こんばんれいむたちがせめたらかんたんにうばえるね!」 「なにいっでるのおおおおおお!」 まりさはれいむの言っている事が理解できません。 だってまりさと違いれいむは帽子がないのです。それでは湖を渡れません。 「れいむはうきしまにわたれないよ!」 「そんなことないよ!」 そういってゴソゴソと茂みから何かを取り出すれいむ。 それは、ゆっくりまりさの帽子でした。 「どおじでえええええええええええ!」 まりさはれいむの発言より驚きました。 まりさ種は帽子をとても大事にします。他のゆっくりに上げることはありません。 そこまで考えてまりさは森で起こっている事件を思い出しました。 あの事件は帽子を奪うためにれいむたちがやっていたのです。 「ぎざま゙ああああああああああああ!」 「ゆっゆっゆっ!」 まりさは声を振り絞り叫びます。 そんなまりさをれいむは見下した目で笑いました。 「きづいたようだけどもうおそいよ!」 「ぼうしはみんなのぶんそろったよ!」 「あとはあのうきしまをれいむのものにするだけだよ!」 ふんぞり返るれいむの答えにまりさを押さえつけているれいむも続けます。 まりさは何とか逃げ出そうともがきます。 「むだだよ!まりさたちはもういっぴきもにがさにからね!」 「ゆゆゆ・・・むれのなかまがおまえたちをゆるさないよ!」 「れいむたちはまりさたちのねたよなかにせめこむんだよ!」 「れいむのすごいさくせんはおばかなまりさたちにきづかれることはないよ!」 「まりさがばかでたすかったよ!」 悔し紛れの対応もれいむたちに流され、さらに馬鹿にされてしまったまりさは涙が止まりません。 「お゙ね゙がい゙や゙め゙でえ゙ええええええええええ!」 「うるさいよ!まりさはそこでしね!」 「ゆぎゅ!」 泣き叫ぶまりさをれいむ達三匹で踏みつけます。 まりさは踏まれるたびに悲鳴を上げて、餡子を飛び散らせて死んでしまいました。 「じゃあさくせんどおりよなかにせめこむよ!それまでゆっくりしようね!」 れいむ達はそう言ってもりのなかに消えていきました・・・ ゆっくりまりさを送り出した浮島のまりさ達はその日も数匹のまりさを仲間に加え、いつもどおりに暮らしました。 その夜、まりさ達は緑髪のお姉さんが来なかった事を残念がり明日には来るだろうと、いつもより早く寝ていました。 箒のお姉さんによって外敵から襲われにくくなったまりさ達は、ゆっくりと帽子を漕ぐれいむ達に気づきませんでした・・・ 「ゆーおかあちゃんおにゃかしゅいたー。」 群れの一匹の赤ちゃんまりさが目を覚まします。 赤ちゃんはお腹が空いたので母親にご飯を貰おうと親まりさを探しました。 しかし、辺りを見回しても親まりさも姉妹のまりさも見つかりません。 「おかああああさあああああさぎゅ!」 母親を探そうと声を上げたまりさは誰かに圧し掛かられました。 まだ成長しきっていない赤ちゃんまりさはそれだけでぼろぼろです。 「ゆぐぅ!」 今度は後ろにか見つかれ持ち上げられました。 噛まれた部分から餡子を滲ませながらも赤ちゃんまりさは逃げようと体を振ります。 「はにゃじでえええええ!」 まりさが暴れていると急に噛まれていた所が痛くなくなります。 「ゆっ?」 それと同時にまりさは自分が落下していることが分かりました。 これで地面について逃げられる。 まりさはそう思い元気を取り戻しました。 しかし、 ボチャン! 「ゆぎゅごぼぼぼ・・・」 赤ちゃんまりさは地面につくことはありませんでした。 赤ちゃんまりさは空けられた穴から湖に吸い込まれ帽子ともども二度と浮き上がってきませんでした。 「ゆっ!こいつでさいごだね!」 危険を考えずにぐっすりと寝ていたまりさたちは各個撃破され、湖に沈んでいきました。 まりさを潰すごとに穴を開けていたので穴だらけでしたが、すこし気にすれば生活できないほどではありません。 れいむたちは勝手に地面が戻るものだと思っていました。 今まで住んでいた地面は何もしなくても穴が埋まったりしていたので今回もそう思ったのです。 まりさ達を沈めたれいむたちは島の中央に集まります。 そこには溜め込んだ食べ物や植物の種、そして実をつけたりんごの木がありました。 「ゆゆ!おいしそうなごはんだよ!」 「うめぇ!これめちゃうめぇ!」 れいむたちはまりさ達を潰して疲れていたので我先にと食べ物を漁ります。 何匹かはりんごの木に向かいました。 「りんごだ!」 「だめだよ!」 りんごに向かって飛び掛ったれいむをまりさが突き飛ばしました。 「これはおねーさんといっしょにたべるためのりんごだよ!」 「ゆゆゆ・・・まだいきのこってたんだね!」 「もうまりさはひとりだよ!ゆっくりしんでね!」 そうやってまりさとりんごを狙うれいむ達。 まりさはりんごと自分を守るために必死に飛び跳ねました。 しかし、多勢に無勢、とうとうまりさはれいむに捕まります。 まりさは潰されるのを覚悟しましたが、れいむ達はまりさを押さえつけ、りんごの木に向かいました。 そうして、泣き叫ぶまりさの前でりんごをゆっくりと食べきってしまったのです。 「どお゙じでごん゙な゙ごどずる゙の゙お゙おおおおおおおお!」 「まりさりんごおいしかったよ!」 まりさは足を噛み千切られて湖に捨てられました。 まりさは沈んでいきます。 まりさを見て笑い転げるれいむに何もできず死ぬことに涙しながら溶けてしまいました。 「まりさもいなくなったし、きょうからここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!」 「ここでずっとゆっくりしようね!」 「あしたはまえのすみかからしょくりょうをはこぼうね!」 「まりさのぼうしはどうしよう?」 「みずうみにながされないようにうかべとけばいいよ!」 「そうだね!それならすぐつかえるね!」 明日の朝、元の住処から食料を運ぶことやどこで住むかなどをゆっくり決めてかられいむ達はぐっすりと眠りました・・・ 次の朝、れいむは帽子がなくなっていることに気づきます。 「れいむのぼうしがなくなっちゃった!」 「どおじでえええええええええ!」 「これじゃゆっぐりでぎないいいい!」 れいむは口々に騒ぎ始めます。 そこにさくせんを発案したれいむがやってきました。 「だいじょうぶだよ!ここにはくさがいっぱいあるからしばらくたべものにはこまらないよ!」 「そうだよ!それにりんごのきもあるよ!」 「まりさたちはここでくらしてたんだからたべものもあるはずだよ!」 れいむの言葉に騒ぐものはいなくなりました。 そうして各々ゆっくりしだします。 「ここならにんげんもこれないね!」 「そうだね!あかちゃんたちもゆっくりできるよ!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 といっても、付近で最大規模のれいむの群れが全部やってきたのですから浮島の上はゆっくりでいっぱいでした。 これでは飛び跳ねたりはできません。 「あかちゃんたちはみずうみにちかづかないでね!」 「あぶないからね!」 「わかっちゃよ!はなれてゆっくちちてるよ!」 昨日空けた穴のせいでもあったのでれいむ達は早く穴が埋まらないかなと思っていました。 そうして、昼頃になるとれいむ達は地面の草を食べ始めました。 「むーしゃ!むーしゃ!しあわせ~!」 「このくさおいしいね!」 「やわらかいからあかちゃんもたべやすいよ!」 「ちあわちぇ~!」 「いっぱいあるから、おなかいっぱいになるまでたべようね!」 浮島は草で覆われているのでれいむ全員でもしばらくは食べ切れないと思われました。 しかし、草は浮島を形成する上でとても重要な部分です。 その草を食べるとどうなるか。 まりさが残っていれば分かるのですが今ここにまりさはいません。 誰にもとがめられることなく、れいむ達は地面の草を貪り食いました。 異変が起こったのは昼ごはんを食べてゆっくりしていたときです。 「ゆゆっ!!なんだかしずんでるよ!」 「そこはあぶないよにげてね!」 「おなかいっぱいでうごけないいいいいい!」 一匹のれいむのいた地面が崩れ、湖に落ちたのです。 「ゆぎゅううううう!たすげでごぼぼぼぼぼ・・・」 「ゆぎゃああああああ!」 「おがあああぢゃああああああん!」 「はやくおかーちゃんたちゅけてね!」 「ゆゆゆゆ・・・」 帽子のないれいむ達には助けることができません。 「い゙や゙あ゙ああああああああ!」 「ゆううう、どおじでえええええええ!」 「れいむたちなにもしてないのにいいいいいい!」 一匹の死を悲しんでいると他の場所からも悲鳴が上がりました。 「ゆゆゆ・・・こんどはなに!?」 「またひとりおちたよ!」 「れいむのあがぢゃんがああああああああ!」 れいむ達はあわてます。 何かおかしなことが起こっていると。 「まりさたちがまだいるの!?」 「このしまにはれいむたちだけだよ!」 「じゃあなにがおこってるの!」 「れいむわからないよ!」 「とにかくゆっくりしないでね!」 しかし、れいむで埋められた浮島は表面上何が起こっているのか分かりません。 「ゆ!おかーしゃんどこいくのおおおおお!」 「れいむのあがぢゃああああああん!」 「まっててね!いまいくからね!」 「ゆっくち!・・・じっばいいいいいいい!」 「はやくもどってね!とけちゃうよ!」 「もどれに゙ゃい゙よ゙おおおおおおおお!」 れいむ達が島が崩れていると気づいたのは島に亀裂が入り、ばらばらになったときでした。 もちろん、そのときには手遅れです。 「く、くささんがんばってね!れいむがおちちゃうよ!」 「ごごじゃゆっぐりでぎないいいいいいいい!」 あるれいむはゆっくりの重さに耐えれなくなった草ごと沈み。 「ここはあぶないよ!むこうにとびうつろうね!」 「こどもたちはれいむのくちのなかにはいってね!」 「わかったよ!おかーさんがんばってね!」 「ひょひひふよ!」 「ゆー!」 「ゆがあああああああ!」 「おがーざんのばがあああああああ!」 「あががばぼごごおご・・・」 またあるれいむは他のくさに飛び乗ろうとして足を滑らし沈み。 「おなかすいたね・・・」 「だいじょうぶだよ!もうすこしでりくにつくよ!」 「そうだね・・・ゆっくりできるといいね・・・」 「れいむしっかりしてね!れいむ!」 「ゆっくりしたけっかがこれだよ・・・」 またまたあるれいむは別れた浮島の上で飢餓で苦しみながら死にました。 そんななか、一部のれいむ達は島の中心に向かって逃げていました。 れいむ達は群れのボスや作戦を発案したれいむ達でした。 「ゆゆっ!まんなかはまだくずれてないよ!」 「あそこにはきがはえてたよ!」 「あそこまでいけばゆっくりできるね!」 そう言いながられいむ達は中心に向かって必死に跳ねて行きました。 亀裂はれいむ達に容赦なく襲い掛かります。 「ゆぐゅ!」 「ゆっくりしないでね!はやくこっちにきてね!」 「ゆううううう!だずげでえ゙えええええええええ!」 「・・・ゆっくりしんでね!」 「ぞん゙な゙あ゙あああああああああ!」 「のろまなれいむはおいてのこったみんなでゆっくりするよ!」 そうやって仲間を見捨てながられいむたちはりんごの木に辿り着きました。 結局りんごの木まで辿り着けたのは10匹も満たしませんでした。 浮島の崩壊が終わると、りんごの木のれいむ達は辺りを見回します。 ばらばらになった浮島の残骸の上には何匹かれいむの姿が見えます。 しかし、食べ物が無いれいむたちは運よく湖畔に辿り着くでもしない限り餓死してしまうでしょう。 「ゆっ、ゆっ、ゆっくりたすけてね!」 「ゆぅ・・・」 何とかりんごの浮島に辿り着いたれいむが引き上げてもらおうと声を上げます。 しかし、そのれいむには下半分の体がありません。 これでは引き上げても助からないでしょう。 たとえ助かったとしても限りあるりんごです。 れいむは少ないことに越したことはありません。 浮島のれいむがしがみ付いてるれいむに向かいます。 「ゆっ、はやくたすけてね!」 助けてくれると思ったれいむははやく、はやくと浮島のれいむを急かします。 浮島のれいむはれいむがしがみついてる浮島の齧り、分離させました。 「どおじでえええええええ!」 「うるさいよ!そのからだじゃもうゆっくりできないんだよ!ゆっくりしね!」 しがみついていたれいむは浮力の減った浮島の残骸とともに湖に沈んでいきます。 その顔は驚きと憎しみでいっぱいでした。 浮島の崩壊からしばらくして、あたりは静けさを取り戻しました。 浮島の残骸は風によって様々な方向に流されて、りんごの木の周りには残っていませんでした。 りんごの木がある浮島では残った霊夢がりんごの木を巡って対立しています。 「れいむたちはおなかがすいたんだよ!そのきをたべさせてね!」 「いまたべたらりんごがならないよ!ゆっくりりかいしてね!」 空腹が限界を超えたれいむ達はりんごの木を食べようとじりじりと木に向かって進んでいきます。 それを、ある程度余裕があるれいむ達が押さえつけていました。 日が経つにつれて、空腹で我を忘れるれいむが増え始めたころ、とうとう共食いが始まりました。 「なにこれえええ!れいむってちょううめぇ!」 「ほんとだ~!」 「ムーしゃむーしゃしあわせええええええ!」 「あああああ、れいむのあがぢゃあああああん!」 「おねーさんたちゆっくちちてね!れいみゅおいしくないよ!」 最初は空腹で動けなくなっていた子ゆっくりを。 その後は、木を食べることに反対したれいむ達を。 そして誰が木を食べるか。 そんな争いを続けていくうち、 「これできまりだよ!」 「ゆっくりじだげっががごれだよ!」 最後まで残っていた二匹のうち、一匹がもう一匹を湖に突き落としました。 とうとうれいむは一匹になってしまいました。 「これでれいむをじゃまするものはいないね!」 れいむは安心してその場でゆっくりしだします。 それまでの戦いから疲れが溜まっていたれいむはぐっすりと眠ってしまいました。 れいむが寝ている間に浮島に強風が吹き荒れました。 その風はれいむのいる場所にも訪れ、戦いで取れやすくなっていたリボンを取っていきました。 「ゆっ・・・れいむのりぼおおおおおおん!」 れいむは風に流されるリボンに無我夢中で飛びつきました。 下は湖だと言うことも忘れて。 「あがががぼぼぼお・・・」 こうして、まりさの築いたゆっくりプレイスはゆっくり達のなかから消えていて行ったのでした・・・ 大きな湖に浮かぶ小さな小島。 ここにはりんごの木がありました。 りんごの木の下には花束が二つ置いてありました。 花を操る能力だけど植物もなんとか操れるんじゃないかと思って無茶させてみた。 旧作の方は知らなくて花のだけじゃよくわかんね。 性格が丸すぎる気もするな・・・うーん。 れいむの所が少ないと言われたので加筆してみた。 これでいいのだろうか。 とりあえずスレの664などを参考にしました。 意見くれた方ありがとう。 今まで書いた作品 ゆっくり水攻め ゆっくりの川流れ 天井のゆっくり ゆっくりまりさの水上生活 ゆっくり訓練 ぶるぶる とりもち 子ゆっくり きめぇまる このSSに感想を付ける
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パパパパパォワ~、ドドン!! ・AD660年、レティ=ハーンがまりさに宣戦布告!! 「いろいろ言いたいことはあるが・・・・、レポ主、少し表でようか。」 STAGE4 STAGE5 STAGE6 REPLAY STAGE4 「『パターン化』はAD400年にレティ・ハーンさんから入手済みだよ。今回は三人東方ユニットがいるし、余裕で守りきれるだろうね。」 「おい、なんで霊夢が出てきてるんだ!?」 「だって主人公だもん! 一番手はあんたに譲ったけど、それでも早めに登場しないと話にならないもんね!!」 「うぅ・・・・ホントはお師匠様かアリスに出てきてほしかったんだぜ・・・・。」 「スイカはいいの?」 「あたしはスペルで連続攻撃ができるからね。むしろ必要なのさ。」 「今連続攻撃ができるのはスイカと、教練ルートから連続攻撃を取得した僕のまりさだけだね。それに引き換えこの巫女は・・・・・。」 「う、うっさいわね!! いいじゃない、ほら、あれよ。マスコットってやつよ!!」 「呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪・・・・・・・・」 「はぁ、まぁいいや。とりあえず倒すぜ?」 ・AD780年、水密がうどんさんの属国になることに同意します! ・AD800年、まりさ―レティ・ハーン停戦。 「ま、ざっとこんなところだな! 体験版といった感じだぜ。」 「そうね。準備運動にもならなかったわ。」 「貴女、一回無謀に突撃してピチュッたじゃない。」 「あ、あれは・・・・そう、ハンデよハンデ! こっちはキーボード操作だったのよ、うん!」 「れいむよわすwww」 「うっさい!!」 ・AD940年、「経済学」獲得。一番乗り! ・AD1020年、レティが「自由主義」獲得。 そう、関係ないね。 ・AD1080年、「判定見切り」獲得! ・同年、天子に「火薬」+「銀行」を渡してもこたんと和平させる。 「なんで?」 「妹紅が最初のターゲットだからな。一人蜂蜜酒で援軍もないだろうし。」 ・AD1090年、レティから780G の恐喝。拒否! 今は東方ユニットのアップグレードに金銭が必要。 ・AD1140年、「人形操術」獲得 ・AD1160年、「博麗式」がまだだが、弱ったもこたん相手なら十分と判断。開戦を決定! 「準備完了だね。『博麗式』は攻略中に完成するだろうからどこかのタイミングでアップグレードしようか。」 「この時点の世界情勢だぜ!」 「ここまでいい感じに情熱大陸だったわね。殆ど全員が常時誰かと弾幕ごっこをしている状態だったわ。」 「おかげで首領だというのに技術の進みがかなり鈍くて助かったよ。」 「現在の技術テーブルだな。」 「黒幕やうどんげの技術の進み方が早いわね。なるべく早めにたたいておききたいものね。」 「まぁ、でも無双モードに限らず、征服勝利狙いのときははぐれたやつから降伏させていく方が安全だ。予定通り隣のお釈迦様を攻略するぜ!」 STAGE5 パパパパパォワ~、ドドン! ・AD1160年、まりさがもこたんステージに挑戦!! 「さぁ、いよいよ本編攻略開始だぜ☆」 ・AD1160年、龍神の石造占領!! ・AD1170年、秘封倶楽部占領!! ・AD1190ねん、けーねのおうち占領!! ・AD1200年、水密がうどんさんから独立。 ・AD1210年、人間の里占領!! ・AD1220年、寺子屋占領!! STAGE1クリア!!(もこたん降伏) 「所詮1ボスってところだな。あっけなかったぜ!」 「私はEXボスだぁ~~~!!」 「ルーズドックの遠吠えが心地いいわね。」 「ところでこの面の終盤に気になる事象が起きてるね。」 「戦争中の相手に帰属希望って・・・・・自殺願望でもあるんじゃない?」 「ときどき頭がわいたような行動取るよな、市民。」 ・AD1230年、もこたんに全都市を返還。 ・AD1240年、「博麗式」完成。研究を「軍事科学」目標に。 パパパパパォワ~、ドドン!!×2 ・AD1250年、準備完了、まりさがフランちゃんステージに挑戦!! ・AD1260年、大図書館占領! ・AD1270年、紅魔館占領! STAGE2クリア!!(フランちゃん降伏) 「まだ二面だしな。サクサク行くZE☆」 「私もEXボスだよー!!」 「フランはお釈迦様におされ気味だったようで、既に大分弱っていたみたいだね。」 「次は船長を倒そうぜ! 理由はなんか国境際にスタックを集めていたからだ!!」 パパパパパォワ~、ドドン!!!×3 ・AD1300年、まりさが水密のステージに挑戦! ・同年、信貴山占領!! 「ざわ・・・・・・・・ざわ・・・・・・・」 パパパパパォワ~、ドドン! ・AD1310年、天子がまりさに宣戦布告!! 「そこまでよ!!」 「船長の宣戦依頼のようだね。どうする?」 「天子は強いからなぁ~、五人しかいない私達がばらばらに戦うのは効率がよくないなぁ。 船長とはいったん和平して先に天子を攻略しようか。」 ・AD1320年、ネズミ達の倉庫攻略!! ・同年、まりさ―水密(一時)和平。 「さぁ~、どんどん都市を占領しちゃおうね~~~。」 ・AD1360年、河童の胡瓜畑占領! ・AD1380年、妖怪の山占領! ・AD1400年、守屋神社占領! STAGE3クリア!!(天子降伏) 「途中横やりが入ったが、むしろ好機と標的を切り替えてやったぜ!」 「船長のスタックは初撃で壊滅していたからね。いつでも再戦できるよ。」 「次行きましょう。 クマ狩りなんてどうかしら? 理由? 近いからよ!!」 パパパパパォワ~、ドドン!!!!×4 ・AD1400年、まりさがくまさんステージに挑戦! ・AD1410年、旧都占領! ・AD1430年、三都市一斉攻略。 地霊殿、地下と地上を結ぶ縦穴、夢枕占領!! ・同年STAGE4クリア!! 「く、くま~~~(悲しげ)」 「なんで熊がボスなんだ?」 「さぁね。ボーナスステージなんじゃない?」 「(正直そろそろまともに登場したいのだが・・・・。)」 「(ナカーマ♪)」 「よし、船長と再戦しようじゃないか! 理由? 近い(ry」 パパパパパォワ~、ドドン!!!!!×5 ・AD1440年、まりさが水密ステージに挑戦! ・同年三都市同時攻略。 寅丸の船室、命蓮寺、幽霊客船占領!! ・AD1450年、飛倉占領! ・AD1460年、惨憺たる大海原占領! STAGE5クリア! 「さっき主力は叩き潰したからな。 正直無人の船を占領するだけの簡単なお仕事だったぜ。」 「ここまでまりさ単独での無双状態にはしないで、なるべく全員で戦うようにしてるよね?」 「私一人では数的限界があるからな。私達は五人で一つのチームなんだZE☆ なるべくみんなで強くならないといけないと思ってな。」 「さすがはわたしのまりさ/// みんなへの愛g・・・・」 「さすがは僕のまりさだ!! その思いやりと先見の明、称賛に値する!!」 「シャンハーイ!!!」 STAGE6 「しっかし、張り合いがないわねぇ。 首領なのに出てくるスタックはいいとこ皇帝どまりじゃない。」 「さっきも言ったけど常時戦争状態で誰もが戦力をすり減らしながら来たからね。」 「でも次はやばそうだぜ。 なんたって領土面積一位、属国にリリーを従えたうどん帝国が相手だからな!」 パパパパパォワ~、ドドン!!!!!!×6 ・AD1460年、まりさがうどんさん・リリーステージに挑戦! 「わっ、なんかいる!!」 「うわ~~~~、ため込んだわね。 ざっと100ユニット以上のデススタックに、後続からの増援あり、かぁ。」 「最終ステージにふさわしい陣容だな! 私達は手数は少ないが『特別奇襲』を持っている。これを活かしてヒットアウェイ戦法だぜ!!」 「補足しよう!! 都市に籠る(なぜか籠ってた。)デススタックに特奇持ちユニットで攻撃⇒移動力を使い切らずに友軍文化圏2マス以内にひっこむ戦術だ。反撃怖いからね。」 ・少女死闘中・・・・(AD1460~AD1510) 「何とか淤岐島の決戦に勝利したぜ! 倒したユニットは120以上だ。」 「こうなれば後はもろいわね。 さぁ~どんどん都市を切り取っちゃおうね~」 ・AD1510年淤岐島占領! ・AD1515年、三都市一斉攻略。 月都万象屋、因幡休憩所、蓬莱診療所占領!! ・AD1520年、三都市一斉攻略。 無名の丘、ヒエラコンポリス、新薬研究所占領!! ・AD1525年、永遠亭占領! ・AD1530年、二都市同時攻略、迷いの竹林、毒畑占領! 「宗主国うどんさん、お前の都市は後一都市!」 「リリーが独立したら降伏してもらおうか。それまでは飼殺そうね。」 ・AD1535年、リリーがうどんさんから独立! ・同年、二都市同時攻略、桜花結界、白玉楼占領! ・同年、STAGE6クリア! (うどんさん、リリー降伏) 「よーし! ノーコンティニュークリアでエンディングだぜ!」 「宴会だ―――!!」 「ここまで長かったわね。でもまりさのおかげでようやく幻想郷の戦火も消え・・・・」 「待て―――い!! 余の存在を完全スルーで大団円ムードに入るなど言語道断! 貴公らの首は柱に吊るされるのがお似合いだ!!」 「・・・・あの・・・完全に地が出てます・・・。」 「あー、EXTRAステージもあったな。 じゃあサクッとクリアしてくるZE!!」 「早く帰ってこないとお饅頭全部食べちゃうからね~~~!」 「・・・・・・・・・・・。」 パパパパパォワ~、ドドン!!!!!!!!×8 ・AD1540年、まりさがEXTRAステージに挑戦! ・同年、バクトリア占領! ・AD1545年、4都市一斉攻略。 八目鰻の屋台、まっくらもり、霧の湖、大蝦蟇の池(破壊)占領! ・AD1550年、蛍の川占領! EXTRAステージクリア!! 「よ・・・・よくぞこの私を黒幕だと見破った・・・・見事だ・・・・」 「はいはい、civ4に帰ってくださいね。まったくわからない人には本当にわからないネタなんだから自重しなさいってのに・・・」 「いまさらではあるが、わからない方のために一応補足をすると、ちらほら出てくるciv4の指導者たちは、この叙事詩のそれぞれの指導者の元となったAIの方たちだよ。本家civ4に近い挙動をするので今回ネタに据えてみたというわけ。」 「なんかすごい勢いで話がそれていってるが、次のターンにはクリアだぜ!」 「遅かったじゃない。お饅頭全部食べちゃったわよ?」 「がーんだな。」 ・AD1555年、まりさは東方戦火異変をクリアした!! (↑痛恨のミス。クリアしたのは1555年です・・・。) REPLAY 「・・・・というわけでまとめだぜ。」 「私達もこの異変で結構強くなったよー!」 「この毛玉は紀元前から私達に従軍していた癒しのモフモフだな。 抱くと気持ちいいぜ!」 「しかし、れいむよわすwww」 「し、しょうがないじゃない!! 私はほら、なんて言うの? そう、参謀タイプなのよ!!」 「参謀タイプ(笑)」 「もきーーーーーーー!!!」 「それと占領した都市を片っ端から解放したから、一部を除いて属国とは開戦以前より友好な関係になってしまったね。」 「ま、当然だよな! なんといっても異変を解決したんだし、そりゃあみんなからの尊敬も集まるさ!!」 「ちなみに勝利のターン開始時に、てんこがデレてきたよ。こんな感じ。」 「なんかこういうことされると情が移るよね。 姫様見かけたら思わず皆も貢いじゃうよね! ね!?」 「ご褒美をあげたくなっちゃうよな。」 「わくわく。」 「私がてんこを最大の敵に認定しました。」 「クリア後の主要なデータはこんな感じかな。」 「注目すべき点は、やっぱり序盤の官吏スリングショット前後のGNPグラフかな。一時的に先進グループに追いついていて、この一瞬の優位を逃さず技術交換でキャッチアップができたことが、今回スムーズに「判定見切り」に到達できた最大の要因かな。」 「あとは・・・・、そうだな、プレイ時間もかな。 無双モードは息抜きに最適だZE☆ まぁ、『待って、もう一ゲームだけ!』ってなって、結局変わらなかったりするんだけどな!!」 「私の軍事力グラフには触れてくれないんですね。ぐすん・・・。」 「ん? まぁまぁ頑張ったんじゃないの? というより他が不甲斐ないだけなんだけどね。」 「そこは大目に見てやろうぜ。 正直軍量は状況に左右されるからな。 今回はとびぬけた超大国ができなかった幸運な(不運な?)ケースだ。 尤も、超大国ができてしまったらほぼ詰みなんだけどな!」 「最後に、このテスト版の使用雑感でも述べておこうかな。」 「スコアボードの各文明ユニット表示は結構助かるぜ! 今までは相手に危険人物がいるかはログを見なければならなかったりしたからな。」 「ときどき表示がおかしくなったりしたけれど、これは無双モードだったからかしらね? プレイには支障はなかったわ。」 「他文明のスペル使用も状況把握に助かったな。たとえば、『にとりのスペル使用確認したらこっちの遺産換金のお知らせ!』 みたいな感じだな。」 「スペルに関しては現状調整が必要そうなのは小町とぬえくらいかしらね。 輝夜のスペルもうっとうしいけれど、あのくらいなら戦闘の役に立たないリスクを考えると丁度いいと思うわ。プレイ速度依存の調整は必要かもしれないけれど、ね。」 「永遠亭なら、相対して危険なスペル持ちはむしろ優曇華ね。 今回の様な東方ユニット中心の戦力ならともかく、通常ユニット中心のラッシュは優曇華スペルで壊滅することが珍しくないわ。 ダメージなら回復させればいいけれど、蛮族化は手の施しようがないわ。」 「とはいっても、要望出すばかりじゃなんなので、少し仕事をしてみたぜ。」 「以下レポ主からの報告よ。 今回のレポ投下が少し遅れた釈明会見ね。」 (←代理)「遅くなった理由は、萎え落ち!!・・・・・ごめんなさい、ちがいます。 新指導者の台詞パッチを作っていました。 前回のパッチの(ひなちゃん・虹川三姉妹・リリーWB・大妖精・小悪魔)に加えて、星蓮船の全メンバーと本読み妖怪の台詞を作成し、まとめました。詳細はDLの後メモ帳を見てくださいませ。 星蓮船EXTRAをようやく全キャラでクリアできたこと、また1.13正式版に間に合わせたく、このタイミングで作成していました。ウチはバリバリの文系人間なのでプログラミングなどはできないので、この程度の力添えしかできないのですが、このパッチがさらなる台詞の作りこみにつながれば幸いと存じます。また、製作者様に感謝しつつ、叙事詩のさらなる発展を願っております。」 「・・・・だそうよ? よかったわね、まりさ。もう台詞かぶりを気にしなくてもいいのよ。」 「わーい。」 「ともあれ、本レポはここまでだね。特に戦術的でもないネタレポなのでなんの参考にもならないとは思うけれど、少しでも楽しんでいただけたなら幸いだよ。」 「それではまた次回まで、ごきげんよう!!」 「(あたしゃ、ここにいるんだよー)」 レポも台詞も乙です。こういうグラフ見ると官僚制の大きさが良くわかるなあ -- 名無しさん (2010-11-10 23 35 04) 名前 コメント
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【注意】 * 冗長です * 俺設定あります * 愛でお兄さんが出ます * 一人称ザッピングがうざいです * ネタかぶりはご容赦を うちではまりさを飼っている。 金バッジのまりさだ。 今日、ゴールド認定試験に合格したのだ。 「おにいさん! まりさやったよ!」 「がんばったもんなぁ、よくやったぞ、まりさ」 まりさの帽子の銀バッジを取り、代わりに金バッジをつけてやる。 ゴールド認定試験に合格したら、2つお願いを聞いてやる。 そのお願いの1つが、まりさの母親の、形見の金バッジだった。 鏡に映る、少しくすんだバッジを、まりさはうれしそうに眺めている。 満足したのか、しばらくしてまりさは俺のほうを振り返った。 「おにいさん、やくそくだよ! もうひとつ、まりさのおねがいをきいてね!」 「わかったわかった。あんまり無茶なことじゃなければな」 そして数日後。 「「ゆっくりしていってね!!」」 「……は?」 「おにいさん! まりさはれいむと、ずっとゆっくりしたいよ!!」 【まりさのだいじな】 数ヶ月前のこと。 「れいぱーに襲われた?」 「そうなんだよ……」 ゆっくりのブリーダーをしている友人が、ひどく落ち込んだ様子でうちに来た。 「うちの厩舎で一番の良餡統だったヤツなのに…」 「まあ、なんというか…お気の毒だな」 犬などのペットや家畜には血統書というものがある。 これは、その個体が純血種であることを証明するものだ。 ゆっくりにもそれに相当するものがあり、餡統書という。 もっとも、ゆっくりには取り替え子の問題もあるので、れいむ種やまりさ種などの純餡種を証明するものではない。 餡統書は、そのゆっくりがゴールドまたはシルバー認定された、優秀な個体の餡統であることを証明するものだ。 ゆっくりは母親から餡を引き継ぐため、良個体からは良個体が生まれやすい。 このため、代を重ねた餡統書を持つ個体は、繁殖用としてもペット用としても価値が高い。 だが、犬の血統書が交雑によって失効するように、餡統書もまた失効する場合がある。 具体的には、ブロンズ以下の個体とのすっきりすることだ。 餡の質が不安定になるのが理由らしく、ましてや野良とのすっきりなど論外だ。 れいぱーによって、友人の厩舎で稼ぎ頭だった個体の、餡統書が失効してしまった。 そのため、泣く泣くその個体をれいぱーごと潰してきたのだという。 「風評のこともあるから、手元に残っているあれの子供は商品に出来ない。 そこで頼みがあるんだが…」 そういって友人は箱を取り出した。 そっとふたを開けると、綿が敷き詰められた中に、赤ゆっくりが1匹眠っている。 「あいつの最後の子供なんだ。 商売のことがあるから、俺の手元では育てられない。 無理を承知で頼む、代わりに育ててくれないか?」 あのときの赤ゆっくりが、目の前にいるまりさだ。 落ち込む友人も、その赤ゆっくりも、あまりに不憫だったので、つい引き受けてしまったのだ。 さすがに良餡統個体だけあって、しつけなどは楽だった。 シルバー認定試験も1ヶ月で合格するなど、知能も高かった。 だから、信じられなかった。 ゴールド認定試験のためにあれほど教え込んだ、「野良に近づいてはいけない」を守っていないことが。 …いや、思い出せ、ひとつだけ心当たりがある。 「まりさ」 「なに、おにいさん?」 「そのれいむ、どうしたんだ?」 「れいむはまりさのおともだちだよ! ちいさいころからおともだちなんだよ!」 「小さいって、いつ頃だ?」 「はるさんがゆっくりしてたころだよ! おにいさんはおさけさんでくさいくさいになってたよ!」 ああ、間違いない、春頃…毎日酔っぱらってたって言うと、花見の時期だ。 春のシルバー認定試験の後、ゴールド認定の勉強を始める前だ。 あの頃、シルバー認定に合格したご褒美に、1匹で外に出ることを許すようになった。 友人に注意され、すぐに柵で囲った庭以外には出てはいけないことにした。 だが確か、それまでのわずかの間に、まりさが野良と遊んでいるところを見た覚えがある。 その後も柵越しに時々会っているのを見かけたが、ゴールドの勉強が進むと見かけなくなったので、忘れていたのだ。 「おにいさん! れいむのはなしもきいてね!」 「お?」 「れいむもまりさのことがだいすきだよ! れいむのことをかってくれなくてもいいから、まりさとゆっくりさせてね!」 少し驚いた。 飼いゆっくりになることが目的でまりさをたぶらかしたのかと思ったが、飼われなくても構わないという。 確かに2匹とも身ごもった様子は無く、すっきりはしていないらしい。 それどころか、れいむはここまで余計な口を挟んでいない。 野良といえば好き勝手喚くだけだと思っていたが、このれいむは意外と知能が高いのかもしれない。 「…よし、わかった」 「「ゆ?」」 「れいむをうちで飼おう」 「「……ゆ?」」 あまりにあっさり許可が出たためか、2匹とも反応が薄い。 たっぷり2分は硬直した後、 「「…ゆ…ゆわぁーーーーーーーーーい!!!」」 そろって喜びを爆発させた。 「ゆわーーーーん!! ありがどうおにいざああああん!!」 「ゆっくりしようねまりさ!! ゆっくりしていってね!!」 「ただし!」 「「ゆゆ!?」」 はしゃぐ2匹に釘を刺す。 「お前たちには2つだけ約束を守ってもらう」 「ゆう…れいむとずっとゆっくりできるならしかたないよ」 「わかったよ! やくそくさんまもるよ!」 俺が提示した条件は、次のとおりだ。 * まりさはれいむに、人間と暮らすためのルールを教える。 * れいむがシルバー認定に合格するまではすっきり禁止。 「守れなかったときには、れいむにはうちから出て行ってもらう。いいな?」 「わかったよ! まりさがれいむをたすけるね!」 「れいむもがんばるよ!」 その日のうちにれいむを飼いゆ登録して銅バッジをつけ、2匹との生活が始まった。 1ヵ月後。 「ゆーん……またまちがえちゃったよ…」 「おしかったねれいむ! もうちょっとだったよ!」 まりさはれいむに、シルバー認定試験のための知識を教えていた。 れいむは野良にしては良い個体だった。 俺の家で暮らすようになり、最初は勝手が違うのか、トイレの場所を間違えるなどした。 その都度まりさが教え、一週間もする頃には普通の飼いゆっくりと変わらなくなっていた。 だが、シルバー認定の勉強となると話は別だ。 今もひらがなの書き取りをしているが、どうしても2,3個間違えてしまう。 数もようやく10は数えられるようになったが、20になるとまだ怪しい。 それでも俺は、特に心配していなかった。 餡統書付きのまりさと比べるから物覚えが悪く感じるが、元野良だと考えれば驚くべき伸びだ。 次のシルバー認定試験まで2ヶ月ある。 それだけあれば、れいむの合格は難しくないだろうと踏んでいた。 「もういっかいがんばろうね、れいむ!」 「まりさぁ、れいむもうつかれたよぉ…」 これも、れいむの根気が足りないわけではない。 今も1時間みっちりと勉強したところで、ゆっくりにしては頑張りすぎと言える。 「お前たち、そのくらいにして少し休憩しろ」 「ゆう、おにいさんがいうならしかたないね!」 「ふぅ…ゆっくりするよ…」 熱心なまりさ先生はまだまだこれからといった雰囲気だが、れいむはよほど疲れたのか、潰れたように床に広がって脱力している。 あまり甘やかすのはいけないが、頑張ったご褒美くらいは構わないだろう。 「ゆふふ、まりさぁ♪」 「ゆーん、くすぐったいよ、れいむ」 仲良く頬ずりをする2匹をおいて、おやつを取りに部屋を出た。 「まりさぁ…ゆゆ…」 「ゆ、すーりすーりはもうおわりにしようね」 そう言うと、まりさはれいむから離れた。 「ゆー! もっとゆっくりしようよ!」 「だめだよ! れいむがぎんばっじさんもらえるまで、すっきりしちゃいけないってやくそくだよ!」 「すっきりじゃないよ! すーりすーりだよ! だからもっとしようよ!」 「すーりすーりしすぎるとすっきりしたくなっちゃうんだよ! がまんしてね!」 れいむは不満だった。 まりさと一緒に暮らせているし、お兄さんは優しい、ご飯もおやつもとてもおいしい。 動物に襲われない安全なおうち、雨の心配の要らないやわらかい寝床。 野良だった頃には、こんな幸せな生活は考えられなかった。 それでも、れいむはゆっくり出来ていなかった。 れいむの母れいむは飼いゆっくりだった。 それが、野良とすっきりしたために捨てられた。 母れいむは何度も「ゆっくりさせてあげられなくてごめんね」と謝った。 それがれいむには不思議だった。 母れいむとのすーりすーり、家族そろってのゆっくりしたご飯、妹たちとの歌うお歌。 れいむはとてもゆっくり出来ていた。 ある日、れいむはゆっくりしたまりさと出会った。 お帽子につけたぴかぴかさんは、人間さんに「ゆっくりしたゆっくり」とほめられた証という。 日が傾くまで一緒に遊んで、また遊ぼうねと約束して、おうちに帰った。 晩御飯を食べ、寝る前にその日のゆっくりしたことをお話しした。 それから、母れいむは変わった。 「むーしゃむーしゃしあわせー」をすると、ゆっくりしていないと怒られた。 ご飯で顔を汚すと、ゆっくりしていないと怒られた。 お歌を歌うと、ゆっくりしていないと怒られた。 「にんげんさんにゆっくりさせてもらうためにだいじなことなんだよ! ゆっくりりかいしてね!」 母れいむはそう言うが、全然わからなかった。 れいむたちは自分でゆっくりしているのに、どうして人間さんにゆっくりさせてもらわないといけないのか。 今まで出来ていたゆっくりが出来なくなって、れいむは悲しかった。 ゆっくり出来ない柵に囲まれて出られなくなってしまったまりさに、最近ゆっくり出来ないと話した。 するとまりさは不思議なことを言った。 「おにいさんとまりさのおうちでゆっくりできるかもしれないよ!」 それから、まりさの言葉を信じて、母れいむの言いつけを守った。 ご飯をきれいに食べる、大きな声で騒がない、人間さんと丁寧に話す、人間さんの言うことには逆らわない。 ゆっくり出来ないけれど、頑張った。 ある日、まりさのお帽子に付いたぴかぴかさんが、銀色から金色になった。 まりさが頑張って、とてもゆっくりしているとほめられた証だ 喜んでいるまりさにお祝いを言った。 そして。 「ここでゆっくりまっていてね!」 いつもなら、人間さんが来ないうちに帰らないといけなかった。 それが、この日は人間さんが来るのを待つという。 れいむは気が付いた、まりさが言ったいつかの言葉、それが今日叶うのだと。 まりさのおうちでゆっくり出来る、まりさとゆっくり出来る。 れいむの心は期待に高鳴った。 けれど、れいむは全然ゆっくり出来なかった。 お兄さんは優しいけれど、まりさは優しくなくなった。 ご飯はおいしいけれど、まりさは一緒にむーしゃむーしゃしてくれなかった。 広くて安全なおうちだけど、れいむとまりさのお部屋は別々だった。 やわらかくてゆっくりした寝床だけど、1匹で寝るのは寂しかった。 昔はあんなにゆっくり出来たのに、今のまりさはれいむを全然ゆっくりさせてくれない。 遊ぼうというと、勉強しないとダメだと怒る。 ゆっくりすると、もっと頑張らないとダメだと怒る。 すーりすーりだって、はむはむだって、すっきりはダメだといってさせてくれない。 あれもこれも、お兄さんにゆっくりさせてもらうために、我慢しないといけないと言う。 違う、れいむはまりさとゆっくりしたかったんだ。 だからまりさの言葉を信じて、母れいむの言うことを守ってきたんだ。 人間さんにゆっくりさせてもらうために、今まで我慢してきたんじゃない。 なのに、まりさは全然ゆっくり出来ない。 「まりさぁ…」 「ゆ? どうしたの、れいむ?」 「れいむ、おうちにかえりたいよ…」 「だめだよ! れいむのおうちはここなんだよ!」 「…もうやだよ! まいにちおべんきょうばかりでぜんぜんゆっくりできないよ! れいむはゆっくりしたいよ!」 「ゆっくりするためのおべんきょうなんだよ! ゆっくりわかってね!」 「何だ何だ、どうしたんだ?」 お兄さんがあまあまさんを持って戻ってきた。 そうだ、お兄さんにお願いしよう、お兄さんはゆっくり出来る人だ。 「おにいさん! れいむはゆっくりしたいよ! おうちにかえりたいよ!」 「どうした、ここでの暮らしは嫌か?」 「いやじゃないよ! いやじゃないけど、ゆっくりできないよ!!」 「まってね、おにいさん!」 「何だ、まりさ」 「れいむはつかれてるだけなんだよ! なーばすなんだよ! ほーむしっくなんだよ!」 「まあ…そうなるかもなあ。お前さ、毎日れいむに頑張らせすぎじゃないか?」 「だってやくそくだよ! れいむはぎんばっじさんをとらないといけないんだよ!」 約束したよ、でもそれは、銀バッジさんをもらえるまですっきりはダメだよ。 れいむはすっきりを我慢できるよ。 まりさが我慢できないから、れいむをゆっくりさせてくれないの? そんなの、ひどいよ…。 「ゆわああああぁぁぁぁぁぁ……」 「れ、れいむ!?」 「…見ろまりさ、れいむ泣いちゃったじゃないか」 「ゆぅ…」 「ゆびっ…ゆええええええぇぇぇぇぇ…」 「ほら、今日はもうお勉強は終わりな。おやつを食べてゆっくり休め」 「わかったよ…」 「どぼちてこんなことに……」 家族とゆっくり出来ていた頃を夢に見て、目覚めて夢だと気付いて、れいむは涙をこぼす。 妹たちと重なり合って寝ていた頃が懐かしい。 一度まりさに、寄り添って寝たいと頼んだことがある。 結果は、断られて終わりだ。 すっきりはダメ、すっきりはダメと、触れ合いはほとんどさせてもらえない。 まりさはれいむのことをどう思ってるの? いつもいつも、触ると「すっきりはダメ」 れいむのこと、すっきりだと思ってるの? もう、まりさとの生活には耐えられなかった。 なんとしても、家族の待つおうちに帰りたかった。 お兄さんに話しても、まりさに止められてしまった。 お兄さんは優しいけれど、まりさのほうがかわいいから、まりさの言うことを聞いてしまう。 だったら、どうすれば帰れるんだろう。 隣の部屋でゆぴーゆぴーと寝息を立てているまりさを見て、れいむは決心した。 「ゆわあああああああああああああああああ!!」 翌朝、俺はまりさの大声で叩き起こされた。 「なにじでるのでいぶううううううううううううう!!!」 「………」 「朝っぱらから何事だ!?」 まりさたちのいる部屋に飛び込んだ俺の目に映ったのは、硬い表情のれいむと、泣き喚いているまりさ。 そして、まりさの額から生えている茎と、それに実った赤ゆっくりだった。 「ずっぎりはだめっでいっだでじょおおおおおおおおお!?」 「れいむ、お前…」 こんな約束を守れないほど頭の悪い個体ではないはずだ。 自分の判断を裏切られた気分でれいむを見る。 それに答えたのは、何かを確信したような、れいむの真剣な表情だった。 「ごめんなさい、おにいさん。 れいむはやくそくをやぶったよ。 だから、もうおにいさんのおうちには、いられないんだよ」 「…本気だったんだな」 昨日の、帰りたいというれいむの台詞のことだ。 人間との約束を破ったゆっくりがどうなるか、これだけはまりさに任せず、俺自身がれいむに教えていた。 痛めつけられ、時には殺されることがあるということも。 れいむはそれさえも覚悟した顔をしていた。 よほど俺の家ではゆっくり出来なかったのだろう。 まりさにとって、れいむははじめて出来た友だちだ。 野良と遊んではいけないと教わり、柵の外には出られなくなった。 それでも、れいむはたった1匹の友達だった。 だから、れいむにはゆっくりしてほしかった。 「おうちでおかあさんがゆっくりさせてくれないよ…」 ある日、れいむがそう言った。 詳しく聞くと、母れいむの教えは、かつてまりさがお兄さんに教わったことと同じだった。 おうちでれいむと一緒にゆっくり出来るかもしれない。 まりさにそんな希望がわいた。 「おにいさん、まりさのおねがいをきいてほしいよ!」 「どうしたまりさ? お願いなら銀バッジの時に聞いたぞ」 「まりさはきんばっじさんももらえるようにがんばってるよ!」 「そうだな。金バッジに合格できたら、またお願いをひとつ聞いてやる」 「それでね、おにいさん。きんばっじさんをもらえたら、おねがいをふたつきいてほしいよ!」 「おお? 欲張りだなまりさ」 「ぎんばっじさんでおねがいがひとつだったんだよ! きんばっじさんならふたつきいてほしいよ!」 「まあ…そうだなあ、あの金バッジは元々まりさの物だし。 よし、わかった。 金バッジに合格できたら、お前のお母さんの金バッジのほかに、もう一つお願いを聞いてやろう」 「ゆー! ありがとうおにいさん!」 それからまりさは、今まで以上に頑張った。 努力の甲斐あり、ゴールド認定試験に合格できた。 念願だった母の形見をお帽子に飾り、うれしくて涙が出そうになった。 そして、もう一つの約束。 お兄さんはそれを守ってくれた。 二つ出された条件も、野良ゆっくりを飼う対価としては破格の厚遇だった。 元々まりさは、れいむに色々教えてあげるつもりだったので、条件は事実上一つだけ。 それさえ達成すれば、れいむはお兄さんのおうちでずっとゆっくり出来る。 だからまりさは、一生懸命れいむに勉強を教えた。 まりさが認定試験に臨んだとき以上の熱心さで。 それなのに。 「ゆわああああああん!! ゆぐっ、ゆわああああああああああああん!!!」 大泣きを続けるまりさに、れいむが冷めた視線を送る。 「そんなにれいむとのすっきりがいやだったんだね…」 一緒にずっとゆっくりしたいと言ったのに、この有様は何なのだろう。 まりさは自分のことなど、好きでも何でもなかったのではないか、そう考えると悲しくなってくる。 「ぢがうよおおおおお!! ぞうじゃないよでいぶううううううう!!」 「なにがちがうの? れいむがきらいだからないてるんでしょ?」 「まりざはでいぶがだいずぎだよおおおおお!! でもまだだめだっだんだよおおおおおお!!」 「………」 意味がわからない。 まりさは赤ちゃんを見てから、ずっと泣いてるじゃない。 赤ちゃんがいればゆっくりできるよ。 赤ちゃんが嫌だから泣いてるんでしょ? 「俺が教えてやるよ、れいむ」 「ゆああああああ!! おにいざんがえじでええええええええ!!!」 お兄さんがまりさのお帽子を取り上げる。 そして何かいじった後、まりさの目の前にそれを置いた。 「ゆっ…ゆあああああぁぁぁぁぁ………」 まりさがお帽子を見つめて震えている。 見ているのはバッジさん、金色ではなく、銀色の。 「れいむが銀バッジをとる前に、まりさとすっきりしてしまった。 だから、まりさは金バッジじゃなくなったんだ」 「ゆ?」 お兄さんが何か言っている。 「人間は、ゆっくりしたゆっくりにバッジをあげる。 でも、ゆっくりできないゆっくりからはバッジを取り上げる。 まりさはゆっくりできないゆっくりになった。 だから、金バッジはつけられないんだ」 「で、でも、まりさにゆっくりできないことをしたのはれいむだよ? ゆっくりできないゆっくりはれいむだよ!」 「そうだな。 れいむはゆっくり出来ないゆっくりだ。 そのれいむと、まりさはすっきりしてしまった。 だから、まりさもゆっくりできないゆっくりになったんだ」 「!!」 俺の説明を聞いて、れいむが固まっている。 自分のしたことが大変な結果になったことに気付いたようだ。 「お、おにいさん!! わるいのはれいむだよ!! まりさはわるくないよ!! まりさをゆるしてあげてほしいよ!!」 「それは駄目だ」 「どぼちて!?」 「これは人間の群れのルールだ。お兄さんだけが許しても、どうにもならない」 「しょんな!!」 シルバー認定以上の資格は3ヶ月に一度、更新試験がある。 バッジをとったことで増長し、ゲス化するゆっくりが後を絶たないことで、制度が変更されたのだ。 まりさはせっかくゴールド認定に合格したが、れいむとのすっきりで餡統書を失効してしまった。 ゴールド認定試験には餡統審査もあるため、次の更新試験でまりさのゴールド認定も失効する。 もう二度と、まりさは金バッジをつけられないのだ。 「ばりざの、ばっじざ……ゆぐっ……おが…ざんの、ばっじざん…… ゆえっ…ゆえええぇぇぇぇぇぇぇん……」 まりさは俺の手の中にあるはずの金バッジを見上げ、すすり泣いている。 そんなまりさに、れいむは声をかけられない。 「…おにいさん」 だいぶ時間が経ってから、れいむが俺を呼んだ。 「どうした?」 「まりさのあかちゃんたちを、れいむにほしいよ」 泣きじゃくっているまりさの額には、2つだけ実が生っている。 まだ種別がわかるほどには大きくなっていないそれらは、眠るように目を閉じている。 「あかちゃんは、れいむがわるいことをしてできたこだよ。 だから、れいむがそだてないといけないんだよ」 そうやってれいむが話す間も、まりさの視線は俺の手から離れない。 反応を返さないまりさをおいて、俺とれいむの間で話が進んでいく。 結局俺はれいむに言われるままに、まりさの額から茎を抜き、れいむの額に植え替えた。 そのときも、まりさは軽くうめき声を上げただけ。 「ごめんなさい、おにいさん。 ごめんなさい、まりさ」 れいむが去っていくときも、まりさは振り返らなかった。 うちではまりさを飼っている。 銀バッジのまりさだ。 まりさの母親の形見は、今では棚の上に飾ってある。 ゆっくりには届かない高さだが、取ってほしいとまりさがねだった事は、あれ以来一度もない。 まりさが十分な大きさに育った去年の秋、番にするためのゆっくりを買った。 金バッジのありすだ。 プロのブリーダーが育てただけはあり、ありすは素直で賢く、しつけが行き届いていた。 最初はまりさが警戒していたが、直に打ち解け、ひと月も経たないうちに「ふたりでずっとゆっくりする」と報告に来た。 2匹は子供がほしいと言った。 俺は許した。 ありすが胎生にんっしんをした。 おなかに2匹子供がいて、両方産んで育てたいといった。 俺は許した。 生まれた子供は、まりさとありすが1匹ずつだった。 「ゆきさん! しろいしろいだね!」 「きれいだね! でもさむくてゆっくりできないよ!」 2匹の子供たちが、窓の外を眺めてはしゃいでいる。 「はやくはるさんきてほしいね!」 「はやくおそとであそんでみたいね!」 子供たちの髪飾りには銀バッジが輝いている。 去年最後のシルバー認定試験に合格したのだ。 ご褒美は何が良いかとたずねると、2匹とも「おそとであそびたい」と答えた。 俺は許した。 だが、子供たちを抱いて外に出て、寒いから春まで我慢しような、と言った。 2匹は聞き分けて、暖かい部屋の中で春を待っている。 2匹の親のまりさとありすは、子供たちを微笑ましく見守っている。 ふと、まりさの視線がずれた。 その先は家の門の外。 外は一面の雪景色で、動くものは何も無い。 だが、まりさは何かを探すように、しばらくそこを見つめていた。 「どうしたの、まりさ?」 「ゆ?」 ありすの声に、まりさが我に返る。 「だいじょうぶ、まりさ? なにかあったの?」 「ゆぅ、だいじょうぶだよ。なんでもないんだよ」 「なんだかまりさがとおくにいっちゃいそうなきがしたわよ…」 「…なんでもないんだよ」 2匹のそんなやり取りが耳に痛い。 俺も時々、門の外を探してしまうからだ。 窓のそばではしゃぎ続ける子供たちに、まりさは再び目を向けた。 「まりさのおちびちゃんたち…」 かわいい子供たちを見ながらの言葉は、ひどく寂しそうだった。 (完) 作者:全員で空回りする話を書いてみたかった