約 19,734 件
https://w.atwiki.jp/imaska/pages/337.html
■マダガスカル沖海戦(続・天海提督の決断)背景 侵攻戦力 損害 戦闘経過 エピソード 参考文献 ■マダガスカル沖海戦(続・天海提督の決断) 背景 1943年5月25日、帝國海軍は現時点での攻勢限界点と目されたマダガスカル島攻略を指示。 5月30日、再編なった第2機動艦隊、第5水雷艦隊はマダガスカル島の空襲圏に入った。 侵攻戦力 +日本軍 第2機動艦隊(艦隊旗艦戦艦『比叡』 艦隊司令如月千早中将) 空母4(正規空母『蒼鳥』『弥生鳥』『雲龍』『翠龍』) 戦艦4(戦艦『金剛』『比叡』『霧島』『榛名』) 巡洋艦4(重巡『最上』『三隈』『鈴谷』『熊野』) 駆逐艦4 航空隊270機 第5水雷艦隊(艦隊旗艦重巡『鳥海』 艦隊司令水瀬伊織少将) 巡洋艦7(重巡『鳥海』『高雄』『摩耶』『愛宕』軽巡『音無瀬』『岩瀬』『綾瀬』) 駆逐艦9 損害 +... 第2機動艦隊 大破 駆逐艦1(『撫子』) 小破 戦艦1(『比叡』) 第5水雷艦隊 沈没 駆逐艦5(『岩瀬』『朝潮』『荒潮』『夏雲』『山雲』) 大破 巡洋艦3(重巡『高雄』『愛宕』軽巡『音無瀬』) 中破 巡洋艦2(重巡『鳥海』『摩耶』) 戦闘経過 あいにくの雨により偵察機すら飛ばせない状況に陥った第2機動艦隊は、艦隊司令如月千早中将の命により天候が好転するまで待機を命令する。 一方、第5水雷艦隊司令水瀬伊織少将は巡洋艦、駆逐艦の快速を生かした強行偵察を決断。自ら直卒する主力戦隊でマダガスカル島西部を、艦隊副司令木村昌福少将座乗軽巡『音無瀬』、そして1個駆逐隊でマダガスカル島東部を強行偵察させる。 しかし、雨天の中での艦隊分離は困難を極め、両隊とも突入は大幅に遅延する事となった。 そして、艦隊分離がようやく終わろうとした30日午前8時過ぎ、マダガスカル島東部を北上する英国艦隊を旗艦『鳥海』の水上電探が発見。 第5水雷艦隊は水瀬本隊と木村分隊に分かれたままでこれを迎え撃つ事となった。 水瀬本隊が英国機動艦隊に丁字戦法を取って魚雷を浴びせかけながら右舷側に抜けた直後、その後方を掠めるように抜けた木村分隊は英国機動艦隊左舷から真っ向からの反航戦を挑んだ。 その結果、理想的とも言える挟撃を受けた英国機動艦隊は揚陸船1隻を除いて殲滅される事となった。 しかし、その直後木村分隊はキング・ジョージ5世級を含む有力な戦艦部隊と遭遇。砲撃を受けて木村分隊旗艦『音無瀬』は大破、戦場よりの離脱を開始する。 これを受けた水瀬本隊は『音無瀬』の敵討ちとばかりに熾烈な肉薄砲雷撃戦を開始。 大被害を被るものの戦艦部隊どころかその後方にいた軽空母部隊すら殲滅してしまう。 その後、天候の回復を受けた第2機動艦隊は敵飛行場を撃滅。マダガスカル島を手中に収めた。 エピソード 水瀬本隊と木村分隊が英国機動艦隊に対して成し遂げたギリギリのタイミングで交差しながらの挟撃は、後の戦術教本にすら載せられる程の戦闘機動であった。 参考文献 天海提督の決断 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4589.html
前ページ次ページゼロな提督 「黙れ小童!」 苛烈な怒りを内包した女の声が響き渡った。 ファーサードから一人の女性がツカツカと広場へ進み出た。ヴァリエール公爵夫人だ。 全てを焼き付くかのごとき灼熱の眼光がウェールズを睨み付ける。 そして、ウェールズに杖を突きつけた。 「父王の仇たる敵に尻尾を振って許しを請い、おめおめと生き恥を晒す卑怯者め!惰眠を 貪り国を傾かせたですって!?それは、あなたとあなたの父君ジェームズ一世の事でしょ う!」 「いかにも!ゆえに父は始祖と国民の怒りを受けて倒された!だが神聖皇帝クロムウェル 殿は、余の未熟と不徳を許し、真の始祖への信仰を授けて下さった! 故に、余はここに集う全ての民に呼びかける!レコン・キスタに集うべし!我らの聖戦 に杖と剣を並べるのだ!!」 見目麗しい皇太子は、公爵夫人の眼光を正面から受けつつも、怯むどころか自らの正当 性を高らかに主張する。ロマリアの教皇、聖エイジス三十二世辺りなら信徒の鏡と褒め称 えただろう。 既に群衆も魔法衛士隊も観衆と化し、事態の推移を固唾を呑んで見守っている。 上空を旋回していた竜騎士達までもが、地上で一体何が起きているのかと高度を下げて 様子をうかがっている。 「たわけがっ!!」 今度は公爵の声が響いた。 靴を高らかに鳴らして闊歩し、婦人の横に立つ。 「聖地奪還だと!?世迷い言も大概にせよ!一体、その過程でどれ程の血が流れると思っ ているのだ!?国土の荒廃に思い至らぬか!?」 「一時の犠牲を恐れて本道を忘れる、王家に課せられた義務を放棄する。だから王家は堕 落したと言われるのだ!」 「民草を守るのも王家の務め!無為に戦乱を起こす事こそ始祖の御心に背く行為だ!」 「なんと!始祖の悲願たる聖地奪還を無為と仰せられるか!」 ウェールズの指摘に、一瞬公爵は言葉に詰まる。 だがすぐに立ち直り、信仰ではなく現実的にウェールズを論破しようとする。 「ならば問う! よしんば奪還したとして、その後どうするのだ!あんなハルケギニアから遠く離れた場 所では、兵站も戦線も維持できんだろうが!即座にエルフ共に奪い返されるのが関の山で あろう! 後に残るのはおびただしい数の屍と、荒れ果てた田畑と、親や子を失い泣き崩れる家族 の涙のみ!財政は借金で破綻し、野盗共が闊歩し、地方貴族が反乱を繰り返す暗黒の時代 が訪れよう!」 「それは臆病者の言い訳に過ぎない!ハルケギニアに住まう我ら全ての力と、神聖皇帝殿 の『虚無』の力をもってすれば、いかなる敵も打ち倒せよう!『聖地』に満ちる始祖の光 をもってすれば、エルフ達を永久に退けれよう!」 神聖皇帝の『虚無』。 この言葉が飛び出した瞬間、群衆にさざ波が起きる。伝説の始祖の系統はブリミル教徒 には絶対の権威だ。 公爵夫妻も僅かに怯み、汗が頬を伝ってしまう。 中央広場に集う、ほとんどの者が皇太子へ視線を向けていた。 彼と公爵夫妻の論戦に耳を傾けていた。 その中で、皇太子以外にも目を向けている人がいた。 ヤンは、ファーサードでオスマンの隣に立つロングビルを見た。 ロングビルもヤンの視線に気付き、頷く。 次に隣に立つシエスタを肘でつついて我に返らせた。 そしてワルド達は皇太子ではなく周囲に注意を払っていた。上空の竜騎士隊にも。 今度はルイズが声を上げた。 「姫さま、姫さまは、どうなさるのですか?」 アンリエッタ姫は、ウェールズの胸に顔を埋めたまま、何も答えない。 公爵夫妻のもとへと歩きながら、姫に問いかけ続ける。 「姫さま、おわかりでしょう? このまま姫さまがアルビオンへ行けば、同盟は破棄されます。のみならず、怒り狂った ゲルマニアが攻め入ります。多くの人が死ぬのです。レコン・キスタや聖地奪還とは無関 係に、です」 それでも麗しき姫は何も答えず、震えながら耳を閉ざす。 ルイズは更に姫へ語りかける。 「姫さまは、トリステインを捨てるのですか?姫さまを慕ってくれた全ての人を、裏切る のですか!?」 ようやくアンリエッタは顔を上げた。 苦しげにルイズの方へと向く。 「私達を、行かせてちょうだい」 ルイズの顔にも苦悶が走る。 「姫さま!何故ですか!?」 「そ、それは、聖地奪還という始祖の悲願を」 「そんなの嘘です!姫さまとてご存じでしょう?偉大なる始祖すら不可能だったことが、 何故今さら可能なのですか!?第一、クロムウェルは本当に『虚無』の系統ですか?確か なのですか?」 「いかにも確かだ!」 答えたのはウェールズだ。並み居る群衆に向かって堂々と宣言する。 「余はこの目でしかと見た!神聖皇帝殿が死者を蘇らせるのを!『虚無』が蘇った今こそ 始祖の悲願を成就すべき時なのだ!!」 群衆に更なる動揺が広がる。衛士隊も、どうすれば良いのか分からず命令が下せない。 上空の竜騎士隊は何がなんだか分からず、さらに低空へと降下してきていた。 そんな中、ルイズは必死にアンリエッタへ問いかけた。 「姫さま、答えて下さい。さっき父さまや母さまが言った事にも答えて下さい。 トリステインで多くの人が死んでも良いんですか?本当に聖地奪還をしたいと思ってい るんですか?始祖ですらどうにもならなかった事が、『虚無』一つで全てがどうにかなるな んて、そんな夢みたいな事を本気で信じているんですか!?」 「そ、それは…その」 「本当は、本当は…ウェールズ様と一緒になりたいだけじゃないんですか!?」 瞬間、アンリエッタは誰の目から見ても分かるほど、動揺した。 顔色が青くなり、大量の汗を流し、わなわなと震え出す。 ウェールズは、そんなアンリエッタを優しく抱きしめる。姫は皇太子の服に縋り付く。 口にするまでもない、明確な回答。 「目を覚まして下さい!姫さま、私は先日ご報告しました!そのウェールズ皇太子は正常 な状態ではないと!恐らくは洗脳されていると!!姫さまは騙されているんだわ!!」 アンリエッタは再び顔をルイズへ向けて、にっこりと笑った。鬼気迫るような笑みだっ た。 「根も葉もない言いがかりはおよしなさい、ルイズ」 「姫さま!」 「このウェールズ様が洗脳されているなど、何を根拠に言うのですか?」 「そ、それは…」 ルイズは言葉に詰まる。周囲の状況を把握し続けていたヤンも、思わず舌打ちしてしま う。 洗脳された証拠なんか、あるわけ無い。そもそも皇太子が元はどういう人物だったかす ら自分たちは知らないのだ。もともとこういう人でした、と言われたらこの場では反論出 来ない。 それにウェールズの言葉はブリミル教徒の鏡と言える立派なものだ。それが洗脳だとい うなら、ブリミル教徒全てが洗脳されている事になってしまう。 クロムウェルの系統が虚無かどうかなんて、この場では証明出来ない。 第一、アンリエッタ姫は強く亡命の意思を抱いている。こんな状態で結婚式なんか続行 出来ない、という以前に結婚自体が、もう無理だ。 分は悪い、ヤンはこの現状を認めざるを得なかった。 だが、だからこそ、ウェールズの身柄が必要だ。ウェールズがトリステインにいればア ンリエッタは亡命しない。同盟は破棄されるが、少なくとも国内は分裂しない。レコン・ キスタの自壊を待ってアルビオンの猛攻を堪え忍ぶ事になるが、それでも最悪の事態では ない。 まったく、自分は本当に神とか信仰とかとは相性が悪いんだな。地球教徒に暗殺されか け、ブリミルなんておバカの神様に捕まり、今度は狂信的ブリミル教徒へ洗脳された皇太 子と対峙させられるなんて・・・。そんな恨み言を呟いていしまう。 それでもルイズは諦めず、姫を翻意させようと説得を試みる。 「姫さま…姫さまは、王家の義務より自分の恋心が大事なのですか?民が流したおびただ しい血の道を歩んででも、自分一人の幸せを望むのですか!?国と民のために尽くすのが 王家の義務だったのではないのですか!」 「ルイズ…」 姫は、哀しげに涙を流しながら答えた。 その涙は美しいものだった。陽光に煌めく宝石の様だ。白磁のように透き通る肌を流れ る雫は群衆の心を打った。溜め息とすすり泣きが、そこかしこから聞こえてくる。 そしてそれを聞いているヤンは、凄まじい悪寒に襲われた。理性を感情が覆い尽くし、 正常な判断が出来なくなる。美辞麗句を並べ立てる扇動者の駒と成り果てる。ヤンが散々 悩みぬいた衆愚政治の温床が、今目の前に展開されているのだ。 アンリエッタは鈴の音のように心地よい、だが苦悩に満ちた声で語り続ける。 「ルイズ…あなたは人を好きになった事がないのね?本気で好きになったら、何もかもを 捨てても、ついて行きたいと思うものよ。 私は誓ったのよルイズ、水の精霊の前で誓約の言葉を口にしたの。『ウェールズ様に変わ らぬ愛を誓います』と。世の全てに嘘をついても、自分の気持ちにだけは嘘はつけないわ。 だから行かせてルイズ」 「姫さま!」 「これは命令よ。ルイズ・フランソワーズ、そして公爵も、公爵夫人も、魔法衛士隊も、 国民全てに命じます。私達を行かせてちょうだい。道をあけてちょうだい」 人々は、明らかに怯んだ。 王家への忠誠と、始祖への信仰から、皇太子と姫を行かせるべきだと結論を出した人が いる。同時に頭の中に理性を残した人は、姫の亡命を許せばトリステインが火の海となる と全身に警鐘を鳴らす。 相反する二つの命令が同時に下された脳内、肉体は新たな命令が下されないまま動く事 も出来ない。 群衆は、彫像のように固まってしまった。 固まっていないのは、上空にいるから声が聞こえず混乱したまま虚しく旋回し続けてい る竜騎士達だけだ。 ヤンにとっても、まさに悪夢だ。 自由と民主共和制のために戦ってきた自分が、貴族制度に基づく国家の延命を図って思 考を巡らしている。そして考え付いた手段は、自由を求める女を無理やり政略結婚の道具 とするために、彼女が恋焦がれる男を捕らえるというものだ。 自分が命を賭けたこれまでの戦いは何だったんだ!?人間一人を犠牲にして国家の延命 を図る?それは、僕が同盟政府にやられた事じゃないか!そして僕は部下に助けられ、同 盟から逃げたんだ!! この瞬間、ヤンすらも二律背反に陥り、動きを止めてしまった。 いや、固まっていない人物がいた。 公爵は、大きな溜め息を一つ付くと、杖を引き抜いた。 「お間違いを指摘するのも忠義というもの。城にいる陛下と枢機卿からも、よく叱ってお いてもらうと致しましょう」 その言葉に公爵夫人も我に返り、目にも止まらぬ速さで杖を引き抜いた。 「主君の不始末は、それを諫められぬ家臣の不始末!姫殿下には折檻が必要のようですわ ね!その後で、いくらでも陛下から不敬の咎を受けるとしますわ!!」 公爵夫妻の声に、ヤンは我に返った そしてワルドが公爵夫妻ではなく、上空を見ていたのに気がついた。 状況を把握した。 ジョンストンの風竜に乗って速やかに飛び去ろうとしていたウェールズが、何故に長々 と論戦をしていたのか、ワルドも一緒になって、どうして上空を気にしていたのかを理解 した。何が起こっているのか確かめようと、竜騎士隊が地上近くまで降下してきていたの だ。 「よせっ!離れてくれっ!!」 ヤンは慌てて竜騎士隊に向かって追っ払うような素振りをした。 だが運は味方しなかった。 その動きを見た竜騎士達は、自分たちに何を伝えようとしているのかと訝しみ、さらに 降下してきてしまった。 彼等の頭上、すぐ上にまで! 一人目の分身のワルドが魔法を放った。 巨大な竜巻が突如広場全体に突風を巻き起こす。 そして二人目の分身が本体に『レビテーション』をかける。分身に浮かされた本体は風 に乗り、空へと飛翔した。 「しまったぁ!」 「キャァッ!!」 風に巻き上げられた砂塵と紙吹雪の紙片と花吹雪の花弁に視界を塞がれ、叩き付ける突 風でヤンとシエスタは銃の狙いが外れてしまう。公爵も群集も魔法衛士隊も視界を奪われ た。唸りを上げる風に耳を塞がれた。 そして地上近く、広場上空に滞空していた竜騎士達も突然の竜巻に巻き込まれ、姿勢を 崩し、跳ね飛ばされ地上に叩き付けられそうになるのを必死に耐える。 必死に風竜を制御しようとしていた竜騎士の前に、いきなりワルドが現れた。 次の瞬間、竜騎士は『ブレイド』によって首を跳ね飛ばされた。 「『エア・ハンマー』!」 竜巻の中、殴りつける突風にも怯まず公爵夫人が魔法を放つ。 空気の塊がワルド達と王族二人へと襲いかかる。 「『エア・シールド』!」 だが三人目の分身が空気の壁を作り出した。高圧空気の塊は、やはり高圧の空気の壁に 弾かれ、大音響を響かせて破裂した。 「『ライトニング・クラウド』!」 四人目の分身が雷を撃ち出した。真っ直ぐに、公爵夫妻に向けて。 バチュンッ! 雷撃の白い光が舞い上がる砂塵を照らす。 だが、公爵夫妻は光を遮られ、照らされなかった。 二人の目の前には、大きな土の塊があった。それは雷撃を受けても気にする様子もなく、 見る見るうちに盛り上がり、10メイルほどの人型を為した。砂塵の向こう、ファーサード で杖を構える女性の姿がわずかに見える。 ロングビルが長い詠唱を終え、ゴーレムを形成したのだ。群衆に囲まれた広場でも動け る程度の大きさの土ゴーレムを。 土の巨人は地響きを上げてワルド達へと歩を進めだした だが、長い詠唱をしていたのはロングビルだけではなかった。 アンリエッタが呪文を唱えていた。 同時にウェールズも詠唱する。 二人の詠唱が重なる。 アンリエッタの『水』とウェールズの『風』、トライアングル同士の王族が生み出す魔法 は巨大な六芒星を形成した。 本来なら困難極まりなく、血を吐くような訓練と統率によって可能となる合体魔法。選 ばれし王家の血が可能とする、トライアングル同士が絡み合ったヘクサゴン・スペル。 中央広場にある噴水の水が吸い上げられ、六芒星によって竜巻へと姿を変えた。いまだ 砂塵や紙片を巻き上げる風の竜巻の内側に、更に水の竜巻が出現していた。抱き合い、手 を取り合う二人が天へと伸ばす杖から、津波のような荒れ狂ううねりが生まれていた。 水の城が、ゴーレムへと疾走した。 巨大でありながら、竜巻の回転速度も移動速度も極めて速い。土で出来たゴーレムはみ るみるうちに削られ、溶かされ、竜巻の渦に巻き込まれていく。さらにはゴーレムの背後 にいる公爵夫妻とルイズ、そしてファーサードの貴族達にめがけて暴虐なる水の竜が襲い かかる 閃光が走った。 竜巻を生み出していた二人を、杖を掲げていたウェールズとアンリエッタの腕を、熱線 が貫いた。 さらに立て続けに、幾筋もの光が杖を持つ腕を容赦なく貫く。巻き上がる砂塵の中、ブ ラスターのビームは『エア・シールド』による空気の壁を無視し二人の若き王族の杖を、 腕を、手を射抜く。周囲にいたワルドの分身もルーンを唱える間もなく撃ち抜かれ、破裂 音を残して次々と霧散した。 甲高い悲鳴が上がったが、水と風の竜巻が生み出す轟音に飲み込まれ、誰にも聞かれる ことなく消えていった。 竜巻の中、不自然に風の弱い空間が存在していた。 ヤンが左手に構えたデルフリンガーが竜巻を生む魔力を吸い込み、風と砂埃と花吹雪が 薄くなった空間の向こうにアンリエッタとウェールズ、そしてワルドの分身達の姿が晒さ れた。高く掲げた杖から強大な合体魔法を放った二人の腕と杖、そしてワルドの分身をめ がけ、ヤンとシエスタがそれぞれのブラスターを撃ち込んだのだ。 水と風の竜巻は魔力を失い、急速に消失していく。重力に引かれた大量の水が落下し、 近くにいた貴族達を押し流しながら広場を水浸しにする。紙吹雪と花吹雪がゆらゆらと舞 い降りる。 「ヤンさん!」 「捕まえるよ!」 二人はアンリエッタ達を捕縛すべく駆け出す。 ドゥンッ!! 走り出した二人の頭に、突然鈍器で殴られたような衝撃が振ってきた。 ボンッ!! 次の瞬間には、何かが破裂したかのような爆風に二人とも吹き飛ばされた。 二人の頭上には、風竜にまたがり杖を地上に向け『エア・ハンマー』を唱えたワルドが いた。 吹き飛ばされ、地面に倒れたヤンの霞んだ視界には、風竜に跨って飛び去ろうとするワ ルドがいた。ワルドの横には撃たれた所を押さえながら激痛で半狂乱になっているアンリ エッタ、彼女を抱きしめているウェールズの姿もあった。 慌てて右手から弾き飛ばされた銃を拾い、風竜を撃とうと構えたヤンだが、既に遅かっ た。風竜は街並みの向こう、トリスタニア上空を飛び去っていた。 中央広場から、群衆は消えた。 冷静さを取り戻した人たちは、アルビオンとゲルマニアが同時に侵攻するという最悪の 事態に震え上がり、各自の家へ走った。今頃、大慌てで荷物をまとめているだろう。 ようやく竜巻を逃れて着陸した首都警護竜騎士連隊は事の推移を聞かされて耳を疑い、 枢機卿と大后へ報告し、指示を仰ぐため城へと飛び去った。魔法衛士隊も同じく城へと飛 んだ。グリフォン隊だけは隊長のワルドがいなくなって多少まごついたが。 建造物に突っ込んだ風竜は死亡していた。建物に頭をぶつけて目を回しているうちに失 血死したようだ。乗っていたジョンストンと竜騎士の所在は不明。瓦礫の下にいるかもし れないし、既に逃げたかも知れない。だが、それを調べる余裕がある人物は、この場には いなかった。 「こ…こんな屈辱、ここまでの侮辱!生まれて初めてですわっ!!」 怒りに震えながら、懐から取り出した本を地面に叩き付ける少女がいた。ベアトリス殿 下だ。 「ルフトパンツゥアーリッター(空中装甲騎士団)!」 赤いドレスの少女が叫ぶと、広場に残っていた竜騎士達が水しぶきを上げながら速やか に整列して敬礼した。 「すぐに家へ戻るわよ!この茶番、急いでお父さまに報告して差し上げませんとね。…楽 しみですわ!惰弱にして無知蒙昧なトリステイン王家を蹂躙してあげますわよ!」 そう叫ぶやベアトリスは竜騎士の後ろに乗り空へと飛び立つ。他の竜騎士達も後に続い た。 広場に残った人間は少ない。 水浸しなままで茫然自失としている公爵夫妻とルイズ。わなわなと震えて膝をつくオー ルド・オスマン。憧れのアンリエッタが目の前でアルビオンに亡命してしまったのを見て 卒倒したギーシュと、父であるグラモン元帥。ぼんやりと佇むタバサとシルフィード。主 の指示を待つしかない、疲れ果てた様子のジェローム以下ヴァリエール家の召使い達。未 だにおたおたと無為に走り回っている大司教と司祭達…。 広場の真ん中には頭から流れる血を拭くヤンとシエスタと、駆け寄ってきたロングビル が立ち尽くしていた。 「はぁ、えらい事になっちまったねぇ」 「ヤンさん、どうしましょう・・・」 シエスタは不安げに尋ねてくる。さっきまで乱射していた彼女の右手のブラスターも、 今は熱を失い冷たくなっている。ヤンの右手の銃は胸にしまわれ、代わりに長剣が持ち替 えられていた。 「んと…さて、どうしようかな」 「おでれーたよなぁ、まったく。こりゃ困ったモンだ」 「困ったねぇ」 デルフリンガーの呟きに上の空で答えつつ、ヤンはキョロキョロと周囲を見渡す。そし て、ファーサード前と噴水横に注目した。 「ちょっと、待っててくれるかな」 ヤンは二人を残し、聖堂へと駆けていった。 ヤンはベアトリスが地面に叩き付けた本を手に取った。 表紙はボロボロで、古びた皮の装丁がなされ、色あせた羊皮紙のページは茶色くくすん でいる。ペラペラとページをめくるが、全ページが白紙だった。 「祈祷書、ね…」 次にヤンが足を向けたのは噴水横。そこには多量の血痕が地面に残っていた。ヤンとシ エスタが銃撃したウェールズとアンリエッタの血だ。 「…僕は陸戦隊員じゃないもんなぁ。ガンダールヴのおかげで、ちゃんと皇太子も姫も殺 さないように当てれたけど、結局逃げられちゃった。 これがローゼンリッターだったら、迷いもせず突入して一瞬であの二人を組み伏せれた んだろうけど、ね」 ヤンに続いて長剣もぼやく。 「そのガンダールヴだけどよ、いつかも言ったとおり、心の震えで力を増すんだ。だけど おめーさんは、いっつも冷静でのんびりしてるだろ?さっきなんか、頭ン中は迷いで一杯 だ」 「言いたい事は分かるよ。感情を理性で抑え、冷静さを保ち、常に論理的に考えながら行 動しているヤツにガンダールヴの力は向いていない、ということだろ?」 「そーゆーこった。おかげでガンダールヴの力がぜーんぜん発動出来てねぇ」 「そうだねぇ。…ま、その辺の恨み節はブリミルに言ってくれるかい?あのバカのせいで 僕がガンダールヴにされたんだから」 「そーだな。別にヤンは何にも悪くネーんだからな。むしろ、よく頑張ったんじゃねーか なぁ」 デルフリンガーにも評価された通り、自分でもあの状況で出来るだけの事はやった、と ヤンは思う。 それでも、と彼は思う。ウェールズを殺すべきだった、と。最善の結果を望み、殺しを 躊躇した結果、失敗した。最悪の事態へと突き進んでしまった。 「ところで、そこに落ちてるのは…もしかして、アレかい?」 長剣の問いかけに、意識は思考から現実へ向けられた。足下の血溜まりへと。 「そのようだね。自由も権利も歴史上タダではなかったんだ。これくらいは払ってもらわ ないとね。 むしろ、自由恋愛のための亡命代、国を売った対価としては安いくらいさ。僕だって命 がけで同盟から逃げたんだ」 相変わらず飄々としたヤンの言葉。だがその冷静さは、地面に転がるものを前にしたセ リフとしては、あまりにも毒を含みすぎていた。 血だまりの中、陽光を反射して光る物体があった。鮮やかな青い石だ。他にも砕け散っ た水晶がついた杖や、血濡れのティアラも散乱している。 始祖の秘宝。それは学院図書館やティファニアの話、それにルイズが王女に会った時に 確認した物など、手に入れた情報と一致する『水のルビー』。ルイズは先日アンリエッタ姫 の右手薬指にはめているのを確認していた。 そう、確かに右手薬指に着いている。それは今も変わらない。 血だまりの中、王女の右手薬指に着けられた水のルビーは、高貴な王族が流したな血飛 沫の斑点で飾られている。 地面には銃撃で千切れ飛んだアンリエッタの右腕、肘から先が落ちていた。 これに先立つ半日ほど前。 高度120リーグ、空を飛ぶ『塔』があった。 その物体は大気圏離脱に使用した『塔』のほとんどを切り離す。切り離された『塔』の 大部分は重力に引かれ、大気圏へ再突入を開始した。 もともと雷で表面が焦げていた『塔』は、大気圏突入によって大気との摩擦でさらに焼 かれた。そして地上に、ウィンプフェン領に墜落し地面と激突、細長い体は幾つにも折れ て砕けた。 用済みになった大気圏離脱用ブースターを切り離し、身軽になった本体は惑星周回軌道 へ入るべく、宇宙空間でさらに加速した。高度を上昇させ、速度は既に第一宇宙速度(秒 速7.9km)へ加速を終了している。 安定した円軌道を描く惑星周回軌道に入った本体は、その上部を覆うカバーを開けた。 中には4つの、一片1m程度の四角い機械が詰め込まれていた。 本体から射出されたそれらは、それぞれに定められた軌道へと自力で移動していく。一 つ、また一つと放たれた機械は惑星を取り囲んだ。正三角形が四つ合わさった正四面体の 頂点を構成したそれらは、姿勢制御も終えた。 センサーを伸ばし、カメラのカバーを開け、観測の任務に就く。 多目的観測衛星の射出という任務を終えた本体は、残存していたエネルギーでさらに加 速。万一にも観測衛星と衝突する事がないよう、第二宇宙速度(秒速11.2km)へと加速し て惑星の重力圏を離脱した。 観測衛星は様々な観測機器を搭載していた。 太陽から到来するX線のような、可視光線含めたガンマ線から電波までのあらゆる電磁 波。陽子に中性子。アップ・クォークにダウン・クォーク。タウ・ニュートリノやミュー オン。さらには重力子のようなゲージ粒子にいたるまで、全てを観測するための機器が積 まれていた。地上観測用の光学カメラもある。科学を知る人間が考えつく全観測機器が、 これでもかと詰め込まれていた。 なお当然ながら、それら観測結果を発信したり、観測者からの指令を受け取ったり、そ れらの通信を中継するための通信機器も有している。 それらは衛星軌道上につくと同時に稼働を開始した。カメラで撮影された大量の映像が データへと変換されて『門』へと飛ぶ。 『門』は鏡のように見える。だが実際には対象物を召喚するゲートだ。そして光や音の ような波の性質を持つエネルギーは、ある程度双方向で往来が可能だということが確認さ れていた。 惑星を周回する先輩である二つの衛星をはじめ、他惑星・太陽・他星系の情報も次々と 送信される。4つの衛星は与えられた機能をフル稼働させ、その任務を遂行していた。 それらの情報の中に、奇妙なノイズが混じった。 当初、それはノイズと思われた。他の情報からは著しく矛盾するデータだったからだ。 ハルケギニアや聖地を撮影した映像からは、そのようなデータが存在するはずが無いから だ。 観測者達はノイズの正体を確かめようと、即座に観測衛星へ新たな指令を送った。ノイ ズ発生源に近い位置を飛行する衛星がカメラを向ける。 その映像には、中世の街並みが映っていた。ただし、観測者が想い描く中世の街並みと は大きく異なった。観測者達は先ず自分の目を疑い、次いで観測機器の故障を疑い、最後 に己の正気を疑った。 中世ヨーロッパでは、少女の持つブラスターで狩られた竜が街中に墜落する事はなかっ たはずだ。 だがコンピューターは何の感情も偏見も加えず、ただデータと分析結果をモニターに表 示した。ノイズの正体はブラスターが生み出した高エネルギーだと。 第24話 破局 END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4984.html
前ページ次ページゼロな提督 《教皇よ!》 シャン・ド・マルス錬兵場に、一際大音量でラインハルトの声が響き渡った。 《銀河帝国がハルケギニアへ侵略を企てていたなら、とうの昔にハルケギニアは予の 艦隊に蹂躙されていた。予にその意思がなかったから、卿等は繁栄を享受できていた のだ。 この事実こそが、予が和平を望む証である!》 その言葉に、教皇は何も答える事が出来ない。愕然としたまま立ち尽くしている。ジュ リオも剣を握る手から力が抜けていく。 《卿等のいかなる魔法も、どんな大砲も、予の艦に傷一つすら付ける事は出来ぬ。そ もそも、とどきすらせぬし、魔法や大砲を放つ間も与えぬ。予が腕を振り下ろす間に 全て消し飛ばしてくれよう》 ラインハルトはジョゼフへ向けて手を差し伸べる。 ガリア王とミョズニトニルンは軽やかに悪魔像を模した巨大魔法人形から地上へ降り立 つ。魔法人形は地響きを上げながら会場の人々を離れ、周囲に誰もいない練兵場の隅に座 り込んだ。 光が爆ぜた。 次の瞬間、魔法人形は消えていた。魔法人形が座っていた地面も消えていた。半径十メ イル程の大穴が出来ていた。 それがミサイル攻撃だというのは、会場の人々には分からなかった。だが、頭上の艦か ら棒状の物が撃ち込まれた瞬間に巨大魔法人形が地面ごと吹き飛んだのは分かった。 ブリュンヒルトの側面には多数のミサイル発射口が口を開けていた。 それらが会場へ向けられる砲口なのは、アンリエッタ亡命後すぐに山ごもりをして魔法 の修行を続けていたため真相に関して何の知識も得られず、滑稽な道化と成り果てたギー シュ・マリコルヌ・ヴィリエにすらも分かる事だった。 壊れたアルヴィーを握りしめ、虚しく地面にへたり込むギーシュ達の肩を叩く老人の手 があった。それはオスマンだ。その後ろにはコルベールもいる。 「おぬしらを責めはせんよ。ただ、今はあの者達の言葉を黙って聞くがいい」 三人は、呆然としたまま微動だに出来なかった。 《更に言うなら、あれらの艦は全て無人だ。卿等に分かる言葉で言うなら、ガーゴイ ルなのだ。 教皇よ。お前の『虚無』の魔法が、どれほどの奇跡を起こそうとも、万一あれら全 てを消し去る事が出来ようとも、予には蚊が刺した程の事もない。新たに無人の艦隊 を送るだけだ。次は万の単位で、な。 なお言っておくが、卿等の頭上の艦を破壊したら、当然ながら残骸が降り注ぐぞ。 お前達の頭に》 それは、全くもって余計な台詞だ。 ラインハルトは、わざわざ言われなくても分かっている事を口にした。この点、まだラ インハルトも若く、激情に身を委ねる事もある気性の激しい皇帝ゆえ、少々自らの権力に 酔っていたと言えるだろう。ジョゼフが言うように、見た事もない大艦隊を見て怯えうろ たえる人々を目にして、「ついつい面白くなって」しまっても、非難出来る人は少ないだろ う。 事実、教皇にとって確かにラインハルトの言葉は、言われなくても分かっている余計な ことだった。 ヴィットーリオは聖杖を取り落としていた。怯え震える火竜の背で、膝をついていたの だ。もはや教皇としての威厳はなかった。俯き、噛み締められた唇からは何の言葉も出な かった。頭から落ちた円筒状の帽子のことなど、本人含めて誰も気にする事は出来なかっ た。 その姿はハルケギニアの敗北を、教会権威の失墜を象徴していた。竜に並ぶ恐怖の対象 であるエルフ達をも遙かに上回る軍団が聖地奪還に立ち塞がっている事実を、彼等の気ま ぐれ一つで教会は消滅する事を、エルフ達との和平を受け入れなければ本当に消されかね ない事を示していた。 「はーっはっはっはっはっは!」 ジョゼフの高らかな笑い声が響き渡った。 立ち上がる気力もない教皇へ向けて、満面の笑みで語りかけてくる。 「ま、そういう訳なのだよ! これまでの詳しい話は後々教えてやるが、ともかく、今日の調印式典は全て狂言だった のだ」 そう言いながら、ジョゼフはツカツカと教皇が乗る火竜へ歩み寄っていく。 顔を上げられない教皇へ、実に楽しげに朗々と語り続けた。 「いやあ!全くお前の絶望の程には同情するぞ。 自分の全人生を捧げてきたものが、全くの嘘。 力で真実を否定しようにも、圧倒的な戦力差に手も足も出ない。 しかも、それら全てをハルケギニアの全貴族を前に公にされてしまったのだ。 全くお前は立場がない、運もない、たった今から権威も権力も何もない!」 教皇は、何も答えない。答えられない。 ジョゼフは火竜の傍、教皇の近くまで歩み寄る。 そして腕を組み、うんうんと頷きながら話を続ける。 「あ、そうそう、一つ教えてやろう。 実は銀河帝国の人間は、そこで幻影の姿を現しているラインハルトも含めて、全てが魔 法を使えない人間なのだ。俺も驚いたのだが、その若者の国にはメイジも魔法も存在しな いそうだ。 実際、俺も銀河帝国から迷い込んだ連中の遺留品をかき集めて、部下に調べさせたのだ が、一切の魔法反応が無かった。エルフ達も調べたそうだが、精霊の残渣すらなかったそ うだ」 その言葉に、ラインハルトもヤンも小さく頷く。 だが教皇は頷けない。 「つまり、俺たちの上を飛んでいる、あの神の軍勢がごとき大艦隊も、全て魔法無しで平 民達が作ったガーゴイルだ。ブリミルが俺たちに授けた系統魔法も先住魔法も無しに動か しているのだよ。 つまり平民達の力は、系統魔法を遙かに上回るのだ。始祖がハルケギニアに授けた祝福 なぞ不要、と言うほどにな。始祖の系統である『虚無』の使い魔の一つ、俺の使い魔ミョ ズニトニルンの力で生み出した巨大ガーゴイルですら、ほれ、あの通り。奴等の爆弾一つ で粉々だ!」 ジョゼフはあごをしゃくって会場の隅を示す。 そこには、ミサイルで跡形もなく地面ごと消し飛んだ魔法人形の座っていた場所。 もちろん使用されたのは対艦ミサイルではない。核弾頭を外し、適当に火薬を詰めただ けだ。 王は、わざとらしく肩をすくめる 「いやはや、俺だけでなく、マリアンヌ女王やアルブレヒトにも、エルフ達にすらどうし ようもなかったのだ。 何しろ彼等、エルフと銀河帝国の連中が言う事に一つも嘘偽りは無かった。始祖が奪還 を求めた聖地は、草一本生えない荒野。ど真ん中にある召喚の門は、主たる始祖がいない のに開きっぱなし。そして門から飛び出してくるのは、あの『ドラート』をはじめとした 銀河帝国の軍艦ばかり! おまけに圧倒的軍事力。笑顔で『和平に応じろ』と言われれば否応もない。選択肢が他 になかったのだ」 その言葉には、ハルケギニアの女王や皇帝も頷いた。 そして王は、益々わざとらしく教皇へ微笑んだ。 「だが教皇よ、安心せよ!事の責任は、お前には全くないぞ!うむ、お前は全く悪くない のだ! 教会の教えが誤っていたのは、お前が間違えたからではない。お前の先人達の誤りであ り、そやつらの責任だ。 系統魔法が我等を六千年に渡って守り導いたのは真実だ。我等は系統魔法による恩恵を 受け続けていたのだ。ブリミルが我等を蔑ろにしたなんてことも、全く無い!多少の誤り はあっても、ブリミル教自体は間違っていないのだ!」 その言葉に、教皇はようやくジョゼフの方を見る。 全てを失った若者の目に映るのは、満面の笑みと共に自分を慰める男。 「おお!これはつまり、教会はこれからもハルケギニアを導くべき地位にあるという事な のか!?そうだ、お前が教皇である事に、全ブリミル教徒を率いる地位にある事に変わり はないという事だ! 彼等、銀河帝国も俺たちに和平を申し出た。つまりお前の教皇としての地位も教会の存 在も不問とする、という事でもある。 良かったではないか、教皇聖下よ!お前が聖地奪還を諦めさえすれば、お前は自分の地 位を、権威を守る事が出来るのだ!今まで通りにハルケギニアの貴族と平民達へ始祖の教 えを」 バキィッ! 打撃音が鳴り響いた。 ジョゼフの言葉は、頬にめり込む拳で遮られた。 ガリア王を殴り飛ばした者がいたのだ。 だが、それはジュリオではない。ジュリオの前にはミョズニトニルンが立ちはだかって いたから。落としそうになっていた剣を握り直してジョゼフに斬りかかったのを、無能王 の使い魔が遮っていた。 だが、王の頬には拳がめり込んでいた。翼人女性のアイーシャ、ビダーシャルをはじめ としたエルフ達がいるのに、精霊はガリア王を守らなかった。火竜のブレスからは守った のに、男の拳からは守らなかった。亜人達も、何も言わず驚きも怒りも何もせず、ジョゼ フが殴られるのを黙って見逃した。教皇お付きの神官達が動かないよう見張っているのに も関わらず。 上空にいるヤンやフレデリカも、銀河帝国艦隊も、全く動きを見せない。まるでそれが 当たり前のように。 そう、彼等は見ていた。この茶番劇の役者達は、わざと見過ごしたのだ。 ロマリアの教皇聖エイジス三十二世が、火竜を飛び降りてガリア王を殴るのを。 それが茶番劇の一つであるかのように。 だが、そんな事実にすら、教皇は思い至らなかった。 彼はただ、激情に身を任せた。 身の奥底からわき上がる憎悪と憤怒に身を任せるしかなかった。 「全部…全部、仕組んでいたのか…?」 端正な顔が怒りに歪む。 殴り飛ばされた王は、口の端から一筋の血を流し、それでも笑った。 笑顔で答えたのだ。 「そうだ、全て俺が仕組んだ」 「お前が…!?」 その言葉を、教皇は信じる事が出来なかった。エルフはおろか、銀河帝国という超大国 までがガリア王の筋書きに従ったという事実を信じるのは難しかった。 《ガリア王の言葉は真実だ》 ラインハルトがジョゼフの言葉を真実と保証した。 《それが、ガリア王が協力する条件だったのだ。 エルフ達との和解に応じ、ガリア王としても『虚無』の系統としても銀河帝国との 和平を結ぶ。そのかわり、今日の式典は全てガリア王の仕切りにさせよ、と》 ヴィットーリオの視線は、高速でジョゼフとラインハルトの間を往復する。 ラインハルトの説明に、ビダーシャルをはじめ老エルフ達も同意した。 「我等もガリア王の要求には首を捻った。何のために、こんな寸劇をするのかは全く分か らなかったのだ。 だが、ともかくガリア王は全面協力を約束した。我等やヤンが求めた『不殺』の条件を も受け入れた。実際、ジョゼフの筋書き通りに事は進み、誰も死なずに済んだ。なので、 我等としてもジョゼフの案に異論は唱えなかった」 ドゴォッ! 再び殴打の音が響いた。 もはや殺意すら顔に浮かべた教皇が、今度はジョゼフの腹に拳をめり込ませたのだ。 「それじゃ、それじゃあ、お前はこう言うのか? 全ては、私に恥をかかせるのが目的だったというのか!?」 「く・・・くく、く…。やっと、気が付いたか…」 「なんだ、と?・・・どういうことだ。簒奪者よ、一体どういう事だ!?弟を殺し王位を 奪って、次は教皇にでもなりたい…と、そういうのか!?」 ジョゼフは腹を押さえて膝をついている。だが、苦悶に顔を僅かに歪めつつも、それで も笑顔が消えない。 いや、むしろ、心からの喜びに満ちている。満面の笑みを浮かべている。 「くく、くくく…違う。教皇の地位など興味はない。全ては、この一瞬のために仕組んだ のだ」 「この、一瞬…?私が恥をかく、この一瞬に・・・。な、何故、何故だ。私が、お前に何 をしたと言うのだ?」 「お前は、何もしていない。本当に、お前は何も悪くないのだよ。だが、俺は仕組んだの だ。今日の茶番を、な」 よろめきながら、ジョゼフは立ち上がる。 そして、トリスタニアはおろか、ハルケギニア全てに響きわたらさんとするかのような 声を張り上げた。 「お前に、お前に俺を、殴らせるためさっ!」 確かにジョゼフは告白した。教皇にガリア王を殴らせるために、今回の陰謀を仕組んだ のだ、と。 だが、告白をされたからと言ってジョゼフの意図を理解出来るわけではない。殴りつけ た本人である教皇も、あえてジョゼフ本人を守らないように精霊へお願いしたアイーシャ やビダーシャルなどエルフの人々も、モニターで事の推移を黙ってみているラインハルト 達すらも、彼の意図が分からない。 『ドラート』二機はようやく降下艇の隣に着陸して、中からルイズ達が地上へ降り立っ た。彼等もジョゼフの言葉を黙って聞いている。 ジョゼフは大きく息を吐き、呼吸を整え、静かに尋ねた。 「教皇よ、お前は『虚無』の力が何を源とするか知っているな」 その問に、教皇は目を見開いた。 だが口は開かない。何も答えない。 「知らないのか?それとも言えないのか?なら俺が代わりに言ってやる。教えてやる。 それは、闇だ」 闇。その言葉を口にしたジョゼフの顔は、確かに闇が浮かんでいるように見えた。 たとえ闇が浮かんでいるように見えるのが気のせいでも、その口調には明らかに憎悪が 含まれている。 「怒り、憎しみ、嫉妬、絶望…あらゆる負の感情が源となる。『虚無』の系統たる俺と、そ このルイズが保証する。闇が心を満たす時、『虚無』の力は増す。精神力が溜まり、威力を 上げるのだ。 はっ!慈愛に満ち祝福を授けるのブリミルの系統が闇を糧にするとはな。大笑いだ!」 その言葉にルイズも黙って頷く。 彼女の顔には憎悪は浮かんでいない。ただ静かに話を聞いている。だが隣のヤンは知っ ている。彼女の心が闇に浸食されていた事実を。 「大きな力には、暴走を防ぐために封印がかけられる。 そのため『虚無』の系統にも封印がかけられていた。それが始祖の秘宝だ。地水火風を 象徴する4つの指輪と、「虚無」の魔法を伝える4つの秘宝に触れる時、封印は解除される。 『虚無』が蘇る。 だが、この封印にはもう一つの意味があった…『虚無』の使い手に、その心に、闇を満 たすという効果が、な!」 ジョゼフは吐き捨てる。 その心に満たされた闇を吐き出すかのように。己を焼く憎悪が炎となって吹き出すかの ように。心から忌々しげに。 「昔、俺は何一つ出来なかった。封印のせいで魔法が使えなかった。もちろん俺が本当は 『虚無』の系統だなんて、誰にも分からない。宮中の誰もが、母すらも、俺を暗愚と呼ん ださ。 それに比べて弟のシャルルは何でも出来た。皆、弟が王になる事を望んだ。あいつは、 誰よりも魔法の才に優れていた。五歳で空を飛び、七歳で火を完全に操り、十歳で銀を錬 金した。十二歳の時には水の根本を理解した。俺には何一つ出来ない事を、シャルルは容 易くやってのけた」 弟の事を語り出すジョゼフ。その時の彼には、憎悪ではなく懐古と寂寥と、嫉妬と後悔 がみてとれた。天を仰ぎながら、懐かしげに、羨ましげに、そして悔しそうに弟の事を語 る。 「いや、魔法だけじゃない。あいつは本当に賢かった。俺と互角にチェスを指せたのはあ いつだけだった。あいつがいなくなって、俺のチェスの相手は、俺だけになってしまった。 自分で自分を相手にチェスを指す…なんて退屈な行為だ! 賢いだけじゃない、あいつは優しかった。家臣や父にバカにされる俺を見て、あいつは 言ってくれた。『兄さんは、まだ目覚めていないだけなんだ』『兄さんは、いつかもっと凄 い事が出来るよ』と。俺を気遣って、わざと失敗してくれたことすらあった。本当に、あ いつは優しかった…」 突如、ジョゼフの顔が変わった。再び闇が浮かんだのだ。今度は気のせいでも何でもな い、間違いなくガリア王は顔を憎悪・後悔・絶望で醜く歪ませたのだ。 「そんなあいつが、俺は羨ましくてたまらなかった!俺が持たぬ美徳、才能を全て兼ね備 えていた! だが…それでも憎くはなかったんだ。本当だ。あんなことをしてしまうほど、憎くは無 かった。あのときまでは…」 ジョゼフは俯く。 わなわなと手が震える。 衆人環視の中、ジョゼフの独白は続く。 「病床の父は、臨終の間際に俺とシャルルだけを枕元に呼んだ。他には誰もいない、三人 だけの部屋で、次の王が定められた。 父は、俺の名を口にした。 信じられるか?なぁ、信じられるか!?俺は、本当に王に指名されたのだよ。父にバカ にされ、母に暗愚と呼ばれ、宮中の誰もがシャルルを王に相応しいと思っていた。なのに 父は俺を王としたんだよ!」 彼はヴィットーリオへにじり寄る。いまだ唖然、呆然とする教皇の顔を、上目づかいに 見上げながら、腹の底から叫んだ。 「そうさ、俺は簒奪なんかしていない。本当に、俺は父から王に指名されたんだ。本当に 俺が正当なガリア王なのさ!」 彼は腕を振る。横へなぎ払う、会場の人々へ右腕を振り回す。 この中の誰一人としてジョゼフが正当な王だったと信じていなかったであろう、会場の 貴族達へ、真実を投げかけたのだ。 だが、すぐに彼の腕から力が抜けていく。肩が落ちる。 「俺は喜んださ…父は病気で呆けてたんだろうけど、王の言葉は絶対だ。自分は王になっ たんだ、と。 そして、俺の心は、弟への、シャルルへの優越感で満たされた。シャルルの絶望がどれ ほどのものか。自分のものになるはずだった権力が、一瞬で指の間からすり抜けた絶望は どれ程のものか、とな。弟の悔しがる顔を想像した。それが見たくてたまらなくなり…、 横目で盗み見たんだ。弟の顔を。 そしたら、あいつ、どんな顔をしていたと思う?なあ、教皇様よ。どんな顔をしていた と思うよ」 突然、ジョゼフは教皇の胸ぐらを掴む。 力の限りに、自分の間近にまで顔を引き寄せ、あらん限りに己の怒りと絶望を叩き付け る。 「喜んでやがったっ! 俺の下衆な想像は、まったく外れだったんだよ!あいつはにっこり笑って、なんと、こ う言いやがったんだ。『おめでとう、兄さんが王になってくれて、ほんとうによかった。ぼ くは兄さんが大好きだからね。僕も一生懸命協力する。いっしょにこの国を素晴らしい国 にしよう』とな。 ああ、今でも一字一句覚えてる。あいつには何の嫉妬もなかった。邪気も皮肉も無かっ たんだ。本気で俺の戴冠を喜んでた・・・」 教皇の胸ぐらを掴む手の力が衰えていく。 苦しそうな顔で、ジョゼフは言葉を絞り出した。 「シャルル…どうして、どうしてお前は、悔しがってくれなかったんだ…。どうして、お 前はそこまで優しかったんだ…どうしてお前は、俺が持たない全てを…手に入れていたの だ? 俺は、本当に嫉妬した。あいつは素晴らしい奴だ、優しい弟だった。それに比べて、俺 は、なんて下衆なんだ。なんてクズなんだ。なんて愚かで、無様で、無能で、冷酷で、嘘 つきで、残忍で、阿呆で、間抜けで、嫉妬深くて、弱虫で、ちっぽけなんだ…。 なんで、俺は、こんな・・・惨めなんだ」 ジョゼフの目に、光が宿る。 全てを焼き尽くさんばかりに熱く、鋭く、狂気を帯びた光が。 「俺は、弟が憎くなった。 分かるか?教皇様のお優しくて寛大すぎる御心じゃ、俺の様な下衆の狭い心なんか、わ からんだろう?嫉妬が憎悪に変わったんだよ…殺意になったんだよ! そうだ、俺がシャルルを殺したんだ。簒奪なんかしていない!ただ、憎かったから殺し たんだ!何が悪い?俺は王だ。そうだ、後の禍根を断つためだ。弟を担ぎ上げる連中が国 を割るのを防ぐためさ! いやいや、そんな大義名分もいらんな。俺は王だからな。殺したいから殺した、それで 十分だ!何しろ王権は神から、始祖ブリミルから授かった神聖なものだ。王の行いは神の 行いだ! もちろん誰も信じなかったさ!俺が王に指名されただなんて。証人もいない。だから誰 も彼もが俺を簒奪者と呼んだ。弟を殺して王位を奪ったと、な!」 ジョゼフの自白がトリスタニアを覆う。 次元の壁を越え、自動翻訳されて銀河帝国公用語となりステーションの司令室に響く。 狂った笑い声が、宇宙に満ちる。 「あはははっははははっ!ははっはははは・・・・・ そうだ。俺がシャルルを殺したんだ!シャルル、恨むなら己の才と優しさを恨め。お前 のあの晴れ晴れとした顔が、お前を殺したのだぞ。ほんの少しでも良いから、俺を羨んで くれれば、殺さずにすんだというのに! あの日、狩猟会の最中、俺は弟を殺した。何しろ魔法を使えない無能王だからな。しょ うがないので毒矢で射殺した。ガリアの誰よりも高潔で魔法の才に優れた王子が、ガリア の誰よりも下劣で無能な王子の下賎な矢で死んだんだ! いやいや、それだけじゃないぞ!俺はシャルルの娘も狙った。エルフが調合した、心を 狂わす水魔法の薬だ。俺はあの姪に、シャルロットに飲ませようとした。だが、代わりに 母が飲んだ。おかげで、あの美しい女が、見事に狂ってしまった!人形を自分の娘と思い こんでシャルロットと呼び、自分の娘を俺からの刺客と恐れ、怯えてグラスを投げつける のだ! 教皇よ、知ってるか?なぜシャルロットがタバサと名乗るのか…。タバサってのは、そ の人形の名前なんだよ!人形がシャルロットと呼ばれてしまうから、しょうがないので姪 はタバサと名乗った!以来、シャルロットは人形の様に表情を無くし、人形の名を名乗っ てるんだ!」 再び哄笑が響き渡る。 狂気に満ちた笑いが二つの世界を包む。 狂った王は、ただ笑い続ける。 「・・・俺は、俺は、後悔してるんだ。 あいつの愛した女性を、娘を痛めつけても、あの日の痛みには適わん。祖国を、人々を 苦しめても、あの日の後悔には適わん。なのに、なのに、何故なんだ。後悔してるのに、 心が痛まない…。 そうだ、俺は人間だ。どこまでも人間だ。なのに、何をしても心が痛まないんだ。神は 何故俺に力を、『虚無』を与えたんだ?ああ、『虚無』だ!それはまるで、俺の心のようじ ゃないか! 俺の心は空虚だ。腐った魚の浮き袋だ。からっぽだ。喜びも、怒りも、憎しみすらもな い。シャルルを手にかけたときより、俺の心は振るえんのだよ。まるで油が切れ、さび付 いた時計のようだよ。時を刻めず、ただ流れ行く時間を見つめる事しかできぬガラクタだ よ」 ジョゼフは、教皇の胸ぐらから手を離した。 力なく、地に膝をつく。 ただ、懺悔するかのような自白ばかりが続く。宙の一点をみつめ、うわごとのように呟 き続ける。 「だから、俺は決めたんだ。神を倒すと。兄弟を斃すと。民を殺すと。街を滅ぼすと。世 界を潰すと。 あらゆる美徳と栄光に唾を吐きかけるために。全ての人々の営みを終わらせるために。 取り返しのつかない出来事に、後悔するために。シャルルを手にかけた時より心が痛む日 まで…。世界を慰み者にして、蔑んでやる、と。 人として、涙を流したいから」 ジョゼフは、顔を上げる。 ぼんやりと会場を見回す。彼を見つめる人々を見つめ返す。 全てを失った教皇を、信仰を否定された神官を、貴族の地位が砂上の楼閣と気付かされ たメイジ達を、神権を無くした女王を、聖地奪還を諦めた飾りの皇帝を、哀しげな瞳を向 けるアイーシャを、理性的な中にも同情の視線を向けるエルフ達を・・・。 何より、自分の全てを理解してくれるルイズの涙する瞳を。自分と同じく『虚無』に心 を狂わされつつあった娘を。 ガリア王は、天を仰ぎ見た。 その頬には、止めどなく涙が流れ落ちていた。 両の手を掲げた。 拳を握りしめた。 そして、魂の全てを込めて咆哮した。 「やった・・・俺はやったんだ・・・勝ったんだ! 神を倒したんだ! 俺の全てを奪い取ったブリミルを、ぶちのめしてやったんだ! は、はははは!これで、ハルケギニアは終わりだ!教会はゴミ箱行きだ!貴族なんぞ、 系統魔法なんぞ時代遅れの役立たずだ! どうだ、見るがいい!ブリミルよ、お前の作った世界は崩れ去ったんだ!お前が授けた 系統魔法なんぞ、お前の『虚無』ですら、銀河帝国の艦一隻の砲弾一発にも勝てやしない のさ! 神が授けた、あらゆる美徳と栄光は、貴様が守り続けてきた人間共に唾を吐きかけられ るんだ!神を崇め奉るハルケギニアの営みは終わったんだ!信仰が消滅したんだ!!見 ろ!お前の忠実な飼い犬であるはずの教皇すら、お前の教えを忘れ、怒りにまかせて俺を ぶん殴るほどだ!! あははははっははあはははっ!!見たか、ブリミルのクソ野郎!お前が俺に授けた『虚 無』は凄いぞ!お前が俺にかけた封印は素晴らしいぞ!お前が俺に溜め込ませた闇は強大 だぞ!なにしろ、お前自身を打ち砕く程なのだからなぁっっ!!」 ジョゼフは、高々と両の拳を天に突き上げた。 「勝ったんだ!俺は、ブリミルに勝ったんだあーーーーっっ!!」 笑い声が響く。 世界に響き渡る。 狂った男の、悲劇の王の、人々が無能王と呼んだが故に本当に無能王にされてしまった 犠牲者の、神の生贄の、心からの笑い声が響き渡る。 人が神を倒した。 教会の権威と教典の教えは、暴力と陰謀の前に膝を屈した。 真実が信仰を打ち破った。 六千年にわたる、愚神を讃える狂宴が終わった。 第30話 狂宴は終わる END 前ページ次ページゼロな提督
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3478.html
692 :ひゅうが:2016/06/27(月) 19 02 36 艦○れ 神崎島ネタSS――「第32回神崎島安全保障会議議事録抄録」 「それでは、定例の対策会議を開催したいと思います。毎度の事ですが、この会議は提督には内緒で、私たち艦娘の意見としての対帝国政府方針の意見を統一しておくことを目的にしています。 それ以上でもそれ以下でもないことをあらかじめご了承ください。」 「了解した。では当直秘書艦 吹雪。報告を。」 「は、はい。本日1200 自然変針点において電探を用いて距離測定と座標計測を行ったところ、進行不能点を超えることができたことを確認しました。 なので鎮守府中央指揮所に対し『ン連装』を発信。1350時、空中でも境界線が消滅したことを確認しています。」 「つまり、我々を日本本土や比島などと隔てていた見えないクライン空間は消滅したってわけね?」 「専門用語すぎますよ夕張さん。要は壁が消えた。そういうことですよね大淀?」 「それはそれで単純な要約ですけどね。これを受けて任務艦娘権限で鎮守府全体に第3種防衛基準態勢を発令。提督の判断を仰ぐことになりました。」 「演習中だった第1機動艦隊と第1航空艦隊も帰投。おや早いな。」 「ここは、譲れませんから。」 「まったく。ドヤ顔で胸を張るようなことじゃないと思う。」 「瑞鶴。お行儀が悪いですよ。」 「そのときの提督は…その…」 「言わないでいい。どうせ金剛がひっついていて非常招集に少々遅れるのはいつものことだ。先輩もそれくらいの誤差をきちんと計算しているから始末が悪いが…」 「これも甲斐性デース!」 「ええと、それで提督の考えは?私は今きたばかりなので…」 「大和は…ああ、調理中だったか。心配しないでも、きちんと提督は召し上がっている。 …と、そうだな。 『とりあえずは接触。抜け駆けを抑止するために交代で哨戒線を張る』。定石通りだ。」 「あなたは外連味のある方が好み?長門?」 「勘違いするな。私は提督の方針は定石通り手堅く信頼がおける、という意味でいっているのだ。」 「基本のなっていない者が奇策に走るようなことをすると惨いことになるからな。」 「武蔵の言う通り。慢心してはダメですからね。」 「それで、どうなったのですか?」 「二水戦の出番はもう少し先だ。とりあえずは主力艦隊による示威行動のもとで接触する方向で話が進んでいる。」 「で、私たち重巡も出るの?」 「勝利をおさめる必要はないぞ足柄。一応は我々と同じく帝国海軍に属する艦たちだ。」 693 :ひゅうが:2016/06/27(月) 19 03 10 「確か、今は1937年ですよね?まだ私たちは就役前かぁ…飛龍は起工してすぐだし。」 「私たちは…だいたいドックの頃…よね…」 「ね、姉様?!」 「まだ私たち乙型は計画段階ですよね。」 「夕雲型もそろってはいない頃。2年前に第四艦隊事件が起きたはずだから…」 「た、龍田!?その笑いは怖いからやめてくれ!」 「アタシたち5500トン級はそのまんまですけど、阿賀野型も大和型も、雲龍型も大淀型もまだ計画段階ですよね?」 「電気溶接は…やっぱりちょと早かったのでしょうか。腰が…」 「ともあれ、我々が帝国海軍と接触するのは既定次項だ。場所からして我々が無言で居座っていても無視してくれるほど帝国海軍はお人よしではない。」 「問題は、これまで話し合ってきたように、どのように提督と鎮守府をお守りするかです。」 「ソノ通リ。艦娘ノ皆ノヨウニ、我々ハ人間ガ出来テイナイノデナ。 マタ帝国ノタメノ捨テ駒ニナレト言ワレタラ東京湾ニ突入シ帝都ヲ火ノ海ニシテヤリタイ程度ニハアノ海軍ヲ信用シテイナイ。」 「まぁ…そう、そうね。」 「では、先に話し合ったように自治権と不可侵の確保は絶対条件と。そのための情報開示は歴史上の詳細資料、という感じでいいですね?」 「コノ島ハヨイトコロダ。イズレ我々モ鎮マルダロウガ、ソレマデノ安息ノ地ヲ取リ上ゲラレルナラ…全力デ抵抗スルノミ!」 「ソウ気炎ヲ上ゲルモノデモナイデスワー。中枢サン。ドチラニセヨ私タチハ帝国ト関ワル気ハナイノ。 艦娘ニナレナイノデナク、ナラナイノト同ジコト。」 「ソウハイウガナ大佐。」 「すねーく乙。です。」 「鳳翔サン!?」 「ごほん!ともかく、資料のまとめは終わっているのか?秋雲?青葉?」 「うーん、なんだか今一気がすすみませんが…」 「イラストつけていい?」 「ダメだ!刺激が強すぎる! …帝国を騙すのに気が進まないのはわかるが、今回は我々が独立政権であることを帝国政府に納得させるのが先決だ。 …で、あの方は?」 「あ、はい。記憶力のいい方ですからいずれ真実に気付くでしょう。ですがそれで怒るような方じゃない…と、私は思います。お会いしたことは数えるくらいですが。」 「お召し艦歴の長い比叡がそう思うのだ。私は間違いないと思う。」 「では、打ち合わせ通りに。 提督と共に帝都へ向かうのは?」 「交渉能力に優れた艦娘はお前くらいだろう大淀。あとは…やはり籤引きだな。ここで決めたら暴動が起きる。」 694 :ひゅうが:2016/06/27(月) 19 05 22 【あとがき】――ブッキーを有能気味にしてみた。あと会話文のみだけどだいたい誰かわかる…といいなぁ(汗 696 :ooi:2016/06/27(月) 19 08 58 ひゅうが氏 乙です。 此処における資料は以前に投稿されたあの神崎島歴史資料という事ですね。 697 :ひゅうが:2016/06/27(月) 19 13 16 ありがとうございます。 実は青葉作の記事だったんだ…本人もそれほど気が進まなかったみたいですけど、同人ネタからそっち系の伝説に詳しい秋雲と共同制作したものです。 実は真面目な青葉を気遣う秋雲とか、いいんじゃないかな?と思いまして。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/6086.html
529: 加賀 :2020/02/25(火) 12 39 36 HOST om126255072197.24.openmobile.ne.jp いつものように銀河連合の日本と神崎島が仲良くしている。季節は4月、日本の瀬戸内では例年通りに濃霧が発生していた。 「今日は一段と濃い霧だなぁ」 漁船の船長である老人はそうぼやきながら柱島の沖合いを航行していた。ふと柱島の方を見ると数隻の艨艟が錨を降ろしていた。 「ん? 神崎島から軍艦が来てるなんて組合長言ってたかのぅ……」 かつて帝国海軍が泊地としていた場所に獰猛ーー軍艦がいたのだ。老人は首を傾げながらも大量の魚を水揚げするために漁港に向かうのであった。 そして呉に司令部を構える第四護衛隊群では混乱が生じていた。 「何!? 柱島泊地の軍艦は神崎島のではないだと!!」 「はい、神崎島に申し入れましたが現在日本に停泊しているのは横須賀の部隊だけだと……」 「じゃあ、あれは何なんだ!? 明らかに『伊勢』型が二隻に『瑞鶴』に似た艦艇だぞ!!」 「現在、『かが』の60が確認のため急行中です。他にも『さみだれ』『さざなみ』が緊急出航準備中です」 そして60からの報告に司令部は騒然とした。 『『日向』と思わしき艦艇に着艦。乗員も妖精と確認しました。ですが艦娘の『日向』からは神崎島所属ではないと言っています』 緊急事態に総理である二藤部は直ちに神崎提督と連絡を取り合う。 (はて……建造はしていないしな……) 神崎も首を傾げつつ日本へ赴く事になった。理由として、『伊勢』に乗艦していた一人の妖精が神崎提督と会談をしたいとの事だったからである。 「ま、会談をして分かる事だな」 そう思う神崎提督だったが会談は神崎も予想だにしていなかった事があったのだ。 「やぁ嶋田さん、お久しぶりです。今度は提督として艦娘を率いるとはね」 妖精は開口一番にそう言ってきたので神崎も口をあんぐりと開けるしかなかった。 「あれ? 嶋田さん、俺を覚えていません?」 「……申し訳ない」 「あー……となるとこりゃまた違う世界だな」 「違う世界……とは?」 妖精の呟きに反応したのは神崎の傍らに控えていた大淀である。 「んーと、嶋田さん……神崎提督から前世とかの話は?」 「ある程度は……」 「なら話は早い。私も元々は神崎提督らと同類でね。一度目は世界を相手に、二度目は米英を相手に戦ったよ」 「二度目……?」 「えぇ。何の因果かは……多分衝号作戦のが大きいと思うけど。私は二度目を大東亜戦争の将官として生きていましてね。その中に嶋田さんは阿部俊雄として活躍してましたよ」 「阿部俊雄……『信濃』艦長の……」 「まぁそう言う事です。私も戦後を生き抜いたと思ったのに今度は未来の……しかも銀河連合の日本とは思いも知らなかったですがね」 タハハハと笑う妖精である。 「それで君達はどうする?」 「神崎島に帰属はしますけど、我々は日本にいた方が良いでしょう。多分、此処にいる艦娘達は嶋田さんの艦娘達と友好には出来ないと思います」 「そんな……元は我々は帝国海軍の軍艦です。私達は……」 『我々は貴女達を差し置いて生き残ってしまった』 不意に言葉を発したのは妖精側にいた一人の艦娘だった。艦娘は懐からタバコを取り出して火を付け煙を吸って吐く。 「生きるか死ぬかは運次第……でもね大淀、私達がいた世界は先に死んだ貴女達の安寧のために激動の戦後をも生き抜く事になったわ。今度こそ『國の四方を守るべし』のためにね」 「………」 「貴女達が悪い事じゃない。あの時代、あの戦争が悪かった。でも、全てを水に流す事は今の私達には出来ない」 「……分かった。妖精さんや君達の思う通りにしよう」 「提督!?」 神崎の言葉に大淀は驚くが神崎は首を横に振る。 「今は時間が必要だよ大淀」 「……分かりました」 「一応艦娘の登録だけはしておきたいけど良いかな?」 「無論ですよ嶋田さん。皆も自己紹介をした方が良いね」 そして艦娘達は挨拶をする。 「『伊勢』型航空戦艦一番艦『伊勢』」 「同じく二番艦『日向』」 「『翔鶴』型航空母艦二番艦『瑞鶴』」 「『妙高』型重巡洋艦一番艦『妙高』」 「『八雲』型重巡洋艦一番艦『八雲』。その前は『プリンツ・オイゲン』」 「『阿賀野』型軽巡洋艦四番艦『酒匂』」 「『陽炎』型駆逐艦八番艦『雪風』」 「『夕雲』型駆逐艦四番艦『長波』」 「そして現時点で彼女達の提督も兼任している妖精です。二度目の時は橋本信太郎として生きていました」 妖精ーー橋本は苦笑しながらそう言うのであった。その後、彼女達は神崎島付とするも呉に配備されるのであった。 「『伊勢』と『日向』の水上機がシーダートだと!?」 「てか対艦ミサイルは元は『大和』型の砲弾が原形!?」 「この『瑞鶴』、徹底的改装されてF-11も搭載しているだって!?」 現場では大分混乱したのは言うまでもない。 533: 加賀 :2020/02/25(火) 17 48 40 HOST softbank126209019044.bbtec.net すみません、艨艟でした
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/8869.html
796:冷石:2023/10/23(月) 07 04 50 HOST p432200-ipngn200305gifu.gifu.ocn.ne.jp 銀河憂鬱伝説 シマヅ戦記 宇宙歴796年、アスターテ会戦の後始末が終わったころ自由惑星同盟軍で新たに2個艦隊が編成されることが発表された。 第13艦隊 提督ヤン・ウェンリー少将 第14艦隊 提督シマヅ・イエヒサ少将 この知らせをひとごとの様にシマダ・シゲダロウ准将は聞いていた。 自身が第14艦隊参謀長に任命されるとは知らずに。 「私が第14艦隊の参謀長ですか?」 辞令を受け取り嶋田は人事担当士官に尋ねる 「うむ、アスターテ会戦でのヤン少将の補佐役としての仕事ぶりに是非と、シマヅ少将からのご指名だ」 シマダは原作知識が通用しそうで生き延びる可能性の高い13艦隊がいいなーと思うも 第14艦隊が編成されることで原作とは乖離していることに思い至り 「かしこまりました、シマダ・シゲタロウ准将第14艦隊参謀長の職務拝命いたします」 と答えた。 「しかし、データ見るたびに思うよ、この国詰んでる」 増大する軍事費と福祉関連の費用、人手を軍に取られていることによる働き手不足、財政赤字の補填のために発行した国債はフェザーン資本に奪われるなど明るい材料が全くない。そして今年中にお紺会われるであろうアムリッツア会戦で軍の屋台骨がへし折られるときている。正直同盟が滅んで帝国に吸収合併された方がいいのではと思わないでもない。しかしその発想を頭を振って追い出す、ヒルダや7元帥がいる間は穏当な支配が続くだろうしバーラト自治区も認められるだろう、しかしその後は? 結局同盟人が同盟人として生きられるのは自由惑星同盟の中だけなのだ。シマダは同盟存続の手を考える。 「政治のことは、今は手のつけようがない。まずはアムリッツア会戦を防ぐ、最低でも被害を減らすことから考えよう」 そう結論付けるが、今世では前世と違い夢幻会のような同志がいない。 「せめて、政治家にこの危機意識を共有する人を探さないとな… お、ここか」 シマダは第14艦隊司令部のオフィスにたどり着いた 「シマダ准将はいります」 「よっ来てくれた、歓迎しもす」 訛りのきつい言葉に迎えられる。 (この人がシマヅ少将とりあえずの上司か) シマダは目の前に立つ自身の上司となる人物を観察した 年のころは40前、背は低い方だろうだが鍛えられた体つきは全身これ筋肉といった感じだ 立ち姿にも隙がなく艦隊司令というより歴戦の陸戦対隊員といったほうがしっくりくる。 顔つきは意志の強さがうかがえる目に混血が進んでほりの深い顔立ちが多い現在では珍しいくらいほりが浅く平たい。 典型的な日系イースタンといった感じだ。 「シマダ参謀長、とりあえず14艦隊は任務は拝命してなか、そいでとりあえずは艦隊の訓練に励むことになっとじゃ。 細かいことは副司令のカールセン准将と打ち合わせてくいや」 「はっ、かしこまりました」 敬礼して退室するシマダ。しかしなんだろう、シマヅという名訛りの強い言葉遣いにシマダは嫌な予感が沸き上がるのを押さえられなかった。 797:冷石:2023/10/23(月) 07 05 30 HOST p432200-ipngn200305gifu.gifu.ocn.ne.jp 数日後第13艦隊にイゼルローン攻略の任が下された。 (これは原作通りか、二次創作だと転生した主人公の艦隊も一緒に攻めるというパターンが多いが) 「おお、シマダ参謀長」 「これはシマヅ提督にカールセン提督」 立ち上がり敬礼しようとするシマダを手で制し同じテーブルにシマヅとカールセンは座る 「そいで、何を考えとったじゃシマダ参謀長」 「は、今回第13艦隊に与えられた任務について考えておりました」 「む、そうか。しかし半個艦隊でイゼルローンを落とせとはシトレ本部長はどんな成算があってきめたんじゃろうのう」 「いくらなんでも無理というものです、シマヅ提督」 カールセンが口をはさむ 「今回の動員戦力ではイゼルローン駐留艦隊よりも少ない、無謀としか言いようがありません」 「まあ、そう考えるのが普通じゃ、じゃっどん命令して受けたち事は何らかの成算があるんじゃろ。 シマダ参謀長、カールセン提督、もし我らがイゼルローン攻略の任を任されたらどういう手ばとる? おいは二つほど案があっとじゃが」 「二つ…お聞かせ願えますか?」 「む、一つ目はちいと難しいが正攻法と言ってもよか まずイゼルローン駐留艦隊を要塞主砲射程が胃に引きずり出して全滅、もしくはそれに近い損害を与える そん後に要塞を攻めるとじゃ」 「現実的ではありませんな、確かにその手ならば連射が利かない要塞主砲の脅威はかなり減らせますが 駐留艦隊を全滅させるのは無理と言ってよいかと」 「うむ、そいで第二案よこいは第一案と違って簡単じゃ、じゃっどんちくと問題があっとじゃ」 「問題、ですか?」 「うむ、こいはまず間違いなくイゼルローン要塞ば無力化できるが、要塞の占拠ができんとじゃ」 「占拠ができないと言いますと?」 「簡単に言えばそこらにある小惑星に推進装置を付けイゼルローン要塞にぶつける それなりの大きさのなら要塞主砲の1,2発じゃ破壊できん、しかも質量があるから要塞ば半壊、もしくは全壊できっとじゃ」 「なるほど、確かにそれじゃあ占領はできませんな」 シマダは驚いていた、たしかにそうだ小惑星ならばそこらにごろごろと転がっている。推進機を付けて前進させることもそう難しいことではない。原作でラインハルトやヤンといった天才か、追い詰められて錯乱したケンプしか思いつかなかったことをさらりとこの提督は言ったのだ。 「提督、その案はいけるかもしれません。確かにイゼルローン要塞の占拠はできませんが。確かに簡単に要塞を無力化できます わざわざ占領しなければならないという考えさえなければその案は最も効率的と言えるかもしれません」 「そうですな、今後も要塞を攻めるたびに受ける被害を思えばそれが無くなるその案は確かに良いかもしれません」 「…シマダ参謀長、うっとこの参謀ば集めてこん案につめてくいや、煮詰まり次第本部長に提出してみる」 「はっ」 (まあこの案使わなくても原作通りならヤン提督がイゼルローン陥落させるんだけどね) などと思いながらシマダはプロジェクトチームの立ち上げについて思いをはせる。 実際ヤンによるイゼルローン要塞占拠は原作通り進みこの案が日の目を見ることはなかった。 798:冷石:2023/10/23(月) 07 08 28 HOST p432200-ipngn200305gifu.gifu.ocn.ne.jp とりあえず以上ですwiki掲載はご自由に とりあえず鹿児島弁は適当です 次回は同盟が死刑同意書にサインしたアムリッツァ会戦に突入します。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/5573.html
801: 635 :2019/02/05(火) 14 28 54 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 銀河連合日本×神崎島 小ネタ宇宙編 「神崎島鎮守府はこの程国際宇宙ステーションへの参加とそれにともない人員、物資の輸送のため、 保有する宇宙往還機及びスーパーヘビーリフター(超大重量打ち上げ機)の投入を決定しました。」 神崎島宇宙開発事業団、屋代昌幸長官の会見 名前:名無しの提督 投稿日: なんか神崎島の宇宙往還機ってスペースシャトルみたいだな 名前:名無しの提督 投稿日: やっぱり同じ目的だと似てくるんだろ? 名前:名無しの提督 投稿日: 現代技術で新造されたサターンVなんて存在するんだな 名前:名無しの提督 投稿日: 神崎島のシャトルは旧ソ連のブランがベースだって公式発表あったぞ!! 名前:名無しの提督 投稿日: えっ!?ということは冷戦時の宇宙開発競争真っ只中のやつが両方共神崎島にあるってこと? 名前:名無しの提督 投稿日: 日本が東西両方の宇宙技術ゲットとか胸が熱いな 名前:名無しの提督 投稿日: 種子島の打ち上げ施設どうなるんじゃろ? 神崎島のISS参加発表へのネットの反応 「世界初の月以遠の天体からのサンプルリターンとは…。」 「日本も凄いじゃないかヒデオ!」 「ありがとうセルゲイ、ヴェルナー。私のしてきたことは無駄ではなかったのだな。」 会議でJAXA相模原キャンパスを訪れた神崎島宇宙開発事業団所属妖精の宇宙科学探査交流棟での会話 「ソビエト人民の夢が再び芽を出すとは…、君。」 「はっ!!」 「すまないが日本の私の友人に電話をかけて欲しい。」 ロシア連邦共和国クレムリンでの会話 「サターンロケットとはな…。」 「大統領?」 「ああ、こんなにも心躍るのは久々だ!すまない、ドノヴァン駐日大使に連絡を頼む。」 アメリカ合衆国ホワイトハウスでの会話 「旧西と東が宇宙への最前線で出会うとはね。」 「まるでエルベの出会いだな。」 「しかし今度の敵(宇宙)はナチより強敵だろう。」 「勝てない相手ではない。我々が手を組むのだから。」 「それに我々には新しい友人たちもいる。」 神崎島国際空港滑走路にて握手を交わすNASAを率いるジョージ・ハリソン米大統領とロスコスモスを率いるゲオルギー・アレクサンドル・グレヴィッチ露大統領 「セルゲイ、まさしくオールスターというやつだな。」 「夢のタッグでもいいんじゃないか?ヴェルナー。」 それぞれNASAとロスコスモスの技術者を率いることになった妖精の会話 802: 635 :2019/02/05(火) 14 29 28 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 「まりも今度はどう?」 「夕呼これ凄いわ。初期より五倍以上のエネルギーゲインがある。」 地上試験を繰り返すXM-1 「これってどうみても撃震…。」 「そしてまりもちゃん。」 「うっ、頭が。」 神崎島で開発中の有人機動ユニットを見学するヤル研の技術者 「創造主トーゴー様、創造主ナヨクァラグヤ様どうかトラールなしに宇宙に旅立つ者をお守り下さい。」 イゼイラの東郷神社をお参りをするイゼイラ人 「太陽の烏よ!あたしらの名を持つあんたの先達のようにちゃんと帰って来いよ!」 洋上からオービターの打ち上げを見送る警戒中の空母隼鷹と一式戦隼 「ああ、帰ってきたのかここに。」 オービタの記録装置に残されたある乗員の呟き 「マザトザン、やっだデスヨ。イゼイラ人がドーラルに頼る事なぐ宇宙に行けだデスヨ。」 「ああ、フェル。やったな!」 「うえーん。マサトサン!!」 打ち上げが成功しオービタの安全が確認され感極まって旦那に抱きつくフェルさん 「トラールに頼る事なく宇宙に行ったか。」 「サイヴァル、これはティエルクマスカ史上初の出来事ですね…。」 「人間にとっては小さな一歩だが, 人類にとっては大きな飛躍である。」 「その言葉は?」 「チキュウで初めて他の天体に降りたアメリカ国の人間の言葉だそうだよ。」 「そうね。私達が失った物を取り戻したというティエルクマスカにとって大きな飛躍ですね。」 イゼイラ星間共和国議長執務室にてサイヴァルとマリヘイルの会話 祝イゼイラ人宇宙へ 祝八咫烏軌道到達 祝宇宙新時代 イゼイラ、日本、神崎島で行われた提灯大行列の提灯 「無重力とはどのようなものか、柏木よ。」 「ではヤルバーンでゼルシミュレーターの使用申請出しておきますね。私は体験したことあるので二度目になりますね。」 「うむ。」 「ひえー、わ、私の立場がー。」 最近侍従が板についてきた柏木さん 803: 635 :2019/02/05(火) 14 30 03 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 以上になります。 転載はご自由にどうぞ。 804: 635 :2019/02/05(火) 14 32 32 HOST p1898232-ipbf412souka.saitama.ocn.ne.jp 誤字が(汗) 空母準鷹ではなく空母隼鷹ですね(汗)
https://w.atwiki.jp/poke_ss/pages/1892.html
パロ作品 【艦これ】漣「提督が基地に着任しました」 作者「ノースポイント人◆.CzKQna1OU」 本文内の指定安価番号、安価先の文章は一部改変されていますのでご了承下さい(ストーリーの進行に影響はありません) この作品を読む 指定したページに飛ぶ 感想などコメントをお書き下さい 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/3083.html
510 :影響を受ける人:2014/05/18(日) 23 00 44 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。と言うかオリキャラが出てきます。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 提督憂鬱×ストパン+零 第十話 ―真実・現実 四― 「こなくそぉぉ!」 【スズメバチ】とのドッグファイトを若本徹子はしていた。 やっと出撃が決定し、出てきたのは良いが・・・ たった四体の敵に翻弄されている。 先手必勝で二体撃墜したまでは良かったのだが、生き残りの速さに完全に惑わされている。 弾切れをしてしまい、素早く装弾を済ませる。 その横に旗本サエと飯島凛がやってきた。 「・・・来い。」 「了解!」 通り過ぎる前に短く言い、力強く返事をして追従する。 北郷章香・坂本美緒・竹井醇子ペア。 旗本サエ・若本徹子・飯島凛ペア。 大久保小毬はシールド兼弾薬補給係で、山田里子はその護衛だ 現在は、この組み合わせで戦っている。 「まったく、一人突出しても意味がありませんのよ!」 「わかってる。わかってるけどよ・・・!」 訓練で習っていたのに、いざ実戦となったらほとんど活かせていない。 射撃は外れ、敵の攻撃にビビってしまい貴重な術符で防御し、こうしてはぐれてしまった。 情けなさに胸が締め付けられる。 「・・・落ち着け。」 「副隊長、でも!」 「・・・北郷の初陣よりはいい。」 「へっ?」 いきなり変な事を言い始めた。 「・・・北郷は漏らした。」 『何、人の恥ずかしい事を言っているんですか!!』 「・・・うるさい。・・・若本、お前は度胸がある。」 「はい・・・」 『え? 無視、無視か!』 「むしろ突っ込んで行け。失敗しても気にするな。仲間を信じろ。」 「そうですわ。フォローは得意でしてよ!」 二人の激励に少しだけ気持ちが和らいだ。 軽く頬を叩いて気合を入れなおす。 「すみません。まだ迷惑を掛けますけど、よろしくお願いします!」 「・・・ああ、今は背中を任せる。・・・飯島、敵はどこだ?。」 「二時の方向ですわ!」 「そうか・・・行くぞ!」 「「了解!!」」 そう言って手短な敵に突っ込んでいく、徹子の表情からは焦りが少し消えていた。 ――――― 「私の恥ずかしい過去暴露しといて、なんで和気藹藹に・・・」 「せn・・・隊長元気出してください。」 「美緒ちゃん優しくしてくれてありがとう・・・」 ――――― 北郷隊が戦っている少し先、戦場となる奥の空域では、【スズメバチ】一二体相手に狐火隊が戦っていた。 511 :影響を受ける人:2014/05/18(日) 23 01 20 あちらとは違い、少しだけ余裕がある。 加東圭子が射撃で足止めをして、穴吹智子が刀で切り落とす。 学兵と隊員が息の合った射撃で撃墜し、その後ろからの奇襲を余裕でかわす。 隊員二人もすれ違い様に落とした。 「ふ~ん、一応それなりに戦っているわね。」 刀をしまい、銃を取り出して北郷隊に行こうとした敵をこちらに引き付ける。 その敵を稽古が仕留める。 「そうじゃなきゃ、北郷さんが連れてこないでしょ。」 「それもそうか・・・」 チラリと同じ隊の学兵を見る。 彼女も狸釜隊のミチル同様、狐火隊にいた学兵ではない。 元いた部隊が壊滅したわけではないのだが、入ってきた当初はまだ戦場になれておらず。 怯えが目立っていた。 今では優秀な部下の一人だ。 智子は個人プレーをよくする問題児であったが、隊長となってからは全体を見る為に攻撃は控えている。 だが最近はそうも言っていられず。 こうして空戦に、積極的にかかわっていた。 「私の入った頃を思い出すな~」 「あの時から問題児よね♪」 「むぅ・・・本当なら、圭子が隊長になるべきだと思うんだけど?」 「貴方を隊長に任命したのは、先任と大隊長よ。能力があるって認められたんだから、誇りなさいな。」 「それは嬉しんだけどね・・・」 こんな話をしながらでも、二人はネウロイを撃墜している。 それからまもなく襲撃者たちは全滅し、帰投に入った。 帰り道では狐火隊が前を飛行し、その後ろに北郷隊が付いていく。 「いやぁ・・・だいぶ消耗したすね。」 その更に後ろで使い潰した銃と、空になった弾倉を見つつ。 山田里子は、荷物を背負っている大久保小毬の隣で飛行しながら話しかけた。 「うん・・・」 「大丈夫すか?」 顔色が悪くなっている小毬を心配して近づく。 「機動にヨチャって・・・」 「ああ、そりゃしょうがないっす。」 二人は離れた空域にいて待機していたのだが、【スズメバチ】が一体突っ込んできて大慌てで回避した。 重い荷物を背負っているから、どうしても遅れがちになってしまう。 低下してしまう速度を【鍾馗】の馬力で補っているが、それでも多少遅くなるのは仕方がない。 とはいえ、シールドで乱射されるレーザーを完全に防げるのはすごい。 「無事でしたけど、背中に弾薬に当たったら、って思うと気が気じゃなかったです。」 「アタイも射撃したけど、全然当たらなかったす。」 「でも・・・」 「でも?」 「生き残れましたね。」 その一言は重かった。 戦場に出て初めて感じる空気。 舞鶴の時とは違う緊張感。 敵を前にして感じる恐怖。 そのどれもが経験した事のない事だった。 「ミーちゃん達や、お嬢も・・・良く生きていてくれたッすよ・・・」 最前線で戦っていた学兵四人は、見た目にもヘロヘロだったが生きていることがうれしいと思う。 もし、ここで死んでしまったのなら、自分は正気でいられなかったかもしれない。 ホッと心の中で息を吐くと、急に隊長陣が耳に手を当てたのが見えた。 512 :影響を受ける人:2014/05/18(日) 23 01 55 「なんすかね?」 「さぁ?」 御互い顔を見合わせるが答えは出ない。 最近通の良くなった通信を聞いているのだろう。隊長陣の顔が険しくなっていく。 最初に声を張り上げたのは智子だった。 「全員傾注! 今電報が入った。別の戦線に新型ネウロイが出現、救援を乞うとの事だ!」 新型が出現したという報告に全員が唖然となった。 続けざまに章香も声を張り上げる。 「残弾は少ないが、あと一回くらいなら戦闘可能だろう。大久保隊員、そのぐらいは残っているな!」 「はっ、はい!」 「よし、その弾薬は狐火隊に回せ。私たちは地上部隊の救助に当たる。」 「「「「「「了解!」」」」」」 「狐火隊、弾薬を受け下り次第向かうわ。急ぎなさい!」 両部隊は大急ぎで旋回し、進撃しながらすぐに補給をする。 銃を取り換え、弾薬を補給していく。 智子がレバーを引いて弾丸を装填すると、隣に章香が並んだ。 「この辺一帯の部隊が招集されている、ただ事ではないぞ。」 「そうね・・・ヒヨコは連れて行くの?」 真剣な眼差しで問うと、章香はまっすぐに見つめ返す。 「連れて行く。だが、戦闘には参加させない。」 「わかった。上は任せて。」 「頼む。」 補給を済ませた部隊は急いで急行した。 美緒達はそこで、華々しい戦場の闇と言える部分を見る事となる。 以上です。 【アホウドリ】の存在だけ示唆できた・・・ 後はどうしようか? 美緒の魔眼強化イベント、これが問題なんだよな・・・ ガーランドさんいないし・・・
https://w.atwiki.jp/kancolle_ero/pages/53.html
「これでよし・・・と。あー、やっと任務の報告書が書き終わったぁー!」 ギシッと音を立ててソファに倒れこむ 今日の任務はこれで一応ながら終了だ 「お疲れ様、お茶を淹れておいたわ」 「ありがとう、加賀さん」 首を回し、コリをほぐしているといいタイミングでそっとお茶を出してくれる加賀さん 「うん、うまい」 「そう」 そっけなく答えているものの、少し嬉しそうにしている。彼女を秘書にして一月ほど ようやくその機微がわかるようになってきた。あまり顔には出ないものの、割と反応はかわいらしかったりする 赤城さんがよくちょっかいを出すのもなんとなくわかる お茶請けのせんべいを両手でもって小さくぱりぱりと食べているところは小動物ぽくてかわいらしい 「今日は特にすることはもうないのかしら」 「そうだね・・・」 仕事は終わりだね、仕事は 「ただ・・・加賀さん分がたりない」 「・・・はぁ」 さすがにぽかんとした表情でこっちを見ている 「じぃ~」 「・・・そんなに見つめても何も出ないわ。というか、少し落ち着かないのだけど・・・」 見つめ返すとうっすらと顔を赤らめて目を逸らす 「なんていうか、加賀さんとスキンシップしたいなーと」 「私としても楽しくないと思うのだけど」 「そんなことはないよ、加賀さんの反応がかわいらしいことに最近気づいたんだ」 「適役な子はほかにいるでしょう?」 「合う合わないでなくて俺は加賀さんとそういうことがしたいのさ。君以外にはありえなくてね」 「なんだか、軟派というか、下心があるように聞こえるのだけれど」 「うん、はっきりいうと加賀さんとエロいことしたい」 「───」 さすがに固まったか・・・あー、どうしようかなこれ 「あなたは・・・」 「うん?」 「私の身体だけが目当てなの?」 「違う違う!そんなわけないだろう、さすがにそこまでひどい奴じゃないぞ俺は」 「・・・」 「というか、そんなやつだったら君はまず俺に接してこないだろう?」 「それは・・・確かに」 「あぁ、うん。俺もいきなりすぎたかなぁとは思う。ちゃんと言ってないもんね」 「俺は加賀さんが好きです。なので加賀さんが良ければいちゃいちゃしたい、それだけなのです」 「・・・冗談ではないのね?」 少し間を開けてからそう切り返す彼女 「うん、笑えない冗談を言うほど馬鹿ではないなぁ」 「私を本気で求めているのね?」 詰め寄ってくる。真顔なのでちょっと威圧される 「うん、これは数少ない、俺の、本気」 「そう」 その返答に表情をほころばせながら 「それならいいわ」 加賀さんは俺に抱きついてきた 「───」 その柔らかさと彼女の匂いが迫ってきて思わず思考が停止してしまった 「でも、今はまだ明るいから───」 ちゅ 「今はこれだけ。続きがしたかったら・・・夜、私の部屋に来て頂戴。準備をして待っているわ」 「───」コクコク 急に攻めに転じた彼女からもらった柔らかな感触にしびれたまま、俺はただただ首を縦に振るのであった 夜、加賀さんの部屋の前・・・心臓をばくばくと鳴らしながらも襖をノックする 「どうぞ」 彼女の応えを聞いて襖をあけると、そこには 「・・・待っていました」 白い襦袢に身を包んだ加賀さんが布団の上に正座をして待っていた 「どうしたの?そこにいてはなにもできないわ・・・」 ぽつりとつぶやく声にはっとして、戸を閉めて彼女に近寄る 「こういったことをするのは初めてなのだけど・・・どうしたらいいのかしら」 「あ、お、おう・・・俺も実はよくわかって無いんだ。ただ、いきなりがっついて飛びつくのはないなー、と思う」 「そうね、では・・・頭をこちらに」 ぽんぽんと自らの膝を叩く彼女 「ひ、ひざまくら・・・?」 「えぇ。徐々に慣らしていこうと思うのだけれど、だめかしら」 困ったように首をかしげる加賀さん、やばい、かわいい 「ううん、いいよ。加賀さん、膝借りるね」 ぽふっとふとももの上に頭を乗せる 上を見上げると加賀さんにじぃ~っと見つめられていた 「結構恥ずかしいな、これ」 「そうね・・・でも、悪くないわ」 ほんのりと微笑んでこちらの頭を撫でる 「・・・♪」 大分ひざまくらをするのは気に入ったらしい。普段見せないレベルのふにゃっとした表情がまたかわいらしい 「そうだね・・・こうやって見上げると、俺の目に映るのは加賀さんだけだ。いいね、これ」 「────///」 手を伸ばし、頬に添えながらつぶやくと、みるみるうちに耳まで真っ赤にして硬直 さらに追い打ちをかける 「抱きしめて、いいかな?もっと君を感じたい」 「・・・はい、どうぞ」 絞りだすようにぽそっとつぶやき、両手を広げて受け入れ体制をとる加賀さん こちらの求めに応じて頑張る彼女を、壊れないようにそっと、しかし離れないようにぎゅっと抱きしめ、腕の中へ 「ど、どうかしら・・・」 「柔らかくてあったかい。それに───」 「それに?」 「加賀さんの匂いがする」 「・・・あまり恥ずかしいことを言わないで・・・どうしていいかわからなくなってしまうわ」 言いながら胸板に顔を擦り付けてくる。ふわりと彼女と、お風呂上りの石鹸の匂いが鼻をくすぐる 「もうちょっとこうしてていい?」 「好きなだけ、いいわ」 許可を得てすりすりとほおずりをしつつ時折うなじに鼻を押し付けすんすんと匂いを嗅ぐ 「ん、ふ・・・」 鼻息がくすぐったいらしく、時折息を荒げる 「くすぐったい?」 「ひあっ!?・・・あ、あまり耳元に息を吹きかけないで・・・くすぐったいわ」 耳元でささやくとぴくんと跳ねる 「ごめんごめん、反応がかわいいからつい、ね」 今度は首筋を連続してついばむように吸い付く 「んっ、あ、あ、あぁ・・・っ、んふぅっ」 必死に声を抑えようとしながらも押しのけようとはせず悶える彼女 「はぁ、はぁ・・・ん、う・・・」 頬を紅潮させ、切なげな表情でこちらをみている そろそろ、かな 「これからもっとすごいこと、するね」 「・・・はい」 加賀さんをゆっくりと布団に寝かせる 無抵抗で寝ころんだものの、恥じらう表情をうかべ、布団をきゅっとつかんでいる こちらをちらっとみて、所在なさげにそらしたりといつもより忙しない 初めてだもん、恥ずかしいよな 俺は緊張をほぐすためにゆっくりと覆いかぶさり頭を撫でて 「できる限り、やさしくするね」 「・・・」 真っ赤になりながらコクリと頷く彼女の顎を指であげ ちゅ 「ん・・・っ!」 まずはやさしく唇を重ねる 「あ・・・ていとく・・・ん、ふ・・・ぁ・・・」 やさしく、撫でる様に唇をかすめ、徐々に重ねる時間を長くしていく 「ん、ん・・・ちゅ、んん、ちゅ、ちゅちゅ、ふ、ぅ・・・?」 軽いキスに抵抗がなくなったのを確認したのち、舌で唇をちょんちょんとノックする 「ん・・・ふ、ん、んんん!?」 意図を察し、小さく開いた口の中にしゅるりと舌を忍び込ませる 入ってきた感覚に少しびっくりしたようだが 「ん、ん・・・ちゅ、ちゅ、ぴちゃ、ちゅるる、くちゅ、あむ、は、ちゅぷっ」 おずおずと伸ばしてきた舌を絡め取りくちゅくちゅと唾液を混ぜあう 時々歯茎をなぞったり、舌を強く吸ったりと口の中を存分に味わう 「ん、んっん・・・!ぁ・・・はむ、ちゅっ」 力が抜けたのか、布団から離れた手に自分の物を重ねると、嬉しそうに目を細めてきゅ、と握り返してきた 俗にいう恋人つなぎの状態でしばらくまともに呼吸をするのも忘れ、舌先を絡め合う 「ん、ん・・・ん・・・んくっ、こくっ」 離す前に二人の絡まった唾液を加賀さんの喉奥に押し流し、嚥下させる 「はぁ、はぁ・・・途中から、すごく、大胆・・・ね」 「うん・・・止められなかったよ・・・」 「夢中になってくれたの?そう、ならいいわ」 息を荒げながらのやり取りに嬉しそうに答える加賀さん もっともっと、いろんな彼女を見たい 「ほかのところも、触るね」 「ん・・・」 しゅるりと服をはだけさせ、白い肌をさらけ出させる しっとりと汗ばんでいて、彼女の匂いがふわっと浮かんでくる 「・・・あまりじろじろ見ないで、恥ずかしいわ・・・」 「これは、見るなって方が無理ってもんだよ・・・」 言いながら、大きな胸に手を伸ばす 「ん・・・っ」 両手でそれぞれの山をつかむと、ぴくんと身体を震わせる 「あ、ぁ、んん・・・私・・・今、もまれて・・・んんっ」 そのままもにもにふにふにと揉みしだいていく 手が柔肌にしっとりと吸い付いて、揉むたびにふにゅふにゅと形を変える 感じている、というよりは揉まれていることに興奮を覚えているようで、歯を食いしばりながらも薄く、甘い声をあげる 「はぁ・・・あぁ・・・あっ・・・!?い、いまの、ひゃあっ!?」 少し意地悪をして、固くなり始めていた乳首をやさしくくりくりする 「んはぁ、や、あ・・・先ばっかり、そんな・・・ああぁっ」 「加賀さん、声かわいい・・・」 「ひゃ、やん、ん、ふぅ、う・・・」 「押さえないで、もっと聞かせてよ・・・」 胸を揉むだけでなく、覆いかぶさって肌に口を付ける 「んううっ!?あ、ひゃ、ひああ・・・っ」 ちゅっちゅ、ぴちゃ、ちゅっちゅ、ぺろぺろと耳や首筋、鎖骨とだんだんなめる場所を下げていく 「あ、ゃあ、あ、あああーーーっ!」 乳房にたどり着き、片方をぱくっと咥え歯で甘噛みしながら乳首を吸い上げる お願いを聞いてくれているのか声を隠さないで喘ぐ姿に興奮して、もう片方にも吸い付いた 「あ、あふ、赤ちゃん、みたいに・・・んん、ふあっ」 先ほど離した手でこちらの頭を撫でる その感触に心地よさを感じつつ、赤ん坊ではやらないことを進める 「あ、ぁ・・・そこは・・・ひぅんっ!」 「ここ、しっかりほぐさないと痛いらしいからね・・・」 胸を吸い、揉みながら、空いた手をおなかを撫でながら下へ 加賀さんの大事な所、そこに指を這わせる 「あぁ、あ・・・あっ」 「濡れてる・・・」 入り口はすでに汗以外の滑る液体で濡れていた・・・ちゃんと感じていてくれたみたいだ 「はう、あ、ああ、や、ひあ、あ、あぁ!」 太ももの内側をさすりつつ、中指を少しだけ中に埋めながら前後させ、くちゅくちゅとほぐしていく これくらいならあまり痛みは無いようで指が肉に包まれていく しばらく指でいじったあと、吸っていた胸から口を離し、脚を抱えて開かせる 「あ・・・」 「きれいだ・・・」 閉じられないようにしっかりと押さえつつ顔を秘所へと近づける 先ほどまで指でいじられていたせいでひくひくと収縮しているそこに口をつけ ちゅるるるっ!くちゅ、ちゅぷちゅぷっ! 「ひああああああああっ!?あ、や、あああああっ!」 吸い上げながら舌を侵入させてかき混ぜる 「あ、あう、ああ、あああ、ひあ、だ、ひゃめぇ・・・!」 ろれつが回っていない状態で跳ねる腰を押さえつけ、じゅぱじゅぱとしゃぶる 「ああ、あー、あ、ああああっ!」 ふとももを締めてくるが、それによって顔が固定されてさらになめやすくなり、攻める 「あ・・・なに、か・・・くる、だめ、だめだめ、あ、ああああああああああああああーーっ!」 ひときわ大きく身体を震わせ、絶頂を迎える加賀さん 秘部からは大量の愛液が溢れ出し、顔にべったりとかかる 「はぁー、はぁー・・・」 「ごめん、ちょっとやりすぎたかも・・・」 息も絶え絶えになっている加賀さんに謝る 「やさしくって言ったわ・・・」 「それはほんとにごめん、でも、止まれなかったんだよ・・・」 「もう・・・」 謝ると、くすりと目を細めて微笑まれる 「これで終わりじゃないのよね・・・最後まで続けましょう?」 「うん、ここまで来て、終わりになんてできない」 「もう、こんなになってるから、最後までしないと治まらない」 「あ・・・」 ずるん、と今にも爆発しそうなものを見せつける 面くらったようにまじまじと見つめる彼女に 「今からこれを、加賀さんの中に入れます」 「・・・は、い・・・///」 宣言して入り口にあてがい、腰を押す ずぶり、と肉が肉に沈み込んでいく 「うぁ、く、つぅ・・・!」 「う、きっつ・・」 初めて男を迎える中はぎゅうぎゅうにきつく、こちらを押し返そうとする 「はぁ、あ、遠慮しないで・・・きて・・・!」 「───ぐっ!」 こちらの頬に両手を添え、先を促す彼女に感謝しながら、奥まで一気に貫く 「ひぐっ、あ、うああ・・・っ!」 みぢり、と抵抗を突き破り根元で一気に突きこむ こちらの先端が、彼女の最奥をぐりっと押し上げる 「全部、入ったよ・・・」 「わかるわ・・・、奥まで貴方とつながって・・・!」 痛いだろうに、笑顔でやさしく答えてくれるけなげさに、ぞくりと腰が震え 「あ、ごめ、いっかい・・・でるっ!」 「え?あ、きゃ、あ?あ、あぁあ、あつ、あああっ!」 きゅうきゅうした締め付けに耐えきれず一番奥で射精 びゅるびゅると固まりの様な精液が彼女の中に流れ込んでいく 「あぁ、く、う・・・」 「ふぁ、あ・・・これ、は・・・」 今までで出たこともないような濃さと量を吐き出し、一息つく 「ごめん、我慢できなくて、でちゃった」 「これ、が・・・あなたの・・・?」 「そう、だよ・・・」 「あぁ・・・こだねが・・・いっぱい・・・」 とろりと、女の表情をして子宮のあるあたりを手でさする姿を見て 「あ・・・また・・・」 勃たないわけがない・・・! 腰を引き抜いて、突き立てる。許可は取らなかった・・・取ってる余裕がなかった 「あ、あぁ、いきなり、あああああっ!」 「ふ、ふっ、ふぅっ!」 喘ぐ彼女の腰をがっしりとつかみ、欲望のままに腰を振る 「あう、あ、ああ、ん、くあ、あ、ひああ、あーっ!」 ただただひたすら奥を求めて突き上げる。ブレーキが利かない 「あ、あく、あぁ、もっと、もっときてぇ・・・!」 彼女の方にも火が付いたらしく、両腕を頭に回し、がっしりと抱きついてくる しばらく、獣のように交わる 部屋には二人の喘ぎ声と、肉がぶつかり、弾ける水音だけが響く 「あ、が、ぐ、う・・・も・・・う・・・!」 「んあ、あ、私も、ひぐっ、もう・・・もう・・・!」 「「あ、ああ、ああああああああああああああああっ!!!」」 二人一緒に、弾ける こちらは腰を押さえつけるように抱きしめ、鈴口を子宮口にぐりぐりと押し付けながら注ぎ込み 彼女は両足で胴をがっしりと挟み込み、一滴も逃がさないというかのように締め、搾り取ってきた しばらくびゅくびゅくと奥に刷り込んだあと、どさりと布団に倒れこむ 「はぁー、はぁー、だ、大丈夫・・・?」 「はぁー、は、ふぅ・・・だ、大丈夫じゃないわ・・・こんなに激しいものなのね・・・」 「こんなに暴走するなんては、はあ、おもっても、はぁ、なかったんだけどね・・・」 「それくらい興奮してくれたのね・・・なら・・・いいわ・・・」 余韻に浸るようにぎゅっと抱きついてくる加賀さんを抱きしめる 「はぁ・・・ここは、あなたの匂いでいっぱいで素敵ね・・・」 「うん、よかったら好きなだけいていいよ・・・」 「じゃあお言葉に甘えて今日はここで眠るわ・・・」 「俺も、今日はこのまま・・・」 「おやすみなさい・・・すぅ・・・」 事後の脱力感にあらがえず、二人とも意識は沈み込んでいった 翌朝目を覚ますと、加賀さんは寝る前と変わらずに抱きついたまま眠っていた 朝日に照らされた愛らしい寝顔を撫でていると 「ん・・・」 ゆっくりと目を開け、覚醒し 「おはよう、加賀さん」 「えぇ、おはようございます」 穏やかな朝の挨拶を交わすのだった 「いい朝ね・・・さすがに気分が高揚します」 言いながら胸元に顔を寄せすりすりしてくる加賀さん 加賀さんかわいいよ、かわいいよ加賀さん 「えっと、昨日思いっきりやっちゃってなんだけど・・・痛くない?」 「異物感は少し・・・というよりもまだ腰が抜けて動けないわ・・・」 「そ、そっか・・・じゃあ、汗をながさないとだし、連れてくね」 「ん」 両手を伸ばして抱っこを求める加賀さんを抱え上げお風呂場へ 汗を流しつつ、中も洗おうとしたら 「ダメです・・・せっかくいっぱいだしてもらったのですから・・・」 とおなかを抑えていやいやするのがかわいくてバックから貫いて朝一の特濃を注ぎ込んでからもう一回汗を流し 腰が完全にがくがくになった加賀さんをお姫様だっこしながら部屋を出る 途中で会う艦娘が軒並み驚愕の表情を浮かべるが 「ここは譲れません(キリッ」と首筋にすがりついてドヤ顔をする加賀さんにほおずりをしながら執務室へ向かうのであった ちょっと後 「提督、ちょっとよろしいですか?」 「お?赤城さん、なんじゃらほい」 「加賀さんと結ばれたのはいいことだとは思うのですが・・・声をもうちょっと押さえていただけると助かります」 「お・・・?」 「部屋の壁は割と薄いので・・・おそらく全正規空母の部屋に聞こえていたかと・・・」 「───」(加賀さんフリーズ) 「善処するわー」 その後、顔真っ赤にしながらも 「へぇ~、加賀さんもあんなかわいい声出せるんですねー」 とニヤニヤ笑う瑞鶴の背後に一瞬で忍び寄り腕ひしぎをかます加賀さんであった やめて、それいじょういけない 瑞鶴が「がああああっ!」って女の子らしくない悲鳴あげてるからやめたげて! おしまい