約 109,481 件
https://w.atwiki.jp/millionbr/pages/67.html
アイドル活動をしてるんだが、もうアタシは限界かもしれない アタシの名前は舞浜歩。 ナンバーワン目指して、得意のダンスを武器にして日々頑張ってるアイドルさ。 まだまだ苦手な事も多いけど、頑張って乗り越えて、いつかは皆が憧れる存在に! 「はぁ……」 ……って、思ってたんだけどなぁ。 誰もいない街中で1人、アタシは溜め息をついた。 溜め息をつくと幸せが逃げる、ってよく聞くけど、正直今だけは勘弁してほしい。 実際、今のアタシに逃げるような幸せもないんじゃないかな……とさえ思っちゃったりして。 「殺し合い、かぁ……」 ぼそりと呟いた、物騒な言葉。それこそが、アタシを悩ませているものの正体だった。 アタシもまだ実感しきれてはないんだけど、今、その言葉通りのヤバい事態に巻き込まれてる、らしい。 たった1人になるまで、他の皆と殺しあわなくちゃいけない。何かの比喩とか冗談でもなんでもない、本気の。 ありえない? うん、アタシもそう思いたいんだけどね……。 「………うぇ」 思い出しちゃって、思わず口を押える。 あの時目の前で流れた、その……社長の首輪が、爆発した映像。 首の上が無くなって、グロテスクな姿になって。高木社長は、死んでしまった。 あんな映像をみちゃったら、とてもドッキリと思う事はできない。 だから、これも現実だと認識するしかなかった。嫌だけど。絶対に嫌だったけど。 「あー……まぁ百歩、いや一万歩譲っても、さぁ」 一度、気を取り直す。 口ではそう言っても、正直な話一歩も譲りたくない。理解はできても、納得なんて到底できないし。 ただ、今のアタシにはそれ以上に深刻な当面の問題があったわけで。だから、一旦置いとく。 背負っていたバッグを下ろし、開ける。 「ヂュッ」 と同時に聞こえてきた、可愛らしい(?)鳴き声。 アタシのバッグの中にいたのは、一匹のハムスター。その姿には、馴染みがあった。 確か、同じアイドル仲間の我那覇響がいつも連れてたハム蔵……だっけ。そんな感じの名前のペット。 その子が、このバッグに入ってた。これにも色々言いたいことはあるけど……まぁ、それもひとまずスルー。 「ヂュッ?」 中にいたハム蔵をそっと外に出して、他の中身を確認する。 水の入ったペットボトルに、缶詰。うんうん、必需品だね。 懐中電灯と、方位磁石。道に迷ったら困るし、夜には確かにいる。 この赤い十字架が書かれてるのは救急箱かな。少しくらいのケガなら、なんとかなるかな。 で、あとは携帯みたいなの。電話とかはつながらないみたいだけど、色々と大事な機能が入ってそう。 そして……うん、それだけ。何度見ても、それだけ。 「………」 黙りこくるアタシを、ハム蔵は怪訝な表情で見つめてる……ような、気がする。 仕方ないのかもしれない。ここに鏡はないから分からないけど、多分今のアタシは怪訝な顔をしてると思うし。 現状を冷静に理解し、率直に言わせてもらうと……今のアタシには武器がなかった。 あの時、武器類が支給されるって言っていたのにもかかわらず、だ。 強いて言うのなら、ハム蔵がいわゆる『武器等』に該当する支給品、って事になるのかな、うん。 「………………」 すっと、立ち上がり。 周りに誰もいないことを確認して、アタシは大きく息を吸って。 「こんなんでどうしろっていうんだよーッ!?」 思いの丈を、思い切り叫んだ。 「ほとんど手ぶらじゃんか! オーマイガー!!」 怒りを声に出しても、誰も返してはくれない。むなしい。 そんな静けさが、よりアタシの怒りを増幅させてるような気がした。 本当に、わけがわからない。殺し合いさせるなら、せめてそれなりのもの用意するべきだと思う。 こんなところでも、アタシはいじられ役なのか? ああ、誰かの嘲笑が聞こえる……。 「くそー……なんでアタシだけ……」 未だに収まらない微妙な感情で、ぶつくさと呟くアタシ。 傍からみたら、きっと今のアタシはとてもみじめに見えてるんだろうな……。 あぁ、ダメだダメだ! 卑屈になるな、アタシ! 大体、アタシだけじゃないだろ。他の皆も多分、苦しんでて、一生懸命に頑張ってるはずなんだ。 情けない考えはやめて、前を向かないと。 「ホント、どうして……」 そう考えて、なんとか冷静を取り戻せてきた。ただ、その代わりに別の感情があふれてくる。 情けない話だけど……哀しい、というか。悔しいというか。 だって仕方ないじゃん、いきなり投げ出されて、殺し合いをしろ、だよ? ――ほかでもない、一番信頼していた人の手で。 「どうして、なんだよ……プロデューサー……っ」 口に出た疑問に、答えは返ってこない。 いつも一緒に頑張ってきたと思ってた、アタシ達のプロデューサー。 失敗も多かったアタシの事も、気にかけてくれたし、勇気づけてくれた。 だから、ずっと味方だと思っていたのに……この場所に突き落としたのが、その人だった。 結局、アタシの思い違いだったのだろうか。アタシの思っていた程に、絆は築けていなかったのか。 どんどん広がるマイナスな感情を、全く否定できずにいた。 「……真は、どう思ってんのかな」 ふと思い浮かんだのは、いつもダンスの練習をしたりして意気投合してた、仲間の事。 そういえば、真も結構プロデューサーの事を好意的に思ってたような気がする。 今、どう思ってるんだろう。さすがに、ショックを感じてるとは思うけど。 ……それでも、しっかりと反抗するんだろうなぁ。真は、芯が強いし。 きっと、どこまでもまっすぐに想い続けるんだろう。アタシは、それが少しうらやましく感じた。 「………はぁ」 それに比べて……と、また溜め息をつく。 アタシは、どうしたいんだろう。 武器がないのもそうだけど、仮にあったとしても『よし殺そう』なんて決断もできなかっただろう。 今だって『どうしたいか』すら分からない。今から、何をすればいいのか、何ができるのか。 悩んでも悩んでも、答えは出そうにない。アタシは、ますます参ってしまって。 「ジュッ!」 そんなアタシの肩に、ハム蔵が駆け上ってきた。 耳元で、せわしなく鳴いている。 そのしぐさは、なんだかアタシに話しかけてるようにも思えた。 「……慰めて、くれてるのか?」 その疑問に返ってくる言葉も、やっぱり鳴き声。 当たり前だよな……と、そんな反応にアタシは苦笑する。 ちょっとでも動物と話そうとしてた自分が、おかしく感じて。 暗い気持ちも、ほんのちょっとだけマシになったような気がした。 「はは……いや、落ち込んでても始まらないよな」 何を言ったのなんてわからないし、実際大した事は言ってないのかもしれない。 でもまぁ、とりあえずアタシは好意的に受け取っとく事にした。 落ち込んでたって、何も始まらない。なんにせよ、ここで終わるわけにはいかないんだから。 「ハム蔵だって、ご主人がいなくて不安だと思うし……早く、会わせてやんないと」 まさか、響も自分のペットがこんな場所に巻き込まれてるとは思ってもないだろうし。 今どこにいるのかはわからないけど、さっさと会わせてあげたいよね。 殺し合いの場……なんて言っても、あの響が殺し回るとは思えない。 どちらかといえば、混乱して「うぎゃーっ!」とか言ってた方がらしいんじゃないかな、なーんて。 「……プロデューサーには悪いけど、やっぱりアタシには無理そうだよ、殺し合い」 そんな、悪く言ったら日和った事ばっかり考えてる自分がいて。自分の想いもなんとなくまとまってきた。 前提として、アタシは死にたくない。こればっかりは仕方ない。 でも、かといって生き残るために誰かを殺す……のも、多分無理だ。 一緒に頑張ってきた大切な仲間を、裏切ることなんてできそうにない。 じゃあどうする、なんて具体的な方針はまだないんだけど。 だから、だからアタシは――― 「暫くは様子見かなぁ……うん」 肩に乗ってたハム蔵がずっこけた……ように、見えた。 いや、仕方ないじゃんか。考えても答えがでないんだから。 というわけで、とりあえず先送りにすることにした。こんな状況でパッと決められる方がすごいんだって。 そもそも、他の皆だって乗ると決まったわけじゃない。もしかしたら、誰かが脱出の糸口をつかんでたりするのかも。 まだ焦る時間じゃない。うんうん、暫くは流れに身を任せてみよう。 ……うん、情けないのは分かってるよ。ちゃんと少しは考えるから……。 アタシは誰に宛てたものでもなく、心の中で言い訳をしていた。 「でも、せめて身を守るものぐらいは欲しいよなぁ……」 そんな事を考えていたって、現状が変わるわけでもなく。 今のアタシに武器がないのは、揺るがない事実だった。 仲間を信じたくはあるけど、それはそれとして襲われた時に抵抗できるようなものがほしい。 さて、どうしたものか……と思ったところで、ハム蔵がまた鳴き始めた。 「ヂュッ、ヂュッ!」 「ん、どうしたハム蔵?」 その姿は、何かを伝えようとしてるのかな。 もしかしたら、エサの催促だろうか。ハムスターが何食べるかなんて、知らないんだけどなぁ。とか考えてるアタシをよそに。 なんとなく、どこかを指差してるように見える。その方向に視点を移してみると……大きな建物があった。 「ショッピングモール? ……あ、そっか!」 その建物を見上げて、アタシは気づいた。 「ないんだったら、ここで調達すればいいんだよな!」 そういえば、この島には街があるんだから、店ぐらいあるのは当たり前だよね。 結構そのまんまになってるっぽいし、こういうところを覗いてみれば、案外役に立つものが手に入るかも! 「よし、そうと決まれば早速探索だ!」 善は急げ。やることを決まったならささっとやってしまおう。 まずは現地で武器を調達。そのあとは……まぁ、その時に考えよう。 少しばかり元気の入った足で、アタシはショッピングモールへ入っていった。 * * * 「………ヂュッ」 そんな歩の事を、『やれやれ、大丈夫かな』という目でハム蔵は見ていた……かも、しれない。 【一日目/朝/H-3】 【舞浜歩】 [状態]健康 [装備]なし [所持品]基本支給品一式 [思考・行動] 基本:死にたくない。でも、殺し合いにものれない。どうするかなぁ 1:とりあえず、ショッピングセンターで武器になるようなものを探す 【ハム蔵】 [状態]健康 [装備]なし [思考・行動] 基本: ??? 【ハム蔵】 舞浜歩に支給。 我那覇響が飼っている数多くのペットのうちの一匹。その名の通り、ハムスター。 人間のようなリアクションを取ったり、響に対し的確なアドバイスを送っていたり、 他のアイドルの演技指導なんかもこなしたりと、とても普通のハムスターとは思えないほど多才。 Getaway 時系列順に読む ラフ・メイカー Getaway 投下順に読む ラフ・メイカー GAME START! 舞浜歩 最近、同僚のようすがちょっとおかしいんだが。 ▲上へ戻る
https://w.atwiki.jp/14sure74/pages/216.html
「またか・・・っ!」 そう言って、私は舌打ちをした。 漂っているという言葉が似合うような、不愉快な感覚が私の全身を支配していた。 「ちっ! この、音が・・・っ!」 小さな金属が回転して擦れ合うような甲高い音が、頭の中に響く。 脳内を掻き回されているような、頭痛と吐き気を伴う不快感に襲われ、私は耳を塞ごうとする。 しかし、身体は依然としてあの不愉快な浮遊感に支配されていて、動く気配を見せなかった。 私にそもそも身体と呼べる物があったのかさえ疑わしくなるほどに、動かなかった。 「くそ・・・っ! くそ・・・っ! くそぉ・・・っ!」 私は全ての不快感を吐き棄てるように悪態をついた。 現状、唯一私が自由に出来るのは意識だけだったからだ。 「くそ・・・っ! どうして・・・っ! いつも・・・っ!」 自分の身体が全く思い通りにならない、それが何故か悔しくて堪らなかった。 「――っ!!」 唐突に視界が開けた。 「また・・・かっ!」 開けた視界に広がっていたのは、沢山の『人間』という生き物が居て『家』という木造の物体が立ち並ぶ、『町』という光景だった。 「っ!?」 その光景に私の意識が一瞬だけ集中した隙に、『人間』の一人が視界に大きく映し出される。 「しま・・・っ!!」 私が全てを言い切るよりも先に、あの嫌な高音が響き出した。 「やめっ・・・うぁぁ・・・っ!!」 その直後、私の意識の中に、目の前に広がる光景とは別の光景が広がり出す。 そこでは、目の前の『人間』が映し出されていた。 「ぅぐっ・・・や・・・やめ・・・ろっ!」 激しい頭痛と吐き気に見舞われながら、私は叫ぶ。 しかし、今まで唯一に出来ていたはずの意識は、まるで言う事を聞かなかった。 途轍もない喪失感に打ちひしがれながらも、私は叫び続ける。 「やめ・・・ろっ・・・! やめ・・・ろぉ・・・っ! みせ・・・るな・・・っ!」 叫び続けている間も、私の意識は『人間』を映し続けていた。 意識に映っている『人間』は、視界に映った『人間』と同じ服装、同じ顔つき、同じ体付きをしていた。 違うのは、意識の中に映っている『人間』は、切り立った崖を歩いているという所だけだった。 「やめろ・・・もう・・・映す・・・な・・・っ!」 私は必死に叫び続けた。 このままでは、更なる不快感に見舞われると直感していたからだった。 しかし、意識はずっと『人間』を映し続ける。 「やめ・・・ろっ・・・や・・・めろぉっ! ・・・行く・・・なっ・・・! やめ・・・ろっ・・・もう・・・行く・・・なっ!」 気付けば私は、意識の中の『人間』に叫びかけていた。 更なる不快感に見舞われると直感した直後、何故か崖を行く『人間』が気になって仕方なくなったからだった。 私の叫びなど、聞えるはずがないだろう。 それでも何故か私は叫びかけずには居られなかった。 「やめ・・・っ! その・・・先はっ・・・!」 意識の中の映像が滲み出していく。 視界も滲み出していく。 「イヤ・・・・だ・・・っ! 行く・・・なぁぁっ!!」 意識の中に映る『人間』に声が届かない。 それが無性に悔しくて、悲しくて。 私が今込められる全てを賭けて叫んだ時だった。 「――っっ!!?」 意識の中の『人間』が、消えた。 岩が剥がれ落ちるような乾いた音と共に消えた。 直後、私が私足りうる全てを抉り取られたような喪失感に見舞われた。 「っぅああああああああああああああああああぁぁぁっっ!!」 喪失感に耐え切れず、私は叫んだ。 大型巨獣の雄叫びかと自らも錯覚するほどに、大きな声で叫んだ。 「――ぅぶっ!?」 不快感が目が回るような吐き気となって私を襲った。 「げほっ! がっ! う゛ぇっ! う゛ぇぇぇっ!」 吐き気に身を任せるように、私は吐いた。 なにを吐いたのかは、何故かよく分からなかったが、酷く悲しく、悔しく、やるせない感じがした。 「・・・何故・・・だ・・・っ!」 激しく澱み、ぐらついた意識と視界の中、私は呟くように問い掛けた。 「何故・・・こんな・・・物を・・・見せるっ!」 この感覚の、最後に決まって姿を現す『人間』に向かって私は問い掛けた。 「何故・・・私に・・・っ! 私に・・・どうしろと・・・っ! 私を・・・どうしたい・・・っ!」 その『人間』が、何故決まって最後に姿を現すのかは分からない。 そもそも、この事態がその『人間』の仕業である確証もない。 だがしかし、私にはその『人間』の仕業である気がしてならなかった。 「お前さえ・・・居なければっ! 私は・・・こんな・・・こんなっ!」 決まって最後に姿を現す『人間』は、やはり今回も姿を現した。 そして、やはり今回もただ黙って見ているだけで、答えようとしなかった。 私はそれが何故か悔しく、憎たらしく、悲しく感じていた。 「答えろっ! お前は・・・お前は・・・お前はぁっ!」 少しずつ姿を消していくその『人間』に、私は叫ぶ。 その『人間』の名前を、私は叫ぶ。 「――答えろっ!!」 その『人間』の名前は・・・。 ~~~~ 「――――っっ!!」 叫ぶと同時に、視界が暗転して不愉快な感覚が身体から消えていく。 変わりに熱っぽく重たい感覚が私を襲う。 私はその感覚が自らの身体から発せられている物であることを悟り、試しに右手に力を込めてみた。 すると私の右手がゆっくりと、握り締められていく感覚を感じることができた。 小さく安堵の溜め息をつきながら、私は作った右拳で額を軽く拭う。 じっとりとした不快な汗が拭った甲に広がったのを感じ、私は軽く舌打ちをした。 それから、私は意識の中に僅かに残っているあの不快感を払拭すべく、直前の自分の行動を思い出すことにした。 (・・・この横穴で眠りについた。 ・・・だな。) 私は、眠りについてからどれぐらいの時が経ったかを推測してみることにした。 (・・・1時間と言った所か。) 休息というには流石に短すぎるだろう。 しかし、元々長くこの場にいるつもりもなかった私は、この場を発つことにした。 (眠りにつく気にもなれないしな・・・。) ゆっくりと立ち上がると、汗で濡れていたのか服がべったりと身体に張り付いてきた。 (ええいっ、鬱陶しいっ。) まとわりつくようなおぞましさと肌寒さに悪態をつきながら、軽く柔軟体操をして身体をほぐす。 それから素早く身支度を整えて、私は歩き出した。 そして外へ出た瞬間、サングラスの隙間からわずかに差し込む光が、いつもより強く感じられた。 「・・・満月、だったな。」 満月の日は普段よりも周囲が明るく照らされるため、この星に生きる物、とりわけ『人間』の多くは満月の光を有難がった。 視界が少しでも利いた方が、事前に危険を察知しやすいことがその理由だ。 だがしかし、本当の所は違う。 この星に『人間』の多くは、色彩のある光景に異常とも思えるほど固執していた。 そんな物達にとって、色彩の元とも言える灯りのない状況はとても耐えられる物ではないのだ。 (・・・くだらんな。 灯りのある状況など、厄介なだけだ。) 私は大きく溜め息をつく。 私にとって満月の光は在り難い所か、はた迷惑な物でしかなかった。 視界が利きやすくなろうが、私には関係がない。 なぜなら、私の視界は常に瞼の裏にある光景を映しているからだ。 記憶している限り、私の視界は殆ど黒一色の、色彩のない光景が広がっていた。 たまに色彩のある光景が映る時は、決まってあの激しい頭痛と吐き気に見舞われていた。 (誰かに見つかると面倒だ、さっさと・・・!?) 出発しようと思った時だった。 私は遠くの方に『荷馬車』が地を駆ける音を聞いた気がした。 私は咄嗟にしゃがみ込み、地面に耳を近づける。 すると風の音に混じり3、4台の『荷馬車』が、此方へ近づいてくる音が聞き取れた。 どうやら、かなりの速さで移動しているようで、このままではすぐにでも接触することになるだろう。 (くっ! 迂闊だった!) 今私が居る場所は、絶壁が両脇を塞ぐ長い渓谷の中腹だ。 しかも、この場所は南北に真直ぐ伸びた、光の差し込みやすい長い直線であり、身を隠せるような場所は殆ど存在しない。 従って、このままでは必ず発見されてしまうだろう。 (ちぃっ・・・! せめて、満月でなければっ!) 視界の利かない普段の夜ならば、急いで横穴へ飛び込み入口を塞いでやり過ごすこともできただろう。 しかし、満月の光で明るく照らされている今では、万が一という可能性がある。 もしそんなことになれば、自ら墓穴を掘ってしまいかねない。 (私としたことが、無警戒に飛び出してしまったばかりにっ! くそっ! これも全て、あのっ!) 横穴を出る時に警戒を怠った自身が悪いことは百も承知だが、私はあの現象のせいにしたくて仕方がなかった。 悪態を付いた後、私は気持ちを切り替えるため大きな溜め息をついた。 (やり過ごせないのなら、見極めなくては。) もう間もなく接触するであろう『荷馬車』の集団に向けて、私は全ての注意を集中させる。 アレらが私に害なすことができるかどうか、それを見極めるためだ。 もし、私にとって障害となりえるものならば先手を打っておきたい。 さっさとケリをつけるに越したことはないし、長引けば面倒なことになるからだ。 (・・・来るっ。) 車輪が回る音の高まりからそう推測し、私は身構える。 その直後、2台分の『荷馬車』の音が私の両脇を横切り、背後で地面を削る音を出す。 次いで、1台分の『荷馬車』が私の前で同じように地面を削る音を出した。 (止まったか。 ・・・停車音から考えると荷台は小さいが、中身は入ってそうだな。) かなりの速度を出していた所から見ると、荷台の中にはなにか重要な物が入っているのかもしれない。 いくら満月の夜とはいえ、普通はあれほどの速度で走ることはない。 もし、予想通りに重要な物が入っているとして、そんな物を運んでいるにも関わらず止まったということは・・・。 (ちっ・・・。 コイツら、人目に触れると厄介な代物を運んでいたのか。) 単なる貴重品ならば、目的地まで急ぐ方が優先されるはずだから、私など構わずに走り抜けるか、止まるとしても直前で止まるはずだ。 それなのに、この集団は私を取り囲むように止まった。 輸送の現場を目撃した者を始末しなくては、後々面倒なことになりかねないと判断したに違いない。 停車してすぐに松明に灯を燈す音が全方位から聞こえてきたことも併せると、まず間違いないだろう。 (数は、12人か。 ・・・面倒だ、まとめて叩き斬ってしまえ。) 人目に触れられたくない物など、まとめて始末してしまっても問題はないし、もし問題があったとしても私には関係のないことだ。 それになにより、アイツらの視線が何故か私の胸元や下腹部に集中していて、全身をなめずり回されているような感じがして気持ちが悪い。 私は一応の警戒をしつつ、武器に手を伸ばした。 その時――。 #02へ ACT-02へ
https://w.atwiki.jp/maniac_theater/pages/68.html
うちの座敷わらし <3> しばらく茉莉華のおなかをさすってやっているうちに、茉莉華がうとうとしてくる……だいたいいつもそうだ。 高貴は茉莉華が完全に眠るまではそのままにしておいて、その後にそっと抱き上げて茉莉華用の布団に運ぶ。 ――のだが、高貴が不意に着けたテレビ、ちょうどそれが料理を紹介している番組だった。 それに気付いた茉莉華はパッチリと目を開けると、一生懸命起き上がろうとする……が、おなかが邪魔で起き上がれない。 それをクスクスと笑いながらも高貴が手助けしてやって、やっとの思いで起き上がった茉莉華。 もう番組で紹介されている料理に釘付けだ……。 番組は、食欲の秋特集と題していろいろな料理やスイーツを紹介していく。 おなかが苦しい所為で普通に座るのもつらいはずなのに、レポーターが美味しそうに食べている様子に茉莉華の口も自然と開いている…? 「……茉莉華…ヨダレ垂れそうだぞ?」 高貴に言われてハッと我に返る茉莉華に、高貴は笑いが堪えきれなかった。 「しょっ…しょうがないでしょ!? おいしそうなんだもんっ!」 顔を真っ赤にして言う茉莉華がまた可愛くて、高貴はいじめずにはいられなくなる。 「そんなおなかして…よく言うよ、まったく」 高貴の言っていることは間違っていない。 さすがに、それは茉莉華も分かっているようで、言葉に詰まった。 「……少しは楽になったの?」 高貴の言葉に、茉莉華は自分のおなかを…改めて具合を確認するように撫でながら、 「……うん、たぶん」 見た目には少しも変わった様子はないのだが、本人がそう言うのなら先ほどよりは楽になったのだろう。 説得力は皆無だが。 とりあえず、料理番組を見てヨダレを垂らしそうになるくらいの食欲は健在らしい。 テレビで新しく料理の画面が写るたびに熱い視線を向けているし。 「……まだ食べたいのか」 溜め息混じりの高貴の言葉に、 「美味しいものなら、いつだって食べたいよ?」 と真顔で答えた茉莉華。 「せめてその目立つおなかをひっこめてから言ってくれよ……」 「うう~…そんなこと言ってもすぐには無理だもん」 そう言いながら茉莉華は自分のおなかを一生懸命さすっている。 その言葉どおり、急にすべて消化するなんてさすがに出来ないようだが、それでも食欲は旺盛らしい。 「ていうか、食べれるのか?」 「え?」 高貴の質問の真意を分かりかねる様子の茉莉華に、 「食べたいんだろ?」 「それは…うん」 その言葉を聞いて、高貴は口元に意地悪そうな笑みを一瞬うかべると、 「なら、なんか用意してやろうか?」 「……え???」 思いもよらなかった高貴の言葉に、茉莉華はビックリした表情のまま戸惑っている。 「いらないならいいけど…ね」 「ちょ…っ、本当に食べさせてくれるの!??」 せっかくのチャンスを逃すまいと聞き返す。 その答えが最初から分かっていたように、高貴は笑いを堪えつつ、 「……食べられるならね」 溜め息混じりの言葉に、茉莉華は即答した。 「食べれるよ!!」 ……自信満々で答えてはいるけど、無理だろ? そう言いたいところを高貴はぐっと我慢し、 「じゃあ、ちょっと待ってて?」 そういい残し、台所へ向う。 その後姿を唖然とした表情で見送る茉莉華。 答えはしたが、本当に食べれるのかどうかは…自分でも自信がなかった。 さっきまで息をするのもつらかったくらいだし、相変わらずおなかはパンパンに膨らんでいる。 少し動くことすらつらいのに……。 だが、今更食べれないなんて言う気はなかった。 「だって…食べたいもん……っ」 ぽそりと呟きながら、高貴が戻ってくるのをおとなしく待つことにした。 まるで自分のおなかに言い聞かせるのように…少しでも食べ物を受け入れる隙間を作るべく、必死でおなかをさすりながら――。 しばらくして、台所から甘い匂いが漂ってきた。 これは…茉莉華が好きなおやつの一つ、ホットケーキの匂いだ。 茉莉華は、それに気付いた瞬間から食欲中枢を刺激された…気がした。 もう頭も口もホットケーキを期待している。 問題はこのおなかに詰め込めるかどうか、だ。 夕食から少し時間が経ったので、楽にはなったが……とても更に食べられる状態ではないだろう。 茉莉華本人がどう感じているかは別として。 それでも高貴が運んできてくれるであろうホットケーキを心待ちにしている。 おなかをさすりつつ、テーブルに向かい座り直す茉莉華。 おなかがつかえるので少しテーブルとの距離はあるが、そんなことは問題ではない。 わくわくしながらホットケーキを待つ茉莉華は、もうすっかり食べる気満々である。 食べれるだけ、詰め込めるだけ…食べたいものを食べたいだけ食べる、食欲に支配された茉莉華のそんな思考は高貴には筒抜けだ。 高貴は手早くホットケーキを焼き、三枚重ねに皿に盛るとバターとメープルシロップをかける。 そして、紅茶を煎れて大きめのマグカップに注ぎ…ホットケーキと共に茉莉華の前へ置いた。 ふわっと甘い香りと紅茶の良い香りが漂う。 「本当に食べれるのか?」 一応訊ねてはみたが、茉莉華はすっかり食欲全開の笑顔で頷いた。 「うん! いただきまぁす」 器用にフォークとナイフを使って切り分けると……大きく口を開け、ぱくんと一口。 もごもごしながらも幸せそうな満面の笑顔になる。 「……すごいな…」 感心しているわけではなく、呆れているのだが…まぁ、すごいことには変わりない。 三枚を重ねたまま切って食べている様子は、満腹状態を微塵も感じさせない。 高貴も一緒に紅茶をすすりつつ、しばらく茉莉華の食べっぷりに見入っていた。 が、茉莉華の食べるペースがどんどん遅くなり、 「…う…っぷ……」 半分くらい食べたところで茉莉華の手が止まった……? やはりそう食べれるはずもなく、苦しそうな表情に変わっていく。 高貴もそれを見越していつもより少な目に作ったが、それでも思った以上に食べてくれた方だろう。 「もう無理だろ?」 「そ…そんな…こと…げふぅぅ…ぅぷっ」 言い返そうにも言葉にすらならない。 実際、口に入れても喉と胃が受け付けないような状態のようだ。 茉莉華も認めざるを得ない――もう限界だと。 「…はぁ…はぁっう…はぁ…」 皿に残るホットケーキを見つめつつ、苦しそうに息をする茉莉華。 手に持ったフォークの一口がどうしても入らない状況らしい。 「はいはい、もうそのくらいにしておけ…茉莉華」 見かねた高貴は、茉莉華からフォークを取り上げ、残りのホットケーキの皿も下げることにした。 「え…はぁ…ま…まだ…た…食べれ…ぅぷっ」 「無理だろうが」 どうしようもないくらい食欲の化身のような茉莉華には、言い聞かすより限界まで食べさせた方が早い。 そう思ったのだが…どうやら逆効果だったかもしれない。 かえって食欲を煽ってしまった……そう考えつつもさっさと皿を片づける。 当然茉莉華はその場から動くことも出来ず、 「……げぇふぅぅぅ…っ」 大きく苦しそうに一息吐き出すと、そのままパタンと倒れるように横になった――。 続く
https://w.atwiki.jp/tsvip/pages/629.html
「一体何なんですか博士……いきなり実験だなんて、僕は何も聞いてないですよ?」 「そりゃ何も知らせておらんからの」 「……あのですね……」 いつもと変わらず掴み所のない様子でかんらかんらと笑う博士に、僕は深い溜め息をつ いた。 唐突に動物実験をやるとえられたのはついさっきの事だ。なんでも新種のウィルスを見 つけたらしいのだが、突然さもさることながら、その情報が僕にとって初耳だという事自 体が既に僕には悩みの種以外の何物でもないのである。 伝染病研究の権威と名高い博士の役に立てばとわざわざここへやってきたというのに、 この人はいつもこうなのだ。助手を驚かせる為に研究成果を秘密にするなんてどんだけ本 末転倒なのかと。世の中の助手とか秘書とかそういう人達をなめているとしか思えない。 いっぺん謝罪したらいいと思う。 「まあまあそう腐るなよ真君、儂としてもこれは偶然の産物だったんじゃからの」 僕のうんざりした表情に、ニヤニヤ笑いながら言い訳を返す博士にもう溜め息すら出 ず――やっぱり溜め息をついた。 「もういいですよ……で、その新種ウィルスとやらはどんなものなんですか? 病原体な らば実験でそうすぐに結果が見えるものではないと思うのですが……」 いくらなんだっ て、感染してすぐに影響が目に見える病気もないものだろう。 そう思って問い掛けてみ ると、博士はまた悪戯っ子のようにニヤリと笑う。 「それは見てのお楽しみ、じゃよ。さあ着いた」 足を止めた先にあったバイオハザードのマークのついた気密扉を抜け、消毒室に入り、 用意されていた気密服を着て――うん? ……笑顔で気密服に収まる博士を思わずうろんな目で見つめる。 「……もしかして、かなり危険な実験だったりするんですか? これ……」 「危険、というのとは少し違うが――空気感染する上、かなり感染力の強いウィルスなの でな」 博士、それを危険と言います。 「では始めようかの」 「何か手伝いますか?」 「いや、そこで見ていてくれて構わんよ。何、装備こそいささか仰々しいが、やる事は簡 単じゃ」 そう言って、博士は件のウィルスらしきものを小さな容器から注射器に取る。 「これを」 そしてもう片方の手に、慣れた手つきでハツカネズミを囲いから取り出す。 「こいつに」 そのまま、躊躇う様子もなく博士はハツカネズミの背へと針を立てた。 「ぷすっと」 そして再びハツカネズミを囲いへ戻し、こちらへ邪気の無い笑みを向けてくる。 「するだけじゃからの」 「……終わりですか」 「終わりじゃ」 「…………博士」 「まあそう急(せ)くでない。それにじゃな――」 博士のあまりの安易さに詰め寄ろうとした僕をいなしつつ、博士はそちらへ顎をしゃく る。 「どうやら、もう始まっておるようじゃぞ?」 「え?」 その瞬間、断末魔のような鋭いネズミの鳴き声が滅菌された空を裂いた。 「な……ッ!?」 息を呑む。 囲いをのたうちまわりながら、キーキーと鳴き声を上げ続けるネズミ。 ――その体が、まるで中で何かがうごめくように隆起を繰り返している。 「なっ……なんなんですかこれは、博士っ!」 「だから、見ていれば判ると言っとるじゃろうに……」 そう言って笑う博士の顔はいつも通りの飄々としたもので、 故にこそ、怖気立つような寒さが背筋を走った。 のたうちまわるネズミと、それを微笑を浮かべて眺める科学者。 なんだ、これは。 意識せず、目の前の光景から一歩後退る。 これでは、まるで。 最期に一声上げ、クタリと倒れてネズミは動かなくなる。 「……さて、終わったようじゃの」 それを変わらぬ微笑みで手に取り、こちらへと向けてくるその姿は。 「……さて、真君。ではこのハツカネズミの何が変わったか――」 まるで―――― その、刹那だった。 「ぐっ――!?」 「は、博士ッ!?」 手の中のネズミが突然目覚め、博士の気密服の指の部分を食い破っていた。 僅かに傷が中まで達したのか、白い気密服に小さな赤が伝う。 それは小さな赤。 「……ぐ、あ…………!」「博士! はか……!」 ぶるぶると震え出す博士の体。 それはあまりに小さくて。 「……あ、あ」 「――はか、せ?」 あまりに、致命的。 「が、あああああああアアアアッ!」 「――う、うわああああああああッ!」 腰を抜かした僕の前で、『肉』の砕ける音を響かせながら変質していく何か。暴れる内 に気密服は脱げ、その姿が露となる。 艶めきを失った長い白髪は、肌は、まるで生気を吸ったように潤いを取り戻し。 衰えていた体は、僅かに縮みつつも急速に代謝を取り戻し、異質な物へと置き換わる。 そして、その総てが終わった後に座り込んでいた、その姿は。 まるで―――― 「……っつう……やれやれ、まさか自分自身で人体実験をする羽目になろうとは……全 く、酷い目にあったものじゃ」 「……あ、うあ?」 ――というかなんというか、紛う事無き銀髪の小さな少女がそこにいた。 冷静に、冷静にと自分を諌めつつ、恐る恐る声をかける。 「……あの、えっと、博士、ですよね?」 「ほう、ここまで突飛な目の前の事実をあっさり受け入れるとは。流石真君、君には科学 者の素質というものがしっかり備わっておるようじゃの」 ……鈴振るような声と姿はともかく、かんらかんらと笑うその仕草は確かに見慣れた 物。 「ま、何にせよまずはこの部屋とついでに儂を消毒して外に出んか。このままでは落ち着 いて話も出来んじゃろ」 「……はあ」 ――困った事に、やはりその少女は飄々と『博士』をしてくれていた。 「……にょ、女体化?」 「加えて自分で試したところを見るに、人間の場合は適正年齢――おそらく15、6と言っ たところじゃが――まで戻されるようじゃの。もしやネズミの場合でも戻っていたのやも しれんが……ふむ、そこまでは考えが及ばなかったの。後で調べてみるか」 「適正年齢、と言うと?」 「……ふむ、この姿の儂にわざわざそれを言わせようとするとは……真君、君も存外好き 者じゃの?」 「何の話ですか! 何ですかその笑い!?」 消毒をし、博士の準備室まで帰って来た僕が知ったのは本当に突拍子もない事実だっ た。 「……コホン。つまり、それがあのウィルスの効果……?」 「仕組みはまだ判らんのじゃがな。それは君とおいおい調べていくとしよう」 「それは勿論ですが……ハァァ……」 思わず嘆息して、マジマジと目の前のしょうじ――いや博士を見つめてしまう。 「ん? なんじゃ?」 ……なんだろう、このイケナイ感覚は。 博士なのである。 たとえ今合う服がなかったせいで『これでいいじゃろ』などと言って素肌に白衣を着て いたり、爺言葉を扱う銀髪流れる不思議美少女だったりしても、これはやはり博士なので ある。 ……だが、しかし、しかしだ―― 「……ま、真君」 「……へ?」 ……ふと気付くと、胸元を掻き抱くようにして博士がこちらを見ている。 その仕草に、思わず胸が高鳴った。いや待とう僕。 「……ど、どうしました博士」 それを必死に押さえ込み、動揺を隠す。 いや、隠そうとした。 「……あ、あまり見るな……よく判らんのじゃが、酷く羞恥心を苛まれる、と言うかの… …あ、ああそうか、もしや身体が変わった事により精神にも影響が出ているのやもしれん な! ……いや? だが知識自体は何も変わっていないと言うに……何故じゃ? これも少し 調べてみるべきかもしれんの……」 ……後半はいつもの通りなのでともかく、前半の顔を赤らめての告白は間違いなく問答 無用で、僕を危ない道へと誘って―― 「うああああああ!?」 「ッ!? ど、どうしたんじゃ真君!? ――そうか、もしや君まであのウィルスに」 待て、待てよ僕ッ! あれは博士、博士なんだって! 煩悩が、煩悩が僕を引き返せな い道へ突き落とそうとしている!? 「――ふむ、致し方ない……まだ確信がある訳ではないのじゃが……実験したネズミの データから一つ判った事がある」 そうだ、落ち着けー落ち着け僕、あれは博士あれは博士可愛かろうと博士博士博士博士 …… 「まあ、つまりじゃな――所謂一つの性交渉というのが、あのウィルスにとって一つの鍵 であるようでな」 ささやき――いのり――えいしょう――ねんじろ―― 「つまりは、こういう事じゃな」 パサリと、床に布の落ちるような軽い音が耳につく。 「…………え?」 ……ふと気付けば、目の前には白衣を脱いで、生まれたままの姿になった少女の姿が あった。 まこと は はいになった 「……はかせ、一応念の為お聞きしたいんですが」 「なんじゃ?」 「何しようとしてます?」 「性交渉、所謂Sexじゃな」 「誰と?」 「君と」 あっさり答えて、銀髪の少女は首を少し傾げる。 「……何故」 「真君があのウィルスに侵されているかもしれんのでな」 「……理由はそういえばさっき言ってましたね。聞いてはいました」 「なら話は早い、早く儂を君の若いリビドーでボロ雑巾のように目茶苦茶にしてくれ」 「無茶言うなよッ!? いやそれ以前に僕は本当にウィルスとか大丈夫ですから!」 最後に残った理性を総動員して拒否する。頑張れ最後の良心、君がパンドラの箱に残っ た最後の希望だ……! ……その最後の希望をいともあっさりと、妖艶な笑みが打ち砕いた。 「……正直に言うとな、突然若くなった反動なのかは判らないんじゃが――儂自身、身体 が随分と火照っておってな……」 フフッ、と笑いながら、小さな身体がしな垂れかかってくる。 むにゅり、と小さな胸が僕の心臓に押し当てられた。小さな掌はくすぐるように、柔ら かく顎を撫でる。 幼いとすら言えるその汚れ一つない身体と、表情の織り成すギャップに意識が少し遠く なる。 「……君は万が一の用心をしたいだけ、と思えばよかろ?」 「し、しかし――」 甘い免罪符の声が、するりと僕の耳へ入り込む。 熱い吐息が纏わり付くように鎖骨を撫でる。 だから、 「――何、これは『実験』なのじゃよ……まずはほんの少しで構わん、儂に触ってみたら どうじゃ――?」 もう、我慢だとかそういう話じゃなかった。 ささやき――いのり――えいしょう――ねんじろ―― 「……は、はかせっ――!」 「おっと――フフッ、愛い奴じゃの真君は――ふぁ、あ、そこは、まだ、ぁやッ、ダメ じゃと――あ、あぁッ! んぅ、くあぁッ!」 まこと は ロストした バイオハザード 直訳:生物的危険 「……僕は、取り返しのつかない事をしてしまった……僕は、○ラァを殺してし まっ――」 「現実を直視しないのは科学者として恥ずべき事じゃぞ真君。素直に自分が、いたいけな 幼女の『ピー』に『ピー』して『ピー』した揚句『ピー」 「ウワアアアアアアッ!」
https://w.atwiki.jp/kikipedia/pages/338.html
George(2006-10-13) ≪魑魅魍魎 美食の宴≫プロローグ ここは、国産の良質かつ安心な和の食材で、美味に富んだ洋食を出す「キツネ亭」 珍しく、オーナーの宗旦狐と先輩狐のクダが揃って外出中で 本日、初のアルバイト三匹が店を任されていた…。 「ふぅ~っ…」 「大丈夫ですか?網切さん!?」 嵐のようなランチタイムが終わり、やっと休憩時間に入ってほっと溜め息をつく 「網切」に「髪切り」の髪助が話しかけてきた。 網「いやぁ、だいぶ慣れて来たと思ってたんですけど…ダメですねぇ、私」 髪「そんな事ないですよ、今日なんかオーダーミスゼロだったじゃないですか!」 網「はあ……」 熱心なファンの方々は御存知かもしれない…今こうして会話をしている二匹… 謎の刺客集団「切り切りトリオ」の、もと親分「網切」子分「髪切り」の二匹なのだ!! なぜこの二匹が、敵であるはずの「キツネ亭」でアルバイトをしているのか? …そう、この二匹…「キツネ亭」によって囚われの身となった 仲間の「黒髪切り」の黒吉を救うべく、「黒塚亭」で飼われているペット 「ケルベロス」を利用しようとして、逆に「黒塚亭」の女将、鬼婆によって 「まいんどこんとろーるの術」の実験台となっってしまったのである。 今の二匹に、以前の記憶は無かった…。 網「でも、こうして〝三人〟で仕事するって楽しいですよねぇ」 髪「あ、そうですねぇ…私達も、やっとオーナーから認められたんでしょうかね?!」 記憶を失っても、もと親分「網切」を気遣う「髪切り」の髪助… そう、彼は根っからの「子分気質」なのだ。 髪「そう言えば、最近ヘンな噂がたってますよねぇ…なんでも妖怪料理界を メチャメチャにしようとしてる連中がいるとか!?」 網「へぇ~、そうなんですか…物騒ですねぇ…」 まさか自分達が、その連中の一派だと言う事に、まったく気づく様子の無い 二匹…そこへ奥の厨房から、のっそりと大柄の妖怪が間延びした声で 話しかけて来た。 「コレ…作った…食べる…?」 そう言って「黒髪切り」の黒吉が差し出したのは、何とも美味しそうな デザートだった…。 網「あ、美味しそうですね!! 何なんです、ソレ!?」 黒「オーナーに…休憩時間…食べナ…言われた…」 髪「レシピ、教わったんですか?」 黒「…ウン」 網「おお、美味しいですね!!」 黒「…コレ…ぬらりんのブルブルプリン」 髪「ブルブルプリン?」 黒「疲れてるトキ…甘いのいい…」 網「ふう~っ、いきかえりますねぇ…」 髪「ホント…いいですねぇ…」 そんなのん気な事を言っててイイのか三馬鹿トリオ!!!? このままでは、全国のファンが泣くぞ!!!! さて、この三馬鹿の運命はどうなるのか? …このままで、終わるはずがないっ!!!! 魑魅魍魎 美食の宴
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/3214.html
「さっちゃんはさ!幸村の子供、ちゃんと産みたいって頑張ってるんじゃない!」 慶次はこれみよがしに大きな溜め息を一つついた。 言う気は無かった。 例え立場は変わらなくとも幸村が佐助を唯一人の女とみているならば、余程の圧力が無い限り正妻や側室を迎える事は無いだろう。 ならば佐助は幸村の内縁の妻である事には変わりは無いのだ。 「普通は惚れた女が身篭ったら体の心配するもんなのに知っててヤりたがるなんて非常識だろ。」 「佐助は……危ないのか。」 「さあね。いくらこっちが友達のつもりでも身内以外にはそんな大事な事、教えちゃあくんないよ。」 ああ、もう。何てじれったい人達なんだろうね。 幸村も佐助もお互い大切で好き合ってるのなんて、俺には分かりすぎるぐらい分かるのに。 立場の違いのせいで幸村がどんなに押しても佐助は身を引いてしまう。 そして幸村には佐助を引かせない器用さが無く。 幸村の気持を簡単に受け流せるほど佐助は器用なんだろう。 「佐助は俺を本当は嫌いなのだ。」 幸村は暗い声でそう呟いた。 「分かっている。仕事だから、それ以外の理由で俺の側には居てはくれぬのだ。だが、嫌だ。佐助が欲しかった。どうあっても俺のものだと言いたかった。」 「幸村?」 今にも泣き出しそうだ。 震えるような声に幸村の顔を覗き込む。 泣いては居ないものの、初めて見る幸村の暗い顔に慶次はどうして良いか分からなかった。 「手に入れた時は嬉しかった。だがその時だけだ。幾ら抱いても、俺の子を宿しても尚、佐助は遠い。」 「何言ってんの。さっちゃんは。」 「俺が子供だからか?下手だからか?佐助を満足させたら少しは男として見てくれるのか?」 「はいはい。そこまで~。」 ぱんぱん、と手を打つ音に振り替えると、何時の間に来たのだろう。 佐助が部屋の隅に座っていた。 「さっちゃん?」 「……あ、さ、佐助……。体は平…気なのか?」 佐助は先日会った時とはまた違う、少し軽そうな着物を着ていた。 驚く二人に少し困ったような顔で笑うと、佐助は両手を前に出して言った。 「ほんとにもう、仕方ないなあ。旦那、おいで。」 引き寄せられるように幸村はふらふらと佐助に歩みより、その腕の中に収まった。 まるで子供が母親にすがりつく様に肩に埋められた幸村の頭を、佐助はあやすように撫でた。 「悪いね。風来坊。迷惑をかけた。」 幸村をあやしながら、佐助は慶次に笑いかけた。 「いや、俺は全然……。平気なの?」 「良くは無いけど、これ以上は仲裁に入って貰ってもね。」 佐助がちらりと幸村を見る。困ったような、でも柔かい、優しげな表情にほっとする。 佐助はちゃんと、多分先日自分が思った以上に幸村を好きなのだと確信出来たから。 その後の二人6
https://w.atwiki.jp/daniel1260/pages/236.html
1 海の荒野に対する宣告 それは来襲する南の暴風のように,荒野から,畏怖の念を起こさせる地からやって来る。2 わたしに告げられた厳しい幻がある。不実な行ないをする者は不実な行ないをしており,奪略を行なう者は奪略を行なっている。エラムよ,上れ! メディアよ,包囲せよ! 彼女ゆえに出るすべての溜め息をわたしは絶えさせた。3 それゆえに,わたしの腰は激しい痛みで満ちた。子を産むときの女のけいれんのようなけいれんがわたしを捕らえたのだ。わたしは度を失って,[何も]聞こえない。わたしはかき乱されて,[何も]見えない。4 わたしの心はさまよい,身震いがわたしを恐れおののかせた。わたしの慕っていたたそがれは,わたしにとっておののきとされた。 5 食卓を整えよ,座席の位置を決めよ,食べよ,飲めよ! 君たちよ,立ち上がれ,盾に油をそそげ。6 エホバはこのようにわたしに言われたからである。 「行って,見張り番を立て,その見るところを告げさせよ」。 7 すると,彼は一対の乗用馬[の引く]戦車,ろばの戦車,らくだの戦車を見た。そして,彼は注意を集中して厳密な注意を払った。8 それから,ライオンのように呼ばわりはじめた,「エホバよ,わたしは昼間ずっと物見の塔の上に立っております。わたしは夜ごとに自分の見張り所に就いております。9 そして,いま,人の乗った戦車が,一対の乗用馬[に引かれて]やってきます!」 そして,彼は語って言いはじめた,「彼女は倒れた! バビロンは倒れた。その神々の彫像を[神]はことごとく地に砕かれた!」 10 わたしの脱穀された者たちとわたしの脱穀場の子よ,イスラエルの神,万軍のエホバから聞いたことをわたしはあなた方に伝えたのだ。 11 ドマに対する宣告 セイルからわたしに呼ばわる者がいる,「見張りの者よ,夜はどうなのか。見張りの者よ,夜はどうなのか」。12 見張りの者は言った,「朝は必ずやって来る。そして夜もまた。あなた方は尋ねたければ,尋ねるがよい。また来るがよい!」 13 砂漠平原に対する宣告 デダンの人々の隊商よ,あなた方は砂漠平原の森林で夜を過ごす。14 渇いている者を迎えるために水を携えて来るがよい。テマの地の住民よ,逃げ去る者のためのパンをもってこれと向かい合え。15 剣のゆえに彼らは逃げ去ったからである。抜き身の剣,引かれた弓,戦いの激しさのために。 16 エホバはわたしにこう言われたからである。「雇われた労働者の年期にしたがって,もう一年のうちに,ケダルのすべての栄光は必ずその終わりに至る。17 そして弓[を引く人]の数のうちの残っている者たち,ケダルの子らの力ある者たちは少なくなる。エホバご自身が,イスラエルの神が[そう]語られたからである」。 22章へ
https://w.atwiki.jp/rsnovel/pages/10.html
最近欲しいペットがいる。堕落宣教師系のペットだ。 彼らは宣教師の為か、ペットになってくれない。 ある日、いつものように歩いていると 何かの声が聞こえてきた。 その溜め息は堕落宣教師様だった。 『あぁ、俺もXボタンで変身できたらなぁ。』 そんな内容だった。彼のPCのXボタンが壊れていたのだ。 そこで私は修理にPCを出すことをお奨めした。 しかし彼は躊躇った。 『修理か…それって1週間はかかるよな…俺、1日でもPCに触らないとアレルギーが出る体質なんだ…。』 彼は無駄な体質を持っていた。そんな彼がかわいそうでかわいそうで仕方がなかった。 なんとかならないかとダメオン電気に電話すると 『それなら、宣教師様のお宅まで行きますよ。キーボードの交換だけならすぐ終わりますので^^』と言った。 本当にほっとした。それを宣教師に知らせに行くと 『ダメなんだ…俺…金がないんだよ…。堕落しちゃってこんなんだからさ…そこの水色ゴブリンだって倒せるかどうかわからない…』 『お金…そうだ!さっき廃人が全て1Gで露店を出してたわ!それを転売すればいいのよ!まってて!』 私はすぐに廃人の所に行き、1Gの無限弾丸を買った。それを転売しに行ったのだがなんと 『あぁー。コレはただの矢ですねぇ。最近こういう詐欺が増えているんですよ…。』 詐欺師をSSで取って本人に見せたら1000Gはもらえた…だがまだ足りない。 どうせダメオン電気のことだ。うまくやって5000Gとかを分捕るに違いない。 …その時、ふとある事を思い出した。そうか。自分がお金を出してあげればいいんだ! 何で気づかなかったのだろう。ほんのちょっとしかないけど…宣教師様の為なら…よし、足りる! 私はすぐにあの場へ戻った。しかし、宣教師様の姿はどこにもなかった。いや、あった。彼はボロボロに傷ついていた。 もう話もできない状態だった。そしてようやくあたりが見えるようになると、そこには勇者様がいた。 『フン。弱っちぃ奴め。雑魚は氏、あるのみ。』 怒りの頂点に達した私はすぐに召喚体制に入ったが、勇者様の必殺技『ブーン』が炸裂し、あっという間に逃げてしまった。 ようやくダメオン電気が来た。宣教師様はなんとか生き続けていた。がんばって…。がんばって宣教師様! 修理は2時間ほどで終わった。彼は生き延びたのだ。すぐにXボタンを押させてやった。 彼は変身した。彼は堕落宣教師から堕落伝道師になった。 『あぁ、これが新しい体…これが…違う…まるで世界が違う』 『本当によかった…じゃぁ、私はもう行くね…。』 『待ってください。僕を…僕を手持ちに入れて下さい><』 !!!! 待ちに待った一言がキタ。彼は堕落の壁を乗り越えようとしている。 『うん。じゃ、おいで。今日からあなたの名前は宣ぴょんだよ♪』 こうしてまたダメオンマスターへの道へ1歩近づいた。 1スレ目>> トップへ>>
https://w.atwiki.jp/runner7novel/pages/80.html
英雄達が、好きな子告白タイムが行われている同時刻。 彼らが泊まる旅館の部屋の一室で、一人の少女が嬉しそうに携帯の画面を見つめていた。 彼女の携帯電話の画面に映るアドレス帳の「佐倉君」と言う文字。 その3文字だけで、彼女は幸福感で胸が一杯になった。 理由は簡単である。彼女の片思いの相手だからだ。 彼女…鵡川梓は、あまりの幸福感に、枕を抱きしめて、辺りをゴロゴロする。 『佐倉君のアドレス…。今にでも送りたいけど…でも何を送ればいいんだろう?』 男子とメールをした事無い鵡川梓は、これから、どんなメールをすれば良いのか、何一つとして思い浮かばなかった。 彼女の友人の藤川百合に聞けば、どんなメールを送れば良いかなど、的確にアドバイスしてくれるだろう。 しかし彼女も英雄の事が好きであり、言わば佐倉英雄に関しては、ライバル関係。 そんな敵に塩を送るような真似を、藤川はするのだろうか? だが、今の鵡川梓には「佐倉英雄のメールアドレスを手に入れた」と言う達成感や、幸福感に包まれていて、そこまで考えていなかった。 ミスパーフェクトと言われている彼女も、好きな人とのメールアドレスを知った事に、思わず妄想をしてしまい、恥ずかしくなり、再びゴロゴロとする。 「あずさ~。さっきから携帯の画面見て、何のたうち回ってるのよ」 そう言って彼女に話を聞くのは、川島春美(かわしまはるみ)だ。 三村大輔に恋する乙女の一人でもある。 「えっ、えっと…」 「もしかして彼氏とか?」 そう冗談交じりに言う川島に対して、鵡川は頬を赤く染め上げた。 冗談だった川島も、その態度に驚きながらも、嬉しそうに聞いてくる。 「本気で彼氏なの!?」 「違うの! 彼氏じゃなくて…その…」 恥ずかしそうにする鵡川を見て、ますます面白そうな表情をする川島。 川島は、思わず彼女の携帯電話の画面を見る。 「佐倉君って…。もしかして佐倉英雄?」 「え、えっと…うん…」 顔を真っ赤にさせながら、コクリと頷く鵡川。 それに対して川島は「あちゃー」と言いたそうな表情を浮かべた。 「なんで佐倉だし。百合も、佐倉が良いとか言うけど、良さが分からない」 「佐倉君は格好良いと思うよ」 そう自分の意思を告げる鵡川。 「あいつのどこが格好良いわけ? いつも、だらしない顔してるし、うるさいし」 「いくら春美でも、彼の悪口を言ったら、私でもさすがに怒るよ」 「そんな怖い顔しないでよ。冗談だから」 そう言って、苦笑いをする川島に対して、鵡川はムッとした表情のままだ。 「でもさ。梓は可愛いんだし、あんなのより、もっと良い男と付き合えると思うよ」 「春美。いい加減にしないと、本当に怒るからね」 そう言って鵡川は、ムッとした表情のまま、携帯電話の画面を閉じ、自分の布団へと向かう。 思わず川島は溜め息を吐いていた。 それぞれの想いが交差する中で、女の子たちの夜も更けていく。 ≪前 HOME 次≫
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/2040.html
ゆっくりと… ☆めだかボックスパロ ☆ゆっくりが痛い目にあいます 「…ゆっ…くり…遊んで…ください…れいむ?」 目安箱の中身を確認すると変な依頼があった。 蚯蚓が踊っているような字を解読すると『遊んで下さい』と言う物だが、依頼主――、『ゆっくり れいむ』は奇妙な事に生徒名簿に居ない。 「面倒くせぇ…悪戯だろう」 解読した青年――『人吉 善吉』は呆れたように溜め息を吐く。 「おにいさん、いたずらとなんだー!れいむはいたっておおまじめなんだよ!どいつもこいつも!かっ、みんなれいむをばかにしやがってよォーッ!この腐れ脳味噌がァーッ!」 生首がいきなり目の前に現れ、こんな事を言い出された人の反応はと言うと 「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?」 誰だって驚くであろう。 後ろのロッカーに当たるまで座りながら下がる。 「あ、ごめりんこ。わたしはいらいぬしのれいむだよ。かわいらしくかよわいのがとくちょう。」 ジリジリと近寄り、依頼主の『れいむ』と名乗る生首は頭を下げる。 「(し、死ぬかと思った………)」 よくみるとふてぶてしい笑みと態度で腹が立つのだが依頼主に手を出すことは流石に出来ない。 「はやくれいむとゆっくりあそんでね!!!ゆっくりできてないね!」 前言撤回。 「遊んでやるよ…」 「ゆぅぅごえん!ぎひゅ!ぎひゅひゃっへは!あひょひにほほろひゃあひゅひょ!!(ゆぅぅ!ごめん!ギブ!ギブだってば!あそびにもほどがあるよ!)」 軽く抓ると餅のような感触がする。 もしかして… 「カッ!やめて欲しいなら態度を改めろ」 「ごひぇひゅひゃはい!」 いったん離す。聞きたいことが有るためだ。 「幾つか質問をするがいいか?れいむは…「れいむはおまんじゅうだよ。」 心を読んだかのように質問に答える。 「!?…そうか、だからか、餅みたいな感触だったのは」 「とりあえずきみのあたまがあめーばなのはわかった」 エンドレス。 「ゆはー…しぬかとおも…わなかった」 「……自己紹介が無かったな…人吉 善吉だ」 もう面倒になってきた。 「ひときち ぜんきち…?へんななまえだね、あ、ごっめーんわざとだった」 ご冥福をお祈りしますの顔で「あばばばばばば」と言うれいむにはデコピンが飛んできた 「ゆべし」 「調 子 に 乗 る な」 「ごめんなさい」 そして帰宅。 今日は変な一日、だった。と善吉は思う。 が、れいむと善吉のハチャメチャな生活はこれから始まるのだった。 「ゆっくりおかえりー☆」 「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?何故俺の家にいる!?」 「すむことになったから。」 ほらね。 多分続かないです。 だれとく?→私得。 ゆっくりに振り回される善吉可愛いよな、と思ったから。 名前 コメント