約 29,918 件
https://w.atwiki.jp/siritori_review/pages/36.html
読書感想しりとりリレー、昨年に引き続き、今年も参加することになりました。 昨年のうちに「う」のストックをすっかり使い果たした、今年最初の選書は「海のある奈良に死す」(有栖川有栖)。 作者の有栖川有栖は「学生アリス」と「作家アリス」の2シリーズで有名です。この作品は「作家アリス」シリーズに属するものです。 作者と登場人物の名前が同じであるというのは、エラリー・クイーンの流れだそうなのですが、正直なところ、自意識過剰に見えてしまって今まで食わず嫌いでした。 今回はなにやら意味ありげなタイトルに引かれて購入してみましたたが、地理には疎い私には、そもそも奈良に海があるのかないのかそれすらわからない、で、早速インターネットで検索をしてみたところ、あっさり「海のある奈良」なる言葉がさす地名を発見してしまいました(ちなみに現在の奈良県に海はないそうです。海なし県) てっきり「海のある奈良」という言葉がさす地名がトリックなんだろうとばっかり思っていたので「やってしまった…」と思ったのですが、意外にも裏表紙のあらすじにすらその答えが書いてあるくらい、あっさりとその答えは与えられました。 なにをもって「本格」推理とするかは人それぞれではあるのですが、この作品に関して言えば、どちらかといえば、いわゆるトラベルミステリーのようなライトな印象でした。 既読の「学生アリス」シリーズから「がちがちの本格」を想像していたのですが、これがたとえば内○康夫の作品だといわれてたらだまされてしまいそうです。 … というわけで、若林さん次のお題は「す」でお願いします。
https://w.atwiki.jp/niconico3nd/pages/34.html
勝治死す!ポヨヨン・ウェイ・スター ◆QIZ0jOQC82 「ふざけた遊戯に巻き込んでくれたものですわね……」 アンリエット・ミステールこと怪盗アルセーヌは忌々しく呟く。 このような殺し合いは、自分の美学に反する。 ならば、やる事は一つ殺し合いを壊す。 そして優勝者には願いを叶えるといったが、そこは怪盗ついでにそれも主催から盗み出すつもりだ。 「でも、この格好は些か目立ちますわね……」 だがその前に自分の服装に目をやる。 普段から自分が着ている怪盗服だが、この場ではあまり目立った服装は避けたいし あくまで自分は怪盗、間違っても探偵や警察ではない。 他の参加者との接触の際、正体がばれて探偵や警察と揉めるのは避けたい。 「ともかく支給品の確認ですわね……。これは……シャロの探偵服……」 ――数分後―― そこにはシャロの探偵服を、満更でも無い様子で着こなしているアルセーヌの姿があった。 「少し胸がキツイですけど……まあ大丈夫でしょう」 胸を気にしつつ、アルセーヌは地図を取り出す。 (これは?) アルセーヌの目に止まったのはヨコハマ埠頭。 (ここはヨコハマではない。だというのにヨコハマ埠頭が存在する……何か匂いますわね。調べてみる価値はあるかも知れませんわ) 一先ずの目的地はヨコハマ埠頭に決まった。 アルセーヌは地図をしまい今度は一本の木刀を取り出す。 「木刀ですか……まあ、使えないことは無いですわね」 軽く素振りをする。素振りは基本である。 「ぐわあああああああああ!!!!」 その時、悲鳴が聞こえた。 「早速ですか……」 近くの森林を駆ける人影、恐らく誰かを殺した、あるいは襲った下手人だろう。 アルセーヌはそれをジッと睨む。 「幻惑のトイズ」 殺し合いに乗るつもりは無いが、乗った人物を放って置くつもりもない。 アルセーヌは幻惑のトイズを使い、下手人の無力化を図る。 (幻惑のトイズが使えない?) しかし、アルセーヌの考えとは裏腹にトイズは発動しない。 いや発動はしている。しかし、その効果範囲が狭まっているのだ。 (トイズが弱まっている?) 動揺している間に下手人は森林の奥へと走り去っていってしまった。 (……仕方ありませんわね) アルセーヌは森林の前から離れる。 下手人を追う事も出来たが、待ち受けて罠を仕掛けられている可能性もある。 もっとも下手人が自分に気付いていたかも分からないが、トイズが弱っている以上、慎重に動くべきだろう。 アルセーヌは、そのままヨコハマ埠頭へと歩を進めた。 【G-02 森林近く/1日目・深夜】 【アルセーヌ(アンリエット・ミステール)@探偵オペラミルキィホームズ】 [状態] 健康、シャロの探偵服 [装備] 洞爺湖@銀魂 [道具] 基本支給品、ランダム品(0~1)、アルセーヌの怪盗服 [思考・状況]基本思考:殺し合いを壊し主催から願いを叶える方法を盗み出す。 1:ヨコハマ埠頭に向かう。 2:道中ミルキィホームズ、3カードを探す(特にミルキィホームズ)。 ※幻惑のトイズは制限により弱まっています。 ※トイズの制限に気付いています。 今から数分前、松岡勝治は覗きをしていた。 何せ目の前で、おっぱいポヨヨンな女性が着替えていたのだ。 これを見過ごすことは出来ないと、プレイボーグ勝治はその女性が他の参加者に、無防備な隙を突かれ襲われないか監視していたのだ。 決して、いやらしい事が目的ではない。 「ウェイ!」 「!? ぐわああああああああああ!!!」 【松岡勝治@人造昆虫カブトボーグ V×V 死亡】 残り68人 だが、隙を突かれたのは勝治だった。 覗きに夢中になっている間に、頭を金属バットで殴られ殺された。 下手人――いや星君は勝治のデイバックへと手を伸ばし、そこでアルセーヌの存在に気付く。 一目見て自分より強いと感じた。 勝治のデイバッグを取るのも忘れ、星君は一目散にその場を離れる。 アルセーヌは追ってこない。 どうやら無事逃げ切れたようだ。 「ふぅ……」 身の安全を確認した、星君は溜息を着き自分の姿を正体であるジュラル星人へと変える。 「駄目か」 しかし、その姿は星君のままだった。 (元の姿に戻れない以上、下手な戦闘は避けるべきだな) 星君はそう考えると森林の奥へと足を進めた。 【G-03 森林/1日目・深夜】 【星君@チャージマン研!】 [状態] 疲労(小) [装備] 金属バット@現実 [道具] 基本支給品、ランダム品(0~2) [思考・状況]基本思考:殺し合いに乗る。 1:チャージマン研は最優先で抹殺する。 2:チャージマン研、アルセーヌ(名前は知らない)を警戒(特にチャージマン研)。 ※参戦時期は不明。 ※制限により姿は星君のままです。 【松岡勝治@人造昆虫カブトボーグ V×V】 [状態] 気絶、頭部に打撲の跡 [装備] なし [道具] 基本支給品、ランダム品(1~3) [思考・状況] 1:…… ※当たり所がよく奇跡的に生きてました。 【死ぬ死ぬ詐欺@人造昆虫カブトボーグ V×V】 カブトボーグ本編にて、主に松岡勝治に見られる。 簡単に言えば死んだと見せかけて、生きてたり 死んだ筈なのに、次回予告か次の回では何事も無く復活する。 他にも龍昇ケン等が該当する。 ただし、あくまでここはロワなので死ぬ時はちゃんと死ぬ。 参考動画 ttp //www.nicovideo.jp/watch/sm6214866 【シャロの探偵服@探偵オペラミルキィホームズ】 シャロが事件の捜査をする時に来ている服。 【洞爺湖@銀魂】 銀さんの木刀。 柄に洞爺湖と掘られている。 あと地味にニコロワ3回連続登場。 【金属バット@現実】 ロワではおなじみの金属バット。 よく出展が変わる。 あと地味にニコロワ3回連続t(ry sm09 ズガンを……強いられているんだ!(集中線) 時系列順 sm11 物を掴めない恐怖 sm09 ズガンを……強いられているんだ!(集中線) 投下順 sm11 物を掴めない恐怖 松岡勝治 sm30 真夏の夜の淫夢!グレイト・クレイジー・ティロフィナーレ アルセーヌ(アンリエット・ミステール) sm32 ホテル「早速人ですか……」 星君 sm41 夜のG-03を行く/逝く
https://w.atwiki.jp/no_future/pages/83.html
「汝らは『地すべりの発端は、時にはただ1個の石ころにすぎない』という警句をよく心せねばならぬ。同じく、呪文荒廃の―トリルを股にかけるに飽き足らず、さらなる地をその千鳥足で踏みしめんとしておる、かの災禍の―始まりは、ただ1たびの裏切りであった事をも」DR1479、エルミンスター エルミンスター・オーマル LV19 単独制御役、中型、自然、人型生物(ヒューマン) 12000EXP イニシアティブ:+13 感覚:知覚+14 HP:728 重傷値:364 AC:33 頑健:31 反応:32 意志:30 セービングスロー:+2 アクション・ポイント:3 移動速度:歩行6、瞬間移動6 [特殊能力] 【神秘なる明晰】オーラ3 エルミンスターが重傷である間、オーラ内の敵はセーヴィング・スローに-2のペナルティを受ける。さらに、エルミンスターがオーラ内の敵に対して攻撃した場合は、19-20でクリティカル・ヒットとなる。 【怒れる大賢者】 エルミンスターが重傷である間、彼の全ての防御値は30に低下し、エルミンスターが標準アクションで使用する攻撃パワーはすべて、2d10の追加ダメージおよび5点の継続的追加ダメージを与えるようになる。 【神速の大賢者】 エルミンスターはイニシアティブ・チェックを2回行い、各々のイニシアティブで(1ターンとして)行動することができる。即応アクションは、彼の行動する2回のターンの間ごとに1回行うことができる。 【大賢者の対抗呪文】 エルミンスターは、自分のターンの終わりごとに、自身の幻惑状態、動けない状態、拘束状態、減速状態、気絶状態を終了させることができる。 [標準アクション] 【雷鳴剣(サンダーストライク・ロングソード】無限回 [武器][雷鳴] 近接基礎攻撃:間合い1(1体の敵が対象)+24VSAC ヒット:4d8+5ダメージ、および15点の継続的[雷鳴]ダメージ(セーブ・終了)。エルミンスターは目標を4マスまで押しやり、倒れて伏せ状態にする。 ミス:エルミンスターは目標を2マスまで押しやる。 【魔炎の矢(アーケイン・ファイア)】無限回 [火][力場] 遠隔基礎攻撃:射程10(1体の敵が対象)+22VS頑健 ヒット:3d10+7の[力場]ダメージ、および15点の継続的[火]ダメージ(セーブ・終了) 効果:目標は、エルミンスターの次のターンの終了時まで減速状態となる。目標が、すでに減速状態であり、かつ、継続的ダメージを受けている状態なら、減速するかわりに動けない状態になる(セーブ・終了)。 【超新星炎獄破(レイジファイア・ノヴァ)】再チャージ6 [火][精神][恐怖] 近接範囲攻撃:爆発2(重傷時は爆発3、爆発内の全てのクリーチャーが対象)+22VS意思 ヒット:4d10+16[火]ダメージ、および15点の継続的[精神]ダメージ(セーブ・終了)。エルミンスターは、各々の目標を、その移動速度+1に等しいマスだけ押しやる。 ミス:半減ダメージ、エルミンスターは各々の目標を3マス押しやる。 [マイナーアクション] 【火炎破(ファイア・ストライク)】無限回(重傷でないなら1ラウンド1回のみ) 近接範囲攻撃:噴射3(噴射内の全てのクリーチャーが対象)+22VS反応 ヒット:1d12+5[火]および[力場]ダメージ 【形態変化(チェンジ・シェイプ)】無限回 効果:エルミンスターの肉体と服装は、中型、ないし小型の人型生物に変化する。この効果はエルミンスターがもう一度形態変化を使うか、HPが0になるまで持続する。 (特定個人に化けるにはエルミンスターがその個人を見ておらねばならない。この効果を見破る<看破>のDCは40である) [即応アクション] 【元素操作の達人(エレメンタル・インテュイティブ)】 無限回 トリガー:10マス以内に居る1体の敵が、自身が抵抗を有する継続的ダメージを受ける。 効果(即応:対応アクション、重傷時は即応・割込アクション): エルミンスターは、その継続的ダメージをを目標が抵抗を有していないものに変え、さらにその継続的ダメージに対するセーブに-5のペナルティを与える。 属性:無属性 言語:すべて 技能:「魔法学」+21、「歴史」+21、「自然」+19 STR:13(+10) DEX:18(+13) WIS:20(+14) CON:22(+15) INT:25(+16) CHA:17(+12) 装備:ローブ、ロングソード、パイプ
https://w.atwiki.jp/henroy/pages/506.html
黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(後編) ◆gry038wOvE 「くっ……」 ガウザーは、いや、黒岩省吾は立ち上がる。 いま腹部に受けたダメージは、確かに黒岩の体を吹き飛ばすほどの衝撃であった。 しかし、致命傷には至らない。黒岩を何とか生存させていたし、歩くのも動くのも容易であった。 「ひ、卑怯な……」 「卑怯じゃないぜ。俺はあらかじめ、一対一の勝負だと言った。だから、邪魔者が来る事はありえないんだ。……だから俺はただ、適当な名前を叫んだだけなんだぜ? ……俺はお前との戦いを絶対に邪魔させない。それがお前の言う美学って奴だろ。……でも俺は、お前が俺を信じないと思った。俺の事なんてお前は信じないと、俺は信じた。そして、お前は俺が卑怯な手を使うと信じて、負けたんだ」 ……確かに、超光騎士が来ると思って、空を見上げたのは黒岩の方であった。 暁を信じなかった黒岩の敗北であるともいえる。 「……フン。確かに今の一撃は、そうだな。……ライバルである貴様を信じなかった、この俺の敗北。……だが、決闘はまだ終わっていない。死刑ならばそう、どちらかが死ぬまでが戦いだッ!! ここでは終わらん、俺が得た新しい力を、存分に受けるがいいっ……!!」 黒岩は、再び立ち上がると、今度はダークエボルバーを取り出した。 黒岩の手に握られた細長い物体は、彼がこの殺し合いで得た新たなる力が込められている。 「な、なんだありゃっ……!?」 ダークエボルバーを初めて見るシャンゼリオンは戦慄した。 「俺は、俺は生きる……。貴様を倒して生き残る……。もはや、貴様を倒す事が俺の最後の生きがい。俺がこの殺し合いの場で手に入れた新しい力だっ! キサマを殺すために今、使わせてもらう……ッ!!!」 そして、黒岩は、ダークエボルバーを抜き、ダークメフィスト・ツヴァイへと変身を果たす。その姿は、異形ではあるもののダークザイドのものとは全く異なるものであった。 赤と黒に塗れた体や、銀色の頭の怪物。──右手には、シャイニングクローのようなかぎづめを持っている。 必殺技の充実度もさることながら、純粋なパワーにおいてもダークザイドの姿よりも上手。 更なる力として、黒岩はそれを使う事にした。 「死刑執行の時だ、シャンゼリオン……! ハァッ!!」 右腕から火炎状の光弾・ダークフレイムが放たれる。 棒立ちしていたシャンゼリオンのもとに、ダークメフィスト・ツヴァイの一撃が命中、彼の体は吹き飛ぶ。 「うわあああああああああああっっ!!」 想像だにしない威力に、シャンゼリオンは起き上がれなくなった。 悲鳴とともに、彼は石堀とラブの前で崩れ落ちる。彼らは結構距離の離れた場所で傍観していたはずだが、まさかその距離を一瞬で詰める威力とは。 「暁さんっ……! だいじょう……」 「近寄るな! ちょっと痛いだけだ……」 シャンゼリオンは、ラブに心配され、何とか立ち上がろうとしたが、それでもまた膝を落とした。 ダークメフィスト・ツヴァイの方を、シャンゼリオンは睨んだ。 「フッハッハッハ……感じるぞ……新たな力を……ダークメフィストの力を……。もはや、一対一などどうでもいい、貴様ら纏めて片づけてくれる……ッ!!」 そう、ダークメフィスト・ツヴァイは暴走を始めていた。 闇と力が、彼の心を変異させる。自分の敵は全て排除。シャンゼリオンとの決着も、もはやついたも同然。残る敵は全て皆殺しで構わないはずだ。 暁たちによる精神攻撃や、ガドルに大敗した怒り……全てが彼を怒らせる。 「ハァッ!!」 メフィストクローからメフィストショットが放たれる。 その行き先は、石堀、ラブ、シャンゼリオンの三人の元だ。 「危ないっ!」 「きゃーっ!」 石堀は咄嗟にラブを庇い、シャンゼリオンが二人の前の壁となるため、立ち上がる。そのまま、シャンゼリオンはメフィストショットの直撃を受けた。 「ぐっ……あああああっ!!」 しかし、何とか吹き飛ばされず、シャンゼリオンは全エネルギーを胸元に集中して、そのエネルギーを弾き返す。弾き返された光弾は、地面へと跳ね返され、砂埃を舞わせた。 それでも、シャンゼリオンが負ったダメージは巨大だった。 シャンゼリオンの胸元に走った衝撃に耐え切れず、再びその場に崩れ落ちる。 「くそ……っ」 あまりの厖大なダメージに、クリスタルパワーは拒絶反応を起こし、シャンゼリオンの変身が解け、涼村暁の姿になる。 暁は脇腹を出血していたが、それ以上に、いま受けた胸の痛みが生半可なものではない。 それでも尚、ダークメフィスト・ツヴァイを睨んでいた。 「……黒岩、てめえ」 「フッハッハッハッハッハッハ!!」 ダークメフィスト・ツヴァイは高笑いをしながら、暁たちの姿を眺めていた。 暁は、立ち上がれない。もはや、敵に勝ち目はなさそうだと、ダークメフィスト・ツヴァイは踏んでいた。 「力を貸すか、……暁。奴はもう、一対一で戦う気はないらしい」 石堀が言う。その手には、アクセルドライバーとアクセルメモリを既に装備している。 しかし、暁はそれを拒絶した。 「いらねえっ……! 絶対に使わねえ……っ!! あいつを倒すのは俺だ、何としてもな……!!」 暁は我が儘であった。そして、この時ばかりは妙に頑なであった。 何が彼をそうさせるのかはわらかない。 それでも、石堀の力も、ラブの力も借りずに、ただ黒岩をブチのめしたい感情が暁を支配する。 「なら、このアクセルドライバーをお前に貸してやる。シャンゼリオンの力は今は──」 石堀はアクセルドライバーを暁に差し出した。それをまた払いのける。 「いらねえッッ!! 俺は誰の力も借りずにアイツをぶちのめすッッ!! 俺は超光戦士シャンゼリオンなんだよ……ッッ!!」 アクセルドライバーの力もいらない。 しかし、暁は生身だ。生身でダークメフィストに立ち向かうなど、馬鹿げているなどという次元を超えているはずだ。 暁は、胸を押さえながらも、一歩、ダークメフィスト・ツヴァイに近づく。 「なんだかわからないけど……黒岩、てめえ、ダークザイドの誇りとかいうのはどこに行ったんだよッ……!」 ダークメフィスト・ツヴァイは、メフィストクローを暁に向ける。 ラブと石堀が心配で、一歩前に出ようとするが、暁はそれを拒絶する。 「黒岩、確かにお前は最低のバケモノだ……! だが、最低のバケモノは、もっと最低のバケモノにはならないと思っていた……!」 最低の遥か下にある最低。 そこに黒岩は行ってしまったのだと、暁は思った。 怒りが暁の感情を支配していく。 メフィストクローは、今度こそ一撃で彼を吹き飛ばすために、闇のエネルギーを周囲から吸収し、更なるエネルギーを高めようとしていた。 「今のお前は、最低中の最低のバケモノだ……。お前が言っていた美学とかいうのは、どこに消えちまったんだよ……! 今のお前には美学も誇りもねえじゃねえか……!」 暁はまた一歩前に出る。 闇のエネルギーは、まだダークメフィスト・ツヴァイの腕で装填される。 邪魔者がいない限り、そのエネルギーはより膨大になっていく。 「お前は……ダークメフィストじゃねえ……そうだろォッ?」 暁は、それでもまだ、前にいる敵に怒りを向け続けた。 そう、死ぬかもしれない。しかし、それは負けじゃない。黒岩は黒岩としての誇りを取り戻さない限り、死んだも同然なのだ。 それなら、暁の勝ちになる。 暁のモットーは、「太く短く生きる事」だ。一時の楽しみのために残りの人生を犠牲にするくらい造作もない。楽しければいい。そして、ムカつく奴に勝てるだけでも、いいのかもしれない。 ダークメフィスト・ツヴァイのエネルギーの充填が完了する。後は、放つのみ。しかし── 「……お前が俺のライバルを名乗るなら、お前はダークザイドの……ダークザイドの暗黒騎士、ガウザーって事だろッッ!!」 その言葉が、──闇のエネルギーを溜める腕に、少しの迷いを生じさせる。 エネルギーの充填は足りている。しかし、放てない。 いや、放つ事ができるはずなのに、意識のどこかが邪魔をしてそうさせない。 自分の事を忘れ、そのエネルギーをどうする事もなく、ダークメフィスト・ツヴァイは頭を抱えた。 (くっ……何故、こいつは……) この暁が今、どうしようもないほどに強く見える。 身体的には弱い。そこを突き詰めれば勝てる。 だが、何故か──そこを倒してはいけない気が、黒岩にはしていた。 「この俺のライバルは、暗黒騎士ガウザーだ!! ダークメフィストなんかになっちまったお前に、この俺の……超光戦士シャンゼリオンの、ライバルを名乗る資格はねえッッ!!!! お前に倒されても、俺は負けを認めねえッッ!!」 それはかつて、ガウザーが聞いた言葉。そして、三人の闇生物がその言葉通り、シャンゼリオンのライバルたる資格をはく奪された瞬間の言葉だった。 暁はその言葉など知らない。しかし、ここにいるのも、将来黒岩が会う事になるのも、同じ暁だ。口から出てくる言葉は同じ。 憎たらしい言葉も、黒岩を奮い立たせる言葉も……。 「ぐっ……ぐおおおおおおおおおおっっ!!」 そう、俺は超光戦士シャンゼリオンのライバル、暗黒騎士ガウザーだ。 シャンゼリオンのライバルを狙った四人の闇生物の中で、唯一、暁が認めた男。 この暁も変わらない。いずれは反発し合う光と影となるはずだった。 暁は、ここでも、しばらく黒岩といた事で、その想いを確信したに違いない。 だが、今黒岩は──その資格を自ら溝に捨てようとしてしまったのだ。 「シャン……ゼリ……オォォォォォォォンッッ……!!」 ダークメフィスト・ツヴァイのマスクが割れる。 闇の力を打破するだけの意思、誇り、強さ、そして美学。 黒岩省吾を縛っていた闇の力が解き放たれていく。 シャンゼリオンを倒すのが、彼の目的。それは生きがいではあるが、卑怯な真似を使うわけでもない。 黒岩省吾と、暗黒騎士ガウザー以外の力で手に入れるわけにもいかない。 黒岩省吾。 暗黒騎士ガウザー。 ダークメフィスト・ツヴァイ。 三つの姿に、交互に彼の体に幻影が重なる。 いずれがホンモノか──それは、暗黒騎士ガウザーに決まっている。 しかし、黒岩省吾としての姿もまた、彼の真実。 唯一のニセモノは── 「はああああああああああああああああああっっ!!」 ──ダークメフィスト・ツヴァイ、今の自分の姿。 偽りの自分を取っ払い、全てを「己」に近づける。 闇の力さえ、今の自分にはいらない。それを手放し、己を己として戦うのが、暗黒騎士ガウザーとしての誇りだ。 (あ、ありえない……自力でメフィストの闇を振り払っている……) 石堀は、己のもとに闇の力が返ってくるのを感じていた。 少しずつだが、確かに全て、それは石堀のもとへと返還されている。 それだけの意志、それだけの誇り……。 「闇の力よ、消え失せろ……ッッ!! そうだ、……俺は……俺は、ダークメフィストなんかじゃない……ッッ!! 俺は、暗黒騎士ガウザー、黒岩省吾……!! 超光戦士シャンゼリオン──涼村暁のライバルだ!!」 そう、彼の心は、闇の力を打ち消すほどであった。 △ そして、再び、二人の男が対峙する。 一人、涼村暁。涼村暁は私立探偵である。 一人、黒岩省吾。黒岩省吾は東京都知事である。 二人は互いの目と目を見る。その瞳は、怒りに満ちていたが、同時に、不思議な喜びにも満ちていた。 「……暁、どうやら今の一撃でかなりボロボロのようだな。これを使え」 黒岩は暁に、小さな銃を渡した。暁は、黒岩から直接手渡されたその銃を、訝しげに見つめた。それはデリンジャーと呼ばれる銃だったが、暁は知らない。 「なんだよ、これ……」 「俺は卑怯な手を使って貴様を攻撃した。その傷は、その時のものだろう。……ならば、今貴様がそれを俺に放つ事で、この戦いは初めて平等となる。弾丸は二発、さあ……好きな所に命中させてみろ!」 黒岩は両手を広げた。 暁は、手元のデリンジャーを強く握りしめた。 そして、よく狙いを定め、引き金を引く。 二発の弾丸は、見当違いのところに当たった。黒岩を狙う気があったとは思えない。 「……悪い、両方外れたわ」 「……何をやっている、暁」 「いや、なんかさ。こういうのは俺の好みじゃないっていうか。どっちにしろ、俺が勝つんだし……いいじゃん」 暁は、弾丸も入っていないデリンジャーを校庭に捨てた。 どうやら、わざと外したらしい事は明らかである。 「そうか……。ならば、いつまでもこんな姿で戦うワケにはいかないな。蹴りをつけるぞ、シャンゼリオン」 「そうだな……ダークザイドのバケモノ! 暗黒騎士ガウザー!」 二人はお互いの姿を見ながら構えた。 「燦然!」 ──燦然、それは涼村暁がクリスタルパワーを発現させ、超光戦士シャンゼリオンとなる現象である。 「ブラックアウト!」 ──ブラックアウトとは、黒岩省吾がダークパワーによって、暗黒騎士ガウザーに変身する現象である。 「シャイニングブレード!」 「ガウザニングブレード!」 わけのわからない剣の名前を叫びながら、二人は激突する。 互いの剣が、お互いの体を斬りつけ合う。その痛みさえ感じない。その痛みさえ心地よい。 どういう原理かわらかないが、二人の体から火花が散る。もはやその原理もどうでもいい。 この戦いの行方は誰も知らない。 「もはや今回のタイトルなど関係ない……この法則全てを超えて俺が勝ってもおかしくはないな、シャンゼリオン!」 「いーや、おかしい。何故なら俺はスーパーヒーロー、シャンゼリオンだからだ!」 無情なタイトルさえ、彼は打ち破る気でいた。いや、打ち破った。どちらが死ぬとしても、それは表題のせいでも運命の仕業でもない。それは、暁と黒岩自身の力で勝ち取る結末だ。 シャンゼリオンに勝利する。それ以外はもはや、彼も何もいらない。 ガウザーに勝利する。それ以外は、どうなってもいい。 「その法則さえ打ち破る! それがこの俺、暗黒皇帝、ガウザーだからだ!」 「やってみろよ! タイトル詐欺なんざ、お前には一万光年早いんだ! そういうのは90年代初頭の戦隊ヒーローがやるものなんだっ!」 どちらが勝利するのか、行方は誰にもわからなかった。 黒岩が勝ってもおかしくない。黒岩は死なず、暁が死んでもおかしくはない。 もともと、シャンゼリオンのタイトルは脚本家が適当に決めているのだ。 そのくらいの壁は、彼らならばいつでも打ち破れる。 そう、今の彼らならばメタ的な法則など、全て打ち破ってでも勝てる気がしていた。 「来週から、『超光戦士シャンゼリオン』は『暗黒騎士ガウザー』へとタイトルを変える! そして、俺は皇帝へと上り詰める!」 「いや、来週からはテコ入れで新しいライバルが出てくるね……っ! お前はまるでいなかったように普通に物語を進行させてやる!」 ちなみに、この辺りの言葉は全てイメージだ。実際は、「お前を倒す! そして、俺は皇帝へと上り詰める!」、「いや、俺は負けない! お前の事は忘れてやる!」とか、そんな会話が繰り広げられている事だろうと思う。ここまでの会話は実際、殆どそんな感じだろう。あるスーパー戦隊が外道衆を倒す時に映画とテレビ版で全く別の台詞を言っているのと同じ理屈だ。 剣と剣がぶつかり合う。 正義と悪とがぶつかり合う。 ライバル──その言葉は、どちらが勝ってもおかしくはない、不思議な言葉。 二人は、互いに距離を取った後、離れる。 トドメの一撃が繰り出される瞬間だ。 「シャイニングアタック!」 遠距離からの攻撃、そしてトドメはシャイニングアタックに決まっている。 クリスタルのエネルギー体はガウザーの胸元に向けて進んでいく。 「ガウザーラッガー!」 ガウザーの頭部の斧から、闇のエネルギー体が現れ、その頭部と同じ形の鋭利な攻撃を放つ。ガウザーは、制作スタッフが最後まで使うかどうか悩んだと言われる攻撃を繰り出していた。 シャイニングアタックのエネルギーに向かって、ガウザーの頭の形をしたエネルギー体が飛んでいく。 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!」 「はああああああああああああああああああああああああっっ!!」 両者は激突する。 そして── 「何っ──!?」 ──ガウザーラッガーが、シャイニングアタックに弾かれ、そのままシャイニングアタックのエネルギーがガウザーの体を貫通した。 「ば、かな……っ! くっ……!」 △ ……星空が輝く。 ここに来た時と同じ、満点の星空だった。 星の数を数える。ひとつ、ふたつ、みっつ……四十八まで数えたが、まだ星はあるので、やめた。 星空が見える校庭で、黒岩は倒れていた。そして、星の数を数えていた。きっと、からっぽの星ではない。そこにはいくつかの物語が刻まれている。 あの星の数だけ、世界があるとすれば、黒岩がシャンゼリオンに倒されずに逝く世界もあったのだろうか。 ……いや、きっとある。 誰も知る由はないが、本来の歴史の黒岩省吾は、涼村暁との戦いではなく、自分に叛逆した子供に撃たれ、命を落とすはずだったのだ……。 「暁……」 敗北し、倒れた黒岩のもとに、暁が。別方向から、石堀とラブが駆け寄ってきた。 黒岩省吾は、その姿を目に焼き付ける。最初にそこに辿り着いたのは暁だった。 「……黒岩」 「暁、どうやら俺の完敗のようだ。……だが、俺とお前はお互い、全力を尽くして戦った。これは他の誰が強要した運命でもない。どちらが勝つも、どちらが負けるも……全て決めるのは俺たち自身だった。そして、お前が勝った……これはシナリオ通りの結末じゃない……誰にも操られない、俺たちの戦いだ」 たとえ、この物語のタイトルで黒岩の死が予言されていたとしても、死亡者の名前として載るのは涼村暁だったかもしれない。それほどの激戦だった。この戦いは、何事にも左右されず、ただ当人たちの力だけで戦い、決着したのである。 そう、誰の介入もなく、ただ、お互いの力の差だった。そんな戦いだった。 「そうだな……」 「そうだ、罰のいちご牛乳は、貴様にくれてやる。いいか、味を想像しろ……。あかねっ娘の美味いいちご5、自然放牧の牛から取れた最高級の牛乳5……そんないちご牛乳だ……どうだ、美味いか……」 黒岩にはもう、いちご牛乳を奢る力などない。 視界もぼやけ始めていた。体は消え始めている。 暁の口に、いちご牛乳など流れ込んでは来ない。しかし、暁は、虚勢を張るように答えた。 「ああ、美味い……。こんなに美味いいちご牛乳は生まれて初めてだ。……やっぱり、いちご牛乳はいちご5、牛乳5に限るな。……じゃあ、俺はお前に、死ぬ前に特別にコーヒーを奢ってやる。どうだ、美味いか……」 暁の言葉は、黒岩の耳に辿り着いた。 その言葉で、黒岩は自分が思う最高のブレンドのコーヒーとして流れ込む。 「……ああ、確かに美味い。どんな秘書が作ったものよりもな」 暁と黒岩は、このひと時の戦いを楽しんだ。その満足感が、互いに飲み物を奢るのと変わらないほどの、ときめきを与えた。 それでいい。お互いに、それで充分だ。 「黒岩さん……」 「桃園ラブ、いや、女といえど君も戦士か。キュアピーチと呼ぼう……。キュアピーチ……君は、暁に何か言ったのか……」 「……えーと……」 そう、確かにラブは、暁に依頼した。 必ず勝てと、そう暁に依頼した。デート一回と引き換えだった。 悩んだラブを前に、黒岩は察した。 「……コイツは相当の女好きだ。女の言葉だけは裏切らんだろうな。君が生きろと言えば、コイツは何をしても生きる。……なるほど、それが俺の敗因か……こいつの女好きには敵わん」 黒岩は冗談のように笑った。 「すまないが、二人は行ってくれ。……最後に話すのはコイツで在りたい。こいつこそ、本当の、終生のライバル……最後の時もまた、俺たちは二人、言葉をぶつけあって戦う存在でありたい」 黒岩は、ラブと石堀にそう言った。 石堀とラブは、少し躊躇った後、黙ってどこかへ消えた。 △ 「……暁」 「なんだよ、夜に男と二人きりなんて、つまんねえ夜だぜ、本当に……」 「同感だ」 暁と黒岩は、そう言ったが、別に悪くはないと思っていた。 この黒岩省吾だけは認めてもいい。この涼村暁だけは認めてもいい。 だが、黒岩は別に男二人の夜を満喫したくて彼以外を立ち退かせたわけではなかった。 「暁、聞け。俺を、ダークメフィストにしたのは、あいつだ……」 「あいつ?」 そう、彼はダークメフィストとなった理由を打ち明けなければならない。 人間を闇に飲み込ませる能力を持っているのは、あいつだ──。 「……石堀光彦だ。奴に気を付けろ……」 その名前を知った時、暁の中に悪寒がした。 今までずっと傍にいた人間が、誰かを悪の力に飲み込ませたというのである。 「……おい、マジかよ。最後までインチキじゃねえだろうな」 「おそらく……間違いない……」 メフィストの力が消え去った今、黒岩は記憶操作の影響を受けない。メフィストになる直前の記憶を思い出しており、それを確信できる。 メフィストである時は曖昧だった記憶も鮮明になる。 石堀は他人の記憶が制限できるが、この場において、石堀の記憶制限は効果がないのだ。予知はできても、他者の記憶に干渉する事はできない。つまり、黒岩は石堀の行動を一瞬でも知っている。 だから、黒岩はこうして、暁に石堀の真実を打ち明けられた。 「奴をよく、見張っておけ……。奴に欺かれるフリをして、いつでも奴の裏切りに対応する準備をしておけ……。奴はおそらく、今は危害を加えない。きっと、その時が来るのを待っている。その時まで、奴を逆に見張れ。そして、その時が来たら……女を、守れ。俺の道具は、全てお前に預ける」 暁は、黒岩の言葉に頷いた。 そして、全てを託したら、あとは勝者を讃えるのみであった。 「シャンゼリオン、お前は見事だった……。やはり戦士だな」 「お前もそう……見事さ。最後、お前に一撃受けたパンチが、今も効いてるぜ」 パンチ──。 黒岩は、そんなものを放った覚えはなかった。しかし、確かに暁の頬には痣ができている。 いや、そうか──。シャイニングアタックの直撃の際、無我夢中で、ガウザーはシャンゼリオンに一撃でも浴びせようと、拳を突き出したのだ。 己の中にあった戦士の血が、ガウザーをそうまでさせたらしい。 なるほど、自分が想像した以上に良い勝負、そして良い執念であったのだ。 「暁、最後に一つだけ言っておく事がある」 「……言ってみろよ。まあ、聞いてやらない事もないぜ」 そして、黒岩はいつも薀蓄を披露する時のように得意げに、言葉を紡いだ。 「知っているか……! 世界で最も素晴らしい決闘は、日付さえもどこにあるのかさえもわからない……この時、この場所で、超光戦士シャンゼリオンと暗黒騎士ガウザーによって刻まれた……! だが、この戦いはいずれ誰からも忘れられる……記録に残らず、やがて忘れられ、この一戦は誰にも知られる事なく、朽ち果てる! それでも尚、広い世界の片隅で……記録さえできない場所でひっそりと輝くだろう……! そう、それこそが俺が見つけ出せなかった、俺の過ちだ……! 本当に素晴らしいものは記録ではない、記憶に残り続けるものなのだ……!」 世界で最初、世界で最高──そんなものは、広い世界のごく一部でしかない。 誰にも見えない場所があるというのに、そんな言葉に何の意味があるというのだろう。 黒岩は、自分の薀蓄の誤りが、一体どうして生まれたものなのか知った。 記録に残っているそれを、記憶には残さなかった。どんな偉業も、データとして見ていた。それだけなのだ。だから、しっかりと細部まで覚えられなかった。 その記録を、想いも全ても記憶に残せば、間違ったデータなどにはならなかっただろう。 「さあ行け……。俺も戦士だ、ライバルに最期の姿を見られたくはない……」 黒岩は、最後に暁をそう急かした。 ヒーローは、悪役に背中を向けて、それで去ればいい。 そのまま画面に向かい、フェードアウトすればいい。 いや、ガウザーが勝ったとしても、きっとそうする。 青臭いひと時を終え、けじめをつける時が来たのだ。 「……わかった」 暁は、そう言って黒岩の視界から姿を消した。 仲間のもとへと、そして、仲間の皮を被った敵のもとへと、奴は向かっているだろう。 まだ戦いは続く。まだあいつには戦士としての使命がある。 暁は、一度だけ振り向いたが、それでも、またラブと石堀の元へと向かった。 (そうだ……誰より輝け、お前はこの俺に……皇帝に勝った戦士だ……) 黒岩の体が消えていく。 (時を越えて、輝き続けろ……!) 暁はもう、振り向く事なく過ぎ去っていく。 「──俺ってやっぱり、決まりすぎだぜ!」 暁の声が聞こえる。 お互いの心には、もはや一欠片の不安も、不満もない。 奴は勝った。勝者の叫びだ。あれほど憎たらしい声をあげるのであれば、この先も過ちを犯したダークザイドを躊躇なく葬っていけるだろう。そんな後ろ姿に安堵する。 安堵して、戦士としての役割を終えた。 これで暁との因縁は決着したのだ。あとは、完全に消えるまでの間、ライバル以外の事を考えても良い、自由な時間がある。 ──とはいえ、それは少ないが。 「エリ……」 僅かであっても、戦士としての役目を終えた男は、愛しい女の名前を呟く事を許された。 人間界でできた恋人──自分に惚れた女のラームを吸う黒岩にとって、唯一そのラームを吸う事ができない相手、それが南エリだった。 彼女の笑顔が、最後に、彼の瞼の裏にあったのかもしれない。 【黒岩省吾@超光戦士シャンゼリオン 死亡】 【残り18人】 △ 暁と、ラブと、石堀は保健室にいた。この保健室は誰かが使った形跡があり、おそらくずっと前に誰かが利用したであろう事は明白であった 間もなく、22時に差し掛かろうとしている。暁は、そこにあるものを適当に使って、石堀に消毒してもらっていた。 しかし、そんな暁はきっと、石堀の横顔を疑っているに違いない。 ──彼は何かを企んでいる。今は大丈夫だと言われたが、そうらしい。 それが真実だというのなら、暁はラブが殺される前に守らなければならない。 「……どうやら、こちら側には誰もいないみたいだな。……どうする? 警察署に向かうしかないが、そのためには遠回りをする必要があるかもしれない」 「あ、ああ……」 石堀は、何ら変わらぬ姿であった。暁が石堀を疑っている事にも気づいていないようである。綿密に、普通の人間としての作戦を立てている。 「禁止エリアっていうのがどういうものなのかにもよる、よな……」 暁は、本当に何事もないように話しかけた。石堀を警戒しながら。 しかし、どこか黒岩の言葉も信じきれないまま。 『9.6秒、か。…………暁、それを言うなら『俺達は』だろ』 不意に、暁の脳裏に浮かぶ、ダグバを倒した時の一言。 本当にこいつが……。 たまに冗談を言ってくる、この普通の冴えない男が、黒岩を操るほどの力を持っているのか……。 そして、いつか機を見て、ラブに教えなければならない。 ────そうだ。 そのうち、二人きりになるチャンスがある。 それは今じゃないかもしれないが、いつか、そう「デート」という権利が残っている。 それを使う時がいつか来る。ただのデートじゃない。石堀光彦の不穏さを教えるひと時だ。 デートは誰にも邪魔されない。特に、男にそれを邪魔する資格はない。 いずれにせよ、暁は体を治療すると、立ち上がった。 それから、警察署に行く方法。 これは、禁止エリアを避ける場合、F-6の橋を通って、また森を抜けて警察署に向かわねばならないわけだが、果たしてどうするべきか。 もしかすれば、G-8とF-9の僅かな道を抜ければ、辛うじてすぐに向こうに行けるかもしれない。しかし、首輪が爆発するタイミングがわからない以上、そこを通るのは危険だ。 そもそも、もう22時に近い。ラブも欠伸を始めている。そんな中で、わざわざそこに向かう必要があるのだろうか。 彼らがどう決断するのか──それは── 【1日目 夜中】 【G-8/中学校・保健室】 【備考】 ※同エリアの市街地にある東せつなの遺体のもとには、カオルちゃん特製ドーナツ@フレッシュプリキュア!が供えられました。 ※黒岩省吾の遺体は消滅しました。付近には彼の所持品のデリンジャーがありますが、全弾使用済です。 【涼村暁@超光戦士シャンゼリオン】 [状態]:疲労(中)、胸部に強いダメージ(応急処置済)、ダグバの死体が軽くトラウマ、脇腹に傷(応急処置済)、左頬に痛み [装備]:シャンバイザー@超光戦士シャンゼリオン、モロトフ火炎手榴弾×3 [道具]:支給品一式×8(暁(ペットボトル一本消費)、一文字(食料一食分消費)、ミユキ、ダグバ、ほむら、祈里(食料と水はほむらの方に)、霧彦、黒岩)、首輪(ほむら)、姫矢の戦場写真@ウルトラマンネクサス、タカラガイの貝殻@ウルトラマンネクサス、八宝大華輪×4@らんま1/2、スタンガン、ブレイクされたスカルメモリ、ランダム支給品0~5(ミユキ0~2、ほむら0~1(武器・衣類ではない)、祈里0~1(衣類はない)、黒岩0~1) 、スーパーヒーローマニュアルⅡ [思考] 基本:加頭たちをブッ潰し、加頭たちの資金を奪ってパラダイス♪ 0:石堀を警戒。石堀からラブを守る。表向きは信じているフリをする。 1:石堀やラブちゃんと一緒に、どこかに集まっているだろう仲間を探す。 2:別れた人達が心配、出来れば合流したい。 3:あんこちゃん(杏子)を捜してみる。 4:可愛い女の子を見つけたらまずはナンパ。 5:変なオタクヤロー(ゴハット)はいつかぶちのめす。 [備考] ※第2話「ノーテンキラキラ」途中(橘朱美と喧嘩になる前)からの参戦です。 つまりまだ黒岩省吾とは面識がありません(リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキのことも知らない)。 ※ほむら経由で魔法少女の事についてある程度聞きました。知り合いの名前は聞いていませんでしたが、凪(さやか情報)及び黒岩(マミ情報)との情報交換したことで概ね把握しました。その為、ほむらが助けたかったのがまどかだという事を把握しています。 ※黒岩とは未来で出会う可能性があると石堀より聞きました。 ※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。 ※第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。 ※森林でのガドルの放送を聞きました。 ※第三回放送指定の制限解除を受けました。彼の制限は『スーパーヒーローマニュアルⅡ』の入手です。 ※リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキとクリスタルステーションの事を知りました。 【桃園ラブ@フレッシュプリキュア!】 [状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、左肩に痛み、精神的疲労(小)、決意、眠気 [装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア! [道具]:支給品一式×2(食料少消費)、カオルちゃん特製のドーナツ(少し減っている)@フレッシュプリキュア!、毛布×1@現実、ペットボトルに入った紅茶@現実、巴マミの首輪、工具箱、黒い炎と黄金の風@牙狼─GARO─、クローバーボックス@フレッシュプリキュア! 基本:誰も犠牲にしたりしない、みんなの幸せを守る。 1:どこかに集まっているだろう仲間を探す。 2:マミさんの遺志を継いで、みんなの明日を守るために戦う。 3:プリキュアのみんなと出来るだけ早く再会したい。 4:マミさんの知り合いを助けたい。もしも会えたらマミさんの事を伝えて謝る。 5:犠牲にされた人達のぶんまで生きる。 6:ダークプリキュアとと暗黒騎士キバ(本名は知らない)には気をつける。 7:どうして、サラマンダー男爵が……? [備考] ※本編終了後からの参戦です。 ※花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつき、月影ゆりの存在を知っています。 ※クモジャキーとダークプリキュアに関しては詳しい所までは知りません。 ※加頭順の背後にフュージョン、ボトム、ブラックホールのような存在がいると考えています。 ※放送で現れたサラマンダー男爵は偽者だと考えています。 ※第三回放送で指定された制限はなかった模様です。 【石堀光彦@ウルトラマンネクサス】 [状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、21時半ごろから2時間予知能力使用不可 [装備]:Kar98k(korrosion弾7/8)@仮面ライダーSPIRITS、アクセルドライバー+ガイアメモリ(アクセル、トライアル)+ガイアメモリ強化アダプター@仮面ライダーW、エンジンブレード+エンジンメモリ+T2サイクロンメモリ@仮面ライダーW 、コルトパイソン+執行実包(2/6) 、ロストドライバー@仮面ライダーW [道具]:支給品一式×3(石堀、ガドル、ユーノ、凪、照井、フェイト)、メモレイサー@ウルトラマンネクサス、110のシャンプー@らんま1/2、ガイアメモリ説明書、.357マグナム弾(執行実包×18、神経断裂弾@仮面ライダークウガ×4)、テッククリスタル(レイピア)@宇宙の騎士テッカマンブレード、イングラムM10@現実?、火炎杖@らんま1/2、血のついた毛布、ランダム支給品2~8(照井1~3、フェイト0~1、ガドル0~2(グリーフシードはない)、ユーノ1~2)、暁が図書室からかっぱらってきた本 [思考] 基本:今は「石堀光彦」として行動する。 0:「あいつ」を探す。そして、共にレーテに向かい、光を奪う。 1:今は暁とラブの二人を先導しながら街を進む。 2:どこかに集まっているだろう仲間を探す。 3:周囲を利用し、加頭を倒し元の世界に戻る。 4:孤門や、つぼみの仲間、光を持つものを捜す。 5:都合の悪い記憶はメモレイサーで消去する 6:加頭の「願いを叶える」という言葉が信用できるとわかった場合は……。 7:クローバーボックスに警戒。 [備考] ※参戦時期は姫矢編の後半ごろ。 ※今の彼にダークザギへの変身能力があるかは不明です(原作ではネクサスの光を変換する必要があります)。 ※ハトプリ勢、およびフレプリ勢についてプリキュア関連の秘密も含めて聞きました。 ※良牙が発した気柱を目撃しています。 ※つぼみからプリキュア、砂漠の使徒、サラマンダー男爵について聞きました。 ※殺し合いの技術提供にTLTが関わっている可能性を考えています。 ※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。 ※第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。 ※森林でのガドルの放送を聞きました。 ※TLTが何者かに乗っ取られてしまった可能性を考えています。 ※第三回放送指定の制限解除を受けました。予知能力の使用が可能です。 ※予知能力は、一度使うたびに二時間使用できなくなります。また、主催に著しく不利益な予知は使用できません。 ※予知能力で、デュナミストが「あいつ」の手に渡る事を知りました。既知の人物なのか、未知の人物なのか、現在のデュナミストなのか未来のデュナミストなのかは一切不明。後続の書き手さんにお任せします。 【支給品解説】 【スーパーヒーローマニュアルⅡ@オリジナル】 ゴハットが新たに制作した、スーパーヒーローマニュアルの第二作。 涼村暁に手渡されたこのスーパーヒーローマニュアルは、平成のヒーローっぽい名言やポーズが記されている(ヒーローの名前や姿は記されておらず、あくまで、あのヒーローやあのヒーローっぽい台詞などが載っているだけ)。その点では基本的に「Ⅰ」と同じであるものの、少しスタイリッシュでクールな新時代のヒーローの台詞などが描かれている。 また、シャンゼリオンのスペックも特別に掲載されており、リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキの呼び方が書いてある。 【施設紹介】 【クリスタルステーション@超光戦士シャンゼリオン】 A-10エリアの海上に出現。 リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキの三体の超光騎士を内蔵したS.A.I.D.O.C.の秘密基地。 ただし、初登場時と同じく、電気が通っていないので、何らかの手段で高圧電流を流さなければ不可能。 本当に最終回までに超光騎士を呼べるのか…?大いに疑問。 【忘却の海レーテ@ウルトラマンネクサス】 F-5エリアの山頂に出現。 来訪者たちの技術で作られた大型記憶消去装置。スペースビーストの記憶が更なる災厄を招かないよう、世界中の人間のウルトラマンとビーストの記憶を消し去り、その恐怖の記憶を封印した場所である。人々のマイナスエネルギーを溜めこんでいるため、ここを媒介として、石堀はデュナミストの憎しみを利用して光を奪い、闇に還元する事ができる。 ポテンシャルバリアーと呼ばれる防御壁があり、それが市街地にビーストを出現させる事を防いでいたが、今回のポテンシャルバリアーの状態は不明。どちらにせよ、今回は突破されてもビーストは出現しないかもしれない。 時系列順で読む Back 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(前編)Next 壊れゆく常識 投下順で読む Back 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(前編)Next 壊れゆく常識 Back 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(前編) 涼村暁 Next ラブのラブレター! 驚きの正体!? Back 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(前編) 桃園ラブ Next ラブのラブレター! 驚きの正体!? Back 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(前編) 石堀光彦 Next ラブのラブレター! 驚きの正体!? Back 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(前編) 黒岩省吾 GAME OVER Back 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(前編) 加頭順 Next 第四回放送Y(前編) Back 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(前編) ゴハット Next 怪奇!闇生物ゴハットの罠
https://w.atwiki.jp/testest-umigamedb/pages/683.html
2020年10月8日 出題者:AKH48 タイトル:タカフミ、死す。 【問題】 タカフミは、コシノが有名だったせいで死んだ。 一体どういうこと? 【解説】 + ... タカフミは、人気Youtuberで、テレビに売り出している。 しかし、かなり口や性格が悪く、みんなに嫌われていた。 そんなタカフミは、もっと認知度をあげようと、 「僕のお父さん、実はあの有名歌手のコシノゲンなんです!」と、テレビで発言した。 それを見ていた夜神月。 「タカフミずっと殺したかったけど、今まで名字わかんなかったから殺せなかったんだよな〜。 自分から言ってくれて助かったぜ。」 デスノートに「コシノタカフミ」と書かれたタカフミは急死することになった。 《非現実》《死》《ブラック》《モチーフ有》 配信日に戻る 前の問題 次の問題
https://w.atwiki.jp/renjodatabase/pages/120.html
分類:短編小説 初出:「小説現代」1981年11月号 雑誌時挿絵:三嶋典東 収録短編集:『密やかな喪服』、『夜よ鼠たちのために』(ハルキ文庫版・宝島社文庫版)、『六花の印 連城三紀彦傑作集1』 あらすじ 雨、というより霧に似ていた。 波止場は紗幕越しの景色のように、ただ灰色にけぶっている。海も空も、濡れて、一つの色に溶けこんでいる。 六年前、正当防衛で組幹部を殺害した私は、しかし愛人と弟分の共謀した二発目の銃弾のために実刑を受けた。刑期を終え出所した私は、自分を裏切った二人を殺すために拳銃を手に入れた……。 登場人物 私暴力団員。 古川征二「私」の弟分。 恭子「私」の愛人。 谷沢組幹部。 解題 (スタブ) 掲載号「今月登場」より 「男はつらいよ 浪速の花の寅次郎」を3回も見た。お目当ては松坂慶子の着物姿である。短篇集『変調二人羽織』が出た(小社刊)。 各種ランキング順位 オールタイムベスト・連城三紀彦短編 73位 収録アンソロジー 関口苑生・香山二三郎編『一瞬の人生 「仕掛けと謎」の楽しみ』(1991年、講談社) 関連作品 やくざ・暴力団を扱った作品「桐の柩」(『戻り川心中』収録) 「螢草」(『螢草』収録) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/katamematome/pages/292.html
作品データ タグ: 2010年代 アニメ カーボンフリーズ ギャグ固め パロディ メガネ 児童向け 壁埋め 女の子 妖怪ウォッチ 瞳あり 破壊なし ジャンル アニメ 種類 カーボンフリーズ 性別 女 妖怪ウォッチシリーズ 妖怪ウォッチ 第108話「魔の5年1組〜グレるりん 夕陽に死す!!〜」 妖怪ウォッチ 73話 内容 グレるりんにメンチを切られたイナホが「あの睨みを利かされたら石にされるとか~」と怖がりながら自身が石化した姿を想像します・・・が、どう見てもスター・ウォーズパロディのカーボンフリーズです。ポーズもハン・ソロと完全に一致。 画像・動画 タグ: 2010年代 アニメ カーボンフリーズ ギャグ固め パロディ メガネ 児童向け 壁埋め 女の子 妖怪ウォッチ 瞳あり 破壊なし リンク youtube 第108話 公式配信 妖怪ウォッチシリーズ 妖怪ウォッチ 第108話「魔の5年1組〜グレるりん 夕陽に死す!!〜」 妖怪ウォッチ 73話 批評・コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/twitterfatetrpg/pages/426.html
このSSは裏講師であるバイアが裏講師になるための面談SSです 実際に行われたRPを元に作成しています! 少しだけあれな表現があるのでご注意ください ──幕間── 彼女は知っている、他者を完全には理解することなどできないことを 故に彼女は他者のあり方を肯定する 彼女は知っている、人は協力しなければ生きていけないということを 故に彼女は愛をもって他者と接する 彼女は知っている、死者は決して蘇るということはないということを 故に彼女は生きる者の思いを優先する 彼女は知っている、目的は他者の目的とぶつかることがあるいうことを 故に彼女は─────他者の命を奪うことに何も感じない 六年前のその日、私は時計塔の入り口が見える場所である人を待っていた その人の顔も名前も知らない しかし、星は私に告げた 私が欲しいものはこの日のこの時間帯に時計塔に出入りする白髪の黒人の男と交渉することで手にはいるであろうということを 世界は広しというけれど、このロンドンで白髪の黒人の男というのは否が応でも目立つ 目的の人を見つけ、笑顔で声をかけるのにそうかからなかった 「人手不足でお困りではないでしょうか?」 人手不足、というのは推測だったが、ある程度の自信はあった 交渉というからには、私からも何かを提供しなければならない 私が提供できるものは 功績 人手 命 の三つしか持っていなかった 相手から若干疲れた様子を感じたので、多分間違っていないだろうと思う 相手はまるでただの通りすがりのように言葉を返す 「……こんにちは。そうだね、時計塔は慢性的な人手不足だ。講師の募集ならこの廊下を上がって右手の窓口だよ」 もしかしたら間違えたのではないかと少しだけ不安になったけれど、まだ確定したわけではない 「こんにちは。正規の手続きを踏めるならそうしますけれど、そうもいかない事情がありまして」 もう少し話を続けてみようと思った すると男が返した言葉は待ち望んだものだった 「なるほど、……じゃあ、僕が案内しよう。こう見えてもある程度は顔が効いてね。付いて来てもらえるかな?」 ただ、上手くいきすぎてこのまま話を聞いてもらえずに法政科に差し出されるという可能性が頭をよぎる 命が惜しい訳ではない ただ、話を聞いてもらえれば最終的に命を差し出すことになったとしても、彼は今差し出すよりも得をするだろう そう考えたので、私はあくまで笑みを崩さないまま言葉を紡いだ 「ありがとうございます。ただ、法政科に通報したり、殺害したりというのを考えていらっしゃるようでしたら私の話を聞いた後にしていただいても?」 「損はさせませんわ。それに必要でしたら、真実を語ることを『自己強制証明』(セルフギアス・スクロール)で誓っても構いません」 すると、男は困った様子で言葉を返した 「……困ったな、君を害する意思なんてないよ」 「少なくとも“僕には”ね」 「然し、此処では出来ない話というのもあるだろう?誰にも聞かれない様な場所に移動してから、しっかりと聞こう」 ━━━なら、大丈夫だろう 根拠はなかったけれど、そう思ったのでぺこりとお辞儀をし付いていくことにした 「ええ、ではそれでよろしくお願いします」 彼は埃を被った廊下を進み、暗い階段を降り、右に曲がり……と、次第に閑散とした場所へ進んでいく。 そして、暫く歩いた後、唐突に足を止める。 「……此処なら問題ないだろう」 彼が何の変哲も無い壁に手を触れると、魔術式が起動し、扉が現れた。 「どうぞ、入って」 誘導にしたがって部屋に入り、椅子に座ることを促されたので座る 私が座った様子を確認すると男は話を切り出した 「……さて、と。それじゃあ先ず何故此処に来たのか。そして何故僕の事を知っているのか……教えてもらえるかな」 「一応は隠蔽にも気を遣っていたハズだ。見た所、まだ若い様だが……何処で知った?」 何も知らなかったというのが正解なのだがずいぶんと警戒されているようなので、こう答えることにした 「早とちりと交渉の札を先に見せるのはダメですよ?」 「結論から言うと今知りました。私は占星術であなたが人手不足で困っているから交渉しろと出たので、交渉しにきたのですから」 正確には違うが、こちらの方が相手の警戒心もとける……と思う それを聞くと彼は疲れはてた様子で言葉を返した 「……そうか、なら、……もう帰ってくれ。じきに此処も消える、再起不可ってヤツさ」 「申し出は有難いが、そもそも出自を知らない者を雇える様な場所ではないからね」 …………このまま交渉を進めれば、有利に終わることはできるだろう ━━━━━けれど、弱ってる人の弱味をつくというのはよくないと思う なので、交渉という体をとることをやめることにした 「大分お疲れのようですね」 「分かりました、なら私も交渉の札をすべて開けます」 「魔術協会から指名手配されていたテロリストのアーノルド・レイに娘がいたのはご存じですか?」 まずはこの話をする必要がある 交渉をするにせよ、その体をとらないにせよ私について話さなくてはならない 「ああ、知っているよ。それが?」 彼の返事を聞くと、自らの腕にある魔術刻印を見せながら言葉を続ける 「私がその娘です」 そして、持ってきた手提げ鞄を漁る 中から防腐処理の施された二つの生首と一冊の魔道書を見つけ出してテーブルの上におく 「あ、これ父と母の首です。それと、なくなるのでしたらどういつ活動していたのかお聞きしても?」 お土産を渡すときと同じような雰囲気で、顔を知らなかったら困ると思い一応説明を付け足す 少しの沈黙の後、彼は尋ねた 「………………」 「……どうして、と聞くのは野暮かな」 少しだけびっくりした どちらのことを聞いているのか分からないが、理由を尋ねられるとは思っていなかった 小首をかしげて聞いてみることにした 「どちらのことを指し示しているのでしょうか?」 「お尋ねする理由ですか?父と母を殺した理由ですか?」 「それとも、その両方ですか?」 彼は私の疑問を解消する 「両方だね、そもそも彼等はある程度腕の立つ魔術師だったハズだ。……君が殺したのか?」 ……殺し方は聞かれるかもしれないと思っていたけれど、殺す動機を聞かれるとは思っていなかった 「ええ、私が殺しました。寝ているときにサクッと。どんな人であれ人である以上は休息を必要としますし、実の娘に殺されるとは思っていなかったでしょうから簡単でした」 一人殺したところで一人起きてしまったので、抵抗にはあったが手の内を知り尽くしていたため簡単であったのは確かだ 「どうして殺したかですか。彼らが魔術使いで私は魔術師であったからでしょうか?でも、聖堂教会や魔術協会に殺されるよりも実の娘のために死ねるならそっちの方が幸せだと私は思います」 人は死に方を選べない、なら身内のために死ねた方が幸せだと私は思う 「お聞きする理由は私が払えるべき対価を払ってまで存続させる価値があるかというのを見極めたいのです」 一連のことをごく普通に答える 嬉々とすることでもなく、悲しむものでもなく当然のことなのだから 彼は暫し思考し、言葉を返した 「…………」 「……分かった」 「じゃあ整理しよう。君は僕達の仕事を手伝ってくれる、そういう意図で此処に来たんだね?」 私にも欲しいものがあったので、結果的にそういうことになるだろう 「そうなります。ただ霊地を少々間借りしたいので、魔術教会への在籍を取り計らってもらえると助かります」 後、出したのはいいが説明のタイミングを逃してたので魔道書の方の説明もしておくことにした 「札を全て見せるといいましたからこちらの説明も」 分かりやすいようにテーブルの中央に持ってくる 「テロのために拠点の確保と使える魔術の選択肢を広げるために父と母が殺した魔術師の家から奪い溜め込んでいた魔道書の内の一冊です」 「本来は全てもってきたかったのですが、量が量ですので…。場所に関しては話が纏まったらお教えします」 「死体の現場もそのままにしてありますので、殺したことをお疑いでしたらそちらの確認もその時にどうぞ」 自らの手札を全て晒したので、後は彼の反応を待つだけだった 「君が軽い気持ちで此処に来ていないのは理解出来た」 「……偉そうに言ってる僕だけど、実は組織内の立場は別に高くなくてね。上に判断を仰ごう」 「だから今日は一旦、御開きとしよう」 こうして、また時計塔の入り口まで案内された 私は別れの言葉と共に連絡先を告げる 「分かりました、こちらが私の下宿先です」 「携帯はGPSで特定されるということで買っていただけませんのでしたので、ここにご連絡いただければと思います」 宿の住所と部屋番の書かれたメモを渡す 「ありがとう」 「では追って連絡するよ」 彼の別れの言葉を聞くと私はその場を後にした 後日、私の宿に届いたのは一通に手紙。 そこに書かれていたのは裏講師のメンバーとして歓迎する旨と、それから暫く使用する事になるコードネーム……「バイア」だった。 特別ゲスト オスカーさん(邪神ちゃん) 個別に長いRPに付き合っていただきありがとうございました!
https://w.atwiki.jp/yamenayo/pages/24.html
クラウドがこの先生きのこるには やめるよ 布団の中からやめなよ 安らかに逝きなよ お断りします+天使 天使 クラウドここに眠る(死因:過労死) 蘇るクラウド クラウド・オブ・ザ・デッド クラウドがこの先生きのこるには |ヽ∧_ ゝ __\ /_~ ,,... _ ;; ~"'ヽ (,, '"ヾヽ i|i //^''ヽ,,) ^ '⌒i __ .i⌒" ||´・ω・`| > やめなよ |(ノ ̄ ̄.|) | ..| ヽ__ノ U""U やめるよ |ヽ∧_ .,ゝ __\ やめるよ []()||´・ω・`| > l二ヽ □と ) ̄⊃ ) ) ⊂ (_(_つ  ̄⊃ / ̄ ̄ ̄ヽ ⊂_ ._⊃ | (\/) | ⊂__⊃. | | | (/\). | ヽ___/ 布団の中からやめなよ l} 、 \ヘ,___,_ ______/ .__| .|__ |l \ | | |ヽ∧_ |、.. |[], _ .| [ニ] |l'-,、イ\ | | ゝ __\ | .. ヘ ̄ ̄,/(__) |l ´ヽ,ノ | | ||´・ω・`| > |、  ̄ ̄ |l | | | |,r'",´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ、l __________ |l.,\\| | | ,' ... .. l|───―――― / |l | | | | ... . . |l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |l__,,| | | | .... .. |l やめなよ |l ̄`~~| | | | |l |l | | | | |l |l | | | | ''"´ |l |l \\[] | | | |l |l ィ'´~ヽ | | ``' |l 安らかに逝きなよ l} 、 \ヘ,___,_ ______/ .__| .|__ |l \ | | |ヽ∧_ |、.. |[], _ .| [ニ] |l'-,、イ\ | | ゝ __\ | .. ヘ ̄ ̄,/(__) |l ´ヽ,ノ | | ||´-ω-`| > |、  ̄ ̄ |l | | | |,r'",´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ、l __________ |l.,\\| | | ,' ... .. l|───―――― / |l | | | | ... . . |l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |l__,,| | | | .... .. |l |l ̄`~~| | | | |l |l | | | | |l |l | | | | ''"´ |l お断りします+天使 ________ ⊂⊃ ________(_____ \ |ヽ∧_ / ____) (_____ \ ゝ __\ / ____) (____ \||´・ω・`| > ____) やめなよ (____/ \___) ((⊂__) ノ\_つ)) (_ ⌒ヽ ヽ へ .} ε≡Ξ ノノ `J 天使 γ'フ イ ('i, ,/ (ヽ ( 'i,`ミ' ヽ i ヽ`)'フ (\ヽ,,_ ` ' .ヽ )γ),ノ) ヾ' ..,, '; 'l, ,/ . ' ノ' ゝ- .,,, . i! ⊂⊃ ノ' , ' ''",フ ,,-'', ',,,.. . ' /' |ヽ∧_ ''",, ' "つ `ツ、,,ー- . ' (,,,,ゝ__ \γ´ ''"ヾ、 彡' ''-彡,, ' , ||´・ω・`| >ヽ、,,_,,ノ'⌒ やめなよ!! ,彡' | / ' ゙" '-=-'" ノ., "シ ( ヽノ ,,_,,,ミ^ヾ "''ツ' ノ ノ ヽ''ヽ) レレ クラウドここに眠る(死因:過労死) ______ ゙" "''" "゙" ゙"/ ヽ_____ ヾ" ゙" ゙" " ゙"'' ゙" |ヽ/ ヾ''" ゙" ゙'" "゙" ゙" .| | KURAUDO | ゙ " ゙" ゙ ゙" ゙"'' | l 19XX-20XX | ゙" ゙ ゙" ゙"'' | l | ゙" ゙" "゙" ゙"| | Death by | ''゙"゙" ゙" ゙""'"Wv,_| l overwork |、wW"゙"゙" ゙"''" ".wWWlヽ 'ヽ| _ _______ .| \W/ ゙"゙''"゙''"゙" V/Wヽ`―――――――――lV/W "'゙""' ゙"''" "゙"WW''―――――――wwww' ゙"゙'' 蘇るクラウド .∥ iニi | | | .___| | |___ ゙" "''" "゙" ゙"/ ヽ .└┘ ヾ" ゙" ゙" " ゙"'' ゙" |ヽ/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヾ''"゙" ゙'" "゙" ゙" .| | KURAUDO | ゙ " ゙" ゙ ゙" ゙"'' | l 19XX-20XX | ゙" ゙ ゙" ゙"'' | l | ゙" ゙" "゙" ゙"| | Death b |ヽ∧_|_γ''゙"゙" ゙" ゙""'"Wv,_| l over ゝ __\W"゙"゙" ゙"''" ".wWWlヽ 'ヽ| _ ___||ζω・`| > …や…め…な……よ…゙''"゙" V/Wヽ`――――――<(rm ̄ ⊂ヽ>゙""' ゙"''" "゙"WW''―――――――wwww' ゙"゙'' クラウド・オブ・ザ・デッド |ヾ∧ やべべべなななょおおおお 々....~~\ ||´゚ω。` > /~ ~~~~~ 、ゞ .......Λ....Λ....Λ....Λ....Λ....Λ....Λ....Λ....Λ....Λ....Λ....Λ...... └二づ |∪=| |───────────────────── у ヾ⊃ー/ノシ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ~~`´~~~~ 上へ
https://w.atwiki.jp/twitter_neta/pages/88.html
基本情報 テンプレ名: テンプレジャンル: 概要・使い方 流行った時期 元ネタ 上記以外の使用例 その他