約 11,587 件
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1080.html
21話 もしも弟子五郎と狼獣人の少女 「うーん参ったなぁ、殺し合いだなんて……」 若き侍、弟子五郎はエリアF-7に存在する病院の中を歩いていた。 病院と言ってもかなり小規模で、どちらかと言えば医院と言った方が良い。 「とにかく、師匠にダーエロさん、他にも知り合いがいるみたいっスね。 早い所捜さないと……」 殺し合いに呼ばれている自分が敬慕している鎧武者と、 その同僚の名前を呟きながら、弟子五郎は適当な病室の扉を開ける。 「きゃあっ!?」 「いっ!?」 その病室には先客がいた。 灰色の毛皮を持った狼獣人の少女、エルフィである。 突然入ってきた着物姿の青年に驚き思わず大きな声を出してしまった。 「あ、あの、驚かせてごめん……えと、俺は殺し合いする気は無いっス。 だから、その、そんなに怖がらないで欲しいっス」 焦り気味に目の前の狼獣人の少女を宥める弟子五郎。 「あ、う、ほ、本当、に?」 「ほ、本当っス!」 「……」 エルフィは目の前の、頬に傷のある着物姿の青年の言葉を信じてみる事にした。 「俺は五郎。あー、名簿には弟子五郎で登録されてるんで、 弟子五郎で良いっス」 「私は……エルフィ」 「エルフィさんっスね。あの、もし良かったら俺と一緒に行かないっスか?」 かなり怯えた様子から恐らく殺し合いをする気は無いと判断した弟子五郎は、 ここで会ったのも何かの縁とエルフィに同行を申し込む。 エルフィはしばらく考えていたが、その申し出を受ける事にした。 病室内で、弟子五郎とエルフィは情報交換を行う。 まず互いの支給品の確認を始めた。 「俺のはこの刀っスね」 弟子五郎が自分の支給品だと指差したのは、腰に差していた青い鞘に収められた刀。 鞘から抜いてみると、目が覚めるような青に染められた刀身が現れた。 一瞬作り物かと思ったが鋭い刃が付いており、正真正銘本物の刀だ。 「綺麗だね……青くて」 「そうっスね……」 芸術品とも言える美しさを持った刀――蒼鬼を、二人はしばらく見詰めていた。 そして今度はエルフィの番となった。 「私のは……」 毛皮に覆われた手でデイパックの中を漁るエルフィ。 そして取り出した物は、グリップに白い丸に囲まれた赤い三角の意匠が施された、 黒塗りの大型自動拳銃――コルト デルタエリートと予備のマガジンが三つ。 「銃っスか……お互い当たりを引いたみたいで良かったっスね」 「うん……」 支給品を確認した次は、この殺し合いに呼ばれているそれぞれの知り合いについての情報を話し合う。 「そうっスか……エルフィさんはクラスメイトが……」 「弟子五郎さんも知り合いが呼ばれてるんですね……あの、 そのムシャとダーエロって言う人は、その、信用出来る、人なんですか?」 「ええ、師匠は絶対に信用出来ます。ダーエロさんも、エロゲオタで変態ですけど、 根は悪い人じゃないんで……」 「エロゲオタで変態なんですか……」 「ま、まあ……」 口上では自分の師匠であるムシャと、その同僚ダーエロは確実に信頼出来ると語った 弟子五郎だったが、本心はと言うと、若干不安だった。 ムシャに関しては恐らく問題無いと思われるがダーエロについては不安要素がある。 何せ名簿にはダーエロがあの手この手でストーカーし続けている相手の名前も書かれていた。 そのストーカー方法の執念深さ、苛烈さは魔王軍内外に轟いている。 ストーカー相手――エルフの少女ヘレンのために殺し合いに乗る、可能性も捨て切れない。 そうでは無いと弟子五郎は信じたかった。だあらあえてエルフィにはダーエロも、 多少性格的に問題はあれど信頼はおける人物だと話したのだ。 「これから、どうしましょう、弟子五郎さん」 「そうっスね……下手に動き回るのは危険っスけど……、 俺は師匠やダーエロさんを捜したいっス」 「私も、出来ればクラスメイトを……」 無闇に動き回るより一ヶ所に留まった方が安全だという事は、 二人も何となく理解していたが、やはり自分の師匠やクラスメイトと、 一刻も早く合流したいという気持ちの方が強かった。 「それじゃ、外に行ってみましょうか……案外近くにいるかもしれないっス」 「そうだね……」 弟子五郎とエルフィはそれぞれの知人を捜すべく、 病院の玄関へと向かった。 【一日目/朝方/F-7東部病院一階】 【弟子五郎@VIPRPG】 [状態]健康 [装備]蒼鬼 [所持品]基本支給品一式 [思考・行動] 基本:殺し合いには乗らない。師匠(ムシャ)とダーエロを捜す。 1:エルフィと行動する。 2:襲われたら戦う。 [備考] ※エルフィからクラスメイトの情報を得ました。 【エルフィ@自作キャラでバトルロワイアル】 [状態]健康、恐怖 [装備]コルト デルタエリート(8/8) [所持品]基本支給品一式、コルト デルタエリート予備マガジン(8×3) [思考・行動] 基本:殺し合いには乗らない。死にたくない。クラスメイトと会いたい。 1:弟子五郎と行動する。 [備考] ※弟子五郎からムシャ、ダーエロ、その他の知人についての情報を得ました。 ≪支給品紹介≫ 【蒼鬼】 読みは「そうき」。「あおおに」では無い。 オリジナル支給品で、特殊な鉱石から作られた青い刀身を持つ刀。 観賞用の美術品にも見えるが、切れ味は一級品。 【コルト デルタエリート】 1987年に開発された強力な10㎜オート弾を使用する自動拳銃。 グリップの赤三角のメダリオンが特徴的。 銃本体が使用する弾薬の威力に対応し切れておらず、 スライドの破損やジャム(装弾不良、排莢不良)が多く評価は低い。 エレキテルびりびり 時系列順 血みどろの輪舞曲(ロンド) エレキテルびりびり 投下順 血みどろの輪舞曲(ロンド) ゲーム開始 弟子五郎 珈琲屋に寄って一休み極めたら ゲーム開始 エルフィ 珈琲屋に寄って一休み極めたら
https://w.atwiki.jp/bms_progress/pages/518.html
曲Data Lv BPM TOTAL NOTES TOTAL値 判定 平均密度 最大瞬間密度 ★10 180-180 2311 530 normal 22.01Notes/s 32Notes/s 傾向 交互 軸 譜面URL http //www.ribbit.xyz/bms/score/view?md5=55c96ddf8ff57268a85709bd917f0159&p=1 譜面URL(Mirror) https //bms-score-viewer.pages.dev/view?md5=55c96ddf8ff57268a85709bd917f0159 コメント トリル発狂地帯終了後ノマゲで104%、イージーで126%の回復があるためきちんと拾えばノマゲまでは可能 ハードは地獄だが1P正規2P鏡がかろうじて押しやすい -- 名無しさん (2018-10-12 20 29 43) R乱が当たり -- 名無しさん (2023-08-11 02 05 57) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/myearthproject/pages/403.html
第9回MENU大会4位酸性雨と樹木が弱るデッキ デッキ種類:30枚/二酸化炭素・混色 作成者:マッサー 作成日:2013年1月 カード名 枚数 メタンガスがとけ出す 2 温室効果 3 大気の流れが変わる 2 森の木が乾く 2 ヒートアイランド 2 熱波の発生 1 大気汚染 1 酸性雨 1 樹木が弱る 1 エアコンフィルターの掃除をさぼった 1 二酸化炭素/人 1 二酸化炭素 10 人 3 大会使用:第9回MENU主催大会(2013年1月13日)4位 備考:
https://w.atwiki.jp/white-lily/pages/14.html
キャラ名 岡田 出身地 常山 主武器・副武器 主武器:双剣 副武器:双剣(笑) コメント・人物概要 岡田を務めております。(謎 岡田とおよび下さい ただし、弱いので狙わないでね><。
https://w.atwiki.jp/white-lily/pages/21.html
リンク 伊賀のブログ 薙乃たんのブログ
https://w.atwiki.jp/white-lily/pages/22.html
キャラ名 混 出身地 呉 主武器・副武器 主武器:制圧:多節鞭 対人;双戟 副武器:制圧:長棍 対人:鉄剣 コメント・人物概要 まだまだ初めて一ヶ月なのでぬるプレイが目立つ残念将軍です。 最近は対人が楽しいけど、まだまだカモです。 ちなみに他のゲームではMazeでプレイしてます。 中国っぽく漢字にしてみました。 正直アルファベットでよかったと思っ(ry
https://w.atwiki.jp/white-lily/pages/12.html
俺のお世話になってるメンバーはここで閲覧できます。 みんな良い人ですので、仲良くしてあげてね! ・岡田 サイトの主です。最近は双剣ばっかり使ってます。 ・採掘者 人類唯一のニート。(笑) 対決装備からみるにドMです。 ・真夜 背がでかいくせに声がふるぼっきなキャラ。 瀬菜のリアフレかもしれません。 ・伊賀 チビキャラで萌え声なこの子。 やることはハンパないです。無双率現在低めです ・おたから ふふ 計算通りです 全然計算とは違ってますね。 ・遊人 朴刀使いかとおもいきや、双刀使ったりと なんともまぁ、帽子がかっくいい☆無双率現在低めです ・瀬菜 俺の嫁。 眼帯をさっさと外しなさい。 ・混 混ぜるな危険。 練っておいしいねるねるね~るねっ♪ ・地味な人 名前から見るに地味そうだが 陸遜vと顔が似てるので覚えやすい
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/34286.html
みふゆづきあめと0じ【登録タグ み キョータ(スコアP) 初音ミク 曲】 作詞:キョータ(スコアP) 作曲:キョータ(スコアP) 編曲:キョータ(スコアP)・tatsuo 唄:初音ミク 曲紹介 ギターをtatsuo氏、動画をモモイロ氏が担当。 歌詞 (PIAPROより転載) またいつも通りの日に戻るだけさ 恐れないで 自分に言い聞かせた 冬が映る 街で二人時を切った 息切らし 君と見た遠い話 忘れないから ねぇ 叶うならばもう一度だけ君と 消えてく記憶の中で触れていたい 明け方沈む君との時間 冬が二人を包み込んでいたあの日のように 僕は君の手を優しく掴んだ 僅かに声がした 錆び付いた午前0時 日が変わって また繰り返していく 三冬月 二人いた場所は次々と形変えて 大切な場所は無常にも消えて無くなってく ねぇ ゆらり揺れてく枯れたこの世界で 大人になれず一人待ち続けた 癒えない 閉ざしてく気持ち 滲んでくこの僕の心はもう壊れてしまった 残酷にもふっていた雨はいつしか止んでいた 君との何もかもがこんなにも この世界をちっぽけにかえていた 気づけなかったんだ ごめんね 思い出した時はいつも遅くて 自分を憎んだ 別れも言えずに君は消えていった ねぇ 君がいなくなってから何年が過ぎ どのくらい経ったのだろう 涙枯れていく また思い出すよ 君の声 コメント 良い -- 名無しさん (2016-04-19 22 15 54) CDで聴いて以来、頭から抜けない -- 雪ミク (2019-04-17 11 57 37) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/vocaloidchly/pages/5220.html
作詞:40㍍P 作曲:40㍍P 編曲:40㍍P 歌:初音ミク 翻譯:ekoloid 雨和柏油路 湧出的淚水 從你掩面的指縫中滑落 落在堅硬的柏油路面後逐漸消失 明明連存在於那的事物 也無法相信 卻緊閉雙眼 對著虛無之物祈求拯救 堅信著重生之日 阻斷了眼裡映照的一切 深深呼吸 如果用這雙手將 遙不可及的現實破壞的話 就能將狠狠撕裂我內心的你的話語 全部遺忘了吧 對著分崩離析的我 毫不留情降下的傾盆大雨 與你的淚水 相互匯集成河水流逝 他人的悲傷 也總有一天 會成為四處徘徊的風 找尋消逝的場所 我呼喊著你的名字 即使是傳達不到的聲音 也祈禱著 總有一天那雙手能愛著誰 總有一天那雙手能守護著誰 是無以數計的偶然 與無以數計的必然 分裂了你我之間的存在 給予了等量的孤獨 如果用這雙手將 遙不可及的現實破壞的話 就能將狠狠撕裂我內心的你的話語 全部遺忘了吧 就算用這雙手 將遙不可及的現實破壞 也永遠不會忘記你給我的最後一句話
https://w.atwiki.jp/rm96/pages/198.html
真っ暗な部屋の中、ミキは25回目の寝返りを打ってため息をついた。 カチコチと秒針の音がやけに耳をつく。 リカはミキに腕枕をしたまま、穏やかに胸を上下させて規則正しい呼吸を繰りかえしている。 ミキはそっと頭を上げてリカの腕を体の横に置くと、毛布を引き上げて裸の肩を隠して、ごろりと体を横に向けてリカの横顔をじっと見つめた。 カチ、カチ…。 けだるい体。いつもならそのままぬくもりにすべてを満たされて寝入ってしまえるのに、今日に限ってはそれができなかった。 ザァ…とカーテン越し、窓の向こうから強い雨の音。 なんだって今日はこんなに憂鬱な気分にさせられるのか、ミキはまたため息を吐く。 「ミキちゃん?」 リカは向かい合うように体を横に向けた。 「…起こした?」 「ううん。起きてた」 「…ずっと?」 「うん」 惑いのない肯定と同時に、そっとミキの体がリカの腕に包まれる。 ミキは目を閉じて、そのあたたかさにしがみついた。 「どうして?」 「わかんない」 揃えた指先がゆっくりと前髪をかきあげて、額に舞い降りたキス。 腕の中でミキはまため息を吐いた。 ミキの髪をゆっくりとリカの指が梳いていく。なだめるように、落ち着かせるように、やわらかく、そして、やさしく。 「明日…仕事だよね」 「うん」 「だったら…少し寝ないと…」 「うん…」 緩やかな心臓の音。 直に触れ合う肌のあたたかさとカラダのやわらかさ。 目を閉じてみたけど、それでも眠れそうにはなかった。 「わかってるんだけど…ね」 「……」 リカは抱きしめる腕に力を込めた。 ザァ…。 弾ける音。 激しく踊り狂うように乱雑なビートを刻んで地面を跳ねる雨。 リカは体を起こすとカーテンを開けた。 わずかばかり明るくなった部屋。藍色に染め上げられた壁や床にうっすらと影が描き出される。 「雨…すごいね」 「うん…」 暗闇に目が慣れたミキの瞳に映るリカの素肌。 部屋を満たす温い空気に晒された乳房に向かってミキは右手を這わせた。 「…ミキちゃん」 指先が乳房に触れたところで、リカがしっかりと手を捕まえる。 手を捕らえられたミキのさびしげな瞳。 「…眠れない?」 「うん…」 トトトトン…。 トトトトン…。 雨粒が窓を弾く。 薄明かりの中、時計の針の位置を探ってみたけれど、結局はよくわからない。 リカはふぅ…と大きく肩を揺らした。 「シャワー、浴びてきていいかな?」 「やだ」 するっと体に巻きつく腕。そのままぐっと引き寄せられて覆いかぶさるように倒れる体を支えようと、リカはミキの頭の横に慌てて手を突いた。 ミキがまっすぐに自分を見つめているのがわかる。 「ミキちゃん…?」 「…いいから……」 吐息交じりの呟きは艶よりもせつなさに溢れていて、艶かしく頬を包み込んだ手のぬくもりがチクリと胸を突いた。 戸惑いと愛しさと、悲しみと…。 「…」 リカはゆっくりと体を沈めた。 この指先にどれだけの想いを込めてあなたを愛したら、抱えたその悲しみは癒えるのだろう? 暗がりの中、指先で、唇で感じる火照った肌。 悩ましげな声が耳をかすめて、その度に胸が痛む。 あなたが望むとおりに壊してあげることができたなら…。 口付けは熱を帯び、虚しい考えを頭の中から捨て去った。 あなたの望むとおりにすべてをあげる。 余韻の中を漂うミキを包み込むリカ。 ミキはそっと背中に腕を回すと、肩甲骨の辺りをツーッと指先でなぞった。 「…っ」 リカが痛みにくっと少しだけ顔をしかめた。 指先に触れた傷。舐めたら血の味がした。 「リカちゃん…」 微笑んで触れる程度に口付けるリカ。 目を逸らすミキ。 「大丈夫。気にしないで。痛くないから」 「でも…」 「ちょっと油断しただけ」 そう言って起き上がると、リカは暗闇に向かって呟いた。 「もっと…深くてもいいくらい」 「…」 「シャワー、浴びてくるね」 リカは起き上がるとベッドから抜け出して床に落としたTシャツを拾った。 その腕をミキが掴む。 「来る?」 「…うん」 のそっと起き上がると、リカからTシャツを受け取った。 * 流れ出る湯の勢いが肌に心地いい。 地べたを這うような不安を抱きながら愛し合ってまとわりついた汗を洗い流す。 気分を変えたいとリカは思っていた。 ミキはぼんやりとうつむいたまま、なんとなくザーッと音を立てて降り注ぐ湯に打たれている。 勢いに押されて抱いた。 見上げる瞳はどこまでも灰色で、そこに自分の姿を必死になって探していた。 衝動に任せて抱かせた。 覗きこむ瞳は不安に震えていて、その姿が愛しくて何もかもを受け入れた。 熱い湯に打たれて乾ききれていない傷口に触れた唇。 後ろから腕ごと強く抱きしめられて、リカは突っ立ったまましなやかな肢体にいたずらに湯を滑らせていた。 「ミキ…?」 くるりと体の向きを変えられ、顔を上げたと同時に唇を押し付けられた。 ミキは強引に舌を割り込ませると、むさぼるようにキスに溺れた。 ザーッ…。 慌しく足元で弾ける水滴。 背中に感じるタイルの冷たさ。 体を伝っていく幾筋もの湯。 熱気と激しさと…。 眩暈がしそうな口付けは、軋んだ胸には痛いだけだった。 * 寝室にほのかに照らす通りの向こうの街灯のわずかな明かり。 窓を叩く雨の音。 ベッドに上がってなんとなくミキは膝を抱えて顔をうずめた。 2年か…。 それが早いのか、それとも長いのか。 今更のようにのしかかった悲しみに戸惑った。 そして、たぶん、あの日もリカもそうだったのだろうと、なんとなく思った。 キィ…。 ドアが開いてリカが入ってきた。 カランと何か涼やかな音を伴ってベッドに上がると、ミキの隣に腰を下ろした。 「はい」 顔を上げると、暗がりの中でぼんやりと光を受けるロック・グラス。 手にすると、シャワーの湯で火照った手のひらによく冷えたグラスと水滴が気持ちよかった。 「…リカちゃん?」 「少しは眠くなるかもよ」 色まではよくわからないが、たぶんリカのことだからウィスキーだろう。 一口含むと、氷できりっと冷えたほろ苦い液体がじわりと熱を引き連れてのどを通り過ぎていった。 気分のせいだろうか、不思議といつもよりは苦く感じなかった。むしろあっさりしすぎるくらいだ。 「どう?」 「うん…」 差し出されたグラスを受け取って、リカも一口飲んでみる。 「うん。いい感じ。初めて上手く行ったみたい」 1:2。この微妙な加減を失敗してどうしても強めに作ってしまうリカ。そのせいかミキはまずいとは言わないながらも、あっけなく酔いつぶれてしまう。 「うまいもんだね…」 「でしょ」 グラスをミキに渡す。 受け取って煽るように流し込めばのどに焼け付くような刺激。 ふっと吐き出した息は奥にほのかな甘さを隠したまろやかな香ばしさ。 ミキは抱えてた足を崩して胡坐をかくと、壁に寄りかかった。 カチ、カチ、カチ…。 なんとなく暗闇を見つめて、なんとなくカラ…とグラスを揺らす。 リカもただ無言で暗闇を見つめたまま。 あの日もこんな風に雨だった。 「2年経つんだね」 「うん…」 カラ…と氷がグラスに当たる。 霊安室にはすすり泣く声と喚く声。 拳を床に打ち付ける人。 冷たくなった体にすがって泣き叫ぶ人。 家族。恋人。友達。 何の前触れもなく、何ら大した理由もなく奪われた134人の命。 負傷者が300人あまりにも上った列車爆破事件。 軍付属の病院の霊安室を満たす悲嘆と憎悪。 外は激しい雨。 涙雨だというには少しばかり乱暴すぎる土砂降りの雨だった。 ぐっとのどが動いて、カランとグラスが泣いた。 ふっと息をつくミキ。 「リカちゃん…」 「ん?」 「飲まないの?」 ミキが軽くグラスを掲げる。 「ううん。いいよ」 淡い光に浮かびがる小さな微笑。 ミキは胡坐をかいたままずいっと体を寄せると、肩に腕を回してぐいっと引き寄せた。 「ん? なにぃ。ミキ様の酒が飲めないってか?」 「ちょっとぉ? ミキちゃん?」 鼻をつくウィスキー独特の煙ったい甘さ。 ふふ…と、ミキは笑った。 「で? どうなの?」 「どうなの…って…」 自分もさっき一口飲んでるわけだから、まぁ、酒臭くないではない。 暗がりの中、至近距離で顔を覗きこむミキの目をじっと見ると、どうやら焦点があってないわけではなさそうだ。 「じゃあ、いただきます」 「うん」 グラスの中でだいぶ小さくなった氷がぶつかり合う。 ミキは一口含んで、ついとリカの顎に手を掛けた。 口移しで飲まされた水割りは、やけに苦かった。 黙々と身元確認作業を手伝うユウコの貼り付けたような無表情。 激しく慟哭するミキに戸惑うアヤ。 たぶん、後にも先にもあれだけ泣き喚いたことなんてなかった。 灰色の、なんにも映してないような瞳。 やさしい微笑み。 涙に霞む視界の向こうに見えた泣き出しそうなリカの背中。 零れたため息。 雨は相変わらず乱暴に窓を叩いている。 「リカちゃん」 「ん?」 「まだ…気にしてる?」 「…」 うつむいてわずかに顔を背けるリカ。 「そっか…」 「……」 「ねぇ、リカちゃん」 リカが顔を上げると、ミキはとん…と、Tシャツに隠れたリカの胸の上に手を置いた。 「ここだから」 ミキの手のひらに伝わるたしかな鼓動の音。 「ここが…ミキの居場所だから」 両親はもう雲の上。 他愛もない理由。要するにそれは気に入らないっていう、たったそれだけのこと。 そのせいでどこの誰ともつかぬ輩に大勢の人たちが吹っ飛ばされた。 たとえ血の繋がらない親子だったとしても、かけがえのない存在。 「たしかに傷ついたけど……」 きゅっとシャツを握り締める。 「ミキは……よかったと…思ってる」 この先、あの時のように泣くことはあるのだろうか? これから先、あの日のように怒りをぶつけることはあるんだろうか? たった一言で解き放たれた怒りと悲しみ。 そっと、リカは胸に置かれた握り拳を包み込んだ。 その手を繋いで、ミキはリカの胸に頭を預けた。 「…そばに…いさせて」 消え入るような呟き。 リカは慈しむように胸に置かれたミキの頭を抱き寄せて頬を寄せた。 「そばに…いてくれるんでしょ?」 コクリとうなずいた。 ただでさえ小柄な体が藍色の部屋の中ではよりいっそう小さく見えて、ぴったりとくっついた身体はずっと頼りなく思えた。 月日はいつか、こんな風に思っていたことを笑い話に変えてしまうのだろうか。 仲間がいて、戦って、傷ついて、誰かを殺めて、誰かを守って…。 そして失って、なにがまともか見失いかけて、それでも戦って、なのに誰も守れなくて…。 大切な人達はあっけなく消え去った。 残ったのは悲しみと、やり場のない怒り。 無力だと知った。 何で戦うの? そこに意味はあるの? それだけのチカラが私にはあるの? 守るものは何? 敵は誰? なぜ、ここにいるの? 月日はいつか、こんなキモチも遠い彼方の青い空の中へと消してしまうのだろうか。 戦場はいつだって青空で、平穏だったあの日々も空は青かった。 悲しい思い出もこんな雨に流して消してしまえるのなら、どんなに楽に生きて行けることだろう。 だけどそれが正しいとは、誰も言わない。 ザァ…。 トン、トトン。 たぶん、明日も一日中雨だろう。 「もう…泣いて…いいんだよ」 やわらかいぬくもりに包まれて、ふわりと囁いた言葉はミキの瞳に涙を溢れさせるには充分だった。 そっとミキの手から消えかかった氷の浮かぶグラスを取り上げる。 「…っ…くっ……ぅ…」 ぎゅうっとリカの胸に顔をうずめて小刻みに震えるミキの肩。零れ落ちた嗚咽。 薄まって少しぬるくなった水割りを一気にのどに流し込むと、リカはグラスを窓辺においてゆっくりとミキの背中をさすった。 「悲しい時は……泣いたほうがいいんだよ…」 トン、トトン。 トン、トトン。 まだ、雨は止まない。 * 空が白む頃には、雨の勢いは少しだけやわらかくなっていた。 それでも空一面にはライトグレーの雲。 雨は小気味よく路面を叩き、水溜りに幾重もの波紋を描いている。 赤いミニが小さな喫茶店の前に止まった。 「いいの?」 「うん」 少しだけ腫れた目元で、ミキはいつものように明るく笑って見せた。 それが強がりなのか、そうじゃないのか。 不安げに見つめて、リカはやれやれとため息をついた。 「ホントに? 平気?」 「平気だってば」 「うーん…」 「それにね、今日みたいな雨の日じゃなくって…晴れた日がいいんだ」 「…」 「だから、ほら! 次にミキとリカちゃんが一緒の休みの日」 「あぁ。明後日?」 「うん。新聞見たら晴れそうじゃん。だからその日に…ね」 まっすぐに見つめる瞳は穏やかで、向けられた笑顔に無駄な力はなかった。 いつもの彼女がそこにいて、リカはいくつか小さくうなずいた。 「わかった。じゃあ、明後日は早起きしないとね」 「うん」 ミキはカバンを肩にかけると、シートベルトを外した。 「じゃあ、行ってくるね」 「うん」 それとなく互いの顔が近づいて、重なる唇。 「頑張ってね」 「ありがと」 「終わる頃になったら迎えに来るね」 「うん。じゃあ…」 と、言いかけて、ミキは思い出したように言った。 「ねえ、コーヒー飲んでいきなよ」 「えぇ? あー。でも…悪くない?」 「何で? 何気ぃ使ってんのよ。常連のくせに。あっ。それともミキ様のコーヒーが飲めないとか?」 ミキがクスクスッと笑って、ぬっと顔を近づける。 ちらりと横目で窺うと、その唇にキスをして、リカはギアから手を離してキー回した。 低く唸っていたエンジン音が止み、震えていたミニがぴたりと動きを止めた。 カランカラン。 喫茶店のドアのベルが軽やかに鳴り響く。 漂ってくる香ばしいコーヒーの香り。 通りの向こうに見えたアジサイの鮮やかな青紫。 雨に弾かれて揺れる大きな葉。 朝の雨の中をすずめたちがいずこへと飛んでいく。 西の方から感じる太陽の光の面影は、この雨がもういくらも続かないことを予感させていた。 (2004/6/11)