約 19,733 件
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5372.html
79: 635 :2018/08/26(日) 23 12 43 銀河連合日本×艦これ神崎島ネタ 「原作世界と繋がってしまったようです」 注!!このネタは銀河連合日本×艦これ神崎島本編と全く関係のない並行宇宙のネタです!! 日本と神崎島が宇宙国家入りをしてしばらく立った頃、 神崎島近海に直径数キロの構造物が突如として現れた。 神崎島鎮守府中央指揮所 「陸奥!現在の状況は!?」 「提督、何が何だか分からないわ。とりあえず待機してた大鳳達を向かわせたわ。」 神崎提督を始め現在神崎島にいた鎮守府、日本、ティエルクマスカ関係者が次々に中央指揮所へと入ってくる。 そして、本日中央指揮所で待機していた陸奥が彼らを出迎える。 「なんだありゃ?」 「何ナンでショウ?」 毎度おなじみ突撃バカとカレーバカな柏木、フェルさん夫婦は画面に映る謎の構造物を見てそんな感想を抱く。 「ヤルバーンが探査艦とシテ動いててイタ時もあんなのは見たことありまセンな。」 「ヴェルデオ知事も見たことがないのですか。」 最近の休みの日は頻繁にゴルフする仲となった二藤部新蔵内閣総理大臣とヴェルデオ・バウルーサ・ヴェマヤルバーン州暫定知事 もそんな言葉を交わす。 ここまでは神崎島に集合していてもなんら疑問に思わないメンバーである。 「神崎島に続き、また突如として出現するモノがあるとはこれも因果かな?なあ、マリヘイル。」 「そうですわね、サイヴァル。神崎島やニホンもティエルクマスカの一員と なったのですからティエルクマスカ史上初の出来事、不謹慎ですがワクワクしますね。」 サイヴァル・イゼイラ議長とマリヘイル・ティエルクマスカ議長も何故かここにいる。 加盟式典終わって帰ったんじゃないの!?と思うかたもいらっしゃるだろう。 ここで入ってきた方達の姿を見てみよう全員濃緑で統一された衣装を着ている。 男性は法被、女性は浴衣のようだそこはまだいい。 法被は袖に黄色線が入り胸元に白線で囲んだ日の丸がある。 浴衣は肩や腰に垂直の灰銀のラインと黄色の帯、袖には法被と同じ日の丸がある。 そして、法被と浴衣の背中には赤色でデカデカと『瑞雲魂』と書かれている。 なんで宇宙国家連合の要人達が揃いも揃って瑞雲仕様であるのかと言えば、 加盟式典日本でやったんだからティエルクマスカでも何かやろうという提案が日本側からあり、 超時空突撃ドゥス大臣柏木真人の放った余計なことから全ては始まった。 「だったら、ティ連で人気のあるカレーと瑞雲のイベントを日本と神崎島主体でイゼイラとかでしたらどうすかね?」 「「それだー!!」」 「「ええ?(困惑)」」 日本と神崎島の困惑をよそにティ連側は物凄い乗り気であった。 発達過程文明を一般市民も間近で感じられるチャンスであり、日本と神崎島との友好も深められる。 しかも、ヤルバーンの報告書やフェルさんレポートから全ティ連市民の憧れとなった鎮守府カレー祭りと瑞雲祭りに参加出来る というかむしろカレーと瑞雲メインじゃね?という反応であった。 この提案を聞いたサイヴァルとマリヘイルはイゼイラ議会とティ連議会を急遽招集、全会一致で此度のイゼイラ瑞雲カレー祭りを 決行、支援することとなった。 ついでにトップがカレー祭りと瑞雲祭りを正しく理解せねばならないという建前と本音の元、 死に物狂いで仕事と根回しをして、万難を排して神崎島鎮守府へとやってきたのである。 そんなことで日本と神崎島も瑞雲カレー祭りの準備と相成ったのである。 ちなみに本日待機していた面々はティ連の方がとの瑞雲カレー祭り準備への参加に不幸にも漏れた艦娘である。 80: 635 :2018/08/26(日) 23 13 21 中央指揮所 「なんか表面は鏡や水面みたいだな?」 「直径ダケで数キロあるんじゃナイデス?」 「ねえ、電。アレって司令官が言ってたアレじゃない?」 「雷ちゃんもそう思いますか?」 「「知っているのか雷電!?」」 「柏木さんたち、私達は関東豪学連じゃないわよ?」 「なのです。」 「柏木さんたちが申し訳ありませんね。それでアレは何なんでしょうか?」 「ええ、二藤部総理。アレはきっと司令官が前世で見たことあるものに違いないわ!」 「異世界や並行世界と繋がった亜空間接続門なのです。司令官さんが以前寝物語として話してくれたのです。」 「異世界と繋がる構造物とイウことはゲートとかいうアニメで出てきたやつと同じという認識で構いマセンか?神崎提督?」 「ええ、ヴェルデオ知事私が以前見たものに似ていますね。」 「アニメのゲートと同じ状況ということは、『特殊事態』にあたりますわね。」 「ああ、マリヘイル。まさかこんな状況が本当にくるとはね。」 「まあ、私達艦娘が創作上のキャラクターとして存在した以上他の作品もないといえないわけだしね。」 寝物語云々は置いといてマリヘイルの言う『特殊事態』とはこの世界でカグヤの帰還終了後に 精死病で並行宇宙を体験した柏木が懸念したものである。 「他の創作上の人類に敵対的な存在が実際にいるのではないか?」 深海棲艦や霧の艦隊の存在が確認された以上ないと言い切れないので調べる価値はあるとされ、 神崎提督やサイヴァル、マリヘイル、二藤部の合意の元、日本、神崎島、ティ連は総力を上げて その存在の確認と対処法の研究に邁進することとなった。 そのため、G元素やミノフスキー、GN粒子、ゲッター線、フォールド技術などの創作上の研究が盛んに 行われることとなるが全くの余談である。 『こちら大鳳。構造物付近に到着しました。』 「こちら神崎島中央指揮所、提督だ。それは亜空間接続門の可能性がある慎重に行動しろ。」 『亜空間接続門!?了解しました!』 「すいません大鳳さん、柏木ですが。門は今どんな感じですか?」 『出現してから、大きな変化はないですね。』 「そうですか…。」 何やら柏木はなにかを考え始めた。 「マサトさん何か企んでマスネ。」 「はは、こんな時神頼みならぬケラー柏木頼りですな。ニトベ総理。」 「そうですね。柏木さん一つお願いしますね。」 「ケラーはどのような対処法を出すのでしょうね?」 「きっと私達が思いもつかぬことだよマリヘイル。」 そんな皆さんの期待に柏木はたじろぐ。 「な、なんだよもう。」 「まあまあ、柏木さん。で何を思いついたんです?」 「取り敢えず大鳳さん。探知偽装かけたヴァルメを門に突入させて下さい。」 『ヴァルメを突入させるんですか!?』 「マサトサンどういうことナノデス?」 「これが神崎提督達の予想通りのものだとすると敵対的な存在が門の向こうにいることも考えられるからね。 だったらこちらから先手を打ち調査したほうが良いだろう?」 「成る程、ではサイヴァル議長、マリヘイル議長、二藤部総理よろしいですか?」 3人の同意を得てヴァルメを突入させることとなった。 81: 635 :2018/08/26(日) 23 14 09 航空母艦大鳳 「ヴァルメ発艦準備急いで!!」 今では神崎島鎮守府の多数の艦艇に装備されているヴァルメの発艦が飛行甲板上にて進められていた。 「ヴァルメ発艦!!」 「さて、鬼が出るか蛇が出るかどちらだと思う?」 「大鳳艦長、私に分かるわけないデスヨ。」 大鳳は最近鎮守府の各艦艇に配属され始めたティ連出身の乗組員とそんな会話をした。 空母大鳳を発艦したヴァルメはに水面に水滴が落ちたような波紋を門の表面に作り門に突入していった。 神崎島鎮守府中央指揮所 ヴァルメから送られてくる映像が画面に流れる。 まるで、超空間かワープ空間のような空間がしばらく続き、急に視界が開けた。 青い海と青い空、その姿は柏木たちがいる地球にソックリである。 『こちら大鳳。ヴァルメからの情報では地球と大気の組成はほとんど変わらないようです。』 「地球と同じということは人類に近い知的生命体がいる可能性があるな。」 「提督、もしかしたら意表をついてザムル人みたいかもしれないわ。」 神崎提督と陸奥はそんな会話を交わす。 『!!。一定方向より、多数の電波と量子通信と思われる反応を確認!!』 「電波と量子通信があるなんて今の日本みたいですね。知事。」 「イヤ総理。まさかそんな事はないでショウ。」 ヴェルデオと二藤部は雑談をしている。 「大鳳。発信源へヴァルメを向かわせてくれ。」 「不謹慎ですがわくわくしますわね。」 「チキュウの映画とかでいう未知との遭遇ってやつかい?」 なんかわくわくしているマリヘイルとサイヴァル。 『こちら大鳳。陸地とその付近に浮かぶ巨大建造物を確認!!あれって!?』 「おいおい、どういうことだ!?」 「マサカ!ソンナ!?」 驚愕を柏木とフェルを襲う。 全員の視界にあるものが映る。 この場にいる誰もがその建造物を知っていた。 「……ヤルバーン……だと……。」 ただし全員瑞雲魂である。 82: 635 :2018/08/26(日) 23 15 46 以上です。 私はカレーと瑞雲とギャグを挟まないとネタが出ないようです。 掲載はご自由にどうぞ。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3165.html
547 :影響を受ける人:2015/06/14(日) 22 31 15 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第六十五話 ―黒雲来たりてⅩ― 『目標急速後退。初弾外れる。』 この報は、大陸方面軍司令部内ではさほど重視されなかった。 元々大型砲は正確に狙い撃つなどできない。 精々効果範囲内に落ちればそれでいい、というアバウトなモノ。 故に初弾が外れるのは想定内だった その前・・・“オニグモ”が急速後退するという事態に対して驚き、戸惑いが生まれていた。 前に前進しかできないと思われた敵が急速後退した。 タコによく似た構造故に、その可能性は考えられていなかった。 敵の行動予測のみを重点的に考えていたのにも拘らず。 沈黙が下りた司令部の中で、素早く動いた人物がいた。 「作戦変更! 第弐射を中止させろ!!」 「りょ、了解!?」 東条英機はすぐに部下に対して怒鳴りつける。 部下はその迫力に驚きながらも大急ぎで通信を飛ばした。 「司令、第一迎撃地点での攻撃は失敗と判断します!」 「いや、しかし・・・「報告! 目標、連続加速に入りました!」・・・っ!」 「目標の進路は・・・・・・大型砲に真っ直ぐ指向しているとの事です!」 口ごもった司令は、もう一度放てば当たるのではと言いそうだったが、続いては言った電報に目を剥く。 口をパクパクさせるだけで、声が出なくなってしまった司令に変わり、東條は矢次に指示を出す。 「第二迎撃地点も放棄だ。第三迎撃地点での迎撃に注力するように伝えろ!」 「はっ!」 「途中の対空陣地には酷だが、時間を稼いでもらわんといかん。 隠蔽を止め、全力で迎撃するように伝えてくれ。」 目の前で指示を出す東条を複雑な思いで見る司令だったが、すぐに自分の職務を思い出して軽く咳をする。 すると視線が一気に集まった。 「・・・すまん。こんな時に呆けてしまった。 追認となるが、東条君の指示をすぐさま実行するように。」 全員が敬礼を返し、すぐさま仕事に没頭する。 そんな彼等を頼もしく見つつ、傍らに立つ参謀を見やると、帽子をかぶり直しているのが見えた。 反省する時に頭を掻く代わりの、彼の癖だ。 「参謀、例の仕掛けはどうだ?」 「すでに伝えてありますが、急いだ方が良いかもしれません。」 「そうか・・・一応実証されているとはいえ、あんな方法に頼らなければならんとはな。」 「彼女等には頭が上がりません。」 「まったくだ。」 後ろから聞こえてくるそんな会話を聞き流しながら、東条は状況を分析する。 (あまりよくないな・・・ 敵は、“オニグモ”は高攻撃力を見つけるとそれを迎撃、もしくは回避する事を優先する特徴を持っていると思う。 だからこそ、大急ぎで大型砲に向かって突進している。 第三迎撃地点は直射攻撃。ここで仕留められればいい だが原作の発生小説では戦艦が迎撃したが、何度もブチ当てないといけなかったという。 第三迎撃地点での殲滅は諦めた方がいい。) 548 :影響を受ける人:2015/06/14(日) 22 31 45 指示を出し終え、ちらりと後ろを見やると、司令と参謀はまだ話している。 (嶋田さんが維持して鍛えたウィッチの技術。これに頼らないといけないとは・・・) 義勇軍も交えた会議の中で追加された作戦。 ウィッチである彼女等に多大な負担がかかる作戦だけに、その前で仕留めたかったという気持ちあった。 しかしそれは瓦解し、結局頼ることになりそうだ。 二度の転生によるブーストと、史実転生者の協力があってもままならない状況に、心の中で盛大に溜息を吐くしかなかった。 ――――― “オニグモ”攻撃していた北郷章香率いる海軍機械化航空歩兵隊は、敵の急速後退に度肝を抜かれたが、再び加速するのを見て我に帰るとそのまま追撃を開始した。 「くそ! 迎撃もせずにまっすぐ向かうか!!」 多少は距離があったが、狙撃銃などで攻撃したのに反撃は全くない。 完全に敵の目標が先ほどの攻撃の主になっている。 戦艦の主砲の攻撃の方が確かに恐ろしいから納得はできる。 しかしこうも無視されるのは面白くない。 「総隊長、このままでは追いつけません!」 「わかっている!」 無視するついでに“オニグモ”は攻撃を捨てて全力移動していた。 その為、グングン離されていく。 合流するはずだった学兵達も後方にいて、懸命に追いかけているはずだ。 いくら現状最優のストライカーを履いているとはいえ、“オニグモ”の速度にはかなわない。 それでも諦めずに追撃する。 暫らくすると、“オニグモ”の正面に黒い煙が現れ始めた。 高射砲部隊による迎撃が始まったのだ。 錐揉み飛行のように回転しながら移動していた“オニグモ”であるが、さすがに高射砲陣地を相手にするのは嫌なのか迂回行動をとろうとしている。 その御蔭で速度は落ちたのだが・・・ 「くそ・・・」 隊員の一人が悪態をつく。彼女の視線の先では火力を叩きつけている“オニグモ”。 迂回しようとしていたのだが、大きく動くのではなく小さく動いて、迎撃の薄い部分から突破しようとしていた。 しかし対空陣地は濃密な密度で砲弾を打ち上げてくる。 速力で突破しようとしていた敵は、司令部の思惑通りに相手をせざる負えない。 それでも優先順位は大型砲にある。 だから攻撃もそんなに積極的ではない。 しかしそれでも防御結界を維持させなくさせるだけの火力を叩きつけてくる。 陣地を半壊させ、抵抗が小さくなるのを確認すると、早々に攻撃を止めて再び加速。 燃え盛る対空陣地を尻目に、前に進んでいく。 同じ様に陣地を眼下に見ながら章香達も飛んでいくが、その表情は硬い。 既に司令部から迎撃地点変更が伝えられ、全ての部隊に対して時間を稼ぐように命令が下されている。 敵を殲滅するためとはいえ、陣地を・・・兵士の命を使い潰すような命令は受け入れがたい。 司令部としてもそんな命令は下したくなかったはずだ。 だが、上に立つ者は時に冷徹な判断を下し、部下に強制させねばならない。 まだ若いと言える北郷章香であっても、そうした判断はしないといけない。 苦々しい思いを抱きつつ空を飛ぶ。 慰めにはならないが、早々に敵が攻撃を止めたおかげで被害は低いレベルで抑えらていた。 どんなに“オニグモ”が急いでいるかわかる。 ――――― 途中の迎撃は三度あり、全ておなざりに攻撃して突破した。 殆ど感とはいえ、あの回避行動が功を奏したのは良かった。 あのまま喰らっていたら、己はやられていたかもしれない。 だからその脅威を取り除くべく前に進んでいた。苦戦している護衛を放っておいて。 後ろから追撃してい来る小さな反応もあるが、これは無視していても良いだろう。 549 :影響を受ける人:2015/06/14(日) 22 32 35 速度に違いがあり過ぎてまったく追いつけていない。 それよりも眼前の脅威が最優先。 既に敵と思しき反応の近い所まで接近で来ている。 ―敵は潰す― それが己の存在理由だ 地平の先に反応が見え始め、とうとう真正面にとらえる事が出来た。 左右に別れた脅威はどちらから潰せばいいのか迷う。 目標は微妙に自分の最大射程から離れていて、片方を潰してももう片方は残る。 ―どちらを狙うべきか?― まだ自分の有効射程に入っていないから、結論が出るのは遅い。 だがその前に相手が発砲してきた。 慌てて回避行動をとる。相手の射程は驚異的だというのを忘れていた。 今攻撃してきたのは左前側の一つ。 ここに来るまで迎撃は無かったから、次の攻撃は遅いはず。 その判断で目標を左に切り替えて、進路も左寄りにする。 すると左後側の反応から攻撃が来た。 今度は考えていなかったから避けるのは早かった。 しかし、それに合わせて右側二つが攻撃を放ってきて慌てて後退する。 最初に躱したように躱そうという判断だ。 これは上手く行かなかった。 速度があり過ぎて、上手く制動がかからなかったのだ。 それでもガクンと速度を落とすことに成功した“オニグモ”であるが、一発は正面に、 もう一発は・・・自分に命中した。 ―■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!― 金属をすり合わせたような絶叫を上げって、今までに無い痛みに打ち震える。 ―なんだこれは? なんなんだこれは!― 激しい怒りが彼を支配し、痛みに耐えながらも下手人に向かって突進する。 ダメージを喰らったせいで速力は落ちていたが、それでもすぐに行ける距離。 また左が攻撃してきたがこれは無視。密集させたレーザーで迎撃しておく。 ―殺!― 憤怒が彼の心を支配し、速度を上げるための燃料となり、再装填が間に合わない右側の大砲に向かっていく。 そして大きな反応を守るように攻撃してきた小さな反応諸共“オニグモ”は薙ぎ払う為に攻撃に入った。 以上です。 次回こそ最後にするぞ!!(不安
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3091.html
90 :影響を受ける人:2014/06/15(日) 21 55 13 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第十四話 ―天空を落とすモノⅡ― 準備を整え、狐狸部隊と北郷隊は次の出撃に備えた。 【アホウドリ】の襲撃は今の所定期的に襲ってきているが、次もそうだとはわからない。 しかしそんな不安をよそに、【アホウドリ】は予定通りにやってきた。 『【アホウドリ】視認しました!』 この報が入ると同時に全員が動き出す。 すぐさま立ち上がって格納庫に向かう。 ストライカーを目にした時には、整備員達がすぐに立ち上げられる準備をしている。 足を入れ、すぐに魔力を透して起動。 同時に自分の武装を受け取る。 穴吹智子を見ると、刀二本を背中に差し、何時もの機関銃を手に持って腰には弾薬。 銃には滑空砲を取り付けてあるので、手榴弾も持って行く。 副隊長の加東圭子は、新型の対戦車ライフルを担いでいた。 「・・・重くないの?」 「重いよ。でも火力はあるし射程もある。」 呆れつつも智子は他の大尉に声をかける。 四人から了解が取れ、「じゃあ、先に行くから」と加藤武子に断って出て行った。 それを見送りつつ振り返ると、最後になった早良ミチルが、装着した弾倉の具合を確かめている。 「大丈夫です。いけます。」 「よし・・・じゃぁ。狸釜隊、出撃するわ!」 すぐに指示を出し、格納庫から出ていく。 既に狐火隊は全員滑走にはいっていて、もう少しで飛び立っていきそうだ。 後続で北郷隊も出てくる。 「んしょ・・・」 最後尾の大久保小毬が、背負っている武器格納袋を何度も背負い直している。 気が付いて振り返りながら小声で、 「重そうっすね。」 「小毬さんは小さいから余計にそう見えますわね。」 「・・・もうすぐ離陸だ。・・・集中しろ。」 「「りょ、了解!」」 飯島凛と山田里子がボソボソと喋っていると、振り返らずに注意されてちょっと首を竦める。 二人が怒られているのは珍しい。 凛は元々真面目だし、里子はからかう事は多くても大事な場面ではしっかりしている。 「緊張してんのか?」 「しない方がおかしいと思うよ。」 あっけらかんと言う若本徹子だが、隣で並走する竹井醇子には彼女が緊張しているのがなんとなくわかっている。 この迎撃に失敗すれば、撤退作戦自体が危ぶまれるのだ。 小さな体に覆いかぶさる重責を思えば、仕方がない事だろう。 ちょっと不安げな隊員達を、チラリ見で確認した北郷章香は頼りになる先輩に声をかける。 「旗本さん。」 「・・・なんだ。・・・珍しい。」 「えっと、その・・・」 「・・・・・・不安か?」 「ええ、まあ・・・」 91 :影響を受ける人:2014/06/15(日) 21 55 44 いくら巷で〔軍神〕〔鬼神〕と呼ばれている彼女でさえも、今回の出撃は不安要素が多く、自信が持てないのだろう。 章香の不安をよそに旗本サエは、新人だった頃のように優しく頭を叩いてやった。 「・・・不安に思うなとは言わん。だがな、お前まで不安に思えば、部隊全員に自信は生まれんぞ? それにお前は強くなった。私が知っている。 育てた一人として自信を持って言える「北郷章香は強いのだ」と。」 「ありがとう、ございます・・・」 感情の、起伏の少ない言葉使いではあったが、彼女なりの思いを感じて気合を入れなおす。 既に狐火隊、狸釜隊は離陸している。 「よし! 北郷隊行くぞ!!」 「「「「「「了解!」」」」」」 戦闘脚を履いた戦乙女達が飛翔していく、それを整備員達が帽子やスパナを持ち、両腕を大きく振って見送った。 ――――― 坂本美緒はアドルフィーネ・ガランド大尉の右後方で飛行している。 実戦で鍛え上げられた魔眼の使用法など聞くために、前日から欧州義勇飛行隊駐屯地にきていた。 ストライカー持参で来ていたので特に問題は無い。 整備も出発前に済ませてあるから安心できる。 もっとも、美緒の魔眼制御は完璧に近く、何も言う事は無かった。 「・・・殆ど使いこなしているようだが?」 「そうなんですか?」 「ああ、他の誰かからアドバイスを?」 「いえ・・・この魔眼殺しのメガネを受け取ったときに、アドバイスが書かれた手紙も一緒にもらっていたので。」 「見せてもらえるか?」 と言って、大切に持っている手紙を見せてもらった。 そこに書かれているのは、本当に魔眼をよく知る人物でなければかかれない事ばかり。 逆に勉強になる事が書かれていたりする。 とりあえず、“視る”為に周りが疎かになる事と、どうしても行動が遅くなることを注意するくらいしかなかった。 義勇軍のウィッチ達は、少し幼い彼女を歓迎してからかったり、扶桑国のウィッチの情報を仕入れて30以上まで魔力を保有できることに驚いたりした。 そして襲撃の方が入ると、全員意識を切り替えて出撃していく。 基本的に同じ国同士で組むが、ハブられたウィッチは気の合う他国のウィッチと編隊を組む。 アドルフィーネもいつもは違う人物と組むか、司令として留守番だが今回は美緒をパートナーとしている。 順調に飛行し始めた時、第二報が入ってきて顔をしかめた。 『【アホウドリ】は二体一組。四か所を襲撃する模様!』 前回と同じ八体だが、今回二体が組んでいるという最悪なパターン。 前に撃墜出来たのは一体で飛行していたからだ。 弾幕不足を補うために、二体でやってきた。 美緒の体は自然と硬くなり、別々に飛行している仲間たちが心配になってきていた。 「不安か?」 「え・・・」 横にアドルフィーネが並んだ。 「体がこわばっているな。」 肩を掴んでもんでくるが、確かに自分でも硬くなっているのがわかる。 「そうですね・・・不安があります。」 見知った仲間ではなく、あまり知らない大人の女性と言う雰囲気を持つ彼女に、思い切って相談してみた。 戦死者を、遺体を直に見て迷いが生じたこと、いまだに自信が持てない事・・・ 92 :影響を受ける人:2014/06/15(日) 21 56 20 「そうか。」 大尉は銃器を肩に担ぎなおすと、腕を組む。 「それほど長く生きているわけではないが・・・ 迷いが生じるのは普通だ。私も軍に入ってしばらくは迷ったよ。 でも、空を飛ぶのは好きだった。 それに、自分には力がある。それを使って仲間を守り、自分を守る。 自信はそこから生まれたかな・・・ 最初は新人だから自信は小さかった。けれど、一つ一つの積み重ねが、今の自分を作ってくれた。 もちろん成功ばかりじゃない。失敗したことだってある。 それをフォローし、支えてくれたのは仲間だ。 仲間を信じ、自分を信じる。 それが出来ないと、何もかもうまくいかないよ。」 彼女の話は思いが込められていて、そして心に響く。 「まだ若いんだ。相談するのは悪い事じゃない。 君の隊長達も、仲間達もきっと心配しているぞ。」 「・・・はい!」 肩を力強く叩かれて痛いが、心が少しだけ前を向けた。 「さて、確認だ。」 「自分達の役目は・・・敵に弱点があるかどうか・・・それを調べる事です。」 「うむ。当初の予定では一体ずつ調べるはずだったが、現実は二体だ。 後詰だった我々も前に出ていかなければならない。 つまりだ・・・後の保険が無くなり、二体同時に撃破しなければならない。」 自然と唾を飲み込み、また緊張し巣になるが大きく息を吸って吐く。 よし、少しだけほぐれた。 アドルフィーネがアドバイスをして、すぐに実践できる柔軟性を持つ美緒に、今後の期待感を膨らませて少しだけ笑う。 一番後ろ飛行していたウィッチが何かに気が付いて振り返る。 「総隊長、上空を友軍機が!」 指をさす方を皆が見ると、全金属単羽の戦闘機群が進撃してきていた。 こちらが大きく手を振ると、先頭の隊長機らしい機体がバンクする。 そのまま彼女達を追い越して先に進む。 彼等は先陣を切れることを誇りに思う男達だ。 同時に大きな敵を彼女達に任せるしかない、不甲斐無さを知る者達でもある。 それでも同じ戦場を駆け巡る仲間に対し、欧州義勇航空兵団はあらん限り声援を送った。 聞こえてはいないだろうが、それでも気持ちは伝わったはず。 戦場はもうすぐだ。 以上となります。 本当は今回で戦闘に入りたかった・・・ でも次回にまわします。 【アホウドリ】戦が終われば、少しだけ平穏な日々を作りたいと思っています。 どんな話が良いかな? しかしまぁ・・・このペースで行くと、どのくらいで終わるんだろうか? だいたい5・6ページ間隔で書いているけども・・・
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3105.html
559 :影響を受ける人:2014/09/14(日) 21 56 57 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第二十七話 ―戦乙女の休日― ―欧州義勇飛行隊:宿舎― 欧州義勇飛行隊は、扶桑国の救援要請等を聞いて各国から集められた飛行隊だ。 その為個性豊かで・・・豊かすぎて最初は衝突が絶えなかった。 国民性や食事の問題もあり、なかなかまとまる事が無かった だが、ひとたび戦場に出れば一騎当千の活躍をし、報道で知った扶桑国民は沸いた。 根性の報道カメラマンが写真をとれば、飛ぶようにそのブロマイドも売れに売れたものである。 そして今では国と言う垣根を超えて、お互いに馴染んできたように思える。 もっとも・・・それを纏める羽目になったアドルフィーネ・ガランド大佐は、常に胃薬が必要になってしまっていたが。 今日もデスクワークで武器調達などの書類を行っている。 最初は各国のウィッチが持ち込んだ武器を使用していたのだが、規格が違っていてまともに整備できない状況に陥ってしまった. 今では扶桑の武器か、大量輸入を開始したリベリオンの武器を使用している。 「これで、よしっ・・・と。」 最後の書類を片付けて一息つくと、コーヒーカップが机に置かれた。 「お、すまないな。エリス。」 「お互いさまよ。」 欧州義勇飛行隊総隊長の前で苦笑するのは、リベリオン義勇飛行隊総隊長:エリス・グリンフィールドだ。 彼女は政治的理由と、軍事的理由で派遣されてきている。 もう上がりを迎えてもおかしくない二人なので、いろんな意味でとても仲がいい。 視線を移せば、【ペーター・シュトラッサー】艦長も応接用の椅子に座って飲んでいる。 「うむ・・・うまいな。」 「エリスのコーヒーは旨い。なんで私だとこの味が出せないのか・・・」 「入れ方に秘密があるのよ♪」 初めて彼女の入れたコーヒー飲んだ艦長は唸っている。 率直な感想にいれた本人もご満悦だ。 ガランドはデスクから立ち上がり、艦長の前に座る。エリスは艦長の横だ。 席に座ると、さっさと彼女が来た用件を口に出す。 「さてと・・・交流会だが、エリスは出るのか?」 「それなんだけど。私よりも上手い子がいるから、その子を出そうかと思っているわ。」 妥当な判断だ。 エリスはそれなりの経験の持ち主だが、どちらかと言うと事務屋だ。 扶桑国との調整役として、総隊長に選ばれた。 「団体戦に出場させる相手は決めたわ。のこりはスピード競技と個人技ね。」 「ふむ・・・」 唸る大佐をみて艦長が手を上げた。 「ガランド大佐、やはり空母乗り組み側から出しますかな?」 「そうしたいのはやまやまなんだが・・・」 実際の所、空母に乗り込んでいるカールスラント・ウィッチの練度は非常に高いと思っている。 空母に発艦・着艦できる腕前と、戦闘に出ていないで訓練を続けられている実績がある。 しかし、同時に経験が足りないともいえる。 前線で身に着けた経験を持つリベリオンと、扶桑相手にどこまでやれるかわからない。 560 :影響を受ける人:2014/09/14(日) 21 57 30 「彼女達もくすぶっています。団体戦の曲芸飛行だけでも出してやりたいのですが?」 「そんなにか?」 「・・・彼女等も本当は戦いたいのです。 目の前で同胞が戦っているのに、自分達は戦場に立っていませんから・・・」 「ふむ・・・」 そう言う事ならば出した方がいいと思う。 曲芸飛行なら問題ないだろうし、不満も多少は和らぐはず。 そう考えていると、エリスがズズッと顔を出してきた。 「少し相談があるんだけど・・・」 「なんだ?」 「空母に、うちの子等を数人派遣してもいい?」 「むっ・・・」 エリスのお願いではあったが、これは自分の判断ではどうする事もできない。 自分はあくまでも欧州義勇飛行隊の総隊長でしかないのだ。 だから視線で艦長の方を見ると、心得たのか軽く頷く。 「それは無理ですぞ。軍機密もありますし。」 「それそうよね・・・」 断られることは先刻承知だったのだろう、あっさり引き下がった。 こんなこと言いだしたのは恐らく軍の圧力だろう。 ウィッチの航空戦力が見直され、それに目を付けた一部の将校が要請したというのは予想がしやすい。 迅速に展開できる戦力として、空母は魅力的だ。 そんな中でウィッチをも艦載する空母は、興味本意が主だった理由だろう。 他にも理由はあるだろうが・・・ 彼女の態度からして、乗せて貰えれば儲けもの程度だろう。 「まあ、いいわ。ある程度も知れたしね。」 「編成は言えんぞ?」 「わかっているわよ。そうじゃないと面白くないし。」 笑いながら言うエリスに、ガランドと艦長は苦笑するだけ。 その後、エリスは少しだけ世間話をして帰っていった。 艦長も団体戦の話を話し合い、誰を出すか決めてから艦に戻っていった。 静かになった司令室で、椅子に座りながら外を見る 「自分も出てみるかな?」 何気ない呟きは静かに響いて消えたが、口は楽しそうに笑っていた。 ――――― 北郷隊が休暇で出て行ったその日の午後。 黒江綾香は釣りをしていた。 無論、基地からそう遠くない、自転車でこれる場所だ。 隣には同じように釣りを楽しむ整備員がいて、視界にはいないが写真撮影をしているであろう加東圭子もいる。 「しっかし・・・穴吹隊長も無茶しますね~」 「ん~?」 ボ~ッとしながら釣り糸を垂らしていると、急に整備員から話しかけられた。 最初はわからなかったが、すぐに思い出す。 「ミチルの事だよね?」 「ええ、まぁ・・・」 北郷隊が去った後、穴吹智子は早良ミチルに突っ掛っていた。 その内容は容易に知れる。 いくら言ってもこればかりはどうしようもない。 本人が如何こうしないといけない事は、綾香にはわかっている。 当事者ではない自分達が関われることではないのだ。 「時間で解決するしかないよ。」 「ですがね。班長はかなり気にしているみたいなんですよ。」 「そうなの?」 「そりゃそうですよ。自分達の整備に自信と責任感はあります。 ですけどねぇ・・・ちょっとしつこ過ぎる位に見てまわるんで、イライラしているんですよ。」 「う、うーん・・・」 561 :影響を受ける人:2014/09/14(日) 21 58 08 正直言えば自分はあまりミチルとは話していないし、それは隊長の加藤武子もそうだろう。 となると必然的に狐火隊の二人になる。 「悪いとは思っているんだけどね。」 「「おうわぁ!!」」 離していた二人の間に、急に圭子が現れてビビってしまう。 危うく倒れそうになった二人だが、すぐに体勢を立て直して圭子を睨む。 「ごめん、ごめん。」 「もう・・・魚が逃げちゃうじゃない。」 「まだ連れていないですけどね。」 肘鉄を喰らわせて黙らせる。 それを冷や汗を流しながらスルーして、綾香の隣に座った。 「私も話しかけているんだけど、芳しくないのよ。」 「やっぱり・・・」 「良くは無いとはおもんだけどね・・・」 二人生き残り、一人だけ前線に残ったミチル。 その心境はある程度想像はできる。しかし想像できるだけであり、本当の事はわからない。 「智子が積極的に話しかけているけど。」 「ミチルは真面目で頑固だから、変えてくれないと・・・」 「うん・・・」 元気印の狐火隊隊長ですら苦戦している。 本当ならば後方に下げて、治療にあたらせたいと思う。 最近出てきたカウンセラーと言うモノに、相談できればいいのだが・・・ 「それはそうと・・・いいの撮れた?」 「全然。」 暗い話を何時までもしたくないので、そうそうに切り替える。 「さっき野鳥を撮ろうとしたんだけど、逃げられちゃった。」 「飛び立つところもシャッターチャンスよ。もっと精進しないとだめね。」 「そうだね・・・って、浮きが動いているけど?」 「なぬ!?」 言われて目を凝らしてみれば、確かに浮きが勢いよく引かれていた。 「おおお!!」 「うわっ! 竿が凄いしなってる!!」 「これデカいですよぉぉ!!」 「持ってかれるぅぅ!!」 「綾香、はなしちゃだめよ!」 「フンヌゥゥゥゥ!!」 「三人で引っ張りましょう!」 「よしきた!」 「「「一斉の・・・せいやぁぁぁぁぁ!!」」」 三人で釣り上げた魚は大きく、その日の夕飯になった。 以上です。 思った以上にガランドさんの話が長くなった。 そして思った以上に綾香&圭子の話が短かった。 感想・批判・不評待っています。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5231.html
175: 俄か煎餅 :2018/04/01(日) 04 24 09 『英日同盟よ永遠なれ』 第二話 パリ講和会議が開かれ、ヴェルサイユ条約が結ばれる。これを以て、戦争を終わらせる戦争、世界最終戦争などと、御大層な渾名の付いた第一次世界大戦は幕を下ろした。 だがエドワードは、勿論これを冷ややかな目で見つめていた。 人の歴史が終わらぬ以上、戦争がこれで最後になるなど有り得ない話だ。すぐにもう二十年も経てば、次なる世界大戦が幕を開ける。そして、その火種は既にこの時点で燻り始めているのだ。 ドイツとイタリアでは、それぞれヒトラーとムッソリーニが政党を立ち上げ、未来のファシスト政権を担う勢力を築き始めている。そして極東では、緩やかに日米の対立の構図が既に垣間見え始めている。第二次世界大戦。その足音は、今の時点ですら聞こえ始めていた。 1920年、国際連盟が誕生した。だが、言いだしっぺのアメリカは不参加で、後に強大になって逆襲して来るドイツ、そして圧倒的数の暴力を誇るソ連もまた、設立当初の連盟の中には居なかった。居なければならない面子の居ない国際機関など、大して役に立たない。事実、この国際連盟は、暴走を始めるイタリアを、そしてドイツを、止められなかったのだから。 今はこの事に気を割くよりも、自分の力を蓄えるべきだろう。まずは、チャーチルとの繋がりを持っておくべきか。彼は海軍に詳しい。島国であるイギリスにとって、海軍は陸空より優位と言える位置付けにある。口を挟む事はかなわずとも、有力な情報源にはなるだろう。今の内に親しくなっておいて損は無い。 特に将来、イギリスは航空母艦による大規模機動部隊の運用において、日米に大きく差を開けられる。このイギリスが海洋の覇者として君臨し続けるには、この差を何とかせねばならない。後々海軍に助言出来る立ち位置に収まるのは必須であった。 また本音を言えば、来年行う筈の海軍軍縮条約にも一枚噛みたい。後々の日本の力を抑えるには、戦艦ではなく、今はまだ大して注目されていない空母の割合を下げねばならない。また、イギリスの新造戦艦を、あの特徴的に過ぎるネルソン級を、確実で堅実な設計に改めさせる事もやりたかった。 日本の戦艦は、前部主砲が二基、後部主砲が一基あるいは二基の計三基または四基である事が多い。例外は、後部主砲を全廃して前部主砲二基のみに抑え、その代わりに対空兵装を満載して恐ろしい防空ハリネズミと化した伊吹クラスの戦艦だけだ。それ以外は、金剛クラスから戦後の大和クラスまで、全てそれで統一されている。 そして、戦艦の設計は結局はこれが一番無難で使い易い事を、エドワードは既に知っている。条約による強烈な制約があるのは分かっているが、下手に冒険して使い辛い船にする必要は無いのだ。予算や主砲の関係で、三連装砲を使わざるを得ない事は分かっている。ならばせめて、前部二基後部一基の基本的な配置に――長門クラスと似たような配置に改めさせたかった。 問題は、やはりこの時のエドワードには、戦艦の設計を引っ繰り返すほどの、そして、国家間の重大な軍縮条約に口を出せる程の権力が無かった事、なのだが。 176: 俄か煎餅 :2018/04/01(日) 04 26 00 とはいえ、戦艦に関してはまだ妥協出来た。いや、諦めた。後のアメリカアジア艦隊の壊滅の仕方を見るに、空を制圧されれば戦艦が幾ら群れようとも一方的に屠られる。航空優勢を確保出来るなら、多少戦艦に難ありでも任務は達成出来る。 エドワードが重要視したのは、後に肝心要の航空戦力の中枢にして海軍の主力となる空母だった。特に、後に建造され、イギリス海軍の中枢を担うイラストリアス級航空母艦。その建造に口を出せるようになる事。それが、今から目指さねばならない、エドワードの譲れない最低ラインの目標だった。 実に歯がゆい事だが、ワシントン海軍軍縮条約は記憶の通りに結ばれた。 戦艦の割合は、英米日で十対十対六、空母の割合は十対十対八。昔のエドワードなら、戦艦を妥協し空母を増やした日本の動向の意味は理解出来なかっただろう。 だが、今なら分かる。彼らは、今この時点で既に空母の有用性を把握し、その牙を磨き続けている。何処までも圧倒的な連中の先読みの力をまたしても見せ付けられ、エドワードは深々と溜め息を吐いた。 イギリスは、今この時点ですら日本に対して出遅れている。今ですらだ。彼等を後塵に塗れながらでも追いかけるなら、今この時からでも空母の研究を始めなければ不味い。そうでなければ、後ろ姿どころか後塵すら拝めなくなるだろう。あのインド洋演習のように。 「お早う御座います、ジェリコー提督」 エドワードは次に、ジュットランド沖海戦での活躍により、歴代のイギリス海軍の英雄達に名を連ねていたジョン・ジェリコー海軍元帥への接触を試みた。 あの海戦での武勲により、彼の海軍内での影響力は、他の追従を許さないと言われるまでに高められていた。もし彼を動かす事が出来れば、間違いなく海軍全体にその影響は波及する。そう思っての接触だった。 とはいえ、片や、副秘書官だの植民地省の事務次官しか努めていない木っ端役人、片や、海軍の制服組の頂点にして海軍の英雄。接触するのは簡単ではなかった。 だが、短い手紙をやりとりする事幾度か。休日に彼の家に招かれるという最大のチャンスを掴めたのは、僥倖であったと言える。 「おお、君か。手紙をくれたウッド君というのは」 「はい。初めまして。御逢い出来て光栄です、提督」 「こちらこそ。宜しく、ウッド君。立ち話もなんだ。応接室まで案内しよう」 「有難う御座います」 応接室で、互いに紅茶のカップを前に向き合う。 「君の噂は聞いているよ、ウッド君。若手の中でも新進気鋭である、とね」 「新進気鋭などと――私は議員バッジに恥じぬ仕事をしているまでです」 「ふ、謙虚なのだな」 「有難う御座います」 リップサービスだろう。ジェリコーから世辞を言われる。 だがエドワードは、それに礼を言いこそすれ、それで自惚れるつもりは毛頭無かった。 今から、史上稀にみる動乱の時代が始まる。その動乱を上手く乗り切った者こそが、次の百年の覇者になれる。その時のための準備は、いくらしてもし過ぎるという事は無い。確かに記憶の中の自分よりもほぼ休日返上な分動き回ってはいるが、それはそうでもしなければイギリスを護れないだろうと思うが故だった。 加えて、エドワードは記憶の中の自分に付けられた二つ名を肝に銘じている。大英帝国史上最低の宰相などと呼ばれる様な自分に、自惚れる資格は無い。そして、そんな能力も無い。油断も隙も無く行動しなければ、またしても日本に、ドイツにいいようにやられる。二の舞は断じて御免だと思っているだけだった。 177: 俄か煎餅 :2018/04/01(日) 04 28 32 「それで、私に話とは――何かな?」 「実は提督に、研究を促進して頂きたいものが御座いまして」 「ふむ。手紙にあった航空母艦の事か?」 「はい」 やりとりした手紙の中で、航空母艦の事は既に話題に出していた。この艦種について相談がしたいと。 ジェリコー提督も、エドワードがそう書いた事で空母の事について既に多少情報は集めているだろう。全くの無の状態から話をするより、こちらの話に理解を示してくれる事を期待したかった。 「フューリアスやアーガスがそれだったな」 「そうです」 「今、イーグルやハーミーズも建造中で、我が軍内部で研究は進められているはずだが、それでは何か問題があるのか?」 「はい。このままでは航空母艦について、日米に出遅れる可能性が濃厚であると判断しました」 エドワードがそう断言すると、ジェリコーは紅茶に口を付けながら、目を閉じて少し思案に入った。 「航空母艦が、将来的に重要な艦種になる、と?」 「はい。その可能性が高いと私は見ています」 「その根拠を聞いても?」 「飛行機です、提督」 「飛行機?」 半信半疑だろうと構わない。少なくとも、ジェリコー提督は話だけでも聞いてくれる気になってくれたらしい。エドワードは、まず鼻で笑い飛ばされなかったというただそれだけでも、一先ず安堵した。 エドワードの記憶の中のイギリスは、エドワード自身の致命的なミスの他にも、幾つもの大きなミスを積み重ねていた。海軍では、日本海軍が実戦で示した圧倒的な破壊力を目の当たりにするまで、航空母艦が海軍の主力の座を奪い取った事を認識出来なかった。陸軍では、機甲師団による電撃戦をろくに研究すらせず、ドイツ陸軍に完膚なきまでに叩きのめされてようやく目が覚めた。空軍では、噴進式発動機――ジェットエンジンの存在を知っていながら研究を怠った結果、インド洋の演習で疾風への対抗手段が皆無という状態に陥った。他にも、空母の画期的な発着艦機構であるアングルドデッキを、日本の大型空母大鳳クラスをその目で見るまで馬鹿にし続けていた。 この体たらくでは、我がイギリスと日本の差は埋まるどころか広がる一方だ。イギリスを世界に名立たる大国として残すには、世界の技術の先頭を独走する日本との差を可能な限り埋めねばならない。これまでの常識というものが何の役にも立たず、むしろ技術発展の邪魔にしかならぬ事を知るエドワードは、即刻話を切り捨てられなかっただけでもジェリコー提督を評価していた。 「はい。飛行機というものが登場して、約二十年。ライトフライヤー号から始まり、今や国境を越えて爆撃が出来るまでに、飛行機は進化を繰り返して来ました。そして恐らくは、これからも。 馬車にも劣る性能だった自動車が、今や戦況を左右する戦車にまで発展したように、飛行機もまた、この流れに続くでしょう。 そして、その飛行機を乗せて海を渡る、洋上移動航空基地とも言える航空母艦は、今後飛行機の発展と共に重要性を増していくでしょう。 特に、陸上基地からの支援の望めない、海洋の只中においては、航空母艦の有無、艦載機を含む優劣は、今後の海戦でより重要な要素となって行く可能性が高いのです。 世界に植民地の散らばる我らが連合王国は、この本国から遠く離れた海で戦わねばならない機会も多い。その時、空からの索敵の目を、そして、海洋の只中で航空火力支援を提供出来る事は、ロイヤルネイビーの仕事の助けとなるはずなのです」 エドワードの話に思うところがあったのだろう。あるいは、既に同意してくれたのか。ジェリコー提督は、真剣に話を聞いてくれていた。 178: 俄か煎餅 :2018/04/01(日) 04 30 22 「他国、特に、日本は、恐らくこの事に既に気が付いてます。ワシントン海軍軍縮条約で、彼等が航空母艦の割合をイギリスの八割要求したのは、今から空母の運用を研究するためではないか。私はそう睨んでいるのです」 記憶の中の未来において、将来的に空母と艦載機のペアは戦艦を仕留める。とはいえ、今の飛行機にはまだそれは難しい。よって、戦艦が将来的に主力艦の座から転げ落ち、空母に取って代わられるとまでは言う必要はない。 だがそれを言わずとも、将来的に魅力的に進化する艦種である事は言える。これで何とか説得を試み、そして空母の研究で日本から置いてけぼりになる事を避けられれば。 「ふむ、確かに空から索敵出来る事は魅力的だ。船の見張り台より余程広範囲を見渡せるだろう。航空火力支援も解る。海戦の前に、少しでも敵を削れる事は大きい。 しかしだ、ウッド君。何を研究するというのだ? 偵察艦隊の役割を代われる事は理解したが」 「防御、そして航空隊の運用法です、提督。航空母艦は、飛行機によってこれまでより遥か彼方の敵を見付け、しかも航空機で、決戦の前に事前に攻撃する事が出来ます。 仮に、敵が同じ事をして来て、そしてその事前の攻撃でこちらの航空母艦を潰された場合、我が方は敵を見付ける手段を失います。 すると、敵の航空母艦の飛行機に一方的に遠距離から叩かれた挙句、その飛行機の誘導に従い、敵の艦隊はより有利な陣形を組み、より有利な方角から、より有利な時を狙ってこちらに襲い掛かって来るでしょう。 一方こちらは、飛行機による索敵の目を潰され、敵の居場所も、陣形も、数も判らぬ盲目状態のまま、対処せねばなりません。まず奇襲を受けるでしょう。 ですので恐らく、航空母艦は戦艦に次ぐ防御対象であると言えます。ですが、戦艦とはこなす役割が違う。ですので、戦場の何処に置き、どう守るか。その方法を確立する必要が御座います」 「確かに。索敵担当が倒されるのは不味い。偵察艦隊が全滅したようなものか。だが、航空母艦というのは飛行機にそう簡単に仕留められるものなのか?」 「残念ながら、航空母艦は戦艦や巡洋艦と違い、非常に脆弱なのです。飛行機が空を飛ぶには、十分な長さの滑走路が必要です。その滑走路に穴を開けられると、脚を取られ、飛び立つ事すら出来ません。 陸上であれば、スコップでその穴を埋め戻せばまた飛び立てますが、船が爆弾で損傷した場合、修理には非常に時間が掛かります。沈まずとも、甲板に直撃した爆弾たった一発で戦闘不能になるでしょう。海戦の最中にそれは致命的なのです」 179: 俄か煎餅 :2018/04/01(日) 04 31 06 「成る程。防御の重要性は理解した。では、航空隊の運用の研究とはどういう事なのだ? 飛行機は、陸でも使っている。それを使い回すのでは駄目なのか」 「陸上でのシステムを使い回すのでは、恐らく足りないと思われます。航空母艦の最大の利点は、航空基地を好きな時に海の何処にでも持っていける能力です。そしてそれは、敵の航空母艦も同じ。我軍と敵軍の双方が常に動きまわっています。 陸で例えるならば、ふと目を離した隙に、いつの間にかすぐ目の前に敵が滑走路を造り、突然飛行機を飛ばして来るのです。後ろに回り込んで来る事もするでしょう。 敵が何処に居るのかわからない。もしかしたら、逃げたのかも知れないし、奇襲を狙って突然突撃を仕掛けて来るかも知れません。 そんな戦場の霧の中を、手探りでこれまでより更に広大な範囲を探さねばなりません。そして見付け損ねれば、敵から先制攻撃を受けます。 いかに敵を探し、いかに自分が見付からないか。陸上の動かない航空基地同士の戦いに、戦艦達の戦いのように艦隊戦の概念が新たに加わるのです。こちらも研究が必要でしょう」 「ふむ、確かにそうだな」 エドワードの話を遮る事も無く、ジェリコー提督は真摯に最後まで聞いてくれた。 提督は、そもそも索敵や敵艦隊の情報の入手を重要視する傾向がある。だからこそ、あのジュットランド沖海戦でも、ドイツ海軍の動きをほぼ正確に掴み、包囲し袋叩きにする事が出来た。 その索敵と情報収集を担える艦に関する事と知れば、彼は自然と動き出してくれるだろう。かなりの好感触だった。 「重要性は理解したよ。次の会議で提案しよう。参考になったよ」 「有難う御座います」 「いや、礼を言うのはこちらだよ、ウッド君。君に言われなければ、私は航空母艦に関する研究の想像以上の重要性に気付かなかっただろう。また何かあったら連絡してくれ」 「はい、その時には、また」 こうして、エドワードのジェリコー提督との接触はおおむね満足できる結果に終わった。 後日、ジェリコー提督は今日の言葉通り、海軍内での航空母艦に関する研究を促進する事を提案し、そして実際に促進された。 少なくとも、これで日本の活躍を見てから大慌てで空母の有用性に気付き研究を始めるという事態は避けられただろう。日本を十分に追い縋れる間に動けた事を、エドワードとしては信じたかった。 180: 俄か煎餅 :2018/04/01(日) 04 32 10 二話目。ようやっと憂鬱本編からの乖離が動き出しました。 史実と違いジュットランドで大勝しているため、その総司令官ジェリコーの名声は史実とは比較になりません。敵主力を囲い込み、包囲殲滅の陣形に持ち込んだその手腕も評価されています。 よって、史実と違い日本で言う軍令部総長にあたる第一海軍郷の座に座り続けさせています。ということで、この時代で恐らく最も影響力のある彼に動いて貰いました。 これで、空母を軽視し後に大慌てという憂鬱本編のイギリスのザマは少しは回避されたでしょう。 ついでに言えば、来年に標的艦の土佐が航空攻撃で沈むので、その情報も彼にリークするつもりです。本編で日本以外誰も注目しなかったけど、戦艦を仕留める可能性をチラつかせれば少しは反応を示すでしょう。 流石に戦艦に口出すのは色々五月蠅そうなので諦めましたが。 それと、ジェリコーがやたら物分かりがいいのは、イギリスの英雄だからというご都合主義も含まれています。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3161.html
115 :影響を受ける人:2015/05/17(日) 22 50 16 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第六十一話 ―黒雲来たりてⅥ― 戦闘を開始した江藤敏子等はやり辛いと感じていた。 相手の先制射撃は想定していたが、自分等を無視して弾薬係を狙いに行くとは思っていなかった。 だから“アホウドリ”が全力で弾薬係を狙いに行くと慌ててしまったのだ。 「くそぉ!」 機関銃で狙い撃つが、相手は右に左に蛇行して避け続ける。 “スズメバチ”の動きも想定外だ。 完全に自分達の動きを拘束されている。 元々“スズメバチ”や“アホウドリ”を引き剥がすのが目的なので、それは達成できていると言えた。 しかし、この状況は・・・まずい。 「ッゥ!」 後方から放たれたレーザーを宙返りで避け、攻撃の主に向かってめくら撃ちをする。 当る事は期待していない。レーザー掃射自体が短かく、すぐに旋回しているだろうと予想できるからだ。 視界の端でインメルマンターンを決めて離脱する“スズメバチ”がいた。 他にも二体連携で相互援護したりもする。 「こいつ等、手練れだとでもいうの!?」 まるで、通常戦闘機との模擬戦をしているようだと感じてしまう。 空戦ウィッチは、確かに通常戦闘機ではできない軌道をする事が出来る。 ホバリング、急旋回、シールドという防御手段等々。 しかし通常戦闘機でも、ウィッチを撃ち落とすことは出来る。 まず、傾向火力が比べ物にならない。 次にダイブの加速力、上昇能力。 身体的な負担・・・様々な分野で勝る部分がある。 “スズメバチ”は人が乗っていない分、無茶な旋回半径で避け、急角度でダイブできた。 熟練の戦闘機乗りと模擬戦をしたことがある敏子は、その厄介さを身にしてわかっている。 戦争が始まってこの方、こんな戦闘を仕掛けてくるネウロイはほとんどいなかった。 ほぼ単調だった戦いに、いきなり熟練が放り込まれて混乱している。 それでも対応できているのは江藤敏子以下隊長副隊長陣、ベテランウィッチ数名のみだ。 後は混乱して無駄に回避して、攻撃して、防御している。 「皆落ち着いて! こっちも二機連携で対処すればいい! 目的の引き剥がしは済んでいる。 倒さなくてもいい。とにかく奴らを“オニグモ”の援護に行かせるな!」 『『『『了解!』』』 返された返答は少ない。 内心で舌打ちし、目の前に出てきた敵を撃つが、木の葉落としで避けられた。 追撃しようとしても、どこからともなく射撃が飛んできて離脱の援護をする。 それをかわし、敵の思惑に一応乗る事にした。 気になるのは・・・特務隊の方に向かった四体だ。 ――――― 四体の“スズメバチ”は、一気に上昇して特務隊に襲い掛かった。 “アホウドリ”の一方的な情報だったので半信半疑だ。 しかし攻撃してすれ違うと真実味を帯びてきた。 二体は反撃してきたが、最後の一体が攻撃しないで“オニグモ” に向かったのを感知する。 ―コイツがそうなのか?― ―わからん。とりあえず追い回しておけばいいだろう。― ―排除できるようなら排除で。― 116 :影響を受ける人:2015/05/17(日) 22 50 52 反撃してきた二体を仲間に任せ、二体の“スズメバチ”が小さな反応を追いかけはじめる。 小さな標的は攻撃もせずに“オニグモ”に向けて向かっていくのを止めない。 真後ろから攻撃して回避させる。 やや右上に攻撃したので、相手は左下に回避した。 相方が更に打ち込んで回避を強要させていく。 ―よし。離れたな。― 少しだけ安心しつつ射撃を叩き込む。 必死で回避する標的はやはり反撃してこない。 何故反撃しないのかわからない。それでも愚直に仕事をこなすのが一番だ 後ろでは壮絶なドッグファイトが展開されている。 一撃離脱をメインとしている自分達だが、旋回機動戦も出来ないわけではない。 しかし相手もそれが得意だから付き合う必要性はあまりない。 兎に角引き離してくれればいい。 ――――― “オニグモ” に向かっていた北郷章香と下田A・B隊は、思わぬ反撃を受けている味方を見て動揺していた。 特に弾薬係を追い回し始めた“アホウドリ”に対して脅威を感じる。 援護に行きたいが、距離があるためそれも出来ない。 更に最悪な事に特務隊が襲撃されているのを知り、学兵達に動揺が広がっている。 「総隊長、これはまずいです。」 「うむ・・・」 下田隊長が声をかけるも決断が下せない。 敵は明らかに目的をもって攻撃に出ていた。 ただ敵を殲滅するのではない、時間を稼ぐために行動をしている。 こちらも手勢を分派すれば、すぐにでも対処は出来る。 しかしそれでは“オニグモ”に対する攻撃と、誘導が出来なくなる可能性が高い。 敵を 罠 に嵌めるには、この戦力がどうしても必要だ。 その時、章香の葛藤を知っているかのように敏子から通信が入ってきた。 『章香、聞こえる?』 「ああ、聞こえているよ。」 『ならいいわ。このまま貴方達は作戦続行してちょうだい。』 「なに? しかし・・・」 『予定とは違うけど、敵戦力の引き剥がしには成功している。 これを逃がすわけにはいかないのよ。』 強い口調で言われ、きょっと唇をかみしめる。 通信機から小さく息を吐くのが聞こえると、今度は優しい口調なっていた。 『それと安心してちょうだい。 敵戦力はそれほど多くは無いから、援護に一人、二人は送り込める。』 「ほんとうだな?」 『ええ、本当よ。それに、ね・・・ 貴方が悩むなんてらしくないんだから、さっさと目的を果たしてちょうだい。』 通信は切れた。 確かにうじうじと悩んでいるのは自分らしくない。 気合を入れなおすために顔を軽く叩く。 「よし! 作戦はこのまま続行する!!」 章香がそう言うと学兵達から非難の視線が浴びせられるが、次の一言で喜色に変わった。 「ただし、特務隊が苦戦しているので援護に向かう。」 「誰を向かわせるのですか?」 「そうだな・・・」 そう言って章香は後ろを少し見る。 本当なら親友である二人を向かわせたいが、相手の動きからいつもとは違うネウロイだとわかっているので正規兵の方から選ぶ。 下田A隊から選ばれた二人は頷き、追い回されている美緒の援護に向かった。 それを見送る竹井醇子と若本徹子。 「・・・くそ。」 117 :影響を受ける人:2015/05/17(日) 22 51 25 徹子の悪態は小さかったが、醇子等には聞こえていた。 親友のピンチに駆けつけられない事がどうしても許せないのだろう。 徹子自身でも理解はしている。納得が出来ないだけで。 「徹子ちゃん。」 「ん・・・? ・・・わかっているよ。美緒を助けたいからって、自分勝手には行動しない。」 「そうでなくては困りますわ。 今回、ワタクシは小毬さんの援護にってする予定ですから、御二人に頑張っていたかないといけませんわ。」 「わかっているよ、委員長。」 駄目押しに注意されて憮然とする。 それを見て学兵はみんな、少しだけ笑った。 「漫才は終わりか? ならばこれより攻撃を掛ける。 相手は今ままでにない大物だ。火力も相当なモノ、油断はするな! 第一目標は敵の攻撃手段を徹底的に排除する。 第二目標は誘導。敵が高火力兵器を嫌がる習性を利用して追い込む。 第三目標は緊急回避の誘発だ。一度急加速で前進すれば再加速は出来ない。 第三目標は敵を罠に追い込んでからだ。 いいな? いくぞ!」 ――――― 執拗な攻撃を避け続ける美緒は、急旋回や急停止などを駆使して何とかしのいでいた。 しかし二体の“スズメバチ”はなかなか諦めてはくれない。 それどころか追い込まれているように感じられて焦燥感により喉がかわいていて痛い。 反撃しようにも機関銃にはペイント弾が装填されていて、ダメージにはならない。 ペイント弾はこの弾倉のみだから、交換すれば反撃できる・・・が、それが難しい。 「はぁ・・・ はぁ・・・」 呼吸が荒くなり、疲れが体を蝕んでいく。 もうそんなに回避できない。 敵の攻撃を右に避け、次に左旋回には行った時・・・ 「あ・・・」 目の前にネウロイがいた。 既に翼が発光していて攻撃準備が整っているのがわかる。 撃たれる もう何もできずに人生が終わってしまう。そう感じた瞬間。 敵の翼がはじけ飛び、そのまま脇を通過していった。 『騎兵隊の登場よ!』 『早く行って!』 「あ、有難うございます。」 間一髪で助かった美緒は短く礼を言うと、すぐに目標に向かう。 黒い怪物を目指して。 以上です。 戦闘シーンは難しいズラ・・・
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/7709.html
748: 194 :2022/03/09(水) 23 00 29 HOST ai126151065251.55.access-internet.ne.jp 現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?番外編その5 「しょうかく」級三胴型三段式航空母艦 「しょうかく」級三胴型三段式航空母艦 全長 1200m 全幅 360m 最大幅 400m 基準排水量 1226000t 満載排水量 1557600t 兵装 33式四連装レーザーCIWS 十基 Mk 41VLS 256セル(各種対空・対艦・対潜・巡航ミサイル等を搭載可能) SeaRAM(RIM-116C) 十基 ゼル兵装スペース×8(左右船体側面・4基ずつ) ティ連製各種電子兵装完備・BMD対応 電磁式カタパルト 14基(最上甲板・航空機用7基&人型戦車用2基・中段格納庫前面・航空機用×2基・下段格納庫前面・航空機用×2基&人型戦車用1基) 搭載機 搭載機 F-5「陣風」・ヴァズラー・旭龍・グリーンオーガ・蒼星量産型・対潜ヘリ各種併せて数百~最大一千機を搭載・運用可能 機関 空間振動波機関・斥力波動重力制御機関+ハイクァーンプラズマロケットスラスター ※出力等不明・機密による 乗員数 常用800名・戦時960名・航空・航宙要員800名 速力 公称30ノット(水上) 同型艦 「しょうかく」「ずいかく」「しんかく」「そうかく」「てんかく」「はくかく」「たいかく」「ゆうかく」 749: 194 :2022/03/09(水) 23 00 59 HOST ai126151065251.55.access-internet.ne.jp 【解説】―――ふじ級同様就役から年月が経ち、流石に老朽化の跡が見え始めて来たしょうかく級を更新すべく、しょうかく級(二代目)の建造プロジェクトが発足する事になったのだが、 この話を聞きつけた馬k・・・ゲフンゲフン、最先端の未来に生きる連中(つまりはいつもの人達)がこのプロジェクトに乗り込んできたのだ。 嫌な予感がした神崎提督は、このアh・・・ゴホンゴホンあくなき挑戦を続ける連中に 「ふじ級にしろしょうかく級にしろ、きちんと自重して常識的な艦を建造する様に!!ふりじゃないからな!!」 と言い渡される事に。 とはいえ、そんな言葉程度で止める事が出来るような連中ではない。特に悪乗りしている某スケベスカートな工作艦とメロンじゃないけどメロンな名前の軽巡洋艦を中心として、設計が進められる事となった。 航空機の運用だけなら、現状のしょうかく級でも問題無いが・・・現状の大きさ・形状では、人型戦車や旭龍といった人型兵器の運用が出来ないという欠点があった。 求めている性能が間違っていると言われればそれまでだが、宇宙でも運用する事を考えると、やはり搭載運用能力の更なる強化が必要となる。 しかしながら、どんな形状にするかという時点で色々と意見が割れ、設計が煮詰まる事に。そしてこうなると、出口はなかなか見つからなくなる物である。しかし・・・突破口は意外な所で見つかった。 その日も明石は、あーでもないこーでもないと設計図を前にして頭を悩ませていたが、未だ白紙に近い状態だった。時間はあっという間に過ぎ去り、予定されていた赤城の整備の時間がやって来た。 赤城が工廠にやって来てから、初めてそんな時間になっていた事に気付いた明石だったが・・・赤城の姿を見て、天啓が走った。これだ!!と。 赤城の整備を手早く終わらせるや否や、鬼気迫る様子で設計図に色々と書き込む明石。その並々ならぬ様子に、他の任務から戻って来ていた夕張がビビるが、明石からアイデアを聞くや否や、彼女も大興奮。 二人であーだこーだと言い合いながら設計を進め、その日の夜中に完成。 こうして建造されたのが・・・しょうかく級三胴型三段式航空母艦だ。概要を見て行こう。 まずは船体だが、やまと級(二代目)より更に大型の船体を三つ連結。左右船体の上部には航空機の発進口が二つ・中央船体の上部には人型戦車の発進口(高さ25m)を持つ。 そしてその上にしょうかく級(初代)より更に大きい飛行甲板を装備している。そう、かつての空母黎明期に存在した物の呆気無く衰退し、最終的には居なくなってしまった多段式空母なのである。 しかも技術的な問題が完全にクリアされている事から、最大で航空機12機と人型戦車を3機+ヘリ複数を同時に発艦させる事が出来る。また、着艦の方もトラクタービームを使用する事で、各層毎に 安全に着艦させる事が出来る。勿論、万が一に備えて最上甲板にて普通に着艦する事も可能であり、アングルドデッキも標準装備されている。 一方の固定兵装だが、先代同様基本的に自衛の範疇内で収まってはいるが、VLSは4倍に増大しており、更にゼル兵装スペースはやまと級やふじ級の2倍となる8基もの装備数を誇っており、宇宙での戦闘時限定ながら やろうと思えば砲戦すら可能なのだ。そしてこれほどの大きさと重量を誇りながら、ティ連製の機関を採用する事で、信頼と安心の30ノットを達成している。 これ等の仕様の結果、大きさは国防海軍最大の大きさを誇る事となり、まさに浮かぶ海上航空要塞とも言うべき艦となったのだ。 750: 194 :2022/03/09(水) 23 01 30 HOST ai126151065251.55.access-internet.ne.jp ふじ級と併せてお披露目されたこの艦の姿に神崎提督達や日本政府、突撃馬鹿と愉快な仲間達は口をポカンと開けて絶句。そんな中、どうにか再起動に成功した神崎提督が、二人に問い詰めた。 神崎「誰がここまで馬鹿げた艦を建造しろと言った!!」 と。だが、二人は一切悪びれない様子で言い放つ。 明石「何を言っているんですか、提督。これでも戦略兵器を一切搭載しない等、十分過ぎる程自重して建造しています!!(通常兵器が戦略兵器に匹敵する威力を持たないとは言っていない)」 夕張「そうです!!何より、初期プランにあった『4隻1グループで変形・合体し、巨大人型戦艦又は巨大人型空母になる機能』を泣く泣くオミットしたんです!!十分に自重しています!!(大本営発表)」 まるで反省していない二人の態度と言葉に、とうとう神崎提督の堪忍袋の緒が切れた。それと共に、前回のやまと級(二代目)の建造後に二人にR-18なエロいお仕置きしたのがまるで効いていないと 判断した神崎提督は、必殺の一言を言い放った。 神崎「・・・全く反省していないみたいだな。・・・よーくわかった!罰として、今日から1年間私との子作りを全面禁止な」 その一言に、言葉に出来ない表情をして声にならない悲鳴を上げる二人。必死に撤回を求めるも一切聞き入れられず、最終的には二人は真っ白に燃え尽きてしまった。 その後は一週間ほど全く仕事にならない状態だった事を、此処に書き記しておく。あと・・・ このやり取りを聞いた柏木達はこう思った。 「やはり神崎提督はもげるべき。慈悲は無い」 と。 751: 194 :2022/03/09(水) 23 02 03 HOST ai126151065251.55.access-internet.ne.jp 以上です。これまたやまと級に負けない化け物空母と相成りましt←殴 イメージとしては、ガン〇ムの宇宙艦艇(ド〇スとか)やヤ〇トの多段式空母・地球〇衛軍4の要塞空母・デ〇ピナ等をごっちゃにしてちゃんぽん状態にした空母となります(ヲイ) 多段式空母は浪漫!はっきり分かんだn←殴 搭載機数とかはかなりガバガバですが(汗)、大きさ的にはこれ位搭載可能だろうとは思います。なおそれぞれの格納庫は後ろの所で繋がっており、自由に移動させる事が出来ます。 なお変形・合体機能ですが、流石に自分の手に余る事も有り、泣く泣く没に。マクロス艦の様な可変艦は自分には無理でした(涙) さて次回ですが・・・予定を変更して蒼星量産型のネタをやってから、本編に戻ろうと思います。なので、申し訳有りませんが、もう少しだけお付き合いください。それでは。 wiki掲載は、自由です。
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/663.html
448 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/03/14(土) 22 43 22 ID c.Fsqo2Y [1/8] ホワイトデーなので大鯨のSSを投下します 艦娘に関して誕生日等多数の独自設定がありますので 苦手な方はスルーして頂いても構いません 449 名前:わ・る・よ・い 幼妻大鯨ちゃん[sage] 投稿日:2015/03/14(土) 22 44 12 ID c.Fsqo2Y [2/8] こんばんわあ。潜水空母大鯨です。 今日は2015年3月14日。そう、ホワイトデーです。 私もバレンタインデーで好きな人――という程度ではないほど大切な人――にチョコレートを贈りました。 別にお返しなんて期待はしていません。いつも一緒で楽しい時を過ごしていますから。 でもやっぱり期待してしまう日本人気質も抑え切れません。 それに『お返し』は日本の文化ですからね。 「横須賀までの遠征ご苦労様。あ、プリンツ・オイゲン。 この前のプリッツで作った艦船が好評だったからこれはその礼だ」 「これは……たくさんの地域限定プリッツ!?」 「出張に出かけた時についでに買っておいたんだ」 「ありがとうございます!」 オイゲンさん、とても嬉しそうです。 日本に来て食べたプリッツを相当気に入ったのかいつもプリッツを持っていて、 プリッツ・オイゲンと呼ばれることもたまにあるみたいです。 ちなみに提督はコラボ商品でも出ないかと大淀さんに相談しているみたいです。 半年ちょっと前にお菓子会社と艦娘のコラボ商品も出ましたから無理ではないでしょうけど、 プリンツ・オイゲンのプリッツが出るとしたら11月になるでしょうね。 「出張とか何とか言って、本当は遊び歩いていたんでしょ、このクソ提督」 「曙、俺がいつ出張と偽って遊びに行った?俺はそんなことは一度もしたことないぞ。 出張のついでに買い物に出かけたことはたくさんあるけどな。 それよりもこれ、この前の御礼だ」 「この前の御礼って何よ?」 「バレンタインの時のチョコレート艦船の事だ。 曙、君の中に目覚めた駆逐艦曙の遺された記憶、想いから空母翔鶴の外観を思い出してもらっただろう。 完全ではなかったものの今までの資料より正確に思い出してくれたけど、 その過程で君自身に辛い思いをさせてしまった…」 「御礼というよりお詫びよね。別に気にしないでよ。 翔鶴型の資料は歴史の中で破棄されていて正確な情報は不明なんでしょ? だったら、失われたものを現代に蘇らせる目的ってのなら、我慢してやってやるわよ!」 「すまない……」 「いちいち謝んないでよこのクソ提督!私達艦娘をなめるんじゃないわよ!」 「そうだな…その通りだよな…」 駆逐艦曙は様々な謗りを受けてきた悲劇の駆逐艦です。 曙ちゃん自身がああなったのは彼女が自分というものが出来上がっていない子供の頃に駆逐艦曙の艦娘になり、 その中で駆逐艦曙の記憶が彼女自身に流れ込んできたからなのかもしれません。 歴史の影に埋もれた貴重なものも、目を覆いたくなるような悲しい出来事も…… 幼くして艦娘になった曙ちゃんは早い内から駆逐艦曙が受けた辛い仕打ちの記憶が目覚めてしまい、 それを客観的に見ることができず自分自身のことと混同してしまい、ああなってしまったのでしょう。 艦娘とは、かつて存在した旧日本海軍の艦船の力を行使できる存在です。 基本的には素質を持った人間の女性がなれるものです。 私の場合潜水母艦大鯨の進水式と同じ日に産まれました。 潜水母艦大鯨が起工から7ヶ月という短期間で進水したのと同じく、 私自身も7ヶ月の未熟児でこの世に産まれました。 そしてその私の体の弱さはまるで潜水母艦大鯨の運命に準えられているようでした。 でも家族や周りの人達の暖かさに支えられながら無事にここまで生きてこれました。 だから私は皆さんに恩返しをしたいのと、 自分が生きた証を何かしらの形で残したいと思い艦娘になりました。 そして私は潜水母艦大鯨の艦娘になりました。 潜水母艦大鯨の史実を調べている内に自分と重なる点がたくさんあることを知りました。 私は病弱だった頃、 『どうして自分はこんな体で産まれてきたのだろう?何故こんな苦しい思いをしなければいけないの?』 と暗い気持ちになったこともありました。 でも艦娘となってその疑問が氷解しました。 私が苦しい思いをしたのはそれが大鯨となる宿命だったからで、 苦しんでいた私をみんなが助けてくれることによって みんなへの感謝の気持ちを持ち、人のために役立とうと思う人間になれました。 「大鯨さん、どうしたのですか?」 「……あ、鳥海さん」 「ボーっとしてたけど、もしかして司令官と夜戦でもし過ぎたのかしら?」 「違います!!…………曙さんの話を聞いて、 自分も司る艦の記憶が流れてきて押し潰されないか不安で……」 「そうね……艦娘に艦の記憶が流れて来るのには個人差があるからね。 あなたは潜水母艦大鯨の艦娘だけど空母龍鳳の記憶も改造前でありながらわずかにあるみたい」 「ええ……」 「もし『あの時』の記憶があなたの頭の中に蘇って来たら……その時あなたは……」 「……その時は司令官が側で支えてあげてね」 「ああ…出来るかぎりやってみるよ…」 「こういう時にそんな言い方しないでよ、このクソ提督!」 「まあまあ曙さん。人間は誰だって出来る事と出来ない事があるんですよ。 重巡洋艦である私は潜水艦への攻撃手段を持っていませんが、 駆逐艦のあなたなら潜水艦へ攻撃か出来ます。 逆に駆逐艦は偵察機を乗せられませんけど巡洋艦なら乗せられます。 このようにみんな他人が出来ない事を補い合って生きていくんです。 何事も一人で抱えられるものではありませんからね」 「……鳥海の言う通りね」 「まあこんな話はこれまでにしましょ。司令官さん、私達には?」 「ああ、そうだった。君達の分も忘れちゃいけない。これは鳥海、これは如月、と」 「ありがとうございます」 「司令官ったら…ありがとう。好きよ…」 「あ、こっちも忘れるところでした。ハイ、大鯨さん、これは横須賀の鎮守府の元帥からです」 「元帥が?」 「なんでもチョコレート艦船模型展を成功させたからだとか……」 「でも私が貰うなんて……」 「他のみんなも貰っているわ」 「なら…受け取らせてもらいますね」 「どうぞ……それでは失礼します」 そう言って鳥海さん達は司令室から退室しました。 みなさんがいなくなった後の司令室は先程とは違ってとても静かです。 「ふう、今日の仕事はこれで終わりだな」 「お疲れ様です。日誌と後片付けは私がしておきますので、提督はお先に」 「すまないな」 「いえ、これも秘書艦の勤めですから」 「それじゃ後は頼む」 そう言って提督も司令室から出ていきました。 「これでよし、っと」 日誌と後片付けを終わらせました。 「ふう……ああは言いましたけどさすがに一人だと疲れちゃいました。 そうだ、元帥からのホワイトデーのお返しが何なのか確認しておかないと」 早速いただいた物を確認しました。どうやらチョコレートみたいです。 とても美味しそう……小腹も空きましたし、いいですよねっ。私はチョコレートを口にしました。 ああ…美味しい……諸事情で夕食を取れませんでしたからどんどん進んじゃいます。 気が付くともうチョコレートはひとつだけになっていました。あの人にも残しておかないと…… 私は何だかふわりとした気分で司令室を退室し、自室に戻りました。 「ああ、君か。すまない、先にお風呂に入っていたよ」 提督という仕事から解放されたあの人はどうやら先にお風呂に入っちゃったみたいです。 でも私は別にそんなことは気になりません。むしろ今はもっと大事なことがあります。 「君に渡したいものが…」 何か言いましたが私はその言葉を無視するかのように ソファでくつろいでいたあの人の前に行き、 そのままあの人のパジャマのズボンの前に手を伸ばしました。 「ちょっ、何を…!?」 ズボンのボタンを開け、トランクスのボタンも開け、あの人の股間のモノを出しました。 それはとてもかわいらしいものでした。皮も被っていてまるで子供みたい…… お風呂に入ったということは洗って綺麗にしたと思い、 私は皮をむいて先っちょにキスしちゃいました。 「ああっ……」 感じているのでしょうか。何だかかわいい声を出しちゃって…… 私は続けざまに唇で挟んだり、舌で鈴口や裏筋を刺激したりと、 如月ちゃんが持っていた本の内容を試しました。 ……如月ちゃんの年齢であんな本持ってるなんて本当はいけないことでしょう。 今度没収しちゃいましょうか。 そう思っているうちにおちんちんがどんどん硬くなって大きくなってきました。 私は喉の入口や内頬の粘膜で刺激しました。 そうしたらますます気持ちよさそうな声を出して…… 何だかビクビクとしてきました。もう限界が近いようですね。 根本から竿の中ほどに唇を移動させました。さすがに喉に直接出されるのは怖いですからね。 そしてまた一段と大きくなった刹那 どびゅるっ! 私の口の中に温かさが広がりました。気持ち良かった、という証が解き放たれたのです。 とめどなくあふれ出んばかりに広がっていって…… とても気持ちよかったんだって思うとなんだか嬉しくなっちゃいます。 何とも言えない味ですけど……とても濃厚な……そんな感じがしました。 そして、いつまでも続くかと思うような放出が終わりました。 ごくん…… 口の中に出されたものを飲み込みました。本当は口から飲むようなものではないんです。 ましてやおしっこが出るところから出たものです。普通だったら飲もうとなんて思わないでしょう。 あの人だって口淫行為を否定していないとはいえ、飲むことをあまり好ましく思っていないですし。 でも、今はあまりそんなこと考える時じゃない……というか考えられません。 「あ、元帥からもらいましたこのチョコレート、最後の一つですけどいかがですか? とってもおいしくて、なんだかいい気分に……」 「いい気分……おい、こいつはアルコールが入ってるじゃねーか!」 「え?そういえばあまり箱を見ませんでしたけど……………………そんな!?」 私はびっくりしました。このチョコレート、アルコールが入っていたんです。しかも度数が高くて…… 私は一気に酔いがさめてしまいまいた。十日ほど前と同じ過ちを犯してしまったんだって…… もう……恥ずかしくて情けなくて…… 「ごめんなさい…………本当に…ごめんなさい…………」 私はただ、謝ることしかできなかったのです。 「別にそんなに謝らなくていいよ」 「でも…」 「……だったら目を瞑れ」 「え……あ、はい……」 私は言われるがままに目を瞑りました。 もしかしたら平手打ちが来るんじゃないかと思い歯も食いしばりました。 でも…… ふにゅっ 私の頬に何かが飛んでくることはなく、唇に暖かくて柔らかいものが触れまいた。 そして口の中に柔らかいものと、甘いものが入ってきました。 柔らかいものはなんなのかは想像がつきました。私はそれに自分の舌を絡めました。 甘いものと一緒に舐めるかのように…… 「っふう……」 「あの……これって……?」 「バレンタインデーのお返しだ。ホワイトデーはキャンディーを送り返すのが始まりだしな。 キャンディーは白砂糖からできている。だからホワイトデーなんだ」 「ためになります……でも私の口…」 「君自身に何回も苦しみを味あわせたからこのくらい」 私は堂々巡りになると思ってこれ以上言いませんでした。その代わり、 「あの……今日もしましょうか……私、我慢できません。 蠍座の女は一度火が付いたら止められませんよ。 ましてや私は太陽星座だけじゃなく、月星座も蠍座なのですから…… それにさっきのことでまた昂ぶってきたみたいで…… 大丈夫ですよ、前に『酔った時にもしちゃって構いません』って言いましたよね?」 「ああ、わかったよ。いいよ。俺だって蠍座の男だ。やるときゃとことんやらなきゃな」 蠍座同士で燃え上がればもはや誰にも止められません。 火と火が合わされば炎になります。 でも蠍座は炎です。炎と炎が合わさったら………… 言葉にできないくらい激しいものになるでしょう。 そして、とてもとても光り輝いたものとなるのでしょうね。 ―終― 455 名前:幼妻大鯨ちゃん[sage] 投稿日:2015/03/14(土) 22 50 09 ID c.Fsqo2Y 以上です 前回よりも酔いが浅いのにこのタイトルなのは 行動によるものが大きいと思ってください 実は先月時点では雛祭りSSは予定にありませんでしたが 甘酒について調べてるうちに白酒のことを知り、 今回の話が思いついたのです それではまた 456 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/03/14(土) 22 57 23 ID Di4kl9bk GJ! 457 名前:名無しの紳士提督[sage] 投稿日:2015/03/14(土) 23 16 33 ID lyk1DqHw 良いね! これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3108.html
11 :影響を受ける人:2014/10/05(日) 20 55 31 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第三十話 ―異なる翼は共に飛び― 交流会当日。 その日は快晴であり、とても良い日だったと記録に残っている。 扶桑国の陸軍飛行隊・海軍飛行隊と、リベリオン合衆国・欧州義勇飛行隊の四つの飛行隊から、選りすぐりのウィッチが己の腕を競うために終結した。 本当はこんなことしている余裕などないのだが、暗くなりつつある大陸の雰囲気を明るくするため。 本土に飛行隊の優秀さを見せて安堵させるために開かれた。 海上は浦塩海軍飛行基地である。 普段は通常戦闘機隊と、爆撃機隊が駐屯している 最新の戦闘機と、爆撃機を受理しているこの基地の飛行隊はまさに精鋭部隊。 たとえ小型ネウロイにしか効かないとしても、最前線で共に戦うウィッチにとっては無くてはならない戦友達だ。 その基地を借りての御祭りに、最初は苦い笑顔の基地司令だったが天皇陛下の御息女がやってくるとあっては、緊張しないわけが無い。 「ふぅ・・・」 「さすがに緊張しますね。」 皇女陛下をお招きした部屋から出てきた司令が、大きく息を吐くのを見て副指令が苦笑する。 「緊張もする。名代とはいえ、こんな前線の基地にまで御出で頂いたのだからな。」 「確かに・・・ しかし、大会がよほど楽しみなのでしょう。目が輝いていましたね。」 「そうだな。そこは歳相応なのだろう。」 頷いて同意し、先程までの様子を思い出す。 「しかし堂々としておられたな。天皇家としての生まれを、自覚しているという事か・・・」 「見習うべきことです。」 そう言って二人は、司令室目指して歩いていく・・・ そんな会話を知らない皇女は、二人が見えなくなってしばらくしたらグテンとソファーに寄り掛かった。 「うぇ~ぃ・・・」 「皇女様、はしたないですよ。」 その姿勢を見て、さすがにだらしないと思った九曜(分体)が注意すると、皇女は唇をとがらせてブーブー言い始めた。 「だって、暇なのだ。」 「確かに開会式までは少し時間はありますが、さほどでもないですよ?」 「九曜は本体じゃないし。」 「貴方様を逃がすだけならば、私たち分体でも事足ります。」 「わらわも飛びたい。」 「駄目です。」 「じゃぁ、屋台の物が食べたい。」 「食べのモノ関係は、本体に御申しつけ下さい。」 様は九曜本人が来ていない事が不満なのだ。 しかしその理由もわかっているから、かわいらしい我儘を言っているに過ぎない。 少々困りながらも、九曜(分体)は笑顔で対応した。 ――――― 会場には多くの人が集まっていた。 近隣からと、本土からの取材班も来ているのもある。 モノ好きで、本土から来た変わり者もいるだろう。 屋台もたくさん出ていているが・・・その屋台群の殆どが夢幻会の息がかかっていると知ったら、九曜は頭痛を覚えるだろう。 某料理狂シェフが主導となって広めた料理は、瞬く間に扶桑に広がった。 12 :影響を受ける人:2014/10/05(日) 20 56 22 そしてアレンジが加わり、今ではかなりの量がある。 九曜自身が昔から品種改良などを行っていたおかげで、前世よりも野菜の種類が豊富なのも影響しているだろう。 その人ごみの中を、警備目的で散策している一団がいた。 「おいしそう・・・」 「美緒ちゃん、我慢して。」 「綿飴・・・」 「徹子さん、我慢なさい。」 「近所の御祭りで、御神籤屋台でおもちゃを取ったときは嬉しかったッスね。」 「そう言うのもあるのですね。」 言わずと知れた北郷隊学兵達だ。 美緒は良い臭いを嗅いでは、視線が泳いで隣の醇子に袖を引っ張られる。 徹子は美味しそうな物があるのに、我慢しないといけない事に涙して凛が呆れている。 最後列の里子は思い出の話をしていて、小毬が相槌を打っていた これだけを見れば小学生の初々しい一団なのだが、手にしている銃器を見て人々は自然と道を開けた。 彼女等は、北郷隊長が出場するとなったためにこの場に来ている。 名目は会場警備・・・だが、彼女等の様子からしてあんまり役に立っているは良い難い。 それも仕方がない、周りには誘惑が充満しているのだ。 「お前ら、いい加減にしろ。」 「「「「「「うっ・・・」」」」」 先頭を歩くミチルが振り返って注意する。 その顔には呆れだけが浮かんでいた。 「私達は何のために歩いているんだ?」 「・・・不審者の発見です。」 「それなのに、誘惑に負けてどうする。」 こめかみを少しだけ揉み解し、ミチルは再び前を向いて歩き始めた。 慌てて着いていく年少組。 「小毬と里子を見習え。」 振り向きもせずに言うと、徹子が首をかしげて最後尾をちらりと見る。 「え? それってどう意味・・・でしょうか?」 「後ろの二人は会話しているが、ちゃんと周りを観察している。 弾薬係と、その護衛を主にやっているおかげだな。 戦場で培ったものが、生かされている。」 めったにミチルは褒めない。 むしろ八倒している事の方が多いと言える。 そんな彼女が褒めているということに、最後尾の二人はちょっと照れくさそうにし。 残る四人は未熟さを痛感した。 そんな彼女等の気配を背後に感じながら、ミチルは別の事を考えていた。 彼女等の中で成長が著しいのは三人。 坂本美緒・竹井醇子・若本徹子の成長はかなり早い。 自分はまだ単独戦闘に自信が無いのに、この三人は時折単独戦闘をこなしているのだ。 しかも撃墜スコアは自分に匹敵し始めている。 恐ろしいまでの成長だ。 自分の成長は、もうほとんどない・・・ これ以上上手くなりそうもない、壁を感じているからこそ三人の成長は複雑だ。 嬉しい反面、さらなる過酷な戦場に放り込まれるのかと思うと・・・ そんな彼女等でもまだ幼い、油断した時・・・自分は身をもって守らなければならない。 それが年長者としての、生き残ってしまった罪への回答だと思うから。 ――――― 上空を戦闘機隊が編隊を組んで飛んでいく。 その後ろを爆撃機部隊が轟音をとどろかせながら追従する。 再び戦闘機隊が出現すると、編隊を崩して自由気ままに飛び始めた。 それを見ていた観客にどよめきが走るが、次に瞬間には歓声が上がった。 自由気ままに飛び始めた戦闘機隊の後部から、白煙幕が噴射されると大空に絵を描き始めたのだ。 13 :影響を受ける人:2014/10/05(日) 20 57 15 それは次第に富士となり、その頂には扶桑国の象徴が書かれる。 彼らが去ると、次に現れた爆撃機隊が戦闘機隊に負けじと変態起動で飛び始めた。 そして描かれるのはリベリオン合衆国の国旗。 最後にウィッチ隊が現れると、欧州義勇飛行隊に参加している各国の国旗を小さいながらも色つきで作って飛び去った。 歓声が溢れる会場で、一機の戦闘機が地表ギリギリをすっ飛んで行く。 艦載機のそれは、フックにあらかじめ用意されていた仕掛けの紐を引っ掛けると、一気に上昇していき・・・花火が撃ちあがった。 更なる大歓声に、招待されていた九鬼大将の後ろに控える山本少将は嘆息する。 (痛い子中隊め・・・思いっきり遊んでいるな。) 目の前で曲芸飛行していた連中は、頭が痛い事に“痛い子中隊”だった。 前世から飛んでいた連中は今世においても変態的な腕前を誇っている。 更に頭が痛い事に、ウィッチ(女性)になった奴らまでいるのだ。 一応前世同様飛行試験部隊にしてはいるが・・・こういう曲芸をさせれば天下一品な事実は変わらない。 目の前の九鬼大将は気が付いているかもしれないが・・・どう説明したらいいものやら。 「ふむ、見事な起動だな。」 「ああ、そうだな。ウチに欲しいくらいだ。」 「やれんぞ。それに、癖が強い問題児連中だ。」 「そこさえ無ければな・・・・・・」 隣り合っている柴田大将が頷いて同意しているのが見える。 その後ろには杉山と東条が控えている。 御互い目線を合わせると、何とも言えない空気がその場に流れた。 編隊飛行ショウが終わると、壇上に皇女が上がる。 その後ろには白い頭巾をかぶった・・・九曜ではない人物がいる。 “表”の侍従長だ。九曜は皇居内での“裏”の侍従長であるので、こういう公共の場には出られない。 飽く迄も自分の存在を隠すため。天皇家以上の象徴にならないための措置だ。 が、足元には小さな白い狐がいる。この狐は天皇家も認める益獣であり、神聖なる獣として買われている狐・・・という設定の護衛チビ九曜(分体)だ。 そして皇女陛下が朗々と、マイクに向かって語りかけた。 それは不安に震える民を慰撫する為。 それは兵士たちの指揮を上げる為。 援軍に駆けつけてくれた者達への感謝。 国々への感謝。 幼いながらもその声に、多くの人が引き込まれていく。 『これからも友好を続けてほしいと切に願う。 今日、皆の成果を出し合い、存分に切磋琢磨してほしい! では、第一回交流会【青空競技大会】開催する!!』 以上です。 皇女様の演説が書けんかった!! というよりも、全然ネタとセリフが出てこなかった・・・ 明日早いので寝ます。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3938.html
288 :ひゅうが:2016/10/01(土) 21 22 16 神崎島ネタSS――「万有引力の法則(学者的な意味で)」 ――1937(昭和12)年7月7日 神崎島 鎮守府提督執務室 「山下です。入ります。」 ノックもそこそこに、虎…というよりは熊のような体格をした男が入室した。 「入れ。ああ山下さん。やはり来ましたか。」 「はい閣下。来ました。ところで――」 精一杯の微笑を浮かべ、山下奉文は、目の前の若いんだか年をとっているんだかよくわからない提督の方向に向けていった。 「ちょっとあちらへいっていてくれないかな。」 「えー?」 駆逐艦がまとわりついている。 文字にしたらどんな状況だという風になるだろう。 ジャンパースカートを着ているということは夕雲型。 そして長袖のセーラー服であるから特Ⅲ型駆逐艦。 数か月を共にすれば、山下にもそれくらいはわかるようになっていた。 皆、いい娘さんたちである。 「みんな!邪魔をしないの!」 「えー?でも…」 両手の人差し指をツンツンさせる駆逐艦清霜。 「すぐ終わるの?」 少しばかり底のしれない瞳で山下を見つめる駆逐艦響。 山下は微笑して頷き、ポケットに手を突っ込んだ。 「ほら。」 ここに来る前に駄菓子屋で仕入れたドロップ缶だった。 酒飲みである山下は、同時に甘党の素質があった。 ちなみにこの島で「人間どっく」なるものを受けてからは晩酌は週に一度と決めている。 「えー。」 「ふふふ。これだけじゃないぞ。」 山下は、ドロップ缶の下に隠した何枚かの券を取り出した。 中将の給料をもらっている山下としては、生活費がほとんどかからないこの島の勤務の分をこうしたものに変えるのにあまりためらいがない。 「わっ!」 提督に「よじのぼっていた」艦娘たちが一斉に山下の方へ向かってくる。 「山下さん。」 「いえいえ。」 あまり食事前に甘味はと言おうとする神崎提督を山下は反対側の片手で制し、器用に「間宮券」を配っていった。 290 :ひゅうが:2016/10/01(土) 21 22 59 「ありがとう!」 少しばかり早くできた孫を見るかのような目で山下は艦娘たちが執務室の出入り口で手を振るのにこたえた。 「てーとくも!またね!」 一瞬、凄絶なほどに濃厚な感情が視線に載せられたのを受け流しつつ山下は、後方でパタリという音がしたのを確認し、表情を戻した。 「あまり与えすぎないでください。あの子たちはいい娘ですがルーチンワークと化してしまうとあるべき感謝がなくなってしまいます。」 「それについては提督にお任せしますよ。」 「私も甘やかしすぎてしまうから逆に心配なんですがね。」 「そこまでは責任を持ちかねますな。」 ああ、また赤城たちがスネる…とボヤく神崎。 それをしてやったりという表情で見ていた山下は、数秒後に切り出した。 「本日未明、北平郊外の盧溝橋において銃撃事件が発生しました。 当初警告通り、北支駐屯軍はただちにホットラインを通じて北平市長および現地軍に事件を通報。 即座に警備部隊を兵営へ下がらせました。現在、市長および国連調査団北平支所が調査に向かっています。」 「すでに国際社会へ一報は入れているのですね?」 「もちろんです。『また』悪者にされてしまうのはごめんですからね。」 同じ質問を参謀本部にぶつけた山下は、一言一句違わずに「彼」と同じ言葉で返した。 「石原さんですか。」 「あれも、もう少し謀略癖をひかえた方がいいと愚考しますが。」 みなまで言うな。と神崎提督は一瞬の目で促した。 背筋にいきなり金属製の物差しを差し込まれたような感覚にほんの少しだけ毛が逆立つ。 この若いのは時々こうしたところを見せるから侮れない。 数十人どころじゃない数を顎先で海底か地下かどこかよくわからないところまで送り込んだことがある者の傲慢さと悲惨がそこには同居している。 当然だろう。 かの「戦争」において彼は現在の米海軍数十個分の艦艇を沈め(鎮め)ているのだから。 「そろそろ自重してくれる…とは思いますよ。あれでもだいぶこたえているようですから。」 「最終戦争論、でしたか。」 山下は、ここのところの趣味となっているいわゆる「近代史」の知識を頭の引き出しから取り出した。 「ええ。その前提条件となる日支連繋が実はシナ…いえ中華民国側からみれば大中華復興という同床異夢だったことがよほど衝撃的だったのでしょう。」 少しぬるくなってしまったコーヒーを神崎は口に含む。 「後始末が終われば引退予定という話は?」 「いえまったく。親任式以前は朝鮮で仕事をしていましたし、終了後は面倒ごとをさけるためにその足でこちらへきましたから。」 山下は、かつて皇道派と目されており、2.26事件のとばっちりを受けて左遷されていた。 それが急きょ復帰することになったことから、面倒事を嫌ったのだった。 御奉公が再びできる以上、かつてつまはじきにした相手が掌を返してきても相手をする気になれないのは当然だろう。 291 :ひゅうが:2016/10/01(土) 21 23 29 「ま、今年を乗り切れたら、という条件付きですがね。」 「ならば、再びの山を越えたというべきでしょうな。」 山下はほほ笑んだ。 「すでに日支対立の芽は、シナと欧米列強との対立にすり替わりつつあります。 わが国はこのまま国土の再開発に力を注ぐだけです。」 そうすれば自然と軍事予算も増えていく。 資源が足りてしまい、そして資金も提供される上に当面の軍事的な裏付けができてしまった軍隊というのは現金なものなのだった。 「そういえばアインシュタイン博士とあの学生はいつまでここにいるんです?」 「それが…この島に研究所を作りたいとか。」 「ええ…」 「プリンストン高等研究所の所長ですからねぇ…一度帰って引き継ぎをしてから、といっているのですが。」 「『史実』の情報はよろしいのですかね?」 「大丈夫でしょう。あれだけ脅されてまだ無邪気でいることはできないでしょう。 もしも大々的にばらされてもそのときは――レッドパージ再びです。」 それよりは、まだまだある余命の間に超ひも理論の確立に力を注ぐ。 科学者はそういう生き物だった。 ――だが、二人は決定的に間違っていた。科学者の知的欲求の強さは彼らの想像をはるかに超えていたのだ。 二人は、この数週間後にイギリスからこの島へ移住の申請が出たこと、そしてそれを出した人物の名前に驚くことになる。 男の名を、スブラマニアン・チャンドラセカール。 のちに、ブラックホールの発見者として知られ、超新星爆発における質量限界「チャンドラセカール限界」にその名を永遠に刻むことになった当時27歳の天才である。 彼は、自ら証明したブラックホールの理論を理解しようとしなかった英国天文学界に見切りをつけてアインシュタインの誘いに乗ることに決めたのだ。 かくて歴史は再びねじ曲がる。 のちに、物理学者のディスアボラと称される欧州の碩学たちの極東への移動はこうして端緒についたのであった。 292 :ひゅうが:2016/10/01(土) 21 25 01 【あとがき】――お待たせしました。 またしても幕間的な話。 この世界では「盧溝橋事件(笑)」になってしまいましたとさ。 そして欧州の学界の様子が…