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056 すれ違い ◆w9XRhrM3HU 「さて、少し遊びすぎたか」 珍しくエスデスは焦っていた。 アヴドゥルとの約束。協力者を集め、コンサートホールへと再合流という話だったが、まるで協力者が集まらない。 期限は既に三時間を切った。これでアヴドゥルが協力者を引き連れる中、エスデスだけ手ぶらとは示しがつかないだろう。 ほむらや光弾を撃ってきた男を見るに、勧誘の仕方に問題があるのだろうか。 とにかく、人と会わねば勧誘も何もない。早足ながら、西側のエリアを散策していく。 「二人か」 数分後、念願の参加者を見つけた。大男と小柄な少女の二人組みだ。 「そこの二人」 可能な限り、殺意を消して近づく。声も抑え気味にして威圧感をなくす。 ほむらのようにまた逃げられては、面白くはあるが面倒でもある。 刺激しないように気を使う。 それでも二人組みはエスデスを見た瞬間、明らかに警戒している様子を見せてくる。 (やはり慣れんな。こういうのは) エスデス自身気に入った兵士をスカウトすることもあるが、基本的に国がエスデスの申請を受け人材を集めていた。 その為あまり気にしていなかったが、今までの勧誘方法では余程の物好きか、調教でもされなければ着いてくる者などそうはいないだろう。 (国の支援がないというのも中々に面倒だ。 その手の交渉が上手い協力者も手元に置くべきか? ランが居れば話は早かったが、居ないものは仕方ない。 調教は……少なくとも今は時間がないしな) 調教は手っ取り早く、エスデス本人も楽しめる一石二鳥の方法だが、如何せん時間が掛かる。 弱ければ数秒で心を折る自身はあるが、そもそもそんな雑魚はこっちから願い下げだ。 今は選択肢に入れることは出来ない 「何のようだ?」 「そう、殺気立つな。私は協力者を探している」 「協力者?」 ほむらよりも若干警戒の意識は薄い。言葉を選んで話せばそう逃げられることもないだろう。 エスデスは柄にもなく、刺激の少ない言葉を使い会話を進めていく。 「……なるほどな。DIOを倒す為に人を集めていると」 「そうだ。それに承太郎、お前の仲間のアヴドゥルもコンサートホールに来る。 私に着く価値はあるんじゃないか?」 二人組の名。 エスデスは、承太郎とまどかの名前を引き出すところまで話を穏便に済ませられた。 あとはエスデスに着いてくるよう話を纏めるのみだが、承太郎は怪訝そうにエスデスを見つめ指を二本立てた。 「……二つだ。二つ、気になることがあるぜ。エスデス?」 「何だ?」 「お前の口ぶりじゃ、アヴドゥルとは友好だと話してやがったが、その服の端の焼き焦げた跡は、とても仲が良いとは思えねえ。 まるで戦闘の後じゃあねえか?」 「? ……ほう」 エスデスはアヴドゥルとほむらとの交戦に関しては省いて説明していた。 理由は、面倒ないざこざを避ける為だ。約束の期限がなければ、わざと挑発して遊ぶのも悪くはなかったが。 「二つ目だ。炎の焼き跡だけじゃあねえ、その掠ったような服の破れた跡。そいつも戦闘跡だな? しかも、アヴドゥルのスタンドじゃあそうはならねえ。誰か別の奴とやり合った事になる。 説明してもらおうか? 子供の頃『刑事コロンボ』好きだったせいか、細かい事があると夜も眠れねえ」 「フッ、面白い。良い洞察力だ」 指摘されたとおり、見れば僅かに服が破けていた。 花京院のエメラルドスプラッシュを防いだエスデスだが、僅かに服に掠ってしまったのだろう。 笑いながらエスデスはアヴドゥル、ほむら、光弾を撃った奴こと花京院との戦闘を事細かく話した。 まどかはほむらの心配をし、承太郎は困惑した様子を見せる。 「じゃあ、ほむらちゃんはその方向に」 「ああ、今から行けば間に合うかも知れんな」 まどかの顔つきが変わる。 ほむらが近くに居る安堵感と、同時に危ない花京院が居ると言う不安感。 両者がせめぎ合い。まどかに焦りを感じさせる。 (どういうことだ……? エスデスから聞いた花京院は、まるでほむらって奴を守ったようにしか見えん) 承太郎は最初、まどかを襲ったのは花京院だとばかり思っていた。 あの対決前の花京院だと。 しかしエスデスが言ったほむらを助けた光弾を撃った奴というのは、明らかに花京院。花京院のエメラルドスプラッシュだ。 それでは、話が合わない。花京院は殺し合いに乗っているのではないのか? 何故、ほむらを助ける。まどかが嘘をついた? だが、考えればDIOが近くに居ないのは確実で、肉の眼を埋められるはずがない。これは星型の痣が反応しないことから事実だ あるいはDIO以外に洗脳されたとも考えられるが、それにしても殺し合いが始まってから即花京院を洗脳し、まどかを襲わせたというのも急すぎる。 花京院は決して弱くない。負けることがあっても、手間と時間は掛かるはず。 「…………偽者か?」 かつて、ラバーソールというスタンド使いの敵が居た。 奴はそのスタンド『黄の節制(イエローテンパランス)』 を使い花京院に化けていた。 花京院のスタンド、ハイエロファントグリーンまで模倣するほどだ。 この場においても、似たような能力の使い手が居てもおかしくない。むしろ偽者であったほうが全ての辻褄が合う。 「偽者なら私にも心当たりがあるな。帝具……まあ特別な力を持ったアイテムだが、その中にあらゆる容姿に化けられる物が存在する」 この一言が承太郎の思考を完全に固めてしまった。 まどかを殺害を目論んだのは偽花京院であり、ほむらを助けたのは本物の花京院だと。 「私、ほむらちゃんに会いたい。承太郎さん……」 「ならまどか、私と一緒にほむらを迎えに行かないか?」 承太郎が答えるより早く、エスデスが口を開く。 「私も、ほむらを怯えさせた事は悪いと思っている。だから謝罪したいんだ。 まどかが来てくれると私も助かる」 「エスデスさん……」 「勝手なお願いかもしれないが……」 「おい待ちな。そんな言葉、信用できると思ってるのか?」 承太郎はエスデスを完全には信用しきってはいない。 殺し合いに乗っている訳ではないが、それに近いスタンス。そう考えている。 だからこそ、唐突に謝罪がどうこうなど言われても信じられるはずがない。 だが、まどかは違う。謝りたいというのなら、その意思を尊重すべきとそう考える。 既にエスデスへの警戒はなく、最初に警戒していた反動か信じきってしまっていた。 「何なら承太郎、お前も来れば良いだろう?」 エスデスの提案を受け、承太郎はすぐに言葉を返せない。 確かにエスデスが信用できず、まどかと行動させたくないのなら承太郎が同行すれば良い。 本物の可能性が高い花京院とも合流できる。 そうは分かっているが、承太郎は偽花京院が気になっていた。 もし偽花京院が誰かを殺害し、その因縁が本物に降りかかってしまえばどうなる? 無意味な殺し合いへと発展し傷つけ合うだけだ。 その前に承太郎は、偽花京院を倒しておきたいという思いが強い。 「承太郎さん、偽者の花京院さんを止めたいんですよね? なら、承太郎さんは自分の向かいたい方へ行って下さい!」 「まどか……」 承太郎の心を読んでいるかのように、的確にまどかは図星を突いてくる。 「その、承太郎さんはエスデスさんを疑っているのかもしれませんけど。私はエスデスさんは悪い人じゃないと思います。 だから、無理にとは言いませんけど、私を信じてくれませんか?」 まどかが笑顔を浮かべる。その笑みには人を安心させる不思議な魅力があるように承太郎には感じられた。 「……分かった。そっちはお前に任せるぜ。だが、万が一のこともある。一応そっちの花京院も警戒しろ」 「はい! 分かりました」 まどかも守られるだけの存在じゃない。自分の意思で行動し動く立派な一人だ。 ならば、自分が付きっきりで守るのは過保護というもの。 互いの目的があり、その方向が反れてしまうのであれば別かれるのが道理だ。 不安もない訳でもないが、向こうの花京院は本物の可能性は高い。もし合流できれば、承太郎の不安も消えるだろう。 エスデスも再度合流すると約束したのだ。まどかにそう妙な真似はしないはず そこまで考え、まどかを一人の対等な人間として接し、そして承太郎は答えを出した。 「そうか、お前は来ないのか承太郎」 「武器庫の方を回り、偽花京院を探す。その後で一応コンサートホールには顔を出す」 本物の花京院が北の方角に行ったのなら偽者は鉢合わせを避け、逆の方角へ行くはず。 承太郎はそう検討を付ける。 「承太郎さん、必ず花京院さんを連れてコンサートホールに行きます」 「ああ」 こうして彼らは袂を別ち、別の道を行く。 (まどか、か。中々面白い拾い物をしたな) エスデスはほくそ笑む。ほむらの友人らしいまどか。 ほむらを炙り出すのにこれ以上適した存在は居ないだろう。 謝罪がしたいだのと嘘を言っただけの甲斐はある。 百の氷より一人の声のほうがあの少女には効くかも知れない。 (約束の期限までにも、まだ少し時間はある。また、あの森に寄る時間くらいあるだろう) 上手くやればほむらを引きずり出し、協力者としてコンサートホールに連れて行けるかもしれない。 いや、そうでなくてもそれはそれで面白い。 アヴドゥルとの約束もあるが、まどかが居れば逃げる真似もせず手間もなく済むはずだ。それでも時間が掛かるようなら仕方ない。 大人しく、まどかを連れてコンサートホールに戻ればいい。 (待ってて、ほむらちゃん) まどかは決意を新たにほむらの元へ向かう。 自分の大事な親友と会うために。 承太郎は気付かない。花京院の偽者など存在しない事に。 時間を遡り、参加者が呼ばれていることなど考えもしていない。 もしも、時を止め時間を操るという概念に触れていれば、あるいはそれも考え付いたのかもしれない。 しかしこの承太郎は正史から外れ、本来目覚めるはずの力はまだ覚める様子はない。 その事実に気付くのは何時になるのか、あるいは気付かないまま彼の物語が終わってしまうのか。 月は消え、日が昇り始める。 彼らの行く末を照らすのは光かそれとも。 【B-2/1日目/早朝】 【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】 [状態]:疲労(中) 、精神的疲労(小)、 [装備]:なし [道具]:デイパック、基本支給品、手榴弾×2 [思考・行動] 基本方針:主催者とDIOを倒す。 1:武器庫の方を回り、偽者の花京院が居れば探し倒す。DIOの館に関しては今は保留。 2:情報収集をする。 3:魔法少女やそれに近い存在を警戒。 4:二時間後にコンサートホールに行く。 5:後藤を警戒。 【備考】 ※参戦時期はDIOの館突入前。 ※後藤を怪物だと認識しています。 ※会場が浮かんでいることを知りました。 ※魔法少女の魔女化以外の性質と、魔女について知りました。 ※まどかの仲間である魔法少女4人の名前と特徴を把握しました。 ※まどかを襲撃した花京院は対決前の『彼』だとほぼ確信していましたが、今は偽者の存在を考えています。 【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:ソウルジェム(穢れ:中~大) 、花京院に対する恐怖(小~中) [装備]:見滝原中学の制服 中指に嵌められたソウルジェム(指輪形態) [道具]:手榴弾×2 [思考・行動] 基本方針:ゲームに乗らない。みんなで脱出する。 0:エスデスと共にほむらの元へ向かう。念のため本物の花京院(と思ってる)も軽く警戒。 1:魔法少女達に協力を求める。悪事を働いているなら説得するなどして止めさせる。 2:ほむらと会えたら色々と話を聞いてみたい。 3:状況が許すなら魔力を節約したい。グリーフシード入手は期待していない。 4:ほむらの謝りたいと思ってるエスデスの手助けをしてあげたい。 【備考】 ※参戦時期は過去編における平行世界からです。3周目でさやかが魔女化する前。 ※魔力の素質は因果により会場にいる魔法少女の中では一番です。素質が一番≠最強です。 ※魔女化の危険は在りますが、適宜穢れを浄化すれば問題ありません。 ※『このラクガキを見て うしろをふり向いた時 おまえは 死ぬ』と書かれたハンカチは何処かに落ちています。 ※花京院の法王の緑の特徴を把握しました。スタンド能力の基本的な知識を取得しました。 ※承太郎の仲間(ジョースター一行)とDIOの名前とおおまかな特徴を把握しました。 ※偽者の花京院が居ると認識しました。 【エスデス@アカメが斬る!】 [状態]:高揚感 疲労(小) [装備]: [道具]:デイパック、基本支給品、不明支給品1~3 [思考] 基本:殺し合いを愉しんだ後に広川を殺す。 0:協力者を集め六時間後にコンサートホールへ向かう。 1:その後DIOの館へ攻め込む。 2:殺し合いを愉しむために積極的に交戦を行う。殺してしまったら仕方無い。 3:タツミに逢いたい。 4:時間もまだ少しあるのでまどかを連れもう一度ほむらの元へ行ってみる。 [備考] ※参戦時期はセリュー死亡以前のどこかから。 ※奥の手『摩訶鉢特摩』は本人曰く「一日に一度が限界」です。 ※アブドゥルの知り合い(ジョースター一行)の名前を把握しました。 ※DIOに興味を抱いています。 ※暁美ほむらに興味を抱いています。 ※暁美ほむらが時を止めれる事を知りました。 ※自分にかけられている制限に気付きました。 時系列順で読む Back 殺戮者の晩餐 Next 人形は真実を語らない 投下順で読む Back エンブリヲの後の静けさ Next 隠者と、魔法少女と、風紀委員と 047 笑う女王と嗤う法皇 エスデス 081 曇天 043 わたしが、心を決める時 空条承太郎 鹿目まどか
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++第一話 僕は使い魔①++ 「あんた誰?」 突然目の前に現れた少女はそう言った。 「ぼくは……花京院……典明だ」 答えながら花京院典明は記憶を探った。 ここはどこだ? 彼女は誰だ? それに……ぼくは何で生きている? エジプトのカイロで、ぼくは死んだはずだ。『世界(ザ・ワールド)』というスタンドを操り、自在に時を止めることのできるDIOに殺されたはずだ。 承太郎は? ジョースターさんは? ポルナレフは? ……みんな生きているのか? ふらつく身体に鞭を打って叩き起こす。 周囲を見てみるが、視界の全体が黒っぽくなっている。 顔を抑えてみると、サングラスが掛かっていた。どうやら黒みがかっているのはそのせいらしい。 外して、見回してみる。 目の前にはきれいなピンクのブロンドの少女、周囲には日本人ではない少年少女たちが大勢並んでいる、広がる景色は草原。どこを見てもエジプトとは結びつかない。 「君、すまないがここがどこか教えてくれないか」 「あんた、どこの平民?」 つっけんどんな態度で、少女は逆に質問してきた。 その態度に少し反感を覚えるが、堪えた。 「平民ってどういうことだ?」 「あんた平民でしょ。貴族にそんな口聞いて言いと思ってるわけ?」 「貴族?」 聞いたことはあるが、めったに使わないその言葉に花京院は首を傾げる。 「そう。私は貴族、あんたは平民。こうやって口を聞くことさえありえない関係なのよ」 尊大そうな態度で腰に手を当て、少女は花京院を睨みつけた。身長差があるゆえ、自然と見上げる形になる。 威圧しているようだが、少女が子供っぽいせいか効果は薄い。 花京院がなんと言うべきか迷ったその時、 「ミス・ヴァリエール。そろそろ『コントラクト・サーヴァント』にかかりなさい。これ以上時間は掛けられない。次の授業が始まってしまう」 人垣の中から一人の中年男性が現れた。黒いローブを着て、大きな杖を片手に下げている。頭は眩しいほどに輝いていた。 「で、でも、ミスタ・コルベール。平民を使い魔にするなんて聞いたことありません」 「確かに古今東西人を使い魔にした事例はないが、春の使い魔召喚は神聖な儀式だ。呼び出した使い魔を変更することはできない」 「そんな……」 少女はまだ文句を言おうと口を開くが、そこから言葉は出ない。どんなことを言っても、コルベールを説得できないと思ったのだろう。 その様子を見ていたコルベールは少女の肩に手を置くと、花京院の方を向かせた。 「では、儀式を続けなさい」 「…………はい」 しぶしぶながら、といった様子で少女は花京院の目の前に立った。 「あ、あんた、感謝しなさいよね。平民が貴族にこんなことされるなんて、普通一生ないんだから」 きれいな声で少女は呪文を唱えた。 突然、すっと花京院の額に杖を置くと、少女は距離を詰めてきた。 困惑して花京院は一歩下がろうとするが、 「いいからじっとしてなさい」 怒ったように少女が言うので立ち止まる。 少女はものすごく緊張しているらしく、杖を握った手が白くなっていた。 一旦少女は視線を落とすと、再び上げた。その目には決意がみなぎっている。 そして、背伸びするような形で、少女は花京院と唇を重ねた。 「な……!」 あまりの不意打ちに、花京院は飛びのいてしまった。 何をするんだ? 一体、どういうことだ……? 花京院の動揺を無視して、少女はコルベールの方を向いた。 「終わりました」 「うむ。『コントラクト・サーヴァント』は成功のようだ」 満足そうに頷いて、コルベールは花京院を見た。 次の瞬間、身体に激痛が走った。 「ぐうぅ……!」 息が止まりそうなほど痛い。左手の甲が焼け付くようだ。 焼きゴテを直に当てられているかのようなその痛みで、気が遠くなってきた。 気力を振り絞り、花京院は耐えた。 しばらくすると痛みはやわらぎ、やがて完全に治まった。 おそるおそる左手に目をやると、そこには古代文字らしきものが刻まれていた。擦ってみるが、にじむことも薄れることもない。 「珍しいルーンだな」 いつの間にか側に立っていたコルベールが言った。 花京院は後ろに下がり、声を荒げた。 「なんなんだあなた達は!」 「さて、じゃあ皆教室に戻るぞ」 くるりと背を向けると、コルベールは宙に浮いた。 あまりに自然な動きだったので、一瞬その異常さに気付かなかった。すぐにそのことに気付いた花京院は口をあんぐりと開けて、その様子を見つめた。 と、飛んだ? 糸を仕掛けるしても天井が無いから無理だろうし、スタンドの姿もない。一体、どうやって……? 周りを囲んでいた他の生徒たちも一斉に浮き上がった。 ありえない。一人ならなんとか説明はつけられても、こんな全員が一度に浮くなんてありえるはずがない。 浮いた生徒たちは滑らかな動きで、遠くにある城のような石造りの建物の方へと飛んでいった。 「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」 「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」 「その平民、あんたの使い魔にお似合いよ!」 口々にそう言って、笑いながら飛び去っていく。 草原に残ったのはルイズと呼ばれた少女と花京院だけになった。 二人っきりになると、ルイズはまずため息をついた。それから花京院の方を向き、目じりを吊り上げた。 「あんた、なんなのよ!」 「それは僕のセリフだ。君たちは一体なんなんだ? それに、さっき空を飛んでいた。あれは何だ? 手品なのか?」 「ったく、どこの田舎から来たかしらないけど、説明してあげる」 頭痛がするのか、ルイズはこめかみに指を当てながら説明した。 ここはトリステイン魔法学院であるということ。 貴族とは魔法を使えるもののことを指すこと。 この世界にはドラゴンやグリフォンやマンティコアなどがいること。 そして、自分はルイズに召喚され、使い魔になったということ。 どれも突拍子もない話で、簡単には信じることができなかった。 「冗談だろう?」 「あんた相当田舎から来たみたいね」 心底呆れ果てたように、ルイズは首を振る。 空を飛んだ人たちを見たとはいえ、それが全て本当のことだとは思えなかった。半分は信じても、疑いが半分残っている。 「信じるも信じないもあんたの勝手だけど、とりあえず戻るわよ」 二人は石造りの建物に向かって歩き出した……。 To be continued?→
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カラチから船でペルシャ湾を渡り、アラブ首長国連邦のアブダビに辿り着いた一行。 ※2日経過 セスナを手に入れるためにまずはラクダで砂漠を越え、ヤプリーンへ向かう事にした。 【<<カラチ】:砂漠:【紅海付近の小島>>】 ショップデータ イベント 敵データ 隠し要素 コメント ショップデータ アイテム名 価格 効果 ダイヤモンドC 300 HPを大幅に回復 オーバードライブSY 300 SPを大幅に回復 レクイエムGE 300 様々な状態異常を回復 波紋コーラ 300 全員を回復 傷薬 100 HP50回復 薬箱 500 HP250回復 イベント アラブ事情 アラブ首長国連邦に到着時、女主人公の場合はジョセフの身内として入国し、チャドルを強制装備させられる。 バニーを装備していると追加セリフ、砂漠を越えると制服に着替える。 『太陽』 花京院一人での戦闘。 主人公のスタンドが遠距離型の場合、花京院と一緒に調べるか否かで選択肢。 「はい」を選ぶと花京院と2人で戦闘。格段に倒し易くなる。 この戦闘は逃げることも可能 。逃げた場合、原作通りに展開する。 冷気と熱気(ver2.5以降) 条件 「ディープ・パープル」、太陽戦で「逃げる」。 承太郎の機転で岩陰に逃げ込んだ御一行は、主人公の「冷気」でなんとか危機的状況を脱するが…… 高所恐怖症 セスナの場合 主人公が「高所恐怖症」だと、露骨にセスナ搭乗を嫌がり、乗った後も落ち着きがない。 『死神13』 花京院との友好度7P以上の場合、花京院の話を信じるか否かの選択肢が現れる。 「はい」を選べば花京院との友好度が大きく上昇する。戦闘は花京院と死神13の一対一。 友好度10P以上で「はい」を選んだ場合、装備品「カラチの守り」を入手。戦闘は花京院と主人公の2人で死神13&偽スタープラチナとの戦闘になる。 「いいえ」を選んだ場合、原作通りの流れ(+α)で戦闘は無し。この場合、イベントは選択肢でスキップ可能。 謎のスタンド使い 条件:「カーディガンズ」か「カーペンターズ」であること。または、仗助編であること。 セスナか赤ん坊のどちらかを治し、セスナ機に乗り込んで飛び立つ。 デスサーティーンに襲われることなく、楽に紅海まで進めるかと思いきや・・・ 別のセスナ機が追いかけてきて戦闘になる。 敵は他の部の関係者と思われる人物。 10ターン以内に倒さないとゲームオーバー 。 主人公が高所恐怖症の場合、戦闘中に竦んで動けなくことがある。 墜落のその後 条件:仗助編であること セスナに乗った敵スタンド使いとの戦闘前後に固有会話。 敵セスナを墜落させた後、墜落現場を確かめにいくイベント。 敵データ 名称 HP 経験値 お金 ドロップアイテム 備考 BOSS サン(本体:アラビア・ファッツ) 700 1000 1000 山吹色の秘薬 距離L。主人公が遠距離タイプの場合、花京院と協力して戦う事が可能。脱水症状と暗闇をほぼ常時与えてくる上、大威力の熱線まで頻繁に放ってくる強敵。運が悪いと1ターン目で脱水症状、暗闇、熱線、熱線の吹っ飛び効果の4段攻撃を喰らう事も。花京院のレベルが高ければ遠距離攻撃の連発で勝てるだろう。 BOSS デス・サーティーン(本体:マニッシュ・ボーイ) 1300 1500 1400 ダービードラッグ 距離S。イベントの選択肢と友好度によっては主人公が参戦。偽スタープラチナを引き連れてくるが、2人がかりならそれ程苦戦はしないはず。中~遠距離の全体攻撃を持っていればなお良い。 BOSS 偽スタープラチナ 300 - - スタプラタブ 距離Mなのにオラオラ(近距離攻撃)してくる。当然威力も低い。スタプラタブを落とすので、必ず倒そう。 BOSS 虹村垓(セスナ) 900 2500 2400 ダイナマイト セスナは距離L。ザ・タイドは距離L-M。一部のスタンドでデス・サーティーン戦を回避した場合に出現。ジョセフを除いたパーティーで、10ターン以内に撃破しなければならない。一見楽そうに思えるが、全体をスタンさせてきたり、ほとんど距離Lで待機して本体が回復薬を使用……等、厄介な事この上ない。主人公が高所恐怖症だと相性最悪。花京院の遠距離攻撃をメインに、本体を無視してスタンドを集中攻撃してやれば落とせるが、ある程度のレベル上げはしておかないと厳しい。戦闘開始時のイベント戦のザ・タイド-Mにもアイテムドロップ判定が存在するので、山吹色の秘薬が2個手に入る事がある。 BOSS ザ・タイド 1000 山吹色の秘薬 隠し要素 +... キングクリムゾンポイント 冒頭~セーブ・ラクダで移動開始~太陽戦逃げる:戦後~解決 死神13:鳴き声~起床~セーブ・買い出し~セスナで出発~セーブ・墜落後~選択肢・セーブ~死神戦条件が合う場合、選択肢で虹村該編に行くことも可能 コメント 古いコメントは過去ログに格納されます。 これもしかしてチャドル実装以降、潜水艦ルート以外じゃもうバニースーツ着れない? - 名無しさん 2017-01-06 18 33 30 ↑花京院護衛ルート後なら一人だった気がする。あと胃腸弱い主人公なら一人になれるね - 名無しさん 2017-04-05 15 48 43 太陽戦を逃げたら、ディープ・パープル主が冷房代わりになって、ジョセフだけ敵に気付いて爆笑する話になりました。カオスモードでプレイしています。 - 名無しさん 2017-08-02 00 56 35 こちらも確認しました、多分ディープ・パープルのスタンドイベントでしょうね - 名無しさん 2017-08-02 08 48 56 ↑通常モードで確認しました - 名無しさん 2017-09-12 15 20 11 ↑追加しておきました - 名無しさん 2017-09-28 21 22 07 バニーだとチャドル着るときのジョセフの台詞に追加あるな - 名無しさん (2019-01-22 21 12 35) ラクダに乗ったらみんなのグラフィック消えたwwスタプラ出てくるまで承太郎の位置わっかんねぇww - 名無しさん (2019-06-08 00 24 19) 花京院との友好度20ぐらいでカラチのお守りもらったけど戦闘後じゃなくて「信用してくれてありがとう」で結局主人公夢の中来ちゃったけど… - 名無しさん (2019-06-08 22 11 53) ↑書き忘れたけど、「花京院を信用しますか」に「はい」を選んで戦闘はしていない - 名無しさん (2019-06-08 22 13 16) 料理部の女主人公でちょっとセリフ変わってました。 - 名無しさん (2019-07-04 23 50 09) ハウリン主の台詞の後に花京院が時間がないと言うけれど、これ日数0日とかでも変わんないのかな - 名無しさん (2020-02-16 01 43 03) 虹村父編で肉の芽取り出すの欲しかったな...虹村兄弟... - ゥンまああ〜いっ (2020-05-07 21 41 13) お守りもらってスタンド持ち込⇒戦闘してるのに主人公も覚えてないの?? - 名無しさん (2020-05-10 23 32 32) 観覧車の夢のイベントでポルナレフのスタンドがSチャリオッツATOから普通のシルバーチャリオッツに戻されるんだな - 名無しさん (2020-06-21 11 39 50) なんかアイテムかなんかで夢の中のイベント戦(花京院・ポルナレフVS死神13)勝てないかなぁ… - 名無しさん (2020-08-22 22 37 38) ↑宝剣エメラルドソードでもノーダメだったぞ - 名無しさん (2020-08-23 20 22 44) 何か一周目でキング・クリムゾン出てきました… - 名無しさん (2021-02-28 12 46 53) 奇妙な薬を使うとその後のBOSS戦ドロップが一切貰えなくなるんですね - 名無しさん (2021-03-30 23 32 34) 赤ん坊治すと花京院イベント起きないのか - 名無しさん (2021-10-29 17 36 26) 名前
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花京院の『幽波紋(スタンド)』、『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』の全体が完全に少女の表に出た。 承太郎の『幽波紋(スタンド)』、『星の白金(スタープラチナ)』に頭部を鷲掴みにされたその姿は未来人、或いは異星人のような 異様なフォルムに甲殻類が身に纏うようなプロテクターを局部に装着していた。そして鮮やかなエメラルドグリーンの、 その全身は深海生物のように発光を繰り返している。 「花京院!これがテメーのスタンドか!緑色でスジがあってまるで光ったメロンだな!」 承太郎は目の前のスタンドを睨め付ける。 「引きづり出した事……後悔するぞ……空条 承太郎……!」 脳を圧迫する苦痛に堪えながら、花京院は歯をきつく食いしばって言った。 「けっ!強がってんじゃあねー。額に指の痕がくっきり出てんだよタコ。このまま……テメーのスタンドのド頭をメロンのように潰せば テメーの頭も潰れるようだな。ちょいと締め付けさせてもらうぜ。気を失ったところでテメーをオレのジジイの所へ連れて行く…… DIOのヤローの事を洗いざらい喋ってもらうぜ。テメーが望もうと望むまいとな!」 そのときスタープラチナが目の前の異変を捉えた。 花京院のスタンド、『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』手の平から緑色のオイルのような液体が絶え間なく溢れだしていた。 「花京院!妙な動きをするんじゃあねえ!!」 頭部への圧迫を強めようとスタープラチナの手に力が籠もる。 そのとき。 「かはッッ!!」 突如、承太郎の腕の中の吉田一美が口から血を吐いた。 返り血が承太郎の顔にかかる。 「!?」 その事に承太郎は一瞬、呆けたような顔になりスタンドは完全な無防備状態になる。 「くらえ。我がスタンド、『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』の……」 艶めかしく動くスタンドの手の間で緑色の液体がうねるように集束していく。 それはやがて硬質な結晶と化し眩い輝きをもって弾けた。 「エメラルド・スプラッシュ!!」 「!! 前をみなさいッ!承太郎ッ!」 花京院と同時に我に返ったシャナが叫んだ。 しかし二人の声はどちらも承太郎には届かなかった。 スタンドの重ね合わせた両手から射出されたエメラルドの波に覆われる光り輝く無数の光弾。 それが棒立ちになっているスタープラチナの胸を深々と刺し貫いた。 直撃を受けたスタープラチナの胸部が抉れて膨張し引き裂かれ、そして爆散する。 衝撃で背後に弾き飛ばされたスタープラチナとその影響で引っ張られた承太郎は、 木々を何本もへし折りながら樹齢700年の大木に激突してようやく止まった。 巨木の幹から力無く崩れ落ちる承太郎の口から大量の血が吐き出される。 更に胸部にもスタンド同様裂傷が浮かび上がり生暖かい鮮血が勢いよく噴き出した。 「……な、なんて威力……私が手こずった『星の白金(スタープラチナ)』をたったの一撃で…… それにあんな複雑な構成を一瞬で編み上げるなんて……」 花京院の華麗かつ壮絶な流法に驚愕の声をあげるシャナ。 「……むぅ。この者、人の身でありながら『王』に匹敵する力を携えている……」 右腕を前方に水平に構えて差し出し威風堂々と屹立する花京院を見たアラストールは、敵とはいえどその清廉な姿に思わず声を漏らした。 「エメラルド・スプラッシュ。我がスタンド、『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』の体液にみえたのは『破壊のエネルギーの象(ヴィジョン)』…… 君のスタンドの胸を貫いた……よって君自身の内蔵はズタボロだ。そして、その女生徒も」 花京院が指差した先、前方の地面に仰向けに倒れていた吉田一美が再び喀血した。 「あ……あ……!」 声にならないか細い悲鳴を上げ意味なく空に伸ばした手が、やがて糸の切れたマリオネットのように弧を描いて地面に落ちる。 土の上に口から流れ出る少女の血が染みていった。 「いったはずだ。僕の『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』に攻撃を仕掛ける事は、その女生徒を傷つけることだと…… 僕のスタンドは君より遠くまで行けるが広い所はきらいでね。必ず何かの中に潜みたがるんだ……引きずり出すと怒ってしまう…… だから喉内部あたりを出るときキズつけてやったんだ……君が悪いんだぞ?空条 承太郎。君の責任だ。これは承太郎……君のせいだ。 君がやったんだ。最初から大人しく殺されていればこの女生徒は無傷で済んだんだ……」 花京院はその怜悧な美貌を歪め忌々しそうに吐き捨てる。 「くっ!おまえぇぇ!!」 あまりにも身勝手な花京院の理屈にシャナの怒りが燃え上がった。 灼眼の煌めきが増し、炎髪が鳳凰の羽ばたきのように火の粉を振り撒く。 その花京院の言葉に承太郎は無言で立ち上がった。 俯いている為表情は伺えない しかし全身から血を流しながらも重い足取りでゆっくりとこちらに歩いてくる。 彼の足跡には無数の血の痕が残った。 「ほう、立ち上がる気か?愚かな……ただ殺される為だけに死力を尽くすとは。 大人しくしていればこの僕に奥の手を使わせた事に敬意を表し、楽に殺してやったものを」 シャナが紅い灼眼でキッと花京院を睨むが、すぐに敗残兵のようにボロボロな姿の承太郎に向き直って叫んだ。 「承太郎!おまえはもう戦える状態じゃない!後は私に任せなさい!この男、『法皇の緑』は私が討滅する!」 しかしシャナの声はもう承太郎には届かない。 もう誰の声も彼には届かない。 承太郎は地面の上に倒れている吉田一美の傍まで来るとそこで足を止めた。 血を流す承太郎の身体から『幽波紋(スタンド)』、『星の白金(スタープラチナ)』が静かに抜け出る。 その腕が吉田一美の華奢な身体を抱きかかえた。 歩きながら半透明のスタンドの手が口元の血を拭い、野生の花が群生している草むらにそっとその身を横たえる。 もう決して誰にも触れさせないように。 もう決して誰にも傷つけさせないように。 脳裏に少女の笑顔が甦る。 名も無き花に囲まれた少女は、本当にただ眠っているようにみえた。 彼女に一体何の「罪」があったのか? 少女はただ、承太郎の為に行動しただけだった。 彼女なりに精一杯、自分に出来る事を考え、一生懸命それを実行しただけだった。 しかし……その少女は今……いま…… ゴゴゴゴゴゴゴゴ…… ゴゴゴゴゴゴゴゴ! ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!! 空間が蠢き空気まで震えるような途轍もないプレッシャーが承太郎の全身から発せられる。 顔を伏せたまま承太郎は徐に口を開いた。 「…………このオレ、空条 承太郎は……いわゆる不良のレッテルをはられている……ケンカの相手を必要以上にブチのめし いまだ病院から出てこれねえヤツもいる……イバルだけで能なしなんで気合を入れてやった教師はもう2度と学校へ来ねえ。 料金以下のマズイ飯を食わせるレストランには代金を払わねーなんてのはしょっちゅうよ!」 承太郎は口の中に溜まった血を吐き捨てた。 ビシャッと草むらが鮮血で染まる。 「だが!こんなオレにも!吐き気のする「悪」はわかる!!」 承太郎が血塗れの手で拳を握るのと同時に横でスタープラチナも力強く拳を握る。 その拳は光に煌めき放つ光はダイヤモンドよりも気高く輝いていた。 「「悪」とは!テメー自身のためだけに!弱者を利用し踏みつけるやつのことだ!!」 承太郎がいきなり顔を上げた。 「!?」 完全にキレタその風貌は歴戦の『フレイムヘイズ』であるシャナでさえ気圧される程のものだった。 「『ましてや』女をーーーーーっ!!きさまがやったのはそれだ!!ア~~~~~ン?! テメーのスタンドは被害者自身にも見えねえし!わからねえ!だから!」 学帽の鍔に走らせた二本の指が光の軌跡を描く。 「オレが裁く!」 怒りは臨界を超え運命を司る感情、『正義』となって昇華した。 その気高い光が承太郎の瞳に宿る。 熱く。激しく。燃え尽きるほどに。 その瞳で自分を見る承太郎に花京院は穏やかな微笑で応えた。 「フッ……それはちがうな。「悪」?「悪」とは敗者のこと……「正義」とは勝者のこと……生き残った者のことだ。過程は問題じゃない。 敗けた者が「悪」なんだ。君が言っている事は弱者の遠吠えに過ぎない」 そう告げると花京院は再び先程同様、両手を艶めかしく動かした。 連動してスタンド、ハイエロファント・グリーンも同じように動く。 「さらばだ、空条 承太郎。くらえ!とどめのエメラルド・スプラッシュを!」 再びハイエロファント・グリーンの両手に緑色の光が集束する、そして開いた両手から無数の光弾が 先程以上の輝きを持って弾けた。 「スタープラチナァッ!!」 承太郎の猛りと共にスタープラチナが疾風迅雷の如く身体から飛び出した。 その余波で周囲に旋風が巻き起こる。 木々を揺らし、木の葉がざわめくほどに。 スタープラチナは十字受けの構えを執り軸足を大地が陥没するほど強力な踏み切りをつけると、 カタパルトで射出されたように『エメラルド・スプラッシュ』に音速で突撃し緑の光弾を真正面から受け止めた。 スタープラチナは軸足で踏ん張ったまま流法『エメラルド・スプラッシュ』に気圧される事なくその場に立ちふさがり、 やがてエネルギーは膠着状態に陥る。 「こ、こいつ!どこにまだこんな力が!?それにこのパワー!」 花京院の顔が驚愕で引きつる。しかしすぐに動揺した自分諌めてその表情を引き締めた。 「フッ……いいだろう。真剣勝負というのも嫌いじゃない。パワーだけが『スタンド使い』の 絶対的戦力差でないという事を教えてやる!」 花京院が熟練したピアニストのように指先を動かしながら何度も腕を交差させると、ハイエロファント・グリーンの盲目の瞳が発光し、 流法『エメラルド・スプラッシュ』の後押しをするように両手から光の波が放出された。 それに対抗するように承太郎の身体からも白く輝くスタンドのエナジーが迸りスタープラチナに注入される。 二つの強力なスタンドパワー同士が真正面から激突し空間が飴細工のようにぐにゃりと歪んだ。 「うおおおおおおおおおおおおおお!!」 「はああああああああああああああ!!」 承太郎は両手をポケットにいれたまま、花京院は右腕を水平に構えたまま互いに猛る。 力が拮抗している以上勝敗を決するのは互いの精神力。 相手の気迫に一時でも気圧された方が敗北する。 空条 承太郎と花京院 典明。 特異な才能を持つ二人の『スタンド使い』の力は完全に互角だった。 しかし。 そのとき。 『起こり得ない事態がそこで起こった』 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!! 「オォォォォラァァァァアァァァァーーーーッッッッ!!!」 魂の慟哭ような咆吼を上げる承太郎。 その声に呼応するように白金色に輝く光がスタープラチナの全身から発せられた。 「うぅっ!」 「むぅ!」 光に照らされたシャナとアラストールが同時に声をあげる。 スタープラチナから発せられた光は白夜の太陽よりも明るく周囲を照らし、電磁波のようにバリバリと音を立てながら 爆ぜ激しくスパークした。 「な、何ィ!?」 花京院の放った必殺の流法『エメラルド・スプラッシュ』はその光に呑まれ徐々に力を失っていく。 「うぅ……!目…目がくらむッ!限界なく明るくなるッ!何!?この光は!?」 光に目をやられないように黒衣の袖で視界を覆ったシャナに、 「むう!馬鹿な!信じられん!彼奴の存在の力が増大している!」 胸元のアラストールが叫んだ。 「ウソでしょ!?アラストール!怒って強くなれるなら誰も苦労なんてしないわ!」 眩い光に照らされシャナの炎髪と灼眼も白く染まった。 「うむ。確かに通常の理ではそうだ。戦闘中に我を失う等愚の骨頂…… だが思い出して見ろ。彼奴は何の戦闘訓練も受けていないにも関わらずお前と互角に渡り合った。 人間の身でありながら『封絶』の中で動き、数多の『燐子』をたった一人で粉砕した。 そして現に今も、手練れの能力者を相手に全く引けをとっておらん」 「そ、それは……」 鋭敏な頭脳を持つ彼女も理から外れた事象に対しては押し黙るしかない。 「お前には黙っていたが我には初めから解っていた。彼奴の器は常人のそれではない。彼の者、 『幽血の統世王』と全く同じなのだ」 「え!?」 予期せぬ言葉。 承太郎とDIO。 光と闇。 星屑と世界。 バラバラの記号がランダムにシャナの思考の内に点灯する。 「俗な言い回しになるが今はこういうしかないだろう……『例外』或いは『特異点』と…………」 「ッオラァッッ!!」 交差した両腕をスタープラチナが音速で押し広げた。 ズン!!という重低音と共に輝くエメラルドの光弾は全て粉微塵になって消し飛んだ。 砕けたエメラルドの飛沫が煌めきながら空間に散華する。 「バ、バカな!?『エメラルド・スプラッシュ』を『パワーのみで全て消し去る』とはッ!……ハッ!?」 驚愕の表情を浮かべる花京院の目の前に白金色に輝くスタープラチナが音より速く迫っていた。 「は、疾い!うぐうッッ!?」 神速のスタープラチナの右拳がハイエロファント・グリーンの顔面に撃ち込まれる。 そのスピードが衝撃を上回った為、本体とスタンドは一刹那遅れて後方に弾き飛ばされる。 『しかしそれより疾く』再びスタープラチナが花京院の眼前に迫った。 「敗者が「悪」か!それはやっぱり!テメーの事だったようだな!花京院!」 承太郎が逆水平に構えた右手で花京院を指差し、叫ぶ。 MAXスピードに達し、最早見えなくなったスタープラチナの超速の拳が ハイエロファント・グリーンに全弾総射された。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!」 白金に輝くの拳の狂嵐により『法皇の緑(ハイエロファント・グリーン)』の全身に隈無く拳型の刻印が撃ち込まれる。 「がッ!?ぐッ!?ぐはッ!?うぐッ!?ぐうッ!?」 花京院の身体にもそれに連動して刻印が刻まれていく。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」 承太郎の脳裏に少女の姿が浮かんだ。 淀んだ「悪」に、無惨に踏みにじられた何の罪もない少女の姿が。 それが火勢を煽りスタンドはさらに加速していく。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!裁くのはッ!!オレのッッ!!スタンドだあぁッッッーーーーーーーー!!!!」 承太郎の決意の叫びと共に摩擦熱で火を噴いたスタープラチナの渾身の右ストレートが、撃ち下ろし気味に ハイエロファント・グリーンの左胸に撃ち込まれる。 ズギュンッ!という全身が痺れるような振動波を感じる間もなく花京院はスタンドと共に後方に神速で吹き飛んだ。 先程の承太郎をトレースするように木々を何本もへし折った花京院の身体は、梵字の刻まれた石碑に激突し亀裂の走った石面に縫いつけられると、 全身から血を噴いた。まるで磔刑にかけられた殉教者のように。 「な……なんて……凄まじい……スタンド能力……!見事……だ……空条……承太郎………………」 肉体は疎か精神と五感まで破壊された花京院は、声にならない声でそれだけ呟くと意識を闇に呑みこまれた。 承太郎はスタープラチナと同じ撃ち下ろしの構えのまま大地に屹立していた。 俯いたまま全身を朱に染め、(よく耳をすまさなければ聞こえないが)獣のように息を荒げている。 血に塗れ全身傷だらけのその無惨なる姿は、木々から漏れる陽光の下なぜかシャナの胸を打った。 まるで紅世の聖堂に飾られている一枚の絵のように美しく荘厳に感じられた。 「……あいつ……すごい……」 「おそるべし……『星の白金』……空条 承太郎……」 あらゆる感情が綯い交ぜになり言葉もないシャナの胸元でアラストールが小さく呟いた。 「シャナ。オメーに頼みがある」 血塗れの花京院を片手で軽々と抱え上げ、地面の上に降ろした承太郎がシャナに言った。 「う……う」 花京院はかろうじて死を免れたようだ。額から断続的に血を流し呼吸音も微かだが死んではいない。 「オメーが昨日やってたそのジザイホーとやらで、この女の「傷」と今の「記憶」を消せ」 花京院から少し離れた位置で意識を失っている吉田一美を承太郎は指差した。 「不可能よ」 シャナはゆっくりと首を振った。 「昨日のは封絶内だったからトーチで修復出来たの。コイツが傷を負ったのは 因果閉鎖空間ではない現実世界。トーチなんかじゃ治せない」 その答えをあらかじめ予想していたように承太郎は落ち着いた口調で言った。 「誰も残り滓を使えとは言ってねぇぜ。『オレのを』使え。その、『オレ自身の存在の力』とやらをな」 「バ、バカ!そんな事したらおまえ!」 自らの存在の力を消費する事は体力の消耗というよりも怪我に似た形で現れる。 体調が万全の状態でもその「痛み」は相当なものだ。 それなのに負傷したこんな状態でそれを行えば、後の事は想像するのも恐ろしい。 「うむ。確かに貴様自身の存在の力を使えば不可能ではない」 「アラストール!?」 信じられない、と言った口調のシャナの代わりに胸元のアラストールが応えた。 「しかし『フレイムヘイズ』でない者がそんな事を行えばどうなるか我にも解らぬ。貴様、死ぬかもしれんぞ」 「ナメんなよ。ンな事でビビり上がるようなシャバイ気合いじゃ、「不良」はやってられねーぜ」 微塵の動揺もなく承太郎は言い放った。 「記憶の操作もまた問題だ。自在法はそう都合良くは出来ていない。この娘の記憶を弄るという事になると、 『反作用によって貴様の存在はこの娘から完全に消える事になる』。貴様を軸にして起こった出来事を消すという事だからな。 良いのか?それで?」 「好都合だ。やりな」 これにも承太郎は即答した。 あまりにも明確な答えに微かな異和感を感じたアラストールがムゥと小さく呻く。 承太郎の胆力と覚悟の程を試す為に多少事実を誇張して言ってはみたが、予想に反して承太郎が全てをあっさりと受け入れ 全てをあっさりと差しだしてくるので、不意に老婆心に近い感情が『紅世の王』、『天壌の劫火』の心の内に沸いた。 「……貴様?本当にそれで良いのか?『この娘にとってそちらの方が残酷だとは、」 「同じ事を二度いう必要はねーぜ……」 アラストールの言葉が終わる前に承太郎は学帽で目元を覆いながら言葉を遮った。 「オレの傍にいれば必ずまた同じ目に会う。ロクでもねぇ事に関わって死ぬこたぁねー」 傍を渇いた風が通りすぎシャナの黒衣の裾を揺らす。 承太郎の目元は学帽の鍔で覆われているのでその表情は伺えない。 だが感情も目も言葉もいらなかった。 その存在だけでアラストールには充分だった。 承太郎の全てが伝わった。 その想いも、何もかも。 無言の男の詩と共に。 「……うむ。ならばもう何もいうまい。貴様がそれで良いというのなら……」 明らかに含みのある言葉でアラストールが言った。 『男同士にだけ』解る事があるのだろう。 シャナは胸元のアラストールを見つめる。 アラストールには一体何が解っているのだろう? シャナは承太郎の前に立ってその凛々しい灼眼で承太郎のライトグリーンの瞳をみた。 「いいのね?言っとくけど半端じゃなく痛いわよ」 「痛い」という部分を強調してシャナが言う。 「くどい……とっとと始めろ」 「手ぇ出して」 「…………」 シャナは差し出された承太郎の血に塗れた手に、少し赤くなって自分の小さな手を重ねて繋ぐと 瞳を閉じて自在式を編む為に精神を研ぎ澄ました。 「はああぁぁ」 鋭い声と共にシャナの足下に封絶の時とは違う火線で描かれた紋章が浮かび上がる。 それと同時に繋がれた手から承太郎の白金色に輝く存在の力が流れ出した。 「!」 自分を……体などではなく、自分そのものを削るような薄ら寒い喪失感。 その感覚が全身の傷の至る所に絡みつきやがて悲鳴を上げ始める。 全身を蝕むようなその痛み。 まるで同じ箇所を何度も何度も切り刻まれているようだった。 「……う……ぐぅ……」 全身を生き物のように這い回る苦痛に思わず呻き声が漏れそうになるが、承太郎は耐えた。 耐えなければならない理由があった。 目の前で横たわる少女はもっと苦しかったはずだから。もっと辛かったはずだから。 シャナが振り子のように何度も指を振り翳すのと同時に、承太郎から抜け出た白金色の光が煌めきながら 吉田一美の華奢な身体を螺旋状に包んでいく。 優しく、そっと、スタープラチナの腕がそうしたように。 そして、やがて、靡きながら消えていく。 制服の血糊も、身体の傷も、涙の痕も、悪夢の記憶も、承太郎への想いも、全て。 輝く白金の光に包まれて…… 「空条……君……」 漏れ出る光が消え去る寸前、吉田一美の口から声が漏れた。 閉じた瞳から涙が一筋流れ落ちる。 最後の涙。 承太郎の存在が宿った最後の雫。 その声に承太郎が、本当に小さく呟いた。 風に消え去りそうな、小さな声で。 あばよ、と。 その独り言がシャナには聞こえた。 シャナにだけ、聞こえていた。 ←To Be Continued……
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「これが俺の本体のハンサム顔だ」 黄の節制(イエローテンパランス) ジョジョの奇妙な冒険第3部に登場したスタンド。 スライムのような形状をしており、これに触れた生物を取り込んで捕食してしまう。 また、衝撃や熱なども吸収して無効化してしまうほどの高い防御力も持っている攻守一体のスタンド。 さらに自分の体に貼り付けて変装に使うこともできる。 ラバーソール 黄の節制の使い手。原作では承太郎たちを殺したら大金をもらうという約束で敵に雇われた。 仲間の花京院典明に変装して*1メンバーに紛れ込んでいたが、スリ相手にバックブリーカーをかましたり 非常に汚い暴言を吐くなどしたためにバレて戦闘になる。 黄の節制の高い防御力で承太郎を苦しめたが、水中に誘い込まれて呼吸のために顔を出したところで 顔面に攻撃を受けて再起不能(リタイア)となった。 ニコニコワールドではとかち達を足止めするためにダーエロに雇われ、TASさんの姿で待ち構えていた。 ボスとして登場する「TASさん?」は原作同様の強さを誇っており、殆どの攻撃が効かなかったが 一部の属性の攻撃でなら普通にダメージを与えられる様子。 また彼を倒すと、ラバー・ソウルというアイテムを手に入れることができる。 なお、ラバーソールという名前は原作では一言も出ておらず、後に付けられた名前。 *1 このことを踏まえてか、格闘ゲーム「ジョジョの奇妙な冒険」では花京院のコンパチキャラ的な性能となっており、 格好も色違いの花京院のような姿となっていた。
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「あの、花京院君、怒っていますか?」 東風谷早苗は、おそるおそる質問をした。 今しがた、荒木が放送で言っていたように、殺し合いは続いているのだ。 それなのに自分達ときたら、そんなのとは無縁のように竹林の中を呑気に何時間もさ迷っている。 ハッキリ言って、馬鹿である。勿論、それ自体は望んでやったことではないが、 そんな結果に至ってしまった過程を考えると、どうしたって彼女の中にも罪悪感が湧き出てしまう。 「別に怒っていませんよ」 花京院は早苗には目もくれず、ぶっきらぼうに答えた。 そしてそのまま早苗を無視して、彼は昼食の用意を続けていく。 彼の視線の先を辿ると、カセットコンロの火の上に乗った鍋があり、 そこからはコトコト、コトコト、と何とも小気味好い音が聞こえてきた。 花京院が手に持ったスプーンで鍋の中をグルグルとかき回すと、今度は香ばしい味噌の香りが辺りに漂ってくる。 それは花京院に支給された食糧である水、レトルトご飯、インスタント味噌汁の三つを 一つの鍋の中に放り込んで、ざっくりと煮込んだ料理とも言えない料理だ。 ぞんざいな作りのせいか、見た目は悪く、間違っても人に出すような代物に見えない。 しかし、延々と歩き通して疲れた身体には、そんなものですら魅力的に映ってくるから不思議なものだ。 早苗は口の中から涎が出てくるのを何とか我慢し、再び花京院に訊ねる。 「じゃあ、何でそんな怒った顔をしているんですか?」 「その怒った顔というのが、どういうのか知りませんが、僕は単に考え事をしていただけです」 「考え事って何ですか?」 「僕はこんな所で何をしているんだろう、と」 「やっぱり怒っているんじゃないですかー!!」 たまらず、早苗は吠え立てた。花京院の言は、早苗にとって皮肉や嫌味にしか聞こえない。 とはいえ、花京院は怒っていなかったというのは本当らしく、「どうせ、私が悪いんですよ」と ふてくされる早苗に向かって、彼は溜息を混ぜながらも、甲斐甲斐しく声をかけた。 「今になって思えば、あの場で皆を待つという東風谷さんの選択肢が正しかったのでは、と考えていたんです」 その言葉に、早苗の表情は色彩を取り戻したかのように明るくなる。 「ほらー、やっぱりそうなんですよ! だから、私が言ったじゃないですかー!」 「まぁ、だからと言って、迷子になった東風谷さんの責任が消えて無くなるわけでもありませんが」 「……うぅ」 途端に色を失ったかのように早苗の顔は暗くなる。 そんな彼女の口から漏れ出る溜息は重く、昼を迎えたというのに、その表情は夜のように濃い影を差している。 反省するのは良いが、それで気落ちして動けなくなっては元も子もない。 花京院は早苗をいじめるのを止め、代わって湯気が立ち込もる鍋から、昼食をよそってあげることにした。 「ごはんができましたよ、東風谷さん。これを食べて、元気を出して下さい」 完成したおじやを、早苗のお皿によそる。到底、物を食べる気分などではないが、 体は現金なもので、いざご飯を目の前に出されると、早苗のお腹は待ってましたとばかりにグゥーと盛大な音を鳴らした。 早苗の暗い顔は、今度は一転して赤くなる。「はわわわ」と、恥ずかしさからか、彼女は慌ててその場を立ち去ろうするが、 その前に花京院は早苗の手を掴み、おじやが入ったお皿を手渡すことに無事成功していた。 「どうぞ、東風谷さん。味については色々と文句があるかもしれませんが、こんな場所なのでご容赦下さい」 そう言うなり、花京院は自分の分の昼食を皿によそり、それをガツガツとスプーンで口の中に放り込んでいく。 彼の様子を見るに、どうやら早苗のお腹の虫の音は聞こえなかったと見える。 早苗はそのことにホッと一安心すると、大人しくその場――椅子代わりの大きな石――に座り、 差し出された食事を食べることにした。 「いただきます」 と、早苗は花京院に向かって小さく言うと、おじやから立ち上る湯気の中で大きく息を吸い込み、また吐き出した。 ご飯と味噌の香りだけで、心が落ち着き、肩から力が抜けていくのが分かる。何とも素晴らしい魔法だ。 大した栄養など含まれていないのに、何故日本人は先祖代々に渡って米と味噌を食しているのか、 これだけでも理解できようというものだ。 早速、早苗はそのおじやをスプーンですくい、口に運んでいった。 舌に訴えるのは、懐かしき味わい。別にご飯も味噌汁も久しぶりというわけでもない。 だけど、郷愁にも似た安心感を覚えるほどに、頭と身体は食事のことを綺麗さっぱりに忘れていたようだ。 ついつい浮かべてしまった笑顔で、早苗はおじやをゴクリと飲み込んで、胃の中に落とす。 そうすると、お腹を中心にじんわりと温かさが身体全体へ広がっていった。何というか、身体に沁みるのだ。 疲弊して、空っぽになった身体を満たすように、エネルギーが全身に行き渡る。 早苗はそれを確かに実感すると、次の行動に備えて一口、また一口とおじやを口にしていった。 「そういえば、僕は以前、死神(デス・サーティーン)というスタンドと戦ったことがあるんですよ」 早苗がごはんを半分も食べた頃、花京院が唐突に話題を振ってきた。 その話には何か意味があるのだろうか、それとも他愛のない会話の一環なのだろうか。 早苗は昼食を食べながら、そんなことを考えて言葉を返す。 「死神ですか。何とも恐ろしげなスタンドですね」」 「ええ、実際に恐ろしいスタンドでした。その能力は人の夢の世界に入り込み、それを支配するというもの。 もっと簡単に言えば、死神は夢の中を自分の思い通りにできたわけです。それこそ空を飛んだり、何もない所から物を生み出したりとね。 まぁそれだけなら取るに足らないものですが、夢の世界で起きた肉体の変化が、現実世界にも適用されるというのが、 そのスタンドを死神たらしめていました。つまり、夢の中で死ぬと、現実でも死ぬのです」 「話を聞くだけだと、何だか無敵って感じがしますけれど、そんなのを相手にどうやって勝ったんですか?」 「夢の世界ではスタンドを出すことができなかったのですが、ひょんなことから眠る時にもスタンドを出していれば、 着ている衣服と同じように夢の世界に持ち込むことができるのでは、と思い至ったのです。 そうして僕は夢の世界にハイエロファント・グリーンを連れて行くことに成功し、死神相手に無事に勝利を収めることができたわけです」 「えっと、おめでとうございます」 「しかし、問題はここからでした。死神のスタンド使いは、何と赤ん坊だったのです」 「え、赤ちゃんですか? それじゃあ、その赤ちゃんは一体……?」 「僕も悩みました。幾ら僕を殺しにかかってきた敵とはいえ、さすがに赤ん坊を再起不能にするのは良心が痛みますからね。 かといって、そのままにしといたら、また襲い掛かってくるということもありますから、やはり罰は必要となってきます」 「罰ですか。結局、何をしたんですか?」 「それはですね、赤ん坊のウンチをこういう風にしてですね」 そこで花京院はスプーンで何かを掬い取るような仕草をしてから、それを鍋に入れてグルグルと力強くかき回し始めた。 そして早苗の視線がこっちに向いているのをしっかりと確認してから、花京院はゆっくりとその先の言葉を続けていく。 「赤ん坊に食べさせたのです」 「え……? ま、まさか……!?」 早苗は目の前の鍋と手元にある食事を交互に見比べ、ハッと何かに気づいたように顔を青くする。 それ対して花京院は笑みを浮かべて、早苗が待ち望んだ答えをくれてやった。 「悪い子には、お仕置きが必要ですよね?」 「おええええぇぇぇ」 早苗はすぐさま顔を下に向けて、胃の中にあったものを吐き出した。 そのいきなりのことに、花京院は目を丸くして、口を大きく開く。 「な、何をしているんですか、東風谷さん!! 折角のごはんが勿体無い!!」 「勿体無い、じゃありませんよ!! あんなことを言われて、食べられるわけないじゃないですか!!」 「ですが、僕が言ったのは冗談です!」 「そんな冗談がありますか!!」 「大体、僕は東風谷さんの目の前で料理を作っていたんですよ! いつ、そんなのを入れる余裕があったというんですか! いや、それ以前に僕も同じ鍋のものを食べているんですから、冗談だってすぐに気がつくはずです!」 「だからといって、世の中には言って良い冗談と、悪い冗談があります!! そんなことも分からないんですか、花京院君は!!」 言いたいことを言い終えると、早苗は支給された水を取り出し、それで口の中ををすすぎ始めた。 それが済むと、彼女は花京院に背中を向けて、デイパックから自分に支給された食糧を取り出す。 早苗はツーンとそっぽを向き、もう花京院とは口をきかないといった姿勢だ。 「すみません、東風谷さん。悪ふざけが過ぎたようです」 花京院の謝罪の声がすぐに聞こえてきたことに、早苗はビックリした。 こういったことには男の子は意地を張るものだと彼女は思っていたのだ。 それとも、花京院君は自分の意地以上に私のことを大切に思ってくれたのだろうか。 そんなことを考え、早苗はさっきの怒りとは別に、ちょっと嬉しくなったりもする。 「はぁ、しょうがないですねぇ。でも、許すのは今回だけですからね」 頬が緩んでしまうのを何とか我慢しながら、早苗は厳かに振り返る。 しかし、そんな華麗なる転身に泥を塗るかのように、何ともすえた臭いが彼女の鼻孔を刺激した。 何事かと下を見ると、早苗が吐き出し物が、まるで玉座に座るように盛大にふんぞり返っている。 どうしようと前を見ると、花京院が悪びれることなく呟いた。 「まぁそういう訳ですので、東風谷さんがそれを片付けて下さい。 文字通り、それは東風谷さんがまいたものなんですからね」 ぐぬぬ、と早苗は強く歯を噛んだ。花京院に対して物凄くたくさんの文句が思い浮かんでくるが、 結局のところ、足元にあるのは早苗自らが出したものに違いはない。 早苗はいきり立つ気持ちをぶつけるように、つま先で何度も地面を蹴り、ドロドロの物体に土を被せた。 ドスン、と花京院に抗議するかのように音を立てて石に座りなおすと、早苗は改めて食事を開始した。 彼女に支給された食糧はパンの詰め合わせだ。その中からサンドイッチを手に取り、小さな口でほうばる。 味は悪くない。寧ろ、良い方だろう。挟んである具材だって、けち臭くなく、ちゃんとした厚みがある。 しかし、それで早苗の心が満たされることはなかった。 雨足は弱まってきたとはいえ、冷え込みは段々と厳しくなってきているのだ。 ややもすれば、身も震わすような寒さ。そんな中では、どうしたって温かい食べ物が欲しくなってくる。 だけど、今更おじやを下さいなどとは、早苗の口からは間違っても言えない。 「そのサンドイッチは美味しいですか、東風谷さん?」 花京院は早苗の気持ちを見計らったかのようなタイミングで訊ねてきた。 早苗は先ほど浮かんだ気持ちをひた隠し、しれっと答える。 「ええ、美味しいですよ。おじやなんかよりも、ず~~っと。でも、花京院君にはあげませんからね」 「……そうですか。美味しいのですか」 そこで花京院は頭を伏せ、地面を黙って睨みだした。あれ、そんなにショックだったのだろうか。 罪悪感に駆られた早苗は慌てて言葉を付け足す。 「ああ、いや、嘘ですよ。欲しければ、ちゃんとあげますから、そんな悲しまないでください」 「……別にパンが貰えなくて悲しいから項垂れていたというわけではなく、単に考え事をしていただけです」 「考え事? また私をいじめる算段ですか?」 「違います。東風谷さんは大分僕という人間を誤解しているようですね。 まぁそれはともかく、東風谷さんの支給品は何でしたか?」 「えっと、スタンドDISCですね。ナット・キング・コールという」 「ふむ。他の人に配られた支給品というのは覚えていたりしますか?」 「覚えているというか、印象に残っているのは、オンバシラですね。あれは美鈴さんのです。 あとは、その、神奈子様のでっかい銃とスタンドが忘れられません」 「美鈴という方は女性ですか?」 「ええ、そうです」 「では、プロシュートと言いましたか? 人を老化させるスタンドを持った、あの凄腕の男の支給品は何か分かりますか?」 「んー、えーと、ナイフだったと思います、確か」 「やっぱり、そうですか」 花京院は早苗の答えに深く頷いた。その意味深な言動に、早苗はサンドイッチを食べることも忘れて聞き返す。 「何がやっぱりなんですか?」 「その前に僕の支給品を教えましょう。 僕に配られたのは、承太郎の記憶DISCと先ほどの昼食で使ったコンロとお皿が入ったキャンプセットとかいうやつです。 確かにそれは食事を作るにあたっては役には立ちましたが、そんなものが殺し合いで役にも立つはずもありません。 正直に言ってゴミですね。僕に配られたのは、そんな役立たずの不用品です。そしてプロシュートのナイフも他の支給品に比べたら、 やはり見劣りしてしまいます。ここまで言えば分かりますか、東風谷さん?」 「支給品に差があるということですよね」 「正確には、男女において、差があるということです。無論、サンプルが少ないから絶対というわけではないですが、 これが真であるのならば、そこからは一つの結論を導き出すことができます」 「何ですか、それは?」 「荒木たちも所詮は男ではないか、ということです」 花京院の予想外の台詞に、早苗は呆気に取られながらも、何とかその内容を整理する。 「えっと、つまり荒木と太田は私達女性に良からぬというか、憎からずというか…… とにかく、そんなやましい感情を持っているから、支給品を優遇したということですか?」 「そういうことになります」 「成る程、一理あるかもしれませんが、それにどんな意味が?」 「分かりませんか? これはつまり、荒木達に色仕掛けが通用するかもしれないということです」 「色仕掛け」 思ってもみなかった異変の解決方法に、早苗はその言葉を反芻し、意味を咀嚼する。 しかし、早苗がその内容を完全に理解する前に、花京院が実に素敵な言葉を放ってきた。 「そういう訳ですので、東風谷さん、ここは一つ、僕を荒木や太田だと思って誘惑してみてください」 「ええーーッ!? 私がやるんですかーー!?」 「他に誰がいるんです」 「いや、でも、誘惑ってどうすればいいんですか? そんなの分かりませんよ!」 「東風谷さん、今までに良い人の一人や二人はいたでしょう? その時のことを思い出してくれればいいんです」 「良い人って……今まで私にそんな縁があったことはありませんよ!! っていうか、花京院君は私をからかって遊ぼうとしていませんか!?」 「失敬な。僕は至って真面目です」 「いや、でも、じゃあ、何でここで……!?」 「東風谷さんも荒木の放送を聞いていたでしょう? 幸いなことに、僕達の親しい人の名前は呼ばれませんでした。 しかし、今現在も殺し合いは続いていて、罪無き人々の命があたら失われようとしているのです。 そしてその中に、いつ僕達の知り合いや大切な人の名前を含まれても、おかしくはないのです。 それを防ぐのに、東風谷さん、貴方のたった一つの行動で済むのかもしれないのですよ。 それを聞いても、東風谷さんはまだ動くことを躊躇うのですか? それとも、ここでやる意味はないと、お考えですか? 僕は何も東風谷さんを笑おうと思っているわけではありません。僕はただ荒木達に対して実践する前に練習をしてみようと言っているのです」 花京院は真摯な表情で切実に訴えかける。彼の態度には人を揶揄するようなところは見られない。 おそらく花京院のは、純粋に他意のない発言なのであろう。実際、彼の言っている内容に偽りはないし、納得できる部分も多い。 それを悟った早苗は再び歯を強く噛み締めると、羞恥心を脇に押しやり、勇気を振り絞ってみることにした。 「ぜ、絶対に笑わないでくださいね」 「勿論です」 花京院がそう請合うと、早苗はおもむろに立ち上がり、両脇で自らの胸を抱え上げた。 そして腰をくねくねと左右に振り、ウィンクをしながら投げキッスを贈る。 「うっふ~ん(ハート)」 花京院は盛大に溜息を吐くと、荷物をそそくさとまとめだした。 それが済むと、すっと立ち上がり、早苗に背中を向けて遠慮なく前へ歩き出す。 「ちょ、ちょっと待ってくださいッ!! どこに行くんですか~!?」 早苗は慌てて花京院の背中に飛びつき、しがみついた。 彼女の目の端は涙が浮かび、顔は茹蛸のように真っ赤だ。 しかし、花京院は彼女のそんな姿に泡を食うこともなく、冷静に目的地を告げる。 「どこって、皆の所にです。元々、それが僕達の行こうとしていた所じゃないですか」 「いや、そうですけど! そうですけど!! でも、その前に言うことがあるんじゃあないんですか!? 私、恥ずかしいのを我慢して、精一杯頑張ったんですよ~!!」 「逆に訊きますが、東風谷さん」そこで花京院は振り返り、早苗を憐れんだ目で見つめながら告げる。「何か言った方がいいのですか?」 「……ううぅっ、やっぱりいいです」 花京院の冷たい顔から放たれる言葉を聞いたら、きっと心はガラスのように脆く砕け散る。 そんなことを予感した早苗は、大人しくその場を引くことにした。 とはいえ、それで湧き出た恥ずかしさや後悔が消えてなくなるわけでもなく、早苗は花京院を正視できず、俯いたままだ。 そのくせ、花京院の服の裾を掴んで離さないのだから、彼女の心の中で何がせめぎ合っているかは容易に見て取れる。 そんな不毛な葛藤で精神の浪費、あるいは磨耗を続けていたら、後々の行動にも障りかねない。 花京院は一瞬ほど瞑目すると、早苗に向かって優しく声をかけた。 「東風谷さん、確かにあの仕草には女性としての魅力は大いに欠けていました。 しかし、そこには欠けた部分を補って余りある東風谷さんの魅力が十分に溢れていたと思います」 「……私の魅力って何ですか?」 その質問に花京院は思わず黙り込む。そのあんまりな態度に早苗の額にはクッキリと青筋が浮かんだ。 「いや、私を慰めるんじゃないですか!? 何でそこで黙るんですかー!?」 「すみません、少し考え事をしていて。まぁそれはともかく、僕からも質問いいですか?」 「ともかくって何ですか、ともかくって!? ひょっとして、このまま流すんですか!? 流しちゃうんですか!? 私を励ます話は無かったことになっちゃうんですか~!?」 「すみません」 花京院の謝罪に早苗は大きく嘆息を吐く。これでは男として、甲斐性が欠けていると言わざるを得ない。 普通は嘘でもいいから、語感の良い綺麗な言葉で女性を着飾ってやるべきなのだ。 こういう場合は、それが何よりも男としての役目なのだ。 それなのに花京院ときたら、小さな声で早苗に謝るのみ。彼女が抱いた失望は、それは大きなものであった。 「……いえ、花京院君に、こういうことの機微を期待した私が馬鹿でした。ええ、きっと私の方が悪いんですよね」 「何だか、僕のことをひどく馬鹿にされたような気がするのですが?」 「気のせいですよ。それで質問って何ですか?」 「……まぁ、いいでしょう。質問というのは、他に魅力的な女性を知らないかというものです」 「まだ、あの作戦を敢行するつもりなんですか?」 「ええ。確かに穴は多いかもしれませんが、やって損するものでもありません」 「まぁそうですね。でも、私にとって男を悩ます魅力的な女性というのは一人しか知りませんよ」 「それは誰ですか?」 「神奈子様です」 その発言に花京院は息を呑んだ。神奈子といえば、ガトリング銃とスタンドで花京院の命を奪いにきた凶悪な輩である。 とてもではないが、女性的な魅力に溢れているとは思えない。寧ろ、あの益荒男ぶりは、男らしいといった方が、より相応しいだろう。 「あの、東風谷さん、僕にはそんな印象を抱けなかったのですが?」 花京院は冷や汗を流しながら、おずおずと訊ねる。 おそらく彼の脳裏には神奈子に襲われている光景が、まざまざと思い出されているのだろう。 そんな様子に、早苗はクスリとほんの少しだけ笑みをこぼすと、丁寧な説明を加えていった。 「花京院君がそう思うのは無理からぬことかもしれませんが、普段の神奈子様はあんな殺伐とはしていませんよ。 明るく、優しく、綺麗で、面倒見が良くて、いつも人の輪の中心におられて……。 他愛のない話なんかしてても、別に退屈そうにはしなくて、笑って耳を傾けてくれるんです。 男の子からすると、包容力があるっていうんですかね? 私が失敗とかもしても、勿論怒ったりはするのですが、 理不尽に責めたりはせず、ちゃんと私の話も聞いてくださる。そうして最後には、いつも私を温かく励ましてくれるんですよ。 とにかく神奈子様は同じ女である私が憧れ、そして嫉妬してしまうような魅力的な御方なんです。 ボディの方も、こうボンキュッボンで凄いですからね!」 アハハ、と早苗は最後に笑って付け足す。神奈子のことを話して、湿っぽい空気になりつつあったのを、払拭しにかかったのだろう。 そんな健気で殊勝な気遣いを無駄にしないためにも、花京院は早苗のことへと話をそらさずに、本題を追求していくことにする。 「東風谷さんがそう言うなら、それは事実なのでしょう。実際、彼女の支給品の充実振りを見れば、答えは自ずと分かります。 あれは荒木達に愛されていると言っても過言ではない。僕はどうやら、出会い頭のあの強烈な姿に見事騙されていたようです」 「神奈子様の魅力を分かっていただけて、私としても嬉しいのですが……しかし、そうなると、どうなるのでしょう?」 「そうなると、八坂神奈子を止めるという重要性が増すのです」 「ですよね」 早苗は自らの責任の重さを再確認する。山の神を止めるという行いは、この殺し合いの行く末を決めることにもなってしまったのだ。 もし八坂神奈子が凶行を止めることもなく、荒木たちの誘惑にも失敗するようであれば、流血の連鎖は延々と続くことになってしまう。 そんな悲劇は、何としても御免蒙りたい。しかし、神奈子を殺してでも止めるという悲壮なる覚悟を決めていた早苗だが、 ここに来て一つの光明を見つけたのも確かだった。早苗は早速、その希望の光を手中に収めんと手を伸ばす。 「花京院君、私からも質問いいですか?」 「構いませんよ」 「花京院君の話を聞いていて思ったのですが、ここは死神(デス・サーティーン)の夢の世界ってことはありませんか?」 その質問に花京院は知らず知らずの内に腕を組み、手を顎にやり、思考に没頭する。 そうしてしばらくした後に、彼の口から出てきたのは、意外にも早苗の考えを肯定するものであった。 「確かにその可能性はありますね。死神と戦って以来、僕は眠る時には必ずスタンドを出すということを習慣づけていました。 しかし、突発的に、あるいは瞬間的に、相手を眠りに陥らせるスタンドというものがあってもおかしくはない。 その方が、夢の世界を支配するだとか、奇跡を起こすだとかよりは、よほど現実的ですからね」 「あの、花京院君、さりげなく私に喧嘩を売っていませんか?」 「気のせいです。とにかく、死神の能力なら、この会場を作り出すことも、 また誰にも気づかれることなく頭の中に爆弾を仕込むことも容易に可能ということです。 何と言っても、夢の中なら何でもできるのですから」 「えーと、自分で訊いといて何ですが、その可能性って本当にあるのですか? 夢の中だとスタンドを出すことが出来ないって、花京院君は言ってませんでしたか?」 「確かにできません。しかし、死神は他のスタンドを作り出すことができ、 そうしてスタンドを出したと勘違いさせることもできるのです」 「本当に何でもありなんですね」 「本当に何でもありなのです。だからこそ、ここは死神の夢の世界ということが考えられるのです」 そこまで話が進むと、早苗は一度大きく深呼吸をした。 そして今まで、どこかのほほんとした表情を引き締め、これから先はふざけることは許さぬ、と 花京院を矢のように見据えて、重々しく訊ねる。 「では、もう一つ質問します。ここが夢の世界だと実証する手段はありますか?」 「ありませんよ」 「え~~、ないんですか~~!」 花京院の実にあっけらかんとした返答に、早苗の張り詰めていた表情は途端に緩み、何とも情けない声で悲鳴が漏れでてしまった。 彼女の身体はそれに釣られてか、へなへなと力が抜けていき、まだ濡れているにも関わらず、地面へと膝をつける。 早苗の様子に花京院は首をかしげながらも、まずは死神のことを話すのが先決だと思い、その詳細を語っていくことにする。 「そもそも、あの戦いで夢の中とかスタンド攻撃とかと気づけたのは、死神が呑気に自分の能力を説明してきてくれたからです。 もし死神の登場や、能力の説明がなかったら、僕もポルナレフと同じく遊園地で遊んでいたかもしれません。 というか、死神に勝てたのも、そこらへんに由来します。もしスタンド使いが精神的に未熟な赤ん坊ではなく、 十年も修羅場を潜り抜けてきたような凄味のある奴だったら、もっと言うのならプロシュートのような男だったら、 ポルナレフは勿論のこと、僕や承太郎、そしてジョースターさんまでもが死を免れることができなかったでしょう」 「は~~、そうですか~~」 覇気が全く感じられない早苗の返事に、さすがの花京院も湧き上がる疑問を抑えることができなかったらしく、 今度は素直にその原因を訊ねてみることにした。 「東風谷さんは何故そんなことを訊くのですか? そもそも夢の中だろうと、そうでなかろうと、 当面の行動に違いは出てこないと思うのですが……」 「花京院君は言っていたじゃないですか。神奈子様は殺し合いに乗るのは、幻想郷の最高神が生贄を求めているからだって。 だから、ここが幻想郷とは全く関係ない場所だって証明できたら、神奈子様を止めることができるだろうって思ったのです」 その考えを聞いた花京院は、元気のない早苗と打って変わって、喜びを露にする。 「成る程、それは妙手かもしれませんね。どうやら僕は東風谷さんを誤解していたようです」 「誤解? どういうことですか?」 「いえ、八坂神奈子を止めると言った時の東風谷さんは随分と思いつめた表情をしていましたから、 てっきり東風谷さんは感情で訴えるとか、力づくで止めるとか、脳味噌空っぽの猪武者みたいな行動をすると思っていたんです。 ですが、東風谷さんは、それとは違う選択肢も考えていたんですね」 「ハハハ。やっぱり花京院君は私に喧嘩を売っていますよね? っていうか、私は覚えているんですからね! 花京院君が私に付いてくる時、戦力が必要だって言ったことを。それって戦うことを前提とした発言ですよね? どっちの脳味噌が少ないか、もう明白じゃないですか!」 「僕は万が一の時のために戦力が必要と言ったのです。誤解してもらっては困ります」 「ああ言えば、こう言う。花京院君はいい加減自分の過ちを認めることをしたらどうなんですか!」 「僕がいつ過ちを犯したというんですか? それに東風谷さんこそ、いい加減に悪意ある曲解はやめたらどうなんですか! 僕は先ほど東風谷さんを褒めたんですよ!」 「あの花京院君の台詞のどこに喜ぶ要素があったんですか!? あれが褒め言葉って、もう言葉のチョイスの仕方が根本的におかしいですよ!」 「いいえ、普通です。僕は至って正常です」 二人は、そのまま自分達の意見を譲り合わず、睨み合う。 一触即発。そのように思われたが、次いで、その二人の口から出てきたのは、長い溜息だけだった。 こんな所で、お互いに争うのは不毛だと判断したのだ。 「意見をまとめましょうか」 花京院は気持ちを切り替えるかのように軽く咳払いしてから、改めて早苗に声をかけた。 彼女も再び話が脱線せぬように努めて冷静に応える。 「はい、そうですね。といっても、話はそう難しいものでもありませんよね」 「ええ。男女における支給品の優劣の差は、荒木達が女に弱いから。 その支給品の充実振りからは、八坂神奈子が荒木達に愛されていると推測できる。 そしてそんな彼女の色仕掛けなら、荒木達の心変わりを狙えるのではないか、という寸法です」 「何というか、改めて言葉にすると、すごく馬鹿げているように思えます」 「ですが、ハニートラップは昔に始まり、現代において尚も存在します。 それが廃れなかったのは、色仕掛けが男には有効だという何よりもの証左なのではないでしょうか」 「それはそうなんでしょうけど……。いえ、まぁ、そこらへんは神奈子様の魅力に期待しましょう」 「そしてその作戦の大前提となる八坂神奈子の説得です」 「はい。勿論、最悪の場合は戦うということになると思います。 ですが、その前段階として、ここは幻想郷とは関係ない場所だから、と説き伏せることができるのではないかということです。 要するに、神奈子様の行動の根幹を崩しちゃおうってわけです。ただ神奈子様が今、歩まれているのは容易には引き返せぬ道。 単なる推測では、方針を変えることはないでしょう。ですから、その方法で説得するとなると、 やはり誰にも否定できぬ証拠というものが必要となってくると思います」 「証拠となると難しそうですね。ここが死神の夢の世界だとしたら、何をしても起きることはありませんし、 例え起きたとしても、夢のことを覚えているというわけでもありません。ここが夢の世界だと立証するには それこそ死神のスタンド使い、おそらくはスタンドDISCで力を得たであろう荒木達の説明を願うしかないでしょう」 「何だか雲を掴むようなというか、藁にも縋るようなというか……。もどかしい感じですねぇ」 「僕の方では残念ながら解決策は思いつきません。ですが、東風谷さんの方はどうですか? ここが幻想郷ではないと立証する方法、あるいは立証できる人や妖怪の心当たりはありますか?」 「ありますね」 早苗は即答した。花京院の台詞を聞いて、真っ先に思い浮かんだ妖怪がいたのだ。 「それは誰ですか?」 早苗の答えの速さに驚きながらも、その迅速さに興味を引かれた花京院は心して訊ねる。 そして早苗の方も、一音も聞き漏らしてはならないように、と丁寧に、ハッキリとした口調で答えた。 「それは幻想郷を作ったと言われる八雲紫さんです」 その台詞に、花京院は目を見開いた。そこまで大げさな肩書きを持った者がいるとは思わなかったのだ。 だがしかし、それは帆に順風を送るような理想的な答えでもある。そんな妖怪がいるのであれば、 この場所と実際の幻想郷の差異など、簡単に明らかにできるであろうから。 花京院は肩の力を抜いて、実に気楽に口を開いていった。 「成る程、そんな方がいるのでしたら、案外説得への道のりは遠くないのかもしれませんね。 それでその八雲さんが、この会場で行きそうな場所は見当がつきますか?」 「私、あんまりあの方のことは良く知らないので、結構な当て推量になると思います。 それでも話すとしたら、彼女の行き先は永遠亭じゃないでしょうか。 私はまだ幻想郷で暮らして短いですけど、あそこは殺し合いを良しとする場所じゃないってことだけは分かります。 スペルカードに代表されるように、平和で穏やかで、それでいて楽しいって所を作った方なら、絶対にこの異変に反意を抱くはずです。 でも、実際に荒木達に反抗するにしても、無理があるじゃないですか。 私達はこんな所に連れこまれ、閉じ込められているんです。しかも、無理矢理にです。 一人でどうにかできるなら、こんな事態には陥っているはずもありません。 となるとですよ、荒木と太田を倒すって考えたら、誰かしらの協力を得ようってことになると思うんです」 「その誰かしらが、永遠亭に関係ある方なんですか?」 「結論から言うと、そうなります。そこには八意永琳という、とんでもなく頭の良い方がいらっしゃるとのことで。 多分、あの方を味方に付けるというのが、危急の際における最善の策かなぁとは思います。 ただですね、私とか、霊夢さんとか、魔理沙さんとか、あとは私とかですね そういった異変解決の主人公というか、スペシャリストにも、お声が掛かるんじゃないかなぁと思うと、 探す範囲は永遠亭にとどまるものではなくなってしまいますね」 「現状、あまり手広く探すことなどできませんから、やはり近くを探すというのが現実的ですね」 「となると、永遠亭ですね」 「永遠亭ですか」 「永遠亭です」 「永遠亭か」 「永遠亭」と二人揃って小さく呟くと、彼らは気の抜けた笑いをしながら、お互いに目を伏せた。 永遠亭。二人にとって、それは最早、呪いのような響きを持った言葉である。 随分と前から、そこに行こうとしているのに、依然と辿り着けていない迷宮のゴール。 永遠亭は文字通り、彼らから貴重な時間と体力を奪っていったのだ。それも一方的に、無慈悲に、残酷に。 そんな忌むべき場所の名前が、再び語られることとなっては、二人の心労は大きくなるばかり。 とはいえ、有限の時間の中では、いつまでも気落ちはしていられない。 早苗は「よし!」と気合を入れると、花京院を叱咤するように声をかけた。 「こんな所で、グズグズとはしていられません! それでは行きましょう!」 すかさず花京院は疑問の声を上げる。 「行くって、どこにです?」 「永遠亭にです」 「どうやってです?」 「…………では、ここは一旦、元の場所に戻ってみますか? それで皆さんと合流した後にということで」 「戻るって、どうやってです?」 重い沈黙が辺りを支配する。二人とも、その問いに対する答えを持ち合わせていなかったのだ。 先ほど、自らに活を入れた早苗の意気はもう阻喪とし、彼女の瞳は光を反射せずに真っ暗となっている。 もう一方の花京院も全く答えの見えない状況に嫌気が差したが、それでも気力を振り絞り、早苗に声をかける。 「とりあえずは、竹林を出ることを第一目標としましょう」 「何か私達の目標って、どんどん低くなっていますよね」 「情けないことは確かですが、千里の道も一歩からと言います。気を取り直して行きましょう」 「そうですよね。何をするにしても、その一歩が肝心なんですよね」 動かなければ、何も始まらない。それを改めて悟った早苗は再び「よし!」と掛け声を上げ、自らを奮い立たせた。 そうして食べかけだったサンドイッチを一気に丸ごと口の中に放り込む。これで気力のみならず、体力も満タンだ。 早苗は意気揚々と、最初の一歩目を踏み出した。しかし、最果てにまで届きそうな力強い足取りは、僅か数歩で止まってしまった。 花京院が早苗に続かず、その場で棒立ちのままなのだ。その様子を不審に思った早苗は訝しげに訊ねる。 「どうしたんですか?」 「ああ、いえ」 と、答えて、花京院は黙り込んだ。不審極まりない答えである。だが、それもむべなるかな。 というのも、冬眠前のリスやハムスターのように、両頬に食べ物を目一杯詰め込んた早苗のマヌケ面を見たら、 不意に「私の魅力って何ですか?」と訊いてきた早苗の言葉が、花京院の頭に過ぎってしまったのだ。 その時、口に出さずに終わった答えが「東風谷さんは承太郎の母親であるホリーさんのようです」だ。 人の心を和ませる、傍にいるとホッとした気持ちなる、とホリーに似通った点を花京院の早苗の中に見出していた。 しかし、それをどうしても早苗に伝えることができなかった。それを言おうと瞬間、花京院は思い出してしまったのである。 「恋をするのなら、あんな気持ちの良い女性がいいと思う」とホリーを評していたことを。 そしてそれに気がついた途端「まさかッ!?」という考えが、花京院の頭の中を支配し、彼に言葉を見失わせてしまったのだ。 「本当にどうしたんですか?」 早苗は花京院の顔を覗き込みながら訊ねた。 その急接近に、花京院は思わず後ずさりしながら答える。 「すみません。少し考え事をしていただけです」 「考え事? ま~た私をいじめる算段ですか?」 「違います。ただ単に東風谷さんはかわ……」 「……かわ? かわ、何です?」 「いえ、何でもありません。先を急ぎましょう」 ぞんざいに答えを放り投げると、花京院は足早に歩き出した。 そんな愛想のない彼の背中に向かって、早苗の怒りの言葉が届けられる。 「もう本当に私、怒りますよ! どうせ、私の頭がかわいそうとかって言おうとしたんですよね!? 私、分かっているんですからね! 女の子は、そういうのには敏感なんですから!」 「だから、違います。東風谷さんも、いい加減に誤解はやめてもらいたい」 「じゃあ、何て言おうとしたんですか!? どうせ、その問いには、答えられないんですよね!? 答えられないのが、まさに私の勘が正しいって証拠じゃないですか!」 「別に僕は何も言おうとはしていませんよ。単なる東風谷さんの勘違いです。きっと幻覚でも見ていたんでしょう」 「また、それですか!! 絶対に私のことを馬鹿にしていますよね、花京院君は!!」 「だから、誤解です」 「もういいです! イーッだ!」 早苗は白い歯を見せて、ご機嫌斜めといった表情を見せてくる。 全く意志の疎通が取れていない会話に、花京院は頭が痛くなる思いだったが、 それでも早苗が八坂神奈子のことを考えて、時折見せる塞ぎ込むような、悲痛に満ちた表情よりかは、全然マシだと思った。 心が和む。そこまではいかないが、こういった下らない会話が、いつまでも続けばいい。 だが、竹林を抜け、他の参加者や八坂神奈子と出会えば、それは自ずと終わりを迎える儚いものだ。 願わくば、いつかは他愛のない日常の中で、東風谷早苗の元気で、温かな笑顔を見られたら、と 花京院典明は心の中で何となく思ったり、思わなかったりするのだった。 「だから、誤解です」 「イーッだ」 【不明 迷い竹林のどこか/真昼】 【花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース】 [状態]:迷子、体力消費(小)、精神疲労(小)、右脇腹に大きな負傷(止血済み) [装備]:なし [道具]:空条承太郎の記憶DISC@ジョジョ第6部、キャンプセット@現実、基本支給品×2(本人の物とプロシュートの物) [思考・状況] 基本行動方針:承太郎らと合流し、荒木・太田に反抗する 1:竹林の脱出。そして永遠亭へ行く。八雲紫の捜索。 2:東風谷さんに協力し、八坂神奈子を止める。 3:承太郎、ジョセフたちと合流したい。 4:このDISCの記憶は真実?嘘だとは思えないが…… 5:3に確信を持ちたいため、できればDISCの記憶にある人物たちとも会ってみたい(ただし危険人物には要注意) 6:青娥、蓮子らを警戒。 [備考] ※参戦時期はDIOの館に乗り込む直前です。 ※空条承太郎の記憶DISC@ジョジョ第6部を使用しました。 これにより第6部でホワイトスネイクに記憶を奪われるまでの承太郎の記憶を読み取りました。が、DISCの内容すべてが真実かどうかについて確信は持っていません。 ※荒木、もしくは太田に「時間に干渉する能力」があるかもしれないと推測していますが、あくまで推測止まりです。 ※「ハイエロファントグリーン」の射程距離は半径100メートル程です。 ※荒木と太田は女に弱く、女性に対して支給品を優遇していると推測しています。またそれ故、色仕掛けが有効と考えています。 ※八坂神奈子の支給品の充実振りから、荒木と太田は彼女に傾倒していると考えています。 【東風谷早苗@東方風神録】 [状態]:迷子、体力消費(小)、霊力消費(小)、精神疲労(小)、過剰失血による貧血、重度の心的外傷 [装備]:スタンドDISC「ナット・キング・コール」@ジョジョ第8部 [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:異変解決。この殺し合いを、そして花京院君と一緒に神奈子様を止める。 1:竹林の脱出。そして永遠亭に向かい、仲間と合流する。八雲紫の捜索。 2:出来たら、ここが幻想郷とは関係ない場所だと証明する。それが叶わないのならば……。 3:『愛する家族』として、神奈子様を絶対に止める。…私がやらなければ、殺してでも。 4:殺し合いを打破する為の手段を捜す。仲間を集める。 5:諏訪子様に会って神奈子様の事を伝えたい。 6:3の為に異変解決を生業とする霊夢さんや魔理沙さんに共闘を持ちかける? 7:自分の弱さを乗り越える…こんな私に、出来るだろうか。 8:青娥、蓮子らを警戒。 [備考] ※参戦時期は少なくとも星蓮船の後です。 ※ポルナレフらと軽く情報交換をしました。 ※痛覚に対してのトラウマを植え付けられました。フラッシュバックを起こす可能性があります。 ※ここがスタンド「死神」の夢の世界ではないか、と何となく疑っています。 <キャンプセット@現実> テント、シェラフ、テーブルウェア、クッカー、カトラリー、カセットコンロ、カセットボンベ(予備)を 一纏めにした充実品。これがあれば、日をまたいでのバトルロワイヤルも安心して過ごせる。 157:第二回放送 投下順 159:鼻折れ天狗のウォーキング・スロウリィ:√0 157:第二回放送 時系列順 159:鼻折れ天狗のウォーキング・スロウリィ:√0 140:マヨヒガ 花京院典明 :[[]] 140:マヨヒガ 東風谷早苗 :[[]]
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冷静さを売り飛ばして 塵になった 僕らを 世界は愚かと笑ったけど みな誰かの大事なひと 「僕は違う」そしてただ 自分だけと 諦めていた 保証もない旅だって構わなかった 理由より大切なものを 知ってたから あの頃ただ先急いでた 星屑みたいな僕らだったけど 生きてた 胸を張れること 後悔はない 喜びだって悲しみだって 仲間と共に分かちあってたから 恐れない どんなことも 長い旅のストーリーも 幸せな結末へ 少しはそれを手伝えただろうか あの時この精神の全てをかけて 刻んだ 強い思いの 命じるまま いま も一度この気持ち 光る星の様な友に伝えたい 一度は 無くした誇りを 取り戻した いつだって泣きたくなる程に 毎日が楽しかったんだ ほんとさ 絆を 信じていた 今は分からない 誰かがまた 物語受け継いで 歩いてゆく 数十日のあの旅で 僕は一番生きてたから 父さん 母さん どうか泣かないで 笑ってほしい 星が綺麗なこんな夜には 次の誰かの幸運祈ってる 今夜 この場所から 原曲【鬼束ちひろ「Sign」】 元動画URL【http //www.nicovideo.jp/watch/sm1109860】
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tes