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勇者ディアスはユリアと仲間達と共に、魔女カマラとカマラ自身を生け贄として召喚された魔王ギールを打ち倒した。 ギール「我はおまえを愛し、憎む・・・」 ギールが消滅していった。 ディアス「これは、いったいどうなっているんだ?」 ユリア「魔女カマラの悪霊が王女に取りついていたのです」 「あなたの魂を魔王ギールの鎧に封じ込めることで、カマラはあなたを永遠に生かそうと考えたようです」 ディアス「俺の、魂を使って・・・?ギールを復活させようと?なんとおぞましいことを・・・」 「おい!ということは・・・俺が刺し違えた魔王ギールにも誰かの魂が封じられていたのか?」 ユリア「そうです。彼女は、呪われた鎧に魂を囚われ、魔王ギールの依り代とされたのです」 ディアス「依り代・・・?まさか、その彼女は・・・」 ユリア「ええ、私ですよ。ですが、記憶違いがひとつ。刺し違えたのではありません」 「あなたは、自分が倒した魔王が私であったことに気づき自ら命を絶ってしまった・・・」 ディアス「なぜだ!なぜ俺はそのことを覚えていない!?」 ユリア「神様は、あなたを憐れまれすべての人々の記憶から私の存在を消し去ったのです」 ディアス「なんということを・・・教えてくれ、ユリア!俺の恋人というのはキミなのか?」 ユリア「フローラ王女が目覚めますわ。話の続きは、もう少しあとにしましょ」 「彼女を責めないでね。悪いのは、心の隙に付け込んだカマラなのですから」 「もう元の心優しい王女に戻っているはずよ・・・・ではまた、のちほど」 フローラ「ああ、ディアスさま・・・私は、取り返しのつかない過ちを犯してしまいました」 「あなたを英雄にするために魔王ギールを召喚し、その結果多くの人々が苦しみました」 ディアス「そうだな・・・死者は愛する人のもとに二度と帰らない。ひどい話だ」 フローラ「ああ、ディアスさま・・・」 ディアス「泣くな。泣いたって今さら、どうしようもない・・・誰しも過ちは犯す」 「間違いに気づいてからどう、つぐなうかだ・・・俺もキミもな」 フローラ「ああ、ディアスさま・・・私は、どうすればいいでしょう?」 ディアス「悪いけど、自分のことは自分で考えてくれ。俺は、俺のことで頭が一杯なんだ」 フローラ「・・・そうですか・・・わかりました」 土曜の夜明けとともにディアスは、意識を失い静かに息を引きとった。 それから五日間、英雄の死を悼むように夜の闇が国中を包んだ。 そして次の土曜・・・ グランダムの王宮でディアスの葬儀がしめやかに行われた 人々が別れの言葉を継げている。 その様子をディアスは天使ユリアとともに眺めていた サラ「おふたりが天国で結ばれることを心から祈っています」 「ディアスさま、お幸せに!」 ナオミ「なあ、あんた・・・この国は少しずつだけど今よりマシになると思うんだ」 「だからこれからも雲の上であたしらのこと、見守っていておくれよ」 リュー「貴様の魔王討伐を手助けできたこと、私は生涯誇りに思うだろう」 「さらばだ、ディアスよ。またいつか会おう」 メリーアン「いちおう言っておくけど魔女の悪霊を倒したくらいじゃこの国は平和にならないよ」 「ま、みんなで何とかするわ。だからディアスくん、安心して天国に行くといいよ」 ピピ「勇者のお兄ちゃん、あなたのおかげでこの国は面白いことになりそうですよ」 「どんな時代になるのかな。ボクは、やる気満々なので~す」 ヨナ「私が勇者の力を得てもひとりじゃ何もできません」 「でも、みんなの力を借りればこんな私も役に立つことが何か見つかるといいなって・・・」 「あの・・・えっと・・・一生懸命がんばります!」 トーマス「じきにワシもそちらに行きますから、そのときはまたよろしくお願いします」 ゾロ「なぜおまえが英雄で俺が英雄になれなかったのか、今ならよくわかるぜ」 「あばよ、ディアス。おまえこそが本物の英雄だ」 フローラ「未だ自分が何をすべきか国のために何ができるのか、私にはわかりません」 「ですから、さまざまな人に助けを求めました」 「サラさんには信仰の尊さを、リューさんとサラさんからは私たちと異なる文化を」 「ビビさんには金融や流通を、メリーアンさんには科学を教えていただくつもりです」 「ディアスさまも私が道に迷ったときは天国から導いてくださいませ」 「3年後、フローラは女王就任と 同時に議会制を導入した。 また周囲の反対を押し切り 閣僚に、人種、身分、性別に かかわらず広く人材を登用。 フローラの死後、 王制は次第に形骸化したが、 ロビリア国は発展を続けた。 世界で最も豊かで平和な国 ロビリアは、ディアスの死から 1000年栄えたと伝えられる」 ディアス「ユリア、そろそろ本当のことを教えてくれないか。キミなんだろ、俺の恋人は?」 ユリア「ごめんなさい。実は私自身、自分が何者であったのか思い出せないのです。ただ・・・・」 ディアス「ただ・・・?ただ、何だい?」 ユリア「たとえ過去の記憶は失ってもこれから思い出を作ることはできると思います」 「えーっと、あのぉ・・・・もちろん、あなたさえよければ・・・・ですけどね」 「だから、あのぉ・・・・いつもと同じことをおたずねします」 「ディアスさま、愛する人は・・・見つかりましたか?」 「この世に思い残すことはもうありませんよね?」 「あなたのために天国の門が開かれました。さあ、ともに参りましょう」 二人が手を取り合って、空から射す光の方へ昇っていった。 (END)
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一方的に勝ってきた。 骸骨の騎士にとって、それは自負だ。 右手に携えた大剣は幾多の魔獣を斬ってきた。 左手に携えた鉄球は幾多の機械を潰してきた。 つまらない。 骸骨の騎士にとって、その言葉は賞賛だ。 幾多の戦場で一方的な戦果を上げ、死を司る覇王より受けた言葉。 如何なる戦場であれ、出るだけで勝利が決まる『つまらんやつ』。 王からは、いつしかそう呼ばれるようになった。 蔑称だとは思わない。これは勲章だ。 全ては王の為に。その為に剣を振るえるならば、なんと言われようと構わない。 いつの日か、この言葉は呪いに変わった。 騎士はいつの間にか、戦いを面白いと思わなくなった。 どれだけ王の為に勝利を捧げても、胸にあるのは空虚感。 自分に勝てる相手が居ない。騎士は満たされない。 戦いとはつまらんもの。いつしかそう思うようになった。 突如として放り出された、この地においても骸骨騎士がやることは変わらない。 殺し合いも普段の戦場と一緒だ、一方的に勝つに決まっている。 優勝して叶えたい願いは無い、強いて言えば強者との戦い。 望むものは本気の決闘 デュエル 。ただそれだけ。 その願いはすぐに叶えられることになる。 ○○○ 「……参る」 一歩。 剣を構える。 乾いた音が響く。 それが決闘の始まり。 十数メートルもある騎士の巨体から見れば、相手の剣豪は蟻も同然である。 普通に考えて勝負自体が成立しない大きさ。余りにハンデが有り過ぎる。 にもかかわらず、目の前の男はむしろ上等とばかりにグッグッと笑っている。 蛙のような目をギョロリと向け、真っ直ぐに騎士を見据える。 良き目であった。かつて騎士が戦場を共にした呪縛の剣豪と同じ目をしていた。 幾多の修羅場を抜けた者の目をしている。彼ならばこの胸の渇きを癒せるかもしれない。 激しい戦闘の最中、それを願った。 「……貴様が剣を振るう理由は、何だ」 「あァ?楽しいからに決まってンだろ」 「……面白い」 その感情は久しぶりだった。 ずっと、つまらないと思っていた行為に光が指した。 冷めきった心に淡い期待が湧き上がる。 この男ならば、と。 「そんなモンじゃねェだろデカブツ、本気で来い。手ェ抜いてんじゃねえ」 「……承った」 「ウィ」 騎士は最高の相手に、最大の礼儀で、最強の技で答える。 それは、今まで殺してきた二十の命を剣に宿し相手を打ち滅ぼす秘技。 呪縛が羽の形を得て、騎士の巨体が宙に浮く。 恐怖を与える姿に、神々しさすら感じるその姿はまるで悪魔。 いや、『悪魔神』と呼ぶべきか。 真っ赤なソラが黒く染まった。 空が割れる。炎が舞う。 風が鳴る。雷鳴が轟く。大地が壊れる。 災害と言っても過言では無い。 構えるだけで災厄を引き起こすだけのエネルギー。 それだけの力は、ただ目の前の男を倒すためのもの。 抑えられぬ剣気は稲妻として地を駆け巡り、平安京の町並みを更地へと変える。 これまでその斬撃を受けて生き残った者は居ない。 もはや戦いとも呼べぬ、一方的な蹂躙。 それを放てば、後には何も残らない。 残るものは空しい勝利。それだけだった。 ――――そうなるはずだった。 「“無刀取り”」 如何なる技といえど、当たらねばその身は安泰である。 技が放たれんといったその瞬間に、剣豪が選択したのは、跳躍。 宙を舞う瓦礫を飛び石の如く渡っていき、最後に弾丸のように、跳ねた。 「見えたぜ、オメェの命」 刹那。今まさに斬撃が放たれるその瞬間。 剣豪は敵の懐に入り込み。その目は致死の急所を捉える。 四本の脚で支えねばならぬ程に巨大な骸骨騎士の身体。 背骨に切れ込みを入れれば、その巨体はそのまま負荷となる。 そして、高威力の技は放つ側にも反動の大きいもの。 振りかざさんとしていた斬撃の瞬間を狙うことで、カウンターとなりその効果は増した。 剣豪の一撃は、容易く騎士の身体を両断した。 果たして、このような芸当が人の身で可能であろうか? 出来る、出来るのだ。 伝説を単なる事実へと落とす逸脱者なら。 あまりに規格外故に世界を追い出された、地球最後の柳生なら。 彼方より来た客人。柳の剣のソウジロウならば。 騎士にとって初めての敗北であった。 しかし、胸にあるものは高揚感。 全てを出し尽くした上での敗北。飢えは満たされた。 見事だ。もう満足だ。自らを下した者は何を言うだろう。 薄れゆく意識の中、それだけは聞き逃さんとした。 「……"面白かった"ぜ」 【暗黒の騎士ザガーン@デュエル・マスターズ 死亡】 【柳の剣のソウジロウ@異修羅】 [状態]:健康、疲労(小) [装備]:青銅の剣@ファイアーエムブレム 覚醒 [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2 [思考・状況] 基本:殺し合い?強い奴が居るなら何でもいい 1:次はもっと面白い相手だ [備考] ※参戦時期は少なくても第二部開始以降です。 ※近くに基本支給品、ランダム支給品0~2、暗黒の騎士ザガーンの大剣@デュエル・マスターズが落ちています ※戦闘の余波でソウジロウ達の居たエリアが壊滅しました。 【支給品紹介】 【青銅の剣@ファイアーエムブレム 覚醒】 柳の剣のソウジロウに支給。 店売りの武器の中で最も安価な剣。 威力は低く、木の枝を振り回すより少し上な程度。 そのぶん、命中率と耐久性が優れており、状況次第では活用出来る。 スマブラで武器の使用回数が切れたルフレが使う剣でお馴染み。 【暗黒の騎士ザガーンの大剣@デュエル・マスターズ】 暗黒の騎士ザガーンに支給。 イラストでザガーン様が持ってるめっちゃ大きい剣。
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作品データ タグ: 2010年代 アニメ カーボンフリーズ ギャグ固め パロディ メガネ 児童向け 壁埋め 女の子 妖怪ウォッチ 瞳あり 破壊なし ジャンル アニメ 種類 カーボンフリーズ 性別 女 妖怪ウォッチシリーズ 妖怪ウォッチ 第108話「魔の5年1組〜グレるりん 夕陽に死す!!〜」 妖怪ウォッチ 73話 内容 グレるりんにメンチを切られたイナホが「あの睨みを利かされたら石にされるとか~」と怖がりながら自身が石化した姿を想像します・・・が、どう見てもスター・ウォーズパロディのカーボンフリーズです。ポーズもハン・ソロと完全に一致。 画像・動画 タグ: 2010年代 アニメ カーボンフリーズ ギャグ固め パロディ メガネ 児童向け 壁埋め 女の子 妖怪ウォッチ 瞳あり 破壊なし リンク youtube 第108話 公式配信 妖怪ウォッチシリーズ 妖怪ウォッチ 第108話「魔の5年1組〜グレるりん 夕陽に死す!!〜」 妖怪ウォッチ 73話 批評・コメント 名前 コメント
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「ふたば系ゆっくりいじめ 243 死すべき生物/コメントログ」 その理論は人間もあてはまるんじゃないかと思ってゆっくりできないと思ったが 今のテロとかのことを考えると、それを暗喩したものなのかな、と感じた -- 2010-02-28 00 03 03 ゲスで実験しても悪い結果しかでないよマスクのお兄さん -- 2010-03-16 00 43 46 テロリスト共、ゆっくりを殺す為だけにそこまでするか…! -- 2010-06-06 18 56 16 流石にこれはどんな虐待お兄さんでもおかしくなるわ・・・・ でも悪いゲスなゆっくりだけは永遠にゆっくりさせるべきだ -- 2010-06-19 23 14 36 この……!……いや、読んだ私が悪かったということにします。だが一言だけ。歌のお姉さんの扱いはなんとかならんかったのですか……。ユグルイの続き「は」楽しみにしてます。 -- 2010-06-25 23 01 59 テロリスト側に立って考えてみる、という事を学んだ気がします。 テロリストの大儀は愛での悪であり、愛での大儀はテロリストの悪なんですね。 -- 2010-07-02 17 35 55 他の人も感想に記しているが、子殺し・同族殺しは人間もやっている。 宗教対立・人種間対立・思想対立…自分と考え方の異なる相手を「悪」だと断じ滅ぼそうとする人間… イデオロギーや人種の違い、自己中心的動機などで同族殺しを現在進行で行っている人間が、ゆっくりの「ゆっくりしたい」という自己愛的欲求に起因する子・同族殺しを非難できるのか? 「ゆっくりできない〇〇はしね!」と言って同族に対して殺害や排斥を行うゆっくりと、 「〇〇人は下等人種だ。滅びろ。」「〇〇なんて神を信仰するお前等は邪教徒だ。滅びろ。」と言って、 異なる人種・信仰をもつ人間を「悪」として殺害したり、排斥したりする人間とには論理的な差異は無いように思う。 そして、子を殺すゆっくりが存在する一方、子や同族のために「さぁ、お食べなさい」を行うゆっくりが存在することも事実。 ゆっくりを「悪」と断ずるのであれば、この「子殺し」と対立する自己犠牲的行動をどのように解釈するのであろうか? 人間に善人・悪人・普通人があるように、ゆっくりも善ゆ・悪ゆ・普通ゆがあるのではと思う。 ならば殺す理由は、家畜や魚のように食糧とするためか、犯罪に対する処罰が適当であると思う。 …テロリストにも色々ある。暴君に立ち向かうレジスタンス的なものから、狂信的・破滅的な害しかないものまで、ピンキリだ。 これは、ヒステリーだ。思考停止したヒステリー集団だ。狂人集団だ。これはテロリズムと呼べるのか怪しいものだ。 私は「ゆ虐」を楽しいと感じる時と、不快と感じる時がある。それを分けるのは、登場する「人間」のスタンスだと思う。 人間側にある程度の「大義名分」が無いと、人間の「醜い蛮行」に見えてしまい、同じ人間として生理的嫌悪を感じてしまう。 この作品はそれをハッキリと解らせてくれたと思う。 …最後に…クソ長い感想という名の駄文を書いてゴメンナサイ。 -- 2010-07-08 04 18 53 ゆっくりのために過激なことができるなんてある意味シーシェパよりは上だなwwww -- 2010-07-30 01 42 26 読んで鬱になった、とりあえず私は愛で派ではないが人間も巻き込んで価値観の押しつけしてくるキチガイ集団はかな~り嫌い、彼らをゆっくり以上に苦しむ虐待(拷問)をしたいかな -- 2010-07-30 01 47 10 こりゃ只の基地外テロリストだな 真の虐待鬼威山は決して人様に迷惑をかけない事を信条としており ましてや飼いゆに手を出すなんて絶対にありえない話 そしてゆっくり悪だなんて大間違い ゆっくりとは愛であり愛でもゆ虐も本質は愛 虐待鬼威山は人よりもゆっくりを愛しすぎるがあまり虐待するのだ ゆっくりを心から愛し感謝しながら虐待するのだ 虐待するはずのゆっくりに助けられたら そのゆっくりに大いに感謝し大いに愛しそしてその愛が大きい分 より凄惨な虐待をするのが真の虐待鬼威山なんだよ -- 2010-08-13 06 58 09 こんな作り話にマジになっちゃってどうするの? -- 2010-08-25 23 08 04 >こんな作り話にマジになっちゃってどうするの? えっ、どうするのって・・・どうもしないだろう。 ここにいる人たちが仕事やネット以外の人づきあいの場合でも ゆっくり相手にしてる時の精神状態や思考回路だとおもってるの? んなわけないじゃん。 単純なアタマしてるんだね。かわいそうに・・・ キミの周りは「架空の話に興じる時」と「実生活」が一致してる人ばかりなのかな? -- 2010-08-26 00 28 11 さぁなぁ~ いつか些細な一言でボロがでるかもな? 精々気をつけて実生活送ってくれや -- 2010-08-26 03 24 10 これが虐待SSの皮をかぶったアンチ虐待SSだということは火を見るより明らか -- 2010-08-26 18 04 11 悪役が白痴だと面白くないお… >これが虐待SSの皮をかぶったアンチ虐待SSだということは ないない。 狙っていたとしても効果ない。 だってマスクどころか頭の中までゆっくりなんですもん。 被害はでかいけど、バカで矮小なゲスゆの集団が飼いゆと人間に突っかかるのとなーんにも変わらない。 のぼせ上がったバカが自らの内面に相応しく惨めに殺される話、ただそんだけですよ? こんなんじゃアンチSSとは言えないですよーw -- 2010-09-16 00 03 03 ここのゆ虐は虐待と見せかけた勧善懲悪が多いから、テロ側が勝つみたいな感じだと、どうだろう、とは感じるな ただこの手の一つの事件発生→バラバラの所にいる人たちが各々のリアクション、系のザッピング物は大好きだ 「黄泉がえり」とか「東京大停電」(だっけ?)もそうだったよね。あれも好き。 だからこれも、例えばゆっくり達に特殊な病気が日本で同時期に大発生、系だったら大好きな作品になれたのにと思った まぁ、好みの問題よね -- 2010-10-11 04 31 22 この狂った屑人間はすべて消えるべき、人間を殺し、 罪のある人間のいない場所を破壊することにいかなる事があろうとも正義は無い。 己のエゴをただ発散しているだけのどんなものよりも汚らしいモノ。 はっきり言ってこのSSは勘弁してほしいが、人間として考える部分が多い。 …現代人としては特に、(秋葉原で起こった無差別殺傷事件の記事を読みつつ -- 2010-12-28 22 32 31 狂っていたっていいじゃない二次創作だもの -- 2011-03-14 23 47 38 不快な気分になりましたが、作品としてはアリなんでしょうね。 個人的にはテロリストが全員自殺というのは納得がいかないな この手の事件って義憤に駆られた警察官やら自衛官に銃撃戦で 射殺されそうな感じなんだろうけどね -- 2011-06-22 21 09 17 飼い主も飼いゆっくりも全滅するEND無いかな -- 2011-07-26 13 28 56 ところどころで世紀末なセリフがw(「汚物は消毒だーー!」とか) それにしても、阿鼻叫喚の地獄絵図とはまさにこのことだなwww -- 2011-08-22 14 23 12 最後の糞キャスターとれいむの下りはいらねー -- 2011-09-15 07 45 23 最初ゆっくりんピースのやらせかと思った 世間の同情心煽ぎ、トップの入れ替えかと思ったわ -- 2011-10-16 03 47 35 テロリストうぜえW -- 2012-02-11 16 56 00 虐待はゆっくりに対してだけで良い -- 2012-02-19 22 55 22 一級産廃ヤーで普段から人間東方キャラクターを虐待・強姦・殺害する事に興奮している自分に隙はなかった。 -- 2012-02-23 08 14 29 お姉さんが強姦される所で読むことを止めた。 見知らぬ男や大勢の男に性器や裸体を見られることは、女性が死にたくなる程の恥辱を感じる 最たる行為だと思う。 ゆっくりをゆっくり殺すのは大賛成だが、人間さんはいじめないでね!!! -- 2012-02-23 11 10 29 最後のキャスターとれいむのしあわせーendは駄文ですね。 あと、作品を際立たせるためのお姉さんレイプなので自分的にはおk 文は結構好みだった -- 2012-04-09 17 19 34 最後のは・・・?うん!きのせいだ♪ -- 2012-05-09 22 21 48 みんな知っていると思うけど同じ作者の「ユグルイ」のキャラがでできていますね。 「ユグルイ」本編とはどこかでつながっているのかな? あと結局れいぱーはあの後どうなったのかな? やっぱミチン状態になって殺されたのかな?それは読者のご想像で。 ・・・やっぱBADENDがほしかった・・・。 -- 2012-05-17 19 15 43 この作品見て思っただが、ゆっくり製菓に襲撃したキチガイ共は結局どうなっただろうか? ゆっくり製菓ってまさか・・・いや、まさかな・・・。 -- 2012-05-19 01 41 26 これは・・・衝撃作だな 作者さんはもしかしてゆっくりの良い心を 伝えたかったのか? まあ殺しはいかんと思う。 ゆっくりだろうが何だろうが -- 2012-06-03 03 37 09 ゆっくりにしろ人間にしろ話の通じないキチガイはどうしようもないね 社会に爪痕を残すことが目的だったらテロリストの一人勝ちか 一部の不謹慎マニアには堪らないだろう -- 2012-07-09 21 34 15 ちょ、これ人間に被害でてんじゃねえか!!これは、むりだわあ!!! -- 2012-07-11 19 25 12 まぁ人間何てゆっくりよりろくな奴じゃないな -- 2012-09-12 00 33 41 俺この作品を読んでる最中ニヤニヤが止まらなかった、姉さんが犯されるってのは好きではなかったが実際そういう 事は戦争なんかでよくある話だから、よくできてると思う 現実にこのようなテロが起こった場合このSSのような迅速な対応はできないだろう、法が変わらない限り・・・ -- 2012-12-17 19 11 12 胸くそ悪いssだった お姉さんを犯すのはちょっと違うだろ 文章の所々で頭が悪い感じがしたから仕方ないんだろうが -- 2013-04-18 19 11 45 ゆっくりは死すべき生物ってのはあってるだろwそもそもなんだあのBBA(キャスター)ゆっくりがどういう生態なのか知ってるのか 畑を荒らす表では善良を装い裏ではゲスなやつが生きる資格もねえだろ -- 2013-05-27 22 50 43 途中皆飛ばしたが、まず長すぎ。キチガイかよ。 内容は、たかがゆっくりが嫌いなだけでこんな大規模な事件起こして人間にまで大きな被害与えるなんてとてもついていけない。 あの不愉快なシーシェパードより酷いじゃねーか。こんなSS作るとか最低だな。 -- 2013-06-14 15 08 51 サイゴノユックリモシネバユカッタノニ -- 2013-07-20 16 35 40 もっとこういう方向の作品があってもいいよね。 虐待なんてどんなに言い訳してもゲス行為なんだから、 ゲス虐待人間がゲスゆっくりと同レベルになる話ってのは頷けるわ。 -- 2013-07-21 02 28 38 こういう過激派の活躍をもっと見たいなぁ -- 2013-09-01 23 13 17 こんなこというのもあれだが、現実でこれ起きたらと想像すると 阿鼻叫喚と共になぜか自分がテロリストフルボッコして殺さないようにせいっさいっしてる んだが俺おかしいなww もちろんゆっくりの中でゲスな奴おっもちかえりぃしたけど -- 2013-11-02 03 53 06 お姉さんのまむまむ。。。 -- 2014-01-18 12 15 19 ↓6君黙りなさい?ブッ殺すよ? -- 2014-03-05 17 52 39 あぅーーーー(T ^ T)俺、出直してくる!!!クッソー!なにが、虐待ダー!!!!うわーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!! -- 2014-04-03 15 30 10 クアドリガ「ゆっくりが悪か...。だが悪なのは愚行の者に過ぎない」 -- 2014-04-10 01 10 50 てんこ「てんこのでばんはいつなの!続編はあるんでしょうね!はやくてんこをいじめてねぇぇぇ!」 いく「そうりょうむすめさま、ざんねんですが続編はないようです。」 てんこ「どおじでぞんなごどいうのおおお!」 -- 2014-10-06 19 42 54 ブロリー「殴らせろ!!奴らを殴らせろ!!」 DIO「止めるんだ、ブロリー!!奴らは、死んだ!!殴っても、気分は、晴れない!!怒りを、ぶつけても、しょうがない!!、だから止めろ!!」 -- 2014-11-10 22 56 17 ゆっくり虐待はいいけど人に迷惑かけたらアカンやろ -- 2014-11-30 11 47 46 こっわ超こっわ あいつら間違いなくキチガイ 特にパチュリーのマスク -- 2014-12-16 16 31 20 あっれーおっかしーなー(放心状態)シンダンジャナ「死んでませ〜ん!!!あの時言ったでしょう? 我々はいつでもよみがえる、と」 「ゆんやああああぁぁぁ!!れいむおうじがえr『ババババババキューン!!』 なんと言うことでしょう。 再びあの惨劇が、今始まる! 本日公開ッ! 題名 「死すべき生物 劇場版」 -- 2015-01-01 21 16 44 さすが人間悪魔だ!テロの奴殺したい。(冗談)だと良いね(笑) -- 2015-06-24 00 07 31 最後の部分すごい感動した -- 2015-07-03 16 39 02 ゆっくり死すべし ゆっくり愛では悪の象徴 -- 2015-10-07 22 48 20 テロリストに賛同する。何故成功させなかった。途中までは最高だったのに台無しだよ。 -- 2016-04-23 09 07 54 オメガグループに射殺されるオニイサンなんて 最高にゆっくりヒャッハー!するね! …後、何人か逮捕されれば良かったのに、と思った。 -- 2017-03-21 23 59 06 畑荒らしている時点で害獣確定。害虫は駆除、全滅させる。だがこのやり方はひでぇな -- 2018-09-13 19 52 37 なんか違う。何か違うのか分からないけど。なんか違う。 -- 2019-03-28 14 41 41
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いよいよ始まった小春の最終決戦・・・ 皆が寝静まってる間にたった1人でダークネスの砦に向かう小春 ミティや後藤らの攻撃を耐え切り瀕死の重傷を負いながらついにダークネスと対面 ダ「たった一人で乗り込んでくるとはいい度胸だ」 小春「はぁはぁ・・こ・・今夜で決着をつけにきたわ・・」 ミ「ふっ、そんなボロボロの体で何ができるw」 小春「邪魔しないで。今のあなたでは私には勝てないわ」 ミ「なんだとお!!ふざけやがって!死ねええええ!」 後「やめなっ!!」 ミ「ええい!何故止める!手を離せええ」 後「・・・今の彼女は凄まじいパワーを秘めてるわ。私ですら危ないかも」 ダ「2人とも下がっておれ」 ミ「くっ!!」 ダ「久住よ。何故1人で来た。何故そんなに死に急ぐ」 小春「さあね」 ダ「勝ち目はないぞ」 小春「やってみなくちゃ分からないでしょ」 ダ「・・・お前・・何か企んでるな」 ゴゴゴゴゴゴ ミ「な、なんだ!?」 手下「ダークネス様!大変です!地上のダムが爆破され大量の水が流れ込んでます!」 後「なるほど。私達を水に沈めてあなたの発電能力で感電させようと企んでるわけね」 小春「ここはあなた達の墓場よ」 ダ「貴様・・自分も死ぬ気か」 手下「ダークネス様3箇所の出口から鉄砲水が流れ込んできてます。もはや水圧で地上まで階段を使えません」 後「まずいわ。もう腰まで水が」 小春「これで終わりだ!喰らえ!エレクトロキネシス!!」 ダ「むううううう!!!!」 小春「!?こっ、これは」 ミ「フフフ!私のブリザードで水を凍らせて氷にしたから電気は通らないわ」 ダ「フ、フハハハ!よくやったぞミティ」 ミ「私を甘く見すぎたようね。さて、よくも私を小馬鹿にしたわね。どうやって痛めつけてやろうかしら」 小春「ぷっ、ぷぷぷ」 ミ「何がおかしい。気でも狂ったのか」 小春「私の得意能力は念写よ。あなたが水を凍らせるのも予想してた。そしてあなた達は固まった氷で身動きが取れなくなった」 ダ「どういうことだ」 小春 (小春卒業の時にここまで書いたんだけど この後アイデアも尽きて自分でも訳分からなくなって書く時間もないんで以下短縮) 小春は裏をかいて優位に立ち必殺技でダークネスを倒す寸前まで追い詰めるんだけど あと一歩というとこで後藤に加勢されて倒されてしまう そして小春死す。。。。 喫茶リゾナントに小春のメンバー達へのメッセージが配達で届く
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地下核実験ぶらざあずのファンより結成される。 益田市役所職員との噂も。 近年は自粛傾向にあるのか、その姿を目にした者は居ない。 一説によるとバンド名を変え、上京しているとか。
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???「私の声が聞こえますか?」 闇の中、赤い鎧を纏った銀髪の青年の元に天使の少女がいた。 ユリア「目を覚ましてくださいませ。勇者さま」 ???「俺が・・・・勇者?まさか・・・そんな・・・な、何も思い出せない」 ユリア「大丈夫ですよ。少しずつ思い出しましょう。まずは、お名前から」 勇者の名前を入力、ここでは「ディアス」とする。 ユリア「そう、あなたの名前はディアス。魔王ギールを倒しロビリア国を救った勇者です」 「さあ次は、魔王城であなたがギールを討ったあの日のことを思い出してください」 ディアス「魔王城?ギール?ああ、そうだ。俺は仲間と一緒に魔王城に乗り込んだんだ・・・」 ディアスが仲間のゾロ、リュー、トーマスの3人と共に、魔王城の奥に辿り着いた。 ゾロ「とうとう、ここまで来たぜ。魔王ギールは、この階段の上だ。ヤツを倒せば、俺たちは英雄だ!!」 ディアス「英雄?あぁ、そうだな・・・俺たちの手で必ずこの戦乱にピリオドを打とう」 リュー「ディアスよ、案ずるな。魔王にさらわれた貴様の恋人はきっと無事だ。さあ、行こう!」 そのとき、扉の奥から不気味な笑い声が響いた ???「ふははは・・・ディアスよ、おまえのいとしい人は、まだ生きている」 「女の命を救いたくば、ここから先は、ひとりで来い」 トーマス「くそっ、なんと卑怯な!!」 ディアス「・・・みんな、・・・・すまない。俺ひとりで行かせてくれ」 ゾロ「なんだと!おまえ、正気か!?」 ディアス「いざとなったら刺し違えでても魔王ギールは、必ず俺が倒す。だから俺を行かせてくれッ!」 リュー「ふっ、愚かな・・・・ひとりの女のために、何万もの人命を危険にさらすのか?」 「しかし、貴様のそんな甘さが私は嫌いにはなれぬ」 ゾロ「か、勝手にしろ!だが、おまえがやられたときは、俺が魔王を倒して英雄になるぞ」 トーマス「穴民のアルテマとマーナの神が坊ちゃんを守ってくれますよ。ご武運を!!」 ディアス「ありがとう、みんな・・・・ 扉が開いた。 ディアスは一人、ギールの部屋に乗り込んだ。 ディアス「彼女はどこだっ!?」 ギールがディアスの前に来た。 ギール「我に勝てたなら返してやろう。さあ、かかってくるがいい!」 ディアスとギールの死闘は果てしなく続くかと思われた だが、ついに決着の時が来た・・・ ディアス(決着をつけるには、究極魔法‘ダイヴォーラ‘を使うしかなさそうだ・・・) ディアスの究極魔法、ダイヴォーラが放たれ、周囲が炎に包まれ―――― ディアス「・・・思い出せるのは、ここまでだよ。それでこのあと、俺はどうなったんだ?」 ユリア「あなたは、その言葉どおりギールを討ち果たしました。でも、その代償に・・・」 「ディアスさまは、命を落とされてしまったのです」 ディアス「ああ・・・・・そういうことか。じゃあ、ここは天国かい?」 ユリア「いいえ、違いますよ。よく周りをご覧ください」 次の瞬間、ディアスはユリアと共に街中にいた。 ユリア「ディアスさま、首都グランダムの風景は覚えてらっしゃいますね」 「あなたの勇気に免じて、神様が特別に五日間だけ、再び命を授けてくださいました」 「あの日以来、行方不明のままの恋人を探すのも、救った街を巡るのもあなたの自由です」 「ただし、あなたの体力は刻々と衰えていきます。それだけ注意してください」 「あ、そうそう・・・・あなたの命が尽きるまではこの地に夜は訪れません」 「わずかな時間を有効に使えるよう神様がご配慮くださったのです」 「今は月曜ですから、土曜の同じ時間にお迎えにあがります。では、悔いなき五日間を」 ユリアが去って行った。 ディアス「えええっ!?おい、ウソだろ?ちょ、ちょっと待ってくれよ。天使さ~ん!! そこへ、勇者の元従者トーマスが来た。 トーマス「坊ちゃん、お帰りなさい!」 ディアス「ああ、爺か・・・なんだか妙なことになったらしい」 トーマス「そのようですなぁ。で、神様にいただいた五日の余名をどうなさるおつもりで?」 「坊ちゃんのことだ。あの天使が言うように、行方知れずのいい人を探すのでしょうな?」 ディアス「ああ、もちろんだとも!!」 「・・・と言いたいところだけど、一度、死んだショックかな、彼女のことが思い出せないんだ」 「世界中の誰より愛していた!!それは強烈に覚えている。だが、それ以外はさっぱりだ」 「なあ、ガキの頃から俺の面倒をみてきた爺なら、何か覚えてるんじゃないか?」 トーマス「す、すみません、ボッチャン。ワシも歳のせいか、このところ物忘れが激しくて・・・」 「でも、大丈夫。各地を旅すれば、きっと思い出せます。もちろんワシもお供しますぞ」 ディアスの元従者トーマスが仲間に加わった! トーマス「このグランダムを離れる前に王様と王女様に辞去のご挨拶をされてはどうですかな」
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7 スーパー桜花タイム 桜「ロクー!きさま!見えているなッ!」 (ここまでして見えていなかったら私としては恥かしい限りだな… 時は動き出した…) 周りの皆は驚くだろう。ナイフがロクーに向かい、桜花はロクーに向け指差しているのだから ロク「ヘブンスマ…!?」 リリ「ロクーよけて!!」 ロクーは時が動き出すと同時に、何かを叫ぼうとした。 それは、呪文というより、何かの固有名詞を叫ぼうとしたようだったが、 ドン!という鈍い音とともに中断された。 考えてみれば、当然の結果だったのかもしれない。 ターロンを攻撃しようとすれば、メイレンに攻撃されるに決まっている。 メイレンがロクーに突進し、掌打で吹き飛ばしたのだ。 そのすぐ直後に、オウカの投げたナイフがメイレンの顔の前を通り過ぎ、 ロクーは先ほど崩壊した象ゴーレムの瓦礫の中に突っ込んだ。 リリ「ロク――――!!」 メイレンは少し驚いたような顔をしてオウカの方を見た。 桜(ちっ!この可能性を視野にいれるべきだったか…) ロクはメイレンに吹っ飛ばされた。そして桜花のナイフはメイレンの顔の前を通り過ぎた。 レン「惜しかったわね。」 メイレンから見れば、ロクーがメイレンに攻撃されている隙に、 オウカがメイレンをナイフで刺そうとした様に見えたのだ。 時間停止を認識できないメイレンには、 そのナイフがもともとロクーを狙ったものだと知る由もない。 桜「勘違いがあるようなので訂正させて頂きたい。 私は貴女を狙ってナイフを投げたわけではない。先ほど貴女が吹き飛ばしたロクーを狙ったんだ。 もし本気で貴女を狙った物ならこの距離で外しはしない。」 ミル「いやいやいやいやまずいって!ダメだよ桜花、メイレンさんを攻撃したら!」 桜花はメイレンさんを攻撃したんじゃない気はするけど、問題はメイレンさんがどう思ってるか。 ここは制止するように見せておくに限る。 桜「聞いての通りだ、ミルクさん。別に彼女を狙ったわけではない。」 ミルクにも訂正を加える 桜「それに、私のナイフが彼女に刺さったところできっと毛ほどのダメージにもならないだろう。 効果も分からないで投げるほど愚かではないさ。」 ミルクに言いながらメイレンにも聞こえるボリュームで話す。 レン「彼は死んだわ。」 メイレンがミシェルに言った。 レン「最悪ね。」 ギ「やられるの早!?」 あっというまにやられてしまったロクーを見て驚くギズモ 結局ヘブン何とかがどういう技であるかはわからず仕舞いである ミル「え…?」 ロクーは、瓦礫に半身を突っ込んだまま動かない。 リリ「ロクー!起きてよ!!死んだなんてうそでしょ?!」 ミル「ちょっとちょっとロクー!?大丈……う…」 ター「そこまでですよ。彼には近づかないでもらいましょうか」 宝物庫から盗み出した杖を手にしたターロンに行く手を遮られ、仕方なくあたしは後ろにさがる。 そうか、御札は剥がしていなかったから、いつでもターロンは手元に杖を呼べたのか。 リリ「誰かロクーを手当てしてよ!お願いだから!!」 身動きできないリリアーナがたまらず叫んだ。 さっきまで元気に動いていた彼が、こんなにあっさり死ぬとは信じたくなかった。 フリ「私をみくびらないで欲しいですわね! 伊達に治療をすれば逆に怪我を大きく出来る程度の能力は持って無くてよ」 つまりフリージアさんには治療は無理であるという事である ギ「リリアーナお姉ちゃんが一番治療能力高いんじゃないの?」 と自分でやれと外道極まりないことを言うギズモであった レン「『我々は魔法を手にしたがそれでも全能ではない』…まったくその通りだと思うわ。 もしあなた達が私と敵対するつもりなら、嫌でもその言葉通り足掻くことになる。 私の能力は、“次元”変える程度の能力。 大妖怪とたかだ魔法使いが、どれだけ“次元”が違うか教えてあげるわ。」 ター「若さ故の過ちは、一度は見逃してあげましょう。 しかし二回目はありませんよ。 戦うか、戦わないか、よく考えて決めることです」 虎の威を借る狐よろしく、メイレンさんの後ろからターロンが自信満々で協力を呼びかけてくる。 ベル「なかなか面白い話だ…」 今まで一切口を開かず皆の傍らにいたベルジンが小声で呟いた ベル「己の帝国を築くか… 壮大かつ信じがたい話ではあるが…」 ターロンとメイレンの方を見据えながら一歩づつ前へと歩み寄っていく と、アホ姉がちょいちょいと袖を引っ張って、あたしに耳打ちした。 アナスタシアはミルクに耳打ちした後、ぬいぐるみを背中に担いでふわふわとメイレンたちに近づいた。 アナ「しょうがないなー。協力してやってもいいけど、神龍の力の分け前はこっちにも回すんだぞ。 神龍復活のための玉はこっちは2つ、そっちは1つ。とーぜん、分け前の三分の二はこちらにもらえるよな?」 レン「妙なことを言うガキね。三つの玉はそもそもムー大陸のものでしょう?」 メイレンと顔を合わせる程度の高さを飛ぶアナスタシアの背中で、ナマケモノのぬいぐるみに文字が浮かぶ。 【慌てずに協力するフリをして相手の隙をみつけろ】 急にアナスタシアの隣へと現れたベルジンも彼女と歩調?を合わせながら協力するような言葉を見せていった ベル「私は貴様等の目的になぞ興味は無い だが、その力とやらには少なからず魅力を感じる… 私では不足だろうか…」 レン「…ターロン、こいつらの言う事、どう思う?」 桜(ターロンにメイレン……能力が分からないのに戦闘を行なうのは愚策か。) 教師陣の考えに賛同する桜花は特に口を挟む事をしなかった ター「不足だなどととんでもない。こちらから協力をお願いしたいほどです。 メイレン様もそのように警戒する必要はございません。 メイレン様の偉大なお力とお姿を見て、今更刃向かおうとする者などいないでしょう。 そちらに玉が2つあっても、こちらには神龍を動かす技術がございます。 それが三分の一とはあまりのお言葉、ここは半分ずつで手を打たれては?」 ターロンは芝居がかった態度で両手を広げ、ベルジンとアナスタシアを歓迎する意志を示した。 リリアーナはうつむき、暴れるのを止めた。 教師に叶わないものが、魔法が使えない自分に何ができるわけでもない。 リリ「酷いよメイレン様。ロクーは、貴重な霊薬を使ってあなたを助けたのに。 あなたにとっては、恩人も同然だったはずなのに」 レン「ええ、そうね。後2800年たてば恩義を感じるかもね。」 ギ「むしろ量が多かったら消えてたんじゃないかなv」 とむしろメイレンは消されかかったのではないかと意見を言うギズモ メイレンにとって、若返りをしてもらったのは遥か未来のことのように感じた。 一方、ミルクはミシェルとリリアーナに近づいて、小声で話しかけた。 ミル「アホ姉はああ言ってますけど、ミシェル先生は連中に勝てそうだと思いますか? 無理っぽいなら、今は我慢するしかないよリリアーナ。 ターロンの本性をメイレンさんが知るまでは、大人しくしていよう。 」 リリアーナは黙って頷いた。 ミルクの話を聞いたミシェルは擬音で表すならばヘニョっとした顔でかぶりを振ってみせる。 ミシ「みんなに任せます」 ミシェルはガサツだし幼い顔立ちだが本質は激情の人である。 そんな彼の本音で言えば、様子見などせずこの場で潰せば良い。という事だ。 対応が後手後手になるよりはマシなのだが……… ミシェルはこの場でのそれからのやり取りを、傍観者でいる事に決めた。 この先の展開を予想するなら、地下図書館の扉が開いた時か龍を解放した時点で戦闘に入る。 もし相手がうまく龍を操っているならその戦闘は不利だ。ならば、龍の力のない今の内に叩いた方がいいのだが……… もはや何も言うまい。アナスタシアとベルジンが、あからさまな懐柔策を採用してしまった今となってはどうのしようもない。 もしミシェルがこの場でターロンかメイレンに殴りかかれば、アナスタシアとベルジンまでも敵になってしまう可能性もある。 さっきはむくれ面をリリアーナに悟られたが今回は完璧なポーカーフェイス ………を装ってはいる。いつもはコロコロ変わる表情がムスッとしているので易く見破られてしまうから無駄な努力であるが。 ミル「…それからレベッカ、メイレンさんの言ってた能力が、どんなものかわかる?」 レヘ「“次元”ってのは物理的な表現でな。例えば速度にはkm/h、熱には℃とかって単位があるだろ? 要は、そういう“次元”を変えてしまうことだ。 ややこしいかもしれんが、言葉で説明するのは難しい能力なんだよ。」 ミル「…とりあえず、凄そうな能力だって事はわかった」 逆に言うなら、それ以上のことはよくわかりませんでした。 リリ「多分とんでもない力なんだろうけど、言葉の意味を操れる能力が消えたのは良かったかも。 全盛期のフルパワーで能力発動されたら、人間の私達なんかひとたまりも無いだろうし」 リリアーナは、テレパシーで妖怪以外の人間に知らせる。 リリ『万一の時は、私の持っている玉を破壊してください』 リリアーナはひとつ頷くと、こう付け加えた。 リリ「お願いします」 桜「それは構わない。がしかし、それは貴女がまたあの状態になってしまう。」 そこで言葉を切り少々暗い表情で言葉を続けた 桜「その状況になった場合、呪いが解けるまで気絶させるか、最悪暴れないように両手両足の腱を切らせてもらうが構わないな。」 ここまで言うとリリアーナに背を向け頬を掻く。 リリ「そうして欲しい。逆らえない衝動で皆を傷つけてしまうより、ずっといい」 桜「……すまない、先ほどからキツい言い方しか出来なくて。 切ると言っても、本当に本当の最悪の状況だけだ。 なるべくそうならないよう、貴女は私が守る。止める事、投げる事、切る事くらいしか私には出来ないけど…守るから。」 それだけ言うとリリアーナから離れていく。 リリ「ありがとう、オウカさん」 離れていく背中に、リリアーナはそう呼びかけた。 そう言えば、破れた服を見かねて、コートを貸してくれたのも彼女だった。 リリ「・・・・・・・・ぶっきらぼうだけど優しい人だね、オウカさんって」 誰にいうでもなく、リリアーナは呟いた。 ターロンは、床を3回杖で叩いて呪文を唱えた。 すると床に魔法陣が現れ、その上に黒い空間の裂け目が出現する。 ナナナ「はわわわ!どうして隠し陣の呼び方を知ってるんですか~!?」 ター「メイド長と名乗る方にお聞きしました」 ターロンはナナナにそう答えると、一同の方に振り返る。 ター「リリアーナさんとおっしゃいましたか。 過去の遺恨は水に流し、メイレン様のおっしゃるとおり今の私を信用し、協力していただきたい。 神龍の力を得た時には、メイレン様に倒された少年も私が助けて差し上げましょう。 そちらの黒犬のご主人も、私に協力していただけますね?」 ターロンは銀玉を食べた黒犬の主人、ヴァンエレンにもそう呼びかけた。 ヴ「う…うむ」 バレないかとひやひやしながら頷ヴァンエレン。 リリ「魔力を持たないロクーを助けてくれるの?へえ。 まさかあなたの助けるって、鉄像にして永遠に飾るって意味じゃないでしょうね?」 リリアーナはマリオの時のことを引き合いに出し、皮肉を言った。 ター「これはご冗談を。彼のために出来るだけの最善を尽くすつもりでいますのに」 リリアーナの皮肉にも、優位を確信したターロンの余裕は崩れない。 リリ「過去の遺恨を水に流せるのは、相手が自分の行いを省みた時だけよ。 それにあなたさっき、雷龍を00匹封じ込めた杖を平気で投げ捨てたよね。 本当に、復活させようとする神龍に敬意を払っているわけ? あなたの中では、その杖も、メイレン様も、神龍でさえ同じ価値でしかないんじゃないの?」 ター「私は龍の一族の末裔ですが、この杖に封じられているのは私より格下の者ばかりです。 この程度の者たちと、偉大な神龍やメイレン様を同列に語られては困りますね」 リリ「そりゃ魔法使いでも、使い魔に酷い事するのもいるけど・・・・・同族に対してあの態度ってどうなの。 あの神鳴りの杖だってそうよ。いくら格が下だからって・・・・・普通なら杖壊して同属逃がすとかしない?」 どうやら杖の価値も、壊した時のリスクも全く考えていないようだ。 リリ「もしかして妖怪って、格や力による上下関係は人より厳格なのかも」 リリアーナらしいといえばらしいが、実にお馬鹿な結論である。 ター「他の方々も、私に協力していただけるなら、その裂け目にお入りください。 地下まで安全にみなさんをお運びしましょう」 地下への直通路をターロンが開いたのを見てリリアーナを解放する。 ミシ「この展開なってしまえば、君は地下で玉をはめるまでは安全でしょう ………その先は皆が等しく死と隣合わせでしょうがね」 リリ「皆が等しくって事は無いですよ!だって先生達は、私達生徒を守ろうと考えてくださってますから」 リリアーナは殊更何でもないことのように笑った後、真面目な顔でさらに続けた。 リリ「私なんかは足を引っ張るだけですけど・・・・・何かちょっとでもできる事、あると良いんですが」 その後ミシェルは、アナスタシアと話すべく離れていった。 アナ「なんだこりゃ。よくわからない物がいろいろ入ってるなー。 入れるなら入れるで、説明書くらい置いておけばいいのになー……おおっ!?なんだ急に!?」 ミシェルはその憤りの任せるままに、宝物庫漁りを再開していたアナスタシアの首を掴んで端へ引きずっていく。 ミシ「まさか―――」 そこまで言ってミシェルは我に返り口を噤む。 ミシ「あの若返った妖怪の格好は目のやり場に困るから何とかしてくれ。と言って下さい」 とっさの言葉を、思いっきり引きつった笑い顔でミシェルは続ける。 ミシ「こうみえて私はシャイなんですよ」 何するんだこいつ、と言いたそうにミシェルを見ていたアナスタシアの顔に、ニヤニヤ笑いが浮かぶ。 アナ「他に何か言いたいことがありそうな顔してるなー。我慢せずに言っちゃってもいいんだぞー?」 それからキョロキョロ左右を見回して、少しだけ声を落として続ける。 アナ「ロクーが成功してターロンを始末できてればともかく、敵に戦力が揃っちゃった以上力押しは無理だろ。 心配しなくても、メイレンの前でターロンがいい子にしてれば殺される心配はないさ。 ターロンが神龍独り占めしようとしたら、メイレンは許さないだろうから仲間割れもするかもな。 ま、こうなったら出たとこ勝負だし、お互い作戦の成功でも神様に祈っとくか♪」 リリ「誰か、ロクーを運んでくれない?地下で会った蜘蛛や蝙蝠達に襲われたら元も子もないもの」 それを聞いて、メイレンがリリアーナを睨んだ。すると、間髪入れずにレベッカが言った。 レヘ「バカジャネーノ?」 メイレンも聞いている事を確認して、レベッカが続ける。 レヘ「何度でも言ってやるぜ。バカジャネーノ?あんな馬鹿を連れて行っても足手まといなだけだ。 どうせ死んでんだから蜘蛛に食われてもどうなってもいいじゃねーか。 それとも何か?私は全能なる魔法使いだから、死者も蘇らせることができるなんて考えてんのか? まったく、これだから魔法万能主義の奴は嫌いなんだよ。ひでー妄想(笑)」 ギ「でもメイレンさんがお腹がすいたときにお弁当にすればいいじゃない」 それに気がつかず外道そのもののことを言うギズモ メイレンも笑って、ターロンと共に黒い空間の裂け目に入るべく背を向けた。 ミル「言いたいことはわからんでもないけど、もっと言葉は選べと何回言えば…」 少しは誠意を伝える努力をして桜花を見習え桜花を。 ところが、レベッカの言葉には続きがあった。 レベッカが近くにいるミルクとリリアーナに小声で話しかけた。 レヘ「ターロンとメイレンが裂け目に入ったら、フリージアに言ってロクーをスペルマカプセル… じゃなかった、使い魔カプセルに入れろ。こっそり運ぼうぜ。 」 リリ「マ以外全然違う!!・・・・・・じゃなくて!―――― え?!」 ミル「…どういうこと?」 言っておくが、俺はリーに同情する気はさらさらねーし、ロクーを信用しているわけでもねぇ。 どれだけあいつがりーの男に似ていようが、所詮は赤の他人にすぎねぇ。 だがな、さっきターロンを攻撃しようとしたロクーに迷いが無かった。 本来、非魔法使いが魔法使いを攻撃するのは正気の沙汰じゃねぇ。 あいつはきっと、俺達が知らないような、特別な“何か”があってターロンを攻撃しようとしたんだ。 いざという時に役に立つかもしれん。もしも、生きてさえいれば…」 ミル「…そういえば、ターロンに襲いかかった時にボスがどうとか言ってたな…」 一方、死王こと黒い猫は瓦礫に半身を突っ込んだままのロクーへと転移していた。 死『よう。 どうした?このザマは。 しょっぺぇなお前。 このまま終わるとは思わねぇが…とりあえず手を貸してやるよ』 そうして指先をロクーに向けると、死霊の力がロクー宿った。 死『あとはお前さん次第だ。 せいぜいあがきな坊や』 転移する前に黒い稲妻で瓦礫を破壊する。 フリ「結局こうなりますのよね・・・」 使い魔カプセルの中のロクーがアンデット化しているなんてまさかとも思っていないフリージア。 何も知らないフリージアは、ロクーがを使い魔カプセルに入れる。 実は生きていたら生きていたで万々歳である もし本当に死んでいたとしてもいざとなったらアイシャに頼んで情報だけでも聞けばいいだろう 死霊使いという業界では死人に口ありだからだ ミル「ごめんねフリージア、いつも助かってるよ」 リリ「フリージアが持っていてくれて良かった。 ギズモもありがと。本当はあなた用なのに、いつも私達ばかりが使わせてもらっててごめんね」 ギ「特に問題ないよ」 と返事をするギズモ いえいえと手をひらひらさせるフリージア この使い魔カプセルに入ったものは王大人に死亡を確認された人間と同じぐらいの確立で蘇っている もはや使い魔カプセルでは無く奇跡のカプセルである そもそも使い魔が入った事あったっけ? リリアーナは手元の槍であるレベッカに視線を向けた。 リリ「・・・・・・・・誤解があるようだから言っておくけど、私が悲しいのは、友達が死んだからだよ。 もしレベッカさんが今のロクーだったとしても、私、同じ事を言ったと思うわ」 そう口で言い切ったものの、ほんの少しだけ後ろめたく思うリリアーナだった。 リリアーナの言葉に嘘は無い。 だが心のどこかで気づいてもいた。ロクーに別の誰かを重ねて見ていたことにだ。 リリ(変装とか術とかだと間違えたりしないし、こんなことあんまり無いんだけどなあ。 なんでロクー相手だと色々混乱するんだろ) 裂け目に入ったメイレンにはレベッカの小声は聞こえていない。それでも、メイレンにはレベッカの魂胆が読めた。 レン「(メイテンめ…ロクーをこっそり使い魔カプセルに入れて持っていくつもりね。 でも、それは何の役にもたちはしないわ。使い魔カプセルの性質は、入っていた私も把握している。 確かに優れた機能を持っているけど、死んだ者には何もしようがない。 この私でさえ、妖怪力をすべて回復にまわさなければどうなっていたことか… ロクーは間違いなく殺した。そして、妖怪でもなければ、魔法使いでもないただの人間。 蘇生する可能性なんて、万に一つもない。せいぜい期待をもてばいいわ。)」 メイレンは笑顔でターロンに聞いた。 レン「ターロン、この服を見て。これを見てどう思う?」 ター「これはひどい。随分服が破けていますね」 凄く…ボロボロです…などと言うわけにもいかず、ターロンは当たり障りのない返事を返した。 レン「私があなたの味方になったとたんこの扱いよ。それでよく私達を薄情だと言えるものだわ。 あなたは違うわよね、ターロン(愛好)?それともこのままの方が好み(愛好)?」 レヘ「うわぁ…俺とは違う意味で下品だぜぇ。」 レベッカがターロンに色目を使うメイレンを見てそうつぶやいた。 一応、自分が下品だという自覚はあるらしい。 桜「品性と言うものは大切にしたいものだな。」 リリ「自分でやらないんだ・・・・・・」 つっこみは三者三様である。 リリ「あ、そうだ」 メイレンが羽織るものを出してもらっているうちに、リリアーナが桜花に呼びかける。 リリ『今のところメイレン様やターロンに、オウカさんの時間操作?を阻止する術は無いみたい。 何か事が起こった時には、妖怪チーム相手の切り札になるかもね』 リリアーナの言葉に桜花はリリアーナの方を見ずコクリと頷いただけだった。 リリアーナの方を向かなかったのは理由がある 今、桜花の顔は真っ赤なのだ 桜(い、言ってしまった……守るだなんて…… 恥ずかしい……) 今更ながら自分の発言に赤面している桜花であった アナ「おーい妖怪3000歳ババア!教育に悪いから早く服着ろー!」 レン「何ですって!?」 不意をつかれる形となったメイレンがすっとんきょうな声を上げた。 一応気分も肉体も200歳なので、怒ってもいいのかどうか反応に困る。 ターロンは苦笑しながら魔法で白いマントを取り出した。 ター「メイレン様にはどのような服でもお似合いですが、あの者たちには刺激が強すぎるようですな。 このような物しかありませんが、どうぞこのマントをお召しください。 …さあ、それでは地の底に参りましょう。 そこに神龍復活の鍵があるはずです」 レン「ありがとう。」 メイレンは少しむすっとした様子でそれを羽織った。 ミル「刺激してどうする変なこと言うなよ!爆弾が爆発したらどうする気だ!?」 アナ「え~、本当の事を言っただけだぞ♪」 だめだこいつ、早く何とかしないと… ミル「あーもう!いいから黙ってさっさとターロンとメイレンさんについていけーっ!!」 お宝を手に入れても、アホ姉がメイレンさんたちを怒らせちゃ意味がない。 くそー。お宝タイムは後回しにして、今はアホ姉の子守に徹するか… 仕方なくお宝を諦めたあたしは、アホ姉の腕を引っ張って空間の裂け目に入る事にした。 空間を抜けるとそこは地下墓地だった。 立ち並ぶ墓石の中心に、なぜか生きているかのようなメイド像があり、その胸元には三つの窪みがある。 リリ「あれ?メイドさん・・・・・・だよね?」 …なぜ墓地にメイド像。 ムウの人間の考えることはよくわからん… ター「おお!メイドの像に玉をはめる窪み!あの悪魔娘の言ったとおりだ! この像こそ神龍復活の鍵に違いない!」 リリ「そっかな~?・・・・・・・うわっ?!アナスタシア先生?!」 興奮しながら像を調べるターロンを見ていると、アホ姉を引っ張っていたミルクの腕が急に重くなる。 見ると、地面に落ちてぐったりしているアホ姉が… ミル「ちょ、ちょ、どうしたのよ急に!大丈夫!?」 アナ「うー…ちくしょー…。ここは闇の気が強すぎて力が抜けるぞ…」 帰ってくる返事も、明らかに弱々しい声で。 こ、これはちょっとまずいかも!? ナナナ「はわわ!大丈夫ですか~!?」 ミル「天使は死なないらしいから、それだけは大丈夫。 ほら、姉ちゃん。背負ったげるから捕まって」 リリ「いくら死なないからって、辛いのには変わりないでしょう。 ねえベルジン先生、何かいい手はありませんか?」 ベル「とりあえずここは闇払いの術式で場を清めておくとしよう… これで多少は楽になると良いが…」 ベルジンはそう言うと懐から杖を取り出し 何かの呪文を唱え杖を軽く振り回した すると杖の先が朧げに発光し その直後 強烈な閃光が場を包む ベル「これで闇の気はだいぶ抑えられた… ホーリー先生もじき落ち着くだろう…」 ぬいぐるみは手放さずに、それでもしっかりしがみつくアホ姉をミルクが背負いなおしていると。 興奮さめやらぬ様子のターロンが叫んだ。 リリ「ゴーストも霊も全然いないのに闇の気が強いって・・・・・・なんか嫌な感じ。 妖怪のターロンはここに来てえらくハイになってるけど、あれも闇の気の影響なのかな? レベッカさんは大丈夫?」 ター「さあさあメイレン様!他の方も早く! その窪みに金、銀、真珠の玉をおはめください! さすれば玉の力は全て封印の解除に使われ、魅了の呪いも自ずと解ける事でしょう!」 リリ「ホントかな・・・・・・?」 リリアーナは手のひらの真珠玉をじっと見た。 メイレンは上着を持ち上げて、露出させたお腹に右手を当てた。 右手はまるで溶けるようにお腹の中に吸い込まれ、 それをメイレンが引っ張り出したときには、右手に金玉が握られていた。 犬『ついたか。 このザマじゃあロクに動けねぇ。 だから誰かハメちゃってくれや』 まだミシェルによって傷ついた足を引きずりながら影から出てくる。 そして飲み込んでいた銀の玉らしきものを吐き出し、にやにやしながら誰かがとりに来るのを待っている。 ター「おおお!これで全ての玉が揃いました!」 黒犬の吐き出した銀玉を見て喜ぶターロンだが、自分から玉を取りに行こうとはしなかった。 リリ「キャー!!ちょっと、何で飲み込んでるのよ! こういうときは見えないところでやるか、メイレン様みたいに美し~くスマ~トに取り出すのがマナーでしょ!」 犬『ちなみにこの件について俺はなにもしねぇぞ? ただこの状況が面白いから見ているだけだ。 今はな』 リリ「わーもう!元気な足が3本も残ってるんだから自分ではめ込みにいきなさいよー!! ほら!あのターロンまで拾わずに遠巻きにしてるじゃないの!」 頭に来ているリリアーナは、黒犬があっさり玉を手放したことまで気が回らないようだ。 レン「まずは一つ…」 メイレンが金玉をメイド像にはめた…が、メイレンはそこから動こうとしない。 レン「なんというか…この呪いは本当に強力ね。 頭ではわかってるけど…これを手放すのには時間がかかりそう。」 メイレンは呪いの余韻によるものか、動くまで少し時間がかかりそうな様子だ。 玉の所有者の中で最も玉に長い時間、それも体内に宿していたのだから、 無理からぬことなのかもしれない。 ター「私がこの城に着いてから調べた所、これは元は神龍の持っていた玉を3つに分けた物のようです。 メイレン様すら魅了する力を持っていても、不思議はございません」 リリ「じゃ、じゃあ私が二つ目を・・・・・・・」 リリアーナが台座に真珠玉をはめた。 ずっと触っていたい!!という衝動を何とか振り切って、一歩後ろに後退する。 直後。 リリ「玉!玉!私の銀玉――――!!!」 リリアーナは鬼のような形相で黒犬めがけて突進した。 そして彼の前に滑り込み、置いてあった銀玉をわしづかみした。 リリ「取ったど――――!!!・・・・・・・・・・・・・・・ぁ」 銀玉を手にしたリリアーナは、ようやく我に返った。 ター「まして、魔法使いとはいえ未熟な者が持てば、このように身の破滅を招きます。 これだけの力を持つ神龍を御す大任に、このターロンも身の引き締まる思いです」 リリ「もう、人として色々だめな気がする・・・・・・・。 ターロン、本当に玉をはめ込んだら呪いから解放されるんでしょうね?」 ター「私の計算は完璧です。間違いありません」 ターロンは自信満々にリリアーナにそう言った。 触っていたい。持っていたい。これは私のものよ。 そんな内心の声と戦いながら、震える手でようやくリリアーナは銀の玉を台座にはめ込んだ。 リリ「これで、3つ目・・・・・!!」 最後の玉がメイド像にはめ込まれた時、リリアーナとメイレンから憑き物が落ちたように玉への執着心が消える。 レン「ふぅ…」 メイレンの心からも執着心が消え、やっと玉から手を離すことができた。 メイド像の近くにいるメイレンには、僅かにメイド像が動いたのもわかるかもしれない。 だが、しばらくはメイド像にそれ以上の変化はなかった。 桜「…………………」 遂にメイド像に3つの玉が納められる。 何が起こってもいいように桜花はコートの隠しポケットから銀製のナイフを…… 桜(しまった……コートはリリアーナさんに貸したままだ) ナイフは無しにとりあえずは身構える桜花 フリ「「さあ鬼が出るか蛇が出るか・・・・」 期待と不安が入り混じった表情でメイド像を見つめるフリージア ギ「出るのはドラゴンだと思うよ」 フリ「寝ぼけてファイヤーブレスとか無いでしょうね・・・・」 と復活した神竜が暴れだすと怖いためちょっぴり後退するフリージア ミル「そこはターロンになんとかしてもらおう。 あれだけ自信満々なんだから、それくらいは考えてもらわないと」 仮に寝ぼけた竜に襲われても、位置的に最初に黒こげになるのはターロンである。 焦げるのが早いか遅いかだけ、という気もするけど、犠牲になるのは遅い方がいいに決まってる。 ギ「タッカラプト ポッポルンガ プピリットパロ!!!!!」 謎の言語で呪文を唱えるギズモ だが何もおきない (223で〆) 7 ムムム登場
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黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(前編) ◆gry038wOvE 涼村暁、桃園ラブ、石堀光彦の一行は、街を歩いている。 ここへの集合を呼び掛けてはいるものの、人の気配はない。激戦の跡も街の至る所を汚しており、最悪の場合、建物を破壊している。そこにずっと前、誰かがいて、今はどこかへ消えてしまった──という事だろうか。 街中にバラまかれた箸袋という名のゴミを少しは気に留める人もいたかもしれない。少しばかり生々しい血痕が残っているような場所もあるが、周囲も薄暗いので、三人の中の誰かが少し気にしただけだった。 街は夜に包まれて、少し乾いた香りを発していた。昼間の激戦など遠い過去の話に変えてしまっているようだ。 涼村暁は、ここに来てから何度眠ったか知れないし、この夜は逆に目が冴えていた。 桃園ラブは、度重なる戦闘の疲れもあって、少し眠気を感じ始めていた。 石堀光彦は、特に眠気を感じなかったが、まあ寝ない人間と思われるのも不自然だろうから、眠いフリだけはしておこうと思った。わざとらしい欠伸も、あまり不快には思われなかった。 歩いて行く中で、また、今度はもっと大量の血液の痕が見つかった。致死量、かもしれない。誰かがそこで、おそらくは命の危険に晒されたであろう事がはっきりと見て取れる。 その血痕には、今度は誰しもが気づいた。……それは、ある建物の中に続いていた。 誰がその血痕について口にする事もなく、恐る恐る、誰もがその建物へと足を向けた。きっと、自分たちとは全く関係ない参加者の一人が、そこで、……まあ、少し足を休めて、治療して、それでまたどこかへ行って、何とか助かったのではないだろうか、とそう思っただろう。少なくとも、ラブはそう信じたかった。 「……せつな」 ……だが、違った。 その建物の中にあったのは、無二の親友・東せつなの遺体であった。誰かが気づいて、こうしてここまで運んでくれたのだろうか。彼女を殺害したのがモロトフである事は承知していたが、彼女をここまで運んでくれたのは誰なのか、まだ会っていなかった。 友人の遺体を見る事になったのも、この一、二時間で二度目だった。だから、この余りあるショックを、ラブはどうにか隠しきる事ができた。 それは、山吹祈里の原型を留めない凄惨な焼死体よりも遥かに安らかなものだったし、もしかすれば生きているかもしれないと──そう思ってしまうくらいに、綺麗な死に顔であった。 ただ、そんなのはやはり喩えにしかならなかった。傷口は、そこに間違えようのない死を実感させる、そんな大きな穴になっていた。この穴がなければ、またラブは、それを遺体だと確信できなかったかもしれない。 いわば、祈里より、ずっと「まし」だった事が、この場においてせめてもの救いであった。 そうであった事が、ラブのショックを落ち着かせ、また逆に、動悸を早めさせていた。 「……」 言葉が出ない。しかし、涙は、枯れないのか、頬を伝う。 祈里もそうだったが、伝えたい事の数に比べて、いざ当人の遺体を前に出せる言葉は少ないのであった。 その様子を見ている暁はまあ、今日日まで女同士の友情はそこまで信じていなかったと思う。だいたいの場合、腹では相手の事を良く思っていないんじゃないかと、そういうのが女の友情だと思っていたし、経験上、確かな感覚だった。しかし、ラブがせつなの手をただ握り、言葉もなく、立ち尽くした時、そこにある友情は本物だったのだろうと感じる事ができた。 二人は、もしかしたら……姉妹のような存在だったのかもしれない。 「……」 放送を受け、彼女たちを殺害した者と会い、そして、遂に彼女たちの遺体と遭遇した。二人の友人に対して、彼女は三段階のステップを踏んで、ようやくその死を胸の中で確かなものにしていった。 また、祈るように、今度は両手でせつなの指先を握った。 今度は心の中でお別れの言葉を告げているのだろうと思った。 そして、最後にまた、ドーナツを一つ、彼女の遺体に添えた。 石堀は、まあ、せいぜい黙祷をしただろうか。目をつぶって、何を考えているかはわからないが。 暁は、死に顔に黙祷をする事はなかった。ただ、愕然としていただろう。 こんなに可愛い子が、次々と誰かに殺されている。ラブやほむらのように──。 △ 「中学校……」 マップ上に書いてある施設のひとつ、「中学校」。どうやら、そこに辿り着いたらしい。 外観はごく普通の中学校だ。ラブは元の世界、こういう場所にいた。 いや、言ってみれば、昨日までは中学校に通っていた。どうしてこう、幸せというのを唐突に崩されてしまったのかはわからない。 昨日までのラブは、翌日もまた普通に美希や祈里やせつなと普通に遊んでいると思っていたはずだし、まさかその再会が遺体との対面……という形になるなど、思っていなかったはずである。 唯一、生きている美希もどこにいるかはわからなかった。ラブにとって、最後の日常生活の拠り所は美希である。 ……ただ、ラブにとってわからないのは、果たしてこの殺し合いに参加していた「美希」や「祈里」や「せつな」が、元の世界にいるのかどうか──という事であった。 パラレルワールドとか、時系列の矛盾とか、そういうのが正しく機能しているのなら、元の世界に帰れば、また祈里やせつな、えりかやゆりと会えるのか、それとも、ラブの世界の彼女たちもいないのか──それが気がかりだった。 「仕方がない……。誰もいないようだが、一応この施設も寄っておこう」 石堀が提案する。 マップ上に点在している施設。まあわざわざああして丁寧に施設の名前まで書いてくれているのだから、何かしら行ってみる価値はあるだろうと、石堀は踏んでいた。 それに、学校というのは意外と何でも揃う場所でもある。総合的な学習のために、様々なルームが設けられている。特に行きたい場所があるというわけではないにせよ、石堀はそこで何か捜索してみようと思ったのだ。 まあ、何人か集まっているかもしれないし、部屋を暗くしたまま、人気のないそぶりを見せて、この施設に息を潜めている可能性だってある。 ……それが、都合のよい人間か、都合の悪い人間かは、石堀も知らないが。 「9時を回ったか……。どうする? もう警察署側に行く道は禁止エリアだぜ?」 「もう約束の時間から3時間も過ぎている。そこにもいるかどうか」 「3時間なんて遅刻のうちに入らねえっつーの」 「……いや、どう考えても3時間は相手が怒って帰るレベルの遅刻だろ」 石堀は、やれやれと呆れた表情を見せた。暁は時間にもルーズらしい。6時の約束に9時に行くのも仕方がないとか。 そして、ふと思い出す。その時刻、禁止エリアとやらに加えて、もうひとつ面白い情報があったではないか。 確か、そう……制限の解除だとか何とか。 「そうだな、二人とも。一度、中学校をざっと見て、危険人物がいないようなら、一度、それぞれで別の階に分かれてみないか?」 石堀が提案する。 「どうしてですか?」 「一人で行動すれば制限を解除するとか何とか、あの放送の怪人はそう言っていただろ。俺はどうか知らないが、二人の場合は思い当たる事もあるんじゃないか?」 一応、石堀は一ナイトレイダーの隊員という事になっている。身体能力などに大きな制限とか、そんなのはかけられていないだろう──という事に、なっている。 石堀にとって現状、最も厄介なのは、簡単に言えばダークザギの力を持っていない事だ。それを制限と呼ぶか否かはともかく、何らかの主催からの施しが頂ける可能性だって否めない。第一、凪の死によって石堀光彦は進路を失った。そこに何らかのフォローが必要となるのは確かである。 石堀をどう使うか──主催陣営がそこを考えていれば、自然と「ダークザギの力を蘇らせる」という結論に至る事だろうと、自分自身も感じている。まあ、その後は主催陣営もろとも全て殺しつくし、壊しつくすまでだが。 今のところ、幸いにも、主催陣が提唱した「条件」は、すべて、石堀にとっても都合が良い。一人きりで行動すれば、にもラブにも聞かれない自然な状況が出来上がるのである。それで充分だろう。 「……特に、思い当たる事は……」 「そもそも、俺なんかシャンゼリオンの力を使い始めてまだそんなに経ってないんだぜ。そんな事言われてもな……」 「だからこそ、まだ知られざる力があるかもしれないだろう」 この様子だが、まあ、二人ともすぐに承諾した。 要は、ゲーム上、シャンゼリオンの力やキュアピーチの力にまだ多段的な制限がかけられているかもしれない……という話をすれば、納得してもらえるだろうと思ったのである。 中学校というのは広い。 誰にも見られず、誰にも聞かれず──という状況を作るのは、この広い中学校を三人で独占すれば、さして難しい事ではないのだ。階ごとに分ければ、障害が生まれる事もない。 最初は三人で中学校を数分程度見張りして、そこにおそらく誰もいない事を認識した。 外側からライトをつけて各教室を照らしても、特に反応はない。入ってみても、人がいた形跡がある教室や水浸しの場所もあるが、人はいなかった。 「で、どうする?」 「あ、石堀。俺、ちょっと、図書室に用事あるんだけど」 暁がいきなり、石堀の狙っていた場所を指定した。石堀も、パラレルワールドとやらに目をつけていたので、調べ物ができるそこを狙っていたのだが。 暁の意外な提案である。石堀は自分が提案せずとも、確実に、図書室が自分の領域になるだろうと思っていたので、驚く。 「漫画なら、多分ないぞ? ……いや、手塚漫画や『はだしのゲン』はあるかもしれないが」 「漫画じゃねえ!」 ……その暁の切り替えしで、石堀は少し悩んだ。そして、ラブの方をチラッと見て、暁にそっと耳打ちする。あまりラブの前で言える事じゃないのだ。 「エロ本か? もっと無いぞ」 「違う!」 違ったらしい。漫画でもエロ本でもないとなれば、果たして暁が読むものはなんだろう。ラブは隣で頭にハテナを浮かべていた。 絵本……? この状況で絵本は読まないだろう。漫画やエロ本を読むのもどうかと思うが、暁ならあり得る。しかし、絵本は似合わない。 石堀は、真剣に悩んだ。 「……俺が勉強しちゃ悪いのか?」 暁が半ばキレ気味にそう言っていた。 今の一言を、石堀とラブは脳内でリピートした。 ……暁、勉強。暁、勉強。暁、勉強。暁、勉強。暁、勉強。 おそらくはこれまで、義務教育課程は勿論、高校受験も引き算ができれば受かるような高校に入って、探偵のライセンスを得る事さえ、たぶん代理のそっくりさんでも立ててやらせていたんだろうと考察していた彼らに、衝撃が走る。 勉強はしていないだろうと踏んでいた。一生。 いや、しかし当人はこう言っている。暁かな矛盾──そう、これは暁の行動や性格と矛盾しているのだ。 「」 「」 「言葉を失うな!」 思わず、ラブも石堀も声を失っていた。口をあんぐりと開けて、暁の方をぼーっと見ている。そして、石堀が少しばかり深刻そうな顔で告げる。 「すまない、桃園さん。さっきの戦いで、たぶん……コイツは頭を打ったんだ。コイツはもう、俺たちの知っている涼村暁じゃない。本当にすまない……俺が至らないばかりに」 「石堀さんのせいじゃありません! ……私だって、あの時は……何も……何もできなかった!」 ラブもまた、かなり深刻そうな顔でそう言った。俯き加減で、先ほどのダグバ戦の代償があまりに大きかった事を実感する。 彼らは己の無力さを今、目の前の男が勉強を始めようと言い出した事で感じ取っていたのだ。 そして、また暁と同じように人格を壊してしまう犠牲者が出ぬようにと、硬く心に誓う。 「……お前ら、本気で俺に喧嘩を売ってんのか?」 どこまで本気でどこまでギャグなのかもわからない様子で、暁は突っ込んでいいやら、突っ込んじゃいけないやらの複雑な心境であった。 そんな暁の様子を見ながら、石堀が暁の頭に手を当てる。 「だから熱もねえ!」 とにかく、暁はそのまま怒って、すぐに図書室に消えていった。その後ろ姿を、石堀は悪役笑いで見届けた。随分と遊ばせてもらったが、全て冗談である。 まあ、暁が行ってしまった以上、仕方がないので、石堀はそのまま一階の理科室あたりに入った。よく夜中の学校の理科室に入れるものだと、ラブは感心する。 それから、ラブは三階まで行った。楽しい人たちと出会えた嬉しさの反面、まだ祈里やせつなの死に様に、胸が落ち着きを保てていないのを感じていた。階段のラスト一段を踏み外して転んだ時なんかは、特にそれを強く感じた。 △ 黒岩省吾は、この時、妙に落ち着いた気分で街に向かっていた。 シャンゼリオンの進路はおおよそ調べがついている。おそらく、街に向かったに違いない。 しかし、まあ、その途上、随分と面白い情報を得たものである。 西条凪と、ン・ダグバ・ゼバが死んだ。 ──もう、この世にいないという。 ラームを吸っただけで死亡カウントがなされたのか、それとも肉体まで完全に殺されたのかはわからない。石堀光彦は激怒するだろう。 どうやらダグバも、もう死んだというらしい。 「……ゴハット」 黒岩はあまりはっきりとした面識はないが、闇生物の変わり者、ゴハットも主催側にいるらしい。黒岩は、そんな情報を一切得ていなかった。 随分とはっちゃけていらっしゃるようだが、黒岩としては、それが不快だった。 ダークザイドの人間たちにあれだけ売ってやった恩を、こうして仇で返される事となるとは……。 そう、ダークザイドの人間界での生活を補助していたのは黒岩省吾その人だ。黒岩がいたから、本来籍も何もないダークザイドたちは職にありつけ、人間として人知れず静かに生活する事ができている。 ゴハットだって同様だ。そのはずが、黒岩をこんなゲームに巻き込むなどとは。 「聞こえているか。……もし、この言葉を聞いている者がいるのなら、ゴハットや闇生物たちに伝えておけ。貴様らはダークザイドの恥さらし……この俺がすぐに処刑するとな!」 恩を仇で返した事もそうだが、卑怯なこの殺し合いにおいて、自分たちダークザイドの人間がいるというのが、黒岩省吾には許せないのであった。 自分の国の人間が他国で恥をさらす事を遺憾に思うような、そんな気分だろう。常に生まれた場所や国、立場をわきまえ、それに誇りを持って生きるのが騎士道であり、選ばれる民が持ち続けるべき意識だ。 ゴハットのような下品・不潔・バカ・マゾヒストのオタク奴僕は、ハナからダークザイドの恥さらしに違いないが、黒岩はそのくらいは寛容に見ていた。それでもまあ、せいぜい個々人の趣味の範疇でふざけるくらいは許してやろうとは思っていたのだ。 料理も、茶も、酒も、スーツも、政治も、黒岩にとっては趣味のようなものだ。趣味にも高尚とか低俗とかはあると思っていたが、まあそれでも趣味は自由だと思えるレベルではあった。 「……だいたい、制限だと? 笑わせる!! そんな物、かける必要がどこにもない……。そんな物がなくとも、勝ち残るのは俺かシャンゼリオンか……二つの一つだ! 全力全開の戦いも多いに結構。俺を見くびるなよ……?」 たとえ負けた記憶があったとしても、黒岩はめげない。己の誇りだけは捨てない。 ゴハットが、今ダークザイドの闇生物の名を借りて汚した誇りを、いずれ黒岩の勝利という形で返してやるしかないだろう。 シャンゼリオンともいずれ決着をつけて、その首を叩き斬る。 △ 暁は、図書室の中でひとり、調べものをしていた。中学校の図書室ともなると、まあある程度は学習材料がそろっているもので、小学校の本棚の怪談本よりかはまだマシな本が揃っている。新書はない。その辺りがやはり、高校の本棚には行き届かないのである。 しかしながら、暁にとっては充分難しい本であった。普段は本など読まない暁ではあるが、まあ時たま、読むときは読む。……漫画かエロ本を。 「んー……ふふーん……」 鼻歌混じりに、図書室から適当な本を探る。 まあ、声は出さない方がいいか。誰にも聞かれちゃならないのだから。 とにかく、暁は図書室の本棚から、必要そうな本をざっと取り上げる。 「なるほど……そういう事か」 暁としても、本などめくるのはいつ振りだろうか。教科書なら、わりと最近めくったが、それも小学生レベル。 「フムフム……。全然違うじゃねえか……」 本を読みながら、まあななめ読みではあるが、暁は三十分の間に必要な知識を詰め込む。暁も関心のある材料の本だけ手に取って見ているから、まあ何とか、三十分のうちに多少は読んでいく事が出来た。 パラレルワールド、とやらの本も、後で必要になりそうなので、暁はキープしておく。図書室から本をガメるくらいは問題ない。 さて、三十分が経過する。 すると…… 「ん……?」 暁の後ろに、人影が、現れた。その人影に気づき、暁は振り向く。 自分には制限などないと思っていた暁だが、三十分ジャストで誰かが現れたらしい。 ──そう、そこには意外な顔があった。 △ 石堀は、理科室で何という事もなく、三十分を過ごしていた。時刻は九時半を少し回る。 何もせず、ただ色々と思索を巡らせているだけならば、随分と長い時間だ。戦闘ならば、何戦か終わるであろう時間を、ただぼーっと過ごすのもまあ、悪くはない。 勿論、怖くも何ともない。明るいよりは暗い場所の方が落ち着くというものだ。 『……石堀光彦さんですね』 石堀は、その声が聞こえたので、振り向いた。 石堀は実に二十一時間ぶりに、その声を聞いた事になる。 「加頭、順……おまえ……」 『それでは、あなたにかけられた制限を簡潔に説明します。あなたにかけられていた制限は、……まあ、いくつかありますが、今回解除するのは二つ。あなたの記憶、そのものです』 「……記憶、だと?」 加頭の目の焦点は石堀を向いているようには思えない。ホログラフィというよりは、まるでそう──録画映像が語り掛けているようだった。しかし、それは鮮明なホログラフィで、正真正銘、そこに広間のあの男がいるように見えた。 果たして、加頭順。この男が、本当にこの世に存在しているのかさえ、石堀にはわからなかった。もしかしたら、あの広間にいたのもホログラフィで、データだけの存在かもしれない。 イラストレーターもそういえば、こうしてホログラフィを使って自分たちの目の前に現れるという事を、石堀は思い出した。 加頭は続ける。 『ええ。あなたには、我々の方から予知能力に関する記憶の制限をさせていただきました。あなたが持つ来訪者の力の中でも、『記憶操作』と『予知能力』はとりわけ厄介ですから、いっその事あなたの力を『記憶』ごと制限させていただく形にしていたのです』 「……そうか、なるほど」 石堀の脳裏に、ふと色んな記憶が蘇ってくるのを感じた。 山岡一を殺害した後、その体を乗っ取り、周囲の人間全体の記憶を操作──そうして『石堀光彦』は誕生し、この世に生まれた一つの人格として認められた。それ自体はよく覚えているが、『記憶を操作した事』が曖昧だった。 西条凪が光を継ぐ未来を予知し、凪に長い年月をかけて憎しみを植え付けるために、光を強化した。しかし、『未来を予知した事』が曖昧だった。 そう、たとえ、来訪者と同様の力を持っていても、記憶操作には引っかかる事がある。 来訪者が山岡一のデータをいじれなかった事や、石堀光彦が新宿の災害の一件を知らず、ビーストについては覚えていても「デュナミスト」のデータの中に「真木舜一」の存在を記録していなかった事からも、それは明白だ。 その記憶改竄を、石堀は受けていたわけである。 ばかしているつもりが、逆にばかされていたという話だ。……まあいい、と石堀は思う。それもまあ、面白い話だ。 『既に『予知能力』だけはあなたに返還されています。これも一度使うと、二時間使用できないのですが、今後は自由にお使いください』 来訪者やダークザギの予知能力は、もともと完全なものではない。来訪者やイラストレーターの予知は実際、ほとんど外れているし、運命を変えるだけの力が働けば、全て変わってしまう。ある世界で、ウルトラマンノアがダークザギを打ち破ったのもまた、同じ理由だろう。 だから、主催陣はその返還には不利益がないと判断したに違いない。 ただ、あくまでその予知の範囲も多少の制限があり、使うと二時間使用できないデメリットはあるが……。 「貴様ら、俺にこんな事をして、ただで済むと思うなよ……?」 『それからもう一つ。F-5エリアの山頂には、忘却の海・レーテを解放しておきました。これは光の力を奪う媒介として使用してください』 そして、それだけ言い残すと加頭の姿がフェードアウトした。逃げるような形ではない。自分の優位を証明するかのような余裕に満ちた退場だった 辛うじて、先ほど相槌が返ってきたので、会話は成立しているようだったが、終始、気味の悪い会話であった。会話というより、ただ機械的に物事をこなしているような男だ。 まあ、平等な殺し合いのために、会話の内容は最低限にとどめられているのだろう。 「……フン。どちらにせよ、俺の力は戻らないか──」 石堀は、躊躇なく、『予知』の力を使う。 とにかく、一度でも使えるなら、まず調べたいものは一つ。 ──そう、『ウルトラマンの力の継承者』だ。 「……そうか、あいつか」 それが、既知の人物なのか、未知の人物なのかはわからない。 ただ、石堀の中にはそのビジョンが見えたので、ニヤリと笑った。 そう、その時が来るまで、石堀光彦は石堀光彦のまま行動する。この方針は変わらない。 もし、その時が来たら──それは簡単。暁もラブも皆殺しにする。そして、あいつの闇に汚れた憎しみで、光を変換する。 さて、これでダークザギの復活の準備は整った。……あとは、このおめでたい二人とバカ騒ぎしながら、「あいつ」の元へと向かい、まあ親しくしてやって、信頼とやらも深めて、何とか言いくるめてレーテのところへ向かうなりして、二人や「あいつ」の仲間を殺すか、殺害した事を打ち明ければいい。それで、憎しみで力を奪えばいいわけだ。 「……どうやら、“俺に制限なんてなかった”みたいだな。まあ当然か。さっさと二人の元へ向かおう」 既に、ダークザギは、石堀光彦の思考に戻っていた。 自分は石堀光彦であるとアピールするように、石堀の言葉で言い残し、彼はその場を去った。 △ 桃園ラブは、うとうとしながら一人で三階の教室の隅に体育座りしていた。 夜の学校に一人。──というのは、心細い。 電気をつけて存在を明かす事もできないし、下に二人がいるとはいえ、寂しかった。 誰か、……本当に誰でもいいから、そばにいてほしいと、ラブだってそう思った。 こうなると、勝手に涙が伝う。 だから、膝でその涙を吸えるように、体育座りしていたのだろう。 ラブは、膝を抱えて、顔を隠すようにして泣いていた。 誰にも見られず、誰にも聞こえないという状況がいかに辛いものなのか、今をもって実感している。 「みきたん……」 フレッシュプリキュアのメンバーで生きているのは蒼乃美希だけだ。 ラブは悩む。元の世界に帰れば、また普通に彼女たちと会えるのだろうか。 これは長い夢だったように、また普通の日々が待っている。 どこかの世界では、また別のラブが悲しんでいるのかもしれない。──そう、思うとやるせない。人が死んだのは──そしてそれが、せつなであり、祈里である事は、確かだ。 それはどんな世界でも変わらない。 別の世界の少女、巴マミと心を通わせたように。 別の世界の男性、一文字隼人が勇気づけてくれたように。 どんな世界の人間でも、死んだら悲しい。誰かがきっと悲しむ。 たとえ帰って、そこに祈里やせつながいたとしても……どこか晴れない心がラブを襲うだろう。 「つぼみちゃん、いつきちゃん……」 他にもまだ生きているプリキュアはいる。 彼女たちがこれからどうするのか、ラブも知りたかった。 どうすればまた彼女に会えるのだろう。街にはいるのだろうか。 こんな所にいて、いいのだろうか……。 「パラレル、ワールド……」 パラレルワールド──その言葉は、かつても聞いた。 ラビリンスが統治しようとした全パラレルワールド。それはおもちゃの国であったり、科学が異常に発展したラビリンスであったり、ラブたちが住む地球であったり、完全に性質の異なる物ばかりだった。 石堀や暁、一文字やマミの世界もラビリンスのような世界なのだろうか。 この果てしない話について、考え続ければ、三十分も短い物になるのではないかと、ラブは思った。 時計の針はだんだんと過ぎていく。 最初の一分は長かった。しかし、次の三分で眠ってしまった。それでもまた五分で起きて、その次の七分が長かった。九分間項垂れて、そのまま五分と少し待った。いつの間にか、三十分は、回想すれば短く感じるほどにあっという間に過ぎ去った。 △ 三人は時間になると、校庭に集合した。校舎の前、昇降口の外で石堀が合図のライトを照らす。 暁とラブの三十分間は終わったらしい。そのライトの光を見たラブは、すぐに下に降りる事にした。 彼女はすぐに下に降りていく。その最中に暁と合流し、二人で階段を下り、昇降口に出た。学校は上履きで入る場所だが、土足のまま中と外を行ったり来たり。上履きがないから仕方がない。 「……で、成果は?」 集合すると、すぐに石堀が口を開く。自分に成果はなかったような顔で、相手に尋ねるようにそう訊いた。石堀も自分の成果など話せるわけがない。 「ありませんでした……」 桃園ラブには成果はなかったらしい。 ただ、一人寂しく教室に残させてしまった結果になるが、石堀としては実際、そんな事はどうでもよかった。 ラブ自身の孤独に気付かなかったフリをして、石堀は暁の方を見る。 「俺はあったぜ」 暁が言う。コイツはのんきだが、どうやらまだ何か強い力を隠しているらしい……と、石堀は少し勘ぐった。 「……で、お前の成果とやらはなんだ? そうだ、それからどうやって制限を解除してもらったのかを、教えてくれ」 石堀のこの台詞を、主催者はどんな顔で聞いているのだろうか。 そう思うと、自分が滑稽にも思えてくるが、まあそんな事は、今はどうでもいい。 彼らを完全に騙しきる事ができれば、後はこっちのものだ。 暁は、己の制限の解除について語った。 △ 先ほど。図書室で調べものをしていた暁の後ろに気配を感じ暁のところまで話は戻る。 誰かがいる。──それを確信して、暁が振り向くと、そこにいたのは…… 『シャンゼリオ~ン。やあ、やっと会えたね~』 暁は、その姿を見ていきなりドロップキックをかました。 本能が、その姿にドロップキックしろと告げていたのである。 『無駄無駄~。僕のこの姿はホログラフィだからねぇ。触れないよ。君が僕を倒すのは今度会ったト・キ♪』 暁は、「うぉぉっ!」──地面に全身を打ち付けて、「いてぇぇっ!」──痛そうに転がっている。 現れたのは、怪人。青く、両手が触手になっているこの怪物は、先ほど放送で見かけた闇生物ゴハットだった。 「てめえ! 何しに来た!」 暁は、地面にぶつけた右肩を抑えつつ、ゴハットにそう叫んだ。 『だ~か~ら~。制限の解除でしょっ! おたく、本当に放送聞いてた?』 「……そんな事言ったって、俺に制限なんかないだろぉっ!? …………え、もしかして、あんの?」 暁はこの時間ではシャンゼリオンになったばかり。制限も何も、力の使い方さえ殆ど手探りな彼に、なぜ制限なんかがかけられているのかはわからない。 力も元の世界で使った時と対して違わないはずだ。 『チッチッチッ……あるんだなぁ、それが』 「ならすぐに教えろぉっ!」 『ハイ♪ コレを手に入れるのが君の制限。こっちとしてもさ~、おたくには、もっとカッコよくて熱いヒーローになって欲しいのよ~。だから出血大サービス』 ゴハットは、ホログラフィの両手で何かを握っていた。どうやって掴んでいるのかはわからないが、おそらくドラ●もんのようにその辺を深く考えちゃいけないのだろう。 その物体は、ちゃんと暁の手で触れる事ができた。暁は、そのままゴハットの手を掴もうとしたが、その前にゴハットは消えてしまう。 暁は、訝しげな表情で、それを眺めた。 △ 「……というわけで、俺はコレを手に入れました~♪ ……ってふざけんな!」 暁がゴハットにプレゼントされた青い本を地面に叩き付ける。 「スーパーヒーローマニュアルⅡ」と書かれた同人誌だ。「Ⅰ」がないのに「Ⅱ」とは、また謎である。まるで、Ⅰ世もⅡ世もいないのに、いきなりⅢ世が出てくる怪獣のようだ。 暁が地面に叩き付けたその同人誌を、まあ石堀は手に取って、ぱらぱらとめくる。 「二十一世紀を生きる新しい時代のヒーローたち……初代スーパーヒーローマニュアルの時代には存在しなかった、新たな時代のヒーローの言葉や戦い方を君に贈ろう……なんだこれ」 「へぇ、なんか随分と本格的な本ですねぇ」 「ふざけてんだろ!? 見てみろよ、この恥ずかしいセリフの数々……」 新しい時代のヒーローの名台詞、名言などがずらっと載っていたり、ヒーローが必殺技を使う時の仕草が細かく紹介されていたりする。 「『戦う事が罪なら、俺が背負ってやる』、『派手にいくぜ!』、『ヒーローってのはな、誰かを犠牲にして戦ったりしねぇんだよ!』、『本当の戦いはここからだぜ!』……って、もうバカかと。よくこんな恥ずかしい事が言えるよな。俺はそういうのじゃないの」 「『俺ってやっぱり決まりすぎだぜ』」 「うっ……」 「いいじゃないですか、決め台詞。かっこいいですよ! あたしだっていろいろあるんですから! わ、悪いの悪いのとんでいけ~……とか」 石堀に痛いところを突かれたのか、暁は黙り、そこにラブがフォローしていた。例の台詞も相当恥ずかしいはずだが、半分無意識である。 ラブも言っていて恥ずかしいところがあったが、これまた無意識に近いので仕方がない。 「……ま、とにかくこれは俺にはいらないの! その辺にでも捨てといてくれ。こっちのパラレルワールドがどうとかって本の方が、まだ使いようがあるぜ。こっちを読もう」 暁はその辺の本を投げ捨てたり、勝手に図書室から本を持って来たり、色々とフリーダムだ。土足で学校に上がるのは仕方ないが、それにしても彼はとりわけ自由である。 「ちょっと待て。おい、この本、お前の事も載ってるぞ」 「ん……? なんで……?」 「シャンゼリオン、栄光の軌跡。……あー、そうだな。コレ、もしかしたらここに来なかった時のお前のその後が書いてあるのかもしれん」 「マジで!?」 「お前、シャンゼリオンの力を手に入れたばっかりだったよな。使い方のノウハウもよくわかってないんじゃないか?」 シャンゼリオンの概略を見る。シャンゼリオンに割いてあるページはわずか一ページだけだ。暁はすぐさまそれを石堀の手から奪って見る。 『軟派な私立探偵・涼村暁が偶然、クリスタルパワーを浴びてしまった事から変身できるようになった超光戦士!』 そういう煽りとともに、シャンゼリオンの全身像が書いてあった。 「……って、大した事書いてねえじゃねえか!」 載っていたのは、シャンゼリオンがその後もダークザイドと戦っていた事だけ。 詳細なデータを書き記す事はできないらしい。シャンゼリオンの写真が載っており、その腕やら足に線が引っ張られ、その能力や必殺技が書いてある。 それは殆ど既知のものだった。 「……でも、これはどうだ? シャンゼリオンの腕で呼べる超光騎士」 「おい、ちょっと待て。そんな便利なものがあるなんて俺は聞いてねえぞ……」 「とにかく呼んでみたらどうですか?」 仕方なく、暁はそれを試すために燦然する。 その辺は、面倒なので省略する。変身は普通に考えればヒーローにとっては尊い物だが、暁の場合は仕方がない。 今回は特にバンクとかを使う事もなく、次のシーンではシャンゼリオンに変身していた。 「……というわけで、人の迷惑顧みず、やってきましたシャンゼリオン!」 「いいからさっさと呼べよ。おら、あくしろよ」 「まあそう焦るなって♪」 それだけ言って、シャンゼリオンは、顔に腕を近づけて、三体の超光騎士の名前を呼ぶ。 「リクシンキ! ホウジンキ! クウレツキ!」 まあ、これまためんどくさいので結論だけ言えば、三体のメカはクリスタルステーションからシャンゼリオンのところに現れるわけもなく。 シーン……と静寂だけが残った。 「…………ただし、現在クリスタルステーションはA-10エリアの海上に出現していますが、まだ電気が通っていませーん。高圧電流を流すと復旧するかもしれませーん……だって」 ラブが、リクシンキ、クウレツキ、ホウジンキの説明部分の追記を読み上げた。 クリスタルステーションは、21時よりその姿を現すらしい。それは既に条件を満たしているのだが、そこに高圧電流を流すというのが地味に辛い。 「高圧電流っ!? ふざけんなっ、そんな芸当できるか!!」 「そういえばエンジンメモリの効果の一つにエレクトリックが」 「それだ、石堀、それ使え!」 「無理だ。A-10が遠すぎる」 ……どうやら、三体の超光騎士は呼び出すのが無理らしい。 暁は、このまま最終回まで……じゃなかった、殺し合いが終わるまでにクリスタルステーションに辿り着くのは難しいだろうと思った。 施設と施設を移動できる超便利な道具でもあれば別だが、まさかそんな物があるわけがない。もしそんな不思議な魔法陣があったら悪の組織が利用するに決まっているだろう。 「……まあいいや。燦然解除っと」 ここまで何とかなってきたわけだし、これからも超光騎士なしで何とかなるだろう。 そう思って、暁は変身を解除した。 「おい、ちょっと待て」 石堀がそんな暁を制止する。 暁が、石堀が指差す方を見ると、そこには闇に溶けて現れる黒岩省吾の姿があった。 △ 突如、中学校の校庭に現れた黒岩省吾。彼のスーツは、以前見た時よりも泥や土に塗れ、ボロボロに破けていた。 しかしながら、表情は妙な余裕に満ちており、一歩一歩と暁に近づいていた。 「……久しぶりだな、シャンゼリオン! 時間にして、そう……およそ7時間半ぶりだ。一睡するのにはちょうど良い時間か。人間の場合、睡眠時間は6時間半~7時間半にした人間が最も長生きする」 「黒岩……っ! 二人とも下がれ……、こいつとは俺が一対一で勝負をつけるッ……!」 彼を前に、涼村暁は身構える。彼が黒岩の前から庇ったのは、桃園ラブであった。 ラブの前に立ち、手を広げている。 黒岩は、そんな暁の姿を見て、鼻で笑う。 「……その様子では、貴様は貴様の美学を捨ててはいないようだな……確かに、ダークザイドよりマシな人間もいる、という事か」 ゴハットを見て、そう確信した。人間にせよ、ダークザイドにせよ、愚かな者とまともな者がいる。別に、人間が生きていても、黒岩にとっては構わない。強ければ生き残っていい。ただし、弱ければ死ね。それが黒岩の望む世界だ。 誇りを大切にしろ。強さを持て。それでいい。黒岩は食料である人間に対しても、ある程度の敬意くらいは持っている。 「……美学なんかねえ……。黒岩、てめえのせいで、凪が死んだ……っ! だから、俺はてめえを憎んでいるっ! それだけだ!」 そしてまた、暁も黒岩省吾に対する憎しみや怒りが原動力となっていた。 美学、そんなものと暁は無縁だ。まあ、探偵としてのロマンとか、「太く短く生きる!」とかそんな生き方が美学と呼ばれるのなら、それはアリかもしれない。 「折角会ったんだ。それだけ俺が憎いのなら……決着をつけるか、シャンゼリオン」 「ああ! だがな……その前にてめえに言っておく事がある!」 暁は黒岩に強い口調で言い放った。 暁の瞳は真剣そのものだった。 「お前は人の事を散々いい加減だとかバカだとか抜かしたが、それはお前の方だッ!」 「何……?」 黒岩が、暁の言葉に興味を示した様子である。 暁がまだ、これだけの憎しみを負いながらも、戦いよりも優先して黒岩に言いたい事があるらしい。 それは、お互いいつ死ぬかわからないからの言葉だろう。 「前にお前は、日本のお茶の間に『冗談は顔だけにしろよ』と言う台詞が知れ渡ったのは、1982年に日本でテレビ放映されたアメリカの某ドラマを起源と言ったな!」 「それがどうした……?」 「それは嘘だ! 1975年の日本のテレビドラマ、松田優作・中村雅俊W主演、『俺たちの勲章』を一度見てみやがれっ! 第1話で思いっきり言っているからな!」 「何だと……っ!?」 驚く黒岩の顔を見ても、まだ暁は満足しない。 そう、暁の戦いは既に始まっているのだ。黒岩を力で倒す前に、黒岩に精神で勝つ。言葉で勝つ。 何においても彼に勝つという事だ。 そのために、暁は先ほど、図書室で勉強し、黒岩に勝る知識を得るべく、「テレビドラマ辞典」やら「昆虫採集辞典」やら何やら、色々と物色していたのである。 暁は続ける。 「それからお前は、世界で最初のメタフィクションは1096年、イノーエット・シキが書いた『チャンゲリオン』という小説だと言ったな! あれはさっき俺が読んだ『使うとダサいしウザい加齢臭親父の大嘘大辞典』(※適当です)に書いてあったウソ知識だ! だいたい、イノーエット・シキとかチャンゲリオンとか嘘臭いだろ、気づけよ」 「なっ!」 そんなものが実在していたのかはわからないが、暁は言った。たぶん、それは調べていないだろう。 勿論、黒岩の知識は間違っている。誰かが適当に書いたものなのだから。暁の知識も適当だが、黒岩もどこかから得た冗談のような知識を本気にしているのだろう。 「更に! お前は、世界で最初の昆虫採集は紀元前600年の事例が何とか言ってたな! そんな事実はどこにもない! だいたい、昆虫採集なんて人類が始まって間もないころからやってるだろ」 「確かに……っ!」 黒岩ははっとする。いま、自分は暁の知識を認めてしまった。 いや、考えれば嘘だとわかるような知識をひけらかしてしまった己への……罪。 「要するに、お前の言っている事は嘘ばっかりだ! 口先だけのでまかせ野郎……ペテン師だ! だから俺たちはお前を信用すべきじゃなかった……! そこだけは、俺たちの負けかもしれない……だがしかし! 散々俺たちを騙してコケにし続けたお前を俺は許さない!」 「待て! 俺はちゃんと調べたっ! 確かに俺はお前たちを騙したが、俺の知識はでまかせじゃない! 正しいのは俺だ、俺が間違う事はないっ!」 黒岩は、連日図書館でちゃんと調べものをして得た知識だ。人間界を掌握するために、人間界の知識が必要だと思って、毎日勉強した。 そこから都知事となったというのに、それが嘘であるはずがない。 「いーや、お前は、子供たちに間違った知識を教える子供の教育上よろしくない猥褻野郎だ! 子供番組から出ていけ! テ●東の水曜夕方枠に、お前の顔は不適切なんだよ! 地方局で死亡回がお蔵入りになれ、アホたれ! お前のやっている事は全部まるっとお見通しだ、このインチキ手品師野郎!」 「お、お前にだけは言われたくない……!」 暁は黒岩の悔しそうな顔で増長して、好き放題言っている。 暁は既に勝ち誇った顔で、黒岩の言葉などに耳を貸さない様子である。 「だいたい騎士のくせに日本刀なんか持ちやがって! どこが暗黒騎士だよ、騎士らしい事してねえじゃねえか。だいたいあの頭の包丁はなんなんだよ。意味が全くわからん! お前のせいで毎回ビデオのパッケージが暗い! お子様が借りる気にならないだろ! 由緒正しきお子様向け番組枠にお前の顔を映すなんて許せねえ! テ●東のお偉いさんも、とってもご機嫌ナナメだぜ!」 「……い、異議あり」 「却下だ!」 「くっ……」 反論ができない。いや、反論しようにも確証がない。一部が暁のハッタリだとも知らないし、なぜだか妙に真実味のある知識もべらべらと出てくるからだ。 ヒーローによる精神攻撃により、悪の暗黒騎士のライフポイントが削られていく。 黒岩は、ただただ愕然とし始めていた。 「さあ、これでまず、お前の一敗だ。お前の嘘が白日の下に晒され、お前の有罪は確定した! 罰として、俺にいちご牛乳を奢り、そして……死刑になれ!」 要するに、暁としては黒岩を言い負かす事ができて気分が良い。これで心置きなく戦える。暁としては、そのままノリで戦闘の方も勝ちたいわけだ。 しかし、黒岩としてはまだ負けるわけにはいかない。己の力を、もとい知識を振り絞って薀蓄を叩き付ける。 「……し、知っているか! 世界で初めての死刑は紀元前578年ローマのグラシナスという小さな村で……」 「それも全くのでたらめだ! 世界で初めての死刑が行われたのは、ローマではなく、古代バビロニアだ!」 「なにっ……!」 だが、直後に暁が知識を反す。黒岩の精神にダメージがかかる。 暁はふんぞり返る。遂に黒岩が薀蓄を言い始めても、BGMが変わらないレベルにまで来ていた。バックヤードにまで愛想を尽かされているらしい。いや、きっとBGM担当も愚かで、真偽もわからぬまま暁に乗せられているだけに違いない。──そう思いながら、黒岩は暁の目を見る。 こいつが正しいはずがない。嘘に決まっている。 黒岩も最後の意地のように、落ち着いたそぶりを見せながら、逆に暁を挑発しようとした。 「……ふ、フン……。信用できないのは貴様のその腐った知識の方だ。お前の言っている事こそ出鱈目だ。……フッ、だいたい……いちご牛乳だと? くだらんな……!」 黒岩は、拳を握る。 「お前はいい年をした大人だろう? そんな子供の味に興味を持つなど……。まさか、お前は紅茶も知らんのか」 黒岩は尚、暁の目を強く睨み、己の知識で暁へと精神攻撃をしようとしていた。 いちご牛乳など、甘い物を求めるなど、脳が幼児そのままである証ではないか。 大人ならば、紅茶の一つも飲めるはず。これを言われれば暁も立つ瀬はないだろう。 黒岩は、そこから更に薀蓄で図に乗るコンボへとつなげようとした。 「知っているか! アールグレイという紅茶は中国の着香茶を気に入ったグレイ伯がそれを気に入って作らせ生まれたという……」 すると、今度は石堀が、割って入るように言う。 「……おい、奇遇だな。俺も紅茶は好きなんだ。セント・バレンタインという銘柄のバニラ風味のブレンドティーがあってね。ピスタチオとココナッツを細かく刻んでいて、これがまた美味い。オススメの紅茶だったが、もう廃盤になってしまったらしい。何かバニラフレーバでオススメでもあれば、ここはひとつ黒岩センセイに聞きたいんだが?」 石堀は妙に詳しい紅茶の知識を説明を開始した。 黒岩も何を言っているのかさっぱりわからず、ポカンと口を開ける。挑発的な口調に、怒りを感じつつも、紅茶の話題では勝てそうにないので、話題をそらす事にした。 「そんな事よりコーヒーの話をしよう。コーヒーはブルーマウンテン4、ブラジル5、モカ1の混合豆を使ったものが一番美味い。これに匹敵するものは未来永劫生まれることはだろう」 「どう考えてもブラジル多すぎだ。本当にそんなコーヒー飲んでいるとしたらお前の舌がおかしい」 「俺の舌には合うんだ! 出せよ、出してみろよ、今すぐここに俺が言った最高のブレンドのコーヒーを出してみろ! この俺がすぐに飲み干してウマイと言ってやる!」 黒岩が必死で自分の紅茶知識の浅さに話題を変えようとしてコーヒーの話題をしたものの、それも石堀に破られた瞬間に逆ギレし、無茶な要求を始めた。 「お、大人げない……^^;」 ラブも黒岩に呆れ始めた。顔文字まで浮かべれば、彼女がどんな表情をしているかは察する事ができるだろう。 だが、黒岩はかなり今ので精神的ダメージを負ったようである。紅茶知識を石堀に看破されてしまうとは……。この地味な男が紅茶好きだったとは知らなかった(実際紅茶が好きなのかはわからないが)。 「おい黒岩! 往生際が悪いぞ、誰がどう見ても、100対0でお前の負けだ! さあ、死刑執行の時だ。そしてお前に、冥土の土産に教えてやる! いちご牛乳はな、いちご5、牛乳5が、一番美味い……!」 こっちのバカは放っとこう。しかし、残りの二人にこうまで言われたのは、黒岩としても地味にショックだ。確かに、比較的マシな人間だと思っていたが、黒岩が想像していた以上の難敵らしい。 「……」 黒岩は、その時、周囲の人間の白い目を感じていた。憐れむように自分を見ている。周りに味方が誰もいない孤独と、己の誇りが打ち砕かれたのを感じた。 しかし、黒岩は、辛うじて自分を保っていた。 石堀の、ラブの、そして暁の白い目が痛い。突き刺さるようだ。血管がブチ切れそうなほどの怒りがわいてくるが、なんとか理性を保ち、心を落ち着かせる。 今の彼の顔は、まるでド深夜に一時のテンションで書いたSSを後から見返すと酷すぎて目も当てられない事実に気づいた書き手のような、そんな顔だろう。 だが、それでも大丈夫だ、怒るな……怒るな……。 冷静に、クールになれ……。 ……クール、そう冷静だ。 冷静に……冷静に…… 「……暁、貴様ァッ……!! とうとう俺を……本気で怒らせたなッッ! ただで済むと思うなッッ!! だいたい、さっきからいつ言おうか迷っていたが、俺は手品などしていない……ッ!!」 ……しかし、どう堪えようとしても、黒岩は奮起せずにはいられなかった。 己のプライドが傷つけられ、あろうことか涼村暁に己の知識を看破されるとは。 それが許せず、黒岩の心の闇が増大する。ダークメフィストの闇は更に大きく膨らんでいく。 「貴様だけは……貴様だけは絶対に許さんッッ!! 死刑になるのは貴様の方だァッ!!」 暁と黒岩がが近づき、対峙する。 ここからは本当に、暁と黒岩ではなく、精神でも知識でもなく、力と力、命と命の殺し合いになるらしい。 「いちご牛乳と手品がそんなに気に入らないのか……!?」 暁はそう思いながらも、燦然の構えを取った。 同じく、黒岩も手を顔の前に翳している。 二人はそれぞれ、変身ポーズを取る。 「ブラックアウトッッッ!」 「燦然!」 両者の掛け声は同時だった。 暁の体は再び超光戦士シャンゼリオンへ、黒岩の体は暗黒騎士ガウザーへと変身した。 シャンゼリオンの手にシャイニングブレードが握られる。 両者は、距離を取り、互いの剣で敵に斬りかかろうとした。そして、鍔迫り合いが始まる。 ブレードが激突。両者の顔も近づき、殆どゼロ距離で怒鳴り合った。 「てめえ、にわか雑学知識を看破されて手品師扱いされたくらいでムキになりやがって! こっちは実質、お前に仲間を殺されてるんだぜっ! お前の数倍、俺はお前を憎んでいるんだよ!」 「いや、俺の方が貴様を憎んでいる! そもそも手品にはそこまで怒っていない!」 「いや、俺の方が憎んでいる! じゃあいちご牛乳か!?」 「いや、俺の方が憎んでいる! いちご牛乳も関係ないッ!」 「いや、俺の方が」 「いや、俺が」 「いや」 「い」 「i」 小学生のような言い争いで、声を小さくしながら、シャンゼリオンとガウザーの力が相殺されて弾けていく。両者拮抗の鍔迫り合いが崩れた。 ブレードは弾かれ、両者は距離を取り、じりじりと真横に歩く。 「お前が凪のラームを吸って、そこをダグバの野郎に襲撃された! ……あいつを殺したのは確かにダグバだがな、そこはお前も同じなんだよっ! お前のせいで凪は死んじまった!」 「フン……。それは貴様らが守り切れなかっただけの事……! もっと早く俺を殺せば、そうはならなかっただろうっ!?」 「ッ! てめえ……望み通りに殺してやる!!」 シャイニングブレードを振るい、ガウザーに向けて剣圧を飛ばす。 ガウザーもまた、日本刀を古い、剣圧でそこにぶつける。 二つの風がぶつかり合い、弾ける。両者は互角だ。 「だいたい、お前は勘違いをしている……! 俺たちダークザイドは人間のラームが主食だ。お前が肉を食うのと何が違う!?」 「んなもん知らねえよ!」 「そうだな、貴様にこんな話をしても仕方がないか……! 俺が間違っていた……!」 両者の剣はまたぶつかり合い、火花を散らす。右に、左に、相手がけしかけてくる剣技を全て交し合う。 剣を防ぐ剣、剣を破ろうとする剣、二つはぶつかり合い、ラブと石堀はその様子をただ黙って見つめていた。 「もういい……っ! 何でもいいから、とにかくお前は気に入らねえっ! だから潰す、もうそれでいいんだ! 長々と喋りながら戦う殺し合いはロボットが出てくるアニメだけで充分だ! 実写の俺たちがやると寒いだけなんだよ! この台詞も長いけどな!」 「そうだな、俺とお前は宿命のライバル……戦士の定め、それだけが戦う理由だ。それで充分だろう」 「そういう宿命のライバルとかいうのが一番寒いんだっ……!」 シャンゼリオンの一撃が、一閃、ガウザーの左肩を斬りつける。 しかし、それと同時にガウザーもまた、シャンゼリオンの脇腹に一太刀浴びせる。 「くっ……!」 「ちっ……!」 ガウザーの左肩が抉られ、シャンゼリオンの脇腹のクリスタルが割れる。 どうやら、本格的にダメージを負いながらの戦いになるらしい。 意地と意地のぶつかり合いのようなものだ。互いに相手への怒りが頂点に達しており、その程度の痛みでは戦いに支障はない。 シャンゼリオンは、そんなさなかでも胸に手を当てた。 「……ガンレイザー!」 シャンゼリオンはガンレイザーを取り出す。その瞬間、ガウザーは距離を取る。至近距離からでは、飛び道具は当たってしまう。 ガンレイザーは、ガウザーのいる地点を狙い、ビームを発射する。 ガウザーはそれを右に左に回転しながら避ける。関係ない場所にビームが命中して、校庭の砂を焼く。砂埃が舞い上がる。 「なっ!?」 怪我の功名か、舞った砂埃はガウザーの目に入り、ガウザーは左手でその目を塞いだ。 咄嗟の出来事に、視界がぼやける。シャンゼリオンの事だから、おそらく策はなく、ただ偶然の出来事だろう。 「シャイニングアタック!」 そこにできた隙をシャンゼリオンが必殺の叫びで攻撃しようとする。 シャイニングアタック──クリスタルの結晶がもう一人のシャンゼリオンを作り上げ、それがガウザーの体の方へと、ポーズを決めて飛んでいく。 相手に隙ができた瞬間が使いどころの必殺技である。 クリスタルのシャンゼリオンはガウザーの胸元へと近づいていく。これが発動すれば、本来ダークザイドの怪物たちは動きを縛られる──が。 「ふんッ!」 しかし、ガウザーはそれにも屈しない。 目に入った砂埃を振り払うと、片手の日本刀でクリスタルのシャンゼリオンを弾き返す。 一刀両断、シャンゼリオンの幻影が真っ二つになり、崩れ去り、消えていく。 「マジかよ……! そんなのアリ……!?」 シャンゼリオンも驚いた様子だ。 シャイニングアタックは必中の必殺技だと確信していたが、そうではなかったのである。 騎士の意地と怒りがシャイニングアタックの縛りを振り払い、あっさりとシャンゼリオンの攻撃を回避する。 「トドメの技はこのように使うのだッ!!」 ガウザーはすばやく駆け出し、跳躍する。空中で膝を曲げ、忍者のように身軽に、シャンゼリオンの元に落ちていく。 「秘技! 皇帝暗黒剣ッ!」 手に持った日本刀が、シャンゼリオンの前で横一閃、凪いでいく。 ガウザーに原作中で必殺技も何もないが、この居合は刀を持つ戦士としては、まあオーソドックスな一撃であった。技の名前もおそらく適当に考えたに違いない。とにかくオーソドックスな技なら使いそうだし問題もないはずだ。 「クソッ……! なんで……っ!」 シャンゼリオンは、ガウザーが横に刀を凪いだのは見ていたが、それは数メートル先で刀を振るったシーンであった気がした。 それが赤い剣圧となって、シャンゼリオンの体をぶった斬っていたのだ。 そして、降り立ったガウザーが叫ぶ。 「知らないのか!? 強敵に安易に使った必殺技は、必ず破られるッ! 早い段階での必殺技は敗北の兆しだ! そして、逆に俺の必殺技だけは、必ず成功するッ!」 ガウザーが今の勝因を語る。 なぜ、シャンゼリオンの攻撃が不発で、ガウザーが成功した理由がごくごく単純だった。 「くそ……なんか今日は一段と薀蓄祭りだな……あれ、各回ごとに一回じゃなかったのかよ……!」 シャンゼリオンは腹部を抑えながら、それでも立ち上がる。 ガウザーの場合、薀蓄も立派な精神攻撃だ。とにかくウザいので、相手がイライラする。たまに関心する人がいると、ガウザーの士気が上がる。 要するに、薀蓄祭りという事は、それだけガウザーのパワーがアップしているという事だ。 「……でもな、今のもまた出鱈目だッ! お前は嘘しか言わないんだなっ!」 「何だと……?」 シャンゼリオンの必殺技が不発だったのは仕方がない。 タイミングを間違えたのだろう。しかし、黒岩の知識など、所詮は殆どの場合、どこかしら間違っているのだ。 「黒岩! お前の理屈で返すなら、どっちにしろ勝つのは主人公の俺なんだ、お前じゃない! そしてお前は今回のタイトル的に見て、間違いなく、今ここで死ぬ!」 ※この台詞はあくまでイメージです。『主人公の俺』と書いてある部分には「この俺」、『今回のタイトル』と書いてある部分には「状況」というルビを振ってください。 「フン……その自信はどこから湧いて来るのか……見せてもらおう」 「見せてやるよっ! おらぁっ!」 シャンゼリオンは、よろよろの体でシャイニングブレードを振るう。 剣圧がまた、ガウザーの方へと殺到する。 「だから無駄だっ! この程度の攻撃……」 ガウザーはそれを両断し、ガウザーの視覚を遮っていた剣圧が消える。 そこにまた、一人の戦士の影が駆けてくるのが見える。 ガウザーは、その戦士を無謀に思うが、彼は叫んだ。 「リクシンキ! ホウジンキ! クウレツキ!」 「何っ……! 卑怯な……っ!」 確かこの三体はシャンゼリオンのサポートメカ。まさか、それを利用して攻撃しようとしている。シャンゼリオンは囮だったのでは── そう思い、ガウザーは空を見上げた。 「嘘だよバーカッ! 一対一っつたろ! 星空とともに死ねバカッ!! クローバーストッッ!!」 そして、その隙にシャンゼリオンは既にガウザーの前、零距離まで場所を縮めていた。 虚空を見上げ、サポートメカの登場を予測していたガウザーであったが、この時のシャンゼリオンはまだサポートメカなど所有しておらず、その呼び出し方を知る事はあっても、反応は来ない。つまり、ガウザーが見た空はただの星空。 シャンゼリオンが呼べば必ず来る仕組みがゆえ、ブラフには使えないはずの代物だった。 ──しかし、三体の超光騎士がいま、眠りについている。それがゆえ、再び呼び出される事はなかった。 「がっ……!」 ガウザーの腹に、光線が発射され、彼の体は一瞬で吹き飛んだ。 △ 時系列順で読む Back なのはの決意! プリキュアとして、戦います!!Next 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(後編) 投下順で読む Back なのはの決意! プリキュアとして、戦います!!Next 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(後編) Back ラブと祈里 さよならの言葉! 涼村暁 Next 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(後編) Back ラブと祈里 さよならの言葉! 桃園ラブ Next 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(後編) Back ラブと祈里 さよならの言葉! 石堀光彦 Next 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(後編) Back Aが求めるもの/悪魔のしっぽ 黒岩省吾 Next 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(後編) Back 第三回放送X 加頭順 Next 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(後編) Back 第三回放送X ゴハット Next 黒岩、死す!勝利のいちご牛乳(後編)
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ドロロ死す!? であります ◆YsjGn8smIk 見まわせば森が。そして遠くには山。流れていく川は海に向かって流れていくのだろう。 辺りは闇に覆われていたが中天に輝く月のお陰でなんとか文字を読めるぐらいの明るさはあった。 地図でいえば滝と温泉のちょうど真ん中にあるG-3の小川。 さらさらと流れる川の隣に彼はいた。 ドロロはじっと手元を見て立ち尽くしていた。 彼の手元には―――ケロロ、とマジックで書かれたおもちゃの光線銃が握られていた。 なんとはなしにトリガーを引く。ペコペコペコ……いかにも玩具らしい銃身が伸び縮みするだけの単純な動き。 少なくともこの殺し合いにおいて何の役にも立たない、それをじっと見つめていた。 ふと、ゆっくりと視線をさげる。流れる水面にうっすらと自分の姿が映っているのが見えた。 頭には頭巾、口元をマスクで隠す、その姿はまるで忍者のようなケロン人が虚ろな目で彼を見返していた。 ぽとり、と玩具が入っていたデイパックを地面に落とす。 「そう、あの時もそうだったよね……」 彼は脳裏に昔の思い出がゆらゆらと再生される。 ★ ★ ★ ★ ★ あれは僕たちがまだこういうおもちゃで遊んでいた子供の頃。 友人のケロロ君たちとかくれんぼをしていた時の事だった。 「もういいかい~」 「もういいよ~」 その時ケロロ君が鬼で、 僕はドキドキしながらじっと隠れていた。 「ここなら完璧だもんね、ケロロ君たち、おどろくぞ~」 待った。 待った。 ずっと待ってた。 そうして日が暮れて、夜になってようやく気が付いたんだ。 僕のことを忘れて、みんなが帰っちゃった事に。 ★ ★ ★ ★ ★ 「ううう……ひどいよ、ケロロ君……! 今回もまたあの時みたいに「あ、ドロロ忘れてた」とか言わないよね……?」 目から大量の涙を流しながらドロロはただ泣いていた。 このおもちゃの銃は彼のトラウマを変な風に刺激してしまったようだ。 体育座りをしながら玩具の銃に向かって涙を流す青いカエル。 その姿は割と不気味だった。 その時、ざわりと―――風が吹いた。 「……?」 嫌な風だった。 思わずトラウマも忘れて辺りを見回すドロロ。 周囲にはただ水が流れる音が響くだけで、特にこれといった怪しいものは見当たらない。 だがそれでも何かが変だった。 良くない気配、としか表現できない何かを彼は感じていた。 「……どうやら……嘆いてる場合では、なさそうでござるな」 ドロロはそう呟くと、さっと立ち上がり気配を頼りに夜闇を睨みつける――― 「おや? 気付かれてしまいましたか……」 声は闇の中から響いてきた。 すうっ、と闇から現れたのはローブのような黒い服を着た若い男。 温和そうに笑いながらこちらを見下ろしている。 その声も姿もただのペコポン人にしか思えない。 だがドロロの元・暗殺兵(アサシンソルジャー)としての直感が告げていた。 これは人ではない、と。 「……何者でござるか?」 ドロロは警戒して銃を向ける。 もちろんこんな玩具でどうこう出来る相手ではないだろうが、他に向ける物が手元になかったのだ。 男はそんなドロロを気にする様子もなく、にこやかに笑いながらゆっくりと歩いて来た。 「いやー、そんな警戒しないでくださいよ。 僕はゼロス、ただの謎の神官(プリースト)です」 謎のプリーストが深々とお辞儀をする。 それにつられ、つい頭を下げてしまうドロロだった。 「あ、これは失礼。拙者はドロロと申す。 拙者には戦う気はないのでござるが……ゼロス殿は?」 直感を信じ、戦う気は無いと告げながらも油断なく銃を向ける(おもちゃだが)。 警戒しながらドロロは尋ねた。 「ああ、それは……」 その問いに何故だかゼロスは嬉しそうな顔をする。 ごくりと唾を飲み込みドロロは聞き返した。 「それは?」 ゼロスは人さし指を口元に当て、ニヤリと笑って言った。 「秘密です♪」 ★ ★ ★ ★ ★ 数十分後。 しつこくゼロスを問い詰めるドロロとのらりくらりと質問をかわすゼロス。 そしてドロロはいつの間にか上司の愚痴を聞かされていた。 「というわけで、僕の上司はそれはもう厳しいお方で、 仕事の途中だっていうのに、こんな所で油を売ってる事が知られたら……」 ああ困りました、などと全然困ってない顔で話すゼロス。 (な、何故こんな事に……) 一方ドロロはこんな話を聞きたかった訳ではなかった。 埒の明かない会話に業を煮やし暗殺兵術(アサシンマジック)の鑑定眼力まで使ったのだが、 出てきた結果は不明瞭という不明瞭な結果。 とはいえ敵対行動を取るわけでもない謎の神官をどうする事も出来ず、 結果としてドロロはまったく関係のない話をする破目になっていた。 「そ、そうでござるか。 だが『上司を怒る』でなく『怒られる』というのもそれはそれでうらやましい話でござるよ」 「いや、あの……怒らなきゃならない上司って……どういう上司です、それ?」 どういう上司と言われても、ああいう上司でござる……とは答えられなかった。 ドロロは誤魔化す事にした。 「……ゴホン。いや、何でもござらん。忘れてくだされ」 「よくわかりませんが、ドロロさんも苦労なさってるようですねえ……」 「ゼロス殿も色々大変そうでござるな……」 がしっとお互いの手を握る。 友情(?)が生まれた瞬間だった。 なんとなく警戒していたのが馬鹿らしくなり、ドロロはおもちゃの銃を腰のデイパックへと仕舞う。 「あー、お互い早く帰りたいのは一緒のようでござるな。 どうだろうかゼロス殿。ここは一つ協力していただけぬか?」 そして会話の方向を変えようと、そう提案した。 「ああ、それはいいですね。僕としてもコレを何とかしたい所でして」 幾分目線を鋭くしてゼロスは首輪を軽く叩く。 あの会場で渚カヲルと呼ばれた少年をオレンジ色の液体へと変化させた首輪。 その時の事を思い出しドロロの胸に怒りと彼を助けられなかった悔恨が渦巻く。 「拙者も何とかしようとは思っていたが、あいにく機械は苦手なもので……。 隊長殿たちは―――クルル殿がいない今、解析は厳しいそうでござるな。 ……残念ながら拙者の知り合いでコレを何とか出来そうな者はいないみたいでござる。 ゼロス殿は?」 「残念ですが僕のほうにも心当たりはありません。 ……仕方ないですね、じゃあコレをなんとか出来そうな人が見つかるまでゲームに乗りますか」 ドロロはとても不思議な事を聞いた気がする。 今ゼロスが言った事を……理解できなかった。 「……ゼロス殿、今、なんと?」 「おや、聞こえませんでしたか?」 聞き返すとゼロスがダメですねえ、などと嘆息してみせた。 その様子に何かの間違えかと思いドロロは言った。 「いや、ゲームに乗るとか聞こえたもので」 「ああ、勘違いしないでください、コレ関係の人は殺しませんよ」 ゼロスはにこやかにそう言いながら首輪を指す。 聞き間違えでも、勘違いでもなかった。 ドロロは内心の怒りを辛うじて自制し、静かに尋ねる。 「つまり、それ以外のものは……殺すと?」 「ええ、何か問題でも? 僕としても人間に命令されて殺すなんていうのは癪ですが、 彼らには後で死んでもらう……という事でここは一つ我慢しておきましょう」 ドロロの中で怒りが弾ける。 「ゼロス殿、おぬし!」 飛び掛ろうとドロロが構えると同時―――ゆっくりと人さし指を向けたゼロスが力ある言葉を解き放った。 「暴爆呪(ブラスト・ボム)!」 瞬間、空間が軋みゼロスの周りに十数個の光球が生まれる。 その光球一つ一つに凄まじい熱量が籠められていた。 それらが全てゼロスが指し示す方向、つまりドロロに向かって殺到した。 「なっ!」 不意をつかれたが、ちょうど構えていたドロロは辛うじてそれに反応できた。 襲い掛かる十数個の光球を全力で横に跳ぶ事でギリギリかわす。 だが――― ヴンッ!! 「ぐうううっ!!」 地面に炸裂したそれは凄まじい爆音と熱波、そして衝撃を巻き起こした。 衝撃波に吹き飛ばされたドロロは、地面にぶち当たり受身を取りながらゴロゴロと大地を転がる。 気付くとドロロは先刻まで立っていた場所から十数メートルほども飛ばされていた。 そして光球が当たった小川の水は蒸発し、ただ溶岩のように赤い地面だけが見える。 煮沸、つまり大地が沸騰していた。 そこに川の水が流れ込み、一転辺りは激しい水蒸気に包まれる。 ドロロは身震いする。とんでもない技だった。 逃げるのが一瞬でも遅れていたらドロロは消し炭も残さずこの世から消滅していただろう。 「おや、やはり精霊魔術もこの程度ですか」 水蒸気の向こうで、ゼロスが不満げに呟くのが聞こえた。 ドロロは体が動く事を確認すると、体勢を立て直し蒸気の向こうに向かって叫ぶ。 「いきなり……何をするでござるか!」 それでこちらに気付いたのか、ゼロスは何故か満足そうに話しかけてきた。 「いやあ、やりますねドロロさん。 まあ、これぐらいは避けてもらわなければ困りますけどね」 人を殺しかけておきながらのこの台詞に、ドロロは悟った。 ここでゼロスを倒さなければ罪もない人間が殺されてしまう、と。 そしてそれは理性では判らなかったが、直感では初めから判っていた事だった。 「ゼロス殿……覚悟するでござるよ!」 ドロロは腰のデイパックから武器を取り出す。 残念ながら刀剣類はなかったが、武器の代わりになりそうな物はあった。 ―――取り出したのは長い角(ロングホーン)。 説明書には『1000万パワーだ!』とだけ書かれていたそれを握りしめ、ドロロは疾走する。 「どうやらあなたはなかなかの使い手みたいですし。 ……もう、止めときません?」 水蒸気の奥からゼロスがそんな事をいう。 だが今のドロロに止まる気は無かった。 「もはや、問答無用!」 蒸気を突き破り一息でゼロスとの間合いを詰めると、両手で構えたロングホーンの切っ先でゼロス撃ち抜く。 だが、ゼロスは僅かに―――拳一つ分ほど体をずらすだけの動きでドロロの突進を避ける。 「おかえしですよ!」 そしてカウンター気味に放ったゼロスの蹴りがドロロを捉える。 しかしそれはフェイント。 「残像でござるよ」 「なっ―――!?」 蹴りが命中した瞬間そのドロロはドロンと消える。 同時に残像ではない上空へと跳んでいた本物のドロロがゼロスを強襲する。 ロングホーンを両手で振りかぶったドロロは、がら空きの背中へそれを振り降ろす。 「せいやっ!」 ざぐっ!! ゼロスが驚愕に目を見開く。 ロングホーンは彼の背中をざっくりと切り裂いていた。 常人なら傷口から盛大に血が吹き出るであろう傷だったが、何故か血は一滴も出ない。 (やはり、只者ではない……) シュタっと地面に降りると同時にドロロは距離を取り呻く。 避けられた。 常人では知覚する間もないほどのあの一瞬、ゼロスは体を捻って致命傷をギリギリ避けたのだ。 強敵を前にドロロの頬を冷や汗が流れる。 そしてその頃になって、ようやく水蒸気が晴れ始めた。 「イタタ……油断しました……しかしおかしいですね、なんで痛いんでしょう?」 ゼロスは暢気にそんな事を言う。 そしてドロロが構えたロングホーンを見ながらゼロスは呟くように宣言する。 「うーん、これはもしかして。……ちょっと本気を出ますよ!」 そういった瞬間、ゼロスが消えた。 「なっ!?」 その消失はあまりに突然だった。そして完全だった。 姿かたちは勿論、気配すらも―――まるで最初から居なかったかのように消えてしまった。 ドロロは慌てて気配を探る。 そして真横、十数メートル先の茂みに何かの気配を感じる。 (そこでござるか!) 茂みに向かってロングホーンを構えた次の瞬間。 突然背後からゼロスの気配が現れた。 (ばかなっ!) 完全に虚をつかれた。 (……瞬間移動でござるか!? しくじった!) 慌てて前方に跳ぶがそれは無駄な足掻きでしかなかった。 ドロロに向かって虚空から現れたゼロスが指先を突きつけ言い放つ。 「チェックメイトです」 そして力ある言葉が解き放たれる。 「覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)!」 地面に光る五芒星が現れ、その頂点から生まれ出た激しい雷撃が闇を切り裂き降り注ぐ。 ―――ゼロスへと。 「なっ!?」 驚愕の声をあげるゼロス。 慌てて空間を渡ろうとするが、魔をも滅ぼす稲妻は彼の腕を捉えて放さない。 「ぐああああああああああ!!」 叫びながらも咄嗟に空間を渡り、雷から逃れるゼロス。 一瞬後、少し先の空間に現れた彼のその左手は、黒く焼け焦げていた。 「そこまでよ、ゼロス」 茂みの中からそんな台詞と共に現れたのは17、8歳ぐらいの栗色の髪をした少女だった。 そしてゼロスは少女を見て困ったように、それでも笑ったまま言った。 「っ……貴女でしたか―――リナさん」 ★ ★ ★ ★ ★ そう、青いカエルっぽい小動物のピンチに颯爽と現れたのは誰であろう、このあたし! 戦士にして天才美少女魔道士たるリナ=インバースだった! なーんて我ながらヒロイックサーガ風の名乗りをあげたくなるような見事なタイミングだった。 流石に今の一撃は効いたのか、呻くゼロスにあたしは言葉を投げかける。 「で、ゼロス、あんた何やってんのよ?」 「……というか事情も判らないのに、なんだって僕を攻撃したんです?」 恨みがましい目でゼロスはあたしを見る。 しかしこの態度に油断などしてはいけない。なにせこのゼロス君、千年前の神と魔が争った降魔戦争において 数多のドラゴン軍団をたった一人で壊滅寸前まで追い込んだというとんでもない魔族なのだ。 「そりゃ、あんたが小動物苛めてるからでしょ。 ポコタといい、なんか最近小動物に縁があるみたいでね。放っておけなかったのよ」 「おやおや、いつからそんな博愛主義者になったんですかねえ?」 うっ。そりゃガウリイがいない今、代わりに前線で戦ってくれる仲間が欲しかったのは確かだけど。 流石にそんな本音をぶちまける気はなかった。 「……い、今さっきよ!」 それを聞いてゼロスは苦笑を浮かべた。 「やれやれ、あいかわらずですね。 ……それでなんで僕が悪者だって決め付けるんです? この蛙っぽい人が先に襲いかかって来たかもしれないじゃないですか」 小動物を指差しながらゼロスがしれっと言い放つ。 「なにを――」 その言葉に小動物が何にかを言いかけるがあたしは手で制し、視線を投げかける。 (ここはまかせて) そのアイコンタクトが通じたのか、青い小動物は黙って引き下がってくれた。 本当に悪いカエルでは無いのかも知れない。 「ま、それはあれよ。あたしの鋭すぎる直感があんたが犯人だって告げてるのよ」 「犯人っていったい……それに勘ですかぁ?」 ゼロスが不満げにいう。 「まあ、それは冗談としてもあんたがこういう状況で何をするかぐらいは理解できるつもりよ。 それに……あんたがそういう風に言うって事は、あながちハズレでもないでしょ?」 恐らくゼロスの目的は、殺し合いに乗って自分以外全ての抹殺。 そもそも魔族にとって人の命など紙くず以下。そして恐怖と絶望はお昼ごはんみたいなもの。 ゲームに乗らない方がおかしいのだ。 「お見通しですか……しかしこれはちょっと面倒な事態になりましたねぇ。 リナさんとドロロさんを同時に相手をするというのは今の僕にはちょっと荷が重い。 ……ここは退かせて貰いましょう」 退いてくれるか。 あたしは内心胸を撫で下ろす。 今の戦力でこいつを相手にするのは正直いってきつい。 「待つでござる!」 しかしそれまで様子を窺っていた小動物(ドロロって名前らしい)がゼロスに向かって飛び掛っていった。 その速度は信じられないぐらい速い。 だけど、届かない。 「待ちません。生きていたらまたお会いしましょう、では」 捨て台詞を残してゼロスはあっさりと闇の中へと消えていった。 「く、逃がすわけには」 追いかけようとするドロロ。 あたしは頬をかきながら告げる。 「やめといたほうがいいわよ。荷が重いなんていってたけど、あれは多分口だけ。 ……相当気合入れてかからなきゃ、あいつは倒せないわ」 その言葉にピタリと止まり 「……そのようで、ござるな」 ぽつりと呟くドロロ。 このドロロくん、意外と頭が切れるようだ。 冷静に状況判断まで出来るとは……出来れば仲間になってくれないかな。 「助太刀感謝するでござる。リナ殿、でござったか。あやつの知り合いでござるか?」 「まあ、ね。……出来れば知り合いになりたくなかった相手だけどね」 あたしは苦い口調で答える。 ふと―――ゼロスが去っていった闇を見つめ、あたしは思う。 またやっかいなことになったなぁ、と。 【G-03/小川/一日目・未明】 【名前】 ドロロ兵長 @ケロロ軍曹 【状態】 軽い火傷、軽い疲労 【持ち物】ケロロのサイン入りおもちゃの光線銃@ケロロ軍曹、バッファローマンのロングホーン@キン肉マンシリーズ、 確認済み支給品(刀剣類ではない)、デイパック(支給品一式) 【思考】 1、殺し合いを止める 2、ケロロ小隊との合流 3、冬樹殿含む一般人の保護 【名前】 リナ=インバース@スレイヤーズREVOLUTION 【状態】 極めて軽い精神疲労 【持ち物】確認済み支給品1~3、デイパック(支給品一式) 【思考】 1、殺し合いには乗らない 2、ドロロを仲間に勧誘する ★ ★ ★ ★ ★ 戦場となった小川より少し離れた闇の中。 追っ手がいない事を確認し、ゼロスはようやく一息ついた。 (やれやれ。予想外の邪魔が入りましたが、それ以外はまあ満足できる結果ですかね) ぎゅいん ゼロスが纏う闇が膨れあがり、腕と背中を覆う。 次の瞬間には傷も焦げた神官服もまるで何も無かったかのように元通りに戻っていた。 精神生命体である彼にとって姿などあってないようなものだった。 ……本来は。 今は首輪のせいか、それともこの閉じた世界自体の影響か 魔族本来の姿に戻る事はおろか、この『ゼロス』以外の形に成る事も出来ないでいる。 それに加え精神世界面(アストラルサイド)とのコンタクトも阻害され、 今のゼロスは中級魔族程度の闇を抱える存在でしかなかった。 (しかし魔力付与されているわけでもない、ただの角に切り裂かれるとは……予想外ですねえ) 精神生命体、つまり元々肉体が無い魔族にとって物理攻撃は無意味であった。 ……筈だった。 だが実際は魔力が込められているわけでもない角に切り裂かれ、傷を負わされていた。 精霊魔術も使えるには使えるが、疲労の割に威力はいまいち。 空間転移も使えることは使えるが、数十メートル程度の距離しか移動できない。 どのような理屈かゼロスには判らなかったがこれでは力の大半を封印されているようなものだった。 (そして恐らく全てはコレのせいでしょうね) 指で首輪を弾く。 リナとドロロは勘違いしていたようだが実はゼロスはゲームに乗っていない。 彼の目的は―――首輪を外すことにあった。 そして乗らなかった理由だが……魔族である彼が人道に目覚めたなどという理由では当然無く、 ただ単にゲームマスターを信じていなかった、というだけの話。 (まあ、僕がゲームマスターでも生き残った人を帰したりはしませんしね。 生き残れてほっとした瞬間に溶かす。そんな所ですかね) 故に優先すべきは首輪の解析。 ゼロス自身も解析を進めるつもりだが、協力者がいるに越した事は無かった。 だから首輪解除に役立つ人間には彼が首輪を外すまでは生きていて貰わなければならなかった。 そしてその為のドロロだった。 (あの攻撃で生き延びられるだけの力があるなら、資格は十分ですしね) ドロロに何故攻撃したかというと、理由は単純。 試したのだ―――彼の力を。 ゲームに乗った人間に首輪を解除できる人間が殺されては困るのだ。 その為に彼のようなセイギノミカタが必要だった。 仮にあの攻撃で死んだとしてもそれはそれで構わなかった。 あの程度で死ぬようなセイギノミカタは逆に必要なかった。 仲間の足を引っ張るであろう弱い者や首輪解除に必要ない人間は始末し、 その死の絶望や憎しみといった不の感情『瘴気』を食らうことでゼロスの力は回復する。 しかも首輪もゲットできるという、一石三鳥。 それが彼の狙いだった。 (まあ、せいぜい頑張ってゲームに乗った人を抑えてください。リナさん、ドロロさん) 【F-02/道路/一日目・未明】 【名前】 ゼロス @スレイヤーズREVOLUTION 【状態】 小程度の精神疲労(精神疲労=ダメージ) 【持ち物】デイパック(支給品一式)、不明支給品1~3 【思考】 1、首輪を手に入れ解析する 2、首輪を外すのに役立つ人材を探す 3、セイギノミカタを増やす 【魔族】 精神生命体のため本来は物理攻撃は無効。ただし制限によって物理攻撃でもダメージは与えられます。 精霊魔術を使うと精神力(つまり生命力)を消耗するので使いすぎるとそのうち死にます。 魔族としての攻撃(普通の人間には見ることも防ぐ事も出来ない精神世界からの攻撃)は 人間に使おうとした瞬間、人間程度に本気を出さなければ勝てないのか、と欝になり死にます。 ただし、竜クラスの魔力とタフネスさを持つ化物相手ならば使用可能です。 時系列順で読む Back 超能力少年、そしてとなりのストーカー Next 決意! 駆けろガイバーⅠ 投下順で読む Back 超能力少年、そしてとなりのストーカー Next 決意! 駆けろガイバーⅠ GAME START ドロロ兵長 接触! 怒涛の異文化コミュニケーション! 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