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『まりさとまま』 希少種 独自設定満載 「まりさの思い出」の外伝です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー まりさは厳しい越冬の最中に生まれた。 両親の越冬はまりさを生んだ時点で失敗だったのだろう、 気が付けばまりさ1匹で生活をしていたのだ。 両親が何種だったのかも覚えていない、 分かるのは自分がまりさ種である事から片方はまりさだったのだろうと言う事だけだった。 まりさのお家は、何故か群れから離れた場所に作られている。 越冬で両親が死んだ後は、長が毎日まりさのご飯を持ってきてくれている。 でも何かがおかしい・・・・ 皆、まりさを怖がっている。 長ですら、あまり会話どころか目も合わしてくれない、 ただ毎日、ご飯を巣穴前まで運んで来てくれているだけだった。 春も半ばまで来ると、赤ゆだったまりさも子ゆまで成長していた。 ご飯は毎日、長が持ってきてくれているとは言え、 ベットの用意からうんうんの処理まで、自分でやらねば誰も面倒はみてくれない。 そんな生活からか、赤ゆ言葉は早々に抜け自立した子ゆに成長していた。 『まりさはかりをおぼえたいんだぜ!』 両親がいないので、しかたなく長に頼むまりさ、 しかし、子まりさに関わろうというゆっくりは、この群れにはいなかった。 『かりはドスがするから、まりさはゆっくりしているといいよ。』 長もまりさには何も教えてはくれなかった。 教えて貰えないなら独自にやるしかないと、まりさは自分で狩に出た。 両親から受け継いだ餡が良かったのか、まりさの運動能力はかなり良かった。 春の軟らかい草や、生まれたばかりの幼虫を食べて狩の腕前を着々と上げていくまりさ、 既に自分で食べる分は、自分で集めれるにまで上達した。 しかし、長はまりさへご飯を運ぶのを止めなかった。 『おさ、まりさはごはんさんはじぶんであつめれるんだぜ?』 『いいんだぜ、これはおそなえなんだぜ・・・』 『おそなえ?まりさに?』 『まりさのぱぱとままにだぜ・・・』 お供えと聞いて不思議がるまりさ。 長はまりさにまりさの両親の事を話す事にした。 この群れは人里よりそんなに離れてはいなかった。 そんな群れを守っていたのが、 まりさの母であった。 守ると言っても、何か行動して守っていたのではない、 村の厄を一手に引き受けていたのだ まりさの母は「ゆっくりひな」である。 彼女のいる群れは厄災より守られると信じている。 しかし、群れの厄を一手に引き受けると言うのは、 ゆっくりの限度を遥かに超えた量である。 毎日、ひなは何も触れもしないのに傷ついて怪我をしていく、 だがそれが、群れを守ってくれているのだと群れの長は感謝し、 ひなの生活に必要な物は全部群れで用意した。 だが感謝はすれども異形なるゆっくりに畏怖し、あまり近寄ろうとはしなかった。 ひなは常に1匹で暮らしていた。 群れに気を使い、出来るだけ離れた場所に巣穴を掘った。 そんなひなへのご飯を運んでいたのが、のちに番となる父まりさであった。 長から、ひなの世話をするように言われ、 群れで集めたご飯を、毎日ひなのもとへ届ける。 そんな日々を送れば、必然的にひなとも親しくなり、 情も湧こうと言うものである。 『ひな、ごはんさんをもってきたよ。』 『ありがとうまりさ、ゆっくりしていってね。』 『ゆゅ~ん。まりさは、はこんでるだけだよ、おれいをいわれるほどのことはしてないよ』 『そうじゃないの、いつもひなといてくれていることよ。』 いつの間にか父まりさは、ひなの巣穴に住み着くようになっていた。 その方が、世話をするには便利よかったのである。 2匹は番となった。 長はこの2匹が子を成せば、次世代の守護が生まれると歓迎した。 だがひなは子の話になる悲しげな表情を浮かべる。 この時、長や父まりさ達は、 ひなの心の内を読む事は出来なかった。 子を成す事がどう言う結果をもたらすのかを。 『ひな、まりさはひなとのおちびちゃんがほしいよ。』 まりさはひなによく子作りをしようと持ちかけた、 だがひなはその思いに応える事は無かった。 何か事情がある。 まりさもそれには気づいてはいた、 しかし誰しもが最愛の者との子を望む。 それはあたりまえの事である。 ある日、いつも通り子作りを持ちかけて断られた時、初めて理由を尋ねてみた。 『ひなはまりさがきらいなの?おちびちゃんはいらないの?』 『そうじゃないわ、ひなもまりさがだいすきよ。 でもおちびちゃんをつくるとまりさが・・・・・』 ひなはまりさに話した。 ゆっくりひなはその身体に仲間の厄災を受ける。 その厄は身内にも及ぶのだと言う。 子を成せば、その子を媒介にまりさも完全な身内となる。 「ゆっくりひな」ならまだしも、通常種のまりさでは厄には耐え切れない、 恐らくまりさは子を成した瞬間に、死んでしまうであろう。 だがまりさはその話を聞いた上で言う。 『やっぱりおちびちゃんをつくろうよ。』 『まりさがしんじゃうのよ?』 ひなはまりさの反応に驚く、 普通なら自分の命に係わると聞けば、身を引く事を考えるだろう。 だがまりさは、それでも子供を作ろうと言う。 『そうだね・・・でもおちびちゃんはとってもゆっくりできるんだよ。 ひながまりさといるよりも、もっともっとゆっくりできるんだよ。』 まりさの決意は固かった。 自らの命を懸けての子作りである。 まりさと一緒になるまでは、常に1匹で寂しそうにしていたひなに、 もっとゆっくりして貰いたかった。 そして、その子は次世代の守護として群れを守ってくれる。 まりさの想いにひなはついに応えた。 だが死ぬと判っているのに、何の準備もせずに子作りをする訳にはいかない、 まず、長に自分が死んだ後の事を頼んだ。 事情を知った長も、まりさを引き止めたが、次世代の守護のためと言われると強くは止めれなかった。 『わかったんだぜ・・・・まりさのおちびちゃんはどすがぜったいゆっくりさせてやるんだぜ!』 ひなと群れの為に、死を決意した勇気あるゆっくりに、長は誓いを立てた。 長に保護を頼むと次は食料である。 一応、ひなのご飯は群れから貰えるのだが、子作りは越冬中に行うとひなと話あったので、 何匹生まれるかわからない子供の分、 通常より余分に貯めこむ必要があったのだ。 晩夏から始めた貯蔵も、秋の終わりには巣穴に満載し過ぎて、 巣穴の拡張工事をしなければならなくなった。 こうして越冬に入る頃には、一家どころでない凄い量の食料を準備できた。 『ゆゅ~ん、これでひなもおちびちゃんもゆっくりできるんよ。』 自分は次の春は拝めないと知りつつも、 感無量なまりさであった。 越冬にはいる前日、ひなは珍しく夜遅くに長の巣穴を訪ねた。 長に越冬中に子作りをする事で起こるであろう真実を全て話し、いくつかの事を頼んだ。 その中には、番であるまりさも知らない事が含まれていた。 『じゃあいいね?』 越冬に入って暫くして、 ついに2匹は子作りに入りすっきりを始める。 お互いの身体を擦り合わせて、しだいに紅潮していく2匹、 その高まりはやがて頂点に達する。 『『すっきり~』』 その刹那、まりさの身体が大きく膨れる。 覚悟はできている。 まりさは膨れ今にも弾けそうな身体で言った。 『ひな、おちびちゃん・・・・・ゆっくりしていってね』 パーーーーーーーーーーン まりさの身体は肉片も残さずに弾け飛んだ。 群れの厄災をその身に受けた結果である。 『まりさ・・・・・まりさ・・・・まりさ・・・・・』 涙流しながらひなは何度も名前を呼ぶのであった。 だが泣いてばかりはいられない、次は自分が子を守る番なのである。 数日たち、ついに子供が生まれてくる。 まりさの忘れ形見である。 なんとしても守らねばならない、ひなは覚悟を決め出産の準備をする。 ゆっくりひなは常に1匹しか子を成さない、 決して生まれて来るのが1匹だけと言う事では無い、 1匹しか守れないのだ。 『ゆ・・・ゆ・・・・・ぐぅ・・・ぐぅう!』 産道が徐々に開き始める。 そして最初の赤ゆが顔を見せる。 『ユックチウマリェルヨ』 ポン 『ユックチシ・・・・ギュギュギュ』 パーーーーーーーーン 1匹目に生まれた赤まりさは、突如弾け飛んでしまった。 『ユックチウマリェルヨ』 ポン 『ユック・・・・ギギギギ』 パーーーーーーーン 2匹目も弾け飛ぶ。 次で最後の子供だ、 ひなは自分のお飾りであるリボンを、そっと顔を見せ初めている赤まりさにかけてやる。 『ユックチウミャレルヨ』 赤まりさはひなのリボンに絡まる形で産み落とされた。 『ユックチチテイッチェネ!』 最後の子供は無事に産声を上げる事ができた。 その刹那、ひなの身体が膨れていく、 先に亡くなったまりさと同じように。 子にうける厄災を自分のお飾りをかけてやる事によって、 全てその身に引き受けたのだ。 お飾りは1つしかない、 必然的に、子供も1匹しか助ける事は出来なかった。 ひなが長に頼んだ事の1つは、それは越冬明けには巣穴には赤ゆ1匹であり、 自分達は生きて育てる事が、出来ないであろうと言うことであった。 赤まりさは最初の食事をそのリボンを食べて育った。 このリボンを食べつくす頃には、 父まりさが必死になって貯めた食料を食べる事が出来るようになっているだろう。 『おちびちゃん・・・・・ゆっくりしていってね・・』 パーーーーーーーーーーーーーン! こうしてひなも弾け跡形も無く亡くなってしまった。 『ユックチユックチユックチ』 巣穴には事情を知らぬ赤ゆの声だけが響いていた。 こうしてまりさはこの世に生まれてきたのだ。 越冬を終えた長はまず最初にひなの巣穴に行き、赤まりさを保護した。 そして群れの守護として大事に育ててきたのである。 『まりさのままはむれをゆっくりさせるためだけにいきていたのぜ?』 話を聞いた子まりさが長に最初に聞いた事がこの疑問だった。 ゆっくりは基本、自分がゆっくりする為にしか頑張らない、他ゆの為に自分のゆっくりを捨てさした。 群れに対してまりさはそうイメージしたのである。 『それは・・・・どすにもわからないんだぜ・・・・』 長にもこれは答えられるはずがなかった。 群れを守るのは長としての使命である。 たしかに群れは守られたのかもしれない、だがそれはひなの能力によってであり、 決して長の力では無かった。 長が帰った後、子まりさは考えた。 群れは本当に必要なのか? チャリチャリチャリィィィ そう感じた時、子まりさの中から1本の鎖が現れた。 その鎖は地面に?がっている。 『ゆゅ?なんなのぜ?』 子まりさは巣穴を飛び跳ねてみるが、鎖は地面に?がったまま付いてくる。 重みも抵抗も一切感じない、ただ地面と子まりさを?いでいるだけだった。 その日から子まりさは、?がれた生活をしなければならなくなってしまった。 何処に行っても付いてくる。 何をしてても?がっている。 ある日、そんな鎖に変化が訪れた。 群れの仲間が子まりさを、あからさまに除け者にしたのだ。 子まりさは酷く傷ついた。 ピシ 子まりさの心が痛んだ刹那、鎖に罅が入った。 子まりさはその罅を見ていると、群れに嫌気がさしてくる気がした。 ピシ 仲間でのピクニックに誘ってもらえなかった時、 ピシ ありすの都会派なコーディネイトを子まりさの巣穴だけしてもらえなかった時、 ピシ 長が獲ってきた蜂蜜を子まりさだけ分けてもらえなかった時、 罅は子まりさが傷ついた分だけ入っていった。 不思議な事に、この鎖は子まりさにしか見えないらしく、 誰も罅はおろか鎖にも気が付かなかった。 鎖が罅で一杯になった時、子まりさは群れが嫌いになっていた。 そしてとうとう群れを出て行く決心をしたのだった。 とは言え、群れの守護として長の保護を受けている立場である。 一応、長に群れを出る事を相談した。 『まりさはひとりだちをするんだぜ、ゆっくりむれをでていくよ。』 『それは・・・・それはだめなんだぜ・・・ まりさはむれのまもりがみなんだよ?ゆっくりりかいしてね。』 長の言う事に子まりさは怒りを感じた。 群れの為に母のように、自分のゆっくりを捨てろと言うのか? これが仲の良い仲間なら、子まりさも身を挺して守ろうと思えるだろう。 だが大切とは名ばかりに、隔離されたかのような生活、 これが仲間だろうか? この疑問が鎖に最後の罅を生んだ。 ピシ・・・・ピシピシピシ・・・パッキーン 鎖は遂に断ち切れてしまった。 不意に子まりさの中から黒いリボンが噴き出てきた。 シュルシュルシュルシュル 1本どころの話では無い、 子まりさの身体中から沢山のリボンが噴き出し、次々に空へと舞っていく、 そしてそのリボンが止まった時、 異変が起こった。 『ゆ?ぎゅぎゅぎゅぎゅ・・・・・・ぐるじいんだぜ・・・・』 先ほどまで話をしていた長が苦しみだす。 呻きや悲鳴は群れ中から聞こえた。 『ぎぎぎ・・・わがらいよぉぉぉぉ・・・・』 『だでがでいぶばずげぇぇぇぇ・・・』 『ぶぎゅぎゅぎゅぅぅぅぅぅぅ!』 『ご・・ごんなぁぁぁどがいばじゃなぁぁぁぁぁ・・・』 やがて長が黒く変色しだす。 長は苦しみの中で、ひなと約束した事を思いだした。 「ひなのおちびちゃんを決して、仲間外れにはしないで下さいね、 仲間を大事に思う気持ちが無くなれば、楔は放たれてしまいます。 大切な仲間であれば、共に生きる気持ちを生んでくれます。 それを忘れないで下さいね・・・・・」 長はこの時、ひなの言っている意味が良く解らなかった。 だが今、ようやく理解する事が出来た。 守護とは群れを思う気持ちがあって維持できるのだと言う事を、 仲間でない者は守れないのだ、 長の群れは子まりさを仲間として扱っただろうか? 腫れ物を扱うかの如く、除け者にしていたのではないか?寂しい想いをさせたのではないか? 群れの態度が遂に、子まりさに決断させてしまった。 自分はこの群れの仲間では無い 今更、理解しても遅かった。 これまで封じられてきた厄災が群れに返される。 身に余る厄はゆっくりの身体を蝕んでいく、 長は消え行く意識の中で誤った。 『まりさ・・・ゆっくりさせてあげられなくて・・・ごめんなんだぜ・・・・』 その最後の想いは、言葉で子まりさに伝える事は出来なかった。 子まりさは身体から噴き出るリボンに気を取られ、 気が付けば群れ中のゆっくりが黒い塊と化していたのだ。 子まりさは、驚きはしたが哀れみは感じなかった。 もお自分は群れの仲間じゃ無いのだから・・・・ 子まりさは旅に出た。 群と言う物に嫌気がさしていたので、 世の中を見て周る旅に出る事にしたのだ。 後にフリーカメラマンのお兄さんに飼われる前の話である。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 写真まりさの外伝を書いてみました。親にゆっくりひなを持ってきたのは、 「まりさので思い出」を書いた時に決めた裏設定です。 今回こんな形で出す事ができました。 ちなみに僕はこのまりさを「デスラッチまりさ」と呼んでおります。なんか語呂いいかなとw 相変わらず誤字・脱字は多いかもしれませんが勘弁して下さい。 これまで書いた物 ふたば系ゆっくりいじめ 1097 ゆ虐ツアー ふたば系ゆっくりいじめ 1111 ゆ虐ツアー お宅訪問編 ふたば系ゆっくりいじめ 1116 雪原のまりさ ふたば系ゆっくりいじめ 1122 ゆヤンワーク ふたば系ゆっくりいじめ 1129 まりさの思い出 ふたば系ゆっくりいじめ 1152 まりさとつむり ふたば系ゆっくりいじめ 1154 ゆっくり種 ふたば系ゆっくりいじめ 1156 ゆっくり種2 ふたば系ゆっくりいじめ 1160 まりさとおにいさん ふたば系ゆっくりいじめ 1169 ゆっくり種3
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・四作目 ・まりさの話です。 ・加工所本部(前編)読んでからのほうがいいです。 ・書いたのは麦茶。 まりさその後 まりさは幼い頃から飼いゆっくりになるため勉強した。 楽しいときやつらいときもあったが仲間と共に金バッチになるためがんばった。 だけど、金バッチになったのは一緒に合格したれいむと自分だった。 他のみんなは「ほりゅう」と聞いている。 きっとまた会えるだろうとまりさはそのままペットショップに売られた。 店に並べれてから一週間。まりさに飼い主が決まった。 まりさは喜んだが、れいむと離れ離れになるのがちょっと寂しかった。 だから別れる時に「れいむ・・・ゆっくりしていってね!」と言った。 れいむもお返事を返してくれた。 まりさは飼い主の家に着いたときちょっと驚いた。人間さんのお家がこんなにでかいのかと。 勉強のときにビデオで人間さんの家を見たことはあるが実物を見てみるとすごいものだった。 まりさは飼い主に家のことや仕事のことを教えてもらった。 まりさは改めて飼いゆっくりになれたのだと実感した。 ・・・・だけどそんな日は唐突に終わりを告げた。 「まりさ、お前を捨てるわ」 「ゆ??!」 最初まりさはお兄さんが何を言ったのかわからなかった。 いや、わかっていたがそう考えるのを頭の中で拒否したのだろう。 「う・・・うそだよね・・・??お兄さん・・・」 「いや、マジ」 「どおして?!まりさお兄さんに悪いことした??!」 「お前はいい子だったよ」 「じゃあ、なんで・・・」 「単純にゆっくりを飼うことに飽きた」 まりさはこの言葉を聞いて硬直した。そんな理由で捨てられるなんて・・・・ お兄さんはその隙にまりさのお飾りに付いていた金バッチを獲った。 まりさは「かえして!」と懇願したがお兄さんに「もう捨てるんだからこれはいらないよな」と言われ金バッチは握り潰された。 その後まりさはお兄さん抱えられ公園へ捨てられた。 まりさは必死に「捨てないで!!お兄さん!!」と叫んでいたがお兄さんはいつの間にかいなくなった。 こうしてまりさは飼いゆっくりから野良ゆっくりになったのだ。 まりさは公園に住み着いた。 他に行く当てがなかったまりさを公園のゆっくりたちは快く群れに入らせてもらった。 他の野良ゆっくりにごはんのとり方、どのように住めばいいかなど親切に教えてもらった。 しかし獲ってくるごはんは生ゴミで生粋の飼いゆっくりであるまりさには耐切れなかった。 がそれでも生きようと我慢して生ゴミを食べた。途中で嘔吐しながらまりさは食い続けていた。 ゴミ捨て場も近いし、食料の問題はなかった。 お家もどこからか拾ってきたダンボールハウスだ。毎回思うがゆっくりはこれをどこから調達するのだろう。 野良から見れば立派なお家なのだがまりさはお兄さんの家に戻りたかった。 そんなときである。 「おじゃまするぜ」 別の野良まりさがまりさの家に入ってきたのだ。 「こ、ここはまりさのお家だよ!!」 「そんなことはわかってるぜ。おまえがあたらしくはいったまりさなのぜ?」 「ゆ・・・そうだよ・・・」 基本こういうお家はゲスに狙われやすい。 勝手に侵入し、勝手に食料を食い荒らし、挙句の果てにお家宣言までされることは野良の世界では別に珍しくない。 だがこのまりさはお家を盗みに来たわけではなさそうだ。 「ゆーん・・・のらにしてはいいおうちにすんでるぜ。せいぜいゲスにねらわれないよう・・・・?」 ここで野良まりさの言葉が途切れた。 何だろうと?頭を傾げたまりさだが野良まりさが驚いた顔をしていた。 「おまえ・・・・もしかして・・・・・まりさなんだぜ?」 「ゆ?!」 「ペットショップでれいむとなかよしだった・・・」 「なんでしってるの?!」 「やっぱりそうなんだぜ・・・まりさをおぼえていないのぜ?」 「ゆ?・・・・・・・・ゆあああああああああ!!!??」 「おもいだしたみたいだぜ」 まりさは思い出した。 そうこのまりさペットショップにいたちょっと口の悪いまりさだった。 短い期間だったが、まりさもこのまりさをよく知っていた。 最後に別れた時は「とっととかいぬしといくんだぜ」とぶっきら棒に言ったがまさかこんなところで会えるとは。 「それはこっちのセリフなんだぜ。なんでまりさがのらになっているんだぜ?」 「それは・・・・」 「・・・・そうだったんだぜ」 「ゆん・・・」 まりさは捨てられた経緯を話した。 自分が飼い主の理不尽な理由で捨てられたことを。 「しかし、そのかいぬしあきたからすてるなんて・・・どうかしてるんだぜ」 「・・・・おにいさんをせめないでね」 「まりさはやさしすぎるぜ。そんなんじゃ、のらとして生きられないぜ」 確かにこのまりさは優しすぎる部分があった。 自分をこんな風にしてしまった飼い主をまりさは恨んでもいなかった。というよりもしかしたら飼い主がまりさを飼い戻ってくるかもしれないと思っていたのだ。 無論そんなことは一切ない。 現実はそんなに甘くはない。一度捨てられたら飼いゆっくりとして戻るのはまずいない。 例え拾ってくれる人がいてもその人間虐待されるか、拾われようとして実は単なる暇つぶしの道具にされるかだ。 拾ってくださいといっても潰されるのが関の山である。 「・・・・・・どうすればいいんだろう・・・」 「だったらまりさの狩りをてつだうのぜ」 「?」 狩りを手伝う?? 最初まりさはなんのことかわからなかったが一応承諾した。 「まりさはこのこうえんのリーダーなんだぜ。ついてくるんだぜ」 そう言われてまりさは元銀バッチまりさの後を付いていった。 着いたのはれいむ一家が住む場所だった。 ここのれいむは早くも番のちぇんを亡くし、今はシングルマザーである。 「れいむ、いるのぜ?」 「ゆん・・・・いるよ」 あまり表情は良くない様だ。無理もない、たった一匹で子供四匹分のごはんを調達していくうちにだんだんとれいむがやつれてきたのだ。 子供たちは家の中で遊んでいたが元銀バッチのまりさを確認すると元銀バッチのまりさに擦り寄ってきた。 「まりしゃおねぇーしゃんゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」 「わきゃるよーおねぇーしゃんがきてくれちゃんだねー」 「ちょっちょちょあみゃあみゃよこちぇ!」 「わきゃ・・・・ゆぴぃ!!」 姉れいむと姉ちぇんは普通だったが妹れいむはどうやらゲスになっている。妹ちぇんに関しては足りない子のようだ。 元銀まりさはそんな子供たちを見てれいむのほうを見た。 「こいつとこいつをあずからしてもらうぜ」 「そ、そのこたちは・・・・!!」 「あとでごはんさんをもってきてやるのぜ」 元銀まりさが選んだのはゲスの妹れいむと足りない妹ちぇんだった。 「さぁ、おちびちゃんたち、まりさのおぼうしにはいるのぜ」 「ゆゆ??あみゃあみゃみりゃえるの??」 「わきゃ・・!わきゃ・・・!」 まりさは二匹を帽子の中にいれこの家を後にした。 ただ親れいむだけがその光景を見て泣いていた。 「おきゃーしゃんどうちたの?」 「ごめんね・・・・ひどいおかーさんでごめんね・・・・・」 「「??」」 元銀まりさは他のゆっくりたちがいないのを確認すると子ゆっくりを外に出した。 「まりさ・・・その子たちをどうするの・・・?」 「こうするのぜ」 元銀バッチのまりさは子ゆっくりたちからお飾りを奪った。 「かえちぇ!!しょれはれーみゅのぢゃよ!!」 「わきゃ・・・!!わきゃ・・・!!」 ゲス子れいむがお飾りを奪われて怒っていた。 ちぇんの方もお飾りが無くなってうろたえている様だった。 元銀まりさは子ゆっくりたちを帽子の中に入れなおすと別のお家にたどり着いた。 「れいむ、いるのぜ?」 「かってにはいらないでね!!ここはれいむのおうちなんだよ!!」 「そんなのはわかってるぜ」 このれいむ先ほどのれいむとは違い随分口が悪いようである。 家には子れいむ二匹、しかもさっきから「あみゃあみゃよこちぇ!!どれぃ!」なんて言っている。相当なゲスなようだ。 「わかってるならとっととでていってね!!あとあまあまちょうだいね!!」 「あまあまならあるぜ」 「ゆ?!はやくちょうだいね!!」 「「よこちぇー!!」」 そう言って元銀まりさが出したのはあの子ゆっくり二匹である。 「ゆ?!ゆっくりできないゆっくりだよ!!うそついたの?!」 「ちがうぜ、これはおまんじゅうさんなんだぜ」 「ゆゆん♪そうだったんだね!じゃあむ~しゃむ~しゃするよ!かわいくてごめんね!!」 「「ぎょめんにぇ!!」」 れいむ親子はなんの躊躇もせずに子ゆっくりたちを食べた。 「「「む~しゃ、む~しゃ・・しあわせええええええええええええええええ!!!!」」」 「ゆぎゃあああああああああああ!!!いだいいいいいいい!!」 「わ・・・・きゃ・・・・・・・・・」 すでに死に掛けの子ゆっくりたち。 しかしまりさはこの後とんでもないことをした。 それは子れいむのお飾りを奪ったのである。 「ゆ?れーみゅのおりびょんしゃんが・・・?!」 お飾りをなくしたことに気づく子れいむだが・・・・ 「ゆ?こんなところにもあまあまがあったよ。む~しゃ、む~しゃするよ!」 「ゆ?!おきゃーしゃん、れーみゅはあみゃあみゃじゃ・・ゆぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 なんと親れいむが自分の子供を食べたのだ。 お飾りを失くしたゆっくりはすでに親れいむの頭の餡子ではおまんじゅうになっているそうだ。 もう一匹の子れいむもあまあま欲しさに食べに行こうとするが、元銀まりさにお飾りを奪われてしまった。 「こんなところにもあまあまがあるよ!!たべすぎてごめんね!!!」 「ゆ?にゃにいっちぇ・・・ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 親れいむは一匹残らず子ゆっくりたちを食べてしまった。 その様子を見た元銀まりさは普段と変わりない表情だった。 まりさにいたってはとても信じれない顔をしていた。 「ゆげええぷっ!!あまあまおいしかったよ!」 「それはよかったのぜ」 そういったまりさは子れいむたちのりぼんと子ちぇんのお飾りを出し。 親れいむの食べ後の上に置いた。 親れいむは何でこんなところにおちびちゃんのおりぼんさんが?とこのおかざりはだれの??と考えた後に顔色を変えて・・・ 「ゆげえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」 自分の中身を吐き出した。 そう親れいむは自分が食べたのは自分と同じゆっくりとおちびちゃんであることに気づいた。 何度か嘔吐した後、親れいむは元銀まりさを睨みつけた。 「よ、よくもおちびちゃんたちをおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 「たべたのはおまえなんだぜ?」 「うるさああああああああああああああああああああああああああああいいいいいい!!!!!」 れいむがいきなり体当たりをしてきたがまりさは綺麗に避けれいむを踏みつけた。 「ゆべえ!!!」 「よわっているれいむなんて、てきじゃないんだぜ」 何度も何度もまりさはれいむを踏みつける。 「ゆべえ!!ゆる!!ずで!!ごね!!」 多分謝ろうとして踏み付けをやめさせようとしたのだがまりさは聞く耳も持たなかった。 最後に踏みつけてれいむは餡子の花びらを咲かせた。 まりさはあんよについた餡子を落とし、れいむの家から食料を盗んだ。 「まりさ・・・なんでこんなこと・・・・」 「ここのみんながいきのこるためなんだぜ」 元銀まりさが言うにはあのれいむ親子はここ最近入ってきた新参で自分はシングルマザーだから食料よこせと他のゆっくりたちの食料を奪っていたのだ。 しかも食料をくれなかったゆっくりにはゲスだといちゃもんつけて制裁されたのだ。 公園に住んでいるゆっくりたちはそのことで脅えていたのだ。 「最初にあったれいむは・・・?」 「あれはこどものほうがゲスとたりない子だったのぜ。あんなのそだてるよりのこりのこどもをそだてるほうがマシなんだぜ」 「で、でも・・・」 「・・・・まりさはまりさのようにならないでほしいぜ まりさはじぶんがやってることはりかいしてるぜ」 「・・・・・・・」 元銀まりさは奪った食料を他のゆっくりに分け与えてた。 その途中まりさは元銀まりさに何故捨てられたかを聞いた。 「ねえ・・・なんでまりさは捨てられたの?」 「まりさはじぶんからでていったのぜ」 「ゆうぅ!??どうして??!!」 「かいぬしと話がそりあわなくなっただけだぜ。べつにこうかいしてないんだぜ」 「ゆぅ・・・」 だが元銀の表情はどこか暗かった。 あれから二週間が過ぎていた。 もう生ゴミに耐えれるほどに舌が慣れていた。 まりさは狩りの最中あるものを見つけた。 「ゆ??」 それがなんなのか近づいたらわかった。 折りたたみ式のナイフだ。 何故こんなものがこんなところに落ちているかわからないがおそらく人間が落としていったのだろう。 まりさはナイフの怖さをよく知っていた。 人間でさえ打ち所が悪ければ死んでしまう凶器だ。 だが、まりさは何かのやくに立つかもしれないと家へ持ち帰った。 家に帰ると中に誰かいるとわかった。 後ろ髪が金髪だったのでまりさか?と思い近づいたが・・・・・ 「んほおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 「れ、れいぱーだああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 そこにいたのは元銀まりさではなくまりさを待ち伏せていたれいぱーありすだった。 「んほおおおおおおおおおおおお!!!」 「ゆぎゃあああああああああああ!!!!やめてええええええええええええ!!!!」 「んほおおおお!!なんてしまりのいいまりさなのかしらああああああああああああああああああああああ!!!!ありすのあいをうけとってええええええええええええええええええええええええええ!!!」 「ゆぎいいいいいい!!!」 まりさはありすにれいぽぉされてた。 初めて味わう不快感にまりさは必死に嫌がったが、ありすがそれを許さなかった。 「つんでれねえええええええええええええええ!!!!いいわああああああ!!いいわよおおおおおおおおお!!!」 「ゆひいいいいいいいい!!!!」 まりさはそこで思い出した。 自分の帽子の中にアレが入っていたのを・・・ スパッ・・・・ 「んほ??」 ありすは最初それはなんなのかわからなかった。 だが、自分のぺにぺに部分に異様な痛みを感じた時理解した。 あれはありすのぺにぺにだ。 「ありすのとかいはなぺにぺにがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「ゆふぅ・・・ゆふぅ・・・・・」 まりさは帽子の中に隠してあったナイフを使いありすのぺにぺにを切ったのだ。 いきなり使ってしまったが効果は絶大だったようだ。 「なんてことするのおおおおおおおおおおおおおお!!!このいなか「まりさ!!!どうしたんだぜ??!!」んほおおお??!!」 まりさの悲鳴を聞いて元銀まりさと近所のゆっくりたちが駆けつけてきたのだ。 それもそうだろう。あんな声を叫べば何事かと駆けつけるに決まっている。 「ゆ??!こいつはさいきんうわさのれいぱーなんだぜ?!」 「まりさ!!だいじょうぶ??!!」 「へ・・・へいきだよ」 元銀まりさはまりさの無事を確認するとありすを睨みつけた。 「みんなコイツをひっとらえるぜ」 れいぱーありすは公園内にいたゆっくり全員に連行された。 「まりさ、ぶじなんだぜ?」 「ゆん・・・」 「・・・そのナイフさんはどこからひろってきたのぜ?」 「これはおちてたのだよ・・・」 元銀まりさはまりさが隠しているものを見抜いていた。 れいぱーは強い。 ありす種はれいぱー化すれば身体能力が異様に高くなる。 その気になればれみりゃを犯せるほどだ。 優しいまりさがましてやれいぱーのぺにぺにを切れるわけ無い。 「そうなんだぜ・・・・だったらまりさがあずかっておくぜ」 「ゆえ?!」 「ナイフさんはきけんなものなんだぜ。まりさがあんいにつかっていいしろものじゃないんだぜ・・・」 「・・・・わかったよ」 そう言ってまりさは元銀まりさにナイフを渡した。 「まりさのちからはだれかをまもるためにつかうべきなんだぜ こんなほかのゆっくりをきずつけるものをつかうべきじゃないんだぜ」 「だれかを・・・・?」 「そうなんだぜ・・・まりさにできて、まりさにできないことなんだぜ・・」 まりさはその言葉の意味はわからなかった。 だけど他のゆっくりを傷つけることがこんなに怖いことだけはわかった。 次の朝、まりさはおなかに違和感があると気づいた。 しかも中で何か動いている・・・まさかと思い他のゆっくりに聞いてみたら・・・・ 「まりさ!それはにんしんしているんだよ!!」 「ゆえええええええええええ???!!」 なんと自分は妊娠してたのだ。 育児の詳しいれいむに聞いたのだから間違いないだろう。 まさかあのありすに妊娠させられたのか・・・それしか思いつかなかった。 「むきゅう・・・あたまにくきさんがはえなかったから気づかなかったのね・・・」 「わかるよーまりさはおくさんなんだねー」 「どうするのぜ?その子供をうむのぜ?」 「おなかの中のおちびちゃんに罪はないよ・・・だからまりさはうむよ!」 「わかったんだぜ」 まりさはおちびちゃんを生むことを決意した。 おなかに負担をかけまいと他のゆっくりたちがまりさの狩りを手伝った。 こうしてまりさはごはんさんを十分とり、出産の時を迎えた。 「ゆぎいいいい・・・・・いたいいいいい・・・・・!!!」 「がんばるんだぜ!まりさ!!」 「ゆっゆっふーだよ!!ゆっゆっふー!!」 「ゆっゆっふー・・・ゆっゆっふー・・・・」 「むきゅ!クッションさんはいいかしら?!」 「とかいはにうえるかむよ!」 みなの協力で無事な出産を迎えれそうだ。 するとまむまむから赤ゆっくりが見えた。 もう少しだ。 スッポーン 赤ゆっくりは勢いよく飛びありすが作ったクッションに着地した。 そして 「ゆっきゅりしていっちぇね!!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 生まれたのは赤まりさだ。 元気に挨拶したところを見ると本人に似たのだろう。 赤ゆっくりといってもサイズ的には子ゆっくりに近い大きさだった。 「ゆ~ん!!とてもかわいいよ!!」 「むきゅう、ぶじうまれたわね」 「とかいはなおちびちゃんね」 みなが祝福してくれた。 赤まりさもうれしそうにはしゃぎ回りまりさに擦り付いた。 「ゆ~ん・・・おちびちゃん・・・」 「どうやらいっぴきだけみたいだぜ」 胎生出産で出てくるゆっくりは少ない。 多くても三匹ほど。 今回まりさはたった一匹だったようだ。 「みんな~・・・ありがとうぅぅぅ・・・」 赤まりさが生まれてから三日はたった。 あの赤まりさは今は子ゆっくりサイズになっており、育ちも早かった。 たまにまりさの狩りを手伝い、いい子に育っているようだ。 「おきゃーしゃん!まりしゃたまぎょしゃんみつけちゃよ」 「ゆ!さすがおちびちゃんだね!!」 どうやら狩りの最中子まりさが卵焼きを見つけたようだ。 重いからまりさが帽子の中にいれる。 今日も狩りは順調だったようだ。 公園へ帰るとゆっくりと人間が戯れてるのを見つけた。 飼いゆっくりだ。 もし捨てられなかったら、自分も今頃はアソコにいたのだろう・・・ 「まりさ、はやくもどるのぜ」 「まりさ・・!」 「にんげんさんにみつかったらちょっとやばいのぜ・・・はやくもどるのぜ」 「わかったよ・・・いくよおちびちゃん」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ」 元銀まりさが早く家に帰るよう急かせた。 まりさは戻ろうとした時もう一度飼いゆっくりたちのほうを向いた。 その時、まりさはその飼いゆっくりの中によく知る顔があったのだ。 れいむだ あのれいむがいたのだ。 お姉さんの下で一緒に勉強したれいむ。 一緒に金バッチを獲って共に喜んだれいむ。 ペットショップでは短い時間しかいられなかったれいむ。 そのれいむが目の前にいる。 「れ・・!!(グイッ)ゆ?!」 れいむに声をかけようとしたとき元銀まりさに止められたのだ。 元銀まりさはまりさに無言で顔を横に振った。 よく見るとれいむだけじゃない、ちぇんやみょんまでいたのだ。 ああ、れいむたちは無事に飼われているのか。 元銀まりさも彼らのことはよく知っていた。同じペットショップ出身だからだ。 だからこそ、元銀まりさはまりさを引き止めたのだ。 まりさがれいむに会おうとすることを止めたのだ。 「・・・会うのはやめておくべきなんだぜ」 元銀まりさはそう言って家へと帰った。 確かに・・まりさが野良ゆっくりになっていると知ったられいむはどんな顔するだろう・・・ やっぱりまりさを見下すのかな・・・野良はゆっくりできなよって・・ 「おきゃーしゃんどうちたの??」 子まりさが心配そうにまりさを見上げた。 そうだれいむがそんなこと言うわけない。 事情を言えばわかってくれるはずだ。 だからまりさは・・・ 「おちびちゃん!おかーさんはちょっとでかけるよ。お家でお留守番してね!」 「ゆ?・・・わきゃったよ・・」 まりさは卵焼きを家へ保存するとすぐにれいむを追跡した。 れいむの飼い主さんはそう速くもなくまりさでも追いついた。 だが、飼い主さんと共に家へとはいってしまった。 まりさは玄関のドアを叩いた。 「れいむー!!いるならへんじしてー!!」 虐待お兄さんに聞こえたらヒャッハーされるほどの大声だったが、あいにくこの近くにはいなかったようだ。 まりさは何度もドアを叩いた。 するとドアが開いた。 「れいむ・・・!」 そこにいたのはれいむではなく、飼い主さんだった。 「なんだ?野良ゆっくりだったのか?」 「お兄さん!まりさのはなしを・・・ゆべぇ!!」 突然まりさの顔に痛みが走った。 何で痛いのかというとお兄さんが蹴ったからだ。 「いだいいいいいいいいいいいいい!!!!」 軽く蹴られたため軽傷だが顔を蹴られたため痛みで動けなかった。 「悪いな、野良はお断りなんだ」 そう言ってお兄さんはまりさを遠くへ投げた。 「おそらとんでるみたああああい!!!」 「ふぅ・・・なんだったんだ・・」 まあ、あのまりさが戻ってきたらまた投げてやるだけだ。 家へ戻るとれいむが心配そうにこっちを見ていた。 「お兄さんどうしたの??」 「気にすんな野良ゆっくりを追い払っただけだ」 「?」 まりさは生きていた。 投げられはしたが落ちた場所がよかったため重傷にはならなかった。 なんとか公園に着き家に帰ると元銀まりさが家の前に立っていた。 「れいむのもとにいったのぜ?」 まりさは顔を縦に振るだけだった。 「これにこりたらもうかいゆっくりにもどるなんてかんがえるなだぜ」 元銀まりさはそう言って帰っていった。 家の中にはすやすやと眠っているおちびちゃんがいた。 おそらくまりさがいない間、守ってくれたのだろう。 「ごめんね・・・ごめんね・・・おちびちゃん・・・」 それから何日かし、ついに食料が足らなくなった。 原因は最近ゴミ捨て場にれみりゃが現れ思うように狩りができなくなったのだ。 何故ここに来てれみりゃが!と群れ一同は困惑した。 すでに他の群れにも被害は出ているようだ。 しかもれみりゃを追い払おうとすると町の人間が野良ゆっくりたちを捕縛してれみりゃに与えてしまうのだ。 それを聞いた野良ゆっくりたちはれみりゃが人間と手を組んだと考えた。 れみりゃはゴミではなくゆっくりを狙うので町の人間たちは別にれみりゃを咎めなかった。 むしろ、野良を駆除してくれるので友好関係まで築いてしまったのだ。 もしれみりゃに何かあれば一斉駆除が起こるだろう・・・それだけは避けたかった。 「ごはんさんがないよおおおおおおお!!!」 「れみりゃのせいでごはんさんがとれないわ!!」 「むきゅう・・・どうしましょう・・・」 「わからないよー!!」 「ちんぽおおおおおおおおお!!!」 食料が段々と少なくなっていく・・・ このままでは飢え死にだろう。 「おきゃーしゃん・・・おなかすいたよ・・・」 「ごめんね・・・れみりゃのせいで・・・・」 まりさたちも例外ではなかった。 実際狩りに行ったときれみりゃから辛くも逃げることができたのだ。 が肝心の食料が手に入らなかった。 「みんな聞くのぜ!」 リーダーである元銀まりさがみんなを呼び集めた。 「しょくりょうさんのことはまりさもよくわかってるぜ!でもそれとおなじくらいゆっくりできないことがおきたんだぜ!」 ゆっくりできない??!公園の野良ゆっくりたちはみな騒ぎ出した。 「さいきんゴミすてばさんにまりさたちがあらわれなくなったかられみりゃがむれをおそいにくるかもしれないのぜ!! すでにちかくのむれにもひがいはでてるのぜ!みんなじゅうぶんちゅういするのぜ!!」 食糧難だけではなくれみりゃが群れを襲うかもしれない恐怖からゆっくりできなくなっていた。 しかも、群れを出て行くものまで現れた。新たなゆっくりプレイスを求めるために。 元銀まりさはそのことを気にしなかった。 出て行けばれみりゃに鉢合わせる可能性は高くなる。 それでも彼らはゆっくりできる場所を求めて旅立っていったのだ。 夜、まりさ親子は静かに眠っていた。 まりさはもし食料が底尽きたら、この子のために「お食べなさい」をしようと考えていた。 が世界とは無情なのである。 どんな善意があろうとも正しいことを主張しようとも無責任にその思いは散っていく・・・・ 「・・・ぅー・・・」 「ゆ・・?いま何かきこえたような・・・」 「うー♪」 「れ、れみりゃだああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 れみりゃがまりさの家に侵入してきたのだ。 まりさは急いでおちびちゃんを帽子の中に隠そうとしたが一歩遅かった。 「うー!(パクッ!!)」 「ゆんやあああああきょわいいいいい!!!」 「おちびちゃあああああああああああああああああああん!!!」 れみりゃが子まりさを咥えてしまったのだ。 さらに中身を吸い餡子を吸収しようとする。 「うまうまー♪」 「やめ・・・・・ちゅわな・・・・い・・・で・・・」 「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 まりさがれみりゃに体当たりした。 勢いが強かったのか、れみりゃは外まで吹き飛んだ。 「ううー・・・いたいどー・・」 痛みを堪えたれみりゃだがまりさがれみりゃを踏み潰そうとする。 れみりゃもすかさず反応したが、羽を傷つけてしまったらしく避けれなかった。 「うばあ!!」 「ゆん!!!ゆん!!」 「いだい!!さく!!やっ!!だず!!うべえ!!」 何回も踏み潰したせいか中枢餡を傷つけてしまいれみりゃは亡き者となった。 騒ぎを聞きつけた他のゆっくりたちが駆け寄った。 「まりさ!!だいじょうぶ?!」 「まりさはぶじだよ・・・それよりおちびちゃんが・・・!!」 家の中にはもう生き絶え絶えの子まりさがいた。 れみりゃに中身を多く吸われてしまい、もう死ぬ寸前だった。 「ゅ・・・・ゅ・・・・」 「ゆわあああああああああああああああああああ!!!!おちびちゃああああああん!!!」 「むきゅう・・・・これはもうておくれよ・・・」 ぱちゅりーでも治せなかった。 もうこのおちびちゃんは助からない。 まりさはそう理解したとたん大泣きした。 だが、子まりさは何かを喋った。 「ぉきゃー・・・しゃん・・・」 「おちびちゃん??!」 「まりちゃね・・・・うれちかっちゃよ・・・」 「??!」 何がうれしいのかまりさには理解できなかった。 「まりちゃが・・・うみゃれちゃ・・とき・・・みんみゃに・・・・よろ・・んじぇ・・・・もらえちぇ・・・・」 「お・・・・おちびちゃん・・・・」 「うれちきゃったよ・・・・・」 子まりさの目が沈んでいく。 「たしゅ・・・てくれぇちぇ・・・あ・・り・・・と・・・・・・・・・・・・」 「お・・・おちびちゃん・・・・・??」 「おちびちゃああああああああああああああああああああああああああああああああんんん!!!!!」 まりさは子まりさに擦り寄り何度もその名を叫んだが子まりさは動かなかった。 まりさは泣いた。おちびちゃんと叫びながら。 周りにいたゆっくりたちもみな涙を流していた。 元銀まりさは泣かなかったが、そっぽを向いていた。 子まりさが死んでから翌日、まりさは途方も無い空を見ていた。 れいむがまりさに声をかけようとしたがありすに「いまはそっとしてあげなさい」と言われた。 元銀まりさは子まりさの墓を作り埋めてやった。 れみりゃの死体はみながありがたく頂戴したがまりさだけが食べなかった。 まりさはその翌日に群れを出て行くと言った。 自分の死に場所を探すと言って来たのだ。 群れのみんなはまりさを止めようとしたが、元銀まりさがそれを承諾した。 「ありがとね・・・・・まりさ」 「まりさがきめたことにまりさたちがくちだしはできないんだぜ」 「いままでありがと・・・・・」 「こちらこそなんだぜ・・・」 まりさは群れを出て行った。 自分の死に場所を探しに・・・・・ まりさは途方もなく歩いていた。 途中すれ違うゆっくりや人間にあったがまりさに気にも留めなかった。 まりさは死に場所を求めてなんの変哲も無い空き地に出た。 町外れまで歩いていたようだ。 こんな場所があったなんて。 まりさはもう疲れたように・・・・その場所で眠ってしまった。 このままいれば自分はいつか死ぬだろうと思い・・・・・・・・・ 「おい、大丈夫か?」 まりさにその声は届かなかった。 まりさはふと目を覚ました。 どうやら自分はまだ生きているみたいだ。 視界がぼやけていたが、生きてることは実感できているみたいだ。 (むきゅう、あのまりさをぱちぇたちの群れにいれるつもりなの?お兄さん) 何か声が聞こえた。 近くで誰か話しているのか?? (いやなのかよ・・・悪いけど俺はそおいうのほっとけないんだよ) この声は人間さんだ。 人間さんが近くにいるの・・・?? (べつにいやとはいってないわ。でもいきなりつれてきてビックリしたわよ。ぱちぇのじゅみょうははんぶんちちんだわね) (嘘付け) (そうだみょん。そんなことでじゅみょうさんがちぢまったらみょんたちしんじゃうみょん) なんだか親しい会話をしてる・・・ 人間さんとゆっくりが会話してるの・・・? 「おっ・・・!目を覚ましたみたいだな」 「むきゅう、あの瀕死のからだでよくたすかったわね」 「オレンジジュースさんはすごいみょん」 「何があったか知らんが・・・動けるか?」 まりさは生きていた。 このお兄さんとぱちゅりーとみょんのおかげで。 あとがき えーとっこれでまりさその後は終わりです。すっごい中途半端ww このまりさがこの後どうなったかは別のお話で登場させていただきます。 れいむその後で書いたあとがきで加工所の刺客って何?って質問がくると思うのでここで答えさせていただきます。(麦が口下手なせいで) 刺客っていうのは別に秘密を知った人間を殺すのが目的ではありません。 記憶を消すのが役目です。 殺しはしません。 なんで本部ってそんなにやばそうなの?って思うかもしれませんが全部所長が悪いんです。所長が。 友人「結局所長って何者なの?」 「秘密」 友人「れいむその後で今まで書いたやつ書き忘れてただろ」 「すいませえええええええええん!!!!」 他の作品を沢山の人たちに見てもらいました。ありがとございます。 ゆっくりもできればあがればいいな・・・なんて 今まで書いたやつ anko1994『加工所本部(前編)』 anko1996『加工所本部(後編)』 anko2002『れいむその後』
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『まりさのお家』 4KB 小ネタ 不運 日常模様 野良ゆ 現代 虐待描写はありません 「にんげんさんはゆっくりしないでどっかいってね!」 私が休日の朝、そこに行くといきなりそう言われてしまった。野良のゆっくりまりさだった。 私としても相手にするのも面倒だしさっさと用を済ませたかったので、手早くそこから立ち退くようにまりさに言った。 でもそのまりさは、 「どうしてにんげんさんはいつもそういうの!?ここはまりさたちのおうちだよ! まりさがこのさむさいさむいのなか、ひっしでさがしまわってようやくみつけたゆっくりぷれいすなんだよ!?おうちせんげんだってちゃんとしたよ!? にんげんさんがなんていっても、ここはまりさのおうちでゆっくりぷれいすなんだよ!!」 そう私に向かって言い放った。 だが、どうしたことかその身体は傷だらけだったり、欠損が激しい。まりさ種特有のおさげが根元から千切れている。 私の話しの何かがまりさに触れるものがあったのか、まりさは自分の境遇を吐き捨てるかのように捲し立てた。 「まりさはね、もともとはこうえんさんにすんでたんだよ。ふゆさんがきてもえっとうのもんだいはぜんっぜんなかったよ。 でも、にんげんさんがそれをぜんぶだいなしにしたよ……! おうちをこわされたよ……!あつめてたごはんさんもすてられたよ……!からだをいたいいたいにされたよ……!れいむもおちびちゃんたちもころされちゃったよ……!」 身を震わせ、まりさの独白が続く。 「ねえ、どぼじで……!?どぼじでにんげんざんばぞんなひどいごどがでぎるの!? ばりざだぢのおうぢをうばっでおいで、ごごでもゆっぐりずるなっでいうの!?ぞんなのひどいよぉ!! ばりざだっで……!ばりざだっで……、ゆっぐりじだいんだよぉぉぉぉぉっ!!!」 まりさの叫び。それはおそらく心の底からのものなのだろう。 ゆっくりすることを至上とするゆっくりからすれば、きっと今の生活は地獄なのだろう。 そんなまりさの言葉に私の一つの感情が浮かんだ。 それは饅頭相手に抱くには上等過ぎるような気もしたが、わたしはそれを抱かずにはいられなかった。 私は身を屈め、まりさと視線を合わせる。 突然の私の行動に怯えるまりさ。そのまりさに私は言葉をかける。 「まりさ、ゆっくりしていってね……?」 私はどうしてもそう言わずにはいれなかった。 まりさは初めは私の言葉が理解出来ずきょとんとした顔をしていた。 「ゆ……?まりさ、ゆっくりしていいの?」 「ええ、いいわ」 「まりさ、ここにすんでおこられない?」 「ええ、おこらないわ?」 「にんげんさんはまりさをいじめない?」 「ええ、いじめたりなんてしないわ」 理解が追い付くとその顔は喜色に満たされていった。 今まで自己という存在を否定され続けていたそうだからその反動だろうか。 さっきまでの悲壮感溢れる姿とは打って変わって、本当に嬉しそうにするまりさ。 そんな姿に本来はこっちも少しでも喜びという感情を得るのだろうが、どうしてか私には後ろめたさしかなく、まりさに視線を合わせることが出来なかった。 そんな私の心の機微などまりさが分かる筈もなく、まりさは本当にゆっくりとした表情で言った。 「まりさはおねえさんがまりさのくろうをわかってくれてうれしいよ!おねえさん!ゆっくりしていってね!」 悪意なんて欠片も無い、純粋な笑顔。 きっとこの野良まりさは私を、人間という生物を信じ切ってしまったのだろう。 越冬の邪魔をされ、痛めつけられ、家族を殺されたというのに……。 たった一人の人間が自分達のゆっくりを祝福してくれた。たったそれだけのことで……。 「っ!」 私はその事実に愕然とし、手に持っていた物をその場に置いて逃げるように立ち去った。 後ろから『お姉さん?ゆっくりしていかないの?』という声が聞こえたような気もしたが、私には気にする余裕も無かった。 まりさがおうちとしていた場所。そこは人間でいうごみ捨て場だった。 世間では糞饅頭、ゴキブリ糞袋などとごみ同然に蔑まれているゆっくりという生物。 そんなゆっくりがごみ捨て場を家とし、そこでゆっくりすると言うのだから、何とも言えない程に滑稽だ。 あるべき所に収まったと言うのか……、皮肉が利いていると言うのか……。 それはあのまりも分かっていたのかもしれない。 でも、私が期待を持たせてしまった。本当につまらない偽善のおかげで……。 そんな圧倒的な現実に耐えられず、ただ私は一秒でも早く今の出来事を忘れる為、自分の家へと足を早めた。 その途中、何度もあの野良まりさの笑顔を思い出してしまった。 私は初めてゆっくりの無知さに恐怖を覚えたのだった。 ある女性が去った一時間ほど後、とあるごみ捨て場でゆっくりの悲鳴が上がった。 それなら別に珍しくも無い光景なのだが、『どうして……、どうして……』とただ呟く一匹のゆっくりの姿がひどく印象的だった。 業者はその様を不思議に思ったが、『饅頭の考える事なんて分からん』と結論づけ、ごみとゆっくりを積んだ車で次のごみ捨て場へと向かうのだった。 女性とまりさが出会ってしまった日、それはこの町の燃えるごみ収集日だった。 後書き 駄文失礼しました。 このお姉さんは捨てられている犬や猫を見て「可哀想」と思うだけで何もしないタイプの人です。なまじ期待を持たせた分、性質が悪いですね。 前作は多くの評価や感想をありがとうございました。やはりまだまだ詰めが甘いな、と再認識させられました。 今回も前回も虐待とかの描写が無いですが、次回あたりは溜めた虐待分を解放したいと思います。読んでいただきありがとうございます。 書いたもの anko3049 賢いのは…… 挿絵:
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「ゆんしょ!ゆんしょ!」 今日もまりさはごはんさんを集めている。 ここは街のはずれ、あと少し進めば緑豊かな土地にいけるところ。 しかしまりさは街を離れようとはしなかった。 自然の中で暮らした方がゆっくりたちにとってはいいことも多いだろう。 街での暮らしのようなとびきりのあまあまが手に入るわけではないが 木の実や花なども豊富にあるはずである。 「ゆふー。きょうもごはんさんゆっくりあつまったのぜ!」 少し重くなった帽子をかぶり、よろよろと帰宅するのであった。 「ゆっくりただいまなのぜ!」 できるだけ元気な声で、しかし声のトーンを落としあいさつをすると、まりさの家族らしきゆっくりたちが顔を見せる。 「ゆ!ゆっくりおかえり・・・こほこほ!」 まりさの挨拶に返事をしようとして咳き込んでしまったのは番のれいむだ。 「ゆー!おとーしゃんおかえりさんだよ!・・おかーしゃんだいじょうぶ?」 「・・けほ・・ゆん!おかーさんはだいじょうぶだよ!おとーさんのおてつだいをしてあげてね」 「ゆっくりりかしいたよ!」 まりさがおろした帽子を家に迎え入れようと子れいむはくちで帽子をはむっとする。 「ゆんしょー!ずーりずーり!」 「ゆふふ!おちびはとてもえらいのぜ!さすがれいむのこなのぜ!」 「ゆー!そんなことないよ!まりさににたんだよ!」 幸せそうな時間が流れる。 今日の収穫をてーぶるさんと呼ばれる平たい石の上に広げ、食事が始まる。 「ゆ!きょうもまりさごくろうさま!おちびちゃんもおとーさんにかんしゃしてね!」 「ゆん!おとーしゃん!いつもごはんさんありがとぉ!ゆっくりいただきます!」 静かにごはんを口に運ぶ一家。 一般的な野良や野生のゆっくりと違い、この一家は静かに食事をしていた。 両親の躾が行きとどいているのだろうか。 「・・もーぐもーぐ・・・・しししぁぁああわぁぁ・・」 だが、いかに躾がされていようとも所詮子ゆは子ゆ。 抑えきれなくなった幸せが口から洩れようとしていた。 「ゆ!(パシンっ!)」 その瞬間、まりさはおさげを子ゆの口を押さえた。 「しっ!だめだよ!おおきなこえはれみゃがくるよ!!」 厳しい表情で諭すと目に涙を沢山ためて子れいむはぴこぴこをぶんぶんした。 以前、子れいむの姉と妹は目の前でれみゃに捕食されたのだった。 それかられみゃには襲われてはいないが、子れいむにとってはトラウマとなっていた。 母れいむにとってもそれは厭な思い出だった。 もうすぐ梅雨である。 去年の梅雨にも、このおちびの前に生んだ姉妹たちが全部れみゃに襲撃された。 そんなことを思い出しながられいむは子れいむを見つめるのであった。 なぜかこの場所は街であるはずだがれみゃが多く生息する。 街ぐるみでゆっくり駆除のためれみゃを地域ゆとして大事にしているのだ。 もちろん山に行けばれみゃの個体数は保護されているわけではないので平均値になる。 しかし、街で生まれ育ったまりさたちにとっては、街でこんなにれみゃがいるのだから 山にはそれより多くのれみゃがいると思い込んでいた。 季節めぐり今は梅雨。 雨がしとしとと降り続いている。 人間たちも雨の為外出を必要最小限にとどめる季節。 街ゆにとっては人間に会わないというだけで死ぬ確率は随分と下がる。 しかしそれ以上に致死率の高い雨。 春が過ぎ、緑あふれる季節とは一変してごはんさんの確保量はそれを大きく下回るのだった。 「ゆ・・・またあめさんなのぜ・・・。ごはんさんがもうないのぜ・・・」 なかなか降りやまない雨を恨めしそうに見つめながらまりさはつぶやく。 「ほんとうだよ。ゆっくりしないであめさんはやんでね・・・」 れいむも雨を見つめることしかできないでいた。 ごはんさんを貯槽していたスペースには食べるのを後回しにされたおいしくない草があるだけだ。 れいむは体が丈夫とは言えない。 そのせいもあってまりさはいつも懸命に栄養になりそうなごはん集めに余念がないのだが この時期はどうしようもなかった。 子れいむも最近はしあわせー!といった記憶がない。 「ゆー。れいみゅもぉくささんにあきたよ!おいしいごはんさんがたべたいよ!」 「ゆん!おちびちゃんわがままさんはゆっくりできないよ!あめさんだからしかたないんだよ!」 「ゅ・・・だって・・・ぺこぺこさんだよ!」 「おちび・・・ゆっくりごめんなのぜ・・・まりさがごはんさんをもってこれないからなのぜ・・・」 「ゆ!そんなことないよ!まりさはいつもがんばっているよ!おちびちゃんはゆっくりあやまってね!」 「ゆー!ゆー!れいみゅわるくないよ!ぽんぽんぺこぺこさんだよ!・・・ゆわぁぁぁんん!!!!!」 雨のせいもあり、多少大きな声をだしてもれみゃはこなかった。 こらえきれずに泣き出した子れいむに頬を寄せ、まりさは決意する。 「かりにいくよ!」 れいむはびっくりー!とした表情でまりさを見つめる。 まりさの目は決意に漲るものがあった。 まりさには少し当てがある。 多少とは言い切れない危険が伴うが成功すれば得るものは大きい。 なによりおちびとれいむの為と思うと勇気がわいてきた。 「ゆっくりいってくるのぜ!おちびはたのんだのぜ!」 「ゆ・・・むりしないでね!あぶないさんになったらすぐかえってきてね!」 「しんぱいしなくてもだいじょうぶなのぜ!まりさはかりのめいじんなのぜ!」 「ゆわぁー!おとーしゃんかっこいいー!」 「ゆふふ!おちびもたのしみにまってるのぜ!」 雨が小ぶりになった時を見計らいまりさはおうちを後にした。 帽子には貯蔵していた草をあしらいカモフラージュをほどこしていた。 ぽんぽんと駆け足で濡れた地をひた走る。 数分後、まりさは目的地に到着した。 「そろーりそろーり」 静かにしているつもりだろうか。 だが小雨とはいえ雨音のせいで声はいつもよりは響かない。 まりさは雨を木々でよけながら目的の場所へとあんよを進ませる。 木の根元の洞穴の中。 そこにはれみゃが住んでいた。 以前まりさは狩りの途中でれみゃに襲われかけたことがあった。 なんとか隠れてやりすごしたのだが、その時れみゃが入って行ったのがこの洞穴だった。 「ここがれみゃのおうちなのぜ・・・ゆっくりごろしはゆっくりできないけど・・・ れみゃだからいいのぜ・・・。いつもゆっくりをたべるわるいやつなのぜ・・・!」 自分に言い聞かせるように大義名分を口にしていた。 そーっと穴をのぞくと親れみゃ1匹と子れみゃが3匹すやすやと寝息を立てていた。 「こどものれみゃぐらいだったらきっとなんとかなるのぜ・・・!」 意を決して穴に静かにはいってゆく。 「そろーりそろーり」 雨の音にかき消されるのだろうか、れみゃは気付かず寝息をたてていた。 少しずつ動かすあんよに緊張が走る。 まりさはついに子れみゃの目の前まできた。 高鳴る餡子の音が洩れてしまいそうなほど緊張していた。 帽子の中から一口大より少し大きめの草をだす。 それをおさげを使い、のんきに寝ている子れみゃの口に一気に詰め込んだ。 「!(ぅー!ぅー!)」 声にならない声で子れみゃが反応する。 しかし口に詰められた草で思ったより大きな声が出せないでいた。 まだ子れみゃのため、飛行もままならない。 身体能力は現時点ではまりさに分があった。 この場で殺そうとすると時間がかかってしまう。 なにより親れみゃにみつかることは避けたいのだ。 おさげを使い器用に子れみゃを帽子に詰めた。 かなり重たい帽子になってしまったがそれをかぶりなおし急いで穴を脱出する。 「!!・・・!!!」 まりさの帽子の中で子れみゃは暴れている。 何が起こったのか寝起きで理解できなかったのであろう。 まりさの頭頂部に吸いつけばいいのだが、それも口に満杯につめられた草によって出来ないでいた。 「ゆっくりせいこうしたのぜ!いそいでかえるのぜ!!!」 這うようにして穴を出る。 「うー・・・うー・・・おなかいっぱいなんだどぉ・・・」 振り返ると親れみゃはまだのんきに寝言を言っていた。 雨脚が強くなってきている。 それは帽子の中身にとどめを刺す時間がないことを意味した。 とどめをさしているうちに逃げられたりしては意味がない。 なにより、その間に雨にやられてしまっては元も子もない。 「きょうはごちそうさんなのぜ!きっとおちびもれいむもよろこぶのぜ!」 少し動く帽子を気にしながらも家路をいそぐまりさだった。 「うー!ゆっくりおきたどー!・・・うあぁぁぁ!!!おちびがたりないんだどー!!!!」 まりさが去って少し過ぎた後、れみゃは起床した。 「うー・・・いちー・・・にー・・・やっぱりたりないんだどー!!!」 れみゃはばたばたと洞穴のなかで飛び回っていた。 「ゆん!あとすこしでおうちなのぜ!」 自分のおうちを目で確認することができる距離まできていた。 帽子はさっきより暴れなくなっていた。 「きょうはごちそうなのぜ!これで!これでだいじょうぶなのぜ!」 「なにがよ?」 「ゆっ!!???」 まりさが帽子を気にしながら上をみるとまりさ見つめる二つの目。 おうちまであと少しだというのに、にんげんさんに見つかってしまったのだ。 さっきまでの希望に満ちた表情とは逆にどうしていいのか分からなくフリーズしてしまった。 「んで?おまえのごちそうってなによ?」 恐怖でおそろしーしーをちびってしまいそうだ。 しかしまりさはにんげんさんには迷惑はかけていない。 悪いこともしていないので大丈夫だと自分を落ち着かせる。 「・・・ゆ!に、にんげんさん・・!ゆっくりしていって・・・」 「だからごちそうってなんだよ」 「・・・ゆっ!まりさめいわくかけてないのぜ!だ、だから・・!」 「いいからみせろって」 こうなってしまってはどうしようもない。 にんげんさんの強さは誰より理解している。 まりさは観念して帽子を脱いで中身をみせた。 「ゆ・・・あめさんがゆっくりしてなくて・・・ゆっくりごろしはゆっくりできないけど・・・ れいむやおちびのためにしかたないのぜ・・・だ、だから!にんげんさん!まりさは・・」 「おーい!れみゃー!いたぞー!」 「うー!うー!!!れみゃのおちびなんだどー!!!」 にんげんさんの周りをさっきのれみゃがばたばたと飛び回っていた。 「ゆっ!?ゆっ!!??」 まりさは意味がわからない。 「だめだぞ。気をつけなきゃ」 「うー!おにーさんごめんなんだどー!」 れみゃの帽子には『XX町内会』と書かれたプレートが小さく光っていた。 「ゆんやぁぁああー!!!!やめるのぜー!まりさのすてきなぼうしさん!ゆっくりかえせなのぜぇぇ!!!」 帽子を奪われ必死でジャンプを繰り返すまりさ。 「おい、れみゃー。今日のご飯はこのまりさでいいか?」 「うー!うー!ごっはんだっどー!おちびたちとたべるんだどー!」 「ゆわぁぁああ!!!やめるのぜ!はなすのぜ!!!ゆんやぁぁぁああ!!!!!」 まりさはれみゃに咥えられ洞穴へと消えていった。 「あーあー。また探さなきゃなんねーなー。めんどくせ。あいつももうガキ産まないし代えどきか」 遠くから様子をうかがっていたれいむが人間に近付いた。 「ゆぅ・・・またまりさがいなくなったんだね・・・」 「あ、れいむか・・。そーだなー。まぁそういうこともあるさ。また帰ってくるよきっと」 「ゆん!そーだね!まりさはいつもかえってくるもんね!」 街ゆには過酷な状況から飾りをなくす個体が多い。 そんなまりさ種のうち、元気で優秀そうな個体をみつけスカウトする。 代々のまりさ達がかぶってきた帽子はすできボロボロである。 しかしまりさ達にはそんなことはどうだっていい。 整備されたおうちと黒帽子、そしてかわいいれいむ。まぁ今回はコブ付きだが。 人間さんに言われた条件を飲むことにより与えられる好条件に首を横に振るものは少ない。 所詮ゆっくりはゆっくり。 自分は初めから、このれいむの番であり家族であるフリをする。 それがこの好条件にありつける唯一の条件なのだから。 しかし慣れてくるうちに思い込む。そしてそれはまりさにとっては真実になるのだった。 またれいむにとってもそれは真実でしかない。 れいむに課せられた条件は人間との繋がりを一切口にしないこと。 それだけで番によって保障されたれいむとしての幸せを味わうことができる。 れみゃによって子ゆの何匹かはいなくなってしまったが、 子育てが最高の幸せであるれいむにとって子はまた作ればいいだけの話。 いつだって、どんなことがあったって、れいむのまりさは帰ってくるのだから。 街ぐるみで保護されているれみゃといえども、梅雨は他のゆっくり同様狩りには不向きな季節だ。 なによりゆっくりが外にでてこない。 この一時の梅雨以外はゆっくりたちはうざいほど増殖する。 雨と飢えによりれみゃたちが死なれては困る。 そんなときのためにこのれいむ達がいる。 今回はイレギュラーだったが順調にれいむたちが子を増やせばれみゃは身近なところで狩りができるのだった。 「あーあー。れみゃもなにやってんだか・・・。れいむのガキ大きくなったら苗床交換するかな・・・」 青年が空を見上げると雨は止んでいた。
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『まりさの……』 35KB 戦闘 お家宣言 番い 野良ゆ 子ゆ 希少種 現代 虐待人間 独自設定 実験作 注意:チートゆっくりが出ます まりさの…… ※注意:チートゆっくりが出ます 0章.まりさの旅立ち 朝の日差しが森の中にも差し込む、人間が動き出すには早いこの時間に既に動き出している生き物が居る。 ゆっくりである、夜の闇を何より恐れる彼女らは日の出と共に起き出し、日の入りと共に家に帰る、そんな健康的な生活を送っていた。 「ゆぅ、まりさ!あさだよ、おきてね!」 「むにゅう、ゆっ!あさなのぜ!?」 しかしそんなゆっくりにも寝ぼすけは居る者で、とある木の下に作られたおうちではまりさが番のれいむに叩き起こされてた。 「そうだよ、あさだよ。おちびちゃんたちも、おはようっしてね!」 「ゆぴぃ、あちゃなの?」 「むきゅう、まりしゃもっちょしゅーやしゅーやしちゃいんだじぇ……」 お下げで眠い目を擦っているまりさの奥では、子供達がれいむによって起こされている。 「さぁはやくおきてね、あさのむーしゃむしゃするよ!」 そう言って昨日のうちに集めてあった草花を咥えてくるれいむ、家族の真ん中にそれが置かれる。 「ゆわぁ、おはなしゃんがあるんだじぇ!」 「れいみゅも、れいみゅもほちいよ!」 歓声を上げる子ゆっくり達、まりさとれいむの顔にも笑顔が生まれた。 「ゆ、それじゃあいただきますなのぜ!」 「「むーちゃむーちゃしあわせー!」」 「ゆぅ、おちびちゃん、ちゃんといただきますしなくちゃだめだよ!」 朝食が始まった、むーしゃむーしゃしあわせーと言う声がおうちの中に反響する。 「ゆぷぅ、おにゃかいっぴゃいなんだじぇ!」 「ゆっくちー、れいみゅもおにゃかいっぴゃい!」 「おちびちゃん、おくちのまわりについてるよ。ぺーろぺーろ」 「ゆぅ、きめたのぜ!」 子ゆっくりの口の周りを綺麗にしてあげているれいむに、先に食べ終わっていたまりさが大きな声で宣言する。 「ゆっ、まりさ!?きゅうにどうしたの?」 「れいむ、まりさはきめたのぜ。きょうこそにんげんさんのプレイスにせめこむのぜ!」 「ゆっ!」 まりさが言っているのは以前かられいむにだけ告げていた計画、この森から少し行った所にある人間さんにゆっくりプレイスをまりさ達の物にする事である。 人間さんは非常にゆっくりしていない生き物でお野菜と言う非常に美味しい草さんの生える場所や、大きな木のおうち、あまあまの湧き出す場所を独り占めしているのだ。 それだけでは無い、時にゆっくりのプレイスである森の中へ入ってきていきなりゆっくりを捕らえるという暴挙まで行っている。 人間さんに対する森のゆっくり達の怒りは高まって居たが、森のゆっくりの長にしえ古老であるぱちゅりーは人間への報復や人間さんのプレイスへの侵入を禁止していた。 しかし、まりさは諦められなかったのだ。いつの日か人間さんを倒しあのプレイスをゆっくりの物にする、常々妻であるれいむにはそう言ってきたのである。 「ゆぅ、まりさ……でもぱちゅりーがだめだって」 「だいじょうぶなのぜ、もうよぼよぼのぱちゅりーにはむりでも、このもりさいっきょうのまりさならいけるのぜ!」 まりさのこの言葉は真実であった。まりさはこの森のゆっくり達の中では最強の実力を持っており、狩りの腕前でも他のゆっくりとの戦いでも負け知らずであった。 「おちびたちもきくのぜ、おとうさんはきょうこそにんげんさんをせいっさいするのぜ!」 「そうしたら、あのプレイスはゆっくりのものになって、おやさいやあまあまがたべほうだいなのぜ!」 「ゆわぁ、しゅごいよおちょーしゃん!」 「れいみゅもおやしゃいしゃん、たべちゃい!」 「ゆふふふ、おとうさんにまかせておくのぜ!」 盛り上がり出す家族達にれいむも決意を固める。 「わかったよ、まりさをしんじるよ!」 「まかせておくのぜ、まりさがまけるわけないのぜ!」 こうして一家4匹は朝食を終えると、人間さんのプレイスへ行くため森の出口を目指した。 1章.まりさの戦い 「ゆわぁ!すごいよ!」 まりさ達が森を抜けると、その先には人間さんのプレイスが広がっている。 目の前にはお野菜が一列に並んでおり、赤や緑の光を放っている。その遥か先には人間さんのおうちが生えている。 「しゅごいよ、おちょうしゃん!」 歓声を上げる家族達、まりさもその風景に目を奪われたが、その体の中にはドロドロとした怒りが渦巻いていた。 こんなに沢山の美味しそうな草は、森の中を一日中探しても見つけることは出来ないだろう。 それが生えてくるプレイスを独り占めしている人間さん、それを止めようともしない森の仲間達。 やはり今日こそこの場所をまりさ達の、ゆっくりの物にするのだ、それでおあいこである。 「まりさぁ、はやくむーしゃむしゃしようよ!」 妻のれいむが急かしてくる、子供達も既に待ちきれないようで瞳を輝かせてお野菜さんの方を見ている。 「わかったのぜ……さぁみんなでむーしゃむしゃするのぜ!」 「ゆわぁい、おいししょうなのじぇ!」 「おかあしゃん、れいみゅあのあきゃのぎゃちゃべちゃい!」 「わかったよ、おちびちゃんいっしょにいこうね!」 れいむとおちびちゃん達は、赤い実の生っている背の高い草に向って走っていった。 まりさは目の前に生える草さんに目を向ける。地面から天に向って伸びている緑の草、その根元は白く膨らんでいる。 その白く輝く根元に齧り付く、固い歯ごたえ、それにまりさの歯が食い込むと瑞々しい感触と少し辛味のある味がお口の中で暴れまわった。 「むーしゃむしゃ、し、しあわせー!」 辛味に驚くが、体はそれに反して食べたものの旨みに声を上げさせる。 口の中でジャチジャリと噛み締めると、その度に味が口に中に広がった。 「むぐぅ、むぐ、おいしいのぜ!」 飲み込んで自分の齧り取った場所を見る、緑の草は倒れ地面には先ほど食べた根が埋まっているのか白い断面を曝していた。 「「むーちゃむちゃ、しあわしぇー!」」 奥からおちびちゃんの声がする、そちらに目をやると赤い実を口に入れて涙まで流して喜んでいるおちびちゃん。 横にはもみ上げで実を掴み、子供達の様子をゆっくりとした表情で見つめているれいむが居る。 「むーしゃむしゃ、しあわせー!ゆぅすごいあまあまだよ!」 「ゆっ!まりさ、これたべてみてね、あまあまだよ!」 まりさが近づくと、自分も口に赤い実を入れていたれいむが、それをまりさにも勧めて来る。 あまあま――森の中では滅多に手に入らないそれもここには生えているらしい。 「ありがとうなのぜ、れいむ!」 舌を伸ばしそれを取ろうとすると、 「おきゃーしゃん、まりしゃもっちょほちいよ!」 既に食べ終えたのか子まりさがその実に熱い視線を送っている。れいむがこちらを見てくる、まりさはそれに笑顔を返した。 「はい、おちびちゃん。きをつけてむーしゃむしゃするんだよ!」 れいむは苦笑して赤い実を渡してやると、赤い実の生っていた草の方を向き新しい実をもぎ取った。 「はい、まりさ!」 舌を伸ばしてそれを受け取り口の中に入れる。むーしゃむーしゃ、何故か味がしない。 「おいコラ、何やってやがる!」 その時大きな声が響き渡った。 まりさが声のした方を向くと、大きな影がこちらに近づいてくる。 あれは……人間さんだ、間違いない。なんてゆっくりしていない生き物なのだろうか。 「ちっ、またゆっくりが来やがったか……最近少なくなってたのに!」 この時まりさは自分の失敗に思い当たった。そうだおうち宣言を忘れていた、最初にそれをしなければいけなかったのに。 「ゆぅ、にんげんさん!れいむたちはむーしゃむしゃしているんだよ、じゃましないでね!」 れいむが早速人間に文句をつけている。 「まつのぜれいむ!にんげんさん、ここはまりさたちのゆっくりプレイスだよ!」 れいむを止め忘れていたおうち宣言を行う。もしかしたら人間さんが反論してくるかもしれない。 おうち宣言は誰かの反論があれば不成立となる、その場合は戦いだ。 「はぁ、またかよ……まったく」 しかしまりさの予想に反して、反論は返ってこなかった。おうち宣言成功である、今この時からこのお野菜さんの生えるプレイス――畑さんはまりさの物になったのだ。 「にんげんさん、ここはまりさのゆっくりプレイスなのぜ、ゆっくりしないでさっさとでていくのぜ!」 どうやらまりさに恐れをなしたらしい。その勢いをかってこのプレイスから追い出そうとする。 その言葉に返ってきたのは、人間さんの振るう大きな棒であった。 「おら、今なら見逃してやるからさっさと帰れ!」 何を言っているのだろう、このプレイスは既にまりさの物になったのだ。プレイスの主ゆんが他ゆんに追い出される言われは無い。 あぁ、そうかあれはおうち宣言への反論なのだ。何も言わないから成立したと思っていたが、にんげんのトロさを頭に入れていなかった。 これは最初の考え通り戦うしかなさそうである。 「ゆぴぃ、きょわいよー!」 「おちょうしゃん、たしゅけちぇー!」 子ゆっくり達は今の棒を怖がっている、れいむが背で子供達をかばった。 「れいむ!さがっているのぜ、いまからこのにんげんさんをせいっさいするのぜ!」 「ま、まりさぁ!」 「「お、おちょうしゃーん!」」 まりさはお帽子から木の枝さんを取り出すと口に咥える。人間さんとれいむ達の間に割り込み木の枝を向けた。 「はぁ、まったく。しかたない、つぶすか……いや……」 「にんげんさん、いまならゆるしてやるのぜ、さっさとでていくのぜ!」 まりさは寛大にも降伏勧告を行った。これからまりさ達の物になるゆっくりプレイスである。汚い人間さん餡子で汚すわけにはいかない。 「チッ!」 手に持った棒を振るってくる。まりさは体をよじって回避する。 大きな音が立ちまりさの横の地面が抉れる、土が巻き上がった。中々の速さだがまりさにとっては避けるのは難しくない。 仕留めたと思い油断している人間さん、まりさは木の枝を咥えたままその足に向って突撃した。 「「おちょうしゃーん、がんばっちぇ!」」 子供達の声援がまりさを後押しする、鋭い動きで敵に迫る。 棒立ち状態の足に木の枝が突き刺さった。 「ぐわぁ!」 悲鳴が上がる、持っている棒を取り落としたのか、背後で大きな音がする。 まりさは突き刺さっている木の枝を離し、1度距離をとった。 「うぐぐぅ、やろぉ、何しやがる!」 足が痛むのかうずくまってうめいている、狙いを定めるとまりさは助走をつけて体当たりを放つ。 「くそっ、ぐわぁ!」 まりさの体当たりを手で振り払おうとするが、普通のゆっくりならばともかく森最強のまりさの体当たりである。 「うぎゃあ!」 人間さんが後ろに倒れこむ、 「ゆっ!にんげんさん、いのちだけはたすけてやるのぜ、さっさとうせるのぜ!」 まりさは再び降伏勧告を行った。人間さん体が痛むのかしばらく泣いていたが。 「ちくしょう、覚えてやがれ!」 捨て台詞を残して走り去った。 暫くは警戒を緩めず走り去った方向を見つめていると、背後から心配そうな視線が注がれた。 「れいむ、おちびちゃん、もうだいじょうぶなのぜ!」 「ゆぅ、ほんとうにだいじょうぶ?にんげんさんは……?」 「にんげんさんはまりさがせいっさいしたのぜ!」 心配そうに周囲を見回しているが、まりさの言葉を聞くと安心して笑顔になる。 「しゅぎょーい、おちょうしゃんにんぎぇんにかっちゃの?」 「もちろんなのぜ!」 「しゅごいよ、さしゅがもりさいきょうのおちょうしゃんだよ!」 子供達の賞賛にまりさの鼻が高く伸びる。 「「ここをまりさ(れいむ)たちのゆっくりプレイスにするよ!」」 再びのおうち宣言、今度は反対するものは居なかった。この場所はまりさ達のゆっくりプレイスになったのだ。 「れいむ、おちびちゃんこのままもっとおくまでいくのぜ!」 「ゆぅ、まりさおやさいさんはたべないの?」 「きくのぜれいむ、にんげんさんのおうちにはあまあまがいくらでもあるのぜ!」 「ほんちょ、れいみゅあみゃあみゃがほちいよ!」 「いまこそ、にんげんさんのおうちにせめこんでまりさたちのおうちにするのぜ!」 まりさの宣言に家族から同意の声が上がる。意気揚々とまりさ達は人間さんのおうちが沢山生えている所に向った。 2章.まりさの出会い 「ゆっゆっゆぅ~♪」 「「ゆっゆっ~♪」」 のっしのっしと森の中とは感じの違う道を進む、背後からはご機嫌なのかれいむと子供たちの歌が聞こえる。 自信満々なまりさはそれを心地よく聞いていた、初めてきた場所なのに体が何もかも分かっているかのように進んでいる。 目指すはあまあまの生える人間さんのおうちだ。それを考えるとあんよに力が入る。思わずまりさも歌いたくなる。 その時反対側からこちらに向かってくる者が居る、人間さん?いやあれはゆっくりだ。 「むきゅ、まりさゆっくりしていってね!」 「あら、とかいはなまりさね。ゆっくりしていってね!」 声をかけて来たの2匹のゆっくりであった。1匹はぱちゅりー、肌は艶々、被っているお帽子は染み一つ無く、紫の髪は艶やかに輝きそこに結ばれたリボンは色鮮やかなまりさも初めて見るほどの美ゆっくりである。 もう1匹はありす、サラサラの金髪には枝毛一つ無く日差しを浴びて黄金色に輝きそこに載せられた真紅のカチューシャまでも輝いている、こちらも今まで見たことが無いほどの美ゆっくりであった。 その時光り輝く物に気が付く、ぱちゅりーのお帽子とありすのカチューシャにそれぞれ金色の物が付けられている。 「ぱちゅりー、ありす、ゆっくりしていってね!」 その美しさに一瞬ポーッとなるが慌てて足を止めて挨拶を返す、それを受けてぱちゅりーとありすが笑顔になる。 「むきゅ、まりさ。そんなにいそいでどうしたのかしら?」 「せっかくだからわたしたちとあそびましょうよ!?」 「そ、それはいいかんがえなのぜ!……いや、だめなのぜ!」 思わず頷きそうに成ったが自分の目的を思い出す、まりさはこれから人間さんのお家を奪いに行くのだ。 「まりさはこれからにんげんさんのおうちをうばいにいくのぜ!」 そう高らかに宣言する、 「そんなまりさ、そんなのはきけんよ!」 「そうよ、にんげんさんにかなうわけないわ!」 慌てて制止して来る2匹、しかしまりさの決心はそれぐらいでは揺るがない。まりさは既に人間さんに勝っているのだから。 「そんなことないのぜ、まりさはすでににんげんさんにかっておやさいさんをたべているのぜ!」 「にんげんさんはまりさのこうげっきでいちころだったのぜ!」 「むきゅ……そ、そんな」 まりさの力強い宣言を聞いて半信半疑のぱちゅりー。 「うそじゃないよ、まりさはにんげんさんをやっつけたんだよ!」 「しょうだよ、おちょうしゃんがやっちゅけちゃんだよ!」 「にんげんしゃんなんちぇ、いちきょろだったにぇ!」 その時後ろに居たれいむと子供たちが援護してくれる、それを受けた2匹は一度目を合わせると。 「すごいわまりさ、にんげんさんにかつなんて!」 「とかいはなまりさね、すごいわ!」 興奮した顔で見つめてくる、その視線に尊敬が含まれているのに気が付きまりさも気をよくする。 「つぎはにんげんさんのおうちなのぜ!あまあまがいくらでもあるおうちをまりさたちのものにしたら、つぎはこのプレイスすべてをゆっくりのものにするのぜ!」 「むきゅ、そうしたらわたしにもあまあまをもらえるかしら、まりさ!?」 「ありすはそうしたらまりさのおよめさんになってもいいわ!」 「ぱちゅりーもよ!」 頬を赤く染めて近づいてくる2匹、しかしれいむに遮られる。 「だめだよ、まりさはれいむのおむこさんなんだからね!」 あーだこーだと押し合っている3匹、それをやんわりと止める。 「やめるのぜ、とにかくまりさはいくのぜ。ぱちゅりー、ありす、まりさがにんげんさんのプレイスをせいふくしたらたずねてくるのぜ!」 そう、まりさは人間さんのプレイスをゆっくりの物にしてゆっくりの王になるのだ、そうしたら……れいむだけでなくぱちゅりーやありすもお嫁さんにしてあげよう。 「むきゅ、まりさ……やくそくよ!」 「まりさ、きたいしているわ!」 ゆっくり頑張ってねという2匹の声援に送られてまりさ達は人間さんのお家に近づいた。 3章.まりさの伝説 「ゆわぁ、まりさこれがにんげんさんのおうちなんだね!」 「ここにあみゃあまやがあるんじゃね!」 初めて見る人間さんにお家に興奮するれいむや子供たち、 「れいむ、おちびちゃんたち、そこじゃないのぜ!」 それだけでは無く奥には数え切れないほどの人間さんのお家がある程度の間隔を置いて並んでいる。 何故かまりさの感覚が目の前のお家を違うと感じたのだ、家族を促してどんどんと奥に進んでいく。 まるで体が知っているかのように進んでいくと目の前に大きな赤い物が現れた、まるで森にある木を短くして赤くした様なそれは高いところに口を開きまりさ達を見下ろしている。 「ゆぅ、ゆっくりしていってね!」 上を向いて挨拶をしてもそれが答える事は無い、開いた口を動かす事無くそこに佇んでいる。 「おちょうしゃん、こりぇにゃに?」 後ろの子れいむが聞いてくる、まりさも始めて居見るものだそれに挨拶を返さないとはゆっくりしていない生き物である。 「おちびちゃん、はなれるのぜ!それはゆっくりしていないのぜ!」 「「「ゆぅ!」」」 驚いて後ろに下がる家族を背中に庇いまりさはそれに相対する、するとそれは口から何かを吐き出して来る。 「ゆがぁ!」 「「お、おちょうしゃーん!!!」」 視界が遮られ、思わず声を上げてしまった。子供たちが悲鳴を上げる、大丈夫なのぜおちびちゃんそう返そうとして言葉を飲み込んだ。 先ずはこのゆっくり出来ない生き物を倒さなくてはならない、相変わらずまりさに向けて白いものを吐き出してくるがそんなものは効かない。 冷静に敵の隙を見計らう、その時吐き出す勢いが止まった。 「いまなのぜ、まりさすくりゅーたっくる!」 捻りを加えて強烈な体当たりをお見舞いする、相変わらずそれは何も喋らず悲鳴一つ上げないがゆっくりとぐらつき始め。 めきりという音を立てて倒れ付した。 「ゆっゆ、かったのぜ!」 「すごいよ!まりさ!」 「おちょうしゃんしゅごーい!」 背後からの歓声にえっへんと胸を張って答える。 ぴくりとも動かないそれに尻目に、悠々と立ち去ろうとするまりさ一家の前に再び大きな影が立ちふさがった。 「おい、例のゆっくりってのはこいつか?」 「そうだ、やけに強いゆっくりだから油断するなよ!」 立ちふさがるのは2人の人間さん、片方は先ほど畑さんで返り討ちにした相手である。 どちらも手には長い棒を構え憤怒の表情で立ちふさがっている。 「ゆゆ、にんげんさん!またきたのかぜ!?」 まりさは驚いた、あの時ゆっくり出来ない目に会わせてやったのに学習していないのだろうか。 せっかく見逃してやったのに命を捨てに来るとはお馬鹿な人間さんである。 「うるせぇ、てめぇにやられて黙っていられるか!」 「今度は2人居るんだ、ぐちゃぐちゃにしてやる!」 その言葉と共に1人が手に持った棒を振りかぶる、横に飛びのいてそれをかわす、抉られた地面の土が舞い上がってまりさの頬を叩いた。 「にんげんさん、やるきなのかぜ?まりさもこんどはてかげんできないのぜ!」 睨みつける、まりさの鋭い眼光に人間さん達は一度たじろぐが、決意したのか2人共棒を振りかぶった。 再び飛びのいてそれをかわす、目の前で棒が空を切る音がするがまりさにはかすりもしない。 「ゆっ、ゆっ、ゆっ。にんげんさん、あそんでいるんじゃないのぜ!」 「うるせぇ!くらいやがれ!」 「くそ、よけるんじゃねぇ!」 しばらくかわし続けていると、人間さん達は肩で息をし始めた。 「はぁはぁ、くそ、ちょこまかとにげやがって!」 まりさにはまだ余裕があるがこのまま続けているのも面白く無い、ここで勝負を決めてやろう。 「おらぁ!」 棒を高く振りかぶり大降りになる、大きな隙が出来ているチャンスだ。 「くらうのぜ、ぶれいじんぐすたー!!!」 飛び跳ねるのでは無く、地を駆けてあんよにぶちかましを浴びせる。 「う、ぐわぁ!」 あまりの衝撃に耐え切れなかったのか倒れる人間さん、 「おい!大丈夫か?」 もう1人が棒も放り出してそれを助けに回る。 「ゆふぅ、にんげんさん。もういちどだけいってやるのぜ、ごめんなさいしてさっさとうせるのぜ!」 「そうすればまりさはかんだいにもゆるしてやるのぜ!」 唇を噛み締めているが、もう棒を握ろうとはしない。 そうだ、大人しくごめんなさいをして尻尾を巻いて逃げ帰るなら、もう追ったりはしない。 「……何言ってやがる!ゆっくりなんかに、負けられるかよ!」 「そうだせめてチビ共を!」 突如立ち上がると再び棒を握り締める、戦うことに決めたのだろうか。 いや、2人はまりさには向って来ない、目指している方にはおちびちゃん!離れてこちらを見ていたまりさの家族が居る。 くそ、なんて卑怯な人間さんなんだ。 「く、なにをするのぜ!やめるのぜ!」 「ふん、チビ共を永遠にゆっくりさせてやる!」 「ざまぁみやがれ!」 視線の先では驚愕の表情のれいむ、恐怖に動きを止めたおちびちゃん達。 許せない、まりさに敵わないからといってか弱いれいむとおちびちゃんを狙うなんて。 まりさの中で決めていた最後の一線が越えられる。 (にんげんさん、ゆるせないのぜ。だからこれをつかうのぜ、ゆるしてくれなんて……いわないのぜ!) あんよに力を入れて飛び跳ねる、れいむのおちびちゃん達の、家族の前に守るように。 ゆっくりと棒を振りかぶった人間さんが近づいてくる。 舌を伸ばしてお帽子に入れソレを掴み取る。 お口に入れてむーしゃむーしゃ、 (くらうのぜ、にんげんさん!!!) お口の中が熱くなってくる、段々と大きくなってくるそれを溜める様にぷくーっと堪える。 大きくなったソレが弾ける直前にお口を開く。 (どすすぱーくっ、なのぜ!!!) 目の前に広がる光の奔流、全てを埋め尽くすそれに飲み込まれていく人間さん達。 真っ白に染まる視界、遅れたように轟音が鳴り響いた。 あたり一面を包む煙、巻き上がったのだろうか空から砂利が落ちてきてお帽子に当たって音を立てる。 その後に広がる静寂、少しずつ晴れていく視界には一直線に抉れた地面以外何も残って居なかった。 「ゆ……ゲスなにんげんさんあいてとはいえ、かわいそうなことをしたのぜ」 「ゆ……ゆぅ。まりさ……なの!」 「れいむだいじょうぶだったのかぜ?」 あまりの事に硬直していた家族が、正気を取り戻し始める。子供たちもぽかーんと開いていた口をゆっくりと閉じた。 「ゆ、ゆ、おちょうしゃん。おちょうしゃんがやっちゃの!?」 「そうなのぜ、おちびちゃん。けがはなかったのぜ!」 「ゆぅ、だいじょうびゅだよ。しゅ、しゅごいよおちょうしゃん、ありぇまりしゃもできる!?」 興奮してぴょんぴょん飛び跳ねる子まりさを、何とか説得すると家族に宣言する。 「さあみんな!まりさたちのおうちをてにいれるのぜ!」 4章.まりさのお城 「ここにするのぜ!」 再びあんよの導くままに進んだまりさ達、とある人間さんのお家の前でまりさが宣言する。 特に変わったところも無い人間さんのお家だ、もちろん森のどんなゆっくりが持つ物より立派だしゆっくりしている。 何故かまりさにはこのお家だと言う確信があった。まるでまりさの意思では無くここに連れて来られた様なそんな感覚、餡子の指し示すままにこのお家に決めたのだ。 「ゆぅ、まりさここなの!?」 「おとうしゃん、あみゃあみゃは?あみゃあみゃはまだなの!?」 「まぁまつのぜ、すぐにあまあまもてにはいるのぜ!」 逸る子れいむに微笑みかけると、お家のけっかいに正対する。 人間さんのお家のけっかい――とびらさんは黒くとても硬そうであり、まるで大きな木の様にそびえ立って居る。 まりさは1度深呼吸をした、少し緊張する。ここを越えれば夢にまで見ていた人間さんのお家だ、ここでお家宣言を成立させて家族をゆっくりさせたら他の人間さんをせいっさいするのだ、今まで人間さんが独り占めしていた畑にお家、おやさいにあまあまをゆっくりの物に、人間さんのプレイスをゆっくりの物にするのだ。 未だかって如何なるゆっくりも成し遂げた事の無い偉業。森の長であったよぼよぼのぱちゅりーも、噂に聞く人間さんより大きいというドスも敵わない、とてもゆっくりとした行い、人間さんのプレイスの征服。 それを成し遂げまりさはゆっくりの王となるのだ、恐らくこれまでのまりさの旅は後に伝説としてゆっくりに語り継がれる事だろう、まりさの伝説として。 再び息を吸い込む、そして王として大きな声で正々堂々と宣告する、 「とびらさん、ゆっくりとひらいてね!!!」 一瞬の静寂の後、大きなとびらさんがゆっくりと開き始めた、まるで新しい王を迎え入れる様に。 「ゆわ~すごいよ!」 「ゆっ、こりぇなに!?」 まりさ達が踏み込んだ人間さんのお家は正にすばらしい物だった。 とびらさんを越えて入ると、最初に大きな段差が存在する、これがあれば雨のときでも中に水が入る心配は無い。 さらに進むと一面にふかふかとしたお布団が敷き詰められている、さらにお家の中だというのにお空に太陽が有るのだ。 今は明るいので意味は少ないが、これがあれば夜でもれみりゃが現れない。 森のまりさのお家よりも広い道が真っ直ぐに続いている、それを進むと更に素晴らしい物があった。 「しゅ、しゅごい……」 子まりさも言葉を失ってしまう、まりさも同じだ。 ふかふかのお布団が敷き詰められたお部屋、そこにはあまあまが山の様に積み上げられている。 赤、青、黄色、白、黒、茶色、目がちかちかするようなあまあまがあちらこちらに山を作っており、キラキラと光り輝いている。 その奥に有るのは畑さんだ、前に見た赤い実を生やした草さんが一列に並んで生えている。 その他にも透明に輝く石さんが並んでいる場所、おちびちゃんのお部屋に出来そうな小さなお家、幾らでもお水さんをごーくごく出来そうな大きな川が流れている。 「す、すごいのぜ」 思わず呟いてしまう、まりさの目の前では赤く光るものがあり近寄るとぽーかぽーかと温かい、これが有れば冬さんも怖くない。 「ゆっくりしていってね!」 まりさと同じ位の大きさの白くて丸い物がぱかりと開くと中から挨拶が飛び出した。 れいむとおちびちゃん達は笑顔でそれに答えている。 「ゆぅ、まりしゃもうがまんできにゃいよ!」 「れいみゅも、れいみゅも!」 「ゆ、おちびちゃんしかたがないねぇ、まりさ!」 どうやらおちびちゃん達は、あまあまが食べたくて食べたくて仕方が無いようだ。 ゆっくりとしたお口からよだれさんをだーらだーらと垂らしている。 そういえばまりさもお腹がすいてきた、畑さん以来むーしゃむーしゃしていないのだ口の中によだれさんが溜まる。 「ま、まつのぜ。まずはおうちせんげんをするのぜ!」 それを堪えて家族を引き止める、先ずはお家宣言をしてここを完全にまりさ達の物にしなければならない。 弱いとはいえ人間さんはまだまだ居る可能性があるのだ、何時邪魔をしに来るか分からない、それまでにお家宣言を成立させなければ。 「ゆ、そうだね」 れいむが同意して、あまあまに飛びつこうとしたおちびちゃん達をもみ上げで抑えている、不満そうだったおちびちゃん達も、すぐに終わるよと説得されてしぶしぶとお部屋の真ん中までやってきた。 れいむに目で合図をする、視線で答えてくるれいむ。 「「「「ここをまりさ(れいむ)たちのゆっくりプレイスにするのぜ(よ)!!!」」」」 まりさとれいむのお家宣言に合わせて子供たちも唱和してくれる、しばし黙るどこからも反論は無いこの瞬間お家宣言は成立しここはまりさ達家族のお家となったのだ。 「ゆわぁい、あみゃあみゃ!あみゃあみゃ!」 「まりしゃもいくんだじぇ!」 おちびちゃん達があまあまの山に飛びつく、お家宣言成立の余韻に浸っていたまりさとれいむは苦笑しながらそれを追いかける。 何やらぽかぽかとする場所を歩き、あまあまの山の前に行くと既におちびちゃん達は山にむしゃぶり付しあわしぇ~と叫んでいる。 それを見つめてゆっくりと微笑んでいるれいむ、無理も無い初めて食べるあまあまおちびちゃん達は満面の笑顔だ、それを見るとまりさもれいむもとてもゆっくり出来るのだ。 苦労が報われた瞬間である、れいむを突っついてやるとれいむは嬉し涙を脱ぐってあまあまに舌を伸ばす。 「むーしゃむしゃ、し、しあわせぇ~!」 まりさもそれに習う、山の様に積み上げられた赤く光るそれを口に入れる。 むーしゃむーしゃ、しあわせ~と叫ぼうとして違和感に気が付く、味がしない。何かの間違いだろうかもう一つ口に入れて見るがやはり味はしない。 不安になっておちびちゃん達やれいむを見るが皆幸せそうにあまあまをむーしゃむしゃしている、やはり何かの間違いだろう。 不安からか何だかあんよがヒリヒリとし始めた、それを振り払う様に青いあまあまを口に入れるがやはり味がしない、黄色の物も同じだ。 (なんなんぜ?なんでしあわせ~できないのぜ!!!) 苛立って黒いあまあまの山に舌を這わせるがやはり味はしない、じんじんとあんよに痛みが広がっていく。 いや痛みはどんどん大きくなっていく、そう痛くて耐えられないほど、思わず叫んでしまう程に。 だからまりさは大きな声で叫んでしまった。 5章.というお話ですか? 「ゆぎゃああああああああ!まりざのあんよがああああああああ!」 あんよを引き裂くような痛みがまりさを引き戻す。じゅううという音と共に甘い匂いが辺りに広がった。 しかしその匂いに意識を向ける暇は無い。まりさはあんよを、いや全身をのたうち回る痛みに身を捩った。 「いぎゃああああああああ!や、やべるのぜえええええええええ!」 上半身をぶんぶんと振るが、痛みが止む事は無い目の前には人間さん――いや1人のじじいが面白そうな顔でまりさを見つめている。 あんよは既に痛みがしなくなった、跳ねようとするがあんよに力が入らない、なんとか逃げようとのーびのーびをすると上から何かで押さえられる。 「な、なんなのぜぇ!?なんなのぜぇこれはぁ!?」 大声で疑問を口にするがそれに答える声は無い、必死に情報を手に入れようと辺りに目をやる。 人間さんのお家の中、まりさは何やら黒い物の中に入れられあんよを苛められている。 目の前にはゆっくり出来ないじじい、そういえばれいむ……おちびちゃん達、家族たちはどうしたのだろう。 「マリサー、タスケテネレイムヲタスケテネ!」 「オチョウシャンー!」 「ダリェカタスケチェー!」 じじいの後ろの籠の中かられいむ達の声が小さく聞こえる、おかしいどうしてこんな事に成った。このじじいは誰だ、何であまあまを食べていたれいむ達が籠に。 その瞬間、まりさの餡子に電流が流れる。おかしい……違う、分からない……違う、忘れていた……違う、そう夢を見ていたのだ。 じじいの手が伸びてきてまりさの頭を掴む、持ち上げられると黒くこげ硬くなったあんよが見て取れた。 そう、思い出したまりさは畑で人間さんに捕まって…… 適当に放られる、衝撃で体が痛むがそれどころでは無い、じじいは籠に手を伸ばすとれいむを掴み上げる。 「れいむをはなぜえええ、くそじじぃいい!ゆっ、まりさなにをしてるの、はやくれいむをたすけてね!」 こちらに気が付いたれいむが必死に助けを呼ぶが、まりさには何だかそれは現実感の無い、まるでそれも夢のように感じてしまう。 「ゆぎぃ!」 れいむが黒い物に入れられる、そう思い出したのだ。 今日の朝人間さんのプレイスを目指したまりさ達は、畑さんでのお家宣言に成功して、お野菜さんをむーしゃむしゃしていた時に人間さんに見つかって、 『ゆゆ、ここはまりさたちのゆっくりプレイスになったのぜ!さっさとでていくのぜ!』 『ゆっ!さからうきなのかぜ!?おうちせんげんをまもらないじじいはせいっさいなのぜ!』 『ゆぎぃ、ごべんなざぁい!ゆるじでください!あやばりますからぁ!』 そう、人間さんに戦いを挑んで……負けて捕らえられたのだ。 れいむとおちびちゃん達は人間さんが担いでいた籠に放り込まれ、まりさは頭を掴まれて人間さんに運ばれたのだ。 「ゆぎゃああああ、でいぶのあんよがああああ!やべてねぇはなじでねぇ!」 れいむの悲鳴が聞こえる、黒い物の中から出ようとのーびのーびをしているが人間さんに押さえられているのだ。 人間さんに運ばれていく途中、道で美ゆっくのぱちゅりーとありすにも会った。 『むきゅ、こんにちわ、にんげんさん!』 『こんにちわ、おしごとおつかれさま!』 『むきゅ、そのまりさはどうしたのかしら?』 『なんですって、はたけあらし!まったくいなかもののまりさね、どうりでうすよごれているとおもったわ!』 『まったく……もりのおさはしっかりやっているはずなのに、どうしてこういうゲスが』 『あらぱちゅりー、このまりさがどうしようもないってだけよ。ほら、みてみなさいみぐるしくあばれているわ!』 『そうね、あんなゆっくりしていないひょうじょうで……きたならしいわ』 お飾りに金色のバッジを付けた2匹に蔑んだ目で見られ、暴れるとそら見たことかと笑われたのだ。 人間さんのお家が並んでいるところに連れて行かれ、 『おう、何ゆっくりなんて引っつかんでるんだよ?』 『あぁ畑荒らしか、最近来なくなってたんだけどな、やっぱりあの長がもう年なのかもな』 『連れて帰ってお仕置きするだ?好きだねぇ、俺なら畑の肥やしにしちまうがね!』 逃げようともがいたら地面に叩きつけられて、人間さんが話している間近くにあった赤い筒を眺めていたっけ。 「ゆぎっ!」 まりさと同じ様にあんよを黒焦げにされたれいむが隣に置かれる。 その衝撃で再び現実に引き戻される、 「ゆっ、れいむだいじょうぶなのかぜ!」 ぷるぷると震えているれいむ、痛いのだろうか心配して覗き込むと。 「ふ、ふざけるなぁ!!!」 「ゆぐっ!?」 れいむが頭をかち上げて来た、 「れいむがいたいたいなのを、ぼーっとみていたくせにぃ!なんでたすけなかったんだぁ!!!」 憤怒の表情で睨みつけてくるれいむ、思わず仰け反る。 「おまえが「ゆわぁこわいんだじぇ!」「はなしちぇ、れいみゅをはなしちぇえ!」 怒鳴られそうに成るが、おちびちゃん達の声が動きを止める。 思わず振り向くと、人間さんがおちびちゃん達を掴んだ手をあの黒い物の上にかざしている。 「「や、やべでくだざぃい!!!」」 睨み合っていた2匹はこの時ばかりは協力して懇願する。あの中に入れられればどうなるか、既に身をもって体験したのだ。 人間さんはこちらを向くとにやりと笑った、手が動かされる。 「おねがいじまずぅ、れいむのかわいいおちびちゃんなんですぅ!」 「ちょっと何をやっているんですか!!!」 その時、大きな音を立てて扉が開かれた。 入ってきたのは1匹のゆっくり、赤い髪をなびかせためーりんである。 いや、ただのめーりんでは無い、まりさとれいむをはるか上空から見下ろす胴付きのめーりんである。 突然の乱入者に人間さんは少し慌てた表情になっている。 「いや、そのだな。これは……」 「ゆゅ、くずめーりんにしてはじょうできだよ、はやくおちびちゃんをとりかえしてね!」 めーりん、胴付きとは言えゆっくりの間では見下される存在に人間さんが怯んだ事に自信をつけたれいむが命令する。 それには少しも意識を傾けず、めーりんはずんずんと人間さんに近寄る。 「お兄さん!私の中華鍋で野良の足焼きをしないでくださいって、何度も言ったじゃ無いですか」 「いや、その……それ古い方だろ。ホットプレートを出すのがめんどくさくて……」 「まったく私が花壇の世話をしている間に、今夜はお兄さんの好きな青椒肉絲にするつもりだったのに、止めにしますよ!」 「ごめんめーりん、ちゃんと洗っておくからさ!」 ぷんぷんと怒っているめーりんに謝っている人間さん。 「ゆゅ、なにをやっているの?はやくそのにじじいをせいっさいしておちびちゃんをかえしてね!」 再度れいむが命令する。まりさは止めようとするがそれより早くこちらを向いためーりんおちびちゃんを奪うと、 「ゆゅ、そうだよ「いちゃああああ!」「やめちぇえええ!」 黒い物――中華鍋放り込んだ。 「ど、どぼじでえええ!!!」 「あちゅいい、うひぃ!」 「いやなのじぇえ!!!」 悲鳴が上がるそれを器用に振るうと、れいむの前に突き出す。ひっくり返されたそれから、 「ゆ、ゆ、ゆ……」 息も絶え絶えになり、あんよを茶色にされたおちびちゃん達が落とされた。 「お、おちびちゃああん!いまぺーろぺろするからねぇ!」 必死でれいむが舌を伸ばすが届かない、 「とにかく、これは私が洗いますからお兄さんはそれを連れて出て行ってください!」 そして再び籠に詰め込まれたまりさ達は、人間さんと共にそのお部屋から追い出された。 今まりさの見上げるお家の中では、人間さんとめーりんが楽しいそうに食事をしている。 あの後お家の外庭に置かれたまりさ達、既にあんよをやられている為逃げる事もできない、こうして地獄が始まった。 すきっ腹を抱えて目の前で美味しそうなご飯がむーしゃむしゃされているのを見なければ成らない、 「ちょうだいにぇ、れいみゅにもちょうだいにぇ!」 我慢できずに叫んだ子れいむは、縁側から出てきた人間さんに殴られると直ぐに怯えて縮こまってしまった。 「ゆぴぃ、ごめんなしゃあい!ぶちゃないでぇ、あやまりましゅからぁ!」 「ごべんなさいおにいさん!れいむがあやまりますからぁ!」 子まりさもその様子を見てしーしーを漏らしている。 唯一の救いは未だ永遠にゆっくりした家族が居ない事だが、それはまりさの救いにはならない。 「おまえのせいだぁ!おまえがにんげんさんのプレイスにせめこもうなんていうからぁ!」 「しょうじゃよ、おちょうしゃんじぇんじぇんよわきゃったよ!」 「れいみゅやまりしゃをたすけちぇくれにゃかったよ!」 一塊に置かれた家族だが、直ぐにまりさへの責任追及が始まった。 妻のれいむがおちびちゃん達がまりさを責める、空腹からのイライラだろうか、とうとう暴力にまで発展し人間さんがまりさだけ置く場所を変えたほどだ。 「だからおさがだめっていってたんだよ、ぐずのまりさにだまされたよ!」 「ありぇはだめゆっくりだじぇ!」 「あんにゃのはおちょうしゃんじゃないよ!」 暴言に思わず飛び掛りたくなるが、あんよは動かない。それに事実なのだ人間さんのプレイスに攻め込もうと言ったのもまりさなら、れいむとおちびちゃんが痛めつけられている間何も出来なかったのもまりさなのだ。 俯いているまりさに、れいむ達の暴言がヒートアップする。 「あんなうんうんみたいなまりさとけっこんっしたのはれいむのはじだよ!」 「ゲスなのはまりさだけだよ、にんげんさんにそれをいってれいむたちはもりへかえるよ!」 騒ぎに怒った人間さんが止めに来るかと思えば、縁側の人間さんは食事を終えたのかめーりんに運ばせたお茶を飲みながらニヤニヤとこちらを見ている。まりさは耐えるしかなかった。 日が完全に沈み、辺りが暗くなってもまりさ達はその場に置かれていた。 空腹からかれいむも既に静かになっており、目をつぶって俯いている。 状況が悪化したのは暗くなって暫くしてからであった、 「おかあしゃん、れいみゅ、ゆ、ゆぴぴぴぴ……」 「まり……じぇ……ゆ、ゆぴぴぴぴ」 空腹とゆっくり出来ない状況に置かれた子れいむと子まりさが、非ゆっくり症の症状を起こし始めたのだ。 その様子にれいむも飛び起きる。 「お、おちびちゃん!だめだよぉ、ゆっくりしてね!ゆっくりしてね!」 必死にすーりすーりぺーろぺーろするが症状は緩和しない、助けるには沢山のゆっくりが必要だ。 しかし暗い中、食料はなく、どんどん寒くなっていくゆっくりした状況など一つも無い。 「にんげんさん!おねがいします、おちびちゃんがたいへんなんです!!!」 大声を上げるれいむにまりさは肝を冷やす、人間さんが怒って出てくればまりさ達の命は無い。 「やめるのぜ、れいむ!にんげんさんがおこったら「うるざい!!!うんうんまりさはだまれぇ、おちびちゃんがたいへんなんだぁ!」 れいむの剣幕に押されてしまう、事実音を立てて人間さんが庭へ出てくる。 「おー、どうした?」 「おちびじゃんが、おちびじゃんがぁ!」 「あー非ゆっくり症か……で、どうしろっていうんだ?」 人間さんは泣きつくれいむを笑うと、聞いてくる。 「おねがします、おちびちゃんだけでもゆっくりさせてあげてください!」 「すこしだけでもいいんです、できればあまあまをむーしゃむしゃさせてあげてください!」 人間さんが笑う、 「ああ、いいよ」 そしてまりさを掴むと、反対側を向けてれいむの横に置いた。 「ゆっ、なんなのぜ!?」 目の前に誰も居なくなったまりさは疑問の声を上げる、その時背中を冷たいもので撫でられた様な気がした。 続いて鋭い痛みが背中に走った。 「ゆぎぃ、な、なんなのぜぇ!?」 振り向いて見たものは、まりさの背中にかじりつくれいむの姿だった。 「おばえが、おばえがしねばおじびちゃんが!」 れいむの歯が食い込み、まりさのお肌を齧り取る。 笑いながらお家の方に去っていく人間さん、再びれいむが齧りつく、全身に広がる痛みと共にまりさは倒れる。 仰向けに倒れたまりさ、最後に見たものは自分の頭に齧りつくれいむの歯と、お空にある丸く綺麗な月だった。 (これは夢なのぜ……まりさは……まりさはゆっくりの王様に) まりさの意識はそこで途絶えた。 公民あき 後書き 最後まで読んでいただきありがとうございました。 今回はある意味、創作界禁断のオチなのですが、皆さんどこら辺で気が付きましたか? もしよろしければ下記の感想掲示板で何章で気が付いたよ、と教えていただけるとありがたいです。 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1295715066/ 0章.まりさの旅立ち 古明地さんの関係者でしょうか。 1章.まりさの戦い ここで分かるのはかなり鋭いか、ゆっくりはゴミ、強い訳が無い主義の方でしょう。 一応食べた事の無い野菜の味はしません。 2章.まりさの出会い 飼いゆっくりの反応に違和感を感じた方、鋭いです。金ゲスかよと流した方、そういうパターンもあります。 3章.まりさの伝説 かなり分かりやすいと思います。まりさが普通にドススパークもどきを使っているのに納得した方、某シリーズのファンですね。 まりさが人間を追い越しているのに突っ込んだ方、正しい反応です。 4章.まりさのお城 かなりファンタジー、家の中にあまあまが山になっていたり、畑があったり川が流れていたりとみょんな物だらけです。 でも、もしかすると幻想郷ならそういう家も有るのかもしれません(某妖怪の賢者の家とか)。 5章.というお話ですか? ネタバレです、読んでいた方も多いと思います。ちなみに料理の出来る胴付めーりんは、チートゆっくりだと思います。 過去作品 http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/2942.html
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3894.html
『子まりさ物語』 13KB 愛で いじめ ギャグ 小ネタ 子ゆ 自然界 人間なし 虐待人間 いつもの小ネタです。 ぽよむ♪ぽよむ♪ぽよむ♪ ゆゆゆん?ゆゆっ?!まりちゃはまりちゃだよ!ゆーっくちしていっちぇね♪ -子まりさ物語- 今日もまりさちゃんが、元気よく草原を跳ねています。 草さんも、お花さんも、太陽さんも、虫さんも、みんなまりさちゃんのお友達です。 ゆっくちー!ゆっくちー!みーんなおともだちなのじぇー!ゆっくちー! 友達に囲まれてニコニコご機嫌のまりさちゃん。 うれしくなって、得意ののーびのーびをしてみせます。 のーびのーびしゅるよ!みんなもいっちょにやろうにぇ!のーび!のーび!たいよーしゃんまで、のーびのーび! 小さな体を一生懸命伸ばして、太陽さんにご挨拶です。 ゆゆぅ?おとーしゃんは、どこにいったのじぇ?ゆーん? 朝のご挨拶が済んで、おうちに戻ったまりさちゃん。 ところがどうした事でしょう。 まりさちゃんの自慢のお父さんが、お家に居ません。 まりさちゃんは寂しくなって、お尻を可愛く振りながら泣き出してしまいます。 ゆびゃぁぁん!ゆびゃぁぁん!おとーしゃん、どこいったのじぇぇぇぇ!まりちゃ、さみちーのじぇぇぇぇ!ゆんやぁぁぁぁぁん!! まりさちゃんはポロポロと涙を流してお父さんを呼びます。 ですが、お父さんは答えてくれません。 まりさちゃんは小さな家の中を転げまわってゆんゆんと泣きました。 お父さんの臭いのする枯れ草のベットの上で、泣いていたまりさちゃんが起き上がりました。 ゆぅぅ…おとーしゃ………まりちゃ、おとーしゃんをさがしにいくのじぇ!! りりしく眉毛を吊り上げ、得意そうにのけぞって勇ましく宣言します。 これはまりさちゃんの決めポーズ、まりさちゃんの自信の表れなのです。 小さな帽子の中にお弁当のどんぐりを詰め込むと、小さな枝を咥えてお家を飛び出しました。 おとーしゃんは、きっとどこかで、まいごになってるのじぇ!まりちゃがむかえにいってあげるのじぇ!! 勇ましくまりさちゃんが跳ねだすと、草むらの中から蛙さんが現れました。 蛙さんもまりさちゃんと同じようにぴょんぴょんと跳ねます。 ゆゆぅ?かえるしゃん、まりちゃときょーしょーしゅるのじぇ?ゆっへん!まりちゃ、まけないのじぇ! 蛙さんの後を追って、まりさちゃんが跳ねます。 ぴょんぴょんぴょん!ゆんゆんゆん!ゆっくちゆっくち!まりちゃがいっとうしょー!しょーぶは、まりちゃのかちなのじぇ!かえるしゃん、まだまだなのじぇ! 蛙さんに勝ったまりさちゃんは、にっこりと微笑みます。 蛙さんとお別れすると、今度は芋虫さんが現れます。 いもむししゃん、ゆっくちしていっちぇね!まりちゃもずーりずーりするのじぇ! 今度は芋虫さんと一緒に、ずーりずーりと進みます。 まりさちゃんはとても楽しそうに笑っています。 ちょーちょしゃん、こんにちは!こーろぎしゃん、ゆっくちしてるのじぇ!おはなしゃん、ここはどこなのか、おしえてなのじぇ? 周りを見渡せば、まりさちゃんのお友達でいっぱいです。 みんながまりさちゃんの冒険を応援してくれています。 まりさちゃんは大きく深呼吸すると、体をブルブルと震わせました。 まりちゃ、みんなにいーっぱいげんきをもらったのじぇ!かならじゅ、おとーしゃんをみつけてかえってくるのじぇー! まりさちゃんは得意の決めポーズを取って、大空に向かって宣言すると再び元気良く跳ねだしました。 ゆわぁぁ!おおきなかわしゃんなのじぇー!おとーしゃんは、きーっとこのさきにいるのじぇ!そんなきがしゅるのじぇ!まりちゃがそーきめたのじぇ! まりさちゃんの目の前に、小川が広がります。 でもまりさちゃんにとっては、濁流渦巻く大河です。 まりさちゃんは帽子を川に浮かべると、颯爽とその上に乗り込みました。 ゆゆっ!まりちゃは、すいじょーまりちゃだよ!きゅーきょくの、ふぉーむちぇんじなのじぇ! オール代わりの枝を咥えて、得意顔で決めポーズをするまりさちゃん。 ところがオールを咥えながら喋っていたので、オールを川に落としてしまったのです。 ゆんやぁぁぁ?!どーしちぇ、おーるしゃんがなくなってるのじぇぇぇ!いじわりゅはやめちぇよぉぉ!まりちゃのだいぼーけんを、じゃましにゃいでよぉぉぉ!! 何という事でしょう。 まりさちゃんは、そのまま川の流れに乗って下流へと運ばれていきます。 ゆっびゃぁぁぁん!はやいのじぇぇぇ!こわいのじぇぇぇ!かわしゃんがいじめりゅのじぇぇぇ!! 意地悪な川さんが、まりさちゃんをどんどん下流に流していきます。 まりさちゃんは、帽子の上で体をグネグネ動かして必死にバランスを取って難を逃れます。 ところが小川の先は、大きな滝になっていたのです。 ゆゆぅ?!なにありぇ?おみじゅしゃんが、あそこでなくなってるのじぇ? これにはまりさちゃんもびっくりです。 まりさちゃんは、しばらく固まったように動かなくなりました。 ですが意地悪な川さんは、固まったままのまりさちゃんを待ってはくれません。 ごごごごごごごごご! ゆゆぅ?!ゆわぁぁぁぁい!おしょらなのじぇぇぇ!まりちゃは、つばしゃをてにいれたのじぇぇぇぇぇぇ!! 何という事でしょう。 まりさちゃんは、凄まじい勢いで落下する滝に落ちてしまいました。 ですが、まりさちゃんはちっとも怖がる様子を見せません。 流石、えいゆうのお父さんの自慢のまりさちゃんですね。 ゆっぴゅあ!ゆっぷっぷ!あーこわかったのじぇ!ききいっぱつだったのじぇ!でもまりちゃは、むてきのえーゆーだから、こんなのなんともないのじぇ!! 滝から無事生還したまりさちゃんは、勇ましく決めポーズをとります。 ゆわぁぁぁ!おはなしゃんがいっぱいなのじぇー!ここはとーってもすてきなばしょなのじぇ!ここをまりちゃの、ゆっくちぷれいしゅにしゅるのじぇ!! それは一面のお花畑。 蝶々さんをはじめとした虫さん、色とりどりのきのこさんもいっぱい生えています。 その素晴らしい光景に、まりさちゃんは思わず決めポーズをとってゆっくりぷれいす宣言してしまいました。 これで、もうこの場所はまりさちゃんだけのものです。 まりさちゃんはおめめをキラキラと輝かせながら、元気にぴょんぴょん飛び跳ねたり、コロコロ転げまわって遊びます。 するとお花畑の真ん中に、見覚えのある大きな帽子が見えます。 ゆゆぅ?!あのおぼーちは!かっこよくて、おーきくて、とーってもしゅてきなおぼーちは! まりさちゃんは嬉しさのあまり、ブルブルと震えてしまいました。 ゆわぁぁぁぁん!おとーしゃぁぁぁぁ!おとーしゃぁぁぁぁぁぁぁん!さがしたのじぇぇぇぇ!あいたかったのじぇぇぇぇぇ!! 思わず泣いてしまうまりさちゃん。 まりさちゃんは急いでお父さんの元に跳ねていきます。 お父さんは、そんなまりさちゃんを大きなお下げで優しく撫でます。 もー、かってにまいごになったら、だめなのじぇー!おとーしゃん、まりちゃのゆっくちぷれいしゅで、いっしょにゆっくちしゅるのじぇー!! それからまりさちゃんは、お父さんの取ってきたご飯を、まりさちゃんのゆっくりぷれいすで一緒に食べました。 むーちゃ、むーちゃ、しあわしぇぇぇぇぇ!おとーしゃんのごはんしゃんは、せかいいちなのじぇー!ゆっくちー!! まりさちゃんは最高のゆっくりぷれいすで、お父さんと一緒にとても幸せに暮らしたそうです。 おしまい。 -得点映像- 撮影風景より~ 「ゆゆっ!まりちゃはまりちゃなのじぇ!さいこうのあいどるしゃんなのじぇ!しぇかいのみんなが、まりちゃにみとれるのじぇー!!」 「カーット!…ったく、台本通りに喋れって言っただろう?!」 「ゆゆぅ?なにいってるのじぇ?!まりちゃにめーれしゅるのじぇ?!まりちゃをだれだとおってるのじぇ!まりちゃは、とっぷあいどるなのじぇー!!」 台本通りの台詞を喋らないまりさちゃんを、監督が注意します。 ところがまりさちゃんは不満そうにぷくーっと膨らむと、ぴょんぴょん飛び跳ねて監督を威嚇します。 「ヒャァ!なんだこのくそ饅頭は?!こんな腐ったアイドルはいらねぇ!アイドルは消毒されて引退だぁぁぁぁ!!」 ゴォォォォォォォ! 「ゆぎゃばばばぁぁぁぁ?!げっじゅ!ばじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」 まりさちゃんの態度に、演技指導担当のお兄さんが怒ってしまいました。 お兄さんはどこからか小型のバーナーを持ってくると、あっという間にまりさちゃんをBBQにしてしまいました。 まりさちゃんは真っ黒コゲになってしまい、代役に変わってもらう事になりました。 まりさちゃん、ちゃんと台本通りにやってくださいね。 「いやなのじゃー!どーしちぇ、ぴょんぴょんしないとだめなのじゃー?!まりしゃ、おひるねしたいのじゃー!!」 「おい!何が『じゃー』だ?!ついでに、『まりしゃ』じゃなくて、『まりちゃ』だって言ってるだろ?」 「うるしゃいのじゃー!まりしゃは、まりしゃなのじゃー!ぷんぷんなのじゃー!ぷんぷんしゅるのじゃー!」 このまりさちゃんも、台本通り動いてくれないようです。 まりさちゃん役に選ばれた子は、どの子もみんな気ままなので大変です。 「ひゃぁぁぁぁ!じゃーじゃーうるせぇぇぇ!!さっさと飛び跳ねろって言ってるだろぉぉぉ?!!」 ドカツ! 「ゆっびゃぁぁぁぁ!おちりがいたいのじゃぁぁぁ!やめるのじゃぁぁぁぁ!!」 またもや演技指導のお兄さんの、愛の指導が入りました。 まりさちゃんは、お尻を蹴られてゆんゆんと泣きながら跳ね回ります。 「ほらみろ!やれば出来るじゃねぇか!この根性無しが!ほら、もっと跳ねろ!おどれおどれ!」 パンパンパンパンパン! 「ゆっちゃい!ゆんやぁぁぁ!やめるのじゃぁぁぁ!がじゅ?!じょばばばばっ!」 演技指導に熱が入りすぎたお兄さん。 今度はエアガンを取り出して、まりさちゃんの足元を狙います。 まりさちゃんは慌てながらも、上手にぴょんぴょん飛び跳ねます。 ですがうっかり玉が当たってしまったので、さあ大変です。 動けなくなったまりさちゃんは、そのまま蜂の巣になってしまいました。 これにはスタッフ一同も苦笑い。 再起不能になったまりさちゃんは、代役に交代です。 「ゆえーんゆえーん、かなしいのじぇー」 「だめだだめだ!台詞が棒読みだろ?!ったく、使えねぇやつだな!よし、あれをもってこい!」 「ゆぅぅ?!なにこりぇぇぇぇぇぇ?!」 悲しみの演技が上手く出来ないまりさちゃん。 そこで演技指導のお兄さんは、秘密兵器を用意します。 まりさちゃんは、お兄さんが用意した秘密兵器を見てびっくりしました。 「あぁ?!見りゃわかるだろ?!お前の親だ!ゴミだよ!ちょっと叩いたら、惨めに潰れやがったんだよ!」 「ゆあぁぁ…ぁ…ぁ…ぞんな…ゆびゃぁぁぁぁぁん!ゆびゃぁぁぁぁん!おどーしゃぁぁぁぁぁ!どぼじでぇぇぇぇぇぇ!!」 「はははっ!そうだそうだ!その顔だ!その声だ!いい演技するじゃねぇか!もっと泣け!もっと叫べぇぇぇ!」 まりさちゃんは、全身を震わせてポロポロと涙を零しながら叫びました。 これにはお兄さんも監督も大満足。 迫真の演技でまりさちゃんは褒められました。 良かったですね、まりさちゃん。 「ゆわぁぁ!むししゃんがいっぱいなのじぇ!おはなしゃんもいーっぱいなのじぇ!みんなまりちゃに、むーちゃむーちゃしてほちくて、はえてきたのじぇ?!」 「何言ってやがる、この能無しめ!勝手に共演者食おうとしてるんじゃねえよ!」 「ゆっぷくぷー!これはまりちゃのごはんなのじぇ!そーきまってるのじぇ!そんなこともしらないのじぇ?!おまえはばかなのじぇー!!」 共演者の虫さんやお花さんを食べようとしたまりさちゃん。 さっそく注意されますが、まりさちゃんも負けてはいません。 お兄さんを睨みながら、膨らんで抗議します。 「ヒャア!我慢できねぇ!食われるのはてめぇだ!自然の厳しさを、その身で味わってこいや!!」 「ゆっしゃぁぁぁい?!まりちゃはおしょらのながれぼしぃぃ!! 『ドカッ!』 ゆじゃっぶ!」 何という事でしょう。 怒ったお兄さんが、まりさちゃんを捕まえてボールの様に投げてしまいました。 まりさちゃんは勢い良く飛んでいくと、スズメバチさんの巣にぶつかってしまいました。 「ゆびびっ!ぎぎぃ!ゆびゃぁぁぁん!まりちゃのおかおがいたのじぇぇぇ!すたーのかおに、きずがついたのじぇぇぇぇ!!」 ガチガチガチガチ!ブブブ… 巣にぶつかったまりさちゃんのほっぺが、真っ赤に腫れ上がってしまいました。 まりさちゃんは痛くて悲しくて、ゆんゆんと泣いてしまいます。 そんなまりさちゃんの周りに、怖くて強いスズメバチさんが沢山集まってきます。 「ゆびゃ!いちゃ!なにこりぇ?!やめちぇ!ゆぎぃ!ゆぎゃ!ちくちくいちゃいぃぃ!まりちゃをかまにゃいでよぉぉ!!」 スズメバチさんは容赦なく、まりさちゃんを刺し、噛み付きます。 まりさちゃんは痛みに転げまわりますが、スズメバチさんは一向に攻撃の手を休めません。 そればかりか強力なあごでまりさちゃんを噛み千切ると、そのまま起用にお団子を作り始めました。 「ゆびががぎぎぃぃ!だじゅげでぇぇぇ!までぃぢゃ、いだくでぢんじゃうのじぇぇぇぇぇ!!」 ボロボロになりながら必死に助けを求めるまりさちゃん。 ですが既にスタッフは避難しており、残されているのはカメラだけでした。 やがてまりさちゃんは大きく身震いすると、そのまま動かなくなりました。 思わぬハプニングで撮影は一時中止。 まるでネイチャードキュメンタリーのようになってしまいました。 この後まりさちゃんは、スズメバチさんが美味しく頂きました。 「ゆんやぁぁぁ!おみじゅしゃん、こわいのじぇぇぇぇ!まりちゃは、およげないのじぇぇぇぇ!!」 小川に浮かべられて泣き叫ぶまりさちゃん。 どうやらこのまりさちゃんは、水上まりさ経験がないようです。 「ゆっびぃぃぃ!こわいのじぇぇぇぇ!まりちゃ、おうちにかえ 『ドボンッ!』 ゆごぼげぇぇ?!」 お水が怖くなったまりさちゃんは、何処かに逃げようとお尻をブリブリと振りました。 ところがそのせいで大きくバランスを崩し、そのまま川の中に落ちてしまいました。 「またかよ…次のやつ用意しろ」 「ゆっぴぃぃぃ!まりちゃ、かわしゃんきらいなのじぇぇぇぇ!ゆんやぁぁぁぁ!!」 川に落ちらまりさちゃんはそのまま放置され、次のまりさちゃんがやってきます。 このまりさちゃんも、川を見た途端に泣き出してしまいます。 「ゆびゃぁぁぁん!おみじゅしゃん、あっちいっちぇよぉぉぉ!どーしちぇいじわりゅしゅるの 『ポチャン!』 ゆべげぼぼぉ?!」 帽子のお船に乗ったまりさちゃんは、おさげでお水を追い払おうとします。 ですが身を乗り出したと思ったら、そのまま川に落ちてしまいました。 まりさちゃんは苦しそうに顔をゆがめて、そのまま流れて行きました。 この様に、川での撮影は危険がいっぱいです。 ですが沢山のまりさちゃんが、命がけでがっばってくれまし。 「ゆっびゃぁぁぁぁぁ?!まりちゃ、おみじゅしゃんといっしょに、おしょらをぉぉぉぉぉ?!」 「ゆっぎょぉぉ?!まりちゃの、ゆっくちはつひこうなのじぇぇぇぇぇ?!」 「まりちゃはおしょらのぷりんせしゅぅぅぅぅ!!」 次々と滝から落下していくまりさちゃん達。 落ちる時の姿勢や表情がイマイチ決まらず、何度も撮影をやり直したシーンです。 「いやなのじぇぇぇ!こわいのじぇぇぇぇ!ゆんやぁぁぁぁ!!まりちゃは、おしょらをとぶためにうまれちぇきたのじぇぇぇぇ!!」 「おとーしゃぁぁぁ!たすけちぇよぉぉぉぉ!!ついにおしょらは、まりちゃをうけいれたのじぇぇぇぇぇ!!」 この危険な撮影に、勇敢な沢山のまりさちゃんが挑んでくれました。 なお、川と滝の撮影に出演したまりさちゃん達は、川のお魚さん達が美味しく頂きました。 -監督インタビュー- 最後まで見てくれてありがとう。 いやー、見た目以上にハードな作品だったよ。 主役のまりさも倒れたけど、スタッフもストレスで沢山倒れたよ。 僕も胃に穴が開きそうだったくらいだからね、ははは。 一番危険な撮影だったのは、本編じゃないけどスズメバチかな。 まりさが巣にぶち当たった時は、慌てて逃げたね。 偶然映像が取れてたのが本当奇跡だよ。 実はあの裏で、控えのまりさが5匹死んでいたんだ。 え?撮影で使ったまりさの数かい? さあ、100匹くらいはこちらからもって行ったんだけどね。 結局足りなくなって、現地調達する羽目になったんだ。 でも偶然近くにゆっくりの群があって助かったよ。 あぁ、ラストシーンかい? あれはあえて見ている人にいろんな風に解釈できるようにしたのさ。 現実でゆっくりぷれいすを手に入れたのか、天国のゆっくりぷれいすなのかは見ていた貴方が決めれば良い事さ。 演技指導の彼は、あれは死ぬ間際に見た幻だって喜んでたよ。 はははっ、そういう見方もあったんだね。 最後にもう一度、この作品を見てくれてありがとう。 END 徒然あき
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『タバコまりさ』 5KB 愛で 観察 考証 日常模様 飼いゆ 都会 現代 愛護人間 独自設定 タバコを吸ったこと無いし、副流煙が嫌いです 最近、町の若い連中がタバコを吸うようになった。 タバコまりさ 嘘あき それは偶然のことだった。大学の3時限目が休講になり、家に帰ろうと公園の入口を横切ろうとした時だ。 タバコを吸っている若い土方の兄ちゃんと一緒に一匹の胴付まりさが手に箱を持ってベンチに座っていた。 その箱を良く見たらコンビニや自販機で市販されているタバコのピースであった。 まりさが箱から一本取り出すと口に咥えた。土方の兄ちゃんがまりさのタバコに100円ライターで火をつける。 末端から出る煙を漂わせながらまりさはすぅっと目をつぶってタバコを口内で楽しむ。そして、一吐き。 おっさん臭い慣れた手つきでタバコを楽しんでいたのだ。そして何よりも体を解してゆっくりしていた。 タバコを一本吸い終わると、まりさはベンチの近くにおいてある吸殻入れにタバコの火を消して吸殻をすてた。 そして、もう一本もう一本と立て続けに5本吸ったのだ。その度に土方の兄ちゃんが火を付けていた。 あのまりさは土方の兄ちゃんのペットなのだろうか。それにしても、ペットにタバコを吸わせるとは。 正直、不謹慎極まりなく思い、軽蔑する目で見ざるを得なかった。 それは多分、小さい子供に似た生物にタバコを吸わせるという所業が悪いことに見えたのだろう。 最後のタバコを吸い終わると、まりさは土方の兄ちゃんに手を振って別れを告げていた。 そして、公園の入口へとトコトコと歩いて来た。その姿を呆然と突っ立ったまま見ていた。 どうやら、土方の兄ちゃんのペットではないらしい。だが、金バッチを付けていたところから誰かのペットではあるのだ。 不思議に思った私はまりさがタバコを吸う理由を知りたくて土方の兄ちゃんに声をかけた。 「あの、すみません」 「ん、なに?」 ずんぐりしたボンタンを履いて汚いランニングシャツを来た兄ちゃんだが、ドキュソのような人じゃなくてよかった。 「先ほどのまりさなんですが」 「ああ、あのまりさか。お前も見てびっくりしただろ?」 「ええ」 「俺のタバコ仲間なんだ。いっつもこの時間に来ては数本吸って立ち去るんだよ」 「そうだったんですか」 土方の兄ちゃんから聞いた話をまとめると、どうやらまりさは毎日昼の12時半に来てはタバコを吸うらしい。 また、土方の兄ちゃんは仕事のために一時的にこの辺りに住んでいるだけで、その前からまりさはタバコを吸っていたとか。 マナーをきちんと守るし、ゆっくりらしい我儘や舐めた口を利くわけでもないので普通に接しているとか。 だが、詳しいことはわからないらしい。まりさがなぜタバコを吸うのかとか、誰が飼い主であるとか。 飼い主の意図であるとかその辺りは全くわからないし、まりさ本人に聞いたこともないんだそうだ。 仕事があるからと土方の兄ちゃんは去っていった。私はその後ろ姿を見ながらまりさのことが気になって仕方がなかった。 というわけで、次の日、私はまりさを尾行することにした。前日と同じく土方の兄ちゃんとまりさがタバコを吸う。 まりさがタバコを吸い終わり、ベンチから降りて立ち去る所から尾行したのだ。 ペットのゆっくりだからなのか警戒心がまるで無い。誘拐されても文句が言えなさそうなぐらいだ。 10分ぐらい、ゆっくりの遅い歩みに付き合いながら歩いていると、商店街の一角にたどり着いた。 「おばあちゃんただいま!」 大きな声が聞こえる先は商店街に並列して作られたタバコ屋さんだった。 「あの、すみません」 私はカウンターでウトウトと船を漕いでいたおばあちゃんに声をかける。 「いらっしゃい。タバコかい? それともまりさのことかい?」 いきなり聞きたいことを言われ私は驚いた。 「あんたみたいなのが最近増えたみたいでね」 「そうなんですか……」 「ま、女の子なのは珍しいけど」 「そうなんですかね」 女子大生の私が興味本位で子供じみた尾行をするなんて馬鹿げているのは確かだろう。 尾行とかは男の子のおままごととかロマンスであって、女の子の物じゃない。 それはさておき、私はおばあちゃんからまりさの話を聞いたのだ。 話をまとめてみると、どうやらまりさはチェーンスモーカーで、おばあちゃんがタバコを与えたことから始まったとか。 最初はまりさがゆっくり用の漫画“ゆんぴーす”の“すもこうかー大佐”というキャラを真似てタバコを吸ったらしい。 どうやら、まりさはタバコの美味しさに目覚めたらしく、要らなくなったタバコを吸い続けたんだそうだ。 気づいた時はもう既に遅かったらしい。 最初はタバコを吸うのを辞めるように言い聞かせたらしいのだが、 美味しそうにタバコを吸う姿を見て辞めさせられなかったそうだ。法律に触れているわけでもないし、 医者が言うにはタバコの有害物質もゆっくりの消化器官で消化されるので健康上は大丈夫とのこと。 だから、まりさはタバコを吸い続けるんだそうだ。 私はこの話を聞いてユニークだなと思った。というのは、ゆっくりにもタバコを吸う権利があるのだ。 なによりも、タバコを吸っている時のまりさの表情はとてもリラックスしていた。羨ましいほどに。 「まりさに憧れてタバコを吸う人が増えたのよ」 その気持はなんとなくわかった。自分も吸ってみようかなと思えるぐらいに楽しそうだったのだ。 「確かに体にわるいかもしれないよ、タバコは。でもね、気持ちが和らいだりいいこともあるんだよ」 「麻薬と同じイメージがあるのですが」 「依存性もあるけど、人生何かを試して失敗してもいいんじゃないかな」 「取り返しがつかないような……」 「後悔しないより後悔したほうが人生は大きく見えるものさ。さあ、これがオススメだよ」 そう言うと、おばあさんはマルボロの赤箱を渡してきた。私はつい、財布から小銭を取り出したのだ。 次の日、私は学校内の喫煙所でタバコを吸ってみた。オエって吐き出してしまった。 「大丈夫?」 隣に居たタバコをスパスパと吸っている上級生の男子が背中をさすってくれた。 「ゆっくりと煙を楽しむように、口の奥で楽しむといいよ」 私は頑張ってタバコに再チャレンジした。だが、どうやら、タバコに向いていないようだ。 やっぱり、タバコを吐き出してしまった。 「まあ、そういうこともあるよ」 経験者は語るというやつか。 私は駄目だったが、他の人はタバコを吸っている。副流煙をガバガバと出しながら。 しかし、まりさを見ていると、タバコも良い物な気がしてくるのだ。 カッコイイとか楽しそうとかそんな理由もあるけれど、一番私がいいなと思うのは愛しているということだ。 自分の人生のスタイルを一貫しているところが羨ましい。人生の幸福を作り上げているところが羨ましい。 私も何か、人生で幸せなことってあるのかなと幸せ探しをして見ることにした。履歴書のネタになること探しも兼ねて。 タバコを吸うまりさのような私になりたい。
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はぁい。私の名前はドスまりさ。魔理沙じゃないわよまりさなの。 大きなゆっくりはパチモンがたくさんいたけど、知名度No1の座は譲らなかったあのドスまりさ! まさにゆっくり界のビッグスターことドスまりさ! ・・・・・けど、そんな私も今じゃ職無し。最近ゆっくり界にも不況の波が押し寄せてきたの。 そうすると 『媚びるだけじゃこの業界で生きていけねぇ。』 って、一般ゆっくり共が気付き始めやがったの。 その結果一般ゆっくりが日常的に脅威に怯えるような弱い存在の世界じゃなくなっちゃって、ゆっくりを守るボスとしてのドスは必要なくなってきたわけ。 そうなるとドスなんてもはやただのでかいゆっくり1に過ぎないって言ってたわ。 畜生あいつらみんな死ねばいいのに。 けれど過ぎたことは仕方ないわ。さっそくハローワークでお仕事紹介してもらって面接よ! 面接官「特技はマスタースパークとありますが?」 ドスまりさ 「はい。マスタースパークです。」 面接官「マスタースパークとは何のことですか?」 ドスまりさ 「魔法です。」 面接官「え、魔法?」 ドスまりさ 「はい。魔法です。敵全員を肉塊に出来ます。」 面接官「・・・で、そのマスタースパークは当社において働くうえで何のメリットがあるとお考えですか?」 ドスまりさ 「はい。敵が襲って来ても群れを守れます。」 面接官「いや、当社には襲ってくるような輩はいません。それに人に危害を加えるのは犯罪ですよね」 ドスまりさ 「皆殺しにできますよ。」 面接官「いや、皆殺しとかそういう問題じゃなくてですね・・・」 ドスまりさ 「皆殺しにできますよ。」 面接官「ふざけないでください。それに皆殺しって何ですか。だいたい・・・。」 ドスまりさ 「皆殺しと言うのはですね、具体的に言うと・・・。」 面接官「聞いてません。帰って下さい。」 ドスまりさ 「あれあれ?怒らせていいんですか?使いますよ、ビックバンフラッシュ。」 面接官「オイコラ技名変わってんぞ。・・・いいですよ。使って下さい。マスタースパークとやらを。それで満足したら帰って下さい。」 ドスまりさ 「運がよかったな。今日はMPが足りないみたいだ。」 面接官「帰れよ。」 ドスまりさ 「・・・・・・・・。」 _人人人人人人人人人_> 高い高~い!!!< ̄^Y^Y^Y^Y^Y^YY^Y^ ̄ _,,....,,_ i^ヽry/`ヽ _人人人人人人人人人_ -''" `'' , '` 面⌒`ヽ' > 採用!!! < ヽ L(ノ八ノノLi〉  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄ | ;ノ´ ̄\ l、^ヮ^[i.llλ | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ _ _,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7 _..,,-' rー''7コ-‐'"´ ; ', ; `ヽ/`7 "-..,,_r-'ァ'"´/ i ,/! ハ .ハ ! iヾ_ノ !イ´ ,' | /i/__,.!/ V 、!__丿ハ ,' ,ゝ ( `! !/レi' (ヒ_] ヒ_ン レ'i ノ ) 丿/ //// ,___, ////i .レ' / i i ヽ _ン ! ) ノ ) ハ !/ y' ノ i i( ノノ ( ,ハ 人!( ( ,.ヘ,)、 )> イ ハ `" ー--- ─ "´ この話の教訓 芸は身を助ける。 なついwww -- 名無しさん (2010-04-22 21 19 44) でかいゆっくり達をパチモン呼ばわりはひどいけどあまり間違ってないからなぁ。 最近ドスまりさ見なくなったことを逆にネタにして笑った。 毒があるけど笑えていいね。 -- 七氏 (2010-07-02 12 15 21) このAAを埋め立てに使おうw仕事が見つかってよかったね! -- 名無しさん (2011-02-17 15 32 07) 大好き -- 名無しさん (2011-02-18 03 07 19) 名前 コメント
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『まりさの写真』 デスラッチ09(終) ○○あき 作 独自設定満載です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 天候悪く、今にも降りそうな雲が空を覆う。 周囲には騒ぎ暴れる群衆、その中でカメラを構える男性。 男性は異国での、市街地占拠事件を取材にきていた。 テンション上がった民衆は、そのまま暴徒と化し治安部隊と衝突する。 どさくさに紛れて商店へ侵入する丸い生き物も・・・・・・・ 『Take it easy!』 状況を理解出来ていないのか、殺気立つ人に向かって喚き潰されていた。 国変われども、ゆっくりの愚かさには差がない。 『I cannot relax!!・・・・・・I seem to fly in the sky・・・』 暴徒の中からゆっくりに火をつけ、治安部隊へと放り投げる者まで現れだす。 火は炎と化し、周囲は一気に殺気と悪意に満ちていく。 「まずいなこれは・・・・でもまだ撤収てわけにはいかないよなぁ・・・・」 ぼやきながらも暴徒に巻き込まれぬ様、建物の影に入り撮影を続ける。 しかし暴動は拡大するばかりで、収拾する様子をみせない。 投石や火炎瓶での抵抗は、やがて銃器による対抗に蹂躙され始めた。 そして暴徒からも、銃弾の雨が治安部隊に返される。 やがて雨が降り出したが、それすらも事態を変化させる事は出来ない。 ファインダーを通して事態を観ると、遠い世界の様で現実である事を忘れさせる。 近くで撮ろうと建物の影から乗り出してしまう。 その時、大きな声が男性を呼んだ。 「Shirou!!Is danger; please withdraw immediately!」 知人のカメラマンが飛び出した男性の腕を掴む。 その時、男性のポケットから1枚の写真が零れ落ちる。 写真はそのまま、風に攫われ暴徒の渦へと飲み込まれていく。 「あぁ!しまった!」 思わず伸ばした手は失った写真を求める、その先に見えたのは男性へと向けられた銃口。 パァーーーーーーーーーーーーーーンンンン!! 乾いた音と共に崩れ落ちる身体、雨で濡れた地面を紅く染めていく。 「な・・・・・・?・・・・・・・・・あ・・・・あ・・・・・・・・・・・・・・あ」 雨の冷たさすらも感じる事出来なくなり、そこで意識は途絶えた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 今回の取材旅行に同行させてもらえず、まりさは自宅で留守番させられている。 だがこんな事は珍しくはない、海外取材の時は生物の持込手続きが面倒なのでよくある事。 いつも1~2週間程で帰国するお兄さん、だがまりさは何か落ちつかずゆっくりする事が出来ない。 『ゆゅ・・・おにいさんはまだかのだぜぇ?ゆゅ~ゆゅ~』 何度も玄関まで確認に行き、飼い主の帰宅を心配する。 いつもなら1週間程度ならば、まりさは気にもしない。 『むきゅ?まりさ?おにいさんがかえってくるまで、まだみっかさんあるわよ?』 『それはわかっているんだぜぇ、でもおそすぎるんだぜぇ・・・』 番のぱちゅりーの言葉にも、理解しながらも納得出来ない。 落ち着かず、家の中をウロウロするばかり。 その時、まりさのおさげを縛るリボンが切れ金髪がほどける。 『ゆゅ?ゆゆゆ!まりさのゆっくりしたおさげさんがぁぁぁ!』 『むきゅ?りぼんさんがかってにきれるなんて・・・』 痛んでいた訳でもないお飾りが、急に壊れた事にまりさは更に不安に駆られる。 すぐにでもお兄さんに会いたい、どうしても会って顔が見たかった。 しかしそれから2週間たっても、お兄さんは帰ってこない。 食べ物は万が一を想定して、1ヶ月分を用意してくれてあったので問題ない。 『おそいんだぜぇ・・・・・・』 だがまりさは、ひたすら玄関でお兄さんの帰りを待つ。 食事とトイレ以外は、寝る時さえ玄関で待ち続けた。 それから更に1週間たった頃、扉の鍵を開ける音が玄関に響く。 待望のお兄さんの帰宅と、まりさは喜びを露わにする。 『ゆゅ~おにいさんおかえりなんだぜぇ・・・・・・ゆゅ?』 そこに現れたのは、お兄さんではなく年配の女性の姿。 重く澱んだ表情で佇む。 『おにいさんのまま!おひさしぶりなんだぜぇ、おにいさんはいないけどゆっくりしていってね。』 訪れたのはお兄さんの母親、まりさもかつてはお兄さんの実家で飼われていた事も・・・・・・・ だがまりさの言葉に母親は反応しない、まりさはその雰囲気にゆっくり出来ない物を感じる。 『ゆゅ?なんだかゆっくりできないんだぜ?』 「まりさ・・・・まりさ・・・・あの子はね・・・・帰ってこれないのよ・・・・かえ・・・うぅ・・・ううううううう」 母親はそう言うと、まりさを抱きながら泣き崩れる。 まりさは状況が理解出来ず困惑するばかり。 泣き続けて母親が落ち着いた頃には、すっかり日も傾いていた。 「士郎はね・・・・もうこの家に戻って来れないのよ・・・・・」 夜を迎えてまりさ達に、ようやく事情が説明されだす。 ただ事ではないのは、まりさ達にも雰囲気で伝わっている。 『ゆゅ・・・・おにいさんは、まりさたちがきらいになったんだぜぇ?』 「いいえ・・・・それは違うわ。帰ってきたくても帰れなくなってしまったのよ・・・・・」 『おにいさんはまいごさんになったのかだぜぇ?だったらまりさがむかえにいってあげるんだぜぇ。』 「違うのよ・・・・まりさ・・・・・・士郎は・・・・今・・・病院にいるの・・・・ 頭に怪我をして生死を彷徨っているのよ・・・・もう駄目かもしれないってお医者様が・・・・・・」 「ゆゅ?」 まりさには事が重大過ぎて、全てを理解するのは難しかった。 分かった事は、おにいさんはもう戻ってこないという事。 母親は、きょとんとしているまりさ達が理解出来ていないのを察する。 翌日、まりさを病院へと連れて行った。 通常ならばペットを連れての見舞いは認められない、だが今回限りと特別に許可を貰い病室へ入る。 ベットと医療機器しかない簡素な部屋、中では機械が鳴らす音だけが規則正しく響いていた。 そこに寝ている男性、呼吸器や点滴の管がつけられて眠っている。 母親はまりさを抱えたまま、側に置いてある椅子に腰をかけた。 「士郎、まりさがお見舞いに来てくれたわよ。」 そこに眠っていたのはまりさのお兄さん。 取材中に頭部に銃撃を受け、奇跡的に命こそ助かったが意識不明の状態が続いている。 『おにいさんおきるのぜぇ、す~やす~やしてないでおうちにかえるのぜぇ。』 『はやくおきてほしいんだぜぇ』 『もぅわがままはいわないから、おめめさんをあけるんだぜ・・・・』 『おにいざん・・・おねがいなんだぜぇ・・・・おぎでぇ・・・おぎでぇほじいんだぜぇ・・・・・』 何度も懸命に声をかけるが、お兄さんは一行に反応はない。 母親はただ黙って、その様子を見守り続ける。 ようやくまりさは理解した、お兄さんはもう目を覚ます事はないのだと・・・・・ まりさ親子は以後、お兄さんの実家で再び飼われる。 ぱちゅりーや子ぱちゅりーは、困惑しながらも新生活に馴染んでいった。 だがまりさだけは、まだ馴染めないでいる。 母親が嫌いな訳ではなかったが、まりさにとって飼い主はもうお兄さん以外には考えられない。 「まりさーご飯よぉ~・・・・ってあれ?ぱちゅりーまりさは何処?」 『むっきゅ・・・ごめんなさい・・・まりさはおにいさんのところに・・・・・ ぱちゅはとめたんだけど、きょうこそおにいさんはおきたかもしれないって・・・・』 「まりさ・・・・・・」 まりさはお兄さんに会おうと家を飛び出す、しかし実家から病院までは5kmもある。 ゆっくりの移動距離としては遠過ぎる、それでもまりさは身体をボロボロにしながら訪れた。 しかし病院に辿り着いてもゆっくりは、院内へ入れてもらえない。 前回は保護者付き添いでの特例なのだから。 『いれでくだざいぃぃぃおにいさんにあわせてほしいんだぜぇぇぇぇ!』 飼い主が側にいなければ、まりさはただの玄関先で喚く饅頭でしかない。 院内へ入るどころか、相手にすらしてもらえなかった。 『おにいざんんーーーーーーまりさはここにいるんだぜぇぇぇぇぇぇ!まりざは・・・ぐへぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』 言葉が急に途切れ、まりさは植木に吹っ飛ぶ。 通りがかった子供に蹴飛ばされたのだ。 「なんだこのゆっくりは?汚いくせに病院に入ろうっての?そこの躑躅にでも入ってろ!ばーか。」 それを見て、喚く饅頭を無視し続けていた病院の職員が出てきた。 こんな所でゆっくりを潰されては、衛生上問題がある 「こらー!そんなの相手にしてないで早く帰りなさい!まったく・・・・最近の子供は・・・・・・」 子供を追い払うと職員は、まりさの髪を掴み持ち上げる。 顔には蹴られた痕がつき、右目は破裂していた。 「お前もそんなとこで喚いているからこんな目にあうんだ・・・・・」 『ば・・・・ばり・・・・ざは・・・お・・・おにい・・ざんに・・・・・』 「ん?お兄さん?何言ってんだこいつ?まぁそんな事はどうでもいいよ、悪いが迷惑なんで処分させて貰うよ。 ・・・てお前飼いゆっくりか!・・・・飼い主に連絡しないとまずいかなぁ・・・・・』 職員はまりさを掴んだまま、処置に困って立ちつくす。 そこに偶然、893のお兄さんがお兄さんの見舞いに訪れる。 「そこのあんた、ちょっと待ってくれんか!そのゆっくりは風見んとこのまりさやないか?」 「え?あんたこのゆっくりの知り合い?じゃあこれ頼むよ、迷惑してるんだ・・・・・」 危うい所をまりさは、893のお兄さんに保護される。 「まりさ、お前怪我しとるやないか!誰にやられたんじゃ!?可哀そうにのぉ・・ほれオレンジジュースじゃ・・・」 オレンジジュースを飲ませてもらい、蹴られた怪我の痛みは引いていく。 しかし破裂した右目は元に戻らない。 『ありがとうなんだぜぇ、おにいさん・・・まりさはおにいさんにあいにきたんだけど、 びょういんさんにいれてもらえないんぜぇ・・・・』 「そうか・・・わかった!わしが頼んじゃるけぇ安心せぇ!」 そう言うと893のお兄さんは、何やら職員の男性を捕まえて話だす。 そして最終的には院長まで話をつけてくれた。 「・・・・・・って事でよろしゅう頼むわ、何かあったらわしが責任取るけぇ・・・・ おいまりさ!話はついたけぇ早よぉ風見に会ってこいや!」 入り口で消毒液で綺麗に拭いてもらい、まりさは院内へ入る事が許された。 病室には変わらず眠り続けているお兄さん。 部屋では、心音を示す機械の音だけが規則正しく響いている。 『おにいさん。むかえにきたからおきてほしいんだぜぇ』 まりさの言葉に反応はない、それでもまりさは話かける。 893のお兄さんはその様子がいたたまれず・・・・・・・ 「駄目じゃ・・・とてもじゃないが見ておられん・・・・・・目から汗が流れてしかたがないきぃ帰るわ・・・・・」 そう言い残し病室を出て行った。 まりさが病室に残れるように話をつけてくれていたので、久しぶりにその夜はお兄さんと過ごす事が出来た。 『まりさはひさしぶりに、おにいさんのゆっくりできないごはんさんがたべたいんだぜぇ。 おにいさんはほんとうに、ごはんさんをつくるのがへただったんだぜぇ・・・・・ おにいさんがおきてくれないと、まりさはゆっくりできないのぜぇ・・・・・おねがいなんだぜぇ・・・・・ おめめさんをあけてほしいのぜぇ・・・・またいろんなとこにつれていってほしいのぜぇ・・・・』 椅子に乗りポロポロと涙を流すまりさ、俯いた拍子にお帽子が床に落ちる。 涙でぼやける視界で、お帽子を拾う事なく眺めるまりさ。 様々な思い出がまりさの餡子を駆け抜ける中で、どんどん昔の事を思い出していく。 ゆっくりの記憶はそれほど古い事は覚えていない、それでも刻まれた事は身体が覚えている。 その記憶が、お帽子を見ていて呼び覚まされた・・・・・ 『まま・・・・・・わかったんだぜぇ・・・・・』 床に降りたまりさはお帽子からリボンを解く、通常まりさ種のお帽子についたリボンは白い。 しかしまりさのリボンは紅い色をしている。 それは亡き母のリボンと同じ色・・・・・・ 『りぼんさんはおにいさんにあげるんだぜぇ、だいじにしてほしいんだぜぇ!』 まりさは紅いリボンをお兄さんにかける、黒の単色となったお帽子は椅子上に置いた。 そして寝ているお兄さんのお腹の上に乗ると、カメラの方向を向きリモコンを咥える。 ゆっくりシャッターは切られた・・・・・ 『おにいさん・・・・・・ゆっくりしていってね!』 リボンから瘴気が上がり黒ずんでいく、そして同時にまりさも変化が現れだす。 自慢の金髪は白くなり、身体は赤く腫れてパンパンに膨らむ。 まりさは圧迫される苦しみの中で、静かに目を閉じその時を待つ。 やがてお帽子から青い炎があがり、内蔵されたデジカメを残して灰と化す。 『お・・おに・・いさ・・ん・・・・まりさは・・・おにい・・さんとであえて・・・とっても・・ゆっくりできたんだぜぇ・・ おちびちゃん・・とぱちゅりーのことを・・・たのむ・・んだぜぇ・・・・』 今度は腫れた身体が、足元から白く変質しだす。 全身が白く染まった時・・・・・・ まりさの身体はサラサラと砂の様に崩れ、空気中に溶けて消えてしまう。 後には黒く染まったリボンだけが残された。 まりさの消えた病室で変化が起きる。 「う・・・う・・・・・んん・・・・・・・・・・・・・・?」 まりさの願いが届いたのか、お兄さんが意識を回復させる。 目を覚ましたお兄さん、見えたのは見知らぬ天井、窓からは朝日が差し込んでいた。 意識不明になる前のまま、思考は停止したままだったので現状が理解できない。 「うぅ・・・ここは何処だ?・・・俺はたしか・・・・・・あれ?。」 繋がれた点滴や呼吸器で、ここが病院である事を知る。 意識を失う前の最後に見た銃口を思い出す・・・・・・ よく死ななかった物だと我ながら感心し、同時に恐ろしくも思う。 ふと周りを見渡して気がつく、身体の上にかけられた1本の黒いリボン。 誰の物なのか思い出せない、だが何か気にかかった。 「風見さん?先生ぇぇぇぇぇ風見さんが意識を回復させましたぁぁぁぁぁぁ!!!!」 リボンを眺めているお兄さんを見た看護師が、慌てて廊下を駆けていく。 医者もこの奇跡に驚く、頭部に被弾して意識を取り戻したのだから・・・・・・ 家族知人も集まり、お兄さんの回復を喜んでくれた。 「おぉ風見ぃ、よかったのぉ!そいでまりさはどこじゃ?一緒におったはずじゃろ?」 「・・・・・・・・・まりさ?」 まりさの起こした奇跡は、完璧とはいかなかった。 お兄さんの記憶から、まりさとの思い出が全て抜け落ちてしまう。 他は覚えているのに、まりさだけが思いだせない。 「・・・まりさ・・・何だろう・・・・思い出せないけど・・・何かその言葉を聞くと胸が熱い・・・・・」 まりさの残した黒いリボンを握り締めて、お兄さんは記憶を懸命に辿る。 お兄さんの母親は、1枚の写真を息子に差し出す。 それは海外で風に攫われたあの写真、暴徒に踏まれボロボロになっていた。 そこには朝日を眺めるまりさの姿、まりさを初めて出会った時に撮った物。 「これ何?・・・・・え?・・・・・なんで涙が?」 これが何かも理解出来ていなくても、お兄さんは涙を止める事が出来ない。 ポタポタと落ちる涙で写真は濡れていく。 誰もまりさが、病室から消え去った理由を知る事は出来ない。 ただ漠然とだがまりさが何かしてくれたから、お兄さんは意識を回復させたのかもしれないと思う。 まりさが母から受け継いだ奇跡は、母と同じくその身を引き換えに家族を守って終える。 最後に撮った写真には、まりさのとてもゆっくりした笑顔が写っていた。 それは世にも奇妙なゆっくりの物語。 終わり ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー デスラッチはこれで最後となります。後はぱちゅりーの外伝を1つ残すのみ。 最後は悩みましたが、最初に決めた通りの筋書きを守る事にしました。 設定を明かしますと、能力の秘密は帽子のリボンにあります。 ひなのリボンが、まりさのリボンと入れ替る事で能力を身につけました。 最後の被写体はまりさ自身と決めていたので、この様な最後になったのです。 独自設定が強いSSとなってしまいましたが、ここまでお付き合い頂きありがとうございます。 また子ぱちゅりーで何か書くかもしれません、その時はよしなに御願いいたします。 ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板 http //jbbs.livedoor.jp/otaku/13854/ ○○あきのSS感想はこちらへ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1275503703/ 誤字・脱字等あれば勘弁して下さい これまで書いた物 anko1218 ゆ虐ツアー anko1232 ゆ虐ツアー お宅訪問編 anko1243 ゆヤンワーク anko1495 ゆ虐にも補助金を anko1785 ゆうかにゃんはアイドル anko1237 デスラッチ01 雪原のまりさ anko1250 デスラッチ02 まりさの思い出 anko1274 デスラッチ03 まりさとつむり anko1282 デスラッチ04 まりさとおにいさん anko1314 デスラッチ05 まりさとおちびちゃん anko1337 デスラッチ06 まりさとリボン anko1341 デスラッチ07 まりさと春 anko1711 デスラッチ08 まりさの子ぱちゅりー anko1296 デスラッチ外伝01 まりさとまま anko1505 デスラッチ外伝02 まりさとめぐりあい anko1276 ゆっくり種 anko1278 ゆっくり種2 anko1291 ゆっくり種3 anko1310 ゆっくり種4 anko1331 ゆっくり種5 anko1350 ゆっくり種6 anko1391 ゆっくり種7 anko1482 ゆっくり種8(終) anko1362 ケーキ anko1527 極上 anko1612 砂の世界 anko1768 永遠の命 anko1779 塗りゆ anko1863 れみりあが愛したおちびちゃん anko1872 疾風ゆっくリーガー _T)エーン ↓
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