約 374,340 件
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/348.html
510 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/04(水) 04 20 24 「これからS市に向かい情報収集を行います」 バゼットが立ち上がった。 「何かあれば連絡を入れます、連絡先は……」 「ええっと、この家の電話にお願いします、番号は……」 「了解した、では」 足音と、玄関の開き、閉まる音が聞こえた。 「……さて、まだ日も高い、我々はどうするね?」 S市に到着して、まず向かったのは書店だった。 地図を確認し、地形を頭に叩き込む。 港と駅の位置は分かっているが、この市が戦場となるならば詳しい地形は必要となる。 特に戦場候補として選ばれうる人通りの少ない場所は直接現地にて確認するのがセオリーだ。 続いて港へと向かう。 数日前にシベリアトラを輸送した密輸船だ。 「船長」 「おぅ、バゼットの姉ちゃんか、どうした?」 「ここ数週間この港に搬入された品目、特に『人間』について表裏問わず調べていただきたい」 どこかの組織に所属しているならばともかく、どこぞの魔術師ならば密輸されて来るはずだと彼女は考えた。 そしてそれは己が調べるよりも蛇の道は蛇、彼らに任せるのは最適だろう。 「調べる……? そりゃ別に構わないが……」 「勿論報酬は先日の密輸とは別口で支払いましょう、但し急いでお願いします」 「ああわかった、日本円かユーロでな、米ドルは駄目だぜ?」 「ええ、分かっています」 用件は済んだ、あとは市内を調べるだけだ。 まず交通の要衝である駅前の探索を行う。 さすがに人通りは多く、戦いの痕跡もごく僅かしか残っていない。 言い換えれば夜はこの場所も戦場となったということだ。 駅前から少し離れた場所に廃ビルを見つけ、屋上へ向かう。 探索のルーンを描くと、高らかに魔術反応を示した。 「残留魔力……なるほど、恐らくアーチャータイプの遠距離攻撃……ここからならば駅まで障害物はない……」 手摺りから駅を注意深く観察する。 「しかし、ここにも魔力が残っているということは……駅前からこの屋上に向かって攻撃を?」 だとしても、手摺りなどに破壊の跡や修復の痕跡は見られない。 「すると……召還、か?」 その考えはすぐに立ち消える。 冬木という優れた霊地が近くにある以上召還するとすればそちらだろう。 「なんにせよ、ルーンだけでの探索は難しいか……だとすれば次に探索するべきは……」 既に日は傾き始めている。 出来るとしてもあと一つか二つといったところだろう。 「ふむ、ならば……」 俺を孕んでくれ:別荘地帯を調べる 貴様が生まれる気か:杜王町商店街を調べる だが良かろう:ぶどうヶ丘高校・中学近辺を調べる ドリルハリケーン!:霊園・教会付近を調べる
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/549.html
698 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/07(火) 03 08 18 断末魔の一瞬! 士郎の精神に潜む爆発力がとてつもない冒険を産んだ! 普通の人間はおいつめられ危険を感じればそこから逃げようとばかり考える だが士郎は違った! 逆に! その危険に飛び込んだ! 『なに士郎? 大河君がおもちゃの鉄砲を持って行ってはなさない? 士郎 それは無理矢理引き離そうとするからだよ 逆に考えるんだ 『あげちゃってもいいさ』と考えるんだ』 一歩を踏み出しながらスポンジを拾い上げ、目標の背後に回る。 「ん……ふ」 突然触れられたというその感覚で遠坂の膝が落ちる。 「か、体中が……敏感に、なって……る」 氷室も瞬時に膝を落とす。 その機会は決して逃してはいけない、二人をノックダウンするチャンスはここしかない。 逃げようとすれば逆転されることは間違いないと確信している、ならばここで倒しきるのみ――! 感覚が伝播している。 スポンジ越しの柔肌の感触を感じ取る。 そしてその感覚は倍加して触れた者に伝わっている。 更に己の背中にフィードバックする感覚は、紛れもない快楽だ。 だがその快楽に溺れてはいけない、今は、ただ背中を洗っているだけなんだから。 だがそれでも意識が薄れていく。 「ん……」 氷室からくたりと力が抜け、倒れ込む。 倒れ込もうとする身体を支え、壁に支える。 「士郎……なにかこれ……ん……」 遠坂の声は弱々しく、反して息が荒い。 思考がぼやけていく。 身体の感触を楽しんでいる。 「シロウ……わたしも……」 イリヤが身体を擦りつけてくる。 息は乱れ、まるで質の悪い風邪にあてられたかのようだ。 何かが異常だ。 だがその異常の正体が分からない。 そうだ、あの決意すらも、何かに、操られていたかのようで…… 床に倒れ込む。 意識が薄れて行く。 力が抜けて動けない。 何かに食べられている。 身体から血液が抜けていく。 そんな中で―― 「ふふふ……シロウ、ごちそうさまでした」 紫色の影が見えた。 「……あれ?」 何をしていたのだろうか。 確か、話の流れで、遠坂達と風呂にはいることになって…… 「う」 床に三人が倒れている。 「お湯を温めすぎたか?」 そのせいで湯気でのぼせて気絶してしまったのだろうか? 今は逆に身体が冷えてしまっている。 冷静に、指先で湯船の温度を確認する。 「……ん、今は丁度良いかな」 倒れている三人の意識を確認する。 皆似たような状況だったが、どうにか意識はあるようだ。 「みんな、床は冷える、湯船に入ろう」 「ん、シロウ、入れて――」 イリヤの身体を抱きかかえて湯船に漬ける。 続いて氷室、遠坂を後ろから抱きかかえて湯船に入れる。 入れてしまいさえすれば、身体を制御する程度のことはどうにか出来るようだ。 「しかし……」 弱ったことに入るスペースがない。 しかし身体は本格的に冷えている。 シャワーでは暖まらない、湯船という形は必要だ。 ならば―― アレクセイ・パジトノフ:テトリスのように湯船の真ん中に入る レッドオクトーバー:イリヤを抱きかかえて一緒に入る レッド・スコルピオン:どうにか熱いシャワーで誤魔化す
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/174.html
339 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/10(日) 03 50 00 ……もう少し、もう少しだけ一緒にいよう。 そんな事を考え、襖を閉め、冷茶を茶碗に注いだ。 ——ここはね、僕の修行場なんだ。 ふと、切嗣のそんな言葉を思い出した。 ひたすらに広い屋敷の、二畳しかない、電灯もない部屋。 考えてみれば、切嗣が死んだ時、藤ねえが籠もった部屋だったな、ここって。 それ以来、かな、そう言う場所だと意識したのは。 掃除の時にまとめてやってしまおうと考える位で、ここがどういう場所なのかを考えた事はなかった。 なんとなく感慨に耽ってしまう。 と、襖を叩く音が聞こえた。 「ん、誰?」 「あ、私です」 「桜? どうしたんだ?」 襖を開ける。 「あ、いえ、お風呂全員出ましたので先輩もどうかな、と」 「わかった、もう少ししたら行くよ、あ、あのシベリアトラどうなった?」 「ええ、さっきライダーとキャスターさんが縁側に繋ぎました、寝ちゃったみたいです、ライダーの話だと寂しそうだったと」 「ん、そっか、じゃ適当に風呂は入るよ」 「はい、わかりました、まだみんな居間に居るので何かあったら呼んでくださいね」 「わかった」 それじゃ失礼します、と。 襖は閉められ、居間への足音が続いた。 閉め切った部屋、枕元の士郎、布団で眠る藤ねえ、ただそれだけで表せる畳の部屋。 「切嗣さん……」 藤ねえの呟きが聞こえる。 暗かったがよく見れば分かる、藤ねえが泣いていた。 場所がそうさせるのか、それとも藤ねえの心の奥がそうさせるのか。 「親父……藤ねえはまだ泣いているよ」 ——うん、そうだね、でも僕はもう居ないから、士郎が慰めてあげると良い、お嫁さんに貰ってあげるとか良いかもね そんな事を言いそうだと考えた。 「それは良くない事だよ、桜が居るんだ」 ——うん、それじゃ難しいね、じゃあ男の甲斐性を見せつけるとかどうだろう? 幸いこの家には女の子も一杯居るようだからね 「ははは……ハーレム建築かい? 親父も冗談を言うようになったな」 ——そう、それが女の子を一番泣かせない選択肢だよ、もしかしたら激怒されるかもしれないけど 「泣かせないって意味ではある意味でそれも正義の味方、か」 立ち上がる。 「ありがとな、親父」 部屋から出る時、そんな事を口にした。 ——でもね、今もきっと—— 最後の言葉は、よく分からなかった。 ——さあ、みんなの為にも、やるべき事を片付けなければ いつの間にか、全身に力が漲っていた。 藤:まずキャスターの出自の確認だ ね:まずライダーの傷の事を確認するべきだ え:まず遠坂と、今日戦ったサーヴァント、そして赤い男について話をするべきだ の:まず桜の調子を確認しよう、全身の状態が変化しているんだからな 夢:まずルヴィアの精神状態を確認しよう、今なら彼女は引き返せる
https://w.atwiki.jp/ankasekai/pages/423.html
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ マーガリンの繁栄により全世界の文化と技術は衰退 バターを始めとした他の調味料は歴史の闇へと封印されてしまった そして世界はマーガリンを至高とするディストピアと化してしまった―― ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ,ィ i i i i 、 ,ィ i i i iヽ ノ i i i i i i ゝ ソ i i i i iノ └ュ i i i i i¬、 ] i i i i i∟ / i i i i i i i i i i>..____ _ / i i i i i i i i iヽ / i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i> j i i i i i i i i i i i i i i`、 } i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i i厂 ノ i i i i i i i i i i i i i i i i 〕 ノ i i i i i i i i i i i i i i i i i i / ヽ i i i i i i i i i i i i i i厂 _ 「 i i i i i i i i i i i i i i i iΓ´ __了 i i i i i i i i i「 〔 i i} { i i i i i i i i i i i i i iヾ i 〉 . / i i i i i i i i i i i i<_ヽ _,ィ i i i it、 _Ⅹ i i i i i i i il\ i i i \ Ⅸ i i i i i i i i i i i i i i i i i\ r' i i i i i i i i i | ,.r/ | i i i i i i i L \ i i i} | i i i > i ir=ニ_ i i i i | ノ i i i i i i i i i i | r 、 ,.r/ 「 i i i i|、 i i i{ ー′ . 八 i i イ ヽ i i i{ `=′ ‘⌒ i i i i i i iト! ノ i i、 ,.r/ ヽ i i { ヽ i i 、 } i i | } i i { ,..、 r/{ i i i i in i L / i i i i i ヽ ,.r/ ‘; i | ‘ i i i, ... `;i | } i i | ,! i L__, ,f i、 r/ ヽ i i ハ i i j `ヽ i i i i i〈 r/ { i | ‘ i i i', _‐==ニ=┴-=` i i|_{ i i i i / ノ i i ( r/ { i | 〈 i } .] i ハ i (`’ ' } i! ヽ i|  ̄ ̄`¨¨`二ニヽ. __ヽィ i { ' | i | | i| 「 i/ ヽ i _,==―――――-'┴=' ̄ ̄ ̄`ニニニニ= 丁TヽL._ ___」 i∟l i∟== __j i{__} レ=≦ ̄ `~´ ̄  ̄` ̄ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ――しかしまだ他の調味料を捨てず立ち上がるモノも居た そして今回の聖杯戦争を作り上げた御三家もまたその一部である 彼等は魔術に基づいた聖杯の力を持って世界を正そうとしていた―― ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ 物語へのリンク ◆第一部 ttp //yaruoshelter.com/test/read.cgi/yaruo001/1516191630/3325-6074 ◆まとめ一話 http //yaruok.blog.fc2.com/blog-entry-10126.html ストーリー かつてこの世界には多彩な調味料が存在した ソレは様々な人間が長い年月をかけて生み出した英知の結晶である 人々はその多彩な調味料で様々な料理を作り星の数ほどの素晴らしい食文化を築いていた――そう、あの時までは… 世界中の調味料を駆逐し、マーガリンを中心に考えられマーガリンに合う料理のみが作られるようになった世界 そんな世界に立ち向かうべく、聖杯を作り上げた御三家主催による聖杯戦争 勝利の聖杯は誰の手に、そして調味料の運命は… 登場人物 <セイバー陣営> ジェリド・メサ・・・セイバーのサーヴァント 峰津院都・・・セイバーのマスター <ランサー陣営> テッカマンランス・・・ランサーのサーヴァント 鷺沢文香・・・ランサーのマスター <アーチャー陣営> 呉キリカ・・・アーチャーのサーヴァント レッド・・・アーチャーのマスター <ライダー陣営> シグナム・・・ライダーのサーヴァント ヴォルフラム・・・ライダーのマスター <キャスター陣営> ミスト・レックス・・・キャスターのサーヴァント ギルベルト・ハーヴェス・・・キャスターのマスター <アサシン陣営> 三沢大地・・・アサシンのサーヴァント 蝉・・・アサシンのマスター <バーサーカー陣営> ヤムチャ・・・バーサーカーのサーヴァント ワユ・・・バーサーカーのマスター その他人物 + ... シオニー・レジス・・・アヴェンジャーのサーヴァント 五条勝・・・アヴェンジャーのマスター 雪音クリス・・・テッカマンランスの娘とそっくりな子供 恋するドラゴン・・・ライダーの宝具で召喚した竜 アレクサンド・アンデルセン・・・監督役 マーリン・・・覇界マーガリン三連星 ガンヴォルト・・・覇界マーガリン三連星 ハス太・・・覇界マーガリン三連星 ファヴニル・ダインスレイフ・・・ルーラーのサーヴァント やる夫・・・ルーラーのマスター 概要 今回の物語は、過去にアバターを務めたが、 それ以降、他の物語に登場してなかったキャラ達7名を、 サーヴァントとして召喚した聖杯戦争である。 (特定の主人公はいない群像劇)
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/558.html
26 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日:2006/11/18(土) 04 38 40 23 54・霧島家 二人で、空間の歪みに突入し、それと同時。 「SC空間を探知しました。使用者のイデア情報を確認。起動します……」 非現実 キャスターの宝具 が起動した。 歪んだ空間、失せた現実の中、男が立っていた。 男が振り返り、楽しそうに。 「やあ、久しぶりだね、本当に久しぶりだ」 抜刀しながら、笑いながら言った。 それを好機と見たのか、セイバーとバゼットが飛びかかる。 それぞれ心臓と脳を狙う一閃。 だがその一撃は、微笑と共に終わった。 「ああ、言ってなかったかな? この空間は概念を歪める事のみに特化した非現実、だから、早さ堅さは関係ないんだよ」 頭を軽く掻きながら言う。 脳を狙ったバゼットの一撃、硬化のルーンが僅かでも現実を歪めていたのか、頭を軽く掻く。 だが、彼女のルーン魔術をしてその程度。 いかにクラス特性としての対魔力が高かろうと、セイバーに魔術は期待できない。 そう判断したが故に、男はキャスターに視線を戻す。 「さあ、それじゃあ、やろうじゃないか、名城」 その笑顔に。 キャスターが衛宮士郎を庇うように飛び出した。 男の剣――つまり『セイバー』なのだろうという事が理解できる――の柄に取り付けられた宝石が光る。 キャスターの布その留め金となっている宝石が光る。 その二つの光は様々な物を空間に呼び出し続ける。 飛び交うのは、無限の概念だった。 瞬時に爆発し消え去る炎に似たナニカ。 刃もなく切断するナニカ。 十字に舞うナニカ。 それら無数の概念を、衛宮士郎は実感した。 この異常がなんなのか。 実感など出来るはずもないのに、問答無用で『アレ』がなんなのかを実感した。 二度目であるからなのか。 彼女のマスターという実感故か。 あれらは全て現実を侵す真実だ。 法則に則って世界を侵し、非現実を現実に浸食させる宝具。 一見し、ようやく実感した。 「ハッ!」 バゼットの正拳が白い怪物に直撃する。 同時に、白い怪物の動きが停止する。 彼女の手袋には新たなルーン スリサズ が刻み込まれている。 氷の巨人、茨の門、それらの意味する『停止せよ』と言う概念。 それが白い怪物の動きを一時的に停止させる。 「破壊は不可能でも、動きを止めることは可能……セイバー!」 そこに、真上からセイバーの爆撃のような拳――命中と同時に白い怪物が電撃に包まれる――が振り下ろされる。 「なるほど、宝具でなくとも、『現実を歪ませ得る』概念さえ付加すれば……全く無駄という事はなさそうですね」 電撃で焼け焦げ、それでも尚動き出そうとする存在に再び拳を叩き付け、ようやく一体が倒れ、宝石に戻された。 二人は残った白い存在達へ向け飛び込んでいく。 頭のどこかが冷静に判断を下す。 あの二人は途方もなく強い。 それでも、あの二人 セイバーとキャスター の戦いに介入できる代物ではない。 あの二人の周囲に飛び交う概念は、剥き出しの呪いだ。 それは既に概念の付加などというレベルの代物ではない。 飛び交うのはまるで極上の呪いだ。 様々な形をもって綴られる『お前は存在しない』という強固な概念 呪い 。 宝具の加護のない生身の人間など、即座に歪み、削られ、二度と現実には戻れなくなる事を理解できる。 だが、それでも、その戦いを見たままになんて出来ない。 考えろ。 ――ウミダセ 彼女のために何が出来る。 彼女を守り、ヤツを倒す、必要な事、必要な物はただそれだけだ。 強固な概念。 この空間に於いて尚、アイツを、あの剣士を吹き飛ばせるだけの強固な概念。 既にここにない、赤い弓兵の腕と共に咆えた。 「投影、開始――!」 27 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日:2006/11/18(土) 04 42 38 23 55・衛宮邸 将軍を意味するジェネラルはサーヴァントの中でも特異な存在である。 もとよりイレギュラークラスであると言うこともあるが、それだけではない。 その在り方はキャスターに近い。 直接戦闘における能力は基本的にキャスターと共に最弱であり、己の指揮する兵でもって戦列を築き、戦う。 総合戦力は一度に操る兵数が多ければ多いほど強い、だが個々の兵としてみれば少数の方が強力だ。 故にその700体の存在は、正に『ジェネラルの兵』そのものであった。 単体性能をしてサーヴァントを相手に足止めが可能、そして人間に対しては――彼女たち卓越した魔術師に対して尚――圧倒的に強かった 。 そして、その存在の第一目標が『マスターとサーヴァントの分断』であると、遠坂凛は判断した。 戦闘開始から僅か数分の事だが、それは共通の認識となる。 「まず、このままだと……」 ガントの掃射で壁に開いた大穴から侵入しようとする敵兵を牽制する。 だがこの程度ではまるで効果が見えない。 「上!」 ルヴィアの声、それが聞こえたと同時に何も考えずに最も跳びやすい右に全力で跳んだ。 その直後に先程まで立っていた場所に剣が突き刺さる。 あと少し遅ければ脳天に剣が突き刺さっていただろう。 「全身鎧だってのに……随分と軽快ね!」 追撃に移る黒騎士の右腕を、ライダーの釘剣が巻き取る。 「はああっ!」 そのまま桜を狙う別の鎧に叩き付ける。 「サクラ、リン、無事ですか?」 「ええ、大丈夫、でも……話は後!」 倒れ込んだ鎧姿が起き上がる。 「Fixierung,Eilesalve 緊急一斉射撃 !」 「Es befiehlt 命ずる ――Mein Schatten nimmt Sie 影を掴め !」 二人の魔術を同時に受ければ、さすがに鎧も倒れただろう、だが、それは不可能。 既に二人の後方には別の鎧姿。 互いの背後に向け、魔術が放たれる。 その一撃を受け、後方に吹き飛ぶ。 その片方に向け、ライダーが飛びかかり、釘剣を頭に突き刺し、消滅させる。 「対魔術防御はあまりなさそうだけど、私達じゃ倒しきれない……」 桜がそう判断する、ルヴィアも、凛も、その判断は同じ。 「ジェネラルも……兵力を小出しにしかできないようね」 「仕方ないわ、敵の半分も引きつけてればこれ以上は贅沢は言えないわ」 ――なのは、フェイト! そっちはどう!? 「数が多くて……対処仕切れているけど」 バルディッシュの一閃が、ようやく一人の身体を吹き飛ばす一撃を与え、消滅させる。 その一閃の隙、後方から剣が振り下ろされる――! 「援護、救援までは、厳しいです!」 初撃、レイジングハートの魔術砲撃が数体をまとめて吹き飛ばした。 だが、その間に接近された鎧姿を未だ倒すことも振り切ることも出来ない。 「判断、誤ったかしら?」 セイバーとの念話は途切れたままだ。 パスは感じるが、ナニカが向こうでも起こっている事は間違いない。 故に判断は保留。 ここで全力を尽くすのみ――! 想定外の戦力:(霧島家にて)「投影、完了――!」頭痛に苛まれ、それでも、その仕上がりを実感した。 鬼気迫る攻撃:(衛宮邸にて)「負けない――! この家を、守る!」桜の強い声が上がる、それは彼女たちの心を補強する。
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/548.html
637 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/06(月) 03 56 59 無言のまま、背中越しにイリヤの前を洗う事にする。 脇の下や首筋など、汗のたまりやすそうな部分を十分的に洗うことを中心に、全身を洗うことにする。 「ひゃうっ!? シ、シロウ?」 ……この辺りが限界ラインである。 遠坂や氷室の、なんというか肌や筋肉まで感じ取ってしまったら多分理性が限度を超える。 今でさえ臨界寸前、メルトダウンが目前に迫っている。 イリヤは妹であると己を誤魔化してしまえば、ギリギリで臨界は超えない。 三枝さんの時は危ないところだったが、理性を総動員してなんとかなった。 だが理性は擦り切れ、しかも一度『安心』してしまっている為、限界は既に突破している。 そして今は『妹である』と思い込む冷却剤があるからこそなんとかなっているのだ。 ここで遠坂や氷室の体を洗おう物ならば……LOCA 冷却材喪失事故 は免れない。 その結果がどうなるのかは想像の外。 恐らく考え得る限りの最悪の事態。 その地平を遙かに超える事象が発生するだろう。 イリヤだけで、イリヤ 妹 だけでなんとかしなければ…… 「ほほぅ……」 「へぇ……」 二人が矢鱈と冷静な目をしている。 その顔は、まとめて頭を冷却してくれた。 だが一体何をそんなに…… 「あ」 分かった。 理解した。 そして納得した。 抱き寄せたイリヤの息が荒い。 「んん……シロウ……ダメだよぉ……乳首とか、いじっちゃ……」 イリヤが、聞いたこともない艶っぽい声をしている。 振り返った顔は赤く、目は蕩けるように焦点が合っていない。 湯煙や汗でわかりにくいが、その口元からは涎すら垂れている。 えーっと、これは……いわゆる。 自分の体のコントロールが出来なくなるほど『昂まって』いるッ! 「すっ! すまん!」 その認識と同時に手を離す。 全速で後ろに下がる。 壁に当たって頭をぶつける。 少し痛いが気にする事などできはしない。 今気付いたがスポンジは床に落ちて転がっていた。 直接!? ま、まさか、今の今まで直接触れていたのか? 手の泡を見る。 先程まで触れていましたというような、人肌の温もりを感じる。 ……どうしよう、イリヤ相手でも理性が危険だ。 とはいえ、こういう状況になればここから先の、これ以上の危険な状況の回避は…… 「……盛ってきた」 できてないようです。 た、立ち上がった! 二人が勢いよく浴槽から立ち上がったァー! そしてそのまま不思議な軽やかさと共にゆらりと向かってくるゥー! 危険だ、襲われる。 『逃げろ』と、 本能が警告した。 座ったままの姿勢! 膝だけであんな跳躍を!:脱出だ! 全力で脱出だ! こいつはやばいッ!:「ふっふっふ……たっぷりと洗って貰おうではないか、たっぷりとな」動き出す前に捕獲された。 逆に考えるんだ:主導権を握って脱出のチャンスを待つッ! その為に敢えて突入する! この野郎を食うのはおれだぜーッ:「先輩、何を――!」「シロウ、何を――!」風呂場に桜とライダーが乱入してきた。 PLUCK(勇気をッ!):「しーろーうー!」虎が! 虎が真剣を持って風呂場に突撃を!
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/343.html
717 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/17(日) 03 34 46 靴の爪先が巻き込まれ、体勢が崩れた、その瞬間。 敵が笑ったのが見えた。 ふと、『ああ、敵は勝ち誇っているんだな』と理解した。 『相手が勝ち誇った時、すでにそいつは敗北している』とは、彼の父の言葉だ。 「グレート……ベストポジションだぜ」 体勢が崩れたまま、敵を指さした。 指さした手には崩れた瞬間拾い上げた弾丸。 既に発射され、変形していようと、弾き飛ばすには問題ない。 勝ち誇っている時、その思考は自ずと読める。 そう、こういう性格の男が勝ち誇っている状態になれば、悪足掻きにしか思えぬ反撃は、回避せず、弾き飛ばすことは容易に予想できた。 故に。 「なおす」 敗北する。 悪足掻きにしか思えぬ弾いた弾丸は杖で叩き落とす。 口元には笑み。 「ほぉーら、こいつでトドメだ!」 そんなことを口にした瞬間。 彼の背後に何かが突き立てられた。 「がっ……」 突き立てられたのは剣。 壁に命中し、転がった剣。 それが『元に戻ろうと』内臓に命中していた。 そして、剣はそのまま仗助の手元に戻っていく、体を引き連れたまま。 崩れた体勢は既に立ち直りかけていた。 立ち上がる力、それを過剰に足に与え、コンクリートの大地を蹴り上げ。 「ドラァッ!」 その力を利用したアッパーが顎に炸裂した。 「……グッ……ズッ……ウウウウゥ」 倒れた状態から立ち上がろうとする。 仰向けで倒れたことで剣はより深く突き刺さっているようだった。 恐らく片方は破れたであろう肺に空気を全力で注ぎ込む。 痺れる指先で杖を握り、地面に突き立てる。 「おいおい、無茶しねーで寝ときなよ、この街から立ち去るって言ってくれりゃトドメさしたりはしねーからよ」 「ランサアアアアァァァァ!」 死力を尽くして、叫ぶ。 そして一陣の風が吹き、男がランサーに抱えられていた。 「残念だが、マスターがこの状態では仕方がないよな?」 飄々と、ランサーがそんなことを口にして、再び風となって去っていった。 立ち去ったことを確認し、仗助は全力で息を吐き出す。 「さて、では帰るかね」 「ちっと……休憩させてくれよ」 「おいおい、そう言っててまた誰ぞ来たらどうするね? 残骸の回収は済んだし、休みたいなら家帰って休みたまえ」 「帰ったらベンキョーあるって考えたら帰る気もなー……」 ぐたりと、地面に寝転がった。 「やれやれ、仕方ない」 そういうと、仗助は肩に抱えられていた。 「我が儘は良くないぞ仗助、家まで抱えていくからベンキョーしたまえ」 「ぬあー、分かった、歩く! 歩くからそういうのは止めてくれ!」 数分前まで命懸けの戦いを繰り広げていたとは思えぬ程軽い声と動きで、彼等は戦場を後にした。 衛宮邸ルート:再び舞台は衛宮邸へ 柳洞寺コース:そして舞台は柳洞寺へ
https://w.atwiki.jp/kirby3ds/pages/170.html
ステージ6-6の一体目に登場するボス「マスクド・デデデ」の攻略方法。 攻略方法・ポイント 編集用コメント欄 攻略方法・ポイント 編集用コメント欄 このページでの議論・情報提供・質問用のコメント欄です。 コメント欄での質問を許可しました。どこで質問すべきか、ページを考えて質問しましょう。 ※雑談は許可していません!! 雑談は掲示板にてお願いします。見つけ次第削除します。 最新10件の親コメントを表示しています。 コメントの返信は、返信したいコメントの○にチェックを入れて投稿してください。無暗な新規投稿はお控え下さい。 ガイドラインも併せてお読みください。 名前 コメントログ?
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/668.html
12 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/23(土) 03 54 14 ライダーの釘剣が廊下を舞う。 空間の制約上不可避の一撃、その一撃を、バーサーカーが受け止めていた。 無言で手にしたカラシニコフを乱射する。 「っ!」 三人を抱きかかえ、廊下の陰に隠れる。 「あの程度ではダメージがないようですね」 「心臓近くに突き刺さっているのに?」 「……恐らくそれがあのバーサーカーの特性、即死以外では死なないと言っていましたし」 凛の問いに、ルヴィアが応える。 「それは危険ですね、ともかく、動けぬ三人、士郎、キャスター、タイガの三人をなんとかせねば……」 「……ライダー、時間稼ぎ、頼める?」 桜が問う。 「はい」 それに力強く返答する。 互いに目配せする。 ちょっとした睨み合いにも似た光景。 ただそれだけで各々の役割は決定した。 「ふん、威勢が良いのは初撃のみか、ならば往くぞバーサーカー、確実に息の根を止めろ」 頷いたのか、狂戦士が廊下に前進を始める。 それに呼応するように、ライダーが飛び出す。 玄関や廊下という狭い空間では、ライダーの速度も、バーサーカーの力も、互いに完全に発揮することは出来ない。 だが、それに構わず肉切り包丁を振り回す。 「人の家で好き勝手っ!」 突き刺さったままの釘剣を振るう。 「それはお互い様だな! サーヴァントッ!」 バーサーカーのマスター、モンティーと呼ばれた男は、土足で玄関に上がり込み、その様子を見守っていた。 「……許せませんわ」 その光景を、ルヴィアが吐き捨てるように言う。 「土足で家に上がり込む、その『日本式』を無視するその心根が!」 宝石魔術がバーサーカーに直撃し、蹌踉めく。 その隙に、ライダーが鎖を首に巻き付け、思い切り振り下ろす。 並の人間ならば首が吹き飛び、サーヴァントでも頸骨骨折を免れぬほどの、ライダーにとっても最高のタイミング。 その様を、男が笑殺した。 「無駄だね」 バーサーカーの手が壁に触れる。 その直後に、まるでダメージが無かったかのように立ち上がり、包丁が振るわれる。 「なっ!」 一瞬の油断で、後方に退く彼女の足が切断される。 「言ったろ? 即死以外じゃ死なないってさ!」 心底愉快そうに、廊下で小躍りする。 土が廊下に落ちていくのが見えた。 「くぅ……」 ルヴィアが歯噛みする。 「その礼儀を守らぬ心根のどこが紳士か! 恥を知りなさい! モントゴメリー!」 勝つことも、相手の非礼を正すことも出来ぬ悔しさに、自らの無力さを嘆くように彼女は叫ぶ。 そんな彼女の叫びに応えるように 防:衛宮邸に吹雪が舞った 衛:彼女の耳に声が響いた 戦:屋根の上から遠坂が飛び出した
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/557.html
942 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/15(水) 04 09 24 interlude―― 同時刻・S市杜王町郊外 その戦いは、無言で始まった。 無言で投擲される短剣。 その最初の一撃で勝負は始まり、終わりに向かう。 「この戦法、アサシンか!?」 その声に応えることはない。 一の短剣で対象の運動性を、二の短剣で行動法則を測る。 繰り返される投擲で、切り刻み、疲弊させ、心臓を破壊する。 それだけのことが彼には可能であったし、そう訓練され、そう在れかしとされてきた、伝統的なアサシンの戦術。 並の人間ならば最初の一投で死ぬだけの投擲を三十。 既に三十を投擲している。 だが、目の前の存在は、致命傷を負うどころか息を乱すことすらなく、全ての短剣を叩き落とす。 「やれやれ」 笑みさえ浮かべて、『アサシン』を見据える。 その表情は平素となんら変わらない。 両手を荷物で塞がれ、さらには森の中を全力疾走しているというのに、呼吸に乱れは存在しない。 だが、それでもアサシンは見切った。 持久力はともかく、瞬間的な身体能力は己に分がある事。 短剣を叩き落とすことが可能でも、こちらを攻撃するだけのことが出来ぬ事を。 七本の同時投擲。 僅かな緩急と共に投擲されたそれは速度差によって機動を幻惑する。 さらに空中で短剣に短剣を命中させてさらに幻惑を施す。 短剣を凝視すればするほど幻惑され、その全てを回避することは矢避けの加護を持たぬ物には決して不可能。 短剣はまたも叩き落とされ、数本が後方の樹木へ突き刺さる。 だがそれは織り込まれた物。 続いて投擲された三本の短剣は、足下に突き刺さり、狙い通り地面を崩す。 アサシンの観察時間は終わった。 「ぬっ!」 崩れた先には川。 そこに片足でも踏み入れてしまえば、動きはどうしても鈍くなる。 故に、ここに勝負を決するべく、アサシンがその宝具を解放する―― 川の中心。 そこに、短剣を投げつけながらアサシンは着地する。 対象の初動が一瞬だけ鈍る。 短剣は叩き落とされるだろう、だが、対象の攻撃可能距離は精々数メートルと判明している。 そう、両者の距離は10メートル程もある。 対象の一撃がどれほどの威力であろうと、有効的に攻撃することは不可能。 妄想心音の展開から発動までの僅かな時間を潰すには十分――! 「待っていたぞアサシン……この瞬間を!」 その叫びと同時、アサシンは有り得ざる物を見た。 時刻は紛れもなく夜。 故にそれは宝具による物と見えた。 そう、有り得ざる物だ。 夜に、太陽の光を見るなんてことは―― 「パウッ!」 水面を叩く音が聞こえる。 それと同時、アサシンの腕が展開されると同時に、全ての動きが止められる。 ――シビレ!? 全身を襲う途方もない麻痺。 瞬間、気絶しなかっただけでも僥倖。 己の身体の改造に、この瞬間だけは感謝した。 だがアサシンは知らない。 チベット奥地に伝わる『仙道の技』を! その独特の呼吸によって生まれる『生命賛歌』のエネルギーを! 人体の細胞一つ一つから生み出される、『太陽の波紋』を! 「流し込む! 太陽の波紋!」 アサシンは驚愕する。 距離は、疾うに詰められている。 手に持っていた荷物――ワインとグラスは宙を舞っていた。 聞き慣れぬ、途方もない呼吸音と同期し、両の手が光る。 そう認識すると同時、人体の急所という急所に連撃が叩き込まれる。 『山吹色の波紋疾走 サンライトイエローオーバードライブ !』 同時に、アサシンの全身を痺れさせた一撃、その数倍の威力を持った連撃がアサシンの全身で炸裂した。 ――interlude out 949 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/16(木) 04 22 11 23 50・衛宮邸 「士郎、キャスター、セイバー達の援護に向かって」 念には念を入れる。 最強の戦力を敢えて補佐させる事。 それが彼女の決断。 「ああ、分かった、『キャスター』、急ごう」 彼女を名前で呼ぶことはしなかった。 今は戦時だからと納得させる。 ここから霧島家まで距離はそうない。 走れば並の人間の足でも数分あれば到着は可能だ。 「気をつけなさい、どうなっているか状況は不明だから」 振り返ることはなかったが、頷いたのが僅かに見えた。 「いいのか?」 ジェネラルが問う。 「ええ、キャスターの宝具は敵味方の区別がなく現実を浸食させる……ならば遊撃に出すのが最良の筈よ」 「難しい判断ですけど……でもその是非はまだ不明、ならそれが最良であるために、全力をここで尽くすのみ、ですわね」 ルヴィアが笑う。 「はい、頑張りましょう」 桜の笑顔は、緊張に満ちた場を和ませる。 「イリヤ、悪いけど貴方は家の中で結界のサポートに回って」 「分かっているわ、少なくとも今の私は足手まといだもの」 そう言ってイリヤは座布団に座る。 異世界の魔術、その構造の把握と補強に全力を尽くすと、知り合ったばかりの少女達を守ると、イリヤは言った。 庭に出る。 結界の有効範囲は家がギリギリ収まる程度に狭く、ただし可能な限り強力に。 ――なのは、フェイト、結界発動! 『レイジングハート!』 Yes,my master 『バルディッシュ!』 Yes,sir 二人の手に、杖、そして斧が出現する。 ぐん、と。 二人の少女の呼びかけと共に遠坂凛の全身から魔力が抜け落ちる。 手にした宝石からありったけ己の魔力の充足に用いる。 「なんて消費量……宝石一つ使っちゃったじゃない……」 彼女が倫敦で備蓄した多数の宝石の一つ、そこに込められた魔力の殆どが吹き飛ぶ。 「なるほど、『天狗の鼻も折れる』……実感しますわね」 ルヴィアが言う。 出来上がった結界は、途方もなく強力な代物だった。 恐らく、彼女達がこの結界の敵対者ならば解除に不眠不休で丸2日はかかるだろう。 勿論、妨害は受けずという条件付きでの話だ。 「話はそこまで、敵数、500以上、一部が展開、包囲体勢に入ったようだ、『斥候、帰還せよ』」 「待って、士郎達は?」 「……大丈夫のようだ、直ぐに到着する」 言葉はそこまで、彼女たちは、その意識の全てを敵対する者へと向けた。 23 53・霧島家 セイバーとバゼットは左右に分かれ、注意を逸らしつつ接近する。 「おいおい、怖い事するなよ、俺達は敵同士じゃあないぜ?」 「主を支配するなどという行為、見逃せるとでも思っているのですか?」 バゼットが言う。 ルーンは既に起動させている。 切っ掛けさえあれば、すぐにでも飛び出す。 だが、その切っ掛けが掴めない。 隙だらけに見えて、その実飛び込める隙は殆ど無い。 そしてその僅かな隙の位置は、少女が立っている。 ――卑怯な 奥歯を噛みしめる。 その想いは、セイバーも同じだった。 「やれやれ、殺気立っちゃって怖いなあ……ホントに仕方ないよねえ、霧島君」 口元を笑顔で染めながら少女を呼ぶ。 少女が、ポケットから数個の宝石を取り出し、転がす。 それを好機と見て、二人が同時に飛び出し。 次の瞬間、空間が歪んだ。 「な……これは……!」 慣性を押し殺すように動きを止める。 「知らないかもしれないが、SC空間 Schrödinger Cat Field 、そう呼ばれる物さ」 転がり落ちた宝石から、白い存在が立ち上がる。 「そしてこいつがディゾナント Dissonant 、中々イケてるだろう?」 意志なきディゾナントが牙を剥く。 それと同時。 「バゼット! 先生! 無事か?」 空間の歪みへ、二人は突入した。 レオリック:「じゃ、生きていたらまた会おう」空間が歪み、二人が消えた ラックダナン:「やあ、久しぶり」男が振り返り、抜刀した