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須賀京太郎にとって東京という土地は、憧れと、驚きと、そして若干の嫌悪を抱かせる場所であった 長い期間開かれるインターハイ。その最中選手たちはずっと麻雀に明け暮れるのかというと、決してそうではない。 地方から集まった生徒たちは高いビルにはしゃいだり、迷宮のごとき駅の内部に辟易したり、たまに漂う奇妙な異臭に鼻をつまむ羽目になったり、形は様々ではあるがエンジョイしているものが多い。 特に試合に出る選手たちは息抜きという名目で遊びまわるものも多いようだ。 そんななか、須賀京太郎は麻雀に明け暮れていた。 「……ぉ、ツモ。500.1000」 「あちゃ、逃げ切られたか……」 「ふぅ、危なかった」 僅差で逃げ切った京太郎は手元のスコアシートに対局の結果をサラサラと記し、手持ちのカバンに押し込んだ。 「いやぁ、結構やるねあんた」 「いや、マジで運が良かったよ。白の暗刻が配牌で来てたからな」 上家の学生と軽く感想を交え、時計の針にちらりと目をやる。5時を少し回ったばかりである。 「ん、そろそろお暇するかな」 京太郎は席を立ち、支払いを済ませて、雀荘を後にした。 (東京のいいところは、ノーレートの雀荘がたくさんあるってところだな……) 地元でノーレート雀荘といえば、京太郎は一つ上の先輩染谷まこの家、roof-topしか京太郎は知らない。 しかしさすが東京というべきか、メジャーなゲームで、学生にも大流行の麻雀を行うためのノーレート雀荘はそこかしこにある。 おまけに今はインターハイの真っ只中。付き添いできた部員やら、見学に来て熱に当てられたものやらで街は溢れかえっている。 雀荘に入り席に着けばものの数分で四方が埋まり、すぐにゲームを始められる。数をこなすには絶好の環境に、京太郎は歓喜した。 始まりは、長野県で行われた大会にて、一回戦で敗北したことだった。 悔しかった。歯噛みした。しかしそれは理性で抑えられる範囲であった。 自分たちの大会もあるのに、しっかりとアドバイスをくれた先輩や同級生の面々に申し訳が立たなかった、しかしそれは顔を出せぬほどではなかった。 前よりも麻雀に費やす時間が増えた。しかしそれは可能な範囲、常識の範疇であった。 じわりじわりと麻雀という競技の熱が京太郎を蝕んでいたが、それはまだ仄かな光を発し始めた、熱してる最中の生鉄だった。 それに一気に火が通り、バチバチと火花を散らすほどの熱を帯びさせたものは、インターハイの第二回戦、清澄、宮守、永水、姫松の戦いだった。 痺れた、といった表現がおそらく当てはまる。京太郎は仲間たちの戦いを、対戦相手の強さを、間近に見せつけられた。 そして、その激しい戦いの最中にこんな考えが脳裏をかすめた 『俺もあんな戦いをしてみたい』 闘争心に火がついたら居ても立っても居られない。 二回戦インターハイ五日目、試合が終わった直後に京太郎は街へ飛び出した。最低限の荷物だけを持って雀荘に駆け込んだ。 そして、店から締め出される時間まで対局に夢中になった。 体の中の熱をできる限り吐いた京太郎は、しかしまだ体の内側に燻る火種に高揚しながら、呟いた。 「楽しいじゃんか」 前々から知っていた、とは言わない。 こんなに楽しいのは初めてだった。明確な目標を持った麻雀は楽しかった。 『彼女たちのように打ちたい』 その熱だけが、京太郎を変えた。 「明日は準決勝、か」 それなりに遠くの雀荘にいた京太郎は、ホテルまでの帰路をのんびりと歩いていた。 「……なんか、差し入れでも買ってくかな」 今頃メンバーは明日戦う対戦相手の対策会議でも開いていることだろう。甘いお菓子あたりをもって激励に行こう。 そう思った京太郎は、長野のものよりもだいぶ小さいコンビニへと入った。 「いらっしゃいませ」 店員の無機質な挨拶を聞き流し、お菓子コーナーに目を通す。 (んー……なにがいいかな?きのこたけのこは余計な争いが生まれたらやだし……アルファート……とか、あとは雨なんかもいいかもな) 適当に量のあるものを引っ掴みカゴに放り込んでゆく。そして会計に向かう前に、雑誌コーナーに立ち寄ってみた。 (お、最新号だ) 思えば今日は愛読する雑誌の発売日だったか。 これ幸いと雑誌を手に取りパラパラと京太郎は目を通す…… …… ……アア ……アアアアア (……ん?) ふと、なにやら叩きつけるような音が聞こえる。思わず読みふけってしまった京太郎は顔を上げた。 そこは、ガラス越しの滝が見えた。 「……うわ、マジかよ」 雨である。土砂降りである。天地を逆さまにしたとはこのことか。 5秒で全身が濡れ鼠になるであろう夕立の中を慌ててかけてゆく人や傘をさす人、水を弾き飛ばす車が行き交っている。 「……あ、やべ」 京太郎はコンビニの入り口近くに目を向けた。そこには傘コーナーがあったが、黒いビニール傘一本しか見当たらない。 「やばやば」 雑誌を戻し、傘へと駆け寄る。この雨の中を走って帰るのは避けたいところだ。 最後の一本を手に入れようと京太郎は腕を伸ばし…… 「ふぃ~やばかったー!」 突如水の塊がコンビニの中に飛び込んできた。 なにやら黄色と白が混ざったような……水っぽい何かである。京太郎や店員が目をぱちくりするのを意にもせず、水塊はバチャバチャと体を振っている。 「えーと、タオルと、傘傘……」 思いの外かわいらしい声をしているその水はまず近くのタオルに目をつけたようで、それを手に取った。そして反対側に設置されていた傘にも目をつけてを伸ばし…… 「ん?」 目があった。それはもうバッチリと 垂れ下がった濡れそぼった前髪から覗く瞳は、その惨めな惨状とは反対にキラキラと輝いていた。 さながら星のようだ、と京太郎は思案する お互い傘に手を伸ばした姿勢で、少しの間、見つめ合う 「……どうぞ」 京太郎はおそらく女であろう相手に、最後の一本を譲った。流石にここで傘を取ってしまってはカッコが悪いと、男の子のプライドが叫んだのだ。 「ほんとに?ありがとっ!」 髪の隙間から覗く……多分、整った顔立ちの女はにっこりと笑うと傘を手に取り、レジへと向かった。 (仕方ない、走って帰るか……) 京太郎は苦笑し、ガラス戸の外へ目をやる。雨の勢い未だ止まず。明日風邪を引くことにならなければいいが……と考える。 相手レジで会計を済ませた後、出入り口でかるく屈伸をする。そして、コンビニの外へ…… 「えー、お会計800円になります」 「はーい……あ」 「……お札、ずぶ濡れ、小銭もない」 「……申し訳ありません、その……それ、お札、ですか?」 「……わからない」 深くため息を吐いて、京太郎は再びレジへ向かった 「やーありがとー!助かったよ!まさか財布の中身がずぶ濡れなんて想像もしてなかった!」 タオルでゴシゴシと髪を拭う女を京太郎は……先ほどより若干引きつった苦笑で応じた。 「いやいやいいよ。傘を譲ったついでだ」 「ごめんね、お金出させちゃって。絶対返すから!」 一通りぬぐい終わった彼女はまだ湿った髪を手櫛で整える。すると……10人いたら12人が美少女というであろう美貌か姿を現した。 眉目秀麗だのなんだの様々な褒め言葉が当てはまるであろう顔立ちの中で、一際目が魅力的だった。 夏の満天の夜空のような輝きを宿すその瞳は、見るものを捉えて離さない。 「お、おう……」 部活仲間も美少女が多いが、それとは別で、明朗快活でありかつ、美術品のような美しさを持つ不思議な魅力の少女だった。 「ねぇ、名前と連絡先教えてよ。また連絡するから」 「おお、俺は須賀京太郎。今携帯出すから待ってろ」 美少女に連絡先を聞かれる、という時点で京太郎は先ほどの傘タオル計800円の支出の価値はあると思った。若干舞い上がりつつ、京太郎は懐から携帯を取り出す。 「ふーん、キョータロー、覚えたよ!私は大星淡!ちょっとまって、スマホスマホー」 濡れそぼった服を漁り、淡も携帯を取り出した。 お互いの連絡先をいざ交換しようとして…… 「……携帯、つかない」 「……」 深く深く、京太郎はため息を吐いた 結局京太郎は、口頭で電話番号を教えた後に恐ろしいほどの土砂降りの中をホテルに向かって全力疾走していた。 大星淡の二の舞にならないように、店員にビニール袋を数枚貰い、それで何重にも貴重品や買った品を包むという工夫を凝らしてある。 一緒の傘で行く~?という淡の提案は大変、それはもう大変魅力的であったが京太郎と淡のホテルは真反対の方角にあり、とても往復する暇はなかった。 「はしるーはしるー、おれーたーちー……」 中学時代のハンドボールで鍛えた体力にはまだ余裕があるが、容赦なく降り注ぐ水が体温を奪っていき、おまけに視界も悪い。今日は麻雀ではそれならに勝てたが、厄日と言わざるを得なかった。 ようやく宿にたどり着いた京太郎。 透明の自動ドアの向こうでずぶ濡れの京太郎を店員が少し嫌そうな顔で見たが、しまってあったタオルで体を拭い始めるとすぐ笑顔になった。 (やれやれ、水を滴るいい男にもサービスは無しか?……なーんて) とりとめのない考えをしながら服に染み込んだ水を絞り出し、肌に張り付いた水滴その他もろもろをぬぐい落とす。 (……果たして、連絡し返してくれるかね?) 連絡先を互いに交換すればよかったが、京太郎は淡の電話番号を聞けなかった。なんと自分の番号を暗記していなかったのである。 絶対連絡すると淡は言っていたが…… (まぁ別にいいか、800円くらい) 800円で美少女に恩を売り、その報酬は夕立の中のランニング、少々どころではなく気落ちするが、表情には出さない。 「さて、冷えちまったし風呂でも入るか」 それなりにさっぱりした京太郎は、水ががぼがぼとなって気持ちの悪い靴を踏み鳴らしホテルの中へと入った。 … …… 「あら、須賀くん」 「んぉ?」 大浴場近くで風呂上がりの牛乳を一気飲みしていると後ろから声をかけられた。 振り返ってみれば、我らが清澄麻雀部の部長にして策略家、竹井久の姿があった。手にはタオルの入ったカゴを抱えている。 「もうお風呂入ったの、早いわね」 「はは、ちょっと集中砲火を受けまして……そういう部長こそ」 「夕飯前にさっと入っちゃおうと思ってね」 時計を見てみると短針は6を長針は2を指している。 こうなると入浴時間は40分程度、風呂上がりのケアを含めるともっと余裕がなさそうだ。女性は長風呂と思っていた京太郎は少しポカンとする。 「いやだって、暑い部屋に五人寄り集まってあーだこーだ頭働かせたら汗かいちゃったんだもん」 少し恥ずかしそうに久は笑う。試合中は大胆不敵にして相手の裏をかき思考を引っ掻き回す、悪待ちの部長とは同一人物とは思えないほど、その仕草は可愛らしい。 「で、どう?今日も雀荘で打ってきたんでしょう。勝てた?」 「まぁまぁ、といったところですか……その話は後の方が良さそうですけと?」 「え?あぁそうね、流石に時間が……また後で、みんなでお話ししましょ」 じゃねー、といって久は女湯へと駆け込んで行く。 軽く手を振って見送った京太郎は、瓶をカゴにつっこみ自分の部屋へと戻った。 「……ん?」 ホテルで自分にあてがわれた、女子メンバーとは距離のある部屋。 京太郎は充電器を差し込んであった携帯電話を開いてみると3件の着信履歴があった。 三軒全部同じ番号で、約2分おきに掛け直されていてそこから電話は来ていない。 「……」 なんとなく電話をしてきた人物がわかった京太郎は、何の疑いもなくその電話番号へと電波を飛ばした。 ……数回ほどのコール音が響き、その後 「はいはーい大星淡でーーーす!!」 左耳から右耳へ点棒が貫いていったような大音量である。たまらず京太郎は頭を離し顔をしかめた 「あれ?もしもーし、きょーたろーだよねー?もしもーーーし」 「聞こえてるよ、てかうるせぇ、大星淡さん」 「なんだー、聞こえてたなら返事してよー!こちとら何回も電話かけたんだからねー!」 やかましいやつである、たまったものではない。 「はいはい申し訳ない……で、淡さん」 「気さくに淡様と呼んでくれて構わないよ」 「大星さん」 「……淡でよろしく」 「おうで、淡。何の用……ってのはわかってるけど、しっかり連絡してくれたな」 「あったりまえじゃん!恩はしっかり返すもの!仇と同じくね!」 少々喧しいものの、京太郎はこの淡のさっぱりとした物言いが嫌いではないようだ。少しだけ口角を上げて会話を交える。 「でー、コンビニで京太郎がいってたホテルの名前で調べたら場所はわかったんだけどさ、今日はこんな雨だし明日は準決勝があるから、ちょっと無理そうなんだよね。明後日まで東京にいる?」 「おう、勿論……ん?」 受け答えの後、少し考える。 明後日まで、というのは問題ない。明日の準決勝、清澄は必ず勝つだろう。万が一、いや那由多が一決勝に進出できないとしても、個人戦に出場する咲と和の付き添いでまだまだこのホテルに居座ることになる。 問題は…… 「準決勝?」 「そ、準決勝。淡ちゃんは高校100年生の大将だから忙しいのだ!」 そう、準決勝である。言い草からして応援ではなく選手として出場するということであろう。そして、大将という言葉…… 「白糸台の、大星淡?」 「え、今気づいたの?」 まったくである、勉強不足である。今この瞬間まで須賀京太郎は大星淡が白糸台の大将ということまで気がつかなかった……否、そういえば特集雑誌に名前が載ってるのを見たと思うし、清澄の会議においても名前を聞いたような気がする。 「……いやすまん、そんなやつと偶然コンビニで知り合うとは思ってなかったからな」 「んー、まー、それはしょうがないかー。この私と知り合うという幸運で頭の中が全部白になっても無理はない!」 「いやそういうんじゃなくてフツーに忘れてた」 「……」 沈黙。 「ともかく!そっちの都合がいいなら明後日にはお金持って届けに行くから、電話に出られるようにしておいてね!以上!じゃねー」 そして唐突に電話は切られた。言いたいことを言われるだけ言われて終わった……いや、何度か冷たい返しをしたが 「……偶然ってあるもんだな」 携帯を再び充電器へ。京太郎は奇妙な出会いに驚きを感じながら、ホテルの食堂へと向かった。18.52分。もうすぐ夕食である。 ここのところ毎日食べてはいるが、ホテルの飯というのはうまいものである。スコールめいた雨の中マラソンでカロリーを多めに消費した京太郎はそれを補わんとかたい腹筋を押し上げるほどに胃の中を埋め尽くした。メンバーに冷たい目で(除、タコス。むしろ京太郎より食う)見られた気がしたが、知ったことではない。 そして、食後の女子メンバーの部屋。 「さあ!明日の準決勝に向けて最終ミーティングを行うわよ!」 「……あれ、これ俺がいていいんすか?」 「いいですよ、同じメンバーなんですし、ね」 持ち込まれたホワイトボードを前に京太郎含めたメンバーがリラックスした様子で座する。 昼間、京太郎が不在の間に対策案をまとめあげていたのだろう。各々がそれを読み返し確認する作業である。 「あぁそういえば、差し入れにお菓子買ってきたんだった。どうぞ」 「なっ……ゆ、夕飯の後にチョコだなんて……京ちゃん、ひどいよ……」 買い揃えた菓子の袋を破いてくと悪鬼羅刹を見るような目で咲が睨んできた。 「いや、じゃあ食うなよ」 とか言ってると、染谷先輩は俺に頭を下げ 「わしはいただこうかの。甘いもの欲しかったとこじゃ。ありがとな京太郎」 和ははにかんで軽く会釈し 「私もいただきます。すいません須賀くん」 部長は……すでに手を伸ばし 「お~、たけのこの里がないのはあれだけどいいチョイスねー!」 「……私も食べる」 咲も流された 「最初っからそういえばいいんだよ」 「おう私もいただくじぇ!よくやったぞ犬!」 「おめーやっぱダメだ」 「は?」 「……イヤーッ!」 突如!ユーキ=サンは体を跳ね上げ立ち上がりキョータロ=サンにパンチ! 「グワー!」 そのまま2人はもつれ込みカラテの応酬!!血中タコスを込めた技がぶつかり合う! 「なにやってんのよあんたたち……」 「放っとけ、すぐ戻るじゃろ」 じゃれ合う二人をよそに四人はミーティングを再開。優希は完全にマウントを取り京太郎の腋を容赦なく擽る! 「おらおらー!焼き鳥にしてやるー!」 「やめ、やめっ……うははは、やめっ優希……!!」 「あぁそういえば須賀くーん」 「はーい」 「おわっ!」 部長の呼びかけに即応じた京太郎は優希をかかえて立ち上がった 「なんすか部長」 「お、おまっ、おろせ京太郎!バカ!」 ぽこぽこと京太郎を叩く優希を肩にかかえて部長の方を向く京太郎。 「いや。実は……ちょっとお願いしたいことがあってね」 「なんすか?」 「あした、須賀くんも、会場に来てくれるわよね?」 「そりゃもちろん」 「おろせー!このー!」 全身全霊をかけて応援……と行きたいが大声を出すわけにはいかない。チームメンバーとともに控え室で選手を見守る予定である。 「そこでさ……ちょっと、頼みにくいんだけど。もう一つの準決勝の偵察に行って欲しいの」 「もう一つの?」 もう一つの準決勝といえば、Aブロックの白糸台、阿知賀、千里山、新道寺の戦いである。 「言うまでもないけど、私たちは優勝する」 する、という物言いに京太郎は久の意志の強さを改めて感じる。この大会に、誇張なしに全てをかけているのだろう。 「そこで一つ、不安要素があるの。白糸台の大将、大星淡」 「え」 先ほど電話で話した相手の名前が上がり、少しだけ京太郎は動揺した。 「白糸台の新一年生、突如として大将として抜擢された超新星……データが少なすぎるのよ」 「うむ……探したんじゃが、奴の牌譜が本当に数えるほどしか見つからなかった」 そんなすごいやつだったのか、と今更ながら京太郎は思う。 「須賀君には、大将戦だけでいいから、向こうの試合を見てきてもらって、向こうのチームの牌譜……できればなにか癖のようなものをつかんできて欲しいの。申し訳ないけど……お願いできるかしら」 「え、あぁ、勿論です」 半ば反射的に京太郎はそれを了承した 対策会議という名の雑談タイムは、夜9時には終了となった。明日に備えて早く寝るらしい。 自室に戻った手持ち無沙汰な京太郎は麻雀の指南書を寝そべりながら読んでいた。 「……五索の中央を削れば四索に……イヤー無理だなこれ……」 しかし、どうにも頭に入ってこない。胸の奥のモヤモヤとした感覚が邪魔をしてくるからだ。 「……偵察、ねぇ」 悩みの種は部長の頼みであった。 Aブロック準決勝の大将戦の、特に大星淡の偵察。 京太郎は思案する。部長の頼みは当然のことである、と。優勝にかける思いは、きっと誰よりも強いはず。 となれば、未知数の実力を持つ白糸台の大将、当然不安要素として警戒するはずだ。 その牌譜や打ち方を知りたがるのは当然であるし、それで自分を頼ってくれるのはありがたい。 たしかに大将戦を応援することはできなくなるが、自分は清澄が勝ち抜くことを信じて疑っていない。 では、と考える。自分は何を、もやもやうじうじとしているのか、と あれ、鳥が違うな……ちょいといじって正解探すから気にせんといて 答えはすぐに分かった。どうやら自分は大星淡の偵察という役目に対して罪悪感を持っているらしい。 今日知り合ったばかりで、恩を売ってやって、また会う約束をした……と、たったそれだけの、知り合い未満にも当たるほぼ他人の、しかもおそらく清澄が最後に戦うであろう対戦相手である。 牌譜をとる、打ち筋の研究、それは全く卑怯なことではない。強者とは常に対策を練られるものだ。 そう、まったくもって不自然ではないし、何も問題はない行為である。 「……でもなぁ」 にもかかわらず京太郎はチクチクと針に刺されるような罪悪感に苛まれる。 知り合いになってしまった、ということが何よりも大きいのかもしれない。 傘を譲った時や、名前を名乗った時の輝くような笑顔の淡に対して、まるでコウモリのような行為を働くことに、不快感がこみ上げてくる。 「……寝よ」 しかし、優先するのは清澄だ。部長の頼みだ。そこは譲れない。 京太郎は考えるのをやめ、指南書を放り出し、布団へと潜り込んだ。 そして、翌日である。天気は快晴、だが室内競技である麻雀には関係がない、むしろ会場の外で茹だるような暑さに辟易することになる。 「あっちぃ~……おはよ~ございま~す……」 「おお京太郎……おはようさん。暑いのぉ……」 朝八時すでに気温は30度を上回っている。廊下で鉢合わせたまこもあまりの暑さにうんざりとした顔をしていた。 「部屋ん中は良かったんじゃがのう……長野と違って暑さがいやらしいわ……」 「本当ですねぇ……部長達は?」 「今頃慌てて身だしなみ整えとるわ。わしは一足早く起きて朝風呂を楽しんできた」 なんとも準備のいいことである。要領の良さは我らが部活の中で一番かもしれない。 「じゃあ、朝ごはんいただきましょうか」 「そうじゃの……」 「はぁ……」 「エライ目にあったわね……」 控え室への道をたどりながら、がっくりと肩を落とす。まさか唐突なタックルを受け、さらに人混みの視線を浴びることになるとは思わなかった。 「しかし……須賀くん?さっきのは、大星淡……さん?」 「そうですね、本人も言ってましたし」 「……知り合いなの?」 小首を傾げて久が問うてくる。疑問に思うのも当然だろう、なぜ縁もゆかりもない同士であろう二人が知り合いなのか。 「実は双子ちゃんで両親の離婚に巻き込まれたとか?」 「ないです」 「親戚とか?」 「ないです」 「まさか遠距離恋愛?!」 「ない」 「……須賀くんまさか弱みを」 「ねーーですよ!!」 久の知的好奇心溢れる質問責めに簡潔な答えを返す。ここで言い淀んだらそこにつけこまれてからかわれることこの上なしだ。 「まぁジョークはともかく……一体何があったの?この数日でしょ?知り合うとしたら」 「まぁ、そうですけど……」 京太郎は昨日起きた淡との出会いを話す。コンビニで出会ったこと、金を貸したこと、電話連絡しあったこと…… 「お人好しねぇ須賀くん」 そして、第一声がこれである、しかしぐうの音も出ない 「相手がバカ素直でよかったわよ本当に、フツー連絡なんてしてこないで借りパクされるわよそんなの」 「仰る通りです……」 「どーせ相手が可愛いからカッコつけたかったんでしょう」 「いえ、一目見たときは濡れ女子かと思いました」 「……なんで貸したの?」 「気まぐれでしょうか」 「……」 呆れはてた目で見られた。善行を行ったはずなのになぜ……京太郎は唸る 「で……須賀くん。そんな知り合いの大星淡の偵察、できる?」 途端に鋭い目つきで久は問うてきた。不安要素を少しでも削りたい故か 「ええ、できます」 しかし、京太郎はきっぱりと返した。 「出会って1日2日のあいつよりみんなを優先するのは当然だし、それに……」 「さっき自販機に頭ぶつけられた恨みがありますからね」 「あなた器が大きいのか小さいのかよくわからないわ」 …… ………… ……………… 「……そろそろ、か」 スマートフォンをチラリと見た京太郎は立ち上がる。Aブロックの準決勝はBブロックより少し早く始まった。そのためBブロックよりも大将戦が始まるのも早い。 「じゃあ、行ってきます」 「おお京太郎、頼むぞ」 まこに一言告げて画面を食い入るように見つめる一年娘三人に気づかれぬようコソコソと控え室を後にする。 鞄から取り出したるはノートとシャーペン 「こいつにザーッと記録してくりゃいいんだよな」 牌譜の記録は散々やった、問題はない。 少し離れた大型モニターの前、すでに多くの人が集まっているが幸い一つだけ席が空いている。 「隣失礼します」 「んー……」 ぐったりとした白髪の女生徒の隣……少しスペースを空けた に腰掛け、画面を見つめる。 ちょうどタイミングよく大将戦のサイコロが振られた頃で、席に着く四人の中に、見知った顔の大星淡もいた。 (さて……高校100年生の麻雀、見せてもらうぜ淡) 8割型麻雀への熱意、1割ほど恨みを込めて、一つは一つの挙動すら見逃すまいと、京太郎は記録を開始した。 闘牌描写はキングクリムゾンッ!!!!家庭は吹き飛び結果だけが残るッ!!!! -‐==‐- ´ ` / ヽ / , ! | | i. / |i , ‐‐i| . ト、_|‐‐ | i| | l / |i | |/八 . | | | i| | |/ 〔!| N ○ \| ○ |ノ ,リ. 〔 八! l圦 ,, ' ,, l // |しょうがないねー N | . v ァ . ∨/ . | ヽ| | l_≧=ァ≦ト /_,′ 八 ノ厂| l 〔, / / `丶、 ` /∧ i| | 「⌒ / / /∧ / イ′ j ト、∧ / ′´ .イ ' / | |\ハヒ/| |ニニ/ 〉 / ノ〈 i i ニ| | ´y' ! | .' / 〉 / j / ノ i| | 〔___! ト、〕. 〔′| `ー‐' /// | | i| Υ─| | .′ 家庭が吹き飛んだ!! …… 終わった。 長い対局だった、京太郎は背もたれにもたれかかりぐっと背伸びをする。 結論から言うとわけがわからなかった。 大星淡の麻雀には、訳のわからない何かがあった。 およそ常人には理解できないものだ、と 手元の記録を見てみる。牌の切り出しだけを見ればまるで初心者だが、ほぼ全ての局で結果がついてきている。 他家が必ず5向聴以降から始まるだの、ダブリー連発だの、カンドラ丸乗りだの、まるでイカサマか超能力者だ。 パタリとノートを閉じ、溜息を吐く。 「こりゃ負けねーや」 確信を持って呟いた。 (さて、帰るとするか) 清澄の方はどうなったろうか、まだ試合が終わっていなければいいが…… 京太郎はスッと立ち上がる。座りっぱなしだったせいで筋が伸びきっている。グッと背伸びをし…… 「ん?」 足元に、何かが落ちていることに気がついた。白くてふわふわとした何か…… 「……?」 拾い上げてみるとチャリンと金属音がなる。よく見てみると鍵が付いていた。 このフワフワはキーホルダーか何かだろう。 「落し物か」 落ちていた場所的に隣の席に座った誰かのものだろう。ふと、席に着くとき隣にいた白くてフワフワの、ちょうどこのキーホルダーのような髪型の女生徒が思い浮かぶ。 「……みつけちゃったらしょーがねーな」 部長の言う通り相当にお人好しの甘ちゃんのようだ、と自虐をし、京太郎は人が流れて行く方とは逆向きに歩き出した。 歩く途中にふと思い出す。 あの女生徒、どこかで見たことがあると。 「……たしか、二回戦の先鋒の」 小瀬川白望、だっただろうか。先鋒戦を一位通過したことと、基本道理ながら、たまにしっちゃかめっちゃかな手の入れ替えをしていたはずだ。あまり意識していなかったから気が付かなかったようだ。 「……でも、だからって」 冷静に考えればこの広い会場の何処にいるかもわからない彼女にキーホルダーをどう届けに行けばいいのだろう。 んー、と唸り、考える。 「落し物センターにでも行くか、はたまた……ぁ」 と、考えているうちに『目印』を見つけた京太郎は、我ながら運がいいとそこへ走り出した。 「すいません」 高い高いそれに声をかけるとびくりと震えたソレはくるりと振り向いた。見下ろされるなどいつぶりのことだろうか。赤い瞳に見据えられる。 「え、えー、と、私、かなー?」 威圧感のある風貌とは裏腹にオドオドと可愛らしい声で応答する彼女。大将戦である意味一番目立っていた人物はさすがに忘れなかった。 「はい、宮守の姉帯豊音さんですか?」 「そ、そうどけどー……」 なにやら怯えられているが、それは置いておく。 確認が取れたところで京太郎は懐から先ほどのキーホルダーを取り出した。 「これに見覚えありませんか?」 「あー!」 それを見た途端、長い腕を伸ばし豊音が手を……正確にはそのキーホルダーをつかんできた。流石に京太郎も怯む。 「これ……ど、どうしたの?」 「先ほど拾いました。まぁ色々と心当たりがあって、もしかしたら……と声をかけてみたんです」 「ほ、本当?ありがとー!」 「うおお!?」 両手を握られブンブンと振り回される。おそらく握手だがその威力からプロレス技に分類してもいいかも、と京太郎は思う。 「って!こーしちゃいられないってー!」 「うぉあ!?」 そして腕を掴まれたまま急に豊音は走り出した。 (はっや!?) ハンドボール時代散々全速力で走り回った京太郎すら引きずられないのがやっとの速度、やはり体格の差なのか。 「えーとえーと……ここかなー!」 「うぉう!?」 そして突如立ち止まられ、ブレーキも間に合わず転ぶ羽目になった。豊音を巻き込まないので精一杯だ。 「ってて……」 「え? あっ!?ご、ごめんねー、怪我は、ない?」 「は、はい、まぁ」 慌てて身体中をペタペタと触って怪我の有無を確認してくる豊音。コミュ力不足ではなく特殊なコミュ力をもっているのだなーと悟る 「ここは……え、さっきと真逆の位置に」 地図を確認すると先ほどいた会場東部分のちょうど反対にいる。結構の距離があるのだがそれだけ早かったということだろう。 「……なにしてんの?」 「うおっ」 突如背後から声がする。慌てて振り向くと、二回戦で見覚えのある連中が勢ぞろいしていた。 「あー……こんにちは」 「え……あ、こんにちは」 何とも微妙なふいんき(なぜか変換できる)のなか、正面にいたやたらと背の低い子に挨拶をする。 向こうも状況を把握できないまま挨拶を返した。 「あ、みんなー、えっとねー、この人がシロの落し物を見つけてくれたんだよー!」 「……落し物?」 満面の笑みで告げる豊音に当人のシロはうねうねとした眉をひそめた。 「シロ!ワキガアマイ!」 「エイちゃんそれ違う。シロ、何落としたの?」 「わかんない……」 お団子の人、たしか……塞、だっただろうか。 モノクルが印象的な副将だったはず。 「えーと、これなんすけど」 パッパッとズボンの埃を払った京太郎は手に握ったキーホルダーを差し出す。 「アー!?」 それを見て大声をあげたのが金髪の……エイスリン、次鋒だったか。 「シロ!ヒドイ!」 「……あー」 「あぁ、君隣に座った」 「え、今そこっすか?」 シロ……白望、だったかは、ひどい猫背のまま京太郎にゆったりと歩み寄りそのキーホルダーをつまみ上げる。 「……私のだってよくわかったね」 「なんか似てたので」 「え、毛玉に似てるってなに……まぁとにかくありがと」 なんとも微妙な表情のまま白望に軽く頭を下げられる。これで解決、と京太郎は五人の方を向く。 「それじゃあ、俺はこれで……」 「シロ!オロカモノ!グショー!ナマケモノ!」 ポコポコと効果音がつきそうな殴打を連発するエイスリン、それを背中で受ける白望。なんとも微笑ましい光景である。それをポカンと見つめていたら引き際を見失った。 「こら二人とも!煩い!ちゃんとお礼言って!ほら!」 「あーもう……いやなんかありがとね。あれあの子が白望にプレゼントしたものだからさ。君が見つけてくれてよかったよ」 「いやそんな」 塞にぺこりと頭を下げられた。京太郎は年上に頭を下げられたことに思わずひるむ。控え室になるべく早く戻りたいこともあり、少しばかり焦りがでた。 「ちょーお礼とかしたいんだけどー。名前とか連絡先とか教えてよー」 美人のお姉さん型に連絡先を聞かれるなど普段はあり得ないことではあるが、早く清澄の元に戻りたい。やんわりと断るタイミングを京太郎は…… 「……」 「……え、なんすか?」 気がつくと白望はじーっと京太郎を、見つめていた。 その頭の中を覗き込むように、瞳を、じーっと 「……お礼に、アドバイス」 「へ?」 「何かに迷ったときは、身近な大人を頼ること。それとこれ」 意味深なことを告げたのちに白望はどこからか一つ、ペロペロキャンディを取り出した。 「こいつをあげよう」 「は、はぁ……」 なにやら他の四人が顎が外れそうなほどに大口を開けてみているが、これはチャンスか。すかさず京太郎は身を翻した。 「じゃ、じゃあ俺はこれで!それでは!」 あのまま時間を浪費したら何を言われるかわかったものじゃない。注意されない程度の小走りで京太郎は駆け出した。 「……シロが、見知らぬ男にあんな風に話すなんて」 「あまつさえ、ダルがらずにアドバイスやお礼の品を送るなんて」 「ちょーちょーびっくりだよー……」 「Apocalypse……」 「ひどい言い草だ……」 白望は相変わらずだるそうに、しかしその届けられたキーホルダを大切そうにポケットにしまった。 「大切なものを届けてもらったし……ちょうど私が適任だったし」 「適任?」 「……迷い子のお世話」 「で、その落し物の持ち主を探して、結構遅れた、と」 「そうです」 「お人よしねぇ……」 「流石にどうかと思うのぉ」 「早く帰って来れば咲さんの大将戦見れたのに」 「ひどいよ京ちゃん」 「バーカバーカ!」 「皆さんすいませんでした。優希除く」 控え室に戻ってきたらこの有様であった。試合が終わっても待っていてくれたらしい、ありがたい話だ。 「見つかったから良かったものの……普通に大会運営の係りの人に持ってけばよかったのに」 「返す言葉もありません」 ウカツ!な行動であったことは京太郎も自覚がある、素直に頭を下げて謝った。 「まぁこの辺にしとこうかの、久。決勝進出決まったことだしな!」 「そうでしたね!みんな、本当におめでとう!」 心の底からの、祝福だ。 中堅戦までを見ていた京太郎は相手が強いことはよくわかっていた。しかし、優勝候補の一角臨海を抑え、トップで決勝進出が決まったことは正真正銘快挙である。 「で、須賀くんの方は首尾はどうだった?フラグ立てるのに夢中で忘れてたなんてなしよ~?」 「ふらぐ……?」 首をかしげた京太郎であったが、とにかく偵察結果のノートを差し出した。 「ありがとう。どれどれ……おお、よく表情とかも見て観察してるわね!」 驚いた、という風に久は言うと食い入るようにノートを見つめた。他の四人もどれどれとより集まる。 「……須賀くん、他家が全員五シャンテン以降から始まったというのは」 「マジだ。二半チャン全部、そうだった」 「……信じられない」 オカルトを一切合切認めない和も思わず顔をしかめる。データに現れている以上、そこには確率を超えた何かがあることを理性でなく本能で感じたのかもしれない。 「噂で聞いたのマジだったんじゃな……」 「なんなんだじぇこいつ、ダブルリーチをほぼ毎回してるし!」 「うー、思ってたよりやばげね……」 かきつくように覗き込む優希を制しながら久は頭を抱えた。想定の数倍恐ろしい魔物であることは明確だ。ノートのデータからは表情に出やすいこと以外何も弱点がない。 「わ、私勝てるかなぁ……」 思わず、咲が弱音を吐く、それに反射的に京太郎は言葉を返した。 「絶対勝てる」 五人が、目を丸くして京太郎を見つめた。 「試合を見てきた俺が保証する。ぜーったいに勝てる」 「……身内贔屓?」 「客観的な判断でも同じですね。間違いなく勝てます。咲が負ける要素がありません。それよりも阿知賀の大将の方がまずいかも、そっちを注視したほうがいいです」 阿知賀の大将と聞いて和が少し反応したがスルー、京太郎は確信を持ってそう告げた。 「……そこまで信頼してくれるなら裏切れないわね。根拠は、何?」 「友情パワー?」 「……胡散臭くなったわ」 「……そりゃないよ京ちゃん」 「なんでだ!?」 会場を後にしたメンバーは旅館へ徒歩を進めていた。明日の中日を挟んでいよいよ大会も決勝戦だ。 対策会議はどんなにしてもしたりない……が、ともかく今日はもう休みたかった。すでに日が暮れかけている。 「いやー、疲れたわね、激戦だったもの……」 「肩凝ってかなわんわ」 ずいぶん軽くなった荷物を抱えて京太郎は後ろをついて行く。ふいに、進行方向の地平から上がりかけた月を見て奇妙な思考が頭をかすめた (あいつ……淡は今どうしてるかな……) ーーーーー 例によって大量のホテル飯を胃に詰め込んだ京太郎は、いざ部屋に戻りベッドに横になると教本を広げた。 明日、自分にできることはない、そして今日1日ずっと牌に触っていないせいでもはや我慢の限界だ。 明日は早くから、開店時間から雀荘に駆け込んで麻雀に明け暮れるとしようと思う。 しかしそれとは別の考えが、須賀京太郎の脳内に麻雀教本の知識を刻むことを阻害していた。 大星淡のことである。 確か明日が金を返すと約束した日であったか。しかしそっちはもはやどうでもよく、京太郎は今、淡が何を考えているのかがこの上なく気になっていた。 (あそこまで強いと、いったい普段何を考えているんだろう、戦う相手が何に見えてるんだろう……大将戦で、ある意味負けてしまってどんな気分なのだろう) 色めいた考えなど微塵もない、麻雀が強い人への疑問であった。 内にくすぶる麻雀への熱意があらぬ方向へと向かおうとしている。 無論そんなことを本人を前にして言う気はさらさらないが、なんとなく、スマートフォンを手に取り、真っ黒な画面をじっと見つめた。映るのは漆黒の中にきらめく自慢の地下の金髪である。 と、突然スマホが手の中で震えだした。 「お?」 番号を見てみると、登録されていない番号である、一体誰なのか……変な電話だとやだなぁと思いつつ京太郎は通話をタッチした。 『もしもーーしきょーたろーー?』 なんとも間の抜けた声が響いてきた。今朝自販機に頭突きをかます羽目になった原因、大星淡の声である。 「あん?淡か?」 『そうそう!出てくれてよかったー。昨日の電話ってホテルの公衆電話からしたからさー。今日急いで新しい携帯を買いに行ったんだ!前のやつ古かったし丁度いいかも!』 I s phone6.7の音質を聞いておどろけーと宣ってくるが、音質はこちらのスマートフォンの依存なので向こうの携帯の性能の一端も知ることができないようだ。 「そらまたご苦労さんだな」 『でしょー?親にも携帯壊して怒られてさー……あぁ、そうそう、今朝はごめんねー、あの時お金返そうと思ったんだけどさー、スミレに捕まっちゃってさー』 「スミレ……白糸台の次鋒か」 『そーそー!もー、自分は甘いもの我慢しないくせに他には厳しいんだから~!そんなんだから体重計恐怖症になるんだよね!』 散々な言い草だと京太郎は思う。普通部下が誰かの頭を自販機にぶつけさせてる現場を見たら怒るのが当たり前だとは思うが。 「まぁそれはともかく、なんの用事だ?」 あぁそうそう、と淡は思い出したかのように、世間話を打ち切り要件を告げた。 『明日さ、どうせなら一緒に遊ばない?』 「明日ぁ?お前、決勝は?」 『ミーティングは今日の夜と明日の夜、それ以外はフリーなんだよねー』 なんとも余裕溢れるスケジュールである。部長が聞いたら闘志に火がつきそうだ。対抗してこちらもオールフリーにするとか言い出しかね……かねる、か。 『でさー、京太郎も麻雀やるんでしょ?私がみっちりと指導してあげてもいーんだよ?それ以外にもー!ゲーセンとかー、マンガとかー!』 「優雅なこった……てか、金は?」 『乾かした!』 「……」 Q.金は? A.乾かした! 歴史に残る珍解答であることは間違いないであろう。 事情を知ってる京太郎以外ではお前は何を言っているんだとなること請け合いである。 『ねーいーでしょー?せっかくの機会だから他の学校の、それも他県の人!遊べるなら遊びたーい!』 「……本当に珍しいやつだなお前」 『ほえ?』 「なんでもねーよ」 ここまで人見知りしない性格なのは珍しい、東京の人は全員他人に無関心で交通事故の現場を写メる奴ばかりだと思っていた京太郎は本当に淡が東京生まれの東京育ちか疑問になってきた。 「わかった、付き合うよ。俺も明日は雀荘に入り浸ろうと思ってた。強い奴と戦えるならこっちからお願いしたいくらいだ」 『お、いうね!もしかして強い?』 「すごくよわい」 『えー、なにそれ口先だけ~?口先マーン』 「やかましい。で、俺は10時頃には雀荘行きたいんだが」 『じゃあ10時頃にあのコンビニで待ち合わせしよーよ!』 「おうわかった。後でこの番号でLIMEの申請送っておくからさ、登録しといてくれ」 『はいよー!じゃあ明日ねー!』 通話が終わった。騒がしい声が途切れ、部屋の中に空虚なエアコンの音がかすかに響く。 「本当になんつーか、面白い奴だな」 一人呟く。しばらく黒くなったスマホの画面を眺めた後、それを充電器につないでまくらの傍に起き、京太郎は再び教本を読む。 先ほどまで頭の中を埋めていた余計な思考は、既に消え去っていた。 翌日、京太郎は六時には起きて朝風呂を堪能し、ストレッチののちに朝食をしっかりと食べた。ここで7時半。 そこから部屋で持ってきた荷物の整理及び纏めた牌譜をファイルに整理、そして近くのスーパーでメンバーはの差し入れを購入、この時点で9時、そして待ち合わせのコンビニに九時半にはついた。 この行動は別に京太郎に気合が入っていたわけではなく、差し入れの購入以外は基本的な行動であった。 そして集合時間よりも早く集まるのもハンドボール部時代の癖だ。 「少し早く来すぎたか」 私服の京太郎はクーラーの効いたコンビニ内で適当な漫画雑誌を手に取った。暇つぶしにはちょうどいい。 コンビニの外には様々な人が歩いて行く。スーツを着た如何にもなサラリーマン、無駄に化粧を重ねたおばさん、赤いジャケットにもみあげのすごい人もいれば、和服を着たちびっこも通る。 視界の端でそれを捉えながらもほとんど意識せずに漫画を読む。大して面白くもないそれでも暇はつぶせる程度には役に立つ。 しかし、視界の端にキラリと何かが光り反射的に京太郎は顔を上げた。 窓の外、以前会った時とは違う、柔らかく艶やかな金髪をたなびかせた、大星淡が窓の外からこちらを見つめていた、満面スマイルのおまけ付きだ。 すこしだけドキリとしたことを頭の奥底にしまいこみ、京太郎は漫画をしまうとてきとうなガムをひとつ買い、コンビニの外へ出た。 「おはよう京太郎!」 「おお、おはよう淡」 コンビニから出た京太郎にさっそく淡が元気いっぱいの挨拶をしてきた。 日本人離れした美貌とはミスマッチなはずのにこやかな顔だがそれがまたかわいい。美人は得である。 「おぉー……ねね、靴の裏見せて」 「は?」 「裏!」 いきなり訳のわからない要求だ。片足を上げてくいっと足首を曲げてやる。 「……あれー、スパイクないね」 「この季節にスパイク付きの靴はく奴がいるか」 「長野県民でしょ?」 「長野県民をなんだと思ってやがる」 / / // . 〃 . iト、| . | ヽ ヽ ヽ 乂 .′ / ,イ . / ! . i| | . |\ . ハ .′ i`ーァ′/ ! . i | . | | . | \ . ヽ . ____ i-‐ ´ . .′ !/ . ′| . | | . | | . | \ .  ̄| ̄ ̄ `ヽ /i| |. | | . | | . ! | . |_,,-‐====‐\ . | . | . i j〃 . i| |. |‐===┼- | j -‐ \ . . | . | . | / . i| {. ! \八 . | jノ , -‐ __,,.⊥ . } . | . 人 ′ . 八 Ⅵ ≫=ミ、 . ! ≫≦Y⌒'マハ 、 . .′ . | . .\ i . i . \{ハ 《 )i ハ\{ ″{ .) i } } 》 . / . /! . \ .\ | . | . i '. ヾ い; jj 八∨乂 _;ノ ノ . / . | . .`ー-田舎モン! | . | . | . | . l'. V辷ク ゞ゚-‐ ' . / . / . | . . | . | . | . | . |ハ / . / . / . . | . . | . | . | . | . | . , / . . .′ . / . | . . . | . | . | . | . | . / ,. ,イ . / . 人 . . . . |.. i | . | . | . | ゝ. 、 ノ .′ // / . / . . / \ .\ . l 从 . | . | . { / > . { /' / . / . . ′ \ .\ . 乂{ \. !\〉、 \_/ . . 〕jッ。. . ィV`ヽ /. / . . / \ .\ . . `\ \{ \;/ . . //{{ ` ´ | |│ ,// . . / \ .\ . . 「……ガム食うか」 「食べる!」 包み紙を剥がし、一つくれてやる。なんの疑いもなく淡は口に入れた。 「……から!辛い~!」 「田舎モンっていった罰だ」 「ひょおはほおほはは~!!」 ペシペシと叩かれるが大して痛くない。いいザマだ。 渋い顔をした淡が落ち着くまで適当にぶらつく。ぷくーっと顔を膨らませた淡がようやく口を開いた。 「あー、辛かった」 「俺はそれくらいが好きなんだ。で、電話で話した通り、最初は雀荘でいいか?」 「んー……そだね、コテンパンにしてやるから!」 ウネウネと髪をうねらせながら不敵な笑いを浮かべる淡。どうやら辛口ガムで随分とヘソを曲げてしまったようで、本当にコテンパンにされそうだ。 「はは……手加減しないなら願ったり叶ったりだな」 「ほほー、いうねー、口先マンのくせに~」 「そこから得るものがあるかもしれないだろ」 折れない心とか、とは続けない。負けること前提で進めるのはあまりよろしくない気がする。プライド的な意味で。 というわけで、二人は近くの適当な雀荘に入った。決勝戦前の中日なだけあり、多くの学生で溢れかえっている。 「んー……あ、卓空いてる」 「お、本当だ」 空っぽの卓で対面になるように2人は席に着いた。この様子ならすぐに残りも埋まるだろう。 「ラッキーだね!」 「あぁ、待つかと思ったんだけど……」 しばらく待っているうちに空いた席に一人、また一人とつき、四方が埋まる。ついに開幕だ。 「回ニニO _--ー「T「 ̄\ /二\ 「 l L_コュ 凵 ヽ |( )| L 」コー゙゙゙゙゙ ̄ ゙゙゙̄ーヽ`二´.| /二\,, / ヾ\ 〆). |( )レ ヽ ヽ .ヽ`二/ ヽ .ヽ. ヾ / / ハ -/-ト | 、. | `フ | |ーヾ | i/ | / ヾ | | / | ハ | ヽ\ ヽ __´ | ヽ | ハ ヽ | ヾ __.  ̄ ,,=≡ニ=,,. | | | ヽ V 、ヽヾ ,,=ニ≡ /// ノ レ ヾヽよろしくおねがいします!. / .| ´ _´___ ∠ | ルレ. | | |./// ト--ー゙| ,,. | /レ | | ヽ ヽ _ノ_,,-i ´fヨヽ | レヽ ト ド ̄ ̄日フヽ | ヾ ヽ_ ヾ ____ ,ー 、 /ヽ  ̄ ド ( { .|ベ/ ヽ | ヽヽ__ゝーノソ ト___ | (`ー(ー´ \. ハ ヽ ヽ | ∧ ,ヘト o|ヽ ヽ| トoヾ_へ\\ | | ヽ_/ ヽoヽ ,,ゝ弋コヾ| ─- 、 、 , -───-ヽレ_ , ´ ` 、 / \. , ' 丶. / ヽ. i ,ィ ,ヘ l | / !.{ ヽ \ ヽ | l ,イl| ヾ;、 \ ` ー-ゝ、_ 、 | i l. i / ヾゝ `''ー  ̄_ニ;三=ーヽ . | |. ヽ ヽ!T'==-_、 `‐ `〒‐'fr;ゥj´ _j j リヽ し1! \` l `'´ hタヽ --゚‐'_ `T!´r) } ,リ }. l  ̄ /j ` リ r 'ノ ラ ._.ノ l. ヾ - 、_ニ1 ノよろしくお願いします `ー;ァ. ヽ -ー‐一 ゞー- ,∠ _ ` ー ゝ、 ` r‐;-‐`''"~ ̄ | _,.> 、__, -‐',コ | | 「f´ ̄ ∠∟-‐''´ | | ,. =‐ | | | | | | / -=' | | , j , ヽ /_ -‐`ー─ _,.ゝニゝ/ / `ー---‐ '´ 〉〉 / '´  ̄ ノ/ .レ' f ,ニニン /. くく ./l | | / / ̄ ̄ ̄ 「よろしくお願いします」 「よろしくね~」 全員挨拶が終わり、卓へと向かう。すると、突然対面に座る淡の雰囲気が変わった。 . , ´ ` 、 / \ // .. .... . ヽ // . . . /. . .. . . . . .∧ // . . ´ . . . . .... . . ... ....... . . . . . . . 、 ', .1} } . ./ . / . . . . . . . . . . . .ト;. . . . ', . . . . . . ', .',. 7ミニ彡 . / . . // / //}. . / ,' .ヽ . . .',. . 、. . |.. .∧ __ { ,'.| /}/ . . // / . . . . ..´/. ./ ./ / V...ノ . . .',. . |. . | ∧. /7} ヽ{| ./.ノ. . . ./ /. . . . . ./ メ;..' . /. .V.;. . . . .} |. . | .トヘ. {人_ .ヽ_ミx´, . . ./ / . . . ーx_ //ァ/ ./イ . . . . .|. .|. . | . ヽ.ヽ. ゝ  ̄... . . ., | . ./ . ' . . ./ _≧≦_.´ ._x≠キ" . . .|. .|. . | . . . 》 〉 __`''ーt―r ' ./. ., .{ .l. . イ ',.〈丁≧ァ` k´r‐=≠、. . . .!. . . . !;/,_'_r''´,-=、 `''ー==≧ . . .{{ ';| / ゝ_, r';_; }. ./ 5、_/;}lノ . . .|. . . . |.// ,Xァ.` .≧=-`''-、_. . . . . . . r ヘ .|. ヘ ``'''. ヾソ-'./. . ./|. . . . |/ / `、  ̄´ /´.ヘ V ヘ , / . . / / . ノノ / .∧ ト ./ ヘ ,ヘ > _ __ __ ,/イノ レ'/ / l ∧ | `,' ヘ ヘ >.、 _, =r< .,'. . . . //// / ` ー、 八_} . .ヘ ヘ ∧‐- ./ /. . . . / .//イ .l. . } ,イ .. .ヘ .ヘ ∧`''ー.〈_ ゝ、 . ∧// / | ; ' . / まだサイも回していない段階で既に真剣そのものな表情になっている。モニターで見た大将戦でもこんなに本気《マジ》の表情を見せただろうか。 (たぶん……さっき言ってたコテンパン、か?) しかしその瞳の奥に悪戯心のようなものが見え隠れしている。さっきのガムの仕返し、といったところか。他二人はとくに気づいた様子もなく卓に向いているのでこのオーラは自分にだけ向けられているらしい。 (まいったね、こりゃ……) 処理が終わり、各々が自分の配牌を取っていく。 すべて理配し終えた段階で京太郎は思わず溜息を吐いた。 (マジで五向聴だ) 他の二人も表情が浮かばない。どうやら例の力が発動している……らしい。 六向聴ではないだけマシと割り切り、京太郎は手を入れ替えてゆく。決勝の様子から、自摸配まで弄くるパワーではないらしく、入れ替えは順調に進んでいく。 しかし…… 「んー……」 7巡目ほどの、あの手からかなり早いテンパイにたどり着いた京太郎はチラッと対面の淡を見た。視線にも気付かずにジッと卓上を見つめている。 引いた三索を加え、二萬を切ればテンパイだ。しかしどうにも、気が進まない。 (俺がテンパイしてんのにこいつがテンパイしてねーのか?) まさかダマテンで狙っているのではなかろうか、という疑念が浮かぶ。どちらにしろまだ東一局、焦らなくてもいいかと京太郎は淡には安パイの三索を切った。 二萬も通らない牌ではない故、和に見られたらどやされるだろうが。 しかし下家が次に二萬を切ってもそれはあっさり通った。 (ありゃりゃ) 予感が外れたか、と京太郎は頬をかく。 次順、あっさり京太郎は三索をひいた。オカルトは信じるが自分にそんな力はない、と知っている京太郎はどちらかといえばデジタルよりだ。もう大丈夫と安心して、不要牌の二萬を切り落とした。役は安い、リーチはしなくても…… 「ロン」 「……え?」 宣言、その方向を向くと淡がニヤリと笑って牌を倒していた。 「えーと、3900!」 「あ、あぁ……」 マジで?という心情で京太郎は点棒を淡に渡した。まさかこんな露骨に狙い撃たれるとは……と思ったあたりで、他の二人がとくに変な様子はないことに気づく。 (……あぁ、そういえば) よく考えれば下家が二萬を切った後安心した京太郎は淡を注意してみていなかった。その時に手を入れ替えたのかもしれない。 (俺のミス、か……) 淡に狙い撃たれたのではないかというバカバカしい疑問を京太郎は振り切り、さあ次だと親の一本場の卓に向いた。 , ⌒ ー  ̄ ̄ 、 /_,. - \ /´ / /⌒\ ヽ , ´ , V . / / / / / | V V | /-- ´' / / / l|{ | l| | | { / イ { ' |_,斗| | 、_l__/_ィ |l∧ / , ∧ | {∧{ { 、 /}/}/ } /∧| / イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `  ̄´ V∨乂l \ ムイ/ 从 ' 八/はぁ…… -〈〈/\ v-っ イ》く__ /////∧\} > -- < |//}///> 、 /////////\} 「/〈////////\ /////////////|--、 r-|/ イ//////////\ //////////////∧、__「//////////////// \ {//{////////////〈 ∧ }///////////////////} |//|/////////////V/\ //////////////////'//| _, -──- .,_ '´ `丶、 / \ , / \. / . / ヽ ′ / / `、. .' / /, // /| | ` i . / 」_ ′/ | | i| . i. i | j/, /イ`メ、 | 小 || ト.! j .| ∨/ / |/ ヽ | ァT丁l | | ノ i| V j 抖竿ミ ノ ノ ,ノイjノ | i___ ____彡' , i| i| j 八| x x /ィ竿ミ 刈 | } ̄¨ え≠ / 八 i|/l | | x x / ノ | ′あー楽しかった! / -‐ ' ハ 八 ト、 ヘ.__ ` 厶 イ ノ/ __,.斗‐=≠衣 ヽ八\ 丶.__ソ . イ(⌒ソ イく jア¨¨^\ \ \ >-=≦廴_ ア /ノヘ\ 斗ァ'′ \ \ ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ/圦 | 、\ ヽ 、∨tl `ヽ . ∨ V\ i { `| Vi \ ハ i } | } i } ∨,} }≧=- | 辻_V\`i} i } | /} iハ} 辻ノ ノ ¨〕V//リ iノ ////V〔 ¨〕 結果的に京太郎は負けた。ぼろ負けした。ネギトロにされてしまった。 その四人で4回卓を囲んだが、京太郎の結果は4着3着4着2着。 別に淡は京太郎だけを狙っていたわけではなかった。他の二人も特別強いわけではなかった。 しかしラスを二回引いたぶっちぎりのドベの京太郎に対し、淡は全局一位。まさしくコテンパンである。 /l ,,,;;-―''"  ̄ ̄ ̄ `ヽ、 l |/ 二`ヽ、 ノ/ \ / \ / / L、 / / / _ _ ソ'ノイ `ヽ=、 ./ / / ___\ ∠ ノィ \ / _ l ` _/ \\ ィ" ヘ ヽ | / ┐) `ァ ヽ、 `<_l! ` ´ \ l \ lくそ!トーレスめ!トーストにしてやる! 、_ ノ | r.〈 / ` 、 ∠、 | | 、 | \´ l ヽ \ ___チ `〈_ ノl!ノ ノ | | Y \_ `ー __ 、 ノ .| | | || |  ̄フ´ / ー-、_ヽ ´ | _ノイ / \ チ´ / |;;;/ | / ,,r-、`、 ノ l!_ レ' / L_, /;;;;;;;;;;`ー、  ̄ ̄ l \ `ー-、 ノ / チ_ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;フー、 | \ ー / 、 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ \」_ `ヽ、 / チ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; / `ヽ、_ .〉`ー― '"'" ̄ ̄;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ // `ヽ.」;;;;;;;;;;;_;;;;;;/ // /`ヽ、-―'" \\ .// / / l__. \\ .// / / /;;;;;;;;;\ \\ // / / /;;;;;;;;;;;;;;;;;\ お昼時になり他の二人が卓を離れたため京太郎と淡も雀荘を出る。 「いやぁー……京太郎、マジで弱かったねー」 「うるせーよ牌を見透かしたみたいに狙い打ってきやがって……」 「わざとじゃないしー」 ルンルン気分の軽い足取りで歩く淡とは対照的に京太郎は沈んだ気分でそれについて行く。 「かてねーとは思ってたけどここまでボコボコにされると自身失うぜ」 「ふふーん、この高校100年生の淡ちゃんに勝とうなど、一年生のきょーたろーじゃ99年はやいのさ!」 ビシィッ!と指で刺されてもぐうの音も出ない。ぐぬぬと唸った京太郎は何かいい返さねばと口を開いた。 「つ、次は負けねーからな!」 「……え?」 とたんに、淡の動きが止まった。 「次……?」 「え、ダメ?……あ、そうか、大会終わったらもうお互い遠くだもんな、でもネトマなら」 「いやそーじゃなくて」 京太郎の言葉を遮り、淡がポツリと呟く。 「また、してくれるの?麻雀」 「あぁ、そりゃ勿論」 「……そう」 「うーん……まぁ、いいか」 スッと顔を上げた淡は先ほどまでの明るい表情に戻ると、またずんずんと歩き出した。 「じゃあお腹減ったし、なんか食べようよ」 「奢らねーぞ」 「え?そりゃそうでしょ、学生同士だし。何食べるー?ラーメンとかどう!ラーメン!」 「……本当に、お前は珍しいやつだよ」 「ほえ?」
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番外編 健夜と京太郎 健夜「これは似合うかな?」服の試着をしていて 京太郎「さっきの方が俺は好きかな。そっちはなんか幼く見えるし」 健夜「そうかな…私的にはこっちも好きなんだけど」 京太郎「義姉さんの好きな方で…」 健夜「また京君言っちゃったね」 京太郎「あっ……健夜の好きな方でいいと思う」 健夜「せっかくのデートなんだから呼び捨てでって言ってるのに…」 京太郎「慣れてないから仕方ないだろ」 健夜「いい加減に慣れてくれないと困るよ。もう恋人なんだから」 京太郎「あう…ごめん」 健夜「それにお腹の子も困ると思うよ?」お腹をさすりながら 京太郎「そうだな…健夜ももうすぐお母さんだもんな」 健夜「うん。京太郎と私の大事な子供…本当にありがとう」 京太郎「何が?」 健夜「選んでくれて…一番最初に京君の子供が産めるから」 京太郎「…俺の方こそありがとう。こんな俺の子供を産んでくれようとして」 健夜「好きな人の子供を産む…女の幸せだよ」ニコニコ 京太郎「男だって産んで欲しい女が孕んでくれる。これほど嬉しい事はない」 健夜「当分の間、私とはできないけどね」 京太郎「そ、そんな目でみないでくれよ…」 健夜「あんまり変態なプレイはだめだよ京君」 京太郎「き、肝にめいじときます」 健夜「それに…」 京太郎「それに?」 健夜「私が京君の初めてをもらったんだからね」 カン!
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h29-01 京泉 h29-02 京靖 h29-03 京玄 h29-04 京シロ h29-05 京咲 h29-06 京姫哩 h29-07 京煌誠子野依『第二回須賀京太郎ハートハンティング裁判』 h29-08 京姫哩 h29-09 京穏 h29-10 京玄 h29-11 京咲菫塞 h29-12 京シロ h29-13 京淡 h29-14 京まこ h29-15 京憧 h29-16 京穏 h29-17 京純 h29-18 京咲 h29-19 京塞 h29-20 京和 h29-21 京・清澄・美穂子・淡・憧・白望 酔いどれキス魔 h29-22 京優 h29-23 京・清澄 異分子 h29-24 京宥 h29-25 京・清澄 h29-26 京・白糸台 h29-27 京・阿知賀 h29-28 京淡 h29-29 京はや h29-30 京エイ h29-31 京仁 h29-32 京哩 h29-33 京玄 メリーさん h29-34 京淡 h29-35 京真←淡 h29-36 京淡←真佑子 日記風病み過程 h29-37 京真 トラウマえぐり h29-38 京泉 h29-39 京綾 h29-40 京玄 おもち談義小ネタ h29-41 京玄 h29-42 京玄 h29-43 京玄 キャラ付け h29-44 京・清澄 京太郎の進撃 h29-45 京咲 h29-46 京和咲優 h29-47 京怜 h29-48 京豊 h29-49 京健 h29-50 京雅 h29-51 京・久・健夜・はやり・咏・理沙 h29-52 京玄 重さチェック h29-53 京憧玄 h29-54 京泉 h29-55 京衣蒔 神々の遊び h29-56 京玄和咲 ホラーストーキング h29-57 京・清澄 恋愛シミュレーション h29-58 京泉 h29-59 京・清澄 京太郎日記 h29-60 京まこ h29-61 京淡 h29-62 京玄 h29-63 京・清澄 京太郎日記 h29-64 京和 h29-65 京玄 h29-66 京玄 小ネタ h29-67 京玄 小ネタ h29-68 京玄 小ネタ h29-69 京玄 h29-70 京玄 h29-71 京玄 h29-72 京美穂 h29-73 京和 h29-74 京姫 h29-75 京怜竜 h29-76 京玄 h29-77 京玄 h29-78 京豊 h29-79 京憧 h29-80 京智葉
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保護ページです!!編集はできません!! 刃牙太郎とは 人物概要 氏名 刃牙太郎(ばきたろう) 生年月日 BC?????年3月11日 身長 173cm(仮) 性別 ♂(仮) 役職 幹部 7/16日来訪 経歴 日本にて爆誕 特にこれと言って特徴的なく、自称、大体のゲームはすぐに慣れてやり込めば上達も早いゲーマー だがどうにもやり込み要素があってもストーリーに終わりが来るものはとてつもなく飽きやすく過激なものには飽きにくいらしい 飽きやすい ポケモンなどのストーリーにENDがあるもの 飽きにくい アクション要素が多く頭を使うゲーム、スプラ等TPS(FPSは稀に酔う模様) 普段の日常 学校が終わると部活以外は即帰宅し、ゲームとネットに没頭する毎日を送る ネットに対応し様々なゲームのコミニュティがあることを知りdiscordにて色んな鯖を渡り歩く。そこで出来た多数の仲間と交流を持ち、矢岬とも「#コンパス」のコミニュティで出会った 参加してからの活動 矢岬の彼氏としてこのサーバーにやって来た 当初から彼氏としていろいろ質問責めにあったりし、名前はその際船長に命名された。 サーバーに入り約一日で2人目の船長に電凸した人間となる 余談 数週間後の7/25にとある幹部(笑)を撃退してしまい副幹部に昇進、その後幹部となりサーバーの監視、wikiの編集係となっている 名前について 今は刃牙太郎としているが元はバキバキ陰茎太郎であり、その後のバリエーションとして生まれたものである 現在は聖母神刃牙太郎でこの聖母神は矢岬が「ママみたい」と感じそれっぽいのが名前に着いていたところに刃牙太郎が勝手に改変させていった成れの果てである なおサムからは唯一カーセックス兄貴と呼ばれている サムから引用↓ カーセックス→バキバキ陰茎太郎→バギー→刃牙太郎 現在は自称聖母神としてファミリーに謎の助言やら祈りを唱え密かに布教している(最近はめんどくさくてなかなか出来ていない模様) 自己紹介 聖母神刃牙太郎と申します。呼び方は基本刃牙太郎ニキやカーセックス兄貴と呼ばれていますが個人的には刃牙ニキにして欲しいなぁと実は思っていたりしました。今は聖母様とお呼びください(本人は自由奔放なスタイル) 日頃は聖母神として訳の分からない事を言ったりしてたまに敬語が外れ、1部からもっと暴れろ等暴走することに定評があります。 聖母神として、神託を授けます。何卒よろしくお願いします その他 船長とは考え方が似ていることもありたまに話す仲の模様。 本人曰く相談事を持ち込まれるのが昔から好きだとのこと。なにか困ることがあるならDMで彼に凸して持ち前の聖母のような優しさに包まれながら神託を授かるといいだろう(管理者談) とある人物のリンクから飛んできた人なら分かるかもしれないが2人はかなり謎が包まれている。真実を知っている者は幹部のひと握りしか知らないという… それってもしかして元カn…… 2021/01/9彼女と別れている 過去、詳細 小学、中学共にいじめの経験があり9年の内5年弱いじめられていたらしい。よくいじめていた主格の人物に対し一切証拠を残さずに物を隠す、捨てる、盗む等していたらしい。いじめられた結果人に対して失望、逆にどうすればそこまで他人を陥れるのかと興味を持つようになる。極度の人間不信であり、一切信用、期待しないと思いながらどうしても優しく接してしまい期待してしまうという自己矛盾を抱え悩んでいる。 また自身の拠り所となる存在を探しているが逆にどう接していいから分からずに受け身になってしまい、どう行けばいいのか分からない事に悩んでいるのだとか。 常に他者を想い他者の為に行動しようとするが他者のために行動するのは無意味と思う矛盾を抱え、今日もまたメンバー達の悩みや思いに耳を傾け助言している
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番外編 京太郎過去に飛ぶ カピー「パカパカ(すまないが主を今から過去に飛ばす)」 京太郎「はっ?」 カピー「パカパカ(いいからさっさといって来い。目標はモノクルの女の子を賭博麻雀から護る事。相手は雀神や死神とか呼ばれてるが小鍛冶健夜と三尋木咏を姉に持ち、インターハイ全試合を役満で勝った主ならどうにかなる)」 京太郎「だから…」 カピー「パカパカ(勝たないと未来が変わるからな。勝て、死ぬ気でな。宮守のガキと思い人との記憶も無くなるからな…さあいけ)」 ドス… 京太郎「俺何も言えて…ない…」 カピー「パカパカ(生きろ、主)」 ーーーーーーーー ??「起きて下さい…」 京太郎「…うぅ…あれここどこ?」 ??「気がつきましたか?」 京太郎「ええ…まあ…」 京太郎(あれ旧くさい制服だな) ??「良かった…倒れてたんで心配したんですよ?」 京太郎「は、はぁ…ご迷惑をかけました」 ??「全くです…私は今から大事な用事があるのに」小声 京太郎(大事な用事?) ??「これも何かの縁です、名前を聞いていいですか?」 京太郎「ああ、俺は………です」 ??「えっ?」 京太郎「だから………ですって…」 ??「…ふざけてるんですか?」 京太郎(名前がいえない…いや聞いてもらえないのか?なら) 京太郎「小鍛冶健夜(けんや)って言います」 ??「小鍛冶君?…私は熊倉トシです」 京太郎「えっ?」 トシ「聞こえませんでしたか?私の名前は…熊倉トシです」 京太郎「トシさん?」 京太郎(面影はある……あるけど、ありえない…いや、カピーならありえるのか。ありえないなんてありえない…帰ったらもふもふの刑だな) トシ「名前で呼ばないでください。馴れ馴れしいです」 京太郎「ご、ごめん。知り合いと名前が同じだからつい…」 トシ「そうなんですか…それじゃあ、私は用事があるので」 スタ…ギュ…京太郎がうでを掴んで 京太郎「麻雀を打ちに行くんですか?」 トシ「なんであなたがそれを…」 京太郎「俺もそこに着いて行っていいですか?」
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Mino Taro 三野太郎【ミノ☆タロー】 曾经隶属科乐美的画师,在科乐美期间的笔名为三野太郎和ミノ☆タロー,目前为自由职。 三野太郎是『心跳回忆ONLINE』的人物设计,以及是『GS』的主要美术人员之一,同时也是后来被称作「国民女友」的『Love Plus』的原画画师。 其女性画风非常传统,被称为「仿佛这个女孩会真的出现在你身边」,因此颇受好评。 在『Love Plus』系列续作『Love Plus+』爆红之后,与长期合作的监督内田明理一起被科乐美调入新的制作组LOVE PLUS PRODUCTION。 但随着2012年『New Love Plus』的失败,2015年3月16日内田明理从Konami离职后不久三野太郎也一同离职,LOVE PLUS PRODUCTION名存实亡。 由于ミノ☆タロー这个名字的版权在科乐美,三野太郎在离职后将笔名更名为箕星太朗,开始自行出版漫画,并为CAPCOM发行的游戏『女神巡礼(めがみめぐり)』,角川游戏发行的游戏『方根书简』和『LoveR』绘制原画。 相关页面 游戏用语
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【作品名】とっとこハム太郎 【ジャンル】アニメ 【名前】ハム太郎 【属性】ハムスター 【年齢】6002.28歳くらい 【長所】ハムスターの癖に意外と長寿だった 【短所】子供向けだと思えないくらい公式のツイートがカオス 公式Twitterで嫌ってんじゃないかというくらいこうし君をやたらdisる ちょくちょく家から抜け出してるけど何故か気付かれない 実はそんなに大事にされてないのか? 【備考】Twitterの公式アカウントにて、ハム太郎は人間年齢で何歳?についての質問で ハム太郎は「10万86歳くらいだと思うのだ」と回答している 『ハムスターの気持ちが100%わかる本』によると ハムスターは3年=3歳で人間年齢に換算すると50歳に該当するらしい これを参考に計算すると人間年齢10万86歳くらいのハム太郎は6002.28歳くらい なお、改めて年齢ついて問う者もいたが「その質問には過去に答えてるからちゃんと見ろ」と (子供相手に)激怒していたので少なくとも大真面目に回答していると思われる vol.1 修正 vol.2 vol.5
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朝 日曜日 京太郎「ふわぁ…あれ…ああそういえば一緒に寝たんだったな」 京太郎「朝ごはんを作るか」 京太郎「起こすのも悪いし一人で作るか」 ガチャ…バタン… カピー「パカパカ(ドッペルゲンガーがここまで成長したか…まあ、それも運命か。主の鋼の精神(笑)がどこまでもつか見ものだな。手を出したらロリコンとよんでやろう」 マホ「わふぅ…zzz」 昼 京太郎「マホがパソコンで中学の友達と喋ってるからパソコンは使えないな」 カピー「パカパカ(どうした?」 京太郎「いや、なんかこう久しぶりだと思って」 カピー「パカパカ(私からしたらこのペースでいいんだがな」 京太郎「いや、この抽選券を手に入れてな」 カピー「パカパカ(ホームラン全く…デタラメだな」 京太郎「褒めるなよてれるじゃないか」 カピー「パカパカ(褒めてない」 カピー「パカパカ(結果だ」 カピー「パカパカ(また主にはいらないものばかりだな」 京太郎「でもまあ、もらえるだけいいだろ」 カピー「パカパカ(そうだな…麻雀の本はドッペルゲンガーにでも渡すといいぞ」 ーーーーーーー、 昼2 京太郎「どうしようか」 京太郎「出かけるか」 京太郎「バッティングセンターは疲れるからゴルフに来て見たが…なになに…網にぶち当てたら豪華商品だと。狙うしかないな」 京太郎「昔よんだ漫画の通りに打つと確か…チカラを抜いて笑顔を作って振り抜く」 カーーーーン… 京太郎「おう…凄く飛んだぞ」 バシュ…網に直撃 京太郎「あっ、当たった…」 店員「おめでとうございます。これが景品になります」 よる 京太郎「もしかしたらスポーツの才能があるのかもしれない…まさかな」 京太郎「マホに麻雀を教えるか」 マホ「よろしくお願いします!」ニコニコ 京太郎(そういえばアイテムを使えって言われてたな) 京太郎(どれを使おうか) 京太郎(これにしとくか) マホ「それなんですか?」 京太郎「これは義姉さんが書いた麻雀の参考書だな」 マホ「参考書?」 京太郎「そうだ。理解すれば強くなるぞ」 マホ「ほ、ほんとうですか!」 京太郎「おう。わかり易くおしえてやるからな」 京太郎「ここでこれを切ると見えない圧力が下家にかかるから…」 マホ「あっ、だからこれを切る…す、凄いです!」 京太郎「いやまあ、マホもそのうち簡単にできるよ」 マホ「ほ、本当ですか?」 京太郎「嘘をついても仕方ないだろ」 マホ「が、頑張ります!」 マホ「あ、あの今日もいいですか?」 京太郎「また一緒に寝るのか?」 マホ「……」頷き 京太郎「……」 京太郎「別に構わないぞ」 マホ「やった!これからもいいですか?」 京太郎「まあしかたないからな」 マホ「ありがとう!京お兄ちゃん!」 ギュ…抱きつき 京太郎(夏場のパジャマだから生地がうすい…柔らかい…これ間違ったかもしれない) 京太郎(ゴルフで疲れたのかな…眠いや…z.zz) マホ「…zzz」 カピー「パカパカ(寝顔はそっくりだな」 月曜日 朝 京太郎「……眠い」 カピー「パカパカ(抽選券が手に入ったらくるんだな」 京太郎「…すまん」 カピー「パカパカ(ふん…まあいいがな」 カピー「パカパカ(特別抽選券…またややこしい物を手に入れたな」 京太郎「ゴルフで貰ったんだ」 カピー「パカパカ(常人は六番アイアンで250ヤードも飛ばせないと覚えておけ」 カピー「パカパカ(結果だ…またややこしいのを手に入れたな」 京太郎「愛欲の鎖ってなんだ?」 カピー「パカパカ(質問しにこい。今は答える気分じゃない」 京太郎「カピー…」 カピー「パカパカ(わかっている。ドッペルゲンガーの相手くらいしてやろう」 京太郎「すまんな」 ーーーーーーーーー 昼 京太郎「どこで食べようか」 京太郎「さ、さみしくなんかないんだからな…次は部室で豊音と食べようかな」 ーーーーーーーー 放課後 部室 京太郎「どうしたものかな」 エイスリン「トックン!」 京太郎「今日は基礎をやってみるか」 エイスリン「うん!」 帰り道 京太郎「そういえばさ、俺の家に女の子が来たんだよ」 エイスリン「えっ?」 京太郎「義姉さん達の恩師の子なんだけどさ…」 エイスリン「そ、それで?」 京太郎「麻雀の基礎を教えないといけないんだ」 エイスリン「えっ?」 京太郎「健夜義姉さんが言ってたんだけどな基礎ができないとやばい事になるっぽいんだ…だからさ…力を貸してくれるか?」 エイスリン「麻雀を教えればいいのかな?」 京太郎「そうだ」 エイスリン「よ、良かった…それくらいなら大丈夫だよ」 京太郎「ありがとう、エイスリン。ところでさ」 エイスリン「ナニ?」 京太郎「日本語ペラペラなんだな」 エイスリン「あっ…」 夜 京太郎「もうすぐ夏休みだな」 京太郎「智葉さんを誘ってみるか」 智葉「暇なのか?」 京太郎「勝った。たかみーさんは初手に字牌しか切ってないけど能力持ちなんだろうな。ウィスが着てるな」 京太郎「たかみーさんからだな」 たかみー「一位おめでとうございます」 京「ありがとうございます」 たかみー「あわあわが言ってた通り強い人ですね」 京「あわあわさんと知り合いなんですか?」 たかみー「ええ。貴方に負けた次の日は荒れてますから」 京「そうなんですか…なんかすいません」 たかみー「かまいませんよ。また良かったら打ってくれますか?」 京「此方こそお願いします」 ーーーーーーー 就寝前 京太郎「あれ、もう部屋に来てたのか?」風呂上がり マホ「は、はい!」真っ赤 スッ…雑誌をベッドの下に隠す マホ(ま、まさかあんな本があるなんて思わなかった!) 京太郎「とりあえずもう遅いし寝るか」 マホ「寝る?え、エッチなのはいけないと思います!」カァァ 京太郎「何言ってんだ?」 マホ「うわぁぁ…な、なんでもないです!」 マホ(お、落ち着いて私) 京太郎「…zzz」 マホ「……もう寝てしまったんですか?」 ツンツン… 京太郎「…っ…zzz」 マホ「男の人は溜まるってさっきの本に書いてたけど…何が溜まるんでしょう?それにマホの頭やお腹は熱いし…全部京お兄ちゃんのせいです」 ぎゅう…抱きつき マホ「温かい…京お兄ちゃんはマホとあんな事したいのかな?…マホは別に…構わない…zzz」 朝 京太郎「…なんで抱きつかれてるんだ?」 京太郎「とりあえず起こさないようにしてと…マホの昼ご飯も作っておかないとな」 ーーーーーー 昼 京太郎「どうしようか」 京太郎「……zzz」 ーーーーーー 放課後 部室 京太郎「また寝てしまった」 胡桃「京太郎、全国の譜面をチェックするから手伝って貰っていいかな?」 京太郎「了解です」 胡桃「…この阿知賀の人、特徴的だね」 京太郎「染めてに寄ってる訳でもないですから、多分妹と一緒です赤い牌が来やすいんだと思うな」 胡桃「赤い牌…確かに中や赤ドラもきてるね」 京太郎「厄介な相手になりそうですね」 ーーーーー 帰り道 京太郎「なあ塞、頼みがあるんだけど…」 塞「待って当ててあげようか、その頼み」 京太郎「えっ?」 塞「京太郎の家に居る女の子に麻雀を教えてあげればいいんだよね?」 京太郎「そ、そうだけどなんで…ああ、エイスリンから聞いたな」 塞「うん。水臭いよ京太郎。私達仲間なんだから困った時は頼ってくれないと」 京太郎「ごめん…」 塞「皆知ってるからビシビシ教えられるよ」ニコニコ 京太郎「お、おう…」 京太郎(ある意味、マホにとったら地獄かもしれないな) ーーーーー 夜 京太郎「…昼間寝たからか身体が軽いな」 京太郎「アイテムはどうしようかな」 マホ「今日もよろしくお願いします!」 京太郎「今日は本無しで落ち着いて打つ練習だな」 マホ「はい!」 マホ「…ここ」 コトン… 京太郎(和の打ち方にそっくりだな) マホ「こんな感じでいいですか?」 京太郎「ああ、最初の頃に比べて格段に良くなっなってきてる」 マホ「ほ、本当ですか!」 京太郎「嘘は言わないぞ」 マホ「やったー!」 ーーーーーーー 就寝前 ガチャ… 京太郎「さっさと寝る…あれ…」 マホ「えっ…?」手に妹物の秘蔵本 京太郎「な、なんでそれを…」 マホ「こ、これは違うんですー!!」真っ赤 五分後 リビング 京太郎「とりあえずあの…すいませんでした!」土下座 マホ「お、お兄ちゃんは悪くないです!」 京太郎「いやでも…あれは…」 マホ「それよりも聞きたい事があります」カァァ 京太郎「聞きたい事?」 マホ「お兄ちゃんはマホとあんな事がしたいんですか?」カァァ 京太郎「えっ?」 マホ「だからお兄ちゃんはマホとセックスがしたいのか聞いてるんです!」カァァ 京太郎「したい」 マホ「っ…!」カァァ 京太郎「って答えたらどうするんだ?」 マホ「えっ?」 京太郎「マホ、大事な事だから言っとく。男は皆、等しく狼だ」 マホ「京お兄ちゃんも?」 京太郎「そうだ」 マホ「それじゃあ…マホの事を…」 京太郎「それはしない」 マホ「マホに魅力がないからですか?」 京太郎「…マホは魅力的な女性だ。でも俺はマホを養う金も権力もないただの学生だ」 マホ「えっと…どういう事?」 京太郎「もし俺がここでマホを抱いて妊娠したらどうする」 マホ「妊娠?」 京太郎「そう妊娠だ。中学生の出産なんて世間は認めないし、俺やマホがその子を自分の手で養っていくには若すぎる」 マホ「その通りです…でもマホはお兄ちゃんとなら…」 京太郎「二年後だ。二年後、俺が18でマホが16になる時にマホがその気持ちのままならもう一度話し合うべきだ」 マホ「でもお兄ちゃんが他の人と交際してたら?」 京太郎「…諦めろ」 マホ「そんなのってないです!」 京太郎「そうだマホが好きな俺はただのクズなんだ…」 マホ「うわぁぁぁああん」泣き出して 京太郎「ごめんなマホ」 マホ「……zzz」泣きつかれて眠り 京太郎「ごめんな、マホ」 パタパタ…足音 カピー「パカパカ(酷な断り方をするな」 京太郎「…マホは岩手に来て俺しか頼れないから錯覚してるだけだ」 カピー「パカパカ(それでももう少しまともな断り方があっただろう」 京太郎「そうか?」 カピー「パカパカ(ああ…人の好意には相変わらず弱いな」 京太郎「そうかもしれないな」下を向いて カピー「パカパカ(ふん…まあいい。義姉の部屋にさっさとその小娘を運べ。私が面倒を見ておいてやる」 京太郎「助かる」 カピー「パカパカ(これは貸しだ。まったく、主は世話がやける」 京太郎「カピーには頼りっぱなしだな」 ーーーーーーー 良子部屋 カピー「パカパカ(この娘も難儀だ。主に薬を盛られるかさっき以外の道なら今ごろ抱かれていたのにな…運命とは皮肉だな」 マホ「お兄ちゃん…zz」 カピー「パカパカ(仕方ない…縁を結んだあやつのためにも少しだけ力を貸してやるか」 カピー「パカパカ(夢見でいいか…面倒だからな。惚れた男の過去だ知っておいてそんはないだろ。あの賢母も知って居る事だしな…いや、ならもう一つ奥を観せておくか。今週末長野に魔王や満月に出会いそれを糧にさせるか…」 ビン… マホ「っ…」 朝 京太郎「……はぁ…」溜め息 京太郎「カピー、マホは…」 カピー「パカパカ(安心しろ爆睡してる。あれは昼過ぎまで起きないぞ」 京太郎「そ、そうなのか」 カピー「パカパカ(つまらん事を聞くなよ。あの小娘の事とか特にだ。振ったのに相手に幻想を魅せるな。それは正真正銘のクズだ。主の行動は間違いでは無かったが最善でもなかった。それが全てだ。それでなにが聞きたい?」 京太郎「ならあの鎖についてきかしてくれ」 カピー「パカパカ(あれは一種の増強剤だ」 京太郎「どういう意味だ」 カピー「パカパカ(そのままの意味だ。対象にした相手のある感情を爆発的に増加させ繋ぎとめる。ただそれだけの事だ」 京太郎「それは悪意とかの類いなのか?」 カピー「そうと言えばそうだが害は無い。使用者以外はな」 京太郎「対象者じゃなくて使用者に害があるのか?」 カピー「パカパカ(好きでも無い牝犬が発情してたら困るだろ?」 京太郎「笑えない冗談だな」 カピー「パカパカ(冗談に聞こえるなら冗談なんだろう。知らない方がしあわせな事もあるからな」 830 名前: ◆qV6dwdDny6[saga] 投稿日:2013/12/24(火) 05 29 23.86 ID UuXEvxUVO [1/39] 昼 京太郎「どうしたものかな」 部室 豊音「元気ないね」 京太郎「そう見えるか?」 豊音「うん。顔が暗いもん」 京太郎「そうか…」 豊音「噂の女の子の事かな?」 京太郎「そんなところ…自分の不器用さに呆れてただけだ」 豊音「…京太郎は優しすぎるからね。流されたらラクなのに立ち止まる覚悟がある」 京太郎「俺だって流され易いぞ」 豊音「うんうん、それはないよ。結局、覚悟を決めて行動してるよ。だからその女の子の事もそうした結果なんだと思う」 京太郎「……」 豊音「その子もきっと気付いてくれるよ。京太郎が伝えたかった事」 放課後 部室 京太郎「なにをしようか」 シロ「元気ないね」 京太郎「…すまん」 シロ「別にいい。ただちゃんと教えてね」 京太郎「おう、まかせろ」 ーーーーーーーー 帰り道 胡桃「……」 京太郎「……」 スタスタ… 京太郎「何も聞かないんですか?」 胡桃「うん。話してくれないでしょ」 京太郎「すいません」 胡桃「いいよ、別に。慣れてるから」 京太郎「慣れてる?」 胡桃「結婚式の時も両親に挨拶に行く時もそんな風だったからね」 京太郎「結婚式?」 胡桃「な、なんでもないよ!」 京太郎「でも…」 胡桃「は、早く帰ろうよ!」 ぎゅ…手を握って走り 京太郎「ちょっ、待ってください」 夜 京太郎「……」 京太郎「ハオにメールしてみるか」 From 慧宇 なにかあったんですか? 京太郎「文面でばれたのか?…大丈夫、特に何もなかったぞ」 From 慧宇 それだったらいいんですが…何かあったら言ってくださいね。 京太郎「ああ、そうさしてもらうよと……周りの女性は勘がよすぎないか?」 ーーーーーー 慧宇「やはり岩手に行くべきなんでしょうか?」 就寝前 京太郎「義姉さんの部屋で寝たみたいだな…カピーも居るし大丈夫だろ」 木曜日 朝 京太郎「…どうしようか」 京太郎「お弁当を作るか…マホにもお昼じゃなくてお弁当にしとくか。気分転換になるだろうしな」 ーーーーーーーーーー 昼 京太郎「どうしようかな」 京太郎「熱い……間違ったな」 ーーーーーーーーーー 放課後 部室 京太郎「どうしたものか」 京太郎「今日はオカルトの 強化だな」 塞「うん。豊音や京太郎と比べると能力の競り合いになったら若干だけこっちが弱い気がするから」 京太郎「そんな気はしないんだどな…」 塞「私はするの」 京太郎「わかった…まあ、教えられる事は教えるよ」 帰り道 胡桃「……まだなにもしてないみたいだね」 京太郎「ああ…なんかこうどうすればいいのか解らない」 胡桃「方法は思いついてるの?」 京太郎「いや全く…」 胡桃「なら待つしかないよ」 京太郎「待つ?」 胡桃「うん。何も思いつかないなら相手の行動を待つしかない」 京太郎「…それしかないのか」 胡桃「うん。押してダメなら引くしかないよ」 夜 京太郎「待つのか…」 カピー「パカパカ(落ち込んでいるな」 京太郎「カピーか…マホは?」 カピー「パカパカ(明日の準備で忙しいみたいだぞ。それに主も明後日には北海道だ」 京太郎「何がいいたい?」 カピー「パカパカ(何も。ただ主も人になり始めたと思ってな」 京太郎「俺は元々人だぞ」 カピー「パカパカ(そうだったな」 京太郎「胡桃とイチャイチャしたい」 カピー「パカパカ(はっ?」 京太郎「だからイチャイチャ…」 カピー「パカパカ(いやだからそんな願いじゃなくてもっとこう、具体的なのをな」 京太郎「じゃあなんだったらいいんだ」 カピー「パカパカ(知るか、考えろ。抱きたいでもなんでもいいだろ」 京太郎「いや、お願いで抱きたいはないだろ。そうだな…でもまあ、そうだな…繋がりをくれ」 カピー「パカパカ(いやいや、そっちの方がよっぽど…」 京太郎「カピーが言えって言ったんだろうが!」カァァ カピー「パカパカ(……ふん、男が考える事は女よりメルヘンだから困る。まあいい二個分だ、その一個先にしてやろう。開ける事が無いはずのパンドラの箱だ。開けてみようじゃないか」ゴゴゴゴゴ… 京太郎「な、なんでそんなに張り切ってるんだろう」 カピー「パカパカ(こんな楽しい事、頼まれないとできないからな」 バン… マホ「…マホはどうしたらいいんでしょう?」 ーーーーーーーーーーー 朝 京太郎「…何があったんだ」 京太郎「…朝御飯だな。終業式だからお弁当がいらないしな」 京太郎「いってきます」 ガチャ…バタン… スッ… マホ「行きましたか?…これでいいのです」ポロポロ カピー「パカパカ(ふん…不器用だな」 マホ「それじゃあね、カピー。また会えたらよろしくね」 カピー「パカパカ(月曜日には会えるだろ」 マホ「やっぱり何か喋ってるのかな?」 昼 京太郎「終わった…明日から北海道旅行だからなどうしようか」 京太郎「部活に顔を出してからにするか」 ガチャ… 京太郎「こんにちは」 塞「あれ京太郎、今日きたんだ」 豊音「これで四人だよ!」 エイスリン「ソウダネ」 京太郎「シロと胡桃は?」 塞「シロも胡桃も用事だって」 京太郎「そうなのか」 京太郎「明日から夏休みだな」 豊音「うん…インターハイまでもうすぐだよ」 京太郎「そうだな」 豊音「祭りだよ。皆で楽しまないとね」 京太郎「楽しんで勝つ」 豊音「うん、私達が男女最強だよ」ニコニコ 帰り道 繁華街 京太郎「明日は空港集合だったよな」 白望「うん」 京太郎「あれ、用事だったんじゃないのか?」 白望「買い物してた」 京太郎「ああ、まだあるのか?」 白望「もう終わった」 京太郎「そうか」 白望「楽しみにしてるから」 京太郎「明日か?」 白望「うん。二人だけだから」 京太郎「…待て、それを言うとなんか恥ずかしいぞ」カァァ 白望「わざと…だるい…」 ギュ…おんぶ 京太郎「あーもう、なんかずるいぞ」 白望「気のせい。」 夜 京太郎「…ふぅ、やっと準備が終わった」 京太郎「モモを久しぶりに誘ってみるか」 桃子「久しぶりに誘われたっすよ!」 京太郎「みほこさんに負けた…てかこれ、美穂子じゃないのか?モモからスカイがきてるな」 桃子「残念だったっすね」 京太郎「ああ、モブさんを操られたな」 桃子「そうっすね。見事に試合をコントロールされたっす」 京太郎「だが次は勝つ」 桃子「私が勝つっすよ」 京太郎「ああ、モモ。遅れたが個人戦出場おめでとう」 桃子「ありがとう…京太郎も岩手一位おめでとうっす」 京太郎「ありがとうな。東京で会えるな」 桃子「そうっすね。その時にまたご飯でも行くっす!」 京太郎「それもありだな」 菫「なんだまた来たのか?」 カピー「パカパカ(来てやったの間違いだろ!私は暇人じゃないんだぞ」ジタバタ 菫「まてまて、今日は和菓子があるぞ」ゴソゴソ カピー「パカパカ(わ、和菓子……仕方ない待ってやろうではないか」 菫「ほらあった。それにしてもお前は何処からここに来たんだ?」 パク…もぐもぐ カピー「パカパカ(私に不可能はない!」ポロポロ 菫「こら、口にいれすぎだ馬鹿者」 カピー「パカパカ(す、すまない…」ショボーン 菫「しょぼくれるなら最初からゆっくり食べればいい」 ナデナデ カピー「パカパカ(和菓子が悪い」 菫「…今、どうせ和菓子が悪いとかおもったんだろ」 カピー「パカパカ(なぜばれた」 菫「カピバラがそんな事を思わないか。まあ、ゆっくり食べろよ。私は宿題をしてくるからな」 カピー「パカパカ(頑張ってこい。私はそろそろ帰るからな」 菫「明日はシュークリームだからな」 カピー「パカパカ(よし明日、願い事を叶えてやろう」 サイドストーリー 夢乃マホの合宿 マホ「久しぶりです!」 優希「久しぶりにムロマホコンビを見たジェ」 和「お久しぶりですね」 マホ「今日は呼んでくれてありがとうございます!」 ムロ「さっきまであんなに落ち込んでたのに…もう立ち直ってるよ」 優希「落ち込んでた?」 ムロ「はい、岩手で何かあったみたいなんですよ」 咲「岩手?」 和「なんでマホが岩手に行ってたんですか?」 ムロ「それは…家庭の事情とだけ聞いてるんですが」 マホ「あぅ…それは言えないんです」 優希「なら岩手で何があったか話すんだじぇ」 マホ「振られたんです…」 和「えっ?」 マホ「告白して振られたんです、マホ…」 一同「えっ、ええええ!!」 和「つまり合宿先のお兄さんに告白したら断られて、挙句にいま言った事を言われたんですか?」 マホ「はい…」ショボーン 優希「どうしようもない奴だな、そいつは」 ムロ「最低な人だな」 久「最低って人より大人よね」小声 まこ「そうじゃの…立派な大人じゃ」小声 咲(なんでだろう…京ちゃんが思い付く) 和「……その人は須賀京太郎って人ですか?」 マホ「えっ、なんでそれを…」 和「やっぱり…」 咲「京ちゃんだったんだ」 和「私は須賀君が間違ったと思いません」 マホ「えっ?」 ムロ「な、なんでですか!」 和「それは私の口から言っても意味がないです。マホが気付かないと意味がない…じゃないと須賀君が可哀想です」 マホ「あぅ…」 優希「のどちゃんは手厳しいんだじぇ」 和「私が言えるのは考えなさいって事だけです」 マホ「わ、わかったのです…」 和「それじゃあ、打ちましょうか。それが目的ですから」 マホ「は、はい!」 東一局 一同「よろしくお願いします!」 ムロ「久々にマホのタコスぢからがみられるね」 マホ(タコスの味…懐かしいです。ですが今のマホは姫君なんです!)ゴゴゴゴゴ… 咲「ひっ!」 妲己発動! マホ「ツモ、16000オールです」 咲(東初に高打点…優希ちゃんに似てるけど何か違うような) 東一局一本場 マホ(次は…妖怪) 月光発動! ムロ「ムッ…」 和「立直」 マホ「追っかけるよー、立直」 和「……」 コトン マホ「ロン、4200です」 東一局二本場 マホ「…もしかして宮永先輩が待ってるのって白ですか?」 咲「えっ?」 マホ「マホ、嶺上でツモれる気がします。カン!」 ギュン…ボッ… マホ「嶺上開花ツモドラ6…8200オールです」 咲「えっ?」 マホ「マホの勝ちです」 マホ「マホが勝ったのです!」 久「聞いてたとの違うわね」小声 まこ「ああ…これは魔物じゃ」小声 優希「マホが強くなったな!」 ムロ「長野の県大会が終わってから急にレパートリーが増えたんです」 マホ「♪~」 咲「…」ブルブル 久「でもそれは好都合よ。全国に行く前に魔物クラスと打てるんですから」 和「次は負けません」 マホ「マホだって頑張ります!」 マホ「あぅ……」真っ白に燃え尽きており 久「19局で燃え尽きたわね」 和「そこから後はチョンボとまではいきませんがミスが目立ちましたね」 咲「健夜さんや良子さんの能力もあったよ…」 優希「マホがこんなに成長するなんて思ってもみなかったじぇ」 まこ「そうじゃの…二試合は凌げる能力ばかりじゃったし…何よりどれも強力なのがタチが悪い」 久「その度に最善を引いてるみたいだし将来が楽しみね」 和「はい…私達も負けてられません」 優希「そうだじぇ、マホに負ける訳にはいかないんだじぇ」 咲「わ、私だって負けないよ!」 久「特訓頑張らないとね」 早朝 京太郎「よし、空港に向かうか」 朝 空港 京太郎「あれシロが先に居る」 白望「ダルい」 京太郎「もしかして始発できたのか?」 白望「うん」 京太郎「な、何があったんだ」 白望「寝れなかったから電車で寝てた」 京太郎「……おんぶしてやる」 白望「ありがとう…」 ギュ… 白望「ダルくない…」 昼 札幌 京太郎「先にチェックインをすますか?」 白望「どっちでもいい」 京太郎「こっちは比較的に涼しいしな。どうしようかな」 京太郎「先にチェックインをすますか」 白望「うん」 ーーーーーーー 白望「ここ」 京太郎「……どうやったんだ?」 白望「悩んで福引で当てた」 京太郎「な、なんだって…」 白望「一番良い部屋だよ」 京太郎「えっ…別々部屋なんじゃ」 白望「違う」 京太郎「まさか最初から…」 白望「ダルい…」 ホテル最上階 白望「広い」 京太郎「ベッドが一つしかないんだが」 白望「問題ない」 京太郎「いや、俺からしたら…」 白望「問題ない」 京太郎「……今回だけだぞ」 白望「うん」 京太郎「それでどうする?何処で飯を食べる?」 白望「…」 白望「外」 京太郎「ホテルじゃないんだな」 白望「うん…せっかくだから」 京太郎「その代わりおんぶで移動なのか?」 白望「……手でいい」 ギュ… 白望「悪くない」ニコ 京太郎(やばい、シロが可愛い) 白望「それじゃあ行こうか」 京太郎「お、おう」 スタスタ 白望「ジンギスカン」 京太郎「えっ?」 白望「あそこ」指をさして 京太郎「ジンギスカンを食べるのか?ランチもやってるみたいだが」 白望「うん」 京太郎「…歩き疲れたんだろ?」 白望「それもある」 京太郎「はぁ…まあ、いいか」 白望「美味しいから大丈夫」 京太郎「行った事があるのか?」 白望「二回だけ」 京太郎「北海道に結構行ってるんだな」 白望「…まあね」 白望(家族としかきた事がない…) 京太郎「それなら味も期待できるな」 白望「…ダルい」 京太郎「結構量があるんだな」 白望「うん」 ジュウ… 京太郎「俺が焼かなくていいのか?」 白望「大丈夫」 ジュウ…ジュウ…スッ…皿によそい 京太郎「あ、ありがとう」 白望「食べないの?」 京太郎「いや、シロにこんな事してもらえるなんて思わなかったから」 白望「いつものお礼。世話してもらってるから」ニコ 京太郎「おっ、そ、そうか」カァァ 白望(……想定通り) 昼2. 京太郎「飯も食べたしどうする?」 白望「……」 白望「観光しよう」 京太郎「…ホテルに戻るって言うと思った」 ギュ… 白望「そんな事言わない」 白望(一瞬迷ったけど) 京太郎「何を見にいく?時計台や動物園とかもあるしな」 白望「何処でもいい」 京太郎「……」 京太郎「動物園に行くか」 白望「旭山?」 京太郎「いや近くに円山動物園ってのがあるらしい」 白望「……行くの?」顔をすこし歪めて 京太郎「嫌だったか?」 白望「うんうん…ただ、嫌な予感がしただけ」 京太郎「嫌な予感?」 白望「気のせいだった…行こう」 京太郎「お、おう」 白望(……会うはずがない。あの女なんかに) ーーーーーーーー 動物園 京太郎「世界の熊館にフクロウ…どれから行く?」 白望「どれでもいい」ぐだぁ 京太郎「はは…おんぶするよ、シロ」 白望「別に…」 京太郎「はいはい、疲れてるんだろ」 ギュ… 白望「…ありがとう」 京太郎「凄え、まじでいろんなクマがいる」 白望「野生を感じない」 京太郎「なんだそれ。野生のクマがこんな所にいたら問題だろ」 白望「そうだね…戦ったら勝てる?」 京太郎「…素手なら無理だな」 白望「…ナイフがあるなら?」 京太郎「よく解ったな。三割は増えるな」 白望「戦う前に逃げる」 京太郎「それが最優先だな。でも誰かを護るなら勝つさ…なんてな」 白望「京太郎なら大丈夫」 京太郎「買いかぶりすぎだぞ」ワハハ 白望(豊音の村に行った時に倒してた……ナイフ三本で……死にかけてたけど) 夕方 京太郎「動物園はたまにくると楽しいな」 白望「そうだね」おんぶされており 京太郎「晩飯にはまだはやいしな。どうする?」 白望「……」 白望「これがある」野球のチケット 京太郎「野球観るのか」 白望「動かなくていいから」 京太郎「…なんとなくわかった」 札幌ドーム 京太郎「今から始球式みたいだな」 白望「うん」 解説「今日、始球式をしてくださるのは女子麻雀トッププロの一人、 野依理沙さんです!」 観客「わぁぁぁぁあ!」 京太郎「はっ?」 理沙「頑張る!」ピッチャーマウンドに立っており 白望「ダルい…」 京太郎「な、な、なんでいるんだ」 理沙「ふん!」 ひゅー……バシ… 京太郎「ど真ん中に投げれてる」 理沙「ふん!」 ヒュッ…バシ 白望「スピードが上がってる」 理沙「最後!」ぷんすか シュン…バシュ… 審判「ストラーイク、バッター、アウト!」 理沙「やった!」 京太郎「……意外な特技だ」 白望「そうだね」 京太郎(後でメールしとこう) 楽天の勝ち 京太郎「完封か…さすがだな田中投手」 白望「……zzz 」 京太郎「つまらなくなって寝たな」 白望「京太郎…zzz」 京太郎「はぁ…ホテルに戻るか」おんぶして ーーーーーーー ホテル 部屋 京太郎「ほらついたぞ、シロ」 ボフ…ベッドの上にシロを降ろす 白望「眠い…」うとうと 京太郎「いやいや、とりあえず靴を脱げ」 白望「脱がして貴方…」 京太郎「貴方って、寝ぼけすぎだろ」靴を脱がす 白望「…みんなはどうしたの?」うとうと 京太郎「皆って俺とシロしかいないぞ」 白望「娘達は……zzz」 京太郎「娘ってなんだ…てか、おいシャワーを浴びろよ」 ゆさゆさ 白望「…zzz」 京太郎「駄目か…先にシャワー…いや、飯を確保してくるか」 白望「…京太郎…zzz」 京太郎「?」 白望「今年も……お墓参り……zzz」 京太郎「えっ?」 白望「二人で……zzz」 京太郎「なにを言ってるんだ?」 白望「…うん……愛してるよ……zzz」ニコ 京太郎「っ!……落ち着け…外の空気を吸ってくるか」 ホテル 外 京太郎「あれキグルミが風船を売ってるだと…」 バク「いらっしゃい…おや、迷い込んだみたいですね」 京太郎「迷い込んだ?」 バク「……気にしなくていいですよ。それでここで会ったのも何かの縁だ。一つ幸運を買わないかい?」 京太郎「幸運をですか?」 バク「ああ、この風船には幸運が詰まってる。にいちゃんが対価を払ってくれた分だけ私は幸運をにいちゃんに売ろうじゃないか」 京太郎「対価…広島の人と同じか」 バク「広島?侑子さんと縁があるのかい?」 京太郎「いや、店主にってよりカピーが…」 パク「カピー…まさかにいちゃんあの方の主か!」 京太郎「あの方がカピーならそうです」 パク「かぁ…奇縁だ。にいちゃん、あんたに要求する対価は一つだ。あんたの夢をくれないか?」 京太郎「夢?」 バク「ああ、あんたの視る夢を悪夢をくれ。そうしたら最高の幸運をあんたにやろう」 京太郎「悪夢で幸運が貰えるんですか?」 バク「ああ」 京太郎「……」 京太郎「すいませんがお断りします」 バク「…そうかい残念だ。にいちゃんの夢はさぞ美味かっただろうな」にたぁ 京太郎「悪夢だろうが夢は大切ですから」 バク「流石はあの方の主だ…なら一つこれをやろう。にいちゃんとの縁は大切にしたいからか」風船を一つ渡し 京太郎「これは?」 バク「他人の夢を視る夢が詰まってる」 京太郎「なんですかそれ?」 バク「まあ、そろそろ時間が迫ってるし持っていたら解るさ」 京太郎「えっ?」瞬きをして バチん… 京太郎「居ない…でも風船はあるんだな」 夜2 ホテル 部屋 ガチャ… 京太郎「起きてるかシロー」 白望「…zzz」 京太郎「寝てるな…もうとりあえずおにぎりとか買ってきたんだけどな。まあ、シャワーを浴びて寝るか」 ーーーーーーー 就寝前 京太郎「…この風船は意味があるんだろうか?」 入学式 男「そんなに硬くならなくていいだろ」 少女「か、硬くなってない」 男「安心しろ母さんはきちんと来るぞ」 少女「…本当?」 男「ああ。来るって言ってたからな」 少女「でも大切な試合があるんじゃないの?」 男「はは、娘の入学式より大事な事なんてない。」 わしゃわしゃ… 少女「でもお母さん…一緒に来てくれなかったよ?」ウルウル 男「母さんを信じろ。家族の中で一番しっかりしてるだろ」 少女「うん…そうだね」 男「だろ」 少女「でも胡桃お母さんもしっかりしてるよ」 男「おう…」 少女「エイスリンお母さんだってしっかりしてる…」 男「そ、それでも母さんはしっかりしてるだろ」 娘「…そうだね。お父さんを独占できるからいいけど」 ギュ… 男「ああ娘は可愛いな」 女「楽しそうだな?」 男「おっ、来たか」 娘「お母さん!」 ダッ…ギュ…抱きつき 女「待たせたな」 なでなで 少女「うん、私待ってたよ」ニコニコ 男「それじゃあ行こうか」 女「ああ、京太郎もすまなかっな」 男「いや智葉が…」 バチん…… 京太郎「はっ…あの夢ってまじなのか?…あれでも風船が割れてる」 白望「……zzz」 京太郎「もう一回寝よう」 ーーーーーー 智葉「な、なんだったんだ今の夢は?」 早朝 ??「……」 白望「……朝?」 京太郎「……zzz」ソファーで寝ており 白望「…野球で寝たのか。失敗した」 クンクン…体の匂いをかいで 白望「シャワー浴びないと…」ノソノソ 「寒い…」 クーラーの風が体を冷やしていく。下着姿のままで服を取りにきたが京太郎はまだ寝たままだ。 ??荷物に向けていた身体を京太郎の方に向けて歩き出す。 「…すぅ…すぅ」 ?何度も見た事があるはずの寝顔を彼はしていた。中腰になりながながら彼の顔に頭を近づける。 (なんでこんなに好きなんだろう) ゆっくりと顔を近づけながら私はそう思った。 初めて出会ったのがGWの時。公園で彼と初めて出会った時の印象は今も覚えている。その印象の通りに彼は優しかったし豊音達とも仲良くしていた。 もう会う事もないと思っていた。だけど二週間後に彼は転校してきた。嬉しかったし柄にも無く運命かもしれないと思った自分が恥ずかしい。 「三回結婚したから?」 一回目は宮守の皆と。二回目は12人と。三回目でようやく一人で結婚ができた。夢の様な記憶に想いを馳せる度に考える。 なぜ、記憶が存在するのだろうか。 当たり前の様に受け入れてる事だがどう考えてもおかしい。例えるならTVの内容を覚えている感覚に近い。結婚して、子供が産まれて…人生の中でこれから経験して行く事を私は記憶している。それが嫌だとは思わないし、気持ち悪いと思った事もない。 ただ寂しく思う。 誰よりも共有したい人が忘れている。 誰よりも話をしたい人が知らないでいる。 一方通行の片思いが嫌なんじゃない。 私はただ寂しい。 愛してると言ったあの言葉も。 娘達が産まれたあの瞬間も。 最後を迎えたあの日の事も。 全てが嘘だったと思ってしまう自分がいる。 「京太郎…寂しい」 目から涙が流れる。頬を伝い覗き込んでいた彼の顔に落ちる。 「泣いてるのか?」 どうやら彼を起こしてしまったみたいだ。涙を手で拭う。 「うんうん…髪が乾いてないだけ」 彼にこの感情をぶつける訳にはいかない。ぶつけたら彼は多分、信じてくれる。そして私を受け入れてくれるだろう。だけどそれはただのエゴ。誰も幸せに慣れない。 「…嘘だな」 「えっ?」 彼の言葉に反応してしまう。彼は完全に目覚めていた。 「寂しそうに視える。何があったシロ」 彼はそう言って私の頬を右手で触る。暖かい手だ。お日様の様に暖かく安心を与えてくれる。 「なんでもない」 何時もの様に振る舞い誤魔化す。 「…俺のせいか?」 「違う!」 条件反射でわたしはそれを声を荒げて否定してしまう。 「やっぱりそうなのか」 身体を起こして彼と私は向かい合った。 「俺には話せない事なのか?」 彼の問いに答える事ができない。今、口を開けば何を喋り出すか解らない。 「答えてくれシロ」 話す訳にはいかない。話したら私は京太郎を… 「娘ってのに関係してる事なのか?」 「思い出したの?」 身体が震える。思い出していたのなら… 「やっぱりか…シロ、未来の記憶があるんだな」 「っ!」 思わず黙る。彼は私をカマにかけたのだ。 「そしてその記憶の俺と今の俺とは違うんだな」 答えられない。彼が知らないからこそ真実を突きつけてくる。 「並行世界の記憶…カピーの専門分野みたいな事なんだがな」 頭をかきながら彼はわたしから目を逸らさない 「結論から言おう…シロは記憶があるから苦しいんだな?どんな記憶かは知らない。多分俺と居てくれるって事は幸せだったんだろう。だから俺は聞かないといけない」 やめて…それ以上言ったら私は答えられなくなる。 「シロは俺にどうして欲しいんだ?」 「私は…」 何を言って良いかが解らない。愛して欲しいと言えば望んだ通りになるのに私はその言葉が言えなかった。 「…」 彼は黙ったまま私を見ている。その表情からは何も読み取れない。 「私は京太郎に……」 喉元まで出かかっている。あと一言を言えばいいのに… 「…シロ」 「はい」 彼が言葉を紡ぐ。何を言われるか解らない。記憶の中の彼と現実の彼とを重ね合わせていた事を責めてくるのだろうか?それとも… 「記憶の中の俺はどんな奴だった?」 想像していた斜め上をいく質問だった。故に… 「変わらない」 即答してしまう。 「成長してないって事か?」 苦笑いを浮かべる彼は私にそう聞いてくる。 「違う…優しくて暖かくて…いつも私を支えてくれた」 頬が熱くなる。思えばあまり彼にこんな事を言った覚えがない。信頼してるといえば聞こえはいいが言葉にしないと人は分かり合えないとエイスリンと話していて私は知っていた筈なのに。 「そ、そうか…そう聞くと何か照れるな」 頬をかきながら彼は笑顔になっていた。 「……よし、覚悟を決めるか」 彼はそう言って立ち上がり私を見下ろす。今更ながら身長は彼の方が随分と高い。 「何をするの?」 彼の行動の意味が解らない私はそう聴くしかなかった。 「一回だ。一回しか言わないからな」 「う、うん」 「俺は小瀬川白望の事が好きだ」 「えっ?」 思考が止まる。京太郎の言った言葉が頭でハウリングする。好きだって言われた。三回目の時と同じように。 「記憶の俺よりも俺はシロを幸せにできる自信無い。ただ…シロに寂しい思いはさせない」 胸が熱くなる。私の中で何かが溶けていく。 「だから俺と付き合ってください。あったか解らない幻想よりも俺をみてください。俺は今のシロが好きなんだ」 「私でいいの?」 頭の中で3つの記憶が蘇る。皆で京太郎のお嫁さんになった時の記憶、私だけがお嫁さんの記憶。幸せだったが何処かで思っていた。私だけを見て欲しいと。 「シロじゃないと駄目なんだ」 その記憶が消えていく。正確には溶けていく。あった筈の記憶が私の中に戻っていく。 「信じるよ?」 お互いの距離が縮まっていく。 「信じろ。嘘は言わない」 京太郎を抱きしめて上をむく。 「私も好きだよ、京太郎」 初めてのキスは涙の味がした。 END
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小太郎 携帯画像 都道府県 新潟県 肩書き 長岡市山古志地区マスコットキャラクター 攻略難易度 ★★★★やや難。長岡市のキャライベントで会えるかな?山古志地区の闘牛イベントでも? 名刺の有無 ? 狙い目イベント イベント情報
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番号 MW02040 名前 太郎さ 読み たろうさ スター Lv 種別 BP SP 移動方向 4 ユニット 5000 500 ←↑→ 【待ってるからさ…】○希望(スマッシュから反撃!)自分のエネルギーゾーンにある★のないレベル6以下のユニットを1枚まで選び、味方エリアにフリーズして置く。○信頼(敵はこのカードの左右に移動できない) 属性 ♂ 作品 ぴたテン ブロック メディアワークス レアリティ U