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銃声に次ぐ銃声。 薄闇の中より迫り来る異形の影が、その奇怪な形状の頭部へと銃撃を受け、苦痛による絶叫を上げる。 その更に後方よりもうひとつの影が現れるが、頭部やや右側面へと銃撃を受け、傷を庇う様に右へと回頭。 しかし直後、今度は頭部左側面の視覚器官らしき部位へと連続して3発の銃撃を受け、こちらも絶叫を上げつつ銃撃から逃れようと回頭を続行する。 そして前後2体、異形の影が重なった瞬間、1発の多重弾殻魔導弾が両者の頭部を撃ち抜いた。 巨大な爪が上部構造物より離れ、緑の蛍光色を放つ体液を周囲へと撒き散らしつつ、力なく落下しゆく2体の異形。 それらが暗く淀んだ水面へと叩き付けられ、暗黒の水底へと沈みゆく様を見届けた後にディエチは一言。 「・・・凄い」 ただ1発の砲撃さえ放つ事のなかったイノーメスカノンの砲口を下ろし、半ば呆然と呟いた。 彼女の数m横では、先程の銃撃の主であるヴァイスが射撃体勢を解き、ストームレイダーを手に周囲へと視線を走らせている。 やがて、周囲に敵影が存在しない事を確認したのか、彼はディエチへと歩み寄りつつ呟いた。 「ツイてないな。よりにもよって陸戦型、しかも機動性ほぼ皆無の2人が」 一旦、言葉を止め、もう一度周囲を見渡す。 漆黒の闇の中に、照明により施設の全貌が浮かび上がっていた。 人工地下水路に面した小規模輸送物資集積施設。 「空戦魔導師と逸れた上、同じ場所に転送されちまうとは」 そして言葉を続け、溜息を吐く。 ディエチは言葉もなくそんな彼を見つめていたが、やがてこちらも溜息をひとつ、感嘆の念と若干の呆れを込めて声を発した。 「・・・あれだけ巨大な生命体を11体も、しかも接近すら許さずに射殺できる貴方が、それを問題にするんですか?」 その言葉にヴァイスが肩を竦めるが、ディエチとしてはそれが偽らざる本心である。 転送直後、未確認生命体による上方からの襲撃を受け、即座に反応・迎撃を行ったヴァイス。 1体を撃破するや否や、地下水路の奥より迫り来る生命体への群れに対する狙撃を開始、ディエチがISヘヴィバレルによるイノーメスカノンへのチャージを終える猶予すら与えず、瞬く間に殲滅。 その間、僅か1分足らず。 「AC-47β」による魔力増幅の結果、弾体形成時の集束所要時間短縮により速射性が向上している事実を考慮に入れても、異常としか云い様のない腕前である。 牽制として放った魔導弾により生命体の行動を制限・誘導し、射線上に複数体が重なった瞬間に高圧縮多重弾殻魔導弾を撃ち込んで止めを刺す。 戦闘機人たる自身であっても容易ではない一連の過程を、この短時間に5回に亘って繰り返し、しかし微塵の疲労も窺わせる事のないこの人物。 旧機動六課に於いてはヘリのパイロットを務めていたという話ではあったが、その狙撃手としての腕はディエチから見ても遥かな高みにあった。 そして狙撃の腕だけではなく、魔力による弾体形成技術も相当なものだ。 保有技能は高速直射弾形成及び多重弾殻射撃のみであるとの事だが、しかし弾体毎の魔力圧縮率が尋常ではない。 単発の威力・貫通力だけに着目するならば、それこそ並みの集束砲撃魔法すら凌駕する程の高圧縮魔導弾。 非殺傷設定という縛めより解き放たれたそれらが、全長10mを優に超える異形の生命体を次々に射殺してゆく様は、何処か薄ら寒いものをすら感じさせる。 もし2年前、この男性と戦う事となっていたならば。 同じ狙撃手としての立場から、銃火を交えていたならば。 敗れていたのは、恐らく自分。 一方的に狙撃され、自らが敗れた事にも気付かずに、戦線から退く事となっていたに違いない。 そして、オーバーSランク相当の砲撃と、Bランク魔導師による直射弾。 常であれば考えるまでもなく砲撃が勝るであろうが、この男性の放つ銃弾はその常識を覆す。 単発の弾体としては考えられないまでの魔力密度、それに伴う弾速・貫通力。 こちらと正面から撃ち合ったとして、恐らくは砲撃の中心を貫き突破してくるであろう、緑光の銃弾。 射程・速射性・精密性・威力、いずれの面から見ても、自身からすれば高町 なのは以上に分が悪い相手だ。 それは高町 なのはにとっても同様である筈で、移動しつつ使用できる長距離攻撃魔法を有していない以上、防御をほぼ無効化できる弾体による狙撃を駆使するこの男性は、エースオブエースを墜とし得る数少ない人物の1人であるといえるだろう。 魔導師ランク、そして魔力保有量が全てではない、実戦の恐ろしさを体現するかの様な存在である。 「しかし・・・何だ、コレ?」 思考に沈むディエチを余所に、当のヴァイスは集積区のほぼ中央、転送直後に射殺した未確認生命体の死骸へと歩み寄り、銃口でそれを指した。 ディエチもまた死骸へと目をやり、蛍光色を放つ体液に沈む異形の全貌に眉を顰める。 胴部全長、凡そ10m。 4mを超える巨大な前脚。 背面に浮き出した、人間の肋骨にも似た骨格。 胴部へと覆い被さる様に伸びた、ほぼ同じ全長の巨大な頭部。 無数の複眼が寄り集まった、何処か幾何学的な模様にすら思える視覚器官。 全体を覆う部位の無い口部に、ずらりと並んだ巨大な歯牙。 全身の複数箇所に埋め込まれた、鈍色の光沢を放つ機械部品。 「これが、汚染体・・・?」 「だと思うんだがなぁ・・・」 嗅覚を苛む異臭に顔を顰めつつ、2人は注意深く死骸の観察を始めた。 とはいえ、生物学の専門家でもない2人に詳細な分析などできる筈もなく、外観から探れる事は探ろうという程度のものである。 しかし彼等の予想に反し、然程に時間を掛ける事もなく、複数の異常な点が浮かび上がった。 光沢がありながらも、腐乱した死体の様な色の外皮。 前脚と比較して、余りにも小さ過ぎる後脚。 胴部下方へと折り畳まれた、無数の副脚。 如何なる目的かも判然としないながら、しかし完全に生体組織と融合した機械部品。 「人工生命体・・・?」 「・・・汚染体だろ? そんなもの、誰が弄るっていうんだ」 「でも、このインプラントは・・・」 戦闘機人と同じ、機械部品による生体強化ではないのか? そう言い掛けて、ディエチは云い様のない嫌悪感を覚えた。 自分と、この化け物が同じ? 冗談ではない。 死人の肌の様な外皮を纏い、異臭を放つ粘液に塗れた蟲か爬虫類かも判然としないこの生命体が、強化されているとはいえ人としての意思と肉体を併せ持つ自身ら姉妹達と同類である筈がないではないか。 自らの思考を、理性と感情の両面から否定するディエチ。 彼女の内面にて沸き起こる葛藤に気付く事もなく、ヴァイスは死骸の各部より覗く機械部品へと顔を近付け、呟いた。 「・・・どうも端から移植を目的として製造された物じゃないらしいな。ほら」 ヴァイスに促され、ディエチもまた死骸の一部へと顔を寄せる。 生体組織の合間から覗く機械部品の表面には、僅かな錆と黒い油、そしてミッドチルダ言語の羅列があった。 その文字列を目で追い、彼女は訝しげに声を発する。 「LD-3304・・・加重限界5000kgまで・・・?」 「はっきりとは解らないが・・・これ、汎用ロボットアームか何かの部品じゃないか? 骨格の間にあるやつは多分、小型水上船のシャフト基部だ。それもかなりボロボロ、ゴミ同然のやつ」 「廃棄物を取り込んでいる・・・?」 「多分な」 言葉を返しつつ、ヴァイスは死骸の後方へと回り込んだ。 ディエチは前方へと歩を進め、改めて後部に並ぶ歯牙へと注目する。 やはり、似ている。 遥かに巨大ではあるが、この汚染体らしき異形の歯牙は、人間のそれと余りにも酷似しているのだ。 何らかの原住生物を基に発生した事は疑い様が無いが、しかし此処まで人類に酷似した歯牙を有する生物が、果たしてこの隔離空間内へと取り込まれた世界のいずれかに存在していただろうか? まさか。 まさか、この生命体は。 この汚染体の素体となった「生物」とは。 「おい、大丈夫か?」 掛けられる声に、ディエチはふと我に返った。 目前には、何処か気遣わしげな表情のヴァイスの顔。 思わず後退り、意味の無い声を洩らしてしまう。 「あ・・・え?」 「何か思い悩んでいたみたいだが・・・問題ないか?」 「あ、はい・・・」 何とか答えを返すディエチ。 そんな彼女の様子に未だ納得しかねているらしきヴァイスであったが、ややあってディエチに背を向けると、何処かへと向けて歩み始めた。 戸惑うディエチに、次の行動を促す声が掛かる。 「取り敢えず、此処の管制ログを調べてみようぜ。此処の連中が何処に消えたのか、って事だけでも明らかにしなきゃあな」 言いつつ、ストームレイダーの銃口を管制塔へと向けるヴァイス。 その言葉に納得し、ディエチもまたイノーメスカノンを担ぎ直し歩き出す。 管制塔まではそう距離がある訳でもなく、数分で到達できるだろう。 巨大なコンテナの間を歩きつつ、2人は現状についての意見を交わし合った。 「しかし、本当に人っ子1人居やしねぇ・・・この1ヶ月の間に、何があったんだ?」 「まず此処が何処の世界かも判りませんし・・・少なくとも第61管理世界ではなさそうですが」 「隔離空間内のどれかではあるんだろうけどな。まあ、それもログを見れば判るだろ。ついでに此処で何があったのかも」 「・・・あまり良い事態ではなさそうですが」 唐突に足を止め、コンテナが積み重なる集積区の一画を指すディエチ。 同じく足を止めたヴァイスも、それを目にするや否や諦観の滲んだ溜息を吐く。 「・・・納得」 2人の視線の先には、数十個の潰れたコンテナと無数の車両、そして夥しい量の血痕が残されていた。 「・・・10人や20人じゃないな。100人・・・いや、それ以上か」 「抵抗した形跡が無い・・・一般人だった様ですね」 完全に圧壊した自家用車及び輸送車両、コンクリート舗装面に撒き散らされた黒ずんだ液体の染み。 それはこの場所に於いて、凄惨な殺戮が繰り広げられた事実を示していた。 既に相当の時間が経っているのか、本来ならばこの場に漂う筈の鼻腔を突く鉄の臭いも、既に掻き消えている。 臭いだけではない。 本来ならば此処に存在する筈のものが、1つとして見当たらないのだ。 「死体は・・・?」 「死体」が無い。 犠牲者達の亡骸だけが、忽然とこの場より消え失せている。 圧壊した車両の隙間を覗いても、人体の欠片すら見付ける事はできなかった。 「捕食されたのでしょうか?」 「・・・ま、全滅したと決まった訳じゃない。生存者が居るかどうかも調べりゃ判るだろ」 再び歩き出すヴァイス、そしてディエチ。 やがて管制塔へと辿り着いた2人は、コンソールを操作し過去1ヶ月のログを確認。 表示される記録は、そのいずれもが絶望的な状況を物語っていた。 第151管理世界、総人口4900万のこの世界を襲った惨劇。 人工衛星の消失より始まった一連の事態は、生態系の激変という通常では考えられない現象へと加速し、遂には地表域に於ける次元断層の連続発生による他世界との空間干渉及び接続という、最悪の事態が発生。 電子制御系の暴走、電力供給用魔力炉の爆発、変異生態系による都市部への生体汚染拡大。 都市及び主要施設間の長距離移動は不可能となり、各地では集団消失現象が多発、逆に他世界の住民が突如として出現する事態も発生し、既に隔離空間内に於ける各世界の区別は無きに等しいとの事。 地上にて観測された人工天体は日を追う毎に巨大化し、それが各世界の人工建造物を取り込んで形成されている事が判明した数日後には、この施設までもがその天体内へと転移していたのだという。 つまり此処は人工天体の複合建造物内部であり、既知の座標は機能しない。 次元間転移事故被災者を保護し、調査隊を編制して施設周囲の調査を行ったものの、その殆どが行方不明となってしまう。 更には未知の生命体群により度重なる襲撃を受け、6度目の交戦では集積区の車両内にて生活していた206名の被災者が全滅する事態となった。 そして遂に、戦闘可能な魔導師が10名を切る状況へと至り、遂には施設の放棄を決定。 地下水路を8kmほど進んだ地点に発見された、廃棄物処理場への移動を敢行。 汚染物質の流出を避ける為の多重隔壁と強固な施設外壁を頼りに、管理局の救出部隊が駆け付けるまでの篭城戦を行うとの事。 幸いにして輸送用小型次元航行艦2隻を確保できた為、艦体ごと処理場内部へと侵入し汚染を避ける事ができる。 食料も1ヶ月分は貯蔵があり、救出部隊の到着までは耐えられると判断したらしい。 最後に、施設を訪れるであろう管理局部隊へのメッセージを残し、ログは途絶えていた。 「廃棄物処理場・・・」 「嫌な予感しかしないな」 ログの確認を終え、溜息を吐く2人。 一連の事態による被害は、管理局の予想を遥かに上回っていた。 この状況では、現時点に於いて要救助者の何割が生存している事か。 「・・・取り敢えず行ってみるか。御誂え向きにボートもある」 「でも、ヴァイス陸曹。このログ・・・」 「解ってる」 そして、常軌を逸した数々の現象が綴られるログの中、明らかに際立って異常と解る2つの記録。 人工天体への転移直前、そして転移6日後。 他の現象とは異なる、奇妙な記録。 「俺達や汚染体以外にも、招かれざる客が居るみたいだな」 そう言うと、ヴァイスはコンソールへと背を向けた。 ディエチもそれに倣う。 要救助者が存在しない以上、此処に留まる意味は無い。 入手した情報に基づき、彼等が身を潜めているであろう廃棄物処理場へと向かうだけだ。 管制塔を出る2人の背後、コンソールの僅かな明かりだけが、無人の室内を淡く照らし出す。 モニターに表示された無数のログの中、2つの記録だけが他とは異なる赤い色を放っていた。 「77.12.22 施設地上部より緊急連絡。2251時、東部地平線に複数の強烈な閃光を確認したとの事。直後、震度6相当の揺れを感知。2時間後、隣接する管理局拠点より入電。首都方面にて高濃度の放射能検出との事。警報発令。地上部より職員を退避させ、隔壁を封鎖」 「77.12.28 調査隊、水路内にて所属不明の小型船艇と遭遇。接触を試みるも、不明生命体群の襲撃を受け交戦。戦闘中、所属不明船艇は質量兵器と、複数の小型無人兵器を用いていたとの事。 戦闘終了後、船艇は高速にて当該域を離脱。船体が宙に浮いていた事から、反重力駆動方式と推定」 * * 金色の閃光が空間を薙ぎ、異形の頸を切り飛ばす。 瞬間、宙を翔ける漆黒の影。 降り注ぐ血の雨をも掻い潜らんとするかの如き速度で突き抜けたそれは、上方へと6つの光弾を放つ。 遥か上方へと撃ち上げられたそれらは放物線を描き、一拍の後に砲弾の如く汚染生命体群の頭上へと降り注いだ。 連なる6つの爆発音、そして無数の絶叫。 『DOSE 50%』 粉塵と血煙の中から、数体の異形が血液を振り撒きつつ金切り声と共に影へと突進を開始する。 しかし、生存本能によって突き動かされるがままに開始された突進も、高速にて飛翔する影と擦れ違った、その瞬間に終わりを告げた。 閃光。 上下に二分される、13体の異形。 『DOSE 60%』 血が、内臓器官が、異形の体内に存在する無数の寄生体が、豪雨となって回廊へと降り注ぐ。 その惨状を尻目に、影は中空へと制止。 同時に巨大な魔法陣が展開され、黄金の光が周囲を埋め尽くす。 そして響くは、凍て付く感情を秘めし声。 『Phalanx Shift』 「アルカス・クルタス・エイギアス。疾風なりし天神、今導きのもと撃ちかかれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」 影の周囲へと浮かぶ、38の光球。 余りにも眩いその閃光に反応したか、薄闇の奥から無数の叫びと異音が多重奏となって空間へと響く。 蚊のそれにも似た羽音、無数の脚が擦れ犇く音、枯れ枝を踏み折る様な音。 闇より迫り来るそれらの一切を無視、影の腕はゆっくりとその先を指し。 「フォトンランサー・ファランクスシフト」 そして、トリガーを引いた。 「ファイア」 瞬間、全ての光球が射撃を開始する。 単発ではなく、連射。 全てを埋め尽くさんばかりの弾幕が、闇の先に犇く異形の群れへと襲い掛かった。 着弾、炸裂、絶叫、破裂音、水音、爆発音。 それら全てが混然となり、空間を支配する。 炸裂する光の中に浮かび上がる、焼かれ、貫かれ、引き裂かれ、打ち砕かれ、断末魔を上げる無数の生命体の影。 その光景を前にしながら、僅かながらの揺らぎも見せずに人形の如く佇む人物。 左手に携えられた、黄金の刃に雷纏う片刃の長剣。 刃の周囲を旋回する、一筋の赤い光。 『Caution. DOSE 70%』 「排出実行」 『Exhaust DOSE』 刃の付け根、歪に突き出したドラム型マガジンから、高圧蒸気にも似た圧縮魔力が噴出する。 響き渡る噴射音、約8秒間。 それが止んだ時、長剣は戦斧状の杖となって其処にあった。 『・・・ハラオウン執務官』 『汚染体は殲滅しました。前進します』 後方に待機するディードからの念話。 ただ簡潔に敵の殲滅完了を伝え、前進する旨を告げる。 彼女からの反論は、特に無い。 意見しても無駄であると理解しているのだろう。 XV級次元航行艦が余裕を持って通過できる程の、広大な金属回廊。 その壁面は得体の知れぬ生体組織に侵されており、鈍色の光を放つ壁面の隙間からは黒ずんだ肉腫が覗いている。 鋼鉄の殻に覆われた肉壁、その合間から無数の汚染体と思しき生命体が湧き出したのが数分前。 ディードの他にオットー、そして他の攻撃隊員4名が居たのだが、大群を相手取る戦いには不利と判断、生体組織による侵蝕の及んでいない区画にて待機させていたのだ。 『無理はなさらないで下さい。敵の力は未知数です』 『分かってる』 続くオットーからの念話に答えを返しつつ、彼女、フェイトは己がデバイスへと目を落とす。 バルディッシュ・アサルトフォームの側面、カートリッジシステムから突き出したドラム型マガジン。 それを見つめつつ、彼女は思考する。 ライオットブレードの状態でファランクスシフトを展開したというのに、違和感が一切存在しない。 身体への負担も、それ以上に魔力の消耗感すら感じられないという、異常な感覚。 魔力消費量が段違いであるライオットブレードを常時展開して尚、リンカーコアによる魔力素吸収速度が消費量を上回るという信じられない状態。 「AC-47β」。 あの憎むべきR戦闘機群によって齎された、禁断の技術。 次元世界の理を外れた、歪な技術体系によって構築された魔力増幅触媒。 「・・・大丈夫」 呟き、バルディッシュの柄を強く握り締める。 それは、自己に対する暗示だった。 これなら、勝てる。 必ず、必ず打倒できる。 忌まわしき漆黒の番犬、雷光を纏う悪魔の機体。 エリオを、キャロを、家族を取り戻し、脱出する。 そして、ユーノから四肢を奪った罪人に、然るべき報いを与えるのだ。 その為に、自身はこのシステムを受け入れた。 管理局の理念に相反する思想の下に生み出された技術、それを応用し構築されたシステム。 常ならば決して認めはしなかったであろうそれを受け入れた理由は、敵の強大さも然る事ながら、贖罪の意味合いもある。 自身が判断を誤ったが為に、ユーノの四肢、延いては幾多の可能性を奪ってしまった。 彼は今も意識の戻らぬまま、本局医療区の一画にて自らの生命を脅かす死の足音と戦っている。 自身が彼の為にできる事は、怨敵を打ち倒し、その報告を彼へと捧げる事だけだ。 フェイトには確信があった。 バイド鎮圧後、地球軍との交渉の場を設ける事を望む上層部。 彼等の見解とは異なる、独自の確信が。 22世紀の地球は、決して管理世界と同じテーブルに着く事はない。 感じるのだ。 あの漆黒の機体から、捕えられたR戦闘機パイロット達から。 管理世界の人間を、決して自らと同じ存在とは看做していない事を。 ケージ内のモルモット、或いは路傍の石を見るかの如き、無感動な視線を。 彼等が管理局に対し、積極的敵対行動を取る事はない。 彼等にとって、管理局には敵対する程の価値など存在しないのだ。 R戦闘機群が管理局部隊と遭遇したとして、あちらから戦闘を仕掛ける事はないだろう。 彼等は、管理局の一切を無視する。 目前で汚染体と魔導師が戦闘を行っていようと、彼等にしてみれば割り入るべき理由が存在しないのだ。 彼等が管理局部隊に対し戦闘を展開するとなれば、それはこちらから仕掛けた場合に他ならない。 本局及びクラナガンを襲撃した際とは異なり、既に彼等は十分な情報を得ているだろう。 こちらがバイドではないと知り得ているのならば、可能な限り交戦を避けようとする筈だ。 それは人道的な面からの配慮などではない。 不必要な戦力の消耗と、管理局による地球軍に対する情報収集を避ける為だ。 即ち、全ての行動が自らの生存の為であり、管理世界の人間に対する配慮の一切が欠落している。 彼等は未だに、こちらを「人間」であるとは捉えていないのだ。 恐らくは、義母や義兄も気付いている。 彼等の異質な認識、人間としての共通意識の欠落に。 地球軍にとって、管理世界の住人は「人」ではない。 だがそれは同時に管理世界の住人にとっても、地球軍を構成する人員は「人」ではないとの証明に他ならないのだ。 共存など以ての外、相互理解の構築など決して実現し得ない「未知」の存在。 ならば、自身がすべき事はひとつだ。 彼等の「本性」を暴き、管理世界全ての目前へと曝せば良い。 決して解り合えぬ存在であると、知らしめれば良い。 彼等の目的はバイドの「殲滅」。 管理局が「制圧」及び「確保」を目的として行動する限り、いずれは敵対する事となるのだから。 そして、その時こそ。 自らの雷光にて、漆黒の番犬へと「断罪」を下すのだ。 『ハラオウン執務官、応答を!』 突然の念話。 その焦燥を含んだ念に、フェイトは我へと返る。 『どうしたの?』 『回廊の奥から巨大な・・・巨大な浮遊体が、高速にて接近してきます!』 瞬間、フェイトはバルディッシュをライオットブレードへと変貌させた。 身を翻し、ディード等の待機地点へと向かうべく、高速で宙を翔ける。 『浮遊体の特徴は? 機械? 生命体?』 『何らかの機械です! 大きさは・・・15m!』 その報告に、フェイトは僅かに眉を顰めた。 敵が大き過ぎる。 15mといえば、R戦闘機以上の大きさだ。 クラナガンを襲った、ゲインズとかいう人型機動兵器だろうか? 『浮遊体、頭上を通過!』 『特徴は?』 『塗装は黄色、後部に重力制御機関らしき赤いコアを確認! そちらに向かいました!』 新たな報告も終わらぬ内、フェイトの視界に巨大な鉄塊が映り込む。 成程、黄色の塗装を施された全高15m、全幅9m程の浮遊体が、高速でこちらへと突進してくるではないか。 その速度は、並みの空戦魔導師に勝るとも劣らない。 ライオットブレードの柄を握り直し、フェイトもまた突進を開始した。 「はッ!」 裂帛の気合と共に、擦れ違い様に一閃。 浮遊体の下部が切り裂かれ、轟音と共に回廊床面へと落下する。 しかし。 「ッ・・・!」 下部を切り裂かれた浮遊体は減速する事もなく、空気を押し退ける轟音と共に回廊の奥へと消え去った。 闇の中に消え往く赤いコアの光を呆然と見送りつつ、しかしフェイトは奇妙な事に気付く。 何故、攻撃が無かった? あれだけの速度で突進してきて、何もせずに彼方へと飛び去った巨大な浮遊体。 弾幕を張るなり誘導兵器を放つなり、幾らでも手はあるだろうに、何故? よもや、戦闘を目的としたシステムではないとでもいうのだろうか? 『執務官!』 そんなフェイトの予想を裏付けるかの様に、またも念話が飛び込む。 オットーだ。 彼女らしからぬ焦燥の感じられるそれに、フェイトが警戒を強めた、直後。 『浮遊体接近・・・総数18! 回廊を塞ぐ様に・・・』 巨大な影が、彼女の側面を掠め飛んだ。 「な・・・!」 驚愕と共に、全身を襲う風圧に抗い姿勢を立て直す。 背後より襲い掛かったそれは、確かに先程の浮遊体と同型のものだった。 回廊の奥へと消え往く赤い光を見据えながら、フェイトはディード等へと念話を繋げる。 『こちらも接触した! そちらの状況は?』 『何とか回避しました・・・しかし第2波が接近中、数が多過ぎます!』 その報告に対し新たな指示を出そうとしたフェイトであったが、彼女の視界に先程切断した浮遊体下部構造物が映り込んだ事により、それを中断した。 彼女の意識を捉えたのは、塗装面の一部に刻まれた第97管理外世界の言語。 「LV-220 Resource mining colony Transport System D-7.885」 「輸送・・・システム?」 呆然と呟くフェイトの背後、薄闇の中から、無数の重々しい風切り音が轟きだす。 11年間の時を経て、侵入者を悪夢へと誘う鋼鉄の行進曲、鋼鉄の回廊が、再びその鼓動を響かせ始めた。 * * 「止まらないで! 突き当たりまで走って!」 「一尉、後ろです!」 咄嗟に振り返り、狙いも定めずにショートバスターを放つ。 光の奔流が闇を貫き、その先に潜む機械仕掛けの魔物へと突き刺さった。 爆発。 グレーの装甲が四散し、周囲に展開する同型機、そしてガジェットの装甲へと傷を刻む。 即座に爆炎の向こうから応射が返され、質量兵器の弾体が周囲の壁面へと弾痕を刻んだ。 煉瓦の様に砕け散る灰色の壁面は、魔力による多重コーティングを施された特殊防御壁である。 Sランク攻撃魔法の直撃にも耐え得るそれが、一切の魔力を含まぬ砲弾によって抉られてゆく様は、なのはの胸中に云い様のない悪寒を呼び起こした。 「一尉!」 叫びと共に数本のナイフが宙を翔け、なのはと敵の間にて爆発を起こす。 その粉塵に紛れ、身を翻して敵から距離を取るなのは。 目前へと現れた角に飛び込み、通路の奥に蠢く異形の様子を窺う。 それは、奇妙な造形を持つ機動兵器だった。 反重力駆動式の台座に人型の上半身を備えた、全高8m程の機体。 しかしその頭部は、御世辞にも人に近いとは言えない。 前後へと伸長したそれは、バイザー状の視覚装置と相俟って、第97管理外世界での映画に描かれる異星の生命体を思わせる。 両腕部の肘より先は連射型の質量兵器となっており、攻撃隊は転送直後より容赦の無い弾幕に曝されているのだ。 外観に反し装甲が薄く、撃破が容易であった事は不幸中の幸いであったが、しかし通路を塞がんばかりの巨体と閉所での弾幕射、行く先々で現れるグレーの装甲とカメラアイの赤い光は、攻撃隊の精神を徐々に圧迫してゆく。 既に20機近くを撃破しているにも拘らず、未だに出現を続ける機動兵器。 其処から導き出された量産機であると予想も、なのは達の不安を煽る要因であった。 「一尉、高町一尉」 「チンク」 背後からの声。 息を潜める様に発せられたそれに、なのはは振り返る。 其処には、銀髪の小さな影。 戦闘機人が1人、チンクだ。 先程、ISランブルデトネイターにより、なのはが後退する為の隙を作った人物でもある。 「ウェンディが非常通路を見付けた。周囲の機動兵器とガジェットは、既に砲撃魔導師により排除済みだ」 「解った。こっちは敵が多過ぎる。スターライトブレイカーで一掃するから、チンクは先に行って」 「了解だ」 会話を終え、なのはは通路の先へと向き直った。 敵が前進する様子はない。 しかし此方を排除するべく、前進の機会を窺っている事は明らかだ。 レイジングハートの柄を握り締めるなのはであったが、しかし未だ背後に佇むチンクの存在に気付き、再び振り返る。 「どうしたの?」 皆の許に戻ろうとしない彼女に、なのはは訝しげに声を掛けた。 チンクは何処か躊躇う様に、何かを言い掛けては口を閉じるを繰り返す。 しかしやがて、意を決したかの様に声を発した。 「高町一尉・・・貴女は、どう考える?」 「・・・何を?」 「この船・・・「聖王のゆりかご」についてだ」 沈黙。 なのはは押し黙り、チンクの隻眼を見つめる。 その瞳は、困惑と不安に揺らいでいた。 常日頃の彼女からは考えられない、弱々しい姿。 チンクの言葉通り、なのは等が転送され、異形の機動兵器群と戦闘を繰り広げるこの空間は、嘗て彼女自身が突入した古代の戦船、聖王のゆりかご内部であった。 2年前と寸分違わぬ内装とガジェットの群れ、そして自動防衛機構。 何もかもが模造され、オリジナルとの区別が付かぬまでの存在として空間を支配していた。 否、或いはこの船こそが、2年前に虚数空間へと消えたオリジナルであるのかもしれない。 「続けて」 「・・・従来のアルカンシェルに欠陥があった事も、虚数空間へと跳ばされたゆりかごがバイドに汚染されたのだという事も解っている。しかし、そのゆりかご自体を模造するなど、余りに異常だ。この船は唯の戦艦ではない。 古代ベルカの技術の粋を集めて建造された、世界を支配する為の船だ」 「・・・そうだね」 「だからこそ、彼等は聖王なき状態ではこの船を起動できぬよう、幾重にもプログラムの防壁を築いた。私達は聖王のコピーにレリックを埋め込み、起動の為の鍵としたんだ。だが・・・」 なのはに促され、途切れた言葉を再開したチンクであったが、しかし再び途中で声を区切り、沈黙する。 だが、彼女が何を言わんとしているのか、なのはは正確に理解していた。 「・・・ヴィヴィオ、だね?」 チンクは頷く。 クラナガンでの戦闘後、本局医療区にて目覚めた瞬間から、その疑問はなのはの脳裏にも燻っていた。 「鍵となる聖王が存在しなければ、ゆりかごは起動しない。無論、ゆりかごのプログラムを意のままに改変できるだけの技術力があれば、そんな問題は如何様にもできる。だが、最も効率が良いのは・・・」 「聖王を複製し、玉座に据える事」 「そうだ。聖王のコピーさえ制御下に置けば、間接的にゆりかごの全てを支配できる」 「つまり今、玉座の間には・・・」 爆音。 即座にレイジングハートを構え、通路の奥へとショートバスターを撃ち込む。 爆発、そしてまた爆発。 2機の機動兵器が数十体のガジェット共々、爆炎の中へと沈む。 「一尉・・・」 「行こう、玉座の間へ」 レイジングハートの矛先を下ろし、なのはは言い放った。 その目に浮かぶは、母としての毅然とした光。 玉座の間。 其処に、未だ見ぬヴィヴィオの妹、もしくは弟が居る。 邪悪な存在に操られるがまま、意に沿わぬ力を振舞い続けている。 救わねば。 必ず、救い出さねば。 ヴィヴィオの姉妹・兄弟ならば、我が子も同然だ。 子を救えずして、何が母か。 『Starlight Breaker』 レイジングハートから発せられた音声と共に、桜色に輝く魔法陣が展開され、4機のブラスタービットがなのはの周囲へと布陣される。 集束する光。 嘗ては自らの命さえ賭して放たれた希望の光は、その身体へと一切の負担を強いる事なく破滅的な魔力を球状集束体として形成。 5つの魔力球が玉座への道を切り開くべく、より一層に眩い光を放つ。 クラナガン西部区画、鋼鉄の巨獣を討った際と同じく、レイジングハートを振り被り。 「スターライト・・・」 空間を薙ぎ、魔力球の中心へと突き付けられる矛先。 周囲の全てが桜色の輝きに支配された、その瞬間。 「ブレイカー!」 なのはの声と共に、砲撃は放たれた。 終結するガジェットと機動兵器を次々に飲み込み、突き当たりの壁へと衝突する5条の光。 しかし、Sランク攻撃魔法にさえ耐え得るそれすらも、「AC-47β」による無尽蔵の魔力供給を受けるなのはにとっては障害たり得ない。 「ブレイク・・・」 そして、立ち塞がる全てを排除せんと、なのははトリガーボイスを紡ぐ。 悪しき者を打倒し、未来へと進む為のトリガー。 「シュート!」 一際巨大な魔力の奔流と共に、大規模砲撃が放たれる。 幾重もの防御壁を貫通し、群れ為すガジェットを蹂躙し、立ちはだかる機動兵器を粉砕し。 玉座の間へと到る扉へ着弾したそれは数瞬、強固なる多重防御結界と拮抗し、魔力光を迸らせ。 「いっけぇぇぇぇッ!」 なのはの叫び、そして無意識の内に零れたチンクの声と共に。 「・・・ッ!?」 「な・・・!?」 結界の内側、突如として迸った「虹色」の魔力光によって、跡形もなく掻き消された。 「馬鹿な・・・!?」 絶句するなのは。 チンクもまた驚愕に目を瞠り、呆然と呟く事しかできない。 2人の視線の先、「虹色」の魔力光は渦を巻き、扉へと溶け込む様にして消え去った。 後には、何も残らない。 「・・・うそ」 なのはは知っている。 あの「虹色」の光を、「虹色」の魔力光を。 2年前、ゆりかごの玉座の間、其処で目にした圧倒的な輝き。 新たに結ばれた絆と共に、自らの記憶へと刻まれた鮮烈な光。 愛しき我が子の光。 「カイゼル・・・ファルベ・・・!」 轟音。 スターライトブレイカーによって抉られた、巨大な破壊の傷跡。 その半ば、下部構造物が吹き飛び、周囲へと無数の破片を飛散させる。 我に返り身構えるなのはとチンクの視線の先で、全高18m前後の人型機動兵器が姿を現した。 恐らくは艦内の被害拡大に伴い、大型の機動兵器による侵入者撃退実行を、防衛機構が許可したのだろう。 それは即ち、艦の機能維持態勢を半ば放棄したと同義だ。 玉座の間を守りつつ、しかしゆりかごそのものを犠牲にしてでも侵入者を排除せんとする、矛盾したプログラム。 これが、バイドによる汚染の結果という事か。 「チンク!」 「解っている、ゲインズだ! 波動砲がくるぞ!」 なのはもチンクも、パイロットの尋問により齎された、敵兵器に関する情報は聞き及んでいる。 ゲインズ。 R戦闘機群とほぼ同等の威力を持つ波動砲を装備し、複数のバーニアによる優れた姿勢制御と高機動、内蔵された大型ジェネレーターによるエネルギー供給を受けての波動砲の連射、両者を用いての戦術攻撃を行う機体。 クラナガン西部区画を襲い、新たな廃棄都市区画へと変貌させた兵器のひとつ。 大型波動砲を肩に担いだ旧型、波動砲を陽電子砲へと換装した戦略型、波動砲が左腕部と一体化した新型など、複数の型が存在するとの情報もある。 しかし現在、彼女達の眼前に出現したゲインズは、そのいずれにも当て嵌まらぬ外観を持っていた。 なのはは思考を満たす困惑を、そのまま声に乗せる。 「波動砲が、無い・・・?」 内部構造物を破壊し躍り出た、漆黒のゲインズ。 その外観には何故か波動砲が見当たらず、両腕部には盾の様な機構が備えられている。 一体、この機体は何なのかと警戒するなのはとチンクの目前で、右腕部の盾から3m程の突起が出現。 そして、一瞬の後。 「・・・ッ! そういう事・・・!」 突起の両側面から、全長20m以上ものエネルギーの刃が2つ、並行して展開された。 「接近戦型・・・!」 呻き、レイジングハートを構えるなのは。 その隣では、チンクがスティンガーを構えている。 2人の背後からは、ウェンディと攻撃隊の皆の声 どうやら状況を察し、加勢の為に引き返してきたらしい。 そんな彼女達を嘲笑うかの様に、漆黒のゲインズは脚部と背面のバーニアを一瞬だけ煌かせ、ブレードを展開した右腕部を腰溜めに構え。 直後、その背後で、バーニアの青い光が爆発した。 爆発的な推進力により突進してくる漆黒の巨躯を、無数の魔導弾と砲撃が迎え撃つ。 古の戦船、その腹の中で、侵略者たる魔導師と王を守護せし騎士による狂宴が幕を開けた。 * * 「メタ・ウェポノイド・・・またけったいなもの研究しとったもんやなぁ」 目前のコンソールを操作しつつ、はやては呟く。 転送直後に目覚めた其処は、巨大な施設の内部。 ヴォルケンリッターの3人はすぐ傍に居たものの、他の攻撃隊員の姿はなく、孤立したかと肝を冷やしたのが30分ほど前の事だ。 幸運な事に同施設内に転送されていたセインにより発見され、自身等の他に20名ほどの攻撃隊員、そしてティアナとスバル、ノーヴェ等が付近に存在する事が確認された。 すぐに合流できるかと思われたのだが、各所に存在するゲートの解放に手間取り、攻撃隊は未だ複数のエリアに散開している状況である。 しかし、ザフィーラが発見した壁面のナビゲーションシステムを起動したところ、第4管制室と表記された部屋が付近に存在する事が判明した。 それを受け、はやては独自に情報収集を行う事を提案。 結果として融合を解いたリィンを含む5人は、管制室にてコンソールと向き合う事となった。 引き出されてゆく情報。 強固なプロテクトの存在が予想されたのだが、何故かそれらは既に解除されていた。 この施設の職員達がプロテクトを解いたらしいが、当の彼等が何処へ消えたのか、各管制室への入室ログが無いにも拘らず如何にしてDNAによる認証をパスしたのか等、プロテクト解除までの経緯に不可解な点が余りにも多い。 兎にも角にも、ログの解析と情報収集は順調に進んだが、しかし得られた情報の内容は到底、はやて達にとっては理解し難いものであった。 「有機質兵器開発・・・ヒトDNAの軍事利用・・・クローン胚の大量生産・廃棄・・・胎児レベルに於けるインターフェース移植経過観察・コントロールロッド応用理論・・・」 「・・・墜ちる所まで墜ちたって事やな」 「・・・狂ってる」 余りにもおぞましい言葉の羅列。 人としての倫理、その一切を切り捨てた、正しく「人でなし」による悪夢の研究。 無数の生命を侮辱し、尊厳を踏み躙るその所業。 理解などできない、できる筈もない。 やはり、彼等は。 「地球人」は、自らの知るそれからは懸け離れた存在となってしまったらしい。 「この施設1つで、最終処分場も兼ねていたみたいですね。隣接するバイド生命体研究所から比較的大型のバイド体を運搬し、実戦形式での有機質兵器運用試験を行った後に、実験兵器もろとも殺処分していた様です」 「酷い・・・」 「兵器やバイド体だけではない様です、主。西暦2166年8月に、バクテリア状のバイド体による汚染が発生。272名の職員が隔離調査の後、処理場にて処分されています」 呻き声。 振り返れば、ヴィータがコンソールの前で俯いている。 その右手は口元に当てられ、肩は小刻みに震えていた。 彼女の隣に浮かぶリィンもまた、コンソール上の空間ウィンドウから目を逸らし、両の掌で口元を押さえている。 はやては2人へと歩み寄ろうとしたが、それより早くウィンドウ上に何かを見出したザフィーラがコンソールへと歩み寄り、全ての表示を閉じた。 ウィンドウ、消滅。 ヴィータの背を撫ぜつつ、ザフィーラははやてとシャマルへ視線を送る。 「主、シャマル」 「・・・リィン、おいで」 「はやてちゃん、リィンちゃんをお願いします。私は有機質兵器の詳細について、もう少し探りを入れてみます」 「分かった、宜しゅうな」 はやてはリィンを連れ、管制室を出た。 この施設は大型物資輸送用の巨大な通路が縦横無尽に張り巡らされてはいるが、研究区等の生身の人間が立ち入る区画の設計は管理局本局と大差ない。 長く続く通路の奥へと目をやった後、はやてはリィンの小さな背を優しく撫ぜ始めた。 「大丈夫か、リィン? 落ち着いて深呼吸するんや。何にも心配要らん」 「・・・はやてちゃん」 自身の名を呼ぶ声に、はやてはリィンへと耳を寄せる。 すると彼女ははやての髪を掴み、震える声で以って語り始めた。 「・・・怖いです」 髪を通して伝わる、微かな震え。 何時になく弱々しいリィンの様子に、はやては穏やかに彼女の名を呼ぶ事で応えた。 「・・・リィン」 「此処、怖いです。きっと此処に居た人達は、リィンには解らない思考を持った人ばかりだったんです」 「リィン」 「あんな、あんな事・・・「人」にできる筈がありません。今まで見てきた次元犯罪者だって・・・あんな事、してる人達なんて、居なかった」 「リィン」 「「人」じゃない。「人」があんな事、できる訳がないんです。できちゃいけないんです。そうじゃないなら、リィンは「人」じゃないから理解できない・・・」 「私にも解らへんよ。墜ちた人間の思考なんか、解りたくもない」 はやての言葉に、リィンは俯いていた顔を上げる。 その涙に濡れた顔を見つめつつ、はやては自身が今どんな顔をしているのだろうと考えた。 恐らく、侮蔑と嫌悪に歪んだ表情をしているに違いない。 「はやてちゃん・・・?」 「解らんでええ。解る必要なんて無いんや。「人」としての尊厳を捨てた連中の思考なんか、理解の仕様がない。そんな事、するだけ無駄や。私達自身がそうならん様に、心に刻んでおくしかないんや」 リィンが何を見たのか、はやてには分からない。 しかし今、リィンにそれを思い出させるつもりはない。 どの道、収集した情報は事態の収束後に目にする事となるであろうし、緊急を要する事象についてはシャマルが調査している。 リィンの口から引き出すべき理由など、存在しない。 何より、態々訊ねずとも想像は付く。 この施設にて行われていた数々の研究は、そのいずれもが常軌を逸した非人道的なものばかりである。 ヒト・クローン胚を大量生産し「研究資材」として扱うに止まらず、胎児レベルにまで育成した個体を観察対象とする実験、そして「解体」による生体部品摘出など、目を覆いたくなる程の凄惨な研究・実験が行われていたのだ。 それら全ての研究目的は、突き詰めれば2つの存在へと集約される。 新たなフォース・コントロールシステム、そしてメタ・ウェポノイドと呼称される有機質兵器の開発。 これらの研究区は各々に独立しており、しかし制御系の相似から共同開発に到る事も多く、隣接する区画へと創設された。 各々の研究により得られたデータ及び技術を自らのそれへとフィードバックし、それを繰り返す事によって更なる技術躍進が起こる。 そうして数々の有機制御系及びフォースを生み出した両機関であったが、西暦2168年1月、有機質兵器研究区にて汚染体漏洩事故が発生、全施設が緊急閉鎖されるという事態が発生。 汚染は隣接区にまで及び、職員の殆どは退避する暇もなく施設内へと隔離された。 脱出艇の殆どは使用されないままに施設内へと残され、しかし目立った混乱の形跡もない。 殲滅戦が行われたのか、施設構造物の被害は甚大なのだが、その中に取り残された職員の混乱によるものと思える被害が存在しないのだ。 より大規模な異常事態に呑み込まれたか、或いは混乱する間もなく汚染されたのか。 いずれにしても、はやてからすれば因果応報としか思えなかった。 「はやてちゃん」 「・・・シャマル」 背後からの声に、はやては振り返る。 其処にはログの解析を終えたらしきシャマル、そしてザフィーラに付き添われたヴィータが佇んでいた。 「どうやった?」 「駄目です。どういう訳か、有機質兵器の詳細に関する情報だけが、完全に削除されているんです。現存する研究ログでは2167年11月19日のものが最後ですが、その時点での研究対象がメタ・ウェポノイドと呼称される存在である事、それ以外は全く・・・」 「さよか・・・」 その報告を受け、暫し黙考するはやて。 しかし現状では結論を導き出す事は不可能との判断に至り、決断する。 「一先ずは此処までや。攻撃隊との合流を第一に行動、合流後に改めて施設内の探索を行う。質問は?」 「ありません」 「同じく」 「分かったよ」 「了解です」 全員からの答えにはやては頷き、自らの騎士服、その腰部に固定されたポーチ状の装備品へと目を落とした。 「AC-47β」。 はやてやシャマル、ザフィーラといった、カートリッジシステムまたはデバイスを使用しない魔導師の為に開発された、魔力増幅機構・デバイス非介在型。 増幅された魔力をリンカーコアへと直接供給するという、少なからず危険を伴うシステムではあるが、敵の強大さを考えれば許容範囲内のリスクであるとはやては考えている。 何よりこのシステムが無ければ、AMF展開状況下に於ける行動は著しく制限されてしまうのだ。 この施設の所有者達である、22世紀の第97管理外世界に於いて開発された技術を用いて製造されたという事もあり、はやて個人としては受け入れがたいものではあったが、AMFによる行動の阻害と魔力の枯渇という最大の懸念を回避できる以上、強行に拒む事もできなかった。 しかし同時に、それが齎す絶対的な力はバイド・地球軍の区別を問わず、敵に対する脅威となり得る事を彼女は理解している。 要は、使いこなせるか否かだ。 「リィン」 「はいです」 再びリィンと融合し、シュベルトクロイツ、夜天の書を手にはやては凛と告げる。 一切の淀みなく澄んだ、青い瞳。 騎士達が、呼応するかの様に姿勢を正す。 「行くで、皆」 夜天の王としての号令。 漆黒の翼を翻し、通路の先へと振り返った、その先に。 「・・・ッ!?」 「はやてッ!?」 巨大なレンズが、無機質にはやてを見つめていた。 「おおああぁぁッ!」 雄叫び。 その場の誰よりも早く動いたのは、ザフィーラだった。 一瞬ではやての前面へと躍り出ると、その研ぎ澄まされた爪を以ってレンズ、そして後方へと続く長大な胴へと襲い掛かる。 しかし、振り抜かれたザフィーラの爪が胴を断ち切らんとする寸前、先端のレンズから眩い光が迸った。 「くっ・・・!」 「あああッ!?」 線状に射出された高圧縮魔力。 ザフィーラの胴を薙ぎ、更にははやてをも射界に収めたそれ。 しかし純魔力攻撃であった事が幸いし、「AC-47β」からの膨大な魔力供給により鉄壁の防御を更に強固なものとしたザフィーラ、そして攻撃の大部分を彼によって遮られたはやてには、傷ひとつ刻まれてはいなかった。 直後、2人の後方よりヴィータが飛び出し、気合の叫びと共にグラーフアイゼンを振り被る。 「らああぁぁぁッ!」 全力を以って振り下ろされたハンマーヘッドは、しかし目標を打ち据える事はなかった。 間一髪で身を引いたそれは激しくのたうち、轟音と共に通路の到る箇所を破壊しつつ遥か先の闇へと引き込まれてゆく。 淡いレンズの光がひとつ瞬き、通路には静寂と破壊の跡だけが残った。 誰も、口を開こうとはしない。 はやては呆然と佇み、ヴィータは床面へと叩き付けたグラーフアイゼンもそのままに殺意を滾らせて通路の奥を睨む。 ザフィーラは一切の感情が抜け落ちたかの様に佇み、シャマルは驚愕に口元を覆いつつ目を見開いている。 それ程までに彼等は、今しがた自身が目にしたもの、その存在が信じられなかった。 褐色の表皮。 有機物としての動きを見せながら、無機物としての特徴をも併せ持つ外観。 先端部に備えられた巨大なレンズ。 有り得ない、あってはならないのだ。 「あれ」が未だ健在である事態など、決して許されない。 許してはならないのだ。 「ザフィーラ、シャマル、ヴィータ」 感情の感じられない、冷徹な声。 未だ嘗てはやての口から発せられた事など無かった、合成音の様に無機質な声が通路に響き渡る。 3人の騎士は微動だにせず、続く言葉を待っていた。 「今の、見たか?」 「ええ、主。はっきりと」 「間違いありません。私も・・・見ました」 「・・・忘れるもんかよ」 常より更に無機質な声、そして明確な負の感情を内包せし声。 各々より返されるそれらに、はやては俯いた。 何故、「あれ」が此処に存在する。 あの時、確かに消滅した筈なのに。 皆と共に、悪夢を終わらせた筈なのに。 「彼女」が、あの優しい魔導書が、その身を犠牲にしてまで、「あれ」の復活を防いだのに。 「なんで・・・なんで・・・ッ」 小さな、消え入るほど小さな声で、ヴぃータが呟く。 その声を耳にしつつ、自身も驚く程に醒め切った思考の中、はやては事実に思い至った。 アルカンシェルの欠陥。 対象の反応消滅ではなく、虚数空間への強制転送を以って破壊と為していた事実。 もし「あれ」が、虚数空間にてバイドによって回収されていたのであれば。 その消滅を待たずして、汚染されたのだとすれば。 「何処まで・・・」 何処まで、一体何処まで。 地球軍もバイドも、何処まで「彼女」を侮辱すれば気が済むのか。 どれほど「彼女」の決意を辱め、嘲笑えば満足するというのか。 「彼女」の死を、意思を、その記憶を。 全てを否定して、なお足りぬというのか。 「リィン・・・」 『分かっています、マイスター。許すつもりはありません』 鉄槌の騎士が、憤怒と共に立ち上がる。 湖の騎士が、怜悧なる光を瞳に宿して下命を待つ。 盾の守護獣が、無機質な殺意を宿して闇の果てを見据える。 彼等を従え、夜天の王は「戦」の始まりを告げる。 「夜天の王が命じる。「あれ」を生かしておく事は許さん。何としても討ち滅ぼせ」 応を返す騎士達。 足が床面を離れ、宙へと浮かび上がる白き影。 薄闇の通路に、王の声が朗々と響き渡った。 「「リインフォース」の遺志を穢した、その罪。死を以って償わせたる」 通路の奥、闇の中に、無数の光が点る。 禍々しき光、穢れた魔力の光。 耳障りな破壊音と共に、先端にレンズを備えた無数の巨大な触手が、周囲の構造物を破壊しつつ我先にと押し寄せ、王と騎士達を目掛け襲い来る。 「防御プログラム」。 度重なる改変により異常変質、遂には暴走した憐れなる存在。 全てを喰らい尽くさんと、津波となって王の許へと向かう。 宛ら、12年前の様に。 12年前のあの日、曇り空の下。 彼女、リインフォースと共に戦った、最初にして最後の日。 12月24日、あのクリスマス・イヴの様に。 八神 はやては、「闇」との再会を果たした。
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;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 1章「Bug nest《バグネスト》」 ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 0 ~イントロダクション~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:黒) 北海道。 かつては大自然に囲まれた未開の地。 北海道開発庁という省庁があったくらい攻略が難しい自然の要塞であった。 だが、北海道の自然も、人の造りし建造物も、人工ブラックホール《シュヴァルツドライヴ》の暴走という人類史上最悪の事故により、跡形もなく消え失せた。 西暦二〇三〇年――。 現在残っているのは、そこに北海道があったという事実と、国立図書館に残された膨大な資料。 そうして忌まわしい記憶のみだった。 死者行方不明者の数、約五〇〇万人。 それは北海道の総人口の八割を越えていた。 いや、全滅しなかっただけマシだったのかもしれない。 そうして僅かに生き残った道民も、飢えと寒さ、舞い上がる粉塵に肺をやられ、次々とその命を失っていた。 政府は事故を隕石の落下と国民に説明した。 また、隕石には未知のウィルスが付着しており、生き残った道民は皆感染の恐れがあるため隔離する必要があるとも付け加えた。 ある意味政府の対応は素早かった。 政府は道民の保護活動法案を議会に提出し、強行採決した。道民の保護活動法。 それは、保護とは名ばかりの隔離政策であった。 保護法の施行により、道民は、自衛隊が配給する僅かな食糧と燃料で、生活することを余儀なくされた。 一枚の毛布を巡って殴り合い、時には殺し合いも起こった。 ウィスルの拡大を防ぐという偽の情報により、内地へ疎開することも許されない道民は、生きる目的を失い、完全に難民と化していた。 政策開始当初は、同じ日本人として許せないと人権団体が騒ぎ立てたりした。 だが、政府の狡猾な情報操作により、人々は北海道のこと、道民のことを、時が経つにつれ、記憶から忘れ去っていった。 事故から一〇年が経ち、忘れられた民、道民の不満は次第に膨れ上がってゆく。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 1 ~釧路~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:砂丘1) 何処までも続く荒れ果てた大地を、一台の特殊大型トレーラーが走っていた。 車幅五メートル、全長二〇メートルの特殊車両は、日本の狭い一般道を走ることはできない。 だが、そんな特別仕様も、この砂漠のような荒野を走破するにはちょうど良いのかもしれない。 そのトレーラーを先頭に、まるで団子のように密集して、数十台のトラックと装甲車がその後に付き従っている。 突き抜ける蒼天、圧巻とも言える白い入道雲。 真夏の北海道はとても清々しく、都会の喧騒を忘れさせてくれる。 だが心地良いのは空の景色だけだ。地上はもう悲惨なものだ。草一本生えてない不毛の荒野が延々と続いている。 ごくたまに草木が生えた地帯も見えるが、それは砂漠の中のオアシスのように稀な存在だった。 「一〇年前とはえらい違いだ」 揺れる車中、大翔は草原を自転車で走っていた昔を思い出していた。 そこにはまだ草木や川があり、姉妹も居た。だがいまは誰もいない。 一〇年前の事故により全てを失ってしまった。 特別学徒自衛官の制服で身を固めた若い男性。まだ少年と言っても過言ではない。 左手でハンドルを掴み、右手には水が入ったペットボトルを片手に、だらしなく運転している。 結城大翔(ゆうき ひろと)。 若干17歳で士官であるニ尉という謎多き学徒自衛官。 いつもニヤニヤと笑っているので、軽薄そうなイメージがつきまとい、泣かせた女性自衛官の数は一個師団にも及ぶという。 そんな悪い噂が絶えない。 それら噂は事実無根も甚だしいのだが、当の大翔は弁解すること無く、あくまで飄々としていた。その態度が更なる誤解を生む。 「結城二尉。そろそろゼロの着装準備にとりかかってください」 融通のきかなそうな女性の声が、隣の助手席から響いた。 技術者にありがちな化粧とは無縁のスッピンの女性。 とはいえ彼女もまた大翔と同じ学徒自衛官のため、化粧をしなくても充分魅力的であった。 自衛官らしく短く切った黒髪に切れ長の鋭い瞳は少しキツイ印象を受ける。 実際はどうかというと、やはりキツイ性格なので印象通りのイメージ通りで問題なかった。 「レンくんさあ。いまは夏だよね。北海道といっても、夏は結構暑いよね」 「北海道じゃありません。いまはバグネストです。何度言えば理解して頂けるのでしょうか。それよりも早くゼロを着装してください。時空歪曲率が上昇して、とっくに警戒レベルに達しているんですよ」 レンは神経質そうに、助手席の前にずらりと並んだ計器パネルの内の一つに示される、時空歪曲率を現わすモニタを、キリっとした大きな瞳で追いかけていた。 「開発者って奴はさ、性能ばっかり追っかけてさ、中に入る人間のことなんてまるで考えてないんだよなぁ。つーかゼロの実戦データを取りたいから、おまえら北海道に行ってこい。ときたもんだ。人使い荒いと思わない?」 「牧野主任はちゃんと搭乗者のことも考慮して設計しています。それに、未評価の機体を量産するほど、日本の財政は裕福ではありません」 「知ってるよ。その財政赤字というかヤバイ位の借金をなんとかしようってのがこのプロジェクトなんじゃないの?」 「そうです。分かっているのなら早く着装してください」 「んー。でもあれって一種のサウナスーツなんだよ。一〇分で二キロは痩せちまうんだぜ。そうだレンくん。キミ乗ってみないか。マジで痩せるよ」 「わ、私は、太ってなんかいません!」 「冗談だよレンくん。でもなー、もう少しメリハリってものが必要だと思うんだよ。もう少し胸にボリュームがあったら完璧なのにねぇ。あ、俺はいまのままが好きだよ。ところでレンくんは彼氏とか作らないの? 意中の士官とかいないなら……さ」 「結城二尉。これが最後の警告です。これ以上ゼロの着装を遅らせた場合、東城一佐に職務放棄と報告を入れさせて頂きます。それでもよろしいのですね?」 「特務四科所属、結城大翔二等陸尉。ゼロの着装準備に入りますっ!」 東城一佐の名を聞いた大翔は、それまでの軟派な態度を一変させ、キビキビとした動作で、ゼロのコンテナへと向かった。 そんな大翔を、レンは半ば呆れながら見送った。 ;(背景:フェードアウト) ;(背景:) バグネスト。 かつて北海道と呼ばれていた土地は、現在ではそう呼称されていた。 もっとも、バグネストと呼称するのは、本土の人間か役人くらいで、道民は皆、北海道と呼び続けていた。 核融合エンジンを実用化し、ノーベル物理学賞を受賞した天才科学者、虎宮沙良博士。 彼女はその功績に満足する事はなく、更なる研究に没頭した。 博士の次なる研究は、極小ブラックホールを利用したエネルギープラントの開発だった。 シュヴァルツドライヴプロジェクト(SDP)。 政府は国家規模のプロジェクトとして博士の研究をサポートした。 なにせ完成すれば無限のエネルギーが得られるだけに、その開発は全世界から注目された。 だが、計画は失敗に終わった。 極小とはいえ、圧縮された巨大質量の暴走は、実験施設はおろか、施設のあった北海道そのものを跡形も無く消失させるだけの威力を持って暴れ狂った。 そうして、日本の地図より北海道は失われた。 直径五〇キロに及ぶ巨大クレーターが、実験施設のあった旭川市を中心に広がり、その衝撃の余波は青森県まで及んだ。 悲劇はそれだけで終わらなかった。 暴走震源地では時空の歪みが生じ、施設後を中心とした半径約二〇キロ以内には、立ち入りが禁止された。 その半径こそが、疑似ブラックホールのシュヴァルツシルト半径《事象の地平面》に他ならなかったのである。 実験施設と北海道は崩壊したが、ブラックホールが出現したということは、ある意味、実験は成功したとも言える。無論。そのようなことを政府が公表するわけはなく、ブラックホールの出現は国家機密扱いとなっていた。 ;(背景:) 学徒自衛官。 それは被災孤児たちの救済として、政府が行なった政策の一環であった。 事故によって被災し、身寄りを失った子供たちをバグネスト復興のため、自衛官として派遣できるよう幼少のころより特殊な教育を行い、個々の能力にあったスキルを開発してゆく。 学徒自衛官は一五~十八歳くらいまでの少年少女たちで構成されている。 ;(背景:フェードアウト) ;(背景:) トレーラーに連結されたコンテナのハッチを開けると、中に溜まった熱気が大翔の頬を突風のように撫でる。 やれやれとかぶりを振って、大翔はコンテナに一歩足を踏み入れる。 中はサウナ室として利用可能なくらい、こんがりと熱されていた。 大翔の口からため息が漏れる。 「レンくんさあ。ひょっとして空調壊れてんの」 大翔はインカムを通じてレンに愚痴を吐いた。 「経費節減とゼロの耐熱試験にもなるので、コンテナ部の空調は切ってあります」 「おいおい、ゼロって精密機械だろ? そんな乱暴に扱っていいのかよ」 「ですから耐熱試験も兼ねていると言いました。何か不満でも?」 「だからって俺たちまで一緒に試験することはないんじゃないの?」 澄ました態度のレンに文句を言っても、のれんに腕押しだと判断した大翔は、それ以上は何も言わず、ゼロの着装準備に取りかかった。 「キミたちも大変だな」 コンテナトレーラーに付き従っていたトラックに搭乗していたゼロの作業員たちが、重たそうな器材を持って、くそ暑いコンテナの中に入ってくる。 「任務でありますから」 体育会系のさわやかな笑顔の作業員数名に囲まれ、大翔はやれやれとかぶりを振った。 「ったく。経費節減もなにも、このトレーラーには核融合エンジンが積んでるんだからエアコンの電力くらいケチってどうするよ」 「結城二尉、核融合エンジンはゼロの運用時に使用されます。トレーラーは通常、燃料電池によって運用されているので、ロバイン三尉はケチっているわけではありませんよ」 沢井陽菜という名前の技術下士官が生真面目に答える。階級は一等陸曹だった。 彼女もまた大翔と同じ被災孤児で、学徒自衛官としてこのプロジェクトに参加している。 レンとは対照的に明るく、笑顔がチャーミングな女の子だった。 そうしてどういうわけか支給された作業服ではなく、養成学校の制服を着ていた。 「沢井……陽菜くんだっけ? 冗談だよ。冗談。俺も馬鹿じゃない。それくらい知ってるさ」 「し、失礼しました!」 「そんなに恐縮しなくていいよ。階級なんて飾りだからさ。それよりどうして制服着てるの? 目の保養になるから俺は全然オッケーなんだけど」 「あ、はい。作業服ってもの凄く汗かくんですよね。それに作業服を着ないとダメだって規則は無いので、通気性の良い制服のほうが動きやすいので」 「なるほど納得の理由だ。そんじゃま怖いお姉さんが着装するのを、首を長くして待ってるんで、手早く済ませちまおうぜ」 「了解しました」 沢井一曹は大翔が見守る中、ゼロの収納されたハンガーコンテナの安全装置を解除してゆく。 開かれたハッチの中には、大翔の体型に合わせたインナースーツがぶら下がっていた。そうしてその奥には、金属の塊が静かに鎮座していた。 「結城二尉、お願いします」 沢井一曹はそのまま奥にある金属の塊の方へ、部下を引き連れて向かった。 大翔はそんな沢井のモチベーションというかハイテンションに気後れしながらも、着ている軍服を脱ぎ、ハンガーに吊ってあるインナースーツを取り外してダラダラと着替えた。 「ロバイン三尉、ゼロの安全装置、全て解除しました。起動用パスコードを入力し、核融合エンジンを始動してください」 沢井一曹の嬉々とした声が、インカム越しに響く。 インナースーツに内蔵されたスピーカーの感度は良好のようだ。 「こちらロバイン三尉。ゼロの起動パスコード入力しました。核融合エンジン始動スタンバイお願いします。 「了解しました。燃料ヘリウム注入開始します」 「タービン内圧力増加」 「加速率上昇。対消滅機関起動電圧まであと八〇、七〇……」 核融合エンジンを起動させるのにかかる時間は五分から一〇分だった。 「俺はストレッチしてくるから後よろしく」 インナースーツを纏った大翔は、くそ暑いコンテナから飛び降りた。 「あ、はい。いってらっしゃい」 沢井一曹の返事を待たずにコンテナから外に飛び出すと、大量の砂ぼこりが舞った。 ;(背景:) 細かく砕けてパウダー状になった砂の粒子は、足元に絡み付き、歩く度にキュッキュッと嫌な音を立てる。 まるで月の大地だった。 月を舞台にした映画を撮影するならこれほど適したロケーションは他にないだろう。 これがあの自然豊かな北海道《バグネスト》の姿なのかと思うと、大翔はやりきれない気持ちになった。 しばらく歩いて、剥き出しのコンクリート片の上に立った。 ここなら埃が舞う事も無い。 大翔はそのコンクリートの上で器用にストレッチを行った。 できるだけ筋肉をほぐしておかないと、ゼロの負荷に耐えられず肉離れを起こす。 最悪は靭帯断裂もありうるのだ。 事実、ゼロの実験中に故障したテストパイロットの数は枚挙に暇ない。 「しっかし、ゼロでこのザマだ。ゼロワンのパイロットなんて人間につとまるのかよ。まっ、俺のしったこっちゃないけどな」 大翔は汗だくになるまでストレッチを続けた。 「結城二尉。ゼロの起動準備が整いました。速やかに帰投してください」 インカム越しのロバイン三尉は、まるで怒ったような声に聞こえる。 もう少し愛想が良ければ可愛いんだけどなあと大翔は考えながら、インナースーツのドライモードで汗を乾燥させると、コンテナに戻った。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 2 ~摩周湖~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) 摩周湖のほとりで、釣り糸を垂らす少女が一人。 竿はなく、糸だけが濁った湖面に沈んでいる。 かつてはアイヌ民族から神聖な湖として崇められ、驚くほどの透明度を誇った聖なる湖。 それが摩周湖だった。 そんなアイヌ民族が自然神として親しんでいた摩周湖も、いまでは濁りきった湖でしかなかった。 湖心に浮かぶカムイッシュ《神の島》や、東岸のカムイヌプリ《神の山》も、今はもうその原形を留めていない。 唯一の救いは、砂漠化はしておらず、まだ草木が多少なりと残っているということだろう。 少女の瞳は絶滅した蝦夷狼にも似た鋭さを持ち、真剣そのものだった。 学徒自衛官養成学校の制服をまとっているが、どうみても生徒には見えない。 中学から高校生くらいの年恰好。赤い燃えるような髪の毛をツインテールにした寡黙な少女。 この釣り糸には今日の飯の種がかかっている。 ここ二日余り水と木の根しか食べてない少女にとって、魚釣りは遊びではなく、立派な狩猟行為なのだ。 少女の脇には、身の丈二メートル近くある初老の偉丈夫が、大地に根を生やしたかのように立っていた。 偉丈夫はアイヌの民族衣装《アットゥシ》を纏い、顔や腕に独特の刺青を彫っていた。 糸を垂らすこと一時間。 その間二人は、まるで自然の一部であるかのように振舞い、事実風景に溶け込んでいた。 微かに糸が張る。 少女は焦ること無く、指先を器用に動かし糸に緩急を付ける。 糸には手作りの疑似餌が付いていた。 湖中では、それが生きた昆虫のように蠢いているのだ。 大きなアタリが少女の指へ伝わってくる。食いついたのだ。 頑丈なテグスならば、このまま一気に釣り上げれば良いだろう。 だが、この糸は服の繊維を解き、幾重にも編んで作った手作りの糸だ。 伸縮性はあるが、強度はいまひとつだった。 少女は根気よく時間をかけて獲物を弱らせ、完全に体力を失ったニジマスを釣り上げた。 「よくやったな美羽。美優も喜ぶだろう」 初老の偉丈夫は、少女美羽にそう声をかけると、ニジマスを腰に吊るした麻袋の中に入れた。 「もう一匹釣っていい?」 「駄目だ。今は数を増やさなければならない。三日に一匹だ」 偉丈夫はそういうと、未練がありそうな美羽の腕を掴み、摩周湖を後にした。 ;(背景:フェード) ;(背景:) 「シャクシャインはどうして配給を貰わないの?」 帰路の途中、美羽はシャクシャインと呼ばれる偉丈夫に尋ねた。 「国からの施しは受けない」 ぎろり、とシャクシャインが美羽を睨む。その眼光に美羽は思わず怯んだ。 「わたしはこんな生活でも構わない。だけど美優が可哀相だよ」 美優とは美羽の妹である美優のことだ。 「美優を連中に引き渡したいのか?」 「そうじゃないけど。美優のために配給を貰うのは正当な権利じゃないの? 連中はここをこんなに滅茶苦茶にしたのよ。その責任は負うべきだわ」 「もちろん奴等はそれ相応の報いを受けるべきだ。だが連中からの施しは受けん。これは誇りの問題だ」 シャクシャインはそれきり黙ってしまった。 そうなるともう話しかけてもで返事が返ってくる見込みはないので、美羽も黙るしかなかった。 約数十分。 平坦な荒野を歩いてゆくと、元々は旅館かホテルだったと思われる廃虚のビルがあった。 恐らく数十階建てだったのだろうが、二階より上は吹き飛ばされており、剥き出しになった二階と、かろうじて雨露をしのげる一階部分、それに地下室があった。 ここが美羽とシャクシャイン、そうして二人の会話に出てきた美優の住居であった。 ;(背景:フェード) ;(背景:) 美羽とシャクシャインが廃ビルの手前まで来ると、彼らの気配を感じたのか、ビルの中から真っ白な肌をした蒼い髪の少女が飛び出してきた。 彼女もまた、美羽同様に制服を着ているが、学校に通っているかどうかは定かではない。 「おかえりなさい。おねえちゃん。おとうさん」 美優は美羽に抱きついて抱擁してもらう。 そうして美羽から離れると、今度はシャクシャインのにしがみつく。 シャクシャインは美優を軽々と持ち上げると、そのまま廃ビルへと向かった。 五歳で両親と死別し、美羽と共にシャクシャインに拾われて育った被災孤児の美優。 三人で暮らすようになって一〇年の歳月が流れたが、まだ二人が狩りに出て家を空けると、待っている時間に不安がつのる。 ;(背景:フェード) ;(回想始) ――五歳だった当時、運良く生き残ったものの、いくら待っても両親は戻ってこない。自分の周りには沢山の人が倒れていた。みんな動かなかった。 美優自身もショック状態に陥っており動けなかった。 このまま死ぬのだろうと、幼いなりに美優は感じ取っていた。 両親の生死も分からず、死体が積雪によって埋もれてゆく様を見ていると、自分もこのまま雪に埋まって死ぬのだと思った。 それでも良かった。生きたいという気持ちはあったが、助かるとはとても思えなかった。 僅か五歳の少女をそこまで悲観的にしてしまうだけの地獄がそこにはあった。 そんな、泣く気力すら失い、壊れた人形のように横たわっていた美優を抱き上げたのは、太い腕の偉丈夫、シャクシャインだった。 彼女の小さな命は、シャクシャインの大きな腕の中に収まることで九死に一生を得た。 ;(回想終) ;(背景:) そんな美優の抱擁には、無事に帰って来た二人への感謝と安堵の意味が込められていた。 「今日はニジマスを釣ってきた」 「やったー。じゃあ腕によりをかけて料理するね」 美優はシャクシャインに頼んで地面に降ろしてもらうと、彼の腰に付いた麻袋を解いてビルの中へ急いで戻っていった。 「早く早く」 廃ビルの入り口で、美優が手招きをする。 「さあワシらも帰ろう」 シャクシャインが美羽の肩に手を添える。 その大きな掌は、美羽に絶対の安心感を与えてくれた。 ;(背景:フェード) ;(回想始) ――爆風で記憶のほとんどを失い、歳も自分の名前すら分からぬまま彷徨っていた幼い自分。 泣いても叫んでも誰も助けてはくれない。 そんな日々が一週間近く続いた。 季節は冬。 飢えと寒さに凍え、雪をかじって生き長らえていた美羽の前に、大きな掌が差し出された。 掌を掴むと、その手は優しく美羽を包み込んだ。 見上げるとそこには大きな男がしゃがんでいた。 気を失う寸前、美羽は男に抱かかえられたことを知った。 それが養父シャクシャインとの出会いだった。 記憶と笑顔を無くした少女に、シャクシャインは美羽と名付けた。 ;(回想終) ;(背景:) 「うん。戻ろう」 美羽とシャクシャインは美優が待つ我が家へと帰った。 ;(背景:) そうして三日ぶりのたんぱく質をゆっくりと味わって食べると、疲れたのかそのまま眠ってしまった。 「もーおねえちゃん起きてよー、こんなところで寝ちゃいけないんだよー。行儀が悪いっておとうさんに怒られるよー」 美優が美羽を起こそうと揺さぶるが、美羽は気持ち良さそうに眠るだけだった。 「そのまま寝かせてやれ。寝床へはワシが連れて行く」 シャクシャインは、眠った美羽を軽々と抱かかえる。 「あーずるい。あたしも連れってってよー」 美優はそういうと、余ったもう一方の腕にぶら下がった。 「今夜は少し暑くなりそうだ。暑いからといって裸で寝るんじゃないぞ」 「はーい」 と、シャクシャインの腕の中で美優は答えるが、朝になって目が覚めると、決まって服を脱ぎ散らかしてしまっており、美羽とシャクシャインを閉口させている。 「本当だな?」 「た、たぶん。というか、がんばる」 「よし」 シャクシャインは二人を両腕に抱え、地下に作った寝床へと向かった。 今はいい。夏の間は生活にも余裕があった。 たとえブラックホールによって大地を飲み込まれたとは言え、季節は必ず巡ってくる。 長い冬をどう乗り越えるか。 それはシャクシャインにとって頭痛のタネであり、課題であった。 この極限の北海道《バグネスト》で、配給にも頼らず、ひたむきに暮らす美羽たち。 彼らはこの地、北海道《バグネスト》が、権力者たちの利権のために、再び利用されようとしていることを、まだ知らない。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 3 ~ツーアイズ・ゼロ~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) ゼロの起動実験は順調だった。 《IIS―0》これがゼロの開発コード名だ。 磁場の乱れの多いバグネストにおいて、電波障害を無効化して作業するパワードスーツ。 高度な計算能力と、分厚い装甲、携帯火器を選択することによって汎用性のある兵装を実現することから、IIS《インテリジェンスインパクトスーツ》と呼ばれた。 屋外や悪天候下での起動は始めてではないが、この粉塵が舞う、ある意味砂漠よりも性格の悪い土地で起動させるのかと思うと、レンは少し緊張していた。 階級は大翔より下の三等陸尉であったが、このIISプロジェクトチーム、通称ツーアイズチームの試験担当責任者としての全権限は彼女にあった。 本来ならプロジェクトリーダーであり開発主任の牧野一尉が担当するはずだったのだが、彼女は別の案件で忙しく、 「テストだけならロバインに任せても問題ないでしょう」 と、うっかり口を滑らしたため、バグネストに現地入りしたくない他の研究者らの賛同を得て、急遽試験担当責任者として大抜擢されたのだ。 要するに貧乏クジを引かされたのだ。 だが、レン自身は、尊敬する上司である牧野一尉直々の推薦ということもあり、必要以上に張り切っていた。 ロバインレン。一七歳になる健康でうら若き学徒自衛官。 言い寄る男性は多々あるが、自分よりも頭が良く、クレバーな男性像を理想とする彼女を射止める男性はまだ現れていない。 唯一望みがあった上司の牧野は既婚者だったのでどうしようもない。 ;(背景:) 「レンくんさあ。早く起動してくれない? マジで頼むよ。このままだと蒸し焼けになって死んじまうぜ。ゼロの空調最優先な!」 インカムから伝わる下品な大翔の声で、レンは我に返った。 なんでコイツがゼロのパイロットなんだろう。 レンはバグネスト方面隊、第一三師団、第一三戦車大隊の司令である東城一佐を怨んだ。 ;(回想始) 幾人ものテストパイロットが怪我で故障して、設計を見直すしかないと言われて落ち込んでいた時、東城一佐の推薦で結城二尉がパイロット候補として転属してきた。 約一年前の話だ。 そうしていきなり初対面で、 「キミ、可愛いね。彼強いるの? いや、いないよね。いたらもっとこう、柔らかい感じがするはずだよな。どうかな? 俺と付き合ってみない?」 と言ってのけた大翔を、レンは思わずグーで殴ってしまい、三日間の謹慎処分を食らってしまった。 屈辱に震えながら始末書を書いた記憶が鮮明に蘇える。 それは、レンの輝かしい経歴を汚す、唯一の失態であった。 なにしろ生まれてこのかた表彰はされても、反省文や始末書の類を書いたことが無いというのがレンの自慢だったから尚更である。 もちろん大翔もセクハラ行為でレン以上に重い処分を受けたが、日報のような感覚で始末書を提出している大翔とでは、その意味合いが根本的に異なる。 とにかく第一印象から最悪だった。 ;(回想終) ;(背景:) そうして大翔に対する評価は、一年経ったいまでも余り変わっていない。 それでもゼロをマトモに扱える自衛官は、いまのところ大翔くらいしか居なかった。 もちろん、ちゃんと探せば大翔以上に適正のある自衛官は居るのだろうが、ツーアイズプロジェクトにかける予算と人員では、それは過ぎた願いだった。 ;(背景:) 一五七箇所にも及ぶチェック項目をクリアして、ようやくゼロの機体に動力が伝わる。 特殊合金で組み上げられた鋼の芸術品。 最新技術の結晶である白銀の巨人にいま、命が吹き込まれてゆく。 「結城二尉。空調が入りましたよ。気分はいかがですか?」 嫌味がブレンドされた口調で、レンが訊ねる。 「最っ高だね。科学万歳。計器もオールグリーン。なんの問題もないよ」 既にゼロの中に入っている大翔は、目の前に広がる無数の計器を眺め、そう答えた。 形状記憶チタンフレーム。強化カーボン複合材による特殊装甲など。 その他できうる限りの軽量化を施したゼロの乾燥重量は八五四キログラムと、軽自動車並である。 燃料、内蔵武器の弾薬、それからパイロットである結城大翔を搭乗させると、一トンを僅かに越えるが、それでもその軽さは驚異的であった。 そのゼロが、胎児のように四肢を丸めた状態で、コンテナのハンガーに吊るされて外へと運び出される。 大きく開いたコンテナの上部ハッチに吊るされたゼロの四肢が、窮屈な檻から開放された獣のようにゆっくりと伸びてゆく。 「ジャイロバランサーチェック完了。結城二尉、準備はよろしいですか?」 「問題ない。やってくれ」 「ゼロ、投下します」 レンはトレーラーと連動した助手席のコンソールから、ハンガーのフックを解除した。 バシュッ! という音を立ててハンガーより切り離されるゼロ。 地上から一メートル高い位置に吊るされていたゼロが、ズゥウウンと音を立てて北海道《バグネスト》の大地に着地する。 もの凄い砂塵がぶわっと舞うが、防塵対策を施してあるゼロに影響はなかった。 「脚部および碗部の関節異常無し。結城二尉。室内環境訓練と同じ手順でゼロの運用をお願いします」 「はいよ」 大翔は軽く右足に力を入れる。 するとその筋肉の動きをトレースするように、ゼロの右足が持ち上がる。 インナースーツが筋肉の微細な動きをモニタし、ゼロ本体に伝えているのだ。 「操作手順にのっとり、歩行テストから始める」 ゼロに乗った大翔が実際に歩くことはない。 大翔の筋肉の反応を予測シミュレートしたゼロのコンピュータが、即座に脚を動かす。 上手く歩行させるにはコツがいるのだが、もう何百時間もゼロに乗ってきた大翔にとって、ゼロの操作は女性を口説くより簡単なルーチンワークでしかない。 二〇近くのテスト項目を淡々と消化して行く大翔。 それはまるで空手の形のように、荒々しい動作だったが、洗練され美しくもあった。 ;(背景:) 限りなく人間に近い動作を見せるゼロ。 装甲の都合上、人間に及ばない動きもあったが、逆に人間ではありえない動作をすることも可能だ。 レンは、その光景を見せ付けられる度に、悔しいがゼロのパイロットとしての大翔は一流だと認めざるをえなかった。 「ついでに新兵器の試射もやっておくかい?」 全てのテスト項目を終え、コンテナトレーラーまで戻ってきた結城のゼロが、インカムを通してレンに尋ねた。 「ちょ、ちょっと待ってください。新兵器は磁場の影響を受けるので計算してみます」 流れるようなゼロの動きに思わず見とれていたレンは、突然の大翔の提案に虚をつかれ、少し慌ててしまった。 「ロバイン三尉、磁場は問題ありませんよ。結城ニ尉の提案通り、新型レールガンの試射もやっておきましょう。バケモノが出た後では調整が間に合いませんからね」 沢井一曹は暇を持て余していたので、周囲の磁場チェックを怠っていなかった。 それに兵器オタクでもある彼女にとって、強力すぎて内地では試射できなかった最新鋭のレールガンの威力テストは、とても興味深い事項なので、いつでも試射できるよう整備を怠ったことはなかった。 「そうですか。それでは付近に難民もいないみたいですし、いつ磁場が不安定になるか分からないので、今のうちにやっておきましょう。結城二尉、聞こえていますか?」 「聞こえてるよロバイン三尉。だがキミとしたことが詰めが甘いな。本当に付近に道民が居ないのかどうか、ちゃんと調べてくれ。そのための難民マップだろう」 いつになく真剣な口調でレンに注文を付ける大翔。 レンも、大翔が自分のことを『レンくん』ではなく『ロバイン三尉』と呼んだので少し驚いていた。 ひょっとしたら初めてそう呼ばれたかもしれない。 「わ、わかりました。確認してみます」 「頼むよ。殆ど真っ平らになっちまった北海道で、レールガンなんかを水平掃射したら、流れ弾が道民を巻き込む恐れがあるからな」 「さすがですね。敬服します。また、そこまで考えが至らなくて申し訳ありません」 インカム越しに沢井一曹が呟く。悔しいがレンも同じ意見だった。 レンは最新の難民マップで難民の分布状況を調べ始めた。 数分に及ぶ検討の末、最適な試射位置が割り出された。 「網走方面に向けて試射願います。硫黄山痕に僅かな隆起部分が認められますので、それを目標としてください」 「そこなら撃っても大丈夫なのか?」 「絶対に大丈夫という保証はできません。ですが、そこが一番安全だと思われます」 「そうかい。しっかし難儀な武器だね。威力強すぎやしねーか?」 「仕方ありませんよ。あのバケモノ相手にはそれくらいの威力の兵装でないと効果ありませんから」 沢井一曹が割って入る。 「えっと、なんていったっけ、そのバケモノの名前」 「バグリーチャーです。沢井一曹もバケモノなんて言わないで下さい」 「あっ、失礼しました!」 「そう、そのバグリーチャーってのシミュレーションで何度も戦ったけど、ホントに居るのかい? 特撮とか映画じゃないの?」 「発生固体数三四体。破壊個数二九体。所在不明個数三体。捕獲個数二体。難民の死傷者数二二八名。自衛官の死傷者数六八名。すべて事実です」 レンはバグリーチャーに関するデータをつぶさに報告する。 「それもこれもこのブラックホールのおかげってわけかよ。放射能汚染がないだけ核よりマシかと思ったら、とんだ二次災害を巻き起こしてくれたな。いわゆるバイオハザードってやつか?」 「そうですね。ですが結城二尉、そのバケモノ、いえ、バグリーチャーを殲滅するためにこのゼロは開発されたんですよっ!」 熱っぽく沢井は語る。 「あーそうですか」 そんな沢井を軽くあしらい、大翔は兵装コンテナからレールガンを取り出すと、ゼロの右腕部に固定し、グリップを掴んだ。 釣竿のように伸縮した折り畳み式のレールガンが伸びる。 その長さは五メートル弱。 電磁誘導によって打ち出される高速の弾丸を加速するには、充分な長さが必要で、これでもまだ短いくらいだ。 最初の試作機は全長二〇メートルほどあり、これでようやくバグリーチャーの分厚い甲羅を粉砕できると検証された。 それから技術者たちの試行錯誤の末。ようやくこの長さまで短縮できたのである。 「レールガン試射するぞ。レンくん。方角を指示してくれ」 「北北西、現在の位置より、三〇度左に旋回してください。細かい微調整はゼロのコンピュータが行います。静止物掃射モードにセットしてください。いまデータを送りました。目標をロックオンしてください」 「ロックロン完了。電力供給問題なし。チャージも完了。よーし撃つぞ!」 「どうぞ」 大翔はレールガンを水平に構え、硫黄山に向けてトリガーを引いた。 ;(SE:レールガン) 張り裂けるような電気の咆哮と共に、光の弾道が一直線に走った。 数秒後、ドォォンというレールガンが着弾した音が、網走方面から微かに聞こえてきた。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 4 ~電磁の咆哮~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) ;(SE:レールガン) ものすごい地響きが聞こえた。 あと少しでオオアカゲラを捕まえることが出来そうだった美羽は舌打ちしながら、地響きのする方向に目をやった。 僅かに根を残した枯れ木のてっぺんへ器用に登ると、そこには土煙を上げる硫黄山の姿が確認できた。 「なによ、あれ……」 「恐らく軍の演習だろう。ここには人が住んでないことになっておるからな」 気が付くと木の下にはシャクシャインが立っていた。 その表情は暗く、苦虫を噛み潰したように歪んでいた。 「未登録であるわたしたちの存在は無視されるわけね。やはり難民登録をした方がいいんじゃない?」 「難民認定され、所在位置を特定する、発信用の刺青を彫られたいのか?」 「まっぴらごめんよ。だけどこの辺で演習なんてやられたら、せっかく戻ってきた魚や獣たちが逃げてしまうじゃない!」 美羽は取り逃がしたオオアカゲラのことを思い出し、もう一度舌打ちした。 「ワシに考えがある。美羽。美優を呼んで来てくれ。出掛けるぞ」 「わかったわよ」 美羽はシャクシャインの言葉に従い、廃ビルへと向かった。 「まったく、好き勝手なことばかりやりおる……」 土煙を上げ続ける硫黄山《アトサヌプリ》を見つめ、シャクシャインは拳を握り締めた。 美優はまだ眠っていた。 余り身体が丈夫ではない美優は、よく熱を出して寝込んでいた。 栄養が足りないというのが最大の原因だった。 それゆえに、美羽はせめて栄養のあるものを美優に与えようと、栄養価の高いものはすべて美優に与え、自分は木の根などをしゃぶって飢えを凌いできた。 いつぞやか、美優が高熱を出した時は、こっそりと難民キャンプへ忍び込み、医薬品を盗んできたこともあった。 シャクシャインに見つかり、足腰が立たなくなるまで折檻を受けたが、それでも薬を美優に与えてくれと懇願し続けた。 その根性に免じてか、シャクシャインも医薬品を捨てることはなく、美優の治療に使用してくれた。 共にシャクシャインに拾われて、姉妹のように育ってきた二人は、血の繋がりこそないが、本物の姉妹以上に固い絆で結ばれていた。 「美優起きてる? 出掛けるわよ」 美羽は美優が包っているシーツを剥いだ。 「あふぅ、おふぁよう。おねえちゃん」 「おはようじゃない。もうすぐお昼よ。それよりシャクシャインが呼んでるわ。出掛けるってさ。早く着替えなさい」 「おでかけするの?」 普段あまり外出を許されない美優は、出掛けると聞いて飛び起きた。 「そうよ。だから早く着替えてね」 「はーい」 美優はシャクシャインの肩に座って、代わり映えのしない景色を眺めていた。 何も無くても外に出るのは気分が良かった。 粉塵が肺を傷めるので、粉塵対策として、ゴーグルとマスクを被っていた。 「ひゃべりふゅらいよ」 喋り辛いと文句を言うが、シャクシャインに外したら家に帰すと脅されているので、外すことは出来なかった。 「どこまで行くの?」 もうかれこれ三時間近く歩いていた。 距離にして二〇キロ弱。 別にこれくらいの距離と時間歩いていたって美羽は平気だったが、狩り以外でこんなに遠くまで歩くのは滅多にないことだった。 それにシャクシャインの装備はキャンプ仕様で、大きなリュックにテントまで持参していた。 今日は家には帰らないつもりなんだなと、美羽は感じ取った。 「昼間に見ただろう」 「何のこと?」 「硫黄山《アトサヌプリ》が燃えていたのを見ただろう」 「見たわ」 「あれは自衛隊の演習だ。連中はこの地を灰にしただけでは気が済まないらしい。ワシらの平穏な生活を再びかき乱すつもりらしい」 「え? まさかシャクシャイン……」 「心配するな。連中と会って、話をするだけだ」 「うん、わかった」 結局その日は野宿する羽目になった。 レールガンの弾道に沿って歩いてきたが、自衛隊のキャンプ地までたどり着くことができなかった。 「明日は早い。もう寝よう」 「わーい。おとまり、おとまり~」 はしゃく美優をあやしているシャクシャインは普段の彼そのものだったが、美優が寝静まった後に見せた表情は、苦悩する男の顔であった。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 5 ~虚栄とプライド~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) ゼロの実験は順調そのもの。 進捗が前倒しになっていたので、ロバイン三尉はすこぶる機嫌が良かった。 朝の定期報告にて、開発主任の牧野一尉に「よくやったな」と、誉められたことも一役買っていた。 残された試験は特に磁場や電波障害の影響を考えないで済むテストだったので、言うなればいつでも消化できる。 それともう一つ。 これが最大の目的なのだが、バグリーチャーとの実戦テスト。 このデータ取得がこのツーアイズプロジェクト実機評価のメインテーマであった。 とはいえバグリーチャーの出現は完全にランダムなので、偶然の遭遇に頼るしかない。 最後に発見されてから、二ヵ月以上が経過していた。 いつ来るか分からない敵に、レンは重いため息を吐いた。 ;(回想始) ――最初に報告があったのは一年前。 ブラックホールの特異点から突如として現れた異形のバケモノ。 動くものを完膚なきまで破壊する狂暴な性質をもった殺人鬼。 バグネストより出ずるクリーチャーという理由で、バグリーチャーという安易でセンスの無い呼称が政府の高官によって決定された。 また、このバグリーチャーの存在は内地の人間には極秘とされ、国内はおろか、海外のメディアにも圧力をかける徹底ぶりだった。 バグネスト内では、強力な電波障害のため、誘導兵器が無効化される。 それに大型ミサイルの類は磁場の悪化を招き、現在安定しているブラックホールに悪影響を与える危険を孕んでいるので、使用は硬く禁じられていた。 バグリーチャーに対抗するには機甲部隊と連携をとった重装歩兵が、対戦車ミサイルで仕留めるか、装甲車両に取り付けたレールガンで屠るしか戦略が立てられなかった。 そのため犠牲も多く発生した。 そもそもツーアイズ・ゼロはバグリーチャーを殲滅するために設計されたわけではない。 その基本設計は、軍事機密の特殊案件に基づいて開発されていたのだが、バグリーチャー出現の報を受け、急遽、対バグリーチャー殲滅兵器として再設計されロールアウトした。 ;(回想終) 「まっ、本来の目的もロクなものじゃないんだけどね」 レンは独り言のように呟いて、無限に広がる荒野を見渡した。 目を凝らすと、遠くに人影が見えた。 難民だろうか? レンはノートパソコンのカバーを開いて、難民マップを調べたが、前方に見える人影からは何の反応も無い。 「幽霊? まさか、いえそんなありえない……」 政府が道民の保護政策を行うようになって一〇年余。 このバグネストの難民はすべて登録済であると報告を受けていた。 難民には発信タトゥーが耳の裏に刷ってあり、それによって難民の位置状況が把握できる。 人権蹂躙だという道民の反発を受けながらも、配給を均等に分配するためという理由の元、強制的にタトゥーを刷られた道民たち。 タトゥーを刷ってない道民イコール、配給を貰っていないということになる。 「じゃあ一〇年間配給無しで、この地で過ごしてきたって言うの!」 目の前の影が大きくなるにつれ、レンの動揺は増した。 友軍かも。 同じ自衛官なら発信タトゥーは付けてない。 そう思いたかったが、友軍なら識別コードもしくは事前に連絡があるはずだった。 「まさかバグリーチャー!」 レンは特異点の観測という手順を忘れ、慌ててスクランブル用のスイッチを押した。 サイレンの音で叩き起こされた大翔は、怒鳴り込むようにトレーラーに乗り込んで来た。 「なんだってんだよ、いったい!」 「識別コードを持たない移動物が前方に……。バ、バグリーチャーかも……」 レンは明らかにうろたえていた。 気が強そうな女だと思っていたが、意外と可愛いじゃないかと結城は思い直してニヤついた。 「笑い事じゃないでしょう。早くゼロの着装準備に取りかかってください」 ヒステリックにレンは叫ぶ。 「まあまあ落ち着こうよ。レンくん。とりあえずきちんとモニタで確認してみよう。な?」 大翔はトレーラーに積んである監視用モニタを人影に合わせると、最大望遠まで倍率をあげた。 ぼやけた人影にピントがあってくる。 「あのさ、レンくん。あの人影はどう見ても人間だよ」 「えっ?」 レンは慌ててモニタに視線を送る。 確かにそこに写し出されていたのは、奇妙な衣装を纏った人間でだった。 大男が一人に、その肩に子供が一人、更にその脇にも子供が一人付いて、こちらのキャンプに向かって歩いてくるのが分かった。 「人間、それも子供が二人も……」 「子供はお互い様だろ。とりあえずスクランブルは解除しといたから。レンくんはお客さんを迎える準備でもしといてよ。そうだな。とりあえず冷たい麦茶でも入れといて」 大翔はそれだけ言うと、トレーラーを後にした。 「ちょ、ちょっと、迎え入れるって、このプロジェクトは極秘で……」 だがもうそこには大翔の姿は無かった。 「だ、誰がこのプロジェクトのリーダーだと思ってるのよ!」 大翔が出ていったドアに向かってレンは悪態を吐いたが、このスクランブルの件からしても、非は自分にあり、大翔のフォローが無かったら、ゼロを民間人に見せてしまうという大失態を演じてしまうところだった。 また、レンにとって残念なことだが、大翔は人当たりが良く、ツーアイズチームから信頼を勝ち得ていた。 逆にカタブツのレンの方がチームの中では浮いた存在になっていた。 悔しいが、チームメイトも事実上のリーダーは大翔だと認めているフシがある。 レン本人ですら、半ばそのことを認めていた。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト) ;--------------------------------------------------------- ;(効果:センタリング) 6 ~偏見と謝罪~ ;--------------------------------------------------------- ;(BGM:) ;(背景:) ツーアイズチームのキャンプ地へ向かうシャクシャインたちの眼前に、二人の士官と、三名の武装した学徒自衛官が立ち塞がった。 「私はバグネスト方面隊、第一三師団、第一三特務四科に所属するロバイン三尉です。ここは我々の演習地となっており、民間人及び難民の立ち入りは禁止されています」 中央に立った若い女性士官が無表情でそう述べる。 シャクシャインは不快感を押し殺しながら、学徒自衛官らを伺っていた。 その瞳はレンではなく、隣に立つ青年、大翔に向けられていた。 シャクシャインは本能的にリーダーを見抜いていた。 銃を構えて自分たちを牽制する三人の自衛官は下士官なのだろう。 一言も言葉を発せず、黙って銃口を向けていた。 「ここは、北海道は、誰のモノでもない。貴様らはどうしてそんなに傲慢なのだ。そもそも子供が何故銃など持っているのだ」 ゆっくりと、落ち着いた口調でシャクシャインが答える。その視線は、ずっと大翔に向けられていた。 「あなたたちは難民登録されてないようですが、この近くに難民キャンプがありますので、そこで登録をお願いします」 無視されていると分かり腹を立てたレン。それでも平静を装い、話を続けた。 「その必要はない」 きっぱりとシャクシャインは断った。 「こ、国民の義務なんですよ!」 「義務だと? ではおまえたちは責任を果たしたのか?」 「ちゃ、ちゃんと配給を支給しています」 「そんなものは必要ない。よって登録も不要だ。この話はこれでおしまいだ。それよりもここへ何しに来た」 「それを説明する義務はありません。軍事機密です」 シャクシャインの問いかけはレンではなく、大翔に向けられていた。 そもそも始めからシャクシャインはレンと話し合う気はなかった。 「OK分かった。俺から説明しよう。レンくん。悪いけど席外してくんない?」 「なっ!」 「なんていうかさ、そんな頭ごなしじゃこのひとたち納得してくれないよ」 確かに大翔の言う通りだった。そのことはレン自身が良く分かっていた。 住人との交渉なんて面倒なだけだった。だったら結城二尉に任せればいい。 レンはそう結論を下した。 「分かりました。好きにしてください。そのかわり責任はとってもらいますからね」 レンは肩を震わしながらキャンプ地へと戻っていった。 「おまえたちも戻っていいぞ」 大翔は銃を構えた学徒自衛官らにも、そう告げた。 「しかし二尉殿」 「いいから、心配すんな。そんなもの構えて話し合いなんて出来ないだろ。それよりレンくんのお守り頼むよ」 「はっ、了解しました」 三人の学徒自衛官は苦笑しながらレンの後を追った。 「さてと……」 大翔は改めてシャクシャインたちを見やった。 長身で筋骨逞しい初老の男と、その彼の肩に乗った穏やかな表情の少女美優に、獣のように鋭敏な気配を放つ赤毛の少女美羽。 実に奇妙な取り合わせだった。 よく見ると二人の少女が着ているのは、学徒自衛官養成学校の制服と同じであった。 「同僚の無礼は詫びます。すいませんでした」 大翔はシャクシャインに頭を下げた。 「なぜおまえのような子供たちが武器を持っている?」 シャクシャインの問いに、大翔の眉が微かに動いた。 「学徒自衛官と言って、被災孤児たちを集めてこの北海道の再開発の尖兵として教育するって目的で編成されたんですよ」 「なんてことだ。おまえはそれで満足なのか?」 「他に選択肢はありませんでしたからね。それに、ここは俺のふるさとです。復興の礎になる覚悟はありますよ」 「政府に利用されているだけだ」 「分かってますよ。でも現場で動くのは俺たちです。命令なんて糞喰らえですよ」 「連中はそんなに甘いものではないぞ」 「そうかもしれません。ですが俺たちは北海道の復興を信じて、その一念で行動してるんです。政府からすれば捨て駒なのかもしれませんが、捨て駒なりの意地はあります」 「そこまで分かっているならもう忠告はすまい」 「すいません」 大翔はもう一度頭を下げて謝った。 「このお兄ちゃんが悪い人? そんなふうには見えないよ」 シャクシャインの肩に乗った美優が大翔の仕種を見て微笑む。 「そちらのお嬢さんは?」 「ワシの娘、美優だ。そっちの小娘は美羽だ」 「美優に、美羽か……。いい名ですね。で、アナタは?」 「お前は何者だ?」 「おっとこれは失礼しました。自分はしがない学徒自衛官の結城大翔と申します」 「ワシはシャクシャインだ」 シャクシャインの硬い表情が少しだけ柔らかくなった。 「改めて問う。ここへ何しに来た」 「政府の広報とか知らないでしょうから、かいつまんで話しますね。一年ほど前から、ここにバケモノが現れたんですよ。お偉いさんはバグリーチャーとか言ってます」 「バケモノの噂は聞いたことがある」 「それなら話しが早い。我々はそのバケモノを殲滅する兵器の運用試験に来たんですよ」 「あの光の槍か?」 「レールガンのことですね。あれでそのバケモノを退治する予定で試射したんですが、まさか硫黄山付近に人が住んでるとは思ってなかったもので……、本当にすいませんでした」 大翔は三度と頭を下げた。 「どうしてワシらがその辺に住んでると思った?」 「苦情を言いに来たんでしょう。だったら地域住民だと思うのが当然でしょう」 「そうか、まあいい。もう一度忠告しておく。いま一〇年の歳月を費やして、ようやく北海道の自然が再生しようとしている。その邪魔だけはするなよ。これはお前ではなく政府に対しての忠告だ」 「分かってます。俺だって道民です。内地の人間の好きにはさせませんよ」 「ワシらは平穏な生活を望んでいるだけだ」 「もう試射は完了しました。ご面倒をかけることはないと思います」 大翔がシャクシャインに敬礼する。そこへ……。 「あんたたちのせいでオオアカゲラ取り逃がしたのよ。どうしてくれるのよっ!」 いままで黙って会話を聞いていた美羽が飛び出してきて吠えた。 「へえ、オオアカゲラか。絶滅してなかったんだな……」 大翔は虚空を見つめ、嬉しそうに語った。 「あ、いや、悪かったな。……そうだ、お詫びにこれをやるよ」 大翔はそう言うと、腕にはめた時計を外し、美羽に向けて投げた。 美羽はそれを片手でキャッチすると、もの珍しそうに時計を眺めた。 「施しは受けん。返すんだ美羽」 シャクシャインにそう言われた美羽は、がっかりした顔をして結城の前に歩み寄り、渋々時計を差し出した。 「施しじゃない。お詫びです。俺たちの実験でオオアカゲラを取り逃がしたんだ。配給を受けてないあなたたちにとってそれがどれほどの損失なのか、俺には分かります。だから受け取ってください」 「むう……」 美羽はドキドキしながら二人のやりとりを見守った。 「こんなことを言ってはなんですが、俺には妹が居ました。生きてりゃ丁度彼女くらいの歳です。別に同情心からって訳じゃないんです。このサバイバルウォッチは絶対役に立ちまず。どうか受け取ってください」 「おまえの家族は?」 「全員死にました。俺はそのとき東京に居たんで助かりました。七歳の時です」 「そうか。美羽よ。その時計は貰っておきなさい」 「いいの?」 「ああ」 シャクシャインはゆっくりと頷いた。 「ありがとう!」 「美羽だっけ? 使い方教えてやるからちょっと来いよ」 大翔は美羽の腕に時計を巻いて、機能についてレクチャーを始めた。 「いいなあ、おねえちゃん。あたしもなにかほしいなー」 美優が不満を漏らず。 「美優には今度木彫りの人形を作ってやる」 「ほんとう!」 「ああ、約束だ」 大翔と別れ、美羽たちは帰路についた。 「あれでよかったの?」 大翔に貰った時計をいじりながら、美羽が尋ねる。 「なにがだ」 「文句を言いに行ったんじゃないの?」 「そうだな。あの青年が居れば大丈夫だろう」 「そうだね」 美羽は大翔のことを気に入っていた。 被災後、始めて見る同年代の異性の出現は、美羽自身が少女であることを思い出させるのに充分な効果をもたらしていた。 時計で懐柔されたと思われるのが癪なので、シャクシャインには内緒だったが、それ抜きにしても好感が持てる人物だった。 「美羽よ。今日はたまたま運が良かったが、内地の人間を信用するな。あの結城という青年は希有な存在だと思え」 「わ、分かってるわよ。でもアイツは信用していいんでしょ?」 「そうだな。ひょっとして惚れたか?」 「そ、そんなんじゃないわよ!」 「あーおねえちゃん。顔が赤くなってるよー」 「ち、違うわよ! 美優もなに言ってるのよ。とにかくなんでもないから!」 「わかったからそう騒ぐな」 「さわぐなー」 シャクシャインと美羽は、真っ直ぐに家路に向かった。 家にたどり着いた頃、美優はシャクシャインの背の上で、静かに寝息を立てていた。 ;(BGM:OFF) ;(背景:フェードアウト)
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fsunrise氏ツイート保管より。 快哉 尖閣漁船ビデオネットに流出、政府の及び腰への国民の反応のひとつでしょう。 内部の人が職を賭してやったことだと思いますが…政府はこれにどう対応するのでしょうか? 国内の犯人捜しに重点をおき、確実にこれを攻めてくる中国に酷い言い訳をして頭を下げまくるのでしょうか? 11月5日 それ故、海上保安官を罰する規定は…国民の権利と義務を規定する原理の自然法によるべきですから~ 国民の知る権利に対して…秘密に該当しないことを国家公務員の職務として果たしたのですから罰する 規定はないのです。彼は国家公務員としての使命を果たしたのです。 11月11日 ビデオは国民の知る権利の対象です。故に守秘の秘密には該当せず…海上保安官は公僕者として、 その職務を果たしたのです。政府に対する公僕ではなく、国民の公僕で知る権利に基づいて~ 国家公務員の服務の本旨をまっとうしたのです。 11月11日 主権の国民に説明されないまま首相の判断でした事自体…国民国家の原則から外れている! 政府という権力機関を認めるのは国民です。国民世論が納得しない超法規的措置で船長釈放したこと~ 憲法の原理たる自然法に反する行為です。 11月11日 国家公務員法~守秘義務違反?今回のビデオは誰に対して秘密?なぜ秘密にしなければならない? 船長の起訴証拠物件だから?その船長は超法規的措置で釈放~超法規的措置って国家主権が犯されたこと… 超法規的措置を検察が単独の判断でできるわけがない!主権は国民にある。 11月11日 ----- 自衛官ニュース ----- 空自三沢基地の1等空尉を逮捕 児童ポルノ製造容疑 /岩手 - 毎日新聞 ローンを組みやすい「自衛官」、老後のために58.3%が「資産運用」を実施 ~自衛官103名対象「マンション経営」に関する調査実施~|不動産投資の健美家 - 健美家株式会社 「能力不足感じ自信喪失していた」夜中に駐屯地抜けだし 実家 へ…母連絡し発覚 21歳自衛官を停職処分(北海道ニュースUHB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 頑張る理由は「元カノとヨリを戻したい」突然の電話で直談判するが...!?:CHOTeN - テレビ東京 MBCニュース | 「飲酒運転ゼロ」「被害者に支援を」長男亡くした女性の願い - 南日本放送 「性的衝動を抑えられなかった」コンビニ駐車場で下半身露出…37歳男性自衛官を 停職 女性目撃し通報(北海道ニュースUHB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース アフガン撤退の教訓を肝に銘じよ! 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http //logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/jsdf/1306254507/361 361 専守防衛さん 2011/06/02(木) 00 05 30.93 ここで、取り上げられてる娘さんのお父さんは、心の病のため、 長年、幹部学校で静養中の方です。なので、教官ではありません。 病気の具合は、皆さんがブログから感じられるとおりそのままです。 なので、そっとしておいてあげてください。 勘弁してあげてください。 http //logsoku.com/thread/kamome.2ch.net/jsdf/1306254507/434 434 専守防衛さん 2011/06/03(金) 01 25 43.60 一茶にはなっているけど、一茶の仕事は一切していないよ。 市ヶ谷の仕事の重圧に押しつぶされて、三宿の病院へ。 その後、ずっと、目黒で静養。仕事は、一切せず。 朝の課業開始時間にも出て来れず。それでも一茶の給料をもらって、 国家公務員だから安定しているなどと抜かしている。 税金泥棒と言われても仕方のない御仁である。 事の真偽は定かではなく、いたずらまたは火消しの書き込みかもしれないが、仮に事実とするならばブログなどで偉そうに「自衛官」であることを公表しているのならば、病気のことにも触れないと問題だと思う。 また、ネットやバスケに対してはある意味正常な反応を示しているのに仕事もさせずに悠々と税金で食わせている防衛省に違和感を覚える。 民間企業であればクビもしくは休職処置が取られるはずだが? ----- 自衛官ニュース ----- 空自三沢基地の1等空尉を逮捕 児童ポルノ製造容疑 /岩手 - 毎日新聞 ローンを組みやすい「自衛官」、老後のために58.3%が「資産運用」を実施 ~自衛官103名対象「マンション経営」に関する調査実施~|不動産投資の健美家 - 健美家株式会社 「能力不足感じ自信喪失していた」夜中に駐屯地抜けだし 実家 へ…母連絡し発覚 21歳自衛官を停職処分(北海道ニュースUHB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 頑張る理由は「元カノとヨリを戻したい」突然の電話で直談判するが...!?:CHOTeN - テレビ東京 MBCニュース | 「飲酒運転ゼロ」「被害者に支援を」長男亡くした女性の願い - 南日本放送 「性的衝動を抑えられなかった」コンビニ駐車場で下半身露出…37歳男性自衛官を 停職 女性目撃し通報(北海道ニュースUHB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース アフガン撤退の教訓を肝に銘じよ! 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魔法少女リリカルなのはStrikers 外伝 光の騎士 第四話 「っておい!スバル!!」 突然自分の手を振り解き地上へと降りたスバルに、ヴィータは咄嗟に叫び彼女を止めようとする。 だが、ガンダムを前にしたスバルの耳には彼女の叫びは届く事は無く、マッハキャリバーで砂煙を上げながら真っ直ぐに駆け出した。 「ったく・・・あの馬鹿・・・帰ったら敷地30週だ!!」 既に彼方へと走り去ったスバルに向かってヴィータは叫びながら怒りを露にする。 だが、露になった怒りも直ぐに消え、歳相応に相応しい笑みへと変っていった。 スバルの話を聞いていて分かってはいた、彼女も自分達と同じく、ガンダムによって救われた一人なのだろうと。 本当なら独断行動をした以上、追いかけてぶん殴って正座させて説教のフルコースなのだが、今回は仕方が無い。 「(・・・・はぁ。まぁ、昔のあたしだったら間違いなくスバルと同じ行動をしていただろうし・・・大目に見るか)」 今回は大目に見ようと思った。 『ふふ、何だかんだいっても、ヴィータちゃんも嬉しいんじゃないんですか』 ユニゾンを解き、本来の姿に戻ったリインフォース・ツヴァイはヴィータの表情を覗き込みながら訪ねた。 否、尋ねる必要など無い。ユニゾンしていたため、彼女の気持ちは既に分かっている。 ガンダムという騎士に会える事をどんなに楽しみにしているのか、そして、どんなに嬉しいのかが十分理解できた。 「まぁな、嬉しい反面、帰ってくるのが遅すぎた事に腹も立ってる。まぁ帰るっていう約束は守ったから許してやるか。 そういやリインは話は聞いてるだろうがナイトガンダムに会うのは初めてだよな?まぁ当然か、生まれる前だもんな」 「はいです!お姉ちゃんやはやてちゃん達から聞いたことがあるです!優しく強い騎士、皆を救った勇者、背中を安心して預けられる好敵手!」 「・・・・・最後は間違いなく戦闘馬鹿(シグナム)だろうな。まぁ間違ってはいないな。あいつがいなかったら今のアタシらは間違いなくいなかった。 あいつ自身は『過剰評価』って言っていたが誰もそんな事は思ってない、アタシもそう思ってる一人さ」 今思い出すだけでもゾッとする。あの時、ガンダムがいなかったら自分達は愛する主を殺していたに違いない。 否、それ所がなのは達、そして海鳴市そのものも奴の餌食になっていた筈だ。 そんな絶望的な状況から主や仲間、そして自分を救ってくれたのはナイトガンダムだった。 皆を闇の呪縛から救い、家族の一人であるリインフォースから闇のみを取り除き、共にいる時間を与えてくれた騎士。 自分は共にいた時間でなら、彼を知っている中では一番少なかった方に入るだろう。それでも彼の評価に間違いは無いと自身を持って言える。 「でしたら、はやてちゃんに早く連絡をしましょう!とても喜ぶ筈です!」 「いんや、もしかしたら別人って可能性も無くは無いから一時保留だ、先ずは会ってみないとな」 「ス・・・スバル・・・それは・・・本当なのか・・・・」 スバルが何気なく言った10年という歳月、到底信じられるものではない、だからこそ聞き返す。 驚きのあまり声が震えてしまう、頭が理解に追いつかない、「嘘であってくれ」と願う自分がいる。 そんなガンダムの表情にスバルもまた驚き、声を詰まらせる。 『冗談を言っているのではないのか?』一瞬その考えが頭を過ぎったが直ぐに打ち消す。 ガンダムの表情を見れば嫌でも理解できる、彼が現状を信じられないという事が。 だが黙っているわけにもいかない、今の自分に出来る事はガンダムの問いに嘘偽り無く答えるだけだ。 「・・・・・うん、そうだよ。ガンダムさんがスダ・ドアカ・ワールドに帰ってから10年が経ってる・・・それは間違いないよ」 ガンダムから体を離し、真っ直ぐ彼を見つめながらゆっくりと答える。 彼女の瞳を見据えその言葉を聞いたガンダムは確信した・・・・・彼女が本当の事を言っているという事を。 否、スバルの姿を見た時点で可笑しいとは気付いていた。いくら何でも2年であそこまで成長する筈が無い、相応の年月が経過しなければ不可能な事だ。 「・・・ありがとうスバル、教えてくれて・・・そしてすまない、みっともなく慌ててしまって」 「謝る必要なんて無いよ!!だって、ガンダムさんには2年前の出来事なのに、此処では10年も経っていたんだよ!慌てない方が可笑しいよ! だから・・・ガンダムさんは悪くは無いよ・・・・帰ってくるって約束を守ったガンダムさんは悪くない!!」 スバルは再びガンダムに抱きつく。まるで自分を慰めてくれるかの様な暖かな抱擁に、ガンダムは自然と身を任せてしまう。 ガンダムにとって、今は彼女の暖かさが何よりの救いだった。 「おっ!いたいた!」 上空から二人の姿を確認したヴィータは嬉しそうに声をあげながらツヴァイと共にゆっくりと降りる。 そして改めてスバルの隣にいる騎士を見据えた後、多少緊張気味に声を掛けた。 「あ~・・・・・・・オッス!!久し振り・・・・だな」 「ああ、また会えて嬉しいよ、鉄鎚の騎士ヴィータ。本当に久し振りだね」 微笑みながら挨拶を返すガンダムに、ヴィータは内心でホッとする。 この感じ、間違いなく自分達が知っているナイトガンダムだ。先ほどまでの緊張が自然に解けてゆくのを感じながらも、ナイトガンダムへと歩み寄る。 そして右手にグラーフアイゼンを展開、彼の隣にいるスバルの方を向き、ゆっくりを振り上げた後 「スバル、罰だ」 軽くスバルの頭をごついた。 「この馬鹿、勝手に行くなっていっただろ!罰として帰ったら敷地30週だ!!」 「あ・・・・あはは・・・・わかり・・・ました」 流石に自分でも悪いと思っていたのだろう。観念し、力なくうな垂れるスバルに満足した笑みを浮かべた後、再びナイトガンダムへと顔を向ける。 だが、いざ再開したものの、彼との会話や共にいた時間が極端に少なかったヴィータは先ず何を話していいのか迷い、言葉を詰まらせてしまう。 「(あ~・・・・まいったな、世間話でもしたいんだがガンダムと一緒にいた時間って極端に短いからな・・・・・話題が・・・・・)」 もしも目の前にいる相手が仕事での付き合いだけの人物なら、適当に言葉を並べればいいか 彼にそんな事はしたくはない・・・・正直に、思ったことを話したい。 数秒考えた結果、とりあえず先ず目に入った彼の姿について尋ねることにした。 「しかしお前は鎧が変ったな・・・こう、カッコよくなったな」 「ああ、この鎧のことかい?向こうで色々あってね、昔着ていた鎧と霞の鎧、そして力の盾を組み合わせて作った物だよ。 バーサルの称号を貰ってからは『バーサル・アーマー』と名付けられたんだ」 「(あの神器を使いこなしてるのか・・・・さすがだな)バーサルの称号?何だそれ?」 「ああ、『騎士の中の騎士に送られる称号』だそうだよ・・・ん?そのこは・・・リインフォースに似ているけど・・・・」 恥ずかしいのか、それとも緊張しているのか、ユニゾンを解除してからずっとヴィータの後ろでこそこそと様子を伺っていたツヴァイ。 だがナイトガンダムに見つかり目が会った瞬間、怒られたかの様に体をびくつかせ、ヴィータの後ろへと隠れた。 「ったく・・・なに緊張してんだお前は・・・」 「だって~・・・緊張しますよ~」 弱気な声をあげならもツヴァイはゆっくりをヴィータの後ろから姿を現す。 目の前にいるのは皆が心から信頼して止まず、主や騎士達、そして姉であるリインフォースを救ってくれた騎士。 ツヴァイからして見れば、本の中から突如現われた勇者の様な人物である、緊張するなという方が無理があった。 そんな態度を取るツヴァイをガンダムは純粋に可愛いと思いながらも、慌てる彼女を見据えると同時に跪き、頭を垂れた。 「お初にお目にかかります。私、ラクロア騎士団所属、バーサルナイトガンダムと申します」 「あ・・・あわわわわわ!!?わ・・・私は八神家の末っ子・・・じゃなくて・・・いえいえそうでもありますけど!!?! じっ時空管理局本局!古代遺物管理部!!機動六課所属!!リインフォース・ツヴァイ曹長でございますですぅ!!」 舌が回らずに声が裏返りながらも、ヴィータの前に出て敬礼をし、大声で自己紹介をする。 そんな彼女の姿を微笑ましく思いながらも、彼女を見た瞬間に感じた疑問をぶつけてみた。 「よろしくおねがします、リインフォース・ツヴァイさん。所でリインフォース・ツヴァイさんは彼女、リインフォースにそっくりですが・・・・・」 「はいです!ガンダムさんの事はお姉ちゃん・・・じゃなくて姉であるリインフォース・アインから聞いています。 それと敬語なんて使わなくてもいいですよ、私の事もリインと読んでください。ですけど本当に聞いたとおり、皆が認める騎士様ですね~、 こう言う紳士な所はヴィータちゃんもみなら(ゴン!!」 ヴィータの拳がツヴァイの脳天目掛けて振り下ろされ、鈍い音が辺りに響き渡る。 頭を押さえ、悶絶するリインを一瞥した後、唖然とするガンダムとスバルを無視し何事も無かったかのようにヴィータは一度咳払いをし、無理矢理場の空気を誤魔化した。 「悪い、手が滑った、許せ」 「そんなわけないじゃないですかぁああああああああ!!」 まだダメージが残っているのだろう、頭を抑え、涙目になりながらも突然の暴挙に出たヴィータに抗議をするツヴァイ、 だがヴィータは最初から聞こえていないかの様に無視を決めこむ。 「まぁ、リインが言ったことに間違いは無いな」 「ヴィータちゃんが紳士じゃないって所ですかぁ~?」 先ほどのお返しなのだろう、挑発するように言い放ッた後、直ぐにガンダムの後ろへと隠れる。 流石にガンダムを押しのけてまで鉄拳制裁をする気にはなれないのだろう、悔しそうにガンダムの後ろからニヤニヤと様子を伺うリインを睨みつけた後、 諦めたかのように深く溜息を一回、自身の怒りを仕舞い込んだ。 「皆が認める騎士って所さ、それに関しては間違っていないとはっきり言えるな」 「そんな事は無いよヴィータ、私はまだまだ未熟、皆が思っているような騎士ではないよ。このバーサルの称号も私にはもったいない位だと今でも思っている」 その発言に真っ先に噛み付いたのはスバルだった。誰が見ても分かるほどに口をへの字に曲げながら抗議を開始する。 「そんなこと無いよ!ガンダムさんは騎士の中の騎士だよ!誰がなんと言おうと・・・・・ガンダムさん本人がそうで無いと言っても私は曲げないよ!ガンダムさんがバーサルナイトだって事実は!!」 「スバルの言う通りだ、お前はもう少し偉ぶってもいいぞ・・・つーか少しは偉そうにしろって。 だけどそうなると今度は『バーサルナイトガンダム』って呼ばなきゃ駄目か?・・・・・・うん、長いから却下だ。だけどシグナムが黙って無いだろうな。 お前の今の姿、そしてそのバーサルの称号の由来、ガチの模擬戦は覚悟した方がいいぞ」 「ははは・・・でも彼女も元気そうでよかった。シグナムとは一対一での戦いを約束しているからね、一人の騎士として彼女との戦いは楽しみだよ」 「ああ、出会って早速申し込まれるかもしれねぇな、『いざ勝負!』って。なんたって10年ぶりなんだから・・・どうした?」 『10年』、その言葉が出た途端スバルとガンダムは押し黙ってしまう。 何か不味いことでも言ってしまったのか?ヴィータは慌てて会話の内容を思い出すが、ガンダムは無論、スバルも押し黙ってしまう様な事は言ってはいない。 考えても分からない以上、聞くしかない。早速ヴィータが聞こうと口を開こうとするが、それより先にスバルがヴィータを見据え、話し始めた。 「・・・・そうだったのか・・・・・ごめんな、ガンダム。辛いのに無神経で」 「謝らないでくれヴィータ、話を切り出さなかった私に非がある」 「・・・そう言ってくれると助かる、だがお前の世界では2年でこちらでは10年・・・・・・此処まで時間の流れが違う世界なんて聞いたことが無いぞ。 まぁお前の世界そのものが未だに未発見の次元世界だ・・・・常識なんかが通用しないのかもしんない・・・ああ、めんどくせぇ話は後だ!」 帽子に守られていない後頭部を乱暴に書きながら無理矢理話を終らせる。 先ずは『何故ガンダムが来たのか』より『ガンダムが帰ってきた』という報告をする方が優先順位(関係者限定)としては圧倒的に先だ。 だからこそヴィータは空間モニターを開き通信を開始した、自身の主『八神はやて』が指揮する後方支援隊『ロングアーチ』へと ・機動六課管制室 ほの暗い機動六課管制室に鳴り響く通信音、オペレーターの一人アルト・クラエッタは即座に対応、 直ぐに後ろで指揮をしている、部隊長・八神はやてへと回す。 「八神部隊長!現場に向かったスターズ02・ヴィータ副隊長から通信です!」 「ありがと、直ぐに回して」 時間からしてそろそろだと思っていた。 おそらく・・・否、間違いなくうちの子達と自慢のストライカーズ達は任務を成功させてくれているに違いない。 だが、万が一という事もある、特に今回は急な出撃、現場で活動できたのは結果的にストライカーズ達とヴィータ、そしてリインだけの筈だ。 その上今回はガジェット殲滅だけではなく自然保護局員達の救出も含まれている。正直戦力的に完遂は難しいと思う、ある程度の被害は覚悟した方がいいかもしれない。 色々と頭の中で被害の予想を立ててしまうが、予想を立てた所で結果は変らない。 「(・・・あかんな、ネガティブな考えは・・・・・部隊長が隊員を信じなくてどうするんや)」 少しでも部下や家族を信じなかった自分に自己嫌悪しながらも、直ぐに気持ちを切り替え、画面に映るヴィータに瞳を向けた。 結果から言えば、ヴィータが報告した内容は心配した自分が馬鹿らしく思える程完璧な内容だった。 ガジェットはすべて破壊、保護対象だった自然保護局員達は無論、ストライカーズやヴィータ達にも怪我は無い、オマケにレリックも回収、 文句のつけようの無い完璧な結果を齎してくれた。 「さっすがヴィータ副隊長とリイン曹長!!そして六課が誇るストライカーズ!!」 指を鳴らし、皆の心境を代表するかのように歓喜の声をあげるシャリオ・フィニーノにグリフィスは満足そうに頷き、 アルトとルキノは互いを見据え嬉しそうに微笑む。 はやてもまた、早速モニターに移るヴィータに労いの言葉を掛けようとしたが、ふと彼女のバツが悪そうな表情に言葉を詰まらせた。 「・・・?ヴィータ?どないしたん?」 『あ~・・・・いや、実はアタシらが来た時にはすべて解決してたんだ。ガジェットを全滅させたのも、 自然保護局員達を助けたのも、レリックを守りきったのもアタシらじゃない』 歓喜に包まれたロングアーチが一瞬で静かになる。否、固まったといった方が正しい。同時に皆が疑問に思う、『誰がやったのか』と。 「(ヴィータ達やない?・・・・・せやけど此処までの事をするとなると相当腕の立つ人に間違いは無い。それに人命救助やレリックを大人しく渡した以上、 こちらの敵ではないと見るべきか?もし怪しい人物ならヴィータが黙ってるはずが無いし・・・・・一応警戒はしとこうか)ヴィータ、詳しい報告を。 出来ればその人にも会ってみたい・・・・お願いできる?」 隊長であり、主でもあるはやての頼みに、ヴィータは『まってました!』と言いたそうな表情で答える。そして 『経緯なら直接聞いてくれ、10年ぶりに帰還したアタシらの勇者に!』 『えっ!?ヴィータ!!?何を!?』 ヴィータに無理矢理空間モニターの前に引っ張られたため、ナイトガンダムは慌てた声をあげながらその姿を映像越しにロングアーチの前に晒す事となった。 突如現われた小さな傀儡兵の様な物体、皆が言葉を詰まらせるは当然だ・・・・一人を除いて ガタッ!! 沈黙するロングアーチに響き渡る物音、全員がその音がした方向へと振り向く。 クリフィスにいたっては近場にいたため、その音が何なのかが直ぐに分かった。はやてが急に立ち上がった結果、座っていた椅子が後ろへと倒れた音だ。 そして全員がはやての表情に驚いてしまう。目を見開き、心から驚いている表情。この様な表情は此処にいる誰もが見たことがない。 だが唯一分かる事がある、それはははやてが今映し出されている傀儡兵の様な者を知っているという事。 そんな皆の予感は的中する。内から湧き出る驚き、懐かしさ、嬉しさを必至に堪え、はやては名を呼ぶ・・・・・その騎士の名を 「ガン・・・ダム・・・さん・・・・・なんか」 『ガン・・・ダム・・・さん・・・・・なんか』 空間モニターに移る女性に名を呼ばれたガンダムは、直ぐに返事をすることが出来なかった。 自分を驚きの表情で見据える女性・・・・・自分は彼女の事を知っている。 あの時は車椅子が無いと動くことも出来なかった少女、だがそれも10年という歳月の前では過去の出来事だ。 今ではで二本の足でしっかりと立ち、美しい女性へと成長した夜天の主 「・・・・はやて・・・・八神はやて・・・・本当に久し振りだね・・・・」 驚くはやてとは対象に、ナイトガンダムは笑顔でその女性の名を呼んだ。 「ほんまに・・・ほんまにガンダムさんなんやな!!?嘘付いたら承知せんよ!!?」 『ああ、君たちにとっては10年ぶりだね・・・・・けどスバル同様、元気に、美しく成長した』 世辞などの感情が一切感じられない心からの言葉に、はやては顔を赤くし、てれを隠すかのように俯く、 だが、ふとガンダムが呟いた言葉に引っ掛かりを感じたため、再び顔を上げ彼を見据えた。 「ちょいまって!?ガンダムさん、さっき『君たちにとっては10年ぶり』って・・・・どういう事や!?」 『横から失礼するぞ、それについては後で話すよ。あたしやスバルは無論、ガンダムでさえあたしらと同じ・・・いや、それ以上に不可解に思ってるからな。 とりあえす、積もる話は六課に戻ってからで・・・』 横から割り込み、話に区切りをつけたヴィータに、はやては高ぶる感情を抑えこむと同時に、今後の指示を簡潔に伝える。 そしてもう一度モニター越しに写るガンダムの姿を名残惜しそうに見つめいた後 「それじゃ、六課でまっとるから・・・なのはちゃんの台詞を取るけど、色々おなはしきかせてぇな・・・」 通信を切った。 「・・・ふぅ~・・・」 通信を終えた後、はやては深く息を吐くと同時に既にグリフィスが起こした椅子に倒れこむ様に座る。 だがその表情は心からの嬉しさがにじみ出ている笑顔、常に顔を合わせているグリフィスでさえ、その笑顔に自然と心を奪われ見惚れてしまう。 「なんや~グリフィス君?私の顔じっと見てぇ~?」 既にグリフィスの視線に気が付いたのだろう、はやては悪戯心満載の笑みで隣にいるグリフィスを見つめる。 目が合った瞬間、グリフィスは面白いように慌てふためき、後ろへと下がりながら必至に否定しようとするが、根が真面目な分、言い訳の言葉が出で来ない。 そんな幼馴染を可哀想に思ったのか、シャリオが『自分も混ざってからかいたい』という感情を押し殺し、助けに入った。 「ですけどはやてさんはあの・・・・人?のことをご存知なのですか?」 「私も気になります!?見たことも無い種族でしたし・・・それに八神部隊長の凄く嬉しそうな表情・・・是非教えてください!」 シャリオに加え、アルトもまたガンダムについての説明を求める。ルキノも声には出さないものの、気になっているのだろう、二人と一緒にはやての方へと顔を向けた。 「う~ん、詳しい事は本人の紹介と一緒でな。まぁ簡単に言うと、私や守護騎士の皆、そんでなのはちゃんやフェイトちゃん達を救ってくれた勇者様って所やな」 「み・・・・皆さんを・・・ですか?」 ようやく我に返ったグリフィスを含め、はやて以外のロングアーチの面々はその言葉に只唖然とする。 外見で判断してはいけないのだが、見た感じではどう見ても強そうには見えない。 だが、ヴィータの報告からして今回の事件を解決したのはそのガンダムという騎士だ、はやての言葉は嘘では無いのだろう。 「なんや?皆疑っとるんか?まぁ、初めてガンダムさんを見たら強そうって印象は抱かないかもしれない・・・・・私も可愛いっておもっとったし。 せやけどな、ガンダムさんは強いでぇ~。ちなみに分かりやすく言うとな、シグナムが好敵手と認め、私達と本気の戦いが出来る程度って所や」 余りにもわかりやすい例えに、皆は唖然としながらもガンダムの評価を改める、同時に『見かけで判断してはいけない』と言う事を再認識した。 「・・・・・(バーサルナイト・・・ガンダムさんか・・・)」 ストームレイダーの嵌め殺しの窓から空を見ながら、ティアナは楽しそうにスバルと会話しているガンダムの姿を瞳だけを動かして見つめる。 副隊長であるヴィータが現場に向かってから数十分、彼女は見たことも無い種族と一緒に帰ってきた。 先ず彼らを迎えたのは自然保護局員の皆だった。全員が彼の無事を喜ぶと同時に助けてくれた事への感謝の言葉を贈る。 その中にはキャロの姿もあった。彼女からしてみればこの異邦人の騎士は家族も同然の自然保護局員達を助けてくれた恩人だ、当然といえば当然の行動だと思う。 その後、キャロとエリオのライトニング組はこの場に残る事となった、名目は『襲撃時の事情聴取のため』 本当は既に事情聴取は終了しており、その様な事をする必要など無かった。だがヴィータ副隊長が気を利かせたのだろう。 「久し振りに会えたんだ、ゆっくり、じっくり話をしてこい・・・・・・でも夜までには帰ってこいよ」 つまりは『久し振りにゆっくりして来い』という事だ。ちなみにチームでの行動という事でもあり、エリオも一緒に残る事になったのだが、 彼を見た瞬間、女性の自然保護局員達からは好奇の視線、一部男性の自然保護局員達からは妙な敵意を感じたのは気のせいだろうか? そのため、今ストームレイダーに乗っているのはヴァイス陸曹とリイン曹長にヴィータ副隊長、スバルにバーサルナイトガンダム、そして私、ティアナ・ランスターだ。 「はじめまして皆さん、私、ラクロア騎士団所属バーサルナイトガンダムと申します」 自分達の前で跪き頭を垂れるという初対面の挨拶の仕方に度肝を抜かれながらも、彼はストライカーズの面々とは直ぐに打ち解けていた。 彼の態度は無論、スバルやヴィータ副隊長の説明(スバルにいたいっては思い出話全開だった)もあったからだろう。 だが私はそれだけではなかった、私が自分の名を紹介した時だ、あの時 「ティアナ・ランスター・・・・もしかしてディータ殿の妹君ですか?」 兄の名が出たときには正直驚き、声を詰まらせた。そして、それが引き金になったかの様に昔の出来事を思い出す。 それはまだ兄が生きていて・・・・・そう、十年前の誕生日の時。 あの時自分は貰ったプレゼントに夢中になって兄の話を余り聞くことは無かった、だが『やさしい騎士に会った』という言葉は覚えていた。 そして数日たった日のあの夜、物音に起きた自分が見たのは、自身のデバイスを持ち出かけようとする兄の姿だった。 どう見ても遊びに行くような格好ではない事は当時の自分にでも十分理解できた、だからこそ聞いた、何処へ行くのかと。 兄は自分を起こしてしまった事を謝りながら、腰をお降ろし、自分と同じ視線で答えてくれた。 『友である騎士を助けに行く』と、そして明日には帰ってくるといい出かけていった。 おそらく・・・・いや、間違いなくあの時兄が言った『優しい騎士』そして『友である騎士』というのはガンダムで間違いないだろう。 時間の経過、そして彼が私の名前を聞いただけで兄の妹だと分かった事、疑いようが無い。 正直、兄が言っていた騎士に会って見たいとは思っていたし、兄もまた自分を紹介する予定だったらしい。 だが彼は一ヶ月も経たずに自分の世界に帰り、兄も帰らぬ人となった。 「(その騎士が目の前にいる・・・・神様も面白ことをしてくれるわね)」 兄は無論のこと、ヴィータ副隊長やリイン曹長、そしてスバルの態度からしてあの騎士がどんな人物なのかは大体予想が付いた。 簡単に言うと『とてもいい人』だと思う、そうでなければ皆の接し方に納得がいかないからだ。 「(・・・・・今度・・・お兄ちゃんの事聞いてみようかな・・・・・)」 いつの間にか視線だけではなく顔そのものを窓から見える風景から楽しく話す二人へと向けていた。そんなティアナの視線を感じ取ったスバルが 楽しそうに手招きをし、自分を誘う。 本当ならスバルの誘いに乗りたい。だが、自分が会話に参加するとなると、必ず伝えなければいけないことがある、兄『ディータ・ランスター』の死を。 もしこの事を伝えたらスバルは無論、おそらくバーサルナイトガンダムも自分の事の様に悲しむだろう。そしてこの場の空気を濁してしまうに違いない。 今の同僚の気持ちを駄目にはしたくは無い。この事を伝えるのはいつでも出来る。 だからこそ、ティアナはわざと空間モニターを出現させ、事後報告書を入力し始める・・・参加しない事を表すために。 「挨拶は済ませたから私は後にしておくわ。それに、今のあんたの事だから事後報告書とか忘れそうだしまとめてやっておく・・・・後で苺パフェ奢りなさい」 「ティア・・・・うん!ありがと。ジャンボサイズ奢るね」 「アンタの言う『ジャンボサイズ』はやめてね・・・・普通でいいわ・・・・・ん?」 スバルが言うジャンボサイズを想像した瞬間、顔を引きつらせながらも律義に通常サイズを頼むティアナ、 そんな彼女の瞳が偶然、ガンダムの後ろの嵌め殺しの窓から、ある光を捉えた。 青空と白い雲しか映さない窓、その中に現われた一つの桃色の光。何も知らない人なら警戒などをするだろう。だが、知っている側からすれば警戒をする必要など無い。 あの光・・・魔力光を放つのはあの人しかいないからだ。 おそらく既に着艦することを伝えたのだろう、後部ハッチが開き、強風がガンダム達を襲う。 そしてその風に先導されるように一人の人物が降り立った。 ティアナにとっては完璧とも思える隊長 スバルにとっては憧れの存在 そしてバーサルナイトガンダムにとっては10年ぶりに再会する強い意思を持った少女 降り立った女性は、スバルの隣にいるガンダムを見つめると同時に瞳に涙を溜めながら笑みを浮かべる、そして 内から湧き出る思いを抑えきれずに駆け出し、ガンダムに抱きついた。 突然の隊長の行為にスバル達は唖然とする、だがそれ以上に抱きつかれたガンダムは突然の事に何が起こったのかさえ分からない。 だが直ぐに冷静さを取り戻し、何が起こったのがを瞬時に整理する。 自分は先ほどヘリコプターに入ってきた女性に抱きつかれている。そして、自分はその女性に見覚えがある。 あの時はまだ少女だった、真っ直ぐな気持ちと強い心をもった魔法使い。その身からは信じられないほどの魔力を秘めながらもその力に溺れる事無く、皆のために振るった。 はやて同様彼女も大きく、そして美しく成長した・・・・そんな彼女達を見るたびに自分が時間に取り残された感じに陥るが それ以上に彼女達が元気に成長した嬉しさの方が遥かに大きい。 「(フェイトやユーノ、クロノにギンガ、アリサにすずか・・・・彼女達と出会うたびに驚くのだろうな・・・・)」 そんな事を思いながら、ゆっくりと彼女の体を離し、顔を見据える。そして指でそっと流れ落ちそうな涙を掬う。 「・・・・駄目だよ、隊長がベソなんかかいては」 「ガンダムさんが・・・悪いんだよ・・・皆を待たせるから・・・心配するから・・・」 「・・・すまない・・・でも、これだけは言わせてほしい・・・・ただいま、なのは」 「うん、お帰りなさい、ガンダムさん」 「そっか・・・・ヴィータちゃんが驚くなって言っていたけど・・・そんな事が・・・」 「ああ・・・・・だけどすまない、こんなに時間が経つとは思っていなかった・・・・」 「ガンダムさんが謝る必要なんて無いよ、約束を守って、無事に帰ってきてくれたんだから」 邪魔をしてはいけないと思ったのだろう、ガンダムとなのはの会話をスバルはティアナの隣でニコニコしながら聞いており ティアナは視線を窓から見える街の景色に向けながらも、その瞳は街ではなく窓に映るガンダム達の姿を、そして両耳でしっかりと会話の内容を聞いていた。 正直な所、ティアナは驚いていた。 自分は隊長である『高町なのは』を『完璧な人間』だと思っていた。 魔法の才能、若くしての今の地位、そして誰もが認めるカリスマ性、どれをとっても遠い存在、自分とは住む世界が違う人間だと思っていた。 だが今の彼女はどうだろうか? 楽しそうに微笑み、驚いた表情をし、声を出して笑う、其処には自分が感じていた『高町なのは』は微塵も感じられない、友達と話す只の少女だ。 そう感じると同時に自分自身の視野の狭さに情けなくなる。 確かに『高町なのは』は自分が思っている様な『完璧な人間』だという考えは変らない。だがそれだけではないのだ。 彼女は優秀な魔道師であると同時に自分達と同じ女の子、決して仕事や戦いの世界だけで生きる人間ではない。 もしそんな人間なら、この様に心から楽しく笑ったりすることなど出来る筈が無いからだ。 「(・・・楽しそう・・・なのはさんも普通の女の子だったんだな・・・・)」 強さや功績などが原因で彼女を『強い魔道師』として見る者は多い、自分もその一人だった。 だがいざ戦いから離れれば、自分達とそう歳が変らない女の子なのだ。 「(今度・・・・スバルと一緒に誘ってみようかな・・・・・・)」 最近見つけた美味しいケーキを出してくれるお店、今度の休みになのはを誘ってみようと思う。 仕事や訓練の話しは一切無し、、一人の女の子として高町なのはという人物と話してみたい。 数時間前の自分だったら『図々しい』『すむ世界が違う』などと理由をつけてそんな事考えもしなかっただろう。 だが今はそんな気持ちは微塵も無い、今まで自分が無意識に隔てていた壁を崩したい。だたその気持ちで行動しようとしている自分がいる。 「まったく・・・・・馬鹿スバルの猪突猛進振りが移ったのかしかね?」 「・・・ん?なんかいったティア?」 最後の言葉だけは自然と口に出してしまった。 小さな呟きだったのだが、近くにいたスバルには聞こえたのだろう、キョトンとしながら自分を見つめるスバルに、 ティアナは誤魔化すかのように軽くデコピンを一回、そして 「スバル、やっぱりパフェじゃなくてケーキにするわ、一人前多くね」 デコピンをされたオデコを抑えながら何が起きたのか混乱しているスバルをよそに、ティアナは予定変更だけを良い再び視線を窓の外に戻す。 その視線の先には、これからストームレイダーが降り立つであろう自分達の本部、機動六課本部隊舎が見えてきた。 ヘリポートにゆっくりと着陸したストームレイダーを待っていたのは、待機していた整備員数名、そして 「来たわよ!ザフィーラ!!」 「気持ちは分からんでも無いが落ち着け」 白衣を羽織った女性と蒼い毛並の大きな狼、傍から見れば妙な組み合わせだが、そう思うのは彼女達を知らない者だけ、 此処に配属されてる以上、待機している整備員達は無論知っている、 夜天の主にして此処の部隊長『八神はやて』の守護騎士『湖の騎士シャマル』と『盾の守護獣ザフィーラ』 此処では無論、管理局の中でも知名度は高い。 そんな二人が仕事(シャマルは医務官、ザフィーラははやての警護)を中断してまで此処に来ることに疑問を感じるのは当然である。 だからこそ緊張する者、そして「誰かが大怪我をしたのか?」「凶悪犯を捕まえたのか?」などと、こそこそと小声で話したりする者達がいても可笑しくは無い。 ヘリの後部ハッチと操縦席が開く、先ず出て来たのはスバルとティアナ、そして操縦席からはヴィータ。 整備員達が『お疲れ様です』と敬礼で労うと同時に後部ハッチから部隊長のなのは、そしてバーサルナイトガンダムが出てきた。 隊長であるなのはにも挨拶をしようとしたのだが、彼女の隣にいる小型の傀儡兵のような者を見た瞬間、敬礼をしようとした手を止め、言葉を詰まらせてしまう。 ナイトガンダムに関しても、傍から見れば変った傀儡兵にしか見えないだろう。だがそう思うのは彼を知らない者だけだ。 当然今固まっている整備員達は彼の事を知らない、だからこそこの態度も当然といえば当然である。 中には「何だ?」「秘密兵器か?」など、好奇の視線を向けながらヒソヒソを話し出す者も出てきた・・・・その時 「言いたい事があるならはっきりと言え!!(言いやがれ!!)」 ザフィーラとヴィータの怒声が周囲に木霊し、ヒソヒソ話をしていた整備員達と一気に黙らせた。 一気に押し黙りうな垂れる整備員を他所に、シャマルとザフィーラは小走りにナイトガンダムへと近づく、10年ぶりの再会を祝うために。 「おかえりなさい・・・ガンダムさん。本当に久し振り」 「よく無事に戻ってきた、騎士ガンダム。主共々、お前の帰りを心待ちにしていたぞ」 「ああ、ただいま、湖の騎士シャマル、そして盾の守護獣ザフィーラ・・・・二人とも変らず元気でよかった」 シャマルが一歩近づき、腰を下ろす。そしてゆっくりと優しくガンダムを抱きしめる、突然の彼女の行動にビックリしながらも、 自然とガンダムも彼女を抱きしめる、互いに再開の喜びを分かち合うかの様に。 「ごめんなさい・・・整備員達の態度に不快な思いをさせてしまって」 「気にしないでくれ、MS族が確認されていないんだ、彼らの態度は当然だよ」 「ったく、相変らず甘いって言うか易しいって言うか・・・・まぁ、それがお前のいい所でもあるんだけどな・・・だけどこの視線はどうにか何ねぇのか? こんなんじゃ体がもたないだろう?」 ヘリポートでの再開の後、ガンダムはヴィータとシャマルに連れられ六課本部隊舎の中を歩いていた。 やはり自分という種族が珍しいのだろう、その上此処では有名な守護騎士達と歩いているのだ、すれ違う人々は整備員達が向けたような視線を向ける。 だが仕方が無いと思う、自分の様なMS族は珍しいし、10年前も本局でこのような体験はした。言ってしまえば慣れてしまった。 「心配してくれてありがとうヴィータ、やはり君は優しい子だね」 「なっ・・ば・・馬鹿!!何言ってんだよ!!あ・・あたしは報告書書かなきゃいけないから行くぞ!!あとはシャマルに連れて行ってもらえ!!!」 純粋に褒められた事に、ヴィータは顔を真っ赤にしながら怒鳴り散らした後、機械の様な動作で回れ右、全力疾走でその場から逃げるように離れた。 あっという間に視界から消えたヴィータをポカンとした表情で見ていたガンダムはゆっくりとシャマルの方へと首を動かす。 「・・・私は・・・彼女を怒らせるようなことをしたでしょうか?」 「ガンダムさん、世の中には恥ずかしくて素直な気持ちを表せない子もいるのよ。ちなみにああいうのを『ツンデレ』って言うらしいわ」 「『つんでれ』・・・・・ですか」 「そう『ツンデレ』。ちなみにティアナとアリサちゃんが該当するわね・・・・・あとシグナムもかしら・・・何でも『萌え属性』に必要不可欠だとか」 もしこの場にシャマル以外の人物がいたら『変な知識を与えるな』の声と共に彼女を殴り倒しても喋らせる事を止めただろう。 だがこの場にいるのはガンダムとシャマルだけ、彼女の知識の供給を止める者は誰もいない。 その結果、二人が部隊長室に付くまでの数分間、ガンダムの頭の中に無用な知識が幾つも加わる事となった。 「さっ、此処よ、中に八神部隊長・・・はやてちゃんが待ってるわ」 二人の前の前には部隊長室の扉、その扉は自動式であり、あと一歩踏み出せば空気が抜ける様な音と共に自動で扉が開くようになっている。 だが直ぐに入ると思っていたシャマルの予想に反し、ガンダムは踏み出そうとはしない、扉をジッと見据えている。 不審に思いながらも、自分が先に入ろうと一歩踏み出そうとする・・・・だが 「・・・・お待ちを」 静かに・・・だが否定を許さない声でガンダムは右手を差し出し、彼女の動きを止める。 そして差し出した手を腰に回し、バーサルソードの剣柄を握った。 ゆっくりと引き抜かれるバーサルソード、その突然のガンダムの行為にシャマルは一瞬唖然とするも、説明を求めるため尋ねようとする。 だがそれより早く、ガンダムは一歩踏み出した。自動ドアのセンサーが反応し扉が開く ガキッ!! シャマルが聞いたのは扉が開くときに聞こえる空気が抜けるような音ではない、何か金属が激しくぶつかり合った音。何が起きたのか分からず唖然としてしまう。 結果的に状況を理解するのに数秒を要した・・・・・とても簡単な答えだ。入り口にいるシグナムが扉が開くのと同時にガンダム目掛けてレヴァンティンを振り下ろしたのだ。 正に不意打ちと言っても良い攻撃、だが彼女が振り下ろしたレヴァンティンはガンダムのバーサルソードによって受け止められていた。 「・・・・・よく気が付いたな、殺気は無論、気配すら消していたのだがな」 「周りと違って扉の前が静が過ぎた・・・・まるで故意に場の空気を消したかの様に・・・それで怪しいと思っただけさ」 「ふっ、その腕、衰える所が磨きがかかっている、さすがは我が好敵手だ」 「ありがとう・・・といいたいけど、さすがに手荒すぎる気がするな」 流石に今の行為は度が過ぎてると思ったため、ガンダムはさりげなく指摘する。 指摘されたシグナム本人も流石にやりすぎたと思ったのだろう、声を詰まらせた後、素直に謝罪した。 そして謝罪後、ゆっくりと腰と落とし、シャマルやなのは同様ガンダムを優しく抱きしめた。 「よくぞ帰ってきた、騎士ガンダム。好敵手として、共として、帰還を心から祝おう」 「ありがとう、そしてただいま、烈火の将シグナム。貴方の美しさは変らず、強さにはより磨きがかかった」 「ふっ、お前にそう言われるとこそばゆいな・・・だが悪くは無い」 『積もる話は中に入ってからしましょう』というシャマルの言葉に3人は部隊長室へ。 流石に機動六課を取り仕切る部隊長の専用室、部屋の広さは指令室並、はやてとリインフォース・ツヴァイの机の他に、 来客用の大型テーブルと数人は軽々と座れるソファーが備え付けられている。 そのソファーに座り、今か今かとガンダムの到着を待っていたはやては、彼の姿を確認するないなや立ち上がり駆け足で近づく そして皆と同様に抱きつき、心から再開の喜びを表した。 「あ~!やっぱりガンダムさんや!ほんまお帰り!!」 「ああ、改めてただいま、はやて。もう走れるほど歩けるようになったんだね、本当によかった」 「当たり前や、もうあれから10年たってるん・・・・・・そうやな、早速で悪いんやけど先ずはそれについて教えてくれない?」 途中遅れてきたなのはとツヴァイも加わり、今部隊長室には重要な会議を行えるほどの人物が揃っていた。 それぞれがソファーに座り、シャマルが入れてくれたお茶を味わいながらひと段落着く。 そして頃合を見計らったところではやてが話を切り出した。 皆が沈黙し、注目する中、ガンダムはゆっくりと10年前、皆と別れてからの出来事を話し始めた。 伝説の巨人との戦い、ガンダム族の末裔達との出会い、そしてなぜか記憶が途切れ途切れになっているジークジオンとの戦い。 時間にして約一時間、静まり返る部隊長室にガンダムの声だけが響き渡った。 「・・・・これが私がスダ・ドアカ・ワールドから帰り、今この時までに体験した事です」 「・・・色々聞きたいこともあるけど、先ずは時間の流れやな。ガンダムさんはスダ・ドアカ・ワールドに戻ってから再び此処に来るまでに要した時間は2年。 せやけど私達が再びガンダムさんに会うまでに10年かかっとる・・・・ぶっちゃけありえへん」 次元世界同士が近い場合(航行艦を使わない程度)時間の流れに変化は無い、だが航行艦を使う距離を、転移に関する特殊な能力が無い人間が次元間移動をすると 時間の歪み(俗に言う浦島太郎の様な効果)が発生することは確認されている。 それでも『往復したら数十年経過していた』という事は無く、精々数分程度の歪みなのは実証されていた。 「次元航行、次元間移動での時間差は確認はされているけど精々数分程度、それにガンダムさんの話からしても私達の世界とスダ・ドアカ・ワールドの 時間軸はほぼ変り無い・・・・もしかして此処へ次元間移動する時に何かが起きたとしか考えられへんな」 「ありえない話しでありませんね、そのスダ・ドアカ・ワールド自体が未だに見つからない次元世界、我々の常識が通用しないのかもしれません。 それに手掛りが無い以上、ガンダムが体験した時間の歪みを解決する事は・・・・無理かと思います」 シグナムは遠まわしに結論付け、この話を切り上げ様とする。この話題には興味があるが原因を解明する材料が不足している。 それ以前に彼が無事に帰ってきた、それで十分ではないか?この場にいる全員がその意見に無意識に同調した。 「だけど、伝説の巨人にガンダム族・・・そしてムーア界、向こうでも色々とあったんだね。でもガンダム族か。 その『アレックス』って言う騎士もガンダムさんと同じガンダム族なんだよね?何か知らなかったの?」 「いや、アレックス殿もガンダム族の末裔は自分を含めたアルガス騎士団のみといっていた。だがラクロアにもガンダムの伝説があった以上、 スダ・ドアカ・ワールドの何処かにその末裔がいても可笑しくは無いとは言っていたよ・・・・・ただ」 突然言葉を詰まらせ、俯くガンダムに皆が視線を向ける。 おそらく話そうか話すまいかと迷っているのだろう。彼らしくない言動に先ほどまで話していたなのはが切り出す 「?・・・・どうしたの?」 「これは・・・・『何となく』という曖昧な感覚なんだが・・・・・最近、自分は元々、スダ・ドアカ・ワールドの者では無いような気がしてきたんだ。 いや、今ではそんな気がしてならない・・・・・何故だか分からないが・・・すまない、忘れてくれ」 「それって・・・ガンダムさんが次元漂流者って事でしょうか?」 「う~ん・・・・そないな曖昧な感覚なら気のせいやと思うんやけど・・・・・発言者がガンダムさんやからな。気のせいで終らすには出来んな。 スダ・ドアカ・ワールドにも地球に来た時同様、次元漂流の結果とかやったらガンダムさんの『何となく』も解決するんやけどな。 何より『気付いたら記憶が無く、景色に全然見覚えが無い』って事自体、次元漂流者の症状そのものやからな。せやけど・・・・ガンダムさん」 「いや、仮に自分の事や住んでいた世界が分かっても今更帰るつもりは無いよ・・・ただ、自分の正体が不可解なのは気持ちのいいものじゃないから・・・・・それに」 頭の中に過ぎったのはあの光景、最初に自分を保護してくれた人達。 そして涙を流し、帰るなと言ってくれた少女、自分はあの時約束したのだ・・・必ず帰ると。 彼女はどうしているだろうか・・・元気だろうか。 「他の・・・・皆は元気なのかい?」 「勿論や!フェイトちゃんとリインフォースは今は用事でこの場にはおらへんけど連絡はいっとる筈や。 ユーノ君は無限書庫ってとんでもない図書館の司書長をやっとる。女性から見ても妙に美人さんに育っとるからおどろくなや~。 あとクロノ君はエイミィさんと結婚したんよ。今では二児の父!あとで連絡をいれとかんとなぁ」 はやての楽しそうな話し方からするに、皆無事に成長し、日常生活を送っているのだろう。今は会えずとも、それを聞けただけで安心感に満たされる。 「(プレシア殿に関しては・・・・フェイトとアルフに最初に話そう)皆無事でよかった・・・それで(あ~まちまち!!!」 そして、必ず帰ると約束した子達の事を聞こうとするが、それより早くはやてが大声を上げ手を差し出す。まるで自分の発言を遮るかのように。 「実はな~、ガンダムさんにお願いがあるんや、今度うちらとスバル達ストライカーズが聖王教会からの任務で、ある世界のある場所に数日滞在する事になったんや」 ガンダムは突然の会話変更に要領をつかめないが、それ以外の人物ははやてが何をしたのかが直ぐにわかり、笑みを浮かべる。 「そんでガンダムさんにはその世界でお世話になる人のところへ行って挨拶をして来てもらいたいんや・・・・頼めるか?」 「えっ?ああ、構わないけど。でも私が言っても余計混乱するだけじゃないかな?六課の誰かが行った方がいい気がするのだけれど」 「それなら心配あらへん、なんたってガンダムさんにぴったりの任務やからな・・・・ちなみにその場所というのはやな」 机から身を乗り出し、ガンダムに顔を近づける。そして目が会った瞬間悪戯を成功させた子供の様に微笑んだ。 「場所は第97管理外世界『地球』。日本の街『海鳴市』在住の現地協力員『月村すずか』のお宅や」 月村邸裏庭 転送を終えたガンダムはゆっくりを瞳を開ける。 目に映るのは10年前、この家で庭師の仕事をしていた時にいつも見ていた光景。 まるで森の様に木々が生い茂げ、風がふくたびに揺れてさわさわと音をたてる。 これが一家庭の庭だと聞いたら誰もが驚くだろう・・・・現に自分も始めて聞いたときは驚いたものだ。 あの時、この場所で過ごした事を思い出しながらゆっくりと歩み始める。 転送ポットから半分ほど歩いただろうか・・・・いつの間にか周りには自分と一緒に歩くかの様に猫が数匹ついてきていた。 「此処は変らず猫達の楽園なのだな」 庭で仕事をしている時、剣の鍛錬をしている時、そしてリビングで寛いでいる時、そのすべての時に必ずと言っていいほど猫が一緒だった。 気まぐれといわれている猫にしては主人やここに住む住人には忠実であり、共にいることはあっても、何かの作業をしている時に邪魔をされた事は一度も無かった。 「案内をしてくれるのかい?」 その問いに数匹いる猫の内の一匹が元気よく鳴き、小走りに前へと進む。 返事をする様に鳴いたあの猫、あの時月村家で保護された時に自分を起こしてくれた猫によく似ている。 もしかしたら子供なのかもしれない。その子にまた導かれると思うと妙な運命すら感じてしまう。 暫く歩くと森を抜け、開けた庭へと出る。先ず目に付いたのはこの森とも思える庭の持ち主が住む月村邸。久し振りに見るその外観に改めて驚き、そして懐かしさを感じる。 そしてその近くから聞こえる歌声にガンダムは和らいできた緊張が一気に元に戻った感覚に襲われた。 今いる位置から聞こえる歌声、あそこは自分がすずかのために花壇を作った場所だ。其処に誰かがいる・・・否、もう聞こえる歌声で分かったしまった。 拳を力強く握りしめ、無理矢理緊張を打ち砕く。 だが不安に思う、彼女は自分の事を覚えているだろうか、待っていてくれているだろうか、緊張に続いて襲い掛かる不安に狩られながらも ガンダムはゆっくりと歩き出す・・・そして 「これでよしっ」 日課の水遣りを終えたすずかは如雨露を両手で持ち直し、先ほどまで水をやっていた花々を見つめる。 10年前、とても大切な人が作ってくれた花壇、今では季節ごとに色とりどりの花を割かせてくれる。 何時見ても心を穏やかにしてくれる。そんな花々を見つめながらも、ふと今後の予定を思い出し腕時計を見る 「たしか・・・・はやてちゃんの部隊から挨拶に来る人がそろそろ来る頃かな、今はファリンもイレインもいないし、お茶の準備をしなきゃ」 お茶とお茶菓子は何がいいだろうと考えてる最中、後ろから聞こえる猫の鳴き声に自然と振り向く・・・そこには 歌声が聞こえていた方へと向かったガンダム。角を曲がり正面を見つめる、其処で見たのは花壇に水をまく一人の女性だった。 あの頃とは違い、大きく、美しく成長した・・・・今も昔の様に紫のロングヘアーがよく似合う。 記憶にある十年前の姿と重なったがそれも一瞬、ガンダムの目の前には美しく成長した一人の女性『月村すずか』がいる。 「えっ・・・?」 目の前の光景に頭が追いつかない、如雨露を落とし、中に入っていた水が足に盛大にかかるが今はそんな事気にもならない。 夢なのか?幻なのか?それとも本当の出来事なのか? 10年前とは違い、鎧が変ってはいるが瞳を見れば分かる間違えるはずが無い。 怯えていた自分を勇気付けてくれた、再び会うことを約束してくれた、あの強く優しい瞳を。 情けない事に未だ頭が混乱し、声を上手く出す事ができない。話したい・・・名前を呼びたい・・・そんなことも出来ない自分に腹が立つ だが、彼女が言葉を発するより先に、彼が自分の名を呼んだ 「すず・・・・か」 それだけで十分だった、目の前にいるのは幻ではない、自分が見ている夢でもない。 彼は約束を果してくれた、かえって来てくれたのだ、それが分かっただけで無意識に体が動き走り出す。 突然走り出した自分に彼が驚いた表情をしている、だが10年も待たせたのだ、驚かせたって罰は当らないだろう。 そして、スバルの時の様に走り出した時の勢いそのままに、ガンダムに抱きついた。 「うわっ!?」 走る勢いを殺さずに抱きついてきたすずかに、ガンダムは彼女を受け止める事が出来ずに後ろへと倒れてしまう。 スバルの時は勢いやマッハキャリバーのスピードなどから、受け止められるように体に強化魔法を施していたが、今回は何もしていない。 無論、掛ける暇はあったのだが、女性だから大丈夫だろうと思ってのが間違いだった。 すずかも夜の一族の血を色濃く引いているため、通常の力は人間の比ではない、勿論日常生活を送る時には自然とリミッターを掛けてはいるが 今回はそんな物を無視してしまうほど感情が高ぶってしまい、結果、ガンダムを押し倒す形となった。 「ガンダムさん!ガンダムさん!!本当に・・ほんと・・・う・・・・」 名を呼びながらまるで絞め殺す勢いですずかは抱きしめる。だが、名前も徐々に嗚咽に変り、抱きしめる力も緩んでくる。 ガンダムも最初はすずかの行動に驚き、抱きしめるとは程遠い絞めつける行為にも顔を顰めた。 だが同時に思う、今彼女が泣いているのは自分が原因だという事だ。 一度目を瞑り、心を落ち着かせる。そして両手を彼女の背中に回し、優しくすずかを抱きしめた。 泣きじゃくる彼女の背中を優しく叩き落ち着かせる。それだけで泣き声は嗚咽へと変り・・・・・次第にそれも収まってゆく。 そして、完全に収まった後、すずかは体制はそのままでゆっくりと体を起こした。 至近距離から互いを見つめる二人・・・互いに何を話していいのかわからない・・・だが言いたい事は互いにあった。それは只の挨拶 「ただいま・・・・すずか」 「おかえりなさい・・・・・ガンダムさん」 あの別れから10年・・・・少女と騎士は再び再会を果した。
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日本が最後の一兵まで戦う覚悟ならアメリカは日本を無条件降伏させることは不可能だったんですか? 原爆の投下があったかないかでオリンピック作戦の有無は変わったんでしょうか 日本軍の兵士が降伏して捕虜になった事がバレた場合、その兵士の家族が社会的制裁を受けるって本当ですか? ソビエトの満州侵攻の際、関東軍って居留民を助けることなく一番に逃げ出したと巷で言われていますが、信じていいのかな? アメリカに負けたのは、物資力や軍事力ではありません。皇国史観が、民主主義に負けたのです。 ポツダム宣言は無条件降伏ではなくて有条件降伏だったって本当でしょうか? 太平洋戦争末期にソ連の捕虜になった日本人の中で、男はソ連の女兵士にレイプされたという話を聞いたのですが本当ですか? 大戦後に日本国が賠償金を払った国を教えてください。 第二次世界大戦での日本の降伏って、原爆投下とソ連対日参戦のどちらのほうが決め手になったのでしょうか? 山本五十六元帥は、戦犯訴追されたでしょうか。 関東軍って70万人以上いたのに何故あっという間にソビエトにやられたのですか? 日本軍はマリアナ沖海戦で破れ,サイパン,テニアン,グァムが落ちた時点で何故,降伏し講和条約を結ぶような政策をとらなかったのですか? 日本はいつごろから降伏の検討はじめたの? 太平洋戦争でどうしてアメリカは日本の希望通りの一億総玉砕をさせなかったんですか? 日本は天皇陛下の命の保障を条件に降伏したと聞いたけど、ポツダム宣言内に天皇の命の保障を行う旨の分が無い様なのですが、命の保障を条件に降伏ってのはうそですか? イタリアが第2次大戦の戦勝国として,日本が降伏の調印式をした戦艦「ミズーリ」の上に来てたって本当ですか? 山下将軍が,連合国記者たちの圧倒的無罪予想に反して死刑になったのはなぜなのでしょうか? 仮に東京裁判において当時の日本の国内法を適用するとしたら,A級戦犯として裁かれた人々は何らかの形で有罪の判決を受ける可能性はあったのでしょうか? ドイツや日本の部隊が降伏の軍使を送ってきた時、ソ連兵は何故即座に撃ち殺したのでしょうか? 関東軍の話です。南方に移動する最中に終戦になったというのは本当ですか? 仮に昭和20年8月15日に停戦に至らなかったとしたら、何日後くらいに本土決戦になっていたのでしょうか? 終戦の日がお盆時期なのは偶然ですか? 終戦になり米軍が降伏勧告に来たとき、降伏の交渉にあたった海軍部隊副官・中村虎彦中佐の対応ぶりに感服した米司令官は何に感服したのですか? 韓国が二次大戦終了後、戦勝国となったというのは本当ですか? 何で日本あんな屈辱的な条約を飲んだんですか? 第二次大戦末期に、駆け込みで日本に宣戦布告してそのままの国って有るんでしょうか? 「巣鴨の刑務所」とは一体なんですか? 第二次世界大戦でアメリカが日本に原爆を落としたのは、日本の土地をロシアに取られないため? 太平洋戦争中期に日本の軍部は絶対国防圏を定めたわけですが、あ号作戦でマリアナで完敗し、サイパンを奪取されて絶対国防圏は崩れたわけですから、 なんで東京裁判では陸軍に重く海軍に軽かったのでしょうか? シベリアに強制連行された日本兵は日中戦争で徴兵された人も連れて行かれたんですか? 1946年の極東委員会について質問です。 アメリカは原爆を落とす前に忠告をほのめかすようなことはなかったのですか? 宮城事件ですが、当時の憲兵隊はいったい何をやっていたんでしょうか? 終戦時に近衛師団と厚木航空隊で反乱が起きたのは有名ですが、ほかに大規模な部隊で反乱・決起行動を行った例というのはあるのでしょうか? よく「原爆投下が無くても海上封鎖を続ければその内日本は降伏した」と言われますが、そうなったら大量の餓死者が出るんじゃないんですか? 日本の軍部や政治家は、「本土決戦」をどのように捉えていたのでしょうか? 連合国と講和の可能性はあったの? バーンズ回答は「国体の保障」に暗黙の了解をしていたの? サイパン戦で負けたあとに、高松宮が「陛下、もう勝ち目は100%無いから講和を」と言ったのに、昭和天皇が「もう一度大戦果を挙げてからでないと難しい」と言ったの本当ですか? 原爆投下されなければ、日本は降伏する気になりませんでしたか? 耐え難きを耐え忍び難きを忍び…って玉音放送の一部だよね? ソ連は北海道に侵攻するつもりだったの? 先の大戦で日本が降伏せず、本土決戦を行っていたらいつまでもちましたか? 日本政府がソ連に米英との講和の仲介を働きかけていたのは諜報機関が無能だったから? 玉音放送の後も戦おうという人たちはいなかったんですか? 市町村レベルでは「終戦の詔勅」はどの時点で、どの程度の関係者に事前に通達されていたのですか? 太平洋戦争末期、戦略爆撃の後に行われたB-29の機雷散布が実質日本にとどめを刺したと聞きました。 外地で一番遅くまで、旧軍の組織を維持していた部隊(いわば最後の旧軍)はどこ? 復員するまで外地にいた部隊は、武装解除されてもずっと旧軍のままの組織、命令系統でいたの? 中央政府の意向を無視して日中戦争を引き起こして戦線を拡大しまくった関東軍が、なんであんなにもあっさりと終戦と停戦を受け入れたの? 日本が最後の一兵まで戦う覚悟ならアメリカは日本を無条件降伏させることは不可能だったんですか? 最後の一人まで殺されちゃったら、誰が降伏するの?っていう突っ込みじゃだめかな。 冗談はさておき、ゲリラ戦をやるには通常 1.休養や訓練が可能な安全地帯 2.地元住民の支持 3.武器や弾薬、食料などを供給してくれる大国の支援 の三つが不可欠といわれます。 アフガンのムジャヒディンにとってはパキスタンが安全地帯にあたり ソ連軍およびその傀儡政府への反発から、住民からの支持が得られ かつアメリカや他のムスリム諸国による大規模な援助がありました。 終戦間際の日本軍じゃ、せいぜい住民の支持くらいしかないので、 到底ゲリラ戦の継続は不可能じゃないでしょうか? (61 予備語学陸曹見習い) ベトナム戦争をモデルケースとして考える事は可能でしょうか? 檜山 良昭という人の書いた「日本本土決戦」という本を読みましょう。 ほぼ、この本に書いてあるのと同じ展開になったはず。 (93 570) ベトナム戦争時の中ソのような潤沢な支援をしてくれる国が無いし、 アメリカも政治的配慮なんてことはせず遠慮無しで来るので、 ベトナムを参考にするのは無理があると思われ。 (93 571) 原爆の投下があったかないかでオリンピック作戦の有無は変わったんでしょうか アメリカ側の言い分(トルーマンの演説)では「オリンピック作戦を不要にするために原爆を投下した」とのこと (76 534) 日本軍の兵士が降伏して捕虜になった事がバレた場合、その兵士の家族が社会的制裁を受けるって本当ですか? 対戦国の赤十字が日本赤十字に捕虜にしたというのを 通達して、その結果あーだこーだというのはあったらしいな。 真珠湾の酒巻少尉の場合もそういうパターンだと聞いたことがある。 何の本で読んだか思い出せないのでソースは出せない。ごめん (85 216) いわゆる「村八分」レベルの社会的制裁なら有りうると思うが、漏れは実状を 書いた資料は知らないでつ。 ただ、捕虜になった日本兵を尋問する際の最も効果的な脅し文句は 「白状しないとお前が捕虜になったことを日本へ知らせるけど、それで良いの?」 だったらしいでつ。 (文藝春秋「日本兵捕虜は何をしゃべったか」より) (85 241) ソビエトの満州侵攻の際、関東軍って居留民を助けることなく一番に逃げ出したと巷で言われていますが、信じていいのかな? 関東軍の各要塞守備隊は最後まで頑強に抗戦、赤軍を足止めする事に成功しています。 また、樺太及び千島諸島での抗戦が無ければ北海道は人民共和国になっていたでしょう。 (91 196) まあ実際は南方戦線に戦力を抽出しちゃったおかげで、精強ソ連軍相手にしちゃ、ろくに戦える兵力が残ってなかったってのが正解。 残ってた連中は 196 にもあるように、猛烈な抵抗を見せたのもいる。「虎頭要塞」あたりでぐぐってみてくれ。 もちろんとっとと逃げちゃったヤツもいたんだが… (91 199) アメリカに負けたのは、物資力や軍事力ではありません。皇国史観が、民主主義に負けたのです。 このような主張をしている人をがいるのですが彼の言う事は正しいのでしょうか? そもそも皇国史観と民主主義が正面から対立する概念なのか? (93 317) 史観というか、国家・国民のシステムでも効率の悪いものだったし、 それとは別に資源も軍事力も無かった。 それらは互いに連動し、影響を与え合うナマモノだから、 民主主義のみを取り出して勝敗の最大の理由にはできない。 例えば民主主義とはほど遠い旧ソビエトでも、 民主主義国家の代表を自称するアメリカと 半世紀にわたって軍事的均衡を維持できていました。 仮に戦前の日本が超良質の民主主義国家だったとしても やっぱりアメリカ相手には勝てなかっただろうし。 (そういう国ならそもそもあんな無謀なことはしなかったでしょうけれど) (93 318) 非常に価値観が絡むので、ここですべき質問ではないかもしれません。 ただ、よく旧軍と米軍の対比で言われているのは、 旧軍は、兵站管理の観念が著しく欠如していた。 行動にあたっての計画の前提になるべき、情報収集・分析を軽視していた 戦闘においても精神主義と白兵突撃に偏重し、火力や科学的態度を軽視しすぎた 精神主義偏重の傾向は、米軍のようにドクトリンを柔軟に変更・発展させるための学習的態度をスポイルした …などということでしょう。 これらは、皇国史観と民主主義などという価値以前の問題でしょう。 軍事における科学的態度や合理性の欠如・不足が敗因だったと言えるのではないかと思われます。 まあ精神主義の偏重に皇国史観が影響を与えているとも言えるでしょうけれど…。 (93 319) ポツダム宣言は無条件降伏ではなくて有条件降伏だったって本当でしょうか? 第13条にはっきり「無条件降伏」って書いてありますね。 (94 44) 太平洋戦争末期にソ連の捕虜になった日本人の中で、男はソ連の女兵士にレイプされたという話を聞いたのですが本当ですか? 歌手で元浪曲師の三波晴夫はソ連抑留時代に女性士官にケジラミの治療をする からフンドシを下ろせっといわれてスッパダカになったらレイプされたそうです。 (108 48) 大戦後に日本国が賠償金を払った国を教えてください。 賠償金の一般的な定義、つまり戦勝国による敗戦国からの徴収、という意味であれば サンフランシスコ条約によって連合国側は対日賠償請求権を放棄しており、 したがって払われた賠償金はありません。 (109 system) 極東委員会の主張は、GHQと違って「国民投票の実施」を要求したと聞きましたが、本当ですか? 憲法の制定については、「国民の自由意志を明確に表す方法による」と極東委員会は考えていました。 また、何故極東委員会の主張が無視されたのですか? GHQと極東委員会の関係については、豊下楢彦『日本占領管理体制の成立』 岩波書店でも読んでください。 かなり詳しく述べられています。 あと、国会における第9条の論争は、日本国憲法案が衆議院に上程される時から既に起きていたというのは本当ですか? 憲法第九条に関する想定問答集を法制局が作成してることからして本当。 ポインタは面倒だから示さない。本気で勉強したいと思ってるんだったら 国立国会図書館のwebページにある「日本国憲法の誕生」読めばいい勉強になると思う。 (109 172) 第二次世界大戦での日本の降伏って、原爆投下とソ連対日参戦のどちらのほうが決め手になったのでしょうか? 間違いなくソ連参戦。 軍の一部ではソ連を仲介にして連合国との和平交渉を進める案があったから、 それが反故になったソ連参戦は日本の戦意を砕いた。 (111 26) ちょっと調べればわかることですが、原爆の投下は日本首脳部の戦争指導に、 ほとんど影響を与えていません。 それに対して、ソ連の参戦は非常に大きな打撃を与えています。 理由は 26氏の言うとおりです。ただ、軍の一部ではなくて、政府全体が、 ソ連を仲介とした和平交渉に一縷の望みをつないでいたわけですが。 (111 29) 原爆投下がほとんど政府の戦争指導に影響しなかったってのはどうかね? たしかに1発目の後は「こんなの一回こっきりに決まってる」てんで 影響はあまり無かったかもしれんが、2発目の後は 「やばい、3発目、4発目の可能性がある。 次を東京に落とされたら国体の継続が(ry」ってのがあった。 (111 47) 山本五十六元帥は、戦犯訴追されたでしょうか。 されていません。 (116 798) 関東軍って70万人以上いたのに何故あっという間にソビエトにやられたのですか? 戦争末期、関東軍は南方に精鋭を引き抜かれガタガタだった。 ソ連軍は大量の優秀な戦車を保有し、機甲戦力で圧倒的な差があった。 砲兵戦力においても圧倒的な差があった。 勝てる理由が存在しない。 (124 709) 赤軍が投入できる戦力が限られ こちらの戦力がそれなりに充実してれば ある程度戦えるのは北方での戦いが 一応証明してるのかな (124 710) 1.関東軍の精鋭部隊、装備の優れた部隊は、南方戦線に増援として送られたり本土決戦 に備えて日本本土に引き上げられたりして関東軍は全体的に戦力、装備が低下していた 2.既に日本が負けかけてることは関東軍の将兵も察していたので、戦意が極端に低く、 ソビエト軍の侵攻開始と共に総崩れになった 3.なにより軍首脳部が一番に逃亡してしまい、指揮系統が崩壊していた為 マトモな作戦指揮がなされず、各個撃破された 4.ソビエト軍の兵力、装備は圧倒的で、戦う前から勝負がついてる状態 といったところ。 正直、精鋭部隊が充分な装備で事前にソビエト軍の侵攻を察知し防戦を準備していても、 装備(特に戦車の性能差が圧倒的)、兵力(特に砲兵の兵力差が壮絶だった)で勝り、 ドイツとの戦闘で経験豊富なソビエト軍仁対しては鎧袖一触だっただろう。 ただ、在満邦人を避難させる時間を稼ぐことぐらいはできたかもしれない。 一応、徹底的に抵抗しソビエト軍を足止めした部隊も存在はした。(虎城要塞、で検索するべし (124 711) 関東軍 24個師団、1個旅団、9個独立混成旅団、2個戦車旅団 航空機230機 兵力約75万人(実質8個師団程度の戦力) ソヴィエト 80個師団、40個戦車、機械化旅団、(戦車5250両) 32個飛行師団航空機5171機 総兵力約157万人 (124 712) 関東軍からは以下の部隊が抽出されました(昭和19年10月以降 昭和19年 10月第23師団(ルソン)、12月第12師団(台湾)、 昭和20年 1月第71師団(台湾)、3月第11師団(四国)第25、57師団(九州) 戦車第1師団(本土)、第111、112師団(南朝鮮) 穴埋めの為に20年初頭から121~128師団までの8個師団と4個旅団を編成。 5月には中国戦線より軍司令部1個、4個師団を編入 更に在郷軍人25万人を動員しています。 全般に装備が貧弱で関特演時の1/2~1/3程度の火力しかなかったようです。 (124 713) 711 内蒙古での独立混成第2旅団(響兵団)も入れていただければと (124 714) 日本軍はマリアナ沖海戦で破れ,サイパン,テニアン,グァムが落ちた時点で何故,降伏し講和条約を結ぶような政策をとらなかったのですか? ウェデマイヤー・レポート(ウェデマイヤー著「第2次大戦に勝者なし」)によれば チャーチルとルーズベルトが無能だったから。 無条件降伏など要求しなかったら早期講和が可能だったはずであり、 ソ連の牽制にもなって冷戦そのものもなかったはずだとしている。 ナポレオン戦争と第一次世界大戦を比べても、民主主義は戦争には強いが、 戦争の理性的解決には不向きだとわかる。 激高した民衆がいかに困ったものかは日露戦役で経験ずみ。 講和と言うのは負けている側から切り出す場合、それ相応に不利な条件となるのは当然ですし 国民は未だ日本が勝っていると信じ込まされており 更にさほど大規模な戦闘を経験していない陸軍が講和を受け入れるとは考えられません。 「日本」と簡単に一言で言っても、意思決定に国内の複数の組織や人間の考えが絡んできて 単純に決定を下せるものではありません。 また米国側にしても、フィリピン等の植民地を押さえられた状態での講和を受け入れるのは困難でしょう。 その後の戦いの惨禍や犠牲が結局は空しかったという考え方は、全て戦後に生きる我々だからこそ可能なものであり それを持って 「あの時戦いをやめていれば」 と軽々に考えるのは、後世に生きる我々の傲慢と言えるかも知れません。 (270 925-968) 日本はいつごろから降伏の検討はじめたの? 昭和20年4月くらいからはソ連経由での講和が模索されてるけど、 ソ連経由の講和が絡まない方法での降伏が検討されてるのは 昭和20年8月くらいから。 1945年2月に近衛文麿が天皇に降伏交渉を上奏。 しかし天皇は「もう一度戦果をあげてからでないと話は難しいと思う」と拒否。 (実際8月でさえクーデター騒ぎが起っているし・・宮城事件) その後の半年のうちに、沖縄戦、各地の空襲、原爆投下があって、南方戦線でも多数の餓死が発生。 多くの日本の戦死者、とくに民間人犠牲者のほとんどはこの半年に集中して死んだ(- 人 -) (降伏遅すぎスレ176-178) 太平洋戦争でどうしてアメリカは日本の希望通りの一億総玉砕をさせなかったんですか? 日本の希望通り まずこれが間違い。 戦争末期の日本の上層部の意図は有条件降伏を勝ち得るまでの継戦派と 無条件降伏を呑んでも終戦にしたい講和派に分かれていた。 が、両派とも可能ならば有条件の方が望ましかったのはいうまでもない。 それが可能だったかどうかは別として。 一方、アメリカの上層部は政治的にも自由が利く無条件降伏を強いる方針で ほぼ固まっていたといってよい。 アメリカにとってみれば日本の敗北は必至だったので、 わざわざ妥協してもメリットがなかった訳だ。 で、アメリカとしては勝ちが決まっている以上、 余計な消耗や政治的な負い目を背負いたくない。 民族浄化が目的の戦争だった訳でも無し、 もし日本が無条件降伏してくれる事になったなら それ以上の戦いは無意味でしかないからな。 つまり一億玉砕とかいうのは国民を煽ってただけ? 朝日新聞がね (初心者スレ472) 日本のマスコミも政治家も軍部も天皇も 責任があるのは間違いないだろう (軍事板FAQ作成本部2) 日本は天皇陛下の命の保障を条件に降伏したと聞いたけど、ポツダム宣言内に天皇の命の保障を行う旨の分が無い様なのですが、命の保障を条件に降伏ってのはうそですか? ウソっていうか、そのへん複雑なんですよ。 日本側「天皇制は維持できるんならポツダム宣言を受領するよ」 連合国「天皇および政府の国家権限は連合国最高司令官にsubject toされるものとする」 日本・外務省「subject toは「制限の元におかれる」だよ。天皇制維持はOK、さあ調印しようぜ」 日本・陸軍省「subject toは「隷属する」だ!天皇制は維持できない!徹底抗戦だ!」 まあなんとかなったのですが、「天皇制の保証」があったのかなかったのかは微妙な所です。 外務省の絶妙な訳はともかく、subject toってのはわりと強い言い方ですので 「保証はされてはいなかった」というのが実際でしょう。 一応ダレスを通じて保証めいたものはあった。 ただ天皇を処分しようとする親中派がいたから、 完全にアメリカ内部がまとまってたわけではない。 グルーなんかが必死で頑張ってくれたおかげでなんとかなったけどね。 (162 357-358) イタリアが第2次大戦の戦勝国として,日本が降伏の調印式をした戦艦「ミズーリ」の上に来てたって本当ですか? イタリアは戦勝国とは言えません.. 終戦直前にイタリア内でファシスト党政権を倒したことから,「敗戦」したのは「ファシスト・イタリア」であり,それを倒したイタリアは「戦勝国」だ,ということになってはいますが,ソ連に1億ドル,アルバニアに5000万ドル,エチオピアに2500万ドル,ギリシャに1億5000万ドル,ユーゴスラビアに1億2500万ドルの賠償金を支払い,全ての海外植民地を失い,トリエステは1953年まで連合国の占領下に置かれるなど,実質的には敗戦国扱いでした. 「ミズーリ」の調印式に代表を送った連合国は,合衆国,中華民国,大英帝国,ソビエト連邦,オーストラリア連邦,カナダ連邦,フランス共和国,オランダ王国,ニュージーランド自治領の9カ国で,イタリア王国は含まれていません. (永遠の青 ◆V9k1yZSe4M in 世界史板) 山下将軍が,連合国記者たちの圧倒的無罪予想に反して死刑になったのはなぜなのでしょうか? マッカーサーの個人的な復讐. 彼が総督時代に貯めた個人資産が山ほどあるフィリピンで,最後の最後まで粘られたから,心中は穏やかでは無いだろう. マッカーサーとマッカーサー一族はフィリピンでマニラを中心に一大コンツェルンを築いていた. 中心に親族が経営する高級ホテルと銀行があり,フィリピン経済の一角を占めていた. 日本軍はフィリピンでのアメリカ権益を解体した. マッカーサーはこのせいで,合衆国での多数派工作に失敗しており,合衆国議会や大統領を経由させず,直接海軍に接近して自分の目標を通すというテクまで編み出している. 後,自分がやったマニラへの無差別爆撃を彼に押し付ける為. 他にも,海軍部隊が,将軍の出したマニラ無防備都市宣言に従わず居残ってやったマニラ防衛戦,果ては末端の兵士の残虐行為まで押し付けた. こう言う公私混同は,マッカーサーを知る者にとっては別段珍しくない. フィリピン上陸を格好良く写す為に上陸後に撮影させたり,その時の銅像を作ったりと,枚挙に暇が無い. 故に下は一兵卒,上は大統領にまで嫌われた. 仮に東京裁判において当時の日本の国内法を適用するとしたら,A級戦犯として裁かれた人々は何らかの形で有罪の判決を受ける可能性はあったのでしょうか? 例えば陸軍,海軍刑法などで有罪を宣告されることとなったんでしょうか? 東京裁判とは違う日本の自主的な裁判で有罪の判決を受ける可能性はありました. 日本側にはもともと自主裁判による戦犯処理の構想がありました. ポツダム宣言の第十条に戦争犯罪人の処罰が明記されていることや,ドイツのニュルンベルク裁判の開廷に関する情報などから日本でも同様の戦犯処理が行われるであろう事は予想されていました. 45年9月11日に東條英機などが逮捕されるに至った後,9月13日には重光外相がマッカーサーに自主裁判の申し入れが行われましたが,マッカーサーはこれを拒否しています. その後も「バターン死の行進」の責任者であるとされた本間雅春中将の礼遇停止など,自主裁判を行う動きを見せますが,これらはすべて徒労に終わっています. (名無し軍曹◆Sgt/Z4fqbE) ドイツや日本の部隊が降伏の軍使を送ってきた時、ソ連兵は何故即座に撃ち殺したのでしょうか? 1)敵の降伏を認めないという、命令が下されていた。 2)政治将校がいたりして、教条的な戦闘に終始していた軍隊なので、 現場で対応する事が不可能なくらいに硬直した命令体系が、そうさせた。 3)下手にものを考えると、粛清される可能性が大きくなるから。 こんな感じでしょうか。 (25 26) 関東軍の話です。南方に移動する最中に終戦になったというのは本当ですか? 関東軍は大戦勃発から徐々に南方へと抽出されています。 昭和19年以降は在満師団17個のうち10個が南方に転用されました。 故に、将校は中隊長一名の歩兵中隊とか砲兵連隊なのに砲はないと言う状況になりました。 此処にいたって、関東軍は守りに転じました。 年末には僅か精鋭4個師団のみ。 それも昭和20年3月には転出し、関東軍は根こそぎ動員を掛けざるを得なくなりました。 24個師団を作りましたが、それまでの精鋭を1として当時の戦力は8.5個分にしかならなくなっています。 (26 眠い人 ◆ikaJHtf2) 同様に大陸に派遣された戦車連隊も、戦車を南方に抽出され戦車のない 戦車連隊になり、所属兵員は海軍に配属されました。 機械に明るいだろうっていう理由で、学童疎開輸送船の機関部員になり 無事復員し、去年末他界なされました。 第17戦車連隊第3中隊で、戦友会は白梅会でした。形見分けで資料(戦後の 会報など)を頂きました。中にはシナで作戦別の戦死者数もありました。 まだ全部見てませんが、中国での記録は少ないようです。 オモシロイのはお袋ので、赤十字引き揚げ作戦の簡単な記録かな。 (26 一等自営業 ◆kawD31MU) 仮に昭和20年8月15日に停戦に至らなかったとしたら、何日後くらいに本土決戦になっていたのでしょうか? 米軍の本土上陸は9月下旬から10月に予定されておりました (36 814) 終戦の日がお盆時期なのは偶然ですか? お盆に重なったのは、偶然としか言い様がありません。 原爆投下のタイミングは、ソ連の対日参戦をけん制するものでしたし、ソ連の対日参戦 は、ナチスドイツの降伏と不可分だからです。 (38 111) 終戦になり米軍が降伏勧告に来たとき、降伏の交渉にあたった海軍部隊副官・中村虎彦中佐の対応ぶりに感服した米司令官は何に感服したのですか? 海兵同期の吉田俊雄氏が氏を激賞しており、光文社NF文庫の「指揮官たちの太平洋戦争」などの 著作にたびたび掲載されているので、それを読んでいただいたほうが早いと思います。 ttp //www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4769821344/qid=1043672271/sr=1-11/ref=sr_1_2_11/250-3012153-1122634 大雑把に言えば、武装解除を担当した米軍が守備隊に戦利品として日本国旗などを要求した際、 中村氏は米軍指揮官に要求の非礼さを説き、米軍が自分の非を認め、中佐の言に感服したというところでしょうか。 (62 174) 韓国が二次大戦終了後、戦勝国となったというのは本当ですか? 大韓民国の建国は1948年。それまでは半島は日本の領土。 (61 855) 亡命政府らしきものが、上海にあり(後に重慶に疎開)軍隊らしきものも存在していたらしいが 1945年に大韓民国の成立がなかったことでわかるように 泡沫組織だったらしい。 (61 859) サンフランシスコ講和条約を調印した国は日本を含む46カ国です。 その中には大韓帝国もしくは大韓民国は含まれていません。 また、日本と韓国には日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約 (日韓基本条約) が締結されており、戦争状態などではありません。 (61 868) 何で日本あんな屈辱的な条約を飲んだんですか? 理由はいろいろあるけれど、戦争は全滅するまでやるようなモンではない。 人間はケモノじゃないんだから理性で引き際を悟れる。それでもあれは遅すぎたかも知れんが。 ふつう、戦争で自軍の損害が総数の10%を超えたら、勝っていても手放しでは喜べない。 自軍被害が全体の15%を越えたらもう危険、20%を越えたらレッドゾーン。30%に達したら降伏すべき。 状況にもよるが、一応はそれくらいの感覚でいたほうがいいよ。ゲームじゃないんだし。 (66 78) 第二次大戦末期に、駆け込みで日本に宣戦布告してそのままの国って有るんでしょうか? 確かソ連(ロシア)とは講和条約が締結されていないはずです。 (68 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 「巣鴨の刑務所」とは一体なんですか? 巣鴨プリズンは東京裁判の際に戦犯の収容所となりました あなたのおじいさんは、おそらくBC級戦犯だったのではないでしょうか? ただ、憲兵隊員が戦犯に問われた例は極めて珍しいというか、私は実例を 知らないので違っているかもしれません (75 600) 第二次世界大戦でアメリカが日本に原爆を落としたのは、日本の土地をロシアに取られないため? 原爆を落としたため、その後始末のため、日本はアメリカの支配下になった。 原爆投下には一般的に ソ連を牽制するため 日本本土での地上戦(本土決戦)を避けて日本を屈服させるため 原子爆弾の実地実験 などを中心に、さまざまな理由付けが史家によって行われています。 ただ、 原爆を落としたことの後始末 という説は寡聞にして聞きません(「後始末」の指す意味も明確ではないですし)。 ネット上では一般的に受け入れられがたい説も跳梁していますので、 何でもネットに頼るより、素直に冷戦前後を扱った歴史書を 探すことをお薦めします。概説書から始めるのでも構わないので。 (91 90) そうだね。原爆の投下と関わりなく半島の分割は決定されていた。 日本もそうなる恐れはあったが、当時既にその萌芽を見せていた 東西対立の結果、太平洋で主導権を握っていた西側陣営に属することになった。 というところでしょう。もう半年早ければ、ソ連の占領軍が 北海道に傀儡政権をでっち上げていたかも知れず。原爆投下云々よりも 日本が8月15日まで粘ったことが、統一された日本を保証した といってもばちは当たらないでしょう。 (91 91) 日本政府は別に粘った訳じゃない。 和平工作でソ連を当てにしていたら、そのソ連に攻め込まれたので、 やむなくポツダム宣言を受け入れただけ。 当時の外交関係者のそれに関する本を読んでごらん。 もしソ連の侵攻が遅れていたら、第3の原爆投弾もありえただろうし、 九州上陸作戦ないし関東上陸作戦が行われていた可能性もある。 (91 95) ちなみにソ連軍は日本が無条件降伏したあとも平気で侵攻を続けている。 不凍港目当てに北海道を狙っていたからね 北海道に赤旗が立たなかったのは占守島で大失敗したから (91 100) 太平洋戦争中期に日本の軍部は絶対国防圏を定めたわけですが、あ号作戦でマリアナで完敗し、サイパンを奪取されて絶対国防圏は崩れたわけですから、 なぜこの時点で大本営は敗戦を認めなかったのでしょうか? 絶対国防圏ってのは、ひょっとしてただのお題目にすぎなかったと? まあ、お題目、建前といってしまえばそれまでなんですが…。 とは言え、東條内閣の倒閣運動に繋がっているわけですから、 決して政治的な衝撃は小さくありませんでした。 (同時期のインパール戦の敗北と合わせてになりますが) 海軍も空母を失って大敗勢の上、 ようやく飛び立てるくらいにまで育てた、 空母艦載機の搭乗員に壊滅的ダメージを受けました。 実際のところ、もはや敗戦を認めてもおかしくはない状況です。 実際、東條内閣の倒閣によって成立した小磯内閣は、 ソ連およびスイスを和平の仲介を打診し始めます。 しかしながら、少なくとも英米は1943年のカイロ宣言で、 枢軸国の無条件降伏まで戦争を継続するという路線で一致していました。 そして、ソ連はソ連で、日本の和平仲介の要請をのらりくらりの態度でいなし、 その一方で、対独戦の貫徹を期しています。 そして、よほど対独戦の状況が悪くもならない限り、基本的には反枢軸の態度は、 揺るぎがなかったでしょう。 すなわち、絶対国防圏を突破されたことで敗勢を認めて、和平したい… しかし、各国は、もうそんなことは認めない… そういう外交条件、戦略条件となっていたわけです。 (95 173) なんで東京裁判では陸軍に重く海軍に軽かったのでしょうか? 陸・海以前に東京裁判は戦争責任を追求したモノだから。 実際は戦争責任つーか見せしめ的要素が強いことは今日もよく知られていますが。 (99 331) 戦争責任は別に戦った当事者だから罰するというようなものではないから。 海軍が米国の主な相手だから海軍を主に罰する、なんて無意味な事はしない。 処罰された人の役職、果たした役割で見るように。 (99 339) アメリカは「シビリアンコントロール」を重視していますが それを根底から覆す「統帥権」の徹底排除のため陸軍に 比重を置いたものと本で読んだ事があるなぁ (99 342) 有罪の判定を受けた訴因別に調べれば役職が低い被告の極刑の理由もわかる。 ちなみに開戦時の軍令部総長、永野修身は裁判中に病死しているのでセーフだとは限らない。 (99 348) シベリアに強制連行された日本兵は日中戦争で徴兵された人も連れて行かれたんですか? いらっしゃると思います。そういった方々は、一度除隊後再召集・再々召集を受けて 戦地に送られた人です。 兵士は除隊後予備役に編入されましたが、これは即召集が可能であり再召集・再々召集を 受けた方は多くいました。 徴兵された日本人の学歴はどうなのですか? ピンきりです。尋常小学校しか出ていない人もいれば、学徒出陣で出征した一兵卒の大学生もいますし。 最も、当時の日本では中学以上に進学するものはそう多くいませんでしたが。 陸軍では中学校以上を卒業しているものには可能な限り幹部候補生の試験を受けさせて 士官や下士官への道を開いていました。 10代20代なのですか? 徴兵は満20歳からです。ただし昭和18年から満19歳に繰り下げになりました。 パイロットや戦車兵など専門教育が必要な部隊には18~19歳の兵士もいました。 再召集・再々召集を受けた方には30代の方も多く、末期(昭和18年以降)には45歳までは 徴兵が可能だったため、(当時として)かなりの年配の方もいたようです。 (105 名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE) ソ連軍が満州に侵攻した時点で関東軍に属し、かつ捕虜または投降した軍人が抑留された。 戦前及び中期までは関東軍は帝国陸軍でも精鋭部隊だったが、南方の戦況の悪化に伴ってどんどん兵員を引き抜かれた。 さらに末期には本土決戦に備えさらに兵力が引き抜かれたため、 現地に入植していた日本人から徴兵する状態になっており、戦力は大幅に減少していた。 たとえば司馬遼太郎(本名福田定一)が将校として勤めていた戦車部隊も、末期に日本に呼び戻されている。 このため侵攻直前まで民間人だったのに、徴兵されたばかりにシベリア抑留の憂き目に会った日本人も多い。 (105 509) 1946年の極東委員会について質問です。 各国が日本国憲法を策定する際、極東委員会の主張は、GHQと違って「国民投票の実施」を要求したと聞きましたが、本当ですか? また、何故極東委員会の主張が無視されたのですか? 当時の日本を実行支配していたのは米軍のGHQで、極東委員会は単なる勧告機関に過ぎないので マッカーサーが眉を逆立てると何を言っても無視される無力な存在に過ぎません またマッカーサーは朝鮮戦争で失態を犯すまでは米大統領のトルーマンですら取り扱いに困るほど 絶対的権威を得ていたまさに「現人神」的存在だったのです (109 166) アメリカは原爆を落とす前に忠告をほのめかすようなことはなかったのですか? やってるよ 日本向けの放送や宣伝工作ビラで、近く戦争の行方を決定づける新兵器を投入するって 繰り返し警告してて、日本側にも新兵器とは原爆ではないかと推測した人も少なからずいた でも、当時の日本じゃいつどこに核を投下されるか完全にわかっていてもどうしようもなかったさ (367 812) 宮城事件ですが、当時の憲兵隊はいったい何をやっていたんでしょうか? 森師団長・白石中佐殺害した畑中少佐は、クーデター沈静後も昼に自決するまで皇居周辺でビラまきなどをしていたようですが。 事件参加者達もとくにお咎めが無いようですが、首相官邸を襲撃しようとした国民神風隊のある学生は警察に逮捕されて 実刑判決服役したらしいですが・・・軍人はOKで民間人はダメだったんですかね 陸軍省は基本的に終戦時の違法行為はすべて不問に付す方向で動いていたようです。 したがって、海軍や民間人と比べて訴追者がほとんどいないという結果になっています。 国民新風隊を率いた佐々木武雄大尉は右翼団体との繋がりがあったためかねがね警戒されていましたが、 鈴木首相宅襲撃の後はいったんは憲兵隊に出頭したものの、原部隊での監視が妥当として 返された後に逃亡しています。 ところが民間人グループは警視庁に引き渡されてしまい、裁かれて実刑判決をうけて服役しました。 佐々木大尉は憲兵隊や警察に追われたものの逃亡に成功、放火の時効まで逃げ切って 後に大山量士を名乗り、 「亜細亜友の会」の理事長を務めています。 (358 567 名前:名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE) 終戦時に近衛師団と厚木航空隊で反乱が起きたのは有名ですが、ほかに大規模な部隊で反乱・決起行動を行った例というのはあるのでしょうか? 有名なところでは、佐々木武雄大尉が率いた「国民新風隊」がありますね。 横浜警備隊の隊長だった佐々木予備大尉は、終戦の動きを聞いて首相官邸を襲う計画を立てましたが、 彼の上官はかねてから彼の不審な動きを警戒していたために、彼の部下はほとんど その計画に賛同せず、やむを得ずわずかな兵と、勤労動員に来ていた学生その他の民間人と共に 首相官邸と鈴木首相私邸に重油をまき放火、鈴木邸が全焼しています。 その後彼らはいったんは憲兵隊に出頭したものの、原部隊での監視が妥当として返された後に逃亡しています。 ところが民間人グループは警視庁に引き渡されてしまい、裁かれて実刑判決をうけて服役しました。 佐々木大尉は憲兵隊や警察に追われたものの逃亡に成功、放火の時効まで逃げ切って 後に大山量士を名乗り、 「亜細亜友の会」の理事長を務めています。 (525 911 名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE) 比較的組織的な例としては、茨城県水戸の教導航空通信師団の例があります。 陸軍航空通信学校を部隊風の編制に切り替えた師団で、 そのうちの教導通信第二隊の学生100人が、16日夜に師団司令部などを襲撃し将校若干を殺傷。 翌17日に中隊長の一人(少佐)が指導して、学生400人を集めて武装させ1個大隊を編成。 水戸駅で列車をハイジャック、東京へ向かって上野駅手前で下車し、上野公園を占拠しました。 その後、近衛師団の決起組などと連絡を取ろうとし、廃帝・皇太子即位なんて檄を飛ばしたり。 どうも突発的行動だったようで、近衛師団がとっくに鎮圧されていたことを知らなかったようです。 かえって近衛師団決起騒ぎの関係者である石原参謀が説得に派遣されてきています。 航空本部の説得も受け、恭順派が多数になるのですが、 一部に強硬派が残っており、石原参謀を射殺。 その射殺犯は恭順派によりその場で斬殺。残る強硬派も自決して、反乱部隊は水戸へ帰還しました。 その後、大隊を指揮した少佐はじめ反乱に関与した幹部3人は、自決勧告を受けて自決。 中心人物が全員死亡するという悲惨な結末になり、今でも事件の詳細は不明です。 なお、師団長は、玉音放送直後に不穏な空気の部隊を捨てて単身上京してしまっており、 司令部襲撃の際の難は逃れていますが、重謹慎15日の懲罰処分を受けています。 (525 981 ◆yoOjLET6cE) よく「原爆投下が無くても海上封鎖を続ければその内日本は降伏した」と言われますが、そうなったら大量の餓死者が出るんじゃないんですか? 餓死者数の推計まであるかはわからんが、 まとまった研究では、アメリカの戦略爆撃調査団がまとめたものがある。 大井篤が資料にしてるのも主にこれ。 終戦前6月頃に日本の内閣がまとめた「国力の現状」って資料もあるようで、 ある程度は参考になると思う。 あとは農林水産関係の統計データからの研究もあるかもしれないが、知らぬ。 ちなみに、1945年の作況指数は、 統計上のマジックもあるのかも知れんが、67というとんでもない数字になってる。 (598 920) 日本の軍部や政治家は、「本土決戦」をどのように捉えていたのでしょうか? とにかくただひたすら抵抗して、「大日本帝國」が一日でも1秒でも長く続けばいいと思っていたのか 莫大な損害を与えて、講和する時にすこしでも条件をよくする為の材料にしようと思っていたのか? それと、関東地方が制圧されたら、長野の松代もそんなに安全な所ではないと思うのですが、大本営はまた疎開したのでしょうか? 「大日本帝國」が一日でも1秒でも長く続けばいいと思っていた人、 講和の際、国体=天皇の地位の保証を得るため、連合国軍に損害を与えたかった人、 とりあえずなんか前動続行の人など、色々居たかと思われます。 これらの合計が講和を考えていた人よりも多かった、という感じかと。 また1945年6月までに 軍令を司る方面軍司令部 軍政を司る軍管区司令部 行政を司る地方総監府 がそれぞれ設置されまして、中央からの命令が途絶した後も抗戦を継続できるように なっていましたので、よしんば大本営はなくてもどうにかなったかも知れませんです。 (324 541) 前段については後者です。 全世界の中で日本だけが戦っている、しかも、本土で米軍は大損害を与えられている と言う状態を作ることによって、米国の中の人たちに厭戦気分を蔓延させ(実際、硫黄島 の戦いや沖縄戦でそうなりかけた)、講和に持って行こうとしています。 勿論、国体は護持するというのが絶対条件です。 後者は、最後は建前上、一億玉砕ですから、この地が事実上最後の抵抗線になった 可能性があります。 但し、玉座自体はほかにも日光に皇太子がおりますので、更に抵抗を行う可能性は あるかもしれません。 ただ、首都より地方の方が厭戦気分が強いのでその辺がどう作用するかわかりませんが。 (324 眠い人@出張先 ◆gQikaJHtf2) 連合国と講和の可能性はあったの? ミッドウェー海戦で勝利してたら・・とか アメリカの主張はハルノートであり、ミッドウェー後には新造艦が大挙して完成する ミッドウエーに上陸すると兵站が維持できんのですわ。 あとミッドウェー占領ぐらいで講和しようとするなら、 講和条件はハルノートかそれ以上の譲歩が必要になりますです。 1943年11月の段階でカイロ宣言がでていますから、それ以降の講和は無理だと思います。 カイロ宣言の内容 「右の同盟国(引用者註:米・英・中)の目的は、日本国から、1914年の第一次世界戦争の開始以後において 日本国が奪取し又は占領した太平洋における一切の島しょを剥奪すること、並びに満州、台湾及び澎湖島のような 日本国が清国人から盗取した一切の地域を中華民国に返還することにある。 日本国はまた、暴力及び貪欲により日本国が略取した他の一切の地域から駆逐されなければならない。 前記の三大国は、朝鮮の人民の奴隸状態に留意し、朝鮮を自由かつ独立のものにする決意を有する。 」 (317 316-323) バーンズ回答は「国体の保障」に暗黙の了解をしていたの? 「日本国民が自由に表明する意思」という表現で、「国体の保障」をしているの? http //ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%84%E3%83%80%E3%83%A0%E5%AE%A3%E8%A8%80 天皇免訴が決まったのは、終戦後のことでそもそもバーンズ回答が曖昧すぎると 御前会議でも再度問い合わせろという意見があったんだよ。 御前会議のメンバーも免訴も国体の維持も何の保障もないことは理解して 決をとったから、同数になり、天皇の決断に繋がってるんだよ。 さらにいうと戦後、GHQは検閲を行って、日本国民の自由な意見の発表を 制限してたわけだし、何の保障にもなってないよ。 (650 746) サイパン戦で負けたあとに、高松宮が「陛下、もう勝ち目は100%無いから講和を」と言ったのに、昭和天皇が「もう一度大戦果を挙げてからでないと難しい」と言ったの本当ですか? ソースは? 藤田尚徳『侍従長の拭想』 http //hc6.seikyou.ne.jp/home/okisennokioku-bunkan/okinawasendetakan/syowatennohatugen.html http //web.sfc.keio.ac.jp/~gaou/cgi-bin/mondou/html/009630.html 原爆投下されなければ、日本は降伏する気になりませんでしたか? 本土決戦のために設置されていた広島の第二総軍司令部が一瞬にして壊滅したことに より、ある種の諦めに似たムードが形成されたのは事実です。 仁科研の調査により原子爆弾と判明した時点で陸軍は爆撃されたら白いシーツやレイン コートを着用すれば熱線によるやけどは防止できると発表し、原爆は1発だけだろうから 怖れるるに足らずとの見解でしたが、長崎に2発目が投下され陸軍の強気ムードも一気に 瓦解しました。陸軍大臣であった阿南大将も降伏条件について話し合うことが可能になった (652 639) 耐え難きを耐え忍び難きを忍び…って玉音放送の一部だよね? 「終戦の詔書」というのが正しい。 俗に言う「玉音放送」というのは、 「天皇陛下による大日本帝國臣民への終戦の詔書」 をラジオで放送したもの、ということ。 本来は天皇陛下が肉声で語ったものを放送することを「玉音放送」 と言うのであって、この「終戦の詔書」だけが「玉音放送」ではない。 (295 82) ソ連は北海道に侵攻するつもりだったの? 保阪正康氏の本土決戦に関する著作を読めばわかることですが、 ソ連の太平洋艦隊とウラジオストクに待機している200機の爆撃機が 1945年9月に北海道侵攻することは「決定事項」でした。 それを止めさせたのがトルーマン大統領による「原爆落とすぞ」という最後通告でそ。 (666 763) 先の大戦で日本が降伏せず、本土決戦を行っていたらいつまでもちましたか? 仮想戦記よりややマシな程度だが、米軍がやった本土決戦のシミュがいくつか翻訳されている まぁもっとも楽観的な、いや米軍からみれば悲観的か、結果でも日本は1947年まで持たない そして北海道、東北、北関東辺りまでソ連に占領されているという推測が多いから 米ソ代理戦争は朝鮮半島でなくて、日本が舞台になるだろうな (292 163) 日本政府がソ連に米英との講和の仲介を働きかけていたのは諜報機関が無能だったから? 「諜報機関が無能」ではありませんでした。 スウェーデン駐在陸軍武官がソ連参戦の情報を報告しています。 陸軍内部で握りつぶされて、鈴木総理には届かなかったようですが。 「小野寺電報」とは終戦間際、小野寺信帝国陸軍武官が任地スウェーデンからヤルタ協定によりドイツ降伏三ヶ月後、 ソ連が対日参戦に参加するとの密約の内容をポーランド亡命政府の情報網から入手し陸軍参謀本部に送った秘密電報である。 あのルーズベルトの天皇宛親電を握りつぶした瀬島龍三氏もこの電報の行方を、そして誰が握りつぶしたかを知らないと語り、永遠の眠りに着かれた。 小野寺電の中にはしばしば国運を左右するものがあり、軍事機密扱いとなって握りつぶされた可能性があると元陸軍の方は語っているらしいが」 下記、小野寺秘密電を参照ください。 http //plaza.rakuten.co.jp/pinkladylove/diary/201004200000/ http //elamor.blog61.fc2.com/blog-category-13.html (671 霞ヶ浦の住人 ◆1qAMMeUK0I*一部修正) 玉音放送の後も戦おうという人たちはいなかったんですか? 終戦の終戦詔書(所謂玉音放送)を阻止して戦争継続を図ろうとした人たちはいた。 陸軍の一部中堅幹部が起こしたもので、終戦前夜(8月14日夜)、近衛師団長森越中将を 殺害して偽命令を出し、近衛師団を出動させて15日未明、皇居を占拠するとともに、別動 隊がNHKや鈴木貫太郎首相官邸・私邸及などを襲撃。 NHKにある詔書の録音レコードを奪い、ラジオ放送を阻止しようとしたが、目的のレコード を発見できないままに夜が明けてしまい、鎮圧。首謀者らは自殺して終わった。 (286 777) 市町村レベルでは「終戦の詔勅」はどの時点で、どの程度の関係者に事前に通達されていたのですか? 「流言・投書の太平洋戦争」と言う本をご一読ください。 基本的には、前日のラジオ放送で、「重大放送」が有ると言うことは国民に知らしめられていました。 また、当日朝のニュースでは、天皇陛下が直々にマイクの前に立つと言うことを知らせています。 また、政府はポツダム宣言受諾決定の直後から敗戦後の治安と秩序維持のため、取締まり方針を策定し、 8月14日には、その最終方針を全国に通達しています。 そこには、「廟議決定の方針を曲解し又は異議を唱え、或いはこれに矛盾するが如きもの」、「政府の態度、 方針、時局を誹謗するが如きもの妄りに既往の戦争責任者の追求」等の言動が抑圧対象となり、右翼、左翼 関係者、朝鮮人に対する視察を強化するよう求めています。 更に新聞社に対しても、新聞の配達は玉音放送の後に行うように厳重に指導されていました。 ちなみに、空襲を受けた地域とそうでない地域では、国民の時局の受け止め方に温度差が非常に あり、地方の代議士などでは、政府の弱腰を批判する発言をしています。 確か、米国戦略爆撃調査団の世論調査では、日本国民の25%が、戦争には勝つと考えていたそうです。 (168 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 太平洋戦争末期、戦略爆撃の後に行われたB-29の機雷散布が実質日本にとどめを刺したと聞きました。 この機雷散布の被害についてはあまり聞かないのですが、どういった状況だったのでしょうか? 出先なので具体的な数値は出せませんが、 「飢餓作戦」「スターベーション作戦」でぐぐってみてください。 関門海峡は繰り返し敷設され、いくら掃海しても間に合わない状態でした。 瀬戸内海全体でも被害が出てますし 佐世保・舞鶴も封鎖されています。 博多・仙崎・敦賀・七尾・伏木・新潟・酒田・船川など、 日本海の主要港が主な標的で、八戸が最後に掃海完了となりました。 (174 鷂 ◆53cmjHPmWw) 外地で一番遅くまで、旧軍の組織を維持していた部隊(いわば最後の旧軍)はどこ? 支那派遣軍や南方軍等の日本軍の主要な軍は、大抵9月中には降伏している 外地の主要な軍として最後に降伏したのは10/25の台湾だが、連絡が行き届かない末端の小島なら、降伏を知らずにいるかもしれん (俺初質スレ2049 542) 復員するまで外地にいた部隊は、武装解除されてもずっと旧軍のままの組織、命令系統でいたの? 指揮官が降伏に同意すれば、当然その指揮官は指揮権を喪失する つまり降伏時点で全員が降伏相手の捕虜になるから、もう日本軍としての命令系統は存在しない 降伏相手の指示に従うだけだ (俺初質スレ2049 558) 中央政府の意向を無視して日中戦争を引き起こして戦線を拡大しまくった関東軍が、なんであんなにもあっさりと終戦と停戦を受け入れたの? 1945年時点での関東軍は、ソ連参戦の場合は満州国の3/4は放棄して朝鮮国境付近で 持久という方針であったから。大本営もソ連軍侵入で早々に作戦目的を「皇土朝鮮の保衛」に 切り替えている。 (俺初質スレ50505 984)
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0.ツーオラクル・スプレッド ビル街に集うカードは2。 この枚数のスプレッドは幾つかあれど、本日は使うのは、ツーオラクル。 一枚目が、未来の在り様を。 二枚目が、事態を打開する方法を。 それぞれ暗示する占いです。 試してご覧に入れましょう。 一、『法王』の逆位置。 示すは、束縛。固着。逃避。躊躇。過保護。 二、『吊るされた男』の正位置。 示すは、忍耐。奉仕。抑制。試練。 ――愚者の旅路(アルカナジャーニー)、第二の週、幕開けにございます。 1.四百年の逃走者 逢合 明日多――『吊るされた男』逆位置 ぺたり。 足音が響く。足音が近づく。足音が迫ってくる。 息を殺す。悲鳴を上げかけた自分の口元を、誰かの手が塞ぐ。 ぺたり。ぺたり。 見つかってはならない。気付かれてはならない。 何より――追いつかれてはならない。 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 あれは死。死そのものの音。 どうして。自分たちばかりが、追われなければならないのだ。 自分たちはただ■■■■■■■ていたたけなのに。 飢えと寒さの中、心の救いを、求めただけなのに。 それさえも、許されなかった。魂の支えすら、奪いつくされた。 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 ぺたり。 減っていく。(殺されて)共にいたはずの仲間たちが。友人たちが。(逃げて) 足音に追いつかれ。消えていく。死んでいく。殺される。(死ぬ) 盃を描いた旗が冬空に翻る様を、美しいと思った。 そんな単純な理由で集った三万と七千の魂が、蹂躙される。 『明日多さん。いえ、同志■■■』 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 ぺたり。ぺたり。 記憶が混濁する。事象の前後を認識出来ない。 四百年の彷徨が。 (■■■■からの逃亡の記憶) 能力を介して収奪した他者の命が。 (鎖に繋がれ地獄の渦中に放り込まれた記憶) 生きるだけで重なり続ける罪の責め苦が。 (断片のように掠れた記憶の欠片を塗り潰すものは) 因果逆転に伴う時間の循環と混線が。 (稲妻の如く駆け巡る殺戮の感触と昏く澱む死の感触) 大切だったはずの、はじまりの記憶を、摩耗させていく。 『貴方は生きなさい。そして、■■■■を、絶やさないで――』 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 この足音から、逃げ続けないと。 生きなさいと。 行きなさいと。 その約束を、守らないと。 『ぺ』た『た』た『た』た『た』た……『ぺたん』 ああ。けれど。 一体、自分はなぜ、生き続けないと、いけなかったのか。 ― ― そして男は目が覚める。逢合 明日多は覚醒する。 何度何十度何百度行おうとおこなわれようと慣れることのない再誕(いたみ)。 そこに残るは自分が殺された感触と――――自分が殺した感触。 静まり返った学舎には、夥しい数の前衛的な遺骸(オブジェ)。 目の前には、眉間を撃ち抜かれた警察官。 いい腕だ。 この警察官は一発で、逢合 明日多の眉間を撃ち抜き――明日多と加害者と被害者の立場を入れ替えられた。 魔人能力の中にあって、因果干渉力と時間操作に属する能力は、極めて希少である。 そして、明日多の能力は、その両方の性質を併せ持つ。 その異能を、誰かが『箸も殺せるお年頃(ボーン・デット・マン”シオン”)』と名づけた。 悲しい名前だと思った気がする。 今ではその理由も思い出せない。 胃の奥からせりあがる感覚に、明日多は嘔吐した。 わからない。平和になったはずの世の中で。 どうして自分だけが、殺し(ころされ)続けなければ、ならないのか。 逢合 明日多は走り出す。 止まらない。止まれない。止まれば追いつかれる。止まれば殺される。止まれば殺してしまう。そんなのは嫌だ。逃げないと。逃げ続けないと。 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 ただ一つ強い祈りを、カードに宿し、走り続ける。 ――大アルカナ#12、『吊るされた男』。 己が能力に、より大きな枠組みに縛られた男にとって、あまりに皮肉な札。 『殺して(たすけて)』 声にならない叫びは、現実の己の哄笑と、幻聴の足音に混ざり、かき消された。 2.墓標の探索者 福院・メトディオス―—『法王』逆位置 幹線道路から一区画外れた、裏通りの雑居ビル。 元倉庫を改装した隠れ家で、福院・メトディオスは、情報収集用端末と対峙していた。 透波乱破と呼ばれた時代から、忍者の本分は諜報活動である。 現代であれば、電子的な情報収集・情報攪乱も必須技能だ。 合法違法問わず増設された中継端末と、様々なWEBクローラーやクラッキングツールがインストールされた端末のモニターには、都内各地で繰り広げられた、アルカナ持ちの魔人の戦いの仔細が、ブラウザ上の複数のタブで表示されている。 メトディオスが戦った秋葉原をはじめ、中華街、スカイツリー、聖寝技記念病院、『山』が降ってきた元歓楽街の路地裏。各戦場の勝者も、既に割れている。 中でもメトディオスの目を引いたのは、姫代学園の惨状だった。 職員、生徒、更に駆けつけた警察官一名を含む計百余名を巻き込んだ大虐殺事件。 犯人は、逢合 明日多。 この惨劇には、不可解な点が多過ぎた。 単独、もしくは少数でこれだけ派手な虐殺を行いながら、生存者が僅かなこと。 被害者の死因に規則性がないこと。 通報から警察官の現着があまりにも遅く、その数がたった一名だったこと。 即座に書き込みが削除されたSNSのネットアーカイヴから、「時間が巻き戻った」「足跡が迫る」等、得体の知れない証言があること。 警察は「事件と事故両方の可能性を視野に捜査中」との見解を示して、現場から報道関係者を一掃し、明らかな隠蔽工作を行っていること。 計画的犯行ならば、無軌道な虐殺の意図に疑問が残り、行きずりの通り魔と仮定すれば、この処理の周到さの説明がつかない。 事件後の隠匿の手際から考えて、この下手人には、少なくとも公安レベルの後ろ盾がある。でなければこれだけの虐殺、警視庁の魔人対策室が威信を賭けて総出で捜査に当たり、まともに外も出歩けない状況のはずだ。 謎の殺戮能力。政治的な影響力。 脅威度は、秋葉原で対峙した三名を遥かに凌ぐ。 まともに戦えば、勝てる見込みは薄い。 だが、福院・メトディオスは、望まざるにしろ忍者である。 闇に忍び、隠し持った白刃で、気取られぬままに敵を屠る者。 まともでない戦い方に(・・・・・・・・・・)こそ専心してきた。強大な敵の裏をかき、その心臓に刃を突き立てる技こそを、磨き続けてきた者だ。 この身は咎人。今更、正義を振りかざすことのできる立場ではない。だが、個人的な好悪として、無辜の若人に対する虐殺は、メトディオスの嫌う「悪」であった。 かくて、福院・メトディオスは、ここに逢合 明日多を次の標的と見定めた。 ― ― まず、メトディオスは単身、夜の姫代学園に侵入した。 逢合の能力はあまりに不可解だ。 ならば、直接の接触より、痕跡から異能の情報を得るべし。そう判断したのである。 警察の巡視は、校外だけに留まっていた。彼ら自身もなぜ、この惨状に本腰を入れて捜査しないのかを疑問に思っているようだ。そのような士気の警備など、ザルも同然だった。 静まり返った校舎内に、未だに残る死の気配。 メトディオスは胸の前で十字を切る。 彼にとってこの空気は慣れ親しんだものであり、心をざわつかせる要因でもあった。 「やぁ。来ると思っていたよ」 突然の声。暗闇の先から、男が姿を現した。 この校舎内に似つかわしくない、街中で見かけても目を引く古風な洋装の男だ。 メトディオスは無言で左手(くさり)の間合いに踏み込む。 「硬質な物体が擦れる音。義手だね。暗器に興味はあるが、目的は交渉さ。タロットカードのことも知っている」 男は両手を挙げ、敵意の無い仕草を見せる。アルカナの気配は感じない。 敵の協力者か。だが男は、あえて正面から接触してきた。 会話に意味はあると、メトディオスは判断した。 「結構。合理的な判断だ。僕は帆村 紗六。しがない私立探偵さ」 この自称私立探偵は、メトディオスと同様、姫代の事件に興味を持ち、独自に捜査を始めたのだと語った。 その過程で、警察の捜査報告書に対する不正アクセスのログを確認し、こちらの存在に気付いたらしい。ログの改竄は完璧だったはずだが、こうして捕捉された以上、この男の方が一枚上手だったと認めざるを得なかった。 「私の名前は―—」 「福院・メトディオス。1993年生。実業家の父・真泰(さねやす)と母・麻流子(まるこ)の長男として誕生。本名は夜羽(やわ)。両親と5歳年下の妹、累花(るいか)の4人家族」 「!」 「7歳の頃、忍派四十九流が一派、辻一務流に拉致され以後忍者として活動していたが、現在は抜け忍。忍派四十九流に狙われている」 一枚どころではなかった。 この男、恐らくこの争奪戦における候補者全員の詳細な情報を既に握っている。 「目的は?」 「この姫代の事件の真相解明。逢合 明日多の解体だ。彼はこの争奪戦で最も魅力的な謎の持ち主だ」 「……だが、一人では手が足りない」 「御明察。僕は非力でね。君が露払いをしてくれると大いに助かる。それに」 帆村はメトディオスの横に立ち、肩越しに一瞥する。 「君なら感じるはずだ、アルカナの残滓を。そして引きあうはずだ。君もそれでここに来たんだろう。そういうものだと、助手から聞いているよ」 明らかに怪しい男だった。 だが、逢合は、無策で戦って勝てる相手ではない。 調査し、看破し、能力の謎を解体しなければ、勝ちえない存在だ。 帆村の能力は、逢合攻略における大きな力となるだろう。 少なくとも、最初は、そう思っていたのだ。 ― ― 同盟を開始して数時間、メトディオスはその選択を後悔し始めていた。 この探偵は、あまりにマイペースで、しかも勿体ぶった大仰な変人だったのだ。 彼が気のすむまで現場を調査しきるうちに、夜が明けようとしていた。 「戸む、福院君。3-1の教室で3人。体育館に12人。体育館裏にたむろしていた不良が4人。職員室で7人。屋上で1人。校門付近で1人。合計28名の死の現場を見た感想は?」 「手法に統一性が全く存在しない。思想的な一貫性がないのはもちろん、前提となる身体能力もバラバラで、とても同一人物の犯行とは考え難い。逢合 明日多は地元の半グレ数名を殺害しているようですが、その時は、シンプルな撲殺、刺殺が多かった。それに対し、ここでの案件は、殺害要因が多岐に過ぎる」 帆村は感心したように頷いた。 「『小さな噂までは耳が届きませんよ。忍者や情報屋じゃあるまいし』――か」 「それは?」 「助手がくれた素晴らしいヒントだよ。やはり君と組んで正解だった」 言葉の端に浮かんだ感傷。それをメトディオスが指摘するよりも先に、帆村の表情はいつもの芝居がかったものへと戻る。 「逢合 明日多の能力を、警察は『箸も殺せるお年頃(ボーン・デット・マン”シオン”)』と呼称している。効力は不明。ただ、「逢合には手を出すな」と、姫代学園の事件が起きる前から通達が為されている。殉職した 架空木 空白氏は、その指示に反して、生徒たちを救いにここを訪れた。その事実と、今の君の所感、各種通信の傍受内容を総合して――彼の能力は、次のようなものであると僕は推理する」 本体が死んだとき、本体の死体から『足跡』が発生し本体を殺害した対象を追尾する。 『足跡』が対象に追いつくと、時間が巻き戻り、対象が殺害した方法で本体が対象を殺害したことに歴史を改竄する。 「逢合 明日多は、被害と加害の因果を逆転させる異能者だ! 誰もが前提として寄って立つこの順序を狂わせるとは、愉快極まりない!」 興奮気味に、帆村は言葉を続ける。 「しかも、信じられるかい、戸村君。逢合 明日多という名は百年以上も前の警察の調査対象記録にも残されているのだよ! 自称、三百年近く前の記憶を持つと騙る虚言の徒としてね。まったく興味深い!!」 興奮のあまりこちらの名すら間違えだした探偵。 その様子を後目に、メトディオスの思考は冷たく沈む。 虐殺の手札は割れた。状況証拠との齟齬もない。 接近し、観察するだけならば、危険はないはずだ。 ――本当に? 違和感が脳を過る。 だが、リスクは承知の上。 メトディオスは手元の端末で、逢合 明日多の足取りを追った。 3.路地裏の彷徨者 逢合 明日多―—『吊るされた男』逆位置 ぺたり。 足音が響く。足音が近づく。足音が迫ってくる。 ぺたり。ぺたり。 見つかってはならない。気付かれてはならない。 何より――追いつかれてはならない。 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 ――『■■■■■』。 聞こえた。おぼろげに覚えた外つ国の言葉。 いつか、■■■から教わった文句。 まさか、己が秘めていた■■を共有できる相手が、この島にはいるというのか。 敵だと聞かされた。だが、この■■を知っているということは―― 『私ハ ■■■ ト イイマス(マイ・ネエム・イズ・”■■■”)』 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 ぺたり。 たどたどしいが、伝わるはずだ。 この名を聞けば、自分と同じ■■■■ならば、きっと―― ぺたり。ぺたり。ぺたり。 ぺたり。ぺたり。 その祈りは。 額を撃ち抜く.30-06弾によって、打ち砕かれた。 どうして。同じ■の名を■■ながら。 わかってくれないのか。許してくれないのか。 「ぁ、ぁぁぁぁ」 狙撃によって殺される(す)。 殴打によって殺される(す)。 刺突によって殺される(す)。 斬撃によって殺される(す)。 毒ガスによって殺される(す)。 火炎によって殺される(す)。 それら全てが、明日多を生と正気に繋ぎとめていた■の■■の下に為されていく。 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 まとわりつく熱帯の湿度が。 飛び回る虫の不快な羽音が。 積み重なる無数の屍たちが。 逢合 明日多の魂を否定する。 「――ぁ」 ■■のために、世の理すら捻じ曲げて生き延び続けてきたのに。 ■■の■■を、殺戮し続けた。■■と、分かり合うことすら、できなかった。 故に、彼はその概念を記憶より抹消する。 そうでなければ、己のあり方の矛盾を、受け入れることができなかったから。 摩耗し果てたその心に、既に始まりの理由はない。 ただ、そうであったから。そうし続けてきたからという行いを、繰り返す。 死んではならない。 ■■してはならない。 けれど、それは、なぜだったのか。 浮かぶ疑問も、恐怖と死の痛み、殺戮の罪にかき消える。 無限の責め苦に、彼はただ一つの願いを抱く。 『――殺して(たすけて)』 二枚のカードを内包し、力を増した『吊るされた男』が脈打った。 ― ― ドン――! 衝撃。暗がりの中、明日多が路地裏でぶつかったのは、屈強な男だった。 「ァア? どこに目ェつけてンだよグズがよぉ」 「ヘヘ、隆利クンはなァ、今、めっちゃ機嫌が悪ィんだよなァ!!」 男の後ろから甲高い声で、パンクファッションのモヒカンが嗤う。 声が出ない。 言葉では、何も解決しない。その絶望が、彼の心には既に深く刻み込まれている。 ただ、怯えた獣がするように、震えながら脅威から遠ざかろうとする。 「何か言えよラァ!」 屈強な男に胸倉を掴まれ、痩せ細った明日多の体が宙吊りになる。 ぺた。 その足音を幻聴する。 死の音が、背中に迫ってくる。 「死ぬぜェテメェ。けど”誠意”見せれば、気が変わるかもなァ。な? 隆利クン。とりあえず、慰謝料百万で」 手慣れた様子で恫喝する。屈強な男が脅し、モヒカンが交渉する。そうやって、この二人は幾度となく金を脅し取ってきたのだろう。 しかし。 「いや」 「ぇ? 隆利クン?」 「こ、ころ、――殺ス」 明日多を吊るし上げていた男は、おもむろに空いた手にダガーナイフを取り出す。 「たか、り、クン? え? マジ? ナンデ?」 「殺シ――殺セ――バ――殺ス――トキ」 その尋常ならざる気配を感じ取ったのか、モヒカンが男を制止しようとする。 が、男は、躊躇うことなく、その凶刃を、逢合 明日多に突き立てた。 明日多の断末魔と、男の哄笑、モヒカンの絶叫が路地裏に満ちる。 わけがわからない。モヒカンは混乱していた。 自分の相棒は、恐喝はしても殺しなどしたことはなかった。警察相手は面倒になる。それは御免だ。二人は、そんな共通認識に基づいて、”仕事”をしていたはずなのに。 だが、直後、モヒカンはさらなる混乱の底に叩き落される。 ぺたり。 それは、足音だ。粘ついた、じっとりと湿った、ナニカが近づいてくる音だ。 『ぺ』た『た』た『た』た『た』た・・・・『ぺたん』。 死角から迫った足跡が、血走った目で立ち尽くす男へと「追いつく」。 ◆◆◆◆ぺた◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 「死ぬぜェテメェ。けど”誠意”見せれば、気が変わるかもなァ。な? 隆利クン。とりあえず、慰謝料百万で――ェ?」 モヒカンは自分の目を疑った。華奢で、およそ針金のような腕の、怯えていたはずの男が、筋骨隆々のモヒカンの相棒、隆利を、吊るし上げていたのだ。 「たか、り、クン? え? マジ? ナンデ?」 隆利を吊るし上げていた明日多は、おもむろに空いた手にダガーナイフを取り出す。 そして、躊躇うことなく、その凶刃を、モヒカンの相棒の胸へと突き立てた。 被害者:一般人。 逢合・明日多(あいあい・あすた) 被害者:住所不定無職 湯擦 隆利(ゆすり たかり) ――東京都大田区蒲田にて、ダガーナイフにより胸を突かれ、刺殺。 加害者:住所不定無職 湯擦・隆利(ゆすり・たかり) 加害者:一般人。 逢合 明日多(あいあい あすた) ――被害者を殺害後、逃走。 「な――なん何だよ! クソ! 何なんだよテメェ!! 殺シてやる! 殺セバ! いいんだろ! 今が! 殺ス! トキ! なんだろう! なぁぁ!!」 モヒカンは口から泡を飛ばしながら、相棒を殺した相手に飛び掛かった。 殴る。殴る。殴る。馬乗りになり、殴り殺す。 「ハハ! 抵抗も! しねェ! イキってンじゃ――」 身動きをしなくなった遺体の上で、モヒカンの思考から熱が消えていく。 ――殺した? ナンデ? どうして? こいつが、殺したいほど、恐ろしかった? わからない。おかしい。自分はただ、混乱して、理解できなくて、それで…… ぺたり。ぺたり。 ◆◆◆◆◆◆◆◆ぺた◆◆ぺた◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 被害者:一般人。 逢合・明日多(あいあい・あすた) 被害者:住所不定無職 小判鮫 紐助(こばんざめ ひもすけ) ――東京都大田区蒲田にて、複数回の頭部への打撃により、撲殺。 加害者:住所不定無職 小判鮫・紐助(こばんざめ・ひもすけ) 加害者:一般人。 逢合 明日多(あいあい あすた) ――被害者を殺害後、逃走。 そして男は目が覚める。逢合 明日多は目が覚める。 血に塗れて起き上がった眼前には。 血に塗れて殺されている二人の男が、転がっていた。 明日多は、のろのろと腕を持ち上げ、胸の前で縦横に指を這わせた。 死を見届ける度に、体が勝手に行う反応。 もはや意味すら忘れ果てた習慣だった。 明日多が生きるとは、人と逢うとは、こういうことだ。 昔はそうでなかったような気がする。 どうしてこうなったのか思い出すことができない。 だから。死にたい。 だけど。死ねない。 望むのは、正しく殺されること。 願うのは、正しく救われること。 祈るのは、正しくこの命が失われること。 ならば。 この、たった今、忽然と目の前に現れた、”三人目”は、眼鏡の奥に、刺すような殺意を秘めた青年は、正しく、逢合 明日多を殺すことができるのか。 無理だろう。 それが自分の異能――『箸も殺せるお年頃(ボーン・デット・マン”シオン”)』と、彼を幽閉していた組織は呼んでいた――の特性だから。 けれど。振り下ろされる手刀を見ながら、明日多が、数十年ぶりに意味のある言葉を発したのは、何故だったのか。 眼鏡の青年の胸にあるモノを見たからか。 その表情に、憐れむような視線に、いつかの出会いを重ねたからか。 ――たすけて(ころして)。 殺される。間違いなく殺される。 この勢いで振り下ろされた手刀は、容易く明日多の首を折るだろう。 そして、彼の異能はその加害者と被害者を無慈悲に反転する。 だから、80年ぶりに口にされた、その願いは、叶わない。 だから、逢合 明日多は、こんなカード(もの)に願いを託したのだ。 その諦めを。明日多は知らない、彼にとってあまりに皮肉な名が付けられた、『襲撃者の異能(ヤコブの御手)』が覆す。 ひたり。 確実に明日多の命を断つはずの手は、まるで、撫でるような感触のみを、首筋に与えていた。 二人の視線が交錯する。 それは、一瞬だったか。それとも、小一時間ほどであったのか。 「……私ハ ■■■ ト イイマス(マイ・ネエム・イズ・”■■■”)」 「福院、メトディオス」 眼鏡の青年は路地の奥へ消えた。 ――言葉が、通じた。 取り残された明日多は、その、ほんの数秒のやりとりを、反芻する。 いつか、弾丸でもってしか報われなかった呼びかけに、正しく返事があった。 明日多は、のろのろと腕を持ち上げ、胸の前で縦横に指を這わせた。 それはもはや、意味すら忘れ果てた習慣だった。 だか。今は、それをするべき時であると、彼の摩耗した魂が、訴えていた。 4.空白の隠匿者 福院・メトディオス―—『法王』正位置 メトディオスは、逢合 明日多と十分な距離を取ったことを確認し、息をついた。 逢合 明日多を観察し、その能力の発動を確認した。 能力発動の阻止はできなかったが、収穫はあった。 姫代学園の情報と現場検証、帆村の情報から感じた、僅かな違和感の正体。 それは「被害者と加害者を逆転させる能力で、なぜ、あれだけの被害が出たか」だ。 路地裏の血気盛んな半グレならばわかる。 だが、真っ当な教育を受けた女生徒たちが、ただ怪しいという理由だけで、構内に迷い込んできた男を殺すだろうか? 何人かそういう異常者はいるかもしれない。けれど、それが、数十人、百数十人に及ぶだろうか。 警察の調書からは、「話しかけただけで明日多が死んだ」という女生徒の証言があったらしい。だが、だとすれば、姫代学園に至るまでに、もっと広範囲の虐殺が為され、逢合 明日多の悪名は日本中に広まっていなければおかしい。 事実、先ほどの路地裏で、明日多は、人並の耐久力を持ち合わせ、かつ、常識的な理由で死亡することが確認できた。 にも関わらず、あの事件が成立した理由。 それは、『殺意の賦活』という、別の魔人能力が、絡んでいるからだ。 逢合 明日多の周囲にいる人間に、彼への殺意を植え付ける力。 明日多の能力の副次効果ではない。明らかに別人の能力だ。 実際に対象となったからこそ、メトディオスは確信していた。 逢合 明日多自身は、平和な日常の中にある限りにおいて、単体では無害な魔人だ。 殺されなければ発動しない能力など、本人に高い戦闘能力と敵意がなければ、めったに発動しないものだから。 しかし、それは周囲が全て敵の状態においては、無敵の大量虐殺兵器へと変わる。 そんな便利な存在が、帆村の言う通り、百年前――明治初頭に、公的機関によって発見されたとしたら、どう扱われるか。 この国の辿った歴史を、メトディオスは反芻する。 人も足りず。鉄も足りず。油も足りず。それでも、強大な敵に抗い続けた時代。 そんな中で、この能力を最も欲しがったのは誰なのか。 メトディオスは、拠点の端末から、その組織へのクラッキングを開始した。 ― ― 逢合 明日多 本体の『発生』は本体の記憶している限りにおいて三百年ほど前。 江戸幕府発足間もない時代の九州北西部出身と推測される。 能力発動条件は、「殺されること」。 餓死や衰弱死である場合は、それを防ぐための手段を取りえた人間を「加害者」と見なして生死交換の能力が発動する。 ■■■■■■はこの能力の戦時における有効性に着目。 ■■■■年■月■日 ■■■作戦に使用。戦果■■■名。 ■■■■年■月■日 ■■■作戦に使用。戦果■■名。 ■■■■年■月■日 ■■■作戦に使用。戦果■■■名。 ■■■■年■月■日 ■■■作戦に使用。戦果■■名。 注:回収後、逢合 明日多との意志疎通が不可能となる。過去の記憶についても想起が不可能な様子。戦術的価値に支障なし。 ■■■■年■月■日 ■■■作戦に使用。戦果■■■名。 ■■■■年■月■日 ■■■作戦に使用。戦果■■名。 ■■■■年■月■日 ■■■作戦に使用。戦果■■■名。 ■■■■年■月■日 ■■■作戦に使用。戦果■■■名。 ■■■■年■月■日 GHQより、『箸も殺せるお年頃(ボーン・デット・マン”シオン”)』逢合 明日多の破棄指令。 ■■■■年■月■日 大日本帝国陸軍解体に伴い所管替え。以後扱いを警察予備隊に引継ぐ。 ■■■■年■月■日 逢合 明日多の自殺による因果循環による処分を試みるが、本人応じず。 ■■■■年■月■日 所管替え。以後扱い陸上幕僚監部運用支援・第ゼロ特殊武器防護隊に引継ぐ。 ■■■■年■月■日 精神操作系能力による自殺教唆を実行。”攻撃”と見做され、精神操作系能力者死亡。 ■■■■年■月■日 以後、62件の処分方法を試行。失敗。詳細は別フォルダ参照。 特記事項:第46次処分実験において、■■■■■■■を殺害させることにより、逢合 明日多に”楔”の定着を確認。■■■■■■■の因子を培養、付与した人造魔人との同時運用により、逢合 明日多の戦術的有効性を最大限に活かす副次的作用が発見される。 ― ― 以上の情報の出元は、陸上幕僚監部運用支援・第ゼロ特殊武器防護隊。 通常部隊傘下とは別に、秘密裡に運用される自衛隊における対魔人戦術の中核である。 「なるほど。その立場から、これだけ警察を牽制できたというわけだ」 帆村探偵社。その執務室において、帆村紗六はパイプを上機嫌にくゆらせた。 「自衛隊は、逢合 明日多を持て余し、処分したいと考えている。そして、拘束中の彼が「殺されること」を願ってアルカナを得たことを契機に、彼にカードを束ねさせ、安全確実に彼という危険物を処理する腹積もりでしょう」 「であれば、虐殺を起こす必要はないのではないかな?」 「逢合 明日多を放置し、他の候補者に殺されても部隊の目的は達成される。が、他の候補者の「願い」が不明である以上、国益に反する「願い」が叶えられる可能性はゼロではない。ならば、部隊は逢合 明日多の勝利を望むはずです。カードを持たない彼らは誰が候補者かわからないから、彼に近づくそれらしい人間に無差別に敵意を植え付けるしかない。それが、姫代の惨劇の真相だ」 「ならばどうやって、逢合 明日多を処理する?」 問いに対し、メトディオスは、ここまで得てきた情報からの推論を伝える。 逢合 明日多の出自。 なぜ、その能力が生まれたのか。 なぜ、死による解放を望みながら、被害者と加害者の転換という異能の唯一明解な解決法である自殺を彼は選ばないのか。 なぜ、その能力は『ボーン・デッド・マン”シオン”』と名づけられたのか。 「それで?」 「魔人能力は、強固な認識による世界律改変です。だから、その根幹である認識が弱まる、改まることで、能力は弱体化、無効化される。だから――」 彼の「何を犠牲にしてでも生き続けなければならない」という動機を、解体する。 その結論を、 「僕はその方針に反対だ」 帆村は、一言で否定した。 「自殺をしない理由は理解した。だが、今の福院君の推理が正しいならば、彼に過去を突き付け、罪を糾弾するだけで、彼は自らの意志で命を失うのではないかな?」 合理的な反論。 忍者とは、まともでない戦い方の専門家だ。 強大な敵の裏をかき、その心臓に刃を突き立てる技こそ本分。 だから、メトディオスの指針は、忍者の手法ではない。 「逢合 明日多の境遇に同情すべき点はある。だが、彼によって生の権利を奪われた者のことを考えても、彼に救いを与えるべきだろうか。君が、それを、為していいだろうか」 帆村の言葉に、メトディオスは返す言葉を持たなかった。 5.繰り糸の暗躍者 三千殺界 膝栗毛――『金貨の7』正位置 第ゼロ特殊武器防護隊長、七三 分弌 二等陸佐は、ビル街を彷徨する逢合 明日多を、双眼鏡越しに監視していた。 彼の隣には異形の隊員、三千殺界 膝栗毛(二十六号)陸曹。 膝栗毛の任務は、逢合 明日多に近づく、アルカナ候補者と思しき人物に、魔人能力『偽・殺し殺せば殺すとき(スリーアウト・チャレンジ)』を使用し、対象の行動すべてを『逢合 明日多を殺す』方法に変えることだ。 膝繰毛は、最新の細胞培養技術によって生み出された、クローン魔人自衛隊員である。その能力は強力だが限定的で、「オリジナルであった三千殺界 膝栗毛を殺した人物」――即ち、逢合 明日多を殺す形でしか、人の行動を捻じ曲げられない。 自我も薄く、ただ、隊長である七三の指示に従うのみだ。 自衛隊が明日多を処分しようと行った実験の一環として、死刑囚であったオリジナルの膝栗毛と戦い合わせた結果副次的に生み出された、逢合 明日多を大量殺戮兵器として運用するためのトリガーパーツ。 それが、クローン魔人、膝栗毛の存在価値だった。 この街には、彼の他に、四体の膝栗毛シリーズが配置運用されている。 その全員が、いつでも、彼の隣に立つ上官の命令により、惨劇を引き起こせるのだ。 姫代の惨劇を思い出す。 あれは、あまりにも悲惨だった。 あらゆる姿に成り代わる候補者、そして、衣装の中の素顔が知れぬ候補者が学園という密集地帯に紛れ込むことで、多くの余計な犠牲を余儀なくされた。 逢合 明日多は危険であり、処分しなければならない。 逢合 明日多以外の候補者がカードを束ねることで、より危険な願いが叶う可能性がある。 この二点に異論はない。故に、七三は任務を遂行する。罪に手を汚す。 やむをえない。自分が干渉しなければ、より大きな被害が出る。 人が持っていてはいけないもの。人の枠をはみ出たもの。 だから、人が管理しないと。そう。これは管理なのだ 双眼鏡の向こうで、明日多に、一人の青年が声をかけた。 眼鏡にロザリオ。間違いない。先日路地裏で明日多と接触しながら、『偽・殺し殺せば殺すとき(スリーアウト・チャレンジ)』の効果を跳ねのけた男だ。 魔人。そして、九割九分、アルカナの候補者である。 七三は隣の膝栗毛シリーズに、魔人能力の行使を命令し―― 球体が、足元に転がった。 それが、膝繰毛シリーズの頭部であることに気付いた時には、背後から、七三の首筋に刃が突き付けられていた。 「動けば殺す。振り向けば殺す。能力を使えば殺す。その上で、帝国陸軍及び自衛隊が逢合 明日多をいかに扱っていたかを暴露する。逢合 明日多は私が殺す。手出しせず即時東京から出れば殺さない。暴露もしない。警告は一度だけだ。予備要員にも伝えろ。全員の名前も家族も把握済みだ」 「……本当に、殺せるのか」 七三の口から漏れたのは、自分でも意外な言葉だった。 七三自身、自分たちの作戦が最良だとは思っていない。 もっと被害の少ない、もっと正しいやり方があるのならば。 姫代の惨劇を経て、そんな気持ちが強まったことは間違いなかった。 「ああ」 一瞬の逡巡。 七三は嗤った。 なんだ。この、名も知らない刺客も、確信はないのだ。 七三は両手を挙げたまま、降伏の意を示し、ビルの屋上を後にする。 世界は優しくなどなく。 だから、「たった一つの冴えたやり方」など存在しない。 国ですら、組織ですらそれを見つけられなかったのだ。 それをなお、自分はできると嘯くのなら。 見せてもらおう。 ――いや、見せてほしい。 おまえのやったことは愚かな間違いであると。 そんなことをせずとも、よかったのだと。 (感傷だ) かくて、七三 二等陸佐はこの戦場から脱落した。 6.遅れてきた殉教者 逢合 明日多―—『吊るされた男』正位置 「また会えました。逢合 明日多さん。福院・メトディオスです」 人込みの中で、その青年は、明日多に微笑みかけた。 少し前に話しかけてきた眼鏡の青年は、どうやら彼の仮装をした別人だったらしい。 小細工のため、若手の劇団員に身代わりを頼んだのです、と彼は言った。 今の彼は、眼鏡をつけていない。 よく理解できなかったが、目の前の人間が自分に害意を持たず、意志の疎通を試みているということそのものが、明日多にとっては、希少で貴重な事だった。 「監視は外しました。貴方が理不尽な暴力に襲われることは、ありません」 にわかには信じがたい言葉だ。 だが、事実、この半日ほど、どれほど人に近づいても、無関心に無視されることこそあれ、明日多が誰かに殺されることはなかった。 しかし、なぜ。この青年は、そんなことをするのか。 殺し殺され続けるループから、自分を、引き上げようとしてくれたのか。 「私は、『法王』のカードの候補者。他に、3枚のカードを保有している」 疑問は、名乗りによって解決した。この青年もまた、カードに願いを託した者。 ならば理不尽にではなく、明確な理由をもって、逢合 明日多に敵対する者なのだ。 「貴方を、たすけ(ころし)にきました」 明日多に戦う手段はない。 相手を害する方法は、相手に害されることのみ。 だから最弱。同時に無敗。 明日多の敵となり攻撃しようとする時点で、敵の死は確定している。 ほんのわずかでも、わかりあうことができるかもしれないと、思ったのに。 その諦観を、だが、メトディオスは否定する。 「だからまずは、風呂と、服と、食事です。これだけは、譲れません」 致命の攻撃は、繰り出されなかった。 ― ― ついてくることが当然という素振りで、メトディオスと名乗った青年は彼を連れ回した。 洋服を揃え、雨合羽とタオルとを買い、銭湯で全身を泡だらけにされた。 冷たく甘い色付きの牛乳を飲まされ、自由に取ってよいのだというパンと焼き菓子を買い、ビル街を歩きながら食べた。 脳が追いつかない。 ここしばらくの地獄が嘘のような時間だった。 裸で無防備な所を刺されなかった。 洋服に毒針は仕込まれていなかった。 食べたものに異物は含まれていなかった。 歩いても、誰も襲い掛かってはこなかった。 隣の青年は、穏やかに微笑んでいた。 夕立ちが降ると、青年は明日多に合羽を着せ、手を引いて、ほど近い家へと迎え入れた。 品川は、彼の拠点の一つらしい。 一角に備えられた礼拝用の座に、明日多はなぜか視線を吸い寄せられた。 懐かしく、心がざわつく。 所在なく部屋を眺めると、その隅に、幼い兄妹の写真があった。 妹がいたのです、と彼は寂しそうに笑う。 その意味を理解できる程度には、明日多もまた、多くの別れを経験していた。 夕餉は、味噌汁と白米、焼いた鮭だった。毒は、入っていなかった。 青年は明日多に寝台を譲ると、自分は床で早々に寝息を立てた。 意図がわからない。 なぜ、カードの所持者が。 殺す、と言っておきながら、こんなことをするのか。 明日多は、台所にある包丁を取り出し、眠る青年の上で構えた。 全く興奮も、快感もない。 やはり自分は、殺すことが嫌いなのだと、明日多は自覚し、床に就いた。 翌日、青年は、明日多を連れて、再びビル街へ繰り出した。 ― ― 「長く、一つ部屋に閉じ込められたと聞いています。望まぬ殺戮を強制されたとも」 手近な牛丼屋で朝食を済ませる。割箸に四苦八苦する明日多に、青年は容易くそれを割って見せた。注文と同時に差し出された丼は、熱く、塩辛く、旨かった。 二人は、JR品川駅、高輪口から、緩やかな坂を西に上る。 「不幸な話と括る資格も私にはない。ですが、四百年も生きたのです。当然に貴方は、その果てに、この国がどうなったのか、少しでも知っておくべきだと思いました」 青年は、穏やかに明日多に語りかける。 「悪意と殺意、殺す、殺されるの循環以外のものを。――あなたが繋いだものの、その果てを。それが、昨日、貴方を連れ回した理由です」 だが、そこまでする意図が、明日多にはわからない。 カードを奪いたい、そのための布石であるとしても、あまりに迂遠だ。 わからない。理解できない。意図が判然としない。 そんな困惑のまま、明日多はメトディオスの背を追う。 少なくとも、自分をすぐに殺そうとしない。 その一点において、彼の存在は、いつの間にか明日多の安らぎになっていた。 ――貴方は生きなさい。そして、■■■■を、絶やさないで―― その表情が、十字架を握って祈る様が、摩耗した記憶の中の、誰かに似ていたからかもしれない。 「ここに、貴方と、来たかった」 十分ほど、歩いただろうか。 メトディオスは明日多を振り返り、ビル街に不似合いな石碑を指した。 一体、何が。 碑文はぼやけ、明日多の目では読むことが難しい。 だが、その下に書かれた碑銘に、心臓が跳ねた。 『江戸の大殉教』 約四百年前、江戸幕府が十字教を禁忌とした際、国内の宣教師と信徒とが、大量に処刑された事件。 市中引き回しの末、約50名の信徒が、品川の小高い丘で火刑に処され、以後、信徒の縁者や匿った者ら、2,000人近くが処されたという。 ――江戸では、同胞が迫害され、殺されているという。 ――松倉には教えなど関係ない。我々から絞れるだけ絞りとる方便だ。 ――もはや耐えられぬ。有馬様の御家来衆が蜂起の意ありと。 ――小西様の祐筆、益田様の御子息が、主の御声に従い軍を率いるというぞ。 明日多の摩耗した記憶の中で、何かが目の前の光景に反応する。 「『殺して(たすけて)』、と貴方は言った。しかし、貴方の能力がある限り、貴方は自殺するほか、死ぬことができない。しかし、貴方はそれをしなかった。できなかった。そんな選択肢は、最初からないかのように。そこに、ずっと違和感があったのです」 「自衛隊に残されていた、陸軍の記録」 「貴方の言動の断片から、約四百年前からの生存が推測されること」 「そして、あなたが意味のある会話をしなくなったのが、第二次世界大戦、米軍に対する戦闘の後」 「米軍の記録。貴方が、「My name is Sion.」と叫んでいたということ。Asuta、ではなく、Sionと。――私にも、そう語りかけてくれましたね。ロザリオに、気付いてくれたからでしょうか」 メトディオスは、静かに推論を展開する。 なぜ、明日多は死を望みながら、この能力の唯一明解な攻略法である自殺をしないのか。 ――それは、明日多に、自殺を禁忌とする教えが根付いているからである。 なぜ、明日多は第二次世界大戦、米軍に対し、Asutaではなく、Sionと名乗り――「ボーン・デッド・マン”シオン”」という二つ名をつけられたのか。 ――それは、米軍兵にならば、シオンという、明日多の「もう一つの名の意味が伝わる」と信じたからである。シオン。ラテン語で、「神の庭」を意味する洗礼名の意味を。 なぜ、明日多は、米軍兵との戦いの後、言葉を失うほどに、心を閉ざしたのか。 ――教えを同じくするはずの、同胞のはずの相手を虐殺し尽くしたからである。 であれば。四百年もの間、生き続けてきた、逢合 明日多とは。 その出自は、一体、なんであるというのか。 「逢合 明日多さん」 メトディオスは、品川駅前で購入した、銀細工の十字架を、明日多の首にかける。 「貴方は、この国が主の教えを弾圧した時代から生き続ける、十字教徒の先達だ」 十字教。その言葉と、かけられたロザリオ。 鼓動が加速し続ける。 摩耗したはずの記憶が、思い出すことを拒んでいた脳を覆う靄が。 少しずつ、晴れていく。輪郭を取り戻していく。 なぜ、生き続けないといけなかったのか。 なぜ、逃げ続けないといけなかったのか。 なぜ、摩耗の果て、死にたいと願っても。自殺だけは選択肢にならなかったのか。 寒村で飢えていた記憶。 その中で、立ち尽くしていた。 自分だけが生き延びた。 「1610年代、禁教令間際、島原藩のセミナリヨ名簿に、相生村出身のシオンという生徒の名を確認しました。この時期に生きた十字教徒であれば貴方は」 それは、なぜだったのか。 「あの、島原の乱の、生存者だ」 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 あれは死。死そのものの音。 どうして。自分たちばかりが、追われなければならないのだ。 自分たちはただ主に祈りを奉げていただけなのに。 飢えと寒さをしのぐ、ほんの少しましな暮らしを、求めただけなのに。 それさえも、許されなかった。心の支えすら、奪いつくされた。 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 減っていく。(殺されて)共にいたはずの仲間たちが。友人たちが。(逃げて) 足音に追いつかれ。消えていく。死んでいく。殺される。(死ぬ) 盃を描いた旗が冬空にはためく様を、美しいと思った。 そんな単純な理由で集った三万と七千の魂が、その灯火が、吹き散らされる。 ぺたり。ぺたり。ぺたり。 記憶が混濁する。事象の前後を認識出来ない。 四百年の彷徨が。 (サムライからの逃亡の記憶) 能力を介して収奪した他者の命が。 (鎖に繋がれ、地獄の渦中に放り込まれた記憶) 生きるだけで重なり続ける罪の責め苦が。 (断片のようにかすれた記憶のピースを塗りつぶすものは) 因果逆転に伴う時間の循環と混線が。 (稲妻のように駆け巡る殺戮の感触と昏く澱む死の感触) とても大切だったはずの、はじまりの記憶を、摩耗させていったのだ。 『貴方は生きなさい。そして、主の教えを、絶やさないで――』 明日多は、思い出していた。 幕府による十字教徒の弾圧。 自分が死ねば、この国で主の教えを知る者は断たれる。 「敬意を。貴方たちが、苦難を越えて教えを語り継いできたからこそ、私は、地獄でも歩き続けられる信仰に巡り合えました」 それが、彼が死ねないと考えた理由 四百年もの間、死の足跡と足音から逃げ続けてきた理由。 自死は主の御心に叶わぬ罪、地獄へと落ちる道と。そんな教えが、摩耗の果てにも魂に刻まれていたことが、幾ら自殺を命じられてもできなかった理由。 「――昨日、雨をしのいだ雨合羽も、空腹を満たしたサンドウィッチのパンも、舌を楽しませたカステラも。信仰の生んだ交流がこの国にもたらし、根付いた文化です」 『明日多さん。いえ、同志シオン』 「逢合 明日多――いえ、洗礼名、シオン。ラテン語で神の庭を意味する言葉を名に負う、敬すべき四百年の先達」 メトディオス。古の聖人の名を冠する青年の言葉が、いつかの宣教師のそれに重なる。 『貴方は生きなさい。そして、主の教えを、絶やさないで――』 「信仰は、繋がりました。だから――どうか。もう、安らいでください。 これが、私の、信仰者としての言葉です」 そこまで口にして、青年は、おもむろに眼鏡をかけた。 「そして、『法王』のアルカナの持ち主としては、こう言いましょう」 その視線が、途端に刃物のような鋭さに変わる。 「これが、私と貴方の勝負。私が貴方を殺す。『箸も殺せるお年頃(ボーン・デット・マン”シオン”)』が発動しなければ私の勝ち。発動すれば、私の負けだ」 『箸をも殺すお年頃』は、明日多の「死んではならぬ――主の教えを絶やしてはならぬ」という念による世界改変。 だから、メトディオスは、その動機の解体のために、明日多を連れ回した。 主の教えは今に生きている。 主の教えのもたらしたものは、この国に根付いている。 だから、もう、後は任せてくれと。 あなたが主の御許に行こうとも、この国の教えは、途絶えたりしないのだと。 その想いが伝わったならば、魔人能力は発動しないのだと、そう信じて。 なんて愚か。 明日多を殺すならばもっと簡単な方法がある。 自死すべきだと。 重ねた罪を糾弾し、犯した咎を断罪し、自殺することで落ちる地獄こそ、貴様の魂には相応だと、そう言えばよかったのだ。 けれど、目の前の青年はそうしなかった。 その姿に、どうして、顔も背格好も違う、あの宣教師の姿が、重なったのか。 「――amen(かくあれかし)」 メトディオス、明日多のその首に十字架をかけ、眼鏡をかけて、手刀を振るう。 首に、メトディオスの手刀が振り下ろされるよりも早く、逢合 明日多は、手にした箸を己の眼窩に突き入れた。 塩辛くて旨い、朝食に食べた牛丼の汁のしみた割箸だった。 唇を動かす。喉はもう声を出す機能を失っている。 それでも、目の前の青年は、それを読み取ってくれると、明日多は信じていた。 『貴方は生きなさい。そして、主の教えを、絶やさないで――』 ああ、やっと、引き継げた。 脳を突き穿ち、地面に転がる箸に、明日多は笑った。 箸が転がることが。自分が死ぬことが。 こんなに簡単でおかしいことだなんて。 ぺた。ぺた。 被害者:一般人。 逢合・明日多(あいあい・あすた) 加害者:一般人。 逢合・明日多(あいあい・あすた) 被害者:一般人。 逢合・明日多(あいあい・あすた) 加害者:一般人。 逢合・明日多(あいあい・あすた) 被害者と加害者。因と果が逆転し続ける。 しかしこの殺人の、被害者と加害者は同一。 故に、能力は循環する。因と果は逆転し続ける。 ぺた。ぺた。ぺた。 迫る足音。迫る足跡。 無数のこれは、自分の能力が喰らってきた人々の怨念であった。 振り返る。今まで逃げてきた死と罪とに、明日多は向き直る。 見上げれば一筋の光。天より吊られ垂らされた鎖。 きっとこの救いは、彼が貫き通してきた四百年の信仰だ。 地平線を埋め尽くす無数の足跡。 これに追いつかれれば、明日多は無限の地獄に囚われるだろう。 それでも、彼は、自らを天へと導く鎖を掴まなかった。 いつの間にか、彼の手には旗があった。 遥か昔、美しいと思った信仰の象徴。 それを地に立て、男は、無数の足跡に身を晒す。 ――宣教師様。四郎様。ここが、自分の”約束の地(シオン)”なのです。 『ぺ』た『た』た『た』た『た』た・・・・『ぺたん』 ― 被害者:一般人。 逢合 明日多(あいあい あすた) ――東京都港区高輪 江戸殉教者顕彰碑前にて、自らの眼窩を割箸で貫き、死亡。 加害者:一般人 逢合 明日多(あいあい あすた) ――東京都港区高輪 江戸殉教者顕彰碑前にて、自らの眼窩を割箸で貫き、死亡。 幾度因果が反転しようと覆らぬ、ただ、それだけの悲劇と喜劇。 かくて、ボーン・デッド・マン・”シオン”――生まれ、死ぬを繰り返した男、”神の庭”の洗礼名を背負った信仰者の四百年に渡る彷徨は、終着を迎えた。 7.悔悟の信仰者 福院・メトディオス―—『法王』逆位置 つかれはてしたびびと 重荷をおろして きたりいこえ わが主の 愛のみもとに かえれや わが家に かえれや と主は今呼びたもう ― 逢合 明日多は、帰天を拒み足跡に呑まれて消えた。 それは、メトディオスが魔人能力を解体できなかった――彼の心を、解放しきれなかったことと、同義である。 もしも彼が自らの命を断たなければ、メトディオスは、姫代の犠牲者と同様、足跡に殺されていただろう。だから、最良の結果ではあった。 だが、それは、十字教の禁忌を彼に強要したということでもある。 いや、仮に彼が強要されたと認識したならば、「致死性の攻撃」として見做され、因果逆転で、メトディオスは死んでいる。 つまり、間違いなく明日多は、己の意志で死を選んだ。 それでも、メトディオスの胸には、罪の意識が強く刻まれていた。 顕彰碑の傍らに残されたものは、三枚のカード。『恋人』『吊るされた男』、二つに裂かれた『節制』の片割れ。 カードは光の粒となってメトディオスに取り込まれる。 メトディオスは逢合 明日多の道程と最期に、自らを重ね合わせる。 主の教えを絶やさぬために、彼は生き続け、数多の魂を貪欲に食らい続けた。 いつか手段は目的へと変わり、心は擦り切れ、悍ましい化生となり果てた。 自分と彼に何の違いがあろう。 命を踏みにじり、間違い続けたこの生涯。 修正を試みる為に、また愚者たちの魂を食らい続ける。 その歩みを止められぬ時点で、彼と自分は同類だ。 いずれ生涯を終えるとき、この魂も地獄の火にくべよう。 咎人に、主の御許など相応しくないのだから。 だけど、それでも。 自分はまだ、願いに向かって進み続けなければいけない。 己の誤った選択のせいで、命を散らした妹のためにも。 『教会へ行くんだ。私たちもすぐに行く』 運命の分岐点。父との約束。 あの日、その言葉を守っていれば、彼女に会うことはなかった。 ―—辻一務流中忍頭、”隻枝”の紅葉。 両親の命を奪った、憎い仇。 兄妹に無償の愛を注いだ、もう一人の母親。 その出会いがなければ、破局を、妹と片腕を失ったあの夜を避けられたはずなのだ。 「残念、解体の瞬間を、見損なうとはね」 いつの間にか、 帆村 紗六が横にいた。この男はいつも神出鬼没だ。 「臨時とはいえ助手に謎を解体されては、探偵の立つ瀬がないな」 帆村はぼやくが、決着を譲ったのは、他ならぬ彼自身だ。 協力関係とは言うが、事実上彼の誘導で、メトディオスはこの結論に導かれた。 「なぜ、私に手を?」 「とむら――ただの弔いだよ。あと、君、どこぞの掲示板で僕を騙ったろう。「さぐるもの」ってやつだ。仮にも僕を演じたんだ。謎に負かされるのは気にくわない。その程度の話さ」 帆村はそう言うと踵を返し、 「この戦い、次が最後だろう。幸運を祈っているよ」 振り返りもせず去っていった。 アルカナは遠からず再び集う。 願いを手にするはただ一人。 全てを終わらせ、全てを始める。 そのために、殉教の碑の前で、愚者は旅路の終着点を見据えていた。
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「アメリカから見た日本(June 7, 2019)」より / 本当におかしなことに、そして悲しいことに、日本では国民の生命と財産を命をかけて守って下さる自衛隊を蔑む風潮がある。 そして、その風潮を作る旗手のマスコミによって我々は支配されている。 自衛隊という名ではあれど、軍事技術をとっても、隊員の練度、民度をとっても世界最高水準の「軍隊」であることは間違いない。 軍隊というものはどの国においても最高の敬意を払われる。 アメリカでは退役軍人の日もあり、その1週間くらい前から町中に大きな星条旗がはためき始める。 何かパレードがあれば必ず退役軍人が参加し、その方達が自分の前を通る時は、それまで持参してきた簡易チェアにどっかりと座ってパレードを見ていた人達も自然に立ち上がり割れんばかりの拍手を送る。 そういう姿を見ると私は悲しくなる。 日本を守るために、そこに住む家族を守るために、自分の命はもう無いものとして地獄のような大東亜戦争を戦い抜き、何とか生きて帰って来た軍人さんの中で、この様に日の目を見ることができた方々はどれくらいいたのだろうかと。 今でも元気に生活される退役軍人の方もおられるが、この方々が最大の敬意を持ってテレビに出演されているのを私は見たことがない。 自然災害が多い日本列島に住む日本人は、平成時代に改めてその脅威を幾度も体験し、その度に自衛隊のありがたみを痛感した。 (※mono....中略、詳細はサイト記事で) / 自衛隊の事故と言えば、今から20年前にある高校の近くの川岸に自衛隊機が堕ちた事故があった。 二人の自衛隊はその事故で亡くなった。 幸いにも川岸に墜落したのでその周辺に密集する家屋や学校には被害が及ばず誰も死傷することはなかった。 その時の事故を非難するマスコミの報道は酷いものだったが、その事故の真相を知っている一人の校長が言葉を残していた。マスコミが一切語らなかった衝撃の事件の裏側だ。 その校長先生の手記を紹介したい。 静かな気持ちで読んでみて欲しい。 ■『出典:藤棚 狭山ヶ丘高等学校 学校通信 1999/12/1』 人間を矮小化してはならぬ 小川義男 校長 (※mono....以下詳細はサイト記事で) .
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足掛け3日に渡って、非公開にするだのパスワード制にするだの暴れてました。 本ブログの非公開について… 2011-08-22 08 14 23 http //megalodon.jp/2011-0822-1053-12/blog.goo.ne.jp/fujioka2650/e/ac91b733c4129bf456de9de19b1de71d 本ブログの非公開について…撤回? 2011-08-22 17 28 30 http //megalodon.jp/2011-0822-1754-41/blog.goo.ne.jp/fujioka2650/e/16996a1a4150770a17a7bca6d510f492 呟きに振り回されている?…誰が? 2011-08-22 18 11 18 http //megalodon.jp/2011-0822-1824-08/blog.goo.ne.jp/fujioka2650/e/f5e3869aeaec974e4785e0ca27f7fc0c 改めて~呟きに振り回されている?…誰が? 2011-08-22 21 57 48 http //megalodon.jp/2011-0822-2237-39/blog.goo.ne.jp/fujioka2650/e/892568ad0dab339a94ba821583276b4b 今夜9時以降… 2011-08-23 19 35 16 http //megalodon.jp/2011-0824-0003-12/blog.goo.ne.jp/fujioka2650/e/43ac0152c51064becb6c36e0ae9a3525 パスワード 2011-08-23 20 38 59 http //megalodon.jp/2011-0824-0004-23/blog.goo.ne.jp/fujioka2650/e/deb6b3ff61f9aea44f79484d62811c23 パスワードの設定… 2011-08-24 06 22 32 http //megalodon.jp/2011-0824-1336-10/blog.goo.ne.jp/fujioka2650/e/5c351250a0e5f939555f2d776d8277ac 非公開にするかもしれません… 2011-08-24 11 08 50 http //megalodon.jp/2011-0824-1303-23/blog.goo.ne.jp/fujioka2650/e/9609bad4558ce24a51f882d7854daf3e ありがとうございます 2011-08-24 21 21 05 http //megalodon.jp/2011-0827-0316-26/blog.goo.ne.jp/fujioka2650/e/51399bfa8d26bd83acbc2732fe1a027f 最後は「続けて欲しいと言う声があったので続けます。」とのこと。 しかし、パスワードを設定していたのにどうやってそのような声が届いたのか不明です。 また、どうしても見たいならmixiで見ればいいのに。と思うんですが。 どうしてもgooブログを見たい人がいるなんて不思議です。 ----- 自衛官ニュース ----- 空自三沢基地の1等空尉を逮捕 児童ポルノ製造容疑 /岩手 - 毎日新聞 ローンを組みやすい「自衛官」、老後のために58.3%が「資産運用」を実施 ~自衛官103名対象「マンション経営」に関する調査実施~|不動産投資の健美家 - 健美家株式会社 「能力不足感じ自信喪失していた」夜中に駐屯地抜けだし 実家 へ…母連絡し発覚 21歳自衛官を停職処分(北海道ニュースUHB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 頑張る理由は「元カノとヨリを戻したい」突然の電話で直談判するが...!?:CHOTeN - テレビ東京 MBCニュース | 「飲酒運転ゼロ」「被害者に支援を」長男亡くした女性の願い - 南日本放送 「性的衝動を抑えられなかった」コンビニ駐車場で下半身露出…37歳男性自衛官を 停職 女性目撃し通報(北海道ニュースUHB) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース アフガン撤退の教訓を肝に銘じよ! 国軍に士気がなければ米軍は動かない 自衛隊機の派遣命令遅れは政治に責任 (夕刊フジ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「警察特捜2021 緊急出動!凶悪逃走犯を追え」父が元警察官の近藤春菜がナレーションを担当 - テレビドガッチ 高橋メアリージュン「吹き替えなし!」警棒奪ってアクション 練習写真公開(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 代表質問詳報コンパクト版 - 河北新報オンライン 恒例の日米指揮所演習ヤマサクラ アメリカ兵が日本文化を学ぶプログラムも - おたくま経済新聞 有事の国民保護、事前の備えを…第19回安全保障シンポジウム詳報 - 読売新聞 訓練中に迫撃砲が演習場外に着弾 「火薬の量誤る」陸上自衛隊が謝罪 12人懲戒処分 滋賀・高島市(ABCニュース) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 宇宙飛行士・油井さんが子供たちに語る宇宙での生活 静岡・掛川市(テレビ静岡NEWS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「家を選ぶときは必ず現地に」 流行のネット内見に警鐘鳴らす投稿が話題(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 5人が乗った車が石垣などに衝突で1人死亡…運転していた19歳の海上自衛官を逮捕(MBSニュース) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【外交安保取材】日本の防衛力整備は失敗だったのか - 産経ニュース 「外交的ボイコット」日本はどう対応すべき?与野党の政治家から主張相次ぐ(ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 綾野剛が語る『アバランチ』第8話の見どころ「勝敗以上の物語があります」(TV LIFE web) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 部下の隊員に暴行、陸自の50代陸曹長を停職1日に 発生から処分までには1年8カ月(山陰中央新報) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 自治会費横領の自衛官免職 北海道 - 産経ニュース 大村市の自衛官の男を酒気帯び運転で現行犯逮捕 - www.fnn.jp 松岡昌宏:日テレ土曜枠に11年ぶりの帰還! 成田凌への復讐に燃える元自衛官役 - MANTANWEB 元自衛官の芸人・やす子の「はい~」のルーツを探る『白黒アンジャッシュ』(TV LIFE web) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 元自衛官が香川・小豆島のオリーブ生産者に 胸に抱く平和への思い(ほ・とせなNEWS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 神戸・新開地の名画座「パルシネマしんこうえん」 二本立てを500円で 神戸市の支援金で市民に還元(ラジトピ ラジオ関西トピックス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【直球&曲球】葛城奈海 日朝交渉の場に制服自衛官の同席を - 産経ニュース 「あの基地は飯がマズイから嫌だ」と自衛隊員に言わせないために(JBpress) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ローンを組みやすい「自衛官」、老後のために58.3%が「資産運用」を実施 - PR TIMES 自衛隊の大規模接種センター閉鎖 防衛省「目的達成した」 [新型コロナウイルス] - 朝日新聞デジタル 自衛隊の隊員食堂で出される「ねばねば丼」。免疫力アップにももってこい!(ESSE-online) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 新企画「海峡陣取り」でやす子がサンシャイン池崎に恋心…『アイ・アム・冒険少年』(TV LIFE web) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「お前の骨全部折る」壮絶パワハラ告発 元自衛官“身内調査”に「我慢できない・・・」 - TBS News 「軍人」たちが見た「9・11」 自衛隊と日米同盟を変えたテロ事件|9・11から20年:絶対の「自由と民主」が去った世界で(新潮社 フォーサイト) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「隊の生活になじめず」無断で帰省 隊員を減給処分 陸上自衛隊富士駐屯地(テレビ静岡NEWS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 46歳で早期退職した元自衛官、59歳で「年収1500万円」に到達するまで(週刊SPA!) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 佐世保市で交際相手の首を絞めケガさせた疑いで海上自衛官の男を逮捕 - www.fnn.jp 海上自衛官、国立研究機関主任も…わいせつ動画配信「一斉摘発」の裏にある警察当局の執念〈dot.〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ボート沈没、自衛官乗り訓練中 燃料切れ、流され浅瀬へ 宮古島(琉球新報) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【マンガ】「待ち合わせはヒトロクマルマル」キター!! 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第一部 第十二話『病院。林檎と一時の休息』④ 早朝からシャマルは幽霧の身体を診断していた。 「クラールヴィント」 起動した瞬間、シャマルの指にはめられた指輪が微かに発光する。シャマルは「クラールヴィント」を起動させた状態で幽霧の足を撫でた。 「……内出血は既に治まり、全体の筋繊維も修復しています」 シャマルの口から出た診断に幽霧は安心した。 逆に診断を下したシャマルは驚いていた。 「私は一週間と見積もりましたが…それは筋繊維が修復するのに必要な時間です……まさか一日で修復するとは思いませんでした……」 驚きながら呟くシャマルの言葉に幽霧も驚いた。今までは完治するまで長い時間がかかった肉離れが今回はたった一日で完治したのだ。驚くにも無理が無い。 幽霧のカルテを書きながらシャマルは宣告する。 「かなり早いですが…リハビリテーションをしますか。訓練室を貸切にしておきます」 「はい」 「じゃあ。もう良いですよ」 幽霧はアサギに車椅子を押して貰うことで診療室から出た。 廊下ではアキとアルフィトルテが待っていた。 「どうだった?」 「リハビリをしても良いそうです」 アルフィトルテに車椅子を押されながら答える。 幽霧の言葉にアキはにやりと笑う。 「俺たちの出番か」 アキは歩きながら指を鳴らし、アサギは野太刀を振るう。 「おっと。幽霧の相手は俺がやる。アサギはやるなよ」 「なんでだ~」 やる気になっている所でアキに止められたアサギはむくれる。 アキは真顔でむくれるアサギに言う。 「お前に任せたら幽霧を壊しかねない」 「壊すわけ無いじゃないか~」 内心、焦りながらもアサギは微笑む。 微笑むアサギをアキは冷たい目で見る。 「そう言って、何十人を病院送りにしたか覚えているか? アサギ」 「ぐっ……」 流石に現状についてを持ち出されると歯噛みするしかないアサギ。 アサギを言い負かしたアキはにやりと笑う。 そうこうしている内に四人は訓練室に到着。アキがスライドドアを開ける。 幽霧は訓練室の大きさに感嘆の声を上げた。 訓練室の中は何も無いが、中は結構広いからだ。 「さて。やるか」 アキは幽霧から距離を取って対峙する。 「はい。篠鷹アキ戦技教導官」 車椅子から降りた幽霧は久しぶりの地面によろめく。しかし瞬時に体勢を整える。 幽霧は床を踏みしめながらアルフィトルテの名を呼んだ。 「……アルフィトルテ」 少女の身体が粒子となって崩れ、幽霧の手に一丁の拳銃が握られる。 対峙する幽霧とアキの中間に立ったアサギは片手を上げた。 「始め!」 幽霧は「アルフィトルテ」の射程範囲に入る為に接近する。 それに対し、アキはただ突っ立っているだけだ。 走りながら幽霧は親指で撃鉄を上げ、引き金を引いた。銃口から灰色の魔弾が撃ち出される。 魔弾が撃ち出された衝撃によって、幽霧の手と腕に痺れるような感触が残った。 「ぐっ……」 腕に痺れから幽霧は自身の未熟さを感じた。 アキは柔軟に身体をそらし、灰色の魔弾を回避すると同時に幽霧に接近。 接近するアキに幽霧はあいているほうの拳を握って拳撃を叩き込む。 しかしアキは姿勢を低くする事で幽霧の拳撃をギリギリでかわす。かわすと同時にアキは幽霧の後ろに回り、すくい上げるように背中を打つ。 背後からの拳撃で幽霧の身体が打ち上げられる。衝撃と共に鈍い痛みが幽霧の背中を襲う。 打ち上げられた幽霧は重力に従って落ちる。 アキは落ちてくる幽霧を蹴り上げる事で再度、幽霧を打ち上げた。 「ぐぶっ!」 幽霧の口から酸素が押し出される。 重力に従って幽霧の身体は地面に叩きつけられるかと思われたが、今度はアキが幽霧の身体をお姫様抱っこした。 「まだまだ本調子じゃないな」 アキは幽霧をお姫様抱っこしながら呟く。 お姫様抱っこされた幽霧は表情を変えない。 「まあ。リハビリの開始だからな。ココで切り上げるか」 幽霧を車椅子に座らせるアキ。 「でも……」 「怪我をした状態で限界を超えようとしても逆に身体を壊すだけだ。自愛したまえ~」 車椅子から身を乗り出す幽霧をアサギが制す。 アサギの言葉で冷静になったらしく、幽霧は車椅子に座り込む。 「さあ。部屋に戻ろうじゃないか」 「……はい」 アサギはグリップを握り、幽霧の乗る車椅子を押した。 乗ったエレベーターの中でアキは呟く。 「汗臭くなったから風呂に入りにいかないとな」 「……はい」 「でも、幽霧ってどっちに入れるべきなのだろうか?」 「……」 アサギの言葉にエレベーター内が凍りつく。 「まあ。106号室に戻ってから考えるか」 エレベーターの扉が閉まらない様に押えながらアキは幽霧たちに言う。 アキの妥協案に幽霧たちも無言で肯定した。 幽霧たちがエレベーターから出た時、沢山の人が廊下に詰め掛けていた。 「……」 幽霧たちはいやな予感がした。 「はい。はい。道を開けろ」 アキは廊下に詰め掛けた人を掻き分け、アサギは車椅子を押す。 扉の周辺まで来た時、部屋から声が震えてきた。 「んぁ。首筋なんか舐めないで……ひゃうっ!」 「感じているの? びちょびちょだよ。萌夜」 聞こえてきた声は幽霧にとって聞き覚えのある声であったので、硬直する。 「あっ……明日陽…」 「霜焼けになった所。気持ち良いの?」 アサギの顔に笑みが浮かぶ。無理矢理作った笑顔には青筋が浮かんでいた。 幽霧は目をつぶりながら溜め息をつき、アサギは青筋をぴくぴくさせながら「雷鮫」に手をかけた。 廊下に押しかけていた人たちは幽霧とアサギから飛びのく。 なぜなら幽霧は死んだ魚の様に濁った目で極寒地獄のように冷たい殺気を放ち、アサギは笑顔で周囲にいるものを焼き尽くすような熱い殺気を放っていたからだ。 車椅子のフレームを押し、床に足を付いて立ち上がる幽霧。 幽霧から放たれる殺気が揺らめく。 「立った…幽霧が……立った…」 周囲にいた人たちが呟いた。 裸足で106号室の前に立つ幽霧。 「アルフィトルテ」 幽霧の一言によってアルフィトルテは拳銃の姿をとる。 しかしアサギが幽霧を押しとどめる。 「お前が手を汚す必要は無い。入院患者は入院患者らしく療養したまえ~」 幽霧はしばらく考えてから瞼を閉じる。幽霧の瞳は元の茶色に戻った。 何かを諦めたかのようにアキは106号室のスライドドアを開ける。 アサギは106号室の中に入る。 規則的に置かれた病室の白いベッド。病室にある窓の側で男の背中と女の素足が律動する影。ベッドの上では、女性の上半身がトランポリンに乗っているように上下する影。 獣の様にほえる男の声。艶混じりな女の嬌声。絶頂を示す悲鳴が途切れ、そしてまた再び、くぐもった喘ぎに連鎖する。スプリングと水音。そして肉同士がぶつかり合う音が空間を満たしていた。 そして混沌とした匂いが空間を包む。やたらと甘ったるく、それでいて鼻の奥がつんと痺れるような奇妙な臭気が病室から廊下へ流れていく。 幽霧も感覚的にわかった。いや諜報部に所属する幽霧にとっては分かりやすく、慣れ親しんだ様な匂いであった。この匂いは人を無条件で狂わせてしまう匂いだ。 大股でアサギはのしのしと病室に入っていく。男女が絡み合う隠微な空間の前で立ち止まり、彼女は鞘を付けたまま野太刀の柄を握る。 「グッドモーニングだ~。弥刀餅二等陸士。久世萌夜司書官」 アサギの矮躯が病室という空間の中を奔る。手にした野太刀が一閃する。 最後までアサギに気づかなかった青年の頭に野太刀が叩きつけられた。 そして円運動を描くように青年を薙ぎ払い、その隙間に見えた女性にアサギは後頭部に突きを入れた。 ほとんど一瞬でカップル一組を昏倒させたアサギがぎょろりともう一組のカップルを見てた。 カップルは小さく悲鳴を上げる。そのカップルはレン・ジオレンス陸曹長と明日陽。 悲鳴を上げた二人にアサギは獰猛な獣のように歯を剥きながらニヤリと笑う。そして死刑宣告するように言った。 「頭を冷やしたまえ~」 アサギの野太刀が煌めく。明日陽には鞘をつけた野太刀で軽く首筋を叩き、レンにはすくい上げるように下から叩きつけた。 愛の営みに勤しんでいた四人を昏倒させたアサギは窓を全開にさせる。 病室の中に漂っていた無条件で狂わせてしまう匂いは外に流れ、代わりに冷たい空気が病室に流れ込む。 流れ込んだ空気の冷たさにアサギは呟く。 「ちょっと風が冷たいな」 四人を昏倒させたのにのんびりと呟くアサギに一種の恐怖を感じた。 幽霧は部屋の中に入り、昏倒している四人の服装を直す。 四人の服装を直す幽霧にアサギは苦笑する。 「そこまでしなくてもいいと思うのだがね~」 「トラウマが残ったら大変でしょう」 幽霧の言葉にアサギは黙るしかない。 無言で幽霧は四人の服装を直し、ベッドに頭を乗せて寝ているような姿勢にさせる。 まだ体が労働に慣れていないらしく、幽霧の額には汗が光っていた。 「ご苦労さん」 アキは汗をかく幽霧に声をかけ、車椅子に座らせる。 そしてわざと音を立てながら車椅子は病室に入った。 軋む様な音で弥刀と萌夜は目を覚ます。 「………ひいっ!」 車椅子に座る幽霧の隣にたたずむアサギに二人は悲鳴を上げる。 「……そんな顔をして、どうしたのですか?」 幽霧は悲鳴を上げた二人に首を傾げた。 二人は震える指でアサギを指差す。 「さっき殴られ……」 「気のせいだと思いますよ。アサギ戦技教導官はずっと自分の側にいましたし……」 「じゃあ……あれは夢かぁ…」 弥刀は微かに赤いこめかみを触りながら言う。 「きっとそうですよ」 「そっか」 幽霧の言葉に納得したらしく二人はそれ以上、何も言わなかった。 「…策士だ……」 「こんな所に策士がいるぞ……」 廊下から幽霧と二人の会話を見ていた人たちが口々に呟いた。 「弥刀二等陸士はともかく、久世萌夜司書官。よく来れましたね」 「知り合いの御見舞いと言って逃げてきたわよぉ~」 「……勘弁して下さい…」 うんざりとする幽霧。前も同じ事があったらしい。 萌夜はにっと笑い、持ってきた紙袋からラジオを取り出す。 「はい、幽霧。ラジオよ。病室は暇でしょ?」 胡散臭そうな感じがした幽霧はラジオの後ろ側を見る。何故か『広報部備品持ち出し厳禁』と書かれたラベルが貼られていた。 幽霧は窃盗ではないかと思った。窃盗品を受け取っても良い物なのか。 硬直している幽霧からラジオを奪い、萌夜はラジオの電源が入る。 「皆様、こんにちらぐぅ~♪ 蔵那クロエのらぐラジで~す」 ちょうどクロエが司会進行をするラジオが始まった。 「こんにちは。何故か「広報部のアイドル」と呼ばれる涼香です」 「涼香さん!?」 106号室にいた全員が驚いた。 「今回は広報部の様々な諸事情によって亜梨雨さんが出張なので、しばらくは私が担当です」 「という事で、この前送られてきたお便りの説明からはじめます」 ラジオのスピーカーから微かに紙擦れの音が聞こえた。 どうやら資料が見つからないらしい。 「ごめんなさい。クロエさん……資料が待ってて下さいね。お願い」 幽霧はラジオを聴きながら思う。この前のような波乱が起き無くと良かったと。 しかしクロエの探している資料によって大波乱が起きる事を幽霧は知らない。 「らぐぅ~! 見つかったよ~」 資料が見つかったらしく、クロエの嬉しそうな声がスピーカーから聞こえてきた。 クロエは資料を読み上げる。 「前回のお便りの中に『局内で捜査課所属の風切羽捜査官の貞操を狙っている方を教えて下さい』というお便りがありました」 「……」 幽霧は開いた口が塞がらなかった。 「『壁に隠しカメラ。障子に盗聴機』のキャッチフレーズで有名な諜報部のご協力によって判明しました。しかし流石に名前を晒すのも可愛そうなので、PNで読み上げます。 『アバ』~。『ラグ~ンな人』~。『真っ黒な王様』~。『とある次元航行部隊の人と同じ名前の人』~。『常にステルスの人』~。『某淫乱』~。『某熱血漢』~」 スピーカーから流れるPNだけで幽霧は誰が誰だか分かった。 何故なら、その情報収集をした局員の一人が幽霧なのだから。 幽霧は思う。馬鹿なことをする人が多いものだと。 突然、スピーカーから騒がしい音が聞こえ始める。 「風切羽捜査官!? どうしたの…」 「連閃剛衝ぉ!」 スピーカーから何かが壊れる音が響く。 「風切捜査官が暴走したぞ!」 「僕は……一筋で…ら…光になれぇっ! …真…魂……剣……」 ノイズや物が壊れる音で羽の言葉で重要な部分が聞こえなかった。 羽がスタジオの中で暴れているらしく、徐々にノイズの音が大きくなっていく。 「らぐぅ! 負けないよぉ~! 偽カラスのしっぽブレード!」 クロエもデバイスを抜いたらしく、ノイズと共にリロード音がスピーカーから流れる。 「黄金弾槍だらぐぅ! ついでに、もってけにゃんこ! 紅針弾槍!」 どうやら物量作戦で行くらしく、機関銃のような音が聞こえてきた。 すでにラジオ番組じゃなくなっている気がすると、幽霧は冷や汗をかきながら思った。 幽霧の隣では、アサギがすごく楽しそうな笑みを浮かべている。物騒極まりない。 そして遂には音すら聞こえなくなる。 「とりあえず、別のチャンネルにするね」 106号室内を一瞬でも沈黙にするのが恐ろしいからか、萌夜は慌ててラジオのチャンネルを切り替えた。 「謎の……ヒツジラジオだぉ~」 「ヒツジさん!?」 スピーカーから聞こえた暢気な声に弥刀はぎょっとする。 暢気な声と共にロック調の音楽が流れる。 常に無表情な幽霧以外の人たちは暢気な声と反して趣味は激しい事に驚いている。 「今回はゲストとして、広報部のラジオ番組でアシスタント役をしている亜梨雨さんと亜梨雨さんの恋人であるMIRUKUちゃんだぉ~!」 「広報部のラジオ番組でアシスタントをしている亜梨雨です」 「亜梨雨の彼女をしてるMIRUKUだよ! よろしくね!」 聞こえてくるBGMがかなり激しいが、さっきよりは幾分か平和だ。 「では行くんだぉ~。最初のお便りは「某蜜柑の姪」さんからのリクエストで、ミッドチルダの歌姫と呼ばれるアーティスト。え~まひよ~さんの「それでもあなたを愛してる」だぉ」 スピーカーから孤独な哀しさの中にも力強さを秘めた壮大なバラード曲。 片想いの彼に気持ちを伝えたいけど、不器用な私はドキドキするばかりで恋の一歩が踏み出せない。 一人の夜は寂しく、そんな時こそ貴方が側に居て欲しいと想う女性のせつない感情。 例え貴方がどんな過去を背負っていたとしても、私はあなたを好きになってしまった。 スローテンポの中にも感じ取れる力強いメロディーが、聞いた人の心に響かせる愛の歌。 流行に疎い幽霧でさえ、スピーカーから流れる曲には感嘆してしまった。 微かな余韻を残して曲は終わる。 「次のリクエストが来るまで雑談トークだぉ」 「リクエストはPCのメールでのみ受け付けております」 スピーカーから雑談トークが流れ始める。 萌夜はリクエストをするためにノート型PCを持っている人がいないか周囲を見回す。 そして萌夜は見た。ノート型PCを取り出そうとするレンを。 狙われているような視線に気づいたレンは隠そうとするが、萌夜のほうが早かった。 レンのノート型PCをゲットした萌夜は電源をつける。 いきなりパスワードを記入する画面が出た。 渋い顔をする萌夜に対し、レンはにやりと笑う。 「パスワードか。ちょっと貸したまえ~」 「ハッキング出来るんですか? アサギさん」 PCを取り上げたアサギはニヤリと笑う。 「ん? ハッキングは出来ない。でも、私はフェイト・T・ハラオウン執務官に比べたら、欠陥電流も良いところだ~」 レンは嫌な予感がした。 「しかし、ちょっとした磁気でプログラムを騙す事くらいなら出来る」 アサギの指から微かに紫電が出ると同時にPCのパスワードが解除される。 「…………変態」 「そうだな~」 「レン・ジオレンス陸曹長……」 明日陽の変態発言にほぼ、全員が同意した。 なんとレンの使っているPCの壁紙は捜査課所属の風切羽捜査官の写真だったのだ。 それもネコミミとネコの尻尾装備。更に猫のように四つん這いになって片手を可愛く上げている。 「違うっ! 違うんだっ! それは……フェイルの悪戯で」 じろりと睨みつける明日陽にレンは弁解する。 「ちょっと、貸して下さい」 幽霧はアサギからレンのPCを受け取る。そして真黒なUSBメモリーを突き刺す。 「一体、何をしているんだね?」 嫌な予感がしながらもアサギは幽霧に尋ねる。 「諜報部標準装備の強力なスパイプログラムで、壁紙に似た画像をリストアップです。ちなみに長月部隊長のカスタムで、強力な電子精霊が入っているらしいです」 淡々と答える幽霧。アサギの顔がひきつった。 レンの顔は某画家の描いた絵画のような真っ蒼な顔になる。 リストアップが終ったらしく、電子音が鳴った。 壁紙に似ている画像ファイルの件数は、一万二千五十三件。 「レン……覚悟はいいよね?」 「手に持っているそれ……何?」 青ざめた顔でひきつるレンに迫る明日陽の手には沢山のトゲがついたボールにチェーンがつけられたものだった。 笑顔で迫りながら明日陽は答える。 「バケツプリンを作ってあげるという条件で、ガーランドちゃんに貰ったの……私でも扱える超小型の…モーニングスター」 逃げようとするレンだが、背後は壁。もう逃げることはできない。 汗を滝のように流しながらレンは明日陽にいう。 「誤解だ…違うんだ……」 「うそだっ!」 「あーーーーーーーーっ!」 106号室から断末魔に似た叫びが響く。 近くの部屋にいた入院患者たちはその叫びを聞きながら敬礼をする。 そして呟いた。 「……レン・ジオレンス陸曹長………無茶しやがって…」 そのまま黙祷がささげられた。 幽霧はラジオから流れてくる音を聞きながら、ぼんやりと外を見ていた。 その近くでアサギは抜いた「雷皇麒」を磨き、ケーキ屋が乗っている雑誌を読んでいる。 アルフィトルテは幽霧の膝の上に頭を乗せながら眠っている。 弥刀と萌夜は呼び出しをくらってしまったので、もういない。 ちなみにレンは治療中だ。自業自得とはいえ、恋人の操るモーニングスターによって重傷となってしまった事は同情するしかない。 ゆるやかに時間だけが過ぎていく。 その空気を破るように病室のスライドドアが開く。そして幽霧に突っ込んできた。 「ゆ~ぎりっ!」 いきなり抱きしめられた幽霧は怪訝な顔をする。 「スバル・ナカジマ一等陸士……」 入ってきたスバルは幽霧の身体を触りまくる。 「仕事は大丈夫なんですか? スバル・ナカジマ一等陸士」 「大丈夫だよ。ちゃんと半休は取ってきたし、緊急時以外は大丈夫だよ~。それにしても良かったよ。幽霧が無事で」 「ええ。まあ……」 最近は人の抱き締められる事が多いと幽霧はしみじみ思った。 何故か身体を触るスバルの手つきがはやての手つきに似ていたが。 「元気そうだから、模擬戦しよっか」 笑顔で言うスバルに雑誌を読んでいたアキはギョッとする。 経験上、リハビリも無茶を重ねると治せるものも治せない事をアキはよく知っていたからだ。 アサギは「雷皇麒」を磨く手を止めてニヤリと笑う。 「分かりました」 あっさりとした幽霧の答えにスバルは嬉しそうな顔をする。 「俺たちはちょっと知り合いと会ってくる」 そう言ってアキはうずうずとしているアサギを引っ張っていく。 アサギは慌てて「雷皇麒」を納める。 「ちょっ! アキ……」 「夕方にカリムさんと今後の為に面会するのを忘れたのか」 「まだ時間があるじゃないか~」 幽霧と模擬戦をしたくてしょうがないアサギにアキは溜め息をつく。 「カリムさんにケーキを買わないといけないじゃないか」 アサギはアキの話を全く聞かず、駄々をこねている。 病室を去る前にアキはスバルに忠告した。 「無茶するなよ。スバルさんも幽霧は病み上がりという事を忘れないでくださいよ」 「分かってますって」 「そんじゃあな。行くぞ、アサギ」 アキも全く気にせず、ズルズルとアサギを引き摺っていく。 幽霧は無言で二人を見送る。 「そんじゃあ、いこっか」 スバルは幽霧に笑顔で言う。 「はい」 幽霧は頷いた。 「アルフィトルテ。起きて」 「うにゅぅ……」 寝ぼけているらしく、アルフィトルテは寝返りを打っている。 眠いならしょうがないだろうと思い、幽霧はスバルに言う。 「行きましょうか」 スバルは幽霧を抱きかかえ、車椅子に乗せる。そして訓練所へ移動する。 訓練室は余り使う人がいないのか、人が全くいなかった。 「じゃあ、やろっか」 「はい」 スバルは部屋の奥まで走り、幽霧と対峙する。 車椅子のフレームを押すことで身体を押し出し、幽霧は床を踏みしめる。 「いくよ」 拳を握るスバル。 顔が一瞬にして、真剣な目つきとなる。 「……お手柔らかに」 スバルは地を踏み込みながら蹴ることで幽霧に接近。 握られたスバルの右拳が幽霧の顎を狙う。どうやら一発で幽霧を沈めようとしているようだ。 しかし幽霧はスバルの拳が顔に触れる前に膝を曲げることで身体を落とし、スバルの拳を避ける。 そのまま地を踏みしめ、掌底で顎を下から突き上げようとするが、スバルに腕を掴まれてしまった。 「病み上がりにしてはいい動きだね」 「ありがとうございます」 幽霧は淡々とした口調で言う。 「でも……」 スバルは幽霧の着ているパジャマの裾を掴み、身体を半回転させて一本背負い。 幽霧の身体が宙を舞い、地面に叩きつけられる。 受身を取れないまま、幽霧は地面に叩きつけられる。 「でもまだキレが足りないね」 仰向けで天井を見上げる幽霧にスバルは笑いかける。 「……すみません」 背中に鈍い痛みを感じながら幽霧はスバルに謝る。 「良いよ。幽霧はまだ病み上がりなんだから。これは提案なんだけど……聖鎧布を使ってみない?」 「聖鎧布……ですか?」 「うん」 スバルの提案に幽霧は困ってしまった。 聖鎧布は幽霧が編み出した肉弾戦専用の魔法。 ベルカ式の防御魔法であるパンツァーガイストの様に身体を結界で包み込み、ブースト系の魔法で一時的な肉体強化を行う一種の複合魔法。 確かに未完成でも、他人を無慈悲に蹂躙するが如くの戦闘力はある。 しかしその代償は計り知れない。 まだ完治していないのに聖鎧布を使用するのは危険ではないかと幽霧は考える。 幽霧は目をつぶりながら深い息を吐く。 開かれた幽霧の瞳は死んだ魚の様に濁った瞳に変わり、極寒地獄のような冷たい殺気が放たれる。 瞳が変わるとほぼ同時、幽霧の足元に魔法陣が浮かび上がる。 その魔法陣はミッドチルダ式でもベルカ式でも無い独特な形状をしていた。 まるで讃美歌を謳う様に幽霧は冷たい声で呪文を紡いだ。 「其は鎧にして布。其は全て難から御子を守る者。それが故に御子の守護者………」 展開されると同時に幽霧の全身に奇妙な紋様が浮かび上がり、瞬時にその紋様は消え失せる。 見た目に全く変化が無いところから、幽霧の発動した魔法が失敗したかのように思えた。 しかし幽霧の身体から放たれる魔力と肌をやすりで削られるような緊迫感は尋常ではない。 スバルは頬をゆるませて笑う。何故なら、幽霧の魔法が発動していることを肌で感じたからだ。 その隙を幽霧が逃すわけが無い。幽霧が一瞬にして間合いを詰め、スバルの懐に入る。 幽霧は右の肘を後ろに下げる事で額に照準を合わせる。 右手は親指に中指を引っ掛ける形となっている。幽霧は中指に力と魔力を注ぎ込む。 スバルは額に冷や汗が流れる。 指に魔力を纏わせたデコピンがスバルの額を捕らえる。幽霧の指から放たれたデコピンは常人ではありえない轟音と威力をたたき出す。 喰らったスバルは額で何かが爆発したかのような衝撃に襲われた。 スバルは上反りになるが、その類まれなる筋力で身体を起こす。 距離を取る為にスバルはバックステップで下がるが、幽霧はそんなスバルを逃がさない。 幽霧は聖鎧布を纏わせた連撃をスバルに叩き込みながらただ真っ直ぐに突き進む。 その拳撃は刹那を超え、認識を超え、知覚を凌駕した認識領域で幽霧の拳が繰り出される。 聖鎧布を纏った拳と大気が爆砕する。その拳撃の一発が既に砲撃魔法の一発分に匹敵している。 爆砕した大気が暴風を生み、質量を伴った残像が顕現する。繰り出す拳は無限数。穿たれ、抉られ、放たれた拳撃がスバルに叩き込まれる。 しかしスバルも幽霧の拳撃を何発も受け流す。 その時、ガラスが割れるような音共に幽霧の聖鎧布が解除される。 スバルはその隙を逃がさなかった。身体を落とし、渾身の力で幽霧に足払い。 足を刈られた幽霧はバランスを失い、重力に従って転倒する。 聖鎧布を発動していた時と比べたら、拍子抜けするくらいであった。 「私の勝ちだね」 「……参りました」 幽霧は少しよろけながらも立ち上がる。 「今回は大丈夫だったみたいだね」 「……少し疲れました」 笑いかけるスバルに幽霧は荒い息を吐く。 幽霧は身体中から汗を流し、お世辞にも大丈夫だとは見えなかった。 精神面では慣れているのかもしれないが、病み上がりに近い身体ではまだ慣れていなかったのかもしれない。 「汗もかいたことだし、お風呂にでもいこっか」 「……はい」 幽霧は今も尚、荒い息を吐きながらスバルの提案に賛成する。 「車椅子に乗る?」 「これ以上、身体がなまったら困るので返しに行きます」 幽霧は車椅子を押しながら歩く。そのおぼつかない足取りは、すぐに倒れてしまいそうな危うさがあった。 「そっか」 スバルは苦笑しながら幽霧の後についていく。もし途中で幽霧が倒れても介助できるようにする為だ。