約 8,429 件
https://w.atwiki.jp/imasss/pages/2370.html
グリP「先輩と」モバP「先輩」 執筆開始日時 2015/07/16 元スレURL http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437028217/ 概要 アイドルマスターシンデレラガールズ、ミリオンライブのSSです。 地の文アリ。 01 私は今、幸せだった。 アイドルの仕事は楽しいし、同じ事務所の仲間が居る。 それはとても素晴らしいことで、私はこんな日々を過ごせることに感謝していた。 私はこの日々に、満足していた。 満足してしまっていた。 02 桃子「……お兄ちゃん、遅いな」 仕事が終わって、桃子はお兄ちゃん――プロデューサーのことを待っていた。 連絡しても繋がらないし……もう一人で帰っちゃおうか、とも思ったけれど、何か連絡があったりしたらダメだから待っておいてあげているのだ。 桃子(遅れるとしても連絡するのが常識なのに……本当、まだまだダメなんだから) そう思いながら桃子はお兄ちゃんのことを待っていた。お兄ちゃんに何を言おうかを考えながら待つ時間は、それほど苦痛ではない。もちろん、べつに楽しいわけでもないけれど。 そうやって桃子が『お兄ちゃんには一から芸能界の、というよりも前に社会の常識について教えてあげなくちゃ』と結論付けた頃、 「今日はありがとうございました。またよろしくお願いします」 桃子「……え?」 聞き覚えのある声が聞こえた。でも、まさか、あの人が―― タグ ^周防桃子 ^岡崎泰葉 まとめサイト アイマスSSまとめサイト 456P アムネジアss大全 えすえすゲー速報 えすえすMode エレファント速報 プロデューサーさんっ!SSですよ、SS! ポチッとSS!! SSまとめ SSでレッツゴー SSびより SSまとめプラス SS 森きのこ!
https://w.atwiki.jp/toarukyoutarou/pages/292.html
986 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 01 29 50.08 ID xGXZxjZio 【本編とは全く関係ないパラレルのお話】 桃子「第一回きょーくん会議を開催するっす!」 初美「どんどんぱふぱふ~なのですよー」 玄「え、えっと一体?」 霞「何なのこれ?と言うか初美ちゃん説明してくれるかしら?」 桃子「しゃらっぷ!新人のおっぱいおばけさんは黙るっす!」 霞「お、おっぱいおばけ!?」 初美「今は霞ちゃんに発言は許されてないのですよー」 玄「あ、あのー何故私達が集まったのか分からないのですけど……」 桃子「本当に分からないっすか?おっぱいドラゴンさん」 玄「お、おっぱいドラゴン!?」 初美「胸によーく手を当てて考えるのですよー」 玄「む、胸?……おもちじゃないよね?」ジーッ 初美「ひじょーにムカつきますがそれは違うのですよー!」 987 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 01 44 13.69 ID xGXZxjZio 桃子「良いっすか?この4人の共通点はただ一つっす!」 初美「それは本編できょーくんをきょーくんと呼んでいる事なのですよー」 玄「えっ?それだけ?」 霞「えっと、本編だと私は一応京太郎君なんだけど……」 初美「カマトトぶるのもいい加減にしろなのですよー」 霞「カマ!?は、初美ちゃん何か物凄く毒舌じゃないかしら?」 初美「どうせ本編じゃないですから、この場では言いたい放題ですしー」 桃子「もう調べは付いてるっすよ、おっぱいおばけさん」 桃子「二人きりだときょーくんって呼ぶだろうって事は」 初美「霞ちゃんは普段は良ければ年上、悪ければBBAと言われてるけど本当は物凄く甘えたがりに決まってるのですよー」 桃子「だからそれはもう、きっとこっちが目を覆いたくなるくらいの甘えっぷりできょーくんに甘えるはずっす!」 初美「具体的には――」 京太郎『霞』 霞『なぁに?きょーくん♪』 京太郎『ちょっと呼んでみただーけ』ツンツン 霞『もう♪甘えんぼなんだから♪』 京太郎『それは霞だろ?二人きりになるとすぐ引っ付いてくるし』 霞『だってきょーくんと離れたくないんだもん♪』 京太郎『仕方ないなぁ霞は』ヤレヤレ 霞『えへっ♪』 初美「――とまぁこんな感じになるのは間違いなしでBBA無理すんなですよー」 霞「ちょっと待って!明らかにこれただの貴方達の推測よね!?ってかBBAって何よ!」 990 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 02 00 02.45 ID xGXZxjZio 桃子「とにかくっす!これできょーくん呼びが四人目。これは由々しき自体っす!」 玄「え、えっとその……数だけで言うならおねーちゃんが呼んでる“京ちゃん”が一番多いんじゃ……」 初美「良い所に気づいたのですよー」 桃子「確かに“京ちゃん”も数が多いっす。リンシャンさん姉妹にアイドルさん、それにさむがりおっぱいさんで同じく四人っすからね」 玄「(さむがりおっぱい?おねーちゃんの事かな?)じゃ、じゃあ別にそこまで気にする事じゃないんじゃ……」 桃子「ドラゴンおっぱいさんは分かってないっす!」ドンッ 玄「ふ、ふえっ!?」 桃子「良いっすか?リンシャンさんは原作で京ちゃん呼び、チャンピオンさんも姉妹と言う事で京ちゃん呼びがしっくり来るっす」 初美「宮永照に関しては、もしかしたら原作で分かる可能性も1ミクロンくらいは有るかもしれないですけどねー」 桃子「つまりこの二人は有る程度最初から“京ちゃん”呼びが許されてるっす!」 霞「宮永照さんに関しては、別に許されてる訳じゃないと思うけど……」 初美「おだまり!なのですよー」 霞「ひっ!?初美ちゃんキャラ壊れすぎよ……」 991 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 02 17 09.51 ID xGXZxjZio 桃子「つまりそれを除けば、最初でルームメイト設定から京ちゃん呼びになったアイドルさんも別っすから、純粋に安価で決まったのはさむがりおっぱいさんだけっす!」 初美「なのに“きょーくん”だけは安価で四人も居るのですよー」 霞「それは仕方ないんじゃないかしら?安価だし」 桃子「確かに安価は絶対っす。だからそれには逆らえないっす……」 玄「えっと、だったらお話は終わりなんじゃ……」 初美「ぶっちゃけ霞ちゃんがきょーくん呼びになったので八つ当たりなのですよー」 玄「本当にぶっちゃけた!?」 初美「あとついでに私以外おっぱいだらけなのでひじょーに腹が立ってるのですよー」 初美「なんで揃いも揃って大きいんですかー!?私への当てつけですかー!?」 桃子・玄・霞「「「別に好きで大きくなった訳じゃないし(っす)」」」 初美「ムカーッ!私だって!私だって!あと数年すれば大きく……なるはず……だったのですよー」 桃子「流石にその年でそれだと成長の余地が無いっすっからね」 初美「大体なんで私以外の分家は大きいのですかー!巴ちゃんもちょっと減ったけどまだ有りますしー!」 初美「湧ちゃんはまだ中学生だから良いと思いましたが、何ですか明星ちゃんのあれは!」 霞「そ、そう言われてもねぇ……」 初美「恐るべしは石戸の血ですかー!」 初美「きっと私の分まで二人が大きくなってしまったのですよー!!」 玄「それは言いがかりじゃ……」 初美「しゃらーっぷ!持つものには持たざるものの気持ちは分からないのですよー!!」ウワーン 992 名前: ◆UNNCnfZIx6[saga] 投稿日:2014/01/13(月) 02 30 50.71 ID xGXZxjZio 初美「とにかく!本当なら“きょーくん”呼びが一番合ってるのは悔しいけど、見た目相応な私なのですよー!」 桃子「違うっす!それならクラスメイトで隣の席の私っすよ!」 玄「わ、私だって性格的にはきょーくんがしっくり来るはず……」 初美「……」 桃子「……」 玄「……」 初美「これは――」 桃子「付けるべき――」 玄「なのかな――?」 初美「望むところですよー!悪石の巫女の力を見せてあげるのですよー!」ゴーッ! 桃子「ここからはステルスモモの独断場っすよ!!」スーッ 玄「え、えっときょーくん呼びもおまかせあれ!」ギャオーン! ワイワイガヤガヤ 霞「呼び方なんてなんでも良いと思うけど……」 霞「……」 霞「きょーくん♪」キャピッ 霞「……」 霞「……///」 霞「……やっぱり大事ね」 カン!
https://w.atwiki.jp/yajikumaazu/pages/13.html
バーを出るなり紙を握りつぶそうとしていた熊井を、背後から特徴ある声が呼びとめた。 「待って、ごめんなさい」 振り向く熊井。桃子が必死の形相で駆けてくる。 あまりにも急ぎ過ぎるから、桃子はつんのめって転んだ。 助け起こす熊井。桃子は尚も縋りついた。 「どうしたの?」 「怒らないで聞いて下さいね」 そう断ったのち、息を整えつつ桃子は説明を始めた。 「わたし、本当は会社員なんかじゃないんです。全部、仕組んだことで……その、 実はクラブに勤めてるんですが、水商売の人間とはお会いしていただけないんじゃないかと思って、 常連の有原さんに協力していただいたんです」 「有原が常連?」 「いつも中島さんとご一緒に来店されます」 「ふうん。それで、どうして会いたいと?」 「中島さんの携帯にくまいちょー、いえ、熊井さんが写っているお写真を拝見して、 その、ひ、ひとめぼれ、を……奥さまがいらっしゃることはわかっていますし、 ただお顔を直接拝見してみたかっただけだったんです。 でもやっぱり騙しているのには変わらなくて。本当にごめんなさい」 「そう。本当のことを話してくれてありがとう」 素っ気なく返事をすると、熊井は捕まえたタクシィへ乗り込もうとしたが、 不意に横から張り出して来た桃子の唇は避けきれなかった。 尖りのある真に迫った感触が、熊井の神経を隙間から刺激した。 「困るよ」 熊井は、動揺を隠せないまま、桃子を振り切るようにタクシィを発車させた。 あとで桃子の連絡先を記した紙を捨て忘れたことに気づいたので、車の窓から投げてやった。 丸めた紙は、一瞬だけ螺旋を描いて舞い上がり、道路を跳ねていった。 ←前のページ 次のページ→
https://w.atwiki.jp/sakiyuriyuri/pages/115.html
588 :名無しさん@秘密の花園:2009/08/02(日) 23 33 09 ID em64UK4n モモかじゅ風かじゅモモ。 461~ 463の天才的な流れを採用して ヘタレでライトMなかじゅと、策士でドSなモモ。 自慰ネタあり。 先輩が変態さんくさいがしかしエロ描写はほぼカットな貧弱ぶり。 かじゅの三人称を「加治木」にするか「ゆみ」にするか小一時間迷った末「加治木」を採用したけど、どっちが良いんだこれ。 夕暮れに染まる鶴賀学園麻雀部部室。 優しい橙色が、一人佇む加治木の影を細く長くしていた。 うっかり忘れ物をしたことを思い出し部室に戻った加治木だったが、目の前にはもっと堂々とした忘れ物が鎮座していた。 「これは…」 学校指定の体操服。 胸元には小さく『東横』とある。 こんな珍しい名字、いや麻雀部にある時点で持ち主ははっきりしているが、後輩の東横桃子しかありえない。 「忘れた、のか…?そそっかしい奴だな」 自分も忘れ物をしていたことを棚にあげるが、そう言いつつも口元には笑みが浮かんでいる。 鞄からもれたのか、くてんとなった体操服をせめて畳んでやろうと手に取ろうとして、一瞬ためらった。 加治木の中では、東横桃子は『可愛い後輩』をとっくに越えていた。 「君が欲しい」と叫んだあの日。 あの日からしばらくは確かに可愛い後輩だったはずなのに、いつの間にか桃子はそれを飛び越え、かつて経験したことのない感情の波を加治木に味あわせた。 これは恋だ。 少なくとも、加治木はそう自覚している。 そんな自分が好きな相手の体操服を邪な気持ちなしで触れるだろうか。 加治木は頭を振って、自問を一蹴した。 馬鹿げている。 好きな子のリコーダーを舐める小学生でもあるまいに、そんなことは断じてない。 高校の、しかも三年にもなって犯す過ちではないだろう。 自分を律することには自信があったし、ここで止めたら煩悩に負けたような気がして悔しい。 加治木は桃子の体操服を手に取った。 一度広げて机の上に置き、皺を伸ばしてきちんと畳む。 ほら、出来たじゃないか。 それを左手に抱え、さてどこに置こうと周囲を見渡したとき、ふわりと何か香った。 発生源は辿るまでもない、左手だ。 桃子の匂いが、まるで傍にいるかのように加治木の鼻腔をつく。 無意識にそこに惹かれそうになり慌てて制して遠ざけるという理性と本能の脳内大戦争を三度繰り広げ、四度目にはついに理性が敗北してしまった。 緊張で喉が鳴る。 周囲に誰もいないことを改めて確認すると、体操服を近づけすんと軽く嗅いでみた。 ステルスと呼ばれるくらいだから、桃子には目立った体臭はない。 そんなものがあれば踊り出す前に存在が認知される。 だが加治木には、薄い桃子の匂いをはっきり嗅ぎわけられた。 一度が二度、二度が三度と、煩悩が加治木の背中を押した。 遠くから緩やかに感じていたのが至近距離になり、ついにはゼロとなる。 いけない、止めなければ。 そうは思うものの、戦に負け白旗を掲げて瀕死になった理性はなかなか復活してくれない。 普段完璧に押さえ込んでいたのがかえって仇となり、加治木を止めるものは何もなかった。 「モモ、モモッ…」 名前を呼ぶのと慰め出すのはほぼ同時だった。 自分ではどうすることも出来ない感情、欲望が渦巻く。 膝から落ち、だらしなく正座を崩したようなあひる座りをして中心を触る。 慣れていない加治木にとって、拙い手つきでも絶頂はすぐそこだった。 「ふ、あ…モモ…!」 「はいっす」 突然聞こえた声に、驚きの悲鳴も上げられないほど驚いた。 一瞬止まった心臓が口から出るかと思ったほどだ。 びくっと手が止まり、声の方を振り向くと、東横桃子が立っていた。 「モ、モモ…?」 「はい」 「…一体いつからそこに?」 「最初からっす。 先輩が私の体操服を前に悶々とするところから」 いつも通りの笑顔で淡々と答える。 声は特に怒っても驚いてもいなかった。 「それで?先輩は私の体操服で何してたっすか?」 「い、いや、これはその…!」 咄嗟に右手を隠すも、近づいてしゃがんだ桃子に取られ眼前に晒される。 指先は濡れて夕日を反射していた。 「これ、どうしたんすか?」 『君をオカズに自慰をしていた』なんて言えるはずもない。 羞恥と自己嫌悪で目を合わせられず俯いて唇を噛みしめると、ふいに指先に生温かい感触がした。 驚いて顔を上げると、加治木の右手を両手で抱えた桃子が罪の証を舐めとっていた。 「モモ!?何してるんだ、汚いから離せ!」 「汚いんすか?これ、何なんですか?」 またも答えられない質問だった。 躊躇っている間に、加治木の指を濡らした液体は別物に変わっていく。 「ねえ、先輩。 先輩は私のこと、どう思ってます?」 「どうって…」 「『加治木先輩はただの後輩の体操服にまで欲情する変態さんなんですか?』って聞いたんです」 「そんなわけないだろう」 「じゃあ、どう思ってるっすか?」 ちらと上目遣いに覗いた瞳はどことなく潤んでいて、何か期待しているように見えた。 そこで加治木はぴんときた。 多分桃子は怒っていない。 最初から全て見ていたと言っていた。 嫌なら、止める手段はいくらでもあったはずだ。 わざわざステルスしてまで見ていた理由。 羞恥で焼き切れそうになりながらも、加治木は桃子と視線を合わせて解答した。 「モモ」 「はいっす」 「その…好き、だから、ただの後輩じゃないから…あの…」 やはり口にするのは恥ずかしい。 けれど桃子は小首を傾げて「何すか?」と続きを促す。 「…ょ…、欲、情…した」 「体操服に?」 「モモの、体操服に」 最終的に恥ずかしすぎてやはり俯いてしまったが、髪を優しく撫でられた。 及第点は確保したらしい。 「じゃあ、良い子の先輩に第二問っす。 先輩は体操服と私、どっちが好きですか?」 「そんなもの、モモに決まってるだろう」 比べるまでもない、と言い切ると桃子はますます嬉しそうな顔をして一つ大きく頷き、自分のネクタイを緩めた。 「モモ?」 突然の行動に目を丸くした加治木をよそに、桃子は身に纏った物をしゅるしゅると落とし半裸になっていく。 自分が下着姿になったかと思うと、今度は加治木を脱がせにかかった。 「ちょっ、モモ」 ネクタイを抜かれボタンもいくつか外された状態で形ばかりの抗議をすると、うるさいと言わんばかりに唇を塞がれた。 軽いキスはすぐに離れたが、抱き付かれ露出した肌が触れ合う感触に、かっと頬が熱を帯びる。 加治木は本能的に、この先の展開を察した。 「では良い子の先輩にご褒美っす。 体操服なんかオカズにしないで、私をご自由にどうぞ」 つまりは――― 「モモッ…」 甘く掠れた声が桃子を呼んだ。 瞼を開けると、大好きな加治木の向こうに天井が見える。 目が合うと凜としたいつもとは違いふにゃんと微笑んで、それが嬉しくて可愛くてついキスをねだる。 完璧に桃子の作戦勝ちだった。 加治木が忘れ物に気付いたとき、桃子は気配を消して―消すほどもないが―一歩先に部室に戻った。 体操服は故意に置いた。 悶々とする加治木が可愛くてしばらく見ていたのだが、まさかあそこまで行くとは。 欲情した加治木にこっそり欲情していたのは内緒だ。 「先輩」 「どうした?」 「サカってる先輩、可愛かったっす」 瞬時に耳まで色を変えた加治木に「すぐ赤くなる先輩も可愛いっす」と囁くと、声にならない声で唸りを上げた。 「先輩可愛いー…」 普段言われ慣れていないからか、先輩としての尊厳が壊滅的になったからか、真っ赤になって嫌がる加治木の反応は桃子を楽しませた。 拙いなりに加治木は細やかな気遣いを見せ、桃子を絶頂まで運んだ。 しなやかな指先が生み出した快楽の波は引き、桃子はゆるやかな多幸感に包まれる。 過程はどうあれ、最高の結果を手にしていた。 「先輩、大好きっす」 「私もだよ、モモ」 見つめあって口付けを交わす。 舌を探った瞬間、加治木が膝を擦り合わせたのを桃子は見逃さなかった。 「そういえば先輩」 「ん?」 「さっきイってないっすよね? 辛くないっすか?」 むしろあのタイミングを狙って出たくらいだ、辛くないわけがない。 けれど加治木は残ったわずかな自尊心にしがみつき、曖昧に言葉を濁して中々首を縦に振れない。 意外とうぶな加治木には、いささかハードルが高いようだった。 飛べないハードルなら、飛べるまで下げるか、飛びたくなるまで追い込めば良い。 短時間で加治木をいじる快感を知った桃子は 「私は、先輩が求めてくれさえすれば何でもしますけど」 と囁き、耳朶をくわえた。 腰骨を指で辿り、膝を的確に押し当て、求めたくなるよう仕向ける。 初めは抵抗し、むずがっていた加治木も、慣れていないものだから段々と与えられるざわめきに堪えられなくなっていった。 「んっ」 「気持ちいっすか。 もっと欲しくないっすか?」 「……ほしい」 とうとう、消え入りそうな加治木の声が聞こえた。 桃子は良い子良い子と頭を撫で、しかしここで折れるほど甘くはない。 「じゃあ、ちゃんと言えますよね?」 「…私は、君が欲しい」 よくできました。 桃子は満面の笑みを浮かべると軽くキスをし、体勢を入れ替えた。 普段は堅い加治木が自分の下で性的な欲望を持て余し、あまつさえその続きを求めている。 背筋が震えた。 「モモ…」 「先輩…可愛いっす」 可愛い過ぎていじめないようにしないとなーなどと割と酷いことを考えつつも、深く深く口付ける。 第二ラウンドのゴングが鳴り響いた。 お目汚し失礼しました。 モモの口調が意外と難しい…。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/7755.html
「んー……相変わらず見えない」 「んぁ? ……あぁ、モモのことか」 「居るの?」 「今は居ない。用事済ましたらくるってよ」 昼ご飯を食べる為に食堂で京太郎が座っていれば、前に友人の高久田が聞いてくる。 目を細め、京太郎の脇に注目するも桃子が見えないのか首を傾げるばかりだ。 そんな高久田に京太郎は、苦笑しつつも桃子は用事があって来てない事を伝えた。 「モモに用事か?」 「いや……モモちゃんよりお前にかな」 「俺に?」 食事をしていた京太郎はその言葉に不思議そうに眉を顰める。 桃子の所在を聞いてたのでてっきり桃子に用事がある物だと思っていたのだ。 しかし、高久田はそんな京太郎を意に返さず、顔を近づけ囁くように言葉を発する。 「お前のこと……『また』噂になってんぞ」 「あぁー……そういうことね」 「そういうことって……お前な」 その言葉に京太郎は納得し、何でもないように食事に戻る。 そんな態度に高久田は溜息を付いて、親友の無頓着さに呆れた。 「自分の事だぞ?」 「別にいいさ……『変人扱い』なんて慣れたよ」 「慣れるなよ」 微妙な表情でそういうも京太郎は相変わらずだ。 特に思う事無く当たり前だと言わんばかりに受け入れた。 「『須賀の奴が昨日も一人で隣に話しかけながら帰っていた』だってよ」 「何時もの事だな!」 高久田が聞いたばかりの噂話を伝えると京太郎はいい笑顔でスプーンを親指代わりに上げる。 京太郎の噂は最近始まった事ではない。 大学入学時に桃子に出会い、彼女と友達になってからずっと続いている。 元々高校の時に知り合い程度の付き合いはしていたため、すんなりと彼女と友達になった。 京太郎が桃子の胸に注目し、彼女のステルスを見破れるのも大きい。 そんな京太郎と桃子であったが、桃子のステルス体質のせいで京太郎には変な噂が飛び交う。 やれ、あいつは一人で喋っている。 やれ、また一つの机に二人分の食事を置いている。 やれ、一人で……。 桃子を見えない人が多いためか、そんな噂が多い。 それでも京太郎は特に気にせず、桃子との付き合いを楽しんでいた。 「別にモモちゃんとの付き合いをやめろというわけじゃないぜ?」 「おう」 「せめて人の目に気を使えって言いたいんだ」 「おう、無理だな」 「……そう言うと思った」 高久田は高校のときからの親友を心配するも、無駄かと椅子に深く沈みこむ。 そんな彼を見て京太郎も自分を心配してくれている親友に感謝しつつも変えようとは思わなかった。 「……あいつを見える奴は少ないからな」 「……そうだな」 「今まで普通の学園生活を味わった事がないんだ」 そう言って思い出すのは桃子から聞いた思い出話。 鶴賀に居た時は、自分を見つけてくれる先輩が居た。 他の高校で自分と友達になってくれた咲達が居た。 しかしだ、先輩は先輩。咲達は別の学校。 同年代で同じ学校の友達が今まで居なかった。 「だからさ……最後の学校生活ぐらい、普通に同級生と青春を過ごさせてやりたいんだ」 「はぁ……お前はいいのかよ」 「いいよ。俺にはお前が居る。理解してくれる友人が一人居るだけでいい」 「っ……!」 「何より周りの評価なんて気になんねーよ。俺の目にはモモが見えている、それだけで十分だろ」 それだけを伝えきれば、高久田は顔を真っ赤にさせそっぽ向く。 この友人のこういうところが本当に苦手であるが、同時に本当にいい奴だとお人よしだと思い、笑う。 「しょうがねーな、俺がある程度フォローしとくわ」 「無茶すんなよ?」 暫くし、高久田が胸を張り答え、それに対して京太郎は苦笑した。 「それにしても……モモちゃん遅いな?」 「そうだな? 何処まで行ったやら……」 そんな日常的なやり取りをしつつ、二人は遅れている話題の友人を待つのであった。 (出れるわけないっすよ!) そんな二人を近くの柱の影から桃子がツッコンだ。 用事を済ませ、戻ってくれば二人が自分の話題を出していた為、隠れていたのだがこうなるとは思っても見なかった。 桃子は先ほどの話を聞いて真っ赤に染まった頬を両手で触り、激しく鳴る胸の鼓動が収まるの待つ。 嬉しさと喜びと幸せが混じったむず痒い感情がどうしようもなく、体を這いずり回る。 そんな感情に身をゆだねながら、これからどうしようと桃子は一人で悩んだ。 カンッ!
https://w.atwiki.jp/dramatheater/pages/53.html
BesucherP シュールな笑いを誘うコメディからほろりとくるシリアスまで、アイドルの様々な表情を独特の感性で描く。 代表作 【陰鬱な、重苦しいだけの】 桃子がジュリアに語り出すその内容は…。桃子の心中を巧みな筆致で描いた前後編の、前編にあたる作品。 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (作品URL) 作品リスト 闇なんていつか時が押し流して。(桃子:ジュリア:x) ディフィカルト・プロブレム(ロコ:律子:小鳥) 765プロ恒例お花見を前に(雪歩:真:やよい) 初めての食レポ??(桃子:星梨花:翼) アイドル・イズ・ノット・デッド(ロコ:x:ジュリア) それは元気が生まれる前の話【しんみり系】(響:x:律子) デイ・ビフォー・IMC(ロコ:桃子:x) ドラマショッピング「それ」(星梨花:瑞希:貴音) フリスキーがお好きでしょ。(ロコ:エミリー:貴音) 猫にふたたび。(エミリー:x:貴音) コメント 名前
https://w.atwiki.jp/ocltslyrkyo/pages/45.html
【執事と痴女とステルス兵器】 一「や、京太郎くん」 京太郎「あ、一さん」 一「見てたよ、さっきの」 一「いやー、あんな実力を隠してたなんてひどいなぁ」 一「もっと早く出しててくれたら、ボクもテレビの前でハラハラしないで済むんだけどな」 京太郎「あんまりいじめんで下さいよ」 京太郎「弱いんですよ、人間は……」 一「あはは」 一「最近どう? ちゃんと食べてる?」 一「前みたいに、大学の先輩の介護に終われてない?」 京太郎「はは、流石に昔ほどじゃなくなりましたよ」 京太郎「おかげさまで、一応の食い扶持は稼がせてもらってます」 一「上位ランカーでトッププロだもんねー」 一「あーあ、ボクも養って貰おうかなー」 京太郎「いいっすねー。メイドさん大歓迎っすよ?」 京太郎「家、あんまり広くないっすけど」 一「おっ、ヘッドハンティング? 見る目あるなー」 一「でも、豪邸じゃないとやる気でないかなー」 京太郎「そいつは残念っす」 一「ま、京太郎くんがもっとビッグになったら考えてあげてもいいかな?」 京太郎「なら、精進します」 一「あはは。期待しないで待ってるよ」 京太郎「一人ですか?」 一「ううん。一人じゃないよ」 一「ともきーと純くんは予定が合わなかったからこれないけど……」 一「ハギヨシさーん!」 ハギヨシ「はい、ここに」 京太郎「……相変わらず、神出鬼没っすね」 ハギヨシ「執事のたしなみですので」 「……」 「……」 「……」 「ちょっと男子ー、何急に黙ってるのよー」 「執事さん……初めて見た」 「やっぱ、師匠ってすげー」 京太郎「……にしても」 京太郎「一さん、格好相変わらずっすね」 京太郎「俺は慣れましたけど、やっぱいい年した女性がする格好じゃないっすよ」 一「えー」 一「そんなに変かな?」 京太郎「変ですって。ランキング1・2位を争うぐらいにヤバイっす」 一「いいじゃん、スタイル大して変わってないんだから」 一「……自分で言ってて悲しくなるけど」 京太郎「……あー、すみません」 京太郎「でも、一さんが魅力的な人って……俺は知ってますよ」 一「あはは」 一「……本気にするよ?」 京太郎「どうぞ。流石に、お世辞で言えるほど器用じゃないっすから」 一「よく言うよ。麻雀プロ1器用な男がさ」 一「ま、そんなこと言って服を着替えさせようとしても着替えないけどねー」 一「暑いし」 京太郎「ですよねー」 京太郎「……はぁ」 京太郎「ハギヨシさん、なんか言ってくださいよ」 ハギヨシ「……私にもできないことぐらい、あります」 京太郎「本音は?」 ハギヨシ「役得」 京太郎「……ハギヨシさん」 一「京太郎くん、やっぱりボク……着替えるよ」 ハギヨシ「まあ、あくまで冗談ですが」 ハギヨシ「正直慣れてしまって、今更どうも思わなくなってしまったのが本音です」 京太郎「ああ、そういう」 「……な、なぁ」 「な、なんだよ……?」 「須賀プロ、すごい人と知り合いなんだな」 「す、すごいな……」 「チラチラ見るなよ。エロ男ー」 「お前、ああいうのが好きなのかよー」 「ばっ、ちげーよ! お前らだって見てるだろー!」 「ちょっと男子ー、何こそこそ喋ってるのよー!」 「あの人、須賀プロの彼女なのかな……」 一「そういえば、ボクの教えたマジックまだやってるんだね」 一「前より、全然上手くなってたよ」 京太郎「本当ですか? そういって貰えるとうれしいなー」 一「本当、本当」 一「まさかテレビドラマで、自分が教えたマジックを披露されるなんて思ってなかったし」 京太郎「あー、あれ」 京太郎「台本になかったんですけどやってみたら好評で、スタッフも驚いてました」 一「えっ」 一「ってことは、あそこらへんの台詞は全部アドリブ?」 京太郎「そうですね」 京太郎「相手役の人が驚いたのも、本気ですよ」 一「へー、それは驚いたなぁ」 京太郎「そうっすか?」 京太郎「結構、アドリブが採用されて好評って話はあると思いますけど」 一「いや、そっちじゃなく……」 ハギヨシ「『もしかして……上位ランクの超能力者なの?』」 ハギヨシ「『いや……違います。俺は、魔法使いです』」 ハギヨシ「『何それ……?』」 ハギヨシ「『魔法使いです。笑顔の魔法の』」 ハギヨシ「『えっ』」 ハギヨシ「『ほら、見ててください』」 ハギヨシ「『……すごい』」 ハギヨシ「『あなたの涙を止める魔法を使いました』」 ハギヨシ「『ね?』」 ハギヨシ「『……ありがとう。ちょっとは、気が晴れた』」 ハギヨシ「このシーンですね」 一「そうそう、それそれ」 京太郎「……なんで暗記してるんですか、セリフ」 京太郎「しかもちょっと似てたし」 ハギヨシ「執事ですので」 ハギヨシ「まあ、衣さまがオカルトスレイヤーを毎週視聴して、BDも持っているから」 ハギヨシ「覚えてしまいましたよ」 京太郎「……なるほど」 一「いやー、気障ったらしいなー。流石京太郎くん」 京太郎「やめてくれませんか、俺のことをナンパ野郎みたいに言うのは」 一「違うの?」 京太郎「違う! ……と、思いたいです」 京太郎「それにしても、懐かしいなー」 京太郎「思えばあれからっすよね、変な異名ついたの」 一「オカルトスレイヤー?」 京太郎「そうそう」 一「まあ、君の麻雀スタイルに似てるしねー」 一「オカルト以外の技術で勝つ、ってところが」 京太郎「まあ、あっちの俺はオカルト持ちですけどね」 一「ああ、真・マッハ改めマジカル☆レーザービームだっけ?」 京太郎「そうそう、唯一のオカルト技」 一「まあ、似たようなものを使えるしいいんじゃないの?」 一「シャープシュートだっけ」 一「あれも、オカルトっぽいよね」 京太郎「あれも技術っすよ」 京太郎「早々、毎局使える技じゃないですし」 京太郎「まあ……弘世先輩レベルだと、引きが強いんで基本狙いまくれますけど」 ハギヨシ「……!」 京太郎(ハギヨシさんが……眉を顰めた?) 京太郎(なんかあった……って訳じゃないな。すぐに動いてもないし) 京太郎(えっと……ここは長野だよな) 京太郎(ってことは、もしかしたら……) 京太郎(面識はほとんどないけど……!) 京太郎「ふ――」 京太郎「――ッ!」 京太郎(聞こえたッ!) 京太郎「そこにいますね……東横桃子さん」 京太郎「空気の流れと、反響音でバレバレっすよ?」 桃子「あちゃー」 桃子「どんな耳をしてるんすか?」 桃子「あ、初めましてっす……一応」 京太郎「あ、どうもご丁寧に」 京太郎「イルカとかがやってる、エコーロケーションって奴です」 京太郎「訓練次第で、反響定位ってのが使えるんです。人間も」 桃子「ひぇー」 一「……あれ、ハギヨシさんが教えたんだっけ?」 ハギヨシ「麻雀に使えないかって、悩んでいらしたもので」 一「あのころの京太郎くん、色々見失ってたよね」 一「なんでそんなこと考えたんだろうね」 ハギヨシ「シャチなどが行うエコーロケーションなら、物体の材質までの判別ができます」 ハギヨシ「それによって、積んである牌を把握しようとしたのではないか……と」 一「相変わらず、真面目に大馬鹿だなぁ」 一「で、結果はどうだったの?」 ハギヨシ「一ヶ月ほどの訓練により、少なくとも完全なる目隠し状態でも」 ハギヨシ「頭が過度に揺さぶられるほどでなければ、ある程度の運動が可能になりました」 一「……って、言うと」 一「もしかして、オカルトスレイヤーのあの目隠し状態でビルからビルに飛び移るのは」 ハギヨシ「ノースタントですね。画像の通り」 一「馬鹿だなあ……」 ハギヨシ「ほかにも、山で修行されたりしてましたね」 ハギヨシ「おかげで、空気の微弱な流れの変化がわかるとか」 一「見失いすぎでしょ、京太郎くん」 ハギヨシ「やってみますか、エコーロケーション」 ハギヨシ「大体一ヶ月ほど訓練すれば、常人でも習得可能ですが」 一「いや……いいよ」 一「ボクはそこまで馬鹿じゃない」 京太郎「あ、どうも」 桃子「どうもっす」 京太郎「えっと……本日は、どのようなご用件で」 桃子「えーっと」 桃子(この間のヤクザさんといい、まさか見つかるとは思わなかったっす) 桃子(言い訳、どうするっすかね) 桃子(……あ、そうだ) 桃子「うちの、ゆみ……加治木プロと今度インハイの解説をするじゃないですか?」 京太郎「そうですね。ああ、それで……」 桃子「マネージャーとして、ご挨拶しておいた方がいいかなーっと」 桃子「そんな風に思ったっす」 桃子「あ、これ。おみやげっす」 桃子(……本当は自分用っすけど) 京太郎「あ、どうもどうも。これはこれは」 京太郎「こちらこそよろしくお願いしますって、加治木プロにお伝えください」 桃子「りょーかいっす」 ハギヨシ「結局、物体の材質の判別までは不可能でしたね」 ハギヨシ「人間に聞こえる周波数では、正確さが足りないので」 一「……どういうこと?」 ハギヨシ「高周波ほど、より正確な探知が可能になります」 ハギヨシ「人間の聴覚可能な音波だと、そこまではできません」 ハギヨシ「精々が、完全な無視界でもある程度普段通りの活動ができる」 ハギヨシ「そんな程度です」 一「なるほど……それでも十分、凄いけど」 一「……レスキュー隊員にでもなった方がいいんじゃないの」 ハギヨシ「ハハハ」 京太郎「えーっと」 京太郎「見ての通り、ちょっと仕事中でして……」 京太郎「あまり、お構いはできないのですが」 桃子「あ、いいっすよ」 桃子「構われないのは、慣れてるんで」 桃子(むしろあんな方法で発見されたことが驚きっす) 桃子(元部長さんも、視覚以外の方法で探してくれましたけど) 桃子(この人のは、それ以上っすね) 桃子(正直人間とは思えないっす) 京太郎「そうですか?」 京太郎「お時間に差支えがないのなら……」 京太郎「よろしければ、見ていってください」 桃子「いや、そこまで気を使われなくても……」 桃子(残るとか、逆に面倒っす) 桃子(見つかっちゃった時点で……) 京太郎「いやー、なんていうか」 京太郎「加治木プロとご一緒に仕事をするにあたって……」 京太郎「俺のことを、ある程度把握して貰えたらなーって」 京太郎「時間があったら、の話ですけど」 桃子「あー」 桃子「そういうことなら、少しだけお邪魔するっすよ」 「すげー! 兄貴すげー!」 「見たか、今の……!」 「幽、霊……?」 「幽霊が……お土産持ってきた……?」 「ちげーよ! アレ、スタンドだって!」 「兄貴はスタンドにお菓子を取ってこさせたんだよ!」 「流石兄貴ィ! そこに痺れる、憧れるゥ!」 __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ __ 【ハギヨシの好感度が上昇しました!】 【国広一の好感度が上昇しました!】 【東横桃子の好感度が上昇しました!】 【スキル『反響定位』を習得しました!】
https://w.atwiki.jp/million_live10000000/pages/196.html
育 会場はあんまり大きくなかったけど…、お客さんが盛り上がってくれてよかったね!うれしいっ! 桃子 …でも、桃子達の知名度だったら、もっと大きい会場も借りられたはずじゃない? 育 いろんなところでお仕事して、がんばったけど…。これが今のわたし達の、実力なのかな。 桃子 観光とかばっかりして、お仕事がいい加減になってたツケかもね。…お兄ちゃん、わかってる? 次はもっと大きな会場でライブができるように、ちゃんとしなきゃ。…まあ、桃子も楽しかったけど。 戻る
https://w.atwiki.jp/million_live10000000/pages/99.html
歩 3階のステージ、すごい設備だね!派手なパフォーマンスもガンガンできそう!どうかな、プロデューサー? 響 右から左までダーッと駆け回れそうだぞっ! 歩 桃子は…軽そうだし、すっごく大きい羽とか背負ってステージを飛びまわろうぜ! 桃子 大きいクジャクの羽なんか背負ったら、桃子、潰れちゃうよ。 お兄ちゃん、プロなんだから桃子の演出もちゃんと考えて。 戻る
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3393.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1346308252/ 己のカルマと戦う京太郎の前に現れたステルスモモ 彼女から持ちかけられた悪魔の契約に対して、決意を固めたはずの京太郎の心は揺らぐ 彼は自らの生き方を切り開くことができるのか!? 京太郎(師匠……すみません……) 京太郎(俺はやっぱり、自分の身がかわいい臆病者みたいです……) 京太郎「分かった、そちらの要求を飲もう」 桃子「あなたならそう言ってくれると思ってたっす」 桃子「合宿中は無理に行動を起こさなくて良いっす」 桃子「実際に行動に移すのは、清澄に帰ってからということで」 京太郎「分かった。しかし今は情報が足りない」 京太郎「うちの部長とそっちの先輩ってのは、一体どれくらい親密なんだ?」 桃子「……名前」 京太郎「ん?」 桃子「あの女、私の先輩を下の名前で呼びやがったんす!」 桃子「私でさえまだ苗字に先輩って付けただけなのに……」ギリッ 京太郎(こ、これは……) 京太郎(百合場面名鑑収録「下の名前で呼んで」の亜種か!) 京太郎(いやいや、喜んでる場合じゃないだろ) 京太郎(落ち着け、冷静になるんだ) 京太郎(たかが下の名前で呼ぶようになっただけで、そこまで危険な段階に入っていると言えるか?) 京太郎(下の名前で呼び合うくらいまでなら別に……) 京太郎(…………) 京太郎(かじゅ久、いや、久かじゅ……か) 京太郎(アリだな) 京太郎(部長という職務の重責……そこから生じるストレスを抱えながら部活を発展させようとしてきた二人) 京太郎(奇しくもそれぞれが在籍する麻雀部は歴史がゼロと言っても過言ではない状態の新生部) 京太郎(同じような境遇にある者同士がある日交錯したとき、物語は始まる) 京太郎(ん?鶴賀の部長はカマボコみたいな口の人だっけか) 京太郎(まあいいか、立場的には似たようなものみたいだし、やはりそこから生じる共感g) 桃子「不愉快な妄想をしているようなら、あんたにはもう用はないっす」ニコッ 京太郎「!? ち、違うんだ! 待ってくれ!」 桃子「次はないっすよ?」 桃子「とにかく、くり返すっすが方法は問わないので、可及的速やかに処理をしてくださいっす」 桃子「こうしている間にも、あの女の毒牙が先輩に迫ってるんっすから」ギリッ 京太郎(これは……マジだな)ゴクリ 桃子「最終的にあの二人の接触を断つことができれば良いことにするっす」 桃子「だけど、もしも間に合わなかったら、その時は……」ゴゴゴ 京太郎「分かってる! 分かってるからそれだけは……それだけは許してくれ…」 桃子「じゃあ、今日のところはこれくらいにしておくっす」 桃子「期待してるっすよ、須賀京太郎君?」 桃子「あ、それと、万が一先輩の着替えを覗くとか、そういうことをした場合もその場で処刑確定なので注意してくださいっす」 桃子「では」スゥ… 京太郎「ふぅ……」ドサ 京太郎(なんてことだ……まさかこんなことになるなんて……) 京太郎(どうすれば……師匠に助けを) 京太郎(いや、それだけは絶対にできない) 京太郎(俺の尻拭いを師匠にさせるなんてことは、絶対にあってはならない……) 京太郎(しかし、師匠の思いを踏みにじることも避けたい) 京太郎(くそっ……八方塞がりか…) 京太郎(……いや、待てよ) 京太郎(今のこの状況、一見すると男である俺が百合の園を土足で踏み荒らそうとしているように見える) 京太郎(しかし、今俺がそんな行動に出ようとしているのは、紛れもない百合娘・東横桃子からのアクションがあったからだ) 京太郎(実際のところこれは、百合娘が自らの願望を成就させるための手段だと考えられないだろうか?) 京太郎(ならば今の俺は、百合の舞台の上にある一つの小道具……) 京太郎(百合の花を咲かせるためだけに存在する、ひとつの背景に過ぎない) 京太郎(それならば……俺は飽くまで流れの中で求められ、使われているに過ぎない!) 京太郎(そう、主人が執事に……透華さんや衣ちゃんが師匠に命じて、師匠がそれに応えるという関係のように) 京太郎(俺が桃子さんの要求に応じるのは、何の違和感もない行動だと言えるんじゃないか!?) 京太郎「く、くくく」 京太郎(これは、むしろ僥倖かもしれん) 京太郎(行動の理由を自らの外に置きつつも、それでいて自らのためになる行動ができる) 京太郎(しかもそれは、俺自身の規範に逆らうものではない) 京太郎(いいねぇ、望むところだ) 京太郎(やってやろうじゃないか!) 京太郎(俺は舞台の上で、俺の役を演じきってやる!) 京太郎(アトモスフィア京を舐めるなよ!!) ――久主催部屋―― 久「その手を鳴かずに進められるのね…」 ゆみ「これを鳴いて和了れる相手とは思っていない」 久「あら、随分と評価してもらってるみたいね」 ゆみ「当然だ、聞くところによるとインターミドル時代も猛威を振るっていたそうじゃないか」 ゆみ「高校に入ってから麻雀を始めた私から見れば、大先輩だよ」 久「いやねぇ、そんなことまで調べてあるの? ちょっと怖くなっちゃうわ」 ゆみ「敵情視察は戦略の基本だ」フッ 久「怖いわね、滅多なことができなくなっちゃう」 京太郎(ふむ、思った以上に親密になっているようだな) 京太郎(桃子さんの杞憂というわけではなさそうだな) 京太郎(部長が加治木さんを誘った時に下の名前で呼んでるのを見て、大慌てで俺に話を持ちかけてきたわけか) 京太郎(凄まじい行動力……いや、執念と呼ぶべきか) 京太郎(しかし……) 美穂子「うえ……竹井さん」 久「うーん、ねぇ美穂子」 美穂子「す、すみません! 失礼なことを……」 久「いや、別に上埜って呼ばれるのを気にしてるわけじゃないのよ?」 久「ただ、ゆみも私のことを名前で呼んでるし、美穂子も私のことを名前で呼んでくれないかしら」 久「ほら、私も“美穂子”って呼んでるわけだしね」 美穂子「え、でも……」 久「よし、決めた」 美穂子「え?」 久「“久”って呼んでくれないなら、なんにも反応してあげないことにするわ」 美穂子「え、そ……そんな、冗談ですよね?」 久「……」 美穂子「た……竹井、さん?」 久「……」 美穂子(うぅ……) 美穂子「ひ、久さん」 久「うーん、“さ”が続くと響きが悪いわねぇ」チラッ 美穂子「そ、そんな……」 久「あーあ、さみしいなぁ」チラッチラッ 美穂子「……」 美穂子「……久」ボソッ 久「……」スッ トトト 美穂子「え?」 久「……」ギュウ 美穂子「えっ!? ひ、ひゃ」 久「なぁに、み・ほ・こ♪」フゥ 美穂子「あ、わあうああうああ」カアァァァ 美穂子(息が、息が耳に……!) 衣「おい久、対戦相手の手牌を盗み見る気か?」 久「あら、ごめんなさい。そんなつもりはちっとも無かったんだけど」 久「あんまりにも美穂子が可愛いもんだから、自分を抑えきれなくなっちゃってね?」 美穂子「うぅぅ……」 ゆみ「まったく」ニガワライ 京太郎(…………) 京太郎(たまらん) 京太郎(なんだなんなんだこの最高の桃色空間は!?) 京太郎(ってか部長! あんた最高だよ!!) 京太郎(女の子を手玉に取るすべを身につけすぎてて、逆に怖い!) 京太郎(これは間違いなく歴戦の百合娘!) 京太郎(今までも相当な数の生娘をその毒牙にかけてきたに違いない!) 京太郎(はっ!?)ピキュイィィン 京太郎(そ、そういえば、うちの部室ってやたら恵まれた環境にあるよな……) 京太郎(部員数ギリギリ団体戦に出場可能なくらいしかいない弱小中の弱小部なのに) 京太郎(しかも、中古で買っても決して安くない自動卓まである) 京太郎(ここから導き出される結論、それはすなわち……) 京太郎(百合売春!!) 京太郎(いや、実際には売春というより、何かしらの備品をかけての麻雀勝負だったのではないだろうか) 京太郎(「部員がいないからちょっとだけ付き合ってくれない?」と誘われ、軽い気持ちで部室に足を踏み入れた彼女たちだったが) 京太郎(そこで会話をしていくうちに、次第に久という存在に惹かれるようになる) 京太郎(そしてある日、部室に置く備品をかけての勝負を持ちかけられる) 京太郎(賭けられるものがないように見えることを久に伝えると、彼女は自分の躰を賭けると言い出す) 京太郎(はじめは驚いて勝負を拒否するが、あっさりと久は引き下がる) 京太郎(拍子抜けした状態で帰宅するも、ベッドの中でそのことを反芻し、勝負を受けなかったことを後悔する) 京太郎(そして翌日、放課後になると真っ先に麻雀部の部室に向かい、そこの主に「賭けをしよう」と持ちかけるのだ) 京太郎(そしてギリギリの勝負の末、見事勝利を掴み取る。高鳴る胸の鼓動) 京太郎(なんとか平静を保とうとしていると、久がゆっくりと立ち上がり、部屋の隅のカーテンをそっと開く) 京太郎(そこには真っ白なシーツがかかったベッドが。ベッドの上に腰掛け、制服を徐々に崩しながら、誘うような目つきで見てくる久) 京太郎(そして耐えられなくなった欲望がり性を粉々に打ち砕き、久の体躯を、息を荒げながら乱暴に組みしだく……) 京太郎(一度味を知ってしまったらもう後には戻れない) 京太郎(自らの私物やポケットマネーを賭けてまで戦いに挑み、徐々に泥沼にはまってゆく) 京太郎(絶妙なバランスで勝敗を調整しながら、久は彼女たちの心を弄んでいく……) 京太郎(こう考えれば、不自然なほど揃っている備品の数々、そしてあのベッドの説明がつく) 京太郎(そして和は、かつて部長が甘い声を上げながら) 京太郎(時には上げさせながらシーツを濡らしていたなどということに微塵も気づかず、そのベッドで無防備に睡眠をとっているのだ) 京太郎(…………) 京太郎(い、いかん、これは危険だ) 京太郎(平常心が保てなくなりそうだ……落ち着け俺)フゥ ゆみ「ん?」 京太郎(っ! まずい!) 京太郎(アトモスフィアモードを……冷静に……)スゥ ゆみ(…………気のせいか) 京太郎(……危なかった) 京太郎(しかし、さすがと言わざるを得ないな) 京太郎(あの桃子さんの気配を、完全に隠蔽していない状態とは言え察知できるだけ……) 京太郎(しまった、本来の目的を忘れるところだった……!) 京太郎(今は百合妄想に浸っている場合ではない。何とかして現状を打開しないと……) 京太郎(しかし、俺のSPY-Lレーダーの情報が正しければ、キャプテンはもう既に陥落しているが、肝心の部長が問題だ) 京太郎(今回のオーダーは部長を加治木さんから引き離すこと) 京太郎(最終的に部長そのものをどうにかしなければ意味がない……) 京太郎(しかし、ここに来てからの部長の姿を見る限り、彼女を特定の誰かと結びつけることはかなり難しい) 京太郎(おまけに今回は時間が限られている) 京太郎(一度この合宿が終わってしまえば、これだけのメンバーが一堂に会することは殆どなくなるだろう) 京太郎(解散してしまえば部長と加治木さんの接触自体は減るだろうが) 京太郎(もし個人的に合うといった状況になった場合、それを事前に察知するためには部長のプライベートに張り付く必要が出てくる) 京太郎(そして周囲にフレアとして使えそうな人材がいるとも限らない) 京太郎(合宿終了まであと何時間だ?) 京太郎(なにか……何かないのか……) 京太郎(師匠……俺に力を……) 京太郎(……ん? 待てよ?) 京太郎(このSPY-Lの反応……) 京太郎(はっ!?) 京太郎(そうか! この手があったか!) 京太郎(…………しかし、これは成功する確率が高いとは言えない……) 京太郎(どうする、別の手を考えるか……?) 京太郎(いや、迷っている時間はない) 京太郎(失敗すればジ・エンドだが、何もせずにいて失敗しても結果は同じだ) 京太郎(ならば、俺は全力を尽くして死ぬ方を選ぶ) 京太郎(それに、これは紛れもない百合娘からの願いでもある) 京太郎(指をくわえて見ているだけなどというのは、百合男子道に背く行い!) 京太郎(よし! 『オペレーションNH』始動だ!!) ――清澄部屋―― 和「はぁ、流石に疲れましたね」 咲「朝から晩まで打ちっぱなしだったもんね……」 咲「優希ちゃんなんか爆睡してるよ」 優希「ZZZzzz……」ホボゼンラ 和「ゆーき……なんてはしたない…」 咲「それにしても、今回の合宿は勉強になったなぁ」 和「ですね、みなさんやっぱり決勝まで残っただけありました」 咲「はぁ、京ちゃんも来れてたら強くなれたんじゃないかなぁ」 和「」ムカッ 和「もし来れていたとしても、部長の命で雑用をやって終わりだったと思いますよ」イライラ 咲「うーん、部長ももう少し京ちゃんに優しくしてあげればいいのに……」 和「」イライライライライライライライライライライラ 和「み、宮永さ」コーイーシチャッタンダ タブン キヅイテナーイデショー 咲「あ、これって」 咲「京ちゃんからメールだ!」パァァ 和「」プチッ 和「みやながさ咲「え?」 和「!」ガバッ 和「どうしましたか宮永さん!まさかセクハラまがいのメールを!」 和「前からうすうす怪しいとは思っていたんですが、やっぱりやらかしましたかあの変態!」 和「私たちの方を見てたまにニヤっと笑っていたんですよ!」 和「気持ち悪いなぁとは思っていたんですが部活の平穏を乱したくなくて今まで野放しにしてしまいました! 申し訳ありません!」 和「今すぐヤツからのメールや着信履歴を全て削除してアドレスからも消去」 和「ついでに着信拒否リストに入れて、麻雀部、いや清澄高校、いいえ長野から永久追放してしまいましょう!!」 和「大丈夫です!裁判なら両親に頼めば必ず勝てますし、宮永さんは私が必ず守りきってみせます!」 咲「え? いやそんなメール京ちゃんはしてきてないよ?」 咲「ただ、ちょっといきなりっていうか、よく分からないっていうか……」 咲「ほら、これ」スッ 和「…………え?」 和「……何ですか、これ?」 咲「私も全然分からない……」 咲「あ、も、もしかして……」 咲「京ちゃん……あの人のこと……」ジワッ 和「!?」 和(私の咲さんを泣かせるなんて…………) 和(凌遅刑が神からの祝福に思える位の罰を与える必要がありますね……!)ゴゴゴ 和「今すぐ電話して、目的を問いただしましょう!」 咲「う、うん」ピピッ 和(短縮の0番!?)ワナワナ 咲「…………電源が入ってないみたい」 和「宮永さん! こんな訳のわからないお願いなんて聞く必要ありません! もう今日は寝ましょう!!」 咲「…………ううん、行くよ、私」 咲「きっとなにかワケがあるんだよ」 咲「私は京ちゃんを信じる。京ちゃんの力になりたいから……!」グッ 和「」イライラブルブルワナワナバキバキグシャグシャバリバリゴクン 和「…………分かりました」 和「では、私もご一緒させていただきます」 和「私も(咲さんの)力になりたいですから」ニッコリ 咲「原村さん……!」 和「行きましょう、あんまり遅くなると、寝てしまうかもしれませんよ」ニコニコニコニコ 咲「うん! 行こう!」 ――鶴賀部屋―― 桃子「ん?」 桃子(この気配……) 桃子「ちょっと出てくるっす」 ワハハ「んー? あんまり遅くなるんじゃないぞー」ワハハ 桃子「はいっす」 ガチャ バタン 桃子「で、なんの用っすか? 須賀京太郎」 京太郎「今、手を打っているところです。おそらく明日出発するまでには結果が出るでしょう」 桃子「!!」 桃子(本当? ブラフ? いくらなんでも早すぎないっすか?) 桃子「合宿中は無理みたいなことを言ってたと思うんすけど、あれはなんだったんすかねぇ?」 桃子(これは警戒しなくてないけない? いやしかし……) 京太郎「俺の認識不足でした。むしろこの機会を逃すわけにはいかないんです」 京太郎「……そして、この作戦を遂行するにあたって、桃子さんにも協力していただかなくてはなりません」 桃子(きたっ!) 桃子「確かに協力するとは言ったっすけど、内容によるっす」 桃子「当然納得できる理由も話してもらわないと」 京太郎「理由までは……ただ、殆ど手間は取らせません」 京太郎「大丈夫です。俺を信じてください」 京太郎「必ず貴女の望む結果をご覧に入れます」 桃子(……話だけなら、聞いてやるっすか…) ――外―― 桃子(一応、要求されたことはやったっすけど、あれは一体何の意味が……) 桃子(あとはここで少し待てばいいって……) 桃子(少しってどれくらいなんすかね?) 桃子(一応アイツの行いの証拠は、分散して保管してあるから、今のうちに処理するのは無理っすけど……) 桃子(10分待って何も起こらなかったら、処刑確定っすね) ゆみ「……」タッ タッ タッ 桃子「……先輩?」 ゆみ「桃子」 桃子「!?」ビクッ 桃子(こ、これは……) 桃子(先輩……怒ってるっすか……?) 桃子(一体何が……) ゆみ「桃子」 桃子「は、はいっす!」ビクッ ゆみ「ひとつ、聞きたいことがある」 桃子「なな、なんっすか?」ビクビク ゆみ「須賀京太郎をいう男の事を知っているか?」 桃子「!!??」ビックゥ 桃子(ま、まさかアイツ……みんな先輩にバラして……)ブルブル 桃子(こ、殺すっす!!) 桃子「な……んのことだか、さっぱりわからないっすね」プイッ ゆみ「声が上ずっているぞ」 ゆみ「その反応、やはりヤツの言っていったことは本当だったか……」 桃子(なんで、そんなに怒ってるんすか……) 桃子(なんで、そんなに悲しそうな顔するんすか……) 桃子(私のこと、恋愛ではないにしても、好いていてくれていたんじゃないんすか……) 桃子(じゃあなんで……今まで……勘違いさせるようなこと)ギリッ 桃子(あんまりっすよ……) ゆみ「桃子……本気なのか?」 桃子(……!)ギリリッ 桃子「そうっすよ! 本気っす!」ジワッ 桃子「でも何が悪いんすか! 先輩が悪いんっすよ!」ポロ 桃子「私は……私は、ただ……」ポロポロ ゆみ「……」スッ 桃子「っ! 触らないでくださいっす!!」バシッ ゆみ「」ギリッ ゆみ「桃子!」グイッ 桃子「きゃ!?」ドサッ 桃子(え? 何? 押し倒され……) ゆみ「桃子」 桃子「は、はい……」 ゆみ「お前を見つけたのは、私だ」 桃子「え、あ、はい」 ゆみ「だから、お前は私のモノだ」 ゆみ「誰にも渡しはしない」ギュウ 桃子(…………???) ゆみ「私が悪かった」 ゆみ「お前は、なんだかんだでちゃんと分かってくれていると思っていた」 ゆみ「全く、笑い話にもならないよ」 ゆみ「だから」 ゆみ「しっかりと、躾てやらないといけないな」 桃子「はぇ?」 ゆみ「だれがお前の持ち主なのか」 ゆみ「心にも、躰にも」 ゆみ「刻みつけてやる……!!」グイッ 桃子「な、にを んんうぅ!?」チュウゥゥ 桃子(これは一体何がどうなってこうなったんすかぁぁぁ!?) ゆみ「ふぅ」 桃子「はぁ、はぁ……せ、んぱ」ハァハァ ゆみ「……」グイッ 桃子「や、ちょ、そこは!?」ググッ ゆみ「初めてか?」 桃子「……はぁ…? そりゃ、そうっすけど……?」 ゆみ「そうか、そうじゃなかったらモモを殺して私も死んでいたよ」 桃子「ぇ?」 ゆみ「それに、痛くなければ躾にならないだろう?」 ゆみ「一生忘れられないくらい、痛くしてやるからな」 桃子「ちょ、ま、せんぱ」 ~少し前~ ――廊下―― ゆみ「やれやれ、さすがに疲れたな」コキコキ ゆみ(しかし……楽しかったな)フッ ゆみ「…………ん?」 ゆみ(これは、なんだ?) ゆみ(押し隠したような気配……モモに近いが、違う) ゆみ(それにこの感じ……久たちと打っている時にも一瞬感じた) ゆみ「そこかっ!」バッ 京太郎「流石ですね」スゥ ゆみ「! 君は……確か清澄の男子部員」 京太郎「! これは……覚えていただけているとは、意外でした」 ゆみ「なぜここにいるんだ? 久は君を置いてきたと言っていたはずだが」 京太郎「ええ、まあちょっとした理由がありましてね」 京太郎「加治木さんに接触したのも、その理由と関係していまして」 京太郎「少しお時間をいただけないでしょうか」ニコッ ゆみ(……どういうつもりだ?) ゆみ(この男、確かに気配を感じることはできたが、まるであえて私に察知させたような、そんな不自然さがあった) ゆみ(つまり、今の今まで私にも気づかれないような状態で”何か”をしていた可能性が高い) ゆみ(それでも、犯罪行為をしようとしていたなら、気配を消した状態でいくらでも出来たはず) ゆみ(私に直接危害を加えるようなことは、今の時点でするつもりはないということか) ゆみ(……ここで誘いに乗らなかった場合、この男は再び姿を消すだろう) ゆみ(目的が全くわからないままロストするのは避けたい……) ゆみ「わかった、話だけなら聞こう」 京太郎「そうおっしゃっていただけると思っていました」 京太郎「ここでは人目につきます。場所を移しましょう」 ――外―― ゆみ「で、こんな所でしか話せないということは、なかなかに後暗い話題をしたいと見えるが」 京太郎「後暗い、というほどではありませんが……」 京太郎「大手を振って話せるものでもありませんね」 京太郎「……同じ無名校として、決勝での鶴賀の活躍には驚きましたし、素直に敬意を覚えました」 ゆみ(……? なんだ、わざわざ胡麻をすりに来たわけでもないだろうに) 京太郎「とくに、うちの原村を抑えて、副将戦で収支1位を飾った東横桃子さん」 ゆみ「……」ピクッ 京太郎「加治木さんも素晴らしい立ち回りをされましたが、やはり彼女の働きには非常に強い印象を覚えました」 ゆみ「……何が言いたい」 京太郎「そのままです。東横さんが優秀だというお話ですよ」 京太郎「原村和は去年の全中チャンピオン」 京太郎「そして龍門渕透華さんも、去年のインハイでは大いに活躍したそうじゃないですか」 京太郎「そんな二人を押しのけて、鶴賀を優勝まで後一歩のところまで押上げた彼女のような才能が」 京太郎「これを最後に終わってしまうのかと思うと、あまりにももったいなくて」 ゆみ「!?」 ゆみ「それは、どういうことだ?」 ゆみ「モモはまだ1年だ。来年も再来年も、鶴賀のエースとして活躍する」 ゆみ「ここで終わるわけがないだろう!」 京太郎「冷静に考えてみてください」 京太郎「確かに鶴賀は県予選で決勝まで上り詰め、大いに活躍しました」 京太郎「しかし、それだけで来年からも部員が入ってくれるでしょうか?」 京太郎「本当に麻雀がやりたい人なら、長野だと普通は風越に入ります」 京太郎「それに、風越は確かに名門ですが、ここ最近の2連敗は間違いなく看板の価値を落としているでしょう」 京太郎「ではほかの学校はどうか?」 京太郎「今回の決勝の4校で考えてみましょうか」 京太郎「龍門渕のメンバーは全員が2年生で、来年もレギュラーメンバーは変わらないでしょう」 京太郎「メンバーに空き枠がなく、横のつながりだけで強さを保っているところに、新入生が入るとは考えにくい」 京太郎「そもそもあのチームは学校の麻雀部というより、龍門渕さんの私設クラブとしての色合いが強いですから」 京太郎「そうなると鶴賀と清澄はですが、ここは両方共ほぼ無名です」 京太郎「目立った戦果は、今年の物のみ」 京太郎「そして、両方が無名ならば」 京太郎「『全国優勝校』という泊のついた清澄の方を、普通ならば選ぶでしょうね」 ゆみ「!!??」 ゆみ「ちょっと待て!」 ゆみ「自分の仲間に対して自信があるのは結構だが、随分と大きな風呂敷を広げるじゃないか」 ゆみ「そんな根拠の乏しい推測をもとに、うちの麻雀部を不当に低く評価するとは、君は随分恥知らずな人間のようだな」 京太郎「本当に根拠に乏しいと言えますか?」 京太郎「先鋒の片岡は、個人戦で歴代ハイスコアを出すほどの腕前」 京太郎「副将の原村は言わずもがな」 京太郎「大将の宮永は、去年のMVPである天江衣を制し、個人戦でも全国出場が決定しています」 京太郎「そして、常に収支を±0にするという驚異的な実力」 京太郎「これは個人戦でも本人の気が変わるまでやってのけていましたから、全国でも通用すると思われます」 京太郎「どんなに異常なことか、加治木さんならよくお分かりでしょう?」 京太郎「残りの二人も、ほかの3人ほどの派手なモノはありませんが」 京太郎「どちらも安定してハイレベルな試合ができるというのは、加治木さんも骨身にしみて理解しているはずです」 京太郎「ここまでの実力者が揃いながら、清澄が優勝を狙うには力不足だと思えるのなら」 京太郎「それは少しばかり観察眼というか、まあ“何か”が足りないんじゃないでしょうか」ニコッ ゆみ「君は……随分と人をからかうのが好きなようだなっ……」ギリリッ ゆみ「仮に、だ」 ゆみ「仮に来年鶴賀の麻雀部が団体戦に出られないとしても」 ゆみ「モモには個人戦があるだろう」 ゆみ「そうなれば、少なくとも彼女の才能が埋もれるということはない!」 ゆみ「彼女は、あの特殊な能力が先行してはいるが、麻雀の実力も文句のないレベルだと思っている」 ゆみ「問題は全くない」 京太郎「……東横さんは、どうして麻雀部に入ったんでしょうか?」 ゆみ「!」 京太郎「どうやら彼女は初めから麻雀部に入ろうとは思っていなかったようですよね?」 京太郎「誰かが強引に麻雀部に連れ込んだと聞いていますが」 ゆみ(この男……いったい…) 京太郎「もしもですよ」 京太郎「もしもその人がいなくなってしまったら」 京太郎「東横さんが麻雀部にいる理由、その物自体が消えてしまうということになるのではないでしょうか?」 ゆみ「!?」 ゆみ(そんな……モモが……) ゆみ(いや、そ、そんなことはないはずだ) ゆみ(…………ホントにそう言えるのか……?) ゆみ(いや、まて、相手のペースに飲まれるな!) ゆみ「どうも人の周りを嗅ぎ回るのが好きな、趣味の悪い人間がいるようだが」 ゆみ「いったい、どこからそんな噂話を仕入れてきたのかな」 京太郎「加治木さん、あなたほど聡明な方だ」 ゆみ(無視、か) 京太郎「人の気持ちに鈍いというわけでもない」 京太郎「なら、もう気づいているんでしょう?」 京太郎「東横さんがあなたに向けている感情に、ね」 ゆみ(…………っく!?) 京太郎「自らの存在を非常に認識されにくいという、あまりにも特異な体質を持って生まれてしまった、一人の女の子」 京太郎「存在を気づいてもらえないがために、誰からも必要とされることなく生きてきた」 京太郎「だがある日、そんなつまらない日常から自分のことを引き上げてくれる人が現れた」 京太郎「彼女がどれほどの喜びを感じたかは、想像に難くありません」 京太郎「そして、求められるということに喜びを感じた彼女は、恩人とも呼べるその人に着いていくことを決める」 京太郎「ですが……」 京太郎「自分を見つけてくれたその人は、自分自身が麻雀の大会に出るための頭数が欲しかっただけで」 京太郎「高校生活最後の試合が終わると、目の前から姿を消してしまう」 ゆみ「!!……ち、違う!!」 ゆみ「私はそんな……そんな道具のような扱い方をモモにしてきたことは断じてない!!」 ゆみ「モモは私の大事な……大事な仲間だ!」 京太郎「仲間……そうですよね」 京太郎「あなたから見れば、彼女は確かに大切な仲間です」 京太郎「ですが、お分かりのはずです」 京太郎「彼女が貴女との間に求めている関係は、もっと特別なものだと」 ゆみ「そ……れは」ビクッ ゆみ(たしかに、モモが求めているものはわかっている、が……) 京太郎「そして、貴女がどんなに彼女のことを大切に思っていたとしても、鶴賀を去ってしまうのは、曲げることのできない事実」 京太郎「彼女が麻雀部にいる理由を失ってしまうのも、従って事実です」 京太郎「ですから“このままでは”彼女の才能は埋もれてしまうんですよ」 ゆみ(…!) ゆみ(まさか、コイツの狙いは) 京太郎「本題に入りましょうか」 京太郎「東横桃子さんが後腐れなく清澄の麻雀部に入れるように、彼女との縁を完全に断って頂きたい」 ゆみ「ば……馬鹿かお前は!」 ゆみ「私がそんなことをすると思っているのか!」 京太郎「他のメンバーの方のことでしたら、どうぞご心配なく」 京太郎「彼女たちも、まとめて受け入れる準備は出来ていますから」 ゆみ「準備が出来ている……だと?」 ゆみ「まさかこの話、久も噛んでいるのか……?」 京太郎「おっと、この話は完全に俺のワンマン企画ですよ」 京太郎「うちの部長はああ見えて、曲がったことが大嫌いでしてね」 京太郎「おまけに頭がキレて、感も鋭い」 京太郎「部長にばれずに準備をするのは大変でしたよ」 京太郎「本当はもっと面倒な手順を踏んで東横さんに接近するつもりだったのですが」 京太郎「今回の合宿企画が持ち上がったのは本当に幸運だったというより他ありません」 京太郎「この機会を逃すと面倒なので、加治木さんには早くご決断をして頂きたいのですが……」 ゆみ「……君が清澄の戦力の増加のために、モモをうちから盗ろうとしているのは分かった」 ゆみ「しかし、君は男子部員で、女子部員の成果は直接利益になるとは思えない」 ゆみ「なのにどうしてそこまでモモに固執するんだ?」 京太郎「……正直言って、今の清澄は部長の強力なリーダーシップによってまとめられている状態です」 京太郎「飄々としていながら、彼女ほど抜け目のない人間もなかなかいない」 京太郎「うちのメンバーは、一人ひとりが優れた雀士ではありますが、部長の跡を継いで組織を引っ張っていける人間がいない」 京太郎「宮永はそもそも内向的な性格ですし、片岡は自分勝手すぎる」 京太郎「原村は信念が強すぎるあまり、狭窄な考えに陥りがち」 京太郎「染谷先輩は一番まともではありますが、いい人どまりでリーダーとしては力不足な感が否めません」 京太郎「そうなったとき、いったい誰が部の舵取りをしていくのか」 京太郎「そうなった時に、俺がその責務を引き受けようと思っているわけです」 ゆみ「随分自己評価が高いと見えるな」 ゆみ「私にはただの自惚れにしか感じられないが」 京太郎「消去法ですよ、手配の中に安牌がこれしかなかったんです」 京太郎「ともかく、俺がそうやって部をチームとしてまとめ上げていくとなれば、当然勝ち進むために何ができるのか、と考えるわけです」 京太郎「そして、まずは強力な人間の頭数を増やそうと思ったわけです」 京太郎「部内に強者が大勢いれば、内輪の練習だけでも十分技量の進歩は望めますから」 ゆみ「この陰険な謀は、全て部のためにやっていることだと言いたいのか」 京太郎「もちろん、それだけではありません」 京太郎「先程も申しましたように、清澄麻雀部は高い確率で優勝杯を持って帰るでしょう」 京太郎「そして、来年、再来年とそれを続ければ」 京太郎「史上初の3連覇を成し遂げる、ということになります」 京太郎「……今や、麻雀はこの世界で最大のゲームとなっています」 京太郎「そして麻雀強豪国である日本のインターハイで殿堂入りになるということは」 京太郎「世界レベルで実力が認められることになるでしょう」 京太郎「そうなったとき、そのチームを間接的に勝利に導いた人間も、十分すぎるおこぼれを貰えるのでは」 京太郎「そう考えたんですよ」ニコッ ゆみ(やはり私腹を肥やすことを考えていたようだな) ゆみ(しかも仲間を利用して……どこまでも下衆な男だ) ゆみ「久に……この話が知れたらどうするつもりだ?」 ゆみ「たったさっき自分で言ったばかりじゃないか」 ゆみ「久は曲がったことが嫌い、そう自分で言っただろう。短い付き合いだが、それは私もよく知っている」 京太郎「確かに多少面倒なことになりますが、問題ありませんよ」 京太郎「そもそも、この話は加治木さんに伏せたまま進めても、何の問題も無かったんですよ?」 京太郎「大切なのは“桃子”さんの意思ですから」 ゆみ(桃子……だと!?) ゆみ「キサマが彼女をその名で呼ぶな!!」 京太郎「落ち着いてくださいよ、加治木さん」 京太郎「俺があなたにこの話をしたのは、桃子さんができるだけ憂いを残さずに清澄に来れるようにしたかったから」 京太郎「俺は心の底から彼女のことを案じているんですよ?」 ゆみ「減らず口をっ……!」 京太郎「よく考えてみてください」 京太郎「一度求められることを、暖かさを知ってしまった彼女は、もはや以前のような孤独には耐えられなくなっているでしょう」 京太郎「いつ瓦解するかもわからない、風前の灯のような部活で、孤独に耐えながら暮らすのと」 京太郎「全国制覇の錦を飾る場所で、みんなから必要とされながら送る高校生活」 京太郎「どちらが桃子さんにとって幸せだと思いますか?」 ゆみ(…………) 京太郎「ねぇ、加治木さん」 京太郎「いい夢、見れたでしょう?」 ゆみ「な……っ!?」 京太郎「皆で全国を目指して走り続け」 京太郎「途中で敗退はしたけれど」 京太郎「それでも夢のように楽しかったんじゃないですか?」 京太郎「高校生活最後の、素敵な思い出は“もう出来ている”んですよ」 京太郎「ですが、桃子さんにはまだまだ未来があります」 京太郎「あなたが自分の思い出のため“だけ”に作った部活に、無理に残す必要はないでしょう?」 京太郎「彼女を夢の抜け殻に縛り付けておくなんて残酷な真似が」 京太郎「あなたにできるんですか?」 ゆみ「そ、んな……しばる、なんて……そんな…つもりは」 京太郎「加治木さん、あなたと桃子さんの関係、どうして俺が知っていたと思います?」 ゆみ「…………あ、え……?」 京太郎「直接聞いたんですよ。“モモ”から」 ゆみ「何を……」 ゆみ(何を……言っているんだ……この男は) 京太郎「話の流れで気づきませんでしたか」 京太郎「モモは、もうこの話を了解済みなんですよ」 京太郎「だから、あなたとのことも全て知っているんです」 京太郎「“モモから皆聞かせてもらいましたから”」 ゆみ(…………なんだ、なんなんだこれは) ゆみ(このおとこはいったいなにをしゃべっているんだ) 京太郎「ですから…………ぁ……」ボソッ ゆみ(え?) 京太郎「いいえ、なんでもありません。話を続けましょう」 ゆみ(なんだ、この男、一瞬むこうを見) ゆみ(!) ゆみ(モモ、と、清澄の……原村と、宮永……?) 京太郎「……こでは……ろと……あれだけ……」ブツブツ ゆみ「な、んの、ことだ」 京太郎「…………いえ、モモにはその、清澄に入ってからもスムーズに行くように」 京太郎「人間関係もある程度構築しておくように言っていたんですが……」 京太郎「できるだけ内密にしろと言ったはずなんですが……」ハァ ゆみ( ) ゆみ( ) ゆみ( ) 京太郎「ああ…………加治木さん」 京太郎「彼女はこっちに来ることを決めてからも、あなたのことでずいぶん悩んでいました」 京太郎「最後までモモの心を縛っていたのは、部活でも麻雀でもなく」 京太郎「貴女だったんですよ、加治木ゆみさん」 京太郎「だから、俺は最後の憂いを立つために、あなたにこのお話をしたんです」 京太郎「分かって頂けますよね」 ゆみ「」ガクッ ゆみ「」ドサッ ゆみ「モモ……私は…………お前……モモ」 京太郎「色よい返事を……いえ、返事は結構ですので、行動で示してください」 京太郎「失礼します」スゥ… ~翌朝~ ――車の前―― 久「それにしても、なんだかつやつやしてない?」 ゆみ「まさか、今にも倒れて眠りたい気分だよ」 久「確かに、あなたの後輩の……東横さんはそんな感じだけど……」 ゆみ「ああ、二人でちょっと遅くまで話をしていてな」 ゆみ「うちの麻雀部は来年も人集めが大変だし、そのことについて、な」 久「ふぅん……」 ワハハ「おーい、そろそろ出発するぞ。名残惜しいのはわかるけど、早く車に乗ってくれ!」ワハハ ゆみ「だそうだ。悪いがもう行かせてもらうよ」 久「ええ…………ねぇ、ゆみ」 ゆみ「ん?」 久「あんまり無理させちゃダメよ?」 ゆみ「………………善処しよう」 久(微塵も反省してないみたいね) 久(東横さんも大変ねぇ……) 桃子(痛いっす……あらゆる箇所が痛いっす……) 桃子(須賀京太郎……まさかこんな搦手を使ってくるとは……) 桃子(でも) 桃子(やっぱり、誰かに求められるっていうのは、あったかいっすね)フフ 佳織「桃子さん……? どうかしました?」 桃子「いや、楽しかったなぁって」 桃子「新しい知り合いも出来たし」 桃子「今までの私の人生じゃ、考えられないくらい楽しかったっす」 佳織「人生って……」 桃子(ん? あれは) 京太郎「」サムズアップ 桃子(……今回は感謝してやるっす) 桃子「須賀京太郎」ボソッ ゆみ「」ピクッ 桃子(あ、やば) ゆみ「モモ」 桃子「は、はいっす……」 ゆみ「今日はそういえば、午後から私の家で勉強を見てやる予定だったよな」ニコニコ 桃子「いやぁ、その、今日は疲れたから家でゆっくり休みたいかなぁって……」 ゆみ「なら、私の家に来て、我慢できなくなったらそのまま寝ればいい」 ゆみ「泊まっていってもいいしな」 桃子「き、今日は帰って撮っておいたドラマを」 ゆみ「 モ モ 」ニ゙ゴッ ワハハ「……!?」ゾク 睦月(なに!?)ゾクゥ 佳織(ひぃ)ゾクゾク 桃子「……はいっす」 桃子(前言撤回) 桃子(ちょっと……いや、かなりやりすぎっすよ…) ――清澄部屋―― ブオォォォン ブロロロロロロ 和「んんぅ……」 和(車……そうか、もう朝なんですね) 和(鶴賀の人たちが帰るんでしょうか) 和「ふあぁ」ムクリ 和(それにしても……) 和(結局昨日の須賀くんのメールはなんだったんでしょう) 和(指定した時間に指定した場所で、東横さんと親しげに話して欲しいって……) 和(何を考えていたんでしょうか) 和「?」 和(この香りは……)スンスン 和(同類――百合の香り!?)バッ 和(あっち……鶴賀の車の方から……) 和(これは……)スンスン 和(加治木さんと、東横さん……でしょうか…) 和(おかしいですね……) 和(昨日の時点では何も……) 和(あのあと、何かあったということでしょうか?) 和「…………」 ――何処かの木の上―― ハギヨシ「京太郎君……」 ハギヨシ(まさか、あそこまでのことをやってのけるとは) ハギヨシ(彼のやったことは、話術で相手を乱すだけではない) ハギヨシ(衣様が月の力を得て、卓上を支配するように) ハギヨシ(彼はこの周囲一帯の空間を、自らの気……いや、自らそのもので染め上げた……) ハギヨシ(まさか、使えるものが今の世に生まれようとは……) ハギヨシ(一体貴方はどこへ行こうというのです……) ハギヨシ(もしかしたら私は、とんでもない怪物を目覚めさせてしまったのでは……) ハギヨシ(………………) ハギヨシ(師としては失格かもしれません) ハギヨシ(しかし、私は……) ハギヨシ「見たい」 ハギヨシ「京太郎君、あなたがどんな覇道を征くのか」 ハギヨシ(あんなものを再び“魅せ”られては、どうしようもないですね) ハギヨシ(そういえば、あの方は今一体何をしているのでしょうか……) ~帰宅後~ ――木間書店―― 京太郎(今回はさすがに疲れた……) 京太郎(まさにカミソリの上を滑るような、危険な賭けだった) 京太郎(アトモスフィアでの情報収集の成果がなければ、あそこまでうまくいかなかっただろう) 京太郎(まさに日頃からの地道な作業が実を結んだと言える) 京太郎(なぜか失敗のビジョンは少しも浮かばなかったが) 京太郎(もしかしたら、咲とか衣ちゃんの感覚って、あんな感じなのかもなー) 京太郎(しかし、丸く収めるためとは言え加治木さんには随分ひどいこと言っちまったな……) 京太郎(今度会うことがあったら、ジャンピング土下座で謝る必要があるか) 京太郎(得られるものも多かったけど、やっぱりこんなことは二度とやりたくないな……) 京太郎(まぁ二人の様子はしっかりと記録させてもらいましたがね!) 京太郎(それにしても、ボロボロになったことに変わりはないか……) 京太郎「さっさと帰って」 『ひらり』 京太郎「これを読んで、癒されたい……」 京太郎(昨今、百合雑誌が増えてきている) 京太郎(まだまだマイナーなジャンルであることは否めないが、それでもこの流れは喜ばしい限り) 京太郎(中でも百合姫の他に出版されている百合雑誌『つぼみ』と『ひらり』の存在は大きい!) 京太郎(今回買う『ひらり』は、平尾先生の短編や、最近画力が向上してきた袴田先生の作品など目を離せない要素がたくさんあるが) 京太郎(なかでも俺が注目しているのはTONO先生の「ピンクラッシュ」!) 京太郎(ガチ百合娘のアタックを受けているうち、徐々に彼女のことを受け入れていくマールの姿が堪らない!) 京太郎(ただ、初期に掲載されていた小説がなくなってしまったのは残念ではあるが……) 京太郎(まぁそれより今は、さっさと家に帰ってこいつを堪能する方が重要だ!) ?「あれは……」ジー カン!