約 108,564 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/52382.html
登録日:2022/10/21 Fri 16 05 49 更新日:2024/07/14 Sun 19 58 00 所要時間:約 10 分で読めます ▽タグ一覧 Aオリジナル怪獣 みんなのトラウマ アリブンタ ウルトラファイトビクトリー ウルトラマンA ウルトラマンR/B ウルトラマンエース ウルトラマンオーブ ウルトラマンタイガ ウルトラマンデッカー ウルトラ怪獣 ギロン人 ゾフィー トラウマ ニュージェネ常連 ベリュドラ ヤプール 何故かなかなか立たなかった項目 吸血 地下鉄 地底人 地底怪獣 大人の事情 大蟻超獣 怪獣 昆虫怪獣 正面衝突 白骨化 蟻 蟻地獄 蟻酸 超獣 大蟻超獣 アリブンタは『ウルトラマンA』で初登場した超獣。 シリーズでの活躍のほか、初登場した際に共演した地底エージェント ギロン人についても紹介する。 大蟻超獣 アリブンタ 身長:57m 体重:6万2000t 出身地:東京の地底 肉食のアリと宇宙怪獣を合成して作られた超獣。 口から放つ地下鉄もあっさり溶かす威力を誇る霧状の蟻酸と、両手の鋏のような爪から放つ火炎放射が武器。 また鋏は新幹線を真っ二つにする威力があり、最大瞬間風速30メートルの突風を起こすことが可能な翼を備えている。 O型の女性の血が好物で、東京にいたO型の女性を「四次元蟻地獄」と呼ばれる落とし穴のような空間を通じて巣に落とし餌としていた。餌の嗜好として血液型はまだしも、それが何故女性限定なのかは不明。 タフネスも中々のもので、ダックビルのロケット弾に全く怯まず反撃を仕掛けたり、エースのメタリウム光線も耐え抜いたほど。 地底エージェント ギロン人 身長:3~46m 体重:600kg~2万6000t 出身地:地底 声:沢りつお アリブンタを操る地底人で、東京を壊滅させ、その地下に要塞を作ろうと企んでいた。 手の先からギロン光線を放って攻撃するほか、杭のようなものを放ち仕掛けた罠をより強力にする。 ヤプールの手下とされているが、劇中では明言されていない。 『ウルトラマンA』での活躍 第5話「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」で登場。 よみうりランドでコーヒーカップを楽しむも、突如として蟻地獄に吸い込まれてしまった女性。 TACが捜査に乗り出すものの、コーヒーカップには何の仕掛けもなく異常は見られない。 人々が蟻地獄だった、引き摺り込まれた、と言うものの、「居合わせた者全員が同じ夢を見るのはおかしい」と主張する吉村を除くTACの面々は信じない。 逆本当なんです!信じてください!状態。 だが次はカップルが車で別れたところで車から降りた女性が蟻地獄に吸い込まれてしまい、次の日にTACが捜査をしていたものの、女性は見つからないままだった。 なお、山中は遊園地と同じ気がする、と言ったが竜はこれ以上掘っても無駄、と言っている。 TAC基地では北斗がヤプールの仕業に違いない、と言い、夕子も北斗に同調する。 だが竜からは合同捜索会議の結果では若い娘の失踪事件として警察が対応することになった上に、ホログラフィーで東京を砂漠に見せることが可能で、遊園地で蟻地獄を作ったとしても不思議ではない、とも返されてしまう。 また、誘拐された女性は2人とも血液型がO型だった。 なおも食い下がる北斗だが、竜から「もしも異次元人の仕業で、何故若い娘を拐う必要がある?その目的はなんだ?」と質問されると、言葉に詰まってしまう。 ホログラフィー説を覆す確証がなければTACが動く必要はない、と返され渋々納得するのであった。 休暇を謳歌する北斗と夕子。 買い物を楽しむ夕子に振り回されていた最中、突如夕子が蟻地獄に吸い込まれてしまい、北斗の活躍で難を逃れたものの、別の女性が吸い込まれてしまう。 北斗たちは地下鉄へ向かうも、何の異常も見られなかった。 また、地下鉄へ向かう中で北斗は夕子に血液型を質問するとO型と答えている。 再びTAC基地。 北斗は地下鉄で目撃した大きな蟻を竜に見せ、不審に思う竜に梶はO型の餌にしている、と語る。 また、今野が蟻の好物は砂糖で何故若い娘を好きになる、と質問すると梶は「蟻の中でも下等なハリアリは昆虫を襲って食べる純肉食性だ。人間を襲うことも十分に考えられるな。」と返す。 北斗は調査に乗り出すよう進言。 ホログラフィー説を覆すほどには至っていないが、吉村はヤプールが空間移動装置を使っていたら、自分達が見ていたのは四次元世界だったのか、と言う。 そんな中、地下鉄。 地下鉄が超獣に襲われ、乗っていた乗客は逃げ出そうとするも、蟻酸で溶かされてしまう。 この襲われた人の骨が写るシーンがトラウマになった視聴者も多い。(*1) この事態を受けてTACは出撃、蟻酸が関係していることが明らかに。 このままでは東京中が蟻の巣となってしまう。 TACはダックビルを使って地底へ向かうことを決意、竜と今野と美川が出撃することに。 地上での指揮は山中が取り、地底での作戦は、地底でロケット弾を打ち込んで超獣が苦しみ、地上へ姿を現したところを一気に叩くというものである。 地底へ向かったダックビル。 超獣と出くわし、ロケット弾で攻撃するも耐えられてしまい、酸素タンクとオイルタンクがやられてしまう。 2つのタンクに限らず、発射口も破壊されてしまい、3人は脱出を余儀なくされる。 竜は地上へ機関部が損傷したことを連絡、山中に心配され、心配はいらないというも、酸素もなく、このままでは3人の命が危ない。 北斗は竜に地上へ戻れるんですかと言うと、竜は「君の言った通りだった。超獣の後ろには異次元人の野望が秘められている。どんなことをしても叩き潰すんだ。」と返す。 地底80m。この暗黒の中で3人が待つものは、死だけであった。 ダックビルを早く助けたいと思う北斗は夕子に協力を要請する。 夕子にウルトラマンエースは地底へ潜る技術を知らない、どうやって潜るの、と訊かれた北斗は、地底へのルートは蟻地獄だ、と返す。夕子が蟻地獄に落ちたら自分もそこへ飛び込むと。 一度は飲み込まれそうになっただけでなく、同時に女性が犠牲となった姿を見ていたために悩む夕子だが囮を引き受けることを決意。 そして目論見通りに蟻地獄が発生。夕子は吸い込まれてしまうものの、同時に北斗もそこへ突入し、エースに変身する。 エースはアリブンタと激突、メタリウム光線を放って攻撃するも逃げられてしまい、そこへ何者かの声が響く。 仕掛けた罠にまんまと嵌ったな、ウルトラマンエース! あの超獣を操ってるのは、貴様だな! そうだ。アリブンタはO型の血液が好物でな、おかげで逞しい超獣に成長してくれた。東京は餌が多い。絶好の飼育場だ! アリブンタを操っていた一連の事件の黒幕であるギロン人が出現、エースは向かっていくも、罠で動けなくなってしまう。 また、この隙にアリブンタは地上へ出現し、TACと交戦している。 東京を壊滅させ、我々は地底に要塞を築く。人間どもには手出しできまい。脱出は不可能だ、ウルトラマンエース!そこで死ね! 無駄だ…このままでは…TACも東京も全滅してしまう…何とかしなければ…! 最悪のピンチ!S.O.S!危機を知らせるウルトラの文字は、遥か宇宙空間を貫き、遠くウルトラの兄弟に向かって飛んでいく! 窮地に陥ったエースはウルトラサインで救援を求める。 放たれたサインを受けてウルトラ兄弟の長男、ゾフィーがセブンの没主題歌(*2)をバックに駆けつけ、ギロン人の罠を破壊、装備していたウルトラコンバーターでエースのエネルギーを回復させて先に地上へ向かわせた。 ダックビル号は私が助ける。お前はこれを使って、早く地上へ行け! その後は地上へ戻れたエースと再び激突。 地上での戦いは互角だった中、ギロン人が入ったことで1VS2の数の暴力で袋叩きにして優勢に立ったものの、ダックビルを救出したゾフィーが駆けつけたことによりエースは体勢を立て直し、2VS2の大乱戦となる。(*3) 古舘伊知郎「さあ今度は…ギロン人と…ギロン人とエースかゾフィーが、何が何だか分からなくなりました!」 その後も大乱戦は続いたが、最後はギロン人と正面衝突させられて2体纏めて絶命した。 古舘伊知郎「ヘッドロックで同士討ち!」 ありがとう。ゾフィー兄さん。 さようなら。ウルトラマンエース。 エースはゾフィーにウルトラコンバーターを返却。 ギロン人の計画を見事阻止し、2人の戦士は去っていった。 ゾフィーに救出されたダックビルの竜たちも、蟻地獄に巻き込まれる危険な戦いを経た北斗と南も無事であり、事件は解決したのであった。 『ウルトラファイトビクトリー』での活躍 『A』の映像を再利用した『新世紀ウルトラマン伝説』やベリュドラの構成パーツなどを除けば『A』本編以来43年ぶりの登場を果たす。 『劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!』を経てUPGの一員となり休暇を取っていたショウとサクヤを蟻地獄で襲って現れる。 ショウはビクトリーに変身、ウルトランスで猛攻を仕掛けるも、決まり手にはならず、サクヤに向けて放たれた火炎放射を庇って喰らい、カラータイマーが赤になって窮地に陥る。 だが窮地に陥ったビクトリーの前にウルトラマンヒカリが駆けつけアリブンタを攻撃。 ビクトリーはヒカリから力を託されてナイトティンバーを召喚、ビクトリーナイトへ変身。 これで形勢は一気に逆転し、最後はナイトビクトリウムフラッシュで撃破したのであった。 なお、戦闘中のウルトランスのデータは巨大ヤプールが収集していてエースキラーを超えた存在、ビクトリーキラーを誕生させる。 『ウルトラマンオーブ』での活躍 第6話「入らずの森」に登場。 現代のダーク・ゾーンと称される入らずの森でナックル星人ナグスと黒服の男に襲われるSSPとシブカワの前にクレナイ ガイが駆けつけて圧倒したところでジャグラス ジャグラーが召喚。 ジェッタが「怪獣だ!」と言ったところでジャグラーが「怪獣じゃない。超獣アリブンタだ。」と言い返すお約束はここから。 すたこら退散するナグスたちを尻目にガイはオーブ スペシウムゼペリオンに変身。 激しい格闘戦を繰り広げるも、蟻酸や火炎放射に苦戦を強いられたために今度はバーンマイトに変身、 これが爆風消火ってやつさ! と言ってストビュームカウンターで炎を消し飛ばしつつ攻撃し一気に優勢に立つ。 最後はハリケーンスラッシュに変身、オーブスラッガーランス(*4) の攻撃に圧倒されて地中へ逃げ出そうとするも、阻止された上に おい!この下には、大事な古墳が埋まってるんだ!壊すんじゃねぇ! とガイの怒りを買って空中に投げ出されてしまい、最後はトライデントスラッシュで撃破されたのだった。 何気にオーブの初期3形態を相手取った初の怪獣…ではなく超獣。 この後ジャグラーはメフィラス星人 ドン・ノストラに貴重な超獣カードを使わせたことを謝罪される。 だがジャグラーが去った後にノストラは最後に笑うのは切り札を持つものだ、と不敵に笑い、この切り札の存在が後に敵味方問わず様々な大混乱を招くことになるのだった…… 玩具としてのフュージョンカードはプレミアムバンダイ限定(*5)。 『ウルトラマンR/B』での活躍 第8話「世界中がオレを待っている」に登場。 友人と楽しい時を過ごすアサヒ。 そんな中、突如として市街地の地下から出現。 怪獣を前に騒ぐイサミを前に、ダーリン経由でこの状況を監視していた愛染は「怪獣じゃな〜い。アリブンタは超獣だ。」と発言している。 カツミはロッソウインドに、イサミはブルフレイムに変身。 ルーブスラッガーロッソ・ブルも交えた2VS1の戦いでもブルが戦闘そっちのけでアサヒ達に手を振ったりピースを取っていたためにロッソは苦戦を強いられる。 な~にがウルトラマンさんカッコいいだ!4カメ、もっとアップにしろ~! これまでの作品でも見せてきたタフネスでウルトラマンには不慣れな兄弟を苦しめたものの、最後はロッソサイクロンとパイロアタックを組み合わせたファイヤートルネードで撃破されたのであった。 なんだよこいつら~!戦いが終わったらいつまでもその辺にいるな~!減点10!それでもお前らウルトラマンか! この様子に苛立った愛染は拉致した人間たちからパワーを無理矢理抽出、錆び付いていた「剣」のクリスタルから錆を取り除いて使用可能の状態にし、自身の憧れを模した漆黒の巨人となり湊兄弟の前に立ち塞がるのであった……。 なお、ルーブクリスタルはDXルーブジャイロに音声がないどころか、発売すらされなかった。 『ウルトラマンタイガ』での活躍 第20話「砂のお城」に登場。 ヴィラン・ギルドの一員で瀬戸宗林を名乗っていたゼットン星人ゾリンが雇ったバド星人 エル・レイが引き連れていて呼び出す個体。 地中からエネクロン社の関連施設を蟻酸で次々に破壊していた。 ホマレとミスティ(*6)がエル・レイ及びその部下と戦う中で駆けつけたヒロユキはタイタスに変身、タイタスプラネットハンマーで攻撃するも、蟻酸で目をやられてしまい地中からの攻撃や火炎放射に苦戦を強いられる。 感じろ…。感じるんだ。私のウルトラマッスル! だが地中を移動する際には音を出すことに気づいて反撃、タイガにバトンタッチする。 タイガは前回の戦いで得たゴロサンダーリングで攻撃し、更にトライストリウムに変身してタイガトライブレードの斬撃で背中の角を破壊して一気に優勢に立ち、最後はトライストリウムバーストで撃破した。 また、エル・レイが逮捕された後にゾリンも逮捕されている。 『ウルトラマンデッカー』での活躍 第18話「異次元からのいざない」に登場。 デッカーへの復讐に燃えるバズド星人アガムスと手を組んだヤプールが送り出す。 火炎放射と蟻酸攻撃でGUTSグリフォンを翻弄し、新生GUTS-SELECTの地上攻撃チームにも牙を剥けるが、リュウモンとイチカを救うためカナタはデッカーに変身。アリブンタを迎え撃つ。 しかし、怪獣を超える超獣だけのことはあり、両の爪でデッカーを切り刻み、デッカー光弾も火炎放射でかき消して蟻地獄へと引きずり込んでいく。 ストロングタイプで蟻地獄から抜け出したデッカーだが、蟻酸攻撃が直撃。さらにテラフェイザー(フェーズ2)が乱入し、1対2の戦いに持ち込まれてしまう。 アリブンタに羽交い締めにされ、八つ当たり気味なクローアームを何度も受けるが、ミラクルタイプにチェンジしデッカーテレポートで窮地を脱する。 そして、デッカーマジックで二人に分身。スピーディーな攻撃と斬撃でアリブンタ&テラフェイザーに反撃し、ヘッドロックからの正面衝突でアリブンタはリタイアとなった。 余談 名前の由来は、1954年のアメリカ映画「黒い絨毯」に登場する架空の集団人食いアリ「マラブンタ」。 TACの地底戦車ダックビルであるが、本来の意味は「カモノハシ」のこと。タックファルコンやタックパンサー、「TACのうた」の歌詞にだけ登場するドルフィン2号等と同様に動物の名前を冠した兵器である。他のメンツがだいたい合ってる中でなんで地底戦車がカモノハシなのか気になるが、一応穴を掘って巣を作る生態を持つ。 『A』第5話でダックビルがアリブンタに襲われた時、夕子は「ウルトラマンエースは地底に潜る手段がない」旨の発言をしているが、後に第28話のルナチクス戦では「エースドリル」という高速回転して地面に潜る技を披露している。アリブンタ戦を教訓に密かに特訓したのだろうか? ウルトラコンバーターの登場は、長らくギロン人に囚われたエースを救う1回だけだったが、現在ではゾフィーを象徴するアイテムとなっており、『ウルトラマンサーガ』の前日談にあたる『ウルトラマンサーガ ゼロ&ウルトラ兄弟 飛び出す!ハイパーバトル!!』でもゾフィーが使用して怪獣兵器バードンに苦戦するウルトラマンゼロのエネルギーを回復させていて、『A』第5話が放送された『ウルトラマン列伝』第43話でもゼロがEDでこの件に触れている。フィギュアではULTRA-ACTのゾフィーに付属した他、食玩のHD創絶ではエースが装着したものがある。 上述のように『ウルトラファイトビクトリー』で着ぐるみが新造されて以降の出番が多いが、これは『ウルトラマンメビウス』の時期に作られたベロクロン・バキシム・ドラゴリー・ルナチクスの着ぐるみが撮影用には使えなくなったことが起因している。バキシムとドラゴリーはイベント用に回され、ベロクロンに至っては『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』以降、長らく消息不明だったが、展示用でようやく生存が確認されている。ルナチクスはモットクレロンに改造されて『オーブ』に登場予定だったが途中で企画が中止となったためそのまま廃棄となった。このように撮影に使える超獣の着ぐるみが減少傾向の中、『ウルトラマンZ』ではバラバの着ぐるみが新造されて再登場を果たし、『ウルトラマンレグロス』にも登場した。ちなみに親玉の巨大ヤプールも着ぐるみがショー等で使用されていたために『ウルトラマンメビウス外伝 ゴーストリバース』ではメビウスキラーに憑依しての登場というややこしい経緯持ちだったりする。 最悪のピンチ!S.O.S!危機を知らせるWiki篭りの叫びは、遥かサーバーを貫き、遠くWiki篭りの同士へ向かって飛んでいく! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] どうにも活躍より菅原文太みたいな名前ばかりが印象に残る。由来はなんなんだろう……? -- 名無しさん (2022-10-21 16 42 07) ↑肉食蟻のパニック映画『黒い絨毯』に出てくる蟻の名前「マラブンタ」 から、らしいよ。 -- 名無しさん (2022-10-21 17 22 23) ファイトビクトリーのアリブンタがデータ採取の役割をしていたみたいだけどアリブンタの体内にガディバ寄生させていただろヤプール・・・ -- 名無しさん (2022-10-21 19 43 31) ウルトラマンの映画で古舘が実況してたの覚えてるわ 確か、あとレッドキングとギガスとドラコの時もやってたよね -- 名無しさん (2022-10-21 20 46 40) きっと今回地中に潜れなくて苦労したから、新しくエースドリルを生み出したんだよ。 -- 名無しさん (2022-10-21 21 09 47) ノーバやガンQといった初登場時の立ち位置は割とガチで怖かったはずの奴らが(別個体・事故で一時的に本来無関係の人間が変身させられていたなどの事情もあるとはいえ)妙に愛嬌ある仕草で振る舞うコミカルなシーンが描かれたりするウルトラ怪獣の懐の広さよ…… -- 名無しさん (2022-10-21 21 38 27) まぁ初期ヤプール産超獣にしてはギロン人配下のせいか生物味があるしな。やらかした事はガチのトラウマもんだけど。 -- 名無しさん (2022-10-21 21 59 06) メビウスの時期に作られた超獣たちの着ぐるみはもう新造や改造で用意できないのか? -- 名無しさん (2022-10-21 22 49 25) ↑特撮のスーツって基本ナマモノだからねぇ……改造しようにも元が劣化してちゃしょうがないし、今の円谷の体力だと新造も厳しいし、。それと昔はともかく今ヤプール抜きで超獣出したらネットで散々突っこまれるリスクもあるから迂闊に出せない、みたいな演出上の理由もありそう -- 名無しさん (2022-10-21 23 05 41) 超エリートである防衛チームの隊員が電話一本の通報で出動するのどうなの?と考えたことはあるが、TACみたいにもったいつけられるとさっさと行けと思うので、すぐに出るのが正解なんだな… -- 名無しさん (2022-10-22 01 08 57) マイナー気味だったけど、ニュージェネのおかげでベロクロン・バキシムに並ぶ超獣代表格になれた感じ。Zでついにバラバへ選手交代しちゃったが…。 -- 名無しさん (2022-10-22 08 51 00) 小さい頃にUSAと併映されたA第5話で、スクリーンに大映しにされた白骨で大泣きした記憶 -- 名無しさん (2022-10-22 12 14 43) 着ぐるみの都合もあって最近だと超獣の代表みたいな扱いになってるね -- 名無しさん (2022-10-22 18 38 35) 「異次元人が何故若い娘を狙うのか?」なんて人間には答えようがないけど、「地球人がホログラフィを使って蟻地獄を見せてまで若い娘をさらう理由」の説明をして欲しいわw ヤプールを隠れ蓑に「怪奇大作戦」的な犯罪が頻発してるんだろうか? -- 名無しさん (2022-10-24 15 12 25) エース本編での初登場回、youtubeの配信で観たわ。隊長が「こうなったのは私の責任だ」と珍しく尤もな責任発言をしているのに感心した。 -- 名無しさん (2022-10-25 10 51 58) デッカーにてまたもや登場。そしてパゴス同様地下に潜らせる気満々。バラバが出てきたとはいえまだまだ出番多いな〜、でもスーツ大丈夫かな? -- 名無しさん (2022-11-13 14 48 37) 漫画家に蜂文太という名前の人がいるけどアリブンタが由来かは不明。一応蟻文太と誤植されていたこともあるらしいけど -- 名無しさん (2022-11-13 15 08 20) 『A』本編での初登場回、本格的に街に出現して暴れ出したシーンで色んな意味で珍しく竜隊長が「こうなった責任の一端は私にある」と言って、一念発起してたな。 -- 名無しさん (2022-11-29 11 11 59) デッカーの個体の圧倒的強さ…!これからもヤプールのしつこさと超獣の手強さは受け継いでいってほしい -- 名無しさん (2022-11-29 11 50 14) Wikipediaから丸写しの箇所を削除しました。 -- 名無しさん (2023-01-21 17 28 51) 着ぐるみの都合で出番が増えるてスラン星人と似てるなw -- 名無しさん (2023-07-31 20 57 48) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/imassousaku/pages/241.html
見上げていると呼吸が詰まりそうな鈍く重苦しい空模様から、針のように細く鋭い雨が容赦なく地上に降り注いでくる。 あまりの勢いに、窓にガムテープ張りされた社名もペラリと剥がれそうだった。 ソファへと座った天海春香は、ともすれば猫背になりそうな背筋をピンと伸ばしながら、一台の携帯を親の仇の如く睨みつけ――― ―――ぱか。パタン。ぱか。ぱたん。 液晶に映った人名に目を通し、その度にため息混じりに再び閉じる。 ため息の数だけ幸せが逃げるぞー、などと、オーディションの失敗をちょっとおどけながら励ましてくれた プロデューサーの言葉が鮮やかに蘇る。 あの時は容赦なく『おじさん臭いですよー』なんて茶化していられたが、実際ため息を繰り返すその都度に、風船から抜ける空気みたいに エネルギーがどこかへ逃げていくような心地がした。 ・・・・・・ため息を止める方法なんてわかっている。問題の原因も自分にある。 「―――だーっ!鬱陶しいからやめなさいっつの!」 怒髪天、という言葉が似つかわしかった。紅茶色の髪の先端が蛇みたいにうねりを見せているような錯覚を覚える程の凄まじい怒気。 水瀬伊織が令嬢らしからぬ大股で歩み寄り、柳眉をつり上がらせてにじり寄ってきていた。 「そういうのは一人の時にやりなさいよ!ただでさえこのクソ重い雨で気分晴れないのに、何なのよさっきから!」 「・・・・・・あ、ごめん伊織。いたんだ」 偽らざる本音をポロッとこぼしてしまった時―――あ、マズイ。と、頭のどこかが警鐘を鳴らした。 「・・・・・・へえぇぇぇ。彼氏からのメール返信待ちみたいな散っ々人を苛つかせるようなパフォーマンスしてるような脳内花畑の乙女には、私のことなんて ハナから眼中になかった訳ね」 「か、彼氏!?伊織ったら何言ってるのやだなぁ、プロデューサーさんはまだそんなんじゃ」 「誰がいつアイツの話を持ち出したのよそれに『まだ』って何!?・・・・・・って違う。 ・・・・・・あんた、これ以上ふざけるようなら」 「―――い、伊織ちゃん!?どーどー!」 給湯室でいそいそとお茶を入れていた音無小鳥が、煮えたぎったマグマにも似たオーラを纏い春香へと迫らんとしていた伊織を 後ろから羽交い締めにして取り押さえる。 「止めないでよ小鳥!この色ボケは多少キツめでも一撃喰らわせてやらないと延々このままになるわよ!」 このまま行けば伊織ちゃんパンチの一発でもお見舞いされるのは確定的に明らかな勢いだった。小鳥に牽制されながらも着実に こちらに迫りつつある伊織に対し春香は苦し紛れに、 「だだだだからゴメンてば伊織!・・・・・・あーそうだ!今度のオフにやよいと一緒に雑貨屋さん巡りに行く約束してたんだけど、空いてたら一緒にどう!?」 起死回生、という心地で繰り出した切り札は、思いの外効果覿面だったらしい。ピタリ、と面白い位に暴れ出す手前だったそのモーションはストップした。 神様のの様よりもやよい様である。こと伊織に関しては。 「・・・・・・フ、フン。まあいいわ。・・・・・・私抜きで勝手に約束なんてしてたのはちょっといただけないけどね」 このところ事務所で顔を合わせる時間帯が重なっていなかったかもな、と今更ながらに思い出す。 根は寂しがり屋な伊織だ。何だったら一昔前の漫画みたく、当日になったら体調不良の一つでも装って二人きりにしてあげた方がいいかな、などとにべもないことを考える。 「まあそれはさておいて。・・・・・・アイツもそろそろ営業から帰って来るだろうし、メールが遅い位長い目で見てやりなさいよ?」 「へ?・・・・・・ああ」 ついつい苦笑いしてしまう。成る程、事務所メンバーの中で一番『彼』とのメールのやりとりが頻繁なのは自分だ。パカパカ携帯を開いていたら、 自然と『そっち』を連想するのは致し方ないのだろうけど。 「・・・・・・あのね・・・・・・」 『で、俺にどうしろと?』 前方のフロントガラス及び、ハンドルに注意を払ったまま左手が高速とも呼べる動きで液晶に文字を踊らせる。返信。 やれやれと携帯を再び懐に仕舞おうとした矢先に再びブブブ・・・と鈍い震動がした。 『あんた今千早と営業中でしょ?ならそれとなく探りの一つでも入れられない?』 あの十数秒の間でよくもこれだけの文字を打ち込めたものだ。呆れながら感心しつつも、後部座席で座り込んでいる 如月千早の気難しげな顔をバックミラーで確認した。 『伊織が友達想いなのはよくわかったが、俺があれこれクチバシ挟まなくても解決するだろ。だって春香と千早だぞ?』 送信。するとまた殆ど間を置かないハイスピードのレスポンス。 『今の春香見てないからそんな台詞言えんのよ!「今度こそ嫌われたかなー」とか「このままだったらどうしよー」とか。 一旦口にしだしたらもうウザいの何のって。頭の横にリボンじゃなくて キノコが生えててもおかしくなさそうだったわ!』 間断なく左右に動いているワイパーはともすればその内すっぽ抜けるのではという危惧すら 抱かせるせわしなさで、何処となく携帯の向こうの伊織の様子を連想させる。 元々は深窓の令嬢だったとはいえ、多少業界の波に揉まれて辛抱強さもついてきた(筈)の 彼女をしてここまで言わしめるのだから、恐らく相当な落ち込み様らしかった。 「・・・プロデューサー、さっきからどうしたんですか?頻繁にメールを打ってらっしゃるようですけれど」 「ああ、すまん。うるさかったか?」 「いえ、この雨に比べたら些細なものですけど」 うるさいことは取り立てて否定しないのが千早らしい。 「渋滞してるといっても、あまり気を取られすぎないで下さいね。運転中なんですから・・・」 シートベルトをしっかり装着しつつも、体をだらしなく背もたれに預けることなく、 ピンと背筋を正している凛とした佇まい。 別段いつもと変わらない。春香がそこまで沈んでいるなら、千早の方ももっとテンションに変化が現れている筈なのだが、と確信に近い形で思っている。 『で、その様子じゃ原因は春香の方にあるっぽいみたいな感じだけど、詳しい話は聞いたのか?』 『知らないわよ。それ以上のことツッコもうとするとますます勝手に沈んでうざったくなるんだもの、追求は諦めたわ』 ・・・・・・何か、自分と喧嘩した時とかはそこまで沈まなかったような気がするんだがその事実に微妙な感傷を抱いてしまうのは筋違いだろうか。 しかし、春香本人が「自分に原因がある」と思っているなら問題はない気がする。前は双方譲らない緊迫した膠着状態の末、周りが仲裁に入らねばならなかったということもあったが、 彼女の方から折れれば話は丸く収まるだろう。心底から謝ればそれに応えないほど千早は意固地ではない―――と思う。 (・・・・・・春香の方に軽く発破でもかけてやるか) 嘆息と共に、アドレス帳の一番上にある当の本人宛てに激励メールでも送ろうとした時――― ―――だんっ、だんっ! 「おーい、千早、プロデューサーッ!」 「っんなっ!?」 サイドガラスを勢いよく叩き、響いてくる威勢のいい声には覚えがあった。 ニカッ、とこぼれるような笑顔をたたえ、雨粒に塗れた窓の向こうで一人の少女が声高に存在を主張していた。 「が、我那覇さん?」 面食らいながらも慌てて窓を開ける千早に対し、この雨模様にも関わらず太陽を背負っていそうな程エネルギッシュなその少女―――961プロ擁する プロジェクトフェアリーの一員、我那覇響がアクアマリンの傘を片手に立っていた。歩道からガードレールへと乗り出して。 「もー、さっきから呼びかけてるのに全然気づいてくれなくて、自分寂しかったぞ?」 「あ、そうだったのかスマ―――って違う!なに考えてんだ、ここ車道だぞ!?」 「ハム蔵を捜してここまで来たんだけど、ここら辺で見てないか?」 「い、いえ。・・・というか、見かける方が大変な気がするんだけど」 何せ掌ほどのサイズしかないハムスターだ。万が一にでも車道に出ていたらただじゃ済まないという危惧もあるが、あれで響のペットらは賢いのでこんな危険な 場所へ飛び出すような愚は犯さない気がする。 「・・・・・・えと、悪い。すまんが今回は捜すのつき合ってやれる時間がないんだが」 「べ、別に手伝ってもらおうとしてた訳じゃないぞー!それじゃ自分、いつもペット達捜す為じゃなきゃ声かけちゃいけないみたいじゃないか!」 「いや、そういう理由じゃなくてだな・・・」 チラチラと窓の外を窺ってみる。しかし、懸念していた『影』は一応気配を見せることはない。思わず胸を撫で下ろした時――― 「うぉいこら!そこの凡骨プロデューサーめ、また私のフェアリーちゃんにちょっかいかけよってからに!」 ―――巻き舌気味に因縁をふっかけてくる罵声に、がっくりうなだれフロントガラスに頭をぶつけた。彼女とかち合った時というのは、大 抵『アレ』もおまけというか金魚のフンよろしくついてくるのだから頭が痛い。 後部座席の千早も、あからさまに『面倒くさいのが来た』と言わんばかりの諦めの境地に至った表情で、ズカズカと車へ 近づいてくる人物に軽く会釈する。 「く、黒井社長。奇遇ですね・・・」 「そこから離れなさい響ちゃん!早く避難しないと、この陰湿な凡骨プロデューサーは響ちゃんが素直なのをいいことに挨拶代わりの πタッチでも仕掛けかねない!」 恐ろしく人聞きの悪い台詞と共にツカツカと歩み寄ってくるのは、件の961プロ社長にしてテラコヤ・・・とにかく黒井崇男だった。 「あ、やっほー社長!いぬ美の方は見つかったのか?」 「ああ、マンションの方の管理人さんに頼んで部屋に送ってもらってって違う!いい加減765のアホ共と馴れ合うなと何度言えば・・・…!」 「あ、そうそう千早!この前借りたCDありがとなー!新しい振り付けの参考に出来そうだぞ!」 「そ、そう?私はダンスについてはまだ真や我那覇さんには及ばないから不安だったけど・・・参考になったなら何よりだわ」 ―――頭をかきむしる黒社長を脇に追いやって、和やかに会話を続ける(名目上は)ライバル同士のアイドル二人。 雄叫びを上げながら765(こちら)側への罵詈雑言を繰り出している社長に、忠告ついでに声をかけてやる。 「えーと黒井社長。そこまで大声張り上げると近所迷惑ですよ?ここ、一応公道ですから」 「・・・…はっ。き、貴様に言われる筋合いではないわ!」 ようやくマトモに相手をしてもらえそうな人に声をかけてもらえた嬉しさ故なのだろうか。怒っているような口調ながらも、 ちょっとだけ語尾が跳ね上がっている気がした。 (・・・・・・うん。この人はライバル事務所の社長、ライバル事務所の・・・・・・) 自分の胸に言い聞かせておく。この愉快なやり取りの中では忘れそうになるが、彼はプロジェクトフェアリーのみならず、 つい最近『ジュピター』なる男性アイドルユニットをも発表した歴としたやり手だ。やり手・・・・・・の筈。 もうアイドル達当人にとっては、オーディションの場所以外では宿敵同士だなどという設定は忘れ去られているに等しいようだが。 「あのー、ところで傘もさしてないみたいですけど大丈夫なんですか?風邪引きますよ」 「はっ!それこそ杞憂というもの。水も滴る何とやらというだろう、高木のような半隠居状態の老骨とは違うのだ、 この程度で風邪を引いたりは―――」 「あれ、社長ー?さっき『はっ!いかん降りが酷くなってきたぞこれを使いなさい響ちゃん!昨今の風邪は侮れん!』って この傘渡してくれたの社長じゃ―――むぐっ」 「いいから帰るぞ響ちゃん!こんな男にいつまでもつき合ってたら、その内何処ぞの崖下へプチ遭難させられ動物番組の 司会を下ろされるという画策に陥れられかねん!」 ・・・・・・何だろう、和む気持ちと『あんたが言うな』という気持ちとがせめぎ合っているような気がする。 黒井社長に強引に手を引かれてながらも、挨拶代わりに傘をブンブン振り回していた響が、そこで不意に何かを思い出したかのように、 「あ、そーだ千早ー!そろそろ春香のこと許してやれよー!?どんな頭にされたかは知らないけどさー、随分へこんでたぞー!」 思いがけない一言に、「え」と間抜けな呟きが唇からこぼれた。同時に、反射的に後ろの千早に視線を向けると、自分と似たような感じでその鋭い印象の瞳を見開いている。 ・・・・・・とりあえず、あの発言を耳にして尚知らんぷりを決め込むのも不自然だ。一応何も知らないことにして、千早に確認を取ってみる。 「・・・・・・春香と何かあったのか?」 ここで『喧嘩の原因はそれか?』などと尋ねる失敗は犯さない。そもそも伊織の言う『仲違い』の前後の事情がわからないという点では、状況を把握しておく必要があるだろう。 「・・・・・・春香、ひょっとしてまだ気にしてたのかしら?」 おや、と軽く目を瞬かせる。伊織の言ったように怒っているというなら、多少眉をしかめるものかと思っていたが、むしろ千早の反応は思いも寄らないことを聞いた、 と言わんばかりにキョトンとしたものだった。 多少新鮮なその反応に幼さを見出しつつも、とりあえず躊躇いがちに続きを促してみる。 すると彼女は言い渋ることもなく、思い当たるという『心当たり』について語ってくれた。 「その・・・・・・三日前に少しうたた寝している間に少し、髪型をいじられたことがあって、その時少しばかり強い口調で叱責してしまったんです」 「・・・・・・アフロかドレッドにでもされたのか?」 「いえ、そういうものではなく・・・・・・まあ、ヘアカタログの雑誌とかに載ってる流行りもののような感じでしたね」 ふーん、と相づちを打って、その時―――斜め上ほどに視線を馳せて、回想しているようなその仕草にピンと来た。 それはやよいが、通りがかった八百屋で半額セールス品として陳列されたもやしを見たそれにも似た。 「・・・・・・千早個人としては満更でもない感じだったのか?」 「なっ・・・・・・!」 どうやら図星だったらしい。目を見開いてこちらを見やった後、「くっ」といつものように口惜しげに顔を逸らした。 「何だ。額に肉と書かれたんだったらまだしも、それほど悪くない髪型にされたんだったらそんなに怒らなくても良かったんじゃないのか?」 むしろ仕事以外で、『着飾る』ということに対しあまり関心のないようだった千早の、年相応の少女らしい一面が見えて少し安心する。 「・・・・・・目が覚めた時、携帯で写真まで撮られてたんですよ?私がどう思うかというよりも、やはり一言言っておかないと」 「なら、充分反省してるみたいだしそろそろ許してやれば?」 「・・・・・・あの、その話なんですけど」 千早は改まった様子で居住まいを正すと、キッパリとした様子で告げてくる。 「許すも何も、私としては春香に一言言ってもう終わったつもりでいたんですけど」 「・・・・・・は!?」 思わず裏返ったような声で反復する。何の気負いもなく告げた千早の表情はそれこそ「何を今更」といった戸惑いの部分が多く滲んでいて、 少なくとも嘘をついたりしているようには見えなかった。 「いやだって。伊織の話じゃ何か近づき難い雰囲気で声かえても無反応だったって言うからまだ怒ってるのかと―――」 「―――ひょっとしなくても、さっきからのメールってそれですか」 ―――あ、しまった。 聞いていた話と大分違うとはいえ、つい言わなくてもいいことまで言ってしまった。 「最初のメールが来てから私の方をチラチラと見てるから、何かと思ったんですけど・・・・・・水瀬さんも人が好いというかお節介ですね」 苦笑混じりに呟く仕草にはとりあえず気分を害した様子はなくて、とりあえず軽くため息をついて改めて問いただしてみる。 「・・・・・・伊織から又聞きした程度のことなんだが、お前がまだ根に持ってるって思って結構参ってるみたいだったぞ? ・・・・・・まあ、連絡貰うまで気づかなかった俺が言っても、説得力はないかも知れないけどな」 「・・・・・・春香には別段普通に接していたつもりです。邪険にしたような覚えはないんですけど・・・・・・あ」 ふと、不自然に言葉を途切れさせた千早に訝しげな視線を送る。 「何だ、やっぱり心当たりがあるのか?」 「心当たりといいますか・・・・・・」 千早にしては珍しく歯切れが悪いというか、少々後ろめたいようなものが滲んだその表情。 「その翌日くらいから、役作りにのめり込んでいたので。ひょっとしたら誤解させてしまったかも知れません」 「・・・・・・へ、役作り?」 何の、と反射的に問い返してみると、千早は軽く目を瞬かせた後、次いで半眼になって回答をくれた。 「『硝子の剣』のことですよ」 「がら・・・・・・あー、そうかそうか!」 硝子の剣。脚本家から直々にオファーを貰い、千早が主役の座を勝ち取った時代劇企画のタイトルだった。 千早演じるヒロインはさる大身旗本の息女という身分に生まれながらも、謀略により没落に追い込まれ、天涯孤独となった 悲運の娘であり、流浪の末に剣客となった彼女は父を陥れた悪代官への復讐を誓うというそのストーリーだ。 千早は彼女にしては珍しく、わざとらしい唇を尖らせるような仕草を見せてから、 「・・・・・・忘れてたとは呆れますね。この間握り拳で役を取れたことを喜んでくれたのは、演技だったんですか?」 「い、いや違うぞ、断じて!」 脚本家は数々のヒットシリーズを打ち出してきた実力派とはいえ、正直ベッタベタ過ぎて視聴率が平均を切るのか若干不安という点もあるにはある。 が、現時点ではボーカル以外のキャリアが乏しい千早の、またとない飛躍のチャンスだ。喜ばない訳がない。 「まあいいですけど。・・・・・・その、本題なんですけど……『背後に立たれたら即座に抜刀する癖がある』という役柄に則って台本を読み返していたら、 その時たまたま春香が後ろから声をかけてきたので・・・・・・」 ゴルゴ某も真っ青の、江戸時代とはいえちょっと日常生活に支障をきたしそうなそのヒロイン設定を思いだし、 苦い顔をしたのも一瞬で、慌ててあることに思い至って血相を変える。 「ちょっ、まさかバサリとやっちまったのか!?」 「・・・・・・撮影所でもないのにバサリと出来るような凶器を持ってると思ってるんですか?」 『大丈夫なのかこの人』という内心がビシバシと伝わってくる半眼に、 流石にグゥの音も出ずに押し黙る。 「けど、なりきり過ぎて周りが見えていなかったのは否めませんね。 つい必要以上に殺気立って払いのけてしまって・・・・・・」 「・・・・・・ああ、それでまだ怒ってると誤解してるのかも知れないと」 浮き沈みが激しいからな春香は、と内心苦笑する自分とは裏腹に、しかし千早は どこかしおれた花を思わせるように沈んだ雰囲気を湛えていた。 「・・・・・・やけに暗い顔してるな、どうかしたのか?」 「いえ、その。・・・・・・そんな誤解をさせていたのに今まで気づけなかったのが、 春香に申し訳なく思えてしまって」 ともすれば、雨音の中にかき消えそうな程小さい声音。ハの字になった眉にはどこか、 叱られた子供の見せるしおれたような雰囲気が見える。 一度自分の懐の懐へ招き入れた人間には、誠実な態度を崩さないのが千早だ。そんな様子を身かね、 彼はコホンと一つ咳払いしつつ、 「―――じゃ」 ふと見ると、いかにもそろそろといった緩やかなペースだが、前方の車がまた動き出していた。 軽くアクセルを踏んでから、 「営業が終わったら、千早のチョイスでケーキとか春香に差し入れでもしてやろうか」 弾かれたように顔を上げた千早の顔を、またミラー越しに確認する。運転を再開した今、 流石にそう何回も後ろを振り返る訳にはいかないので無理だけれど、もし叶うなら 頭を軽く撫でてやる位は出来たら、と思った。 「事務所でお茶の時間にそれ振る舞って話でもしてれば、春香ならきっと面白い位の 猛スピードで立ち直ると思うけどな」 「・・・・・・丸っきり子供扱いしてませんか?」 ほんのり。擬音にするならそんな風に綻んだ口元がミラーに映って、振り返れないのが残念だと思った。 「甘い物食べて幸せよとか歌でも言ってるだろ?それでも上手くいかなかったら、千早の方から遊ぶ約束でも 持ちかければ喜ぶんじゃないか?」 疑問形を装いつつも、どうしてもという時はそれで解決するだろうという確信に近い考えがあった。 春香の凹み具合がどの程度のものかはわからないけど、千早からお誘いをかけるなんて滅多にない『ご褒美』を 喜ばない筈はないだろう。何せ年の近い親友同士というよりも、 いっそ出来立てのカップルを思わせるような親密度の二人なのだから。 「・・・・・・春香の好みそうな所とかはお菓子屋さん位しか見当がつきませんが、努力してみます」 ―――うん、まあ大丈夫だろう。 ひとまず胸を撫で下ろし、次いで次の信号を左折してから、ふと思い至る。 「けど、いくら主役だからって珍しいよな。千早が演技にそこまでのめり込むなんて」 正直、主役を掴んだことを一応喜びはしたものの、役柄の詳細を聞いた時は少しばかり心配だった。 ヒロインの暗いバックボーンを若干違う形で反映しているように、千早―――というか如月家の現状は決して明るくはない。流石に脚本家がそんなことまで把握している筈も ないだろうが、それでもこの仕事が今後の千早のテンションを左右しかねないという僅かばかりの危惧はあった。 「・・・・・・役柄のことを気にされてるんでしたら、そんなお気遣いはいりませんよ?手を抜くなんて以ての外ですけど、だからって役に呑まれて自分を見失っては本末転倒ですから」 華奢な立ち姿に見合わないどっしりとした気構えが垣間見える発言に、 「そりゃ頼もしいな。・・・・・・けど、あんまり根を詰めすぎないでくれよ?何かお前の『本気』っていうと、それこそ寝る間も惜しんで 練習三昧みたいなイメージがあるからその内ぶっ倒れそうで怖い気もする」 「大丈夫ですよ、私も自分のペース配分は考えているつもりです」 ならいいんだが、と、一端話をそこで区切ることにして、再び運転に集中する。 何せこの豪雨だ、うっかり前方不注意でスリップ事故など起こしたら目も当てられない。 不安はまだ拭えないが本当に様にはなっていると思う。運動神経こそ真などには及ばないが、殺陣で見せた鮮やかなアクションは、 指導役も僅かばかり目を向いていた位だ。 まあ、脚本に記してあったかは知らないが、技っぽいものまで叫ぶのはちょっとやり過ぎという 気もしたけど。 (ってか、『まじんけん』ってどういう字当てるんだ?) ……まあ、それこそ事務所のお茶会でいい話の種になるだろう。 そう思いながら、彼は降りしきる豪雨の中で再びハンドルを切った。
https://w.atwiki.jp/dopperu/pages/12.html
https://w.atwiki.jp/rpgrowa/pages/211.html
僕は泣く ◆iDqvc5TpTI 死にたい。 その叫びは僕という人間を形造る基盤だった。 病魔の呪いに苦しめられた一度目の生の中。 罪を背負った二度目の生でも。 ずっと、ずっと、それだけを願って生きてきた。 死にたい、死のう、死ぬべきだ。 けれど同時に死にたいという気持ちが僕を生かした。 死ぬために生きる。 おかしな話だが死ぬという目的があったからこそ僕は生きてこれたのだ。 ただ存在しているだけで大好きな人達を苦しめる辛さにも耐えることができた。 もう少しだから。 もう少しで僕は死ねるから。 待ってて姉さん。そしたら姉さんを縛るものなんか無くなるよ? そう思い続けることで辛うじて僕は僕が生きていることを許してこれた。 ああ―― だったら、これは報いなのかな? 剣の聖女の言葉が空っぽな心にリフレインする。 僕がやっていることは自身がしなくちゃならなかった戦いを他人に押し付けているだけだと。 ははは、君の言うとおりだったってことかい? 僕が放棄した分の二度の生が二人の命で埋め合された。 そういうこと? ……巫山戯るな。 巫山戯るなよ! だったら僕の命はどこに行けばいい? あの二人に死を背負わせてしまったというのなら僕の死はどこにある? 僕は、僕はどうすればいい。 何の為に生きればいい? 答えることのできなかったブラッドからの問い掛けが再度浮上する。 そうだ、僕は答えることができなかった。 答えなかったんじゃない。 できなかったんだ。 姉さんが死んだ。 先生も死んだ。 考えたくもなかったその可能性が実現しても尚僕は―― 殺し合いの勝者となることで二人を生き返らそうという気にはなれなかった。 オディオが信用できなかったのだといえばそうでもない。 少なくとも人を蘇生させられるだけの力があることは僕自身が証明している。 かといってそんなことをしても二人が悲しむからだとか、 誰かを生き返らせるために誰かを殺すのは間違っているだとか綺麗事を言うつもりもない。 他の誰が犠牲になろうが、この手が血に染まろうが二人には生きていて欲しかった。 けれど! 生きていて欲しいと生き返らせたいは同列なんかじゃない! ……だってそうだろ? 大切な人が死んだ。だから生き返らす。 そんな、そんな単純に考えていいものなのか? 命とはそんなにも軽いものなのか? 違う。 違うだろ! 生は、死は、他人の都合で容易に左右されていいものなんかじゃない! 『それをあなたが言うの、イスラくん。自ら命を絶とうとしていたあなたが』 だまれ、ダマレ、黙れよっ、アナスタシア・ルン・ヴァレリア! 君に何が分かる? 生まれた時から病魔にさいなまれ続けた苦しみが! 毎日のように死の発作に襲われ、けれど死ねない辛さが! 蘇らされたんだ、いつもいつもいつも! 絶息寸前で僕は! よりによって僕を死に追いつめた病魔の手によって! 生きることも死ぬことも奪われていたんだよ! 自ら命を絶とうとしても、結果は同じことだったさ。 毒を飲もうが、心の臓を抉ろうが、炎に飛び込もうが、僕は! 痛いだけ、苦しいだけで死ねなかったんだ! 死ねなかったんだ……。 そうさ、僕は知っている。 本人の意志を介することなく誰かの手で生死を左右されることがどれだけ悲しみに満ちているのかを。 だから選べない。 どんなに願っていようとも、どれだけ姉さんたちに生きていて欲しいと想おうとも。 死んだ彼女たちを僕の勝手で生き返らせるという行為だけは。 『勝手? そうね、自分が嫌だから大切な人達が生き返る術を踏みにじる。 周りの人の事も考えず自分のことだけを優先し続けてきたあなたにはお似合いの言葉ね』 ああ、なんとでも言えばいいさ。 全くもってその通りなのだから。 それに今の君も僕と大して変わらないよ。 なんせ自分以外の全てを殺そうとしているんだからさあ、生きていたいが為だけに! どの面下げて僕に説教垂れているんだよ、僕の心から出て行け、アナスタシア! 「待て、今アナスタシアといったな。どういうことだ?」 と、どうやら声に出してしまっていたらしい。 ブラッドが厳しい表情で尋ねてくる。 なんとも凡ミスをしてしまったようだがちょうどいっか。 「実は彼女には会っていてね。君たちに出会う前だったけど方角は……」 アナスタシアと出会った場所はI-5エリア。 つまるところは今いるI-7エリアやその先の爆発が起きた地点とは逆方向だ。 僕が意味ありげに指し示した左手に釣られて後ろを向いたブラッドの顔は苦々しげに歪んでいることだろう。 アナスタシアは気になるがこのまま爆発主を放っておくわけにはいかないってとこかな? 悪いことをしてしまったと思わなくもないが結果的には好都合だ。 ブラッドが向き直る前にと右手で握っていた剣を自分の胸元に突きつける。 姉さんたちの為に何もしてあげられることがないのなら生きている意味なんかない。 姉さん達を殺した相手への復讐や志を継いでのオディオの打倒も考えたが、成就するまでの時間を生きていたいとも思わなかった。 ……生きていたいと思ったことなんて今まで一度もなかったけどね。 あはははは 柄に、力を込める。 ずぷりずぷりと剣が沈みゆく。 皮を裂き、肉を斬る感触。 待ちに待った瞬間はすぐそこに。 一回目と同様、望んだ最後とは程遠いけど。 一回目と違って自分の意志で死ねるだけまし、かあ。 なわけないか。 だってもたらされた結果は最悪で、下手人はオルドレイク以上に大嫌いな自分で、その上 「てめえ、今何しようとしていた?」 ほら、こうやってお節介な人に止められてしまったのだから。 ▼ 間一髪だった。 あと少し、あと少し刃を掴むのが遅れていればこいつの命はお陀仏だった。 運良く生き残ることなどまず有り得なかっただろう。 それくらいこいつの動作は迷いの無いものだった。 そして刃はまだ死んでいない。 今も俺の右手と鬩ぎ合いながら進もうとしている。 「離せ、離せよ! 何をしようとしているかだって? 分かるだろ、死のうとしてんだよっ!」 分かるわけがない。 分かってたまるか。 ぶん殴りたい衝動に駆られるも必死に押しとどめる。 下手に殴り飛ばして距離をとろうものならこいつが何をしでかすか分かんねえからだ。 ああ、くそ。 また一つ分かんねえもんが増えやがった! 「……放送で姉の名前が呼ばれたからか?」 「!? そうだよ、分かっているのなら死なせてくれよ! 姉さんが死んだ、アティ先生も死んだ。 もう僕に生きる意味なんてないんだよオォッ!」 「……」 無言で取り押さえに来たブラッドに羽交い締めにされながらイスラん野郎は涙を浮かべていた。 能面のような笑顔を貼り付け、子どものように喚き散らしながら泣くまいとしていた。 その気持が理解できないわけがない。 おまえんとこみたいにひどい話じゃねえけど俺も兄貴を手の届かないところで失った。 けれど、だからこそ腹が立つ。 「分かってねえのはてめえの方だろ! 死にたくなるくらい姉を好きだったんなら知っているはずだろが! てめえの姉がんなこと望んでねえってことくらい!」 兄上は死ぬ間際まで俺なんかのことを心配してくれていた。 昔っから頼んでもいねえのにいつも俺のこと気にかけてくれていた。 兄弟ってえのはそういうもんだ。 てめえの姉もぜってえお前のことを想って死んだはずだ。 それを、その想いを、こいつは無駄にしようとしている! 「そんなこと、そんなことあるもんか! 僕は姉さんを裏切り続けた! 最後まで泣かせてしまった! そんな、そんな弟のことなんて嫌いになっていたに決まって……ガッ!?」 我慢の限界だった。 俺はイスラの剣を投げ捨てるとそのまま利き腕で顔面をぶん殴っていた。 「今のはそのアズリアって奴とアティって奴の分だ……」 裂傷だらけの腕に衝撃が響く。 だがこの程度、こいつの姉や両親が受けた心の傷に比べたらこんなもの屁でもねえ。 「自分の弟をうとましいって思う兄や姉なんざいるかよ。 イスラ、お前は愛されていたんだ、姉上にな」 「……っ」 「他にもいるんじゃないのか、お前を愛してくれている奴が。両親とか友人とかさ。 わかってるのに見えないふりを続けると大事な物を見失う。 俺の最高の友からの受け売りだ。この言葉、軽く受流したら承知しねえからな?」 言うだけ言った俺は剣をブラッドに渡して背を向ける。 「俺は外すぜ。 どうもこいつは虫がすかねぇ。 ちょっと見回りでもしてくる」 「そうか。ここは任せろ。……すぐ南の方に海がある、そこを見てきてくれ」 海? そんなとこに行ったって見回りには……ちえっ、そういうことか。 全部お見通しかよ。 いいさ、その好意に甘えさせてもらうぜ。 「あんがとな」 ひらひらと血まみれの手を後ろに振りながら進路を取る。 南へ、南へ、南へ、進む、進む、進む……。 ▼ 「イスラ、ヘクトルの言葉を聞いてもまだ死にたいのか?」 「……当たり前だろ」 「そうか」 俺は力を緩め拘束を解く。 あっさりと離したことを疑問に感じたのだろう、イスラは問いかけてきた。 「……へー、おじさんは僕を止めようとしないの?」 「俺は『おじさん』なんて名前でもなければそんなに貫禄があるわけでもない」 「ああ、ごめんごめん、ブラッドお・じ・さ・ん」 「憎まれ口を叩くくらいの元気は出たか」 「どっかの誰かのおかげさまでね」 「そうか、その調子でお前は死ぬことも語れるか?」 「……」 それが答えだ。 イスラが叫ぶ死には重みがあった。 会って以来たたえたままだった作り物めいた笑の軽さとは比べ物にならない重みがあった。 弾みや衝動で自殺しようとした人間が浮かべるには不似合いな覚悟がその瞳にはありありと浮かんでいた。 恐らくはずっと前から。 イスラ・レヴィノスは確固たる意志で死に場所を求めていたのだ。 「だろうな。俺は戦場でお前のような目をした男たちを何人も見てきた。 彼らにとって死とは自らの生を完結させる最も重く尊いものだった。お前にとっての死もそうだ。違うか?」 「違わないよ。死ねる日を糧として僕はこれまで生きてきた。 死への誓いが僕を逆境から這い上がらせた……」 死を誇りに昇華して自我を保っていた、ということか。 悪いな、ヘクトル。 俺はこいつから誇りを奪うことはできない。 ――それが逃避ではなく選択の果てだったのなら、な 「そうか、ならその上で言わせてもらう。 前提を間違えるな。人は何かの為に生きるのではない。生きている人間が何かを成すッ」 「何、を……」 「俺は世界の平和を、人々を守るために戦って来た。 お前の言葉を借りるならそれが俺の生きる意味だった。 その意味も世界に平和が訪れたことで俺は失った」 戦うことしかできないと思っていた。 この先進んでも血と硝煙のにおいの中でしか生きられないと決めつけていた。 戦いの中でしか生きる価値のない俺のような奴の居場所などそんなに多くはないと、 英雄《俺》が必要のない世界を平和というならそのほうがいいとさえ考えていた。 「だがな、戦う事なく生きてみたからこそ知ったものもある」 それは空の青さ。 それは陽光の温かさ。 それは鳥たちの奏でる歌。 それは人々と交わす他愛もない言葉。 それはかってアシュレーをして他に命を賭けられるものを知らないと言わしめたもの。 スレイハイム開放戦線以来取り戻そうとしていたそれの大きさを俺は訪れた平和の中でようやく思い出せた。 「日常の大切さだ」 何のことは無い。 俺の心は首に枷を嵌められた後もずっと逃げていたのだ。 いつの間にか忘れてしまった戦う以外の生き方をもう一度歩むことから。 全く、俺はブラッド・エヴァンスであることにそれ程こだわっているつもりはなかったのだがな。 あいつの代わりに英雄として生きる。 過去に決めたその誓いを貫こうと固執して現在を見ようとしていなかった。 わかってるのに見えないふりを続けると大事な物を見失う、か。 お前の言うとおりだ、ヘクトル。 それでも人は時に見ないふりを続けてしまう。 今を見ることで自分の行為などつまらないことだと分かってしまいたくないからだ。 だがな。 人にはその弱さに耐えた上で全てを受け入れる勇気があること示してくれた女がいた。 俺達の信頼に何を為したかでそこに新たに誕生したモノで応えてくれた女がいた。 カノン。 過去に縛られ、手段を目的と取り違え、本当に欲しかったものを見失っていた女。 もうこの世には居ない、しかし繋いだ絆は永遠に消えることのない仲間。 彼女が長い長い旅の果てに見つけた答えを標として俺はイスラへと託す。 「ありのまま全てを受け入れてやれ、イスラ。 生きてここにいるということを。そしてそのお前が抱く感情を余すことなくだ。……あいつのようにな」 ヘクトルが去っていった方へと首を向ける。 あいつはまだ戻ってきていない。 が、代わりとばかりに迫ってくるものがあった。 大きな大きな一人の男のありったけの感情を載せた叫び声だった。 ▼ ざくざくと歩くのに合わせて砂がこすれる音がする。 目の前に広がるのは海。 ちょうどいい位にブラッド達から離れた位置にある浜辺を俺は今歩いている。 ――ざくざく、ざくざく 歩いている、歩いている、歩けてる。 ……俺は止まれなかった。 イスラのように大切な人の死に立ち止まってしまうことができなかった。 ちくしょう……。 今回もか、今回もかよ。 一度目と二度目は両親を亡くしちまった幼い頃。 三度目は兄上が病死していたことを知ったあの日。 そして四度目。 さっき、アイツの名をあのくそったれの魔王によって呼ばれた時。 俺は、俺は――泣けなかった。 アイツの為に涙を流してやることができなかった。 立ち止まってやることすらできなかった。 失っちまった悲しみが 思い出の中の笑顔が 奪われた憎しみが 耳に残る小声が 尽きぬ怒りが 不変の愛が 全部が全部、俺を前へ前と押し進めやがる! ――ざっざっざっざっざ 悔やんでも仕方がない。 死んだ奴の分も背負って前へと進まなければならない。 かってオズインやハーケンにかけた言葉がそのまま俺の中でリフレインする。 綺麗事として吐いたわけじゃない。 紛うことなく本音だった。 けど、けどよお。 今くらい泣いてもいいんじゃないのか、俺? ――ざっざっざざざざざ そういやあいつは随分と泣き虫だったっよな。 あーゆーめんどくさい女は好みじゃねーはずだったんだが俺が惹かれたのはそこだったのかもしんねえ。 そうかそうか、そういうことか。 自分のことながら謎だったんだよな。 あんなおどおどしてまどろっこしくてけど一生懸命でなんか言いたそうに俺の周りをうろついていて声をかけたら逃げ出して そんなところがほっとけなくて近くで戦え庇ってやるっつったらすげえ顔を真赤にして俺も悪い気はしないで ネルガルを倒したあとなんざついつい抱きかかえちまってペガサスがねえ分かすげえ軽くてああヒューイつったか あのバカ羽馬にも謝らねえといけねえな後はあの夢の中の俺の娘とおぼしき女の子にもか すまねえ、わり、ごめんな。 守れなくて、あいつのことを、お前のことを、俺は、俺は、俺はあッ! 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 何が何だか解らなくなってきた。 泣いているのか笑っているのか怒っているのか悲しんでいるのか。 分かんねえ。ただただあいつのことが溢れてきやがる。 あいつを殺した奴やオディオへの怒りなんざ全て流れ込んでくるあいつの奔流に押し流されて行く。 悲しいはずなのに――あいつの笑顔を思い出すとついつい笑っちまう 悔しいはずなのに――あいつの頑張りを思い出すと俺も負けてられねえと気合が入る 憎いはずなのに――あいつを怖がらせちまうかと思うと憎悪に身を任せられない ごった煮だった、ちっとも感情の整理がついてくれねえ! 「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおむぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー ッッッ!!」 吐き出していいもんなんざねえ。 この想いは全て俺が、あいつを愛してあいつに好かれた俺一人が背負ってかなけりゃならないものだ。 他の誰にも渡してやるつもりもない。 けどよ、だけどさ。 その名前を、結局あいつだとかお前だとかばっか言ってあまり呼んでやれなかった名前を俺は呼ばずにはいられなかった。 「フロリィィィイイイイイナアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!」 涙はやっぱ出てくれなかった。 声だけが溢れて溢れて堪らなかった。 ――ざざざざざざざざざ ▼ 死にたい。 その叫びは僕という人間を形造る基盤だった。 病魔の呪いに苦しめられた一度目の生の中。 罪を背負った二度目の生でも。 ずっと、ずっと、それだけを願って生きてきた。 死にたい、死のう、死ぬべきだ。 それは今も変わらない。 この願望は、アティ先生や姉さんの言葉でならともかく会って間もない人間の言葉で動かされるほど軽くはない。 でも 言葉にもなっていないそいつの咆哮は不思議と僕の心に響いた。 退くことを知らない獅子のように猛き声。 それでいて子どもが泣いているように悲しい声。 「あ……っ、うあ、ァぁ……っ」 止してくれ。 聞かせないでくれ。 もっともっと静かに泣いてくれ。 こんな、こんな喪失へのありのままの感情をぶつけてくる声を聞いていたら僕までつられてしまいそうじゃないか。 張っていた意地が馬鹿らしく感じちゃうじゃないか。 だというのに声は止まない。 耳を塞ごうにも魂を直接揺さぶる感情の前には無意味。 共鳴するみたいに湧き上がる内側からの声なんてそれこそ、死ななきゃどうしようもない! 「く……っ、う、あああァぁっ!」 どうしようもないのに! 剣を握るべき右腕は、引き金を引くべき左手は、 「ねえ、さん……。アティ先生……」 僕の目から溢れ出すそいつを抑えるのに精一杯だった。 死にたい。死ねば声なんか聞こえない。死ねばこんな想いをしないで済む。 けれど、けれども、僕は、今! 「う、う、ごめんなさい、あああ、ごめんなさい、あぁっう、ごめんなさい!」 それよりも泣きたかった。 傷つけてばっかりだった人達に謝りたかった。 今更だと思いつつも、その想いが余計に僕を悔いさせた。 「ああああああああああああああああああああああああああああああァぁっ!」 失った時に初めて気づくものがある。 陳腐だけど真理だった。 僕は姉さんのことが好きだった。 僕はアティ先生のようになりたかった。 僕は、二人に、愛されていた。 僕は、僕は、僕は! ありがとうを言えなかった 「ああああああああああああああああああああああああああああああァぁっッッ!」 何年ぶりだろうか。 僕は声を出して泣いた。 姉さん達の死を悲しいと思うことを僕に許した。 まだ当分この涙は収まりそうになかった。 【I-7 東 一日目 日中】 【ブラッド・エヴァンス@WILD ARMS 2nd IGNITION】 [状態]:全身に火傷(多少マシに)、疲労(小) [装備]:ドラゴンクロー@ファイナルファンタジーVI [道具]:不明支給品1~2個、基本支給品一式 [思考] 基本:オディオを倒すという目的のために人々がまとまるよう、『勇気』を引き出す為の導として戦い抜く。 1:東へ向かった後西にとって返しアナスタシアを救う。 2:仲間を集める。 3:自分の仲間とヘクトルの仲間を探す。 4:魔王を倒す。ちょこ(名前は知らない)は警戒。 [備考] ※参戦時期はクリア後。 【イスラ・レヴィノス@サモンナイト3 】 [状態]:健康、疲労(小)、涙で顔グシャグシャ [装備]:魔界の剣@ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち [道具]:不明支給品0~1個(本人確認済み)、基本支給品一式(名簿確認済み) 、ドーリーショット@アークザラッドⅡ 鯛焼きセット(鯛焼き*2、ミサワ焼き*2、ど根性焼き*1)@LIVEALIVE、ビジュの首輪、 [思考] 基本:死にたい……けど? 1:二人の死を悲しむ [備考]: ※高原、クロノ、マッシュ、ユーリル、ヘクトル、ブラッドの仲間と要注意人物を把握済み。 ※参戦時期は16話死亡直後。そのため、病魔の呪いから解かれています。 ※マッシュとセッツァーの情報の食い違いに気づいていません。 ※イスラたちが見たのはケフカによるアルテマの光です。 【J-7 東 一日目 日中】 【ヘクトル@ファイアーエムブレム 烈火の剣】 [状態]:全身打撲(小程度)、疲労(小)、浜辺を叫びながら全力疾走中 [装備]:ゼブラアックス@アークザラッドⅡ [道具]:聖なるナイフ@ドラゴンクエストIV、ビー玉@サモンナイト3、 基本支給品一式×2(リーザ、ヘクトル) [思考] 基本:オディオを絶対ぶっ倒す! 0:今は、悲しまねぇ 1:東へ向かう。 2:仲間を集める。 3:リン達やブラッドの仲間、セッツァーの仲間を探す。つるっぱげも倒す 4:セッツァーをひとまず信用。 5:アナスタシアとちょこ(名前は知らない)、エドガー、シャドウを警戒。 [備考]: ※フロリーナとは恋仲です。 ※鋼の剣@ドラゴンクエストIV(刃折れ)はF-5の砂漠のリーザが埋葬された場所に墓標代わりに突き刺さっています。 ※セッツァーとイスラと情報交換をしました。一部嘘が混じっています。 ティナ、エドガー、シャドウを危険人物だと、マッシュ、ケフカを対主催側の人物だと思い込んでいます。 ※マッシュとセッツァーの情報の食い違いに気づいていません。 時系列順で読む BACK△094 銀の交差Next▼095-1 ですろり~イノチ~(前編) 投下順で読む BACK△095-2 ですろり~イノチ~(後編)Next▼097-1 妖星乱舞 086 使い道のない自由 ヘクトル 097-1 妖星乱舞 ブラッド イスラ ▲
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1177.html
即興出来る時にとことん即興。 『世にもゆっくりしている物語』 それは、四月。まだ肌寒い時期。連日の残業の末、風邪で寝込んでしまった俺は、 いよいよ熱が39℃台にまで上がり素直に(本当は嫌だが)医者の世話になろうと近所の診療所までやって来た。 「すいませーん・・・。」 力の入らない腕で、ゆっくりと戸を開け中に入ったものの何か雰囲気がおかしい。 入り口から仕切りも無く直ぐ横の待合室には誰も折らず、受付にも人の気配が無いのだ。 とりあえずさっさと診察を済ませて、帰ろうと小窓に顔を近づけて呼んでみるが。 「すいませーん。診察お願いしまーす。」 「診察室に直接どぞー!!!」 なぜか、待合室と薄い壁一枚で遮られている診察室から大きな声が響いてきた。 俺は首をかしげながら、受付の小窓に顔を突っ込んで出せるだけ大きな声を出して返事をする。 「えーっと・・・。受け付け終わってないんですけどいいんですかー!!」 「いいですよー!!!どぞー!!!」 熱で呆けた頭は疑問を浮かべながらも声に従う事を選択し、受付すぐ脇に有るスリッパを取り出し履き替え診察室のドアを開けた。 ・・・この時。熱があって頭が回らなかったとは言え、慎重に考えて行動すべきだったのだ。 中に入り、薄いカーテンの奥に進んでいくと其処には赤いリボンをした黒髪の女医が机に向かって何かをやっている。 しかし、何か様子がおかしい。何がおかしいと言えば、頭だ。まるで顔の被り物を被っているかの様に不自然に大きく、 また、形も丸顔と言ってしまうにはきっちり正方形にはまってしまいそうなぐらいで不自然に整っていた。 「おちゅーしゃしますから其処に座ってください。」「はっ?」 恐らく、聞き間違いではない。こちらを向かずに手で椅子を示す奇妙な女医は診察もせず、いきなり注射をすると言ったのだ。 「いやいや、まずは診察をですね・・・というか注射嫌なんですけど。」 「かもーんまりさ。」「へーい、了解。だぜ。」 女医と同じような比率の頭をし、金髪に場所に不似合いな黒いトンガリ帽子を被った姿の看護士が女医の横に音も無く現れたかと思うと、 眼にも留まらぬ動きで俺を後ろから羽交い絞めにしたのだ。 「は、はなせ・・・。」「直ぐ済みますから大人しくしててくださいねー。」 急な出来事の上熱で力が出ず、締めを解くことが出来ない。だが、身の危険を感じた俺は、渾身の力を込めて身体をよじる。 すると偶然にも赤リボンが持ってい注射が後ろの金髪の顔に刺さったのだ。 「うわらばっ!!!」 大声と同時に頭が弾け飛ぶ金髪。しかし、身体の方は頭を失った筈なのに力が弱る所かどんどんと強くなっていく。 「れいむ、酷いんだぜ。」「ごっめーん☆間違えちゃったー。」 爆散し、液状化した金髪頭の声が何処からか聞こえて来たかと思うと、散らばった液体が集まり 女医の足元で頭だけという奇異な姿で無表情に女医に訴えかけている。 もはや、俺の頭は理解を超える出来事と熱で限界を迎え、緊急事態に関わらず気を失う。と言う選択を強いられたのだった。 それから何が有ったのかは解らない。気がついた時には家の布団の中で、何故か風邪は直っていた。 先程のあまりに突飛な出来事は夢だと思うことにして、病み上がりですっきりとしない頭を抱えながら顔を洗おうと立ち上がる。すると、 「お医者さんゴッコは楽しかったね・・・。」「さて、風邪も治ったことだし今日は何で遊ぼうか・・・だぜ・・・。」 背後から何かが聞こえ、後ろを振り向けば、其処に居たのは・・・。 即興の人 北斗神拳吹いた -- 名無しさん (2009-05-13 16 43 36) ゆっくりしてるね -- 名無しさん (2010-11-29 18 18 06) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/vip_oreimo/pages/377.html
505 ◆kuVWl/Rxus[sage saga] 投稿日:2011/04/27(水) 03 01 07.49 ID QM5VKM52o 今朝の電話で、黒猫にはおおまかな事情を話したけれど、俺は改めて桐乃の口から一通りの経緯を説明させた。 こういうのは、相談する本人から話をするものだからな。 桐乃から、他人をデレさせる力を持ったノートや、そのノートに触れることで姿を現すデレ神という 現実離れした話を聞かされても、黒猫があからさまに驚くことはなかった。 この辺の順応性は、さすがに邪鬼眼かつ厨二な電波系少女として、一日の長があるようだ。 と俺は妙な感心の仕方をしていた。 「デレノート……デレ神……」 黒猫は腕組みをして、その単語を噛み締めるように呟いている。 「――ということは、あのときの“ノート”という言葉はそういう意味だったのね」 「えっ、あのときのって……」 「あなたが掲示板に最後に書き込んだ言葉よ。“ノートを持っているか”と」 そう、それは黒猫がキラッ――つまり桐乃をおびき出すため、自作自演をしたときの書き込みのことだ。 それを聞いて、桐乃も思い出したらしい。 「あっ、そういえばそんなことを…… アンタ、あの書き込みを読んでたんだ?」 「ええ、読んでいたわ。というよりも、あなたが私にレスを返したきたからだけど」 「ん?レスを返した……?」 今度は桐乃が腕組みをして考え込むことになった。 そして一拍置いて、その言葉の意味を理解した桐乃は勢いよく立ち上がり、黒猫を指差して叫んだ。 「に、偽キラッ!? アンタが……!」 「そうよ、あの時キラッに成りすまして書き込んだのは私」 「あ、あ、あのレスで……あたしがどんだけ悩んだと思ってんのよ……っ!」 わなわなと肩を震わす桐乃に対し、黒猫は涼しい顔で返した。 「知らないわよ、そんなこと。むしろあのレスであなたのキラッ活動にブレーキを掛けることができたのなら、あなたは私に感謝するべきじゃなくて?」 「ぐぎぎ……」 桐乃は悔しそうに歯軋りをしている。 おいおい、あんまり露骨に悔しがられると、こっちが不安になっちまうじゃねーか。 「オイ桐乃、お前まさか、まだキラッに未練があるんじゃねぇだろうな?」 「無いってば!ただ、やり込められてたのがムカついただけ」 そう言うと桐乃は、プイッとそっぽを向いた。 そんなやり取りには付き合ってられないとばかりに、黒猫は話題を戻す。 「それよりも――デレ神とやらは……本当にここに居るの?」 俺にはなんとなく黒猫が言わんとすることが分かった。 現在、デレノートは桐乃の手元にない。となると、この非現実的な一連の話の証拠になり得るのは、いまこの部屋に居るという“デレ神”の存在だけ。 まずはそれを確認しないと、桐乃の相談には乗れないということだろう。 だが、桐乃はこともなげに答えた。 「あ、うん。いるよ。ホラ、あんたのすぐ後ろに立っ――」 そう桐乃が言い終わる前に、「ひぃっ!?」という小さな叫び声が発せられた。 今の声の発信源は…………黒猫? 桐乃は一瞬ぽかんとしていたが、すぐさま他人の弱みを握ったような、嫌らしい笑みを浮かべた。 「あれぇ~?もしやアンタ、リュークが怖いの? 普段は闇の世界がどうのこうの言ってんのに~?」 「莫迦にしないで頂戴。こ、怖くなんてないわ……」 そう言う黒猫の声はかすかに震えて聞こえた。 桐乃はというと、口に手を当てながら人を小馬鹿にするようにニヤニヤしている。 ハァ、お前らってホントそういうやり取り飽きないよな…… 「冗談よ、冗談。いまリュークはそこの机の椅子に座ってるよ」 俺と黒猫は同時に机へ視線を向けた。だが、もちろんなにも見えない。 「そ、そう……。疑うわけではないけれど、なにか証拠を見せてもらえないかしら?」 「うーん、証拠って言っても……」 桐乃は少し考えた後に、ポンと手を打った。 「あ、そうだ。ちょっとリューク、アンタそのノーパソでメモ帳を開いて、何か文字打ってみなさいよ」 そう言うと、ノートパソコンのモニタには、すぐさまメモ帳の白い画面が表示され、文字が少しずつ入力されていく―― 《リュークだ これでいいか?》 モニタに表示されたテキストを見て、再び俺はぞくりとした寒気を感じた。 昨夜も俺は、見えない何者かがエロゲをプレイしているところを実際にこの目で見たのだが、そのときはまだ現実味がなく、俺とは関わりのないところでの超常現象だと受け止めていた。 だけど、こうやってコミュニケーションを取ってこられると、否が応にもその存在を認めざるを得なくなり、自分が怪しげな世界に巻き込まれていることを無理矢理に実感させられてしまう。 俺が黒猫に視線を移すと、黒猫も強張った表情でモニタに釘付けになっていた。 だけど、そうやすやすとデレ神の存在を認めるつもりはないようだ。 「まだ……まだ証拠とはいえないわ。リモートデスクトップ機能を使ったトリックの可能性も……」 いつも闇世界だとか天使だとか悪魔だとか、現実離れした妄想の世界に生きている黒猫の反応としては意外だけど、現実世界の理<ことわり>の下に留まろうとする努力を、まだ諦めてはいないようだ。 こいつは案外リアリストなのかもしれない、と俺は思った。 ……まぁ、そんな黒猫の抵抗も、その後すぐに潰えることになっちまったけど。 「ああ、もう面倒くさい。リューク、ちょっとそれ持ち上げて見せてやってよ」 そう桐乃が言うや否や、室内で起こった超常現象に、俺は思わず声を出して驚いた。 おい、信じられるか? ――机の上のノートパソコンが空中にふわりと浮かんだんだぜ。 そんな俺の反応を見て、桐乃は得意げに胸を張っている。 「これで信じたでしょ?もういいよ、リューク」 桐乃の言葉に応じるように、ノートパソコンは静かに机の上に着地した。 それを見ていた黒猫は、青ざめた表情のままでしばらく固まっていたのだが、その硬直が解けると同時に勢いよく立ち上がった。 そして―― 「鬱欖檳檻樞歿汪搓槃榜棆棕椈楾楷欖棗梭樸檢殀……!」 「待て、落ち着け!ストーーップ!!」 突如怪しげな呪文を大声で唱え始めた黒猫を、俺は羽交い締めにして制止する。 こいつ、どんだけパニックになってんだよ…… 我に返った黒猫は、さっきまでより机から少し離れて座っている。やっぱりビビってやがったのか。 「ちょっとぉ~、悪霊祓いみたいな呪文唱えないでよ」 《ああ、失礼しちゃうぜ》 ……面倒くさいからお前らは黙っててくれ。 まだ青ざめてはいたが、黒猫はなんとか平静を取り戻すと、観念してこの状況を受け入れたようだ。 「分かったわ…… デレ神がそこに居るのは認めるわ……」 まぁ、目の前でポルターガイスト現象が起これば誰だってパニックになるわけで、実際俺も十分ビビってたんだけどさ。 黒猫はコホンと小さく咳払いをすると、桐乃に尋ねた。 「そのデレ神にいくつか聞きたいことがあるのだけど、……いいかしら?」 「ん?いいんじゃない? じゃあ、リュークはタイピングでね」 桐乃がノートパソコンの方に向かってそう言うと、また画面には少しずつ文字が表示されていった。 《ああ、わかった》 黒猫はいつものポーカーフェイスに戻り、デレ神へ質問を投げ掛ける。 ここからしばらく、黒猫とデレ神リュークとの間での質疑応答の時間となった。 「いま、デレノートがどこにあるのか、あなたには分かるのかしら?」 少し間をおいて、タイピングが始まる。 《いいや、俺にもわからない》 「じゃあ、いまデレノートを使ってる人間については何か分かるかしら?」 《それも俺にはわからないな》 「もしノートを取り返したとして、そのノートをどう処分したらいいのか教えて頂戴」 《所有者が所有権を失えば、俺がノートを回収して人間界を去る。ただそれだけだ》 この所有権というのが俺にはよく分からないのだけど、昨日桐乃から聞いた話によると、奪われはしたもののデレノートの所有権とやらはまだ桐乃にあるらしい。 デレ神が桐乃の元から離れないのはそういう理由なんだとか。 「……あなたは今回の件以外にも、過去に人間界にデレノートを持ち込んだことがあるのかしら?」 《ああ、いままでにも何度か、人間にノートを与えたことがあるな》 「ふうん……」 黒猫はそこで一旦やり取りを停めて考え込んだ。 俺と桐乃は、そんな黒猫の様子を静かに見守っている。 「……その割に、今回のようなデレ騒動は、これまで噂レベルでさえ聞いたことがないわ。おかしな話よね? 他のケースでの顛末はどうだったのか、聞かせてもらえるかしら?」 《それは》 デレ神はそこまで入力したところでタイピングを止めていたが、すぐに別の文を打ち直した。 《なかなか痛いところを突いてきたな。お前のような聞き方をしてきた奴は初めてだ》 「フッ、お褒めに与り光栄よ」 黒猫は髪をかき上げ得意顔を見せる。 傍からやり取りを見てる俺には、質問の意図も、何が痛いところなのかも分からないのだけど…… デレ神はまたゆっくりとタイピングした。 《シラけるから言わないでいたが、ノートの所有権を失うと、それまでに書いたノートの内容はすべて無効になる》 《さらに、デレノートによってデレていた者達の、デレに基づく行動の記憶はすべて消去される》 《過去のデレノートのことが人間界で知られていなかったのはそういう訳だ》 すると、そこで桐乃が割って入った。 「ちょっと、ちょっとリューク!!なによその後付け感たっぷりの設定はっ!?前にあたしが聞いたとき、デレを取り消す方法はないって言ってたじゃん!」 《あれは個別に取り消すことはできないという意味だ。嘘は言ってない》 どうやらこのデレ神、かなりの食わせ物のようだ…… まだ文句を言いたそうな桐乃を制して、黒猫は言った。 「とにかく、ノートを取り返しさえすれば、丸く収まるって訳ね」 確かにその通りだ。 特に、すでにデレ状態に陥った人達が正気に戻れる可能性があるっていう光明が見つかったのはデカい。 後はいかにして取り返すか……だよなぁ…… 「だけど、どこの誰が持っているのかも分からないノートを、どうやって取り返すんだよ」 「私に考えがあるわ」 「……また俺に忍び込めって言うんじゃねえだろうな?」 妹の部屋への侵入ならバレても半殺しぐらいで済みそうだが、よその家に不法侵入するのはシャレになんねーぞ? ってなことを考えていると、俺の言葉に桐乃が反応した。 「ん? “また”忍び込む……って?」 「どああああ! な、なんでもないっ!気にすんな!」 あ、あぶねぇ……バレるところだった! いや、実際は未遂なんだから、俺が後ろめたさを感じる必要はないんだけどさ…… 「大丈夫よ。今度は先輩の手を借りることはないわ。私が一人でノート奪還の段取りをつけるから」 「おいおい、一人でって……」 「私に任せて頂戴――明日で、すべてのケリをつけてみせるわ」 って、明日だと!? ずいぶん急な……いや、もちろん悠長に構えている暇はないんだけど…… 「ってことは、お前にはもう犯人が誰なのか判ってるんだな?」 「ええ、それは今日話を聞いて確信したわ。……そして、ノートを奪う作戦も」 いつの間にやら、黒猫の瞳は紅く染まっていた。 「アンタ、犯人が分かってるなら教えなさいよ。あたしだって捕まえてとっちめてやりたいんだからさ」 そういう桐乃に対し、黒猫はハァとため息をついた。 「あなたに教えたらぶち壊しにされそうだから言えないわ。 それに、犯人のことやノートを奪う手段を今バラしてしまうと、抜け駆けされる恐れもあるから……」 「……抜け駆けってどういう意味よ?」 「あなたが抜け駆けしてノートを取り返して、私や先輩を排除した上でキラッに返り咲く可能性もあるということ。私はまだあなたのことを信用していないのだから」 黒猫は冷たく言い放つと、今度は俺をじっと見据えた。 「……悪いけど、先輩にもまだ話せないわ。結果オーライだったとはいえ、先の作戦を豪快にしくじった先輩に、今の時点でネタ晴らしするのは色々と危険だから」 クッ……その点を責められると、俺にはグウの音も出せない。 俺が口篭っていると、桐乃が反論した。 「そんなこと言ったら、アンタだってノートを独り占めして、第三のキラッになるかもしれないじゃん!」 桐乃にしてはなかなか鋭い指摘だったが、黒猫は、引っ込んでなさい、とばかりに、「ふん」と鼻を鳴らした。 「何を言い出すのかと思えば……もしそうだとしたら、今あなた達にこんなことをわざわざ話す訳ないでしょう?私がキラッになろうとしているのなら、一人で密かにノートを手に入れるわ」 あっさりと論破され、桐乃も俺と同じく何も言い返せない状態に。 そんな俺たち兄妹を見て、黒猫は言った。 「……勘違いさせたかもしれないけど、私一人でやるのはあくまで下準備だけ。明日、犯人と会うときには、あなたたち兄妹にも来てもらうわ。犯人を含め、私やあなたたち兄妹、――デレノートの秘密を知ってしまった全員の目の前でノートをデレ神に突き返して、この事件を終わらせるのよ」 そう宣言する黒猫の気迫に圧され、俺も桐乃も無言で何度も頷くしかなかった。 ふとパソコンのモニタに視線をやると、デレ神がなにやらタイピングをしている。 《ククク、面白くなってきたじゃないか》 翌日、俺は桐乃と二人で秋葉原を訪れていた―― 別に兄妹で仲良くアニメショップ巡りとか、そういうことじゃない。 昨晩、黒猫からのメールで“決戦の場所”として指定されたのがアキバだったんだ。 俺達は目的の建物へと入り、エレベーターで三階へ。 入り口で受付を済ませると、細長い通路の奥の部屋へと案内された。 そう、ここは以前に沙織主催のパーティで借りたあのレンタルルームだ。 あの時、散々な目に遭わされた上に、仕舞いにカッコ悪く泣いちまった俺にとっちゃあ、ここは忌々しい場所だ…… ドアを開けると、中にはゴスロリ姿の黒猫が足を組み、頬杖をついてソファに座っていた。 「よう、来たぜ」 「……待っていたわ、二人とも」 黒猫は相変わらずの不遜な態度で俺たちを迎えた。 部屋に入り、中を見渡すが、まだ黒猫の他には誰も居ないようだ。 「なぁ、……桐乃からノートを奪った奴も、今日ここに来るんだよな?」 「そうよ、昨夜私が話をつけたから。もうすぐその人物が、ここにデレノートを持ってやってくるわ」 デレノートを持ってやってくるって……昨日の今日で、そんな簡単に事が進むものか? そもそも話をつけるっつっても、相手がホイホイと応じるわけがないと思うんだが…… 俺と同じく怪訝な表情をしていた桐乃が口を開いた。 「アンタさぁ、話をつけたって……一体どうやったのよ?」 そんな桐乃の言葉に、黒猫はこともなげに答えた。 「簡単なことよ。だってノートを奪う方法は昨日教えてもらったじゃない」 「ノートを奪う方法?……昨日?」 そこまで聞いて、俺はようやくピンときた。どうやら桐乃も気づいたようだ。 「あっ……もしかして……」 「そう、あなたがノートを奪われたときのやり方を、私が同じようにやっただけよ」 桐乃がノートを奪われたときのやり方……つまり、ボイスチェンジャーを使って電話を掛けて、例の掲示板に名前をバラすぞと脅迫したってことかよ。 そう言われりゃ、その方法はすでに実績もあるわけだし、確実といえば確実かもしれない。 やられたことをただやり返すだけ―― 黒猫のノート奪還プランは、呆れるほどシンプルなものだった。 だけど、その方法はノートの持ち主が誰なのかが分かっていないと使えない。 痺れを切らした俺は黒猫に問い掛けた。 「なぁ、そろそろ誰なのか教えてくれてもいいだろ?」 だが、黒猫はこちらに視線を向けず、真正面を睨むように見つめていた。 聞こえなかったのか?と、もう一度問い掛けようとした俺だったが、黒猫がそれを制す。 「待って、先輩――どうやらおいでなすったようよ」 黒猫はじっと部屋の出入り口のドアを凝視していた。 俺と桐乃も、黒猫の視線を追って、出入り口へと視線をやる。 すると、ドアは半開きの状態で止まっていた。 俺達の今の位置からはドアの向こうは見えないが、正面に座っている黒猫には見えているようだ。 「どうぞ、中に入って」 黒猫はドアの向こうの人物に呼び掛けたが、ドアは半開きのまま動かない。 「……言っておくけど、電話を掛けたのが私だと判ったからといって、今から逃げ出したとしても無駄よ。このままあなたがドアを閉めたら、私は即座に掲示板にあなたの名前を書き込むわ」 そう言う黒猫の右手には、携帯が握られていた。 「――それに、こちらには海外留学経験もある中学陸上の選手が居るから、どんなに頑張って逃げても、まず逃げ切れないでしょうね」 その言葉に、半開きのドアが一瞬ビクッと動いた。 そして、黒猫の言葉に退路を断たれ観念したのか、ゆっくりとドアが開く。 いよいよお出ましか――ごくり、と、俺と桐乃は同時に生唾を飲んだ。 その人物は、うつむき加減に部屋に入り、後ろ手にドアを閉めた。 「あの電話は……五更さんだったんですね……」 恨めしそうに呟いたその人物は、黒猫のクラスメイトで、俺にとってゲー研の後輩でもある――赤城瀬菜だった。 「あ、赤城!?」 「せなちー!?」 俺も桐乃も驚いた。驚いたのだけど―― 冷静になって考えてみると、これは「ああ、なるほど」と、実に喉越し爽やかに腑に落ちる結果だった。 うちの学校でホモカップルを大量生産する女……ううむ、嫌になるぐらい合点がいくぜ…… 「それにしても、何でお前がノートのことを……?」 そう尋ねたが、瀬菜はうつむいたまま何も話さない。 代わりに横から黒猫が答えた。 「どうやら私と先輩が部室で話していたのを盗み聞きしたようね。昨日いきさつを聞いたとき、電話の主の話した内容があまりにも私達の会話の内容と同じだったから、そのことから、ゲー研の部室に来そうな人物――赤城さんだと気づくことができたの」 あの日、部室の扉越しに見えた人影は、俺の気のせいじゃなかったってことか…… ということは、俺があのとき黒猫にそのことを話していれば、もしかすると少しは展開が変わってたのかもしれない。 ……そう思ったけど、今更掘り起こして黒猫に責められるのは御免なので、余計なことは言わないでおこう。 部屋の隅にいた桐乃は、瀬菜に近づいて声をかけた。 「せなちー……どうしてあたしからノートを奪ったの……?」 「桐乃ちゃん、それは……って、えええええええ!?な、何それ!!??」 突如大声をあげた瀬菜は、桐乃の方に指差したままガクガクと身を震わせ、恐怖に慄いている。 ――いや、正確には桐乃の隣、誰も居ない空間を指差している。 「あ、そっか。せなちーにはリュークの姿が見ているんだ」 「リューク……?」 「そう、最初にデレノートをあたしに与えたデレ神。ノートに触れた人間にしか見えないの」 「いやあああああ!怪物!!近寄らないでえええ!!」 瀬菜は床にへたり込んだ体勢で、桐乃から後ずさりをしている。 なるほど、デレノートに触れた瀬菜にはデレ神の姿が見えているってことか。 デレ神が見えない俺や黒猫からすれば、まるっきりコントのようなやり取りなんだけど…… でも、これはつまり、瀬菜がデレノートを奪ったというダメ押しの証拠になるわけだ。 桐乃からデレ神について聞き、実際にデレ神と一言二言話した瀬菜は少し落ち着きを取り戻したようで、ソファーに座ってぜえぜえと呼吸を整えている。 「まったく、お前って奴は……やたらめったら手当たり次第にホモカップル作って……何考えてんだよ」 ため息混じりに俺がボヤくと、その言葉に瀬菜が反応した。 「手当たり次第なんかじゃありませんッ!!」 うおっ!!いきなりデカい声出すなよ! 俺の何気ない一言がこいつの癇に障ったのか、瀬菜は肩をいからせて反論し始めた。 「一応言っときますけど、あたしなりの緻密な考察の元にカップルを作らせていただきましたからっ!そこは譲れません」 「……緻密な考察って何だよ?」 「攻め・受けの二極化をベースに、文科系の男子と体育会系の男子や、クラス内で内向的な男子、社交的な男子という具合にリストアップし、属性の異なる同士を、通学ルートや学内行事などでなるべく接点のある組み合わせをチョイスしてカプ化を――」 「……わ、分かった、もういいぞ」 うむ、こいつの脳が腐ってることが改めてよ~く分かった。 黒猫が今日決着をつけると言ったときは、性急過ぎるんじゃないかと思ったものだけど、こんな危険なBL職人を放置するなんてとんでもないことだったな……。 「ちなみに高坂先輩は“受け属性”として分類していました」 「うおおおい!!おっかねぇことをシレっと言うんじゃねぇ!」 「でも、せっかく攻め×受けで組ませてカップルを作っても、みんな健全にいちゃつく程度で、押し倒したりとかそういう展開になかなか進まないんですよねぇ……」 駄目だこの腐女子……早くなんとかしないと…… 話が迷走しそうになってきたところで、あきれ顔の黒猫が口を開いた。 「とにかく――ここに来たって事は、デレノートを返す意思があるということよね、赤城さん?」 「うっ……それは……」 瀬菜は手提げカバンを持つ手にギュッと力を込めた。 あのカバンの中にデレノートが入っているのか……? 「……し、仕方ないですね」 瀬菜は立ち上がると、フーっと大きく息を吐き、黒猫をじっと見据えて言った。 「ノートは返しますよ――“五更瑠璃”さん」 そう言い放つ瀬菜の姿は、不思議と強気に見えた。 それに、今なにか違和感が…… 「“高坂京介”先輩と、“高坂桐乃”ちゃんにもご迷惑をおかけしました」 そう言うと、瀬菜はぺこりと頭を下げた。 その時、俺は違和感の理由に気づいた。瀬菜はなぜ俺達をわざわざフルネームで呼ぶのか……? 黒猫も何か感づいたようで、俺の方に目配せを送ってきた。 と、その時、出入り口のドアに視線を移すと、閉じていたはずのドアが僅かに開いていて、そこから何者かが室内を覗き込んでいた―― 「先輩、まずいわ!外に仲間を潜ませていたのよ!名前を書かれてしまう!」 ニヤリと笑う瀬菜―― 俺は慌ててソファーから立ち上がり、ドアへ向かって駆けた。 桐乃「デレノート……?」:560
https://w.atwiki.jp/chaken_archives/pages/520.html
youtubeで見る 主な登場人物 泉研 泉キャロン バリカン 女グレイ 垂れ乳ゾンビ ジュラル星人 あらすじ 野原で遊んでいたバリカンに、一体の女性型ロボットが話しかけてきた。「チャージマン研の相談役バリカン大先生」として「ロボット仲間の中で人気ナンバーワン」のバリカンに、研をロボットクラブに連れて来て欲しいというのだ。ロボットクラブとは、ロボット同士がチェスやダンスをたしなむ憩いの場だという。女性型ロボの魅力にメロメロになったバリカンは後日研とキャロンを連れて、渡された地図の場所へ。だが、そこにあったのはいかめしい門をもつ墓地だった。そこに姿を現した女性型ロボを追いかけた3人は、落とし穴にはまり棺が並ぶ地下の洞窟に落とされてしまう。女グレイの正体を現した女性型ロボの声を受けて棺から這い出るゾンビたち。 垂れ乳ゾンビが研を羽交い絞めにするなど健闘するも、洞窟を照らすランプの光を受けて変装したチャージマンの敵ではなかった。 ジュラル星人の正体を現したゾンビ一同も「正面から突進→アルファガン」の定番負け。その隙をついて女グレイがアルファガンを叩き落すが、こちらはビジュームベルトで倒された。 概要 研相手に2度のハニートラップ作戦を敢行したものの、いずれもバリカンの手によって失敗したジュラル星人が、バリカン本人をターゲットに3度目の正直をしかける、というチャー研にしては珍しいストーリーのつながりを感じさせる回。だが、わざわざゾンビに変身して棺の中で待機し、それっぽい小芝居までやるジュラル星人はやっぱり回りくどい。道のド真ん中に入り口の穴があったということは、地下洞窟もジュラル星人が掘ったのだろうか。だとすればチャージマン攻撃班が戦いやすいようにと設置した照明も、彼らが研を倒したあと地上に上がるために用意した階段も、全部研に逆手に取られてしまったのは皮肉なことだ。 ちなみに研は、人間相手にはチャージマンの武器を使わない主義を持っているが、垂れ乳ゾンビ相手には正体がジュラル星人だと断定できる前にアルファガンを発砲している。正当防衛なら躊躇はしないようだ。 なお研とバリカンは 「変なロボットには、気をつけろよ」 「あんまりべっぴんさんだったもんで、つい……」 などというやりとりをしているが、わずか2話後にはまた家族ぐるみで「べっぴんさん」に騙されかけている。学習しない一家である。
https://w.atwiki.jp/sentai-kaijin/pages/1077.html
「腕が上がらないのに、僕ちゃんお手上げ~ベル~…」 【名前】 ダンベルバンキ 【読み方】 だんべるばんき 【声】 岸祐二 【登場作品】 炎神戦隊ゴーオンジャー 【登場話】 GP-46「家出ボンパー」 【所属】 蛮機族ガイアーク 【分類】 害気目蛮機獣 【作製者】 害気大臣キタネイダス 【作製モデル】 ダンベル 【その他のモチーフ】 エキスパンダー 【口癖】 「~ベル」 【詳細】 キタネイダスが「ダンベル」をモデルとして製作した害気目蛮機獣。 両腕に特製の超巨大ダンベルを持ち、これを振り回しての攻撃を行う。 更に激しい運動を繰り返す事で身体を鍛えながら高濃度の有害二酸化炭素を吐きまくり、周囲を汚染する事ができるが、両手のダンベルが重すぎる為に両腕が上がらず、器用なウガッツR&Lにそれぞれの腕を担当させ、付属のリモコンで操作しなければならない。 街中で運動をしながら二酸化炭素を撒き散らしている最中、ゴーオンウイングスが駆け付ける。 途中で両腕を動かす役目のウガッツR Lが急に姿を眩ました為に撤退を余儀なくされ、見つかるまでの間に代わりとなる蛮機兵ウガッツを探したり、キタネイダスとケガレシアが動かそうとしたりするも失敗に終わる。 その後、キタネイダスとケガレシアに自分達の要求を飲ませる事で戦線に復帰したウガッツR Lのリモコン操作によって真の力を発揮する。 その力でゴーオンジャーとゴーオンウイングスをあと一歩まで追い詰めるが、連と早輝の説得で一同の元に駆け付けたボンパーにウガッツR Lを倒されてしまい、不利な状況になったところをスーパーハイウェイバスターとブースターフライトを同時に受け敗北。 その直後、ビックリウムエナジーによって産業革命を起こして巨大化する。 両腕が上がらない状況は変わらず、胸部からの超ダンベルミサイルで自暴自棄に応戦するが、ゴローダーGTに圧倒されると羽交い絞めにされ、最期はセイクウオーのセイクウインパルスを受け爆散した(上記の台詞はその際のもの)。 【余談】 作製モデルとなっている「ダンベル」は鉄棒の両端に重りを付け、身体を鍛える為の道具である。 本編において最後の害気目蛮機獣となった。 声を演じる岸氏は『激走戦隊カーレンジャー』でレッドレーサー/陣内恭介役として主演している。 前々作でも終盤に登場する怪人の声を演じ、更にシリーズ第25作目でも欠陥を抱えた怪人(所属組織の怪人も器物がモチーフになっている)の声を演じているが、こちらは最終的に解消されている。
https://w.atwiki.jp/legends/pages/536.html
≪夢の国≫の契約者の嬢ちゃんに連れてこられたそこは、どこか見慣れた風景ではあった。ただ、どう間違っても見覚えなどない機械がその空間内の大部分を埋めていたが。 「なんだこの機械?」 苦しんでいる嬢ちゃんを(心苦しいながら)羽交い絞めしたままで周囲を見回していると、 首のないミッ○ーにきっつい蹴りを食らった。 「っぐ!」 嬢ちゃんと共に床に転がるが途中で嬢ちゃんがすっぽ抜ける。 「ぐっ……く、」 顔を上げると黒いパレードが嬢ちゃんを守るように展開していた。くそ、下手したら今俺はあのパレードの中に取り込まれてたってことかよ。 周囲を見回した結論を出す。ここは割かしよく知っている場所で間違いない。ここは南区にある駅の地下だ。 「うわちゃ~、これは、」 もしここを乗っ取られたら電車利用する人間全員がそのまま餌食か? 「やっべ―」 そんな風にパレードを睨めつけつつ言っているとどこかから声が聞こえた。 ――まったく、うるさい小娘だ。のんびり寝てもいられん。 見ると機械の一つが動きだしていて、中から白い煙とともに老人が現れた。 「うるさい、が」 一瞥し、 「いい器だな。貴様もここに入るか?」 そう言って老人は部屋の奥を指差した。そこには何人かの女性がいて、 「これは」 「私の傍で侍ることになる姫たちだ」 元の姫たちは地下カジノに行ってしまってな。まあ、あそこも近いうちに取り込むが。と老人は言う。 ああ、つまり俺にあの爺の女になれ、と。 「お断りだね」 爺はまったく、これだから馬鹿はとかなんとか言いながら嬢ちゃんの傍まで歩いて行き、俺を嘲って言う。 「助けならば来んよ。ここは駅の地下であって駅の地下ではない場所だからな」 「黒服さんに聞いたぜ。東京とか名乗っといて千葉にあるっつー話を利用した異空間けーせー……だっけか?」 「知っているならばもう諦めて我が≪夢の国≫の住人となるか姫となるか決め――」 そこで俺のポケットから音がし始めた。それは、 ――――ジリリリリリリリリリリ! という、携帯が鳴る音で、 「出てみろよ」 嬢ちゃんに携帯を放る。彼女は苦痛に顔を歪めながら右腕を抑えていた手で携帯を拾い、開いた。 その瞬間通話がつながる。 『もしもし、わたしリカちゃん、今、≪夢の国の地下トンネル≫にいるの』 次の瞬間、Tさん、黒服さん、リカちゃんがいきなり目の前に現れた。 「こんばんは」 ≪夢の国≫と対峙したTさんは告げる。 「国落としに来たよ」 前ページ次ページ連載 - Tさん
https://w.atwiki.jp/2ch_otmegame/pages/415.html
昔板 幼い頃に家族ぐるみの付き合いをしていたが、海外転勤で音信不通に。 別れの直後に悲嘆のあまりに高熱をだした女向けゲは彼のことを忘れてしまった。 両親も姉も、また思い出して悲しんではと敢えて思い出させることはしなかった。 ある日、女向けゲ大人が新進舞台俳優となった昔板が出ている雑誌を持ち帰る。 姉「見て見て!これって昔板くんだよね!?」 女向け「昔板?誰?」 母「どれどれ、へえええー本当だ!懐かしいねぇ…こんなに出世して(ウルウル」 白弟「ふーん、ロンドンの演劇学校出?優秀なんだね」 黒弟「なんつーか、今どき流行らない顔じゃん?」 姉「ばかっ、正統派の二枚目なんだよ」 女向け「え、みんな知ってる人?」 母「…ああ、あんたは覚えてないかもね…兄妹みたいだったんだけどね」 姉「事務所の連絡先出てるからメールしてみようか!覚えてるかなぁ?」 父「ご両親、亡くなったらしいと噂で聞いたが…」 1週間後、夕飯時に突然訪ねてくる昔板。 団欒を塀から覗いているところを母にみつかりひきずりこまれる。 昔の話や今の話で盛り上がる中、話に入れずに疎外感をあじわう女向けゲ。 食事も終わり、お茶を飲んでいると昔板が話しかけてくる。 昔「僕のこと、忘れちゃった?女向けゲちゃん?」 姉「この子薄情なのよーあんなに昔板くん昔板くんって言ってたのに」 女向け「(なんで私だけ覚えてないの?変な感じ…) すみません、よく覚えてなくて」 昔「あ…もしかして、また僕が暗示かけちゃったのかも…」 女向け「え?暗示?」 昔「うん。さよならする日にあんまり女向けゲちゃんが泣いていたから、 『明日になったら僕のことはきれいに忘れて笑顔に戻れるよ』って 言ったんですよ、確か。 僕、暗示かけちゃいやすいタイプみたいでよくあるんですよ。」 姉「へー…、さすが役者…」 黒弟「姉ちゃんも単純細胞だからな…」 女向け「ちょ、人のことをミジンコみたいに…ひゃっ!何!?」 昔「ごめんね、ちょっとじっとしていて」 両手で女向けゲの顔を包み込むようにして囁く昔板。 昔「僕は約束どおりに女向けゲちゃんのこと忘れなかったよ。 もう泣いても大丈夫だから、僕のこと、思い出していいから…」 女向け「約束…?」 突然女向けゲの目から涙が溢れ、別れの日の記憶が蘇る。 女向け「昔板くん…?」 背後では萌え死ぬ女向けゲ大人と、白弟に羽交い絞めされながら 「何やってるんだぁぁぁぁ」と叫ぶ黒弟がいることは言うまでもない。 ※特殊能力(暗示)を悪用してナンデモアリなR15ルートも妄想したw