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番外編 初美とサイクリング 初美「速いのですよー!」 京太郎「しっかり捕まっててくださいよ!」 ぎゅう… 初美「大丈夫ですよー」 京太郎「それならいいです…ところで初美さん」 初美「どうかしましたか?」 京太郎「なんで俺達は鹿児島から熊本に行くのに電車を使わず自転車で行ってるんだ?」 初美「そんなの簡単ですよ」 京太郎「ぜひ聞かしてもらいたい」 初美「私が京太郎と居たいからですよ」 京太郎「なっ!」カァァ 初美「京太郎は私と居たくないですか?」 京太郎「そ、それは…」 初美「はっきりしなさい!」 京太郎「一緒に居たいです」カァァ ギュウゥゥウウ。 初美「良かった…大好きですよ、京太郎」 京太郎「俺も好きだぞ、初美」 カン!
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知行 村役 菊太郎 能力 レベル 1 推定評価 腕 力 あまりない 耐久力 平凡 器用さ 細かい作業が苦手…… 知 力 標準的 魅 力 目立たない 水田適正 ☆ 畑適正 -- 林地適正 -- 牧場適正 -- 鉱山適正 ☆ 漁場適正 -- 村適正 ☆ 市適正 -- 工房適正 --
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【名前】南光太郎 仮面ライダーBLACK RX 【出展】仮面ライダーBLACK RX 【本ロワでの動向】 仮面ライダーBLACK RX本編終了後からの参戦。その為仮面ライダー史上最強候補として未だ名高いチートフォーム『バイオライダー』への変身も可能なのだが、主催者によって課せられた制限によりロボライダー以外への変身が不可能な状態にされてしまった。“ロボ”ロワなだけに。 ロワ開始早々、お約束のあの台詞を早速披露。 「これは……クライシスの仕業か!」 自分の手で壊滅させた組織を真っ先に疑う辺りは流石である。残党という意味だったのかもしれないが。 しかし恒例行事とも言えるこの台詞に、待ったをかける人物が現れた。 「一見正しく思えたその判断……だが、それは大いなる間違い」 光太郎の推理を聞き、即座にそれを遮り現れたのはパラドックス。ロワ全体を見ても奇妙な出会い方ではあったが、2人はお互いが人類の未来と世界の平和の為に身命を賭して戦う者だと知るとすぐに意気投合し、バトルロワイアルを打倒すべく行動を開始する。 この時、光太郎はパラドックスの同志であるイリアステル滅四星の仲間達についても聞かされており、不謹慎であると自覚しながらも心強く感じ、出会うその時を楽しみにしていた。 暫くして、1人でロワ会場を彷徨っていたアリスを発見し保護。どのような疑問もお決まりの文句で解決するぶっちぎりチームの完成である。 最初のマーダーとの戦闘を無事に切り抜けると、光太郎の変身能力の制限が明らかになった。そこでパラドックスが取り出したのはデュエルモンスターズのカード、チューナーモンスターだ。物は試しにと光太郎に光属性チューナーをチューニングしたところ、なんとBLACK RXの姿への変身に成功する。 以後は前線で光太郎が戦い、パラドックスが後方で戦況を見極めつつ必要に応じてチューニングしてフォームチェンジする、という戦闘スタイルが確立した。アリスの役割はその他のサポートとなる。 ちなみに、バイオライダーへの変身に必要とされた水属性チューナーは終盤になるまで手に入らなかった。そりゃあね。 数々の困難を「もしや!」「大いなる間違い!」「まったく問題ありません!」……もとい、仲間達との絆で乗り越え、バトルロワイアルに乗ったマーダー達を時に心を痛めながら打ち破り、偉大なる先輩ライダーとパラドックスの盟友の死を知った時には涙しながらも奮い立ち、光太郎はパラドックスとアリスを失うことなく、2人と絆を深めながらバトルロワイアルを終盤まで生き延びた。 その時は、唐突にやって来た。 パラドックスの盟友、ゾーンを中心とする対主催グループとの合流した時までは、全てが順調だと光太郎は思っていた。だが、突如としてゾーンは自らがバトルロワイアルを画策した主催者の1人であると暴露し、それまで彼が率いて来たチームに対して攻撃して来たのだ。 これには光太郎も驚きを隠せなかったが、バトルロワイアルの主催者を倒せるチャンスでもあると戦闘に踏み切る。だが、パラドックスから聞かされ、ゾーン本人の口からも直接伝えられた、彼の未来を救うことへの真摯な想い。何よりも、ゾーンがパラドックスの盟友であるという事実が、光太郎の刃を鈍らせた。 ゾーンから放たれた、ベルトに向けられた致命の一撃を、光太郎は幸いにしてかわすことができた。パラドックスが、その身を呈してくれたおかげで。 ゾーンの撤退後、光太郎はアリスと共にパラドックスに必死に呼びかけた。自分の不甲斐なさのせいで友を失う悲しみと同時に、その仇に対しての激しい怒りが湧きあがる。だが、同時に迷いも生じてしまう。 パラドックスの仇を討つ為に、パラドックスの友を殺すのは正しいことなのか? その心の葛藤を見抜いたパラドックスに、今まで否定され続けて来た自らの考えを肯定され、同時にゾーンを救ってくれと託される。 パラドックスとの時空を超えた絆を胸に刻み、南光太郎は、仮面ライダーBLACK RXは立ちあがる。それに呼応するかのように、光太郎に課せられていた変身制限も解除された。 その後、光太郎は記憶喪失状態ではあったがパラドックスの盟友、アンチノミーとも合流し、彼の最期と遺志を伝える。アンチノミーは自らに記憶がないことを悔やみながらも、光太郎には一文字隼人の遺志を伝える。2人は決意を新たに、亡き友との誓いを胸に駆け抜けることを約束する。 そして、会場内における最終決戦――最期にして最強のマーダーとして全ての対主催チームの前に立ちはだかったのは、光太郎の宿敵でありかつての親友、シャドームーンだった。 先んじて交戦していたランス率いる鬱クラッシャーズの窮地に割って入り、全員に手出し無用と伝え、単身、太陽の子は月の魔王と対峙する。 シャドームーンは魔剣と化したグランドリオン、暗黒玉璽、ダークエルフ、そして光太郎の物とは対となるキングストーンと、凶悪極まりない装備。 一方の光太郎には、キングストーン以外に特別な装備は何もない。あるのは、仲間たちとの絆だけ。 RXとシャドームーンの戦いは熾烈を極めた。元々の自力では太陽の神秘をより進化させたRXが勝るが、シャドームーンは手に入れた新たな闇の力によってその差を限りなく0に、いや僅かに上回るほどになっていた。 だが、仲間達の声援を受けたバイオアタックからのRXキックという必殺コンボが炸裂。光太郎にとって3度目となる親友との戦いの決着は、思いもよらぬ結末を迎えた。 なんと、戦いを離れていた場所で見守っていた司馬懿サザビーが突如乱入し、シャドームーンを暗黒玉璽とダークエルフを操りその闇の力で捉えたのだ。そこにホンダ武装 呂布トールギスも現れ、司馬懿の企みの全てが暴露される。 司馬懿がバトルロワイアルを開催した目的。それは、殺し合いの中で強大な闇の力を宿す存在を作り出し、その者を糧とし自らが大いなる闇の力を得ること。だがシャドームーンは司馬懿の想定以上の力を得てしまった為に、光太郎達を利用して弱らせたのだ。 目の前の男こそが真の黒幕であると理解するよりも早く、信彦をこれ以上利用されてたまるかと光太郎は司馬懿へと拳を向けるが、一歩遅く、シャドームーンは司馬懿に蓄えた闇の力を全て奪われ、そのまま死亡してしまう。 光太郎が信彦の死を悲しむ暇すら与えず、司馬懿は最終段階を宣言。それに呼応してドクター・バイルは生き残った参加者の殲滅の為のプログラム――デビルガンダム軍団を起動させる。 シャドームーンとの決戦を通じて集結した生き残った全ての参加者達は、一部が呂布の加入に難色を示したもののすぐに一致団結し、最後の戦いへと挑む。 行く手を阻むデビルガンダム軍団に対して、光太郎はロボライダーに変身し野生のカブトボーグにハッキング、これを操り戦わせることで、仲間を1人も欠かせることなく主催者の本拠地への突入に成功する。 だが、ゾーンの手により記憶が蘇ったアンチノミーと、復活したアポリアが敵として立ち塞がる。光太郎は城茂と共にアンチノミーの相手として選ばれ、彼が展開した宇宙フィールドにバイクごと隔離される。 パラドックスの友との戦いに心を痛めながらも、アンチノミーの実力を前には手加減することも許されず、ストロンガーに発破をかけられたRXはアンチノミーとの決闘に臨む。 アンチノミーの切り札のデルタアクセルモンスター、TG-ハルバードキャノンの効果、特殊召喚をダメージを与えた上で無効化する『クローズド・サモン』に苦戦を強いられれる(遊戯王では変身召喚=特殊召喚扱いなため、RXの各ライダーを含めた変身や、ストロンガーのチャージアップもひっかかった)。 厳しい戦いの中、RXとストロンガーはクリアマインドの境地に至り、アクセルシンクロの応用である超光速走法をも開眼する。 原作効果のため、ハルバードキャノンは合計3回までしか変身を無効にできないという弱点をつくために、光太郎はアクセルシンクロの応用で時空を超えて各フォームの自分自身を召喚する。 バイオライダーとロボライダーの召喚を無効化されるも、RXとストロンガーの変身には成功し、ストロンガーとの合体攻撃『アクセル・ダブルライダーブレイク』でハルバードキャノンを撃破する。 戦いの後、アンチノミーから真意を聞かされ、彼もまたパラドックスの友であり、自分達の仲間だったのだと知る。 崩落を始めた宇宙フィールドを、アンチノミーの最期の導きによって脱出。その際にトップ・クリアマインドをも超えた新たな境地へと至る可能性を伝えられた。 宇宙フィールドから脱出後に間も無く仲間達と合流し、アポリアもまたアンチノミーと同じく自分達に最後の試練を課したのだと知ると、彼らの死を悼むよりも彼らの最期の願いを叶えようと振り向かずに前へと向かう。 自分を否定した全てへの憎悪と復讐に燃える狂気の科学者、ドクター・バイルとの戦いは呂布やカーチス、テッカマンランスらの活躍により勝利する。だが、悪夢はまだ、終わっていない。 遂に姿を現したゾーンと司馬懿サザビー。無限光の輝きの下10の時械神を従える無限界帝と、ダークエルフによって強大な闇の力を取りんだ天を熾す鵬――神を自称する天熾鵬との戦いは、苛烈なものとなった。 光太郎がアンチノミーとの戦いで習得した四フォームの同時召喚で4人に増えても尚、力及ばず、追い詰められていく。 だが、光太郎は諦めない。散って逝った友たちと今共に戦う仲間達との絆と、未来への希望を信じて。 そのとき、不思議なことが起こった。 仲間達との絆と未来への希望、そして不屈の正義の魂が、光太郎を限界を超えた更にその先の新たな境地、オーバー・トップ・クリアマインドへと導いたのだ。 その勢いのまま、光太郎は思いもよらぬ行動に出る。 「俺はキング・ストーンを、BLACKの俺とロボライダーの俺とバイオライダーの俺と、俺にチューニング!!」 なんと光太郎はキングストーンによって4人の自分を素材にしてシンクロ召喚――リミット・オーバー・アクセルシンクロを行ったのだ。キング・ストーンが何時からチューナーモンスターになったとか言っちゃいけません。 そして誕生したのは、太陽のように輝く巨大な漆黒の龍戦士――仮面ライダーブラックェーサー。 RX「俺は恒星の子! 仮面ライダーブラックェーサー! ZONE、司馬懿! 闇を切り裂き光をもたらすため、俺は何度でも蘇る! お前達との決着をつけるまで!」 ブラックェーサーは10の時械神と天熾鵬を圧倒する。だが、ゾーンと司馬懿は追い打ちとばかりに隠された真理と真の力、倒された10の時械神をも従えて究極時械神セフィロンと獄鳳が降臨する。 変わらぬ主催者2人の猛攻にもブラックェーサーは怯まず、仲間達は1人として絶望していなかった。その心を力へと変えて、ブラックェーサーは吠える。その姿に、『最後の1人』として絶望に挑み続けた男は、探し求め続けた希望を見た。 ブラックェーサーはセフィロンを含む全ての時械神を倒し司馬懿を瀕死にまで追い込んだが、相討ちに近い形で破壊された。だが、そこから現れたのは万全の状態のRXと、太陽の奇跡によって回復した対主催メンバー達。ゾーンは負けを認めたが、闇の使徒・司馬懿は諦めていなかった。 全ての時械神を取り込み闇の力で汚染した禍々しき魔装形態となり、文字通りの最後の戦いを挑んできた。 司馬懿「我は神……天熾鵬なり! 時械神の力さえ手に入れた今、過去も今も未来も闇に染め上げよう……ッ!」 光太郎「それでも、光は消えない。誰かを思う心……それだけで俺たちは光になれるんだ!」 その時、RX達の心に感応して、モーメントが1人でに輪転を始めた。モーメントの性質をパラドックスから教えられていたアリスの手により、本拠地を含む会場の全てのモーメントのリミッターが解除され、眩い光が放たれる。 人の心が欲望や誘惑に囚われてしまえば、それは全てを滅ぼす破滅の光。しかし人が正しき心を持ち共に歩むのならば、その輝きは奇跡の光。 モーメントの光の中、戦いの中で散って逝った参加者達の魂も駆け付け、全ての世界を覆い尽くそうとする闇に対抗する。そして、モーメントの――人の心の光と呂布の魂の叫びに呼応して天玉鎧が顕現し、全員とそれぞれの形で融合する。 八紘の陣を取り、光を極限まで高める光太郎達に、司馬懿は突っ込んでくる。向かう先は、八紘の陣の中心、RXだ。 天の意志の下、全てを闇で包み込まんとする司馬懿に、RXは自らの拳で応える。 天玉鎧が砕け、仮面が砕けても、光太郎の光は衰えることなく、仮面ライダーBLACK RXではなく、人間南光太郎の拳が、司馬懿との戦いに決着をつけた。 崩落する会場からゾーンによって脱出させられる寸前、なの達からゾーンの真意を聞かされ、光太郎は彼の心が救われたのだと知る。 パラドックスやアンチノミー、アポリアとの約束を果たせたと安堵すると同時に、彼へと手を差し伸べる。これからは共に戦おうと。 だが、ゾーンは静かに首を横に振り、光太郎達を元の世界へと送り返した。 元の世界に戻ってからは、光太郎は世界の壁を越えて活動するテッカマンランスに誘われて鬱クラッシャーズとして活動するようになる。 その傍ら、仮面ライダーとして、人間として、友たちが絶望の先に見つけた希望を1人でも多くの人に伝える為に、旅を続けている。
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荒木が全時空で最強とお墨付きをつけた全ジョジョ最強の人 EXEXEX 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう((星の白銀・世界・天国(スタープラチナ・オーバーヘブン(ザ・ワールド)))) 天国に到達したDIO(世界・天国(ザ・ワールド・オーバーヘブン) EXEX 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう(星の白銀・世界(スタープラチナ・ザ・ワールド))) DIO(世界(ザ・ワールド)) EX 空条 承太郎(*1) DIO(ザ・ワールド(素手、時止めなし)) SSS DIO(隠者の紫(ハーミットパープル)) SS 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう(素手)) ヴァニラ・アイス(クリーム) 再起不能となったジャン=ピエール・ポルナレフ(銀の戦車・鎮魂歌(チャリオッツ・レイクイエム)) S モハメド・アヴドゥル(魔術師の赤(マジシャンズレッド)) 花京院 典明(かきょういん のりあき(法王の緑(ハイエロファントグリーン) ジャン=ピエール・ポルナレフ(銀の戦車(シルバーチャリオッツ)) ペット・ショップ(ホルス神) ダニエル・J・ダービー(ダービー兄(オシリス神)) アヌビス神(ジャン=ピエールポルナレフ) AAA 空条 承太郎(*2) ジョセフ(波紋・隠者の紫(ハーミットパープル)) イギー(愚者(ザ・フール)) ラバーソウル(黄の節制(イエローテンパランス)) エンヤ婆(エンヤ・ガイル(正義(ジャスティス))) J・ガイル(吊られた男(ハングドマン)) ミドラー(女教皇(ハイプリエステス)) ンドゥール(ゲブ神) アヌビス神(カーン) ケニーG(ティナー・サックス) AA 呪いのデーボ(悪魔(エボニーデビル) グレーフライ(灰の塔(タワーオブグレー)) 偽キャプテン・テニール(暗黒の月(ダークブルームーン))フォーエバー(力(ストレングス)) ホル・ホース(皇帝(エンペラー)) ネーナ(女帝(エンプレス)) ズィー・ズィー(運命の車輪(ホウィール・オブ・フォーチュン)) 鋼入りのダン(スティーリー・ダン(恋人(ラバーズ))) アラビア・ファッツ(太陽(サン)) マニッシュ・ボーイ(死神13(デス・サーティーン(悪夢世界(ナイトメア・ワールド))) カメオ(審判(ジャッジメント)) オインゴ(クヌム神) ボインゴ(トト神) アヌビス神(チャカ) マライア(バテスト神) アレッシー(セト神) テレンス・T・ダービー(アトゥム神) A ヌケサク 大統領(ラブトレイン) プッチ(MIH) ジョナサン ジョルノ(GER) 究極カーズ BBB 空条 ホリィ(くうじょう ほりぃ(茨(癒しの能力))) ディアボロ ディエゴ・ブランドー(THE WORLD(ザ・ワールド(オレだけの時間だぜ))) ジョニィ(Act4) ジャイロ(BB) 吉良 大統領 BB ウィルソン・フィリップス上院議員(車)ウェザー ディエゴ・ブランドー(恐竜(スケアリー・モンスターズ)) B 空条 貞夫(くうじょう さだお) 仗助 カルネ 露伴 重ちー CCC ワムウ 音石 ローゼス ウィルソン・フィリップス上院議員(素手) カーズ 猫草 CC チョコラータ イルーゾォ アン(家出少女)シェリー・ポルナレフ ソフィー マレーナ エシディシ C リゾット サーレー セッコ スージーQ・ジョースター DDD ブチャラティ ギアッチョ ポルポ 定助 DD 定助 サンタナ ホルマジオ アナスイ D ウンガロ ズッケェロ EEE ミスタ トリッシュ 形兆 EE オエコモバ ホルマジオ ドナテロ 噴上 E ラングラー F・F サウンドマン 吉廣 ジャンケン小僧 FFF リキエル ジョンガリ・A ヴィヴァーノ ドナテロ 康一 FF フーゴ エルメェス マックイイーン ケンゾー グッチョ 億泰 F ヴェルサス GGG マイクO GG ナランチャ G ブンブーン HHH 虹村さん(京) HH リキエル ラングラー H メローネ アンジェロ III 11人の男 ホットパンツ II シュトロハイム ウェカピポ I アクセルRO マジェント JJJ ジョセフ JJ スポーツマックス J ジャイロ KKK プロシュート アバッキオ リンゴォ KK DアンG ペッシ K ミューミュー LLL マライア LL ミラション L スクアーロ MMM 未起隆 MM プッチ M エニグマの少年 NNN グェス 定助 ディスコ NN マウンテンティム N フェルディナンド博士 OOO ブラックモア OO ジョニィ O ポークパイハット小僧 由花子 PPP プッチ PP ジャイロ P ルーシー 間田 QQQ ティッツァーノ 玉美 QQ トニオ ネズミ RRR カーズ RR ジョルノ
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登場デュエリスト:峠太郎 出現場所 AM6:00~AMX:45 廃寮 AM7:00~AMX:45 廃寮 PM4:00~PMX:45 森 PM6:00~PMX:45 森 PM8:00~PMXX:30 森 10勝で貰えるカード 不意打ち叉佐 基本デュエリストポイント 75 キーカード 鎧武者斬鬼 闇魔界の竜騎士 ダークソード 絶対防御将軍 幻影の騎士-ミラージュ・ナイト- 第3部クリアで貰えるレシピ もののふの心(10勝) ?
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No.0109 カード名:後 百太郎 [応援団副団長]/男 パートナー:鹿斗 典善 [高校50年生]/男 レベル:3/攻撃力:3500/防御力:6000 【応援】【格闘】「自由流の後継者」 [永]〔リング〕あなたのベンチの《応援》1枚につき、このカードを+500/+0。 レアリティ: UC 作品名:週刊少年マガジン「コータローまかりとおる!」
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須賀京太郎にとって東京という土地は、憧れと、驚きと、そして若干の嫌悪を抱かせる場所であった 長い期間開かれるインターハイ。その最中選手たちはずっと麻雀に明け暮れるのかというと、決してそうではない。 地方から集まった生徒たちは高いビルにはしゃいだり、迷宮のごとき駅の内部に辟易したり、たまに漂う奇妙な異臭に鼻をつまむ羽目になったり、形は様々ではあるがエンジョイしているものが多い。 特に試合に出る選手たちは息抜きという名目で遊びまわるものも多いようだ。 そんななか、須賀京太郎は麻雀に明け暮れていた。 「……ぉ、ツモ。500.1000」 「あちゃ、逃げ切られたか……」 「ふぅ、危なかった」 僅差で逃げ切った京太郎は手元のスコアシートに対局の結果をサラサラと記し、手持ちのカバンに押し込んだ。 「いやぁ、結構やるねあんた」 「いや、マジで運が良かったよ。白の暗刻が配牌で来てたからな」 上家の学生と軽く感想を交え、時計の針にちらりと目をやる。5時を少し回ったばかりである。 「ん、そろそろお暇するかな」 京太郎は席を立ち、支払いを済ませて、雀荘を後にした。 (東京のいいところは、ノーレートの雀荘がたくさんあるってところだな……) 地元でノーレート雀荘といえば、京太郎は一つ上の先輩染谷まこの家、roof-topしか京太郎は知らない。 しかしさすが東京というべきか、メジャーなゲームで、学生にも大流行の麻雀を行うためのノーレート雀荘はそこかしこにある。 おまけに今はインターハイの真っ只中。付き添いできた部員やら、見学に来て熱に当てられたものやらで街は溢れかえっている。 雀荘に入り席に着けばものの数分で四方が埋まり、すぐにゲームを始められる。数をこなすには絶好の環境に、京太郎は歓喜した。 始まりは、長野県で行われた大会にて、一回戦で敗北したことだった。 悔しかった。歯噛みした。しかしそれは理性で抑えられる範囲であった。 自分たちの大会もあるのに、しっかりとアドバイスをくれた先輩や同級生の面々に申し訳が立たなかった、しかしそれは顔を出せぬほどではなかった。 前よりも麻雀に費やす時間が増えた。しかしそれは可能な範囲、常識の範疇であった。 じわりじわりと麻雀という競技の熱が京太郎を蝕んでいたが、それはまだ仄かな光を発し始めた、熱してる最中の生鉄だった。 それに一気に火が通り、バチバチと火花を散らすほどの熱を帯びさせたものは、インターハイの第二回戦、清澄、宮守、永水、姫松の戦いだった。 痺れた、といった表現がおそらく当てはまる。京太郎は仲間たちの戦いを、対戦相手の強さを、間近に見せつけられた。 そして、その激しい戦いの最中にこんな考えが脳裏をかすめた 『俺もあんな戦いをしてみたい』 闘争心に火がついたら居ても立っても居られない。 二回戦インターハイ五日目、試合が終わった直後に京太郎は街へ飛び出した。最低限の荷物だけを持って雀荘に駆け込んだ。 そして、店から締め出される時間まで対局に夢中になった。 体の中の熱をできる限り吐いた京太郎は、しかしまだ体の内側に燻る火種に高揚しながら、呟いた。 「楽しいじゃんか」 前々から知っていた、とは言わない。 こんなに楽しいのは初めてだった。明確な目標を持った麻雀は楽しかった。 『彼女たちのように打ちたい』 その熱だけが、京太郎を変えた。 「明日は準決勝、か」 それなりに遠くの雀荘にいた京太郎は、ホテルまでの帰路をのんびりと歩いていた。 「……なんか、差し入れでも買ってくかな」 今頃メンバーは明日戦う対戦相手の対策会議でも開いていることだろう。甘いお菓子あたりをもって激励に行こう。 そう思った京太郎は、長野のものよりもだいぶ小さいコンビニへと入った。 「いらっしゃいませ」 店員の無機質な挨拶を聞き流し、お菓子コーナーに目を通す。 (んー……なにがいいかな?きのこたけのこは余計な争いが生まれたらやだし……アルファート……とか、あとは雨なんかもいいかもな) 適当に量のあるものを引っ掴みカゴに放り込んでゆく。そして会計に向かう前に、雑誌コーナーに立ち寄ってみた。 (お、最新号だ) 思えば今日は愛読する雑誌の発売日だったか。 これ幸いと雑誌を手に取りパラパラと京太郎は目を通す…… …… ……アア ……アアアアア (……ん?) ふと、なにやら叩きつけるような音が聞こえる。思わず読みふけってしまった京太郎は顔を上げた。 そこは、ガラス越しの滝が見えた。 「……うわ、マジかよ」 雨である。土砂降りである。天地を逆さまにしたとはこのことか。 5秒で全身が濡れ鼠になるであろう夕立の中を慌ててかけてゆく人や傘をさす人、水を弾き飛ばす車が行き交っている。 「……あ、やべ」 京太郎はコンビニの入り口近くに目を向けた。そこには傘コーナーがあったが、黒いビニール傘一本しか見当たらない。 「やばやば」 雑誌を戻し、傘へと駆け寄る。この雨の中を走って帰るのは避けたいところだ。 最後の一本を手に入れようと京太郎は腕を伸ばし…… 「ふぃ~やばかったー!」 突如水の塊がコンビニの中に飛び込んできた。 なにやら黄色と白が混ざったような……水っぽい何かである。京太郎や店員が目をぱちくりするのを意にもせず、水塊はバチャバチャと体を振っている。 「えーと、タオルと、傘傘……」 思いの外かわいらしい声をしているその水はまず近くのタオルに目をつけたようで、それを手に取った。そして反対側に設置されていた傘にも目をつけてを伸ばし…… 「ん?」 目があった。それはもうバッチリと 垂れ下がった濡れそぼった前髪から覗く瞳は、その惨めな惨状とは反対にキラキラと輝いていた。 さながら星のようだ、と京太郎は思案する お互い傘に手を伸ばした姿勢で、少しの間、見つめ合う 「……どうぞ」 京太郎はおそらく女であろう相手に、最後の一本を譲った。流石にここで傘を取ってしまってはカッコが悪いと、男の子のプライドが叫んだのだ。 「ほんとに?ありがとっ!」 髪の隙間から覗く……多分、整った顔立ちの女はにっこりと笑うと傘を手に取り、レジへと向かった。 (仕方ない、走って帰るか……) 京太郎は苦笑し、ガラス戸の外へ目をやる。雨の勢い未だ止まず。明日風邪を引くことにならなければいいが……と考える。 相手レジで会計を済ませた後、出入り口でかるく屈伸をする。そして、コンビニの外へ…… 「えー、お会計800円になります」 「はーい……あ」 「……お札、ずぶ濡れ、小銭もない」 「……申し訳ありません、その……それ、お札、ですか?」 「……わからない」 深くため息を吐いて、京太郎は再びレジへ向かった 「やーありがとー!助かったよ!まさか財布の中身がずぶ濡れなんて想像もしてなかった!」 タオルでゴシゴシと髪を拭う女を京太郎は……先ほどより若干引きつった苦笑で応じた。 「いやいやいいよ。傘を譲ったついでだ」 「ごめんね、お金出させちゃって。絶対返すから!」 一通りぬぐい終わった彼女はまだ湿った髪を手櫛で整える。すると……10人いたら12人が美少女というであろう美貌か姿を現した。 眉目秀麗だのなんだの様々な褒め言葉が当てはまるであろう顔立ちの中で、一際目が魅力的だった。 夏の満天の夜空のような輝きを宿すその瞳は、見るものを捉えて離さない。 「お、おう……」 部活仲間も美少女が多いが、それとは別で、明朗快活でありかつ、美術品のような美しさを持つ不思議な魅力の少女だった。 「ねぇ、名前と連絡先教えてよ。また連絡するから」 「おお、俺は須賀京太郎。今携帯出すから待ってろ」 美少女に連絡先を聞かれる、という時点で京太郎は先ほどの傘タオル計800円の支出の価値はあると思った。若干舞い上がりつつ、京太郎は懐から携帯を取り出す。 「ふーん、キョータロー、覚えたよ!私は大星淡!ちょっとまって、スマホスマホー」 濡れそぼった服を漁り、淡も携帯を取り出した。 お互いの連絡先をいざ交換しようとして…… 「……携帯、つかない」 「……」 深く深く、京太郎はため息を吐いた 結局京太郎は、口頭で電話番号を教えた後に恐ろしいほどの土砂降りの中をホテルに向かって全力疾走していた。 大星淡の二の舞にならないように、店員にビニール袋を数枚貰い、それで何重にも貴重品や買った品を包むという工夫を凝らしてある。 一緒の傘で行く~?という淡の提案は大変、それはもう大変魅力的であったが京太郎と淡のホテルは真反対の方角にあり、とても往復する暇はなかった。 「はしるーはしるー、おれーたーちー……」 中学時代のハンドボールで鍛えた体力にはまだ余裕があるが、容赦なく降り注ぐ水が体温を奪っていき、おまけに視界も悪い。今日は麻雀ではそれならに勝てたが、厄日と言わざるを得なかった。 ようやく宿にたどり着いた京太郎。 透明の自動ドアの向こうでずぶ濡れの京太郎を店員が少し嫌そうな顔で見たが、しまってあったタオルで体を拭い始めるとすぐ笑顔になった。 (やれやれ、水を滴るいい男にもサービスは無しか?……なーんて) とりとめのない考えをしながら服に染み込んだ水を絞り出し、肌に張り付いた水滴その他もろもろをぬぐい落とす。 (……果たして、連絡し返してくれるかね?) 連絡先を互いに交換すればよかったが、京太郎は淡の電話番号を聞けなかった。なんと自分の番号を暗記していなかったのである。 絶対連絡すると淡は言っていたが…… (まぁ別にいいか、800円くらい) 800円で美少女に恩を売り、その報酬は夕立の中のランニング、少々どころではなく気落ちするが、表情には出さない。 「さて、冷えちまったし風呂でも入るか」 それなりにさっぱりした京太郎は、水ががぼがぼとなって気持ちの悪い靴を踏み鳴らしホテルの中へと入った。 … …… 「あら、須賀くん」 「んぉ?」 大浴場近くで風呂上がりの牛乳を一気飲みしていると後ろから声をかけられた。 振り返ってみれば、我らが清澄麻雀部の部長にして策略家、竹井久の姿があった。手にはタオルの入ったカゴを抱えている。 「もうお風呂入ったの、早いわね」 「はは、ちょっと集中砲火を受けまして……そういう部長こそ」 「夕飯前にさっと入っちゃおうと思ってね」 時計を見てみると短針は6を長針は2を指している。 こうなると入浴時間は40分程度、風呂上がりのケアを含めるともっと余裕がなさそうだ。女性は長風呂と思っていた京太郎は少しポカンとする。 「いやだって、暑い部屋に五人寄り集まってあーだこーだ頭働かせたら汗かいちゃったんだもん」 少し恥ずかしそうに久は笑う。試合中は大胆不敵にして相手の裏をかき思考を引っ掻き回す、悪待ちの部長とは同一人物とは思えないほど、その仕草は可愛らしい。 「で、どう?今日も雀荘で打ってきたんでしょう。勝てた?」 「まぁまぁ、といったところですか……その話は後の方が良さそうですけと?」 「え?あぁそうね、流石に時間が……また後で、みんなでお話ししましょ」 じゃねー、といって久は女湯へと駆け込んで行く。 軽く手を振って見送った京太郎は、瓶をカゴにつっこみ自分の部屋へと戻った。 「……ん?」 ホテルで自分にあてがわれた、女子メンバーとは距離のある部屋。 京太郎は充電器を差し込んであった携帯電話を開いてみると3件の着信履歴があった。 三軒全部同じ番号で、約2分おきに掛け直されていてそこから電話は来ていない。 「……」 なんとなく電話をしてきた人物がわかった京太郎は、何の疑いもなくその電話番号へと電波を飛ばした。 ……数回ほどのコール音が響き、その後 「はいはーい大星淡でーーーす!!」 左耳から右耳へ点棒が貫いていったような大音量である。たまらず京太郎は頭を離し顔をしかめた 「あれ?もしもーし、きょーたろーだよねー?もしもーーーし」 「聞こえてるよ、てかうるせぇ、大星淡さん」 「なんだー、聞こえてたなら返事してよー!こちとら何回も電話かけたんだからねー!」 やかましいやつである、たまったものではない。 「はいはい申し訳ない……で、淡さん」 「気さくに淡様と呼んでくれて構わないよ」 「大星さん」 「……淡でよろしく」 「おうで、淡。何の用……ってのはわかってるけど、しっかり連絡してくれたな」 「あったりまえじゃん!恩はしっかり返すもの!仇と同じくね!」 少々喧しいものの、京太郎はこの淡のさっぱりとした物言いが嫌いではないようだ。少しだけ口角を上げて会話を交える。 「でー、コンビニで京太郎がいってたホテルの名前で調べたら場所はわかったんだけどさ、今日はこんな雨だし明日は準決勝があるから、ちょっと無理そうなんだよね。明後日まで東京にいる?」 「おう、勿論……ん?」 受け答えの後、少し考える。 明後日まで、というのは問題ない。明日の準決勝、清澄は必ず勝つだろう。万が一、いや那由多が一決勝に進出できないとしても、個人戦に出場する咲と和の付き添いでまだまだこのホテルに居座ることになる。 問題は…… 「準決勝?」 「そ、準決勝。淡ちゃんは高校100年生の大将だから忙しいのだ!」 そう、準決勝である。言い草からして応援ではなく選手として出場するということであろう。そして、大将という言葉…… 「白糸台の、大星淡?」 「え、今気づいたの?」 まったくである、勉強不足である。今この瞬間まで須賀京太郎は大星淡が白糸台の大将ということまで気がつかなかった……否、そういえば特集雑誌に名前が載ってるのを見たと思うし、清澄の会議においても名前を聞いたような気がする。 「……いやすまん、そんなやつと偶然コンビニで知り合うとは思ってなかったからな」 「んー、まー、それはしょうがないかー。この私と知り合うという幸運で頭の中が全部白になっても無理はない!」 「いやそういうんじゃなくてフツーに忘れてた」 「……」 沈黙。 「ともかく!そっちの都合がいいなら明後日にはお金持って届けに行くから、電話に出られるようにしておいてね!以上!じゃねー」 そして唐突に電話は切られた。言いたいことを言われるだけ言われて終わった……いや、何度か冷たい返しをしたが 「……偶然ってあるもんだな」 携帯を再び充電器へ。京太郎は奇妙な出会いに驚きを感じながら、ホテルの食堂へと向かった。18.52分。もうすぐ夕食である。 ここのところ毎日食べてはいるが、ホテルの飯というのはうまいものである。スコールめいた雨の中マラソンでカロリーを多めに消費した京太郎はそれを補わんとかたい腹筋を押し上げるほどに胃の中を埋め尽くした。メンバーに冷たい目で(除、タコス。むしろ京太郎より食う)見られた気がしたが、知ったことではない。 そして、食後の女子メンバーの部屋。 「さあ!明日の準決勝に向けて最終ミーティングを行うわよ!」 「……あれ、これ俺がいていいんすか?」 「いいですよ、同じメンバーなんですし、ね」 持ち込まれたホワイトボードを前に京太郎含めたメンバーがリラックスした様子で座する。 昼間、京太郎が不在の間に対策案をまとめあげていたのだろう。各々がそれを読み返し確認する作業である。 「あぁそういえば、差し入れにお菓子買ってきたんだった。どうぞ」 「なっ……ゆ、夕飯の後にチョコだなんて……京ちゃん、ひどいよ……」 買い揃えた菓子の袋を破いてくと悪鬼羅刹を見るような目で咲が睨んできた。 「いや、じゃあ食うなよ」 とか言ってると、染谷先輩は俺に頭を下げ 「わしはいただこうかの。甘いもの欲しかったとこじゃ。ありがとな京太郎」 和ははにかんで軽く会釈し 「私もいただきます。すいません須賀くん」 部長は……すでに手を伸ばし 「お~、たけのこの里がないのはあれだけどいいチョイスねー!」 「……私も食べる」 咲も流された 「最初っからそういえばいいんだよ」 「おう私もいただくじぇ!よくやったぞ犬!」 「おめーやっぱダメだ」 「は?」 「……イヤーッ!」 突如!ユーキ=サンは体を跳ね上げ立ち上がりキョータロ=サンにパンチ! 「グワー!」 そのまま2人はもつれ込みカラテの応酬!!血中タコスを込めた技がぶつかり合う! 「なにやってんのよあんたたち……」 「放っとけ、すぐ戻るじゃろ」 じゃれ合う二人をよそに四人はミーティングを再開。優希は完全にマウントを取り京太郎の腋を容赦なく擽る! 「おらおらー!焼き鳥にしてやるー!」 「やめ、やめっ……うははは、やめっ優希……!!」 「あぁそういえば須賀くーん」 「はーい」 「おわっ!」 部長の呼びかけに即応じた京太郎は優希をかかえて立ち上がった 「なんすか部長」 「お、おまっ、おろせ京太郎!バカ!」 ぽこぽこと京太郎を叩く優希を肩にかかえて部長の方を向く京太郎。 「いや。実は……ちょっとお願いしたいことがあってね」 「なんすか?」 「あした、須賀くんも、会場に来てくれるわよね?」 「そりゃもちろん」 「おろせー!このー!」 全身全霊をかけて応援……と行きたいが大声を出すわけにはいかない。チームメンバーとともに控え室で選手を見守る予定である。 「そこでさ……ちょっと、頼みにくいんだけど。もう一つの準決勝の偵察に行って欲しいの」 「もう一つの?」 もう一つの準決勝といえば、Aブロックの白糸台、阿知賀、千里山、新道寺の戦いである。 「言うまでもないけど、私たちは優勝する」 する、という物言いに京太郎は久の意志の強さを改めて感じる。この大会に、誇張なしに全てをかけているのだろう。 「そこで一つ、不安要素があるの。白糸台の大将、大星淡」 「え」 先ほど電話で話した相手の名前が上がり、少しだけ京太郎は動揺した。 「白糸台の新一年生、突如として大将として抜擢された超新星……データが少なすぎるのよ」 「うむ……探したんじゃが、奴の牌譜が本当に数えるほどしか見つからなかった」 そんなすごいやつだったのか、と今更ながら京太郎は思う。 「須賀君には、大将戦だけでいいから、向こうの試合を見てきてもらって、向こうのチームの牌譜……できればなにか癖のようなものをつかんできて欲しいの。申し訳ないけど……お願いできるかしら」 「え、あぁ、勿論です」 半ば反射的に京太郎はそれを了承した 対策会議という名の雑談タイムは、夜9時には終了となった。明日に備えて早く寝るらしい。 自室に戻った手持ち無沙汰な京太郎は麻雀の指南書を寝そべりながら読んでいた。 「……五索の中央を削れば四索に……イヤー無理だなこれ……」 しかし、どうにも頭に入ってこない。胸の奥のモヤモヤとした感覚が邪魔をしてくるからだ。 「……偵察、ねぇ」 悩みの種は部長の頼みであった。 Aブロック準決勝の大将戦の、特に大星淡の偵察。 京太郎は思案する。部長の頼みは当然のことである、と。優勝にかける思いは、きっと誰よりも強いはず。 となれば、未知数の実力を持つ白糸台の大将、当然不安要素として警戒するはずだ。 その牌譜や打ち方を知りたがるのは当然であるし、それで自分を頼ってくれるのはありがたい。 たしかに大将戦を応援することはできなくなるが、自分は清澄が勝ち抜くことを信じて疑っていない。 では、と考える。自分は何を、もやもやうじうじとしているのか、と あれ、鳥が違うな……ちょいといじって正解探すから気にせんといて 答えはすぐに分かった。どうやら自分は大星淡の偵察という役目に対して罪悪感を持っているらしい。 今日知り合ったばかりで、恩を売ってやって、また会う約束をした……と、たったそれだけの、知り合い未満にも当たるほぼ他人の、しかもおそらく清澄が最後に戦うであろう対戦相手である。 牌譜をとる、打ち筋の研究、それは全く卑怯なことではない。強者とは常に対策を練られるものだ。 そう、まったくもって不自然ではないし、何も問題はない行為である。 「……でもなぁ」 にもかかわらず京太郎はチクチクと針に刺されるような罪悪感に苛まれる。 知り合いになってしまった、ということが何よりも大きいのかもしれない。 傘を譲った時や、名前を名乗った時の輝くような笑顔の淡に対して、まるでコウモリのような行為を働くことに、不快感がこみ上げてくる。 「……寝よ」 しかし、優先するのは清澄だ。部長の頼みだ。そこは譲れない。 京太郎は考えるのをやめ、指南書を放り出し、布団へと潜り込んだ。 そして、翌日である。天気は快晴、だが室内競技である麻雀には関係がない、むしろ会場の外で茹だるような暑さに辟易することになる。 「あっちぃ~……おはよ~ございま~す……」 「おお京太郎……おはようさん。暑いのぉ……」 朝八時すでに気温は30度を上回っている。廊下で鉢合わせたまこもあまりの暑さにうんざりとした顔をしていた。 「部屋ん中は良かったんじゃがのう……長野と違って暑さがいやらしいわ……」 「本当ですねぇ……部長達は?」 「今頃慌てて身だしなみ整えとるわ。わしは一足早く起きて朝風呂を楽しんできた」 なんとも準備のいいことである。要領の良さは我らが部活の中で一番かもしれない。 「じゃあ、朝ごはんいただきましょうか」 「そうじゃの……」 「はぁ……」 「エライ目にあったわね……」 控え室への道をたどりながら、がっくりと肩を落とす。まさか唐突なタックルを受け、さらに人混みの視線を浴びることになるとは思わなかった。 「しかし……須賀くん?さっきのは、大星淡……さん?」 「そうですね、本人も言ってましたし」 「……知り合いなの?」 小首を傾げて久が問うてくる。疑問に思うのも当然だろう、なぜ縁もゆかりもない同士であろう二人が知り合いなのか。 「実は双子ちゃんで両親の離婚に巻き込まれたとか?」 「ないです」 「親戚とか?」 「ないです」 「まさか遠距離恋愛?!」 「ない」 「……須賀くんまさか弱みを」 「ねーーですよ!!」 久の知的好奇心溢れる質問責めに簡潔な答えを返す。ここで言い淀んだらそこにつけこまれてからかわれることこの上なしだ。 「まぁジョークはともかく……一体何があったの?この数日でしょ?知り合うとしたら」 「まぁ、そうですけど……」 京太郎は昨日起きた淡との出会いを話す。コンビニで出会ったこと、金を貸したこと、電話連絡しあったこと…… 「お人好しねぇ須賀くん」 そして、第一声がこれである、しかしぐうの音も出ない 「相手がバカ素直でよかったわよ本当に、フツー連絡なんてしてこないで借りパクされるわよそんなの」 「仰る通りです……」 「どーせ相手が可愛いからカッコつけたかったんでしょう」 「いえ、一目見たときは濡れ女子かと思いました」 「……なんで貸したの?」 「気まぐれでしょうか」 「……」 呆れはてた目で見られた。善行を行ったはずなのになぜ……京太郎は唸る 「で……須賀くん。そんな知り合いの大星淡の偵察、できる?」 途端に鋭い目つきで久は問うてきた。不安要素を少しでも削りたい故か 「ええ、できます」 しかし、京太郎はきっぱりと返した。 「出会って1日2日のあいつよりみんなを優先するのは当然だし、それに……」 「さっき自販機に頭ぶつけられた恨みがありますからね」 「あなた器が大きいのか小さいのかよくわからないわ」 …… ………… ……………… 「……そろそろ、か」 スマートフォンをチラリと見た京太郎は立ち上がる。Aブロックの準決勝はBブロックより少し早く始まった。そのためBブロックよりも大将戦が始まるのも早い。 「じゃあ、行ってきます」 「おお京太郎、頼むぞ」 まこに一言告げて画面を食い入るように見つめる一年娘三人に気づかれぬようコソコソと控え室を後にする。 鞄から取り出したるはノートとシャーペン 「こいつにザーッと記録してくりゃいいんだよな」 牌譜の記録は散々やった、問題はない。 少し離れた大型モニターの前、すでに多くの人が集まっているが幸い一つだけ席が空いている。 「隣失礼します」 「んー……」 ぐったりとした白髪の女生徒の隣……少しスペースを空けた に腰掛け、画面を見つめる。 ちょうどタイミングよく大将戦のサイコロが振られた頃で、席に着く四人の中に、見知った顔の大星淡もいた。 (さて……高校100年生の麻雀、見せてもらうぜ淡) 8割型麻雀への熱意、1割ほど恨みを込めて、一つは一つの挙動すら見逃すまいと、京太郎は記録を開始した。 闘牌描写はキングクリムゾンッ!!!!家庭は吹き飛び結果だけが残るッ!!!! -‐==‐- ´ ` / ヽ / , ! | | i. / |i , ‐‐i| . ト、_|‐‐ | i| | l / |i | |/八 . | | | i| | |/ 〔!| N ○ \| ○ |ノ ,リ. 〔 八! l圦 ,, ' ,, l // |しょうがないねー N | . v ァ . ∨/ . | ヽ| | l_≧=ァ≦ト /_,′ 八 ノ厂| l 〔, / / `丶、 ` /∧ i| | 「⌒ / / /∧ / イ′ j ト、∧ / ′´ .イ ' / | |\ハヒ/| |ニニ/ 〉 / ノ〈 i i ニ| | ´y' ! | .' / 〉 / j / ノ i| | 〔___! ト、〕. 〔′| `ー‐' /// | | i| Υ─| | .′ 家庭が吹き飛んだ!! …… 終わった。 長い対局だった、京太郎は背もたれにもたれかかりぐっと背伸びをする。 結論から言うとわけがわからなかった。 大星淡の麻雀には、訳のわからない何かがあった。 およそ常人には理解できないものだ、と 手元の記録を見てみる。牌の切り出しだけを見ればまるで初心者だが、ほぼ全ての局で結果がついてきている。 他家が必ず5向聴以降から始まるだの、ダブリー連発だの、カンドラ丸乗りだの、まるでイカサマか超能力者だ。 パタリとノートを閉じ、溜息を吐く。 「こりゃ負けねーや」 確信を持って呟いた。 (さて、帰るとするか) 清澄の方はどうなったろうか、まだ試合が終わっていなければいいが…… 京太郎はスッと立ち上がる。座りっぱなしだったせいで筋が伸びきっている。グッと背伸びをし…… 「ん?」 足元に、何かが落ちていることに気がついた。白くてふわふわとした何か…… 「……?」 拾い上げてみるとチャリンと金属音がなる。よく見てみると鍵が付いていた。 このフワフワはキーホルダーか何かだろう。 「落し物か」 落ちていた場所的に隣の席に座った誰かのものだろう。ふと、席に着くとき隣にいた白くてフワフワの、ちょうどこのキーホルダーのような髪型の女生徒が思い浮かぶ。 「……みつけちゃったらしょーがねーな」 部長の言う通り相当にお人好しの甘ちゃんのようだ、と自虐をし、京太郎は人が流れて行く方とは逆向きに歩き出した。 歩く途中にふと思い出す。 あの女生徒、どこかで見たことがあると。 「……たしか、二回戦の先鋒の」 小瀬川白望、だっただろうか。先鋒戦を一位通過したことと、基本道理ながら、たまにしっちゃかめっちゃかな手の入れ替えをしていたはずだ。あまり意識していなかったから気が付かなかったようだ。 「……でも、だからって」 冷静に考えればこの広い会場の何処にいるかもわからない彼女にキーホルダーをどう届けに行けばいいのだろう。 んー、と唸り、考える。 「落し物センターにでも行くか、はたまた……ぁ」 と、考えているうちに『目印』を見つけた京太郎は、我ながら運がいいとそこへ走り出した。 「すいません」 高い高いそれに声をかけるとびくりと震えたソレはくるりと振り向いた。見下ろされるなどいつぶりのことだろうか。赤い瞳に見据えられる。 「え、えー、と、私、かなー?」 威圧感のある風貌とは裏腹にオドオドと可愛らしい声で応答する彼女。大将戦である意味一番目立っていた人物はさすがに忘れなかった。 「はい、宮守の姉帯豊音さんですか?」 「そ、そうどけどー……」 なにやら怯えられているが、それは置いておく。 確認が取れたところで京太郎は懐から先ほどのキーホルダーを取り出した。 「これに見覚えありませんか?」 「あー!」 それを見た途端、長い腕を伸ばし豊音が手を……正確にはそのキーホルダーをつかんできた。流石に京太郎も怯む。 「これ……ど、どうしたの?」 「先ほど拾いました。まぁ色々と心当たりがあって、もしかしたら……と声をかけてみたんです」 「ほ、本当?ありがとー!」 「うおお!?」 両手を握られブンブンと振り回される。おそらく握手だがその威力からプロレス技に分類してもいいかも、と京太郎は思う。 「って!こーしちゃいられないってー!」 「うぉあ!?」 そして腕を掴まれたまま急に豊音は走り出した。 (はっや!?) ハンドボール時代散々全速力で走り回った京太郎すら引きずられないのがやっとの速度、やはり体格の差なのか。 「えーとえーと……ここかなー!」 「うぉう!?」 そして突如立ち止まられ、ブレーキも間に合わず転ぶ羽目になった。豊音を巻き込まないので精一杯だ。 「ってて……」 「え? あっ!?ご、ごめんねー、怪我は、ない?」 「は、はい、まぁ」 慌てて身体中をペタペタと触って怪我の有無を確認してくる豊音。コミュ力不足ではなく特殊なコミュ力をもっているのだなーと悟る 「ここは……え、さっきと真逆の位置に」 地図を確認すると先ほどいた会場東部分のちょうど反対にいる。結構の距離があるのだがそれだけ早かったということだろう。 「……なにしてんの?」 「うおっ」 突如背後から声がする。慌てて振り向くと、二回戦で見覚えのある連中が勢ぞろいしていた。 「あー……こんにちは」 「え……あ、こんにちは」 何とも微妙なふいんき(なぜか変換できる)のなか、正面にいたやたらと背の低い子に挨拶をする。 向こうも状況を把握できないまま挨拶を返した。 「あ、みんなー、えっとねー、この人がシロの落し物を見つけてくれたんだよー!」 「……落し物?」 満面の笑みで告げる豊音に当人のシロはうねうねとした眉をひそめた。 「シロ!ワキガアマイ!」 「エイちゃんそれ違う。シロ、何落としたの?」 「わかんない……」 お団子の人、たしか……塞、だっただろうか。 モノクルが印象的な副将だったはず。 「えーと、これなんすけど」 パッパッとズボンの埃を払った京太郎は手に握ったキーホルダーを差し出す。 「アー!?」 それを見て大声をあげたのが金髪の……エイスリン、次鋒だったか。 「シロ!ヒドイ!」 「……あー」 「あぁ、君隣に座った」 「え、今そこっすか?」 シロ……白望、だったかは、ひどい猫背のまま京太郎にゆったりと歩み寄りそのキーホルダーをつまみ上げる。 「……私のだってよくわかったね」 「なんか似てたので」 「え、毛玉に似てるってなに……まぁとにかくありがと」 なんとも微妙な表情のまま白望に軽く頭を下げられる。これで解決、と京太郎は五人の方を向く。 「それじゃあ、俺はこれで……」 「シロ!オロカモノ!グショー!ナマケモノ!」 ポコポコと効果音がつきそうな殴打を連発するエイスリン、それを背中で受ける白望。なんとも微笑ましい光景である。それをポカンと見つめていたら引き際を見失った。 「こら二人とも!煩い!ちゃんとお礼言って!ほら!」 「あーもう……いやなんかありがとね。あれあの子が白望にプレゼントしたものだからさ。君が見つけてくれてよかったよ」 「いやそんな」 塞にぺこりと頭を下げられた。京太郎は年上に頭を下げられたことに思わずひるむ。控え室になるべく早く戻りたいこともあり、少しばかり焦りがでた。 「ちょーお礼とかしたいんだけどー。名前とか連絡先とか教えてよー」 美人のお姉さん型に連絡先を聞かれるなど普段はあり得ないことではあるが、早く清澄の元に戻りたい。やんわりと断るタイミングを京太郎は…… 「……」 「……え、なんすか?」 気がつくと白望はじーっと京太郎を、見つめていた。 その頭の中を覗き込むように、瞳を、じーっと 「……お礼に、アドバイス」 「へ?」 「何かに迷ったときは、身近な大人を頼ること。それとこれ」 意味深なことを告げたのちに白望はどこからか一つ、ペロペロキャンディを取り出した。 「こいつをあげよう」 「は、はぁ……」 なにやら他の四人が顎が外れそうなほどに大口を開けてみているが、これはチャンスか。すかさず京太郎は身を翻した。 「じゃ、じゃあ俺はこれで!それでは!」 あのまま時間を浪費したら何を言われるかわかったものじゃない。注意されない程度の小走りで京太郎は駆け出した。 「……シロが、見知らぬ男にあんな風に話すなんて」 「あまつさえ、ダルがらずにアドバイスやお礼の品を送るなんて」 「ちょーちょーびっくりだよー……」 「Apocalypse……」 「ひどい言い草だ……」 白望は相変わらずだるそうに、しかしその届けられたキーホルダを大切そうにポケットにしまった。 「大切なものを届けてもらったし……ちょうど私が適任だったし」 「適任?」 「……迷い子のお世話」 「で、その落し物の持ち主を探して、結構遅れた、と」 「そうです」 「お人よしねぇ……」 「流石にどうかと思うのぉ」 「早く帰って来れば咲さんの大将戦見れたのに」 「ひどいよ京ちゃん」 「バーカバーカ!」 「皆さんすいませんでした。優希除く」 控え室に戻ってきたらこの有様であった。試合が終わっても待っていてくれたらしい、ありがたい話だ。 「見つかったから良かったものの……普通に大会運営の係りの人に持ってけばよかったのに」 「返す言葉もありません」 ウカツ!な行動であったことは京太郎も自覚がある、素直に頭を下げて謝った。 「まぁこの辺にしとこうかの、久。決勝進出決まったことだしな!」 「そうでしたね!みんな、本当におめでとう!」 心の底からの、祝福だ。 中堅戦までを見ていた京太郎は相手が強いことはよくわかっていた。しかし、優勝候補の一角臨海を抑え、トップで決勝進出が決まったことは正真正銘快挙である。 「で、須賀くんの方は首尾はどうだった?フラグ立てるのに夢中で忘れてたなんてなしよ~?」 「ふらぐ……?」 首をかしげた京太郎であったが、とにかく偵察結果のノートを差し出した。 「ありがとう。どれどれ……おお、よく表情とかも見て観察してるわね!」 驚いた、という風に久は言うと食い入るようにノートを見つめた。他の四人もどれどれとより集まる。 「……須賀くん、他家が全員五シャンテン以降から始まったというのは」 「マジだ。二半チャン全部、そうだった」 「……信じられない」 オカルトを一切合切認めない和も思わず顔をしかめる。データに現れている以上、そこには確率を超えた何かがあることを理性でなく本能で感じたのかもしれない。 「噂で聞いたのマジだったんじゃな……」 「なんなんだじぇこいつ、ダブルリーチをほぼ毎回してるし!」 「うー、思ってたよりやばげね……」 かきつくように覗き込む優希を制しながら久は頭を抱えた。想定の数倍恐ろしい魔物であることは明確だ。ノートのデータからは表情に出やすいこと以外何も弱点がない。 「わ、私勝てるかなぁ……」 思わず、咲が弱音を吐く、それに反射的に京太郎は言葉を返した。 「絶対勝てる」 五人が、目を丸くして京太郎を見つめた。 「試合を見てきた俺が保証する。ぜーったいに勝てる」 「……身内贔屓?」 「客観的な判断でも同じですね。間違いなく勝てます。咲が負ける要素がありません。それよりも阿知賀の大将の方がまずいかも、そっちを注視したほうがいいです」 阿知賀の大将と聞いて和が少し反応したがスルー、京太郎は確信を持ってそう告げた。 「……そこまで信頼してくれるなら裏切れないわね。根拠は、何?」 「友情パワー?」 「……胡散臭くなったわ」 「……そりゃないよ京ちゃん」 「なんでだ!?」 会場を後にしたメンバーは旅館へ徒歩を進めていた。明日の中日を挟んでいよいよ大会も決勝戦だ。 対策会議はどんなにしてもしたりない……が、ともかく今日はもう休みたかった。すでに日が暮れかけている。 「いやー、疲れたわね、激戦だったもの……」 「肩凝ってかなわんわ」 ずいぶん軽くなった荷物を抱えて京太郎は後ろをついて行く。ふいに、進行方向の地平から上がりかけた月を見て奇妙な思考が頭をかすめた (あいつ……淡は今どうしてるかな……) ーーーーー 例によって大量のホテル飯を胃に詰め込んだ京太郎は、いざ部屋に戻りベッドに横になると教本を広げた。 明日、自分にできることはない、そして今日1日ずっと牌に触っていないせいでもはや我慢の限界だ。 明日は早くから、開店時間から雀荘に駆け込んで麻雀に明け暮れるとしようと思う。 しかしそれとは別の考えが、須賀京太郎の脳内に麻雀教本の知識を刻むことを阻害していた。 大星淡のことである。 確か明日が金を返すと約束した日であったか。しかしそっちはもはやどうでもよく、京太郎は今、淡が何を考えているのかがこの上なく気になっていた。 (あそこまで強いと、いったい普段何を考えているんだろう、戦う相手が何に見えてるんだろう……大将戦で、ある意味負けてしまってどんな気分なのだろう) 色めいた考えなど微塵もない、麻雀が強い人への疑問であった。 内にくすぶる麻雀への熱意があらぬ方向へと向かおうとしている。 無論そんなことを本人を前にして言う気はさらさらないが、なんとなく、スマートフォンを手に取り、真っ黒な画面をじっと見つめた。映るのは漆黒の中にきらめく自慢の地下の金髪である。 と、突然スマホが手の中で震えだした。 「お?」 番号を見てみると、登録されていない番号である、一体誰なのか……変な電話だとやだなぁと思いつつ京太郎は通話をタッチした。 『もしもーーしきょーたろーー?』 なんとも間の抜けた声が響いてきた。今朝自販機に頭突きをかます羽目になった原因、大星淡の声である。 「あん?淡か?」 『そうそう!出てくれてよかったー。昨日の電話ってホテルの公衆電話からしたからさー。今日急いで新しい携帯を買いに行ったんだ!前のやつ古かったし丁度いいかも!』 I s phone6.7の音質を聞いておどろけーと宣ってくるが、音質はこちらのスマートフォンの依存なので向こうの携帯の性能の一端も知ることができないようだ。 「そらまたご苦労さんだな」 『でしょー?親にも携帯壊して怒られてさー……あぁ、そうそう、今朝はごめんねー、あの時お金返そうと思ったんだけどさー、スミレに捕まっちゃってさー』 「スミレ……白糸台の次鋒か」 『そーそー!もー、自分は甘いもの我慢しないくせに他には厳しいんだから~!そんなんだから体重計恐怖症になるんだよね!』 散々な言い草だと京太郎は思う。普通部下が誰かの頭を自販機にぶつけさせてる現場を見たら怒るのが当たり前だとは思うが。 「まぁそれはともかく、なんの用事だ?」 あぁそうそう、と淡は思い出したかのように、世間話を打ち切り要件を告げた。 『明日さ、どうせなら一緒に遊ばない?』 「明日ぁ?お前、決勝は?」 『ミーティングは今日の夜と明日の夜、それ以外はフリーなんだよねー』 なんとも余裕溢れるスケジュールである。部長が聞いたら闘志に火がつきそうだ。対抗してこちらもオールフリーにするとか言い出しかね……かねる、か。 『でさー、京太郎も麻雀やるんでしょ?私がみっちりと指導してあげてもいーんだよ?それ以外にもー!ゲーセンとかー、マンガとかー!』 「優雅なこった……てか、金は?」 『乾かした!』 「……」 Q.金は? A.乾かした! 歴史に残る珍解答であることは間違いないであろう。 事情を知ってる京太郎以外ではお前は何を言っているんだとなること請け合いである。 『ねーいーでしょー?せっかくの機会だから他の学校の、それも他県の人!遊べるなら遊びたーい!』 「……本当に珍しいやつだなお前」 『ほえ?』 「なんでもねーよ」 ここまで人見知りしない性格なのは珍しい、東京の人は全員他人に無関心で交通事故の現場を写メる奴ばかりだと思っていた京太郎は本当に淡が東京生まれの東京育ちか疑問になってきた。 「わかった、付き合うよ。俺も明日は雀荘に入り浸ろうと思ってた。強い奴と戦えるならこっちからお願いしたいくらいだ」 『お、いうね!もしかして強い?』 「すごくよわい」 『えー、なにそれ口先だけ~?口先マーン』 「やかましい。で、俺は10時頃には雀荘行きたいんだが」 『じゃあ10時頃にあのコンビニで待ち合わせしよーよ!』 「おうわかった。後でこの番号でLIMEの申請送っておくからさ、登録しといてくれ」 『はいよー!じゃあ明日ねー!』 通話が終わった。騒がしい声が途切れ、部屋の中に空虚なエアコンの音がかすかに響く。 「本当になんつーか、面白い奴だな」 一人呟く。しばらく黒くなったスマホの画面を眺めた後、それを充電器につないでまくらの傍に起き、京太郎は再び教本を読む。 先ほどまで頭の中を埋めていた余計な思考は、既に消え去っていた。 翌日、京太郎は六時には起きて朝風呂を堪能し、ストレッチののちに朝食をしっかりと食べた。ここで7時半。 そこから部屋で持ってきた荷物の整理及び纏めた牌譜をファイルに整理、そして近くのスーパーでメンバーはの差し入れを購入、この時点で9時、そして待ち合わせのコンビニに九時半にはついた。 この行動は別に京太郎に気合が入っていたわけではなく、差し入れの購入以外は基本的な行動であった。 そして集合時間よりも早く集まるのもハンドボール部時代の癖だ。 「少し早く来すぎたか」 私服の京太郎はクーラーの効いたコンビニ内で適当な漫画雑誌を手に取った。暇つぶしにはちょうどいい。 コンビニの外には様々な人が歩いて行く。スーツを着た如何にもなサラリーマン、無駄に化粧を重ねたおばさん、赤いジャケットにもみあげのすごい人もいれば、和服を着たちびっこも通る。 視界の端でそれを捉えながらもほとんど意識せずに漫画を読む。大して面白くもないそれでも暇はつぶせる程度には役に立つ。 しかし、視界の端にキラリと何かが光り反射的に京太郎は顔を上げた。 窓の外、以前会った時とは違う、柔らかく艶やかな金髪をたなびかせた、大星淡が窓の外からこちらを見つめていた、満面スマイルのおまけ付きだ。 すこしだけドキリとしたことを頭の奥底にしまいこみ、京太郎は漫画をしまうとてきとうなガムをひとつ買い、コンビニの外へ出た。 「おはよう京太郎!」 「おお、おはよう淡」 コンビニから出た京太郎にさっそく淡が元気いっぱいの挨拶をしてきた。 日本人離れした美貌とはミスマッチなはずのにこやかな顔だがそれがまたかわいい。美人は得である。 「おぉー……ねね、靴の裏見せて」 「は?」 「裏!」 いきなり訳のわからない要求だ。片足を上げてくいっと足首を曲げてやる。 「……あれー、スパイクないね」 「この季節にスパイク付きの靴はく奴がいるか」 「長野県民でしょ?」 「長野県民をなんだと思ってやがる」 / / // . 〃 . iト、| . | ヽ ヽ ヽ 乂 .′ / ,イ . / ! . i| | . |\ . ハ .′ i`ーァ′/ ! . i | . | | . | \ . ヽ . ____ i-‐ ´ . .′ !/ . ′| . | | . | | . | \ .  ̄| ̄ ̄ `ヽ /i| |. | | . | | . ! | . |_,,-‐====‐\ . | . | . i j〃 . i| |. |‐===┼- | j -‐ \ . . | . | . | / . i| {. ! \八 . | jノ , -‐ __,,.⊥ . } . | . 人 ′ . 八 Ⅵ ≫=ミ、 . ! ≫≦Y⌒'マハ 、 . .′ . | . .\ i . i . \{ハ 《 )i ハ\{ ″{ .) i } } 》 . / . /! . \ .\ | . | . i '. ヾ い; jj 八∨乂 _;ノ ノ . / . | . .`ー-田舎モン! | . | . | . | . l'. V辷ク ゞ゚-‐ ' . / . / . | . . | . | . | . | . |ハ / . / . / . . | . . | . | . | . | . | . , / . . .′ . / . | . . . | . | . | . | . | . / ,. ,イ . / . 人 . . . . |.. i | . | . | . | ゝ. 、 ノ .′ // / . / . . / \ .\ . l 从 . | . | . { / > . { /' / . / . . ′ \ .\ . 乂{ \. !\〉、 \_/ . . 〕jッ。. . ィV`ヽ /. / . . / \ .\ . . `\ \{ \;/ . . //{{ ` ´ | |│ ,// . . / \ .\ . . 「……ガム食うか」 「食べる!」 包み紙を剥がし、一つくれてやる。なんの疑いもなく淡は口に入れた。 「……から!辛い~!」 「田舎モンっていった罰だ」 「ひょおはほおほはは~!!」 ペシペシと叩かれるが大して痛くない。いいザマだ。 渋い顔をした淡が落ち着くまで適当にぶらつく。ぷくーっと顔を膨らませた淡がようやく口を開いた。 「あー、辛かった」 「俺はそれくらいが好きなんだ。で、電話で話した通り、最初は雀荘でいいか?」 「んー……そだね、コテンパンにしてやるから!」 ウネウネと髪をうねらせながら不敵な笑いを浮かべる淡。どうやら辛口ガムで随分とヘソを曲げてしまったようで、本当にコテンパンにされそうだ。 「はは……手加減しないなら願ったり叶ったりだな」 「ほほー、いうねー、口先マンのくせに~」 「そこから得るものがあるかもしれないだろ」 折れない心とか、とは続けない。負けること前提で進めるのはあまりよろしくない気がする。プライド的な意味で。 というわけで、二人は近くの適当な雀荘に入った。決勝戦前の中日なだけあり、多くの学生で溢れかえっている。 「んー……あ、卓空いてる」 「お、本当だ」 空っぽの卓で対面になるように2人は席に着いた。この様子ならすぐに残りも埋まるだろう。 「ラッキーだね!」 「あぁ、待つかと思ったんだけど……」 しばらく待っているうちに空いた席に一人、また一人とつき、四方が埋まる。ついに開幕だ。 「回ニニO _--ー「T「 ̄\ /二\ 「 l L_コュ 凵 ヽ |( )| L 」コー゙゙゙゙゙ ̄ ゙゙゙̄ーヽ`二´.| /二\,, / ヾ\ 〆). |( )レ ヽ ヽ .ヽ`二/ ヽ .ヽ. ヾ / / ハ -/-ト | 、. | `フ | |ーヾ | i/ | / ヾ | | / | ハ | ヽ\ ヽ __´ | ヽ | ハ ヽ | ヾ __.  ̄ ,,=≡ニ=,,. | | | ヽ V 、ヽヾ ,,=ニ≡ /// ノ レ ヾヽよろしくおねがいします!. / .| ´ _´___ ∠ | ルレ. | | |./// ト--ー゙| ,,. | /レ | | ヽ ヽ _ノ_,,-i ´fヨヽ | レヽ ト ド ̄ ̄日フヽ | ヾ ヽ_ ヾ ____ ,ー 、 /ヽ  ̄ ド ( { .|ベ/ ヽ | ヽヽ__ゝーノソ ト___ | (`ー(ー´ \. ハ ヽ ヽ | ∧ ,ヘト o|ヽ ヽ| トoヾ_へ\\ | | ヽ_/ ヽoヽ ,,ゝ弋コヾ| ─- 、 、 , -───-ヽレ_ , ´ ` 、 / \. , ' 丶. / ヽ. i ,ィ ,ヘ l | / !.{ ヽ \ ヽ | l ,イl| ヾ;、 \ ` ー-ゝ、_ 、 | i l. i / ヾゝ `''ー  ̄_ニ;三=ーヽ . | |. ヽ ヽ!T'==-_、 `‐ `〒‐'fr;ゥj´ _j j リヽ し1! \` l `'´ hタヽ --゚‐'_ `T!´r) } ,リ }. l  ̄ /j ` リ r 'ノ ラ ._.ノ l. ヾ - 、_ニ1 ノよろしくお願いします `ー;ァ. ヽ -ー‐一 ゞー- ,∠ _ ` ー ゝ、 ` r‐;-‐`''"~ ̄ | _,.> 、__, -‐',コ | | 「f´ ̄ ∠∟-‐''´ | | ,. =‐ | | | | | | / -=' | | , j , ヽ /_ -‐`ー─ _,.ゝニゝ/ / `ー---‐ '´ 〉〉 / '´  ̄ ノ/ .レ' f ,ニニン /. くく ./l | | / / ̄ ̄ ̄ 「よろしくお願いします」 「よろしくね~」 全員挨拶が終わり、卓へと向かう。すると、突然対面に座る淡の雰囲気が変わった。 . , ´ ` 、 / \ // .. .... . ヽ // . . . /. . .. . . . . .∧ // . . ´ . . . . .... . . ... ....... . . . . . . . 、 ', .1} } . ./ . / . . . . . . . . . . . .ト;. . . . ', . . . . . . ', .',. 7ミニ彡 . / . . // / //}. . / ,' .ヽ . . .',. . 、. . |.. .∧ __ { ,'.| /}/ . . // / . . . . ..´/. ./ ./ / V...ノ . . .',. . |. . | ∧. /7} ヽ{| ./.ノ. . . ./ /. . . . . ./ メ;..' . /. .V.;. . . . .} |. . | .トヘ. {人_ .ヽ_ミx´, . . ./ / . . . ーx_ //ァ/ ./イ . . . . .|. .|. . | . ヽ.ヽ. ゝ  ̄... . . ., | . ./ . ' . . ./ _≧≦_.´ ._x≠キ" . . .|. .|. . | . . . 》 〉 __`''ーt―r ' ./. ., .{ .l. . イ ',.〈丁≧ァ` k´r‐=≠、. . . .!. . . . !;/,_'_r''´,-=、 `''ー==≧ . . .{{ ';| / ゝ_, r';_; }. ./ 5、_/;}lノ . . .|. . . . |.// ,Xァ.` .≧=-`''-、_. . . . . . . r ヘ .|. ヘ ``'''. ヾソ-'./. . ./|. . . . |/ / `、  ̄´ /´.ヘ V ヘ , / . . / / . ノノ / .∧ ト ./ ヘ ,ヘ > _ __ __ ,/イノ レ'/ / l ∧ | `,' ヘ ヘ >.、 _, =r< .,'. . . . //// / ` ー、 八_} . .ヘ ヘ ∧‐- ./ /. . . . / .//イ .l. . } ,イ .. .ヘ .ヘ ∧`''ー.〈_ ゝ、 . ∧// / | ; ' . / まだサイも回していない段階で既に真剣そのものな表情になっている。モニターで見た大将戦でもこんなに本気《マジ》の表情を見せただろうか。 (たぶん……さっき言ってたコテンパン、か?) しかしその瞳の奥に悪戯心のようなものが見え隠れしている。さっきのガムの仕返し、といったところか。他二人はとくに気づいた様子もなく卓に向いているのでこのオーラは自分にだけ向けられているらしい。 (まいったね、こりゃ……) 処理が終わり、各々が自分の配牌を取っていく。 すべて理配し終えた段階で京太郎は思わず溜息を吐いた。 (マジで五向聴だ) 他の二人も表情が浮かばない。どうやら例の力が発動している……らしい。 六向聴ではないだけマシと割り切り、京太郎は手を入れ替えてゆく。決勝の様子から、自摸配まで弄くるパワーではないらしく、入れ替えは順調に進んでいく。 しかし…… 「んー……」 7巡目ほどの、あの手からかなり早いテンパイにたどり着いた京太郎はチラッと対面の淡を見た。視線にも気付かずにジッと卓上を見つめている。 引いた三索を加え、二萬を切ればテンパイだ。しかしどうにも、気が進まない。 (俺がテンパイしてんのにこいつがテンパイしてねーのか?) まさかダマテンで狙っているのではなかろうか、という疑念が浮かぶ。どちらにしろまだ東一局、焦らなくてもいいかと京太郎は淡には安パイの三索を切った。 二萬も通らない牌ではない故、和に見られたらどやされるだろうが。 しかし下家が次に二萬を切ってもそれはあっさり通った。 (ありゃりゃ) 予感が外れたか、と京太郎は頬をかく。 次順、あっさり京太郎は三索をひいた。オカルトは信じるが自分にそんな力はない、と知っている京太郎はどちらかといえばデジタルよりだ。もう大丈夫と安心して、不要牌の二萬を切り落とした。役は安い、リーチはしなくても…… 「ロン」 「……え?」 宣言、その方向を向くと淡がニヤリと笑って牌を倒していた。 「えーと、3900!」 「あ、あぁ……」 マジで?という心情で京太郎は点棒を淡に渡した。まさかこんな露骨に狙い撃たれるとは……と思ったあたりで、他の二人がとくに変な様子はないことに気づく。 (……あぁ、そういえば) よく考えれば下家が二萬を切った後安心した京太郎は淡を注意してみていなかった。その時に手を入れ替えたのかもしれない。 (俺のミス、か……) 淡に狙い撃たれたのではないかというバカバカしい疑問を京太郎は振り切り、さあ次だと親の一本場の卓に向いた。 , ⌒ ー  ̄ ̄ 、 /_,. - \ /´ / /⌒\ ヽ , ´ , V . / / / / / | V V | /-- ´' / / / l|{ | l| | | { / イ { ' |_,斗| | 、_l__/_ィ |l∧ / , ∧ | {∧{ { 、 /}/}/ } /∧| / イ / {∧{ 、__,.V {∨ 、_,/ イ}' `  ̄´ V∨乂l \ ムイ/ 从 ' 八/はぁ…… -〈〈/\ v-っ イ》く__ /////∧\} > -- < |//}///> 、 /////////\} 「/〈////////\ /////////////|--、 r-|/ イ//////////\ //////////////∧、__「//////////////// \ {//{////////////〈 ∧ }///////////////////} |//|/////////////V/\ //////////////////'//| _, -──- .,_ '´ `丶、 / \ , / \. / . / ヽ ′ / / `、. .' / /, // /| | ` i . / 」_ ′/ | | i| . i. i | j/, /イ`メ、 | 小 || ト.! j .| ∨/ / |/ ヽ | ァT丁l | | ノ i| V j 抖竿ミ ノ ノ ,ノイjノ | i___ ____彡' , i| i| j 八| x x /ィ竿ミ 刈 | } ̄¨ え≠ / 八 i|/l | | x x / ノ | ′あー楽しかった! / -‐ ' ハ 八 ト、 ヘ.__ ` 厶 イ ノ/ __,.斗‐=≠衣 ヽ八\ 丶.__ソ . イ(⌒ソ イく jア¨¨^\ \ \ >-=≦廴_ ア /ノヘ\ 斗ァ'′ \ \ ヾ. \___ ⌒ヾく<,_ `ヽ )ノ/圦 | 、\ ヽ 、∨tl `ヽ . ∨ V\ i { `| Vi \ ハ i } | } i } ∨,} }≧=- | 辻_V\`i} i } | /} iハ} 辻ノ ノ ¨〕V//リ iノ ////V〔 ¨〕 結果的に京太郎は負けた。ぼろ負けした。ネギトロにされてしまった。 その四人で4回卓を囲んだが、京太郎の結果は4着3着4着2着。 別に淡は京太郎だけを狙っていたわけではなかった。他の二人も特別強いわけではなかった。 しかしラスを二回引いたぶっちぎりのドベの京太郎に対し、淡は全局一位。まさしくコテンパンである。 /l ,,,;;-―''"  ̄ ̄ ̄ `ヽ、 l |/ 二`ヽ、 ノ/ \ / \ / / L、 / / / _ _ ソ'ノイ `ヽ=、 ./ / / ___\ ∠ ノィ \ / _ l ` _/ \\ ィ" ヘ ヽ | / ┐) `ァ ヽ、 `<_l! ` ´ \ l \ lくそ!トーレスめ!トーストにしてやる! 、_ ノ | r.〈 / ` 、 ∠、 | | 、 | \´ l ヽ \ ___チ `〈_ ノl!ノ ノ | | Y \_ `ー __ 、 ノ .| | | || |  ̄フ´ / ー-、_ヽ ´ | _ノイ / \ チ´ / |;;;/ | / ,,r-、`、 ノ l!_ レ' / L_, /;;;;;;;;;;`ー、  ̄ ̄ l \ `ー-、 ノ / チ_ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;フー、 | \ ー / 、 /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ \」_ `ヽ、 / チ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; / `ヽ、_ .〉`ー― '"'" ̄ ̄;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ // `ヽ.」;;;;;;;;;;;_;;;;;;/ // /`ヽ、-―'" \\ .// / / l__. \\ .// / / /;;;;;;;;;\ \\ // / / /;;;;;;;;;;;;;;;;;\ お昼時になり他の二人が卓を離れたため京太郎と淡も雀荘を出る。 「いやぁー……京太郎、マジで弱かったねー」 「うるせーよ牌を見透かしたみたいに狙い打ってきやがって……」 「わざとじゃないしー」 ルンルン気分の軽い足取りで歩く淡とは対照的に京太郎は沈んだ気分でそれについて行く。 「かてねーとは思ってたけどここまでボコボコにされると自身失うぜ」 「ふふーん、この高校100年生の淡ちゃんに勝とうなど、一年生のきょーたろーじゃ99年はやいのさ!」 ビシィッ!と指で刺されてもぐうの音も出ない。ぐぬぬと唸った京太郎は何かいい返さねばと口を開いた。 「つ、次は負けねーからな!」 「……え?」 とたんに、淡の動きが止まった。 「次……?」 「え、ダメ?……あ、そうか、大会終わったらもうお互い遠くだもんな、でもネトマなら」 「いやそーじゃなくて」 京太郎の言葉を遮り、淡がポツリと呟く。 「また、してくれるの?麻雀」 「あぁ、そりゃ勿論」 「……そう」 「うーん……まぁ、いいか」 スッと顔を上げた淡は先ほどまでの明るい表情に戻ると、またずんずんと歩き出した。 「じゃあお腹減ったし、なんか食べようよ」 「奢らねーぞ」 「え?そりゃそうでしょ、学生同士だし。何食べるー?ラーメンとかどう!ラーメン!」 「……本当に、お前は珍しいやつだよ」 「ほえ?」
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■童話世界■日南 桃太郎(にちなん ももたろう) Name としあき 07/04/14(土)20 35 19 No.9317525 15歳。本名は赤茄子丸(あかなすまる)。各地に散らばる桃太郎一族の生まれであるが、 肥満体を包む着物の着方はだらしなく、髷もボサボサの黒髪を適当に結ったものであり、 死んだ魚のような目に団子っ鼻という冴えない顔つきも美形の多い一族の中では異端。 性格もとことん横着でどうしようもないものぐさである(間違っても演技ではない)。 親戚とは幼少時に無理やり出席させられた集まりで会ってから交流はなかった。 ある日、薪取りの手間を省く為に怪力で大木を引っこ抜いてきて家に立てかけたはいいが その重みで家は全壊し、彼の両親は潰れた家の下敷きになって死んでしまう。 さすがにショックを受けたようだが、翌日には怠惰な暮らしに戻り皆を呆れさせる。 結局は庄屋を務める母方の祖父宅で悠々自適の「にぃと」生活を満喫していた。 「こんな奴をいつまでも置いておくのは村の恥」と思った祖父や村人達によって 強引に誇張だらけの紹介状を持たされ、かぐや姫の戦士隊に参加すべく月の城までやってきた。 「豊桃(ほうとう)」という宝刀を持ち、腐っても桃太郎の血統なのでそれなりに強い。
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万太郎船 山本周五郎 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)万太郎《まんたろう》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)年|経《た》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定] (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#感嘆符二つ、1-8-75] [#5字下げ]一[#「一」は中見出し] 「これがお約束の百両です」 「……ありがとう」 「あらためてみてください。たしかに百両、ございますね」 二十五両の包みを四つ、万太郎《まんたろう》が正直にひとつひとつかぞえるのを待って、仁兵衛《にへえ》は煙管《きせる》のすいがらをハタきながら、 「その百両をおわたし申すについて、あらためて申しあげますが、これが長崎屋のご身代の最後の金です。もう一分《いちぶ》の金の出どころもございません、どうかそれをご承知のうえお持ちくださいまし」 「……これでおしまい、この百両で、もうあとはなんにもないのかい」 「ございません、根っきり葉っきりおつかいになりました」 「へえ……そいつは知らなかったねえ」 「これまでになんどもご意見を申しあげました、けれどもあなたはどうしてもお道楽がやまない、無いが意見の総じまいだと申しますが、これであなたもすこしはお考えが変わるでしょう。この百両をつかいはたしてああまちがっていたとお気のつくことがあったらここへおいでください、そのときはあらためてご相談にのります。そこにお気がつかず、いつまでも狂人沙汰《きちがいざた》のお道楽に凝っていらっしゃるあいだは、失礼ながらどうかこの家《うち》へおいでくださるな、これはいまはっきりと申しあげておきます」 「待ってくれ、そう矢つぎばやに突っこまれてはわけがわからないよ、いったいそれはどういう理屈なんだい」 「若旦那《わかだんな》……」仁兵衛はひょいと眼《め》をあげた、「あなたは大旦那のおなくなりなさった年《とし》をおぼえていらっしゃるか」 「知っているさ、安永二年の五月だった」 「それからなん年|経《た》ちます」 「今年が六年だから、三、四、五と、まる四年になるだろう。それがどうした」 ふっくらとした色の白い顔も、静かな澄んだ双の眼も、よく云《い》えば汚《よご》れのない、悪く云えばま[#「ま」に傍点]の抜けた感じである。仁兵衛はその眼をつよく見いりながら、 「長崎屋といえばお膝《ひざ》もとの舟大工《ふなだいく》のなかでも三番とさがらぬ店でした。職人の八九十人は絶やしたこともなく、お上の御用まで勤めた立派な頭梁《とうりょう》でございました。それを……大旦那がなくなってから四年のあいだに、あなたは釜《かま》の下までさらうようにつかいはたしておしまいになった、子飼いの職人もひとり残らずちりぢりばらばら、相川町《あいかわちょう》から玉井町へかけての地面も、百四五十軒あった家作も、舟大工にはなくてはならない河岸割《かしわ》りの株も、あなたの狂人じみたお道楽のためにすっからかんになくなってしまいました」 「そいつは云いすぎだ、きちがいじみた道楽というのは云いすぎだ、あたしは舟大工の伜《せがれ》として自分のすべきことを……」 「ようございます、云いすぎなら云いすぎとしておきましょう」 仁兵衛はにべもなくさえぎった、「それについていまさらとやかく云うつもりはありません。わたしは十二の年に長崎屋へご奉公にあがり、三十の年にこうしてここへ家《いえ》を持たせていただきました、みんな大旦那のおかげで、そのご恩のほどは海山にもたとえることはできませんが、このままではあなたのお眼のさめるときがない、大旦那には申しわけありませんがわたしはもうあなたのご面倒をみることはお断わりです。……どうか心をいれかえて、これからまじめにやり直す、まちがっていたとお気のつくまでは、家へおいでになるのをやめてくださいまし」 「……そうか」黙って聞いていた万太郎は、やがて大きくうなずきながら云った。 「そうか、よくわかった。あたしのしていることがまちがっているかどうかは、いずれ時がくればわかるだろう。……どうもながいこと迷惑をかけてすまなかった。じゃあこの金はもらっていくから」 「お待ちください、もうひとつお話がございます」 仁兵衛は下から万太郎を見あげながら、「あなたとご縁談のできていた佐野庄《さのしょう》のお雪さん、あれも破談になりましたからご承知置きをねがいます」 「ほう、……あれが破談になったのかい」 「長崎屋のお店があのとおり、あなたも末の見込みがないというので佐野庄から破談のおはなしがございました。いなやを申す余地がございませんから一存でお受けをしておいたのです、ご異存がございますか」 [#5字下げ]二[#「二」は中見出し] (ご異存がございますか) 万太郎はひょいと呟《つぶ》やいてみた。 「……なるほど、そう云われてみれば異存の云える身上ではなさそうだ、仁兵衛がそう云うのも無理じゃあないよ」 深川冬木河岸《ふかがわふゆきがし》の仁兵衛の家をでると、そとは夕焼けの赤い黄昏《たそがれ》の街だった。万太郎は河岸に沿って歩きながら、四年間のこしかたをぼんやり思いかえしてみた。 彼は深川松川町の長崎屋万助という、江戸でも指折りの舟大工の家に生まれた。小さいときから細工物が好きで、仕事場へはいっては鑿《のみ》を手に、木片《きぎれ》でいろいろな物を作るのがなによりのたのしみだった。そしていつかしら作るものが舟だけにきまったのをみて、父親の万助はひじょうによろこび、 ――こいつはいい二代目だ、いまにきっと長崎屋の名をあげるぞ。 そう云って自慢のたねにしていた。 事実そのとおりだった。長崎屋という大頭梁の子でありながら、十三四のころから彼は、職人たちと同様に仕事場で木屑《きくず》だらけになって働きだした。そればかりではない、職人たちが定《きま》りきった仕事を定りきった順序でやっているのに反し、彼はたえずなにか新しい工夫を考えだした。平底舟の舳先《へさき》をまるくして安全率の高いものにしたり、早舟の水切り、舷側《げんそく》のはね[#「はね」に傍点]をひろげて速度を大きくしたり、舵《かじ》の切りかたを変えて転舵《てんだ》の効果をつよめたり、実地の役にたつ工夫改良をつぎつぎと考案した。 ところが安永二年の五月、父親の万助が死ぬと間もなく、彼はだんだん仕事場から遠のきだして、一日じゅうぼんやりとなすこともなく日を暮らすようになった。 ――いったい若旦那はどうしたんだい。 ――まったく人が変わったようだぜ、昨日も河岸っぷちでいちんち石地蔵をきめこんでたようだ。 まわりの者はそんなことを云っていたが、万太郎はそのとき、新しい舟の考案で夢中になっていたのである。 新しい舟といってもこれまでのような形の工夫ではない、人間の力や風の力によらないで舟を動かそうというのだった。つまり櫓《ろ》や櫂《かい》や帆のほかに、もっと速く、しかも波や風を乗り切って舟を動かす方法を考えていたのだ。……あるとき彼は、幕府の砲術家が石川島で大砲《おおづつ》の射撃演習をするのを見た。大砲を射《う》つと、弾丸《たま》がとびだして、同時に砲身がはげしく後方へ反動をおこす。こいつをくり返し見ていた万太郎は、火薬の力の大きさにおどろくとともに、 ――もしもあの力で舟を動かすことができたら……? ということをひょいと思いついた。 万太郎は家へとんで帰ると、すぐに冬木河岸の仁兵衛を呼んで仔細《しさい》をはなし、金の調達をたのんだ。仁兵衛は長崎屋の子飼いの職人で腕を見込まれて、三十の年にじぶん一軒の仕事場を持たせてもらい、当時はもうひとかどの頭梁株になっていたし、万太郎の後見をたのまれて、万助なきあとの財産管理のような役をひき受けていた。 仁兵衛は話を聞いてはじめつよく反対したが、万太郎はそれを押し切った。 ――舟大工で貯《た》めた金を舟の工夫につかうのは当然だ、たとえ家を裸にしても、成功すればお父つぁんはほめてくださるにちがいない。 道理はとおっているから、そう押して云われるとそれでもいけないとは云えなかった。仁兵衛の負けで、万太郎はいよいよ新しい工夫にのりだしたのである。……なにしろ大砲の原理を舟へ利用しようとするのだから、仕事のむずかしさもさることながら金をつかうことも大きなもので、二年たらずのあいだに三千両というものが消えてしまった。 むろん仁兵衛はそのあいだにずいぶん意見をしたが、万太郎はまるで耳にもかけない、それで一策を思いついた仁兵衛は、中洲《なかす》に店のある廻船《かいせん》問屋、佐野屋庄左衛門の娘でお雪という、十六になる評判の小町娘を、万太郎の嫁にもらいたいと話をすすめた。……佐野庄も指折りの資産家で、商売|柄《がら》、まえから長崎屋とは関係《かかわり》があるし、先方でも万太郎のことは知っていたので縁談はめでたくまとまった。 ――これでよし、女房がきまればつまらない道楽もやむだろう。 仁兵衛はそう思ってひと安心した気でいた。ところが万太郎はすこしも変わらなかった。 ――婚礼はこの工夫が成功してからだ。 そう云ってあいかわらず夢中で工夫にうちこんでいた。……こうしてまる四年、ついに仁兵衛からきょう縁を切ると云われるところまできてしまったのである。 「まったく仁兵衛や佐野庄が見切りをつけるのも無理じゃないかもしれない、われながら今度の工夫はいまだに目鼻がつかないんだから」 そう呟やきながらあるいてゆく。 万年町の舟入り堀のほうへ、河岸っぷちを曲がったとたんに、夕焼けの赤い空をきって、ぶうんとなにか飛んで来たかと思うと、万太郎の横顔へいきなりそいつがぱしッとぶっつかった。 [#5字下げ]三[#「三」は中見出し] 「あ、いてえ!」 びっくりして立ちどまる、万太郎の足もとへはらりとなにか落ちた。 見るとそれは「竹とんぼ」だった。 「なんだ、竹とんぼか」と拍子ぬけのした気持で拾いあげるところへ、むこうから八つくらいになる子供が走って来た。 「ごめんよ小父《おじ》さん、痛くしたかい」 「痛くはしないがびっくりした、これはおまえのかい」 「おいらんだ」子供はくりくりとした眼をあげて、 「おいらがじぶんでこさえたんだ、仲間でいちばん飛ぶんだぜ。どのくらい飛ぶか、小父さん見たくはねえかい」 「そうさな、見たくはないが、おまえ見せたいんなら飛ばしてみな」 「へ※[#感嘆符二つ、1-8-75] 恩に着せるようなことを云うぜ」 子供はぺろっと掌《てのひら》をなめると、竹とんぼの軸を両手のあいだにはさみ、くるくると調子をつけながらぐいっと空をにらんだ。 「いいかい、飛ばすぜ」 そらっという声とともに、小気味のいいうなりをたてながら、竹とんぼは子供の手をはなれて勢いよく夕焼けの空へ舞いあがった。 自慢したほどあってそれは実によく飛んだ。ほとんど蚊のように小さく舞いあがり、しずかな南風に吹きながされて、二十間ばかりむこうの道へひらと落ちて来た。……すると、それをじっと見ていた万太郎が、 「……あっ」と低く口のなかで声をあげた。 「どうでえ、ちょいとしたもんだろう小父さん」 子供は万太郎の声を感嘆されたものと思ったようすで、得意になって、竹とんぼを拾いに走って行った。万太郎は子供がもどって来るのを待ちかねて、 「坊や、それを小父さんに売ってくれないか、お金はほしいだけやるぜ、売ってくれ、いいだろう坊や」 そう云いながらふところをさぐる、仁兵衛の手からうけ取って来たばかりの金の包みをやぶいて、小判を一枚とりだすと、 「さ、これだけやる、買ったぜ坊や」 あっけにとられている子供の手へ、金を握らせて竹とんぼを取ると、まるで憑《つ》きものでもしたように走りだしていた。……子供はぽかんと口をあいてそのうしろ姿を見送っていたが、手のなかの小判を見ると、さすがに子供である、きゅうに仰天して、なにかわめきながら裏町のほうへつぶてのようにかけていった。 竹とんぼ一つを一両で買った万太郎は、なにを思いついたのであろう、まっしぐらに松川町の家へ帰って来ると、そのまま舟《ふな》おろし場へ出ていって、竹とんぼを流れのなかへいれながら食事も忘れてなにか考えはじめた。 それから二三日というものはじぶんで、大小幾十となく竹とんぼを作り、こいつを流れにひたしてはにらみっくらをしていた。 広い家のなかに住む者は万太郎ひとり、食べものを近所の仕出し屋からはこんでくるほかはおとずれる人もなく、江戸じゅうに名を知られた長崎屋の建物もいまはがらんとして化物屋敷どうぜんだった。 月のいい晩だった。 いつものとおり、舟おろし場へ高張提灯《たかはりぢょうちん》を二つ持ちだして、次ぎ次ぎと竹とんぼを流れにひたしてはなにか考えていると、右手の空地へ誰か人のはいってくる跫音《あしおと》がした。 (――いまじぶん誰だろう)そう思ってひょいとふりかえって見ると、空地を下りて来た人影が、そのままするすると水際《みずぎわ》へやってくる。 (――芥《ごみ》でも捨てに来たのか)と見るうちに、それがすいと河のなかへ足をいれ、ずんずん前へ出てゆく、水は膝《ひざ》をひたし腰を越えた。万太郎にはまだなにをしているのかわからない、間もなくその人影は深みへ出たとみえて、ずぶりと水のなかへ沈んだ。 (――あっ、身投げだ) そう気がついたのは、いちど沈んだ頭がひょいと波の上へうかびあがったときである、万太郎は反射的に河のなかへとびこんだ。 [#5字下げ]四[#「四」は中見出し] 「冗談じゃない、本当に死ぬ気だったのかい」 「ええ、……死ぬつもりでした」 助けあげたのは娘だった、たいして水を飲んだわけではないが、話のできるようになるまでには、半刻《はんとき》あまりもかかった。……さて行燈《あんどん》を中にして向き合ってみると、眼鼻だちのととのったすばらしい縹緻である、二十六という年まで女というものに興味を持ったことのない万太郎が、(――これは美しい)と思ったくらいだから、くだくだしく説明する要はないだろう。万太郎はそう思うのといっしょに、これは色恋のはての身投げだなと推察した。 「いったいどうして死ぬ気になんぞなったんだ」 万太郎は、あり合わせの男物の浴衣《ゆかた》を着て、じっとうつむいている娘の、絖《ぬめ》のような衿《えり》あしを見ながら云った。 「こうしてあたしが助けたというのもなにかの縁だろう、死ぬ気になったわけを話してごらんよ、どうせついでだ、あたしで足りることなら力になってあげようじゃないか」 「ありがとう存じます、……でも、……」 「ざっくばらんに聞くけれど、金かい、それとも色恋かい」 「まあ……」 娘はふっと、つぶらなひとみをあげて万太郎を見た。そしてしずかに頭《こうべ》をふりながら、 「ちがいます、そんな、そんなことではありません」 「金でなし色恋でなしとすると」 「あたし、……行くところがないんです」 「というと」 まじりけのない万太郎の気持がわかったのであろう、娘はぽつりぽつりと、拾うような口調で身上ばなしをはじめた。娘の名はおすえ[#「おすえ」に傍点]と云った。 葛飾《かつしか》在の百姓の娘で、十二の年に深川佐賀町のさる大商人《おおあきんど》の店へ奉公にあがり、小間づかいとして六年のあいだ働いていた。ところが年ごろになるとともにそういう身分で美貌《びぼう》の者にありがちな災いがおこってきた。その家の伜《せがれ》で平吉というのら息子がおすえ[#「おすえ」に傍点]に眼をつけ、土蔵前《くらまえ》で袖《そで》をひいたり、文《ふみ》をつけたり、しまいには力ずくでかかりそうにさえなった。 「六年も働いたご恩のあるお店ですけれど」娘はそのときのことを思いだしたように、美しい眉《まゆ》をひそめながら云った。 「それ以上いては若旦那のためにもならず、あたしのからだも心配ですから、思いきってそっとぬけだしましたの」 「むろんだとも、いることがあるものか」 「そして葛飾の家へ帰りましたら、家はすっかり荒れはてて誰もいません。近所できいてみましたら、おととしの冬、御年貢が納められないために一家そろって行方知れずになったというんです」 「おまえさんに知らせはなかったのかい」 「ありませんでした」娘はそっと眼がしらへ袖をあてた。 「きっとあたしに心配をかけてはいけないと思ったんですわ、父は気の弱いひとですから」 「それで親類かなにか……」 「親類も縁者もいませんの、家はもともと奥州のほうから移って来たのだと聞いていました。しかたなしにまた江戸へもどって来たのですけれど、あのお店のことを考えると二度とよそへ奉公にあがる気にもなれず、といってどこにも頼るあてはなし。……もうもう生きているのがいやになって……」 「そうだったのかい」万太郎はふかく感動させられた。 (――人生はいろいろだ)これだけの美貌にめぐまれて、ふつうならどんな面白い世間でも見られそうなものなのに、この娘の場合にはそれがかえって身の仇《あだ》になっている、人の運命《めぐりあわせ》ほどわからぬものはないと、万太郎ははじめて世の中のきびしさの一面にふれたように思った。 「いったい、その佐賀町の店というのはどこだい」 「それは申しあげられませんわ、若旦那の恥を話してしまったのですもの、あたしには辛《つら》いお店でしたけれど、でもやはりお世話になったご主人のお店ですから、店の名を云うことだけはかに[#「かに」に傍点]してくださいまし」 「いいことを云うね」けじめの正しい娘の言葉に万太郎はもういちどふかく心を動かされた。 「こいつはきくあたしのほうが悪かった。ではあらためて相談だが、あたしが大丈夫という家を世話したら奉公にでる気があるかい」 「……でも」 「家もなく身寄たよりがないとすると、どこか堅い店へ奉公にでるほかはないだろう、あたしがひとり者でなければここにいてもらってもいいんだが」 「置いてくださいまし」娘はすがりつくように云った。「ここへ置いてくださいまし、煮炊《にた》きでもお洗濯《せんたく》でもなんでもいたします。おねがいですからここへ置いてくださいまし」 [#5字下げ]五[#「五」は中見出し] 葛飾|郡《ごおり》砂村新田《すなむらしんでん》の地はずれ、中川の海へそそぐ川口寄りに、もと漁師の舟小屋につかっていた古い大きな建物がある。その建物を買いとってすこしばかり手入れをしたうえ、ささやかな家財を持ちこんで若い男女のひと組がすむようになってから三月《みつき》ほどたった。 若い男女とはいうまでもなく万太郎とおすえ[#「おすえ」に傍点]であった。 娘の哀れな身上を聞いた万太郎は、どうせじぶんも当分は世間と縁のないからだなので、すこしでも生活費をきりつめるため、ひとつには邪魔のはいらない場所でゆっくり仕事がしたいと思ったので、あれからすぐにこの家を捜し、松川町をひきはらって移って来たのであった。 まわりはいちめんの蘆原《あしはら》、ところどころに小松の林があって、白鷺《しらさぎ》が翼をやすめている景色など見ると、江戸からひとまたぎの場所とは思えないほど閑寂なものを感じた。……万太郎はいちんちいっぱい仕事場にこもりきりであった。まずしい食事の膳《ぜん》へ差し向いになってもほとんどうちとけて話をするようなことはない。おすえ[#「おすえ」に傍点]にはそれが物足らぬようすで、炊事、縫い張りの暇々には、どこか遠くを見るような眼をしては溜息《ためいき》をつくことが多かった。 五月の末に移ってきて、六、七、八月と、自然はようやく秋にいりかけた。 「おまえ[#「おまえ」に傍点]さん、淋《さび》しそうだね」ある夜《よ》、夕食の膳にむかったとき、万太郎がふと眼をあげて云った。 「こんな蘆原のなかの一つ家《や》だから淋しいことはあたりまえだが、そろそろ江戸が恋しくなったんじゃあないのかい、気が変わって奉公するつもりがでたら江戸へ送ってあげるよ、そんなことに遠慮はないんだぜ」 「江戸へかえりたいなんて、そんな気持はすこしもありませんわ」 「だってときどき溜息なんぞついてるところをみると、あたしはおまえさんが可哀《かわい》そうで胸が痛くなる。……あたしの仕事はいつになれば終わるというものじゃないんだ、あたしに付き合うつもりなら考えなくちゃいけないぜ」 「ひとつだけ、伺いたいことがありますの」万太郎の言葉にはかまわず、おすえ[#「おすえ」に傍点]は思いきったようにきいた。 「お仕事のことだけは口出しをしないつもりでしたけれど、あなたの苦心していらっしゃるごょうすを見るたびに、あたし胸が苦しくなってどうしようもなくなるんです」 「いやだね、はははは」めずらしくも万太郎が笑った。おすえ[#「おすえ」に傍点]の溜息を聞いて彼が胸に痛みをおぼえると云った、その口のしたから、こんどはおすえ[#「おすえ」に傍点]が彼の苦心のさまを見て胸苦しくなるという。(――それじゃ五分五分じゃないか)と云おうとして、万太郎はあわてて笑うのをやめた。きゅうにおすえ[#「おすえ」に傍点]が泣きだしたのである。 「どうしたんだ、おすえ[#「おすえ」に傍点]さん」 「あたし、……あなたがお気の毒で……」 「気の毒だって、あたしが気の毒だっていうのかい」 「そうですわ」娘はそっと涙をおさえながら、「あたし、助けていただいて、松川町のお家《うち》にいるあいだ、ご近所の噂《うわさ》であなたのことをすっかり伺ったんです」 「どんな噂を聞いたんだい」 「冬木河岸の仁兵衛という人のことですわ」 「……仁兵衛のこと」万太郎は妙なことを云うと思いながら、「仁兵衛がどうしたっていうんだい」 「冬木河岸は腹黒い人で、あなたが舟の工夫に凝って世間のことを知らないのをさいわい、長崎屋のご身代をすっかり自分のふところへ入れてしまったというんです」 「ばかな、ばかなことを云うものじゃない」 「いいえ、ばかなことじゃございません」 おすえ[#「おすえ」に傍点]はつよく頭をふって云った、「冬木河岸さんが本当にあなたのためを思う人なら、あなたをこんなお身上にしないうちになんとかしているはずです。口で意見を云うくらいは他人同士でもすること、心《しん》そこお店のためあなたのためを思うなら、口さきだけの意見でなく、もっと本当に役だつ手段《てだて》があったはずです。……それなのに、仁兵衛という人は忠義らしいふりをして、実際はあなたのおっしゃるままに金をつかわせ、ぎりぎり結着まで追いこんでしまったんです。地面を売った、家作を売った、株を売った、売ったことはたしかでしょうけれど、売ったお金の半分は冬木河岸のお人がごまかしたのだと云いますわ」 おすえ[#「おすえ」に傍点]はそう云って、近所の噂の出どころのたしかさを数え、うろんだと思うなら地面家作の買い主にあたってみるがよいとまで云った。 [#5字下げ]六[#「六」は中見出し] (――そうかもしれない) これが長崎屋の身代のさいごの金だといって百両わたされたとき、いや、それよりまえにもときどき仁兵衛のやりかたに疑念をもったことがあった。しかし……疑念をもったとしても、そのときふっと心をかすめたくらいのもので、彼にとっては新造の舟のほうが重大だった。仁兵衛のことなどはほとんど考える暇もなかったのである。 「おすえ[#「おすえ」に傍点]さん」万太郎は坐り直して云った。「おまえがそういう噂を聞いて、あたしのためにくやしがってくれるのはありがたい、けれどもそいつはやめておくれ」 「…………」 「もし仁兵衛が本当にそんなことをしたとしても、それであたしが気の毒だという考えはまちがっている。万太郎は気の毒どころかしあわせな人間だぜ」 「そうおっしゃられるとよけい悲しくなりますわ」 「いや負け惜しみじゃあない、証拠を見せてあげるからおいで、いいから一緒においでよ」 出たばかりの月が、蘆原いっぱいに淡い光を投げていた。わくような虫の音《ね》のなかを、川口のほうへ三四十間ゆくと、五六本小松の生えている汀《みぎわ》に小さな小屋がある。万太郎はおすえ[#「おすえ」に傍点]に提灯《ちょうちん》をわたして小屋の戸をあけ中から畳一|帖《じょう》ほどの小さな平底舟をひき出して来た。 「さあ、提灯を持ってこれを見てくれ」 おすえ[#「おすえ」に傍点]はそばへ寄った。「この船の下にあるのをなんだと思う」 「……竹とんぼの大きいのみたいですわね」 「そうだ、竹とんぼなんだ」 万太郎はしずかに云った、「あたしは舟をこぐのに、櫓《ろ》や櫂《かい》や帆ではなく、もっと速くそして波や風を乗り切って動かすことのできる方法を工夫していた。そしてあるとき大砲《おおづつ》の射撃を見ているうちに、火薬の炸裂《さくれつ》する力の強さを舟に用いてみたらと思いつき、ながいこと苦心してみた。……ところがこの夏のはじめ、ふと子供が竹とんぼを飛ばしているのを見たんだ」 竹とんぼが舞いあがるのは、反対にそり[#「そり」に傍点]をもった左右のはね[#「はね」に傍点]が空気を截《き》るからである。もしそれで水を截ったらどうなるだろう。……少年のころにはじぶんでもずいぶん玩具《おもちゃ》にしたものだが、そのとき子供の飛ばしている竹とんぼを見て、ふとその原理に思いついた彼は、すぐにそれを買ってかえり、隅田《すみだ》川の流れにひたして実験してみた。そして、竹とんぼのはね[#「はね」に傍点]が広ければ広いほど、またその左右反対のそり[#「そり」に傍点]方が大きければ大きいほど強く廻転することがわかった。 「流れる水で廻るのを、逆に竹とんぼを廻せば、つまり水を截って前へ進むことができるわけだ。もし舟のうしろへ取り付けて廻転すれば舟が動くにちがいない、……あたしは火薬の炸裂する力で動かそうとする工夫をひとまずやめて、すぐにこっちの工夫にかかった」 「でも、どうしてこの大きな竹とんぼをまわしますの」 「それだ、いろいろやってみたが、じかに手で軸をまわすだけでは力が足りない、そこで、轆轤《ろくろ》を思いだした、物をつりあげるにも轆轤でやるとわずかな力で重い物があがる、その理屈をつかって、五つの歯車をかみあわせる工夫をした。見てごらん……それがこの舟だ」 提灯の光でおすえ[#「おすえ」に傍点]が見ると、その舟の艫《とも》には手廻しで五つの歯車の廻る仕掛けができていた。 「さあ、動かしてみるぜ」万太郎はくるっと裾《すそ》を端折《はしお》ると、小舟を水の上へ押しだして乗り、把手《とって》を握って、からからと歯車を廻しはじめた。 舟は動きだした。月光のくだける川波のうえを、はじめは徐々に、しだいに速く、流れを横切ってかなりな速度ではしりだした。 「……まあ!」おすえ[#「おすえ」に傍点]は思わず嘆賞の声をあげながら、眼もはなさず舟のゆくえを見まもっていた。 万太郎はすぐに舟をもどしてきた。 「見たかいおすえ[#「おすえ」に傍点]さん」彼は舟からとびあがって云った。そして、感動のあまり声をあげることも忘れた娘の顔を、力のある眼でじっと見おろしながら、 「これはほんのためし造りだ、この歯車ではすこし大きな舟は動かせない、もっともっと強い力でこの軸をまわす工夫が必要だ、本当の仕事はこれからだ。けれども、……とにかくあたしの工夫はここまで成功している。もし仁兵衛があたしをだまし、長崎屋の身代を横領したとしても、その金はつかえばなくなってしまうものだ。……おすえ[#「おすえ」に傍点]さん、あたしは舟大工だ、あたしにとっていちばん大事なのは金じゃない、仕事だ、この新しい舟を立派に造りあげることのほうが、十万二十万の金よりあたしには大切なんだぜ」 [#5字下げ]七[#「七」は中見出し] 「わかりました、よくわかりましたわ」 「本当にわかったかい、気の毒なのはあたしじゃない、仁兵衛のほうだということがわかったかい」 「わかりました、そして……」云いかけて、ふとおすえ[#「おすえ」に傍点]はなにか口ごもりながら、黙って男の眼を見あげた。 それから四五日したある夜のことだった。夕食のあとで、歯車舟《はぐるまぶね》の小屋へでかけた万太郎が、提灯の光でこつこつ仕事をしていると、ふと遠くからするどい女の叫び声が聞こえてきた。……立ちあがって耳を澄ますとまたひと声、しかもそれはじぶんの家の方角である。 (――おすえ[#「おすえ」に傍点]じゃないか)そう思うよりはやく提灯を手に彼は脱兎《だっと》のごとくかけだしていた。 三四十間をひと走りに、 「どうかしたか」とわめきながら、ぬれ縁へとびあがって障子をあけると。……部屋の中では三人の若者が、いましもおすえ[#「おすえ」に傍点]を手ごめにしようとしているところだった。 「こいつら、なにをする」叫びざま、一人を蹴《け》倒し、一人の脾腹《ひばら》を突きあげ、すばやくおすえ[#「おすえ」に傍点]をたすけ起こして背にかこった。……不意をくらった三人は、どぎもをぬかれてとびさがったが、万太郎はそのなかの一人をみつけて、 「ああ、おまえは平吉!」とびっくりして声をあげた。冬木河岸の仁兵衛の伜《せがれ》で平吉、万太郎より三つ年下で、手のつけられぬのら息子だった。 「おまえ、ここへなにしに来た」 「しらばっくれるない」平吉はふてぶてしく肩をゆりあげて、 「おらあ女房を迎えに来たんだ、じぶんの女房を迎えに来たんだよ」 「女房……どれがおまえの女房だ」 「そこにいるお雪さんよ、廻船問屋佐野庄の小町娘、お雪さんはおいらの許嫁《いいなずけ》だ、許嫁は女房も同然だ、さんざん捜しあるいてやっとみつけたから迎えに来たんだ。おい万さん、こう聞いてもおめえ文句があるか」 万太郎は愕然《がくぜん》とたちすくんだ。 (――この娘が佐野庄のお雪)あんまりいきなりな話で、彼にはどう解釈することもできず、救いをもとめるようにおすえ[#「おすえ」に傍点]のほうへふりかえった。……すると、その眼へ全身を投げかけるように、 「万太郎さん、かに[#「かに」に傍点]してください」 と娘が必死に叫んだ、「あなたと許嫁の約束が破談になり、すぐあとで冬木河岸から縁談があったんです、でもあたしは……あたしの心はもうあなたのものでした。だから、だからあたしは……」 きゅうに万太郎はすべてを理解した。すべてがはっきりしてきた。仁兵衛のからくりが今こそ裸になった、それを彼女が知っていたのは噂を聞いたためではなく、彼女が佐野庄の娘だったからだ。……そして彼女は、娘らしい思いつめた知恵で、身投げのまねまでして彼の腕へとびこんできたのだ。 「わかった、もうなんにも云わなくってもいいぜお雪さん、あとのことはあたしがひきうける」 万太郎はそう云ってふりかえった。「平吉、あらためて云うがお雪さんとあたしとは二年まえからの許嫁だ、いまおまえも聞いたろう、あたしの心はあなたのものでしたと……お雪さんの口からはっきり云っている、これを土産に帰ったらどうだ」 「洒落《しゃれ》たことを云うな、来たからにゃ腕ずくでも連れてけえるんだ、やっちまえ!」 平吉が歯をむきだして叫ぶのといっしょに、二人の若者が猛然ととびかかった。……しかし、いずれも金で買われた男たちが、全身|忿怒《ふんぬ》に燃えあがっている万太郎とは勝負になるはずがない。ほとんどあっという間《ま》に、二人ともばりばりと障子もろともぬれ縁のそとへ叩《たた》き出された。 それを見た平吉は、むろんじぶんでかかる勇気はない。 「畜生、おぼえていろ」きまり文句を云うのが精いっぱいで、毬《まり》のように蘆原のかなたへ逃げていった。 身をおののかせながらすくんでいたおすえ[#「おすえ」に傍点]、いやお雪は、万太郎がつづいてあとからとびだしてゆこうとするのを見てびっくりして、袖にとびついた。 「万太郎さんいけません、待って」 「そうじゃない、追っかけるんじゃないんだお雪さん」 万太郎は、一瞬のうちにすっかり表情の変わった顔でふりかえった。 「あいつらはいま鉄砲玉のように逃げていった、鉄砲玉のようにと思ったときひょいと気がついたんだ、あたしはこのまえに火薬の炸裂する力で舟を動かそうとした。いいかい、その炸裂する力で、竹とんぼの軸を廻したら、……こいつだ、もしこいつができれば大きな舟が動かせる、この工夫がつけばもっともっと大きな舟が動かせる」 「まあ……」 「すぐはじめよう、おすえ[#「おすえ」に傍点]さん、仕事場へあかりを頼むよ」あれだけの騒ぎをけろりと忘れたように、万太郎は仕事場のなかへとびこんでいった。 「……おすえ[#「おすえ」に傍点]」お雪はそっと万太郎の口まねをした。かりそめにつけたその名が、今はなんとぴったり二人の生活にしみこんでいることだろう、……お雪はもういちどその名を口のうちでまねながら、いそいそとあかり[#「あかり」に傍点]行燈《あんどん》をつけに立った。 火薬の炸裂する力で竹とんぼの軸を廻す、これは後世の内燃機関の原理とおなじである、万太郎ははたしてどの程度までそれを実現することができたろうか。 海からのぼった月は、いまその新しい光でこの家《や》を祝福するように、かがやきだしていた。 [#地から2字上げ](「譚海」昭和十六年八月号) 底本:「与之助の花」新潮文庫、新潮社 1992(平成4)年9月25日発行 2010(平成22)年4月10日二十三刷改版 底本の親本:「譚海」 1941(昭和16)年8月号 初出:「譚海」 1941(昭和16)年8月号 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
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番外編 健夜と京太郎 健夜「これは似合うかな?」服の試着をしていて 京太郎「さっきの方が俺は好きかな。そっちはなんか幼く見えるし」 健夜「そうかな…私的にはこっちも好きなんだけど」 京太郎「義姉さんの好きな方で…」 健夜「また京君言っちゃったね」 京太郎「あっ……健夜の好きな方でいいと思う」 健夜「せっかくのデートなんだから呼び捨てでって言ってるのに…」 京太郎「慣れてないから仕方ないだろ」 健夜「いい加減に慣れてくれないと困るよ。もう恋人なんだから」 京太郎「あう…ごめん」 健夜「それにお腹の子も困ると思うよ?」お腹をさすりながら 京太郎「そうだな…健夜ももうすぐお母さんだもんな」 健夜「うん。京太郎と私の大事な子供…本当にありがとう」 京太郎「何が?」 健夜「選んでくれて…一番最初に京君の子供が産めるから」 京太郎「…俺の方こそありがとう。こんな俺の子供を産んでくれようとして」 健夜「好きな人の子供を産む…女の幸せだよ」ニコニコ 京太郎「男だって産んで欲しい女が孕んでくれる。これほど嬉しい事はない」 健夜「当分の間、私とはできないけどね」 京太郎「そ、そんな目でみないでくれよ…」 健夜「あんまり変態なプレイはだめだよ京君」 京太郎「き、肝にめいじときます」 健夜「それに…」 京太郎「それに?」 健夜「私が京君の初めてをもらったんだからね」 カン!