約 1,110 件
https://w.atwiki.jp/cscs/pages/1765.html
虜囚 (永劫への回帰) COMMAND C-076 赤 2-5-2 R (自軍帰還ステップ) ユニットにセットされている敵軍キャラ1枚を、敵軍配備エリアに配備する。 移動 出典 「コードギアス反逆のルルーシュR2」 2008
https://w.atwiki.jp/nenohitohatiue/pages/1089.html
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三 カード名 . ..: 怠惰の虜囚 悦楽 [堕落]≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ レアリティ...: E≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ 汎用スキル...: [契約] [残響]≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ カードスキル : 残響 [物臭の聖櫃]を顕現≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ 武装化 : 対価 0 [-]≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ ステータス. ....: AP:00 / RP:04 / CP:02≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡ フレーバー : 我が聖櫃はここに。踊ろうが歌おうが離れやしない。―― 暗がりにて三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三怠惰の虜囚/悦楽/A/Cost 0/AP 0/RP 4/CP 2/残響 [物臭の聖櫃]を顕現/武 -/[堕落]/[契約][残響]E + "姫"/ザエモン ,ヘ / \ ィ _, -- 、__/ ヽ___ ,/ | `ヽ、 ヽ、_ '´  ̄ ̄` ー‐---‐'´ |____ r'`゙ ‐- 、 `ヽ、_ _, -‐' `ヽ、 / ,r‐、`ヽ ; ヽ、 , ‐'゙ __,. -‐‐ィ' ´ / ヾ;;ノ `ヾ、 _,r,ニ´、 ヽ \ | __ ´ `ヽ;;;;;;ノ | l r "´ ` ヽ、 ,.-‐───- 、 ! \ / r ' `ヽ、 `ー'´ \ U | `| | | r‐-、 l / ! ヽ; ノ (; ノ |__/ 'ト、  ̄ _,r‐ 、_  ̄ ,イ | `ー--─‐ '´ `ヽ、___ ,/ | | ヽ、 ゝ──-、__.ノ  ̄ | _ ! \ ,. -<´ / |_/ l \_/ `ヽ、 / / / ;イ | ` ー' / l / ! |_________ ! ー' | |  ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ____ノ 《関連札》 物臭の聖櫃
https://w.atwiki.jp/talewiki/pages/9568.html
虜囚鬼 Lv184 編集 attachref ▲ウインドスライス!!! (単体,4hit,中距離,付加【減速】)【取得EXP】 -760備考 虜囚鬼の鉄球 虜囚鬼の歯 名誉の証(ゴースト) ⇒守護の秘薬(小) (5.09)⇒集中の秘薬(小) (5.21)⇒知識の秘薬(小) (5.12)⇒斬撃の秘薬(小) (5.09)†隻眼の魔封面 (4.89)†メイルブレーカー (4.97)†バターディア (5.09)†パナバス (5.09)†ニルリ (4.93)†疾風のクロー (5.12)エデルの記憶 (5.06) Lv184 黄泉路(2)
https://w.atwiki.jp/nikuq-niuniu/pages/1033.html
残されし虜囚の解放 依頼主 :ヤドヴ・ガー(南ザナラーン X23-Y14) 受注条件:レベル48~ 概要 :灰の陣営のヤドヴ・ガーは、冒険者に懸念を解消してほしいようだ。 ヤドヴ・ガー 「冒険者殿のお力添えもあり、 我ら「灰の一党」の力もずいぶんと増し申した。 我らが本気となれば、「炎牙衆」など 鎧袖一触に伏すこと難くないと自負しておりまするが・・・・・・ されどそれがし、ひとつ懸念があり申す。 炎牙衆によって連れ去られた者たちは、 いまだ少なからず、奴らの牢に繋がれていると聞きまする。 これを助け出さねば、後顧の憂いとなるは必定。 冒険者殿・・・・・・敵地にある、 「堅固な鉄檻」と「頑丈な鉄檻」より、 虜囚を解放してはもらえぬか。 牢を開く「鉄檻の鍵」は、ザハラク戦陣にいる、 炎牙衆「ザハラク・ガード」が持っておる。 まずは鍵を預かる戦陣の敵を倒し、その後に牢を探すが肝要。 いかんせん、我らの巨躯は目立ちすぎ申す。 それにかような隠密行動は、貴殿の得意分野ではあるまいか。」 ヤドヴ・ガー 「「ザハラク・ガード」より「鉄檻の鍵」を奪い、 「堅固な鉄檻」と「頑丈な鉄檻」より虜囚を解放してはもらえぬか。 お頼み申す!」 ザハラク戦陣の指定地点で待機してザハラク・ガードから鉄檻の鍵を入手 ザンラクの堅固な鉄檻と頑丈な鉄檻に鉄檻の鍵を使う 囚われた者 「くそぅ・・・・・・トカゲ野郎どもめ・・・・・・! 今回は不覚をとったが、次は返り討ちにしてくれる! アラミゴの戦士をナメんじゃねぇぞ!」 囚われた者 「すげぇなあんた・・・・・・アマルジャ族を出し抜いて、 俺たちの檻を解放してみせるなんて。」 囚われた者 「まさか、助けが来るとは思ってなかったからな・・・・・・。 まだこれが夢じゃないのかって疑っちまうよ。」 囚われた者 「ああ・・・・・・! 助かったのか、私は・・・・・・!」 囚われた者 「ありがたい! この恩は忘れないよ!」 囚われた者 「に・・・・・・逃がしてくれるのか!?」 囚われた者 「まさか、正気でこの檻を出られる日が来るとは・・・・・・。」 ヤドヴ・ガーに報告 ヤドヴ・ガー 「虜囚の解放は、上手くいったようでありまするな! これでそれがしらも、心残りなく戦にのぞめるというもの! 貴殿にこの任を授けた、それがしの目は、 どうやら間違いではなかったようであり申す。 汗馬之労・・・・・・ご助力、感謝いたす。」 鉄檻の鍵:アマルジャ族の鉄檻の鍵
https://w.atwiki.jp/magichappy/pages/709.html
▼ Dark Puppet 依頼者: シド(Cid) / バストゥーク大工房・シド研究室 依頼内容: 暗黒騎士ザイドよりシドの下に 手紙が届いた。オルデール鍾乳洞にて、 伝説的な黒鉄鍛冶の職人、ゲーヴィッツの 武器が見つかったとのこと。 それもイビルウェポンとして……。 ザイドに会い、調査に協力して欲しい。 大工房 / シド研究室 Cid そうだ! 思い出したぞ!! Cid あの黒鉄鍛冶の秘術の作者の名前! ゲーヴィッツ……どこかで聞いたことがあると 思ったら、ザイドの鎧を作った職人の名だ。 Cid あの偏屈な男から、 あの変わった装備のことを聞き出すのに えらく苦労したので覚えていたのだ。 Cid ん? おぬしは、ザイドに 会ったことがあるのか? 変わった男だったろう? 20年前の大戦ではわしやフォルカーと一緒に戦い、 闇の王を倒した男だ。 Cid もっともわしは、 後方で大砲とか大型武器の整備ばかり だったんだがな。 Raibaht 工房長、そのザイドから手紙だ。 渡すのを忘れていた。 Cid な、なんだとう!! あの年中音信不通の男から手紙などと……。 早く言わんか! Raibaht 忘れていたといっても、 半日前に届いたものだ。 Cid なになに……オルデール鍾乳洞にて 不穏な動きあり。普段は現れぬイビルウェポンの 出現を確認。その武器の姿は間違いなく、 名匠ゲーヴィッツの作であった……とな!? Cid どういうことだ? 奴のことだ、何か思い当たることがあって 調べているのだろうが……。 Cid おぬしも、もし奴に会うことが あったなら、調査に協力してもらえぬか? あいつが動いただけではこっちには何も 伝わってこないのでな。 オルデール鍾乳洞 Zeid イビルウェポン……。 それは、特殊なエネルギーを得て邪悪な 意思を宿すに至った武器……。 Zeid 新たな血を求めるために、 念動能力を持つ地霊にとりつき、意のままに 操っている。 Zeid シドに手紙を出した時から、 おまえが来るような気はしていたのだ。 どうだ? おまえの刃は黒く輝いているか? Zeid 早速だが、イビルウェポンに 関する学説は概ね以上のとおりだ……。 そして、その特殊なエネルギーとは、一般的には、 クリスタルラインによるものとされる……。 Zeid ホラの岩に近いとは言え、 オルデール鍾乳洞は、それほどクリスタルラインの 影響が強い場所とはされていない。そこに、 イビルウェポンが現れた……。 Zeid そのイビルウェポンに襲われた 冒険者が言うには、彼は合成の材料として、 ダークインゴットを持ち歩いていたとのことだ。 Zeid あやまってそのダークインゴットを 落とした時にそのイビルウェポンが現れたと……。 そしてその武器には銘が刻まれていた。 そう、私の鎧と同じ、ゲーヴィッツの銘が……。 Zeid ゲーヴィッツは、30年以上も 前に転生の旅に出たガルカの鍛冶職人だ。 普通ならば、もうどこかで新しい記憶を紡いで いてもおかしくないはずだ。 Zeid 奴は何かを求めている。 そしてこの地で、転生を迎えることなく 何かを待っている……。 Zeid それはきっと私ではないのだろう。 ずいぶんこの地を探索したが、奴の気配はすれど、 姿は見えぬ。 Zeid 奴は、新しい力を持った者に、 何かを求めている……。それは、 力と未来ある者の生き血か、それとも……。 Zeid きっと、この地におまえが来たのも、 奴の呼ぶ声に導かれたのだろう。 それに呼応するかどうかは自らの刃に問うがいい……。 (???にダークインゴットをトレード) ダークインゴット 精錬した黒鉄のかたまり。 嫌な気配がした。 [Your Name]はGerwitz s Axeを倒した。 Gerwitz s Axe 我が斧にて喉を断ち切れ……。 ゲーヴィッツの斧を手にいれた! ゲーヴィッツの斧 Rare Ex D19 隔624 Lv50~ 戦暗獣 (???にゲーヴィッツの斧をトレード) 嫌な気配がした。 [Your Name]はGerwitz s Swordを倒した。 Gerwitz s Sword 我が剣を口腔に突きつけよ……。 ゲーヴィッツの剣を手にいれた! ゲーヴィッツの剣 Rare Ex D30 隔888 Lv50~ 戦ナ暗 (???にゲーヴィッツの剣をトレード) 嫌な気配がした。 [Your Name]はGerwitz s Soulを倒した。 Gerwitz s Soul このときを、待っていた……。 すべてを語る地にて、すべてを語ろう……。 ラテーヌ高原 Gerwitz よくぞ暗黒にとらわれた魂を 解き放ってくれた……。私がゲーヴィッツだ。 Gerwitz おまえならきっと、「あれ」も 止めてくれるはずだ……。新しき血を求め、 クリスタルラインをさまようあの死神の刃を……。 Gerwitz 私の作った武器は肉体を失った私の手を 離れ、自ら意思を持つようになってしまった……。 おまえが倒した、斧、剣も私の作だ。 Gerwitz しかし、私の作り出した鎌は、 この地すら離れ、より大きな力を求めている。 このままでは、どれだけの命を殺めることか……。 Gerwitz このままでは、私も肉体を失っても、 転生を遂げることはできない……!! Zeid 転生できぬ理由は 本当にそれだけか、ゲーヴィッツ? このオルデールにて武器が意思を持つに至ったのは、 単にそれ自身の力であった、と? Gerwitz ザイド……さらに強くなったようだな。 おまえの気を感じて姿を隠していたが、 やはりお見通しという訳か……。 Gerwitz おまえの想像通りだ、ザイド。 私は、転生の旅に出たものの……この記憶を 失うのを怖れたのだ。 Zeid その道を極めた才を失うのを……か? Gerwitz それだけではない! 黒鉄鍛冶の技を受け継ぐものはあまりに少ない。 私がこの世に為したことは一体なんだったのか!! Gerwitz 私は語り部ラオグリムさえ恨んだ。 なぜ皆が記憶を失い転生を繰り返さねばならぬのに、 どうして奴だけが記憶を継ぐことができたのか。 その思いは、憎しみとなり、この地にとどまり……。 Zeid 時の止まったおまえの魂は 知らないのだな。ラオグリムは……死んだ。 Zeid それに、時代は変わった。 今は、冒険者の時代と人は呼ぶ。数少ないが、 クリスタルの力を借り、黒鉄鍛冶を為す者さえいる。 おまえの為したことは、無駄ではない……。 Gerwitz そうか、30年の時はそれほどまでに……。 Zeid そうだ。悲しみ、痛みに 満ちあふれた世の中だが、その中にも希望はある。 暗黒の虜囚となり、魂の時を止めるのはあまりに 愚かなこと…。 Zeid それに私は、こうして、 暗黒の業を継ぐ者を見つけることができた。 Gerwitz ふっ……変わったな、ザイド。 Zeid この者なら、きっと死神の刃を 砕くこともできるだろう。 Zeid 冒険者よ。死神の刃を砕く 覚悟ができたなら、おまえが初めに 暗黒の証を手にいれた場所に来るが良い。 Gerwitz 待て、ザイド。 ひとつだけ聞かせてくれ……。 新しい語り部は、現れたのか? Zeid ……ああ、記憶を継ぐ者はすでに現れている。 Gerwitz ならば、新しき語り部に 伝えてくれ……新しき世の人々が恐怖や 憎しみにとらわれぬよう、導いてくれ、と……。 Zeid ……。 Gerwitz 冒険者よ、おまえには私の作った防具を 遺そう。どうか、死神の刃を、止めて、くれ……。 カオスソルレットを手にいれた! カオスソルレット Rare Ex 防10 HP+15 MND+5 アルケインサークル効果アップ Lv52~ 暗 ▲ 黒の伝承 暗黒の虜囚 死神の刃は黒く輝く ■関連項目 アーティファクト関連クエスト , 大工房 Copyright (C) 2002-2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
https://w.atwiki.jp/wiz-fo/pages/421.html
アクセス制御 NINJA TOOLS 航空券 データ復旧 夢幻の虜囚達 - アンケートページ このページは、ユーザーシナリオ「夢幻の虜囚達」のアンケート用ページです。 このシナリオに対するコメントがあれば、こちらから。ただし、シナリオの内容そのものに関わらない内容の書き込み、シナリオ作者氏や、シナリオそのものへの誹謗中傷を目的とした内容の書き込みは禁止とします。シナリオについての雑談をしたり、攻略情報の質問・返答を書き込みたい場合は、外部掲示板をご利用下さい。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/talewiki/pages/9861.html
凶暴な虜囚鬼 Lv179 編集 attachref ▲ウィンドスライス!!! (単体,5?hit,遠距離)【取得EXP】 -874備考: −Lv179 影の塔6,7,8F− 闇のジュース闇のカクテル シャープドットカード (5.03)精錬ハンマー (5.10)ダイアモンド原石 (5.32) Lv179 影の塔6,7,8
https://w.atwiki.jp/meidaibungei/pages/176.html
2006年06月27日(火)17時48分-魔法司法 あたしは一体なぜ囚われているのでしょう? あたしがいるのは牢屋です。いいえ、あたしがずっと暮らしている場所は牢屋です。鉄格子により固く閉ざされた独房、あたしを見張る看守。毎日同じ穀物があてがわれ生かされています。そして独房での無為な日常が過ぎていきます。孤独に、静かに。あたしはなぜこんなところに閉じ込められているのでしょう?・・・理由は分かりません。 あたしが昔いた場所、この牢屋に来る前のこと。そこもやはり鉄格子の中でした。ただここと違うところがあるとすれば、そこにはお母さんがいました。兄弟姉妹がいました。独りではありませんでした。 幼いあたしはお母さんに尋ねました。 「どうしてあたしたちは牢屋にいるの?何か悪いことしたから牢屋に入れられたの?」 母さんは少し悲しそうな顔をして答えました。 「いいえ、あなたも私も生まれてからずっと牢屋にいるわ」 「じゃあなんで?何も悪いことしてないのに」 「私も昔母さんに同じことを訊いたわ。私たちは母さんの、母さんの、そのまたずっとずっと母さんのときから牢屋の中にいたそうよ。みんな生まれたときから牢屋の中よ」 そしてお母さんはためらいがちに続けました。 「何か悪いことがあるとすれば、きっと血筋が悪いのでしょうね。一生を牢屋で過ごすよう宿命づけられたこの血脈が」 「・・・・・・」 あたしは何も言えませんでした。そのときはまだ幼かったのでお母さんの言っていることがよく理解できていなかったというのもあります。しかしその言葉を理解できる今聞いたとしてもやはり何も言えないでしょう。 「ほら、いつの日か私たちも免罪されて自由になれるときが来るわよ。この宿命から解き放たれるときが来るわよ。私がだめでもあなたたち子どもが。あなたたちがだめでもその子どもが。そんな日がきっと来ると信じて頑張りましょう、ね」 お母さんの励ましはよく分からないなりにあたしを元気づけてくれました。つらいと感じたときにはこの言葉を思い出せば元気がわいてくる。そんな希望に満ちた言葉でした。 そしてその数日後、あたしは看守に連れられて牢屋を出ることになりました。あたし一人が、一人だけが。突然の家族との別れ。一人家族と引き裂かれる悲しみとやっと自由になれるかもしれない喜び、相反する感情があたしの中で渦巻きます。しかしその渦は一瞬にして悲しみによって覆い尽くされてしまいました。看守に連れられ着いたところはやはり鉄格子の中でした。しかも今度は独りきり。新しい牢屋、新しい看守、新しい悲しみの宿命。そして今日まで続く、いつ終わるとも知れない孤独の日々。 今日も今日とて食事の時間がやってきます。囚われの身ながら食事は毎日与えられます。毎日同じものですが。今の看守は昔家族といたときの看守に比べて横暴です。もう慣れましたが。脱走を怖れているのか不定期的にあたしのボディーチェックをします。あたしが疲れていようとも寝ていようともおかまいなし。ボディーチェックのときは牢屋の外に出されますがそれは一時的なもの、囚われの身であることに変わりはありません。いつになったらあたしはこの宿命から逃れられるのでしょう。それは神のみぞ知ることです。 ああ、今日も看守がやってきました。いつもと同じ食料を持っています。 「ハム子~、えさの時間だよ。大好きなひまわりの種だよ」 籠も檻も牢も全ては同じものです。 そこにある違いは外部の観察者の意思。 その内部のものには関係のないこと。 でもこんなこと考えるハムスターは嫌ですね。
https://w.atwiki.jp/ranoberowa/pages/605.html
第499話:灰色の虜囚 作:◆685WtsbdmY 名も無き小さな島がある。 何処とも知られぬ偽の“海”に浮かぶ奇怪な島だ。 内部に囚われた者達にとっては、まさしく呪われた島ともいうべき場所だろう。凄惨な殺し合いを強要され、それに勝ち残る他に生きる術は無いのだから…… その島の南部の平原には城が建っている。石造りの堅固な構造をしており、規模こそ小さいが城壁まで 備える立派なもので、その点だけ見ればこれを城と称するのに何の不足も無い。しかしその一方で、 周囲に重要な施設があるわけでもなく、島の交通の要衝にもなりえないこともまた、明白な事実だ。 あまりに十分“すぎる”機能と、それに見合うだけの目的の欠如。この不釣合いが、島の他の施設と同じく、見る者にどこか作り物めいた印象を与えずにはいられなかった。 すでに日没が近いが、陽の光は深い霧に阻まれて届かず、薄闇の中にぼんやりと浮かぶ城を訪れる者は誰もいない。その内部を動き回る者もおらず、すべての部屋が静寂に満ちていた。だが、まったくの無人というわけではない。 二階の一室、魔法で封じられた扉によって守られた場所に、一人の少女の姿があった。 少女は身じろぎもせずに椅子に腰掛け、考え込むような視線を窓の外へと向けている。部屋の明かりは点けられておらず、その姿が定かではない中で、ただ、額の額冠(サークレット)にはめこまれた深紅の宝石だけが、怪しい光を放っていた。 ○ カーラが目覚めたのは17時過ぎのこと。すでに、睡眠をとり始めてから、4時間が経過していた。 現在の状況はカーラにとって思わしいものではない。これまでに出会った者のほぼ全てから敵対視されており、しかも、そのうち幾人かには正体が露見している。情報の提供者もおらず、遠見の水晶球すら持たない以上はカーラ自身が参加者たちに接触していく必要があるが、雨に続く濃い霧に阻まれて城外へ出る決心がつかずにいた。 天候を操作するという選択肢は早々に放棄された。あの“神野陰之”との出会いから得た結論だ。 この島の天候を操っているのがかの者であるならば、カーラの行使しうる最大の魔力で〈天候制御〉の呪文を唱えたところで徒労に終わることはまず間違いないだろう。 結局、カーラは霧が薄くなるまでの時間を状況の整理に使うことにした。18時の放送も近く、安全な 場所で考えを深めるというのも悪くはないように思えたからだ。 カーラは窓の外へと向けていた視線をはずし、自分の支配する福沢祐巳の肉体を眺めわたした。 まず、最初に行うべきは、現在自分が行使しうる力の把握だ。休息によって疲労からはほぼ回復したといっても良く、安定と引き換えの運動能力の低下以外に身体上の問題は無い。 だが、魔法についてはどうだろうか。すでに、呪文の詠唱に要する精神力の増大には気付いていたが、今思えばそれだけということは無いように見える。 少なくとも、この場にあるが故の制約として〈隕石召喚〉の呪文は使えまい。そもそも、この世界の夜空に輝く星々が星界に属するものかも疑わしいが、島の“外”から内へと物質の移動を行うことは、その逆と同様に許されないだろう。 もっとも、これなどは大した問題ではない。原因と結果が十分に予測可能だからだ。 むしろ、以前の戦いにおいて〈魔法の縄〉が破られたことの方がはるかに重要な意味を持つ。あの時、巨人族の力をもってすら逃れることのできない束縛から老人は脱した。一方で、〈火球〉やその他の呪文は、その効果を減じることの無いまま発動している。原因は不明だが、結界などの影響とは無関係に特定の呪文だけが効果を表さないという可能性を常に意識しておく必要があるということだ。 (身体的な能力にはそれなりに期待できるとしても、魔法については注意が必要。 そして、……この額冠はどうなっているのかしら?) 例えば、だ。古代王国の亡霊たる自分が、五百年もの長きにわたってその存在を維持しえたのは、器の肉体を滅ぼした者は次の器として支配されるという魔力が額冠に付与されているからに他ならない。 だが、――あたかも参加者たちの如く――そこに何らかの手が加えられている可能性もありうるのではないだろうか? 傍証は有る。本来、器となる肉体を持たずしてはカーラとて何もできない。しかし、この世界では、付近にいる人間に語りかけることはできたし、その結果、竜堂終や福沢祐巳は額冠を装着し、その肉体を支配されることとなった。このゲームを仕組んだ者にとってその方が都合の良いからだろうと気にも留めていなかったが、ならば、他の部分にも彼らの都合で手が加えられていたとしても何の不思議も無いはずだ。 (そう、それこそ……) 記憶の欠如や“失われずに残っている”記憶、自分がここにいる理由ですら、そういった作為――都合の良いようにカーラを動かすための操作の一環――の結果であるのかもしれない。 改竄された記憶を持つ者ほど操りやすいものは他に無いだろう――それが可能ならばの話だが。 (あの神野とやらになら、できるのかもしれないわね) そう呟いて、カーラはこの件についてそれ以上考えるのをやめた。 どのみち確かめる方法は無い。参加者たちのように刻印がなされているとすれば、解析のための呪文に反応して呪いが発動する恐れがあるからだ。 それに、彼らがあくまでこちらを参加者同様に扱うというならば、今はそれに従って動くだけのこと。 参加者として身を守り、参加者として他の参加者を操り、参加者としてゲームをつぶせばいい。 それは確かに困難なことではあるが、まったくの不可能ではない。そのことをカーラはある一人の戦士によって何度も思い知らされている――もっとも、その男もこの世界においては死を迎えたことを忘れる気は無いが。 依然として霧は晴れず、そして……三回目の放送が始まった。 ○ 放送によって、袁鳳月と趙緑麗、坂井悠二、サラ・バーリンの死が明らかになった。 カーラの正体を知る者の数自体は減ったが、肝心の藤堂志摩子、竜堂終、ダナティアの三人がいまだに健在であり、依然として状況が好転したとは言い難い。 ただ、坂井悠二が消えてくれたことは僥倖だった。これで火乃香と、あの“神野陰之”に集中できる。 神野は……その言を信じるならば、時空にとらわれず、助力を願い出るものにその強大なる力を貸す、正に神のごとき存在だ。以前考えたとおり、これに対抗するために火乃香は使えるだろう。だが、神野に挑む前に死んでしまう可能性も無いわけではないし、こちらの都合の良いように動いてくれる保証もない。 終あたりと接触されて、命を狙っていることに気づかれるようなことにでもなれば、カーラにとっても危険な存在になりうる。他にも何らかの形で対抗手段を用意しておく必要があるだろう。 (“人”よりも“物”の方が扱いやすい……そう、例えば、“魂砕き”ならどうかしら?) 魔神王の不滅の魂すらも打ち砕き、消滅せしめたかの魔剣なら、神野に対しても致命的な一撃を加えられるかもしれない。 もちろん、自分を傷つけられるような武器をわざわざ支給品に加えておくとは考えにくいし、少なくとも、その力を弱めるように手を加えるぐらいのことはしているはずだ。だが、黒衣の将軍の名が名簿に記されている以上、考慮はしておいても損は無い。もし、存在するなら、それを振るう手とともに早急に確保すべきだろう。 同様に、役に立ちそうな物品があればなるべく手に入れ、その機能を把握しておきたいところだ。 有用な品を自分に都合良く動いてくれる参加者にわたしていくというのは、事態を望ましい方向へと動かすのには十分に有効な手段となる。 (けれど……) カーラは眉をひそめた。刻印がある限り、それらの手立ての全ては無意味だ。火乃香だろうと、“魂砕き”を手にした戦士だろうと関係ない。神野は、その一撃が届く前に呪いを発動させるだけのことだろう。 結局、刻印の解除方法を手に入れなければどうにもならない。古代語魔法にも、呪いを含む一切の魔力を打ち消す呪文があるが、それはいわば正攻法であり、効果を現すためには刻印をなした者の魔力を打ち破る必要がある。 だが、それは不可能だ。 (……ならば鍵は十叶詠子) 彼女は神野の正体について知っているのみならず、刻印についても何かをつかんでいるようだった。 加えて、――“法典”とか言っていたか――ダナティア同様に参加者を結集させて、神野やアマワに相対しようとする者のことも知っているらしい。もし、手を組むならば、こちらの正体を知り、いずれ敵対を余儀なくされるダナティアよりも良い相手だろう。 (もっとも、先程の放送で、“法典”が名前を呼ばれなかったとも限らないのだけれど) ふと、窓の外を見やると、霧はだいぶ薄くなっており、出発しても良い頃合のように思えた。 カーラは、傍らに置いておいた角材をつかんで立ち上がった。一見すると椅子の脚にしか見えないが、魔法の発動体としての魔力を付与してある。別段必要なものというわけではないが、なまじ魔法の知識がある者が相手ならば目くらましにはなるだろうと思い作成しておいたものだ。 上位古代語の文言を呟き、両腕を複雑に動かして呪文を紡いでいく。その最後の言葉とともに透視の呪文が完成した。目の前の扉の外の廊下、反対側の部屋の内部、さらにその向こうの様子が、カーラの意思に従い次々と脳裏に浮かび上がってくる。 それに気づいたのは、城の内部を探り、城の周囲を大雑把に見渡してもう一度階下を見下ろしたときのことだった。笑みを浮かべて扉に駆け寄ると、そっと囁く。 「ラスタ」 開き始めた扉をすり抜け、階段を慎重に、しかし素早く駆け下りる。幸い、現在、城の内部には自分しかいないから多少の音は問題にならない。それより、呪文の効力が続いている間に目的の場所に到達しておきたかった。 一階に降り立ち、扉をいくつかくぐって厨房に入った。この間も、魔法の感覚は捉え続けている。厨房の真下にある地下室、そこからさらに地下へと向かって続く階段。そして、その先に一人でたたずむ妖魔の姿を。 カーラは厨房の床にしつらえられた扉の前に立った。地下室に下りるには、この奥のはしごを降りればよいが、その前に一つだけ済ませるべきことがあった。手にした棒杖(ワンド)を振り上げ、呪文の詠唱を開始する。 「……我が目は真実のみを見て、我が耳は真実のみを聞く」 ○ 放送から十五分。いまだに誰も姿を見せないことにピロテースはいらだっていた。 そもそも、放送で空目とサラの名が呼ばれてしまったことが忌々しい。一時とはいえ手を組んだ者が倒れたことに対する悔やみもあるが、そればかりではない。組んでいる者の人数が減れば、裏切りや外部からの攻撃に晒された際の危険度はその分増すことになる。それこそ、ついにクエロが裏切って、二人を殺害した可能性すらあるのだ――もっとも、それならばクリーオウが生きているはずもないとも思えたが。 いっそのこと、同盟を解消してしまった方が良いのではないのかとすら思えてくる。休息だけなら、木々の精霊(エント)の力を借りて避難所を作ればいい。木々の生い茂る森の中でなら周囲の景色にまぎれ、他の参加者から襲撃を受ける心配はまず無い。 だが、実際にそうするわけにはいかない理由が二つあった。 まず、せつらとの連絡を失うわけにはいかないというのが一つ。(多少、酔狂なところがあるとしても)彼の協力がアシュラムと出会うためには非常に役立つことは否定できない。次に、城内を探索し、拠点とすることを諦めたくないというのがもう一つ。城は目立つ分、そこにアシュラムがいる可能性も、これから訪れる可能性もわずかながらある。しかし、自分一人では探索も休息も危険すぎてできたものではない。 ピロテースは、北へ続く通路のその奥の闇を見つめてため息をついた。待つことしかできない現在の状況が歯がゆい。 「話がしたいのだけれど、そちらに行ってもよいかしら? 闇の森の妖魔よ」 突然降ってきた声に、はじかれるようにしてピロテースは立ち上がった。木の枝を構えて周囲の様子を探るが誰もいない。 当然だ。声は、城内へ通じる階段の上から響いてきた。その主の姿など、ここから見えるはずもない。 しかし、ならばなぜ、相手はこちらを“闇の森の妖魔”と断言できるのだろうか。 「何者だ?」 「私の名に意味などないわ。ただ、ロードスに縁のある者と思ってもらえれば結構よ」 投げかけた言葉は、ただ、〈姿隠し〉の呪文を唱える時間を稼ぐつもりのものでしかないはずだった。 しかし、それに対する返答を、ピロテースは無視するわけにはいかない。ピロテース自身はロードスについて、誰かに話したことなど一度も無い。ならば、声の主は本当にかの島の出身者なのか、それとも……。 「降りてくるがいい。ただし、ゆっくりとな」 返答の代わりに、階段の上からは足音が響いてきた。魔法によるものか、それとも何らかの道具によるものなのかは分からないが、おそらく相手にはこちらの姿が見えている。それならば、こちらから姿が見える場所にいるほうが対処もしやすいはずだ。 ピロテースは木の枝を握った右手を背中に隠し、聞こえてくる足音に集中した。硬い靴底と石造りの床が立てる音は次第に高くなり…… 姿を現したのは一人の少女だった。粗末な貫頭衣に身を包み、片手に短い木材を携えている。 奇妙なのはその額にいただかれた額冠。それには人の双眸を模した文様が彫りこまれており、まるで四つの瞳に見つめられているような錯覚に陥らされた。 「用件は?」 ピロテースはそれを睨み返して訊ねた。どうということもない少女に見える。だが、魔法の使い手である可能性もある以上、油断はできない。風の精霊力の働いていないこの場所で、〈沈黙〉の呪文は使えないのだから。 「限定的な協力関係の樹立と、情報の交換」 「名も明かさない者を信用するとでも?」 「思わないわ。 けれど、黒衣の将軍の身の安全を確保したいという点であなたと私は協調できるのではないかしら」 内心の動揺を悟られまいとするピロテースの努力を見透かしてか、少女はうすく笑んで後を続けた。 「もし、そうならば、この話はあなたにも益があるはず。 限定的な協力関係というのはね、六時間後、次の放送までに私が黒衣の将軍に出会ったら、 身の安全を確保してここに連れてきてあげようということ。 もちろん、あなたが私の用事をすませてくれるように約束してくれればの話だけれど」 少女はそこで再び言葉を切り、こちらの様子を窺ってきた。ピロテースが手で先を促すと、 うなずいて“用事”について語りだす。 「あなたは十叶詠子という少女について同じようにしてくれればいい。 『“祭祀”が“闇”について問いたがっている』と言えば通じるはずよ。 それと、火乃香という少女について。これは身柄を確保する必要はないわ。 現況について調べてくれればそれで十分」 “十叶詠子”という人物については空目から話を聞いている。彼の説明によれば、係わり合いになるのはかなり危険な手合いとのことだった。ならば、その身の安全を確保しようとする目の前の少女もまた、自分にとっては警戒すべき人物ではないのか? はたしてこの申し出、受けてよいものなのだろうか? 「……いいだろう。その二人の特徴について聞こう」 結局、疑念よりもアシュラムと合流できる可能性を少しでも増やしたいという思いが勝った。 少女の話に耳を傾け、その内容を記憶にとどめる。 こちらは一人であちらは二人。しかも、少女の言を信じるならば、アシュラムの身柄の確保はその元々の予定のうちにある。取引としては不利なようにも見えるが、積極的に動く必要が無いことを考えればさしたる問題にはならない。唯一、十叶詠子と実際に遇ってしまった場合を除いては。 「……次は、情報の交換といきましょうか。あなたの現在の仲間について――」 「それは断る」 「義理堅いこと。別に他意はない。彼らと私で争いになっては困るでしょう?」 拒絶の言葉に苦笑する少女に、ピロテースは鋭く告げた。 「信用していないと言ったはずだ。それとも、裏がないと証明できるとでも?」 「そうね。確かにそんなことはできない。 でも、あなたの返答の対価が、黒衣の将軍についての情報だとしたらいかが?」 「アシュラム様について知っているのか!?」 「おちつきなさい。それを聞きたければ、私の質問に答えるのが先よ」 ぎり、と音が鳴るほど奥歯を噛み締めて、ピロテースは怒気をはらんだ視線を少女に向けた。 一方の少女といえば、それをひるみもせず受け止めて、ただ冷ややかに見つめ返すばかり。 数秒か、数十秒か。張り詰めた空気の中で対峙し…… 「私、は――」 「言う必要はないわ。私の質問に答える気でも、そうでなくてもね」 沈黙を先に破ったのはピロテース。しかし、その言葉を遮り、少女は告げた。 「ごめんなさいね。 私の無礼、詫びたところで許せるものではないでしょうけれど、それでも謝らせてもらうわ。 先ほどの質問の答えは、あなたが言う必要があると思えるようになったときに聞かせてもらえればいい。 最後まで言わなくてもいい。その代わりに他の質問に答えてもらう。 藤堂志摩子、竜堂終、ダナティア。この三人の中に会った者はいる?」 ピロテースは深く息を吸き、吐いて呼吸を整えた。自分の忠誠や信義、誇りをもてあそばれたことに対する怒りは深く、容易にぬぐえるものではない。だが、それに身をゆだねたところで何の意味があるだろうか。今はまだ、相手に従って会話を続けるほかないのだ。 他の二人は知らないが、確かダナティアはサラの仲間だったはず。しかし、大雑把な特徴を聞いているだけで、会ったことは一度もない。 少女の意図はわからないが、そのまま答えても問題は無いだろう、とピロテースは判断した。 「いないな」 「なら、“魂砕き”の所在について心当たりは?」 心当たりがまったく無いというわけではないが、それを教えてやるつもりはピロテースには毛頭もない。即座に否と答えた。 「見たこともない?」 「あれは、アシュラム様の物だ。もし目にするようなことがあれば、なんとしてでも取り返している。 そんなことより、私はお前の質問に答えた。そろそろ、そちらの情報について話すべきではないのか?」 食い下がってきた少女にピロテースは怪訝なものを覚えたが、これ以上こちらを怒らせるつもりはないということか、苛立たしげにそう告げてやると今度はあっさりと引き下がった。 「その通りね。夜明け前のことよ……」 少女は語った。G-8の物見やぐら周辺で、一人の少年がアシュラムと遭遇したこととその顛末、そして、アシュラムの傍らにいた女のことを。 如何なる偶然か、その女の特徴に合致する者をピロテースは知っている。詠子やダナティア同様、直接会ったことがあるわけではなかったが、極め付けに危険な人物としてだ。 (せつらに会わなければならない理由が増えたな……) 彼ならこの情報を最大限に役立てることができるはずだ。今は、何よりもアシュラムの様子がおかしいことが気がかりだった。 その次は、城と、その周辺地域の状況についての情報交換が行われた。少女が、説明のために鞄から紙と鉛筆を取り出そうとしたとき、警戒したピロテースが棒杖を捨てさせるという一幕はあったが、それ以外は衝突も無く、ピロテースは城の内部に関する情報を得、代わりに地下道を南に進めば洞窟に出ること、城の周辺には現時点ではほとんど人がいないと考えられることをかいつまんで説明した。 そして…… 「私からの最後の質問だ。 赤い服を着た気の強い栗色の髪の女と、目つきとガラの悪い黒髪黒尽くめの男に出会ったことは?」 「残念ながらないわね。詳しく教えてもらえれば、連れてきてあげてもよいけれど?」 「無用だ。 言っておくが、私はこれ以上お前とは話したくない。 余計な世話を焼く暇があるなら、先に自分の最後の質問の内容でも考えるがいい」 「嫌われたものね」 肩をすくめてそう言うと、少女はなにやら考え込むようなそぶりを見せた。数秒の間そうしてから、手にした紙に鉛筆を走らせつつ口を開く。 「……魔力や、それに類する力に精通している者に心当たりは?」 放られた紙が床に落ちる前に、ピロテースはさっと左腕を伸ばしてそれを捕まえた。一瞬だけ少女から視線をはずし、流麗な書体で書かれたロードスの共通語の文に目を通す。 その目が、すうっ、と細くなった。 『管理者の耳から逃れることはできぬゆえご容赦を。この世界と、刻印について調べたい』 この島に解き放たれてからしばらく、頭にあったのは、いかにしてアシュラムの元にたどりつくかというただそれだけで、その後のことなど念頭に無かった。今思えばずいぶんと浅はかなことだ。 それに気づかせてくれたという点だけでも、“仲間”たちには感謝してよいだろう。 しかし、「この世界からの脱出方法を探す」と言ったゼルガディスは殺された。“異界”について言及した空目も、それによって刻印が無効化できる可能性を示唆したサラもだ。彼らは刻印やこの世界について何かをつかんでいたのかもしれない――サラや空目は自分たちの会話が筒抜けになっていると気づいていた節がある――が、最早何もできない。一方自分といえば、生きてはいるが刻印について何も打つ手はない。 ならば、――今もって目の前の少女を信用する気にはなれなかったが――なすべきことは一つだ。 木の枝が、石造りの床に落下して乾いた音を立てた。ピロテースはため息をついて右手を差し出し、少女がほうり投げた鉛筆を受け取ると、手にしたままの紙の余白に必要な事項について書き付けた。 「……私は会ったことはないが、先程の二人はかなり高度な魔法を操るらしい。 他にも、メフィストという男がいる」 ピロテースの手から離れた紙は、宙でくるりと一回転して少女の足元に滑り込んだ。 『刻印について調べているらしい』 ○ 霧が晴れた後も、変わらず城は静寂に満ちている。 その城門から、月明かりに照らされた草原へと一つの影が躍り出た。 森に入ろうというのか、影はすぐに道をそれて東へと走る。夜目の利く者ならば、その影が一人の少女であるとすぐに分かっただろうし、あるいはその額に奇妙な形をした冠を認めることができたかもしれない。 少女は森の縁にたどり着くと、そのまま奥へと進んでいく。その姿は木々に隠れ、たちまちのうちに見えなくなってしまった。 行動を再開してから最初に出会った参加者が、アシュラム配下のダークエルフとは運が良かった。 こちらは相手の手の内を知っているし、取引材料もある。おまけに、行動を共にしている者もいる様子で交渉相手としては申し分なかった。 もっとも、必要な情報が不足なく得られたというわけではない。魔法の使い手であるという二人の名までは聞き出すことができなかったし、メフィストについても、外見的な特徴について教えてもらった程度にすぎない。“仲間”についても最後までしゃべらなかった。 “刻印”を餌にちらつかせてもこの程度。ずいぶんと嫌われてしまったようだが、提供された情報に嘘はない――あったとしても、あらかじめ唱えておいた呪文の効果によってすぐにそれと気づいたはずだ。 例外と言えば“魂砕き”についてだが、あの魔剣の威力を知る者ならば当然の反応といえばそのとおりで、気にするほどではないだろう。少なくとも、こちらを積極的に騙す気はなさそうだった。今後も情報交換の相手として期待できるかもしれない。 いずれにせよ、あの様子なら黒衣の将軍と刻印のどちらか、あるいはその両方の情報を求めて、次の放送の時には再び城の地下に姿を現すだろう。その時に、こちらの頼みを果たしてくれていることを祈るばかりだ。 【G-4/城の地下/1日目・18 35】 【ピロテース】 [状態]:多少の疲労と気力の消耗 (魔法の使用については上級のなら一回、初級のものでもあと数回が限度)。 [装備]:木の枝(長さ50cm程) [道具]:蠱蛻衫(コセイサン)(出典@十二国記) 支給品2セット(地下ルートが書かれた地図、パン10食分、水3000ml+300ml) アメリアの腕輪とアクセサリー [思考]:アシュラムに会う。邪魔する者は殺す。再会後の行動はアシュラムに依存。 武器が欲しい。G-5に落ちている支給品の回収。 (中身のうち、水・食料品と咒式具はデイパックの片方とともに17 00頃にギギナにより回収) もうしばらく待っても誰も来なければ、単独行動を始める。 [備考]:クエロを強く警戒。刻印に盗聴機能があるらしいことは知っている。 【G-4/城の地下/1日目・18 40】 【福沢祐巳(カーラ)】 [状態]:食鬼人化、あと40分の間、耳にした嘘を看破する呪文(センス・ライ)の効果が持続。 [装備]:サークレット、貫頭衣姿、魔法のワンド [道具]:ロザリオ、デイパック(支給品入り/食料減) [思考]:フォーセリアに影響を及ぼしそうな者を一人残らず潰す計画を立て、 (現在の目標:火乃香、黒幕『神野陰之』) そのために必要な人員(十叶詠子 他)、物品(“魂砕き”)を捜索・確保する。 [備考]:黒幕の存在を知る。刻印に盗聴機能があるらしいことは知っているが特に調べてはいない。 2007/02/03 修正スレ288 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第498話 第499話 第500話 第519話 時系列順 第500話 第462話 福沢祐巳 第566話 第484話 ピロテース - 第462話 カーラ 第566話
https://w.atwiki.jp/maid_kikaku/pages/513.html
(投稿者:神父) MAIDの一般的な衣装、すなわちメード服というものはおよそ山歩きには向かない代物である。 冗長な裾を持っている上に無益な飾り布が配されており、常識的なセンスの持ち主であればこんなものを兵士に着せようなどとは決して思うまい。 しかしながらそれを実行したのがEARTHであり、各国の軍部であり、また現場のMAID指揮官でもあった。 ウェンディはこの日数十度目となる、薮に引っかかったライラの衣装を解く作業を終えながら、 彼らはGと戦っているうちに正常な判断ができなくなったのだろうと結論した。 人間とは不条理な生き物である。その人間が営む世の中が不条理でないはずがない。 ライラはというと、もはや文句を言う元気すらもないのか、むっとした顔で「まだ進むの?」と尋ねた。 山脈に入ったばかりのうちは薮に引っかかるたびにはしゃいで「取って取ってー」などと言っていたものだが。 彼女は答えた。 「あの爆発について調べる事が先決です。それに、多少眠らなくても私たちの活動に支障はありません」 「大丈夫って言ったって、眠いんだもん……」 「あなたはあの光を見ても何も思わなかったと? 結構、では置いていきましょう。明朝には眠ったままGに食い荒らされたあなたの亡骸が―――」 「やだ! 行く、ついてく! 置いてかないで!」 「……」 気色ばんで飛び上がったライラを見て、ウェンディは表情を変えず、しかし内心でほくそ笑んだ。 まったく単純極まる、子供の思考だ。こんな簡単な脅しにすら引っかかるとは。このあたりは地上型のGが少ないのだ。 ……とはいえウェンディ自身も、老練な人間の前には容易く引っかけられてしまうのだが。 元はと言えば、今現在この山奥を歩き回っているのも老練な大隊長に引っかけられたからに他ならない。 偵察機を飛ばすよりも安上がりで安全、おまけにGを多少なりとも減らせるとなれば、手の空いているMAIDを使うに決まっている。 「……でももう夜の三時だよ。何か見つかるの? ライラなんにも見えないよ」 「人の持ち物に勝手に触ってはいけません」 いつの間にか懐中時計を握っていたライラの手を軽く叩き、ウェンディは時計を取り返した。 とはいえ夜中の三時では大したものは見つかるまい。MAIDとてそれほど夜目が利くわけではないからだ。 「しかし確かに、そろそろ野宿した方が良さそうですね。あたりから薪に使える枯れ木を拾ってきなさい。あまり離れないように」 「はーい」 ライラがぱたぱたと駆け出してゆく。 その背中に「足元にも気をつけなさい」と忠告を追加し、ウェンディは適当な木を見繕って防水布を張り渡す作業にかかった。 ……そして数分後、ウェンディが聞いたのは駆け戻るライラの足音でもなければ薮にかかって助けを求める声でもなく、 何かが樹冠を突き破って落ちてくる音とライラの「え、G!?」という声、さらにはエクレア砲の爆発的な咆哮であった。 樹林は扇状に焼き払われ、弧の軸にはライラが、そして焼かれた炭と灰の中には一人の人間らしきものが横たわっていた。 放心状態のライラはいまだ状況を把握していなかったが、ともかく己の身を守っていた。 「……」 「何をしているんです!」 珍しくも血相を変えたウェンディがFM24-29軽機とサーベルを携えて飛んできた。 慌ててはいるが訓練の成果までは忘れていないらしく、軽機を構えた右手にサーベルを逆手に握った左手を添えている。 出会いがしらにエクレア砲で砲撃するなど尋常ではない。いったい何が起こったのかと彼女は心配していた。 転がっている人型に銃を向けたまま、ぼんやりと突っ立っているライラを揺すぶって事情説明を求める。 「ライラ、何をしたんです? あの人は何です?」 「へ? ……あ、うーん、えーと、さっき何かが落ちてきて、Gみたいなにおいがしたから撃っちゃった」 「……撃っちゃった、ですって?」 「うん。だって本当にGのにおいがしたんだもん。……でも、あれ、なんか人間みたいに見えるね」 「……」 ウェンディは嘆息した。戦闘の基本は彼我の把握だ。それができない兵士は役に立たないどころか危険ですらある。 ライラにはまだ教育が足りない、と心に銘記しつつ、ウェンディは横たわる人型へと慎重に歩を進めた。 焼け焦げたためかあるいは元からその色なのか、人型は真っ黒な衣服に身を包み、その背中からは化石じみた骨翼が突き出している。 左手の近くには何やら機能は不明ながら武器のようなものも転がっていた。 ウェンディは軽機の照準を正体不明の人型の頭部に定めたまま、声をかけた。 「そこのあなた、息はありますか?」 「……」 頭の近くの灰が軽く舞った。息はあるようだ。 「もしもし?」 「……うう」 身体の上から灰やら燃え殻やらを振り落としながら、人型が身を起こした。 灰の下からゆるやかにウェーヴする金髪が現れ、ウェンディはようやくそれが女性らしいという事に気がついた。 相変わらず正体不明の女性は激しく咳き込み、呆然と周囲を見回している。 「一体、何が……」 「そこのあなた」 「けほっ……はっ、はい!」 ウェンディが取っておきの冷たい声を出すと、女性は座ったまま飛び上がった。背筋は針金を入れられたかのように真っ直ぐになっている。 主導権は握った。しかし「所属と姓名を」と言いかけたところで微風が吹き、その女性が風上になった。 「!」 ライラの言った通りだった。Gのにおい―――すなわち瘴気である。 ほとんど反射的に、かつ一瞬の内にウェンディは三歩分の距離を詰め、女性の額に軽機の銃口を押し付けていた。 無論、サーベルも首筋に添えられている。 当の女性は、何が起こったかわからないという顔で彼女の顔を見つめていた。 「あのう、これは……あなたたちは一体……」 「口を閉じなさい! 私の質問に答える以外には喋らないように!」 「……」 「ライラ、いつでも撃てるように構えておきなさい」 「え? あ、うん、わかった」 「……」 奇妙な事に、その女性は目の前に突きつけられた三つの死にもほとんど動揺を示さなかった。 ウェンディは銃爪をしっかりと保持したまま、低く脅しつけるように尋ねた。 「あなたの所属と姓名を言いなさい」 「……エントリヒ帝国皇室親衛隊所属MAID……サバテ、です」 「SS所属のサバテ? 聞いた事のない名前ですね」 「特務親衛隊所属ですので……」 がつんと音を立て、額を銃口が突いた。サバテと名乗った女性は小さく呻き、よろめいた。 だが彼女には額を手で押さえる事すら許されなかった。ウェンディが身振りで制したのだ。 「最初からすべて正直に言うように!」 「うっ、うう……はい……わかりました……」 「その身分を証明するものはお持ちですか?」 「……ありません、ごめんなさい……」 MAIDはすべからくその身分を証明する書類の携帯を義務付けられる―――通常兵器に添付される所属証明と同様に。 しかしサバテは任務の都合上、書類や徽章類をすべて取り上げられていたのだ。当然ながら、これは戦闘法規に違反する。 「あなた、人間に擬態できるG―――プロトファスマが出没しているという事はご存知ですか?」 「え? あ、はい、ハインツさんからそういうGもいるらしいという事は聞いています……あ、ハインツさんというのは私の、」 「余計な事は言わなくて結構!」 再び銃口が彼女の顔を虐げた。軽機とて重量は十キロ近くに達する……サバテは悲鳴を上げて灰の中に倒れ込んだ。 その胸元へ軽機の銃口とサーベルの切っ先が同時に突きつけられる。 「なっ、何す……けほっ、こほっ!」 「その禍々しい骨翼! 発散される瘴気! さらにあなたの身分保証はどこにもない!」 「な―――何を言って……」 「面白いものですね、追い詰められた犯人というものは共通してその逃げ口上を言う」 「ち、違います! これは瘴炉と言って、帝国が開発した―――」 「苦し紛れにしてもお粗末な嘘ですこと」 ウェンディは冷ややかにサバテを見下ろした。この七年間、瘴炉などというものは聞いた事もない。 その視線に心を折られたのか、サバテはうなだれ、やがてぽつりと言った。 「私を、殺すのですか……?」 「あなたがプロトファスマであった場合、放っておけば私達二人が殺されます。 あなたがMAIDであった場合、あなたを殺しても死ぬのは一人で済みます。いずれにせよ殺した方が理に適うでしょう」 「……」 「言い残す事は?」 「これを……」 サバテが灰の上に片方の肘を突いたままの姿勢でポケットに手を入れ、砕けたコアの欠片と壊れた懐中時計を取り出した。 それを見たウェンディが驚きに眉を軽く跳ね上げた。 「それは?」 「私のせいで死んでしまったMAIDと、私の生みの親の……形見です。これを、SSのオスカー・マガト技術中佐にお願いします。 それから……私の教育担当官の、ハインツ・ヘルメスベルガー中尉にもよろしくお伝えください」 「……」 ウェンディはためらった。欠片とはいえ、プロトファスマがエターナルコアを見逃すとは考えにくい。 それにオスカー・マガトの名はでたらめではなく、ウェンディ自身も知っている名であった。 しかしオスカーを知っている人間、あるいはMAIDはそれほど多いわけではない。 「ねえ」 両腕を前に出した姿勢を続け、退屈しきったライラが口を挟んだ。 ウェンディは油断なく軽機をサバテへと向けたまま答えた。 「何です?」 「ライラ、サバテの事知ってるよ」 「……なんですって?」 「本当だよ、兵隊さんがライラに怖い話をした時に聞いたもん。エントリヒにサバテっていう悪魔みたいなMAIDがいるって。 そのMAIDはGを相手にしてるんじゃなくて、悪い人のところにやってきて地獄へさらっていくんだ、って」 「……サバテ」 「は……はい、なんでしょうか」 「今の話は本当かしら?」 「えと、あの、確かに私は対G任務を遂行する事はほとんどありません。つまり、その、……暗殺を専門に……」 「……」 ウェンディは心底疑わしげにサバテを見つめた。……無理からぬ事ではある。 どこからどう見ても暗殺者の顔ではないし、暗殺者の態度でもない。 実際に暗殺を専門としているのはハインツであり、サバテ自身は最初の一度で殺人を放棄してしまったからだ。 「では、もう一度聞きましょうか。その骨翼と瘴気は何故?」 「はあ……これは瘴炉と言って、瘴気をこの翼から吸収して溜め込み、エネルギーに転換するものです。 ただ、この翼に瘴気が染み付いてしまうのと、私自身の身体からも変質した瘴気がにじみ出てくるんだそうです。 私にはよくわかりませんでしたけど、便利な使い道が色々あるんだとか、ブルクハルトさんが……」 そこまで言って、サバテは手の中の懐中時計とコアの欠片に目を落とした。 「ブルクハルトさん……エヴナさん……私のせいで……」 ウェンディの目の前でサバテは涙をこぼし始め、形見を守るように身体を丸めて嗚咽した。 困惑し、どうすべきか判然としなくなったウェンディに、珍しくライラが適確な一言を放った。 「とりあえず、寝ようよ」 落涙する女性を前にして、実に冷淡かつ残酷な言葉である。しかし子供とは常に残酷なものだ。 そして、不条理に抗すべき手立てはまず放擲なのである。 人間は不条理な生き物である。であれば、人間から生み出されたMAIDが不条理でないはずがあろうか。 ……無論、彼女らにはそれを知る由もなかったが。 毛布に余りはなく、ライラが強情を張ったためにウェンディとサバテが一つの毛布を分け合う事になった。 ライラは焚き火と毛布が提供する快適な温度で瞬く間に眠り込み、一方ウェンディとサバテは遠慮がちに毛布の両端に包まり、火を見つめていた。 最初は驚いたが瘴気もそれほどひどく染み付いているわけではなく、風向きによっては不快だという程度のものだった。 変質瘴気についてはウェンディにはわからなかったが、それほど気になるものではあるまいと考えていた。 化石したかのようにじっとして動かなかったサバテが、ぽつりと口を開いた。 「……ウェンディさん」 「何です?」 「人を殺した事、ありますか」 「……」 ウェンディは横目でサバテを見た。焚き火に照らされた顔からは表情が抜け落ち、目はどこを見ているとも知れなかった。 「……私の知る限りでは、ありません。私の参加した戦闘で死者が出た、という事は何度もありましたけれど」 「そうですか……」 再びサバテは黙り込み、なにがしかの考えにふけり始めた。 ウェンディが聞いたところによると、まだ生まれてから二ヶ月かそこらにしかならないという……ライラもひどく驚いていた。 精神が未成熟の状態で暗殺を手がけさせるなどとは、にわかには信じがたい事だった。 そもそもGと戦って人類の盾となるべきMAIDが暗殺を専門にするという事からして異常だ。 「サバテ」 「……はい」 「あなたの持っていたコアと時計……彼らに何があったのです?」 「……ええと」 「言いにくい事ですか」 「……はい、できれば」 「ふむ……では、あなたが彼らの死に責任を感じている理由は何です?」 「私が身勝手な行いをして、それが直接の原因となって、皆……」 「あなたは、命令違反を?」 「はい……帰れば、きっと処刑されてコアを摘出されるでしょう。あるいは……」 永爆に、と口に出すのをすんでのところで押し止め、サバテは口を閉じた。 ウェンディは眉をひそめて考えていたが、やがて諦めたように言った。 「……そこまで行くと、私にはどうしようもない事のようですね」 「あのう、もしかして、私を助けようと……?」 「私とて、Gと誤認してあなたに無用な暴力を振るった事を引け目に感じていないわけではありません。 本来ならばあなたが処刑されようとなんだろうと私の知った事ではありませんが、借りは返さなければなりませんから」 ウェンディはそっぽを向いて顔色を読まれないようにしていたが、サバテはその言葉に問答無用で飛びついてきた。 目に涙を浮かべつつウェンディに抱きつき、制止する間もなく胸元に彼女の顔を押し込む。 「あ……ありがとうございます、きっと忘れません」 「―――! ……!」 いつぞやのジークフリートの時とまったく同じパターンである。 しかし不幸にしてウェンディは対策を知るべくもなかった上、毛布の中では回避する余地などなかった。 ……妖しげな芳香に包まれ、疲れきっていた彼女は暖かな感触の誘うまま、眠りへと落ちていった。 冥途回廊 BACK NEXT