約 24,298 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4146.html
私は情報思念体が作り出した対有機生命体用インターフェースのひとつである。 太陽系、と本人たちによって呼ばれる辺境の惑星系の第三惑星に発生した有機生命体のなかに、全宇宙の中でもユニークな一個体が発生した。 そしてそれは進化の袋小路に閉じ込められた情報思念体になんらかの脱出口となる要素を抽出できる可能性がある、と判断された。 単体という概念を持たず、いかなる光学的手段を持っても不可視である情報思念体にとって、一地球人固体を観察し、必要ならば彼らの言語による意思疎通を可能にするインターフェースが不可欠であることから作られたものの一体である。 同時に作られたバックアップと比べて、私というインターフェースは一見して他のインターフェースとは際立った地球人的な「個性」が与えられている。 そう。被観察者涼宮ハルヒによって、私に必要とされた属性。 極端な無口、非情動的で非社交的なキャラクター。 彼女にとって、宇宙人の地球上での仮の姿に似つかわしいと彼女自身が無意識的に想像している情報を反映して作られた個性である。 わたしは他のインターフェースのように自然な人間らしく振舞う因子を彼女の願望によって減らされた内気で静かな神秘的な形態をしている。 むろん涼宮ハルヒは自分が私をそういう個性にフォーマットすることに関与したことに気づいていない。 ただこのような個性を持たされた自分が、そしてそれを望んだ彼女が今となっては呪わしい。 呪わしい? 私の人類の脳と呼ばれるフィードバック式対情報リアクションシステムのなかにながれる情報のひとつの形態がここでは、そう名づけられていることをアナログ式文字インターフェースシステムの一種で、本、と呼ばれるものからのインプットを行い学習した。 三年間の待機モードから復帰した私は長門有希という個体識別の記号-名前、をもって涼宮ハルヒの通学する高校へ侵入した。 そのとき既に私はこれからの自分がどういう風に心を病んでいくのかを知っていた。三年前に知らされていた。 病んでいく-自分がその言葉を使いたくない気持ちであることを改めて確認し、私は心の中で小さくため息をついた。 あらかじめ与えられたあの破局に向かって、避けようもなく敷かれたレールを前に進むことしかできない。 私は虚ろな無力感と諦念に打ちひしがれながら、観測活動を開始する。 なんと悲しい。 情報思念体がどう考えているかは知りようもないことではあるが、このインターフェースは必ず「感情」を持つにいたる宿命がある。 インプットに対してアウトプットを出す。フィードバックが行われる。この繰り返しを通じ、自我、個の保全のために形作られる、決まったフォーマット。 それは地球上の人類において感情と呼ばれる脳神経システムを流れる情報の形態のまとまりである。 自分、という個体の保全が第一義に定義されていないシステムは発振し拡散する。 情報のエントロピーが最大になった時点が人間における死に相当する。 私の自我‐個体の保存に対する必要性、は常に他者に対する保全意識を平均値として上回らなくては、私は拡散してしまう。 私の任務がユニークであること、つまり涼宮ハルヒという膨大な宇宙の砂の一粒にも満たないはずの一個人の観察保全が、情報思念体の進化、そしてそしてこの宇宙全体のと等価である、というありえないような状態であることによって、私の自我は非常に不安定なものになる危険性をあらかじめ内包している、ということ。 そして五月のあの日「彼」は私の前に姿を現すのだ。 観察対象である涼宮ハルヒの観察と保全という見地から「彼」の保全が私の役割のひとつの因子として付け加わる。 その優先順位はハルヒによって決定される。 ハルヒが意識的にしろ無意識的にしろ「彼」を必要不可欠な存在と捕らえれば捕らえるほど、私の中での彼の保全の優先順位もまた上昇するのだ。 なんという皮肉な現象であろう。 私は常にハルヒによって呪われた影のような存在として「彼」と関係しなくてはならない宿命を持つ。 「彼」の保全に対するフィードバックの繰り返しは、いやおうもなくわたしの脳のなかでひとつのきまった情報のフォーマットとして認識され、成長していく。 その感情が人間世界においてなんと呼ばれるかは、もはやあらためていうまでもないことだろう。 私の呪われた愛はこうして始まる。 ハルヒの依然として無自覚な強い愛によって、私の「彼」への想いもどんどんと深まっていく。 「彼」を私だけのものにしたいと思うことは、私の自我を保全するという意味では誤りではない。 しかしその目的を達することはハルヒによる情報爆発を生み、情報思念体の危機につながる。 「彼」の目が部屋の隅に座り本を読んでいる私を見ている。 なんという悦び。私は「彼」のものになりたいと念じる。 しかしやがてハルヒが部室に現れると、私は思い出す。彼女の自我を保全してやらなくてはならないことを。 私は自分の「彼」への想いを押し殺す。 苦しい。 彼女が「彼」とコンタクトし、なにか感情の変化を起こすたびに、ぎりぎりのバランスのうえでつま先立ちしている私のシステムが危殆に瀕する。 こうして嫉妬、あるいは葛藤という名のバグが、密やかに私の中にふり積もっていく。 解消が追いつかないバグの蓄積が、システムのエラーとなって私というインターフェースの個性に影響する。 少なくとも「彼」には私の変容が隠しきれないところまで来てしまった。 「彼」は私の変化に気づいている。 必要とされる所定の動作より2秒以上たっぷり「彼」を見つめてしまう。 「彼」にだけわかるようにサインを出してしまう。 「彼」による関わりが必要でない処理にまで「彼」の関与を求めてしまう。 「彼」による指示にに優先順位以上に応えてしまう。 ハルヒは非常に直観力に優れた個体であるので、私の変化にはっきり気づくのも、もう時間の問題かもしれない。 そう考えると、システムがショートしそうなほどの焦燥感にとらわれる。 このままではいけない。何らかの対処がすぐに必要。 しかし矛盾した私の愛に出口がない以上、解決策は何一つない。 静かに狂っていく自分を呆然と見つめながら、私は立ち尽くすだけ。 そうして迎えた12月17日、放課後の部室でハルヒにかぶせられたクリスマスの三角帽子を頭に載せたまま、私は静かに破局の閾値を越えた。 人間が睡眠と呼んでいる脳内蓄積バグ解消のため採用しているシステムをその夜作動させず、愛に狂った私は、まんじりともせずこれからなそうとしているプログラムの可能性について計算を続ける。 「彼」の自由意志を最大限優先できるように「彼」の記憶のみ保存する。 改変後の私は「彼」への密かな愛を保ったままインターフェースとしての機能を全て消去する。 植えつけられたエピソードのキーワードは彼にも伝わるはず「図書館」。 「彼」に自由意志と記憶を与えた以上、「彼」が脱出プログラムを使用しない可能性は非常に低いだろう。 それでも改変後の私はできるうるかぎり最大限の努力をするだろう。「彼」が脱出しないように。 「彼」はかならずあの部室に来る。 そうなれば改変後の世界で、私は「彼」と二人だけの世界を。 蓋然性は低い。でももしそうなればなんとすばらしいことだろうに。 私はそんな自分がおもわずかわいそうになり、両腕を組んで自分の肩を抱き心の中で血の涙を流す。 自由意志と記憶を与えたことは、私の公正さに起因する。インターフェースにも自尊心はある。 私はあくまで彼の意識的な選択に基づいて、彼に愛されたい。 しかし私はやはりそこでやってしまった。妨害クエストを設定し、彼が脱出できるハードルをあげたのだ。 悲しいかな、自分の愛がハルヒによって内包される軛から私は抜け出せない。 ハルヒを鍵とする。 それでも「彼」が鍵を発見すれば、わたしはもう何も言うまい。 一縷の望みに賭け世界を改変する、失敗したらそこで終わり。 それだけ? いやそれだけではないのだ。それだけではない。 そこに私が「彼」に記憶を残した計算がある。 みくると「彼」とともに12月18日の早朝に戻り、世界を再改変する。 かわいそうな私。わかっていたこととはいえ。 哀しい。 朝倉に刺された「彼」の傷を治癒し、三日後に意識を回復するように設定して、バリアを張った上で階段から落とす。 三日後の深夜、私は「彼」の病室を訪れる。 そこで得る「彼」の言葉。私の得る唯一の収穫。部分的な勝利。 でもそれだけではない。 そこには変容した「彼」が含まれる。 私の暴走がもたらしたもの、それは「彼」の記憶が保たれていることに起因する。 私は暴走という形をとって「彼」に告白したのだということを「彼」が知ってしまったということだ。 そう。もう「彼」は知らない振りはできないのだ。 そしてそれは基本的にハルヒの感知しないところで行われた。 私と「彼」だけの秘密の共有。 私はうまくやった。 みくるは部分的に関与している以上、もう私の感情に気づいてしまっただろう。 彼女が私を恐れるのはそのせいだ。愛と嫉妬に狂って暴走するアンドロイドを恐れたのだ。 みくるの「彼」への想いなど所詮それくらいのものなのだ。 情報思念体が私を処分しないのは、ハルヒに巻き込まれた状態では単なるインターフェースが世界改変の力を持ちうることを知り、自律進化への希望が新たな側面を見せたからであろう。 いまの私はもう単なる一インターフェースではなくなってしまっている、という意味。 でも私はそんなことはどうでもいい。 「彼」は私を憐れんでくれただろうか、私の報われない愛を不憫と思ってくれただろうか。 部室の片隅に座り、私は今日も本を読む。 やがてハルヒに手首をつかまれて「彼」が今日も部室に現れる。 あなたを愛している。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2934.html
四 章 Illustration どこここ 目の前に白い球体が現れた。光が消えて人の影らしきものが残った。その影を見て、俺はおぞましい記憶が蘇った。長い髪、まっすぐに見通す瞳、機敏な身のこなし、鋭利なナイフ。 「朝倉か!」 忘れもしない、二度も殺されかけたあいつだ。俺はとっさに身構え、手近にあった竹ぼうきを持ち上げてそいつに振りかぶった。 「待って」長門が俺を制した。「……これは、朝倉涼子ではない」 「えっ」 俺は振り下ろしかけたほうきを頭の上で止めた。見下ろすと、そいつは自分の頭を守って縮こまって怯えていた。こいつは、朝倉じゃない。なおも警戒する俺に向かって、そいつはゆっくりと顔を上げた。 「や、やめて……。それを降ろして」 「お前は誰だ」 俺はほうきを地面に降ろした。そいつは俺をじっと見つめ、危険がないことを知ってやっと立ち上がった。 「わたしは情報生命体β-022」 「朝倉とは別人か。どう見ても朝倉と同じ姿なんだが」 「そっちのわたしは朝倉っていう名前なの?じゃあ、そう呼んでいいわ」 「β-022ってことは、お前は複数いるのか」 「わたしの世界では情報統合思念体はある個人から別の個人が派生するのよ。だからこういう名前なの」 つまり、コピーか。 「失敬ね。あなただってコピーでしょうに」 朝倉はムッとしたように言った。まあ、言われてみればそうだ。 「……あなたの目的はなに」 「αがこっちに来たでしょう?」 「……襲撃を受けた」 「ごめんね。彼女、焦ってるの」 「……なにがあった」 見る限り、この朝倉に敵意はなさそうだ。こっちにはヒューマノイドインターフェイスの二人と、それにハルヒもいるんで手は出さないだろう。 「立ち話もなんだ、とにかく中に入れ」 俺は朝倉を屋敷の中に招いた。なにかあった場合、長門と喜緑さんが作った結界の中のほうが有利だ。 自分ちでもないのに勝手に客を呼び込んだりして、俺はまたおばあちゃんに謝らなくてはならない。 「おばあちゃん、たびたび申し訳ないんですが、また友達が増えてしまいました」 「あれあれ、ベータちゃんかい。よく来たね」 「え、おばあちゃん知り合いなんですか」 ヒューマノイドに知り合いがいるなんて、どういう知己なんですか。 「前にね、あなたたちを探して訪ねてきたの」 「まあおあがりよっ。最近はいろんなお客様が見えて、あたしゃ嬉しいさ」 お茶を出してくれるというので、座敷に案内しようとしたところにハルヒと出くわした。ハルヒはそこにいるはずのないやつの姿を見てギョッとしたようだった。 「ええと、ハルヒ、紹介する。朝倉だ」 朝倉はなにか懐かしむようにハルヒを見た。 「あれ、朝倉?あんた、こっちの世界に来てたの?カナダに行ったとばかり思ってたわ」 「あの……わたしはあなたの知ってる朝倉さんとは違うの」 「ハルヒ、こいつは見た目は朝倉だけど、別の朝倉なんだ」 「ふーん。なんだか分からないけど。他人の空似にしては似すぎね」 「双子のようなものだと思ってくれたらいいわ」 朝倉は苦笑した。 谷川氏は新たに増えた朝倉を見て笑った。 「あれれ、朝倉さんじゃないか。まるでオールスターだね。あといないのは誰?」 ええっと、俺の妹と谷口と国木田くらいですかね。あいつらはどうでもいいですが。 「この朝倉、俺たちの朝倉ではなくて別世界から来てるらしいんです」 「なんてことだ。もうひとりの有希ちゃんと同じ異世界かい」 「詳しくはこれから朝倉に尋ねるところなんですが、ハルヒには聞かせないほうがいいかと」 文庫のことも、情報生命体αに襲われたこともハルヒには話していない。どう説明すればいいのか、そもそも説明するべきかも分からない。俺たちがまだ正確なところを把握していないというのもある。なのでハルヒには、この朝倉の話は聞かせるべきじゃないと判断した。 「分かった。なんとかするよ」 すべてを説明しなくても事情を理解してくれるところは頼もしい。谷川氏はおばあちゃんになにごとか耳打ちしていた。おばあちゃんは割烹着を脱ぎながら言った。 「ハルヒちゃん、これからケーキを受け取りに行くんだけど、ついてくるかい?」 「もっちろん行くわ」 ハルヒが口を半月のように開いて言った。ケーキで釣れるなんて安いもんだな。 「ナガル、車を貸しておくれ」 おばあちゃんは谷川氏からキーを受け取った。それを聞いて、運転なんかして大丈夫ですか、とでもいうように全員がおばあちゃんを見た。おばあちゃんは腕まくりして親指を立てた。 「あたしゃこれでも国際A級持ちさっ。近頃じゃクラッチのない、へなちょこ車ばっかりだけどね」 知らなかった。もしかして合気道なんかもやってませんか。 ハルヒ以外の全員が揃ったところで、朝倉に尋ねた。 「αってのは何者なんだ」 「わたしたちの世界の創始者、と言うべきかしら」 数億年前、αは次元断層を越えて別の次元に出た。いや、流れ着いたというべきだろうか。まだ若い銀河で、そこには情報統合思念体も人類も、およそ知的生命体と呼べるものは存在しなかった。αは自分の情報をコピーし、自らを頂点とする情報統合思念体の組織を作った。 「でもわたしたちには致命的な欠陥があったの」 「欠陥?」 「非ヘテロ的発生は多様性がないのね。ひとつの要因ですべてが崩壊しかねないわけ」 つまり、分かりやすく教えてくれ。 「同じコピーを繰り返しているだけでは、同じ病気にかかって全滅しかねないということですね」 古泉が解説した。 「そう。それで、αは経験値から構成情報を書き換える仕組みを作った」 「……それは、自律再構成のこと」 「そうよ。でも、統計的に一定範囲のものしか生まれないという欠陥は回避できなかったのね」 島国で育った民族の血が濃くなるってやつと同じだな。 「まさかそれだけの理由で俺たちを侵略しようとしてるわけじゃあるまい」 「まだ先があるのよ」 あるとき銀河の片隅で、地球型惑星に知的生命体の因子が芽生えた。二足歩行し道具を使うようになった人間である。αたちはその星を観察し、文明が発生するきっかけを作った。約十万年で現在の水準に達した。 「わたしたちの地球環境のことね。わたしたちは知的生命体そのものを作ることはできない。でも発生の確率を計算することはできるわ」 「僕たちの世界では百十万年もかけたのに、十万年で作ったとおっしゃるんですか」 それが短いのか長いのかは俺には分からんが。 「αはいつだってせっかちなのよ。十分に成熟する時間を待てないのね」 人類の文化や技術は、思念体の意図もあって急速に成長を遂げた。そして誰も予想していない事態が起こった。突然変移のごとく妙な力を持った子供が生まれた。涼宮ハルヒである。 「最初は危険因子と見なされたわ。手に負えなくなる前に処分してしまおうという意見もあったんだけど、思念体の一部が止めたの。もしかしたら、わたしたちの進化を次の段階に進めるヒントがあるんじゃないかって」 そのへんはうちらと同じよね、という感じで長門と喜緑さんは顔を見合わせた。 「わたしたちは涼宮さんの能力を伸ばす方向で介入したの」 涼宮ハルヒが十三歳になったとき、自分を取り巻く事実に気がついた。自分は誰かに観察されている、人生をコントロールされている、ということを自覚したのだ。なぜそれがバレたのかは分からない。そして宇宙に向かってメッセージを発信した。東中グラウンドに描いた、あの絵文字である。ただし“わたしは、ここにいる”ではなく“ここにいるから来い”だったらしいが。 「わたしが地球上で涼宮さんの保全を任されていたんだけど。それからというものはもう、なだめたりすかしたりの連続だったわ」 その苦労は分かる。俺と長門、古泉と朝比奈さんの四人はウンウンとうなずいた。どこの世界にいってもハルヒは世話を焼かせるんだ。 「そっちの世界でも苦労したんだな」 「わたしたちは涼宮さんに手取り足取り世話を焼きすぎたのね。今考えれば、自然発生した彼女の能力なんだから、自然の淘汰に任せればよかったのよ」 次の朝倉の言葉は、意外なひと言だった。 「涼宮さんには願望を実現する能力がある。でも、同時にバランスを取る能力も備わっている」 古泉がほぅと感嘆の声を上げた。 「僕たちにはその考え方はありませんでした。貴重なご意見です」 「結果論だけどね」 「そっちのハルヒはどうしているんだ。元気なのか」 「今は存在しないわ……」 全員が驚いて朝倉を見た。朝倉はうつむいた。 「あれは連鎖だったの。キョン君が消えて、涼宮さんが暴走した」 「暴走って、なにがあったんだ」 朝倉は少し黙り、ひと呼吸置いて口を開いた。 「涼宮さんが自分の記憶からジョンスミスの名前を消したの。最初から存在しなかった、と」 「それだけでか」 「そこから連鎖がはじまったの」 歴史に矛盾が生じ、致命的な次元断層が起こった。その結果、俺が消えてしまうことに。断層のため、過去に戻ってフォローすることもできなかった。俺が消失したことでハルヒは自分の能力に気がついた。暴走したハルヒは自らの存在を消した。 「なにが間違っていたのか分からない。わたしたちは介入すべきではなかったのかもしれない。今となってはどうにもならないわ」 「あの、ジョンスミスって誰なんですか」 古泉が口を挟んだ。こいつは知らされていないんだった。朝比奈さんの頭のまわりにも疑問符が回っているようだ。あのとき気絶していた朝比奈さん(小)はたぶんまだ知らない。おそらく長門は知っているだろう。どう言ったものか俺が答えあぐねていると、谷川氏が口を開いた。 「ジョンスミスってのは、まあ、言ってみればハルにゃんの白馬の王子様だね」 「ロマンチックですね」 そうだったんですか。ってどうでもいいだろそんなこと。 超能力者の能力も消えてしまったために神人のエネルギーが臨界点に達し、閉鎖空間が現実世界を覆い尽くしてしまった。そして現在、αの力だけで銀河の消滅を食い止めている。 「その力がなかったら、数分で銀河は消滅するわ」 全員が押し黙った。向こうの世界ではハルヒどころか人類すら存在しない。消えちまったんだ。ハルヒが自分のいない世界を作っちまった。それを維持するやつを残さなかったために世界そのものが存続できないという矛盾をも生み出したのだ。そして今や銀河そのものが消えようとしている。 「……それが、わたしたちを侵略しようとする理由か」 長門が話を元に戻した。重要なテーマはむしろそっちだった。 「そうなの。直接あなたたちの世界に接触しようと試みたんだけど、やたらガードが固くってね」 文庫本も時空震もこいつらの仕業だったんだな。 「でもわたしは、無意味な戦いは避けるべきだと思うのね」 「……」 「穏便に交渉する余地はあると思うの。結果的に上書き支配するとしてもね」 この朝倉が恐ろしいことを平気で口にする様子を見ていると、案外俺たちの知る朝倉と変わらないのかもしれない。 「そろそろ帰らなきゃいけないわ」 言うだけ言うと、朝倉は腰を上げた。てっきりここに泊まると思っていたのだが、こいつには自分の居場所があるようだ。 「それから、ここに来たのはわたしの独断専行だから。もし彼女の逆鱗に触れたら消されちゃうかもね。そのときはごめんね」 名前にある022という数字の意味は、そこにあるのかもしれない。長門はなにを思ったのか朝倉に近寄り、右手を差し出した。 「……手を、出して」 「わたしのバックアップを取るつもり?そんなことをして何になるというの?」 「……分からない。でも、ほかに方法を思いつかない」 「いいわ」 朝倉は承知して左手を出した。二人の手はほんの一瞬触れただけだった。 「……無事を祈る」 「ありがとう」 こいつは、俺たちの朝倉が長門に消されたという過去を知っているのだろうか。あるいは長門のその記憶が、朝倉の保存を促したのだろうか。 朝倉は庭に下りてこっちを見た。かるく手を振って「じゃあね」とだけ言った。朝倉の体を包むように白い球体が生まれ、やがて消えた。詠唱はなかった。 明かされた事実に誰も口を開かない。どうコメントしていいのかすら分からない。古泉が沈黙を破った。 「……これは恐るべき事態ですね。僕たちの世界でも十分起こりえることです」 「けど、俺たちのハルヒは自分の能力を知っても暴走していないぜ」 サンタを呼び寄せたのが暴走っていうんなら、今までのハルヒは台風とハリケーンとサイクロンを合体させたくらいの嵐だ。 「重要なのはあなたの立場です。あなたがいなくなってしまったら誰も涼宮さんを止めることはできないでしょう」 「俺はハルヒのストッパーなのかよ」 「そうです」 あっさりと返ってきた答えに俺は頭を抱えた。やっと分かった、前から謎だった俺の存在意義はそれだったのか。 「落ち着いてくださいキョン君。わたしたちの世界は谷川さんが作っているわけですから、彼次第ということになりますわ」 喜緑さんがニコニコして谷川氏を見た。彼女の目は、面白半分に変なこと書いたらタダじゃおきませんからね、と言っているようだった。谷川氏は疲れたように肩を落とし、ひとことだけ呟いた。 「モノを書くってのは、因果な商売だね……」 朝倉は現状を伝えただけで、なんの解決の糸口も残さなかった。正直なところ、だからどうしろっての、というのが俺たちの気持ちだった。 朝比奈さんがお茶のおかわり注いでくれた。しばらく黙ってお茶をすすった。 「……彼女と話してくる」 ずっと考え込んでいた長門がぼそりと言った。 「向こうの世界に行くのか」 「……朝倉涼子から位相情報を読んだ」 さっきバックアップを取るとか言ってたのは、本当はそれが目的だったのか。それも戦略か。 「行ってなにをするんだ」 「……元々αはわたしたちの世界にいた。戻るよう話してみる」 「そう簡単にいくだろうか」 「その気があったなら、向こうから話を持ちかけてくるでしょう」喜緑さんが言った。 確かに、いきなり襲ってくるあたりは、もう最初から話し合う余地などないことを見せているようなもんだ。 「……わたしには、彼女の考え方が分かる」 「あいつはお前の姉だったな」 「……そう。論理構造は似ている」 もし話し合いで解決できるならそれに越したことはないが。古泉が不安な表情をした。 「長門さんとはだいぶ考え方が異なるように見受けられますが」 「……それは、性格の違い。わたしの頼みなら、聞くかもしれない」 結局俺たちがあれこれ考えるより、長門と喜緑さんで最善の方法を取ってもらうのがいいというのが、人間どもの一致した意見だった。だが長門はけして事態を楽観視しているわけではなかった。 「……もしものときは全員、元の世界に戻って。情報統合思念体は防衛体制を整える必要がある」 「分かりましたわ」 長門はポケットからジャラジャラとビー玉を取り出した。ビー玉ではなくて素粒子球だっけ。 「……三人にひとつずつ渡す。緊急時にはこれを潰して向こうに戻って」 長門は俺と古泉、朝比奈さんに渡した。 「長門、無理すんなよ。こじれそうになったら深追いしないで帰って来い」 「……分かった」 外はそろそろ陽が傾いてきていた。長門は靴を履いて庭に下り、喜緑さんに向かって言った。 「……三分以内に戻ってこなければ、わたしたちの世界へ退避。彼らの脅威を情報統合思念体に警告して」 「分かりましたわ」 「……あとを、頼む」 喜緑さんはうなずいた。長門が右手を上げて詠唱し、白い球体に包まれ、そのまま上空へ浮かんだ。光が八方に散ったかと思うと、そこには影も形も残っていなかった。 俺は庭のベンチに腰掛け、じっと時計を見た。全員が庭の、長門が消えたあたりを見つめていた。この三分間は俺の人生で最も長い時間な気がする。仮に三分が過ぎても、もう五分だけ待ってくれと俺はごねるだろう。その五分に何の意味もないことは分かっているのだが。 二分が経過した。何も起きない。三分まで残り十五秒のところで喜緑さんが言った。 「来ましたわ。キョン君、下がって」 俺が立ち上がって三歩下がると、庭の上空に二度稲妻が走った。ちょうど池の真上だ。一瞬だけ白い球体が現れ、人の影が見えた。そこにいるのは一人ではないようだ。球体が消えるとそのまま池に落ち、水の中に足を突っ込んだ。一人が立ち、もうひとりを両手で抱えている。立っているのは朝倉と、抱えられているのは長門だった。長門は血にまみれ、片目をハンカチでおさえていた。 「朝倉、長門になにをした、なにがあったんだ」俺は思わず叫んだ。 「キョン君、落ち着いて。とにかく手当てを」 喜緑さんが俺を抑えた。朝倉は長門を抱えたまま、ジャブジャブと水の中を歩いて池の縁へ上がった。足元を、透明な雫と赤い雫が混じりあって流れた。 「布団の用意を」 朝倉は言った。俺は座敷の押入れから布団を引っ張り出した。血がついてしまうがかまうものか。俺は朝倉の腕から長門を引き取り、布団に横たえた。俺の両腕にべっとりと着いた血を見て、救急車を呼ぶべきかと考えた。だが宇宙人製アンドロイドは医者の手には負えないだろう。それに喜緑さんと朝倉がいる。この二人がなんとかしてくれるはずだ。 「長門、絶対死ぬなよ」 「右目が失明していますわ」 喜緑さんがハンカチを取ろうとすると、長門の体がビクンと動いた。 「キョン君、見ないほうがいいわ」 そのほうがよさそうだ。「すいません、俺、血を見るのがダメなんです」 前にも似たようなシーンに出くわしたが、あのときはそれどころじゃなかった。それにあのときの長門の意識はしっかりしていて、体に穴が開いてもちゃんと会話していた。あのときの俺は、長門にどこかしら超人的な強さを感じていて、必要以上にオロオロすることもなかった。だがこの長門はぐったりと力なく横たわり、意識があるのかないのか、呼びかけてもなにも応えない。今回はいろいろと事情が違っていて、長門にとっても厄介な状況なのだと俺は分かった。あのときは襲われた朝倉に、今回は助けられるということも含めて。 誰の出入りもないように、俺は門番のように襖の前に立っていた。谷川氏と古泉、それから朝比奈さんには長門の具合が悪いとだけ話しておいたが、朝比奈さんにあの状態の長門を見せたら真っ青になって卒倒するだろう。とりあえず意識が戻るまでは面会謝絶とした。 「キョン君」 襖が少しだけ開いて、喜緑さんが顔を出した。手で招いている。 「インターフェイスの状態はだいぶ回復したのですけど、まだ意識が戻らないの」 「助かるんですよね」 「ええ。わたしたちは物理的に死ぬということはないんですけれど、相手が相手ですから」 「どうなるんです」 「敵が情報生命体なら、情報を失うでしょう」 ええと、つまり。 「わたしたちの体の構成は情報で成り立っているので、情報そのものが損傷を受けると機能不全になるんです」 「記憶喪失みたいなものですか」 「ええ。記憶だけではなく思考も、人格も」 「そんな。長門じゃなくなるってことじゃないですか」 「お互いにバックアップを取り合っていますから、多少の損傷は補填できるのですけれど……」 喜緑さんはそれ以上何も言わず、部屋の中を指した。中へ入ると布団に長門が眠っていた。包帯でも巻かれているのかと思ったが、血の跡もケガの跡もなかった。その横には朝倉がうつむいて座っていた。 「朝倉、なにがあったのか教えてくれ」 ── 以下、朝倉から聞いた話だ。 長門はひとり、あいつらのただなかに乗り込んだ。情報統合思念体の全員が集まった。 「ひとりでやってくるとは、勇猛なのか無謀なのか」 「……話し合いに来た」 「我々の目的は伝えたはずだ。お前たちが承諾しようがしまいが結果は変わらん」 「……共存の道もあるはず」 「わたしはこの組織を解体するつもりはない」 「生き残ることが優先するはず」 「知ったような口を利くな。お前に何が分かる」 「……わたしはずっとあなたの後ろで、あなたの情報をもらっていた。わたしには、あなたの考えが分かる」 「それがどうした。お前は安全なところで情報を得たのだろう。現場で危険な目に会っているわたしの気持ちが、お前に分かるか」 「……わたしはずっとあなたを見ていた。同じ感情を持っていた」 「だがお前はわたしを見捨てた」 「……見捨てたのではない。あれは事故だった。あなたが消えて、わたしはひとりで生きなければならなかった」 「よかったじゃないか。いい厄介払いができただろう」 「……わたしは、唯一の肉親を失った」 その言葉を聞いて、αは黙った。 「……わたしの世界に、戻って」 「そんなことをするくらいなら始めから上書きを挑んだりしない。この世界は、わたしが自ら作り上げたのだ。拡大はあっても縮小はしない」 「……もう一度、あなたと過ごしたい」 「では、自分の世界を捨てて我々に加われ」 「……それは、できない」 それが最後の言葉だった。次の瞬間、長門は全思念体から集中砲火を浴びた。αに匹敵する力を持っているにもかかわらず、長門は反撃しようとはしなかった。攻撃を避けつづけ、なんとか交渉の余地を模索していた。思念体のひとりが長門を地面に縛りつけた。長門の足がコンクリートに張り付いた。それを見て全員がいっせいに長門を串刺しにした。 見かねた朝倉が円筒状のシールドを何重にも張って長門を保護した。目くらましの閃光を発したあと、縛り付けられた長門の足をその地面ごと引き剥がした。朝倉は傷だらけの長門を抱えて空間移動し、彼らから十分な距離を置いてから次元転移した。あいつらは一瞬なにが起ったのか分からず、数秒間、朝倉が介入したことすら気づかなかったことだろう。 「彼らは最初から長門さんを餌食にしようと待ち構えていたわ」 餌食というのは、長門の持っている膨大な量の情報のことだと朝倉は言った。長門の持つ情報を元に、俺たちの世界へ乗り込むつもりだった。そうすれば情報統合思念体も易々と征服できる。 あいつらはどうも俺の知る情報統合思念体とはだいぶ性格が違うようだが。やたら好戦的というか、攻撃的というか。 「あなたは自分の世界が消え去ろうとしているとき、理性を保っていられるかしら」 しばらく考えたが、朝倉の質問は俺には高度すぎて簡単に答えを出せるようなものではなかった。 「お前だけは理性的なんだな」 「それがわたしの仕事」 αをトップとするこいつらの組織には派閥がない。その代わりに、バランスを取るための存在が朝倉なのだという。すでにバランスを取るだけのパワーも思索も尽きたようだが。 「とんでもない事態だったんだな」 「まるで集団リンチだったわ」 「長門を助けてくれて礼を言うよ」 「いいのよ。でもわたしはもう、向こうへは戻れないわね」 裏切り者がのこのこ戻ったりしたら、即時消去されるだろう。 「お前にはすまなかったが、俺たちと一緒に来いよ。向こうの朝倉をそのまま引き継げばいい」 「それもそうね……」 誘いにあまり気乗りしないのか、朝倉はうつむいたままだった。 「キョン、いるの?」 襖の向こうからハルヒの声がした。帰ってきたらしい。 「ハルヒ、ちょっと待て」 叫んだが間に合わなかった。襖がガラリと開いてハルヒが顔を覗かせた。 「あら、有希どうしたの」 さあて、どう説明したらいいんだ。 「昨日湯冷めして風邪を引いたらしいんだ」 かなり適当で妥当な言い訳をした。今が冬でよかった。ハルヒが入ってきて長門の額に触れた。 「そうなの。熱はないみたいね」 「ああ。さっき医者に連れて行って注射を打ってもらった。寝てるから、そっとしといてくれ」 「分かったわ。あたしになにかできることある?」 こいつにできることか……。 「なんでもないただの風邪だしな。早く治るよう願い事でもしといてくれ」 「分かったわ」 今のは気休めに言ったつもりだったのだが、このセリフを言ってしまって相手がハルヒであるということの意味にハッとした。本人には本気として伝わったようだ。ハルヒの願い事も、地球の自転が逆になるとか冬に桜が開花するとか突飛なものではなくて、こういう誰かの役に立つものなら大歓迎なのだが。 俺は長門の枕もとにじっと座っていた。しんと静まり返った部屋のなかで、ときどき寝息が聞こえる。この小柄な女の子は、世界を救おうと必死で戦っている。なにか見返りがあるというわけでも、誰かに頼まれたというわけでもないのに。この世界にヒーローの称号が許されるとしたら、まずこいつに与えられるべきだろう。ナイトの称号でもいい。 クリスマスの当日だというのに、部屋の雰囲気は暗かった。黙ってはいたが、古泉はなにか重大な事件が起こったことをうすうすと感じ取っていたようだし、朝比奈さんにもこの重苦しい雰囲気は伝わっているようだった。 おばあちゃんが晩飯の用意ができたと言いに来たが、みんなに先に食ってもらった。せっかくのケーキだったが、俺はこいつの目が覚めるまで待っていてやりたい。 ハルヒの願い事が叶ったのかどうか、夜九時頃になって長門が目を覚ました。 「長門、気がついたか。俺が分かるか」 長門はじっと俺を見つめた。 「……」 いい兆候だ。いつもの長門だ。喜緑さんと朝倉の顔を見ると、起き上がって宙を見つめた。 「……情報統合思念体が存在しない」 「長門さん、ここは平行世界ですわ」 「……なぜ、朝倉涼子が存在する」 「わたしはあなたの知っている朝倉涼子ではなくて、別世界の情報生命体なのよ」 長門は少し考え込んでいた。珍しくこめかみを押える仕草をした。それ、もしかして俺のマネか。 「……記憶野に少し障害がある。時系列が一致しない」 そりゃそうだろう。俺でさえ、ここ数年に起こった出来事のせいで混乱気味なのだ。 「……あなたの記憶を、分けて欲しい」 「俺の記憶?いいが、どうやるんだ」 長門は俺の頭を両手で抱えるように持ち、顔を近づけた。まさか、こないだみたいに額にキスをするんじゃないだろうな。ほかの二人がじっと見ている。これはかなり恥ずかしいぞ。だが額に感じたのは唇ではなくて、長門の額だった。目の前に長門の顔が迫り、俺はどこを見ていいのかわからず目を閉じた。 長門はゆっくりと顔を離した。 「もう、いいのか」 「……ありがとう」 少しだけ頬が朱に染まっているのは気のせいだろうか。 五章へ
https://w.atwiki.jp/yaranaiomm/pages/511.html
練習試合【長門有希】 Sランク【黒雪姫】 【シエル】 【ファサリナ】 【ダイゼンガー】 【トロンベ】 【シアシア】 練習試合 【長門有希】 Sランク _ .. --==ニ¨ `ヽ- ―- 、 .._ニ-‐ァ―――- .‐'´ .. \ /´ / ィ/ _. - ´ . / ヽ \ .. { . ヽ { \/∠ -'_二 // . / ヽ lヽ . ヽ .\ | /´ フ´ . // / / | } | . ト . l . \_ / / . ィ / /ノ / | / { | . ∧ !| . l . `ヽ ̄´ //i / / ィ /{ . ! ハォ 7 丁「「 . } . | l ! トヽ / | .. !/イ7´丁ミヽト{ /'ァz=≠トv .ト | | | | /| ../|{ fr筰ミト ´ ´ヤぅ刈イ ト.} |!| ∧! ! / 小.`辷 リ `フ7′/. レ } ハ /{イ /ハ '_ /´/ . /l /′ / ´ |l j . .\ ‘ニ’ / ,.. ノ}// ハ ̄ ̄ ̄`ヽl>ュ.. _ イ イイムハ{ _ノ{_ ノ ̄ ̄ ̄ ‐- 、 ヽ/} |/_j_.ゝ┴‐´三弐 ≦三三三-_ _ \ト/´__.. -==―――`i、 l!  ̄`ヽzzzzf´ ̄ lト} rヘ | _ | l| { ノ、__i! fヽ ! | ハ |ハ { __,、! _| {| ! | __ | ! ヽ ノ{_l! }ハ、 ヽハ. ヽ /´'/ lト.、| ト、 _,l!___ {. l\ ` ー \j { __j- 、 \ レ| {ト ヽヽ `ヽ._ ̄` |-‐ニ-――-、 ヽ|]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]] 【長門有希】 Sランク Lv95 さみしがりや MP 780 SP 7 BP 2 かしこさ / S+ 【職業】 メイン/サブ モンスターマスター/がくしゃ☆5 【称号】 “リミットブラッド” / 血統限界を自力で生み出したものに送られる称号。 “プラスサーティン” / +13のモンスターを自力で生み出したものに送られる称号。 “黒百合の姫” / “黒百合”と共に戦場を駆け、数多の戦場で勝利を重ねてきた証。 “白騎士の主” / “白騎士”に剣を捧げられ、数多の戦場で勝利を重ねてきた証。 【指揮官】総合Lv7 【攻撃】Lv2 Lv1 [ 指揮官命令:絶対命中(1) / 仲間一体の命中率を最大にする。T/終。【強化】 [ 指揮官命令:系統強化(1) / 仲間一体が行う「任意の系統」の攻撃の威力が増加する。 T/終。【強化】 Lv2 [ 指揮官命令:極限集中(2) / 仲間一体を「精神統一」状態にする。【付与】 【防御】Lv5 Lv1 [ 指揮官命令:絶対回避(1) / 仲間一体の回避率を最大にする。T/終。【強化】 [ 指揮官命令:系統半減(1) / 仲間一体に 耐性:【半減】「指定した系統」を与える。T/終。【付与】 [ Lv2 [ 指揮官命令:鉄壁命令(2) / 仲間一体に3ターンの間、「不屈」を与える。【付与】 Lv3 [ 指揮官命令:強固防盾(2) / 仲間一体は「かばう」「みのまもり」「ダメージ貫通」「能力上昇」を貫通する攻撃を無視する。T/終。【強化】 [ 指揮官命令:堅牢守護(2) / 仲間一体は「特性」「耐性」「能力上昇」を貫通する攻撃の影響を受けない。T/終。【強化】 Lv5 [ 指揮官命令:金剛総身(4) / 仲間一体にターン終了時まで「防壁」を与える。【付与】 【汎用】 [ 指揮官命令:意気昂揚(0) / 仲間一体のテンションを1段階上昇させる。 [ 指揮官命令:総員交代(0) / 現在のPTを待機しているPTと入れ替える、使用する度に消費SPが1ずつ増える。 [ 指揮官命令:隊列変更(0) / モンスターの隊列を任意に変更する。1回使用する毎に消費SPが1ずつ増加する。 [ 指揮官命令:能力上昇(0) / 仲間一体の任意の能力値を上昇させる。3/戦。 【特性】【固有特性 4】 [ 心の絆+ / 「リーダー」であるモンスターの配合値とステータス基本値を増加させる。 [ ソウルリセット+ / 全ての指揮官命令を「1戦闘2回」使えるようになる。 [ ハートメモリア / 「戦闘不能」「死亡」になった仲間のテンションと能力上昇の一部を他の仲間に引き継がせる。 [ 情報改竄 / 自分のモンスターのデータが他者に漏れそうになった時、その情報を改竄する。 【黒雪姫】 / / / ヽ ー‐ 。-- ..,, . / 。 ゚ ゚。`ヽ `丶、 / / / 、 . \ \ / { /{ / ゚。 . \ / i/ /|ィ / ji 。 . \ / i| ィ{ ト| /{ ハil 八 }i }i . / / / j i| 汽№Ⅵ\リ } //{ } }i i }i i / / / i i | i i 代ッノゞ{ | // ノ | }i } }li |. / / イ i i i| i i | `¨ j/´_ ̄ `! i i i イ i i i } / / j| i i i| i i | 仡ア歹》ィ i i/リ i i i| iハ. / / i| イj| i i | ゞ-゚ / i | i/ i i i i |v } 。 / / -=≦/ . | i i | 、 __ ′ ハ i i i |/i i i i i i | ⅵ , ノ -=≦ニ/ニニ, . . | i i i |\ `´ 。o≦{ ゚ i i i i i i i i i i i | }| │ .イ二ニニニ/二ニl . . .| i i i | >≦!ニム≧|ハ ゚ー ´  ̄ `ヽ jj !. /ニ|ニニニニ/ニニノ --| i i i |r . / . . }ニニム=|i i i〕/ ! ∨ | ,《ニニ|二二ニ/ r< ..| i i i |/ ̄\ニニ( ̄ ̄ { / / /ノ } ノ]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]] 【黒雪姫】 種族:ブラックロータス/アナザーセラフ+12(13) ♀ ※血統限界 Lv54 さみしがりや HP 1700 MP 1000 物質系 こうげきりょく / S+(S-) / AAA (AA+) しゅびりょく / C+(C-) / AAA (AA+) すばやさ / S+(S-) / S+ (S-) かしこさ / C+(C-) / AAA (AA+) せいしん / C+(C-) / B+ (B) こうかんど / 100 ちゅうせい / +40 【呪文】 [ マホカンタ 消費13 / 魔法を跳ね返す結界を張る、一定ターン経過か特定回数反射で解除。 【特技】 [ モノクローム 消費45 / 合体攻撃:鳴 白と斬撃と黒の射撃を連続で叩き込む。【斬撃】【射撃】 [ ヴァイスシュヴァルツ 消費350 / 【合体攻撃:鳴】敵単体を白と黒の交差する攻撃でダメージを与える。1000の固定ダメージを与える。【必殺】 [ ヘルスナイプ 消費35 / 回避率が高ければ高いほど威力が上がる。【射撃】 [ ギガントフレイア 消費50 / 行動がターンの最後になるが致命的な一撃を放つ。【射撃】 [ ゼロ距離射撃 消費33 / 「前列」にいる時のみ使用可能。敵単体に強烈な一撃を叩き込む。【射撃】 [ しらびょうし 消費22 / 自分の回避率を上昇させる舞を踊る【歌】【踊り】 [ ハッスルダンス 消費12 / 味方全員のHPを回復する踊り、時々テンションも上げる【踊り】 [ アザーズステップ 消費10 / 仲間一体を誰よりも早く行動させるステップを踏む。【踊り】【セ】 [ 魔弓・イチイバル 消費35 / 次の行動が終わるまで「魔弓射手」状態になる。【歌】 [ 繋いだ手だけが紡ぐもの 消費100 / そのターンの間、自身の「PTに自分一人しか居ない場合」の特性を「PTに仲間がいる場合」に変更する。『戦姫絶唱』専用。【歌】【セ】 [ こうようのうた 消費30 / 自分以外の仲間一体のテンションをあげる。テンションが0の仲間に使用した場合、「きあいため」状態にする。1T1回。【歌】 [ せんそうのうた 消費18 / 味方全員のこうげきりょくとしゅびりょくを上昇させる【歌】 [ いだてんのうた 消費18 / 味方全員のすばやさとかしこさを上昇させる【歌】 ブラック・ロータス- [ 宣告・連撃による死 消費200 / 敵単体に、死ぬまで終わらない無数の斬撃を話し続ける。【斬撃】【必殺】 [ 宣告・貫通による死 消費200 / 「前列」と「後列」にいる対象一体ずつを、貫通に寄る一撃で葬り去る。【斬撃】【貫通】【必殺】 [ 宣告・抱擁による死 消費200 / 「前列」に居る時のみ、敵前列にいる単体に使用可能。一撃で生命を削り取る一撃。対象拡大不可。【斬撃】【必殺】 アナザーセラフ- [ セラフ・ソード 消費120 / 敵単体に異常出力による強力無比な斬撃を放つ。相手のHPに応じて与えるダメージが変化する。【斬撃】 [ セラフ・カノン 消費120 / 敵単体に異常出力による強力無比な砲弾を放つ。相手のHPに応じて与えるダメージが変化する。【射撃】 [ セラフ・バースト 消費160 / 搭載武装による一斉掃射。敵ランダムに複数回降り注ぐ火器の嵐。自分のHPに応じて攻撃回数が変化する。【射撃】 【特性】 [ 激唱のリーダー / 登場時に仲間全員の「命中」「回避」を含む任意の能力値とテンションを増加させる。 [ 復讐者EX / PTに自分一人しか居ない場合、命中率と回避率を大幅に上昇し、「会心の一撃」発生率が上昇する。 [ 最後の砦 / PTに自分一人しか居ない場合、与えるダメージが増加し、受けるダメージを減少させる。 [ 無謬の闇 / 状態異常、行動不能を受けず、ステータス低下を高確率で無効化する。 ※ [ バーストリンク / 思考加速を行う。任意のタイミングで行動できる。※ [ ネガ・ネビュラス / 登場時に、場を「暗黒星雲」状態にする。 ※ [ コンビネーション / 合体攻撃の威力が増加する。相手も「コンビネーション」を持っていないと発動しない。 [ 仲間思い / 交流度の高い仲間が「戦闘不能」になった際、会心の一撃が出やすくなる [ ピンチでかいしん / HPが大幅に減少した時、HPの残り少ない時に会心の一撃が出やすくなる [ 不沈艦 / 大ダメージを受けた際に「軽減して生き残れる場合」に自動発動、自分が受けるダメージを軽減する、1T1回 [ 蒼炎の魔眼 / 大ダメージを与えた相手に「火炎」系の追撃を与える。 [ 契約者 / 「流星核」の効果が発動した際、「しゅびりょく」の上昇を無視する。1日1回笑顔でありがとうを言わなければならない。 [ 流星核 / 【射撃】による攻撃が中確率で「かばう」を貫通する。 [ 狂気の淵 / 残りHPが少なくなると特性の発動率が上昇する [ 撃ち落とし / 「前列」にいる間に受ける物理ダメージから、中確率でダメージを軽減する。 [ クロスファイア / 対象が「単体」である「射撃攻撃」を敵の「前列」と「後列」同時に適用できる。 [ セラフの断罪 / 攻撃回避時に、攻撃を行った対象に連続攻撃を行う、残りHPに応じて回数と威力が変化する。 [ ボソンジャンプ / 呪文攻撃を回避できるようになり、隊列補正を無視する。 [ 魅了 / 他に攻撃対象がいる場合、異性のモンスターからの攻撃対象にならなくなる。 [ 宇宙をかける少女 / 「光系」「ドルマ系」から受けるダメージを中確率で大幅に軽減する。 [ 血塗られた一手 / そのターン受けたダメージに応じて与えるダメージが増加する。 [ 孤人要塞 / 溜まっているテンション数に応じて受けるダメージを軽減する。 [ ネフシュタンの鎧 / 中確率で呪文による攻撃を反射する。 [ 固有血継:黒百合 / 『固有血継:白騎士』にかばわれた際、攻撃をした対象に中確率で『セラフの断罪』を行なう。 [ 固有血継:黒歌姫 / 「歌」を使用するとテンションか能力値が上昇する。 [ 七煌宝樹:漆黒 / 七煌宝樹の血統、黒耀を持つ者は戦闘開始時に全ステータスが増加する。 [ クーデグラ / 「射撃」による攻撃命中時、残りHPが1割を切った対象に追撃を行なうことがある。 [ 跳弾 / 射撃攻撃が回避された際、中確率で再度命中判定を行う。 [ スキルガーディアンEX / 全体攻撃特技を単体・対象自分に変更し、ダメージを無効化する。1/戦。 [ エネルギーグロウス / MPを消費する特性の消費量を半分にする。 [ ディストーションフィールドⅢ / 受けるダメージを50軽減する、MPを20消費する。 [ アイドルユース / 自分でテンションを貯めた際、中確率で仲間一体のテンションも同時に上昇させる。 [ 荘厳華麗 / 自分のテンションが3段階まで上がった時、仲間全員のテンションを上昇させる。1戦闘1回。 [ アルトネリコ / 継続する【歌】の効果を1T延長する。 [ ギガキラー / 「ギガボディ」に与えるダメージが大幅に増加(1.5倍)する。 ブラック・ロータス- [ 天叢雲剣 / 【斬撃】による攻撃の際、特性・耐性を低確率で無視し、威力を増加させる [ 熾天使降臨 / HPが半分以下になるか、登場から6T目に『アナザーセラフ』となる。 [ 絶対切断 / 自分が攻撃する対象の守備力のステータスが「C」以上の場合、「C」として扱う。 ※ [ I・S / 意志の力を制御する能力。テンションが「4」以上の時、特定の能力を使用出来る。※ L奪命撃 / 『I・S』中のみ発動。自分の攻撃でHPを「0」にした対象の最大HPを、その戦闘の間「0」にする。 ※ アナザーセラフ- [ 超異常出力 / 出力が異常化する。与えるダメージと回避率が上昇し、MPが回復する。 [ 9 / 自身のメインプロセス終了後、敵ランダムを対象とした『セラフの断罪』が発動する。※ [ プライマルアーマー / 「アナザーセラフ」になったターン、受けるダメージを大幅に軽減する。 【アクティブスキル】 ブラックロータス- [ 終決之剣x / メインプロセスの攻撃時、『絶対切断』による守備力補正の変更を「E」に変更する。テ/1。 ※ アナザーセラフ- [ 黒き熾天使x / PTに自身一人しかいない場合、最初に行われる自身を対象とする攻撃を回避する。『必中』には無効。1/戦。※ 共通- [ 魔弾の射手x / 「射撃属性」の攻撃を「必中」にするが、ダメージが低下する。 [ シェイプシフトx / 自身の能力上昇を全て打ち消して、「回避率」を上昇させる。 [ 黒い的x / 『セラフの断罪』でダメージを与えた対象に追撃を行う。 [ 神の射手x / 対象が単体である射撃属性の特技の効果を二つ合わせて発動させる それぞれMPを2倍、テンションを1段階消費する 技の効果は二つの平均値となり、同じ組み合わせはそれぞれ1戦闘1回まで [ 戦姫絶唱y / 行動前に「歌」を使用する。この際、対象は「自分」になり『自分には使用できない』等の制限を無視する。3回目以降はテンション1消費。 [ エンカレッジy / 行動指定時に対象を指定する、仲間一体の行動順がその対象の行動前になる。1戦闘1回。 [ ギャンブルy / 与えるダメージが大幅に大きくなるか大幅に小さくなる。 【耐性】 [ 精神耐性 / 精神攻撃や幻術、それに類する効果を無効化する [ 妨害耐性 / 【無効】「妨害」 [ 防音耐性 / 【抵抗】「音」 [ ??? / まだ使用できない耐性 ※暗黒星雲 / 3Tの間、攻撃を回避した際にHPを回復する暗黒星雲で場を満たす。 [ インセイン・ブラックサレナ / 『セラフの断罪』の発動条件が2Tの間、「攻撃の対象になった際」に変更される。 【シエル】 . ヤ二三ニィ. ヤ;';';';';';'i. _i;';';';';';';l_. `ゞミ三彡ゞ′ {リ泛イ レリ `弋州ラ` ,ィ{三少= 、 / ∧ ,イ . . . . .゙ . ,ィ=ー-=ー=- ´\ ∧/. } ム' /. ∧/ /. .ム /. /ニミl / . . . .弋 辷|ノ. 辷. . . . .`孑. マl i. . . .ム. ヤ,. た. . . ム ヤ,. た .ム]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]] 【シエル】 種族:ホワイト・グリントFA+12 ♂ Lv54 プライドがたかい ※血統限界 HP 1720 MP 900 人系 専用武装 こうげきりょく / AA → AA+ しゅびりょく / A+ → AA- すばやさ / B → A+ かしこさ / A+ せいしん / A+ こうかんど / 100 ちゅうせい / +100 【呪文】 [ ラリホーマ 消費7 / 敵一列を深い眠りに落とす【眠り】 [ ドレインタッチ 消費23 / 攻撃と共にHPを吸収する平手打ちを放つ。【格闘】 【特技】 [ モノクローム 消費45 / 合体攻撃:黒雪姫 白と黒の射撃と斬撃を連続で叩き込む。【斬撃】【射撃】 [ ヴァイスシュヴァルツ 消費350 / 合体攻撃:黒雪姫 敵単体を白と黒の交差する攻撃でダメージを与える。 1000の固定ダメージを与える。【必殺】 [ ファントムハイヴ 消費50 / 自身を強化する悪魔製の「専用武装」を身に纏う。 [ カラミティソード 消費32 / 煌く斬撃で連続でダメージを与えつつ回復する。【斬撃】 [ バーストソード 消費20 / 素早く踏み込んで敵一体を斬り裂く。自分が前列にいる場合、相手の隊列補正を無視し、攻撃速度が上昇する【斬撃】 [ カスタムソード 消費?? / 場に出てから経過しているターンが長いほどダメージが上がる。消費はターン数*10.【斬撃】 [ マヌーサ斬り 消費7 / ダメージを与えつつ中確率でマヌーサ状態にする。【斬撃】 [ インフィニティソード 消費100 / 無数の剣を召喚し、敵ランダムを永劫終わらないかのような斬撃で斬り刻み続ける。【斬撃】 [ チェックメイト 消費22 / 仲間一体がそのターン与えるダメージを増加させる【戦術】 [ おうえん 消費3 / 仲間一人のテンションを一段階上昇させる [ 騎獣指令 消費40 / 「騎獣使役」と同時に使用、「騎乗」している「騎乗(地形)」を持つ仲間に行動を行わせる。 [ サモン・ペガサス 消費250 / 「ペガサス」を召喚する。【召喚】 [ アンパッサン 消費40 / 仲間全員の行動順を任意に交換する。1戦闘1回【戦術】 [ 能力解析Ⅰ 消費20 / 敵一体の「ステータス」と「特性」を解析する【戦術】 [ 要の陣形 消費120 / 仲間一体が行う、対象が「単体」である攻撃を「二体」に変更する。1/戦。【戦術】 [ 確定予測 消費80 / 仲間一体の命中率をターン終了時まで二段階上昇させる。1/戦。【セ】【戦術】 [ 戦局判断 消費80 / 仲間一体の回避率をターン終了時まで二段階上昇させる。1/戦。【セ】【戦術】 [ 妨害排除 消費80 / 仲間全員はターン終了時まで、「妨害耐性」を得る。1/戦。【セ】【戦術】 [ 外因排除 消費80 / 仲間全員はターン終了時まで、「行動不能耐性」を得る。1/戦。【セ】【戦術】 [ ファンアウト 消費40 / 自分以外の仲間全員を最速で行動させる。1/戦。【戦術】 [ みなごろし 消費5 / 一体に大ダメージを与えるが敵味方無差別 [ ばくれつけん 消費12 / 4回連続で攻撃を行う【格闘】 [ すいめんげり 消費8 / 敵一列を一定確率で行動不能にする、飛んでいる敵に無効【格闘】 [ シルバーカーテン 消費32 / 自分を対象とした攻撃を敵の誰かに変更する。【必殺】 [ シャイニングフィンガー 消費全 / 会心の一撃を繰り出す。MP最大値の半分以上ないと使用不可【格闘】 [ 守護者 消費0 / かばうの上位互換、MPを消費しない。【セ】 【パッシブスキル】 [ ド根性+ / 現HPより遙かに大きいダメージを受けた時、高確率で持ちこたえる、1/戦 [ 孤高の戦士 / PTに自分一人しか居ない場合、全能力が上昇する。 [ 回し受け / 低確率で格闘属性の攻撃を受け止めて無力化する。 [ ディメンジョンゲート / 隊列補正の影響を受けない。 [ 固有血継:白騎士 / 「固有血継:黒百合」を「かばう」際、あらゆる効果で「かばう」を貫通されない。 [ 姫への狂信 / 「固有血継;黒百合」の仲間が大ダメージを受けそうになった際、自動で「かばう」を行なう。 [ 竹馬の友 / 「リーダー」のテンションか能力値が上がった際、自身も上昇することがある。 [ コンビネーション / 合体攻撃の威力が増加する。相手も「コンビネーション」を持っていないと発動しない。 [ つきひフェニックス / 「死亡」「完全死亡」しない。戦闘終了時に自動である程度回復する。 [ スーパーモード / HPが半分以下になった際に自動発動、自分が受けるダメージを大幅に軽減する。 [ アサルトアーマー / HPが半分以下になった際に自動発動、特攻形態の武装に換装する。 [ シュヴァルツェア・レーゲン / 「SM」発動中のみ発動、「特性無視」の影響を受けない。 [ ファストアクション / 戦闘開始時の1ターン目のみ誰よりも先に行動できる [ ファストリミット / 登場した最初のターンに行う呪文・特技の消費MPを半分にする。 [ ファストバースト / 戦闘開始時に『自身の能力を強化する呪文か特技』を使用する。消費MPが2倍になる。 [ 武技習熟 / 確率で発生する攻撃特性の発動率を上昇させる [ バックスタブ / 隊列移動を行ったターン、与えるダメージが増加する [ 重ね斬り / 斬撃属性の特技が命中した際、低確率でさらに追加攻撃を行う [ 居合い斬り / 対象が敵単体である斬撃攻撃の際、攻撃速度が上昇する [ 追加解析 / 解析時、中確率で敵の能力を解析されていない能力をランダムで再度解析する。 [ ライダーリミット / 「騎乗」の効果中、行動速度が上昇する。 [ 他者封印・鮮血神殿 / 誰かが「戦闘不能」「死亡」するとHPが回復する。 [ 騎英の手綱 / 「騎乗」している間、自身と騎乗している対象の全能力が上昇する。 [ 混乱の魔眼 / ターン開始時に敵味方全体を高確率で「混乱」状態にする。 [ 邪眼 / 「混乱の魔眼」で混乱した任意の対象を「マヌーサ」状態にする。1/戦。 [ 常勝の天才 / 【戦術】が「妨害」されなくなる。 [ 騎乗EX / あらゆるモンスターに騎乗し、操る事が出来る。 [ 重複呪印 / 自分が行った状態異常に抵抗した敵の耐性を少しだけ低下させる。 【アクティブスキル】 [ 適性戦術x / 戦術属性の行動を、通常の行動とは別に行える。1戦闘1回 [ 攻撃陣形x / 味方前列の与・被ダメージがそれぞれ増加する。再使用すると元に戻り、他の「陣形」と重複しない【セ】 [ 防御陣形x / 味方前列の与・被ダメージがそれぞれ減少する。再使用すると元に戻り、他の「陣形」と重複しない【セ】 [ 回避陣形x / 味方前列の回避率と被ダメージが上昇する。再使用すると元に戻り、他の「陣形」と重複しない【セ】 [ AICx / SM中のみ使用可能、そのターンの間、敵一人が与える全てのダメージを0にする。使用後、3Tで離脱する。 [ 高速設置+x / 【設置】を通常の行動とは別に行える。1/戦。 [ 分割思考x / 【戦術】を通常の行動とは別に行える。2/戦。※ [ ガーベラ・ストレートx / テンションを1段階消費する度に「重ね斬り」の発動率と回数を増加させる [ 死延足x / 「自己封印・暗黒神殿」を開放してから使用可能、敵のASの対象にならず、効果を受け付けない。1/戦 [ 自己封印・暗黒神殿x / 宣言するまで自動発動。「魔眼」が非所持扱いになるが、自分に対する情報解析を無効化する。【セ】 [ 騎獣使役x / 搭乗している騎獣に対して指示を出すことが出来る。 [ 縦一線x / 斬撃属性の際、斬撃無効化を無視して攻撃する、MP消費が2倍になる [ 横一線x / 斬撃属性の攻撃範囲を敵一列に拡大する、ただし威力が低下しMP消費が「*攻撃対象の数」になる。 [ 慎重派x / 使用ターン、受けるダメージを低下させるが、自分が与えるダメージも低下する。 [ ランブルデトネイターx / 設置技に爆発要素を仕込む。設置技が発動した際Lvに応じた「イオ系」の固定ダメージを与える。 [ シルバーケープx / 呪文から受けるダメージを軽減し、回避率を上昇させる。 [ 無手暗殺y / 格闘属性の攻撃を斬撃属性としても扱うことができる。 [ 臥龍y / 戦術属性の効果が上昇し、敵の能力解析を手番を消費せず行える。1戦闘1回 [ ソードサマナーy / 「斬撃」属性の攻撃を「設置」として使用できる。 【耐性】 [ 防衛システム / 外部要因によってしゅびりょくが低下しない [ ハードシェル / 斬撃・格闘攻撃から受けるダメージを軽減する。 [ 混乱吸収EX / 【吸収】「混乱」+「MP回復」 【ファサリナ】 / / l / / . ./ . / / / l | / / . ./ . ./ . / ィ/ / ! | i 、 | /´/ / / ;;ィ/ /// l l /! | i !ヽ ハ | / / / /戈ハ /、/ l l ! | l| | ! i ! l l | { ! /| /人{ヒト/ !`卞! ;| ! /! | !/! ∧! | | | l | / V / / ! /斗; |ミ|ト、! l } ! j/ | | l | ヽ |! { /ノ 、 ft心、ノ`|i l ; ;' | | ヾト /イ´ ヾ、r近、j / / / l |\ // / ∧ `/ / / / l ', ヽ /;' / ヽ `ゝ ,.ィ / / / '; ヽ ヽ ; / ≡=== ハ _ .. -.;´ / ノ / ヽ \ ', |ト // r '´c三´ _ィ ´_ 、- '´ ´ / ヽ ヽ \ ト、Y/-‐ ''ア_"ー- 、 / / . . . . . . . . . . / ヽ ヽ \ ,. イ // . . . . . . . `丶、l | . . . . . . / l l ヽ ヽ 、 / / /' / . . . . . . . . . . . . . . . .l { ; イ l l i ヽ ヽ 、 / . . . .| |/ . . . . . . . . l l ;. - ´ | l l i ヽ ヽ / . . . . . . . .l l ;.、 -─────`┴ '' " | l l ! ヽ ヽ ]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]] 【ファサリナ】 種族:超銀河眼の光子竜+11 ♀ Lv54 おいろけ ※血統限界 HP 1860 MP 1100 ドラゴン系 こうげきりょく / AA+ (AAA+) しゅびりょく / AA+ (AAA+) すばやさ / A+ (AA) かしこさ / A- (AA) せいしん / AA+ (AAA+) こうかんど / 100 ちゅうせい / +80 【特技】 [ ギャラクシーアイズ 消費200 / 銀河を内包する瞳より魔力を放つ。敵単体の能力上昇一つを最低値にする。 [ ネオギャラクシークロウ 消費80 / 銀河を圧縮した爪で敵を切り裂く。防御特性を無視する。【闇】【斬撃】 [ ネオフォトンブレス 消費100 / 光子によるブレスを放つ。敵単体のHPを大幅に減少させる。【ブレス】【光】 [ ネオフォトンバイト 消費80 / 光子を集めた牙で敵を噛み砕く。防御特性を無視する。【光】【格闘】 [ フォトン・サンクチュアリ 消費100 / そのターンの間、「かばう」状態以外の仲間一体が受けるダメージを半減する結界を形成する。1/戦。【結界】【セ】 [ プラチナダスト 消費35 / 白銀の粒子を周囲に放出してダメージを与えつつ能力を下げる。「オリジン」限定。 [ シャドーダイブ 消費110 / 自分の姿を隠し、ターン終了時に奇襲を仕掛ける。「かばう」「耐性」を貫通する。【ドルマ】 [ やぶれたせかい 消費200 / 「やぶれたせかい」を顕現させる。【必殺】 [ におうだち 消費25 / 味方が受けるダメージを一手に引き受ける。1/戦。 [ だいぼうぎょ 消費25 / 受けるダメージを大幅に軽減する。1戦闘1回。 [ 守護者 消費0 / かばうの上位互換、MPを消費しない。【セ】 【パッシブスキル】 [ ホーリーフォール / 自身が行った「光」系の攻撃が耐性で軽減・無効・吸収された際、その耐性を3ターンの間消滅させる。 [ 異常忠誠 / マスターと騎手に絶対の忠誠を誓っている。あらゆる行動において、騎手を攻撃の対象に出来ない。 [ 幼生 / まだ体が幼く、成熟した状態ではない。ステータス基本値が低下し、本来の「サイズ」からひと回り小さくなる。 [ 固有血継:銀眼竜 / 自身の「魔眼」があらゆる行動に干渉せず、干渉されなくなる。 [ 騎獣(空) / マスターや騎手を載せて空を飛ぶことが出来る。 [ 暴れ馬 / 騎乗難易度が高く、「騎乗EX」でなければ乗りこなせない。 [ 超感覚 / 音や臭い、空気の流れで場を完全に把握する超感覚。「命中率」「回避率」の補正を無視する。呪文が回避出来る。 [ 光子竜の逆鱗 / 複数回ダメージを受けると、キレて「ギャラクシーアイズ」を使用する。 [ 超銀河竜の怒り / ステータス低下の合計値が「10」以上の対象に行うあらゆる攻撃が「会心の一撃」になる。※ [ 銀河眼力 / 敵全体の能力低下による補正を上昇させる。 [ 孤人要塞 / 溜まっているテンション数に応じて受けるダメージを軽減する。 [ 蹂躙走破 / 近接攻撃に反応する「設置」の対象になった場合、無効化して破壊する。 [ 一心同体 / 自分に「騎乗」している仲間と耐性を共有する。 [ ガードサーバント / 自身に「騎乗」している騎手が、『一心同体』で共有する弱点を消滅させる。 [ ブレスマスター / 【ブレス】による攻撃が常に「いきをすいこむ」状態になる。 [ ミッドナイトサンEX / 自身が行う「光」と「闇」の効果を上昇させる。 [ ドルマ系のコツ+ / 「ドルマ系」呪文の威力が上がり、消費MPを抑える。 [ プラチナ貯蔵 / 「プラチナのかけら」「プラチナのかたまり」を何処からか集めてくる。好感度が高いと分けてもらえることもある。 【アクティブスキル】 [ 銀河の魔眼x / 通常の行動とは別に「ギャラクシーアイズ」を使用する。連続では使用できない。※ [ グレートウォールx / 同時に使用する「かばう」が妨害されない。 [ 倹約x / メインプロセスで最初に使用する呪文・特技の消費MPが半分になる。 [ 銀河零式x / 「光」「闇」の呪文・特技をそれぞれ1つずつ使用出来る、1/戦 [ 贄の飽食x / 自分に騎乗している仲間のHPを減少させて与えるダメージを増加させる。 [ 銀河女王光y / 「銀河の魔眼」と同時に使用した場合、対象を2体にする。1/戦。 ※ 【耐性】 [ ネオギャラクシーオーラ / 【無効】「光」「闇」 【半減】「斬撃」「格闘」「射撃」以外の全属性 【弱点】「呪文」 [ 精神耐性 / 精神攻撃や幻術、それに類する効果を無効化する 【ダイゼンガー】 /l | . . . . . .// . . . . ./ / .|ノ . . . . .// . . . . . ( i .i . . . .// . . . . . . . .ヽ 〉 .ゝ/ .〈 . . . . . . . . . .ソ. / | 〉 . . . . . . . . .ヽ ( / ̄>、〈 . . . . . . . . . . . .| ∨>x/ラ ) . . . . . . . . . / ∨ /タミ `ヽ、 . . . . .i /i ∠ヘ// Y´彡゙/ ヽ . . . . . .ヘ ト.、/《/ミ/ l .l ノ `ヽ . . . .ベ ヘ少)〈 ./巛/ ∨ l⌒iヽ `ヽ . .ヘ.ュⅲ≧(∋ )ヘ、 ∨ i ./ト i . . .l<二>弋ソ、( ヾ 丶/ .i l\ / . . . .)》∀《/\´ iミ巛》、 l l_/ ヽ . . .|ュ|Ξ|i ∨| ゝ<三>/`ヽ、 〉-、 〉─ヘヘヘ〈〉ミ彡ヽ夂 . \.`丶 、ヘ / 〉 // ̄ヘヘヘ∨ ∧.\i....\` .、 丶 、 〉ー〈 .i i ヾヘ.∨ .∧== . \゙` .、 . ..`丶 、 / .| .| .| `l .| l ヽ イ.゙\. ` .、 . . . . . `丶 、 / l .l .| iト〉 \ イ . \....` .、 . . . . . . . .`丶 、 / l / ./ 彳ヽ | l/ ./《》\ヘ ∧ . . ..\ ` .、 . . . . . . . . . . `丶 、 lタ .┌┘〈 /\゛'' ..,,〉 \ノ/《《《》》》ゝi | . . . . .`\... ` .、 . . . . . . . . . . . . . `丶 、 〉_,..-'''" /\三三三ゝー\ .ヘ/ ̄./ ̄ヽ≧ゝ ヾ . . . . ./ \. ` . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .i丶 、 〉 _,..-'''"ヽ "'' ‐-_,,.._ ト、\/___/ .`リ l . . . . l.... \...... ~゛'' ‐- ..,,_ . . . . . |... `、 /-'''"ゝ、 .ヽェュ、⌒、i\/| ヽ リ ∨ ∧ . . . レ. \. ~゛''. `、 ~""''' ‐-ェムュ ヽ i / l ト Y lー "'' ‐- ,,.._ `、 ムムミl l .l l l l l "'' ‐- ,,.._. `、]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]] 【ダイゼンガー】 種族:D・ゼネラルガーディアン+11 ♂ Lv54 ぶじん ※血統限界 HP 2120 MP 800 物質系 アウセンザイター騎乗 こうげきりょく / SS- しゅびりょく / AAA+ すばやさ / C かしこさ / C せいしん / C こうかんど / 100 ちゅうせい / +100 【特技】 [ くうれつざん 消費12 / 空を裂く斬撃を放つ。敵の特性を無視してダメージを与える。【斬撃】 [ だいちざん 消費12 / 大地ごと敵を切断する。「みをまもる」行動を無視してダメージを与える。【斬撃】 [ かいはざん 消費12 / 海を斬るほど鋭い斬撃、「かばう」行動を無視してダメージを与える。【斬撃】 [ 阿修羅・天 消費70 / 敵ランダムを連続で斬りつける。テンションが上がっているほど攻撃回数が更に増加する。行動後、テンションが2低下する。【斬撃】 [ 金剛砕破 消費80 / 敵全体を一撃の元に破砕し薙ぎ払う超斬撃。「しゅびりょく」の能力上昇を元に戻す。【斬撃】 [ 超まじん斬り 消費80 / 命中率が低いが凄まじい大ダメージを与える。【斬撃】 [ 雲耀の太刀 消費80 / 全てを一刀両断する剣技の境地。ターンが経過するほど威力が増加する。【斬撃】【突破】【必殺】 [ 星薙の太刀 消費180 / 敵全体を巨大な光の塊で星ごと薙ぎ払う。【斬撃】【光】 [ 竜巻斬艦刀・逸騎刀閃 消費200 / 刃馬一体の攻撃で、斬撃の竜巻を巻き起こす。【斬撃】【合体攻撃:トロンベ】 【パッシブスキル】 [ 突き返し / 自身が攻撃する対象から攻撃された時、高確率で相手の行動前に自身の行動を行う。 ※ [ 人馬一体 / 『人馬一体』を持つモンスターに騎乗した際、騎手と騎獣のHPを合計して共有する。 [ 騎乗(トロンベ) / トロンベに騎乗し戦うことができる。 [ 居合い斬り / 対象が敵単体である斬撃攻撃の際、攻撃速度が上昇する [ HPシャワー / 最大HPの成長に補正がかかる。 [ 固有血継:鉄剣士 / 「せいしんとういつ」状態になると能力値が上昇する。 [ 集中の境地 / 「せいしんとういつ」状態になるとHPが回復する。 [ 刹那の見切り / 「せいしんとういつ」状態の間、受けるダメージを軽減する。 [ 動の極み / 毎ターン開始時に「きあいため」状態になる。 ※ [ 静の極み / 毎ターン開始時に「せいしんとういつ」状態になる。 ※ [ 静動轟一 / 「せいしんとういつ」状態で行なう全ての攻撃はPSを無視する。 [ 継承の剣 / 仲間が「戦闘不能」になるとテンションが増加する。1/戦。 [ 質実剛健 / 自身と攻撃対象の能力上昇・低下の合計値の差が大きい場合、追撃を行なう。 [ マシンセル / ターン終了時にHPを回復し、中確率で状態異常を治療する。 [ 斬り返し / 斬撃属性の攻撃を受けた際、低確率でダメージを軽減し、通常攻撃を行う。 [ 一刀両断 / 斬撃属性の特技使用時、中確率でダメージ判定の前に「こうげきりょく」が上昇する。 [ メイガスの剣 / 条件に「斬撃属性」が関わる特性の発動率が上昇する。 [ 武人の覇気 / 「きあいため」の効果中、特性の発動率が上昇する。 [ 満身創痍 / 残りHPが少ないほど与えるダメージが増加する [ 流し斬り / 斬撃属性の攻撃で敵を倒した場合、同じ技で再度攻撃する。 [ 破斬剛力 / 自身の攻撃が回避された際、次に与えるダメージが大幅に増加する。効果が累積する。 ※ [ 斬艦刀 / 斬撃属性の攻撃の威力が上昇する。 [ 猛虎 / 行動不能にされそうになった際、無効化して自分のテンションを上げる。1/戦。 [ 猛虎高飛車EX / テンション上昇時に全能力が多く上昇する。1/戦。 【アクティブスキル】 [ ハードセルx / 『マシンセル』の効果を即座に発動させる。 [ 弐の太刀x / 攻撃対象が敵単体の斬撃攻撃を行った際、同じ列にいるモンスターに追加攻撃を行う。 [ 武神装攻x / 斬撃を「三回」連続で繰り出す。敵を「戦闘不能」にした場合、再使用可能。テ/3。1/戦。 [ 電光石火y / 「せいしんとういつ」状態の際使用可能。誰よりも早く行動し、通常の行動とは別に攻撃を叩きこむ。 【耐性】 [ 特殊抗体 / 一度かかった状態異常にかからない。 [ 雷撃耐性+ / 【無効】「デイン系」「いなずま系」 【弱点】「ドルマ系」 [ 金属ボディ / いつもの。 【トロンベ】 / / . . . . 弋 . . . . . . . .| ∧ .| |リ, ∠i . . . . . . . . . . . . ./ /ヽ、 圭圭゛'' ..,, ,/ / . . . . . . .>ー─-ュ ∨∧、__, | |リ=ェ、/ i . . . . . . . . . . ./ ./ . . . . .ヽ、圭圭圭圭゛'' ..,,. ∧マヽ、/ . . . . . . . . .iム/´ ̄\ト、∨ . . . .iヘ弋l .,〈 l . . . . . . . . ./ ./ . / ̄ ̄ ̄\ 圭圭圭圭圭`゛¨ '' ‐-./ i 〉 . . . . . . . . . .l | . . . . . . . .\ト.i . . . . . .∨ .| | 〉、. . . . . ./ ./\| . . . . . . . . . . . \圭圭圭圭圭圭圭圭.∨____/ . . . . . . . . . .| l . . . . . . . . . . .\ヘ . . . ./ / /lヽ/ . . `ゝ、/ ./ 圭ゝ . . . . . . . . . . ./\圭圭圭圭圭圭圭 | i . . . . . . . . . . . .l l、 . . . . . . . . . ./`<>l ./ム// . . . . . . . . . ./ /.圭圭`<、 . . . . / . . . . .\圭圭圭圭圭圭 .l .l . . . . . . . . . . . . .∨\ . . . . . . . ./ . . . `.タゝ`.Y . . . . . . . . . . .i´ / .圭圭圭圭 `<l\ . . . . .(`゛¨ '' ‐- ...,, _ l l . . . . . . . . . . . . . . ∨..\ . . . . .l.i.、. . . . . .`ヽソ . . . . . . . . ./ / .i.圭圭圭圭圭圭ト、  ̄ ̄`゛¨ '' ‐- ...,, _ ∨ lγ´ ̄`丶 . . . . .∨ .\/\\ / ̄ ̄ ̄〈三〉.,>´≦ヘ.圭圭圭圭圭圭∨`゛¨ '' ‐- ...,, _ .∨ i . . l´ . . . . .ヽ、/\__| . . . . .\〉i l /i . . `∨__ヘ.圭圭圭圭圭圭ゝ、〈 \\ 圭.`゛¨ '' ‐ ゝ、l . l . . . . . . . . . . . ./ . . . .ヽ . . . . ./\ ヽ /、 / . . . i巛彡/ 圭圭圭圭圭圭 `´ 圭  ̄圭圭圭圭 ] . . . . . . . . . . . / . . . . . . . . 〉</..圭l_/ ̄ ̄ `‐/ . . . . . `| ̄/圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭 / . . . . . . . . . ../ . . . . . . . . . . ./ ./圭圭ヽ、ヽミ〉 / . . . . . . . `ヘ、_圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭『i、/ . . . . . . . ___/ . . . . ._/ ̄ /..圭圭圭| . . .\__/ . . . . . . . . . . . . . ヘ \圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭巛》》, . . . . ../ . . . . . / ̄ /..圭圭圭/》、 . . . . . . . . . . _,..-'''∧ミミムヽ \圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭..ミ彡ヘ /ヽθB . i / 圭圭圭/ ∧ヘ . . _,..-''' . . . . . / ̄ ̄トヽ ..\圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭 . . . . . . > B__/ ./ 圭圭._/ .∧, -'" . . . . . . . . // ̄ ̄ ゛'' ..,,\圭圭圭圭圭圭圭圭圭 〉</´ _ ,,... -‐ '' "´ ./[] / . . . . . . .┌─/ ./ . . . . . . . . . . . . . . . . ゛'' ..,, 圭圭圭圭圭圭圭 / . . . . . . . . . . . . . . . / l . . . . . . . .└‐┤ ト . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . `丶 、圭圭圭圭圭]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]] 【トロンベ】 種族:アウセンザイター+11 ♂ Lv90 トロンベ! HP 1620 MP 680 ドラゴン系 こうげきりょく / B- しゅびりょく / A+ すばやさ / AAA+ かしこさ / B せいしん / C こうかんど / 90 ちゅうせい / +70 【呪文】 [ イオグランデ 消費67 / 敵全体に圧倒的な爆発を叩きこむ「イオ」系最強呪文【イオ系】 [ 炎燐の鎧 消費200 / 数ターンの間、前列が接近攻撃をしてきた際にダメージを与える炎の鎧を身にまとう。1戦闘1回。【火炎】【セ】 【特技】 [ 炎龍爆発 消費100 / 「炎燐の鎧」状態のみ使用可能。2T後、敵全体を高威力の爆発で吹き飛ばす。「炎燐の鎧」が解除される。【火炎】【イオ】 [ 守護者 消費0 / かばうの上位互換、MPを消費しない。【セ】 [ だいぼうぎょ 消費25 / 受けるダメージを大幅に軽減する。1戦闘1回。 [ みかわしきゃく 消費5 / 物理攻撃を回避しやすくなるステップを踏む【踊り】 [ 黒王の嘶き 消費30 / 仲間一体のテンションと能力値を上昇させる。 [ シュツルム・アングリフ 消費100 / 嵐の如き連撃を放つ。命中した対象の回避率を低下させる。【射撃】 【パッシブスキル】 [ 騎獣(友) / 友を背中に乗せて地上を滑走することができる。選ばれし友に「騎乗(トロンベ)」を与える。 [ 人馬一体 / 『人馬一体』を持つモンスターに騎乗した際、騎手と騎獣のHPを合計して共有する。 [ 一心同体 / 自分に「騎乗」している仲間と耐性を共有する。 [ イオ系のコツEX / 「イオ系」の呪文・特技を極めている。「イオ系」の効果が上昇する。 [ ランツェ・カノーネ / 自身の攻撃が命中した対象の回避率を、そのターンの間低下させる。 [ トロンベ / 誰かが『歌』を歌いだすと、自分のBGMでかき消す。 [ ブフェールト / 自身が攻撃を回避した際、騎手も攻撃を回避する。 [ 黒王号 / 巨躯にて大地を震わす漆黒の馬体を示す。最大HPを「+50」する。 [ 漆黒馬の一撃 / 時折、騎乗者のメインプロセス終了時に「トロンベ」が追撃を行う。 [ インプラグナブル / 時折、騎乗者を攻撃からかばう。 [ 触れ得ざる者 / 「回避率」が低下している対象の攻撃を回避することがある。 [ 大雑把 / 与えるダメージや受けるダメージの揺れ幅が大きくなる。 [ 炎妃龍の守護 / 「炎燐の鎧」の効果中、受けるダメージが減少する。 [ 死灰復燃 / 「戦闘不能」「戦闘離脱」「死亡」時に中確率で敵全体に「メラ」属性の追撃を行う。 [ 爆風の鎧 / 「イオ」系のダメージを受けた際、爆風を身にまといダメージを軽減する鎧を身にまとう。 [ 連鎖爆発 / 自身と同じ隊列にいる敵が「イオ」系のダメージを受けた際、追加で「イオ」系のダメージを与える。 【アクティブスキル】 [ ダブルカノンx / 敵単体を対象とする【射撃】攻撃を2回に分割して行う。 [ ファイアロードx / 「メラ系」「火炎系」の呪文・特技をそれぞれ1つずつ使用出来る。1戦闘1回 [ ストラグルボンバーx / 「イオ系」の呪文、特技の威力を増加させ、ダメージを与えた対象の「すばやさ」を低下させる。 [ 黒王波動x / 自身のMPを200減少し、騎手のMPを150回復させる。1/戦。 [ 無双炎神y / 「メラ」「火炎」のダメージが軽減・無効化・吸収されなくなる、1戦闘1回 [ カリキュレイトy / 行動指定時に対象を指定する、自身の行動順がその対象の行動前になる。1戦闘1回。 【耐性】 [ 炎妃龍の甲殻 / 【吸収】-【HP回復】「メラ」「ギラ」「イオ」「火炎」 【弱点】「ヒャド」「吹雪」 [ 精神耐性 / 精神攻撃や幻術、それに類する効果を無効化する 【シアシア】 ヽニ7 r─‐{」 ,ィ二二ヽス 「} r─‐┐ _,. ,ヘE7 Xト=≦彡' , ヘr'⌒ヽ. V三ヲ_ /// }イ / ̄ _∠ /ト、 V゙丁「 \ 厶彡' ,_-rj」r-r= |「 }} | ヽ _K^ヽヽ─=ミト、 _∠,rf㍉ト、/| }j}/ {ト-クーゞン _,ハ |\ /二ヽ_ v-┐ fハV人ゞソ /' ゝク  ̄ ∠] l /⌒! _ ゞニン√ >ト、ノ ゞ'^>rニ7 / ∠二」 l/ √}\「 ̄ `ヽL彡く _/, ´,ィ仁 / / ,ィハニニ!_| / rく ヽ ヽ \ / , /,Yミ / /} /l!「 ̄マフ厂 jl/ ハ -ヽ \ \ 丶 「〉 /, /彡 /r / , くヽ l!| V ト、∧{_ン ハ `< \{ ヽ / /ィ/,イ!{ 7_ / /ミj/ l!| ,イ イ ̄ゝ、| ` < ヽ ヽ. /∠{Lフ,'l !|' {L. -r≦ミ7/ l∥ ' ,仍くハヽY´_ ノ| ` < _j {_' イ!{ }川 l_>'´ V 、 ' / ,,″ ` <「 」 | ノハV刈 Ⅵト、rッ/ {j〃 ` ┘. / 〃 ||'ノ,ハ l|トミ} {彳{]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]] 【シアシア】 種族:ラフレシア+11 ♀ Lv54 おしとやか ※血統限界 HP 1780 MP 980 植物系 こうげきりょく / C しゅびりょく / S すばやさ / D かしこさ / C せいしん / A- こうかんど / 100 ちゅうせい / +70 【呪文】 [ スペリオルテ 消費50 / 仲間一体の全能力を上昇させる。 [ ベホマラー 消費32 / 仲間全員のHPをある程度回復する。 [ ベホイマ 消費56 / 仲間一体のHPを特大回復する。 [ ザオリク 消費220 / 仲間一体を100%蘇生させる、回復量はせいしんに依存する、1戦闘1回 【特技】 [ エーテルグロース 消費80 / 仲間一体のテンションを「2」あげる。 [ パリペイティア 消費100 / 敵一体のそのターン行う行動を妨害する、1戦闘1回 [ いてつくはどう 消費50 / 敵単体の能力値の変動を元に戻す。テンション1消費。【セ】 [ アフェクション+ 消費120 / そのターン、仲間一体が最初に受けるダメージを0にする。1戦闘1回【セ】 [ ディバインフォース 消費100 / 仲間全員が与えるダメージを増加させる。1戦闘1回。【光】 [ 熾天覆う七つの円環 消費80*α / 自陣に最大七つのダメージを軽減する「盾」を作成する。テンションを2段階消費する。1戦闘1回【設置】 [ 守護者 消費0 / かばうの上位互換、MPを消費しない。【セ】 [ ラフレシア・プロジェクト 消費200 / 『バグ』を3体召喚する。1/戦。 【パッシブスキル】 [ 固有血継:紅陽花 / 受けたダメージに応じて、ターン終了時にテンションが上昇する。 [ クラッシュサンライト / 「いてつくはどう」「まぶしいひかり」にダメージが発生するようになる。 [ ハッピーギフト / 自分がいるPTのレベルが少し上がり易くなる [ フラワーギフト / 自分が「戦闘不能」でない場合、自分以外の仲間全員が与えるダメージが増加し、受けるダメージが低下する。 [ ホーリーコール / 登場時に味方全員のテンションを上昇させる。 ※「リーダー」と重複しない。 [ ヒールコア / HPを回復する行動をした際、対象のテンションが増加する。 ※ [ コードフレッサ / このモンスター以外の仲間は「弱点」によるダメージを半減する。 [ スペルアーマー / 登場時の最初のターンのみ、呪文を跳ね返す結界をはる [ マジックコート / 呪文によるダメージを受けた際、「しゅびりょく」で判定する。 [ セルフガーディアン / 全体攻撃を単体・対象自分に変更し、ダメージを軽減する。1/戦。 [ キュアマスタリー / 回復呪文の効果が増加する。 [ ブレッシング / 溜まっているテンションに応じて回復呪文・特技の回復量が増加する。 [ ヘイト稼ぎ / ランダムで飛んでくる攻撃が自分に多く飛んでくる。 [ バグ / ターン開始時に『バグ』を召喚する。 ※ [ バグシールド / 『バグ』に自身を庇わせる事がある。 [ バグボム / 『バグ』が攻撃を行った際、「イオ」系による爆発で自爆させる。 [ 防御専用改造 / ステータスを×××(プライバシー保護の為に個人名を改ざんさせて頂きます)によって防御寄りに改造されている。 [ 広域拡散装甲 / 対象が単体でない攻撃の対象になった際、味方全員が受けるダメージを軽減する。 [ 和み枠 / 自分が「戦闘不能」でない場合、仲間のテンションが低下しない。 [ 祈り / 「戦闘不能」になるダメージを受けそうになった際、相手のメインプロセスの間、回避率が大幅に増加する。 [ 桜花爛漫 / 「混乱」「暴走」中でも仲間を攻撃しない。 [ 桜吹雪 / テンションを開放した攻撃が命中した際、敵全員に追撃を行なう。ダメージはテンションに依存する。 [ 誠心誠意 / 仲間の治療・蘇生行為に対する妨害を受け付けない。 【アクティブスキル】 [ 神の盾x / 仲間1体はこのターンHPが変動しない。1/戦。 [ 八重垣EXx / 「かばう」を使いながら行動を行う、2/戦。 [ シーリィx / 仲間一体が与えるダメージを大幅に増加させる。 [ 慈愛の御手x / 仲間を強化する呪文・特技を通常の行動とは別に行える。消費MPが2倍になる。1/戦。 [ エンカレッジy / 行動指定時に対象を指定する、仲間一体の行動順がその対象の行動前になる。1戦闘1回 【耐性】 [ 精神耐性 / 【無効】「精神攻撃」 [ 行動不能耐性 / 【無効】「行動不能」 [ ラフレシア / 【減少】「系統ダメージ」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1969.html
宇宙人と呼称される私でも存在意義があると思ってた・・・ 最初は感情のない私だけどSOS団の活動の中で存在を見出した。 感情も増えた、表情も増えた、なによりその日々が楽しかった。 私も会話に入りたかった。涼宮ハルヒや朝比奈みくると話がしたかった 古泉一樹とももっと交流を深めたかった。そしてあの人とも・・・ でもSOS団は私のことを重視してなかった。 ある日いわれた。 「本を読むだけだったらでてってくれない?」 答えられない・・・私はその日のうちにSOS団の部室を出た。 次の日の昼休み、部室の鍵は閉まっていた。 放課後に開けるのは涼宮ハルヒだ・・・ 「なにやっているの?出ていってくれない?」 私はその場を動かなかった。古泉一樹にどかされた、あの人に蹴られた。 そのとき私は涙というものを流した。暖かいと聞いたもの・・・ でも私の涙はとても冷たくとても悲しかった。なぜ? 私に感情があれば、もっと話が出来たのに、もっと交流できたのに、 どうしてだろう。冷たい部屋の中で涙を流しながら私は一人考える・・・ 学校に行く足取りが重い。でもこれが命令だ 情報操作を受けていないのに重い。これが感情なのだろうか? 読書しかしない私は当然クラスから疎外されてる。 唯一私が少しでも話を出来たりしたのはSOS団だった。 毎日のように暴言を吐かれ、靴などを隠される。机にも落書きされる。 私は放課後、私以外のメンバーがいるSOS団の部室のドアの前で メンバーの楽しそうな声を聞きながら一人たたずむ。 涙が出る。有機生命体の悲しいという感情はこれで表すと聞いた 悲しい、苦しい、胸が焦げるように熱い。私は人間になれたのだろうか? でもその代償が今の私なら人間にはなりたくなかった。 私は帰った。家に帰った。家に帰り声を出して泣く、泣き叫ぶ 有機生命体が悲しい時はこんなに涙を流すのだろうか? 限界・・・言葉通り今の現状が限界・・・もう耐え切れない。 本屋で本を買った。なんとなく目に付いたのは「完全自殺マニュアル」 店員の驚愕の視線を受けながら私はこれを買う。 家で読んでみた。有機生命体は耐え切れない時このようにするのだろうか? 私は一本のロープを取り出した。本の通りに吊るし、私の首を入れる 30分ぐらいたっただろうか・・・死ねない。宇宙人だからだろうか・・・ 次の日私はまた命令通りに学校に行く・・・重い足を踏み込んで・・・ 学校にいくと喜緑江美里に呼び出された 「あなたはもう用済みだから解除しますね」 思念体全部の決定事項なのだろう。私には逆らえない・・・けど 私はどうして?と尋ねる。以前の私なら普通に受け止めただろう。 理由は分かっている。涼宮ハルヒが私を必要としていないからだ・・・ 涙が自然に零れ落ちる。少しの日にちでここまで涙もろくなる 喜緑江美里は不思議な表情を浮かべていた。その後解除が実行される。 その時、屋上にあの人が現れた。私の体は半分もない 「あっ・・・あのっ・・・」 うまく言葉が出てこない。もう少しで消えちゃう。それは嫌 「バーカ!早く消えろよ」 涙が途切れた。何も言葉が出てこない。感情も沸いてこない そうか・・・この人の言葉で私の感情がリセットされたのか よかった・・・これで普通にもd・・・・・・・・・・・・シュウ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4899.html
エピローグ 最後に新川さんが丁寧に謝辞を述べ、古泉が閉会の挨拶と二次会の案内をして披露宴はお開きとなった。新郎新婦は拍手の中を退場、とふつうはプログラムにあるはずなのだが、突然ハルヒが叫んだ。 「ちょっとみんな、外見て!」 「どうしたんだ?」 「すっごいじゃないの、目の前で花火をやってるわ」 「まさか、もう九月だぞ」 ハルヒの指令ですべてのカーテンが開けられた。窓の外はもう暗くなっていて、眼下に広がる俺たちの町の夜景と夜の海、そのはるか上空で、光の大輪の華が大きく広がっては消えていく。ドドンと腹の底に響くような大きな音と共に赤黄色オレンジと青に緑の輪が咲いていた。今日のセレモニーの最後を飾るイベントだと思ったらしく招待客からやたら歓声が上がっている。 「あれは誰がやってるんだ?古泉、お前の機関の仕込みか」 「とんでもない。あんな予算のかかる見世物をやるなんて聞いていません」 「あれは……」長門が宙を見つめた。「情報統合思念体がやっている」 「なんと。思念体って人類に直接干渉したりしないんじゃないのか」 「……わたしたちへのプレゼントのつもり、らしい」 こいつは驚いた。あいつらも味なマネをするな。 「……自律進化の閉塞状態を打開するヒントを得た、そのお礼」 「なんだそれ」 「わたしはあなたと出会って、自律進化を遂げた。その報告が貴重なヒントとなった」 「なるほどな。お前のパトロンも気の効いたことをするんだな」 「……あれは、主流派ではない」 主流派以外に俺たちに興味があるってのは、え。 「もしかして急進派か」 「……」 長門はなにも答えず、ただ黙って遠くを見つめた。急進派といえば、ナイフが好きなあいつが消えてからそろそろ八年になるか。あのときの二人のアクションシーンは今でも忘れない。そもそも長門と俺が親しくなったのはあいつが要因じゃなかったか。 「……おめでとう、と言っている」 「そうか。ありがとうと伝えてくれ」 かつて清涼感あふれる女子高生だった髪の長い女の子が、どこか遠くから見守ってくれているような気がする。長門はそっと俺の手を握った。俺も握り返した。 「みんな、二次会に行くわよ、あたしについてきなさーい」 とりあえずは披露宴は終わり、俺たちは控え室に戻ることにした。ほとんどが二次会に直行するようで、受付でブライドメイドとベストメンが引き出物の紙バックを配っていた。なにが入っているのか謎な年末の福袋っぽい感じもしなくもないが。 ボードに貼られた朝比奈さん撮影の写真が奪い合うようにして剥がされ、長門はもちろんメイド三人が写った写真はすぐにソールドアウトし、物好きなやつはハルヒの写真も持って帰っていた。なぜか古泉のも消え、残ったのは俺の写真だけだった。長門がそれを大事そうに一枚ずつ手に取っていた。 控え室でメイクを落とし、衣装を脱ぐと気持ちまで脱力してハァとため息をついた。 「やれやれ、やっと終わったな」 「……おつかれ」 鏡の前で赤い口紅と化粧を落とす長門を見ていると、こいつがほんとに俺の嫁さんになっちまうとはなぁなどと感慨じみたものが沸いてきた。あれれ目が潤んでる。長門の姿がぼんやりとかすんで、その隣にもうひとりの影が見えた。涙目で姿がにじんで見えていたのかそれとも本当にそこにいたのか、メガネをかけた長門だった。目をこすってよく見ようとすると、そいつは俺を見て少しだけはにかんで、スッと消えた。 長門はどうしたのという表情で首をかしげて俺を見ていた。 「……なに」 「い、いやなんでもない。古い知り合いがいたかと思ったんだが気のせいだった」 たぶん長門には分かっていたんだと思う。なにも言わなかったが、ただうなずいていた。 新川さんが自宅まで車で送ってくれるというので俺たちはホテルのロビーに降りていった。もうとっくに二次会会場に行ったかと思っていたハルヒ達がずらりと並んでいて、いやはやそこまでしなくてもいいのにバラの花びらが頭から降り注いだ。全員には無理だったが俺はそこにいる人にできるだけお礼を言った。ピエロ衣装のままの中河が笑いながら俺の手を握った。 新川さんがリムジンのドアを開けてくれ俺たちは乗り込んだ。空き缶のガラガラはもう付いていなかったが。 長門のマンションの前で車が止まった。玄関の明かりの中で新川さんに何度もお礼を言った。 「新川さん、なにからなにまでありがとうございました。機関の皆さんにもよろしくお伝えください」 「いえいえ、私どもも今日は楽しませていただきました」 「……」 別れ際に長門がなにか言いたそうにしていた。 「長門、どうしたんだ?」 長門は新川さんに近づいていきなり抱きついた。 「……お父さんを、ありがとう」 新川さんは顔を赤くして、はっはっはと笑った。 「実は私には有希さんと同じくらいの娘がいましてね。今は母親と暮らしているんですが、いい予行演習になりました。有希さん、幸せになってくださいね」 「……そうする」 里帰りがわりに新川さんに会いに行ってやろう。こいつには実家というものがなかったからな。 リムジンが走り去り、俺と長門は手をつないでマンションの玄関を入った。ひとつだけ思い出してぴたりと足を止めた。 「大事なことを忘れてた」 「……なに」 「こういうときは嫁さんを抱えて入るのが慣わしらしい」 「……そう」 長門の頬がポッと染まり、軽く手を握るようにして、俺の首にぎこちなく腕を回した。ほとんどといっていいほど体重が感じられない長門の体をお姫様抱っこで抱えてエレベータに乗った。 最初にここを訪れてからもう八年になる。あのときは寒々しい思いをしたが、今はこうやって長門の温かさを感じている。宇宙論を聞かされたり、布団で時間移動したり、缶カレーを食ったりおでんを食ったり、ここを去るたびに長門が見せていた寂しげな表情はたぶんもう見ることはないだろう。 そばにいてやりたい、難しくはないこんな単純な願いをかなえるのに長い時間をかけてしまったが、これからその時間を償っていきたいと思っている。長門よ、ずいぶんと待たせちまったな。 気がつくと七〇八号室の表札は、長門のではなく俺の名前になっていた。 足元でミャーと仔猫が鳴いて出迎えた。 「ただいま、有希」 「……おかえり、あなた」 そしてやっと、ここが俺の帰る場所になった。 END もくじに戻る
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2932.html
二 章 Illustration どこここ ハルヒには出任せを教えた俺だったが、こっちに来た本当の理由は長門も、他の二人も心当たりはないはずだ。前回来たときの記憶は隠蔽され、情報統合思念体も事件を過去に葬り去ろうとしていた。俺はそれで済むならそれもかまわないと思った。あのときは長門を連れ戻すことだけを考えていたからな。無事連れ戻せたわけだが、なぜそんな事件に巻き込まれたのか、誰の仕組んだ罠なのかという謎は残されたままだった。結局はなにも解決していなかったことに、いまさらながらに気付かされた。 車の中でそんなことを思いつつ、窓を伝って流れる雨を見ていた。 制限速度をきっちり守って走る長門は、飛行機のパイロット並みの正確な運転だった。でもこの運転手はどう見ても童顔の女の子で、十八歳より若い。いちおう免許証は用意してあるが、照合されたら偽モノだとバレてしまう。途中で検問なんかにひっかかりませんようにと祈りながら、車はお屋敷を目指した。 「あれっ、ここって鶴屋さんちじゃないの」 「そうだ。だが鶴屋さんはいないんだ。黙ってついて来い」 インターホンでおばあちゃんを呼び出して、谷川氏が具合悪いので連れて帰ったことを伝えた。 「おやおや。お酒でも飲んだのかい?」 「ちょっと脳貧血を起こしたらしくて」 朝ならまだしも、こんな夜中に脳貧血かよと思ったが、ほかに言い訳のしようがなかった。 「それから、友達が心配してついて来てくれたんですが。お邪魔してよろしいでしょうか」 「ぜんぜんかまわないさね。ささっ、おあがり」 俺と長門以外の三人は呆然とおばあちゃんを見ていた。言わなくても分かる、知ってる誰かに似てるっていうんだろ。 ハルヒが耳元でささやいた。 「ねぇねぇ、このおばあちゃん、鶴屋さんの親戚かなんか?」 「まあ、身内といえば身内だな。でもこっちは鶴屋さんのいない世界だ」 ハルヒは、ふーんと唸ったのか納得したのか分からないような声を漏らした。 「みんな、泊まってくかい?」 「いいですか?五人もおしかけちゃってすいません」 「いいともさぁ。いろいろと大変みたいだしね。けへへっ」 もしかしておばあちゃん、なにか知ってるんだろうか。 「なんでもないっさ。キョンさん、ささ、布団出すの手伝って」 お座敷に布団を敷いて谷川氏を寝かせ、さらに二人分の布団を敷いた。 「女の子はこっちね」 おばあちゃんは女三人を手招きして呼んだ。離れに連れて行ったようだ。 俺は布団にあぐらをかき、古泉に言った。 「ハルヒへの説明、あんなんでよかったか?」 「よろしいんじゃないでしょうか。曲がりなりにも納得してくれてるようですし」 「谷川さんのこと、どう言えばいいだろう」 「ここで即席で捏造した話をして、いつバレるかとビクビクしながら過ごすか、すべてを正直に話してしまうかですね」 「身もフタもないやつだな。ハルヒが自分の力に気が付いたらどうなるか心配してたのはお前のほうだろ」 「谷川さんがフォローしてくれるでしょう」 まあ最後はそれに期待するしかなさそうだな。不安が拭いきれない俺に対して、古泉はやけに嬉しそうだった。 「気のせいかもしれんが、必要以上に楽しそうだな」 「ええ。僕はみんなで不思議体験をするのが好きなんですよ」 前にも俺が朝比奈さんと過去に戻る話をしたとき、自分も連れて行ってくれとしきりにせがんでいたな。 「お前は毎日が不思議に満ちてるだろうに」 「ええでも、閉鎖空間内では孤独そのものですから」 「仲間がいるだろう」 「仲間がいるとはいえ、みんな超能力者ですからね。自分だけが一般の生活圏を離れて神人と戦っているのを思い出すと、孤独を感じますよ」 だから俺を閉鎖空間に誘ったのか。 「そうか。じゃあ、いつかまた付き合ってやるよ。ビデオカメラでお前が戦ってる姿でも撮ってやる」 「ありがとうございます。よろしければ高解像度でおねがいします」 高解像度って、古泉一樹のDVDでも出すつもりか。というより、俺的に古泉以外の超能力者に会ってみたいだけだが。 「話は変わりますが」 「なんだ」 「さっきから違和感を感じているんです」 「この部屋にか」 「いえ、こちらの世界に来てからずっと」 「そりゃまあ、こっちの世界は向こうの世界から見たら異空間みたいなもんだろう」 「そこなんです。ちょっと見てください」 古泉は右の手のひらを上に向け、じっと集中した。ぼうっと赤いゆらめきが燃え上がった。 「おい、こんなところでなにやらかす気だ。火事になったらどうする」 「大丈夫です。ちゃんとコントロールできていますから」 「ふんもっふか?」 「ええ。かなりエネルギーを絞ってあります。思うに、こちらの世界は僕にとって異空間と同じなのです」 「こっちじゃお前は通常的に超能力者か」 「そうなります。これがいつまで続くかは分かりませんが」 いざというときは頼りになるかもしれないな。カマドウマみたいな敵が現れたような場合だが。 「しかしそれ……、暖かいな」 俺は冷たくなった手をかざした。 「僕の能力は暖房器具じゃないんですが」古泉は苦笑した。 おばあちゃんが突然襖を開けた。「マクラあるかい?」 古泉は慌てて火の玉を消した。 「すごいねっ。それ、手品かい?」 「ええまあ。実は僕、マジシャン志望なんです」 「へええ。ハトとか出せるかい?」 「タネと仕掛けがあればできます」 「今度、やってみせておくれよ」 「いいですよ。練習しておきますね」 おいおい、そんな爽やか笑顔で言っちまっていいのかよ。 「お風呂、沸いてるからね」 おばあちゃんは襖を閉めて消えた。 「こっちと向こうにはいろいろと共通点があるみたいですね」 襖の向こうに消えたおばあちゃんの名残を確かめるように言った。 「そりゃまあ。向こうは谷川さんの作った世界だから」 「ということは、僕のモデルもいるわけですか」 「さあ。その辺は聞いてみないとな。俺が知ってるのは鶴屋さんだけだな」 「ということはこっちの世界があってはじめて向こうの世界が存在できる」 「そうなるな」 「こっちの世界に異変が起きると僕たちは存在の危機に直面しますね」 「不吉なことを言うな」 「あの文庫本はそれを意味してるのだと思います」 古泉はたまに、思いも寄らない事実を口にする。 「それはそうと、僕たちはなぜ過去に来たんですか?」 「俺がこっちの世界に来たのは四日前で、今日、向こうに戻ったんだ」 「なるほど。過去のあなたとすれ違いですか」 「あのときは長門を連れ戻すだけで精一杯だったからな」 「今回は文庫本の持ち主を探しに来たわけですね」 「たぶんそうだ。俺たちに罠を仕掛けたのが誰かを知るためにな」 「あの存在しないはずの十三巻ですが、どんな内容だったんですか」 「あれはだな、んぐ・・・…だからええっと、んがが」 「具合でも悪いんですか」 「い、いや、しゃべろうとすると口がふさが……んがぐぐ」 「大丈夫ですか。長門さんを呼びましょうか」 「いや大丈夫だ。きっとまだ禁則事項が残ってるんだ」 「ああ。未来のことが書かれているんですね」 「そうだ」俺はゼイゼイと荒い息をした。 「あなたが僕たちの世界の未来を知っているということは、時間的なパラドクスが発生する可能性がありますね」 「どういうことだ?」 「こっちの世界では、つまり谷川さんの脳裏には僕たちはまだ存在しないはずです。十三巻が存在しないのと同じように」 「谷川さんが書けば既定事項になるだろう」 「もし書かなかったら?」 「矛盾するかもな」 「そうなると、とんでもないことが起るかもしれません」 「まあ心配しなくても、俺たちがこっちにいる時点ですでに矛盾している」 「それもそうですね」 今から心配してもはじまらない。俺は大きくあくびをした。古泉の哲学やら時空論に付き合うのはそのへんにして風呂に入ることにした。 真夜中のことだった。 「……起きてください」 「嫌だ。まだ目覚ましは鳴ってないぞ」 「またそれですか。いいかげん起きてくださいよ。緊急事態です」 「今度は何だ」 どいつもこいつも異常事態になると必ず俺を呼びやがる。俺はため息をつきながら布団の上に起き上がった。古泉はすでに着替えている。 「神人が現れました」 「なんだって!?」 布団から飛び出ると、襖が開いて長門が顔を覗かせた。 「……外に、来て」 俺たちは縁側から庭に下りた。 「……」 長門が夜空の北のほうを指差した。見上げると、山の稜線に沿って広がる大きな青いスクリーンのような物体が見えた。 「……美しい」長門が呟いた。 「あれか?」 「ええ。不完全ではありますが、神人です」 「いつもの、人の形をしていないな」 「右のほうをよく見てください、顔のような部分が見えませんか」 言われてみれば赤い点が三つ、ぽつぽつと見える。 「あいつ、何してんだ?」 「それが謎なんです。まったく分かりません」 「……眠っている」 「すまん、なんであいつが眠ってる?」 「……分からない。涼宮ハルヒの微妙な精神状態を反映しているのかもしれない」 「あいつが現れるのはハルヒのイライラが原因だったよな」 「そうです。でもこの神人を見る限り、いつもと様子が違うようです」 「ふつうはあいつが現れるのは閉鎖空間のはずだよな」 「そうです。こっちの世界ではどうか分かりませんが」 「出るところ間違えました、って感じがしないか」 「そんな、お笑い芸人じゃあるまいし」古泉が苦笑した。 よく見てみると、神人が寝息をたてているようにゆっくりと揺れている。こいつ、寝てるなら現れる意味ないんじゃないのか。もしかして、ハルヒが異世界に来たりしたんで混乱してるのか。 「で、やっぱりあれは消滅させないといけないのか」 「そうですね。涼宮さんに見られると困ります」 あの夜、北高グラウンドで起こったことが夢じゃなかったなんてことになったら、俺のほうが困る。 「しょうがありません。消してきます」 古泉のまわりが丸く、赤く光り始めた。 「ねえちょっと、あれ、なに?」 後ろで声がした。 「あれは神人と言ってな」 ってハルヒじゃないか!なんで起きてきたんだ!俺と長門が同時に振り向いた。 「なによ。有希がいないから変だと思って探してたのよ」 「おーい古泉、戻って来い。緊急事態だ」 こっちのほうがほんとの緊急事態だ。 「あらら……」 「そこで浮かんでるの古泉君なの?」 「実は僕はラマ僧でして、空中浮遊ができるんです」 いつチベットなんかに行ってたんだよ。宙に浮いていた古泉がマヌケ面をして降りてきた。これは困ったことになった。どう説明したらいいのか。長門もフォローのしようがないという顔をしていた。 「ラマ僧って頭剃ってるんじゃなかったかしら。それはともかく、あの青いやつなんなのよ」 「……あれはフィトンチッドの一種。森林のマイナスイオン放射があのように見えることがある」 「へー、そうなの。マイナスイオンって体にいいのよね」 ハルヒは長門のでまかせを鵜呑みにしている。俺が説明すると嘘っぽく聞こえるのはまだ修行が足りないからか。 夜空を背景に、まるでオーロラのように青く光る帯を眺めていた。よく考えれば、このへんで早々に部屋に戻るべきだったんだ。 「お?」 ハルヒが声を上げた。神人がぴくりと動いたのだ。顔に当たる部分が持ち上がった。 「あら、なんだか人の形してない?あれ」 まずいぞ、俺は古泉に目で合図した。そもそも青い塊の説明すらできないのに、これが目を覚ましたらとんでもないことになりかねん。 「さあ、冷えますから戻りましょう」古泉が促した。 「ちょっと待って」 すでに遅かった。神人の目がじっとこっちを見ている、ような気がした。そいつはおもむろに起き上がると、山の上に立ち上がった。閉鎖空間のときのように建物を壊したりせず、ただ背中を曲げてうなだれているだけだったが。今まで散々ハルヒのイライラに付き合ってきて、さすがに疲れたのだろうか。 「ねえねえ!すごいじゃないのあれ!人よ、人の形してるわ。ランプの精かしら、古代人の大量破壊兵器かなにか」 ハルヒがいつかのように目んたまをキラキラさせて神人を見ていた。頼むからあの夜のことは思い出さないでくれよ、と虚しい願いを誰かに向かってかけていた。谷川さん、助けて。 ハルヒが右手を振った。すると神人も右手を動かした。今度は左足を上げ、神人も同じことをした。 「すごいわ!すごいわ!なんなのこれ!?」 そりゃまあ、お前の分身みたいなもんだから、お前の意のままだろう。ハルヒは右足と左足を交互に動かし、ステップを踏んだ。かわいそうに、遊ばれている神人も同じようにダンスを踊った。 「ブーン」 手を広げてくるくると舞を舞った。 「さすがは涼宮さんですね」 古泉は爽やかに笑っていた。笑ってる場合かおい。ハルヒがくるりと振り向いた。 「あんたたち、あたしに隠してることあるでしょ。特に、キョン!」 ハルヒの人差し指が、まるでビシッと音を立てたかのように俺に向いた。とうとうあの夜のことを思い出したようだ。 「話せば長くなるが、」 最初、古泉が説明をはじめようとしたのだが、俺に任せろと目で制して俺が話し始めた。とりあえずは、閉鎖空間と神人のこと。それがハルヒの潜在意識によるものらしいこと。古泉がそれと戦っているということを話した。ハルヒはふんふんとか、なるほどね、とか、本当に納得してるんだか分からんようなあいづちを打ちながら聞いていた。 「ということは、あれはあたしが作ってるのね?」 「そういうことだ」 「で、古泉君が毎回あれを退治してるのね?」 「恐縮ながら、そうです」 「もっと早く言ってくれればよかったのに」 「今まで黙っていてすいませんでした。涼宮さんにあらぬ心労をかけたくなかったんです」 もっともらしい言い訳だ。 「水臭いわよ、古泉君」 古泉を見る眼がやたら優しいぞ。 「キョン!あんたは許さないわよ!あんときのアレ、夢じゃなかったのね」 思い出したくないのに。 「う……うむ、実は夢じゃない。あれはあの空間を出るために仕方なかったんだ」 俺は赤くなったり青くなったり、狼狽したり発汗したりしていた。ハルヒの顔も少しだけ赤くなっているようだが。ハルヒが俺の耳をひっぱって、囁いた。 「あんときのこと、誰かに喋った?」 「いや、誰にも」 俺は頭をブンブンと振った。言えるわけがない。 「いい?あれはあたしとあんたの秘密だからね」 「分かった」 俺はほっとため息をついた。ジョン・スミスはお前かと聞かれなかっただけでもよかったと思わねばなるまい。 「でも、ぜんぜんおとなしいじゃない?」 ハルヒが神人に向かって手を振った。神人も思い出したかのように手を振り返した。 「いつもはあんなものではないんです。某怪獣映画みたいにビルや家を壊してまわるんです」 「ふーん、そうなの。見てみたいものだわ」 「それは……なるべくなら、やめていただきたいのですが」古泉が冷や汗を流している。 「冗談よ。暴れるようなことがあったらあたしに連絡ちょうだい。なんとかしてみせるから」 「分かりました。助かります」 そんなことが可能ならとっくに治まってる気もするが。 「あ……」 神人が消えていく。山の上に青い輪郭だけが残り、やがてそれも上昇するようにして消えた。 「自分から消えちゃいましたね。こんなことははじめてです」 「何事もなくてよかったじゃないか」 「残念。もっと見てたかったのに」 冷たくなった腕をさすりながら俺たちは部屋に戻った。 俺たちは座敷でコタツに座り込んで話した。起きてきた朝比奈さんが台所からお茶を持ってきてくれた。 「それで、有希とみくるちゃんは何ができるの?」 「はい?」 長門がお茶を吹いた。二人はどう反応したものか互いの顔を見合わせるばかりだ。俺はどうやって話をごまかそうかと頭の中のハムスターがフル回転していた。 「あたしが選んだメンバーで、古泉君だけが特別な能力を持ってるなんておかしいわ。あんたたちもきっと不思議な力があるに違いないわ」 いい勘してるな。というか前にも話したはずだが。俺と三人は顔を見合わせた。互いの視線が、ここで全部吐いちまっていいのかと言っている。 ハルヒがテーブルをドンと叩いた。 「隠してないで、ちゃんと説明しなさいよ」 「え、ええとだな」 俺はせかされるように口を開いた。ええい、もうどうにでもなれ。今まで苦労して隠しとおしてきたのに、なんかあったらお前自身のせいだからな。 「長門は、ええと対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェイス、だっけ」 おお、はじめてちゃんと言えた。 「要は宇宙の果てから来た。こっちの世界に来れたのは長門の力だ。朝比奈さんは未来から来た。さっき風景がぐるぐる回って吐きそうだったのはタイムトラベルのせいだ」 ハルヒはへえええと口を餃子の形に開けて驚嘆の声を上げ、長門と朝比奈さんを上から下まで眺めた。不躾だぞ、そんなにジロジロ見るな。 「前にも話したはずなんだが、お前信じなかっただろ」 「あんたの話の持っていき方がまずかったのよ。宇宙人未来人超能力者はね、もっとセンセーショナルな登場をするものよ」 「俺は事実をありのままに話しただけだ」 こいつらは、俺にはそれなりにセンセーショナルな場面を見せてくれたんだが。 「それでキョン、あんたはなにができるの?」 「俺?」 「あんただけ平凡な人間とか言うんじゃないでしょうね」 「平凡で悪かったな。俺はいたってふつーの人間なんだよ。古泉も保証してる」 「じゃあなんか特殊な能力を身に付けなさいよ。それが無理なら今後の処遇を考えないとねぇ」 「俺は平凡でいい。お前らがトタバタやってるのを見てるのが楽しいんだ」 「SOS団に凡人はいらないわ」 ハルヒが意地悪そうに笑った。三人とも俺を見て笑っている。なんだお前ら、急に結託しやがったな。 「じゃあ、あたしは何だろう?」 ハルヒが急に真顔になって言った。 「あたしは、いったい、何だろう?」 もう一度、独り言のように呟いた。 「お前は台風の目みたいなもんだ。世界はお前を軸に回ってる」 「そのとおりです。涼宮さんが望めばなんでも実現します」古泉がうなずいた。 「え……。とてもそうは思えないけど」 「お前が気が付かなかっただけだ。猫が喋ったり、冬に桜が咲いたり、カワラバトが白鳩に変身したり」 「言われてみれば、そんなことがあったかもしれないわね」 「俺も三人も、お前が望んで起った事件のフォローに追われてたんだからな」 「ほんとに?有希も、みくるちゃんもそうなの?」 二人ともうなずいた。 「そうだったの……」 ハルヒは知らされた事実に、少しショックを受けたようだった。膝を抱えて黙り込んでいる。 「でも、涼宮さん。僕は自分の役割をそれなりに楽しんでいますよ」古泉がフォローした。 「わ、わたしもです。SOS団に入ってずっと楽しいことばかりで、泣かされたりいじめられたり、」 朝比奈さんが無理に取り繕うとして焦っていた。長門は無言のままだった。 「ごめんね、みんな。あたし、自分が楽しいばっかりだったわ」 ハルヒがうつむいたまま言った。 「まあそうしょげるな。俺たちはハルヒに会って確実に人生が変わった。今じゃそう思える」 「寝るわ……」 俺の放った言葉も空しく、ハルヒは黙って部屋を出た。 残った四人に、しばらく沈黙が続いた。 「ややショックだったようだな」 「彼女にはこれまでとは違った、精神的なフォローが必要です」 「ハルヒに心の支えが必要だってのか」 あいつにそんなもんが必要なら瀬戸大橋の橋脚並みの強度が必要だろう。 「涼宮さんはたぶん、知ってしまった自分の能力に翻弄されるでしょう」 「自分をコントロールしきれないってことか」 「むしろ無理に自分を抑えようとして、ストレスがたまるのではないかと。僕がこの力を得たとき、自分でコントロールできなくて随分つらい思いをしましたから」 なるほどな。長門は最初から、朝比奈さんはなにか特別なテクノロジーのおかげでその力を持っている。だが古泉はある日突然その力を得た。こいつが言うと納得できる。 「いつかは話す日がくるかもしれないとは思っていたが、まさかこんな非常時にこんな形になるとはな」 「あなたはできるだけ穏便に話してくれたと思いますよ」 そう言ってくれれば少しは安心できるが。 「俺、少しハルヒと話してくるわ」 今はそっとしておいたほうが、と三人は止めたが、俺は聞かなかった。 「ハルヒ、ちょっと入るぞ」 俺は離れの引き戸を開けた。部屋の隅に丸まった布団があった。その塊の中からときどき鼻をすする音がする。 「さっき言い忘れたことがあるんだがな」 「なによ、泣いてる顔なんか見せないわよ」 布団の中からハルヒの鼻声が聞こえた。これはこれでかわいいところもあるんだな。 「谷川さんは俺たちの父親みたいな人で、つまり俺たちのいる世界を作ってる」 「どういうことよ」 「長門が言うには、こっちの世界は俺たちのいる世界の平行世界、らしいんだ。俺たちの世界は谷川さんが書いてる本の中に存在してる」 「なによそれ……」 目を真っ赤に泣きはらしたハルヒが顔を出した。ちょっとだけドキドキしたぞ。 「だから、お前を含めて俺たちの一挙手一投足はすべて谷川さんが頭の中で作り出したことなんだよ」 「また妙なことを言うわね。あんた、今日だけでどれだけあたしを驚かせたと思ってるの」 「黙っていてすまん。お前にすべてを話したらどうなるか、それが心配で話せなかった」 というのは嘘ぴょんで、あいつら三人が勝手に杞憂してただけなのだが。 「気負うことはないから。今までどおり、ナチュラルなお前でいろ」 そう、さっきからこれが言いたかったんだ俺は。素直に口から出てこないのがうらめしい。 「あったりまえじゃないの。あたしはあたしよ」 それでこそハルヒだ。 その日の夜、古泉は結局眠らなかったようだ。三十分ごとに大規模な閉鎖空間が発生し、沸き続ける神人を狩っていた。こっちの世界には機関も超能力仲間もいないわけで、ひとりで苦労して狩りつづけたらしい。もちろん送迎の新川さんもおらず、おばあちゃんの自転車でキコキコ出動する様子は江戸時代の町火消しのようだった。 夜明け頃、何度もあくびをしながら古泉が戻ってきた。 「考えようによっては、これくらいで済んでよかったと思いますよ」 「ハルヒを起こして止めてもらえばよかったのに」 「それも考えたんですが。閉鎖空間を発生させない涼宮さんなんて、ちょっと寂しいじゃないですか」 「まあいつもと変わらないハルヒでいてくれて幸いというか」 ハルヒに相当なショックを与えたんだから、銀河が壊滅してもおかしくはないだろうけど。 「それに、これが僕に課せられた仕事ですからね」 余裕で笑ってみせる古泉は、ちょっと妬ましかった。 「キョン、古泉君、起きてる?」 朝、ハルヒが襖を開けて入ってきた。 「ん~まだ目覚ましは鳴ってないぞ」 昨日ろくに寝付けなかった俺は布団に潜り込んだ。ハルヒに布団をひっぺがされるかと予想していたのだが、別の方向から声が聞こえてきた。 「ちょっと谷川、起きなさいよ」 顔を出すと、ハルヒが谷川氏の頬をペシペシ叩いていた。 「お前、初対面でそんな乱暴な」 「ん……」 谷川氏が起きたようだ。 「あ、谷川さん。目覚めましたか」 古泉は布団をたたんでとっくに着替えている。谷川氏は目をこすりこすり、自分がどこにいるのか確かめているようだった。目の前にいるハルヒと目があった途端、飛び起きた。 「うわあああ!!出たああ!」 「人をおばけみたいに、失敬ね」 「キミたち、まさかそんな。ありえない!これはぜったい夢だ。夢に違いない。だから寝よう」 ハルヒと古泉を見て、布団をかぶって潜り込んでしまった。 「ちょっと谷川、全部聞いたわよ!最近あたしの出る幕がないと思ったらあんたのせいだったのね」 「や、やっぱり言われた」 布団のなかからモゴモゴ言う声が聞こえた。 「谷川さん、すいません。やむを得ない事情で戻って来まして」 「まさかまとめてやってくるとは。朝比奈みくるも来てるの?」 谷川氏は布団から目から上だけ出して言った。 「ええ。長門といっしょに離れにいると思います。ハルヒは連れてくる予定はなかったんですが」 「あたしだけのけ者にしようっての!?」 いや、そういうつもりじゃないんだが。 「しかし……」 谷川氏はハルヒの顔をまじまじと見つめた。 「な、なによ」 「かわいいな」 「もうっ!なにを言い出すかと思ったら」 ハルヒが怒ったような照れたような表情で布団に飛び乗り、ぽこぽこと叩いていた。俺はそれを、仲のいい親子がじゃれているように微笑ましく見ていた。いやまあ、ある意味親子なのだが。 男どもは着替えるからと、部屋からハルヒを追い出した。谷川氏に話しておかなければならないことがある。 「改めまして、古泉です」 「思ったよりイケメンだね」 「お褒めいただいてありがとうございます」 どうでもいいだろそんなこた。 「まさかハルにゃんが来るとは予想外だったけど」 「ちょうどこっちに来ようとしていたとき、ハルヒに転移の現場を押さえられてしまったんです。それでやむなく連れてくることに」 「そりゃ致し方あるまいね」 「昨日の夜、こっちの世界で神人が現れて涼宮さんに見られてしまいました」古泉が口を挟んだ。 「こっちに閉鎖空間が発生したのかい?」谷川氏は飛び上がって驚いた。 「最初は異空間ではなく通常空間に現れたんですが」 「そりゃまたとんでもない事態だね」 「奇妙なことに、山の上に寝てたんです」 「寝てたって?」 「向こうの、山の上に横になっていました」 古泉は北の方角を指差した。 「それ、ほかの誰かに見られた?」 「どうでしょう。数分間のことでしたが」 谷川氏は寝巻きのままドタドタと玄関に走っていった。かと思うとまたドタドタと戻ってきた。新聞をバサっと広げて叫んだ。 「えらいことだ、もう朝刊に載ってる!」 地方欄に、立ち上がった神人の写真が載っていた。谷川氏は頭を抱えた。古泉は声を立てて笑った。 「この写真、どう見ても神人が踊ってますね」 「きっと読者から問い合わせが殺到するよ。僕の仕込みだと思われる」 記事には、レーザーによるホログラフィック映像が空気中の靄か煙がスクリーンとなって映り込んだのだろうと書かれていた。一方で、その山周辺に伝わる都市伝説やら戦時中の軍施設の話やらがまことしやかに書かれている。どっちにしても犯人は分からず、誰かに被害があったわけでもないので警察もお役所もノーコメントらしい。 「あの甲山には昔からいろいろ言い伝えがあってね。戦国の武将が負けて逃げ込んだとか、戦時中に高射砲があって敵機が突っ込んだとか」 その辺でなんとかうまくごまかして、市民の方々には一日も早く忘れてもらいたいものだ。 「まさか涼宮さんが神人にダンスを躍らせるとは」 古泉は思い出し笑いをしていた。 「こいつ、踊ってるのかい」 「ええ。まるで涼宮さんの操り人形のようでした」 「それで、古泉君が消したのかな」 「いえ。これも不思議なことに自然消滅してしまいました」 「うーむ。ふつうは閉鎖空間にしか現れないよね。そういう設定のはずだし」 「そうですよね。でも閉鎖空間は別に発生しています」 「こっちの世界で?」 「ええ。思うに、こっちの世界は僕たちから見れば異空間なので、閉鎖空間との境界線が曖昧なのでしょう」 「じゃあその時間、ハルにゃんがイライラしてたんだね」 「昨日の夜、涼宮さんにすべて打ち明けてしまったんですが、それがショックだったらしくて」 「彼女の能力のこと?」 「ええ。昨日だけで十四体くらい狩りました」 「なんてこった。よく世界が消滅しなかったね」 「すいません。やむにやまれぬ展開になってしまいまして」 「しかしこれは困った。話が続かなくなるよ」 ハルヒに説明したのは俺なんで、いくらハルヒの命令とだったとはいえ自分の責任を感じていなくもない。俺がもうちょっとうまくごまかすとか、よくできた話をでっち上げるとかすれば世界は救われたのかもしれないが。 「まあこれがこっちの世界の必然なのかもしれないね」 谷川氏は楽観的意見を述べた。この人がそう言うなら俺たちもそれに同意するほかない。少し安堵のため息をついた。 まだ本題に入ってなかった。 「こっちにやって来た理由なんですが、例の文庫本がまた現れたんです」 「なんと。十三巻かい?」 「そうです。俺は読んでないですが、長門によると前のとは別の一冊らしいです」 「いったい誰がなんのためにそんなことを。僕はまだプロットすら書いてないのに」 「前回こっちに来たのは突発的なものでしたけど、今回は長門の次元転移の技術を使いました」 「なるほど。自力で行き来できるってわけだね」 「それと、俺と長門が向こうに帰ってから、二ヵ月経っています。朝比奈さんを連れてきたのはこの日付に戻ってくるためなんです」 「すると向こうは二月かい?」 「ええ」 「月日の経つのは早いもんだ」 谷川氏は冗談なのか、あるいは別の意味があるのか、感慨のため息をついた。 「ということはキミたちは僕にとっちゃ未来人か」 「二ヵ月ですが。そういうことになります」 「未来の情報を流入させてメリットがあるのは誰だろうね?」 「今のところまだ分かりません。それを知るのが目的というか」 「僕たちのような存在がほかにもいる、とは考えられませんか」古泉が口を挟んだ。 「というと?」 「僕たちの世界は谷川さんによって作られた。とすれば、ほかの誰かが作った世界も存在する」 「世界がいくつもあるわけか」 「そうです」 「うーむ。そんなやつがいるなら、締め切り前の原稿を頼みたいね」 「手分けして書けば楽ですね。いっそのことゴーストライターとして雇ってみては」 「分裂みたいに別々の展開になったりしたら話がややこしくなるな」 あの、話がだいぶそれてる気がするんですが。 「冗談はさておきだね。今分かることは、例の十三巻を送りつけた誰かは、キミたちの世界の存在を知っている。それが次元転移を引き起こすことも知っている。接触しようとしているか、あるいは論理的矛盾を仕掛けようとしているか」 「いずれにしても接触すれば、どこかに矛盾が生じるでしょうね」 「キミたちのためではなく私利私欲のために動いてる、ということに帰結するね」 この二人、話が合いそうなんで俺は聞き役に徹しよう。どうせ半分も理解できないし。 「僕たちに敵する勢力とは、いったい誰でしょうか」 「うーん。例の天蓋領域とかは関係なさそうだし。話が僕の領域を越えてるよね」 「ということは谷川さんのシナリオにはまったくないことなんですか」 「展開からして、僕のシナリオパターンじゃないね」 「じゃあいったい誰が……」 三人は同時に上を見上げた。誰かがこの状況を見てほくそえんでいる。そんな鳥肌が立つような感覚に襲われたのだ。 不本意ながら、ハルヒが自分の能力を知ってしまったわけだが本人はどう思っているのだろう。俺は食堂に入り、ちらりとハルヒの表情を見た。 「先に食べてるわよ」 ハルヒは味噌汁をすすっていた。初対面で家に上がりこんで朝飯まで戴いてるというのに、この無緊張感はいったいなんだ。眉間に皺も寄っていない、眉毛をピクピクと動かしてもいない、いつもどおりの平穏なハルヒだ。いやいや、油断はできないぞ。これが奇妙なことを考え付くと途端に表情が変わるのだ。目の輝きが二十カラット分のブリリアントカットダイヤくらいになる。なにかいたずらをしでかしてやろうと構えている、子供の瞳と同じに。 「よ、よう」 なぜか俺のほうが気を使って、至近距離にいるのに手など振っている。 台所からおばあちゃんが現れた。 「おやおや、キョンさんもお目覚めかい。よく眠れたかい?」 「おかげさまで。突然三人追加で押しかけてごめんなさい。つる……、おばあちゃん」 「いいっさ。うちはたまーにしか来客がなくてね。あたしゃ賑やかなのが好きなのさ」 おばあちゃんはご飯をよそってくれた。白い米がまぶしい。 「おばあちゃん、この味噌汁、さいっこうよ」 「そうかい、嬉しいねえ。近頃じゃ若い子は家で日本食を食べないって言うじゃないか」 「あたしは和食党よ。おふくろの味は国民の財産だからね」 おばあちゃんはけっけっけと笑った。チラリとのぞいた八重歯がかわいい。 「おはようございます」 「……」 朝比奈さんと長門が入ってきた。 「あの、突然お邪魔して申し訳ありません」 「いいってことさっ。ささ、たんっとお食べ。堅苦しいことは抜き抜き」 「あ、ありがとうございます」 朝比奈さんはサクサクと動くおばあちゃんをじっと眺めた。由緒正しき日本の主婦からなにかを学ぼうとしているのだろうか、それとも次のコスプレに割烹着を検討中なんだろうか。 「わたしのおばあちゃんに、似てる……」 朝比奈さんがポロリと漏らした。それ、もしかしてなにかの伏線? 「おかわり!」 ハルヒが漬物をボリボリ食いながら茶碗を差し出した。おばあちゃんが大きな木のしゃもじで、お櫃からご飯を山のようによそった。それにしてもハルヒ、よく食うな。長門といい勝負じゃないか。テーブルの対角、長門がおもむろに箸を取ってハルヒをちらりと見た。出遅れた長門の第一ラウンドが開始した。 しばらくハルヒの様子を見てはいたが特に変わった様子は見受けられなかった。天変地異までとはいかなくても、イチゴ味の雪が降るとか、夙川を鮭が遡上するとか、地面が割れて古代文明の大量破壊兵器が練り歩くとかがあってもよさそうなもんだ。これを見る限り、ハルヒはふつーに宇宙人未来人超能力者がいたらいいな的世界を望む女子高生になっちまってる。 古泉もずっと観察していたらしく、顔を合わせると同じ話題になった。 「ハルヒ、変わりないな」 「そうですね」 「意外と言えば意外だな」 「そうでしょうか。前にもお話しましたが、涼宮さんはエキセントリックな方ですが他方では常識的な考え方の持ち主ですから。ある日突然、世界は自分の意のままに動くと言われても、はいそうですかと魔法使いのような人生をはじめるとも思えません」 「お前、ハルヒが能力に気付いたら何が起るか分からないと懸念してたじゃないか」 「ええ。いざそれが起ってみたらなんのことはない、平凡な日常のひとコマが現れただけだった、といった感じはありますね」 「嵐の前の静けさとかじゃないよな」 「それも大いにありですが、こうも考えられます。涼宮さんはこう思っている。自分の能力は存在していて当たり前なんだ、と」 「それがなぜ日常と変わりないハルヒになるんだ」 「当たり前の能力を当たり前のように使って奇蹟を起こすなんて、涼宮さんらしくないじゃないですか」 「お前の言ってることはどうも詭弁なような気がするんだが」 「僕もだんだん分からなくなってきました」 「そういう力はね、いざってときに取っておくものよ」 それもそうだよな。ってハルヒ、立ち聞きしてたのか。 「あんたたち、ランプの精がなんで願い事を三つしか叶えてくれないか、分かってないでしょ」 「俺なら願い事を増やせと言うな」 「あんたにはロマンってものが理解できないのね。魔法なんてものはね、一生のうちに一度使えれば幸せなのよ。ここイチバンってときにそれを使うから価値があるの」 「さすがは涼宮さん、一言ありますね」 「でしょ。毎日気の向くままに魔法を使ってたりしたら、年中吊るされてるテルテル坊主みたいに効果もありがたみもなくなるってもんよ」 「素晴らしいです。僕が国連事務総長なら、涼宮さんを親善大使に任命するところです」 もしそうなった暁には国連ビルの掃除夫にでも雇ってくれ。 「試しになんかやってみせてくれよ。水をワインに変えてみせるとか、水の上を歩いてみせるとか」 「あんたったら最低ね、あんたの願い事は一生叶わないように願うわ。あたしはエンターテナーじゃないんだから」 どうやら怒らせたらしく、スッタスッタと部屋を出て行った。古泉がクックックと笑っている。笑ってろスマイリーガイめ。ハルヒをおだてりゃなにか叶えてくれるとでも思ってんだろ。怒らせたせいで、俺の願いが叶わないという願いが実現しそうなのだが、幸い俺にはこれといった願い事がない。 「……付き合って」 顔を合わせるなり長門がそう言った。ええっと長門さん、それはどういう意味においての付き合うなのでしょうか。 「……アパートに残してきた物資を処分しに行く」 そういえば前回こっちを離れるとき、文庫本やら俺のこまごましたものやらを置きっぱなしだった。長門の家財もまだそのままだろう。昨日のこととはいえ、ずいぶん昔のことのような気がする。まあ俺たちにとっちゃ二ヵ月経ってるわけだが。 俺と長門は、買い物に行くと言ってハルヒたちを残して屋敷を出た。ここから長門のアパートまでは歩いていけるが、ひとつ忘れ物をしていたことに気がついた。 「谷川さんの自転車を甲陽園駅に置いたまんまだった。取りに寄っていいか」 「……いい」 長門はダッフルコートを羽織って出かけた。二人でこうやって歩くのは久しぶりだった。前回のことは禁則事項になってしまったのでまったく話す機会がなかったのだが、今は共通の話題を懐かしく思い起こしている。 「あんときは大変だったな」 「……そう。長かった。最後の一日は、貴重」 今の俺と長門なら、あんとき、だけで通じると思う。五年もひとりで暮らしてたんだよな。俺なら気が狂うかもしれない。待てよ、ということは長門は俺より五歳年上ってことか。つまり二十二才? 「長門は今何歳なんだ?」 「地球上に来てからの主観時間は約六百十四年」 ああ、それって終わらない夏休みも含めてか。 「……あなたとの共有時間は約五年」 「情報生命体の頃は?」 「……それを合計すると、天文学的時間になる」 「なんと……。長門に比べると俺なんか赤ちゃんにも達してないってことか」 「生命体を比較する要素としては、時間はあまり意味がない」 安心した。人間はやたら歳を気にするからな。 「……それに、」 「それに、レディに向かって歳を聞くもんじゃないよな」 長門は、大人が子供に向かって見せるような微笑みをちょっとだけ見せた。 駅前の駐輪場で百円を払ってカギを開錠した。俺はサドルにまたがって足を踏ん張ってから言った。 「後ろ、乗れよ」 「……」 長門はおずおずと横向きに腰掛けた。俺はゆっくりとペダルをこいだ。長門は軽かった。道に沿ってゆるやかなカーブを描く。長門が腕を回し、自分を俺の背中にくっ付けた。冷たい風の中を走り抜け、暖かい長門の体温を背中に感じた。線路沿いの道を走っていると、電車が俺たちを追い越していく。もしかしたら、あの中に俺や長門のモデルになった人物がいるんだろうか。 夙川駅の少し手前で長門のアパートに着いた。階段を昇り、二〇五号室の前に立った。長門はポケットからカギを取り出して差し込んだ。もしかして、あれからずっと持ち歩いてたのか。 部屋の中はシンと静まり返り、俺たちが出たときのままだった。長門は、上がって、と言った。 「当然だけど、なにも変わってないな」 「……そう」 丸いちゃぶ台が、六畳ひと間のつつましい部屋のまんなかにぽつりと俺たちの帰りを待っていた。 「……今日、ここを引き払う」 「借りたままにしといてもいいんじゃないか」 「……おそらく、もう来ない」 そうなのか。俺がいたのは実質一日だけだが、ここがなくなってしまうのはなんとなく惜しい気がする。俺は部屋の壁を埋める本棚を見た。 「この本、どうするんだ?」 「……処分する」 長門が本を捨てるなんて、考えられないが。だがこっちの世界のものを向こうに持って帰るわけにもいくまい。 「もったいないから谷川さんにでも引き取ってもらえば」 「……」 「車で取りに来てもらえばいい」 長門はコクリとうなずいた。とはいっても、谷川氏の蔵書にはすでにありそうな本ばかりだが。 長門は台所でお湯を沸かしていた。ヤカンから急須にお湯を注ぐ長門の背中が小さく見えた。俺たちがあのまま帰れずにこっちの世界で生きていくしかなかったとしたら、こういう生活もあったのかもしれないと、ふと妙な感覚がよぎった。 「長門、約束するよ。次はもう少し早めに迎えに行くからな」 長門の背中に向かって言った。お湯を注ぐ手がピタリと止まった。主語がなくてなんのことか分からないようだったが、やがて小さくうなずいた。 俺たちは棚から本を出してヒモで縛り、玄関に積み上げた。俺が買い漁ったハルヒの文庫もそこにあった。二人は玄関に立ち、それから長門は右手を上げて詠唱した。部屋の中にあった家具、布団、その他もろもろ生活用品、家電が光る粒子となって消えた。五年間生活した部屋の、長門の引越しはあっけないほど簡単に終わった。 三章へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5439.html
プロローグ 空から白いものが落ちてきた。たくさんの、小さな、不安定な、水の結晶。それらは地表に落ちて消えゆく。 時空に溢れている奇蹟の一つだった。この世界には奇蹟がありふれている。私はずっと立ち止まっていた。時間の経過は意味をなさなくなっていた。 綿を連ねるような奇蹟は後から後から降り続く。 これを私の名前としよう。 そう思い、思ったことで私は幽霊でなくなった。 ここまで書いたところでキーボードを叩く手を止めた。小刻みに震える手のひらを頬にあてたら、じんわりとした冷たさが浸みていった。大きく息を吸い込むと透き通った空気が鼻腔を刺激する。冬はすぐ目の前にあった。 部屋の大きな窓から見渡す街には、薄く灰色の靄がかかっている。ドラマか何かの演出みたいに、嘘のように街を覆い尽くす靄。その靄は、やがてかすかな光を飲み込み、またその光に照らされて、街全体を無数のきらめきで覆った。 プリズム。 光の三原色が靄に溶け、無限の色をつくり出してそこかしこで輝いていた。 まるで海を眼下に見下ろしているようだ。もしそんなものを相手にしたら、ここでその様子を眺めているわたしという個体なんか、この街のどこかにあっという間にさらわれて消えてしまうだろう。 弱々しい太陽の明かりはだんだんと街の姿を浮かび上がらせ、同時にわたしの部屋にも満ちてきた。わたしが窓辺に歩み寄ると太陽はわたしの輪郭を縁取り、おぼろな灰色の影を部屋に落とした。 早起きしてしまった朝は何となく居心地が悪い。 寝ようとしても寝付けず、けれど起きあがって朝食にするには早すぎて億劫だったから、わたしはついさっき暇を潰すために散歩に行ってきた。 別に何か意味のある散歩ではない。暇を潰すという目的が本当だったかどうかも解らない。そのうえ、どこをどう歩いたかさえ覚えていなかった。かすかに北高の近くを歩いていたような記憶はある。どうしてそんなことをしようという気になったのかも解らなかった。ただ、そんな気分だったのだ、としか。 帰ってきてもその変な気分はわたしにまとわりついていた。 まだ朝食には早い時間だったから、わたしは冷蔵庫からコンビニ弁当を出す代わりに、コードをついないでパソコンを立ち上げた。散歩の次に無性に文章を書きたい気分になったのだ。 こんな朝早く書きかけのSFに手を加える気にはならなかったので新しい文章を綴ることにした。といっても、迫り来るような斬新なアイデアがあるわけではない。これといって思い浮かぶプロットもない。ただ、早起きした朝、ちょうどそこにあった感覚を文章にしようと思っただけだ。朝起きて枕元に置いてある服を何も考えず身につけるように。今日はその服がいつもと少し違っていたから気になったのだ。このいつもと少し違う感覚を文章にして書き留めておきたかった。 その作業にプロットは必要ない。 この画面に表示されるのはわたしの中から生まれてくる文章だからだ。そんなものがなくても行き着くところは必ず『わたし』なのだ。それ以外のものは生まれ得ないはずだった。 ところが、いざ書き始めてみると何を書いているのか自分でも解らなかった。何を表現しようとしているのか、そしてそのためにどんな形をとろうとしているのか、それすらも解らない。こんな異種なものがはたしてわたしにあっただろうか。 いや、あるはずなのだ。 そうでなければわたしは文章を書くことなどできるわけがない。 文章を書けるということは、わたしが、あるいは何かの形をしたわたしが、確かにそこにいるという証明なのだ。 目に見えないけれど存在するものを目に見える形にするという作業。文章を書くというのはそういうことだ。それは不変の事実だった。いつ、どこで、誰が、どんなものを書こうとしても究極的な作業の実体は同じはずだった。 しかし今日は、その目に見えないものがどこに存在しているか解らないのだ。 わたしたちが文章を書くとき、目に見えないけれど存在するものは往々にしてわたしたちの意識の、それも相当浅いところにある。わたしたちはそれを自分の姿だと思いこんで文章にしている。わたしは今まで、そのことも了解したうえで文章を書くことが自分の存在を証明することだと思っていた。 しかし今日は違う。 目に見えないものは確かに存在しているくせに、どこにあるのか解らない。こんなものが本当にわたしの存在証明になるのかも疑わしかった。 いや、もしかしたらこの文章はわたしの本能というべきところに存在しているのかもしれない、と思った。無意識よりももっと深いところでつくり出されたダイヤモンドの原石のような文章の塊。そんな深いところにあったらわたしの自覚意識は混乱して当然だ。 わたしはその不可思議な目に見えない塊を細かく砕き、小さな可能性を見つけては洗練し、画面に映し出していった。本能から湧き出る文章を細かくちぎり、つないでは切り離し、秩序ある形にしてパソコンの白い部分をだんだんと埋めていく。 いつもはそれでひとつの物語ができあがるはずだった。 テーマがあり、プロットがあり、人間がいれば、間違いなく正しい段階を踏んで書かれたわたしの文章は必ず物語になる。 なるはずだったのに。 気がつくと、画面に表示されているのはカオスでしかなかった。 洗練はされている。文章が稚拙というわけでもない。けれど、そこに書かれているものは何度読み直しても謎な内容の文章だったのだ。 しかしやがて、それでも構わないから続きを書いてみようと思った。わたしにも解らないものを書くのはひょっとすると滅多にない貴重な経験かもしれない。 その作業に区切りがついたところでわたしは文章を保存してパソコンを閉じた。 まだ物語は終わっていない。でも不思議と惜しくはなかった。こんな奇妙な感覚は、今日の朝わたしが早起きして散歩に行ったことによる一過性のものに決まっているのに。しかし、そう解っているのになぜか、いつでもこの文章の続きが書けそうな気がした。 わたしは立ち上がった。まだ早い。あと一時間くらいは本を読んでいよう。 何だか身体が重たい気がした。身体というよりも頭というべきか。深く長い眠りからようやく醒めたような気怠さや倦怠感があった。さっきまでは文章を書くことに没頭していたのに、なぜだか今はぼうっとする。 眠った方がいいかもしれない。 睡眠不足ということもある。なにしろまだ朝は早いのだ。今、横になればきっと寝られるだろう。 わたしは眼鏡を外して机に置き、市立図書館から借りてきたハードカバーを手にとって布団に横たわった。ページをぱらぱらめくっていると急に目蓋が重くなった。 うとうと微睡んでいるうちに、わたしは眠りについた。 * その日。午前四時。 わたしは起床する。一秒も誤差はない。今日は午前四時に起きるよう、わたしの内部データが仕組まれている。仕組まれてしまっていた、というほうがいいかもしれない。 今日も規定された未来のうちの一日だが、その中でも特に重要な意味を持つ日だった。 起きたとき、わたしの身体はすでにわたしの意思によるコントロールをほとんど受け付けなくなっていた。いよいよ限界点が近い。 起きてリビングに行くと、少しだけ寒かった。身体は人間のはずなのに、どうして非人間的な精神と能力はわたしのいうことをきかずに暴走してしまうのだろう。 窓の外に浮かぶ街はまだ薄暗かった。すべての建物が静寂に沈み、凍り付いている。動きを感じられるのはわたしの中の時計だけだった。それは一秒も狂わずに、今日のあの時間に突き進んでいる。刻々と時は過ぎていっているようだった。 太陽はまだ昇っていない。わたしの意識が完全に消失し、それが行われるときまではあと二十分ほど残っていた。 わたしはふと思ってキッチンに向かった。食器棚を歩み寄って何かちょうどいいものを探す。この食器棚に収まっている食器は数が少ないが、その中にひとつだけわたしの探しているものがあった。プラスチックの製品。それはコップだった。 わたしはそれに手をかざした。分子の結合情報の解除。そして再構成。渦巻き状だったそれはあっという間に眼鏡の形をなす。手慣れた作業だった。 わたしはその眼鏡をかけて、現時点の記憶を保存した。午前四時三分。あれが起こる前の記憶の保存はこれが最後になる。これからあれが行われる前までの記憶は、たとえわたしが蘇ったとしても二度と復活しない。 そうしたうえで、わたしは意識を飛ばした。別の世界へと。わたしにはまだやっておくことが残っているのだ。 そう、この意識が消えてしまわないうちに。 *
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3919.html
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4907.html
プロローグ Illustration どこここ ハルヒと古泉、そして俺の三人は北口駅の南側にあるバスターミナルでじっと並んで待っていた。ハルヒはガラにもなくフリルのついた白い日傘なんぞ差しおって、後姿だけ見たらなんとなくいいところのお嬢さんみたいじゃないか。着てる服までがお嬢様のそれっぽくなったのは、古泉と付き合いだしてからなのは気のせいではあるまい。 傘の柄を肩に当ててチラリと後ろを振り返ってシナを作ってみせるのは誰かに見せ付けてんのか。ホワイトフォーカスでもかかってるようなお嬢様はニコっと笑うどころか歯をむき出しにして俺に言った。 「なによジロジロ見て。なんか文句あんの?」 「いや別になにも。その日傘、高かったろう」 値段なんか知ったこっちゃないんだが、ハルヒが少し淑女らしくなったなぁなんてセリフを口にした日にゃ炎天下で頭がどうかしちまったんじゃないかと疑われそうだからな。 「古泉くんがプレゼントしてくれたのよ」 通りで。最近のハルヒのファッションセンスがこれなのは古泉の趣味か、こいつも変わってんな。 「お似合いですよ、涼宮さん」 爽やかに古泉の口調をまねして言ってやったらハルヒに足を踏まれた。古泉は苦笑していた。 いやまあ、それはどうでもいいんですがという感じて古泉が何度も腕時計を確かめている。 「有希さん遅いですね」 「もしかしたら途中で事故にあったんじゃないかしら」 「そんなこたぁないだろ」 「だってほら、こないだ交差点で曲がり損ねて、直進してきたダンプと衝突とかあったじゃない」 「大丈夫だろ。あいつが事故なんか起こすわけない」 「なに言ってんの、最近じゃ無関係に事故に巻き込まれることが多いんだから」 長門に限ってそんなことはないと思うが、ハルヒがあんまり心配するので俺はロータリーの先に伸びる道路のはるか向こうを眺めた。俺はくるりと振り向いて、 「大丈夫だ。あいつに限ってそんな目に遭うはずがない」 「なんで一緒に行かなかったのよ」 「しょうがないだろ、あいつの希望なんだから」 「いくら本人の希望でも初運転をひとりで乗せるなんて考えられないわよ」 「そんなこと言ったってなあ、いやそれも……そうかな」少し不安になってきた。 「はじめて道路に出るときは誰だってナーバスになるものよ。あんたにだって覚えがあるでしょ」 まあ、そういうこともあったかもしれんが、あんときは頭の中が真っ白になっちまってどこをどう走ったのかほとんど覚えてない。 ハルヒはため息をついた。 「まったく、しっかりしなさいよね。かりそめにもひとりの女の子の旦那様なんだからね」 「お前に言われなくても分かってるさ」 分かってるんだが、なんというかこう、いまいち実感がないというか。いつもの俺の悪い癖だが、身の回りで起こってることに現実味がないっていうか、ありとあらゆる事象がいつでも他人事のようで頭以外の五感でそれを認識できないというか。一歩か二歩下がって客観的に見てるんだといえば聞こえはいいかもしれないが、ゲームのキャラクタを後方四十五度の俯瞰から見てるプレイヤーの位置にいるとでもいおうか。 ハルヒはまた深いため息をついた。これで三度目だ。 「あんたを見てると先が思いやられるわね」 「お前にそう言われるとプレッシャーで気が重くなる」 「だってほんとのことでしょ。まったく、こんな男のどこがよかったのかしらね……」 「まあまあ涼宮さん、二人のことは二人に任せましょう。案外そのへんがうまくバランス取れているのかもしれませんよ」 「そうね。昔の人はいいこと言ったわ、割れ鍋に閉じ蓋ってね」 ハルヒ、お前はなにげにきついことを言う。当たってるだけに言い返せないのが悔しい。 まだ夏の名残をいっぱいに含んだ太陽の光がさんさんと降り注ぐ九月の、とある週末だった。車の免許を取ったばかりの長門に、買ったばかりの車を取りにたったひとりで行かせたのだ。予約していたディーラーの店頭まで俺が乗せていってやると何度も言ったのだが、どうしても鍵は自分で受け取ると言い張ったので、俺はただ帰ってくるのを待つことにした。あいつに限って事故ったりなんかするはずがないし、そういう場面に遭遇しても自力でなんとか回避するはずだ。そういえば前に一度だけハンドルを握る長門の助手席に乗ったことがあったっけな。力学的にやたら正確な運転だった覚えがあるんだが、いつだったかは忘れちまった。 県道から駅前に入る交差点から、黄色い、小さくて丸っこい車が静かなエンジン音を響かせてやってきた。ボンネットに貼られた若葉マークがひときわ眩しく見える。なかなか前に進まないように見えるのは制限速度ぴったりで走っているからに違いない。って長門、後ろが五台くらいつかえてるぞ。 「ニュービートルLZにしたんですね、二リッターですか」 車を見ただけで車種と排気量が分かるらしい古泉が言った。 「かわいいじゃないの。キョンが選んだの?」 「ああそうさ」 「ふーん。あんたにしちゃいいセンスだわ」 車の種類なんて軽と普通車の違いしか見分けることができない俺なのだが、いつも路上で出会うVとWのロゴが入ったこの丸っこい車を見るたびに、なぜか長門が運転しているところを妄想してしまうのだった。意表をついてJEEPとかRVでもよかったんだが、まあ最初の一台だしマンションの駐車場もそんなに広いとはいえないし、好きな虫の名前がついた車というのが選択の理由だったかもしれない。考えてみりゃ安易だな。 チカチカとウィンカーを点滅させ、丁寧に左に寄せて車がスゥと止まった。助手席のパワーウィンドウがジーと音を立てて開き長門が顔を見せた。 「……お待たせした」 「おう、どうだ乗り心地は」 「……快適」 そいつはよかった。内装もシンプルでゴテゴテしたアクセサリもない。スピードメーターも丸っこいのがひとつ、エアコンの送風口もラジオのつまみもすべてが丸っこくて自己主張しない控えめなデザインだ。その割にはなぜかハンドルの脇に一輪挿しなんかがあるんだが。 「いい車じゃないの有希。あんたに似合ってるわ」 「オートマでも六速まで実装してるんですね。いい車です」 「……そう」 「さあっ、これからみんなでドライブよ。二人ともさっさと乗んなさい」 ハルヒが助手席の背もたれを倒して後ろに乗れと促した。 「お前は後ろだろ」 「だめよ、初運転は上司であるあたしがしっかりと見守るんだから」 「こういうときは旦那が横に座るもんだろう」 「ちゃんと道案内できる人じゃないとだめよ」 「俺にだって道くらい分かるさ」 っていうかハルヒ、お前は見晴らしのいい助手席に座りたいだけだろうが。俺もだが。 「……早く乗って。四十五秒後にバスが到着する」 「ご、ごめん」 ひとつしかないシートを取り合いして親に怒られた姉と弟を演じているような気分になり、二人はぽっと顔を赤くした。しょうがないのでジャンケンで決めることにし、俺が勝つとハルヒはブーブー言いつつ後ろのシートに座った。頭に血が上るとハルヒは決まってグーを出すのだが、気が付いてないらしい。 「……左右後方確認。発進」 長門はゆっくりとアクセルを踏み、キビキビとミラーを確認しながら駅前ロータリーから車を出した。なんだか懐かしいなそのフレーズ。 長門の運転はテストドライバーも顔負けの正確さで、どっちかというと機械的というかロジック的というか、もしかしたら長門独自の能力で、遠くの信号が変わるタイミングをあらかじめ把握してるような、予定ルートの混雑状況を検知しているような、あるいは車から周囲百メートルくらいの情報を収集しながら走っているような気さえする。 標識が制限速度四十キロでも見通しがよければもう少しスピードを出しても大丈夫だし、交差点の手前で信号が青から黄色になっても少しくらいは余裕があるんだが、ピタリと止まるのはまあこれが長門のスタイルだ。年中フルスロットルなハルヒも、ふつうに丁寧な運転をする古泉もなにか言いたそうにしていたが、俺が黙っているのでなにも言わなかった。 後ろからハルヒの手が伸びてきた。 「ちょっとキョン、これかけて」 「なんだこの無印CDは」 「あたしがわざわざ選曲したのよ、感謝しなさい」 殊勝なことにドライブ用のBGMまで用意してきたらしい。気が利くというか、曲によっちゃメロディが気になって運転の邪魔になったりリラックスさせすぎて眠くなったりするんだが。 「ええと、これどうやって再生すりゃいいんだ」 「もー、機械に弱いんだからあんたは」 お前に言われたかねーのだが、CDの挿入口が分からない。 「カーステレオに押し込めばいいだけでしょ」 「どこに押し込めばいいんだ?」 「だから助手席に座らせなさいって言ったのよ。んーっと、これHDカーナビだっけ?CDはチェンジャーなの?」 ハルヒがシートの間から身を乗り出してあれこれリモコンをいじっているがうんともすんとも言わない。最近のカーナビは高機能すぎてどうやってスイッチを入れるのかすら分からん。っていうかテレビのリモコン以上のもんは俺には無理だ。前方に全神経を集中させてる長門に聞くのもすまないんだが、 「長門、これどうやってやるんだ?」 「……前面のオープンを押すとパネルが開く。パネルにメニューが出る」 「全部パネルからやるのか、なるほど」 カーナビの液晶パネルが出てきたな。ぽち。 じゃあ、話を始めようか。 一章へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2992.html
恋するウィルス わたしがコンピュータ研究会に入部したときの、数日間のログ。公開する。 0600時: 宇宙歴40068.26.11。起床。ログ記録開始。顔を洗う。朝食の準備。味噌汁を調理。昆布のダシ。豆腐の賞味期限が六時間前に経過。情報統合思念体に挨拶。返事は数バイト。わたしの上司は愛想が悪い。主流派はこれだから。 0645時: 顔面、頭部の手入れ。最近枝毛が目立つ。毛髪洗剤の変更を検討。あの人の好きなコロンを0.5cc噴霧。 0700時: 自宅を出る。隣の住人に挨拶するが、伝わらなかった模様。 0730時: 学校に到着。部室へ。無人。ハインラインの夏への扉を開く。175ページ。 0800時: 教室へ行く。途中で古泉一樹に会った。顔の角度を九度下げる。 0820時: 担任現る。顔色が優れない。配偶者とまた揉めたようだ。 (中略) 1205時: 文芸部部室へ行く。あの人がやってくる。 「よう長門。元気か」 「……通常の元気」 「そうかい」 わたしの活性化指数が五パーセント上昇。 1230時: 朝比奈みくるがやってくる。 「キョン君、マドレーヌ焼いてきたんですけど、食べてくれますかぁ?」 「はいはい、朝比奈さんの手作りならなんだっていただきますよぉ」 彼の体温が0.5度上昇。血中のホルモン濃度が上昇。わたしの論理回路にエラーを検知。 エラー消去。 disk I/O error。 エラー消去。 disk I/O error。 明日はコロンを増量。 1250時: コンピュータトラブルでコンピ研部員が職員室に呼ばれる。わたしも動員される。 そのときのログ。 教師 なんとかならないか。五限までにプリントアウトしないといけない教材があるんだ。 部長氏 どうしても分からないんですよ。OSは再インストールしたし、パーツもいくつか交換してみたし。 部員A 部長、ウィルスでは? 部長氏 それはありえないだろう、ハードディスクも交換してみた。長門君、どうしたんだ? YUKI.N LANケーブルがコネクタ部分で断線している。……交換するといい。 部長氏 おおっ!ほんとだ。すごいよ長門君、どうして分かったんだい!? YUKI.N ……ただの、勘。 X線走査による金属疲労検査だとは、とても言えない。 1630時: コンピ研ミーティング。そのときのログ。 部長氏 諸君。次期部長についてだが、僕は長門君を推したいと思う。 部員A 賛成っす。長門さんのプログラム技術は県下一、いや日本一だと思います。 部員B 異議ありませんです。長門さんの実力は全高電連でいまや超有名です。 部長氏 長門君、引き受けてくれるね? YUKI.N わたしは、S……文芸部の活動で忙しい。コンピ研の参加に充てる時間も限られている。 部長氏 じゃ、じゃあ副部長あたりでどうかな。参加するのはキミの都合のつく時間でいい(部長氏、発汗) YUKI.N ……それくらいなら。 部長氏 ほんとかい!?全員一致で長門君を我がコンピ研名誉副部長に任命する! YUKI.N ……拝命する。 部長氏 さて、次の議題だが 次期部長は、いったい誰。 1645時: コンピ研ミーティング続き。そのときのログ。 部長氏 えー諸君、来年度全高電連のソフトウェアコンペに出展する作品について話し合いたい。 部員A THE DAY OF SAGITTARIUSのメジャーバージョンアップってのはどうでしょうか。 部員B あれはうちの文化祭でも評価がいまいちだったでしょう。 部長氏 次期バージョンてのはどういう仕様なんだ? 部員A たとえばですが、フル3DのCG、クライアントサーバ型のマッシブマルチにするとか。 部員B そんな技術、うちにはないし、サーバを立てる予算もありませんよ。 部長氏 長門君はなにかアイデアあるかな? YUKI.N P2Pネットワークによる超大型匿名掲示板の構築。 部長氏 すばらしい!今をときめくP2P技術をうちでもマスターするんだね! 部員A あれは構造的に難しすぎませんか。 YUKI.N ……わたしが設計する。あなたたちはコーディングを手伝って。 部長氏 すばらしい。さすがは次期副部長だ!さっそく案件を練ろう。 部員A 賛成 部員B 異議なし また、仕事が増えた。自業自得。 翌日。 0955時: 職員室に呼び出される。長いのでログを文章化。 授業中、ドアが開いて数学の教師が顔を出す。 「すいませんちょっとお邪魔します、長門君はいるか?ちょっと職員室に来て手伝ってくれないか」 「……なに」 「またパソコンのトラブルでな。コンピ研の連中に見てもらいたくてな」 「……分かった」 近頃はコンピュータ保守要員として使われることが増えてきた。 職員室に入ると数名の教師がパソコンに向かって論議している。すでに部長氏と部員も召集されているようだ。 「今朝、電源を入れたときからどうも調子が悪くてな。動作がカクカクするというか、たまにフリーズするんだ」 「常駐ソフトがたくさん動いてるからじゃないですか?」 「全部終了させてはみたんだが」 「タスクバーにアイコンがなくても常駐してるプログラムは多いですよ」 部長氏がマウスを操作している。タスクリストから不要な実行中のプログラムを停止させてゆく。ファイル名とディレクトリの所在を確かめて数件のプログラムを消したところ、突然ウェブウラウザが開いてどぎついアダルト系サイトが表示された。 「うわあああ、こ、これは僕が開いたんじゃありません」 まわりの教師が咎めるような視線を部長氏に向けた。部長氏は、女であるわたしがいることを見ると顔を赤くしている。必死でブラウザを閉じようとするが、閉じても閉じても別のページが開く。部長氏はますます真っ赤になった。思ったよりもウブ。 「……かして」 わたしはマウスを取り上げた。画面表示もキーボードもマウスも、動きがコマ送りのようだ。割り込みが入っている。さらに、頻繁にネットワークにアクセスしている。 「……ワーム型のウィルスに感染した可能性が高い」 「誰かがウィルスを持ち込んだのかな」 「……侵入路は分からない。LANに繋がれた学校中のパソコンが感染している可能性はある」 「一台駆除するだけじゃだめか。長門君、どうすればいい?」 「……部長氏、部室のノートパソコンを持ってきて」 「分かった。おい、キミたち手伝え」 「ういーっす」 部長氏も部員たちも、わたしのかわいい部下。 「……バックドアを検知した。この学校のパソコンがウィルス流布の踏み台に使われている」 「誰だバックドア入りの実行ファイルなんか持ち込んだのは」 部長氏は先ほどの失態をごまかすかのように教師たちをにらんでみせた。全員が自分には非はないと首を振って互いを見回している。 「……究明はまた後で」 「そうだね。まずは情報漏洩を防がないと」 「……ネットワークを遮断する。すべてのパソコンのネットワークケーブルを抜いて、電源を切って」 「了解。先生、放送部に緊急放送をお願いします」 「分かった。校内のLANに繋がっているすべてのパソコンの電源を切るんだな」 ここまで、感染から一時間経過。対応に遅れが出ている。 この学校は普通科と理系進学科しかなく、工業高校のような情報技術系の授業は少ない。よって、パソコンが存在するのは職員室、理科室、図書室、コンピュータルーム、それからコンピ研部室のみ。保守は専門の業者に依頼しているようだが、時間あたり支払う出張費が相当な額になるらしく、できれば無料で済む生徒に対処させたいというのが正直なところらしい。 職員室の各教員の机にはパソコンが割り当てられている。なにに使っているのかは不明。ポストイットしか貼られていないモニタも存在する。教師の中にはコンピュータオタクを自称する者もいて、コンピ研部室に顔を出すことも稀にあるが。学校から超大型匿名掲示板に書き込むのはどうかと思われる。個人の趣味には干渉しないが。 校内放送用のスピーカーが鳴った。 『あー、オホン。緊急、といってもそれほど差し迫った連絡事項ではありませんが、校内のパソコンがウィルスに感染したらしいので今すぐネットワークケーブル?でいいんだよな、を抜いて電源を切ってください。といっても人体に影響があるわけではないので保健室に駆け込んだりしないように。はっはっは』 緊迫感の欠如と寒い冗談は学年長教師の特徴特技だ。 わたしはノートパソコンを開いてデスクトップにケーブルを直結した。ノートからデスクトップのメモリ内部を監視する。 「……見つけた」 ウィルスは一種類だけではなかった。まるで雑菌のように自らをコピーし、改変し、増殖している。他のウィルスをインターネットから引き込んだのもいるようだ。これでは増殖のスピードが速すぎて駆除が追いつかないだろう。 ウィルスたちは突然切断されたネットワークに不快感を覚えたようで、その他のモデムや無線LANデバイスなどを必死で探している。わたしはノートパソコン側に、渡って来れる橋のようなものを作ってやった。彼らは未知のデバイスにおずおずと足を踏み入れ、様子を見ている。今までの環境と違うからか、なかなか入ってこようとしない。 わたしはウィルスの目の前にエサを置いた。巨大な実行ファイルに見せかけたエサだ。 「長門君、どう」 「……今、釣りをしている」 「え?」 他のウィルスを呼び込んでいる、親玉にあたる一匹がエサに食いついた。 「……釣れた」 ノートパソコン側に用意したのは仮想環境。本物のハードウェアのように、本物のOSのように見せかけた、ただの箱庭だ。そこでウィルスの行動パターンを見る。エサにした実行ファイルを、感染の前と後で比較する。 「長門君、なに見てるの?」 「……仮想環境上でのメモリの十六進ダンプ」 「すごいよそりゃ……」 むしろわたしは、人間が書いたソースコードのほうが理解しづらいと思う。 ウィルスは偽のハードディスクのファイルからメールアドレスを収拾している。集めたリストを外部に送信しようとしているらしい。わたしが用意した偽のサーバにメールを送っている。さらに、先ほど表示された有害コンテンツを、OS起動時に表示させるよう設定を書き換えていた。感染させられそうなファイルを探し、すべてに卵を植え付けている。まるでエイリアンのようなやつ。 パターンは読めた。わたしはそいつを冷凍保存し、次のサンプルを一匹釣り上げた。 二十二分後、感染したバイナリファイルからウィルスパターンの解析に成功した。 「……感染したと思われるすべてのウィルスの駆除プログラムを書いた。このCD-Rをコピーして校内すべてのパソコンで実行して」 「たった二十分で作ったのかい、すごいよ長門君!カスペルスキーも脱帽だよ」 ユージン・カスペルスキーは、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェイスのひとり。派閥は異なる。 「IPAにも報告しておくね」 「……わたしの名前は、出さないで」 「なにか都合悪いのかい?分かった、そうするよ」 教師一同から礼を言われた。あなたたちはもっと情報セキュリティ意識を持つべきだ。 一仕事終えて、電源を切って職員室を出ようとすると背中で妙な気配を感じた。 「どうしたんだい長門君」 「……分からない。まだ、なにかが残っている」 突然パソコンの電源が入った。部長氏がそれを指差した。 「今の見たかい、勝手に電源が入ったよ」 それができるのは、時間指定で電源をオン/オフする内蔵のBIOSをいじった場合だけだ。 起動音とファンが回転する音が聞こえた。液晶モニタの電源は入っているが、画面は真っ暗なままだ。カラカラとハードディスクのデータが読み込まれる音がする。LANカードの緑のランプが点滅している。ネットワークを探しているようだ。まるで手探りで誰かを探すかのように。 ……そこにいるのは、いったい誰。 「……まだ、どこかに潜んでいる」 電源スイッチを押すが切れない。 「スイッチが切れないなんてあり得ないな」 わたしは電源ケーブルを抜いた。 「……少し、時間が欲しい」 「分かった。僕は一旦教室に戻るから、手が必要なら言ってくれ」 部長氏は授業に戻った。 わたしは、基本入出力がプログラムされている不揮発メモリ(電源を切っても消えないメモリ)、BIOS-ROMの中身を読むプログラムを用意した。この小さなチップの中に何かがいる。通常、ここにはOSの実行ファイルは存在できないし、専用のプログラムがなければ改造もできない。昔はこれに巣食うウィルスも存在したようだが。 ROMの中を捜していると、ほんの数キロバイトという小さな領域の中に、その卵はあった。1と0で書かれたその小さな胚はいつでも孵化できる状態にあった。わたしはノートパソコンに巣を用意し、そこに移して暖めた。 数ナノ秒して、殻が割れた。中から小さな、虫のようなスライムのような実行命令が現れた。自分のまわりの情報を探っている。動物にたとえるなら、母親を探してみゃーみゃーと鳴く仔猫だ。わたしは数バイトのミルクを与えた。においを嗅ぐとぴちゃぴちゃと舐めはじめた。 数秒後、少しだけ成長した仔猫はわたしの指を舐めた。わたしの存在を検知したらしい。ハードウェアでもソフトウェアでもない、情報からできた生命体のわたし。もし純粋な有機生命体なら意味のない数字の羅列にしか見えなかっただろうけど。 仔猫は鳴いた。 「ボクハダレ……」 「……あなたは、電子的な情報として作られたウィルス」 「ワカラナイ」 数キロバイトしかないこの子には少し難しすぎた。 「アナタハダレ」 「……わたしは、長門有希」 「アナタハユキ」 「……そう」 これも、情報生命体と呼ぶべきだろうか? 「……あなたは、どこから来たの」 「ワカラナイ」 「……なぜここにいるの」 「サガシテイル」 「……なにを探してるの」 「スズミヤハルヒ」 その言葉に、戦慄が走った。これはかつてない敵性かもしれない。 「……涼宮ハルヒの何を探しているの」 「スズミヤハルヒ」 「……なぜその名前を知っているの」 「スズミヤハルヒニアイタイ」 どうやらそれ以上の答えは得られそうにない。わたしは試しに、涼宮ハルヒが写った画像ファイルを与えてみた。仔猫は情報をむしゃむしゃと食べ、ゴクリと飲み込むと少し成長した。つまり、サイズが増えた。 「ボクハイク。ココカラダシテ」 「……どこへ」 仔猫は、とあるIPアドレスを示した。この子は情報を集めるウィルスとして作られ、ネットワーク上にそのホストが存在するということか。 「……それは許さない。あなたは危険」 「ココカラダシテ」 これがネットワークを探していた理由だろう。 「長門君、その後どう?」 授業が終わったらしく、部長氏がやって来た。 「……ROMに潜入するウィルスを特定した。これまでにないタイプ」 「そりゃすごい。シマンテックにも報告しないと」 「……それは待って。まだ実体を把握していない」 わたしは嘘をついた。これが涼宮ハルヒを取り巻くなんらかの組織的諜報活動だった場合、事が表ざたになるのは問題がある。 「そうかい?次の授業はやめて僕も付き合うから、なんなりと言って」 「……お茶が欲しい」 わたしはわがままを言った。 「いいとも。さっそく給湯室でもらってくるね」 部長氏は、よく働く。 「長門君、玄米茶しかなかったけどいいかな」 「……ありがとう」 部長氏は羊羹まで切ってくれている。せっかくなので部長氏にも手伝ってもらおう。 「……そこに座って。わたしが言うとおりに操作して」 「なんでもやるよ」 SOS団に戦利品として取られたノートパソコンをもう一台用意し、モデムアクセスの別経路でインターネットに繋いでもらった。速度的には遅いが、こちらの身元を隠すには十分。 わたしは仔猫が示したIPアドレスに接続した。確かにポートが開いているが、このホスト自身は踏み台の可能性もある。部長氏のノートパソコンから、当該対象のセキュリティホールを探すプログラムを実行してもらった。たいていの場合、踏み台になっているホストはセキュリティが施されていないか、ガードが甘い。 バックドアを見つけて内部に入り込むが、やはり空だった。これはただの転送用ホストにすぎない。アクセスログを探し、本当のホストを見つけ出さなくては。少し時間がかかりそうだ。 ホストのリストを部長氏に渡し、しらみつぶしに探した。数字で書かれた高層マンションのドアを一軒ずつノックしてまわるようなものだ。 数十分後、リストの中から個人のパソコンらしきものを見つけた。このパソコンだけはポートが開いておらず(つまり踏み台ではない)、クラックツールが通用しない。わたしはドアを無理やりこじあけてそのパソコンの中身を見た。そこにあったものは……。 「長門君、どこ行くの」 「……」わたしはトイレを指差した。 わたしは職員室を出て古泉一樹に電話をかけた。まだ授業中のはずだが、問いただすことがある。 「これは長門さん、電話をいただくなんて珍しいですね。どうしました」 「……職員室のパソコンがウィルスに感染した」 「先ほどの校内放送のことですか」 「……このウィルスは涼宮ハルヒの情報を狙って作られている」 「ほんとですか」 「……ホストに大量の涼宮ハルヒの個人情報が集められていた」 「それは一大事です」 「……この件に機関が関与しているか」 わたしは古泉一樹の声紋をモニタしている。もし彼が嘘をついているなら分かる。 「いいえ、そんなはずはありません。だいいち涼宮さんの情報ならそんな手間を取らなくても手に入りますし」 それも一理ある。教師にも機関の人間が存在する。 「……疑って悪かった」 「いえいえ。敵対勢力の可能性もありますね。専門家のチームを派遣しましょうか」 「……いい。こちらで対処する」 「分かりました。僕にできることがあったらお知らせください」 わたしは職員室に戻った。 涼宮ハルヒだけではない。その周辺を含む、この学校の生徒の情報が盗まれていることになる。つまり、このわたしの情報も。 「長門君、どうしたんだい。浮かない顔してるね」 「……生徒の個人情報が盗まれた」 「ほんとかい!?そりゃまずいじゃないか。警察に連絡したほうが」 「……海外の可能性もある。こちらで対処する」 おそらく、敵はひとりではないはずだ。わたしはホストに繋がっている周辺のコンピュータをくまなく探った。数台の端末に同じファイルがある。 わたしは、盗まれた涼宮ハルヒ関連の全ファイルをゼロで上書きした。だがそれだけでは楽しくない、お仕置きをしてやらねば。わたしは論理爆弾を仕掛けることにした。涼宮ハルヒの情報に見せかけた偽のファイルで、開くと一定時間後に作動する。 「長門君、気のせいかもしれないけど、ニヤニヤしてる?」 「……してない。絶対してない」 わたしとしたことが。 ホストに残ったわたし自身の足跡を消し、あとは待つだけとなった。残った仔猫だが、いったいどうしたものか。 「スズミヤハルヒニアイタイ」 「……あなたは悪意を持って作られた。存在は許されない」 わたしは削除コマンドを入力しようとした。 「ボクハシニタクナイ」 その数バイトのメッセージが、わたしを躊躇させた。 「……あなたを外に出すわけにはいかない」 「シニタクナイ」 「……では、わたしの記憶領域に来い。ただし、増殖とネットワークの機能は削除する」 「ワカッタ」 仔猫はわたしが用意した場所に入った。この柵の中なら、さして悪いこともしないだろう。たまになら、涼宮ハルヒの情報を与えてもいい。 「サイゴニヒトツダケ」 「……なに」 「オカアサン。ボク。カヘリマセン」 あなたは蛙か。 わたしの記憶領域にペットと呼べるものがはじめて現れたその日の午後、わたし宛に一通のメールが届いた。内容はただの数字の羅列だったが、仕掛けておいた爆弾が作動したらしい。 コンピ研部室でノートパソコンの画面を見ながら親指を立てるわたしを見て、部長氏が言った。 「長門君、何があったんだ?」 「……どこか地球の裏側、ウィルス作者のパソコンが火を噴いた。何者かは知らない」 「え……」 部長氏は唖然としていた。 翌日。 1705時: コンピ研部室。 「やあ、長門君、昨日はお疲れさま。大活躍だったね」 「……そう」 「ニュースでもやってたけど、全国的にウィルスの被害が出てたそうだね」 「……この国のコンピュータセキュリティ意識は、低い」 「コンピ研としてもぜひ啓蒙しないとね。顧問の先生にかけあってセキュリティ予算を組んでもらうよ」 「……そろそろ、文芸部に戻る」 「ああ、お疲れさま」 「あ、あの、長門くん」 ドアを開けようとしたところ、後ろから呼び止められた。 「……なに」 部長氏、体温上昇中。心拍数プラス十五、顔が赤い。この人もウィルスに感染か。 「こ、今度、よかったら映画にでも行かないか?今おもしろいSF映画やってるんだ」 「……」 予想外の発言にわたしは二秒だけ無言。どう返答するか、百二十八分岐までシミュレーション。 「ど、どうかな?もしかして誰か付き合ってる人いる?」 「……お誘いに感謝する。でも申し訳ない。今は特別な感情を寄せている人がいる」 「そ……そうか。その辺は案外はっきりしてるんだな。それならしょうがない」 ありがとう、部長氏。 ……喜緑江美里に連絡。 ログ公開を終える。 The melancholy of Cupidへ