約 1,954,453 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2471.html
第2部 「ミッドナイトブルー」 第6話 「night-6」 西暦2041年 5月21日 23:55 『大阪府 大阪市 鶴見緑地センター店』 静かな湖をゆっくりと進むアルファ艦隊。上空では航空神姫が編隊を組んでいる。 ツラギの艦内にいるナターリャが無線を掴み、スイッチを入れる。 ナターリャ「12時まであと5分!!総員警戒を密にしろ」 戦艦型神姫のヴィクトリアとマキシマは砲身を空に向ける。 ツクヨミ「なあ、アオイ・・・奴は来ると思うか?」 アオイ「ああん?」 ツクヨミ「こっちは準備万端で待ち構えているんだぜ?わざわざ飛び込むなんて正気の沙汰じゃねえ」 隣を飛んでいたフェリアが口を挟む。 フェリア「奴は来る。罠だと分かっていても、圧倒的な戦力差だろうと関係なしに襲ってくる」 アオイ「あああ・・・・そうだな、奴はSSS級のランカー『夜帝』だ。この程度でびびるような奴じゃない・・・むしろ・・・」 アオイは言葉を詰まらせる。 ツクヨミ「?」 アオイ「むしろ・・・喜んでいるんじゃないのか?」 カチリ 公園の時計の針が12:00を指す。 バトルロンドの筐体の前に夜神がすっと立ち、右腕を上げパチンと指を鳴らす。 チカチカと真っ暗な闇の中で青白い光が輝く。 戦闘機型MMSの「カグラ」が目をこらす。 カグラ「ううん?なんだ?」 そう言い終わらないうちに青白い光に貫かれてカグラの身体がドロっと半分溶け爆発した。 □戦闘機型MMS「カグラ」 Aランク 撃破 さっそく撃破テロップが踊る。 ノザッパ「で、でたァ!!!!!!!夜帝だァ!!!!!!」 巡洋戦艦型のノザッパがハデに主砲を発砲する。 ビッシュン!!ビッシュウン!!! シュヴァルはくんと機体をひねりノザッパの砲撃を回避する。 □ 夜間重戦闘機型「シュヴァル」 SSSランク 二つ名 「夜帝」 オーナー名 「神夜 晃」 ♂ 26歳 職業 ホスト 夜神「バトルロンド開始、フィールド内の戦艦型MMS、および武装神姫を全て排除する」 シュヴァルが金色の目を光らせてつぶやく。 シュヴァル「イエス、マイマスター」 ナターリャ「来たな!!化け物めッ!!全神姫戦闘開始」 ツラギの艦内にいるナターリャが叫ぶ。 ツラギの両サイドに護衛を勤めるマキシマとヴィクトリアが一斉に遠距離から艦砲射撃を行う。濃いブルーの湖の上に巨大なツラギの船体がマキシマたちの砲撃の煙でぼんやりと見える。 夜神「大型航空母艦型MMSを確認、大型の戦艦型も数隻いるな・・・」 シュヴァル「取り巻きの戦艦型は昨夜交戦した『灰色艦隊』の残存艦ですね」 夜神がふっと口元を歪ませる。 夜神「空母型1、戦艦型3、艦載機12!!私のシュヴァルの命の見積もりが安いということを証明してみせなければな!!!」 ビッシュン!!ビッシュウン!!! ノザッパが主砲のレーザー砲を撃ちまくる。 野木が筐体のマイクを掴んでノザッパに命令を下す。 野木「主砲一斉射!!砲身が焼きついてもかまわん!!撃ちまくれ!!」 その横で今宮が筐体の画面を見る。 今宮「フェリア、アネット、そのまま前進、ムリに撃ちあう必要はない、スタジアムに追い込め」 フェリア「了解」 フェリアとアネットはリアパーツのスラスターを吹かしシュヴァルの側面に回りこむ。 ノザッパのレーザーが空気を熱く焦がし、軌跡がシュヴァルを照らす。 シュヴァル「ふっ!!」 短く息を吐き、フラップを思いっきり下げ、フェリアとアネットを引き離す。 アネット「ノザッパ!!そっちに行ったぞ!」 巡洋戦艦型MMSのノザッパに急速接近するシュヴァル。 野木「ノザッパ!狙われているぞ!」 アオイとツクヨミがちゃかす。 アオイ「ノザッパ大変だな(笑)」 ツクヨミ「あーーあーー終わったな、かわいそうにwwww」 ノザッパ「うるさいうるさい!!!やかましい!!!黙れェ!!!!!!!」 ノザッパは周りから野次を言われたりせかされたりして半泣きだ。 天使型MMS「レコア」と剣士型MMS「ノロヴァ」がノザッパの横につく。 ノロヴァ「く、来るぞ!!」 レコア「畜生!!やってやる!!どこだ!!」 ノロヴァは剣をすらりと抜き、レコアはアルヴォ機関銃を構える。 2人は真っ暗闇のため、シュヴァルがどこにいるのか把握できていないが、ノザッパは戦艦型の優秀なレーダーのおかげで暗闇の中でもかろうじてシュヴァルを捕捉できていた。 ノザッパが対空ミサイルを数発連射する。 ドシュドシュドシュ!! ノザッパ「2時の方向だ!!突撃しろ!!」 ノザッパが指示するとレコアがアルヴォ機関銃を発砲し、ノロヴァが剣を振りかざし突撃する。 レコア「おおおおおおおおお!!」 ダダッダッダダダダン!! シュヴァルはレーザーマシンガンを撃ちミサイルを叩き落とし、レコアの銃撃を軽く回避し、ノロヴァに突っ込む。 ノロヴァ「ぅアッああああ!!?」 シュヴァルは強化アームをぐんと伸ばすとノロヴァの首をワシ掴みにする。 ノロヴァ「ぐひゅ!?」 シュヴァルはそのまま、グキッと力を入れて首を捻じ曲げると、レコアに向けてノロヴァの死骸を放り投げる。 レコア「うあああ!!?」 ガッシャーーーン クラッシュする2機、シュヴァルは2機まとめてリアパーツの素粒子砲でぶち抜いた。 ビッシュビッシュウエエン!! □天使型MMS 「レコア」Sランク 撃破 □剣士型MMS 「ノロヴァ」 Aランク 撃破 ノザッパ「なっ・・・」 あっという間に前衛の2機が撃破されることに驚愕するノザッパ。 爆炎の中から勢いよく煙を吹き飛ばしてシュヴァルがノザッパに接近する。 野木「対空砲火!!!近づけるな!!!!!!!」 野木が叫ぶ。 ノザッパの全身からミサイルが発射され、機関砲、主砲が一斉に火を吹く。 ノザッパ「来るな!!来るなッ来るなああああああああああああ!!!」 シュヴァルはミサイルや対空砲火、主砲の斉射を掻い潜り、大型のミサイルを発射する。 ドッシュッ!!!!!! 野木「敵機、大型ミサイル発射!!」 ビーーーー!!ビーーーー!! ノザッパの頭の中でミサイル接近中のアラームがけたたましく鳴り響く。 ノザッパ「か、回避不能!!うああああああああ!!」 ドズンッ!!! ノザッパの横腹に深く突き刺さるミサイル、そして大爆発を起こし轟々と炎を吹き上げる。 炎は一瞬、真っ暗だった湖の水面を照らし、明るくする。 ノザッパが断末魔の悲鳴のようにサイレンを鳴らして沈没する。 ウウウウーーーーーウウウウウーーーーーーウウウーーー ノザッパ「ば、バカな・・・・つ、強すぎる・・・」 ズンズンズンズン!! ノザッパの内部で誘爆を起こして船体が真っ二つに折れると吸い込まれるようにノザッパは急速に湖の底に沈んでいった。 ノザッパ「うっわああああん!!もういやだ!なんでこんなんばっかりーー」 □巡洋戦艦型MMS 「ノザッパ」 Aランク 撃破 ナターリャはレーダーからノザッパの姿が消えるのを身震いした。 ナターリャ「あっという間に3機の神姫が撃破され戦艦型神姫が1隻轟沈とはな・・・噂以上の強さだな!!」 野木「関心している場合か!!このままでは昨夜の二の舞だぞ」 ナターリャ「ぎゃんぎゃん吼えるな、手はすでに打ってある。ツラギ、全神姫に伝えろ、スタジアムまで後退せよとな」 ツラギ「スタジアムに!?でもあんなだだっ広い寸詰まりの所に入ったら、逃げられねえ!!」 ツラギの甲板にいた砲台型のルーシや悪魔型のニパラもびっくりし、横にいた重巡洋戦艦型のマキシマも野次を飛ばす。 マキシマ「そうだぞ!しかもスタジアムの中は真っ暗闇だ・・・相手は重夜戦だぞ、レーザーや索敵性能は向こうの方が上だァ!!」 ナターリャ「黙れ、そんなことは知っている、そこが奴の弱点だ・・・優秀すぎる性能が逆に弱点になるということを教えてやる」 ナターリャは自信たっぷりに言った。 ヴィクトリアはナターリャに何か策があることを感じ取り、黙って後方に下がる。 ツラギ「くうう!!全神姫、後退せよ!!」 再び静寂が戻るフィールド。一部始終を見ていた他の神姫たちは驚愕のまなざしでノザッパが撃沈された場所を見つめる。 アオイ「おいおい、まじかよ・・・」 ツクヨミ「ひ、ひいい」 マレズ「まだ5分もたってねーぞ!!おい!!」 衛山「ツクヨミ!!ムリに戦うな!!ナターリャが指定したスタジアムに移動しろ!!」 フェリアとアネットは逃げこむようにスタジアムのグラウンドに必死で移動している。 よく見るとツラギやマキシマたちもスタジアムの方角に後退している。 アオイ「あっ!!卑怯だぞ!!オマエラだけ逃げるな!!」 アオイたちもそそくさとスタジアムに逃げ込む。 神姫たちがスタジアムに逃げ込むのを確認するシュヴァル。 夜神「やれやれ、この程度で怖気づいて逃げ出すとは・・・」 シュヴァルがカシャンと巡航モードに変形する。 夜神「駆り立てろ、シュヴァル!!一機残らず皆殺しにしろ!!」 シュヴァル「イエス、マイマスター」 夜神ははあとため息を付く。 夜神「愚かな連中だ・・・あんな真っ暗闇のスタジアムに逃げ込むとはな・・・障害物も何もないスタジアムのグラウンドに逃げ込めば、袋のネズミだ。こっちはレーダー、センサー共に暗闇の中でもはっきりと捕捉できる。それにシュヴァルの目は普通の目じゃない。最優秀の暗視センサーだ・・・一匹残さず捕捉し潰してやる」 シュヴァルはグンとエンジンの出力を上げ、加速するとスタジアムの中に入っていった。 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>第7話 「night-7」 前に戻る>・第5話 「night-5」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2249.html
ウサギのナミダ・番外編 黒兎と塔の騎士 前編 ◆ 「遠野さんとティアって、強いのか?」 安藤智哉の言葉に、四人の少女はそれぞれドーナツをくわえたまま、静止した。 四人とも目が点になっている。 俺何か悪いこと言ったか? と首を傾げた。 悪気はなかった。 だが、四人の中で一番早く、蓼科涼子が解凍し、くわえていたドーナツを落として、般若の顔で安藤の胸ぐらを掴んだ。 「何言ってくれちゃってんの、このルーキー風情が!」 「いや、落ち着け蓼科……」 「セカンドリーグの全国チャンピオン『アーンヴァル・クイーン』と互角に渡り合えるのよ!? ティアは強いに決まってんでしょーが!!」 「それがさ……その……オルフェが勝っちゃったんだけど……ティアに」 「…………はあ?」 T駅前、おなじみのミスタードーナッツの店先である。 さすがに恥ずかしい状況なので、動き出した美緒たちが涼子を止めた。 彼女は、師匠に心酔しているので、遠野たちを卑下する話題には、過剰に反応してしまう。 渋々席に着く涼子。視線は安藤を睨んだままだ。 安藤の隣にいた美緒が、涼子をなだめるように口を開く。 「オルフェが勝ったって……遠野さんたちと対戦したの?」 「ああ……こないだの土曜日、ちょっと早い時間で、みんないなくてさ……遠野さんから、アルトレーネと対戦したことないから、やってみないかって」 「それで、ティアが負けた、って?」 ちょっと信じられない、有紀は目を見開いた。 安藤は頷く。 涼子がイスに背を預け、投げやりに言った。 「練習してたんでしょ。遠野さんは勝敗に頓着しない人だから」 涼子は以前、遠野に言われたことがある。 『勝敗よりも、問題点を見つけることが大切だ』と。 あのときの言葉は、涼子と涼姫にとっての座右の銘だ。 安藤は、その涼子の言葉にも頷いた。 「それも分かってるよ。クイーンと伝説的なバトルをしたことも知ってる。 だからこそ、遠野さんとティアが真剣に戦ったら、どれだけ強いのか、どんな戦いになるのか、興味があるんじゃないか」 ふーむ、と美緒たち四人は腕組みして考え込んだ。 確かに、ティアの強さを伝えるのは難しい気がする。 実際に見るのが一番なのだが、遠野は全力の真剣勝負をあまりしない。 しかし、安藤はしばらく後に、それを目の当たりにすることになる。 □ ……墓穴を掘った。 俺はゲーセンの定位置である壁際に背をつき、額を押さえて落ち込んでいた。 オルフェとクインビーの対決からしばらく後の週末である。 あの日、俺は武装神姫のチームを作ることにした。 ここ『ノーザンクロス』では、バトルロンドのチームを作るのがはやりだ。 チームを組むことのメリットは、仲間意識が強くなるだけではない。チームメンバーなら、練習のお願いもしやすいし、戦い方の研究や情報の交換にも役に立つ。 また、対戦もチーム形式で行える。バトルの幅が増え、楽しみも増す。 チームバトルの魅力にとりつかれた常連さんたちが、こぞってチームを組んだ。 俺もいくつかのチームに誘われたが、いずれも断った。 久住さんと大城が「チームを組もう」と言い出したときにも保留にしていた。 俺にとってメリットがないと思っていたからだ。 現状維持でも、俺が武装神姫に求めることは達成できると考えていた。 だが、先日の事件で少し考え方を変えた。 チームを組めば、おいそれとチームメンバーが理不尽な目に遭うことも抑止できるのではないか。 そう考えて、チームを結成することにしたのだが……。 「墓穴を掘った……」 今度は口に出して言う。 チームを結成してからこっち、俺は自分のバトルをろくにしていない。 忙しすぎるのだ。 チーム結成直後は、チームに入れてほしいという希望者が続出した。 それらはすべて断った。チームを大きくする気はないからだ。 それで一苦労した。 だが、今度は俺のチーム宛にチームバトルを申し込んでくる連中が続出した。 それもすべて断った。 そもそも自分を含めたチームメイトを保護する意味が強いチームだし、チーム戦ができるほど、まだチームとしての熟成が足りていなかったからだ。 それでもう一苦労した。 チームのみんなは、俺の考えをよく理解してくれているから、何も言わなかった。 こぢんまりとした俺のチームがなぜこうも注目されるのか、と疑問に思ったが、よく考えてみれば、あの『エトランゼ』と現ランバトチャンピオンと、三強を倒したルーキーがいるチームなのだから、目立って当然か。 そんな事務処理に追われながら、今度はチームメイトのよしみで、バトルの相談に乗ったりしている。 だが、今度はそれも遠慮がなくなってきている。 特に蓼科さんは俺の一番弟子を自称している(認めたくないが)ので、ひっきりなしに話しかけてくる。 それに負けじと、成長著しい安藤が、バトルのアドバイスを求めてくる。 そこに他のチームメイトも加わるのだから、正直いい加減にしろと言いたくなる。 だから、 「おーい、遠野、虎実の空中戦の機動なんだけどさー」 「大城、貴様もかっ」 と言って、大城を邪険にあしらうのも、無理からぬことと思ってほしい。 「まあまあ。それだけ遠野くんがみんなから信頼されてるってことじゃない」 隣にいる久住さんが、そう言って笑う。 ……本当にそうだろうか。 いいように使われているだけのような気がするのは気のせいか。 「ところで、ミスティの変形のタイミングなんだけど……」 「君もかっ」 なんだか誰も信じられなくなりそうな、日曜の昼下がりである。 気分は墓に片足を突っ込んでいる感じだったが、平穏な日々ではあった。 そこに、珍しい客が現れた。 □ ゲームセンター『ノーザンクロス』の入り口が開き、新たな客が入ってくる。 その客に気づいた武装神姫コーナーの常連さんたちが、にわかにざわめきはじめた。 それに気が付いて、俺はふと視線を上げる。 その人物は、いつものように人の良さそうな笑顔で、俺に向かって手を挙げた。 肩には、輝くばかりの存在感を放つ、銀髪の神姫。 「高村……」 「遠野くん、ご無沙汰してます」 俺と高村優斗は握手を交わす。 俺の胸ポケットから、ティアがひょっこりと顔を出した。 「こんにちは、雪華さん」 「ごきげんよう、ティア」 高村の肩にいた銀髪のアーンヴァルは、鮮やかな笑みでティアに応えた。 まわりにいる誰かからため息が聞こえた。 隣にいた久住さんたちも、高村と雪華に挨拶する。 彼がここを訪れたのは、おそらくティアと雪華の一戦以来だろう。 久住さんにとっても久しぶりの再会であるはずだ。 「それで、高村。今日はどうした、こんなところまで。 ……それに、そちらは?」 「今日は、彼と彼の神姫を紹介したくて、来ました。……鳴滝くん」 高村の呼びかけに、一歩後ろにいた男性が前に出る。 体の大きい短髪の青年だった。 堂々とした印象。 ラフな服装の上からでも、鍛え上げた筋肉が見て取れる。 「鳴滝修平です」 「……遠野貴樹です。よろしく」 「お噂はかねがね」 「……はあ」 俺と鳴滝は握手を交わした。物怖じしない性格のようだ。 鳴滝の肩には、神姫がいた。 見たところ、騎士型サイフォス・タイプのカスタム機のようだ。 不機嫌そうな顔で、こちらをやぶにらみである。 マスターである鳴滝の態度とまるでちぐはぐだ。 「というわけで、今日は鳴滝くんのランティスと、遠野くんのティアで対戦してもらいたいんです」 そう言う高村は、相変わらずにこにこと笑っている。 鳴滝は力強く頷き、そして俺は首を傾げた。 ◆ 「なあ、今遠野さんと話してる人……みんな注目してるけど、誰なの?」 安藤が話しかけた美緒と他三名も、やはり遠野たちの会話に釘付けになっている。 涼子はそれを聞いてため息を付いたが、美緒が丁寧に教えてくれた。 「高村優斗さんと、その神姫で雪華。二つ名は『アーンヴァル・クイーン』。現セカンドリーグ全国チャンピオンよ」 「クイーンの雪華って……あの、ティアとすごいバトルをしたっていう……!?」 「そう」 美緒はあっさりと頷いた。 あれがあの『アーンヴァル・クイーン』なのか。 安藤の目は、ひときわ存在感を放つ、銀髪の神姫に吸い寄せられる。 雪華と呼ばれる神姫は、人の目を引きつけずにはおかない何かを備えているように思えた。 □ 「彼の神姫、ランティスは強いですよ。近接戦闘に限れば、秋葉原でも最強クラスです」 「ふむ……」 高村はそう言うが、俺はなおさら首を傾げざるを得ない。 武装神姫の対戦のメッカ・秋葉原で、近接限定ながらも最強クラスなら、対戦相手に事欠かないはずだ。 なのに、なぜ東京から離れたゲームセンターまでやって来て、ティアとの対戦を望むのか? その疑問をぶつけてみると、高村はあっさりこう言った。 「ランティスに挑む相手は、もう秋葉原にはいないのです。彼女はあるステージにおいて無敵を誇ります」 「無敵……?」 秋葉原で、特定のステージ限定とはいえ無敵とは……。 それはある意味、全国大会優勝ほどの実力ではないのか。 「……どのステージか聞いてもいいか」 「それは塔のステージさ。塔においては無敵ゆえに、こうあだ名された。『塔の騎士』あるいは『ナイト・オブ・グラップル』と」 鳴滝が穏やかな表情のまま、さらりと答えた。 肩にいるランティスは、いまだに不機嫌そうな表情を崩さない。 彼女はずっと俺の方を……いや、どうやら俺の胸ポケットにいるティアを睨みつけている。 と、大城が珍しく小さな声で口を挟んだ。 「塔の騎士・ランティス……? 聞いたことあるぞ。秋葉原で無敵のサイフォス・タイプで、その特徴は……武器を持たずに、徒手空拳で戦うって……」 大城は神姫プレイヤーの情報に詳しい。 だが、秋葉原ローカルの神姫まで知っているとは、なかなかの精通ぶりじゃないか。 高村と鳴滝は頷いた。 大城の情報は正しいようだ。 しかし、俺には不可解な点がある。 いくら近接格闘戦が得意な騎士型とはいえ、セットにある多彩な武器を使わず、素手……つまり、格闘術を使った肉弾戦で戦うというのは、いささか無謀ではないか。 しかも、塔のステージでは無敵を誇るという。 にわかには信じがたい。 「塔で無敵って……たとえば、アーンヴァルなんかの飛行タイプを相手にしてもか?」 「もちろん」 「ゼルノグラードのように、銃火器の塊相手でも?」 「言うまでもなく」 「ストラーフのように、サブアームで手数を稼ぐ相手でもか」 「当然です」 高村は俺の言葉にいちいち頷いた。 「塔のステージは、いささか特殊です。塔で最高のパフォーマンスを発揮できる神姫を考えたときに、一番に思いついたのがティアだったんですよ」 「噂は聞いてます。地上戦用の高速機動型で、その戦闘スタイルは唯一無二。そして、『クイーン』を破った、と」 俺は、鳴滝の神姫以上に、不機嫌そうな顔をした。 雪華はティアに負けたと言っているが、実際の試合結果ではティアが敗北している。 クイーンに勝った、などという風評は、俺にとっては好ましいものではない。 そんなことを考えていると、鳴滝の肩から、声がした。 「娼婦風情が、我が女王を倒したなど……世迷い言にもほどがある」 俺は思わずランティスを睨んでいた。 ティアが俺の胸ポケットで、身体をびくり、と震わせたのだ。 ランティスは苛烈ともいえる視線で、ティアを睨んでいた。 そんな神姫を、マスターの鳴滝がたしなめる。 「おい、ランティス……その言い方はないだろう」 「いいえ、師匠。我が女王の強い勧めがあったから、このような辺鄙な場所に来ましたが……あそこの気弱な娼婦が、わたしの相手足りうるなど、到底思えません」 もはやそんな言葉に動揺する俺とティアではないが、初対面の神姫にそう言われて、いい気分はしない。 鳴滝の物腰とは対照的に、不機嫌の度をますます強めるランティス。 そこへ、雪華の静かな叱責が飛んだ。 「ランティス、たとえあなたであろうとも、ティアへの侮辱は、このわたしが許しませんよ」 「え……あの、女王……」 「ティアは我が友であり、我がライバルです。あなたがわたしに見せる忠誠と同じように、彼女にも敬意を払うべきです」 「しかし……あれは娼婦です。あのような下賤な……」 「お黙りなさい!」 雪華が珍しく厳しい口調で怒鳴る。 「そのようなことに囚われているから、あなたは井の中の蛙だというのです。今のあなたのバトルは卑しいというのです」 「そ、それは言い過ぎではありませんか、女王!」 雪華の言いように、ランティスは気色ばむ。 どうやらランティスは、『アーンヴァル・クイーン』に仕える騎士を気取っているらしい。 だとすれば、辺鄙なゲーセンに棲む、人に言えない過去を持つ神姫に対し、敬愛する女王が下へも置かない扱いというのは、納得が行かないのも道理か。 ランティスはなおも食い下がる。 「わたしにも自負があります。相手は高速機動型とは言え、地上戦用。塔であれば後れを取ることはありえません!」 「その増長が卑しいというのです」 「女王!」 「わたしの物言いに不満があるならば、ティアとバトルなさい。きっと今のあなたに足りないものを教えてくれるでしょう」 あくまで不遜な態度を崩さない雪華。 ランティスは雪華のつれない態度に呆然とし、そしてティアへの憎悪を露わにした。 苛烈な視線が俺の胸ポケットへと向けられる。 ティアははらはらした表情で、雪華とランティスを見比べていた。 雪華はやわらかな微笑みを浮かべ、ティアを見て言った。 「ティア。お手数ですみませんが、このランティスに稽古を付けてやってもらえませんか?」 「……え? あ、あの……えと……」 戸惑うティア。 そして、ランティスがついに切れた。 「……いいでしょう。そこな神姫を完膚なきまでに打ち砕いてご覧に入れます。 師匠! マッチメイクを!」 マスターである鳴滝は肩をすくめ、苦笑しながら言った。 「……ということなんだが……ランティスの無礼な物言いは謝る。すまん。 で、改めてバトルを申し込みたい。どうかな?」 ランティスとは違い、鳴滝は柔軟だった。 ランティスの物言いに、正直ムカつくところもあったが、鳴滝は謝ってくれたし、高村と雪華がわざわざここまでやって来て、バトルのセッティングをしようというのだ。 しかも相手は、近接戦闘では秋葉原最強の神姫。 神姫プレイヤーとして、受けなければなるまい。 「ティア、行けるか?」 「マスターが戦いたいというならば、いつでも」 胸ポケットのティアに尋ねれば、いつもの答えが返ってくる。 俺は頷いた。 「OKだ。バトルしよう」 「よかった」 笑って言った鳴滝の肩から、ランティスが続けて言う。 「ステージは『塔』を希望する」 「塔、か……」 「……何か不服でも?」 「いや……ちょっとトラウマがな……」 以前俺たちが経験した塔でのバトルは、あまり思い出したくない。 そばにいた仲間たちも、少しうんざりとした表情をしている。 だが、俺は気を取り直して言った。 「いいだろう。塔のステージで受けて立つ」 俺がそう言った瞬間、周囲から歓声が上がった。 いつの間にか、俺たちのまわりに多くのギャラリーが集まっていた。 ■ バトル直前。 サイドボードに納める装備を吟味しながら、マスターはわたしに言った。 「相手は近接戦闘のプロフェッショナルだ。ちょうどいい機会だ。練習させてもらえ」 「で、でも……ランティスさんはそういう雰囲気じゃなかったみたいですが……」 筐体を挟んだ向こう側のアクセスポッドから、いまだ剣呑な視線がわたしを突いている。 「むしろ好都合だ。こんな草バトルなのに、向こうは真剣勝負で来てくれる。こんなチャンスは滅多にない」 「はあ……」 マスターは楽しそうだ。 その相手に睨まれてるのはわたしなんですけど。 ランティスさんに、圧倒的な力でねじ伏せられるとは、マスターは考えないのだろうか? ランティスさんは、近接格闘戦のみなら、秋葉原で最強クラスだという。 ということは、近接格闘戦でなら、雪華さんをもしのぐ、ということではないのだろうか? しかもステージは『塔』。 地上戦闘用の神姫同士ならば、丸く区切られた、何の障害物もない、まるで円形闘技場のような場所でのバトルになる。 小細工の入る余地もない、真っ向勝負になる。 そんなステージで無敵のランティスさんとわたしで勝負になるのだろうか。 そんなことを思いながら、マスターを見上げる。 するとマスターは微笑んでくれた。 「心配するな。いつも通りにやればいい」 「はい……って、サイドボードに火器が登録されていませんけど……?」 「ああ、相手は武器を持たないんだろ? だったらせめて、近接武器だけにしておくのが礼儀と言うものだろう」 「どこがいつも通りなんですかっ」 マスターが相手を侮っているとも、面白がっているだけとも思えないけれど。 相変わらずマスターの考えはわたしにははかりしれない。 「よし、はじめよう」 わたしと筐体が形作るバーチャルフィールドをつなぐ、アクセスポッドが閉じてゆく。 外の光は、細い一筋の線となり、やがて真の暗闇に包まれる。 一瞬の浮遊感。 意識される対戦カードの文字列。 『ティア VS ランティス』 次に目を開いたとき、わたしは巨大な塔の中にいた。 そして、わたしの視線の先。 ランティスさんの姿があった。 ■ 「ナイフ……?」 ランティスさんはわたしを睨みつけながら呟く。 わたしの手には、大振りなコンバットナイフが一本。 逆手に持って構える。 ランティスさんのまなじりが、さらにつり上がった。 「貴様ッ……銃器も持たずに……舐めてるのか!?」 「いえ、その……マスターの指示で……」 「ふざけるなッ!! もう許さん……一気に決めてやるッ!!」 ランティスさんはそう言うと、両手を顎の前に構え、そのままわたしに向かって突進してきた! 一足飛びに距離を詰めてくる。 わたしはまだ動き出せずにいる。 右ストレートのパンチ。 ランティスさんの、分厚い手甲を着けた腕が、大気を裂いた。 「ハァッ!!」 「わわっ!?」 これほどに速いパンチははじめてだった。 わたしはなんとかかわすだけで精一杯。 でも、ランティスさんの動きは止まらない。 パンチを繰り出した姿勢から、上体を崩し、身体を回転させる。 わたしは瞬時にランティスさんの意図を悟った。 これはわたしが得意とする格闘技と動きが同じ。 このあと、ランティスさんの脚が跳ね上がり、かかとがわたしを狙い打つはず。 はたして、彼女の脚部アーマーに覆われたかかとが空を切る。 「むっ……」 ランティスさんが姿勢を戻したときには、わたしはすでに彼女の攻撃範囲から逃れ、間合いを取っていた。 そうでなければ危ない。 ランティスさんのパンチもキックも、神姫を一撃で破壊するに足る威力を持っている。 「少しはやるようだな……」 ランティスさんは落ち着いた口調でそう言うと、わたしの方を向いて構えを取った。 彼女の装備は、騎士型サイフォス・タイプの軽装アーマーのアレンジ。 銀色の装甲が鈍く光る。 隙のないその構え。 ランティスさんの姿が何倍にも大きく見える。 わたしも腰を落として構える。 そして、走り出した。 中編へ> Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/3836.html
「テラカオス……なんだか分からないけど、これは異変ですね!」 そう叫んだのは緑髪に蛇と蛙の髪飾りをつけ、一風変わった巫女服を着た少女だった。 彼女の名は東風谷早苗。幻想郷という現実世界とは隔絶した隠れ里にある守矢神社の風祝(巫女)であり、奇跡を起こす力を持った現人神である。 「そうでした!私は幻想郷で守矢神社の布教活動を兼ねた妖怪退治をしていて、気がついたら謎の空間で説明を受けていたのです!」 その後また転送され、つい先ほどここに送られてきた。 「しかもここは幻想郷の外の世界!つまりこの異変は幻想郷だけでなく世界規模の異変ということですね。私がこの異変を解決すれば……」 幻想郷一の英雄どころではない、世界一の大英雄である。 そうなれば彼女が信仰する守矢神社への信仰は鰻上り。やがては国教、そして世界宗教となって守矢神社による千年王国が築かれるだろう。 「こ……これはチャンスですよ!信仰が足りずに幻想郷に移住せざるをえなかった八坂様や洩矢様のためにも、不肖この東風谷早苗がこの異変を解決してみせます! ……っとその前に……」 ルールに従って一緒に行動するものを探さなければならない。早苗が周りを見渡すと、一本のバナナが置いてあった。 そのバナナの中ほどには首輪がつけられている。 「このバナナも参加者なのでしょうか……」 フルーツがバトルロワイアルに参加するなど聞いたことがない。ありえない話だろう。常識で考えれば。 「つまり……テラカオスバトルロワイアルでは常識に囚われてはいけないのですね!」 東風谷早苗はそのバナナを拾い上げると、自分の胸の谷間にしまった。 「さあ、異変解決妖怪退治の旅に出発です!殺し合いなんて絶対に許さなえんだから!」 【一日目・0時30分/長野県諏訪大社付近/天候・嵐】 【東風谷早苗@東方Project】 【状態】健康、常識に囚われない 【装備】不明 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】基本:異変(バトルロワイアル)を解決して守矢神社の信仰をUP 1:困っている人がいたら助ける 2:悪い妖怪は退治する、殺害も止むを得ない ※悪事を働く人間は妖怪とみなすかもしれません 【バナナ@現実】 【状態】健康 【装備】バナナの皮 【道具】バナナ 【思考】基本:バナナズガンのイメージの払拭させる。 1:東風谷早苗と行動を共にする ※7期から参戦です
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/2913.html
DOLバトルロワイアル4th第一回放送までのSS DOLバトルロワイアル4th第二回放送までのSS
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2194.html
『武装神姫~PRINCESS BRAVE~』 PSPでゲームが出ますね。なんとなくカスタムロボっぽい気がする。バトロンから何か引き継げたりは… しないんだろうな。 パジャマの胸に抱き締めた、お気に入りのぼろい絵本。 眠れない小さな『姫』は、今夜もその物語に思いをはせる。 それは遠くよその国の、遠く古い物語。 それは、真実の愛を探す旅に出た、小さな『姫』の物語。 天使のようにあどけなく、 剣士のように力強く、 瞳には燃えるような光を、胸には熱い勇気を秘めた、麗しき姫。 牙を鳴らし咆える竜の火も、百万の敵も恐れず、その揺るがぬ思いは絶望の魔女も討ち倒す。 彼女は、そんな『姫』に憧れていた。 彼女は、そんな『姫』になりたかった。 そして彼女は、今夜もそんな『姫』に思いをはせる。 そんな『姫』を夢に見る。 そして、『姫』は目覚める。 まだ受かるかどうかわかりませんが、某夏のイベ用に外伝執筆中。更新頻度が遅くなるかもです。全三部作、不定期更新。 第一部『BRAVE』 第一話『始動!武装神姫!』 第二話『激突!戦場へ!』 第三話「始まりの終わり」>『始まりの終わり』 第四話『夢のヒーロー』>『夢のヒーロー』 第五話『駆け抜ける旋風!嵐のタッグバトル!』 第六話『破れ!必殺のトルネード』 第七話『最強への道!蹴散らせ強敵達』 第八話『武装神姫の秘密!?』 著 ぞんだー 今日 - - 昨日 - - メニューへの追加、ならびに第一話へのリンクをしておきました。リンクのページタイトルが一致していないと、リンクが繋がりませんので注意してください。 -- 第七スレの6 (2009-12-10 23 27 42) 第1話が2種類あり、どちらが正しいか分かりにくいので不要な方は消すと良いかもしれません。 -- 名無しさん (2009-12-11 15 20 54) すみません、わざわざありがとうございます。不要な一話はID登録が済み次第削除しますので、もう少しだけお待ち下さい。 -- ぞんだー (2009-12-11 16 27 27) はじめまして、一介のわんこ好きであります。 一話掲載時から読ませていただいておりましたが・・・ すばらしい! 主人公と幼なじみの何とも言えない距離感、バトルの描写・・・ そして何より『凛』の「ハウリン」らしさ! テンポのよい話の進行も読んでいてワクワクします。 ショップを見ていても少々元気のない近頃の神姫界に吹き込む一筋の風、その今後に期待させていただきます。 頑張ってください! -- はんぺん (2010-02-06 02 08 53) はんぺん様。あわわ、ありがとうございますー。誉められ慣れていないモノでわたわたしてしまいました。 そう言っていただけるととても励みになります。まだ拙い文章ですが、どうかこれからもよろしくお願いします。 -- ぞんだー (2010-02-06 23 54 51) いつも楽しく読まさせていただいております。 いいですね、主人公曰く天然記念物の典型的な絡み方(笑) ヒカリのアーンヴァルに見ない性格にギャップがあっていいですね。 とっても可愛いです。 ヒカリとイリアの勝負は一体どうなることやら…ですね。 更新楽しみにしてます。 頑張ってくださいねっ! -- デハ (2010-02-22 10 00 46) では様 -- ぞんだー (2010-02-24 16 46 36) デハ様 ありがとうございますー。王道な展開で進めたいと思っているので、またあんなヤツが出るかもです(笑 今後も楽しんでいただけるようがんばりますので、また感想下さると嬉しく思います。 -- ぞんだー (2010-02-24 16 59 57) 凛の一途さに心熱くし、ヒカリの無邪気さに心温くしながら、毎話楽しく読ませていただいております。 メインのバトルパートはもちろんのこと、所々に散りばめられている小ネタを見つけるのも楽しいですね。 主観の人物の言葉がどこまで口に出していて、どこまでが内心の呟きなのかがたまに気になりますが、私だけが思う些細なことである気もします。失礼。 文章から、此の作品が…「こういうもの」が好きなんだな、という印象を受けました。そういう気持ちを持ち続ける限り、さらに素敵な作品となっていくことでしょう。 語りが長くなってしまいすみません。 これからの更新も楽しみにさせていただきますね。 -- 通りすがりの仮面ライター (2010-03-26 10 19 25) 通りすがりの仮面ライター様 御感想ありがとうございます。まだまだ文章としての完成度が低いので、気になった点等ご指摘頂けるのはとても助かります。 今後も楽しんで頂ける作品をお見せできたらと思うので、よろしければまた書き込んで下さい。 -- ぞんだー (2010-04-01 12 42 53) 続きあるのん? -- なゆき (2014-10-11 19 00 20) だめもとでコメントしましたが続きがくるとは(^^) まだまだ続くのかな? 続くのならたのしみにしてます♪ -- なゆき (2014-10-12 11 46 24) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/3819.html
テラカオスバトルロワイアル 一周目 一日目 二日目 三日目 四日目 エンディング テラカオスバトルロワイアル 二周目 カオスルート 一日目 テラカオスバトルロワイアル 二周目 ロウルート 一日目 一日目2 テラカオスバトルロワイアル 三週目 第一回放送までのSS テラカオスバトルロワイアル 四周目 一日目 二日目 セプテントリオン編 無人島編 テラカオスバトルロワイアル 五周目 一日目 二日目 エンディング テラカオスバトルロワイアル 六周目 一日目 一日目2 二日目 エンディング
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2369.html
第1部 戦闘機型MMS「飛鳥」の航跡 第8話 「爆兎」 ズンズズン・・・ドオン・・・ボム・・・ボウン・・・ 遠くで鈍い砲撃音が響く・・・ 重装甲戦艦型MMSの「ドセットシャア」「ウォース・パイト」はスーザンを残して廃墟となったゴーストタウンを併進する。 ドセット「スーザンの奴、うまく新手の神姫部隊を引き付けたかな?」 細田「あの砲声が聞こえている間は生きてるってことだな」 パイト「護衛のアラキナたちが戻ってこない・・・・相当苦戦しているようだ」 和田「なんにせよ・・・」 和田はバトルロンドの筐体の前で腕を静かに組む。 和田「これでようやく我々の当初の目的を達成できるということだ」 ドセットとパイトがこくりとうなずく。 和田がすっと手をかざす。 和田「廃墟ステージに全体に無差別爆撃を開始しろ!!強き者弱き者関係なし!!SクラスだろうがCクラスだろうが関係なし!!全てわけへだなく区別なく粉砕しろ!!邪魔をするものは主砲で叩き潰せ!!火力と物量ですり潰せ!!」 ドセットがチカチカっと発光信号でパイトに合図を送る。 パイトもそれに答える。 爆弾倉がゆっくりと開かれる。そこにはぎっしりと爆弾が積まれていた。 時間は10分前にさかのぼる・・・ 水上ステージの隣に位置する廃墟ステージ、そこではさまざまな神姫が慌てふためいて、逃げ惑っていた。 バイオリン型 「戦艦型神姫の定期便ですわよ!!みんな逃げて!!」 サソリ型「戦える神姫は前へ!!」 フェレット型「わ、わたしは逃げますね!!」 天使コマンド型「ええーさっき何チームかが迎撃に出たんじゃないの?」 建機型「今日は3隻もいるらしいですよーこれぱっかちの神姫じゃ止めれないです」 マーメイド型「・・・キャノン砲装備の神姫は集まってください!!撃沈できなくても近づけさえしなければ・・・」 コウモリ型「私はイヤだよ!爆撃が終わるまで、どっか隠れているね」 砲台型「このコウモリヤロウが!!武装神姫なら正々堂々と戦いやがれ!!」 花型「ビルの上から攻撃すれば!!」 数十機あまりの神姫が右往左往する。 ガレキの山に隠れる者、戦おうと武器を手に取る者、戦場から逃げ出そうとする者でごったがえす。 その中で何十体かの完全武装の神姫が集まって話い合いをしている。 チーム名「あっさり塩味」 □ウサギ型MMS 「ミラー」 Sクラス オーナー名「江原 正」♂ 45歳 職業 高校教師 □天使型MMS 「マイク」 Sクラス オーナー名「石田 圭祐」♂ 42歳 職業 配管工 □ハイスピードトライク型 「ライベン」 Aクラス オーナー名「後藤 敦」♂ 26歳 職業 メーカー営業マン □火器型 「ダニエル」 Aクラス オーナー名「堀内 賢」♂ 26歳 職業 メーカー営業マン □砲台型 「メリッシュ」 Aクラス オーナー名「大滝 寛」♂ 28歳 職業 パン屋 □悪魔型 「カッパーゾ」 Aクラス オーナー名「岸田 恵子」♀ 17歳 職業 高校生 □シスター型 「ウェイド」 Bクラス オーナー名「田岡 麻美」♀ 13歳 職業 中学生 □種型 「アパル」 Cクラス オーナー名「小森 創介」♂ 13歳 職業 中学生 □天使コマンド型「フランシス」 Cクラス オーナー名「草尾 毅」♂ 17歳 職業 中学生 江原「いいか、ミラー俺たちはこっちにまっすぐ向かってくる定期便を迎え撃つ、こんな廃墟ステージでコソコソとネズミのように隠れているのは許さない」 ミラー「・・・戦艦型神姫が本気になってくればイチコロですね」 江原「違う、作戦がある」 筐体のタッチパネルを操作しマップを取り出す江原。 江原「連中は、端から爆撃するためにここから来る、だがガレキが道路をふさいでいるこの道に、なんとか誘い込むんだ、工夫して考えてみろみんな」 ライベン「ここに?」 ミラー「戦艦型神姫が立ち往生、道をふさいだ所を両脇から叩く・・・ということですか・・」 マイク「どうやって戦艦型神姫を潰すんです?」 ミラー「餌で釣り、スラスター及び機関部分を破壊する」 ライベン「餌はなんですか?」 ミラー「お前だ、トライクモードに変形して奴らの前に出て、誘い出すんだ」 ライベン「俺かよ・・・」 フランシス「何で戦艦型神姫を撃破するんですか?みんなロクな重武装も無いですよ?」 ミラー「・・・くっつき爆弾で」 ダニエル「くっつき爆弾?」 マイク「そんな武器あったかな?」 ミラー「昔見た、戦争映画であった」 マイク「なんですかそれは?」 ダニエル「どういうもので?」 ミラー「砲台型の砲弾が余ってるっていっていたな」 ウェイド「何台か砲台型がいたけど、定期便が来るって聞いて逃げ帰っていったよ、弾薬もそのまんま」 ミラー「それを使おう」 ミラーはアパルのソックスをじーと見る。 ミラー「綺麗な靴下だな、アパル」 アパル「はい!!マスターから昨日プレゼントでもらった・・・靴下・・・なんです・・が・・・・」 アパルはどういうことなのか理解しはじめて言葉が詰まる。 ミラー「靴下を履いている神姫から靴下を脱がして、砲弾を詰め込んで信管を埋め込む、靴下に接着剤を塗って目標に向かって投げるとくっつく、【くっつき爆弾】だ。他にいい手があれば聞こう」 ライベンがペッと唾を吐いて毒づく。 ライベン「いいね、靴下まで武装にするか」 アパルは靴下を脱いで砲弾を詰め込んで、接着剤に浸す。 アパル「はあ・・・せっかくマスターに買ってもらった靴下なのに・・・」 小森「ぼやくなアパル、靴下ぐらいいくらでも買ってやる」 ダニエルは壊れた教会の鐘楼の上によじ登る。 堀内「どうだダニエル?」 ダニエル「いいぞ、ここからなら敵の動きが見渡せる。 カッパーゾが砲弾を地面に埋める。 岸田「何してるの?カッパーゾ」 カッパーゾ「地雷です」 ミラー「悪くない、なんとかなりそうだ」 江原「アラモの砦だな・・・」 ミラー「うまくいかないと全員、お陀仏ですね」 メリッシュ「アパル、よく聞け」 アパル「なんですか?」 メリッシュ「俺は撃ったら逃げ込む、身軽にするために弾薬は持たない、お前は代わりに弾薬を持って待機しているんだ、いいな、大丈夫か?」 アパル「は、はい」 アパルはCクラスで大規模なバトルに参加したことはない、しかも相手は巨大で重装甲の戦艦型神姫だ。戦艦型神姫なんて見たこともない。 アパルはルーキー神姫なので、直接的な戦闘には参加せずに補助で動くことにした。 アパル「こ、こるなるとは・・・」 メリッシュ「エライ災難だな、お前も」 メリッシュはアパルに砲弾や弾薬を持たせる。 アパル「ま、まったくです」 メリッシュ「イチカバチかだ」 メリッシュは、ぽんとアパルの肩を叩く。 アパルはふーーーと息を吐く。ずるりと砲弾が地面が落ちる。 アパル「うああわ・・・あわあわ・・」 メリッシュ「落ち着け・・・」 メリッシュは冷めた目でアパルを見つめる。 ぞろぞろと何機かの神姫がそそくさと逃げていく。 カッパーゾ「フン、腰抜けどもめ・・・」 ライベン「一生そうやって強い奴から逃げていればいいさ」 ウェイド「賢いんだよ、連中は」 ウェイドがジェリカンのアルコールをぐびぐびと口をつけて飲む。 ウェイド「嫌なことから逃げられるうちは、逃げればいいさ。いざ逃げるに逃げられない状況になったときこそ、武装神姫の真価が発揮されるんだよ・・・」 ライベン「誰の言葉だ?」 ウェイド「・・・俺の言葉さ」 それぞれのオーナーたちは戦艦型神姫が来るのを待つ間、昼飯を食べたり雑談に花をさかせている。 戦いと戦いの合間のほんのひと時のささやかな平和な時間・・・ ゴーン・・・・ゴオオオオン・・・・オンオンオン・・・ 低い重低音のエンジン音が廃墟のビルの谷間から響いてくる。 カタカタと小さな小石が音に反響して震える。 ダニエル「来たぞー!!」 半分壊れた教会の鐘楼からスナイパーライフルを片手に身を乗り出して叫ぶダニエル。 ミラー「ダニエル!!数は?」 ダニエル「東から2隻、カタリナ社製の重装甲戦艦型神姫!!ヴィクターⅡ級2隻!!まっすぐにこっちにくる、護衛はいない」 ミラー「護衛無し?」 ライベン「罠じゃないのか?」 ミラー「ライベン!トライクモードで敵を誘え!」 ライベン「了解!」 ライベンはガキンとトライクモードに変形する。 ミラーが叫ぶ。 ミラー「お前らも攻撃準備!!」 ウオオンウオン・・・ライベンのリアパーツのエンジンが唸る。 後藤「幸運を!」 ライベンのオーナーの後藤がイヤホンで話す。 ライベン「俺は生まれつきツイてる!!」 ギュオン!! エンジンを吹かしながらライベンは戦艦型神姫に向かっていった。 メリッシュとアパルが廃墟のビルの中に入り、メリッシュの大砲に砲弾をセットする。 アパル「セットよし」 メリッシュ「クソッタレ、やっぱり12時きっかりに出やがった!」 ウェイドが飲んでいたジェリカンのフタを閉めると信管を刺した。 ドンドッドドン・・・ズズン!! 何発かの砲弾が廃墟の手前で爆発したと同時に大慌てでライベンがトライクモードで戻ってきた。 ミラー「うまく誘きよせたか?」 ライベン「ハアハア・・・ハア・・・」 ライベンは荒い息を吐いている。 ライベン「くそう、俺を見てすぐに、主砲でぶっ放してきやがった!!後ろを見ている暇なんてねえ!!」 ゴゴゴゴ・・・ゴンゴオン・・・ゴゴゴゴン・・・ 低い重低音が近づいてくる。 ミラーとライベン、フランシスはガレキの山に身を潜め、廃墟の入り口を注視する。他のチームの神姫たちもじっと身を潜めて隠れる。 ぎゅうときつくライフルを握りしめる砲台型。ビルの壁にへばりつくコウモリ型、マシンガンの弾を込める天使型など、他にも数十体の神姫が戦艦型神姫を待ち伏せていた。 ドセットシャアは廃墟ステージの手前でピタリと止まった。 ドセット「・・・・・」 細田「待ち伏せているな、これは・・・」 パイト「さっきのトライク型が斥候でしょう」 和田「ふむ・・・・」 和田は顎に手を添えて考える。 和田「ドセット!迂回しろ!パイトは直進」 ドセット「了解」 和田「爆弾倉を閉めろ!!市街戦、砲撃戦用意!!」 ゴゴゴン・・・・ゴゴゴ・・・ ドセットはライベンを追わずに廃墟の外を迂回する。 ミラーはスコープで、ガレキのスキマから様子を伺う。 ミラー「迂回しやがった!!」 ミラーは半分壊れた教会の鐘楼にいるダニエラを見る。 ダニエラは手で合図する。 ミラー「1隻は左へ行く」 ゴゴゴゴゴン・・・ゴゴゴ・・・ゴゴゴゴ・・・ 一隻は左へ迂回しもう1隻がまっすぐ直進してくる。挟みこむつもりだ。ゆっくりと速度と高度を落とし、地面スレスレを戦艦型神姫が進んでくる。 カシャン 安全装置をはずすメリッシュ。その横でごくりと唾を飲むアパル。 パイトは十二分に警戒しながらゆっくりと進む。 ゴゴゴゴ・・・・ ミラーとライベンの手前にあるガレキの山の砂が振動で降るえ、さらさらとこぼれる。 カチンとカッパーゾが地面に埋めた地雷のスイッチを入れた。 To be continued・・・・・・・・ 前に戻る>・第7話 「轟兎」 次に進む>・第9話 「嵐兎」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/battler/pages/2888.html
会場はこちら。 http //www20.tok2.com/home/akihira26/mybatoroy/battle.cgi ボス&勝者一覧 BOSSキャラに関する規定 キャラは一般で使用されているのも可。 ステータスの総和は120~180。 ひとつのステータスの最大値は100まで。 最低でも一つは20以下のステータスを作ること。 作者名は通常は提案者。 文字色はひらおの技術上、叶えられるか微妙。 基本、自分所有のキャラのみだが、他作者様のキャラでBOSS希望があれば、打ち合わせしておくこと。 キャラ名はなるべく20字以内で。 掲載事項は以下の通り。 キャラ名 ステータス(体/攻/防/速) 攻撃時のセリフ 回避時のセリフ 命中時のセリフ 会心時のセリフ 勝利時のセリフ 敗退時のセリフ ※逃走時のセリフはないようなものなので、なし。 BOSSバトルロイヤルR希望板/掲示板ログ1 BOSSバトルロイヤルR希望板/掲示板ログ2 ボス追加したよー -- ひらお (2012-02-28 17 13 47) 酷いステータス思いついたんで投下。 MLX-01 体 5 攻 70 防 5 速 100 (総和180) 攻撃するときのセリフ 「さて....行くぞ!」 回避するときのセリフ 「これでも俺は、時速581km/hなんでな」 攻撃された時のセリフ 「貴様...出来る!」 会心の一撃の セリフ 「本気で行かせてもらうぞ!!(%tekiに時速581km/h)」 勝利したときのセリフ 「...つまらん」 敗北したときのセリフ 「.......」 -- 646 (2012-02-29 21 00 26) ケット・シー・ゼオス 体21攻48防17速89(合計総和175) 攻撃するときのセリフ 「貴様はこの程度か…?」 回避するときのセリフ 「おらおら!どうしたぁ?」 攻撃された時のセリフ 「俺はこれでも防御の神と…グハッ」 会心の一撃の セリフ 「一撃必殺!%tekiに刀光剣影!」 勝利したときのセリフ 「俺に勝てるやつはいねぇのかよ?」 敗北or逃走したときのセリフ 「まさか貴様がここまでとはな…」 -- 鬼神剣符 (2012-03-02 19 09 01) ミズチ初試合にて、 ミズチ「舐めるなよ!馬鹿にするなよ!僕だって!」←?! 何か被弾台詞が東海の白い悪魔?になってる -- 646 (2012-03-02 19 12 38) 消し忘れだ、スマン。というわけで74氏のボス投下するお。 -- ひらお (2012-03-20 01 50 53) 初戦で落ちたので、ガブリエッラ参戦~ -- ひらお (2012-03-20 02 43 04) なまえ コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/825.html
『"NOTRE-DAME" MARIE DE LA LUNE vs "ZYRDARYA" LALE SAITO』 仮想バトルフィールド上空に、文字が映し出された。 そしてその文字の横に数字が現れてバトルの開始時間をカウントダウンし始める。 「えっと、とりあえず、何したらいいのかな?」 私は目の前のクレードルで眠るマリーに聞いた。彼女の意識は今、筐体の中の電脳空間にいるのだけど、不思議なことに返事は現実の、クレードルの中のマリーから帰ってくる。 「まずはウォードレスを展開させてくださいませ。そうすればあとは私が美しく戦ってみせますわ」 「そっか。頑張ってね、マリー」 「はいっ」 マリーは目を閉じたままにっこりと笑った。 カウントダウンは最後の十秒を切る。電子音と一緒に数字はどんどん小さくなっていった。 開始三秒前、上空の文字は『READY』に変わる。 「いきますわ、のどか様」 私は軽く頷く。そして数字はゼロを示した。 「マリー、ウォードレス展開!」 そう言うと、マリーのドレスの裾のディティールが伸びて、前面ののこぎりのような形をした二本が、自由に動くライトセーバーのように、その他は小さな砲身を現して追撃用の機関砲になった。マリーはかなり可愛いものを選んだと思っていたけど、実際に展開したものを見ると意外とかっこいいものだ。 同時に相手は右手のポーレンホーミングを放つ。ハンドガンだというのにその弾は弧を描いて一つ一つがマリーを追う。その間にラーレはマリーとの間合いを詰めた。 マリーは飛びながらポーレンホーミングの弾を避けようとした。けれども高い誘導性能を誇るその弾は進行方向を百八十度変えてなおマリーを追った。そこへ猛スピードで間合いを詰めながら剣を構えるラーレがマリーの視界に入る。 「速いですわ」 関心しつつもマリーはウォードレスの機関砲をホーミングの弾へと向けて放った。そして両手で傘を持ち、ラーレの剣を受け止める構えを取った。 機関砲から発せられた弾幕は見事にポーレンホーミングを全て打ち落とし、とりあえずマリーは背後からの脅威から解放された。しかし次の瞬間、甲高い金属音と共にマリーとラーレは初めてお互いを至近距離で認識し合う。 「いいドレスですね」 鍔迫り合いをしながらラーレが言う。 「ありがとうございます。あなたのその銃も面白いですわ」 マリーがそう言い返すとラーレは不敵に笑った。 ††† カトー模型店の扉が開き、男が一人、入る。 「こんにちは、カトーさん。なんか盛り上がってますね」 「やあ、時裕君。今ね、のどかちゃんが戦ってるんだよ」 「あいつが?へえ、相手は?」 「斎藤香子ちゃん」 「...うちの妹に嫌がらせですか」 「いやいや、丁度女の子同士でいいと思って」 「のどかに香子ちゃんは倒せないでしょう。だって彼女は」 「それが結構頑張ってるんだよ、のどかちゃん」 「まだ香子ちゃんが手加減してるんじゃないですか?」 「そうだね...まだ"チューリップ"を使ってないところを見ると...」 「この店のオリジナルウェポンをあそこまで使いこなせるのは彼女だけですよ」 「うれしいことだねえ」 「ああ、哀れかな我が妹よ」 「君は本当にのどかちゃんのことが好きなんだな」 「そりゃあもう。アーニャの次に」 二人の男は再び視線を筐体に戻す。 ††† 数回、斬りあった後、ラーレはうしろに退いて、広めの間合いをとった。そしてまたポーレンホーミングを打つと、今度は腰から先にチューリップを模した飾りをつけた棒を取り出す。マリーは打撃系、もしくは投擲系の武装だと思って、傘をソードモードからライフルモードに構え直した。先のような急速接近で瞬時に懐まで迫らせないようにするためだ。 ポーレンホーミングから放たれた高誘導弾は例のごとくマリーのドレスに打ち落とされる。恐らくラーレはポーレンホーミングを決定力のある装備ではなく、間合いを取ったり、対戦相手を自分の思う場所に誘導するための補助的な装備であると考えているだろう。 手に持った棒を、ラーレは器用に片手でクルクルと回す。ジルダリアのスレンダーな体型も味方して、その姿はバトン競技のトッププロのようだ。 「今日が初めてのバトルのあなたに、こんな仕打ちはひどいかもしれませんが...マスターの記録を更新するために、全力で勝たせていただきます」 「光栄ですわ」 そう言ってラーレは回すのを止めた。そしてユピテルが雷を放つように、その棒をマリーに向かって投げた。 「ジャベリンですわね」 マリーは当然のようにそれを避けようとしたが、その前に飛んでいる棒の先のチューリップが開き、そこからさらに何かが発せられる。霧のようなそれは僅かにマリーの足に付着した。 乾いた音をたてて棒は着地した。その様子を見届けてラーレはまた手に剣を握る。 「さっきのは一体なんなんですの?」 「すぐにわかります」 二体の神姫は再び剣による近接格闘戦を始めた。マリーは傘で攻撃しつつも、ドレスで細かく間合いを取り、ラーレも主となる攻撃は剣であるものの、ポーレンホーミングを巧く使い見事に隙を埋める。単純な斬り合いのように見えるが、実際は双方が一瞬の隙を伺い合う頭脳戦であった。 しかしそれがしばらく続いたあと、マリーは異変に気づいた。足の動きがだんだんと鈍くなっていったのだ。sそれもさっきの霧のようなものが付着したあたりから。 「これは...?」 「効いてきたようですね。あの杖――トライアンフは麻痺性の液体を高圧噴射するものです。こっちのフレグランスキラーと違ってあの杖は遅効性。ゆっくりと、気づかないうちに機能を停止させるのです」 ラーレが説明する間も、非常に遅いスピードで、しかし確実にマリーの足は動きを遅くしていった。 『マリー!大丈夫!?』 「大丈夫ですから、のどか様は今と同じ指令を続けてください」 『左だよっ、マリー!』 気がつかないうちに、気づけない間にラーレが放った最後のポーレンホーミングの弾がすぐそこまでマリーに迫る。咄嗟にドレスの機関砲を向けたが、間に合わなかった。七発中の二発がマリーに直撃し、マリーの体が飛ぶ。胸元の赤いリボン状のディティールが煤けた。 「んっ...」 初めてマリーが苦痛の声を上げた。 『ねえ、もう止めようよ!もう少し強い装備にしてからまたやればいいからっ!』 「それは...ダメですわ...」 『マリー...』 「わたくしは人形型武装神姫。この姿で勝てるようにならなければ意味がないのですわ!」 マリーは再び立ち上がった。足はすでにただ体重を支えるだけの棒となっていたがなんとかバランスをとって傘を構える。 「...次が最後ですね」 ラーレが言う。彼女もまた剣を構えた。 その数秒後、ラーレが風を斬る。 ――ほんの刹那の後、ラーレの剣の切っ先はマリーの首筋に迫っていた。 ††† 「えっ?神姫バトルを始めてからずっと無敗だった!?」 香子ちゃんは静かに頷いて、彼女の肌理細やかで白い頬がうっすらと桃色に染まる。私はそんな仰天事実に開いた口が塞がらなかった。 「カトーさんの勧めで始めたんですけど...」 「そう。一戦目からずっと負けなし、四十七戦連勝。この店のオリジナルウェポン"チューリップ"を使いこなす戦い方は毒を持つ可憐な花そのもの。いつしか『プリンセス・オブ・ワイトドリーム』の通り名で呼ばれるようになった俺たちのアイドルだ!」 私と香子ちゃんはその声の主のほうへ顔を向けた。いや、私はその声が誰のものかわかっていたのだけれど、あまりのバカっぷりに向きたくなくても向いてしまったのだ。まわりで同調してる男の子たちもちょっとアレな感じだけど、こんなバカなことを堂々と言えるのはお兄ちゃんだけだろう。 「いつからいたの?」 「お前が負けそうになってたころから」 お兄ちゃんの肩に乗ったアーニャがお辞儀をした。 「あ、あの...のどかさんと時裕さんってお知り合いなんですか?」 香子ちゃんは私とお兄ちゃんの顔を交互に見て言う。その様子が少しおどおどとしていて、私は不思議に思った。 「うん、知り合い、兄妹。ていうか、香子ちゃんがお兄ちゃんの名前知ってるほうがびっくりだよ」 「そりゃお前、俺は香子ちゃんファンクラブ(ナイツ・オブ・ワイトドリーム)の会員ナンバー一番だからな。当然だろ」 「よかった...」 『よかった』...?えーと、この何気ない彼女の言葉からとてつもなく危険な香りがする。 それだけはダメな気がする。なんというか、香子ちゃんの将来的に。 とりあえずお兄ちゃんのほうに警告しておこう。 「ダメだよっ!妹と同級生の娘に手を出すなんて、大人として!」 私はお兄ちゃんの耳元で小さく言った。お兄ちゃんは何のことだ、という顔をしたのでそれ以上は何も言わなかった。 「しかし、俺は悲しいぞ、妹よ。そんな我らのアイドルをあんなふうに倒してしまうなんて。お前は香子ちゃんが可哀想だと思わんのか」 「いえ、負けは負けですし、私も調子に乗ってたんです。それにマリーさんはとっても強かったです」 香子ちゃんの制服のポケットからラーレが顔を出してそう言った。 ††† ――確かにラーレの剣の切っ先はマリーの喉に迫ろうとしていた。 しかしそれはあくまで迫ろうとしていたのである。 数ミリ手元を動かせば切っ先は間違いなく突き刺さる位置ではあったが、ラーレはそれ以上動けなかった。彼女の腹にはマリーの傘の先がピッタリと、一ミリの隙間もなく触れて、さらに両脇を、二本のクワガタの角のようなウォードレスの武装が挟み込んでいたからだった。 「少し、手元がブレましたわね」 マリーが言った。 ††† 「人形は少しも狂いのない精密な造りであって初めて、価値があるのですわ」 マリーが私の頭の上をふわふわと浮きながら得意気にそう答えた。 「うむ、素晴らしい。それでこそ人形型武装神姫ノートルダムだな」 「細かい設定と調整はみんなお兄ちゃんでしょ」 「だから素晴らしいって言ったんだ」 私は深くため息を吐いた。お兄ちゃんの無駄に自信満々な言葉に呆れたのもあるけれど、それをキラキラと輝く目で見つめる香子ちゃんにもちょっと呆れたからだ。 「さて、のどかちゃん、マリーちゃん。どうだった初めてのバトル、しかも勝利の味は?」 カトーさんが私たちにそう尋ねた。 私はマリーの顔を覗く。彼女もまた私のほうに顔を向けた。 「楽しかったですわ」 「そうだね、楽しかった」 それはよかった、とカトーさんは笑った。 「香子ちゃん、今度またバトルしようね」 「ええ。次は負けませんよ」 作品トップ | 前半
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1824.html
マイブームバトルロワイアル・第一回放送までの死者 マイブームバトルロワイアル・第二回放送までの死者 マイブームバトルロワイアル・ゲーム終了までの死者