約 580,185 件
https://w.atwiki.jp/booklove/pages/72.html
名前の初出:第78話 初出:第79話 声(ドラマCD第4弾/第10弾): 三瓶由布子 声(TVアニメ版): 三瓶由布子 家族構成 父:0年頃に流行り病で死亡(*1) 母:0年頃に流行り病で死亡(*2) 兄:故人。ラウラの兄の友人だった。(*3) 容姿 髪の色:薄い金髪000000000 瞳の色:一見黒の紫の瞳000000000 薄い金髪に一見黒だが、よくよく見ると紫の目。 初めて会った時は栄養状態が悪いのか、目つきが悪くて細っこかった。 第一印象はすばしっこい悪ガキ。 地位 階級:平民 職種:灰色神官見習い→灰色神官(*4)・マイン/ローゼマインの側仕え 称号:グーテンベルク 年齢関連 マインとの年齢差:+3(夏秋)(*5) 誕生季:冬か春(*6) マインとの冬の年齢差:+3or4(誕生季による) ギル視点の回 書籍第二部I 書下ろしSS 側仕えの自覚 コミック第二部IV 書下ろしSS 家族という存在 書籍第三部IV 書下ろしSS イルクナーでの滞在 書籍第四部III プロローグ 作中での活躍 灰色神官見習いの男の子。下町(ラウラの家の近所(*7))出身。 三歳の頃、流行り病で両親が亡くなり、末っ子であるギルだけが孤児院に入れられた。(*8) ギルやギルと同時期に同様の理由で孤児院入りした子供達は、下町の言葉遣いが染みついており、その荒い言葉遣いを面白がって他の子供達が真似た為、灰色巫女達に嫌がられた。(*9) やんちゃで活動的で口が悪く、よく反省室に入れられていたが全く懲りなかった。 同じ平民同士なのに、青色巫女見習いになったマインに悪態をついて、神殿の常識が通じない事を馬鹿にしていた。 マインに仕えて待遇が良くなると期待していたのに、部屋を与えられず、食事を下げ渡されなかったため怒った。 孤児院の生まれではなく途中で孤児院に入れられた子供であるため、撫でられたり抱き締められたりすることが少なかった。 仕事をこなす事で報酬が与えられ、褒められることから頑張るようになる。 主に掃除や料理人の見張りを行い、言葉遣いと礼儀作法をフランから叩き込まれた。 神殿で洗礼前の孤児を養えなくなって、自分の頃より扱いがひどくなってることを知り、助けるために率先して動くようになる。 マイン工房を預かり、管理するために日夜勉強中。ルッツに対抗心を持っている。 自分より優秀な灰色神官が多いため、入れ替えられないか心配して、他にはできない仕事を覚えようと必死になっていた。 マインに頑張る姿を見られていて、他の子を召し上げることはあっても辞めさせることはないと言われ、安心する。 側仕えになってからご飯の量と質が上がったので、ちょっと背が伸びた。 マインを守ろうと意気込むが、暴力はいけないと言われて育ったため、下町で襲撃されて、血飛沫が飛んで死人が出た事に衝撃を受けた。 主が領主の養女になってからは、領主主導で印刷業を行うため、それぞれの町の孤児院を視察した。 ザックが蝋引きの機械を完成させた際、工房で働く全員が巻き込まれてグーテンベルクの称号を与えられた。称号を得たことを無邪気に喜んだ。 ローゼマインが毒を受けてユレーヴェに眠った時は、本を読みたがって起きるかもしれないと考え、主のために本を作り続けた。 ローゼマインが眠っている間、ギルは少しでも早く大人になりたい、一人前扱いされたいと思っていたために、ザームやフランに子供扱いされると、「もうそんな年ではない」と言っていたので、ローゼマインが目覚めて頭を撫でようとしたときにも反射的に同じ言葉を返してしまった。(*10) これに対し、ローゼマインが少し寂しそうに落ち込んで見せると慌てて取り繕って跪き、撫でて褒めてもらう。(*11) ローゼマインの年齢が上がったため神殿の孤児院長室にある隠し部屋の使用が禁じられた際には、マインが泣いたり笑ったりできなくなることに辛く、苦しいと感じた。同じように喪失感を覚えるルッツに、それまでルッツが担ってきた下町とローゼマインを繋ぐという役割を代わりに担うという男の約束をする。(*12) ローゼマインの中央につれていきたいという発言を受け、ローゼマインが成人時に連れていく者の印である、紋章入りの魔石を喜んで受け取った。 マインの字の綺麗さを褒めるだけで我慢できずに自室に駆け込むほどの照れ屋だったが、成長したローゼマインに対し、少々照れているものの、面と向かって「知る中で一番美しい」と言えるレベルに成長(?)した。(*13) 15年春、ローゼマインの要望で、アレキサンドリア神殿の工房担当者として灰色神官の身分のまま移籍することになる。ローゼマインが成人する頃には買い取られて神殿から解放すると約束してもらった。 15年春の終わり、グーテンベルクの一斉移動と共にアレキサンドリアに移動した。(*14) 経歴 (年代はマインの誕生を0年とする) 00年頃 親が亡くなり孤児院に入る(*15) 07年夏 マイン(青色巫女見習い)の側仕えになる 07年夏 マイン工房の管理担当になる 08年夏 ローゼマイン(神殿長)の側仕えになる 08年夏 ローゼマインよりグーテンベルクの称号を授かる(*16) 09年夏 イルクナーにグーテンベルクとして出張する(*17) 11年春 ハルデンツェルにグーテンベルクとして出張する(*18) 12年夏 グレッシェルにグーテンベルクとして出張する(*19) 13年春 ライゼガングにグーテンベルクとして出張する(*20) 14年春 キルンベルガにグーテンベルクとして出張する(*21) 14年秋 17年にグーテンベルクとして中央に移籍するものとして、紋章入りの魔石を受け取る(*22) 15年春 グーテンベルクの一斉移動に伴いアレキサンドリアへ移動(この時点では灰色神官のまま) ?????? プランタン商会に買い上げられてアレキサンドリア市民となる ?????? ルッツと共にプランタン商会から店を分け、印刷所兼書店を営む新しい商会を興す(*23) 作者コメント 【2017年 04月15日 活動報告】 >未来の話 ギル視点 ルッツの本屋さん アレキサンドリアにおけるプランタン商会の成長と変化。 ギルベルタ商会とプランタン商会を分けた時のように再び店を分けることになった。 プランタン商会に買い取られているギルはルッツと一緒に印刷所兼本屋さんを始めることに……。 エピローグその2から十年くらい後の時間軸です。 【2017年 07月18日 Twitter】 >撫で方の絵 左の撫で方はルッツとギル。 ギルが撫でるのは……今はまだ名前もないモブさんです。 ルッツとお店をやるようになる頃には出てくるかな? 【2017年 10月11日 Twitter】 >ウィンク考察 ギル:なかなかできなくて、片目を指でこじ開けてドヤ顔 【2021年 9月9日 Twitter】 >ギルの家族 旦那:ギルって下町生まれで、両親が死んで神殿へ入ったけど、どの辺に住んでたとか……設定ある? 私:うん、実はBlu-ray1の特典SSにこっそり出てる。ラウラのご近所さんで、ラウラの兄ちゃんとギルの兄ちゃんはお友達だった。 ※ラウラは書籍第二部Ⅰの短編などに出てくるトゥーリのお友達です。 別にわからなくても良いと思って書いたので、ギルの名前さえ出ていません。 ラウラの近所で親が亡くなって末っ子だけが神殿へ預けられたことがあった。 ラウラの兄は友達の弟がいなくなったので覚えていた。 ラウラは当時幼すぎて覚えていない。 ちなみに、ギルの兄はすでにはるか高みです。 コメント このコメント欄はwikiの情報充実のために設けた物です。 編集が苦手な方は以下のコメントフォームへ書き込んで頂ければ有志でページに取り込みます。 表示される親コメントには限りがあるので、返信の際は返信したいコメント横のチェックを付けて返信するようご協力お願いします。 経歴の「ルッツに買い上げられて~」の出典はどこですか? - 2017-05-03 16 01 22 2017/04/15の活動報告だな。 - 2017-05-04 06 04 25 あぁ、買い上げられたのはプランタン商会だからそこは違うけど。 - 2017-05-04 06 05 45 洗礼式前のギルが見た脱走した灰色巫女の謎は伏線?それともただのフレーバー? (2018-12-23 22 41 30) 平民の男が灰色巫女と口裏を合わせて門を開けさせ脱走させた、灰色巫女視点で美しく言えば駆け落ち、男視点で率直に言えば灰色巫女を騙して無料で肉奴隷ゲット(ふぁんぶ6はみだしコピペ) (2024-05-20 22 06 19) Wikipediaだと濃い金髪になってるな。どっちが正しいんや? (2019-07-02 04 28 20) 第79話、第87話、書籍版第二部I、ふぁんぶっく1の全てに薄い金髪とあるから、薄い方が正解かと。 (2019-07-02 23 52 45) 問題しか起こしてなかったギルが青色巫女の側仕えに選ばれた理由が、嫌われてる青色に対する嫌がらせ目的ってギル本人や他の孤児院の者達は知ってるっけ? (2021-02-18 23 49 59) 孤児院一の悪ガキがなんでって言われてたから察してるのもいるんだじゃないか? (2021-02-19 00 15 03) ギルは「嫌がらせ要員」って気づいてたと思う。デリアがマインに暴言を吐いてたしフランも不承不承の表情を取り繕えてなかった。ご飯を貰えないのもあって八つ当たりしたかったにせよ、「青色のマインをいじめても咎められない」認識があったと思う。孤児院の者は神殿長側仕えやアルノーの素振りから疑ってたかもしれないけど、ギルが1日で改心したから半信半疑? (2021-02-19 06 27 33) 側仕えになれと言われて喜んだら、特例で入る平民が主だったんで周りに笑われたとかもありそう (2021-02-19 16 20 27) 「家族構成」で『父:0年頃に流行り病で死亡 母:0年頃に流行り病で死亡』とあるが「作中での活躍」で『三歳の頃、流行り病で両親が亡くなり』となっているが、どちらが正しいのだろう? (2021-12-23 12 54 24) どちらも正しい。0年(マイン0歳)時点でギルは3歳 (2021-12-23 16 15 21) まとめwiki共通で使われている〇〇年の定義に関しては、年表頁の概要を参考のこと。まとめwiki独自設定かつまとめwiki内共通設定になっているので随所で登場する。 (2021-12-24 07 13 34)
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3801.html
『解析兄の『ゆっくり組成編成』』 17KB 考証 実験 幻想郷 独自設定 感想スレで指摘されたので、加筆修正して更に上げ直し 初投稿 研究肌の兄さんが語るだけ 一人称オンリー 独自設定、独自解釈 続き物にします 初投稿だけど外伝です 解析兄さんには五歳離れた駆除兄さんがいます どちらも魔法を扱うチート兄さんです どうでもいいけど異人さんです 超田舎というか原作風世界観です 原作キャラ、希少種は登場予定無しです でも最終話はゆかりんに元の世界へボッシュートされる話かも あー、あと虐分は少なめ、虐殺はあり得る。そこは駆除兄さんの区分 あと原作未プレイ 感想スレの意見を加味して上げ直してみた 結果として50%増量した。お得だね 解析兄の『ゆっくり組成編成』 私の眼前には一体の生首、いや、怪生物『ゆっくり』が大口を開けて寝ている。 直径はおよそ三十センチ。成体の平均的な大きさはこのくらいの大きさだと話には聞いている。 重量はさっき持ちあげてみた限りでは十五キロ。腰の高さの施術台まで持ちあげるのには苦労した。 施術室は水はけのいいタイルを敷き詰めた部屋で、 何かの拍子に色々と飛び散っても水をかけてごしごしこすれば落ちる親切設計だ。 短所といえば匂いが篭りがちだということだろうか。 分かるものには分かるある匂いがこの部屋には充満している。 さて、里の人間によるとゆっくりとは生きるまんじゅうであるらしい。 原料はもっちりとした小麦粉製の皮と、粒を取り払った小豆餡であるとされる。 目は白玉で歯は砂糖細工、さらに舌はゼラチン質の何かで出来ているとか。 聞いただけでは満足することが出来ないのは私の性分である。 ここはひとつ、隅から隅まで切り開いて確かめてみることにしよう。 まずは外見から。 人間の髪の毛に見える黒い毛、それに揉み上げと後頭部に結わえられている紅白のお飾り。 『れいむ』と呼ばれる種族だ。 さらさらとした黒髪は一見して人間のそれと同質だが、 触って調べてみるとうろこ状の形成物が表面に見られない。 しかしそれにしては意外なほどに輝きがある。 野生に生きる生物にしては、れいむの身なりは比較的綺麗だ。 もちろん底部周辺は土で汚れているが、髪に今日ついたばかりの砂や葉が付いている以外は、 肌も張りがあるし髪も輝きを保っている。 そんなれいむの黒髪を一本、切り取って断面を見てみる。 手元の顕微鏡では分かりにくいが、動物のような複雑な形状はしていないようだ。 比較的軟質な内側と艶やかな輝きを放つ外側に分かれている。 人間の髪にうろこ状の形成物があるのは柔軟に曲げるためにある。 風にたなびいたりするのはそのためだが、 ゆっくりの髪がこのような形状をしていて何故人間の髪のように曲がるのかは謎だ。 一本引きぬいてみようと思ったが、人間のそれと違って少し強めに引かないと抜けないようだ。 抜けてみるとその意味がわかった。毛根が無いのである。 その分、より深く埋まっていて簡単には抜けそうもない。 幼生を見かけたが、成体よりもかなり短かったことを考えると、 成体になるまでは毛根があるか、内部の餡から伸びてくるのであろう。 そして体の成長が終わると同時に毛髪もその成長を終えるのだ。 つぎは揉み上げと後頭部にあるお飾りに着目してみる。 腕も無いのにどうやって結わえたのかと疑問に思う。 靴ひもなどはいつの間にか解けているのが定番というものだが、 年中跳ねているゆっくりはどの個体を見ても緩んでいる様子はない。 髪に編みこんであるのかとも思ったがそうでもないようだ。 つくづく謎である。 そういえばお飾りを触ったとき、微かに魔力を感じた。 というより現在進行形で魔力を感じている。 魔力とは何かと疑問に思うものも多いかと思うが、何を隠そう私は魔法使いである。 人知を超えた力を魔力と呼び、それを自在に感じ、自由に扱うことが出来る技術を持っている。 稀に遠くの空で花火が上がるが、ときたまそれに魔力を感じることがある。 もしかしたら魔法使い同士が空戦でもしているのかもしれない。 なぜ魔力を引き合いに出したかというと、それは体臭のせいである。 これだけ近くにいれば、普通の動物なら強烈な体臭を感じるはずだ。 しかしこのゆっくりからは土臭さは感じるものの、 そういった独特の匂いというものは感じることができない。 里の人間には分からないようだが、 ゆっくりたちには『ゆっくりできるにおい』『ゆっくりできないにおい』というものがあるらしい。 それは例えば内容物が出ていれば甘い匂いのひとつも漂ってはくるが、 ゆっくりにとっては中身が出てようが出てまいが『ゆっくりできないにおい』は感じるらしい。 それはもしかしたらこのお飾りや本体が発する魔力によるものなのかもしれない。 そういえば『まりさ』とかいう個体の帽子を取り上げた時は驚いた。 眠っている時、それも後ろからこっそり持ち上げたのに、とたんに気付いて騒ぎ出したのだ。 あんまり騒ぐものだから戻してやると、生き別れの親と再会したかのように大喜びした。 もしかしたら本体とお飾りは対になっていて、見えない線でつながっているのかもしれない。 ゆっくりは生まれた時からお飾りを付けていると聞く。 お飾りと本体合わせて百%であって、お飾りを除いたそれはゆっくりとはいえないのだろうか。 顔の部位を見てみよう。おおよそは人間に似ているが、大きな差は鼻がないことだ。 ついでに言えば耳も無い。 よく口をつぐんだまま長距離移動をしているところを見ると、 根本的に息を吸わなくても生きていける性質なのかもしれない。 いや、もしかしたら皮膚呼吸で賄っているのか。 と、ここで驚愕の事実に気付く。 息を吸わなくていい以上、いくらでも喋っていられるということだ。 口に封をしたゆっくりの集団が好き勝手喋っている様を想像して少しクラっと来る。 しかし息をしないと言うと、目の前のれいむが気になる。 眠らせてあるれいむは大口を開けて寝ているが、 「ゆう、ゆう」などと呟きながら小さく膨らんだり縮んだりしている。 といって口の前に手を掲げてみても風を感じることは出来ない。 完全なフリなのだろうか? それともやはり皮膚全体から空気を取り込んでいるのか? そもそも小豆餡と小麦粉皮の生物に空気が必要か? 残念ながら今の器材ではそれを確かめることはできそうにもない。 そろそろ内部の調査に入ろう。 ゆっくりの目玉は人間のそれを模倣しているが、 まだ摘出していない方の目玉に光を当ててみても虹彩に反応は無い。 ふとさっきのお飾りの件が思い当たってゆるい魔力の風のようなものを当ててやる。 すると強い光を浴びた時のように虹彩が収縮した。 つまりゆっくりは光ではなく魔力で物を見ているのかもしれない。 それだけではないかもしれないが、少なくとも魔力に反応するということはわかった。 そうするとさっきの仮定が活きてくる。 『ゆっくりできるにおい』『ゆっくりできないにおい』、 あるいは『ゆっくりできるゆっくり』『ゆっくりできないゆっくり』の判別は人間には分からないらしい。 とすれば魔力を感知することが出来るゆっくりが、 魔力を無意識に使ってコミュニケーションに使っているのだろう。 里の者に聞いた限りでは、私のような魔法使いは少数ながら存在しているらしい。 ゆっくりはそういった魔法使いが作ったものであって、自然発生した生物ではないと仮定することも出来る。 しかし結局のところは裏付けを取れない以上、仮定は仮定でしか無い。 さて、つぎに目玉を摘出してみる。 きっちり麻酔してあるのでナイフを入れても身動きひとつしない。 ナイフを入れた部分の周囲だけは反応してぴくぴくと動いているがそれだけだ。 摘出してみて分かるが、やはりゆっくりの目玉は白玉で出来ているようだ。 そこに寒天のような素材で出来た虹彩などが埋め込まれている。 視神経のようなものはないため、案外あっさりと抜けたのはそのせいかもしれない。 この調子だと傷つけずに戻すだけで視力が戻りそうだ。 視神経が無いというのは衝撃的だが、ゆっくり当人は気にしている様子もない。 どうやら眼孔から滲み出す砂糖水へ情報物質か何かを伝達しているらしい。 摘出した目玉は魔力に反応しないが、試しにそれを眼孔に戻すと魔力に反応し始めた。 取っ換え引っ換え部品を交換できる様はさしずめおもちゃの人形というところか。 まったくでたらめな生物である。 せっかくなので目玉を食べてみよう。 魚の目玉のように芯があるようでもなく、とろみがあるわけでもないが、食品には違いない。 事前に成分分析したわけではないから断定は出来ないが、毒性は無いはずだ。 山で散策したときには山犬が目玉からお飾りから残さず食べていた。 目玉を再び取り出して丸かじりにしてみると、砂糖水でほんのり甘く、おいしい。 白玉の中に寒天のアクセントが効いていて歯ごたえも問題ない。 さてつぎは口内だ。口を開き、金具で固定する。 なんというか口臭が無いのは不思議だ。 いや、砂糖水の甘い匂いはするものの、悪臭ではない。細菌の一つも居ないのだろうか。 ためしに強烈な香りを醸し出している花を口の中に放り込んでみる。 金具を取り外した途端、れいむは「むーしゃむーしゃ、しあわせー」と夢現に呟いた。 再び口を開けてみると花びら一つ口内に残っていなかった。 では香りはと思って鼻を近づけてみると、香るのは砂糖水のそれだけである。 香り成分すら消化してしまう、となれば細菌やら悪臭やらも消化してしまうのも道理かもしれない。 続いて歯を調べてみる。 里のものに聞いたときは砂糖菓子だと聞いたが、何のことはない。単に飴だった。 大臼歯、犬歯、前歯と、雑食性の生物によくある取り合わせで、 飴細工とあってか、炭酸カルシウムの歯には敵わないものの、そこそこの硬さであるようだ。 歯根を調べるため、一本失敬する。 と、ここで気づくが、口の中は皮一枚隔てて直に餡が詰まっているようだ。 舌の根も歯茎も例外なく小豆餡で出来ている。 さて摘出した歯だ。歯の形状は人間のものと変わらない。 ただし歯根には目と同じく神経が通っておらず、歯茎に飴細工が刺さっているだけのようだ。 人間の歯は炭酸カルシウムの塊などではない。 内部には空洞があり、自己修復するための成分を送る血管や神経が埋まっている。 つまりゆっくりは歯を虫歯にやられてしまうと直せないということになるが、 実際には虫歯のゆっくりなど見たことはない。 もちろん、まだ見たことがないだけとも考えられるが、 先ほど見た脅威の消化能力を見る限り虫歯とは無縁だと推測できるし、 口内にはゆっくりの歯の主成分である砂糖水という唾液が溢れているのだ。 常に一定の形状を保っているのには遜色ないのかもしれない。 口内にのっぺりと横たわる舌は舌根などなく、どうやら口の奥の餡から直接生えてきているらしい。 ゆっくりの食事を見る限り、ゆっくりは舌をタコの触腕のように使っている。 つまり舌で触って食べられるものか判断し、食べられるなら口に運ぶという動作に使うということだ。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー」と呟く間に花一輪を咀嚼し尽くせるわけもなく、 どうやら消化には咀嚼という行為がほとんど必要ないらしい。 それはつまり、舌本来の役目である口内での咀嚼物の操作が行われていないということでもある。 舌には味蕾に当たるものが見当たらない。 ゆっくりが言う処の「むーしゃむーしゃ」をして取り込んで初めて味を感じるのだろうか? いや、苦味を感じる雑草を口に含んだゆっくりが即刻吐き出しているところを見たことがある。 それに個体によっては咀嚼物を撒き散らかしながら食べているものもあった。 教養やしつけといった個体差があるのかもしれない。 とすると、味蕾など無くとも舌で味を感じているか、あるいは口内全体で味を感じているのだろう。 後者のほうが可能性は高いが断定は出来ない。 おもむろにれいむを裏返しにする。 そこはゆっくりが跳躍や歩行といった移動全てに関わる底部である。 指で押してみると他の部位と違って固く、厚みがあるようだ。 小さく中身が見えるくらいに切り取ってみると、皮の断面はパイ生地のように積層構造になっている。 毎日のように山野を駆けるゆっくりにとって、底部は馬のひづめのように削れ行くものだ。 そのために日々新しい皮が生成され、このように積層構造を成すのだろう。 生きるまんじゅうと比喩されるゆっくりだが、まんじゅうというには少し皮が硬いように思う。 かといってベーグルほど硬くは無いし、マントウほどふわふわでもない。 食べたのは一度きりだが、求肥が表現として一番近いと思われる。 詳しくは知らないが、あの弾力感あふれる食感を再現するには練る過程が不可欠であるように思う。 もちろんただ練っただけでは普通にパンが作れてしまうだろうから、 蒸すか何かしてから練るなど、複雑な工程が必要であるはずだ。 繁殖によって個体数を増やす生物にそんな複雑なものを生成する能力があるのだろうか? 謎は尽きない。 謎といえば、ゆっくりは水に弱いらしい。 雨が降ればどろどろの餡塊と化し、川に落ちれば藻屑と化すらしい。 しかし見ての通りの求肥皮ではそう水に弱いとは言いがたい。 それにこのれいむを見れば分かるが、ゆっくりはきれい好きな個体が多いらしい。 汚い個体もいるにはいた。水が怖いか、あるいは億劫な個体なのだろうか? なんとも人間臭いことである。 一般的には水浴びをして髪や皮の汚れを落とすのだというが、 饅頭皮でそんなことをすれば例え水に触れたのが一瞬でも軽々とボロボロになってしまう。 かといって世間のゆっくりが押し並べて泥だらけかといえば違う。 すなわち、ゆっくりはそう水に弱いわけではないはずなのだ。 が、雨上がりでは結構溶けたゆっくりを見る。 もしかしたられいむ種が求肥皮なだけで、別の種族は違うのか? しかしそれでは群れを作る行為が理解出来ない。 普通の生物は自分の様相と違う生物とは相容れないものなのだ。 さて、皮の直下は皮下脂肪、では無く皮下餡だ。 羊羹のように硬いが、不思議と弾力がある餡で出来ている。これは口内を覆う硬い餡と同質だ。 この皮下餡は筋肉のような役割をするようで、 全身麻酔を施されているのにも関わらずぴくぴくと反応している。 寒天か何かで固めただけのように見えるが、少し叩いたくらいでは元気に跳ね返してくる。 これなら一日中跳ねていても遜色はないだろう。 少し掘り下げると、かなりなめらかな液体の餡が現れた。 「ゆう、ゆう」というれいむの呟きに応じて流動するそれは、皮下餡に遮られて皮には届かないらしい。 皮が水に弱いかどうかはどうあれ、少なくとも自らの液体状の餡によって侵食されることは無いようだ。 それはともかく、その液体状の餡はゆっくりの内臓であるらしい。 地味にさっき食べさせた花の花弁が半分溶けかかりながら漂っている。 溶けた後の花弁が見当たらないところを見ると、消化から即小豆餡に変わるらしい。 切り取った底部の裏側を洗浄してみると、小豆餡と外皮が融け合ったような状態になっていた。 どうやら外皮はこの液体状の餡が沈着することで形成されていくようだ。 ここで謎に思うのが脳の存在である。 見たところこの液体状の餡、略して液餡は、頭の先から底部の端まで行き渡っている。 即ち核のようなものがこの中心にあるはずなのである。 もしかしたら脳以外の内臓に当たる部分もこの中に浮いているかもしれない。 この中を探ればお目当てのものにめぐり合うのはそう難しいことではないだろう。 もちろん取り出せば死んでしまうだろうが、これだけどろどろの液体に囲まれていると、 露出させるまでにどれだけの液餡を取り除けばいいか分からない。 それにたとえ死んでしまっても、住居無断侵入の輩だ。悲しむものもいるまい。 住居無断侵入ではお仕置きのためかと言われれば、それは違う。 そもそもあえて侵入させてやっているのである。 家屋の一角に成体のゆっくりが入れるような穴を開けておき、 程度の低い個体が侵入してくるのを待っているのだ。 ちなみにその穴は胸の高さまで掘り抜いた室内堀につながっており、 勇んでやってきたゆっくりは落ちたまま這い上がれないという寸法だ。 穴には蓋がついていて中の音は遮断されるし、外出中の部屋は暗く室内堀に気づかれることは少ない。 外出から帰るころには何体かの不逞の輩が捕まっているという寸法である。 さて、みた限りではゆっくりの消化速度は遅いようだが、念のため腕を保護する魔法を掛けておく。 そしておもむろに液餡へ腕を突っ込んだ。 さすがに体の内部へ腕を突っ込まれるのは効いたのか、目は覚めないものの全身で抵抗される。 ぐりぐりと内部を探っていた腕が球状の何かを捉える。 すかさずそれを掴みとり、一気に引きぬいた。 とたんにれいむは反応を起こさなくなった。 もはやつぶやきもなくなり、皮下餡も張りを無くしていた。どうやら即死であったらしい。 手元には液餡濡れの妙に硬い餡塊がある。 これはゆっくりにとって心臓であり脳髄であるようだ。 これを抜き取ったれいむの液餡は既に流動を止めている。 で、魔力の反応はと言うと、お飾りのものについては依然として発生している。 どうやら本体の生体反応とは無関係に発生するものであるらしい。 では本体の魔力はどうかというと、これは完全に消えていた。 代わりに手元の餡塊からじんわりとにじみだしている。 ゆっくりの心臓という線は間違っていなさそうだ。 が、だんだん弱まってきているようだ。 もしかしたらまだ意識があるのかもしれないが、 内臓がそれ単体で用を成さないのと同じようにこの餡塊も周りの液餡無くして生きられないらしい。 つまり液餡は内臓でありながら血液のように中心の餡塊に栄養を与えているということだ。 このまま放っておけば間違い無く死に至るだろうが、ふと思い立って手元の餡塊を中に戻してやる。 それから底部の傷を塞ぎ、元通り立たせて、気付けのためにショックを与える。 通常の生物なら神経やら血管やらのせいでつけたり外したりというのは難しいが、 ゆっくりならその不可思議な生体のおかげで蘇生するのではないかと思ったのだ。 しばらく身動きする様子も無かったので、もみほぐすようにして液餡を流動させてやる。 電気ショック療法のように魔法で軽い衝撃を与えながらマッサージしていく。 液餡から何かを補充したのか、それとも衝撃を与えたのが効いたのかは定かではないが、 十分もすると元通りに液餡が動き出した。 呟きも復活したようで、これなら完治したと言えるだろう。 今日の分析で分かった内容をレポートにする。 特にどこかの場で発表する気もない戯言だが、 それは人生を棒に振って研究生活に没頭する私には生きる意味ではある。 里で細工物と交換してもらった鉛筆でかりかりとやっていると、背後から物音がした。 れいむが起きたようだ。あるいは寝返りうっただけかもしれないが。 書きかけのレポートを置いて振り返ると、ちょうど目が覚めたばかりらしいれいむと目が合った。 底部は既に縫合して、元通りに立たせてあるのでれいむは一度死にかけたことには気づいていないだろう。 完全に目覚めたれいむは、もともと我が家にやってきた目的を思い出したのかどうか、 「れいむのおうちからでてってね」やら「ごはんちょうだいね」やら、 軽く矛盾したことをぎゃあぎゃあと騒ぎ始めた。 しかしそのうち自分の底部が動かないことに気付く。 それもそのはずだ。 どうせ縫合するならと一旦底部を全て剥がし、底部の皮下餡をざく切りにしてから元に戻してやったのだ。 人間で言えば筋肉が完全断裂しているようなものである。動かせるはずはない。 それはともかく今晩の食事はこのれいむである。 本当はパンやヌードルを食べたいところだが、切らしてしまって補充の目処は立っていない。 液餡は鍋で煮詰めてソースにし、求肥と皮下餡へかける。 それにうちの畑でとれた野菜を煮るなり炒めるなりして付け合わせにする。 ゆっくりの主成分である小豆餡にはタンパク質が含まれているし、野菜類は豊富だ。 かなり熱量が多いのは気になるところだが問題は無い。 日々研究材料や素材の収集に山へ入る生活を続けている以上、熱量はいくらあってもいい。 美味しくいただくことを告げると、一転してれいむの顔はさーっと青ざめていった。 青というか黒というか、内容物にそういう要素はなかったはずだが、器用なことだ。 流れ出る液餡を受ける深皿やら、切開するためのメスやらハサミやらを用意するに従い、 れいむの口から漏れる言葉は悪態から謝罪へと変わっていった。 とはいえ、言葉を喋るくらいのことで饅頭に人権が生まれるわけもない。 それならオートマタはどうなるというのか。 防音、防臭の施術室で泣き叫ぶれいむを大ぶりのサクに切り分けながら思う。 ああ、それにしても、塩辛いものが食べたい。 [EOS]-End Of Story- 求肥にした理由? 求肥を使ったお菓子で調べるといいよ 感想スレのお二方の意見を参考にちょっと加筆修正してみた 虐待が書きたい訳ではないのであっさりなのは仕方ない 魔法って原作によく出てくるみたいだから出してみたけど、やっぱり説明しなきゃダメだよねー 長編と言いつつ途中で投げる公算は高い件 あと余談 解析兄にしても駆除兄にしても容赦は無いです 解析兄は鍛冶や彫金で、駆除兄は駆除道具や駆除そのもので稼いでいます 解析兄は定住、駆除兄は行商というか巡業しています 士郎正宗よろしく『枠外あき』とでも名乗ろうかしら
https://w.atwiki.jp/arma2dayz/pages/223.html
#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (Sa58P_Item.jpg) 入手場所 兵舎 入手度 非常にレア マガジンタイプ SA58, AKM マガジンサイズ 30 ダメージ(血液量) 4500 体命中時の殺害弾数(ゾンビ) 1 射程距離 400m ゼロイン 800mまで ファイアレート 速い 反動 強い 銃声 大きい ファイアモード セミ / フル バリエーション Sa-58V , Sa-58 CCO , Sa-58V ACOG チェコスロバキア製のアサルトライフル。 Ver1.7.5.1で追加された新武器で、旧共産圏のチェコスロバキアで1958年に制式採用されたアサルトライフル。 形状こそ旧ソ連のAK-47に似ているが内部構造や動作機構は異なり、7.62mm x 39 弾を使用する以外に共通点はなく、独自設計のアサルトライフル。 基本性能はAKMとほぼ同等と見られ、強い反動や射撃感も似ている。 反動がきついのでフルオートを使うのは近距離戦にとどめておき、 それ以上はセミオートか指きりの単射で正確に当てていくのが望ましい。 ゼロイン調整も可能で、 PageUp/PageDown キーで100mから800mまでの間で調節可能。標準では300mに設定されている。 弾薬はAKMのマガジンも使えるので運用は特に問題なし。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2645.html
『要求』 17KB 虐待 不運 育児 飼いゆ 野良ゆ 姉妹 子ゆ 透明な箱 現代 虐待人間 独自設定 うんしー たまにはちょっとだけ作風を変えてみます 「要求」 羽付きあき チョイ役でオリジナルゆっくりが登場しますご注意を いくつかの独自設定を使っておりますご注意を ストレスマッハ人間登場注意 「おでがいじばずっ!でいぶをがいゆっぐりにじでぐだざいっ!」 ・・・灯りがともる冷たい街のアスファルトで、一体のれいむが必死になって人々に声をかけている。 人々はやれやれと言った感じでれいむを避けていく。 飾りもボロボロで、砂糖細工の髪もボサボサの小汚いゆっくりにだれが目をかけると言うのか。 「でいぶはきんばっじのがいゆっぐりでじだっ!おどいれだっでぢゃんどでぎばずっ!ごばんざんにだっでもんぐはいいばぜんっ!おでがいじばずっ!でいぶをがいゆっぐりにじでぐだざいっ!」 このれいむの言う事は本当である。 れいむは数か月前まで本当に「金バッジゆっくり」であった。 捨てられた理由は今でもわからない。だが、ここで待っている様にと言われて近所の公園でずっと待っていても飼い主は現れなかった。 モチモチの小麦粉の肌でまん丸と太ったれいむは、周りから見ればさぞ美ゆっくりに見えた事だろう。 実際、れいむは小汚いまりさにすっきりをされ、二体の子ゆっくりがいた。 子れいむと子まりさ。 今は、すぐ近くの路地裏にある袋小路で待っているが、このれいむ達に「おうち」は無かった。 食料も取れなくなり、いよいよ限界と成功しないのはわかっていても「おちびちゃん」の為に取った行動が、この飼いゆっくりにしてくださいと言うアピールだ。 「でいぶはおぢびぢゃんもいばずっ!どっでもゆっぐりじだおぢびぢゃんだぢでずっ!」 冷たい風が吹く街の中、れいむの目の前に一人の男が立ち止まった。 男がれいむに向けて言葉を放つ。 「本当に金バッジだったのか?」 「ぼ、ぼんどうだよっ!」 「じゃあ、金バッジ試験の時に何をした?」 ・・・男が聞いた 実はこれで金バッジかどうかは容易にわかる。 銀バッジだったゆっくりが金バッジと偽った場合、この質問に答える事は出来ない。 そもそも答えを知らないからだ。 「ぞ、ぞれは―――」 れいむは必死になって答えた。 忘れるはずがない。れいむは金バッジゆっくりとして生きる為にうまれてきた様な物だからだ。 男が笑った。 「どうやら、本当見たいだな。いいぜ、おちびちゃんを連れてきな。」 「あ、ありがどうございばずううううううう!!」 ・・・れいむは砂糖水の涙を一層流して喜ぶ。 これでゆっくりできる。あの頃の日々が戻る。おちびちゃん達とずっと一緒にゆっくりできる。 急いで路地裏へと向かう。 身を寄せ合ってじっとしていた子ゆっくり達に、れいむは言った。 「おちびちゃんたちっ!ゆっくりきいてねっ!れいむたちはかいゆっくりになったんだよ!」 「きゃいゆっきゅり・・・?」 「おきゃあしゃん。きゃいゆっきゅりっちぇにゃに?」 れいむは涙を流しながらすーりすーりを繰り返す。 「かいゆっくりはねっ!とってもゆっくりできるものなんだよ!」 「ゆゆ!ほんちょ!?」 「ゆゆーん!おきゃあしゃん!しゅぎょいよ!」 子ゆっくり達の目がきらきらと輝く。 これまで「ゆっくりできるもの」なんてどこにもなかった。 寒さに凍え、蹴られ、踏みにじられ、怯え、叫び、泣く。 だが今は違う。飼いゆっくりになったのだ。 れいむは喜びに打ち震えて、一層大きくその言葉を口にする。 街ゆっくりになってからは、心の底から言えた事のない、その言葉を 「おちびちゃんたち!ゆっくりしていってね!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ゆゆーん!ちょっちぇもおいしいにぇ!」 「おきゃあしゃん!きょにょべっどしゃん!ちょっちぇもふきゃふきゃでゆっきゅりできりゅよ!」 ・・・あれから本当にその男は、れいむ達飼いゆっくりにした。 暖かい「おうち」、その中にあったのは、夢の様な「あまあま」そしてふわふわのクッション 「ほら、できたぞ」 「ゆゆうううう!おにーしゃん!ゆっきゅりありがちょう!」 「れいみゅのおりぼんしゃんちょっちぇもきれいになっちゃよ!」 「ゆっくりありがとうね!おにーさん!」 男は、ボロボロだったれいむ達の飾りを縫って直してくれた。 れいむの破れていたリボンは、縫い付けられ、とってもゆっくりできる飾りになっていた。 子まりさの頭頂部が破れていたとんがり帽子は、先にボンボンを付けて直してくれていた。 子れいむのリボンも、アイロンでピンと張りをつけて直してくれていた。 男は笑ってれいむ達に言う。 「いいんだ。子ゆっくり達が金バッジになってくれればね」 「ゆゆ!そうだね!」 ・・・れいむはその事に関しては気にしていた。 元々金バッジ試験を通ったれいむなら再取得は容易であろう。 だが、おちびちゃん達はそれを知らない。 今から立派な「ゆっくりとしたゆっくり」になる様に、れいむが教えていく。 それが男とれいむが交わした約束であった。 「おちびちゃんたち!」 「ゆゆ?」 「おきゃーしゃんどうしちゃにょ?」 れいむの声に子ゆっくり達が反応する。 「ゆ!おちびちゃんたちはれいむとおなじようにきんばっじのゆっくりになるおべんきょうをしなきゃいけないんだよ!」 「ゆゆ!?"きんばっじ"?」 「ちょっちぇもゆっきゅちできりゅものなんでしょ?」 「そうだよ!おちびちゃんたちはとってもゆっくりできるゆっくりになるようにおべんきょうをするんだよ!おかあさんのおちびちゃんたちだからゆっくりだいじょうぶだよ!」 ・・・そう、れいむは確信していた。 餡統的には多少難ありだが、おちびちゃん達はとっても、とってもゆっくりできるのだ。 れいむ自身が「おべんきょう」を教えれば、きっとすぐにでも金バッジにふさわしいゆっくりになれると。 だがれいむは知らなかった。街ゆっくりとして完全になじんでいるゆっくりが金バッジになる事は、銀バッジのゆっくりがプラチナバッジをとるに等しい難しさだと ・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・ 「おい、これはどういう事だ?」 男がれいむに冷たく言い放つ。 それはあの時の笑顔ではなく、冷たい、突き刺すような視線だった。 「ゆうううう!おちびちゃん!たべかすさんはちゃんとごみばこさんにいれなきゃいけないっていったでしょおおおおお!?」 「ゆゆ?どうしちぇ?」 「まりしゃちゃちわりゅいこちょしちぇにゃいよ?」 あれから数週間が経つ。 れいむが思っている以上に、子ゆっくり達に「おべんきょう」させるのは難しかった。 もっとも基本的な事でさえも「ゆっくりできない」と忌避し、覚えようとはしなかった。 れいむの言う「ゆっくりする」と子ゆっくり達の言う「ゆっくりする」には大きな隔たりがあったのだ。 「おにーさん!おちびちゃんたちにはれいむがちゃんといっておくから・・・」 「んなこたぁどうだっていいんだよ。この子ゆっくりは出来るだけ短期間で"金バッジ"に出来るのか?出来ないのか?どっちだ?」 「ゆ!できるよ!れいむのおちびちゃんたちはとってもゆっくりしてるんだよ!」 「じゃあ!なんでこんな基本的な事も覚えようとしねぇーんだよ!」 男が床をドンと踏む。 れいむがビクリとすくんだ。 「ゆうう!」 「ったく!なにが"ゆっくりできるおちびちゃん"だぁ?あれだけ経って覚えたのは糞の仕方だけじゃねぇか!ああ!?」 男がれいむに声を上げた。 ・・・れいむがすくんでいると、子ゆっくり達が男の足に向かって体当たりをしている。 「・・・」 「おきゃあしゃんをいじめりゅにゃんちぇゆっきゅりできにゃいよ!まりしゃおきょりゅよ!」 「おきゃあしゃんがきょわぎゃっちぇりゅよ!ゆっきゅりできにゃいおにーしゃんはれいみゅがせいっしゃいしゅるよ!」 男のこめかみに青筋がビキビキと浮かんだ。 れいむが必死になって子ゆっくり達をしかりつける。 「おぢびぢゃん!ぞんなごどいっぢゃだべでじょおおおおおお!?」 「あ~あ、こいつは無理だな」 男が子れいむと子まりさを鷲掴みにした。 手の中で小麦粉の皮のかたちをぐーねぐーねと変えながら口を動かす。 「はにゃちぇええええ!」 「まりしゃはちゅよいんぢゃよ!ゆっきゅりしにゃいぢぇはなしちぇね!」 「おにーざん!おぢびぢゃんだぢをどごへづれでいぐのっ!?」 「いいからお前もついてこいよ。やれやれ、ガラにもない事やったのが損だったな・・・糞ムカつくぜぇ・・・あいつ以外のゆっくりはよぉ」 男が自室のドアを開けた。 れいむ達はこの部屋には入った事が無かった。 入ることが許されないと言うか、別に興味も無かったからだ。 男が乱暴に子れいむと子まりさを放り投げる。 「ゆべっ!いぢゃいいいいいい!」 「ゆんっ!れいみゅのあんよしゃんがああああああ!」 れいむが電気もついていない薄暗い部屋にとびこむ。 すぐに子ゆっくり達をぺーろぺーろとした。 「おちびちゃんたち!ゆっくりよくなってね!ぺーろぺーろ・・・ゆ?」 ふと部屋が明るくなった、部屋自体は何の変哲もない寝室だ。 しかし、ふと大きな透明の箱が置かれている事にれいむは目を向けた。 そこにあったのは 「ゆゆうううううう!なにごれええええええ!!」 そこに入っていたのは、確かに「ゆっくり」だった。 ゆっくりだとしかわからないのは、飾りどころか、砂糖細工の髪の毛も無く、寒天の両目も、ましてや口も無かったからである。 ・・・口らしき穴には、ストローが刺さっているのみだ。 もぞもぞと動きながら、時折落ちている破砕された生ごみらしきものを吸い上げている。 「"これ"ぇ?失礼な奴だなぁ!こいつらはちゃんとコンポストをしてるんだぜ!?餡子玉って言うなぁ!」 男がそう言いながら、ゆ叩き棒を手に持って餡子玉の一個をツンとつついた。 「・・・!!・・・!」 その瞬間餡子玉はのーびのーびと凄まじい速さで上下しながら壁の端まで逃げる。 そして透明の箱の端に来た所で、小麦粉の体を丸めてカタカタと震え出した。 あにゃるからは恐怖のあまりうんうんがブリブリと流れ出ている。 「まさかこの糞饅頭共が餡子玉になるとでも思ってるのか?ふざけんじゃねえよ。こんなカスを餡子玉にしたらこいつらに失礼だろ?」 男が指をパキポキとならした。そして口の端を吊り上げて笑う。 「俺を馬鹿にしてくれやがったからなぁ~。楽に潰れられると思うなよ?」 男がれいむたちに近づいていく。 れいむの顔が凍りついた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ぎゃ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ”!あ”づい”っ”!あ”づい”い”い”い”い”い”っ”!!」 れいむが凄まじい金きり声を上げた。 がっちりと押さえつけられ、真上を向いた状態で、れいむの底部には男がガスバーナーを吹き付けていたからだ。 「どうだぁ?フライパンで焼くのとは一味違ってるだろぉ?」 すでに底部は真っ黒焦げになってしまっていた。 それでも男はガスバーナーの威力を緩めない。 満遍なく、完璧に真っ黒焦げになるまで何度も火を当てた。 「ゆぐっ!ゆ”っ・・・!ゆ”っ・・・!でい”ぶの”あ”ん”よ”ざん”が”ぁ”ぁ”ぁ”・・・」 まったく動くことが出来なくなってしまったれいむを端に蹴飛ばし、男がほくそ笑んだ。 「お前にはこれから金バッジの子ゆっくりを量産してもらうからなぁ~。いいか?もしまたこのカスゆっくり見てぇなのを作ったときはそれがどうなるかよ~く目に焼き付けとけよ?」 「おぢびぢゃんっ!おぢびぢゃんんんんんんん!おでがいでずっ!おぢびぢゃんにはでをだざないでええええええええ!!」 「できねぇ相談だなぁ!」 男が小さな透明の箱の中に入っている子れいむを掴んだ。 れいむに対する仕打ちに居丈高な態度はあっという間に鳴りを潜め、カタカタと震えてしまっている。 「ゆんやああああ!ゆっきゅちはなしちぇぇぇええええ!!」 「動くなよぉ~。動くともっと痛いぜぇ?」 男が手を「チョキ」のようにして、子れいむの寒天の両目めがけて突き出した。 ブツリと男の第一関節まで、子れいむの寒天の両目にのめりこむ。 「ゆ”びぃ”ぃ”ぁ”ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ”!い”ぢゃ”い”ぃ”ぃ”い”い”い”い”い”い”っ”!!」 男が指を引き抜いた。 寒天の両目が飛び出て、ぶーらぶーらと垂れ下がる。 「い”ぢゃ”い”よ”ぉ”ぉ”お”お”お”お”お”っ”!お”め”め”っ”!でい”びゅ”の”お”み”ぇ”み”ぇ”え”え”え”え”え”え”え”え”え”っ”!!」 「でいぶのおぢびぢゃんがああああああああああああああ!!」 小麦粉の眼窩から餡子と砂糖水の混じった液体を出して泣き叫ぶ子れいむ。 しーしーとうんうんが「ぶぴっ、ぶぴっ」と漏れ出す。 男が子れいむを台に置いた。 子れいむは嗚咽を漏らしながら、軽く上を向いている。 「ゆぐっ!ゆひっ!い”ぢゃ”い”よ”ぉ”ぉ”ぉ”・・・」 「まだまだこれからだぜ?」 男が竹串を取り出して、子れいむの頭頂部に滑らすように十字に切込みを入れた。 そのまま男は、片手で子れいむの底部あたりを押さえると、もう片方で、小麦粉の頭頂部をつまむ。 「さぁよく見てろよ?」 子れいむの小麦粉の皮がピッと飛び出た。 そのままズルズルと小麦粉の皮がはげていく。 「ゆびっ・・・!っ・・・!っ・・・!っぎゃ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ”!!!」 子ゆっくりと思えない叫び声があたりに響いた。 四辺につけられた切込みのうちの、ひとつ、ちょうど子れいむの小麦粉の顔から右側面部分までが、ブチブチと音を立ててはがれていき、黒い餡子が露出する。 「ぎゃ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ”!!あ”あ”あ”ぉ”ぁ”あ”あ”ぁ”お”お”ぁ”お”ぁ”お”あ”お”ぁ”お”あ”お”お”お”ぉ”ぉ”あ”あ”あ”ぁ”お”あ”ぁ”お”お”お”お”お”!!!!」 やがて四分の一の小麦粉の皮がはがれた。 男はさらに、対角線上の左後部半分の小麦粉の皮に手を伸ばす。 「ゆ”っ!くひっ!ゆぐっ・・・!あぐっ!あ”ぐお”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”お”っ”!!」 「おぢびぢゃんっ!ゆっぐり!ゆっぐりじでいっでねっ!ゆっぐりいいいいいいいいいいい!!」 れいむが叫ぶ。だが子れいむがなすすべなく餡子が露出していった。 男が左側面部の小麦粉の皮をはがし始める。 「ぎょ”お”お”お”お”お”!!ゆ”る”ぢぢぇ”え”え”え”え”え”え”え”!でいびゅっ!でいびゅをっ!ごべん”な”じゃ”い”い”い”い”っ”!ぎゃ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ーーーーーーーーーーーーーっ!!」 「は?何いってんの?」 男は軽くあしらうと、最後の小麦粉の皮をむき始めた。 「ぐぎっ”!ぎい”い”い”い”い”い”い”い”い”い”い”い”!!!」 …… … 「かはっ…!ゆぐっ…!ゆひっ…!ひぃぃぃ…っ!」 餡子の塊に口と寒天の目が付いているだけのゆっくりがそこにいた。 男が子まりさを手で摘みながら、れいむに言う 「これがホントの"餡子玉"ってな」 男は手を大きく広げると、そのまま子れいむを叩き潰す。 悲鳴を上げる間もなく、餡子が飛び散った。 「でいぶのおぢびぢゃんがああああああああああああああ!!」 れいむが大きく口を開けて叫んだ。 男の痛烈なトゥーキックが小麦粉の顔面に突き刺さる。 「うるせぇぞーっ!」 「ゆぐぇぇえええ!!」 れいむは口から砂糖細工の歯と一緒に餡子を吐き出しながら、壁に激突し昏倒する。 男は手を大きく上に上げて、子まりさを地面に叩きつける。 「あ”ぎゅ”ぇ”ぇ”っ”!!」 ビタンと顔面から地面に激突した子まりさ。 ピクピクと死にかけた芋虫のように微動するだけで、あにゃるからうんうんがぶりぶりと漏れ出した。 男が引っつかんで持ち上げると、折れた砂糖細工の歯が口腔に突き刺さり、舌がズタズタになって口の端からダラダラと餡子を流している子まりさの顔が現れる。 寒天の両目が飛び出し、力なくぶーらぶーらと底部が延びる。 「ゅ”・・・ゅ"・・・」 「ゴキブリ並みにしぶてぇな・・・そうシケたツラをすんな。景気づけしてやるよ」 男がニタニタと笑うと、細長い小さな鉄の棒を子まりさのあにゃるに差し込む。 その先にはコードが着いており、何かの機器が置いてあった。 子まりさが、台に置かれる。 「おにーざんっ!やべでええええええええ!」 「さあ、景気づけの電流だぁ!」 れいむの叫びと同時に男が機器のレバーをグイっとあげた。 次の瞬間子まりさが信じられない挙動で小刻みに動き始める。 「ゆ”っ”!ゆ”ばばばばばばばばばばばあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!」 バチバチと音が鳴り、凄まじい怪音を子まりさが上げながら、ブルブルと小麦粉の皮が小刻みに動く。 男がレバーを下げると、がっくりと子まりさがうなだれた。 穴という穴から白い煙がもうもうと上がっている。 「ゆ”っ!ゆ”っ!ゆ”っ!ゆ”っ!」 「よーし、じゃあ次は最大だ。しっかり味わえよ?」 男がレバーを一番上まで押し上げた。 次の瞬間子まりさの小麦粉の体が跳ね上がったかと思うと、小刻みに振り回されたかのように動き始める。 「ゆ”っ!ゆ”ばばばばばばばばばばあ”あ”あ”あ”あ”!!!!・・・!!・・・!・・・!」 「・・・ああ?もう終わりか?だらしねぇな」 男がレバーを下げると、子まりさは硬直したまま、コテンと横に倒れて動かなくなってしまった。 白い煙が上がっている。 男はれいむに近づき、れいむのピコピコをもって目の前まで持ち上げる。 茫然自失のれいむに向けて、口の端を吊り上げてこういった。 「・・・わかったか?精子餡キットで実ゆっくりはつけてやる。今度はで三ヶ月で金バッジの子ゆっくりを出来る限り多く育て上げろ。いいな?」 れいむはここでようやく気づいた。 この男がほしいのは「ゆっくりしたゆっくり」ではなく「金バッジのゆっくり」であるということを。 ……… …… … れいむの額に生えた蔓から、ぽとりと実ゆっくりが落ちた。 …れいむと同じ、れいむ種だ。 プルプルと震えていた赤れいむが顔をキリッとさせてれいむに言う 「ゆっくちしちぇいっちぇね!」 「ゆっくりしていってね」 貼り付けたようなれいむの笑顔。 だが、赤れいむはそれが満面の笑みだと思っているようだ。 周りから、赤ありすが二体、集まってきた。 「ゆゆ!ちょっちぇもちょかいはにゃいもうちょね!」 「ありしゅちゃちちょいっちょにちょかいはににゃりょうにぇ!」 赤ありす二体が赤れいむにすーりすーりをする。 赤れいむが嬉しそうに小麦粉の皮の形を変えている頃、その後ろで一体の赤まりさと赤ありすが小さなすぃーに乗ってはしゃいでいた。 「ゆゆーん!ちょっちょもはやいんだじぇー!」 「まりしゃちょっちぇもちょかいはよ!」 れいむが目を放した隙のことだった。 れいむがすぐさますぃーに向かって向き、叫ぶ。 「おぢびぢゃんんんんんんん!ゆっぐりじないでどばっでえええええええええええ!!」 「「ゆゆ?」」 すぃーが何かにぶつかってその動きを止める。 赤まりさと赤ありすが目にした先にいたのは、ハンドボールほどの子まりさだった。 …れいむや他の赤ゆっくりと違い、帽子に金バッジをつけている。 「ごべん”な”ざい”い”い”い”い”い”い”い”い”っ”!!お”ぢびぢゃ”ん”に”わ”る”ぎばな”い”ん”でずう”う”う”う”う”う”っ”!ゆっぐりっ!ゆっぐりゆるじであげでぐだざいいいいいいい!!」 れいむがヘコヘコと額を床にこすり付ける。 その子まりさは、何も言わずにただその光景を淡々と眺めていた。 「あ~あ?これで何回目だ?」 「ゆ”!」 れいむのはるか頭上から、聞きなれた声がする。 れいむがガタガタと震えて見上げると、男が口の端を吊り上げて笑いながられいむを見下ろしていた。 男はすぃーの上にのっている赤まりさと赤れいむを片手で掴み上げる。 突然高く持ち上がったのに機嫌をよくして、赤まりさと赤れいむがキャッキャとはしゃぎ始めた。 「ゆゆーん!お書らをちぇんぢぇるみちゃいなんだじぇー!」 「ちょっちぇもたきゃいわー!きゃっきゃ!」 笑顔の赤ゆっくりたちとは対照的に、れいむは口をあんぐりとあけて、寒天の両目から涙を流しながら男を見上げていた。 「前々から思ってたんだがよぉ、中身が違う赤ゆっくり同士をくっつけて中身シェイクさせたらどうなっちまうんだろうなぁ?」 男が白々しくれいむに聞こえるようにつぶやいた。 れいむが口をパクパクさせて凍りつく。 男は、子まりさにこう声をかけると、自室へと向かっていった。 「試してみたいよなぁ?手伝ってくれよ。ミニドス」 再び飼いゆっくりへと戻ったれいむの「ゆっくりした」日々は、まだまだ続く・・・
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/85.html
『いきてるんだよ!』 17KB 虐待 自然界 現代 独自設定 ※独自設定垂れ流し ※このSS上では倫理的に明らかに間違ったことが主張されていますが、 あくまでこのSS内でしか通用しないフィクションです ※最近「ゆっくりだっていきてるんだよ!」ネタをちょくちょく見かけ、 触発されて書きました それは、れいむにとって言葉にするまでもない当たり前のことだった。 ゆっくりは生きている。命は大切で、大事にしなくてはいけないもの。 ずっとずっと。意識するまでもなく、無邪気に信じていた。 信じて、いた。 いきてるんだよ! 「かりにいってくるのぜ!」 「まりさ、ゆっくりがんばってね!」 森の一角、木の根元に掘ったおうちで迎えるいつもの朝。 みんなで仲良く朝ごはん。愛しいツガイのまりさに、かわいくてたまらない子まりさと子 れいむ。なによりもかけがえの無い家族との、ゆっくりとしたいつもの朝だった。 ちゅっちゅで送り出したまりさの後ろ姿もいつもどおりの頼もしさだった。きっと今日も 、おいしいごはんさんをいっぱいとってきてくれるに違いない。そう思うと、れいむはと てもゆっくりできた。 そして、おうちの中に入る。そこにはかわいいおちびちゃんたちが待っている。今日もゆ っくりと子育てをししよう。れいむは顔をほころばせた。 なにもかもいつもどおり。今日も昨日と変わらず、明日もきっとゆっくりできるに違いな い。れいむはそう、信じていた。 だが、 「ゆっぎゃあああああ!」 悲鳴とともに、ゆっくりとした時間は終わりを告げた。 外から聞こえたその声は、紛れも無く愛しのまりさのものだった。れいむは慌てておうち の外に出た。 「ゆびゅえっ!?」 状況をうかがう暇も無く、れいむのすぐそばで奇妙な悲鳴となにかがつぶれる音が響いた 。目を向けると、そこには大きくて太い人間の「あんよ」があった。 呆然と眺める中、その足が持ち上がった。その下には、黒く広がる餡子とぐしゃぐしゃに なった小麦粉の皮がある。なぜ家の前にこんなものが……混乱した餡子脳が推測をめぐら すより先に、目に入ったものがれいむに何が起きたかを理解させた。 「れいむのおちびちゃんがああああああ!?」 餡子と皮の混合物の中に、これだけは見間違えようの無い、子れいむのおりぼんがあった のだ。 れいむは後悔した。おちびちゃんたちが外に出ないよう、注意してから出るべきだった。 あまりに慌てて飛び出して、おちびちゃんも一緒についてきているのに気が付かなかった のだ。 「しまったな……ほっぺたの横をギリギリかすめてちょっと驚かすはずだったのに、ちび が出てきてるとはなあ……失敗失敗」 上から響くやけに軽い調子の声に目を上げると、おうちの前に人間の男が立っていた。そ の顔は忘れ物をしておうちに帰ってきたときみたいな、ちょっと失敗しただけ、といった 感じの困り顔だった。 子れいむをあんなにひどい有様にしておいて、そんな顔をしている人間の男。 あまりにゆっくりできないことの連続に、れいむの餡子脳は思考停止に陥った。 「次はゆっくりじっくりやらないとなあ……」 目の前の男が何かを言っている。だがその意味を理解する余裕など無かった。 そんなフリーズ状態のれいむを解凍したのは、叫びだった。 「おちびちゃん! にげるのぜえええええ!」 声の方に目をやれば、そこにはまりさが横たわっている。さっきちゅっちゅしたほっぺは 黒ずみ、醜く陥没している。おそらく男にやられたのだろう。そんな痛ましい有様なのに 、必死に叫ぶ愛しのまりさ。 無意識にまりさの視線を追うと、そこには、 「おしょらをとんぢぇるみちゃいなのじぇええええ!?」 男によって持ち上げられる子まりさの姿があった。子れいむ同様、子まりさもれいむとい っしょにおうちの外に出てきてしまっていたのだ。 「やべでえええ! おちびぢゃんをがえじでえええええ!」 れいむは必死に男のあんよに体当たりをした。 生まれてから争うことなどほとんどなく、平和に暮らしてきたれいむ。 だが、れいむはおかあさんなのだ。わが子を守るためだったらいくらでも強くなれる。鬼 にだってなれる。だかられいむは躊躇しない。目の前の男に向け、容赦なく全力で体当た りを繰り返した。 「かえすのぜ! かえすのぜ! おちびちゃんをかえすのぜええええ!」 れいむが体当たりを続けていると、傷ついたまりさも加勢してくれた。 人間さんは強い。そのことは群れの物知りぱちゅりーからよく聞かされていたし、人間さ んのおやさいを取りにいって帰ってこなかったゆっくりだって何人も知っている。 でも、れいむがこれだけ力をこめて体当たりし、その上まりさも加わってくれたのだ。絶 対におちびちゃんを取り戻せる。 そう、れいむが確信したときだ。 二つのモノがれいむに降ってきた。 ひとつはれいむの頬に当たり、ぬるりと垂れる生暖かい何か。 もうひとつは、 「ちゅ、ちゅぶれりゅう……」 苦しげな子まりさの声だった。 ぞっとする悪寒とともに、上空の子まりさを見上げ、れいむは自分の頬を滑るものが何で あるかを理解した。 それは、人間の手に押しつぶされ、口から吐き出された子まりさの餡子だ。 「おちびちゃん! あんこさんをはいちゃだめえええええ!」 ゆっくりの吐餡は、人間の嘔吐とはその意味も質も大きく異なる。 ゆっくりの身体は饅頭だ。体内の餡子は、脳であり、内臓であり、血液であり、筋肉であ る。吐餡とは、それらを吐き出すということだ。その苦しみは想像を絶する。 まして子まりさは今、男によって無理やりに吐き出させられているのだ。それは体の中身 をぐちゃぐちゃに破壊されながら搾り出されていると言うことだ。 「ちゅぶりぇ……ちゅぶ……ちゅびゅ……ちゅぶれりゅうううう……!」 男はゆっくり、実にゆっくりと子まりさをつぶしていった。その力の調節は絶妙で、子ま りさが一気に吐餡することはない。 ぽたぽたと、水滴のように少しずつ餡子が落ちてくる。 それはどれほどの苦しみを子まりさに与えていることだろう。想像するだけでれいむは頭 が変になってしまいそうになった。 「やべで! やべで! やべでえええええ!」 「やめるのぜえええ! おちびちゃんがくるしがってるのぜえええええ!」 れいむもまりさも必死に体当たりを続けた。だが、何度体当たりしようと、落ちてくるも のは変わらない。途切れない。 子まりさの苦鳴と吐餡が、止まってくれない。 そして、何度目の体当たりをしようとしたときだろう。 別のものが、またしても二つ、降ってきた。 ひとつは、塊。 いつもぺーろぺろしてきれいにしてあげていた、かわいらしいおぼうし。いつも自慢して いた、きらきらの金髪。ついさっきすーりすりして、もちもちったのに、今はかさかさに 乾いてしまった皮。それらの、塊。 もうひとつは、言葉。 「もう、終わったよ」 あまりにも淡々とした、男の言葉。 「おちび、ちゃん……?」 れいむはおそるおそる近づいた。 ふっくらとしあわせに膨らんでいたその体は、全ての餡子を失い歪つにひしゃげている。 所々に刻まれた子ゆっくりらしからぬ数々の皺は、子まりさがどれほど苦しんだかを物語 っているかのようだ。 子れいむのあまりにもあっけない死と、子まりさのあまりにも長引かされた死。 だが、れいむの悲劇はそこで終わらなかった。 「さあて、じゃあ次はまりさを……って、なんだこいつ? 死んでら」 男のひとりごとに驚き、れいむはまりさを見た。先ほどまで、自分と一緒に体当たりをし ていたまりさ。傷の痛みも気にせず、傷口が開いても体当たりをやめず、餡子が漏れても 、おちびちゃんを助かるためにがんばった。 「まりさ……まりさあああああ!!」 れいむの叫びを全身に浴び、しかしまりさはぴくりとも動かない。まりさはとっくの昔に 、出餡多量で「永遠にゆっくり」してしまっていた。 助けようとした子まりさは、結局「永遠にゆっくり」してしまった。結果からすればまり さの死は無駄に終わった。だが、それを誰が笑えよう。まりさは自分の命すら顧みず、子 供のためにがんばったのだ。 「やれやれ。ゆっくりした結果がこれだよ……ってか。まったく、さっきはあっさりつぶ れちまうし、今度は勝手に死ぬし。ゆっくりってのはどうしようもないな」 れいむは体中の餡子がカッと熱くなった。いまのれいむはお饅頭じゃなくて蒸したてのあ んまんのようだった。 この目の前の男は、家族を惨殺したのみのならず、立派にがんばったまりさを貶めたのだ 。 信じられない。許せない。 だから、れいむは叫んだ。涙を流しながら、それでも力強く、餡子の底から叫んだ。 「れいむたちだって……ゆっくりだっていきてるんだよ! こんなことしちゃいけないん だよ!」 言った。きっといままで口にしてきた中で、最も大事なこと。それを口にした。 れいむはある種の満足を覚えていた。誇りすら感じた。 生き物には命がある。命は大切なものだ。それを踏みにじってはいけない。 誰にでもわかる当たり前のこと。 それなのに、 「なんで?」 目の前の男は予想外のことを聞いてきた。 れいむには信じられなかった。 疑問に思ったことすらない、当たり前のこと。どんな頭の悪いゆっくりだってわかる常識 。それに男は疑問を唱えるのだ。 れいむは激昂した。 「ゆっくりだっていきてるんだよ!」 「ああ、よく知ってる」 「いきてるんだから、いのちがあるんだよ!」 「ああ、そのとおりだ」 「いのちはだいじなんだよ!」 「そうだな。命はかけがえのないもので、その重さは地球の重さに匹敵するとか言うから な」 「だから、たいせつにしなくちゃいけないんだよ!」 「うんうん、そうそう。ゆっくりにしてはかしこいな、お前」 当たり前のことを主張するれいむに、あっさりと理解を示す男。 れいむはわけがわからなかった。こんな当然のことをわからないから、男はあんなにひど いことをしたのだと思った。それなのに、男はちゃんとわかっているようなのだ。 男の得体の知れない様子に、恐怖がわきあがる。それを振り払うように、れいむは餡子の そこから叫んだ。 「ゆっくりだっていきてるんだよ! こんなことしちゃいけないんだよ!」 「だから、なんでそうなるんだよ?」 今まであんなにあっさりとれいむの言葉を肯定していたのに、最後だけ理解してくれない 。 れいむの餡子脳は混乱に包まれた。 男は首を傾げてしばし考え、そして何かを思いついたようにぱん、と手を打ち合わせた。 「あー、お前、勘違いしてるんだろ」 「ゆ?」 「ひょっとして、命はみんな平等に大事で、全ての命が大切……なんて、思ってる?」 「ゆ? ゆ? ゆううう……あ、あたりまえでしょおおおおおおお!?」 「永遠にゆっくり」してしまったまりさ、子れいむ、子まりさ。どれもかけがえのない命 だ。 命は平等で、どれも大切だ。そんな当たり前のことを、この男は理解してないというのだ ろうか。そんな愚かな男に、自分の家族は殺されてしまったと言うのか。れいむは自分の 中の餡子が再び熱くなるのを感じた。 「まあ、仕方ないか。人間だって勘違いしているやつは多いくらいだ。まして、ゆっくり じゃなあ……」 「なにが『かんちがい』なのおおお!? いのちは……」 れいむの言葉は最後まで続けられなかった。 「ゆううう!? なにこれええええ!?」 れいむの言葉をさえぎったのは、近くに住むゆっくりありすだった。番のまりさはいつも このありすと狩りに行っていたことをれいむは思い出した。きっと今日もいっしょに行く 約束をしていて、いつまで経ってもやって来ないまりさを心配して来てしまったのだろう 。 「ありす! にげ……」 警告は間に合わなかった。 ゆっくりでは認識できない速さ……しかし、人間としてはちょっとすばやく動いた程度で 、ありすはあっさりと男に踏み潰され、「永遠にゆっくり」してしまった。 「さて。たった今こうしてこいつは『永遠にゆっくり』してしまったわけだが……」 「どぼじでっ……どぼじでごんなごどずるのおおお!?」 「なに、ちょっとお前に教えてやるためさ。さっきお前、命は平等かって聞いたら当たり 前だ、とか答えたな。このありすの命も大切か?」 「ゆううう!? た、たいせつだよおお! ありすだっていきてたんだよおおお!!」 「ありすが『永遠にゆっくり』して、悲しいか?」 「あだりまえでじょおおおお!! かなしいよおおおお!!」 あのありすとは幼い頃からの付き合いだった。まりさと番になってから、まりさともども 交友は続いていた。ありすとの思い出が餡子脳内に蘇り、心が震えとめどなく涙が流れ出 した。れいむは心の底からありすの死を悲しんだ。 「で、さ。家族が『永遠にゆっくり』したのより、悲しいか?」 「ゆっ!?」 ありすとの思い出のフラッシュバックも、涙も、悲しむ心すらも。男の言葉によって止ま った。 確かに、ありすは幼馴染で大切な存在だった。しかし、家族が死んだことより悲しいかと 問われると……。 れいむは男の問いに答えることができなかった。いや、答えたくなかった。 押し黙るれいむを見ながら、男はうんうんと頷いた。 「そうだよな。家族が『永遠にゆっくり』した方が悲しいよな。当たり前のことだ」 「………」 「おかしいよな。お前、命は平等だって思ってるんだろ? それなのに、あのありすより 家族の方が大切だって思ってるわけだ。それって差別してるってことだ。平等じゃないよ な」 「ゆっ! そ、それはっ…!」 家族は大切だ。ありすは大切な友達だった。それらは比べられるものではない。それでも なお、どちらか決めなくてはならないとしたら……答えは決まっている。だが、それを口 にするのは憚られた。 「いいんだよ、そういうもんだ。知り合いにもいたよ。飼いゆっくりが死んで大泣きする ようなやさしいヤツなんだけどさ、遠くの国で何万人も死んだニュースが聞いていちいち 涙を流したりしない。涙どころか、ため息だって吐かないものさ。まあ、それが普通さ。 人間だってそうなんだから、ゆっくりなんてもっとひどいだろ?」 「ち、ちがうよ……いのちはたいせつで……ゆっくりだっていきていて……!」 「それはわかってる。で、生きている以上、他の生き物の命を犠牲にしているだろ? チ ョウやバッタをつかまえて食べたり、木の実や花を喰ったりしてる。それで悲しく思った ことがあるか? かわいそうだと泣いたことがあるか?」 「ゆっ……」 「ゆっくりって、飾りのないゆっくりを『せいっさい』したりするよな。それにゲスとか れいぱーとか、群れの平和を乱すゆっくりを『永遠にゆっくり』させるのも、珍しいこと じゃないだろ。あいつらも生きている。命がある。で、そいつらの命を、家族の命と平等 に扱えるか?」 「ゆう……ゆうう……!」 れいむは答える言葉が無かった。 ゆっくりは嘘をつけない。正確には、嘘をつきはするが隠すほどの知恵も器用さもない。 れいむの態度は明らかだった。男の言うことを餡子脳の中で肯定している。れいむは命を 差別して生きてきた。 一方で、命が平等であると言うことも間違っているとは思えない。 れいむの餡子脳は、この矛盾に大いに混乱した。 「なあ、お前、不思議に思ったことはないか? 命は大切。そして、平等。ゆっくりにだ ってわかる当たり前のことだ。実に道徳的で美しい言葉だよなあ。それなのに、誰もそれ を実践できていない。なんでだろうな。考えたことあるか?」 「ゆうう……わからない……わからないよ……」 「俺もガキの頃に悩んだりしたこともあったよ。でも、考えてみたら当たり前なんだよ。 カンタンなことだ」 「ゆうう!? なにがかんたんなの!? どうして、どうして、どうしてえええ!? み んないきてるのにいいい! いのちはたいせつなのにいいい! どうしてれいむはさべつ しちゃうのおおおお!?」 れいむの疑問に、男はひどく簡潔に答えた。 「命があるからだ。生きているからだよ」 あまりにシンプルすぎるその答えに、れいむは絶句した。 命がある。生きている。だから命が大切だということがわかるし、命が平等だと言う言葉 が大切なことだって理解できる。 それなのに、「命があるせいで命を平等に扱うことができない」なんて、矛盾している。 れいむは眉間に皺を寄せ、体中から脂汗を流して必死に理解しようとした。だが、餡子脳 をどれだけひねっても答えは出そうになかった。 男はそんなれいむの様子にやれやれとため息を吐き、説明を始めた。 「難しく考えるな。生きている。命がある。だから……誰だって、自分の命が一番大事な んだ。それは当たり前のことなんだよ」 「そっ……! そんなことないよ! れいむもまりさも、おちびちゃんのことばじぶんよ りだいじだったよ!」 男の言葉にれいむは反駁する。まりさは自分の命を賭して子まりさを救おうとしたのだ。 れいむだって同じだった。 だが、男はまったく揺るがず言葉を続ける。 「ああ、そうだな。厳密に言うと、自分と自分のまわりの命が大事ってとこかな。なんに しても、生き物は生きている。だから命の重さを考えるとき、まず自分を基準にしちまう 。自分の命と比べて、大事かそうじゃないか、って考え方になっちまう。そうすると…… どんなにがんばったって、命を平等になんて扱えっこないさ」 「いきているから……さべつしちゃうの……?」 「もし命がなくて物を考えることのできるやつがいたら、きっと命を平等に扱えるんだろ うな。もっともそいつにとって、命なんてきっと『平等に無価値』になっちまうんだろう けどな。ゆっくりのお前にゃわからないだろうけど、本当の意味での平等なんてろくなも んじゃないぞ」 「そんな……そんな……」 自分の中に漠然とあった、命に対する価値観。それを粉々にされて、れいむは呆然とした 。 ゆっくりと、あたりを見回す。 ぺしゃんこになった子れいむ。身体の中の全てを吐き尽くした子まりさ。死ぬまで子まり さを救おうとして力尽きたまりさ。 なによりも大切で、かけがえのない家族だったもの。 その命の価値は、なんだったのだろう。 「れいむたちだって……ゆっくりだっていきてるんだよ……こんなことしちゃいけないん だよ……」 男に言った言葉を繰り返す。最初に言ったときとは比べ物にならない、力のないつぶやき 。それに、男は答えた。 「お前らみたいな不条理饅頭、生きているのかどうかわからない。生き物だって認めない やつだっている。でも、俺は生きているって認めてやるよ。でも、その命はそんなに大切 なものだと思わない。なにやったって構わないと思ってる。だから、お前のその言葉に対 して言ったんだ。『なんで?』ってな。なんか面白いこと聞けるかってちょっと期待した けど、所詮ゆっくりはゆっくりだったな」 実のところ、男にとってゆっくりの命に大した価値がなくとも、れいむにとっての家族の 命の重さが変わったわけではない。 だが、れいむはゆっくり。ゆっくりは思い込みのナマモノ。今までは、自分たちの命を、 無根拠に無条件に価値有るものだと信じることができた。しかし今、男の言葉でそれでき なくなった。 だから、れいむはもう、ゆっくりなんて、できない。 れいむはがっくりとつぶれた。 「そんなに落ち込むなよ。俺なんてましなほうだぜ。世の中の大抵の人間は、ゆっくりの 命の価値なんてゼロだって言いやがる。でも、俺は違うんだ。ちゃんと価値を認めている 」 男の言葉に、れいむはのろのろと見上げた。 れいむはつかの間、場違いにもしあわせだったときを思い出した。初めておそとへのおさ んぽへおちびちゃん達を連れ出した日。あの日、おちびちゃん達はとても楽しそうに笑っ ていた。 男は、あのときのおちびちゃん達のような無邪気な笑みを浮かべていたのだ。 「ゆっくりの命は、俺にとって最高のオモチャだ」 れいむは絶望した。 男の笑みはあまりにも無邪気で無垢だった。だから、その言葉にひとかけらの嘘もないこ とがわかってしまったのだ。 自分はきっと、おそろしくゆっくりできない目に遭い、「永遠にゆっくり」してしまうだ ろう。それはもはや決定された未来だった。 れいむは、これ以上の絶望などどこにもないと思った。 それなのに、もう底まで着いたと思われた絶望をさらに加速させる音が聞こえてきた。 「こっちだよー! なにかゆっくりしないこえがしてたんだよー!」 「こっちにはまりさとれいむのおうちがあるのぜ!」 「むきゅ! これはむれのいちだいじね! けんじゃのぱちぇのでばんだわ!」 今頃になって騒ぎを聞きつけたゆっくりがやってきたのだ。 男の笑みが深くなった。それを見て、れいむは理解した。目の前のこの男は、この一帯の 群れのゆっくりの命を、「オモチャとして」存分に遊びつくすことだろう。 止めることはできない。そのための力はないし、そのための意志はとっくに折れている。 れいむにはなにもできない。 だから、れいむは。 叶いもしない願いをこめて。 ただこのひとときだけでも、と。 本能に従い、叫んだ。 「ゆっくりしていってね!」 了 by触発あき ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKI - 触発あきの作品集 http //www21.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/32.html 感想はこちらにいただけるとうれしいです 触発あき - ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278666597/l50
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3213.html
『ゆっくり絶叫シリーズ01巻 灼熱! 家族焼き』 18KB 制裁 小ネタ 調理 野良ゆ 子ゆ 現代 独自設定 暇つぶしにどうぞ ・小ネタに一味加えているうち、映像作品の描写という形の仕様にしてみました。 味付けしにくい小ネタはこの形で続けてみようかと。未定ですが。 ・上記の仕様を徹底した結果、心理描写が極力排され、会話がクドいぐらい多めです。 不真面目に書いたので軽い気持ちで見て下さい。 ・その他ネタ被り、独自設定、意味不明な箇所など書き捨て御免ということで。 ・それでも読んでみる方は暇つぶしにどうぞ。話のネタにしてくれたら幸いです。 ゆっくり絶叫シリーズ ~あなたの願望叶えます~ とは 一部マニアに絶大な人気を誇る、撮り下ろし映像シリーズである。 とにかくゆっくりをゆっくりさせたくない、という一般人の依頼を、 大がかりな仕掛けと巧みな編集でバラエティー番組調の映像に昇華した作品。 時に採算を度外視した構成はシリーズを追う毎にファンの裾野を広げており、 さらなるゆっくりの叫びが待望されている。 ゆっくり絶叫シリーズ ~あなたの願望叶えます~ 01巻 ~灼熱! 家族焼き~ 『暑い中営業の仕事に耐えて、帰宅したら部屋で野良ゆっくりがゆっくりしてた。 悔しいです。どうかアツい目に遭わせてやって下さい』 「ゆっくり絶叫シリ~~~ズッ!! 猛暑が厳しい中、今回は、甘味処・仁寺黒堂にお邪魔しています。 案内は私、双葉トシアキがお送りします。 こちらが今回の依頼人Aさん(仮名)と、執行人の仁寺黒堂主人、練込甘太郎氏。 本日は、どうぞよろしくお願いしますッ!!」 「「よろしくお願いします!」」 甘味に舌鼓を打つ女性が数多い仁寺黒堂店内で、朗らかに挨拶を交わす3人。 黒いタキシードに身を包んだトシアキが、早速Aさん(仮名)へのインタビューを開始する。 Aさん(仮名)は若い女性だったが、顔はモザイクがかけられて表情の判別も不可能だ。 「Aさん(仮名)、野良ゆっくりがゆっくりしてたということで、災難でしたね。お見舞い申し上げます。 お宅は1階で戸締りは万全だったんですが、強化ガラスを破られたということでしたね?」 「ハイ。調べてみるとガラスは粗悪な不良品で、告発されていたメーカーの物だったんです。 ゆっくり対策は万全だと思っていたので、とても悔しいです」 「なるほど、人災の面もあるという事ですか。でも、それで収まる話じゃあないですよねぇ」 「ガラスの件は大家さんが面倒見てくれて、助かりました。 でも、アイツらは、掃除したばかりの部屋を、お気に入りの服を、とっておきのオヤツを、 彼氏との思い出の写真を、その他全部メチャメチャにしてゆっくりしてたんです!!」 「今年の夏は凄く暑かったですからね。炎天下で外回りをして取引先に怒られて、 やっと帰ったら部屋を荒らした野良ゆっくりにドヤ顔をされた。どんな聖人でもブチキレですよ」 「彼氏とは疎遠になるし、悔しくて潰すぐらいじゃ腹の虫が治まりません! 練込さん、今日はコイツらに私の苦しみを味あわせて下さい!」 「お任せ下さい。今日は企業秘密の一端をお見せします、という事も含めてきっと御満足頂けますよ」 「いやぁ太っ腹ですね! 僭越ながら私も期待していますよ」 「それではゆっくり用の厨房にどうぞ。すぐに始められますよ」 落ち着いた雰囲気の店内から、よく整理されて清潔そうな厨房へと移動する3人。 壁沿いの調理台の上には、透明な箱の中でゆっくりの家族がとてもゆっくりしていた。 「こちらがAさん(仮名)の自宅に侵入した、ゆっくり一家の皆さんです。ゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 満面の笑顔で答えるゆっくり一家。 カメラ目線を意識しているのは、ゆっくりできるからと事前に言われてのことだろう。 家族構成は父まりさ、母れいむ、子まりさ2頭、子れいむ2頭。誰でも既視感が湧くのではないだろうか。 「さっきからあまあまのにおいがして、たまらないのぜぇぇぇ! おい、くそどれいども! さっさとあまあまをまりささまたちにけんじょうするんだぜ!!」 「ゆっくりしないではやくしてね! おちびちゃんもぽんぽんすかしてるんだから! れいむのいうことがきこえないのぉぉぉ!? くそどれいはいますぐよういしてね!!」 「「「「あみゃあみゃ! はやきゅもっちぇこい! くしょどれい! くしょどれい!」」」」 誰も答える者はいなかった。 ゆっくり家族の声は絞られ、トシアキのインタビューは恰幅のいい甘太郎に移る。 「野良、ということですが、下準備は万全ですか?」 「今日までに身体の内外を完全に消毒・検疫処理し、全頭異常なしを確認してあります。 仕入れているものと寸分違い無い状態となっており、食用にも全く問題ありません」 「流石、ゆっくり菓子製造技能とゆっくり製菓衛生の第一人者。抜かりはありませんね」 「この段階では、ゆっくりは消毒用・検疫用の甘味をただ食べ、ゆっくりするだけなのですが、 ゆっくりの警戒心を完全に解き、ゆん生一番のゆっくりを与えるところは、企業秘密の部分です」 「それによって甘味に独特な深みが増す、ということですね。よく解りました。 Aさん(仮名)、それでは調理の前に、ゆっくり一家にコメントを一つ、お願いします」 Aさん(仮名)はゆっくり一家と透明な壁越しに対峙する。 途端に相手をナメ切った顔になり、ふんぞり返って口笛を鳴らすゆっくり達。 「……アンタ達が仕出かした事の報いを、タップリと受けるがいいわ」 「はぁぁ~!? ばばあがいみふめいなこといってるのぜ。ちぇんじなのぜ! おぉいそっちのくそどれぃぃ! はやくあまあまもってこいのぜぇぇ!!」 「ゆぷぷぷぅ! ばばあはほんとうにゆっくりしてないね。ちょっとはれいむをみならってね。 わかったらあまあまをもってきてもいいよ。たくさんもってきてね!!」 「「「「ばばあ! ちぇんじ! ばばあ! ちぇんじ! ばばあ! ちぇんじ!」」」」 傲岸不遜。ゆっくり達はゆん生最大に思いあがっていた。 仕込み終了の瞬間だった。 「それではッ! 練込さんッ! 始めて下さいッッ!!」 「はいッ!! いきますよッ!!」 甘太郎は掛け声と共にゆっくり家族の所へ向かい、透明な箱から母れいむを取り出す。 左腕に抱えると、特製オレンジジュースを練り込んだ小麦粉で、 アッ、と言う間に「まむまむ」と「あにゃる」を塞いでしまった。 「な、なにするの? くすぐったいよぉぉ! ゆふぅぅん!!」 恍惚に眉を寄せる母れいむの大写しになった映像は、地上波なら放送事故モノだ。 母れいむがアップになっている間に、甘太郎はAさん(仮名)を呼びよせていた。 「せっかくですから、Aさん(仮名)にも手伝ってもらいましょう。コイツ、持っててもらえますか」 「あ、はい」 「ちょっと、れいむのうつくしいおはだにきやすくさわらないでよね! ぷくーっ!」 機嫌を損ねる母れいむをよそに、甘太郎は手早く父まりさ、子供達に同様の処理を行う。 その手さばきは様式美が見いだせるほど完成され、ゆっくり達は何の不満も漏らさない。 そして、甘太郎は父まりさだけを抱え上げると、Aさん(仮名)と共に別の透明な箱に向かった。 「ゆおお!? おひっこしなのぜ! すっごくひっろいのぜぇ~!!」 「すごいゆっくりぷれいすだよぉぉ! おちびちゃんたくさんそだてられるよぉぉ!!」 父まりさと母れいむが感嘆し、目を輝かせるほど、厨房の中央に置かれたその透明な箱は巨大だった。 長さ5m、幅2m、調理台も含めた高さは1.5mで、天井部分は無かった。箱というより囲いだ。 そして、囲いの内側には鈍く輝く鉄板が敷かれていた。 「これが当店自慢のゆっくり調理板です。関係者以外にお見せするのは初めてになります。 身体の大きいまりさから投入します。Aさん(仮名)、れいむを放さないでいて下さいね」 「おそらをとんでるみたい!!」 甘太郎は透明な囲いの中に父まりさを放り込んだ。浮遊感に父まりさが反射的に言葉を漏らす。 ぽよよん! 「いたいのぜぇ~! もっとやさしくやさしくあつかうのぜ~! ……!!?」 鉄板の上で悪態をつく父まりさ。その表情が固まる。次の瞬間、その身体が勢いよく跳び上がった。 ぽよっ! ぽよっ! ぽよっ! ぽよっ! ぽよっ! ぽよっ! ぽよっ! ぽよっ! ぽよっ! 「ゆぁぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃっっ!? あぢゅいっ!! これめっちゃあぢゅいぃぃっっ!! なにごれなにごれなにごれっ!? れいむっだずげでっ!! あぢゅぃよぉぉぉぉっっ!!」 「ま、まりさぁぁっ!! は、はやく! はやくまりさをたすけてねっ!! たすけてねっ!!」 鉄板の上で踊るように跳ね回る父まりさの苦悶の姿に、大慌てで助けを乞う母れいむ。 しかし、母れいむを抱えているAさん(仮名)は、とてもゆっくりした笑みを浮かべていた。 「そうだぜ! おぼうし……どぼじでおぼうじがないのぉぉ!? あぢゅあぢゅあぢゅぃぃっっ!!」 帽子のお飾りを置いて避難しようと頭上を仰ぐが、あるはずの物がない事に混乱を増す父まりさ。 甘太郎の右手には、父まりさを放り込むと同時に奪い取った帽子のお飾りが握られていた。 「それではAさん(仮名)、れいむの方も入れて下さい」 「わかりました。それじゃあれいむちゃん、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!!! ……じゃないでしょぉぉ!? はなじでぇぇぇぇっ!!」 父まりさが苦しみ踊るあの中に、自分も入れられるのだとれいむが理解した時には遅かった。 身体を心地よい浮遊感が包む。 「おそらをとんでるみたい!! ……ゆあぢゃぁぁっぁぁぁっぁぁああっぁぁぁっ!?」 「いやぁとても熱そうですね。どうです、調理されている今の感想は?」 「「だずげでっっ!! だじでだじでだじでっ!! あぢゅいあぢゅいいやぢゃぁぁぁっっ!!」」 「Aさん(仮名)、今までの事を謝ったら、助けてあげようとは思いませんか?」 「ん~……。どぉしよっかな~♪」 Aさん(仮名)は楽しげな口調で結論を先延ばしする。 父まりさと母れいむは、そんなAさん(仮名)に透明な壁越しに身を寄せる。 ぽよっ!ぽよっ!ぽよっ!ぽよっ!ぽよっ!ぽよっ!ぽよっ!ぽよっ!ぽよっ!ぽよっ!ぽよっ! 「ずびばぜんでじだぁぁ!! ぢょうじごいでまじだぁぁ!! だずげでぐだざいぃぃっ!!」 「もうじわげありまぜんでじだぁぁ!! ゆるじでぐだざぃぃ!! ごのどおりでずぅぅっ!!」 ぽよんぽよん跳ねながら、泣いて許しを乞う父まりさと母れいむの姿に、 Aさん(仮名)は黙って微笑みを浮かべるだけだ。 「「ごんなにあやまっでるでじょぉぉ!? ぶざげでるのぉぉぉぉ!!? ばやぐだずげろばばあぁぁぁぁっっ!!!」」 「足りない。もっともっと謝りなさい。そしたら助けてあげる、かも」 「「ずびばぜんずびばぜんずびばぜんずびばぜんずびばぜんずびばぜんずびばぜんずびばぜんっ!!」」 「Aさん(仮名)、実にイイ顔をしています。お見せできないのが心苦しいほどに。 さて練込さん、ここまでの調理についてどのような手ごたえを感じますか?」 「いやぁ、Aさん(仮名)は実にいいアシストを入れてくれます。 僅かに希望を見せる事で、ゆっくりの活きを落とさないまま餡子を熟成できます。 最後の最後まで希望をつないで弱火でじっくり焼いて甘味を積み上げる。当店ゆっくり調理のコツです」 「苦痛の度合いで甘味が変わる、ゆっくりならではですね! そういえば、子供達はいつ投入しますか?」 「そろそろ頃合いでしょう。体積が親と段違いですので、投入のタイミングが難しいんですよ。 今度は御二人に手伝ってもらいましょうか」 「「ゆぎゃぁぁぁ!! いがないでぇぇぇぇっっ!! だずけでぇぇぇぇぇっ!!」」 悲鳴を上げ続ける親ゆっくりを放置して、甘太郎に促された2人は再び透明の箱に向かう。 箱内では、両親が繰り広げる悶絶跳躍を目の当たりにして、ガタガタと震える子ゆっくり達がいる。 甘太郎が施した処置の為、「おそろしーしー」を漏らした子ゆは皆無だった。 「うんうんもしーしーも出させない事で、体内の餡子を減らすことなく瑞々しく仕上がります。 この場合、涙程度なら問題はありません。では、2頭ずつお取り下さい」 「ゆんやぁぁ!! あっちいくのじぇぇ!!」「おしょらをとんじぇるみちゃい……かえじてぇぇ!!」 「もうやぢゃぁぁぁ!! おうちかえりゅぅぅ!!」「ゆぁぁぁん!! ゆぁぁぁん!!」 トシアキとAさん(仮名)の両手には、それぞれ泣き叫ぶ子ゆっくり達が握られた。 ウネウネと身をよじるが、脱出するには全くの無力であった。 「「やめでぇぇ!! おぢびぢゃんをいれないでぇぇぇぇぇぇっ!!」」 「子まりさの帽子は取ってくださいね。ではこちらに寄って、どうぞ入れて下さい」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「「「「ゆっきゅりおしょらをとんじぇるみちゃい!!!!」」」」 トシアキとAさん(仮名)が掛け声と共に放った子ゆっくり達は、苦悶に踊る両親ゆっくりが見守る中、 灼熱の鉄板の上に投げ出された。 ぽよっぽよっぽよっぽよっぽよっぽよっぽよっぽよっぽよっぽよっぽよっぽよっぽよっぽよっぽよっ 「「「「ゆぁぢゃぁっぁっぁっぁっぁぁぁぁああっぁっぁっぁっぁあぁっぁあぁっ!!!!」」」」 「いまだずげるのぜぇ、おぢびだぢぃぃ!! ……どぼじでずずめないのぉぉぉっ!?」 「おぢびぢゃぁぁぁぁん!! だれがれいむのおぢびぢゃんをだずげでぇぇぇぇぇっ!!」 「調理台内部は透明な仕切りで三つに分けられていて、温度調整も最適化できます。 サイズ別に調理することで、うっかり親が子供を踏みつぶす事はありません。」 「なるほどぉ~。子供にやさしい親切設計ですね!」 トシアキと甘太郎が笑顔でインタビューに興ずる傍らでは、親ゆっくり達が透明な壁に阻まれ、 焼けた鉄板の上を飛び跳ねる子供達に近づく事が出来ず、悔し涙を流し唇を噛んでいた。 「いいごどおもいづいだのぜ! れいむぅぅ! ごべんねぇぇぇ!!」 「まりざ!? ゆんぎゃぁぁぁっ! ゆんぎゃぁぁぁっ! ゆんぎゃぁぁぁっ!」 父まりさはひと際高く跳び上がった。れいむの頭上に。 タイミング良く頭上に跳び乗られた母れいむは、焼けた鉄板に押しつけられて悶絶する。 あろうことか、父まりさは母れいむを踏み台にして仕切りを飛び越そうと跳ね続けた。 母れいむのあんよが音を立てて焼かれ、おつむを踏まれ続け、白い泡が口からこぼれる。 「あちゃー。練込さん、これでは焼き加減にムラが出るのでは?」 「こんな事もあろうかと! ですよ。Aさん(仮名)、そちらの赤いボタンを押して下さい」 「これですか? えいっ」 赤いボタンが押された瞬間、両親ゆっくりの周囲に白い液体が噴霧された。そして――。 ボォウンッ!! ごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろっ!! 「「あぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃ!!」」 一瞬にして、両親ゆっくり周辺が炎に包まれた。驚くトシアキとAさん(仮名)。 両親ゆっくりは正に火ダルマとなって、鉄板の上を転がり回る。 「ボタン一つでフランベが満遍なくできるんです。便利でしょう? おや、そちらの子ゆっくりも活きが悪くなってきましたね。 今度はトシアキさんやってみて下さい。あちらの赤いボタンをどうぞ」 「これですね。ポチッとな」 ボォウンッ!! ころころころころころころころころころころころころころころころころころころっ!! 「「「「あぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃあぢゃ!!!!」」」」 先程と同じように、4個の小さな火ダルマが鉄板の上を転がり回った。 あまりの非日常的な光景に、トシアキもAさん(仮名)も腹を抱えて笑う。 「なにがおがじいのぉぉ!? まりざだぢいぎでるんだよぉぉ!? ばやぐだずげでよぉぉぉぉっ!!」 「れいむはぎぢょうなんだよぉぉぉぉぉっ!? もだもだじでないで、ばやぐだずげろぉぉぉぉっ!!」 「「「「ゆ゛ん゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!! だずげでぐだざぃぃ!!」」」」 「あんよの勢いが無くなってきたところで、全身に焼き目をつけます。 トシアキさん、Aさん(仮名)、口だけ動かすようなら引き続きフランベをお願いします」 二人が赤いボタンを押すたび、ゆっくり家族は火ダルマとなって転がり続ける。 些か調子に乗ってボタンを押し続ける二人だが、甘太郎は問題なく流していた。 厨房には二人の笑い声と、ゆっくり家族の絶叫が木霊した。 ごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろごろっ!! 「「「「「「ゆ゛ん゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あっっっ!!!」」」」」」 何度となくフランベを重ねるうち、ゆっくり家族はいよいよ跳ね回る事も出来なくなり、 「ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛」と鉄板の上で泡を吹いて痙攣を繰り返すだけになってしまった。 目は白く濁り、髪は焼け焦げ、皮は苦悶の表情で固まったまま全身満遍なく焼け色が付いていた。 「これで調理台での調理は終了です。皆さんお疲れさまでした」 「練込さん、どうもお疲れさまでした! Aさん(仮名)、いかがでしたか?」 「最っ高にすっきりー! しました! 練込さん、本当にありがとうございました!!」 「Aさん(仮名)も喜んでいるようで何よりです。実は、もうひとつサプライズの用意があるんですよ。 練込さん、引き続きお願いします」 「お任せ下さい。ここからは企業秘密になりますので、御二人は店内でお待ち下さい」 映像が移り変わり、仁寺黒堂店内のお座敷。 斜めの差向いに座って待つトシアキとAさん(仮名)の元に甘太郎が姿を現す。 「お待たせいたしました。当店26の裏メニューの一つ、ゆっくり家族の氷金時昇天盛りです」 長テーブルの上に、巨大なかき氷が鎮座した。 器は父まりさの帽子を逆さにして使用、外側をガラスの器に守られ形を崩すことはない。 山盛りとなった天然水使用のかき氷には小豆色のシロップが万遍なくかけられ、 山の麓付近には、透き通った目玉と、サクサクに焼き上がった皮がアクセントとして埋め込まれていた。 「あれ、練込さん。この目玉、焼けてませんね。わざわざ用意したんですか?」 「それはですね、トシアキさん。企業秘密な方法で元に戻しました。簡単なんですよ。 その目玉の下には、家族全頭の中枢餡を企業秘密な方法で、生きたまま連結してあります。 目玉と中枢餡も餡子をタップリ使ったシロップで繋がっているので、自分が食べられるのが見えるんです」 「わかったぁ! 食べれば食べる程かき氷の方が食べられる恐怖心で美味くなる! ってことですね!」 「御名答です」 「すごぉぉぉい! でも、こんなにいっぱいの氷、とても食べられないわ」 「コレ家族用ですからね。実はAさん(仮名)、これからがこの双葉トシアキのサプライズなんですよ。 それではどうぞ、座敷にお上がり下さい!!」 トシアキの呼び声と共に、甘太郎の背後から現れた若い男性。顔にはモザイクがかけられている。 それを見たAさん(仮名)が両手を口に当てて驚愕する。 「び、Bさん(仮名)! どうしてここに!?」 「Aちゃん(仮名)、キミがこんなに悔しい思いをしてたのに、恋人として何もしてあげられなかった。 まだ間に合うなら、そのかき氷を食べるのを手伝わせてくれないか?」 「う、うん! 全然間にあってるから! さあ、さあ、隣へどうぞ!」 「Bさん(仮名)はAさん(仮名)が電話口でイラついてたのを感じて、自分のせいだと自問自答してたんですよ。 そこで、この双葉トシアキ、誤解を解くお手伝いをさせていただきました」 「そんな……私のせいで……ゴメンなさい、Bさん(仮名)!!」 「いいんだよ、Aちゃん(仮名)。キミさえ良かったら、死ぬまで隣にいていいかな」 「えっ!? ……それって……」 「Aちゃん(仮名)、オレと結婚してくれ! 返事は今すぐでいいよ!」 「は、ハイッ!! 喜んで!!」 ヒシッと手をつなぎ合うAさん(仮名)とBさん(仮名)。 直後、店内に無数の拍手が鳴り響いた。驚いて周囲を見まわす2人。 「おめでとうございますッ! トシアキ他ここにいる全員、お二人を祝福させていただきますッ!! ささ、あまりアツいと折角の氷が溶けてしまいますので、さあ、お食べなさいッ!!」 「「ハイッ! ゆっくりいただきます!!」」 2人は肩を寄せながら同時にかき氷を口にした。 瞬間、2人の表情がモザイクの下でこれ以上なく緩む。 「「し、し、し、しあわせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~ッッ!!!」」 「2人共、実にイイ笑顔ですね。つくづくお見せできないのが残念です。 練込さん、本日はどうも、ありがとうございましたッ!!」 「ありがとうございました! お二人のお役に立てまして光栄です。 余った材料で作った和菓子も御土産にお持ち帰り頂けます。お帰りになった後もお楽しみください」 「トシアキさん! 練込さん! 本当に、ありがとうございました! 私、一生忘れません!! 皆さんも、どうぞ食べて下さい!」 「その言葉を待っていました! それではゆっくりいただきますッッ!!」 そう言うや、スプーン片手にかき氷の山に突貫するトシアキ。 また、店内の客も一口相伴に預かろうと集まり、店内にとてもゆっくりとした空間を創りだしていた。 かき氷に埋め込まれた12個の目玉は、いずれも粘性の高い透明なシロップを涙のように溜めていた。 fade out ゆっくり絶叫シリーズ鋭意製作中! ご期待下さい
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2426.html
『いきてるんだよ!』 17KB 虐待 自然界 現代 独自設定 ※独自設定垂れ流し ※このSS上では倫理的に明らかに間違ったことが主張されていますが、 あくまでこのSS内でしか通用しないフィクションです ※最近「ゆっくりだっていきてるんだよ!」ネタをちょくちょく見かけ、 触発されて書きました それは、れいむにとって言葉にするまでもない当たり前のことだった。 ゆっくりは生きている。命は大切で、大事にしなくてはいけないもの。 ずっとずっと。意識するまでもなく、無邪気に信じていた。 信じて、いた。 いきてるんだよ! 「かりにいってくるのぜ!」 「まりさ、ゆっくりがんばってね!」 森の一角、木の根元に掘ったおうちで迎えるいつもの朝。 みんなで仲良く朝ごはん。愛しいツガイのまりさに、かわいくてたまらない子まりさと子 れいむ。なによりもかけがえの無い家族との、ゆっくりとしたいつもの朝だった。 ちゅっちゅで送り出したまりさの後ろ姿もいつもどおりの頼もしさだった。きっと今日も 、おいしいごはんさんをいっぱいとってきてくれるに違いない。そう思うと、れいむはと てもゆっくりできた。 そして、おうちの中に入る。そこにはかわいいおちびちゃんたちが待っている。今日もゆ っくりと子育てをししよう。れいむは顔をほころばせた。 なにもかもいつもどおり。今日も昨日と変わらず、明日もきっとゆっくりできるに違いな い。れいむはそう、信じていた。 だが、 「ゆっぎゃあああああ!」 悲鳴とともに、ゆっくりとした時間は終わりを告げた。 外から聞こえたその声は、紛れも無く愛しのまりさのものだった。れいむは慌てておうち の外に出た。 「ゆびゅえっ!?」 状況をうかがう暇も無く、れいむのすぐそばで奇妙な悲鳴となにかがつぶれる音が響いた 。目を向けると、そこには大きくて太い人間の「あんよ」があった。 呆然と眺める中、その足が持ち上がった。その下には、黒く広がる餡子とぐしゃぐしゃに なった小麦粉の皮がある。なぜ家の前にこんなものが……混乱した餡子脳が推測をめぐら すより先に、目に入ったものがれいむに何が起きたかを理解させた。 「れいむのおちびちゃんがああああああ!?」 餡子と皮の混合物の中に、これだけは見間違えようの無い、子れいむのおりぼんがあった のだ。 れいむは後悔した。おちびちゃんたちが外に出ないよう、注意してから出るべきだった。 あまりに慌てて飛び出して、おちびちゃんも一緒についてきているのに気が付かなかった のだ。 「しまったな……ほっぺたの横をギリギリかすめてちょっと驚かすはずだったのに、ちび が出てきてるとはなあ……失敗失敗」 上から響くやけに軽い調子の声に目を上げると、おうちの前に人間の男が立っていた。そ の顔は忘れ物をしておうちに帰ってきたときみたいな、ちょっと失敗しただけ、といった 感じの困り顔だった。 子れいむをあんなにひどい有様にしておいて、そんな顔をしている人間の男。 あまりにゆっくりできないことの連続に、れいむの餡子脳は思考停止に陥った。 「次はゆっくりじっくりやらないとなあ……」 目の前の男が何かを言っている。だがその意味を理解する余裕など無かった。 そんなフリーズ状態のれいむを解凍したのは、叫びだった。 「おちびちゃん! にげるのぜえええええ!」 声の方に目をやれば、そこにはまりさが横たわっている。さっきちゅっちゅしたほっぺは 黒ずみ、醜く陥没している。おそらく男にやられたのだろう。そんな痛ましい有様なのに 、必死に叫ぶ愛しのまりさ。 無意識にまりさの視線を追うと、そこには、 「おしょらをとんぢぇるみちゃいなのじぇええええ!?」 男によって持ち上げられる子まりさの姿があった。子れいむ同様、子まりさもれいむとい っしょにおうちの外に出てきてしまっていたのだ。 「やべでえええ! おちびぢゃんをがえじでえええええ!」 れいむは必死に男のあんよに体当たりをした。 生まれてから争うことなどほとんどなく、平和に暮らしてきたれいむ。 だが、れいむはおかあさんなのだ。わが子を守るためだったらいくらでも強くなれる。鬼 にだってなれる。だかられいむは躊躇しない。目の前の男に向け、容赦なく全力で体当た りを繰り返した。 「かえすのぜ! かえすのぜ! おちびちゃんをかえすのぜええええ!」 れいむが体当たりを続けていると、傷ついたまりさも加勢してくれた。 人間さんは強い。そのことは群れの物知りぱちゅりーからよく聞かされていたし、人間さ んのおやさいを取りにいって帰ってこなかったゆっくりだって何人も知っている。 でも、れいむがこれだけ力をこめて体当たりし、その上まりさも加わってくれたのだ。絶 対におちびちゃんを取り戻せる。 そう、れいむが確信したときだ。 二つのモノがれいむに降ってきた。 ひとつはれいむの頬に当たり、ぬるりと垂れる生暖かい何か。 もうひとつは、 「ちゅ、ちゅぶれりゅう……」 苦しげな子まりさの声だった。 ぞっとする悪寒とともに、上空の子まりさを見上げ、れいむは自分の頬を滑るものが何で あるかを理解した。 それは、人間の手に押しつぶされ、口から吐き出された子まりさの餡子だ。 「おちびちゃん! あんこさんをはいちゃだめえええええ!」 ゆっくりの吐餡は、人間の嘔吐とはその意味も質も大きく異なる。 ゆっくりの身体は饅頭だ。体内の餡子は、脳であり、内臓であり、血液であり、筋肉であ る。吐餡とは、それらを吐き出すということだ。その苦しみは想像を絶する。 まして子まりさは今、男によって無理やりに吐き出させられているのだ。それは体の中身 をぐちゃぐちゃに破壊されながら搾り出されていると言うことだ。 「ちゅぶりぇ……ちゅぶ……ちゅびゅ……ちゅぶれりゅうううう……!」 男はゆっくり、実にゆっくりと子まりさをつぶしていった。その力の調節は絶妙で、子ま りさが一気に吐餡することはない。 ぽたぽたと、水滴のように少しずつ餡子が落ちてくる。 それはどれほどの苦しみを子まりさに与えていることだろう。想像するだけでれいむは頭 が変になってしまいそうになった。 「やべで! やべで! やべでえええええ!」 「やめるのぜえええ! おちびちゃんがくるしがってるのぜえええええ!」 れいむもまりさも必死に体当たりを続けた。だが、何度体当たりしようと、落ちてくるも のは変わらない。途切れない。 子まりさの苦鳴と吐餡が、止まってくれない。 そして、何度目の体当たりをしようとしたときだろう。 別のものが、またしても二つ、降ってきた。 ひとつは、塊。 いつもぺーろぺろしてきれいにしてあげていた、かわいらしいおぼうし。いつも自慢して いた、きらきらの金髪。ついさっきすーりすりして、もちもちったのに、今はかさかさに 乾いてしまった皮。それらの、塊。 もうひとつは、言葉。 「もう、終わったよ」 あまりにも淡々とした、男の言葉。 「おちび、ちゃん……?」 れいむはおそるおそる近づいた。 ふっくらとしあわせに膨らんでいたその体は、全ての餡子を失い歪つにひしゃげている。 所々に刻まれた子ゆっくりらしからぬ数々の皺は、子まりさがどれほど苦しんだかを物語 っているかのようだ。 子れいむのあまりにもあっけない死と、子まりさのあまりにも長引かされた死。 だが、れいむの悲劇はそこで終わらなかった。 「さあて、じゃあ次はまりさを……って、なんだこいつ? 死んでら」 男のひとりごとに驚き、れいむはまりさを見た。先ほどまで、自分と一緒に体当たりをし ていたまりさ。傷の痛みも気にせず、傷口が開いても体当たりをやめず、餡子が漏れても 、おちびちゃんを助かるためにがんばった。 「まりさ……まりさあああああ!!」 れいむの叫びを全身に浴び、しかしまりさはぴくりとも動かない。まりさはとっくの昔に 、出餡多量で「永遠にゆっくり」してしまっていた。 助けようとした子まりさは、結局「永遠にゆっくり」してしまった。結果からすればまり さの死は無駄に終わった。だが、それを誰が笑えよう。まりさは自分の命すら顧みず、子 供のためにがんばったのだ。 「やれやれ。ゆっくりした結果がこれだよ……ってか。まったく、さっきはあっさりつぶ れちまうし、今度は勝手に死ぬし。ゆっくりってのはどうしようもないな」 れいむは体中の餡子がカッと熱くなった。いまのれいむはお饅頭じゃなくて蒸したてのあ んまんのようだった。 この目の前の男は、家族を惨殺したのみのならず、立派にがんばったまりさを貶めたのだ 。 信じられない。許せない。 だから、れいむは叫んだ。涙を流しながら、それでも力強く、餡子の底から叫んだ。 「れいむたちだって……ゆっくりだっていきてるんだよ! こんなことしちゃいけないん だよ!」 言った。きっといままで口にしてきた中で、最も大事なこと。それを口にした。 れいむはある種の満足を覚えていた。誇りすら感じた。 生き物には命がある。命は大切なものだ。それを踏みにじってはいけない。 誰にでもわかる当たり前のこと。 それなのに、 「なんで?」 目の前の男は予想外のことを聞いてきた。 れいむには信じられなかった。 疑問に思ったことすらない、当たり前のこと。どんな頭の悪いゆっくりだってわかる常識 。それに男は疑問を唱えるのだ。 れいむは激昂した。 「ゆっくりだっていきてるんだよ!」 「ああ、よく知ってる」 「いきてるんだから、いのちがあるんだよ!」 「ああ、そのとおりだ」 「いのちはだいじなんだよ!」 「そうだな。命はかけがえのないもので、その重さは地球の重さに匹敵するとか言うから な」 「だから、たいせつにしなくちゃいけないんだよ!」 「うんうん、そうそう。ゆっくりにしてはかしこいな、お前」 当たり前のことを主張するれいむに、あっさりと理解を示す男。 れいむはわけがわからなかった。こんな当然のことをわからないから、男はあんなにひど いことをしたのだと思った。それなのに、男はちゃんとわかっているようなのだ。 男の得体の知れない様子に、恐怖がわきあがる。それを振り払うように、れいむは餡子の そこから叫んだ。 「ゆっくりだっていきてるんだよ! こんなことしちゃいけないんだよ!」 「だから、なんでそうなるんだよ?」 今まであんなにあっさりとれいむの言葉を肯定していたのに、最後だけ理解してくれない 。 れいむの餡子脳は混乱に包まれた。 男は首を傾げてしばし考え、そして何かを思いついたようにぱん、と手を打ち合わせた。 「あー、お前、勘違いしてるんだろ」 「ゆ?」 「ひょっとして、命はみんな平等に大事で、全ての命が大切……なんて、思ってる?」 「ゆ? ゆ? ゆううう……あ、あたりまえでしょおおおおおおお!?」 「永遠にゆっくり」してしまったまりさ、子れいむ、子まりさ。どれもかけがえのない命 だ。 命は平等で、どれも大切だ。そんな当たり前のことを、この男は理解してないというのだ ろうか。そんな愚かな男に、自分の家族は殺されてしまったと言うのか。れいむは自分の 中の餡子が再び熱くなるのを感じた。 「まあ、仕方ないか。人間だって勘違いしているやつは多いくらいだ。まして、ゆっくり じゃなあ……」 「なにが『かんちがい』なのおおお!? いのちは……」 れいむの言葉は最後まで続けられなかった。 「ゆううう!? なにこれええええ!?」 れいむの言葉をさえぎったのは、近くに住むゆっくりありすだった。番のまりさはいつも このありすと狩りに行っていたことをれいむは思い出した。きっと今日もいっしょに行く 約束をしていて、いつまで経ってもやって来ないまりさを心配して来てしまったのだろう 。 「ありす! にげ……」 警告は間に合わなかった。 ゆっくりでは認識できない速さ……しかし、人間としてはちょっとすばやく動いた程度で 、ありすはあっさりと男に踏み潰され、「永遠にゆっくり」してしまった。 「さて。たった今こうしてこいつは『永遠にゆっくり』してしまったわけだが……」 「どぼじでっ……どぼじでごんなごどずるのおおお!?」 「なに、ちょっとお前に教えてやるためさ。さっきお前、命は平等かって聞いたら当たり 前だ、とか答えたな。このありすの命も大切か?」 「ゆううう!? た、たいせつだよおお! ありすだっていきてたんだよおおお!!」 「ありすが『永遠にゆっくり』して、悲しいか?」 「あだりまえでじょおおおお!! かなしいよおおおお!!」 あのありすとは幼い頃からの付き合いだった。まりさと番になってから、まりさともども 交友は続いていた。ありすとの思い出が餡子脳内に蘇り、心が震えとめどなく涙が流れ出 した。れいむは心の底からありすの死を悲しんだ。 「で、さ。家族が『永遠にゆっくり』したのより、悲しいか?」 「ゆっ!?」 ありすとの思い出のフラッシュバックも、涙も、悲しむ心すらも。男の言葉によって止ま った。 確かに、ありすは幼馴染で大切な存在だった。しかし、家族が死んだことより悲しいかと 問われると……。 れいむは男の問いに答えることができなかった。いや、答えたくなかった。 押し黙るれいむを見ながら、男はうんうんと頷いた。 「そうだよな。家族が『永遠にゆっくり』した方が悲しいよな。当たり前のことだ」 「………」 「おかしいよな。お前、命は平等だって思ってるんだろ? それなのに、あのありすより 家族の方が大切だって思ってるわけだ。それって差別してるってことだ。平等じゃないよ な」 「ゆっ! そ、それはっ…!」 家族は大切だ。ありすは大切な友達だった。それらは比べられるものではない。それでも なお、どちらか決めなくてはならないとしたら……答えは決まっている。だが、それを口 にするのは憚られた。 「いいんだよ、そういうもんだ。知り合いにもいたよ。飼いゆっくりが死んで大泣きする ようなやさしいヤツなんだけどさ、遠くの国で何万人も死んだニュースが聞いていちいち 涙を流したりしない。涙どころか、ため息だって吐かないものさ。まあ、それが普通さ。 人間だってそうなんだから、ゆっくりなんてもっとひどいだろ?」 「ち、ちがうよ……いのちはたいせつで……ゆっくりだっていきていて……!」 「それはわかってる。で、生きている以上、他の生き物の命を犠牲にしているだろ? チ ョウやバッタをつかまえて食べたり、木の実や花を喰ったりしてる。それで悲しく思った ことがあるか? かわいそうだと泣いたことがあるか?」 「ゆっ……」 「ゆっくりって、飾りのないゆっくりを『せいっさい』したりするよな。それにゲスとか れいぱーとか、群れの平和を乱すゆっくりを『永遠にゆっくり』させるのも、珍しいこと じゃないだろ。あいつらも生きている。命がある。で、そいつらの命を、家族の命と平等 に扱えるか?」 「ゆう……ゆうう……!」 れいむは答える言葉が無かった。 ゆっくりは嘘をつけない。正確には、嘘をつきはするが隠すほどの知恵も器用さもない。 れいむの態度は明らかだった。男の言うことを餡子脳の中で肯定している。れいむは命を 差別して生きてきた。 一方で、命が平等であると言うことも間違っているとは思えない。 れいむの餡子脳は、この矛盾に大いに混乱した。 「なあ、お前、不思議に思ったことはないか? 命は大切。そして、平等。ゆっくりにだ ってわかる当たり前のことだ。実に道徳的で美しい言葉だよなあ。それなのに、誰もそれ を実践できていない。なんでだろうな。考えたことあるか?」 「ゆうう……わからない……わからないよ……」 「俺もガキの頃に悩んだりしたこともあったよ。でも、考えてみたら当たり前なんだよ。 カンタンなことだ」 「ゆうう!? なにがかんたんなの!? どうして、どうして、どうしてえええ!? み んないきてるのにいいい! いのちはたいせつなのにいいい! どうしてれいむはさべつ しちゃうのおおおお!?」 れいむの疑問に、男はひどく簡潔に答えた。 「命があるからだ。生きているからだよ」 あまりにシンプルすぎるその答えに、れいむは絶句した。 命がある。生きている。だから命が大切だということがわかるし、命が平等だと言う言葉 が大切なことだって理解できる。 それなのに、「命があるせいで命を平等に扱うことができない」なんて、矛盾している。 れいむは眉間に皺を寄せ、体中から脂汗を流して必死に理解しようとした。だが、餡子脳 をどれだけひねっても答えは出そうになかった。 男はそんなれいむの様子にやれやれとため息を吐き、説明を始めた。 「難しく考えるな。生きている。命がある。だから……誰だって、自分の命が一番大事な んだ。それは当たり前のことなんだよ」 「そっ……! そんなことないよ! れいむもまりさも、おちびちゃんのことばじぶんよ りだいじだったよ!」 男の言葉にれいむは反駁する。まりさは自分の命を賭して子まりさを救おうとしたのだ。 れいむだって同じだった。 だが、男はまったく揺るがず言葉を続ける。 「ああ、そうだな。厳密に言うと、自分と自分のまわりの命が大事ってとこかな。なんに しても、生き物は生きている。だから命の重さを考えるとき、まず自分を基準にしちまう 。自分の命と比べて、大事かそうじゃないか、って考え方になっちまう。そうすると…… どんなにがんばったって、命を平等になんて扱えっこないさ」 「いきているから……さべつしちゃうの……?」 「もし命がなくて物を考えることのできるやつがいたら、きっと命を平等に扱えるんだろ うな。もっともそいつにとって、命なんてきっと『平等に無価値』になっちまうんだろう けどな。ゆっくりのお前にゃわからないだろうけど、本当の意味での平等なんてろくなも んじゃないぞ」 「そんな……そんな……」 自分の中に漠然とあった、命に対する価値観。それを粉々にされて、れいむは呆然とした 。 ゆっくりと、あたりを見回す。 ぺしゃんこになった子れいむ。身体の中の全てを吐き尽くした子まりさ。死ぬまで子まり さを救おうとして力尽きたまりさ。 なによりも大切で、かけがえのない家族だったもの。 その命の価値は、なんだったのだろう。 「れいむたちだって……ゆっくりだっていきてるんだよ……こんなことしちゃいけないん だよ……」 男に言った言葉を繰り返す。最初に言ったときとは比べ物にならない、力のないつぶやき 。それに、男は答えた。 「お前らみたいな不条理饅頭、生きているのかどうかわからない。生き物だって認めない やつだっている。でも、俺は生きているって認めてやるよ。でも、その命はそんなに大切 なものだと思わない。なにやったって構わないと思ってる。だから、お前のその言葉に対 して言ったんだ。『なんで?』ってな。なんか面白いこと聞けるかってちょっと期待した けど、所詮ゆっくりはゆっくりだったな」 実のところ、男にとってゆっくりの命に大した価値がなくとも、れいむにとっての家族の 命の重さが変わったわけではない。 だが、れいむはゆっくり。ゆっくりは思い込みのナマモノ。今までは、自分たちの命を、 無根拠に無条件に価値有るものだと信じることができた。しかし今、男の言葉でそれでき なくなった。 だから、れいむはもう、ゆっくりなんて、できない。 れいむはがっくりとつぶれた。 「そんなに落ち込むなよ。俺なんてましなほうだぜ。世の中の大抵の人間は、ゆっくりの 命の価値なんてゼロだって言いやがる。でも、俺は違うんだ。ちゃんと価値を認めている 」 男の言葉に、れいむはのろのろと見上げた。 れいむはつかの間、場違いにもしあわせだったときを思い出した。初めておそとへのおさ んぽへおちびちゃん達を連れ出した日。あの日、おちびちゃん達はとても楽しそうに笑っ ていた。 男は、あのときのおちびちゃん達のような無邪気な笑みを浮かべていたのだ。 「ゆっくりの命は、俺にとって最高のオモチャだ」 れいむは絶望した。 男の笑みはあまりにも無邪気で無垢だった。だから、その言葉にひとかけらの嘘もないこ とがわかってしまったのだ。 自分はきっと、おそろしくゆっくりできない目に遭い、「永遠にゆっくり」してしまうだ ろう。それはもはや決定された未来だった。 れいむは、これ以上の絶望などどこにもないと思った。 それなのに、もう底まで着いたと思われた絶望をさらに加速させる音が聞こえてきた。 「こっちだよー! なにかゆっくりしないこえがしてたんだよー!」 「こっちにはまりさとれいむのおうちがあるのぜ!」 「むきゅ! これはむれのいちだいじね! けんじゃのぱちぇのでばんだわ!」 今頃になって騒ぎを聞きつけたゆっくりがやってきたのだ。 男の笑みが深くなった。それを見て、れいむは理解した。目の前のこの男は、この一帯の 群れのゆっくりの命を、「オモチャとして」存分に遊びつくすことだろう。 止めることはできない。そのための力はないし、そのための意志はとっくに折れている。 れいむにはなにもできない。 だから、れいむは。 叶いもしない願いをこめて。 ただこのひとときだけでも、と。 本能に従い、叫んだ。 「ゆっくりしていってね!」 了 by触発あき ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKI - 触発あきの作品集 http //www21.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/32.html 感想はこちらにいただけるとうれしいです 触発あき - ふたば系ゆっくりSS感想用掲示板 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1278666597/l50
https://w.atwiki.jp/akiko2/pages/114.html
設定メモ ~英数字~ 2008/11/1 設置 2010/5/22 COPY能力について改訂 COPY能力 分類 その他 説明 「Control Of Paranomal Yoke(超自然的権能の 支配)能力」の略であり、ある異能力の総称の一 つ。 種類は多種多様で、他の特殊能力を模倣したもの もある。一部の世界では、研究の進み具合や希少 性から「コモン」「アンコモン」「ユニーク」の 三種類に曖昧ながらも分類されることがある。 他の特殊能力と違い、「無理をして」使わない限 り明確な原動力を持たず、「普通に」使う範囲で ならば、何も消費せずただ思考したり簡単に動作 するだけで使用できる。どこまでが「普通に使う」 でどこからが「無理をして使う」なのかは、同じ 能力の同じ使い方でも能力者によって異なる。 発現する切っ掛けは「特定の強い感情から」「文 化や流行、思想に影響されて」「生れつき種族固 有のものとして持っている」など様々。 出典 名前の響きだけ星のカービィシリーズの「コピー 能力」から。 備考 -
https://w.atwiki.jp/soufro/pages/411.html
自由設定は、キャラクターのプロフィールとも言えるステータスです。 「キャラクターの生い立ち」の詳細や「好きなこと」「得意なこと」など、任意の言葉を入れることで、自由に設定を組み込むことができます。 自由設定を登録する際には、利用規約やマナーを守って行ってください。 用語辞典/さ
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/583.html
ゆっくりをかう まえおき 処女作です。見づらいところもあるかもしれませんが、ご容赦ください。 独自設定や他の方の設定を使っているかもしれません。 この作品内に虐待はありません。 「ゆっくりしていってね!」 ホームセンター内のペットコーナーに行くと、ケージに入っていたそいつらは一斉に叫んだ。それにつられて、他の客の方を向いていたやつらも俺に振りかえる。なにやら騒がしい生き物だ。 「ゆっくりしていってね!」 「あ~はいはい、ゆっくりしていってね」 「ゆ、ゆっくりしていってね!!」 物珍しさのあまり、返事をしてしまう。すると、ゆっくりたちも同じことを繰り返す。俺もうれしくなって、「ゆっくりしていってね」と返し続けると、ゆっくりたちも同じ ように鳴き返し続ける。――おもしろい。これがゆっくりか。 数年前に突如として現れた謎の生物「ゆっくり」。当初こそ人間の生首のようだと気味悪がられていたものの、人間のことばを話すという特性が人気に火をつけ、今ではペットとして犬猫を超えるほどに世間に認知されるようになっていた。事実、平日の夕方前だというのに、ゆっくりコーナーの客の数は多いように見えた。 僕はおもむろに一匹のゆっくりに近づく。そいつは虫かごに収まった小さなゆっくりだった。赤いリボンに二つのおさげ――おそらく、れいむという種類だろう。サイズからして赤ちゃんなのだろうか。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」 そいつは僕に気付くと、まだ舌っ足らずではあるが、ゆっくりらしくお決まりのせりふで鳴いた。 「おに~しゃん、れぇいみゅをかってね!」 「うおっ!!」 まさかアピールをするとは思わず、驚いてしまった。なるほど、このように自分の意思を伝えることができるところも人気の一つなのだろう。他のペットではこうはいかない。 ひとまず赤ちゃんれいむから目を離し、他のゆっくりも見てみることにした。なにしろ、ゆっくりを飼うのは初めてなのだ。初心者が育てるのには難しいものもあるらしいので、なるべく従順そうなのを選びたい。 「ゆっくりしていってね!」 とんがりぼうしに金髪のおさげ――まりさという種類だろう。大きさはバレーボールより少し小さいぐらいだが、黒光りする帽子はつんと天を向き、なんだか他のゆっくりよりも優秀なふうに見える。興味がわいて値札を見てみると、 「げ、五万円?」 とても僕のような貧乏学生には手の届く額ではなかった。それよりも、ゆっくりの値段に驚いた。たしか、実家で見た新聞広告には\298て書いてあったような気が…。 ――調べなおして出直してこようか、なんて考えていると、近くの男性店員さんが僕に会釈をした。 「いらっしゃいませ、お客様。何かお探しですか」 そうだ、プロに聞けばいいじゃないかと思い、私は素直に自分がゆっくり初心者で、何を買えばいいか見当もつかないことを伝えた。 「初めてのお客様でしたら、こちらの棚にあるゆっくりがお勧めですよ」 店員さんの言うがままについていくと、確かにそこには――ゆっくり風にゆうならゆっくりした――ゆっくりが多いように見えた。お決まりの「ゆっくりしていってね」以外に喋り出すこともなく、非常に落ち着いている個体ばかりだ。 「たとえばこちらのれいむ種でしたら、金バッジ取得済みなのでお客様自身で躾をされる必要もなく、とても飼いやすいかと思います」 店員さんが指さしたゆっくりを見ると、そいつは赤いリボンを身に付けたゆっくりだった。さっきの赤ゆっくりが成長するとこうなるのか――げ、八万円!? 「あの、も、もっと安いゆっくりはないですか?」 見渡してみると、居並ぶゆっくりはどれも数万円はするものばかり。昇天しそうになるのをなんとかこらえて尋ねてみる。それにしても、ゆっくりに対するイメージが変わってしまう金額だ。 「でしたら、こちらのまりさ種はいかがでしょう。先ほどのれいむ種と同じく金バッジ取得済みですが、出産の経験があるために、お安くなっておりますよ」 そういって見せられたのは先ほどのまりさ。「さっきのお兄さんだね! まりさをかってくれるの?」なんて、なんともキラキラした瞳で見つめてくる。そりゃぁ、買えるなら買ってみたいんだけどね…。 「あの~、もっと安いゆっくりはいないですか。金バッジとかじゃなくてもいいので、そんなにお金持ってないですし…。できれば500円くらいで」 「500円ですか? ああ、わかりました。どうぞ、こちらへついてきてください」 店員さんは僕の財布の中身を悟ったように頷くと、ゆっくりのコーナーから離れた方へ歩いていく。ついていくと、壁で仕切られた、表からはわかりにくい部屋があった。店員さんが手動のドアを開けると、途端にけたたましい鳴き声が聞こえ始めた。店員さんの手招きに応じて慌てて部屋の中に飛び込んでいくと、そこはまさしくゆっくりの巣窟のようであった。 いくつものケースの中に詰めるようにしてに入っているゆっくりたち。特に個体ごとに分けられているわけでもなく、お祭りのときに見かけるスーパーボールの夜店のように、とにかく数が多かった。ケースは防音されているようで、そいつらがおそらく一斉に「「「ゆっくりしていってね!」」」なんて言っても声は聞こえないが、何かが蠢いているようで見ていて気持ちのよいものではない。とりあえず値段だけを確認してみる。 ――通常種(しつけ無)、どれでも一匹200円。 ――しんぐるまざーせっと、980円(しつけ無。母れいむ1、子れいむ2、赤れいむ4) ――まり×あり(つがい・銀バッジ・餡統良)、9000円 確かに、値段は表のに比べて格安だ。これなら十分に買える。しかし、買えるとなると途端に迷いだすもの、安くてなるべく良いものを買いたいが、いまいちよくわからない。素直に聞いてみた。 「そうですね、初めてでしたらなるべく躾済みのほうが飼いやすいのですが…。これとこれはいかがでしょう?」 店員さんが指さしたケースは、ゆっくりの種類ごとに分けられていたケースだ。値段を確認すると、「子ゆっくり(しつけ済)、どれでも2000円」、「赤ゆっくり(しつけ無・餡統良)、どれでも700円」だ。 「躾済みのものでしたら、こちらが最もお安くなっております。また、躾がされていなくとも、金バッジ取得経験のあるゆっくりの餡子を引いている赤ゆっくりであれば初心者の方でも躾がしやすいと思いますよ」 「餡統良ってのは、そういう意味なんですね」 「はい。こちらは加工所(株)の新製品でして、優秀な赤ゆっくりを求められるお客様のニーズに合わせて開発されたもので、大量生産化を実現することで価格をここまでおさえることができたんですよ!」 僕は迷った末、躾済み(まりさ)の方を買うことにした。まりさ種を選んだのは、五万円のまりさに愛着があるからだろう。それでも少し痛い出費ではあるが、飼いやすさの方が安さに勝った。一から躾をする自信はない。 そして、まりさを包んでもらうと、他の関連グッズを進めてくる店員さんを振り切って、店を出た。こうして、俺は念願のゆっくりを手に入れたのだ。 家に着く頃には、すっかり陽も傾いていた。さっそく箱を開けてみる。某ドーナッツ店の形状のそれを開けると、敷き詰められた綿の上で子まりさが穏やかな寝息を立てていた。頬をつついてみると、「ゆぅ、ゆぅ」と二ヤケ顔で声を漏らす――少しいじめたくなって、耳元(?)で「ゆっくりしていってね!」と叫んでみた。 「ゆっ!? ゆっくりしていってね!」 驚いたのか、目をくわっと開けてまりさは飛び起きた。 「ゆ、おにいさんはだれなんだぜ?」 「お兄さんは鬼意山だよ。まりさは僕が買ったんだ」 「ということはおにいさんはまりさの飼い主さんなんだぜ、ゆっくりしていってね!」 「ああ、ゆっくりしていってね!」 予想していたよりもしっかりしていたゆっくりだったので、僕は嬉しくなる。手の平に乗せようとしたときに掴みにくかったので帽子をとると「ゆっ、まりさのおぼうしが!!」とベソをかきはじめたが、すぐに戻してやり、手の平に乗せてやると「おそらをとんでるみたい。ゆゆ、おにいさんのてはゆっくりできるんだぜ」なんて機嫌もなおり、頬を擦りつけてくる。あまりのかわいさに、まりさに負けず劣らず僕の顔も二ヤケてくる。こうしてしばらく遊んでいると、あっというまに陽も暮れ、夕食時になっていた。 「まりさ、おなかすいたかい?」 「とってもすいたんだぜ! まりさはごはんさんを食べたいんだぜ!」 ご飯がでてくると思ったのか、まりさは涎を垂らしながら、心ここにあらずといった感じだ。ちなみに僕の夕食は焼きそばで、それをまりさの餌にしてもよかったのだが、犬猫のように食べれないものがあってはならないと思い、インターネットで調べてみる。 「なになに、なんでも食べるが、辛いものはダメと。あと、あまりにもおいしいものを与えると他の餌を食べないようになってしまう……犬みたいだな。まぁ、今夜は野菜でいいか」 自分の食事の準備が済むと、残しておいた焼きそばに使う野菜をまりさの皿に盛った。 「むーしゃむーしゃ……ししし、しあわせぇぇぇぇぇ!!」 どうやら気に入ってくれたようで、まりさは涙を流しながら野菜を頬張っていた。そんなにおいしいものかと、まりさに聞いてみた。 「ペットショップでは何を食べてたんだい?」 「ゆっ、まりさはゆっくりふーどさんを食べていたんだぜ、むーしゃむーしゃ、しあわせぇぇぇぇぇ!!」 「それはおいしいのか」 「おいしかったんだぜ。でもぱさぱさしていたんだぜ、おにいさんのごはんさんのほうがしあわせなんだぜ!」 そう言って、まりさはむさぼるように野菜に食らいつく。少し贅沢させすぎたかなと心配したが、まりさの幸せそうな顔を見ているとその不安も吹き飛んでしまった。しばらくすろと、まりさはしっかりと完食した。食後はまりさを膝の上に乗せてテレビを見ていたが、しばらくすると「ごはんさんをたべたからねむいんだぜ。まりさはねるのぜ」と呟くとすぐに「すーやすーや」と寝息をたてはじめた。 とくに寝場所を用意していなかったので、買ってきたときに入っていた箱の中にまりさをいれると、綿を上からかけてやると、僕も寝床についた。なれないことに疲れていたのか、僕の方もすぐに眠りこけてしまった。 ――こうして、まりさと僕の生活は始まった。