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505 ◆kuVWl/Rxus[sage saga] 投稿日:2011/04/27(水) 03 01 07.49 ID QM5VKM52o 今朝の電話で、黒猫にはおおまかな事情を話したけれど、俺は改めて桐乃の口から一通りの経緯を説明させた。 こういうのは、相談する本人から話をするものだからな。 桐乃から、他人をデレさせる力を持ったノートや、そのノートに触れることで姿を現すデレ神という 現実離れした話を聞かされても、黒猫があからさまに驚くことはなかった。 この辺の順応性は、さすがに邪鬼眼かつ厨二な電波系少女として、一日の長があるようだ。 と俺は妙な感心の仕方をしていた。 「デレノート……デレ神……」 黒猫は腕組みをして、その単語を噛み締めるように呟いている。 「――ということは、あのときの“ノート”という言葉はそういう意味だったのね」 「えっ、あのときのって……」 「あなたが掲示板に最後に書き込んだ言葉よ。“ノートを持っているか”と」 そう、それは黒猫がキラッ――つまり桐乃をおびき出すため、自作自演をしたときの書き込みのことだ。 それを聞いて、桐乃も思い出したらしい。 「あっ、そういえばそんなことを…… アンタ、あの書き込みを読んでたんだ?」 「ええ、読んでいたわ。というよりも、あなたが私にレスを返したきたからだけど」 「ん?レスを返した……?」 今度は桐乃が腕組みをして考え込むことになった。 そして一拍置いて、その言葉の意味を理解した桐乃は勢いよく立ち上がり、黒猫を指差して叫んだ。 「に、偽キラッ!? アンタが……!」 「そうよ、あの時キラッに成りすまして書き込んだのは私」 「あ、あ、あのレスで……あたしがどんだけ悩んだと思ってんのよ……っ!」 わなわなと肩を震わす桐乃に対し、黒猫は涼しい顔で返した。 「知らないわよ、そんなこと。むしろあのレスであなたのキラッ活動にブレーキを掛けることができたのなら、あなたは私に感謝するべきじゃなくて?」 「ぐぎぎ……」 桐乃は悔しそうに歯軋りをしている。 おいおい、あんまり露骨に悔しがられると、こっちが不安になっちまうじゃねーか。 「オイ桐乃、お前まさか、まだキラッに未練があるんじゃねぇだろうな?」 「無いってば!ただ、やり込められてたのがムカついただけ」 そう言うと桐乃は、プイッとそっぽを向いた。 そんなやり取りには付き合ってられないとばかりに、黒猫は話題を戻す。 「それよりも――デレ神とやらは……本当にここに居るの?」 俺にはなんとなく黒猫が言わんとすることが分かった。 現在、デレノートは桐乃の手元にない。となると、この非現実的な一連の話の証拠になり得るのは、いまこの部屋に居るという“デレ神”の存在だけ。 まずはそれを確認しないと、桐乃の相談には乗れないということだろう。 だが、桐乃はこともなげに答えた。 「あ、うん。いるよ。ホラ、あんたのすぐ後ろに立っ――」 そう桐乃が言い終わる前に、「ひぃっ!?」という小さな叫び声が発せられた。 今の声の発信源は…………黒猫? 桐乃は一瞬ぽかんとしていたが、すぐさま他人の弱みを握ったような、嫌らしい笑みを浮かべた。 「あれぇ~?もしやアンタ、リュークが怖いの? 普段は闇の世界がどうのこうの言ってんのに~?」 「莫迦にしないで頂戴。こ、怖くなんてないわ……」 そう言う黒猫の声はかすかに震えて聞こえた。 桐乃はというと、口に手を当てながら人を小馬鹿にするようにニヤニヤしている。 ハァ、お前らってホントそういうやり取り飽きないよな…… 「冗談よ、冗談。いまリュークはそこの机の椅子に座ってるよ」 俺と黒猫は同時に机へ視線を向けた。だが、もちろんなにも見えない。 「そ、そう……。疑うわけではないけれど、なにか証拠を見せてもらえないかしら?」 「うーん、証拠って言っても……」 桐乃は少し考えた後に、ポンと手を打った。 「あ、そうだ。ちょっとリューク、アンタそのノーパソでメモ帳を開いて、何か文字打ってみなさいよ」 そう言うと、ノートパソコンのモニタには、すぐさまメモ帳の白い画面が表示され、文字が少しずつ入力されていく―― 《リュークだ これでいいか?》 モニタに表示されたテキストを見て、再び俺はぞくりとした寒気を感じた。 昨夜も俺は、見えない何者かがエロゲをプレイしているところを実際にこの目で見たのだが、そのときはまだ現実味がなく、俺とは関わりのないところでの超常現象だと受け止めていた。 だけど、こうやってコミュニケーションを取ってこられると、否が応にもその存在を認めざるを得なくなり、自分が怪しげな世界に巻き込まれていることを無理矢理に実感させられてしまう。 俺が黒猫に視線を移すと、黒猫も強張った表情でモニタに釘付けになっていた。 だけど、そうやすやすとデレ神の存在を認めるつもりはないようだ。 「まだ……まだ証拠とはいえないわ。リモートデスクトップ機能を使ったトリックの可能性も……」 いつも闇世界だとか天使だとか悪魔だとか、現実離れした妄想の世界に生きている黒猫の反応としては意外だけど、現実世界の理<ことわり>の下に留まろうとする努力を、まだ諦めてはいないようだ。 こいつは案外リアリストなのかもしれない、と俺は思った。 ……まぁ、そんな黒猫の抵抗も、その後すぐに潰えることになっちまったけど。 「ああ、もう面倒くさい。リューク、ちょっとそれ持ち上げて見せてやってよ」 そう桐乃が言うや否や、室内で起こった超常現象に、俺は思わず声を出して驚いた。 おい、信じられるか? ――机の上のノートパソコンが空中にふわりと浮かんだんだぜ。 そんな俺の反応を見て、桐乃は得意げに胸を張っている。 「これで信じたでしょ?もういいよ、リューク」 桐乃の言葉に応じるように、ノートパソコンは静かに机の上に着地した。 それを見ていた黒猫は、青ざめた表情のままでしばらく固まっていたのだが、その硬直が解けると同時に勢いよく立ち上がった。 そして―― 「鬱欖檳檻樞歿汪搓槃榜棆棕椈楾楷欖棗梭樸檢殀……!」 「待て、落ち着け!ストーーップ!!」 突如怪しげな呪文を大声で唱え始めた黒猫を、俺は羽交い締めにして制止する。 こいつ、どんだけパニックになってんだよ…… 我に返った黒猫は、さっきまでより机から少し離れて座っている。やっぱりビビってやがったのか。 「ちょっとぉ~、悪霊祓いみたいな呪文唱えないでよ」 《ああ、失礼しちゃうぜ》 ……面倒くさいからお前らは黙っててくれ。 まだ青ざめてはいたが、黒猫はなんとか平静を取り戻すと、観念してこの状況を受け入れたようだ。 「分かったわ…… デレ神がそこに居るのは認めるわ……」 まぁ、目の前でポルターガイスト現象が起これば誰だってパニックになるわけで、実際俺も十分ビビってたんだけどさ。 黒猫はコホンと小さく咳払いをすると、桐乃に尋ねた。 「そのデレ神にいくつか聞きたいことがあるのだけど、……いいかしら?」 「ん?いいんじゃない? じゃあ、リュークはタイピングでね」 桐乃がノートパソコンの方に向かってそう言うと、また画面には少しずつ文字が表示されていった。 《ああ、わかった》 黒猫はいつものポーカーフェイスに戻り、デレ神へ質問を投げ掛ける。 ここからしばらく、黒猫とデレ神リュークとの間での質疑応答の時間となった。 「いま、デレノートがどこにあるのか、あなたには分かるのかしら?」 少し間をおいて、タイピングが始まる。 《いいや、俺にもわからない》 「じゃあ、いまデレノートを使ってる人間については何か分かるかしら?」 《それも俺にはわからないな》 「もしノートを取り返したとして、そのノートをどう処分したらいいのか教えて頂戴」 《所有者が所有権を失えば、俺がノートを回収して人間界を去る。ただそれだけだ》 この所有権というのが俺にはよく分からないのだけど、昨日桐乃から聞いた話によると、奪われはしたもののデレノートの所有権とやらはまだ桐乃にあるらしい。 デレ神が桐乃の元から離れないのはそういう理由なんだとか。 「……あなたは今回の件以外にも、過去に人間界にデレノートを持ち込んだことがあるのかしら?」 《ああ、いままでにも何度か、人間にノートを与えたことがあるな》 「ふうん……」 黒猫はそこで一旦やり取りを停めて考え込んだ。 俺と桐乃は、そんな黒猫の様子を静かに見守っている。 「……その割に、今回のようなデレ騒動は、これまで噂レベルでさえ聞いたことがないわ。おかしな話よね? 他のケースでの顛末はどうだったのか、聞かせてもらえるかしら?」 《それは》 デレ神はそこまで入力したところでタイピングを止めていたが、すぐに別の文を打ち直した。 《なかなか痛いところを突いてきたな。お前のような聞き方をしてきた奴は初めてだ》 「フッ、お褒めに与り光栄よ」 黒猫は髪をかき上げ得意顔を見せる。 傍からやり取りを見てる俺には、質問の意図も、何が痛いところなのかも分からないのだけど…… デレ神はまたゆっくりとタイピングした。 《シラけるから言わないでいたが、ノートの所有権を失うと、それまでに書いたノートの内容はすべて無効になる》 《さらに、デレノートによってデレていた者達の、デレに基づく行動の記憶はすべて消去される》 《過去のデレノートのことが人間界で知られていなかったのはそういう訳だ》 すると、そこで桐乃が割って入った。 「ちょっと、ちょっとリューク!!なによその後付け感たっぷりの設定はっ!?前にあたしが聞いたとき、デレを取り消す方法はないって言ってたじゃん!」 《あれは個別に取り消すことはできないという意味だ。嘘は言ってない》 どうやらこのデレ神、かなりの食わせ物のようだ…… まだ文句を言いたそうな桐乃を制して、黒猫は言った。 「とにかく、ノートを取り返しさえすれば、丸く収まるって訳ね」 確かにその通りだ。 特に、すでにデレ状態に陥った人達が正気に戻れる可能性があるっていう光明が見つかったのはデカい。 後はいかにして取り返すか……だよなぁ…… 「だけど、どこの誰が持っているのかも分からないノートを、どうやって取り返すんだよ」 「私に考えがあるわ」 「……また俺に忍び込めって言うんじゃねえだろうな?」 妹の部屋への侵入ならバレても半殺しぐらいで済みそうだが、よその家に不法侵入するのはシャレになんねーぞ? ってなことを考えていると、俺の言葉に桐乃が反応した。 「ん? “また”忍び込む……って?」 「どああああ! な、なんでもないっ!気にすんな!」 あ、あぶねぇ……バレるところだった! いや、実際は未遂なんだから、俺が後ろめたさを感じる必要はないんだけどさ…… 「大丈夫よ。今度は先輩の手を借りることはないわ。私が一人でノート奪還の段取りをつけるから」 「おいおい、一人でって……」 「私に任せて頂戴――明日で、すべてのケリをつけてみせるわ」 って、明日だと!? ずいぶん急な……いや、もちろん悠長に構えている暇はないんだけど…… 「ってことは、お前にはもう犯人が誰なのか判ってるんだな?」 「ええ、それは今日話を聞いて確信したわ。……そして、ノートを奪う作戦も」 いつの間にやら、黒猫の瞳は紅く染まっていた。 「アンタ、犯人が分かってるなら教えなさいよ。あたしだって捕まえてとっちめてやりたいんだからさ」 そういう桐乃に対し、黒猫はハァとため息をついた。 「あなたに教えたらぶち壊しにされそうだから言えないわ。 それに、犯人のことやノートを奪う手段を今バラしてしまうと、抜け駆けされる恐れもあるから……」 「……抜け駆けってどういう意味よ?」 「あなたが抜け駆けしてノートを取り返して、私や先輩を排除した上でキラッに返り咲く可能性もあるということ。私はまだあなたのことを信用していないのだから」 黒猫は冷たく言い放つと、今度は俺をじっと見据えた。 「……悪いけど、先輩にもまだ話せないわ。結果オーライだったとはいえ、先の作戦を豪快にしくじった先輩に、今の時点でネタ晴らしするのは色々と危険だから」 クッ……その点を責められると、俺にはグウの音も出せない。 俺が口篭っていると、桐乃が反論した。 「そんなこと言ったら、アンタだってノートを独り占めして、第三のキラッになるかもしれないじゃん!」 桐乃にしてはなかなか鋭い指摘だったが、黒猫は、引っ込んでなさい、とばかりに、「ふん」と鼻を鳴らした。 「何を言い出すのかと思えば……もしそうだとしたら、今あなた達にこんなことをわざわざ話す訳ないでしょう?私がキラッになろうとしているのなら、一人で密かにノートを手に入れるわ」 あっさりと論破され、桐乃も俺と同じく何も言い返せない状態に。 そんな俺たち兄妹を見て、黒猫は言った。 「……勘違いさせたかもしれないけど、私一人でやるのはあくまで下準備だけ。明日、犯人と会うときには、あなたたち兄妹にも来てもらうわ。犯人を含め、私やあなたたち兄妹、――デレノートの秘密を知ってしまった全員の目の前でノートをデレ神に突き返して、この事件を終わらせるのよ」 そう宣言する黒猫の気迫に圧され、俺も桐乃も無言で何度も頷くしかなかった。 ふとパソコンのモニタに視線をやると、デレ神がなにやらタイピングをしている。 《ククク、面白くなってきたじゃないか》 翌日、俺は桐乃と二人で秋葉原を訪れていた―― 別に兄妹で仲良くアニメショップ巡りとか、そういうことじゃない。 昨晩、黒猫からのメールで“決戦の場所”として指定されたのがアキバだったんだ。 俺達は目的の建物へと入り、エレベーターで三階へ。 入り口で受付を済ませると、細長い通路の奥の部屋へと案内された。 そう、ここは以前に沙織主催のパーティで借りたあのレンタルルームだ。 あの時、散々な目に遭わされた上に、仕舞いにカッコ悪く泣いちまった俺にとっちゃあ、ここは忌々しい場所だ…… ドアを開けると、中にはゴスロリ姿の黒猫が足を組み、頬杖をついてソファに座っていた。 「よう、来たぜ」 「……待っていたわ、二人とも」 黒猫は相変わらずの不遜な態度で俺たちを迎えた。 部屋に入り、中を見渡すが、まだ黒猫の他には誰も居ないようだ。 「なぁ、……桐乃からノートを奪った奴も、今日ここに来るんだよな?」 「そうよ、昨夜私が話をつけたから。もうすぐその人物が、ここにデレノートを持ってやってくるわ」 デレノートを持ってやってくるって……昨日の今日で、そんな簡単に事が進むものか? そもそも話をつけるっつっても、相手がホイホイと応じるわけがないと思うんだが…… 俺と同じく怪訝な表情をしていた桐乃が口を開いた。 「アンタさぁ、話をつけたって……一体どうやったのよ?」 そんな桐乃の言葉に、黒猫はこともなげに答えた。 「簡単なことよ。だってノートを奪う方法は昨日教えてもらったじゃない」 「ノートを奪う方法?……昨日?」 そこまで聞いて、俺はようやくピンときた。どうやら桐乃も気づいたようだ。 「あっ……もしかして……」 「そう、あなたがノートを奪われたときのやり方を、私が同じようにやっただけよ」 桐乃がノートを奪われたときのやり方……つまり、ボイスチェンジャーを使って電話を掛けて、例の掲示板に名前をバラすぞと脅迫したってことかよ。 そう言われりゃ、その方法はすでに実績もあるわけだし、確実といえば確実かもしれない。 やられたことをただやり返すだけ―― 黒猫のノート奪還プランは、呆れるほどシンプルなものだった。 だけど、その方法はノートの持ち主が誰なのかが分かっていないと使えない。 痺れを切らした俺は黒猫に問い掛けた。 「なぁ、そろそろ誰なのか教えてくれてもいいだろ?」 だが、黒猫はこちらに視線を向けず、真正面を睨むように見つめていた。 聞こえなかったのか?と、もう一度問い掛けようとした俺だったが、黒猫がそれを制す。 「待って、先輩――どうやらおいでなすったようよ」 黒猫はじっと部屋の出入り口のドアを凝視していた。 俺と桐乃も、黒猫の視線を追って、出入り口へと視線をやる。 すると、ドアは半開きの状態で止まっていた。 俺達の今の位置からはドアの向こうは見えないが、正面に座っている黒猫には見えているようだ。 「どうぞ、中に入って」 黒猫はドアの向こうの人物に呼び掛けたが、ドアは半開きのまま動かない。 「……言っておくけど、電話を掛けたのが私だと判ったからといって、今から逃げ出したとしても無駄よ。このままあなたがドアを閉めたら、私は即座に掲示板にあなたの名前を書き込むわ」 そう言う黒猫の右手には、携帯が握られていた。 「――それに、こちらには海外留学経験もある中学陸上の選手が居るから、どんなに頑張って逃げても、まず逃げ切れないでしょうね」 その言葉に、半開きのドアが一瞬ビクッと動いた。 そして、黒猫の言葉に退路を断たれ観念したのか、ゆっくりとドアが開く。 いよいよお出ましか――ごくり、と、俺と桐乃は同時に生唾を飲んだ。 その人物は、うつむき加減に部屋に入り、後ろ手にドアを閉めた。 「あの電話は……五更さんだったんですね……」 恨めしそうに呟いたその人物は、黒猫のクラスメイトで、俺にとってゲー研の後輩でもある――赤城瀬菜だった。 「あ、赤城!?」 「せなちー!?」 俺も桐乃も驚いた。驚いたのだけど―― 冷静になって考えてみると、これは「ああ、なるほど」と、実に喉越し爽やかに腑に落ちる結果だった。 うちの学校でホモカップルを大量生産する女……ううむ、嫌になるぐらい合点がいくぜ…… 「それにしても、何でお前がノートのことを……?」 そう尋ねたが、瀬菜はうつむいたまま何も話さない。 代わりに横から黒猫が答えた。 「どうやら私と先輩が部室で話していたのを盗み聞きしたようね。昨日いきさつを聞いたとき、電話の主の話した内容があまりにも私達の会話の内容と同じだったから、そのことから、ゲー研の部室に来そうな人物――赤城さんだと気づくことができたの」 あの日、部室の扉越しに見えた人影は、俺の気のせいじゃなかったってことか…… ということは、俺があのとき黒猫にそのことを話していれば、もしかすると少しは展開が変わってたのかもしれない。 ……そう思ったけど、今更掘り起こして黒猫に責められるのは御免なので、余計なことは言わないでおこう。 部屋の隅にいた桐乃は、瀬菜に近づいて声をかけた。 「せなちー……どうしてあたしからノートを奪ったの……?」 「桐乃ちゃん、それは……って、えええええええ!?な、何それ!!??」 突如大声をあげた瀬菜は、桐乃の方に指差したままガクガクと身を震わせ、恐怖に慄いている。 ――いや、正確には桐乃の隣、誰も居ない空間を指差している。 「あ、そっか。せなちーにはリュークの姿が見ているんだ」 「リューク……?」 「そう、最初にデレノートをあたしに与えたデレ神。ノートに触れた人間にしか見えないの」 「いやあああああ!怪物!!近寄らないでえええ!!」 瀬菜は床にへたり込んだ体勢で、桐乃から後ずさりをしている。 なるほど、デレノートに触れた瀬菜にはデレ神の姿が見えているってことか。 デレ神が見えない俺や黒猫からすれば、まるっきりコントのようなやり取りなんだけど…… でも、これはつまり、瀬菜がデレノートを奪ったというダメ押しの証拠になるわけだ。 桐乃からデレ神について聞き、実際にデレ神と一言二言話した瀬菜は少し落ち着きを取り戻したようで、ソファーに座ってぜえぜえと呼吸を整えている。 「まったく、お前って奴は……やたらめったら手当たり次第にホモカップル作って……何考えてんだよ」 ため息混じりに俺がボヤくと、その言葉に瀬菜が反応した。 「手当たり次第なんかじゃありませんッ!!」 うおっ!!いきなりデカい声出すなよ! 俺の何気ない一言がこいつの癇に障ったのか、瀬菜は肩をいからせて反論し始めた。 「一応言っときますけど、あたしなりの緻密な考察の元にカップルを作らせていただきましたからっ!そこは譲れません」 「……緻密な考察って何だよ?」 「攻め・受けの二極化をベースに、文科系の男子と体育会系の男子や、クラス内で内向的な男子、社交的な男子という具合にリストアップし、属性の異なる同士を、通学ルートや学内行事などでなるべく接点のある組み合わせをチョイスしてカプ化を――」 「……わ、分かった、もういいぞ」 うむ、こいつの脳が腐ってることが改めてよ~く分かった。 黒猫が今日決着をつけると言ったときは、性急過ぎるんじゃないかと思ったものだけど、こんな危険なBL職人を放置するなんてとんでもないことだったな……。 「ちなみに高坂先輩は“受け属性”として分類していました」 「うおおおい!!おっかねぇことをシレっと言うんじゃねぇ!」 「でも、せっかく攻め×受けで組ませてカップルを作っても、みんな健全にいちゃつく程度で、押し倒したりとかそういう展開になかなか進まないんですよねぇ……」 駄目だこの腐女子……早くなんとかしないと…… 話が迷走しそうになってきたところで、あきれ顔の黒猫が口を開いた。 「とにかく――ここに来たって事は、デレノートを返す意思があるということよね、赤城さん?」 「うっ……それは……」 瀬菜は手提げカバンを持つ手にギュッと力を込めた。 あのカバンの中にデレノートが入っているのか……? 「……し、仕方ないですね」 瀬菜は立ち上がると、フーっと大きく息を吐き、黒猫をじっと見据えて言った。 「ノートは返しますよ――“五更瑠璃”さん」 そう言い放つ瀬菜の姿は、不思議と強気に見えた。 それに、今なにか違和感が…… 「“高坂京介”先輩と、“高坂桐乃”ちゃんにもご迷惑をおかけしました」 そう言うと、瀬菜はぺこりと頭を下げた。 その時、俺は違和感の理由に気づいた。瀬菜はなぜ俺達をわざわざフルネームで呼ぶのか……? 黒猫も何か感づいたようで、俺の方に目配せを送ってきた。 と、その時、出入り口のドアに視線を移すと、閉じていたはずのドアが僅かに開いていて、そこから何者かが室内を覗き込んでいた―― 「先輩、まずいわ!外に仲間を潜ませていたのよ!名前を書かれてしまう!」 ニヤリと笑う瀬菜―― 俺は慌ててソファーから立ち上がり、ドアへ向かって駆けた。 桐乃「デレノート……?」:560
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「修正依頼」が出ています。『3D ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌』の評価点・問題点・総評を追記できる方はご協力をお願いします。 ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌 【べあなっくるつー しとうへのれくいえむ】 ジャンル ベルトスクロールアクション 対応機種 メガドライブ メディア 16MbitROMカートリッジ 発売元 セガ・エンタープライゼス 開発元 エインシャントシャウトデザインワークスH.I.C.M.N.M.ソフトウェア 発売日 1993年1月14日 定価 7,800円(税別) プレイ人数 1~2人 判定 良作 ベア・ナックルシリーズI / II / III / IV ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌 概略 シナリオ キャラクター 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 3D ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌 概要(3D) 概略 『ベア・ナックル 怒りの鉄拳』の続編。いわゆるベルトスクロールアクションゲームで、プレイヤーキャラの使用できる技がかなり多いことなどが特徴的。 『ファイナルファイト』の亜流とよく言われがちだが、『ゴールデンアックス』などのセガ製ベルトスクロールに、『ファイナルファイト』のメガクラッシュなどや対戦格闘ゲームのエッセンスを加えたものであり、単なる模倣からは脱却している。 ただ体力ゲージのレイアウトがファイナルファイトと同じになりキャラも大型化したことから、見た目はかなりファイナルファイトに近くなった。さらに打撃音にサンプリング音声を多用しているのも共通する。 なおメガCD版『ファイナルファイトCD』が発売されたのは、本作発売のわずか三ヶ月後である。評価についてはリンク先を参照。 ゲーム性は亜流とはいえないほどかなりの変更が加えられ、ROM容量が前作に比べ4倍に増えたこともあってか大幅にパワーアップしている。 16Mbitというのは当時では破格のROM容量だが、これは製作したエインシャント側がどうしてもゲーム内容を削りたくないので容量を増やしてくれとセガに直談判した結果である。 この容量で定価7,800円というのも結構破格ではないだろうか? SFCの『ファイナルファイト2』は容量10Mbitで9,000円である。 シナリオ アダム(*1)が拉致され、アクセルとブレイズへ倒したはずの悪の組織のボスMr.Xより『救いたければ私の元まで来い』とのメッセージが届く。アクセルの親友のマックス、アダムの弟のサミーを加え、アクセル達はアダム救出とMr.Xを再び倒すため、その本拠地へと向かう。しかしその先にはMr.Xが配置した多数の手下たちがいた…。 キャラクター プレイヤーキャラは以下の4人から選ぶ。 アクセル:バランス型 前作から続投。 リーチは武器含めイマイチだが、技が素早くコンボしやすい。ダッシュ攻撃のグランドアッパーが反則的に強力。 ブレイズ:バランス型 前作から続投だが、服装はボディコン風に変わった。 打撃技のリーチや判定、投げや武器の使いやすさなどに優れ、技も主用途とする面で優れるため、使い分ければかなり強い。2人同時プレイ時のフォロー役としても優秀。 さらに跳び蹴りはパンチラサービスあり(国内版限定)。 マックス:パワー型 新キャラでアクセルの親友のプロレスラー。 唯一敵を掴んだままジャンプして専用の投げを出せる。かなり強力な投げ技を持ち、投げを含めたコンボの威力は超絶。 そしてベアナックルシリーズの「パワーキャラは次回作で消える」ジンクスに則り、次回作では消えてしまった。当時の専門誌などでネタにされなかった分、ある意味アダムより不幸。 サミー:スピード型 新キャラでアダムの弟。 見た目通り子供なため非力でリーチも無いが、ローラースケートを履いていて移動速度が速く、移動しながらの攻撃も使いやすい。唯一ダッシュ(左右への高速移動)可能。 サミーの名前は開発初期は「サミー」だったのが途中で「エディ」に変わり、やっぱり「サミー」に戻すと二転三転している。海外版では「スケート」という名前になっている。 敵側の主要キャラ。 シバ:漆黒の空手着ともカンフー装束とも取れる衣装を着たMr.Xのボディガード。アダムを拉致した実行犯。 プレイヤーキャラとほぼ同等の技を持ち、特にグランドアッパーに似て更に滑走が長い「ファイナルクラッシュ」が脅威。更にガードしたり受け身不可の投げを使う強敵。 Mr.X:敵のボス。 悪人なのは当然として、ザコを大量発生させながら、そのザコごとプレイヤーをマシンガンで掃射する非情な外道。Mr.X自体は体力があるだけで強く無いが、大量のザコが妨害してくる。そしてそのザコを相手していると、Mr.Xに撃たれる…というパターンに。 その他 アダム:前作のプレイヤーキャラ。本作では拉致されたためエンディングで登場するのみ。 ちなみにアダムをリストラしたのは本作でキャラデザを担当した古代彩乃(古代祐三の実妹)である。ちゃんとセガの了解は取ったとのこと。 評価点 格闘ゲームのテイスト導入による、かなり豊富な展開&技と操作性の高さ 打撃連打で出る自動コンボ、自動コンボなどからの掴み→打撃→投げ、ダウンさせやすい飛び蹴りなど標準装備は勿論、ダメージ多めの投げと敵を巻き込みやすい投げ、背後攻撃、溜め攻撃、掴み状態からの裏周り、後ろ掴みからの投げなどがある。ダウンさせないジャンプ攻撃もあり、格闘ゲーム風の飛び込み→コンボ→つかみ→打撃→投げという流れも可能。 前前+攻撃のダッシュ攻撃、前+必殺の大ダメージを出せる必殺技もあり、コンボに組み込んだり隙に叩き込んだり奇襲したり。 防御的な技では、判定が強い垂直ジャンプ攻撃、後ろに攻撃する背後攻撃の他、投げられた際にダメージをゼロにできる受け身がある。いわゆるメガクラッシュもあり、消費体力はゲージの13分の1と軽く、敵に当たらなければ体力消費しない。この消費体力は最弱の敵の攻撃と同等と、食らうくらいなら使った方がマシになっている。加えて豊富に肉(体力全快アイテム)・りんご(回復アイテム)が出るため気楽に使える。しかもダメージが結構高い。(その代わりか、前作にあった羽交い締め返しや援護攻撃は無い)。 キャンセルが、ダッシュ攻撃・必殺技・メガクラッシュで可能。これは自動コンボ3段目キャンセルダッシュ攻撃などコンボに組み込むだけでなく、敵の攻撃による怯みをキャンセルしてメガクラッシュで反撃なども可能で、これも爽快感と操作性の高さを支えている。 前作より大きくなったキャラも好評。おまけ程度だが対戦モードもあり、格闘ゲームのテイストを上手く導入している。 意図的に低くおさえられた難易度による爽快感 ノーマルなら割りと好きに敵を殴って倒せる。当然だが爽快感満点。流石に後半のボスや最終面付近ではそれなりに殺しにくるが、それまでに貯めた残機があればゴリ押しでも何とか乗り切れる。それでもボス戦がキビシイならばメガクラッシュ連発+肉でも倒せたり。 他にもボス戦の場所に必ず肉があったり、回復アイテムが2人プレイ時はきっちり2コセットで出てきたり、タイマーはあるがタイムアップになることはまず無かったり、1面で3UPできたりなど、メガドラらしからぬ親切設計。 この辺りは、アーケードゲームのインカム対策としてのプレイ時間縛りから開放された、家庭用専用の強みといえよう。『キャプテンコマンドー』や『アンダーカバーコップス』などが難易度やキャラ選択の幅などの点で凡作化した点を見ると、大きなメリットである。 パンチハメは振り向きが要らずワンクッション入れればいいだけなので簡単にできる。だがそもそもする必要性が無く、面白みも味わえないので、やる人はまずいないだろう。 イージーでもクリアできない人には隠しではあるがベリーイージーも用意されている。ベリーイージーだと敵の体力ゲージがノーマルの半分になり攻撃もかなり緩くなる。さらに残機を9人設定にできるのコンティニューを併用すればまずクリアできるだろう。ママチャリ並のスピードで快走するバイク集団は見ものである。 良好なサウンド 前作同様、古代祐三によるハウスミュージックテイストの曲に加え、ハードコアテクノテイストな曲もあるなど前作以上にバラエティに富んだものとなっている。今作ではゲームギアの『The GG忍Ⅱ』にも参加した川島基宏氏も楽曲制作に加わっている。 本作の楽曲制作に於いて古代氏はインタビューの中で「当時のテクノやハウスの流行に合わせた新しい音を取り入れた」旨を述べている。 重く痛そうな効果音、敵の断末魔の声なども好評。パイプで殴ってスカーン!などはクセになりそうな爽快感。 「グランドアッパー!」「コークスクリューキック!」など必殺技の呼称ボイスもあり。 飽きにくいステージと展開 ハシゴはないし段差もない、穴もない。縦に近いスクロールな場所はあるが、基本は横に進むだけである。しかし敵の配置やシチュエーションが豊富で飽きさせない。むしろ穴などは無くて正解と思えるだろう(*2)。 高速道路ではバイクが滑走して轢き殺しにくるし、工場内では爆弾を投げ込まれる。球場のマウンドは地下闘技場へのエレベーター。海賊船では忍者と戦ったり。 ザコ敵も武器を持ってくると全く違う攻撃になったり、種類はそう多くないがパターンや動きが豊富で飽きさせない。 ジェットエンジンで空を飛ぶボスや鉄球付きのウサギ型(?)ロボット、果ては悪魔のようなモンスター(*3)など、堅実な作りだった前作と比較するとセガらしいぶっ飛んだセンスが光る敵も多い。 技術的にはラスタースクロールと縦分割スクロールを併用した背景の回転処理をしれっと行っていたりする。 単純な水増しではない高難易度モード 敵の体力・攻撃力・数を安直に増やしただけ、というゲームは多いが、本作では高難易度にしてもこれらはそれほど増えない。では何をして難しくなるかというと、敵が攻撃してくるまでの猶予が短くなる。 甘い飛び込みをするとザコにすらカウンターされたり、するっと近寄られて即攻撃されたり、前後を挟まれ高速袋叩きになったりする。よって、間合いの把握、無敵時間の利用、コンボ中に他の敵が迫ったら手早く終わらせるなど、技と展開の豊富さを活かした適切な状況判断が重要になってくる。 ハーデストで物足りない人には隠しではあるがマニアレベルも用意されている。マニアレベルは出現するザコ敵の数が増えている上に、敵の体力ゲージと移動速度がノーマルの倍になっているので、効率よく敵を倒さないと袋叩きであっという間にやられてしまう。 賛否両論点 キャラ間の格差が大きい アクセルはグランドアッパーを連発するだけでほぼ全てOK。ブレイズは技や武器を使い分ければかなり強い。マックスは投げられないと辛い。サミーは何やってもダメージが奪えない、とキャラ格差が極端。 アクセルは、ダッシュ攻撃のグランドアッパーが超強判定・リーチあり・対地対空両用・大ダメージ・隙ほぼ無しと凄まじい性能を誇る。『ストII』的に表せば「ガードしても1Fしか反撃する隙がない昇竜裂破の1段目が無消費で連発できる。更に小技からコンボするのも楽に可能」という具合なので敵の絶望が図れるだろう。しかもほとんどの敵はガードできない。 必殺技・メガクラッシュもグランドアッパーの前には霞んでいる。 あえてグランドアッパーを封印すればマックス程度の性能なので、そういうプレイもありだが。 ブレイズは、長物武器を持てばリーチを活かすように振り、ナイフを持てば複数回ヒットさせて非力を補充。飛び蹴りは横に強く、垂直ジャンプ攻撃は迎撃に強く、後ろへの投げは敵を巻き込みやすい、と技がその目的に適した性能で使いやすい。更に打撃技全般がリーチあり・判定強い・攻撃力そこそこ高め。技の長所短所を理解し適切に使い分ければ強い上に汎用性も素晴らしい。 背後攻撃の後掃脚は前方にも判定があり前後の敵を一斉ダウンさせるメガクラッシュ相応の性能がある。しかも使ってもライフが減らない。 ダッシュ攻撃の飛翔双斬もグランドアッパーよりは使い勝手が劣るが、当てればグランドアッパーと同じだけの体力を削ることができる。 マックスは投げが強い。しかし打撃技は体格に反してダメージがブレイズと同等程度。それでいて判定やリーチが弱く使いにくいので、ボスや中ボスなど投げを持っていたり投げにくい敵には苦戦する。刀・鉄パイプの長物武器は振りかぶった後ろにも判定が付くので持てばかなり強いが、そうなると投げに行きにくくなるし、武器はシーンを超えて持ち込めない。 とはいえ、敵に重なっての打撃コンボや必殺技のサンダータックルを根本から当てるなどで大ダメージを出せたり、ゲージ1.7本程奪えるコンボがあったり、投げにくいボスにはザコを投げつけたりなど、工夫のしがいと高火力が出せるだけサミーよりかなりマシ。 横移動は普通に歩くよりもスライディングの方が速い。 サミーは本当に非力。敵の体力がとにかく減らないため、少し被弾しにくい点を差し引いても辛すぎる。リーチもないので攻撃に行ったが返り討ち、ということも頻発。スピードが速いという特徴も敵から逃げるゲームではないのでいまいち活かせない。 非力とリーチを補うため武器を使おうとすると、ナイフ以外は武器に振り回される始末。しかしナイフでは決定力不足。 見どころとしては「高速で突撃するダッシュ攻撃」「高ダメージの後方攻撃」「ゲージ1本奪えるコンボ」などがあるが、それぞれ「ダメージが少ない」「判定が弱く間合い調整が難しい」「コンボ入り口の飛び込みが反撃されやすく、シメの背後掴みからの投げは長時間動けない」と欠点も大きい。 敵が多くなると、反撃・カットされやすさと攻撃力の無さが増幅され、更に始末が進まなくなるという悪循環に陥りやすい。メガクラッシュの高さとリーチがなく、空中の敵に当たらなかったり間合い外から攻撃されたりするのも地味に厳しい。 これも慣れたプレイヤーと本作初めての友人などが同時プレイしやすい面もあるので、一概に悪いとも言えない。それにしてもグランドアッパー連発は安直。 タイマーが殆ど意味を成していない 元々はアーケードでの長時間プレイ防止目的で導入されたシステムと思われるが、コンシューマーの本作では頻繁に99にリセットされることからボス戦を除いてタイムアップが殆ど発生しない。 流石に無意味と判断されたか『ベア・ナックルIII』ではタイマーが廃止された。 問題点 多くのステージで前作シチュエーションの使い回しが目立つ。 本作は容量が増えた関係でステージの描き込みも濃密になった一方、ステージに関しては1面のスタート地点は前作1面と瓜二つな繁華街だったり、2面の高速道路も前作4面と同じくそっくりだったりと、前作とほとんど同じシチュエーションが目立つ上、4面ボスのアバデデやラスボスのMr.X等極一部の敵キャラクターも前作の物から使い回されている為、前作経験者は既視感を覚えやすい。 体力MAX時の回復アイテム取得によるスコアボーナス無し 他の多くのベルトアクションは体力MAX時に回復アイテムを取得するとアイテムの種類によってボーナス点を獲得する事が出来るが、本作では何故か得点が入らず体力MAX時の回復アイテム取得自体が完全に無駄な行為になってしまっている。 その為か、ノーダメージで画面内の敵を全滅させた後に回復アイテムを取得しボーナスを得るというスコア稼ぎが出来ない上、ある程度上達したプレイヤーが敵の攻撃がまだ緩い状態の低次面をプレーした場合は回復アイテムをほぼ全てスルーしてしまうというあり得ない事象も当たり前のように起こる可能性がある。 これはまあそういうものだ、と考えれば全く気にする必要もない話だが。 オプションでキーコンフィグが変えられない。 前作には用意されていたのに今作だけ何故か項目がない。続編の『III』には当然ある。(*4) 面白さを理解するハードルが、ベルトスクロールとしては微妙にある 前述のようにこのゲームの面白さの肝は、多種多様な技の性能と展開を理解して駆使する・駆使できることにある(そういった意味でも対戦格闘チック)。故に他ベルトスクロールのように「敵が来そうなところにジャブを蒔き、当たったらワンセット入れる」「同じ技を繰り返す」みたいな遊び方では、普通のゲームにしかならない。 どの技も使えるが、低難易度なら使うのが必須でもない調整は素晴らしい。だがそれだけに必要性を感じる機会のないまま、普通のゲームという感想で終わる人もいなくはない。 そういった意味では、アクセルのグランドアッパーも初心者・無知識者救済の意味合いが高い。 総評 適度な難易度、良好な操作性、良いサウンド、そして爽快感が揃い、シリーズで最高と押す声が多い。 ベルトスクロールアクションがしたいけど、難しかったりすぐやられるのはちょっと…という層にも、パターン化なんかクソ食らえ、アドリブ満載でガシガシ戦いたい人にも、やりこみたい人にもオススメできる傑作。 事実、VCなどでベアナックルシリーズが出る際も、最初のリリースは『I』ではなく本作から(*5)となってたり、シリーズで唯一収録されていたりする、セガとメガドラを代表するソフトのひとつである。 余談 2021年10月26日に『セガ メガドライブ for Nintendo Switch Online』初期収録作品の一つとして配信された。 ゲームギア版も1993年7月23日に発売されている。容量の都合によりマックスおよび一部の敵キャラやステージは削除されているが、ストーリーはメガドライブ版と同様に「アダムの救出」である上にメガドライブ版にはいないオリジナルの敵キャラも登場する。海外ではマスターシステム版も発売されている。 実は海外ではアーケードに移植されていたりする。海外のみ流通した『Sega Mega Play』(*6)という基板に専用のカートリッジ(*7)が備わっており、内容はジェネシス版と同様。同基板では今作の他に『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』『CRYING ~亜生命戦争~』『ガンスターヒーローズ』もアーケードに移植されている。 ちなみに海外版はブレイズのパンチラキックとMr.Xの葉巻がオミットされている。他にもサミーの名前が「SKATE」に変更されている。 海外では日本以上に人気があり、専用のWikiがあったり、敵キャラをプレイヤーキャラとして使えるハック版が出回っていたり、Windowsで動く「Streets of Rage Remake」が作られていたりする。 本作の発売に合わせてブレイズのコスプレをした葉月レイナが気功掌で大男を吹っ飛ばすCMが放送された。 初期デザインのマックスはバンダナを巻いておりハルク・ホーガンにそっくりだったが、セガ・オブ・アメリカからケチがついて変更させられた。 3D ベア・ナックルII 死闘への鎮魂歌 【すりーでぃー べあなっくるつー しとうへのれくいえむ】 対応機種 ニンテンドー3DS(ニンテンドー3DSダウンロードソフト) imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 メディア ダウンロード専売ソフト 発売元 セガゲームス 開発元 M2 発売日 2015年4月28日 定価 823円(税込) プレイ人数 1~2人(ローカルプレイ対応) 判定 良作 セガ3D復刻プロジェクトシリーズリンク 概要(3D) セガ3Dプロジェクト配信タイトル。 新たに『カルテットモード』『ノックダウンモード』『一撃必殺モード』を搭載。 『カルテットモード』は最初に四人いるプレイヤーキャラ全員の登場する順番を選び、プレイヤーキャラが1人やられるたびに事前に選択した順番で次のキャラクターに切り替わるという形式。異なる技と性能を持つ四人が代わる代わる出てくることによって、一人プレイ時により単調さを感じさせにくくしている。 『ノックダウンモード』は相撲のように「敵を地面にダウンさせた時点でその敵をやっつけたことになる」というモード(プレイヤーキャラは通常通り)。連続技を当ててからフィニッシュ技で吹き飛ばして倒すこともできるし、面倒なら跳び蹴りや投げ技で一撃KOすることもできる。厳密にはシステムは異なるが、技の選択によってコンボを決めたり一撃で倒したりできるという意味では『星のカービィ スーパーデラックス』のザコ戦に近い感覚、というと分かりやすい人もいるかもしれない。 並み居る敵たちをどんどん倒せるのは爽快だが、ステージの最後に待ち構えるボス敵までザコ同様簡単に倒せるのは面白みを削ぐという意見もある。「屈強なボス敵まであっさり撃破」というシチュエーションにギャグ的な面白さを見出せる人ならいいのだが… 『一撃必殺モード』は文字通り、全ての敵を「一回攻撃を決めるだけ」で倒せるモード。最初から選べる『カルテットモード』『ノックダウンモード』と異なり、クリア後に解禁される隠し要素となっている。 開発元曰く、「一撃で倒せてしまってはこのゲームの"多数存在する技やコンボを楽しむ"要素を損ねてしまうということで、『ノックダウンモード』を搭載し、『一撃必殺モード』はクリア後の隠しオプションにしたらしい。 なお、『一撃必殺モード』は、前作の3D復刻版にも存在し、向こうでは最初から選択可能だった。 3D立体視はしっかりキャラクターの前後位置を感じ取れるようなものになっていて、プレイしやすさにも貢献している。 通常の「ゲーム内の世界が3D立体視化された」クリアな画面表示がされるモードに加え、メガドライブをブラウン管テレビに接続したときのような「にじみ」と「赤みがかった色」と「ブラウン管テレビの丸み」を再現したモードもある(この場合3D立体視はテレビ画面の丸みを表現するのに使われ、ゲーム内の世界は2D表示される)。「丸み」「にじみ」「赤み」をそれぞれ別個に設定することは出来ない。 基本は完全移植だが、ボタンカスタマイズや音源バランスなど、シリーズ特有の充実オプションは健在。エミュレーションによる完全再現の難しい古代祐三氏によるMD音源のBGMも、同開発元が過去に手がけたWii版やXbox 360版より再現度が向上している。
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44話「嬉しさ噛み締める」 「うっひゃー過激~。気持ち良さそう…エヘへ」 ニヤケ顔をしながら私が見ているのは狐獣人の女性のみを扱ったエロ本。 内容はあんまり詳しくは言えないけど、どれもこれも興奮モノ。いいねぇ。 ああこれこれ、うひゃあ~~これはもう実況不可能でしょ~うへぇ~~やりたいな~。 もちろん章高の奴をこんなプレイで干からびさせたいねぇ。 今私――費覧がいるのはエリアE-4にあるエロ本屋。 実を言うと最初、スタート地点から始まって最初の一人を殺してからほとんど移動してない。 まあ何故かって言うとこのエロ本屋を見付けてしまったからなんだけども。 店員なんている訳無いしビニールの包装破いて見放題なのは良い。 暗いからちょっと読みにくいけどそこは我慢。 私はこの殺し合い、乗る気でいる。 殺し自体は全然平気だしね。見た目はピチピチの狐娘だけど、伊達ににひゃ、ゲフンゲフン! ……伊達に長生きはしてない。殺してきた動物、人の数は少なくとも100を超える。 知り合いかつ私の玩具、章高も参加している。 もし見つけたらとっ捕まえて誰にも邪魔されない場所でたっぷり性的な意味で弄んでから、食い殺してあげよう。 章高の恐怖に引き攣る顔が目に浮かぶなあ。ウフフ。 そして、最後には私をいきなり殺し合いなんかに連れて来たあのセイファートも殺すつもり。 見た感じ結構イイ身体してたから、やっぱりたっぷり弄んでから残酷に、惨たらしく、殺す。 さてと、気に入ったエロ本をデイパックの中に入れまして…そろそろ獲物探しに本格的に動く事にしますか。 今私が持っている武器は自分の支給武器、ルガーP08と鹵獲したコルトM1917。 ルガーの方が装弾数が多いから、ルガーの方を主力にしよう。 少し装弾方法が面倒だけど、添付の説明書を熟読して何とか理解した。 M1917はリボルバーだから説明書見るまでも無いね。 「ふう、それにしても…治りが悪いなあ」 私の自慢の乳房、身体。だけど…左側の乳房とお腹に、銃で撃たれた穴が空いている。 もう血は止まったけど、おかしいなあ、いつもなら早く治癒するはずなんだけど、何だか治りが遅い。 ……主催者が何か仕掛けてるんだろうなきっと。 となれば余り無茶な行為は避けるべきね。普段みたいにわざと猟師に撃たれて不意討ち、みたいな戦法も、 この状況では難しいかな。はあ、面倒ね……。 さて…荷物をまとめてそろそろ出るとしようかな。 「はい止まって」 「いっ…?」 出た瞬間、学生服姿の茶髪セミロングの女の子と鉢合わせになった。 女の子も銃を持っていて、私の姿を確認した瞬間、構えようとしたけど、 私が女の子の頭に向けてルガーを構える方が早かった。 女の子は私を睨み付けているけども、見動きは取れないよね。 「何か言い残す事ある?」 「……出会い頭に銃を向けて、開口一番それですかそうですか」 「今から死ぬんだよ? 怖く無い?」 「……とりあえず、私は北沢樹里。アンタは? 狐さん」 あら、何故に自己紹介? まあ、いいか。名前ぐらいは名乗ってあげよう。 「私は費覧。見ての通り可愛い狐娘ちゃんです」 「自分で可愛いとか言うな」 「うっさいわね。いいでしょ別に、じゃあ、そう言う事で、何か言い残す事あるー?」 「……」 次の瞬間、樹里と名乗った女の子は私の胴体に強烈なタックルを食らわせてきた。 「ぐえ!?」 衝撃で思わずルガーを空に向けて発砲し、私は後ろへ大きく吹き飛ばされた。 そしてエロ本屋のガラス扉に盛大に突っ込む。 派手な音を立ててガラスが割れ、そして。 ザクッ 「ぎゃっ、いっ、たあああ……」 ガラス片で首筋を、頸動脈を思い切り、掻き切ってしまった。 生温かい血液が私の首筋からどんどん流れ落ち、たちまち私の黄色と白の毛皮に覆われた身体は血塗れ、 床にも大きな血溜まりが広がる。 妖狐である私は死ぬ事は無い、けど、一気に大量の血が無くなって頭がクラクラする。 「アンタ、よくもっ……あれ?」 首を押さえながら樹里の方を向いた――けど、そこにはもう誰もいなかった。 だけどよく見れば、西の方角に猛スピードで走り去っていく人影が。 「は、早………」 凄い俊足……あの子、陸上部かマラソン選手か何か? いや、そんな事はこの際どうでも、いいか……それより、ああ、やばい、意識が飛びそう。 しばらく、動けそうに無いな、これ……ああもう、あの小娘めええ! 今度……会ったら………絶対…………こ………ろ………………。 ………………。 ◆◆◆ 「ハァ……ハァ……ハァ……」 久々に走ったから…ちょっと、体力が落ちてるし、足も鈍ってるかな。 でも……でも……。 「嬉しい…本当に…また、走れるようになったんだ」 前回の殺し合いで愛餓夫の奴に奪われた私の足。 もう県大に出れない、いや、両親のようなプロの選手にもなれないって、 絶望して、心の底から絶望して――。 でも、今、こうして走れるようになった。なったんだ……! 「……ぐすっ……」 改めて走れるという事を実感した私の目から涙が溢れる。 正に嬉し涙って奴ね…でも、まだ泣くのは早い。 制服の裾で涙を拭い、走って来た道を振り向く。追ってくる影は見当たらない。 さっき、突然狐族の女(何故全裸だったのかは気にはなったけど聞かなかった)と遭遇して、 おまけに拳銃を頭に向けられた時は表面上は出来るだけ冷静を装っていたけど、 内心ではかなり焦ったわ。 でも何とか隙を突いて費覧と名乗った狐女に思い切りタックル食らわせて何だかいかがわしい店のガラス戸にぶち込んでやった。 そして費覧がガラス片で首を切って大量出血して呻いているその隙に、全力疾走で逃げてきた訳。 どうなったかな費覧、死んでるならいいけど、何だか、死んで無いような気がするのは何故…? 【一日目/黎明/E-4市街地】 【費覧@オリキャラ】 [状態]:頸動脈断裂、失血、仮死状態、胸と腹に貫通銃創(治癒中)、返り血(中) [装備]:ルガーP08(2/8) [所持品]:基本支給品一式、ルガーP08の予備マガジン(5)、コルトM1917(1/6)、 45ACPリムド弾(30)、 エロ本(5冊、調達品) [思考・行動]: 0:(仮死状態) [備考]: ※仮死状態です。見た目には死んでいるようにしか見えませんが、 死亡扱いにはなりません。また、いつ頃目覚めるのかは不明です。 【一日目/黎明/E-4とE-3の境界線付近】 【北沢樹里@自作キャラでバトルロワイアル】 [状態]:肉体的疲労(中) [装備]:カーマインエッジ@オリジナル(8/14) [所持品]:基本支給品一式、カーマインエッジの予備マガジン(5)、 二十六年式拳銃@SIREN(4/6)、ルミーア・ホワイトのデイパック [思考・行動]: 0:殺し合いに乗り、優勝を目指す。 1:回収したデイパックの中身の確認をしたい。 2:クラスメイトとは出来れば会いたくは無い。 3:足、元に戻って嬉しいな。 [備考]: ※本編死亡後からの参戦です。 ※E-4一帯に銃声が響きました。 BACK 病院/3時33分33秒 時系列順 NEXT ぱらいぞうにまうづ BACK 病院/3時33分33秒 投下順 NEXT ぱらいぞうにまうづ BACK 妖艶淫狐降臨ノ巻 費覧 NEXT 二人の悪女狐、その行動 BACK 修羅道を駆ける少女 北沢樹里 NEXT さあそろそろ本気を出そうか
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チェーンリボルバー解説始動技5D (下段)6D 4D (中段)2D JD 中継技5A 6A 5B (中段)6B 5C 6C 5D・6D・2D・4D 締め技【弐式 ブルームトリガー】 236D 【伍式 アサルトスルー】 214D 【参式 スプリングレイド】 28D その他情報5D割り込み一覧 着地即出し中継技・着地即出し締め技(低空Dすかし)仕組み 着地即出し中継技 着地即出し締め技 したらばノエルスレよりコピペ チェーンリボルバー解説 ノエルのドライブ技。 チェーンリボルバー始動技を出した後(ヒット・ガード不要)、中継技(4回まで)と締め技の 2系統の技を出す事ができる。 同じ技を連続して出すことは不可。 中継技は通常の必殺技か専用の必殺技(締め技)でキャンセル可能。 JDは発生前に着地すると属性が付与され、いきなり中継技、締め技を出せるようになる。 始動技 5D 上半身無敵の状態で移動後に射撃。 相手の中段連携をかわしつつ攻撃できる。 この一部の技をすかしながら攻撃できるというのはノエルを使う上で非常に重要なので、 使える場面を覚えておこう。 (下段)6D 前方に移動してからの足払い。 bold(){下段判定。} ヒット時はダウンでなく浮かし効果。ブルコンなどで追撃可能。 4D 後方に下がり、前方に火柱のような攻撃を置く。 下がる距離はおよそ1キャラ分ほど。 主な利用法としては無敵技や突進技のスカし→反撃など。 (中段)2D 反転ジャンプしながら銃でなぎ払う。下段無敵かつ2ヒットする bold(){中段技。} 下段技をすべてすかせるのが重要なポイントで、相手の下段牽制や暴れを読んで潰せる。 あんまりブンブン振り回すのはリスクの点からも、周りの冷たい視線的な意味からもお勧めできない。 JD 真下への射撃。ガードを崩す連携の一つ。対空ずらしとしても有効な技。 空中での着地間際に入力するだけでチェーンリボルバー属性が付き、着地後に中継技と絞め技を出せる。 非常な便利なテクなので覚えておこう。 中継技 5A その場ですばやく射撃攻撃。 繋ぎとして使用。 6A 一歩踏み込んでから両手ですばやく射撃。繋ぎに使用。 5B 前方に連続ヒットする蹴りを繰り出す。 ヒット後に距離が開く。ガードされても距離を離せるのでそれなりに安全。 (中段)6B 踏みこんでの踵落とし。単発だが、 bold(){中段判定。} 発生が早いのにモーションが見切りにくいため、近距離での崩しとして使える。 生チェーンで出せば初見で見切られることはめったにないと思われる。 5C 踏み込んでの射撃。相手がかなり怯むため、追撃が狙える。 6C 間を開けて回転させる多段飛び道具(9hit)で攻撃。(銃を放り投げている?) ガードさせてヒートゲージ上昇。戻ってくる時に相手を引き寄せる? 5D・6D・2D・4D それぞれ始動技と同性能のため省略。 締め技 【弐式 ブルームトリガー】 236D 移動後前方射撃。連続技の締めに。 ガードされても不利にならないっぽいが、直ガされると反撃を食らう。 【伍式 アサルトスルー】 214D 前方へ大きく移動し、相手をくぐり抜けて裏側に回って攻撃。 威力こそ高めだが、読まれると隙が大きいので反撃を食らいやすい。ヒット確認が重要。 【参式 スプリングレイド】 28D 出始め無敵の打ち上げサマーソルト。連続技の締めに。 相手を大きく打ち上げるため、中央では距離によっては追撃可。ガードされたら反確。 その他情報 5D割り込み一覧 ラグナ:6B、ヘルズファング、カーネージシザー ノエル:6A、チェーンドライブ中のほとんどの技 ジン:氷翔剣 レイチェル:6B テイガー:5D タオカカ:6B、B版必殺ネコ魔球! アラクネ:不明 ライチ:不明 カルル:不明 バング:不明 着地即出し中継技・着地即出し締め技(低空Dすかし) 本来はチェーンリボルバー始動技のあとにしか出せない中継技や締め技を、 JDを仕込む(入力するが出さない)ことにより着地時に始動技なしでそのまま出すテクニック。 当然、空中でJDを出した後にもそのまま出すことが可能。 仕組み JDを入力するとチェーンリボルバー動作中のフラグが立ち、チェーンリボルバー動作中の扱いになる。 しかしJDを着地でキャンセルすることでJD自体の攻撃はキャンセル出来るが、属性はそのまま残るという 状態になる。 よって、着地後にチェーンリボルバー動作中限定の攻撃が出せる模様。 着地即出し中継技 着地間際に「出したい中継技のレバー入力のみ」+Dを入力。 次にレバー入力を維持したまま「出したい中継技のボタン入力」で中継技の入力を完成させてから着地。 (着地間際のJD入力(出ないように)から「出したい中継技のレバー+ボタン入力」をして着地でもOK) 例:着地間際に空中6D (レバー入力したまま)6C 着地。中継技の6Cが出せる。 着地即出し締め技 着地間際に空中で出したい締め技のコマンドを完成させて着地。 または着地間際のJD入力(出ないように)から「出したい締め技のレバー+ボタン入力」をして着地。 レバー入力とDボタンを入力したままだと、絞め技ではなく始動技が出てしまう模様。 例:236Dの場合6Dを入れっぱなしにしていると、6Dの始動技が出る。 よって、入力する際はレバーもボタンもフリーにしておくと良い。 要は始動技の入力が完成しなければいいので、ボタンだけフリーでいいかも。 例:着地間際に空中236D→着地(着地時入力フリー) 28Dは入力が早いと二段ジャンプになりやすく、遅らせると着地に間に合いにくい模様。 先にJ2D入力(JDの攻撃モーションだけは出さない)でチェーンリボルバーフラグを立て、それから着地間際 に8Dを入力すると良いかも。 着地28Dが出せるのは確定だが、安定させる方法は未確定。要注意。 「着地してからコマンド完成」では駄目。 したらばノエルスレよりコピペ 最低空すかしDで236Dを出したいとする。 着地際に236Dを入れると着地して始動無しでいきなり236Dが出てくれる優れもの。 この際236DのDの部分は着地前に入れることを気をつけること。もちろんすれすれで。 次に最低空すかしDで6C(チェーンの方)を出したいとする。 この時は着地際に6DC(DとCは同時押し)を押せばでる。 JCなどからつなぎたい時はかならずJCなどをhitまたはガードさせること。そうしないと違う技が出る。
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チェーンリボルバー解説始動技5D (下段)6D 4D 2D JD J4D 中継技5A 6A 5B (中段)6B 5C 6C 5D・6D・2D・4D 締め技【弐式 ブルームトリガー】 236D 【伍式 アサルトスルー】 214D 【参式 スプリングレイド】 623D その他情報同技補正について 5D割り込み一覧 着地即出し中継技・着地即出し締め技(低空Dすかし)仕組み 着地即出し中継技 着地即出し締め技 したらばノエルスレよりコピペ チェーンリボルバー解説 ノエルのドライブ技。 チェーンリボルバー始動技を出した後(ヒット・ガード不問)、中継技(4回まで)と締め技の 2系統の技を出す事ができる。 同じ技を連続して出すことは不可。 中継技は通常の必殺技か専用の必殺技(締め技)でキャンセル可能。 JDは発生前に着地すると属性が付与され、いきなり中継技、締め技を出せるようになる。 始動技 5D 動作途中に頭体無敵を持つ。 CSと比べて発生が遅くなったため、使いにくくなった。 (下段)6D 前方に移動してからの足払い。 ヒット時はダウンでなく浮かし効果。 4D フェイタルカウンター対応技。 発生から無敵で後方に下がり、前方に火柱のような攻撃を置く。 下がる距離はおよそ1キャラ分ほど。 主な利用法としては無敵技や突進技のスカし→反撃など。 2D 反転ジャンプしながら銃でなぎ払う。下段無敵かつ2ヒット。 下段技をすべてすかせるのが重要なポイントで、相手の下段牽制や暴れを読んで潰せる。 状況に応じて頭体無敵の5Dや、膝上無敵の4Dなどを使い分ける。 CS2では下段をややすかしにくくなった。めくりやすさは変わらず。 JD 真下への射撃。ガードを崩す連携の一つ。 対空ずらしとしても有効な技だが、ガードされると不利。 空中での着地間際に入力するだけでチェーンリボルバー属性が付き、着地後に中継技と絞め技を出せる。 非常な便利なテクなので覚えておこう。 J4D フェイタルカウンター対応技。 ガードプライマー削り技。 前方へ移動し着地してから後方足下を射撃する高速めくり下段となった。 中継技 5A その場ですばやく射撃攻撃。 繋ぎとして使用。 6A 一歩踏み込んでから両手ですばやく射撃。繋ぎに使用。 5B 前方に連続ヒットする蹴りを繰り出す。 ヒット時に距離が開きにくくなった。 (中段)6B 踏みこんでの踵落とし。 単発だが、発生が早いのにモーションが見切りにくいため、近距離での崩しとして使える。 生チェーンで出せば初見で見切られることはめったにないと思われる。 5C 踏み込んでの射撃。 発生が早く、密着なら6Cが繋がるようになった。 6C ガードプライマー削り技。 間を開けて回転させる多段飛び道具(9hit)で攻撃。 ガードさせてヒートゲージ上昇。戻ってくる時に相手を引き寄せる。 5D・6D・2D・4D それぞれ始動技とほぼ同性能。5Dは発生が早い。 しかし、中継技としての4Dはフェイタルカウンター対応技でない。 締め技 【弐式 ブルームトリガー】 236D 移動後前方射撃。連続技の締めに。 近距離でガードされると不利。 【伍式 アサルトスルー】 214D ガードプライマー削り技。 動作途中無敵。前方へ大きく移動し、相手をくぐり抜けて裏側に回って攻撃。 威力こそ高めだが、読まれると隙が大きいので反撃を食らいやすい。RCとセットで。 【参式 スプリングレイド】 623D ガードプライマー削り技。 空中ガード不可のサマーソルト。 相手を大きく打ち上げる。画面端付近で追撃可。ガードされたら反確。 サマーソルトだが無敵は無い。 その他情報 同技補正について チェーンリボルバー中の技をコンボ中に2回以上組み込むと補正がかかり、それ以降のダメージが激減する。 そのため、アドリブでコンボを決める際にはなるべく同じ技を組み込まないようにすると良い。 アサルトスルーは例外。 5D割り込み一覧 着地即出し中継技・着地即出し締め技(低空Dすかし) 本来はチェーンリボルバー始動技のあとにしか出せない中継技や締め技を、 JDを仕込む(入力するが出さない)ことにより着地時に始動技なしでそのまま出すテクニック。 当然、空中でJDを出した後にもそのまま出すことが可能。 仕組み JDを入力するとチェーンリボルバー動作中のフラグが立ち、チェーンリボルバー動作中の扱いになる。 しかしJDを着地でキャンセルすることでJD自体の攻撃はキャンセル出来るが、属性はそのまま残るという 状態になる。 よって、着地後にチェーンリボルバー動作中限定の攻撃が出せる模様。 着地即出し中継技 着地間際に「出したい中継技のレバー入力のみ」+Dを入力。 次にレバー入力を維持したまま「出したい中継技のボタン入力」で中継技の入力を完成させてから着地。 (着地間際のJD入力(出ないように)から「出したい中継技のレバー+ボタン入力」をして着地でもOK) 例:着地間際に空中6D (レバー入力したまま)6C 着地。中継技の6Cが出せる。 着地即出し締め技 着地間際に空中で出したい締め技のコマンドを完成させて着地。 または着地間際のJD入力(出ないように)から「出したい締め技のレバー+ボタン入力」をして着地。 レバー入力とDボタンを入力したままだと、絞め技ではなく始動技が出てしまう模様。 例:236Dの場合6Dを入れっぱなしにしていると、6Dの始動技が出る。 よって、入力する際はレバーもボタンもフリーにしておくと良い。 要は始動技の入力が完成しなければいいので、ボタンだけフリーでいいかも。 例:着地間際に空中236D→着地(着地時入力フリー) 623Dは入力が早いと二段ジャンプになりやすく、遅らせると着地に間に合いにくい模様。 先にJ2D入力(JDの攻撃モーションだけは出さない)でチェーンリボルバーフラグを立て、それから着地間際 に8Dを入力すると良いかも。 着地623Dが出せるのは確定だが、安定させる方法は未確定。要注意。 着地してからコマンド完成ではダメ。 したらばノエルスレよりコピペ 最低空すかしDで236Dを出したいとする。 着地際に236Dを入れると着地して始動無しでいきなり236Dが出てくれる優れもの。 この際236DのDの部分は着地前に入れることを気をつけること。もちろんすれすれで。 次に最低空すかしDで6C(チェーンの方)を出したいとする。 この時は着地際に6DC(DとCは同時押し)を押せばでる。 JCなどからつなぎたい時はかならずJCなどをhitまたはガードさせること。そうしないと違う技が出る。
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≪夢の国≫の契約者の嬢ちゃんに連れてこられたそこは、どこか見慣れた風景ではあった。ただ、どう間違っても見覚えなどない機械がその空間内の大部分を埋めていたが。 「なんだこの機械?」 苦しんでいる嬢ちゃんを(心苦しいながら)羽交い絞めしたままで周囲を見回していると、 首のないミッ○ーにきっつい蹴りを食らった。 「っぐ!」 嬢ちゃんと共に床に転がるが途中で嬢ちゃんがすっぽ抜ける。 「ぐっ……く、」 顔を上げると黒いパレードが嬢ちゃんを守るように展開していた。くそ、下手したら今俺はあのパレードの中に取り込まれてたってことかよ。 周囲を見回した結論を出す。ここは割かしよく知っている場所で間違いない。ここは南区にある駅の地下だ。 「うわちゃ~、これは、」 もしここを乗っ取られたら電車利用する人間全員がそのまま餌食か? 「やっべ―」 そんな風にパレードを睨めつけつつ言っているとどこかから声が聞こえた。 ――まったく、うるさい小娘だ。のんびり寝てもいられん。 見ると機械の一つが動きだしていて、中から白い煙とともに老人が現れた。 「うるさい、が」 一瞥し、 「いい器だな。貴様もここに入るか?」 そう言って老人は部屋の奥を指差した。そこには何人かの女性がいて、 「これは」 「私の傍で侍ることになる姫たちだ」 元の姫たちは地下カジノに行ってしまってな。まあ、あそこも近いうちに取り込むが。と老人は言う。 ああ、つまり俺にあの爺の女になれ、と。 「お断りだね」 爺はまったく、これだから馬鹿はとかなんとか言いながら嬢ちゃんの傍まで歩いて行き、俺を嘲って言う。 「助けならば来んよ。ここは駅の地下であって駅の地下ではない場所だからな」 「黒服さんに聞いたぜ。東京とか名乗っといて千葉にあるっつー話を利用した異空間けーせー……だっけか?」 「知っているならばもう諦めて我が≪夢の国≫の住人となるか姫となるか決め――」 そこで俺のポケットから音がし始めた。それは、 ――――ジリリリリリリリリリリ! という、携帯が鳴る音で、 「出てみろよ」 嬢ちゃんに携帯を放る。彼女は苦痛に顔を歪めながら右腕を抑えていた手で携帯を拾い、開いた。 その瞬間通話がつながる。 『もしもし、わたしリカちゃん、今、≪夢の国の地下トンネル≫にいるの』 次の瞬間、Tさん、黒服さん、リカちゃんがいきなり目の前に現れた。 「こんばんは」 ≪夢の国≫と対峙したTさんは告げる。 「国落としに来たよ」 前ページ次ページ連載 - Tさん
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昔板 幼い頃に家族ぐるみの付き合いをしていたが、海外転勤で音信不通に。 別れの直後に悲嘆のあまりに高熱をだした女向けゲは彼のことを忘れてしまった。 両親も姉も、また思い出して悲しんではと敢えて思い出させることはしなかった。 ある日、女向けゲ大人が新進舞台俳優となった昔板が出ている雑誌を持ち帰る。 姉「見て見て!これって昔板くんだよね!?」 女向け「昔板?誰?」 母「どれどれ、へえええー本当だ!懐かしいねぇ…こんなに出世して(ウルウル」 白弟「ふーん、ロンドンの演劇学校出?優秀なんだね」 黒弟「なんつーか、今どき流行らない顔じゃん?」 姉「ばかっ、正統派の二枚目なんだよ」 女向け「え、みんな知ってる人?」 母「…ああ、あんたは覚えてないかもね…兄妹みたいだったんだけどね」 姉「事務所の連絡先出てるからメールしてみようか!覚えてるかなぁ?」 父「ご両親、亡くなったらしいと噂で聞いたが…」 1週間後、夕飯時に突然訪ねてくる昔板。 団欒を塀から覗いているところを母にみつかりひきずりこまれる。 昔の話や今の話で盛り上がる中、話に入れずに疎外感をあじわう女向けゲ。 食事も終わり、お茶を飲んでいると昔板が話しかけてくる。 昔「僕のこと、忘れちゃった?女向けゲちゃん?」 姉「この子薄情なのよーあんなに昔板くん昔板くんって言ってたのに」 女向け「(なんで私だけ覚えてないの?変な感じ…) すみません、よく覚えてなくて」 昔「あ…もしかして、また僕が暗示かけちゃったのかも…」 女向け「え?暗示?」 昔「うん。さよならする日にあんまり女向けゲちゃんが泣いていたから、 『明日になったら僕のことはきれいに忘れて笑顔に戻れるよ』って 言ったんですよ、確か。 僕、暗示かけちゃいやすいタイプみたいでよくあるんですよ。」 姉「へー…、さすが役者…」 黒弟「姉ちゃんも単純細胞だからな…」 女向け「ちょ、人のことをミジンコみたいに…ひゃっ!何!?」 昔「ごめんね、ちょっとじっとしていて」 両手で女向けゲの顔を包み込むようにして囁く昔板。 昔「僕は約束どおりに女向けゲちゃんのこと忘れなかったよ。 もう泣いても大丈夫だから、僕のこと、思い出していいから…」 女向け「約束…?」 突然女向けゲの目から涙が溢れ、別れの日の記憶が蘇る。 女向け「昔板くん…?」 背後では萌え死ぬ女向けゲ大人と、白弟に羽交い絞めされながら 「何やってるんだぁぁぁぁ」と叫ぶ黒弟がいることは言うまでもない。 ※特殊能力(暗示)を悪用してナンデモアリなR15ルートも妄想したw
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341 :名無しさん@ピンキー:2014/03/27(木) 01 25 35.00 ID nnF6QNMd 陵辱モノ追撃します。 深海棲艦の拷問による摩耶様の闇堕ち。 触手・陵辱・微レズというキワモノなので苦手な方はご注意。 もし連投規制に引っ掛かったら気長にお待ち下さい。 342 :341:2014/03/27(木) 01 28 51.40 ID nnF6QNMd 右腕。左の足首。胸先。そして―― あちこちがずきずきと痛む気だるい身体の感覚に、ふと艦娘『摩耶』は目を醒ました。 (ここは…) ぼんやりと周囲を見渡す。幽かな青い燐光に照らされた荒野。不気味なほどの静けさ。 呼吸は出来る。頭上には空の代わりに、圧倒的な質量の海水。奇妙な空間。――深海。 (そうか。アタシは沈んじまったんだ) 他の気配が無い以外、状況は一切変わっていない。 限界を超えた快楽に、失禁しながら気を失ったあの瞬間から。 蒼くて深い、孤独な海の底。 両腕は赤子の手首ほどの太さの動かぬ触手に頭上に縛り上げられ、全裸の身体はごつごつとした岩に腰掛ける形で、両脚は大きく開かされたまま―― 塗り付けられた黒っぽい謎の粘液にひりつく性器、感じて感じて感じ過ぎて壊れてしまったのか充血したままの花芯までもを外気と燐光に晒されたまま隠すこともできず、まるで堅固な鎖を思わせる硬質の触手で手足を海底に絡め取られている。 撃沈のときから二日か三日か、ここで性的な玩具にされ始めてからの正確な時間の感覚はもはやない。 装備と衣服を剥ぎ取られ手足を拘束され、抗うことも死ぬことも許されず。 たった一人で異形に囲まれ弄ばれる恐怖の叫びも、肉体をなぞる無数の触手とざらつく舌から与えられた快楽に喉が嗄れるほど放ち続けた喘ぎ声も甘ったるい悲鳴も、昏い水底に飲み込まれていった。 死ねない、狂えない、兵器の強靭さと若い娘の性感の両方を持って生まれた我が身の不幸を呪わずにはいられない――ここはまさに地の底ならぬ、海底に用意された獄。 拘束する触手に多少のスキがないかと、無駄と知りつつぶらぶらと手足を揺らしていたとき。 摩耶は視線の先に違和感を認めた。暗い海の底から沸き上がるようにゆらゆらとした、空間の瞬き。 (…また来やがったか) やがてそれは、二つの異形の人型を結ぶ。 完全に実体を得た、自分を見下ろす二対の冷たい眼には、昨日の奴らとは違う感情が浮かんでいるようだ、と摩耶はぼんやりと思う。 ――コノモノセイキヨウナリテ、イマダゼツボウニソメルニアタワズ。 沈没直後の自分を拘束しその触手で散々に嬲った、鎮守府が『深海棲艦・ヲ級』と呼ぶ異形を纏った青灰色の少女が抑揚のない声を発すると、 応えるかのようにもう一人の娘――先が巨大な怪物の顔となった尾を持ち、対照的に小さな体躯を黒衣に包んだ見覚えのない個体――が、微かに笑いながら口を開いた。 ――テキカンニモサマザマアリテ、ママワレラノ"ヨリシロ"タルウツワモアルヤモシレズ。 その言葉は辛うじて理解できるが、内容は摩耶には良く理解できない。 「新しいお友達かよ…何度も言わせんな」 久しぶりに出した声。ざらざらと掠れてはいるが、まだ役目を果たせないほど壊れてはいない。 「アタシは味方に砲を向ける位なら、ここでお前らのオモチャになって狂って死ぬ方がマシだ」 二隻の深海棲艦を睨み付ける。 いつまで正気でいられるかは分からないが、せめて最期まで抵抗したい。 そんな空虚なプライドから放たれたタンカが、わずかながら自分を勇気づけるのを感じて摩耶は少しだけ嬉しさを感じる。 「…アタシはこんなもんじゃ全然満足してねぇぞ。今日は多少はテクを見せてくれんだろうな?」 ――そうだ。これでこそ、アタシだ。 ――ハンノウヲミタイ。サイドノホキユウヲモトム。 ――リヨウカイシタ。ホキユウヲカイシス。 新型の言葉に呼応したヲ級から伸びた灰色の触手が、摩耶の身体に巻き付いてゆく。 「あっ……あっ……」 反射的に、恐怖が摩耶の表情を彩る。 首筋に到達した二本の触手が、動脈のあたりを撫で始めた。 生命の急所を責められても拒否も抵抗もできない、するすると首に巻き付く巨大な恐怖に摩耶は知らず身体をすくませる。 どういう理屈なのかその状況で固く勃ち始めた摩耶の乳首を狙うように、別の触手が震える乳房に巻き付いた。 「くあぁぁぁぁぁッ…」 ぬめった感触が、まるで刺激を望むかのように淫らに色づいた右乳首をかすめた瞬間、電流のような快楽が摩耶を襲った。 触手を覆うぬめりに薬物のような作用があるのか、異様に感じやすくなっている自分の身体が恐ろしい。 「うあっ、あっ、はっ、…畜生…ッ!」 左右の乳首を容赦なく擦るように、触手が乳房をやわやわと揉み潰しながら這いずる。たったそれだけの刺激で目に涙が浮かび、達してしまいそうになる。 ばさばさになった髪を激しく揺らし抵抗を示しながらも、摩耶の肉体は更に感じやすく昂り、女陰は意志に関係なく『出来上がって』ゆく。 「くそ…胸に…触るな…!」 そこへ一本の触手が獲物のにおいを見つけ出したかのように、柔らかな太ももに巻き付きはじめ、上を目指して―― 「…やめろ…やめろぉ…そこは………ッ!!」 性器にぐいぐいと押し付けられる、おぞましい感覚。しかし必死に払い落とそうとするも両手は封じられて動かず、ただかすかに身体を揺らせるのみ。 「うあっ!?」 唐突に両足首を物凄い力で触手に釣り上げ開かされ、摩耶の秘所が上を向いてぱっくりとぬめる口をあけた。 あられもない格好に頬を深紅に染めた摩耶が何かを言う前に、露わになった秘裂の奥を目掛けて、ずぶずぶと触手が入口から胎内に沈んでゆく。 「あぁぁぁぁんッ!やだっ!やだあぁぁッ!やめてえぇぇぇッ!」 気を張っていた摩耶の何かが限界に達し、少女のような悲鳴が、喉を反らした屈辱的な嬌声が高く甘く海底に響き渡る。 「あっ、はっ、うあぁっ!」 最奥に達した触手が波打つように蠢きはじめると、摩耶の身体がそのたびに与えられる苦痛と快楽に震え、跳ね上がる。 更に容赦のないヲ級のもう一本が、異物を挿入され張り裂けそうな秘唇の上でてらてらと淫らに光る敏感な核を、ごりごりとしたその先端で圧し潰すように強く強く擦りはじめた。 「あぁん!んはぁ、ひぁあ!…もう…やぁぁぁッ!ぃ…く…ぅッ!」 背骨が折れるほど身体を反らし、白目を向いてびくびくと大きく痙攣しながら摩耶は達した。 ずちゅずちゅと、彼女自身が大量に分泌した雌汁を跳ね上げるほどの勢いで入口から最奥までの往復を繰り返す触手に、更にもう一本が加わり――容赦なく、摩耶の秘所をずぶりと貫く。 「いやあぁぁぁぁぁ――――!」 二本の太すぎる痛みが、張り裂けそうな膣内でぐねぐねと蠢く。それぞれが膣壁を擦るその感触が、摩耶を絶頂からいつまでも解放しない。 「いやっ、いやっ、ああああ――」 ぬらり、と触手の先端に子宮の入口を撫でられた瞬間、絶頂感の更に更に上、この世のものとは思えない狂気的な快感が摩耶の全身の毛孔を開かせ、眼を見開いての金切り声が自分の耳すら痛めつけた。 不安と恐怖に苛まれ、極限の快楽を流し込まれ、心臓がどくどくと痛む。 腰の奥が甘く切なくどうしようもなく疼き、脳髄には容赦なく苦痛と快感が交互に同時に突き刺さってくる。 ――やめて。もうやめて。殺して。お願い。 ひくひくとだらしなく濡れた肛門から更に一本が侵入を試みてきたとき、白くちかちかと瞬く目蓋の裏で、摩耶は本気で死を願った。 だが。 最後まで、彼女は言葉で敵に慈悲を乞うことを自分に許さなかった。 下唇を血が滲むほどに噛みしめ、耐える。 …違う。 死ぬべきはアタシじゃねぇ。 殺す。こいつら必ずブッ殺す。コロス。コロス! 「……!」 二体の深海棲艦を睨み付けた、視線。 屈辱を殺意に変えての、決して屈伏せぬ野獣の気迫を見せた、その途端―― ――リカイシタ。ホキユウサギヨウヲテイシセヨ。 喘ぎなから嬲られる彼女の恥態をじっと見つめていた新型がそう言いながら腕組みを解くと、最後まで表情を変えなかったヲ級の触手が四肢の拘束のみ残して一斉に引いた。 がくん、と解放された摩耶の身体が糸の切れた人形のように横たわった。意外に細い肩だけが、熱い息、荒い呼吸を弾ませる。 ――ドウホウニツグ。コレヨリコノモノ、トウカンノアズカリトス。 珍しい昆虫を見つけた少年のような、好奇に似た表情を浮かべた黒衣の娘が、周囲の空間に向かって何かを宣言した。 ぐったりとした摩耶へ近づき、そのまま彼女の形の良い顎を指先で軽く上向かせると、にっこりと笑いかけ―― 「――強いね、キミ」 「な…!」 流暢にして甘美な『声』。 「だからボクが、たっぷりとおもいださせてあげる。君がなぜ、何をするために産み出されたモノであるかを」 「そんな…ん、む…」 更に、驚愕に目を見開いた彼女に与えられた、甘く柔らかな口づけ。 完全に隙を衝かれる形となった摩耶の心は震え、魂は混乱する。 停止させられた白紙の思考に与えられる、温かくねっとりと口内を犯す舌使いの感覚。 暴力しか与えられなかった女の本能がその優しさに、奇妙な唾液の味に、歯髄をなぞる相手の舌の感触に、脳髄を鈍く甘く痺れさせていき―― 「……んっ」 摩耶は自分でも意識しないままに、やがてその瞳の奥の光をとろかせ、ただ柔らかく心地よい相手の舌の感触を更に味わうべく、自ら舌を絡ませていた。 それが『終わり』であるとは、彼女はもはや、考えることができなかった。 *** 『――緊急警報、メイデイ、メイデイ。哀れな戦艦『長門』さんはこれから10秒後に撃沈します。総員退避をお願いしまーす』 猫がネズミをいたぶるような、猛禽が飛べぬ獲物を嘲るような。呪わしい声が、通信録音の内容として会議室に響き渡った。 『逃げろ…提督ッ…!…うあぁぁッ!』 微かに聞こえた長門の絞り出すような声が、悲鳴に変わる。 『聞いてるかぁ?クソ提督さんとその他一同よぉ。今日がてめぇらのめでたい沈没日だ。楽しい楽しい深海に、鎮守府御一行様を全員ご案内してやるぜ』 『…何者だ。貴様』 耳障りな笑い声に、怒りと困惑の篭った提督の声が割り込んだ。 『つれないねぇ提督。この声を忘れやがったか』 『なんだと……まさか……お前、先日の戦闘で……』 『帰ってきたんだよ。アタシは深海棲艦たちの依代となって、本当の自分をやっと手に入れた――じゃ、すぐ着くぜ。首でも洗って待ってなよ』 『…待て!『摩耶』ッ!』 ぶつっ、という不吉な音と共に――おそらくは長門の運命と共に――通信は終わった。 「…対潜哨戒に当たっていた『長月』『菊月』から連絡が途絶えたのはおよそ一時間前。そして威力偵察に向かった『長門』『加賀』からのこの通信はおよそ10分前――おそらくあと30分もせず、摩…敵艦はこの鎮守府に到達する」 鎮守府内作戦会議室、緊急招集を掛けられた全艦娘に向かって重苦しい口調で伝える提督。 と、突然、沈黙を破って青ざめた顔の秘書艦『神通』が部屋に飛び込んできた。 「通信報告!『日向』『大和』、共に大破の報有り!敵艦は単艦、なお無傷の模様!」 「全力の防衛線も、まるで無力か……」 新たな報告に拳を震わせ、苦渋に満ちたその表情は、決して迫りくる破滅の恐怖に怯えている訳ではなく。 かつての部下を沈めてしまった後悔と、その後の更に哀れな運命に弄ばれる彼女のことを思ってのものであることはこの場のすべての艦娘が承知していた。 「司令官。私が出る。あの装備をまた、用意してくれないか」 僅かな沈黙の後。一人の艦娘が、意を決したかのように立ち上がった。 「…しかし『那智』、あの試験艤装はまだ調整が……それに、君の船体への…」 「他に手はない。時間もない。……それに、摩耶は私の親友だ。私が、止める」 彼女の意志も、正論も、その真剣な眼差しも、覆す術を持たない無力な提督が導き出せる解答はひとつしか無かった。 「………分かった。……彼女を――頼む」 「そんな顔をするな、提督。心配ない――あの後先考えないバカの後始末は、いつも私が押し付けられてきたんだ」 だから。大船に乗ったつもりで、待っていてくれ。 言い慣れない冗談を言いつつ頼もしい笑顔を浮かべた那智の顔を、提督はどうしても見ることが出来なかった。 「――来たか。摩耶」 鎮守府正面海域。 腕組みをして仁王立ちした那智が、水平線の彼方から現れた異形の艦娘を、殺気を込めた切れ長の眼で睨み付ける。 その右腕には、圧倒的に巨大な46センチの三連砲。 「出迎えはてめぇか、那智。御大層な装備じゃねぇか。それがお前の改ニってか?」 全身をぬめる嵐の色に染め、両の瞳を黄昏の黄金色に爛々と輝かせ。 鎮守府が空母『ヲ級』と呼称する深海棲艦と同様、半裸の身に不気味な怪物を纏わせた異形に身を堕とした『摩耶』が海上数メートルの距離に立ち、嘲るようにそう言った。 「改二ではない。私がこれを装着するのは、これが最後だ」 「お前はお高いドレスは悦ばないタイプだと思ってたぜ?」 「貴様こそ最悪に似合わん帽子だな。首が重くないのか?」 顎を軽く上げて見下しながらの那智の台詞に、下から睨み上げた摩耶が舌打ちを響かせる。 「けッ……まぁなんだっていい。この摩耶様が、五秒で沈めてやるぜ」 「お前は私が止める。『那智・最終試験改装』、推して参る!」 次の瞬間。那智が、後方に派手な水柱を上げつつ先手で摩耶に襲い掛かった。 「…ッ、バカな、なんて船速……!そのタービン音、まさか……」 「みんなが力を貸してくれたのだ――お前を止めるためにな!」 「……『島風』の動力かッ!?」 大きな弧を描き、しかし一瞬で摩耶に背後から近づいた那智が放った主砲――『大和』から譲り受けた海戦史上最強の砲撃が、海を揺らす。 「…くっ!」 「スキありだ!」 辛うじて零距離での直撃をかわした摩耶の隙を逃さず、那智の渾身のサイドキックがその身を捉えた。 速度と重量の十分に乗った破壊力が彼女の身体を大きく吹っ飛ばし、海面にその身を叩き付けた。轟音と共に、海上に機雷の爆発のような水飛沫が上がる。 やがて収まった波紋の中心、腹部を押さえて海上にゆらりと立ち上がった摩耶が、その顔に禍々しい笑みを浮かべた。 「……なにが可笑しい」 「ククク……なるほどその火力と機動性、確かに重巡の身でないと実現できないバランスって奴だ。……だがなぁ!」 一瞬で間合いを詰めた摩耶の拳を、頬をかすらせて那智がかわす。 そのまま至近距離での、格闘戦の応酬。 互いに噛み合う狼のように攻撃、視線、気迫をぶつけ合ううち、那智の表情が一瞬曇る。 「分かるぜ、てめぇの艦体がキシんでやがるのがよぉ!そんなスピードでクソ重い武器、いつまでも振り回せるはずがねぇ!こっちから懐に飛びこんじまえば――」 巧みに誘導された重量が、一気に片足に掛かる。一瞬よろめいた隙を逃さず、摩耶の強烈なタックルが那智の身体の中央を捕らえた。 「ぐはぁッ!」 思わず、那智の肺腑から熱いものが吐き出される。 異形の怪力が、放たれた矢のように海面上を一直線に那智の体を吹き飛ばした。 飛ばされたその先には――鎮守府。 中途に集積されていた資材と接触して派手に吹き飛ばし、 轟音と共にドック施設の外壁に叩き付けられ、 その瓦礫に半ば埋もれるようにして、那智の体はようやく停止した。 「くぅッ……」 「ようやく合点が言ったぜ。そんなイカレた艤装試験にお前が選ばれたのはな、たとえブッ壊れても戦力的に痛くも痒くもねぇからよ。……ちょっと早いがゲームオーバーだ、那智」 追ってついに鎮守府敷地に上陸した摩耶の周囲に、次々と深海棲艦の小型使役獣が現れる。 浮遊するその数はやがて並の深海空母の操る倍、およそ二十を越えた。 「アタシの可愛い艦載鬼たちに粉々に噛み砕かれて、大好きな鎮守府ごと――消えな」 凶悪な笑みを湛えた摩耶が、対象をゆっくりと指し示した瞬間。 飢えた野獣のように、一斉に使い魔たちが獲物に殺到した。 「あっははは!壊れろ、全て!!」 連続着弾の閃光と爆煙が視界を遮る。 やがて彼女の前に姿を現したのは四散した那智の残骸と、廃墟と化した鎮守府―― ではなく。 「バカな……」 摩耶の顔が、驚きに歪められる。 「全機撃墜されただと?あの一瞬、この距離で?!」 「……摩耶。那智は、そしてこの鎮守府は私が護ります」 「『妙高』ッ!!てめぇッ!」 晴れた視界の先にあったのは倒れた那智の肩を抱き、大型の盾を構えた艦娘――。 「野郎……艦娘にイージスシステムとは魔改造にも程があるぜクソ鎮守府ッ!」 「試作型『フェーズドアレイシールド』全域展開。――もはや指一本も触れされませんよ、摩耶」 普段は限りない優しさをたたえた妙高の視線が、強い敵意を込めて摩耶を押さえつける。 「クソッ!那智一隻なら片付いてたものを――」 「単艦では出来ないことが、艦隊ならば出来る。そんな事実も深海に忘れてきたのか、貴様」 那智が額から血を流しながらも再び立ち上がり、壊れかけた砲を構え摩耶を睨み付ける。 「くっ……おおおおオオォ!!」 ケダモノじみた咆哮を上げ、摩耶が再び背後の海上に一瞬で飛び下がった。 「面白ぇ!面白ぇぇ!この摩耶様の全弾一斉砲撃、耐えられるもんなら耐えてみやがれぇ!」 絶叫と共に摩耶の背後から蠢く巨大な十本の触手が現れ、その一本一本が大口径の砲身へと姿を変えてゆく。 「下がった!今だ『足柄』!」 「りょーかい!出し惜しみ無しで行くわよ!」 「何?!」 那智の後方。鎮守府施設屋上に、応えた艦娘が姿を現したのを摩耶は視界に捉えた。 その両肩に抱え上げた、巨大な――途方もなく巨大な、まるで『建造物』と称するのが相応しいような二つの発射装置が、自分に向けられていた。 「12式地対艦誘導弾、発射!……かーらーのー」 ズシン、ズシンと鎮守府の建物を揺るがしながら発射を終えた両肩のランチャーを捨てると、しなやかな右手が天を指す。 次の瞬間。その指示に忠実に従うように、身に纏った艤装のあらゆる場所から発射された小型ミサイルが、足柄の長い黒髪を舞わせながら次々と天へ向かう。 「VLS!行きなさい!」 「ッの野郎オオォォォォォ!!!」 足柄の指先が、砲撃姿勢を中断し回避体制に入った摩耶を指し示す。 正面からの地対艦ミサイルを辛くもかわしたところへ、頭上から艦対艦ミサイルの雨。 連続着弾による紅蓮の爆発に包まれたのは、今度は摩耶の方だった。 「ケッ……こんな小玉の花火!この摩耶様の装甲にゃ目眩まし程度で……」 「目眩ましになれば、充分です」 「!?」 爆炎も収まりかけた頃、すぐ背後から聞こえた声に、摩耶が驚き振り向く――そのとき。 両腕をがっしりと羽交い締めに固められ、振り向くことも出来ないことに気づき、摩耶は激しくもがいた。 「ちっくしょ、ステルス強襲艦仕様かッ!コソコソした弱虫のてめぇにゃピッタリだな『羽黒』ッ!…離せッ!」 「離しません!弱虫な私でも可愛がってくれたあの摩耶さんが私は大好きだったから――これ以上貴方に泣いて欲しくないから、もう絶対に、離さない!」 「誰がッ!泣いてるッてんだ!この野郎がぁッ!」 がつっ、がつっと何度も後頭部を羽黒の顔面に叩き付ける鈍い音が海上に響く。しかし顔を傷つけられつつも、決意に満ちたその細腕は僅にも揺るがない。 「ケッ!だがこんなにくっついてりゃ、他の奴等も砲撃爆撃なんざ出来やしねぇ!覚悟は結構だが、ちっと考えが――」 はっ、と殺気に気付いた摩耶が正面に意識を戻したとき。 漆黒の反り身を大上段に構えた那智の姿が、眼前にあった。 「てめぇ……そいつは……」 「斬艦刀『船切(フナキリ)』。天龍が持っていたものを、更に打ち直したものだ。――これなら貴様のみを、再び深海に葬れる」 「……ッ!」 逃げ、攻め、すべての手を封じられた。 チェックメイト。最強のはずの自分が。こんなにも、あっけなく。 「終わりだ、摩耶。――まったく、散々暴れやがって。結局また私に、後片付けを押し付けたな」 「…そう言うな、これで最後だ。勘弁しろよ、那智」 先ほどまでとは別人のように穏やかな表情を見せた摩耶に、那智のそれが驚きに変わる。 「摩耶…お前…」 「あぁ全く、サイコーに気持ち良かったぜ。兵器としての本分を全うできて、お前とおもいっきり戦えて、アタシは満足だ………泣いてんじゃねぇよ、バカ」 「…バカはお前だ…」 理由の分からない笑みが、思わず互いにつられあうように引き出された暖かくも苦い笑いが、二人の顔に浮かんだ。 ――あばよ。最期に楽しい良いケンカだったぜ。 ――ああ。来世でまた、盃を交わそう――。 視線で言葉を交わした瞬間。 迷いなき刀身の軌跡が、摩耶の頭上に振り下ろされて―― 「…はッ!?」 目覚めて勢い良く上半身を起こした摩耶の視界に入ってきたのは、 薄暗い室内、コタツの上に散らばった空きビンと空きカンと柿ピーの残骸。 思い思いに床に転がり、それぞれ上から軽い寝具を掛けられて安らかに寝息を立てている羽黒、足柄、妙高。そして―― 「起きたのか、摩耶。朝までいても構わないが、風邪を引くなよ」 窓際で一人まだ飲んでいたらしい、那智が静かな視線でこちらを見ていた。 「…こ…ここは…」 「妙高型の居室、時刻はマルフタサンマル。お前は真っ先に酔っ払って寝てしまったがたった今目覚めたところだ」 寝ボケてるのを察してくれたのか、状況をやけに細かく説明してくれる那智。 つまり…… …………夢?!夢オチ?!! え?!っつーかアレ、何? 前半はアレか、最悪、欲求不満がまぁ積もり積もってあんなカタチになってしまったとしても(最近提督も相手してくれねぇし)、 …後半は何だったんだよ?!つーかアタシ悪役似合うな!!なんか妙にイキイキしてたし!! ……な……なんかすげぇはずかしぃ………/// 「どうした摩耶?顔が赤いぞ。本当に風邪引いたんじゃないだろうな」 すっ、と那智の手が額に当てられる。ぼっ、と火がついたように顔が一気に熱くなる。 「い、いやいやあのあのな?だ、大丈夫で、だからその、」 「熱はないようだが。自分の部屋に帰って寝るか?」 「いや、…大丈夫。…今日はお……ここで寝る!」 お前らと一緒にいたい、と危うく出かけた言葉を飲み込んで、摩耶はばさりとコタツ布団に潜り込んだ。 「変な奴。ま、好きにしてくれ」 「なぁ那智よぅ。……お前さ…おもいっきり暴れたい、とか思ったことある?」 「なんだ。面白い夢でも観たのか」 あぁ。傑作だぜ、今日のは。 口の端がにやりと歪むのを、我慢することができない。 夢。夢だった。全部。 嬉しいのか。楽しいのか。単に酔っぱらったか。…うん、それだ。最後のに違いねぇ。 「あのな…」 ――なんだかんだで最高に幸せな、自分の日常。 その夜は、心ゆくまでそれを噛み締めた摩耶だった。 (FIN.) +後書き 349 :341:2014/03/27(木) 01 46 36.19 ID nnF6QNMd 以上、エロパロで何書いてんだという感じですが後半は中二的展開を貫いて満足しました お目汚し失礼しました 350 :名無しさん@ピンキー:2014/03/27(木) 01 47 44.32 ID rylXQN17 あ、ありのまま今起こった事をはなすぜ 珍しい麻耶様のエロが始まったと思ったらスーパー艦娘大戦が始まった… なんにせよ乙、強がりながらも最終的に少女な面を出しちゃうとか最高やないか…
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見上げていると呼吸が詰まりそうな鈍く重苦しい空模様から、針のように細く鋭い雨が容赦なく地上に降り注いでくる。 あまりの勢いに、窓にガムテープ張りされた社名もペラリと剥がれそうだった。 ソファへと座った天海春香は、ともすれば猫背になりそうな背筋をピンと伸ばしながら、一台の携帯を親の仇の如く睨みつけ――― ―――ぱか。パタン。ぱか。ぱたん。 液晶に映った人名に目を通し、その度にため息混じりに再び閉じる。 ため息の数だけ幸せが逃げるぞー、などと、オーディションの失敗をちょっとおどけながら励ましてくれた プロデューサーの言葉が鮮やかに蘇る。 あの時は容赦なく『おじさん臭いですよー』なんて茶化していられたが、実際ため息を繰り返すその都度に、風船から抜ける空気みたいに エネルギーがどこかへ逃げていくような心地がした。 ・・・・・・ため息を止める方法なんてわかっている。問題の原因も自分にある。 「―――だーっ!鬱陶しいからやめなさいっつの!」 怒髪天、という言葉が似つかわしかった。紅茶色の髪の先端が蛇みたいにうねりを見せているような錯覚を覚える程の凄まじい怒気。 水瀬伊織が令嬢らしからぬ大股で歩み寄り、柳眉をつり上がらせてにじり寄ってきていた。 「そういうのは一人の時にやりなさいよ!ただでさえこのクソ重い雨で気分晴れないのに、何なのよさっきから!」 「・・・・・・あ、ごめん伊織。いたんだ」 偽らざる本音をポロッとこぼしてしまった時―――あ、マズイ。と、頭のどこかが警鐘を鳴らした。 「・・・・・・へえぇぇぇ。彼氏からのメール返信待ちみたいな散っ々人を苛つかせるようなパフォーマンスしてるような脳内花畑の乙女には、私のことなんて ハナから眼中になかった訳ね」 「か、彼氏!?伊織ったら何言ってるのやだなぁ、プロデューサーさんはまだそんなんじゃ」 「誰がいつアイツの話を持ち出したのよそれに『まだ』って何!?・・・・・・って違う。 ・・・・・・あんた、これ以上ふざけるようなら」 「―――い、伊織ちゃん!?どーどー!」 給湯室でいそいそとお茶を入れていた音無小鳥が、煮えたぎったマグマにも似たオーラを纏い春香へと迫らんとしていた伊織を 後ろから羽交い締めにして取り押さえる。 「止めないでよ小鳥!この色ボケは多少キツめでも一撃喰らわせてやらないと延々このままになるわよ!」 このまま行けば伊織ちゃんパンチの一発でもお見舞いされるのは確定的に明らかな勢いだった。小鳥に牽制されながらも着実に こちらに迫りつつある伊織に対し春香は苦し紛れに、 「だだだだからゴメンてば伊織!・・・・・・あーそうだ!今度のオフにやよいと一緒に雑貨屋さん巡りに行く約束してたんだけど、空いてたら一緒にどう!?」 起死回生、という心地で繰り出した切り札は、思いの外効果覿面だったらしい。ピタリ、と面白い位に暴れ出す手前だったそのモーションはストップした。 神様のの様よりもやよい様である。こと伊織に関しては。 「・・・・・・フ、フン。まあいいわ。・・・・・・私抜きで勝手に約束なんてしてたのはちょっといただけないけどね」 このところ事務所で顔を合わせる時間帯が重なっていなかったかもな、と今更ながらに思い出す。 根は寂しがり屋な伊織だ。何だったら一昔前の漫画みたく、当日になったら体調不良の一つでも装って二人きりにしてあげた方がいいかな、などとにべもないことを考える。 「まあそれはさておいて。・・・・・・アイツもそろそろ営業から帰って来るだろうし、メールが遅い位長い目で見てやりなさいよ?」 「へ?・・・・・・ああ」 ついつい苦笑いしてしまう。成る程、事務所メンバーの中で一番『彼』とのメールのやりとりが頻繁なのは自分だ。パカパカ携帯を開いていたら、 自然と『そっち』を連想するのは致し方ないのだろうけど。 「・・・・・・あのね・・・・・・」 『で、俺にどうしろと?』 前方のフロントガラス及び、ハンドルに注意を払ったまま左手が高速とも呼べる動きで液晶に文字を踊らせる。返信。 やれやれと携帯を再び懐に仕舞おうとした矢先に再びブブブ・・・と鈍い震動がした。 『あんた今千早と営業中でしょ?ならそれとなく探りの一つでも入れられない?』 あの十数秒の間でよくもこれだけの文字を打ち込めたものだ。呆れながら感心しつつも、後部座席で座り込んでいる 如月千早の気難しげな顔をバックミラーで確認した。 『伊織が友達想いなのはよくわかったが、俺があれこれクチバシ挟まなくても解決するだろ。だって春香と千早だぞ?』 送信。するとまた殆ど間を置かないハイスピードのレスポンス。 『今の春香見てないからそんな台詞言えんのよ!「今度こそ嫌われたかなー」とか「このままだったらどうしよー」とか。 一旦口にしだしたらもうウザいの何のって。頭の横にリボンじゃなくて キノコが生えててもおかしくなさそうだったわ!』 間断なく左右に動いているワイパーはともすればその内すっぽ抜けるのではという危惧すら 抱かせるせわしなさで、何処となく携帯の向こうの伊織の様子を連想させる。 元々は深窓の令嬢だったとはいえ、多少業界の波に揉まれて辛抱強さもついてきた(筈)の 彼女をしてここまで言わしめるのだから、恐らく相当な落ち込み様らしかった。 「・・・プロデューサー、さっきからどうしたんですか?頻繁にメールを打ってらっしゃるようですけれど」 「ああ、すまん。うるさかったか?」 「いえ、この雨に比べたら些細なものですけど」 うるさいことは取り立てて否定しないのが千早らしい。 「渋滞してるといっても、あまり気を取られすぎないで下さいね。運転中なんですから・・・」 シートベルトをしっかり装着しつつも、体をだらしなく背もたれに預けることなく、 ピンと背筋を正している凛とした佇まい。 別段いつもと変わらない。春香がそこまで沈んでいるなら、千早の方ももっとテンションに変化が現れている筈なのだが、と確信に近い形で思っている。 『で、その様子じゃ原因は春香の方にあるっぽいみたいな感じだけど、詳しい話は聞いたのか?』 『知らないわよ。それ以上のことツッコもうとするとますます勝手に沈んでうざったくなるんだもの、追求は諦めたわ』 ・・・・・・何か、自分と喧嘩した時とかはそこまで沈まなかったような気がするんだがその事実に微妙な感傷を抱いてしまうのは筋違いだろうか。 しかし、春香本人が「自分に原因がある」と思っているなら問題はない気がする。前は双方譲らない緊迫した膠着状態の末、周りが仲裁に入らねばならなかったということもあったが、 彼女の方から折れれば話は丸く収まるだろう。心底から謝ればそれに応えないほど千早は意固地ではない―――と思う。 (・・・・・・春香の方に軽く発破でもかけてやるか) 嘆息と共に、アドレス帳の一番上にある当の本人宛てに激励メールでも送ろうとした時――― ―――だんっ、だんっ! 「おーい、千早、プロデューサーッ!」 「っんなっ!?」 サイドガラスを勢いよく叩き、響いてくる威勢のいい声には覚えがあった。 ニカッ、とこぼれるような笑顔をたたえ、雨粒に塗れた窓の向こうで一人の少女が声高に存在を主張していた。 「が、我那覇さん?」 面食らいながらも慌てて窓を開ける千早に対し、この雨模様にも関わらず太陽を背負っていそうな程エネルギッシュなその少女―――961プロ擁する プロジェクトフェアリーの一員、我那覇響がアクアマリンの傘を片手に立っていた。歩道からガードレールへと乗り出して。 「もー、さっきから呼びかけてるのに全然気づいてくれなくて、自分寂しかったぞ?」 「あ、そうだったのかスマ―――って違う!なに考えてんだ、ここ車道だぞ!?」 「ハム蔵を捜してここまで来たんだけど、ここら辺で見てないか?」 「い、いえ。・・・というか、見かける方が大変な気がするんだけど」 何せ掌ほどのサイズしかないハムスターだ。万が一にでも車道に出ていたらただじゃ済まないという危惧もあるが、あれで響のペットらは賢いのでこんな危険な 場所へ飛び出すような愚は犯さない気がする。 「・・・・・・えと、悪い。すまんが今回は捜すのつき合ってやれる時間がないんだが」 「べ、別に手伝ってもらおうとしてた訳じゃないぞー!それじゃ自分、いつもペット達捜す為じゃなきゃ声かけちゃいけないみたいじゃないか!」 「いや、そういう理由じゃなくてだな・・・」 チラチラと窓の外を窺ってみる。しかし、懸念していた『影』は一応気配を見せることはない。思わず胸を撫で下ろした時――― 「うぉいこら!そこの凡骨プロデューサーめ、また私のフェアリーちゃんにちょっかいかけよってからに!」 ―――巻き舌気味に因縁をふっかけてくる罵声に、がっくりうなだれフロントガラスに頭をぶつけた。彼女とかち合った時というのは、大 抵『アレ』もおまけというか金魚のフンよろしくついてくるのだから頭が痛い。 後部座席の千早も、あからさまに『面倒くさいのが来た』と言わんばかりの諦めの境地に至った表情で、ズカズカと車へ 近づいてくる人物に軽く会釈する。 「く、黒井社長。奇遇ですね・・・」 「そこから離れなさい響ちゃん!早く避難しないと、この陰湿な凡骨プロデューサーは響ちゃんが素直なのをいいことに挨拶代わりの πタッチでも仕掛けかねない!」 恐ろしく人聞きの悪い台詞と共にツカツカと歩み寄ってくるのは、件の961プロ社長にしてテラコヤ・・・とにかく黒井崇男だった。 「あ、やっほー社長!いぬ美の方は見つかったのか?」 「ああ、マンションの方の管理人さんに頼んで部屋に送ってもらってって違う!いい加減765のアホ共と馴れ合うなと何度言えば・・・…!」 「あ、そうそう千早!この前借りたCDありがとなー!新しい振り付けの参考に出来そうだぞ!」 「そ、そう?私はダンスについてはまだ真や我那覇さんには及ばないから不安だったけど・・・参考になったなら何よりだわ」 ―――頭をかきむしる黒社長を脇に追いやって、和やかに会話を続ける(名目上は)ライバル同士のアイドル二人。 雄叫びを上げながら765(こちら)側への罵詈雑言を繰り出している社長に、忠告ついでに声をかけてやる。 「えーと黒井社長。そこまで大声張り上げると近所迷惑ですよ?ここ、一応公道ですから」 「・・・…はっ。き、貴様に言われる筋合いではないわ!」 ようやくマトモに相手をしてもらえそうな人に声をかけてもらえた嬉しさ故なのだろうか。怒っているような口調ながらも、 ちょっとだけ語尾が跳ね上がっている気がした。 (・・・・・・うん。この人はライバル事務所の社長、ライバル事務所の・・・・・・) 自分の胸に言い聞かせておく。この愉快なやり取りの中では忘れそうになるが、彼はプロジェクトフェアリーのみならず、 つい最近『ジュピター』なる男性アイドルユニットをも発表した歴としたやり手だ。やり手・・・・・・の筈。 もうアイドル達当人にとっては、オーディションの場所以外では宿敵同士だなどという設定は忘れ去られているに等しいようだが。 「あのー、ところで傘もさしてないみたいですけど大丈夫なんですか?風邪引きますよ」 「はっ!それこそ杞憂というもの。水も滴る何とやらというだろう、高木のような半隠居状態の老骨とは違うのだ、 この程度で風邪を引いたりは―――」 「あれ、社長ー?さっき『はっ!いかん降りが酷くなってきたぞこれを使いなさい響ちゃん!昨今の風邪は侮れん!』って この傘渡してくれたの社長じゃ―――むぐっ」 「いいから帰るぞ響ちゃん!こんな男にいつまでもつき合ってたら、その内何処ぞの崖下へプチ遭難させられ動物番組の 司会を下ろされるという画策に陥れられかねん!」 ・・・・・・何だろう、和む気持ちと『あんたが言うな』という気持ちとがせめぎ合っているような気がする。 黒井社長に強引に手を引かれてながらも、挨拶代わりに傘をブンブン振り回していた響が、そこで不意に何かを思い出したかのように、 「あ、そーだ千早ー!そろそろ春香のこと許してやれよー!?どんな頭にされたかは知らないけどさー、随分へこんでたぞー!」 思いがけない一言に、「え」と間抜けな呟きが唇からこぼれた。同時に、反射的に後ろの千早に視線を向けると、自分と似たような感じでその鋭い印象の瞳を見開いている。 ・・・・・・とりあえず、あの発言を耳にして尚知らんぷりを決め込むのも不自然だ。一応何も知らないことにして、千早に確認を取ってみる。 「・・・・・・春香と何かあったのか?」 ここで『喧嘩の原因はそれか?』などと尋ねる失敗は犯さない。そもそも伊織の言う『仲違い』の前後の事情がわからないという点では、状況を把握しておく必要があるだろう。 「・・・・・・春香、ひょっとしてまだ気にしてたのかしら?」 おや、と軽く目を瞬かせる。伊織の言ったように怒っているというなら、多少眉をしかめるものかと思っていたが、むしろ千早の反応は思いも寄らないことを聞いた、 と言わんばかりにキョトンとしたものだった。 多少新鮮なその反応に幼さを見出しつつも、とりあえず躊躇いがちに続きを促してみる。 すると彼女は言い渋ることもなく、思い当たるという『心当たり』について語ってくれた。 「その・・・・・・三日前に少しうたた寝している間に少し、髪型をいじられたことがあって、その時少しばかり強い口調で叱責してしまったんです」 「・・・・・・アフロかドレッドにでもされたのか?」 「いえ、そういうものではなく・・・・・・まあ、ヘアカタログの雑誌とかに載ってる流行りもののような感じでしたね」 ふーん、と相づちを打って、その時―――斜め上ほどに視線を馳せて、回想しているようなその仕草にピンと来た。 それはやよいが、通りがかった八百屋で半額セールス品として陳列されたもやしを見たそれにも似た。 「・・・・・・千早個人としては満更でもない感じだったのか?」 「なっ・・・・・・!」 どうやら図星だったらしい。目を見開いてこちらを見やった後、「くっ」といつものように口惜しげに顔を逸らした。 「何だ。額に肉と書かれたんだったらまだしも、それほど悪くない髪型にされたんだったらそんなに怒らなくても良かったんじゃないのか?」 むしろ仕事以外で、『着飾る』ということに対しあまり関心のないようだった千早の、年相応の少女らしい一面が見えて少し安心する。 「・・・・・・目が覚めた時、携帯で写真まで撮られてたんですよ?私がどう思うかというよりも、やはり一言言っておかないと」 「なら、充分反省してるみたいだしそろそろ許してやれば?」 「・・・・・・あの、その話なんですけど」 千早は改まった様子で居住まいを正すと、キッパリとした様子で告げてくる。 「許すも何も、私としては春香に一言言ってもう終わったつもりでいたんですけど」 「・・・・・・は!?」 思わず裏返ったような声で反復する。何の気負いもなく告げた千早の表情はそれこそ「何を今更」といった戸惑いの部分が多く滲んでいて、 少なくとも嘘をついたりしているようには見えなかった。 「いやだって。伊織の話じゃ何か近づき難い雰囲気で声かえても無反応だったって言うからまだ怒ってるのかと―――」 「―――ひょっとしなくても、さっきからのメールってそれですか」 ―――あ、しまった。 聞いていた話と大分違うとはいえ、つい言わなくてもいいことまで言ってしまった。 「最初のメールが来てから私の方をチラチラと見てるから、何かと思ったんですけど・・・・・・水瀬さんも人が好いというかお節介ですね」 苦笑混じりに呟く仕草にはとりあえず気分を害した様子はなくて、とりあえず軽くため息をついて改めて問いただしてみる。 「・・・・・・伊織から又聞きした程度のことなんだが、お前がまだ根に持ってるって思って結構参ってるみたいだったぞ? ・・・・・・まあ、連絡貰うまで気づかなかった俺が言っても、説得力はないかも知れないけどな」 「・・・・・・春香には別段普通に接していたつもりです。邪険にしたような覚えはないんですけど・・・・・・あ」 ふと、不自然に言葉を途切れさせた千早に訝しげな視線を送る。 「何だ、やっぱり心当たりがあるのか?」 「心当たりといいますか・・・・・・」 千早にしては珍しく歯切れが悪いというか、少々後ろめたいようなものが滲んだその表情。 「その翌日くらいから、役作りにのめり込んでいたので。ひょっとしたら誤解させてしまったかも知れません」 「・・・・・・へ、役作り?」 何の、と反射的に問い返してみると、千早は軽く目を瞬かせた後、次いで半眼になって回答をくれた。 「『硝子の剣』のことですよ」 「がら・・・・・・あー、そうかそうか!」 硝子の剣。脚本家から直々にオファーを貰い、千早が主役の座を勝ち取った時代劇企画のタイトルだった。 千早演じるヒロインはさる大身旗本の息女という身分に生まれながらも、謀略により没落に追い込まれ、天涯孤独となった 悲運の娘であり、流浪の末に剣客となった彼女は父を陥れた悪代官への復讐を誓うというそのストーリーだ。 千早は彼女にしては珍しく、わざとらしい唇を尖らせるような仕草を見せてから、 「・・・・・・忘れてたとは呆れますね。この間握り拳で役を取れたことを喜んでくれたのは、演技だったんですか?」 「い、いや違うぞ、断じて!」 脚本家は数々のヒットシリーズを打ち出してきた実力派とはいえ、正直ベッタベタ過ぎて視聴率が平均を切るのか若干不安という点もあるにはある。 が、現時点ではボーカル以外のキャリアが乏しい千早の、またとない飛躍のチャンスだ。喜ばない訳がない。 「まあいいですけど。・・・・・・その、本題なんですけど……『背後に立たれたら即座に抜刀する癖がある』という役柄に則って台本を読み返していたら、 その時たまたま春香が後ろから声をかけてきたので・・・・・・」 ゴルゴ某も真っ青の、江戸時代とはいえちょっと日常生活に支障をきたしそうなそのヒロイン設定を思いだし、 苦い顔をしたのも一瞬で、慌ててあることに思い至って血相を変える。 「ちょっ、まさかバサリとやっちまったのか!?」 「・・・・・・撮影所でもないのにバサリと出来るような凶器を持ってると思ってるんですか?」 『大丈夫なのかこの人』という内心がビシバシと伝わってくる半眼に、 流石にグゥの音も出ずに押し黙る。 「けど、なりきり過ぎて周りが見えていなかったのは否めませんね。 つい必要以上に殺気立って払いのけてしまって・・・・・・」 「・・・・・・ああ、それでまだ怒ってると誤解してるのかも知れないと」 浮き沈みが激しいからな春香は、と内心苦笑する自分とは裏腹に、しかし千早は どこかしおれた花を思わせるように沈んだ雰囲気を湛えていた。 「・・・・・・やけに暗い顔してるな、どうかしたのか?」 「いえ、その。・・・・・・そんな誤解をさせていたのに今まで気づけなかったのが、 春香に申し訳なく思えてしまって」 ともすれば、雨音の中にかき消えそうな程小さい声音。ハの字になった眉にはどこか、 叱られた子供の見せるしおれたような雰囲気が見える。 一度自分の懐の懐へ招き入れた人間には、誠実な態度を崩さないのが千早だ。そんな様子を身かね、 彼はコホンと一つ咳払いしつつ、 「―――じゃ」 ふと見ると、いかにもそろそろといった緩やかなペースだが、前方の車がまた動き出していた。 軽くアクセルを踏んでから、 「営業が終わったら、千早のチョイスでケーキとか春香に差し入れでもしてやろうか」 弾かれたように顔を上げた千早の顔を、またミラー越しに確認する。運転を再開した今、 流石にそう何回も後ろを振り返る訳にはいかないので無理だけれど、もし叶うなら 頭を軽く撫でてやる位は出来たら、と思った。 「事務所でお茶の時間にそれ振る舞って話でもしてれば、春香ならきっと面白い位の 猛スピードで立ち直ると思うけどな」 「・・・・・・丸っきり子供扱いしてませんか?」 ほんのり。擬音にするならそんな風に綻んだ口元がミラーに映って、振り返れないのが残念だと思った。 「甘い物食べて幸せよとか歌でも言ってるだろ?それでも上手くいかなかったら、千早の方から遊ぶ約束でも 持ちかければ喜ぶんじゃないか?」 疑問形を装いつつも、どうしてもという時はそれで解決するだろうという確信に近い考えがあった。 春香の凹み具合がどの程度のものかはわからないけど、千早からお誘いをかけるなんて滅多にない『ご褒美』を 喜ばない筈はないだろう。何せ年の近い親友同士というよりも、 いっそ出来立てのカップルを思わせるような親密度の二人なのだから。 「・・・・・・春香の好みそうな所とかはお菓子屋さん位しか見当がつきませんが、努力してみます」 ―――うん、まあ大丈夫だろう。 ひとまず胸を撫で下ろし、次いで次の信号を左折してから、ふと思い至る。 「けど、いくら主役だからって珍しいよな。千早が演技にそこまでのめり込むなんて」 正直、主役を掴んだことを一応喜びはしたものの、役柄の詳細を聞いた時は少しばかり心配だった。 ヒロインの暗いバックボーンを若干違う形で反映しているように、千早―――というか如月家の現状は決して明るくはない。流石に脚本家がそんなことまで把握している筈も ないだろうが、それでもこの仕事が今後の千早のテンションを左右しかねないという僅かばかりの危惧はあった。 「・・・・・・役柄のことを気にされてるんでしたら、そんなお気遣いはいりませんよ?手を抜くなんて以ての外ですけど、だからって役に呑まれて自分を見失っては本末転倒ですから」 華奢な立ち姿に見合わないどっしりとした気構えが垣間見える発言に、 「そりゃ頼もしいな。・・・・・・けど、あんまり根を詰めすぎないでくれよ?何かお前の『本気』っていうと、それこそ寝る間も惜しんで 練習三昧みたいなイメージがあるからその内ぶっ倒れそうで怖い気もする」 「大丈夫ですよ、私も自分のペース配分は考えているつもりです」 ならいいんだが、と、一端話をそこで区切ることにして、再び運転に集中する。 何せこの豪雨だ、うっかり前方不注意でスリップ事故など起こしたら目も当てられない。 不安はまだ拭えないが本当に様にはなっていると思う。運動神経こそ真などには及ばないが、殺陣で見せた鮮やかなアクションは、 指導役も僅かばかり目を向いていた位だ。 まあ、脚本に記してあったかは知らないが、技っぽいものまで叫ぶのはちょっとやり過ぎという 気もしたけど。 (ってか、『まじんけん』ってどういう字当てるんだ?) ……まあ、それこそ事務所のお茶会でいい話の種になるだろう。 そう思いながら、彼は降りしきる豪雨の中で再びハンドルを切った。