約 19,733 件
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3117.html
915 :影響を受ける人:2014/12/07(日) 22 25 08 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第三十九話 ―墜ちる空― 交流会から二日後、北郷隊と狐狸部隊は本拠地を、別の場所に移し終えたばかりだった。 これは元から考えられた事である。防衛戦が下がると、自分達も下がるのは当然だ。 教えられていた美緒達もすぐに新しい基地に移動していく。 整備員や機材は交流会の間に運び込んでおり、あとは自分達の荷物だけだった。 新しい基地に来て、ちょっとウキウキしながら荷物を運び入れる。 ある程度荷物を開き終わると基地を回ってみることにし、そこでちょっとした驚きがあった。 同時期に志願した何人の学兵と再会できたのだ。 無事な姿を見て喜んだ彼女等は、一室に他の学兵も集め、女の子らしい話に花を咲かせる。。 自分達の部隊長の話。 初実戦の緊張。 他部隊の人達。 日常とは違う戦場の空気。 失敗と成功。 明るい話もあれば暗い話もある。 自分を庇って負傷し、後ろに・・・本土に戻る先輩。 初めての負傷で塞ぎこんだ事。 目の前で撃ち落とされた戦闘機。 降り立った地上で見た惨劇。 昨日まで隣の部隊で戦っていた友達が、翌日死んだことを聞かされた時。 話は弾み、夜分遅くまで話し込んでいたが、それぞれの上司に怒られしまった。 渋々彼女等は「この基地にいる限り、また話せる。」と思い直し、部屋に戻って睡眠に着く。 そして、翌日早朝からサイレンで叩き起こされた。 「なんだ、なんだ!!」 「敵襲ですわ!」 「委員長、それは分かっているって!」 「それならつべこべ言わずに動きなさい!」 いつもの二人罵り合いをBGMに、ほか四人は着替えて大急ぎで部屋を出て行く。 すでに通路には、昨日再会した仲間がすでに走って会議室に向かっていた。 その顔はもうすでに戦士だ。 そして美緒達も同じように真剣な顔で走っていく。 しかし・・・ 「ああ、くそ! 朝飯食えないじゃん!!」 「御握りぐらいは大丈夫なはずですわ。」 「味噌汁がないと、俺、だめなんだ。」 「贅沢言わないで下さいませ!」 この二人のやり取りが、皆の緊張をほぐしてくれる。 それに続いて里子が話しに加わる。 「アタイは沢庵があれば良いッスね。」 「自分は梅干です。醇子さんは?」 「鰹節・・・かな?」 「醤油「「「「「無いな。」ッス。」ですわ。」です。」よ。美緒ちゃん。」み、皆ひどい!!」 そうして皆が続いて喋るのが、いつもの光景だ。 それを上の階から降りて来たミチルが、呆れて首を振るのも何時もの事。 「お前たち、元気だな・・・」 「あ、先輩。おはようございます!」 「「「「「おはようございま~す。」ッス。」ますわ。」す。」」 「若本、あくびをしながら言うな。」 「叩き起こされたので。」 916 :影響を受ける人:2014/12/07(日) 22 25 39 シレッと言う後輩にまた頭を痛める。 しかし動きによどみは無い。 寝て、いきなり叩き起こされるのは何時もの事。 それに慣れるのが兵士だ。 それはそうとして、宿舎の窓から整備員が大慌てで動き回るのが見える。 基地の規模は前よりも大きい。 いくつかの航空部隊が同居しているというのもあるが、通常の戦闘機を抱えているのもあって、設備はかなり良い。 屋根あり、壁ありのお風呂には入れたのは一番うれしかった。(前はドラム缶風呂で、交代制) 話を戻す。美緒の目線の先では、待機していた戦闘機部隊が滑走路を駆け上がっていくのが見えていた。 「それにしても、かなりの大騒ぎですね。 敵の規模・・・大きいのでしょうか?」 「わからん。だが、久しぶりの大規模戦闘なのは分かる。」 基地の空気を感じ取っているのはミチルだけではない、美緒達だって感じているはずだ。 しかしそれでも、いつもの事をしていられる度胸はついている。 頼もしさもあるが、この年齢でこういうことに慣れるのは・・・とも思う。 いや、世界を見れば普通だろう。 世界のウィッチの寿命は短い。 大体20歳くらいが良い所、がんばれば25歳までいけるかもしれないが、シールドの強度が心配になる。 対して扶桑のウィッチは長寿命だ。 30~40歳くらいが終わりごろで、50歳までいければ良い。 血統により、魔力切れが無いのもあったりする。 とはいえ世界視点で見れば、異常なほど長いのが特徴といえるのだ。 それはこの国の制度がかかわっている。 少し大きい村や町になると、魔力検査の水晶が必ずおいてある。 一定年齢に達した女子はそれに触れて検査するのが義務となっており、反応すれば導術士学校・法術士学校に推薦入学することができるのだ。 その教育費用殆どを国が受け持つ。 戦闘技術も大切だが、庶民の生活に役に立つのも大切なこと。 医療技術、天候操作技術、未来占術等々・・・ そして彼女等にはある一つの義務が化せられた。 血統を薄くしないための・・・政略結婚だ。 と、いっても強制は無い。 恋愛による結婚も推奨されている。 後ろ暗い話だが、それなりに濃い血筋を作り続けることで、昔とほぼ変わらないウィッチの寿命を作り上げていた。 さらに言えば、大陸とは違って平和な時代が長く続いたのも、一つの要因といえる。 色々考え込んで急に黙り込んだミチルを、後ろを走っていたリンが横に並んで覗き込む。 「早良先輩、どうかなさいましたか?」 「え、ぁ・・・いや。なんでもない。」 急に現実に引き戻され、目をパチクリさせる。 内心では慌てつつ、外面は静かに受け答えをした。 もう会議室は目の前にあった。 ――――― その日、北郷隊と狐狸部隊の出撃は昼を跨いだ戦闘となった。 幸いにして敵新型とはかち合う事は無かったのだが、基地に帰ってきても引切り無しに飛び出していく味方に不安を覚えた。 休憩をとりつつも銃の点検をする傍ら、戦況の話を聞くが芳しくない。 すでに地上戦線はボロボロだと言う。 帰ってくる戦闘機も翼端が解け落ちていたり、大きな弾痕がついていたりしていた。 この基地には爆撃機隊はいないが、出撃ができない状態だと聞く。 そしてわずかな休憩時間で再出撃。 ミチルは美緒達の再出撃に反対したが、手が足りないという現状に黙るしかなかった。 夜中になっても戦闘は続き、敵がようやく引き上げたのは翌朝の、朝日が地平線から覗いたときだった。 917 :影響を受ける人:2014/12/07(日) 22 26 11 ――――― 「・・・お疲れ様。」 「ああ・・・」 宛がわれた執務室で、章香と敏子が倒れ付すように机の上に、身を投げ出していた。 周りには、まだ整理していない書類などが散らばっている。 しかしそれを片付ける気力も無い。 慣れない夜間戦闘までこなした両部隊の隊員達は疲れ切り、食欲も失せていたが軽く固形物を食した後、風呂にも入らずに寝に入っている。 窓の外を見れば、スズメがチュンチュン鳴いている。 憎たらしい。 「・・・・・・こうしても、いられんな。」 「・・・・・・・やり、ましょうか。」 疲れがにじみ出ている。 それでも身を起こすと、戸を叩く音が聞こえた。 「どうぞ?」 「・・・入る。」 物静かな声の後、扉を開いてサエが食事を持ってきた。 お茶碗が三杯だけ・・・後、大きな急須が一つ。 しかしよくよく見れば、真ん中に大きな梅干がある。 「・・・戦闘食の、ニギリ飯があった。」 「お茶漬けですか。いいですね。」 「汁物・・・それなら胃に入りそう。」 書類に手を付けず、いそいそと真ん中の応接テーブルに上にある邪魔物を、二人係で片付ける。 そして席に座ると、それぞれの前に茶碗がおかれ、熱々のお茶が振りかけられた。 ひたひたにお茶に漬かった白米が、水分を吸収して少しだけ膨らみ、ほろほろと結合が解けていく。 持ち上げて最初は熱いお茶を飲む。 旨い・・・ お茶の渋みと、梅干の酸味が口一杯に広がり唾が出てくる。 そのまま嚥下し、次にお茶とご飯をかき込む。 「はぁ・・・」 「五臓六腑に染み渡る・・・」 「・・・実家の梅干は旨い。」 「「え!! これ旗本さんの、実家の梅干なんですか!?」」 「・・・うむ。」 驚く二人を尻目に、梅干を端でつまみあげて食べる。 程よく暖められた梅干の酸味が口いっぱいに広がり、さらにご飯をお茶と共にかき込む。 酸味とご飯の甘味、そしてお茶の渋みが調和して幸せな気持ちを作り出す。 敏子は黙々と食べるサエを見つつ呟いた。 「ウチも、有能な副隊長抱え込もうかな。」 「今更寄越してくれるのか?」 「ですよね~・・・」 泣きたかった。 以上です。 最初の大攻勢は何とかかわした彼女達、しかし厳しい現実が待ち受けることになる。 昨日千葉に行って、航空博物館に行ってきました! 離着陸の光景を見れてよかった~ 今年最後の小旅行、楽しかった・・・ 皆も楽しもうぜ!! 美緒ちゃん達は地獄だけどな!
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/1924.html
【艦これ】漣「提督が基地に着任しました」 ページ一覧 1ページ目 2ページ目 3ページ目 4ページ目 5ページ目 6ページ目 7ページ目 8ページ目 9ページ目 10ページ目 11ページ目 12ページ目 13ページ目 14ページ目 15ページ目 16ページ目 17ページ目 18ページ目 19ページ目 20ページ目 21ページ目 22ページ目 23ページ目 24ページ目 25ページ目 26ページ目 27ページ目 28ページ目 29ページ目 30ページ目 31ページ目 トップへ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4888.html
前ページ次ページゼロな提督 ガリア王国、王都リュティス トリステインとの国境部から1000リーグ離れた内陸に位置し、大洋へ流れこむシレ河が 中央を流れる。人口30万を誇るハルケギニア最大都市。シレ河の中州にある旧市街から延 びたボン・ファン街を郊外へ馬で30分ほどの距離に壮麗な大宮殿、ヴェルサルテイル宮殿 がある。世界中の建築家、造園師の手による様々な増築物により、今も拡大する王族の居 城。 宮殿中心には、薔薇色の大理石と青いレンガで作られた巨大な王城『グラン・トロワ』 がある。ちなみに、そこから離れた場所には王女イザベラが生活する薄桃色の小宮殿『プ チ・トロワ』がある。 グラン・トロワに暮らす長身美髯の美丈夫、ガリア王ジョゼフ。彼は来客を前に悠然と 金塗装されたクルミ材の肘掛け椅子に体を預けていた。彼の前で同じく椅子に腰掛けてい るのは聖エイジス三十二世。 二人は窓から差し込む明るい日差しを受けているのに、爽やかとは言い難いオーラを纏 いながら向き合っていた。 「まったく驚きましたね。まさかジョゼフ殿が虚無の担い手であったとは」 「いやはや、全くお恥ずかしい限りだ。内政をすれば国が傾き、外交をすれば国を誤ると まで言われる、この無能王の余が『虚無』を受け継ぐなど」 謙遜した風な言葉を連ねる王だが、その態度に謙遜した風は欠片も見いだせなかった。 各王より形式上の地位を上回る教皇を前にして、傲岸不遜に体を反り返らせている。そん な無能という言葉が相応しくない王を前にしても、ヴィットーリオの口元に浮かぶ柔和な 微笑みは変わる事がない。 二人は金銀で装飾された立派な応接用デスクを挟んでおり、室内には他に誰もいない。 既に人払いされていた。机の上に置かれたワインクーラーとワイングラス用クーラーの中 で、ワインとグラスが手をつけられないまま虚しく冷やされ続けている。 「さて、大まかな話は使い魔のミョズニトニルンより聞いている事でしょうから、前置き は省きますね」 「やれやれ、使い魔の種類まで見抜かれてしまう。彼女の額に落書きでもして、ルーンを 改ざんしようか」 「女性の美貌は、そのままで愛でるものですよ」 王の冗談に教皇も笑う。そして王も笑う。ただし、二人とも目が笑っていない。双眸に 湛える眼光は、相互を射抜かんとするほどに鋭い。 笑ったままの若者の口から、次の言葉が紡がれた。 「それで聖地奪還の事ですけど、まさか、弟君を殺して戴冠したとまで言われているあな たが、今さら真の信仰に目覚めたわけもないでしょう?」 その言葉に、ジョゼフの口から笑みが消えた。 「そういうお前は、本気でエルフから聖地を奪還しようなんて寝言を口にしているわけで もないだろう?」 王から、形ばかりの敬語すらも消える。 それでも教皇の口元は微笑みを崩さない。 「聖地を取り返す。それこそが私の目的であり、教皇としての使命だと思っています」 「ふん。まったく、ご大層な綺麗事をヌケヌケとほざくものだ。で…それと俺と、何の関 係がある?」 「あなたがレコン・キスタを使ってハルケギニアを統一した後に何をするか、と言う事と 関係があります」 「まさか俺に、エルフ共と戦え…と言うワケか?」 「最初からそのつもりでしょうに」 その言葉に一瞬ジョゼフは呆気に取られ、目も口もポカンと開いてしまう。 しばしの沈黙が二人の間を漂う。 そして、ジョゼフは顔を右手で押さえて笑い始めた。腹の底から、心底楽しげに。 「くははは、ははっははははっ! いやはや、その若さで大したものだ。その通り、実はそのつもりだった。何故分かった んだ?」 「レコン・キスタを使ってトリステインとゲルマニアを争わせ、疲弊した所でガリアが全 てを蹂躙しハルケギニアを征服する。…そこまでは良いとして、さてその後ジョゼフ殿の 飽くなき野望はどこへ向かうのか、というだけのことです。まさかロマリア含めてハルケ ギニア全てを手にしたら大満足。後は太平の世を楽しもう、なんて趣味はお持ちではない でしょうから。 でなければレコン・キスタなんてものを一から作り上げたりせず、王家の血を僅かばか りだけ引く地方貴族でも後押ししておけば簡単です。大方、ガリアがレコン・キスタに屈 服するとか、あなた自身がレコン・キスタに参加すると宣言する…とかも考えていたので しょうね」 その言葉に、ガリア王は腹を抱えて大爆笑しだした。 ひとしきり笑い、ようやく呼吸を落ち着ける。 そしてワインクーラーから一本取り出してグラスに注ぎ、一気に飲み干した。 ふぅ、と一息ついてから、ようやく話を続ける。 「やれやれ、アルビオンで俺の使い魔と会っただけで、そこまで見抜かれたか。 そうだ、その通りだった。聖地なんかどうでも良いが、エルフと戦うのは面白そうだっ たんでな」 「そのためだけに、ハルケギニアを血に染めようとしているのですか?」 「ああ。凄いだろう?」 詫びれる事無く、それどころか胸を張って野心を自慢するジョゼフ。 「まぁ、確かに凄いですね。『無能王』の仮面を被って他者を油断させ、人を駒とし、他国 を思うままに操り、己が欲を満たすためだけに戦乱を起こす。…なかなか出来る事ではあ りません」 「そうだな。そして、そんな俺を利用してまで聖地奪還を目指そうとは、お前も俺に負け ず劣らず狂ってる」 「信仰とはそういうものでしょう」 ヴィットーリオは何の躊躇いもなく、平然と言い放った。 くっくっく・・・とくぐもった笑いが室内に響く。 王はもう一つのグラスをクーラーから取り出し、ワインを注いで教皇の前に置いた。 「まぁ、お前も一つ飲んだらどうだ?言っておくが毒なら入っていない」 「ご馳走になりましょう」 教皇はなんの迷いもなくワインに口をつけた。 とたんに麗しい口元から感嘆の溜め息が漏れる。 「美味しいですね」 「俺の秘蔵ワインだ。もはや二度と手に入らぬ最後の一本だぞ」 「それは光栄です」 王も自分のグラスに再び赤い液体を注ぎ、一気に飲み干す。 二人はしばしワインの芳醇な香りと味わいを楽しんだ。 そしてグラスを置いた後、王は再び話を切り出した。 「とまぁ、お互い腹を割って話をした後で悪いんだが…実は、さっき話した俺の策は既に 放棄しているのだ」 「ほう、何故でしょうか?」 教皇は、特に驚いた様子もなく尋ねた。 王も、教皇が驚かなかった事に何のリアクションも示さない。淡々と話を続ける。 「何の事はない。トリステインへ侵攻出来ないからだ」 「おやおや。エルフとすら事を構えようかというあなたが、随分と弱気ですね」 ふん、と鼻で笑ったジョゼフはワインボトルを二人の間にドンッと置いた。 王と教皇の視線がワインボトルを挟んで交差する。 瓶の中で赤い液体が波打つ。 「このワインは、もしやタルブ産ですか」 「そうだ。先のトリステイン侵攻時に壊滅した、タルブだ」 「なるほど…確かに二度と手に入らぬ逸品なのですね」 「ああ。何しろ、ブドウ畑の半分が先の戦で焼かれ、荒野に戻った。必死で新しいブドウ の苗を植え直しているそうだが、このワインのような逸品が再び生まれる日は見れないだ ろうな」 二人の間で赤い液体の波は小さくなり、ささやかな静寂を取り戻しつつある。 ―――タルブのブドウ畑は半分が消えた。 実際にはアルビオン軍侵攻のせいではなく、夫婦喧嘩のせい。だが「逃げる亭主を逆上 した嫁が追いかけたら、ブドウ畑が半分消えました」なんて、一般人は誰も信じない。な ので侵攻してきたアルビオン軍との戦闘で焼失、という誤った情報の方が広まってしまっ た。 で、山の斜面に築かれた排水路も何もかもボロボロ。生き残ったブドウの木も枝が折れ るわ葉っぱが飛ぶわ。元通りになるのは何年先になる事やら。というわけで現在、倉に残 されていたタルブワインは希少価値が出て価格もうなぎ上り中。 村の生活と再建資金は、それまでの村の蓄えでは足りない。だがシエスタが拾った人工 ダイヤモンドのティアラ、通称『血塗れのティアラ』をフーケの闇ルートで好事家に売却 したので何とかなった。 ヤンとフレデリカは平謝りしながらタルブを後にした――― 「・・・だが、その『夫婦喧嘩』の方が、実は真実なのだ!」 ジョゼフはワインを再び自分のグラスに注ぎながら、楽しげに語り続ける。 「俺の姪、弟には娘がいるんだがな。名はシャルロットだが、今はタバサと名乗ってトリ ステイン魔法学院に留学している。なので、件の魔女達を監視させていた。その姪からの 情報だ。 使い魔のヤンへ、嫁が遠い国から船に乗って会いに来ていたんだ。が、ヤンは学院長の 秘書と浮気している真っ最中でな。それを見た嫁が怒り狂い、船で砲撃しながら亭主をブ ドウ畑の中で追いかけ回したんだ。結果、あっというまにタルブのブドウ畑が穴だらけに なった。 信じられるか?女一人で操る小さな船の砲で、あの広大なブドウ畑を、ほんの一瞬で だ!」 若き教皇は、ニッコリ微笑んで感想を一言。 「まさに天罰ですね」 この反応に、ジョゼフは露骨につまらなそうな顔をした。 「なんだ、知っていたのか」 「タルブの教区担当司教から報告がありました。…と言っても、妙な噂が同時に広まって いたので再調査させてみたのです。そうしたら妙な噂、夫婦喧嘩の話が真実と分かったと いうわけです」 教会の力には幾つかある。信者からのお布施や荘園からの収入という資金力。信仰とい う神の権威。何より教圏全域に行き渡る教会と各教区の司教からの報告という、国境線を 超える情報網。 「で、その船は夫婦喧嘩の果てに壊れたと聞いています」 「そうだ。だが、その後学院へ、同じ船が次々と飛んできたのだ。何か事情があるとかで 人は乗っていなかったそうだ。どうやら船自体が一種のガーゴイルらしくてな、全て無人 で飛んできた。 だが、それが意味する事、分からぬわけはあるまい」 「たった二人の平民相手でも軍事的に勝ち目がない、という事ですか」 「当然だ。例の船に付いている砲は、たったの一門。だが、その一発で遙か彼方の山を穿 つ。速力は風竜をも軽く上回る。素材からして不明。そんな物が何機も学院の横に並んで いるのだ。 ちなみに、奪おうとて無駄だ。シャルロットが船の中を見た。操縦法も何もかも、全く 理解出来ないそうだ。おまけに例の夫婦以外の誰が触っても何の反応もないし、重くて誰 にも動かせない、と」 「そうですか…残念ですね。それに、その情報は色々と大きな問題を含んでいますね」 教皇は、ここでようやく作り笑いを崩した。物憂げに溜め息をつく。 王もわざとらしく肩をすくめる。 「そう、極めて重大な問題だ。 まず例の魔女は、本物の『虚無』の系統だということ。何しろ俺と同じく人間を召喚し たのだからな。 にも関わらず、教会に対して露骨に反抗している。聖地奪還へも、だ。 これを軍事力で排除する事は既に不可能。ゲルマニアとトリステインの連邦制移行は決 定し、その国力は我がガリアにも抗しうる。そして件の船、ハルケギニアの全艦を集めて も勝ち目はない。 といって例の夫婦だけを殺したら、怒り狂った奴等の故郷から次々と船が飛んでくる。 無人のまま、脅威の大砲を乱射しながら、な なおかつ、あのヤンという使い魔…恐るべき軍師だ。俺のゲームを尽くひっくり返しや がった。それも異国の軍船など使わず、舌先三寸だけでアルビオンもゲルマニアも翻弄し たのだ」 「ほう?彼がひっくり返した…と言う事は、例の禅譲の一件はヴァリエール公爵の発案で はない、と」 「ああ。シャルロットが横で聞いていた、あの男が禅譲策を進言するのを、な。枢機卿へ 奇襲迎撃作戦を進言したのも奴だ。元は異国の元帥だそうだ」 教皇はもう一度溜め息をつく。物憂げに、ではなく驚嘆の溜め息を。 だがすぐに再び物憂げな表情へと戻った。 「今現在だけでも既に大事だというのに…今後について考えると、悲しみと不安で胸が潰 れそうですよ。 彼の国から妻が異国の軍船に乗ってやってきた。しかも次々と後続が送られてくる。ハ ルケギニアはエルフのみならず、彼の国からの侵攻にも怯えねばならない、という事に他 なりません。 おまけに例の魔女が言いふらす流言。聖地は既に無いとか、エルフ達が世界を守ってい るとか、こんな戯言を信じる者が増え出す始末」 「ああ、そうだな。まったく非常識な物言いだ。世の中は物好きな痴れ者で溢れかえって いる。滑稽にも程がある」 ジョゼフは楽しげに笑った。口の端を釣り上げ、低く押し殺した声で笑い続ける。 そして口の端を醜く釣り上げたまま、教皇を睨み付けた。 「…で、『光溢れた土地』と呼ばれる貧民窟の管理人が、結局俺に何の用だ?お有難い愚痴 を聞かせてやったから布施でも恵んでくれ、とでも言うつもりか?」 宗教都市ロマリア。聖職者は『光溢れた土地』と神聖化している。街には笑いと豊かさ が溢れ、神官達が敬虔なるブリミル教徒達を正しく導いている…と、信じ込ませている。 だが実際は、各地から流入する流民達の溜まり場だ。仕事も食事もなく、着る物にも事欠 く貧者の列が施しのスープに列をなす。その横を、着飾った神官達が談笑しながら寺院へ 向かうのだ。 そんな痛烈な批評にも、皇帝は怒りなど表すことなく静かに応じる。 「もちろん無心に来たわけではありません。ただ、我々は共通の敵を有している事を確認 しに参ったのです」 「ふん、そんなものは分かっている。だからといって、どうしようというのだ?」 「これです。恐らくは、あなたの所にも届いているはずですよ」 教皇は胸元から、見るからに立派な便箋を取り出した。それはトリスタニアで行われる ゲルマニア=トリステイン連邦建国記念式典、調印式への招待状。 ガリアの軍港サン・マロン。時は教皇とジョゼフが密会をした日、ようやく太陽が沈ん だ頃。 海沿いに作られた巨大な軍港には、ガリア空海軍の一大根拠地である。海に面した桟橋 や、地上に作られた鉄塔には、ガリア艦隊『両用艦隊(パイラテラル・フロッテ)』が、そ の威容を見せている。この大艦隊はハルケギニア最強と恐れられたガリア王国の、力の象 徴でもある。 一番高い鉄塔には、周りの戦列艦より一際大きい艦、ガリア両用艦隊旗艦である巨大木 製空中戦列艦『シャルル・オルレアン』号が係留されている。そして隣には、教皇の御召 艦『聖マルコー』号も。 その『聖マルコー』号の一室では、二人の男性が剣呑な空気を漂わせていた。魔法のラ ンプに照らされた青年と少年が、声を潜めて語り合っている。 「・・・既に三人の連隊長が応じました。ですがこれはロマリアの名を出すまでもなく、 ただ声をかけただけで、の数字です。恐らく教皇の後ろ盾が得られる事を臭わせれば、他 の騎士団や艦隊、一般兵からも同調者を得られます。 いえ、恐らくは軍と騎士団の大半が呼応してくれる事でしょう!」 テーブルを前に、興奮した様子で語っているのは二十歳過ぎの若い騎士。ピンと張った 髯が凛々しい美男子だ。 「東薔薇花壇騎士団に、反対の声は全くないんですか?」 テーブルを挟んだ向かいに座るのは、線の細い中性的な金髪の美少年。左は鳶色、右は 碧眼の月目(オッドアイ)を持っている。 「無論。このバッソ・カステルモールはじめ、ガリア東薔薇花壇騎士の総意は『簒奪者討 つべし』と、決行の日を心待ちにしています」 その言葉を聞き、細長くて色気を含んだ唇から嘆息が漏れる。そして柔らかい仕草で一 礼した。 「全く、心強い限りです。このジュリオ・チェザーレ、教皇聖下へ色よい返事を伝えられ る事を嬉しく思います。カステルモール殿のご協力には感謝の言葉も見つからないほどで すよ」 その言葉に、カステルモールの方が慌てて深く礼をした。 「何を申されるか!さぁ、顔を上げて下さい。あの簒奪者を討ち、シャルロット様の名誉 を回復し、真の王として戴けるというのであれば、聖地回復へのご協力に一片の迷いも差 し挟みませぬ!」 二人は互いに頭を上げる。 月目の少年は、鹿革の白い手袋に包まれた手をテーブルの上で組み、さてそれでは…と 話を続けた。 「では、実行計画の概要を話します」 カステルモールは顔を引き締め、チェザーレの言葉を聞き逃すまいと耳を澄ます。 「礼の調印式にマリアンヌ、アルブレヒト三世、クロムウェル、ジョゼフ…ハルケギニア の全ての世俗支配者が一堂に会します。そしてマリアンヌとアルブレヒト三世が調印し、 教皇聖下が始祖の名においてゲルマニア=トリステイン連邦国家建国の承認を宣言、とい うのが表向きです」 「だが実際には、トリステインの反連邦派が式典を襲撃して、全員を抹殺。教皇聖下は、 これを邪教徒討伐として承認する…ということですね」 騎士の言葉に、輝く金髪が上下に揺れる。 「ええ。あなたのおかげで、ガリア王がエルフと通じているという確かな証拠と証言が得 られました。例の連邦は、『虚無』を騙り人心を惑わす魔女を崇める邪教の国だと明らかで す。クロムウェルは、単に贈収賄等の教会法違反でもいいですが、まぁ簒奪者とか何とか 適当にしときますよ」 「その辺の政治的、宗教的処理はお任せします。ガリア国内の意思統一は、こちらに一任 あれ。よければ式典襲撃も、ジョゼフの警護に付いていく騎士にやらせましょうか?なん なら私が」 呼び捨てにした主君の殺害を口にする時、カステルモールの眼は期待に輝いていた。自 分自信でジョゼフを討ちたいと、その瞳は訴えいていた。 「いえいえ、あなたはガリア国内の方と、情報提供に集中して下さい。なにしろ式典襲撃 は簡単ですが、その後の各国を治めるのが大変ですから」 要人抹殺後、各国の統治をどうするか。その点についてカステルモールも少し頭を巡らす。 「アルビオンはウェールズ皇太子、トリステインはアンリエッタ姫、ガリアはシャルロッ ト様、ゲルマニアは…適当な有力貴族でも、ああ、ツェルプストー辺りを据えればいいで すな。 ふむ、アンリエッタ姫は未だ廃嫡も宣言されてませんし、ゲルマニアは三国の内政が落 ち着いてから切り崩せばよし…大きな問題は無さそうですが?」 不思議そうに尋ねるカステルモール。だが、まつげの長い美少年は残念そうに首を横に 振った。 「問題は王家ではなく、噂の魔女ですよ」 東薔薇騎士団の騎士は、ああ…と納得してしまった。 「なるほど、例の自称『虚無の系統』ですか。確かに真偽は別として、恐るべき魔力を秘 めているそうですからな。それに、その配下である異国の軍人、なんでも驚異的な軍船を 持つとか。 ですが所詮は平民。船から降りた時を狙えばよろしい。魔女にしても、魔法が強くとも 精神力は限りがありますから」 騎士の構想に、少年はさらに首を横に振った。 「いえいえ、そういう事ではないんです。 魔女と言われてはいるんですが、まだ年若い女の子ですよ。恐らくは政治的ライバルで あった枢機卿を追い落とし、トリステインの実権を握らんとする父君、ヴァリエール公爵 の策謀に利用されているだけでしょう。その配下の平民にしても、異国の者ゆえハルケギ ニアの事情に詳しくないし、始祖ブリミルの教えと深き慈愛を知らぬがゆえ…でもあるで しょう」 そこまで話して、チェザーレは口をつむぐ。にやにやと笑いながらカステルモールを見 つめている。 その様子にカステルモールも、彼が言いたい事について思い至った。 「なるほど…聖地奪還には彼等の力が必要、という事ですな」 「そうです。彼等の力があれば、聖地奪還は夢物語などではなく、現実の物となるでしょ うから。 でも実際には、彼等を『説得』するだけです。教皇聖下が直々に始祖の教えを彼等に授 けて下さるのですよ。要は、邪教の誤った教えを捨て、真の信仰に目覚めてくれれば良い のですから。 ですが、既に彼女が広めてしまった流言の方が心配です。お国の民へ目を光らせ、誤っ た教えが広まらないようにして欲しいのですよ」 その話にカステルモールも納得した。腕を組んでウンウンと何度も頷く。 カステルモールとてガリアの中枢に身を置く騎士なのだから、魔法学院に飛んでくる謎 の軍船の事は知っている。そんな船が編隊を組んで砲撃を加えれば、例えエルフでもただ ではすまない、と。 それに『己の過ちに気付き、邪教から身を洗い、始祖の信仰に目覚める』というのは喜 ばしい事だとも考えた。単に利用されているだけの者へ罪を問うて殺すより、温情に満ち た裁き、いや『救済』だと。 なので、彼は気付かなかった。少年が『説得』という言葉を発した時、そのイントネー ションに奇妙なものが混じった事を。彼の口の端が、僅かに釣り上がった事を。 もっとも、ランプのほのかな灯りの下では、そんな微妙な表情を気づけなかったとして も批判は出来ないだろう。 『プチ・トロワ』、それは王女イザベラが生活する薄桃色の小宮殿。 カステルモールとジュリオ・チェザーレが陰謀の相談をしていた日の夜更け、タバサを 乗せたシルフィードが小宮殿の前庭に降り立った。 タバサはツカツカと王女の部屋の前に立つ。すると部屋の前に立つガーゴイルが交差さ せた杖を解除した。天井から垂れ下がった分厚い生地のカーテンをめくり部屋の中へ入っ ていく。 タバサは手に持った書簡を広げ、黙って読んでいる。 無表情なまま、紙の上を視線が左右に往復している。 何度も何度も、書かれている内容を読み返している。 部屋の隅に控える侍女達は、タバサことシャルロットの初めて見る反応に、一体何が書 かれているのかと訝しんでいる。 「何度読んだって、内容は変わらないよ」 タバサの視線が、いい加減イライラし始めた部屋の主へ向けられた。 椅子に腰掛けているのは、17歳くらいの少女。青く細い目、絹糸のように細く柔らか い髪、大きく豪華な冠。それらは彼女が魔法先進国ガリアの王女である証。だが、その王 女が手に持ったグラスの中で波打つワインを一気に飲み干し、紅で染められた唇を舌でぬ ぐう下品な仕草が、高貴さとも上品さとも縁がない事を示していた。 「命令に、間違いない?」 タバサが尋ねる。 とたんに王女はタバサを睨み付けた。 「ああ~ん?人形七号…あんた、北花壇騎士として、団長たるのあたしの、このイザベラ 様の命令が聞けない…て、いうつもりかい?」 人形七号と呼ばれたタバサの人形の様に無表情な顔に、イザベラの視線が突き刺さる。 それでもタバサの顔は全く何の反応も示さない。そしてタバサを睨み付けるイザベラの顔 も変わらない。 しばし二人は睨みあう。イザベラが一方的に睨んでいるだけにも見えるが。 いつまで経っても変化しない、無表情に見つめ返してくるタバサ。 結局、イザベラの方が先に根負けした。 「言っておくけど、そいつは父上直々の命令だよ!」 その言葉にタバサの眼は僅かに見開く。そして手に持つ書簡を再び読み直す。 「間違いない?」 「しつこいねぇ、んな嘘ついてどうすんだい。それとも何かい、あんた、この命令には従 えないのかい?」 タバサは視線を上げ、北花壇騎士団長を見つめ直す。 しばらく黙ってイザベラの顔を見つめた後、小さく礼をした イザベラも、ようやく納得したらしいタバサへビシッと杖を突きつける。 「ふん、それでいいのよ。北花壇騎士(シュヴァリエ・ド・ノールパルテル)七号のあん たの任務よ。さっさと片付けてきなさい」 こうしてタバサは部屋を後にし、シルフィードで星空へ向けて飛び立った。 「きゅ、きゅいいいっ!!し、信じられないの!ありえないの!そんな命令、絶対裏があ るの!やっちゃダメなのきゅいきゅい!」 目的地へ飛ぶまでの間、タバサから任務を聞いたシルフィードは、大きな目をさらに見 開いてしまった。一応はタバサに言われたとおりの方角へ飛んではいるが、必死にタバサ へ思い直すよう訴える。 だが、タバサの無表情な顔は、やっぱり無表情なままだった。 「命令」 簡潔な一言。 だが、シルフィードは納得出来ない。大きな口から唾を飛ばし、抗議し続ける。 「きゅい!いつもいつも、命令だからって何でもやってちゃダメなの!たまには命令の内 容を考えるの!頭は使うモノなのよ!きゅいきゅい!」 これに対するタバサの答えは、やっぱり一言。 「任務」 断言され、シルフィードは一瞬二の句が継げず黙ってしまった。 そして、しみじみと溜め息をつく。 「はぁ…利用されてるのは見え見えなのねぇ…きゅいぃ。お姉さまはさんざんこき使われ たあげく殺されちゃうのね…思えば短いお付き合いだったのだわ。きゅい~」 そんな使い魔の呟きを気にする風もなく、タバサはシルフィードを空の彼方へ向けて急 がせた。 アルビオンへ向けて。 ニイドの月、ティワズの週、ダエグの曜日。 まだ夜も明けきらぬ早朝から、ヴァリエール家の屋敷では人々が動き始めていた。 医務室では、ベッドにカトレアが寝ている。ベッドの横に立つシエスタが、天蓋から数 本のボトルを吊り下げ、細いチューブをボトルの口に突き刺している。ボトルには「アミ ノフリードVSOP」とか「ソリタ-T800号」とか、色々な商品名やら注意書きが書き込ま れている。 シエスタの横や後ろでは、執事のジェロームはじめ何人もの侍女や下男が興味深そうに 手技を観察している。 彼女は手に持ったゴム紐を周囲の人々に示し、カトレアの腕を取る。 「…で、この駆血帯で腕を縛り、血管を怒張させます。そこへ予め薬液で満たしたチュー ブの針を刺すわけです。チューブ内の気泡は無い方がいいですけど、少しくらいなら大丈 夫です。 でもカトレアお嬢様は、あんまりハッキリと血管が出ません。だから、おしぼりとかで 腕を温めておくと良いです。穿刺部位を決めたら消毒用アルコールで拭いて、アルコール が乾いてから刺します。 この時、ちゃんと血管に入ったら針の中に血が逆流してくるのが見えますので、針を軽 く固定します。それからクレンメ(点滴用チューブの栓。滴下速度の調節にも使う)を開 くわけです。 ちゃんと針が血管の中に入っていたら、逆流していた血が血管へ一気に流れ去り、滴下 もスムーズです。でも入ってなかったら滴下がすぐ止まったり、刺してる所の皮膚が腫脹 して、あ、いえ、赤く腫れて来るので分かりますよ。時々、血管壁で針先が塞がれてるだ けの時もあるので、ちょっと動かして確かめて下さい。 それと、滴下速度は注意して下さいね。早すぎたら心臓が驚いてドキドキしちゃいます し、遅すぎたら血が固まって針の中で詰まっちゃいますから」 そんな解説をしながら、シエスタはタルブで学んだ医療知識を皆に実演する。解説に合 わせて手技を行い、点滴の方法を教える。 一通りの手技が終わり、ベッドサイドから立ち上がったシエスタは、部屋の隅を指し示 す。そこには山と積まれた箱があり、中には生理食塩水50mlパックの練習用点滴セットが ギッチリと入っている。 「以上です。では、今日も皆さんで練習して下さいね。分からない事があれば、いつでも 教えますから」 ニッコリ笑い講義と実演を終えたシエスタ。でも、皆さんで練習して下さいと言われた 人々は、互いに顔を見合わせる。 誰だって人に針を刺されるのは怖い、という以前に痛い。刺す方だって怖くて手が震え たりするし、そんな状態で刺されれば当然失敗する。もちろんその時は練習台の人が冷た い目で睨んでくる。 そんなわけで、お前腕貸せよ、やだよあんた出しなよ、私怖いから無理、え~と確か急 用があったよなぁ、なんて囁き合っていた。 「大丈夫ですよ。私が練習台になりますから、皆さん気兼ねせずに練習して下さい」 と、笑顔で言ってくれたのは点滴を受けているカトレア本人。 そんなお嬢様の優しさに触れた人々は、勇気を振り絞って練習を始める。そしてシエス タは彼等の間を歩き回り、「ああ、ダメ、逆です。針は体の方へ向けて刺すんですよ」とか 「そうそう、滴下まで出来たら、こういう風にチューブで輪を作って、肌の上にテープで 止めるの」とか、講義を続ける。 コンコン 医務室の扉がノックされ、ルイズが顔を出した。後ろにはヤン・フレデリカ・キュルケ もいる。 「ねえ、ちい姉さまの点滴はどう?」 「あ、はい、良い感じで落ちてますよ」 元気に答えたのはシエスタ。 ちなみにこの『落ちている』というのは、「チャンバー」と呼ばれる太くなった箇所に薬 液がポタポタとスムーズに滴下されているということ。「点滴」という呼称はここから来て いる。これにより薬液中の微小な気泡が除去され、時間当たりの注入量、即ち注入速度を 測ることができる。 機械でやれば正確に行えるが、代わりにヴァリエール家の人々には扱えない。なので昔 ながらの方法が教えられていた。 ベッド上に寝ているカトレアが、少し寂しげに笑いつつルイズ達に手を振った。 「皆さん、もう学院へ行くんですね。また何時でも遊びに来て下さいな。ルイズも、あま り皆さんに無理言っちゃダメよ」 「そ、そんな事言わないもの!」 ちょっとむくれるルイズをヤン達がまぁまぁとなだめる。 ルイズは気を取り直し、シエスタの方へ目を向ける。 「それじゃ、私達は先に学院へ戻ってるから。ちい姉さまの事はお願いね」 「はい、承知しました。屋敷の人達に手技を一通り教え終えたら、私も学院に戻りますか ら」 「頼むわね、ヤンに『ドラート』で迎えに来てもらうから」 そんなわけでルイズ達は、使用人達が必死な顔で点滴の練習をする部屋を後にする。そ して二機の小型機は屋敷を飛び立ち、学院へ向かった。 ちなみに、運動神経をどこかに置き忘れてきたかのように見えるヤンだが、小型機は墜 落せずにちゃんと飛んでいた。 その日の昼、トリスタニア。タニアリージュ・ロワイヤル座。 本来なら聖堂から11時の鐘の音が響く。数ヶ月前ならそうだった。でも今、聖堂は建 て直してる真っ最中。打つべき鐘が無かった。 円柱が並び、どこかの神殿かと思わせる石造りの立派な劇場だ。おめかしした紳士淑女 が階段を上がり、劇場内へ吸い込まれていく。 演目は『君のために鐘は鳴る』。 上官の不興を買い、国立劇場へ飛ばされた若き士官が主人公。最初は劇場の雑用にこき つかわれ落ち込むが、美しき女優達や裏方の大道具係など劇団員達との交流によって立ち 直り、歌劇の素晴らしさに気付く。いつしか自分でも素敵な歌劇を生み出したいと、脚本 家への道を歩み始める。そして街に戦火が及ぶ時、団員達と愛する女優を守るため、一人 敵軍に立ち塞がる・・・。 「よくあるストーリーですけど、なかなか人気ですね。何より女優達の歌が良い。それに ラストも好評ですよ、女優達が実は訳あって貴族の地位を失ったメイジ達で、士官は女優 達を率い秘密部隊を結成、街を侵略者から守り続ける、と。…私としては趣味じゃないラ ストですが、町娘には受けてます」 商人風の男が隣の貴族へ呟く。 「いや、前回の『トリスタニアの休日』が不評でな。さすがに経営が傾いたので、ちゃん とした劇団を連れてきた」 初老の貴族は商人風の男へ向けて笑う。銀髪の貴族は冗談を言ったらしい。だが商人風 の男は、あの大根役者共では当然だろう、と納得していた。 その後も二人のひそひそ話は続く。 「…以上が調印式での警備体制だ。上空の竜騎士隊は…」 「…教皇聖下お付きの聖歌隊員を通して下さい、特徴は月目…」 二人が話しているのは、調印式典襲撃の詳細な実行計画。ハルケギニアの歴史を塗り替 える陰謀が、まるで世間話のように交わされていた。 そして終劇の頃、一通りの情報交換が終わる。商人風の男は貴族の男に小さな袋を手渡 す。貴族が中をのぞくと、中には金貨がぎっしり詰まっていた。 「アルビオンのお方は、豪毅ですな。そして信心深く、伝統の何たるかを理解していらっ しゃる」 「何をおっしゃる。かの魔女に惑わされず、真の信仰を貫くあなたを前にすれば、私など 修行の足り無さを痛感します」 「ふふ、信仰ゆえだけではありませんよ。白銀の船を駆るヤンという平民、そやつに裏か ら操られる公爵…このままでは、滅ぶのはトリステインだけでは済まぬ。ハルケギニア全 ての危機なのだ」 商人風の男は強く頷く。 「アンリエッタ姫も、異国の侵略を受けて滅び行く故国に心痛めております。姫をゲルマ ニアに売ろうとしたマザリーニも追放された今、真の王を回復するのは今を持って他にあ りますまい。 そもそもヤンにいたっては、フーケなどという盗賊の情夫ではありませんか。あんな盗 人を庇う連中など、城を傾かせて潰す以外の終幕はありますまい」 貴族も強く、何度も頷いた。 ―――マザリーニが追われた宰相の地位にはヴァリエール公爵が就いた。公爵自身の政治 的才覚と公爵夫人の伝説的武功、そしてルイズの持つ『虚無』のカリスマにより、マリア ンヌ以下の連邦派はトリステインの主流を占めている。加え、異国から謎の船を次々と呼 び寄せるヤン。彼は、かつて枢機卿達に示した知略からも、公爵の参謀か懐刀だ、と噂されていた。 無論、急速に権勢を増す彼等への反発や、激変する情勢についていけない守旧派、王家 への忠義を厳格に守るものも存在する。何よりアルビオンは、公爵とヤンに恨みを抱いて いる。 まずアルビオンがロングビルの正体を公表した。同時にロングビルは公の場から姿を消 した。ヤンへは公爵とマリアンヌが「不問に処す」と宣言。その後もトリステイン・ゲル マニアでは不満分子や信仰心高きものへ、レコン・キスタへの取り込みが隠密下で進めら れている。 反連邦派からは「公爵は売国奴。異国の軍人に操られて国を売った」との言葉が囁かれ た。「ヤンはエルフか東方の間者、奴等はハルケギニアへの侵攻を企てている」という噂 も、まことしやかに飛び交っている――― 「ところで、例の『虚無』の魔女はどうなのです?」 問われた貴族は、ふと首を傾げて考え込む。 「いや、実はここ数ヶ月、表舞台には出ておらんのです。学院が夏休みになると同時に、 例の船に乗って何処かへ飛び去ってしまいましてな。たまに帰ってきても、城に来る事も 少なく、所在不明でした。 ですが、調印式には姿を見せるそうです。貴賓席ではなく一般の貴族達の席で式典を観 るとか。当日、例の平民夫婦は銀の船に乗らず、主と共に席で座っているとのこと」 「ふむ、ならば計画への影響は少ないでしょう」 二人は小さく安堵の息をつく。 そんな話をしている間に、カーテンコールを受けた役者達が舞台に並んで観客席へ深く 礼をした。二人も軽く拍手をしてから劇場を後にする。 初老の貴族は、劇場前に待つ立派な馬車へと乗り込んだ。恭しく頭を垂れた御者が主に 尋ねる。 「リッシュモン様。この後はどちらへ向かわれますか?」 「高等法院へ戻れ。式典の警備を少し変えねばならん」 「かしこまりました」 馬車は方向転換し、城へと向かった。 同じ日の夜、トリステイン魔法学院。 新学期も始まるし、調印式も明日に迫っている。なので生徒達は既に学院に戻ってきて いる。 ルイズの部屋でも調印式用に新調したドレスと、新学期に着る制服を鏡の前で確かめて いる姿があった。何度も何着も着替えてしきりに確かめているのはルイズ、その隣で着替 えを手伝っているのはフレデリカ。 「うーん、やっぱりピンクの方が髪の色に合ってていいかしら?」 「そうですね。ネックレスはこちらのルビーが良いと思いますよ」 「え~?ピンクと赤かぁ、合うかしら?それよりこっちのサファイアのが…」 二人はドレスとアクセサリーのチョイスに夢中だ。時間が経つのも忘れて鏡とにらめっ こしている。 で、ルイズの着替え中、ヤンは寮塔の外に一人でほっとかれていた。 「やっぱり女性の着替えとかって時間がかかるねぇ」 「んだなぁ」 横に置かれたデルフリンガーを話相手に、ボンヤリと草の上であぐらをかいている。 そんなヤンの前に、小さな人影が立った。 「おや、タバサさん。こんばんわ」 ヤンの前に立つタバサはコクリと頭を下げる。 そして一言呟いた。 「客」 「客って、僕にかい?」 「あなたと、フレデリカと、ルイズ」 タバサは相変わらず無表情のまま、学院近くの森を指さした。 夜の森は暗く薄気味悪い。ヤン達の懐中電灯で足下を照らしてはいるが、それでも森の 闇は彼等を包んでいる。 「転ぶんじゃねぇぞ、ヤン」 「転ばないよ」 と、デルフリンガーに言われたヤンは、気の根っこに躓いて綺麗に転んだ。 「いわんこっちゃない」 いててて…と足をさするヤンは慌ててルイズ達の後をついていく。 タバサは森の奥、シルフィードのねぐらに三人を連れてきた。 そこには客らしき人物も、シルフィードもいなかった。 「ねぇ、タバサ。客って誰なの?」 ルイズが不安げに尋ねるが、タバサは何も言わない。ただ視線を上に向けた。 「あら、あなた…あれって、確かタバサさんの使い魔の」 フレデリカの言葉にヤンも上を見る。するとそこには、翼を広げ降りてくるシルフィー ドの影が見えた。彼等の前に舞い降りたシルフィードの背には、フードをすっぽり被った 人が乗っている。 「初めまして、『虚無』の使い手さん。それと異国の軍人さん達」 若い女性の声が森に響く。そしてシルフィードの背から軽やかに降り立った。 ルイズは懐中電灯で地面に降り立った人物を照らしてみる。だが誰なのか覚えはなかっ た。 「誰なのかしら?フードを取って名乗りなさい」 「あら、失礼しましたわ」 そう言って女性はフードを外して顔を露わにする。ヤンが持つ懐中電灯の光に照らされ た女性の額には、ルーン文字が書かれていた。 「あなたは…!?」 「私はミョズニトニルン。あなたと同じ虚無の使い魔よ、ヤン・ウェンリー」 女はヤンへ向けて不敵な笑みを向ける。 その指には、妖しく深く水色に輝く石を嵌めた指輪がある。 それは、クロムウェルがつけていたアンドバリの指輪。 第29話 説得 END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/1912.html
20ページ目 ――1220 女「さて、艤装もしっかり適合したみたいだし、お披露目といきましょう」 潮「どんな人なんでしょう……?」 女「会ってみてからのお楽しみよ」 女「ほら、出てらっしゃい」 北上「あたしは軽巡“北上”。まーよろしく」 漣「ダウナー系ktkr!」 曙「は……なんともやる気なさげ……」 潮「そ、そういうこと言うのは駄目だよぉ……」 那珂「那珂ちゃんスマイル!」 北上「……提督」 女「はいはい」 北上「……左遷?」 女「よくぞ見抜いた」 北上「キャラが濃いですねー」 女「まぁね。個性豊か、って言ってもらいたいかな」 北上「同じじゃんか」 女「ニュアンスよ、ニュアンス」 北上「うへー」 女「貴方も十分キャラが濃いと思うんだけど」 北上「マイペースが一番ですよ、マイペースが」 北上「あ、味噌汁は薄い」 女「分かる」 次へ トップへ
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3107.html
839 :影響を受ける人:2014/09/28(日) 22 00 22 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第二十九話 ―大人達の集まり― ――カコン・・・・・・ 東京の某所。 料亭が自慢する日本庭園が見える場所で、古くから日本を支える家系が三人集まっていた。 海軍軍令部総長 九鬼嘉明(くき よしあき)大将 陸軍参謀総長 柴田勝義(しばた かつよし)大将 前総理大臣 織田信平(おだ のぶひら) いずれもこの国において、発言力のある人物たちである。 三人のうちの一人、最も年齢が高い信平が御猪口をテーブルに勢い良く叩きつける。 「くそ! 秀文め・・・ 自分の意見も真っ当に言えんのか?」 現政権を担っている豊臣秀文(とよとみ ひでふみ)は幼いころから知っている。 押しが弱い所があるのは承知していたが、こうも状況に流されているというのを見ると面白くない。 それを見た三歳年下の勝義がたしなめる。 「信平殿、落ち着いて。」 「ぬぅぅぅ・・・」 「気持ちはわからんでも無いですな。 いくら有効手段であるとはいえ、ウィッチ確保の為に学徒徴兵は・・・」 「それもあるがな。最近は九曜殿も動いているらしいではないか?」 信平が苦虫を潰したように言うと、二人は目線のみを合わせる。 「そうですな。」 「ですが、あくまで“お願い”ですぞ?」 九曜葛葉の動きはかなり活発だ。 一応派閥の上層に働きかけているだけとはいえ、影響力はこの場にいる者達よりもある。 「ふん! あの方が現政権に良い思いをしていないのはワシにもわかる。 しかしだな。今まで干渉を控えていたのに、何で今になってこんなに動くのだ?!」 信平はそう言うと、お酒を御猪口に注ぐことすらやめて徳利から直接飲む。 天皇家に仕え、この国の発展を影ながらに補助してきた九曜葛葉。 しかし、決して政権の方針に逆らうようなことや、捻じ曲げる事はしてこなかった。 常に一歩も二歩も下がった位置での助言に終始している。 それが現代において、この戦時中において積極的に動いている。 「野心が無いというのはわかる。 有ったならば今頃この国は、とうの昔に傀儡となっているはずだからな。」 暴言ともとれる発言に、嘉明は目を剥いた。 「信平殿!」 思わず責める様に怒鳴ったが、目の前の男は全く動揺しない。 「お主らにも接触していたのだろう? ワシの所にもきたわい。断ったが・・・」 「断ったのですか?」 「そうよ。勝義よ・・・お主はどうなのだ?」 「自分は・・・ 提案された案件は、元々考えていた事だったのでそのまま了承しました。 新興企業の倉崎重工は新しすぎて、信用できかねましたが・・・」 「九鬼も同じであろう。」 「自分は間違いを正す機会と、戦場で奮戦する子女の手助けが出来ればと思ってです。」 840 :影響を受ける人:2014/09/28(日) 22 00 52 胸を張って答える二人に、信平は冷たい視線を向けるのみ。 「だが、結局は九曜殿のいう事を聞いたのだろう?」 「「・・・・・・」」 つまらなさそうに酒を飲む。 「さっきも言ったがな。あの方に野心は無い、それはわかっている。 邪まな感情もないとな。 しかし・・・だからこそワシは危惧している。 あの方が、どこかしらの組織に肩入れしているという未確認情報。 この情報が無ければ、ワシはここまであの方を否定はせんかった。 政治において何が必要かわかるか? 常に最善を示し、大を生かし、小を切り捨てる覚悟。 己の手を血で濡らす事に躊躇しないだけの器。 国の為に、世界を見ながらにして判断できる能力。 己を捨てる事が出来る精神力・・・ 挙げればきりがないが、あの方にはそれらが全てそろっている。 信長公は言ったそうだ・・・ 『九曜葛葉が政(まつりごと)に関して万が一動いた時、我が家系は反対に回れ。 あ奴はこの国のため動くだろう。しかしだ、なんでも「はい」と言ってはいかんのだ。 一人くらい反対に回り、押さえつけなければならぬ。』 とな・・・」 一気に語り終え、渇いたのどに御酒を流し込む信平を見詰める。 九曜は確かにこの国の守護神として活動してきた。 その為、自分達は「この方に間違いはない」と勝手に判断していたのかもしれない。 しかしそれでも、自分で決断したのだからその責任は自分達が持つ。 それに・・・ 「九曜殿・・・・・・」 「寝てしまいましたな・・・」 「仕方がないでしょう。秀文に対して相当イラついていたようですし。」 「最初はその愚痴ばかりだったな。」 「左様。っと、ここで寝かせるわけにもいかんな。」 二人は料亭の従業員を呼ぶと、隣の部屋に布団を敷かせてもらった。 そしてそのまま信平を寝かせ、二人だけで飲み直した。 勝義が嘉明の御猪口に御酒を入れながら口を開いた。 「やれやれ、幼馴染三人での酒宴だったというのに・・・」 「ははは・・・ ああ、ストライカー装備はどうだ?」 「何とかなっているな。陸戦ウィッチは魔力さえ使えばある程度の重量を無視できる。 だから大の男が使う武器も扱えるのが良い。」 「ウチとしても共通武装が使えるから安上がりだ。 特にあの機関銃。倉崎は良い物作るな。」 「墳進砲はこっちにも回して貰えんか? あれがあると中型相手に楽なんだが。」 「【アホウドリ】を仕留めるのにしか使っていないから、回せられると思う。」 「ありがたい。」 「・・・しかし信平殿の危惧もわかる。」 「倉崎重工・・・あ奴らのアイディアには驚かされるな。これも九曜殿の肩入れだろうか?」 「わからん・・・ とりあえず、あの組織はバランス感覚に優れているというのはわかっている。」 「ああ、まさか海軍将校まで取り込んだ組織だとは知らなかったぞ。」 「うむ・・・」 二人は酒を飲みほして溜息を吐く。 「今、大陸は小康状態だ。この間に備蓄を済ませておかんと・・・」 「そうだな。そう言えば例の交流会。誰を選抜するのだ?」 「それはお楽しみだ。田中ウメ大佐に任せているから問題ないだろう。 お前だって、水瀬大佐に任せているんだろう?」 「うぐ・・・」 酒宴は夜遅くまで続いた・・・ ――――― 841 :影響を受ける人:2014/09/28(日) 22 01 27 皇居の某所。 天皇陛下の書斎で、九曜葛葉が仁王立ちしていた。 部屋の主は椅子に座っているが、目を潤ませている。 「駄目か?」 「駄目です。」 即答で断じられた。 「せめて、艦上から見学してもいいではないのか?」 「駄目です。」 回答は同じだ。 「ぐぬぅ・・・」 「唸っても駄目です。」 ションボリと肩を落とした陛下の前で、溜息を軽く吐く。 「陛下・・・確かに今大陸は小康状態です。 だからと言って、大陸おこなう交流会に出席するなど、許可できかねます。 ネウロイがどのように行動するかわからない以上、貴方様の身の安全を守るのがどれだけ大変か。 私も共に参っても良いですが。最悪の場合は貴方様のみを抱えて脱出せねばなりません。」 「そうか・・・」 目の前で気落ちする陛下を見ると、ちょっとだけ罪悪感が浮かぶ。 しかしこれは重要な事だ。 この国の象徴たる天皇がもし死んでしまったら・・・その影響は計り知れない。 それゆえに反対するのだ。 「わかって頂いて、ありがとうございます。」 「・・・わが娘は行くのになぁ。」 「分体を12体護衛に着けます。それで問題ないかと・・・」 未練がましく呟く陛下に、さすがの九曜も悪い気がしたのでお願いを一つだけ聞く事にした。 「おお! ほんとうか!!」 「大陸に行く事以外ならば・・・」 「ならば参加する者達すべてに、そなたの御菓子をやって欲しい!」 「ゑっ!」 「無論、朕が試食して合格した物だけだ。」 お願いは単純な・・・ しかし参加者全員となると、その量は半端じゃない。 九曜は何度目かの後悔をするのであった。 以上です。 夢幻会、たまには出さなくてもいいよね! オジサンたちの御話でそんなに面白くないかもしれない。 次回は交流会に入るぜ!
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/730.html
731 :慣れていたという事も時にはマイナスとなる事―雛祭り編―:2016/03/03(木) 17 26 50 ID HzSpfzbY 「提督さん、お疲れ様です」 練習巡洋艦鹿島です。提督さんが出張中の鎮守府の留守を任されました。 そして今日、提督さんが出張から帰ってきたんです。 「留守番ご苦労様。何も変わった事はなかったか?」 「変わったことがあったら連絡してますって」 「鹿島さん、お疲れ様です」 「大淀さん達も礼号作戦お疲れ様です。 予定より少し長引いちゃいましたけど、 みなさん無事に帰ってきて何よりです」 「ありがとう。でも私達がいない間に 鹿島さんや提督達に随分と苦労をかけてしまいました。 今日からまた頑張らせていただきます」 確かに大淀さん達がいなかったこの一ヶ月は大変でした。 でもそのおかげで提督さんや私達も成長できた気がします。 「さあみなさん。今日からまた頑張りましょう」 「ああ、今日からまた忙しくなりそうだしな……」 「?…提督さん、何か……というかそちらの方々は?」 提督さんがお客様を連れてきたのでしょうか? 「Hi!MeがIowa級戦艦、Iowaよ。 Youがこの艦隊のAdmiral's secretary ship girlなの? いいじゃない!私たちのこともよろしく!」 「あ…アイオワ……」 驚きました。アイオワが日本に来るとは聞いていましたけど、 まさかこの鎮守府に来るとは思っていませんでした。 予想だにしていなかったお客様です。 「よ、よろしく頼むわ。ところで…」 「大和型戦艦、一番艦、大和。推参致しました!」 「秋月型防空駆逐艦、一番艦、秋月。ここに推参致しました!」 「!?」 「Guten Morgen!私は、重巡プリンツ・オイゲン。よろしくね!」 「ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦4番艦、ローマです。よろしく」 「こんにちわあ。潜水母艦大鯨です。よろしくお願いします」 「え?え?ええ!?大和に……防空駆逐艦!?」 「オイゲン?どうして?」 「ローマも……」 「潜水母艦も!?なんだかみなさんこの鎮守府に大集合デース!」 「大和や海外艦の皆さんがどうしてこの鎮守府に……」 「あら?何も聞いていなかったのかしら?」 「ザラ!?」 「秋月型駆逐艦、その四番艦、初月もだ。 鹿島、久しぶりだね。今日は二人の姉も一緒さ」 「つまり照月も……」 驚きは止まりません。懐かしい顔ぶれもあったからです。 本来ならここに来ることはないであろう子達も…… 「他にもたくさんの艦娘が今日この鎮守府に着任するんだ」 「はわわわ!大変です!」 「でもどうして」 「私が説明しましょう」 大淀がそう言って私に指令書を手渡しました。 「5月26日と27日に伊勢志摩でサミットが行われることはご存知ですね?」 「はい。日本、ドイツ、イタリア、イギリス、アメリカ、フランス、カナダ、 G7と呼ばれるその7ヶ国が集まって会議を開くのでしたね」 「その通りだ。あまり離島っぽく感じない離島の賢島で行われるんだ」 「でも海に面した場所でサミットなんて大丈夫でしょうか…」 「確かに深海棲艦が蔓延っているこんな時に いくら陸地に囲まれているとはいえ 海に面した場所でサミットを行うのは大変危険だ。 だから彼女達がここに来たのだ」 「そうです。サミットの間、艦娘が全力をもってして守り抜くのです」 「だから海外艦娘達にも地理を知ってもらいたい。 彼女達は各国の要人達の警護という役割もある。 こんな時代なのに…いや、こんな時代だからこそ よからぬ考えを持つ輩が出て来るかもしれない。 もしもの時に守りながら安全に避難させる為にな」 「大和さんや大鯨さん達には議長国の艦娘として 警護の仕事をしながらおもてなしをしてもらいます。 秋月型のみなさんは当然防空のために必要不可欠です」 「でもだったら私達や秋月型だけでもいいのでは… それにおもてなしなら艦娘以外でも…」 「そりゃあそうかもしれん。だが艦娘にしかできない仕事もある」 「艦娘にしかできない仕事……むしろそのために サミットの会場が伊勢志摩になったのかもしれません」 「艦娘による観艦式、それがサミットで行われるのだ」 艦娘による観艦式……それが深海棲艦の驚異に晒されている今、 あえてサミットの会場が伊勢志摩になった理由…… 「観艦式を行うことによって国威を見せ付けようとしているのだろう。 日本だけじゃなくて他の国々もそう考えているだろう。 そうでなければ内陸の軽井沢がサミット会場になっていただろうさ。 まあ観艦式をするにしてもジュニアサミットが 桑名市長島町のリゾート施設で行われるわけだから サミットも桑名で行ってくれりゃ警備も楽だったんだがな。 英虞湾以上に陸地に囲まれた伊勢湾の最奥に位置するから 伊良湖・鳥羽間を重点的に警備すれば 深海棲艦の脅威からは守れるわけだしな」 「今グチグチ言ってたって何にもならないでしょ!」 「まあそうだ。今俺達がやらなければいけない事は 何としてもサミットを成功させる事だ。 その為に大和達や海外艦娘達がここに来たんだからな」 海外艦娘や大和さん達が来た理由はわかりました。 でも一つの疑問が解決したと同時に新しい疑問が浮かびました。 「サミットの準備の間、提督さんはどうなるのですか?」 国の威信をかけて何としても成功させなければならないサミットですから、 そのサミットの警護なども艦娘に行わせるというのなら、 別の提督がこの艦隊の指揮を執ることになるのではないのしょうか?」 「そこらへんは特に何も言われなかったな。 多分俺が引き続き艦隊の指揮を執るのだろう」 「それでよろしいのでしょうか……」 「サミット関係に関しては私大淀に任されています。 鹿島さんは練習巡洋艦として防空・対潜の訓練の他、 観艦式の指導を行ってもらいます」 「私が観艦式の指導をですか!?わ、わかりました!」 練習巡洋艦であることを見込まれて選ばれた以上、 尻込みなんてしているわけにはいきません。 サミット成功のため、艦娘達の指導を頑張らなきゃ! 練習巡洋艦であることを見込まれて選ばれた以上、尻込みするわけにはいきません。 サミット成功のため、艦娘達の指導を頑張らなきゃ! 「提督、おかえりなさ……お客様がこんなに!?」 「伊良湖か。言い忘れていたけどサミット関係で 今日この鎮守府に海外艦娘を含めた多くの艦娘がやってくるから、 礼号作戦成功記念の雛祭りは海外艦娘歓迎会も兼ねて行うことにした。 食べ物の準備に手間が増えると思うが…… 大和、大鯨。早速だが伊良湖達を手伝ってくれ」 「艦隊戦ではないとはいえ、任務ならこの大和、喜んでやりましょう」 「お料理ならお任せ下さい」 「あの、提督。ご飯に関しては私が手配をしてもよろしいでしょうか?」 「大淀が?何か……ああ、わかった。伊良湖達はおかずやお菓子とかを頼む。 一応白米もある程度炊いておいてくれ」 提督さんはあっさりと大淀さんに許可を出しました。 もし大淀さんが用意するものが変なものだったらどうするのでしょう。 ありえないこととは思いますが、戦闘や警備に関係すること以外だと たまに詳しく話を聞かないことがある提督さんですから…… 「大淀は手配が済み次第鹿島と共に事務を手伝ってくれ。 他の、今日やってきた艦娘達は午前中は明石に艤装を見てもらいたいから休んでくれ。 それで午後からこの鎮守府の艦娘達と一緒に鹿島や秋月型に対空の指導をしてもらえ」 「了解です!」 提督さん、燃えてますねえ。プレッシャーはないのでしょうか? 提督さんにプレッシャーがないのなら、私も頑張ります! 私は意気込みも新たに仕事に取り掛かり初めました。 「雛祭りに牛丼ですか?」 午後からもたくさんの艦娘達が鎮守府に来ました。 礼号作戦祝勝会も兼ねた雛祭りは たくさんの艦娘達の歓迎会に早変わりしました。 「大淀のツテだからね。私としてはカツ丼がよかったけど…」 「それにしても霞達の活躍を讃えての祝勝会だったはずなのに 主役のみなさんが差し置かれることになりましたね」 「別に私は讃えてほしくもないわ」 「あたし達は立派な五人囃子の人形を作ってくれただけで十分さ」 「五人囃子って大体が爆弾で吹き飛んだりと不幸が目立ちますからね。 たまにはこういう形で目立ってもいいと思います」 朝霜ちゃんや清霜ちゃん達が雛人形の五人囃子を誇らしげに見つめていました。 礼号作戦で活躍した五人の為に特別に作ってもらった人形です。 「でもお内裏様とお雛様が連装砲くんと長10cm砲ちゃんとかカオスですね」 「お内裏様は元々男の人形と女の人形の二つセットを意味していたんだがな。 ついでにお雛様もひな人形全てを指す言葉だったりする。 これも昭和の時代の雛祭りの歌が原因というわけだ」 「Bomberに火をつけるのもそういうわけね」 「何はなくともまず爆弾に火をつけるのは全国共通だが 海外でもそうだとは知らなかったな」 「もう、ボケないでくださいよ。ぼんぼりですよ、ぼんぼり。 いくらボンバーと語感が似てるからって間違えちゃダメですよ~、うふふっ」 「わかってるって」 「提督さんも喋ってばかりいないで一杯どうぞ」 「ありがとな…………ん…………これ、甘酒じゃないな?」 「白酒ですよ。なかったみたいなので自分で用意しちゃいました。 大丈夫ですよ。私以外には飲ませていませんから」 「そうか…それなら安心だ」 提督さんの顔は安心した感じでした。 いくら私がお酒を飲めるからっていくらなんでも子供には飲ませませんよ。 隼鷹さん達だって飲めない人にお酒をすすめたりはしませんし。 「しっかし、随分と飲んだなあ。一人で飲んだのなら相当だぞ いくらなんでも飲み過ぎだろう」 「今日は特別な日じゃないですか。 だから今日くらい飲んだっていいでしょ」 「ああそうだな…だったらしょうがない…か…」 「司令官、鹿島さんが飲みすぎないように私も飲んであげるわ」 「何言ってんだ。駄目だ。暁にはまだ早い」 「どうしてよ!雛祭りは白酒を飲むものでしょ! 今までだって私は雛祭りの時に白酒を飲んでいたわよ」 暁ちゃんがぷんすかと怒って提督さんに文句を言いました。 しかし何というか…暁ちゃんの背伸びする姿ってかわいいですよね。 「暁。君が今まで飲んできたのは甘酒だろう。 白酒は甘酒と違ってアルコール度数が10もあるんだ。 甘酒ならまだしも白酒を今の君に飲ませる事は出来ない。 もし君に白酒を飲ませてしまえば大変な事になる」 「ええ……」 「暁が一人前のレディになれなくなるかもしれない。 もし一人前のレディになりたかったら我慢するという事も大切だぞ」 「……わかったわ司令官。わがまま言ってごめんなさい……」 「わかってくれたらいいさ」 「提督……立派なことを言うじゃない」 暁ちゃんを諭す提督さんの姿にザラは提督さんを見直したみたいです。 微妙に頼りなさそうと思われやすいですけど、 決めるところはちゃんと決められる提督さんはやっぱりかっこいいです。 「あっ、鹿島。あなたホントお酒飲み過ぎじゃないかしら」 「え?そうですか?」 「さっきからごくごくと休みなく飲んでるし」 「そんなこと……あ…もう白酒がなくなっちゃってました…」 気がついたらいつの間にかなくなっていました。 なんだかみなさんの視線が痛いような…… 「しかし意外だね。鹿島ってお酒が強かったんだね」 「意外でしょう。彼女も結構いけるクチなのよ。 ポーラとは違っていつも飲んでるってわけじゃなくて あくまでもお祭りとかの時に飲むという姿勢だけどね」 「あまり言わないでくださいよ。提督さんが拗ねちゃいますから」 「へ?どうして?」 「提督さんあまりお酒が飲めないんですよ。 飲んだらすぐに顔が赤くなっちゃって…… まったく飲めないというわけではないのですが……」 そう言って提督さんに目をやると提督さんは顔を少し赤くしながら 私達の会話を聞くまいと言わんばかりに料理を食べることに夢中でした。 「隼鷹さんや那智さん、千歳さんに対してはあまり思わなくて 鹿島さんよりも飲めないということを気にしているようなのです」 「細かいこと気にしない提督だと思っていたけど…… 妙なところで気にしたりして…よくわからないわ……」 「好きな人より劣っていると不安になるのかもしれないな。 特にお酒の場合はコミュニケーションのツールとしても用いられるから 提督の性格的に鹿島と一緒に飲めないことを気にしているのだろう。 私は好きな人が瑞雲の模型や知識を私以上に持っていても 気にすることなく、むしろ私ももっと高めようと思うぞ」 「そりゃあそれらは先天的なものではなくて後天的なものですから…… それよりも白酒はどうしましょう…… そうだ、隼鷹さんならきっと白酒を持ち込んでいるはず」 白酒がなくなって困った私は隼鷹さんなら持ってるだろうと思い 隼鷹さんのところに行きました。予想通り隼鷹さんも白酒を持ってきてました。 「あの、隼鷹さん、すいませんがそのお酒をくださいませんか?」 「ん?鹿島もこれを飲みたいのかい?いいよ、瓶ごと持ってきなよ」 「ありがとう隼鷹さん」 私は隼鷹さんから白酒の瓶を受け取り、お酒をカップに注ぎました。 「あら?この白酒透明ですね。まあ白酒と書いてあったんですから大丈夫ですよね。 それじゃ隼鷹さん、いただきます」 どうやら私にも提督さんのざっくばらんさが移っちゃったみたいです。 「…………あっ!?待て!飲むな!」 「んっ………んー………」 提督さんが大声で止めるも、もう飲んじゃいました。 一気に飲んじゃったせいかよく味わいませんでしたけど、 後から凄いアルコール臭が…………あれ……? 「凄いねー。これをあんなに一気飲みするなんて」 「ああ………」 「し、司令官さん……顔色が少し悪いですよ」 「あぁ~、ホントですねぇ~。 提督さんもコレ飲んで温まりましょうよ~…んっ……」 「お前、これ以…んーー!!」 「鹿島!?」 「Oh!Japaneseも意外とダイターン!」 「私はクォーターですよ~」 「う……いや…そういう意味じゃなくてぇ…」 「Hey!Mrs.鹿島!時間と場所を弁えてくださーい!」 「まあ。なんて地中海的な愛情表現……」 「はわわわわわわわわわわわわ」 「き、規律が……」 みなさんの驚く声が聞こえてきます。 「そりゃあパイチュウをあんなに一気飲みすりゃ誰だって驚くさ!」 「パイチュウ?何ですかそれ~?」 「50度以上もある中国のお酒だ……」 「50度ですかぁ…………50度!?」 「いや、現在だと38度くらいが主流だと聞いたけど…」 「これは50度以上もあるんだよ」 「なんでそんな…いや、お前ならおかしくないな……」 なんだかいつもにもまして飽きれている提督さんです。 お酒がまわってツライのでしょうか…… 「じゃあ…提督さんのお顔が赤いのも 私にチューされたからじゃないんですか?」 「そうだねー。あんたの顔だって赤いからきっとそうさ」 「でも鹿島さんはお酒が強いですから 司令官とキスしたせいで赤くなってるのかも…」 「やだもー」 バンッ 「痛っ!」 「あっ…………」 「…………」 意味深な発言も多い如月ちゃんですが 今回は別にそこまで危ない発言じゃないから 軽く叩いたつもりだったのに強く叩いちゃったなんて…… 「うぅ……どうやら本当に酔っているみたい。 早くベッドで横になった方がいいわ」 「大丈夫よ~」 「酔っ払いの大丈夫発言ほど信用出来ないものはないさ。 それよりも提督がとても具合悪そうだよ」 「あ……」 すっかり忘れていました。提督さんはお酒に弱かったのでした。 提督さん、とてもツラそうに椅子に座っています。 「如月ちゃんの言う通りあなた達は部屋に戻って休んでください」 「でも提督さんや私が…」 「あなたはまだしも提督がこんな状態では……」 「は~い」 せっかくの楽しい雛祭りですからもっといたかったけど 提督さんがこんな状態じゃ仕方ありません。 「待ってください。酔っている二人だけだと危険です」 「心配しないで。お姉ちゃんに任せなさ~~い」 「どう考えても心配です!私達が部屋に連れていきます!」 私達は大淀さん達に抱えられながら雛祭りを後にして部屋に戻りました。 「それでは二人ともゆっくりと休んでくださいね。 くれぐれも無茶なことはしてはいけませんからね」 「わかった……大淀……後は任せた………」 「了解です」 提督さんから託された大淀さんは部屋から出ていきました。 「ぁぁ…しんどい……君は大丈…」 「大丈夫れす~」 「…やっぱり大丈夫じゃないな……微妙に呂律が回ってない…」 そうかなあ…私はちゃんと喋ったつもりなのに…… 「心配だ……けど俺もちょっと飲んでしまったせいでつらい……」 その言葉を示すかのように仰向けになりました。 「相変わらず弱いですね~」 「ほっどいでぐれぇ~…」 「あなたも呂律が回ってませんよぉ…」 「眠気まで来て………もう………… 危ないから風呂にらけは入るな………………」 そう言うと目を完全に閉じちゃったみたいです。 しばらくすると聞こえてきた寝息……どうやら寝ちゃったみたい。 お風呂にだけは入るなと言われたからシャワーは浴びようかしら…… そういう話じゃないわね…っていうか私も何だか立つのがちょっとつらい…… 何か酔い覚ましないかしら………… すると私の頭の中にとんでもない考えが浮かびました。 この人の精液を飲む………… あまりにも突飛な気がしたけど苦いから酔い覚ましになりますね。 それにこの人も気分良くないですから射精してスッキリさせるべきでしょ…… あと他の艦娘とかに手出ししてないかがわかるかも…… そう思って私はこの人のズボンのチャックを開け、 トランクスのボタンも外しておちんちんを出しました。 「うふふ……子供のおちんちんみたいでかわいい…………」 誰も聞いている人なんていないのに思わず声が出ちゃいました。 この人のおちんちん、普段の大きさは見たことないけどこんなんなんだ…… まさに食べちゃいたいぐらいかわいいって感じです。 私はぷにぷにとした皮を剥いておちんちんをにぎにぎとしました。 しばらくしていると徐々に大きくなってきて、 最初は手の中に収まるくらいの大きさだったのに 片手だと収まり切らないくらいに大きくなりました。 硬さもただ硬いという感じじゃなくて 外側は弾力があって少しふにっとしてますけど 中はしっかりと硬いというか何と言うか………… 形はよくえっちな本できのことか形容されてましたけど 近くで現物を改めて見るとそうかもしれないって感じます。 性質的にはたけのこでしょうけどね。 小さい頃は柔らかくて皮を被っているけど、 大きくなると長く硬くなって皮が剥ける…… えっちなきのこたけのこ戦争の話になっちゃいそうです。 女の子の場合はきこりの切株になるんでしょうか。 考えるのもその辺にして、大きくなったおちんちんの先っちょを 舌でツンツンとしちゃいました。 「ん……」 目がさめたかと思いましたけどどうやら違うようです。 まあどっちにしてもやることは変わりませんけどね。 私はいつも包まれていて刺激に慣れてないおちんちんを舐めてみました。 雁首、裏筋、竿、玉袋………いろんなところを舌や唇で刺激しました。 酔ってましたけど噛み付いて傷付けないように注意しながらパクッと咥え、 頭を上下に動かして刺激したり、竿を手で扱いたり…… 先っちょを咥えながら扱いていたら おちんちんが更に膨らんだかと思うと…… びゅくびゅく、ドクドクドク 口の中に何か温かいものがじわぁ~と拡がるような感じがして… そう……私は彼の特製の濁り酒な白酒を口内射精されてました。 口で受け止めている間は鼻で息をするしかありませんが独特な臭いが鼻をつきます。 でも私は射精が終わるまでおちんちんを口で咥えたままでした。 射精が終わるまでただただ口を閉じていてしばらくして、 「はぁ……はぁ……はぁ…………」 聞こえてくる息をつく音。きっと射精が終わったのでしょう。 おちんちんのビクビクとした動きが止まったことも確かめ、 口の中に吐き出された白酒をこぼさないようにおちんちんから口を離しました。 鼻で息をした時に感じる何とも言えない臭い、 何とも言えない味、どろどろな食感。 ごっくん そして喉に絡み付く濃厚なモノ…… 「あはぁ~…………」 それらは今までとは違って何だか興奮する感じです。 今まではそんなに好きってわけじゃなくて、 どちらかと言うとあまりいいものじゃなくて、 でも彼が喜ぶだろうと思って飲んで、 そしたら彼は何だかとても申し訳なさそうにして………… でも今なら平気で飲める気がします。もしかしてお酒のせいかしら? それにしてもあんなに沢山……とても溜まってたのですね。 そうだとしたら私のテクニックが回数を重ねるごとに上達したとか、 そういったわけではないってことかもしれませんね。 まあこの人は他の艦娘に手出しなんてしてないみたいで安心しました。 「ふぅ…………ふぅ…………」 相変わらず彼は寝ています。何があったのか気付いてないでしょう。 でもおちんちんはまた大きくなっていました。 さっきあんなにたっぷりと出したのに…… でも興奮収まらない私には好都合です。 ふと気が付くと私のあそこもすごく湿っていました。 今までこんなことはなかったのにどれだけ…… だけど私は思い悩むこともなくパンツを脱ぎ、 彼のおちんちんに跨がり、一気に腰を落としました。 「えいっ!」 ジュブッ!! 今までにない激しい水音がしてすんなりと入りました。 特別準備をしたわけでもないのにこんなこと… だけど滑りがとてもいいことだと判断して私はすぐに動きました。 「えいっ!えいっ」 ジュブッ、ジュブッ、ジュブッ、ジュブッ!! 彼が寝てる事を良いことに相手を気持ち良くするのではなく、 自分が気持ち良くなるために体を動かしている… 彼をダッチハズバンド扱いしてオナニーをしているみたいで、 そういうプレイとして同意を得たとかならともかく、 自分の欲望を満たすために好き勝手やっている…… 「んっ、ごめん、なさいっ!っでも、気持ちいいのっ!」 いつもの私なら絶対こんなことしないのに。 でも今はそのいけないことという感覚が もっと淫らな気持ちにさせて興奮しちゃいます。 去年のクリスマスまでキスもしたことがなかった処女だったのに たったの二ヶ月ちょっとでこんな淫乱な女の子になっちゃって… 普通ならそこで落ち込んだりするのでしょうが それさえも快楽を生むスパイスになっちゃってます。 ジュブジュブジュブジュブッ!! もっと興奮しちゃったからか自然と動きも速くなって、 ますます気持ち良くなって興奮して…… 「ああっ、私っ、もうーっ!」 そのスパイラルを繰り返しているうちに とうとう私は絶頂しちゃいました。 「ああーーーっ!!」 誰も聞いていないと思ったからなのか大声をあげちゃいました。 その瞬間体の動きも止まり、 彼のおちんちんを咥えていたあそこに力が入りました。 ビューッ!ビューッ!ビューッ! 私のお腹の奥深くに熱いモノが叩き付けられる感覚。 彼のおちんちんがビクン、ビクンと震えながら 精液を激しく射精していました。 私かきつく締め付けているからなのか、 吐き出そうとする動きを強く感じられて もう…………たまりません…………………… 「…………ん…………」 「……起きたか?」 「あ…………提と…くっ……」 私の目の前に入ってきたのは私を心配してくれる人の顔でした。 それでも微妙にはっきりしない意識の中、頭に痛みが走りました。 「だ……大丈夫か……」 私を心配する声は少し抑え気味でしたが、 多分私を刺激しないために抑えているのでしょう。 「はい………今何時ですか……」 「まだ朝の5時半だ。昨日は比較的早く寝たから もう起きてもいい頃だと思ったが……」 まだそんな時間……私は少し安心したと共に まだ少し頭が痛いながらも意識ははっきりとしたため、 昨日のことを少しずつですが思い出しました。 確かとっても強いお酒をうっかり飲んじゃって…… それから部屋に帰って……寝ちゃった彼のおちんちんを………… あぁ……………………昨日の私はなんてはしたない真似をしたのかしら…… タガが外れたかのようにエッチなことに貪欲になって…… 相手の都合も考えず自分勝手なことをして…… 雛祭りも変な空気にしちゃったし……もうやだ…… 酔った時ははっきりとものを覚えていないという話はよくききますけど、 私の場合はおぼろげですが何をしたのか覚えていました。 強いお酒を飲んだとはいえ……いいえ、 強いお酒をうっかり飲んでしまったことさえも私の落ち度です。 とにかくいろんなことをしちゃいました。 寝ているこの人と無理矢理一つになって、 絶頂してから先の記憶までしかなく……はっ!? 「いやあっ!」 私は彼と繋がったまま眠ってしまったのでした。 それに気付いた私は急いで彼から離れました。 「お…おい!?」 彼の驚く声。さっきまでの落ち着いた顔から驚いた顔に一変しました。 「え………あ…………ごめんなさい! …ごめんなさい……本当にごめんなさい…………」 私は謝りました。彼を嫌悪するかのような態度を取ってしまったこと、 身勝手に彼の体を使って快楽を貪っていたこと、 雛祭りを変な空気にして台なしにしてしまったこと、 私だけを一途に想ってくれたのにそれを疑ってしまったこと………… 何に対して謝ったのか、すべてに対して謝ったのか………… 何もかもわからない中、私はただただ謝り続けていました………… 「体調はどうだ?落ち着いたか?」 「一応、大丈夫…です。何とか落ち着きました…」 彼は私が落ち着くまでずっと待っていてくれました。 「一緒にシャワーを浴びましょう」 「え…………そうだな。君の方が汚れているし、 君を一人でシャワーを浴びさせるのも不安だ。 わかった。一緒にシャワーを浴びよう。いいか、浴びるだけだからな」 「わかりました」 私は少し虚勢気味ですが元気に答えました。 そのあとバスルームで目茶苦茶………… なんてことは仕事前だからありませんでした。 その後午前中は少しだけ辛かったですけど みなさんに謝りながらも仕事をして、午後からは回復したので 秘書艦としての示しをつけるために思いっ切り頑張りました。 もし昨日パイチュウを飲む前に お酒をいつもみたいに飲んでるなんてことがなければ 冷静な判断ができたかもしれないと思い、そして今回のことをきっかけに 『練習を上手くできたからといってそれに安心したりしてはいけない。 上手く出来た経験だけに頼ることこそが一番危ないのです』 ということを学び、みなさんにも練習をしっかりとするだけでなく、 本番の時も油断せずしっかりとすることの大切さを教えることが出来ました。 ちなみに雛飾りは朝見に行った時点で既に片付いていました。 あと鎮守府の皆さんがお酒の飲み方を考えたり、 少し控えたりするようになりました。 ―続く― + 後書き 749 :名無しの紳士提督:2016/03/03(木) 17 57 13 ID HzSpfzbY というわけでバレンタインSSの続きを投下しました バレンタインの続きですがホワイトデーの前に雛祭りがある以上無視はできませんね 今回の話はサミットも近いので もし深海棲艦の脅威がある世界でもサミットを無謀にも海の近くで開くとしたら こんな上層の思惑的な事とか艦娘の出番とか そういった事もあるんじゃなかろうかなあと思いながら書きました 今度のイベントが何かはわかりませんが 伊勢志摩近辺の地図が出てくることはないでしょうね、流石に 次はちゃんとホワイトデーの話です これが気に入ったら……\(`・ω・´)ゞビシッ!! と/
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/6416.html
386: 194 :2020/09/17(木) 19 20 32 HOST ai126213028071.77.access-internet.ne.jp 短編ネタ 現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件その29 かの国は如何にして考えるのを止めて、手の込んだ自殺をするに至ったのか 共通エンディング 戦争終結から一年が経過した、とある日。 戦後処理が落ち着いた事とティ連への正式加盟のお祝いを兼ねて、関係者達を集めての飲み会の開催となった。 因みに会場として使用している居酒屋も、勿論夢幻会所属メンバーが運営する店。守秘義務も完璧である。 二藤部「それでは、戦後処理が落ち着いた事とティ連正式加盟を祝って、乾杯!!」 一同「「「「「かんぱーい!!」」」」」 総理の音頭と共に、生ビールを飲み干すメンバー達。 大きな仕事を無事にやり終え、心から宴を楽しんでいる。 春日「二藤部さん。大変なお仕事、本当にお疲れ様でした」 三島「漸くゴダゴダが落ち着いたんですから、今日は楽しみましょう」 二藤部「有難う御座います。政府の皆さん、そして夢幻会の皆さん方のおかげもあって、この難局を乗り越えられました。本当に、有難う御座います」 辻「いえいえ、我々はあくまで助言役。決断をして、今回の事を乗り越えられたのは、他ならぬ総理の力ですよ」 東条「我々は言わば影の存在。光たる表の政府がしっかりしているからこそ、意味を持ってくるものです。辻さんの言う通り、総理の力量を疑う人はこの中にはいませんよ」 二藤部「まぁ、韓国本土への報復の決断をしたのは神崎提督ですけどね」 神崎「ハハハ・・・。でも、今の私は一鎮守府の提督です。今回みたいな決断を度々する羽目になるのは、勘弁願いたい所ですね」 387: 194 :2020/09/17(木) 19 21 03 HOST ai126213028071.77.access-internet.ne.jp 神崎提督の嘘偽りの無い本音に、思わず笑う一同。 ふとテレビ画面を見やると・・・・・、日韓戦争(公称・歯に衣着せぬ人物曰く「キムチの自殺戦争」)とアカ連中の逮捕等でゴダゴダしていた影響で中止となっていた、 「神崎島版絶対に笑ってはいけない」が二年振りに放映されており、その画面の中では・・・・・。 \デデーン/ 長門、タイキック-! エーレル「オウ、長門!約二年振リノタイキックダ!チャント受ケロヨー!」 長門「待て待て待て!!毎度の事ながら、この流れでタイキックはおかしいだろ!?」 エーレル「ソウハ言ッテモ、オ約束ダカラ仕方ガナイカラナ。デハ、イクゾー!!」 長門「嫌だって!!本当に勘弁してくれ!!」 そう叫んで必死に逃げる長門だが、狭い室内では逃げる事もままならない。あっと言う間に捕まる。 エーレル「ッタク、手間ヲ掛ケサセルナ!ソレジャア、イクゾー!!」 長門「ヤダヤダヤダ!!勘弁してくれ!!」 ズドォォォォォン 長門「痛゛い゛も゛ぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?あぁぁはぁぁぁぁぁん!?!?!?あぁぁぁはぁぁぁぁん!?!?!?あぁぁぁぁぁはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!?!?!?!?」※お尻を押さえながら、ド派手に転げまわっている 4人「「「「wwwww」」」」 \デデーン/ 信濃、金剛、日向、扶桑、アウトー! 金剛「チョwww長門wwwww」スパーン 日向「大袈裟に転げ過ぎだwwwww」スパーン 扶桑「久し振りだからってwwwww」スパーン 信濃「は、初めて見ましたけどwww凄いですね、コレwwwww」スパーン 長門が、約二年振りのタイキックを喰らう場面が流れていた。 柏木「・・・また派手にいったなぁwww」 フェル「悲惨ですケド・・・ついつい笑ってしまうデスヨwww」 388: 194 :2020/09/17(木) 19 21 34 HOST ai126213028071.77.access-internet.ne.jp 展開その物はいつもの流れだが・・・・・。今回大和が出演しておらず、代わりに末妹の信濃が代役で出ている。 というのも・・・、実は「特別手当(意味深)」を支給された菊水艦隊の面々が、何と妊娠したのだ。しかも、十人全員で有る。 「特別手当(意味深)」支給の効果は絶大だった(白目) そのおめでたい知らせに、日本ばかりか世界中からもお祝いの言葉が次々と来たが・・・・・。ネット界隈は、その知らせに色々とカオスになっていた。 334:184(向こうの世界の作者の同位体) あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛※体の穴という穴から血を吹き出しながら憤死中 335:世次郎(向こうの世界の弥次郎氏) 184-!?!? 336:Neo(向こうの世界のNew氏) 184が死んだ!このひとでなし!! 337:ハルワ一号(向こうの世界のハニワ一号氏) クッ!神崎モゲロー!! 338:ひょうが(向こうの世界のひゅうが様) おまいら落ち着け。絶望するにはまだ早いぞ。あと、考えなしに神崎モゲロというのもやめた方が良い。 339:184 ん?どういう事?※どうにか再起動に成功 340:ひょうが 生まれたのが娘なら、その子はフリーだ。頑張れば、文字通りお嫁さんに出来る。 問題は神崎提督で、その場合はお義父さんになるから、モゲロとか言うのは慎むべきだ。 だから皆の衆、最後まで希望を捨てるな! 341:184 340 貴方は神か!! 342:ツゥ!ヘァ!(向こうの世界の トゥ!ヘァ!氏) あ、でも男か女かは五分五分だろうから、 340の意見は画餅になる恐れも・・・ 343:184 342 敢えて考えなかった事を書き込むなんて!!阪神ちゃん共々シベリア送りだー!!(憤怒) 344:ツゥ!ヘァ! 343 アイエエエ!シベリア!?シベリア送リナンデ!?!? 345:世次郎 343 なんでや!阪神関係無いやろ!! とまぁ、こんな感じの悲喜こもごも(大本営発表)が展開された物の、最終的には暖かくお祝いする流れとなった。 現在彼女達は、産休及び育休を取得中で有り、軍務から離れている。 389: 194 :2020/09/17(木) 19 22 04 HOST ai126213028071.77.access-internet.ne.jp 辻「それはそうと、しま・・・神崎提督。奥さん達の傍に居なくて、大丈夫なんですか?」 山本「確か育休中だったか。傍にいてやらなくていいのか?」 神崎「いや、その皆に今回の宴会に行って来いって押し切られてな・・・」 近衛「押し切られた?」 神崎「・・・戦争の後始末に神崎島での政務、更に様々な交渉とかなり立て込んだ上に育児まで加わって、かなり一杯一杯だったんだ・・・」 神崎「で、かなり疲弊していたのを心配されてな。一旦仕事や育児から離れて、心身共にリフレッシュしてこいって事で、送り出されてきたんだ」 東条「まぁ、いきなり十人もの子供の父親ですからね。それは疲弊しますよ」 山本「自業自得ともいえるけどな。で、嶋田。他の娘達はどうしてるんだ?」 神崎「・・・・・大和達の妊娠が発覚してから、『特別手当(意味深)』の支給を巡って争いが激化しててな。調整役の吹雪と大淀も、頭を抱えている状態なんだ」 そう言ったと同時に、場の空気の変化を敏感に感じる神崎提督。 他のメンバー達の顔を見ると・・・・・、何とも微妙な顔をして神崎提督を見ている。 山本「・・・・・嶋田。やっぱりもう一度貴様に言っておく。一回モゲロ」 神崎「ちょ!?」 辻「ええ。本当に一回モゲて、世界中の男達にお詫びするべきですねぇ・・・」 東条「・・・・・傍から言わせてもらうと、贅沢過ぎる悩みですよ。やはりモゲるべきかと」 近衛「『英雄色を好む』というにも、限度が有りますからね。一回モゲときましょう」 神崎「皆色々と、言い過ぎだぁぁぁぁぁ!!?!?!?!?!」 神崎提督の絶叫に、場は爆笑の渦に包まれる。 理不尽極まりない戦争を挑まれながらも、それを蹴散らして再び勝ち取った平和。 これがいつまでも続く事を、ここに居るメンバー達は願ってやまなかったのだった。 かの国は如何にして考えるのを止めて、手の込んだ自殺をするに至ったのか END 390: 194 :2020/09/17(木) 19 22 35 HOST ai126213028071.77.access-internet.ne.jp 以上です。両ルート共通のエンディングとなりました。再び平和が訪れた戦後のとある一日でしたが、如何だったでしょうか? それと劇中にて、各コテハンの同位体を出演させていただきました。事後報告ですが、ご容赦の程を(汗) 大和達の子供ですが、性別の方は皆さんのご想像にお任せします。どちらにせよ、可愛らしい子供達なのは間違い無いでしょう。 そして、神崎提督は一度モゲるべき。はっきり分かんだね(非道) そういう訳で、短編ネタと言いながら長編ネタとなったこのシリーズですが、少なくとも本編はこれで終了とさせていただきます。 降伏ルートでも書きましたが、これ以降の展開は銀連神崎島本編と殆ど変わらないでしょうから、書く事が無いという(滝汗) まぁ何か思いついたら、外伝の形で何か書けたらとは思います。 それでは、また別の作品でお会いしましょう。 wiki掲載は、自由です。 420: 194 :2020/09/18(金) 08 06 10 HOST ai126213028071.77.access-internet.ne.jp 最後に、修正要請を。 388 誤 ツゥヘァ 正 ツゥ!ヘァ!(二か所あるので、二か所ともお願いします) wiki掲載時に、修正をお願いします。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3141.html
879 :影響を受ける人:2015/01/18(日) 22 15 36 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 残虐な、流血の表現があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第四十五話 ―墜ちる空Ⅶ― 江藤敏子、北郷章香が指揮する部隊は合計8部隊。 早朝から午前中は下田隊A・B両隊が。 午前中から正午を跨いで午後までは狐火隊と狸釜隊が。 午後から暗くなるまでは水蛇隊と淵猿隊が。 そして夜戦部隊に旗本隊。 以上で組まれている。 この部隊運用は殆ど休みなしに動ける半面、休息がかなり重要となっている。 最も忙しいのは整備班だが、部隊が集まって人員数が増えたことによりこちらも何とかなっている。 通常戦闘機部隊は基本的に昼戦しかしないが、忙しいのには変わりがない。 しかし防御が完璧に出来るウィッチに比べ、損耗率は高いと言えた。 機体の補充にしても通常戦闘機部隊の機体は難しい。 大車輪で生産設備を整えているらしいが、大きな機体であるのには変わらない。 むしろ小さめのストライカーの方が、補充がしやすい。 発動機こそかなり特殊ではあるが、生産性重視の設計なので一昔に比べれば雲泥の差だ。 夢幻会主導による規格共通化運動の効果が、十分に発揮している証拠と言える。 リベリオンとの共通化を推進しており、足りない部品は輸入で補っている。 武装面でもブローニングの銃器が人気を博していて、扶桑製20mm機関砲と相まって前線で多用されている。 一部の企業ではライセンス生産を行い始めたともいう。 整備関連の話はここまでにしよう。 最後に特務隊だが・・・基本的に彼女等は朝から晩まで出撃している。 “アホウドリ”が現れたら出撃としているのだが、戦闘開始から今まで出会う敵集団には必ず“アホウドリ”が存在しているという状況。 休みなど殆ど無いと言っていい。 敵は以前の攻撃密度で襲ってはこなかった。しかしながら “休み無く襲撃する”と言う行動はまるで変わらない。 弾薬補給係は以前よりも沢山弾薬を持って行かねばならず。 足りなくなって後退する時もあった。 そんな中で“アホウドリ”のみを標的にした特務隊の評価は・・・二分されている。 一日目と二日目の出撃で判明したのは、どの“アホウドリ”も全く違う部分に核を保有しているという事だ。 大体は胴体にあり、前後か中央部を見ればいいのだが、捻くれた様にエンジンを模した部分に核がある奴までいた。 最初は移動させてかわしているというのが上層部(主に夢幻会)の予想であったが、まだましな状況とわかり、ホッとしている。 しかし現場の兵士にとってはまったく嬉しくない。 いくら弱点がわかったと言っても、“アホウドリ”の火力は変わらないからだ。 一騎当千の猛者がいるのならともかく、大体は普通のウィッチ。 戦法は射撃部分を破壊しての皮むき戦法だ。 “アホウドリ”は名うての高速の敵。 前方に回るのも一苦労で、まずは足を止めねばならない。 特務隊は、弱点は教えてくれるが攻撃には参加してくれない、と言うのが不満だと現場からすでに上がってきている。 それを何とか処理するのが江藤と北郷だが、戦場を駆け巡っている美緒達はすでに覚悟していた事実でしかない。 三日目のこの日も最寄りの基地に降り立ち、整備と弾薬を受け取るために待機場に向かっていた。 「はぁ・・・」 「坂本、疲れたか?」 880 :影響を受ける人:2015/01/18(日) 22 16 10 先頭にいたミチルが、気遣うように振り返る。 振り返ると自然と歩みを止めるので、通路の端に寄って置く。 少しフラフラとしている美緒を彩子が支え、十香がちょっと広い美緒のオデコに手を当てる。 「ちょっと熱があるかしら。」 「は、い・・・ 少し、目と頭が・・・」 「魔眼行使をずっと、だからね。」 「冷却用の術符でも貰うか。」 特務隊の大事な戦力であり、高性能な透視能力を持つ美緒を大事にするのは当たり前だ。 ミチルはそのまま三人と別れて交渉に向かう。 お客さんである自分達は、いちいち許可を貰わないといけないのだ。 残った三人はそのまま待機室に向かう。 そして扉を開けると一気に注目が殺到し、美緒に気が付くと何人かが睨むような顔つきになる。 気まずい雰囲気の中、三人は隅の方に移動して美緒を横にする。 「ちっ・・・」 小さいが、舌打ちが聞こえてきた。 彩子はすぐに音源に顔を向けるが、誰も視線を合わせない。 先程まで扉越しに談笑が聞こえていたのに、今は誰も話さない。 まだ三日・・・されど三日・・・ 美緒達特務隊の特殊性は、どの部隊にも把握されている。 大体は軍人としての心構えが出来ているからとやかくは言わない。 しかしさっさといなくなってしまうのは気分が悪い、だから無視をすることで対応するのだ。 しかし、学兵達は違った。 「おい。」 「なにかしら?」 待機室の重苦しい空気を無視して美緒の方に向き直した彩子であったが、傍に寄ってきた学兵の剣呑な雰囲気に視線のみを向ける。 「アンタ等。例の特殊任務部隊だろ。」 「そうだけどさ。貴方達何さ?」 答えつつ様子をうかがう。 俯いている学兵は、数人の仲間と共に三人を囲むように包囲している。 ただ事ではない事態に他の者が動こうとしたが、何事かささやかれると動きを止めた。 後ろは加勢に来ないようだ。 俯いていた学兵が顔を上げると、憤怒に彩られている顔を向けてきた。 「どうして攻撃してくんなかったんだよ!!」 「どういう事かしら?」 怒鳴り声で半ば眠りかけていた美緒が目をさましたが、十華は問いかけながら抑え込むようにして寝かせ続ける。 「アンタ等の任務は、あの“アホウドリ”をどうにかする事だろ!?」 「・・・」 「どうして攻撃してくんなかったんだよ!」 「そうよ! そうしていれば・・・あの子は!」 怒りに任せ、怒鳴り声で攻め立てる学兵達であったが、それを受けている彩子たちはかなり冷静に見ていた。 要約すればこうだ。 美緒達がマークした“アホウドリ”を彼女達が攻撃したらしい。 美緒達はそのまま二体目もマーキングした。そこまではいい。 しかし美緒達の任務上、次の指示があればそこから離脱しなければならない。 そんな事を知らなった学兵達は、突然去っていく美緒達に驚いた。 隊長陣も驚いたらしいのだが、本部に問い合わせて説明を受けたという。 軍人として納得しつつ、苦虫を潰したような思いで攻撃を続行する。 しかし学兵達はそうもいかなかった。 簡単な説明では納得できなかったのだ。 どこの戦場も人手不足。戦力の集中は基本的なものだが、上手くいかないのが常。 そんな中で被弾した子が出た。 881 :影響を受ける人:2015/01/18(日) 22 16 41 肩から左腕を完全に損失したという。 彼女は左利きであり、持っていた銃が暴発して墜落した。 何とか地上に激突する前に回収でき、呪歌使いが回復を促進する歌を歌い、数少ない回復魔法を扱えるウィッチがいたこともあって幸い一命を取り留めた。 だが、暴発の影響は大きく。火傷の後が酷いという。 その話を聞いていた美緒は、申し訳なさで胸が張り裂けそうになる。 自分だって攻撃に参加したかった。でも出来ないのだ。 そう言い訳を言えれば良かった・・・しかし、美緒はそこまで無責任な子ではない。 「だから、私達が悪いって?」 「そうだ!!」 涙を流しながらも睨む学兵に、彩子は「ハッ!」というと相手にしていられないとばかりに無視を決め込んだ。 「おい! こっちを見ろよ!」 怒り心頭の学兵はその態度が気に入らず、胸倉をつかもうと前に出たが十華が邪魔をするように立ちふさがる。 「貴方達の怒りはわからないでもないわ。でも、私達にどうしてほしいの?」 学兵達は黙り込む。 彼女達だってわかっているのだ。原因はほかならぬ自分達だと。 しかし幼い彼女達は、どこかに怒りの捌け口をもめなければならなかった。 求めずにはいられなかったのだ。 だから肯定しようと大きく口を開けて、強制的に閉じられた。 「ぐぉぉいぃぃ・・・何やってんだぁ?」 「「「「「「真嶋、副隊長・・・」」」」」」 巨漢の大女がいつの間にか背後にいた。 その後ろにはミチルが仏頂面で立っている。 十華と彩子は、凄まじいインパクトのある真嶋志麻の登場に面食らって呆然としていた。 学兵達は自分達の上司の登場に道を自然とあける。別に彼女自身が怖いわけでは・・・無いと思う。 唯一面識のある美緒は、重い体を起こしてながら志麻を見上げた。 「真嶋さん・・・ここにいたんですか?」 「おうよぉ! なぁんか、大変な任務らしいじゃねぇか!!」 そう言いつつ学兵を解散させ、立ち去る後ろ姿を見つつ志麻は頭を掻き毟る。 「わりぃな。俺の部隊じゃなかったんだぐぁ、それでも仲が良くてなぁ・・・」 「いえ。それなりに予想はしていましたから。」 そう言いつつも暗い表情の美緒に、ミチルは冷却符をオデコに貼り付けて休む様に言う。 戦場は理不尽に満ちている。誰も予想は出来ない。 以上です。次は徹子ちゃん達に視点を移したい。 更なる戦場を! さらなる激戦を!
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/233.html
372. yukikaze 2010/03/02(火) 19 17 37 お待ちかね。ユトランド沖海戦。 1916年5月31日から6月1日に行われたユトランド沖海戦は、第一次大戦における英独最大の艦隊決戦であり、 この海戦に敗北を喫したドイツは、建艦計画に大きな混乱を生じさせ、結果的にイギリスに大きな福音を与えることになるのだが、 本稿では、ユトランド沖海戦に参加した遣欧艦隊の行動を元に、本海戦を俯瞰したいと思う。 ・ 海戦の推移 1916年5月31日、遣欧艦隊第一戦隊「金剛」「比叡」(司令長官:秋山真之中将)を含む、イギリス巡洋戦艦部隊(司令長官:ビーティ中将)が、 停泊地であるフォース河河口を抜錨した。これは、暗号解読により、ドイツ艦隊が全力出撃をしたことが判明したためであり、イギリス側は、 日露戦争の時の日本海海戦の如く、艦隊決戦で圧倒的勝利を収めることで、戦争を有利にしようと考えていた。 同日14時38分、両軍の索敵部隊が、両軍の前衛艦隊の中核である巡洋戦艦部隊を発見したことにより、両艦隊は急速に接近。 15時30分には、英国巡洋戦艦部隊が、南東に進路を取るドイツ巡洋戦艦部隊(司令長官:ヒッパー提督)を視認することになる。 この状況に、ヒッパー提督は、予てからの作戦通り、ビーティをドイツ主力艦隊(司令長官:シェーア中将)の方向に誘導すべく、進路を変更。 ビーティも、敵前衛艦隊を早期に撃破することによって、艦隊決戦を有利にしようと、追撃を開始すると共に、約5キロほど離れた地点にいた、 秋山提督率いる戦艦部隊(金剛級2隻、QE級4隻)にも追撃をするよう、信号旗を掲げている。 しかしながら、距離と濃霧による視界不良により、秋山提督の旗艦である金剛は、この信号旗を確認するのが遅れ、 進路変更するのに2〜3分ほど時間を空費することになる。 実は艦隊間の連絡の悪さについては、演習でも度々問題となっており、秋山提督はビーティ提督に 「信号旗だけでなく、灯火信号や電信での伝達も行うことで、伝達の不備を解消するべきである」と主張していたのだが、 ビーティ提督はドッガー・バンク海戦の時の自らの失態をあげつらわれたように感じたらしく、 秋山提督が主張すれば主張するほど、かたくなに信号旗のみの使用に拘ったとされる。 だが、このツケはあまりにも大きく、本来ならばドイツ巡洋戦艦5隻に対して、イギリス側は11隻と 2倍近い戦力差で戦えた筈が、序盤に於いて、イギリス側が戦えたのは6隻だけと、数の優位性を失わせることになる。 15時45分、14キロの距離でほぼ平行となった体勢で、両軍による砲撃戦(俗に第一次戦闘と言われる)が開始されることになる。 しかし、この時もイギリス側の通信体勢の不備が祟って、本来ドイツ巡洋戦艦5隻全てに砲撃を与えるはずだったのが、不均等に分散してしまい、 結果としてドイツ二番艦の『デアフリンガー』が、全く砲撃を受けることもない状況となっている。 このことが、『デアフリンガー』に、余裕を与えることになり、以後、同艦が落ち着いて射撃指揮を行うことが出来る要因になるのだが、 イギリス側にとって更に不運だったのが、イギリス側が西に位置したことで夕日にはっきりと照らされていたのに対して、ドイツ側の艦影は夕霧と、 何よりも敵であるイギリス駆逐艦隊の煤煙によって上手く隠されてしまい、ドイツ側が次々と命中弾を与えるのに対して、イギリス側は中々与えられない状況になっていた。 ビーティ提督は余程頭に来ていたらしく、駆逐艦隊に「砲戦の邪魔をするな」と信号を送ったほどであったが、16時3分には、彼の怒りをあざ笑うかのように、 イギリス艦隊最後尾を走っていた『インディファディカブル』が『フォン・デア・タン』によって沈められてしまうことになる。 しかし、この時既に、『フォン・デア・タン』の命運も尽きようとしていた。 信号確認に遅れ、本隊よりもやや後方に位置していた秋山艦隊が、16時にドイツ艦隊に向けて砲戦を開始。 そして、秋山提督は、麾下の戦艦部隊に、射程に入り次第、敵最後尾艦を狙い撃つように指示したため、 最後尾を走っていた『フォン・デア・タン』は、時間がたつごとに撃たれる砲弾が多くなると言う、悪夢としか言えない状況に追い込まれることになる。 しかもたちの悪いことに、秋山麾下の戦艦部隊は、それぞれの艦の弾着観測を容易にするべく、主砲弾に各戦隊固有の色として決めていた染料を封入していたため、 「どの艦がどの場所に撃った」ということが分かり易くなっており、その結果、『フォン・デア・タン』の被害は加速度的に広がってしまい、 最終的には、砲戦開始8分後の16時8分に、比叡の射撃によって第三砲塔の弾薬庫を貫かれてしまい、爆沈することになる。 373. yukikaze 2010/03/02(火) 19 24 14 (その2) このように、状況が不利となりつつあるヒッパー中将だが、シェーア中将率いる本隊が急速に接近しつつあることを知ったことで、 囮作戦を成就させるために、艦隊速力を増速させて、さも退却をするかのように行動する。 これを見てビーティ提督は、敵艦隊が敗走していると判断し、麾下全艦隊に追撃命令を伝達。 『クィーン・メリー』爆沈と引き替えに、『モルトケ』を『ヴァリアント』の射撃で爆沈に追い込み、 このままでいけば、ドイツ巡洋戦艦部隊は遠からず全滅できると思われたが、 16時30分、イギリス偵察艦隊がドイツ艦隊主力を発見したことによって、状況は一気にドイツ側有利となる。 この時のドイツ側の戦力は、無傷のド級戦艦16隻に、傷ついたとはいえ戦闘力をまだ持っているド級巡洋戦艦3隻。 対するイギリス側は、数こそ11隻あったものの、既に旗艦ライオンとタイガーが無視できない損傷を受け、 充分な戦闘力を持つのは秋山艦隊所属の6隻でしかなく、3倍以上の戦力差が生じていた。 この状況に、ビーティはジェリコーの本国艦隊に敵を引きつけるため北への回頭を決めたのだが、この時一斉旋回頭(各艦が互いの位置を変えることなく、その場で180度回頭すること) ではなく、逐次回頭を執り行ったこと、更に偵察艦隊の報告がビーティの元に届くのが遅れ、報告が到着したときには、ドイツ主力艦隊に危険なほど近づいていた状態であったことから、 後続の秋山艦隊が回頭を終わる頃には、既にドイツ主力艦隊の射程圏内に入る状況になっていた。 その為、秋山提督は、ドイツ主力艦隊を撃つことが出来る位置にいた『マレーヤ』と『ウォースバイト』に、主力艦隊の戦闘艦に砲撃を集中させるよう命令すると共に、 未だ牽制の役割を果たそうとするドイツ巡洋戦艦部隊に対して、砲撃を命ずる。(第二戦闘) この時の砲撃戦で、イギリス艦隊で最も被害を受けたのは、『マレーヤ』と『比叡』で、『マレーヤ』の場合は、ドイツ主力艦隊からつるべ打ちに主砲を撃たれたことで、 後部砲塔2基が使用不能になった他、ケースメイト式副砲群に砲弾が直撃した際、弾薬が誘爆を起こしてしまい、右舷副砲群が全滅し、大火災を起こすことになる。 幸い、機関に損傷がなかったことと、重油専焼缶の特性から、最大速度を維持するのが容易であったことから、かろうじて離脱に成功することになる。 また『比叡』は、主要防御区画こそ貫かれなかったものの、それ以外の部分を『デアフリンガー』によって打ち据えられ、更にマレーヤと同様に副砲群が誘爆により消失し、 その穴をドイツ水雷戦隊に狙われて被雷し、大破の判定を受けることになる。 余談だが、仮に金剛原案のままの水雷防御であったなら、『比叡』は確実に撃沈されていたと言われており、評価が今ひとつ高くなかった金剛級の面目を大いに施すことになる。 かくして、『マレーヤ』と『比叡』を戦線から離脱させざるを得なくなった秋山艦隊であったが、ドイツ側もまた、旗艦である『リュッツォー』が大破し、一旦離脱には成功したものの、最終的には浸水が止まらずに自沈。 『デアフリンガー』『ザイトリッツ』も、それぞれ砲塔を一基失うと共に、度重なる打撃による浸水の影響で、速度も23ノットがやっとという状態であった。 その為、ドイツ側としては、最早これ以上の継戦は不可能ではないかという声が上がったのだが、イギリス巡洋戦艦部隊も戦力が半減しているという状況(実際、ビーティが指揮する部隊で、まともに打ち合える戦力は『プリンセス・ロイヤル』のみ)と、イギリス主力艦隊到着までまだ時間があるという誤断から、シェーアは、一旦避退したヒッパー艦隊と合流した後、イギリスの残存巡洋戦艦部隊を撃滅することを決定する。 かくして、陣形を整え、秋山艦隊の進んだ方向に進路を進めたシェーアは、度重なる被弾によって、船速が20ノットに衰えていた秋山艦隊を捕捉。(金剛は機関全速が可能であったが、被害を受けたQE級の船速に合わせる必要があった) このまま一気に秋山艦隊を撃滅しようとした矢先、信じられない光景を眼にする。 18時10分。イギリス主力艦隊が、シェーア艦隊の前をふさぐように、重厚な布陣を整えていたのである。 374. yukikaze 2010/03/02(火) 19 26 47 (その3) ジェリコーが理想的とも言える形で、ドイツ艦隊の正面に立ちふさがることが出来たのは、一つの理由があった。 彼は大兵力を運用する場合に於いて、最も重要なのは敵味方の正確な位置を把握することであると考えており、あらかじめ、決戦予定海域とされる部分を碁盤の目のように区切り、 その一つ一つにアルファベットと数字を組み合わせた名前を付け、双方がどの場所にいるかをわかりやすくしている。 無論、主力艦隊は、奇襲効果を出すために、敵と蝕接した艦以外は厳重に無電封鎖していたが、敵と蝕接した艦からの無電と、更にイギリス本土の陸上施設からの情報により、ほぼ正確な位置取りが出来ていた。 その為ジェリコーは、17時30分に、これまで並列陣形で進軍していた麾下艦隊に、東方向に向かいながら単縦陣を組むように命令。更に第三巡洋戦艦部隊には敵艦隊の後方に回り込ませ、包囲殲滅を図ろうとしていた。 (ドイツ艦隊の正面から東側を本国艦隊が、南側を第三巡洋艦戦隊、西側を秋山艦隊でふさぐというもの。 尚、ビーティの部隊は被害が甚大であったことから、戦闘力を有していた『プリンセス・ロイヤル』と『ニュージーランド』以外は戦場から離脱させ、残った二艦も秋山艦隊に合流させている) 何分大艦隊であるため、六列である並列陣を、一本の単縦陣に組み替えるのには、混乱が生じたものの、イギリス将兵はジェリコーの期待に応え、17時55分には陣形変更を完了。 ジェリコーはすぐさま南東方向に艦隊を機動させ、18時10分には、予定通りドイツ艦隊の頭を抑えることに成功したのであった。 この事態にシェーアは、すぐさま不利を悟り、水雷部隊の援護の下、急ぎ各隊に回頭を命じて避退しようとしたが、 その前にイギリス艦隊の猛射を受けて、『ケーニッヒ』『グロッサー・クルフェスト』『マルクグラーフ』が次々と被害を受けることになった。 特にドイツ側にとって厄介だったのが、イギリス艦隊が自分たちの回頭に合わせて進路を南へと取ったことによって、同航戦の状態に追い込まれてしまい、 時間がたてばたつほど、戦力がすりつぶされる危険性があったことである。 その為、シェーアは一旦西側に進路を取り、時計回りに進んで、イギリス主力艦隊の後方を突っ切ろうと決断し、南西方向に回頭。 これを見て、主力艦隊の頭を抑える行動と誤認した第三巡洋戦艦戦隊との間で激しい砲撃戦が生じ、『デアフリンガー』『ザイトリッツ』が更に被害を受けるも、 第三巡洋戦艦戦隊旗艦である『インヴィンシブル』を爆沈させる事に成功。第三巡洋戦艦戦隊は混乱を起こすことになる。 そしてこれがシェーアの評価を、結果的に悪化させることになるのだが、彼はこの時の混乱を利用して、予てからの計画通りに南西方向に回頭し、 更に時計回りに回頭することでイギリス主力艦隊の後方に出ようとしたところを、今度は秋山艦隊によって頭を抑えられることになり、 これまで最も奮戦していた『デアフリンガー』が『金剛』によって、遂に沈められ、『ザイトリッツ』も『プリンセス・ロイヤル』の砲撃によって大破漂流(後、自沈)し、 ドイツ巡洋戦艦部隊は一隻残らず全滅。更に先ほどイギリス艦隊によって損害を受けていた『ケーニッヒ』『マルクグラーフ』も 『ウォースバイト』と『ヴァリアント』によって沈められるという被害を受けることになる。 375. yukikaze 2010/03/02(火) 19 30 38 (ラスト。駄文続けて申し訳ないです) 勿論、秋山艦隊もただでは済まず、『ウォースバイト』と『ヴァリアント』、『プリンセス・ロイヤル』『ニュージーランド』は軒並み大破し、 秋山も自艦隊の離脱を命じざるを得なくなったのだが、秋山がドイツ艦隊を拘束したことと、同艦隊の位置を知らせたことで、ジェリコーはシェーアの意図を察し、 主力艦隊を一斉旋回頭させ、艦隊を反時計回りに機動させることによって、シェーアの艦隊の頭を再び抑えようとした。 この機動は図に当たり、シェーアが再び東に向けて進路を取った19時5分には、再びジェリコーの艦隊が、シェーアの艦隊にT字戦法で砲戦を開始。 シェーアは再び南西への回頭を命じ、続いて、先頭にあった第三戦隊と残存する駆逐艦部隊にイギリス艦隊の追撃を阻止するよう命じている。 この結果、『グロッサー・クルフェスト』が爆沈。『カイザー』『カイゼリン』が大破するという大被害を受けるも、何とか離脱に成功。 以後は、必死になって逃走を図るドイツ艦隊に対して、イギリスの巡洋艦戦隊や水雷戦隊による追撃戦へと移ることになる。(ここまでを第三次戦闘と称される) ドイツ艦隊にとって幸運であったのは、駆逐艦部隊の煙幕展開と水雷攻撃によって、イギリス主力艦隊の足並みが乱れてしまったことと、 イギリス艦隊の巡洋戦艦部隊が事実上壊滅していたことから、追撃戦力は巡洋艦戦隊と水雷戦隊によるものであったこと、 そしてイギリス艦隊が夜戦に不慣れであったことなどから、破滅的な打撃を受けることは免れたものの、 それでも追撃戦による被害は無視できるものではなく、戦艦では、『カイザー』『ポーゼン』『ポンメルン』を失い、 軽巡洋艦部隊も、10隻の内6隻を失い、駆逐艦も、62隻あった内、12隻が沈み、残った船もその殆どが損害を受けるという状況になっている。 一方、イギリス側も、ドイツ側の撤退の執念を甘く考えていたため、被害を受けるケースも多く、装甲巡洋艦2隻が沈められ、 第三巡洋戦艦戦隊の内、『インドミダブル』が大破するなど、予想以上の損害を受けることになる。 もっとも、それを差し引いても、イギリス側の圧倒的な勝利には変わりなく、「栄光の6月1日再び」と、イギリスに於いて喧伝されることになる。 ・ 海戦の影響 本海戦において、イギリス艦隊は、前衛艦隊である巡洋戦艦部隊(QE級含む)の内、3隻を喪失し、無事な艦は2隻しかないという被害を受けたものの、 その大半は艦隊に復帰する一方、ドイツ艦隊は巡洋戦艦部隊が文字通り全滅し、以後の艦隊行動が全く不可能とまで結論付けられる状況に陥ってしまう。 (出撃したド級戦艦部隊16隻の内、帰港後直ちに戦闘行動に移れる艦が5隻だけしかいなかったのも大きい) この大敗の報を聞いたヴィルヘルム二世は、シェーア提督を直ちに軍法会議にかけると共に、海相ティルピッツに対して 「役立たずの海上部隊は解体せよ」と発言し、ティルピッツは抗議を込めて辞任するという騒動を引き起こしてしまう。 こうした混乱は、ドイツ水上艦隊の再建を遅らせるだけでなく、ドイツ海軍そのものも混乱を生じさせ、 日英海軍が護衛戦に対応できる時間を与えることになる。 また、各国の海軍軍人が夢見た艦隊決戦において、イギリスは明確な勝利を収めたものの、 海軍軍人たちが予想したような「戦争終結」には結びつかなかった。 このことは、日本海海戦で生み出された「艦隊決戦思想」に対する有力な反証となり、 以後、各国において頭を悩ませる結果になる。 恒例の言い訳は後ほど・・・ 376. yukikaze 2010/03/02(火) 23 30 21 で・・・恒例の言い訳タイム。 まず最大の問題は「これSSか?」なんだが、実はこれ削りまくった結果によるもの。 つ〜か最初は、秋山提督とヒッパー提督を中心に書いていたのだが、あまりにも長すぎた。 ジェリコー登場までにA4が14枚というのはどういうことですか? まあそう言う訳で、SSとは違うけど、戦闘紹介という形で作ってみたと。 後、「未来知識があったとしてもイギリス圧勝じゃないのか?」と思うかもしれませんけど、 実際の戦力が圧倒的過ぎるのでまともにやればこれくらいにはなるかと。 史実海戦があまりにもgdgdだったのは、イギリスの連絡体制があまりにも悪すぎて兵力の有機的活用が困難だったこと。 まあジェリコーの場合は、艦隊を失うわけにはいかないとして、消極的にならざるを得ないのは判るのだが、 ビーティは勇敢であるのは認めるけど、艦隊司令長官としてどうよということばっかりしているし。 ぶっちゃけ、このSSでの秋山の役割って、ビーティが犯した失敗を可能な限り潰していく役割ですし。 しかしまあ・・・盛り上げる為とはいえ、史実以上に派手な殴りあいさせたなぁ。 まあビーティは冗談抜きにこれで軍歴打ち止めになりかねないけど、こいつ一次大戦終結後にろくでもないことしているから ここで軍歴終わっていた方がマシといえばマシな訳なんだが。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/9184.html
520:加賀:2024/05/01(水) 20 39 51 HOST p4198001-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp 御台場鎮守府 提督、または関係者 橋本信太郎 松田千秋 近藤信竹 五藤存知 加賀少尉 葛城少尉 秋山陸軍少尉 陣野龍波少佐 門都互芽理少佐 艦娘 伊勢 日向 愛宕 青葉 瑞鶴 長波 五十鈴 神州丸 吹雪 第百一号 ゲスト枠 ネルソン ガングート コロラド 妙高 イントレピッド フレッチャー 艦娘の改装状況 改『伊勢』型第三次改装航空戦艦(改三) 主砲を46サンチ連装砲に交換、航空機も金星発動機と13ミリ旋回機銃を搭載した三三型甲の航空戦艦搭載用に改造した彗星三五型である。(634空) 改『高雄』型改装重巡洋艦『愛宕』(改二) 主砲を四号砲に交換し砲塔装甲も25ミリから200ミリに厚くし魚雷も降ろし準戦艦という形に落ち着いている。高雄と同じくデカイ(何が?)ちなみに『妙高』も同様の改装をしている。 改『青葉』型改装重巡洋艦『青葉』(改二) 主砲を三号砲に交換し魚雷発射管を降ろし機動部隊護衛を目的にしている。その為通信機能も強化されている。 『翔鶴』型正規空母『瑞鶴』(改三) 性能諸元は戦後夢幻会に出てる瑞鶴。改装によっては噴式機搭載の改二甲に変わる。 改『夕雲』型改装大型駆逐艦『長波』(改三相当) 全長・排水量を史実『秋月』型まで増加、戦後夢幻会で活躍する45口径12.7サンチ両用砲4基搭載し対艦兵器は元より対空火器、対潜兵器を充実させている。つまりは長波様バンジャーイ 改『長良』型改装防空巡洋艦『五十鈴』(改二) 所謂五十鈴改二。五十鈴に任せて! 陸軍特種船(R1)改装揚陸艦『神州丸』 改装により大型化し大発の搭載数は増え、戦車(M24)クラスなら36両は搭載するのが可能となっている。 艦娘と提督を増やしてみた。え、提督? 陣野少佐は野と波を抜けば分かるかもね。門都少佐?そのまま読めば問題無し(ダレダロウナー) 性能諸元は泥酔してたら書くかも