約 102,323 件
https://w.atwiki.jp/fezgimel/pages/235.html
部隊名 初心者教育し隊 歩兵戦力 ★☆☆☆☆ 裏方戦力 ★☆☆☆☆ 連携力 ★☆☆☆☆ 厨房度 ★☆☆☆☆ 総合力 ★☆☆☆☆ 所属国 ゲブ 部隊長 不明 人数(Act.) 部隊特徴 部隊タグ #初 初心者育成 問題児 タグ ゲブ 部隊 総評 爆発した模様。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/tohoku-suisou/pages/128.html
宮城教育大学 年 指揮者 編成 課題曲 自由曲 県大会 東北大会 全国大会 2010年 熊谷圭太 大 Ⅳ 交響的詩曲「走れメロス」(福島弘和) 銀賞 2009年 ??? 大 Ⅳ バレエ音楽「ガイーヌ」より 序奏、友情の踊り、アイシェの孤独、剣の舞、収穫祭(A.ハチャトゥリアン/中原達彦) 銀賞 2008年 長岡立大 大 Ⅲ ローザのための楽章~公民権運動のヒロイン、ローザ・パークスに捧ぐ(M.キャンプハウス) 銀賞 2007年 畠山渉 大 Ⅳ 「鳳凰が舞う」より 印象、京都、石庭、金閣寺(真島俊夫) 金賞 2006年 野川健太郎 大 Ⅲ 歌劇「トゥーランドット」より(G.プッチーニ/石津谷治法) 銀賞 2005年 石川聡 大 Ⅱ 3つの交響的素描「海」より Ⅲ,風と海の対話(C.ドビュッシー/八田泰一) 金賞 2004年 渡部智喜 大 Ⅰ バレエ音楽「中国の不思議な役人」(B.バルトーク/淀彰) 金賞代表 銀賞 2003年 渡部智喜 大 Ⅳ 交響詩「ローマの噴水」より 朝のトリトーネの噴水、昼のトレヴィの噴水、黄昏のメディチ荘の噴水(O.レスピーギ/磯崎敦博) 金賞代表 銅賞 2002年 佐藤善郎 大 Ⅰ 管弦楽組曲「第六の幸運をもたらす宿」より Ⅲ,ハッピーエンディング(M.アーノルド/瀬尾宗利) 金賞 2001年 坂本崇 大 Ⅰ 3つの交響的絵画「寄港地」より Ⅱ,チュニスよりネフタ Ⅲ,ヴァレンシア(J.イベール/P.デュポン) 金賞代表 金賞 2000年 林祐毅 大 Ⅲ 楽劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り(R.シュトラウス/M.ハインズレー) 金賞代表 金賞 1999年 杉浦章子 A Ⅳ 組曲「キャンディード」より(L.バーンスタイン/C.グランドマン) 金賞 1998年 後藤新平 A Ⅰ 「交響曲第2番」より 第3,4楽章(A.ボロディン/小長谷宗一) 銀賞 1997年 高橋一暢 A Ⅱ 「ハムレットへの音楽」より エルシノア城、俳優たちの入場、クローディアス王の宮中(A.リード) 金賞 1996年 照井唯史 A Ⅰ 「ミシシッピ組曲」より Ⅳ,マルティ・グラ(F.グローフェ/瀬尾宗利) 金賞代表 銀賞 1995年 鎌田治郎 A Ⅳ 組曲「ヴァレンシアの寡婦」より 序奏、ワルツ、ソング、ダンス(A.ハチャトゥリアン/仲田守) 金賞 1994年 西礼一郎 A Ⅳ バレエ音楽「シンデレラ」より 序奏、ギャロップ、真夜中(S.プロコフィエフ/川上修一) 金賞 1993年 鎌田治郎 A Ⅱ 組曲「仮面舞踏会」より Ⅰ,ワルツ Ⅳ,ロマンス Ⅴ,ギャロップ(A.ハチャトゥリアン/仲田守) 金賞 1992年 渋谷勝輝 A A 交響曲第1番「指輪物語」より 魔法使いガンダルフ(J.デ=メイ) 銀賞 1991年 佐藤達郎 A B バレエ音楽「白鳥の湖」より 第1幕の情景、終幕の情景(P.チャイコフスキー/淀彰) 金賞 1990年 今野聡 A A メトセラⅡ~打楽器群と吹奏楽のための(田中賢) 金賞 1989年 渥美俊彦 A C 楽劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り(R.シュトラウス/M.ハインズレー) 金賞 1988年 佐藤伸弥 A C 二つの交響的断章(V.ネリベル) 金賞 1987年 岩倉一治 A A アルメニアン・ダンス・パートⅠ(A.リード) 金賞 1986年 高橋康博 A B 「交響曲第2番」より 第3,4楽章(A.ボロディン/小長谷宗一) 金賞 1985年 寺田潤 A B 歌劇「グヴァンドリーヌ」序曲(E.シャブリエ/M.ハウエル) 金賞 1984年 蝦名博人 A D 交響詩「ローマの祭」より Ⅰ,チルチェンセス Ⅳ,主顕祭(O.レスピーギ/W.シェーファー) 金賞代表 金賞 1983年 細谷直 A C 「幻想交響曲」より Ⅴ,サバト夜の夢(H.ベルリオーズ/八田泰一) 金賞代表 金賞代表 金賞 1982年 後藤浩一 A B 組曲「パシフィック・セレブレーション」より 祈り、パレード(R.ニクソン) 金賞代表 銀賞 1981年 藤村文二 A A プレリュードとダンス(P.クレストン) 金賞代表 銀賞 1980年 鈴木芳夫 A D ディオニソスの祭(F.シュミット) 金賞代表 金賞代表 銀賞 1979年 佐藤崇 A A アンティフォナーレ(V.ネリベル) 金賞代表 銀賞 1978年 中館輝夫 A A 「交響的舞曲」より(A.ボロディン/C.W.ジョンソン) 金賞代表 金賞 1977年 高橋健一 A B 歌劇「ローエングリン」より エルザ大聖堂への行列(R.ワーグナー/L.カイエ) 金賞代表 金賞 1976年 大谷義昭 A A ハンガリー狂詩曲 第2番(F.リスト/T.ドバニ) 金賞代表 銀賞 1975年 高橋健一 A B 吹奏楽のための民話(J.A.コーディル) 金賞代表 銀賞
https://w.atwiki.jp/shomen-study7/pages/1530.html
学校教育法施行規制
https://w.atwiki.jp/sk_rexi/pages/694.html
名称:生業[教育福祉] アイテム種類 過去(過去) レア度 B 詳細 現代世界での職業の設定。「教員・塾講師・学芸員・介護士・ホームヘルパー」から選択。 ★
https://w.atwiki.jp/jososs/pages/82.html
再教育 人里を少し離れた先に、大きな屋敷があった。 そこには、中学生になる男の子の晶と、高校生の姉の葵と数人のメイドが住んでいた。 両親は、莫大な遺産を残して晶がまだ小学生で、姉が中学生の時に事故死してしまった。 親と死別したときは遺産目当てに多くの親戚が自分のところに来るように手招いた。 しかし、その一切を姉が断りこの家に残ることを選んだ。 もちろんまだ中学生だった姉がそんなことを決断できるわけもなく、 実際に断るように言い聞かせたのはその当時両親から買われた、 良家だった家系から身売りされていたまだ17歳だったメイドだった。 このときは、家には両親も居たため、実際にはこのメイド一人だった。 しかし、財産の管理から家事や外部との関係を一人でやりくりするのは到底無理なため 自分以外にも身売りされている娘を競り落とし、メイドとして教育した後に屋敷で働かせていた。 由利絵の指導の上手さが重なってか、買われた娘達もメイドとしてすぐに仕事になじみ、 両親が亡くなって以来ゴタゴタとしてきた屋敷内も、ようやく落ち着いてきた。 しかし、そんな中また新たな問題が浮かび上がってきた…… 「こんなの食えるかよ!」 夕食の時間、声を荒げて料理が盛られている器を思いっきり床にたたきつける晶。 そして、床に零れ落ちた食材と食器の欠片をそばについていたメイドがすぐに片付けようとする。 「も……申し訳ございません! すぐに片付けますので……」 「晶!せっかく作ってくれた料理になんてことするの! ……貴方が片付けることないのよ、晶! 片付けなさい!」 葵がきつい言葉で、晶を注意する。 しかし、晶はそっぽを向いて全く聞こうとせず、それどころか葵にまでも反抗する。 「うるさいっ! こいつは雇われているんだから片付けるのは、当然だろ! …あ~ぁ、部屋でカップめんでも食べよ。こいつの飯よりかは100倍美味いわ」 と散々メイドを罵倒した後、晶は席を立つとその場から立ち去る。 そんな晶を見て、葵は引きとめようとするが無駄だった。 「ちょっと! 待ちなさい、晶! ……ごめんなさいね、アイツがわがままなばっかりに……」 「い、いえ…。私の至らない料理に問題があったんですから……叱られても当然です……。 それに、私はここに来れなかったら、今頃どうなってたか…… それから考えれば、こんなのどうって事ありません」 と片付けながら葵に言う新人のメイド。 顔こそ笑顔で応えていたが、無理しているということは、葵にも十分解っていた。 「ごめんなさいね……本当に。 ……それにしても、晶はちょっときつい躾が必要ね…」 葵は呟き、何かを決心した。 そして、食事を済ませた後、メイド長がいる部屋に向かった。 「すみません、由利絵さん。入ってもいいかしら?」 「葵様?どうぞ、入ってください」 と部屋の中から声がすると、葵が部屋の中に入る。 その中には、メイド服を着た女性が机に座りなにやら作業をしていた。 この女性こそ、両親が死別してから晶と葵の親代わりをしてきたメイド、由利絵だった。 葵は、両親が死別してからは何かあると由利絵に相談しており、本当の母親のように慕っていた。 「どうしたんですか? 葵様」 「あの…晶のことなんだけど…最近ちょっと反抗的過ぎない?」 葵は晶が反抗的な態度をとっていることを相談しに来た。 晶のことでは彼女も頭を悩ませていた。 「あぁ……晶様のことですね。 メイド達も晶様のことで愚痴をこぼしてますよ」 「やっぱり…そうよね。 晶は私がちゃんと躾けてきたと思っていたのに……」 と少し申し訳なさそうに話す葵。 「そんなことありません…葵様は立派に躾けてくださってますよ。 しかし、確かに最近は少し目に余るものがありますね…。 そこで提案なのですが、私に晶様の躾を任せていただけませんか? 少々荒治療になりますが、すぐに素直でやさしい晶様になると思いますよ」 と、晶の躾を自分からすると言い出す由利絵。 葵は自分では手に負えないと思い、躾を由利絵に任せることを決めた。 「そうね……由利絵さんなら、任せてもいいかな…。 じゃあ、由利絵さんお願いします」 「わかりました。 では、早速明日からさっそく……」 このとき、由利絵がにやりとした表情に葵は気づくことはなかった。 「晶様。晶様…朝でございますよ。」 「う……うぅん……なに……?」 晶が目を擦り、時計を確認すると、まだ朝の5時だった。寝ぼけ目で、声を主を探すと、そこにはいつも自分を起こしに来る由梨絵の顔が見えた。 「おきましたね。さ、早速お仕事ですよ。」 晶はいきなり仕事といわれて多少困惑したが、学業のことを指していると解釈した。晶はバイトもしていないので、そう考えるのが普通だと言える。 「???……今日は学校休みだろぉ…」 そう勝手に解釈すると、学校が休みだったこともあり晶は再び布団の中に潜り込んだ。この時、晶は由梨絵が勝手に日にちを間違えているだけと思っていた。 しかし、由梨絵はその言葉のまま、すなわち晶に労働してもらうために晶を起こしにきたのだった。由梨絵は、また布団に潜り込んだ晶の布団を捲りあげる。 「ひゃっ…な、なにするんだよ!今日は休みだって言ってんだろ!」 晶は由里絵を睨みながら反抗すると、由利絵が持っている上掛け布団を取り返そうと、座ったまま上半身を起こしあげて両手で布団に掴みかかる。 しかし、由利絵は渡さまいと片手で持った上掛け布団を晶の手に届かせないようにベットから放り出す。 「な、なにしてんだよ!」 その態度に晶は頭にきたのか、由利絵を思いっきり睨みつけながら怒鳴りつける。しかし、由利絵は全く動じずいつもの通り冷静に話しかける。 「最近の晶様の態度には目に余るものがございます。晶様には他人を思いやる心が足りないようなので、メイドとして私達と共に働いてもらいます。そして、いかに私たちが苦労しているかを身をもって体験してもらいます。」 突然の由梨絵の言葉に晶はあっけに取られた。 「な…何言ってるの?俺は主人だぞ?その俺が、なんで奴隷として買われたお前らとなんで働かなくちゃいけないの?」 「先ほど申し上げた通り、晶様の態度があまりにも目に余るからです。そして、晶様にはいかに私たちが苦労しているかを身をもって体験してもらうことで、他人を思いやる気持ちを身につけてもらうためです。」 自分が主人の立場にあるのに、メイドとして働けなどと言われたりして晶はわけがわからなくなっていた。 晶は、もう一度自分が主人であることを強調する。 「お、お前何言ってるのかわかってるのか?そんな、反抗的な態度を取るんなら、姉ちゃんに言ってまた売り飛ばしてもらうぞ!」 必死に抵抗する晶を見てくすっと笑う由梨絵。その表情が更に晶の怒りを買った。 「なにが可笑しいんだよ!」 「晶様…いえ、晶。そんなこと、貴方にできるのかしら?私がやめたら、この家はどうなるのかしらね。私は家事だけではなく、財産管理や外部との取引などもしているのよ。まだ、社会に出ていない貴方や、貴方のお姉さまはそんなことできます? ……おそらく、言うがままに他人に騙されてお父様がお残しになった会社の権利書や家の財産、全部もっていかれてしまうでしょうね。」 事実、由梨絵が家事もやっているのを事実だし、会社も社長には葵の名前が書かれていた。 まだ高校生の葵にそんな重役が勤まるわけも無く、実際に働いているのは由梨絵だった。 由利絵は元々、買われた頃から父親の仕事の手伝いを手伝っていたため、仕事の要領もかなり良く、職業柄か人当たりも良く部下にも好評だった。 そのためか、父親の会社は潰れず、むしろ父親がやっていた頃よりも会社は好景気だった。 このことから、由利絵が居なくなることは両親が不在の今、この家にとってかなり痛手になることは中学生だった晶にもわかっていた。 しかし、主人である自分のこと呼び捨てにしたり、自分を奴隷と同属に見ている由梨絵を、晶は許せなかった。 「う……うるさい!とっとと出て行け!」 晶は力いっぱい、由梨絵に反抗した。しかし、由梨絵には子犬が吠えているようにしか聞こえなかった。 「貴方に私をクビにできる権利はないのですよ。まぁ、主人である葵様が"辞めろ"と言うのであればしかたないですが… 貴方は今"新人メイド"という立場なのですよ。新人メイドがメイド長をクビにすることなんて、聞いたことないですね。」 晶をまるで小ばかにするように言う由梨絵。しかし、由利絵は表情一つ変えずに話す。 「お、お前……本気で言ってるのか…?」 「えぇ。本気ですが。じゃあ早速、この服に着替えましょうね。ほら、いつまでベットに座ってるつもりですか?メイドの朝は早いんですよ。」 由里絵は、晶の細い腕を掴みグッと力を入れてベッドから引きずり降ろそうとする。晶はそうはさせまいと、必死に抵抗するが無駄な足掻きだった。 晶の威勢の良さは口だけで、力は全くといっていいほど無かったため、あっという間に由利絵の手によってベットから引きずり降ろされてしまう。 「やめろよ!…うわっ」 晶は、抵抗することに必死で自分がベットに注意を引いていなかったため、思いっきり床に尻餅をつく。 「あらら、いつもは威勢がいいのに、口だけだったんですねぇ。ほら、立ち上がれる?ん?」 由利絵はしゃがんで、床に尻餅をついている晶の目線と合わすと、ニコニコしながら晶に手を差し出す。晶はその手を取らず、思いっきり叩く。 「馬鹿にすんな!」 そう言うと、晶は自分で立ち上がる。 「いけませんね、メイドがそういう態度だと。…まぁ、初日ですから、多めに見ますけど。じゃあ、早速これに着替えてください。」 由利絵はベットのそばに置いてあった服を拾うと、広げて晶に見せ付ける。この時点で由利絵が、冗談ではなく本気で言っていたことを理解した。 「う…うそだろ…」 「だから、さっきも言ったじゃないですか。貴方は今日から新人メイドとして働くんだって。」 本気で怖いのか、晶の顔が段々と引きつってくる。 「い…いやだ…絶対に着ない!」 「あら、メイドさんがこの服着ないなんて珍しいですね。でも、メイドとして働くにはこの服を着なきゃ駄目ですよ。さぁ、着替えてください。」 由利絵がそういうと、晶にメイド服を手渡す。しかし、晶は手渡された服を足元に落すと、その服を足で踏みつける。 「いいかげんにしろよ!こんなもん男の俺が着られるわけないだろうが!もういい、俺が姉ちゃんに直接話しつけるから。」 晶は、部屋から出ようとしてドアを開けようとする。しかし、何度引いてもドアは開かなかった。 「あ、あれ?なんで?」 ガチャガチャとドアを引き戸を何度も引いている晶の後ろで、由利絵は晶が踏んだメイド服を拾うと、晶のすぐ後ろまで近づいて話しかける。 「鍵かけてますから開きませんよ…」 晶が驚いて後ろを振り向くと、そこには先ほどの表情とはうって変わって、冷たい目で晶を見下ろしている由利絵の姿があった。 「あなた…まだ自分の立場がわかってないようですね……あんまり自分勝手だと私も怒りますよ…?…さ、着てください。」 由利絵は手に持ったメイド服を再び晶に手渡すが、晶は頑なに断る。 「だから、嫌だって……」 晶が続きを言おうとした瞬間、由利絵が晶の頬に思いっきりビンタをする。あまりの突然のことで、痛さも忘れて呆気に取られた晶に由利絵は、表情一つ変えず、言い放す。 「着なさいって言ってるの……」 晶の頬から、ジワジワとビンタされたときの痛みが顔全体を覆うように伝わってくる。その痛みと、由利絵の冷たい声から来る恐怖を何とか押さえ込み晶は声を震わせながらも抵抗する。 「だ、だから俺は…」 まるで、晶に発言権を与えないかのように、由利絵は再び晶の頬を思いっきりビンタする。頬を押さえて由利絵の顔を覗くと、こちらを思いっきり睨みつけていた。 そして、由利絵はそれ以上何も言わずにメイド服を差し出すだけだった。晶は、これ以上抵抗すると本気で何をされるかわからない恐怖から一時しのぎのためにその服を着ることにした。 「き、着るよ…着るから…」 「それでいいのですよ。さ、着替えてください。」 晶が折れたことがわかると、由利絵はまた普段の優しい表情に戻る。 晶は、女物の服を自ら着るという屈辱的なことをしなければならなくなった。 しかも、自分の召し使いであるメイドの前で。 「あの…せめて後ろ向いててくれないかな…?」 「あら、いけませんわ。新人メイドが着替えに困ったときに すぐに対応できるよう、ここで監視していなくてはなら無い義務がありますから。」 フフッと少し笑って言う由利絵。もちろん、そんな義務など無い。 ただ、晶の羞恥心を掻き立てたいだけである。 「じゃあ、いいよ…俺が後ろ向くから…」 「あらあら、先程言ったことがご理解なさっていないようで…。貴方が後ろを向いたら 私が義務を果たせないでしょう?だから、貴方は私の目の前で着替えるんです。 それとも、もう一度その可愛いお顔に傷をつけたいのですか?」 その言葉を聞くと、晶の頬から先程由利絵にビンタされた痛さがよみがえる。 晶は渋々でも、由利絵の言うことに従うしかなかった。 「あらあら、えらく素直ですね。いつものように"出てけよー"とか"うるせー"って怒鳴らないんですね。」 「う、うるせぇ…ょ…」 由利絵の怒りを買わないようにしていることもあってか、晶はいつものような怒鳴り声を荒立てることを遠慮しがちになっていた。 「無理しなくてもいいですよ。じゃあ、早速ですが着替えてください。あ、もしかして着替えさせて欲しいんですか?」 「じ、自分で出来るから…」 晶は、パジャマを脱ぎ下着姿になると、メイド服をそのまま着ようとしたが、由利絵がそれを制止した。 「あ、ちょっと待ってください。ごめんなさい、渡すの忘れてました。これを着てからその服を着てくださいね。」 由利絵がポケットから取り出したのは、丁寧に折りたたまれた水色と白の縞模様が入ったショーツだった。 「こ、これも履くの…?」 「そうですよ。嫌なはず…ないですよね♪」 不自然に微笑む由利絵の表情が、有無を言わせない表情だった。 晶は、また怒らせるのが怖くて仕方なく履くことにした。 「は、履くよ…」 「あら、こんな可愛い下着が好きだったんですね。男なのに変態ですね。」 由利絵は、男であることをわざと強調して言う。その言葉に、晶はますます頬を赤くする。 「う、うるさいっ!早く渡せよ!」 「はいはい、変態晶ちゃん。どうぞ。」 晶は半分やけになって由利絵の手からショーツを奪い取る。 そして、メイド服で股間を隠しその下から履いていたトランクスを脱いでショーツを履く。 (うわ…結構キツイかも…) トランクスには無い女性用特有の下着の締め付けが、晶のペニスとお尻にぴったりと締め付ける。 そして、晶はショーツを履いた自分の下半身をメイド服で股間を隠しながら恐る恐る見ると、 前がペニスのせいか、縞模様のショーツがすこし盛り上がっていた。 普通にしていたら確実に見ることの無い姿を見て、ショーツだけとは言え改めて自分が女装していることを実感させられる。 (お…俺…女装…してるんだよな…) その瞬間、女装という行為に興奮しているのか心臓が今まで以上に鼓動を早めていった。 それに乗じて晶のペニスが徐々に勃起し始めてきた。 (うわ…な、なんで!?) 晶は、これ以上勃起させないようショーツの上から片手でペニスを押さえつけるが全く逆効果だった。 ペニスは収まるどころか、手の刺激によってますますペニスは勃起していった。 自分の思いどうりにならないもどかしさと、目の前に由利絵が居ることが晶をさらに焦らせる。 (だから…なんで止まんないんだよ…!) 晶は股を閉じたりして必死にペニスを沈めさせようとしていた。 その姿を傍から見ていた由利絵は、なにか嬉しいのかクスッと笑って晶に野次を飛ばす。 「どうしたんですか~?さっきから、下ばっかり向いて?まさか、ぼっき…」 由利絵が"したんじゃないですか?"と続きを言おうとした瞬間、晶が声を上げる。 「う…うるさい!お前は待ってればいいんだ…よ…」 「はいはい、でも早くしてくださいね~。もうあんまり時間ないんですから」 その言葉は、晶の耳には入らなかった。晶は自分の勃起したペニスを隠すことで必死だったからだ。 しかし、晶が焦ってショーツの上から強く押さえれば押さえるほど、ペニスは縮まらず、 むしろカウパー液があふれてくる始末にまでなっていた。 思春期だったこともあり晶にはその快感に打ち勝つことは出来ず、いつの間にか晶は荒い息を上げながら、 目の前に由利絵が居ることも忘れてショーツの上からペニスをさすり始める。 「はぁっ……」 細い声で、うっかり声を出してしまう晶。晶はハッとして口を噤み俯いて由利絵に気づかれないように顔を隠す。 しかし、由利絵はその声を見逃すわけがなかった。 今まで少し距離を置いて見ていた由利絵が晶に近づき、晶の顔を覗き込みながら話す。 「なんですか~その気持ちよさそうな声は~?着替えているだけならそんな声でないですよね~?」 晶は先程までペニスを押さえていた片手で口を押さえ、由利絵を言っていることを否定するように首を横に振る。 しかし、晶は少しの刺激さえあれば簡単に射精してしまうぐらい限界で、 自分でも立っているのもやっとで足がガクガク震えているのが自分でもわかった。 由利絵は、それを見透かしてかわざと小さな声で晶に耳打ちする。 「……限界なんでしょう?我慢しないで…出しちゃいなさい。」 ばれている。晶は薄々気づいていたが、それが確信となった瞬間、凍ったように動かなくなった。 由利絵はそんな晶を見ながら、クスッと笑うと晶のあごを手で軽く持ち上げる。 晶の顔は恥ずかしさからか顔を赤くして、今にも泣き出しそうな目を由利絵と合わせないように視線を逸らしていた。 「うぅ…」 「かわいい子…んっ…」 由利絵は、晶の反応を見ながら口に舌を入れる。 晶は、初めてのキスという行為に体を震わせながら射精しないように目を瞑り、拳を硬く握りしめてグッと耐える。 そんな晶を見透かしてか、由利絵はお構い無しに晶の口内を犯していく。 それだけではなく、晶の射精を誘うように自らの豊満な胸を晶の体に押し付ける。 その感じたことの無い女性の体に晶は悶え、遂には我慢できなくなったのか射精してしまう。 「んっ…ん”っ――!ん”―――――!!!」 晶は初めての射精だったこともあり、大量の精液がショーツを染み込ませて、晶の足を伝って床に落ちていく。 そして、大きく目を見開き、言葉にならない声を由利絵に唇を奪われたまま叫ぶと、 顔を由利絵の胸に埋め、そのまま由利絵に体重を預けるように倒れこんでしまう。 「はぁ………はぁ………」 晶は顔が真っ赤で目は虚ろになっており、もう息をするので精一杯なようだった。 そんな晶を見下ろしながら、由利絵はニヤリと笑う。 「ふふ……そんな気持ちよかったのかしら?」 「……………」 晶には反論する余力すら残っておらず、何も答えることが出来なかった。 由利絵はそれ以上聞き入ろうとはせずに自分にもたれ掛かった晶を、近くのベットに寝かせる。 そんな、晶に由利絵はさらに屈辱的な言葉を投げかける。 「……情けない格好ですねぇ。晶様。奴隷のメイドにいいようにやられちゃって……」 晶は、悔しさから出て来そうになる涙を、片腕で目を覆い唇を噛みしめて必死に堪える。 力でも勝てず、今の状況をどうしようも出来ない自分に心底情けなくなっていた。 「く…くそぉ…なんで…なんで、こんなことに……」 「こんなことにって、貴方の態度に問題があったから躾として仕方なく私が面倒を見てあげますのよ。 ほら、いつまでも寝てないで、いい加減に着替えてください。」 由利絵は、目を覆っている片腕を掴むと強引に起き上がらせる。晶の目は薄っすらだが赤くなっていた。 「うわ……」 「あらあら…泣いちゃったんですか?」 「そうじゃない!お、お前が強引に腕を掴んだから…えと…その…跡がついたんだよ!」 晶は決して泣いてはいないことを強調するように、意味不明な言い訳をする。 由利絵は、深く突っ込まず簡単に受け流す。 「あぁ、はいはい。そうですね。それじゃあ、着替えましょうか。」 「ば、馬鹿にしやがって…お前なんか絶対に売り飛ばしてやるからな!」 「何度も同じことしか言えない頭の悪い貴方にそんなことできるのでしょうかね。 もういいです、私が着替えさせてあげますから。じっとしててください。」 由利絵は呆れたような顔をして、晶が落としたメイド服を拾い上げてそれを着させようとする。 晶は、精液で濡れたままのショーツを着替えずにメイド服を着させようとする由利絵を制止する。 「ちょ……ちょっとまってよ!せめて濡れた下着を着替えさせてよ……」 晶のショーツは精液をかなり染み込んでいる上に、ペニスも精液でベトベトになっており、 とても履き心地が良いとはいえなかった。 しかし、そんなささやかな望みさえ打ち砕かれることになる。 「いえ、それはできませんわ。だって精液を出したのは貴方の粗相が原因でしょう? それにショーツの替えも有りませんし。今日一日はそのショーツで過ごしてください。」 「そ、そんな……」 「ほら、着替えさせてあげますから、ジッとしているのですよ。」 由利絵は晶の要望を簡単に流すと、持っていたメイド服を人形に服を着させるかのように要領よく着替えさせ始める。 「ほら、ここはこうやって……こうやるんですよ。今度からは、ちゃんと自分で着替えられるようにしておくのですよ。」 由利絵は、晶が後から自分で着られるようにわざと声に出して着替えさせていった。 そして、メイド服を着させると、最後にカチューシャをつける由梨絵。 その姿は、姉の葵に似た女顔で髪が肩にかかる位長かったせいと、華奢な体に相まってか、到底男には見えなかった。 「とってもお似合いですよ。ほら、鏡を見てください。」 由利絵はそばにあった全身を写す鏡を持ってくると、その鏡を晶に向けて晶の姿を映し出す。 そこには、本当にメイド服が似合っている男の子が一人顔を赤くしながら立っていた。 「くっ…!」 顔を赤くして俯き、自分の女装している姿に恥らう晶。 そんな晶の仕草に由梨絵の中にある加虐心をくすぐられる。 由利絵は、今にも襲い掛かりたい心をグッと堪え、汚い言葉を使った晶を叱り付ける。 「ほら、"クソ"なんて汚い言葉、メイド足る者が使ってはいけませんよ。貴方は、今日から"主人"ではなく私たちと労働を共にする"メイド"として生活するのですからね。あぁそれと、この部屋を出てからは自分のことを"俺"ではなく"私"と呼ぶように。わかりましたね?」 由利絵は、決して厳しくは言わなかった。むしろ、からかっているようにも聞こえたが、目は本気だった。 変に刺激するとまた何かされてはたまらない晶は、素直に由梨絵の言うことに従った。 「は……はい……」 「よろしい。ちょっと遅くなりましたが、1階に皆さんもう集まっていると思うので、そっちに行きましょうか。」 二人は晶の部屋を後にして、1階にある部屋へと移動した。移動中も晶は恥ずかしいのか下を俯いたままだった。 しかし、その恥ずかしさもまだまだ序の口だったことを後から知らせれることになる。 「さ、着いたわよ。ここが、今日から貴方が働くところよ。」 由利絵が晶のほうを向きそう言うと、晶は部屋にある名札を確認する。 そこには、"メイド室"と書かれた札が立てかけられている部屋だった。 晶は、いよいよ本当にメイドとして働くのかと思うと、心底逃げ出したい気持ちになった。 「どうですか、初出勤の気持ちは?」 「………!」 明らかに晶をからかうような口調で話しかける由利絵。いつもの晶なら暴言を吐いたりするのだが、 今の晶には、睨みつけることすらできず、ただ悔しさを耐えるように唇を噛み締めながら頭を項垂れるしかできなかった。 そんな晶を見て、由利絵がクスッと笑い話し続ける。 「ふふ…緊張してるんですか?大丈夫ですよ。頭の悪い貴方にも、周りのメイドはきっと優しくご指導してくれますからすぐに慣れますよ。」 晶は今にも由利絵を思いっきり殴りかかりたい気持ちを唇を噛み締めて必死に押さえ込む。 ここで感情的になって切れてしまえば、またどんな折檻が待ち受けているのかわからなかったからだ。 (クソ……馬鹿にしやがって……こんな奴隷職に慣れてたまるか…大体メイドとして働くのは今日一日、一日だけだ! 明日になったら絶対姉ちゃんに言ってこんな奴、売り飛ばしてやるんだからな!) 晶は、今日一日耐えればまたいつもの生活に戻ると考えていた。 そんな様子をそばで見ていた由利絵は、計画通り事が運んでいるのが面白いのか、表情が自然にニヤけてしまう。 (キッチリ躾けてあげますからね…晶様……) 「じゃ、入りますよ。」 由利絵が、部屋のドアを開けるとそこには既に、6人のメイドが椅子に座り、会話を楽しみながら朝の食事をとっていた。 そこには昨日晶が皿を叩きつけたメイドの姿もあった。 由梨絵がドアの前で手を叩くと、メイド達が朝食を中断し一斉にこちらに視線を合わせる。 「はいはい。こっちに注目。今日からココに仲間入りする、晶ちゃんです。仲良くしてあげてね。ほら、晶ちゃんも挨拶は?」 「っ……新人の…あ、晶…です。よろしく……」 晶は、メイド達の痛い視線を感じながらも、自分の顔がばれないように頭を項垂れ、蚊の鳴くような声で挨拶する。 一瞬、呆気に取られたメイド達だったが、よく見ると今まで散々自分達を馬鹿にしてきた晶だとわかると、 ヒソヒソと小声で話し出す。 「ねぇ…あの子…晶様じゃないの…?」 「確かに似てるけど…人違いじゃないの?」 「でも声も晶様そっくりだったし…」 「偶然じゃないの?」 メイド達の小声が晶の胸に突き刺さる。明らかに自分が晶であることを疑っている。 いずれ知られることになるのは晶自身もわかっていたが、やはり1秒でも長く気づかれたくは無かった。 (せめて今日だけ…1日だけ…気づかないで…) そんな晶の願いも由利絵の一言で簡単に打ち砕かれる。 「そう。この子は、昨日まで貴方達を顎で使っていた晶様です。あまりの変貌振りに驚いたでしょ?」 由利絵が晶の肩に手をポンと置き、ニコニコしながら事実を打ち明けてしまった。 晶は、薄々感ずいてはいたが、本当に打ち明けられるとなると泣き出したくなった。 メイド達は、新人メイドが晶だということを知ると途端に騒ぎ出す。 「え~!?これ、晶様なんですか?」 「やだ、男なのにメイド服なんか着て~気持ち悪い~」 「恥ずかしくないの~?変態~クスクス…」 メイド達は、晶によっぽど酷い扱いを受けていたのか、ここぞとばかりに暴言を吐く。 晶は、好き勝手なことを言うメイド達を前にしてもいつもの様に怒鳴りつけることが出来ず、 ただ黙って唇を噛み締めて耐えるだけだった。 そんな様子の晶を見て、抵抗できないとわかったのか、一人のメイドが晶の目の前まで来る。 「ほら、なに頭下げてんのよ。先輩には面と向かって挨拶するもんでしょ!」 そう言うと、そのメイドが晶の髪の毛をグイッと持ち上げる。 そこには、唇を噛み締め、そのメイドを思いっきり睨みつける晶が居た。 しかし、そのメイドが昨日晶が思いっきり暴言を吐いたメイドだとわかると、途端に視線が泳ぎ始める。 「あらら?どうしたの?さっきまで私のこと思いっきり睨みつけてたのに。私が恨み持って貴方をぶつとでも思ったのかしら?」 メイドはクスッと笑い、話し続ける。 「どうぞご心配なく。貴方には一人前のメイドさんになって貰うため、私がきっちり教育してあげますから。大体、私、晶様と違って理由も無く人をぶつことに慣れてませんから。」 明らかに、晶を下に見たように言い放すメイド。晶は小声で悔しそうに呟く。 「く…クソッ…!」 「な~に?何か言った?良く聞こえなかったんだけど?」 相変わらず、メイドは晶を挑発するような言い方をやめない。 そんな小学生みたいな喧嘩も由利絵の一言ですぐに中断されることになる。 「ほらほら、虐めないの。貴方は先輩なんですから、いじめる立場じゃなくて教える立場でしょ。さ、有香さん、席に戻って。」 「あ……はい、すみませんでした。」 有香は、由利絵に向かって頭を下げると自分の席へと戻っていった。 有香が自分の席に戻ったことを確認すると、由利絵が話を再開する 「それじゃあ今日の担当を言うわね。」 次々、各メイドに仕事の担当が由梨絵から言い渡される。それを尻目に、一向に晶の名前が出てこない。 「……で、最後に有香ちゃんと、晶ちゃんは部屋の掃除を担当してもらうわ。有香ちゃんには、晶ちゃんにお仕事を教えてもらう指導役としてしばらく付き添ってもらうから、お願いね。」 「はい、わかりました。」 「他のみんなも、有香ちゃんだけに指導役押し付けるんじゃなくて、有香ちゃんが忙しいときは協力してあげてね。そうしたほうが、晶ちゃんもみんなと早く仲良く慣れると思うから。よろしくね。」 『はい。』 (う……うそだろ……) 晶の顔が青くなる。そんな晶の心情を尻目に、有香の頭は着実に晶にどう仕返ししようかと考えていた。 「それじゃあ、各自さっそくだけど仕事を始めて。あ、晶ちゃんと有香ちゃんはちょっとココに残ってね。」 『はい。』 メイド達が返事をすると、一斉に動き出し自分の担当場所へと消えていった。 由利絵が、残った有香と晶に説明を始める。 「えっと、有香ちゃんは晶ちゃんが早く仕事を覚えるようになるべく仕事を回してあげて。あ、でもちゃんと指導はするのよ。それと、晶ちゃんが何か駄々こねるようになって手がつけなくなったら私の所に来て。私は部屋で作業しているから。それじゃあ、仕事始めて。」 「はい」 「……はい。」 晶は小さな声で返事すると、有香が晶を見下ろしながら言う。 「それじゃあ、行きましょうか。"晶ちゃん"。」 クスクスと笑いながら言う有香。完全に馬鹿にしていた。 しかし、逆らうと由梨絵の折檻が待っていると思うと、晶は到底逆らえることができなかった。 「……はぃ…。」 晶は、有香の後ろをノコノコと付いていく。その先は、葵の部屋だった。 晶は姉にまでこんな姿を見られるのは耐え切れなかったので、別の部屋を先に掃除することを提案した。 「あ、あの…有香さん。姉ちゃんの部屋は後でもいいんじゃない…?」 「駄目。今日は、葵様の部屋から回るよう指示されているの。それと貴方、新人のメイドの癖にご主人様に向かって"姉ちゃん"って何様なの? ちゃんとした言葉遣いをしないと由利絵さんに報告するからね。」 有香が冷たい声で言い放つ。実際、掃除する部屋の順序などは決まっていない。 ただ葵にメイド姿の晶を見せたとき、晶がどんな反応するか見たかっただけだ。 そんな自分勝手な理由も知らない晶は、今では立場が逆転してしまった有香に、ただ平謝りすることしか出来なかった。 「ご、ごめんなさい…今度から気をつけます…」 「ん。特別に許してあげる。」 有香は以外にも素直に晶を許すと、有香が葵の部屋をノックする。 すると、中から葵の声が聞こえてくる。 「はい。どうぞ。」 部屋には葵一人、どこか出かけるのか、荷物の準備をしていた。 「失礼します。お部屋の掃除をしに参りました。あ、こちらは新人メイドの"晶"です。ほら、挨拶は?」 「ょ……よろしく……おねがいします……」 昨日まで、完全に下の立場だったメイドに強制的に挨拶させられる晶。そんな晶を見て、葵がさらに辱める。 「あら、晶ったらメイド服がぴったりお似合いね。これからキツイかもしれないけど頑張るのよ、"晶ちゃん"。有香さん、不束な弟だけどよろしくね。」 「わかりました。弟さんを"人を敬うことの出来る立派な"メイドに仕立て上げれるよう頑張ります。」 (…くっ…なんでこんな奴に…) 晶のプライドは朝から今までのたった数時間の間で、ボロボロにされていた。 故に、一刻も早くこの馬鹿げた状況を脱したかった。 晶は、葵が準備している所を見計い、思い切って自分がこんなことになってしまった経緯を話し始める。 このとき、晶は話せばきっとわかってくれると信じていた。 「ね……姉ちゃん。これは、由梨絵が勝手に俺を躾けるためとか何とか言って勝手にこんなことしたんだ! 俺が好きでこんなことやってるわけじゃないんだよ!俺が言っても、あいつ全然聞かないんだ。だから、姉ちゃんからアイツをクビにしてくれよ!」 必死に訴えかける晶。しかし、晶の躾を提案した葵が聞く耳を持つはず無かった。 「そうなの。でもね、これは貴方を躾けるために私と由梨絵さんが考えた最善の方法なのよ。だから、そんなことできないわ。…それに、今の貴方はメイドなのよ? それで、私が雇い主だから、私がその気になれば貴方を簡単に売りに出せるってこと、わかってるでしょうね?」 晶の目の前まで来て、ジッと見定めるように晶を見ながら話す葵。 「そ……そんな……冗談…だよね…?」 晶のその言葉にもまったく表情を変えず、葵はまじめな顔をして話し続ける。 「あら、冗談じゃないわ。大真面目よ。まぁ、貴方なら顔も体つきも良いし、趣味の悪い中年親父やおばさんに高く売れるかもね。それじゃあ、私は出かけてくるから。有香ちゃんの言うことを聞いて部屋を綺麗にしておくのよ、"晶ちゃん"♪」 「いってらっしゃいませ、葵様。」 「ちょ…ちょっと待ってくれよ!姉ちゃ…」 晶が言いかけたところで、葵は一切こちらを振り向かず、 ただ葵が閉めたドアのバタンという乾いた音が虚しく晶の耳に届くだけだった。 晶には、今まで味わったことの無い絶望感に打ちひしがれていた。 (そ、そんな……嘘…だろ……) 晶は信じられない事実を突きつけられ、顔が青ざめるどころか、身震いさえも起こしていた。 そんな晶を面白そうに傍観する有香の心の中には、晶に対する歪んだ気持ちで満たされていた。 (ふふ……いままで自分のしてきたことを思い知らせてあげる。) 有香は、床にへたり込んでどうしようも出来なくなっている晶の後ろまで近づくと、晶を現実に引き戻すように話しかける。 「ほら、誰が休んでいいって言ったのよ。それに、なに?震えてるの?まぁいいや。ほら、仕事を始めるわよ。まずは床の掃除からね。」 有香は、葵の部屋には掃除機が備え付けられていたのにもかかわらず、わざわざ廊下に備え付けられているロッカーから、 ほうきと塵取りを取り出して来ると、晶に渡し掃除をするように促す。 「え……あ、あの、掃除機ですればいいんじゃないの…?」 「だめよ。貴方は新人なんだからほうきとちりとりで、しっかりと床のゴミを取るの。掃除機なんてまだまだ先よ。それに、な~にその言葉遣い?先輩に対して、話し言葉なんて信じられないわね。今回は許してあげるけど今度からは、敬語で話すのよ。…ま、敬語も使えなさそうな"晶様"には難しいかな?」 新人が掃除機を使ったらいけないという規則などあるわけなく、有香も研修の時は普通に掃除機をつかって掃除をしていた。 有香は、ただ晶が悔しそうな顔を見たいためにわざわざ、廊下からほうきとちりとりをもってきたのだ。 (くっ……くそ!バカにしやがって……) 晶は、悔しさを抑えてただ有香の言われるままに動くしかなかった。 ここで下手に反抗すれば、由梨絵に告げ口され、下手すれば自分の身もどうなるかわからなかったからだ。 「は……はい…やります…。」 「はやくやってよ。まさか、掃除の仕方しらないとか言わないでよね。あ、できたら呼んでね。チェックするから。」 (知ってるよ、そんなことぐらい!) ほうきとちりとりを渡すと、有香も自分のやるべき仕事を始めた。 多少なりとも経験を積んできている有香に比べ晶は、掃除する箇所が多いこともあってか、明らかに仕事のスピードが遅かった。 「まだなの~?ちょっと遅すぎない~?」 有香が野次を飛ばす時には、すでに晶のチェックを待つだけとなっていた。 (なんでこんな奴に、俺が扱き使われなきゃならないんだよ……!) 今まで散々コケにしてきたメイドに服従されているという、晶にとってはこれ以上に無い屈辱からか、掃除をしている手を止め、遂には床にペタンと座り込み、泣き出してしまった。晶は、必死に溢れ出てくる涙を止めようと手で目を擦り止めようとするが、その行為は自分自身が泣いていたという証拠を作る行為でしかなく、反って逆効果だった。 (うわ……なんなんだよ………なんで涙なんかでるんだよぉ……) 涙を出さないよう、自分自身に何度も言い聞かせるが、涙の勢いは止まらなかった。 傍から面倒くさそうに指示を出していた有香は、急に床にうずくまり顔を拭いている晶を見て不審に思い、晶の方へと近づく。 「ちょっと、なにサボってんの?ほら、顔あげなさいよ!」 有香は、項垂れて涙を必死にふき取っている晶の髪を思いっきり掴み上げる。 そこには、涙の跡で目が真っ赤になっている晶の顔があった。そんな晶をみて、有香の顔が険しくなる。 「うあ……ぐすっ……」 「チッ……なに泣いてんの?お前、まだ自分がどういう立場なのかわかってないようね。お前は私より下の、どうしようもない使えないメイドなの!…ったく。自分が主人だって威張り散らしてた頃は散々馬鹿にして、自分がその立場になると泣いて許しを請うわけ? ほんっとムカつく!ほら、早くやってよ!」 「わっ…!痛っ…」 掴んだ髪を思いっきり床に叩きつけるように突き放た為、晶は体勢を崩し床に叩きつけられる。 有香は、それでもなお涙を流し続ける晶を更に追い詰めるように野次を飛ばす。 「うぅ……ぐすっ…」 「泣いてないで早くやってよ。どんだけ鈍いの?」 晶は、泣き声を必死に押さえて、有香に向かってひたすら謝る。 「ご……ごめんなさい……早くやります…だから…怒らないで……」 「……ったく使えないんだから……ほんと、葵様に言ってどこかに飛ばして貰おうかしらね!?」 その言葉にひどく怯えた表情になり、必死に有香に許しを請う晶。 「!!……それだけは……それだけは、やめて下さい…!頑張る……頑張りますから…!」 その言葉に晶は酷く怯えたのか、涙を堪えて上目遣いで有香と目を合わせ、必死に許しを請う。 有香は、そんな様子の晶を見て由利絵と同じように加虐心がくすぐられる。 「じゃあ、とっとと済ませてよ。もちろん、丁寧に掃除するのよ。」 「は、はいっ…」 晶は、先程とは打って変わってえらく素直になり立ち上がると、ほうきとちりとりを拾い再び掃除を始める。既に晶の中では、自身が有香によって葵に告げ口されて売り飛ばされないように必死で、有香に対する憎悪を抱く余裕が無いほど切羽詰まっていた。 (やらないと……やらないと……) 傍から退屈そうに傍観している有香に、変な目で見られ葵に告げ口されないよう必死に掃除する晶。 実を言うと、先程の葵の言ったことも、有香の言ったことも唯の冗談で本気で売り飛ばす気など無い。 ただ単に、晶に反抗的な態度を取らせないようにするため演技しただけだ。 (馬鹿ね…ホント、餓鬼なんだから……二度と人を舐めた様な態度を取れない様にしてあげる…) しばらくして、晶が掃除を終わらせたのか有香を呼ぶ。その頃には、晶の涙はとっくに収まっていた。 「有香さん……あの…掃除、終わりました……」 「やっと終わったの。ホント鈍いね、アンタ。それじゃあ、チェックするからちょっと待ってて。」 有香のチェックが入ると、有香が至る所で掃除のやり直しを命じてきた。 晶には、有香がチェックを入れる箇所はどう見ても誰も気づかないような小さな所を、無理やり探しているようにしか見えなかった。 「ほら、ここも…どんだけ手抜いてるの?アンタ、仕事舐めてんの?」 「あ……あの…有香さん無理して汚いところ探してませんか……?」 その言葉に、有香がピクッと反応すると、晶のほうを振り向き、冷たい視線で晶を見ながら言い放す。 「……そう。自分のミスをアンタは先輩に押し付けるわけだ?へぇ~…勇気あるんだねぇ。」 有香は言葉に出していないものの、晶の耳には明らかに『文句あるのなら言いつけるわよ』と言っているようだった。 そんな有香に抵抗できるわけなく、素直に謝る。 「い……いえ…ごめんなさい……直ぐに綺麗にします…」 「早くしてよ。ただでさえ遅れてるんだから。ったく…口ばっかりじゃ無くて手も動かしてよね!」 晶は必死にチェックが入ったところを綺麗にする晶。そんな様子を有香は面白そうに眺めていた。 (なんだかスッとするわ…いつもこんなに素直ならばいいのに。) 晶の掃除が終わり、再び有香がチェックを入れていると、急に誰かが部屋のドアを開け、話しかけてくる。 「お二人さん?掃除終わった?」 声の主は今朝頃、有香と共に食事をしていたメイドだった。 そうだとわかると、有香が答える。 「ううん、まだ。晶が使えなくって余計時間が掛かっているの。」 「そうなの。でも、もうお昼よ。用意も出来たしご飯にしましょうよ。」 やっと、有香の陰湿な苛めから逃れられる。そう思うと、晶はホッと胸をなでおろした。 有香はまだいじめたりないような感じだったが、渋々言う通りにすることにした。 「う~ん…そうね。私もお腹すいちゃったし。でも、晶ちゃんは要らないよね。私達が作った料理は不味いものね。」 「そ…そんな…」 朝から何も食べてない晶は、とにかく何か口に入れたくて仕方なかった。 正直言うと、昨日も夕飯を食べず、メイドに食事を投げたのは学校で気に入らないことがあり、ただそれだけで憂さ晴らし にメイドに逆上しただけで、決して作った食事が不味い訳ではなかった。 そんな晶に、呼びに来たメイドが助け舟を出す。 「ほら、有香ったら…新人苛めちゃ駄目でしょ。大丈夫よ、晶ちゃんの分もちゃんと用意してあるから。」 そう言うと、そのメイドは有香になにやら耳打ちをし始める。それを聞いた有香は、ニヤリと笑みを浮かべる。 そんな二人の様子を見て、晶は不安になったのか何を話していたのか聞く。 「あの…何を…」 不安そうな晶を見ながら、有香は聞かれたことを話す。もちろん、聞かされた内容とは別の話を。 「あぁ、よかったわね晶ちゃん。今日の食事担当の美樹が、晶ちゃんのために腕によりを奮って作ったらしいわよ。」 というと、有香は耳打ちしたメイド、美樹の肩をポンと叩くと何だか面白そうに話す。 少し本当なのか疑ったが、晶は素直に礼を言った。 「あ、そうなんですか…ありがとうございます。」 「よかったわね、晶ちゃん。じゃあ、私達はちょっと用があるから先に食堂に行っててね。」 「は、はい。失礼します。」 晶は、二人に頭を下げると葵の部屋を後にする。 晶が見えなくなったことを確認すると、途端に二人は可笑しそうに笑いだす。 「……あはははっ!美樹ったら…貴方のほうが酷いじゃない~」 「酷くないわよ~!これは、晶様への私なりの躾だもの~。貴方こそあんまり躾とか称して苛めちゃだめよ~。相手はまだ中学生のお子様なんだからね。」 有香は笑いすぎて出てきた涙を拭きながら、美樹に話す。 「あ~ぁ、本当に可笑しい。わかってるわよ~。それじゃあ、そろそろ食堂に行きましょうか。アイツったら、自分の食べる食事見たらどんな顔するかしらね?」 「わかんない。でも、喜んでくれるんじゃないの?あの子、ジャンクフード好きみたいだから。」 「ジャンクフードね…食べられる"物"だったら良いんだけどね」 「食べれるわよ~!失礼ね。…って言っても私なら絶対食べないけどね。」 そんな話をしながら、二人は可笑しく笑い葵の部屋を後にした。 晶が食堂のドアを開くと、そこには既に自身の仕事を終えたメイド達が座っていた。 テーブルには、各人ごとに一人前程度の料理が既に置かれていた。 「こ、こんにちは…」 晶が浅く頭を下げて一礼し挨拶をすると、自分の席に着こうとするが美樹と有香が居ないので3席空いており、 何処に座っていいわからず、目をキョロキョロさせて自分の座るべく席を探す。 その時、晶の座るべき席の傍に座っている、一人のメイドが申し訳なさそうに晶に言う。 「あの…晶さんの席は……ここです…」 「あ、ありがとうございます…」 晶は、何故そのメイドが申し訳なさそうに言ったのかわからなかったが、その席に座って理由が明らかになる。 「な、何これ…」 そこに座ると、目の前には他のメイドと同じように料理が並べられていたが、他のメイド達の料理と明らかに 違う所があった。それは、確実に料理というより、料理の際に出てきた生の大根の葉やキャベツの芯が無造作 に並べられている皿と、日の経った表面がカチカチの冷たいご飯が乗せられている皿が出されていた。 晶は、他に並べられている料理と比べても、有りえない位料理の質が違っていた。 他のメイド達には、まかない物とは思えないぐらい、豪華な料理が並べられていた。 そして、改めて自分に用意された料理というより残飯を見て呆然とする晶。 そんな様子が可笑しいのか、晶の傍に座っているメイドを抜かした他のメイドが必死に笑いを堪えていた。 「ぷっ…あの顔…」 「ほら…笑っちゃ可哀想よ…ふふっ…」 晶は、その様子に気がついていたが、いつもの様に暴言を吐くことも出来ず、ただ項垂れているだけだった。 (なんで…ご飯もちゃんと食べさせてくれないの…?) そんな二人の様子と晶の様子を交互に見ていた、晶の傍に座っているメイドがどうしていいかわからず、 少しでも晶の気を紛らわせようと気を使ってか、いきなり晶に自己紹介をし始める。 「あ、あの、私、ここに入ってまだ2ヶ月ぐらいしか経ってない新人の碧って言います。よろしくお願いします。」 晶は項垂れた頭を起こすと、碧に小さな声で軽く挨拶をする。 「新人の…晶です。よろしくお願いします…。」 最後に小さく頭を下げると、相当落ち込んだのか、そのまま項垂れた体勢のままになる。 碧が何とか元気付けようと、言葉を選んでいたその時、食堂に美樹と有香が入ってくる。 そして、有香が晶に近づき質素な食事を見ながらからかう。 「あら、よかったわね~晶ちゃん。とっても美味しそうな料理作って貰って。野良猫に嫉妬されちゃうね。」 その言葉に、遂に我慢できなかったのか先程笑いを堪えていた二人のメイドと隣にいた美樹が笑い出す。 「ぷっ…あはははっ!有香ったら~!アンタやっぱり酷いよ~」 「なによ~!元はといえば、美樹が作ったのがいけないんでしょう~。って言っても、"ジャンク"フードが好きな 晶ちゃんには、これで十分だけどね。それに、そこらの加工食品と比べてもヘルシーだし。」 そんな風に馬鹿にする二人に対して、晶は何も反抗できるわけも無く、ただ項垂れたまま唇を噛み締めて、 再び出てきそうになる悔し涙を堪えるので精一杯だった。 そして、有香と美樹は晶をネタにして散々笑った後、二人は自分の席に着く。 「さ、皆さんお腹すいているでしょうから、いただきましょうか。」 美樹がそう言うと、各人が小さく『いただきます』と一声かけてからスプーンを取り食事を始める。無論、晶を除いて。 一向に食事を取ろうとしない晶に、耐えかねた碧が小声で晶に話しかける。 「あの…晶さん。なんでしたら、私の食事、分けましょうか?」 その言葉が晶の耳には入っているものの、また何かの罠かと思い素直に頷くことができなかった。 しかし、碧は晶に少ないとは言え何度も清掃の邪魔をされたり、暴言を浴びせられたりしてきたものの、やはり主人で あった晶を憎むことは出来ず、ただ本心で言っただけだった。 そんなやり取りも、有香の目は逃すはずなかった。 「碧ちゃん。食事を分ける必要は無いわよ。だって晶ちゃんにも、美樹が腕によりを振るった料理が目の前にあるんですもの。ほら、碧ちゃんもグズグズしていると、ご飯食べ損ねちゃうわよ。」 先輩である有香には逆らえないとしても、流石にこの状況はやりすぎだと思った碧は、思い切って席を立つと有香に意見を投げかける。 「ゆ、有香先輩!いくら酷い仕打ちを受けてきたからって、仕返しにこの仕打ちは酷すぎると思います! 大体、こんなこと躾として許されるはずありません!止めないんなら私…由利絵さんに報告しますよ!」 その言葉に、ワイワイと会話に花を咲かせていた食堂の空気が一気に凍りつく。 碧の体は、怒りか、それとも有香からの冷たい視線から感じる恐怖からか定かではなかったが、僅かに体が震えていた。 有香は席を立ち上がり、碧の直ぐ横まで近づいてきて碧の肩に手をまわすと、席に座っている全員に聞こえる声で話し始める。 「ふふ…そうよね~、碧ちゃんの言う通りよね~。これはちょっとやり過ぎちゃったかな~。それじゃあ、先輩に口出しする悪い碧ちゃんを躾ける方向に軌道修正しちゃいましょうかねぇ~!?」 有香はそう言うと、肩にまわした手に思いっきり力を入れて碧の肩を手で握りつける。 碧は思わず声を上げて、有香の手から逃れようと必死に謝り許しを請う。 「い、痛い!や、やだ!やめてください!ごめんなさい!私がいけなかったんです!だからやめてぇ!!」 「ふっ…素直に大人しくしていれば、痛い目なんか見ないで済むのに。」 有香はパッと手を離すと、あまりの痛さに少し涙ぐむ碧に誰にも聞こえないように、こっそりと耳打ちする。 「今度あんな態度とって見なさいよ…前居た所に戻してあげる……」 有香がそっと耳から口を離すと、碧は恐怖から体が震えていた。 そんなことお構い無しに、有香は自分の席に戻ると何事も無かったかのように食事を再開する。 「碧ちゃん?いつまで突っ立ってるの?早く食べちゃいなさい。」 有香の何気ない言動に碧は過敏に反応し、有香に一礼すると席に座り食事を始めた。 その様子を傍から見ていた晶は、有香に力で勝てないことを改めて知らし召されたようだった。 しばらくして、有香が何か面白いことを思いついたのか、隣に座っているメイドにこそこそと話しかける。 晶は、そんな二人の様子に気づくわけもなく、ただ黙って誰とも目を合わさないように項垂れているだけだった。 「でも、碧ちゃんが言うことも一理あるわね……それじゃあ、私のご飯晶ちゃんに分けてあげる。ちょっと貴方、お皿一枚持ってきて」 「はい。」 有香が先程話しかけていたメイドはそう言われると一旦食堂から姿を消す。 しばらくして、そのメイドが持ってきたのは、一人前程度の料理が盛れる程度の皿だった。 その皿を有香に渡すと、有香は持っていたシチューとご飯の残りを全部その皿に移す。 そして、ご飯とシチューを入れた皿にスプーンを立てて、グチャグチャに混ぜる。 「さ、晶ちゃん。その料理が口に合わないようだったら、これを召し上がれ。」 と言うと、有香は、どう見ても残飯にしか見えないモノを床に置く。 晶は、朝早く叩き起こされ馴れない清掃仕事に疲れ果てて、正直目が回りそうなほど空腹だったが、 流石にも良家の息子というプライドが有ったため、そう簡単に有香の言う通りには出来るはずもなく断る。 「い……いえ……結構です……お気遣いありがとうございます…」 晶は有香に向かって、なるべく自分が知っている限りの丁寧な言葉を使って有香を変に刺激させないよう丁重に断る。 しかし、その様子を見ていた美樹が晶にちょっかいを出す。 「晶ちゃん。それはないんじゃないの?有香さんは貴方の先輩なのよ?まぁ、有香さんなら笑って許してくれるでしょうけど… 新人の貴方は先輩のご好意を断る権利なんて無いはずだけど?皆さんはどう思います?」 そう言うと、美樹は他のメイド達にアイコンタクトを取り有香に有利な意見を発言するように求める。 碧を抜かした二人のメイドは、何の躊躇も無く美樹の言わせたい意見をそのまま発言する。 「私もそう思います。晶さん、有香先輩の折角のご好意に甘えるべきですよ。」 「私も同意見です。」 二人は至って真面目に意見を言う。しかし、実際は笑いを堪えるので精一杯だった。 「そうよね。じゃあ、碧さんはどう思ってるのかしら?」 次に美樹は碧に意見を求める。本当のことを言えば、先程のように思っていることを素直に発言したかった。 しかし、美樹のアイコンタクトがそれを許さない。 「え…えっと……あの……私は…」 碧はどういって良いのか迷い、しどろもどろになる。 晶は、碧だけには本当のことを話して、この異常な雰囲気を打破してほしかった。 しかし、有香の出した助け舟でその願いもあっという間に打ち砕かれる。 「碧ちゃん、正直に、貴方が思っていることを言えばいいのよ。」 有香が碧を優しく見つめながら話しかける。 しかし、碧にはそんなに素直に聞こえるはずもなく、遠回しに脅しているようにしか聞こえなかった。 碧は仕方なく思っていることとは別の意見、すなわち美樹が言わせたい内容をそのまま自分の意見として発言した。 「わ……わたしも、同意見です……」 碧の声は震え、俯いたまま意見を発言する。有香はニヤリと笑うと碧を更に追い立てる。 「あら、以外ね。さっきまでは、晶ちゃんを弁護してた碧ちゃんが、今度は私達と同じ意見になるなんて。 人間の本心なんて、わからないものね。ふふ…」 有香は可笑しそうに小さく笑うと、早速晶に自分が床に置いたご飯を食べるように指示する。 「さ、晶ちゃん。遠慮せずに召し上がれ。」 「…はい。」 ここまで来ると、晶の一存で断ることも出来なかった。 晶は、仕方なく有香の傍に置かれている残飯が持ってある皿を取りに席を立ち、そこまでゆっくりと移動する。 移動するたった数メートルの間も、晶にとってはまるで処刑場へ向かっているかのような絶望感だった。 有香の傍まで来ると晶は座っている有香に一礼する。 そして、床に置いてある料理とは言いがたいモノを拾い上げると、また自分の席に戻ろうとする。 常識的に考えて、この行動を取るのは普通ではあるが、有香の歪んだ欲望の中ではそんな常識すら通用しなかった。 「誰が自分の席で食べて良いって言ったのかしら…?」 「え…?」 有香がニヤリと笑うと、にわかには信じがたいことを言い放す。 「床に置いてあったんだから、普通はそのまま床に置いて食べるのが礼儀なんじゃないかしら?」 晶は、そのあまりにも人道的に外れた言葉を投げかけられ困惑し、どう答えていいか迷ってしまう。 晶は、なるべく有香を刺激しない言葉を選び、有香に自分の意見を発言する。 「あの…でも、スプーンも持ってないですから…手で食べるって言うのもちょっと…」 「あぁ、そうね…じゃあ、犬食いすれば?貴方にはお似合いだと思うけど?」 クスッと冗談みたいに、言い放す有香。晶はその有香の言葉にどう反応していいか戸惑った。 無論、自分は犬食いという恥さらしな行為などしたくは無い。 しかし、周りの視線と有香の好奇の視線がそれを許さなかった。 周りはいつの間にか、食事をする手を止めて、晶がどんな反応をするのか楽しみという様な好奇の目で晶を見ていた。 もちろん、碧を除いて。碧はただ何も気づかなかったかのように、一人食事を続ける。 晶は、一度碧に助けを求めるような視線を送るが、結局無意味に終わった。 暫くの沈黙の後、有香が口を開く。 「ほら、どうしたの?早く食べさいよ。まさか、食べれないなんて生意気言うんじゃないでしょうね…?」 もうここまできたら、晶は逆らえることなど出来なかった。 晶は、それこそ犬がご飯を食べるような姿勢になると、小さな口で少しずつ更に盛られている残飯を口に入れていく。 その行為を見ていた有香の周りを取り巻くメイド達は待っていたのかのように次々と、晶を罵倒する。 「やだー…本気で食べてるし…」 「マジでキモイ…女装した上に残飯むさぼるなんて…」 「そんなに好きなら、晶ちゃんには今度から人間ポリバケツにでもなって貰おうかしらね。」 そして、最後に有香が晶の顔の位置までしゃがみこむと、最後に今までで、一番キツイ言葉を投げつける。 「恥ずかしくないの?今まで奴隷扱いしてきた奴にいい様にされて?というかさぁ…ここまで落ちたんなら…もう死ねば?」 有香がそう言うと、先程次々に罵倒してきた二人のメイドと美樹はドッと笑い出す。 そして、晶の目からは、先程泣いたにもかかわらず、有香を主体としたあまりにもきつい仕置きと、有香の言う通り、奴隷であるはずの相手に、全く反抗できない情けなさからか、大粒の涙が流れ自然と残飯を頬張る口の動きを止めると、すすり泣き始めてしまう。 「うぅ…もぅ…ヤダ……グスッ……」 しかし、そんな仕草もただ悪戯に有香の加虐心を刺激するだけだった。 有香は、乱暴に晶の髪を掴むと、晶と目を合わせてニヤリと笑う。 晶は、涙声で必死に離すよう訴えるが、今更有香にそんなこと通じるはずも無かった。 「うあ…ゃ……いやぁ…やめて…痛い…うぅ…」 「ほら、もっとお・食・べ♪」 有香はそう言うと、髪を掴んだまま晶の顔を、思いっきり残飯が持ってある皿の中に沈める。 「んぅー!んっー!」 晶は言葉にならない声で必死に『やめて』と伝えるが、有香はお構い無しに残飯を顔に擦り付けるかのように押さえつける。 有香は、晶の顔を2~3回押し付けた後、髪を引き上げる。そこには、ご飯が混ざったホワイトシチューがベットリと付いた せいで晶の顔が真っ白になっていた。 その顔を見て、美樹が思わず突っ込みを入れる。 「やだ~!晶ちゃんったら、誰かに顔射でもされたの~?」 美樹のその一言で、またもや笑い出す。そして、晶の目からは止め処なく涙が溢れ出てくる。 そして、有香が髪を掴んだまま自分と目線を合わせると笑いながら話しかける。 「晶ちゃんエッチねぇ~…男なのに、こーんなたっぷり精液ぶっかけられるまで、おちんちん咥えちゃって… ねぇ?そんなに美味しかった?」 「うぅ…もぅ…やだ…」 晶は、視線を合わすまいと目をギュッと瞑る。 しかし、有香は掴んだ髪を左右に揺らし、話し続ける。 「ほら、答えてよ~?それとも何、貴方学校に行ってて言葉も理解できないの?」 晶はそれ以上、口を噤むが、耳からは有香や美樹から卑猥な言葉や罵倒する言葉が際限なく入ってくる。 そんな状況でも、碧は有香と目を合わせず既に済んだ料理の前で黙って項垂れていた。 しかし、何もしていない訳ではなく碧は、このどう考えても異様な雰囲気を打破しようと何か解決策は無いか必死で考えていた。 そう思った瞬間、食堂の古時計が13時を独特の音色で知らせる。つまり、昼休憩が終わりを告げたのだ。 これで流石の有香も、晶を苛めるのをやめざる終えなくなった。 「あら、もうお昼終わっちゃったの。じゃあ、片付けなくっちゃね。」 有香がそう言うと、掴んでいた晶の髪を離す。晶は、またもや体勢を崩し床に倒れてしまう。 そして、有香が起き上がると晶を見下ろしながら話しかける。 「午後からは、仕事テキパキやってよね。ほら、いつまでも寝そべってないで片付けてよ!本当に愚図なんだから!」 「うぅ…グスッ…」 晶は有香に対する恐怖心と、人に対する不信感がこのたった一時間で強く根付いてしまった。 碧は、このまま有香に任せるときっと今以上に晶を苛めると思った末、有香に指導係の交代を提案する。 「あ…あの!晶さんの指導係、今日の午後から私に交代してくれませんか…?」 「そうね…貴方のほうが晶ちゃんと年が近いし。何かと気が合うかもね。それに私もこんな愚図の指導係なんて参っちゃってたところだし。じゃあ、碧ちゃん交代して。」 「は、はい!」 有香はそういうと、再び自分の空になった料理皿を片付け始める。 碧は深々と有香に一礼すると片付け始める。 そして、片付け終わった順から部屋に一礼して、また各担当箇所へと向かっていった。 その間も、晶は床に寝そべったまま、ただ涙を流し床を濡らしていた。 二人を除いたメイド達が各担当箇所へと出て行った後、碧は、床に倒れて半ば放心状態になっている晶を心配してか、傍に近寄り話しかける。 「あ、あの…とりあえず、片付けましょう?ね?」 しかし、晶は碧の声が聞こえていないのか、誰も聞いていないのにも関わらず、目をキュッと瞑りながら、ただ独り言のように謝罪を繰り返していた。 「ごめん…なさい…ごめんなさい…」 碧は、晶を起こそうと自分も床に座ると、晶の上半身を起こし上げようとして晶の体に触れた瞬間、晶がその手を震えた手で弱弱しく跳ね除け、自分で上半身を起こし上げる。 晶は、碧と目線を合わせまいと俯きながら、震えた声で必死に謝る。 「ゃ…やめてください…もぅ…生意気…言いません…仕事もちゃんとやります…だから…お願い…許してください……」 「晶様…」 恐らく、ここにいるメイド全員に憎まれ口を叩かれたことから、自分も敵に見えてしまったのだろうと碧は思った。 無論、碧はそんなことするつもりは全く無かったが、碧も先程の事も考えれば当然のこととは思った。 そんな晶を見て、碧は背中に両手を回すと思いっきり抱きしめる。 「わっ…ゃ…やだ…許してください…」 晶は、また仕置きをされるのかと思っているのか、体が恐怖で震えているのが、碧の体に伝わってくる。 そんな晶を宥めようと、碧はポンポンと背中を優しく叩く。 「大丈夫です…私……碧は、晶様を傷つけたりなんてしませんから…安心してください。」 碧は、背中を優しく叩きながら、時には背中を擦って、少しでも晶を宥めようとする。 晶は、今日から叱られてばかりだったこともあってか、感涙を堪えきれず遂には碧の肩の上で泣き出してしまう。 「うぅ…グスッ…あ……ありがとう…」 碧は、晶の頭を優しく撫でながら話しかける。 「大丈夫ですよ…いっぱい泣いてください……」 晶は碧に甘えるかのように、そのまま肩の上で泣き続けた。 碧も、それに答えるかのように優しく頭を撫でて晶の心を落ち着かせようとしていた。 そんな、自分に必死に縋り付いて泣いている晶から、今まで生まれてこなかった感情が沸々と心の奥底から湧いていた。 暫くして、晶が泣き終わった頃を見計らって話しかける。 「もう大丈夫ですか?晶様?」 「う……うん。大丈夫…です…」 晶の目は、散々泣いたせいか赤くなっていた。そんな晶を見て、碧は優しく微笑む。 その碧の微笑んだ表情を見て年も近いこともあってか、晶は頬を少し赤らめる。 「それじゃあ、お片づけしましょうか?…っと、その前に、お顔洗っちゃいましょうね。」 「あ…うん。」 そう言うと、碧は床に置いてあった皿を持ち、晶の背中を支えながら立ち上がると、二人は厨房へと向かっていった。 碧は晶が食べ残した残飯を片付け、晶は顔に付いたシチューを取るため、厨房の脇に備え付けられている洗面所で顔を洗い、その後、二人は他のメイド達と同じように食堂に一礼した後、碧が担当する箇所へと向かっていった。 ※ 碧が今日担当している箇所は、屋敷にある庭園の清掃だった。 碧は、晶を連れて近くの背丈が低い花が咲いている花壇の前に腰を降ろす。 晶もそれに続いて、腰を降ろすと碧が作業内容について話しはじめる。 「今から、ここにある邪魔な雑草を抜いていきますね。あ、抜いた雑草はここの笊の中に入れていってください。」 碧は、作業内容を言い終えると自分の傍に置いてある笊を指差す。 「こんな感じですけど…わかりました?」 碧が晶の方を向き、晶に作業内容の確認を取る。 しかし、晶は何も答えずただ花壇に咲いている花を沈んだ表情でジッと見ているだけだった。 心配になった碧は、もう一度聞きなおす。 「晶様?大丈夫ですか?」 晶はハッとした様に、碧のほうを向くと慌てて返事をする。 「あ…は、はい。わかりました。」 晶は返事をすると、早速碧が言った通り雑草を抜き始める。しかし、表情は依然として沈んでいた。 そんな晶を心配して、碧は作業をしながら話しかける。 「どうしたんですか…?そんな顔しちゃって。もしかして、まださっきの事を引きずっているんですか…?」 「う…うん…それもあるけど…それ以上に、俺のことあんなに嫌ってるんだなぁ…って思って。でも、それも全部自分が散々馬鹿にしてきたツケだし…なんかもう、必要ないのかなぁ…。俺…姉ちゃんが言ってたみたいに売り飛ばされるのかな…ハハ…」 晶は、そう言うと軽く苦笑いし、作業していた手を止めると両手で軽く身震いしている自身の体を抱く。 「もう…要らないんだ…俺みたいな、自分のことしか考えてない最低な奴なんて…」 晶には、今日からの出来事を振り返ると、本当に救いが無い絶望感しかなかった。 今は、その迫り来る絶望感に、今にも折れそうな心でただ耐えるしかなかった。 そんな晶を見て、碧が話しかける。 「…そんなことありませんよ。」 「…え?」 碧も作業を止めてボソッと呟く。晶はそんな碧の言葉に驚いてか、碧のほうを向く。 そして、碧は晶と目を合わせると真剣な表情で話し始める。 「だって、晶様はそうやって人の痛みを判るようになって、自分の欠点にも気づくことが出来たじゃないですか。今までの晶様だったら、私達が何度も口を酸っぱくして言っても、きっとそんなことわかってなかったはずです。それだけでも、今の晶様は立派に成長したと思いますよ。…それに、私は今の晶様のほうが…その…素敵だと思います…」 「碧さん…」 碧は、最後の言葉が少し恥ずかしかったのか、少し目線を逸らし頬を赤らめて話す。 晶も、その言葉に少しくすぐったい物を感じたのか、少し頬を赤らめる。 暫くの沈黙の後、碧が口を開く。 「だから…そんなに悲観的にならないで下さい…晶様らしくないですよ。それと、今はとっても愛らしい姿なのですから…」 碧はそう言うと、花壇に咲いている適当な花を一輪引き抜くと、それを晶の髪に飾り付ける。 晶は、その行動に少し驚いたように小さく声を上げる。 「わっ…」 碧は、花を晶の髪に飾り付けた後、人差し指を晶の唇に立てる。 「俺…なんて一人称は似合いませんよ。」 碧はそう言うと、小さく笑い優しく微笑む。そして、晶の唇から人差し指を離す。 「さ、早くやってしまいましょう。言われたところ終わらせちゃわないと、由利絵さんが五月蝿いですから。」 そう言うと、碧は再び作業を再開する。 晶は、おもむろに花壇の花を一輪引き抜くと、作業をしている碧の邪魔にならないよう碧の髪にその花をそっと飾り付ける。 それに気づいた碧が、晶のほうを振り向く。 「晶様…」 「ありがとう…私、碧さんの言葉に本当に救われました…。あの…これからも、仲良くしてください。」 晶は、優しく微笑みながら碧に感謝の言葉を述べる。碧は、照れくさくなったのかクスッと笑う。 「はい…こちらこそ、よろしくお願いします。」 碧は作業を一旦止めると、晶に向かってお辞儀をする。 それにつられて、晶も碧に軽くお辞儀をする。 そんな様子が何だか可笑しくなったのか、二人はクスクスと小さく笑う。 二人に訪れた、和やかな時間。しかし、そんな二人を窓から面白くなさそうに見ている者がいた。 「なんだが…ムカつくわねぇ~…」 「ホントね…碧ちゃんったらここぞとばかりに、媚売っちゃって…」 それは、部屋の一室を清掃していた有香と美樹だった。暫くして、美樹が何か思いついたのか有香に耳打ちする。 それを聞いた有香の表情が緩んでいく。 「…ってことなんだけど…どう?いいと思わない?」 「…ったく貴方ったら…本当に天才ね…」 有香が呆れたように美樹を見ながら話しかける。しかし、本心はそれを今にもやりたくてウズウズしていた。 美樹は、クスッと笑うと美香に話し続ける。 「でしょ?ふふ…どうなるかしらね…きっと面白いことになるわよ~…」 「確かにね…晶ったらどんな顔するかしら…?」 そう言うと、二人は高く笑い出す。 一方の碧と晶は、ようやく打ち解けたのか、作業をしつつ会話に花を咲かせていた。 …有香と美樹が来るまでは。 「楽しそうね。」 二人が他愛もない話をしながら作業をしていると、突然居るはずのない有香の声が聞こえてきた。 その声がした方に振り向くと、そこには有香と美樹が居た。 晶は、先程のこともあってか二人の姿を見るなり俯き黙り込んでしまったため、碧が応対する。 「…なんでしょうか?」 碧は、全く目を合わせようともせずに作業を続ける。 「あらあら、冷たいのね。さっきのことが癪に障っちゃったのかしら?」 「……」 有香の言うことにも、全く反応せず黙って作業を続ける。 「あらぁ~?今度は無視?先輩に向かってそういう態度とる碧ちゃんには…お仕置きが必要みたいね…。」 そう言うと、有香はしゃがんで作業をしていた碧の両脇を取ると、そのまま碧を羽交い絞めにして体の自由を奪う。 碧は、いきなりの出来事に頭が混乱しそうになったが必死に有香の羽交い絞めから抜け出そうと暴れる。 「ちょっと…何するんですか!離してください!」 しかし、有香と碧はいくつか年が離れているせいもあってか、暴れても有香には全く効き目が無かった。 そんな状況を見て、黙り込んでいた晶が立ち上がると、勇気を出して声を上げる。 「ゆ…有香さん!嫌がってるじゃないですか!離してあげてください!」 しかし、有香がそんなに素直に言うことを聞くわけも無かった。 それどころか、いつの間にか晶の後ろに居た美樹によって、晶も碧のように羽交い絞めされてしまう。 「わっ…!ちょっと!離して!」 晶も碧と同様に、美樹の羽交い絞めから抜け出そうと、激しく暴れまわる。 そんな晶がうっとおしくなったのか、美樹は膝を思いっきり晶の急所に蹴り当てる。 「!!!!」 晶はあまりの痛さに、声にならない声を上げるとグッタリしてそれ以降抵抗する素振りを見せなくなった。 「大人しくしてなさい。今から有香先輩が良いもの見せてくれるらしいから、じっくりと見るのよ。」 美樹がそう言うと、有香に目で合図を送る。 有香はその合図を受け取ると、いきなり碧のスカートを捲り上げ、そのまま一気にショーツを引き降ろす。 碧は必死になってそれを食い止めようとしたが、体の自由が利かない状態では無駄だった。 「や…いやぁ――!!」 そこには、女には決して無いもの――ペニスが生えていた。晶は、あまりの突然のことに言葉を失う。 「…え?」 呆然としている晶に、有香はお構い無しに話し始める。 「どう?驚いたでしょ?…この子ね、見ての通り…貴方と同じ男の子なの。」 「や、やだ!晶様、見ないで!」 碧にそう言われると、晶はハッとして碧の体から目を逸らす。 無論、美樹がそんなことを許すはずも無く思いっきり膝で急所を蹴りあげる。 「ひぅっ!!!!」 「ほら、ちゃんと見なさいよ。言うこと聞かないと、貴方の大事なところ潰しちゃうわよ。」 美樹はそう言うと、ニヤリと笑いながら晶の顔を覗き込む。 一方の晶は、これ以上されては本当に潰されかねないと思い込み、美樹の言う通りにする。 「ご…ごめんね…碧さん…」 碧も晶の事情を分かってか、晶には何も言わなくなった。 「お…お願い…有香さん…離して…」 碧は、散々有香から離れようと暴れたせいか、既に疲れ果て有香に許しを請うしか道は無かった。 「駄目よ。これは、晶ちゃんを躾けなかった罰なんですからね。 …あら、こんな所にゴミが付いているわよ。取ってあげましょうね。」 有香はニヤリと笑うと、髪に飾り付けられていた花を引き抜くと、地面に落し踏みにじる。 それを見た碧は、思わず声を上げる。 「ひ、ひどい…!」 「あら、ごめんなさい。これそんなに大事なものだったの? …でも、こんな物より貴方がもっと喜ぶことを晶ちゃんがしてくれるんだって。よかったねぇ~碧ちゃん?」 「な…なにをさせる気ですか…私ならともかく…晶様まで巻き添えにしないでください!」 碧は、面白そうにクスクスと笑いながら自分の顔を覗き込んで話しかけてくる有香に対して、必死に訴えるが有香は無視して話を勝手に続ける。 「…美樹、晶ちゃんをこっちに連れてきて。」 「は~い。」 有香に言われるがままに、美樹は碧の目の前まで晶を羽交い絞めをしたまま連れてくる。 碧は、自分の目の前に突き出された晶と目を合わさないように、ただ黙って俯いていた。 「え…あの…なにを…」 晶は怯えた目で、有香の顔を覗き込みながら聞く。 有香は、興奮しているのか少し息を荒げながら晶に話す。 「男の子が気持ちよくなることって言ったら…わかるでしょう?」 「ま…まさか…や、やめて!それだけはやめてください!!」 有香のその言葉に嫌な予感がしたのか、碧は出せる声を絞り出して止めるように訴える。 無論、有香がそんなこと聞くはずも無かった。 「晶ちゃん…碧ちゃんもとっても楽しみなんだって。いっぱい気持ちよくさせてあげてね♪」 有香がそう言うと、美樹は力づくで晶を無理やり膝立ての体勢にし、羽交い絞めを解く。 そして、美樹が碧のペニスを前にして目のやり場に困っている晶に向かって耳打ちする。 「さ、晶ちゃん。大好きな碧ちゃんのおちんちん舐めて気持ちよくさせてあげて。 あんなに仲よさそうにしてたもの。それぐらいできるわよね?」 「ぇ…そ…そんなこと…」 「できるわよね…?」 美樹は冷たい声でそう言うと、晶の股間を後ろから膝でグリグリと押し付ける。 その行為は、先程のこともあってか今の晶にはとてつもない恐怖心を煽られた。 既に、美樹にさえ逆らうことも許されないことを体で知らし召されていた。 「でき…ます…。」 晶は、そう言うと恐る恐る萎えている碧のペニスを小さい口に含む。 その様子を見下ろしていた碧のペニスは、自分の意思と反して晶の口の中で大きくなっていく。 そして少しも経たないうちに、碧のペニスは晶の小さな口に収まりきらない程度の大きさになってしまう。 晶は、そのペニスを全て含むことは出来なくなり、一旦吐き出してしまう。 「ぷはぁ…はぁ…はぁ…」 晶は、唇から落ちそうな唾液を袖でふき取り、碧の勃起したペニスを目の前にして、これからどうやっていいのか困惑する。 無論、美樹の言った通りにフェラをすればいいのだが、いくら碧が女にしか見えないと言っても、同性の、それも自分のモノより大きく勃起したペニスをフェラするなど、やはり抵抗があるのかそう簡単に出来るものではなかった。 その困惑した表情の晶を見て、背後から美樹が悪戯めいた声でささやく。 「ほらぁ~遠慮しないでいいのよ~?碧ちゃんのおちんちんも、舐めて欲しくてウズウズしてるみたいだし。 それに…本当に仲良くなりたいんなら、これくらいのことできないとね~。」 美樹は碧の勃起したペニスを見ながら、可笑しそうにクスクスと笑う。 当の碧は、何も言えずただ恥ずかしさから顔を赤くして目を瞑りただ黙っていた。 晶も相変わらずどうしていいのかわからず、ただ黙って時が通り過ぎるのを待っていた。 「…もういいわ。貴方みたいな、言われたこともまともに出来ないような愚図にはキツイお灸を添えてあげる。」 美樹は痺れをきかせたのか、冷たい声でそう言うと急に晶の髪の毛を乱暴に掴む。 「痛っ…な、なにするんですか!?」 「ちょっと有香、少し後ろに下がってくれない?」 有香は頷くと、美樹の言われるがまま後ろに下がる。 そして、美樹は晶を膝立てさせたまま上半身を地面に倒しこむ。 すると、晶は美樹にお尻を突き出すような姿勢にさせられる。 「ご…ごめんなさい!ちゃんとしますから、お仕置きだけはやめて!」 「今更遅い。」 晶は、昼食のこともあってか、『お仕置き』という言葉に敏感に反応して必死に美樹に許しを請うが、美樹は全く相手にしない。 美樹の表情は、昼食と先程までの悪戯めいた笑顔などとは一変し、全く表情を出していなかった。 そんな急変した美樹の様子に流石の有香も驚いたが、すぐにいつもの様にニヤリと笑みを浮かべる。 「み、美樹さん!やめ…うぐっ!?」 碧は、晶のことが心配になり、なりふり構わず美樹に止めるように言おうとするが、それは直ぐ有香の手によって制止された。 「黙ってみてなさい…美樹がキレたらどんな仕打ちを食らうか学習に…ね。」 有香がそう耳打ちすると、碧は黙り込んでしまった。そして、二人はただ美樹と晶を傍観していた。 碧は晶の無事を祈り、有香は晶を滅茶苦茶に犯すことを祈って。 美樹は晶の両手を押さえつけ、スカートを捲り上げる。 「男の分際で、ずいぶん可愛いショーツはいているのね。 それに何これ? ずいぶん汚れてるようだけど、まさか漏らしちゃったの?」 美樹がショーツを触ると、ゴワゴワとした跡が確認できる。 それは、明らかに由利絵によって射精させられた跡だった。 ばれたとわかると、晶の顔は真っ赤になって黙りこくってしまう。 「……聞いてるんだけど?」 低い声で脅す様に聞き直すと、晶は小さい声で呟いた。 「……漏らしました」 まさか『無理矢理射精させられた』とも言えず、適当に嘘をつく。 「ふーんそう。漏らしたの。 でも、普通に漏らしたらこんな跡残らないけど? どうしてかな?」 もちろん、美樹はそれが精液で汚したことはわかっていた。 しかし、美樹は尚もしつこく晶に問いかけてきた。 「……精液…です……」 騙しきれないと感じたのか、晶はとうとう精液で汚したことを告白する。 無論、『由利絵に無理矢理された』ということは隠して。 「…聞こえないんだけど? 大きな声で言ってよ」 美樹にはしっかりと聞こえていたが、晶を辱めたかったのか、 周りに聞こえるほどの大きな声で告白するよう言い直すように命令する。 しばらく黙りこくった後、晶が意を決したように大きな声で言う。 「……精液で汚しました」 その声は美樹以外にもはっきりと耳に入って来た。 有香は待ってましたと言わんばかりに、晶を虐めたてる。 「あははっ! なに? あんたさっきの犬食いしてた時にマジで射精しちゃったとか?」 「それはあるかもね。コイツ、なんかマゾっぽいし」 有香がそう言うと、それに連れられるように罵倒する美樹。 度重なる虐めに絶えられなくなった晶は、再び涙をこぼし始める。 「うぅ……ひどいよぉ……グスッ」 泣いている晶を美樹は冷ややかな眼で見下ろす。 その目差しは、既に人に向けられるような物で無く、 ただ汚らしい物を見下しているようなものだった。 「チッ。ウザいなぁ……いちいち泣くなよ。お前、男だろ? ……いや、もしかして女の子かも知れない。うん、確かめなきゃなー」 わざとらしくそう言うと、晶のショーツを一気に下げ落とす。 すると、美樹の目の前に晶のお尻が露わになる。 「な…なにするんですか…もう…やめて…」 晶はあまりの恐怖で声が震えている。 しかし、美樹はお構いなしに晶のお尻を丹念に撫で回す。 「ふふ…可愛いお尻…さぁて…そろそろ、お前の処女をもらってあげる。 感謝しなさい…」 美樹はそう言うと、自らのスカートをたくし上げる。 そこには、晶の小さなアヌスには入りきらないような、太く立派なペニスが生えていた。 それを、横目で見ていた晶は思わず声を漏らしてしまう。 「う…嘘…」 「嘘じゃないわよ。ただ…碧ちゃんのモノと違って、偽者だけどね」 美樹に言われてよく見ると、それは明らかにショーツの上から取り付けられた性具だった。 羽交い絞めされていたとき、何か硬いものが腰辺りに違和感を感じていたが、 この瞬間に晴れたと同時に、それで何をするのかと大体検討が付いてしまうのが怖かった。 「お願い…なんでも…なんでもしますから、それだけはやめてください…」 「だから、遅いって言ってんの。 それに、慣れればとっても気持ちいいらしいわよ。 …ま、私は女だからわかんないんだけどね」 美樹は、そう言いながらポケットから小さなボトルを出す。 ボトルのドロドロの透明な液体を直接ペニスバンドに垂らすと、それを満遍なく塗りつける。 つけ終わると、美樹は少し興奮しながら、晶のアヌスに自分のペニスバンドを突っつく。 「さ…いくわよ…」 「や…やぁ…やめて…」 晶は涙声で訴えたが、美樹はお構い無しにペニスバンドを挿入した。 「ぁ…あぁぁ…いゃ…やだぁ…」 美樹のペニスバンドがアヌスに割って入ってきたと同時に鈍い痛みが、 晶の体全体にジワジワと広がっていく。 その痛さから少しでも逃げようと、目を瞑り、手をギュッとして地面の芝生を握り締める。 美樹のペニスバンドは、晶のアヌスに対してあまりに太かったことと、 晶が力を抜かなかったことが相まってか、入れても直ぐに押し返される。 しかし、美樹はそんなことお構い無しに、力ずくでペニスバンドを挿入していく。 「い…いたい…や…やめ…て…」 「痛いのはあたりまえなの。お仕置きなんだから…ねっ!」 「やあぁぁあああ!」 美樹は晶のアヌスがペニスバンドを押し返してくることもお構い無しに挿入していく。 晶は、必死に息をついて落ち着かせようとしているが、もう既に気を失いそうだった。 「ゃ…いや…ゃめて…ほんとに…だめぇ…」 晶の顔は、だらしなく開いた口から出てくる唾液と、 目から際限なく出てくる涙でクシャクシャになっていた。 美樹とっては、その力ない声も泣き顔も悪戯に興奮させる要因に過ぎなかった。 「あんたのことなんて知らないわよ。ほら、動くから…力抜かないとお尻裂けちゃうわよ」 「いや…いやぁあああ!!」 晶は言葉にならない声でただ悲鳴を上げるだけだった。 美樹はそんなことお構い無しに、ペニスバンドをズブズブと深い所まで挿入していく。 晶の必死な悲鳴声も、美樹を興奮させる道具にしか過ぎなかった。 そして、美樹のペニスバンドが晶のお尻に半分ぐらい挿入されたところで 美樹が可笑しそうに小さく笑いながら話しかける。 「ふふ…お前のお尻…よく咥えるわね。 …そんなに、コレが欲しかったのかしら…?」 「はぁ…ふぁ…た、たす…けて…」 晶は質問には答えようとはせず、 強烈な痛みからただ頭に出てくる言葉を発するので精一杯だった。 そんな晶に対して、美樹は再び聞き直そうとはせずに、勝手に話を進める。 「そう。もっと深くまで下のお口でおちんちんを咥えたいの。 …じゃあ…こうしてあげる…」 「ひゃっ!?」 美樹は地面に座り、ペニスバンドで繋がったままの晶の体を無理矢理起こすと、 晶を自分の膝に座らせようとする。 晶は自分のアヌスに半分ぐらい入ったペニスバンドを抜こうとして立ち上がろうとするが、 既に膝はガクガクと震え、足にまともに力が入らなかったので到底無理だった。 「お…お願い…もうやめて…」 晶が後ろを向き、美樹に必死に懇願する。 そんな晶を見て、美樹はニヤリと笑う。 「許しを請うばっかりじゃなくて…少しは反省してよねっ!」 美樹はそう言うと、まだ入っていないペニスバンドを全部晶のアヌスに沈めるため、 晶の両肩を掴むと力ずくで一気に沈める。 その時、晶が声にならない悲鳴を上げる。 「やぁああああああ!!」 あまりの痛さに、美樹に全体重を預けるように倒れ掛かるとそのまま気を失ってしまった。 「あ…あぁ…ぅ…」 それを傍から見ていた碧は、有香に口を手で押さえられていたため、 くぐもった声しか出せなかったが、必死に叫んでいた。 そして、その光景を後ろから見ていて何もしようとしない有香を睨みつける。 そんな碧を見ると、有香は小さくクスッと笑うと碧に言う。 「あら、私が美樹を止めるとでも思ったのかしら…? ふふ…あんな愚図には、あの姿がお似合いなのよ。 ほら、見てみなさいよ、あの顔…口がだらしなく開いて涎まで垂らしちゃって… アレがこの前まで私達の主人だと思うとぞっとしない? …っとごめんなさい、貴方にとっては愛しい『晶様』だったわね」 ここまで侮辱されても、碧は有香を跳ね除けることも出来ずに、ただ見ているだけだった。 その自分の不甲斐なさに、碧の目からはただ涙を流すしかなかった。 そんなことが目の前で起こっているとは知らず、晶は気を失い美樹の体に倒れていた。 しかし、美樹がそんなこと許すわけも無かった。 彼女は、手に拳を作ると晶の顔を殴り晶の目を無理矢理覚まさせると、 荒々しく髪を掴み強引に自分の方向に振り向かせると、大声で罵声を浴びせる。 「誰が私に寄りかかって寝ていいって言ったのよ! …お前、私を舐めてんの!? ねぇ?」 美樹のあまりの怖さに、晶は遂に泣き出してしまう。 「ご、ごめんなさぃ…そんなつもりじゃ…なかったんです……」 晶はなんとか涙声で謝る。もう、晶の顔は涙と涎でグシャグシャになっていた。 その表情が、美樹の加虐心を更に掻き立てる。 美樹は、荒い息を立てながら晶の頭から手を離すと、両手で晶の体を抱きしめ耳打ちする。 「うわ…ゃ…いやぁ…」 「いまからとっても気持ちいいことしてあげる…癖になっちゃうかもね♪」 ニヤリと笑って言う台詞に、晶はただ力なく首を横に振るしか出来なかったが、 その『やめて』という合図も美樹には伝わるわけも無かった。 美樹は、晶のアヌスからペニスバンドをゆっくりと半分ぐらい引き抜くと、 再びペニスバンドを一気に挿入する。 「うあああぁっ!!」 涙が止まらない目は大きく見開き、口をだらしなく開けて悲鳴を上げる晶。 晶は、ただひたすら、悲鳴か嬌声なのかわからない声を上げることしかできなかった。 「あ…あぁ…んっ…だ、だめ…や、やぁ…」 その晶の声を聞いて、ますます興奮してきたのか、美樹は段々と腰の動きを早くしていく。 「ほら、満更でもないんでしょう!? 気持ちいいんでしょ!?」 「あぁ…んっ…ぁ…や…やらぁ…」 晶はもう既に、意味を持った言葉など発することが出来る状態ではなかった。 段々と自分を失っていく晶の様子が、美樹を更に興奮させる。 「耳も…犯してあげる…あーんっ…じゅる…ちゅっ」 「ふぁぁ…や…やめてぇ…おかしく…なっひゃぅ…はぁっ…」 その晶のよがり声と共に、美樹が腰を振りペニスバンドを晶のアヌスに挿入するたび、 晶の腸液と美樹のペニスバンドのローションが混ざり合い、 グチュグチュという卑猥な音を立てる。 その様子を傍から見ていた碧は、痛々しい晶の姿を見るのが嫌なはずなのに、 目が離せなかった。 そして、ペニスは自分も犯したいと言わんばかりに勃起したままどころか、 僅かにだが亀頭が先走り汁によって薄っすらと濡れていた。 そんな様子を後ろから見ていた有香が悪戯めいた声で言う。 「あらぁ~? 貴方の大好きな晶様が目の前で犯されているのにココがとっても元気ね。 …それとも美樹が羨ましくなっちゃった?」 有香が、碧の口に当てていた手を離すと、碧が後ろを向き、有香を睨みながら否定する。 「そ…そんなことありません!」 「ふぅん…そう。でも、ココはこんなに射精したいよーって主張してるのにね」 有香は面白そうに小さく笑うと、羽交い絞めを解く。 そして、右手で碧の勃起しているペニスをゆっくりと扱き、 左手で服の上から碧の無い胸を弄り射精を促す。 「ひゃっ! や、やめてくだ…あぅ…」 「ほら…よく見て…。 貴方のだ~い好きな晶様が、美樹に犯されて、あんなによがり声出しているわよ…」 碧は有香に言われるがままに、目の前で犯されている晶の姿を見る。 そこには、ただ美樹に犯され泣きじゃくって、無理やり快感を貪られた挙句に、 喘ぎ声を出している晶の姿があった。 そんな晶の姿を見て、碧は何も出来ない自分と、 幾ら同じメイドの先輩であるとしても、やりすぎな美樹を憎む気持ちが募っていく。 そんなことを有香は見透かしてか、碧のペニスを更に強く扱く。 「あっ、やだ、やめてください…」 「ふふ…無理しなくてもいいの。いっぱい出しちゃいなさい…」 碧のペニスからは、先走り汁が溢れ出し有香がペニスを扱く度に卑猥な音を立てる。 更に、碧の硬くなった乳首を指先で撫で回して服の上からも刺激する。 「ふぁ…や…やめて…」 「だーめ。それにしても良くがんばるわねぇ~? …それじゃあ、これはどうかなぁ~?」 有香はそう言うと、今まで以上に強く碧のペニスを扱く。 すると、碧は今にでも射精しそうなのか、膝がガクガクと震えていた。 「やぁ…だめぇ…ホントに、出ちゃうぅ…」 碧がそう言うと、有香が急に手を止める。 碧がホッとしたのも束の間、有香が碧にとっては信じられないことを言い出す。 「ここで出しちゃったら庭が汚れちゃうわね…。 そうだ、精液は晶ちゃんの口に中出ししちゃいましょう♪」 「え…」 有香がそう言うと、晶のだらしなく開いている口に碧のペニスをねじ込もうとする。 碧は、有香の魂胆がわかった途端に、必死にずり下がる 「いや! やめて! お願いですからやめてください!」 その声に気づいたのか、美樹が碧の気持ちを見透かしたように碧に言う。 「ふん…本当は舐めてもらいたくてしかたないくせに…。有香、やっちゃって」 「了解~」 碧は必死に有香から逃げようと抵抗したが、それも無駄に終わった。 「いや! 晶様、お願い気づいて!」 碧は、必死に目の前に居る晶に訴える。 しかし、晶は美樹が突き上げるたびに感じる、不思議な快感に耐えることで精一杯で、 とても目の前のことに注意を向ける余裕など無かった。 「ゃ…みき…やめぇ…ひゃ…あぅ…」 晶が美樹に訴えるその声も、時折あえぎ声が混じっていた。 美樹はそれに答えるかのように、息を荒くしながら激しく突き上げる。 「よくもそんな嘘つけるわね…本当は気持ちいいんでしょ!? ねぇ!?」 「きもちよく…あぅ…な…ぃ…あぁ!」 晶の言葉には既に真実味など欠片も無く、 ただ美樹が一方的に与える快感に悶えることしかできなかった。 そんな晶を見て、後ろから有香が碧に言う。 「ふふ…晶ちゃん、貴方のココが早く欲しいんだって♪ 良かったねぇ~?」 有香のその言葉に碧が、声を震えて反論する。 「うそ…嘘です…晶様はきっと嫌がってる…はずです…」 しかし、碧もはっきりとは断定できなかった。 そう信じたいという思いがあっただけなのかもしれない。 そんな碧を見て有香はクスッと笑う。 「ふふ…そうね。そうかもねぇ…。 でも、あんなによがり声出して嫌がる男の人って居ないと思うけど。 さ、貴方も溜まっている分、全部出しなさい…」 「やめ…やぁぁあああ!」 碧の勃起したペニスは、晶の小さい口の中を無理やり割り込むように入っていく。 その晶の柔らかい舌の感触と、 自分のペニスが晶の口の中を犯しているという事実が、碧の感情を一気に高ぶらせる。 「あ、いやぁ…あ、だめ…もう、でちゃう……でちゃうぅうう!!」 碧のペニスは、晶の口の中に入った途端に大量の精液を吐き出していく。 「んぐぅ!? んんっ――!!」 晶は突然口に入ってきた大量の精液をどうすることも出来ず、 ただ口の中に溜めていく。 「あぁ…あぅ…ご…ごめん…なさぁい…あきら…さまぁ…」 碧は射精が終えた瞬間、遂に足腰に力が入らなくなったのか、 ガクガクと膝を震わせると有香に背を持たれたまま、そのまま地面にぺたんと座り込む。 一方の晶は、精液独特の青臭さに耐え切れず吐き出しそうになる。 それを見計らって、美樹はサッと晶の口元に手を当てる。 「うっ…おぇ…んぐっ…!?」 「吐き出さないで。そのまま飲み込みなさい…」 晶は無理だと言わんばかりに、首を横に振るが美樹がそんなこと許すはずも無い。 「飲めって言ってんの…」 そう言うと、美樹はカチカチに勃起した晶のペニスを思いっきり掴む。 言葉に出来ない激痛が一瞬にして晶を襲う。 「ひぐぅ!」 「ほらぁ、飲まないと去勢しちゃうぞ~?」 美樹は段々と力を入れていく。それと共に、晶のペニスが悲鳴を上げる。 それは、美樹が晶には選択権など無いという事を知らしめるようだった。 晶は、必死に碧の精液を押し出そうとする喉に無理やり精液を飲み込む。 「ん…んぐっ…」 「あら、美味しそうに飲むわね。そんなに美味しかった? ん?」 美樹は面白そうに、晶の肩口から顔を覗き込みながら話しかける。 しかし、晶は美樹と目を合わせようとはせずにただ黙っていた。 「まぁいいわ。ちゃんと飲んだご褒美に…貴方の汚らわしいモノを扱いてあげる」 美樹はそう言うと、晶のペニスを掴み扱き始める。 「ふぁ! や、やだぁ…」 「嫌なわけないでしょ、こんなカチカチに勃起させて…。 ほら、早く出しちゃってよ!」 そう言うと、美樹は前立腺を刺激しながらペニスを強く扱きたてる。 晶のペニスも相当限界だったのか、美樹の手の中でピクピクと反応させる。 「出そうなのね。ほら、イっていいのよ~。いーっぱい、碧ちゃんの顔に出してね♪」 「ふぁ…み、みどりちゃん…?」 美樹はそう言うと、有香に目で合図を送る。 すると、後ろで立って傍観していた有香がしゃがみ込むと、俯いていた碧の頭を無理やり起こす。 「な…なにするんですか…」 「ふふ…晶ちゃんがいいものくれるんだって…。幸せだね、貴方も」 そう有香が言うと、美樹は一旦アヌスを犯すのを止めると晶のペニスを碧の顔に向ける。 晶は、美樹が無理やり碧に顔射させようとわかった瞬間、 必死に目を瞑り射精を堪えようと唇を噛んで我慢する。 「んっ…んぅう…」 「あら、そんなので今更止められるわけないでしょうが。 ほら…いっちゃってよ!」 美樹はそう言うと、ラストスパートを駆けるかのように早く扱きたてる。 「はぁ…あっ、あぁ…だ、だめ…でる…ふぁ…あぁああああ!!」 「んんっ…!」 そんな付け焼刃などで耐えられるわけも無く、晶はあっという間に射精してしまう。 それと同時に、碧の顔には晶の精液がベッドリと付く。 碧は、何も言わず口を閉じ目をキュッと瞑りただ晶の精液を顔で受け止めいてた。 「あっ…あぁ…ぁぁ…」 美樹は晶のアヌスからペニスバンドを抜き立ち上がる。 すると晶は、今度こそ精力を使い果たしたのか、地面にグッタリと倒れこんでしまう。 碧は晶のことが余程心配だったのか、傍に寄ると晶を抱きかかえながら声をかけた。 「だ、大丈夫ですか! 晶様!」 晶は虚ろな目で碧の顔を見ると、ポロポロと涙を流しながら話しかける。 「ご…ごめんなさい…わ、私のせいで…碧さんまで巻き添えにしちゃって…。 それに顔まで汚しちゃって…」 晶は震えた手でそっと碧の顔に付いた、自分の精液を僅かだが取り除く。 その手を碧がギュッと握り締めて、晶に言い返す。 「そ、そんなこと…気にしないで下さい…」 そんな二人を見下ろしていた美樹と有香は、バカにしたように笑いだす。 「あ~可笑しい。そうやって一生、同じオカマさん同士で傷を舐めあっていれば?」 「ホント汚らわしい…一緒に仕事してるだけでも虫唾が走るわ…」 その言葉に晶は全く抵抗しようとはせず、ただ碧のメイド服をギュッと握り締めると、 碧の胸に顔を埋め、涙を流しながら黙り込んでいた。 そんな晶を見て、碧は完全に有香と美樹に対して怒りを露にする。 「許さない…」 碧が声を震わせ、小さな声で呟く。 それに気づいた美樹が耳に手を当てて、わざとらしく聞きなおす。 「え? なに? 聞こえな~い」 そんな美樹が可笑しかったのか有香が笑いだす。 「ほら~可哀想よ~。 碧ちゃんも、一番知られたくない相手に秘密をばらされてショックなんだから~」 「あーそうなのー? ごめんなさいねぇ~?」 その二人の言葉に完全に切れたのか、 碧は二人を睨みつけながら今まで出したことの無いような怒声を上げる。 「貴方達のこと絶対に許さないんだから!!」 その言葉に、二人は呆れたように適当に流す。 「はいはい。がんばってね。 …それにしても、『許さないんだから!』って… 晶様の汚い精液べっとりつけた顔で言われてもねぇ…」 有香は馬鹿にしたように笑いながらそう言った。 「笑っちゃだめよ~有香ったら~。うんうん、そうよねぇ~。悔しいよね~。 女の子みたいにえんえん泣いている、晶ちゃんの仇とってあげてね」 「やだ、美樹のほうが酷いじゃ~ん。あははは!」 そう言い残すと、二人は可笑しそうに笑いながら、また屋敷の中へと戻っていった。 碧は二人が屋敷に消えるまで、その姿を脳裏に焼き付けるように睨み続けていた。 「晶様…もう大丈夫ですよ。」 碧は、自分の胸に顔を埋めている晶の頭を優しくなでながら話しかける。 すると晶は、碧の顔を涙を流したまま恐る恐る見上げ確認する。 「ふぇ…も、もう行ったの…?」 「はい。安心してください。」 碧は優しく微笑み、晶の警戒心を解く。 晶はそれに答えるかのように、碧に預けていた上半身をゆっくりと起こしあげる。 そして、袖で自分の涙を拭うと、はっきりした視界の中で碧の顔を見る。 「あ…あの…本当にごめんなさい…私と一緒に居たせいであんなことになっちゃって…」 「そんな…本当に気にしないで下さい…私も…その…晶様のお口の中に無理やり…出しちゃったし…」 碧はその事を言うのが余程、恥ずかしいのか顔を赤らめて俯く。しばらくの沈黙の後、碧が空気を変えようと口を開く。 「さ、作業再開しましょうか。あ、晶様は無理しなくても休んでていいですよ。」 「で、でも…」 晶が心配そうな声を挙げると、碧は晶の方を向き、笑みを見せながら優しい声で答える。 「大丈夫ですよ。由利絵さんには内緒にしておきますから…ね?無理しないで休んでいてください。」 クスッと小さく笑い晶の頭を撫でると、作業を再開する。しかし、作業をしている最中の碧の顔はどこか浮ばれなかった。 碧は、晶を不安にさせないため、表面上は優しく見繕っていたが、実際は美樹と有香から晶を守れなかった自分を攻め立てていた。そんな碧の気持ちが、僅かにだが表情に表れていたのを晶は見逃さなかった。 晶はそんな碧を見ていると、幾ら碧が許してもやはり罪悪感が拭えない。 その罪悪感を少しでも拭うためなのか、晶は作業中の碧の肩を軽く叩き、自分の方に顔を向けさせると、碧の両肩口に手を置くと、何も言わず子犬みたいに、碧の顔に付着している精液を舐め取り始める。 碧は、晶のその急な行動に驚き声を上げる。 「あっ…晶様…一体なにを…?」 「あの…私、ハンカチとかティッシュ持ってなかったので… 少しでも碧さんの顔に付いたモノを取り除いてあげようかと…その…思いまして…」 恥ずかしいのか顔を赤らめ俯きながら話しかける晶が、碧はまるで自分を慕ってくれる妹かの様に愛おしくなる。 それと共に、後先考えずに押し倒して泣かせたいという、有香や美樹に劣らないほどの加虐心までも生まれてきていた。 しかし、そんなことしてはまた晶の傷口が広がるばかりだと自分に言い聞かせて必死に耐える。 そうこう考えている間に、晶は自分の取った行動で碧に嫌われたと思ったのか、俯いてた顔を少し上げ、不安そうに、まだ残っていた涙を目に溜め碧の表情を恐る恐る覗きながら話しかける。 「あ、あの…気持ち悪かったですか…?」 「え…そ、そんなこと全然ありませんけど…ただ、晶様が無理してないのかと思って…」 不意を突かれて、聞かれた碧は少し気を動転させるが、何とか応対する。 そんな碧の応対に、晶はホッとした表情を見せる。 「それじゃあ…続けますね。」 そう言うと、晶は再び碧の両肩口に手を置くと碧に付着した精液を確実に掬うように、舌に僅かな強弱を付けながら、ゆっくりと舐め取り始める。 晶は決して意識しているわけではないのだろうが、それは碧にとって性感帯を刺激する物以外何者でもなかった。 それを表すかのように、晶が碧の顔を舐めるたびに、碧の体が僅かにビクッと反応する。 「んっ…ふぁ…」 碧は思わず声を上げてしまう。『もっと舐めて欲しい…』そんな欲望すら碧の中から沸々と沸いてくる。 しかし、晶は直前で射精を堪えたせいもあってか、それほど多く射精しなかったためすぐに終わってしまう。 晶は、そっと碧の顔から舌を離す。碧はそれを惜しむかのように、虚ろな目で晶を見る。 「え…お、おわり…?」 晶は、碧がこちらを向いたことを確認すると、ニッコリと微笑む。 「…はい、終わりました。さ、作業に戻り…むぐっ!?」 晶が言い終わらない内に、碧は徐に晶の唇を奪う。 碧は晶の背中に両手を回すと、まるで映画のワンシーンを切り取ったような激しいキスを始める。 何事かと驚いた晶は何も出来ず、ただ碧のされるがままだった。 「んんぅ…んっ……」 碧は、理性を抑えきれなくなった自分に気づいたのか、一旦唇を離す。 「んっ…はぁ…急にごめんなさい…私…こんな身分で、晶様の事…好きになっちゃったみたいで…だから…その…」 碧は恥ずかしいのか顔を赤らめて俯きながら晶に言う。 当の晶は、碧の突然の告白に顔を赤くして、どう反応して良いのかわからなくなったのか、ただ黙って俯いているだけだった。 「で…でも…気持ち悪いですよね…こんなのに告白されても…」 碧は、晶の反応を見て自分は完璧に嫌われたと思っていた。 それを表すかのように、やはり晶は何も言わずに黙ったままだった。 「…さ、じゃあ早く終わらせちゃいますね。やっておかないと五月蝿いですよ。」 碧は、わざと明るく言うと再び作業を再開する。 晶は、何かを決心したかのように顔を上げると、何も言わず碧の肩に抱きつく。 「晶…様…?」 碧は少し驚き、晶と目を合わせる。 「…ありがとう。こんな…私を好きになってくれて…迷惑ばっかりかけちゃうけど…よろしくお願いします。」 晶はそう言うと、今度は晶の方から碧の唇を奪う。 「んっ…」 そして、二人は互いの体を抱きしめあい、再び激しいキスを始める。 そんな様子を、上の部屋から見ていた由利絵が面白そうにニヤリと笑う。 「まさか、同性の碧ちゃんがこんなに早く役立つとはね…わからないものね…」 その時、由利絵の部屋を誰かがノックする。 「どうぞ。」 窓から二人の様子を見ながら軽く通すと、美樹と有香が部屋に入ってくる。 『失礼します。』 由利絵は、二人が入ってきたことを確認すると、窓を覗くのをやめ、二人の前までゆっくりと歩いていく。 「貴方達…なんで呼ばれたかわかる?」 由利絵がいつも叱るときに出す、冷たい声に二人は思わずドキッとする。 先程まで庭を見ていたところを見ると、自分達が先程までやっていた一部始終を、見ていたと思わずにいれなかったからだ。 二人はどう答えていいかわからずに、黙っていると由利絵がクスッと小さく笑う。 「ふふ…見てたわよ。貴方達なりの晶様に対する『躾』…」 由利絵が見ていたことがわかると、二人の顔は段々と青くなる。 二人の脳裏には、『身売り』という最悪の展開が横切る。 正直言えば、この屋敷は二人のような身売りをされた娘にとっては唯一、人として扱ってくれる所だ。 そこを追放されるとなると、男の慰めるただの道具として扱われるような所にしか行けないことは、二人は十分わかっていた。 「す、すみませんでした!で、でも…晶様にはあれ位の躾が丁度良いと考えた結果行ったことでして…その…」 有香が頭を下げ、必死に弁明の言葉を言う。 しかし、その見られていた『躾』を考えた張本人である美樹は俯いたまま固まって言葉が出てこなかった。 二人がこんなに慌てるのも無理も無い。 今現在メイドとして扱われている晶が、葵か由利絵がその気になれば、すぐにでも二人には到底手が届かない相手、つまり主人となる。そんな相手に躾と称してイジメをしていたのが暴かれれば、跡継ぎに危害を与える、危険人物として屋敷を追放されるのは目に見えてたからだ。 「何か勘違いしてるようだけど…私は貴方達の躾け方法にケチつけているわけじゃないのよ。」 「え…?」 「ほら…顔を上げて。」 由利絵はクスッと小さく笑うと、怯えた目で自分の顔を覗く二人の頭を撫でて安心感を持たせ、顔を上げさせると話を続ける。 「貴方達の躾方法に関しては、私は一切口出しをしないわ。貴方達が本当に晶様に必要だと思った仕方でやれば良い。…それが、少々荒治療だとしてもね。」 二人は、ただの思い過ごしかと思った瞬間、ホッと胸を撫で下ろす。 由利絵は、そんな二人の表情を見た後、再び窓越しから碧と晶の様子を見る。 そこには、時折互いの髪を撫であいながらも、未だにキスをしていた二人の姿があった。 そんな二人を見て由利絵はニヤリと笑うと、再び二人の方を振り向き話しかける。 「ただ…やり返されないようにね。まぁ、晶様は問題ないでしょうけれど…碧ちゃんにはちょっと気を付けた方が良いわよ。 なんか、さっきやられたことで相当貴方達を恨んでたらしいじゃない。」 由利絵がそう言うと、するとすかさず有香が自信たっぷりに答える。 「それについては心配要りません。」 「ふぅん…なんでそんなこと言い切れるの?」 「それは、見ていてわかっていたと思いますが、私達の個々の力と、碧の力では差が歴然としています。 それに、碧は基本的に私達に逆らえません。なので、碧が私達に危害を加えるようなことはできるはずありません。」 「そう…なら、安心したわ。それじゃあ…もし万が一、碧ちゃんが貴方達に危害を与えても、私は何も関与しないわよ。それでもいいのね?」 二人は、異様に由利絵が碧を危険視していることに少し疑問を感じた。 特に美樹は、なぜか碧が先程睨んできた顔が忘れられず、なにか引っかかるものを感じていた。 有香については、今までの生活の中でも碧が自分達に反抗的な態度をとった事が無かったことから、二つ返事で承諾する。 「はい。問題ありません。」 「わかったわ。…美樹ちゃんはどうなのかしら?」 美樹も、自分の思い過ごしだろうと感じたのかあっさりと承諾する。 「は、はい。私も問題ありません。」 「そう…わかったわ。それじゃあ、また担当場所に戻って。わざわざ呼んで悪かったわね。」 『失礼します。』 二人は、深々と頭を下げると由利絵の部屋を出て行く。 「大丈夫かしらね。あの二人…」 由利絵は、二人が出て行った後そう呟くと、椅子に座り自分もまた仕事に戻る。 一方の、晶と碧はキスをやめて、ただ互いの存在を確認しあうかのように抱き合っていた。 「…碧さん…どこにも…行かないでね…私…碧さんが居なくなったら… なんだか一人ぼっちになるような気がして怖いよ…」 晶は悲しそうな声でそう言うと、碧の体をギュッと抱きしめる。 碧の体を通して、その抱きしめる手が僅かに震えていることがわかる。 それを感じてか、碧は晶の髪を優しく撫でながら話しかける。 「…大丈夫ですよ。私は晶様の絶対に傍を離れません。ですから安心してください…。」 晶の髪を撫でるごとに、碧の心の中では『躾』と称して散々好き勝手に晶を虐めてきた、美樹と有香に対する憎悪が膨らんでいった。 「ね…ねぇ…?碧ちゃんのこと…本当に大丈夫なの?」 美樹は、二つ返事で由利絵の提案を了承した有香に、やはり胸の中にある引っかかったものが気になったのか、突然、立ち止まると不安そうに聞く。 「だから…大丈夫だって。…美樹ったら、もしかしてあんなのが怖いの?」 有香は、そんな美樹に自信たっぷりに答えると、少し軽蔑するような眼差しで美樹の顔を見る。 「いや、そんなことないよ!で、でも…由利絵さんが碧ちゃんにあんな慎重になったこと無かったから…」 美樹は有香の言うことを慌てて否定はした。 しかし、不安になっていることについては拭えないのか、先程晶を大胆に犯していた美樹とは思えないほど、慎重になっている様子が見て取れた。そんな美樹を見て、有香がクスッと小さく笑う。 「ふふ…バカねぇ。由利絵さんは言う事が大げさすぎるのよ。 …あんなひ弱なオカマちゃんに、幾ら女の私達でも負かされるわけ無いじゃない。貴方もわかってるでしょ? そんなことより、さっきみたいに良いネタ考えてよ。もう何やっても『躾』として黙認されるんだから。」 有香は、軽く美樹の肩に手を置く。美樹は有香にそう言われても、吹っ切れることができなかった。 しかし、これ以上有香に詮索され、密かに碧からの仕返しを怖がっていることに気づかれてしまうのを恐れて、無理やり有香の意見に自分を納得させる。 「そ、そうよね。わかったわ、またなんか良いネタ考えておく。」 「ん、頼むわよ。美樹"先輩"。さ、厨房に行きましょ。また、"晶様専用料理"を作らないとね。」 「有香ったら好きね。」 二人は可笑しかったのか、クスクスと小さく笑うと、夕飯の準備に取り掛かるべく厨房へと向かっていった。 「…所詮女の慰め物に過ぎないのよ…男なんて…」 厨房に向かう途中、美樹にも聞こえないほど小さく呟いたその声には、この屋敷に来るまでに弄ばれてきた男に対する怒りが、晶と碧という、自分達よりも立場の弱い男に向けられているようだった。 ※ ※ ※ 一方の晶と碧は、美樹と有香が来て以来すっかり忘れていた担当作業を再開していた。 ただ、晶は精神的にも体力的にも疲労感が見られたので、碧は近くにあったベンチに座らせ、一人で作業をしていた。 「あ…あの…碧さん、一人で大変そうだから手伝いますよ。」 晶は、そんな一人で懸命に作業をしている碧に申し訳ないと思ったのか、ベンチから立ち上がると碧の傍まで行き、自分も作業に加わろうとする。その時、晶の腹から派手に腹の虫が鳴いた。 「あっ…」 晶は恥ずかしかったのか顔を赤らめ俯くと、両手で腹をギュッと押さえそれ以上鳴らないようにする。 しかし、成長期であるにも関わらず、朝食を抜いたどころか昼食までも抜かれ、挙句の果てには美樹に激しく犯されたせいか、腹の虫は少しの間収まらなかった。そんな晶を見て、碧がクスッと笑う。 「無理しないでください。私なら大丈夫ですから。ね?…座ってゆっくり休んでてください。」 「は…はい。で、でも手伝って欲しいときは言ってくださいね。」 晶は碧に言われるがまま、またベンチに戻って座る。そして、碧はそれを確認すると、また作業に戻る。 碧は作業しつつ心密かにどうやって美樹と有香に仕返しをしようかと考えるので手一杯だったため、先程のような他愛もない会話は二人の間には無かった。そして暫くの沈黙の後、晶が口を開く。 「あの…碧さん」 「はい?どうかされましたか?」 碧は晶に呼ばれると、一旦作業の手を止めて晶のほうを向く。 晶はそれを確認すると、先程からずっと引っかかっていたことを意を決して話し始める。 「有香さんと美樹さんのこと…許してあげてください…」 「えっ…?」 その晶の意外な心境に驚きを隠せない碧。無論、碧も晶がそう言う前までは当然あの二人を恨んでいたと思っていたからこそ、有香と美樹に投げかけた『許さない』という言葉は、自分の言葉であると共に、晶が思っていることを代弁して言ったつもりだった。 そのこともあって、晶が今言ったその言葉は碧にとっては衝撃的だった。 「だ、大丈夫ですよ。私も有香さんと美樹さんはちょっと頭が上がらない存在なので怖いですけど… で、でもあの二人のやったことは晶様を思ってやっている『躾』じゃないんです。それは、晶様もわかってると思いますが… あんなの、ただ自分の立場を利用して虐めているだけです!だから、あの二人には…」 碧は、晶が有香と美樹のことを怖がっているかと思い、少し戸惑いながらも、あの二人を許すわけにはいかないという理由を話そうとした途端、晶が声を荒げて口を挟む。 「やめてください!」 その言葉に碧は少し驚くと、叱られた子供のように頭を項垂れながら小さな声で謝る。 「ご…ごめんなさい…。ただ…私は…晶様のことを思って…」 そんな碧を見て、晶は正気に戻ったのか申し訳なさそうに謝る。 「ご、ごめんなさい。碧さんの私を思ってくれる気持ちはとっても嬉しいです。…でも、私なんかどうなってもいいんです。むしろ、虐められるのは当然です…。有香さんも美樹さんも、私が素直にしていれば…多分あんなことしなかっただろうし… …それに、私を庇うばっかりに碧さんがここに居られなくなるなんてことになったら…私…」 最後のほうは涙声になりながらも言い終えると、晶は俯いたまま涙を流し始める。 そんな晶を見て、碧は立ち上がり、泣いている晶の横に座ると俯いてる晶の顔をそっと上げる。 そして、頬を伝って落ちてくる涙を優しく指で涙を掬い取る。 「グスッ…み、みどりさん…」 「晶様ったら…前までの威勢のいい晶様は何処に入っちゃったんですか?…泣いてばっかりなんて…晶様らしくないですよ?」 クスッと小さく笑うと、晶を宥めるように優しく話しかける。 「うぅ…ご、ごめんなさい…で、でも…折角好きな人ができたのに…居なくなると思うと…耐えられなかったんです…」 「晶様…」 碧は、泣きながらも自分のことを『好きな人』と言ってくれることは本当に嬉しかった。 しかし、有香と美樹を恨む気持ちは変わらなかった。 「わかりました…晶様の言う通りにします…。」 晶に悪いと思いながらも、碧はとりあえず形式だけ晶の言うことに約束することにした。 「ほ、本当…?」 晶は涙顔になりながらも、碧の目をジッと見て確認する。 碧は、心が痛むのを耐えて優しく微笑みながら答える。 「え…えぇ…本当ですよ。」 碧がそう言うと、晶は涙を袖で拭うとホッとしたのか笑顔になる。 「よかった…絶対約束ですよ?」 その笑顔と、念を押して約束してくる晶に碧の胸が痛む。碧はそれをグッと堪えて晶に答える。 「はい、大丈夫です…」 しかし、信頼してくれている晶を裏切るということに耐え切れなくなったのか、碧の目から、涙が少しずつ溢れだしてくる。 「ど、どうしたんですか…碧さん?」 碧はまずいと思いながらも、何とか冗談を言って涙を止めようとする。 「やだ…私ったら…晶様の…泣き虫が移っちゃったのかな……」 碧は必死に取り繕ってそう答えるが、涙はそう簡単に止まらなかった。 晶は両手で顔を覆って涙を隠しながら泣いている、碧の頭をそっと撫でる。 すると、碧は晶の顔を覗き込むように顔を上げる。 「あ…あきらさま…?」 「無理しないで…いっぱい泣いてください。」 晶が碧に優しくそう言うと、碧は晶の胸に顔を埋めると堰を切ったかのように涙を流す。 晶は、ただ黙ってそれを受け止める。 「ごめんなさい…私…わたし…」 『嘘をついてしまいました』とは、晶にやはり言えなかった。 碧はいっその事、晶の言う通り二人への復讐はやめようと心に決めようとした。 しかし、晶の胸の中で涙を流すごとに晶が二人に虐められて悲しそうに泣いている顔が浮び、有香と美樹への復讐心は決して消えることが無かった。 暫くして、碧は涙が止まったのか、自分から晶の胸から体を起こす。 「ごめんなさい…晶様…」 碧は目に少し溜まっていた涙を袖で拭いながら謝る。 「謝らないでくださいよ。…なんだか、私が虐めたみたいじゃないですか。」 晶が冗談半分でそう言うと、碧は少し可笑しかったのか小さく笑う。 「碧さんに涙なんて似合いませんよ。だから…もう泣かないでくださいね。」 その自分には似合わないようなキザな台詞に、晶は恥ずかしさを覚えたのか、カッーと自分の顔が熱くなってくることが手に取るようにわかった。 「って…ちょっとくさいですよね…この台詞…」 晶は頬を赤らめながら頭をかきながら言う。それに便上するように、碧も晶に突っ込む。 「そうですね…ちょっと…晶様には似合わないかも…」 クスッと小さく笑いながら話す碧の表情は、徐々に先程までの明るい表情を取り戻しつつあった。 晶はそんな碧を見て安心すると共に、碧に突っかかる。 「もぉ~…碧さんったら酷いです。…さっきは急に泣き出すから本当に心配だったんですから…」 「ふふっ…ごめんなさいね。…でも、私も…晶様のこと…大好きです…これだけは信じてください。」 「碧さん…」 碧がそう言うと、二人は見つめ合う。 その間に何かくすぐったい物を感じたのか、二人は付き合ったばかりの恋人のように恥ずかしそうに顔を赤らめる。 その空気に耐えられなくなった碧が口を開く。 「さ、そろそろ夕ご飯の時間ですから…厨房に行きましょうか?」 すると、晶もそれに乗じて碧に話を合わせる。 「そ、そうですね。行きましょう。」 二人は仲良く手を繋ぐと、ベンチを立ち上がり庭園を後にしていった。 …自分達の担当作業のことはすっかり忘れて。 晶は廊下を碧と手を繋ぎ歩いていっている間も、やはり有香と美樹に顔を合わせなければならないと思うと気が重くなっていた。 そして、厨房を前にして厨房に入ろうとした時、耐え切れなくなった晶が口を開く。 「ま、待って!…やっぱり…私は…いいです…」 晶は、このドアの向こうに有香と美樹が居ると思うと、今すぐにでも逃げ出したかった。 それを晶の僅かに震えている手から察した碧が、少しでも安心させようと優しく言う。 「大丈夫ですよ。私が付いているじゃないですか。だから、何も心配要りませんよ。」 碧はそう言うと、一様はコクッと頷く晶だが、やはりどこか不安そうだった。 「…それとも、やっぱり私なんかじゃ不安ですか…?」 それを察知して、碧は不安そうに晶に話しかける。 晶は、碧の不安そうに話しかける表情を見て慌てて言う。 「そ、そんなことないです!…でも…また、自分のせいで碧さんを巻き添えにするのが怖くて…」 碧は、晶が自分のことで余計な心配をかけてしまっている思うと、あの二人に何も手を出せなかった不甲斐なさから自分を責める。 しかし、それは表情には出さずに自分の中に押し殺し、晶をこれ以上不安にさせないようにする。 「そんな私のことでなんかで…心配しないでください。私だったら大丈夫ですから。ね?」 碧は、晶がコクッと軽く頷き安堵の表情を見せたのを確認すると、厨房のドアを開け晶の手を引きながらその中に入る。 厨房には、既に夕食の時間帯なのにまだ皿だけが置かれているだけで、肝心の料理が用意されていなかった。 よく見ると、厨房では有香と美樹に加えて、手伝いを頼まれたのか昼食時に晶を有香と美樹と共に虐めていた、二人のメイド達も手伝っていた。晶と碧が厨房に入ってきたのに気づいた有香が、二人に声をかける。 「あ、来たの。随分遅いのね。あの後、二人仲良くイチャイチャしちゃって遅くなっちゃったの? …こっちは、晶ちゃんの『躾』が思いのほか響いちゃって、準備が遅れてるってのに…。 これも、碧ちゃんがしっかり躾をしないからいけないのよねぇ~…ったく、イチャつくのは勝手だけど、こっちの事情も考えてよね。…ったく、由利絵さんも何でこんなの入れたんだろ?…困るのよね~こういうのが居・る・と。」 有香は少しため息をつき、半分呆れたような口調で話す。無論、あれはどう考えても『躾』では無いことは有香もわかっていた。 そんな有香の勝手な言い分にも、晶は全く反抗しようとはせず、それどころか怯えているのか顔を俯いて全く有香とは目を合わせないようとする。 碧は、そんな晶を見て有香を思いっきり睨みつける。 それに気づいた有香は、冷めた表情でわざと調理道具を大きな音を立てて叩きつける。 その瞬間、周りは調理していた手を止めると同時に、一気に静まり返る。 晶は、それにますます怯えて、遂には碧の後ろに隠れてしまった。 「…アンタ何様??ちょっと生意気なんじゃないの?ねぇ!?」 有香は厨房のドアの前に立っている碧の目の前まで来て、碧の襟元を掴み上げ睨みながら言う。 しかし、当の碧は何も言わずただ黙って睨んでいるだけだった。 「…何とか言ったらどうなの!?ねぇ!?」 有香は、軽く脅せばまた自分に屈服すると思っていたが、帰ってきた言葉は意外なものだった。 「…離せ。」 碧は有香に聞こえるほどの小さな声で呟くと、有香の腕を荒々しく掴むと徐々に力を入れていく。 有香は、今までの碧には考えられない力と乱暴な口調に驚きを隠せなかった。 「なっ…貴方そんな言葉遣いして…」 「…離せって言ってんだろ!」 冷たい表情で睨みつけながらギリギリと手に力を込めていく碧に、有香は今まで碧にだけは絶対に感じなかった、男に対する恐怖心が腕の痛みのことも相まってか、ジワジワと蘇ってきた。 「っ…チッ…!」 それに耐えられなくなったのか、有香は碧の掴んでいる手を振り払うように襟元から手を離す。 「あ~はいはい、私の負けよ。ごめんなさいねぇ~。」 有香は、周りに悟られないように背中越しで、わざと自分から手を引いたような言い方をするとまだ途中だった料理の調理を再開した。 再開してからというものの、あの時はなぜか恐怖心に煽られて自ら手を引いてしまったが、やはり碧の挑発的な態度が癪に触ったのか、イラついている様子が表情から見て取れた。 一方の碧は、有香を追いやった後、自分の後ろに隠れた晶を心配してか後ろを振り向く。 「だ、大丈夫ですか?晶様」 そこには、まるで嵐が収まるのを待つかのように、碧のスカートを掴み俯いて目を瞑り小さくなっている晶がいた。 「うぅ…」 やはり、昼頃に有香と美樹に虐められたのが相当トラウマになっているのか、僅かに体を震わせ怖がっていた。 碧は、晶を落ち着かせようと自らもしゃがむと、先程晶を慰めた時と同じように抱いて、背中を軽くさす落ち着かせようとする。 「大丈夫ですよ。私が傍にいる限り…絶対に晶様に危害を与えさせませんから…。だから顔を上げてください。」 晶は恐る恐る顔を上げると、碧は優しく微笑む。 「ご…ごめんね。本当だったら…私が…」 その表情を見て、晶はまた碧に迷惑をかけてしまったという罪悪感に押しつぶされそうになったのか、申し訳なさそうに謝ろうとする。 しかし、それを碧が遮る。 「いいんですよ。私は晶様の為だったら…どんな目にあっても守ってあげますよ。」 「碧さん…ありがとう…」 碧のその言葉に嬉しくなったのか、晶はギュッと抱き返す。 その様子を目の前で見せ付けられた、有香はますます苛立ってきていた。 「あ~ぁ…気持ちわる…吐き気がするわ……そうだ、ちょっと…ねぇ、美樹。」 有香は手を止めて、何か悪知恵が働いたのか美樹を手招きし耳打ちする。 それを聞いた美樹は、徐々に表情が緩んでいく。 「ってことなんだけど…」 有香が美樹の耳元から口元を離すと、美樹は面白そうに小さく笑う。 その二人の怪しい仕草に、碧と晶は気づいていなかった。 「ふふ…いいじゃんそれ。さっすが有香『先輩』♪」 美樹はそう言うと、有香の方にポンと肩を軽く叩く。 そして、その時ちょうど仕上がった料理を一人前、銀のトレイに載せると後輩のメイドに耳打ちする。 そのメイドは軽く頷くと、晶と抱き合っている碧の前まで、料理が載せられた銀のトレイを持っていく。 「お取り込み中悪いんだけど…ちょっといい?」 その一言で二人は少し顔を赤くしながら、そそくさと抱き合っていた体を離して立ち上がると碧が応対する。 「え…あ、はい…な、なんでしょうか?」 「今日由利絵さん、忙しくてココにこれないようだから、碧ちゃんこれ部屋まで持って行ってくれない?」 「え…私一人で…ですか…?」 「そうよ。料理持って行くだけだもん。二人もいらないよね?」 それはもっともな意見だったが、碧は晶を一人にしている内に有香と美樹によって何かされないか心配だった。 昼のこともあってか、碧は二人のことを全く信用していなかった。 碧は、そのことを承諾しようかどうかを迷っていた。 「あ…あの…それだったら自分がやります。」 晶が、碧の困惑している表情を見て、少しでも役に立ちたいと思ったのかその役を買って出る。 しかし、それもあっけなく却下されることになる。 「それは駄目よ。だって、美樹さんから碧ちゃんに頼むようにって言われてるもの。」 そう言うと、そのメイドは思わずニヤリと笑ってしまう。 そのメイドの表情と、美樹からの命令だと聞いた瞬間、碧はやはり何か企んでいると思わざる得なかった。 「…晶様に何にもしないでしょうね?」 「そんなことわかんないわよ。私だって、貴方に料理を渡した後、葵様に料理を運ばなきゃならないから。 …というか、早くしてよ。時間もあんまり無いんだから。」 そうせかされても、やはり碧は晶を心配してか中々承諾しようとはしなかった。 そんな碧を見て、不安になったのか晶が碧に言った。 「あ…あの…碧さん。自分のことなら心配要りませんから…行って来てください。」 「で…でも…晶様に何かあったら…」 「私のことなら大丈夫ですよ。それに、私もいつまでも碧さんに甘えてばっかりじゃいけませんから…」 その返事は意外なものだったが、晶本人がそう言うのならばと、碧はそれを引き受けることにした。 「わ、わかりました。晶様がそう仰るのなら…持って行きます。」 碧はそう言うと、そのメイドから料理が載せられている銀のトレイを受け取る。 「ただ…有香さんと美樹さん、また晶様を泣かせるようなことをしたら…承知しませんからね…」 碧は、厨房を出て行く前に、二人のほうを振り向き睨みつけながら冷たい声で言う。 しかし、当の有香と美樹は先程碧に対して多少なりとも恐怖心を抱かせたものの、全く相手にしようとしなかった。 「あ~はいはい、こんな出来損ないの私に忠告ありがとうございますぅ~碧センパイ~」 「わかったから早く行ってよ。何にもしないから。」 その二人のふざけた対応にやはり不安を隠せなかったが、碧は厨房を出て行った。 それを見送ると、今度は有香と美樹の料理を手伝っていた二人のメイドが、料理を載せたトレイと、飲み物が入っているガラス模様が縁取られた容器をそれぞれ持つ。 「…それじゃあ、葵様のところへ行ってきます。」 「ん。手伝ってくれてありがとうね。」 二人はそう言うと、厨房から出て行く。 有香はそれを見送り、三人だけになった厨房を見渡す。 その後、俯いて黙り込んでいる晶に向かって言う。 「さて、それじゃあ料理冷めないうちに食べちゃいましょうね。」 有香は、自分の考えた今から起こる『イベント』に、ニヤけそうになるがそこは必死に取り繕って、晶に気づかれないようにする。 二人が見る限り、晶はやはり内心は相当怯えているように見えた。 しかし、有香と美樹は晶に何をするわけでもなく、あらかじめ机に用意されていた皿に料理を盛り付けると、なぜか真ん中だけ一席開けて、椅子に座る。 「さ、晶様。ここにお座りになってください。」 有香は、晶がまだ『主人』という地位にあった時のように、丁寧に自分の横の席に座るよう誘導する。 「は…はぃ…」 晶は、その口調とわざわざ真ん中に座らせることに不安を感じたが、今更逆らえるわけも無く小さく返事をするとそこに座る。 そこに座ると、目の前には昼食に出てきた残飯のような食事ではなく、ちゃんとした料理だった。 晶は、腹が減っていたためすぐにでもがっつきたかったが、何か怪しく思い中々口に入れることが出来なかった。 「さ、お食べになっていいのですよ。晶様。」 有香がそう言うと、晶の膝の上においていた右手を掴んで優しくスプーンを持たせる。 そうやられると、晶は断ることも出来ず目の前に置かれたスープから手をつけ始めた。 「い、いただきます…」 晶は恐る恐るそれを口に含んだが、普通に美味しいと感じ別に体にも異常はなかった。 それを横で見ていた美樹が、優しく微笑みながら話しかける。 「どうです?美味しいですか?」 それに晶は、目を合わせずに答える。 「お…美味しいです…。」 「それは良かった。…あ、有香、晶様、ちょっと私トイレに行ってきます。」 美樹はそう言うと、席を立ち上がり厨房を出て行く。 「…さて、私も頂きましょうかね。」 有香はそう言うと、自分も食事を取り始める。 そして、取り残された二人は何を話すわけでもなくただ黙って食事を取っていた。 暫くすると、また厨房に美樹が戻ってきて自分の席に座る。 「…さて、美樹も着たことだし…お食事の所ちょっと悪いんですが…晶様に言いたいことがあるのでちょっと止めてくれませんか?」 「え…な、なんでしょうか?」 晶は言われるがまま一旦食事を止めると、晶は有香のほうへ向く。 また苛めるつもりなんだと晶は思っていたが、有香から出てきた言葉は意外なものだった。 「…お昼のことはすみません。私ったらあんな酷いことをして…」 有香は、申し訳なさそうに俯きながら話し続ける。 「で、でも許してください…あれは私達が考えに考え抜いた、晶様に対する躾なんです。 …私達も何度も何度もためらって…で、でも晶様のことを思って…うっ…」 そう言うと、有香は両手で顔を押さえると肩を震わせる。晶は、有香が泣いているのだと思い必死に宥めようとする。 「そ、そうだったんですか…で、でも…私のためを思ってやってくれたんですから…そんな謝る必要なんか無いですよ。」 有香は顔を押さえていた両手を離すと、涙で目元が濡れた顔を上げ晶の目を見つめながら話しかける。 「お…怒ってないんですか…?」 「怒ってませんよ。だから泣かないでください…」 晶がそう言うと、有香は有無を言わさずいきなり晶を抱く。 「わ…どうしたんですか?有香さん?」 晶は、少し驚いたような声を出すと、耳元から有香の泣き声が聞こえてくる。 それを聞いて、晶は決して自分をただ苛めるためにやっていたのではないと確信する。 「したくないことをして…つらかったんですよね。ごめんなさい…私のせいで迷惑かけちゃって…」 「うぅ…そんなこと…ないですよぉ…」 晶は、背中を撫でながら有香の涙を静めようとする。 しかし、当の有香は実を言うと嘘泣きをしていて、本当に泣いているわけではなかった。 それを表すかのように有香は、晶から向かって右側の席に座っていた美樹と目があったときペロッと舌を出す。 美樹は、嘘泣きの演技とのギャップからつい声を出して笑ってしまいそうになるのを必死に押さえる。 「ほら、折角作った料理が冷めちゃいますよ。早く食べましょう。」 晶はそう言うと、有香の肩をゆっくり押し出して席に座らせる。 「あ…あの…晶様…もう一つお願いがあるんですが…いいですか?」 「ん?なんですか?」 有香は、何か言いづらそうに晶に聞く。 「あの…今だけでも、本当にそう思っていなくてもいいですから、私のことを誰よりも愛してるって言ってくれませんか…?」 その言葉に、晶はどう答えて良いか迷った。 自分に今まで酷く当たってきたのが躾のためだと知っても、やはり心は完全に碧に傾いていたからだ。 ※ 一方の碧は、晶のことがやはり心配で早く戻りたかったのか足早に由利絵のところまで行く。 「碧です。お食事を持ってまいりました。」 「どうぞ。」 由利絵が返事したのを確認すると、碧は部屋の中に入る。 その中では由利絵が仕事をしているのか、パソコンの画面を見ていた。 しかし、碧が部屋に入ってきたのを確認すると、知られたらまずいものでもあるのかパソコンの画面を切る。 碧は、由利絵の机に料理が載せられたトレイを置くと、由利絵に一礼して足早に出て行こうとする。 「あら、久しぶりに二人っきりになったんだから、そんなに急いでいくこと無いじゃない?」 由利絵はそう言うと席を立ち上がり、部屋を出て行こうとする碧の肩に手を置く。 「あ…あの、私も用事があるので…そのようなことは別の機会にでも…」 碧は少し困ったような声でそう答える。 「あらあら…随分冷たいのね。娼館からここの屋敷に逃げ込んできたときは、あんなに媚売ってきたのにね… 『なんでもしますから~ここに置かせてください~』って。ふふ…覚えている? あの時の碧ちゃん、ほとんど裸と変わらないようなボロボロの服着て、私のスカート必死に掴んで涙ボロボロ流しちゃって…」 「や、やめてください!」 その思い出したくない過去を暴露されたのが耐えられなくなったのか、碧は話の途中で悲鳴に似た声を叫ぶと、由利絵の手を振り払い、勢いよく部屋を飛び出して行った。 そして、誰もいなくなった部屋で由利絵がクスッと笑う。 「時間稼ぎになったかしら…?」 そう呟くと由利絵は、パソコンの画面をつける。そこには、厨房の様子が克明に写っていた。 ※ その一方、厨房では有香が答えられずにいる晶を見て悲しそうな表情を浮かべながらも、心の中では半ば諦めたような口調で言う。 「…や、やっぱり言いにくいですよね。わかりました。…忘れてください。」 それに耐えかねた晶は、碧に悪いと思いながらも有香の言われたとおりに告白する。 「…有香さんのことを、誰よりも愛してます…。」 有香はその言葉を聞くと、心底嬉しそうな表情を取り繕う。 「晶様…ありがとうございます…」 有香はそう言うと、今度は晶にキスをねだるような仕草をする。 「え…あ…それは…」 それをためらう晶に、美樹が後ろからけしかける。 「やってあげてください。…今だけでいいですから。」 美樹がそう言うと、晶は『今だけだ』と自分に何度も言い聞かせて、有香にキスをする。 それを確認すると、有香は晶の両腕を取って自分の背中に回し、まるで晶からキスをしてきたかのような姿勢をとらせる。 そして、晶の口腔内に舌を入れてたっぷりと舌を嘗め回す。 「んんぅ…」 それは自分と同世代の碧とのキスとは違う、少し大人びた官能的な口付けに晶は、つい小さく喘いでしまう。 このままではまずいと感じた晶は、有香から口元を離そうとしたその時、厨房のドアが小さく音を立てて開く。 「な…なにしてるの…」 その声に驚いた晶は、有香から慌てて口元を離すとドアのほうを向く。 そこには、呆然と立ちすくんでいる碧の姿があった。 「あ、あの、碧さん…これは、有香さんがどうしてもって言うから…」 晶は、呆然と自分と有香に目を向けている碧の誤解を解くために必死に弁明する。 しかし、それは何も知らない者にとっては言い訳にしか聞こえてこなかった。 「え~、さっき『有香さんのこと誰よりも愛してます』って言ってたじゃないですかぁ…美樹も聞いたよね?」 「うん、バッチリ。…ちゃ~んと聞きましたよ。その証拠に…」 そう言うと、美樹はなにやらポケットから取り出す。 そして、出てきた小型録音機のスイッチを押すと、備え付けられていたスピーカーから晶にとっては、耳を塞ぎたくなるような声が聞こえてくる。 『…有香さんのことを、誰よりも愛してます…。』 「ふふ…さて、ここで晶ちゃんに問題で~す。この声の主はだ~れだ?」 美樹が可笑しそうに笑いながら晶に聞く。 しかし、晶は何も応えられるわけなく、顔を青ざめてただ黙っているだけだった。 「な~に?聞こえなかったのかな?じゃあ、ボリューム上げて聞かせてあげる。」 美樹が、録音機のボリュームを上げると、それこそはっきりと晶の耳に否応無しに入ってくる。 「と、止めて!その声は私…晶です!」 晶は、有香に言わされたのにも関わらず、まるで自分から有香に告白したことを証明するようなテープを、碧の目の前で再生されるのが、耐え切れなくなったのか悲痛な叫び声を上げる。 「せいか~い。この声の持ち主は、女垂らしで有名な晶ちゃんでした~」 それを聞くと、美樹は晶を小ばかにしたような口調で言う。 「で、でも…これは有香さんに…どうしても言ってくれって頼まれたからなんです…。ほ、本当です!信じてください!碧さん!」 碧の目を見て真実を訴えかける晶の目からは、遂に涙があふれ出てきてしまう。 そんな晶を見て哀れんでいるのか、有香は小さくため息をつく。 「まーた泣いてるし…アンタ、泣けば何でも水に流せるとでも思ってるの~?…ったく、本当に気持ち悪いね。私だって迷惑したのよ。碧ちゃんがいなくなった途端に、『有香さんのことを、誰よりも愛してます~』とか言われて。オマケにキスまで強要してきたし…。」 その有香の勝手な言い分に、晶は涙を流しながらも必死に否定する。 「ち、ちがうよぉ…そ、それは…有香さんに無理やり…」 袖で涙を拭いながらも、必死に真実を碧に伝えようとする晶。 「ふ~ん…都合が悪くなると全部私のせいにするんだ? あんなにしつこく誘ってきて、よくもそんなことが言えるわね!? …あぁ~思い出すだけでも気持ち悪い。なんか食欲までなくなってきちゃった。美樹、コイツの『躾』にも飽きてきちゃったしお風呂にでも行かない?」 「あーそうだね。…私も何だか食欲なくなっちゃったし。行こうか?」 美樹がそう言うと、二人は笑いながら袖で涙を拭いながら泣いている晶を他所に、席を立ち厨房を出て行こうとする。 その相変わらずの二人を見て、碧は唇を噛み締めながら拳をギュッと握り締めてなんとか怒りを抑えようとする。 そして、厨房のドアの目の前で立ち尽くしている碧の肩に、有香が手をポンと置く。 「彼氏があんな女垂らしで、残念だったわね。碧ちゃん♪」 有香はクスッと笑いそう言うと、厨房を出ていこうとする。 しかし、碧が有香の肩を掴みそれを制止する。 「何?なんか言いたいことでも――――」 有香が振り向いた瞬間、碧は有香の頬を思いっきりビンタした。 あまりの突然のことに、頬を手で押さえ、碧の方を振り向く有香。 「…もう本当に容赦しないからね。」 その有香を、碧が睨みながら言う。 「…馬鹿にするのもいい加減にしなさいよ!」 有香は怒りを露にして碧を思いっきりグーで殴ろうとするが、美樹はその腕を掴んで制止する。 「ちょっと、美樹!何するのよ!」 有香は美樹の掴んだ手を振り払おうとするが、美樹は離さなかった。 「有香、いいよ。どうせ何も、できやしないんだからさ。…いいじゃん。ビンタぐらい。」 美樹は、冷静に有香に言うと、有香は納得したのか上げた腕を下ろす。 「…そうよねぇ。じゃあこの事は私の大らかな心で許してあげる。後ね、『容赦しない』とか言ってたけど…所詮女装でもしなけりゃ食べていけないような情けない男に、何ができるのかしらね? …まぁ、私達は貴方達と違って逃げも隠れもしませんから。いつでもお部屋においでになさってくださいね♪お茶の一杯でも出しますよ、碧センパイ♪ …あ、でもその前に、まずあの泣き虫な彼氏をセンパイの自慢のお体で慰めてあげてはどうですかぁ?」 「有香ったら…あんまり言うと、またビンタされちゃうよ~?」 二人は、碧を散々馬鹿にしたような口調でそう言うと、可笑しく笑いながら厨房を後に浴場へと向かっていった。 碧はというと、その二人に対して何もするわけでもなく、唇を噛み締め顔を俯き、悔し涙を止めることで精一杯だった。 そして、二人がいなくなった厨房には、晶のすすり泣く声が悲しく響き渡っていた。 碧は溢れ出してきた涙を袖で拭うと、一人席に座り俯いてすすり泣いている晶の傍に座る。 そして、晶の背中をそっと撫でて慰める。 「み、碧さん…?」 晶は、それに気づいたのか顔を上げ、碧の顔を見る。 その晶の表情は、碧が怒っていると思っているのか、少し怯えているようだった。 「お、怒ってますよね…で、でも本当にあれは有香さんが…強要してきたから仕方なく…」 その誤解を少しでも解こうと、晶は必死に事実を伝えようとする。しかし、その途中で碧が話を遮る。 「わかってますよ。…どうせ、私と晶様の仲を壊すために仕組んだんでしょうね…。 …と、信じたいんですが…ごめんなさい。私、晶様のことよく分からなくなってきました…」 「えっ…?な、なんで…?」 その言葉は、碧に心を寄せている晶にとっては衝撃的だった。それを表すかのように、晶の表情が徐々に強張っていく。 そんな晶の表情を見ながら碧は、少し目を伏せて沈んだ表情になる。 「だって…無理矢理されたと言いながらも、有香さんとキスしている時とか… 美樹さんに犯されてた時の晶様、とっても気持ちよさそうだった…。 自分ではそう思ってなくても、本当はあの二人の事が好きなんじゃないですか…?」 そう言うと、碧は少し沈んだ表情で晶の顔をチラッと覗く。 「そ、そんなことない!…私が心を寄せているのは、本当に碧さんだけなんです!…お願い信じて…」 晶は涙目になりながら、碧の服を掴むと顔を覗き込み、必死にそれを否定する。 「もちろん信じたいですよ…でも…」 碧は、必死に自分の服に掴みついて訴える晶と目線をあわせようとはせず、ただ沈んだ声で話続けるだけだった。 「ど…どうすれば信じてくれるの…?」 「えっ?」 晶がそう言うと、碧は少し驚いた声を上げて晶を見る。 「…碧さんのことが本当に好きなんです…だから…碧さんが信用してくれるんだったら、何だってします…」 その晶の表情は、涙を目に溜めながらも真剣な表情だった。碧は、自分の思っていた以上に真に受け止められて少し戸惑う。 「え…ええっと…それって…言い換えると、私の言うことなら何でも聞きますってこと…?」 碧がそう聞くと、晶は何の躊躇もなくコクっと頷く。 「わかりました…そこまで言ってくれるんなら…私も晶様のこと信じます。」 そう言うと、晶は目に溜めていた涙を流し碧の胸に顔を埋める。 「うぅ…ありがとう…碧さん…」 「こちらも変に疑ったりしてごめんなさいね…」 そう言うと、碧は自分の胸に顔を埋める晶の背中を優しく撫でる。 その晶の背中を撫でるごとに、碧は晶を少し脅してしまったことを申し訳なく感じる。 「…で…早速なんですが…晶様に協力してもらいたいことがあるんですけど…いいですか?」 「う…うん…」 碧がそう言うと、晶は何の迷いもなく了承する。 「ありがとうございます…晶様…」 晶が了承したことを確認すると、碧は密かにニヤリと笑った。 「あ~ぁ…疲れた…」 「本当よね。…それにしても、晶ったらどんな仕打ちを受けたのかしら?」 「さぁ?まぁ、あんなのどうなっても知らないけどね。」 そう話しながら、二人は葵の食べた後の空になった食器を厨房へと運んでいた。 「お腹減ったけど…厨房に帰ったら帰ったで、料理の片付けかぁ…面倒くさいなぁ…あ、そうだ。 …ねぇ、どうせ晶は私たちに逆らえないんだから、アイツに全部押しつけちゃわない? んで、ご飯は私たちの部屋に持ってこさせると。どう?」 「あ、それいいね!」 「でしょ?じゃあ、とっとと厨房に行きましょ。」 二人は意見が一致すると、少し早足で厨房へと向かった。 そして、厨房に着くとドアを開け中に入り、そこにいるであろう晶に話しかける。 「晶ちゃ~ん。ちょっと手伝ってほしいんだけど……」 しかし、辺りを見渡しても食べかけの料理が机においてあるだけで、誰もいる気配がなかった。 二人は不審に思いながらも、開いていた厨房のドアを閉めると晶を捜す。 「あら?なんでいないのかな?…あ、トイレなのかな?」 「そうかもね。じゃあちょっと待って…うぐっ!?」 そう言いかけると、突然何者かによって後ろから口元を布切れで押さえつけられる。 そして、抵抗する暇も無く頭を項垂れて意識を失ってしまった。 「ま、真樹!?どうしたの!?…だ、誰…誰なの!?」 あまりの突然の事に驚いたのか震えた声でそう言うと、恐怖からかその場から動けず固まってしまった。 そして、真樹の意識を失わせた犯人はゆっくりと床に寝かせる、その場で固まっているメイドと目が合う。 「あっ…」 その犯人は、意外にも晶だった。晶は、まずいと思って目を伏せるがすでに時は遅かった。 「…あ、貴方…こんなことやって…!んぐっ!?」 犯人が晶とわかると、そのメイドは急に強気になり晶に掴みかかろうとする。 しかし、後ろから何者かに口元を押さえられると同時に、首元にナイフを向けられたので、それはできなかった。 「お仕事お疲れ様…亜希さん♪」 亜希は、恐る恐る後ろに目を向けると、そこには冗談で脅しているかのように、ニヤニヤと笑いながら自分を見る碧の姿が合った。 「ん-!んっんん――!」 亜希は、何か抵抗しようと声を上げようとするが、口元を押さえられているため無駄に終わった。 そんな必死に抵抗する亜希を見て、碧はクスッと笑う。 「うるさいなぁ…。あ、そうだ…これで、黙らせてあげましょうか…?」 碧はクスッと笑いながら、ナイフの刃の側面を亜希の首元にペタペタと軽く叩く。 そうすると、亜希の顔色がみるみる青くなっていくことが見て取れる。 「ねぇ…亜希さん…。ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど…手伝ってくれる…よねぇ…?」 そう言うと、体を恐怖で震わせながらも、亜希はなんとか頷く。 亜希が承諾したのを確認すると、碧は妖しく笑う。 「ふふ…それじゃあ…お願いしますね。」 一方の有香と美樹は、そんなことが厨房で起こっているとは知らず、バスローブに身を包み、べッドの上でくつろいでいた。 そのとき、誰かがノックする音が二人の耳に聞こえてくる。 「あ、アイツもしかしてホントに来たのかな?」 「ふふ…もしそうだったら、紅茶でも入れてあげなくちゃね。」 有香が可笑しそうにそう言うと、ベッドから降りてドアを開ける。 そこには、少し顔色が悪い亜希の姿があった。 「あら、どうしたの?なんか用?」 「あ…あの…お二人に飲み物の差し入れに参りました…」 「あ、悪いわね。ありがとう。」 有香はそう言うと、亜希が持っているホットミルクが入ったコップが載せられているトレイを受け取る。 「…貴方なんかさっきから顔色が悪いけど…どうかしたの?」 有香がそう言うと、亜希の額からは冷や汗がゆっくりと落ちてくる。 亜希は、まずいと思いながらも必死に平静を取り繕いながら言う。 「あ、大丈夫です…ちょっと…まだご飯食べてないもので…あはは…」 「そうなの。もし体調悪いんなら、片付けとか無理してやらなくていいからね。あんな雑用は晶と碧にでもやらしておくから。」 その『碧』と言う言葉を聞くと同時に、亜希はビクッと体を反応させ動揺する。 「あ、は、はい…お気遣い…ありがとう…ございます。で、では私は…これで…」 亜希は頭を軽く下げると、その場から逃げるように去っていった。 「…変なの。」 有香は一言そうつぶやくと、何も疑いを持たず部屋のドアを閉め中に入ると、二人のベッドの間に置いてある小さな棚の上に、 亜希から受け取ったトレイを置くと、また自分のベッドに体を預ける。 「これどうしたの?」 美樹は、読んでいた本をそばに置くと、棚に置かれたホットミルクを見ながら有香に聞く。 「亜希ちゃんからの差し入れ。ホットミルクだってさ。」 「あ、ホント?ちょうど何か飲み物がほしかったところなんだ。」 美樹はそう言うと、ホットミルクが入っているカップを手に取り息を吹きかけ少し冷ました後、少しずつ口の中に入れていく。 そして、少し飲んだところで飲むのを一端やめる。 「有香、これ美味しいよ!なんか…蜂蜜が入ってるのかな?ちょっと甘くていい感じ。」 「ホント?…じゃあ私も飲んでみよ。」 有香はそう言うと、カップを取ると少しずつ口の中に入れていく。 「んっ?…あ、ホントだ。美味しいね、これ。明日亜希ちゃんにお礼言っとかないとね。」 「そうだね~。」 二人はそう言うと、余程美味しかったのかコップに入っているホットミルクを全部飲み干した。 そして、飲み終わったコップをまたトレイに戻そうとしたとき、二人は体に異変を感じた。 「うっ…な、なにこれ…」 有香は、全身が痺れる感覚に身を悶える。それは、美樹に関しても同様だった。 二人は何とか全身から伝わってくる痺れを紛らわせようと、両手で枕を抱きしめたりと色々試みた。 しかし、その努力も空しく一向に痺れは止まらないどころか、ますます酷くなっていく一方だった。 「み…美樹…ちょっと寒いから温度あげようよ。」 有香は、きっと外が冷えてきたせいなのかと思い、暖房器具を操作するように美樹に言う。 「う…うん。」 美樹も、有香の言う通りなのだと思っていたのか素直に頷くと、ベットから降りようとする。 しかし、全身の痺れは予想以上に酷く、その場から動くことさえも困難だった。 「ゆ、有香…やばいよ…これ…。体が言うこと聞かないよ…」 「う…うそ…」 今度は有香がベッドから降りようとする。 しかし、美樹と同様に体の痺れが酷く、その場から動くことができなかった。 「なにこれ…なんでこんな事に…あ…もしかして…」 そう言うと、有香はトレイに置いてあるコップに目をやる。 ミルクを飲み干した後に異常が出たので、あのコップに何かしら仕掛けられたと考えたのだ。 「でも…まさか…ねぇ…」 しかし、持ってきたのは何の恨みも持っていないはずの亜希なので、疑いをかけつつもその可能性を否定した。 二人は、その痺れから体を拘束されて眠る事さえも許されずにただベッドの上で悶えていた。 暫くすると、ドアがゆっくりと開き誰かが入ってくる。 「だ、だれ!?亜希ちゃん!?亜希ちゃんなの!?」 有香が、少し怯えた声で尋ねる。しかし、二人の目の前に姿を現したのは、意外な人物だった。 「ふふ…残念でした。こんばんわ…有香ちゃん、そして美樹ちゃん♪貴方たちのお望み通り、碧センパイが来てあげましたよ。 …それと、貴方たちにお世話になった晶様もね。」 碧はニヤニヤと笑いながら、ベッドの傍に設置されていたソファーに腰掛ける。 「さ、晶様もここにどうぞ。」 「は、はい…」 晶も碧に促されるままその横に座るが、碧の様に表情には余裕はなく、相変わらず目を伏せて二人と目を合わせないようにしていた。 「どうしたの?はやく紅茶の一杯でも持ってきたらどうなの?ん?」 「だ、だれがアンタなんかに…」 その碧の挑発的な態度とトレイに置いてある空のカップを見て、有香は直感的に碧が犯人だと感じた。 「あ…アンタね!ミルクに変な薬を入れたのは!!」 「え~そんなの知りませんよぉ~。…だって、持ってきたのは亜希ちゃんでしょ?私は何にも関与してないよ~?」 昼頃の先輩二人に従順な碧とは思えないほど、挑発的に話しかける碧。 有香は、その挑発に簡単に乗って怒声を上げる。 「ふ、ふざけんじゃないわよ!!どうせ、アンタがしたんでしょうが!」 「顔真っ赤に怒っちゃって…お猿さんみたい。」 碧は、クスッと吹き出し笑いをしながら有香を馬鹿にしたようになおも挑発する。 その碧の態度を不審に思い、美樹は有香を小声で注意する。 「ゆ…有香…アイツ挑発してるんだよ。それに私たち、今こんな状態だから何にも反抗できないからやめた方が…」 その小声で発したはずの美樹の声も、部屋が静かだったせいか碧の耳に簡単に入ってくる。 「そうよ~美樹ちゃんの言う通りにしておいた方が…身のためかもね♪」 碧は、有香が美樹の勧告を聞き入れる前に有香を挑発しておく。 「っ…!!オカマの分際でいい気になってるんじゃないわよ!!」 「ちょ、ちょっと…有香…」 その碧の挑発に簡単に乗る有香。もう美樹の声など耳に入ってこなかった。 「あら、センパイに向かってその態度はなぁに?有香ちゃん?」 碧は、座っていたソファーから立ち上がると、有香の傍に座ると頭を撫でる。 有香はその手をはねのけたかったが、体が痺れて言うことを聞かない為、そうすることさえもできなかった。 「だ、誰が『センパイ』だ!男娼から拾われたホモの癖に!!」 そう言った瞬間、碧の体が一瞬ビクッと反応すると有香の頭から自ら手を離し、顔を俯くと突然黙り込む。 そんな碧を見て有香は、ようやく弱点を突けたと思い込み、晶の目の前で間髪入れず碧の暴かれたくない過去について触れる。 「…思い出した?どんなに強気に出ようとね、アンタは所詮、男に抱かれて嬌声を上げる変態なのよ!! …あ、まずかったかしら?ソファーで座って待っている、彼の前で告白しちゃって。でも、もっと知られたくないような秘密ばらしちゃってもいいんだよ…?変態碧ちゃん♪」 有香が勝ち誇ったように小さく笑った瞬間、碧は有香の顔をめがけて思いっきりナイフを振り下ろした。 しかし、有香が間一髪のところで避けたので、僅かに頬に刃が擦れただけで済んだ。 「チッ…」 碧は有香にとどめを刺せなかった事が悔しかったのか、小さく舌打ちする。 そして、碧は突き刺したナイフを引き抜きゆっくりと顔を上げると、ナイフの擦れたところから、 うっすらと出血している有香を、冷酷な表情で見下す。 「ぁ…あぁ……」 有香はあまりに突然の事に声も出ないどころか、目を大きく見開きうっすら涙を浮かべていた。 それを端から見ていた晶と美樹は、碧のあまりの凶変ぶりに声を上げることさえもできず見守ることしかできなかった。 「ふふ…死ぬと思った? 安心して…今から躾ける張本人を殺しちゃったらつまんないでしょ。でもぉ…性懲りもなく生意気言うようなら…グサッとやっちゃうかもね」 クスッと小さく笑うと、碧は有香の唇に刃の側面を軽く叩く。 すると、有香の顔が恐怖からか徐々に青ざめていくのがわかる。 「あら…? どうしたのかな? 怖いの? って…まさかねぇ…。有香『女王様』が、今更こんなひ弱なオカマちゃん相手に、怖がるわけないですよね」 ニヤリと笑うその碧の表情は、有香が晶を『躾』と称して苛めていた時の表情そのものだった。 その表情を見て、ますます恐怖に駆られた有香は必死に謝る。 「ご…ごめん…碧ちゃん…お願い…許して…」 しかし、そんな有香を簡単に許す碧ではなかった。 「あれ~?簡単に謝っちゃうんだ? いつもの女王様気取りの有香センパイはどこ行ったんですかぁ?」 碧は、わざと有香に挑発的な言葉を投げかける。 しかし、当の有香は何も反抗しようとはせず、ただ黙っているだけだった。 「…良い表情。いつもこんな素直なんならいいんだけどねぇ…」 「い…いや…やめて…」 有香は力なく首を横に振るが、今更碧が言うことを聞き入れる分けなかった。 碧は、有香のバスローブの上からおもむろに胸をさする。 「ひゃっ…あぁ…な、なにするの…?」 「ん? いや、センパイの胸おっきいな~って思ってね…。でもこれじゃあよく見えないよね」 そう言うと、碧は有香のバスローブの結び目を解き、そのまま前をはだける。 すると、碧の目の前に下着越しではあるものの、有香の豊満な胸が露わになる。 「ふふ…生意気な癖に胸だけは立派ですね… …晶様、そんなところに座ってないで、こっちに来て見てやってください」 「ぇ…は、はい…」 晶は、碧の言われるまま有香のベッドの上に乗ると、有香の傍にいる碧のすぐ横に座る。 そして、上気した顔を上げて恐る恐る有香の胸に目をやる。 「…や、やめて…見ないで…」 その目には先程とは違い、晶を威圧させるようなものは無く、ただ同情を求めるような眼差しだった。 そんな有香の表情を見て、晶は罪悪感に駆られたのかとっさに目を逸らした。 「ご、ごめんなさい…」 「晶様、こんな奴の言うことなんて聞かなくていいですよ」 「で…でも…有香さんが…可哀想ですよ……」 「大丈夫ですよ。コイツは今じゃ何にもできない、ただの人形みたいなものですから」 碧はそう言うと、先程有香に振り上げたナイフを前ポケットからチラッと晶に見せる。 冗談で言っているように笑ってみせていたが、目は本気だった。 晶は、そのナイフを見た瞬間つい先程、碧が有香にめがけてナイフを振りかざしたことを思い出してか少し震えた声で承諾する。 「わ…わかりました…」 「ふふ…良い子。それじゃあ、外しますね~」 「いや…いやぁぁ…」 碧はそれを確認しニヤリと笑うと、何の躊躇もなく有香のブラジャーを外す。 すると、有香の豊満な胸が、何の隔たりもなく碧と晶の目の前に晒し出される。 有香は首を力なく横に振り小さく悲鳴を上げると、碧はまるでそれを楽しんでいるかのようにクスッと小さく笑う。 「ふふ…本当に大きな胸ね…ムカツクぐらい」 碧は少し嫉妬じみた様にそう言うと、両乳首をギュッと思いっきり抓る。 「ひぐっ!? お、お願い…やめて…!碧ちゃん…」 「…そんなに止めてほしい?」 碧がそう言うと、有香は必死に頷く。 そんな有香の必死な表情を見て、一端乳首から手を離すと碧は可笑しそうに笑う。 「ふふふっ…あはははっ! へぇ~…私たちをあれだけ苛めておいて、いざとなると簡単に謝るんだぁ…。面白くないなぁ…でもね、センパイ。私…言ったよねぇ…『容赦しない』って…!」 そう言うと、碧は有香の髪を掴み、無理矢理自分の口元に有香の耳を引き寄せる。 「ひっ!」 「私を晶様の目の前で犯してくれたお返しに…今度は、アンタを晶様の目の前で犯してあげる…覚悟しなさい…」 冷たい声で有香を脅しかける碧。 それだけはどうしても避けたかったのか、有香は必死に責任逃れをしようとする。 「で…でも…晶様を…犯したのは私じゃなくて…美樹なんだよ? …それに…私はやめようって止めたのに…み、美樹が…」 有香は碧に怯えながらも、あくまでも主犯は美樹と言い張る。 そのあまりの自分勝手な態度に癪に障ったのか、碧は小さく舌打ちすると有香の髪の毛を掴んだまま、思いっきり突き放す。 「痛っ!」 「……ったく、お前みたいなクズは徹底的に躾けてやらないとね」 碧は涙目になっている有香を冷酷な表情で見下しながら言う。 今更ながら自分で墓穴を掘ってしまったことに気づいたが既に手遅れだった。 「ぃ…ぃや…ゆるして…」 それでも有香は、必死に許しを請うが碧は全く耳を傾けようとはしなかった。 「さて…それじゃあ、早速…有香センパイが良い子になるように『躾』てあげる。…晶様…よーく見てて下さいね。それで…私が手本を見せた後は、あそこで蹲っている美樹センパイを使って実習しましょうね」 碧はそう言うと、ベッドの隅で小さくなって蹲っている美樹に聞こえるよう大きな声で言う。 それに気づいたのか、少し驚いたのか体をビクッと一瞬震わせ顔を上げると、目を細くしてこちらを見ていた。 「…な、なんでしょう…?」 「あれ、聞いてなかったの? 後で、晶様が直々に貴方を『躾』てくれるそうだから…楽しみに待っててね…」 美樹の方を向きながら、目を細めニヤリと笑いそう言うと、美樹の顔が青ざめる。 「そ…そんな…」 その碧の言いたいことを理解した瞬間、美樹は遂にしゃくり上げて泣き出す。 碧は、自分たちではどうしようもできなく、涙を流している二人を見ながら晶に話しかける。 「…コイツ等ったら、いざ自分の立場が弱くなると泣き出して…ふふ…いい気味よね。所詮、女なんて男の慰み物に過ぎないのよ…ねぇ、晶様?」 クスッと小悪魔のように小さく笑い、晶に尋ねる碧。 「そ、そんなこと…」 晶は、どう答えて良いのか解らず、そう言うと俯いて黙りこくってしまった。 碧は、それ以上何も立ち入ろうとはせず、有香に視線を落とすとニヤリと笑う。 「…じゃあ、今度は赤ちゃんが生まれてくるところをじっくり観察しましょうか」 有香を目を細めて見下ろしながら、晶にそう話しかける。 その意味を理解した有香が、恐怖に怯えた声で訴える。 「ぉ…お願い…もう…やめてよぉ…」 無論、碧がそんな訴えを聞き入れるはずもなく、ショーツに手をかける。 「…腹黒い貴方には似合わない様な真っ白なショーツね」 「ぁ…あぁ…」 有香は悲鳴を上げたかったが、もう既にそんな余力などなかった。 その二人のやりとりの間も、晶は声を上げる訳でもなく、ただ俯いて黙りこくっていた。 そんな晶の顔を上げさせようと、碧がちょっとした悪戯をする。 「晶様、このショーツの下に…ここを気持ちよくさせるモノが隠れてるんですよ」 碧は、徐に恥ずかしそうに俯いている晶の股下を摩る。 「あっ…や、やめてください…」 その碧の妖しい手つきに小さく声を上げつつも、晶は弱々しく碧の手をどける。 「ふふ…ごめんなさいね。でも…本当はコイツとヤりたいんじゃないですか…?」 碧はニヤリと笑うと、上気している晶の顔を覗きながら、意地悪そうな声で聞く。 晶は、少しビクッと体を反応させるがそれ以上は何も言わず、ただ黙って俯いていた。 その思った通りの反応に、碧は思わず小さく笑ってしまう。 「ごめんなさい。変なこと聞いちゃって。お詫びに…良い物見せてあげますから…ねっ!」 そう言うと、碧は有香のショーツを一気に脱がした。 「いやっ! やめて!!」 有香は、大声を出して必死に抵抗しようとするも、結局何も出来ず碧のされるがまま、碧によって無理矢理、晶の目の前で開脚される。 「ふふ…や~らしい。晶様、今から私が…コイツで躾け方を実演してあげますからぁ…よーく見といて下さいね」 「ぅ…うん…」 晶は返事をする物の、やはり俯いたままだった。 そんな晶の顔を無理矢理起こそうとはせずに、息を荒くしながらショーツを脱ぎ捨て、スカートをまくり上げると、すでに勃起したペニスが顔をだした。 それで有香の膣を軽くつつきながら、涙でくしゃくしゃになっている有香の顔を見下ろす。 「ひっ…お…お願い…許して…もう何にもしないから…」 怯えた表情で、力なく首を振り必死に謝る有香を見ながら、碧はニヤリと笑う。 「何もしないの…そう。それじゃあなおさら好都合ね」 そう言うと、碧がゆっくりと有香の膣内にペニスを埋めていく。 「いや……やめ…あああっ!!」 碧のペニスが根本まで挿入されたその瞬間、有香が目を大きく見開き悲鳴を上げた。 晶は、その悲痛な悲鳴に耐えきれなくなったのか、俯いたままギュッと目を瞑った。 「はぁ…なにこれ…すごい…締め付けてくる。…ふふ…あんなにイヤイヤ言っている割には、有香センパイったらエッチなんですね。だったら…私も…それに答えてあげなくちゃ…ねっ!」 碧は興奮しているのか、有香の腰を両手でがっちりと押さえ、荒い息を立てながら激しく腰を打ち付ける。 碧が腰を打ち付けるたびに、愛液が絡まり卑猥な音が静かな部屋に鳴り響く。 「はぅっ! …あぁ…あっ…やぁ…やめ…んっ! やめてっ……!」 有香は上気した顔を涙でクシャクシャにさせながらも、なおも必死に止めるように訴える。 というよりも、自分の体が言うことを聞かない状態では、もうそれ以上碧の怒りを静める方法が思いつかなかった。 しかし、そんな有香の態度は悪戯に碧の興奮を更に煽るだけだった。 「ふふ…可愛い。有香センパイ…んっ…とっても…可愛いですよぉ…だからぁ……も~っと犯してあげますねぇ…」 碧はそう言うと前屈みになり、有香の乳首を口に含むと甘噛みしながらもう片方の乳首を指でこねくり回す。 「んっ…はむぅ…ちゅっ…ちゅうぅ…」 有香は、碧によって強制的に与えられる快楽を必死に頭で否定しようとするが、体が言うことをきかない。 その証拠に、有香の声から段々と抗議の声が無くなりいつの間にか喘ぎ声だけが口から漏れていた。 「あぅっ…あっ…は…ぁ…や、やだぁ…」 「ふふ…気持ちいいんですか? こんなオカマに犯されて…情けないですねぇ、有香センパイ?」 碧は有香を煽りつつもなお、有香の胸を愛撫し続ける。 「そ…そんな…こと…あぅっ…んっ……んぅ! いやに…決まってる…んっ…でしょっ!」 「いいわよ…止めてあげる…。ただその代わりに…んっ…貴方の中に…私の精子いっぱい…出してあげる。…孕んじゃったら…ごめんなさいねぇ……」 有香がそう言うと、碧は意外にも素直に胸から口元を離し、元の体位に戻ると今までより一層に激しく腰を打ち付ける。 その瞬間、有香がなりふり構わず大声で悲鳴を上げる。 「えっ? えっ!? …い…いや、やだやだ!! 出さないで!!」 「…そんなに出してほしくないんだ…だったら余計に…出してあげないとねっ!」 必死に抵抗する有香の表情を楽しむかのように、碧はニヤリと笑う。 そして、より多くの精液を出そうと激しく腰を動かし、ペニスを有香の膣に打ち付ける。 「いや…いやぁ…お、お願いぃ…そ、それだけは止めて…」 涙声になりながらも力なく抗議する有香。 しかし、それも碧を悦ばせる要素の一つに過ぎなかった。 「あっ…で、出るっ…んっ…!」 碧は、グッと下半身に力を入れ、より有香の深いところまでペニスを挿入すると、その中に精液を放出していく。 「ああああっ!! いやぁぁぁあああ!!」 有香は、腰を僅かに反らせてビクビクと体を軽く痙攣させながら、碧のペニスから射精される大量の精液を膣内に溜めていく。 暫くして、精液をすべて出し終わった碧がズルッと有香の膣内からペニスを取り出す。 「あっ…あぁ…ぃ…いやぁ…」 その瞬間、入りきらなかった精液がゆっくり膣から溢れ出す。 「んっ…ふぅ…とっても良かったですよぉ…センパイ♪」 碧がニヤリと笑いながら、有香を見下ろしながら話しかける。 当の有香は、碧に犯されたというショックからか虚ろな目から涙を流しながら、ぼんやりと、どこかを見つめているだけだった。 「褒めて上げているのに、お礼の一つも言えないの? まったく…同じメイドとして恥ずかしくなりますよ」 軽くため息をつくと、碧は自分の精液と有香の愛液で濡れたペニスを、有香の半開きになっている口に無理矢理ねじ込む。 「んぅ!」 驚いた様に碧を見上げると、相変わらず不敵な笑みをこぼしながらこちらを見ていた。 「メイドさんなら、ちゃんと最後までご奉仕するのが基本でしょう? どうせココにくる前は大方どこかの殿方について、奉仕してたんじゃないの? それならこうなるってことぐらいわかるよね?」 そう煽りながら、自分のペニスに着いた精液や有香の愛液をそぎ落とすかのように、有香の後頭部を押さえつけながら腰を動かす。 無理矢理のど奥までペニスに犯される感覚に、はき出しそうな感覚も覚えたが、すでに有香に抵抗する余力など無い。 ただ、目からは涙を流し続けその終わりが見えない碧の陵辱に耐えるしか無かった。 「泣いてる? 許して欲しい?」 碧が有香に哀れむようにそう言うと、有香は必死になって首を縦に振る。 その必死な表情を見て、碧はゾクゾクとした感覚を覚える。 「……ばーか。許すわけないでしょ」 そう言うと、有香の髪を乱暴に掴み腰を打ち付け、より深くのど奥を犯す。 「ぐぅ!? んぐっ…げぇぇ……」 時折、空嘔吐をさせながらも、なりふり構わず口から碧のモノを吐き出そうと必死になる。 すると突然、碧が有香の口からペニスを引き抜く。 「……ぷはっ! げほっ! げほっ…はーはぁー……」 急に碧の支えが無くなった有香の体は、両腕をベッドにつきながら、必死に呼吸を整える。 「苦しかったでしょ? 今日貴方たちがやったこと、私たちにとってはこれ以上に屈辱だったんだよ? …もう私たちを虐めない。これからは、私たちの言うことに逆らわないって言うのなら許してあげる。どう?」 「さ、逆らいません! 虐めもしませんから、許してください!」 「貴方だけじゃね。…そっちで小さくなってる美樹さんはどうなんです?」 睨み付けるように、ベッドの隅で怯えて小さくなっている美樹を見ながら言う。 「え…あ、えっと…」 とっさに話を振られて、頭が混乱しているのか即答できなかった。 それを見た有香が必死になって声を上げる。 「ちょ、ちょっと美樹! 何迷ってるのよ!?」 碧はその必死な有香を見てほくそ笑む。 「あれ、美樹さんは私たちを許してくれないみたいね。それじゃあ連帯責任ってことで、…あ、そうだ。晶様にもそろそろ、あっちの美樹を『躾』て貰いましょうか」 晶は面白そうにそう話しかけてくる、碧の顔を覗く。 そこには、自分より弱い者を屈服させる事に酔いしれた碧の姿がそこにあった。 その姿は先ほどまでの碧とは、まるで別人に思えた。 「え、あの…私は…」 そんな提案に即答できるはずも無く、言葉を濁してしまう。 晶はチラチラと有香と美樹を見ると、あんなに強気に出ていた彼女らの目は自分に対して必死に許しを請う目に変わっていた。 このような状況になったのは彼女らの態度に原因があることはわかっていたが、やはりその根本にある原因が自分にあることがわかっている晶にとって、その提案を二つ返事で受け入れられる訳も無かった。 「…ごめんね、私が…いや、俺があんな横暴な態度とってたから、二人だって日頃からたまっていた鬱憤を俺にぶつけたんだよな……。当然だよな…全然人のことなんて考えないで自分勝手で…。碧さんも、俺が日頃から大人しくしてれば、出会うことも無かっただろうし、こんな事しなくて済んだのに…。ごめん、本当にごめんなさい……」 晶は涙を流しながら頭を下げる。それは、形だけの謝罪などでは無い。 心の底から『申し訳ない』という気持ちがあふれ出した結果だった。 そんな晶を見て軽くため息をつくと、碧は晶の傍に行き話しかける。 「顔を上げてください、晶様」 晶がゆっくりと顔を上げると、そこには優しく自分を見つめている碧の姿があった。 「また、『俺』だなんて言葉お使いに…だめでしょう? 晶様は今とっても愛らしいメイド姿にお成りになっているのですから…。……確かに晶様の言う通りかも知れないですね。晶様があんな態度を取っていなかったら私たちはこうして出会うことも無かったし、こんな事にも、ならなかったかも知れませんね。でも、あそこまでする必要などありませんし、あってはいけないことなんです。だけど……少し私もやり過ぎたのかもしれません…すみません。それでも私、晶様との約束を破ることになっても、この人達を許せなかった…。私だけならまだしも、晶様まで……」 今まで強気に出ていた碧が一変して、大粒の涙を流しながら告白する。 それを黙って聞いていた晶は碧の背中に手をまわし抱き寄せる。 「あきら…さま…?」 「ありがとう…私のことそんなに心配してくれて……。でもいいんです。元々は自分のせいなんだし…。だから、もう止めにしよ? ね?」 「晶…晶様ぁ……私、私っ……!」 そして碧は、そのまま晶の肩の上で声を上げて泣き出した。 晶は何も言わず、泣いている碧の背中を優しくさすっていた。 しばらくして碧が泣き止んだことを確認すると、二人は有香と美樹に謝った。 有香と美樹は、こっちが有利となったとばかりに強気に出るかと思えば、そんな余力も無い無かったのか、小さく『ごめんなさい』と謝り返すだけだった。 二人は部屋を出た後、体に付着した汗や体液など洗い落とすため、そのまま風呂場へと直行した。 そして、体を軽くシャワーで洗い流した後、浴槽に二人仲良く浸かりながら話をしていた。 「でも…びっくりしちゃったよ。碧さんがあんなことするなんて……」 「ふふ、驚かせちゃってごめんなさい。でも、私も少し驚いてるんですよ。まさかあんなに強気に出ちゃうなんて…」 碧は、微笑を浮かべながらも、どこか戸惑いを隠せない様な表情で言った。 「正直ちょっと怖かったかな。でも…少し嬉しかったよ。だって私のこと、それだけ思っててくれたってことだし…」 頬をほんのりと紅潮させ、恥ずかしそうに俯きながら呟く。 「晶様…。そ、それじゃあ、また今日みたいな事しちゃおっかなぁ~…。やるとしたら、次は亜紀さん達かな。あの二人もなんか私たちの虐めに荷担してたし」 それを聞いた碧は、照れ隠しからかそんな冗談めいたことを言った。 しかし、晶にはそれが冗談に聞こえなかった。 「だ、だめですよ! 約束したじゃないですか!」 あまりに必死に自分を止める晶が可愛く見えたのか、碧は悪戯めいた表情で続けて言う。 「あれ、いやなんですか? てっきり大賛成してくれるものかと思ったのに」 ふふ、と笑みを見せながら話す碧から、冗談で言っていることにようやく気づいた。 「本気で心配したのに……もう知りませんからねっ」 晶は、ムッとした表情を見せたと思うと、そっぽを向いた。 そこに、碧が笑いながら宥める。 「あははっ、そんな怒らないでくださいよ~。冗談じゃないですか。あ、ほら、一緒に体洗いましょう? ね?」 「いいです。勝手に洗ってください」 晶は相当碧の態度が癪に障ったのか、そっぽを向いたまま応える。 それに対して、相変わらずその様子を可笑しそうに見ながら、晶を無理に誘い出そうとはせず、一人浴槽から上がる。 「はいはい、じゃあ先に洗いますね。晶様も、のぼせないうちに上がってきてくださいね」 浴槽から上がると、シャワーをひねりスポンジにボディーソープをつけ体を洗う。 その様子を、浴槽から見てしまう。 スレンダーな体つきに、長く艶のある髪、それらをより印象付けさせる愛らしい顔つき。 しかし、股間に目をやると自分と同じ『モノ』が確かにある。 それは碧が男性だということを誇示し、決して女性では無いことを表している。 しかし、晶は男性とわかっていても、その倒錯的な姿にすっかり見入ってしまった。 その視線に気づいたのか、碧がこちらを振り向き問いかける。 「ん? どうしたんですか?」 「えっ? いや何でも無い…」 碧の問いかけで、晶は無意識のうちに見入っていたことに気づかされる。 晶は感づかれないよう、サッと碧から視線をそらす。 それと同時に、どこか恥じらうように下半身をモジモジとさせていた。 それを見て碧はクスッと笑うと、体に付いていた泡を洗い落とし晶の元へと近寄る。 「ふふっ、どうしたんですか? そんなに恥ずかしそうにしちゃって。顔が真っ赤じゃ無いですか」 手を晶の頬に当てると、頬からかすかに熱を感じた。 「ひゃっ…」 晶が小さく悲鳴を上げる。それを悪戯な表情で見ながら更に続ける。 「あっ、わかった。のぼせちゃったんですね。大変、早く上がらないと行けませんよ」 そう言うと、タオルで股間を押さえている手を強引に掴むと、風呂から引き上げようとする。 「あっ、だめ…」 「何が駄目なんですか? ほら、のぼせちゃいますよっ」 碧がグッと入れると、簡単に浴槽から晶を引き上げることが出来た。 その反動でタオルが浴槽に落ち、晶の股間が露わになってしまう。 「うわっ」 とっさに片方の手でペニスを隠そうとするが、それも虚しい抵抗に終わった。 晶のペニスは完全に勃起しており、隠れていてもはっきりとわかるぐらいだった。 「やっぱり。同じ男の方から見ても、私ってそんなに魅力的でした?」 「いや、これはその…違う。ただ、成り行きでなってしまったというか…」 必死に苦し紛れの言い訳をするが、まるで言い訳になっていない。 そんな晶を宥めるように、碧が言う。 「いいですよ、そんなに恥ずかしらなくても。さ、上がりましょ」 晶を浴槽から上がらせると、碧は晶を自分の目の前に座らせる。 そして、使っていたスポンジを再び泡立て、体を洗い出す。 「晶様ってこうして見ると、ますます華奢に見えますね。こことか、女の子みたいなくびれが出来てますよ」 そう言うと、碧が指を立て腰をなぞるように触れる。 「ひゃっ…や、やめてくださいよ!」 小さい悲鳴を上げて、抗議の声を上げる晶。 「ふふ、ごめんなさい。さ、背中ながしますよ」 あらかじめ用意していた、湯の張ってある風呂桶を背中に流す。 「さ、今度は前も洗いましょうね」 「え…いいよ。前は自分で洗うから」 手を掴み後ろを向かせようとする碧に対して、拒否するような素振りをみせる。 しかし本当に嫌がっているとは思えないほど非力だったため、簡単に振り向かせられた。 晶は、相変わらず恥ずかしそうに俯いていたままだった。 「あらあら、そんな恥ずかしがらないでくださいよ。 別に気にしてませんから。それにね…私も……」 そこまで言うと、ペニスを押さえている手をそっと掴み、自分の股間に宛がう。 「あっ…」 手から伝わる感触から、碧も興奮していることが晶に伝わる。 晶は顔を上げて碧を見つめると、頬を紅潮させ艶めかしい表情で見つめていた。 「ほら…一緒に気持ちよくなりましょ?」 碧は空いている腕を晶の背中に回すと、自分の体に抱き寄せる。 すると、嫌でも二人の体は密着する。 まだ成長過程の若くハリのある柔らかな肌、僅かに鼻腔をくすぐるボディーソープの香り。 それらが一体となって晶の感情を高ぶらせると同時に、ゾクゾクする甘美な感覚を体全体で感じる。 言うまでも無く碧に関しても同じだったが、それをグッと堪えて相変わらず晶を煽るように言い続ける。 「ふふ、どうしたんですか? そんな気持ちよさそうな声出して?」 「気持ちよくなんか…んっ…無い…」 言葉も絶え絶えになりながらも、なんとか声を上げる。 しかし、既に限界が近そうだった。 「そうですか…それじゃあ、これでどうですか」 碧は背中に回した手を、そっとアヌスの入り口へと持って行くと、そのまま指をゆっくりと中に入れていく。 「ひゃっ! あっ、や、やめて下さい!」 余りに突然ことで、大きく目を見開き声を上げるが、碧はいっこうに止めようとはしない。 やはり、あの一件がそうとうトラウマになっているようでもあった。 「大丈夫ですよ。ゆっくり、優しくしてあげますからね。晶様は私に体を任せてください」 碧は晶が嫌がるのもお構いなしに、指をさらに奥へとしずめていった。 「あっ…や、やだぁ…抜いてよぉ…んっ…やぁ……」 口では嫌がっているが、出てくる声が妙に艶めかしい。 それ故か、晶が仮に本気で嫌がっていても端から見れば、嫌がっているようには到底見えなかった。 「抜いてって言う割には、自分から抜こうとしませんね? どうしてなんです?」 「そ、それは……」 碧の言うとおりだった。 事実、晶は碧から身を振り払おうともしておらず、それどころか背中に手をまわし、自分の体が離れないようにしていた。 「…もう我慢できないんでしょう?」 碧が耳元で囁くようにそう言うと、晶は黙ってうなずく。 「……そうですよねぇ。さっきから晶様のココ、熱くって仕方ないですもの」 そう言って碧は視線を晶のペニスの方に落とす。 晶も一緒になって視線を落とす。 すでに頭は碧が強制的に与え続ける快感からか思考が回らない。 目に入るものもどこかぼやけているが、二人が激しく興奮していることだけははっきりとわかった。 「まぁ、私も人のこと言えないんですけどね…」 そう言うと、碧は晶のアヌスからゆっくり引き抜く 「あっ…」 碧の指が完全に抜けると、晶はどこか名残惜しそうな声を上げる。 「ふふ…そんな声ださないで下さいよ。これから、もっと気持ちよくさせてあげますから」 妖しい笑みを浮かべながら、既に堅くなっている自分と晶のペニスを互いに引き寄せ、その上に自由になった手を覆い被せる。 「んっ…」 「あぅ…」 二人の口から必然的にあえぎ声が漏れる。 「それじゃあ…動かしますからね…」 鈴口からあふれ出す二人の先走り液が絡み合い、グチュグチュと淫らな音を立てる。 二人の喘ぎ声と互いの先走り液が混じる音で、風呂場には淫靡な空気が漂い出す。 「んふっ…晶様ぁ…気持ちいいですかぁ? んっ…」 「んっ……あぅ…う、うんっ…い、いいよぉ……はぁ…」 晶は碧の背中をより強く抱きしめると、荒く息をたてる。 すでに頭の中は、次々に送り込まれてくる快感でいっぱいだった。 「ん…ふふっ…素直に言えたご褒美に…もっと強く扱いて差し上げますねぇ…」 「あっ! やっ、だめぇ……んぅ…」 碧がより強くペニスを扱きたてる。本当に限界が近いのか、碧を抱きしめる手に力が入る。 「だめじゃ…んっ…ないでしょっ…。ほらぁ……私だって…イキそうなんですからねっ…あんっ!」 碧が強く扱くほど、グチュグチュと液が混じり合う音が早まっていく。 それが更に二人の官能を責め立てる。 「み、みどりさん…わ、私もう……んぅ…」 「わかってますよ…私だって…」 限界が近いのか言葉少なめに交わすと、二人は互いに体を強く抱きしめる。 「あぁ…も、もうだめ……そんなに…激しくされたら…や、出るっ……!!」 「わ、私も…んっ…あきらさまぁ……!!」 一瞬体がビクンと震えたかと思うと、二人は大量の精液を吐きだした。 どろどろした精液は、二人の体に降りかかっていった。 よほど気持ちよかったのか、勢いこそ失いながらも射精はしばらく止まりそうに無かった。 「あは…まだ出てる……あきらさまったらぁ…えっちなんですから…」 紅潮した顔で微笑しながらそう言うと、晶のペニスを突っつくように軽く触る。 「あんっ! はぁー…はぁー…うぅ……みどりさんなんて…大嫌い…」 息も絶え絶えになりながら、なんとか言葉にする晶だが、『大嫌い』といいつつも、本気で嫌がっていなかった。 そんな晶の心うちを見越したように碧が続けて話す。 「ふふ…いいですよ…私のこと嫌いでも。でも、晶様がそう言うのなら私も晶様のこと嫌いになっちゃいますから…」 「え、そんな…んっ…」 晶が何か言おうとしたが、それは碧の唇によってふさがれた。 二人は精液で汚れた体を互いに塗りつけるかのように、強く互いを抱き合い相手を求めるかのように深くキスをし続けた。 しばらくして、碧はゆっくりと晶の唇から離す。 「それで…晶様は、私のこと…どう思ってるのですか? やっぱり、嫌いですか…? 私のこと」 碧がそう問うと、晶は間を空けずに口を開く。 「…好き。大好きだよ…碧さんのこと。だから、だから私のこと嫌いにならないで…」 最後はどこか悲しげな声になりながら告白する様は、彼が男性だということを忘れさせ、どこか淋しげな少女のような印象を与えた。 その姿は、以前の粗暴な晶には考えられないほどの変わり様だった。 「ありがとうございます…晶様。私も、晶様のことが大好きですよ。嫌いになるなんて、ありえませんよ。…ただ、あんまり愛らしいから、ちょっと意地悪してみたかっただけですよ」 そう言うと碧は優しく微笑み、晶の髪をそっと撫でる。 「…もう、碧さんのばか…」 「晶様のお側に居られるのなら、馬鹿でもなんでも構いませんよ。…さ、二人とも汚れちゃいましたから、体洗いましょうね。晶様は一人で洗います? それとも私と洗いましょうか?」 答えはわかっているが、あえて晶に質問する。 「…みどりさんと」 「私と? 何がしたいんです?」 わざとらしく聞き返す碧。 「もう…碧さんと、体洗い流したいです」 頬をカッと赤くしながら言う晶。 「わかりました。それじゃあ、洗いましょうか」 「…うん」 晶は嬉しそうに頷くと、互いに汚れた体と髪の毛を洗い流し始めた。 風呂場で汚れを洗い落とした二人は、バスローブに着替え廊下を歩いていた。 行き先は、メイドである碧の部屋だった。 碧は、晶が由利絵が今日はメイドとして過ごすように言い付けられていることから、しょうがないことなのかと初めは思った。 だが、わざわざ寝る場所まで、自分の窮屈な部屋で寝る必要は無いと感じた碧は、部屋の前に着くと、改めて確認する。 「…本当に私の部屋なんかで良いんですか? 狭いですよ? 無理しなくても、晶様は自分の部屋に行ってもかまいませんよ。もし、由利絵さんから何か言われたら、私から理由を言っておきますから、安心して下さい」 しかし、晶はこの提案に首を縦に振ることはなかった。 「私なら構わないよ。どうせ、由利絵さんが勝手に帰れないよう鍵かけているだろうし。そ、それに…」 突然晶の言葉が途切れる。碧は何となく予想は付いてはいたが、改めて聞く。 「それに? 何ですか?」 「…な、なんでもないよ。それより、早く中に入って寝よう」 照れを隠しながらそう言うと、部屋に入るよう促す。 碧もそれ以上追求はしようとはせず、クスッと笑うとドアを開けた。 「はい、狭い部屋ですがどうぞ」 そこには、机とベッド、衣類のタンスが所狭しと並んでいた。 ソファなど置ける余裕があった有香と美樹の部屋と比べると、かなり狭くも感じられた。 「おじゃまします…」 晶は改まった様子で呟くと、中に入りベッドの上に座る。 先に入っていった碧の方を見ると、なにやらタンスから出そうとしていた。 「どうしたんですか? 何か探しているんですか?」 「んー…? あ、ちょっと待って下さい…あ、あったあった」 タンスから目当ての物を見つけたのか、碧はそこから衣類を二着分とりよける。 そしてタンスを閉めると、それをベッドの上に座っている晶に見せる。 「ほら、これ。おそろいですよ♪ ここに来たとき、由利絵さんに貰った物なんです。まぁ、由利絵さんのお古ですね」 それはワンピースの形を模した寝具、いわゆる『ネグリジェ』だった。 二つとも胸には小さなリボンが飾られており、袖と裾にはそれぞれフリルが飾り付けられ、色もピンク色だったことも相まって、どことなく少女っぽい印象があったが、シルクで出来ていることもあってか、高級感漂わせる物だった。 「え…このまま寝るんじゃ無いんですか?」 晶はバスローブのまま寝るのかと思っていたのか、突然の碧の提案に困惑する。 「えぇ、いつもは大抵このまま寝ますね。でも、晶様が一緒に寝てくれるんだったら、せっかくだと思いまして…だめ、ですか…?」 自分の願望が叶えられそうも無いとわかったのか、どこか寂しそうに言う碧を見て断れるわけも無かった。 「そんな、駄目じゃ無いよ。でも、まだ少し抵抗はあるけど…」 そう聞いて碧の表情がパッと明るくなる。 「大丈夫です、絶対に似合いますよ。さ、着替えましょう」 碧の手を取り、ベッドから立たせると一着渡す。 「さ、着させて差し上げますから、それ脱ぎましょうね」 言うが早いか、碧はサッとバスローブを脱がせる。 「あっ…」 バスローブを脱がされた晶は、今日一日だけにも関わらず、女性の衣類に身にまとっていた『副作用』なのかとっさに胸を隠そうとする。 ちなみに、ここでも晶はキャミソールにショーツ姿という女性用下着を着用させられていた。 「晶様ったら、すっかり女の子しちゃってますね」 小さく笑いながら、からかうように言う。 「ち、ちがうよっ。これは、なんて言うか…癖で…」 顔を赤くしながら、必死になって晶は否定するが、まるで説得力が無い。 「ふふ、わかってますよ。 ほら、万歳ってしてください」 「う、うん…」 碧がそう言うと、晶が万歳するように両手を挙げる。 その上から、碧がネグリジェをかぶせるように着させる。 男性用の寝具には無い、柔らかな感触が晶の体を包み込む。 「んっ…」 気持ちよかったのか吐息にも近い声を、思わず漏らしてしまう。 そんな晶の反応を碧は面白そうに見つめながら、自分のネグリジェを取るとそれに着替え始めた。 「あっ」 さすがに着替えを見るのはまずいと感じたのか、晶は目をそらせる。 それに気づいた碧が、バスローブを脱ぎながら意地悪そうに言う。 「どうしたんですか? 同じ男同士なんだから、恥ずかしがること無いですよ?」 「でも……その、碧さん上着てないし…」 晶の言うとおり、碧はショーツこそ履いていたが、上半身は何も身につけていなかった。 「私いつも寝るときはショーツ以外なにも身につけませんよ? 何なら、このまま寝ましょうか?」 冗談めいた声でそう言うと、晶が声をとがらせる。 「もう、いい加減にしてくださいっ」 碧はふくれ面でそう言う晶を、相変わらず面白そうに見ながら小さく笑う。 「ごめんなさい。晶様が可愛らしいからつい」 そう言うと、手早くネグリジェに着替えると、晶の傍に座る 「ほら、機嫌直して寝ましょ?」 髪を撫でながら拗ねている晶の顔をのぞき込みながら、そう言う。 「うん…」 晶は素直にそう答えると、二人で寝るには少々窮屈なベッドに入っていった。 「狭くないですか?」 「ううん。大丈夫」 二人は互いに向き合いながら、肩を寄せ合う。 寝るには少々窮屈にもかかわらず、不満そうな顔も見せずに、それどころか二人は嬉しそうな表情さえも浮かべていた。 どちらが先に寝ることもなければ、話すことも無いのか二人の間に静寂な時間が流れる。 その静寂を先に破ったのは、晶だった。 「…ねぇ、碧さん」 「なんですか? 晶様」 碧が聞き返すと、晶はどこかモジモジとしながら言う。 「…なんでもいいから、話してよ」 「話…ですか?」 突然話を振られたことに驚いたのか、少し呆気にとられたように聞き返す。 「うん。なんか寝れられそうに無くって。何でも良いよ」 碧は顎に指を当てて何を話すのか考えたのち、口を開く。 「それじゃあ、私が考えたお話でもしましょうか」 「碧さんが考えた話?」 てっきり、他愛も無い話が始まるのかと思っていた晶は、少し拍子抜けした感じに、きょとんとした顔で聞き直す。 「はい。ただ、私の創作ですので面白いかは保証できませんが…」 「そんなことないよ。聞きたいな、その話」 晶は、その話に興味津々といった感じで言った。 「それじゃあ、始めますね。題名はそうですね…『ある少年の物語』と、しましょうか。……むかし、むかし。ある家庭に何の変哲も無い少年が一人いました。その少年は、貧しいながらも家族みんなで楽しく暮らしていました」 碧の語り方は、まるで童話を子供に聞かせる母親の様だった。 そんな話し方に、晶はどこかくすぐったさを感じたのか小さく笑う。 「なんか童話みたいだね」 「ふふ、そうですか? それじゃあ続けますね」 そう言うと、晶はこくんと頷く。 「……しかし、ある日その少年に悲劇が襲いました。少年の父親が、その親友に騙された挙げ句、多大な借金を背負わされたのです。父親はその借金を帰すため、朝も昼も夜も死に物狂いで働きました。父親だけではありません。母親も一緒に働き出しましたが、借金はいっこうに減りません。更に運の悪い事に、不景気だったこともあり、父親の勤めていた工場は閉鎖されました。仕事が無くなった父親は、自然と家にいる時間が多くなりました。次第に何もやる気がなくなり、お酒で現実を紛らわすようになります。母親の給料も無理矢理奪い、全て自分の都合で使ってしまいます。もちろん、借金は雪だるまのように膨れあがっていくだけです。酒におぼれ、時には暴力を振るう父親、それに絶える母親。そして、その家庭に怯える少年。そこには、『貧しくとも幸せな家庭』は既にありませんでした」 その余りに暗い内容に、晶は閉口してしまう。 そんな晶を知ってか知らずか、碧は話を進める。 「……さらに辛い現実が少年を襲います。暴力に絶えきれなくなった母は、一人思い詰めた挙げ句、自殺という選択をしました。……少年は泣きました。ただ、ずっと、ずっと泣いていました。葬式の後、父親と少年は引き離された挙げ句、少年は児童孤児院に入れられました。少年はこの先自分はどうなるのか、という不安でいっぱいでした。ただ、少年は未来にはきっと希望があると信じて生きることしか出来ませんでした。……ある日、少年はいつも通り施設で生活していると、一人の男性が少年を呼び止めました。…黒いスーツに身を包み、いかにもお金持ちそうな男性でした。男性は、少年を値踏みするようにじっくりと観察します。そして男性は、少年に待っているように言うと、施設の中へと消えていきました。男性は施設から出ると、少年の手を引き車に乗せました。突然のことで、何が起こったのか聞くと『今日から家であずかる』と言うだけでした。不安ながらも、里親でも『親の子』になれる安堵感が少年の心を満たすのでした」 「その少年は、これから幸せになっていくんですよね…?」 安堵した表情の中にも、不安を隠せない様にそう言う晶に、碧が小さく笑う。 「ふふ……まぁまぁ、そう焦らないで聴いていてください。…少年を迎え入れたのは、見たことも無いような大きな家でした。家に入ると、羽織っていた汚い服は用意された綺麗な服に着替えさせられると、部屋に案内されました。そこには、見たことも無いような豪華な料理が並べられていました。少年は、男性に促されると、次々とそれらの料理を口に運びました。おなかがふくれると、そのままお風呂に入らされ、豪華なベッドで眠りに就くのでした。…この時、本当に少年は幸せでした。『またここからやり直せるんだ』とも思いました。……けれども、この時少年はまだ幸せを掴んでいなかったのです」 「え……」 落胆した声を上げる晶には反応せず、碧は続けて話し続けた。 「翌日。目を覚ますとそこは豪華なベッドの上ではありませんでした。なにやら、個室のようなところで寝かされていたのです。急なことで混乱していると、一人の女性が荷物を持って部屋に入ってきました。きょとんと座っている少年の傍にそれを置くと、その中から化粧道具を出してきます。嫌がる少年を尻目に、慣れた手つきで薄く化粧をすると、次は服を取り出し着替えさせます。それは、女性が男性を誘惑するような衣服でした。…この時、ようやく彼は理解し、自分の立場に絶望しました。彼は逃げ出すわけでも無く、抵抗するわけでも無く、成り行きに身を任せることしか出来ませんでした」 「……」 ここまでくると晶は何も口には出さず、ただ碧の話をジッと聴くだけだった。 「その日からの日常は悲惨でした。毎日毎日、部屋に入ってくる男達に犯されつづけました。少年が思っていたとおり、ここは体を売り物にする『娼館』でした。それも、少年のような若い男を『オンナ』にさせて売る、趣味の悪い所でした。昼も夜も人を取り替えられては犯され続け、少年は身も心もボロボロになっていくのでした。『いっそのこと楽になりたい。死んでしまい』少年はただそう思いながら、日々を過ごすのでした。……そんなある日、彼に転機が訪れます。夜中、目を覚ますと普段なら鍵がかかっている部屋のドアが半開きになっていたのです。ゆっくり見つからないよう開くと、廊下には誰も居ません。それを見計らい部屋から出ると、息を殺しながら館を這い回った末にとうとう脱出することに成功しました。それから少年は、夜が明けるまで死に物狂いで娼館から逃げました」 「そして、夜が明ける頃、少年が着いたところは逃げ出した娼館がある街から、少し離れた場所でした。体力もとうに無くなっていた少年は意味も無く彷徨っていると誰かが背中を叩きます。『あの連中が追っかけてきた…』そう感じた少年は、背筋が凍り付くような感覚に見舞われました。恐る恐る振り向くと、そこにはスーツに身を包んだ綺麗な女性が一人いました。目が合うと、女性は少年を心配しているかのように、『大丈夫?』と話しかけました。少年は安心したのか、ボロボロと涙を流しながら女性にしがみつき言いました。『お願いします、助けて下さい』と、何回も何回も……。急に泣きつかれて困った女性は、とりあえずその少年を女性が住む家に案内しました」 「女性の家は大きく、それこそ『お屋敷』と表現しても良いぐらいでした。二人を招き入れたのは、住み込みらしき使用人の方々でした。女性には、どこか尊敬をも含ませたようなまなざしを、傍を歩く少年には汚いモノを見るような視線を向けていました。女性は少年を自分の部屋に入れると、椅子に座らせ事情を聴きます。少年は今までのことを全て打ち明け、言い終わる頃には涙が止まらなくなっていました。その少年の背中を優しく慰めるようにさすりながら言いました。『貴方さえ良ければ、使用人として住み込みで働いて貰おうと思うんだけど、大丈夫?』女性は優しく微笑みながらそう言うと、嬉しそうに頷き、こう応えました。『はい。よろしくお願いします』と…。ただ、使用人の服は自分を出迎えてくれた、使用人が着ていたようなエプロンドレスしかありませんでした。しかし、散々見せかけの『オンナ』として男相手に犯されていた少年に抵抗はありませんでした。新しく得た生活ですが、もちろん仕事はあります。慣れない仕事にミスをしたり、叱られたこともありました。しかし、それは前にいた所とは違いちっとも苦痛ではありませんでした。少年は、ようやく手に入れた『新しい生活』に希望を見いだし、日々を過ごすのでした。……おしまい。どうでした? 私のお話?」 「……なんか怖い所もあったけど、最後には幸せになれてよかった。お話自体は面白かった。聞き入っちゃったよ」 晶が眠そうに目をこすりながら応えると、碧は晶の髪を優しく撫でながら言う。 「ありがとうございます。…でもね、まだ続きがあるんです。…少年が使用人として屋敷で働き出して間もなくすると、一人の男の子と出会いました。その子は、お屋敷の御子孫の方でした。少年は、出会ったその日から彼が気にかかり仕方なかったのです。……それが恐らく『恋』という物なのでしょう。しかし、彼が少年より立場が上なのは明白な事実。ましてや、少年と彼は同性同士。このような感情になってはいけないと頭では理解していても、やはり打ち消すことはできませんでした。少年は叶うはずもない『恋心』を抱きながら、悶々とした日々を過ごしていくのでした。……ふふ、実はこの話、まだ未完成なんです。でもね……」 碧は含みを持たせながらそう言うと、晶の顔を覗く。 そこには、既にスヤスヤと寝息を立てながら寝ていた晶の姿があった。 その寝顔を見ながら優しく微笑み、小さく呟く。 「このお話も、もうすぐ完結しそうですね……。お休みなさい、晶様」 そして碧も目をつぶると、ゆっくりと眠りに落ちていった。 「晶様、起きて下さい。朝ですよ」 その声で目を覚ますと、目の前には由利絵の顔が見えた。 横を見ると、碧の姿が既に無かった。 寝坊したのかと思い、晶の顔が青くなっていく。 「ご、ごめんなさい! すぐに着替えますから……」 晶はバサッと布団をまくり上げベッドから降り、机に畳んであるメイド服に着替えようとする。 「あらあら、すっかり『メイド』が板に付いてますね。それに、私のお古のネグリジェ、とてもお似合ですよ。『晶ちゃん』」 クスクスと笑いながら、晶に言う。 「あっ…」 由利絵にからかわれると、思い出したように自分の今の姿を見直すと、カッと顔を赤くしてその場に立ち尽くしてしまう。 由利絵は、そんな様子を相変わらず可笑しそうに見ながら話す。 「そんなに固くならないで下さいよ。ほら、こちらに座ってください。少しお話ししましょう?」 そう言うと、ベッドをポンポンと軽く叩いて座る様に促す。 晶は手に持っていたメイド服を机の上に置くと、ネグリジェのまま由利絵の傍に座る。 「……どうでしたか? 昨日は?」 「う、うん……色々ありすぎて頭が混乱してるけど……。けど、自分がけっこう酷い態度取ってきたんだなってこともわかったし、良い経験にもなったと思う。もうあんな態度取れないよ…。だって、嫌われるってことがこんな怖い事だなんて知らなかったから……」 「そうですか…。確かに、有香や美樹、それに亜紀辺りはずいぶんと晶様に酷いことをしたようですね。本人達から聞いてますよ」 それを聞いて、晶はハッとしたような表情を浮かべると、急に由利絵の手をとる。 そして、ジッと目を合わせると懇願した。 「お願い、彼女達を止めさせたり、酷いことをさせるのは止めて下さい! 元々は、私が悪かったんだから……お願いします……」 それが、冗談や好意的に見られることを見越して言ったような言葉ではないことは、晶の目を見ればはっきりとわかった。 それほどまでに、彼は真剣に彼女達を心配していた。 「晶様……」 突然のことで由利絵は戸惑ったが、いつものように微笑むと続けて話す。 「ふふ…晶様ったら、私まだなにも言ってませんよ? 別に彼女達をどうこうしようとは思ってませんよ。確かに立場が以前の晶様と彼女達のような関係でしたら別ですけど、昨日は『新人メイド』の『晶ちゃん』ですから、あの程度では、まだ私は介入しませんよ。……とはいえ、度が過ぎれば考えますが。それとも、晶様は彼女達をそのような処遇として扱うのがお望みですか?」 「ち、違うよ! だけど、私が悪いのにそんなことになったら……」 顔を俯かせ、声を沈ませながら言う晶。 それを見ていた由利絵は、自分の胸元に晶を抱き寄せると、優しく髪を撫でる。 「たった一日で、よくそこまで成長してくれましたね。…嬉しいですよ、晶様」 晶の顔をのぞき込みながら言う由利絵の姿は、まるで反省した我が子をあやす母親の様に見えた。 「…ありがとう」 その言葉にどこかくすぐったさを感じたのか、晶は頬を紅潮させながら言った。 由利絵は晶を抱いていた両腕を解くと、続けて言う。 「それで、晶様が十分に成長したと判断したので、『躾』は終了します。……といっても、私は特に何もしてませんけどね。本当だったら、もっと日をかけて…とも思っていたのですが。あれだけ嫌がってた晶様ですもの、嬉しいでしょ?」 この『躾』が始まる前の晶だったら、嬉しくてたまらなかっただろう。 しかし、今の晶はそれを惜しむかのように、少し落胆した表情をみせる。 「そう…ですか……」 晶の脳裏には碧の優しい笑顔が浮かぶ。 別に会えなくなるという訳では無いが、立場が戻れば昨日のような関係を持つことは、難しくなることは確かだ。 由利絵は、それを見越してなのか、続けて言い続ける。 「今回、私が行わせたメイドの疑似体験は、あくまでも『性格の矯正』が目的です。ですので、目的が果たされた今、これ以上続けても無意味なのは解りますよね? 今後は、親御様が残した立派な家系を守るためにも、しっかりとした教育という義務を果たして下さい。それが、貴方のためになるのですからね」 由利絵の言うことは正しいことだと、晶は自分でも解っていた。 だが、どうしても首を縦に振ることが出来なかった。 「でも、でも……」 「でも、じゃありません。貴方、あんなに嫌がっていた『奴隷』と同じ身分になりたいのですか? とにかく、今日をもってまた普段通りの生活に戻られて下さい。わかりましたね?」 由利絵は、晶の目をジッと見ながら有無を言わせない厳しい口調でそう言った。 「…わかりました」 晶は悲しそうな表情を浮かべ、首を縦に振った。 由利絵が『メイド』としての教育の終了を宣言した日から数日後。 晶は前とは別人かと思うかのように振る舞っていた。 前のように粗暴な態度も見せないのは当然のこと、細かなところまで気を配れ、なおかつ礼儀が正しく、まさに良家の跡取りとして相応しい人物にも見えた。 しかし、以前に比べてどこか悲しそうな表情を見せることが、多くなっていたのも事実だった。 おおよそ、それは『あの日』から碧との関係がほぼ皆無だったことが原因なのだろう。 掃除しているところで会った時や、夕食や朝食を給する時に話しかけようとしても由利絵から強く止められているのか、全く話に掛け合ってくれそうに無かった。 晶も何とか碧のことは諦め、忘れようとするがどうしても脳裏から離れなかった。 夕食時。久々に休みを取った由利絵は、葵と晶の三人で外食を取っていた。 「あはは、もう由利絵さんったら…」 「でも、冗談じゃ無くて本当なんですよ、今の話」 由利絵と葵が話に華を咲かせているところに、晶は一人だけ食事をしながら碧の事を考えていた。 考えるたびに脳裏には碧の顔が浮かび、せっかくの豪華な夕食もどこか味気ない。 「本当に? 信じられないわね。あ、そうだ。晶はどう思う?」 葵は会話にも入らず、ただ食事を取っている晶に気を遣ってか話を振るが応えない。 「…ちょっと、晶、きいてるの?」 急に葵から話しかけられ、ハッして聞き返す。 「えっ…何? 姉さん?」 話の内容が頭に入ってなかったので、当然返せるわけがない。 葵は、呆れたような表情を見せると、思わずため息をついてしまう。 「あんた、最近ボーッとしていること多すぎない? というか、ちょっと大人しくなりすぎだよ。少しくらい乱暴な方が良かったんじゃない?」 「ご、ごめん……」 葵から軽く説教を受けられ、晶は申し訳なさそうな表情を浮かべながら謝る。 「なんか調子狂うなぁ……。礼儀良くなったのは良いんだけど…ね。あんたさぁ、もう少し前みたいに元気よくしなよ。そんなんじゃ、なんかナヨナヨしている男みたいでかっこ悪いよ」 葵はどこかばつが悪そうに応じた。 二人のやりとりを見て、雰囲気が悪くなる前にと由利絵が仲裁に入る。 「そんなこと言ってはいけませんよ。葵様の言うことにも一理ありますが、晶様も謝ってるんですから」 由利絵がそう言うと、葵はばつの悪そうな表情を浮かべた。 「そ、そうだね。ごめんね、晶。変なこと言って」 「ううん、いいよ。俺の方こそごめん」 二人が言い終わるのを確認すると、由利絵は優しく微笑みながら言う。 「さあさあ、そのくらいにしておいて食事を楽しみましょう」 そして三人は、会話をしながら楽しく食事を取っていた。 しかし、晶だけは話しながらも表情はどこか浮かばれなかった。 屋敷に戻ると、晶は風呂をすませベッドに就く。 目を瞑っても眠りに落ちることはできず、体勢を変えてみても寝られそうにも無かった。 寝られない要因はわかっていた。だからこそ辛かった。 何を思ったのか、晶はゆっくりと起き上がる。 そして、思い詰めた表情で小さく呟いた。 「もう、我慢する必要なんて無いよね……」 碧は寝られなかったのか、椅子に座り窓から覗いていた月を見ていた。 あの日から、寝るときは晶とお揃いで着たネグリジェを着ることにしていた。 それが、晶の事を忘れないようにしているのかどうかはわからない。 月を見つめながら、無意識のうちに碧はボソッと小さく呟いていた。 「……晶様」 碧の脳裏にも、晶の顔が浮かんで離れなかった。 あの日、晶がまた自分の立場に戻ると聞いたとき、嬉しい気持ちの反面、どこか言い知れも無い悲しさが碧を襲った。 追い打ちをかけるように、由利絵からは強く言われた。 『今後、晶様とは親密な仲にならないように』と-- 碧はわかっていた。 身分で言えば、おそらく最低な自分と仲になればどうなるか。 なにより、『同性同士』なのだから尚更訳が悪い。 しかし、忘れようとすればするほど晶の顔が浮かんでは消える。 今日も必死に忘れようとしたが、やはり離れなかった。 そんな自分に落胆にも似たため息をつくと、月を見ながら呟いた。 「……お休みなさい、晶様」 そして椅子から立ち、ベッドに入ろうとしたその時だった。 コンコンと、突然ドアをノックする音が聞こえる。 「誰かな…こんな時間に。はーい」 碧がドアを開けると、そこには自分のメイド服を着た晶の姿があった。 あまりに突然のことで、碧は呆気にとられる。 「え、晶様……ですよね?」 そう言うと、晶はコクンと頷く。 「……と、とりあえず中に入りましょう?」 碧に促され部屋に入ると、二人はベッドの上に座る。 あまりに急なことで、二人の間にはしばらく静かな時間が流れていった。 「ごめん…迷惑だったよね……。こんな夜中に、入ってきてさ」 晶が申し訳なさそうに言う。 「そんなことありませんよ。ただ、あんまり突然だったんで驚きましたが……。それより、どうしたんですか?」 碧が聞いてからしばらくして、晶がそれに応える。 「俺…私ね、立場が戻っても、少しでも何でも良いから二人で話したいと思ってた。何度も話しかけたりしたけど、碧さんは私のこと避けてて……。嫌いになっただって思って、忘れようとも思った。けどやっぱり忘れられなくて……それが辛くて辛くて……。それでね、あの時みたいに、この服着てくれば話してくれるかなって思って……」 晶の目からは堪えきれなくなったのか、止めどなく涙があふれ出す。 「あはは……ばか、だよね……気持ち悪いよね……ごめんなさい。でも、なんか碧さんに会えたら、胸がすっきりしたよ。ありがとうね。……それじゃあね。お休みなさい」 晶は涙を拭うとベッドから立ち上がり、部屋から出ようとした。 しかし、その手を碧が掴み制止させる。 「……碧、さん?」 晶の言葉にも応えず、碧はそのままゆっくりと立ち上がると、自然に向かい合う。 相変わらず晶は、目からは涙を流し続けていた。 そんな晶を見て碧は優しく微笑み、その涙を拭うと何も言わず晶の唇をそっと重ねる。 「んっ……」 晶は突然のことに目を丸くさせ驚くが、次第にうっとりとした目になっていった。 碧は、晶を求めるように舌を口に侵入させ舌を絡ませる。 初めは戸惑っていた晶も、それに応える様に碧の舌を自分と絡ませた。 二人の唾液が絡まり合う音が、真夜中の静かな部屋に響いていた。 どれくらいたっただろうか。 長いキスを終えると、二人は行為を惜しむかのように互いの唇を離していった。 二人は頬を紅潮させ熱い吐息をつきながら、ただ黙ってジッと見つめ合っていた。 しばらくして、碧が口を開く。 「……私だって辛かったんですよ? 晶様がせっかく話しかけてくれるのに、お話出来なくて。由利絵さんに強く言われたから仕方なかったんです。それに、晶様の立場から迷惑がかかると思ったんで、必死に我慢したんです。必死に忘れようともしました。……嫌いになろうともしました。でも、ちっとも晶様のお顔が脳裏から消えることがなかったんですよ。でね、今日晶様の話を聞いてなってやっとわかりました」 そう言うと、碧は再び晶を抱き寄せ耳元で囁く様に話し続ける。 「……貴方のことが、大好きです。大好きで仕方ないんです。もう忘れることなんて、絶対に出来ません。だから……ずっと、ずっと一緒に……」 ボロボロとこぼれ落ちる涙が、碧の言葉を遮った。 その言葉を晶が繋ぐように言う。 「ずっと一緒にいようね……」 そう言うと、碧は何度も頷きそれに応えた。 二人はそれ以上は言葉を交わさず、互いを強く抱きしめ合っていた。 そんな二人を、窓から差し込む月の光がスポットライトのように照らしていた。 「あらあら……いけない子たちね。碧ちゃんもあんなに強く言ったのに……だめねぇ。今度は二人まとめて『再教育』しましょうか……」 その様子を遠隔カメラに映し出された映像越しに見ていた由利絵が、妖しい笑みを浮かべながら呟いた。 「可哀想よ、由利絵さん。二人ともとっても幸せそうじゃない。それに、こうなることがわかってて二人を引き離した由利絵さんもいけないわ」 それを傍で一緒に見ていた葵が声を尖らす。 しかし、由利絵と同様に妖しく微笑みながら言ったので迫力がまるでない。 それは、どこかふざけて言っているようにも見えた。 「ふふ、ごめんなさい。そうね、私も悪かったですね。葵様の仰せの通り、このままにそっとしておきましょうか」 そう言って、少し名残惜しそうに画面の電源を切る。 そして、ゆっくりと席から上がると、傍に立っている葵と向かい合う。 「さてと……私たちも『彼女達』に負けないぐらいに……ね?」 葵に向けた眼を妖しく輝かせると、彼女の頬がみるみるうちに紅潮していった。 「由利絵さん……」 葵がどこか熱っぽくそう言うと、由利絵は微笑みながら彼女の髪を優しく撫でた。 「『由利絵さん』じゃないでしょう? 『葵ちゃん』?」 髪を撫でるたび、次第に葵の顔が恍惚とした表情に変わっていく。 「ん……ごめんなさい、『お母様』……」 ――葵が由利絵のことを『お母様』と呼び始めたのは、最近のことではない。 両親が事故で亡くした時のこと。 すぐ傍に居て葵を手助けしてくれたのが、他の誰でも無い由利絵だった。 そのおかげで、両親が亡くなったあとも、彼女は気丈に振る舞うことが出来た。 しかし、彼女も人の子。 夜になると、両親のことを思い出し自室で一人泣く日も多かった。 ある日、そんな彼女を見つけた由利絵が今のように優しく髪を撫でながら、優しく微笑み一言こう呟いた。 『大丈夫です。葵様にはずっと私が付いています』と――。 我慢できなくなった葵は、ボロボロと涙をこぼしながら何度も、由利絵のことを『お母様』と呼んだ。それに応える様に由利絵も葵のことを、母親が呼んでいた様に『葵ちゃん』と呼び始めたのだった。 しかし、実のところ、由利絵はこの屋敷に特別な思い入れなど無かった。 確かに彼女は元良家の娘と見込まれてのことか、『主人』が自分の経営する会社を手伝わせるために高等な教育まで受けさせたりと、大抵は買われた主人の慰める『モノ』として扱われるのが普通の奴隷としては、考えられないほどの厚遇を受けていた。 しかし、いくら厚遇を受けたとしても、彼女は多く居る奴隷の一人にしか過ぎない。 そんな事実が、元々良家だった事もあってか心底嫌だった。 彼女は仕方が無かったとは言え、自分を『モノ』の様に売りはらった両親を憎んだ。 そして、その嫌悪はいつしか、人間が人間を『モノ』みたいに売買する競りに参加した、『主人』にも同様に向けられていった。 『いつか這い上がって、同じ目に遭わせてやる』 言葉には決して出さなかったが、心ではいつもそう思っていた。 そんなる日、突然の事故で主人――葵と晶の両親が、亡くなった。 思っていた通り、葵はまともに顔も合わせたこともない会社の関係者や親族と名乗る者に相手をするのにやっとだった。 唯一顔を知る肉親である晶は、四六時中泣いてまるで話にならない。 屋敷がゴタゴタになっている今こそ、由利絵が考えたことを実行する時だった。 早速、由利絵はさぞも『味方』のように、何もわからない葵に対して、自分が都合良く動けるような『助言』を吹き込む。 すっかり信用しきっていた葵は、それをそのまま外部の人間に説明する。 結果、会社や屋敷の財産は人手に渡ることなく『彼女の物』となった。 屋敷を乗っ取り這い上がる計画が順調に行っていることにほくそ笑み、後は屋敷にいる姉弟をどうやって『処分』するか考えている時だった。 どこかから泣き声が聞こえてくるのが気になり、音が聞こえる部屋に行くと、一人赤ん坊のように泣いている葵の姿があった。 つい先ほどまで考えてた『計画』が矢になって、自分の心に突き刺さると、酷く痛みを感じた。その痛みが、彼女の良心なのかどうかは自分でもわからない。 ただ、彼女の泣いている姿を見ていると自然と足が動き出し、気づいたときには、彼女に傍まで歩み寄っていた。 そして泣いている彼女の傍に座ると髪をそっと撫でる。 すると、彼女が顔を起こして自分をのぞき込む。 それに対して、由利絵は深く慈愛に満ちた微笑みを見せてこういった。 『大丈夫です。葵様にはずっと私が付いています』と――。 すでに頭の中にあった『計画』は消えていた。 それに変わり、この日から由利絵はこの姉弟を守っていこうと決心した。 葵がのぞき込むように由利絵の顔を見つめていた。 その顔は、いつもは大人びて気丈に振る舞う彼女とは違い、妙に幼いように見えた。 そんな葵を見て、由利絵は自然と『あの日』事を思い出してクスッと笑った。 「そうよ…良い子ね、葵ちゃんは。ご褒美に……」 由利絵は葵を抱き寄せると、唇を重ね合わせ深い深いキスを始めた。 屋敷に差し込む淡く輝く月が、優しく包み込むように抱き合う二組のカップルを照らしていた。 まるで四人の未来――新しく刻まれていく、それぞれの『物語』を優しく見守るように……。 -おわり-
https://w.atwiki.jp/studykorea/pages/158.html
トップページ>歴史>教育史学研究 『教育史学研究』24-1、2014.6 김대식「朝鮮書院毀撤議論の展開:仁祖から正祖まで」 박종배「日本近世文廟の設立と変遷に関する一考察」 양진건、강동호「済州近代教育に及ぼした流配人の影響に関する研究」 崔光晚「『太学成典』の作成経緯と史料的価値」 陳勝「八股廃除と清末社会心理的変化」(中) 『教育史学研究』23-2、2013.12 金敬容「訳註『詳定科挙規式』研究」 여영기「15世紀地方教官政策の整備と訓導制の成立」 우현정「柳馨遠の雑学教育改革論再考:「雑科榜目」を中心に」 이연진「仁祖-粛宗代校生考講制度研究」 장정호「韓国伝来童話の教育学的理解:昔話の教育的機能と意義を中心に」 정규영「ミシェル・フーコーの「規律権力」と近代教育」 지정민「朝鮮前期教官薦挙制度の施行と変容:師儒録の事例」 崔光晚「朝鮮前期科試の新設仮定」 『教育史学研究』23-1、2013.6 金敬容「訳註『科挙事目』(新科挙事目)研究」 崔光晚「柳寿垣の教育改革論」 윤한성「朝鮮建国期教育政策に現れた鄭道伝の教育活動」 이상무「17-18世紀地方儒生の科挙応試与件についての再論:『科挙謄録』の内容を中心に」 여영기「『童蒙礼講謄録』と癸亥年童蒙礼講節目の再構成」 『教育史学研究』22-2、2012.12 張瀞互「家礼の教育的機能と意味についての考察:『朱子家礼』の冠婚葬祭と「司馬氏朔望儀」を中心に」 池政敏「イエス会の教師教育と「学習計画」:1546-1832」 최광민「17世紀科試制度の形成過程」 최은아「算学取才を中心に見た朝鮮の算学教育」 黄金重「忘れられた教育伝統、伝心:朱子学と仏教の心法伝承伝統と教育」 金敬容「訳註『科挙事目』研究」 李愚辰「[書評]植民地時代知識人達の境界線引き:정미량『1920년대 재일조선유학생의 문화운동 개인과 민족, 그 융합과 분열의 경계』知識産業社、2012年」 『教育史学研究』22-1、2012.6 박상진「荀子礼論研究:天人観に照らしてみた礼の教育的含意」 박현준「朝鮮時代善悪籍研究」 육수화「近代日本の皇族と華族教育:学習院を中心に」 崔光晚「19世紀書院講学活動事例研究:『虎渓講録』を中心に」 『教育史学研究』21-2、2011.12 姜明淑「日帝時代普通学校「職業」教科の導入とその性格」 金敬容「大韓帝国期成均館司業試選研究」 朴鍾培「会規を通じて見た明代の書院講会制度」 이명실「日本教育史研究動向の再構成:2000年代中盤以前を中心に」 李愚辰「王陽明の格物勉強論」 張瀞互「儒家礼教の宇宙的理想とその教育的含意:天・聖人・礼の観念を中心に」 崔光晚「17世紀『学校謄録』分析」 『教育史学研究』21-1、2011.6 金敬容「甲午更張以後成均館経学科と経議問対研究」 金大植「華西門人共同体講会の実際」 朴連鎬、손세희「宣教師達の教育事業計画と実践、1884-1906」 신성희「柳重教の講学活動に現れた楽の意味」 여영기「15-16世紀童蒙訓導研究」 1-20 21-40
https://w.atwiki.jp/hisshuu/pages/6.html
counter() 各地の都道府県教育委員会と政令指定都市教育委員会の連絡先 県・市 区分 郵便番号 住所 電話番号 北海道 道 060-8544 札幌市中央区北3条西7丁目 011-231-4111 札幌市 市 060-0061 札幌市中央区南1条西14丁目 011-214-4512 青森県 県 030-8540 青森市新町2-3-1 0177-22-1111 岩手県 県 025-0301 盛岡市内丸10-1 019-651-3111 宮城県 県 980-8423 仙台市青葉区本町3-8-1 022-211-3611 仙台市 市 980-8671 仙台市青葉区二日町1-1 022-261-1111 秋田県 県 010-8580 秋田市山王4-1-2 018-860-3111 山形県 県 990-8570 山形市松波2-8-1 023-630-2906 福島県 県 960-8688 福島市杉妻町2-16 024-521-1111 茨城県 県 310-8588 水戸市笠原町978-6 県庁舎22階 029-301-5245(県教育庁高校教育課直通) 栃木県 県 320-8501 宇都宮市塙田1-1-20 028-623-3355 群馬県 県 371-8570 前橋市大手町1-1-1 027-223-1111 埼玉県 県 336-8501 さいたま市高砂3-15-1 048-824-2111 さいたま市 市 330-9588 さいたま市浦和区常盤6-4-4 048-829-1111 千葉県 県 260-0013 千葉市中央区中央4-13-28 043-223-4002 千葉市 市 260-8730 千葉市中央区問屋町1-35 043-245-5902 東京都 都 163-8001 新宿区西新宿2-8-1 03-5321-1111 神奈川県 県 231-8509 横浜市中区日本大通33 045-201-1111 横浜市 市 231-0017 横浜市中区港町1-1 045-671-2121 川崎市 市 210-0004 川崎市川崎区宮本町6 044-200-2111 新潟県 県 950-8570 新潟市新光町4-1 025-285-5511 富山県 県 930-8501 富山市新総曲輪1-7 076-431-4111 石川県 県 920-8575 金沢市広坂2-1-1 076-261-1111 福井県 県 910-8580 福井市大手3-17-1 0776-21-1111 山梨県 県 400-8504 甲府市丸の内1-6-1 055-237-1111 長野県 県 380-8570 長野市大字南長野字幅下692-2 026-232-0111 岐阜県 県 500-8570 岐阜市藪田南2-1-1 058-272-1111 静岡県 県 420-8601 静岡市葵区追手町9-6 054-221-3102 静岡市 市 424-8701 静岡市清水区旭町6番8号 0543-54-2504 愛知県 県 460-8534 名古屋市中区三の丸3-1-2 052-961-2111 名古屋市 市 460-8508 名古屋市中区三の丸3-1-1 052-961-1111 三重県 県 514-8570 津市広明町13 059-224-2943 滋賀県 県 520-8577 大津市京町4-1-1 077-524-1121 京都府 府 602-8570 京都市上京区立売通新町西入藪ノ内町 075-451-8111 京都市 市 604-8571 京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488 075-222-3767 大阪府 府 540-8571 大阪市中央区大手町2丁目 06-6941-0351 大阪市 市 530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 06-6208-9070 堺市 市 590-0078 堺市堺区南瓦町3-1 072-233-1101 兵庫県 県 650-8567 神戸市中央区下山手通5-10-1 078-341-7711 神戸市 市 650-8570 神戸市中央区加納町6-5-1 078-331-8181 奈良県 県 630-8502 奈良市登大路町30 0742-22-1101 和歌山県 県 640-8585 和歌山市小松原通1-1 0734-41-3640 鳥取県 県 680-8502 鳥取市東町1-271 0857-26-7111 島根県 県 690-8502 松江市殿町1 0852-22-5403 岡山県 県 700-8570 岡山市内山下2-4-6 086-224-2111 広島県 県 730-8514 広島市中区基町9-42 082-228-2111 広島市 市 730-8586 広島市中区泰寺町1-4-21 082-504-2462 山口県 県 753-8501 山口市滝町1-1 0839-22-3111 徳島県 県 770-8570 徳島市j万代町1-1 088-621-3115 香川県 県 760-8582 高松市番町2-1-1 087-831-1111 愛媛県 県 790-8570 松山市一番町4-4-2 089-941-2111 高知県 県 780-0850 高知市丸ノ内1-7-52 0888-23-1111 福岡県 県 812-8575 福岡市博多区東公園7-7 092-651-1111 北九州市 市 803-8510 北九州市小倉北区大手町1-1 093-582-2352 福岡市 市 810-8621 福岡市中央区天神1-8-1 092-711-4111 佐賀県 県 840-8570 佐賀市城内1-1-59 0952-24-2111 長崎県 県 850-8570 長崎市江戸町2-13 095-824-1111 熊本県 県 862-8609 熊本市水前寺6-18-1 096-383-1111 大分県 県 870-8503 大分市府内町3-10-1 097-536-1111 宮崎県 県 880-8502 宮崎市橘通東1-9-10 0985-24-1111 鹿児島県 県 890-8570 鹿児島市鴨池新町10-1 099-286-2111 沖縄県 県 900-8571 那覇市泉崎1-2-2 098-866-2705
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/31887.html
登録日:2015/3/28(土) 22 25 00 更新日:2022/10/19 Wed 20 51 41 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 ゆとり ゆとり世代 ゆとり世代/ゆとり教育 ゆとり教育 レッテル 世代 中流思考 偏見 就職難民 以下ゆとり世代の概要である 本項ではゆとり世代をメインに扱う ◆ゆとりの概要 ゆとり世代とは1987年~1995年に生まれた世代を指す。 文部省(当時)官僚であった寺脇研の提唱で、詰め込み一辺倒であった教育を見直し、もっとゆとりを持ったカリキュラムにしよう、という流れが生まれ、 学習内容の大幅削減、「総合的な学習の時間」の創設など、様々な試みが行われるようになった。 ゆとり世代とは、その教育カリキュラムの施行時期に義務教育を受けた世代のことである。 概ね90年前後の生まれは誕生した年度こそバブル期であるものの学生時代の殆どを不況で過ごした。 そして失われた10年からの就職氷河期にリーマン・ショック、幼少期に阪神・淡路大震災とオウム事件、多感な青春時代に世界同時多発テロや東日本大震災・異常気象、 果てには成人後にパンデミックと立て続けに様々な災厄を経験しているため、世相に対して斜に構えておりネガティブな精神を持った者が多い。 そして金銭感覚に対して厳しい者が多い。また上昇志向も薄く普通が一番と多くは考える。 ゲームはスーファミから始まり、まだまだ外遊びが中心であった。 中にはミニ四駆で怪我をする子供もいたり……小学校の頃にはマリオパーティやポケモンの通信交換がブームになっていた。 (今のようにオンラインシステムが普及していないないため直接友達を家に呼んでいた) 子供の頃は特撮番組の仮面ライダーやウルトラシリーズがTV放送されておらず、幼少期はメタルヒーローやスーパー戦隊の時代であった。 作品の質も高いものが多く、VSゴジラも当時の子どもたちに人気であった。 1996年以後のウルトラマンティガが起爆剤となり特撮ブームが再燃する。 更には数年後の仮面ライダークウガで長らくブラウン管から退いていた仮面ライダーが復活し小学校低学年だったゆとり世代にも浸透していった。 上の兄弟や学校の先輩の影響で『ドラゴンボール』や『SLAM DUNK』などのジャンプ黄金期のアニメを知った人も多くいるであろう。 子供の頃の憧れのプロ野球選手は松井秀喜、イチロー、松坂大輔などであり軒並みメジャーリーグに行った。 サッカー選手では中村俊輔、中田英寿など。 1997年の『ポケモンショック』をリアルタイムで知っている年代でもあり当時は放送休止を残念がった子も多い。 しかしTV放送の復活後はやがて起こるであろうポケモンブームをメインで支えていく事になるのであった。 そのせいか脳科学者の森昭雄から『ゲームのせいで学力が低下する』という根拠もクソもない言いがかりを付けられた事もあった。 (自身の書籍に『ゲーム脳の恐怖』があり当時ベストセラーになった) いじめや不登校などが多発した年代でもあり学生時代の報道番組でもそれらが取り上げられる事も多かった。 子供の頃のアイドルといえばモーニング娘やおはガール(おはスタという番組内のアイドル)であった。特に全盛期の頃はおはガールになりたい女の子が急増していた。あとJ-POPにも比較的恵まれ文化面でも充実していた アニメも90年代は「勇者シリーズ」「魔法騎士レイアース」「ポケットモンスター」などを筆頭に様々なヒット作を経験し(早い子はエヴァンゲリオンを見ていた)、 00年代も「機動戦士ガンダムSEED」「灼眼のシャナ」「涼宮ハルヒの憂鬱」「CLANNAD」「みなみけ」、 ~等と言った良作アニメを次々と体感し学生時代は比較的アニメに恵まれていた方だと思われる。 CLAMPの全盛期でもあった。CCさくらでオタに目覚める人が多かったという。 実はアイドル声優の先駆けでもあり声優が一般人にも浸透し、顔出しをしてCDを売るようになったのもこの世代の功績のおかげである。 アイマスのメイン層もこの年代が中心であり熱心な水樹奈々ファンや田村ゆかりファンも多くライブなどでも資金の投資を惜しまない。 王国民もゆとり世代が中心だったりする。 なおゆとり世代の血脈は下の世代にも受け継がれておりラブライバー等は上の世代の影響を良くも悪くも色濃く受けている。 深夜アニメの繁栄とパソコンや携帯文化が普及していく中でオタク文化は徐々に広がっていった。 また一番技術力の進歩を実感している世代でもありPCやゲームの進化、 しいてはアニメの急激な進化を体感しているので時代の流れに適応できるミーハーな人間(悪くいえば飽き性)も多い。 そうした一方で男女の交際率は下がり気味であり未だに就職難民も多く就労する気がない真性のニートも多数いる。 (そういった関係で就活の開始時が10月から3月になったり、既卒という大卒専用の枠も3年という期間で設けられるようになった) 悲しいことに就活を苦に自殺する学生もこの年代が一番多かった。(2013年~2014年頃には一万人に達した) なおガラケー時代に携帯のパケット料金で請求量が100万を超えてしまった人もいる。 ソシャゲの課金制度に対して反感を示した最初の世代でもあり課金ユーザーのファースト世代でもある。 (パズドラやアイマスにお金を積み込みすぎて財布が空になる人が跡を絶たなかった。) 近年はゆとり世代が大人になり、ソシャゲのメイン層が下の世代に交代したのか以前ほど課金の犠牲者になる人は減っている。 余談として、ゆとり世代は円周率は3で教えられたという話があるが、実はデマである。このデマは、大手学習塾の日能研が学習指導要領を誤解(あるいは意図的に曲解)して広めたもので、いまだにこのデマを信じている人も多い。 もともとの指導要領では「円周率は約3.14として教えるが、実際に円の周長や面積を計算するときには必要に応じて近似値として3を用いてよい」という旨の記述がされており、何もおかしなことは言っていない。 円周率の近似値として3を使うか3.14を使うか、あるいは更に精密な近似値を使うかというのはどの程度の精度で値を知りたいかという目的によって使い分けるものであり、盲目的に3.14を使えば良いというわけではない。 とはいえ、ゆとり世代の人が3と3.14のどちらを使うべきか正しく判断できるかどうかはまた別問題である。 これと関連した話として、「円周率は3ではなく3.14」だという指摘をする人がいるが、当然ながら円周率は厳密には3でも3.14でもない。 なお森ガールや草食系男子と呼ばれるようになった最初の世代である。絶食系男子もここが発祥。 最初に週休二日制を経験した世代である(1992年生まれ以降は完全に週休二日制となっている)。1996年生まれ以降は脱ゆとり世代と呼ばれる。 ◆流行ったもの ポケモン デジモン ビーストウォーズ ニンテンドウ64 ビーダマン 星のカービィ シャーマンキング など ◆ただし…… この言葉自体に一定の世代に対するステレオタイプ的なマイナスイメージのレッテルを貼り付けるニュアンスがあり、当の若者たちにとっては非常に抵抗感が強い。 そもそも「ゆとり世代」に生まれ育った若者が自分から「ゆとり教育」を受けた訳ではないし、自分たちから「ゆとり世代」と名乗ったわけでもない。 はっきり言ってしまえば良いも悪いもなく、上の世代が感じた異なる価値観を持つ世代に対するジェネレーションギャップにしか過ぎないのだ。 ぶっちゃけ現代の若者を「ゆとり世代」だの「さとり世代」だのと呼ぶ世代もかつては色々レッテル貼られて言われてた訳で、歴史は繰り返すだけのことである。 勿論、「ゆとり世代」もいつかは下の世代とのギャップに驚き、おそらくはなんらかのレッテルを貼る可能性が高い。 その時にはレッテルを貼るという行為が本当に正しいのか、その世代の人間の事を本当に理解しているのか、 自分の価値観が主観的、一面的な見方に凝り固まっていないかを考えてみてほしい。 ◆提唱者 冒頭にある通り、旗振り役は文部省官僚だった寺脇研。 寺脇の父親は医師であり、エリート家庭らしく厳格な教育を息子に施していた。 そのせいでまともに友達と遊ぶこともできず、暗い少年時代を送った寺脇は、詰め込み教育の弊害を実感。 子供をのびのび育てるために文部省に入省し、ゆとり教育の提唱をするに至った。 ということで、 ゆとり世代の方は追記・修正をお願いします~。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 中流志向≠厨龍紫煌でしょう。 -- 名無しさん (2015-05-06 20 06 43) そしてこの後は悟り世代と続くらしい -- 名無しさん (2015-05-06 20 32 00) なんというか、そもそも「ゆとり教育」が何なのか、「 -- 名無しさん (2015-05-07 00 13 24) ↑誤爆した。そもそも「ゆとり教育」「ゆとり世代」の定義が項目内に書かれてない気がするんだが… -- 名無しさん (2015-05-07 00 15 12) ゆとりを非難で使ってる奴は、「自分アホなんすよw」という紙を全方位に張り巡らせていることに気付いているのかな…子供は教育を選ぶ権利なんてない。決めたのは大人以上なんだが -- 名無しさん (2015-05-07 00 42 19) ↑ゆとりゆとり言ってる大人は無責任ってよく言われるからね。 -- 名無しさん (2015-05-07 00 50 15) そうやって他人のせいにしてると余計馬鹿にされる。悔しければゆとりとは思われない振る舞いをすればいい。 -- 名無しさん (2015-05-07 20 02 11) 日狂組の策略だろう。 -- 名無しさん (2015-05-07 20 56 00) 推薦入試はさすがにカスだろ -- 名無しさん (2015-05-07 21 07 16) ゆとり教育でも学力が下がったりはしてないんだよね -- 名無しさん (2015-05-07 21 18 15) むしろゆとりの方が学力は上だよ。昔のセンターとかイージーモードだけど平均は変わらないし -- 名無しさん (2015-05-12 11 49 45) どの時代だろうがエリートはエリート、無能は無能ってだけの話だろう。少なくともバブルで大量の不良債権残した連中には言われたく無いね。↑5他人のせいにしてるのは、自分の事を棚に上げた自称優れた世代様(笑)なんですけどねぇ -- 名無しさん (2015-05-12 12 15 06) ↑6 えぇぇ…もちろん心がけてても実践できていないことはありえるから注意したいことだけれど、いわれなき非難を非難したら避難されるのか…orz -- 名無しさん (2015-05-12 12 21 57) 上述もされているが、人生の全てが右肩下がりの不況の中で生きているためか個人差はあれど、リスクを犯すことを極めて忌避する傾向はあるよな。実際草食系絶食系男子とかも結婚や恋愛でのリスクリターンが合わないっていう理由で消極的な男性を形容した言葉みたいだし。 -- 名無しさん (2015-07-08 15 43 10) エンターテイメント、娯楽機器の過渡期において恵まれた世代でもある。 -- 名無しさん (2015-07-08 16 13 23) ビックリマンは2000世代、天才てれびくんはバーチャル3部作、ポケモンは初代から、ドラえもんは映画だと創世日記~太陽王伝説の黄金期。草食男子はしんのすけの如き肉食男児。 -- 名無しさん (2015-07-08 21 41 06) ↑実は二重投稿になりますが、むしろスーパービックリマン。 -- 名無しさん (2015-08-17 19 44 28) わい団塊やがゆとりってなんで定時で帰りたがるんや?お前らのせいでわいの会社では残業=悪みたいになって残業しにくい雰囲気になったんやぞ!こっちは残業代が欲しくてわざわざ残ってんだからゆとりもそれに合わせて残れよ。ほんと定時帰りとか甘えもいいとこやわ。上司より先に帰るとか大学で何を学んできたんや? -- 名無しさん (2015-11-09 15 41 40) という風に団塊叩きに持っていこうとするのも不毛。世代間闘争など不毛の極み。 -- 名無しさん (2015-11-09 16 00 16) ゆとりが悪いとかほざくおっさんの中には、教え方が下手・敬意を抱けない年上が、年長者の強い発言力で都合よくさせているだけの場合も多い -- 名無しさん (2015-11-09 16 10 36) 土曜日が休みになったのはうれしかった -- 名無しさん (2015-11-09 16 16 24) ↑4 こいつ他の項目にもちょくちょく沸いてなかったっけ?今はなんJの項目以外コメリセされてるから残ってないけど。 -- 名無しさん (2015-11-22 00 10 20) ゆとりで全てを片付けるジジババ嫌い -- 名無しさん (2016-03-22 02 59 03) ↑6自分の都合を周りに押し付けんな, -- 名無しさん (2016-03-22 04 11 17) これだからゆとりはと言う言葉は、この世代に当てはまらない人間であっても不愉快な言葉だ。自分らが若かった時、上の世代の人間にどんな言葉を投げ掛けられて不愉快な気分になったかを考えれば、易々と出すべき言葉ではないかが分かるのでは? -- 名無しさん (2016-03-22 04 28 30) ゆとりですが何か? というドラマが始まるっぽいね お前らも見とけよ見とけよ~(宣伝) -- 名無しさん (2016-03-22 11 07 12) バカ「金銀もやったことないゆとり」←ポケモンはゆとり世代直撃なんだよなぁ -- 名無しさん (2016-03-22 14 15 52) ↑リメイクならやりましたが?と返せば黙るさ。 -- 名無しさん (2016-05-18 07 39 19) 今叩かれてるゆとり連中も年をとったら下の世代連中を叩くんだよなぁ -- 名無しさん (2016-09-07 18 19 05) ↑ネットの黎明期やアニメの成熟期経験した視点で言えば、下の世代を叩く材料がないな。時代の流れで衰退したものが多過ぎる。アニメに限らず、お笑いや音楽、ゲームやドラマ、TV自体が。経済も停滞してブランドの価値もない。人に価値観を押し付られるものは何も残ってないし、逆に長い間ゆとりとレッテルを貼られて拳を上げる気力すらない。さらに言えば価値観の多様化も大きく進んだ。若者の〇〇離れも聞き飽きた。アナログ文化の残滓であったゆとり世代からデジタル文化の萌芽であるさとり世代に繋がるものは何もない -- 名無しさん (2016-09-07 19 42 40) 小学校3年生まで土曜日授業があったよ -- 名無しさん (2016-10-20 10 32 57) まどマギがなのはのアンチテーゼとか筆者はどれだけ穿った見方をしてるんだよ・・・ -- 名無しさん (2016-10-20 10 53 07) 煽りコメントとそれに関わるコメント、無根拠な一文を削除 -- 名無しさん (2016-10-20 20 43 46) 心身の成長とアナログからデジタルへの推移が重なった世代って自分ではあまり意識したことはなかったけど、言われてみれば確かに。このせいで無常観を持ってる人が多いのかもしれない -- 名無しさん (2016-10-20 21 14 08) ぶっちゃけ 批判してる人もゆとり世代だったりする -- 名無しさん (2016-12-19 18 18 15) 人は自身が生まれてくる時代・世代を選ぶことはできない。そんな事は当然なのにな。 -- 名無しさん (2016-12-19 20 22 38) 俺はバカだからあまり細かいことは考えずに生きてきたなあー。ゆとりがどうのこうのとか言われても特に気にしたことはない。 -- 名無しさん (2016-12-19 22 44 48) コメントが無断にリセットされていた為復元しました。リセットする際は、先に報告をお願い致します。 -- 名無しさん (2016-12-21 10 50 12) うちの小学校は2001年度まで土曜日に授業だった -- 名無しさん (2016-12-21 11 22 34) 項目冒頭のクソデカ赤字要る? -- 名無しさん (2016-12-21 11 27 37) この項目では「1996年以降の人間を脱ゆとり」と呼び、別のサイトやテレビ番組、雑誌などでは「2004年生まれまでがゆとり」と言われる。何が正しい? -- 名無し (2017-03-10 21 43 05) 上の世代「ゆとりはほんとに使えない人間だらけだからね〜」下の世代「僕らはゆとりを反面教師にします」………オォン!アォン!(涙の絶叫) -- 名無しさん (2017-08-13 23 14 59) ただの差別としてしか扱われないならもうゆとりという言葉自体この世から消し去ってほしいわ -- 名無しさん (2018-11-17 11 24 41) 「大人の都合に振り回された」という点で、就職氷河期世代と同様に、非常に時代に翻弄された世代でもある。 -- 名無しさん (2018-11-17 15 06 31) 何が悲劇かと言えば、これの影響で「ゆとり」という言葉に対して、ネガティブな印象を持つ日本人が増えてしまったという事。じゃあ、高度経済成長期の日本人に"ゆとり"は無かったのかと小一時間問い詰めたい。 -- 名無しさん (2018-11-17 15 11 22) 以外に狭いゆとり世代 ネット原住民だと今の小中学生もゆとりだと思ってる人間もしばしば -- 名無しさん (2018-11-17 16 14 13) 「日本人を愚民化させ、韓国人にエリート教育を施して日本の乗っ取りを図っているのでは」とも囁かれている。 こんなしょーもない陰謀論の記述いるか? -- 名無しさん (2018-11-17 16 40 15) ゆとり世代の始まりは詰め込み教育を止めた辺りからって言われてるから実は今の40代前半までゆとり世代扱いされる。 -- 名無しさん (2018-11-18 08 13 10) 世代をメインに扱うと言いつつ教育の話がメインになってる矛盾 -- 名無しさん (2018-11-18 09 28 01) かつてはゆとり言われ、今はおっさん言われ……ネットで肩身が狭い世代 -- 名無しさん (2018-11-18 14 10 27) 違反コメントとそれに関わるコメントを削除しました -- 名無しさん (2018-11-22 16 34 41) ↑5その位の陰暴論の方が「子供をのびのび育てる」とかいう寝言よりはまだ納得出来るんだがね -- 名無しさん (2018-11-22 17 01 54) ↑アホくさ。韓国人の計画遠大過ぎる。日本人にはとても敵わないわ -- 名無しさん (2018-11-22 17 17 03) ゴルゴムかな? -- 名無しさん (2018-11-22 17 18 05) ぶっちゃけ非合理的な詰め込み教育をされなかった分、上の世代より知識はアレなものの無駄を省いた合理的な考えができる世代だったりする。で、知識なんて今の時代手元の板切れで簡単に調べられるから… -- 名無しさん (2018-11-22 17 40 40) 老害どものスケープゴート -- 名無しさん (2018-11-22 20 04 51) ↑2 というような一見擁護に見せかけた結局のところ雑に「この世代はこうだ -- 名無しさん (2018-11-23 04 00 17) 途中送信失礼 「この世代はこうだ」と決めつける系の論理はどっちにしろ無責任すぎるわ。「世代」みたいな何十万人レベルの人間の傾向の話なんだから、厳密な統計調査でもなければ基本的には根拠のない決めつけ以上のものじゃないない気がするわ。 -- 名無しさん (2018-11-23 04 03 03) 今の40歳以上の管理職や上司にとっては「最悪の世代」と言われがち。普通に可愛そう -- 名無しさん (2019-11-13 14 25 40) ゆとり世代は怒られたくないとか、初めて挑戦することに消極的とか言ってチャレンジ精神がないみたいなパネル使ったテレビ番組には驚愕したね。誰だって怒られたくないし、初めてのことは不安だろ。なおやったのは安定の六本木にある某局 -- 名無しさん (2020-07-13 11 09 38) 同い年のゆとり30歳が、学校で奴隷みたいな教育受けたとか言ってる。おかしいな俺はそうとは思えなかったし課外で自由研究だの職場体験だの散々自由や個性を押し付けられて嫌な思いしたくらいなんだけどな… -- 名無しさん (2020-10-10 03 29 19) 焼け跡世代、新人類世代、ゆとり世代、さとり世代、次は何でしょうね?最近の若いもんはってのはずっと続いてる事なんだよ。 -- 名無しさん (2021-06-09 09 22 37) 言うこと聞かない堪え性がなく使えないのに態度ばかりデカくて自己中で、すぐに人を妬むし嫌われても仕方ないと思う。悪目立ちしたがるだけで実は量産型人間ただ恋愛結婚したいだけやし。バブル世代の親が甘やかしすぎて教育を間違えた。あの頃とは時代も何もかも違いすぎる。出来の悪いのはもう下の世代や外国人に抜かされてると思うけどね・・・ -- 名無しさん (2021-12-25 02 03 44) 「~世代」とかいう枠に人を押し込んで画一的にモノを見ることしか出来ない奴らにあることないこと言われるの可哀想過ぎんか -- 名無しさん (2021-12-25 02 43 27) 10年くらい前はゆとり世代が一番叩きやすい存在だったんだよな。若者特有の人生経験不足を「これだからゆとりは」で片付けやすかった。 -- 名無しさん (2021-12-25 06 58 52) せめて統計でも持ち出すならともかく -- 名無しさん (2021-12-26 11 29 29) (途中送信ごめん)「体感」「なんとなくそう思う」レベルで決めつけてくるからなあ、世代叩き -- 名無しさん (2021-12-26 11 30 19) まあ社員教育とかしてると、世代毎の傾向って本当に見えるレベルで有るのも事実だよ。もちろん世代毎の良さも有るけど良さが解る人達はこの手の話題に混ざったりはしないしねぇ。 -- 名無しさん (2021-12-26 11 59 47) ↑人間の認知のあやふやさとサンプル数の少なさを考えるなら、すげえ怪しいものだと思う -- 名無しさん (2022-01-18 19 04 32) ゆとり世代はまあゆとり教育ってボーダーラインがあるから仕方ないにしても、「さとり世代」以降はもう完全にこじつけでしょ -- 名無しさん (2022-01-18 19 13 33) 結局のところ「世代」じゃなくて「時代」でしかなかったというか -- 名無しさん (2022-01-19 04 09 33) これタイトルに「ゆとり教育」と付いている割にはゆとり教育の説明がゆとり世代の補足にしかなくないか? -- 名無しさん (2022-10-19 20 51 41) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/2955.html
12・4黒い彗星★救援会1・23報告集会記念 4・24阪神教育闘争63周年記念 文献リスト (漸次更新します。私の視野は狭いので皆さんからの捕捉を御願いします。by pippo) 文献リスト【WEB】 【映像】 【出版物】まず、この文献リストを参照してください 運動圏 公安権力側 在特会ルーツ ホットな論考としては、 配付資料集 御意見・御質問 【WEB】 ●民団ニュース「阪神教育闘争の物証 米公文書館にあった」 http //www.mindan.org/sidemenu/sm_hundred_14.php ●民族教育ネットワーク http //www.ne.jp/asahi/m-kyouiku/net/ ●同上「阪神教育闘争50周年集会の記録」 http //www.ne.jp/asahi/m-kyouiku/net/50syuunen.htm ●同上「資料」 http //www.ne.jp/asahi/m-kyouiku/net/siryou.htm ●阪神教育闘争50周年記念神戸集会実行委員会 http //www.ksyc.jp/424.html ●「地域社会における在日朝鮮人とGHQ」 和光大学総合文化研究所年報『東西南北』別冊01 http //www.wako.ac.jp/souken/touzai_b01/tz_b01.html ●在特会デマビラ「朝鮮進駐軍」(川東大了くん作成) (1)http //mixi.jp/view_bbs.pl?id=53127274 comment_count=975 comm_id=3323304 (2)http //mixi.jp/view_bbs.pl?id=53418175 comm_id=3323304 ●『朝鮮進駐軍』の話(1)~(8)iza http //ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/1695973/ ●Wikipedia「阪神教育事件」 ……標題が「事件」とあるように、警察・公安文献にもとづくと思われる現象面だけの記述。 http //ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%AA%E7%A5%9E%E6%95%99%E8%82%B2%E4%BA%8B%E4%BB%B6 《付註》 戦後の在日による闘争を「凶悪事件」として描き出すために、Wikipediaには「xxxx事件」なる項目が氾濫している。全国都道府県の「県警史」を総覧できる立場の者による、と思われる。 カラー写真も豊富で当時としては超贅沢で、在特や主権のシュプレヒコールかと思う見出しが躍る月刊雑誌、 ●『警察時報』警察時報社1946年発刊 これの最初10年間、とくに朝鮮戦争勃発以降のバックナンバーを見ると、戦後日本の警察がいかに政治結社化していったか実感できる。警察内昇進試験の受験対策誌といいながら、実質は反共イデオロギーのプロパガンダ雑誌であった。 国会図書館:http //opac.ndl.go.jp/recordid/000000006527/jpn (現在もこの雑誌は続いているが地味な受験雑誌となっている。「平成」の今、心ならずも新宿ど真ん中デモの妨害に狩り出される若い機動隊員諸君は、一体どのような思想教育を受けているのだろうか?) 【映像】 ●監督:荒井英郎、京極高英『朝鮮の子』1954/モノクロ/16mm/30分 製作委員会:在日朝鮮人学校全国PTA連合会、在日朝鮮人教育者同盟、在日朝鮮映画人集団 提供:朝鮮総聯映画製作所 山形国際ドキュメンタリー映画祭2005 http //www.yidff.jp/2005/cat085/05c088.html アムネスティ・フィルム・フェスティバル2011 http //www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=3287 朝鮮総聯映画製作所によるストリーミング配信 http //www.elufa.net/movie/chousenko.asf ●呉徳洙(オ・ドクス、監督)『戦後在日五〇年史 在日』1997/カラー/16mm/258分 企画:在日韓国青年商工人連合会、指紋カードをなくせ!1990年協議会、OH(オー)企画 http //www.cinematrix.jp/dds/2006/08/post_46.html 内容紹介:http //www.jlp.net/letter/980425e.html 上映問い合わせ先 映画「戦後在日五十年史」製作委員会 03―3485―2935 【出版物】 まず、この文献リストを参照してください ●阪神教育闘争50周年記念神戸集会実行委員会 「4・24教育闘争」に関する資料リスト(補遺) http //www.ksyc.jp/424/list.html 運動圏 ●パンフレット『忘れまい 4・24 ―阪神教育闘争50周年記念誌― 』阪神教育闘争50周年記念神戸集会 実行委員会★★ ……残部多少ありとのことTEL 078-851-2760 http //www.ksyc.jp/424/pannhu.html ●民族教育と共生社会―阪神教育闘争50周年集会の記録 (東方ブックレット) http //p.tl/Skrr ●「4・24を記録する会」編『4・24阪神教育闘争 民族教育を守った人々の記録』ブレ-ンセンタ-(1988.4) ★★『写真集 朝鮮解放1年』新幹社1994年復刻★★ Amazon http //p.tl/KF4q ……1946年9月民衆新聞社発行の写真画報を復刻し解説を加えたもの。「在日本朝鮮人連盟」の草創期、朝鮮学校の建学期の写真あり。 ●『画報現代史1945-1954』1~5 日本図書センター2000年、国際文化情報社昭和29年刊の複製 国会図書館:http //opac.ndl.go.jp/recordid/000002864130/jpn Amazon:http //p.tl/0cxS ……激動の時代戦後10年の一区切り、日本近代史研究会(代表・服部之総)の編纂。テレビ無き時代の「画報」ドキュメンタリー。 ●金慶海著『在日朝鮮人民族教育の原点 4・24阪神教育闘争の記録』 田畑書店(1979.11) 国会図書館:http //opac.ndl.go.jp/recordid/000001436067/jpn ●金慶海・編『在日朝鮮人民族教育擁護闘争資料集 四・二四阪神教育闘争を中心に』(明石書店、1988年4月) ……新聞、闘争ビラ、手記、その他当時のリアルタイム資料、分厚い資料集。 国会図書館:http //opac.ndl.go.jp/recordid/000001915859/jpn ●内山一雄、趙 博・編『在日朝鮮人民族教育擁護闘争資料集 四・二四以降大阪を中心に』(明石書店、1989年2月) ……新聞、闘争ビラ、手記、その他当時のリアルタイム資料、分厚い資料集。 国会図書館:http //opac.ndl.go.jp/recordid/000001989602/jpn ★★朴慶植『解放後在日朝鮮人運動史』三一書房1989年3月★★ 第3章「阪神教育闘争と国旗掲揚弾圧事件」 国会図書館:http //opac.ndl.go.jp/recordid/000001972759/jpn 東京大学総合図書館開架にもあり学外者可。 (学外者は閲覧したい資料をOPECで事前に確認し申告すること、事前に電話するが吉。) Amazon http //p.tl/h07- ……朴慶植氏は『朝鮮人強制連行の記録』(未来社1965年)で有名な歴史家。「朴慶植氏は1950年代から死の直前まで、朝鮮近現代史、在日朝鮮人史について数多くの研究を発表し、それらの研究は今日でもその分野における必読文献となっているほど影響を与えてきた。中でも在日朝鮮人史研究は朴慶植氏一人で切り開かれたと言っても過言ではない」(外村大1999)。 http //www.shc.usp.ac.jp/kawa/park/pks.htm 『解放後在日朝鮮人運動史』発刊の頃は朝鮮総連から距離を置いていた。 →同書「はしがき」参照 ★★呉圭祥『ドキュメント在日本朝鮮人連盟』岩波書店 2009年3月第1刷★★ 第2編第2章「民族教育の諸相」 http //www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/7/0230240.html ……一昨年の出版。呉圭祥氏は朝鮮大学校学部長を務めた後、在日朝鮮人歴史研究所研究部長。 ●在日韓人歴史資料館 (著) 『写真で見る在日コリアンの100年』明石書店 2008/12/17 アマゾン:http //p.tl/Hh6q ……この図録は、在日韓人歴史資料館http //www.j-koreans.org/に収蔵されている写真・資料・物品で構成されている。歴史的背景説明に必要な写真に一部外部の資料を使用した。 公安権力側 在日朝鮮人運動の歴史に関するWEB上での差別的記述では、鄭大均のものなどの引用が多いが、ひんぱんに孫引きされているのは以下4点、公安側の通史である。 ★★坪井豊吉『法務研究第46集第3号 部外秘 在日朝鮮人運動の概要』 法務研修所 1959年3月★★ 第1章第3節「在日本朝鮮人連盟の結成と活動」の四「阪神教育闘争事件と北鮮政府樹立慶祝運動」 東大東文研・図 C89 13 6470207892 ……坪井豊吉は朝鮮総督府警察署長の経歴をもつ、当時公安調査庁法務事務官。 国会図書館には在日運動圏側の書物かと見まちがえる、 ●坪江汕二『在日同胞の動き』自由生活社〔1977〕 という書物があるが、上記「坪井豊吉」書を偽名「坪江汕二」を用いて復刻した写植版であって、全く同一内容のものである。 国会図書館:http //opac.ndl.go.jp/recordid/000001334129/jpn このなかの阪神教育闘争事件の記述が、ほぼ「wikipedia 阪神教育事件」の記述となっている。 ★★森田芳夫『法務研究報告書 第43集第3号 在日朝鮮人処遇の推移と現状』 法務研修所1955年★★ 国会図書館:http //opac.ndl.go.jp/recordid/000001208375/jpn ……森田芳夫は入国管理局事務官。 ●篠崎平治『在日朝鮮人運動』 令文社1955年 国会図書館:http //opac.ndl.go.jp/recordid/000000934582/jpn 国会図書館では複写禁となっている。 ……篠崎平治は富山県警警備課長・警視、『警察時報』の主要ライター。 ★★エドワード・W・ワグナー『日本における朝鮮少数民族1904年-1950年』★★ 1951年英文、1961年外務省アジア局北東アジア課翻訳、1975年湖北社同復刻 国会図書館:http //opac.ndl.go.jp/recordid/000001202856/jpn ……朝鮮史の学者ワグナーは連合国総司令部(GHQ)の担当官として終戦直後の日本に駐留し、後にハーバード大学教授となった。米占領軍の立場・都合から見た戦後の在日問題として興味深い。鄭大均による引用部分だけがwebでは肥大化している。 ●内田文夫「戦後の騒擾事件の概要」『警察学論集』(警察大学校・編集、立花書房・発行)14巻2号、1961年2月 ●公安調査庁審理課「騒擾事件等一覧表」『警察学論集』(警察大学校・編集、立花書房・発行)14巻2号、1961年2月 東京大学社研図書室 書誌ID 30051552 請求記号 ZB 343 朴慶植氏が上記『解放後在日朝鮮人運動史』を書くまでは、おそらく、警察・公安調査庁・入国管理局・米進駐軍、これらの公安資料による通史のみが流布し、マスメディア・知識人もそれに従ってきたと思われる。日本人庶民は戦後65年間ずうっと、こうした治安史観に浸され続け、歪んだ在日観を持ち続けてきた。民族差別の根は深い。 在特会ルーツ 後年、治安問題として公安資料をたんねんに通観した論文としては、 ●加藤晴子『在日朝鮮人の処遇政策確定過程にみられる若干の問題について』 日本女子大紀要33文学部 1983年★★がある。 ……様々な事件も30年以上の年を隔てて、日本女子大助手加藤にとってのリアリティーは全くなく、GHQ・警察・公安記述の表層をなで著者がそこに「正当性」を見出したいがための推論がばかりが目につく皮相な論文。結論は27年後の在特会川東大了や中曾千鶴子と同じ骨格である。「在日朝鮮人自身によって、本稿が扱った時期(引用者注:1945~54年)における自己の言動や生活態度を省察しようとする作業が為されるまま、日本及び日本人の植民地支配の責任のみが追及される状態は、健全なものとはいえないであろう。」 ●佐藤勝巳『「三国人」は本当に差別語か』現代コリア2000年5月号★★ ……1960年代70年代と、かつては在日と共に運動を歩んでいた佐藤勝巳が、加藤論文を剽窃しながら、石原慎太郎の「三国人」発言を出汁として書いた文章。加藤の皮相の上に佐藤が沢山の悪意を盛り込んで、活き活きとした排外主義・民族差別の文章となっている。阪神教育闘争に関しても民族教育問題として論ずることは一切無く、逮捕者の多さだけをあげつらっている。石原=佐藤による「在日=犯罪者」というドグマは、その後ネット上ヘイトクライムの雛型となった。 ドグマは、 ●別冊宝島『北朝鮮利権の真相』2003年★★ ●同『嫌韓流の真実!ザ・在日特権』2006年★★ これらを経て、桜井(偽名)誠による2007年1月在特会結成に到る。 「阪神教育闘争はひどい武装闘争であったが故に、米占領軍によって鎮圧された」(川東大了講義「朝鮮占領軍」)というデマが界隈ネットで定着する。阪神教育闘争には武装闘争はないにも拘わらず。 なお、佐藤勝巳の「転向」を分析したものに、 ●柏崎正憲『反差別から差別への同軸反転 現代コリア研究所の捩れと日本の歴史修正主義』★★ があり、webでも読める。 http //jairo.nii.ac.jp/0041/00002106 ホットな論考としては、 京都朝鮮初級学校事件と併合100周年を特集した法律家の寄稿誌、 ★★『人権と生活』vol.31 2010年秋号 在日本朝鮮人人権協会 \800★★ がある。http //www.k-jinken.ne.jp/ ◆金舜植『民族教育を受ける権利の制度的保障をめざして』 ◆康仙華『在日朝鮮人への差別感情を剥き出しにした朝鮮学校いやがらせ事件』 ◆白漢基さんインタビュー『かつての「外国人学校法案」反対運動を語る』 などが載っていて必読。 ●In-duck Kim, SungKyunKwan University Korea 金仁徳, 成均館大学校 "The association between education and society The educational struggle for Korean identity in Japan 1945-1948" (「教育と社会の関係:1945-1948日本でおきた韓(朝鮮)identityを求める教育闘争」) Asia Pacific Education Review 2008 Volume 9, Number 3, 335-343, DOI 10.1007/BF03026721 http //www.eric.ed.gov/PDFS/EJ835205.pdf 試訳用ページ ●京都朝鮮第一初級学校、民事訴訟準備書面の概要 2010年秋 http //www16.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/2956.html 以上 配付資料集 ====================================== 12・4黒い彗星★救援会1・23報告集会記念 4・24阪神教育闘争63周年記念 資料集 ====================================== 計73sh 実費700円 送料100円 contents 1、朴慶植『解放後在日朝鮮人運動史』「はしがき」1988……3sh 2、『写真集 朝鮮解放1年』1946 1994年復刻から……9sh 3、朴慶植『解放後在日朝鮮人運動史』第3章「阪神教育闘争と国旗掲揚弾圧事件」……17sh 4、呉圭祥『ドキュメント在日本朝鮮人連盟』2009年3月 第2編第2章「民族教育の諸相」……20sh 5、坪井豊吉『法務研究第46集第3号 部外秘 在日朝鮮人運動の概要』1959年 第1章第3節「在日本朝鮮人連盟の結成と活動」の四「阪神教育闘争事件と北鮮政府樹立慶祝運動」から……2sh 6、エドワード・W・ワグナー『日本における朝鮮少数民族1904年-1950年』1951年から……4sh 7、加藤晴子『在日朝鮮人の処遇政策確定過程にみられる若干の問題について』日本女子大紀要33文学部 1983年から……3sh 8、佐藤勝巳『「三国人」は本当に差別語か』現代コリア2000年5月号……4sh 9、金舜植『民族教育を受ける権利の制度的保障をめざして』「人権と生活」vol.31 2010年……3sh 10、康仙華『在日朝鮮人への差別感情を剥き出しにした朝鮮学校いやがらせ事件』「人権と生活」vol.31 2010年……3sh 11、白漢基さんインタビュー『かつての「外国人学校法案」反対運動を語る』「人権と生活」vol.31 2010年……2sh (別展示) ●パンフレット『忘れまい 4・24 ―阪神教育闘争50周年記念誌― 』阪神教育闘争50周年記念神戸集会 実行委員会 御意見・御質問 名前 コメント すべてのコメントを見る 15年戦争資料庫
https://w.atwiki.jp/monamoro/pages/257.html
国際連盟教育科学文化機関(こくさいれんめいきょういくかがくぶんかきかん)は、国際連盟の理事会の下におかれた、教育、科学、文化の発展と推進を目的として、1945年11月に採択された「国際連盟教育科学文化機関憲章」(ロネスコ憲章)に基づいて1946年に設立された国際連合の専門機関である。 概要と歴史 英語の正式名称は、League Of Nations Educational, Scientific and Cultural Organizationであり、その頭文字をとってLONESCO、ロネスコと称される。○○に本部がおかれている。 教育や文化の振興を通じて、戦争の悲劇を繰り返さないとの理念により設立の意義を定めたロネスコ憲章の前文には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」との文言があり、ロネスコ設立の目的とその精神を顕著に表している。 活動にあたっては、重点的に推進する目標として「万人のための基礎教育」「文化の多様性の保護および文明間対話の促進」などを定めており、それに基づき例えば前者に関しては識字率の向上や義務教育の普及のための活動、後者については世界遺産の登録と保護、文化多様性条約の採択のほか、歴史的記録遺産を保全する世界の記憶事業などを実施している。そのほか、極度の貧困の半減、普遍的初等教育の達成、初等・中等教育における男女差別の解消などを内容とするミレニアム開発目標をはじめ国際開発目標達成を目指し、所掌事務の中で様々な取り組みを行っている。