約 374,268 件
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/180.html
458 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/12(火) 03 41 59 ちと設定に矛盾ぽいところがあることに気付いたので軽くまとめ。 話としてはHFルートアフター、ホロウシナリオも終了済み、が、ちと違う所あり。 具体的には下記3つ 1.葛木生存 →ホロウでは可能性がある事が全て起こりうる、が、FATEルートでも死亡したような事がホロウで書かれていた。 UBW、通常のHFでも死亡確認してた為生存という事で。 HFルートでの死亡は多分妄想心音によるもので、それをキャスターがルールブレイカーで契約ごと破壊した為(多分出来るだろう)。 つまり妄想心音の効果は『心臓が潰される』と言う効果を対象と強制的に契約する物と解釈して、それを破壊した事による。 これによる契約切れでキャスターは消滅したが葛木は生存したと言う事に。 2.セイバー不在 →なんか後日談で普通に居ましたけど、HFルートでは退場してましたから。 ついでに最後のところの『ここは未来を重んずる〜』からの行の印象がかなり強くなるしなぁ。 3.バゼットさん →居候の間に虎に調教されて今では普通にメシを食います。 フリーランスの魔術師してますが時々藤村組の諜報員とかやってます。 身元不明なので海外に行く時困っていたところをロシア系の密輸業者と知り合いました。 というか、裏業者系の船を乗っ取ろうとしたらそれがその密輸業者だったという、その縁で仲良くなりました。 で、例のシベリアトラはこの密輸業者に頼んでウラジオストクから運びました(捕獲は自力です)。 とまあ、こんな感じで。 ついでに今回の話の参考資料として。 http //www.cgl.co.jp/knowledge/01.html http //profiler.hp.infoseek.co.jp/jack_the_ripper.htm
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou/pages/194.html
天野雪輝、キャスター/タマモ――死亡。 我妻由乃、アーチャー/ジョン・ドゥ――死亡。 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、ランサー/本多忠勝――死亡。 遠坂凛、キャスター/蘇妲己――死亡。 近藤剣司、セイバー/セリス・シェール――死亡。 金城優、セイバー/アストレア――死亡。 アシュヒト・リヒター、セイバー/テレサ――死亡。 間桐雁夜、アサシン/トキ――死亡。 園崎詩音、バーサーカー/美樹さやか――死亡。 金田一一、ライダー/太公望――死亡。 天海陸、セイバー/イスラ・レヴィノス――死亡。 間桐慎二、ライダー/ラオウ――死亡。 鳴上悠、ランサー/クー・フーリン――死亡。 ゼフィール、ライダー/アシュナード――死亡。 無機質な文字列がモニターをスクロールしていく。 ムーンセル・オートマトンが構築した霊子虚構世界“SE.RA.PH”での戦い、“聖杯戦争”が始まって、はや半日と数時間。 この戦いで14組、人数に直すと28人のマスターとサーヴァントが散った。 一万飛んで5848回目にして初めてと言えるこの大規模な戦いも、ようやく佳境と言ったところだ。 「――まだ続ける気か?」 不意に、背後からの問いかけがあった。以前にも聴いた問いだ。 あの時は答えたが、今度は答えなかった。その必要性を感じない。 今も戦いは続いている。無意味な揶揄に応じる意味は無い。 「クックッ、そう無下にするな。ここにお前以外の話相手はおらんのだ。少しくらい付き合っても罰は当たるまい」 言われ、男は改めて今在る場所を意識する。 ここはSE.RA.PHではない。言うなれば、“月の裏側”――ムーンセルの支配及ばぬ虚数空間である。 古めかしい家屋を模したこの旧校舎にて、自分たちは聖杯戦争の進行を見守っている。 「この見世物。最初はくだらんと思ったものだが、存外楽しめるものだ」 ここには自分以外にもう一人、黄金の鎧を纏う英霊が在る。 その手には呆れた事に綺羅びやかに輝く酒杯、傍らにはこれまた黄金の酒瓶。 まるでスポーツでも観戦するような体で、 「寝過ぎて夢も見ぬほどに退屈していたからな。常ならば一笑に付すところだが、此度は許そう。褒めてやるぞ、雑種」 彼は尊大にふんぞり返る。彼を見つけたのは、正直に言って偶然以外の何物でもない。 ムーンセルを改竄するため手頃な場所へと腰を落ち着けようとした先に、先客がいた。ただそれだけの事。 彼もまた聖杯戦争に召喚されるサーヴァントの一柱ではあるのだが、何故こんな辺鄙な場所にいたかと訊けば、 「結果の見えている勝負ほど詰まらぬ物はあるまい」 と、言ってのけた。 確かに、どんな凡百なマスターであろうと彼を使役するのならば負けは有り得ない。 参戦すれば優勝という結果が確定してしまう。マスターの魂の質を問うこの聖杯戦争に於いて、ある意味では彼ほど無価値なサーヴァントも他にいないだろう。 故に、彼はムーンセルに封印された。まかり間違ってもマスターに召喚されないように、この月の裏側の奥底へと。 だが本人はそれを不満とも思わず、この虚数空間にどうやってか自己の領域を確保し、無限とも思える時間を微睡みとともに過ごしていた。 「“拳王”、そして“狂王”が墜ちたか。だが“騎士王”は健在……フフン、そうでなくてはな」 どうやらこのサーヴァントは、“王”という存在に一家言あるらしい。 殊に、今のお気に入りは騎士王――セイバー、アルトリア・ペンドラゴンである。 セイバーと知り合いなのかと問えば、彼は否定した。 「逢った事はない。もしかしたらどこぞの世界では違うのかもしれんが。 しかしあのセイバー。金髪碧眼、小柄な体躯、にじみ出る高潔さ。容姿はまさに我の好みドストライクだ。 だが傍にいる小僧が気に入らんな。どうもアレを見ているとこう、セイバーの美点が解消されていくような……」 あの細い身体では到底支えきれぬ理想に押し潰される様は、きっと美しいモノであろうに、とブツブツ不満を口にする。 その意見に同意するかはともかく、セイバーとそのマスターは自分にとっても有望株だ。 思想的に決して男とは相容れないであろうが、彼らの魂の純度はこの戦いにおいて一層輝きを増す事だろう。 「雑種、貴様はどうだ。コレ、と言う一押しはおらんのか」 肩を竦めて、答えない。 誰が勝利するのが重要、なのではない。最後に残った者がいる、それこそが必要なのだ。 それが誰であろうと構わない。最後に残るという事は必然的にそれだけの強さを得た、つまりは闘争の中で魂を成長させたという証明なのだから。 身を預けていた椅子から立ち上がり、部屋の出口へと向かう。 「無愛想な奴よ。まあいい、我はもうしばらくここで眺めている事とする」 それきりこちらに興味を失くし、黄金のサーヴァントは豪奢な椅子に背を預け、酒を舐めつつモニターに見入いり始めた。 何も言わず部屋を出る。扉を閉じると、かのサーヴァントが発散していた金色の王気もまた遮断された。 コツコツと廊下を歩む。はたしてあの黄金のサーヴァントとはどういう関係になるのだろうか。 同志ではない。彼はこちらの目的に賛同も反対もしない。 彼はただ、楽しむだけだ。聖杯戦争という争いの過程、そこに生じる様々な人の生き様を見て、肴とする。 彼自身と同じく“王”を名乗る男を不遜と憤るのが、本来の彼の在り方だろう。 だが、男が名乗る王とはもはや記号以上の意味を持たない。 「眠気覚ましに道化が踊る様を見るのも悪くはない。良かろう、貴様の遊戯に付き合ってやる。 貴様が集めた雑種共の中には我の財に無いモノを持っている奴もいる事だしな。 そして何より、貴様の下らぬ願いの果てに何があるのか……見届けるのも一興よ」 だからなのか、雑種と嘲りつつも敵対的な態度を取らず、あっさりと彼は男に助力する事を決めた。 しかし協力を依頼したとはいえ、あるいは彼の出る幕はないかもしれない。 彼の力を必要とする事態とはつまり、男の前に現れるマスターが多数である場合を指す。 最後に残った勝者を求める男の望みとは食い違う事態、そうなった時の修正力として彼はいる。 彼がSE.RA.PH内に出向けば、遠からず聖杯戦争は彼の勝利という形で決着する。 だがそんな結末は、男も、そして彼も望んでいない。 望んでいるのは勝利ではなく、勝者。だからこそ、最終的には彼もまた打ち倒されなければならない。 彼とぶつかれば、いかに相手が複数のサーヴァントといえど苦戦は必至だ。彼もまた消滅するだろうが、幾人かはそこで脱落する事になるだろう。 だからこそ。彼という強大な壁を乗り越えた者は、一層強靭な刃となって男へと到達する。いわば彼は最後の試練だ。 それらを正直に話したところ、 「構わん。本来我はそのような者たちに倒される側の存在であるからな。 が、我を舞台に上げる以上、我の眼前に立つ者は真の英雄でなくてはならぬ。我を失望させるなよ、雑種」 と、彼は意外にも敗北を了承した。結果より過程を楽しめればそれでいいという事なのだろう。 サーヴァントである彼は、SE.RA.PH内で消滅したとしても存在が抹消される訳ではない。 だからという訳ではないだろうし、たとえ存在が消えるとしても彼の態度は変わらなかっただろうが……と、男は思う。 無論、順当に参加者たちが殺し合い、最後の一組となって男の元へと到達するなら、彼の出番は無いが。 とにかく、彼が自らSE.RA.PH内に出向く事は無い。そしてそれは己も同様だ。 看過できないイレギュラーが発生しない限りは、参加者たちの意志のままにこの聖杯戦争を進行させる方針である。 自らの意志で前進するからこそ、その魂は強く光り輝くのだ。 校舎の一室、自分専用に誂えた個室で、男はモニターに目をやる。 今も戦いは続いている。 ある者は、願いを叶えるために。 ある者は、戦いを止めるために。 ある者は、聖杯そのものを砕くために。 方向こそ違えど、どれも強い意志を持つ者である事に変わりはない。 あの中で一体誰が勝ち抜いて、男の前に辿り着くのか。 かつて魔王と呼ばれた見識を以ってしても、一向に見当はつかない。 しかし――それこそを望んでいる。 混沌の中から這い上がる様。 死という停滞を拒み、苦難に満ちた生を掴もうと必至に手を伸ばす姿。 その砕け得ぬ意志を、求めている。 男がかつて存在した世界では、ついに手に入れられなかった。 最愛の妹も、無二の親友も、全てが遠い過去に去ったあの世界。 不老不死の身である自分だけが唯一変わらぬ存在として在り続け、どれだけの時が過ぎただろうか。 男は使命を果たし続けた。 世界は混沌で活性化し、世界には明日も命があふれていくはずだった。 だが、気付けば世界は停滞していた。 永い間生き過ぎたのだ。世界が男の存在を核に存在してしまうほどに。 同じ波形で起こる混沌とは、すなわち停滞である。 いつの間にか、男自身が世界の明日を阻害する存在になってしまっていたのだ。 一つの世界の停滞は、やがて全ての可能性宇宙に伝播するだろう。 だから男は、自らの滅びを求めた。 古きが滅び新しきを迎えることで変化が生まれる。 この役割を次代の魔王へと引き継がせ、世界を再び混沌で活性化させるために。 だが、生半な素質ではとても魔王を任せられない。否、任せる以前に自分を滅ぼせすらしない。 この不朽の身を滅ぼせるのは、男と同等かそれ以上の力を目覚めさせた者だけ。 男が求める器は、停滞した世界では望むべくもなかった。 やがて男は世界を渡った。そして辿り着いたのが、このムーンセル・オートマトンが存在する世界だ。 そこにいた一人の死人――トワイス・H・ピースマンにより、男は聖杯戦争を知った。 そして思った。その戦いを生き残った勝者こそ、次代の魔王を担うに相応しいのではないか、と。 男は聖杯戦争へ介入するために、ムーンセルへのハッキングを開始した。ピースマンは、男の行動を邪魔しなかった。 どうも彼の望みと男の目的にはよく似た点があったらしい。 男の願いが成就すればそれでもいいのか、あるいは男の願いが決して叶わぬ無駄な物だと見切っていたのか。 自分と同じく別の世界から願いを持つ者を招き、争わせ――勝ち残った者を判定する。 試行に試行を続け、そして一万飛んで5847回、失敗した。 誰一人として、魔王の役割を預けるに足る者は現れなかった。通常のやり方では、男が望む勝者は決して生まれないと悟った。 ならばとこの月の裏側へ訪れ、改竄のしやすい虚数領域からムーンセルへのハッキングを強めて聖杯戦争のシステム自体を歪めた。 常に自身を安全圏に置いていたこれまでと違い、今はムーンセル中枢に最接近している。 ムーンセルへの支配力はこれまでになく強い物となったが、さすがに中枢を守護する最終防衛プログラムは抜けなかった。 現在こそ安定しているものの、仕損じれば異物としてこの世界から弾き出されてしまう可能性は否定出来ない。 後が無いのは男も同じ。故にこれが最後の機会。 一万飛んで5848回目にして、聖杯戦争はかつて無い様相を見せている。 14組28人の魂が淘汰され、残った者たちは手を取り合い、あるいは牙を研いでいる。 ムーンセルの演算を以ってしてもこの先の予想はつかない。 男は頭部を覆う仮面を外した。 現れたのは、モニターに移る黒髪の青年、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと瓜二つ――否、全く同一の素顔。 さもあらん。 彼こそはSE.RA.PHに存在するルルーシュとは別世界のルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、その人なのだから。 しかし彼は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという名を捨てた。 今の彼の名は、ゼロ――人呼んで“魔王ゼロ”である。 漆黒の仮面とマントに身を包む黒き魔王。正義と革命の象徴であったゼロではなく、世界に混乱と戦火を拡げる魔人。 かつて“魔王C.C.”と名乗った彼だが、その名は次代の魔王に引き継がれるべき名だ。 故に彼は、再び“ゼロ”を名乗る。 「混沌の中からこそ、明日への希望は生まれる」 その希望が別世界の自分自身、ルルーシュなのか。 あるいは、無二の友と同一の存在たる、別世界の枢木スザクなのか。 どちらでも構わないし、また別の人間であっても構わない。 現時点での素質になど意味は無い。最後に生き残った者こそ次代の魔王に相応しい。 48人の魂を糧に成長したその魂は、間違いなく最強の“ギアス”を発現させる事だろう。 古き魔王、このゼロを滅ぼし得るほどの、強力な力を。 ゼロを滅ぼした最後の勝者はエデンバイタルに遣わされた新しき魔王となり、同時にムーンセルへのアクセス権を得る。 エデンバイタルと、ムーンセル。2つの全能なる力を統べた者は、おそらくゼロを超える強大な魔王となる。 その人物の思想など関係無い。力持つ者は、ただ存在するだけで周囲に影響を与えていくのだから。 今はただ、待つ。 この月の裏側で、無限の生の終着点と、新たな混沌の産声を、ただひたすらに待ち続ける。 誰が勝者として魔王の前に立つのか。誰が次代の魔王の器なのか。誰がこの身を滅ぼすのか。 「其を見届ける者。すなわち我、魔王ゼロなり――」 【月の裏側】 【魔王ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】 【ギルガメッシュ@Fate/EXTRA CCC】
https://w.atwiki.jp/kakiteseihai/pages/60.html
【マスター】 最高の友達P(◆j1Wv59wPk2)@モバマス・ロワイアル →書き手の詳細はこちら 【マスターとしての願い】 友達の元へ帰る。そのためならばなんだってする。聖杯にかける願いは現状不明 【容姿及び口調】 北条加蓮 【weapon】 ピストルクロスボウ 【能力・技能】 アイドルとしての魅了。 【代表作品】 「My Best Friend」、「私はアイドル」、「ああ、よかった」など 【人物背景】 心情描写に長けたプロデューサーさん。動作や台詞からアイドルの心情を染み出させることが非常に上手く、 それ故にj1氏が書く作品は読者の心に力強く訴えかけてくるようなものが多い。 また、作品のタイトルを、そのパートの一つ前の作品のタイトルを踏まえたものにするなどの憎い演出をすることも。 大きく鉈を振るう行為などはあまりしないが、堅実なリレーを得意としており、 前述した心情描写も相まってモバマスロワを支えている縁の下の力持ち的存在として君臨している。 大きく鉈を振るうことはあまりないにしろ、苦い、だけど仄かに優しさの香る死亡話の数々は一読の価値あり。 【方針】 一般人ロワ出身である彼女はそれ相応の緊張感をもって聖杯戦争に参戦している模様。 起承転結と共に書き手聖杯の物語を紡ぎ、優勝して帰還する。 ▲上へ戻る
https://w.atwiki.jp/yaruseihaisensou/pages/13.html
一番上が現行スレとなります 記入するときは [[スレタイ URL]] の形でお願いします [[スレタイ URL]] 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】14 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】13 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】12 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】11 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】10 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】9 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】8 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】7 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】6 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】5 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】4 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】3 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】2 【多分R-18】やる夫は聖杯戦争を生き残るようです【安価】
https://w.atwiki.jp/kakiteseihai/pages/34.html
小さな一軒家が彼女たちの暫定的な住処だった。 特に不自由のないその住処で、サーヴァントである彼は《会場の全域を見渡していた》。 相変わらずのチート性能だった。しかし使えるものは惜しみなく使っていこうと彼女は判断し、見渡している。 それに、見た様子ではチート云々とは言っていられない状況でもあった。 金髪の幼女が、おそらくはマスターであった人形をぐちゃぐちゃにしていたりと、なんとも散々な「リレー」が各所で起きている。 ごきゅりごきゅりと、冷蔵庫に仕舞われていたペットボトルの水を飲みながら、彼女はマスターの登場を待つ。 ぱたぱたぱた、と音がした。 扉の裏では彼女のマスターが落ち着かない様子で小走りしているのが《見える》。 飲み干してしまったペットボトルを机に置き、食べかけのおにぎりを手に取った。 もぐもぐ、と咀嚼しおにぎりを嚥下し、彼女、「××××」のサーヴァントは音の発生源を向く。 もうしばらくしたら、マスターがこちらにやってくるだろう。 彼女は《姿を変え――ぐるぐる目の少年へと成り変わる》。 途端に狭まる視界にくらりとしながら、椅子に座ったまま彼女を迎えた。 ばたんと鳴る。 淡く彩られた薄茶色の髪を乱暴に揺らす姿が見えたかと思うと、こちらにつかつかと歩み寄ってきた。 乱れる吐息を隠さず、引き締めた表情でこちらにその双眸を突きつける。 おいおい聖杯戦争と言っても書き手ロワだぞ、とも思わなくもなかったが一般人ロワ出身の彼女のことだ。 そういった緊張感は自ずと身につくものなのだろう。 「まあ、書き手聖杯戦争が書き手ロワのノリとも限らないし」 「なに?」 「ううん、なんでもないよ」 そういって、「××××」のサーヴァントは立ち上がって、どこか悲壮感の漂う禿頭の中年に《変化》した。 その手は武骨で大きく、かさかさと乾燥している。だけど暖かくて、慈しむようにマスターの頬を撫でた。 「流石アイドルってところかな。プニプニしてる」 「んっ……くすぐったい」 「あはは、じゃあそこに座りなよ」 先ほどまで自分が座っていた椅子を指した。 首を縦に振り、マスターである少女はぽとりと腰を下ろす。 すると隣でくしゃりくしゃりとビニールがこすれている。おにぎりだ。 「食べよう」 「……うん?」 「食事シーンがあるロワは面白い、ってね」 特に根拠のない理論を広げて、おにぎりを手渡す。 コンビニで売ってる感じのアレだ。海苔をはがすのを失敗した痕跡が見受けられる。 訝しんだのか、若干の躊躇いがあったが、少女は小さな口におにぎりを頬張った。 冷めていた、それでもやわらかい肉の食感とさっぱりとした塩味の風味がする。 「ねぎ塩……カルビ味?」 「びっくりだよね、どうしたってこんなもんが冷蔵庫に入ってんだって」 「……でも、おいしい。帰ったらもっと食事シーンも入れようかな……」 「そりゃよかった。僕もこのおにぎりをロワで出したからね、評価が悪かったらどうしようかと思ったよ」 もぐもぐ。 どんどんとおにぎりは口に含まれていく。 満足そうに、サーヴァントである彼は頷いた。 そんな《ルール》はないけれど、少しでも彼女の背負う重荷を《軽く》できたのなら、それは十全だ。 微笑ましく見つめるサーヴァントを傍に、マスターである少女はおにぎりを食し終える。 随分と落ち着きを取り戻したようだ。手についた海苔の味気を気恥ずかしそうに舐めとった後、「それで」と仕切り直す。 「アンタ、少しは自分のこと思い出せたの?」 「いや、全然。もしかしたら、そういう《ルール》なのかもしれない。なにせ僕は英霊であると同時に文字だから」 「……よく分かんないけど、それで、どうするの。私に……協力してくれるの?」 マスターは令呪をちらつかせ、サーヴァントに問う。 実際のところ、答えに意味なんかない。 生き残るためなら、なんだってするんだから。令呪だって惜しみなく使っていく。 あの輝かしい日々を取り戻すため、――大切な友達(書き手)達ともう一度ロワを紡ぐために。 サーヴァントは目をパチクリとさせて、小さく笑いを零す。それから。 「質問返しして悪いんだけど、……リレー小説ってやっぱり、楽しいのかな」 《ちゃらついた、今風な男に変身しながら》、問いなおす。 「いやあのね、うん。オレにもリレー小説を書いてた過去はあったんだ。だけど思い出せないんだよ。 これが英霊だからなのか、オレが特別文字だからなのかはわかんねえけどね! だから知りたいんだ、リレーってなんなのかをさ!」 机にぽつねんと立てられたペットボトルをゴミ箱へ乱暴に掴み取り投げ捨てた。その勢いに同調するように感情のまま言葉を並べる。 ペットボトルの描いた軌道を目で追い、かつんと、軽い衝撃音を聞いてから、マスターは改めてサーヴァントの目を窺った。 語調の割には落ち着いた様子を見せているが、輝く瞳は確と燃えている。 英霊とは、一人の人生の軌跡を顕現させるものだ。 原作Fateにおいて、勿論のことサーヴァントには生後から死後までの記憶がみっちりとこびりついている。 だけど、彼は漠然としか思い出せなかった。これが他のサーヴァントにも言える、書き手聖杯の不具合なのか、 自らが設定した《ルール》によるものかは不明瞭であったが……知りたかった。 非リレー書き手としての記憶しかない彼にとって、リレー小説が如何なるものかというのは、極めて底知れぬ疑問である。 椅子に座ったまま、静かに彼女は答える。考えたわけでもないけれど、自然と言葉は決まっている。 「私は、ロワ経験に関しては全然なかった新米プロデューサーだったんだけどさ、 友達である書き手のみんなは私の手を引いて、一緒に物語を紡いでくれたんだ」 知ってる人ぞ知ってる設定だが、彼女は流星の如く現れた新米Pだった。 それでも確かな実力を見せつけ、ファンの方々を大いに奮わせてきた。 しかしそれは、一人では成し遂げられなかった――。 「そうだね、私もこれまでたくさん友達とリレーしてきたけど、やっぱり嬉しい。 だけど、それだけじゃないかな。どんなに頑張って一人じゃ描けない物語を、みんなとなら描ける」 二人でなら、ロワも楽しい。 三人でなら、ロワはもっと楽しい。 もっともっとたくさんいるのなら、ロワはもっともっと楽しくなる。 ――みんなと一緒なら、どんな苦難や困難、痛みも乗り越えられると思うから。 少なくても、ロワ経験の乏しい彼女は、そうやってこれまでやってきた。 友達のために――その思いで北条加蓮と神谷奈緒とが寄り添ったように。 「リレー小説ってのは、そういう補い合いでさ。私は好きだよ。どうしようもないんだ」 非リレー書き手である彼は黙然と聞いていた。 ロワっていうのはそれだけじゃないと思いながら。一人でしか書けない物語は確かにあると、確信していながら。 練り上げたプロットを組み立て、壮大な物語を築き上げてきた彼は、それをよく知っている。 ……だからこそ、なのだろうか。 「そっか、そうなんか」 彼女に共感が抱けない、だけど、興味深い。 あくまで非リレー書き手でしかない彼にとっては未知なる感覚。 知りたい……それが、彼の率直な願望だった。 非リレー書き手としての誇りを失うわけではない。……むしろその逆。 彼の在り方があまりにも非リレー書き手然としているがための衝動だった。 「オレの知らねー世界は、やっぱり確かにあるんだよな」 そう言って、彼女の在り方を、リレーの在り方を認めた。 未知の領域に触れる。 ぶるりと身体が震えた。 「なんて、面白そうな体験なんだ」 知らず知らずうちに、じゅるりといった擬音が鳴りそうだ。 これまでいろんなことをやってきた。熱血展開も、鬱展開も、考え得る限り、なにもかも。 でも、それは非リレーと言う枠内でだ。ならば、「リレー」という枠外へ出た時、自分はどこまで通用するのだろう……。 考えると、身体が震えて止まらない。 サーヴァントを傍目に、アイドル――北条加蓮の姿を模したマスターは一つ嘆息する。 背もたれに身体を預けて、サーヴァントに問う。 「でもさ、その質問って大事なの?」 「大事さ、今から俺たちはいろんなロワ書き手と出逢う。――そして、物語を綴る。これって、書き手間のリレーって言えるだろ」 《筋肉質な赤毛の男に変態し》、意気揚々と答える。 まさに、その通りだ。書き手同士の祭典である書き手聖杯戦争は、書き手自身が物語を紡ぐことで成りたつ。 書き手の持ち得る全てを刃と化し、しのぎを削り、物語を紡ぎ……渡し……一つの聖杯戦争と言う物語を完結させる。 故に、リレー。リレーの集大成。 「ま、アンタはアンタで思うようにやればいいけどさ」 自分のネイルを見ながら、ぶっきらぼうに答える。 しかし、彼女の言葉はそこで終わらなかった。 「さっきのおにぎり、おいしかったよ」 ただ、その一言だけで。 あのワンシーンは、サーヴァントのよく知るものから僅かに乖離した。 頭の中で、ゴツンと強い衝撃が走る。 「私とアンタのリレーは、どうだった」 あれは非リレーで使ったワンシーン……約束された結末への一部分にすぎなかったけれど、リレーの一部となって再現された。 全然違う物語の一部として……自分の手とは離れた結末へと向かうための一要因として。 つくづく非リレーとリレーの違いを感じる。 彼は……起承転結(◆YOtBuxuP4U)というサーヴァントは面白そうに頬をゆがめ。 「良かった」 満足そうに頷いた。 物語が自らの手から離れることで、不安感や焦燥感は増していく。 だけども、先の見えない期待感は非リレーでは得難い感覚だった。 「これが、リレーか」 なるほど、どうして多くの書き手がリレーに惹かれるのか、得心がいく。 みな、こうした期待感の渦中で、希望を成就させようと筆を執っている。 今の自分は非リレー書き手でしかないけれど、リレー書き手であった自分が確かにいた事実も納得できた。 「繰り返すけど、私に協力、してくれるの?」 友達と一緒にリレーをするために、他の書き手を蹴散らしていく。 それが彼女のスタンスである。十分承知の上で、起承転結は答えた。 「ああ。せっかくの機会だ。己の全てを賭けて、聖杯戦争を勝ち取ってやる」 他の書き手たちとリレーができるのならば、どういう形でも良かったのかもしれない。 今回のマスターが、たまたま好戦的だったから、こういうスタンスへと相成ったのかもしれない。 でも、それでいいのだ。 見定めてみようじゃないか。自分の知らない世界を。 綿密にプロットを練る自分の在り方とはまるで異なるリレーの世界を。 「ね、じゃあさ、私の友達になろうよ。そして一緒に聖杯を掴み取る《物語》を綴ろうよ」 「……はいよ、今からあたしはお前の親友だ。刀となり、お前を守り、一緒にリレーしていこう」 《ポニーテールのジャージ女に姿を改め》、起承転結は頷いた。 それを聞いて、最高の友達Pは華やかな笑顔を咲かせた。 それはそれは、凛として強く、なおも可憐で麗しいアイドルのように。 【マスター】 最高の友達P(◆j1Wv59wPk2)@モバマス・ロワイアル 【マスターとしての願い】 友達の元へ帰る。そのためならばなんだってする。聖杯にかける願いは現状不明 【容姿及び口調】 北条加蓮 【weapon】 ピストルクロスボウ 【能力・技能】 アイドルとしての魅了。 【代表作品】 「My Best Friend」、「私はアイドル」、「ああ、よかった」など 【人物背景】 心情描写に長けたプロデューサーさん。動作や台詞からアイドルの心情を染み出させることが非常に上手く、 それ故にj1氏が書く作品は読者の心に力強く訴えかけてくるようなものが多い。 また、作品のタイトルを、そのパートの一つ前の作品のタイトルを踏まえたものにするなどの憎い演出をすることも。 大きく鉈を振るう行為などはあまりしないが、堅実なリレーを得意としており、 前述した心情描写も相まってモバマスロワを支えている縁の下の力持ち的存在として君臨している。 大きく鉈を振るうことはあまりないにしろ、苦い、だけど仄かに優しさの香る死亡話の数々は一読の価値あり。 【方針】 一般人ロワ出身である彼女はそれ相応の緊張感をもって聖杯戦争に参戦している模様。 起承転結と共に書き手聖杯の物語を紡ぎ、優勝して帰還する。 【クラス】 ××××(解釈不能) 【真名】 起承転結(◆YOtBuxuP4U)@四字熟語バトルロワイアル 【パラメーター】 筋力:E~A 耐久:E~A 敏捷:E~A 魔力:E~A 幸運:E~A 宝具:EX 【属性】 秩序・善 【クラススキル】 不明 【保有スキル】 多重召喚:- 宝具の影響で二重召喚どころか多重にまで至った稀有な例。 ただし、起承転結の場合、勇気凛々の場合はセイバー、鏡花水月の場合はキャスター、と、 変身する姿によってクラスが固定であるため、二重召喚のように、同時に複数のクラススキルなどは持ちえない。 非リレー書き手:A 非リレー企画を続けていくには、書き手が自分ひとりであっても根性や技量が必要な修羅の道を歩まなければならない。 このスキルはいわば「単独行動」の上位互換であり、マスターが不在で行動できる。 その上、マスター不在時は各ステータスが1段階ずつアップする。 オリキャラロワ書き手:B そのままオリキャラロワ書き手。 本物であり続けるスキル。想像力/創造力なら天下をとれる! 絵師:C 支援絵を投下した書き手に付与されるスキル。 それだけで他書き手/読み手から感謝され崇められる。 とはいえ起承転結は非リレー書き手なのでその恩恵は低い。 【宝具】 《変幻自在》 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 ――《四字熟語ロワに参戦しているすべてのキャラに変身できる》 発動は意識するだけで行える。タイムラグなどはほぼない模様。 この宝具は、彼が非リレー書き手であり、オリキャラロワの書き手である伝承が転じたものだ。 一から全てを創り上げたキャラクターに愛情が湧かないわけがない! どのキャラに対しても分け隔てなく愛を注いでいれば、そのキャラそのものになりきることもできるのだ! 余談だが、四字熟語ロワ的には《起承転結》という宝具名が適切なのだろうが、紛らわしいため起承転結自身が改めた。という設定で 【容姿】 特定の姿をもたない 【Weapon】 変身している四字熟語にそぐうもの 【主な作品】 「都市伝説」、「確定申告(前/中/後)」、「最終戦Ⅰ~Ⅴ」など 【書き手紹介】 2011年10月10日に現れた、継続的に投下している非リレー書き手の一人。 非リレーは元々オリキャラロワに対して敷居の低い場所ではあるが、それをいいことに好き勝手やっている人。 基本的には心情や、それを描くための演出を重視する作風をとっている。 しかしそれだけにとどまらず、燃えるような熱血を描いたかと思えば、直後に裏切るかのような鬱を描いたりと多才なお方だ。 また、非リレーということもあり、ロワ開始前から緻密なプロットを練っていたらしく、 全体を通した構成力や、そこに至るまでの展開力も尋常ではない。肝心のオリキャラの構築も素晴らしいの一言。 非リレーということもあり、一人で物語を積み上げなければならないが、三年以上屈せず書き続けている精神力にも拍手を送りたい。 【スタンス】 普段ない《リレー》の機会なので、他者と接触し、物語に介入していく 【基本戦術、方針、運用法】 プロットを練ることを得意とする書き手の在り方から、事前に綿密な作戦を用意してから戦いへ赴くスタイルを得意としている。 相手の出方などによって適宜戦術を変えていく必要があるだろうが、四字熟語ロワ全キャラに変身できるため応用力は高い。 偵察のための《一望千里》、対セイバーでは恐らく最高峰の《優柔不断》、シンプルに攻めたいのなら《勇気凛々》などなど。 使い方次第では如何なる場面でも対処が可能だろう。 ただし、特出している能力に欠けているため、ゴリ押し系のパワータイプの書き手などには弱い。 また、マスターである最高の友達Pは基本的なスペックは一般人並であるため、マスターによる支援が皆無に等しいのも弱点となりがちだ。 015:タチムカウ-絶えることなき生の証明- 投下順に読む 017:陰日向に咲く……? 最高の友達P 024:連鎖反応 起承転結 024:連鎖反応 ▲上へ戻る
https://w.atwiki.jp/girlwithlolipop/
少女性、少女製、少女聖杯戦争 また来ん春と人は云う しかし私は辛いのだ 春が来たって何になろ あの子が返って来るじゃない 『また来ん春……』 中原中也 現在の予約 書き手 予約キャラ 期限 現行スレ:少女性、少女製、少女聖杯戦争 二章
https://w.atwiki.jp/222seihaisensou/pages/133.html
「狂介の奴、三十分ぐらい前から何回か電話かけてきてたのか。間の悪い、行き違いじゃないか。」 そう言いながら間桐慎二はスマホをフリックする。アインツベルン城を囲むように広がる森から出た途端に電波が繋がるようになったそれには、狂介のスマホからの着信履歴が列をなして表示されていた。 城から走らせているタクシーは既に住宅街を望む所まで移動してきていた。悪路とはいえ基本的には直線の多い森の道は二十分も車で走ると外れにまで出ることができる。森に隠されていた太陽もその沈んでいく姿が時たま見えるようになってきた。 「しかもクロノからもやたら来てる。これどうやって留守電聞くんだ?」 「狂介が生きているのなら私は普通に帰るけれど。」 「そうだな、本当はイリヤにも一言言っておきたいんだが……いや、少し待ってくれ。本人にかけ直してみるから……おっと、繋がった。もしもし。」 『もしもし?慎二か!?今どこにいる?』 後部座席に並んで座るアリスの耳にも半日ぶりとなる狂介の声が聞こえた。ということは、つまり狂介は生きていたと見て良いだろう。アリスとしてはほぼ死んだものとしていたがそれならそれで良い。大した付き合いもないのでなんの情もわかないが、一応知り合いなのだ、まだ死んでいないのは都合が良かった。ちょうど住宅地に入り始めた車から景色を見ながら、アリスは電話へと耳を傾け。 『慎二、アルトリア・ペンドラゴンって人知ってるか?あとカルナと真田幸村っていうランサーも。』 「……言いたいことは色々あるんだけど、ちょっと待ってくれ。おいアリスーー」 そしてすぐに聞こえてきた名前に驚かされた。眉が動く。 今、聞き違いでなければ、アルトリア・ペンドラゴンと狂介は言ったのだろうか。それどころか真田幸村にカルナの名前も聞こえた。 「生きてたみたいね。それも揉め事に首を突っ込んで。」 「だな。それで、どうする、家に寄る?」 「そうね……私はーー」 『あ、これって言わない方が良かったっけ……キャスタ『ロン、メンタンピン一発ドラ1……裏ドラ乗ってドラドラ、跳満です』あああああああああああああ!!』 「……!?」 「うっさ!……なんだ、なんで突然叫んだんだ?」 『あれ?ピンフってロンの時はつかないんじゃ?』『つかないのはツモの時ですよ』『ツモピンアリのクイタンアリが一般的らしいよ』『クイタン?』『いや俺も良く知らないけど』『よし、次の莊から赤ドラも入れよう』『キャスター……点棒が……点棒が……』『二連続で飛ぶとはな』 「おい狂介!いったい何があった!何をやってるんだ!?」 謎の狂介の絶叫とキャスター、そして何人もの人間の声がスピーカーから流れる。珍妙な符号と、そしてジャラジャラという騒音がそれに続いた。 それを聞く慎二とアリス、困惑。 いったい全体、狂介がどのような状況に置かれているのか皆目検討がつかない。 なぜ生死が危ぶまれていた男が大勢の人間に囲まれているのか、そこで何をしているのか、それらの情報が得られる唯一の手段であるスマホからは、『ついでにアリスも加えるか』等というキャスターの声が雑音混じりに流れてきた。 「私を呼んだ……?」 「拷問かなにか受けてるんじゃ……おい狂介!しっかりしろ!今何をしてるのか落ち着いて言え!!」 大声でハッキリと喋ると、慎二はスピーカーに集中する。依然、そこからは雑音ばかりだが、辛うじて狂介の返事らしきものが聞こえ、アリスに目配せする。喋れる状態ではあるようだ。それなら、せめて聞き漏らさぬようせねばならない。 やがて、二人の耳にジャラジャラというなにか軽めの樹脂でもぶつけ合うような音と共に、狂介の声が聞こえてきた。 『今?ええっと……麻雀、かな?』 「「マージャン……?」」 思わず慎二とアリスが顔を見合わせたのは言うまでもない。 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 聖杯戦争は人一人の都合なんて簡単に無視して進んでいって。 九重りんが半日ぶりに目を覚ましたとき、彼女の周りはすっかり一変していた。 いつの間にか自分は病院のベッドからホテルのツインルームに四人で寝かされていて、それ以外にも色々な人、そしてサーヴァントが部屋に出たり入ったりしていた。 「目が覚めたか。」 「……最悪。」 スッ……と視界に現れたのはアサシン・千手扉間だ。 相変わらずの仏頂面でベッドの脇に立ち、りんを見下ろす。その顔を見て、なぜか無性に腹が立った。が、それを抑えて辺りを見回す。 状況が飲み込めない。自分が寝て……普段の睡眠とはなにかが違ったようにも感じたが、ともかく、起きたら全く自分が想像もつかないようなことになっていたのだ。 目を扉間に当てて無言で説明を求めると、「状況が変わった」と言ってきた。違う、そうじゃない、そんなことはわかっている。問題はなんで変わったかだ。 視線を逸らさない。引き続き説明を求める。根負けするように扉間が再び口を開こうとしたとき。 「アサシンさん、そろそろ買い出しーーあああ!!」 明るい色の髪の毛をポニーテールにした少女が部屋へと入ってきた。「静かにしろ」と扉間はその少女に向かって言ったがそんなのはお構いなしにポニーテールはりんの元へと駆け寄る。 「……アサシン。」 「アサシンさん、この子がーー」 「……説明する必要があるな、それも落ち着いて。」 気だるく動かない体のりんとそのポニーテールの少女が同時に口を開き、扉間は渋々といった感じで二人を交互に見た。 「八騎のサーヴァントがいるってこと?」 「ああ、そういうことだ。」 しばらくして、扉間から説明を受けたりんは頭を手で押さえながら自らのサーヴァントを睨んだ。その頭痛の原因はもちろん体調不良だけではない。 りんが聞かされたこれまでのことはなかなかに信じられるものではなく一つ一つの事柄に納得できない処もあるためどうしても理解するのは難しかった。それに年の割りには聡いとはいえ、小学三年生である。絶対的な知識も知能も経験も足りない。であるにも関わらず彼女が把握したイベントはなかなかにヘビーであった。 一、さっきのポニーテールの少女(日野茜というアイドルらしいが聞いたことはなかった)とそのサーヴァントであるランサー(真田幸村という侍らしいが歴史の授業は高学年からだ)が病院で聞かされたサーヴァント達である。 二、一緒のベッドに寝かされている外人(マイケル・スコフィールドという上半身入れ墨のイケメン)と床に転がっているアーチャー(亀甲縛りのオッサン)があのあと病院で出会った相手である。 三、その二組ととりあえず8日まで同盟を組んで協力していくことになった。 四、そしたら病院の少し北にある公園で全然知らないサーヴァントが戦っていることを知ってしかもそこにランサー・カルナというサーヴァントが乱入してビームを撃って公園を焼き付くした。 五、病院に来たキャスターととりあえず同盟を組んで(とりあえず多いな)カルナを襲うも撃退された。 六、その戦いの結果アサシンは病院で気を失い、その間に病院に爆破予告(なんでだよ)があったためりんは転院させられた。 七、りんを追いかけた先で美遊とバーサーカー(ここまでくると誰だよという気分だ)と出会い、一緒にホテルに行く(援交か?)と今度はいおりとランサー(冬木大橋で共闘した相手らしいが既に記憶の彼方だ)と出会った。 八、病院からいなくなっていたランサーとアーチャー(だからなんでだよ)、彼らと共にカルナと戦ったもう一人のアーチャーとキャスター(ややこしいな)、そしてホテルにいたクラスのないサーヴァント(もうわけわかんない)と合流した。 九、八組でとりあえず情報交換した結果(とりあえずばっかじゃん)、もっと腰を据えて話すだかなんだかで場所を変えるとかもうどうとでもなれ。 一度にこんなに色々あったて言われてもわかるわけないだろ! それがりんの偽ざる感想である。そりゃそうだ寝て起きたらこんなことになってたら誰だって戸惑う。そしてベンチに座ったりんは周囲を見渡すと更に困惑の表情を作った。 「アサシン。」 「なんだ。」 呼び掛けながら視線を左へ。カジュアルな服に着替えた茜と幸村がサングラスを鏡の前で試着している。りん、茜のことをパット見から五年生か六年生だと思っていたが、どうやらもう少し上のようだ。 視線を右へ。白のワンピースに身を包んでいる少女は、アサシンの紹介だと美遊だったか。そしてその横の低学年らしき少女は多分いおりだ。こちらは暇そうに立ち読みしながら時おり周囲に目をやっている。 「なんでみんなで売店に来てるの。」 「……買い出しだ。」 「いやなんで。」 「このホテルの上から三階を貸しきった。それぞれの組ごとに一部屋ずつある。」 「説明になってない。」 「病院は既に拠点としては不適当だ。場所を移さねばならん。」 「で、ホテルを拠点にするの?他にあんなに敵がいるのに?」 「……ここを拠点とする!」 「マダラさん、こっちは終わりましたよ!」 「あとなんでサーヴァントが実体化してんのなんであの人あんな大声なのていうか本名マダラなの。」 「話すと長いぞ。」 「わかった黙ってて。」 ベンチに並んで腰かけていたりんと扉間の元に向かってきた茜と幸村を認めて二人は会話を打ち切った。 自分のことを見習い魔術師として紹介した美遊・エーデルフェルトの存在は、幸村達魔力消費の激しいサーヴァントにとって非常な意味を持つ。戦闘さえしなければ数騎のサーヴァントに魔力を融通できるというのは、それだけで彼女を同盟相手として認めるに足るものだ。なにせ、ここにいるサーヴァントの半分は霊体化していたしても明日には消滅しかねないほど消耗しきっている。そこに来て魔力の安全な調達手段が現れたのは大きい。彼女のバーサーカーに回す魔力が足りなくなれば制御が効かなくなると念は押されたがそうであっても魔力を供給されるのは至上命題であった。 ーー彼女にとっての誤算は見習いどころか魔力を持たないマスターばかりということだった。仮にも聖杯戦争ならばなんらかの形で魔術に関わっているだろうと思ったが、話を聞くだけでは完璧に一般人であると思われるマスターばかりだ。自分の同盟での価値を高めるために少々手の内を晒したとたんにピラニアのように食いついてくるとは予想だにしなかった。 そして現在、早急に魔力を必要としている者のうち、要注意人物であり意識のないアーチャー・ワイルド・ドッグを除いた四騎のサーヴァント、即ちアサシン・千手扉間、ランサー・アリシア・メルキオット、アーチャー・安藤まほろ、ランサー・真田幸村の四騎が数時間という条件付きで一時的に魔力の供給を受けることとなった。この処置に対してもいくらかの小競り合いはあったものの最終的には美遊に判断が委ねられた。また美遊との距離が離れすぎてはいけなかったり実体化していなければ魔力供給はできないとのことでそれぞれがなんとか変装をし美遊の近くでの集団行動を余儀なくされていた。 これが何組もの主従が一度にホテルの売店に来ている理由である。サーヴァントが実体化し続ける必要が生じたため、あるいはマスターの着替えのため、そうでなくても雑貨なりなんなりを求めて、自然に買い出しに出る空気となり、マイケル達とそれを見張っているバーサーカーと画面の中から話しかけるドクのマスターを除いた全員がそれぞれに買い物をしていた。 真田幸村も、今はラフなTシャツとハーフパンツにサンダルという出で立ちだ。傷跡を隠すためのテーピングもあり、体格と合わさってアスリート然としている。そのせいか隣で変装用のキャップとサングラスを選んでいるマスターの茜がマネージャーのように見えるのだが、そのようなことは幸村にとっては注目すべきことではなかった。 その目線は、売店の近くのベンチに座る少女ーー九重りんへと向けられていた。 「気になりますか?」 鏡の前でサングラスを試着しながら茜に問われ、「それは」と口にして。しかし、そこから先の言葉が出てこない。それは、それはなんだというのだろうか。自分の中のものを言葉にしようとして、しかし、できなくて。 数秒の間を置いて、「拙者は未熟だと、思い知らされて」と呟いた。 試着したサングラス越しに茜と目が合う。 「未熟、ですか。」 「はい。」 「どうしてです?」 「知らないことが多いからです。」 ちらりとりん達を見ると、幸村は再び茜を見つめる。 「あーちゃー殿、まいける殿の方のあーちゃー殿が安藤殿達に暗殺者だと言われたとき、拙者はそれを否定しました。拙者が知る限りではそんなことはないと、安藤殿達より長く共にしていたのだからどのような人かはわかっていると。」 「しかし。」 「それはただの驕りではないのかと。」 「知っている気になっていただけなのではと、そう思った次第で候う。」 りん達は二人でなにか話しているようだ。茜は目の端でそれを見て「なんでです?」と珍しく小声で聞いた。 「拙者は、あさしんのマスターの、あの少女の名前すら知らぬのです。なぜそれで彼らを知った気になれましょうか。」 「……だったら。」 茜はサングラスを取ると棚から二つとってレジへと向かう。素早く会計を済ませると「まずは話してみませんか」と言って幸村の脇を通りすぎる。 「マダラさん、こっちは終わりましたよ!」 そうして、りん達に声をかけると「ね」と言って幸村に振り返った。 (こやつは、儂の想像以上の者だな……) ベンチにりんと並ぶように座った茜に対して扉間が抱いたのはそんな感想だ。 茜がりんと話はじめて数分で、この少女には人並み外れたものがあると、そうはっきりと思わされる。感じとしては、兄である柱間に近いだろう。 「でも東京って家賃も物価も高いですよね、こないだなんてーー」 「それは観光地だからーー」 (既に儂がこれまでにりんと話した時間より長く会話しているとはな。) アサシンがりんのサーヴァントとして召喚されてから数日が経つが、今に至るまで大した会話はなかった。互いが互いを信頼していないしりんにマスターとしてできることなどなにもない。その事を互いにわかっているからこそ、両者の間に言葉らしきものは殆ど無かったし必要もなかった。 しかし、茜がりんと話し初めてから両者の会話は途切れることはない。必要最低限以下の会話しかしてこなかった、できなかった扉間からすれば驚きを持って受け入れられる。 正確には茜が捲し立てそれに時々りんが相づちを打つような感じなのだが、それでもそこには確かなコミュニケーションがあるとはっきりわかった。 (日野茜……大した奴だ。) (……暑苦しい。) 一方のりんは、この空間に辟易していた。 運命共同体とも言うべきアサシンはともかく、茜も幸村もつまりは他人、敵だ。勝ち残るのは一人である以上、それは間違いない。 それなのに、特に茜は明るく前向きで社交的だった。こいつは本当に聖杯戦争のマスターの自覚があるのか、と問いたくなるほどに、茜は自らをさらけ出してくる。 その事が、不快であった。 馴れ合う必要などないだろうに。 確かに、同盟とはそういうものなのかもしれないが、それでも最低限で良いのではないか、そう思わずにいられない。 「茜さん達って、真っ直ぐで前だけ見てるんですね。どうしてです?」 会話の流れを切るようにそう言った。 それは、これ以上茜に合わせるのが苦痛だから、そして、軽蔑していたから。 子供特有の無邪気さを醸し出しながら、皮肉げな感じを出さないように、それでいて印象に残るよう。 この太陽のように眩しい少女達が見えていないものを、気づくヒントをあげようと、二人が破綻し死ぬところを想像しながら。 (前向きでいられる人ばっかじゃないのに。) 黒いものが自分の心に沸き上がる。それがはっきりわかる。イメージは背中を向けた茜にナイフを叩きつけるように抉り込む光景だ。前だけ向いてるからそうなるんだ、私がアサシンに初めて命令して殺させるのはお前にしてやる。 愉悦の笑みを浮かべて、りんは答えを待つ。どうせ、大した理由ではないのだろう。この頭の軽そうな二人に自分が満足のゆく答えなど出せるはずがない…… 「それは、前以外も見ているからではなかろうか。」 ぴしり。 りんは睨むように、いや、実際にそう言った幸村を睨んでいた。今こいつはなんと言ったのだ?この脳みそ空っぽといった顔の男は。前以外も見ている?だったら無用心に他のマスターなんかと馴れ合うなもっと気を配れ。それともなにか?私はそんな必要もない雑魚だっていうことか? 睨む。 睨む。 睨んで。 「どういう、こと。」 絞り出す。ぎりぎりと頭のなかでなにかが音を立てる。しかし、幸村はそんなこと全く見えていないかのように 「口を挟んでしまい忝ない」と言ってから続けた。 「人は前だけ見て走ることはできませぬ。上はもちろん、下や後ろも見なければ。足元も見ずに走り続けることができる者はおりませぬ。」 ぎりぎり。 ぎりぎりぎりぎり。 なにかが、りんの中で軋む。なんだそれ?下や後ろ?それは私のことか?ふざけるな、だいたいそんなところにまで目を向けていたら前なんて向けない。足下にある影に気づかないように生きているだけのくせに、影を愛した人の気持ちなんてわからないくせに。 「後ろを見たら……進めない。大事なものから離れていっちゃう。」 先程までの曲がりなりにも和気藹々とした空気はとっくになくなって。 あんなに話していた茜も、りんと幸村の話になにも口を挟まなくて。 目と目を合わせた二人だけ。 「ーーならば、連れていけばいい。」 絞り出したりんの言葉に、平然と、幸村は言葉をぶつけてきた。 「歩んできた道に置いてきたものがあるのなら、それを供に連れていく。」 「できるわけない。手遅れなことだって。」 「たとえ手遅れでも、今持てるだけのものを持って前へ歩むことはできるはず。」 りんの反論も容赦なく、打ち据える。否定する言葉を、越えてくる。 (そうか、この人は。) 強いんだ、そう気づいた。 幸村は、ランサーという英霊は強いんだ、りんの悩みとかそういったものを知らない、わからないと思ったが、そうじゃないのだ。この人は、きっとそういったものを力業でどうにかしてきたのだ。 (そっかぁ。) 「幸村さんは、強いね。」 心から、そう言えた。こいつはバカじゃないんだ。大バカなんだ。真っ直ぐ前に進むための力をバカみたいに頑張って手に入れた人なんだ。さすが英霊だ、サーヴァントだ。 りんの言葉に、幸村は曖昧な笑みを浮かべた。 「拙者は、ただ不器用なだけでござりまする。臆病者は、後ろや足下が気になるもの。ただ前だけを見て駆けるような真似は……拙者にはできなかった。」 目の前の幸村が、とても小さく、同時にとても大きく、りんには感じられた。 強くなろうとしたから強くなった。そんな単純でだからこそとてつもなく強いのだろう。 「ははは……少し気恥ずかしいものですな。改めて申しますと。」 「なんだか……なんだかスゴいです!ランサーさん!!なんだろう、言葉にできないことが言葉でわかったっていうか……!」 シリアスな空気は直ぐに消えて、幸村は元の感じになった。 時間にすれば一分ほど、交わした言葉はほんの僅かなのに、りんはわからされた。その幸村の強さが、まるで嘘だったように砕けた空気が広がる。それがりんの背中を寒くする。こんなにも強い人間が、今や先程まで観察していたように茜と緊張感のない会話をしている。たった数十秒で二人はいつもの感じになったのだろう。そんな、オーラの欠片もなくした人物が、自分とは格段に違う人としての強さを持っていることが。 (なれるのかな。) 私も。 忘れちゃいけない過去を、未来に持っていくような強さを持った人に。 「あ、そうだ!りんちゃんもなにか売店で買っていきません!?ここってお土産屋用に洋服とかも売ってるんですよ!」 「……じゃあ、折角だから。」 「ですよね!マダラさんはどうします?」 「儂か?そのような……」 「買おうよ、アサシン。」 「マスター……」 私が、変われるかもしれない。 そう思えたのは、これでたぶん、三回目。でも、自分から変わりたいと思ったのはもしかしたら初めてかもしれない。 愛とか恋とか、そういったものじゃなくて、強さを欲しいって、生まれて初めて思った。 茜に背中を押されて売店に行ったところで、ちらりと賞品が目に入る。こういったところで買うのなら、やっぱりああいったものの方がいいかもしれない。値段も安いし、いつでも見れるから。 「?アルファベットのブロック?あー!名前を作れる奴ですね。」 「折角だから、ね。」 「折角ですし買っちゃいましょう!」 幸村達とは、いずれ殺し合う。あんなに強い人間と。とても勝てるなんて思えない相手と。 でも、だからこそ、強くなりたい。 私が、前へ本当に進むために、まずは勝たなきゃ、勝たなきゃいけない。荷物は大分重くなりそうだけど、耐えられるかわからないけど、それでも抱えて。 (お母さん……レイジ……) (先生……!) 九重りんは、自分の大切な人のところへ、九重りんとして帰りたい。 「狂介、麻雀をしよう。」 「……え、なんで。」 ところ変わって売店の反対側!そこでは顔と股間だけ実体化したキャスター・パピヨンがマスターである色丞狂介を麻雀に誘っていたッ!! 「俺が麻雀したくなったからだ。」 「そんなノリで麻雀しちゃ、ダメだろ。ていうか道具とかどうするんだ。俺金ないぞ?」 「その点は心配する必要はない。お前が真田幸村達を見ている間にスポンサーが見つかった。」 「見てたのかよ……だったらなおさらなんで麻雀なんだ。なんかあっちは打ち解けた空気になってるのになんでこっちは麻雀なんだよ。」 「アイツらは元から同盟組んでるんだから今まで打ち解けてなかったのはただの怠慢だろう。それよりこっちはこっちで麻雀で打ち解けるぞ。」 「時々ほんと辛辣だよな……」 見も蓋もない言い方にドン引きする狂介だったがパピヨンはお構いなしのようだ。そうこうしているうちに、自分の後ろに誰かが立つ気配を感じ、そして。 「変態さん、麻雀をしましょう。」 「安藤さん!?ていうか変態さん呼びはやめて!?僕は変態仮面になれるだけで僕個人は変態じゃないから!!」 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 「本当にやるのか……?あっちはあんな良い空気だったのに本当に……それにメンバーおかしくないか?」 「そうか?俺はそう思わんが。なあ安藤?」 「そうですね、特におかしくはないと思います。」 「……あー、俺もそうかな。ランサーもそうだろ?」 「そう……ね。」 「私も、そう思う。」 そんなこんなあって冬木ハイアットホテル最上階。 貸しきったは良いもののどこの誰が作ったかわからない陣地に寝るわけにもいかないのでみんなの共有スペースという名の贅沢すぎる空き地と化したそこには四組の主従がいた。 全く気乗りしないが連れてこられた色丞狂介となぜかノリノリのキャスター・パピヨン。 気乗りしないとかそれどころじゃないだろうにまさかの参加の野比のび太とやっぱりなぜかノリノリのアーチャー・安藤まほろ。 ほぼ二つ返事で参加を表明した高遠いおりとランサー・アリシア・メルキオット。 そして魔力供給の都合で行動が制約されまくってる美遊・エーデルフェルト。 以上である。 (明らかに幸村達をハブにしてるよな、これ。) 人選からしてあからさまなそれに思わず「……これ、親睦会なんだよなあ?」とつっこむ。 「物事には順序ってものがあるだろ?それに……」 「それに?」 「麻雀は四人じゃないとできない。」 「そっちが理由か!」 あんまりなキャスターにつっこむと同意を求めるように見回す。が、他のマスター達はお構いなしに麻雀の準備を進めていた。 (あれ?これ僕がおかしいの?なにこの空間?) しかし狂介、さすがは変態仮面。「ここはこういうノリのパートなんだな」と誰に言うともなく呟く。 「ところで、僕ルールわからないんだけど。」 「安心しろ、ちゃんと一から教えてやる。ちょうどここに簡単なルールブックもあるからな。まずはお前から読んでおけ。それと、全員にボールペンを配っておく。それぞれが重要だと思うところに下線を引いていってくれ。全員の理解につながる。」 「用意いいなあ、やる気満々じゃーーん……?」 「麻雀牌のおまけでついてきていた。抱き合わせ商法だな。さて、まずは牌を出してくれ。そこから使わない牌を幾つか抜く。」 「そういうことか……あ、使わない牌?……この白いのか。」 「いや、それは白という牌だ。春夏秋冬の四種類の牌を抜いてくれ。」 「これか?」 「それは一索。春とか夏とか書いてある牌あるだろ。」 「あ、これかあ!」 おおなんということか!このような謎空間に、直ぐ様狂介は適応したのだ!ウ~ン、さすがギャグ漫画の出身だ。 「コレって裏返さなくていいのか?」 「ルールを説明するのにそれだとわかりにくいだろ。さて、次にそれぞれ13個ずつ牌を取れ。」 「じゃあとりあえず適当に……」 「全員取ったな?それでは反時計回りに一個取って一個捨てるを繰り返す。それで四つの面子と一つの雀頭を一番早く作れたプレイヤーが勝ちだ。」 「……」 「……キャスター、狂介の頭がパンクしてるっぽいんだけど。」 「面子とか雀頭とかわかんないよ……」 「改めて説明すると難しいな……面子というのは同じ牌を三つか連番で三つ、雀頭というのは同じものを二つだ。」 「……??」 「……よし、大富豪でトランプを三枚一度に出せるような組合わせが面子で二枚一度に出せるような組合わせが雀頭だ。」 「なるほど!」 (それでわかるのか。) (かえってわかりにくいと思います。) 意識を切り替えると、狂介達は大きなリアクションで説明台詞を言っていく。こういうのはハイテンションの方が面白いからね。その間も、ルールブックは狂介からまほろさん、まほろさんからいおり、いおりから美遊へと渡っていく。一回りすると再び狂介の元に戻ってきた。 東東東 「こんな組合わせか?」 「それが面子だ。二つなら雀頭だな。」 一二三 萬索索 「これは?」 「スートが違うからダメだ。一萬を一索に変えれば面子になる。」 「ふーん。」 狂介はそういうとルールブックに書き込んだ。そして先程と同じように回す。情報の共有は大事なのである。面子を間違えると大変なことになるのだ。 「なんとなくわかってきたかな。じゃあ裏っ返してやってみる?」 「おっし、じゃあ誰が親だ?」 「もしかして親にも決め方とかあるのか?」 「わかってきたか。まずは誰でもいいからサイコロを振れ。」 「え、これ、サイコロ必要なの?」 「……点棒のところ。」 「この骨みたいのか」 「それが点棒だな。黒いものが百点で赤いものが千点、厳密に言うと違うがとりあえずそう思っておけば問題ない。」 「あー、なんか点数制だったかも。それで初期LPはいくつだ?2000?4000?8000?」 「25000だ。」 「「え?」」 「25000だ。とっとと配れ。」 「多くない?」「30000ですよね?」「え、30000?」 「どっち?」 「……どっちでやりたいかによるな。別に25000でも30000大した違いはない。」 「そんな適当な……」 「仕方ないだろローカルルールが多いんだから。俺はオーソドックスなルールを紹介しているだけだ。」 「初期の遊戯王みたいだな……」 (こいつは本当に小一なのか?) ちなみに2014年の八月といえば四月のリミットレギュレーション改訂にも関わらず依然として環境にとどまっていた征竜に対して竜の霊廟を制限カードにするなどの措置がとられたために青龍デッキが弱体化したことはご記憶の方も多いだろう。しかし同時にデビル・フランケンが制限解除されたのもこの改訂である。 別にいおりは決闘者ではないのでそこまでは知らないのだが、まほろさんから回ってきたルールブックに書き込みをしながら(そういえばポケモンカードってまだあるのかな)なんて考えていたりはした。 「じゃあ今回はきりよく30000で。で、次は?」 「次は東風か半莊か全莊か……つまりマッチ数を決める。それぞれ1ラウンド4戦、2ラウンド8戦、4ラウンド16戦だ。俺は東風を推す。」 「私も東風がいいと思います。」 「じゃあ、俺も。」「僕も。」「……私も。」 「というわけで、東風だ。さて話を親決めに戻すぞ。サイコロの和の数だけ振ったやつを一番目にして反時計回りに数えろ。本当は席順とかも決めるが今から裏っ返した牌表にするのは面倒なので省く。」 「わ?」 「足し算の結果のことだよ。」 「お前小学一年生に算数教わるとか恥ずかしくないのかよ。」 「和ね!聞きなれないから!」 「出目はピンゾロか……変なところの運が良いな。ということはお前の下家の安藤が仮親だ。そして仮親が同じようにサイコロを振って親を決める。」 「じゃあ私から。サイコロの出目は……11ですね。あれ?これって……」 「そのまま安藤が親だな。」 「じゃあ、まず山から六組をどけて、二段四枚ずつ……あ。」 「……まだ山を説明していなかったな。それぞれ適当に17牌集めて横一列に並べろ。その上にまた横一列に牌を並べる。そうすると牌の山が四つできるだろう。」 「?……キャ「理由の説明がめんどくさくなってきたから省くがそういうものだということで納得しろ」ええ……」 「狂介さんデッキみたいなもんだよ。」 「とにかく一人四個ずつとっていっきましょう。これで三周目……と。」 「……はい。」 「あ、えーと……美遊?ありがと……これ対面の牌どうやってとれば良いんだ。届かないぞこんなの。」 「それについては。」 「ついては?」 「頑張れ。」 「えぇ……」 対面の山から牌を取ろうとかわいく頑張るいおりをよそに、のび太は無言でルールブックに書き込みをしていく。ペアを組んでいるまほろさんは隻腕であるため基本的にのび太が書き込みをしていた。 八九一八九一八九一 白發中西西 萬萬萬筒筒筒索索索 「おし!これで上がり!なんか得点高そうなのできたぞ!」 「狂介、残念なお知らせがある。」 「なんだよ、ちゃんと面子も雀頭もあるだろ。」 「どうやらお前は八九一で順子……連番の面子になると思ったようだが、さっき俺の言ったことを覚えてるか?」 「……どのこと?」 「『大富豪でトランプを三枚一度に出せるような組合わせ』……と言った覚えがあるんだが。」 「……あ。」 「それと白發中は一枚ずつ集めても意味はない。同じものを三つ用意しないと面子にはならん。」 「あああああ。」 「仮にそれらがルール上問題なければ役は三色同順に役牌、混老頭といったところか。満貫だな。ハハハ残念。」 「ああああああああ!!!」 「良いリアクションだ。」 白目を向きながら立ち上がり絶叫する。さすがにうるさすぎるが麻雀ものなのでリアクションが大げさなのは仕方ない。だがキャスターは適当にあしらうと美遊から回ってきたルールブックに目を落とした。書き込みは順調に増えている。目論みどうり情報の共有はうまくいっているようだ。 「ところで役ってなんだ?」 「……それなんだが。説明するのが非常に面倒くさいのでルールブックを回し読みしてくれ。」 「そんな面倒くさいゲームやろうとするなよ……」 「ごたごた言わずにとっとと読め。話はそれからだ。」 今さらな質問をしてきた狂介にルールブックを渡す。これだけの書き込みだ。状況の理解には役立つであろう。 一通り最初の書き込みから目を通すと、狂介は下家のまほろさんへと渡した。 「たぶん……チーとポンとカンはわかった。前の番の人が捨てたので三連続になるような面子を作るのがチーで、誰かが捨てたので三個同じ面子を作るのがポン、四個同じのがカンか。」 「お前突然かしこくなったな。」 「そのぐらいルールブック読めばわかるよ。」 「そいつは頼もしい。ところで、じゃあ明カンと暗カン、加カンの違いは?」 「……」 「やっぱりな。」 「キャスター、この面前ツモってなんだ?鳴いていないと役になるのか?。」 「そういうこと。」 「鳴く?」 「チーやポンのことだよ。」 「明カンや加カンも当てはまるみたいです。」 「お前小学生に麻雀のルール教えられて恥ずかしくないのかよ?」 「ふつう混乱するってこんなの!」 「ちなみに鳴く要領で上がるのはロンだ。」 わいわいとやりながら、それぞれの書き込みは増していく。こういった共同作業は、今後のためになる。 「ポン……こう?」とまほろさんが切った白をルールブック片手にポンしながら美遊は皆に聞いた。 「そうだ、鳴いた牌はその組み合わせごと右端に見えるようによけろ。」 「鳴いたのは表にするのか……」 「鳴いた牌だけ横向きにするのを忘れるなよ。では美遊、牌を切れ。」 「それいおりちゃんの手番飛んでない?」 「飛ぶぞ。だから鳴かれてばかりだといつまでたってもツモれない。」 西 「キャスター、この東西南北の牌って同じの三つ集めただけじゃダメなんだっけ。」 「うん……ああ、場風と自風のことを話していなかったな。場風はその莊……ラウンドごとのボーナスみたいなものだ。東一局なら東が、南一局なら南が、という風にそれぞれのラウンドの名前と同じ牌が場風になる。」 「今は東三局だから……東?」 「正解だ。次に自風だが、親を東にして順に南、西、北という風に各プレイヤーにボーナスとなる牌が決められる。そう考えておけばとりあえずそれらしい麻雀は打てる。」 「……?」 「方角がおかしいと思うかもしれないが、それはそういうものだと納得しろ。ルールと直接関係ないところまで説明したらキリがないからな。」 ルールブックを片手に、狂介達の麻雀は続く。じゃらじゃらという音が部屋に木霊する。 やがて、巡りめぐって、場には緊張感が漂ってきていた。 (そろそろか。) パピヨンは狂介の持つルールブックを見る、わざわざ麻雀をした甲斐があったというものだ。 「東四局、オーラスだ。しかしここまで誰も和了れないとはな。」 どうも皆、麻雀そのものには集中していないようだ。それもそうだろう、これは親睦会、麻雀自体が目的ではない。 だがそれでも、麻雀は進んでいく。十五順目、テンパった狂介にそれは訪れた。 (上出来だな。) 二二五五五五八八四四六六 中 中 萬萬筒筒筒筒筒筒索索索索 「あ、ツモったぽい。」 「七対子だな。さて、符と飜の計算だが……」 「……」 「ルールブックを読んだならわかっていると思うがこれを理解するのは役を覚えるのより難しい。なので今回は全部俺が計算する。」 「お願いします。」 「といっても七対子は25符2飜なんで計算は楽なんだがな。2400点だ。」 「ていうことは、もしかして優勝?」 「ただ七対子では同じ牌の組み合わせで対子をつくって和了ることはできないので五筒が四枚あるそれでは和了れてないな。ハハハ残念。」 「あああああああああああ。」 キャスターはほくそえむ。予想以上に、今回の親睦会はうまくいった。こちらの想像以上にいおりや美遊が空気を読めたというのもあるが、やはり一番はのび太の献身的なルールブックへの書き込みだろう。 『朝の5時頃に、時空が歪むなにかがあった。』 『時間を巻き戻したり止めたりできる人がいるかもしれない。』 『新都にあるファミレスで、アーチャーはクラスの見えない茶色いコートのサーヴァントと話していた。』 『アーチャー達が二人で襲いかかってきて、サーヴァントのドラえもんを殺した。』 『安藤さんとマスターのナノカさんに助けてもらってカレーを食べた。』 『スーパーでアーチャーと茶色いサーヴァントにあったとたんカルナに茶色いサーヴァントが殺された。』 『カルナに安藤さんとアーチャーと真田幸村が戦っていった。』 『アーチャーが大勢の軍隊みたいな男と一緒に襲いかかってきた。』 「少し、見えてきたな。」 パピヨンは、笑った。 パピヨンが麻雀による親睦会を提案したのはもちろん単純に麻雀がしたかったからではない。 その目的は情報交換、それもアーチャーの嫌疑を共犯者の可能性が高い病院組の主従やドク達に悟らせないように調べ、共有するためである。 この目的を果たすためには、大きく二つの問題があったのだが、それを解決するための方策が麻雀であった。 一つ目の問題である『のび太への接触』は、他のマスターを巻き込むことで解決を図った。自分達はただでさえ病院組の主従からはマークされているであろう。ならば一対一で話すのは警戒と疑いを招く。それならば限られた相手であっても腹を割って話す方が得策であるとした。 二つ目の問題である『会話の盗聴盗撮』は、牌の音や話し声による音量での妨害とその内容による欺瞞、そしてルールブックへの筆談で対処した。キャスターが調べ改竄した限り、この陣地はほぼ無力化に成功しそれらの恐れはまずないとはいえ、注意しておくに越したことはない。高性能な集音機が宝具のサーヴァントや透視が可能なサーヴァントがいる可能性もある。それらを考慮して、『そういうのではないふざけた雰囲気』をつくって、筆談による情報交換を選択した。 そうした配慮をした結果が、今パピヨンの手の中にある。気絶から目覚めたのび太の証言はもちろん、それぞれのマスターから寄せられた情報もなかなかに興味深い。美遊から開示された白いセイバーらしきサーヴァントやいおりから開示されたクラスの見えない猫耳ナチスサーヴァント。そしてこちらが開示した慎二達同盟相手の限定的ながらも量の多い情報。これらは価千金だ。 「ん?電話か。」 再び東風戦が始まった頃にパピヨンの股間でスマホが振動する。画面を見れば、『ワカメ』の表示。麻雀が始まる前に狂介がかけていた時はまるで繋がっていなかったが、どうやらあちらは無事のようだ。 狂介の首にスマホを挟ませ通話させる。あとでメールで情報をやり取りしておくべきだろう。こちらは大分新しい情報を得た。 「ーーここからが面白い。」 通話に気をとられ振り込んだ狂介を見ながら、パピヨンはくつくつと笑いに、笑う。 【深山町、間桐邸近く/2014年8月1日(金)1836】 【アリス・マーガトロイド@東方Project】 [状態] 精神的疲労(微)。 [残存令呪] 3画 [思考・状況] 基本行動方針 幻想郷に戻ることを第一とする。 1.一度自宅に戻る。 2.マージャン? 3.三千人、ね。 4.定期的に赤城の宝具で偵察。 5.できれば冬木大橋を直接調べたい。 6.人形を作りたいけど時間が…… 7.聖杯戦争という魔法に興味。結界かあ…… [備考] ●予選中から引き継いだものがあるかは未確定です。 ●バーサーカー(ヘラクレス)、キャスター(パピヨン)、キャスター(フドウ)、ルーラー(ミュウイチゴ)、セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)、ライダー(五代)のステータスを確認しました。 ●参加者が三千人いることを考え始めました。 ●間桐慎二と色丞狂介とイリヤスフィール・フォン・アインツベルンとクロノ・ハラオウンに疑念を抱きました。 ●アインツベルン城の情報を知りました。 ●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。 ●柳洞寺で会談した結果、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、ルーラー以外の情報並びにそれぞれの連絡先を共有しました。主に当事者以外のサーヴァントの情報でありこれには一部の聖杯戦争に関する情報も含まれます。またルーラーに大して言及を避ける暗黙の空気も共有されました。 ●自宅は新都にあります。 【間桐慎二@Fate/stay night 】 [状態] 疲労(小)。 [残存令呪] 3画 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯を手に入れる。何を願うかは後から決める。 1.マージャン? 2 あのルーラー、かなり軽いな。 3 ライダー(孫悟空)は許さない。 4 間桐家で陣地作成を行うと思っていたがアインツベルン城も悪くない。 5 会場と冬木市の差異に興味。新都に行ったら色々と調べてみるのも一興。 [備考] ●孫悟空のクラスとステータスを確認しました。 クラス・ライダー、筋力B耐久B敏捷B+魔力D幸運A このステータスは全てキャスター(兵部京介)のヒュプノによる幻覚です。 ●キャスター(パピヨン)、バーサーカー(ヘラクレス)、アーチャー(赤城)、ルーラー(イチゴ)、セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)、ライダー(五代)のステータスを確認しました。 ●この聖杯戦争を『冬木の聖杯戦争を魔術で再現した冬木とは別の聖杯戦争』だと認識しています。 ●キャスター(パピヨン)とイリヤへの好感度が下がっています。 ●マスターの人数が三千人、もしくはマスター千五百人サーヴァント千五百人程度だと思っています。 ●アリスに不信感を抱きました。 ●遠坂凛が自分の知っている遠坂凛ではないと気づきました。 ●アインツベルン城の情報を知りました。 ●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。 ●柳洞寺で会談した結果、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、ルーラー以外の情報並びにそれぞれの連絡先を共有しました。主に当事者以外のサーヴァントの情報でありこれには一部の聖杯戦争に関する情報も含まれます。またルーラーに大して言及を避ける暗黙の空気も共有されました。 【新都・冬木ハイアットホテル/2014年8月1日(金)1836】 【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】 [状態] 私服、疲労(微)、アサシン(千手扉間)、アーチャー(安藤まほろ)、ランサー(アリシア・メルキオット)、ランサー(真田幸村)へ魔力供給(サファイア)、覚悟完了。 [装備] カレイドサファイア@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ [残存令呪] 2画 [思考・状況] 基本行動方針 イリヤに自分の存在を知らせずに優勝させる。 1:誰が相手であろうと、絶対にイリヤは殺させない 2:イリヤなら、聖杯をしっかり使ってくれるはず。 3 対カルナの同盟に潜り込み内側から崩す……勝手に崩れそうだけど。 [備考] ●予選期間中に視界共有を修得しました。 しかしバーサーカーの千里眼が強力すぎるため長時間継続して視界共有を行うと激しい頭痛に見舞われます。 また美遊が視界共有によって取得できる情報は視覚の一部のみです。バーサーカーには見えているものが美遊には見えないということが起こり得ます。 ●セイバー(テレサ)の基本ステータス、ランサー(真田幸村)の基本ステータス、一部スキルを確認しました。 ●月海原学園初等部の生徒という立場が与えられています。 ●自宅は蝉菜マンション、両親は海外出張中という設定になっています。 また、定期的に生活費が振り込まれ、家政婦のNPCが来るようです。 ●バーサーカー(小野寺ユウスケ)の能力及び来歴について詳細に把握しました。 五代雄介についても記録をメモしていますが五代が参加しているとは思っていません。 ●冬木市の地方紙に真田幸村の名前と一二行のインタビュー記事が乗っています。他の新聞にも載っているかもしれません。 ●ランサー(カルナ)の真名、ステータス、スキル、宝具を確認しました。 ●ランサー イリヤ組と情報交換しました。少なくとももう一人のイリヤの存在を知りました。 ●アーチャー(まほろ)、アーチャー(ワイルド・ドッグ)、ランサー(アリシア)、キャスター(パピヨン)、アサシン(千手扉間)、ドクのステータスを確認しました。 ●ホテルにいる主従達と情報交換を耳にしました。 ●美遊・エーデルフェルトからサファイアを介して魔力供給を受けています。美遊から15メートル以内で実体化することでサファイアの匙加減で魔力を供給されます。 ●野比のび太、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、美遊・エーデルフェルト、高遠いおり&ランサー(アリシア・メルキオット)間で情報交換を行いました。 【高遠いおり@一年生になっちゃったら】 [状態] 魔力消費(極大)、衰弱(小)、精神的疲労(中)、まだまだ寝なくていい。 [装備] 貴重品の入ったランドセル。 [残存霊呪] 2画 [思考・状況] 基本行動方針 死にたくないし死なせたくない。 1.両面待ちしたいけどダメみたい。 2.アイツ(謎の猫耳サーヴァント(シュレディンガー准尉))、タクシー代払わなかったな。 3.いつか、ランサーに自分の『こと』を話す。 4.バーサーカーのマスター(イリヤ)が生きてて一安心。 [備考] ●所持金はタンス預金程度。 ●ランサーの名前がアリシア・メルキオットであること以外は世界大戦の英雄だということしか知りません。もちろん出身世界が違うことには気づいてません。 ●ランサー(幸村)、バーサーカー(サイト)、アサシン(扉間)、バーサーカー(ヘラクレス)のステータスと一部スキル、宝具を確認しました。 ●シュレディンガー准尉のステータスを確認しました。 ●ライダー(少佐)と同盟「枢軸」を組みました。再度同盟について話します。 ●ランサーから英霊・アリシアの情報の一部を聞きました。 ●アーチャー(まほろ)、アーチャー(ワイルド・ドッグ)、キャスター(パピヨン)、バーサーカー(小野寺ユウスケ)、ドクのステータスを確認しました。 ●ホテルにいる主従達と情報交換しました。 ●野比のび太、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、美遊・エーデルフェルト、高遠いおり&ランサー(アリシア・メルキオット)間で情報交換を行いました。 【アリシア・メルキオット@戦場のヴァルキュリア】 [状態] 筋力(5)/E、 耐久(5)/E+、 敏捷(10)/D+、 魔力(7)/C+、 幸運(50)/A、 宝具(0)/B 実体化、カジュアルな服装、全身の至るところを骨折・打撲、疲労(微)、魔力消費(大)、魔力不足によりステータス低下、美遊(サファイア)から魔力供給、宝具使用不可。 [思考・状況] 基本行動方針 まだ良くイオリのことを知らないけれど、マスターを生きて元の世界に帰す。 1 シュレディンガー准尉とそのマスター(少佐)とドク、アーチャー(ワイルド・ドッグ)、マイケル・スコフィールドを特に警戒。 2 ランサー(真田幸村)とアサシン(千手扉間)も油断できない。 3 『今度』はイオリのことを知りたい。 4.他の主従から反感を買わないように立ち回る。 [備考] ●マスターの本名が高遠いおりだと思っています。また六歳の女の子だと思っています。 ●バーサーカー(ヘラクレス)に半端な攻撃(Bランク以下?)は通用しないことを悟りました。 ●傷を若干治癒しました。 ●現代の家電が使えるようになりました。 ●いおりに英霊・アリシア・ギュンターについて一部の情報を話しました。 ●ホテルにいる主従達と情報交換しました。 ●野比のび太、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、美遊・エーデルフェルト、高遠いおり&ランサー(アリシア・メルキオット)間で情報交換を行いました。 【色丞狂介@究極!!変態仮面】 [状態] 疲労(中)、精神的疲労(大)。 [残存令呪] 1画 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯戦争を止める。悪人をお仕置きする。 1.アーチャー(ワイルド・ドッグ)は、ドク達ともグル……? 2.もうホテルで陣地作成したり核金作ったりしてもらう。 3.下北沢のサーヴァント(サイト)は死んだのか。 [備考] ●核金×2、愛子ちゃんのパンティ、ワイルド・ドッグの服と携帯電話所持。 ●予選期間中にサイトの魂食いの情報を得ました。東京会場でニャースを見た場合、サイトの姿や声を知る可能性があります。 ●孫悟空のクラスとステータスを確認しました。 クラス・ランサー、筋力C耐久C敏捷A+魔力B幸運C このステータスは全てキャスター(兵部京介)のヒュプノによる幻覚です。 ●キャスター(フドウ)、バーサーカー(ヘラクレス)、アーチャー(赤城)、ルーラー(ミュウイチゴ)、アーチャー(まほろ)、アーチャー(ワイルド・ドック)、ランサー(真田幸村)、ランサー(カルナ)、シュレディンガー准尉、ランサー(アリシア)、バーサーカー(小野寺ユウスケ)、ドクのステータスを把握しました。 ●ホテルにいる主従達と情報交換しました。 ●マイケル&アーチャー、茜&ランサー、アサシン、ドク&少佐に不信を抱きました。 ●野比のび太、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、美遊・エーデルフェルト、高遠いおり&ランサー(アリシア・メルキオット)間で情報交換を行いました。 【キャスター(パピヨン)@武装錬金】 [状態] 筋力(20)/D、 耐久(30)/C-、 敏捷(30)/C、 魔力(40)/B、 幸運(50)/A、 宝具(40)/B 実体化したり霊体化したり。 [思考・状況] 基本行動方針 せっかくなんで聖杯戦争を楽しむ。 1.こっからが本番だ。 2.ホテル最上階で陣地作成。なんなら特殊核金も。 3.このホテル温泉あるのか。 [備考] ●予選期間中にサイトの魂食いの情報を得ました。東京会場でニュースを見た場合、サイトの姿や声を知る可能性があります。 ●気分で実体化したりします。 ●孫悟空が孫悟空でないことを見破っています。 ●マスターが補導されたのを孫悟空による罠と考えています。 ●アーチャー(まほろ)に興味があります。 ●ホテルにいる主従達と情報交換しました。 ●ホテル最上階のイサコと兵部京介の魔術工房を乗っ取りました。どのようなことが起こるかは不明です。 ●野比のび太、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、美遊・エーデルフェルト、高遠いおり&ランサー(アリシア・メルキオット)間で情報交換を行いました。 【アーチャー(安藤まほろ)@まほろまてぃっく】 [状態] 筋力(39)/B 耐久(27)/D 敏捷(49)/A 魔力(20)/B 幸運(150)/A++ 宝具(40)/B 実体化、右腕喪失(処置済)、霊核損耗(微)、魔力消費(大)、美遊(サファイア)から魔力供給、巨乳化、??? [思考・状況] 基本行動方針 マスター第一。 1.もう一人のアーチャー(ワイルド・ドッグ)を告発する。 2.変態仮面達とドクに恩義。ただしドクとそのマスターはアーチャー(ワイルド・ドッグ)と繋がっている可能性が濃厚なので警戒。 [備考] ●自宅内のガレージを中心に鳴子を仕掛けました。 ●ナノカ・フランカの左腕(令呪二画付)をクーラーボックスに入れて所持しています。 ●ホテルにいる主従達と情報交換しました。 ●マイケル&アーチャー、茜&ランサー、アサシン、ドク&少佐に不信を抱きました。 ●野比のび太、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、美遊・エーデルフェルト、高遠いおり&ランサー(アリシア・メルキオット)間で情報交換を行いました。 【野比のび太@ドラえもん】 [状態] さいなん報知器、軽傷(主に打撲、処置済み)、ひみつ道具破損 [残存令呪] 3画 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯戦争を止めて家に帰る。 1.アーチャー(ワイルド・ドッグ)のことをみんなに教える。 [備考] ●ドラえもんの四次元ポケットを持っています。 ●野比のび太、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、美遊・エーデルフェルト、高遠いおり&ランサー(アリシア・メルキオット)間で情報交換を行いました。 【アサシン(千手扉間)@NARUTO】 [状態] 筋力(15)/C、 耐久(15)/C、 敏捷(25)/A+、 魔力(5)/B、 幸運(5)/E、 宝具(0)/EX 実体化、変化、気配感知、美遊(サファイア)から魔力供給、疲労(微)、魔力不足(極大)、魔力不足により宝具使用不可、魔力不足によりスキルに支障、魔力不足により全パラメーター半減、飛雷針の術の発動不可のため敏捷が+分アップしない。 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯を用いて木の葉に恒久的な発展と平和を。 1.こやつらについて考え直さねばならんな。 2 ワイルド・ドッグからスーパーでの出来事について聞き出す。 3.あのサーヴァント(ルナ)、万華鏡写輪眼に九尾の人柱力、まさか…… 4.ランサー(カルナ)のマスターはーー。 5.三つの問題は一先ず後回しでよいだろう。 6.魂喰いの罪を擦り付ける相手は慎重に選定するがそれはそれとして早く魂喰いしないと。 7.穢土転生の準備を進める。 8.他の組の情報収集に務める。ランサー達は諦めた。 9.バーサーカー(ヘラクレス)は現在は泳がせる。 10.逃げたサーヴァント(サイト)が気になる。死んだか? 11.聖杯を入手できなかった場合のことを考え、聖杯を託すに足る者を探す。まずはランサーのマスター(日野茜)。 12.マスター(九重りん)の願いにうちはの影を感じて……? [備考] ●予選期間中に他の組の情報を入手していたかもしれません。 ただし情報を持っていてもサーヴァントの真名は含まれません。 ●影分身が魂喰いを行ないましたが、戦闘でほぼ使いきりました。その罪はバーサーカー(サイト)に擦り付けられるものと判断しています。 ●ランサー(アリシア)の真名を悟ったかどうかは後の書き手さんにお任せします。 ●バーサーカー(ヘラクレス)に半端な攻撃(Bランク以下?)は通用しないことを悟りました。 ●バーサーカーの石斧に飛雷針の術のマーキングをしました。 ●聖杯戦争への認識を改めました。普段より方針が変更しやすくなっています。 ●ランサー・真田幸村達とアーチャー・ワイルド・ドッグ達とフワッとした同盟を結びました。期限は8月8日です。またランサーのマスターがヒノアカネだと認識しました。 ●九重りん、ワイルド・ドッグ、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)への印象が悪化しました。 ●三谷亘の令呪二画付の肉塊が封印された巻物を九重りんの私物に紛れ込ませました。 ●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。 ●イリヤ(kl)の髪の毛を入手しました。日野茜の病室に保管されています。 ●ルナをサーヴァントと、うず目を万華鏡写輪眼と、妖力を九尾のチャクラと誤認しました。 ●美遊に対カルナの同盟について嘘をつかない範囲で婉曲的な説明をしました。やたらと「これから更なる同盟相手を増やすために活動していた同盟相手と情報交換するために冬木ハイアットホテルに行く」ということをアピールしました。 ●ホテルマンの一部を幻術の影響下に置きました。 ●美遊・エーデルフェルトからサファイアを介して魔力供給を受けています。美遊から15メートル以内で実体化することでサファイアの匙加減で魔力を供給されます。 【九重りん@こどものじかん】 [状態] 精神的ショック(大)、手足に火傷(ほぼ完治)、覚悟? [装備] 着替え、名前のストラップ [残存令呪] 3画 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯戦争で優勝を目指す。 0.??? 1.強くなりたい。 2 アサシンへ(千手扉間)の魔力供給がつらい。 [備考] ●予選で入院期間が長かったためか引き続き入院しています。 【ランサー(真田幸村)@戦国BASARAシリーズ】 [状態] 筋力(40)/B、 耐久(40)/B、 敏捷(30)/C、 魔力(30)/C、 幸運(30)/C、 宝具(40)/B、 疲労(大)、魔力消費(大)、骨にひびと内蔵にダメージ、ダメージ(大)、美遊(サファイア)から魔力供給、安堵と屈辱と無力感、そして茜への責任感。 [思考・状況] 基本行動方針 強敵たちと熱く、燃え滾る戦を!!だが‥‥ 1 アーチャー(ワイルド・ドッグ)の汚名を灌ぎたい。 2 ドクに恩義。 3 ますたぁ(茜)に聖杯戦争について伝えたが……どうしてこうなった。 4 ますたぁへの申し訳なさと不甲斐ない自分への苛立ち。 5 俺は…… 6 せいばぁ(テレサ)、ばあさあかぁ(小野寺ユウスケ)との再戦を考えていたが……? [備考] ●ランサー(アリシア)のクラスをアーチャーと誤認してたことに気づきました。 ●ランサー(アリシア)の真名を悟ったかどうかは後の書き手さんにお任せします。 ●アサシン(千手扉間)を忍のサーヴァントだと考えています。 ●冬木市にランサーの噂が立ちました。『アイドルの関係者』、『映画の撮影』、『歌舞伎』、『うるさい』、『真田』といった単語やそれに関連した尾ひれのついた噂が広まり始めています。地方紙で報じられています。 ●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。 ●アサシン(千手扉間)への警戒心が薄れました。 ●爆破予告を知りました。 ●ランサー・カルナの真名を把握しました。 ●ホテルにいる主従達と情報交換をしました。 ●アーチャー(まほろ)、狂介&キャスターに不信を抱きました。 【日野茜@アイドルマスターシンデレラガールズ】 [状態] 体調不良、頭にタンコブ(応急処置済)、??? [残存令呪] 2画 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯戦争はサーヴァント同士の格闘技!だと思ってたけどマスターも頑張らないと!! 1 .聖杯戦争という企画を頑張る! 2.アーチャー(ワイルド・ドッグ)さんの誤解を解く。 3.アサシンさん(扉間)がとってきた映像をアップロードする……視聴者参加型なのかなやっぱり。 [備考] ●予選期間中他のマスター、サーヴァントと出会うことはありませんでした。 ●月海原学園高等部の生徒という立場が与えられています。 所持金は高校生相応の額となっています。 ●自宅は深山町のどこかです。 ●セイバー(テレサ)、バーサーカー(小野寺ユウスケ)の基本ステータスを確認しました。 ●気が動転していたため、ランサー(アリシア)、バーサーカー(サイト)、バーサーカー(ヘラクレス)のステータスを確認できていないかもしれません。 ●冬木市にアイドル・日野茜の噂が立ちました。『アイドル』、『撮影』、『外人』などの単語やそれに関連した尾ひれのついた噂が拡がりはじめています。 ●病院の特別病床に入院しました。病室のある階に立ち入るにはガードマンのいる階段を通るか専用のIDカードをエレベーターにタッチする必要があります。 ●聖杯戦争を番組の企画だと考えたり考えなかったりしました。とりあえず今後自分が常にカメラに撮られていると考え視聴率が取れるように行動します。 ●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。 ●スマホにアサシン(千手扉間)が病院を出てから帰ってくるまでの映像があります。写っているのはランサー(カルナ)、ランサーのマスターのイリヤ、キャスター(兵部京介)です。 ●爆破予告を知りました。 ●病室のベッドの下にアーチャー(ワイルド・ドッグ)が仕掛けた爆弾を発見しました。数名の病院関係者がこの事を知っています。 ●ホテルにいる主従達と情報交換をしました。
https://w.atwiki.jp/unmeikonton/pages/42.html
始まりの御三家 【高町】(やる夫の家系)が場所を提供、【巴】(マミの家系)と【博麗】(神社)が聖杯の作成を担当。 ここの聖杯の成り立ち 国民性といっていいのかわからないけどこの国は八百万の神を祀って【外】からもどんどん受け入れてることから【神秘】とかそういうものが節操なく国に組み込まれていっている。 そういった力は霊地などに還元されるが、現状の節操なく流れが入り組んでいる状態では当然淀みが生じ、たまりにたまった淀みは溢れればそこを人の住める土地ではなくしてしまう。 そこで【博麗】が懇意にしていた天津神は考えました。【溜まって淀むのなら、使ってしまえばいい】 【溜まり淀んだ霊力】を核にサーヴァントを呼んで。その戦を浄化の奉納の舞という儀式として扱って。そうして浄化された過剰な霊力をもって願望を叶える。これがこの地の【聖杯】。 【聖杯】の発現にはサーヴァント同士が死力を尽くして戦い合い、戦うことのできるサーヴァントが最終的に一体となればよい。マスターの脱落やサーヴァントの消失は必須ではない。 今回の聖杯の器はまだ何かは分からないが戦いが進むにつれそのうち姿を現すらしい。 参加者の選定(令呪の発現)基準は一定以上の魔力があること。また何か【願い】があると令呪が発現しやすい。ただし御三家には優先的に参加枠が割り振られる。 この方式で過去に少なくとも二度聖杯が作られている。参加者の選定基準のために強力なサーヴァントが呼ばれやすく一回目の優勝はヘラクレス(アーチャー)、二回目の優勝は光の神ルーグ(ランサー)。 聖杯自体には教会成分はないものの、毎回怪獣大決戦が起こるので神秘の秘匿を目的として教会に監督役が派遣されている。
https://w.atwiki.jp/akitsuki_seihai/pages/66.html
《コロシアムルールについて》 コロシアムルールとは、通常の聖杯戦争とは異なり、戦闘のみを行うルールである。 具体的には以下のような変更点が加えられる。 【マスターについて】 マスターは基本的に戦闘には参加できませんが、盤外から戦闘を補助することになります。 また、マスターの作成には以下のような制約がかかります。 〇取得不可スキル・礼装・素性・魔術 霊基補強 霊基強化 カレイドスコープ 攻撃魔術全般 タイミング:戦闘外の魔術 デザインド 幸運のウサギの足 マスター強化スキル 特権召喚 またこのコロシアムルールに限り、スキル「特権召喚」がなくともエクストラクラスが召喚可能となります。 【サーヴァントについて】 サーヴァントは各PC3騎所持。 3騎中2騎を戦闘に参加させて戦う。 またルールの関係上、以下のスキルには改変が入ります 単独行動 道具作成 陣地作成 復讐者 単独行動(偽) 万象俯瞰 陣地蹂躙 またサーヴァントは5Rに1回控えと入れ替えることが出来る。 スキル「オーダーチェンジ」を所持している場合は3Rに1回行える。 【所持サーヴァントの決定について】 基本的には下記の3種から選択。 ①新規作成 ②過去に聖杯戦争で自身が作成したサーヴァントの流用 ③ガチャ 基本的に同一のサーヴァントを複数召喚は不可能です。
https://w.atwiki.jp/psyren_wars/pages/142.html
月夜を彩るShuffle Beat ◆wd6lXpjSKY 昼の学園が表だとするならば夜の学園は裏と表現するべきか。 吸血鬼が近付き悪魔が潜み未知なる座標が向かう魔の宝庫は表ではない。 だが裏と仮定する場合何が表であり何が裏であると言えるのか。その基準はどうなっているのか。 世界の理が回っている。それに従うならば参加者の数だけ世界が存在する聖杯戦争には何が真実と言い切れるのか。 ハイラルの勇者が理を司るのか。吸血鬼が闇を体現するのか。魔女が総てを包み込むのか。 それぞれが異なる世界の存在故に。 聖杯戦争に基準など必要なく死ぬ者から死んで行き、生きる者だけが明日を見る。 堕ちた鳥がもう二度と大空を飛べないように、蒼穹を感じれるのは限られた者だけである。 暁美ほむらはエレンに連絡を取った後、改めて職員室を物色していた。 鹿目まどかを始めとする三人の参加者の連絡先が手に入ったが欲を言えば情報はまだまだ掴み取りたい。 サーヴァントを失っている今、完全に窮地なる状況に立たされている彼女には焦りが出始めていた。 天戯弥勒と因縁を持つ男、夜科アゲハ。 彼の所在地を把握出来れば真実に辿り着ける可能性が飛躍的に上昇するだろう。 地獄から手を伸ばし、その手に収まったのは血と同じ赤を纏ったテレホンカード。 聖杯なる唯一無二の願望器を目指してはいるものの、疑念の目を向けずにはいられない。 それは嘗て彼女達魔法少女が一瞬の希望と未来の輝きを永遠の不幸と背負わされた閉ざされた世界が影響しているのだ。 願いがノーリスクで叶う筈がない、甘い話には毒が潜んでいる、ならば聖杯戦争にも、天戯弥勒に裏が存在する筈、と。 聖杯戦争に必要な対価を考えた時、犠牲になる参加者だけではどうも釣り合わない予感が胸を埋め尽くす。 願いを餌に殺し合わせるならば日常生活など不要であり、外部からの干渉を遮断した小島にで参加者を詰め込めればいい。 (例えば魔力や魔法……何かしらの力が必要とか) 魔法少女は願いの対価に小さいころ憧れた正義の魔法を身に付ける。 正義の力あってか一般人とは比べ物にならない程の能力であり、少女だろうが彼女達の世界水準を超えている。 しかし彼女達の世界であって、サーヴァントには到底及ばず、彼らの存在は規格外である。 暁美ほむらからしてみれば、彼らを召喚した時に使用した魔力は何処から来るのだろう。という疑問が生まれる。 もし魔法少女と同じように契約を交わしたなら、その願いの大きさは計り知れない。 聖杯が媒体だとすれば死んだサーヴァントは器に戻るのが道理であろう。 使用された魔力が還元すれば再びは器は器として機能されると考えて問題ない。 暁美ほむらの推測であって、そもそも聖杯自体がサーヴァントを呼ぶ媒体など真実でもなければ掠ってもいない可能性があるが。 更に言ってしまえば本当に聖杯が存在するかも怪しく、天戯弥勒の掌で踊っているだけの世界だって存在しているかもしれない。 仮に聖杯が存在しないとして考える。 考えるまでもなく、結論はさっさと帰る。この一言で総てが終わるのだ。 願いが叶わないのならばこんな世界に居る必要なんて欠片も存在しない。 自分の思うように魔法が使えない空間に長居するほど暇でもなければ馬鹿でもない。 天戯弥勒に生命を握られている、暁美ほむらにとって時間停止に対する制限と軸移動の禁止は首に鎖を繋げられているのと同義。 このまま戦っていても碌な目に合わず、現に悪趣味な人形やそれを創り上げる気色の悪い魔術師を見てしまったんだ。 聖杯が無ければ帰る、鹿目まどかと美樹さやかにはどうせまた会えるのだ、そう何度でも。 (これが夜科アゲハの連絡先ね……ついでに人吉善吉のも手に入ったわ) 小萌先生の席から離れた場所のとある机を物色していると高等部一クラスの名簿が出て来た。 視線を流すと夜科アゲハの名前があり、さらに人吉善吉の名前も確認。その後引き出しを開けると取扱注意と書かれたファイルが一つ。 中を読むと各個人携帯の連絡先まで記載されており、自分の携帯に番号を落とすと何事もなかったように仕舞い込む。 (人吉善吉の連絡先まで手に入るとは儲けものね) 夜科アゲハと喧嘩をしていた一人の青年。 映像だけでしか知らないが聖杯戦争の参加者の時点で無関係ではなく、来るべき時を待っていればいずれ彼と関わるだろう。 最も暁美ほむらは彼が自分と別れたキャスターと再契約をしているなど微塵も知らない。 それに彼女は笑顔の道化師が死んだと思い込んでいるのだ。運命とは時に現実を悪い意味で助けてくれるものだである。 しかもその道化師は新たなる宿主との契約を結び、当面の間は現界出来る条件を揃えてしまった。 対する暁美ほむらはというと、新しいサーヴァントを手に入れるために四苦八苦している。 (……あんなのでも英霊なのよね。人形を使役する量の戦術は強いけれど美樹さやかのサーヴァントのような圧倒的力の前では多勢に無勢もいいところ) 遊園地で監視していたバーサーカー同士の戦いは圧巻の一言であった。 あの戦闘に奇怪な傀儡共が押し寄せても蹂躙されてしまうのが容易に想像出来てしまう。 最もケースバイケースであり、キャスターが創り上げる自動人形は多芸な幅を持っているのだ。 実際戦闘が始まればどう転ぶかなど誰にも予想することは不可能であり、常識は通用しないと考えて問題ないだろう。 そして聖杯に再び、思考を寄せてみる。 (脱落したサーヴァントの魂が素体となり願いを叶える……なら、今は不完全な状態) 聖杯戦争において他者のサーヴァントを殺すことはその魔力を聖杯に注ぎ込むことである。 格式を多いに上回る規格外な魔力で満ち、溢れんばかりに潤えば聖杯は聖杯としての機能を果たし願望器へと昇華するはず。 例えば現時点で天戯弥勒から聖杯を奪ったとしても願いを叶えることは不可能である。 それならば見知らぬ少女を誑かし、インキュベーターと契約を結ばさせて願いを叶え、絶望を押し付けた方が早い。 ……そんな手段を取るはずがないのだが。 (インキュベーター……まさか、ね) 鹿目まどかと美樹さやか。そこに暁美ほむらを加えて何なら巴マミや佐倉杏子が居てもおかしくない。 美国織莉子を始めとする螺旋の軸から外れた主個性が参戦していても不思議には思わないだろう。 何の打ち合わせも無しに魔法少女の参戦が現段階で自分を含めて三名判明している。偶然とは思えない。 何かが彼女達に惹かれたのだろうか。共通項は契約と魔法少女、その先にある始まりの存在インキュベーター。 考えたくもないがこうも魔法少女が多いと悪魔が天戯弥勒に絡んでいるのではないかというくだらない幻想が生まれてしまう。 これで勝ち残れもせずに無残に死んでしまうと聖杯戦争は人生において最悪のイベントになるだろう。 逃げるには世界を移動する魔法ではなくてテレホンカードによる帰還に頼るしか無い。 聖杯を手に入れれば問題はないのだが、元から願いを叶えられない未来も想定しておくべきだ。 茶番だがそもそも願いを対価無しに叶えようとするのが茶番であり愚かであったのだ。 同じ結末を迎えるのは飽きた、次なる世界を理想郷にするためには無茶だろうが奇跡を掌に収めるしか無い。 そのためにはエレンからサーヴァントを奪い取るしか無い。彼の従者のクラスは不明だが時間が無いのだ。 元よりあのキャスターよりはマシだろう。 扉へ振り向くが彼が到着するにはまだ時間が掛かりそうである。 ■ それは心に安らぎを与えてくれる優しい音色だった。 学園から離れ、比較的森林が多い地帯へと避難し休憩を取っていた。 孤独の女王の魔の手に触れないための措置だったが、正解だった。 あのまま学園に残っていれば間違いなく戦闘に巻き込まれ無駄な血を流していただろう。 戦闘を行うことに文句はない、此方としても願いを求めて参加しているのだ。向かって来る敵は倒すまで。 だが無駄な血を流すことには繋がらない。戦力の浪費を好んで行うほど馬鹿ではない。 絶対的な軍略があれば常に優位に立てるだろうが生憎奇跡の伝道師たる零の仮面はこの場にいない。 現に居たとしても今のカレンではルルーシュに信頼を置くことは難しく、彼女と彼には時間と距離と対話が必要である。 嘘の仮面と真実の人間。 優しいことだけでは回らない世界、真なる平和と理想郷を勝ち取るためには聖杯を手に入れなければならない。 (ルルーシュ……) 無論対話が必要なだけであり、完全に彼女は彼を見限った訳ではない。 しかし他の参加者にとってルルーシュ・ランペルージの存在はどうでもよく、そもそも認知していない。 紅月カレンと言う参加者の来歴や日本とブリタニアの関係、黒の騎士団の活動やゼロの存在など知る必要がないのだ。 どんなドラマがあろうとそれは彼女の物語であり他人にとってそれは興味の無い幕間以下の雑音に過ぎない。 勝たなければ世界が危ないだの日本に未来は無いだの……他の参加者からすれば戯言なだけ。 世界にはキーパーソンが存在する。 物語の主人公は自分自身ではあるが、運命には台本のようなものが存在しており、残念ながら活躍度合いは個体によって別れてしまう。 総ての中心になる幻想殺しや偽りの仮面を付けた優しい悪逆皇帝。 幾度なく時間を渡り世界を救った覚悟在る青年と世界を包み込み座に到達した救済の女神。 世界の数だけ物語が在り対極的に見れば其処には主人公『格』と呼べる存在がある。 数多の世界が綴られた聖杯戦争において主人公は存在するのか。 結論から言えばそんなの知ったこっちゃない。の一言で総てが終わってしまう。 世界の運命を背負っていようが、大切な存在が居ようが、叶えたい願いがあろうが此処では一人の役者に過ぎないのだ。 お前のドラマは俺には関係ない。 聖杯戦争に綺麗事は必要なく、血を流し最後に立っていた存在が願いを叶える。ただそれだけである。 そんな殺伐な世界で流れるオカリナの音色は紅月カレンの心に細やかな安らぎを与えていた。 適当な切り株に腰を下ろし今後の方針を考えていたが正直、詰まっている。 他の参加者を倒すにしても総てが初見では対策も戦略も練るには情報不足所ではない。 これまでの戦い総ての頭脳はゼロが担っていたこともあり、孤立である聖杯戦争では正面から戦うだけでは無駄な被害を被るだけ。 だが彼女が勝ち残るには戦うしか無い。つまり彼女らしく正面から倒していくしかないのだ。 「この曲……とても吹き慣れてる感じがする」 決意を決めたところで流れてくるオカリナの音色は己の世界を創造するように表現されている。 創作とは表現の塊であり音楽であろうが文章であろうが彼らは仲間だ。 文章でただ一発殴る動作だけでも人の数だけ表現があるように音楽もまた創作の一種。 譜面通りに吹いてもそれは最低限の音楽であり、自分の色を付着するには己の世界を音色に乘せて表現するしかない。 セイバーが吹くオカリナは優しくて、何処か懐かしさと寂しさを感じさせる音色であった。 まるで遠く離れた存在を感じるように、優しくて、懐かしくて、寂しくて、それでも絆は此処にあるような。 「私はそんなに音楽は知らないけど、やっぱこの音色が好き」 相手を持ち上げるために捻り出す感想ではなく、自然と出てくる偽りのない言葉。 演奏を終えたセイバーにカレンは何度聞いても飽きない創造に感心とも言える感想を告げた。 その言葉に対し、彼は優しい笑顔を見せるとバイクに跨り、エンジンキーを回す。 勇猛なる馬のような雄叫びを、エンジンを吹かしながら主へと視線を移し、後部座先に手を置いた。 「……そろそろ行こう、って話だよね」 彼の動きに対し一切の文句を言わずカレンは切り株から腰を上げるとバイクへ向かった。 森林の静けさ漂う環境から立ち上がり彼女たちが向かうは一度退避してきたあの場所である。 「私は日本を取り戻す――だから」 聖杯戦争に身を投入したのだ。 どれだけ策を練ろうと一介の兵士に出来ることは唯一つ。 戦うことだ。 ■ 学園の職員室。 小萌先生の席に座っている暁美ほむらは再び聖書を片手に取りながら、エレンとの対話について考える。 「外国の少年……クラスが一緒だから同い年だとは思うけど」 年齢詐称の可能性もあるが同じクラスに在籍しているため同年代と考えるのが一般的であり理想である。 つまり日常世界に置いては対等な関係であり、接し方は普段男子生徒と会話する要領で問題ないだろう。 「……普段はそんなに男子生徒と会話していないわね」 と言いたい所だが暁美ほむらはお世辞にもコミュニケーション能力とやらが高くない人間である。 無関心を装いつつも実際には接し方が解らない難しい年頃な少女だ。 それは彼女が長い間病気で学校に通っていないことも影響しているが、含めても致命的である。 心を開ける人間は数える程しかいなく、『現在の彼女が心を赦す人間は誰一人として存在しない』のも辛い所。 鹿目まどかに真実を告げようが、彼女に要らぬ心配を掛ければそれこそ契約への引き金となってしまう。 美樹さやか、論外。 「まぁ何とかするしか無いわね。私にはサーヴァントが必要、これに変わりはないから」 天戯弥勒の言葉を信じるならばサーヴァントを失ったマスターは六時間後に灰となりこの世から消える。 信じるか信じないかは自由だが、彼にとって嘘を憑くメリットを考えた場合特段見当たらないので真実と考えてよい。 早急にサーヴァントを手に入れる必要があるため、エレンとの交渉に失敗は許されないだろう。 「方舟、ね……」 気分転換の感覚で聖書に目を通す彼女。 開いていたページにはノアの方舟が記載されており、耳にしたことのある単語であった。 仮に方舟が在るならば神話通り自分達を残酷な世界から運び出してくれるのだろうか。 鹿目まどかと共に魔女の存在しない、誰も不幸にさせない理想郷へと運んでくれるのだろうか。 もう一度心の底から笑顔になれるあの時間をもたらしてくれるのだろうか。 「なんて……ありもしない方舟に未来を託そうと思うなんて末期だわ。 気を引き締めなさい暁美ほむら。私は奇跡をもう一度起こせるチャンスがあるんだから」 「なら方舟とやらに乗ってみるか、暁美ほむら」 空気が変わる。 辺りを包んでいた気の流れが一斉に同じ方向に統一され一片の狂いもなく焦点を彼に合わせた。 突然職員室に現れた彼は意味不明な言葉を呟きながら暁美ほむらに一歩近づく。 彼女は何も言わずに変身し、何時でも魔法を行使出来る状態へ己を持っていった。 何も言わなかったのではない、突然現れた彼に対し言葉を発せず、反射的に己の危険を感じたのだ。 理屈よりも先に本能が働き、言葉よりも早く行動し、己を契約者の真命たる魔法少女へと変身させたのである。 「天戯弥勒……!」 現れた主催者に対し何も考えずに拳銃を構え銃口を彼の額に合わせ何時でも引き金を弾けるように。 「腕が震えて……いない、か。 まぁそう構えるな。何もこの場で殺すなんて思っていないからな」 「それは逆に何時でも殺せると捉えていいのかしら」 「随分と強気だな……解釈は任せるさ」 最初に見かけた時は大分印象が変わる、そう思うぐらいに天戯弥勒の態度は軽い。 脳内に直接声が響いてきた時よりも重さを感じず、それでも完全に砕けきっている訳ではないが、 まだ会話が出来そうである。 引き金に指を引っ掛けたまま、暁美ほむらは彼に話し掛けた。 「突然現れて何のようかしら」 「方舟に乗ってみる気はないか……そう言った筈だが」 「冗談にしか聞こえない」 「あぁ。冗談だからな」 薄気味悪い笑みを浮かべながら天戯弥勒は暁美ほむらに返した。 その不適で何を考えているか解らない笑みはまるでキャスターのようで彼女の心は必要以上に苛つく。 今すぐにでも発砲したい所だが謎の多い聖杯戦争について言及出来るまたとない機会である。 己の荒波を鎮ませ彼女は冷静さを装い口を動かした。 「もう一度聞くわ。何しに来たのかしら」 「俺は監督役のようなものだからな。参加者の前に現れても構わないだろ」 「監督役を司るなら干渉はいいのかしらね」 「干渉するつもりはない。それに監督役と言ってはいるが俺は聖杯戦争の行く先を見つめ、選ぶだけだ」 彼女をおちょくるような態度で舞台の行く末を語る道化師の真意は未だ掴めず、霧に包まれている。 サーヴァント曰くイレギュラーなこの聖杯戦争。先が読めず、正直に言えば不安が心を埋め尽くしているのだ。 それなのに嘘か真かも解らない話を始める天戯弥勒に対し、暁美ほむらは戸惑ってしまう。 照準が逸れないようにグリップを強く握る。頬を伝う汗は誰も拭いてくれない。 「選ぶ……? 何を選ぶ……?」 思った言葉がそのまま口から漏れだし、静かな職員室の隅々にまで響き渡る。 聖杯戦争で勝ち残った者が願いを叶えられる、ならば選ぶとは一体何を選ぶと言うのだろうか。 優勝者を選ぶつもりならば参加者同士の殺し合いは茶番に成り下がってしまう。 主催者が願望器を捧げる対象を選ぶならば最初から選べ、私達を巻き込むな、誰だって思うのだ。 娯楽に付き合ってる暇は無く、優勝したとしても天戯弥勒に気に入られていなければ願いが叶わない。 そんな事実が真実ならば聖杯戦争何て茶番だ。 最初から夜科アゲハとやらと勝手にタイマンで喧嘩して、知り合い同士で馬鹿をやっていろ。それだけの話しである。 「解釈は任せる……が、お前たち参加者が意欲を見せないならば俺が動くしか無いだろ? もうすぐ日が変わると言うのに脱落はサーヴァントが一騎だけだ、ペースが遅過ぎる。 あまり俺を失望させないでくれよ? 何のために再現したと思っているんだ。 願いがあるならば他者を喰らい、その身を汚してでも、悪魔になってでも聖杯に総てを捧げろ――期待しているぞ」 彼が発する言葉総てが意味不明であり、しかしながら総てに得体の知れない何かが篭っている。 質が悪い。質問をしたところで解答など返ってこず、代りに新たな疑問が生まれるだけであった。 何か一つでも有益な情報を聞き出そうとするも、時は止まってくれない。 目を離したつもりは一切ない。しかし彼女の前から天戯弥勒は消えていた。 一陣の風が吹いた訳でも無く、ドロンと言ったような煙幕も発生していない。 まるで最初から存在していなかったかのように彼は職員室から消えていた。 彼は結局の所、気まぐれか何かで目の前に現れたのだろうか、暁美ほむらは考える。 方舟の冗談から始まり監督役の努めとして参加者の動向を見に来ていた。これだけならばまぁ納得は出来る。 しかしキャスターと共に遊園地で監視していた時、天戯弥勒を捉えていた映像は無かった。 干渉するのが不自然で無ければ他の参加者に接触している映像が一つぐらいは撮れていても可笑しくない。 寧ろ不自然である。このタイミングで自分の前に現れる意図が不明なのである。 関係は不明だが始まりの儀式と仮称する天戯弥勒の宣言。 その時、彼の事を知っているのはおそらく夜科アゲハただ一人だ。 彼の前に現れないで、暁美ほむらと言う一人の魔法少女の前に現れる理由が全く解らない。 「監督役の努めならサーヴァントの一人や二人持って来い……言い過ぎかしら」 そうなら大変有難いのだが、文句も言っていられまい。 サーヴァントはこの後手にいれれば問題ないのだ。そうでなければ死んでしまう。 灰になる未来など認めない、黙って帰る選択は最後まで取っておきたい。 開かれた職員室の扉へ身体を向かせると彼女は口を動かした、 「初めまして――エレン・イェーガー」 ■ 館に帰還するため歩いていたウォルターを止める声が一つ。 姿や気配は一切見せず、声だけが彼を止めるために響いていた。 背中に隙など存在せず、後を付けられていることも無い。不意に声を掛けれる存在など一つしかないだろう。 「これはレミリアお嬢様……貴方も帰宅途中でしたか」 ライダーとの交戦を終えた後、それぞれ動いていた闇夜の主従が合流を果たす。 本来ならば館で合流する予定であったが、早くなった所で問題はない。 「首尾はどうかしら」 「血液の確保は出来ていませんが……アーチャーを一人確認いたしました。 マスター共に若い日本の学生でしょうな」 「そう……やっぱり学園に向かった方が盛り上がるわね」 「ええ私もそう思います。ですが、やっぱりとはニュースを指しているのですか」 「それもそうだけど……夜科アゲハと遭遇したの」 それぞれの成果もとい出来事を簡潔に交換し、現状とこれからの策を考える。 学園で起きた荒れ事に関しては夜が生業の彼女達にとって絶好の狩場と成り得る、吸血鬼ならば。 闇夜を主役に活躍する彼女は日中よりも更に絶大的な戦闘能力を保有する。 事件現場である学園に向かえば少なくとも戦闘痕から他の参加者の手掛かり或いは消息が掴めるかもしれない。 そして参加者の多くが学生、説いう仮設が語らなくして生まれつつ在る。 最初に出会った海賊のサーヴァント、そのマスターは男の学生であった。 ウォルターが遭遇したアーチャーとそのマスター、両者日本の学生風な容姿であった。 レミリアが邂逅した夜科アゲハ、現状この聖杯戦争の裏に最も近い学生。 「夜科アゲハ……天戯弥勒に唯一面識がありそうな参加者と言えば解るよね」 夜科アゲハ。 この言葉を耳にしたウォルターの口角が自然に上がり、夜に緊張感を齎す。 聖杯が言い伝え通りならば、それを持ち主かのように振る舞う天戯弥勒は何者なのか。 そもそも聖杯戦争のシステムを用いて本当に願いが叶うのか、或いは叶える気が彼に在ると言うのか。 聖杯戦争に潜む闇、即ち天戯弥勒の真意に近づけるたった一つの鍵。 それが夜科アゲハだ。現状唯一と思われる主催者との関係者であり、接触は是非とも行いたい所。 「これは興味深い」 「えぇ。彼や天戯弥勒はサイキッカーと呼ばれる超能力者。 聖杯については……彼の知っている天戯弥勒からは聞いた事がない」 「つまり、有益な情報は持っていない、と」 「彼も情報が欲しいみたい。 でも、天戯弥勒が接触する可能性が高いのは間違いなく彼よ。勿論生命は奪っていない。 貴方が言っていた学園に使い魔を放ち探索と罠を張る案だけど――直接行った方が早くないかしら」 提案に意義を唱える邪教徒などこの場には存在しない。 元よりレミリアとウォルターの二人だけ、レミリアの提案に意義を唱えるとしたら彼しか発言権を持たない。 しかし彼がそんなつまらない言葉を発する訳もなく、夜に相応しい妖気と艶を含んだ笑みを浮かべ、無言で彼女に頷く。 戦争が始まる。否、既に開戦は告げられており、戦人が勝手に微温湯に浸かっていただけだ。 願いを対価無しに叶えるなど奇跡、それも『これは偶然ではなく必然だった』『まるで最初から運命が決まっていた』。 『仲間たちが掴んだ勝利の鍵』『意地で掴みとった唯一無二の奇跡』などと言った創作の妄言ではなく真の奇跡。 本来在り得ないであろう一種の世界線の話を無理矢理にでも己の世界に引きずり込み、座に憑かせる強行だ。 ウォルターもレミリアも。天戯弥勒と夜科アゲハでさえ本来の座では聖杯を手にすることがない。触れることすらない。 これより吸血鬼は夜を舞台に学園へ向かう。 其処に戦はあるのか、刺激はあるのか、そんなことはどうでもよく、脚本家にしか解らない。 その脚本家の存在も危うい此度の聖杯戦争に当たり前や常識と言った概念は存在しなく。 先を見据えることなど参加者には不可能であり、泥に塗れてでも聖杯を掴み取る覚悟が無ければ死んでしまう。 吸血鬼が求めるのは――何だ。 聖杯戦争に召喚されたサーヴァント、其処には聖杯を求める戦でしかない。 所詮は二度目の生だ、ならば骨の髄まで愉しんでも構わないだろう。誰も止めやしないのだ。 愉しめ、常夜総ての主役はこの吸血鬼に在る、夜は私の時間だ、雑兵は下がれ、力無きものは砕け散れ。 「早速他の参加者に遭遇するなんて……運命って奴かしら」 学園に吸血鬼が到着した時。 時を同じくして一台のバイクが校庭に停まり、二人の男女が現れた。 心が踊る、思えば戦争と銘を翳しているが、戦闘を行ったのはライダーとの一戦のみ。 欲している、欲しているのだ。身体が、生命が、魂が刺激を求めて疼いている。 夜は私の時間。 この闇こそが私を一番美しく輝かせてくれる最高の瞬間だ。 時計の針を止めて、永遠の刹那をこの光に弱い白く鮮やかな肌で一生抱きしめていたい。 「……ウォルター。あのサーヴァントは私に頂戴」 「かしこまりました」 得物を前にし高ぶる鼓動は抑えようもなく、得物を狩ることでしか終わらない。 自分でも何故高揚しているか解らず、普段とは言動や思考も違ってくるかもしれない。 本来在り得ぬ話ではあるが、レミリアは主であるウォルターに命令を下す。彼も承諾した。 対する男女の主従は自分達の発言の有無に関わらず話を進める敵のサーヴァントに対し呆れとも言える表情を浮かべた。 戦闘することに意義はないが、もう少し正規な順序というか、話そうと思わないのか。 思わない、少なくとも紅月カレンは、黒の騎士団には必要なかった代物だ。 目的のためならば手段は選ばない、実質NPC以外に被害を与える存在が居ないのだ、思う存分戦える。 彼女は戦闘狂の類ではない、けれど叶えたい願い在る故に、この戦に馳せ参じた。 緑のセイバーが盾と剣を取り出す。 その剣、真名を開放していないため、本来たる輝きを宿していない。 だが宝具だ、その逸話、成り立ち、業……真の力を開放していなくてもサーヴァントが操る最高の武具だ。 油断など出来ず、したところで自分に得など一切存在しない、そう思い慢心しないランサー。 「今夜は愉しい夜になりそうね」 言葉と同時に片手をセイバーに翳すランサー。するとその腕には光が収束し始め、一つの球体が完成していた。 魔力から構成されるエネルギー体を弾丸のように飛ばしセイバーの身体を貫かんとする。 常人では目に捉えられないような速度で進む弾だが、サーヴァントにとって見切れぬ速度ではない。 マスターであるカレンに被害が及ばぬように数歩前に出ると、セイバーは盾を突き出し弾を防ぐ。 辺りに音が響くがダメージの類は一切発生しておらず、盾に直撃した弾は消えていた。 「ならこれはどうかしら」 翼を広げ空に舞い上がったランサーは両腕を突き出し再度、魔力を収束させる。 その密度は単発であった先ほどよりも濃く、色彩も深くなり夜に輝く一つの星と見間違えるほどに。 収束する魔力から察するに攻撃は単発ではなく複数、それも一撃二撃といった優しい数ではなく無数の嵐。 「セイバー……下がっていろ? ……うん」 カレンの前に腕を伸ばしこれ以上の踏み込みを抑制し、後退させる。 一発ならば防げるが嵐となると話は別だ。盾では防ぎきれる面積に限界が生じてしまうのだ。 己は魔力に対する力が備わっているため直撃しても問題はないだろうが、マスターは別である。 サーヴァント同士の戦いで守りながら戦うのは自分にも、そしてマスターにも危険を伴わさせてしまう。 しかし後退させたところで目が届く範囲に留まってもらわなくてはならない。闇討ちに対応出来ないから。 マスターを信頼していない話ではないが、自分が動けない時に他者に襲われれてしまえば救援には迎えない。 敵のマスターは戦闘に参加する意思を見せていないが油断と過信は禁物である。 老体と云えどサーヴァントに対峙しても恐怖を見せず、此方の動きを目で追っており、漂わせる空気も一般の其れに括れない。 カレンを一人にしたとして、老体が仮に攻めの動きに出る可能性を考えると……どちらにせよ危険には変わりない。 「さぁ遊びましょうか、剣士さん」 剣を握る手に力を込め月を背景に浮かぶ紅い少女を見つめる。 セイバーの視線と全神経は彼女に注目しており、余程のことが無い限り視界から消えることはない。 敵に背中を向けることもなく、彼は駆け出し荒れ狂う弾幕の中へ己の身を投じた。 「弾幕に自分から突っ込むなんて面白いことするのね……!」 躱さず単身乗り込んでくる輩は生前の記憶でも珍しく、心が躍動する。 戦いを楽しんでいるのだ。次はどうする、どの手でくる、どうやり返せばいいのか。 思考の渦が戦を中心に渦巻き、セイバーとの戦のみに全思考が傾いているのだ。 サーヴァントになってから戦闘に好意的になったような気がするが、今はそんなことを考えている時間も惜しい。 セイバーは盾を構えながら弾幕の中を走り、ランサーの元へ己の身体を動かす。 盾で防ぎ切れない弾幕は剣で受け流し、跳ね返し、斬り落とす。 嘗てその刀身に魔力を宿し、一種の魔力放出として放っていた剣ならば実体を持たぬ塊も斬れるのだ。 弾幕とて例外ではなく、■■の剣に恥じない力を発揮し、単身ながら嵐に走るセイバーを守る攻防一体の武具。 弾幕が数発身体を掠るが気にするほどの傷は受けない、対魔力なるサーヴァントの力によって。 極論防がなくてもいいのではないか、しかし油断と過信、そして慢心は足元を掬われる原因となってしまう。 有利な状況に酔いしれ他者を見下し、それでいて足元を掬われ結果として窮地に立たされては笑いものである。 気付けばセイバーは何一つ手を抜かず、大地を飛び、ランサーに対して剣を振ろうとしていた。 刀身に月が反射し闇夜を美しく照らす。剣の美しさと月の灯り、暗い夜。 「――!?」 その刀身に反射する光の中に一つ、いや二つだ。 小さな、とても小さいが紅の輝きが二つ灯っており、その持ち主はセイバーが今正に斬らんとしている対象の少女だ。 小さな紅い瞳を輝かせ、口からは小さくも鋭利な牙のような歯を覗かせ、背景になっている月が演出を担う。 其れは闇夜に輝く孤独の女王、誰一人として触れることを許されない紅い吸血鬼。 危険を直感で察知し、逸早く斬り付けるセイバーだが弾幕によって剣先を物理的に流されてしまう。 剣の一振りは少女に当たること無く宙を斬ってしまい、彼女と違い飛行能力を持たない彼は落下するしか方法がない。 よって追撃は不可能であり、寧ろされる側の彼は身動きの取れぬ空中で来るであろう攻撃に備えんと武具を身体に寄せた。 「……?」 しかし追撃は発生せず、依然として少女は宙に浮かんでいた。 ドクン。 月並みで幼稚な表現ではあるが、その光景を見てセイバーの心臓は短く、強く跳ねる。 瞳に映るランサーは追撃することなく、ただ独り宙で嗤い、その右腕に魔力を集中させていた。 その密度は弾幕なぞ比ではなく、サーヴァントと呼ばれる故の規格外な魔力を宿らせている。 「今夜は月が綺麗ね。紅く見えちゃうぐらいに――冗談だけど」 血の如く紅い魔力が夜空を飾る星々のように数多の粒子となりて突き上げられた右腕に収束していく。 球体ではなく得物を捉え、その心臓を貫くような鋭利な形状へと紅い粒子が形を形成し始めた。 数は三つ、例え一つを防いで躱したとしても三つ分の攻撃を捌ききれるだろうか。 弾幕のような攻撃ならば構わないがそうもいかない――空気が変わった。 「初お披露目……私の力」 口から零れる言葉には笑みと感情の昂ぶりが込められている。 早く、あぁ早く。そうだ、今直ぐにでもこの魔力を開放し己がサーヴァントたる所以を証明して見せたい。 収束する力はその矛先を求めて、爆発寸前の火薬のように、得物を待ち侘びていた。 「逃げてもいいけど無駄よ……この槍は貴方を夜から逃さない」 三つの魔力はセイバーを裁く魔の槍となって上空に形成された。 突き上げた彼女の右腕が振り下ろされれば、審判の一撃は連撃となりて彼を貫くだろう。 「避けれるものなら避けてみて」 無邪気に嗤うように。 純粋な楽しみから生まれる好奇心を以ってランサー、レミリアは宝具を発動していた。 「月は貴方を見ている……この運命から逃れられるかしら」 放たれた三つの結晶――運命の槍はセイバーに吸い込まれるように推進する。 まるで最初から彼に刺さっていたかのように、何事も無いように彼一直線に飛んでいるのだ。 彼は察する、この一撃は躱せない。 何かが次元を歪ませているから。 セイバーは時の勇者と讃えられたとある世界の救世主である。 時空を行き来しハイラルを包む闇を祓った勇気の黄金三角を宿した存在である。 魔力や異能に耐性或いは関わりが在ったため、歪んだ槍の異常さを彼は察知した。 その紅蓮たれる魔力で構成された紅い槍、小柄な少女、闇夜に浮かぶ赤い瞳――英霊の候補は大分絞られた。 そしてランサーはその真たる名を開放した。 神鎗――スピア・ザ・グングニル。 オーディンが所有していた逸話を持つ神話の神鎗の名を宿したレミリア・スカーレットの宝具。 血のように紅く、後ろに聳える月までもが紅く見えてしまう程に濃い、濃い、濃い紅色。 紅――彼女の雰囲気から表せば赤の方が適切だろうか。見た目幼い吸血鬼はその幼さ故の不気味さを醸し出している。 手が滑っても許されるような、不安や失敗さえも正当化してしまうような愛嬌さ。 「踊りなさい――言ってみたかったのよね」 幾ら可愛く役者のように台詞を吐こうが、セイバーの状況に変わりはない。 彼は迫る槍から感じる禍々しさを直感で感知し之は避けれぬ必中の裁きと認識し盾を背中に戻した。 宝具となれば弾幕のようにはいかず、防げる保証など存在しない。 永劫の旅を共にしてきた盾であるが、宝具へ昇華されていない現状を考えると槍を防げるとは思えない。 ならばどう対処するか。 因果の逆転を兼ねる槍を回避するのは至難の業であり、突発的に行える芸当ではない。 直前とは言え、その性質に気付けただけでもよしとするしかなく、黙って貫かれるよりはマシである。 だが彼が取る行動は最初から決まっており、宝具を粉砕するのは同じ宝具だ。 「――っ」 その輝きは常夜を照らす永劫たる黄金の輝き。 媒体の大きさは月よりも遥かに小さいながら、その輝きに吸血鬼は声を漏らし瞳を閉じる。 何だあの光は。 何だあの輝きは。 何だあのサーヴァントは。 「魔を祓う……剣?」 何だあの剣は。 瞳を閉じたい程に、目を背けたい程に輝く剣。 高まる魔力の密度は通常の其れとは違い、周囲だけが別次元に感じる程の神々しさ。 腰を落とし、剣を後方へ伸ばすように構え迫る神の三撃槍を見つめる時の勇者。 一撃を放つために大地を削りながら後退する軸足に体重を乘せ――溢れる魔力を今此処に開放する。 まず一つ目の槍は半月を描く軌道の剣先によって裂かれ、構成していた魔力が粒子のように夜を赤く染め上げた。 続く二撃も動き続ける剣が横から一閃し行き場を無くした魔力は雪のように儚く大地に赤を落とす。 三撃目。 二撃を斬り捨てた勇者はその勢いを殺さず、身体ごと動かし己を剣と共に後ろへ。 再度正面を見た時、それは回転の力を剣に上乗せした勇者が幾度なく愛用した伝家の宝刀。 「運命を超越して無傷……その『退魔の剣』は流石と言うところかしら、ハイラルの勇者さん」 クルクルと子供が木の棒を拾い、振り回すように赤い槍を回すレミリアの表情は悪い笑顔。 宝具を正面から潰されたことに対して怒りや悲しみではなく、純粋なる興味と楽しみが顔に浮かんでいる。 噂に聞く退魔の剣とやらをこの目で見れたこと。 多くの世界で闇を祓い、人々に黄金の輝きと永劫たる未来を見せ続けたあの時の勇者で出会えたのだ。 本来有り得ない邂逅だ、こればかりはサーヴァント化したことを、聖杯戦争に感謝するしか無いだろう。 「ふふ……さぁて。この先はどうしま――そう」 これからどうしましょうか。 セイバーの険しい表情から彼も己の真名――までは判明していなくても近しい所まで辿り着いているようだ。 歴戦の武具の中から退魔の剣を選んだのだ、己が邪なる存在で構成されていると感じ取ったのだろう。 そしてその予測は確信に変わる。 「炎……生憎吸血鬼だけど私は其処まで弱くないの」 戦場に流れる激しい旋律は炎となって具現化しレミリアを多い囲む。 しかし吸血鬼と云えど、彼女にとって炎は然程脅威ではなく、この程度なら対魔力なる防壁で対応可能だ。 依然として空で嗤う少女の表情は黒い笑みであり、まるで何を見据えているような悪い瞳。 「私の相手もいいけれど貴方のマスター……大丈夫かしらね」 「――ッ」 弾幕と神槍。 迫る裁きと対峙していた時、セイバーの視界からマスターであるカレンの存在は消えていた。 少女の薄ら嗤いの籠もった言葉を耳にし意識が覚醒するように脳内は白く包まれ、彼は後ろへ振り向いた。 其処にはワイヤーによって右腕が血塗れになっていた己のマスター。 足は崩れ大地に腰を落としており、その近くには応戦したのだろうか拳銃は転がっていた。 セイバー自身、総てを目撃していないため何が起きたか分からないが、月夜の中に赤く光るワイヤーが物語る。 接近した執事がワイヤーでカレンの右腕を斬り付けたのだろう。迫る銃弾を回避する常人離れした身体能力を以って。 月明かりだけでは常夜総てを照らすのは無理があり、鋭利なワイヤーは肉眼で捉えることは出来ない。 故にカレンはウォルターに対処する術もなく、個人としての完成度は彼が圧倒的に上回っただけの話しである。 セイバーは即座に弓を構えると、予備動作無しにウォルターへ射出するが彼は矢を数歩下がるだけの行動で回避した。 追撃を挟まずセイバーは再度オカリナを吹き炎をウォルターとカレンの間に発生させ接触を断絶させる。 彼自身は走り出し無言でカレンを担ぐように広い上げるとそのまま学園内に向かう。 カレンは小さな声でありがとうと呟き己の無力さを噛み締めていた。 何も出来ずに傷だけを負った己が情けない、これでは願いを叶えるどころか朝日を拝めるのも危うい。 情けなくても声も出せないまま、セイバーに担がれながら彼女は学園の中へ踏み入った。 「お怪我は……要らぬ心配でしたかな?」 「見ての通りよ。貴方にも言っておくけど私に炎は効かないと考えてもらっていいわ」 「それを私に伝えてどうしろと?」 「さぁ、自分で考えることね……それと、私に気遣って彼女を殺さなかったことには礼を言うわ」 炎に包まれながら吸血鬼と執事は何かを含んだ言葉を交わす。 彼は本当に彼女を心配しているのか、彼女は彼に説明したのか忠告したのか。 闇夜にせせら嗤う声は真実か偽りか、聖杯戦争に置いて真なる敵は一体誰なのか。 「それにしても学園の中に逃げるのは悪手じゃないかしらね」 「血を辿れば居場所の特定も容易いでしょう」 炎を遮って追撃することも可能だが無理に追う必要もなく、レミリアは黙って彼らを見逃した。 最優のサーヴァントたるセイバーが相手だとお世辞も死合を有利に進ませるなど言えない。 けれど彼女は楽しんでいるのだ、その顔は嗤い、その心は初めての玩具を与えられた子供のように輝いている。 「狩りとは言わないけれど、彼女には此処で退場してもらいましょうか」 「ええ。あの傷では聖杯戦争を生き残るにも傷が深すぎる」 利き腕の粉砕は戦争において致命的な痛手となる、日常生活でさえ不便になるのだ、生命の賭博では邪魔にしかならない。 余程の馬鹿か筋金入りの夢追い人でも無ければ諦めて幕を引くだろう。しかし彼女はどの人間なのだろうか。 少なくとも拳銃を持ち込んでいる或いは所有している以上、事情に詳しいか裏側の人間だ。 ならば退けない理由もあるかもしれないが――此方には関係のない話しである。 「じゃあ行きましょう。 それにしても建物の中に入るなんて……ふふ。 このまま『館』の中で苦しむってのもそれはそれで愉しい結末ね」 槍を消滅させ、朽ちた魔力の結晶が雪のように舞い散る中でレミリアは学園を見つめる。 何を思って逃げたかは不明だし解るつもりもないが、もし、もしもの話しだ。 生命からがら逃げ込んだ場所が『吸血鬼住みし赤い館』だとしたら。 「どんな顔をするか愉しみで……あぁ、愉しみ」 喘息を漏らし潤いを秘めた小さい瞳を細々とさせながら彼女は――。 「避けなさいっ! ウォルター!!」 学園で一騒動が発生する少し前に。 架空世界の夜空を吹き抜ける影が一つ。 それは隼ではない。 子供が後部座席で妄想しながらガードレール等の上を走る忍者でもなく。 (――気持ちいい) 腰に纏った立体機動装置の重さを感じさせない程の爽快感。 遂に外に出ることが出来た開放感から少年は満面の笑みで夜空を翔けていた。 (溜まっててたモン全部ぶっ飛ぶぐらいには最高だ) トリガーを引く指の感覚も。 重力に引かれるこの感覚さえも己を興奮させる刺激となっている。 電信柱を掻い潜り、屋根の上を傳い、宙を蹴る。その姿は空想上の忍者とも捉えられる。 暗闇なのが幸いし、人々に感知されていないのが彼にとっての救いであった。 目撃され情報が拡散されれば一躍有名人となりエレン・イェーガーとしての知名度はこの世界において爆発的に上昇する。 そうなれば他の参加者から目を付けられてしまい、己を破滅へと導くことになる。 何のためにアサシンが彼を隠蔽させ続けたのか、総てが無駄になってしっまうのだ。 故に月明かりしか無いこの常夜は彼に味方しており、彼は堂々と空を飛べるということになる。 「アサシンには悪いことしたけど……俺だって黙ってるままじゃないんだ。 これじゃあ何のために聖杯――なんのために……?」 彼の自分に対する態度は正直に言って不愉快であり、理解に苦しんでいた。 圧倒的圧力で密室に閉じ込め必要以上の外部との接触を断たせる。 その癖に口数は少なくて、精神面を支えることも無ければ、外出を強制的に阻止してくる。 エレンにとってジャファルは気に食わない教官と同等かそれ以下の捉え方をしてしまう存在になっていた。 「……俺のためだってのも解る」 その態度と行いが自分を守ることだとエレンは理解していた。 彼が部屋で腐っている時、とある夢を見た。 その青年は捨て子で、拾われた人間は心を何処かに忘れてしまった闇の住人。 冷徹なる殺人鬼へと育てられた彼は感情の代わりに闇の業を身に纏ってきた。 依頼があれば王族だろうと殺し、組織の人間だろうが命令が下れば殺害してきた。 そんな殺人鬼の元に一人の少女が現れる。 その少女は優しく、太陽のように眩しい笑顔を持った闇の世界とは対極の存在であった。 彼女と行動を共にしていくにつれ殺人鬼は言葉にし難い暖かい感情を感じるようになる。 そんな彼女を殺害する命令が下った時、彼の中で何かが動き始めた。 来る決戦の月夜。 彼は彼女に暗殺命令が下されたことを話し――組織と敵対する道を選んだのだ。 きっと彼にとって初めて感情に身を任せた行動だったであろう。理屈では説明出来ない何かが彼を動かした。 「誰にでも大切な人はいる……っ」 その後は思い出す気にもならない。 決して訪れぬハッピーエンド、運命分岐点は彼の在り方を変えた。けれど、最後まで幸せにはなれない。 彼は血を浴び過ぎた、人を殺し過ぎた。 再び陽の光を浴びれる程真っ当な人生を送っていない、太陽を感じることさえ運命は許してくれなかった。 (ごめん) 心で謝る、念話は飛ばさず、思いは伝わらないがエレンは独り呟いた。 だが、彼は戻らない。気付けば学園の前に降り立ち、玄関から中に入る。 事件の影響もあって学園内から人の気配は感じず、お構いなしに土足で侵入し職員室を目指す。 所々ガラスが割れていたり、校庭にクレーターが出来ていたりと非日常を感じさせていた。 階段一つ一つを昇る足が軽い。 このまま天井と言う名の壁を突き破り天元と言う名の蒼穹へ飛び出してしまう程に軽い。 楽しいのだ。 彼は聖杯戦争に参加して日常を感じてしまった、巨人の存在しない世界を感じてしまった。 明日に怯えること無く、安心して眠れる世界を、優しい世界を知ってしまった。 ミカサやアルミンはいない。それでも彼はこの世界に一定以上の理解と感情を抱いてしまったのだ。 戻りたくても戻れない、いや本当あのか、戻る気がないのか戻れる気がしないのか。 「ふぅー……」 辿り着いた職員室前。 此処の中に入れば自分を呼び出した小萌先生が居る筈だ。 改めて考えると、先生の連絡一つで飛び出すのは異常であった。 学園でテロと同義級の事件が起きているなら尚更であり、行きたくも無ければ呼びもしないだろう。 罠だ。誰がどう見ても聞いても考えても感じても、罠である。 エレンは気付いていない、気付きたくないのかもしれない。 小萌先生は自分に接触してくれた数少ない存在である。 外出を許されぬ環境で日々過ごす変わらない一日を変えてくれる彼にとっての救世主である。 その一声が彼の起爆剤となりアサシンの言い付けを破るまでして行動するにまで至ったのだ。 それもあるが本当は。 聖杯戦争に参加してから初めて誰かに必要とされたのが嬉しかった。 誰一人として知り合いがいないこの世界は不安に包まれており、憩いの場何て何処にも無かった。 従者であるアサシンは口数が少なく、自分に総てを話してくれない不器用な男。 彼に総ての責任を押し付けるつもりはないが、自分を苦しめる大きな理由になっていた。 そんな環境の中で、自分を呼んでくれた小萌先生の存在は太陽のように輝いていたのだ。 必要とされているのが嬉しかった。この世界に自分の価値が在ったことが嬉しかった。 感じていたい、刹那の一時を永遠に抱いて噛みしめたい。 この輝きを更に浴びるにはこの扉を開ければいい、自分を待っていてくれる人がいる。 そして。 「初めまして――エレン・イェーガー」 彼の学園生活が始まった。 BACK NEXT 049 背に腹は 投下順 050-b 巨人が生まれた日 049 背に腹は 時系列順 050-b 巨人が生まれた日 BACK 登場キャラ NEXT 042 魔科学共存理論 天戯弥勒 050-b 巨人が生まれた日 043 裏切りの夕焼け アサシン(ジャファル) 045 右は楽園、左は―― エレン・イェーガー 暁美ほむら 047 Cat Fight!!! アーチャー(モリガン・アーンスランド) 048 神話前話 浅羽直之&アーチャー(穹徹仙) ウォルター・C・ドルネーズ&ランサー(レミリア・スカーレット) 紅月カレン&セイバー(リンク)