約 898,134 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1186.html
「ゆっくりしていってね!!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする まりさの里に集うゆっくりたちが、今日もゆっくりとした無垢な笑顔で、背の高い木々をくぐり抜けていく 汚れをしらない餡子を包むのは白い色の皮 頭のリボンは乱さないように、被ったYUN帽は翻さないように、ゆっくりとはねるのがここでのたしなみ もちろん、野菜を盗んで逃げ回るなどといった、はしたないゆっくりなど存在していようはずもない まりさの里。ここはゆっくりプレイス 「きょうはかわでゆっくりするよ!」 「むきゅ。もうちょっとゆっくりうごいてほしいわ」 「とかいはのありすはかわあそびなんてしないけれど、どうしてもっていうならついていってあげるわ」 今日も多くのゆっくりが餌を集めに、あるいは遊びにと駆け回る 本来なら親ゆっくりが野犬などの野生生物や捕食種。そして何よりも人間への注意を呼びかける場面であるが この里のゆっくりは長でもある巨大まりさの教育により里へ近づくことは無く、それゆえ里からも放置されていた さらには野犬なども、定期的な山狩りが里人の手によって為され その際ゆっくりは野犬の住処を教えたりと、一部の人間とも友好的な関係を築いていた 結果、まりさの里は集まった全てのゆっくりがゆっくりできるゆっくりプレイスとなっていたのだ そんなある日、まりさはここ数日己の里の周辺に出没していた野犬を追い払うため、その住処を探し回っていた だがそんなまりさを野犬が黙って見過ごすはずは無かった 樹木は生い茂り、やや薄暗い森の中で身を潜める野犬を巨大な体で見つけられるはずも無く 不意をつかれ、まりさは背中に大きな傷を受けてしまった 「ゆぐっ! うごかないでね! いぬさんはもうちょっとゆっくりうごいてね!」 背中から餡子を漏らしつつ、飛び掛る隙を窺うまりさ しかし三匹の野犬は一定の距離を保ちながらドスまりさの周囲を回っており、まりさが一匹に飛び掛れば 即座に残りの二匹が背後を襲ってくるのは簡単に見て取れた 「ゆぎゅう……」 にらみ合ってる間にも背中から零れ落ち続ける餡子。恐らく野犬は餡子の大半がこぼれ落ちるのを待っているのだろう 気がつけば中天に差し掛かっていた太陽も傾きを増し、ドスまりさは最後の賭けに出る決意を固めた その次の瞬間―― 耳をつんざく轟音と共に、野犬の一匹が真横に跳ね飛ばされた 音の出所に目を向ければ、そこに立つのは一人の人間 構えた猟銃からは薄らとした硝煙がたなびいていた 「おうい。そこのゆっくり、大丈夫か」 「……ゆっ。おじさん」 男は山狩りの最中であった 度々起こる野犬や狸による家畜、作物への被害を防ぐため、目撃情報を集めにゆっくりの里へ向かう途中だったのだ 「……おじさん。まりさはもうだめだよ」 「そうか。何か群れに伝えることはあるか」 「それじゃあこれをとどけてね」 そういうと巨大まりさは体を小さく震わせ 白目を剥き、背から餡子を漏らしながらひとつの黒い球を吐き出した それは直径約10cm程のほぼ球形の結晶体で、不揃いな大きさの切子面を数多く備えていた 色はほぼ漆黒で、ところどころ赤い線が入っている 「……これは?」 「まりさのあんこだよ……それをたべるとまりさのちしきとけいけんがてにはいるの」 巨大なゆっくりは最初から巨大なわけではない ゆっくりは雑食であり食べたものを体内の餡子へと変換する。だがその効率はHIT太陽電池よりも低い そのため巨大になるゆっくりは、他者を支配し動くことなく大量の食事を得られる暴君か あるいは変換効率の良い食物……すなわち他のゆっくりの餡子そのものを食らうかであった この巨大ゆっくりは先代の長を。更に先代はそのまた先代の長を、と代々の餡子を受け継ぎ巨大化 そして森全体の食料分布を知っていたため、その大きさを保つことが出来たのだ それゆえ里のゆっくりをまとめ、人の強さを知り、平和な暮らしを得ることが出来ていたのだ 「まりさはもうだめだから……おじさんがさとにいって…これをわたしてちょうだいね」 「ああ、わかった。安心しろ」 「あり…がと……う……」 男が不気味な塊を受け取ってすぐ、巨大まりさは息を引き取った このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/toho/pages/135.html
Die Musik stunde von MARISA(まりさの音楽時間) サークル:Reiche Number Track Name Arranger Original Works Original Tune Length 01 リコーダー四重奏のための「恋色」 J・Weidinger 東方永夜抄 恋色マスタースパーク [3 08] 02 金管四重奏のための「星の器」 J・Weidinger 東方幻想郷 星の器~Casket of Star [2 30] 03 リコーダー独奏による「オリエンタルダークフライト」 J・Weidinger 東方花映塚 オリエンタルダークフライト [3 01] 04 器楽合奏曲「SUPER MARISA March!!」 J・Weidinger スーパーマリサランド ステージ曲・タイトル曲 [3 18] 恋色マジック(2005/10/30)にて頒布 イベント価格:300円 ショップ価格:420円 現在は販売終了 レビュー 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2252.html
これはお兄さんが仕事の事情で新しく越して来た村の近くの、山の中で起こった事件の話。 良く晴れた日に切り株の上に座ってゆっくりする事から始まりました。 「あ!おにーさん来たよ!ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 お兄さんはこのゆっくりという生き物が大好きでした。 白まりさと黒まりさ 作者:古緑 「おぉありがとよ、ゆっくりしていくわ」 「「「ゆっくりー!!」」」 お兄さんのゆっくり好きはとどまる事を知らない様で 越して来た村に住まいを構える際にも、 ほとんど山の中にある家を改装して使わせて貰う程でした。 勿論それはゆっくり達のなるべく近くに住みたい為です。 「お兄さんお兄さん、この前のまりさの話、おぼえてるかしら?」 「ありすの好きな?」 そんなお兄さんは村の人間との新しい付き合いも程々に、 今日も山に入ってゆっくり達と一緒にゆっくりしていました。 「違うわよ!そのまりさだけど!別に好きなんかじゃ…」 「はいはい、それで?」 「最近そのまりさがれいむとよく遊ぶから不安なんだねー わかるよー」 そして今、お兄さんは座るのに丁度良い切り株の上で 三匹のゆっくりとお話をしているところでした。 胡座をかいた脚の中にはゆっくりありす、膝の上にはゆっくりちぇん、 頭の上には小さなゆっくりれいむがゆっくりと眠っています。 そして周りにも色んなゆっくり達が、ちらほらとゆっくりしています。 「また皆でゆっくりしようね!」 「こんどはもっともっとゆっくりしていってね!」 初めはやはり警戒されました。 前に居たところのゆっくり達と比較して、こちらのゆっくりは随分と警戒心が強い。 それがお兄さんが初めてここの群れと接した時の感想でした。 しかし無理も無い事でしょう、ゆっくりにとって人間は時に恐怖の対象にもなるのですから。 「あぁ!明後日あたりにまた来るよ!じゃーな!」 しかし、お兄さんはゆっくりの種ごとの好きなモノや、上手い接し方を これ迄の暮らしの中で知っていたので、段々と、段々と打ち解けて行く事が出来ました。 笑顔で送り迎えされる様になる迄には3週間もかかってしまいましたが、 今ではしばしばゆっくりの悩み相談までされる程、信頼を得る事が出来たのです。 「やっぱり面白いな、ゆっくり達は」 仕事で村や山の中を歩き回ってから 夕方近くになってゆっくり達と3時間程もゆっくりする日々。 しかし、そんな幸せな日々は永くは続きませんでした。 ___________________________________ ( ギッ、 ギッ、 ギッ、) 夜の7時。 今日も群れのゆっくり達とゆっくりしてから帰ったお兄さんは 村からほとんど孤立した寂しい借家の中で仕事をしていると 家の扉が何かで押される、何かとても大きなモノに扉が押される音を聞きました。 ( ギッ、 ギッ、) 扉の向こうに何か生き物らしきモノがいます。 お兄さんは静かに椅子から立ち上がると、ゆっくりと扉に近づいて行きました。 「…人間さん、人間さん、起きてる? 起きてたらゆっくりお返事を頂戴ね?」 もしも恐ろしい何かだったらどうしようと思っていたお兄さんは そっと胸を撫で下ろしました。 声から判断すると、どうやら突然の訪問者の正体はゆっくりまりさのようです。 (どこのゆっくりまりさかまでは分かりませんが) 「まりさか?」 「そうだよ、ゆっくりしないで来ちゃってごめんね 人間さん、今ちょっとお話し出来るかな?」 どうやらお喋りに来たようですが、お兄さんは少しだけ不審に思いました。 お兄さんと仲の良いゆっくり達の中には『人間さん』と呼ぶゆっくりはいません。 …それに、こんな声が低めのゆっくりとは越して来てからまだ一度も会った事が無いのです。 「ああ…いいぞ 入りなよ、今ドア開けるからよ」 「うん」 そうは思いながらも、お兄さんが警戒心ゼロな程にお気楽にドアを開けた瞬間、 先程の音の正体も低い声の理由も理解しました。 予想通り、そこにいたのは大きな大きなゆっくりまりさだったのですから。 ___________________________________ 「ごめんね、出来たら人間さんのお家の中で お話し出来れば良かったんだけど」 「いや、最近はもう夜でも結構暖かいからな 気にするな」 お兄さんと大きなまりさがいるのは家の外にある薪割り場。 薪割り台に座ったお兄さんの目の前の、大きなまりさが申し訳なさそうに 眉をハの字に曲げています。 人間を遥かに凌ぐ程の巨体を誇るこのゆっくりまりさは お兄さんが仲良くしている群れの長だそうです。 つまり、お話とは当然ゆっくりについての話なのでしょう。 「そんで…初めまして、というトコだろうけど、なんなんだ? ゆっくりはもう寝る時間じゃないのか」 「…人間さんは、群れの皆と仲良しなんだよね?」 「え?」 「今日ありすから聞いたんだ、たまに原っぱの近くのおっきな樹に ゆっくり出来る人間さんが来て、一緒に沢山ゆっくりしていってくれるって」 まりさが少し言いにくそう言ったのを聞いて、お兄さんは もしかしたら迷惑だったのだろうか、と言わんばかりの困った様な顔になりました。 というのも、群れを纏めるゆっくりの中には 群れのゆっくりが人間と関わるのを良しとしない者もいると知っているからです。 それは人と関わるデメリットの方が大きい為。 例えば、過剰に甘い物を与えて舌をおかしくさせてしまう人間。 優しく接し過ぎて『人間は皆ゆっくり出来る』とゆっくりに思わせてしまう人間。 これらの行為は最終的にゆっくりを死へと導く事もあります。 お兄さんもそれを知っている為、それらの事はしませんが 基本的にゆっくりが人と関わってあまり良い事は無いのです。 「あぁ、そうだけど…? やっぱいけなかったか」 「ううん、群れの皆と仲良くしてくれる事は嬉しいよ 今まで一緒にゆっくりしてくれる人間さんなんてあんまりいなかったから…」 ゆっくりと仲良くするお兄さんの元に群れの長がお話に来たのに 内容はゆっくりと関わる事を止めて貰いたい、と言うものでは無い。 どうやらゆっくりと関わる事が問題では無いようですが、だったらますます分かりません。 「じゃあ一体話って…」 「…………」 大きなまりさは10秒程黙って地面を見ていましたが、 意を決した様にお兄さんに向かって、叫ぶ様に言いました。 「お願いだよ!ゆっくり力を貸して欲しいよ!」 ___________________________________ そこはとってもゆっくりしたゆっくりプレイスだったそうです。 お日様に照らされた野原、芽吹く草花、 その中で器用に口だけでお花飾りを作ろうとする小さな子ゆっくりと それを微笑みながら見守るお母さんゆっくり。 お口やお帽子に沢山のご飯を銜えて家族の元へと帰るゆっくり達。 大きな洞窟でゆっくり達は仲良く暮らし、野原の食べ物は尽きる事は無く、 争いを起こす様なゆっくり出来ない子もいない。 そんなゆっくりの群れはどこまでも幸せに、何の心配も無く このゆっくりプレイスで暮らしていました。 あの日までは―――― 『ゆゆー!おさー!何だかゆっくり出来ないまりさ達が来たよ!』 『ゆっくりしてないでとっとと出てくるんだぜ!! ウスノロまりさ!!』 『…ゆゆ?すっごく大きなまりさだね?ゆっくりしていってね?』 洞窟の中から出て来たまりさが見たゆっくり、 それは今までどんなゆっくりよりも大きかった自分よりも 更に大きなゆっくりまりさだったそうです。 肌が少しだけ普通のまりさよりも黒いことから、この場では黒まりさとでも呼びましょう。 手下らしきゆっくりを10匹程連れており、 そのゆっくり達もまた一般的なゆっくりよりも大きかったと言います。 そして、唐突に現れたその黒まりさと その手下のゆっくりが言う事には 『まりさ!このまりさがゆっくりプレイスを独り占めしてる田舎者まりさよ!』 『ゆへへ…"兵隊ありす"の教えてくれた通りのゆっくりプレイスなんだぜぇ…? このまりさ様の率いる"軍隊"のお城にするには持ってこいなんだぜ!』 『…ゆ?何言ってるの?ここは皆のゆっくりプレイスなんだよ? 一緒にゆっくりしようよ!』 『ゆふん!これだから田舎者は…』 『…話の分からない馬鹿まりさなんだぜ…』 『これで分からせてやるんだぜ!!』 そう叫んだと思うと、黒まりさは白まりさに体当たりをぶちかましたそうです。 不意打ちと言う事もあったのでしょうが、 体当たりを受けて洞窟の壁に体を打ち付けられた当の白まりさが言うには 『まりさじゃ勝てないまりさ』『一緒にゆっくり出来ないまりさ』と感じたそうです。 相手の黒まりさは自分よりも大きな体を持っている上に 更に『ゆっくり』をある程度捨てながら成長し続けた事で 自分よりもずっと強い力を得る事が出来たのであろう、 その一方で、自力でゆっくりプレイスを探す事が出来ないのもその為だそうです。 (お兄さんにはその辺の話は理解出来ませんでした) 兎に角、黒まりさに負けてゆっくり出来なくされてしまった白まりさはその時、 まるで命令される様に言われたそうです。 『ゆん、弱虫まりさ!また来るんだぜ! いつまでもこのまりさ様達のゆっくりプレイスでゆっくりしてたら―― ――――永遠にゆっくりさせてやるんだぜ!!』 それを虚ろな意識の中で聞きながら、白まりさはゲラゲラと笑いながら去って行く 黒まりさ達の背中を、ただ見送る事しか出来なかったと言います。 ___________________________________ それからというものの、黒まりさの手下達は しばしば白まりさ達のゆっくりプレイスにの近くに現れては、 ご飯を集めている白まりさの群れのゆっくりにまで陰湿な暴力を振るう様になったそうです。 今のところ命だけはまだ誰も取られていませんが そのゆっくりプレイスに居続ける自分達に対して怒りを高めていく黒まりさ達が 自分達の命を奪う未来は、そう遠いものでは無いかも知れません。 今では黒まりさ達は、群れから2時間程歩いた小さな野原に住まいを構えており、 その群れの数も白まりさの群れよりも多く、戦力差はかなりの開きがあると言います。 「――と言うね、ゆっくり出来ない事になっちゃったんだ…」 「成る程、…でも『力を貸してくれ』って? 正直なところ…お前の勝てないその黒まりさを 俺がどうにか出来るなんてとても思えないんだが…」 目の前のゆっくりまりさの体の大きさは 高さだけを見ても、お兄さんの倍近くはあるでしょう。 そんなゆっくりに一人で勝てる人間はそうはいません。 ましてやその白まりさよりも大きな黒まりさ… まず痩せっぽっちのお兄さんには無理でしょう。 「ゆん、悔しいけど、あの黒まりさの強さは本物だよ… きっとお兄さんでも勝てない…でも、人間さんが力を合わせてくれれば…!」 ここに来てようやく話が分かりました。 つまり、悪い黒まりさの群れを倒せるのは人間の群れしかいない。 黒まりさの群れの連中は村の人間にしばしば迷惑をかけているそうだし、 自分と力を合わせてそんな黒まりさを倒すのは お兄さん達人間にとっても、きっと悪い話では無い筈だよ、と白まりさは言いました。 白まりさは自分達のゆっくりプレイスを守る為。 人間は自分達の生活における邪魔な存在を排除する為。 お兄さんには村の人間にその話を通す窓口になって貰いたいと言う事なのでしょう。 成る程、利害は一致していると考えられるかも知れません。 確かにお兄さんが越して来てから間もなく この村には様々な形でゆっくりによる害が現れ始めていると聞きます。 黒まりさがこちらの山に越して来て、白まりさの群れを襲うようになった時期と 村でゆっくり害が増加して来た時期と照らし合わせてみても合致し、 どうやら黒まりさの群れが人間の暮らしにとって良くない事は確かでした。 「成る程な…分かった… 村の人間と話し合ってみるが、余り期待はするなよ」 それを聞いた白まりさは心から嬉しそうに笑顔を見せてから お兄さんにお礼を言いました。 「ありがとう人間さん! それじゃあ2日後のこの時間にまたゆっくり来るね!」 お兄さんの予定と合う日にまた会う約束してから 機嫌良さそうにドスンドスンと帰っていく白まりさの背中を見て、 ようやくお兄さんは気付きました。 白まりさの背中が酷く傷つけられていた事に。 ___________________________________ 「…役に立てなくて済まん…」 2日後の夜。 お兄さんと白まりさは再びあの薪割り場にいました。 その場に流れる雰囲気は2日前よりもずっと暗く、重く。 どうやら白まりさの願いは叶えられなかった様です。 「ゆん…残念だよ、でも、ありがとうお兄さん…」 実際これは無理も無い事でした。 山のゆっくり達のイメージは、この2週間だけで地に堕ちており 村の人間の多くはゆっくりの言う事など信用したりしません。 ゆっくり等どれも大差無い、出来る事なら山のゆっくりの数を 出来る限り減らしたいと思っている者ばかりです。 また只でさえ自分達よりもそんなゆっくりと仲良くしようとする お兄さんの信用も無いのでしょう(しかもお兄さんは新参者です) 信用されず願いが却下されたと言うのも無理も無い事です。 「ごめんね、無理言っちゃって… まりさ達でゆっくり頑張ってみるよ!…ゆぅッッ!!」 「オイ、大丈夫かまりさ!」 昨日、白まりさの群れに黒まりさが直々に来たらしく、 白まりさの体は2日前よりもずっと痛めつけられていました。 帽子は折れ曲がったまま直っておらず、体中に痛々しい黒い痣の様なものが見られます。 「大丈夫だよ!まりさは強いんだから!」 「…………」 「どうするつもりなんだ…? お前は黒まりさに勝てない、俺らはお前等に手を貸してやれないのに…」 「ゆっくりしないで考えてみるよ、 まりさは群れの"リーダー"なんだから、 きっと良い方法をゆっくり見つけてみせるよ!」 「…………そうか…」 それからお兄さんは、哀れな白まりさに 出来る限りの治療と帽子の修繕をしてやりました。 その夜、かつて見た嬉しそうに帰っていく白まりさの背中を見る事は出来ず、 まるで這う様に帰っていくその姿を、お兄さんはなんとも言えない表情で見送りました。 黒まりさがお兄さんの家に来たのは その次の日の事でした。 ___________________________________ 「ゆっくりしないで出て来い!!ねぼすけじじい!!」 朝の6時。 扉を叩くドシン!と言う大きな音で、お兄さんは目を覚ましました。 窓から外を覗くと浅黒い肌を持つ、とても大きなゆっくりまりさが 扉の外で怒鳴っているのが見えます。 あの黒まりさなのでしょう。 確かに白まりさよりも更に大きく、攻撃的な口調は話に聞く通りです。 「何だ…?何の用だ…?」 「ゆ”っ?ようやく出て来たんだぜ!薄のろなじじいだぜ!」 お兄さんは家から出たわけではありません。 小窓から顔を覗かせただけですが、黒まりさにとって話が出来ればそれで良かったようです。 「とっとと知ってる事を話してもらうんだぜ!」 「何の事だ?」 「とぼけるんじゃないんだぜ!! 昨日!あのウスノロまりさが人間と、 何かゆっくり出来ない事を話してたって事はうちのまりさから聞いてるんだぜ!!」 どうやらどこからか情報が漏れてしまった様です。 この黒まりさ、人間が危険という事くらいは分かっているのでしょう。 白まりさがその人間と密会していると聞いてやって来たのです。 「あぁ、その事―――」 そこまで言うとお兄さんはハッとした様に口を閉ざしました。 しかし黒まりさにとってその台詞だけで十分だったようで 直ぐにお兄さんを問いつめます。 「ゆん!やっぱりなんだぜ! さぁ、何の話をしていたのかゆっくり吐いてもらうんだぜ?」 「………」 抵抗しても無駄だと思ったのでしょうか、お兄さんは黒まりさに話しました。 ゆっくりプレイスを明け渡す様に黒まりさに言われた事で 白まりさが人間に助けを求めようとした事を。 そして、それを人間側が拒んだ事を。 話が終わるまでに5分とかかりませんでした。 「弱虫まりさの周りには弱虫が集まるものなんだぜ! じじい!余計なマネしたらゆっくり出来なくさせてやるんだぜ? よ~く憶えておくんだぜ!」 そう言うと黒まりさはお兄さんの家から離れていきました。 少しの間話をした間柄とは言え、白まりさは昨日今日出会ったばかりのゆっくり。 お兄さんが義理立てする程の相手ではない筈、 「………」 その筈でした。 ___________________________________ 「お兄さん!お兄さん!ゆっくり開けてね!!」 次の日の昼頃、お兄さんはまたゆっくりの体でノックされる扉を開けると 切り株の上で話したありすをはじめとする、 最近忙しくて久しく会えなかった群れのゆっくり達と会えました。 「なんだお前等、ゆっくりしないで…」 「まりさが大変なんだよ!!黒まりさに…! お兄さん!!まりさを助けてあげてね!!」 その言葉だけで何が起きたか分かったお兄さんは 小麦粉の袋と水とバケツを鞄の中に急いで詰め、群れのゆっくりを抱えて あの野原まで走っていきました。 「大丈夫かまりさ、しっかりしろ…!」 「お”にい…ざん…?」 きっと、"人間に助けを求めた事による制裁"を受けたのでしょう。 横たわった白まりさの姿は前に会った時よりも更に酷い状態になってました。 帽子は所々破け、肌は擦り傷だらけ、治した痣も前より更に多くなっています。 体の損傷を確認したお兄さんはバケツの中で小麦粉を水で融くと それを白まりさの傷に塗り始めました。 「あの黒まりざが来てね…」 「あぁ…」 治療を続けながら白まりさがお兄さんに掠れた声で語りかけます。 見た目は酷いですが、どうやら命に別状は無さそうでした。 「『3日後にまだここに居たら、群れ全員で攻め込む』って…」 「……あぁ…」 この先は同族であれ一切の容赦は無いという、 どうやら最後通告のようです。 「『その間に群れを纏めて、どこかへ引っ越せ』って…」 「……………」 お兄さんが目の近くの治療をすると、 白まりさが泣いているのが分かりました。 「どうずればいいのか”な”ぁ…皆がゆっぐりできなくっぢゃうよ…」 「……………」 勝てない相手であるなら大人しく移動して他のゆっくりプレイスを探せば良い。 一匹のゆっくりの話なら、それでも問題は無いでしょう。 しかし群れ全体の話となればそんな簡単にもいきません。 群れ全体でこの安全なゆっくりプレイスから出て行き、新たなるゆっくりプレイスを探す。 今まで安全な場所で平和に過ごして来たゆっくり達は 外敵だらけの、本物の自然の中でどれだけ生き残れるでしょうか。 ゆっくりプレイスは直ぐに見つかるでしょうか? 半分くらいは生き残れるでしょうか? もしかしたら白まりさ以外のゆっくりはみんな… 「まり”ざぁ…やだよぉ…」 「ゆっぐ…ゆぐ…」 移動を経験して来たらしき、周りの数匹の大きなゆっくりは俯いて、 かつての辛い体験を思い出している様でした。 その顔は涙でくしゃくしゃで、移動の過酷さを物語っています。 「……まりさ」 その間、暫く黙っていたお兄さんが鞄の中から子瓶と注射器を出したと思うと 治療の仕上げにと、子瓶の中身を白まりさに注射しました。 「…ゆ?なんだか少し楽になったよ…?」 するとどうでしょう、完全回復とまでは行かない様ですが 横たわった体を起こせるまでに回復した白まりさは、不思議そうに体の調子を確かめました。 跳ねるくらいなら問題は無さそうです。 「まりさ、ちょっと俺に付いて来い」 ___________________________________ 後編?へ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4263.html
これはお兄さんが仕事の事情で新しく越して来た村の近くの、山の中で起こった事件の話。 良く晴れた日に切り株の上に座ってゆっくりする事から始まりました。 「あ!おにーさん来たよ!ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 お兄さんはこのゆっくりという生き物が大好きでした。 白まりさと黒まりさ 作者:古緑 「おぉありがとよ、ゆっくりしていくわ」 「「「ゆっくりー!!」」」 お兄さんのゆっくり好きはとどまる事を知らない様で 越して来た村に住まいを構える際にも、 ほとんど山の中にある家を改装して使わせて貰う程でした。 勿論それはゆっくり達のなるべく近くに住みたい為です。 「お兄さんお兄さん、この前のまりさの話、おぼえてるかしら?」 「ありすの好きな?」 そんなお兄さんは村の人間との新しい付き合いも程々に、 今日も山に入ってゆっくり達と一緒にゆっくりしていました。 「違うわよ!そのまりさだけど!別に好きなんかじゃ…」 「はいはい、それで?」 「最近そのまりさがれいむとよく遊ぶから不安なんだねー わかるよー」 そして今、お兄さんは座るのに丁度良い切り株の上で 三匹のゆっくりとお話をしているところでした。 胡座をかいた脚の中にはゆっくりありす、膝の上にはゆっくりちぇん、 頭の上には小さなゆっくりれいむがゆっくりと眠っています。 そして周りにも色んなゆっくり達が、ちらほらとゆっくりしています。 「また皆でゆっくりしようね!」 「こんどはもっともっとゆっくりしていってね!」 初めはやはり警戒されました。 前に居たところのゆっくり達と比較して、こちらのゆっくりは随分と警戒心が強い。 それがお兄さんが初めてここの群れと接した時の感想でした。 しかし無理も無い事でしょう、ゆっくりにとって人間は時に恐怖の対象にもなるのですから。 「あぁ!明後日あたりにまた来るよ!じゃーな!」 しかし、お兄さんはゆっくりの種ごとの好きなモノや、上手い接し方を これ迄の暮らしの中で知っていたので、段々と、段々と打ち解けて行く事が出来ました。 笑顔で送り迎えされる様になる迄には3週間もかかってしまいましたが、 今ではしばしばゆっくりの悩み相談までされる程、信頼を得る事が出来たのです。 「やっぱり面白いな、ゆっくり達は」 仕事で村や山の中を歩き回ってから 夕方近くになってゆっくり達と3時間程もゆっくりする日々。 しかし、そんな幸せな日々は永くは続きませんでした。 ___________________________________ ( ギッ、 ギッ、 ギッ、) 夜の7時。 今日も群れのゆっくり達とゆっくりしてから帰ったお兄さんは 村からほとんど孤立した寂しい借家の中で仕事をしていると 家の扉が何かで押される、何かとても大きなモノに扉が押される音を聞きました。 ( ギッ、 ギッ、) 扉の向こうに何か生き物らしきモノがいます。 お兄さんは静かに椅子から立ち上がると、ゆっくりと扉に近づいて行きました。 「…人間さん、人間さん、起きてる? 起きてたらゆっくりお返事を頂戴ね?」 もしも恐ろしい何かだったらどうしようと思っていたお兄さんは そっと胸を撫で下ろしました。 声から判断すると、どうやら突然の訪問者の正体はゆっくりまりさのようです。 (どこのゆっくりまりさかまでは分かりませんが) 「まりさか?」 「そうだよ、ゆっくりしないで来ちゃってごめんね 人間さん、今ちょっとお話し出来るかな?」 どうやらお喋りに来たようですが、お兄さんは少しだけ不審に思いました。 お兄さんと仲の良いゆっくり達の中には『人間さん』と呼ぶゆっくりはいません。 …それに、こんな声が低めのゆっくりとは越して来てからまだ一度も会った事が無いのです。 「ああ…いいぞ 入りなよ、今ドア開けるからよ」 「うん」 そうは思いながらも、お兄さんが警戒心ゼロな程にお気楽にドアを開けた瞬間、 先程の音の正体も低い声の理由も理解しました。 予想通り、そこにいたのは大きな大きなゆっくりまりさだったのですから。 ___________________________________ 「ごめんね、出来たら人間さんのお家の中で お話し出来れば良かったんだけど」 「いや、最近はもう夜でも結構暖かいからな 気にするな」 お兄さんと大きなまりさがいるのは家の外にある薪割り場。 薪割り台に座ったお兄さんの目の前の、大きなまりさが申し訳なさそうに 眉をハの字に曲げています。 人間を遥かに凌ぐ程の巨体を誇るこのゆっくりまりさは お兄さんが仲良くしている群れの長だそうです。 つまり、お話とは当然ゆっくりについての話なのでしょう。 「そんで…初めまして、というトコだろうけど、なんなんだ? ゆっくりはもう寝る時間じゃないのか」 「…人間さんは、群れの皆と仲良しなんだよね?」 「え?」 「今日ありすから聞いたんだ、たまに原っぱの近くのおっきな樹に ゆっくり出来る人間さんが来て、一緒に沢山ゆっくりしていってくれるって」 まりさが少し言いにくそう言ったのを聞いて、お兄さんは もしかしたら迷惑だったのだろうか、と言わんばかりの困った様な顔になりました。 というのも、群れを纏めるゆっくりの中には 群れのゆっくりが人間と関わるのを良しとしない者もいると知っているからです。 それは人と関わるデメリットの方が大きい為。 例えば、過剰に甘い物を与えて舌をおかしくさせてしまう人間。 優しく接し過ぎて『人間は皆ゆっくり出来る』とゆっくりに思わせてしまう人間。 これらの行為は最終的にゆっくりを死へと導く事もあります。 お兄さんもそれを知っている為、それらの事はしませんが 基本的にゆっくりが人と関わってあまり良い事は無いのです。 「あぁ、そうだけど…? やっぱいけなかったか」 「ううん、群れの皆と仲良くしてくれる事は嬉しいよ 今まで一緒にゆっくりしてくれる人間さんなんてあんまりいなかったから…」 ゆっくりと仲良くするお兄さんの元に群れの長がお話に来たのに 内容はゆっくりと関わる事を止めて貰いたい、と言うものでは無い。 どうやらゆっくりと関わる事が問題では無いようですが、だったらますます分かりません。 「じゃあ一体話って…」 「…………」 大きなまりさは10秒程黙って地面を見ていましたが、 意を決した様にお兄さんに向かって、叫ぶ様に言いました。 「お願いだよ!ゆっくり力を貸して欲しいよ!」 ___________________________________ そこはとってもゆっくりしたゆっくりプレイスだったそうです。 お日様に照らされた野原、芽吹く草花、 その中で器用に口だけでお花飾りを作ろうとする小さな子ゆっくりと それを微笑みながら見守るお母さんゆっくり。 お口やお帽子に沢山のご飯を銜えて家族の元へと帰るゆっくり達。 大きな洞窟でゆっくり達は仲良く暮らし、野原の食べ物は尽きる事は無く、 争いを起こす様なゆっくり出来ない子もいない。 そんなゆっくりの群れはどこまでも幸せに、何の心配も無く このゆっくりプレイスで暮らしていました。 あの日までは―――― 『ゆゆー!おさー!何だかゆっくり出来ないまりさ達が来たよ!』 『ゆっくりしてないでとっとと出てくるんだぜ!! ウスノロまりさ!!』 『…ゆゆ?すっごく大きなまりさだね?ゆっくりしていってね?』 洞窟の中から出て来たまりさが見たゆっくり、 それは今までどんなゆっくりよりも大きかった自分よりも 更に大きなゆっくりまりさだったそうです。 肌が少しだけ普通のまりさよりも黒いことから、この場では黒まりさとでも呼びましょう。 手下らしきゆっくりを10匹程連れており、 そのゆっくり達もまた一般的なゆっくりよりも大きかったと言います。 そして、唐突に現れたその黒まりさと その手下のゆっくりが言う事には 『まりさ!このまりさがゆっくりプレイスを独り占めしてる田舎者まりさよ!』 『ゆへへ…"兵隊ありす"の教えてくれた通りのゆっくりプレイスなんだぜぇ…? このまりさ様の率いる"軍隊"のお城にするには持ってこいなんだぜ!』 『…ゆ?何言ってるの?ここは皆のゆっくりプレイスなんだよ? 一緒にゆっくりしようよ!』 『ゆふん!これだから田舎者は…』 『…話の分からない馬鹿まりさなんだぜ…』 『これで分からせてやるんだぜ!!』 そう叫んだと思うと、黒まりさは白まりさに体当たりをぶちかましたそうです。 不意打ちと言う事もあったのでしょうが、 体当たりを受けて洞窟の壁に体を打ち付けられた当の白まりさが言うには 『まりさじゃ勝てないまりさ』『一緒にゆっくり出来ないまりさ』と感じたそうです。 相手の黒まりさは自分よりも大きな体を持っている上に 更に『ゆっくり』をある程度捨てながら成長し続けた事で 自分よりもずっと強い力を得る事が出来たのであろう、 その一方で、自力でゆっくりプレイスを探す事が出来ないのもその為だそうです。 (お兄さんにはその辺の話は理解出来ませんでした) 兎に角、黒まりさに負けてゆっくり出来なくされてしまった白まりさはその時、 まるで命令される様に言われたそうです。 『ゆん、弱虫まりさ!また来るんだぜ! いつまでもこのまりさ様達のゆっくりプレイスでゆっくりしてたら―― ――――永遠にゆっくりさせてやるんだぜ!!』 それを虚ろな意識の中で聞きながら、白まりさはゲラゲラと笑いながら去って行く 黒まりさ達の背中を、ただ見送る事しか出来なかったと言います。 ___________________________________ それからというものの、黒まりさの手下達は しばしば白まりさ達のゆっくりプレイスにの近くに現れては、 ご飯を集めている白まりさの群れのゆっくりにまで陰湿な暴力を振るう様になったそうです。 今のところ命だけはまだ誰も取られていませんが そのゆっくりプレイスに居続ける自分達に対して怒りを高めていく黒まりさ達が 自分達の命を奪う未来は、そう遠いものでは無いかも知れません。 今では黒まりさ達は、群れから2時間程歩いた小さな野原に住まいを構えており、 その群れの数も白まりさの群れよりも多く、戦力差はかなりの開きがあると言います。 「――と言うね、ゆっくり出来ない事になっちゃったんだ…」 「成る程、…でも『力を貸してくれ』って? 正直なところ…お前の勝てないその黒まりさを 俺がどうにか出来るなんてとても思えないんだが…」 目の前のゆっくりまりさの体の大きさは 高さだけを見ても、お兄さんの倍近くはあるでしょう。 そんなゆっくりに一人で勝てる人間はそうはいません。 ましてやその白まりさよりも大きな黒まりさ… まず痩せっぽっちのお兄さんには無理でしょう。 「ゆん、悔しいけど、あの黒まりさの強さは本物だよ… きっとお兄さんでも勝てない…でも、人間さんが力を合わせてくれれば…!」 ここに来てようやく話が分かりました。 つまり、悪い黒まりさの群れを倒せるのは人間の群れしかいない。 黒まりさの群れの連中は村の人間にしばしば迷惑をかけているそうだし、 自分と力を合わせてそんな黒まりさを倒すのは お兄さん達人間にとっても、きっと悪い話では無い筈だよ、と白まりさは言いました。 白まりさは自分達のゆっくりプレイスを守る為。 人間は自分達の生活における邪魔な存在を排除する為。 お兄さんには村の人間にその話を通す窓口になって貰いたいと言う事なのでしょう。 成る程、利害は一致していると考えられるかも知れません。 確かにお兄さんが越して来てから間もなく この村には様々な形でゆっくりによる害が現れ始めていると聞きます。 黒まりさがこちらの山に越して来て、白まりさの群れを襲うようになった時期と 村でゆっくり害が増加して来た時期と照らし合わせてみても合致し、 どうやら黒まりさの群れが人間の暮らしにとって良くない事は確かでした。 「成る程な…分かった… 村の人間と話し合ってみるが、余り期待はするなよ」 それを聞いた白まりさは心から嬉しそうに笑顔を見せてから お兄さんにお礼を言いました。 「ありがとう人間さん! それじゃあ2日後のこの時間にまたゆっくり来るね!」 お兄さんの予定と合う日にまた会う約束してから 機嫌良さそうにドスンドスンと帰っていく白まりさの背中を見て、 ようやくお兄さんは気付きました。 白まりさの背中が酷く傷つけられていた事に。 ___________________________________ 「…役に立てなくて済まん…」 2日後の夜。 お兄さんと白まりさは再びあの薪割り場にいました。 その場に流れる雰囲気は2日前よりもずっと暗く、重く。 どうやら白まりさの願いは叶えられなかった様です。 「ゆん…残念だよ、でも、ありがとうお兄さん…」 実際これは無理も無い事でした。 山のゆっくり達のイメージは、この2週間だけで地に堕ちており 村の人間の多くはゆっくりの言う事など信用したりしません。 ゆっくり等どれも大差無い、出来る事なら山のゆっくりの数を 出来る限り減らしたいと思っている者ばかりです。 また只でさえ自分達よりもそんなゆっくりと仲良くしようとする お兄さんの信用も無いのでしょう(しかもお兄さんは新参者です) 信用されず願いが却下されたと言うのも無理も無い事です。 「ごめんね、無理言っちゃって… まりさ達でゆっくり頑張ってみるよ!…ゆぅッッ!!」 「オイ、大丈夫かまりさ!」 昨日、白まりさの群れに黒まりさが直々に来たらしく、 白まりさの体は2日前よりもずっと痛めつけられていました。 帽子は折れ曲がったまま直っておらず、体中に痛々しい黒い痣の様なものが見られます。 「大丈夫だよ!まりさは強いんだから!」 「…………」 「どうするつもりなんだ…? お前は黒まりさに勝てない、俺らはお前等に手を貸してやれないのに…」 「ゆっくりしないで考えてみるよ、 まりさは群れの"リーダー"なんだから、 きっと良い方法をゆっくり見つけてみせるよ!」 「…………そうか…」 それからお兄さんは、哀れな白まりさに 出来る限りの治療と帽子の修繕をしてやりました。 その夜、かつて見た嬉しそうに帰っていく白まりさの背中を見る事は出来ず、 まるで這う様に帰っていくその姿を、お兄さんはなんとも言えない表情で見送りました。 黒まりさがお兄さんの家に来たのは その次の日の事でした。 ___________________________________ 「ゆっくりしないで出て来い!!ねぼすけじじい!!」 朝の6時。 扉を叩くドシン!と言う大きな音で、お兄さんは目を覚ましました。 窓から外を覗くと浅黒い肌を持つ、とても大きなゆっくりまりさが 扉の外で怒鳴っているのが見えます。 あの黒まりさなのでしょう。 確かに白まりさよりも更に大きく、攻撃的な口調は話に聞く通りです。 「何だ…?何の用だ…?」 「ゆ”っ?ようやく出て来たんだぜ!薄のろなじじいだぜ!」 お兄さんは家から出たわけではありません。 小窓から顔を覗かせただけですが、黒まりさにとって話が出来ればそれで良かったようです。 「とっとと知ってる事を話してもらうんだぜ!」 「何の事だ?」 「とぼけるんじゃないんだぜ!! 昨日!あのウスノロまりさが人間と、 何かゆっくり出来ない事を話してたって事はうちのまりさから聞いてるんだぜ!!」 どうやらどこからか情報が漏れてしまった様です。 この黒まりさ、人間が危険という事くらいは分かっているのでしょう。 白まりさがその人間と密会していると聞いてやって来たのです。 「あぁ、その事―――」 そこまで言うとお兄さんはハッとした様に口を閉ざしました。 しかし黒まりさにとってその台詞だけで十分だったようで 直ぐにお兄さんを問いつめます。 「ゆん!やっぱりなんだぜ! さぁ、何の話をしていたのかゆっくり吐いてもらうんだぜ?」 「………」 抵抗しても無駄だと思ったのでしょうか、お兄さんは黒まりさに話しました。 ゆっくりプレイスを明け渡す様に黒まりさに言われた事で 白まりさが人間に助けを求めようとした事を。 そして、それを人間側が拒んだ事を。 話が終わるまでに5分とかかりませんでした。 「弱虫まりさの周りには弱虫が集まるものなんだぜ! じじい!余計なマネしたらゆっくり出来なくさせてやるんだぜ? よ~く憶えておくんだぜ!」 そう言うと黒まりさはお兄さんの家から離れていきました。 少しの間話をした間柄とは言え、白まりさは昨日今日出会ったばかりのゆっくり。 お兄さんが義理立てする程の相手ではない筈、 「………」 その筈でした。 ___________________________________ 「お兄さん!お兄さん!ゆっくり開けてね!!」 次の日の昼頃、お兄さんはまたゆっくりの体でノックされる扉を開けると 切り株の上で話したありすをはじめとする、 最近忙しくて久しく会えなかった群れのゆっくり達と会えました。 「なんだお前等、ゆっくりしないで…」 「まりさが大変なんだよ!!黒まりさに…! お兄さん!!まりさを助けてあげてね!!」 その言葉だけで何が起きたか分かったお兄さんは 小麦粉の袋と水とバケツを鞄の中に急いで詰め、群れのゆっくりを抱えて あの野原まで走っていきました。 「大丈夫かまりさ、しっかりしろ…!」 「お”にい…ざん…?」 きっと、"人間に助けを求めた事による制裁"を受けたのでしょう。 横たわった白まりさの姿は前に会った時よりも更に酷い状態になってました。 帽子は所々破け、肌は擦り傷だらけ、治した痣も前より更に多くなっています。 体の損傷を確認したお兄さんはバケツの中で小麦粉を水で融くと それを白まりさの傷に塗り始めました。 「あの黒まりざが来てね…」 「あぁ…」 治療を続けながら白まりさがお兄さんに掠れた声で語りかけます。 見た目は酷いですが、どうやら命に別状は無さそうでした。 「『3日後にまだここに居たら、群れ全員で攻め込む』って…」 「……あぁ…」 この先は同族であれ一切の容赦は無いという、 どうやら最後通告のようです。 「『その間に群れを纏めて、どこかへ引っ越せ』って…」 「……………」 お兄さんが目の近くの治療をすると、 白まりさが泣いているのが分かりました。 「どうずればいいのか”な”ぁ…皆がゆっぐりできなくっぢゃうよ…」 「……………」 勝てない相手であるなら大人しく移動して他のゆっくりプレイスを探せば良い。 一匹のゆっくりの話なら、それでも問題は無いでしょう。 しかし群れ全体の話となればそんな簡単にもいきません。 群れ全体でこの安全なゆっくりプレイスから出て行き、新たなるゆっくりプレイスを探す。 今まで安全な場所で平和に過ごして来たゆっくり達は 外敵だらけの、本物の自然の中でどれだけ生き残れるでしょうか。 ゆっくりプレイスは直ぐに見つかるでしょうか? 半分くらいは生き残れるでしょうか? もしかしたら白まりさ以外のゆっくりはみんな… 「まり”ざぁ…やだよぉ…」 「ゆっぐ…ゆぐ…」 移動を経験して来たらしき、周りの数匹の大きなゆっくりは俯いて、 かつての辛い体験を思い出している様でした。 その顔は涙でくしゃくしゃで、移動の過酷さを物語っています。 「……まりさ」 その間、暫く黙っていたお兄さんが鞄の中から子瓶と注射器を出したと思うと 治療の仕上げにと、子瓶の中身を白まりさに注射しました。 「…ゆ?なんだか少し楽になったよ…?」 するとどうでしょう、完全回復とまでは行かない様ですが 横たわった体を起こせるまでに回復した白まりさは、不思議そうに体の調子を確かめました。 跳ねるくらいなら問題は無さそうです。 「まりさ、ちょっと俺に付いて来い」 ___________________________________ 後編へ
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3317.html
『最強まりさ』 14KB 虐待 制裁 自業自得 nasi そのまりさは特別だった。 きりりと光る寒天の目、つやのある尖った帽子、のらゆっくりにしては小奇麗な身なり その姿は人間視点からも美ゆっくりに映る。まりさは公園を前に大きな野望を抱きながら自身の過去を思い返していた。 「ふ~おなかがおおきくなってきたよ!!」 「あかちゃんがたのしみだね!!れいむ!!」 おぼろげに聞こえてくる声、それが自分の両親の声であることをまりさは理解していた。 お腹の中の兄弟たちがドロドロの餡子の塊の時からまりさには意識が有り、 外の情報を取り入れていた。 「ゆ~ はやくうまれたいんだぜ」 そのまりさの誕生は歓喜を持って迎えられた。 「ゆ~~!!なんなのこのこは!!ゆっくりしすぎだよ~!!」 「さっすがまりさとれいむのおちびだよ!!」 そのあまりのゆっくりぷりに群れのゆっくりの全てがまりさを見に来た。 その後もまりさは特別で有り続けた。 まだ子ゆっくりの時である、群れの子ゆっくり同士でかけッこをしたことがあった。 普通ゆっくりの世界ではちぇんが一番身体能力が高く、まず足の速さでも 他の種類のゆっくりでは敵うことはない。 だがかっけこで勝ったのはまりさだった。しかもちぇんやその他をぶっちぎりで引き離しての勝利だった。 「わからないよ~ まりさははやすぎるんだよ~!!」 「ゆ~すごいんだよ!さすがまりさだね!」 「ゆっへん!!まりさはかけっこでもいちばんだんだぜ!!」 この時からまりさは自分は周囲のゆっくりとは違う特別な存在なのだと思うようになった。 こんなこともあった、群れの中の乱暴者で知られる大人まりさがちょっかいを出してきたことがあった。 「オイッ!! このくそちび あんまりちょうしにのってるんじゃないのぜ!!」 「まりさはくそちびなんかじゃないのぜ!!それにまりさはほんとうにとくべつなそんざいなのぜ!!」 「ゆっへへへ!!ほんとうになまえきなガキなのぜ!!おまえみたいながきはすこしおしおきなのぜ!!」 乱暴者のまりさがおさげ髪で引っ叩こうとした。だがその動作に移った時にはすでにまりさは目の前から消えていた。 「ゆっ!?クッくそちび!!どこにいったのぜ!!」 突然乱暴者まりさの背中に激痛が走る。 「ぎょぇぇ~~!!ああばばb!!」 まりさが体当たりを喰らわしたのだった。乱暴者まりさはのた打ち回り苦しむ。 「ふんっ!けんかはあいてをみてからうったほうがいいのぜ!!」 増長しすぎて少し群れでも浮いた存在となっていたまりさだが 幸運にも英ゆんとなる出来事があった。群れが捕食種のに襲われた時である。 「う~ えさがいっぱいなんだど~ おちびちゃん がんばってかりまくるんだど~」 「う~ ころしまわるんだど~!」 「ゆや~!!!ふらんだ~!!」 「にっにげるのぜ!!」 「どっ どいでね れいむはこんなところでしんでいいゆっくりじゃないんだよ!!」 まりさは普段は偉そうな顔をしている大人たちが慌てて逃げている様が少し可笑しかった。 まりさはたった一人逃げ惑う群れの流れに逆らって捕食種の前に立ちふさがった。 「う~ こいつはばかなんだど~ しにたいのかど~!」 「ゆん!まりさをほかのやつらといっしょにしたらいけないのぜ!!」 「う~~!!これはおもしろいど~ おまえらなんておぜうさまにかられてしぬため だけのそんざいなんだど~!! おちびちゃんやるんだど~! 」 「う~!!」 親ふらんの声を合図にまりさに襲いかかる子ふらん。 まだ子供とはいえ捕食種である。そのスピードは普通のゆっくりが反応できる速さではないかったが、 「う!!!?? いっいだいんだど~!!??」 「??!!!おちびじゃ~ん!!おぜうさまのおちびちゃんが~!!」 子ふらんの額には尖った木の枝が突き刺さっており致死量の餡子が吹き出していた。 「ゆん!!だからいったのぜ!まりさをほかのやつらとはちがうのぜ!!」 「ゆ!ゆるさなんだど~!!えさのくせになまえきなんだど~!!」 親ふらんがまりさに襲いかかる。先ほどの子どもとは比べられないスピード だったがまりさはこの攻撃も難なくかわした。 まさかかわされるとは思わなかった親ふらんは、その勢いのまま地面へダイブした。 「??!!うっ!!いたいんだど~!!どうしてよけるんだど~!!よけられるわけないんだど!!」 「ふんっ!ふらんといってものやっぱりこのていどなのぜ!!まりさのてきではないのぜ!!」 まりさは光り輝く歯でふらんの額をえぐりとどめを刺した。 その出来事以来まりさを見るむれのゆっくりたちの目が変わった。 まりさは真の英ゆんとなったのだ。 子供のゆっくりたちはみんなまりさに憧れてまりさの真似をし、若いゆっくり達は まりさの番になろうと言い寄るようになった。 まりさが大人になった時自然と村の長となっていた。 周りに持ち上げられちやほやされることでまりさは更に増長するようになった。 「ゆ~ん まりさ~ れいむとデートしてね!!」 「れいむ わるいのぜ きょうはちょっといそがしいのぜ」 「ゆゆ!とかいはなありすとデートしなさい!」 「ちがうんだね~ まりさはちぇんとでーとするんだよ~ わかれよ~」 (ふん!おさにはなったけどやっぱりこのむれはちいさくてつまらないのぜ! いだいなるまりささまにはもっとふさわしいばしょがあるはずなのぜ!!) 「ゆゆっそれはほんとうなの!れいむ!!」 「まちがいないんだよ!!れいむはみたんだよ!!」 まりさはれいむとぱちゅりーがただならぬ雰囲気で会話しているのが聞こえた。 「れいむ、ぱちゅりーどうかしたのぜ」 「ゆん!まりさ!」 「ああっまりさ~!」 まりさの顔を見ると二匹のゆっくりは頬を赤くする。 「いったい なんのはなしをしていたのぜ?ただことではないようすだったのぜ?」 「むきゅ!そうなのよ!れいむがこの近くでにんげんさんをみたらしいの!」 「そうなんだよ!まりさ!」 「にんげんさん…?」 まりさは今まで人間を見たことが無かった。だが親から受け継いだ餡から存在だけは 知っていた。 「にんげんさんみつかったらたいへんなんだよ!」 「むきゅ~どうしようまりさ?」 まりさに二匹の言葉は聞こえておらず、必死に会ったこともない人間の事を思い返していた。 (にんげんさん… にんげんさんは…ゆっくりよりもおおきくて…つよい… はむかったゆっくりはみんなつぶされた…おおきなむれをつくってくらしている…) まりさたちの群れはもともと町に居たゆっくりが人間の迫害から逃れて作られたもの だった。まりさは前世代からの記憶から人間がどんな存在か理解した。 「…ゆ ゆふ!ゆふふ!!」 「ゆっ まりさ どうしたの?」 「まりさ?」 「れいむ、ぱちゅりーかんしゃするのぜ!まりさはいま うまれたいみを しったのぜ!!!!!」 飛び上がり歓喜の声を上げるまりさ。 「どうゆうことなの?まりさ?」 「ゆふふ!!そのままのいみなのぜ!まりさのしめいは にんげんどもをゆっくりのどれいにすることなのぜ!!」 「ゆゆっ!」 「むきゅ!」 驚きの声を上げる二匹、それもそうである。 人間に逆らったら即潰されるのがゆっくりの掟、それなのに人間を 奴隷にするなどとは…餡に人間の恐怖が染みついている二匹には あり得ないことであった。 「むきゅ!まりさそれはむりよ!」 「むり? なにがむりというのぜ? ぱちゅりー!?」 「むきゅ!!おっ おこらないでね まりさ」 「ぱちゅりーのいうとうりだよ!まりさ!にんげんさんはつよいんだよ!」 「ふっ!それがどうしたというのぜ!まりさはさいっきょうなのぜ!!」 「ゆぅ まりさはつよいけど…それでもにんげんさんには…」 「ふん!もういいのぜ!!まりさがにんげんよりもつよいということを しょうめいしてみせるのぜ!!」 「なにをするつもりなの! まりさ!」 「これからもりをぬけて にんげんのすむまちにおりるのぜ そこでにんげんを ぼっこぼこにしてどれいとしてつれてくるのぜ!!」 「ゆぅ!!??」 「だめよ!まりさ!」 「ふたりはどれいをたのしみにまっているのぜ!!」 まりさは二匹の制止を聞かず駈け出した。 まりさは生まれて初めて味わう高揚感に駆られていた。 やっと自分の生まれた意味を知った!人間どもに虐げられている仲間を救うんだ! 人間を奴隷にして毎日あまあまをたべる!そしてまりさは永遠に英ゆんとして あがめられるのだ! 近い未来必ず訪れるであろうことを想像しまりさは幸福に包まれていた。 そしてまりさは森を抜けた。 目の前には広がるのは公園と呼ばれる広場だった。のらゆっくりの餡を引くまりさにも そこがどんな場所かすぐに理解できた。 「きょうからここをまりさひきいるはんらんぐんのきょてんとするのぜ! ゆっくりはきょうこのひをもってにんげんのあくのてからかいほうされるのぜ!!」 まりさはこう考えた。 今日は全てのゆっくりにとって特別な日になる! 偉大なるまりさに導かれゆっくりを頂点とする新しい世界がはじまるのだ! 自分とゆっくり達の光り輝く未来を思いまりさの胸に温かい物がこみ上げてくる。 ふと周りを見渡してみると一匹の人間がベンチで休んでいた。 まりさにはだらしなくぱっとしない男に見えた。 「ちょうどいいのぜ!!あいつをどれいにして!むれにつれてかえるのぜ!!」 男に近づいて行くまりさ。 (……ゆう…ちかくでみると いがいとでかいのぜ ) 初めて見る人間の大きさに少し驚くまりさ。だがそんなことで自分の優位は変わらない。 「オイッ くそにんげん まりさのどれいになるのぜ!!」 人間に啖呵を切るまりさ、まりさの頭の中では威厳あるまりさの姿に人間は圧倒され平服する筈であったが、 ……人間からの反応は一切ない。 「ゆっ?どうしたのぜ?おまえみみがきこえないのぜ!」 またしても人間からの反応は無い。 「まりさまがきいているのぜ!!こたえるのぜ!!!それがこのせかいのちょうてんにたつものにたいする たいどなのぜぇーーーー!!」 怒り心頭に達するまりさ、ふてぶてしい人間の態度が納得できない。 耳が聞こえないであっても頭を下げて許しを請うべきだ!それなのにこの人間は頭を げるどころかベンチに座ってくつろいで居る。 「ああっ!!うるさいなぁーー!!なんだよ!!」 男の荒げた声、それを聞いた時まりさの餡の中の何かが震える。 「よっ よくきくのぜ!くそにんげん!まりさはゆっくりをかいほうしにきたのぜ!」 「ちっ ゆっくりかよ!こっちは仕事明けでつかれてんだよ!お前の相手なんかしてらんねえの!」 「ゆぐっ!!だまるのぜ!おまえにはまりさのおはなしを きくぎむがあるのぜ!!」 「おまえたちにんげんはつみのないゆっくりをたくさんころしてきたのぜ!! そのつみをいませいさんするときなのぜ!!これからはすべてのにんげんが ゆっくりのどれいとしていっしょうをささげるのぜ!!」 「あ~あ~ゆっくり ゆっくり 相手するのもだるいから 潰さないでやるわ だからさっさとむこういけ」 男はまりさを見もせずに気だるそうに吐き捨てた。 「……わかったのぜ…やっぱりにんげんはばかなのぜ…ことばはつうじないのぜ!! それならちからでせいあつしてやるのぜ!!」 まりさは自身の有らん限りの力で男に体当たりを喰らわせた。 男を殺してしまった。だかまりさの力を見た人間どもがいるはずだ。そいつらを奴隷にして群れに連れていけばいい。 そう考えていたまりさだが、突然体が吹き飛んだ、遅れて味わったことのない痛みが襲いかかってきた。 しばらく吹き飛ばされ地面に擦れとまる。 「ゆt???ゆががあが!!??」 一体何があったのか全く理解できない。 男は殺した。だがそのあとどうなった?なぜ地面と空が入れ替わったのだ?? まさか天変地異が起こったのか? 本気でそう考えるほど混乱していたまりさの前に男が現れた。 「ゆぅ!!??なぜ おまえがいきているんだぜ!!??」 「ああ!!うるせんだよ!!クソ饅頭!!てめぇ!じぶんが何したか判ってんのか!?」 「ゆぅぅぅ!??」 突然の天変地異そして殺したはずの男の復活 まりさの頭は混乱の極みにあった。 「このスーツはなぁ!!ブランドもんなんだよ!!俺の安月給ためてやっと買ったんだぞ!それを汚らしい体で汚しやがって!!!」 「??わけのわからないことをいうななのぜー!!」 男に体当たりを喰らわせようと突進するまりさ、だがそれにそれに合わせた男のキックで吹っ飛ばされる。 「ゆっゆごふ!!!??」 吹き飛ばされた後、まりさは男に攻撃されたことを理解した。 強烈な痛みの中でまりさの中に恐怖の感情が生まれる。 「おらおらおら!!こんなもんじゃころさねえぞ!!くそまんじゅう!!」 男が吹き飛んだまりさを追いかけてやってきた。 まりさは必死で考えていた。 (?にんげんはつよい!!??まりさより!!!???そんな!!そんなことが?? ありえないのぜ!!???だって??だって!!まりさは!!) 「くたばってんじゃねえだろうな!!クソ饅頭!!」 「!!まりさは!!まりさは特別なのぜ!!!!」 大声を出すまりさ。 自分は特別。それは今までの自分を支えてきたアイデンティティーそのものであった。 群れから疎外感を感じていた時も辛くはなかった。なぜなら自分は特別だから ほかの奴らとは住む世界が違うのだ。そんな考えが今までのまりさを支え、かたち作ってきた。それがいま人間を前に崩れようとしていた。 「ほ~う おまえはとくべつなのか?」 「そうなのぜ!!まりさは!まりさはとくべつなさいきょうのゆっくりなのぜ!」 「はっ そうかい だったらそれを証明してくれよ」 「いわれなくてもやってやるのぜぇ~~!!!」 男に渾身の体当たりを喰らわせるまりさ、火事場の馬鹿力であろうか今までにない手ごたえを感じた。 「こんどは!たおしたのぜ?!!」 「はっ??なにがだよ??」 ばかな??そんなことが?まりさの体当たりは子供の時でも大人のゆっくりを のたうち回せるだけの力があったはずだ、成長した今なら楽に人間を殺せるはずなのに。 混乱して思考が追いつかないまりさ。 「なんだそんなもんか?まりさちゃん?」 「そんな そんなわけないのぜ!!」 まりさは素早く男の足元に潜り込むと男の足に噛みついた。 「ゆぐっ!!ふっ!!」 勝利を確信するまりさ、自分噛みつき攻撃はふらんをも殺す力を持っている これでこの男は完全に死んだ!!! 「きたねぇ!!!!!!!」 男が大きく足を振りあげる。まりさは歯を放してしまい、来た森の方向に吹き飛ばされてしまった。 ドゴンッ 「ゆぐぉ!!」 地面に落ちた衝撃で気を失いそうなるまりさ。 「ゆふ~!ゆふ~!いたひのぜ!!あたはがくらくr…」 口元に違和感がある、妙にスースーするまりさがそう思った時 何かが口から落ちた。 「ゆっ??これは…ひゃ、は なのぜ…まりしゃのはが!!」 あり得なかった。自分の歯はふらんをも噛み砕く最強の歯なのに、 この世で一番硬くて、強い物だと思っていた歯が、人間に振りほどかれただけで いともたやすく無くなってしまった。 ガザッ ゴソ 「ビクッ」 木の擦れる音がした。その音聞いてまりさは心臓が止まると思った。 怖かった、まりさは人間が怖くなっていた、 本当は初めて対峙した時から恐怖心は有ったが認めたくはなかった。 だが今は何よりもあの男から逃げ出したかった。 逃げ出して群れに戻りたかった。 「クソ饅頭!!どこだ!出てこい!!」 「ヒッ!」 男の声が聞こえる。まりさは逃げ出した。 だいぶ走った。今までで一番早く走った。群れはもうすぐそこだ。 群れに戻れば今までの日常にもどれる。 もう人間を奴隷にするなんて馬鹿なことはしないでおこう、 そうすれば森の中で平和に暮らせる。 「み~つけた まりさちゃん」 地獄に引き戻される感じだった。あまりの恐怖に失禁してしまった。 まりさはゆっくりと声の方向に振り替える。 「あがが!!どふしてごごに??」 「あ~ん?ずっとおまえの後を付けてたんだよ。どうせ群れまで逃げ帰るとおもってな。そうだろ?むかつくからお前を殺した後群れも皆殺しにしてやるよ!」 「ゆひ!!しょんな!!??」 「ははなに??おまえまさか逃げ切れるとおもったの?? あんなに遅くて!」 「まりしゃが おしょい?? おそい?? まりしゃが??」 まりさの中で大切なものが崩れた。今まで自分を支えて来たものが全て崩れた。 「ゆひっゆひひひひひ!!」 まりさはもうなにも考えられなくなった。考えるのが嫌になった。 「ちぃ なんだよ 壊れちまったのか!つまんねぇな!」 ゆっくりとまりさに近づく男。 「死ね」 まりさの体が飛び散った。 まりさは確かに特別であった。野生では数十世代に一匹生まれるかどうかの 超優良個体だった。だが所詮まりさはゆっくりだ。 終
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4264.html
前編より 「どうだ?あそこ程じゃないが、そんなに悪くないだろ?」 「…………!!」 お兄さんが白まりさだけを連れて2時間ちょっとも歩いた先には 流石にあのゆっくりプレイスには劣りますが、 群れの皆が住むのに良さそうな、立派なゆっくりプレイスがありました。 前の野原のよりは小さめですが、白まりさが住めそうな洞窟もあり、 お家に出来そうな隙間も沢山あります。 何より、白まりさの中の何かが"ここはゆっくりプレイスだ"と教えているのです。 「すごいよっ…!ここなら皆でまたゆっくり出来るよ…!」 お兄さんは白まりさの相談を受けてから 今まで何もして来なかったワケでは無かったのでしょう。 ゆっくりの好みそうな場所は大体分かっているので、暇を見つけては山に入って いずれ来るであろうこの事態に備えたゆっくりプレイスを探していたのです。 「…ありがとう、」 「…いいんだよ」 「あ”り”がどう”…おにいざん…!!」 お兄さんは、先程の群れのゆっくり達以上に 涙でぐちゃぐちゃになった白まりさの頬をポン、と叩いて またあのゆっくりプレイスに、二人で笑いながら帰っていきました。 ___________________________________ 次の日の朝、白まりさの群れのゆっくり達はお兄さんのお家にまで お別れの挨拶をしに来ました。 その中には一番仲の良かったありすや、子れいむもいました。 ここから新たなゆっくりプレイスまで歩いて3時間以上掛かります。 ですのでこれからはもう、今までの様に簡単に会う事は出来ません。 「最後までお世話になりっぱなしで御免ね」 「いいんだよ別に、気にするな」 「…ありがとうお兄さん、何度も言ってるね、ごめんね? これ、まりさ達からの今までのお礼のつもりだよ ゆっくり受け取ってね!」 そう言ってまりさが銜える帽子の中に入っていたものは、山で採れる美味しい草。 ゆっくり達にとってその草は、比較的柔らかく甘い御馳走です。 人間にとっては雑草でしかありませんが、群れのゆっくり達の大好物だったもの。 しかし残念ながらお兄さんが食べられる物ではありません。 「…いや、いい」 「ゆ?…どうして? お兄さんはこれじゃあゆっくり出来ないの?」 「そうじゃない、その草はお前等があそこに辿り着くまでの食料に使え これから大変になるんだから、食料は大切にしな」 それを聞いた白まりさとその群れのゆっくりは、また目を涙で潤わせると 皆でお兄さんに向かってお礼の代わりの"飛び跳ね"を始めました。 いよいよお別れの時です。 「それじゃあ、お兄さん、今まで色んな事… 皆とゆっくりしてくれたり、ちびちゃん達の面倒を見てくれたり、 まりさの傷を治してくれたり、ゆっくりプレイスを教えてくれたりして… 本当に、ありがとう」 「「「ありがとう!!」」」 あのありすはただ、じっとお兄さんを見つけていました。 都会派を気取るだけあって涙は見せたくないのでしょうが、 その目からは今にも零れ落ちそうなのが遠目にも分かります。 皆の跳ねる音にかき消されて聞こえませんが、 小れいむはただただ泣くばかりでした。 他にも川で遊んだまりさ、大家族の末っ子のちぇん、 家族思いのお母さんれいむ、絵本で喜ぶぱちゅりー。 「皆元気でな、またいつか会いに行くからな こっちは危ないからもう来るんじゃないぞ」 お兄さんは群れのゆっくりひとりひとりの頭を撫でると 白まりさに向かって、もう行くように言いました。 悲しい事ですが、人間や動物の世界も同じ様にゆっくりの世界もまた、弱肉強食なのです。 弱いものは駆逐され、強いものが栄える。 勧善懲悪な話ばかりとは限らず、正義が勝つとも限りません。 力だけがものを言う世界がここにはあるのです。 今回のケースはまだ優しい方でしょう。 ゆっくり同士でも、殺し合いの戦争が起こる事もあるのですから。 敗者は去るか、若しくは殺されるか…。 白まりさの群れがそうされた様に、 いつかあの黒まりさもいつか、更に強い者に食い物にされる時がきっと来るのでしょう。 「…………」 群れをその体だけでは守りきれなかった不甲斐なさからでしょうか、 その少し悔しそうな白まりさの大きな背中を、 そして生まれ育った故郷を捨てる群れのゆっくり達の 可哀想な後ろ姿が小さくなっていくのを、 お兄さんは扉の前で、ただ見つめていました。 ___________________________________ 「ギャハハハハハハハ!!! ほんっとバッカじゃねぇーのかアイツ等!!アハハハハハハハ!!! 要らねぇーッつーの!!テメェ等の食う雑草なんてよォ!!」 白まりさの背中を見送った男は、 家に入るとまるで爆発したかの様に笑い出しました。 この場にあの群れのゆっくりがいたら目を疑った事でしょう。 その笑い方は黒まりさがそうするよりも、遥かにゆっくり出来ないモノだったからです。 「…クク…あーハラいてぇ、…ククク、」 今までとは人の違った様な歪んだ笑みを浮かべる男は 隣の部屋にある押し入れの方まで大股で歩いていくと、ガラッ、と必要以上に強い力で 押し入れを開けました。 「馬鹿とゆっくりは揺すれば金が出る、 そう言ったヤツはホント大したモンだ…クク… オイ、オメェ等もそう思うだろ?」 「……………」 押し入れの中にはあの黒まりさの部下だったゆっくりありすとゆっくりまりさ。 しかし今の二匹は飾り以外、殆ど原型を留めない程に痩せていました。 ガリガリの頬には正体不明の笑みを浮かべ、 目は何かを求める様にギラギラと充血しています。 「…お!お兄ざん!お兄ざん!ゆっぐり、ゆっぐり『お薬』を打ってね!」 「はやぐあのゆっぐりぶれいずにいぎだいわ”ぁ…!!」 男は二匹のゆっくりの意味不明な言葉を聞くと 微笑みを浮かべながら胸ポケットから四角いケースを出しました。 そして中から小瓶と注射器を出し、瓶の中身を吸い上げてありすに針を差し込みました。 「あ”は”ぁ”ぁ……!!」 何の抵抗もせずにそれを受け入れたありすはぐるんと眼球を反転させると まるで極上のゆっくりを楽しむかの様に、口の端から涎を垂らし始めました。 「ここにこんな極上のゆっくりぷれぇすがあるってのによ… あの白まりさも黒まりさも、節穴かよってんだよ、なぁまりさ」 「はやぐぅ…はやぐ頂戴ね”ぇ!!」 「分かってんよ…ちょっとそこでゆっくりしてろ」 「ゆっぐりなんでどうでもいいよ”!! おぐずりざえあればまりざはしあ”わ”ぜなんだよ!!」 『ゆっくりなんてどうでもいい』 ゆっくりにとって聞いた事も無い、あり得ない言葉をあっさりと言うまりさ。 「フヘへ…ほれ、お待たせまりさ 極上のゆっくりぷれぇすでゆっくりしていってねー…」 「え”へ”ぇ…」 ゆっくりありすは今では病的なまでに活発な動きは見せず、 虚ろな目で押し入れの隅を見つめていました。 男はゆっくりまりさもそれと同じ状態にしてやると 直ぐに注射器をケースにしまい込んで、押し入れを閉めました。 「おっと、お客さんだ また押し入れの中でゆっくりしてろ」 「ゆっふひひはひしたよー…」 そのやる気のカケラも無い返事を聞いているのか聞いていないのか。 男はコンコン、と丁寧にノックされた家の扉を 今度はゆっくりと丁寧に開けて客人を招き入れました。 「やぁ夜分遅くにすいません○○さん 部下の者から連絡を受けましてね、例の件…」 お客様は初老の男性。 綺麗な衣服や蓄えた髭から裕福な人間だと分かります。 「こんばんわ○○さん、先程あの野原から消えましたよ、 一匹残らずね…時間は少し掛かってしまいましたが 特にご希望が無かった様でしたので、追い出すと言う形に致しました」 「本当ですか!良かった良かった…! 私は彼等のあの悲鳴が苦手でしてねぇ…殺さずに済んで良かった、」 「…よく分かりますよ、 まぁひとまず、これにて取引終了ですね」 「ええ!そりゃあ勿論! ○○さんが格安で請け負ってくれて助かりましたよ! ありがとうございます!」 そう言って握手を求める初老の男性の手を、 男は片手で制して次の様に言いました。 先程まで笑顔だったその顔からは笑みが消え、表情は真剣そのものです。 「それなんですがねぇ…どうやら明後日か、明々後日にでも 他の群れがあそこの野原に来るみたいでしてねぇ… これが先の群れよりも多くて、主もデカいんですよ… 今度はその群れを片付けなきゃならないみたいですね、○○さん」 「…………!? そんな…!?約束が…!!」 「ハハ、契約に沿って私らがやるのは『あの群れを野原から消す事』 次にやってくるゆっくり達まで追い返すのにあの金額じゃあ、とてもとても…」 ___________________________________ 「遅いんだぜ…なぁにやってるんだぜぇ!?」 その頃、黒まりさは狭い野原の中で苛立たしそうに 銜えた枝を上下させていました。 手酷く白まりさを痛めつけてやった日から自主的に 白まりさの群れの監視役を申し出て来た兵隊ありすと兵隊まりさの帰りが遅いからです。 明日の昼までには戻るとの事でしたが 今にもあのゆっくりプレイスが手に入ろうとしているこの時期、 黒まりさのワクワクは頂点に達しており、 待ちきれない気持ちが抑えきれないのも無理もない事でしょう。 「ゆっくりしないで帰ってくるんだぜ…はやく、はやく!」 兵隊ありす達が帰ってくるのは約束通り次の日の昼。 その日、黒まりさは今までで最高の喜びを味わう事になりました。 ___________________________________ 「毎度ありがとうございます! まぁ、そうお気になさらず、 これでもまだまともな組織に頼むよりもお安いモノですよ 4日後には全て終わってますので楽しみにお待ち下さい! そしたらあそこは邪魔者無し、完全に貴方達のモノに戻ります」 「…………」 「まぁ…『あんなもの』をお建てになるのですから まともな組織にはお任せ出来ないのは分かりますがね…クク…」 「…………!!」 「今回のは即効性のモノじゃないんで4日程も掛かってしまいますが、その分確実ですよ デカイのも1mmも動けなくなります、他は全て死にますがね。 このクスリじゃデカイのだけは飽くまで動かなくなるだけなんで そいつの処分と、ゆっくり達の死骸の処理で…まぁ、このくらいでしょうね」 「………ぐ…」 「よろしければ先程の群れの様に殺さずに追い出しましょうか? それですと先程のお代金と同じ額ですが、いかがなさ 「勝手にせい!!この詐欺師!!業突く張りが!!!」 「おおっと!」 そう怒鳴った初老の男性は、男に膨らんだ封筒を乱暴に投げつけると 顔を真っ赤にしたまま、ドカドカと家から出ていきました。 「怖い怖い…それじゃあ簡単な方に致しますよ、 そんじゃまた御用があったらいつでもどうぞ! まぁ…その内また呼ぶ事になると思うがね…」 そのせいで、そう呟いたお兄さんの言葉も 彼の耳には届かなかった様です。 「オラ、いつまでも飛んでんじゃねぇぞ 良く聞いて一回で理解出来る様になれよ? 明日の朝まで憶えてたらもう一発打ってやるからな」 「「ゆ っ ぐ り 理 解 す る よ ぉ ーー!!!」」 「静かにしろ 遅れずに明日の朝、黒まりさに報告しに行け 『白まりさは出ていった』分かったか?」 「「白まりざは出ていった!!白まりさは出ていっだ!!」」 ___________________________________ 「む~しゃ♪む~しゃ♪しあわせ~♪」 「ゆっ!れいむれいむ!ここなんて良いお家になりそうなんだぜ!!」 白まりさの群れは新しいゆっくりプレイスに無事辿り着いてから 既に数日経っており、皆新しい環境に馴染みつつありました。 「お兄さん、いつ来るのかしらね…」 「寂しいんだねー?わかるよー…」 皆、かつて黒まりさに怯えた日々の事なんて忘れた様に お引っ越し気分でお家を作ったり、周囲を友達と探索したり、追いかけっこをしたり、 かつての様にお花飾りを家族のプレゼントの為に作ったり、とても楽しそうにしています。 その光景を見て白まりさは幸せでした。 奇跡的に誰ひとり欠ける事無く、また皆でゆっくり出来た事に。 そしてその手助けをしてくれたお兄さんに心から感謝していました。 「(お兄さん…皆ゆっくりしてるよ…)」 白まりさがその命を終えるのはこれよりずっとずっと後の事ですが、 彼女は最後まで知りませんでした。 黒まりさを呼ばせたのはお兄さんだった事に 初めからお兄さんが仕事で群れに近づいた事に お兄さんが黒まりさの手下をクスリで操っていた事に 村人に相談など一言も持ちかけなかった事、 それどころか白まりさの群れをも滅ぼす相談を一人の人間から受けていた事、 このゆっくりプレイスはもうずっと前から用意されていたものだと言う事に。 それでも白まりさは最後までお兄さんに感謝し続け、 最後まで幸せに暮らしたのでした。 ___________________________________ 「む~しゃ♪む~しゃ♪しあわせ~♪」 「む~しゃ!む~しゃ! …ゆゆ?まりさぁ!ここのご飯すっごく美味しいよ! 人間さんのところにあるご飯よりもずっと!!ごくらくー!!」 その頃、黒まりさ達の群れのゆっくり達は野原の草を啄んでいました。 それは昨日お兄さんに幸せの水を撒かれた草。 その味はまるで麻薬のようにゆっくりを魅了して離しません。 「ゆ?本当なんだぜぇ!むーしゃ!むーしゃ!…まったく! こんなゆっくりプレイスをむーしゃむしゃ!独り占めしてたあのまりさどもは とんだゲス共なんだぜ…!むーしゃ!むーしゃ!」 黒まりさもまた、幸せでした。 ちょっと痛めつけてやっただけで簡単に白まりさの群れを追い出せた事、 面倒な戦争など起こさず、群れの戦力を一匹も失わずに 城になるゆっくりプレイスを得られた事に。 黒まりさがその命を終えるのはもう間も無くの事ですが、 彼女は最後まで知りませんでした。 兵隊ありすにゆっくりプレイスの話を聞いた時に、既にありすはクスリ漬けだった事を、 子分のまりさがどうして人間の家と、白まりさと人間の密会について知っていたかを、 何故あの日、人間が反対側の窓から逃げず素直に全てを話したのかを、 自分ですら行動不能にするゆっくり用の毒物が人間界の極一部で生まれている事を。 『(ゆへへ…!この"お城"から…れみりゃでも人間でも何でも… あの弱虫人間の様にどいつもこいつまりさ様の奴隷にしてやるんだぜ…)』 そして、その城はあと数日で人間の手に渡る事を。 その夢はあと数日で砕かれる事を。 ___________________________________ 「――そんな感じの馬鹿共が居るから、俺らみたいのは食いっぱぐれねぇんだよ …まぁ、4日後まで俺の機嫌が良いままだったらいいなぁ?…クク…」 水撒きの仕事を終えて家に帰って来たお兄さんは 机の上に脚を投げて、貰ったお札をまた数え始めました。 その中で考えるのは最終的な黒まりさの処分の方法などでは無く、白まりさの群れの事。 『ゆゆ!人間はゆっくり出来ないよ!皆逃げるよ!!』 初めは警戒心の強い、面倒な仕事だと思っていました。 男の足音を聞いただけで逃げる厄介な群れ。 あの男達がかつて力づくで追い出そうしたからだと、腹を立てたものです。 「コレで村の連中にも恩が売れるな…ゆっくり様様よ… 俺がタダで施しくれてやるワケねーだろが!フヘへへへ…」 『お兄さんみたいな優しい人間さんは初めてだよ!ゆっくりしていってね!』 しかし一度打ち解けると 群れの事はどんな内緒話でも話してくれる、馬鹿な群れ。 手放しで信用してくれる馬鹿なゆっくり達。 『お兄さん!皆で見つけた綺麗なお花さんだよ!お兄さんに上げるね!』 「…クク…ハハハ……」 素直じゃないが誰よりも自分を頼ってくれたありす 自分を本当の親の様に思ってくれた子れいむ いつも樹の側で待っててくれたちぇん 誰も恨む事の出来ない真っ直ぐな親まりさ。 花を持って来てくれる小ありす 『…ありがとう、あ”り”がどう”…おにいざん…!!』 「………………」 そして最後まで自分を信用してくれた白まりさも、 本当にお人好しばかりの、平和ボケした馬鹿な群れでした。 ー完ー このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/touhoupuppetshow/pages/35.html
Eれいむ No.003 タイプ:ノーマル/ひこう 特性:はくれいのみこ(相手の特性や技の効果では能力が下がらない) HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 90 100 95 85 90 80 ばつぐん(4倍) --- ばつぐん(2倍) でんき/こおり/いわ いまひとつ(1/2) くさ/むし いまひとつ(1/4) --- こうかなし じめん/ゴースト 同タイプ人形比較 HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 Eれいむ 90 100 95 85 90 80 Eあや 90 90 90 60 60 140 Eミスティ 90 85 70 70 85 110 Eときこ 90 105 70 80 60 105 Aミスティ 80 70 70 70 110 90 何かとつけては他の御三家2人と比較され、不遇扱いを受け続けてきた主人公。 しかし現在EさくやとEまりさは弱体化傾向にあり、Eれいむは追い風・大文字・雷・吹雪が追加された。今こそ見返してやる時。 種族値は流石の万能型。特に穴は無く攻撃と防御が気持ち高め。速さが足りないと思ったら追い風を積めばいい。 総合的な耐久は飛行タイプの中で最も高く、積み技・補助技もそこそこ揃っているので耐久型もできない事は無い。 Eれいむ追い風型 サポート型 覚える技レベルアップ 技マシン タマゴわざ 追い風型 性格:いじっぱりorさみしがりorやんちゃ、ようきorせっかちorむじゃき 努力値:攻撃252 素早さ252or調整残り耐久 持ち物:ラムのみ、シルクのスカーフ、するどいくちばし 確定技:おいかぜ 選択技:おんがえし/すてみタックル/LUNATIC/むそうてんせい/かわらわり/シャドーボール/はがねのこぶし/だいもんじ/サイコブースト 場が整ってから出し、追い風を積んでひたすら暴れてもらう。特性により威嚇が効かないのがおいしい。 追い風持ちの中ではEもみじと並んで攻撃技が豊富。Eあや・Eミスティ・Aマリサ等では少々攻め手に欠ける。 ただ他のキャラと違い先制技が全く無い事には注意。積む時にある程度削られ先制技持ちが来たりすると為す術が無い。 素早さの性格補正無しだと追い風を1回積んでも125族までしか抜けない。130族抜きは性格一致172振り。140族抜きは性格一致236振り。 以前の仕様では他の御三家2人には手も足も出なかったが、追い風1積み状態の性格補正無し攻撃振り恩返しで耐久無振りEまりさを確定1発。 性格不一致特攻無振りの大文字でも特防特化のEさくやを確定2発。勝てる要素は十分にある。 攻撃技選択例 恩返し+夢想天生+α 一致2種を持ち威力を重視する型。両方とも岩タイプと鋼タイプに半減されてしまうので残り1つで対応する事になるが限界はある。 鋼の拳だと鋼タイプで、大文字だと岩タイプで、瓦割りだとゴースト鋼・エスパー鋼で止まる。シャドーボールだと岩・鋼に抜群が取れない。 恩返し+α サブを2つ持ち、対応範囲を広げる。こちらは夢想天生を持たせない場合。一致で抜群を取る事ができなくなるので火力は落ちる。 シャドーボール+瓦割りor鋼の拳or大文字辺りが広く対応できる。シャドーボールを持たせないとゴーストタイプが非常につらい。 夢想天生+α こちらは恩返しを持たせない場合。夢想天生で抜群を取れる相手には強いが、命中が少々不安定。電気タイプにも弱くなってしまう。 同じくシャドーボール+瓦割りor鋼の拳or大文字辺りの組み合わせで。一応ノーマルor飛行+ゴーストだけでEりか以外には等倍を取れる。 サポート型 性格:いじっぱりorゆうかん、わんぱくorのんき、しんちょうorなまいき 努力値:攻撃252 残り耐久(いじっぱりorゆうかん) HP252 防御252(わんぱくorのんき) HP252 特防252(しんちょうorなまいき) 持ち物:たべのこし、ラムのみ、カゴのみ 確定技:おんがえしorむそうてんせい/リフレクターorひかりのかべ 選択技:かわらわり/シャドーボール/はがねのこぶし/だいもんじ/サイコブースト/あくび/どくどく/あまごい/ていそくいどう/めいそう/ねむる そこそこ殴れる壁貼り役。半減or無効相手に出して壁を貼った後、後ろに繋げてもいいしそのまま自分で戦う事も。 似たような耐性・耐久で120族のEげんげつが同じ事ができるので需要はあまり高くなかったりする。 出てすぐ引っ込む型なのでサイコブーストとか生かせそうだけど、格闘タイプには夢想天生で弱点を突けるので使い道がほとんど無い。 覚える技 レベルアップ ちびれいむ れいむ Eれいむ 技 1 1 1 はたく 1 1 1 なきごえ 7 7 7 ふうましん 11 11 11 とびげり 15 15 15 ちょっかん 19 20 20 かまいたち 23 25 25 みこにさいせん 27 30 30 ひかりのかべ 27 30 30 リフレクター 31 35 35 PWJニードル 35 40 42 そらとぶみこ 39 45 49 ていそくいどう 43 50 56 じんつうりき 47 55 63 むそうてんせい 技マシン マシン 技 技01 きあいパンチ 技05 ほえる※ 技06 どくどく 技09 めいそう 技10 メロメロ 技14 ふぶき 技15 LUNATIC 技16 ひかりのかべ 技17 まもる 技18 あまごい 技20 しんぴのまもり 技21 かまいたち 技23 はがねのこぶし 技25 かみなり 技27 おんがえし 技28 あなをほる 技29 サイコキネシス 技30 シャドーボール 技31 かわらわり 技32 かげぶんしん 技33 リフレクター 技38 だいもんじ 技39 がんせきふうじ 技40 つばめがえし 技41 ソニックブーム 技42 からげんき 技44 ねむる 技46 どろぼう 技48 げきりん 技49 よこどり 秘02 そらをとぶ※ 秘04 かいりき 秘06 いわくだき ※ほえるはEれいむのみ。そらをとぶはれいむ、Eれいむのみ。 タマゴわざ ふういん あくび たまなげ おいうち サイコブースト おいかぜ はめつのねがい すてみタックル
https://w.atwiki.jp/toho/pages/893.html
とびまりさ サウンドトラック サークル:物置小屋 Number Track Name Arranger Original Works Original Tune Length 01 とびまりさ のくの とびまりさ タイトル [2 01] 02 イリュージョンミスト のくの とびまりさ ステージ1 [2 44] 03 ウィンタークーラー のくの とびまりさ ルーミアのテーマ [2 16] 04 蟲の煙草、光酒の盃 のくの とびまりさ ステージ2 [3 08] 05 薔薇十字探偵社 のくの とびまりさ リグルのテーマ [2 16] 06 ゴースト・イン・ザ・シェル のくの とびまりさ ステージ3 [2 47] 07 バカとバカの境界 のくの とびまりさ チルノのテーマ [2 45] 08 レフトウィングス のくの とびまりさ ステージ4 [2 57] 09 光を貫く闇 のくの とびまりさ ミスティアのテーマ [3 14] 10 夜の矢上を往く のくの とびまりさ ステージ5 [3 44] 11 thHolic のくの とびまりさ チェンのテーマ [2 20] 12 北極点幻想 のくの とびまりさ ステージ6 [1 39] 13 白夜幻奏譚 のくの とびまりさ レティのテーマ [3 43] 14 メガマリ のくの とびまりさ エンディング [3 27] 15 ヴォヤージュ1969 のくの 東方永夜抄 ヴォヤージュ1969 [2 25] 横スクロール弾幕シューティングとびまりさのサントラ コミックマーケット71(2006/12/31)にてイベント限定頒布 イベント価格:500円 現在サイト上にて無料公開中。 レビュー 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/370.html
まりさの誕生 4の続きです 春 今日も授業は続いている 今は歴史の時間だ、幻想郷の成立…は昨日やったから今は吸血鬼騒動の話だ その時あの変異まりさがいきなり立ち上がった(というより半分つぶれた恰好からしゃきんとした) 「みんな!!!いまこそゆっくりのときだよ!!!」 その瞬間、寺子屋を地震が襲ったような激しい震動 天井を突き破り、障子を突き破り、畳を突き破り、慧音のスカートの捲り、掛け軸の裏から壁を突き破り 変異まりさとほぼ同じ大きさのゆっくりまりさが教室に乱入した その数ゆうに10匹以上…! まりさたちは逃げ惑う子供たちを踏みつけ、口にくわえ、下でからめ取っていく 我に返った慧音が戦闘態勢をとった時にはほとんどの生徒がゆっくりにつかまり、迂闊に手が出せない状況だった 「くっ…まりさ!!これはどういう真似だ!!!」 「ゆっゆっゆっゆ…けーね、まりさはこのときをずっとまっていたんだよ!にんげんにふくしゅうするそのときを!!」 ゆっゆっゆっゆ…と10匹ものまりさが汚い笑い声をあげる 慧音の後ろに隠れていた二人の子供がおびえて慧音にしがみついた 人間に復讐?確かに初めてこのまりさがここに来た時はそんなことも言っていた だが人間には勝てないと悟り共存の道を探ろうとしていたんじゃないのか? くそ!何でこんな時に妹紅はあのニートと殺し合いなんてやっているんだ!! 「うごいちゃだめだよ、けーね、うごいたらこのこたち、ゆっくりできなくなるよ」 「「そこでゆっくりみていてね!!」」 子供が人質に取られては慧音には何もできない そんな慧音の心を知ってか知らずか、まりさのうちの一匹が踏みつけていた女の子の頭にかみついた 「なっ!!」 「い、いやぁぁ!!先生!!けーね先生!!助けて!!」 「やめろっ!!私はどうなってもいいから…子供達には手を出さないでくれ!!!」 まりさは一瞬で子供をほとんど丸呑みにしてしまった 膝から先だけは口からはみ出しており、その足が痙攣していることだけが少女がまだ生きていることを伝えた 「ぺーろぺーろゆっくりー!!」 時折足の痙攣が激しくなる、どうやら口の中で舐めまわしているらしい そしてついにその足まで口の中に消えてしまった 「あ、ああ…」 「これでゆっくりできるね!!」 「うん!ゆっくりー!!」 「き、貴様ぁ!!」 「い、いやだ!!僕は食べないで!!」 「助けて!先生助けて!!」 慧音は一気に飛び出そうとした 子供に怪我をさせてしまうかもしれない しかし今自分の目の前で人を食べたこいつらは何としても消さなければいけない しかし慧音の動きが止まった、さっき少女を食べたゆっくりがいきなり震えだしたのだ 「ゆっ、ゆぎゅう…ゆっゆっゆっゆっ…」 慧音と子供たちの間に笑顔が戻った、きっとスレ的にこのゆっくりの皮を突き破って食べられた少女が飛び出す そして笑顔でさっきまで自分が入っていたゆっくりの死骸を食べながら 「これおいしーよ!」 と、天使のような笑顔を慧音に向ける それからみんなで寺子屋大饅頭大会だ、ゲストで阿求を呼んでもいいかもしれない そんな慧音の機体は一瞬で裏切られた 「ゆっくりー!!」 「すっきりー!!」 なんとまりさの体からほとんど同じ大きさのまりさが飛び出してきたではないか!! その帽子や紙には食べられた少女の服の切れ端が付いている 「ゆゆっ、せんせー!みんなー!ゆっくりになるのってとってもゆっくりできてサイコーだよ!!」 「な、なんだって!?」 「これぞぜんゆっくりとぜんじんるいをすくうきゅうきょくのけいかく!!ぜんじんるいゆっくりけいかく!!」 「ゆっくりとにんげんのあらそいをなくすためににんげんをゆっくりにしようというけいかく!」 何が起こっているんだ!? 慧音の頭は混乱しっぱなしだった 全人類をゆっくりにする!?そんなバカな!!しかし今目の前にいるあのゆっくりはなんだ!? まさか本当にあのゆっくりがあの子だったというのか!? 「さあ!こうたくん!わたしがゆっくりにしてあげる!!」 「みんなもゆっくりになろうね!!」 ゆっくり達が一斉に子供たちを食べ始める 「いかん!!お前たち、逃げるんだ!!」 慧音は自分の後ろにいた二人に向って叫んだ 急いで寺子屋の外に向かって走る二つの背中、しかしそれは畳を突き破った二つの饅頭に呑まれて消えた そのあと、畳から4匹のゆっくりまりさが飛び出してきた 「あ、ああ…」 「さあ!あとはけーねひとりだよ!!」 「だいじょうぶだよせんせー!ゆっくりになっていっぱいゆっくりしようね!!」 「ぼくたちにまかせてね!せんせー!!」 「けーねせんせいのおっぱい、おっぱい…」 たくさんのゆっくりに囲まれる、しかし慧音は動けない ここで戦えば子どもたちも傷つけてしまう もうかれらは寺子屋の生徒ではないのに ゆっくりの舌が何本も伸びてくる 舌が体中を舐めまわしている 何匹かのゆっくりが発情している そして目の前に現れる一匹のゆっくり、それは最初にゆっくりになったあの少女だった 「や、やめてくれ…」 「せんせー、わたし(僕)(まりさ)のなかで」 「「「ゆっくりゆっくりになっていってね!!!」」」 「い、嫌だあぁぁぁぁ!!!!!」 毛布を蹴とばして飛び起きる ここまで怖い夢を見たのはたぶん生まれて初めてではないだろうか? ああ、なんて夢を見てしまったんだ しかもゆっくりになってしまうところまで見てしまった気がする 暗い暗い餡子の海で服を切り裂かれ、体の隅々まで舐めまわされ、あんこを浸みこまされる そして日出る国の天子のようにゆっくりから飛び出して… 忘れよう、この夢はなかったことにしよう まりさと生活をはじめて半年近くたった まりさは定期的に巣に戻っているらしい、最近森のゆっくり達が 「ゆっくり」「にんげん」各ゆっくり種の名前 をひらがなで読めるようになった事 まだ安定供給とまではいかないがなんとか農耕が軌道に乗り始めたこと そんなことを報告してくれた どうやらその森のゆっくりも知能はけた外れにいいらしい このまりさの慕うぱちゅりーの影響だろうか そういえば近頃子供たちがこのまりさを「ドスまりさ」と呼ぶようになった 理由を聞いてみたところ、ボウガンでゆっくり狩りをしている男が 「あの大きさじゃあドスまりさだな」 と話しているのを聞いたらしい まりさ自身もこの名前で呼ばれるのを気に行っているらしい これから慧音もドスまりさと呼ぶようになった ドスまりさは今日も定期報告のために森への道を走って行く 農作業をしているおじさんと挨拶してすれ違う (ゆっくりを虐めていたがみたいだが森のゆっくりじゃない屑だからスルー) 今回はありすに「名前」について教えよう それはゆっくりのゆっくりたるゆえんを破壊してしまうかもしれない でも、それでも人間は名前を使っている 森の仲間もきっと屑からの脱出をしてくれる 農作業はうまくいっただろうか? 進み具合によっては字が読めるゆっくりを連れて人里に行ってもいいかもしれない 人間のルール取得を兼ねて、お菓子屋さんで野菜とお菓子を交換してもらおう そこまで考えてドスまりさの動きが止まった おかしい、いつもならそろそろ見張りのゆっくりがいるはず ドスまりさはここをいいゆっくりの楽園とすると同時に屑なゆっくりから完全に隔離した 「ゆっくりふぉーとれす」 に改造しようとしていた もし外からの屑ゆっくりが入ってきたばあい、仲間との衝突は免れない 最悪発展途上中の仲間が屑になる そうなったらおしまいだ そのため、仲間の集落の付近に見張り用の巣と、その内部にほかの見張り巣につながるトンネルを掘らせた 3匹ひと組で見張りに当たり内部に侵入しようとした他のゆっくりには丁重にお引き取り願う そして集落の中心部からは見張り巣よりも外側まで続く脱出用トンネルも掘らせた 最悪の場合、ここから脱出したゆっくりが人里まで行き、自分に助けを求める 人間にあったときに「どすまりさにあわせてください!!!」と言えば大丈夫だと伝えておいた この脱出用トンネルは平時に外部からの侵入を防ぐため、開通寸前で工事をやめている 最終的には人里で見た「えあがん」とかいう道具をゆっくりで自作 見張り巣と、各防衛ラインとして掘った堀の内側に配備する これならゆっくりは殺せて人間は殺せない、いいゆっくりと人間が共存するに当たり、最適な武器になるはずだ だがこの武器の制作には自分も成功していない この計画が完成するのは自分が死んだ後だろうと思っていた ゆっくりふぉーとれすの中心部は地獄だった 巣穴はとことん埋められ、脱出用トンネルはあちこち陥没している ゆっくりせいてんとして慧音に書いてもらった人間のルールの本はびりびりに破かれている さらにみんなで収穫を楽しみにしていたはずの作物は根こそぎ取られ、代わりに原形をとどめていないゆっくりの死体が埋まっていた いったい何があったのだろうか? れみりゃの群れに襲われた? それはない、れみりゃに後れを取らないだけの知能をここのゆっくりは持っている じゃあゆふらんの群れ? その可能性も低い、だってみょんにはみょんによく似た人間を参考に木の棒の装備を義務付けた 敵に突き刺すことしかできないがれみりゃやふらん程度なら撃退できるはず 事実過去にも何度か撃退したという話を聞いていたじゃないか!! 「…」 その時畑の中の死体が動いた いや死体じゃない、まだ生きている 「どぉし゛た゛の!?どおじでごん゛なごとにな゛っ゛た゛の゛ぉ゛お゛!!」 そのゆっくりはぱちゅリーの後を継いだあのありすだった 「ま、まりさ…きてくれたんだね…でもすこし…ゆっくりしすぎだよぉ…」 ゆっくりしたことに文句を言うありす しかしその顔は怒っていない、死ぬ前に友達に会えたことを喜ぶ、とてもゆっくりした顔だった アリスの話によるとこうだ 見張り巣のローテーションは三日ごとに交代だった だが、三日たって交代のゆっくり達が見張り巣に向かったがどのゆっくりも見張り巣から帰ってこなかった なにかあったのだろうか、緊急事態だろうか 今すぐ見張り巣に誰かを向かわせるか それともふぉーとれす最強の「みょん・あさると・ちーむ」(以下MAT)の出動を要請するべきか その会議のために集落のゆっくりが集まったところで異変が起きた ツタと竹を組み合わせた罠が大きな音をたてた、侵入者だ 音が鳴りやまない、数が多い ついにツタが切れてしまったのか竹が地面に落ちた すぐに大人ゆっくりとみょん・あさると・ちーむがその方向に向かう 彼らが見たのはゆっくりの地獄だった 視界を埋めつくさんばかりの発情したゆっくりありす、それが草木をかき分けながらこっちに向かってくる 先頭集団が最終防衛ラインの堀に落ちた、この里のゆっくり以外なら上る方法も渡る方法も判らない そのはずなのにありすは止まらない 敵は堀に落ちた仲間を踏み台にしてこっちに迫っているのだ えらいことになってしまったとMATのリーダーは思った このみょんは木の棒で今まで4匹のれみりゃと2匹のふらんを葬った 木の棒でれみりゃに突撃し、自分が傷つくことなく木の棒で敵をえぐり、引き抜く そんな芸当のできるみょんすらをも恐怖させるありすの群れはすぐ目前まで迫っていた 「ちんっぽー!!ぜんいんとつげきー!!」 戦いの火ぶたは切って落とされた むしろ集団レイプといった方が正しかったのかもしれない 「ゆゆ!!れいむはみぎにいくよ!!みんなゆっくりがんばってね!!」 「まりさはひだりだね!!」 「ちぇんはみょんのうしろだね、わかるよー!!」 これはたいれみりゃ用戦術 MATが正面から突撃し、他の普通部隊はれみりゃが逃げないように左右をふさぐ ちぇんはMATの後方に位置し、MATを突破してれみりゃをせん滅する いままでこの方法でれみりゃに勝ってきた だがてきはありすだ、しかも数までこちらが不利 「ちんぽー!むげんえいこうつきー!!」 みょんが木の棒をくわえたままありすに体当たりする ありす三匹が串刺しになったがみょんもまた、離脱のタイミングを逃し串刺しになった そのみょんの死体を犯しながらありすが突き進む MATは接敵から30秒で全滅した 味方の怒声が中心部まで聞こえてきた どうやら敵の方が優勢らしい 「ゆっ!こうなったらわたしがしゅつげきするわ!!」 ありすが予備の部隊をひきつれて援軍に向かった 一方的だった 大人のゆっくりは全員犯され朽ち果てるか重傷を負った 敵はまりさをリーダーとするゆっくりの群れだった いろんな種が混じっていたが異常なのは通常群れにいることが少ないアリスが1000匹近くいたことだ そのありすもほとんどが敵のゆっくりに食われ今、敵の群れの規模は100匹近くになっている 生き残り、虐待され、ありすに侵されながらもありすはこの群れは心底屑だと思った その後敵の群れはフォートレスの生き残りを全滅させ 野菜が生えてこないことに腹を立て、死体を畑に埋めていずこかへ去っていったという ありすは言った 「きっと…だれかがここのことをあのまりさにおしえたのよ…」 だれだ、こんなことをした屑中の屑は、旅ゆっくりだろうか? たしかに数世代掛けて幻想今日中を回り歩く旅ゆっくりという変わり者はいる だが彼らには他の群れの情報は教えないというルールがあったはずだ 「まりさ…おねがい…ありすの…ありすのこ…」 そこまで言って、ありすは力尽きた どすまりさはついにゆっくりのなかままで失ってしまった 途方にくれながら人里に向かう 帰ろう、そして慧音に頼んで野生のゆっくりを皆殺しにしてもらおう そんなことを考えながら、ドスまりさは寺子屋に向かっていった そのころ寺子屋の生徒二人がドスまりさの悪口を言いながら橋を渡っていた 冬の雪崩で落ちてしまい、急遽かけたその場しのぎのものであるため子供は近づいてはいけないといわれていた 「いまごろどすまりさのやつどうしてるかな?」 「きっと「どおじでごん゛なごとにな゛っ゛た゛の゛ぉ゛お゛」とか言ってるよ」 「大体生意気なんだよあいつ、饅頭のくせに俺たちより頭がいいなんて」 そう、彼らがほかのゆっくりに 「あの森は最高のゆっくりぷれいすだ」 と吹き込んでいたのだ それがただのゆっくりだったら問題はなかっただろう たいてい無視するか、忘れるか、もし衝突してもふぉーとれす陥落という事態にはならなかったはずだ だが、その時情報を聞いたのはあの群れの中の一匹だった その群れはありすを道具にすることを思いついたまりさをリーダーとしていた 他のゆっくりの集落をアリスに襲わせ、奪い取る、増えすぎたアリスは間引きし、群れの仲間の餌にする そしてその集落周辺のえさを貪り尽くし、枯渇させ、次の集落へ向かう その群れはまず見張り巣のゆっくりを襲った 一匹の見張りから10匹以上の子供を産ませ、アリス種以外はありすの餌になった その結果集落本体を襲う時に1000匹単位のありすの大群になってしまったのだ ドスまりさは里に向かう途中、そんな二人組の子供を見つけた 声をかけようと近づく、その時二人のいた橋がミシリと音をたてた このままでは崩れる、でもあの二人は気付いていない はしれ、ドスまりさ これいじょう仲間を失うわけにはいかない いまは慧音と寺子屋の子供たちだけが仲間なのだから 「ゆっくりだめえぇぇぇぇ!!!」 バチーン!!という派手な音がして子供二人が吹っ飛ぶ 手加減したため、腰を強く打ったかもしれないが二人は無事だ その直後、橋が崩れた よかった…ドスまりさは安堵した だが、その光景を猟師が見ていた、それに気づいた子供たちがにやりと笑うと嘘泣きしながら駈け出した 「助けておじさん!!あのドスまりさに殺される!!」 ドスまりさは里の広場に連れて行かれ、村人たちに農具で叩かれていた 自分は悪いことはしていない、そう言いたかったが口をふさがれていたため声が出ない そして抵抗もしない、人間には勝てないからだ ドスまりさの視界の隅で寺子屋の子供たちが泣いていた、そしてそれを慧音がなだめていた 視界の中央では自分が助けた二人組が自分に石をぶつけていた 慧音と目があった、慧音は泣いていた それを見て、慧音は自分を信じていてくれていることに気づく (ありがとう、けいね、おかげでゆっくりできるよ) 慧音が里にいる限り、いつの日か人とゆっくりが一緒にゆっくりできるだろう (おとうさん、おかあさん、ふたりはくずだったけど、ふたりがいたからここまでおおきくなれたよ) あの両親が自らを犠牲にしなければ今ここに自分はいなかった (ぱちゅりー、こんどはまりさがまもってあげるからね) そしてあのぱちゅりーがいなければじぶんはどうなっていたか (でもおねえちゃんたち、おまえたちはゆっくりしね) ドスまりさは最期まであの姉たちの愚行を許せなかった 「おはようございます、黒く正しいきめぇ丸でございます」 「ああ、おはよう…やはり一面記事はこれか」 「まったく、がっかりですよあのゆっくりだけは私と対等のまともなゆっくりだと思ったのに」 それは誤解だと目の前で高速ステップを踏むきめぇ丸に言いたかったがやめた どうせ今行っても無駄なことだ きめぇ丸は残像を残しながら、唯一のゆっくりの友人の死を悼みながら新聞を配り続けた ありすの子供が脱出用トンネルから抜け出した その子孫が真のゆっくりフォートレスを作り出すのは博麗の巫女が4代代替わりした頃である むろん、それまでゆっくりが生存していればであるが 番外編へ あとがき 遂に完結しました なんかどんどんカオスになっていって最後異様に長くなったけど許してね!!! ドスまりさの最期 5 7月28日 2129 セイン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1389.html
まりさの誕生 4の続きです 春 今日も授業は続いている 今は歴史の時間だ、幻想郷の成立…は昨日やったから今は吸血鬼騒動の話だ その時あの変異まりさがいきなり立ち上がった(というより半分つぶれた恰好からしゃきんとした) 「みんな!!!いまこそゆっくりのときだよ!!!」 その瞬間、寺子屋を地震が襲ったような激しい震動 天井を突き破り、障子を突き破り、畳を突き破り、慧音のスカートの捲り、掛け軸の裏から壁を突き破り 変異まりさとほぼ同じ大きさのゆっくりまりさが教室に乱入した その数ゆうに10匹以上…! まりさたちは逃げ惑う子供たちを踏みつけ、口にくわえ、下でからめ取っていく 我に返った慧音が戦闘態勢をとった時にはほとんどの生徒がゆっくりにつかまり、迂闊に手が出せない状況だった 「くっ…まりさ!!これはどういう真似だ!!!」 「ゆっゆっゆっゆ…けーね、まりさはこのときをずっとまっていたんだよ!にんげんにふくしゅうするそのときを!!」 ゆっゆっゆっゆ…と10匹ものまりさが汚い笑い声をあげる 慧音の後ろに隠れていた二人の子供がおびえて慧音にしがみついた 人間に復讐?確かに初めてこのまりさがここに来た時はそんなことも言っていた だが人間には勝てないと悟り共存の道を探ろうとしていたんじゃないのか? くそ!何でこんな時に妹紅はあのニートと殺し合いなんてやっているんだ!! 「うごいちゃだめだよ、けーね、うごいたらこのこたち、ゆっくりできなくなるよ」 「「そこでゆっくりみていてね!!」」 子供が人質に取られては慧音には何もできない そんな慧音の心を知ってか知らずか、まりさのうちの一匹が踏みつけていた女の子の頭にかみついた 「なっ!!」 「い、いやぁぁ!!先生!!けーね先生!!助けて!!」 「やめろっ!!私はどうなってもいいから…子供達には手を出さないでくれ!!!」 まりさは一瞬で子供をほとんど丸呑みにしてしまった 膝から先だけは口からはみ出しており、その足が痙攣していることだけが少女がまだ生きていることを伝えた 「ぺーろぺーろゆっくりー!!」 時折足の痙攣が激しくなる、どうやら口の中で舐めまわしているらしい そしてついにその足まで口の中に消えてしまった 「あ、ああ…」 「これでゆっくりできるね!!」 「うん!ゆっくりー!!」 「き、貴様ぁ!!」 「い、いやだ!!僕は食べないで!!」 「助けて!先生助けて!!」 慧音は一気に飛び出そうとした 子供に怪我をさせてしまうかもしれない しかし今自分の目の前で人を食べたこいつらは何としても消さなければいけない しかし慧音の動きが止まった、さっき少女を食べたゆっくりがいきなり震えだしたのだ 「ゆっ、ゆぎゅう…ゆっゆっゆっゆっ…」 慧音と子供たちの間に笑顔が戻った、きっとスレ的にこのゆっくりの皮を突き破って食べられた少女が飛び出す そして笑顔でさっきまで自分が入っていたゆっくりの死骸を食べながら 「これおいしーよ!」 と、天使のような笑顔を慧音に向ける それからみんなで寺子屋大饅頭大会だ、ゲストで阿求を呼んでもいいかもしれない そんな慧音の機体は一瞬で裏切られた 「ゆっくりー!!」 「すっきりー!!」 なんとまりさの体からほとんど同じ大きさのまりさが飛び出してきたではないか!! その帽子や紙には食べられた少女の服の切れ端が付いている 「ゆゆっ、せんせー!みんなー!ゆっくりになるのってとってもゆっくりできてサイコーだよ!!」 「な、なんだって!?」 「これぞぜんゆっくりとぜんじんるいをすくうきゅうきょくのけいかく!!ぜんじんるいゆっくりけいかく!!」 「ゆっくりとにんげんのあらそいをなくすためににんげんをゆっくりにしようというけいかく!」 何が起こっているんだ!? 慧音の頭は混乱しっぱなしだった 全人類をゆっくりにする!?そんなバカな!!しかし今目の前にいるあのゆっくりはなんだ!? まさか本当にあのゆっくりがあの子だったというのか!? 「さあ!こうたくん!わたしがゆっくりにしてあげる!!」 「みんなもゆっくりになろうね!!」 ゆっくり達が一斉に子供たちを食べ始める 「いかん!!お前たち、逃げるんだ!!」 慧音は自分の後ろにいた二人に向って叫んだ 急いで寺子屋の外に向かって走る二つの背中、しかしそれは畳を突き破った二つの饅頭に呑まれて消えた そのあと、畳から4匹のゆっくりまりさが飛び出してきた 「あ、ああ…」 「さあ!あとはけーねひとりだよ!!」 「だいじょうぶだよせんせー!ゆっくりになっていっぱいゆっくりしようね!!」 「ぼくたちにまかせてね!せんせー!!」 「けーねせんせいのおっぱい、おっぱい…」 たくさんのゆっくりに囲まれる、しかし慧音は動けない ここで戦えば子どもたちも傷つけてしまう もうかれらは寺子屋の生徒ではないのに ゆっくりの舌が何本も伸びてくる 舌が体中を舐めまわしている 何匹かのゆっくりが発情している そして目の前に現れる一匹のゆっくり、それは最初にゆっくりになったあの少女だった 「や、やめてくれ…」 「せんせー、わたし(僕)(まりさ)のなかで」 「「「ゆっくりゆっくりになっていってね!!!」」」 「い、嫌だあぁぁぁぁ!!!!!」 毛布を蹴とばして飛び起きる ここまで怖い夢を見たのはたぶん生まれて初めてではないだろうか? ああ、なんて夢を見てしまったんだ しかもゆっくりになってしまうところまで見てしまった気がする 暗い暗い餡子の海で服を切り裂かれ、体の隅々まで舐めまわされ、あんこを浸みこまされる そして日出る国の天子のようにゆっくりから飛び出して… 忘れよう、この夢はなかったことにしよう まりさと生活をはじめて半年近くたった まりさは定期的に巣に戻っているらしい、最近森のゆっくり達が 「ゆっくり」「にんげん」各ゆっくり種の名前 をひらがなで読めるようになった事 まだ安定供給とまではいかないがなんとか農耕が軌道に乗り始めたこと そんなことを報告してくれた どうやらその森のゆっくりも知能はけた外れにいいらしい このまりさの慕うぱちゅりーの影響だろうか そういえば近頃子供たちがこのまりさを「ドスまりさ」と呼ぶようになった 理由を聞いてみたところ、ボウガンでゆっくり狩りをしている男が 「あの大きさじゃあドスまりさだな」 と話しているのを聞いたらしい まりさ自身もこの名前で呼ばれるのを気に行っているらしい これから慧音もドスまりさと呼ぶようになった ドスまりさは今日も定期報告のために森への道を走って行く 農作業をしているおじさんと挨拶してすれ違う (ゆっくりを虐めていたがみたいだが森のゆっくりじゃない屑だからスルー) 今回はありすに「名前」について教えよう それはゆっくりのゆっくりたるゆえんを破壊してしまうかもしれない でも、それでも人間は名前を使っている 森の仲間もきっと屑からの脱出をしてくれる 農作業はうまくいっただろうか? 進み具合によっては字が読めるゆっくりを連れて人里に行ってもいいかもしれない 人間のルール取得を兼ねて、お菓子屋さんで野菜とお菓子を交換してもらおう そこまで考えてドスまりさの動きが止まった おかしい、いつもならそろそろ見張りのゆっくりがいるはず ドスまりさはここをいいゆっくりの楽園とすると同時に屑なゆっくりから完全に隔離した 「ゆっくりふぉーとれす」 に改造しようとしていた もし外からの屑ゆっくりが入ってきたばあい、仲間との衝突は免れない 最悪発展途上中の仲間が屑になる そうなったらおしまいだ そのため、仲間の集落の付近に見張り用の巣と、その内部にほかの見張り巣につながるトンネルを掘らせた 3匹ひと組で見張りに当たり内部に侵入しようとした他のゆっくりには丁重にお引き取り願う そして集落の中心部からは見張り巣よりも外側まで続く脱出用トンネルも掘らせた 最悪の場合、ここから脱出したゆっくりが人里まで行き、自分に助けを求める 人間にあったときに「どすまりさにあわせてください!!!」と言えば大丈夫だと伝えておいた この脱出用トンネルは平時に外部からの侵入を防ぐため、開通寸前で工事をやめている 最終的には人里で見た「えあがん」とかいう道具をゆっくりで自作 見張り巣と、各防衛ラインとして掘った堀の内側に配備する これならゆっくりは殺せて人間は殺せない、いいゆっくりと人間が共存するに当たり、最適な武器になるはずだ だがこの武器の制作には自分も成功していない この計画が完成するのは自分が死んだ後だろうと思っていた ゆっくりふぉーとれすの中心部は地獄だった 巣穴はとことん埋められ、脱出用トンネルはあちこち陥没している ゆっくりせいてんとして慧音に書いてもらった人間のルールの本はびりびりに破かれている さらにみんなで収穫を楽しみにしていたはずの作物は根こそぎ取られ、代わりに原形をとどめていないゆっくりの死体が埋まっていた いったい何があったのだろうか? れみりゃの群れに襲われた? それはない、れみりゃに後れを取らないだけの知能をここのゆっくりは持っている じゃあゆふらんの群れ? その可能性も低い、だってみょんにはみょんによく似た人間を参考に木の棒の装備を義務付けた 敵に突き刺すことしかできないがれみりゃやふらん程度なら撃退できるはず 事実過去にも何度か撃退したという話を聞いていたじゃないか!! 「…」 その時畑の中の死体が動いた いや死体じゃない、まだ生きている 「どぉし゛た゛の!?どおじでごん゛なごとにな゛っ゛た゛の゛ぉ゛お゛!!」 そのゆっくりはぱちゅリーの後を継いだあのありすだった 「ま、まりさ…きてくれたんだね…でもすこし…ゆっくりしすぎだよぉ…」 ゆっくりしたことに文句を言うありす しかしその顔は怒っていない、死ぬ前に友達に会えたことを喜ぶ、とてもゆっくりした顔だった アリスの話によるとこうだ 見張り巣のローテーションは三日ごとに交代だった だが、三日たって交代のゆっくり達が見張り巣に向かったがどのゆっくりも見張り巣から帰ってこなかった なにかあったのだろうか、緊急事態だろうか 今すぐ見張り巣に誰かを向かわせるか それともふぉーとれす最強の「みょん・あさると・ちーむ」(以下MAT)の出動を要請するべきか その会議のために集落のゆっくりが集まったところで異変が起きた ツタと竹を組み合わせた罠が大きな音をたてた、侵入者だ 音が鳴りやまない、数が多い ついにツタが切れてしまったのか竹が地面に落ちた すぐに大人ゆっくりとみょん・あさると・ちーむがその方向に向かう 彼らが見たのはゆっくりの地獄だった 視界を埋めつくさんばかりの発情したゆっくりありす、それが草木をかき分けながらこっちに向かってくる 先頭集団が最終防衛ラインの堀に落ちた、この里のゆっくり以外なら上る方法も渡る方法も判らない そのはずなのにありすは止まらない 敵は堀に落ちた仲間を踏み台にしてこっちに迫っているのだ えらいことになってしまったとMATのリーダーは思った このみょんは木の棒で今まで4匹のれみりゃと2匹のふらんを葬った 木の棒でれみりゃに突撃し、自分が傷つくことなく木の棒で敵をえぐり、引き抜く そんな芸当のできるみょんすらをも恐怖させるありすの群れはすぐ目前まで迫っていた 「ちんっぽー!!ぜんいんとつげきー!!」 戦いの火ぶたは切って落とされた むしろ集団レイプといった方が正しかったのかもしれない 「ゆゆ!!れいむはみぎにいくよ!!みんなゆっくりがんばってね!!」 「まりさはひだりだね!!」 「ちぇんはみょんのうしろだね、わかるよー!!」 これはたいれみりゃ用戦術 MATが正面から突撃し、他の普通部隊はれみりゃが逃げないように左右をふさぐ ちぇんはMATの後方に位置し、MATを突破してれみりゃをせん滅する いままでこの方法でれみりゃに勝ってきた だがてきはありすだ、しかも数までこちらが不利 「ちんぽー!むげんえいこうつきー!!」 みょんが木の棒をくわえたままありすに体当たりする ありす三匹が串刺しになったがみょんもまた、離脱のタイミングを逃し串刺しになった そのみょんの死体を犯しながらありすが突き進む MATは接敵から30秒で全滅した 味方の怒声が中心部まで聞こえてきた どうやら敵の方が優勢らしい 「ゆっ!こうなったらわたしがしゅつげきするわ!!」 ありすが予備の部隊をひきつれて援軍に向かった 一方的だった 大人のゆっくりは全員犯され朽ち果てるか重傷を負った 敵はまりさをリーダーとするゆっくりの群れだった いろんな種が混じっていたが異常なのは通常群れにいることが少ないアリスが1000匹近くいたことだ そのありすもほとんどが敵のゆっくりに食われ今、敵の群れの規模は100匹近くになっている 生き残り、虐待され、ありすに侵されながらもありすはこの群れは心底屑だと思った その後敵の群れはフォートレスの生き残りを全滅させ 野菜が生えてこないことに腹を立て、死体を畑に埋めていずこかへ去っていったという ありすは言った 「きっと…だれかがここのことをあのまりさにおしえたのよ…」 だれだ、こんなことをした屑中の屑は、旅ゆっくりだろうか? たしかに数世代掛けて幻想今日中を回り歩く旅ゆっくりという変わり者はいる だが彼らには他の群れの情報は教えないというルールがあったはずだ 「まりさ…おねがい…ありすの…ありすのこ…」 そこまで言って、ありすは力尽きた どすまりさはついにゆっくりのなかままで失ってしまった 途方にくれながら人里に向かう 帰ろう、そして慧音に頼んで野生のゆっくりを皆殺しにしてもらおう そんなことを考えながら、ドスまりさは寺子屋に向かっていった そのころ寺子屋の生徒二人がドスまりさの悪口を言いながら橋を渡っていた 冬の雪崩で落ちてしまい、急遽かけたその場しのぎのものであるため子供は近づいてはいけないといわれていた 「いまごろどすまりさのやつどうしてるかな?」 「きっと「どおじでごん゛なごとにな゛っ゛た゛の゛ぉ゛お゛」とか言ってるよ」 「大体生意気なんだよあいつ、饅頭のくせに俺たちより頭がいいなんて」 そう、彼らがほかのゆっくりに 「あの森は最高のゆっくりぷれいすだ」 と吹き込んでいたのだ それがただのゆっくりだったら問題はなかっただろう たいてい無視するか、忘れるか、もし衝突してもふぉーとれす陥落という事態にはならなかったはずだ だが、その時情報を聞いたのはあの群れの中の一匹だった その群れはありすを道具にすることを思いついたまりさをリーダーとしていた 他のゆっくりの集落をアリスに襲わせ、奪い取る、増えすぎたアリスは間引きし、群れの仲間の餌にする そしてその集落周辺のえさを貪り尽くし、枯渇させ、次の集落へ向かう その群れはまず見張り巣のゆっくりを襲った 一匹の見張りから10匹以上の子供を産ませ、アリス種以外はありすの餌になった その結果集落本体を襲う時に1000匹単位のありすの大群になってしまったのだ ドスまりさは里に向かう途中、そんな二人組の子供を見つけた 声をかけようと近づく、その時二人のいた橋がミシリと音をたてた このままでは崩れる、でもあの二人は気付いていない はしれ、ドスまりさ これいじょう仲間を失うわけにはいかない いまは慧音と寺子屋の子供たちだけが仲間なのだから 「ゆっくりだめえぇぇぇぇ!!!」 バチーン!!という派手な音がして子供二人が吹っ飛ぶ 手加減したため、腰を強く打ったかもしれないが二人は無事だ その直後、橋が崩れた よかった…ドスまりさは安堵した だが、その光景を猟師が見ていた、それに気づいた子供たちがにやりと笑うと嘘泣きしながら駈け出した 「助けておじさん!!あのドスまりさに殺される!!」 ドスまりさは里の広場に連れて行かれ、村人たちに農具で叩かれていた 自分は悪いことはしていない、そう言いたかったが口をふさがれていたため声が出ない そして抵抗もしない、人間には勝てないからだ ドスまりさの視界の隅で寺子屋の子供たちが泣いていた、そしてそれを慧音がなだめていた 視界の中央では自分が助けた二人組が自分に石をぶつけていた 慧音と目があった、慧音は泣いていた それを見て、慧音は自分を信じていてくれていることに気づく (ありがとう、けいね、おかげでゆっくりできるよ) 慧音が里にいる限り、いつの日か人とゆっくりが一緒にゆっくりできるだろう (おとうさん、おかあさん、ふたりはくずだったけど、ふたりがいたからここまでおおきくなれたよ) あの両親が自らを犠牲にしなければ今ここに自分はいなかった (ぱちゅりー、こんどはまりさがまもってあげるからね) そしてあのぱちゅりーがいなければじぶんはどうなっていたか (でもおねえちゃんたち、おまえたちはゆっくりしね) ドスまりさは最期まであの姉たちの愚行を許せなかった 「おはようございます、黒く正しいきめぇ丸でございます」 「ああ、おはよう…やはり一面記事はこれか」 「まったく、がっかりですよあのゆっくりだけは私と対等のまともなゆっくりだと思ったのに」 それは誤解だと目の前で高速ステップを踏むきめぇ丸に言いたかったがやめた どうせ今行っても無駄なことだ きめぇ丸は残像を残しながら、唯一のゆっくりの友人の死を悼みながら新聞を配り続けた ありすの子供が脱出用トンネルから抜け出した その子孫が真のゆっくりフォートレスを作り出すのは博麗の巫女が4代代替わりした頃である むろん、それまでゆっくりが生存していればであるが 番外編へ? あとがき 遂に完結しました なんかどんどんカオスになっていって最後異様に長くなったけど許してね!!! ドスまりさの最期 5 7月28日 2129 セイン このSSに感想を付ける