約 4,030 件
https://w.atwiki.jp/vip4u/pages/20.html
9月1日 20 00~ 優勝は 「赤軍」でした! おめでとさん! 録画から試合の模様を見ることができます。 41分くらいから こちら ※最初のほう音量調整ミスっているので注意 #ustream2 参加者一覧 あか 名前or称号 使用キャラ 段位/PSR アケPSR ランクマッチ勝利数 【大将】ガチムチワンチャンアリーナ 完二 九段/821 708 100 メティスとにゃんにゃん アイギス 九段/747 - 100 揚げパン揚げパン揚げパン 真田 八段/770 620 100 あなたがぱんちです シャビリス 八段/760 600~700 100 脈打ってる真夜中の山岸風花 美鶴 七段/780 650 100 これが蒼の力 エリザベス 八段/475 - 77 玉玉ダブルアップ ラビリス 七段/662 - 89 絶望を希望 鳴上 八段/693 - 100 汚いおじさん→ 千枝 七段/591 0 86 鮮血に染まる奇跡のビンタ 直斗 六段/717 520 100 R B72 クマ 六段/675 512 100 ワンチャン二連牙はじめました 直斗 六段/663 500 100 りせちー水着とっときな 直斗 六段/586 570 92 心か 真田 七段/636 - 100 干からびた肉天使 千枝 四段/302 560 42 SEX☆ クマ 六段/608 - 100 魔女探偵菜々子ラブリーン 完二 三段/617 550 85 入試レベル現代文 美鶴 五段/603 100 100 肉丼倍盛り逝ってきます エリザベス 四段/630 72 100 僕は負け組っす 鳴上 四段/620 - 100 ハイカラオサレガール 千枝 三段/534 - 100 エブリデイメガネっ娘ペロペロ 陽介 三段/580 100 100 カエサルガチンコ勝負! 真田 二段/468 - 79 ドトールコーヒー シャビリス 初級/0 - 0 サド幼女 完二 二段/508 - 80 昇竜擦るセットプレイ 鳴上 五段/400 - 100 ジュネスくん廊下に立ってろ! 陽介 初段/269 - 50 ヒット確信おねがいジオダイン 鳴上 初段/489 - 100 淫欲委員長アイギス ラビリス 初段/451 - 100 ストレスでマッハ クマ 二段/161 - 31 堂島菜々子鮮血に染まるファースト 陽介 初段/80 27 80 しろ 名前or称号 使用キャラ 段位/PSR アケPSR ランクマッチ勝利数 【大将】菜々子怒りの高校デビュー アイギス 九段/772 570 100 満月のオンギョウキ 真田 八段/777 6 100 低年齢見てからいきり立つ クマ 八段/760 650 100 伏見千尋×オレサマ 真田 八段/741 602 100 エリザベスのエナジーシャワー 千枝 七段/774 630 100 いきり立つ田中社長いやらし系 直斗 六段/570台 0 70台 ポジティブブレイク(涙) 陽介 五段/294 - 35 カッ! アイギス 八段/683 490 100 狂気の浮気人妻 ラビリス 七段/677 - 100 ラビリスの保健体育 アイギス 六段/714 5 100 タケミカズチ貴婦人の雄叫び 完二 六段/450 570 67 画面見ない主義 鳴上 六段/656 500くらい 100 シャドウ生徒会会長 シャビリス 五段/679 289 100 怒るお出迎えおじさん 完二 五段/674 460 花より便所飯 陽介 五段/659 - 100 りせくんか 陽介 五段/640 100 アリアドネ→↑ ラビリス 三段/700 472 100 愛家のお姉ちゃんペロペロ アイギス 六段/469 - 84 イザナミだ… 雪子 四段/623 500ちょい 100 それ昇竜? ラビリス 四段/350 - 57 奈々子の白桃の実/// 真田 四段/570 - 100 完二ペロペロ 真田 二段/185 - 31 幼女肉丼ウマソウダナ アイギス 三段/221 450 43 アルカナハートIV ラビリス 初段/588 伏見千尋ハメハメ 真田 四段/446 - 97 甘いナース同好会 千枝 初段/204 - 37 ジュネスの聖なるオッサン 雪子 初段/130 - 24 めっちゃ大きなマーラ アイギス 四段/526 - 100 愛欲の真田ハメ 陽介 三段/387 9 100 キャー!キノコ切った 直斗 六級/48 - 8 ジュネスがぶ飲み愛好会 真田 九級/33 - 5 消費期限の切れた花村 陽介 初級/0 4 0 名前 コメント |
https://w.atwiki.jp/oshitodomero/pages/87.html
スレッド_レス番号 01_467-470 作者 備考 長編,失恋 涙が、あふれてあふれて止まらない。 私は今日、失恋した。 それなりに良い雰囲気で、もしかしたら向こうは、なんて考えていた私は本当にバカみたいだ。 「彼女が出来ました!」と、明るく教えてくれたのが今日。彼に告白しようと思って、一緒にご飯を 食べにいったのが今日。本当にバカみたい、バカみたい。「一番に先輩に報告しようと思って」って 何? 結局、空回りしている私が残っただけだ。 少し落ち着いたかなと思うと、また涙があふれてくる。 それはきっと、私の髪を撫でてくれているこの人のせいだ。 幼馴染というんだろうか。佐伯陽介。7つ年上の彼とは、家が近所だった。親同士はともかく、 私と彼はそんなに仲が良い訳ではなかった。悪い訳でもないけれど。彼と、私の兄がよくつるんで いたせいかもしれない。私が高校に上がったくらいから、よく話すようになったと思う。今では社会人 と大学生だ。私は未だ自宅から学校に通っているが、陽介は就職と同時に、実家からそんなには 離れていない所で一人暮らしを始めた。時々、彼のお母さんと一緒に部屋にお邪魔する事もあった。 後輩に告白する事もなく失恋した帰り、駅に向かう途中で洋介と会った。 そこからはあまり覚えていない。彼が笑顔で声をかけてきて、何だか泣けてきたのだ。 そして今、陽介の部屋にいる。 「落ち着いたか?」 やはり髪を撫でながら言う。私は無言のまま頷いた。 「……突然ごめんなさい…」 泣きじゃくった挙句、今回の失恋から過去の失恋まで語ってしまった。頭が冷静になるにつれ、 恥ずかしさがこみあげてくる。もちろん、申し訳なさも。 「いいって。さすがに道端で泣かれた時は焦ったけどな。 周りの、女の子泣かしてやんのオーラが怖いのなんの」 そういうふうに言ってくれる彼の優しさがありがたかった。いつも、これに救われる。 頭の上に、ぽんっと手が置かれる。 あたたかい、大きな手。 昔にも、同じ事を思った。 「大丈夫、お前かわいいんだから、そのうち良い男出来るって。大体、まだ二十歳だろ?」 そうやって笑う、その顔が安心する。 昔から、この笑顔が好きだった。 「…じゃあ……」 「ん?」 「私とエッチできる?」 さらりと口にしてしまった自分に驚く。向こうも、ぽかんとしている。仕方がない。 でも、ずっと聞いてみたかった事でもあるのだ。 ずいぶん間があって、陽介が口を開いた。 「……うー…ちょっと無理」 「ほら、無理なんじゃない……っ」 急に鼻の奥がツンとして、また泣いてしまいそうなのをこらえる。聞かなければよかった。 「じゃなくて!お前が無理なんじゃなくて、俺が無理なだけで!ああもう泣くなって!」 「なんで、無理なの、彼女がいるの…」 「今はいねぇけど!…大樹、お前の兄貴に申し訳ないってか…」 「お兄ちゃんは関係ない!」 「……つうか……お前、…処女だろ?だったら好きな」 「だって、私はしたいもん」 「私は陽介としたいの」 はっきりと口に出してしまうと、何だか気が楽になった。でも、きっと彼を困らせてしまっている。 顔が見れなくてうつむいていると、私は陽介に抱きしめられていた。 「失恋したからって、ヤケになんな」 ああ、やっぱりそう取られてしまうんだ。 「ヤケになんか、なってない」 「だったら好きな男としろよ、こんなんで簡単にやんなよ」 ああ本当にバカみたい、バカみたい。 何にもわかってない。 あなたがちっとも振り向いてくれないから! 今まで好きになった人は、どこか彼に似ていた人ばかりだった。陽介を重ね合わせているのは自分 でもわかっていたけれど、でもちゃんと好きだった。だから失恋して、こんなに傷つくのだ。 それでも陽介は特別だった。別格だった。でもわかっていた。私に望みなどあるはずがないと。 「簡単じゃなかったらいいの?陽介、私の事軽蔑した?」 また涙声になっている自分が嫌だった。まるで泣き落としみたいだ。 「…正直な所、この体勢だし、お前めちゃくちゃかわいいし、こんな状況じゃなかったらやりてぇよ」 少しおちゃらけて言ってくれる。 「ま、もうちょっと分別のあるオトナになってからなー」 また笑顔。好き。 でもその笑顔を見ると、私の心がツキリと痛む。 「…泊まってもいい?」 明日も仕事だろう。迷惑なのはわかっていたけれど、少しでも離れたくなかった。 陽介はオッケーと応えながら頭を撫でた。 「一緒に寝てもいい?」 「ベッドから落ちんなよ」 さっきまでの空気はもうなくなっていた。 いつもみたいな会話に戻ってしまった。それは安堵すると同時に、悲しくもあった。 いつか、いつか、いつか。 そう思っていたけれど、そのいつかはいつなんだろう。 私はまた、不毛な恋を繰り返すかもしれない。 繰り返したくなかったから、あんな事を言ってしまったのだと思う。 でも、壊してしまった。きっと壊してしまった。 私は今日、失恋したのだ。 戻る スレッド別 / 作者別 / シリーズ別 バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、メールでお問い合わせください。
https://w.atwiki.jp/game_rowa/pages/159.html
← (勝った……のか……?) 思いもよらぬシルバーオーブの効力に惚けていたクラウドは次の瞬間には正気に戻る。 見下ろせば、敵が倒れていた。 否定しなくてはならない、自分の敵。その生殺与奪を、たった今クラウドは握っている。 如月千早とは違う、明確に実力を持つ者。必ずや自分の優勝を阻む敵として立ち塞がる陽介を、生かしておける理由など存在しない。それなのに、何かが心の中に引っかかっていた。 (……コイツは敵だ。自分の願いのため、そして信念のため、排除しなくてはならない。) 殺すのならば、勝たなくてはならない。さもなくばこれまで殺してきたことの意味が失われてしまうから。 だが、たった今自分は負けかけていた。シルバーオーブという、最初から支給されていたものではない、運良く拾えたに過ぎない要素がなければ完全に敗北していた。そんな俺が本当に、これからも勝ち続けられるのか? 首を横に振って、己のネガティブ感情を抑え込む。どの道レオナールと天城雪子を殺した自分には、もう後戻りの余地など残っていないのだ。黒い感情を可視的に映し出していたグランドリオンが手元に無いというだけで、これほどまでに迷いが生まれるものなのか。 見回せば、落としたグランドリオンは探すまでもなく見つかった。陽介にトドメをさすための武器として回収に向かう。 「俺……だってなぁ……」 クラウドが魔剣を拾い上げる、ほんの一瞬。クラウドの注意はそちらに逸れた。 「負ける……わけには……いかねえんだよ……!」 声と物音に、反射的に振り返る。しかし、遅い。すでにクラウドの視界いっぱいに陽介の拳が主張していた。 顔面に、精一杯の拳が突き刺さる。いかなる武具であろうとも、いかなる能力であろうとも、シンプルさという土俵で右に出るものはない、単純明快な暴力。それ故に、クラウドは最も警戒が遅れてしまった。 アルカナを顕現させて割るという、ペルソナを発動する一連の流れを取らせる隙までもを陽介に与えたわけではない。ホメロスやジャローダが動き出す可能性も考えれば、陽介といういちペルソナ使いに割く注意力のリソースとしては合理的で、かつ充分だったはずだ。けれども、その合理性のみでは説明できないほどに、陽介自らが殴りに来るという可能性が完全に抜け落ちていた。 天城雪子の強さを目の当たりにしたクラウドは、無意識にペルソナという能力に対する恐れ――あるいは畏れを、抱いていた。花村陽介よりも、ペルソナであるジライヤへの警戒が先行していた。敢えて名前をつけるのなら、それは死してなお己の居場所だった者たちを守り続けようとする、天城雪子の亡霊。 唐突に振るわれた拳に、グランドリオンを拾い切ることが出来ない。カランと音を立てて地に落ちた剣の行方を気にする暇もなく、第二撃がクラウドの顔面を打ち据える。二度では終わらず、三度、四度。 「ぐっ……!ㅤいい加減に……」 陽介の殴打は止まず、クラウドは一旦グランドリオンの回収を諦める。シルバースパークの際に龍神丸を落としており、陽介も素手。それならば条件は同じだ。 「……しろッ!」 まるでバーサク状態のようにただ無心でクラウドを殴り付ける陽介。そのような相手と1VS1で闘う場合、防御は無意味だ。クラウドが打てる手はひとつだった。同じく本能のままに、反撃の拳を突き出すことのみ。 ――ガッ! 陽介の顔面にも、クラウドの拳が突き刺さる。それでも一歩も引くことなく、更に拳を突き出し、応戦を選んだ以上はもう引く選択肢の無いクラウドも後に続く。互いに互いの拳を防ぐ術は無く、いつの間にか殺し合いは、殴り合いへと形を変えていた。 業物は用いられておらずとも、一切の躊躇無く振り抜かれる拳は、互いの意識を――そして命を、着実に削り取っていく。両者ともにすでに気を失っていてもおかしくないほどのダメージを負って、それでもなお、もはや無意識で相手に殴りかかっていた。それはまるで、殴るのを辞めてしまえばもう二度と立ち上がれなくなるかのように。 殴り、殴られ。それを繰り返している中で、次第に痛みというものが消えていく。目に映る景色も、現実のものではなくなっていく。 ■ ――もし、走馬灯とやらを見るのなら。そこに在るのは大好きな人の姿であって欲しかった。 いや、そんな資格もないか。俺は小西先輩の本心、聞いちまったんだから。 それでも、出来れば良い思い出を見たかった。百歩譲って、悪い思い出だったとしても最期に見れれば良い思い出に変わるかもしれない。 何にせよ、最期に見るのが全く覚えのない景色であるとは、まったく思わなかったものだ。 まるで海底のように蒼く澄み渡った空間の中、ただ静かに時間だけが流れていく。辺りを照らし出す光は、太陽よりも暖かく自分を包み込んでくれているように思えた。この風景を敢えて言い表すのならば、幻想的とでも言ったところか。天上楽土にも似たその雰囲気からは、すでに俺が天国にいるのかとすら思ってしまう――ただ一つ、天国に似つかわしくない光景を除いて。 それは、終わりの光景だった。天から降り立った男に、ひとりの少女が背後から胸を貫かれ、その命を散らす瞬間だった。胸から咲いた刀は流れるようにスルスルと抜けていき、飛び散った紅い鮮血が景色を上塗りしていく。 気が付くと周りの風景は変わり、物語が進行していく。程なくして、これはクラウドの見てきた世界なのだと気付いた。ホメロスの過去にも勇者だとか魔王だとか、半信半疑なワードがいっぱい出てきたが、それにも負けず劣らずのファンタジーの世界を、陽介は見た。 殺し合いの世界にいる奴らは本当に、自分とは異なる世界を生きてきたのだと実感せずには居られなかった。 しかし物語が幾ら進行していっても、まるで瞼の裏に貼り付けられているかのように、あの瞬間が離れない。仲間と共に星を救っても、ずっとあの光景に苦しめられ続けている。 (アンタも、こういうタチなのかよ……。) 思い出したのは、『彼』のためと称して自分に刃を向けたミファー。想い人のために、何ができるか。その結果が殺人に向いてしまうのは、許してはいけないことなんだと思う。 だけど、この気持ちだけは尊重しなくてはならないものなのだと、ふと俺はそう思った。 (まだ、終わっていられない……。そうだよな。) ■ 陽介とクラウド。 二人の意識が現実へと引き戻された。 クラウドの体内に残るジェノバ細胞の見せた、幻想のように淡い夢。陽介にはクラウドの記憶が、そしてクラウドには陽介の記憶が見えていた。それは幻想でありながら、しかし相手にとっては紛れもない真実でもあった。 殴り合い、そして殺し合う現実もまだ終わっていない。目が醒めたのなら、次の行動は決まっていた。 崩れ落ちた身体を持ち上げ、よろよろと敵を見据える。ペルソナを顕現させる体力も、ザックの中から道具を取り出す労力も惜しい。あと一発、ただ相手の顔面にぶちかましてやれればいい。両者ともに、それを本能が理解していた。この結末に、小細工は要らぬと。 「……お前は、俺の理想だった。」 陽介は、想起する。何も無い田舎町。大型スーパーの店長の息子として商店街の人たちから疎まれながら生きる、灰色の日々。特別な何かになることはできず、世界は自分以外の何かを中心に回っている。 「好きな人のために闘うヒーロー、そういうのにずっと憧れてたよ。」 何かになりたかった。 自己の存在に意味を与えられる、何かに。 「いや、それだけじゃねえ。」 追体験したクラウドの記憶。悲しみも苦しみも、数えきれないほど流れ込んできて、決して幸福な物語とは言えないものだったけれど。 だけど、それでもクラウドは主人公だった。 誰かの物語の脇役ではなく、紛れもなく自分の物語の中を生きていた。そう感じた時に芽生えたこの気持ちは、言うなれば鳴上悠に向けるものと同じものだ。劣等感、或いは羨望。 「お前は星を救った英雄で、皆の中心で……"特別"だった。」 ここまでぶつかってきた相手の過去を知り、憧憬を覚えた。たったそれだけの話だ。クラウドが敵であることも、和解の道などとうに絶たれていることも、何も変わっていない。 「俺はお前が、羨ましいと思ったんだ。」 だけど、たったそれだけが陽介を立ち上がらせる。 悠と同じものをクラウドに感じ取った。その上で負けて、一矢報いることもできずに死んだのなら。俺はきっと、二度と悠を相棒とは呼べない。もう、アイツの背中を追いかけるだけの、アイツを見上げているだけの俺でいたくないんだ。 立ち上がれ。クラウドが立ち上がる限り、何度でも。アイツと対等な俺であるために、こんな感情なんかに負けるな。 ただその一心で、陽介は前に進む。 「違うッ!」 そんな陽介の叫びを、クラウドは真っ向から否定した。陽介の言葉への苛立ちを隠せないほど、感情的な一言だった。その裏にある想いは、ただ一つ。 「俺の在りたい姿こそ、お前だったんだ……!」 大切な人の喪失。その事象のみを語れば、エアリスを失ったクラウドと小西早紀を失った陽介の間に大きな差はありはしない。 だけど、陽介はその喪失を糧に前を向いていた。己の弱さを受け入れ、灰色の世界を脱却した。それは、クラウドには成せなかった境地。仮にエアリスの死を前に進む契機とすることが出来たなら、目の前に広がる景色は何色だっただろう。 だからこそ、陽介が羨ましく思えて――だからこそ負けられないとも思った。仲間を殺してでも望む世界を掴み取る己の選択を、幻想と吐き捨てた陽介。お前ごときに俺が分かるものかと否定しなくてはならないのに、彼もまた同じ境遇に立っているのだと知ってしまった。もはや陽介を棄却するには、殺すしか残っていないのだ。それほどまでに、陽介の生き方は正しいのだ。それなのに、何故お前は羨望の眼を向ける。灰色の世界を生きることしかできない俺を、何故お前が見上げているんだ。 「俺とお前の、何が違った!ㅤ何故、お前は前に進めるんだ!」 互いが互いへ向けた感情と共に、両者の拳が振り抜かれる。直後に響くは、これまでのどの闘いよりも鋭い打撃音。一瞬の交錯の中で僅かに早く、クラウドの右ストレートが陽介の顔面へと炸裂した。 相手に向けた感情が、羨望という属性を同じくするものであるならば、この勝負を決定する要因はたった一つ、積み上げてきた経験値のみである。 今年度に入り、初めて闘いというものを意識した陽介。それに対し、数年前から新羅兵として実戦経験を少なからず積み、不意打ちであったとはいえ伝説のソルジャー、セフィロスと刺し違えるだけの才能も見せたクラウド。雪子がいのちのたまを用いなくては上回ることが出来なかったように、基礎能力が根本的に違うのだ。 ――それでもただ一つ、その差を埋めるものがあるならば。 (まだ……倒れるもんか……!) ――それは或いは、"特別"な繋がり。 渾身の一撃が入っても、まだ陽介は倒れない。意識が消え去るギリギリで"食いしばる"。 「――教えてやるよ。俺と、お前の違いってやつ。」 大地を強く踏みしめてクラウドと目の高さを同じくし、そして返しの一撃を見舞う。全身全霊を込めたその一撃は外れるはずもなく、その衝撃にクラウドはゆっくりと倒れ込んでいく。 とっくに答えには辿り着いていた。俺だって、すでに誰かの"特別"なんだと。 「お前は、たった一人の特別にしか目を向けて来なかった。お前の周りには、たくさん人がいたはずなのに。」 里中も、天城も、クマも、完二も、りせも、直斗も、そして――相棒も。俺にとっては皆が特別で、その代わりなんざ誰にも務まらない。だったらその逆もまた然り、俺の立ち位置だって誰にも譲ってはやれねえ。 「お前にはできたはずなんだ。仲間にとってのお前は特別だったんだから。」 記憶の中のクラウドだって、周りにはエアリスだけじゃない。たくさん、人が集まっていたはずなのに。クラウドは気付けなかった。周りを"特別"だと、思っていなかった。それがただひとつ、クラウドの敗因だった。 (そう、か。) ジェノバ細胞が読み取った陽介の記憶が蘇ってくる。元々灰色だった日常を僅かに彩っていた想い人を亡くした陽介の世界を、明るいものにしたのは何だったのか。陽介は、常にある男の背中を見ていた。その背に、手は届かない。だけどその背が、陽介を前へ前へと導いてくれていたのなら。 (――俺、ソルジャーになりたいんだ。セフィロスみたいな最高のソルジャーに。) すべての始まりとなった、七年前の約束。前を向ける気持ちは、間違いなく俺の中にあったのだ。 それを思い出したクラウドは、霞む意識の中、そっと笑ったような気がした。 ■ 気がつくと、真っ暗な世界の中にいた。 前はまったく見えず、無限に広がっているようにすら思えてしまうほどの、果てしない世界。 一つだけ分かることは、その世界には血の匂いばかりが充満しているということ。鼻の奥に直接響いてくるような刺激が喉まで焼き尽くしてしまいそうなほどに熱く、きっとこの延長上に地獄の苦しみとやらがあるのだろうとすら思えた。 何故か、理解していた。これは俺の殺してきた者たちの全員分の血なのだと。 これは呪いか、それとも罰か。どちらにしても、この血は一生俺を捉えて離さないのだろう。万単位の人々を殺してきた俺にはお似合いの末路というもの。死後の安寧への期待など、とうに捨て去っていた。このままこの世界で終わりも見えないまま苦しみ続けるのなら、それでも構わない。それが、自分の罪の代償であるのなら。 『ようやく自覚したのか?』 暗闇の先に、一人の人影が照らし出される。 金色の髪、そして特徴的な黒の戦闘服。ぼんやりとしたその影は、俺と完全に瓜二つの姿をしていた。 『それはお前が今まで、ずっと目を逸らし続けてきた血だ。』 「……お前は、誰なんだ。」 鏡を見ているような気分に陥りながら、問い掛ける。 『俺か?ㅤ俺はお前だ。そして、お前は俺でもある。』 "クラウド"はそっと、クラウドに手を伸ばす。次の瞬間には、真っ暗だった背景が血の海へと変わる。ドス黒い紅色の中で、前方を見通すことすらできない。肺に流入してくるその血液はクラウドの呼吸を阻害し、その中で溺れかける。 "クラウド"が手を離すと、そんな景色が元に戻った。そしてニヤリと口角を上げながら言葉を紡ぐ。 『見ただろう。お前の心の底には、常にこの世界が広がっていた。切り捨ててきた他者の血で溢れたこの世界。これらは全て、お前の罪の意識の現れなのさ。』 「俺が……罪の意識を?」 『そう。お前は、本当は誰も殺したくなんてなかった。』 「それがどうした。」 くだらないと、クラウドは吐き捨てた。 「猟奇趣味は無い。それでも、星のためにはやむを得ない犠牲だった。」 新羅カンパニーという、最高峰の権力を握っている者たちが相手であったのだ。暴力を伴わない主張など、殊更聞き遂げられることは無かった。それを特に好まずとも、それでも殺さなくてはいけない局面は数多くあったのだ。 『ああ、そうだ。』 対する"クラウド"は静かに、されど荘厳に、口を開いた。 『その理論でお前は多くの犠牲を正当化してきた。』 『全部許された気持ちになってたよなァ?ㅤ一方的に"全部"を奪われた者たちの悲鳴は聞こえないフリ。それを咎める声にも臭いものとして蓋をする。』 『星の危機だからやむを得ない、誰も反対しない、俺は悪くない、と。』 『でも、殺し合いの世界でその"大義名分"は使えなかった。』 『エアリスを生き還らせ、思い出をやり直す。そのために、参加者を皆殺しにする。やむを得ない事情でもなく、誰にも受け入れられず、ただただお前が悪者なだけの願いだ。何なら、蘇らせたい彼女自身までもがそれを望まない性格なのも分かっている。』 「……やめろ。」 『真実を、教えよう。』 「やめろッ!!」 ㅤその言葉に対してピタリ、と"クラウド"は口を止める。そして一呼吸を置いた後、ニヤリと揶揄うような笑みを見せ、再び口を開いた。 『お前は、止めてほしかったんだ。願いを叶える、エアリスとの思い出をやり直すなどと豪語しながら、心の底では自分を負かしてくれる相手を探していたんだ。』 「――違うッ!!」 それは、認めてはいけない事実だった。罪悪感から途中で殺戮を思い留まり、立ち止まること。それ自体は何ら悪性のものではない。しかし、クラウドはすでにレオナールを、天城雪子を。殺していた。その上で願いを諦めるなど、寧ろ彼らへの冒涜だ。なればこそ、立ち止まるのは許されなかった。 しかしながら罪悪感は次第に増していって――逃げ場を失ったクラウドは、無意識的に敗北を求めた。この上なく非合理的でありながら、この上なく人間的な心の動きだ。 「アンタなんか……」 そして――突きつけられた己の本性を認めぬもまた、人間である。 「――アンタなんか、俺じゃないッ!!」 それは、禁句であった。 『クク……ククク……クックック……』 その言葉を受けた"クラウド"から感じる力が、一気に大きくなっていく。グランドリオンに纏われた闇など比較にならない大きさの、負のオーラがクラウドにも伝わってきた。 そして。 「――なぁーんちゃって。」 そのオーラは消滅した。 ㅤ何が起こったか理解する暇もなく。金髪の青年の姿だった"クラウド"は、殺し合いの主催者である金髪の少女、マナへと姿を変えた。 「ペルソナごっこ、似てた?ㅤ似てたよね?ㅤあ、あなたはペルソナとかシャドウとか知らないんだっけ?」 驚愕に目を見開くクラウドに顔を近付け、挑発するような目を向けるマナ。抵抗の意思を見せるも、身体が思うように動かない。 「ああ、無駄よ、無駄無駄。私、実態じゃないもん。あなたがさっき映画館で見た映像にちょっと精神魔法を、ね。」 紅く輝くその瞳が、クラウドの目に映る。クラウドが口を開こうとしても声は出ない。 「それにしても、おっかしい!ㅤあんなにムキになっちゃって。あなたの心の中なんて、ぜーんぶ、お見通しなのにね。」 ㅤクスクスとマナは笑う。不快な笑い声を撒き散らしながら、ゆっくりとクラウドに近付いていく。 「死にたかったんでしょ?ㅤあなたの心、叫んでたもの。殺して!ㅤ私を殺して!ㅤ殺せー!ㅤって。」 声の出ないクラウドは反論も許されず、対するマナの声は野太いものへと次第に変わっていく。 「でもあなたはそれを否定した。じゃあまだまだ止まりたくないってことでいいのよね?」 そして、クラウドの正気すら、次第に失われていった。 「いいわ。物語の続きを見せてあげる。あはっ……あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!」 いつの間にか、マナの笑い声だけが脳内にこだましていた。 ■ 「ホメロス!」 クラウドが倒れて動かなくなったのを確認すると、陽介は大急ぎでホメロスの介抱に向かう。 元々大怪我を負っていたのに加え、さらにあのシルバースパークを受けたのだ。もしかしなくてもすでに死んでいるのでは――戦闘中は意識の外に無理やり追いやっていた考えがどっと押し寄せ、取り留めのない不安へと変わっていた。 (良かった、呼吸はしている……。) まだ予断を許さない状況ではあるものの、現状死んでいないことに気付いた陽介は一安心する。 陽介には知り得ないことであるが、かつてシルバーオーブの力をその身に宿していたホメロスは、雷属性に多少の耐性を持っている。ギリギリでホメロスの命を繋いだのは、たったそれだけの要因だった。 『ディアラマ』 ジライヤが覚える範囲の、なけなしの回復スキルは普段よりも効きが悪い。一刻を争う状況なのは医療に対して素人の陽介にも分かるほどの傷なのに、なかなか治る様子がない。 こんな時に天城がいてくれたら、と、もう叶わない願望が頭の中にチラつく。 「……くそっ。」 やれる限りの回復はやったはずだ。言わずもがな、陽介自身の傷も治療がすぐにでも必要なレベルで深い。ペルソナの酷使による精神力の負担で倒れてしまってもおかしくない。治療に裂けるリソースとしては、すでに潮時であった。 だけど心無しか、ホメロスの呼吸は安定してきたような気がする。生田目に誘拐された菜々子ちゃんのように、意識の回復に時間がかかるのかもしれない。あとは天命を待つばかり、か。 とりあえずは地面に落ちていたグランドリオンを回収し、次にクラウドの死体からザックを回収した。 ザックを開くと、そこには白桃の実、ただひとつのみが入っていた。こんな大物を倒した報酬としてはあまりにも小さいものだ、と肩を竦めながらそれを口に入れる。 「はぁ、疲れた……。」 どさり、と倒れ込む。まだ殺し合いは終わっていない。他の奴らと協力し、マナとウルノーガを倒すという目的には、まだほとんど近付けていない。だけど、天城の仇を討ったこと、それだけは自称特別捜査隊の前進だと思う。だから今は、少し休息を求めても、我儘とは言われない、よな? 「――俺の幻想は、終わった。」 そんな陽介の願望を嘲笑うかのように、死んだはずのクラウドが、スっと立ち上がった。 「なっ……!」 それに気付いた陽介は、ここまでの経緯と、現実として目の前に在る光景のギャップに順応できず、咄嗟の反応が出来なかった。 「――それなら、物語を創り替えてしまえばいい。」 クラウドの肌は生気を感じないほど薄紫色に染まり、腕は獣の如き剛腕へと変わっている。それが人間に起こる現象ではないとさらに明確に示すかの如く、その背に宿した翼によって、クラウドの両の足は宙に浮いている。そして胸には――存在を主張するかのように、シルバーオーブが光り輝いていた。 ㅤクラウドの様子、それひとつをとっても初めてペルソナ能力に覚醒した時に劣らない驚愕ぶりだ。しかしこの時、陽介を驚かせたのはクラウドのみに留まらなかった。 「お前は……!」 「私のジョーカーは、とんだ期待外れだったものでな……。」 ㅤクラウドの背後に、ひとつの影があった。その姿は忘れもしない。この殺し合いの主催者にして現状を招いた元凶の一人。 「ウルノーガ!」 紛れもなく、本物の。魔道士ウルノーガの姿だった。 →
https://w.atwiki.jp/persona-4/pages/31.html
料理 奈々子から「冷蔵庫がギューギュー」の話を聞いたあと、冷蔵庫を開けるとお弁当を作れる(時間経過あり) あまった素材で「魚のエサ」×3入手 お弁当を作った場合、翌日の昼休みにコミュの相手を誘うか、一人で食べるかの選択肢出現。コミュの相手は選択可能 お弁当が一緒に食べた相手にとって好みの味だった場合、表示あり(上昇効果がどれ程のものかは現在のところ不明) 調理日 料理名 作り方 できる物 効果(他人) 効果(自分) 好み 4月25日 豚のしょうが焼き 油に~ 包丁で~ 湯通し 魚のえさ 香ばしい カサカサ ? ♪2 ♪0 ? ? ? ○陽介 ○千枝 5月12日 肉じゃが ふたをせずに~ 強火で~ 落しぶた~ くずれ肉じゃが 魚のえさ ほくほく肉じゃが ♪0 ? ♪2 ? ? 陽介 ○千枝 一条 5月24日 酢豚 片栗粉~ 小麦粉~ 酢で煮詰める つやとろスブタ ? ? ♪2 ? ? ? ? ? 陽介 ○千枝 あい 5月31日 焼肉弁当 砂糖 醤油 酢 砂糖たっぷり焼肉弁当 醤油たっぷり焼肉弁当 魚のえさ5こ 0 ♪2 ? ? ? ? 陽介 ○千枝 雪子 6月8日 カレー 小麦粉 煮詰める 膨らし粉 小麦粉カレー 煮詰めたカレー 魚のえさ5こ ? ♪2 ? ? ? ? ○陽介 千枝 ○一条 ○あい ○綾音 小沢 6月12日 ポテトサラダ マヨネーズと~ ハムと炒める 熱いうちに潰す 魚のえさ5こ ゴロゴロポテトサラダ なめらかポテトサラダ ? ? ♪2 ? ? ? ○雪子 ○結実 陽介 6月30日 ハンバーグ 表面の~ 真ん中を~ 串を刺して ? ? ジューシーハンバーグ ? ? ♪2 ? ? ? ○千枝 長瀬○ ○尚紀 7月6日 大学いも 網で焼く 油で揚げる 酒で煮る ? もっちり大学いも 魚のえさ5こ ? ♪2 ? ? ? ? 千枝 ○雪子 完二 ○一条 ○結実 7月12日 プリン バニラアイス オーデコロン バニラエッセンス でこぼこプリン 魚のえさ5こ なめらかプリン ? ? ♪2 ? ? ? ○完二 ○あい ○綾音 ○結実 7月14日 鶏の竜田揚げ 白玉粉 小麦粉 片栗粉 魚のえさ5こ もっさり竜田揚げ さっくり竜田揚げ ? 0 ♪2 ? ? ? ○陽介 ○雪子 ○一条 9月4日 ごぼうとニンジンのきんぴら 砂糖と塩 味噌と酢 醤油とみりん こんがりきんぴら 魚のえさ5こ てりつやきんぴら ? ? ♪2 ? ? ? ○雪子 ○あい 9月11日 茶巾ずし 笹の葉~ 薄焼き~ 茶の葉~ 緑の茶巾ずし 黄金の茶巾ずし 魚のえさ5こ ? ♪2 ? ? ? ? ○りせ ○綾音 9月21日 ビシソワーズ 水 牛乳 白ワイン さっぱりビシソワーズ コクうまビシソワーズ 魚のえさ5こ ? ♪2 ? ? ? ? ○陽介 ○あい 9月26日 ほうれんそうのゴマ和え ザルに~ ゆっくり~ ゴマと~ さっぱりゴマ和え みずっぽいゴマ和え 魚のえさ5こ ♪2 ? ? ? ? ? ○雪子 ○一条 9月29日 とんかつ 卵、小麦粉、パン粉 小麦粉、パン粉、卵 小麦粉、卵、パン粉 ザックリとんかつ 魚のえさ5こ サクふわとんかつ ? ? ♪2 ? ? ? ○千枝 ○長瀬 10月2日 豚の角煮 みりん・砂糖・料理酒 塩・砂糖・醤油 塩・味噌・料理酒 豚のやわらか角煮 豚のパサパサ角煮 魚のえさ5こ ♪2 ? ? ? ? ? ○完二 10月12日 コロッケ 低温 中温 高温 魚のえさ5こ しっとりコロッケ さくさくコロッケ ? ? ♪2 ? ? ? ○りせ ○千枝 10月25日 焼き魚 遠火の強火 近火の弱火 近火の強火 こんがり焼き魚 ミディアム焼き魚 魚のえさ5個 ♪2 ? ? ? ? ? ○一条 ○結実 ○あい 11月1日 カリフォルニアロール 冷ましながら~ 冷めないように~ 混ぜた後~ 気高きカリフォルニアロール弁当 ? ? ♪2 ? ? ? ? ? ○完二 ○直斗
https://w.atwiki.jp/game_rowa/pages/140.html
← ホメロスとクラウドが闘いへの見方を変えたと同時に、二人が発するオーラのようなものもより一層鬼気迫るものとなっていた。 相対的に闘いへの士気で劣る陽介は、そのただならぬ雰囲気に気圧されつつあった。 陽介とて、人間の姿をした敵と闘うことは経験済みだ。だがそれは言わば護るための闘いだった。誘拐された知り合いたちを、あるいは他ならぬ相手自身を。護るために闘うのであればそれを躊躇することも無かったのが今までの闘いだ。 だが今回は今までとは違う。ただ相手を殺すために闘っている。それが陽介に踏ん切りをつけさせない要因だった。 その様子に気付いたホメロスは陽介に一言、告げる。 「陽介、お前は下がっていろ。」 「でも……!」 「心配するな。もうヘマはしない。」 陽介にとってそれは、一種の戦力外通告を受けたようなものに思えた。だがミファーによって死を目前に経験した陽介は、死というものの恐怖を知っている。 自分が死ぬのは勿論、相手をその死に追いやるのも嫌だ──そんな中途半端な思考の中でホメロスにかけられた言葉はまさに渡りに船と言わんばかり。 「……分かった。その代わり勝てよ、ホメロス。」 結果として、陽介の答えはそれを甘んじて受け入れるというもの。汚れ仕事をホメロスに押し付けて安全圏から自分の無実を主張する、何とも格好悪いものだ。 だがそんな格好悪さも、ペルソナという人の心の闇に触れ続けてきた陽介は受け入れる。受け入れることが出来てしまう。 自分への言い訳すら許さないその都合の良さの自覚は、さらに陽介の良心を苛むのだった。 「ああ、勿論だ。」 ただし、ホメロスにとって先の一言は陽介への戦力外通告などでは無かった。単にホメロスは思ったのだ──陽介はそれでいいのだと。 一度ウルノーガの配下という闇に堕ちた自分がもう一度やり直すことが出来ているのは、最初に出会った陽介が対話から入ってくれたからに他ならない。 グレイグを喪った今だからこそ分かる。友を奪った相手を──あるいはその配下を赦すことが、どれだけ心の強さを要することか。 そんな強い信念を持つ陽介は、人々の恨みや憎しみが蔓延するこの殺し合いの空気の打破には不可欠な存在だ。こんな敵のために手を汚させ、折っていいような軽い信念ではない。手を汚すのは自分だけで充分だ。デルカダールの将軍時代から汚れ仕事なら慣れている。 それは殺し合いへの反逆という目的の中で陽介の背負うべき役割に当てはめた合理的な判断であり、しかしながらそれは陽介への一種の個人的な感謝でもある。 何はともあれ、1人で闘う選択をしたからには負けるわけにはいかない。そう、ここから先はホメロスのプライドの問題。 そんなホメロスの決意に応じるように、鞘から取り出した虹の刃がさらに輝きを増した。極限まで高められた戦闘への集中力──すなわちゾーン状態への移行。死のリスクなど顧みず、ただ敵を断つことのみに専念する。 (来る……!) ホメロスの変化を感じ取ったクラウドは、グランドリオンを再び構える。クラウドの予測通り、先手を取ったのはホメロス。空中に虹色の軌道を描きながら、クラウドの懐に潜り込む。 (先ほどよりも思い切った攻撃……。防御のみで乗り切るのは不可能か。) LIMITBREAKを待つ戦術はもう一度は通用しない。そう察したクラウドは積極的に応戦する。 陽介にも回していた注意をホメロスのみに切り替えることで、虹の斬撃への対処は先ほどよりも正確だ。 だが、ホメロスの攻撃もまた正確にクラウドの急所を捉える。ゾーン状態によって研ぎ澄まされた様々な能力がクラウドの防御をさらに厳しくした。両者が先ほどよりも深く斬り込むことで、戦局の拮抗など起こらない。コンマ1秒単位でどちらも致命傷を受けるリスクが蔓延している。 この闘いの決着は一瞬であると、両者は予測する。両者の業物の切れ味もあって、一撃叩き込まれれば決着はつく。仮に即死は免れても、それ以降の攻撃を避ける余裕などまず生まれない。 一撃で決まる勝負であれば本来ホメロスは有利だ。それはホメロスの攻撃の密度に由来する。まずはこの臨戦において他用している特技、はやぶさ斬り。一度に二回の斬撃を振るう、速度に特化した特技である。 さらには、元々ホメロスは常人が一度の行動を起こす間に二度の行動を起こせるほどの身体能力を持っている。その点においては、かのグレイグすらも上回っていた。 そう、ホメロスの斬撃は速い。 だがクラウドは一撃の威力を以てその速度を殺す。 はやぶさ斬りの初撃を力で弾き返し、第二撃を撃たせない。 よって斬撃の威力はクラウドに軍配が上がるにもかかわらず、両者の攻撃の密度が等しくなることでクラウドが戦闘のペースを掴んでいた。 ホメロスがグレイグに模擬戦で勝てなかった原因は主にここにあった。 速さは単純な力に勝てない。 このままでは闘いの結末が分かっているホメロスは一歩引き下がる。不意に下がられたクラウドは一瞬躊躇うも、次の瞬間にはその意図に気付き接近する。しかし、その一瞬の躊躇により間に合わない。 速さが力に勝てないのなら、力に勝てる手段を用いれば良い。ホメロスはその手段を持っている。 「ドルマ!」 それは呪文という名の搦め手。 詠唱速度に優れるが威力は低いその呪文の放たれた先は、クラウドの足。 微力ながらも重力を伴う闇の力に足を奪われ、大地を強く踏みしめることが出来ない。踏み込みが足りず、クラウドの攻撃の威力は一時的に落ちることとなる。 ホメロスはその隙を逃さずはやぶさ斬りを叩き込もうとする。 高速で叩き込まれる二連撃。 しかしそれを、クラウドの三連撃、『凶斬り』が迎え撃つ。 クラウドも今のドルマでちょうどリミット技を使えるに至ったのだ。 踏み込みが足りずとも、はやぶさ斬りを相殺できるだけの威力でホメロスの攻撃を凌ぎきった。 仕留めきれなかったホメロスは再び一歩下がる。 またドルマを受けるわけにはいかないクラウドはそれを追う。 だがそれはホメロスの計算内。 下がった理由は呪文のためでは無い。『逃げる』自分を『追う』ことに神経を集中させるため。ホメロスは虹をあたかも槍のように持ち替え、クラウドに向けて"突く"。斬撃では威力を殺しにくい刺突。クラウドは咄嗟にバックステップしながら、防ぎきれなかったダメージは利き腕ではない左腕で受ける。 だが重要なのはクラウドが左腕にダメージを負ったことではない。ホメロスに対して距離を離してしまったということ。 クラウドは呪文を警戒するが、見るとホメロスの右手には、丸い何かが握られていた。 (あれは手榴弾か?) その想像は当たらずとも遠からず。ホメロスがそれをクラウドに投げつけると、それは小規模な爆発を起こした。 「くっ……!」 神羅兵の用いる手榴弾よりも一際威力の高い『丸型リモコンバクダン』の爆風を受け、さらに下がるクラウド。その状況はホメロスにとって、極大呪文を完成させるまでの時間にはうってつけのインターバルである。 当然クラウドはホメロスに接近する。しかしそれも間に合わない。 「さあ、終わりにしよう──ドルモーア!」 ドルマよりいっそう大きな闇の塊が、クラウドに向けて放たれる。周りの光すらねじ曲げて、クラウドの命までもを吸い込まんと迫る。 だがこの世界軸のホメロスは知らない。かつて勇者たちを苦しめた『闇のバリア』は、同じく闇の力を持つ『魔王の剣』によって破られること──すなわち、闇の力はより強い闇の力によって破ることが出来るということを。 闇の力を纏ったグランドリオンによる一閃。ドルモーアは斬り裂かれ、クラウドとホメロスの間に障害は無くなった。 ドルモーアを破られたホメロスは、驚愕に目を見開きながらも虹で応戦する。その一太刀に全ての力を込めて──全身全霊斬りがクラウドに向けて振り下ろされる。 「悪いな。」 だがクラウドの圧倒的な闇の力を前に打ち勝てない。 全身全霊斬りを真っ向から弾き返したクラウドの太刀は、ホメロスの胴を斜めに裂いた。 「ぐおおっ!!」 先に語った通り、この二人の勝負は一撃で決まる。 その一太刀目を当てたのはクラウド。その威力により、ホメロスは膝をつく。もはや勝負は決したと言っても過言では無い。 「やるな……。だがっ……!」 だがそれでも、ホメロスは笑っていた。 そしてクラウドに向けて宣言する。 「──俺の勝ちだ……。」 その声に従うが如く、クラウドの背後からひとつの影が飛び出した。そう、そもそも先ほど撃ったドルモーアは囮に過ぎない。本命となる『一撃』はクラウドがドルモーアに気を取られている隙に背後に設置済みだった。 ──リーフストーム。 ホメロスに支給されたポケモン、ジャローダ。ポケモントレーナーの頂点に立った男の育てたポケモンの放つ技は、その経歴にそぐわぬ威力を発揮する。 高速で放たれた幾百もの草葉がクラウドの身体を切り裂かんと迫る。それは二度目以降は威力の下がる一度きりの大技。よってホメロスは確実にその一撃のみを当てにかかっていた。クラウドがいかなる実力者であろうとも、認知していない攻撃には対処出来ない。事実、その攻撃はクラウドの認知の外より放たれた。場所は死角、そしてモンスターボールから出る時の僅かな音もドルモーアがかき消していた。 本来ジャローダほどの実力のあるポケモンであれば共に闘い、手数で相手を圧倒するのもまた道理であろう。しかしホメロスはそれを選ばない。 お互いが武器のみで闘えば自分は負けると分かっていた──というよりはむしろ、勝てる気がしなかった。クラウドにグレイグの面影を感じ取って以来、どうしても敗北のビジョンが見えてしまっていたからだ。 だからこそ決め手となる一手を下す役割をジャローダに託した。 ホメロスは知っている。カミュという人質を取ったところを背後から奇襲されたように、勝利を確信した瞬間こそが最大の隙になると。 つまりこれは、自らの敗北までを作戦に組み込んで相手の油断を誘ったある種の囮作戦。 しかしクラウドは──その背後からの攻撃を予測していた。ドルモーアが放たれた時、それが囮であると即座に想定していた。 その予測が出来たのは、クラウドの意識の変化の賜物だった。 人の心の持ち方は闘いのスタンスに影響すると、クラウドはここまでの闘いで学んできた。 穏健なレオナールが正面から立ち向かってきたのに対して非力ながらも勝利に貪欲なチェレンが不意打ちという手段を選んだように。他者を護るため闘った天城雪子が自らの命を犠牲にしたように。 その意識の変化はクラウドにひとつの疑惑を与えた。 このホメロスという男は、確実な勝機も無しに勝負を挑んでくる男だろうか、と。 それは多くの人間と対立してきたクラウドだからこその疑惑。 その直感の根拠は、逃走用のヘリを用意した上で一騎打ちを挑んできたルーファウス神羅のようなホメロスの鋭い眼光だった。奴は何か、この闘いの勝利を確信するだけの奥の手を持っている。それはただの勘のようなものであったが、事実としてそれは的中していた。 そしてその何かとは、元の世界の持ち物が没収されている以上支給品しか無い。 1VS1の闘いの最中の奇襲に最も適した支給品──少なくともレオナールの末路を見たクラウドには、モンスターボールしか思い浮かばなかった。 背後からのリーフストームに対し、クラウドはリミット技で応戦する。ホメロスを剣で打ち負かすだけでなく、その切り札までもを真っ向から潰すその様は、その技の名の通り『画竜点睛』と言うに相応しく。グランドリオンより放たれた旋風がリーフストームの草葉を散らした。ポケモンのタイプに当てはめれば『ひこう』タイプである旋風はそのままジャローダへと到達し、ジャローダの身体を引き裂いた。 「ジャ……ア……」 「なっ……!く……そ……。」 身体中にこうかばつぐんの裂傷を受けて力なく倒れていくジャローダを遠目に、ホメロスもまた出血多量により気を失う。奇襲の失敗と迫る自らの死を前に、無念のままホメロスは倒れた。 クラウドの実力とホメロスの知力の衝突──本来の勝敗などもはや知る由もない。この局面で明確な勝敗を分けたのは両者の意識の変化──すなわち、この世界に来てから経験した闘いの数の差に他ならないのだから。 こうして、クラウドの前には無防備となったホメロスが横たわる。 しかし、そのまま殺すことが出来ないのをクラウドは理解していた。 「さて、次はお前の番だろう?」 再び動かざるを得なくなった陽介の妨害を、今度こそクラウドは侮らない。 既に眼前にアルカナを顕現させている陽介に、クラウドは話しかける。 「何でだよッ……!」 陽介はクラウドとホメロスの闘いを見て分かったことがあった。 両者ともに、死ぬのが怖いだとか、だから殺すのが嫌だとか、闘いへの志向はそんな段階など超越している。 ホメロスの生い立ちは既に聞いており、その境地に達しているのも納得は出来る。だが見たところ自分と同じくらいの年齢しかないであろうクラウドは、一体どんな生き方をしてきたらここまで闘いへの躊躇を無くせるんだ? 「そんだけ強いってのに、お前の中に正義ってもんはねえのかよ!」 「正義?そんなの、幻想だ。」 そんな陽介の言葉を、クラウドは切り捨てる。 「星のために、人々のために……何でわざわざ闘う理由を美化しないといけないんだ。」 「──俺は俺のために。そして俺の願いのために、闘う。それだけでいい。」 語るのはかつて仲間たちと見つけた答え。星のエネルギーを浪費する神羅側と、それを防ぐために罪も無い人々を犠牲にするアバランチ。そのどちらにも『正義』なんて無かった。その闘いは決して正当化など出来なかったし、するべきでもなかった。 「俺が生きる現実とはこういうものだ。ましてやこの世界は誰にとってもそういうところだろう。」 人はただ自分のためだけに闘えばいい。それはここでも同じだ。エアリスを生き返らせるために他の人々を皆殺しにする。決して正義などではない。 それでも仮初の正義なんかよりも余程押し付けるだけの価値がある。幻想と向き合い続けてきたクラウドは、それを棄てた先に『現実』を見た。 「ああそうかい。だがな、俺もこれだけは言わせてもらうぜ。」 だがクラウドが幻想と向き合ってきたと言うのなら、陽介とて人の心の真実、もとい現実と向き合ってきた。 「どれだけ自分が大切だろうと、どれだけ現実がクソだろうと──」 だからこそ、クラウドの心の拠り所が分かってしまう。陽介には、クラウドがかつての足立と重なって見えた。自分を評価しない世の中を呪い、自分の殺人さえ世の中の腐敗として扱っていた、足立と。 「──お前の罪はお前の罪だよ。」 「っ……!!」 そんな陽介は、クラウドの心の拠り所を真っ向から否定する。 確かにこの世界に殺し合いを肯定する要因はあるかもしれない。だけど罪は世界のものじゃなくて背負う本人のものだ。 クラウドに向けての感情を、それでいて足立への感情を叩き付けるかのように。陽介は目の前のアルカナを殴る。気持ちのいいアルカナの破裂音と同時に現れたジライヤより、烈風がクラウドに襲いかかった。 「お前はただ逃げてるだけだ。現実に、自分の罪に、目を向けたくないだけだ!」 クラウドはガルダインを下がって回避。ホメロスの保護のため陽介はクラウドに向けて接近する。その速度差により自ずと2人の位置は近付いていく。 「黙れッ!」 対するクラウドも、陽介に接近して斬り込む。計算などではなく、ただただ感情的な陽介への攻撃。 陽介の言葉は見事にクラウドの痛い所を突いていた。 強く在ることへの幻想なんて捨て去ったはずだった。自分の弱さという現実を受け入れたはずだった。 だが目の前の男は、今の自分を形成しているそれすらも否定する。 だから斬る。そうしないとクラウドがクラウドで居られないから。 そんな冷静さを欠いた一撃は、陽介には届かない。ここまでの闘いで疲弊しており動きが鈍っていることも相まって、ソニックパンチというカウンターをまともに受けて弾き飛ばされる。 (俺は……間違っていないはずだ。) それでもクラウドは立ち上がる。 彼を突き動かすのは彼の信念。 それを否定されたからといって、元の道になど戻れるはずがない。 ミッドガルの罪も無い人々を万単位で殺したクラウドが、その罪に真っ向から目を向けて常人でいられるはずがない。 「俺は俺の……現実を生きるッ!」 「それこそが幻想だって……言ってんだろうがッ!!」 だからクラウドは、現実を求めつつも現実を否定しなくてはならない。 一方、陽介は知っている。真実から目を背けてもその先に光は無いということを。 真実と幻想。 相反するふたつの世界の衝突が、始まろうとしていた。 【E-4/一日目 朝】 【ホメロス@ドラゴンクエストXⅠ 過ぎ去りし時を求めて】 [状態]:ダメージ(大) 気絶 [装備]:虹@クロノ・トリガー [道具]:シーカーストーン@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド モンスターボール(ジャローダ)@ポケットモンスターブラック・ホワイト 基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:打倒ウルノーガ 1.絶対に殺してやるぞ……! 2.自分の素性は隠さずに明かす 【花村陽介@ペルソナ4】 [状態]:両手に怪我 [装備]:龍神丸@龍が如く 極 [道具]:基本支給品、不明支給品1~3個 [思考・状況] 基本行動方針:仲間と共に完二の仇をとる 1.クラウドを倒す 2.死ぬの、怖いな…… ※参戦時期は少なくとも生田目の話を聞いて以降です ※魔術師コミュは9です(殴り合い前) 【クラウド・ストライフ@FINAL FANTASY Ⅶ】 [状態]:HP1/10 脇腹、肩に裂傷(治療済み) 所々に火傷 左腕に怪我 [装備]:グランドリオン@クロノトリガー [道具]:基本支給品、いのちのたま@ポケットモンスター ブラック・ホワイト シルバーオーブ@その他不明支給品1~2 [思考・状況] 基本行動方針:エアリス以外の参加者全員を殺し、彼女を生き返らせる。 1.セフィロスと決着をつける 2.ザックスに礼を言う 3.ティファは………… ※参戦時期はエンディング後 【支給モンスター状態表】 【ジャローダ@ポケットモンスター ブラック・ホワイト】 [状態]:ダメージ(大)、気絶 [特性]:しんりょく [持ち物]:なし [わざ]:リーフストーム、リーフブレード、アクアテール、つるぎのまい [思考・状況] 基本行動方針:主人に従う。 Back← 073 →Next 072 そでをぬらして 時系列順 074 不思議の国の遊園地跡 投下順 057 生と死の境界 ホメロス 085 ……and REMAKE(前編) 花村陽介 048 金と銀のカギ クラウド・ストライフ
https://w.atwiki.jp/persona4_g/pages/22.html
チャート 7月 日 曜 天気 イベント 自由行動 1 金 雨 七夕の短冊が書ける(数日後の堂島の台詞変化)四六商店 2割引 カプセル販売機(200円)愛家 雨の日スペシャル肉丼(3000円)惣菜大学 特製コロッケ(100円)夜 菜々子(正義)、小夜子(悪魔) 放課後/夜 2 土 曇 番組表「江戸川教授の放送教室 第四回」開始放課後 陽介(魔術師)、千枝(戦車)、完二(皇帝)、運動部(剛毅)、足立(道化師)夜 秀(塔)、足立(道化師) 放課後/夜 3 日 曇 綾音/結実から電話(結実のコミュランクが5~8の間では発生しない) 太陽・剛毅コミュの好感度♪2クエスト34『ハードブーツが欲しい』開始時価ネットたなか アルマダビスチェ+メガアミノドロップ×2(20800円)or白桃の実×30+ソウルドロップ×10(2980円)昼 陽介(魔術師)、完二(皇帝)夜 千枝(戦車)、雪子(女教皇)、遼太郎(法王) 昼/夜 4 月 晴 パスカル→伝達力UP+陽介の好感度♪1(P所持で2)冷蔵庫に菜々子のプリン(勇気UP 時間経過なし)放課後 陽介(魔術師)、千枝(戦車)、雪子(女教皇)、文化部(太陽)夜 完二(皇帝)、菜々子(正義)、運動部(剛毅)、足立(道化師) 放課後/夜 5 火 曇 放課後 千枝(戦車)、雪子(女教皇)、運動部(剛毅)、文化部(太陽)、足立(道化師)夜 陽介(魔術師)、菜々子(正義)、あい(月)、足立(道化師) 放課後/夜 6 水 曇 料理 油で揚げる→もっちり大学いも放課後 雪子(女教皇)、完二(皇帝)、運動部(剛毅)、あい(月)、尚紀(刑死者)夜 遼太郎(法王)、小夜子(悪魔) 放課後/夜 7 木 曇 授業 アメリカ独立宣言→知識UP放課後 陽介(魔術師)、千枝(戦車)、雪子(女教皇)、完二(皇帝)、運動部(剛毅)、文化部(太陽)、あい(月)、尚紀(刑死者)夜 完二(皇帝)、小夜子(悪魔)、秀(塔) 放課後/夜 8 金 雨 四六商店 2割引 カプセル販売機(200円)愛家 雨の日スペシャル肉丼(3000円)惣菜大学 特製コロッケ(100円)夜 菜々子(正義)、小夜子(悪魔) 放課後/夜 9 土 雨 りせ救出リミット四六商店 2割引 カプセル販売機(200円)愛家 雨の日スペシャル肉丼(3000円)惣菜大学 特製コロッケ(100円) 放課後のみ 10 日 曇/晴 3人目の犠牲者クマ加入 ナビがりせに 愚者コミュ4→5→6りせとの会話「任せろ」→勇気UP「菜々子は怯えている」→どの選択肢を選んでも寛容UP特殊合体解禁 - 11 月 曇 時価ネットたなか 祝福の手+メガアミノドロップ×2(39800円)/ミドルグロウ(購入推奨)+業火の勾玉×2(24800円)番組表「青紫歌合戦2012」「日刊ペルアニランド」更新冷蔵庫に目覚まし時計(効果,時間経過なし)夜 完二(皇帝)、菜々子(正義)、運動部(剛毅) 夜のみ 12 火 (雨)/雷/曇 授業 知識自動UP テスト1週間前 陽介、千枝、雪子と勉強可料理 バニラエッセンス→なめらかプリン劇場11階に新ボス出現)クエスト27『魔除けのヴェールが欲しい』開始夜 陽介(魔術師)、菜々子(正義)、あい(月)、秀(塔)、足立(道化師) 放課後/夜 13 水 (雨)/曇 授業 アイスクリーム頭痛→知識UP完二と勉強可→好感度2クエスト35開始放課後 雪子(女教皇)夜 千枝(戦車)、遼太郎(法王)、小夜子(悪魔) 放課後/夜 14 木 晴 授業 空海→知識UP陽介、完二から放課後の誘い雪子と勉強可→好感度2放課後;陽介(魔術師)、完二(皇帝)、足立(道化師)料理 片栗粉をまぶす→さっくり竜田揚げ夜 菜々子(正義)、小夜子(悪魔)、秀(塔) 放課後/夜 15 金 晴 授業 赤道→知識UP四目内堂書店 「たそがれて…漢」「できる!家庭菜園」発売放課後、りせと勉強可夜、一条から誘いの電話(一条コミュのランクが5~6の場合発生しない)※7/17の誘いを受けたい人はここで自室へ行くこと(行くだけなら時間経過なし)夜 陽介(魔術師)、雪子(女教皇)、文化部(太陽)、遼太郎(法王)、小夜子(悪魔)、足立(道化師) 放課後/夜 16 土 雨/曇 授業 口ヒゲがない→知識UP陽介と勉強可→好感度2 千枝と勉強可→好感度 完二と勉強可→好感度2 りせと勉強可夜 菜々子(正義)、尚紀(刑死者)、秀(塔) 放課後/夜 17 日 曇 7/15夜に一条から誘いを受けていると勉強会 剛毅,戦車,女教皇の好感度♪×2上昇※選択肢"無理です"「数ってなあに?」入手時価ネットたなか 紫のスーツ+メガアミノドロップ×2(20800円)or金剛シールド×2+ヘビーフード×6(8800円)農作業姿の主婦 ヒランヤキャベツの苗、カエレルダイコンの苗昼 陽介(魔術師)、雪子(女教皇)、完二(皇帝)夜 雪子(女教皇)、千枝(戦車)、菜々子(正義)、足立(道化師) 昼/夜 18 月 晴 冷蔵庫にゴーヤ(勇気UP,時間経過有り)農作業姿の主婦 バリアモロコシの苗、プチソウルトマトの苗昼 陽介(魔術師)、千枝(戦車)、雪子(女教皇)、ひさ乃(死神)夜 完二(皇帝)、堂島(法王) 昼/夜 19 火 曇 1学期期末テスト開始 答え 士気、平均台 - 20 水 曇 答え 応、明治時代 - 21 木 雨/曇 答え ハートのキング、パスカル - 22 金 曇/晴 答え シャックリ川、アメリカ独立宣言 - 23 土 曇 テスト終了テストの出来 「結果待ち」で伝達力UP,「ペンは止まらなかった」「何も分からなかった」で勇気UP,HCHOはホルムアルデヒド恋愛(りせ)コミュ開始。「菜々子は自分が守る」で菜々子の好感度♪×1(P所持で2)上昇 夜セーブのみ 24 日 曇 時価ネットたなか 松雪包丁+メガアミノドロップ×2(11800円)or盆ジュース×24+胡椒博士NEO×24(7800円)農作業姿の主婦 ミガワリナスの苗、プチソウルトマトの苗昼 りせ(恋愛)、完二(皇帝)、マリー(永劫)、ひさ乃(死神)夜 雪子(女教皇)、千枝(戦車)、菜々子(正義)、足立(道化師) 昼/夜 25 月 (雨)/曇 テスト結果発表。1位で菜々子から紙粘土の指輪(全パラ+5)入手知識「博士級」+全問正解以上で学年トップ誰の水着姿が楽しみかの選択肢で完二以外で選んだ人の好感度♪2or3UP(ランダム?)放課後 陽介(魔術師)、千枝(戦車)、雪子(女教皇)、運動部(剛毅)、文化部(太陽)冷蔵庫の中に麦茶…に見える麺ツユ(効果なし,時間経過有り)夜 完二(皇帝)、りせ(恋愛)、菜々子(正義)、足立(道化師) 放課後/夜 26 火 雨 一学期終了。夏休み中は学校に入れない(この日はOK)放課後 文化部(太陽)マヨナカテレビ(星コミュ2→3にUP) 放課後のみ 27 水 曇 愚者コミュ6→7にUP情報収集開始:河原・完二→商店街南・堂島農作業姿の主婦 開錠ムギ、バリアモロコシ夜 菜々子(正義)、小夜子(悪魔) 昼/夜 28 木 曇 情報収集続き:ジュネス・足立「堂島に~」→商店街北・惣菜屋農作業姿の主婦 カエレルダイコン、ヒランヤキャベツ夜 小夜子(悪魔)、秀(塔) 昼/夜 29 金 曇 情報収集続き:商店街南・金髪の少年から写真入手→テレビの中へ→ボイドクエスト開始クリア後「よし、来い!」でりせ♪2-3up(勇気4以上が必要)打ち上げ オムライスはしょうゆ ケチャップ=ハーブ 地中海で菜々子好感度UP星コミュ3→4農作業姿の主婦 ウォールパプリカ、プチソウルトマト昼 絵里(節制)夜 菜々子(正義)、文化部(太陽)、小夜子(悪魔) 昼/夜 30 土 晴 昼 完二(皇帝)、絵里(節制)、マリー(永劫)農作業姿の主婦 バリアモロコシ、ヒランヤキャベツ夜 菜々子(正義)、尚紀(刑死者) 昼/夜 31 日 曇/晴 時価ネットたなか まねきネコ+メガアミノドロップ×2(7980円)or風船爆弾×2+スーパーソニック×2(6980円)農作業姿の主婦 ミガワリナス(3000円)、プチソウルトマト(500円)昼 りせ(恋愛)、マリー(永劫)、ひさ乃(死神)夜 千枝(戦車)、雪子(女教皇) 昼/夜 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
https://w.atwiki.jp/persona4/pages/29.html
授業通常授業 テスト1学期中間 1学期期末 2学期中間 2学期期末 授業 通常授業 自分が答える場合は知識、友人に教える場合は伝達力+♪2つが上がるようです 日付 問題 回答 効果 備考 4/14 西暦~ キリスト~ - 4/18 定冠詞 ザ - 4/20 「かんぺき」 完璧 伝達力UP 陽介 4/23 四大文明 河のそば 伝達力UP 陽介 4/25 空き巣が~ 朝8時 - 4/26 総数の和と~ 完全数 千枝 4/30 太陽系で~ オリンポス山 - 5/7 一番使われている部首 くさかんむり - 5/26 エジプトの文字 神聖文字 伝達力 陽介 6/8 ハム 下手 伝達力 雪子 6/13 短距離走 無酸素運動 知識 - 6/15 人 立っている 伝達力 陽介 6/20 悪法も ソクラテス 知識 - 6/27 ルサンチマン 憎しみ,嫉妬 知識 - 6/30 実在する川の名前 ヤリキレナイ川 知識 - 7/4 殿or様 様 伝達力 陽介 7/7 七夕 柿本人麻呂 知識 - 7/13 初心 未熟 知識 - 7/14 明るいのは? 曙 知識 - 7/15 アンデス 思わない 知識 - 7/16 青いアイライン 虫除け 知識 - 9/1 ドッジ 避ける - 9/5 季語 小春日和 - 9/17 マゼランの動機 香辛料の利益 知識 - 9/20 99歳 白寿 - 9/28 breakfast 断食 陽介 10/4 2.5リットル中 0.5リットル - 10/5 銀杏 老化 陽介 10/8 smoke-free 禁煙 - 10/11 ルイ14世 背が低い - 10/12 1円 2円 - 10/13 植物を触ると 成長が早まる - 11/1 頬杖 背中から肩 11/4 ヒゲの役割 体内の毒素 陽介 11/7 北極と南極 南極 11/11 結核菌 コッホ 11/17 結婚の語源 賭け金 陽介 11/22 南米にある氷河 パタゴニア氷原 11/24 ミレニアム懸賞問題 6 11/25 土壇場の由来 罪人の刑場 11/26 英語圏で X mas 12/09 一番数の多い生物 昆虫類 12/10 走るとき~ 親指 12/17 食指 人差し指 千枝 12/21 ポーズ 王族 陽介 上へ テスト 1学期中間 日付 問題 回答 5/9 空き巣~B.C~ 午前8時before christ 5/10 完全数~かんぺき~ 6完璧 5/11 高まいの徳太陽系で~ デカルトオリンポス山 テスト発表は5/19 「知識 広め,テスト全問正解」or「知識 物知り」で10位以内 「知識 博士級」で学年トップ 10位以内で祖父江先生(教室棟2階階段付近)から宝箱の鍵×3,堂島から2万円貰える 学年トップで菜々子から似顔絵付きメダル,堂島からは3万円貰える 上へ 1学期期末 日付 問題 回答 7/19 人という文字~下手な役者 立っているハム 7/20 柿本人麻呂ソクラテス 万葉集悪法も 7/21 青いアイラインルサンチマン 虫除け強者への嫉妬・憎悪 7/22 アンデス山脈暁の メロン日が昇る前の明け方 テスト結果は7/25 「知識 物知り,テスト全問正解」or「知識 博士級,テスト1問でも不正解」で10位以内 「知識 博士級,テスト全問正解」or「知識 生き字引」で学年トップ おまけでその後のりせの回答はホルムアルデヒド 学年トップで堂島から4万円,菜々子から紙粘土の腕輪,祖父江先生から魔反鏡×3 上へ 2学期中間 日付 問題 回答 10/14 fastの意味接触形態形成 断食触れると成長早く 10/15 地球周航ドッジ マゼラン避ける 10/17 涙を流す時禁煙を表さない語 交感神経と副交感神経smoking-allowed 10/18 1円のコストルイ14世の別名 2円太陽王 10/19 小春日和鮭の赤身 11~12月エサの色素 テスト結果は10/24 「知識 博士級,テスト全問正解」で10位以内 「知識 生き字引」で学年トップ 学年トップで堂島から5万円,菜々子からビーズの指輪,祖父江から神秘のスカラベ×2 上へ 2学期期末 日付 問題 回答 11/28 8を表す言葉~頬杖をつくとき~ oct背中から肩 11/29 ヒゲの役割~パタゴニア氷原が~ 毒素排出チリとアルゼンチン 11/30 結婚の語源オセローの作者~ 賭け金シェイクスピア 12/1 北極と南極温度差~ミレニアム懸賞問題~ 南極-30百万$ 12/2 コッホが発見~ビーフ・ポーク~ 結核菌フランス テスト結果は12/8 「知識 生き字引,テスト1問でも不正解」で10位以内 「知識 生き字引,テスト全問正解」で学年トップ 学年トップで菜々子の座っていた座布団を調べると書きかけの表彰状,祖父江からソーマ 上へ 情報お願いします(反映したら削除 1学期中間、学力4以上でトップ (2008-07-25 17 04 50) 2学期期末、知識生き字引でも1問のみ不正解で10位以内に。 (2008-08-09 03 19 35) 攻略 (2011-12-06 16 58 23) コメント 上へ
https://w.atwiki.jp/game_rowa/pages/182.html
← 「うおおおおぉぉ──!!」 気合いと共に振るわれた陽介の拳がクラウドの頬を殴り抜く。 大きく後退するクラウドを追うように今度は逆の拳が肋に突き刺さる。血を吐くクラウドはしかし怯まずに反撃の蹴りを腹に叩き込んだ。 重い咳で空気を吐き出し陽介はがむしゃらに掴みかかる。そのまま頭突きを繰り出し、屈み込んでがら空きになった腹へ膝蹴りを浴びせ、突き飛ばした。 尻餅をつくクラウドへ追い討ちを決めようとふらつく足を掲げるが、これより先にクラウドが転がり陽介の足は瓦礫を崩すだけに終わる。 反撃を警戒し咄嗟に両腕を交差させ顔の前に持っていく。が、形のなっていないクラウドのローキックが陽介の左腿を打ち抜き無意味と化す。 苦悶の呻きを上げ足を押さえる陽介の右脇腹に大振りなボディブローが直撃した。白飛びする視界の中、踏み込みと共に右肩を引いて拳を振り抜こうとするクラウドの姿を捉え、反射的にそのパンチを頭突きで受け止める。 何かが砕ける音がした。 既に崩壊寸前だったクラウドの右手は血飛沫を散らし、競り合いに打ち勝った陽介はそのままクラウドを巻き込んで倒れ込み、馬乗りになる。 鈍い音が何度も、何度も響く。 十発近い殴打を受けたクラウドの顔面は膨れ、斑な青痣が生まれる。無抵抗でそれを受け入れていたクラウドは不意に弾かれるように陽介の体を蹴り飛ばし、がくがくと震えながら立ち上がる。 血混じりの唾を吐き捨て、陽介は全力疾走でクラウドへ近付く。傍から見れば牛歩のように遅いそれをクラウドはいなせず、放たれたテレフォンパンチに頬を殴り抜かれた。 ぐらりと大きく揺れたクラウドは体勢を立て直すこともせず不格好な反撃の拳をお見舞する。 「こ、の──!」 「…………っ!」 そこからはもう、ノーガードの殴り合いだった。 一発殴っては殴り返され、殴られては殴り返し──腕が持ち上がらなくなるのは同時だった。 がくんと両膝を着き、お互い前のめりに倒れようとしたせいで奇しくも身体同時で支え合う形となる。そのまま数秒経ち、やがて同時に頭を後ろに引き強烈な頭突きがぶつかり合う。 今度は二人とも後ろへ倒れ込んだ。 満開に広がる青空を見上げ、朦朧とする意識に無理を言って身体を起こす。たっぷり時間を費やして立ち上がれば何も言わず拳を握り締める。もう手の感覚なんてないけれど、確かに握れていると信じた。 「う、おおおおおおおぉぉぉぉ──!!」 「あああああああああぁぁぁぁ──!!」 全てを込めて殴り掛かる。 正真正銘全力の拳が相手を狙う。 時同じく放たれた攻撃は鈍重な音を一つ立てる。即ち、当たったのはどちらかだけ。 暫しの静寂の後、ゆっくりと倒れ伏す影。 それを見下ろす青年は果たしてどんな表情を浮かべているのか。悲哀とも、歓喜とも、達成感ともつかぬ感情が絡み合った複雑な面持ちで空を見上げる。 「悠、天城、ティファさん、ホメロス……」 死闘の勝者、陽介は静かに散っていった仲間達の名を連ねる。 祈りを捧げるように。天に還る彼らへ伝えるように。 空を仰ぐ青年は少しだけ微笑んだ。 「──俺、勝ったよ…………」 声よ届け。想いよ伝われ。 失われた命は無駄ではない。みんなが道を繋いでくれたから今がある。 だから安心して眠ってくれ。 これから先の未来は、俺達が繋ぐから。 戦いは──終わった。 ■ ああ、負けたのか。 まるで地の底まで落とされるような意識の漂流の中、どこか他人事のように思う。 もうどうでもよかったから。 全てを取り零し、生ける死体となった時点でそれはクラウド本人ではなかったから。 だからなんの感情も湧かない。湧かせないのだ。ただ自分のような何かが絆とやらに敗北したと、俯瞰じみた視点でしか見ることが出来ない。 けれど、ただ一つ思うことがあるのならば。 当然だな──という自嘲に似たなにか。 救いの手を跳ね除け、自ら絶望の渦を撒き散らし続けた醜い怪物にはお似合いの最後だ。 最初から勝てるはずなど無かったのだ。自分は最後まで一人で力も偽りのもの。けれど彼らは多くの仲間と共に真なる力で立ち向かった。 ならば、自分も仲間がいれば結果は違ったのだろうか。 そんな後悔をする資格なんてない。共に旅してきた彼女達を仲間と呼ぶことは許されないのだから。 「俺、は……」 今更許してもらおうだなんて思わない。 だからせめて彼女達との繋がりは地獄まで持っていかないように。想い出は綺麗なまま終わらせたくて。 改めてそれを口にする事で憐れな人生に終止符を打つ。 「ひとりぼっち……だった……」 瞳を閉じる。 魂の行く末に身を任せ、死へと落ちてゆく。 こうしてクラウド・ストライフという男が抱いた幻想は終わりを迎えた。 『────違うよ』 不意に聞き慣れた声が響く。 落下し続けるかと思われた身体はふわりと浮き上がり、両足が地に着く感覚に見舞われる。 顔を上げたクラウドの瞳にはこちらを見て微笑む黒髪の少女の姿が映し出された。 『ひとりじゃない。クラウドには仲間がいるよ』 これは、幻なのか。 揺蕩う意識が見せた想い出ならそれでもいい。目を逸らさず、向き合わなければならない。 「同情も、深い悲しみもいらない。……ただ一つだけティファ、お前に問いたい」 勇気を出して少女へ声を掛ける。 彼女は静かに、ただじっとクラウドの瞳を見つめている。 「お前はまだ……俺を仲間と呼んでくれるのか?」 孤独が嫌いだった。 けれどあの道を進むからには孤独にならなければいけなかった。 すべてが終わったあとにこんな事を聞くなんて都合がいいかもしれない。拒絶されるかもしれない。 それでも、もし許されるのならば──── 『勿論。クラウドは私の大切な仲間だよ』 俺はずっと、その言葉を待っていたのかもしれない。 「──ありがとう」 魔軍兵士としての彼は死んだ。 魔物の肉体は輝きと共にクラウド・ストライフ本来の姿を取り戻す。 見つめ合う男女は穏やかな笑顔を浮かべ、光の粒子となりやがてゆっくりと消えた。 誰も一人ではない ──No One is Alone── ■ 「……ぅ、……」 意識を取り戻した千枝が呻きと共に身体を起こす。辺りを見渡し、戦闘の様子が見られないことから彼らが終わらせてくれたのだと安堵する。 「いつから気絶してたんだろ……かっこわるいなぁ」 格好つけて参戦したはいいものの一番最初に意識を失う事になるとは。結果オーライとはいえどことなく気恥ずかしい気持ちに駆られる。 けれど時間と共に思考が冷えてゆき、そんな些細な感情を吹き飛ばした。 「──そだ、鳴上君と花村探さないと!」 いつまでも寝ていられない。 疲労を残した身体を引きずって瓦礫の山を駆け下り、悠達を探し回る。 「あ、いた! おーい!! 鳴上君、花む──」 彼らを見つけるのに時間は掛からなかった。 仰向けに倒れる悠を介抱するように寄り添う陽介の姿が遠目に移る。ぶんぶんと片手を振りながら急いで駆け寄る最中、千枝の声は途切れる事となる。 「……え?」 姿がはっきりと見える距離まで近付いて異常に気がつく。ぴくりとも動かない悠と、その傍でじっと目を瞑る陽介の姿。 それはまるで死者へ黙祷へ捧げているかのようで、不吉な予感に速まる鼓動に息を荒らげては次の瞬間にそれが事実なのだと知らされる。 「悠は俺達の為に死んだ。最後まで戦い抜いたんだ」 淡々と紡がれる陽介の言葉。 それを聞いた瞬間内蔵が凍てつくような感覚が襲い掛かり、抑えるものを無くした涙がとめどなく溢れ出す。 「嫌、嫌──!!」 頭が目の前の現実を否定する。 脳味噌がぐちゃぐちゃにかき混ぜられるような気持ち悪さに吐き気を覚える。 悠が動かないのも、陽介が嫌に落ち着いているのも受け入れられなくて、どうしようもない恐怖を誤魔化すように早口で捲し立てた。 「嘘だよ、鳴上君が死ぬはずない!! だって鳴上君、あんなに強いんだから!! 鳴上君の強さは花村だって知ってるでしょ!? 全く、こんな時につまんない冗談やめてよ花村……ほら、起きて鳴上君。一緒に八十神──」 「里中っ!!」 悠の身体に触れようとした瞬間に陽介の荒い声が響き、肩を跳ね上げる。 振り返る陽介の顔は先程までの落ち着きようが嘘のようにくしゃくしゃに歪んでいて、今にも泣き出しそうだった。 「認めたくねぇのも分かる、受け入れられねぇのもわかる! でもな、目を逸らしちゃダメなんだ! 辛い現実にうちのめされたって、挫けそうになったって!! 俺達は進まなきゃいけねぇんだ!!」 「っ!? ……は、花村……」 堰を切ったように大粒の涙を零しながら訴える陽介の懸命さに千枝の喉奥が熱を帯びる。 そこで初めて陽介が決して無感情だった訳では無いと気が付いた。彼は、現実を受け入れていただけなのだ。 悠との付き合いが最も長く、相棒の死の瞬間を目にしている分千枝よりも辛いはずなのに。その感情を抑え込んで前に進む事を選んだのだ。 「だから里中……一緒に進もう。しっかり前を向いて、現実と向き合おうぜ」 「……現実と、向き合う……」 強い感情を節々に滲ませる震え声で語りかける陽介に抱くのは羨望。 自分はそんな強い人間じゃない。なのに陽介は悠の死を乗り越え、迷わずに前を進んでゆく。 今の陽介はまるでぐんぐんと自分を追い越しているようで、その背中が悠と並んだような──そんな気がした。 分かっていたんだ。 いつまでも立ち止まってなんかいられないって。彼の想いを継がなくちゃいけないんだって。 違う、鳴上君だけじゃない。人知れず死んでしまった雪子の分も生きなくちゃいけない。 もう生きれない人達に代わってこの殺し合いをぶち壊す──きっとそれが本当の『あたしらしさ』なんだ。 「鳴上君……鳴上、くん……うっ、ああ……うわああああああぁぁぁぁ────!!!!」 けど、ごめんね。もう少しだけ待ってて。 これも『あたしらしさ』だからさ。 だから、お願い。今はただ二人の死を悲しむ女の子でいさせて。 そしたらちゃんと、現実と向き合うから。 (……辛いだろうな、里中) 悠の名を呼び慟哭する千枝を眺めながら、釣られるように陽介も行き場を失った涙を零す。 この戦いで失ったのは悠だけではない。自分の為に命を懸けてくれたホメロスやティファのこともしっかりと弔いたかった。 (ありがとな、皆。それと……見ててくれ。こんな殺し合い、絶対に止めてみせるから) ウルノーガに振り回され命を落としてしまった彼らがせめて安らかに眠れるように願い、目を瞑る。 蘇る大切な想い出。二度と戻ることのないあの日々を胸に、残された自称特別捜査隊は前へ進む決意を固めた。 ◆ 忘れないよ大事な みんなと過ごした毎日 NEVER MORE 暗い闇も一人じゃないさ 見つけ出すよ大事な なくしたものを NEVER MORE キミの声がきっとそう ──ボクを導くよ 【鳴上悠@ペルソナ4 死亡確認】 【ティファ・ロックハート@FINAL FANTASY Ⅶ 死亡確認】 【クラウド・ストライフ@FINAL FANTASY Ⅶ 消滅】 【残り46名】 ※E-4の一部の区域が崩壊しました。 ※龍神丸、虹、ティファの支給品はE-4のどこかに放置されています。 ※シルバーオーブ・LIFEは生命エネルギーを使い果たしました。 ※クラウドの遺体は消滅しました。 【E-4/一日目 昼】 【花村陽介@ペルソナ4】 [状態]:ダメージ(大)、顔に痣、体力消耗(大)、SP消費(大)、疲労(極大)、決意 [装備]:グランドリオン@クロノ・トリガー [道具]:基本支給品3人分、女神の杖@ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて、ルッカの工具箱@クロノ・トリガー、シーカーストーン@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド、モンスターボール(空)@ポケットモンスター ブラック・ホワイト、シルバーオーブ・LIFE@ゲームキャラ・バトルロワイアル、クラウドの首輪、不明支給品(1~3個) [思考・状況] 基本行動方針:仲間と共に完二の仇をとる 1.悠、ティファ、ホメロスを弔う。 2.死ぬの、怖いな……。 3.足立、お前の目的は……? ※参戦時期は足立との決着以降です。主催者陣営に足立がいることを知りました。 ※鳴上悠との魔術師コミュはMAXになりました。 ※クラウドの過去を知りました。 ※ペルソナ『スサノオ』を覚醒しました。 【里中千枝@ペルソナ4】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(中)、体力消耗(大)、SP消費(小)、びしょ濡れ、右掌に刺し傷、深い悲しみ [装備]:なし [道具]:基本支給品、守りの護符@MONSTER HUNTER X、ランダム支給品(0~1個) [思考・状況] 基本行動方針:前を向き、現実と向き合う。 1.鳴上くん……。 2.陽介と共に八十神高校でピカチュウ達と落ち合う。 3.自分の存在意義を見つけるまでは、死にたくない ※錦山彰、ミファーは死んだと思っています。 【E-4東側/一日目 昼】 【ピカチュウ@名探偵ピカチュウ】 [状態]:健康 [装備]:モンスターボール(ポカブ)@ポケットモンスター ブラック・ホワイト [道具]:基本支給品、ランダム支給品(確認済み、1~3個) [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いを止める。 1.八十神高校へ行く。 2.悠とティファの仲間、そして工具箱に書かれた『L』、ポカブのパートナーを探す。 3.悠、ティファ、無事でいてくれ……。 ※本編終了後からの参戦です。 ※電気技は基本使えません。 ※ティファからマテリアのこと、悠からペルソナのことを聞きました。 【支給モンスター状態表】 【ポカポカ(ポカブ ♂)@ポケットモンスター ブラック・ホワイト】 [状態]:健康、満腹 [特性]:もうか [持ち物]:なし [わざ]:たいあたり、しっぽをふる、ひのこ [思考・状況] 基本行動方針:ベルを探す 1.ピカチュウ達について行き、ベルを探す。 2.強くなってベルを喜ばせたい。 Back← 095 →Next 094 セフィィィィィロォォォォォス!!! 時系列順 096 回想:彼の求める強さ 投下順 074 チョッカクスイチョク 名探偵ピカチュウ 鳴上悠 GAME OVER ティファ・ロックハート 085 ……and REMAKE(前編) クラウド・ストライフ 花村陽介 087 差し込む陽光、浮かぶ影 里中千枝
https://w.atwiki.jp/kwskp4/pages/95.html
みす?はちこうこんてすと 公式 ミス八高コンテストとは対になる迷イベント。 つまり女装コンテスト。 参加者は主人公、花村陽介、巽完二、飛び入りで熊田ちゃんが出場。 去年は2人だけ参加したらしい… 因みに、陽介は普通の女子高生の格好、完二はマリリン・モンロー、番長はスケバン、クマはアリスと、それぞれ非常に個性的な衣装で登場してくれる。 メイクはパーティの女性キャラが担当しており、主人公は天城雪子、陽介は里中千枝、完二は久慈川りせ、クマは白鐘直斗がパートナー。 因みにクマが優勝し、続くミス八高コンテストで水着審査が追加されることになった。
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou/pages/23.html
No.7 無数の死を振り撒いた末に迎えた、最期の時。 いかなる物体をも焼き尽くす恒星じみた灼熱のなか。 自分自身のエネルギーを抑えきれず、身体が崩壊していく寸前。 己が積み上げた屍の山の頂で、魔獣の爪を受けた――あの瞬間。 戦いの神に、心残りなど存在しなかった。 地獄からの使者は、自らの意思で力を欲した。 急激すぎる進化と理解しながら、戦闘生命の生を全うしたのである。 ――ゆえに、死してなお胸に抱く願望なぞ、持ち合わせている道理がない。 たしかに、そうであったはずだ。 本人が、誰よりよく分かっている。 にもかかわらず、機会を与えられてしまった。 聖杯によって、『槍兵』のクラスをあてがわれたのである。 それがどうにも腑に落ちず、ランサーのサーヴァントは行動方針を決めかねていた。 サーヴァントとして招集されたということは、何かしら叶えたい願望があるのは明白だ。 だというのに、当人であるランサー自身にまったく心当たりがない。 生前ならば戦術を悩むことはあっても、そもそも戦場でどうあるかを悩むことはなかっただろう。 破壊者として動くのは、確定していたのだから。 しかしながら、破壊者としての結末はとうに迎えている。 何度目かになる逡巡でも答えを導き出すことはできず、ランサーは傍らで黙り込んでいる少年を見据えた。 「そろそろ、話をする気にはなかったか」 返事どころか振り返りもせず、少年は整った顔を下に向けたままだ。 少年の身長は決して低くないのだが、ランサーが長身すぎる。 こうして俯かれていては、表情を窺おうとしても茶色い髪しか見られない。 ヘッドフォンは首にかけられているので、聞こえていないワケではなさそうなのだが。 「ふん、だんまりか」 吐き捨てると、ランサーは周囲を見渡す。 彼がいまいるのは、ガラス張りの無機質な部屋だ。 ガラスの向こうには研究室があり、そちらに誰もいなくても観察されている気分になる。 モルモットじみた扱いを受けてきた過去が蘇り、ランサーは眉間にしわをよせた。 「……人をこんなところに呼んでおいて、口も利かないつもりか?」 意図せず、先ほどよりも低く冷たい声色になる。 それでもやはり返ってきたのは沈黙だけであり、不愉快になるばかりだった。 このうな垂れっぱなしの少年こそ、ランサーを召喚した張本人。 つまりマスターであるはずなのだが、最初に名乗ったっきり口を開こうともしない。 いい加減に苛立ちが頂点に達し、ランサーはついに声を荒げた。 「貴様、なぜ前に進もうとしないッ! なんとしても叶えたい願いがあるから、心から欲しているものがあるからッ! だから俺を呼び出したのではなかったのか!? 貴様の意思を聞かせろ、花村陽介ッ!」 これでも口を閉ざしたままならば、ランサーはマスターを殺してしまうつもりであった。 令呪に命令を下す暇など与えず、一瞬のうちに命を奪う。 その程度は、ランサーの力をもってすれば造作もない。 マスター不在により現世から消滅してしまうが、別に知ったことではない。 そもそも、聖杯に叶えて欲しい願いなど存在しないのだから。 だがランサーの予想に反して、ようやくマスターである花村陽介は沈黙を破った。 「……そうだよ」 搾り出すように言うと、陽介はゆっくりと顔を上げる。 露になった陽介の表情は、いまにも泣き出しそうなものだった。 しばらく歯を噛み締めていたが、意を決したように声を張り上げる。 「そうだよ! たしかにそうだッ! 願っちまったさ、俺はッ! あんとき怒りに駆られてやっちまった……俺の、俺たちの罪を全部なかったことにしちまおうってッ! いくら時間が過ぎても忘れらんねーし、いまでも夢にアイツの姿が出てきちまう! あの一件以来、俺らの関係はムチャクチャだッ! それが全部帳消しになるなんて、たまんねえよ! また下らねー話で笑えるなんてサイコーだ! 毎日毎日朝から晩までずーーーっと夢見てたさ! 違いねえッ!!」 喉を削るような叫びは、まだ終わらない。 さながら溜め込んでいた感情を爆発させるかのように、まくし立てるように続く。 「でも……だけどよォ! それこそ蜘蛛の糸が垂れてきた気分で、扉開けちまったけど……! 汚しちまった手ぇキレイにすんのに、もっとたくさんの血で汚すんじゃ意味ねえだろうがッ! 四十八人だぞ、四十八人! 一人殺したのをなしにするために、四十八人だ! 釣り合うワケねえだろ! こんなこと許されっかよ! 聖杯なんかが許したとしても、俺が俺を許せねえ! アイツらだって、絶対に許すかよ! だいたい、そんな人殺しまくって手に入れた幸福なんか……ッ! そんなもん渡して、どのツラ下げてアイツらと笑えんだよ! ちッくしょう! ナメてんじゃねえぞ、聖杯! そんな血塗れの幸せで喜ぶヤツらじゃねえんだよ、ざッけんな! 気付くのが遅かったんだよ、俺はッ!!」 そこまで一気に言うと、陽介は酸欠気味になったらしい。 全力疾走したあとのように、激しく肩を上下させている。 陽介の呼吸が落ち着くのを待って、ランサーは問いかける。 「事情は分かったが、どうするつもりだ。 願いを叶える気がなくなったからといって、いまさら一組辞退など許されない」 「できたとしてもやらねえよ。死ぬのが四十六人になるだけじゃねえか」 即答を受けて、ランサーは眉根を寄せる。 聖杯を掴むつもりはなく、かつ聖杯戦争を辞退する気もないという。 ならば、いったいなにをしようというのか。 ランサーが疑問を口にするより、陽介がしゃがみ込むほうが早かった。 床に正座をしてから、両手を前に出し頭を地面につける。 「考えなしだった俺なんかと違って、アンタには必死になって叶えたい願いがあるんだと思う! でも……ごめんなさい! マジで悪いと思ってます! すんません! 許してください! この通りっすから!」 土下座の体勢を作られても、ランサーには謝罪される意味が理解できない。 事情を説明するよう促すと、陽介は真剣な表情を浮かべて立ち上がった。 「誰も死なせないためにはどうすりゃいいのかを、さっきからひたすら考えてたんだ。 んで見つけた。一組の願いが叶うまで続く殺し合いを止める方法を、たった一つだけ」 「…………ほう」 知らず、ランサーは息を呑んでしまう。 少し思考を巡らせてみたが、見当もつかない。 若干の間を置いて、陽介がその方法を明かした。 「聖杯があるから殺し合うってんなら、聖杯をブッ壊しちまえばいいんだ」 陽介は目を伏せて、相手の反応を待つ。 広がりかけた静寂を破ったのは、ランサーの哄笑だった。 十秒ほど笑い続けてから、唖然とする陽介に向き直る。 「くっく。なるほどな。 定められた運命から抗う、ということか。 己の意思でもって、聖杯戦争の参加者を閉じ込める見えないガラスを破壊する……く、ははは」 ランサーは、自身の左肩を擦った。 生前に刻まれた永遠に治らぬ傷痕が再生している。 戦闘生命である証であった負傷が存在しないのだ。 ならば、彼にも―― 長兄の呪縛に縛られることなく、戦闘生命として以外の生を送ることが可能なのかもしれない。 魔獣の力に呑み込まれぬよう、必死で戦ってきた兄弟のように。 「アンタの願いも叶えられなくなっちまうけど……でもっ!」 「構わない」 ランサーは、説得するような陽介の声を遮る。 やっと、どうして自分がサーヴァントとして現界したのか分かった。 抱いていた願望を自覚したからこそ、胸を張って断言できるのだ。 「――願いは、いま叶った」 ぽかんと口を半開きにしている陽介に、ランサーは右手を伸ばす。 「お前と同じく、俺も聖杯の呪縛から抗うべく聖杯戦争に臨もう。 安心するがいい。我が『ブリューナクの槍』ならば、聖杯とて容易に破壊できるだろう」 しばらくしてやっと意味を理解したのか、陽介はランサーの手を握り返した。 固い握手を交わしてから、なにか思い出したように目を見開く。 「……あれ? そういえば、アンタの名前なんてんだっけ? ランサーって槍使うヤツってことだし、それで呼ぶのはなんかなぁ」 「キース……いや違うな」 生前のコードネームを言いかけて、半ばで口籠る。 これから運命と戦うというのに、運命から逃れられなかった戦闘生命の名前では縁起が悪い。 考え込むランサーの脳裏を掠めるのは、戦闘生命と化す以前に呼ばれていた名前だ。 二度と名乗ることはないと思っていたが、強い意思をもって強大な運命に抗う――人間として生きるならば相応しい。 「アレックス。名字はない、ただのアレックスだ」 【参加者No.7 花村陽介@ペルソナ4】 【サーヴァント:ランサー(アレックス)@ARMS】 BACK NEXT 006 No.6 投下順 008 No.8 006 No.6 時系列順 008 No.8 BACK 登場キャラ NEXT 聖杯戦争開幕 花村陽介&ランサー 032 全てを呑み込んで熱を帯びていく(前編)