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大地震とバイオハザード。 二つの未曽有の大災害により人の姿が消えてしまった朝の住宅街は、しばしの静寂に覆われていた。 だが、その静けさを打ち破るような幾つもの音があった。 それは靴音。住宅街の石畳を規律よく踏み歩く足音が静寂の中に響いていた。 その足音は1つや2つでは足りない。街路に響く足音は10を優に超えている。 重いブーツの音は力強く、スニーカーの音は軽やかな俊敏さを感じさせるように、それぞれの個性や体格によって異なる音を響かせていた。 そんな不揃いの足音でありながら、歩くリズムは完全にシンクロし、まるで一つの楽曲を奏でているかのようだ。 集団を率いるように先頭を行くのは仲睦まじく手をつないだ少年と少女である。 引き連れられているのは意識のないゾンビたちだった。 これを操る事こそ少年、山折圭介に目覚めた異能である。 目的地に向かう道すがら、圭介は住宅街に彷徨っていたゾンビを掻き集めた。 集まったゾンビの総数は一個分隊にまで達している。 高級住宅街は外部からの移住してきた住民が多い。 集められたゾンビたちは大半が通りすがれば挨拶をする程度の関わりの薄い人間たちだ。 だからと言ってその命を使い捨てていい訳がないが、まだ割り切りやすいのも事実だ。 命に優先順位を付けている時点で村を率いる村長としては失格だろう。 それでも光を助けると決めた。この決意だけは揺らがない。 足音は一つの意志の下に統一され、足並み揃えて行進する様はさながらゾンビの軍隊のようである。 これから挑むのが特殊部隊であるのなら、戦争するのにお誂え向きだろう。 街路を進み続ける分隊は、さっと手を挙げた圭介の合図により一斉に停止し足音も一瞬で静まった。 集団を率いて歩き慣れた道のりを進んでゆくと見慣れた家の前へと辿り着いた。 ガレージのある赤い屋根の家。圭介の友人である湯川諒吾の家である。 そして特殊部隊の襲撃を受け戦場となっている場所であもった。 静止した足音の代わりに住宅街に響いてきたのはコーン、コーンと言う何か重々しい音だった。 その音は圭介の目の前にあるシャッターの閉じたガレージの中からが響いているようだ。 (……何の音だ?) 圭介が眉を顰める。 ただ壁を叩いているだけの音にしては鋭利な響きだ。 住宅街の騒音がないからだろうか、その音は必要以上に周囲に響いているように感じられる。 少なくとも戦闘音ではない。 もっと静かに、淡々と何かの作業をしているような音だ。 不規則で、機械的と言うより人工的。 中に誰かがいて、この音を鳴らしているのは間違いないだろう。 だが、ガレージのシャッターは完全に締め切られており、ガレージには窓もないため中の様子は伺えない。 争うような様子がないという事は、少なくとも事態は既に何らかの決着を得ているようだ。 既にうさぎの友人2人は特殊部隊によって殺され、ガレージに残った特殊部隊の人間が何かをしている。 力の差を考えれば一番可能性が高いのはこれだが、そうなると何故特殊部隊の人間が立ち去らずガレージの中に留まっているのかが分からない。 うさぎの友人たちが奇跡の勝利を収めた可能性もなくはないだろう。他ならぬ圭介がその奇跡の体現者だ。 うさぎの帰還をその場で待っている、というのならガレージ内に人が残っている理由としても納得できる。 それとも特殊部隊の足止めに成功し何らかの膠着状態にある可能性もあるだろう。 はたまたこの音を出しているのは今回の件とは無関係な誰かと言う事もありうる。 何にせよ判断材料が足りない状態で何を考えたところで、ただの推論にしかならない。 命を懸けた行動を選択するにはもう少し確証が欲しいところだ。 だが、完全に閉め切られたガレージ中の様子を知る方法など……いや、ある。 その方法に思い至った圭介は光以外のゾンビたちをその場に待機させ、ガレージ前から離れて湯川邸の玄関まで移動した。 そして、玄関先にある郵便受けの蓋の裏を調べる。 そこにはセロテープで鍵が張り付けられていた。 田舎特有の防犯意識の緩さだが、鍵をかけているだけましである。 村外からの移住民は施錠する物も多いが、古民家からの引っ越し組はまだまだ古い田舎の感覚が抜けていない。 他人の家の鍵を勝手に開くのは僅かな後ろめたさがあるが、圭介は無言のまま玄関を潜る。 何時もであればこの玄関を潜るときは湯川家の誰かが出迎えてくれるのだが、歓迎の声はない。 もっとも正気を失った住民の出迎えがなかったのは幸運だったのかもしれないが。 靴のまま上がり込むと迷うことなくリビングまで移動する。 そしてリビングの壁に埋め込まれたモニターへと手を伸ばす。 電源が生きているのか、それとも電池か充電式なのかモニターは無事に映し出された。 湯川邸には玄関前とガレージ内を映す監視カメラが設置されている。 玄関に鍵を放置する家とは思えない防犯意識の高さだが、これはボロボロの古民家を捨ててピカピカの新居に引っ越せるのが嬉しかった一家が、とにかく最新鋭のモノを付けたがった結果、無駄に付けた監視カメラである。 農家の軽トラなんて盗む人間がいる訳がないだろ、とよく諒吾をからかったものだが、こんな形で生きるとは思いもしなかった。 圭介は玄関前を映し出していたモニターを操作して画面を切り替える。 小さなモニターにガレージの現状が映し出された。 そこに映し出された光景を目の当たりにして、思わず圭介は「うっ」と言葉を飲んだ。 明度が不鮮明な監視カメラの映像だったのは幸運だっただろう。 転がるのは無惨に引き潰され切り裂かれた二つの死体。 ガレージは真っ赤に染まり、凄惨な光景が広がっていた。 だが、うさぎから聞いた情報では村の外から来た少女と、カズユキ――村のプロレスラー暁和之と言う話だったはずだが、転がっている死体は少女と巨大な怪物のモノだ。 少女の方はいいとして、プロレスラーの方は異能で異形化でもしたのだろうか? 何にせよ村人がまたしても殺されたのは事実だ。 自分を縛る檻だと思っていたこの村が傷つけられるたび、圭介の中に身を切られるような痛みがある。 自分はこの村を愛していたのだなと、こんな形で気づかされるだなんて思いもしなかった。 血と肉と死が転がるガレージの中で、ただ一人立っているのは防護服の男だ。 奇跡など起こらず、当然のように特殊部隊が勝利していた。 だが、勝者であるはずの男はその場を立ち去るでもなくガレージの壁際で何かをしていた。 ガレージに工具箱でもあったのか、ノミとトンカチのような工具で壁を削っているようだ。 閉じ込められているのか? と一瞬思ったがそれならばシャッターを破壊した方が早いだろう。 わざわざ丈夫なコンクリートの壁を破壊しようと言うのはよく分からない。 ともかく、ガレージ中には特殊部隊の男が留まっていると言う事は分かった。 それを確認した圭介はモニターの電源を落とし、湯川邸を後にした。 そして再びガレージの正面に立つと、恋人と繋いでいた手を放し待機していた全軍と共に後方に下がらせる。 代わりに右腕に握っていたMGLを両手で構え、巨大な銃口をガレージのシャッターへと向けた。 ガレージごと中の特殊部隊を吹き飛ばす。 グレネード弾は薄いシャッターなど容易く打ち破り、ガレージの中を炎で蒸し焼きにするだろう。 諒吾は文句を言うだろうが、後で修繕費を出してやればいい。 「――――――――死ねよ」 村の侵略者を排除するのに、もはや躊躇いなどない。 引き金を引き、シャッター閉じたガレージに向けてグレネードを打ち込んだ。 爆音と共に巨大な炎が上がった。 爆風に圭介は目を細めながら、その結果を見届ける。 炎が晴れる。 その先にあったのは、何一つ変わらぬ風景だった。 シャッターは健在であり傷一つない。 グレネードの直撃を受けシャッターの一つも打ち破れないなどあり得ない。理に合わない現象だ。 そしてそのような事が、異界と化したこの村ならばありうる事を圭介は知っている。 だが、特殊部隊に異能は扱えないはずだ。 そこで圭介は先ほどモニターに映っていた特殊部隊の男がガレージ内で壁を削っていた姿を思い返す。 なるほど、と圭介は結論を得る。足止めに残ったどちらかが、異能を使って命を懸けて特殊部隊を閉じ込めたという所か。 圭介は湯川家のガレージ構造もよく理解している。 シャッターで塞がれている正面以外に出入り口はない。 小さな子供であれば換気口から脱出できるかもしれないが、中にいるのが成人ならば脱出不可能だろう。 「ハッ! ざまぁねえな特殊部隊!」 中へと罵倒の声をかける。 返答はない。 その代わりに、グレネードの爆音によって中断されていた掘削音が再開される。 「だんまりかよ、なんとか言ったらどうだ? テメェらはこれまでいったい何人ウチの村人を殺してくれたんだ? 挙句に無様に閉じ込められてテメェだけは助かりたくて無駄な努力をしてんのか?」 嘲笑と共に挑発めいた言葉を投げかける。 しかし、返る言葉はない。 返るのは淡々と壁を削るような音が響くばかりだ。 「なんとか言えよ! どうなんだ、おいッ!?」 無視を続ける相手に先に感情を爆発させたのは圭介の方だった。 村を蹂躙することをなんとも持ってないかのようなその態度は許し難いものがある。 ギリと奥歯をかみしめ、怒鳴りつけるように声を荒げた。 「散々俺たちの村を荒らしやがって! 勝手に訳の分からない研究を始めて、失敗したら勝手に皆殺しだぁ? ふざけんなっ! テメェらだけの都合で村の運命が決められて堪まるかッ! 俺たちの事は俺たちが解決するんだよ部外者はすっこんでろ!! テメェらはそれが失敗した時にだけ出張ってきやがれってんだ! ケツだけ拭いてりゃいいんだよッ!」 身勝手でただ感情の爆発をぶつける様な主張。 だが、その声を受けてか、壁を削る音がピタリと静止した。 そして、ようやく檻の中の男が重い口を開く。 「…………来たか」 「何………………?」 瞬間、圭介の眼前を突風が吹き抜けた。 何かが鼻先を霞め、削れた傷口から血が糸のように血が流れる。 突風の行く先にあったのは地面に槍のように突き刺さる道路標識だった。 カラカラとハンマーが石畳の地面に引きずられる音が響く。 音に引きずられ、視線を這わす。 住宅街の道上に立っていたのはクマを思わせる大柄なシルエットだった。 「いやぁ。てっきり乃木平辺りかと思ってたけど、まさかアンタだったとはな、大田原サン」 声は女のモノだった。 忘れるはずもない。見紛うはずもない。 女が全身に纏うのは、圭介が仕留めたあの男や中にいる男と同じ迷彩色の防護服――――すなわち特殊部隊だ。 最悪の事態だ。 1人は閉じ込められているとはいえこの場に特殊部隊が2人集結した。 どうしてここに集まったのか、と言う疑問は瞬時に氷解した。 壁を削っているように聞こえたあの音だ。 あれは救難信号だ。ガレージに閉じ込められた特殊部隊があの音で救援を呼んでいたのだ。 壁を破壊しようとしていたのも本当だろうが、掘るタイミングを調整することで自力の脱出作業と周囲への救援要求を同時にこなしていたのだ。 「救援要請に応じてくれて感謝する。だが作戦行動中に濫りに名前を呼ぶなIronwood」 「そいつぁ失礼、1等陸曹殿。どうせ皆殺しにするってのに相変わらずマジメなこって」 「―――――Ironwood」 聞くだけで震えあがりそうな威圧感の籠った声。 Ironwoodと呼ばれた女は肩をすくめて応える。 「へーへーIronwood.了解。Mr.Oak」 言いながら意識をガレージ内の要救助者からガレージ前にたむろする一団へと向ける。 より正確に言うなら、その先頭にいる圭介にだ。 「で? アタシはドッチを優先すりゃいいんだ?」 救助か、排除か。 まず行うべきはどちらか、階級上の上官へと指示を仰ぐ。 「聞くまでもない――殲滅だ」 「了ぉ解ぃ」 ゆらりと凶悪な獣が牙を向く。 マスクの下にあるギラついた眼光が圭介を射貫き、全身に重厚な殺気が圧し掛かった。 「くっ……ぁああっ!」 その殺意に気圧されるように、思わず圭介はダネルMGLの引き金を引いてしまった。 一刻も早くこの重圧から逃れたい一心で放たれたグレネードが空中を舞いながら標的に向かって行く。 着弾と共に耳に響く轟音が閑静な住宅街に広がった。 衝撃を伴った爆風は街中を吹き荒れ、燃え盛る炎は瞬く間に黒煙と共に高く舞い上がる。 煙と炎が絡み合い、まるで地獄の門が開かれたかのような光景が住宅街に広がってゆく。 火花が舞い散り、火の粉が舞う。 周囲の空気は灼熱と化し、僅かに離れた位置にいる圭介の吸い込む息すら焼けるように熱を帯びていた。 これほどの爆発。如何に特殊部隊が超人であろうとも、直撃を受け生き残れるはずもないだろう。 「――――――っぶねぇな」 だが、炎の中より声がした。 燃え盛る炎のスクリーンに、歩み出る人型の姿が浮かび上がる。 その足音に地面は震え、炎はその存在に畏怖するように退いてゆく。 炎の海を割るようにして、特殊部隊が恐怖と絶望を振り撒きながら歩み続ける。 圭介は思わず息を飲んだ。 特別性の防護服は炎の海をものともしない。 オレンジ色の炎が防護服に反射し、その恐ろしさを照らし出す。 炎の中を進む特殊部隊の姿は、地獄の底から這い上がる死神のようであった。 だが、炎と煙は防護服で防げたとして、グレネードの直撃まで防げるはずがない。 それは他の特殊部隊で実証済みだ。 ならば、生きている以上何か別の理由があるはずだ。 その理由を探る圭介の目が炎上を続けるその火中に、燃え上がる鉄塊があることに気付いた。 グレネードが直撃したのはこの鉄塊、つまり車だ。 偶然そこに在ったという訳ではない。 グレネードの発射に気づいた女が傍らに路上駐車されていた車を咄嗟に引き寄せ盾としたのだろう。 大規模な炎上は盾となった車体から漏れ出した燃料によるものである。 だが、盾となった車は軽だったとしても1トン近くある鉄の塊だ。 それを咄嗟に片手で引き寄せるなど、人間技ではない。 それもそのはず、彼女はただの人間ではない。 最新鋭の技術により体の大半を機械化したサイボーグ。 それが彼女、美羽風雅という女の正体だ。 「なんで素人のガキがんなもん持ってんのかは知らねぇが。 MGLってこたぁ、広川殺ったのぁテメェだなぁ――――ッ!」 歓喜と狂気の混じった声。 仮面の下に浮かぶ獣のような凶悪な笑みが透けて見えるようだ。 絶対的な死の恐怖に圭介の全身が一瞬で総毛立つ。 「ッッ!? 行けお前らッ!!」 背後で待機していたゾンビに追い詰められた王の指示が飛ぶ。 号令一下、十数のゾンビの軍隊が機械の怪物に向かって突撃を始める。 だが、特殊部隊の女は動じることなく、不動のままその場に立ち尽くすだけだった。 そしてゾンビが眼前にまで迫ったところで、ようやく最初の一歩を踏み出す。 その一歩は、地面を揺るがすほどの重さが秘められていた。 「ハッハァ――――ッ!!」 炎を背にサイボーグが笑う。 豪快に振るわれた腕がゾンビの頭を砕きその体を吹き飛ばした。 続けて放たれた前蹴りは破壊の極致を表すようにゾンビの体を粉々に砕き肉と血を周囲にぶちまける。 サイボーグが手足をふるう度に一体、また一体とゾンビが蹴散らされていく。 圭介の集めたゾンビの軍団は、特殊部隊の誇るサイボーグの前ではまるで玩具の兵隊でしかなかった。 まるで波が岩に打ち砕けるように、突撃するゾンビたちは強大な力によって次々と吹き飛ばされて行く。 圭介が最初に戦った特殊部隊員の男も確かに強かった。 だが、あれは人間の範疇の強さだ、目の前の相手は違う。 怪物性で言えば市街地で暴れていた気喪杉に近い、だがあれとは闘争者として次元が明らかに違う。 人間と戦っている気がまるでしない、怪獣でも相手にしているようだった。 だが、逃げる訳にはいかない。 圭介は自らの背後に待機させた光の存在を思い出し、恐れを押し殺して逃げ出したくなる足を踏みとどまらせた。 MGLを正面に構えて、ゾンビ相手に大立ち回りをしている特殊部隊を捉える。 ゾンビたちが足止めをしている間にゾンビごと吹き飛ばす。 自らが従えた者たちを自らの手で葬り去ることになるが、目的のために手段を選んでいられる状況ではない。 その覚悟を決め、引き金に指をかけた。 「遅ぇ!」 だが、この期に及んで今更覚悟を固めている様ではあまりにも遅い。 美羽が手を伸ばし、一体のゾンビの頭を掴むとその体を軽々と振り上げ、圭介に向かって投げ飛ばした。 「ぐは…………ッッ!?」 凄まじい剛速球が腹部に直撃して圭介の体が大きく吹き飛ばされた。 60kg超の鉄球が直撃したようなものである、そのダメージは計り知れない。 圭介の体が硬い石の地面を転がってゆく。 「っ…………は……ッ!」 ようやく止まった頃には全身はスリ傷だらけになっていた。 そして吹き飛ばされた拍子に手にしていた武器を落としてしまったことに気づく。 すぐに拾い上げようと、起き上がるよりも早く目の前に転がるダネルMGLへと手を伸ばした。 「ッ……ぐあああああぁぁっッ!!!」 だが、その手の甲は上から踵で踏みつけられた。 見上げるまでもなく、踏みつける軍靴を見ればわかる。 そこに居るのは特殊部隊のサイボーグ、美羽風雅だ。 「よぅ、クソガキ。ウチのヒーロー志望者が世話んなったみてぇだなぁ」 「くぅッ!!」 見れば、一個分隊のゾンビ部隊は完全に壊滅していた。 原型をとどめているモノすらいない、完全なる蹂躙。 それほどの破壊を苦も無く成し遂げた怪物を睨み、圭介は吠える。 「ヒーロー志望者…………? ああ、クソヒーローなら無様に命乞いしながら押っ死んでったよ!」 この状況で果敢に言い返すその言い様を気に入ったのか、美羽はへぇと口元を吊り上げる。 「いいね。そうこなくっちゃ。そうじゃなけりゃ『返し』の甲斐もねぇ」 どうせなら獲物は活きのいいほうがいい。 同僚を殺したのが、つまらない輩だったそれこそ興ざめだ。 「返しだぁ? 敵討ちでもするつもりか!? ざけんなッ! お前らが先に俺たちの村を無茶苦茶にしたんだろうが!」 「あ゙ぁん? 最初はアタシらじゃなくて研究所の……ま、テメェらからすりゃ一緒か」 投げやりに呟き、自己完結で納得する。 その口調は乱暴ではあるが、敵討ちをしに来たにしては恨み骨髄という声色でもない。 「別にテメェを恨んじゃいねぇさ。結局の所、戦場で死ぬのは弱ぇからだ。野郎が殺されたのは野郎が弱いのが悪かったのさ」 広川の死に対して思う所がない訳ではないが。 広川を殺した相手に対しては別段恨みという感情は持っていない。 何だったら任務も達成できず脱落した広川の方に怒りを覚えるくらいだ。 「はっ。恨んでねぇだぁ? 口ではそう言っても、結局テメェも恨みを果たしたいだけだろうが!」 「違うね。コイツぁ恨みじゃなくケジメの問題だ。舐められたままじゃ終われねぇんだよ」 まるっきりヤクザの言い分だ。 原因がどちらにあるかなど問題ではない。 一度始まった報復の連鎖はどちらかが根絶やしになるまで途切れることなどない。 「まあ、理由はどうあれこれからテメェは蹂躙される。このアタシにな。 それはテメェが悪ぃからじゃねぇ、テメェが弱ぇからだ、弱ぇやつは戦場では無価値だ」 弱者は強者に何をされても仕方がない。 特殊部隊の女は残酷な戦場の真実を語る。 「さて、このままテメェの頭を踏み潰すのは簡単だが、それじゃあ返しにならねぇよなぁ?」 正常感染者を殺すのは特殊部隊としての任務だ。 ただ殺すだけでは個人的なケジメにはならない。 それとは別に暴走族の頭として身内を殺された返しをしなくてはならない。 「っと、その前に、だ」 圭介を踏みつけたまま、美羽は上体だけを捻って自らの背後に迫っていた敵の顔を掴んだ。 そこに居たのは圭介にとっても予想外の人物。 「光ッ!?」 美羽に背後から襲い掛かろうとしたのは、後方に避難させていた光だった。 鉄のような腕に捕まり光の頭部が圧迫される。 正気などないはずの喉奥から小さな声で悲鳴が上がった。 圭介は光を操っていない。 そもそも圭介が光を危険にさらすような真似をするはずがない。 美羽に追い詰められ、ゾンビを制御する余裕を失っていた。 制御を離れた今、光を動かすのはゾンビの自由意志だ。 それはゾンビの本能で目の前の相手に襲い掛かっただけなのかもしれない。 それが圭介を助けに着たように見えただけだ。そんなはずはないのに。 「やめろ!! 光は関係ない!!」 「テメェのツレだろ、関係ねぇってこたぁねぇだろ」 言って、片手でつかんだ光の頭を握りしめた。 だが、すぐに違和感を覚えたのか目を細めて掴んでいた光の顔を凝視する。 「あぁん? んだよ、こいつもゾンビかよ! お人形遊びかぁ? 気持ち悪ぃ」 吐き捨てるように言う。 先ほどまでゴミのように片付けてきた奴らと同じゾンビだ。 だが、全軍特攻に加わらなかった事からして、何らかの特別扱いを受けているのは明らかだ。 「わざわざ侍らしてるってこたぁテメェのスケか? それとも狙ってた女をこの機に乗じていいようにしてんのか?」 「うるせぇ!! 今すぐ光を離せって言ってんだよ!! このゴリラ女がッ!!」 これまでにない剣幕で噛み付く圭介の様を見て、天啓を得たりと仮面の下で美羽が笑う。 「決めた――――まずはこいつを殺す」 「なっ――――――」 その宣言に、圭介は言葉を失う。 これは美羽の個人的な『返し』だ。 本人ではなく大事な人が殺されるというのは仲間を殺された返しとしては妥当だろう。 「待てっ! 止めろ! テメェが殺したいのは俺だろうが!」 腕を踏みつけられたまま、圭介が必死に暴れまわるが相手はびくともしない。 本当に鉄の塊のようだ。 自分の力では何をしても動かせない。そんな絶望が重く心に圧し掛かってゆく。 効果は無くとも足元でバタつく相手が鬱陶しいかったのか。 美羽は手の甲を踏みつけていた足を上げ、そのまま足裏で顔面を蹴り飛ばした。 頭部に直撃を受け圭介の脳が揺れる。 「テメェは後だ、そこで見てろ」 美羽の力をもってすれば蹴り一つで圭介の頭蓋を体から吹き飛ばすのも容易い事だ。 だが、そうはしない。そうでければ『返し』にならない。 「ッ…………やめろぉッ! やめてくれぇ―――――ッ!!」 だが、砕けた鼻から垂れ墜ちる鼻血を拭う事もせずに圭介は美羽の足首にしがみつく。 縋るような無様な姿だが、無様であろうとも構わない。これだけは諦めきれない。 このままでは光が殺される。 諦められるはずがない。 「逃げろッ! 逃げるんだ光ぃ!!」 逃げるように異能で光に指示を出す。 だが虫も殺せぬ光の力で美羽の怪力を振りほどけるはずがない。 ミシリと言う音と共にサイボーグの指先が光の頭にめり込んでいく。 先ほどまでの超人的な大暴れを思えば、人間の頭などトマトのように握りつぶせるだろう。 「うわああああああああああああああああああッッッッッッ!!!!!」 喉を裂く様な絶叫。 無力な圭介では間に合わない。何もできない。 少年の絶望が世界に響き、まるでスローモーションのように彼の世界は全てが遅くなった。 聞こえるのはバクバクと音を立て脈動する自分の心音だけ。 まるで全身が心臓になったよう。 血が逆流し、胸に灼熱を流し込まれたような痛みが伴う。 光が死ぬ。光が死んでしまう。 目の前に突き付けられるその真実に圭介の脳内は破裂寸前にまで膨れ上がる。 満ちるのは怒りと憎悪。 光を守れない自分自身への怒り。光を奪おうとする敵への憎悪。 憎悪と殺意と絶望がシナプスとなって脳内で弾ける。 異常に加熱した脳と、異常に冷めた冷静な脳が共存して脳が痺れる。 それはまるで自分とは別の存在が脳を制御しているかのようだった。 異能が目覚めた瞬間にも感じた脳が世界に繋がる感覚。 一本だった不可視の触手が数え切れないほど伸びていくよう。 意識が世界に拡張される。 いや、意識が世界を拡張していく。 己の意識が現実を侵食していくようだ。 「よーく目に焼き付けなぁ! テメェの女が弾ける様をよぉ!!」 無慈悲な特殊部隊の咆哮が響いた。 それを合図に、止まっていた世界が動き出す。 光を握る手に力が籠められ、パンと、何かが弾ける様な音がした。 「な、に?」 驚愕は誰の口からだったか。 響いた破裂音は光の頭が弾けた音ではなく、ましてや圭介の脳の血管が切れた音でもない。 それは遠方からの狙撃音だった。 美羽の背後、炎と黒煙の壁を突き抜け弾丸が飛来したのだ。 弾丸は美羽の肩甲骨辺りへと吸い込まれ、掴んでいた光を取り落とす。 「バっ…………」 バカな。声にならないそんな驚愕と共に美羽が弾丸の飛来した方向を睨むように見つめる。 弾丸の風圧により穿たれた穴から猟銃を構える猟師の姿が垣間見えた。 伏兵を残していた? いや、それならば狙撃は最初の全員突撃の際に行うべきだ。 それに、ここまでに美羽がその気なら殺されていた場面も何度かあった。 ここまでもったいぶる理由がない。 何より、今の狙撃はただの狙撃ではなかった。 弾丸は炎と黒煙の向こうから来た。 狙撃手からターゲットが見えていないのだから、狙撃など不可能なはずだ。 そして何より、驚愕すべきはどこにも殺意がなかった事だ。 殺意があればそれを読める、だがそれがなければ気づきようもない。 いや、正確に言えば、殺意はあった。 だがそれは美羽の足元に無様にしがみ付く少年から発せられたものである。 殺意と照準が違う。 銃を構え引き金を引いたのは猟師であっても、これは圭介の殺意による弾丸である。 このような異次元の狙撃。如何に特殊部隊の精鋭と言えど避けようがない。 「テェェエエンメェェェェッッッ!!!」 だが、恐るべきはサイボーグ。 中型の獣を一撃で仕留める弾丸の直撃を受けてもその肉体は健在である。 直撃受けた部位の機械構造は破損しているが、一撃ならば致命傷には至らない。 連続して喰らえばマズかろうが狙撃があることは分かった。警戒していればそう簡単に喰らう美羽ではない。 だから、問題は別の所。 美羽の肉体ではなく、防護服に穴が開いたと言う事である。 「チィ…………くッッ!!」 瞬時に状況を理解した美羽は身を翻した。 スレッジハンマーを片手に、振り絞るように全身を捩じる。 「間ぁに合えええぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!!!」 剛と、台風のように回転して跳躍する。 放たれる一撃の向かう先は圭介でも光でもない。 死力を尽くした一撃が放たれたのは、大田原が閉じ込められたガレージだった。 コンクリート壁にスレッジハンマーの一撃が炸裂した。 大量の火薬でも爆発したような衝撃が叩き込まれる。 強力な一撃を代償にスレッジハンマーが砕け散るが、強固なコンクリートの壁が砕けた。 「――――――よくやった。Ironwood」 破損した箇所を起点に、内側から食い破るようにコンクリート壁が弾けた。 無骨な巨大な手でヒビを広げながら、怪獣めいたサイボーグ以上の脅威が現れる。 少女とオークが命を賭して封印した最強が、鉄筋コンクリートの檻から解き放たれる。 並び立つ絶望。 美羽の隣に大田原が立つ。 その光景はこの村の住民にとっては不可避な死を告げる絶望その物だ。 「では。連携して対応に当たる、まずは…………!?」 「ぅうああ――――――ッ!!」 だが、制圧の指示を出そうとしていた大田原に向かって、横合いから美羽が襲い掛かった。 突然の乱心に流石の大田原も驚きを隠せず、僅かに反応が遅れる。 掴みかかってきた手を避けきれず腕を掴まれそのまま押し込まれた。 恐ろしいまでの圧力。大田原と言えでも機械の筋力には及ばない。 バイオハザードにより村に蔓延するウイルス。それを防ぐための防護服である。 そこに穴が開いてしまえば、あとは正常感染者に成れるかどうか、2%のギャンブルだ。 美羽はそのギャンブルに敗北して、ゾンビとなった。 そして――――――ゾンビならば操れる。 それが村の王たる圭介の異能だ。 手を伸ばし、新たな家臣に向かって王は命じる。 「目の前の相手を殺れ、ゴリラ女――――――!」 その命令に従い、ゾンビとなった美羽が大田原を掴んだ腕を振りまわした。 万力が如き握力で振り回され、100㎏超の巨体の両足が浮き上がる。 そのまま地面に叩き付けんとする刹那、大田原はその流れに逆らわず浮いた両足を振り上げ鳩尾と顎に二連脚を見舞った。 衝撃に握力が緩む。その隙を見逃さず大田原は前蹴りを放つと共に腕を振り払って拘束を脱した。 僅かに距離が離れる。 その隙に腰元からナイフを引き抜き追撃へと前出た。 だが、そのナイフを振りぬこうとしたところで、大田原の動きが静止する。 瞬時に前傾姿勢を解いて上半身を仰け反らせた。 同時に、黒煙の先から放たれた弾丸がその眼前をすり抜ける。 ガレージ内で銃声は聞いている。 狙撃があることは警戒していたし、銃声から狙撃方向も把握していた。 タイミングばかりは撃つなら今であろうと言う当て推量だが、実際に撃たせてみておおよその仕掛けは知れた。 大田原はその場に足を止め冷静に現状を確認する。 中距離には司令塔と思しき正常感染者の少年とゾンビと思しき少女。 ガレージ内で聞き及んでいた音声と美羽の現状からして、少年は恐らくゾンビを操る異能者だろう。 少年の利き腕は美羽に踏みつけられ折れてしまったのか、左手に拾い上げたダネルMGLを握りしめている。 高火力な火器。点の狙撃と違い、美羽を足止めに使いもろとも吹き飛ばされては大田原と言えども避けようがない。 近距離には特殊部隊の同僚である美羽。 筋力は人知を超えた機械のソレ、耐久度は正しく鋼鉄。 自衛隊最強を誇る大田原とでも仕留めるのは簡単ではない相手だ。 任務は女王の可能性がある正常感染者の抹殺。 ゾンビはそこに含まれず、事態が解決されれば元に戻る可能性もあるという話だったはずだ。 ならば、ウイルスに侵されたとは言え美羽を殺す必要はない。 だが、ターゲットを守護し、任務達成の障害となるのであれば排除する。 美羽と言う個人に対する付き合いもそれなりにあったし、幾多もの視線を共に乗り越えてきた部隊同士の仲間意識もある。 それでも正義のためなら躊躇いなく実行できる。それが大田原と言う男だ。 何より、美羽は加減できる相手ではない。 戦うのであれば殺すつもりで行かなくては大田原が危うくなる。 遠距離には炎煙の向こうに構える謎の狙撃手。 ブラインドの先から行われる狙撃は驚異の一言だが、仕掛けさえ分かっていれば避けること自体は不可能ではない。 だが、それも狙撃手単体であった場合の話だ。美羽の相手をしながら狙撃手の警戒をするのは相当に精神が削れる。 その上、一発でも霞めれば美羽の二の舞ともなればかなりの綱渡りだ。 少なくとも黒煙越しにブラインドスナイプが可能なこの状況で戦うべきではない。 頭を潰すのが戦術の基本だが、遠近の守護者を突破して司令塔を潰すのは難しいだろう。 このまま戦ったところで勝ち目がまったくないという訳でもないが、無視できない程度に敗北のリスクはある。 ここは一旦引いて仕切りなおすべきだ。 そう決断するや否や、大田原は躊躇うことなく崩れたガレージの外壁に足をかけて、そのまま屋根へと上っていった。 通常、狙撃手が居る戦場でこのように高台で身をさらすのは自殺行為だが、狙撃手の目は少年だ。 それを理解しているからこそ、あえてその逃走経路を選んだ。 そこから赤い屋根へと移り、巨体とは思えぬ機敏さで屋根を渡り歩いて撤退していく。 圭介は深追いをせずそれを見送る。 美羽や兵衛なら追えるかもしれないが、司令塔である圭介がついていけない。 追うのは難しいだろう。 だが、今はそれでいい。 特殊部隊を手駒に加え、最強の特殊部隊を退けた。 十分すぎる成果だ。深追いをする必要はない。 なんとか生き延び、そして2度目の特殊部隊戦を経て理解した。 有象無象をどれだけ用意しようとも強敵には通用しない。必要なのは精鋭だ。 前衛と後衛。 それぞれの強力な駒を手に入れた。 特に、あの場面で兵衛を手に入れたのは幸運だった。 最初から伏兵として残していた訳ではない。 あの瞬間、世界に広がった異能の触手が、彷徨っていた六紋兵衛を捉えたのだ。 この調子で精鋭を集めて、特殊部隊にも負けない最強のゾンビの軍団を作り上げる。 それを成す異能(ちから)が今の圭介にはある。 その力をもってすれば特殊部隊の駆逐も夢ではない。 その先の女王探しも、力があれば楽になる。 僅かに見えた、光を取り戻すための希望の光。 美羽の言葉は正しい。 戦場において弱さは罪であり、強さは正義である。 全てを取り戻すために力が必要だ。 踏みつぶされた右手は骨折しており、左手は銃で塞がれている。 守護りきった恋人の手を握る事は出来なくなってしまったけれど、全ては光を取り戻すために必要なことだ。 そうやって、圭介は戦いの決意を固めてゆく。 そんな圭介を見つめる恋人の目にはどこか悲しみを湛えた光が宿っているようにも見えた。 【美羽 風雅 ゾンビ化】 【C-4/湯川邸前/一日目・午前】 【山折 圭介】 [状態]:鼻骨骨折、右手の甲骨折、全身にダメージ(中)、精神疲労(大)、八柳哉太への複雑な感情 [道具]:木刀、懐中電灯、ダネルMGL(4/6)+予備弾5発、サバイバルナイフ [方針] 基本.VHを解決して光を取り戻す 1.女王を探す(方法は分からない) 2.正気を保った人間を殺す。 3.精鋭ゾンビを集め最強のゾンビ兵団を作る。 4.知り合いを殺す覚悟を決めなければ。 [備考] ※異能によって操った日野光(ゾンビ)、美羽風雅(ゾンビ)、六紋兵衛(ゾンビ)を引き連れています。 ※美羽風雅(ゾンビ)は拳銃(H K SFP9)、サバイバルナイフを装備しています。 ※六紋兵衛(ゾンビ)はライフル銃(残弾3/5)を背負っています。 ※学校には日野珠と湯川諒吾、上月みかげのゾンビがいると思い込んでいます。 【C-4/高級住宅街/1日目・午前】 【大田原 源一郎】 [状態]:右腕にダメージ、全身に軽い打撲 [道具]:防護服、拳銃(H K SFP9)、サバイバルナイフ [方針] 基本.正常感染者の処理 1.撤退 2.追加装備の要請を検討 3.美羽への対応を検討(任務達成の障害となるなら排除も辞さない) 081.忸怩沈殿槽 投下順で読む 083.catch and kill 084.愛しの■■へ 時系列順で読む 二つの覚悟 大田原 源一郎 Monster Hunter 掃き溜めの戦狼 美羽 風雅 MISSION FAILED 友の家を訪ねる 山折 圭介 化け物屋敷
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ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL 第26話 MEGALITH "世の中、全てが思い通りにはならないさ。なぁ、そうだろ?" ――とあるジャーナリストの言葉より。 隕石攻撃から一夜明けたクラナガンでは、陸士たちが救難活動を続けていた。 火災は収まったが、崩れた建物などに閉じ込められた人々はまだ多い。同時に、医薬品も不足していた。ヘリ、トラック、ジープ、果ては空戦 魔導師までもが医薬品の運搬作業に当たっているが、まだまだ足りないのは目に見えていた。 「A地区には陸士三〇二部隊を。F地区はもういいでしょう、作業中の陸士に撤収命令を。三時間の休憩の後、D地区の救難活動に」 「は、はいっ」 地上本部跡地に設置された臨時指揮所では、かつての地上本部副官オーリスが、配下の陸士たちにてきぱきと命令を下していた。 昨夜から一睡もしていないのだが、疲れを感じさせないのは、父が――レジアスが命をかけて守ろうとしたこの地を、市民を救おうという意思 が強いからだろうか。 一通りの命令を終えた彼女は指揮所の粗末なパイプ椅子に座り込み、長机の上に置いてあった、各部の報告書に目を通す。どこもかしこも、深 刻な被害を受けているため、救難活動が思うように進まない。 「どうぞ」 「あぁ、ありがとう――?」 いきなり脇から熱いコーヒーの入った紙コップを差し出され、オーリスはてっきり部下の一人が出したものと思って受け取ったが、視線の先に いたのは管理局の制服の上に、白衣を背負った女性の姿があった。 「あなたは確か……」 記憶の奥から、女性の名を探し当てる。以前機動六課査察の話があがった際に名簿で見た、シャマルとか言う六課の医務官だ。 「――機動六課は、スカリエッティの確保に向かったと聞きましたが?」 「ええ。でも、がら空きにする訳にはいきませんから」 またいつ隕石が降ってくるとも限らないし、とシャマルは付け加える。同時に角砂糖を持ち出して、オーリスにいくつコーヒーに入れるか問う。 「……二つお願いします」 「リンディスペシャルって言うのもありますが?」 「遠慮しておきます」 角砂糖が放り込まれたコーヒーをオーリスは改めて受け取り、一口飲む。たったそれだけなのに、身体中の疲れが消えていくような気がした。 「――考えられませんね、まったく」 「あら、美味しくなかったですか? まぁインスタントだし――」 「そうではなくて」 コーヒーのことかと思ってシャマルはオーリスの言葉に反応したが、当の彼女は苦笑いを浮かべながら首を振って答えた。 「ほんの数ヶ月前なら、本局寄りの機動六課の方とこうしてコーヒーを飲むなんて、あり得ません。何もかも変わってしまった、あの男がここ に来てから……」 「――この場に"リボン付き"がいたら、こう言うでしょう。俺はきっかけを作っただけだって」 今はこの場にいない一人のエースパイロットの存在を口にしながら、二人はクラナガンの空を眺めた。昨夜は死の流星群が降り注いでいたあの 空は今は曇り。その向こうでは、彼女らの仲間たちが戦っている。 どんよりした曇り空に何か嫌な予感を感じたのは、気のせいだろうか。臨時指揮所に設置されていた通信機と、ほとんど同時に指揮所に入って きた守護獣ザフィーラの発した言葉は、まったく同じだった。 「指揮所、応答願う! また隕石が降ってきた!」 「シャマル、外を見ろ! 隕石が落ちてきたぞ!」 はっとなって、シャマルとオーリスは指揮所の外に出る。灰色の曇り空に、はっきりと見える赤い凶暴な姿をした隕石が、いくつも姿を見せて いた。 「……シャマル医務官、負傷者の救護を引き続き、お願いします。必要なら、陸からも応援を出します」 「ええ、よろしくお願いします。こちらも本局に掛け合って、次元航行艦を出してもらうように頼んでみます」 二人はただちに行動に入る。 ここに来て、もはや管理局内の対立はほぼ消え去っていた。目の前の命を助けるために、陸も海もない。今はただ、自分たちにできることを。 時を同じくして、メガリス付近上空。 空中管制機ゴーストアイは、クラナガンより隕石の落着がまた始まったとの報告を受けていた。すなわち、停止していたメガリスがまた動き出 したのだ。 「急がねばなるまいな……まだクラナガンはダメージを負ったままだ。ゴーストアイより各機、状況報告」 ゴーストアイが各機に通信を送ると、即座に威勢のいい返答が返ってきた。皆、最終決戦ということで士気は非常に高いようだ。 「アヴァランチ、スタンバイ」 「ウィンドホバー、スタンバイ」 「スカイキッド、スタンバイ」 まずは地上本部所属の戦闘機隊、F/A-18Fのパイロットであるアヴァランチ、F-16Cのパイロット、ウィンドホバー。最後にMir-2000のパイロットで あるスカイキッド。いずれも四機編隊の編隊長であり、配下に同じ機体の僚機を連れている。 「ライトニング1、スタンバイ」 「ライトニング2、スタンバイ」 「スターズ2、スタンバイ」 今度は打って変わって美しい女性の声が続く。機動六課所属の空戦魔導師、フェイト、シグナム、ヴィータの三名だ。いずれもバリアジャケット に騎士甲冑、リミッターも出し惜しみをせず完全解除済み。今なら戦闘機にも遅れは取らないだろう。 「メビウス1と黄色の13は?」 最後にゴーストアイが問うのは、二機の異機種編隊。尾翼にリボンのマークをつけたF-22と、主翼の先端を黄色で彩ったSu-37。 「メビウス1、スタンバイ」 「黄色の13、スタンバイ」 ユージア大陸最強のエース、メビウス1と黄色の13が返答。ただでさえ一人でも手強いと言うのに、二人のエースが手を組んでしまった。もう 何者でも、彼らを撃ち落すことは叶わないはずだ。 あとはなのはが居ればな、とメビウス1は思う。管理局のエースオブエースは、後方の母艦"アースラ"で待機中の身だ。 ――いや、今の戦力で充分だ。今の彼女を戦場に出す訳にはいかない。 首を振って思いを振り切り、メビウス1はふと、ゴーストアイとのデータリンクにより表示される、サブディスプレイのレーダー情報に視線を 落とす。敵味方不明の機影が多数、こちらに迫りつつあった。 「来たぞ、敵の歓迎委員会だ。数は――三〇、後方にガジェットⅡ型と思しき反応もある」 ゴーストアイの言葉を聞いて、各員はそれぞれの兵装のセーフティを解除していく。これを突破しないことにはメガリスに辿り着けず、メガリス 本体に設置されている対空火器の排除もできない。そうなればメガリス停止のために突入する部隊を乗せたヘリは、あっという間に撃墜される だろう。 「これが最後の戦闘になる――各機、今日は俺の誕生日だ。プレゼントには、終戦記念日を頼む」 「了解、ゴーストアイ。帰ったらお前のバースデイパーティだ」 相変わらずのアヴァランチの調子のいい軽口に、ゴーストアイはにやりと笑い、「楽しみにしておく」と返答。そうして表情を引きしめ、改めて 指示を下す。 「――All aircrft,follow"Mobius1"and"Yellow 13"!」 ゴーストアイの命令により、各員は一斉に加速していく。 迎撃機との空戦、開始。 迎撃に上がったのは例によってZ.O.Eシステム搭載の無人機、Su-35とF-15Eだった。彼らは当然のことながら無人機ゆえ、人格はない。 だが、むしろその方がよかったかもしれない。仮に人格があれば、真っ先に突っ込んできた二機を見た瞬間、彼らは逃げ出すだろう。 突っ込んできた二機――メビウス1と黄色の13は、その圧倒的な技量を持って、敵編隊を混乱に陥れようとしていた。 「13、下に逃げた奴をやれ。俺は上に行く奴を叩く」 「編隊長はお前か、リボン付き?」 「いいからホラ、やるぞ。メビウス1、フォックス3!」 指示を出されることに文句を言う黄色の13を無視して、メビウス1は火器管制装置が選んだ目標をロックオン、ミサイルの発射スイッチ を押す。今回もステルス性を無視する形で装備された主翼下のAIM-120AMRAAMが六発、一斉に切り離され、ロケットモーター点火。各々がロック オンした目標に突き進んでいく。 哀れにも標的にされた敵機は回避機動を取るが、AIM-120は無情にも彼らに迫り、近接信管を作動させ、爆発。たちまち六機が後部胴体や尾翼 を破片と爆風により食いちぎられていく。 いきなり先頭部隊を潰された敵機はわらわらと編隊を崩し、上、下と分かれてメビウス1と黄色の13に挑む。上下に挟み撃ちする考えのようだ。 仕方ない、と黄色の13は自分に挑んできた二機のF-15Eを睨み、エンジン・スロットルレバーを叩き込み、アフターバーナー点火。加速する彼の 愛機Su-37はF-15Eと交差し、旋回して後を追う。 「一機いない……?」 F-15Eを正面に捉えた黄色の13は、片割れのもう一機の姿がそこにないことに気付く。 ――なるほど、そういう魂胆か。だが! 歴戦のエースの眼は、無人機の考えなどお見通しだった。即座に操縦桿を左に倒し、ラダーペダルを踏み込む。ぐっと若干強めのGが圧し掛かって きて、Su-37は左にロールしながら、機首を低空へと向けていく。 下へと沈む機体を制御しながら、黄色の13は首を右に振る。姿の見えなかったもう一機のF-15Eが、高速で行き過ぎていった。彼らは一機を囮に もう一機で黄色の13を撃墜しようと企んでいたのだ。だが、その目論見は読まれていた。 F-15Eが行き過ぎたのを確認すると、黄色の13はただちに機体を立て直す。Su-37は彼の操縦に機敏に反応し、機首を行き過ぎたF-15Eと囮になって いたもう一機に向けると、ロックオンを開始。 「――フォックス2!」 ミサイルの弾頭が敵機を捕捉したことを知らせる電子音が鳴り響き、黄色の13は発射スイッチを押す。主翼下から勢いよく加速し、敵機に突き進む R-73短距離空対空ミサイルは確実にF-15Eのエンジンから放たれる、大量の赤外線を捉えていた。 命中、二発のR-73はそれぞれが定めた目標に直撃し、敵機を木っ端微塵に吹き飛ばす。 「上手いぞ13、その調子だ」 「喋ってないで敵を片付けろ、リボン付き」 「かわいくねぇなぁ――っと」 黄色の13の華麗な空戦に賛辞を送るメビウス1だったが、その後方には一機のSu-35が食らいつこうとしていた。いくらステルス機のF-22といえど、 視認距離の格闘戦なら撃墜される恐れが出てくる。 メビウス1はフレアの放出ボタンを叩き、あらかじめ赤外線誘導のミサイルに撃たれないよう対策を打っておいて、その上で操縦桿を引く。F-22の 機首は跳ね上がって急上昇を開始する。 ちらっとメビウス1はGメーターの数値に視線をやる。通常なら「1」と表示されるそれは、あっという間に「8」に達していた。自身の体重の八倍 の重力が、身体に容赦なく圧し掛かってくる。 低い唸り声を上げながら、それに耐える。もう少し耐えれば、黄色の13か、そうでなくても後から続く味方が後方の敵機を排除してくれるはずだ。 高いGのため、首はほとんど動かない。目玉だけを動かしてコクピットの正面上位に設置したバックミラーに目をやると、案の定後ろにいたSu-35は 次の瞬間、爆発していた。 ほっと一息ついて機体を水平に戻して周囲を見渡すと、ヴィータがグラーフアイゼンを片手にF-22のすぐ傍にやって来ていた。 「よう、メビウス1。後ろの雑魚は片付けといたぞ」 「サンキュー、助かった。後でアイスでもおごろう」 「そいつぁ楽しみだ!」 勢いに乗る彼らと彼女は、次々と敵戦闘機を駆逐していった。 メビウス1と黄色の13、それにヴィータが敵機を蹴散らしている間に、戦闘機隊とフェイト、シグナムはメガリス本体に接近しつつあった。 対空砲火のレーダーが、彼らと彼女らを探知したのだろう。メガリスに設置された対空機関砲は一斉に銃口を天に向け、ありったけの弾丸をぶっ放し、 見る者全てが恐れるほどの分厚い弾幕を張った。 「すげぇ弾幕だな……」 「どうした、アヴァランチ? ビビッたか」 あまりの大量の弾幕にアヴァランチは声を上げ、それにウィンドホバーが反応した。アヴァランチはしかし、コクピットの中で首を振る。ここまで 来ておいて、今更何を恐れようというのか。 「馬鹿言うな、ちょっと感想を言ってみただけだ。さぁ、天使とダンスだ!」 「了解、その意気だ!」 「ライトニング、対空砲火は俺たちが引き付ける。その隙に叩け!」 フェイト、シグナムに向けてスカイキッドが言い放ち、戦闘機隊はそれぞれ分散し、上昇。メガリス上空に躍り出ていく。 たちまち、メガリスの装備する無数の対空機関砲、それに地対空ミサイルが彼らにその矛先を向けてきた。 撃ち上げられる対空砲火は、端から見ると無数のアイスキャンディーのようだ。ときどき飛び交う白煙と爆風はミサイルのものだろう。戦闘機隊は 散らばり、各個に思い切り回避機動をやってそれらを回避し続ける。 「――いくら彼らでも、長くは持ちそうにない。テスタロッサ、素早く終わらせるぞ」 「了解、シグナムも気をつけて」 荒れ狂う対空砲火の嵐の中、フェイトとシグナムはメガリスに向かって急降下、急接近。いくつかの機関砲が彼女たちを撃ち落そうと銃口を向けて きたが、戦闘機よりもはるかに小さい魔導師である。赤いビームのように見える火線を潜り抜けていき、二人はメガリス本体の外面に到着する。 ここまで来てしまえば、もうこちらのものだ。対空機関砲は自分たちの同胞への誤射を恐れて、積極的に撃ってこない。 「飛竜……」 愛剣レヴァンティンを鞘に収めて、カートリッジロード。魔力を上乗せされた刀身は鞘の中で、シュランゲフォルムに。 「一閃!」 力を込めて、彼女は居合い斬りのようにレヴァンティンを振りぬく。変幻自在な長い蛇咬の刀身が宙に舞い、機関砲の砲身を、砲塔を切り裂いて いく。一振りするだけで、機関砲の群れの一角はたちまち沈黙していく。 ――隙間なく集中配備をやりすぎたな。 戦闘の真っ最中だが、シグナムの思考は冷静だった。対空機関砲はメガリスの外面いっぱいに敷き詰められるように設置されており、結果的に まとめて潰しやすくなっているのだ。 これならば、と彼女が思った瞬間、不意に後ろから殺気を感じて、シグナムは跳躍する。潰し切れなかった機関砲が、彼女の背中に狙いを定め ていた。シグナムがその場を離れて一瞬した後、今まで立っていた場所に機関砲の弾丸が叩き込まれる。騎士甲冑を持ってしても、あのまま 気付かなければミンチにされていたかもしれない。 「油断大敵か――!」 背筋に冷たいものを感じながら、シグナムは体勢を立て直す。だが、彼女が手を下すまでもなく、生き残りの対空機関砲を真っ二つにしていく 者の姿があった。メガリス上面を駆け回る金色の閃光は、フェイトだ。 機関砲の火器管制は彼女を照準に捉えようと必死に足掻くが、光の如くの速さで迫るフェイトの前には無力だった。やっと正面に捉えたその 瞬間、砲台丸ごとザンバーモードのバルディッシュから伸びる、光の刀身によって叩き切られていく。 「シグナム、まだ終わってないですよ」 「――無論だ」 フェイトに言われて、シグナムはレヴァンティンを構え直し、まだ手付かずの対空機関砲の群れに立ち向かうことにした。 「メガリスの対空砲火、約50パーセントが沈黙。ヘリはメガリスに突入せよ」 戦況をモニターしていたゴーストアイからの指示が飛び、ヘリの機内にいたティアナはいよいよか、とクロスミラージュを握り締める。 彼女だけでなく、スバル、エリオ、キャロ、そして同乗していたベルツ率いる陸士B部隊が、戦闘態勢に入った。 「ちょっと乱暴になる、気をつけろよ!」 ヘリの操縦を務めるヴァイスは機内の彼女たちに一声かけた上で、メガリスに向かってヘリを超低空飛行で突っ込ませる。 半分は沈黙したとは言え、メガリスの対空砲火はまだ動いている。何門かがヘリを見つけて、弾丸を叩き込んできた。ヴァイスはそれらを操 縦桿を巧みに操り、機体にランダムな機動をさせて回避していく。もちろん、決して歩みは止めていない。ヘリは弾幕を抜けながら、メガリス に迫っていた。 「イテッ! ……ヴァイス陸曹、次に俺たちが乗る時は安全運転で頼む」 「合点承知。そら、降下ポイントだ!」 急機動のせいで頭を機内にぶつけたベルツは文句を言いつつ、ヴァイスの言葉で降下準備に入った。ティアナたちと違って魔導師としての技量 は劣る彼らは、降下方法もロープによる高速降下とアナログなものだ。だが、ここでティアナたちを消耗させる訳にはいかない。メガリス内部 には、おそらく大量のガジェットが待ち構えているはずだった。 「ハッチ開けるぜ、幸運を!」 「了解、ありがとう――さぁ野郎ども、行くぞ。彼女たちに俺たちの勇姿を見せてやれ!」 「了解!」 「GO!GO!GO!」 ヘリの後部ハッチが開き、冷たい風が機内に流れ込んでくる。地面に向けてロープが吊るされ、ベルツを先頭にB部隊の陸士たちは降下していく。 地面に降り立った彼らは、メガリスの巨大さと外気の予想以上の寒さに顔をしかめつつ、手にしていたアサルトライフルやサブマシンガンを構え 周辺警戒。対空砲火は依然として派手に撃ち上げているが、地面に降りた彼らを狙うものは見当たらなかった。 ベルツは上空のヘリに合図を送って、ティアナたちに降下ポイントの確保に成功したと伝える。 「……さぁ、みんな行くわよ。最終決戦、あたしたちの任務は!?」 「リイン曹長をサブコントロールルームまで連れて行く!」 「はいです!」 ベルツからの合図を確認したティアナは降下直前、後ろを振り返って仲間たちに問う。スバルとリインフォースがそれに答え、エリオとキャロ が続く。 「それから、メガリスを停止させて!」 「最終的には、内部にいるはずのスカリエッティの確保!」 「上出来。それでは、降下開始!」 ティアナの言葉で、六課の新人たちは先に降下した陸士たちの後を追うべく、ヘリから飛び降りた。 バリアジャケットを装着しているというのに、やはり外気はティアナにも冷たく感じた。耳に入ってくるのは、冷たく生物の存在を許さない、 耳障りな風。 ――否、それだけではなかった。風に混じって微かに聞こえる、鋼鉄の翼たちの咆哮、すなわちジェットエンジンの轟音。それがなんだか、 ティアナには頼もしく思えた。あの空の向こうで、メビウス1も戦っているはずだった。 「あたしだって……!」 震える腕は、武者震いか。ティアナはメガリスの巨体を睨みつけながら、戦場へと到着する。 メガリス内部、メインコンピュータがある一室。そこに、全ての元凶はいた。スカリエッティ、その人である。 狂人のような薄ら笑いは相変わらずだが、今日の彼は格好が違った。いつもの科学者の白衣ではなく、黒い特殊な宇宙服のようなもので身を 包んでいた。そして、首筋には何かのコードのようなものがぶら下がっている。 「……おや、侵入者か」 笑みはそのまま、内部に張り巡らされたセンサーが、侵入者がいることを知らせてくれた。コンピュータのキーを叩いて、一番近い監視カメ ラを操作し、侵入者の正体を探る。 「あぁ、また君たちか」 監視カメラに映ったのは、市街地戦用の迷彩服を着た陸士たち、それに続くバリアジャケット姿の少女三人、少年一人。 最初に見た時はなかなか面白いと思ったものだが――今は、もう興味がなくなっていた。それよりもこのメガリスだ。 素晴らしいなぁ、まったくとスカリエッティは天井を見上げ、メガリス全体に愛しげな視線を向ける。 最初に彼がメガリスを見つけたのは、この永久凍土の地で、極めて小規模な次元震が起こった時だった。 あいにくの猛吹雪の日だったので管理局は調査を断念したが、スカリエッティはこれがどうも気になって仕方がなかった。それゆえ、多数の ガジェットを悪天候で失いつつも、調査を続けた。 その結果、ガジェットのカメラ越しに彼が見つけたのは、まるで王城のような要塞だった。破壊の跡が見られたが、原型そのものは崩れてお らず、非常に頑丈に設計されたことが目に見えてわかった。 この要塞を調べていくうちに、スカリエッティは驚愕し、徐々に魅せられていった。 内部にあったコンピュータからこれが異世界のものであることを知り、その世界での歴史を見た。小惑星"ユリシーズ"の墜落からなる一連の ユージア大陸戦争。そして、"ユリシーズ"が生み出した破壊と混乱を思い知らされたはずの人間が、こうしてその悪夢を再現できる要塞を建造 したことから、彼は一つの結論に至った。人は、戦争をやめられないのだと。どうしようもないくらい、殺戮が大好きなのだと。 だから――スカリエッティは行動に移したのである。いかにそれが愚かな行為であるか、身を持って教えてやろうとした。 それが彼の行動理念だった。それが彼の思う人間に対する"救い"なのだと。 「さぁて……それでは始めよう」 スカリエッティは立ち上がり、警報用のスイッチを押す。今頃、各部で待機していたガジェットが一斉に飛び出してくるだろう。 しかし、それだけで彼らは止められるだろうか。そんな疑問がふと沸いて出てきたが、心配いらない、とスカリエッティは自分に言い聞かせた。 いざとなれば、最強の切り札がまだあるのだから。 「おかしい……」 メガリス内部に侵入したベルツたちは、あまりの静けさにむしろ恐怖感を抱いていた。 アサルトライフルの銃口は絶えず正面に向けているが、敵が出てこないのでは意味がない。 「どう思う、ランスター?」 「――どっかで待ち伏せしているんじゃないかと」 「同感だ」 ティアナとお互い指揮官として意見を交わし、ベルツは自ら先頭に立ち、歩みを進めていく。 内部ではかつて戦闘があったのだろうか、いくつもの銃弾による穴があり、手榴弾でも使ったのか、派手に壁がへこんでいる部分もあった。 鼻腔をくすぐるのは、わずかに残った硝煙の匂い。ベルツはあまりいい雰囲気ではないな、と胸のうちで呟いた。少なくともデートスポット としてはお断りだろう。 「――こいつか」 前進していると、出撃前のブリーフィングにて通達されたサブコントロールルームへと繋がる扉が見つかった。 「押しても引いてもダメっぽいな」 「電子ロックでしょう。リイン曹長、出来ますか?」 「はーい、ちょっとお待ちを……」 ティアナはリインフォースに頼み、扉のすぐ隣にあった端末と思しきものにアクセス出来ないか試みた。これで開くなら、メガリスの発電用 ジェネレーターを破壊して、停電を待つ間でもない。 「――やっぱりダメです。すごく強力な電子ロックが掛けられています」 ところが、やはりそう簡単には開かないらしい。リインフォースは端末から離れ、首を振った。 「仕方ない、予定通りジェネレーターの破壊を待って……っ」 ベルツが口を開いたその瞬間、メガリス内部に警報が鳴り響いた。どうやら、最初からここまで追い込む魂胆だったらしい。今にガジェットの 群れがわんさか押し寄せて来るだろう。 「ただ待たせるだけじゃ悪い、と思ったんだろうな。客が来たらお茶とお菓子もお出ししないと」 「いやなお茶とお菓子ですね」 愚痴をこぼしながら、しかしベルツとティアナは不敵な笑みを交わす。向かってくるなら、迎撃するまでだ。 「ソープ、ジャクソン、タンゴ分隊とチャーリー分隊を率いてそっちの通路を死守だ。残りは俺と一緒にそこのB扉から来る敵を迎え撃つ」 「エリオ、キャロはタンゴとチャーリー分隊の援護に回って。スバル、あんたはあたしと同じでベルツ二尉の援護」 『了解!』 怖いか?と聞かれれば、この場にいるもの全員が頷くだろう。だが、逃げ出したいか?と聞かれれば、全員が首を振る。 もう、逃げ込む場所などどこにもない。立ち向かっていくしかないのだから。 こいつでラスト――! 右へ左へと旋回して逃げ惑うF-15Eの、上でテニスが出来ると称されたほどの大きさを持つ主翼に向かって、メビウス1は機関砲の引き金を引く。 F-22の主翼の付け根に装備された二〇ミリ機関砲が唸り声を上げ、赤い曳光弾がF-15Eの胴体を貫いていく。 穴だらけにされたF-15Eは次の瞬間には爆発、その身を空中へと四散させた。 「ふぅ……」 酸素マスクの中で一息ついたメビウス1は、視線を落としてレーダー画面を確認。すでにそこに敵機の姿はなく、映っているのは味方機のみだ。 「こちらゴーストアイ、全ての敵機の撃墜を確認。残弾、状況知らせ」 「こちらメビウス1、AMRAAMは使い切った。サイドワインダーが二発、機関砲弾が三一〇発。燃料、機体には問題無し」 ゴーストアイに言われて、メビウス1はウエポン・システムを操作し、残存する兵装をサブディスプレイに表示させる。残っているのは短距離 空対空ミサイルのAIM-9サイドワインダーと機関砲のみだ。 「こちら黄色の13、機関砲弾が残り八〇発。ミサイルは、R-73が一発。燃料はまだ大丈夫だ」 「こちらスターズ2、カートリッジはあと二個だが、まだやれる」 黄色の13とヴィータもゴーストアイに報告。ひとまず敵機の脅威は排除されたので、彼らはメガリス上空に向かい、対空砲火の制圧を行って いるフェイトとシグナム、戦闘機隊の援護に向かうことになった。 とは言え、その必要はあるんだろうか――? メビウス1の考えは、当たっていた。メガリス上空に到達したはいいが、対空砲火はすっかり静まり、たまに生き残りが散発的に撃ってくるだけ だった。フェイトとシグナムが大暴れした結果だろう。戦闘機隊も被弾した機体はあっても、撃墜されたものはいない。 「こちらメビウス1、敵戦闘機を全て排除した。何か手伝えないか?」 「こちらスカイキッド――何、あれを全部落としたのか!?」 スカイキッドが驚愕し、続いて戦闘機隊の面々も驚く。たった二機と一人で三〇機もの敵機を全て撃墜したのだから、その実力は推して知るべし であろう。 「アヴァランチよりメビウス1、せっかく手伝いに来てもらってなんだが、大概の目標は潰しちまった。あとはジェネレーターだけだ。今、ライ トニングの二人が破壊に向かってる」 アヴァランチの言葉で、メビウス1はコクピットから身を乗り出すようにして、眼下のメガリスを見る。 ほぼ沈黙した対空砲火、それらを素通りして、フェイトとシグナムがメガリスの排気ダクトに向かうのが見えた。 今回は出番無しか、とメビウス1は思う。トンネル潜りは得意なのだが、わざわざ危険を冒して、戦闘機には非常に狭い排気ダクトに突っ込んで ジェネレーターを破壊することもあるまい。 しかし――思わぬ障害が、彼らの前に立ちふさがった。 「こちらライトニング1、これより排気ダクトに侵入して……わぁ!?」 いきなり通信機にフェイトの悲鳴が入り込んできて、メビウス1は何事かと眼下を見る。 メガリスの三つの排気ダクト、その周囲に、地下からぬっと何門もの速射砲が姿を現していた。隠し砲台に違いない。 「っく……」 「どうした、何があった。ライトニング、応答せよ!」 通信機にいかにも苦しげな声を送ってきたのはシグナムだろう。ゴーストアイが、何事かと彼女に問う。 「――敵の速射砲弾は、いずれもAMFが内蔵されている! 我々では近付けない……!」 「こちらライトニング1……同じくです。物凄い高濃度のAMFが――」 シグナムとフェイトはそう言って、上空へと退避してきた。ただちにゴーストアイが敵の砲撃を分析する。 「――出たぞ。ライトニング2の言うとおり、敵の砲弾にはAMF発生装置が搭載されている模様だ。炸裂と同時に、周囲にAMFの粒子をバラ撒いて いる。これでは魔導師では無理だ。AMFの影響を受けにくい者……戦闘機が、排気ダクト内に侵入するしかない」 「なんだって!? 無茶を言うなゴーストアイ!」 ゴーストアイが出したとんでもない提案に、ウィンドホバーは驚愕と抗議の声を上げる。 確かに、戦闘機で排気ダクト内に突入するなど、ほとんど自殺行為に等しい。少しでも操縦を誤れば壁面に激突してしまう上、その狭さから乱気 流も発生する。つまり、機体は常に不安定な状況に晒されるのだ。そんな状況下、瞬きする間に数百メートルかっ飛んでいく機体を操り、ジェネ レーターに致命弾を与え、脱出するなど―― 「……分かった、俺が行こう」 「こちら黄色の13、同じくだ」 否、それが可能な彼らがここにいた。メビウス1と黄色の13は、さも当然のように言ってのけた。 「おい、正気かよメビウス1! 対空砲火だってまだ……」 「ヴィータ、別にこれが初めてじゃない。13の方は知らないが」 「任せろ、トンネル潜りなら得意だ」 「――だ、そうだ」 止めようとしたヴィータに、しかしメビウス1は気楽な返事。黄色の13もまた、余裕たっぷりな口調だった。 ゴーストアイは暫し沈黙する。出来ると言っているが、果たして危険な場所に彼らを送り込んでいいものか、他にもっといい対策はないのか。 思考を巡らせるゴーストアイだったが、メガリス内部からの通信が入り込んできた。突入したベルツのB部隊、それにティアナたち六課のフォワード 部隊だった。 「こちらスターズ4、敵と交戦中! 早いとこお願いします」 「来たぞ、K扉に敵だ! 近付けさせるな!」 どうやら、内部に配置されていたガジェットと交戦を開始したらしい。通信の奥では、すでに銃声が響き渡っている。 「アルトマン、手榴弾を使え!」 「畜生、火炎放射器だ!」 「撃て撃て、階段のところだ!」 銃撃戦はかなり激しいようだ。ガジェットの総数は不明だが、その数は多いと見た方がいい。となれば、素早くジェネレーターを破壊しないと、彼ら と彼女らは袋のねずみにされてしまう。 ゴーストアイは意を決して、メビウス1と黄色の13に通信を入れる。 「――メビウス1、13、やってくれるか?」 「了解、任せろ」 「こちら黄色の13、了解だ」 二機は主翼を翻し、メガリスへと立ち向かう。目指すは排気ダクト内、三つの発電用ジェネレーターだ。それらを全て破壊すれば、メガリス内部の電力 供給は断たれ、サブコントロールルームへの扉が開く。 「13、自信はあるか?」 「愚問だぞ、リボン付き。この程度――」 二機は二手に分かれ、それぞれ別の排気ダクトに向かう。黄色の13はメガリス本体の側面に設置された、排気ダクトに向かって突き進む。 「どうと言う事はない!」 アフターバーナー、点火。黄色の13は愛機Su-37を突撃させた。メビウス1のF-22も同じく、ただし彼はメガリス本体正面、二つある排気ダクトのうち 一つに突き進んでいた。 隠し砲台として姿を現した速射砲は絶えず砲弾を放ってくるが、Su-37は機首をわずかに逸らすなどランダムな機動を取って、速射砲の火器管制を幻惑する。 ガン・スモークと呼ばれる黒々とした煙の中を突き抜け、黄色の13はついに排気ダクト内部へと侵入する。 「――!」 内部に突入すると、Su-37がガタガタと揺れ始めた。乱気流のせいで、まっすぐ飛べないのだ。黄色の13はそれを絶妙な操縦桿とラダーペダルの操作で 耐え抜き、排気ダクト内を進む。 主翼が壁面を引っかきそうになって冷やりとしたが、どうにか大丈夫そうだ。黄色の13は恐怖と胸のうちで格闘しながら、正面を睨む。 ――あれか! 排気ダクトの奥、壁面に明らかに付け加えられた形跡のある、発電用ジェネレーターが、彼の視界に映り込んだ。 ただちにウエポン・システムを操作して機関砲を選択。ぎりぎりにまで引き付ける。機関砲の口径は三〇ミリと大きいが、破壊するなら距離を縮めた方が いい。 酸素マスクから送られてくる酸素をたっぷり吸い込み、落ち着け、落ち着けと黄色の13は自分に言い聞かせる。 「捉えた……!」 絶妙の距離とタイミング、黄色の13は引き金を引く。Su-37に搭載されたGsh-301三〇ミリ機関砲が、待ってましたとばかりに火を吹いた。 放たれた機関砲弾はジェネレーターにいずれも直撃し、爆発。黄色の13は一瞬怯み、しかしエンジン・スロットルレバーを叩き込む。 Su-37は爆風を突き破り、そのまま排気ダクトを駆け抜けていった。 排気ダクトの向こう、眩い空にSu-37は飛び出す。視界が急に明るくなって黄色の13は眼が霞む感覚を覚えたが、身体は愛機と一体化したかのように操縦桿 を引く。Su-37は上昇するが、対空砲火の赤い弾丸が後ろから追いかけてきて、彼は背筋に冷たいものが流れるのを感じた。 これだから対空砲と喧嘩するのは嫌なんだ――。 胸のうちで愚痴をこぼしながら、機体を水平に戻す。眼下に視線をやると同じようにもう一つの排気ダクトから、対空砲火に追い出されるような形でF-22が上 昇してきた。メビウス1も、ジェネレーターの破壊に成功したのだ。 「あぁ、怖い怖い。どうだった、13?」 「ばっちり破壊に成功だ。そっちはどうだ」 「同じく破壊成功。残りは――」 F-22のコクピット、メビウス1が視線を下げるのが見えた。黄色の13がその先を辿ると、三つあるうちで唯一まだ突入されていない排気ダクトがあった。 「アレだけだ。さぁ、行くぞ13。全てを終わらせよう」 「了解だ」 二人のエースは操縦桿を翻し、機体を降下させる。目指すは最後のジェネレーター。これを破壊すればメガリス内部は停電を起こし、サブコントロールルーム への扉が開く。そうして、リインフォースがメインコンピュータに接続して起動を停止させるのだ。 間違いなく、戦闘は終局へと向かっていた。 だが――メガリス上空の冷たい寒気は、この地に雪を降らせようとしていた。 生命の存在を許さないこの永久凍土の地の寒さが、勢いを増す。それはさながら、メガリス――王が、怒りを露にしたようだった。 怒りの矛先が誰に向けられるのか、それに気付く者はこの場にいなかった。 戻る 目次 次へ
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周りが笑っているのに俺1人だけ笑えない。 周りが慌てているのに俺の心にはさざなみさえ起こらない。 頬をいくら抓っても顔は表情を作らなくて、気がつけば引き千切っている自分がいる。 孤独感ばかりが加速していく。 そんなある日、六課で1匹の犬が吼える。 まさかと振り返った先にいたのは懐かしい姿。 見間違いかとさえ思ったけれど、駆け寄るそれはまぎれもなく……。 ほんの一瞬だけ歓喜に満たされ、直後に感じるのは泣き出したいほどの絶望。 ああ、どうして・・・・・・。 なんで来てしまったんだ。 この窮屈な地獄にお前まで付き合う必要はなかったのに……。 第13話 1人と1匹と予言 とある荒野が広がる世界の片田舎。 ゴミの山の横に生まれた町の片隅にひっそり建っている施設。 大破壊前に開発されたとある装置が設置されたその建物の中で声がする。 「なぁ、やめねぇか?今ならまだ間に合うぜ?」 「嫌だ。答えは同じだ。さっさとやれ。」 「ああ、くそっ。なんでクソニンゲンどもはオレサマをこんな装置の使い方が わかっちまうクソノウミソにしやがったかなぁ。 操作できるなんてぽろっと漏らすんじゃなかったぜ。くそっ。 ああ、そっちのバカヅラぶらさげたデブとスカシもなんか言ってやれよ。」 「漢はやるときにはやるものだ。」 「言い出したら聞かないと分かっていてですか。それはあまりにも愚かしいでしょう。」 「ああ!!融通効かないクソどもが。こういうときぐらい『行かないで』とか 『飛びきり上等の雌紹介するから行くな』とかそういうこと言うもんだろうが!!」 「それでもオレの意思は変わらないよ。御主人が全てに優先される。 御主人を世界中探したけれどいなかった。違ったのはバトー博士と助手もいなかったことだけ。 機械娘もいなかった。オレには転送事故しか思いつかない。」 「だからって1匹でモンスターぶちころしながら世界中走り回ってきてすぐに転送事故 起こせなんて抜かすバカがどこにいるってんだよ。しかも事故だぜ事故!! ここから御主人に発情してたメガネとかヒステリーのとこに転送するのとは 全然わけが違うんだよ。行った先に御主人がいる保障もねぇ、 行き先が火山のど真ん中かも知れねぇ。ミサイルの着弾地点かもしれねぇ。 高度12000mに足場さえない状態で出るかも知れねぇ。 空気があるかどうかさえわからねぇ。最悪それを全部あわせたやつかもしれねぇ。 奇跡と偶然とまぐれと何かが手をかさねぇ限り絶対無理!それでもお前はやるのか?」 「やる。」 「ああ、くそっ。もう狂ってやがるとしかいいようねぇぜ。クソッタレ。 ああ、分かったよ。やりゃいいんだろ、やりゃあさ。ああ、クソッタレ!!」 「ありがとう。」 「漢なら兄弟の頼みに黙って手を貸すものだ。」 「私達の中で一番のインテリを自称していたのに吠えるしかできない能無しでしたか。」 「うるせぇ!!てめぇら揃ってバカでクソイヌでくたばっちまえって感じだったが、 特にてめぇは死んでも治らんクソイヌだ。今すぐふっとばしてやるよ。」 「ありがとう。ベルナール。」 「漢はやるときにはやるものだ。」 「照れ隠しにしてはずいぶんと露骨ですね。隣の酒場に住んでるマスターに発情する雌と 同じでツンデレってやつですか。」 「黙ってろ、クソイヌ2匹!!OK。完璧だ。あとは、このボタンさえ押せば事故る。 最後の確認だ。本当にやっちまっていいんだな。後悔しねぇな。 動かしちまったら『やっぱやめた』なんて通用しねぇし、ミスっても蘇生がきかねぇぜ?ドクターミンチのクサレマッドのところにもっていく死体さえ残らないからな。」 「ベルナール。構わずやってくれ。タロウ、ラリー。御主人の家族を頼む。」 「漢は漢同士なにも言わなくてもわかりあうものだ。」 「マスターの家族は我々におまかせない。あなたに祝福を・・・・・・。」 ゴウンゴウンと音をたてて施設が稼動し始める。 ガラス製のシリンダーの中、粛々と佇む1匹。 そして赤い警告灯が灯り、警告音がけたたましくなり始める。 「さぁ、おっぱじまったぜ。神…天使…機械神…犬神…ああ、くそったれ。 龍神はマスターがぶちころしまったし、ろくな神様いねぇじゃねぇか!! ポチ!!赤い悪魔にでも祈ってろ。あの雌が一番まともで願いを聞きそうだ。」 「漢は困難に立ち向かうときガタガタ抜かさないものだ。」 「いってらっしゃい。よい旅を・・・・・・。」 閃光がほとばしる。 後に残ったのは空のガラス製のシリンダーと残された3匹だけ。 パネルから飛び降りようとしたベルナールが設定の表示されたディスプレイを見て 思わず声を上げる。 「あ……。やべぇ……。」 「どうしました?ベルナール。」 「いや、別にたいしたことじゃねぇ。」 「漢は嘘をつかないものだ。」 「同感ですね。ベルナール。あなたは去勢してましたっけ。」 「漢の風上にも置けないやつは去勢するべきだ。」 「ああ、待った待った待った。まじで潰そうとするな、落ち着けデブ!! 本当にたいしたことじゃねぇんだよ。ただ・・・・・・。」 「ただ?」 「桁1つ間違えただけだ。」 「……でも事故は起こりましたよ?」 「まぁな。だからたいしたことじゃねぇって言ってるんだよ。この話はこれでおしまい。」 「漢は終わったことで騒がないものだ。」 「いいこというじゃねえか。デブ。今度わんわんグルメおごってやるぜ。」 「しかし、ベルナール。その言葉遣いどうにかなりませんか?」 「しかたねぇじゃねぇか。それにニンゲンドモにはどうせ『わんわんわん・・・・・・』としか 聞こえねぇんだぜ。てめぇらが気にしなけりゃいいんだよ。」 「やれやれ。なんにせよ、マスターの家族護衛シフトはあなたを一番忙しくしますからね。」 「ああ!?なんでだよ。スカシ。」 「口止め料です。」 「誰への口止めだよ。くそっ。言わなくていい。ああ、分かった。分かったよ。 やりゃあいいんだろ。やりゃあさ!! ああ、この間見かけた雌犬には振られるし、毛並みは荒れるし、 兄弟は1匹ぶちきれてボスのとこ行くとか抜かして自殺志願するし、 デブは融通きかねぇし、スカシは脅すし、クソのキレは悪いし、 今日はまじでついてねぇ!!」 ボストンテリアの遠吠えが町に響き渡る。 何度も何度も途絶えることなく・・・・・・。 そしてその夜、誰もが眠りについた頃。 ベルナールは1匹、眠らないでぼんやりと星を眺めながら考えていた。 「しかし、なんで事故ったかな。あの設定だと事故る確立が桁5つか6つは下がって来るんだが。 0.00001%きってて事故るなんてアイツがオレサマ以上についてないのか。 それともまじで赤い悪魔が連れて行きやがったのか?」 終わっちまったことだからいまさらか。 抜けた兄弟の穴を埋めるべく、体力を温存しねぇとな。 とっとと眠るとしよう。 西瓜さえ飲み込めそうな大きなあくびをするとベルナールは眠りについた。 ======== 気を失っていたのか。 ぼんやりとしていた意識が瞬時に覚醒し、現状を確認する。 体に染み付いた獣の本能ゆえに……。 息はできる。血が沸騰するわけでも身体が破裂するわけでもない。 銃声も砲撃音も炸裂音もノイズもローター音も無い。 焦げる臭いも毒ガスのにおいもしなければ、死臭もしない。 御主人がいるかどうかは別として、とりあえずどこかには出られたわけだ。 そんなことを考えつつ、別の意識は自己診断を続けている。 体表面80%の損傷を確認。 内臓に損傷はなし。自己修復を開始。 装備の状態を確認。 ドッグバズーカ、大破。 ドッグアーマーLV8、中破。 せいぜい投げつけるぐらいが関の山の鉄くずに成り下がった武器。 無いよりマシだと思うとしよう。 だが、せめて回復カプセルか満タンドリンクを持ってくればよかった。 休みもとらずに世界中を駆け抜けたせいで残量は0。 備蓄分は全部犬小屋に置いたまま。 今更後悔しても始まらんか。 幸い、敵になりそうな生き物は周囲にいない。 それに、ここは外敵に見つかりにくい茂みの中。 傷が治るまでこのままでいるとしよう。 しかし、目の前の巨大な建物。 どことなく病院とか言う施設と同じ薬品臭がする。 それに外壁が罅割れたりしていないことをみればずいぶんと平和なのか、金があるのか、よほど頑丈なのかのどれかなのだろう。 そんなことを考えている間に身体は自己修復を始め、 ぎちぎちと音をたてて引き裂けて血塗れだった皮膚が再生していく。 だが、その速度は酷く緩慢。 エネルギーが足りんな。 腹が減って仕方ない。 空腹など幾らでも耐えられるが、どうしても再生にまわすエネルギーが減る。 仕方ない。 背に腹は変えられん。 茂みの草をかじり、咀嚼する。 美味くないな。 わんわんグルメなんて贅沢言わないからぬめぬめ細胞でもテロ貝の身でも トンボの目玉でもいいから喰いたい。 二口目を食べて気がつく。 そういえばこの草、どうして噛み付いてこないんだ? ======== 「すみません、シグナムさん。車出してもらっちゃって。」 「なに、車はテスタロッサからの借り物だし、向こうにはシスターシャッハが いらっしゃる。私が仲介したほうがいいだろう。」 ベルカ領にある聖王病院。 そこにこの間の事件で保護した子供が入院している。 その子に会いに行くためにシグナムさんが車を出してくれている。 事件に巻き込まれた無力な子供。 そう思いたいのに、どうしても心が重い。 はんた君やアルファの考えを聞いたせいなのかもしれないけれど。 ギンガの考えを併せても何一つ愉快な答えが見つからない。 私はそんな子供にどう対応するべきなんだろう。 そんなことを考えながら、シグナムさんの心遣いに感謝の返事を返す。 「しかし、検査が済んでなにかしらの白黒がついたとして、あの子はどうなるのだろうな。」 「うん……。当面は六課か教会で預かるしかないでしょうね。 受け入れ先を探すにしても長期の安全確認が取れてからでないと……。」 それこそ犯罪者の餌食になりかねない。 あるいは自分の手で犯罪者たちに引き渡す形にさえ……。 でも、六課や教会で預かるのも簡単なことじゃない。 身元不明でレリックと関わりがあるという大前提があるから……。 引き取るという選択肢が頭によぎっては消えてを繰り返す。 フェイトちゃんがエリオ達を保護しているように、わたしがあの子を……。 けれど、人間1人を保護するというのがどれほど大変なことかもわかっている。 それがわたしに二の足を踏ませる。 御両親がいればいいんだけど、望み薄だろう。 そう考えると気分はどんどん悪い方向に傾いてしまう。 誰かの欲のために作りだされた子供。 人間としてではなく、道具として作られた子供。 そんな子供にわたしはいったいなにができるだろうか。 そんなときに不意に端末が開く。 「騎士シグナム!!聖王教会、シャッハ・ヌエラです。」 「どうなされました?」 「すいません。こちらの不手際がありまして……。」 その言葉にわたしとシグナムさんが息を呑む。 不手際。 偶然か故意かでぜんぜん意味が変わってくる言葉。 そしてあの子は先日の事件で保護された子供。 事件性が低いと考えるほうがおかしい。 「検査の合間にあの子が姿を消してしまいました。」 聖王病院にわたし達が到着するなり、息を切らして駆け寄ってくるシスターシャッハ。 病院内を必死に走り回って探したのだろう。 けれど、焦った表情のままであるのが、いまだに見つかっていないことを教えてくれる。 わたしはきっと硬い表情をしていただろう。 「申し訳ありません!!」 「状況はどうなってますか?」 「はい。特別病棟とその周辺の封鎖と非難は済んでいます。 今のところ飛行や転移、侵入者の反応は見つかっていません。」 「外には出られないはずですよね。」 「ええ。」 「では、手分けして探しましょう。シグナム副隊長……。」 「はい。」 他にありえるとすれば、子供が殺されている可能性、監禁されている可能性、 内部犯による誘拐……。 はんた君達のおかげか物騒な考えばかりが頭によぎってしまう。 最悪の事態だけは起こらないで……。 そう祈りながら必死に感情を押さえ込むと、努めて機械的にシグナムさんに声をかけた。 病院内はシスターシャッハとシグナムさんが探している。 他にいるとすれば病院敷地内。 迷子だとすれば子供の背丈からして背の高い茂みや木があるところ……。 そう考えると足は自然と病院内に設けられた広場に向いていた。 あたりを見回す。 けれど、あの子に限らず、なにかがいる気配さえ無い。 いったいどこに……。 そう考えたとき、傍らの茂みががさりと音を立てる。 反射的に視線を向けると、茂みから飛び出してきたのは縫いぐるみを抱きかかえた女の子。 「ああ、こんなところにいたの……。」 無事でよかった。 こわばったような表情を浮かべたまま、 うさぎの縫いぐるみを力いっぱい抱きかかえた女の子の姿にほっとする。 だけど、わたしの言葉に女の子は子猫が警戒するかのように身を強張らせる。 「心配したんだよ。」 そう言って歩み寄り始めたとき、突如目の前に飛び出してきたのはシスターシャッハ。 バリアジャケットを纏ったその姿は臨戦態勢そのもの。 鋭い目で女の子を見つめながら、その手にヴィンデルシャフトが構えられる。 怯えたように後ろに下がり始める女の子。 その手から縫いぐるみが零れ落ち、怯えたような声をあげ、 そんな様子にシスターシャッハと私が気を抜いた瞬間だった。 突如、横の茂みから飛び出してきた塊にシスターシャッハの身体が吹き飛ばされる。 まるで車に跳ねられたような勢いで転がるシスターシャッハ。 女の子と私の間に割り込んだものが睨み合う。 とがった耳、茶色の短い毛並み、ふさふさした尻尾。 そして小柄な体躯に4本の足を持ったそれは……。 「い、犬!?」 飛び出してきた犬は牙を見せて威嚇を始める。 けれど唸り声はかけらも上げない。 その様子はまるで機械が識別をしているような印象さえ覚える。 でも、どこかで見覚えがある目と雰囲気……。 どこだっただろう? ======== さて、どうしたものか。 反射的に飛び出したが、現状に戸惑いしか覚えない。 もっとも、人型の雌の身体が戦車よりは軽いようでいくらか心は平静を取り戻せた。 もしも戦車よりも重かったらさっさと逃げ出すことを選んだだろう。 この程度ならどうとでもできる。 正面にいるのは人型の雌が2匹。 同類の臭いがしないあたりからすればたぶんニンゲンだろう。 どうやらここは赤い悪魔や機械娘の同類が歩いている世界というわけではないらしい。 あんなのがごろごろ歩いている世界などぞっとしない話だ。 その証拠に吹き飛ばしてやったソルジャーのような雰囲気を纏う胸の無い雌は 多少ダメージをもらうだろうがこのまま追撃を仕掛けてその喉笛を食いちぎってやれる。 それこそ一呼吸の隙さえあれば……。 しかし、転がすのが目的とはいえそれなりに力を入れて叩き込んだ一撃だったが……。 視界の先で起き上がる胸の無い雌。 ダメージらしいダメージが無いように見えるのは気のせいか。 たしかに妙な手応えではあったが……。 装甲タイルとも違う感触に首を傾げるが、一笑に伏す。 たいしたことではないか。 少なくとも四肢をばらばらにすれば動けないだろう。 ハラワタをぶちまけても満タンドリンク1本で治ったオレや御主人からすれば たいしたことじゃない。 御主人や機械娘や赤い悪魔やムラサメよりも近接が得意でない限り、 オレの命は脅かされるはずがない。 あるいはティアマット級の火力でもない限りは……。 だが、白いほうは見た目以上に手間取りそうだ。 見た目と纏った雰囲気がずいぶんとチグハグな雌であることに警戒する。 ついでに言えば胸の無いほうは特に融通効かない顔をしている。 気を抜けばすぐに殴りかかってくる種類のニンゲンだ。 とはいえ、背中にかばったこの小さいニンゲンの雌はオレと同類の匂いがするだけで、 オレを連れてどうこうできそうな雰囲気でもない。 ドッグバズーカは壊れている。 ドッグアーマーも無いよりマシというレベルの襤褸切れ。 見つけた人間が御主人でない以上はさっさと逃げ出すのが正解なんだろうが、 身体が再生してまともになり始めた感覚が感じている。 この建物を檻のように囲むこれはなんだ? オレ達は捕らえられたと判断するべきなのか。 なんでもいいか。 御主人を見つけるまで、邪魔物は喰い殺してぶち壊して貪り喰らう。 ただ、それが全て。 そんなことを考えていたとき、白いほうが呟いた。 「……はんた君そっくり。」 呆然としたような様子で紡がれたその言葉に耳をぴくりと動かす。 白い雌の呟き。 偶然か、それとも聞き間違いか? 不意に思い出されるのはベルナールの言葉。 たしかに御主人に惚れていた雌の中で一番強くて一番御主人に執着していた雌だったな。 機械娘と仲が悪かったあの赤い悪魔は・・・・・・。 獣1匹を覚えていたなんて思えないが、もしもそうなら感謝するとしよう。 どうやらこの白い雌が御主人を知っているらしい。 従順な振りをして大人しくしておくとしよう。 人違いならさっさと失せればいい。 それに、暴れるのはそれからでも遅くは無いだろう。 ======== 目の前で傷が音をたてて治っていく様はまさに生体兵器。 今まで見てきたどんな生物よりも飛びぬけて歪なあり方。 犬の姿をしているけれど、まったく別の生物。 なぜ、犬の姿をとっているのか。 そんなことを考えながらも無意識に口が動く。 「はんた君そっくり。」 呟いたその言葉に反応するように犬の視線がわたしに向けられる。 そうだ。どこかで見たことがある目だと思ったら……。 初めて会ったときのはんた君と物凄くそっくりの目をしているんだ。 そういえば、バトー博士が皆にアダナをつけた日、はんた君が犬を飼ってると言っていた。 でも、ありえるはずがない。 だって、事故で同じ世界に漂着するなんてそんな・・・・・・。 それに多くの世界があるというのに、その中でこのミッドチルダに漂着して、 起動六課から少し足を伸ばせば辿り着けるような聖王病院に漂着できるなんて。 けれど、もしかしたらと思って呼んでみた。 「……ポチ?」 「わふ。」 わたしの呼びかけに一声鳴くと、威嚇が止まった。 まさか、本当に!? 「シスターシャッハ。ちょっと、よろしいでしょうか。 それと、犬のほうには手は出さないでください。以前それで痛い目にあいました。」 「あの……はぁ……。」 戸惑ったような声を上げるシスターシャッハ。 その表情の困惑を隠しきれないままだったけれど、デバイスを下ろしてくれる。 泣き出しそうな顔のまま座り込んだ女の子。 置いてけぼりになっちゃってたね。 ゆっくり近づいていくと、立ち塞がっていた犬が道を譲ってくれる。 本当にはんた君の飼い犬なのかな。 足元に転がっているのはうさぎの縫いぐるみ。 シスターシャッハが出てきたときに驚いて落としちゃったのかな。 しゃがんで女の子と視線を合わせると、縫いぐるみの砂を払いながら話しかける。 「ごめんねー。びっくりしたよね。大丈夫?」 「……うん。」 戸惑いながらも頷いてくれる女の子。 目に涙を浮かべながらも、わたしの手から縫いぐるみを受け取ってくれる。 噛み付いてきたり、攻撃してきたりする様子はない。 危険は無さそう。 これで危険なんて言ったらはんた君は……。 「立てる?」 安心させるように笑みを浮かべて女の子に問いかけると、 女の子がゆっくりと立ち上がる。 警戒させないように服についた砂を払ってあげながら、シスターシャッハに念話を繋ぐ。 「緊急の危険はなさそうです。ありがとうございました。シスターシャッハ。」 「あ……はい。」 背中のほうで雰囲気が変わった。 たぶん、シスターシャッハが警戒を解いてくれたんだろう。 傍らの犬もどうこうする様子はない。 まずは女の子と話をしよう。 「初めまして。高町なのはって言います。お名前、言える?」 「……ヴィヴィオ。」 「ヴィヴィオ……。いいね。かわいい名前だ。ヴィヴィオ、どこか行きたかった?」 「ママ……いないの……。」 ヴィヴィオの言葉にはっとする。 人工生命であるヴィヴィオに母親はいない。 けれど、どうやって伝えたものか。 あなたは作り物だからお母さんはいませんなんて言えるはずが無い!! 「ああ、それは大変。それじゃ一緒にさがそうか。」 「……うん。」 笑みを浮かべてそう言ったわたしの言葉に、 泣き出しそうな顔をしながらも頷いてくれるヴィヴィオ。 傍らにいた犬がどこか呆れたような視線を向けていたような気がしたのは気のせいか? ======== なんだかいろいろ忘れ始めている気がする。 なにを忘れてしまったのか思い出せない。 けれど、なにかおかしいって自覚し始めた。 一番大切な戦闘技能はなにも忘れてはいない。 けれど、やっぱりなにかが足りない。 思い出すべくアルファを変形させ、技能を反復するように身体を動かす。 遠距離射撃はできる。 構えた時点で照準も揃う。 高速振動剣も淀み無く延々と振り回し続けられる。 リロードアクションもクイックドローも他のあらゆる技能全てによどみは感じられない。 膂力が衰えるわけでもない。 では、何を忘れてしまったのだろう。 レッドフォックスとの記憶はどれもが鮮やかに思い出せる。 それこそ、最初から最後まで、今さっきあった話を話すようにどこまでも正確に……。 倒してきたモンスターの記憶も倒してきた賞金首の記憶も忘れていない。 敵性体の情報を忘れるなんてそんな愚かしいことできるはずがないだろう。 父親の名前、母親の名前、妹の名前、相棒の名前、旅を共にした仲間の名前も忘れてはいない。 キョウジ、ニーナ、エミリ、ポチ、ベルナール、タロウ、ラリー、ミカ、キリヤ、シャーリィ、ラシード。 誰も忘れていない。 いったい何を忘れているのだろうか。 わからない……。 そんな思考に没頭して訓練場で佇んでいるときだった。 「わん!!!!」 振り返るとこっちに駆けてくる犬がいる。 そういえばこの世界で犬を見かけた記憶がないな。 狼やトカゲや虫はいるのに……。 しかし、ずいぶんと速い。 下手な飛行やクルマよりずっと速い。 あんな速さで駆けられる犬はあまり知らない。 それにあの茶色の毛並み。 まるでポチにそっくりじゃないか。 揃いのドッグバズーカにドッグアーマーまで背負って……。 ……なぜこの世界に寸分たがわぬドッグバズーカとドッグアーマーがある? 「わんわん!!!!」 吼えながら駆けてくるその犬はオレの前で立ち止まる。 ピタリとその足を止めるが尻尾は激しく振るわれるまま。 そして信頼をこめた目を向けて、命令を待つかのようにこっちをじっと見つめている。 まるであの荒野にいたころのポチそのままに……。 まさか……。 「まさか、本当に……ポチ……なのか?」 「わふ。」 尻尾を振ってじゃれついてくる。 抱きとめてやると、頬を激しく舐めてくる。 ああ、この感じは覚えている。 紛れも無くこれは……。 「アハハハハハハハハハ。ポチ。ポチだ。アハハハハハハハハ……。」 「わふ!!」 抱きしめる腕に力がこもる。 笑いが止まらない。 ああ、ポチ、ポチ、ポチだ。 あの荒野を共に駆け抜けた相棒。 頼もしき戦友。 なにを好んで俺と共に来たのか未だに分からぬ俺の家族の一員。 久しく忘れていた感情で心が満たされる。 これは……歓喜? 俺は嬉しいのか……。 あまりにも久々過ぎて戸惑いばかりが加速するけれど、 それでも笑いが止まないのはきっと嬉しいからなんだろう。 「アハハハハ……ハハ……ハ……。」 「わふ?」 けれど、笑いは次第に尻すぼみになっていく。 変わりに俺の目から零れ落ちるこれは涙……。 ああ、そうか。 ここに来てしまったということは……。 なんで来てしまったんだ、ポチ。 あれもこれもそれもなにもできないこの窮屈な世界に……。 息をすることさえ辛いほどに……。 たとえ姿が見られなくてもあの荒野で暮らしていたならそれだけでよかったのに……。 ここは地獄だ。 ああ、あれもこれもそれもとはなんだったか。 やはりなにかを忘れている。 ======== 御主人。オレの御主人。 白い雌と胸の大きな雌に連れられて来た施設で見つけたオレの御主人。 無事であったことがただただひたすらに喜ばしい。 姿形は違えど機械娘も共にいる。 オレ以上に御主人のことなら省みることを知らぬ機械娘。 アレがいたのならば御主人に害をなす有象無象はすべて排除されてきただろう。 それを認められるぐらいの信用と信頼があの機械娘にはある。 けれどなんだろう。 ご主人から受けるこの奇妙な感覚は……。 まるで首輪付きにされた挙句、手械足枷をつけて全身を鎖で雁字搦めにされたよう。 ひどく息苦しそうで、辛そうで……。 あの荒野で出会った最後の日より、さらに何かがおかしい。 いったいなにがあったのか。 そして、気のせいだと思いたかったマスターから漂うこの臭い。 御主人の身体に染み付いた吐き気さえ覚えるほど濃密な血の臭いと硝煙の臭いは相変わらず。 だが、それに加えてもう1つ別の臭いが混じっている。 どことなくドクターミンチのところで散々に嗅いだ臭いに近いそれから感じるのは 濃密な死の気配。 間違いだと信じたかった。 顔色は昔と変わらない。 呼気も何も変わらない。 どこか窮屈そうでも変わらぬ在り方のままの御主人の姿。 けれど、親愛をこめて舐めた御主人の頬の味に本能が悲鳴を上げる。 間違いだと信じたかったのに、本能が間違いではないと確信してしまった。 ……終わりが近いのか。 せっかく出会えたというのに……。 ならば、オレはどうすればいいのだろう。 世界最強の獣の飼い犬として……。 ただ1人認めた主のために……。 ======== 聖王教会。 ヴィヴィオの世話をフォワードの皆に任せてやってきた場所。 はやてちゃんは六課設立の本当の理由を教えてくれると言ったけれど。 六課の後見人に聖王教会の騎士カリムがいるというのも知っているけど、 なぜここでなのだろう? はやてちゃんが口頭で教えるのではだめなのか? そんなことを思いながらノックをして部屋に入ると敬礼する。 隣でも同様にフェイトちゃんが……。 「いらっしゃい。初めまして。聖王教会騎士団騎士、カリム・グラシアと申します。」 促されて席に着く。 先に席についているのはクロノ君。 フェイトちゃんと硬い挨拶をしているのは公私の区別をつけているからだろうか。 でも、少しお久しぶりって言葉、公私の区別をつけるつもりならおかしいよ。 そんなことを考えていたのはわたしだけではなかったみたい。 微笑んだカリムさんが口を開く。 「ふふっ、おふたりとも、硬くならないで。私達は個人的にも友人なんだから、 いつも通りで平気ですよ。」 「……と、騎士カリムが仰せだ。普段と同じで……。」 「平気や。」 「じゃあ、クロノ君、久しぶり。」 「お兄ちゃん、元気だった?」 フェイトちゃんの言葉にあからさまに顔を赤くするクロノ君。 フェイトちゃんがハラオウンの家族に加わってから10年経ってるのに。 それにエイミィさんと結婚までしてるのになんで顔を赤くするかな。 「それはもうよせ。お互いもういい歳だぞ。」 照れを隠すように憮然と告げるクロノ君。 でも、お兄ちゃんをお兄ちゃんと呼んでもぜんぜんおかしくないと思うけどな。 わたしもおにいちゃんは今でもおにいちゃんって呼んでるし……。 「兄弟関係に年齢は関係ないよ。クロノ。」 フェイトちゃんの言葉に黙り込んでしまうクロノ君。 微笑ましそうに控えめな笑いをするカリムさん。 和やかな雰囲気に包まれる。 そんなとき、はやてちゃんが咳払いをすると口火を切った。 「さて、昨日の動きについてのまとめと改めて起動六課設立の裏表について。 それから今後の話を……。」 光を遮るようにカーテンがひかれ、部屋が暗がりに包まれる。 はやてちゃんの言葉を引き継ぐように話し始めたのはクロノ君。 「六課設立の表向きの理由はロストロギア、レリックの対策と独立性の高い少数部隊の実験例。 知ってのとおり、六課の後見人は僕と騎士カリム、それから僕とフェイトの母親で 上官のリンディ・ハラオウンだ。 それに加えて非公式ではあるが、かの三提督も設立を認め協力の約束をしてくれている。」 切り替わったウィンドウと共に映し出された人達に驚く。 まさか、そんなに上の人が関わっているなんて思ってもいなかった。 実験部隊にしては権限が大きいとは薄々思っていたけれど……。 フェイトちゃんもわたしと同じみたいで驚きを隠せていない。 ウィンドウを消して、代わりに前に歩み出たカリムさんが手元の紙束のリボンを解く。 単なる紙束ではないそれが宙に展開されていく……レアスキル!? 「その理由は、私の能力と関係があります。私の能力、預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)。 これは最短で半年、最長で数年先の未来、それを詩文形式で書き出して預言書の作成を行うことができます。 二つの月の魔力がうまく揃わないと発動できませんから、ページの作成は年に1度しか行えません。 予言の中身も古代ベルカ語で解釈によって意味が変わることもある難解な文章。世界に起こる事件をランダムに書き出すだけで、解釈ミスも含めれば的中率や実用性は割りとよく当たる占い程度。 つまりはあまり便利な能力ではないのですが……。」 それでも未来がわかるのは十分すごい能力だと思います、カリムさん。 それに、古代ベルカ語って……ヴォルケンリッターの皆は普通に読めるんじゃ……。 「聖王教会はもちろん、次元航行部隊のトップもこの予言には目を通す。 信用するかどうかは別として、有識者による予想情報の1つとしてな。」 「ちなみに地上部隊はこの予言がお嫌いや。実質のトップがこの手のレアスキルとか嫌いやからな。」 「レジアス・ゲイズ中将だね。」 いつだったかの演説を思い出す。 管理局きっての武闘派。 「そんな騎士カリムの予言能力に数年前から少しずつ、ある事件が書き出されている。」 クロノ君の言葉にカリムさんが頷くと、紙片の1つを読み上げ始めた。 「古い結晶と無限の欲望が交わり集う地 死せる王の下 聖地より彼の翼が蘇る 死者達が踊り 中津大地の法の塔は焼け落ち それを先駆けに 数多の海を守る法の船も砕け墜ちる」 「それって……。」 「まさか……。」 わたしだけじゃない。 フェイトちゃんも読み上げられた内容がわかったのだろう。 思い当たる単語が多すぎるその詩文。 その意味は間違いなく……。 「ロストロギアをきっかけに始まる管理局地上本部の壊滅と、そして管理局システムの崩壊。」 あまりにも桁外れの内容。 でも、その光景が映像と共に想像できてしまうのはやはりはんた君の影響か。 思い直せば破壊するだけなら心当たりが数多くあった。 ジュエルシードの暴走。 フェイトちゃんのお母さんがやった次元振の誘発。 それを押さえ込んだリンディさんもリミッターさえなければ可能だろう。 それに闇の書ことリインフォース。 暴走するがままにした場合に起こる事態でも同じことが可能。 アルカンシェルを使ってもいい。 そしてわたし、フェイトちゃん、はやてちゃん、それにヴォルケンリッターの皆も リミッター制限さえなければ十分に可能。 おそらくははんた君も……。 ただ、やる理由が無いというだけに過ぎない。 けれども、地上本部を壊滅させるだけなら容易であることに気がつく。 でも、管理局というシステムを崩壊させることは可能なのか? 疑問が尽きない。 「それが六課設立の裏の理由だ。各部署にそれとなく警告はしているが、 肝心の地上本部の対応はほとんど無いと言っていい。 僕や騎士カリム、三提督をはじめとして多くの人が未然に防ぐべく動いてはいるが、 いつ、どうやって、誰が、どのような手段で行うのか情報が欠落している。 注意だけは十分にしておいてくれ。」 「「わかりました。」」 わたし達の言葉をきっかけにカーテンが再び開かれる。 光が差し込むのに合わせて、硬い雰囲気に包まれた暗い空間が少しずつ切り裂かれていく。 誰もが緊張していたのか、皆が一斉に紅茶を口にする。 明るい部屋とは対照的なまでに重い沈黙が続く。 そんな雰囲気を払拭するような話題を振ってきたのは意外なことにクロノ君だった。 「ときに、母さんから六課設立時に愉快な人をねじ込んだと最近聞いたんだが、 どんなやつなんだ?」 「ああ、はんた君のことだね。」 「どんなって言われても……。」 「えーと、その、なんだ。……頼れるいい男なのか?」 憮然として言い放つクロノ君。 そんな様子に思わずフェイトちゃんと顔を合わせて苦笑い。 はやてちゃんは必死に笑いをこらえようとしているけれど肩が震えている。 微笑ましそうに控えめな笑いを浮かべながらカリムさんが口を開く。 「こんなに可愛い妹さんと同じ職場に頼れる男性がいたらお兄さんとしては不安ですからね。」 「ち、違う!!あくまで、そうあくまでこれは後見人としての考えであって、その、つまりあれだ。 少しでも皆の安全が確保できるのならばとだな……。」 「お兄ちゃん、私が心配じゃないの?」 「あ……あう……。」 しどろもどろに必死に言い訳をするクロノ君に追い討ちをかけるように フェイトちゃんが言葉をかけると、今度こそクロノ君は言葉に詰まって言葉を失った。 そういえば気にしたこと無かったけれどはんた君って何歳なんだろ? 「まぁまぁ、でも、私も気になりますね。いきなり空曹兼陸曹という立場につくぐらいですから、 能力は高いのでしょうけれど、私達はその方を書類でしか知りませんから。お聞かせ願えますか?」 カリムさんの言葉にはやてちゃんとフェイトちゃんと顔を見合わせると、 思いつくことを片っ端からあげていく。 「そうですね。まず能力は高いですね。」 「経験も豊富やな。」 「魔力適正も私達と同等ぐらいです。」 「思考も早いし、頼りになるよね。」 「物凄く合理的な思考する人ですね。」 「最近言わなくなったけど四六時中殺す殺す言っていたもんね。」 「でも陸士試験とかどうしたんだろ?」 「そういえばそうだね。退屈そうにこなしそうな感じはするけど。」 「あとは不思議なデバイス使ってて本当に近距離から遠距離までそつ無くこなすなぁ。」 「……僕の聞き間違いであってほしいと思うんだが、ろくに士官教育受けていないSランク魔導士が リミッター制限もなしに六課で放し飼いになっているって聞こえるのは気のせいか?」 「諸所の問題はリンディさんがクリアーしてくれたんよ。それにレジアス中将もはんたには好意的やしな。」 「大問題だろうが!!なんでそんな危険人物が管理局にいるんだよ!!母さんも何を考えてるんだ!!」 「あー、でも生身で六課潰せるような人間を手元に置いておけると思えば……。」 「あの、生身でということはその方はベルカ式の使い手なのですか?」 「あー、なんというかなぁ……。」 激高するクロノ君をおいてけぼりにしながら、疑問をはさんだカリムさんにはんた君の世界のことを話す。 人間VSその他すべてが生存競争をする狂気じみた世界の話を。 「そんな世界が……。でも六課を生身でというのは些か言葉が過剰ではないのでしょうか? 現在こそリミッター付きとはいえ、Sランク魔導士とヴォルケンリッターがいるのですよ?」 「2人庇っとったけどなのはちゃんが半死半生にされたし、 リンディさんから提示された条件として生身の丸腰で地上本部半壊させたし、 言葉としては適切じゃないかと思います。」 「あれは完敗だったよね。」 「もしも、バトー博士がでてこなかったらって思うとかなり怖いものがあるよね。」 きゃらきゃらと笑い声が上がる。 頭痛を抑えるかのようにうつむいていたクロノ君がようやく顔を上げて口を開いた。 「その危険人物の人柄を言い表すとどんな言葉で言い表せるんだ?」 「誠実で不器用。」 「合理的で機械的。」 「ベテランで戦闘狂。」 「あらあら、うふふ……。」 見事に分かれた3人の言葉にカリムさんが笑い声をあげ、 頭痛が増したかのようにテーブルにつっぷすクロノ君。 そんなとき、はたと思い出したようにカリムさんがプロフェーティン・シュリフテンを展開する。 「もしかしたら、この一説をその方なら解読できるかもしれませんね。 あまりにも支離滅裂すぎて解読さえ十分にできていない一説なのですが、 その中にもかの翼という言葉がでてくるので注目しているのですが。 どうにか意味を通るように解読させたのですが、なにぶん該当するものがまったく無くて……。 何かしらの固定観念で考えが凝り固まってしまっているからかもしれませんね。」 そう前置きをはさんで言葉を続ける。 「つがいをなくした鋼の獣は鋼の竜を駆りて かの翼に挑みかかる 母の胎を知らぬ獣と 人であるのに人ではない人を従者として 荒れ狂う嵐の中 やがてかの翼は真の姿を現す しかし鋼の獣に傷つけられて真の姿を現した翼は地に落ち 数多の死者達は冥府へ再び還る 鋼の獣は立ち止まらない すべてはなくしたつがいのために」 まったくわからない詩文。 つがいをなくした鋼の獣? 鋼の竜? 母の胎を知らない獣なんているの? 人なのに人じゃない人って? かの翼がなにか分からないのに、真の姿ってなに? 重要なことを書いてあると核心があるのに、まったく意味がわからない。 ただ、1つだけ……。 どうしてだろう? 鋼の獣という言葉を聞いて、はんた君の顔が思い浮かんだのは……。 前へ 目次へ 次へ
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世の中には魔導書と言うものが有る。 大抵のものは出鱈目な内容だったり、相当な検閲が為されていたりで大した力が無い。一般人が読んだところで、さして実害が無いのが現実だ。 しかし、極稀にどうしようもない程の力を持った魔導書が世に出る事がある。 そんな高位の魔導書は時として、自身で主を選ぶことが有るのだ。 例えば、ティアナ・ランスター。彼女もそれに選ばれた人間の一人だった。 第四話 いんすたんとまぎうす 「落ち着いた?」 スバルからの問いかけに対するティアナの返答は、ただ首を縦に振るだけだった。 膝を三角に折り曲げ、両手でマグカップを抱えるティアナは、まるで幼子のように思えた。 スバルはティアナの隣に腰掛け、同じように両手でマグカップを包む様に持って佇んでいるだけ。それだけだ。 問いかけの声も無く、二人の間を沈黙が支配する。 どれ程沈黙が続いただろうか? まるでその静けさに耐えかねたかのようにティアナが口を開く。 「ねぇ、どうして何も訊かないの?」 その言葉にスバルは少し困ったような、迷っているような曖昧な表情を浮かべて言った。 「だって、何も言いたくないって顔してたよ? ……それに多分だけれど、あたしが聞いても理解出来ないだろうし」 むしろスバルは理解したくなかったのかも知れない。理解すればそこで終わってしまうような何かを感じ取った、と言えばいいだろうか? 思い出すのは錯乱したティアナの姿。 涙、洟、泡を垂れ流し、聞いたことも無い言語で叫ぶ様は余りにも異様で異常で異質だった。 まるでティアナがその瞬間に別の――それこそ、異界の存在になった。と言われても納得してしまえる程の――世界の住人になってしまったと思ったくらいだ。 もしくは親友とも呼べる人物が、外見をそのままに何か別の存在に取って代わられたのではないか? スバル・ナカジマが知っているティアナ・ランスターは既に存在しないのではないか? そんな有り得ない疑問すら、当時の彼女の心の中には渦巻いていた。 「そう……時にスバル、アンタ今ものすっっっごく失礼な事考えてなかった?」 「え゛?」 「その顔、図星ね」 ティアナはスバルの背後を一瞬で取り、拳を握り締め人差し指第二間接をスバルのこめかみへと押し当て全力でぐりぐり。所謂ウメボシである。 「ちょ、ティア! あいだだだだだだだ! ギブ、ギブ!」 こめかみを襲う痛みに耐えながらスバルは思う。 ああ、よかった。いつものティアだ、と。 ※~~・~~◎~~・~~※ 魔導書が引き起こした怪異から数日が過ぎた日の事。 ブリーフィングルームには、昨日からホテルの警備に向かっているシグナム、ヴィータを除くフォワード陣が集まっていた。 どうやら、八神部隊長から任務の説明のようだ。 「今日の任務はホテル・アグスタの警備。骨董美術品や取引許可の出ているロストロギアのオークションが行われるんやけど、そのロストロギアをレリックと誤認したガジェットが襲撃してくる可能性がある。そこでわたしら、機動六課の出番って言うことや」 そう言うとはやてはフェイトへと目配せをする。 説明頼む、の合図だ。 「ここからは私が説明するね」 そういってフェイトが端末を操作すると、ある男のデータが出てきた。 ジェイル・スカリエッティだ。 「この男、広域指名手配犯ジェイル・スカリエッティが一連のガジェットドローンを使ったレリックの強奪犯、と言う線で捜査を進めている。こっちは主に私がやるけど、皆も覚えておいて」 はい、と元気のいい新人四人の声を聞いてからフェイトは更に続ける。 「……実はこのジェイル・スカリエッティ以外にも、レリックを狙ってる組織があるという情報があったんだ。情報部が調べた結果、非常に信憑性が高いことがわかった。 そこで本局は複数の捜査班を編成。捜査に乗り出したんだけど……実動部隊で還って来れたのは、たった一人だった。その唯一生還した捜査員も数時間後に死亡。死因不明。 彼が亡くなる前に呟いていた『アンチクロス』と言う言葉が、その組織の名称じゃないかって本局では言われてる」 ティアナもその話は聞いたことがある。あくまでも噂話の範囲で、だが。 何でも捜査に出た部隊は、その日のうちに連絡が取れなくなり誰も還ってこないと言う、実にありふれた怪談のような噂話だ。 しかし、その噂話が事実だったなど考えもしなかった。 本局が派遣したと言うことは即ち、エリート部隊を差し向けたと言うことなのだ。捜査班にはAAランクやニアSランクも含まれていただろう。そんなエリート部隊が捜査に出たその日の内に壊滅、などと言 うのは余りにも荒唐無稽が過ぎた。 だが、今のフェイトの言葉にあった通りそれは事実だ。 その事が新人四人に、重く重く圧し掛かっていた。 ※~~・~~◎~~・~~※ 「どうして、どうしてティアを外すんですかっ!?」 「スバル、落ち着いて」 ライトニング隊の面々とはやてが出て行った直後、スバルが怒声を上げながらなのはに詰め寄っていた。 何故か? 発表された出撃メンバーから――シャマル、ザフィーラ守護騎士の名前があるにも拘らず――ティアナの名前が消えていたからだ。 むしろ外されて当然と言える。既にティアナの魔力は六課に入った当初の三十分の一以下にまで減少。バリアジャケットを展開しつつ、魔法を使える程の魔力は今の彼女には無かったのだ。 ティアナが頑張っているのはなのはも理解しているし、その努力も認めている。また、ガジェット以 外の脅威がある現状、一人でも戦力が欲しいのも事実。 だが今の彼女の状態では、到底実戦に耐えられない。その判断は実に妥当なものであった。 「スバル、落ち着いて聞いて。ティアナにはもう、実戦に耐えられるほどの魔力は無いの」 謎の魔力減少について、なのはから説明を受けたスバルは力なく項垂れる。 何故、それほど重大な事をティアナは話してくれなかった? もしかすれば魔力が無くなる可能性だ ってあるのに、何故相談してくれなかった? 何故、何故、何故? スバルの頭の中に何故と言う言葉と疑問が浮かんでは消え、ぐるぐると渦を巻く。 そして渦を巻いた感情の矛先はティアナへと向き、ついには爆発する。 「ねぇティア……どうして、どうして話してくれなかったの!? そんなにあたしが信用できない!? そんなに頼りない? そんなに、そんなに……あたしが信用できないの!? ねぇ答えてよ、答えてよティア!」 スバルはティアナに掴み掛かり、呪詛のように言葉を連ねる。 縋り付くように掴み掛かる様は、まるで許しを請う咎人にも見えた。 「ごめんね、スバル」 ごめんね、ごめんね、謝罪の言葉を繰り返しながら、縋り付くスバルをゆっくりと引き剥がす。 「でも、こればっかりは私だけの問題だから、スバルには関係の無いことだから……ごめん」 拒絶の言葉がスバルの深いところに突き刺さる。 ティアナからしてみれば拒絶ではなく、自分を壊したアレに関わらせないためだったのだが、全く言葉が足りていない。更に言えばこの時は配慮も足りていなかった。或いはスバルならそれだけの言葉で解ってくれると、ある意味妄信に近い感情を持っていた所為かも知れない。 「ティアの、ティアのバカーッ!」 罵倒の言葉を置き土産に、スバルは凄まじいスピードでブリーフィングルームから出て行った。 「ちょ、スバル!? 待っ……」 ティアナはスバルを呼び止めようとしたがやめた。 これで良いのだ。誤解してくれたのであれば、その方が都合が良い。ティアナはそう考える。 己と関わることが少なくなれば、必然的にあの魔導書と関わることも少なくなる。魔導書と関わることが少なくなれば、怪異と関わることも少なくなるのだ。 スバルの未来を考えるならば、これが最善だとティアナは思った。それは余りにも身勝手ではあるが、彼女なりの優しさでもあった。 「ティアナ、誤解されたままでいいの? 誤解をとくなら早い方がいいよ、絶対」 「良いんです、これで。……では失礼します」 何も表情を浮かべぬまま、ティアナはブリーフィングルームから出て行く。 なのはは再び声を掛けようとしたが、何故か出来ない。 何故ならティアナの背中には、何もかもを拒絶する『何か』があったからだった。 「はぁ~っ」 場所は自室。机に突っ伏しながらティアナは激しい自己嫌悪に陥っていた。 もう少し遣り様はあっただろう、もう少し優しい言葉をかける事ぐらい出来ただろう。時間を置けば置くほどに、そんな考えが頭の中を埋め尽くしてゆく。 その上、直接の上司にあの態度。あれは無いだろう。 溜息を吐きながら何の気なしに引き出しを開けてみれば、其処にはおもちゃの拳銃、燃える五芒星が浮き彫りにされた金属板、そしてネクロノミコン。 魔導書から目を逸らしつつ、他の二つを手に取る。彼女はずっとそれを眺めていた。 気が付けば、間も無くヘリの出発時刻だ。せめて見送りくらいはしておきたい。 再び手元の玩具と金属板を見る。 お守りくらいにはなるか、彼女は金属板を持ってヘリポートに向かった。 ※~~・~~◎~~・~~※ ヘリにスバルが乗り込もうとしている。制服はタイトスカートであるにも拘らず蟹股気味に歩き、少々肩もいかり気味。どうやらまだ怒りが収まりきらないようだ。 「スバル!」 その声にスバルが振り向くと、目の前に何かが迫っていた。それは直径十二センチ程度の緑色をした円形金属板だった。 顔に当たる寸前で掴み取り、声の主に罵声を浴びせる。 「ちょっとティア、危ないじゃない!」 「そうでもしないと、誰かさんが受け取ってくれなさそうだったのよ」 その言葉に先程掴んだ物を見る。燃える五芒の星が刻まれた金属板、それはティアナの兄、ティーダ・ランスターの遺品だった。 「これって……」 言葉が続かない。ティアナにとって大切なもの、数少ないティーダとの絆。 「お守り、あとで絶対返しなさいよ!」 それだけ言ってティアナは踵を返す。背中を向けたまま手を振る彼女の背中から、拒絶は感じなかった。 スバルは両手でお守りを握り返事をする。 「うん! 絶対、絶対返すね!」 その表情に先程までの怒りは無く、割と晴れやかだったそうな。 ※~~・~~◎~~・~~※ ――ホテルアグスタ。一般人には余り縁の無いホテルである。一泊の料金も高ければ、お料理の値段もそれ相応。つまりはよくある高級ホテルである。にも拘らず何故か立地条件は悪い。謎である。 続々と車がやってきては人を降ろしてゆく。その中に一際、人目を惹く人物が一人。 漆黒の髪、大きく胸元の開いたシックな黒いドレス。見る人が見れば、黒いドレスは自己主張の少ない銀糸により、上品に装飾されている事がわかるだろう。 その身に纏う闇の中で、浮かび上がるのは透き通るような白い肌。そして、鮮血よりも尚紅い瞳が印象的な女性、ナイアだ。 誰もが彼女に目を奪われていた。性別はおろか、生物、無生物すら問わない。神が己の欲望の趣くままに人を形作ればこうなるだろう、と言う見本のような女性だった。 無論なのは達三人も例外ではなく、女性が会場に入るまで揃って見惚れていた。 「そんなにじっと見つめられたら、流石の僕も照れちゃうな」 巫山戯たような、からかうような女の声がなのは達の背後から響く。 三人がぎょっとして一斉に振り向く。其処に居たのは先ほど目の前を通り過ぎ、会場に入った筈の女性。 「おやおや、どうしたんだい? 鳩が豆鉄砲食らったような顔しちゃって」 口元に手を当て、女はくすくすと上品に笑う。 「あ、あ、い、いえ、何でもありません」 はやてがどもりながら答えると、やっとなのはとフェイトの硬直が解けた。 「そう、ならいいんだ。じゃあ警備頑張ってね。機動六課の隊長さん方」 女性の声には聞く者の心を蕩けさせる淫靡さと、嘲りが多分に含まれていたが三人が気付く事は無かった。 「なのはちゃん、フェイトちゃん。今の人知り合い? 私らの事、知ってるみたいな口振りやったけど」 はやては二人に問いかけるが、返ってくる答えは否定の言葉。二人とも知らない。もちろんはやても知らない。 「あの人、何モンや……」 はやての疑問に答えられる人物は、この『世界』にはまだ居なかった。 ※~~・~~◎~~・~~※ オークション開始の時刻に合わせるかのように、ガジェットが出現した。 その通信を受けた機動六課課員たちが飛び出してゆく。 副隊長二名、及びザフィーラは最外郭部にて迎撃。 尚、指揮官はシャマル。サポートとしてリィンフォースIIがつく。 ロングアーチからの情報に拠れば、ガジェットドローン以外の敵影は現状確認されてはいない。 油断は出来ないけどこれなら何とかなりそう、シャマルはそう考えていた。 しかし、神ならぬ身である彼女に未来を知れ、と言うのは酷な話しである。『神』以外に、未来は解らぬものなのだから……。 防衛ライン最外郭部。そこにはガジェットドローンの残骸が山と積み上げられていた。 この山を作り上げた張本人、シグナムとヴィータは高速で飛び回り次々に撃墜スコアを伸ばしていく。ガジェットどもを一刀の下に斬り捨て、或いは鉄槌の一振りで叩き潰す様はまさに痛快だった。 その痛快劇には、ホテル内にいる『観客』の彼女も少し楽しげだった。 しかし、それだけでは終わることは無い。彼女は監督にして脚本家にして演出家、そして自らを舞台装置の一部とすることもある。今回はまさにそれだった。 「さて、このままずっと見ていたい気もするけど、少しくらいはピンチを演出しないと。 ピンチに陥らない主人公たちと言うのは、少々面白みに掛けるからね」 女はそう一人ごちると、おもむろに腕時計の針を止める。 すると、ホテルとその付近のあらゆるものが静止した。誰一人として、Sランクオーバーの魔導師すら例外では無い。 否、人だけではない。音も電子もニュートリノも光子も重力子も時間も、あらゆる物が例外なく静止。 例外はあった。ホテルの全てを静止させた張本人、ナイアだけが動いていた。 あらゆる存在が静止した空間内において動いていると言うことは、何よりも異常。そして異質。 「さてさて、巫女はどう出るかな? 彼女たちはどう出るかな?嗚呼……楽しみだなぁ。本当に楽しみだなぁ。あはは、ははははははははははははははは!」 音が響かない筈の空間に、女の哄笑が何時までも何時までも響いていた。 ※~~・~~◎~~・~~※ 「こいつら、後から後からわんさかと!」 もう数えるのも馬鹿馬鹿しいほどのガジェットを残骸にしてきた。そんな数を相手にしていれば愚痴もこぼれる。ヴィータはうんざりしながらガジェットを叩き潰していく。 そんな数が頼りのガジェットとて有限である。その数は既に三体にまで減っていた。 シャマルから送られてきた情報によれば、今ヴィータとシグナムが相手にしているので最後のようだ。 んじゃ、ラストといくか! 気合を入れて最後のガジェットドローンを叩き潰した時だった。 凄まじい速度で飛んで来たのは短刀。投擲用に特化した小柄。 咄嗟にシールドで防御をするが、バリア突破系魔法でも掛けられていたのか、危うく食い破られそうになった。 それが飛んできた方向に目を向けると、そこには着流し姿の男が立っていた。左手はあごを撫で、右手は懐に入れている。 「ほう、防いだか」 感心したような、しかし平坦な男の声。 「随分なご挨拶だな『指揮官へ。こちらスターズ2、時代錯誤な侍野郎に攻撃を受けた。指示を』」 念話で指揮官であるシャマルに報告し、そして指示を待つ。 『スターズ2、任意に迎撃を』 『了解』 サムライは先程のまま佇んでいる。動く気配は今のところ無い。 だが男が魔法の使い手、しかも相当な手練であることに間違いは無い。でなければ、ああも容易く彼女のシールドを食い破ることなど出来ないだろう。 「手前ぇ、何者だ?」 ヴィータにとってその問い掛けは、ただ形式的なものに過ぎない。 しかし、サムライは僅かな瞑目の後に答えた。 「……逆十字が徒、ティトゥス」 ――逆十字、つまりアンチクロス。それはヴィータも聞いたことのある名だった。ホテルの警備に就く前日にシグナムと共にフェイトから聞いていた名だ。 自然とグラーフアイゼンを握る手に力が入る。 唐突に眼下のサムライから放たれる圧力が増す。両掌から刀を喚び出し構えを取る。戦闘態勢に入ったのだ。 そして、大気が爆ぜた。 神速を超える踏み込み。それは地に足を着かせる事無く、大気を踏み締め、圧縮し、爆発させ、推進力へと変換しているのだ。 「んなぁっ!?」 これはヴィータにとっても想定外だった。飛ぶでもなく、跳ぶでもなく、足場を作るでもなく、空気しかない空中を走る奴には、今までお目にかかったことが無かったのだ。 だが彼女とて歴戦の戦士。想定外でこそあったものの、ティトゥスが繰り出す神速の斬撃に反応、見事回避しきった。 そして何よりも恐ろしい事に気付く。このサムライはデバイスを使っていない。あの刀がデバイスかと思ったが何の変哲も無い鋼鉄だ。その上魔法陣の展開も無い。 ヴィータの頬を一筋の汗が伝う。 強い。眼前の時代錯誤なサムライは強い。 ならば、現状で出来る最大の一撃を以って叩き潰すしかない。 「グラーフアイゼン!」『Gigantform』 ハンマーヘッドが大型化、同時に最大の速度で突撃。ティトゥスに対し振り下ろす。 刀で受け止めようとしたようだが、ギガントフォルムの質量と速度は、そんな鋼程度では受け止めることは愚か、受け流すことすら出来ない! 爆煙があがった。 土煙の向こうに何かが居る。特徴的なざんばら頭、時代錯誤な着流し、そして鋭い眼光。ティトゥスだ。 まず、ハンマーヘッド側面を叩き僅かに軌道を逸らす。そして刃の上を滑らせることで、受け流す事も出来ない筈の一撃を受け流した。二本の刀を犠牲にすることで。 まずい! そう思った時には閃光がゆるやかな弧を描き、ヴィータの首に迫っていた。 刃は毀れ、筋も伸びている。最早斬れる状態ではないが、それでもヴィータの首を刎ねるくらいは出来るだろう。 だが、それは甲高い金属音と共に別の刃に受け止められた。レヴァンティン、シグナムだ。 シグナムがそれを目撃したのは、単なる偶然だった。 ガジェットドローンを殲滅し、ホテル防衛に戻ろうとした途中でそれを見たのだ。グラーフアイゼンによる一撃を外し、多大な隙を晒すヴィータを。 敵であるサムライの刀が振るわれるより速く、シグナムは飛行。 間一髪、サムライの剣閃を防ぐことが出来たのだ。もう一度やれ、といわれても出来るものではない、それほど凄まじい速度だった。 シグナムの参戦によって、形勢は逆転した。 ヴィータ、シグナムによる同時二方向からの攻撃は、ティトゥスの技量を以ってしても反撃することは出来なかった。あらゆる攻撃を受け流し、受け止める。 まるで時間を稼いでるようなティトゥスに、ヴィータは疑問を感じた。 ならばと、ティトゥス程の技量があれば必ず回避でき、そして必ず反撃可能なやたらと狙いの甘い攻撃を繰り出す。 サムライはそれを弾き、逸らした。刀にダメージを負って。 その一撃でヴィータは確信した。こいつは陽動だ、と。 「シグナム、こいつは無視だ! 本命は別に居る!」 思念通話ですらないその言葉に、シグナムははっとする。気付いたのだ。目の前のサムライの目的に。 「してやられたかっ」 『シャマル、はやてに連絡! 別働隊がいる! ……シャマル? シャマル!?』 シャマルに思念通話が通じない。ならばと、はやてへの通話を試みるが、そちらも繋がる気配が無い。 ジャミングが掛けられてる形跡も無い。しかし現に通じない。 「その顔、気付いたか。だが、今暫く時間を稼がせてもらおう。それが契約故」 ティトゥスの両手に新たな刀が出現する。 それが第二ラウンド開始の合図だった。 ※~~・~~◎~~・~~※ ヴィータ、シグナムとティトゥスが交戦した時刻、スバルたち三人はシャマルから指示されたポイントに到着していた。 だが、其処には何も無かった。 ガジェットドローンの姿すらない。ただ、地面に黒い影が落ちているのみ。 辺りを見渡してみるが、影を作り出すものが何も無い。異常だ。 その影を見た瞬間から、スバルの中にある何かが警鐘を鳴らす。そして、それは実に正しかった。 「エリオ、キャロ、下がって!」 スバルが言うや否や、黒い影の水面が波打つ。 溢れ出てきたのはガジェットドローンI型。その数五体。影からはそれ以上出てくることは無いようだが、影は消える事無く其処に佇んでいる。 「二人とも、援護お願い! あと、影に気をつけてね!」 「はいっ!」 二人の返事は実に威勢のいいものだった。その言葉を聞いたスバルは全速力でガジェットに突っ込んでゆく。 影が動く気配は無い。ならば今は目の前の脅威を一つ一つ片付けるだけだ。 I型だけであれば、自分だけで何とでもなる。スバルはそう思っていた。だがそれは過ちだった。 ナックルダスター発動。ウィングロードを全速力で走り、ガジェットドローンへリボルバーナックルを思い切り叩きつける。 スバルの拳が装甲を破り、内部機構を引きちぎる。 『GYAアあ亜ア■ア吾アAhaaaaaぁぁァ■!!』 ――いつもと手応えが違った。そして響く筈のない、ガジェットドローンの悲鳴。目の前の物体から発せられる強制的な思念通話。有り得ない、有ってはならない事態だった。 ガジェットドローンが血を流していたのだ。 引き抜いたリボルバーナックルの回転部分に付着しているのは、明らかに人の血液と神経、そして内臓。 装甲が破れた箇所からとめどなく内臓、神経、脳が溢れ出している。 三人の思考が停止した。 ぱちぱちぱちぱち。突然響く場違いな拍手。 「スバルちゃん、童貞卒業ね。おめでと☆」 影の中心に、緑色の奇怪な仮面を被った道化師が拍手をしながら立っていた。 道化師は更に続ける。絶頂に達したかのように、全身を震わせながら。腐臭を撒き散らして。 「どう、さっきまで『生きてた』お仲間を手にかけちゃった気分は? サイッコーでしょお☆ アタシだったらそれだけでイッちゃえるわよぉ!」 ぽとり、流すものが何もなくなったガジェットドローン内部から最後に出てきたのは、血と肉の破片に塗れた認識票。 ドラグノフ・ソゲキスキー三等空尉。それが中に押し込められていた人物だった。 「アタシたちアンチクロスの周りをコソコソ嗅ぎ回ってたのよ。ほんと、大した力も無い癖にねぇ」 彼ら、捜査班実動部隊の末路は酸鼻を極めた。 ある者は一瞬で細切れにされ、ある者は拳に叩き潰され、ある者は風に切り刻まれ、ある者は肉槍で刺し貫かれ、ある者は音波で血液を沸騰させられ、ある者は高熱の光に蒸発させられた。 この時点で全滅したわけではない。まだ十人、生き残っていたのだ。生き残りのうち、一人だけはメッセンジャーボーイとして利用された。時間が来れば、体を内側から食らい尽くす蛆を組み込まれて。 だが死ねた者は――とりわけ死体が残らなかったものは――ある意味幸せだっただろう。何故ならば、生き残った者は生きたまま脳髄、内臓を取り出され、ガジェットドローン内部に押し込められたからだ。 しかも、死なぬように魔術を掛けられながら。精神も狂わぬように保護されながら……。 つまりはティベリウスの言う通り、本当に『彼ら』は生きているのだ。人の姿を失い、人としての記憶も奪われ、痛覚以外の感覚を奪われて……。 苦痛を受ける、そのためだけに『彼ら』は生かされている。目の前の魔術師によって。 「ほんと、オ☆ バ☆ カ☆ さ☆ ん☆ よねぇ!」 「うう゛っ」 キャロが嘔吐と共に気絶したのを皮切りに、吐き気が伝播してゆく。エリオ、直接手を下したスバルも例外ではなく、その場に蹲り吐いた。 スバルは顔を涙と洟と吐瀉物で汚しながらも、怨敵たる道化師睨み付ける。 「あらあら、そぉーんなに気に食わなかったの? 残念ねぇ。アタシの誠心誠意を込めたお持て成しだったの―――」 その言葉にエリオの怒りが頂点に達した。 「この外道めぇっ!」『Speerangriff!』 涙も洟も拭わず、道化師の言葉が終わらぬ内にソニックムーブで接近。ストラーダを忌まわしい男に対し突き刺す。 しかし道化師を傷つけることは出来なかった。なぜならば―― 『イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ、イタイ……』 ガジェットドローンが道化師の盾となったからだ。 寸前で気付いたエリオがストラーダを無理矢理減速させ、逸らしたのが幸いした。刃は装甲を浅く裂く程度で済んでいた。 それでもガジェットは痛がっていた。 エリオは見た。切り裂かれた装甲の断面。そこに神経が通っているのを。 「さっすがアタシよねぇ! きーっちりアタシを護ってくれるわぁん! ほんっと素敵よぉ!」 ティベリウスの周囲を護るガジェットドローン。『彼ら』はスバルたちを攻撃するでもなく、ただ飛び回るだけ。 スバルが道化師にリボルバーシュートを打ち込もうとすれば、射線上にガジェットが割り込む。 ならば、と接近して拳打を浴びせようとしてもガジェットは身を挺して庇うのだ。忌まわしき道化師を。 最早、スバル達に打つ手は無かった。 「ああん、でも残念よねぇ。アタシが直接手を出すのはご法度なの。だぁかぁらぁ……」 そう言って道化師は懐から何かを取り出す。 鉄で作られた表紙に踊る、蚯蚓がのたくった様な字。墓地めいた屍臭――魔導書、妖蛆の秘密(De Vermis Mysteriis)だった。 ひとりでに表紙が開かれ、ぱらぱらとページが捲れる。 「んん~、これね☆ ――蛆(ワムス) ――蟲(マゴット) ――妖虫(ワーム) ――妖蛆(ウェルミス)!」 力ある言葉が唱えられ、現実が書き換えられた。異変が起こる。 先ず、思念通話が使えなくなった。道化師が結界らしき物を張ったのだ。 そして。 スバル達の眼前にある『死体』が蘇った。臓物と神経と血管、脳しかない状態で。 つい先程まで新鮮だった『死体』にはびっしりと蛆がわき、既に道化師にも劣らぬ腐臭を発している。 彼らのクライアントは道化師自身には手を出すな、と言ったが彼が使役するモノに対しては何も言っていない。 つまり……ティベリウス自身が手を出しさえしなければ、彼女たちを陵辱できる。 直接手段ではないため肉体的快楽を感じることは無いが、精神的に嬲る事でティベリウスは非常な快感を得ることが出来るのだった。 その『死体』は、緩慢きわまる動作で起き上がる。はらわたを足に見立てて。 腕の代わりであろう血管と神経が、突如唸りを上げて三人の首、腕、足に絡み付いてきた。先程の緩慢な動きが嘘に思えるほどの速さだった。 弾力と有り得ぬ強靭さを併せ持った触腕は、スバルの怪力を以ってしても容易に切れるものではない。 動きを完全に止められた。思念通話も断たれた。三人の目の前には四体のガジェット。そして最大の脅威である、道化師。 悔しかった。打つ手が無い事もそうだし、ガジェットの中に押し込められてる人を、助ける事が出来ない。それが何よりも悔しかった。 隣を見れば、キャロは未だに気絶したまま。エリオは悔し涙を流しながら、それでも尚憎悪を以って仇敵を睨みつける。 触腕を振りほどこうと力を込めるが、どれ程力を込めても、どれだけ魔力を込めても、この触腕は千切れるどころか緩む気配すらない。打つ手は、無かった。悔しい。その感情だけが募り涙が流れる。 首を絞める触腕に更なる力がこもる。ぐえっ、という蛙が潰れるような声と共に顎が上がった。その時、確かにスバルは見た。 視界は涙に、空は結界にぼやけていたが、確かに見えたのだ。灼熱色に輝く流れ星が。 ※~~・~~◎~~・~~※ 時は少し遡る。 ティアナはグリフィス・ロウランの許可を得て自主訓練に励んでいた。 腐っていても仕方が無い、ならばせめて少しでも、ほんの少しでもあの子達に追いつこう、そう考えての事だった。 時刻は間もなく正午。そろそろ切り上げるかな? そう思った時、何かを感じた。それは所謂、虫の知らせ、もしくは胸騒ぎと呼ばれる人間の持つ第六感。 彼女は走った。状況を知るために。司令室へと。 司令室は混乱の極みにあった。 前線指揮を執っているはずのシャマルとも、そして部隊長であるはやてとも連絡が途絶えたのだ。 グリフィスが周りの混乱を収めようとしているが上手くいっていない。 そのため、ティアナが入ってきた事にすら誰も気付くことは無かった。 大きくディスプレイに映る広域図を見てみる。 するとこの混乱の原因が解った。 ヴィータ、シグナム、ザフィーラを除く反応が全て消失(ロスト)していたからだ。 愕然とした。 スバルたちの反応も消えている。 ――嘘だ、嘘だ……嘘だっ!! 余りの現実に倒れそうになった時、何かが聞こえた。物理的な音ではない。思念だ。 それは聞こえる筈の無い、スバルの思念。 悔しい、と言う感情。それは思念通話を介しティアナに情報を送る。 それは、まだスバルたちは健在であること。そして絶望的な状況にあるという事。 しかし自分は無力だ。 先ず、助けに行くにも手段が無い。ヴァイス陸曹のバイクを無断で拝借し、交通法規を無視して走ったとしても1時間半以上確実に掛かる。 それでは遅すぎる。もっと早く察知できていれば……ティアナは臍を噛んだ。 その時だった。別の聲が聞こえてきた。 何を言っているか全く解らない、理解不能の言語。 それは次第に、不明瞭ながらも理解可能な言語へと変わってゆく。そして……。 その言葉を聞いたと同時に、司令室を飛び出していた。 その聲はこう言っていた――力を与えよう。と。 ――我を求―― ひたすらに廊下を走る。向かう先は自室。 途切れ途切れに聞こえてくる、雑音が入る筈の無い雑音混じりの思念通話から、ティベリウスと戦う スバルたちの劣勢が聞き取れる。それが更にティアナを焦らせていた。 ――我を求めよ! さすれば―― 部屋に近づけば近づくほど頭の中に響く声無き聲がどんどん大きくなり、はっきりと聞こえるようになる。 ――我を求めよ! さすれば汝に力を与えよう!―― 到着した。目の前には扉。 あとはこの扉を開けるだけだ。 指が震える、足が竦む、口の中がからからに乾く、心臓が早鐘のように鳴る。 この扉を開けてしまえば、きっともう後戻りは出来なくなる。自分が自分でなくなってしまう恐怖。それは確かに恐怖だった。あの本に触れただけで気が狂ってしまった自分。破壊された自己。犯され侵され冒された精神。あんな思いは二度としたくないと言うのが彼女の本音だ。 しかし、それでも、彼女はもう亡くしたくなかった。 友を、戦友を、親友を喪う恐怖に較べたらそんなもの、屁でもない! 彼女は勢いよく扉を開けた。 部屋の中は完全な異界と化していた。 四角形の内角は明らかに360度を越えて存在し、直線は真っ直ぐに捩れ、平行線は垂直に交わっている。そんな異常な部屋の中で唯一、それだけが正常な姿を保っていた。 魔導書ネクロノミコン。 異常しかない部屋の中で正常であると言うことは、何よりも異常であるという事なのだ。 つまり、この異界を生み出したのは紛れも無くネクロノミコン。 ティアナは異界と化した部屋へ躊躇無く飛び込んだ。 僅か数メートルの距離が果てしなく遠い。走っているのに全く距離が縮まらない。既に彼女の感覚にも異常を来たしていた。 それでも尚、彼女は走る。魔導書に向かって。一直線に。 どれ程の時間が経ったかも彼女には解らない。解る必要など無い、と狂った感覚が告げる。 やがて永劫にも思える数秒の後、彼女は机の前にたどり着いた。肩を激しく上下させながら呼吸を整える。 そして、魔導書を手に取る。 瞬間、以前のように膨大な知識が彼女の中に流れ込んできた。 忌まわしい、この上なく忌まわしい知識だった。 しかし、今はその忌まわしい知識と力こそが必要なのだ。故に必死に抗う。 激痛に苛まれる全身。軋みを上げる精神、折れそうになる意思。 折れて堪るものかと、祈りにも似た気合を込めて唱える。 「我が名はティアナ・ランスター! 汝、ネクロノミコンの主なり!! 接続(アクセス)、I am Providence! ネクロノミコン――起動せよ!」 瞬間、魔導書の頁が解け、光と共にティアナの全身に纏わりついてゆく。あたかも彼女の存在を、別の何かに書き換えるように……。 それは以前のような埋め尽くすものではなく、バリアジャケットのように全身を覆ってゆくのだ。 光の中心から顕れたのは漆黒のスーツを纏ったティアナ。術衣形態(マギウススタイル)――それがその形態の名称。 殆ど無くなっていた筈の魔力が戻っている。いや、それどころかつての最大値よりも爆発的に増加している。 体の奥底から湧き上がる力と、溢れんばかりの魔力に思わず言葉が漏れた。 「す、凄い……これが魔導書の力……」 本の頁を束ねたような翼を羽ばたかせてみる。すると体が浮くではないか。 翔べる! そう確信した時、既に窓を突き破り外へと飛び出していた。 しかし、遅い。確かに飛べるし、そこそこのスピードも出る。ヘリよりは速いだろう。それでもスバルたちを助けるには遅すぎるのだ。 何か手段は無いものか? クロスミラージュにも手伝ってもらって術式を検索する。 ――転移術式―― ――該当あり。記述の7割以上消失(ロスト)。使用不能―― ――その他の高速移動手段検索。該当あり―― ――機神招喚―― ――永劫(アイオーン)招喚による高速移動。使用可能。非推奨―― 他にも条件を変えて検索をかけるが、記述が消失しているなどで使用不能なものばかりだった。 ならばこれを使うしかないという事か。 ――やってやるとも。成功させて見せる。 決意と覚悟を胸に彼女は唱える。神を喚び出す言葉を。そして術式を紡ぐ。 ――思考疾走―― 一秒が千秒にも万秒にも引き伸ばされる。 光すら捉えられそうになる錯覚。 ――術式構築―― 幾億、幾京、幾垓にも及ぶ魔術文字と呪紋が意味を持つように並べ、それを複雑に組み合わせながら術式と成す。 更に術式と呪紋を掛け合わせより複雑に、より強靭にしてゆく。最早、人には認識することすら出来ない領域にまで昇華させる。 左手で印を結ぶ。薬指、中指、親指の順に折り曲げ、人差し指と小指は伸ばす。そして力ある言葉を唱える。 「無敵のヴーアの印に於いて、力を与えよ、力を与えよ。――力を、与えよ!」 やがてティアナの右手に鍛造されたのは一本の剣。歪な形をした曲刀、バルザイの偃月刀だ。 偃月刀を握り精神を研ぎ澄ませ、魔力と昂ぶる魂を融合させ精錬精製する。 ティアナが纏うネクロノミコンの一部が解け、無数の紙片となって空中で舞い踊る。 それぞれの頁は、複雑な呪文や魔術文字を明滅させて二次元的魔法陣を作り上げてゆく。 これから展開される術式は高位の魔導書のみが持つ最大の奥義、もしくは奇跡。機神招喚だった。 「げふっ……あ、あっ……がぁぁっ!!」 吐血。体を、脳髄を駆け巡る術式に彼女の肉体が耐えられないのだ。 それもその筈、今のティアナは駆け出しの即席もいい所。そんな低い位階の魔術師が鬼械神の招喚など、無謀でしかない。 でも、それでも彼女は術式を紡ぐ。 体はとっくに限界を超えている。膝はがくがくと笑い、偃月刀を持つ手にも力が入らない。 ついには目、耳、汗腺からも血が噴き出す。既に全身は血塗れとなっていた。体中に焼鏝を突き刺されたような激痛が襲う。 それでも何かに取り付かれたかのように、只管に術式を紡ぐ。喪いたくない、その一心で。祈りにも似た切実さを以って。 そして完成しない筈の術式が――完成する。 「永劫(アイオーン)! 時の歯車 断罪(さばき)の刃 久遠の果てより来たる虚無―― 永劫(アイオーン)! 汝(なれ)より逃れ得るものは無く 汝(な)が触れしものは死すらも死せん!」 言霊と共に、今まで二次元的構成だった魔法陣が三次元的魔法陣となる。それは空間と次元と世界の有り方を変化、変容、変異させた。 空間が爆ぜる。次元が砕ける。世界が弾ける。 それは現実を侵食するマボロシ。マボロシでありながらも、圧倒的質量と確かな厚みを持った全長五十メートルに及ぶ神の模造品。 それは罅割れた神像。 それは片腕の欠けた刃金。 それは不完全な闇色の機神。 最強にして至高の魔導書と謳われたアル・アジフ。その写本、ネクロノミコンが鬼械神(デウスマキナ)アイオーンだった。 「凍てつく河より飛び立て、シャンタク!」 鱗を幾重にも重ねたような翼がアイオーンの背中に顕れる。それは魔力のフレアを爆裂させ、重量五千トンを超える巨体を宙へと浮かべる。 闇色の機神=ティアナは機体が赤熱化するほどの超高速で、青空へと飛翔した。その姿はまるで灼熱色の流れ星。 流れ星が目指す先は、ホテル・アグスタ。 前へ 目次へ 次へ
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マクロスなのは 第25話『先遣隊』←この前の話 『マクロスなのは』第26話「メディカル・プライム」 八神はやては部隊長室で、今後の六課の運用について思索をめぐらせていた。 脳内会議の議題に上がっているのはカリムの預言の事だ。 設立から半年。六課はその任務を忠実に果たし、今に至る。現状に不満はない。しかし不安要素はあった。それは『〝事〟が、六課の存続する内に起こるのか』という問題だ。 六課はテスト部隊扱いのため、あと半年足らずで解体される。1年という期間は何もテキトーに決めた期間ではない。聖王教会と本局の対策本部が議論の末導き出したギリギリのラインだ。 今より短い場合の問題は言わずもがなだが、逆に長いとそれはそれで問題がある。今でこそガジェットの出現から出動数が多く、各部隊からの信頼も厚い六課だが、当時は必要性の認識が薄かったため本局でさえ設立には渋ったのだ。それは予算の問題のみならず、当時対立関係にあった地上部隊が黙っていない。という意見もあったからだ。しかしこの問題は『地上部隊のトップであるレジアス中将が賛同した』というイレギュラーな、しかし嬉しい出来事から片づいている。 だがもう1つ問題が上げられていた。それは六課への過剰な戦力集中だ。地上部隊20万人の内、4万人は事務・補給・支援局員である。 そして残る16万人を数える空戦魔導士部隊や陸士部隊である純戦闘局員の内10人ほどしかいないSランク魔導士を八神はやて、高町なのは、ヴィータ、シグナムと4人も六課に出向させている。 このランクの持ち主は『北海道方面隊など6つある地方方面部隊、5個師団(2万7千人)に1人いるかいないか』という希少な戦力であり、本局ですら少ないSランク魔導士のこれほどの集中投入は極めて思い切った人事だった。 そのため『気持ちは分かるが、そう長くは留めて置けない』というのが周囲の本音だった。 仮に1年後に同じような部隊を本局主導で再編する場合を考えても、地上部隊を頼れない分、生み出されるであろう戦力の低下は憂慮すべき問題であった。 そこで『何か妙案がないだろうか?』と思考をめぐらせていたはやてだったが、その思索は打ちきられることになった。 空中に画面が浮かび、電話の呼び出し音が締め切った室内の空気を震わす。画面の開いた場所は左隣の人形が使うような小さなデスクだ。本来なら補佐官であるリインが受けるはずだが、今ここにいないことは承知済み。右の掌を空中にかざして軽く右に滑らせると、その動作を読み取った部屋が汎用ホロディスプレイを出現させる。この部屋だと電灯のスイッチなどの操作を行うものだが、こんな時のために電話もその機能に加えている。おかげで次のコールが鳴る前に通話ボタン触れることができた。 「はい。機動六課の八神二佐です」 サウンドオンリーの回線だったが、 直接外部から電話がかかることはなく、地上部隊のオペレーターを経由したルートが普通だ。しかし聞こえてきた声はオペレーターの声ではなく、レジアスのものだった。 『はやて君か。いきなりで悪いが1330時頃にこちらに来てほしい』 「え? ほんとにいきなりやなぁ・・・・・・もちろん何か買ってくれるんよね?」 はやての冗談にレジアスは電話の向こうで豪快に笑う。 『なるほどな。グレアムのヤツがそうやって「部下がいじめてくる」と嬉しそうに嘆いていた意味がようやくわかったよ』 レジアスのセリフに、はやては「バレてたか」と苦笑いする。 グレアムは以前本局の提督を勤めていた人物で、当時足が悪く両親のいなかったはやての、いわゆるあしながおじさんであった。 またはやて自身、『闇の書事件』の責任を取って自主退職するまでのほんの1年だけ彼の元に嘱託魔導士として配属されており、当時同事件で主犯者扱いされていたはやてが管理局に慣れるよう手を尽くしてくれていた。 彼女を学費面での援助によってミッドチルダ防衛アカデミーに入学させてくれたのも、管理局で風当たりの悪かった当時の身の振り方を教えてくれたのも彼だった。 閑話休題。 『・・・・・・まぁ、実際買ったのだがな。きっと君も驚くだろう』 「え、いったいなんなのや?」 『ああ、─────だ』 レジアスが口にしたその名は、確かにはやてが驚くに十分値するものだった。その後はやては2つ返事で了解し、身支度のために席を後にした。 (*) 同日 1200時 訓練場 午前中に行われた抜き打ちの模擬戦になんとか勝利した六課の新人4人は、一時の休憩に身を任せ、地面に座り込んでいた。そこへなのはにヴィータ、そしてフェイトを加えた教官陣がやってきた。 「はい。今朝の訓練と模擬戦も無事終了。お疲れ様。・・・・・・でね、実は何気に今日の模擬戦がデバイスリミッター1段階クリアの見極めテストだったんだけど・・・・・・どうでした?」 一同の視線が集まるなか、後ろのフェイトとヴィータに振る。 「合格」 「まぁ、そうだな」 2人とも好意的な判断。そしてなのはは───── 「私も、みんないい線行ってると思うし、じゃあこれにて1段目のリミッター解除を認めます」 その知らせを耳にした4人は〝やったぁ!〟とうれしさのあまり座り込んでいた地面から跳ね上がる。 「お、元気そうじゃないか。それじゃこのまま昼飯抜きで訓練すっか」 ヴィータのセリフに4人の子ヒツジは青ざめ、一様に首を横に振った。 彼ら新人にとって唯一の平安といっても過言ではない食事の時間は絶対不可侵の聖域であり、守らねばならぬ最終防衛ラインだった。 「も~、ヴィータちゃんったら」 なのはに言われヴィータは 「冗談だよ」 と、猫を前にしたハムスターのような目をした4人に言ってやる。 しかし彼女の目が〝本気(マジ)〟だったことを書き添えておこう。 落ち着きを取り戻した4人にフェイトが指示を続ける。 「隊舎に戻ったらまず、シャーリーにデバイスを預けてね。昼食が終わる頃にはデバイスも準備出来てると思うから、受け取って各自しっかりマニュアルを読み下しておくこと」 それにヴィータの補足が付く。 「〝明日〟からはセカンドモードを基本にして訓練すっからな」 しかしその補足を聞いた4人は、自分達が間違っていると思ったのか空を仰ぐ。真上に輝く真夏の太陽は、まだ時刻が正午であることを知らせていた。 「〝明日〟ですか?」 「そうだよ。みんなのデバイスの1段目リミッター解除を機会に、私とヴィータ教官のデバイスも全面整備(フルチェック)とアップデートをすることになったの。だから今日の午後の訓練はお休み。町にでも行って、遊んでくるといいよ」 なのはのセリフに、4人は先ほどを数倍する大声で、喜びの雄叫びを上げた。 (*) 同時刻 フロンティア航空基地 第7格納庫 「あと30分で出撃だ。しっかり頼むぞ」 愛機であるVF-25を引っ掻き回している整備員達に檄を飛ばす。 彼らはそれぞれの仕事をこなしながらも 「「ウースッ」」 と、まるで体育会系のような返事を返す。そして点検項目を並べたチェックボードを効率よく埋めて、整備のために開けたパネルやスポイラーを定位置に戻していった。 そんな中、こちらへと1人の整備員がやってきた。しかし他の整備員と違ってそのツナギはあまり機械油に汚れていないように見える。どうやら新人らしい。 「どうした?」 「はい、アルト一尉。恐縮ですが、モード2のバトロイドのモーション・マネージメント比は今までの1.50倍で良いでしょうか?先ほど戦闘のデータを見る機会があったのですが、自分の見立てではあと0.04増やした方が動かしやすいように思います」 幾分か緊張した様子の新人に言われて初めて思い出す。そう言えば確かに前回戦闘の最中、そのような違和感を覚えたような気がする。もっともSMSへの先行配備の段階から乗っているVF-25という機体なので多少の誤差など十分カバーできるが、修正するに越したことはなかった。 「よく気付いたな。そうしてくれ」 答えを聞いた新人は満面の笑みを作って 「はい!」 という返事とともに敬礼し、再びバルキリーに繋がれたコントロールパネルに返り咲いた。そこで航空隊設立当初からVF-25のアビオニクスを任せている担当者が 「やっぱり言ってよかったじゃねぇーか」 と、入力する新人の肩をたたく。 「俺達でもコイツのことは完全には把握してないんだ。だからこれからも新人とか専門外とか関係なしにどんどん聞いてくれよ!」 「はい!・・・・・・じゃ先輩、さっそくひとついいですか?」 「おう、なんだ?」 「明日地元から彼女が来てくれるんです!それでクラナガンでデートしたいと思うんですが、どこかいいスポット無いですか?」 「え・・・・・・彼女とデート?あ・・・・・・いや、俺はそういうのよくわからなくて・・・・・・その・・・・・・だな」 こういう事象に対しては知識がないのか大いに困っているようだ。そこへ彼の同期がデートと言う単語を聞きつけたのか機体越しに呼びかけてきた。 「どうしたんだよシュミット?お前俺たちと違ってモテるだろ?意地悪しないでデートスポットの一つや二つ教えてやれよ!」 「そういうわけじゃねぇんだよ加藤!」 「じゃあなんだよ?」 「だって・・・・・・なぁ?」 困ったように言うシュミットに安全ヘルメットを外してポニーテールの長髪を垂らした新人が 「ふふふ」 と蠱惑的に微笑んだ。 (*) その後彼女は 「キマシタワー!」 と叫びながらやってきた女性局員や、 「なになに?諸橋(その新人)に〝彼女〟がいるって!?」 とVF-25の整備を終えて集まった整備員集団に囲まれていた。しかしその顔触れはアビオニクス担当者であるシュミット、そして新人を含めて全員自分と同年代ぐらいだった。別に特殊な趣向を持った人間がそう、というわけではない。この航空隊に所属する整備員はほとんど同年代なのだ。 これはこのミッドチルダでOT・OTMという新技術に、最も早く順応したのが彼らのような若者であることの証左であった。 もっとも教養としての現代の技術はともかく、OTMはゼロスタートであったおかげで3カ月前まで整備の質はあまり良くなかった。それが第25未確認世界でも最新鋭機であったVF-25なら尚更だ。 しかし最近ではアビオニクスを整備するシュミットのような人材が育ってきてくれたおかげでなんとか乗り手である自分や、たまに技研から出張してくる田所所長などに頼らなくても良いぐらいの水準に到達していた。 しばらく馴れ初め話を語る諸橋とデートスポットの位置について真剣に話し始めた彼らの様子を遠巻きに眺めていたが、整備が終わった彼らとは違い、自分の仕事は目前に差し迫っている。名残惜しいが列機を見回ることにした。 まずはVF-25の対面で整備が急がれている天城のVF-1B『ワルキューレ』だ。 純ミッドチルダ製であるこの機体は、製作委任企業であるミッドチルダのメーカー『三菱ボーイング社』の技術者が、わざわざ整備方法を懇切丁寧に講義していた。そのため比較的整備水準は初期の頃から高かったようだ。 現在パイロットである天城はコックピットに収まり、ラダー等の最終点検に余念がなかった。 まるで魚のヒレのように〝ヒョコ、ヒョコ〟と垂直尾翼や主翼に付けられている動翼であるエルロンが稼動する。 「あ、隊長」 こちらに気づいた天城は立ち上がると、タラップ(はしご)も使わずコックピットから飛び降りる。 コックピットから床まで3メートルほどあり、生身なら体が拒否するところだが、その身に纏ったEXギアが金属の接触音とともに彼の着地をアシストした。 「今日のCAP任務が8時間ってのは本当っすか?」 「そうだ。今日はだましだまし使ってきた機体の総点検らしいからな。六課にいて一番稼働率が少なかった俺たちで時間調整するんだと」 「・・・・・・ああ、そうですか」 気落ちした表情に続いて小声で 「俺は六課でも出撃率100%だったのに・・・・・・」 という天城の嘆きにも似た呟きが聞こえたが、どうしようもないので 「まぁ、頑張れ」 と肩を叩いてその場を離れた。 次にVF-1Bの隣りに駐機するさくらのVF-11G『サンダーホーク』に視線を移す。 こちらは元の世界でも整備性が高い機体なので、性能に比べて整備が容易になっている。そのためかこちらにはもう整備員の姿はなく、さくら自身が最終点検を行っていた。 サーボモーターなどを使い、電子制御で機体の操縦制御を行う形式であるデジタル・フライバイ・ワイヤの両翼の動翼に、順番に軽く体重を乗せて動かない事を確認する。 そして次に『NO STEP(乗るな)』という表示に注意しながら上に昇ると、整備用パネルが開いていたり、スパナなど整備員の忘れ物がないか確認していく。 よほど集中しているのかアルトが見ていることには気づいていないようだった。しばらくその手際眺めていると、後ろから声をかけられた。 相手はVF-25を整備していた整備員だ。どうやらようやく全ての点検・整備が終わったらしい。 アルトはもう一度点検を続けるさくらを流し見ると、自らの愛機の元へ歩き出した。 (*) 1330時 機動六課 正門 そこにはヴァイスのものだという、このご時世には珍しい内燃機関の一種である、ロータリーエンジン式のバイクに跨がって六課を後にしようとしているティアナ達と、見送るなのはがいた。 「気をつけて行ってきてね」 「は~い、いってきま~す!」 なのはの見送りに後部座席に座るスバルが返事を返すと、ティアナは右手に握るアクセルをひねった。 石油ではなく水素を燃料とするそれは電気自動車や燃料電池車の擬似エンジン音だけでは再現できない振動やエンジン音を轟かせて出発する。そして狼の遠吠えのようなエキゾーストノートを振り撒きながら海岸に続く連絡橋を爆走していった。 なのはは背後の扉が開く気配に振り返る。するとそこには地上部隊の礼服に袖を通したはやての姿があった。 「あれ? はやてちゃんもお出かけ?」 「そうや。ちょっとレジアス中将に呼ばれてな。ウチがおらん間、六課をよろしく」 「は!お任せください!八神部隊長」 わざと仰々(ぎょうぎょう)しく敬礼するなのはに、 「似合えへんなぁ」 とはやてが吹き出すと、なのはもつられて笑った。 その後はやてはヴァイスのヘリに乗って北の空に消えていった。 (*) その後ライトニングの2人を見送ったフェイトと合流したなのはは、 「(フェイトの)車の鍵を貸してくれ」 というシグナムに出くわしていた。 「シグナムも外出ですか?」 フェイトがポケットから鍵を取り出し、シグナムの手に置きながら聞く。 「ああ。主はやての前任地だった第108陸士部隊のナカジマ三佐が、こちらの合同捜査の要請を受けてくれてな。その打ち合わせだ」 「あ、捜査周りの事なら私も行った方が─────」 しかしフェイトの申し出は 「準備はこちらの仕事だ」 とやんわり断られた。 「お前は指揮官で、私はお前の副官なんだぞ」 そう言われてはフェイトに反論の余地はない。 「うん・・・・・・ありがとうございます─────でいいんでしょうか?」 「ふ、好きにしろ」 そう言ってシグナムは駐車場の方へ歩いていった。 なのははそんな2人を見て、『知らない人が見たらどっちが上官なのかわかるのかな?』と思ったという。 (*) その後デスクワークをしなければならないというフェイトと別れ、なのはは六課隊舎内にあるデバイス用の整備施設に到着した。 「あ、なのはさん」 画面に向かっていたシャーリーが振り返って迎え、その隣にいたヴィータも 「遅かったじゃねーか」 といつかのように婉曲語法で自分を迎えた。 「ごめん、ごめん。それでどう?上手く行ってる?」 なのはは言いながらシャーリーの取り組んでいる画面を後ろから覗き見る。 自らのデバイス『レイジングハート(・エクセリオン)』は昼飯前からシャーリーに預けられており、アップデートは開始されているはずだった。 「はい、あと2時間ぐらいでアップデートは終わる予定です」 プログラムを構築したシャーリーの見立てにミスはない。ディスプレイに表示された終了予定時間は1時間以下だったが、こういう終了時間は信用できないのが世の常。それを証明するように次の瞬間には3時間になったり30分となった。 ヴィータの方も似たり寄ったりで、プログラムのアップデート率をみる限り、自分の1時間後ぐらいに終わるだろう。 しかしなのはは画面を眺めるうちにあることに気づいた。 自分とヴィータだけでなく、まだもう1つデバイスのアップデート作業が進行しており、もう間もなく終わりそうなことに。 検査兼整備用の容器に入った待機状態のそのデバイスは〝ブレスレット型〟だった。 「ねぇシャーリー、あのデバ─────」 デバイスは誰の?とは問えなかった。その前に持ち主がドアの向こうから現れたからだ。 「あ、なのはさん、お久しぶりです!」 地上部隊の茶色い制服に身を包み、ニコリと嬉しそうに挨拶する緑の髪した少女、ランカ・リーがそこにいた。 (*) ランカは本局の要請で無期限の長期出張に出ていた。 行き先は〝戦場〟だ。 第6管理外世界と呼ばれる次元世界で行われていた戦争は、人対人の戦争ではなく、対異星人との戦争だった。 本来管理局は非魔法文明である管理外の世界には干渉しないのが基本方針だったが、その世界の住人は管理局のもう1つの任務に抵触した。 それは〝次元宇宙の秩序の維持〟だ。 彼らは70年程前に次元航行を独自に成功させ、巡回中だった時空管理局と遭遇したのだ。 運の良いことに極めて友好的で技術も優秀な人種であったことから、1年経たないうちに管理局の理念に賛同した彼らと同盟を結ぶに至った。 以後管理局は次元航行船の建造の約8割をその世界に依存しており、管理局の重要な拠点だった。 しかし2ヶ月前、その世界で戦争が勃発した。 その異星人は我々人間と同じく〝炭素〟ベースの知性体(以下「オリオン」)であったが、彼らは突然太陽系に入ると先制攻撃を仕掛けてきたのだ。 当然管理局に友好的だったその惑星(以下「ブリリアント」)の住人は必死に応戦する。 管理局との規定により魔導兵器縛りだったが兵器の技術レベルではなんとか拮抗。戦力は圧倒的に劣っていた。しかしブリリアント側にはある〝技術〟があった。 次元航行技術だ。 この技術は実は超空間航法『フォールド』と全く同じ技術で、第25未確認世界(マクロス世界)とオリオンの住人達は知らなかったが、空間移動より次元移動に使う方が簡単だった。 この技術によってオリオン側の先制攻撃と戦力のメリットを塗り潰し、比較的戦いを有利にすすめた。 しかし所詮防衛戦でしかなく、オリオン側の恒星系の位置がわからないため、戦いは長期化の様相を呈していた。 だが捕虜などからオリオンの情報がわかるにつれて、戦争の必要がないことがブリリアント側にはわかってきた。 彼らの戦争目的は侵略ではなく〝自己防衛〟だという。 何でも彼らの住む惑星オリオンからたった数百光年という近距離にあったため、 「ベリリアン星の住人が攻めてくる!」 という集団妄想に駆られたらしい。 それというのもブリリアント側が全く気にしていなかった、それどころか最近までまったく観測すらしていなかったものが原因であった。それは次元航行に突入する際に発生してしまう短く超微弱なフォールド波だ。 これを次元航行発明から70年間完全に垂れ流しつつけ、これを受信したオリオンが盛大に勘違いした。 彼らにはまだフォールド技術は理論段階で、空間跳躍以外の使用法を全く思いつかなかった。そのため管理局に造船を任されてどんどん新鋭艦を次元宇宙に進宙させていったブリリアントの行為は、オリオン側にとって奇怪に映った。船を造ってどんどんフォールドするのはわかる。宇宙開発というものだとわかるからだ。しかし恒星外にフォールドアウトするでもなく、ただため込んでいるようにしか見えないその行為は、オリオンの住人にとって艦隊戦力の備蓄と思われてしまったのだ。 そう勘違いしてしまったオリオンは半世紀の月日をかけてフォールド航法を理論から実用に昇華させて、のべ一万隻もの宇宙艦隊を整備。そして今、万全の準備をして先制攻撃に臨んだようだった。 しかし実のところ彼らのことはまったく知らなかったし、『協調と平和』を旨とするブリリアントは知ったところで侵略するような野心もない。 そこで和平交渉のためにまず戦闘を止めようと考えたブリリアントは、次元宇宙で〝超時空シンデレラ〟とも〝戦争ブレイカー〟とも呼ばれるランカ・リーの貸出しを要請したのだ。 管理局としても戦争による新鋭次元航行船建造の大幅な停滞は困るし、70年来の大切な盟友を助けたいという思いがあった。 こうして1ヶ月前、六課に対し最優先でランカの出張を要請したのだ。 六課やアルトは危険地帯へのランカの出張に渋ったが、ランカの強い思いから根負けしていた。 こうして第6管理外世界に出張したランカは、本局の次元航行船10隻からなる特務艦隊と航宙艦約100隻から成るブリリアント旗艦艦隊に守られながら局地戦をほぼ全て歌で〝制〟して行ったという。 確かなのはが最後に見た関連ニュースは「全オリオン艦隊の内、50%がブリリアント側に着いた」というものだった。 そのランカがここにいるということは───── 「戦争は終わったの!?」 ランカは頷くと続ける。 「みんないい人達なんだよ。ただ誤解があっただけなんだ」 そう笑顔で語る少女は、とても恒星間戦争を止めた人物には思えぬほど無邪気であった。 (*) 1424時 クラナガン地下 そこは戦前は半径10キロメートルに渡って巨大な地下都市があり、戦時中は避難民が入った巨大な地下シェルターだった。 一時は全区画にわたって放棄されていたが、今では歴代のミッドチルダ政府の尽力によって大規模な地下街が再建されている。 しかしその全てに手が届いたわけではない。一部の老朽化や破壊の激しい区画は完全に放棄され、そうでなくともただのトンネルとして利用されていた。 そこを1台の大型トラックが下って(クラナガンから出る方向)いた。 そのトラックのコンテナには『クロネコムサシの特急便』のロゴとイメージキャラクターがペイントされ、暗いトンネル内をヘッドライトを頼りに走って行く。 運転手はミッドチルダ国際空港近くの輸送業者の新人で、この道は彼の先輩から教わったものだ。 地上のクラナガンに繋がる道はどこも渋滞であり、拙速を旨とする彼ら輸送業者はこの廃棄区画を開拓したのだった。 しかし残念ながら路面状態はよくない。 その運転手はトラックの優秀なサスペンションでも吸収できなかった予想以上の縦揺れに驚く。 「いかんな・・・積み荷が揺れちまうじゃねぇか」 彼はシフトレバーについたつまみを操作すると、ヘッドライトをハイビームにする。 すると少しは視認範囲が広かった。しかし───── (しっかし、いつ来ても廃棄区画は気味悪りぃな・・・・・・) 右も左も後ろにも他の車は見えない。それが彼に昨日見た映画を思い出させた。 それはベルカ(位置は第97管理外世界でアメリカ合衆国)の〝ハリーウッド〟で撮影された映画で、タイトルは「エイリアン」だ。 ストーリーは時空管理局の次元航行船が、新らたに発見された世界の調査のために調査隊を派遣する所から始まる。 そこには現代の技術レベルを持った町があったが、人の姿がない。調査が進むにつれてこの惑星の住人が、ある惑星外生命体の餌食になっていたことがわかった。 しかしその時には遅かった。 魔法の使用を妨害するフィールドを展開する敵に対し、調査隊には腕利きの武装隊が随伴していたが、また1人、ま1人と漆黒のエイリアンの餌食になっていく。 また、次元航行技術があったらしいこの世界は、厳重に隔離されていたが次元空間へのゲートが開きっぱなしだった。 このままではエイリアン達がこちらの世界に来てしまう。 何とか現地の質量兵器を駆使して次元航行船に逃げ延びたオーバーSランクの女性執務官リプリーと、1人の調査隊所属の科学者の2人は、艦船搭載型の大量破壊魔導兵器であるアルカンシェルによるエイリアンの殲滅を進言。そのエイリアンの危険性は認められ、それは決行される。 大気圏内で炸裂したアルカンシェルは汚染された町をクレーターに変え、船は次元空間に戻った。 しかしリプリー達が乗ってきた小型挺には小さな繭が─────! という身の毛もよだつ結末だ。 さて、問題のシーンは物語の終盤。先の生き残った2人と、3人の武装隊員が現地調達した軽トラで、小型挺への脱出を試みた時だった。 その名も無き(劇中ではあったと思うがいちいち覚えていない)武装隊員はこのようなだれもいない地下の道を走っていた。 しかし賢しいエイリアン達は天井に潜んでいた! ノコノコやってきた軽トラに飛び乗った〝奴ら〟は2人の武装隊員の断末魔の悲鳴とともに運転席を制圧。危険を感じ取ったリプリー達3人は荷台から飛び降りた─────というシーンだった。 (・・・・・あれ、俺って名も無き犠牲者その1じゃね─────) 彼の背筋に冷たいものが走る。 「ま、まさかな。そうだよ、杉田先輩だって10年以上この道を使ってたんだし、前にも先輩と1回通ったじゃないか」 わざと声を出して自らを勇気づける。 そして彼はラジオを点けると局を選ぶ。すると特徴的なBGMと共にCMが聞こえてきた。 『─────毎日アクセルを踏み、毎日ブレーキを踏み、毎日荷物を積み降ろす。・・・あなたのためのフルモデルチェンジ。新型〝ERUF(エルフ)〟登場─────!』 彼はそれを聞きながらそのBGMを歌い出す。 「いぃつ~までも、いぃつぅ~までも~、走れ走れ!ふふふ~のトラックぅ~」 それを歌うと何故か恐怖も飛んでいった。 (やっぱこの曲はいいねぇ~。でも─────) 彼はこのトラックのフロントにあるシンボルマークを思って少し申し訳なく思った。 そこには『ISUDU』ではなく、『NITINO』のマークがあったりする。 (どっちが悪いってわけでもないんだが・・・・・・) 彼はそう思いながらも歌い続けた。 「ど~こぅ~までも、どこぅまでも~、走れ走れ! ISUDUのトラック─────」 (*) 5分後 『そろそろクラナガン外辺部かな』と思った彼は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム。全地球無線測定システム)で位置を確認する。その時、一瞬サイドミラーが光を捉えた。 「?」 再び確認するがなにもない。 (勘弁してくれよ・・・・・・映画のせいで敏感になってるんだな・・・・・・) 彼はそう結論を出すと運転に意識を集中する。しかし今度はコンテナの方から無理に引き裂かれているのか、それを構成する金属が悲鳴のような悲鳴を上げる。 「ちょ・・・・・・マジで・・・・・・」 積み荷は食料品や医療品などで勝手に動くものは積んでいないはずだ。 (ということは・・・・・・!) 彼の頭に映画のシーンがフラッシュバック!あの武装隊員の断末魔の悲鳴が頭に響く。 (落ち着け、落ち着け、 落ち着け、落ち着け、 落ち着け、落ち着け、 落ち着け、落ち着け、 落ち着け、落ち着け、 落ち着け、落ち着け─────!!) 彼はもはやパニック寸前だ。しかし無慈悲にもその時は訪れた。 一瞬静かになり、彼が振り返えろうと決意した瞬間───── 耳をつんざく轟音と眩いまでの黄色い閃光が閃光手榴弾のように彼の視界を奪った。 すでに冷静さを欠いていた彼は驚きのあまりハンドル操作を誤り、トラックを横転させてしまった。 (*) 横転事故より15分後、トラックに搭載されていた緊急救難信号を受信した救急隊が現場に急行していた。 「・・・・・・おい、あれか?」 救急車を運転する救急隊員が助手席に座ってGPSを操作する同僚に聞く。 「ああ、そうらしい。しかし、こんな薄気味悪い場所で事故らんでも・・・・・・」 「こんな場所だからだろ。・・・・・・運転席に付けるぞ」 救急車は横転したトラックの本体─────牽引車近くに横づけする。 「大丈夫ですか!?」 ドアを開けて助手席の同僚がトラックに呼びかけるが返事はない。車を離れているのだろうか? 後ろではもう1人の同僚が救急車の後部ハッチを開けて、懐中電灯でトラックを照らす。 どういう訳かコンテナだけがひどく損傷していたが、運転席付近は無傷だ。シートベルトさえしていれば助かりそうだが───── いた! エアバックで気絶しているらしい。トラックの左側を下に横転しているため、宙吊りになったまま項垂れている。 外に出た同僚2人はデバイスで超音波を発生させてフロントガラスを1秒足らずで割ると、センサーで彼の状態を調べる。 「・・・・・・大丈夫だ。バイタル安定、骨も折れてない」 2人は運転手を事故車両から引き離していく。 その間に運転席に残っていた彼は、どうも妙な事故なため、無線で1番近い治安隊に事故調査隊の派遣の旨を伝えた。 (*) 20分後 「通報を受け派遣されました第108陸士部隊、ギンガ・ナカジマ陸曹です」 『地上部隊 第108陸士部隊』と書かれたメガ・クルーザーのHMV(ハイ・モビリティ・ヴィークル。高機動車)に乗ってきたのは3人で、内2人は白衣を着、もう1人は挨拶をした地上部隊の茶色い制服を着た1人の女性隊員だった。整備されていないこの地下空間は世間では犯罪者の温床にもなっていると言われていることから、治安隊の代わりに陸士部隊の調査隊として派遣されたとのことだった。 「この事故はただの横転事故と聞きましたが・・・・・・」 「はい。それが事故状況がどうも奇妙でして、それほど大きな衝撃でもないはずなのにコンテナだけが吹き飛んでいて・・・・・・」 確かに救急車のヘッドライトに照らされたコンテナは、原型を止めないほどにひどく損傷していた。 「運転手の方(かた)は?」 ギンガの質問に救急隊員は困った顔をする。 「・・・・・・それが運転手も混乱していまして・・・・・・お会いになりますか?」 「できるならお願いします」 ギンガは同乗者の2人に現場検証を頼むと、運転手が手当てを受けているという救急車に入った。 「本当なんだよ!あの〝エイリアン〟が出たんだ!!」 そう手当てしながら困った顔をする救急隊員に喚く運転手に、ギンガは〝ギョッ〟とする。 (そうかぁ、あの映画を見た人かぁ・・・・・・) 彼女は彼に、一気に親近感を覚えた。 彼女も実は1年ほど前にその映画を劇場でみていた。人には言えないが、その後1ヶ月ぐらい1人で真っ暗な部屋に入る時には、デバイスをその腕に待機させねば安心できなかった。 「すみません、そのエイリアンのお話をお聞かせ下さい。私はそのために管理局から派遣されました」 「なんだって!・・・・・・それじゃあの映画は!?」 思わせぶりに頷いてやると運転手の口はようやく軽くなり、やっと事故の状況が判明した。 (*) 「コンテナが勝手に爆発ねぇ・・・・・・」 救急車から出たギンガが腕組みして考える。 地面に散らばる積み荷は食料品などで爆発するような物はないし、クロネコムサシの本社から預かったそのトラックの輸送物リストもほとんどが医療品や食料品と書いてある。 しかし本当にエイリアンが来たなどということはあるまい。 鑑みるにこれはテロで郵便爆弾の誤爆という可能性があるが、どこかの政府系機関に届ける予定の荷物は───── 「・・・・・・あれ?」 ギンガの目がリストの一項目で止まる。 (これがベルカのボストンで?) 内容物は、輸入品としては珍しくないとうもろこし。しかしベルカの比較的北にあるボストンでは寒すぎて生産していない。 ビニールハウスという手もあるが、最近赤道付近の地価は安く、補助金も出るためそんなところで作るメリットはない。 それどころかボストンでは10年前からあるベンチャー企業の進出が進んでおり、農業をやるような場所はもう残っていないはずだった。 (確かその企業がやっているのは医療用のクローン技術─────) そこまで考えた時、一緒に来た調査隊員の自分を呼ぶ声が耳に入った。 「はーい。今行きます!」 ギンガはリストを小脇に添えると声の主の元へ走る。 「どう─────」 どうしました?と問うまでもなかった。 彼は顔を上げると〝それ〟をライトで照して見せる。 そこには他の積み荷と違って無粋な金属の塊『ガジェットⅠ型』の大破した姿があった。 「他にもこんな物が」 少し離れていたもう1人が、床に転がっているそれを指先でトントンと叩いて見せる。 「それは・・・・・・生体ポット!?」 ギンガは目を疑うことしかできなかった。 (*) 『君はいったい何をやっているのかね!?管理局に感づかれたらどうする!』 画面の中で怒鳴る背広を着た中年男にスカリエッティは涼しい顔をして答える。 「〝あれ〟が本物かどうか試しただけですよ。それに、管理局など恐るるに足らない」 その軽い態度に更に熱が入ったのかまた怒鳴ろうとした中年男だが、画面の奥の人物に制される。 『しかし社長!』 中年男は社長と呼ぶ30代ぐらいの若い人物に異議を唱えようとするが、彼の鋭い視線だけで黙らされてしまった。 社長は中年男が席に座るのを確認すると、今度は彼自ら詰問し始めた。 『スカリエッティ君、我々はもうかれこれ7年間君の研究のために優秀な魔導士達の遺伝子データを提供してきた。だが我々が君に嘘をついた事があるか?』 「いいえ。おかげさまで研究は順調に進んでますよ」 『なら今後、このような事は無いようにしてくれたまえ。・・・・・・それと〝あの子〟の確保は後回しでも構わないが、一緒に送った3つのレリックの内〝12番〟は必ず回収したまえ。あれがなければこの計画は失敗だ』 「仰せのままに」 スカリエッティの同意に社長は通信リンクを切った。 画面に『LAN』という通信会社の社名が浮かぶ。この回線はミッドチルダから太平洋を横断し、ベルカの大地まで繋がった長大な有線回線だ。 現在ミッドチルダ電信電話株式会社(M T T)に市場で敗れたこの会社はもうなく、海底ケーブルは表向き放棄されている。しかし海底ケーブルというローテクさ故に注目されず、盗聴も困難なため、水面下で動く者達の機密回線にはもってこいだった。 「またスポンサーを怒らせたの?」 いつものように気配なく彼女はスカリエッティの背後に現れた。 「まぁね。しかし必要なことさ。それに、彼らには〝あれ〟の重要さがわかっていない」 スカリエッティは肩を大仰に竦めると首を振った。 「そう・・・・・・。まぁ、私はあなたの副業には干渉しないけど、せいぜい頑張ってね」 グレイスは微笑むと退室していった。 「・・・・・・ウーノ」 スカリエッティの呼びかけに、彼の背後に通信ディスプレイが立ち上がり、彼の秘書を映し出す。 「はい」 「あれは本物だったか?」 「確定はできませんが、恐らく本物でしょう。」 スカリエッティはその答えに陶酔したように 「すばらしい・・・・・・」 とコメントすると、〝それ〟の追跡を依頼した。 (*) 『ベルカ自治領 マサチューセッ〝チュ〟州 ボストン』 その地域は最近発展してきた医療科学系企業『メディカル・プライム』が席巻していた。 この企業はミッドチルダでは禁止されている「クローン技術」を用いて、要請を受けた本人のクローンの臓器を作っている。無論これは移植のためだ。 この『クローン臓器移植法』は、移植時の拒絶反応が全くないことから定評があった。 しかし従来の全身のクローン体から、移植のため一部を取り出すという行為はクローン体を殺す事を意味し、倫理上の問題があった。 そこでこのベンチャー企業は必要な臓器を必要なだけ、ある程度〝瞬時に〟クローン化する技術を開発し、これを武器に発展してきていた。 社名の「メディカル・プライム」も「最上級の医療を!」という熱い思いを込めて付けられたもので、お金さえあれば〝パーツ〟の交換で脳を含めた若返りすら可能だった。 現在、その企業内では深夜に関わらず、上級幹部達が緊急会議の名目で集っていた。 ある幹部が通信終了と同時に口を開く。 「全く、あの男の腹の内は読めん」 それに対し、スカリエッティに怒鳴っていた中年男が彼に怒鳴る。 「なにを言っている!やつなど野心丸見えじゃないか!だから犯罪者と手を組むことには反対だったのだ!」 「・・・しかしあいつにしかこの計画は遂行できないだろうな」 5,6人の幹部達が思い思いに意見をぶつける。今までこの議論が何度重ねられたことか。しかしやっぱり最後の結論は決まっている。 「諸君、すでに賽(さい)は投げられたのだ。この計画にスカリエッティを巻き込んだことを議論しても仕方がない。それに管理局には非常用の鈴が着いている。〝不本意だが〟もしもの時は彼女に揉み消してもらおう。我々はスカリエッティを監視しつつ、ベルカの誇りである〝あの船〟の浮上を待てばよいのだ。あの船さえあれば、ミッドの言いなりになってしまったこの国の国民達も、目が覚めるはずだ!」 社長の熱を含んだスピーチに幹部は静かに聞き入る。そして社長は立ち上がると、会議室に飾られた今は無きベルカ国の国旗に向き直り、掛け声を上げる。 「偉大なるベルカに、栄光あれ!」 「「栄光あれ!!」」 幹部達も立ち上がり、彼に続いた。 ―――――――――― 次回予告 地下より現れた謎の少女 同時に始まったガジェット・ゴースト連合の一大攻勢 彼らは無事クラナガンを守りきることができるのか? 次回、マクロスなのは第27話「大防空戦」 「サジタリウス小隊、交戦!」 ―――――――――― シレンヤ氏 次
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いつもと変わらないはずの穏やかな日々。 スバルの姉のギンガを加えての訓練。 到着したポチのデバイス。 改造されつくしたアルファ。 戦うために必要なものが1つを除いて全てが揃った。 しかし、最後の1つは現れない。 けれど、心配することではないのかもしれない。 空気がどこか変わり始めたから・・・・・・。 まるで嵐が来る前に海が凪いでいるような・・・・・・。 嵐が来たとき、俺はまだ壊れないでいられるだろうか。 魔法少女リリカルなのはStrikerS―砂塵の鎖―始めようか。 第15話 準備完了 「さて、今日の朝練の前に1つ連絡事項です。陸士108部隊のギンガ・ナカジマ陸曹が今日からしばらく六課へ出向となります。」 「はい。108部隊ギンガ・ナカジマ陸曹です。よろしくおねがいします。」 「「「「よろしくお願いします。」」」」 わたしが促すとギンガが敬礼と共に自己紹介する。 スバルがなんだか嬉しそう。 戦闘機人がらみの事件がロストロギアの事件と範囲が被っているせいで合同捜査になった。 それが表向きの理由。ギンガもその理由で出向になったと思っているだろう。 裏の理由はカリムさんの予言。 来るべき日に向けての協力体制。 肝心の地上本部の動きが余りにも悪くて酷く焦るけれど・・・・・・。 大丈夫。絶対に皆を守ってみせる。 それはそうと、ギンガってスバルのシューティングアーツの先生なんだっけ。 スバルの成長振りを是非見てあげて欲しいな。 「「「「はい!」」」」 うん。いい返事。 本当に元気がいいよね。 昔のわたしもこんなだったのかな。 感慨にふけるのは後でいいや。 あと、もう1人紹介しないといけないもんね。 「それからもう1人。」 「どうもー。」 「10年前からうちの隊長陣のデバイスを見てきてくださっている本局技術部の精密技術官。」 「マリエル・アテンザです」 わたしのレイジングハートやフェイトちゃんのバルディッシュにカートリッジシステムを組み込んでくれたのもマリエルさんなんだよね。 初めて会ったのは闇の書事件のとき。 あれからずっと無茶しっぱなしだから本当にお世話になりっぱなしだな。 そうか。はやてちゃんと同じぐらいの期間付き合っていることになるから10年にもなるんだ。 やっぱりなんだか感慨深いかも・・・・・・。 「地上での御用時があるということでしばらく六課に滞在していただくことになった。」 「デバイス整備をみてくださったりもするそうなので・・・・・・。」 「気軽に声をかけてね。」 「「「「はい!」」」」 「おーし。じゃ、紹介が済んだところでさっそく今日も朝練いっとくか!!」 「「「「はい!」」」」 ヴィータちゃんの声で各自散会するはずなのに、エリオがどことなく落ちつかなげ。 それにはんた君もいない。 珍しい・・・・・・。 少なくとも顔をだしてからどこかに行ってたのに。 どうしたんだろ。 性格的に寝坊だけはありえそうにないし、トイレとか・・・・・・あれ? エリオ、なんで持ってないの・・・・・・。 「エリオ、ストラーダはどうしたの?」 「そういえばはんたのやつもいないな。誰か知らないか。」 わたしの言葉に続いてシグナムさんも疑問を口にする。 それにしてもエリオ、デバイスを忘れるなんてしないと思うんだけど・・・・・・。 もしもそうだったらきつめに躾ないといけないかな。 でも、エリオの性格からするとありえないよね。 なんだろう。 「おいおい。自分のデバイス忘れるなんてたるんでるんじゃねぇのか?」 「すいません。でも、調整とカスタマイズお願いしたんです。今朝には届けてくださるってことだったんですけど・・・・・・。」 「ふぇ?私きいてないよ?」 ヴィータちゃんの言葉に反論するエリオ。 そんな話知らないというシャーリー。 どちらも嘘をついているとは思えない。 でもデバイスをカスタマイズしてくれるシャーリーは知らないって言うし・・・・・・。 『今朝に届ける』って受け答えもあったことを考えると面と向かって頼んだってことだよね。 シャーリー以外にデバイスがいじれる人って・・・・・・まさか!! 「・・・・・・エリオ、まさかとは思うけどもしかして・・・・・・。」 引き攣り気味の顔のままフェイトちゃんが言葉を口にした矢先だった。 どこからともなく哄笑が聞こえてきたのは。 そちらを見ればそこにいるのは・・・・・・。 「ハハハハハ、ハハハハハハハ、ハハハハハ。やぁ、みなさんお揃いのようだね。 おや?2人ほど知らない顔がいるね。シャーリー、簡単に紹介してもらえるかな? ああ、ボクの名前はバトー。メカニックデザイナーなんてものをやらせてもらってる。」 「ババババババトー博士。ええと、そのあの・・・・・・。」 「あ、108部隊より出向になりましたギンガ・ナカジマです。よろしくお願いします。」 「マリエル・アテンザです。本局で精密技術官をやっています。」 「どちらもよろしく。うん?ナカジマってことはそこの・・・・・・。」 「スバルの姉です。」 「ふうん。なるほどね。ところで話はぐっと代わるんだけど2人ともボクとトモダチになってくれたりしないかな? ボクは今、トモダチ100人出来るかな計画を発動中なんだ。でも、未だにボクのトモダチって11人しかいないんだよね。 まぁ、数ヶ月前までは1人しかいなかったから怖いくらいに絶好調なんだけどね。ああ、シャーリーは弟子だから数にはいれてないよ。」 「・・・・・・?かまいませんが?」 「ええ、私も・・・・・・。」 なんて唐突。なんて脈絡の無い会話。 止める暇もなかった。 研究室に引きこもってて食堂でも見かけなかったから油断していた。 たぶんエリオがデバイスの改造頼んだのってバトー博士・・・・・・。 ああ、どんな改造されちゃったんだろ。 レイジングハートが四六時中ファッキンファッキン言うのには参ったよね。 性能の跳ね上がり具合は本当にすごかったけど。 モラルが著しく低下するバトー博士のシステムと身体に負担がかかるブラスターシステム、どっちがいいんだろう。 ストラーダはまともなものでありますように・・・・・・。 そんなわたしの心配をよそに話は進んでいく。 「あなたが本局で噂になっているすごいデバイスマイスターですね。是非ともお話をお聞かせください。」 「ああ、それならちょうど良かったよ。ボクが作ったデバイス2機と頼まれて調整とカスタマイズやったのを届けに来たところでね。 トモダチになった記念にキミ達へステキなアダナをつけてあげようと思ったけど、今はこっちが優先だもんね。 テストも兼ねて盛大にやってもらおうと思って大急ぎで来たんだ。ああ、来た来た。サースデー、ここで止めてくれる。 ああ、運転しているのが助手のサースデーだよ。」 「リョウカイシマシタ。ばとー博士。」 キャタピラが付いたトラック? ハーフトラックっていうみたいだけど、そんな見慣れない車を運転するのがロボットなサースデーなのが物凄くシュール。 運転が上手いからなおさらに・・・・・・。 なんであんな昔の漫画に出てくるようなロボットの手で精密作業できるんだろう? なにはともあれ、サースデーが運転しているそれの荷台に積まれているのは はんた君とポチとアルファとたぶんデバイスなんだろう物とストラーダ。 あれ?なんでトラックに積んでるの? 前はサースデーが抱えてきたのに・・・・・・。 「トラックに積む必要あったのですか?」 「いやぁ、アルファが余りにも激しいセッティング頼むから気合いはいりすぎちゃってね。こうでもしないとボクじゃ運べなかったんだよ。」 わたしと同じ疑問を抱いたマリエルさん。 けれどその答えに引き攣る。 以前の重量を知っていれば当然と言えば当然。 いったい何kgになったんですか。 既に人間が運用することを考えていないようなセッティングになりつつある気がする。 でも、それを運用できるはんた君もそれだけの処理をこなしてしまうアルファもすごい。 おそらく演算か並列処理がずば抜けてるんだろうけど。 いったいどれだけ高性能なんだろ? そんなことを思っていたときだった。 「バトー博士!!!!ここか!!!!!!」 「はやてちゃん、どうしたの?リインとユニゾンまでして騎士甲冑まで着込んで・・・・・・。」 「主はやて、執務を放り出してくるのはどうかと思うのですが・・・・・・。」 「んなことどうでもええんや。それ以上に問題なんわ、バトー博士!!朝一で届けられてたあの報告書って本当に本当なんか?」 「どうしたんだい?わざわざ嘘を書くような奇特な性格はしていないつもりなんだけどね。」 「・・・・・・あのな、バトー博士。どんなにピーキーなアームドデバイスでも性格悪いインテリジェントデバイスでもシャーリーが卒倒するようなストレージデバイスでも作ってくれてええんよ。」 どれも問題だと思うのってわたしだけかな? 他のみんなも物凄く困惑した表情。 はやてちゃんがこんな状態になるってことはまたなにかやったのかな。 もうバカチンとかナイチチとかロシュツキョー呼ばわりは珍しくも無くなったし・・・・・・。 馴れって怖いな。 でもなんだろう? 次にはやてちゃんが口にした言葉に数人が絶句した。 「ただな、ユニゾンデバイス作ったっちゅうんわかなりムチャクチャ無茶ってやつやと思うんやけど・・・・・・。」 「ユ、ユニゾンデバイス!?作った!?」 「マ、マリエル技官しっかり!!」 卒倒しかけているマリエルさんをシャーリーが慌てて支えている。ティアナ達も動揺してるね。 ええと、ユニゾンデバイス。 古代ベルカの遺産で初代リインフォースとかリインがそれなんだよね。 物凄い力がでるけど暴走事故が多発したのと現在じゃ作り方が失われてるから物凄くレア・・・・・・えええええええ!? ユニゾンデバイスを作った!? ・・・・・・ミッドチルダの歴史を揺るがす大事件じゃないの、これ? でも、バトー博士の様子は対して変わらない。 それよりも困惑しているような・・・・・・。 やがていつもの調子でバトー博士が言葉を続ける。 「何を言ってるんだい。ちゃんと目を通した?ユニゾンデバイスなんか作ってないよ。」 「はぁ?だって報告書には・・・・・・。」 「ああ、ちょうど良かった。それなら一緒に説明してあげるから聞いていってよ。 今、まさに説明しようとしたところだからさ。ええと、それじゃどうしようか。 最終改造したデバイスと新規で起こしたデバイスとカスタムと調整しただけのデバイスがあるけど。」 「僕のストラーダからお願いします!!・・・・・・ばらばらになってたりしませんよね?」 やっぱりデバイスが傍らに無いのは不安なのか、真っ先に手を上げたのはエリオ。 うん。エリオ。その心配は仕方ないかもしれない。 でも、心配するべきはそこじゃないと思うんだ。わたし・・・・・・。 バトー博士に改造お願いするってことは・・・・・・。 「OK。それじゃムッツリのタンショーデバイスの説明から行こうか。」 「ムッツリ?」 「タンショー?」 バトー博士の言葉の傾向を知っていればどんな意味の言葉でいわれた言葉かわかるんだけど。 初対面のギンガとマリエルさんは首をかしげている。 言葉の変換が出来ていないのか。 ああ、説明聞いて2人とも卒倒しないといいんだけど。 「それじゃ、説明するよ。でも、これからムッツリは訓練で忙しいでしょ。 忙しい人間を引き止めるようなクソムシ以下な真似をするのはボクの本意じゃないからね。 なんてったってボクは天才だからね。 四六時中妄想にふけってるムッツリでもぱぱっと分かるくらい超絶簡単な説明をしてあげるぐらい朝飯前さ。 だから1回で覚えてね。 覚えられないとかほざいたら裸に引ん剥いて六課の屋上から逆さ釣りにして『ボクはムッツリです』って垂れ幕つけてぶらさげてやるからね。 ああ、もちろん詳しいことが聞きたかったら後で聞きに来てくれればいいからさ。なんてったってボク達トモダチだもんね。」 「はい。わかりました。」 精神的にひとまわり成長したのかな。 ムッツリって呼ばれて表情変えないし、即答してるし・・・・・・。 この間は泣いて逃げ出したのに・・・・・・。 評価あげておいてあげようか。 いやいや、この後の説明でどうなるかが注目するべき点かもしれない。 そしてバトー博士の説明によるストラーダの説明が始まった。 「それじゃ、四六時中妄想しっぱなしで女の子の裸ばかり想像してるドスケベなノウミソをいったんリセットしてしっかり聞いてね。 ムッツリでも分かるように1つ1つ順番に説明するよ。いいかい? 1.貧弱脆弱虚弱体質なタンショーデバイスの基礎フレームからいじってムッツリに分不相応なデカマラデバイスに改造。 2.カマ掘るに不便だった刀身部分を延長することでケツのアナ抉りたい放題。 3.ソーローであることをウリにしながら全然ソーローじゃないから3倍ほどソーローにパワーアップ。 4.女子更衣室や女湯覗くのに便利なステルス搭載。 5.カートリッジシステム搭載でソーローっぷりが更に上がるから女子更衣室から逃げ出すのが一段と楽に。 6.ムッツリの貧相なイチモツと違って折れることのないウタマロ仕様。 7.似合わない白コートのバリアジャケットから変質者御用達の黒尽くめコートに変更。 8.ちょっと触っただけでドカンと加速する超絶こらえ性なしソーロードーテーボウヤ仕様。 9.ムッツリがあまりにも貧弱でお粗末でマザコンすぎるからしかたなしに重さは1kg増しで抑制。 9.せっかくデカマラになったのにノウナシボウヤすぎてステキ言語教え込んでもろくに使いこなせないクソガキAIだからAIいじりは仕方なく見送り。 10.今度の差し入れは羊羹にしてね。 どうだい。これだけ簡単なんだ。1度で当然分かってくれたよね。 そういうことでタンショーデバイスからデカマラデバイスに生まれ変わったデバイスを装備するムッツリも ただのムッツリからオープンスケベなムッツリにレベルアップしてくれていいんだよ。 もうじゃんじゃん使いまくってあまりにも貧相で粗末なタンショーホーケーソーローのイチモツをおったてまくって発情して、 今度はオープンスケベのヘンタイのマザコンのマセガキのムッツリへのレベルアップ目指してよ。」 「・・・・・・あ、ありがとうございます。バトー博士。」 「お礼なんていいよ。だってボクとムッツリはトモダチじゃないか。トモダチの頼みは快く聞いてあげる。 それがトモダチってもんだろ。」 あ、頭痛い・・・・・・。 言っていることは革新的なことばかりなんだと思うけど、なんでこんな・・・・・・。 エリオ、どれだけ言葉の意味分かったんだろ? むしろ分からないからあんな困惑した表情しているのかな。 逆に言葉の意味が分かる人間だと・・・・・・。 ああ、ヴィータちゃんとかフェイトちゃん、顔が真赤。 ティアナなんかまるでトマトみたい。 平然としているシグナムさんはすごいけど。 はやてちゃんも頭痛そうに頭抱え込んじゃってるし。 スバルとキャロは首を傾げてる。 ああ、2人もまだ分からないんだ。 こういうとき自分が汚れたなぁって思うよね。 「あ、あれだけピーキーだったのにまだ上があるっていうの?」 「な、な、な・・・・・・。」 「あわわわわわ・・・・・・。」 シャーリーは慣れちゃったんだな。 内容のほうで驚いてるみたいだし。 でも、ギンガとマリエルさんはもう酷い動揺具合。 たしかに初対面でこうなるときついかもね。 でも、アダナが待っているって知ったら本当にどうするんだろ。 まぁ、それはいいとして、残りの2機が問題。 片方はアルファだからはんた君が使うとして、もう片方はいったい誰が・・・・・・。 鎖とプレートが付いていることからするとブレスレットかチョーカーなのかな? 少し大きめだけど。あれ?なんか刻印してある。 ええと、なんて書いてあるんだろ? 「それじゃ、ムッツリのデバイスの説明終わったからクソイヌのデバイス説明に移ろうか。 ゴキブリのデバイスは説明がシャレにならないくらいふざけまくったからね。 ああ、もちろんゴキブリの飼い犬たるクソイヌのデバイスも似たり寄ったりのふざけっぷりだよ。 あ、そうだ。ねぇ、ナイチチ。ザフィーラが喋れたらいいなって思わないかい?」 「あん?なに言ってるんだてめぇ。ザフィーラは普通に喋・・・・・・むぐっ。」 「おっとヴィータ、涎がこぼれとるよ。まったくしょうがない子やなぁ。アハハハハハ・・・・・・。 バトー博士にザフィーラが喋れるのは内緒なんよ!!」 「うん?まぁ、いいか。で、どうなんだい、ナイチチ。」 「あ、ああ~、喋れたらおもろいなぁって思うけどなんでや?」 「うん。クソイヌデバイスを作っている途中、プログラムいじってるときにね。 念話の部分をマスカキする代わりの暇つぶしで遊び半分にいじくったら喋れるようにできちゃったんだよね。 だから余計な機能を全部取っ払ってこのステキな首輪をつけてあげるだけでただのザフィーラがいらないことほざくザフィーラにレベルアップできるんだよ。 ああ、インテリデバイスみたいなAI搭載しないからステキ言語は教え込めなかったんだ。ごめんね。」 「さ、さよか。あ、ああー・・・・・・。本当に喋れるようになるだけなんやな?」 「うん。物凄く頑丈で並大抵の力じゃ壊れないこの首輪をつけるだけでね。」 「・・・・・・主はやて。問題ないと思われますが・・・・・・。」 「・・・・・・せやな。」 聞いた限り、問題ないように思うけど。 なんかひっかかる。 そのとき、刻印してあるものが文字だと気がついた。 ああ、ネームプレートか。 でも、なんで名前だけなのにあんなにずらずら長いんだろ? 聞いてみるか。 「あの、バトー博士。プレートに書かれてるのって・・・・・・文字ですよね?」 「うん?バカチン。キミって文字も読めないバカチンだったっけ? ただのネームプレートなのに・・・・・・。」 「いえ、あの、名前だけにしては妙に長いなって・・・・・・。」 「ああ、そういうことか。それならそうと言ってよバカチン。まったくバカチンはバカチンすぎてしかたないよね。 でもバカチンがそんな疑問を持つのも当然だよね。なんてったってバカチンはバカチンなんだもの。 その程度のことさえ分からないからこそのバカチンだもんね。 でも、大丈夫。バカチンでも分かるくらいとっても簡単なことしか書いていないからさ。」 うう、相変わらず激しい。 我慢・・・・・・我慢・・・・・・。 そんなわたしにお構いなしでにかっと笑うとバトー博士が説明を続ける。 「このプレートにはね、こう書いてあるんだよ。 『私は年中発情しまくっててメスイヌと見れば見境なしに襲わずにいられない我慢知らずでこらえ性なしでおまけに甲斐性も無いナイナイづくしの恥知らずでクソマミレのクソイヌのワンコのポチです。』 どうだい?とても簡単だろ?」 「・・・・・・『私はポチです』以外の部分に意味ってあるんですか?」 「うん。もちろんだよ。この刻印がないとイマイチプログラムの奔り具合が悪くってね。この刻印をしてあげるだけで性能が200%アップするんだ。 それでナイチチ、どうするの?家族って呼ぶぐらい大切なんだからやっぱり喋れるようにしてあげたいって思うよね。」 ・・・・・・デバイスって欲求不満になったりするのかな? なんか酷い言葉いれるだけで性能あがっているような印象さえ覚えるんだけど・・・・・・。 ああ、こんなことを考え始めている辺り、逃避してるのかな。 いけないいけない。 で、件のはやてちゃんはそれを聞いて物凄くひきつった表情しているし。 あ、マリエルさん、今にも卒倒しそう。 過激っていう言葉を2つ3つ回っちゃった過激さだからしかたないのかな。 はやてちゃんの困った様子を見かねたのか、ティアナが口を挟んだ。 「バトー博士。それよりもポチ・・・・・・さんのデバイスの説明を。」 「おお!それもそうだね。クソッタレザフィーラのことなんてどうでもいいもんね。 ゴキブリの飼い犬のクソイヌのポチのほうがよっぽど大切だもんね。ありがとう。ノウナシヒステリー。」 「え?え?ちょっと、あたしは別に・・・・・・。」 「それじゃノウナシヒステリーの要求もあったことだし、とっととかったるい説明をしちゃおうか。 なんてったってこの後に救いようが無いダッチワイフデバイスアルファが待っているんだからね。 こんな説明はちゃきちゃき終わらせないと日が暮れちゃうよ。 それじゃ、クソイヌ、そこを動かないでね。このワンコロデバイス取り付けてあげるからさ。」 そう言って近づくとかちゃかちゃと音をたてて取り付けられる鎖とプレート。 あ、ワンタッチで取り付けられるんだ。 お手軽だね。 もしかするとフリードとかにもつけられるんじゃないかな。 「これで良し。それじゃ説明しようか。クソイヌのクソ過ぎるクソッタレノウミソじゃ1割も理解できないだろうけど 聞かないよりはましだからせいぜい頑張って理解してね。 もっともウジが湧いたクサレノウミソじゃ四六時中盛ることしか考えて無くて幾ら説明してやってもかけらほども覚えてくれないからやっぱり無意味に終わるかもしれないけどさ。 それじゃ1つ1つ順番に説明するからね。いいかい。 1. ストレージデバイスっていう味気も色気も面白みもやっかみも面倒も無いクソイヌにピッタリのクソ過ぎるテツクズガタクタヨセアツメクソッタレデバイス。 2. クソイヌがウェルダンになっても傷一つ付かなくて1度取り付けたら2度と外れないタフネスを持った超絶頑丈クソマミレ仕様。 3. 似合いもしないクソイヌのボロキレはあっちで過ごしてたころと同じ格好。 4. クソイヌ仲間1号のジャンキーベルナールがやってたステルス搭載によって食い逃げが簡単に。 5. 四六時中全身にブーストかかりまくりになるおかげでクソイヌ仲間2号のピザデブタロウがやってた一個小隊を壊滅させる体当たりもできる怪力馬鹿に。 6. ヘルメットから伸びた管からは吸うだけで絶頂になれるクソイヌ仲間3号のスカシラリーが持ってたヤクをちょっと改造したヤクチュウガス満載のポチボンベ搭載。 7. 重さはバカチン2人分よりは気持ち程度に軽い100kg。 8. 噛み付くことしか知らないノウナシのクソイヌのためにクソまみれの身体を全身武器まみれにレベルアップ。 9.計画性なにそれで後先考えない甲斐性なしなクソイヌのためにベルトリンク式カートリッジシステム搭載で火力アップして魔力を節約。 10.クソイヌは使う気がしないだろうけどナイチチがつけろってキャンキャン喚くからしかたなく取り付けたサディスト設定搭載。 11.ゼツリン節操なしのクソイヌのために幾らでも節操なく撃ちまくれるよう並列処理がブチキレのブチマケのブッコロ仕様。 12.ゴキブリとお揃いの不思議魔方陣Mk.Ⅰ~Ⅲに加えて新たに加えたMk.Ⅳ~Ⅵも搭載で飼い主と揃ってクソヤロウに。 13.ろくに使わないけどおまけ程度に喋れるようにした泣いて喚いて叫びまくれる負け犬の遠吠え迷惑仕様。 14.お礼は期待していないからイチゴショートなんか持ってこなくていいからね。 どうだい。クソイヌのカラッポノウミソじゃまったく理解できなかったと思うけど分かりやすい説明だったでしょ。 気に入ってくれたかな。」 「・・・・・・それで、武装はどうやって展開する?」 「「「「「「「しゃ、喋った!?」」」」」」」 「なにを驚いてるんだい?喋れるようにしたって言ったじゃないか。人の説明をそろいも揃って聞いてないな。 人の話はちゃんと聞くことって教わらなかったのかい。ああ、それで展開の仕方だったね。 クソイヌじゃ余り長い言葉を覚えられないだろうから、いろいろアイデアはあったけどクソ簡単なヤツにしたんだ。 最初は『じゅげむじゅげむ五光の擦り切れ・・・・・・』とか『百人一首を一呼吸で全部謳いきる』とか『全身に100V電流を流して感電犬になる』とか考えたんだけど どれもこれもクソイヌじゃできそうになかったからね。『クソッタレ、セットアップ』の2言で展開できるようにしたよ。 これならクソイヌでもできるでしょ。ああ、もちろん『わおーん』って遠吠えしてくれても展開できるからね。」 いや、どれも難しいって・・・・・・。 結局、わたし達と変わらないし。 「・・・・・・ねぇ、ティア。遠まわしにあたし達、馬鹿にされてるのかな?」 「スバル、話しかけないで。正気を保つのに必死だから。」 ティアナがすごい表情になってる。 ああ、そういえば前は泣き止まなかったんだっけ。 エリオとキャロははてなマークが飛び回っているような表情しているし。 ギンガとフェイトちゃんも顔が引き攣り始めた。 ヴィータちゃんはぶるぶる震えっぱなしだし、はやてちゃんは頭を抱え込みっぱなし。 平然としているのはシグナムさんくらい。 シャーリーさん、やっぱり平気そうだ。 ・・・・・・慣れって本当に怖いね あ、マリエルさん、過呼吸起こし始めてる。 でも、本当にどこから突っ込めばいいんだろう。 「わおーん!!」 そんなとき、高らかな遠吠えが響き渡り、展開されるポチのバリアジャケット。 ・・・・・・え!? 「ええええええ!?」 真っ先に大声を上げたのはティアナ。 いや、気持ちは分かるけど。 でも、これって全身武器庫っていうんじゃないかな? でも、大砲とミサイルとマシンガンは分かるけど、レンズとコイルのはいったい何に使うの? それになんかこんな感じのオモチャが昔売ってたような気もするような・・・・・・。 「どうだい。とりあえずドッグバズーカとドッグウイングとドッグサンダーとドッグレーザーとドッグバルカンを干渉しないように搭載したんだ。 ドッグジャベリンは余りにも不恰好になるからいっそのことジャベリンじゃなくて爪にしちゃったよ。 ゴキブリが惚れてたアバズレの武器と同じ構造の爪だから切れ味は抜群だと思うよ。 本当はマイクロブラックホール生成装置とか荷電粒子砲とか陽電子砲くらい積みたかったんだけどナイチチが融通きかないせいで質量兵器つめないし、 クソ撒き散らすみたいに放射線ぶちまけて辺りをぶち壊しまくるとクソイヌは良くても回りがガタガタ抜かすから放射線ぶちまける装備は残念だけど積めなかったんだよ。 なんにせよこれでクソイヌは噛み付くことしか出来ないノウナシクソイヌから全天対応年中発情見境なし節操なし喚き散らす空飛ぶクスリ漬け脳筋クソイヌにレベルアップしたんだ。 使いこなせなくてキャンキャン鳴いたりしないよね。ねぇ、クソイヌ。」 「悪くない。」 さすがにバトー博士の言葉に引き攣った。 いったいなにを相手にする予定なんですか!? 荷電粒子砲とか陽電子砲は分からなかったけどブラックホールなら分かる。 でも、そんなもの持ち出して・・・・・・。 皆の表情も引き攣ったりはてなマークが浮かんでそうな顔の2つに割れた。 そんなわたし達の思考はおいてけぼりで、バトー博士の話はまだ続いている。 「うん、それはよかった。これでハンター2としてゴキブリの役に立てるね。 なんせ、ゴキブリの飼い犬以外に管理局の犬なんて称号がついたところでクソイヌのクソイヌっぷりに代わりは無いからね。 せいぜいクソイヌが食って寝るしか能が無い真性のクソイヌじゃなくて無いよりマシ程度に動けるノウナシのクソイヌだって証明してあげてよ。 それがゴキブリの手助けになるからさ。」 「まったくもってその通りだ。御主人の傍らにいられるほうがよほどいい。」 「ハンター2!?」 バトー博士とポチの会話に驚いたようなスバルの声が響く。 あ、わたしも初耳だ。 たしかにハンターチームははんた君1人だったから当然といえば当然・・・・・・なのかな? あれ?でも簡単に人員って増やせたっけ? スカウトした後にいろいろ書類手続きがあったような・・・・・・。 その前に部隊長の許可が必要なんだけどはやてちゃん、出したのかな? 「ちゃんとナイチチの承認も通っちゃってるしね。心置きなくハンター2として暴れてよ。」 「ええ!?私、覚えとらんよ!?」 「ええ~?もう、だめだなぁ。たしかあれはゴキブリがノウナシヒステリーを蜂の巣にした日だね。 あの日、ハンター2の話を持ちかけにいってせっかく分かりやすく丁寧に説明してあげたっていうのに、 聞き分けの無いナイチチがこらえ性もなく喚きだしちゃったから机の上の書類に紛れ込ませてきたんだ。 その後にも手段を変えて3種類くらい書類送っておいたけど全部にほら、この通り。 承認のハンコがぽちっと押されてるんだよ。これでハンター2のクソイヌポチの誕生に障害はなくなったわけだね。」 ああ、そういえば大荒れしてたね。あの日のはやてちゃん。 書類仕事するときは絶対に怒ってないときにしよっと・・・・・・。 膝を突いて絶句しちゃってるはやてちゃん。 でも、承認のハンコ押さなかったとしても、フリードとかザフィーラさんみたいな扱いで戦闘参加する手段はいくらでもあるんだよね。 ポチがきちゃった時点ではやてちゃんの負けかな。 「さて、長々と実の無いオナラみたいなスカスカ説明つきの2人のデバイスは終わったから。 ついにようやくお待ちかね、ダッチワイフアルファの説明だね。でも・・・・・・うーん。」 珍しく歯切れの悪いバトー博士。 どうしたんだろう。 いつもなら嬉々として説明してくれるのに。 言葉はすごいけど。 「どうかしましたか。バトー博士。なにか問題でも?」 「うん。ロシュツキョー。別に説明してあげてもいいんだけどね。アルファは余りにも力入れて改造しすぎちゃったからね。 散々いろいろ天才過ぎるボクの頭を使って必死こいてえっちらおっちらひいこらあへあへ考えたんだけど、 どんなに簡単にしてやってもシャーリーやバカチンやロシュツキョー達が理解するのには3世紀か4世紀はかかる感じなんだ。 それにいつものことを考えるとボクが必死こいて考えた超絶簡単単純明快な説明を聞いたとしても分からないとかほざくだろうしね。 だから、今回は大切な部分を山のようにごっそりえぐりまくってサルどころかアメーバでもギョウチュウでもサナダムシでもゲボ子でも理解できるくらい 単純で簡単で物足りない説明にしてみたよ。これで分からないなんてほざかれたらボクどうしちゃおうってくらい簡単にしたんだ。 それで、もしも分からないなんて言われたらって少し心配になっただけなんだよ。」 なんか簡単に説明するのくだりでおかしなの1つ混ざってなかった? でも、3世紀か4世紀か・・・・・・。 ユニゾンデバイス作ったっていうだけでそれぐらい超越していそうなんだけど。 もう、ここまでくるとどれだけおかしなデバイスになったのか気になってくる。 認めよう。 運用さえできればアルファが誰のデバイスよりも高性能だって・・・・・・。 そういえばトラック持ち出すなんていったい何kgになったんだろ? 重めに見積もって600kgぐらいかな。 「そんなわけだから別に心配しないでね。ゴキブリ、心して聞いてね。 分からないなんてほざいたら・・・・・・まぁ、どうでもいいよね。 どうせ言わないだろうし、言ったらノウナシヒステリー達が泡噴いて卒倒しちゃうくらいの過激な真似してやるだけの話しだしね。 それじゃ1つ1つ順番に説明するよ。 1.今までの機能はそのままだからアルチュウでヤクチュウでクレイジーで這いずり回るのがお似合いのゴキブリ専用仕様ダッチワイフ。 2.グチャグチャネチャネチャトロトロのデロデロに合体できる融合機能搭載。 3.変形速度がイチモツ挟んだら痛みを感じる前に噛み千切られる1秒を達成。 4.融合することで歳もわきまえずに絶叫していた仕様が絶叫する必要がない仕様に。もちろん絶叫しても大丈夫。 5.ドSの人間が先に壊れる壊せるものなら壊してみろな真性ドM仕様。 6.ベルトリンク式カートリッジシステムのおかげで腎虚になるまでブチマケ放題仕様。 7.カートリッジシステムによって今まで使えなかったゴキブリのお気に入りハードコアプレイ装備が使用可能。 8.ボクが作ったジェネレータのアルティメットフレンドを2基搭載したことでゴキブリの苦労が半分に。 9.おかげでダッチワイフがちょっぴり太って騎乗位やったらイチモツごとぐちゃっと潰される重さの1t。 10.ダッチワイフと融合することでいろいろパワーアップ。 11.ゴキブリの調教をしてくれる女王様にも調教されてくれる雌奴隷にもなれる多機能仕様。 12.不思議魔方陣Mk.Ⅳのおかげで四六時中フルパワーでハイパワーでエクサでゼタでヨタでオーバードライブでバーストな絶倫仕様。 13.不思議魔方陣Mk.Ⅴのおかげでボクの手をわずらわせなくても改造し放題な機械フェチ仕様。 14.ゴキブリがくたばりそうなとき、羽虫と同様に自律戦闘可能でピアッシングや焼きごてが大好きなダッチワイフドSモード搭載。 15.節操なしのゴキブリのために搭載した不思議魔方陣Mk.Ⅳのおかげでどれだけふざけた火力でもしみったれた火力でも同じになる定コスト仕様。 16.貧弱脆弱単細胞なゴキブリのために勝手に三連装になることで前の後ろも上も全部塞いでやれる心配りの行き届いた超絶親切設計。 17.ゴキブリが野外プレイでもお風呂プレイでもどんなプレイをやるにしても妨げられないあらゆるものへの防御を搭載。 18.10年でも100年でも飽きるまでヤリまくってられる融合機能は『ユニゾン開始』なんていう味気ない言葉で起動。 18.足場蜥蜴召還機能搭載。 うーん。本当に言い足りないことだらけすぎて説明の意味がないぐらいに削りまくっちゃったね。 おそらくもしかしたら奇跡的に理解できるだろうレベルにまで削りに削ってナイチチのムネ以上にえぐりまくってこんな感じなんだけどどうかな。 そんなわけで今までのアルチュウでヤクチュウのホーリーシットでクサレビッチなアルティメットクソッタレスペシャルダッチワイフデバイスから 鞭もロープもタチもネコもサドもマゾもこなせて水攻め火責め電気攻め薬攻めにミミズ風呂もOKで ピアッシングも焼きごても墨彫りも嬉々としてやってくれて 3リッターや4リッターごときのカンチョーされたって笑ってこなす 真性ドSで真性ドMでファッキンシットでメスブタでアルチュウでヤクチュウでホーリーシットでクサレビッチで ビューティフォーでファウストでワンダフォーでウルトラウジムシでエクストリームでパラノイアでトキメキでヤンデレでミラクルでゲロヤバで 吐き気を催すくらいに笑い転げて思わず目を背けたくなる スーパークサレゲドウアルティメットバトークソッタレハイパービッチパラノイアスペシャルダッチワイフデバイスフルカスタムになったわけなんだ。 これ以上どうにかしたいなら3Pとか4Pとか10Pとかやるために同型機を作りまくらないといけないね。 どうだい、ゴキブリ。気に入ってくれただろ? もう救いようが無いくらい完璧で超絶で絶頂しっぱなしでイカレててサイコでシリアルでフランキーでファナティックでファウストでパラノイアでマッド過ぎるダッチワイフは・・・・・・。 もうどんな無茶なプレイをゴキブリがやろうとしたって問題ないからね。 周りがドンビキするぐらいイカれたハードコアなプレイをいくらでもして酷使してあげてよ。ダッチワイフもそれがお望みだからさ。 ふう。説明に熱が入りすぎちゃって息切れしちゃったよ。ハハハハ、ハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハハハ・・・・・・・・・・・・・・・・。」 ユニゾン機能ついてるよ!! そうツッコミをいれようとしたとき、横でどさっと音がした。 なんの音と振り向くと、地面に倒れこんでいるマリエルさん。 「ああっ!!マリエルさんしっかりして!!」 ええと・・・・・・どうしようか。 あ、ティアナも意識飛ばしそう。 スバルとヴィータちゃんの頭から煙噴いてるし。 でも簡単にしてあれってどのぐらい難しくなるんだろ? ああ、わたしも限界だったのかもしれない。 なんだか意識が現実逃避したがってるなぁ。あはははは・・・・・・・・。 ======== マリエルさんを医務室のシャマルさんにお願いして、再び場所は訓練場。 その間に気を取り直したのらしい皆。 その中で、真っ先にはやてちゃんが口を開く。 「・・・・・・なぁ、バトー博士。ユニゾン機能ついてるやないか。」 「うん。ユニゾン機能はついてるよね。」 「だったらユニゾンデバイスやないか。」 「んー?まったくナイチチは貧相でスカスカでろくにないエグレオッパイ同様にノウミソまでスカスカなのかい? ナイチチが言っているのはナイチチを見て女は全部ナイチチって言っているようなもんだよ。 ニートに向かってそういうのは余りにも無茶で無理で無謀で身の程知らずの恥知らずってやつじゃないかな。 だから、無駄に大きなオッパイと言えばニートでエグレオッパイと言えばナイチチでダッチワイフといえばアルファで ゴキブリといえばはんたでバカチンといえば高町なのはに決まってるじゃないか。 そんなことも分からないからナイチチのオッパイはいつまでも貧弱で脆弱で哀れみさえ覚えて思わず笑っちゃうクレーターオッパイなんだよ。 ゴキブリの知り合いのイカレマッドビッチのグレイ博士はムカツクくらいのインテリだったけどニートみたいにヘヴィなオッパイついてたよ。 それにゴキブリのママさんもナイス修理屋でナイスインテリのナイスリアリストでナイス長身のナイスバディのナイスオッパイ搭載だったよ。 やっぱり頭の容量とオッパイの容量は比例するんだななんて思ったもんさ。わかったかい。このナイチチ。」 「・・・・・・ええと、バトー博士。つまりメインシステムにユニゾンが付いているわけじゃないからユニゾンデバイスじゃないと。」 「デバイスをパスタだとするとパスタに振り掛けるタバスコがユニゾン機能ってことでいいのかな?」 「おお、さすがロシュツキョーだね。伊達に嬉々としてロシュツしまくっているだけのことはあるよね。 ナイチチよりもずっと立派なオッパイ搭載しているから物分りもずっといいよ。 ナイチチよりもロシュツキョーのほうが物分りいいんだからやっぱりボクの考えは正しいってことだよね。 バカチンもバカチンなりに必死こいて考えて理解してくれたみたいでボクは嬉しいよ。 どうだい、ナイチチ。バカチンもロシュツキョーも理解できるくらい超絶簡単に説明したんだよ。 どうしてわからないかな。表情を見た限り分かってないっぽいのはナイチチとゲボ子ぐらいだよ。 どっちも救いようがないくらい終わっちゃった平原オッパイの持ち主じゃないか。 本当に頭の中身詰まってるの?」 あ、まずいかも。 はやてちゃんとヴィータちゃんの纏ってる空気が変わった。 2人とも我慢の限界っぽい。 訓練場半壊ぐらいで済むかな。 止められそうにないしなぁ・・・・・・。 けれど、バトー博士は言葉を続ける。 「それはそれとして、まったくナイチチが部隊長だから懐までナイチチなんだね。 支給係のところにカートリッジもらいに行ったんだけど、たかがカートリッジ10000発ぐらい頂戴って言っただけで青筋立てて怒り出しちゃったよ。 書類はちゃんと弾数分きっちり書いて申請したってのにさ。仕方ないからなだめすかして泣いて喚いて脅して100発ずつもらってきたから ゴキブリもクソイヌもこれで我慢してね。」 地雷原でタップダンス踊ってることに気がついてるのかな、バトー博士。 それはそうと、バトー博士の手からじゃらりとぶら下がったのはベルト上に繋がったカートリッジ。 なるほど。映画とかでよく出てくるこれがベルトリンク式・・・・・・えええ!? レイジングハートやバルディッシュでも6発が限界。 給弾機構の問題もあるけれど耐久力が持たない。 でも、100連なんて・・・・・・。 そもそもデバイスが持つの? 「バトー博士、耐久性は持つのか?」 「うん?ニート、今更なにを言い出すんだい?カンチョーの3リッターや4リッターごとき笑ってこなすって説明したじゃないか。 ダッチワイフにとってはカートリッジの1つも2つも100も1000も大差ないよ。」 「そうか・・・・・・。恐ろしく堅牢なのだな。」 「もちろんだよ。そうじゃないとゴキブリの激しいハードコアプレイには耐え切れないからね。 すぐに壊れたんじゃゴキブリが欲求不満になって所かまわず人を襲っちゃうようになっちゃうじゃないか。 見境なしになるのはいいけどトモダチとしてできることはしておいてあげたいもんね。」 「言い残すことはそれで全部か。」 うわー。ヴィータちゃん、怒りを通り過ぎちゃったような顔してるよ。 いつもなら顔を真っ赤にしているだろうに。 フォワード陣も怯えちゃってる。 本当にどうしよう。 「うん。ゲボ子、これで説明は全部だね。ゲボ子もナイチチも準備万端っぽいから早速訓練兼デバイステストといこうか。 今日からチーム対抗模擬戦って話をちょろっと聞いたからナイスタイミングって思ってたんだ。 でも、ナイチチまで参加してくれるなんてもう嬉しくて嬉しくてシャセイが止まらないよ。 それじゃ、アカダマが出る前にパンツを履き替えてイカ臭いおじいちゃんから いつものバトー博士に戻らないといけないからボクはこれで帰るね。バイバイ。」 「アルファ、セットアップ。ユニゾン開始。」 「了解しました。マーカーの添付を完了。 敵:高町なのは、フェイト・テスタロッサ、八神はやて、シグナム、ヴィータ、ティアナ・ランスター、 スバル・ナカジマ、エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエ、フリード、ギンガ・ナカジマ。 サディスト設定を起動。ポチ、殺したり腕を引き千切らない限りは無制限です。」 「わおーん!!!」 うわぁ、はんた君達もやる気満々だよ。 わたし達にリミッターあっても2対11なんてやりたいなんて絶対に思わないんだけど。 ああ、シグナムさんもレヴァンテイン構えちゃったし、フェイトちゃんもスピードローダー使ってバルディッシュにカートリッジ装填してるし。 一触即発の雰囲気に気がついたのかティアナはスバル連れて物陰に逃げてるし、 エリオは・・・・・・あれ?どこに行ったんだろ? キャロとフリードも大慌てで物陰に逃げてるし。 ああ、もう、やるしかないか。 請求書回されたら・・・・・・はやてちゃんの責任になるからいいや。 始末書地獄はもういやだ。 そう思った瞬間だった。 はんた君が急激に回避動作を取る。 なにが? 「ステルス中のエリオ・モンディアルによる背後よりの奇襲、回避に成功。掃討を開始します。」 アルファの言葉が開始の合図だった。 ======== 『225mmヒュドラ、弾種爆裂。睡眠ガスを順次。4射後にCIWS、2倍速。』 『了解。カートリッジ10連ロードします。こちらでマニアックシェフ、タップダンサーを常時打ち上げます。着弾地点のマーキング完了。』 ノロノロと上昇を続けながら、陸を走るように空を駆け抜ける。 視界に奔る情報の奔流。 左手から立て続けに打ち上げられるのは広域殲滅兵器。 レーザーの雨を降らせるこれらを打ち上げながら、駆け抜ける。 右腕に構えたのは225mmヒュドラ。 火力が高すぎて噴煙を抑えきれず炎を吐き出す様からつけられた名前。 どこまで身体が持ちこたえるかのテストにちょうどいい。 それを標的めがけて撃ち込んでいく。 着弾までに必要な時間はわずかに一瞬。 3連装で吐き出された砲弾4射、計12発がマッハ5の初速で獲物めがけて襲い掛かる。 撃った直後には着弾地点にクレーターを刻みつけながら有象無象の区別も無しに吹き飛ばしていく。 命中していても避けられていてもかまわない。 陸戦しかできない5人の脚を止めるのが本当の狙い。 その間に攻め込む体勢を整えきる。 撃破出来たなら好都合ぐらいの感覚。 『タップダンサーおよびマニアックシェフ、八神はやてによって上昇前に全基撃墜を確認。狙撃地点はここです。マーカーします。』 確認するように思念で伝えてくれるアルファ。 ああ、これはなんて良いシステムだろう。 確認して認識するという動作の一切が省略され、戦闘中の思考の中に当たり前のように滑り込んでくる。 あまりにも馴染む。 思考が戦闘に特化していく。 対11をやる上で真っ先につけた撃破優先順位。 その中で最優先で潰すべきは補給を担うキャロ。 回復、召還、支援ができるこれを潰さないことには戦いが長期化してしまう。 火力で押し切れってしまえればいいが、確実性を求めるのならば真っ先に潰さないと話にならない。 フリードはたいした脅威にならないが、未だ見ないヴォルテールというドラゴンがどれほどのものか。 呼ばれたとしても叩き潰すまでだが。 次が指揮官の八神はやて。 部隊長の肩書きが名ばかりのものでなければ、最も広い視野で戦いを眺められる人間。 潰さないことにはいくら崩してやっても体勢をすぐに立て直されてしまう。 それに広範囲を大火力で吹き飛ばす真似を連発できる魔力量は純粋に警戒に値する。 敵味方の区別をつけて攻撃できる広域空間攻撃があったなら優先順位はキャロと逆転していたかもしれない。 情報管制担当がいたならば、キャロの次に潰しにかかっただろうがシャマルはここにいない。 その次がひよっこフォワードとギンガ。 空を飛べないのがなによりのペナルティ。 スバルがウイングロードで空を飛んだなら蜂の巣が確定する。 スバルの姉というギンガも装備を見る限り、スバルと同系統の魔法に偏ると推測できる。 ティアナはクロスファイアシュートと幻影が警戒事項。 速度重視を連射することによる弾幕。 あるいは速度を徹底的に削って追尾性能特化することで追い込む役に回られたなら 熱誘導も連射も空を高速で飛ぶ相手を叩き落すには役不足。 もっと高初速、あるいは高密度の弾幕が展開できれば話は変わっただろうに。 そして、フォワード全員に共通することは地上を走ることしかできないこと。 だからこそ、機動力は空を飛ぶものに比べてはるかに遅い。 問題はバトー博士に改造されたストラーダを持つエリオ。 機動力だけは文句なしにトップクラス。 ステルスを使った奇襲は正直意外だった。 正面から名乗りを上げて戦う性格だとばかり思っていたのに。 良いハンターになりはじめている証拠か。 あとは、どこまで使いこなせるか。 しかし、どうやって潰したものか。 弾幕で正面から叩き落すのもよいが、それでは成長の糧にならない。 あの性格を利用するとしよう。 最後に高町なのはを筆頭とする隊長陣。 早くて重いフェイトとシグナムが最大の脅威。 なのはの援護射撃と併用されると一番やりづらくなる。 ヴィータは・・・・・・なにが取り柄なんだ? ハンマーで殴りつけるところしか見た記憶が無い。 予備動作も大きいから先に潰せる。 ・・・・・・分からないな。 なんにせよ、撃破順位は変わらない。 ポチも俺と同じ思考を辿ったらしい。 こっちの動きを支援するように移動している。 ならば、始めようか。 僅かに稼いだ高さを使ってソニックムーブを起動。 相手の下をすり抜けながらCIWSをぶちまけていく。 どれほどイカれた高速移動をしながらイカれた反動の武器を使っても身体が勝手に照準を合わせる。 レールキャノンのときのように身体が壊れる音がしない。 時折きしむような音をたてるだけ CIWS。 Close In Weapon Systemの頭文字をとった略称。 通称、バルカンファランクス。 本来ならばマッハ5で飛来するミサイルを銃弾で迎撃しようなんていう発想の装備。 しかし、あの荒野では高高度を飛ぶ敵を撃ち落すための装備に過ぎない。 あのジッグラトの砂漠を丸ごと磁気嵐で覆い隠していたストームドラゴンを穴だらけにしたのもこれ。 発射速度は毎分4500発。 その2倍速、3連装が襲い掛かった。 本来ならキャロを狙うべき場面ではやてを優先した理由。 それは、魔法使いは揃いも揃って射撃直後に硬直するんだよ!! ======== 間一髪。 ソニックムーブではやてを捕まえてはんた君の射線から離れる。 それでも数10発くらってしまった。 コンマ数秒しかその場にいなかったというのに。 フォトンランサーファランクスシフトが生易しいと思えるほどの高密度弾幕。 体感でおよそ7倍ぐらい早い。 けれど、回避すれば済む話。 一番怖いのはなのはを倒したあの投擲武器。 音は視覚情報と並んで重要な情報。 だからこそ音を遮断するわけにはいかない。 それゆえに音を利用した攻撃だけは防げない。 だから直撃を受ければ・・・・・・。 非殺傷設定だと言っても油断は出来ない。 少なくとも戦闘不能にされることを考えるとどのぐらいのダメージが与えられることか。 腕の1本や肋骨の1本折るぐらい当たり前に考えてそうだし。 今更ながらシールドもバリアもフィールドさえも無意味にされるという意味に戦慄を覚える。 はやてとなのは、それにシグナムとヴィータがいてもリミッター付じゃきついかな。 どうやって勝つ? 対魔導師用のバインドからの砲撃も0コストのソニックムーブがある以上、捕まえられるとは思えない。 ならば魔力切れを狙えば・・・・・・。 あれだけの攻撃だ。 絶対に魔力消費がきつく設定されているはず。 ただ、定コストというバトー博士の言葉が酷く気になる。 相変わらずすごい言葉だらけだったけど、その中で特に異様だった一言。 どちらにあわせた発言なのか。 私で例えるのならばフォトンランサー1発さえトライデントスマッシャー1発のコストで撃つことになったのか。 それともトライデントスマッシャー1発をフォトンランサー1発のコストで撃つことになったのか。 それに負担を減らすジェネレータ搭載・・・・・・。 いずれにせよ、魔力切れは望めないと思ったほうがいいかもしれない。 はやてのデアボリックエミッションで回避不能の攻撃をするしかない。 そのためにも詠唱時間を稼がないと・・・・・・。 まずソニックムーブを遣わせたら駄目。 そのためには・・・・・・。 『皆、はんた君を空に上げたら駄目。撃ち落して。速度重視で誘導制御型の魔法で追い込む。ティアナはクロスミラージュ、なのははアクセルシュート、わたしがプラズマバレットで追い込むよ。』 『『『『『『了解。』』』』』』 もうチーム対抗の訓練じゃなくなってる。 でも、1つの可能性としてありかもしれない。 自分の技量を確認するという意味で・・・・・・。 ただ、相手がはんた君だけならどうにかなったかもしれない。 咄嗟にバルディッシュが展開したラウンドシールド。 その上でなにかが炸裂する。 いったいなにが。 なにも無い空間から突如として湧き出てくるミサイル群。 理解できない・・・・・・ステルス!? いったい誰が。 回避運動を取りながら必死に考える。 はんた君はこの高度まで到達していない。 ポチだって空は飛べないはず・・・・・・。 そんなとき、不意に思い出されるバトー博士に露出狂呼ばわりされることになった日のこと。 あまりにもなにげない一言。 『ジャンプしたついでに戦闘機叩き落したり・・・・・・。』 足場は不思議魔方陣Mk.Ⅱで生成すれば飛び跳ねるだけでこんな高度簡単に到達でき・・・・・・奇襲もできる!? なにもいない空間からのミサイルの射出が止んだと思えば、今度は地上で地面が炸裂している。 何もかもが後手にまわってしまう。 見えない敵というのがこれほど戦いづらいなんて!! シャマルさんがいればどうにかできたかもしれないのに!! ======== すごい。 けど、きつい。 そして過激って言う言葉の本当の意味を思い知る。 これが本当のストラーダだとすれば、今までのストラーダは赤ん坊がはいはいしていたようなものだ。 なにより一番驚いたのは、このステルスっていう機能。 目の前を通り過ぎたりしているのに誰も気がついていないみたい。 それでも奇襲を回避したはんたさんはやっぱりすごい。 この前、アルファさんに教えてもらった戦い方。 この速度で体当たりするだけでほとんどの敵は倒せる気がする。 本当に2倍、いや3倍は速度が出てる。 あ、ソーローって速さのことなんだ。 どういう字を書くんだろう? 早狼とか早浪とかかな? 後でフェイトさんかティアナさんに聞こうかな。 それはそうと、今にも腕が引き千切れそう。 それに吐きそう。 スピードしかとりえが無いなんて言ったのに、速度が上がっただけでこんな状態になるなんて・・・・・・。 負担の上昇に身体が追いついてないのかな。 重心が前よりもバランスよくなってて振り回しやすくなっているけど、それでもこの速度はきつい。 これでまだカートリッジを使っていないんだから、使ったらどうなるんだろう? そんなとき視界に移ったのは、空から飛来する無数のミサイルに狙われているキャロだった。 危ない!! 咄嗟に身体が動いていた。 ソニックムーブで攫うようにキャロの身体を掴んで駆け抜ける。 本当にその直後に着弾するミサイル。 危なかった。 そう思い、キャロを下ろそうと僅かに速度を緩めたときだった。 「経験不足だな。」 聞こえたのははんたさんの声。 どういう意味? 考える暇も与えられず、次の瞬間に襲い掛かったのは物凄い衝撃。 車にはねられるとこんな感じなのかな。 そんなことを思いながらボクは意識を失った。 ======== 「マッハキャリバー、もっと速度でないの!?」 「This is my max speed.」 「だって振り切れてないじゃないか!!」 「He has too crazy speed.」 スバルに抱えられながら、必死に追跡を振り切ろうとする。 けれど、全然振り切れない。 スバルはマッハキャリバーと言い合いし始めてるし。 いったいポチさんってどんな犬なのよ!! こんな姿勢じゃろくに狙いもつけられないけど、ないよりましと思って使ったシュートバレット。 けれど、1つの例外も無く回避される。 いつだったかはんたさんにされたみたいに・・・・・・。 そんなことを思っているとき、 「スバル、そんなこと言っている場合じゃないでしょ。このままじゃ追い立てられっぱなしになるわよ。 姿が見えないから私もスバルも接近戦は挑めない。ティアナ、なにか方法は無い?」 「今考えてます!!」 「ティア、いったんウイングロードで上空へ・・・・・・。」 「駄目よ、スバル。空から蜂の巣にされるわよ。」 「前にティアがされたみたいに?」 「・・・・・・もっと酷いことになると思う。」 「でも、なんで目の敵みたいにスバル追ってくるの?あの犬・・・・・・らしき生き物!!」 「ひょっとして・・・・・・あれ?」 「ひょっとしなくてもあれね。スバル、後で折檻よ。」 「・・・・・・スバルが原因なの?」 「うう、こんなことになるなんて・・・・・・。」 ペットは飼い主に似るって言うけど・・・・・・。 あれ?それじゃ、キャロって実は物凄く・・・・・・。 いやいや、こんなことを考えている場合じゃない。 どうすればいい?どうすれば・・・・・・。 そんなとき、視界に移ったのはシミュレータで展開された高層ビル。 そうだ!! 「スバル、あのビルの中に逃げ込むわよ。」 「だってアルファさんがいるからこっちの位置はバレバレだよ!?」 「それでも攻撃の方向を限定できるわ。天井や壁越しに攻撃するなら大火力の攻撃にならざるを得ない。だから1動作遅れる。」 「なるほど。通路から攻めるなら攻撃を2方向に限定できるってことね。」 「そういうことです。ギンガさん。スバルもわかった?」 「なんでもいいから逃げ込むよ!!」 頭の血管が切れそうになりながら、幻影魔法を展開。 4方向に逃げるあたし達を展開する。 ビルに飛び込んで何階まで駆け上がったか。 表示さえ見えないほど必死に抜けた。 追跡は・・・・・・ない。 けれど、警戒は緩めない。 見た限り確認できた装備はミサイルとマシンガンとたぶん砲撃。 用途不明のレンズとコイル。 そして爪。 一番痛そうなのが爪かな。 でも、マイクロブラックホールなんて持ってたらこれさえ無意味な行動だったわね。 そんな矢先、スバルの言葉に凍りついた。 「ねぇ、ティア、ティア。今更なんだけどさ。」 「なによ。スバル。警戒緩めないでよ。」 「犬って鼻が利くんじゃなかった?」 「・・・・・・あ。」 幻影魔法は視覚情報に過ぎない。 実体も持たないし、当然匂いも無い。 ってことは、あたし達の位置・・・・・・。 あたしの大馬鹿!! 「で、でも、あの犬は追いかけてきてないからきっと他のほうに行ったのよ。」 「執念深い性格してる気がするんだけど。」 「あんたが原因だけどね。」 「ゴメン。」 「でも、どうして追いかけてこないのかしら。姿は見えなくてもこれだけ静かなら疾走する音だけは聞こえるはずなのに。」 「きっとはんたさんのほうに行ったんだよ。隊長達全員を1人で立ち回るなんて大変だと思うし。」 「そうかしら?」 あたしもギンガさんと同じことを思った。 1匹であたし達3人を手玉に取れるだろう。 それは認めよう。 だからこそ、篭城したら必ずなんらかのアクションを取るはず。 けれど、なにもしてこない。 スバルの言う通りなのかしら? そんなとき、響き渡るのは犬の遠吠え。 なに!? 身を隠しながらそっと窓の外を覗くと、ビルめがけて加速してくるポチ。 いったいなにをする気!? そう思った次の瞬間、物凄い炸裂音が下から響いてきた。 特に攻撃をした様子は無かった。 どういうこと? そう思った矢先再び遠吠え。 そして炸裂音。 ・・・・・・まさか!? そう思ったときだった。 床が傾き始めたのは。 違う!!床じゃない。 ビルが傾いてるんだ。 「うっそぉ!!!!?!?!?!?!?!?!?!?」 「冗談でしょ!?」 スバルとギンガさんが悲鳴のような声を上げる。 慌てて展開されるウイングロード。 倒壊を始めたビルからウイングロードで逃げ出す。 体当たりでビル壊すなんて・・・・・・。 そして飛び出した直後に飛来したそれが砲撃だと気がついた。 予想通り!! でも、防御が間に合わない!! 「トライシールド!!!」 ギンガさんが反応する。 すごい。あたしじゃ反応できなかった。 けれど、その砲弾はシールドの上で炸裂すると毒々しい色の煙を撒き散らして霧散する。 「これって!!」 そう思った瞬間、強烈な眠気に襲われる。 まさか、こんな装備ま・・・・・・ぐぅ。 ======== 「見事なものだな。」 「シグナム、感心している場合じゃない!!」 「それもそうだな。だがテスタロッサ、作戦はあるのか?」 フェイトちゃんとシグナムの念話に思わず舌打ちしたくなる。 本当に皆、あっという間に撃破されていった。 最初の砲撃は陸戦の脚を止めるため。 私への射撃はフェイトちゃんの誘いと私の撃破のどっちかができればいいという二面作戦。 その直後にフェイトちゃんに姿を隠したポチが攻撃して足止め。 早すぎて私もなのはちゃんも魔法が追いきれない。 そしてキャロを狙った一撃でエリオを誘い出す。 エリオの性格からすれば見捨てられない。 そしてあぶりだしたところを2人揃って撃破。 スバル達にしても同じ。 あぶりだしたところを防御できない攻撃で撃破。 見たところガスっぽかったけど・・・・・・やばいガスやないやろな? しかし、あかんわ。 姿が見えんからどうしても注意が姿をみせているはんたのほうに行ってしまう。 そして戦っていると突然真横からポチが攻撃してくる。 集中が簡単にかき乱されてしまう。 そしてなにより、決定的な差を見つけた。 大魔力と高速・並列処理は衝突する。 それが私達の常識。 けれど、その常識をたやすくぶち壊してくる1人と1匹。 脚を止めないと私らの攻撃は通らない。 向こうは大魔力の砲撃し放題。 クロスレンジからロングロングレンジまで全距離対応。 いったいどんなバケモノや。 まだ相手はカートリッジを10発しか使っていないんよ!? 「はやて!!あたしが裁断機野郎の脚を止める。そのときにバインドで固めちまえ。 固めちまったらなのはでもフェイトでもシグナムでもいいからボッコボコにすりゃいい。 行くぞ!アイゼン!!」 「Jawhol.」 列車の衝突事故のような物凄い音をたてて、大砲の形をしたアルファとグラーフアイゼンがぶつかり合う。 あかん!! 「ヴィータ、かわせ!!」 「Plasma Lancer.」 「Axel shoot.」 シグナムが叫ぶのとなのはちゃんとフェイトちゃんがなにも無い空間から突如現れたミサイルの迎撃をするのがほぼ同時。 いつの間にあんなところに移動してたんや。 あのポチは!! 絶対に犬やない!! だめや。完全にジリ貧や。 追い込めば逃げられる。 逃げれば追い立てられる。 脚を止めたら距離を詰めてバリアブレイク。 動き続けてもミサイルと砲撃で脚を止められる。 昨日今日なんてもんやない熟成されつくしたコンビネーションの1人と1匹。 いったいどうしろっちゅうんや。 リミッターが外れてるか、ザフィーラとシャマルがいてくれたらどうにかなったか・・・・・・。 AMF展開しても生身で強いからどうしようもないなぁ。 バトー博士によるカオスな説明、もう1度思い出しておかんとなぁ。 なんか物凄くやばいもん入っている気がしてならんわ。 ======== 「ヴィータ隊長、突撃型の捌き方、本日も是非ともお願いします!!!」 「お、おう。気合いはいりまくってんな。」 ヴィータちゃんが戸惑うくらいにティアナの気合いが入ってる。 なにもできないうちに落とされちゃったもんね。 結局ハンターチーム対隊長陣の決着はつかずじまい。 なんだろう。この違和感。 もっと過激な戦い方をはんたくんとポチならやってきそうだったんだけど。 危なげなくというか千日手のまま膠着して終わっちゃった。 なによりカートリッジを90発も残したままなのに、突然切り上げて隊舎に戻るなんて言い出すなんて・・・・・・。 鬼の霍乱とか青天の霹靂ってこのことなのかな? トイレ休憩だけはなさそうだし。 でも、睡眠ガスなんてよく持ってるよね。 止めるよりも早く電気ショックでティアナ達をたたき起こしていってくれたから助かったけど。 手段に問題がないとは言わないけどさ。 でも、スバルもギンガもダメージはほとんどないし、ちょうどいい。 さっきのもいいウォームアップになっただろうし。 「ねぇ、ギンガ。ちょっとスバルの出来をみてもらっていいかな。」 「あ、はい。」 「え?」 スバルが戸惑ったような声を上げる。 でも、スバルの先生のギンガに是非見て欲しい。 スバルがどれだけ成長したのか。 「1対1で軽く模擬戦。スバルの成長確かめてみて。」 「はい!」 ギンガもわたしの意図が分かったんだろう。 微笑を浮かべて返事を返してくれた。 ======== 「はぁぁぁぁぁ!!」 ブリッツキャリバーで加速しながら後ろ回し蹴り。 スバルは紙一重で避ける。 そのままコンビネーションに移る。 左ストレート、左ハイキック、右ストレート。 スバルの身体が泳ぎ、マッハキャリバーがグリップを失う。 チャンスだ。 フィニッシュブローのつもりでリボルバーナックルを構える。 「はぁぁぁぁぁ!!」 「Storm Tooth.」 ブリッツキャリバーが魔法を発動。 打ち下ろしの防御破壊から打ち上げの二連撃。 たとえバリアやシールドを展開しようと撃ち抜く!! 「Protection.」 マッハキャリバーがバリアを展開するが遅い。 プロテクションの上でストームトゥースが炸裂する。 撒き散らされる衝撃。 しかし、数秒後には乾いた音をたててスバルのプロテクションが砕け散る。 戸惑ったような顔のスバル。 そこにみぞおちへの打ち上げが炸裂。 決まった。 しかし、そこにあったのは直撃寸前に左手で展開したプロテクションんで受け止めているスバルの姿。 「リボルバー・・・・・・キャノン!!!!」 「Defenser.」 戸惑っている私にスバルの反撃が炸裂する。 くっ、重い。 元々、防御はあまり得意じゃない。 両手で支えるが・・・・・・耐え切れない。 乾いた音と共に砕け散る私のバリア。 衝撃で後ろに吹き飛ぶ。 「相棒!!」 「Gear Second.」 追撃するようにスバルが追いかけてくる。 すごい。スバル。 ここまでやれるようになったなんて・・・・・・。 けれど、飛び蹴りはやめたほうがいいわよ。 避けられると隙が大きい。 こんなふうに・・・・・・。 「Wing Road.」 スバルの横をすり抜けてウイングロードで空へと距離を取る。 すぐにウイングロードで追いかけてくる。 いい動き。 けれど、こういう攻め方もあるのよ!! ウイングロードを伸ばしながら即座に方向転換。 急降下して落下エネルギーを加えながらスバルと交差する。 それから二度三度と打ち合う。 本当にスバル、成長した。 自然と笑みがこぼれる。 スバルも私の笑みの意味に気が付いたのか笑い返してくる。 蹴って殴って、何度目かの交差のとき、響き渡る炸裂音。 スバルと違ってあげていなかったギアを一段あげる。 急激な速度の変化にタイミングの馴れを覚えてしまったスバルは対応できない。 そして、私は無防備なスバルの顔の寸前にリボルバーナックルが突きつけていた。 「はーい。そこまで。」 下からなのはさんの声が響いてくる。 ああ、このためにスバルと戦わせたんだ。 「いいね。いろいろ上手くなった。」 「うーん。まだまだ全然・・・・・・。」 大丈夫。スバルはまだまだ強くなるから。 ======== 「反応は悪くなかったぞ。スピードがおっつかなかったか。」 「ありがとうございます。」 ヴィータに褒められてスバル嬉しそう。 もしも、リインフォースが見せたあの優しい夢のようにアリシアがいたら・・・・・・。 いや、よそう。 でも、姉妹ってなんだか少し羨ましい。 「最後の一撃、エリオならどうする?」 「はい。パターン化によってタイミングを馴れさせてからの急激な速度変化による奇襲なので・・・・・・えーと、 ソニックムーブでさらに加速して正面撃破します。あ、でも足場が作れないから、えーと・・・・・・。」 シグナムの言葉にエリオが必死に考えている。 でも、シグナムも意地悪だよ。 空戦じゃないのに空での戦いを前提みたいな問題だすんだもの。 でも、エリオも気がついているみたい。 すごく成長したね、エリオ。 「どう?ギンガ。スバルの成長は。」 「びっくりしました。攻防の切り替えがすごくスムーズで。威力も段違いで。」 「合格?」 「はい。物凄く。」 「しばらくは同じ部隊だから一緒に頑張ろう。」 「はい。」 ギンガもなのはに言われて物凄く嬉しそう。 なによりスバルの成長が嬉しいんだろうね。 私がエリオやキャロの成長を見ているみたいに、ギンガから見たスバルも同じ感じなのかな。 ======== 「じゃぁ、みんな集合―。」 「「「「「はい!!!!」」」」」 うん。いい返事。 最初から物凄い訓練になってたけどまだまだ元気残ってるみたいだね。 これならやれるね。 「せっかくだからギンガも入れたチーム戦、やってみようか。フォワードチーム5人対前線隊長チーム。」 「え・・・・・・えええ!?」 聞き間違いかなっていう感じの表情をしたギンガ。 でも、誰も驚かないから本当って気がついたみたい。 目を丸く見開いて口元は引き攣った笑みを浮かべている。 まぁ、たしかに冗談って思うかもしれないよね。 「いや、あのねギン姉。これときどきやるの。」 「隊長たち、かなり本気で潰しに来ますので・・・・・・。」 「まずは地形や幻術を駆使して逃げ回って」 「どんな手を使っても決まった攻撃を入れられれば撃墜になります。」 「キュクルルルルゥー!!」 「ギンガはスバルと同じくデバイス攻撃ね。左ナックルか蹴り。」 「オレサマは?」 「ああ、ポチは・・・・・・ポチ!?」 え?さっきはんた君と帰ったはずじゃ・・・・・・。 なんでいるの? それより、いつの間にそこに・・・・・・。 「御主人がフォワードの面倒を見てこいと言った。」 「面倒見られちゃうんだ。あたし達・・・・・・。」 「うーん。わかった。それじゃポチもデバイス攻撃。あ、消えるのは禁止しようか。エリオもだよ。 ああ、それとエリオ、サードモードが残っているのに改造するのは感心できなかったな。」 「すみません。」 「うん。でも使いやすくなったみたいだし、いいんじゃないかな。」 「はい。とてもソーローになっていい感じです。」 「・・・・・・は!?」 なんかさらっとすごい言葉口にしたよ、エリオ。 聞き間違いじゃないよね? ティアナは目を丸く見開いてエリオのほうを見てるし。 あ、フェイトちゃん、頭抱えてる。 多少引き攣ったような笑みを浮かべながらフェイトちゃんが口を開いた。 「エ、エリオ。その言葉はちょっと・・・・・・。」 「どうしたんですか、フェイトさん。ソーローって聞き覚えがない言葉ですけど早くていい意味の言葉なんじゃないんですか?」 ああ、フェイトちゃん、頭痛そうに抑えてるよ。 ティアナもギンガも同じような感じ・・・・・・。 ああ、子供ってああいう言葉知らないから普通に認識しちゃうのか。 「ええと、とにかくソーロー言うのは禁止。」 「・・・・・・?わかりました。」 腑におちない表情のエリオ。 後で意味教えるべきか、教えざるべきか。 ・・・・・・フェイトちゃんにまかせよっと。 さて、気を取り直して・・・・・・。 「ええと、じゃぁ、やってみようか。」 「「「「「はい!!」」」」」 威勢のいい声が響き渡った。 ======== 「はい。じゃぁ、今日はここまでー。」 「全員武装解除。」 「「「「はい。」」」」 「え?もうですか?」 「ろくにダメージも与えてないぞ。」 疲れきった声をあげるティアナ達。 一方、エリオとポチは物足りなさそう。 過激なセッティングって使いこなせると使い勝手が良くなるのかな? 負担が大きくなって疲れるはずなんだけど・・・・・・。 「ふん。惜しいところまではいったな。」 「あと、もうちょっとだった。」 そう声をかけるシグナムさんとフェイトちゃん。 実際惜しいところまでいってたんだよね。 というかかなり危なかったよ。 バトー博士のいじったデバイスって過激って言う言葉を2つ3つ通り越してるから。 素でクリーンヒットもっていかれるところだったよ。 「ああ!!最後のシフトがうまくいっていれば逆転できたのに・・・・・・。」 「くーやーしーいー。」 本当に悔しそうにティアナとスバルは叫ぶよね。 でも、それが大事。 その悔しさが次への糧になるから。 「くやしい気持ちのまま、反省レポートまとめておけよー。」 「「「「「はい!」」」」」 ヴィータちゃんも意地が悪いな。 これ見よがしに言うんだから。 さてと、今日の早朝訓練はこの辺りでおしまいかな。 「ちょっと休んだらクールダウンして上がろう。おつかれさま。」 「「「「「ありがとうございました。」」」」」 ======== 「うん。みんないい感じの子達ね。」 「それはエリオ達のことですか?それともデバイス?」 「両方。」 「そうですね。でも、動いて大丈夫ですか。マリエルさん。」 「ええ、いくらかマシになったから。ああいう人なの?バトー博士って・・・・・・。」 「ああいう人なんです。」 エリオ達を褒めたときの笑みとは違った引き攣ったような笑みをお互いに浮かべながらあははと乾いた笑いを交し合う。 初対面であれは衝撃的だもんね。 うん? マリエルさん、なにを見て・・・・・・。 ああ、ヴィヴィオ。 「おはよーございます。」 「ああ、ええっと、おはようございます。」 「おはよう。ヴィヴィオ。」 「うん。しつれーします。」 「ああ、どうもご丁寧に。」 「転んじゃ駄目だよー。」 無邪気で可愛いよね。ヴィヴィオって・・・・・・。 戸惑った様子のマリエルさん。 ああ、ヴィヴィオのこと知らないんだっけ。 後で事情教えておこう。 ヴィヴィオの後を追うようについてきたのはザフィーラさん。 「ああ、ザフィーラ、久しぶりー。」 マリエルさんがザフィーラに抱きつきながら撫でている。 闇の書事件以来だから・・・・・・10年くらいの付き合いになるのかな。 「シャーリー、あの子は?」 「ええっとですね。」 ザフィーラさんを撫でながら尋ねてきたことに説明しようとしたときだった。 「えうっ。」 あ、転んだ。 フェイトさんが転ばないでねって言った矢先に・・・・・・。 ああ、どうしよう。 ぴくりとも動かないし。 「ああ、大変。」 「大丈夫。地面柔らかいし綺麗に転んだ。怪我はしてないよ。」 「それはそうだけど・・・・・・。」 なのはさんがフェイトさんを制止する。 過保護なフェイトさんと厳しいなのはさんって感じかな。 でも、子育てするときってどっちがいいのかしら? なんでも助けてもらえちゃうって覚えちゃうから厳しくするべきって話も聞くし、 手を貸してあげるべきって話も聞くし・・・・・・。 「ヴィヴィオー。大丈夫?」 「え、えぅ。ぐすっ。」 「怪我してないよね。自分で立ってみようか。」 「ママー。」 「うん、なのはママはここにいるからおいで。」 「あ、あ、ああ・・・・・・。」 ああ、ヴィヴィオ。 今にも泣き出しそう。 助けてあげるべきなんじゃないかって思えてくる。 でも、なのはさんがママなことを考えると厳しくが育成方針だろうし。 ああ、どうしよう。 「おいで。」 「なのは、だめだよ。ヴィヴィオ、まだちっちゃいんだから。」 あ、フェイトさんが駆け寄ってヴィヴィオを抱き起こした。 本当に正反対な2人だね。 「親離れが一番遅い獣は人間というのはまったくだな。」 いつの間にか横にいたポチさんが辛らつなことを言う。 まぁ、たしかに生まれてすぐに1人立ちする獣に比べれば・・・・・・・ねぇ。 「御主人なら・・・・・・『起きろ』とは言わないで、『這ってでも前に進め』とでも言うだろうに・・・・・・。」 うわ。厳しい。 さすがはんた君。 なんて過激・・・・・・じゃない!? 自分で前に進みなさいっていうのを言い換えただけか。 あれ?そういえば度々思ってたんだけどなのはさんとはんた君でどことなく似てる? そんなときだった。 「・・・・・・!?犬が喋ったぞ。」 そういえばザフィーラさん、デバイス説明のときにいなかったっけ。 でも、あなたも喋る狼・・・・・・いや、守護獣だから厳密には・・・・・・どうなんだろ? 「お前も喋る犬だろうが。」 「私は狼だ!!」 「たいして違いはないだろうに・・・・・・。」 あはは。なんだか物凄くシュールな言い合いしてるよ、ザフィーラさんとポチさん。 ヴィヴィオを囲んでそんな穏やかな時間が過ぎていった。 ======== 「マスター!!!!」 部屋に到着するなり、崩れ落ちるマスター。 まるで電源が切れたかのような崩れ落ち方で・・・・・・。 自律戦闘モードに移行して、マスターを抱きとめる。 バトー博士が搭載した新たなモード。 マスターが行動不能になったときの緊急措置。 それは壊れる前の私の姿を展開するもの。 しかし、これは本当の緊急時。 並大抵の状態では発動できないはずなのに、それが発動できてしまった。 デバイステストだからと言ってマスターは手を抜かない。 戦うことしか本当になにも無いと思っているから。 だから負担も当然大きい。 それがこの結果。 しかし、なんて皮肉。 マスターが私を武器と認識しないがゆえに私はこの姿で起きているマスターと触れ合えない。 兵器である私を武器と見てくれないことは喜ぶべきことなのか、嘆くべきことなのか。 そして、もう1つ。 ユニゾンして戦闘している間、試していたことがあった。 たいしたことのない戦闘であったからこそ余りにあまった マスターの思考ルーチンの変更。 本来であればこれは反逆なのだろう。 けれど、それでもマスターの『殺せない』というルーチンを取り外したかった。 しかし、駄目だった。 削除、撃破、撃滅、殲滅、除去、切除、崩壊・・・・・・。 ありとあらゆる言葉に置き換えようとしたが全てが全てエラーをたたき出す。 決して誰にも侵させはしないとばかりにかかったプロテクト・・・・・・。 全てはバトー博士が言ったとおりに・・・・・・。 今度、このまま戦闘に突入したら、確実にマスターの身体は大破してしまう。 それが分からないマスターではないはずなのに。 そのときまでになんとしてでもこのプロテクトを突き破らなければならない。 それができなければ私の存在価値なんてありはしない。 延々とエラーをはじき出し続けながら、それでも私は諦めなかった。 マスターが幸せになれないなんて世界のほうが間違っている。 そんな思いに突き動かされて・・・・・・。 けれど、プロテクトは突き破れないまま。 公開意見陳述会の日を迎えた。 ======== おまけ 「ああ、いたいた。ねぇ、ウスノロ。キミのお姉さんのギンガにステキなアダナを考えたんだ。 ウスノロとお揃いでとってもステキなアダナなんだよ。」 「ウスノロ?」 「あ、あ、あ、バトー博士。あのその、えーと・・・・・・。」 バトー博士の言葉にギン姉が疑問の声をあげる。 あ、あ、どうしよう。 物凄く物凄くものすっっっっっっごくまずい。 けれど、あたしの頭は回らなくて言葉が出てこなくてただ言いよどむばかり。 「どうしたんだい、ウスノロ。慌てなくてもいいよ。 ウスノロなんだからウスノロらしくウスノロすぎるくらいウスノロの調子でウスノロ発言してくれればいいからさ。 わかったかい。ウスノロ。」 「あぅ・・・・・・。」 ウスノロってあまりにも連呼されすぎだよ。 エリオ、すごい度胸だよね。 デバイス改造お願いしちゃうんだからさ。 でももっと早くなれるんだよね。 マッハキャリバーがお喋りになって早くなれるならやっぱりお願いするべきなのかな。 迷うな。 「ウスノローーーーーーーーーーーーーーーーーー!! いくらウスノロなウスノロぶりでウスノロ考えしてくれてもいいけど、難しいことは別に言ってないんだよ。 ウスラバカのウスノロでも分かるように言うと気に入ったか気に入らないかを『はい』か『いいえ』で答えるだけだよ。 ウスノロのウジが湧いたウスノロなノウミソじゃ理解するのもウスノロだろうからこんなに簡単にしてあげたよ。 わかったかい。ウスノロ。」 「あ・・・・・・はい・・・・・・。」 「ウスノロってスバルのこと?」 ギン姉、気がつくの遅いよ。 もう逃げられないし。 「それでだね。ボクのトモダチになってくれるっていう奇特な性格したウスノロの姉のウスノロギンガのステキなアダナなんだけど、 ウスノロ一号ってどうかな。当然ウスノロのアダナもウスノロからウスノロ二号にレベルアップさ。 どうだい。響きも良くてセンシティブでセンス抜群の震えが来るほどにイカレた吐き気のするかっこいいアダナでしょ。」 「・・・・・・なんで二号?」 「なにを言ってるんだい?技の一号、力の二号は世界の常識だよ。 そんなことも知らないなんてやっぱり頭の中にノウミソの代わりに筋肉が詰まってるんだね。 そんなだから単純脳筋ウスラバカのウスノロ二号はウスノロ二号なんだよ。 それじゃ、気絶するくらいウスノロ一号も喜んでくれたみたいだからボクはとっとと帰るね。 ウスノロ二号もさっさと失せるといいよ。じゃあねー。」 立ち去るバトー博士。 言われてギン姉のほうを見れば立ったまま気絶しているギン姉。 ああ、本当にどうしよう。 マリエルさんは無事かなぁ・・・・・・。 後日、聞いたところによるとマリエルさんは弟子にしてくださいと泣きついたそうだ。 そんなにアダナが嫌だったんですか。 前へ 目次へ 次へ
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自衛隊のイラク派遣 人数 陸上自衛隊 約550人 海上自衛隊 約330人 航空自衛隊 約200人 合計 約1080人 うち 自殺者 54人 20人に1人死んでるじゃん 公務員甘ったれてんなあ イラクでも安全なとこいてこれかよwww 帰ってきて関係ないところで死んだのもカウントしてない ちゃんと分析するべき 帰ってから死んだのか、現場で死んだのかどっちだよ。 愛国教育が足りないんだろうな 実際はイラクで戦闘があって戦死者が出てんじゃないの? そうでもなきゃ、自殺なんかしないだろ 流れ弾が当たったけど自殺にしておこう これってもっと大々的に報じられるべきじゃねえの? 家族に聞けばわかるんじゃ・・・ ↑ジサツデス ハイジサツデス しか喋らないよ 消されたか・・・ なにこのニュース(^^; 撤退を転進と言い換えたように日本人お得意の言い換えじゃないか? 戦死を自殺と イスラム教徒ではなく、狂った米兵から攻撃を受けたとか聞いたぞ ↑日本の外交員が車で移動中に襲撃されて死んだ事件あって 第一報は米軍の誤射だったのに第二報からテロ組織が犯人だと確定しましたで統一されて 「あっ、これは...」と思ったことはあったな ↑自衛隊も米兵だかPMCだかに攻撃受けて 日本の自衛隊だと説明しても止まなかったため撃破 宿営地に帰って報告したら黙認されたとか 戦闘で死んだのを後になって自殺にすり替えたんだよ。 とっくのとうにドンパチやってるよ。 これ前、死因を自殺にされるって記事を見たな 僕たちは戦わない → 自殺 国会でやってたけど皆帰国してからだそうだ 自衛隊って鬱になる人いるよな 規律が厳しくて反動からか? ちょっと多すぎない? 殺されたとかじゃなくて?(´・ω・`) いやいや胡散臭すぎでしょ 戦闘あったのか? 戦闘で亡くなったとは言えないでしょ 恩給も莫大な額になるし そんなので自殺つる奴は初めから自衛官になるな 仕事でたまにだが防衛相 ○○駐屯地に行くけど、結構だらけてる 特に中間層、昔でいえば曹長か軍曹あたりが酷い あの現実を見たら擁護出来ない 見ちゃいけないものを見たんだろ(・・;))) そりゃ可愛かった幼女が血まみれで転がってたら壊れるわ 安倍お前は視察に行け 可愛かった幼女を撃ち殺したら、そら、PTSDにもなるだろうw まあPKOは参加する度に「これは墓場まで持ってけ」って話が必ずあるらしい 宿営地への迫の着弾は割と知られた話だと思うけど、おそらく現実に射撃を受けて「被弾した」隊員がいても不思議ではない(推測ですがね) 自殺するような自衛官は銃殺 自衛隊は究極のブラック企業だからな 自殺者を1人出しただけのワタミは袋叩きにあって 自殺者を大量に出している自衛隊は叩かれないのはどう考えてもおかしいだろ 自殺するのに装備品の自動小銃を使うのは税金泥棒だよなあ 何とか言う精神的後遺症ですかね 米軍はそういうケアをものすごくしてる サウジに1年いたけどやること無くて死にそうだった あまりに暇で塩水と小麦粉でウドン打ってたわ(´・ω・`) 極秘の特殊部隊のメンバーが50人を超えました 因みに、日本の自衛官が殉職したら世界のどの軍隊よりも金が出る かーるく1億円は越える それはアメリカの5倍以上と言われてる 嫁と子どもいなきゃ 嫌なら辞められるのにな かわいそう 稼ぐ嫁じゃないとダメだよな 某超大国の我が同盟国は味方とか民間人とか関係なく爆撃してるからね。 これで自衛隊の海外派遣やめろという話になると じゃあ金だけだして人的なものは海外依存、外人が犠牲になるのはいいのかという話になる なんだよ。本当は戦死者いるんじゃん。 騙された。 これは護憲派が勢いづくぞ この自殺って、やっぱアクロバティックなやつかな?w ↑あれだろ、100m離れたところから自分に向って銃弾を発射。 頭部を激しく損傷した後自室まで脚を上にして戻り自殺。 戦死者よりも、戦死以外の死者が多いのが大日本帝国の伝統。 よっわ ヘタレすぎだろ 戦いもせず勝手に死ぬ軍人とか笑い話にもなんねぇ 自衛隊の立ち位置を有耶無耶にしてるかぎりこうなる 信憑性がないな イラク等ってなんだよ どこまでいれた数字だよ ↑防衛省は27日の衆院平和安全法制特別委員会で、特別措置法に基づいてインド洋やイラクに派遣された自衛官のうち、54人が自殺していたことを明らかにした。防衛省によると、インド洋が海自25人で、イラクが陸自21人、空自8人の計29人。 同省は「自殺はさまざまな要因が複合的に影響して発生するので、派遣任務と自殺の因果関係を特定するのは困難」としている。 自衛隊の海外派遣をめぐっては、2001年10月、2年間の時限立法としてテロ対策特別措置法が成立した。政府は海自隊員延べ約1万3千人をインド洋に派遣。また04年1月からは、陸自隊員延べ約5500人をイラクに派遣。 ほらよカスども そう、名目上の自殺。 迫撃砲が降ってきても自殺。 対人地雷が炸裂しても自殺。 いわゆるエクストリーム自殺というやつだ。 戦死だろ そろそろ政府は殉職扱いは止めろよ 英霊に失礼だろ そんなに精神的に追い込まれるのかな ↑精神疾患になったり、暴力的になったり、レイプするようになったり‥ 自分が戦場行ってる間に、奥さん・彼女、だいたい浮気してたりするし、やっぱり待てない って別れ告げられるらしい(アフガニスタンに派遣されてたアメリカ兵のSNS談) 都合が悪いことは全部自殺で処理なんだよね この国は インド洋で何があったんだ PTSDになるような事あるか? ↑船酔い(´・ω・`) 機雷撤去してて爆発させちゃった人も自殺でカウントされてるのかな 手足が爆弾でバラバラになって帰国のエクストリーム自殺だろJK のべ54名だろ 一人で何回か死んでいるのもカウントされてる この54人の遺族にインタビューしたジャーナリストとか、いないのか? 自衛隊が情報出さないのか? 絶対にアヤシイだろw ■ 自衛隊のいじめ→自殺者毎年100人 「不条理日記(2008.3.12)」より / 2月7日号週刊文春「自衛隊員100人の自殺 横須賀海士長が遺した『内部告発』」(P-46~49)より引用。自衛隊内部の凄まじいイジメが列挙されている。 ■2004年10月、海上自衛隊横須賀基地の護衛艦「たちかぜ」の電測員が鉄道自殺した。03年に入隊したこの隊員は先輩の隊員から、ガス銃で狙われたり、パンチパーマにすることを強要され従わないと「BB弾」の的にされたり、アダルトのCDを合計50万円で買わされるなど、執拗ないじめ、暴行・恐喝を受けていた。 自殺の直後、警務隊は遺族に「原因は借金」だと説明したが、警察が現場で発見したリュックから手帳や遺書が発見され、いじめの事実が明らかになったのである。 ■05年11月、クウェートに選抜派遣されていた航空自衛隊の隊員が、幼い子供を残して自宅で首吊り自殺した。この隊員は帰国前に知人に、「やっと帰れる。でも帰りたいが、帰りたくない」というメールを送っていた。日本で待ち受けていたのは先輩から暴行や陰湿な嫌がらせだったのである。いじめを受けたストレスから口内炎を発症し唇が腫上がり、口内からの出血もあった。上層部はいじめに気付きながら見て見ぬ振りをしていたという。 ■07年12月14日、横須賀基地の護衛艦「はたかぜ」の電測員だった池田智・海士長(仮名)が横須賀で私鉄に飛び込んで自殺した。03年3月に入隊したこの人も執拗ないじめを受けていた。 池田さんと同じ三段ベッドで生活する先輩の【A2曹】(原資料では実名)は、池田さんに頻繁に罵倒を浴びせたり、池田さんの携帯を奪って上官に「ハゲてますよね」「バカですよね」とメールを打つなど、いじめを繰り返していた。 上司からの命令で暗号コードを扱おうとすれば、【A2曹】は「勝手に触った」と池田さんを殴った。【A2曹】はこのような言いがかりをつけて、池田さんに「上陸止め」という処分を課すこともあった。関係者によると、「ずっと船の中で缶詰になるのだから、どんな懲罰よりも精神的に最もきつい」という。さらに船の中の池田さんに自分の作業着の洗濯を命じたという。 あまりのひどさに池田さんは伍長に相談したが、それが漏れたらしく、池田さんの歯磨き粉に異物が混入したり、作業着・訓練ファイル・上陸札が無くなったりした。【A2曹】は「俺のことをチクった奴がいるぞ。奴をやってやる」と言いふらしていたという。 +続き 06年、池田さんが当直のとき、レーダーを見てみると「凄まじい量の海面反射」が映っていた。池田さんが直そうとすると【A2曹】は「勝手にいじるな!」と罵声を浴びせる。 ある日など、レーダーの感度調整が弱められ、探知距離が短くなっていた。意地悪なことに「探知能力が落ちているのに、そのことに気づきにくい調整」になっていたのである。 別の日、千葉県沖を通って横須賀基地に帰港する時も、レーダーが異常な設定になっていた。遠い海岸はよく映るが、近くの小型船舶などが映りにくく、しかもそれに気付きにくい調整になっていたのである。「まるで衝突事故を起こさせるかのように仕組まれていたのだ」。先日のイージス艦衝突のような重大な事故発生もあり得ただろう。 同年6月、池田さんは仲間が【A2曹】に罵倒されるのを見てついにキレて、「あんな奴の言うことは聞かなくてもいいぞ」と言い放った。【A2曹】は激昂し池田さんに激しい暴行を行い、大騒ぎになった。池田さんは駆けつけた上官に「警務隊を入れて」徹底調査することを依頼し、さらに今までの被害を弁護士に相談した。 しかし翌年1月、池田さんは艦内でパソコンを壊すなどの異常な行動に出る。統合失調症と診断され実家(九州)の近くの病院に入院、投薬治療を始めたが強い副作用に耐えられず、別人のような顔つきになって実家に戻ってきた。母親をフライパンで殴るなど異常な行動は続いた。 07年5月、池田さんは実家の近くの路上で通行中の男性の背中を果物ナイフで刺し逮捕された。幻聴に苦しんでいた池田さんは他人の声を聞いて咄嗟に犯行に及んだのである。 横須賀基地から幹部二人が飛んできたが、この二人は警察が家宅捜索を行っている時に、父親に「隊内でイジメは無かったというような釈明」を行ったという。 池田さんは病気のため責任能力はないとして不起訴処分になり、佐賀の医療施設に強制入院させられた。しかしこの年の12月14日、看護師に付き添われての外出中に行方不明となり、約4時間後、遠く離れた横須賀で私鉄に飛び込み命を絶った。 その後、都内の法律事務所から池田さんの遺した資料が父親の元に届き、事態が明らかになった。池田さんはいじめの実態を直属部隊だけでなく弁護士を通じて横須賀地方総幹部にも送り、調査を要請していた。 「我が社(原文のまま)が隠蔽体質であることは一般の隊員でもよく知られています。したがって部隊の中の人間である館長以下の幹部にこのような要望を出しても隠密に処理される可能性が否定できないので、上級の司令部に送付したいのです」 ■1998年~99年の間に、佐世保基地の護衛艦「さわぎり」で、連続して二件の自殺と二件の自殺未遂が発生していた。「牢名主」のような先輩が後輩に対し賭博や貢物を強要していたという。自殺した隊員の遺書には「24時間、やられる」という言葉もあった。 この「さわぎり」の件でも、自衛隊は真相を隠蔽しようとしていた。ある隊員が自殺した際、遺留品がなかなか遺族の元に渡らず、初七日になって手帳などが戻ってきたが4ページ分が破られていた。同僚によると「班長がロッカーを開けて、持っていた」「持ち去った手帳を、みんなで見た」という。 上述の池田さんの父親は、池田さんが大学を中退し海上保安庁と海上自衛隊の両方に合格したとき、海上保安庁の方を勧めていた。「さわぎり」の事件が記憶に新しかったのである。 こうした自衛隊の異常な状態を反映しているのか、1995年度には44人だった自衛隊の自殺者は年々増加し、2006年度は三年連続して100人を超えている。 ググってみたところ2006年度の現役自衛官は24万812人、自殺者数を100人とすると10万人あたり41.5人。一方、2003年度の国民全体の自殺率は10万人中25.5人である。年度が違うので比較は出来ないが・・・。 【 参考 】 ○自衛官が3年連続、年間100人超の自殺者 - OhmyNewsオーマイニュース ○自衛隊 - Wikipedia ○自殺死亡の年次推移 しかし自衛隊は記事で紹介されたようなケースでも全て、いじめと自殺は関係ないという最終報告を出すという。 二人の部下を自殺で亡くした元航空自衛隊幹部は、次のように語りこの記事を締めくくっている。 「大半はまじめに勤務しているが、典型的なチンピラがいるのも事実だ。本来なら部隊長が、部下同士の関係をしっかり見ていないといけない。 自衛隊の戦力は戦闘機や艦隊ではない。一人一人の隊員なんです。自殺で貴重な戦力を失っている事実を、幹部は自覚しなければならないんです」 しかし、直属の上官が部下の人間関係を確実に管理できれば(そもそもそんなことは不可能だろうが)、自衛隊内部のいじめ、嫌がらせ、リンチ、そしてそれが原因の自殺は無くなるのだろうか?そうは思わない。また、この記事にあるような事例は自衛隊という組織に特有なものだとも、思わない。 「自衛隊」という第二次世界大戦後の日本軍も、それ以前の日本軍も、アメリカ軍もロシア軍も、世界中の軍隊は同じ問題を抱えているのである。軍隊という、人間の弱い部分が露骨に表れる環境で、暴力、殺人、強姦、窃盗、略奪、薬物使用、いじめなどありとあらゆる犯罪が起こるのは当然である。(そもそも殺人を唯一の目的とした軍隊という組織の存在自体が犯罪的だが) 軍隊という暴力組織がこの世から消えない限り、自衛隊を含めた全世界の軍隊の、“いじめ”の問題も、それが原因の自殺も消えないだろう。 .
https://w.atwiki.jp/kumanioriduru/pages/14.html
2010/11/10(水) 鳥取県八頭郡八頭町での野生熊の殺処分に対する、美歌による抗議電話の呼び掛け。 現在はマイミクシィ限定公開にしたか、削除され、閲覧不能。下記はスクリーンショット。 鳥取の熊が容赦なく殺され始めました。皆さんのが必要です、是非ご協力お願い致します。 全体に公開 2010年11月10日 19 59 転載大希望 今日、重大な事を知りました。 ホントにホントに切実なお願いです。 鳥取県で更に熊を殺すと言い出し、短期間に6頭殺されました。 ■鳥取 電話######## メール ########←コピペしてメールしてください。 ■八頭町役場 電話######## http //######## に抗議電話とメールを是非ともお願い致します。 ※メールには、必ず返信くださいと威圧してあげてね(真顔) 6人しか抗議電話がなく、舐められている状態です。 抗議人数の多い少ないで大きく影響すると思います。 多ければ多いほうが、行政が動く可能性も高まります。 一度人里に降りてきた熊にマイクロチップを埋め込み 二度、三度降りてきた熊を殺しています。 今年だけで27頭殺されています。 何度も降りてくるに決まってるわ、不作で山にどんぐりがないんだから。 山に餌を撒いて熊が降りてこないようにしろと言ってください。 餌付けはいけないと言われるでしょうが、この行為は餌付けではないこと。 不作で山にどんぐりなどの実がないのだから、 生きるために餌を探し人里に降りてきてしまうのは、自然なことであり、 山に餌を運ぶことで、人里に降りてこなくなり、 農作物や人々に害がなくなる、だからこそ山に餌を運びなさい、と そこを強調して言ってみてください。 山での餌撒きと同時に、税金で熊殺しているんだから それならその分の税金で自然な森に戻すように針葉樹を間伐して 広葉樹を植える努力をしろという事も言ったらいいと思います。 はっきり言って、行政側が何もしないこの状況はただの怠慢だと思います。 動物の命を命とも思っていない表れだと思います。 渇を入れてやってください(真顔) 泣かせるぐらいでいいですよ(真顔) ごめん、あと何かいい言い方あるかな? 教えてください、コメント求む 本当に熊たちは危機的状況です。 多くの人の力が必要です。 是非この情報を転載してください。 広めてください。 心からどうぞよろしくお願い致します。 ※注意※ 意見メールをコピペしてどっかに保存しておいてください。 まだまだ多くの怠慢行政が存在しているので 後日、意見先一覧日記を書きたいと思っていますので 意見文書をコピペ、コピペで使いまわして欲しいなと思います。 そのほうが効率的でええやんね PS・↓マイミクのアニマルレスキューさんからのアドバイスです、参考にしてください。 仲間うちの抗議だと思われないように、 ネットで話題になってますが~とかツイッターでみたんですが などと言って一般の人が関心をしめしてると思わす方がいいかもです! ★愛は言葉ではなく行動である(マザーテレサ) ★人間はね、自分以外のもののために生き始めたときから、 本当の人生が始まるんだよ(熊森 小冊子より) 熊にどんぐりを♪美歌 2010年11月10日 20 59 ゆうき ありがとう 熊が一番かわいそうだよ、だって何の罪もないのに 行政の怠慢や身勝手で、邪魔者扱いされて殺されてるんだもの。 そして、熊森のみなさんや、私達の頑張りも 全て否定され、冗談じゃーないですよ。 最高に厳しく意見・抗議しましょう(真顔) 明日電話ちょうだい 泣かせるぐらい、改心するぐらいの作戦立てましょう(真顔) (ΦωΦ)ゞニャー… 2010年11月10日 21 31 はぁ…? 柿を? (゚゚;) 送る人の苦労も知らんで!!! 柿送ったこっちの立場はなんだい? 遠慮なくきつーい抗議を!! 熊にどんぐりを♪美歌 2010年11月10日 21 37 小鳥遊さん ニャーさん そうんだよー! 私も熊森さんに八頭役場に送ってくださいといわれたときあって 送ろうと思って、電話をしたら、なーんかもうその時点で おかしな様子で、置けるところがないから、送らないでいいです みたいなことを言われたんです。 ん???と疑問だったのですが、もうその時から 熊を殺す方向に転換してたんではないでしょうか。 びっくりしましたよ。。。 みんなで電話&メールで抗議しましょう。 納得いく返事があるまで、電話を切らせない勢いでね(真顔) そしてメールには必ず返信をくださいと書いたらいいと思うね。 そのくらい圧力かけないとね。 yuho@毛皮は最低! 2010年11月10日 22 44 鳥取は今日話せたんで、明日は八頭町です! 泣かせたいです! 多分役所だから泣きもせず開き直るだろうが、、(`ヘ´)ふん! こてっちゃん 2010年11月10日 23 41 とにかく電話します…手を変え品を変え あいつらが 嫌になるくらい…電話してやります ばるちゃん 2010年11月10日 23 44 今、抗議メールを送りました。 人里に下りてくるから殺す? だったら山に入る人間も片っ端から殺せばいいじゃん。 それと同じ事をあなたたちはやっていますと書いてやりました。 下りて来られるのが嫌なら山に餌を置いてやれとも書きました。 全く馬鹿な人間のせいでどれだけの動物達が犠牲になってる事か! 本当に動物達に申し訳ない気持ちでいっぱいです。 熊にどんぐりを♪美歌 2010年11月10日 23 49 みなさま、お忙しい中本当にありがとうございます ごめんなさい、言うのが遅れましたが 意見メールをコピペしてどっかに保存しておいてください。 まだまだ多くの怠慢行政が存在しているので 今度、意見先一覧日記を書きたいと思いますので みなさんの意見文書をコピペ、コピペで 使いまわして欲しいなと思います。 そのほうが効率的でええやんね おいらは電話では最初は清く優しく情に訴える んで、それでも訳わからん言い訳してくるようなら 本性出してドSに豹変しようと思う。 泣かせる勢いで共に頑張りましょうw †メガエム† 2010年11月11日 08 46 アメブロにて転載させていただきました。 今から抗議メール送ります。 ほんまわけわからんな・・・ 税金の使い方間違ってるやろ!!! トリックスターブルー 2010年11月11日 09 30 なるべく冷静に、相手を怒らせるより、納得させるように、 入り方は優しく 時に厳しく 喧嘩をしない 吠え殺すのではなく、褒め殺すくらいの方が、相手は聞いてくれます。 反核などで色々電話した経験上・・・・ しかし・・・・ 電力会社とか、会社は、会社なので、まだ、外面はいいのですが・・・・ 公務員は、四角四面でたちの悪いというか・・・融通の利かない人も多いです。。 まあ、怒ってやってもイイのですが・・・・・ あいつら嫌いだから、言う事も聴かない!に成られても困ります。。 熊のためにも、我慢も必要です。 どうしても出来なければ、 一度は、本音で・・・ 二度目は、時間を空けて、声色を変えて、話し方を変えて・・・・ って言うやり方もイイかもですね。。 履歴が出るといけないから、他の地域からの公衆とか・・友達や家族の電話とか・・・・・・ 顔晴ってゆきましょう♪ 今、山口県のスメナリとカンムリウミスズメの海を埋め立てて原子力発電所を作ろうとしてる人たちに、友達が抗議しに行ってるので・・・ もし、鳥取行ける様だったら、見てきてもらえるように、話してみます。。 無理かもしれないけど・・・・・ どの動物も大変です。人間も。。。 転載しときます。。 ★SP かおり 2010年11月11日 10 08 たったいま 八頭役場に 抗議電話しました!! 担当の男性に つないでもらいましたが あちらはなれた感じで 淡々と話ていて だんだんと 私は腹が立って 声も大きく 怒ってしまいました!!! 税金ほかに使い方はあるでしょ?!? おりてこないように どんぐりや果物を 置くべき!! そもそも 自然を壊した原因は人間にあるのだから 実がなる木を 植えるとか 考え方を変えて 行動すべき!! 八頭町のホームページをみたら 【人が輝き 集い 夢広がる町】 と あるけど どこが??矛盾」してませんか?? など 言い放ったって感じでした。 担当は 『ご意見として受け取っておきます』と・・・・ ご意見としてじゃなく 考え方を変えて 行動してください!! と いって 切りましたーーー 一言 二言でも 人数かけるしか ないですね!!! 彼等の推奨する方法は、抗議でも批判でもなく、既にクレームと中傷と業務妨害の域。それも計画的で狡猾。 中には、地元民でもないのに税金の使途について憤る者や、相当に具体的な経験とマニュアルに基づいた悪知恵を植え付ける者も。 2010/11/12(金) mixiコミュニティ「過激派ベジタリアン反逆同盟!」において、動物の為にできるコトを揶揄するトピックが設立。 「動物の為にできるコト」さんと語らう場 2010/11/15(月) インターネットニュースサイトに、上記熊森会員による嫌がらせ電話の事件が取り上げられる。 クマ射殺、先走る是非論 抗議相次ぎ地元困惑(asahi.com、2010/11/11) 【愛誤】 クマの駆除に抗議・嫌がらせしてる連中のブログがキチガイ過ぎて話題に(オマエラ速報、2010/11/13 20 07 27) クマ射殺への反発ヒートアップ 「山に入る人間も片っ端から殺せ!」(J-CASTニュース、2010/11/15 19 03) 【mixi】 「山に入る人間も片っ端から殺せ!」「あいつらが嫌になるくらい電話してやります」 クマ射殺への反発ヒートアップ(痛いニュース(ノ∀`) 2ちゃんねる、2010/11/15 23 17) mixi民「里に降りたクマを殺せと言うなら山に登る人間も殺すべきだ!殺せ!片っ端から殺せ!」(アルファルファモザイク、2010/11/15) とりわけ「オマエラ速報」と「痛いニュース」では、mixiアカウントを持つ2ちゃんねるユーザーにより、実行犯は美歌を始めとしたグループである事が探り当てられる。 当該日記は、こちらもマイミクシィ限定公開にしたか削除したかで、現在は閲覧不能。 http //mixi.jp/view_diary.pl?id=1620774937 owner_id=11145587 熊を射殺瀬戸市†美歌 2010年11月14日 01 27 みなさん、2ちゃんから来る 哀れな人は相手にしないでください 一生懸命コメントしてるのだと思いますが 全然意味が分からないことばかり言いますね、あの人たち。 相当どんびいています、私・・・ 熊を射殺瀬戸市†美歌 2010年11月14日 01 37 なつさん はい、当然です だってそういう人たちのみすぼらしい波動で ここに変な低級霊波動残してほしくないのでwww 情報がいろいろ入ってきました。 最低です。行政の最高に汚いやり方で熊は殺されました。 豊田市に抗議してやりましょう。 まとめてから情報広めますね 熊を射殺瀬戸市†美歌 2010年11月14日 01 50 ほにゃも 何の罪もない命を助けたいと思うことが 上からなら、あなたたちは、どこからなのですか? おもしろい人ですねwww 言葉遣いも下品だし、屁理屈ばかり。 2ちゃんねる低脳ですね。 コメント何回しても削除しますから、無駄ですよwww 現在、これらの当該日記はマイミクシィ限定公開に編集したか削除したかで、閲覧不能。 この時点で既に、理論的且つ根拠が明確にされた反論コメントは、問答無用に削除していた事が窺える。 ゅぅき、人を殺傷した野生熊を殺処分した役場へ、業務妨害に当たる嫌がらせ電話をした旨を、武勇伝として日記に書く。併せて、過去にも同様の嫌がらせ電話をしていた事も暴かれる。 現在はマイミクシィ限定公開に編集したか削除したかで閲覧不能、下記二つはスクリーンショット。 兵庫の件※電話やりとりのご報告※ 全体に公開 2010年10月28日 18 49 電話したよ。 呆れるね、本当に。 対策案を提案したり、殺さないでと言ったり、私達は頑張ってご飯を集めて、熊森さんに送っている事など訴えたんやけど。 平行線 脳が足りないね。行政さん。 それじゃ、私達がやってきた事を全て裏切る行為だよ。 挙句の果てには、 『(今回の件)熊森が書いてる事を鵜呑みにしないで下さい。』 だって。 行政と熊森さん、交流があるって言ってたけど、はぁ?だわ。 対応者、全然わかってなくて気分悪いし。 『山に行った事ありますか?』 『山に行って実際に罠を見たんですか?』 って舐めんなボケ。 相手、だんだん喧嘩腰になってきたしねw でも私は口では負けないから、丸め込んだけど(笑) やろうとしない事をできない 他国の対策を知らない 意見として聞いておく ってぬかしよる。 だから、お前が判断せんと上の偉い奴に話を通せ・他国の事とか、対策調べたりするんがお前の仕事ちゃうんか?って何回言ったか…… 誰も真面目に聞いている様子もなく、メモ取れって言ったし。 殺処分ゼロにしてっください いや、無理です。 ↑こいつアホやで。 もっと話がわかる担当者出せって言ったら、そいつが担当者だし…… 熊森さんが書いている事は、全て殺しているように書いてますが、そうじゃありません。 だったら、今すぐ熊森さんにコンテクト取れや まあ、次会長さんと会う時があるんで だから、電話切った後今すぐ電話しろや なんでですか? なんでって……アホすぎて言葉出ない せっかく色んな地域から、みんな頑張ってどんぐり拾ったり、柿を採ったり、栗を集めたりしてるのに、裏切るんですね。 裏切ると言われるのは不本意だ は?そう書かれたって事は実際裏切ってるからでしょ? で、 何回も何回もおりてくる熊には印つけてて解るから、おりてきたら殺すんだって。 だったら他国がしてるような対策や、麻酔銃使って、山に返せや。と言ったけど、効果があるかわからないから…… やる前にできないと言うし、何回も同じ事言うから、 あなたの言ってる事は信用できませんねぇ。 熊の気持ちになってみたらわかるんちゃう?とも言ったの。 そしたら、あぁ……って。 兵庫の行政はやる気が無い。 今回の件で沢山電話掛かってきてるみたいやけど、行政さんの固い固い脳はびくともしませんね。 もう(電話切って)いいですか? あ、逃げるんですね。 ↑しつこい攻撃!!!w だからさ、最後に切る時言ってやった。 『あなたの足りない脳でせいぜい頑張って下さい』 ガッシャン!!!!!!\(^O^)/ なんかさ、対応した奴、たらい回し的な事言うんだよね。 ホームページを見てください 野生動物研究なんとか←覚えてない でちゃんとデータを取ってます とか。 メールもいいけど、脳が足りない担当者に直接抗議した方がいいかも。 ※かなりイラつきますが ホンマに信用できひん。 地域住民じゃないから恐ろしさとかわからないのが現実やけど、住んでる人は、 『おりてきたらすぐ殺してくれ』って言ってるんだ…。 恐ろしさとかわかりますか?とか言われたけど、遭遇したら、正直怖いと思う。 だから、山からおりてこないように頑張ってる。 それぞれぶち壊されたからね。 実際、餌をあげに行かれたんですか?下手に餌を撒くと、餌付けになってしまうんですよ って。 これ、熊森さんに大して超絶失礼じゃない? 熊森さんは命懸けでご飯届けてるのに。 兵庫県の行政は糞。FUCK。 行政=shit(糞) もう、こうなったらやる所までやる。 みんなも、糞なんかに負けないよう頑張ろうね!!!!! 糞に負けてたまるか!!! マジFUCK ウチらを舐めんなよ 瀬戸市の対応 全体に公開 2010年11月15日 20 09 今日、電話しました。 担当は女。 法律違反ではない。 考えた結果射殺した。 の繰り返し。 熊森さんや、身体をはって座り込んで守ってくれた人は、感情的になったから、私たちの言う事を聞いてくれないとか言うてたが嘘ばっか。 ヤクザみたいな訳わからんやつを派遣してきて、罵声あびせて、熊なんて殺せーとか叫んで暴れてたのは行政側やん。 熊のストレスや檻の事を考えたら、殺す。と判断したと・・・。 法律違反だ もっと他に考えはなかったのか(麻酔銃など) を言いましたが、逆切れされ←意味不 『あなたの考えや対策を教えてくださいよ!』と叫ばれ・・・(呆) なんか、『私が』ばっかで、『お前の個人的な意見なんか聞いてないんじゃ。話わかる奴出せ!!』って言ったら、『掛け直します』と。 『あ、逃げるんか?』って言ったの。 『お前さ、檻にかかった熊の気持ちわかるんか?わからんやろうけど、考えてみろ』 『こうして判断を下した事を正しいと思います』と。 『じゃあ、殺されて本望やねんな?』 『いや、それは・・・』 ほんとに頭が足りない奴だから、突っ込んでも、よくそんな事言えますね。命の大切さがここまでわからんってある意味素晴らしいわ っつたらさ 『ありがとうございます』 だよ?? 『市にそんなに望まないでください』 『もし訴えるなら、ご自由になさって下さい』 とかね・・・。 ほんとバカだよ。 瀬戸は腐ってますねとかさ、色々言ったのよ。 じゃあ、 『市がどうこう言われようがかまいません』 このクソアマ・・・。 一番腹がたったのは、 『今回で’死んだ’熊に対しては申し訳なく思います。なので、この熊の事は私、一生背負っていきます』 『死んだんじゃないやろ!殺したんや!!お前、背負うな!!お前が背負うと殺された子、一生成仏できんからすんな!!!』 って反論した。 最後に、 『あなたは、机に座ってこういう電話にハイハイ言ってるだけで、生活できてんのやろ?そりゃ命の大切さわからんわ。ほんま税金泥棒やな。一から、言葉使い・最低限の返事・勉強しなおしたほうがいいで?よく職員になれたな(笑)まあ、能無しやけど、その脳を一生懸命動かして、一からやり直せ。まぁ無理か?瀬戸は腐って能無しばっかりやからな。今後、絶対熊を殺すな。』 って切ったの。 気軽に殺された熊を背負って生きていくとか言うな。 殺された小熊・・・。 ソウルメイトの美歌ちゃんが名前付けてくれたの。。。 ここでは書かないけど、また小熊ちゃんの事、書きます。 人間って、何故できたのだろう。 人間ほど、残酷・残虐・卑怯・鬼畜・獰猛な生き物はいない。 私達の戦いは、まだ始まったばかり。 因みに、美歌が殺処分された小熊に付けた名前とは「どんちゃん」である。 2010/11/18(木) 早朝。スリーパーの日記のコメント欄にて、美歌が自分の日記に付いた異論・反論を一切削除しなければ返信すらしない理由が語られる。 熊を射殺瀬戸市†美歌 2010年11月18日 04 00 私の日記が発端だったんですが 2ちゃんねらーから50000アクセスwww 3年で100000アクセスやっといったのに たった5日で50000アクセスってw コメントを少し見たけど、とても哀れな人たちだと思いました。 放置してシカトしていまーす スリーパー 2010年11月18日 04 04 ワシこうみえても怖い人ちゃうねんで。土下座マン君。なんもしてないのにアク禁にされる覚えなんかないけどなあ。 女性の日記にはえらい徒党を組んでヤイヤイいうわりにはなんとも情けない話やのう。 スリーパー 2010年11月18日 04 15 熊を射殺瀬戸市†美歌さん それでいいのですよ。アホは相手が女性やおとなしい人と見るやストーカーのようにつきまとい続けます。だいたいそれだけでもかなり脂っぽくてネチっこい性格というイメージが湧いてきます。 特徴として必ず徒党を組んでヤイヤイと同時にわめきます。ネチッこさしかとりえのないアホを見てるとオモシロいですよ。 熊を射殺瀬戸市†美歌 2010年11月18日 04 33 私、全然おとなしくないんですけどwww おとなしかったらAR活動やってないしね。 良くも悪くも注目されるとテンションあがるので ますます活動ガンバろうと思いました 2ちゃんに載れたのは、AR活動家冥利に尽きるから 2ちゃんに載せられるくらいに、頑張れーと先輩たちに言われてたので いつか載りたかったから、変な話嬉しかったー ネットニュースにまでなったしwww ま、でもあれは情報操作・刷り込みみたいな内容だったけど そういうことをするということは、操作・刷り込みしてる側も とてもとても今、必死な状態ってことですよね? 私達の活動が盛んになってきているという証拠だと思います 美歌の発言から、彼女等の行動は熊森の公認である事も明かされる。 そしてスリーパー自身は、自分に寄せられた反論コメントは削除、然る後にアクセスブロック。言葉や口調とは裏腹に、肝の小ささも露呈。 夜。美歌が、有志から集められた団栗を里山に散布、その結果を公表。 ★山に撒いたご飯を熊が食べました★(21 02) どんぐり運びの成果あり! 兵庫県本部(くまもりNews、2010/11/16) 美歌が転載した大元の記事 それに対する検証がコメントとして寄せられる。 団栗の山は、食べ散らかした痕跡が窺えず、あまつさえ餌である筈の団栗の山の上に糞が置かれている。 林檎や柿に付いた歯形も、熊のものにしては小さすぎる。 そして画像に写った糞は、熊のそれではなく、明らかに狸のそれに酷似。 150kgを4人で分担して運んでいったとしたら一人当たり37.5kg(1kg=米俵1俵)の重装備となり、元・陸自普通科連隊所属経験者を以ってしても過酷な行軍と言わしめる(士長から三等陸曹への昇進試験の中の実技の一つに、50kgの装備を背負って50kmの行進というものがある)。まして日頃から肉体的に鍛えていない、都会住まいの若い女性なら尚更。 熊に限らず野生動物への餌付けは様々な有害な要素により認められておらず、そもそも野生の熊は樹上に生っている団栗を食すのであって地上に落ちた熟した果実は食さない。 野生鳥獣に係る各種情報 クマやサルなど野生動物への餌付け防止について(環境省HPより) クマやサルなど野生動物への餌付けとなることはやめましょう(同、PDFファイル) 野生グマに対する餌付け行為としてのドングリ散布の是非について ~保全生物学的観点から~(福井大学教育地域科学部准教授 保科英人、PDFファイル) 安易な「どんぐり運び」は毒運び(日々是雑感、2009/12/13 10 30) 当所は堅果類凶作年に山にドングリをまく行為に反対する(2010.11/04)(日本ツキノワグマ研究所、2010/11/04) 深夜。自動車で入っていける林道(キャンプ場?)であり、その上道路から然程離れていない場所に団栗を散布していた事実が発覚する。 ドンプレ10-22-1(FC2動画、2010/10/22 21 58 36) 更には、他地域の団栗を持ち込むという行為は、日本熊森協会自身の掲げる基本的な考え方の一つ「《自然を守るとは》」と自己矛盾する事が判明。組織を挙げての欺瞞が明らかに。 2010/11/19(金) 有志により、熊森への電話取材が敢行。それにより、 Q.会員による抗議電話について A.逆効果なので困っている、ホームページにそういうことをしないように載せるよう計らってみる Q.団栗散布場所について A.山奥というよりは里から少し離れたところに撒いている という公式見解を聞き出す。 いわば「トカゲの尻尾切り」とも取れる発言により、メンバーは微妙にトーンダウン。 ゅぅき、熊森に関連する幾つかの日記を、マイミクシィ限定公開に編集したか削除。mixiネームも「ゆうき†毛皮反対」という些か柔和な印象を与えるものに変更。 下は閲覧不能になった日記の一つ。 虐待しました。 全体に公開 2010年10月20日 17 23 カミングアウトします。 めいが家に来た頃、なかなかご飯を食べなかった。 毎日毎日、試行錯誤して、ご飯を作った。 沢山野菜買ってきて、食べないフードをミキサーにかけて…… 食べない。 ついカッとなって 『飯食えや!!!何で食わんねん!!!』 と無理矢理ご飯に頭を押さえ付け、口を突っ込ませた。 むせてびっくりした顔をしためい。 我にかえって泣きながらめいを抱きしめた。 夜泣きが酷すぎて、口を握り締め、 『黙れ!!!』 と怒鳴ったけど…… 甘えてくるめい。 虐待 親失格だ… 何度思っただろう。 振り返ると、めいに対する接し方が間違ってた。 ガミガミ怒る事ないやん。 めいにはめいのペースがある。 新しい環境にすぐ慣れる訳ないのに。 それやったら、私がめいに合わせよう。 めいの気持ちを理解しよう。 ママに話すと、『育児ストレスは誰でもあるで?ゆうきもそうや。』 私は親。 めいには私しかいない。 守るべき存在の私… それからゆったりとした気持ちでめいに接し、沢山話し掛け、今では言葉も理解できるし、ご飯も沢山食べてくれる。 ご飯を完食してくれた時は大泣きしたなぁ。 言葉話せないからこそ、接し方をもっと考えないとね。 めいが天国へ旅立つ時、 『めいママの子供でよかった』 って思って欲しいしね。 べったり寄り添って眠るめいを見てると、心から幸せな気持ちになる。 虐待したのは事実。 自分を戒める為に書きました。 この「めい」とは、保健所から連れ帰った子犬。 文体から、悲劇のヒロイン気取りで自分に酔っている様子が窺える。決意や自戒として全体公開にした割に、そこを突かれると、掌を返してマイミクシィ限定公開にしたか非公開にしたか削除。 一人、美歌だけが、これまで同様元気。 2010/11/20(土) 2回目・3回目・4回目の電話取材が敢行。 Q.動画を見る限り、団栗を運んでいる山の斜面は、車で入っていける道路の脇と思われる。これでは人里に誘導している様なものではないか? 又、私有林だという噂も聞いたが? A.許可は取っています。人里に熊が来ないよう石川支部が安全確認している と 思 い ま す。 Q.団栗運びの実施されている地元では、住民からの不安の声は届いていないか? 地域で活動する際、近隣住民に意見を聞くことはあるのか? A.地元の方と話し合って場所を決めてますし、不安の声もありません。 地元の猟友会の人も言ってました Q.その「地元の方」とは誰か? A.会員の地元の知り合いなどです。 Q.団栗運びの場所は、どの様に選定しているのか? A.熊の目撃情報が増えたというところであり、山が凶作のところなので、そこです。 Q.公式サイトでのどんぐり運びのQ Aをみたが、「野生動物との共存の心を取り戻させるためにドングリ運びを続ける」とある。 A.凶作の年に限ってやっています。来年はどうなるか分かりませんが、凶作ならばやります。 餌付けではなく熊は仕方なく食べている。人が餌をくれるんだ、という事は覚えない。 その証拠に全国どこでも山の実りがある時には熊は人里に出ません。 「いやうちの近所毎年出ますけど」 「えっ」 「いや普通に出ますけど。毎年。間違いなく」 「……熊というのは絶滅保護危惧種でうんたらかんたら(本気で黙った挙句露骨に話題逸らし)」 Q.熊森の活動に具体的な目標はあるのか? 行政に働きかけるならばどの様な手段で、どの様な体制を望むのか? A.国策的な熊の放獣区作りと種の保存、森林保護を行って貰いたく活動している。 どれか一つが熊の固体数減少の理由だとは考えない。複合的要因があるので。 熊の保護に対するマニュアルを市町村レベルでも作って頂きたい。 県ごとに山の実り調査を要請していく。 Q.瀬戸市の熊の対応についてはどうか? A.鳥獣保護法違反です。放獣しろというのが法律です。 Q.「県の邪魔が入って」と書かれたブログがあったが、県が判断するのも法律で認められているが? A.元々放獣だったものを急に射殺した。違反です。 Q.でもあそこは子供達も通る場所の近くですよね? そこで放獣するのは危険だろうし、色々な県の判断もあったのではないでしょうか? A.違反ですよ。熊の事を何も考えずに一方的でした。 Q.では、「現場の山に入ってはいけない」と言われた熊森ピケの方がこっそり侵入した、という記述がありますが、これは? A.それは事前に地元の方とお話して分かって貰う時間がなかった。残念ですし、これは法律の専門家でも判断が難しいです。山はどこでも誰でも入っていい場所です。所有者があろうと。そういう場所です。 Q.では鳥獣保護法に違反するのかどうか、専門家はなんと言っているのか? A.明確な違反は明らかです。 Q.では熊森の侵入は? A.事前に話し合わせてくれれば揉めずに済んだ。 (ダブルスタンダードによる平行線なので、インタヴュアーは諦念) Q.団栗撒きの効果を具体的に調査しているか?(事後調査) A.食べた痕跡を地元の人に確認して貰っている(ちゃんと熊のものだと、熊飼育の経験者などと共に確認。糞も) 加えて熊の目撃情報が少なくなっている事、熊見なくなったわよという地元の声を確認している。 Q.調査結果や会計報告等を公開しないのはなぜか? A.サイト移行中なのでサイトではまだ発表していないが、来年ある研究会の席上で研究レポートを発表しようと考えている。 会計報告は会員向けには総会で配ったりしている。サイト上での公開は追い着いていないが、いずれしたいと考えている。経費は会費・支援者の寄付で賄っている。 Q.ツイッターで募金活動が行われているが、事実か? A.熊森協会ではそのような事は行っていない。 数年前、和歌山での熊保護飼育の際、輸送費を募った事があり(当時まだツイッターはなかった)、その際に募金を持ち逃げしようとした人間ならいたらしいが、ツイッターでの募金は自分の知る限りはないし熊森本部は知らない。これは大変な事なので早急に調査する。 Q.mixiでは、熊森会員を思わせる人物が、殺処分した役所に対し恫喝・抗議・嫌がらせじみた電話を掛け、並びにそれを推奨する日記を書いている。そしてそれに批判的な人間を誹謗中傷したり個人情報を盗み出そうとしている。これらについてどう思うか? A.熊森の会員かどうかは分からないが、熊森は一方的な抗議は認めていない。 対話を申し込む役所もいるのに逃げたというのなら、その抗議をした人は弱虫ですね(笑いながら) 熊森はその様な行動を取る人間は認めないし、その様な行動は熊森の主義に反するし許せない。 Q.その恫喝した本人は、熊が食べる種類かどうかも調べずに、無作為に団栗を送っているが? A.じゃあこちらである程度特定できると思います。 熊森がそういう活動を認めていない事を早急に告知したい。時期は未定だが。 Q.今回、熊森のHPを紹介しているような方々が役所に電話を掛け捲ったのだが? A.(大変困った声で)その件については多数連絡を頂いており、大変困った行為であることをその方には理解して頂きたい。地域と協力体制をとっていくべき事なのに業務の妨げになるのは活動のマイナスである。 Q.会員か会員ではないか不明ですが会員が行っているとしたら問題ではないのか。 A.会員の方には役所や施設に連絡する際のマニュアルをお渡ししており、あくまでお願い、陳情という形で連絡をするよう呼びかけている。 Q.では会員ではないという事なのか? A.会員の方がいないとは言い切れない。動物が大好きで他の事が目に入らない程興奮されてしまった会員がいるかもしれない。 Q.そういった行動を取った方の多くが熊森のHPを紹介している。熊森が行わせたと思われても仕方が無いのでは? A.瀬戸市の職員の方々は本当によく対応をして頂いて、色々手を尽くして頂いた。 その事は各支部の方は理解しており、職員の方が真剣に対応をして頂いた、という事を理解していない方、知らされていない方が行ったと思われこちらとしても困った行為である。 Q.知らされていないのであれば、そちら側にも責任があるのではないか? A.確かにその通りです。 Q.会員の方に「お願い・陳情の際のマニュアル」があると聞いたが? 私の知る熊森会員かと思われる方は、毛皮を反対だといって芸能事務所にまで抗議電話をしている人もいる。マニュアルが悪用されている様な事は無いのか? A.悪用されているかは把握はしていない。只、個人として毛皮が駄目、という方は何を食べているのか?と思います。 Q.その方曰く「ベジタリアン」だそうです。 A.植物に命が無いとでも考えられているのでしょうか。只、動物が好きで好きでたまらないという動物愛護家の方も会員である事は事実です。会員の方には色々な考えで参加された方がいます。 Q.では一部の会員の方がおかしな行為をしているという事は理解されているか? A.はい。 美歌のマイミクシィが356名に減る。同時に、年齢を28歳から17歳に変更。mixiの未成年に対する年齢制限機能により、日記の公開範囲はマイミクシィのマイミクシィ迄となり、所属コミュニティも強制退会。 2010/11/21(日) 熊森公式ブログにて、市役所に抗議電話する際の注意を促す記事が発表。 憎しみや対立からは何も生まれない まして、匿名で誹謗中傷など、犯罪です(くまもりNews) 熊森会員のみなさんは、行政などに意見やお願いを伝えるとき、本部指導通り、まず名乗り、きちんとした言葉で、相手への敬意を忘れずに伝えてください。ネット上でのののしりや罵倒合戦などには参加しないで下さい。ネットでいさめたところで、そのような人たちが変わるなど期待できないと思います。憎しみや対立からは何も生まれません。 ある非会員の方から電話があって、「だれのせいであのクマが殺されたのか教えてほしい。そいつをネットでたたいてやる」 という相談がありました。熊森本部は、長時間かけて、そのようなやり方はかえって状況を悪化させるだけなのでやめるようにと説得しました。この非会員の方は、本当は優しすぎるくらい優しい方なのです。何とか命を助けてやろうと動き回ったが、助けられなかった。この怒りと悲しみをどう持っていけばいいのかわからないのです。 熊森会員のなかには、このようなネットたたきに参加している人はいないと思います。熊森は正々堂々と名乗って、きちんと話をする会だからです。 この非会員の方にも、本当に世の中を変えていける力となる、熊森のたたかい方を伝授しました。 抗議電話の件で抗議の電話やメールが殺到したからなのか、あくまで非会員の行動である旨を強調。 そして、関係者の起こした事件にも係わらず、謝罪の言葉は一切なく自己正当化の弁に終始しており、寧ろ挑発的とも取れる言葉選びが疑念を誘う。 夜。美歌が年齢を戻し、コミュニティにも参加し直す。 深夜。美歌の日記において、彼女のマイミクシィの一人であるごんたが、美歌は熊森会員ではなく外部協力者であると暴露する。 見上げる空はコンクリート ~約束~ 全体に公開 2010年11月21日 10 11 ごんた 2010年11月21日 23 25 ########さん ########さん 美歌りんは熊森の会員ではないですよ★ ただ、熊森の考えに共鳴して協力している1人、ってだけです。 私は美歌りんと趣味友として知り合い、 もともと動物愛護には関心もなかったのですが、 美歌りんの考えは尊重したいと思っているし、 その一生懸命さを尊敬しています^^ 私もペットを飼っていますが、美歌りんと知り合うまでは、 自分のペット以外の命の大切さについて考えたことはありませんでした。 これ以上、美歌りんの日記を荒らされるのは嫌なので 私に何か意見があるのでしたら、ここではなく、私にメッセでどうぞ★ だがメッセージでは、さも当事者の一人であるかの様に割り込んでおきながら、「美歌りんとはSUGIZOの同じファン同士でしかない」「私自身は動物愛護にも毛皮反対にも興味はないし、その分野での彼女には興味はない」「美歌りんが役所に激しいクレーム電話をしたそうですが、そんな証拠どこにあるんですか?」「動物愛護は一種の宗教だと思う。一旦自分が正しいと思い込んだら、とことん正しいと信じ込み、他人の意見を聞かなくなる」「美歌りんが犯罪を犯さない限りは彼女の考えを尊重してあげたい」「友達だからといって諌めてやる法律がどこにあるんですか?」と逃げ回る。 発言内容はそのまま彼女自身や美歌に当て嵌まり、証拠は過去の日記に幾らでもある。一味ではないものの、悪質さでは負けていない模様。 2010/12/03(金)、自らのコメントを削除した上でmixi退会。だがすぐに名前を変えて再登録したと思われる。
https://w.atwiki.jp/tmnanoha/pages/353.html
広大な次元世界を統括すべく結成されたミッドチルダ時空管理局。 その彼らの上に特化した存在として立つのがニアSランクの称号を持つ魔導士達だ。 局内でもトップレベルの実力を持つ強者達。 そしてもはや言うまでもないが、あらゆるコネクションを使い ニアSクラスを出来得る限り集めて結成されたのが八神はやて率いる機動六課である。 彼女達は後にも先にも「これ以上はない」と言われるほどのドリームチームとして 局全域に近年稀に見る話題を提供する事となった。 ことに局員達の口に上る話題でもっとも多かったのがズバリ――誰が一番強いのか? 奇しくもそれはJS事件の頃、6課フォワード陣と言われた新人達が口に出して盛り上がっていた話題でもある。 しかしそれはある意味、永久に答えの出ない無意味な論議であっただろう。 魔力値やフィジカル値のデータで比べるにしても数字など所詮は机上の空論に過ぎない。 実際の戦いは数値とデータ通りに進む事などほとんど無いのが現状だ。 そもそもスターズ副隊長の言葉ではないが、誰が一番か?など何を基準にするかによって変化するものだ。 考えたところで一様に結論の出る事柄ではない。 それに仮に腕に覚えのある全ての人間を呼び集めて総当たり戦を開いたとしても―― コンディションや戦う順番などで厳密な上下を導き出すことは難しい。 要は無駄な議論というわけだ。 ――――でありながら… 武装隊の間ではこういった強さの格付け話は常に耐える事がない。 手に武器を持ち、心身を鍛錬する類の人種はそれ故に 誰かと何かを比べ指標とすることで精神の充足を図っているのかも知れない。 話は戻る。その局魔導士達の認識において現在ミッドチルダで―― 全宙域に散在している教導隊の怪物達を除けば最も強いのでは?と噂されているのが 名にしおうエースオブエース・高町なのはその人だったりする。 勿論本人は否定している。というより意見自体を歯牙にもかけていない。 実際自分が一番強いとされる根拠も何もないのだ。何の意味もない格付けであった。 しかしてそれは多分に―――そう言われるほどに彼女の人気が凄まじく 多数の人間に支持されているという事に他ならない。 対人評価というのはある種人気に左右される事が多い。 どこまでもニュートラルに物事を分析するのは案外に難しいのだ。 数々のドラマティックな逸話を持ち、やや童顔でありながらも凛々しさを称えたルックス。 そして達成してきた任務の数。困難さ。戦技披露会での圧倒的な強さ。おまけに年若い女性魔導士。 教導において数多くの生徒を一人前の魔導士として排出し、彼らから軒並み慕われている人徳。 これだけの要素を持っているのだ。注目されない方がおかしい。 そしてその評判にそぐわぬ活躍により、彼女は教導隊全ての総称とされていた「エースオブエース」を 己が代名詞としてしまうほどに――今や万人に認められる存在となった。 本人はアイドルのようなノリで持て囃される事に対してはあくまで閉口気味である。 しかしまあ人気、支持率というものは往々にして本人の意図せぬ所で推移が決まってしまうものだ。 こればかりは仕方の無い事であろう。 だが――そうしたある種、祭り上げられたエ-スオブエースの威名と並行するかのように 機動6課においてもしや高町なのはよりも強いのでは?と囁かれる存在があった。 それが彼女――― ―――烈火の将シグナムの存在である。 彼女は先にあげた高町なのはとは対照的な古代ベルカ式の使い手。 「騎士」と称される近接戦闘のスペシャリストである。 彼女はとある事情から管理局入りをし、主である八神はやての身を立てるために 粉骨砕身任務に従事する事となった武装局員である。 その質実剛健の働きぶりは見るものを唸らせるほど凄まじいものであるが それとは裏腹に過度に名声が先立ってしまう事はほとんどない。 恐らくそれは夜天の主の僕としての分を弁え、決して表に出たり目立つ事を良しとしない性格故。 また脛に傷持つ彼女の経歴が、なのはとは違い 局全体がプロパガンダとして使用するのを躊躇う空気もあったからであろう。 だが―――それでも彼女の圧倒的な強さは隠しようがない。 「なのはさんも強えけど俺はシグナム姉さんが負けるところなんて想像出来ねえなぁ…」 これはとある射撃用デバイスの使い手である陸曹の言葉である。 実際、武装隊の間で密かに語り草になるほどの剛剣を持つこの女剣士は 以前行われた戦技披露会において先のエースオブエースとぶつかり―― 修羅さながらの潰し合いを敢行していたりする。 魔力ダメージによる攻防などという事実は衝撃だけで砕けるBJ、 吐血しながら相手の肉を、骨を砕かんと激突する両者の形相によってすっかり忘れ去られ 見物人の顔面を蒼白に染め上げるに十分な、それは紛う事なき「血戦」だった。 闘いが終わり、10年は使い込まれたボロ雑巾のようになった両者が 互いに笑いながら引き上げていったその後―― 会場は恐怖と驚愕を称えた沈黙に包まれ、生唾を飲み込む音すらしなかったという。 今となっては微笑ましい逸話となった―――それは昔の物語。 なつかしくも儚い彼女達の黄金時代。 ―――そして、舞台は現代へ。 無限の牢獄に囚われし乙女たち。 暗雲立ち込める未来を切り開こうと彼女達はもがく。 それは人の記憶に残らぬ物語。 それは歴史の記録に記されぬ闘争。 剣を持つのは高町なのはをも追い詰める力を持った烈将。 かつてない最強の敵を前に今―― ――― 眠れる力を解放する ――― 今はもうそう呼ばれなくなって久しい。 かつて次元を恐れさせた一騎当千・ヴォルケンリッター。 一騎打ちなら負けは無しとまで言われた最強の剣士。 あの烈火の将が炎を纏いて顕現していたのだ。 現世でも逢世でもない隔世で―― 彼女は誰にも見せる事のなかった本当の力を―――解放する。 ―――――― 空からの圧倒的な火力で焼き尽くす――それは即ち空爆と呼ばれる殲滅戦。 本来の航空機動隊の戦い方がこれである。 敵を寄せ付けぬ圧倒的なパワー、スピード、防御力。 ミッドチルダの犯罪者達を震え上がらせ、抵抗は無意味とまで悟らせる管理局武装隊のその力。 トップクラスの騎士の手による凄まじい轟音と爆風を伴った攻撃が―― 竜の尾が蜘蛛の子を蹴散らすかのような光景と共になお続く。 しかし相手もまた凡庸とは程遠い星の記憶に刻まれた英霊だ。 いずれも一つの時代、永遠に色褪せぬ逸話を創り上げてきた人類史最強の戦士たち。 彼らならば騎士――烈火の将シグナムの凄まじい攻勢の隙を突き 己が牙を捻じ込む事も可能だったのかも知れない。 だが今、その可能性をゼロにする魔導士・フェイトテスタロッサハラオウンの完璧なフォローの存在があった。 拳闘の技術にジャブ(牽制)とストレート(大砲)というものがある。 その例に当て嵌めるならば、今まさにフェイトがジャブでシグナムが特大のストレートだった。 この雌雄一対の役割を微塵の狂いもなく果たし 極大の火力を振り回す将の隙を埋める、最速にして精密な戦力運用を果たすのが ライトニング隊隊長にして6課最速の異名を持つ執務官だ。 故にもはやライトニング隊には一寸の隙も無く―― まさに勝ち目が無い――サーヴァントにとってはそうとしか言えない戦況だった。 フェイト、シグナムにとってはまさに王手飛車角取り。 そんな決定的優位の元に―― ―――残り10minute 彼女達は最後の攻防の火蓋を切って落としたのである。 ―――――― かつてミッドチルダを恐怖で震撼させた聖王の揺り篭が 決して余人の踏み込む事のない次元の狭間にてその身を横たえる。 といっても今は本来の10%の性能も持ち得ないレプリカであったが。 ともあれ形だけは大層なそのハリボテを本拠とする者たち。 強大なロストロギアの力によって開催された死と血に塗れた祭を取り仕切る実行委員は 同時に祭会場にばら撒かれた無数の宝を、あわよくば拾い集めようと目論む 浅ましくも悲しい敗残者たちであった。 しかしてその巣窟において――――場違いな男が一人。 モニター越しに映る魔道士と英霊の勇姿をそれはもう興味無さげに見つめていた。 黒衣のカソックに身を包んだ四肢をソファに横たえ、眼下で行われている凄まじい戦闘を鑑賞する。 我ながら良い身分になったものだと皮肉げに哂う男の表情にはまともな人間らしい感情が宿っているかも疑わしい。 「剣の英霊……あいつ苦しそうだった。」 変わってぽつりと漏れた言葉は男のそれと比べて遥かに高い声。 それは神父の脇に侍るように控えていた少女のものである。 宿敵とサーヴァントの繰り広げる血戦の模様もそっちのけで―― 先の邂逅で出会った騎士王の安否を気遣うこの少女は戦闘機人のナンバー5・チンク。 異邦の客人の世話係に任命されてこの物騒な男に付き従う羽目になった 狂気の科学者が生み出せし姉妹の5女である。 もっとも狂気とやらが生み出したにしてはあまりにも愛くるしい愛玩人形の如き相貌。人好きのする性格。 監視も兼ねた重要な任務とはいえ、この男の付き添いなど貧乏くじも良いところであるが 嫌な任務でも腐らず、へこたれずに健気にこなす姿は愛らしいの一言では到底片付かない。 「彼女はどうすれば我らを受け入れてくれるんだろうか? そもそもあいつは大丈夫なのか? 神父。」 「私に答えられるわけもなかろう。 怪しげな茶番の舞台にサーヴァントを強引極まりない方法で顕現させたのはお前達だ。」 「い、いや……確かに。 でも方法については未だ不明な点が多くてだな…」 「そも拾った宝に名前を書いて己が物とする――それは紛う事なき盗人の所業だ。 仮にも私は神の代行者でな。不心得者に口徳を授けるというのも職業柄、抵抗がある。」 「……神父の仕える神様は一宿一晩の恩というものを教えてはくれなかったのか?」 頬を膨らませ、床に伏せたまま反論するチンク。 その銀の長髪を称えた頭に――― 目の前の皿に盛られた内包物を無言でぶちまける神父……否、人でなし。 「へっ………??」 何が起こったのか分からずに間の抜けた声をあげてフリーズした少女が―― 「、ッッッッあづォォォォーーーーーーー!!?」 直後、怪鳥音じみた悲鳴を応接室に木霊させる。 ぐつぐつに煮立った湯気放つ餡かけが頭頂部を犯し、後頭部を経てスーツの間から背中に進入。 火を司る料理と言われる中華の熱さを文字通り体感した少女が悶絶して転げ回る。 銀髪を振り乱して床をのたうち回るその頭からゴロゴロと転がるゴムのような物体。 それは彼女が「豚のカクニ」と称して神父に出したセイバーとの友情の証……もとい、滋養豚の残骸だった。 「ななな、何てことをするんだっ!?」 「一宿一晩が聞いて呆れる――未だ私はまともな飯の類を何も口にしてはいないわけだが? 客人に生ゴミを食わせる輩が恩義などとよく口に出来た… そんな事であの剣の英霊を手なづけられるものか。」 「な、なまっ!? そんな食べもしないで!?」 「生憎、セイバーのように昏倒させられる気はない。 全く世話係などとよく言えたな。 優秀な機械人形と嘯いてはいるが貴様――その実何も出来んのではあるまいな?」 「失礼な!! 妹やゼストの世話は全部、私が担当したんだぞ! 料理は初めてだから勝手が分からないが個体の洗浄などは大得意だ!」 機人の誇りは自分が守る! 手を腰に当て、ふんぞり返って答える五女。 「―――ならば洗浄して貰おうか―――」 「へ……?」 ヒートアップして憤然と神父と相対していた少女がカエルの詰まったような声を出した。 その前で……おもむろに上着を脱ぎ出す神の御使い、言峰綺礼―――― ―――――― ―――業に入らば郷に従え、とは現地のニンゲンのコトワザだ。 なら舞台が辺境の惑星だというのなら嗜み物もそこに合わせるのが粋であろう。 男の手に持っているのはサロン・ブランド・ブランブリュット。 10年で僅か3回しか造られない幻のシャンパーニュである。 その貴重な葡萄酒を片手に黒衣の神父と語り合おうと部屋を訪れたのは 言峰綺礼とは対照的な出で立ちの白衣の男。天才科学者ジェイルスカリエッティその人である。 だがしかし、彼が客間の扉の前まで来た瞬間――― 「うわああああああああああん!」 目の前の鉄扉がバタァン!と凄まじい音を放ち、科学者の前で勢い良く観音開きになる。 目を白黒させるスカリエッティ。彼の眼前で開け放たれた内側から、脱兎の如く逃げ出す影。 人外の脚力を発揮し、トップスピードに乗って空気を切り裂き あっという間に見えなくなったその影の――後姿と、なびく銀髪だけが辛うじて視界に残る事となった。 「ふうむ?」 果たして中で何があったというのか? 塞がった手で器用に扉を開けて中を覗き込むスカリエッティ。 「………………取り込み中だったかね?」 「そうでもない。 ただ少し考え事がしたかったのでな――小娘には出て行って貰った。」 ほどなくお前が来たので何の意味も成さなかったが、と付け加えた神父。 鍛え抜かれた強靭な上半身を再びカソックで隠す。その仕草の何と絵になる事だろう。 「それは済まない事をしたねぇ。私はてっきりキミが……」 「私が何だ?」 「いや、キミが我が愛しい娘に情欲を催してくれたのではないかと淡い期待を抱いたのだが。」 随分と歪な「淡い」もあったもんである。 「しかし姉妹の中でも随一の気骨を持つチンクが あんな声を発して逃げ惑う事など滅多に無いのだが……どう思う? 綺礼。」 「………」 務めとあらば異性に侍り湯浴みに付き従う事など意にも介さないのが戦闘機人だ。 そんな彼女を知る博士には娘のあの嬌声塗れの姿は実に目新しい。 だが生憎、幼女を私物化して侍らせるという、世の好事家にとっては狂喜乱舞するようなシチュエーションも 人が幸せだと思う事にとんと無頓着な彼――言峰綺礼には猫に小判としか言いようが無いのだが。 「もしかしたらキミを意識しているのかも知れないねぇ。 これが噂に聞く思春期というやつか……」 「気持ちの悪い事を言うな。」 「いやいや実に興味深い! 私は残念ながらニンゲンというものが今一、理解出来ない。 あの娘たちは悲しいかな外界から閉ざされた純正培養の中で育ってきた。 だから今までは戦闘機人の 人 の部分を学習させるに至らなかったわけだが…」 芝居がかった大仰な仕草でいつもの演説を始める白衣の科学者。 「ニンゲン……それもキミほどの強力な毒を持った個体は実に珍しい! その毒は娘たちにも何らかの影響を与えてくれるらしいねぇ! ああ……それは実に喜ばしい事だ…… 最悪の生きた見本としてキミは極めて良い教材になれるかも知れない! いっそ義理の娘としてキミにチンクを預けてしまおうか!」 チンク本人が聞いたら泡を吹いて卒倒するような事をしれっとのたまう博士。 大事な娘をよりによってこの男に預けるなどろくでなしの極みだが―― 当人はまた嬉しそうに声を張り上げている。 「そう! 大事だからこそキミに預けたい! 私が求めてやまぬ生命の揺らぎ……ッ ことにキミは他人を揺さぶる事にかけては絶品だ! ふふふ、つくづくキミに目をつけた私の目に狂いはなかったといえるだろう。ああ言えるとも!」 「お前だけには言われたくないと憤慨すれば良いのか私は? まあ否定はせんが――」 狂乱の白とは対照的な黒が気の無い返事を帰す。 相変わらず人を食った、どこまでが冗談か分からぬ男だった。 ある意味、娘の成長を憂い喜ぶ父親に見えない事もないが(それはもう慈愛に満ちた好意的な解釈をもって) まあ何にせよ、だ。 生まれ故郷を遠く離れた地に、既に死した身を叩き起こされて まずさせられる事が家族ゴッコだというのだから良い迷惑である。馬鹿馬鹿しくて溜息も出ない。 ことにあの小娘の銀髪を見ていると――どうにも琴線に触れる。 家族といえば、亡き自分に代わり新都の教会を取り仕切っている、 どうやら自分の種から生成されたらしい銀の長髪の娘がいると聞いたが―― ソレと被って居心地が悪いとでも言うのだろうか? (―――そんな殊勝な心の持ち主でもあるまい。私は。) それは本来、持ちえぬ記憶でありながら 隔離世に身を置いた事によって男の中に確かに在った。 …………だから何だというわけでもないが。 そのような事実が彼を揺さぶる事もない。 常人ならば大いなる心残りになるであろうそんな事象も余計な荷物くらいにしか思わない。 それがこの男、言峰綺礼という人物なのだ。 ―――もはや自分があの世界に戻る事も、影響を及ぼす事もない。 相変わらず騒動の黒幕のような位置に座し、以前と同じように高みから駒の蠢く様を見ている。 だが今回、自分は何の当事者でもない。 この茶番劇において狂言回し以外の役割を担う事もありはしない。 以前のような悪意と狂気に満ちた行動力は既に枯れ、暢気に晩酌などを嗜んでいるその目下―― かつての自分の使い走りが悪戦苦闘している様を精気の抜けた双眸にて見下ろすのみであった。 (―――それにしてもランサーよ。) 自身と同様の哀れな姿にも気づかず 令呪による縛りから解放され、全力で駆ける男の姿が瞳に映る。 旧知より剥ぎ取った下僕の類があれほど愉快に笑った所をついに最後まで見る事はなかった。 それは恐らく自身の手駒であった槍のサーヴァントの本来の気性であろう。 そんなザマでも思うままに飛び跳ねられるのがそんなに嬉しいのか―― まるで首輪を外されてはしゃぎ回る犬ッコロだと、にべのない感想を抱くのも忘れない。 かつて冬木の地で凌ぎを削ったサーヴァント達。彼らが今、再び蟲毒の檻にて踊り狂う。 だが聖杯に変わり、英霊召還の無理を押し通すこのオーバーテクノロジーのシステムは そのまま彼らを好き勝手に弄ぶ傲慢な縛鎖に他ならない。 戯れに戯れを塗り込んだその無礼に過ぎる仕様を地球人代表として笑えば良いのか憤れば良いのか。 彼らはもはやギルガメッシュの言った通りの―――紛い物の人形だった。 ランサー。ライダー。そして――セイバー。 正視出来ぬほどに歪になってしまった地球の神秘。幻想の具現たち。 何も知らずに舞い狂う彼らも、いずれはその袋小路の運命に絶望するのだろう。 無表情の男の口元が微かに歪む。 「せめてそれまでは足掻いて欲しいものだな。 ランサー……せっかく私の手綱から逃れたのだ。 ろくに観客を笑わせぬうちに退場する道化もなかろうよ――」 含んだ笑いと共にかつての自分のサーヴァントに彼なりのエールを送る神父。 その相貌が―――矯笑に騒ぐスカリエッティの視界の外で 暗く、どこまでも暗く淀み沈むのであった。 ―――――― 果たして、そんな槍兵にとっては全く嬉しくない人物からの応援が彼に届いたか否か―― それを推し量れるほどに男は今、生易しい状況に置かれてはいなかった。 余計な思案に耽る事を一切許さない。怒れる火竜の蹂躙がすぐそこにある。 少し前までは林道だったこの地が既に炎と斬撃による大空襲によって大きく地形を変え 薙ぎ倒された木々のほとんどが高熱で炭化し、今眼前に広がるのは無残な焼け野原のみ。 轟炎の剣士と炎の剣精のデバイス。 JS事件における最終決戦で初めてその身を同化させた両者が叩き出した破壊力は 恐らくは全リミッターを解除したなのはと同等以上という壮絶にして余りある数値を叩き出した。 この世にパワーバランスを司る何かが働いているのだとしたら 二者を引き合わせてしまったのは明らかに職務怠慢だと言わざるを得ないだろう。 まるで竜種そのもの――それは正しく人ではない大空に駆ける飛竜だ。 轟々と燃え盛る炎を纏い、生物の頂点に立つ最強の亜種。 まさに竜の威厳と変わらぬそれを以って剣士は二体のサーヴァントを蹴散らし続ける。 散らされる側はまるで蜘蛛の子のように圧倒的な火力を凌ぎ続けるしかない。 これほどの猛攻を受け続け、決して少なくないダメージの蓄積で流石の英霊も動きが鈍くなっている。 電撃使いの雷のダメージは体の外側でなく芯に残り そして直撃すれば骨も残らぬ剣閃烈火が頭上スレスレを通り過ぎるのも幾度目の事か。 このままでは丸焼けになるか塩漬けになるか――勝機はおろか生還すら絶望的な状況だった。 「………」 「ランサー?」 その明らかな劣勢において普段は騒がしい槍のサヴァントが沈黙している。 訝しむ騎兵。敗色濃厚で意気消沈するとは情けないと皮肉の一つも投げてやるべく、その相貌を覗き見る。 果たしてその横顔は――― 「ライダー……………俺はな。 一応、何の悔いも未練もなく生涯を終えた英霊って事になってるが――」 憎たらしいほどにいつも通りの男の顔であった。 「何ですか藪から棒に? この期に及んで身の上話などされても困りますが。」 「まあ聞け。」 いつもと変わらぬ戦いを渇望する戦鬼そのものの姿。 それはそうであろう。この男が絶体絶命くらいの状況で弱気になるわけがない。 「実はな―――心残りはあったんだよ。 心逝くまで戦場で暴れまわったこの身だがよ。 そういや………ドラゴン殺しはまだしてねえなって。」 刻まれた火傷と斬傷が嬉しくてたまらない。 敵が想定以上の戦力だったなどと萎える思考。そんなものを男は微塵も持ち合わせてはいなかった。 「命脈尽きてなお挑む機会を与えてくれた古今東西の戦の神に感謝するぜ。 アレは俺の相手だ―――お前にゃ渡さねえよ。」 ここに来てまだ一騎打ちにこだわっていたりする槍兵。 仮にこの地で討ち果たされても本望という意思さえ感じ取れる。 流石は戦バカ……否、戦ヲタク――とても並の神経では理解できない。 (どうしたものか…) 当然、対面のライダーの思考は対照的だ。彼女はここで果てる気などはない。 戦いに結果以外の意味など求める性分ではないし、この槍兵と一緒に討ち果たされる義理も無い。 狂人に付き合って枕を並べて討ち死になど笑い草も良いところだ。 唯一心残りなのは頭上――あの炎の騎士の遥か後方で キッとこちらを見下ろす黒衣の魔導士。 もはや到底あれに手が届く状況ではないのだが……それにしても口惜しい。 (ペガサス――) ―――は、駄目だ。 どこぞのバカ犬の駄目押しで神殿を破られた。自身の体内に残る魔力はほとんどない。 弾奏に残った最後の一発――周囲全てが敵であるこんな乱戦ではとても使えない。 あの美しい獲物を取り逃がすのは癪だ…… しかしいよいよとなれば隣の男を盾にして撤退を決め込むしかないだろう。 (何とか再び彼女らを引き剥がせれば、また話は違ってくるのですが――) 既に佳境に入ったこの戦い。 四つの思考が乱れ飛ぶ中―― Last assault 開始後二分 ――― 時限を現す時計の針が五分の一ほど進んだ事を場に示していた。 ―――――― 軍や作戦行動を旨とする機動隊において「アサルト」とは急襲作戦を意味する言葉だ。 敵地に精鋭部隊を送り込み、一気に相手を叩く。 その手の作戦の頭文字として流用される用語。 ならばまさに今、騎士と魔導士によって展開された攻勢こそラストアサルト―― 最後の急襲作戦と呼ぶに相応しい。 よっしゃあ絶好調! シンクロもばっちりだぜ! 「……」 数分という時間は普段ならば瞬く間に過ぎ去ってしまう。 だが全開を賭して行動した場合、その濃縮された体感時間は驚くほどに長く感じられる。 故に肉体の全力を超えた自身の出力を振るい続けた二分間―― 10分にも20分にも感じられたその攻勢の第一波を思う存分、サーヴァントを追い散らしたシグナムとアギト。 彼女らが、改めて要した時間に目をやったのが――二分過ぎの事だった。 戦況は既に詰めに入った段階で、融合デバイスの少女の口からも「あとは消化するだけ」という どこか弛緩した空気が混ざる。 空襲―――抵抗も何も無意味な状況下では、相手に頭を垂れるより他の選択を残さない。 一方的過ぎる攻防はこちらの緊張感を殺ぎ、逆に敵の心をどうしようもなく折るものだ。 普通ならばこのまま相手の気力体力を叩き追って終わらせられる事は間違いない。 だが、自身の体に刻まれた数々の傷跡。共に思い出される敵の圧倒的な手腕。 「普通」ならばこの初撃で勝負はついているが、ならば相手が「普通」でないならば――? こちとら力が有り余ってるんだ! 見てろ……一泡も二泡も吹かせてやるぜ! 「調子に乗るなアギト。」 (わ、分かってらぁ…) 遠巻きから見てなお、奴らの動きにも目の内に宿った闘志にも衰えはない。 果たしてこのまま決めさせてくれのか―――? 騎士の心胆には未だ立ち込めている暗雲が晴れる事は無い。 敵も馬鹿ではない。この期に及んで闇雲に飛び掛ってくるような真似はしない。 万全の体制で間を詰めるこちら側に無闇に跳躍すればどうなるか――十分に理解している。 だから今は回避の一点張り。 凄まじい火力に追い立てられ一方的に削られてほどなく動けなくなるとしても―― 今は頭を伏せ、あるか無いかの一瞬のチャンスを待ち続けている。 凄まじい胆力だ。それだけで驚嘆に値する所業であろう。 ほどなく迫り来る死に対し、露ほどの恐れも恐慌も抱かぬのだからつくづく人知を逸している。 こちらが気をつけるのは今の所、槍兵の投擲のみか―― 結界に閉じ込められた時に槍兵が見せた自身の巨大弓に勝るとも劣らぬ一発。 あれは撃たせるわけにはいかない。こちらに傾き続ける戦況を一手で引っくり返されてしまう代物だ。 だが、故に後方より打ち込まれるフェイトの支援射撃は絶妙の一言だった。 敵の機動力や反撃の出先を大幅に制限させる事により、切り札の抑止は完璧であると言えよう。 今や騎士は攻撃にのみ集中でき、その的を絞るのも容易となっている。 相手に付き合って地上に降りて行く必要ももう無い。 今ここに訪れるサーヴァント絶体絶命の窮地。 このままではいくら彼らが埒外といえども討ち取られるは必定であった。 シグナムが振り被った炎尾の業火を掻い潜る英霊二体。 返す刀が再び戻ってくるまで数秒を要す。だがその剣士の薙ぎに一拍子遅れ、 高速で飛来するフェイトが巨大なザンバーを構えて彼らを強襲。 後方支援に徹するかと思いきや、隙を見せれば一足で踏み込んでくる。 それがこの魔道士の恐ろしいところだ。 ソニックインパクトのトップスピードは英霊を凌ぎ、到底カウンターを合わせるどころではない。 戦闘機によるぶちかましを髣髴とさせる当たりでランサー、ライダーを吹き飛ばす。 再び散り散りにされる蒼と紫。 瓦礫と噴煙に塗れながら地面に四足で着地するライダーだったが――その腕に将の蛇腹剣が巻きつく。 ジュウ、という肉を焦がす音と匂い。諸共に凄まじい牽引力が騎兵の身体を引き摺り始める。 そのまま高速で右方に飛び荒び、ライダーの身を引き回し、先ほどの返礼とばかりに力任せに叩きつけるつもりだ。 「むう……!」 だが騎兵とてそう簡単に力負けはしない。 たたらを踏んで前方に転倒しかけた彼女が四肢を――否、捕られられた右腕以外の三肢をフル稼働。 片腕両足の指を地面に食い込ませて場に踏み止まる。 ガクン、という凄まじい抵抗を受け、驚くべき手応えに将が息を呑む。 灼熱の蛇腹剣に二の腕を締められているのだ。だのに食い込む刃を意にも介さず、 女怪は右手で剣を掴みながら騎士と互角の力比べに挑んでいるのだから。 「ふッ――」 「こいつ……!」 脳裏に過ぎるは地球において最もポピュラーな昆虫――あの甲虫最強の一本角の昆虫だ。 彼らもまた、木や地面から引き離される際、そうはさせじと四肢を踏ん張り驚くべき抵抗を見せるが―― まさにそれを彷彿とさせる光景だった。 ユニゾンし、出力最大の自分と曲がりなりにも膂力で並んで見せる。 改めて思う。そういう個体なのだ……今、戦っている相手は。 何の! ぶっこ抜いちまえッ!! 「言われるまでもない!」 旅客機のような轟音を撒き散らし、更なる出力を発揮する空の騎士。 女怪の地を食む片手両足がミシミシと悲鳴をあげ、その爪にビシリとひびが入る。 それでも炎竜を留めようとする彼女。まるで大地に根差した大木のよう。 怒れる竜とその尾を掴んだ魔性の怪物―― 地上と空中にその身を置いた人外の幻種同士の――剛力比べが始まった。 ―――――― (っ……シグナムっ!) 止まらぬ連携が――止まった! 否、力づくで止めたライダー。雷の魔導士の表情に焦燥が浮かぶ。 途切れたコンビネーションの隙を見逃す相手ではない。 防戦一転、ランサーが一気呵成に反撃に出る。 10を超える射撃魔法を残らず撃ち落とし、男はあっという間にフェイトに肉薄。 牽制攻撃だけでは蒼き戦神を押し留める何の役目も果たさない。 故に意を決したフェイト。己がデバイスを近接仕様に組み上げて応戦する。 二つの影が高速で激突し、すれ違い、空と地上にて再び対面に立つ。 「世間様に迷惑ばかりかけて来た怪物がたまには人の役に立つじゃねえか! そのまま一時でいいから抑えとけ!」 豪壮無纏に槍を回転させ―― 「すぐに―――終わるからよ。」 フェイトの体に照準をピタリと合わせて構える。 凛とした佇まいに淀み無い殺気。対面する魔導士の心胆に氷柱が打ち込まれる。 何度相対してもゾクっと総身を貫かれるような感覚にまるで生きた心地がしない。 英霊にとって既に敗色濃厚の中で、突破口を開くとするならば こうして再び一騎打ちに持ち込むしかない。 つまり逆に言えばフェイトとシグナムはここが踏ん張りどころ―― 「………!」 無数の矢を再び装填し、槍兵に突撃を敢行するフェイト。 肌にジャストフィットしたボディスーツにスパッツ。 露になった肩から二の腕、太股の辺りまでしか覆っていない下半身。 奇しくも男のそれに勝るほどの超軽装は、あの騎兵を凌ぐ疾走を見せた彼女の決戦モードだ。 「嬢ちゃん――こうなった以上、主義も主張も関係ねえ… 一気に叩き潰させてもらうぜ!」 ライダーと彼女の戦いの一部始終は男も見ている。 速度で言えば自分をも越えるやも知れない相手である事は重々承知だ。 それを―――短時間で倒さねばならない。 故に男はいつもの飄々とした笑みを浮かべてはいない。 神速を超えた神速にて飛ぶ雷鳥を仕留めんと足を踏み出すは溢れるほどの殺気纏った槍の魔人であった。 「やれるものならやってみろ…!」 先ほど後れを取ったランサーに再度、臆せず斬り込む魔導士。 その顔にもまた気後れなどは微塵も無い。 二撃三撃と打ち込みながら先の二の轍を踏まぬように軌道修正。 スピードと引き換えに失った各種ステータスは決して馬鹿に出来ず 四者の中ではっきりと自分が一番、体力、耐久力では劣っている事を自覚しているフェイト。 故に速度よりも馬力とタフネスがものを言うこうした乱戦下では、間違いなく自分が―― 一番撃墜される可能性が高い。 少しでも気を抜けばバッサリとやられる。だからこその後衛配置。 それを崩された以上、決死の覚悟で相手を迎え撃たねばならない。 考えている暇などない。 あっという間に景色が流れ、色々なものを追いてきぼりにする両者の交錯は既に始まっている。 人外領域に踏み込んだその戦闘は、人間である自分が限界の一つ二つ超えて初めて戦いになるレベルだ。 無理・無茶などと言ってはいられない。 当然のようにレッドゾーンを超えてアクセルを開けなければならないこの現状。 魔法の力でそれを比較的容易に引き出せるとはいえ――裏を返せばその先は、死。 一線を越えれば肉体の崩壊か、または電池が切れるように心臓が停止してしまうか。 そんな危険な領域に足を踏み入れて数刻――いつまで持つのか自分でも分からない。 絞り潰されそうな心臓の動悸を無視して押さえ付け、執務官はサーヴァントと交戦する。 あらためて対峙すると、同じ軽装でありながら膂力と安定度の面でランサーは桁違いだった。 ズシンと根を張り、構えた時の槍兵はまるで巨大な壁そのもの。 残像を引いてそれに向かう最速の魔導士だったが、今の残り戦力で到底崩せる代物ではない。 でありながら、それでも果敢に攻める彼女の凛とした戦意はただただ心地よい。 男の四方を撹乱しながら一瞬でランサーの後方に回り込み、彼女はノーモ-ションで肩口に鎌を振り下す。 「潔さは買う……だが甘えッ! 殺気まで消せれば完璧だったがなっ!」 負傷した目を突いた死角からの一撃。 それを事もあろうに眼で追いもせず、後ろ向きのままに上段で受け止めるランサー。 こんなのは時代劇でしか見たことがない。 研ぎ澄まされた心眼。相手の行動に対する読み。 やはりこの男――最上級の達人だ! しかしこれで終わりではない―― 途端、ランサーの前方よりフェイトの雷の矢が飛来する。 男の後方に回り込む前に既に撃ち放ったプラズマランサーだ。 自身の放った弾丸すらをも追い越す速度を持つフェイトだからこそ可能な全方位移動攻撃の真髄。 上方の鎌を受けて晒した男の胴に、このままでは矢が突き刺さるは必定。 無防備な胸と腹部に襲い掛かる鋭い先端が勢い良く飛び荒び、ランサーの目前に迫る。 「おらあああっ!!」 「うっ!??」 しかし槍と鍔迫り合っていたバルディッシュが前方に引き摺られる。 男が受けた鎌ごと強引に後方のフェイトを引っこ抜き、背負い投げの要領でぶん投げたのだ。 視界ごと天地が引っくり返り、軽々と投げ放たれるフェイト。 やはりこの程度の思惑に討たれる槍兵ではない。 前方に投げ放たれた先には自身の放ったプラズマランサーが今なお飛び向かってくる。 このままでは墓穴――己の放った矢に全身を串刺しにされてしまう! 「何…!?」 だがそこで驚愕したのはランサーだった。 指向性を持った魔法の矢――それがフェイトのプラズマランサー。 コンマの速さで揺れ動く戦況に際し、フェイトの戦術思考は聊かの遅れもなく追随し、修正を開始。 衝突する筈だった彼女と無数の雷は、矢の方がまるで意思を持ったように彼女の体を回避し 歪な鋭角的な軌道でフェイトの体を避けて、その全てが再びあらゆる角度からランサーに降り注ぐ。 「野郎っ!」 自由になった両手で扇風機のように魔槍を回転させてそれを弾き散らすランサー。 だがその最中、敵の様相を見据えて再び舌打ちをする。 投げられ、地面と平行に滑空しながら魔導士は手の平をこちらへとかざしていた。 背中と頭を地面に擦るような低空飛行で、逆さまの姿勢のままに打ち放つフェイト18番の砲撃 サンダースマッシャーが轟音と共に打ち放たれた! 「うおおっ!?」 これは槍で弾き返すには大きすぎる大砲だ。 なりふり構わず地を転がって回避する槍兵のすぐ横を黄金の射線が通り過ぎる。 地面をゴロゴロと転がってすぐさま立ち構える槍兵と こちらも地面を滑って投げの勢いを殺し――迎え撃つように立ち上がるフェイト。 役不足だ、などと二度は言わせない―― 普段は優しくておとなしい性格の彼女。 だが突き付けられた屈辱を跳ね除けられないような弱虫では断じてない。 その顔、その目には先ほどの槍兵の言葉―― 「相手にならない」と断ぜられた事に対する反骨心がありありと浮かぶ。 (不足どころか――実際、大したタマだぜ…) どうも誤解されているようだが槍兵とて彼女の業には一目置いているのだ。 通常、あれもこれもと手を出せばどっちつかずの中途半端な代物にしかならない。 だがあの娘は全範囲、全方位において全ての距離を高い水準でモノにしている。 正直一番嫌なタイプであり、その技量――評価しないわけにはいかない。 凌ぎを削るライダーとシグナムの方をチラっと見る男。 (あっちは何時まで持つか―― つうか何で宝具を使わねえんだ……あの馬鹿。) 立ち塞がる金髪の美貌の少女。英霊とはいえ、これを一息に飲み込む事は至難。 ただの人間がサーヴァントに比肩するだけの天才的なセンスを発揮するなどという事が本当にあるのか? 「あるならば是非、とことんまで見せて貰いたいね……なぁ?」 Last assault 開始後三分 ――― 例え刹那の出来事だったとしても―― 刃で語り合えるのならば、その時間はかけがえの無い宝である。 男は再び槍を唸らせ踏み込む。