約 1,177,114 件
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/69.html
2010年4月17日 最終更新:2011年11月20日 どこかの出版社で邦訳してくれないかなあと個人的に思っている作品のタイトルをただ並べていくページ。 (書評などを参考にしているものの、台湾・中国ミステリと違って完全に未読なので、絶対に面白い作品だとは断言できないのですが……) 1.韓国の最新の本格ミステリ小説 韓国の最新の本格ミステリ小説を挙げる。ハン・ドンジンとト・ジンギの作品は韓国のミステリファンの交流サイトなどで高い評価を受けている。ソン・ソニョンは今年長編デビューした作家で、やはりネット上の書評などで高い評価を受けている。 (1)《京城(けいじょう)探偵録》シリーズ - ハン・ドンジン(韓東珍) ネット書店アラジン:『京城探偵録』(2009年1月) ネット書店アラジン:『血の絆 京城探偵録2』(2011年10月) 1作目の内容紹介ページを作りました → 「1930年代の朝鮮京城を舞台にしたシャーロック・ホームズパスティーシュ『京城探偵録』」 (2)《闇の弁護士》シリーズ - ト・ジンギ(都振棋) ネット書店アラジン:『赤い家の殺人』(2010年9月) ネット書店アラジン:『椿姫(ラ・トラヴィアータ)の肖像』(2010年9月) ネット書店アラジン:『精神自殺』(2011年7月) 作者のト・ジンギは現役裁判官のミステリ作家で、これが長編デビュー作。2011年6月現在、43歳か44歳。 ト・ジンギが長編2作同時刊行でデビューすると、ついに韓国にも島田荘司や綾辻行人に比肩しうる本格ミステリ作家が現れたと話題になった。『赤い家の殺人』と『椿姫(ラ・トラヴィアータ)の肖像』は「闇の弁護士」シリーズの1作目と2作目であり、2011年7月には早くもシリーズ3作目の長編『精神自殺』が刊行された。 ト・ジンギは好きな作家に江戸川乱歩、島田荘司、東野圭吾らを挙げている。もともとミステリ好きだったが、2009年になってから通勤時間を利用して半年ほどで日本のものを中心に新たにミステリを100冊以上読破。2009年11月、創作を開始。2010年6月、短編「選択」が韓国推理作家協会主催の公募新人賞「季刊ミステリ新人賞」を受賞し、『季刊ミステリ』2010年夏号に掲載される。その3ヶ月後、長編2作を同時刊行し劇的なデビューをかざった。 (3)『合作 ――殺人のための殺人』、『死してこそ生きる男』 - ソン・ソニョン ネット書店アラジン:『合作 ――殺人のための殺人』(2011年4月) ネット書店アラジン:『死してこそ生きる男』(2011年10月) 『合作 ――殺人のための殺人』は、石垣島で死体が発見され日本と韓国の刑事が合同で捜査をするという作品。読者に正々堂々と対決を挑む本格ミステリ作品。 『死してこそ生きる男』は、濡れ衣を着せられた主人公とそれを追う刑事などをめぐるサスペンス小説。 作者のソン・ソニョンは1974年生まれ。2008年に短編「ツバメの巣城殺人事件」で韓国推理作家協会主催の公募新人賞「季刊ミステリ新人賞」を受賞してデビューした。その後は韓国推理作家協会のアンソロジーなどで「誰がわたしのラーメンを食べたんだ?」など日常の謎ミステリを中心に短編を発表。2011年、初の長編作品『合作 ――殺人のための殺人』を上梓した。 2.アンソロジー (1)『今年の推理小説』(韓国推理作家協会編) ネット書店アラジン:『今年の推理小説 2009年版』(2009年7月) ネット書店アラジン:『今年の推理小説 2010年版』(2010年7月) ネット書店アラジン:『今年の推理小説 2011年版』(2011年8月) 韓国推理作家協会(1983年設立)が毎年夏に編んでいるアンソロジー。日本では10年以上前の1998年版が『コリアン・ミステリ 韓国推理小説傑作選』(バベル・プレス、2002年)として刊行されているのみ。そろそろ、新たな邦訳がほしい。 (2)『韓国推理サスペンス短編選』(2008年~) ネット書店アラジン:『韓国推理サスペンス短編選』(2008年5月) ネット書店アラジン:『韓国推理サスペンス短編選2』(2009年7月) ネット書店アラジン:『韓国推理サスペンス短編選3』(2010年10月) 韓国推理小説100周年(イ・ヘジョ(李海朝)『双玉笛(そうぎょくてき)』から100年)を記念して刊行された新世代作家10人のアンソロジー。原題は「推理スリラー」となっているが、ここでの「スリラー」は日本でいえば「サスペンス」ぐらいの意味のようなのでそう訳した。『韓国推理スリラー短編選』としてもいいかもしれない。 密室ものや日常の謎作品もあるとのこと。第1巻は、第1回ブロガー大賞国内文学部門第5位。 (3)『12人12色 韓国若手作家の推理短編集』 ネット書店アラジン:『12人12色 韓国若手作家の推理短編集』(2009年7月) 季刊ミステリ新人賞受賞者など、韓国の若手作家12人が作品を寄せている。 関連記事 韓国ミステリ 読書案内 このアジアミステリを邦訳してほしい! 台湾ミステリ編 中国ミステリ編 韓国ミステリ紹介 目次へ
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/109.html
2011年11月8日 「韓国ミステリ史」は、20世紀初頭から現代(2011年)までの韓国の探偵小説/推理小説/ミステリの歴史を、第一章から第五章(+特別編2ページ)の全7ページに分けて紹介するものである。 『韓国ミステリ史 第一章』では、そのうち20世紀初頭から1930年代までを扱っている。 目次 はじめに 第一章 20世紀初頭~1930年代:韓国ミステリ草創期第一節 韓国初の創作探偵小説は何か 第二節 イ・ヘジョ(李海朝)による韓国初の創作探偵小説『双玉笛(そう ぎょくてき)』 第三節 探偵小説専門作家不在の時代(1)黒岩涙香の翻案小説を再翻案した韓国の翻案小説 (2)その他の翻訳・翻案探偵小説 (3)1920年代~1930年代の創作探偵小説 第四節 邦訳された20世紀初頭~1930年代の韓国探偵小説 参考文献 はじめに 今から約10年前、早川書房の『ミステリマガジン』2000年10月号は「コリアン・ミステリ・ナウ」と題する韓国ミステリの特集を組んだ。その特集ページの扉に書かれた文を引用する。 かつては“近くて遠い国”といわれた韓国も、近年では映画「シュリ」(Wikipedia)が日本でも大ヒットしたり、日本のアイドルが韓国で人気を博すなど、しだいに身近な存在になりつつあります。しかし、ことミステリに関しては、日本の作品がいくつか輸出されているだけで、彼の地の現状はまだまだ未知数。そこで今月号は、ミステリを中心に、SF、映画、文学など、韓国の最新文化事情について探ってみます。(中略)これが日韓友好のささやかな一歩となりますように。 それから10年。引用中では「日本の作品がいくつか輸出されているだけ」とされているが、いまや韓国では日本のミステリが年間100タイトル近く翻訳刊行されている。しかし一方で、いまだに日本に住む多くの人にとって韓国ミステリ界は未知のものである。 このページでは、韓国で唯一のミステリ専門誌『季刊ミステリ』の編集長を務めるパク・クァンギュ(朴光奎/박광규)氏が書いたいくつかの記事を基礎資料として、韓国推理小説の100年の歴史を紹介する。 【注】 人名の表記について ここ数年は、韓国の人物の名前は【1】漢字で表記して現地の読みで振り仮名を振るか、または【2】漢字を使用せずに発音通りカタカナで書くかのどちらかが普通である。「読む」ということだけを考えればどちらでも問題ないが、「入力する」というときに前者は大いに問題になる。たとえば、2009年に邦訳が出ている韓国の推理作家に李垠(イ・ウン)がいる。仮に何かの紙媒体で彼の名前を見掛けて、気になってネット上で検索してみようとした時に、「垠」は読み方が分からないので入力できない(入力が面倒)という問題が発生する。ほかにも、韓国のミステリ作家の名前を見ていると、白恷、黄世鳶、鄭建燮、柳禹提など、入力の仕方が分からない文字が頻発する。 そのためこのページでは、作家の名前は基本的に現地の発音通りでカタカナ書きとし、補助的に後ろに漢字を付けることにする。ただし、日本ですでに漢字表記で知られている作家名についてはその限りではない。 第一章 20世紀初頭~1930年代:韓国ミステリ草創期 第一節 韓国初の創作探偵小説は何か 韓国ミステリの草創期については韓国でもまだ研究の途上にあり、ここ10年でも「韓国初の創作探偵小説」とされる作品は何度か変わっている。2011年現在、日本語で書かれた韓国ミステリ概説としてもっとも詳しいと考えられる3つの資料を見てみよう。 鄭泰原(チョン・テウォン)「韓国ミステリ事情」(早川書房『ミステリマガジン』2000年10月号) 金容権(キム・ヨングォン)「現代の韓国ミステリー事情」(光文社『ジャーロ』4号(2001年夏号)) 米津篤八「韓国ミステリー百年の現在」(李垠(イ・ウン)『アジア本格リーグ3 美術館の鼠』講談社、2009年11月、巻末解説) この中では、金容権(キム・ヨングォン)「現代の韓国ミステリー事情」(2001)が「韓国の推理小説は金来成(キム・ネソン)に始まる」という韓国での通説を紹介している。金来成(キム・ネソン)は1935年に日本の探偵雑誌『ぷろふいる』(Wikipedia)でデビューし、1937年からは韓国(朝鮮)で推理作家として活躍した人物である。単に紙幅の関係でそれ以前の歴史を省略しただけかもしれないが、この通説は、「韓国で最初に探偵小説を書いたのは金来成だ」と誤って拡大解釈される場合があるので注意が必要である。金来成(キム・ネソン)は日本でいえば江戸川乱歩に相当する人物であり、江戸川乱歩以前に黒岩涙香らの先達がいるのと同じように、金来成(キム・ネソン)以前にも推理小説を書いていた人物はいた。近年日本で刊行された『近代朝鮮文学日本語作品集』では、金来成が『ぷろふいる』で発表したデビュー作(日本語作品)「楕円形の鏡」(1935)が「朝鮮で最初の探偵小説である」(1901-1938 創作篇 第5巻)、「朝鮮人による最初の探偵小説である」(1901-1938 評論・随筆篇 第3巻)とされているが、これは誤りである。 次に、韓国推理作家協会の鄭泰原(チョン・テウォン)氏による「韓国ミステリ事情」(2000)を見てみよう。これは韓国でも屈指のミステリ評論家・翻訳家・収集家である氏の手によるものなので信頼が置けるが、これによれば韓国初の創作探偵小説は純文学作家のチェ・マンシク(蔡萬植)がソ・ドンサン(徐東山)という筆名で書いた1934年の新聞連載作品『艶魔(えんま)』だという。 上で見た2つの資料は2001年以前のものだが、その後2002年に韓国の新聞『中央日報』に「韓国初の推理小説『血の袈裟』発見」(2002年10月15日付け、リンク先韓国語)という記事が載っている。この記事では、1926年にパク・ピョンホ(朴秉鎬)(박병호)が発表した『血の袈裟』(原題漢字表記:『血袈裟』)という作品が発見されたと報じられている。これはチェ・マンシクの『艶魔』(1934)や、それ以前の初の探偵小説だとする議論が当時あったチェ・ドッキョン(최독견)の『死刑囚』(1931)よりもさらに古いことになる。この『血の袈裟』は、韓国唯一のミステリ専門誌『季刊ミステリ』に全文復刻されたが、中央日報にすぐさま別の説が提出されるなど、韓国初の創作探偵小説をめぐる議論は紛糾した(中央日報2002年10月23日付け記事「最初の推理小説 「迷宮」にはまる」(リンク先韓国語))。 東アジアのミステリは、中国を起源に日本や韓国などに広まった「裁判小説」にその源流の一端があり、それを基層にして欧米の「探偵小説」を受容することで東アジアの探偵小説が誕生した。そのため、韓国初の創作探偵小説を探る場合にも、作品が「裁判小説」の単なる発展形なのか、それとも欧米探偵小説の影響下に生まれた「探偵小説」なのかが議論になる。上記の記事「最初の推理小説 「迷宮」にはまる」では、イ・ヘジョ(李海朝)(1869-1927)が1908年末から1909年初めにかけて新聞連載した『双玉笛(そう ぎょくてき)』が最初の「探偵小説」と呼べるか否かが議論になっている。 そして2011年現在では、米津篤八「韓国ミステリー百年の現在」(2009)等で示されているように、この『双玉笛(そう ぎょくてき)』を韓国初の創作探偵小説だとするのが一般的のようである。 第二節 イ・ヘジョ(李海朝)による韓国初の創作探偵小説『双玉笛(そう ぎょくてき)』 韓国では「新小説」(Wikipedia)の担い手として知られるイ・ヘジョ(李海朝)(이해조)(韓国語版Wikipedia)は1869年生まれ(比較のために示すと、コナン・ドイルが1859年生まれ、黒岩涙香が1862年生まれである)。1907年に帝国新聞に入社し『帝国新聞』(제국신문)紙上で小説を次々と発表。1908年末から1909年初めにかけて、韓国初の探偵小説とされる『双玉笛(そう ぎょくてき)』(サン オクチョク/쌍옥적/雙玉笛)(写真)を連載した。鄭(チョン)刑事が、笛のうまい兄弟の強盗殺人犯を追うというストーリーの作品である。裁判小説の流れをくむものだが、「犯罪の発生 - 事件の捜査 - 解決」という構成を備えており、また探偵役が偶然ではない証拠と推理で事件を解決することから、韓国初の創作探偵小説だとされる。またこの作品は、タイトルの角書きとして「偵探小説」(정탐소설、偵探小說)ということばが添えられているので、そのことからも、この作品が従来の「裁判小説」とは一線を画す「探偵小説」として書かれたことが分かる。 イ・ヘジョはその後、1910年には毎日新報に入社し、『毎日新報』紙上で小説を発表。1912年には、探偵小説『九疑山』(きゅうぎ さん)(구의산)を連載している。新婚初夜、花嫁が目をさましてみると夫の首がなくなっている。妻は復讐を誓い男装の探偵となって犯人を捜索する――というストーリーである。 なおイ・ヘジョは、1908年、ジュール・ヴェルヌのSF小説"Les 500 Millions de la Bégum"(1879)(現在の邦題:インド王妃の遺産)の日本語訳(または中国語訳)を韓国語に翻案した『鉄世界』を発表しており、韓国でのSF小説の紹介にも貢献している。(1907年にヴェルヌの『海底二万里』が韓国語になっており、これが韓国に紹介された最初のSF小説とされている) 韓国を含む東アジアのミステリの源流の一つである裁判小説については、簡単にではあるが「東アジアミステリの源流」にまとめている。 韓国での最初のSF受容については、「韓国SFに関するネット上の2つの基本文献について」でごく簡単に紹介している。 同時代のアジアの動向 日本では、須藤南翠「殺人犯」(1888年)、または黒岩涙香「無惨」(1889年)が初の創作探偵小説だとされる。 中国では、1885年発行と推定される知非子「冤獄縁(えんごくえん)」が初の創作探偵小説だとされている。ただし、中国に初めて欧米の探偵小説が翻訳されるのよりも11年も早いことから、その発行年に関しては議論がある。 第三節 探偵小説専門作家不在の時代 前述の通り韓国ではイ・ヘジョが先駆的に創作探偵小説を発表したが、この時期にはまだ欧米の探偵小説の韓国語への翻訳はなされていなかった。その後、1910年代以降、欧米の探偵小説の韓国語への翻訳が少しずつ進み、創作探偵小説も次第に増えていく。 (1)黒岩涙香の翻案小説を再翻案した韓国の翻案小説 韓国(朝鮮)では1910年代から1920年代にかけて、日本の小説(翻案小説含む)を翻案した作品が人気を博していた。黒岩涙香の翻案小説もいくつか再翻案されている。主なものを以下に示す。 ※原著のタイトルおよび初出年、黒岩涙香の作品の初出年については、今のところWikipediaでざっと調べただけです。後に調べなおします。 再翻案 黒岩涙香による翻案 原著 ミン・テウォン 『哀史』(1910)(2008年版) 黒岩涙香 『噫無情(ああむじょう)』(1902) ヴィクトル・ユーゴー 『レ・ミゼラブル』(1862) イ・サンヒョプ 『貞婦怨』(1914)(2007年版 上巻、下巻) 黒岩涙香 『捨小舟』(1894) メアリー・エリザベス・ブラッドン 『Diavola』(1866) イ・サンヒョプ 『海王星』(1916)(2007年版 上巻、中巻、下巻) 黒岩涙香 『巌窟王』(1901) アレクサンドル・デュマ 『モンテクリスト伯』(1844) ミン・テウォン 『鉄仮面』(1922)(2008年版 上巻、下巻) 黒岩涙香 『鉄仮面』(1892) フォルチュネ・デュ・ボアゴベ 『サンマール氏の二羽のつぐみ』(1878) 以上の4作品は、2007年から2008年にかけて韓国で刊行された叢書「韓国の翻案小説」(한국의 번안 소설)(全10巻(6作品))で刊行されている【注1】。19世紀末から20世紀初頭にかけて、黒岩涙香の作品はほかに中国語にも翻訳されていた。この当時、黒岩涙香は日本のみならず東アジア中を席捲していたのである。 注1:同叢書で刊行された残りの2作品は、尾崎紅葉の『金色夜叉』を翻案したチョ・ジュンファン『長恨夢』(1913)(2007年版)と、菊池幽芳の『己が罪』(1899)を翻案したチョ・ジュンファン『双玉涙』(1910年代?)(2007年版)である。『金色夜叉』の登場人物「貫一とお宮」は有名だが、その翻案作品『長恨夢』の登場人物「イ・スイルとシム・スネ」(이수일 と 심순애)も、韓国では知らない人がいないぐらいの有名なキャラクターであるらしい。また、『金色夜叉』は未完作品だが、その翻案作品『長恨夢』はハッピーエンドで終わるとのこと。 (2)その他の翻訳・翻案探偵小説 初めて韓国語になった欧米の探偵小説は、1918年に『泰西(テソ)文芸新報』(태서문예신보)に掲載された「忠僕」(충복)だとされる。これはコナン・ドイルのホームズ物の短編"The Adventure of the Three Students"(邦題:三人の学生)の翻案である。ホームズの韓国での受容については、パク・チニョン(박진영)氏がブログの記事でまとめている。 셜록 홈스 시리즈 한국어 번역 연표(シャーロック・ホームズシリーズ韓国語翻訳年表)(2009年9月30日) この当時に紹介された欧米の探偵小説は、主に日本から入ってきたドイル、ポー、ルブラン、ヴァン・ダインなどだった。翻訳者にはヤン・ジュドン(梁柱東/양주동)(韓国語版Wikipedia)、キム・ユジョン(金裕貞/김유정)(Wikipedia)(『ベンスン殺人事件』を『도둑맞은 보석』として翻訳、死後に雑誌連載された)、ヨム・サンソプ(廉想渉/염상섭)(Wikipedia)など純文学界で活動していた人も見られる。 パク・チュンピョ(朴埈杓)(박준표)は1923年には探偵小説『飛行の美人』(비행의 미인)(韓興書林)を出している。これはパリを舞台にした「ジゴマもの」だという(李建志1994)。パク・チュンピョは1926年には探偵小説『黒い箱』(原題『黒箱子』(흑상자))(デジタルハングルミュージアム)を出した。この原作者はアメリカのFred Jacksonだというが、何者なのかはよく分からない。『飛行の美人』の方もおそらく翻案だろう。 この時期の韓国の翻訳・翻案小説についての研究にパク・チニョン(박진영)氏の『翻訳と翻案の時代』(번역과 번안의 시대)(2011年8月)があるが、未見。パク・チニョン氏は上で示した叢書「韓国の翻案小説」の編者でもある。 (3)1920年代~1930年代の創作探偵小説 この時期の探偵小説は翻訳・翻案が主流だったが、1920年代半ばから再び創作探偵小説が登場する。1926年にパク・ピョンホ(朴秉鎬)(박병호)が『血の袈裟』(血袈裟、혈가사)を刊行(最初の発表は雑誌で、1920年ごろ。ウルサン新聞2010年1月6日記事「韓国最初の探偵小説「血の袈裟」」(韓国語)参照)。しかしこれは警察にすぐに押収されてしまい、世に知られず埋もれてしまった。 児童文学作家のパン・ジョンファン(方定煥)(방정환)(1899-1931)(韓国語版Wikipedia)は、児童向けの探偵小説『妹を探しに』(동생을 찾으러)(1925)(2009年9月版)、『チルチル団の秘密』(칠칠단의 비밀)(1926)(1999年版、2002年版、2010年5月版、2010年8月版)、『少年三台星』(소년삼태성)、『少年四天王』(소년사천왕)を発表した。また、「怪男女二人組」(괴남녀 이인조)というコミカルな短編や、外国の短編を訳した「誰の罪?」(누구의 죄?)などの作品が大衆雑誌に掲載されている。探偵小説を発表する際には北極星(북극성)という筆名を使っている。 1930年代に入ると、1931年にチェ・ドッキョン(최독견)が『死刑囚』(사형수)を連載、1933年にはキム・ウンジョン(김운정)が『怪人』(괴인)を発表(連載??)している。 特筆すべきは、純文学作家として知られるチェ・マンシク(蔡萬植)(채만식)(1902 - 1950)(Wikipedia)がソ・ドンサン(徐東山)という筆名で、1934年に『朝鮮日報』に探偵小説『艶魔』(염마)(1987年の『채만식 전집 1 - 인형의 집을 나와서/염마』等に収録)を連載していることである。チェ・マンシクは早稲田大学英文科中退の純文学作家で、当時は『朝鮮日報』の記者。『艶魔』の連載当時、著者のソ・ドンサンがチェ・マンシクと同一人物だと知っていたのは一部の関係者だけで、この事実は1987年に初めて公になった。『艶魔』には名探偵ペク・ヨンホ(백영호)が登場。27歳の独身男性で、シャーロック・ホームズを思わせる設定がなされているという。 またほかに、キム・ドンイン(金東仁)(김동인)(1900-1951)(Wikipedia)などの韓国を代表する文学作家もペンネームでスパイ小説に近い作品を発表している。 最近の韓国では、今まで忘れ去られていた探偵作家の発掘が進んでいる。韓国のミステリ雑誌『季刊ミステリ』2010年秋号(第29号)の特集「戦前の忘れられた二人の作家」では、シン・ギョンスン(신경순)とチェ・ユボム(최유범)が取り上げられている。この号は入手できていないので詳細は分からないが、シン・ギョンスンには推理短編「巌窟の血闘」(암굴의 혈투)、「ミカドの地下室」(미까도의 지하실)、「血塗れの手帳」(피묻은 수첩)、「第二の密室」(제2의 밀실)、チェ・ユボムには推理短編「スナ惨殺事件」(순아 참살사건)、「嫉妬する悪魔」(질투하는 악마)(1933)、「K博士の名案」(K박사의 명안)、「婚約者の魔性」(약혼녀의 악마성)(1934)、「誰が殺したか!」(누가 죽였느냐!)がある。(チェ・ユボムについては http //churi4u.tistory.com/3 も参照) 1937年には金来成(キム・ネソン)が登場し、初の探偵小説専業作家として活躍を始める。金来成については別のページでまとめた。 韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【1】 韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【2】 戦前の韓国推理小説については、日本語の文献としては李建志(り けんじ)氏の東京大学大学院修士論文『京城の探偵小説』(1994)があるが、未見。また韓国語の文献では、オ・ヘジン(오혜진)氏の『1930年代韓国推理小説研究』(2009年)があるが、未見。 第四節 邦訳された20世紀初頭~1930年代の韓国探偵小説 この時期の韓国探偵小説で、一般流通の書籍・雑誌等に訳載された作品は見当たらない。金来成が韓国語で発表した短編変格探偵小説「霧魔」(1939)は拙い訳ではあるが当サイトで公開している。 金来成「霧魔」 (韓国語から翻訳) 金来成が日本語で発表した探偵小説2編を読む方法については、「韓国ミステリ史 特別編 - 金来成 第四章 読書案内」を参照のこと。なお、金来成が日本語で発表したユーモア掌編「綺譚・恋文往来」(1935)は当サイトで公開している。 金来成「綺譚・恋文往来」 (日本語作品) 参考文献 韓国ミステリ史 参考文献 (新しいウィンドウで開きます) 『韓国ミステリ史 第一章』(20世紀初頭~1930年代) ←今見ているページ 『韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【1】』 『韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【2】』 『韓国ミステリ史 第二章』(1940年代~1960年代) 『韓国ミステリ史 第三章』(1970年代) 『韓国ミステリ史 第四章』(1980年代~20世紀末) 『韓国ミステリ史 第五章』(1990年代末~21世紀初頭)(未公開) 『読書案内』
https://w.atwiki.jp/src_review/pages/369.html
970 名前:名無しさん(ザコ)[sage] 投稿日:2005/09/28(水) 13 53 22 ID LMy4O0vk0 魔導騎兵 工ステリオン レビュー レジメの人が、オリロボがはやっているからと言う理由で 作り始めた、オリロボッぽいシナリオ。 その割りに第一話でロボットは顔見せだけで 全体的には等身大ファンタジーといった風情 しかし、ユニットアイコンと顔アイコンの髪の色が違ったり メッセージが揃ってなかったりして、いろいろ不備が多い感じがします。 まあ、レジメの人だし、メインのはずのロボット戦にはゲーム性の高い 戦闘を持ってくると思うので、そこのところを期待し手居る次第です。
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/160.html
『韓国ミステリ史 第一章』(20世紀初頭~1930年代) 『韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【1】』 『韓国ミステリ史 特別編 - 金来成(キム・ネソン)(1909-1957)【2】』 『韓国ミステリ史 第二章』(1940年代~1960年代) 『韓国ミステリ史 第三章』(1970年代) 『韓国ミステリ史 第四章』(1980年代~20世紀末) 『韓国ミステリ史 第五章』(1990年代末~21世紀初頭)(未公開) 『読書案内』 参考文献 韓国ミステリ通史黄鐘灝(ファン・ジョンホ)(1984)「韓国推理小説の現狀」(『日本推理作家協会会報』1984年6月号、No.426、p.4) 鄭泰原(チョン・テウォン)(2000)「韓国ミステリ事情」(『ミステリマガジン』2000年10月号(特集 コリアン・ミステリ・ナウ)、pp.64-67) 金容権(キム・ヨングォン)(2001)「現代の韓国ミステリー事情」 (光文社『ジャーロ』4号(2001年夏号)、pp.308-311) 米津篤八(2009)「韓国ミステリー百年の現在」 (李垠『アジア本格リーグ3 美術館の鼠』講談社、2009年11月、pp.231-237) 松川良宏(2011)「東アジア推理小説の日本における受容史」(『ハヤカワミステリマガジン』2012年2月号、pp.12-19) 金来成についての文献江戸川乱歩(1952a)「内外近事一束」(『宝石』1952年9・10月号、pp.304-309) 江戸川乱歩(1952b)「欧亜二題」(『読切小説集』1952年11月号(未確認)/江戸川乱歩『子不語随筆』(講談社、1988年)に収録) 李建志(1994)「韓国「探偵小説」事始め ――韓国ミステリーの創始者・金來成と『ぷろふいる』誌」『創元推理5(1994年夏号)』(1994年7月)pp.104-122 李建志(1995)「金來成という歪んだ鏡」『現代思想』1995年2月号、pp.75-102 金来成に言及がある文献『探偵作家クラブ会報』第65号~第67号 『幻影城』1975年6月号(ぷろふいる特集)九鬼紫郎(1975)「「ぷろふいる」編集長時代」(『幻影城』pp.69-79) 中島河太郎(1975)「「ぷろふいる」五年史」(『日本推理小説史』第三巻[東京創元社、1996年]、pp.48-60に加筆訂正して収録) 光石介太郎(1975)「YDN(ヤンガー・ディテクティブ・ノーベリスト)ペンサークルの頃」(『幻影城』1975年7月増刊号、pp.176-177) 光石介太郎(1976)「靴の裏 若き日の交友懺悔」(『幻影城』1976年2月号、pp.147-155) キム・ソンジョン(金聖鍾)についての文献新聞記事「純文学の韓国でなぜか推理小説ブーム」(『朝日新聞』1981年10月1日朝刊、6面) - キム・ソンジョンの人気についての記事。インタビューもあり 李建志(り けんじ)(2000)「現代韓国ミステリの思想と行動(上) ――金聖鍾(キム・ソンジョン)『最後の証人』とイ・インファ『永遠の帝国』を手がかりに」『創元推理 20号 人形の夢』(2000年10月)pp.238-255 李建志(2001)「現代韓国ミステリの思想と行動(下) ――金聖鍾(キム・ソンジョン)『最後の証人』とイ・インファ『永遠の帝国』を手がかりに」『創元推理21(2001年夏号)』(2001年5月)pp.295-315 李建志(2006)「松本清張と金聖鐘 ――日韓の戦後探偵小説比較研究」(『第六回松本清張研究奨励事業研究報告書』北九州市立松本清張記念館、2006年1月) 南富鎭(なん ぶじん)(2011)「松本清張の朝鮮と韓国における受容」(『翻訳の文学 東アジアにおける文化の領域』世界思想社、2011年6月、pp.67-86)(初出:『松本清張研究』北九州市立松本清張記念館、2011年3月)「松本清張韓国語翻訳・翻案作品目録」付き 《図録》『松本清張記念館特別企画展 松本清張と東アジア ――描かれた〈東アジア・東南アジア〉読まれる〈清張〉』(北九州市立松本清張記念館、2010年12月)III 東アジアで読まれる〈清張〉 ――韓国・中国・台湾 その他の韓国ミステリ関連文献中島河太郎(1984)「李会長訪問」(『日本推理作家協会会報』1984年6月号、No.426、pp.3-4) - 韓国推理作家協会会長(当時)との面会の記録 李建志(り けんじ)(2000)「ハングル・ノワール 金来成からイ・インファへ」(『ユリイカ』2000年12月臨時増刊号(総特集:ジェイムズ・エルロイ ノワールの世界)、pp.86-87) 祖田律男(2006)「韓国推理小説を読む」(『むくげ通信』216号、2006年5月) 《ファンタスティーク》誌編集部 イ・ダエ インタビュー(『ハヤカワミステリマガジン』2008年10月号、p.16) 米津篤八(2008)「世界のミステリ雑誌 韓国」 (早川書房『ハヤカワミステリマガジン』2009年1月号(2008年11月))pp.54-55 「黒蜘蛛クラブの挨拶」(島田荘司監修『本格ミステリー・ワールド 2012』南雲堂、2011年12月、pp.226-228) - 編集者のユン・ヨンチョンが韓国の最新ミステリ事情を寄稿 周辺事情南富鎭(なん ぶじん)(2005)「『キング』と朝鮮の作家」(初出:『大衆文化の領域』大衆文化研究会、2005年6月(未見))(『文学の植民地主義 近代朝鮮の風景と記憶』(世界思想社、2006年1月)に収録、pp.115-136) 윤상인 ほか『일본문학 번역 60년 현황과 분석 1945-2005』(소명출판、2008年) - 尹相仁ほか『日本文学翻訳60年 現況と分析』(召命出版、2008年) パク・クァンギュ氏による韓国ミステリ史(主要参考文献)박광규(2008a)「한국 추리, 스릴러 소설의 계보(韓国ミステリ小説・サスペンス小説の系譜)」(『한국 추리 스릴러 단편선』(황금가지、2008年)に収録)(リンク1、リンク2、リンク3) 박광규(2008b)「‘살해당한’ 한국 추리소설‘진짜 범인’은 누구일까(「殺害された」韓国推理小説「真犯人」は誰か)」その日本語訳、「殺害された韓国推理小説真犯人は誰か」 박광규(2010)「방정환도 추리소설을 썼다는데…(パン・ジョンファンも推理小説を書いたというのに…)」(パク・クァンギュ氏と推理作家のチェ・ヒョッコン氏のサイト「초이 s 미스터리」の記事) 「한국추리작가협회 사무국장_ 박광규 라디오 인터뷰(韓国推理作家協会 事務局長 パク・クァンギュ ラジオインタビュー)」(정석화氏のブログ) その他参考文献ソン・ソニョン(2010)「歴代韓国推理文学賞、新人賞、その他受賞作整理。」 クォン・ギョンヒ(2007)「ジャンル文学を知ろう(장르문학 파헤치기)」>「推理文学の世界〈4〉 推理小説の歴史〈2〉」「推理文学の世界〈3〉 推理小説の歴史〈1〉」は欧米の推理小説の歴史 http //blog.aladin.co.kr/caspi/1711704 http //blog.aladin.co.kr/caspi/1711710 チョン・ホンシク「韓国でのミステリの話(한국에서의 미스터리 이야기)」(Webマガジン『ファンタスティーク』、2012年1月12日) 以下、未見 李建志『京城の探偵小説』(東大修士論文、1994年) 李建志『朝鮮近代文学とナショナリズム』(作品社、2007年8月) 李建志『日韓ナショナリズムの解体』(筑摩書房、2008年7月) 李建志『松田優作と七人の作家たち《『探偵物語』のミステリ》』(弦書房、2011年2月) 崔元植(翻訳:青柳優子)『東アジア文学空間の創造』(岩波書店、2008年10月) 白川豊『朝鮮近代の知日派作家、苦闘の軌跡 廉想渉、張赫宙とその文学』(勉誠出版、2008年10月) 慎根縡『日韓近代小説の比較研究―鉄腸・紅葉・蘆花と翻案小説』(明治書院、2006年5月) 関連作家の主な日本語訳 『韓国古典文学の愉しみ』 イ・ヘジョ(李海朝/이해조)『20世紀民衆の世界文学 7 朝鮮文学選 1 解放前篇』(三友社出版、1990年) - 「自由鍾」(新小説の代表的な作品) チェ・マンシク(蔡萬植/채만식)『濁流 韓国文学名作選』 『太平天下 朝鮮近代文学選集』 『集英社ギャラリー〈世界の文学〉 20 中国・アジア・アフリカ』 パン・ジョンファン(方定煥/방정환)『愛の韓国童話集 コリア児童文学選』 - 「万年シャツ」 『칠칠단의 비밀』 キム・ドンイン(金東仁/김동인)『金東仁作品集』 パク・テウォン イ・ガヒョン『怒りの河 ビルマ戦線狼山砲第二大隊朝鮮人学徒志願兵の記録』 - 韓国推理作家協会初代会長のイ・ガヒョンと同一人物 イ・サンウ『朴正煕時代 その権力の内幕』 - 推理作家のイ・サンウとは別人 日本語訳なしパン・イングン(方仁根、방인근) ヒョン・ジェフン(玄在勲、현재훈) ホ・ムンニョン(許文寧) 韓国語文献ペク・ヒュ(白恷、백휴)『김성종 읽기』(金聖鍾を読む)(1999年) 大衆文学研究会『추리소설이란 무엇인가』(推理小説とは何か?)(1997年) 『1930년대 한국 추리소설 연구』 パク・チニョン(박진영)『翻訳と翻案の時代』(번역과 번안의 시대)(2011年8月) 韓国以外の地域のミステリ玉田誠(2009)「台湾の本格ミステリー事情」 (藍霄『アジア本格リーグ1 錯誤配置』講談社、2009年9月)pp.307-315 (台湾) 宇戸清治(2009)「タイ・ミステリーの過去と現在」 (チャッタワーラック『アジア本格リーグ2 二つの時計の謎』講談社、2009年9月)pp.275-283 (タイ) 柏村彰夫(2010)「インドネシアの推理小説」 (S・マラ・Gd『アジア本格リーグ5 殺意の架け橋』講談社、2010年3月)pp.387-395 (マレーシア・インドネシア) 李長声(リー チャンション)(2002)「中国のミステリー事情 大衆文学への渇望」 (光文社『ジャーロ』7号(2002年春号))pp.273-277 池田智恵(2009)「発展途上の中国ミステリー」 (水天一色『アジア本格リーグ4 蝶の夢 乱神館記』講談社、2009年11月)pp.383-394 天蠍小豬(2009)「中国ミステリー事情」 (島田荘司監修『本格ミステリー・ワールド 2010』南雲堂、2009年12月)pp.27-30
https://w.atwiki.jp/horserace/pages/2768.html
トーセンモンテリナをお気に入りに追加 トーセンモンテリナの情報をまとめています。リンク先には学生・未成年の方には不適切な表現内容が含まれる場合があります。またリンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。 トーセンモンテリナ <保存課> 使い方 サイト名 URL トーセンモンテリナ <情報1課> #bf トーセンモンテリナ <情報2課> #blogsearch2 トーセンモンテリナ <情報3課> #technorati トーセンモンテリナ <報道課> gnewプラグインエラー「トーセンモンテリナ」は見つからないか、接続エラーです。 トーセンモンテリナ <成分解析課> トーセンモンテリナの49%は大阪のおいしい水で出来ています。トーセンモンテリナの35%は波動で出来ています。トーセンモンテリナの7%は華麗さで出来ています。トーセンモンテリナの6%は言葉で出来ています。トーセンモンテリナの2%は不思議で出来ています。トーセンモンテリナの1%は玉露で出来ています。 ページ先頭へ version3.1
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/182.html
2012年2月17日 日本ミステリファンが集う韓国のWebサイト「日本ミステリを楽しむ」(일본 미스터리 즐기기)で実施されたミステリランキングの結果を紹介する。 2週間ほど前に紹介した「ハウミステリ」のランキングは2011年に韓国で出版されたすべてのミステリ小説(韓国国内作品・翻訳作品)が対象になっていたが、「日本ミステリを楽しむ」のランキングはその名の通り、2011年に韓国で出版された日本ミステリが対象になっている。 関連記事:韓国のWebサイト「ハウミステリ」で実施された2011年ミステリランキング (2012年2月2日) Index 2011年 2010年 2009年 2008年 2007年 2011年 [발표] 우리가 뽑은 2011년 일본 미스터리 (2012-02-12) 対象: 2011年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説。全105タイトル(「日本ミステリを楽しむ」調べ)。 有効投票者数: 46名 投票方法: 各自が持ち点10点を好きな3作品に自由に振り分ける(「5点・3点・2点」でも「8点・1点・1点」でも、とにかく好きに振り分けてよい)。46名×10ポイントで総計460ポイント。 結果発表: 2012年2月12日 順位 point(s) 投票者数 タイトル 作者 年 韓国語タイトル 翻訳者 備考 1位 109 pts 25人 奇想、天を動かす 島田荘司 1989年 기발한 발상, 하늘을 움직이다 ハン・ヒソン(한희선) 2位 32 pts 12人 山魔の如き嗤うもの 三津田信三 2008年 산마처럼 비웃는 것 クォン・ヨンジュ(권영주) 3位 31 pts 9人 カラスの親指 道尾秀介 2008年 까마귀의 엄지 ユ・ウンジョン(유은정) 4位 20 pts 7人 密室殺人ゲーム2.0 歌野晶午 2009年 밀실살인게임 2.0 キム・ウンモ(김은모) 5位 20 pts 6人 追想五断章 米澤穂信 2009年 추상오단장 チェ・ゴウン(최고은) 6位 18 pts 6人 倒錯の帰結 折原一 2000年 도착의 귀결 クォン・イリョン(권일영) 7位 17 pts 4人 乱反射 貫井徳郎 2009年 난반사 キム・ソヨンB(김소영) 8位 15 pts 4人 魔球 東野圭吾 1988年 마구 イ・ヒョクチェ(이혁재) 9位 14 pts 5人 叫びと祈り 梓崎優 2010年 외침과 기도 キム・ウンモ 10位 13 pts 4人 サバイバー・ミッション 小笠原慧 2004年 서바이버 미션 キム・ソウン(김소운) 13 pts 4人 鼻 曽根圭介 2007年 코 キム・ウンモ 12位 12 pts 2人 忌館(いかん) ホラー作家の棲む家 三津田信三 2001年 기관 호러작가가 사는 집 キム・ウンモ 13位 11 pts 4人 続巷説百物語 京極夏彦 2001年 속 항설백물어 クムジョン(금정) 14位 11 pts 3人 悪の教典 貴志祐介 2010年 악의 교전 ハン・ソンネ(한성례 ) 15位 10 pts 4人 ロートレック荘事件 筒井康隆 1990年 로트레크 저택 살인 사건 キム・ウンモ 16位 10 pts 3人 プラチナデータ 東野圭吾 2010年 플래티나 데이터 イ・ジョンファン(이정환) 17位 9 pts 2人 とり残されて 宮部みゆき 1992年 홀로 남겨져 パク・トヨン(박도영) 18位 7 pts 2人 Another 綾辻行人 2009年 어나더 ヒョン・ジョンス(현정수) 7 pts 2人 戻り川心中 連城三紀彦 1980年 회귀천 정사 チョン・ミヨン(정미영) 20位 6 pts 2人 カササギたちの四季 道尾秀介 2011年 가사사기의 수상한 중고매장 キム・ウンモ 6 pts 2人 星降り山荘の殺人 倉知淳 1996年 별 내리는 산장의 살인 キム・ウンモ 6 pts 2人 完全恋愛 牧薩次 2008年 완전연애 キム・ソニョン(김선영) +23位以下の作品 - クリックで展開 23位以下の作品 23位(5pts、3人) - 『おまけのこ』畠中恵、샤바케 4 24位(5pts、1人) - 『白光』連城三紀彦、백광 25位(4pts、2人) - 『掌の中の小鳥』加納朋子、손 안의 작은 새 26位(4pts、1人) 『タロットの迷宮』小笠原慧、타로의 미궁 『日暮らし』宮部みゆき、하루살이 『夜行観覧車』湊かなえ、야행관람차 29位(3pts、1人) 『館島』東川篤哉、저택섬 『虹果て村の秘密』有栖川有栖、무지개 끝 마을의 비밀 『完全犯罪に猫は何匹必要か?』東川篤哉、완전범죄에 고양이는 몇 마리 필요한가 『完全なる首長竜の日』乾緑郎、완전한 수장룡의 날 『クラインの壺』岡嶋二人、클라인의 항아리 『水の眠り 灰の夢』桐野夏生、물의 잠 재의 꿈 『密室・殺人』小林泰三、밀실. 살인 『夏、19歳の肖像』島田荘司、여름, 19세의 초상 『4ページミステリー』蒼井上鷹、4페이지 미스터리 38位(2pts、1人) 『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉、수수께끼 풀이는 저녁식사 후에 『コールドゲーム』荻原浩、콜드게임 『シューマンの指』奥泉光、손가락 없는 환상곡 『制服捜査』佐々木譲、제복 수사 42位(1pts、1人) 『ツナグ』辻村深月、츠나구 『厭な小説』京極夏彦、싫은 소설 2010年 [발표] 우리가 뽑은 2010년 일본 미스터리 (2011-02-14) 対象: 2010年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説。全98タイトル(「日本ミステリを楽しむ」調べ)。 有効投票者数: 35名 (前年までは100人以上が投票していたが、この年は投票参加法を複雑にしたため一気に投票者数が減っている) 投票方法: 2011年版と同じ。35名×10ポイントで総計350ポイント。 結果発表: 2011年2月14日 順位 point(s) 投票者数 タイトル 作者 年 韓国語タイトル 翻訳者 備考 1位 69 pts 18人 密室殺人ゲーム王手飛車取り 歌野晶午 2007年 밀실살인게임 キム・ウンモ(김은모) 2位 39 pts 13人 首無の如き祟るもの 三津田信三 2007年 잘린 머리처럼 불길한 것 クォン・ヨンジュ(권영주) 3位 27 pts 7人 名探偵の掟 東野圭吾 1996年 명탐정의 규칙 イ・ヒョクチェ(이혁재) 4位 19 pts 7人 沈黙の教室 折原一 1994年 침묵의 교실 キム・ソヨンB(김소영) 5位 19 pts 6人 冤罪者 折原一 1997年 원죄자 キム・ソニョン(김선영) 6位 17 pts 6人 儚い羊たちの祝宴 米澤穂信 2008年 덧없는 양들의 축연 チェ・ゴウン(최고은) 7位 17 pts 5人 鬼の跫音 道尾秀介 2009年 술래의 발소리 キム・ウンモ 8位 15 pts 2人 鉄鼠の檻 京極夏彦 1996年 철서의 우리 キム・ソヨンA(김소연) 9位 14 pts 5人 愚行録 貫井徳郎 2006年 우행록 イ・ギウン(이기웅) 10位 13 pts 4人 双頭の悪魔 有栖川有栖 1992年 쌍두의 악마 キム・ソニョン ※この年の結果は10位までしか公表されていない。 2009年 우리가 뽑은 2009년 미스터리 공식 집계 발표 (2010-02-06) ※この記事は会員登録しないと見られないようです 対象: 2009年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説。約100タイトル。 有効投票者数: 111名 投票方法: 2011年版と同じ。111名×10ポイントで総計1110ポイント。 結果発表: 2010年2月6日 順位 point(s) 投票者数 タイトル 作者 年 韓国語タイトル 翻訳者 備考 1位 213 pts 56人 告白 湊かなえ 2008年 고백 キム・ソニョン(김선영) 2位 63 pts 17人 警官の血 佐々木譲 2007年 경관의 피 キム・ソニョン 3位 62 pts 19人 私が殺した少女 原尞 1989年 내가 죽인 소녀 クォン・イリョン(권일영) 4位 61 pts 18人 天使のナイフ 薬丸岳 2005年 천사의 나이프 キム・スヒョン(김수현) 5位 60 pts 16人 生ける屍の死 山口雅也 1989年 살아 있는 시체의 죽음 キム・ソニョン 6位 40 pts 10人 新世界より 貴志祐介 2008年 신세계에서 イ・ソニ(이선희) 40 pts 10人 松本清張傑作短篇コレクション 松本清張 - 마쓰모토 세이초 걸작 단편 컬렉션 イ・ギュウォン(이규원) 宮部みゆき編 8位 38 pts 13人 巷説百物語 京極夏彦 1999年 항설백물어 クムジョン(금정) 9位 37 pts 10人 隠蔽捜査 今野敏 2005年 은폐수사 イ・ギウン(이기웅) 10位 35 pts 10人 向日葵の咲かない夏 道尾秀介 2005年 해바라기가 피지 않는 여름 キム・ユンス(김윤수) 11位 29 pts 10人 噂 荻原浩 2001年 소문 クォン・イリョン 12位 27 pts 10人 イニシエーション・ラブ 乾くるみ 2004年 이니시에이션 러브 ソ・スジ(서수지) 13位 23 pts 7人 斜め屋敷の犯罪 島田荘司 1982年 기울어진 저택의 범죄 ハン・ヒソン(한희선) 14位 19 pts 6人 私が彼を殺した 東野圭吾 1999年 내가 그를 죽였다 ヤン・ユノク(양윤옥) 15位 19 pts 5人 江戸川乱歩全短篇 2 江戸川乱歩 - 에도가와 란포 전단편집 2 キム・ウニ(김은희) 日下三蔵編 19 pts 5人 人体模型の夜 中島らも 1991年 인체 모형의 밤 ハン・ヒソン 17位 18 pts 6人 扉は閉ざされたまま 石持浅海 2005年 문은 아직 닫혀 있는데 パク・チヒョン(박지현) 18位 17 pts 6人 新宿鮫 大沢在昌 1990年 신주쿠 상어 キム・ソンギ(김성기) 19位 16 pts 5人 あかんべえ 宮部みゆき 2002年 메롱 キム・ソヨンA(김소연) 20位 15 pts 6人 悪夢の観覧車 木下半太 2008年 악몽의 관람차 キム・ソヨンB(김소영) 15 pts 6人 どちらかが彼女を殺した 東野圭吾 1996年 둘 중 누군가 그녀를 죽였다 ヤン・ユノク 東野圭吾作品を訳しているヤン・ユノクは漢字表記「梁潤玉」。カタカナ表記は「ヤン・ユンオク」とされる場合もある。 2008年 [발표] 우리가 뽑은 2008년 미스터리 공식 집계 발표 (2009-11-11 ※再投稿記事) ※この記事は会員登録しないと見られないようです 対象: 2008年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説。約100タイトル。 有効投票者数: 110名 投票方法: 2011年版と同じ。110名×10ポイントで総計1100ポイント。 結果発表: 2009年?月?日 順位 point(s) 投票者数 タイトル 作者 年 韓国語タイトル 翻訳者 備考 1位 149 pts 34人 贄の夜会 香納諒一 2006年 제물의 야회 ハン・ヒソン(한희선) 2位 105 pts 32人 インシテミル 米澤穂信 2007年 인사이트 밀 チェ・ゴウン(최고은) 3位 104 pts 31人 倒錯のロンド 折原一 1989年 도착의 론도 クォン・イリョン(권일영) 4位 75 pts 25人 GOTH リストカット事件 乙一 2002年 GOTH 고스 クォン・イリョン 5位 69 pts 18人 楽園 宮部みゆき 2007年 낙원 クォン・イリョン 6位 66 pts 22人 ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎 2007年 골든 슬럼버 キム・ソヨンB(김소영) 7位 59 pts 17人 そして夜は甦る 原尞 1988年 그리고 밤은 되살아난다 クォン・イリョン 8位 44 pts 14人 霧越邸殺人事件 綾辻行人 1990年 키리고에 저택 살인사건 ハン・ヒソン 9位 43 pts 17人 悪意 東野圭吾 1996年 악의 ヤン・ユノク(양윤옥) 10位 42 pts 12人 犬神家の一族 横溝正史 1951年 이누가미 일족 チョン・ミョンウォン(정명원) 11位 32 pts 9人 さまよう刃 東野圭吾 2004年 방황하는 칼날 イ・ソニ(이선희) 12位 30 pts 11人 第三の時効 横山秀夫 2003年 제3의 시효 キム・ソンギ(김성기) 13位 26 pts 8人 孤島パズル 有栖川有栖 1989年 외딴섬 퍼즐 キム・ソニョン(김선영) 14位 26 pts 6人 黄金を抱いて飛べ 高村薫 1990年 황금을 안고 튀어라 クォン・イリョン 15位 17 pts 5人 回廊邸殺人事件 東野圭吾 1991年 회랑정 살인사건 イム・ギョンファ(임경화) 16位 17 pts 4人 ドグラ・マグラ 夢野久作 1935年 도구라마구라 イ・ドンミン(이동민) 17位 11 pts 4人 象と耳鳴り 恩田陸 1999年 코끼리와 귀울음 クォン・ヨンジュ(권영주) 18位 10 pts 3人 震える岩 霊験お初捕物控 宮部みゆき 1993年 흔들리는 바위 キム・ソヨンA(김소연) 10 pts 3人 悪人 吉田修一 2007年 악인 イ・ヨンミ(이영미) 20位 9 pts 4人 慟哭 貫井徳郎 1993年 통곡 イ・ギウン(이기웅) 2007年 [집계] 2007년, 우리가 뽑는 일본 미스터리 소설 (2008-02-01) 対象: 2007年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説。約70タイトル。 有効投票者数: 89名 投票方法: 各自が順位を付けて3作品を選ぶ。1位=3点、2位=2点、3位=1点で集計する。 結果発表: 2008年2月1日? 順位 point(s) タイトル 作者 年 韓国語タイトル 翻訳者 備考 1位(2作品) 52 pts 暗黒館の殺人 綾辻行人 2004年 암흑관의 살인 クォン・イリョン(권일영) 1位(2作品) 52 pts ZOO 乙一 2003年 ZOO キム・スヒョン(김수현) 3位 49 pts 殺戮にいたる病 我孫子武丸 1992年 살육에 이르는 병 クォン・イリョン 4位 39 pts OUT 桐野夏生 1997年 아웃(2007年版、1999年版) キム・スヒョン 5位 37 pts チーム・バチスタの栄光 海堂尊 2006年 바티스타 수술 팀의 영광 クォン・イリョン 6位 28 pts ルパンの消息 横山秀夫 2005年 루팡의 소식 ハン・ヒソン(한희선) 28 pts ぼくのミステリな日常 若竹七海 1991年 나의 미스터리한 일상 クォン・ヨンジュ(권영주) 8位 21 pts 名もなき毒 宮部みゆき 2006年 이름 없는 독 クォン・イリョン 9位 19 pts ダーク 桐野夏生 2002年 다크 クォン・イリョン 10位 17 pts ハサミ男 殊能将之 1999年 가위남 キム・スヒョン 17 pts 放課後 東野圭吾 1985年 방과 후 ク・ヘヨン(구혜영) 12位 13 pts ユージニア 恩田陸 2005年 유지니아 クォン・ヨンジュ 13 pts 残虐記 桐野夏生 2004年 잔학기 キム・スヒョン 13 pts 孤宿の人 宮部みゆき 2005年 외딴집 キム・ソヨンA(김소연) 15位 11 pts グレイヴディッガー 高野和明 2002年 그레이브 디거 チョン・セロム(전새롬) 11 pts 悪魔の手毬唄 横溝正史 1958年 악마의 공놀이 노래 チョン・ミョンウォン(정명원) 17位 9 pts ハードボイルド・エッグ 荻原浩 1999年 하드보일드 에그 ソ・ヘヨン(서혜영) 18位 7 pts 赤朽葉家の伝説 桜庭一樹 2006年 아카쿠치바 전설 パク・スジ(박수지) 7 pts スナーク狩り 宮部みゆき 1992年 스나크 사냥 クォン・イリョン 20位 6 pts 中庭の出来事 恩田陸 2006年 호텔 정원에서 생긴 일 オ・グニョン(오근영) 6 pts 魔神の遊戯 島田荘司 2002年 마신유희 キム・ソヨンB(김소영) 6 pts 赤い指 東野圭吾 2006年 붉은 손가락 ヤン・ユノク(양윤옥) 2006年に出版された日本ミステリを対象とするランキングは実施されていない。なお、2006年に韓国で翻訳出版された日本のミステリ小説は約30タイトルだった。それが翌年の2007年には年間約70タイトルとなり、2008年以降は年間100タイトルほどのペースが続いている。
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/183.html
2015年4月26日 角川学園小説大賞「ヤングミステリー&ホラー部門」の歴史を振り返りつつ、北乃坂柾雪『匣庭の偶殺魔』(2001年11月1日刊行)が第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞の「受賞作」だと誤って認識されている件について、なぜそのような誤解が起こったのかを探求した記事です。 Index 「ヤングミステリー&ホラー部門」の新設(2000年) 「ヤングミステリー&ホラー部門」創設の意図 意外なところで語られていた〈スニーカー・ミステリ倶楽部〉創設の舞台裏 第5回(2001年) 第6回(2002年) 第7回(2003年) 第8回(2004年) 第9回(2005年) 第10回(2006年) 第11回(2007年)――あるいは「ヤングミステリー&ホラー部門」の消失 『匣庭の偶殺魔』が受賞作だと誤認させる叙述トリック(?) おまけ:「ヤングアダルト小説」「ティーンズノベル」から「ライトノベル」へ 「ヤングミステリー&ホラー部門」の新設(2000年) 角川学園小説大賞は1996年に創設された。第4回までは応募資格を30歳までに限定。第5回からは応募資格をさらに狭めて25歳までとし、新たに「ヤングミステリー&ホラー部門」を設けた。第7回以降、年齢制限はなくなった。最終選考委員を著名な作家らに委任していたスニーカー大賞と異なり、角川学園小説大賞の選考は最終選考まで編集部が行った。 『ザ・スニーカー』2000年8月号、p.115 第5回角川学園小説大賞募集広告より 毎年ますますグレードアップする「角川学園小説大賞」。 今回から新たに“ヤングミステリー部門”を設け、 次世代に読み継がれていくミステリーを広く募集します! キャラクターミステリー、新本格派、 または新ジャンルのミステリーなど、 バラエティーに富んだ作品を待っています。 新世紀を切り拓く貴方の新しい才能を ぜひ作品にぶつけてください!! 同ページより要項の【募集作品】の部分を引用 【募集作品】 ①ヤングミステリー&ホラー部門 新世紀に向けて若く瑞々しい感覚で描くミステリー作品並びにホラー作品を募集します。もちろん本格派も大歓迎です。但し、未発表のものに限ります。 ②自由部門 従来どおりのエンタテインメント作品を募集します。恋愛、ファンタジー、歴史、SFなどジャンルは問いません。現実の自分の言葉で作品を描いてください。但し、未発表のものに限ります。 ※受賞作は原則としてスニーカー文庫及びティーンズルビー文庫で刊行します。 なお、同じ年の11月には「富士見ミステリー文庫」が創刊されている。 「ヤングミステリー&ホラー部門」創設の意図 角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門の創設意図は、創設の4年後、第8回の選評の中で語られている(『ザ・スニーカー』2004年12月号、p.37)。 《自由部門》選評で、「学園小説大賞」の学園、について触れました。つまり本賞は十代、二十代の読者に向けて書かれたエンタテインメント小説――いわゆるライトノベルを募集する小説賞であり、さらにはテーマとして広い意味で学園(=学校)を舞台としたものを求めていると。 そのなかでもあえてSFやファンタジーといった、ライトノベルと相性の良い要素よりも、ミステリーやホラーという、これまでライトノベルではあまり扱われてこなかった要素に果敢に取り組んで書かれた作品を読んでみたい、本にしてみたい。《ヤングミステリー&ホラー部門》はこのような考えのもとに設けられたものです。 なお、このページの末尾で触れるが、角川学園小説大賞の選評で「ライトノベル」という言葉が使われたのはこの第8回(2004年12月号)の選評が最初である。それまでは「ヤングアダルト小説」、「ティーンズノベル」などの言葉が使われていた。「ヤングミステリー&ホラー部門」が創設された2000年当時、すでに「ライトノベル」という言葉が一般に普及していたのであれば、この部門の名称は「ライトミステリー&ホラー部門」等になっていたかもしれない。 意外なところで語られていた〈スニーカー・ミステリ倶楽部〉創設の舞台裏 2015年4月現在、小説『書店ガール』がテレビドラマ化されて話題になっている。その作者である碧野圭氏は元編集者で、『ドラゴンマガジン』編集部に10年、その後、『ザ・スニーカー』編集部に4年いたという。角川学園小説大賞に「ヤングミステリー&ホラー部門」が創設され、またその受賞作を刊行するスニーカー文庫のレーベル内レーベルとして〈スニーカー・ミステリ倶楽部〉が創刊されたのはちょうど碧野氏が『ザ・スニーカー』編集部に配属されたころだった。2015年4月15日に公開されたインタビュー記事でそのころのことが語られている。 WEB本の雑誌 作家の読書道 第159回 碧野圭さん その4「編集者としての日々」 (2015年4月15日公開) 碧野:(略)40代になる頃に、ドラゴンマガジン編集部からザ・スニーカー編集部に移ったら、課長がミステリを立ち上げたいという人だったので、それで読みはじめたんです。岡嶋二人さんの『クラインの壺』を読んで「こんなに面白いミステリが日本にもあるんだ」と思い、その後宮部みゆきさんをほとんど読みました。課長は本社で赤川次郎さんの担当などをやっていた人なので、スニーカーでミステリ文庫を立ち上げようという動きがあって、米澤穂信さんを世に出したりして。 ――え、米澤穂信さんですか。確かに『氷菓』で角川学園小説大賞のヤングミステリ&ホラー部門からデビューされていますけれど、碧野さんも関わっていたんですか。 碧野:編集部選考だったんで、私も選考委員の一人だったんですよ。内緒ですけれど......いえ、書いてもいいですけれど(笑)、米澤さんに嫌な顔されたらどうしよう。まあ、20人くらいで選考したなかの1人でした。そういえば、長谷敏司さんも私が在籍中にスニーカー大賞の金賞でデビューされた方です。こちらは選考委員の先生がいらっしゃるので、私は下読みしかしてませんけど(笑)。ほかにも、乙一さんの『GOTH』や谷川流さんの『涼宮ハルヒの憂鬱」の仕掛けを編集部みんなで考えたり、綾辻行人さんの作家本を作ったり。スニーカーに在籍したのは4年間と短かったけれど、面白いことがたくさんありましたね。 「綾辻行人さんの作家本」というのは、スニーカー・ミステリ倶楽部編『綾辻行人 ミステリ作家徹底解剖』(2002年10月、角川書店)のこと。 第5回(2001年) 第5回(2001年1月31日締切、2001年8月号発表) 応募総数は両部門合わせて152編受賞作奨励賞:北乃坂柾雪『悪夢から悪夢へ』【未刊】 奨励賞:米澤汎信『ありうべきよすが~氷菓~』(米澤穂信『氷菓』、2001年11月刊行) 最終候補作橘悠樹『蒼い月は知っている』(白泉社My文庫で2002年7月刊行) 北越南『六の水無の秘め事』 内川潤一『御茶ノ水少年発明社』 北乃坂柾雪『悪夢から悪夢へ』あらすじ(『ザ・スニーカー』2001年8月号、p.43より) 絶海の孤島、彩蛾島。正親町と奥入瀬の所属する同好会『蝙蝠の会』は、恒例の親睦合宿のため、現在では無人のこの島を訪れる。ところがその初日、夕食を終えて各自部屋に戻った彼らは、枕もとに奇妙な言葉の書かれたカードを発見。その暗号文は連続殺人を予告していた! 第5回の「受賞者のことば」は結果発表と同じ2001年8月号に掲載。受賞作以外の最終候補作については、選評もあらすじも掲載されていない。 北乃坂柾雪の奨励賞受賞作『悪夢から悪夢へ』は未刊行である。北乃坂柾雪『匣庭の偶殺魔』(2001年11月刊行)はネット上のライトノベル賞受賞作品リスト等で奨励賞の「受賞作」だとされており、ネット上の作品評を見てもそう書かれていることが多いが、そうではない。『悪夢から悪夢へ』と『匣庭の偶殺魔』は別の作品である。 北乃坂柾雪『匣庭の偶殺魔』と米澤穂信『氷菓』が刊行されるにあたり、『ザ・スニーカー』2001年12月号(2001年10月末発売)のp.177に両者のコメントが掲載されている。北乃坂柾雪はそこでこう述べている。 さて、今回皆様にお披露目させていただける事と相成りました物語は、受賞作とは別個に書き下ろしているのですが、当然こちらも、いわゆる推理小説と呼ばれる類のものです。誰かが死んで、探偵が出てきて、犯人はお前だ! とやるアレです。 第6回(2002年) 第6回(2002年1月31日締切、2002年10月号発表) 応募総数は両部門合わせて448編受賞作優秀賞:渚辺環生『魔を穿(うが)つレイン』【未刊】 最終候補作野村圭人『天神地祇』 大神緋肝『赤い燈』 渚辺環生『魔を穿つレイン』あらすじ(『ザ・スニーカー』2002年10月号、p.49より) ミステリ研究部のその日の話題は、学校の七不思議についてだった。まさか翌日から、その伝説に見立てられ、次々とメンバーが殺されていくとは……。謎の解明とどんでん返しの連続に目くるめく、ジェットコースターミステリー! 『魔を穿つレイン』は2003年2月1日発売と予告されていたが(『ザ・スニーカー』2002年10月号、p.55)、刊行されなかった。 野村圭人の候補作タイトルは2002年8月号p.184の「選考経過報告」では『天神地祇』、2002年10月号p.48の「結果発表」では『天神地祗』となっている(「氏」の下の「一」があるかないかの違い)。四字熟語として正しいのは前者の天神地祇(てんじんちぎ)である。 第7回(2003年) 第7回(2003年3月30日締切、2003年12月号発表) 応募総数は両部門合わせて528編受賞作なし 最終候補作水口敬文『トリックorとりーと!』 → 2004年11月、『憐(れん) Ren 刻(とき)のナイフと空色のミライ』(第9回スニーカー大賞 奨励賞)でデビュー。 刻永淙『楽園の吊し人』 → 2005年1月、木ノ歌詠(このうた えい)『フォルマント・ブルー カラっぽの僕に、君はうたう。』(第4回富士見ヤングミステリー大賞 佳作)でデビュー。デビューの数年後に瑞智士記(みずち しき)に改名。 内山靖二郎『その手は届かない』 → 2006年7月、『神様のおきにいり』(第2回MF文庫Jライトノベル新人賞 佳作)でデビュー。(それ以前にも共著でTRPG関連の著作あり) 大神ヒキモ『片手の露』 第8回(2004年) 第8回(2004年4月15日締切→5月10日締切、2004年12月号発表) 応募総数は両部門合わせて631編受賞作奨励賞:鈴原まき『キリングドール』【未刊】 最終候補作船曳信人『布人形』 第一次選考通過作南野海『人魚の海』 三矢野晃一『ホット・ドッグ』 高知『殺人の三原色』 鈴原まき『キリングドール』あらすじ(『ザ・スニーカー』2004年12月号、p.35) 「君たちの中に一人僕の玩具が混じっている。さあ誰が偽物でしょー。分かったらナイフで胸を突き刺してね!」――西洋人形があふれる薄気味悪い洋館。集められた面識のない七人に仕掛けられたデスゲーム。七人の中に一人だけ人形と入れ替わっている者がいるという。一体誰が人形なのか!? 見破らなければ誰かが殺される! 閉鎖空間での恐ろしいサバイバルゲームを切り抜け生き残るのは誰か!? 第8回より募集要項で「原則として、いずれの部門でも大賞および優秀賞の作品は小社より刊行されます。」とされており、奨励賞受賞作の刊行は確約されていない。 第9回(2005年) 第9回(2005年5月10日締切、2005年12月号発表) 応募総数は両部門合わせて612編受賞作優秀賞:山田一『青春俳句講座』(水原佐保『青春俳句講座 初桜』、2006年6月刊行) ※文庫ではなく四六版の単行本として刊行 最終候補作古内旭『るりえの帰還』 ℃ク神凶徒『畜殺ユートピアクライシス』 第一次選考通過作子猫昼寝『Sing a Song Suiside』 酒井章成『境界を彷徨う亡霊』 本覚『ヒトキリVS殺人体験』 第10回(2006年) 第10回(2006年5月10日締切、2007年2月号発表) 応募総数は両部門合わせて617編受賞作なし 最終候補作下村敦史『過去からの殺人』 → 2014年8月に『闇に香る嘘』(江戸川乱歩賞)でデビューした「下村敦史」氏と同一人物だと思われる 野上かずや『無血学園のセルシウス No Murder, No War, But Mystery』 第一次選考通過作(?)岸本浩明『探偵遊戯「鱗粉」』 海空風『『俺の』『私の』探偵倶楽部同好会!』 『ザ・スニーカー』2006年12月号の「選考経過報告」(p.39)には、上記の4作がヤングミステリー&ホラー部門の最終候補作として示されているが、2007年2月号(結果発表・選評掲載号)では最終候補作は下村敦史『過去からの殺人』と野上かずや『無血学園のセルシウス No Murder, No War, But Mystery』の2作品とされている(選評もこの2作の分のみ)。 例年では、10月号で「自由部門」と「ヤングミステリー&ホラー部門」の第一次選考通過作が発表されるが、この回は2006年10月号で「自由部門」の第一次選考通過作しか発表されていない。上記4作は2006年12月号で「最終候補作」として示されているが、実際にはヤングミステリー&ホラー部門の「第一次選考通過作」だったのではないかと思われる。 第11回(2007年)――あるいは「ヤングミステリー&ホラー部門」の消失 第11回(2007年5月31日締切)の募集要項を引用する(『ザ・スニーカー』2007年6月号、p.235)。 第11回の角川学園小説大賞は、第10回まで募集していた〈自由部門〉〈ヤングミステリー&ホラー部門〉を統合します。 「学園」をキーワードにした優秀な応募作品であれば、恋愛、ファンタジー、SF、ミステリー、ホラーなどジャンルを問わず、等しく厳正な社内選考を行い、受賞作を決定します。 なお、第11回の最終候補5作品のなかには、2011年に横溝正史ミステリ大賞を受賞した長沢樹『消失グラデーション』がある(選評は『ザ・スニーカー』2008年2月号に掲載)。もしこのときまだ「ヤングミステリー&ホラー部門」が続いていたら、長沢樹は米澤穂信の「後輩」としてライトノベルレーベルからデビューしていたかもしれない。 また、この回の第一次選考通過作に市井豊『転校生は誰がために泣く』という作品がある(『ザ・スニーカー』2007年10月号、p.121)。2008年に短編「聴き屋の芸術学部祭」がミステリーズ!新人賞の佳作に選ばれてデビューしたミステリ作家、市井豊と同一人物だろうか。 『匣庭の偶殺魔』が受賞作だと誤認させる叙述トリック(?) 北乃坂柾雪『匣庭の偶殺魔』(2001年11月刊行)は角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞の「受賞作」ではない。受賞作である北乃坂柾雪『悪夢から悪夢へ』と、北乃坂柾雪のデビュー作である(そして現在までに唯一の作品である)『匣庭の偶殺魔』は別の作品である。 先にも引用したが、『匣庭の偶殺魔』発売直前に『ザ・スニーカー』2001年12月号(2001年10月末発売)p.177に載った北乃坂柾雪のコメントを再度引用しておく。 さて、今回皆様にお披露目させていただける事と相成りました物語は、受賞作とは別個に書き下ろしているのですが、当然こちらも、いわゆる推理小説と呼ばれる類のものです。誰かが死んで、探偵が出てきて、犯人はお前だ! とやるアレです。 このように早々に真相(?)は明かされていたのだが、その後約十余年にわたって、『匣庭の偶殺魔』が受賞作だという誤認は続くことになる。 2001年11月に角川スニーカー文庫で刊行された『匣庭の偶殺魔』を見ると、この作品が角川学園小説大賞奨励賞の「受賞作」であるとは実はどこにも書かれていない。それは各所で徹底されている。 著者略歴『氷菓』 2001年、第五回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を本作で受賞。 『匣庭の偶殺魔』 1981年生まれ。高校一年生の頃、友人に唆され成り行きで小説を書き始める。現在某理系大学の生物科学科に潜伏中。 Amazonに掲載されている内容紹介『氷菓』 第五回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞受賞作! 何事にも積極的に関わらない奉太郎が、姉の命令で入部させられた古典部で、部員の少女の叔父が関わった三十三年前に起きた事件の真相に迫る。省エネ少年と好奇心少女が繰り広げる青春ミステリー。 『匣庭の偶殺魔』 大学内で連続する奇妙な殺人。己の影に怯える男。孤島を襲う大虐殺。美しき狂博士、奥入瀬が切り裂く謎のヴェールの向こうには……。第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞の新鋭による、精緻で残酷な本格ミステリー。 ただし、『匣庭の偶殺魔』の裏表紙には「第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞」と書かれている。これは、北乃坂柾雪がこの賞を受賞したということを意味しているのだろう。あくまでも、「受賞」であって「受賞作」とは書かれていないことに注意しなければならない。とはいえこの表記については、フェアかアンフェアか意見は分かれるだろう。 おまけ:「ヤングアダルト小説」「ティーンズノベル」から「ライトノベル」へ 角川学園小説大賞の選評では当初、「ライトノベル」という言葉は使用されていない。『ザ・スニーカー』2004年12月号に掲載された第8回の選評に初めて「ライトノベル」という言葉が出てくる。それまでは、「ヤングアダルト文庫」「ヤングアダルト小説」「ティーンズノベル」などの言葉が使用されていた。 第5回選評(2001年8月号、p.41):ヤングアダルト文庫の読者である中学生、高校生、大学生、あるいはいろんな学校に通う若いみんなに、自分の読みたいストーリーを自分ならではの言葉、自分ならではの感覚で語ってほしい、という意図のもと1996年に設立された角川学園小説大賞。 第6回選評(2002年10月号、p.50):本賞は、十代二十代の読者に向けて書かれたエンタテインメント小説の中でも、広い意味で、学園/学校を舞台にしたものを対象としてきました。 第7回選評(2003年12月号、p.148):角川学園小説大賞は十代、二十代の読者に向けて書かれたエンタテインメント小説――いわゆるティーンズノベルを募集する小説賞です。そしてティーンズノベルというジャンルの中でも本賞は、テーマとして広い意味で学園(=学校)を舞台としたものを求めてきました。 第8回選評(2004年12月号、p.36):角川学園小説大賞は十代、二十代の読者を想定して書かれたエンタテインメント小説――いわゆるライトノベルを募集する小説賞です。そしてライトノベルというジャンルの中でも本賞は、広い意味での学園(=学校)をテーマにしたものを求めてきました。 角川学園小説大賞では今でいう「ライトノベル」からやや外れている、と編集部が考えた作品には「特別賞」が与えられていたが、当時の選評では「ライトノベル」という言葉は使われていない。 第5回自由部門 特別賞、滝本竜彦『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』に対する選評(2001年8月号、p.41)しかし、内省的な表現が多く見られたためヤングアダルト小説としてはどうかとの意見が多く、特別賞の受賞となりました。 第7回自由部門 特別賞、十文字青『純潔ブルースプリング』に対する選評(2003年12月号、p.148)しかし、ティーンズノベルという枠組みから、やや外れていたことから特別賞ということになりました。 ※このページは2012年2月にほぼ書き上げ、「仕上げをしてから公開しよう」と思ったまま3年間放置していたものです。「直木賞のすべて」の子サイト「文学賞の世界」に「ライトノベル」カテゴリが新設されたのを機に、少々見直しをして公開することにいたしました。
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/67.html
2010年4月17日 最終更新:2011年6月22日 どこかの出版社で邦訳してくれないかなあと個人的に思っている作品のタイトルをただ並べていくコーナー。 (長編・短編とも、現在入手可能なもの、または公式サイト上で読めるものを挙げる) 1.長編 台湾推理作家協会所属の推理作家による2作品を挙げる。(両方未読) (1)『冰鏡莊殺人事件』(氷鏡荘殺人事件) 林斯諺(りん しげん、リン スーイェン) ネット書店 博客來書籍館:『冰鏡莊殺人事件』(2009年9月) 第1回(2009年)島田荘司推理小説賞で最終候補に残った3作のうちの1つ。受賞作『虚擬街頭漂流記』は台湾・中国・日本・タイで刊行されるが、最終候補作は台湾と中国以外での刊行予定はない。 作者の林斯諺は1983年生まれ。作品の講評は、『オール讀物』2009年11月号掲載の島田荘司「いま、アジアのミステリーに何が起きているのか」で読むことができる。 (2)『鎧甲館事件』 冷言(れいげん、レンユエン) ネット書店 博客來書籍館:『鎧甲館事件』(2009年2月) 島崎博推薦作品。作者の冷言は1979年生まれ。 2.中短編 すでに長編の邦訳が出ている寵物先生と、上でも紹介した林斯諺の作品を挙げる(既読)。 (1) 寵物先生(ミスターペッツ) 短編 「名為殺意的觀察報告」 (殺意という名の観察報告) http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010328692 (絶版) 短編 「犯罪紅線」 http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010370313 すでに文藝春秋より邦訳『虚擬街頭漂流記』(長編本格ミステリ)が刊行されている作家さん。 1980年生まれ。 2作品とも、台湾の推理作家が推理小説を掲載しているブログ「台灣推理夢工廠」(台湾推理夢工場、http //mysteryfactory.pixnet.net/blog)で読むことができる。 (2) 林斯諺(りんしげん、リンスーイェン) 中編 「淚水狂魔」(涙水狂魔) http //www.books.com.tw/exep/prod/booksfile.php?item=0010413044 女性を誘拐してその涙を集める犯人と、それを追う女性刑事(主人公)・男性刑事(補佐役)のコンビ、という配役で進むストーリーだが、台湾推理作家協会所属の作家ということでただのサスペンスに終わるはずがなく、通常なら不可能に思えるあるトリックを、仕掛けを二重にすることで可能にさせるという本格推理の技巧が冴える作品になっている。 キャラクターもストーリーも非常に良く、勝手に全訳して日本のどこかの出版社に送りつけようかと思ったほどの作品。 関連記事 台湾ミステリ 読書案内 台湾ミステリについて知るための資料リスト このアジアミステリを邦訳してほしい! 中国ミステリ編 韓国ミステリ編 台湾ミステリ紹介 目次へ
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/68.html
2010年4月17日 最終更新:2011年6月22日 どこかの出版社で邦訳してくれないかなあと個人的に思っている作品のタイトルをただ並べていくコーナー。 1.長編 すでに邦訳が出ている水天一色(すいてんいっしき、シュイティエンイースー)の長編と、上でもあげた杜撰の長編を挙げる(未読)。 水天一色 杜落寒シリーズ 『校园惨剧』(校園惨劇)(学校の惨劇) 内蒙古人民出版社、2008年 『盲人与狗』(盲人と犬) 内蒙古人民出版社、2008年 学生探偵の杜落寒(ドゥールオハン)が活躍するシリーズ。 作者の水天一色は1981年生まれ。 日本で『蝶の夢』が刊行されている「乱神館記シリーズ」は、中国でもまだ1作しか刊行されていない。 杜撰 『时之悲』(時之悲) 北京出版社、2010年9月 不可能犯罪ものの短編を書いていた杜撰の初の長編作品。 2.短編集 中国のミステリ雑誌『歳月・推理』で活躍する作家2人の作品集を挙げる。(一部のみ既読) 公式サイトで表紙や作品紹介が見られる(http //mysteryworld.cn/shownews.asp?news_id=220) (1) 御手洗熊猫 (ユーショウシー ションマオ、みたらい ぱんだ) 『御手洗浊的流浪 - 御手洗浊探案集 Mitarai Daku is Wandering』 (御手洗濁の流浪) 北京出版社、2009年4月 アジア本格リーグの水天一色『蝶の夢』巻末や『本格ミステリー・ワールド 2010』で紹介されていた、非常に気になる筆名の推理作家の短編集。現在までに、御手洗熊猫の作品で単行本として刊行されているのはこの1冊のみ(『蝶の夢』巻末で紹介されている長編ミステリ『島田流殺人事件』は未刊行)。 作者の御手洗熊猫は、この短編集が出た時には上海師範大学在学中。 収録作品(5編) 「二十角館の首なし死体」、「世俗辺縁的歌者」、「奇想天外の瞬間移動マジック」、「人体博物館謀殺案」、「消失的詭計不見了」 探偵役は御手洗濁(ユーショウシー ジュオ、みたらい だく)。 筆名や探偵役の名前から考えて、ふざけた感じのパロディなのかと思っていたらそんなことはなく、トリックやロジックを重視したしっかりとした本格だった(と思う。読解力の都合上、断言はできない)。 巻頭の作品「二十角館の首なし死体」では、脚注に高木彬光、島田荘司、綾辻行人、有栖川有栖、京極夏彦、森博嗣らたくさんの日本の推理作家の名前が登場する。 長編『島田流殺人事件』――紹介ページ(日本語) (2) 杜撰 (ずさん、ドゥージュアン) 『纯属杜撰』(純属杜撰) 内蒙古人民出版社(のちに台湾でも2分冊で刊行) 『纯属杜撰2』(純属杜撰2) 北京出版社、2009年4月 『第五元素』 北京出版社、2009年 各8編収録。「不可能犯罪」ものの短編を書き続けている作家だと、『本格ミステリー・ワールド 2010』では紹介されている。 作者の杜撰は1984年生まれ。 『純属杜撰2』に収録の「美人鱼之恋」(人魚の恋)では、ホテルの一室から女性が消える密室トリックを扱っている。 関連記事 中国ミステリ 読書案内 中国ミステリについて知るための資料リスト このアジアミステリを邦訳してほしい! 台湾ミステリ編 韓国ミステリ編 中国ミステリ紹介 目次へ
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/168.html
2011年11月12日 韓国の出版社・三中堂(さんちゅうどう/サムジュンダン)(삼중당)が1978年から1981年にかけて刊行したミステリ叢書《三中堂ミステリ名作》全40巻のリスト。 訳者の一人であるファン・ジョンホ(黄鍾灝)氏の「韓国推理小説の現状」(『日本推理作家協会会報』1984年6月号(No.426))ではこの叢書は全48巻とされているが、韓国国立中央図書館の蔵書データを検索したところ40巻までしか見つからなかった。韓国のミステリファンのサイトなどを見ても、実際は全40巻というのが正しいようである。 三中堂ミステリ名作(1978-1981年、全40巻) 韓国語表記:삼중당 미스테리 명작 [三中堂미스테리名作] 韓国のcaspiさんのブログの記事で何冊かの表紙の写真が見られる → リンク 日本の作品は青で示す。 作者 一般的な邦題 作者名韓国語表記 韓国語タイトル 訳者 出版年 01 コナン・ドイル (シャーロック・ホームズの冒険 1) A. C. 도일 『셜록 호움즈의 모험 1』(셜록 호움즈의 冒險 1) イ・ガヒョン(李佳炯) 1978 02 コナン・ドイル 『恐怖の谷』 A. C. 도일 『공포의 계곡』(공포의 溪谷) ファン・ジョンホ(黄鍾灝) 1978 03 G・K・チェスタトン (ブラウン神父の冒険) G. K. 체스터튼 『브라운 신부의 모험』(브라운 神父의 冒險) チョン・ビョンジョ(鄭炳祖) 1978 04 E・C・ベントリー 『トレント最後の事件』 E. C. 벤틀리 『트렌트최후의 사건』(트렌트最後의 事件) チョン・ソンファン(鄭成煥) 1978 05 A・A・ミルン 『赤い家の秘密』 A. A. 밀른 『빨간집의 비밀』(빨간집의 秘密) チョン・ソンファン(鄭成煥) 1978 06 アガサ・クリスティ 『アクロイド殺し』 A. 크리스티 『애크로이드의 살해』(애크로이드의 殺害) ホン・ジュニ(洪俊憙) 1978 07 アガサ・クリスティ 『そして誰もいなくなった』 A. 크리스티 『열개의 인디언 인형』(열개의 인디언 人形) オ・イオン(呉理蘊) 1978 08 ニコラス・ブレイク 『章の終り』 N. 블레이크 『종장』(終章) チョン・ビョンジョ(鄭炳祖) 1978 09 エリック・アンブラー 『武器の道』 E. 앰블러 『무기의 통로』(武器의 通路) イム・ヨン(林英) 1978 10 イアン・フレミング 『007/カジノ・ロワイヤル』 I. 플레밍 『카지노 르와얄르』 ホン・スンビョン(洪淳昺) 1978 11 ロバート・マーカム 『007/孫大佐』 R. 마아캄 『손대령』(孫大領) チョン・ビョンジョ(鄭炳祖) 1978 12 ジョン・ル・カレ 『寒い国から帰ってきたスパイ』 J. 르카레 『추운나라에서 온 스파이』 チャン・ワンノク(張旺禄)シム・ミョンホ(沈明鎬) 1978 13 コナン・ドイル (シャーロック・ホームズの冒険 2) A. C. 도일 『셜록 호움즈의 모험 2』(셜록 호움즈의 冒險 2) イ・ガヒョン(李佳炯) 1978 14 エラリー・クイーン (エラリー・クイーンの冒険) 엘러리 쿠인 『엘러리 쿠인의 모험』(엘러리 쿠인의 冒險) イ・ガヒョン(李佳炯) 1978 15 E・S・ガードナー 『大胆なおとり』 E. S. 가아드너 『대담한 유혹』(대담한 誘惑) キム・ジェナム(金在枏) 1978 16 レイモンド・チャンドラー 『大いなる眠り』 R. 찬들러 『크나큰 잠』 チョン・ドゥビョン(千杜昺) 1978 17 ロス・マクドナルド 『地中の男』 R. 맥더널드 『지하인간』(地下人間) イ・ガヒョン(李佳炯) 1978 18 エド・マクベイン 『レディ・キラー』 에드 맥베인 『레이디 킬러』 キム・ウタク(金遇鐸) 1978 19 高木彬光 『破戒裁判』 다까기 아끼미쓰 『파계재판』(破戒裁判) チャン・ベギル(張伯逸) 1978 20 水上勉 『死の流域』 미나까미 쓰도무 『죽음의 유역』(죽음의 流域) キム・サンイル(金相一) 1978 21 コナン・ドイル 『緋色の研究』 A. C. 도일 『주홍색의 연구』(주홍색의 硏究) チョ・ウンジェ(趙雲済) 1979 22 アガサ・クリスティ 『オリエント急行の殺人』 A. 크리스티 『오리엔트특급의 살인』(오리엔트特急의 殺人) ペク・キルソン(白吉善) 1979 23 ジョン・ディクスン・カー 『火刑法廷』 J. D. 카아 『화형법정』(火刑法廷) ファン・ジョンホ(黄鍾灝) 1979 24 エドガー・アラン・ポー (ポー推理名作選) E. A. 포우 『포우 추리명작선』(포우 推理名作選) キム・ジョンス(金貞洙) 1979 25 レックス・スタウト 『料理長が多すぎる』 R. 스타우트 『요리장이 너무많다』(料理長이 너무많다) ユン・ジョンヒョク(尹鍾爀) 1979 26 エド・マクベイン 『はめ絵』 에드 맥베인 『찢겨진 사진』(찢겨진 寫眞) チョン・スンゴル(千勝傑) 1979 27 ペール・ヴァールーマイ・シューヴァル 『笑う警官』 P. 왈루우M. 슈왈 『웃는 경관』(웃는 警官) イ・ガヒョン(李佳炯) 1979 28 横溝正史 『蝶々殺人事件』 요꼬미조 세이시 『나비부인 살인사건』(나비부인 殺人事件) チェ・イルス(崔一秀) 1979 29 黒岩重吾 『真昼の罠』 구로이와 주우고 『대낮의 함정』(대낮의 陷穽) クォン・イルソン(権逸松) 1979 30 森村誠一 『野性の証明』 모리무라 세이이찌 『야성의 증명』(野性의 證明) キム・ジョンウ(金貞宇) 1979 31 F・W・クロフツ 『フレンチ警部最大の事件』 F. W. 크로프츠 『프렌치경감 최대의 사건』(프렌치警監 最大의 事件) イ・ギソク(李基錫) 1980 32 サマセット・モーム 『アシェンデン』 S. 모옴 『어센덴』 ハ・ヨンジン(河永辰) 1980 33 J・D・カー 『皇帝の嗅ぎ煙草入れ』 J. D. 카아 『황제의 코담배갑』(皇帝의 코담배갑) ファン・ジョンホ(黄鍾灝) 1980 34 ジョルジュ・シムノン 『黄色い犬』 G. 시므농 『황견』(黃犬) キム・イジョン(金義貞) 1980 35 坂口安吾 『不連続殺人事件』 사까구찌 앙고 『불연속살인사건』(不連續殺人事件) ヒョン・ジェフン(玄在勲) 1980 36 佐野洋 『金色の喪章』 사노 요오 『금색의 상장』(金色의 喪章) キム・ジョンウ(金貞宇) 1980 37 (世界推理傑作選) 『세계추리걸작선』(世界推理傑作選) イ・ガヒョン(李佳炯) 1980 38 アガサ・クリスティ 『無実はさいなむ』 A. 크리스티 『나는 결백하다』 (文龍) 1981 39 ジョン・ディクスン・カー 『魔女の隠れ家』 J. D. 카아 『마녀의 은신처』(魔女의 은신처) イ・ガヒョン(李佳炯) 1981 40 E・S・ガードナー 『義眼殺人事件』 E. S. 가아드너 『유리눈의 사나이』 イ・ガヒョン(李佳炯) 1981 01 『シャーロック・ホームズの冒険 1』 8編収録「ボヘミアの醜聞」、「赤毛組合」、「花婿の正体」、「ボスコム谷の惨劇」、「五つのオレンジの種」、「くちびるのねじれた男」、「青い柘榴石」、「まだらの紐」 13 『シャーロック・ホームズの冒険 2』 6編収録「技師の親指」、「独身の貴族」、「緑柱石の宝冠」、「ぶなの木屋敷の怪」、「銀星号事件」、「黄色い顔」 03 『ブラウン神父の冒険』 8編収録「飛ぶ星」、「イズレイル・ガウの誉れ」、「狂った形」、「神の鉄槌」、「アポロの眼」、「折れた剣」、「青い十字架」、「天の矢」 14 『エラリー・クイーンの冒険』 3編収録「七匹の黒猫の冒険」、「は茶め茶会の冒険」、「神の灯」 24 『ポー推理名作選』 5編収録「モルグ街の殺人」、「マリー・ロジェの謎」、「盗まれた手紙」、「「お前が犯人だ」」、「黄金虫」 34 ジョルジュ・シムノン『黄色い犬』 2編収録「黄色い犬」、「メグレのパイプ」 37 『世界推理傑作選』の収録作ドロシー・L・セイヤーズ「疑惑」 F・W・クロフツ「ブーメラン」(別題「一石二鳥」) サマセット・モーム「密林の足跡」 カーター・ディクスン 不明(直訳:「密室の犯罪」) M・D・ポースト 不明(直訳:「神の裁判」) ダシール・ハメット「カウフィグナル島の略奪」 E・S・ガードナー 不明(直訳:「怒った証人」) ヘンリー・スレッサー 不明(直訳:「悪人は地獄に」) 松本清張「顔」 (※以上のリストは韓国国立中央図書館の蔵書データを検索して作成した。) 主要翻訳者紹介 イ・ガヒョン(李佳炯):『シャーロック・ホームズの冒険』1・2、『エラリー・クイーンの冒険』、『地中の男』、『笑う警官』、『魔女の隠れ家』、『義眼殺人事件』、『世界推理傑作選』を翻訳 ファン・ジョンホ(黄鍾灝):『恐怖の谷』、『火刑法廷』、『皇帝の嗅ぎ煙草入れ』を翻訳 ヒョン・ジェフン(玄在勲):『不連続殺人事件』を翻訳 以上の3人については、河西出版社《世界推理文学全集》(全20巻)、《河西推理選書》(全36巻)の翻訳者紹介で紹介している。